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ライトノベル総合

960やまびこ:2019/02/17(日) 01:37:27 ID:ThfKNmts
◆エチュード春一番 第二曲 三日月のボレロ

「レッドデータガール」(アニメでしか見た事は無いが)で有名な作者が描く、かなりオカルティックな女子「美綾」と神と名乗る犬「モノクロ」の大学生活トラブルストーリーの第二巻。

感想としては、神道の歴史や日本の神の存在の歴史や神社の歴史や蘊蓄がかなりディープ書かれている、「憑きもの落とし」をする古書好きで神社に住んでる神道に詳しい主人公でその分厚い本でも有名なシリーズを読んでるかのような印象でしたw
神道とか修験道とか神話とかにこの作者かなり詳しいですね。レッドデータガールも神社と異能者という組み合わせでしたが、これも今回の話は色々な神社と異能者達と神の化身である犬「モノクロ」のオカルチックな変人変犬たちに翻弄される普通の女子大生の話でした。
すらすらお手軽に読めて楽しく読ませて貰いましたが、途中までは起承転結の転の部分が一向に描かれず、このままなんの盛り上がりも見せず終わってしまうのでは?って心配しましたが、ラスト付近でちゃんと非日常な事件が起こって、しっかり主役が主役として活躍したので読後の達成感はまあまあでしたw

出来れば、一巻で出てきた嫌な性格の嘘つき女もでて引っかき回して貰えばもっと面白かったのにってちょっと思いましたね。
今回の悪者はラストにああいう行動に出て、こいつギャグ・道化役としてもしこのシリーズが続くならまた再出演しそうですね。門宮弓月も動物病院の先生も頼もしい味方になりそうです。
せっかく役者が揃ってきたのにまだ二巻しかでてないのは勿体ないので、ぜひ続きを書いて欲しいですね。

しかし、今回の悪人はもっと酷い目に遭って罪を償って欲しかったですね。てっきり「モノクロ」と同じ神の化身かと思いましたがただの変人異能力者でした。人間になりたい神の「モノクロ」の人間としての成長過程も見所の一つですね。
アラハバキの神っていえば、「龍の黙示録」シリーズで東北の吸血鬼村で「アラハバキ」の剣とか出ていた気がします。他にも色んな小説に使われていそうですね。

小説内ではもう季節は春一番では無いけど(今回は梅雨〜初秋)、次は冬あたりの話でしょうか?続きが出たら是非読みたいです。

961やまびこ:2019/03/08(金) 19:31:05 ID:ThfKNmts
◆人間のように泣いたのか?

知ってる人は知ってる「ウォーカロン・シリーズ」第10弾、これが最終巻です(残念)。

内容は近未来の地球、日本のキョートで行われる国際会議の司会者に選ばれた主人公ハギリ博士は、上司から日本政府がテロを装って国際会議で「ホワイト(いまや中国の会社が主流のかウォーカロン会社の共同体)のメンバーが誘拐される計画」があるから慌てないように行動すること、と奇妙な指令を受ける。
犯罪予告をされたことで、誘拐されたメンバーのその後の心配をするハギリ博士。当日なんと、ハギリ博士と護衛のウグイまで誘拐監禁されてしまう。政府の誘拐計画にしては様子がおかしいと思ったハギリ博士は腕の立つ女性のウグイと共に脱出を試みる、二人の危険な逃避行が始まった、と言う内容でした。

ウォーカロンというのは人の代わりに危険な仕事をして貰うために作られた人工生命体(ほとんど人と変わらない)で、主人公は最初人間とウォーカロンの区別を判断する機械を作っていたが、今はウォーカロンと人間は同等になっていくだろうと思っている。そして子供が産めなくなった人間を再び生殖機能を持たせる研究にも興味を持っている。
付け加えて、今までの冒険で人工知能(AI)やその分身トランスファー、伝説のウォーカロンの発明者「マガタ博士」や護衛のウグイ、アネバネ、キガタなど頼もしすぎる味方を得ている状態です(本人は考察力・発想力だけは優れている、運動能力は普通でいつも守って貰う方の存在です)。

さて最終巻の感想ですが、意外と面白くなかった。事件も途中までは、誘拐事件がどうなるか興味津々、嬉々として楽しんでいたんですが、後半がただの二人の逃避行に終わっていて、ウォーカロンと人間の未来、または大事件の解決のためのスーパーな活躍もなく、今までの数々の神妙で複雑な伏線と関係なく、どちらかと言えばラブコメ小説になってるのがなあ、ちょっと最終巻にしては拍子抜けでした。
でもラストに、マガタ博士と出会い、彼女が人間か?ロボットか?ウォーカロンか?クローンか?の正体が少しだけ分かって少しだけスッキリしました。だだ、彼女が普段どこで何をやってるのかは依然として謎w

それから、いつも親切なデボラが博士に味方をしてくれないのも残念でした。いざとなったら中国の管轄のAI「アミラ」のトランスファーだから、商売敵(中国のフス社)に付きそうですもんね。味方のAIはオーロラとペガサスですか。

まあ、文句は言いましたが、面白くなくは無かったです(最終巻にしては物足り無いだけで)。このままもうちょっと続いて欲しかったかなあ。

ラストのエピローグは、好きな人が出来て意識しすぎて眠れないから、精神病医師に二人とも相談しに来る正に「ラブコメ」な終わり方で微笑ましかったですね。
二人に子供が出来て人類の問題が解決って言うのはちょっと安易かも知れませんが、そんな未来を想像してしまいますね。

あと、主人公の男性助手「アカマ」さんはオトコスキーなんでしょうか、ちょっと気になりますねw

続きが出る事があれば是非読みたいシリーズでした。シリーズ全体的には面白かったです。

962やまびこ:2019/03/24(日) 19:44:19 ID:ThfKNmts
◆サイタ✕サイタ

Xシリーズ第5巻。今回は謎の依頼人から左曾利(サソリ)と言う人物の素行を調査して欲しいとの依頼がくる。いつもの主人公メンバー、小川・真鍋・永田の3人組に加え、同業者(探偵)の鷹知や刑事の岩瀬も加え彼(サソリ)を24時間毎日監視することになるのだが、同時に連続発火事件や連続殺人事件に出くわすことになる。この三つの案件は果たして繋がっているのか、無関係なのか・・と言うミステリーでした。

感想ですが、前巻「ムカシ×ムカシ」同様に、誰が犯人で動機や方法が全てはっきりせず、読後に読者が検討して考察してあーだこーだと考える小説でした(不親切でモヤッとするけど、そこが売りなんだろうなあ)。もうひとつ、題名は「サイタ✕サイタ」というより「ビコウ✕ビコウ」(尾行ね)や「ビコウ✕コウタイ」の方がしっくりきますね。なんか「ハンター✕ハンター」みたいwサイタ✕サイタというのは「チューリップの花」に掛けて「爆弾の火花」の事で、仕掛けた犯人の犯行声明のことです。
四人でも一人を24時間気付かれないように尾行するって、不規則な生活になったり、寝る時間を削ったり、大変だなあってこの本を読んでいて感じましたね(それが一番読んでいて楽しかったですね)。あと、何でも屋の事務所の社長の椙田(美術鑑定家)が出番も少なく全然活躍しないので(裏で危ない人物と色々やってるのはわかっている)、主人公はこいつじゃないなあって思いつつ、こいつが一番謎の人物ですね(普段なにをやっているのか?)w
それから、尾行対象のサイコパスっぽい「左曾利(サソリ)」さん、ダーティーハリーって映画の最初のサイコパスな強敵スコルピオ(さそり?)から取ったんでしょうか?名前とサイコでコス狡い所がよく似てました。

今回の依頼人は誰かっていうのは、自分は小川タイプなので、途中で分かっちゃいました(直感ですが)。ただ犯人の自分を止めて欲しいって言う気持ちは理解不能ですね。ただ単に自分を目立つおとりに使ってその間にもう1人の仲間を疑わせないようにしただけのようにも思えますね。全ての犯行を終えたら仲間も一緒にこの世から綺麗さっぱり消えるって気持ちも理解不能でした。
犯人の気持ちが非常に分かりにくかった話だと思います。自分の義妹や嫁が、夜鷹や娼婦のような隠れバイトをしてたからといって、許せないから殺すってなるでしょうか?よほど自分の正義感や道徳観に傷が付いたんでしょうね。まあそれで殺人はギリ分かるんですが、爆弾の方は何カ所も仕掛けて何がしたかったんでしょうか?娼婦バイトの事でストレスが溜まっていたから発散?それともバイトをやる度に相手との情事の近くで爆弾事件を起こして「そういう事はやめろ」って警告してたのかな。

このように、事件のあらましがはっきりせず、あとで読者が考察するミステリーでしたwそういう意味では面白いシリーズだとは思います。次の巻は「ダマシ✕ダマシ」ですね。

963やまびこ:2019/04/17(水) 00:31:10 ID:ThfKNmts
◆ダマシ×ダマシ Swindler(詐欺師)

知る人ぞ知るXシリーズ最終巻。蜜月の時は過ぎ、別れの虚無感が漂う最終巻でした。
例えるなら、折角仲良くなった友達が、親の都合で引っ越してしまうとか、職場で仕事を通じてようやく分かり合えた同僚が、栄転で違う支店へ異動して、新入社員とまた新しい仕事仲間関係を作らなくては行けなくなった空しさを味わえる話でした。
この小説の場合、主人公小川さんが社長の椙田やバイトの真鍋・永田とワイワイ楽しい日々を過ごし、いい未来を期待していたのに、突然のその関係の終了を告げられ、ほっぽり出されたって感じですね(アフタケアはあるけど、小川が求めていたのは別な物だったて事だよね)。
読者やこのシリーズのファンもほっぽり出された感覚を味わってるのでは無いでしょうか?

内容は、結婚詐欺の疑いがある相手を探して欲しいと依頼を受けて調査を始めたが、どうやら被害者が他にも二人いて、その上調査途中で結婚詐欺本人が殺されてしまう。誰が殺したのか?本当に結婚詐欺だったのか?って話でした。

事件とは別に、主人公小川の雇い主の椙田社長が突然小川に調査事務所を譲って引退するってのが、もう一つのシリーズを通した事件でした。
結局、椙田が普段は何処で何をやっていて、なぜ西之園萌絵をさけるのか、椙田のビジネスパートナー何者なのか(まあ、クジアキラやロイディやサエバミチルの百年シリーズ関係だろうけど)全く謎のまま終わってしまったのがモヤモヤするなあw
あの天才で犯罪者の真賀田四季博士の部下で彼女のための資金繰りをしてるのかも知れないなあ。
他のシリーズを読んでないので、そちらにヒントがありそうだけど、「Fになる」のS&Mシリーズから読み始めるのは結構大変なので、どうしようかと思ってる最中ですw

あと、ラストに出てきた「メグミ」ちゃんて誰?調べたら「Gシリーズ」のメインキャラらしいけど・・つまりこの「Xシリーズ」って半分はデイープな森博嗣ワールドファンのための小説だったと言うことか。
まあ、暇があったら最初のシリーズから読んで見合いと思います。

この小説自体はまあまあ、面白かったです。

964やまびこ:2019/05/14(火) 23:54:05 ID:ThfKNmts
◆冷たい密室と博士たち

実写ドラマ「すべてがFになる」の一話、二話で観たことはあったけど(宇宙服のような防寒服を着た学生達が実験室のはいって密室で殺されるぐらいしか覚えてないw)、内容をほぼ忘れたので原作を読んでみました。
小説にはちゃんと建物の見取り図が事細かく付属していて、さすが主人公が建築好きな建築学科助教授だけはあるなあって、ちょっとだけ「建築探偵・桜井京介」を思い出しました。この建物見取り図を見ていて思ったのは、この植えられている樹木にもちゃんと意味があって、中庭を人が通っても事務室から見えないようになってるなあってちゃんと考えられてるなあって、ちょっとにやけてしまいましたw

さてストーリーは、極地研に低温度プール実験を見に来た主人公助教授「犀川」とヒロインで大学生の「萌絵」。実験後、二人の学生の死体が見つかりそれが密室殺人であった。さらに最近誰も入っていない機械室から、行方不明になっていた学生の白骨死体が見つかる。ヒロイン萌絵は好奇心から積極的にこの密室殺人の謎を解こうとするが、その所為で彼女も犯人に狙われる というミステリーです。

一章は事件後にデニーズに集まって事件の考察を始める主人公達。二章〜五章は事件当日に話が戻り、殺人事件が起こって警察が捜査を始めるまでの回想、六章からは再びデニーズの現在に戻って事件の考察の続きから新たなる殺人事件を経て犯人確保まで、第十二章で犀川による密室事件の謎の解明、第十三章犯人による真実&エピローグと言う構成になっている。
犯人のヒントは登録ネーム「SHIKA(鹿)」。犯人が分かったとき、なるほどこりゃ普通じゃ分からんわ(外国語学に通じてないと)って思ったが、よく名前を観ると「あれ?違う解釈でも犯人分かるじゃんよ」、ってこれもにやけてしまいましたw

あと、完璧な建物地図が有るおかけで、実験の様子や死体発見や「萌絵」が犯人に狙われて逃げる様子とか犀川の謎解きが凄く分かりやすく、アドベンチャーゲームを楽しんでる感じでしたね。

しかし、あの人がまさか娘のために、そこまでの危険を冒すとはそこまでの覚悟があるとは、まさに想像を絶する異常な犯罪心理(親子愛)ですね。犀川が答えを見つけたとき、動機が理解できない、信じられないって言った気持ちがよく分りました。
それから、大学院とかの制度がよく分からなかったけど、修士コース(Mコース)でまずマスターになってそして博士コース(Dコース)でドクターのなるんですね(大学卒業してから何年かかるんだろう?)、博士になるのも大変だわって思いました。

いやあ、楽しかった推理小説でした。「すべてがFになる」事件だけじゃなく、このシリーズ全体もアニメ化すれば良いのに、って思いましたわ。

今回分かったこと、犀川は意味の無い冗談ほど高尚だと思っている。ヘビースモーカーである。コーラとカルピスを混ぜて飲む。缶コーヒーは嫌い。萌絵の両親は目の前の飛行機事故で死亡。萌絵の住む部屋は高級マンション21階22階全フロアーw飼い犬と執事がいる。萌絵の叔父さんは警察本部長。
犀川にはもう一つの人格(激しい性格で頭の回転が速い・・特異な精神状態)がある。犀川の友人は喜多助教授、助手は気の強そうな国枝桃子(フルネームで書きたくなったw)。この二人は多分今後の事件でも登場しそう。

というわけで、今後はこのシリーズの読破を目指していきたいと思います(できないかもしれないけどねw)

965やまびこ:2019/06/01(土) 19:15:25 ID:rmiMl0oI
◆笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE(数学的なさようなら)

知る人ぞ知る、S(犀川)&M(萌絵)シリーズの第三作。主人公二人は天才数学者の住むオリオン座を模した奇妙な建物三ツ星館で行われるクリスマスパーティに招待され出かける。
そこで、天才数学者の天王寺翔蔵は庭の12年前にも一回やったくオリオン像を消してしまう>マジック?を見せるが、前回オリオン像が消えたときには翔蔵の長男が事故死しており、今回も「また誰かが死ぬ」という怪文章が届いていた。
そして、そしてクリスマスの早朝に、庭のオリオン像のそばで、三ツ星館の1号室で、それぞれ死体が発見される。何故誰にどうやって殺されたのかの謎とオリオン像が消えた謎に挑むミステリー。

オリオン像が消えた謎については、付録の三ツ星館の見取り図をみれば途中で気付きました(まあ誰にも分かるわなw)。ただ本当に現実で起こったなら、そういう建物でそういう大胆な仕掛けがあるって想像しないかも。でもオリオン像が消えたときに、もう少し建物全体をよく探すからすぐトリックに気付くかもしれない。
まあ、本題は、どういう理由で殺人が起こったのか、どうやって殺したのか、そしてこの天王寺一族(使用人も)は嘘つきだらけで、この一族の真実の姿はなんなのか?って事でした。

ほんと嘘つきだらけで、刑事さんに嘘言っても罪にならないのか?って程でしたw父親は死んだことになって生きていたり、この館に住む天才数学者は実は本人じゃないかも、家族みんなで真実を隠して刑事や主人公達にもすっとぼけて、読んでいて何が本当なのか分からなくなりましたよ。
事件解決したあとにも、残る重大な謎でモヤモヤ状態ですねwあと自称天才数学者(本人じゃない可能性もある)が出したビリヤードの球の問題も答えが出ねえ(一応考えたが)。

青の部屋で死んだ数学者は実は片山基生かなあ(建物操作に詳しいから、そして今回の事件は彼の仕業だって犀川は断言してる)。公園で少女と戯れてるのが本物の翔蔵?(息子の小説に仙人のおじいさんは外の出て行ったって書いてあるから)、白骨死体が流行小説家の宗太郎かなあ?
最初に出会った部屋は黄色の部屋、次が紫の部屋、最後に自殺したのは青の部屋ってのは関係あるのかなあ。
それとも、数学にも建物にも詳しくなく小説の少年のモデルになった小説家が翔蔵の振りをしていて、地下で自殺した(どうせ癌の後遺症で死期が近いので)とも考えられるなあ。
また、事件当夜本物の博士の他にもうひとり地下にいた(小説家の宗太郎)とも考えられる。

とにかく最後に公園で子供と戯れるのは本物の翔蔵だと思うけど、他人の感想では片山基生だと書いてあって今は混乱してます。
まあ、地下に残った「笑う数学者」は偽物ですねw宗太郎と基生の顔が似てる(双子?)から、事件当夜と事件解決の日では入れ替わった?とも考えられる、すると基生が公園の老人になるが????。

とにかく読後に考えさせられる、糞ややこしいミステリーでした。でもこういう完全に解決しないミステリーも変わっていて面白かったですね。

さて次はどれを読もうか悩みます(手元にはVシリーズとGシリーズが一冊づつで続編である「詩的私的ジャック」がないのでw。

966やまびこ:2019/06/01(土) 19:23:02 ID:rmiMl0oI
追記、宗太郎が交通事故で基生が癌で亡くなった事になってるから、宗太郎は癌の後遺症で死期が近くて自殺したって事にはならないか、勘違いしてました(ごめんなさい)。
誰かスッキリした答えを出してくれ・・・言いたくなる小説だよ、これw

967やまびこ:2019/06/15(土) 21:33:40 ID:rmiMl0oI
◆φは壊れたね

知る人ぞ知るG(ギリシャ文字)シリーズの第一弾。学生の加部谷恵美(お喋り)・海月及介(無口)・山吹早月(常識人)の三人を中心に西之園萌絵や犀川など前シリーズの登場人物が出てきて、殺人事件の謎に挑むという話でした。
殺人事件はアパートの一室でYの字に吊られて胸をナイフで刺されていた芸大生を二人の女の友人が発見すると言う出だしで、その部屋は密室であり、その部屋の真下の部屋に偶然に山吹早月がいたことから、関わってしまうと言うストーリーでした。

「笑わない数学者」と同じで、事件解決後にも意外と重大な謎(読者にとって)が残って、読後感がモヤモヤしてスッキリしない小説でしたw
その謎の一つが「φは壊れたね」というメッセージ。そして、なぜこんな状態で殺されたのか?何故、事件の一部始終をビデオカメラで撮影していたのか?つまり犯人や犠牲者や関係者の心理状態がはっきりと分からないと言うことですね。
多分作者の意図で、あとは自分で考えろ!ってことでしょうし、子供が観るアニメのように、単純で全てすっきり分かるような出来事(殺人事件に限らず)なんて人生には無いんだよってメッセージかも知れませんね。

じゃあ、ちょっとだけ考えますと、φってのは空集合のマークらしいので、犠牲者は殺されて、生きてる物の無い無の空間(アパートの部屋)に、二人の女子学生が入ってきてあたふたおろおろ騒いで、厳かで静かな空間(部屋)で無くなっちゃったね(壊れたね)って意図の作品だったのではないかなあ。
またはφ(犯人はいない自殺である)=密室だから、のトリックを見破った(壊した)っていう読者へ向けてのメタファーなメッセージと掛けているのかも知れませんね(考えすぎか?)w
それから、奇妙な殺され方は、芸術大学生だから殺人にも独特の感性や美術的感覚が働いたのでしょう、ビデオ撮影に関しては、殺人現場を目撃した女の子達の臨場感をまたは自己顕示欲を作品として撮りたかったんでしょうか。

ネタバレになりますが、犠牲者は死ぬ気はなかった、犯人も殺す気はなかった、しかしそのエキセントリックな集団のエキセントリックな性格や雰囲気に飲み込まれて殺してしまったのかも知れません。でもそれにしては密室とか作ったりして本格的で計画的ですね。
まあ、単純に考えれば、仲良し集団の恋のもつれか友情ももつれで、映画作品を作ると言う名目でそそのかして殺してしまった考えるのが普通かなw

読み物としては、事件の経過や、新たな主人公達の関係性や性格や前シリーズの特別ゲスト乱入とかあって、最後までワクワク面白く読めました。
ただ、やっぱりもうちょっと分からない部分を少なくして、読後感をスッキリして欲しかったかなあっては思います。

可部谷恵美さんって確か「Xシリーズ」の最終巻に偽名の結婚詐欺の被害者で出てきてたよなあ?どういういきさつなんだろうか(今後それが楽しみで読みたいと思います)。

968やまびこ:2019/06/29(土) 04:36:08 ID:rmiMl0oI
◆黒猫の三角
V(紅子)シリーズの第一弾。小田原家の居候「瀬在丸紅子」とその変わった仲間達(麻雀&飲み友)が関わった事件を描くシリーズ。
今回のストーリーは小田原家の実質上の主人「小田原静江」のもとに、過去三年間に起こった殺人事件の記事が入った不可思議な手紙が届き、不安になった静江は探偵「保呂草潤平」に一晩の護衛を頼む。
だが、護衛の甲斐もなく、静江は過去三年間に近所で起こった殺人事件と同じ手口で殺されてしまう(首を特殊なベルトで締められて)。殺された部屋は窓も出入り口も内側から締められて密室で、犯人が逃げられる秘密の経路もなかった。
保呂草と紅子、そして中性的(女装癖のある)な大学生「小鳥遊練無」とその友人「香具山紫子」はその謎に挑むと言うストーリーでした。

まず率直な感想ですが、まさかシリーズ第一弾なのに、初っぱなからお前が犯人なのか??ってポカーンとする結末に驚きましたw追々このあとのシリーズどうなるんだよ!
って思ったら、なるほど真の主役が登場してそういう事かってまあ・・まあ納得しましたわwつまり今回の事件は頭の切れる変わり者同士の邂逅&対決って所ですか。
紅子さんはこれからも、色々なシリーズででてきそうな「ポスト・真賀田四季」っぽいですね。

しかし、この推理小説で一番の問題は犯人の動機ですね。え?こんな動機で良いの?って感じの動機でした。「きまぐれ」「なんとなく」「ぞろ目が好きだから」「何となく語呂が良いから」「人を殺したかったから」って感じで、森博嗣らしい常識の斜め上を行くミステリーだなあって感じましたね。
何せ、頭の切れる登場人物が、「遊びで殺すのが一番健全だぞ」とか言ってるくらいですから、もうちょっとで自分も感化されそうになって「いやいや普通で健全なわけ有るか!」って思い直しましたわwそれから「何故人を殺してはいけないのか」談義は面白かったです。

あとは、殺人事件でうやむやになった、小田原家長男(朋哉)の殺人未遂事件。東尾が小田原家長女を連れ込んだ事件は単なるミスリード的なものだったのかな。でも理由のある殺人と遊び(洒落)でする殺人の対比、犯人の変わった性格(普通に考えればサイコパス)を表すためのエピソードなのかもね。

最後にクロネッカーのデルタ(「黒猫の三角」の元ネタ)について調べたけど、行列の11・22・33・44・・・が1(有り・殺人対象って意味?)で他は0(無しって意味?)・・・この法則ってなんの役に立つのかなあって新たな疑問しか湧かなかった(頭の悪い自分には分からん)。

このシリーズも面白そうなので暇があったら読んでいこうと思います。

969やまびこ:2019/07/19(金) 15:58:30 ID:rmiMl0oI
◆人形式モナリザ

V(紅子)シリーズの第二弾。今回は蓼科リゾート地に建つ「人形博物館」で起こる「銀のナイフ」による殺人事件と毒殺事件。それに加えて美術館で起こった泥棒ルパ(ルパンから取った)による絵の盗難事件。
これらの事件が絡み合い、偶然居合わせた主人公達と新メンバー「森川素直」(大学の友人)と「祖父江七夏」(女刑事)が加わり、この事件の謎に挑んでいくという内容でした。

感想:途中まで(かなり後までかなw)ちょっと中だるみ的なダラダラとした事件考察と情報収集と何気ない日常と捜査の経過は少し退屈で、この事件ちゃんと解決できるのかと不安に駆られる構成でした。
話が大きく解決へ動いたのが、主人公「紅子」の気まぐれっぽい岩崎家への深夜訪問。何を考えてるんだ?)妖怪アンテナや少年漫画主人公的な超能力的な感でも働きましたか?って思える展開で、なんなんだこの人っておもいました。
が、後で何故急に岩崎家へ言ったのか説明があって良かったwつまり奴(また奴ですよ奴)の車のボンネットがまだ熱かったからなんですね(一本取られたわw)。
殺人事件と関係ない所で、なんなんだ二巻連続この展開は!って笑いが出てきました。一巻と二巻では別の人なんだけど、どちらとも〇罪〇じゃねーか(呆れた笑いしか出ねえ)。こいつはXシリーズの椙田泰男みたいに美術品の犯罪に関わっていてかつ真賀田四季の関係者じゃないだろうか?って予想。

殺人事件の方はなんとなくこいつが怪しいって感じていたけど、ややこしい殺し方をするなあては思いました。
岩崎亮は自分の自分の思い通りにしようと、とある場所で変な暗示をかけて引き込んだ(ナンパした?)人物が、まさか一族を滅ぼす「獅子身中の虫」になろうとは思わなかったでしょうね、大失敗ですねw

そしてラストの一言。あれは残る一人(叔母さん)の殺しの予告ですね。

最後まで読むと大どんでん返しがあって、結構面白かった一冊でした。保呂草と紅子と七夏と林と紫子の恋のいざこざ5角形も楽しみの一つですね。

970やまびこ:2019/08/02(金) 02:27:04 ID:rmiMl0oI
◆月は幽咽のデバイス

Vシリーズの第三作目。幽咽のデバイスとは「微かに噎び泣く装置」という意味だが、月が?噎び泣く?よく分らんが何となく分かるって感じの題名だなあ。
内容は、建設会社の社長「篠塚邦宏」が住む通称「お化け屋敷」と呼ばれる豪邸に、美術&古物関係の仕事で呼ばれた「保呂草」は、その晩開かれるパーティにも呼ばれる。そのパーティの途中で防音で音楽鑑賞室の密室で乱暴に引きずられた死体が見つかる。果たして殺人・自殺・事故・いずれなのか?
偶然居合わせた、いつもの紅子と愉快な仲間達と共に、少し危険な屋敷の謎そして死体の謎に挑むという話でした。

感想:相変わらず少しのヒントで全てを見通す紅子。紅子より少し劣るがそれでも抜群の推理力を持って暗躍する「保呂草」。そして、女装が趣味の変わった大学生だが、格闘技を使う「練無」。まあまあ面白かったですね(凄く良かったとまでは行かないけど)。
ただ、狼男?謎の猛獣?屋敷に住む怪物の正体がイマイチわからなかったのがスッキリしなくてやや不満でした。彼の生い立ち(そもそも人間?)をもっと詳しく描いて欲しかったかなあ。そして事件の真相がまさかのああいう出来事とは意外でした。
この場合、誰かが罪に問われるのか?被害者はなぜそういう行動に出たのか?やっぱりスッキリしないところが多くて、あとは読者の想像に任せるっていつものパターンでした(全ての真相は語られない)w

大体、男主人公の「保呂草」が堅気じゃなくて〇〇だからなあ(何のため〇〇をしてるのか?彼の生い立ちも謎)wその上、紅子が何故研究をしてるなんのための研究をしてるのかも謎。そして小鳥遊の美女装趣味も主人公サイドのキャラとしては異常w変わった者同士の探偵団って所でしょうか。
まあ、暇つぶし(失礼!気分転換に)にはぴったりの肩のこらないシリーズなんで、これからも読んでいきたいと思います(その辺の少年漫画より面白いしね)。あと、恋愛の五角関係(紅子・紫子・七夏・潤平・林)も相変わらず目が離せない所ですか(+根来じいさん)。

971やまびこ:2019/08/11(日) 19:46:26 ID:rmiMl0oI
◆夢・出会い・魔性

Vシリーズの第4作目。ストーリーはN放送局の女子大生クイズ大会に出ることになったいつものメンバー(紅子・紫子・練無)は保呂草(探偵・何でも屋)とともに東京のスタジオまでやってくる。そこでクイズ番組のプロデューサー柳川が密室的状況の部屋で殺されてしまう。
女子大生と偽って出演する女装したの練無は、女子トイレでアイドル亜由美(一番怪しい容疑者)と出会い、彼女とともに逃避行することになる。犯人と思われる謎の女の幽霊や殺された柳川の過去の交通事故やアイドル亜由美との謎の関係、そしてストリップ場への殺しの招待。
そして、紅子や練無の女子大生偽証はばれてしまうのか(事件と関係ないけどw)。TV放送スタジオを中心とした奇妙でサイコパスでいつもと違って別の意味で面白い(コメディっぽい)ミステリーでした。

今回の話は、練無(男の娘)の素っ頓狂な行動に全部持って行かれた感じで、犯人が結構なサイコなんだけど彼ら(変わり者の主要メンバー達)の所為で全然目立たなくなって、テレビ業界の殺人事件コメディっぽかったですね。
一番意外だったことは、サイコな犯人と新キャラの探偵「稲沢真澄」の性別でしたw名前の雰囲気で読者をミスリードさせるという、多分こういうのを叙述トリックっていうのかなあ、それに見事に騙されました。
レギュラーメンバーの練無も性別を偽ってますしね〜w紅子さんも女子大生って歳じゃないし、警察はもっと容疑者や関係者の身の上をよく調べろよ(性別・職業)って思いました。

とにかく、サイコホラーミステリーとしてより、いろいろ詐称ドキドキコメディとして楽しめる話でした。もしこれでクイズ番組で優勝してたら、詐称詐欺で訴えられるんじゃないかなあw
もし実写化するとしたら、練無はボーイッシュな美少女(女装オネエや女装ジャニーズ系俳優とかなら絶対観たくねえw)に演じて欲しいですね。

972やまびこ:2019/08/18(日) 07:00:18 ID:rmiMl0oI
◆θは遊んでくれたよ

大学生の加部谷・海月・山吹が活躍するGシリーズ(ギリシャ文字)の第2作目。今回の話は、飛び降り自殺と思われた事件に、その死体に必ず「θ」という口紅で描かれた文字が書いてある所から、何かの連続殺人ではと疑っていた主人公の3人と
他シリーズキャラの犀川や萌絵や反町愛や、前作の巻き込まれフリーター船元やちらりと出演した探偵赤柳がその真相に挑むというミステリーでした。

この作者のミステリーは、事件の真相をおおよそ予想するだけで、正確な答え(真相)は出なく、あとは読者の想像に任せますってのが多くて、今回もそうでした(実際の事件もそういうもんですよって言いたい感じですね)w

感想:おおよそ面白いミステリーでしたが、海月くんが語った真相の仮説の最後、郡司教授の娘の自殺の仮説が腑に落ちなかったなあ。恋人(もしかしたらただの肉体関係で後悔してる相手)に忠告するために命を賭けて自殺とか普通しないよねえ(痛いもんw)。
あと、自分の将来が危うい立場になるからと言って、口封じに殺しちゃう?普通はしないよねえ。まあ、医学関係の仕事をしてるなら、人の死も身近でだんだん命が軽いものに思えてきて、殺人も苦にならないって心理はあるかも知れないけどね。
それと、いくらコンピュータの人工AIが優れていても、人を自殺にまで導くのは無理のような気がして最初の飛び降りも説得力が足りないかなあ。
でも、あの魔法使いのような「マガタシキ博士」が関わってるのならちょっと説得力があるかな。
その場合、野崎まど「バビロン」の曲世愛的な感じがするし、この小説にも「人は自殺する権利がある」とか言ってるし、マガタシキは何を考えてるのか(まあウォーカロンを作るための人間研究なんだろうけどね)?ゾッとしますねw

今回最も驚いたのが、前シリーズ(Vシリーズ)で副主人公だった「保呂草」(探偵&何でも屋)が登場したこと。今は「マガタシキ」関係の元で世界を股に掛けて働いてることが分かった事ですね。もともとそういう関係の人で、前シリーズはたまたま日本で一時ボロアパートで暮らしていたのかも知れないですね。
つまり、森ワールドはデビュー作(かな?)「すべてがFになる」の真賀田四季に始まって真賀田四季を中心に動いてる感じですね。

主人公の一人の「加部谷」がXシリーズの最後で出てくるので、何故そうなったのか気になるので続きが読みたいですね。(予想:山吹か海月くん最後の事件で死んじゃうのかなあ)。ほんと順番に読んでないので頭ぐっちゃぐちゃになりそうだわw
保呂草との間を持った謎の美女って紅子(それとも女装のあいつか大阪弁のあいつか)さんかなw

973やまびこ:2019/08/30(金) 16:47:06 ID:rmiMl0oI
◆魔剣天翔

Vシリーズの5作目。今回のストーリーは、持つ物を不幸にするといわれている高価な宝石の付いたナイフ「エンジェルマニューバ」を「関根朔太画伯」から取り返して欲しい(盗んで欲しい)と依頼された男性主人公の「保呂草」が、
偶然にも関根画伯の娘「杏奈」と先輩後輩の仲だった女装好きの医学生「練無」を通じて、「杏奈」がいるフライトショー会場に乗り込み高価なナイフの在処を調査を始める。ところが、そのフライトショーの途中でパイロットの殺人事件が起こり、
飛行機が二機墜落してしまう。そして、殺された被害者と一緒に飛んでいた依頼人「亜樹良」(容疑者)とともに「保呂草」は警察に追われることになる。そこに全てを見通す頭脳の持ち主で女性主人公「紅子」の推理が冴えるというストーリーでした。

まず、思いついたのはジャーナリストで依頼人の「亜樹良(あきら)」という依頼人の名前。百年シリーズにも「クジ・アキラ」っていたけど何か関係があるのかなあ?それとマニューバとは何か調べたら、飛行機の動きなんで、宝石ナイフの名前は「天使のような操縦」ってことかなあ?「スカイボルト(空のネジまたは電圧)」の方が何か格好いいかもw

で、感想だが今まで読んだVシリーズの中で一番面白かったし、一番感慨深かったなあ。前作の「クイズ番組殺人事件」はコメディとしては一番面白かったけど、今回は事件の結末が何か物悲しくて、後を引いたなあ。とくに燃料が尽きるまで南の空へ向かって飛ぶ●●(誰かは秘密)。そんなに父を愛していたのか(心中するほどに)。
それと、杏奈と練無の少林寺拳法対決。練無は引き留めようとしてたんだね、「今度、飛行機に乗せてね」って。そして、逃亡のため犯罪を犯してしまう、何でも屋(主に探偵)の「保呂草」・・最後は警察に捕まって次巻から主役降板かと思ったわw

結局、魔剣「エンジェルマニューバ」に関わった一族は悲しい結末になるという物語でもありました。いやあ、今作は読んでいて面白かったわw

あと、この本を読むに当たって「航空機辞典」は必須ですねw航空用語がチンプンカンプンでフライトショーの描写がイマイチ頭に想像できませんでした(もちろん後で調べましたけど)。

Vシリーズは主要キャラの個性が面白いですね。泥棒・変人科学者・女装医学生・サバサバしたお喋り好きな関西ドジっ子。これから読む続編も楽しみです。

974やまびこ:2019/09/06(金) 18:01:33 ID:rmiMl0oI
◆Τになるまで待って

G(ギリシャ文字)シリーズの第三巻。いつものメンバー(山吹・加部谷・海月)に加え、前巻からレギュラーになった探偵・赤柳はMNI関係者の依頼を受けて、「真賀田四季」とその組織MNIに関する資料がある噂されるので調べるために超能力者が住むという「伽羅離館」を訪れる。
その夜、その屋敷に住む主人で超能力者の「神居」が密室で殺された。玄関は開かなく、窓には鉄格子があって外に出られなくなる赤柳たち主要メンバーは館からの脱出と超能力のトリックや密室の謎に挑むという話でした。

感想:今回は読んでる途中はこの先どうなるのか?ワクワクして楽しめたけど、読み終えた後「なんだこの話は???」って読後感があまり良くなかった(言っちゃ悪いけど)。
ミステリーと言うより、ファンのための海月くんや犀川先生の天才的な活躍を描いた外伝、または主要キャラを掘り下げるためだけに用意されたシナリオって感じでした。

まず、犯人があやふや、犯人の動機もあやふや・・殺された超能力者もイマイチどんな人物なのかあやふや、メイドとの関係もあやふや、この館の施設もあやふや、MNIとは何をしてるのかもあやふや、依頼者のシンの目的もあやふや、不動産やがどうなったかもあやふや、全部読者の想像におまかせしますって感じ。
ただ、海月くんや犀川先生って凄いでしょ!「真賀田四季」て謎に包まれたラスボスで凄い人物なんだって見せたかっただけ物語で、読んだ後の満足感が感動がなかったなあ。
それと題名の「Τになるまで待って」(アメリカのサスペンス映画かよw)もただのラジオ番組で事件と関係があるのか無いのか、其処も読者の想像に任せます(関係はあると思うけどね)。無理矢理こじ付けたような題名でがっくり。ほんと「なんだこりゃ?」ですよw

「ブギーポップ」読んでいて、最後に活躍するブギーポップが強いなあ格好いいなあ神がかってるなあ・・統和機構って謎めいて壮大な組織なんだなあ・・って言うのと同じレベルの感想しか出ない話でした。ただ、主人公達「マジックと密室の謎を解いただけ」・・犯人や被害者に深いドラマなどいっさい関係無い観たいな、クイズを解くみたいな感じで無機質すぎるw

まあ、次回の話はもう少し人間ドラマや感情の動きを描いて欲しいかなあって思った初めての森作品でした。

975やまびこ:2019/09/17(火) 18:33:07 ID:rmiMl0oI
◆εに誓って ーSWEARING ON SOLEMNεー(神聖なイプシロンに誓って)

G(ギリシャ文字)シリーズの第4巻。内容は東京旅行の帰りに名古野(なごの)空港行きの同じ深夜バスに乗り込んだ山吹と加部谷。
その後、そのバスはバスジャックされて、乗ってる他の乗客は「εに誓って」という宗教めいた自殺希望者達のツアーメンバーだった。
抵抗するとバスや東京に仕掛けた爆弾を爆破させるという。一方赤柳の元にはいち早くバスジャックと運転手殺人事件の情報がリークされていた。赤柳は裏で暗躍する「真賀田四季」の謎の組織の影をみるが・・。
という今までの密室やトリック殺人事件とは違うパニック犯罪映画みたいな内容でした。

前巻よりは面白かったです。それぞれの乗客メンバーの自殺に至るまでの心情や過去が読んでいて面白かったです(小説としてだよ)。山吹たちがどうやってこのバスジャック犯に立ち向かうのかって思って読んでいたけど、まあ、常識で考えて、一般人が正義のヒーローみたいに解決できるわけ無いもんなあ。ただ、流されるままなるようにしかならないさ、って所が森博嗣節。醒めているというかリアルですねw
それでも少しは解決に役立つのかなあって思ってましたけど。まあ、今回は警察の仕掛けたトリックを見破っただけでしたw

しかし、自殺のために最後のバス旅行をするって、読んでいて寂しいなあ、わびしいなあ、虚しいなあって・・ずっと悪寒を感じながら読んでました。「バビロン」の自殺法(自由に自殺が許される法)に通じるもの(先取り?)がありましたね。自殺の自由ですか。
「真賀田四季」も色んな実験をして団体をつくって終わったらほったらかしなんですね(糞メーワクだわ)wこのGシリーズは推理ミステリー小説というより、真賀田四季の残した糞迷惑な残骸に主人公メンバーが巻き込まれて戦う話なのかな。

無口で他人に関心のない無機質アンドロイドみたいな海月(くらげ)君は萌絵ちゃんに気があるみたいだけど、犀川というフィアンセがもういるから、どうなるんですかね(何か事件に巻き込まれて死にそう)。そういや矢野繁良は降りなかったと言うことは自殺ツアーバスに乗っていたのか(ああ虚しいなあ)。

976やまびこ:2019/09/24(火) 16:46:03 ID:rmiMl0oI
◆詩的私的ジャック

萌絵と犀川が活躍するS&Mシリーズ第5弾。密室密室密室と那古野市の三つの大学の施設でおきた3連続密室殺人に挑むミステリー。
その殺人には学生にしてロックスターの結城稔やの影があった。彼の歌う曲「JACK THE POETICAL PRIVATE(詩的私的ジャック)」の殺人を予言したような歌詞は事件と関係あるのか?
そして、理工学に詳しくないと仕掛けられない密室トリックは犯人の手がかりとなるのか?わざわざ密室にしたその理由とは?わざわざ裸にした死体に残したナイフ傷の意味は?といったミステリーでした。

今回は複雑な事件の謎解きが特に面白かったです。犯人はなぜこんな面倒くさい殺人事件にするのか?最後まで読むとなるほどなあ、関係者の嗜好(狭い意味での性癖かな)が関わっていたんですね。あと、犯人の潔癖な性格と犯人と関係者のポリシーや愛憎関係も重要な要素でした。
こんな事件、普通聞いただけそれも一瞬で解けんわ(作者は犀川をスーパーマンにしたいとみえる)wまるで某「ストレイドッグス」の「超推理」並ですねw

犯人の気持ちはよく分る。ノイズがあると研究のひらめきや思考に影響するから、ノイズを取り除いて真っ白にしたい(誰でも持っている潔癖的な性格ですね)ということですね。ただ、犯人はその傾向が強すぎて、愛よりも比重がおもくなってしまった。最初の殺人で後始末をやらされた時に目覚めた感情とも考えられますね。
気持ちは分かるけど、やっぱり殺人しちゃったら、自分が不純物でノイズになって、自殺するしかなくならない?って思うんですよねw簡単に言えば愛よりポリシーで殺しちゃったって事ですね。

今回は密室や体に付けた傷(これは数字だとはすぐ分かりましたけど、事件解決には意味が無かったw)自体が読者や主人公達へのミスリードだったって所が複雑で面白かったです。しかし、3番目の密室殺人は密室じゃねーじゃんって思いましたわ(自由に鍵で屋内側ドアは開けられるし、本当に発見したとき密室だったのかは発見者の証言だけで描写されてないし)w

もうひとつ、女性と服を交換したり、女性の服を着たがってる結城稔って次のVシリーズの「小鳥遊練無」の原型?っておもいました。
あと、萌絵の親友「牧野洋子」はGシリーズにも登場してたような・・どの巻かは忘れちまったぜw

とにかく、今回の話は事件がや人間関係が複雑で面白かったです。
最後にコンクリートに何もなかったら、藤井助教授にどれだけ恨まれていたか(新たな殺人事件がおこるかも)、想像するだけでたのしいですねw

977やまびこ:2019/10/23(水) 06:27:24 ID:rmiMl0oI
◆黎明の書6 翼あるもの

シリーズ最終作。耽美な(今風に言うとBL要素有りな)人間と貴種(吸血鬼)の交わりと冒険とその行方を描いたファンタジー。
凄く久々に出版されたので、登場人物や世界設定を思い出すのに苦労しましたw

さて、感想ですが、この作者の描いたものは大概面白いのですが、この最終巻の完結編は今ひとつ心に響かず、スッキリしませんでした。
このシリーズ、四巻までは、BL要素(自分は好きじゃ無い)があっても、最高!って感動したんですが、五巻目で信頼できる好人物だった上王ミハイが、アレ?実は腹黒い陰険な不気味なやつ?って感じになって、物語自体方向性が怪しくグダグダになって悪い意味で裏切られたって思いました。
そしてこの第6巻でミハイがそれまでの敵だったイリヤと同じぐらい不気味で悪魔めいた倒すべき敵、極悪人、みんなの嫌われ者として描かれて、倒すべき敵がいなくなって、こいつが次の生け贄になったのかなんか哀れだなあって感情が先立って、爽快感やカタルシスが無くなったなあって少し残念でした。
でも、意外性を追求してそれが最後に感動にまた何かに繋がるならいいかって、読み進めましたが、ラストにいたり、都合がいい魔法めいた能力が飛び交い生物としてのリアルさが感じられない戦い、神話めいた戦いになって、ラストも「創造の能力」ってそんなに簡単に引継げるの?って、もう童話ファンタジー過ぎて「なんだこりゃ?」ってなりましたw

某「バビロン」で最後に話を畳まないでぶん投げたっぽい終わり方にも似てる。まあ、一応物語としては完結したっぽい感じにはなってるけど、アニメ「イデオン完結編」みたいな残酷と希望と壮大さが入り交じった終わり方で、悪い意味で裏切られたって感じが拭いきれません、時間が経てばこういう終わり方も有りかもって思えるかも知れませんが。
シリーズのファンとしては、「皆殺しの富野」みたいにしなくてもいいのに、みんな生きてハッピーエンドを期待してたのに・・。
でも、男同士の口づけや抱擁などの描写があって結構気持ち悪かったけど、それを上回る面白さが、このシリーズにはありました、だからこの最終巻も否定はしません、そこには作者の苦悩や葛藤があって、このような結末に至ったんでしょうね。

さて、この最終巻について、もう一つ思うことがあります。これは、誰かの脳内世界のメタファーなのではって解釈も出来ます。つまり脳内宇宙でサタナエルからラウル世代交代して新たな世界に移行するというのは、後悔して閉じこもってる人物が、新たな考え方を得て、再び立ち上がる事の隠喩ともとらえられると思います。
自分はそう解釈しました。すると、ちょっとスッキリして、この最終巻の終わり方もそこまで悪くないかなって思えてきました。

まあ、否定的なことを書きましたが、読み物としては最後までどうなるのかわからず、そういう意味では楽しかったし、このシリーズ、全体としては面白かったです。また新しいシリーズが有ることを楽しみに待ち望みます(BL要素は控えめにして〜w)。

978やまびこ:2019/11/17(日) 13:31:16 ID:rmiMl0oI
◆恋恋蓮歩の演習 A Sea of Deceits (ペテンの海)

知る人ぞ知る「Vシリーズ」の第6弾。学生の「大笛梨枝」はふとしたきっかけで建築業者の「羽村怜人」と恋愛関係に落ちる。そして豪華客船ヒミコ号で香港まで旅行に行くことになる。しかし、船旅の途中で恋人の「羽村」は何かのトラブルで海落ちてたのか行方不明になる。
そしてその船に乗っていた富豪が所持していた高価な「とある有名画家の自画像」も盗まれてしまう事件が起こる。偶然(?)にもその豪華客船ヒミコ号に乗っていたいつものメンバー(保呂草・紅子・紫子・小鳥遊)はその事件の謎を追うことになる。少しコメディチックでガヤガヤと忙しなく意外などんでん返しのあるミステリーでした。

前半は二組の恋愛模様中心で、まったりとしみじみとしてそこまで嵌まらなかったが、後半の船旅で祖父江七夏(いつもの刑事)がヘリでヒミコ号に乗り込んできてから面白くなりましたw
七夏と保呂草の対決、七夏と紅子の対決、保呂草と紅子の腹の探り合い、小鳥遊(女装)と警備長片平の弟子同士の対決、保呂草と各務アキラの腹の探り合い、そして今回一番の見どころだと思ってる紅子VS各務アキラの知的女性の初対決など全てのシーンが面白い、楽しい、読み逃せない、ワクワクするって感じでした。
肝心の「絵画の行方」や「海に落ちた恋人の羽村の謎」なんて後回しって感じでした。あと、紫子ちゃんのドジっ子で不憫な恋愛コメディも見逃せないというかギスギスしてドライな人間関係模様の中でオアシスみたいな存在でした(小鳥遊練無のつっこみや素っ頓狂な行動や奇妙な格好もオアシスかなw)。紫子ちゃんがいつもより可愛く感じました。
気付いたんですが、女装学生の練無(ねりな)の口癖が「〜なりね」なのは名前に懸かっていたのかwしかし、ずっと女装してスカートをひらひらして何が楽しいのだろうか(男が好きって訳でも無いし、将来医者になる予定らしい)w今回、紫子ちゃんと息ピッタリでしんみりしたシーンもあって、二人は結ばれるフラグって思ってしまったが。

他のシリーズと違って「Vシリーズ」はコメディとして楽しめて映像化して欲しいが、今回の話は難しいだろうなあ(羽村の正体の関係で)。ていうか、羽村の正体って最初アイツだと思っていたが、途中で違うのかなって思ったけどラストのラストのラストで、ほおおってどんでん返しに叫びたくなりました・・・(詳しくは読むべし)。

はっきり言えば前回の「魔剣天翔」の話の続きというか、後編みたいな感じでしたが、今回の「怪盗ルパン」は紅子よりいいところ取りで格好良かった。ほんと一癖二癖もある連中のドタバタミステリー、最高ですw早く次巻を読みたい、そんな気分にさせてくれる今回の小説でした。

大笛さんは子供が愛せなかったけど、羽村さんと付き合うことで、愛する気持ちを学んでいって子供が欲しくなった、って解釈でいいのかな。そして羽村さんは最初っから全てを計算に入れていたということかな。

979やまびこ:2019/11/26(火) 17:30:19 ID:rmiMl0oI
◆6人の超音波科学者

Vシリーズの第7弾。6人の科学者が住む山頂付近に建てられた大型の研究所「土井研究所」のパーティの招待された紅子と練無。そのパーティでは土井博士から重大な発表もあるという。
保呂草や紫子(いつものメンバー)も二人を送るため研究所へやってきたのだが、バッテリーが上がって帰れなくなる(それだけではなく、途中の橋が爆破されて戻れなくなる)。そして、パーティの途中でファラディ博士が首を絞められて殺されてしまう。
橋爆破予告があった警察も橋付近まで来ていて、一人研究所側に渡っていた七夏(いつもの女刑事)だけが研究所まで来ることが出来てその殺人事件を知る。いつものメンバーのすったもんだの推理&サスペンスが始まるというミステリー。

最後付近まで、本に載ってる地図を見ながら冒険・探検気分で読めるのは楽しかった。しかし、最後付近まで推理が始まらない(犯人捜しをしない)ので、コレちゃんと終わるのかと心配になりましたw
6人博士の名前と謎の土井博士のメッセージと奇妙な自画像(6人の博士が描かれている)でエレベーターの秘密が分かった人がいたら凄いと思うわ〜、自分は分からなかったというか、紅子の謎解きを読んでこれってそういう駄洒落なの?ってちょっと腰砕けになりましたw
幾ら先の無い命でも、自殺とか殺されるのはいやだろって思ったけど、何か信念を持ってる人なら自己犠牲も問わない、満足な人生の終わり方、つまり本懐なんだろうなあ。研究熱心や科学者は一種の職人なんだろうなあ。
しかし、練無の首を殺すまで絞めた意味が分からないけど、暴れたから気絶させようとしただけかもね。科学者だから、手加減とか出来なかったんだろうと解釈しました(紅子の怒りを買って謎や殺人トリックが全部バレてしまいましたけどね)w

他の見どころは、紅子VS七夏ですね。気の強い七夏(ぷんすか、キーッ!)がピエロになっていて、読んでいて楽しかったです。ただ、女装の練無とは仲が良いようで一緒に行動しますね(保呂草にも軽くあしらわれてキーッ!って感じですね)。
あとは女装の練無(いつものことだが)ってなんなん?シリーズが続く度に、女装頻度が多くなって、行動も脳天気で乙女チックになっていって、それでも他の人は気持ち悪く思わないで(声は男だろうに、口調もやや男なのに、ゲストには男ってばれないで)、ほんとなんなん、こいつ?頭大丈夫か?ってなりました。見た目がアイドル並みに可愛いんでしょうねw
しかし、こいつが医学部で将来医者を目指してる、そして格闘技を習っていて強い!って・・ある意味小説の中だけ存在可能なチート設定ですね。

他には保呂草、また研究所で盗みを働くのかと思いましたわ。紫子ちゃんはあいかわずドジで無垢で可愛いですね。

まあ、楽しいシリーズなんで続編も読みたいのですが、もうすこし練無の存在をリアルよりにして欲しいかなあッテも思います。なんか、自分が可愛いのを知っていて調子こいてる痛い奴になってきてるきがするわw

ということで、途中まではワクワク、最後の推理は駄洒落っぽくてまあまあかなって感じの感想でした。

980やまびこ:2019/12/10(火) 22:14:19 ID:rmiMl0oI
◆λには歯がない

Gシリーズの第5巻。今回は密室(T建設技術研究所の構造系実験楝二階、第二構造実験室とその準備室)で四人の男たち(身元不明)が拳銃により殺され、さらに歯を全部抜かれていた。そして死体のポケットの中には「λには歯がない」というメッセージが。
密室殺人マニアの「西之園萌絵」はさっそく現場へ。刑事も犀川&西之園にこの殺人の謎を解いて欲しいということで、最初っから協力的(情けないw)。
いつものメンバー(山吹・海月・加部谷)に探偵・赤柳や謎の女(誰かな?)・謎の男(情報屋?泥棒仲間?葛西)になんとあの保呂草(絵画泥棒&探偵&前シリーズのメインキャラ)もからんで事件は複雑怪奇になっていくというミステリー。

今回の話はシンプルな始まり方で、事件解決と関係ない所で複雑になり、だんだん闇が深くなり、思わぬ登場人物「保呂草」(赤柳の旧友らしい)でさらに頭が混乱する、結構面白いミステリーでした。
密室の謎もシンプルかつ、納得がいってすっきり!って感じで読後感はそんなに悪くなかったが、ただ、新たな謎が次々に出てきて、再びモヤッとしましたw

しかし、免震構造とλ(ラムダ)がまさかの人の名前を暗示してたのには恐れ入った。犯人も銃の腕前が良かったて事は、いまは頭が良い●●な人物(おっとネタバレw)だが昔は堅気じゃ無かったってことかなあ(趣味で拳銃を撃っていたのかなあ?それとも計画実行のため練習した?)。
そして謎の女から情報をもらって、一連のギリシャ文字事件と思わせようとした(標的にとって恐ろしさが増すから)。
しかし、ギリシャ文字シリーズ事件の黒幕は「同じ事件の一連」だと思われることが嫌だったので、または保呂草が同じ事件だと混同されると厄介なので、コピーキャット犯だと情報をリークしたのかも知れませんね。

さて本編と関係ない所での謎ですが、ギリシャ文字事件が「真賀田四季」が関係しているのは確かだと思うのですが、彼女の意思とは無関係に勝手に行われていて、それを阻止するために、保呂草や謎の女(たぶん前シリーズのキャラのアキラでしょう、三人の男を警護に付けているからw)に色々手を回させているのでは?って感じました。
葛西は昔の犯罪仲間か情報屋でしょうか(浮浪者に紛れて情報収集か?)、あまり健康そうではなく、老い先短そうですが。だいたい、第一作目の「φは壊れたね」の犯人と被害者の動機もよく分ってないこのシリーズ、はたして最後まで読めば謎はスッキリ解けるのでしょうか?
Vシリーズと平行して読んでるので、最後に保呂草がどういう人物なのかも分かるのでしょうかねえw

981やまびこ:2019/12/20(金) 19:31:49 ID:rmiMl0oI
◆ηなのに夢のよう

Gシリーズの第6巻。真賀田四季と知り合いの数学者「深川恒之」が朝の散歩の途中で、地上10メートルもの高いところにあった首吊り死体を見つける。側には「ηなのに夢のよう」というメッセージが。
一連の事件だと感じたいつものメンバー(犀川・西之園・海月・加部谷・山吹・赤柳・国枝(←おまけ))がいつものように集まって事件を考察する。そして次々に起こる「変わった首つり自殺」とメッセージ。そして萌絵の友達の反町や金子にも被害が及ぶ。
彼らだけで無く、四季関係の人物達も動き出すというミステリーサスペンス。

今回の話はミステリーというよりも純文学的を読んでる様な気分になりました。まるで夏目漱石も「こころ」や村上春樹の小説(例えがズレてるかも知れないが)みたいな、なんで生きてるの?なんで死ぬの?生きてる意味って何?正義って何?真実って何?って問われ続けてるような感じでした。
自殺は悪では無いみたいな話が出るとあの「バビロン」を思い出してしまいます(逆に「バビロン」が影響を受けた方かも)。
つまり、ミステリーを解くいつものパターンじゃ無かったですね(自殺の謎は最後までもやもやとしていて、この小説が何を描きたかったのかは自分で考え感じろって事ですね)。まさに純文学っぽいw

出てくる聡明な人物たちが、自殺は罪では無い、自殺はその人権利だ、とか冷静に分析してるのをみて、いやな達観した人達(犀川・海月・紅子お前らだよ!)だなあってちょっと嫌いになりましたわ。西之園や加部谷みたいに自殺は駄目!ってスタンスの方が人間らしくて好きですわ。
最後に、ペットの死を持ってきたのは、嫌な達観をする人達へのアンチテーゼ・抵抗・反抗ですね。愛するものの死の重みを自殺という罪を描きたかったと勝手に解釈します。可哀想ですがイイオワリ方だったと思います。

あと、この巻で言いたいことは、あの「瀬在丸紅子」(Vシリーズ)や「保呂草」(Vシリーズ)そして「椙田」(Xシリーズ)や「真鍋」(Xシリーズ)、そして「真賀田四季」が出てきたことに吃驚です(オールスターではないですか)wそして「保呂草」=「〇〇」だった。
テロリストの藤井苑子だけはなじみが無いですね。いつ出てきた人なんだろうか。ジャーナリストのアキラ(Vシリーズ)だったりして。

とにかくいつもの謎解きミステリーとして読まない方がいい話でした。次回が楽しみです。ていうか「Wシリーズ」(ウォーカロン)って続編が出てたんですね。それも読まなくてはw

982なつかぜ:2020/01/06(月) 14:28:34 ID:rmiMl0oI
◆封印再度 

S&Mシリーズの5作目。24年前風采という仏絵師が蔵の中で自殺した。その側には血のついた「天地の瓢」と血のついてない「無我の匣」が置かれていた。
そして現在、風采の息子の林水が死体となって発見され、彼の仕事場には同じように「天地の瓢」と「無我の匣」が置かれていた。自殺なのか他殺なのか、密室殺人マニアの「西之園萌絵」が殺人と二つの家宝に興味を持つ。

感想:ミステリーと言うより人生哲学って感じでした。でも面白かったです。TVドラマで一度見たことがあったので、退屈かなあって思いましたが、TVドラマで描かれてなかった「哲学」的な部分や西之園の交友関係や日常シーン」が結構面白かったですね。
しかし、「いる」のに「いない」とか、ローリー車との二度目の接触で事故ったとかあとから証言が飛び出してきて、初期情報だけでで、こんな謎解けるか〜って思いましたわwまあ、謎解きメインじゃ無くて人間の心理や生き様の対比や哲学的な会話を楽しむ話だったので気にはならなかったですね。あと、犀川と萌絵のイチャイチャとか喧嘩とかw

自分を滅することで模写がメインの仏絵師としての自分が完成に近づくって事でしょうか(深いですね)。無我の境地ですねwあと、鵜飼さんも萌絵を狙ってるらしいんですが、無理なんでちょっと可哀想でしたね。
浜中は牧野狙いかな。まあ、そんな理系の大学生の日常を面白く描いてるのもこのシリーズの見どころの一つだと思います。
あと、西之園が実は「血の癌」だと知ったとき、自分も犀川と同じ気持ちになりましたわwでも、後のシリーズでピンピンしているのであれ?って思いましたけどね。

とにかくミステリー以外の部分が楽しかった小説でした。

983なつかぜ:2020/01/13(月) 09:19:39 ID:rmiMl0oI
◆今昔百鬼拾遺 鬼
1954年(昭和29年)頃、駒澤・下谷付近で起きた昭和の辻斬り事件辻斬り事件を取材する「中善寺敦子(29歳)」と女子学生の「呉美由紀」の活躍を描いたミステリーシリーズ第一弾。
中善寺敦子は兄が「京極堂」なので「百鬼夜行シリーズ」の外伝で有り、今回の話は土方歳三が主役だった小説「ヒトごろし」の続編でもある。ちなみに呉美由紀は小説に出てくるキャラで、当時は聖ベルナール女学院の生徒。

感想:続編(外伝)を出すなら本編の「鵼の碑」を早く出して欲しい!ってのは冗談で(もう半分無かったことにしませう)、今回の話、本当に楽しみたかったら「百鬼夜行」(特に「絡新婦の理」)シリーズと時代小説「ヒトごろし」を先に読んだ方がいいでしょうって事を先に書いときます。
事件自体はそこまで複雑ではなく、誰が犯人かまた事件の謎などは全体の3分の一も読めばなんとなく分かりましたが、土方が所持していた無銘の刀にまつわる歴史・人物関係や因縁関係が超複雑で、全体像そして刀と因縁の流れを理解するのにすごく頭を使いましたw本自体は京極作品にしては薄いけど。

重要なのは「刀剣片倉」のお隣り保田さんの話と研ぎ師「大垣喜一郎」の話ですね。あとは鳥口(懐かしい「うへぇ」キャラ)の事件メモ(特にストーカーの儀助)ですか。
いやあ、読んでる途中いつ犯人の名前が挙がるのかってちょっとニヤニヤ、ちょっと回りくどい、って思いながら読んでました。刀に魅入られた人が人を斬りたくて辻斬りをするって話は昔からあるのですが、それを思い出しちゃって犯人が何となくアイツだな!って予想できましたが、本の中の捜査方面のキャラ達は常識的な犯人像しか想像できなくて、引っ張るなあ〜ってどの辺で犯人を名指しするのかなって思いましたわw
それにしても、「自分をその刀で斬ってくれ」って土方に頼んだ、あのお涼さんが函館の戦争から生き延びていたとはちょっと妙な感動が有りましたね。しかし、生き延びたせいで孫娘は殺された原因の一つになったわけで、これは「お涼さんの歪んだ望みの呪い」みたいなもんじゃなかろうかと思いますw
市村鉄之助が衣田の親戚に刀を売った事実で、刀の流れの最後のピースがはまったのがスッキリしましたね(パズルかよ!)。

人間関係パズルとして楽しめたし、色んな作品の続編として懐かしく楽しめた作品でした。

984なつかぜ:2020/01/20(月) 22:05:43 ID:rmiMl0oI
◆今昔百鬼拾遺  河童

百鬼夜行シリーズの外伝の第二弾。今回は女子高生の噂になってる覗き魔事件と河童の伝説。そして本物とすり替えるために模造宝石を作らせた訳ありの隻腕の男「久保田」が尻丸出しの死体となって川で発見され、その死体の知り合い「廣田」も川で尻丸出しで死体となって発見された。
彼らは7年前の戦後まもなくにある団子屋で他3人の男(合計五人)で何やら良からぬ相談をしていたという。記者の「龍造寺敦子」と探偵の「益田」、女子高生の「呉美由紀」に妖怪研究家「多々良勝五郎」も加わって、その模造宝石と死体の謎を解くために活躍するというミステリーでした。

感想:誰かの感想でも観たが、最初の60ページは女子高生達が「尻と各地の河童伝説」について延々と議論するのが呆れたというか、この作者らしいなあって、昔読んだ京極堂の出るシリーズを思い出してちょっと懐かしく感じました。そして各章の出だしが「下品な話ですが」「品の無い話ねえ」とか韻?を踏んでるのも、ああこの作者らしいなあって思いました「ヒトごろし」でも同じ書き方だったしw
で、内容ですが中々に逆転劇があって、面白かったです。犯人が誰なのか、やっぱりお前か!いや違うのかな?って最後の方まで混乱させられました。犯人が親を殺した奴を見つけるため〇〇な犯罪ををしてたんですね。
あと、地図で千葉県の夷隅川を調べたんですが、ほんとにッグチャグチャ曲がりくねっていますね。いすみ鉄道がその川に沿ってこれまたくねくねとしてるから、そりゃややこしくなるわけだw大戸・久我原・大喜多もちゃんとあって、この辺で事件が起こったんだってちょっとワクワクwただし廃村になった「遠内」は無かったですね(まあ架空かな)。ただ、呉美由紀の叫び「みんないい人説」には感動はしなかったですね。
10代の頃なら、呉美由紀の性善説は感動したり共感したかもしれませんが、醒めた大人の自分には理想論だなあって感じです(お前だって人の心の中は分からないのに勝手にいい人にしてるだろうに、感情論すぎる・・・って思ってしまいましたw)。まあ、悪い方に考えて悩んでいったり、醒めた目で生きていくよりより、そうで在って欲しい(自分のため生きている人のためにって事ですね)
勝手に解釈するなら、息子の可奈男が父親の死体に母親の頭蓋骨を抱えさせたってのが一番しっくりくるんだけどなあ。常識的に考えてガイコツを妻だと分かるわけないじゃん(ファンタジーで死ぬ間際で妻の亡霊が現れたり、奇跡的にガイコツが妻の顔に見えたとかならよくあるかもね)w

色々文句も書いたけど、全体的には奇想天外で予想不可能な事件で面白かったです。さて次は「天狗」の事件ですか。

985なつかぜ:2020/02/02(日) 09:52:16 ID:rmiMl0oI
◆幻惑の死と使途

副題は「魔法のような奇術の行為」と読めばいいのかなあ。
S&Mシリーズの第7作目。脱出イリュージョンで天才奇術師「有里匠幻」が殺された。偶然にも観客として観ていた「犀川」と「西之園萌絵」は有里の弟子達と知り合い、
その後、関係者が次々に殺される事件や「匠幻」の遺体が消失する事件に深く関わることになる。果たして、殺人の謎と脱出イリュージョンや消失の仕掛けを見破ることが出来るか?といったミステリーでした。

結構、殺人事件とは関係のない、大学院受験や大学生活や別事件のに関わってる友人との交流などがじっくり描かれていて、結構分厚い本のボリュームでしたw
内容は、ほとんど正解を出す「西之園萌絵」の推理で今回は「犀川」の出番はないのかと思いきや、最後の最後に「逆転の発想」というかさすが犀川の推理だって言う、大どん替えしがあって面白かったです。
まるで、観客を飽きさせない出来の良い「あのイリュージョン」を観てるかのようでしたって、あの「引田天功」(二代目)も褒めていました。ていうか、まさか「プリンセス天功」が感想を書いてるとは・・これもびっくりイリュージョンw

トリックや裏の人間関係も複雑で、萌絵の推理だと、異常ファン心理が引き起こした犯罪だが、犀川の推理だと恋人を寝取られた嫉妬からくる犯罪で、三浦刑事も納得だが、第3者が安心するための納得する理由付けの動機という皮肉という一面もある。
結局犯人は炎の製作所からの脱出をあえてしないで、逝ってしまったので真実は解らずッテもやっとしますね。
もっと早く犀川が「有里匠幻」の名を叫べば、宣言通りに(密室であるところの)炎の製作所からの脱出して自首したのでしょうか。

あと、ゲストとしてGシリーズのおちゃらけ役の「加部谷恵美」(初登場)が出てきましたね。あと、浜中の恋人も出てきて、簑沢杜萌という別事件に関わる友人も出てきて、一気に世界感が広がった感じですね。
それと「物には名前がある」とか「名前のために生きている」とか哲学的な会話もけっこう楽しめました。

プリンセステンコーの感想も楽しめる面白い小説でした。ただ、「犀川」がそっけないというか斜めってるというか捻くれ度が段々増してるように感じるのだが(萌絵が刑事でもないのに事件に関わりすぎるのが原因かな)w

986なつかぜ:2020/02/04(火) 02:04:29 ID:rmiMl0oI
◆美少年蜥蜴 【光編】
美少年探偵団シリーズ10作目。今回は男装主人公「瞳島眉美」が行方不明になった他の「美少年探偵団」を見つけて学園へ連れ戻すために、悪友や犯罪集団の力を借りて、当面の敵である胎教委員会が創立したパノラマ島にある「胎教学園」へ単身乗込むが、そこに意外な人物と意外な展開が待っていたという話でした。
主人公の物体を透視してしまう良すぎる眼が、使いすぎで失明するまでの話って最初に書いてあったので、何か重い話だなあって読み始めたら、そんなに重くないかも何とかなるんじゃんね?って展開で安心したところで、いきなりあれだもんなあ(ネタバレなんで伏せます)。読んでて、軽くショックを受けましたわ。
チャランポランで、屁理屈に屁理屈を重ねた、巫山戯た感じというか、おちゃらけた感じのシリーズであったが、さすが綺麗に風呂敷を畳み始めたなあってちょっと感心しました(さすが大人気プロ小説家!)。

昨日の敵は今日の友的な展開も有り、ラストは透過する視線を感じたニュータイプ集団かよってちょっと都合が良すぎるんでないの?って思いつつも、まあこの巫山戯たシリーズだから許せる終わり方かもッテも思いました。
そして、最終巻に続くで終わったんだけど、ハッピーエンドで終わって欲しいから、やっぱ主人公の失明はなんとか回避して欲しい(何らかの救済策が有って欲しい)なあっては思いますね。

あと、特筆すべきは遅読な自分でもたった2時間で読めたという薄さ、まさにライトなノベルの鏡でしたw

987なつかぜ:2020/02/10(月) 19:53:43 ID:rmiMl0oI
◆それでもデミアンは一人なのか?

WWシリーズの第一巻(森博嗣の新シリーズ)でウォーカロンシリーズの続編。

名前を変えてドイツへ身を隠し名前を変えた前シリーズからの主人公ハギリ博士と情報局員ウグイの借家の元へ古いタイプの情報収集・戦闘用ウォーカロン「デミアン」が訪ねてくる。
彼の目的はマガタ博士(真賀田四季)の元に連れ去られたロボット「ロイディ」を見つけ出し、奪取すること。「この世でまた会いましょう」と言って立ち去った「デミアン」は次々に施設に侵入して騒ぎを起こす。そして舞台はナクチュ特区から日本へ。冷凍保存されたナクチュの王子を奪取するため現れた「デミアン」と日本まで呼ばれ警察と協力する主人公グアト(ハギリ博士)一行は「王子」を巡って「デミアン」と再び対峙する。
「デミアン」とは何者なのか?そして彼の行動理由とは?というSFミステリーでした。

いやあ、意外と難解な小説でした。「赤目姫の潮解」を難易度10とするなら、この小説は難易度4ぐらい(犀川&萌絵シリーズは平均難易度3ぐらい)でした。解りにくいかwつまり、最後まで読んだ後、犀川みたいな逆転の発想みたいな発言に「え?」ってなって、もう一回最初っから読んでストーリーをじっくり確かめました。ややこしくて混乱して頭がモヤモヤしますw
ちなみに「赤目姫の潮解」については今も理解出来てません。

まず、主人公が変わったのかなって読み進めると、ハギリとウグイが名前を変えただけじゃんってニヤ笑い。サリノ(ウォーカロン)もセリンと名前を変えて出てきます。そして、この物語の難易度を上げてるのが新キャラ「デミアン」とドイツ捜査官「ヘルゲン」と館長「ミュラ」の関係。

(これ以上はネタバレを含みますので読んでからお願いします)

その三人の行動だが、まず「デミアン」はロイディを探している。そしてドイツ警察に追われている。その後、グアトの元に「ヘルゲン」が現れる。彼は「デミアン」の事を聞く(わざとらしいw)彼も「また会いましょう」と言って一旦去る(これがヒントだったかw)。
「ヘルゲン」は「デミアン」がロボットなのかウォ-カロンなのか訪ねる(わざとらしいw)。まあ。ここでは腹の探り合いと言うことで、読者を納得させてミスリードさせている。そして、クジ博士とロボットの中に脳移植の違法手術の話。ペイシェンスもロイディに関係しているらしい話(伏線だろうなあ)。
次に「ヘルゲン」によって、「デミアン」が作られたHIX研究所があった場所で現在は大学の博物館に連れてこられる。そこの館長が「ミュラ」。もう「デミアン」達の手の平の上で踊らせられている主人公達wそこで「デミアン」はコバルトジェネレータ搭載実験体ウォーカロンの最後の一体(本当は脳移植実験体の生き残り)と言うことが分かる。そして「ヘルゲン」は「デミアン」と王子の顔が似ていると指摘(グアト達が騙されていく〜)。
つまり、「デミアン」の中に「王子」の脳が移植されていると信じさせたかったし、「王子」を狙うことの正当化と「王子の奪取」はモレル氏の依頼でもあったと言うことか(二回読んでようやく分かるこのややこしさ)。
そして、事件解決後に「ヘルゲン」が恨みを持つものに殺されるし(これは予想しなかったまったくの不慮の出来事なのかな)、蘇生手術も試みないし、「デミアン」に頭部を持ち去られる。これはあの3人の関係の真実がばれると困るからか。で、妹「ミュラ」がまさか「グアト」達が来るとは思わなかったから、必死に「デミアン」が冷酷な死体損壊の犯罪者と主人公達に信じ込ませようとしたり、「デミアン」の中に「ヘルゲン」の脳が入っている事を信じ込ませようとしたけど、グアト(ハギリ博士)は「真実」を見抜いてしまう。

いやあ、ややこしいストーリーでしたが、面白かったです。この世界の人類はいったいどうなるんでしょうね。そこが一番面白い所ですね。

988なつかぜ:2020/02/21(金) 06:33:33 ID:rmiMl0oI
◆今昔百鬼拾遺 天狗
「今昔百鬼拾遺」シリーズの第三弾。中善寺敦子と呉美由紀のコンビが活躍するミステリー。
今回は偶然知り合った篠村美弥子の友人「是枝美智栄」が「高尾山」に登ったきり行方不明に。と同日に「高尾山」で女性の首つり死体が見つかり、その後「迦葉山」で
その友人「是枝美智栄」の服を着た女性の腐乱死体が見つかる。その他にも二人の女性が「高尾山」で行方不明に、この四つの事件の謎に敦子・美由紀コンビが挑むという話。

今回のゲストヒロインに「篠村美弥子」って出てくるのだが「鳴釜 薔薇十字探偵の憂鬱(ハルヒかなw)」のキャラクターってわかったのだが、読んだことあると思うんだがちっとも思い出せなかったw
とにかく今回の韻を踏んだ文章というか、文章の出だしは「高慢・傲慢・驕慢・尊大・・」つまり慢心や驕りって事ですね。そして「天狗の鼻」につながり、山での遭難行方不明が「天狗の神隠し」に繋がるわけですね。それで今回の妖怪は「天狗」。
物語の半分は「高尾山」で落し穴に落ちた「呉美由紀」と「篠村美弥子」が事件の考察やら天狗の話やら事件のあらましやらどうしてこの危機的状況に陥ったかまでの過去を思い出しながらの会話劇でしたw
二人が救出され敦子と青木(刑事)と合流して調査の末、問題の家庭(首つり死体となって発見された女性の家)を訪問して事件をひもとくのが後半戦って構成でした。

感想としては読んでる最中は先が気になりパズルを解くような感覚も有り楽しかったのですが、読後感は何かいつもの「後引き感」が少ないなあ、普通で淡々とした小説だったなあって最終巻(多分)にしては物足り無いなあって感じでした。
呉美由紀の若さによるストレートな「正義の感情の爆発」は確かに言ってる事は正論だが、世の中正論では片付けられない事ばかりだから、このヒロインの言うことが何でも正しい様な描き方が少し鼻についてスッキリしませんでした。

そう今回のテーマは「同性愛」。よかれと思った親心が「同性愛者」を余計に悪者にしてしまって、この二人の未来は苦難どころか悲惨だろうなあ(二人のために二人も関係無い女性が犠牲になってるし)。この場合、最後に勝った(今回のヒロインは勝った負けたが嫌いでしたなw)のは「同性愛者」を認めない世論(宗右衛門も含む)じゃないでしょうか(皮肉w)。

989なつかぜ:2020/02/27(木) 06:34:21 ID:rmiMl0oI
◆目薬αで殺菌します Disinfectant α for the eyes
Gシリーズの第七作目。全12作らしいが、まだ10作までしか出てないので、「WWシリーズ」だけじゃなくこのシリーズも書いて欲しいところだって思った。

今回の話は殺人推理小説というより、大きな流れ(謎のギリシャ文字関連の事件の目的やら真賀田四季関連の組織活動)のほんの一部の事件という感が特に強い話であった。
目薬の中に劇物が混入しており、それを使った人が被害に遭うという事件が各地で起こる。そして、その目薬を作っている会社の課長が殺されていた。それを発見したいつものメンバー(加部谷や雨宮や赤柳など)が関わっていく、ミステリーでした。

しかし、推理して犯人捜しなどはせず、それぞれの日常が淡々と丁寧に描かれていき、今回の殺人事件はそっちのけでしたw加部谷は大学を辞めるという海月に切ない思いをぶつけたり、赤柳は「異物混入目薬」の調査をやってる内に、もっと別の大きな組織に狙われて、知り合いを失ったり怪我をしたり、そして犀川や西之園にあまり深く関わらない方がいいと窘められたりする。
ほんと、殺人事件は本職の刑事達(いつもの近藤刑事と新人女性刑事)だけが事務的に普通に捜査するだけw犀川も西之園も海月も山吹もまったく関わっていないし、犯人は犯人で独立したストーリーで物語は進んでいく。はっきりいって「なんじゃこりゃ〜??」である、ミステリーというより純文学に近いのかなあ。

そしてラストの大どん返しで、また最初から読み直す羽目になるところは(確かめるために)、「それでもデミアンは一人なのか」とプロットが一緒だったわw大河ドラマのような殺人事件など関係のない所の茫洋としたつかみ所のないミステリー小説だね、これは。だから、読後の満足感などない。けど、この大きな物語(Gシリーズ)がどこへ行きつくのか知りたいから読みますって感じだ。
あと、章の合間合間に挟み込んである 訳の分からない抽象的で文法がおかしい物語はいつか開設してくれるのだろうか?

さて、この小説の簡単な考察だが、今回の目薬テロは愉快犯なのか?会社に打撃(正義の鉄槌)を与えてやろうって事なのか?犯人は謎の組織に操られてテロリスト(そういう「運動家」だねw)となったのか、直理先生も洗脳されていて、バレそうになったから失踪した(自殺かも)のか?色々考えられますね。課長の脅迫セクハラ天誅事件とは多分関係無いとは思います(これは二次的な事件でしょう)。
それと、盗まれたと思った時田さんのパソコンは自分のパソコンとトイレですり替えていたのかな。赤柳さんは組織と対決してしまうのか・・それも気になるので、次巻を読みたいと思います。

990なつかぜ:2020/03/06(金) 10:10:34 ID:rmiMl0oI
◆ジグβは神ですか Jig β knows Heaven(治具βは天国を知る)

Gシリーズの第8作。今回はいつものメンバーが大学を卒業してそれぞれも道へ就職して、バラバラになって約二年後に、ある宗教色の臭いがする団体が経営する三重県の山奥の施設「美乃里」のコテージで、久々に集まって休日を過ごすのだが、
その施設「美乃里」の一部で「芸術村」と呼ばれる地区で事件が起こる。昔「赤柳」と名乗っていた探偵・水野凉子(これも偽名)も「美乃里」に調査に来ていて、偶然か必然かラップで巻かれて棺桶に入れられた死体を発見してしまう。そして、この施設の経営者(教祖)はβ(ベータ)と呼ばれていた。
はたして、いつものギリシャ文字関係の事件なのか・・というミステリーでした。

なんというか、いつものように殺人事件の謎はそっちのけで、ギリシャ文字をつかう教祖の経営する「美乃里」と「真賀田四季」との関係と経営の目的がメインでしたw
ほんとこのシリーズは殺人事件やそのトリックは二の次ですね。つまり、危険な組織に近づこうとする元「赤柳」の水野凉子と何も知らないで怪しく危険な所に来ているいつものメンバーが、どこまでこの一連のギリシャ文字事件の謎に迫るのか、どんな危機や危険がそこにあるのかをホラー感覚の冒険気分でドキドキしながら楽しむシリーズなんですね(今頃分かりました)。
「ブギーポップ」で謎の巨大組織「統和機構」に迫るのと根っこの部分は同じですね。

今回驚いたのは男だと思っていた「赤柳」が女性だったということ。もしかして、「赤柳」ってVシリーズの「紫子」かな〜って想像したけど、あまりにも口調が性格が違うので、じゃあジャーナリストの「各務亜樹良」かなあ、それとも「夢・出逢い・魔性」に出てきた保呂草の知り合いの女探偵かなあ?まさか女装趣味の「練無」がとうとう性転換しちゃったか、元々女だったって事もあるなあw
あと、「紅子」さんが出てきて、けっこう事件に関わったのも驚いた。ほんと、そういう所ばっかりクローズアップされて、肝心の「ラップ巻死体」事件はそっちのけなんだよなあw
それと最後に「真賀田四季」が出てきて、βさんが自殺するのを予測しちゃったよ、いやそういう風に誘導したんじゃ・・(お前は「曲世愛」かよ・・・曲世愛の方が後だけどな)

まあ、一応「ラップ死体」事件の推理や真相はなんとなく解決したんだけど、信奉するもののために「生け贄として」人を殺すのかよって、「宗教怖いな〜」ってなりました。
まあ殺人推理ミステリーとして読むより、SFホラー風味の冒険ミステリーとして読んだ方がこのシリーズ(いやこの作者シリーズ全体かも)は楽しめると思います。


しかし「赤柳」の正体は誰なんだろう?(紅子とも知り合いだし)それと、前巻の「テロリスト運動家」はどうなったのだろうか?全ての事件は「真賀田四季」信奉の結果なのだろうか?
次巻は「γ(ガンマ)事件」で犀川が活躍するらしいね。

991なつかぜ:2020/03/10(火) 09:14:33 ID:rmiMl0oI
◆キウイγは時計仕掛け Kiwi γ in Ciockwork


Gシリーズの第九弾。今回は建築学会の発表のため伊豆にある日本科学大学を訪れるいつものメンバー(加部谷・雨宮など)。
そこで、学長の射殺事件が起こり、犯人の手には、プルトップの付いたキウイがあった。
一方、加部谷の泊まっていたホテル(旅館風)の温泉にもキウイが浮かんでいた。そして犀川&萌絵もその事件に巻き込まれるというミステリーでした。

いつもどおり、殺人トリックや犯人像、事件そのもの推理などはそっちのけでそこには主眼が置かれず、社会人になった加部谷たちの同窓会も兼ねた学会や学者たちのお仕事中心に淡々と進んでいく話でした。
つまり大学や理系の生徒や学者ってこんな感じなんだって所を楽しむ小説だと思いました。とはいっても、ミステリー部分もそれなりに面白く、抽象的で最後まで真実は語られず、読解力が必要とされるもので、読解力が足らない自分は読み終わってもスッキリはしませんでしたw

まずキウイになんの意味があるのか?・・・あるサイトを観たら「君たちキウィパパイヤマンゴーだね♪」って歌があるように、キウィって女性器の隠語って意味があるようだ。つまり今回被害者となった男女が不正(性的関係)で学長になったというスキャンダルを罰するために、被害者が昔離婚して離ればなれになった息子を、いつものギリシャ文字をつかう謎の組織(宗教団体)が暗示か催眠かで操って、学会が始まったら(時計仕掛けで)天誅を下したのでは?って考察しました。
温泉のキウィは、ここで二人が密会をしていたという暗示かなあ。キウィにプルトップは手榴弾を表していて且つそれが切っ掛けで息子が行動を開始した操りの切っ掛けでは?そしてγはガンマ線つまり危険な放射線だというこれも殺人発動の切っ掛けの一つ。息子も親の一存で枠が決まってる留学生の特別扱いをされていたので、彼にも罪を負わせた。科学者に相応しくない行動、科学を穢した汚物は消毒だ一掃しろ、という「真賀田四季」信者団体のしわざナノでは?と言うことで納得しました(それが真実かどうかは作者にしか分からないw)。

あと注目は、加部谷と海月の恋の行方ですね。どうなったかは一番面白い所なので読んで下され。いつものメンバー内の人間模様が事件より面白いのがこのシリーズの特徴・・いや全シリーズかな(二回目)。犀川がさらに偏屈で取っつきにくいイライラおじさんになっていて、心臓に毛が生えていないとこの人と(作者の分身?)付き合えないなって思いました(でも本人は潤滑な会話を少し意識してましたけどね)w

とにかく、頑張れ加部谷・・って応援したくなるような話でもありました。海月は人間的にも無理なんじゃないかなあ(彼はウォーカロンなのでは?wまたは真賀田博士の隠し子か、一連事件の宗教団体の刺客・ラスボスかも?)。続きがミステリ以外の部分で読みたくなりました。

992なつかぜ:2020/03/10(火) 09:19:54 ID:rmiMl0oI
追記:
ホテルの温泉のキウィはここに泊まってる犀川&萌絵(秘密の密会)に対する警告(スキャンダルなどを見張ってるぞ)なのでは?

993なつかぜ:2020/03/16(月) 14:02:05 ID:rmiMl0oI
◆かみはいつ問われるのか

WWシリーズ第二弾。娯楽としてのヴァーチャルワールドの「アリスシステム」が突然シャットダウンした。そのせいで、利用者たちは自殺を図ったり、体調を悪くする。
そして、その原因の調査に主人公グアトと相方のロジが乗り出す(日本の情報局からの命令で)。そのヴァーチャルワールドの中で「アリス」という少女にあって、この世界の神が日本へ亡命したいという言われる。
その願いを聞くためにグアトとロジは現実で「ドイツ情報局」に知られずに「アリスシステム」を日本に持ち運ぼうとする危険なミッションが始まる。と言う内容でした。

最初は、なんだこのどうでもいい内容?感じで、少々退屈でしたが、ミッションインポシブルみたいな機密事項を外国へ持ち出すミッションが始まってから、ようやく読んでいて良かったと思わせてくれましたw
主人公は老齢なんで体が鈍重なんですね、それに比べてロジ(マー●リィ)が身体能力が高く、奇妙な恋人関係だなあって思いました。まあ、主人公の知性と人柄と判断能力の惹かれたンでしょうが、あと吊り橋効果もあるかなあ。
しかし、スパイ行為に向かない主人公をかかえて、いろんなフォローをして世話をしなければならないロジさんの大変さ有能さ・・余程惚れてんだなあw本人が忘れている誕生日のプレゼントにも拘ってますし、そういう部分で恥ずかしがってますしね。

内容も、のんびりした部分と哲学的な部分とスリルサスペンスな部分が丁度良くブレンドされて最後まで面白く読める小説でした。
普段はツンツンのロジのスポーツカー運転の楽しそうな姿が眼に浮かびますねwあと、「アネバネ」てめえはなんでまた女装してるの?(顔を知られたくないためか?)w

994なつかぜ:2020/03/25(水) 14:47:55 ID:rmiMl0oI
◆夏のレプリカ

S&Mシリーズ第7作。萌絵の友人、杜萌は3年ぶりに実家へ帰る。だが、次の日誘拐され、家族ごと監禁されそうになる。
しかし、犯人の内二人は何者かに殺され、残る一人は車で逃亡してしまい、家族は解放される。だが、義兄の素生は誘拐事件後、行方不明と分かる。
それを聞いた萌絵はこの事件にも興味を抱き、この事件と素生の行方について調べ始める、というストーリーでした。

まあ、今回の主役はや謎解きやドラマの中心は萌絵だけでなく、新キャラ、刑事の「西畑」や「杜萌」や「佐々木夫人」や「素生」や犯人の生き残り「〇〇」が複雑に絡み合って、ちょこっと「犀川」アドバイスするって感じで進んでいきました。

感想:え〜、って結構おどろく結末でまあまあ吃驚するストーリーでした。自分がやった、観たこと事を衝撃過ぎて覚えていないとか忘れるって「姑獲鳥の夏」かよ、ってちょっとズルい感じもしましたがw
まあ、このシリーズってトリックや推理より、人間の本質やら哲学っぽいものを追求する部分が大きいから元々純粋な推理物じゃないからね。

萌絵も大体のことは予想していて、チェス勝負で相手の心をのぞき見て、確信したって感じかなあ。しかし、相手を殺すぐらい恋敵に酷いことをされたんだろうか?それとも過去の素生との体験で、そういう性格になってしまったのか。
しかし、素生さんを殺して無くてそこだけは救いかなあ。でも人殺しの罪は軽くならないけどね。素生は実はうっすらと視力を回復してた?彼の失踪の顛末が謎でした。

推理部分ではなく、人間ドラマ部分が面白かった話でした。

995なつかぜ:2020/04/07(火) 13:10:22 ID:rmiMl0oI
◆捩れ屋敷の利鈍

Vシリーズ第8作。秘宝「エンジェルマヌーバ」を観に熊野御堂家へやってきた「保呂草」はそこで「西之園萌絵」「国枝桃子」と出会う。その後「メビウスの輪」のように捩れた円形の巨大な建築物の奥でその秘宝を見せてもらうが、次の日「エンジェルマヌーバ」は盗まれ、捩れた建物の中には見知らぬ死体が。
そして主人も離れの小屋の中で密室状態で死んでいた。「西之園萌絵」と「保呂草潤平」が盗難殺人事件の謎に挑むミステリー。

二つのシリーズの準主役(ある意味主役)同士が組んで謎を解くってすごくワクワクしましたね。二人は初対面で有るにかかわらず、互いがただ者ではないと気付く過程、そして協力して殺人事件の謎を解くというより、「萌絵」VS「保呂草」のヒリヒリする駆け引きや化かし合いが大変おもしろいストーリーでした。
しかし、これは「保呂草」がメインキャラのVシリーズ、保呂草がギリギリの状態で萌絵を出し抜き軍配が上がるところが最高に面白かったです。もしこれが「保呂草」VS「犀川」だったら、全てを見透かされ負けていたかもね。あと、あの無口で無愛想な「国枝桃子」が喋る、感情を丸出しする、って所も見どころでしたw
いつもの紅子や練無や紫子が活躍しないのは残念ですが、紅子もこの事件に関わっていたら、「保呂草」は悪事に失敗してたでしょう。

しかし、普段は紳士にふるまってる保呂草がやっぱりやくざ者の犯罪者で裏社会の住人って感じに豹変するのはゾッとしました。目的のためなら殺人も犯しそうでした。紫子さん泣きますよこれw

ということで、このVシリーズが一番面白いなあって実感した一作でした。なんせ、主人公がやり手犯罪者と犯罪者と知って付き合ってる美人科学者ですからね。

996なつかぜ:2020/04/17(金) 23:43:22 ID:rmiMl0oI
◆レディ・ヴィクトリア ローズの秘密のノートから

レディヴィクトリアシリーズ第5巻(一応の最終巻)。チーム・ヴィクトリア(ヴィクトリアを中心とするトラブル解決団)が3つの事件を解決する中短編のミステリーだが、語りてローズ(ヴィクトリアのメイド)がそれぞれの事件を紡いでいき、ラストの「あの有名なロンドンの通り魔殺人事件」に続く!って感じの内容でした。
最初の事件は食事係の中国人リェンさんの過去にかかわる物語。次の事件は女性専用倶楽部に現れる、その倶楽部の主人オーブリーの「パンシー(ドッペルゲンガー)」の謎に挑む。三つ目めは「サロメ」とよばれる踊り子が弱みを握り、「大英帝国」の王族相手に強請る物語でした。その他にもローズの誕生日に贈られたプレゼントの話や前作の「ミネルヴァ・クラブ」がロンドンに復活しそうだという不穏な話もありました。

三つの事件の中で一番良かった、そして感動したのは最初のリェンさんの過去にかかわる話でしたね。ラストであっと驚く結末で、ちょっとウルっと来て、よくできてるなあって感心しましたわ。パンシー事件は「なんだか強引だなあ、年寄を虐めるなよ」って解決で今一つしっくりこなかったですね。三つめは「LGBT」(男同士の恋愛関係)に関するお話で、お得意のこの人らしい「耽美」で「陰鬱」で「人間関係(血筋)が複雑」な話でした。が、これも犯罪者に肩入れしすぎかなあ、でも差別が嫌いな主人公らしい解決の仕方かなあって、少々納得いかない者の「主人公らしい」終わり方だったと思います。
それにしてもちょっと哀れなのは「マーサ」さん、扱われ方が最後まで「嫌われマーサの一生」でしたwあの事件の最初の犠牲者ってそんな名前でしたっけ?

いやあ、全体的な感想としては、読み応え十分な面白さで、あの「吸血鬼とお供」の物語が、自分としては不本意な抽象的すぎる、どっちかというとつまらない終わり方に対して、このシリーズはまだまだ読みたいなあって思わせてくれるほど楽しくて良かったです。
ぜひ続きを描いて欲しいですね。某「ウォーカロン」シリーズも第二章として続いてるのだから・・これも形を変えて続かないかなあ。ミス・シレーヌの謎がミスタ・ディーンの過去が全然解き明かされていまいので、描くべきだと思いますw

997なつかぜ:2020/04/30(木) 02:00:48 ID:rmiMl0oI
◆ディジーがリジーを想うとき

ブギーポップシリーズ、第23作。話は遡って、VSイマジネーター編が終わった直後辺り。
スプーキーEの自殺の原因を探りに来た合成人間ポリノーグは訳ありの少年「乙坂了哉」と「織機綺」を利用する。
そして、脱走した合成人間「ディジーミスリジー」がこの町に潜んでいる気配を感じとる。
一方、「乙坂了哉」の前に突然現れ「世界の敵」として殺そうか迷う「ブギーポップ」や「織機綺」を心配して行動を見張る「霧間凪」も加わり、またこの街に新たな事件が起こる。という話でした。

感想:最近のブギーさんは、導入部はまあまあ面白そうに感じるのだが、まとめに入る段階で力尽きるのか、広げた風呂敷をうまくたためないで、盛り上がって欲しい戦闘シーンも肩透かしで、人生哲学とか思想や教訓オチでフワッとしていてモヤモヤが残る終わり方が多いが、この物語も導入部分は凄く期待が持てて、乙坂がミスリジーと何か関係がありそうでブギーポップの強敵になるかも、もしかしたら乙坂=ミスリジーとか?って結構おもしろそうな新キャラだなって思ったけど、なんだかな〜その程度のキャラなのかってって肩透かしでしたわw
いつまで、水乃星透子をひっぱるんだよって思ったけど、これ3巻辺りに戻った話だから仕方がないかとは思ったけど、いい加減彼女との決着を付けて欲しいなあ。そして統和機構との戦いや統和機構の行方とかも決着つけて欲しいなあ(いったんのピリオドでいいから)。いつまでもサイドストーリーでダラダラ続いてるのもなあ。まあ、永遠に終わらなさそうな壮大な世界観だけど。
ていうか、日本の主人公が住む町だけでもこれだけの大事件が起こってるんだから、世界中でどれだけ統和機構がらみの事件が起こってるんだよって話だよなあ。ブギーポップが邪魔するからこの街だけ大事件になってしまうって事かなあw

とにかく、悟ったような人たちの悟ったような小難しい会話だけで締める様な終わり方じゃなくて、もう少し外連味が欲しいし、伏線回収の感動や分かりやすい人情的な感動も欲しいなあ。何度も読み返したくなるような。

998なつかぜ:2020/05/19(火) 19:54:57 ID:rmiMl0oI
◆午後の恋人(上)

突然「離婚してくれ」と夫の信吉から言われた主人公の明子(40歳)。ほぼ無理矢理離婚させられた明子だったが、独身になった途端、次々に現れる求婚者。そしてもと夫だった信吉もよりを戻そうとする。そんな逆ハーレムのモテ期が到来した明子と周りの人々の恋愛のいざこざややや波乱万丈な日常を描いた物語でした。
もちろん、大人向けな恋愛物語なので、情事(エッチ)もしっかり描かれています。

感想:図書館で不要になったものを、タダでもらってきた数々の本の中から普段縁のなさそうな本をたまたま読み始めたのだが、これが意外と面白かったです。夫が不倫して子供を作って「別れてくれ」っていったので、どろどろした不倫相手の女性と夫婦の修羅場が始まるのかと思いきや、思いっきりのいい主人公で意外とあっさり離婚して(夫の信吉も強引に離婚に持って行ったのもあるが)、そんなの簡単にあきらめていいのかってこれからの人生40歳女性には辛いだろうなあとか可哀想だなあとか思ってたら、次々に現れる主人公と結婚したい男達(4人程)に笑ってしまった。
そして、自分の喫茶店を持とうとする主人公にバックに有名画家の叔父さんや彼の博識な仲間たち(もちろん金持ち・セレブ〜)がいて、主人公なんだかんだで、恵まれているなあって、可哀想って思った感情返せでしたwその上、不倫相手と結婚した信吉も結婚生活が上手くいかず(子供のためだけに結婚したらしい)、未練たらたらで、明子に復縁を迫ったり、明子に近づく男どもをチェックして邪魔したり、主人公明子の取り合いが面白かったですね。まるで大人の乙女ゲームでした。明子も再婚の本命が決められず、あっちの男(航空会社の支店長)と寝たりこっちの男(鼓打ちの有名人)と寝たり、のらりくらりなの優柔不断なのか流されるがままなのか、どうなってしまうのか予想もつかない状態で、そのうちだれからも相手にされないバッドエンド(いや喫茶店の店長として成功すれば、結婚できなくなってもバッドエンドではないわな)になってしまわないか、ドキドキして続きを楽しんで読めました。
いやあ、たまにはこういうタイプの大人の恋愛小説も面白いですね。あと、明子だけでなく、知り合いの女性の恋愛トラブルもあって、未練がましい「信吉」と再婚の本命であった「孝一」がパリで出会ってしまう所も奇妙で面白かったです。この二人の絡み争いが読みたかったけど、あっさり次のシーンにいったので、そこはちょっと肩透かしでした。さて誰と再婚するのか、それとも誰からもそっぽを向かれるのか、下巻が楽しみです。
今の所、明子自身には求婚者の不満は向けられていないけれど、その内、可愛さ余って憎さ百倍な男(特に年下の浩之)が出てきそうなところも、すこしハラハラですね。
1983年の小説なので、バブル初期、日本がこれから金満社会に突き進んでいく頃ですか、簡単にヨーロッパ旅行に何週間も行く主人公たち、高い着物でパーティに行ったり、高級レストランにいったりする主人公、恵まれすぎてやっぱあんまり可哀想じゃないな〜w

この人の他の小説は読んだことないですが、「肝っ玉母さん」とか「御宿かわせみ」シリーズは見聞ききした事が有りますね。強い女性が主人公の小説が多い感じですね。

999なつかぜ:2020/06/07(日) 02:02:38 ID:rmiMl0oI
◆紅蓮館の殺人

題名が面白そうなので読んでみたが、自分としては、まだ新人が書く青臭く拙いミステリーの様で、言葉遣いもベテランに比べ不慣れな感じがして、殺人ミステリー自体も説明臭く、言葉遣いも不慣れな感じでな感じ、終わり方ももう一つ印象に残らず、読後感がイマイチな作品でした。
でもまだ、数作しか本を出していないので、仕方ないか、頑張ったで賞って感じですね(偉そうでゴメン)。

内容は、進学校の勉強のための夏合宿(軽井沢)を抜け出した主人公「田所」と高校生探偵「葛城」は山奥に建っているファンである財田雄山という小説家の屋敷へ向かう。その途中で山火事に会い、財田雄山の屋敷に逃げ込む形で訪れることになる。その屋敷にはほかにも避難してきた客人がいて、その中に「田所」が憧れていた元高校生探偵「飛鳥井」(女性)もいた。
二人の探偵(元探偵)が集う所に、奇しくも「財田雄山」の孫娘「つばさ」が吊り天井に潰されて圧死するという事件が起きる。葛城は「殺人」というが、「飛鳥井」は事故と主張する。外では刻一刻と館に山火事が迫ってくる。二人の探偵は対立しながらもこの事件の真相に迫っていく。火事が館を襲うまでに、脱出し、事件の謎を解くことができるのか?というミステリーでした。

何かコナレてない文章が気になり、過去編とかも謎解きもちょっと説明臭くて諄いかなあって感じで感情移入が難しいところを除けば、どんでん返しや、あっと驚く事件の謎もあって、まあまあ楽しめたかな。ラストの締めが何を言いたいのかイマイチ疑問で悪い意味でモヤモヤしたなア。もう少し文章が洗練されて、余計な部分は短くしてくれたら、途中でだれずに済んだかなあって感じですね。
これからに期待します!

1000名無し:2020/06/21(日) 17:10:11 ID:neAKJwJQ





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