したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

ライトノベル総合

1どるき:2009/11/07(土) 09:24:00 ID:WzPGfqK.
The 男爵ディーノ掲示板のノリでライトノベルを語りたい人とか
とにかくライトノベル総合

914とんたく:2018/01/08(月) 21:49:57 ID:gVk8kjHE
◆神様が殺してくれる

外国での連続殺人事件と同部屋だった美青年を追うインターポールの主人公のサイコサスペンスミステリー。
日本人作者が外国人主人公を使って外国を舞台に描いたミステリーは篠田 真由美女史ぐらいしか知らないので、珍しいなあって思いながら読みました。

主人公は、殺人事件の関係者が、学生時代に偶然学生寮の同部屋になったゾッとする様な美青年だったことを知る。その美青年は、主人公が殺したと証言し、身に覚えのない主人公はその後起こる殺人事件にも巻き込まれていくというストーリーなので、
その美青年が嘘をついてないのなら、主人公が無意識の内に殺人を犯してるって、自分は最初に考えましたね。すると、作者もそういう風に読者をリードしていくので、なんだセオリー通りのミステリーかって思ったら、ラストでどんでん返しに遭いましたw
その結末に吃驚はしたけど、えーそりゃあないっすよって思いました。そんなの主人公がもうちょっと頭がよければ何となく分かったんじゃないのかなあ。

ということで、ミステリーとしては、なんだか肩すかしを食わされた感じで、あまり感心はしなかったです。
しかし、ホラーサスペンス、サイコサスペンスとしては、楽しかったです。最後まで面白く読ませていただきました。

しかし、ホモホモしい、女性にしか見えない容疑者の美青年が、主人公にキスしたり抱き合ったり、腐女子歓喜な内容で、最初はドウナルコトカ、これは篠田真由美さんが書いてるんじゃないかwって思いました。
でも、ホモっぽい行動にも、ちゃんと意味があったんですね。彼は主人公を魔法を使う独占欲の神(悪魔)と畏怖していたんですね。絶対かなわないと思った相手には、ああする(自分を捧げるとか)しか方法がなかったってのも何となく分かります。

フランス・ベルギー・イタリア・ドイツ・日本と世界を股にかけて犯人を追うって書くと、偉い壮大なスケールの華やかな小説にも感じますが、意外と、閉じこもった世界のちょっと怖い小説でした。あと、じっと見つめられる(たぶん作中の美青年の実写版)表紙がねっとりしていて怖いですw

915めんたい:2018/01/16(火) 21:42:19 ID:gVk8kjHE
◆ペガサスの解は虚栄か?

ウォーカロン(W)シリーズ第七弾。人間の代わりに危険な仕事に従事する人造人間とも言うべき「ウォーカロン」が人間より多くなり、人間との違いが分からなくなった世界。
人間は医療技術の発展により長寿を得た代わりに、子孫を産めなくなり、主人公はその原因と解決を探るため、またウォーカロンと人間の新たな関係を探るために、日夜研究を続けている。
そして新たに、人工知能やトランスファーという第3第4の知性体の出現により、世の中はさらに複雑になっていく。またそれらを巡って、いろいろなトラブルが主人公に降りかかり、それらに対処していくという物語である。

第7巻まで来ると、最初は単純だった構図も、かなり複雑になってきて、全巻までの内容を思い出すのも大変になってきました。あれ?人工頭脳とトランスファーって違うんだっけ?とかチベットのスーパーコンピューターの名前何だったっけ?とか、脳だけになってヴァーチャル村に住むの博士ってどうなった?とか、フランスの危険なコンピュータはどうなったっけ?とか。
でも面白いです。淡々と話は進むけど、この人の文章は読みやすいし、本は厚くないのですが、しっかり起承転結で話がまとまっていて、だらだらしてなく、文章にもキャラクターに文章にも独特の味独特の味わいがあります。

今回は日本が誇るスパコン「ペガサス」の奇妙な発言をきっかけに、インドの富豪の家に脱走したウォーカロンが潜伏しているらしいという噂を調査しにいくという内容です。今回のパートナーはウォーカロンの「キガタ」と人間かウォ-カロンか不明の「アネバネ」の3人で、前パートナーのウグイはお休みで、あの夫婦漫才がもう読めないのかと残念な気持ちでしたがと、ところがどっこい後半でまた主人公とウグイが組んで仕事をするということで、なんかホッとしましたw(いやあ感情移入してるなあ)。
やっぱりウグイはひと味違う。っていうか今回のウグイは上目遣いに舌出しペロッですよ。やばい想像しただけで萌え〜でした〜(感情移入しすぎだろw〜(感情移入しすぎだろ)。
しかし、長い付き合いのあの人がお亡くなりになるとは、そこは残念でならなかったです。それもかなりの悲劇で。あと、トランスファーのデボラの存在も頼もしいですね。いやあ、主人公の周りには「間賀田四季博士」を始めとして、スーパーパートナー揃いで羨ましい。ただし、プライベートも覗かれてるのは嫌ですけど。

次回作も二冊(「血か、死か、無か?」と「天空の矢はどこへ?」)ほど予定が決まっているらしく、この比較的まったりとしたSF物語はどこへ突き進んでいくのだろうって楽しみです。

916めんたい:2018/01/24(水) 05:03:58 ID:gVk8kjHE
◆少年Nのいない世界 03

知ってる人知ってる、「少年N」シリーズと対をなすもう一つ「N無し」シリーズ第3巻。
猫を13匹殺してそれとともに屋上から飛び降りることで、巻き込み、巻き込まれて異世界へ行ってしまった7人の小学生達。
7年も費やしてようやく異世界で数人が再会して、あと3人で飛ばされてきた全員が揃うって所から始まります。

今回は猫殺しの張本人「和久田悦史」(敵側)の物語から始まり、少年Nシリーズのキャラ、無限総合保管業(宇宙の運び屋・一応味方かな)のトワコや謎の研究機関(敵)に「エース」と呼ばれる謎の権力を持った社長(今のところ味方)、音色をさらった美術屋のボス(悪)、
そして「少年Nのいない世界」なのにその少年N(行方不明)まで出てきて、結構お話が進みます。そしてついに最後の一人が・・。

いやあ、大変よくできた漫画やアニメを観てるかのようで、読んでて楽しかったです。文章が相変わらず上手い。
ただ、ラストの音色のバレエ公演前がやたら諄くて、ここだけ話のテンポがゆっくりじっくりだなあって思っていたら、嫌な予感が的中してやっぱりそうなったかって感じでした。
果たしてエースがどこまで味方してくれるか、運送屋がお金にならないことにどこまで協力してくれるかに掛かってますねえ。

気になるのは、エースやトワコがなぜ少年Nを旧友の所へ連れて行かなくて隠すのか?ですねえ。
何か裏がありそうな予感もします。そして研究所が異世界(つまり元の世界)についてどこまで、何故、研究してるのか、も気になります。

次は「次は少年Nの長い長い旅」の4巻が先でしょうか。結構読みやすいので、たまには読書したいという人にもお勧めですね。

917めんたい:2018/02/01(木) 22:13:14 ID:gVk8kjHE
◆バビロンⅢー終ー

堅実な検事ミステリー物と思わせて、実は哲学めいたオカルトサイコホラー物だったというストーリーと衝撃のラストを迎えた第二巻、この後どうこの話の後始末をつけるのか、またどう続けるのか続けられるのか?って事が一番の関心で興味津々の第3巻でした。関心で

内容は、東京の町田、八王子と神奈川の相模原を合併して、ある種の条例の実験都市「新域」を作り、そこの域長となった齋氏は最初の条例として「自由に死ぬ権利(自殺法)」を発令する。それにより「新域」では自殺する者が増加する。事態を憂いだ日本政府は齋氏の確保に乗り出すが、謎の超能力女「曲世愛」の能力により彼に近づこうとする者は次々と自殺した。
そして話は世界へと肥大する。世界の六カ所(アメリカ・ドイツ・カナダ・イタリアなど)の地方都市が「新域」に誘発され「自殺法」を発令した。一方主人公「正崎善」は「曲世愛」に部下や友人を次々に催眠自殺させられて、復讐のためFBIの力を借りることにした。奇しくも七カ国サミットが行われ、当然「自殺法」についても話し合いが持たれようとしていた。
そこへ、齋氏は同時期に六カ国の六つの地方都市地方に「自殺サミット」を呼びかける。齋氏は何を画策してるのか・・というサスペンスホラーな内容でした。

奇才って言葉がぴったりな内容でした。まさかワールドワイドに展開しようとは。面白い面白くないを問われれば、読んでいて面白いんだけど、二巻とほぼ展開が同じじゃね?曲世愛の能力は強すぎでやり過ぎではないか?って冷静に考えると素直に面白いって言いたくないんだよなあw
最初、凄く堅実で納得いく検事の捜査に感心して読んだあと、急にホラーのなんでもあり感が受け入れられなくて、それでも主人公が機転を利かせて解決するんだろうなって思ったら、事態は世界中を巻き込んで最悪な方へ。主人公は無力という・・。
主人公が主人公たらしめてるのって曲世愛の超能力は効かない?免疫がある?って事だけなんだよなあ。もう少し、曲世愛や齋氏の対して頭脳戦でも一矢報いる展開があれば嬉しいんだけど、今のところ「やられるがまま」ってのがストレスたまりますw

あと、終って書いてあったので、この第三巻で完結するのかと思ったら、曲世愛=悪=終わりの使者って事で、まだまだ続くみたいだ。
今後はサスペンスホラー物として頭を切り換えて読みたいと思います。
色々書いたけど、続きは読みたいです!また絶望と大量自殺で締めそうだけどw

918めんたい:2018/02/05(月) 18:20:22 ID:gVk8kjHE
◆イヴルズゲート 黒き堕天使の城

イヴルズゲートシリーズの第二弾。前回エジプト屋敷で異世界の門を何とか閉じる事に成功したルカと夜刀の腐れ縁の学者コンビは、今度はドイツの片田舎の水晶鉱山の前に建つクリスタルベルク城の奇怪な住人と鉱山内の「黒い門」の謎に挑む。そして、ルカの出生の秘密をかいまみると言う話です。

表紙を見ると、あれ?あまり内容と関係ない夜刀の妹で巫女で超能力者の瑠衣が描かれていて、違うだろうもっと描くべき人物がいるだろうって突っ込みを入れたくなったのですfが、最後まで読むとああなるほど、って納得せざるを得ませんでしたw
いやあ、異世界の悪魔さえも退治しちゃう神道はかっこいいね。
途中までは人間関係ドロドロで、レイプあり、ホモ行為あり、クビだけ実験人間はいて、人形のような奇怪な娘や、見た目二十代、四十代の百歳の老人はいるわ、人間と合体するデビルマンはいるわ、化け物屋敷のクリスタルクリスタルベルク城で、まさにホラーオブホラーって感じでしたが、最後の最後で「ブギーポップ」が無双するように、表紙の巫女が全部持って行っちゃったって感じですね。

感想としては、いつものお得意な耽美な感じでちょっと腐向けっぽいのは嫌だったけど、ホラー小説としてなかなかに怖くて面白かったですね。ルカに関する人間関係がちょっと複雑だったけど、何とか理解しましたわ。夜刀の兄妹は全員が超能力者なんでしょうか、これからの続刊で登場するのでしょうか、楽しみです。
ナチスとかヒトラーとかの話が出てきた時は、ヒトラーやドイツ帝国の復活が目的かなとか思ったけれど、ちょっと違いましたね。ていうか、異世界の住民は人間界を餌場に寄生宿主に利用しているだけで、世界征服とかの野心は今のところなさそうですね。でも謎のメッセージは前巻のあの男が生きているのか、異世界神を崇める宗教集団の仕業なのか、またはルカの出生の秘密に関わる邪悪な何かなのか、謎は残りますね。

このシリーズの続きも楽しみですが、早く「黎明の書」の最終巻を書いて欲しいですね。

919ガフ:2018/02/06(火) 21:48:18 ID:XPhZbFaE
〇小説 仮面ライダーアギト
オーバーロードとアギト関連の設定が変更されている以外は大体原作通り

小説版ですら不幸な葦原さん…むしろ原作より悪化しているような気すらする…救いはないのか…

〇小説 仮面ライダー龍騎
原作とは程遠いオリジナル設定満載、受け付けない人も多そう
犯人を誤射して壊れてしまった真面目な警官、心の傷に突き動かされてヒーロー行為に走る青年と、井上先生が書いてるなあというのを強く感じる

尺の都合でメインキャラを真司、蓮、浅倉、北岡、ファムに絞っているが、北岡の悲惨さがぶっちぎり、帝王トランザの栄光を思い出した
いくら悪徳弁護士とはいえあそこまでの仕打ちを受けるいわれはなかろう

920めんたい:2018/02/20(火) 23:47:43 ID:gVk8kjHE
◆虚実妖怪百物語 序

序・破・急と続く多分3部作だと思われる京極夏彦の妖怪物語の第一巻の序である。
序だけだと内容がつかみ所が無く、世の中がささくれ立って、妖怪を見かけなくなったと嘆く「水木しげる」を始めとして、妖怪好きな作家や編集者や妖怪学者たちが、突然現れた目に見える妖怪らしき物たちや妖怪を敵視する団体や世間や政府機関とのトラブルを滑稽に描いた話。
ただし、この現象・異変を操る黒幕(「帝都大戦」の加藤?イスラム辺りの悪魔?)がをいるらしく、最後はそいつと「京極さんと愉快な仲間達」が面白可笑しく戦うんじゃないかなあって感じです。序なんでまだ本格的には物語は始まってないって感じですね。(あと、エヴァンゲリヨンかよ!)。

本の分厚さは普通だったけど、読むのがきつかったわーw何がキツかったって、出てくる登場人物の量が半端なくて、こんなに沢山覚えられるかー!って最初本を放り投げたくなりましたくらい。
ざっと数えても、主な登場人物が70人〜80人います(アホかー!)。ほとんどが実在人物らしく、京極夏彦とその関係者や知り合いや友人達でした。

嘘だと思うなら、書きますよ出てくる人全員書いてもいいですよw
榎木津・京極・郡司・荒俣・夢枕・水木・村上・多田・青木・岡田・及川・梅沢・悦子・ナオコ・レオ若葉・黒・鴨下・平山・福澤・加門・木原・中山・伊藤・黒木・松村・ホンダ・佐藤・恩田・小松・高谷・榎村・西山・大江・久留島・清水・唐沢・松野・木場・久禮・山田・常光・纐纈・・まだ2/5かよw

まあ、主役っていうか、妖怪馬鹿達に馬鹿にされるのが二人出てくるんですけど(レオ☆若葉と榎木津平太郎)、どうやらそいつらが物語の主幹(ギャグ担当でもある)らしいですね。まだ序しか読んでないので、誰が最終的に重要人物になるのかは分りませんが。

さて感想、船酔いや陸酔いが慣れれば大丈夫になるように、最初は苦痛でしたが、慣れてくれば少し面白くなってきました(ランナーズハイみたいなw)w。文章とギャグ(言葉遊び)少々クドいですが、まあ、ここまで頑張ったから最後までつきあって読むつもりです。もう義務です、根性です、変な自己満足や達成感のためです。
独特の妖怪哲学が相変わらずだなあって読んでいて思いました。京極夏彦さんはもう「京極堂」ですね。「この世に不思議な物などないです」ってかんじで。この本を読むときは、登場人物のファイルを作ることをおすすめします。そこを乗り越えられれば、まあまあ面白くなると思います。

最後に、京極堂シリーズ?百鬼夜行シリーズ?どっちでもいいけど、新刊を早く出して欲しいです。また、薔薇十字探偵やヘッポコ小説家に会いたいですね。
さて、「急」(第二巻)を読みますか。エヴァかよ!(二回目)。

921めんたい:2018/02/26(月) 04:59:39 ID:gVk8kjHE
◆虚実妖怪百物語 破
何者かの陰謀によって(多分、帝都物語の加藤保憲)妖怪のような物が各地に出現して、おかしくなった日本で、操られた政府や妖怪排除団体と妖怪好きの妖怪馬鹿との戦いを描いたシリーズの第二巻。

登場人物がさらに増えて、もう100人はいるんじゃないかなあ。その中で基幹となる人物は「レオ若葉」「榎木津」って書いたけど、他にも「帝都物語」を書いた荒俣宏さんや頭にクトゥルーの邪神を乗せた黒史郎さん黒史郎も結構活躍しますね。
あと、郡司さんや及川さん、あと京極夏彦本人も結構発言が多いですね。
話は、妖怪書籍関係者や妖怪と接触した人妖怪が現れた家や区域は洗浄駆除対象で、妖怪撲滅民間団体の私刑に遭って粛正されるという、まさに隣人疑心暗鬼の永井豪原作の「デビルマン」状態。ついに、世界初のロボット「學天則」に荒俣宏が乗って、付喪神を率いて行進するという、なんとも言えない展開にw
都知事を暗殺しようとする妖怪関係の小説家もいたり、どうなってしまうのこの物語状態のまま、第3巻「急」に続くという感じでした。

面白いかと言えばまあ面白いんだけど、人に勧められるかと言えば微妙で、噛めば味が出るガムみたいな小説でした。まず、人物を覚えるのが最初の壁かと思われ(何回も書くけど)。あと、ストーリー展開や構成に関しては、多数の主人公がいてそれぞれの行動がクロスする感じの「ブギーポップは笑わない」、「デュラララ!!」「博多豚骨ラーメンズ」とかゲームなら「街」「428」ののりですね。
映画でも多人数視点の「バンテージ・ポイント」ですか。そんな感じですね。
だから、ハマレバ面白いとは思いますよ。

さて最終巻「急」を読みたいと思います。もうなるべく新しい登場人物は勘弁して下さい、覚え切れませんわw

922めんたい:2018/03/05(月) 18:22:28 ID:gVk8kjHE
◆虚実妖怪百物語 急

このシリーズの第三巻。妖怪好きの妖怪馬鹿達とそれを粛清しようとする政府機関(警察・自衛隊・矯正施設)や民間組織や日本を滅ぼそうとする魔人との戦いを面白く滑稽に描いた最終巻。内容も「今度は戦争だ!」感じです(水木先生「戦争はいかんですよ」)。

もう早速感想。なんていうか「妖怪のスパロボ」ですよ、最終決戦では、自衛隊に対して「犬夜叉」「殺生丸」「うしおととら」「ゲゲゲの鬼太郎」「豆腐小僧」から「ガメラ」「ラドン」「大魔神」「クモンガ」「モスラ」の怪獣まで出てきます。読んでいてワラけてしまいましたw
エヴァやガンダムやゴジラも出そうとしたらしいけど、そこは大人の事情と自重らしいです。いやあ、犬夜叉と虎と貞子の共同戦線を映像で見たいなあ。もちろんその他の有名妖怪達の「百鬼夜行」も大活躍。
それだけじゃないです。声優の「野沢雅子」「戸田恵子」から俳優「佐野史郎」「島田久作」、漫画家「伊藤潤二」「ゆうきまさみ」「日野日出夫」「永井豪」やら小説家「小野不由美」「鈴木光司」まで出てきて、絶句「なんじゃこら?」状態。笑いが止まりませんでした。数え切れないですが、120人以上は色々な有名著名人が出てきてると思います。
故人の「柳田 國男」氏も出て喋ってますね。でも一番笑ったのはやっぱり巨大テレビから出てくる巨大な貞子さんでしょうかw妖怪とは関係ない鈴木光司さんが自ら出現させたとの事でした。でもホラー小説をよく書いてますから少しは関係あるのではないでしょうか。

ただ、オチが良く分からない理屈で大団円になったのはちょっと腑に落ちませんでした。あの薔薇十字探偵の名前が出てきたのは嬉しかったのですがね。多分、これだけのバカ騒ぎのお祭りみたいな小説は最初で最後ではないでしょうか。京極夏彦氏の妖怪にかかわる小説の集大成みたいな内容ですし、よくこれだけの登場人物を活躍させ書き切ったなあ、ってそこは凄いと思います。膨大なエネルギーが必要だったに違いないと想像します。
著者は京極堂になりきって、「この世に不思議なものなどありません」って颯爽と事件(戦争)を解決されて羨ましいですね(小説家の特権)。水木先生も最後は妖怪になられたのですね。

最後に「「鵺の碑(いしぶみ)」じゃなくてもいいから、京極堂シリーズ」の続編を強く希望します。
そういえばベガ(スト2)のモデルって「加藤保憲」というか島田久作さんなんでしょうかねw

923めんたい:2018/03/07(水) 23:59:05 ID:gVk8kjHE
◆少年Nの長い長い旅 04

知ってる人は知ってる「少年Nのシリーズ」の第4巻。猫を殺してビルから飛び降りたため、異世界に飛んでしまった7人の小学生。主人公の野依とヒロインの音色は偶然にも(原始の惑星ファリ)に飛ばされるが、音色は誘拐されて違う星へ連れて行かれる。
主人公は音色を探すため、ファリで知り合った宇宙の運送業のサット船長(店長)の宇宙船に乗り込み、そこで仕事を覚えながらこの世界で散り散りになった7人の友達(一人は友達では無いが)を探すことになった。そしてついにこの世界に飛ばされた仲間の一人と出会うことになるのだが・・・。と言う話です。

もう一つの物語「少年Nのいない世界」ではこの物語の数年後の話なのだが、そこではまだ飛ばされた七人の誰も誰とも会っていない所から始まるので、今回の友達生存情報はガセかと思いきや、なるほどなーそういう事かという感じでした(ネタバレなので書けませんが)。そしてサット船長の過去の謎と「少年Nのいない世界」での研究機関の正体の謎とが関係していて、二つのシリーズを上手く繋げたなあって、ちょっと感心しました。
少年向け小説だと侮るなかれ、結構面白いです。ただ、本の厚さが足りねえ、すぐ読み終えてしまう、もっと続きを読みてえ、って感じですね。週刊少年漫画を読んでる気分です。
改めて感想を書きますと、もう一つのシリーズに上手く繋げて、かつこのシリーズだけでも面白くするために苦労してるなあ凄いなあって感じでした。長い長い旅と言うからには、宇宙船で運搬業だけやっていては物足りないですよね、異世界の宇宙をあちこち波乱に満ちた冒険をしないと、題名に負けてしまいます。
だから、今回の物語はさらなる冒険(旅)へって感じの終わり方で題名通りだって思いました。

これから、どういう冒険の旅路を繰り広げてくれるのか楽しみです。もちろんこの異世界宇宙の謎や元の世界へ戻るための謎が解かれていきそうですね。
そして、サットの一族と二つのスーパーコンピューターや子供を使った謎の研究機関の研究内容も早く知りたいですね。
普段読書に縁の無い方におすすめです。片手間に読めて結構面白いかも。

924めんたい:2018/03/15(木) 17:58:43 ID:gVk8kjHE
◆書楼弔堂 炎昼

弔堂シリーズ第二弾。元僧侶の主人公がひっそりと営む、まるで陸の灯台の様な本屋(書舗)にやってくる悩みを抱えた人達に、その人のための一冊を選んでやって、悩みを解決する方向へ導いていく物語。
今回客側の主人公は片思いと自分の作品の価値に嘆いている「松岡國男」という新体詩人と父や祖父から毎日叱られて生き方に悩むお嬢様「天馬塔子」の二人。その二人に連れられて、色んな悩みを抱えた有名人もやってくる。

まあ、明治時代の有名人はよく知らないので、乃木大将って聞いても203高地で「山は死にますか〜(さだまさしの歌)」ぐらいしかピンとこなかったが、昔は泣き虫だったんだとか(何処まで本当かは知らないけど)勝海舟って枢密顧問官なんだとか、そういった蘊蓄が面白かったです。
しかし、有名人と知り合いすぎだろw松岡國男なんか、この人の小説で何度も出てきてリスペクトされてるお化けの教祖の一人だもんな。ていうか、お化け、妖怪、幽霊、怪談にはかなり主張も持っていて、毎回どの小説でも同じ事行ってる気がする。「実際幽霊なんか居ませんよ、それでも人は幽霊を見てしまう物です。それは何故かというと・・(略)」(説明が難しいので自分で読んで下さいw)
たしか、「虚実妖怪百物語」でも読んだぞ、似たようなお化け理論。お化けは世の中の潤滑油で遊び、馬鹿と一緒で居ないと世の中ギスギスする。あと、不思議な現象や結果が先で、納得するためにお化けの仕業にするだっけ?

さて感想、主人公の書店の主人の説教が耳に痛く少々理屈っぽいけど、納得できるところが大いにあって、面白かったです。「本は斜め読みしてはいけない」とか色んな「箴言」が多くて、納得のいく良い事をいうなあって読んでいて感心もしました。本当に明治時代ってこんな感じだったは怪しいですが、例え想像上の明治時代でも、上手く世界を構築してあって、その力量にも感心しました。
読んでると、著者のの思い描く明治時代の住民になれる、明治時代に浸れる小説ですね。大いに現実逃避できましたw多少理屈が難しいけど、良いこと、ためになることが書いてあって読んで良かったです。

最後に、しつこいですが「京極堂」シリーズの続編を書いて欲しいですねwもちろん、このシリーズの第3弾が出たら是非読みたいと思います。

925めんたい:2018/03/27(火) 01:20:41 ID:gVk8kjHE
◆卒業のカノン

「穂瑞沙羅華の課外活動」シリーズの最終巻。ゼレウトと言う会社の精子バンクシステムを利用して生まれてきた物理学の天才少女と主人公の綿貫基一が組んで、会社のコンサルティングや依頼された危険な難問・珍問を解決して行く、ちょっと専門的な内容や専門用語が飛び交うライトノベル風な小説です。
今回が最終巻(5巻目)と言うことでまだまだ続いて欲しいなと残念な気分で読みました。

今回の事件は、太陽光発電の出資者でゼレウトの社長の命を狙う何者かが、太陽光発電衛星を利用して車を暴走させて、車を使えなくして地球温暖化を防ごうとするテロ計画と社長暗殺を阻止するため、主人公達が立ち上がる話です。そして解決のヒントは パッヘルベル作曲の「カノン」。
波の性質で位相を二分の一にして、打ち消し合ったり、正弦波の方程式を二回微分とか弧度法でパイを足すコマンドを挿入って解決の仕方が何となくでしか分らなかったけど、まあ分ったつもりで読んでもなかなか楽しめました。
あと、地球温暖化問題に真っ向うと向き合った小説って所も面白かった。車を無くしても温暖化が止まるかどうかは分らないが、それ位厳しい規制や徹底的な方法でやらないともう駄目かも知れないなあって考えさせられたわ。

それから、キャラの名前に関するネタバレでちょっと吃驚、主人公達の名前って「ホームスとワトソン」で出てくるサブキャラの名前もホームス関係だったり、神話だったりしてたんだね。気づかなかったわ。
今更、小説の感想だけど、ヒロインは飛び級で大学に行ったり、高校生からやり直し足り、今度は仕事の所為で一年浪人したり、反って回り道していてちょっと気の毒だなあって思ったのと、最後はやっぱり浪人するのか、一時的に戻ってきたのか読んでいて迷ったけど、主人公ののろけで終わってるから留学とか全部嘘だったんだなあw
まあ、天才少女も冗談や嘘をつけるようになったと言うことで、ちょっと人間的に成長したんだなあ(凡人に近づいたw)って事でいいのかな。

総評。面白かったです。卒業とは言わずこれからもこの課外活動シリーズを書いて欲しいですね。

926めんたい:2018/04/07(土) 22:15:02 ID:gVk8kjHE
◆カムパネルラ

昔の童話や小説や歴史上の人物の逸話を基にアレンジして新しい物語を描く創作は多いけど、たいがい信長とか桃太郎とかヒットラーとかシンデレラとか有名な物ばかりなんだけど、この作者は宮沢賢治や「銀河鉄道の夜」などをベースに独特のSFサスペンスを書き上げてしまったというのがこの「カムパネルラ」である。
相変わらず,独特の表現・文章形態で読み解きづらく、理解するのに一苦労な物語でした。本のボリュームが300頁ほどで在ったのが救いだったwこの人の小説は時々面白いんだけど,クドくて読みにくい(自分はね)。でもこの小説に関しては結構スピーディな展開でくどさは感じ無かった。ただ面白かったかと問われれば,微妙だなあ。

簡単にストーリーを紹介すると、どこかの近未来日本、危険思想を排除するため第3稿の「銀河鉄道の夜」に描かれる自己犠牲の精神を掲げる国家機関であるメディア管理庁があった。主人公の母は第4稿の「銀河鉄道の夜」の研究をしていたために思想犯罪者として捕らえられて拷問の末死んでしまう。主人公は母の遺言通り遺骨を「宮沢賢治」の故郷の河に散骨しに行くのだが、不思議なアクシデントで宮沢賢治が死ぬ間際の昭和8年に飛ばされてしまう。その世界には宮沢賢治の描いた小説の登場人物や物語設定が混在していて、ジョパンニやカンパネルラや風の又三郎まで実在していた。そして、カムパネルラ殺人事件が起こりジョパンニと間違われた主人公が疑われる、果たして何がどうなってるのか真相は?と言うSFミステリーサスペンスです。

感想:まず、宮沢賢治レイプってのが意外で奇想天外だった。あの宮沢賢治が何回も「銀河鉄道の夜」を書き直していたことの驚いた。(何処まで本当か知らないけれど)最初は国のための自己犠牲(愛国主義・祖国への滅私奉公)や「全体が幸福になれば個人も幸福になる」を謳った小説だという。そして死の間際で書き直していた第4稿「銀河鉄道の夜」は平凡に善良で無私に生きることこそ尊い、または「個人の幸福があって初めて全体の幸福がある」または「少年少女の自立心」を謳っていると作者は書いている。いやあ何もかもが新鮮でその辺は大いに興味を持ちました。
そして、訳の分らない展開(天気輪の柱によりタイムスリップで昭和8年に行ってしまったかと思えば、賢治キャラクターが闊歩してるし、賢治は5年前にとっくに死んでるし、賢治の妹は生きてるし、主人公はジョパンニと間違われて警察の捕まったり・・)でこの作者とうとうネジが飛んだんじゃ無いのかって一瞬いや何瞬も思ったよw物語の体を成してないぐらいぐちゃぐちゃな展開だもんなあ。しかし、中盤まで読み進むと、なるほどこれはちゃんと考えられたSFなんだって少し納得して安心した。
物語は意外な方へ二転三転し(ここがこの作者の真骨頂がネタバレなので書きません)で主人公が奮起してメディア管理庁の刺客達と戦うことになる。主人公は鍛えられた兵士では無いので、そこは運と頭で旨く乗り切るかんじだ。
まあ、人にはお勧めできないけど、この作者の作品に結構触れてきた自分としては面白くなくは無い。ただ、凄く面白いかと聞かれたらやっぱり微妙かなあwでも一回ちゃんと「銀河鉄道の夜」を読みたくなったわ。

この人の作品にしては分りやすく読みやすい方なので宮沢賢治に興味があったら読んでみて下さい。ただ大半の人が肌に合わないだろうなあ。まだ、「桜花忍法帖」の方が面白いと思うかも。

927めんたい:2018/04/23(月) 17:41:54 ID:gVk8kjHE
◆ここから先は何もない

内容が複雑難解で簡単に言い表せないです。それでもザックリいえば、火星周辺の小惑星に探査機を飛ばしたが、何者かによってプログラムを書き換えられて目的と違う「パンドラ」と名付けられた小惑星に着陸して、そこで人骨を拾ってきてしまう。
日本の探査機ではあったが、技術協力したアメリカが強引にその人骨(エルヴィスと命名)を奪って嘉手納基地周辺の研究所で解析を行った。日本側はそのエルヴィスの調査結果を知りたいが為に、主人公達のハッキングチームを雇って秘密裏に探らせるという内容です。
見所は、どうやって?誰が?何故?探査機のプログラミングを書き換えたのか?火星付近の小惑星になぜ人骨が埋まっていたのか?そして、ハッキングチームにいつの間にか紛れ込んでいた謎の美少女リカの正体は?題名の「ここから先は何もない」の意味するところは?ってところでしょうか。

いやあ、桜花忍法帖やクトゥルフ少女を書いた人とは思えない難解で専門用語が飛び交う硬派なSFでした。腑に落ちないところや理解できない箇所があったけど、山田正紀の本領発揮!って感じで面白かったですね〜。いや、「クトゥルフ少女」は難解なSFチックなんでこれと共通部分はあるか。
まあ、難解と言っても彼の書くSF小説の中では分りやすい方だと思います。最初、物語本流と全然関係のない人が主役で、主人公がちょい役だったんですが、次の章で主人公が中心の話になり、次の章ではサブメンバーが主役で、最後にみんなが集まって嘉手納基地や研究所に潜入するというのがニクイ構成でニヤニヤしながら読みました。
そして一見関係のない話だと思ったエピソードも問題解決に役に立ったり、ちょっと強引な部分もあるけど伏線が二重三重にも絡み合って繋がっていくところが凄いなあって思いました。
エルヴィスの正体が解明して行くにつれ、ゾクゾクと背筋が凍るような恐怖を感じましたよ。人類の存在意義、人類はもう用済み、人類に変わる種族の存在、そしてすべては〇〇の手のひらの上・・怖いですねえ、もうSFというよりホラーですよw惜しむらくは全てを理解する頭や知識が自分に無いこと、だからこの小説は大傑作にも思えるし、専門用語専門知識で煙に巻かれている気がして傑作だと思うけど絶賛は出来ないかなあっても思います。
暇があれば何度も何度も繰り返し読んで、もっと完全に理解したいって思いました(忙しいので結局しなかったんですけどw)。

ただね、オチのパンのバターで偶然指紋が正確に復元したというのは、調子良すぎでしょうw超人工知能を一瞬でも超えた主人公に「人間の未来」が「人類の新たな存在意義」あれば良いですね。
もう一度書きます。難しかったけれど、とても面白かったです。

928めんたい:2018/05/04(金) 00:40:20 ID:rODKo/KA
◆宮沢賢治コレクションⅠ
・ポラーノの広場
モーリオ市(盛岡市をもじったらしい)の博物局に勤めるレオーノキューストは飼ってた山羊が逃げ出したので、それを追っていたら、その山羊を見つけたファゼーロと知り合いになり、ファゼーロからファゼーロからポラーノ広場を探して欲しいと頼まれる。
ポラーノ広場にはファゼーロの姉の勤め先の主人デストゥパーゴが選挙のために有権者達を招いて毎晩酒盛りパーティを開いていました。そこで主人公達とデストゥパーゴは喧嘩になり傷つけてしまう、その所為でファゼーロは姉に迷惑をかけたので雲隠れしてしまう。そんなある日主人公はセンダート市(仙台かなw)に出張したとき、偶然姿をくらましていたデストゥパーゴに出会ってファゼーロの行方などを問い詰めます。
そして主人公と再会したファゼーロは自分たちで本当のポラーノの広場を作ろうという。その後彼らは仲間と組合を作って工場を立ち上げるという話です。

少年小説とは言え、夜な夜な行われてる秘密めいた酒盛りが選挙に勝つための賄賂だったとか、センダート市の毒蛾退治とか、自分の意見を歌に載せて対決とかアイデアが新鮮で、時にドキッとする科学的な考え方が盛り込んであり、中々に面白かったです。

・銀河鉄道の夜
貧困と父親の所為で虐められているジョパンニはケンタウル祭の夜、黒い丘で天気輪の柱(天気輪ってなんやねん?)の下で空を眺めていたら、いつの間にか天ノ川の隣を走る銀河鉄道(夜の軽便鉄道)に乗って旅してました。向かいにはいつの間にかクラスメートのカムパネルラが乗っていました。その後色々な駅な景色を通り色々な旅人と出会い、サウザンクロス(南十字星?)駅を通り過ぎた頃、友達のカムパネルラも目の前から消えて、現実に戻ります。
そこでカムパネルラの父親の博士からカムパネルラが河で溺れ行方不明だと知らさせます。そして父親が遠洋漁からもうすぐ帰ってくることも。

もの悲しい幻想的な物語でした。銀河鉄道とは死者を天上へ運ぶ乗り物だったんですね。賢治氏は宇宙や科学に詳しいようで、意外と科学的なお話でもありました。氷にぶつかって沈んだ船って「タイタニック」号でしょうか(1912年の出来事だから、賢治氏も知っていますよね)。やたらと十字架が出てくるので、キリスト教に興味があったのでしょうか。

・風の又三郎
夏休みが終わった9月1日、父親の仕事の都合で田舎の小さな学校に転校してきた高田三郎は「又三郎」と他の生徒から呼ばれることになる。色んな遊び(危険な遊びも)や日常に潜む冒険や田舎のルールを体験して段々他の生徒と仲良くなっていくが、ある日風のように急に転校していなくなってしまう。という話です。

だんだんみんなと仲良くなっていく様子が生き生き描かれていて、世界名作劇場のアニメを観てるかのようでした。いきなり転校していき、何が言いたかったのか良くは分らないけれど、当時の子供の遊びなどが分りやすく描かれていて、興味津々で読んでいました。

・ひのきとひなげし
ひなげし達は美しくなりたくて、悪魔が化けた医者に騙され変な薬を飲まされ呪文をかけられますが、ヒノキがそれを邪魔して助けてやるとひなげし達は「余計なお節介」だとひのきを非難するという話です。

うーん深い、中途半端に現実に戻されるなら、騙されたままでいたいという女の人居そうですよね。しかし、ひなげしからも阿片が出来無いと思いますが、この頃の科学では勘違いされていたのでしょうか?

929めんたい:2018/05/04(金) 03:16:25 ID:rODKo/KA
◆宮沢賢治コレクションⅠ
・セロ弾きのゴーシュ
金星音楽団の一員であるゴーシュはセロを弾くのは下手で、他のメンバーに迷惑をかけてました。
家(壊れた水車小屋)で夜中練習していると三毛猫がやってきて曲のリクエストをしますが、わざと猫がいやがる曲を弾いて追い返してしまいます。
その晩から毎晩色々な動物がやってきて、色々な注文をします。その内にセロの腕が上がって楽団のみんなに褒められるまでになりました。ゴーシュは邪険にした動物たちに「すまない事をした」と思うのでした、という話です。

中々に面白い童話です。こういう話は子供が喜びそうですね。教育にも良さそうですw

・北守将軍と三人兄弟の医者
北方で30十年も国を守ってた戦ってきたソンバーユ将軍と9万人の軍隊が王都に帰還したが、馬の上に30年も乗っていたのでウマと離れられなくなった上、体中に植物が生えて、ウマも酷い病気に罹っていた。そこで南の崖の上に立つ3つの家の3人の医者に診てもらうことにする、という話です。

これも子供にとって凄くワクワク出来る話じゃないでしょうか。これを読むと童話はオチなど無くても何か一つ考えさせられることが描かれていればそれでいいって感じがします。だって最後が「ソンバーユ将軍は仙人になった」と神格化した人に対して三人の医者の一人が「そんな馬鹿なことはないどこかで死んで骨になってるんだ」と冷静に科学的に批判して終わりだからですw
どんなに凄い英雄でも死んで神になるわけではない、自分たちと変わらないの人間だとといてるのでしょうか?

・グスコーブドリの伝記
冷夏のため農業が上手くいかず、貧困により両親は自殺、妹は見知らぬ人に誘拐された、一人残されたグスコーブドリの波瀾万丈な生涯を描いた物語。農業に生き農業に死んだ農業物語でもある。

これを少年向けの小説と呼ぶには多少ハードな内容だなあ。確かにファンタジー的な都合のいい設定はあるけど、両親の子供に心配をかけまいと嘘をついて自殺するためいなくなったり、飢饉を助けに来たボランティアのふりをして妹を攫ったり、飢えた子供を蒸しパンで釣って働かせたり、せっかく上手くいった農業も噴火の灰や病気で駄目になって失業したり、少年が読むには夢がなく生きることの厳しさが強調されていてかなり辛い内容だと思いますw
クーボー大博士が出てきてからは、いつもの先端科学先端大好きな宮沢賢治節で、何か微笑ましかったですね。冷夏がやってくると「地球温暖化」を逆手に取り、わざと火山を噴火させて二酸化炭素(炭酸ガス)を増やすという案には、科学大好き宮沢賢治の真骨頂を見ました。あと自己犠牲精神も隠さレタテーマの一つでしょう。ストーリーも起承転結がしっかりしていて中々に面白かったですね。

・銀河鉄道の夜(第3次稿)
最初に読んだ「銀河鉄道の夜」は最終稿(第4次稿)です。違いは最初の学校のシーンが無くて、最後の「カンパネルラは溺れた」と彼の父親が言うシーンも無く、最後にプルカニロ博士が出てきて、今まで乗ってきた銀河鉄道の物語は夢で実験だと言います。ジョバンニはみんなの幸せのためにまっすぐ生きようと決心します。あとはだいたい同じです。

最終稿(第4稿)よりかは希望に満ちた終わり方でこっちの方が多少いいかなあ。明日に向かって頑張るぞって感じで終わりますから。ただこのプルカニロ博士が多少胡散臭くて、何者?何のため、なんでジョバンニにこういう夢を見せたのだろうか?クラスメイトに虐められてたから強い心を持つように導いたとも考えられますがwあと、やっぱりカムパネルラは死んだのでしょうか。

・農民芸術概論
農民は忙しく仕事が辛い、現状はただ働き、その日を生きる事で精一杯である。それではいけない、科学や芸術や音楽や色々な技術を取り入れて、もっと仕事に余裕を持たせ、楽しく生きるべきであるというようなことが書いてあります。

文章に「第4次元」と表現をたまに見かけるけど、賢治氏は4次元世界という言葉に、新しきもの希望の光、先端科学や技術の象徴的なものを抱いていたのでは無かろうかと思います。「銀河鉄道の夜」でも「三次元から持ってきたもの」とかの表現がありますし。

最後に、いままで題名だけは知っていても、ちゃんと中身を知らない物語ばっかりだったので、読んで良かったですね。しかし宮沢賢治コレクションは全部で10巻あるらしく、続きはまた気が向いたら読んでみようと思います(読み疲れたw)。

930めんたい:2018/05/13(日) 07:09:07 ID:rODKo/KA
◆血か、死か、無か?

知ってる人は知っている「ウォーカロン」シリーズの第8巻です。危険な仕事を、人間と見分けがつかない「ウォーカロン」という人造人間にやらせて、そのウォ-カロンが人口よりも多くなった時代。医療技術の発展により人の寿命が延びたのだが、代わりに子供を産めなくなってしまった時代。
主人公の「ハギリ・ソーイ博士」は再び人が子供を産めるようになるための研究、そしてウォーカロンに関する研究のため世界中を飛び回り、毎回危険な目に遭ってしまうという話です。

今回はエジプトのネガティブピラミッドで見つかったスーパーコンピュータ「イマン」の調査に行くのだが、それがきっかけで「南極」の自殺した貴族が所有していた研究所へも行くことになり、同時に100年以上前の「冷凍睡眠」で息を吹き返した「王子」が何者かに盗難に遭う。そしてこれら3つの場所や事件の裏には「あの人(悪魔妃)」が関わっていたというストーリーでした。

実に面白かったです。ハギリの護衛でウォーカロンの「キガタ」が真面目でいじらしく可愛かった、人間にのことをもっと知りたい、人間に近づきたい、自分がウォーカロンであることが悲しいって感じでした。そして護衛その2、無口で強いの「アネバネ」は相変わらずスカートを履いているようで、女性と間違えられていた時期もあり、この人何なんだ?って感じです。護衛その3髭の紳士「モロビシ」も強そうですが、今回ほとんど活躍や会話も無くて最後まで謎の人物でした。
そして、昇進した元パートナーの「ウグイ」は相変わらず素っ気ない素振りのツンツンウーマンなんですが、言葉や行動の端々に、ハギリへの好き好き光線が出ていて、微笑ましかったですwハギリを危険な目に遭わせた相手を親の敵のようにやっつけて激怒していましたし、主人公とウグイとキガタの三角関係の恋のさや当ても有りそう感じですw
それから、森博嗣ワールド全体に関係してる人物「真賀田四季」博士もしっかり出てきて(クローンではなかろうか?)、自分の娘をバラバラにした「すべてがFになる」のあの事件の事もしっかりでてきます。その上、「百年シリーズ」のサエバ・ミチル(頭だけ四季の娘のクローン(男)?)や旧型ウォーカロンのロイディ(頭脳だけクジ・アキラ(女)?)も出てきます。百年シリーズの女王ってのは「真賀田四季真」のクローンなのかなあ。

あと、面白かったのが、「ウグイ」がデボラ(トランスファー)を部下や下僕のように使いこなしてることwもう主人公の専売特許の特殊能力じゃなくなったんだね。でも主人公にはまだ「オーロラ(人工知能)」などがあるじゃないか。まだまだ主人公の見えない万能バリアは健在で、彼は運動神経無いのに危機に強そうです。

ジワジワくる面白さというか、そんなに派手なアクションシーンは無いのに、しっかり冒険してる気分になれるシリーズ、そしてしっかり練られていそうな物語、目が離せませんね。
まだまだ書きたいことはありますが、書き切れないのでこの辺で。「百年シリーズ」も内容がうろ覚えなので、もう一回読みたいですね。

931めんたい:2018/05/27(日) 03:19:49 ID:rODKo/KA
◆続・終物語
アニメでしか知らないけど、主人公の暦とラスボス扇が和解した直後のお話。高校を卒業して大学合格発表を待つまでの間に起こった怪異で、なんと主人公は鏡の世界に迷い込んでしまう。
そこでは、神様の真宵ちゃんは大人で、無表情だった余接は、表情豊かになっており、本の文字は皆鏡文字になって大変読みにくく、誰も何かが現実世界と違っていた。主人公はこの異世界からの脱出を試みる物語です。

いやあ、ついにこの物語シリーズもラノベで流行の異世界物に便乗したかって、思いましたね(嘘です)w

さて、感想ですが、今回は鏡の国の「斧乃木ちゃん」がパートナーとして大活躍って所が意外で楽しかったですねえ。あと、神原の母親が出てきて(鏡の世界だから何でもあり?)主人公との裸の付き合いとか、自分がだんだん扇化してきた思った主人公が女子制服を着て登校したり、外伝・オマケの物語にしては(オマケの物語だからこそ出来るのかな)結構はっちゃけて面白かったです。
月火ちゃんが鏡の世界だからって、姿や性格に変化が無いのは、不変な感じのする不死鳥だからでは無いでしょうか。あと、外国に行ったはずの羽川や鏡に映らないはずのキスショット(吸血鬼)も神様では無くなったはずの撫子が神様として存在します。何故なのかは読んで下さいw

しかし一番驚いたのは引っ越したはずの老倉育が同じ部屋に同居していて、性格が・・(読んで下さいw)。鏡の国の住民たちの台詞(鏡文字)は読みにくかったですね。頭の体操にはなりましたw
これってアニメ化になるのでしょうか?結構楽しみです。あと、接物語ってのがまだあるのか(ひっぱるなあw)。機会があったらそれも読んでみたいですね。

最後に、暦の一番の心残りとはなんだったんでしょうか?自分はもう一度直江津高校に登校してみたいって事じゃないかと思いました。あ、最初に鏡の国(異世界)の物語って書きましたけど・・んがんぐ。(あとは読んでみて下さいw)

932めんたい:2018/06/05(火) 02:53:21 ID:rODKo/KA
◆迷宮百年の睡魔
知る人ぞ知る「百年シリーズ」の第二弾。前に読んだことが有ったけど、すっかり内容を忘れたのでもう一度読んでみました。
内容はフリージャーナリスト(エンジニアリングライターって書いてあるけど、、工学技術レポライターって事でいいのかな)主人公サエバミチルと相棒のウォーカロン(旧世代型アンドロイド)が、ここ百年間メディアの取材を受けたことの無い閉ざされた迷宮の島イルサンジャックのモンロゼ宮殿に招待された事から始まる。
彼らはそこで、突然の殺人事件に遭遇してトラブルに巻き込まれてしまう。なぜ彼らだけが取材を許され島の呼ばれたのか?何故タイミング悪く殺人が発生してしまったのか?やがて彼らは驚くべき島の秘密に触れることになるという話です。

この作者の別作品「ウォーカロン」シリーズで、サエバミチルとロイディが出てきたので混乱する前にもう一度読まねばって思って読みました。主人公の体は「クジアキラ」と言うことは普段から見た目は女性って事になるのか。ロイディの形状がイマイチ分らないけど、人型で体重は重いって事は分った。そして主人公の脳はロイディの中に入っているので、二人は離れられないってかなり不便で哀しい設定だなあw
読んでいて結構ハードなSF設定で、この世界はちょっとした悪夢のようでした。殺人事件も実は自分の頭と体を切り離す技術が起因しているという・・残酷でハードな世界だなあ。この国の女王はやっぱり「真賀田四季」博士かそのクローンなんだろうか?女王メグシュツカ、マガシュツカ、マガシュシカ、マガタシカ・・マガタシキ(あっ!)って無理矢理だなあw

あと、この島を出て行こうとする二人は脳と体を分離する手術は受けていなさそうで良かったわ。最後悲惨な終わり方になっちゃうからなあ。しかしアッと驚く真相の数々で結構面白いディストピアサスペンスものに仕上がってると思いました。
さて次は「赤目姫の潮解」を読みたいと思います。この人の「シェイバ」シリーズも楽しそうで読んでみたいです。

933めんたい:2018/06/17(日) 00:17:28 ID:rODKo/KA
◆赤目姫の潮解(潮解とは物質が空気中の水分を取り込んで水溶液になること)

いやあ、こんな難解な問題作(衝撃作)とは思わなかった。自分は二回読んだがほとんど理解できなかった。山田正紀のSF小説(これも難解)を読んでるかのようだった。
そういう事で、いつもより詳しくストーリーを追いたい(感想を書きたくても理解できてないからw)。
①廉潔の館へ(廉潔とは私欲が無く心や行いが正しいこと)
篠柴(情報医学者)と鮭川(小説家)と赤目姫が赤目姫の叔父の摩多井(マタイ)の屋敷へやってくる。そこには初老の男・三木繁幸(シゲユキ)が執事のようなことをしている。駱駝という名前の犬もいる。彼らは移動するオアシスについて語り合う。
②翠花の宮殿へ(翠花とは天皇の旗のこと)
篠柴はチベットで赤目姫と緑目王子の宮殿へ行った時の事を話し始める。空気で浮く遊びや砂で曼荼羅を描く所を見せてもらう。そのうちに篠柴は子供の頃に緑目・赤目の少年・少女を見た事を思い出す。
③紫の朱を奪う(青になるよねw)
鮭川はナイアガラの滝で赤目姫に会ってトロントまでドライブしたことを話す。トロントでは紫の目の蝶の腕時計をして仮面を被った大富豪紫の目の王(紫王)と出会い、彼は赤目姫と二人だけで豪華な別荘へ。その話を聞いた篠柴はロレンス卿を知ってると言う。
④形而下の浸透とその法則性(形而下とは形のあるもの、物質的なもの)
篠柴は何故か自分が紫王になって赤目姫とトロントで会っていた記憶があった。そして話は再びチベットの宮殿へ、篠柴はいつの間にか緑目王子の父・紫王になっていた。彼はトロントで赤目姫と夢や天上の神々の話をしたという。そしてまたトロントの別荘へそこで紫王は赤目姫の手にキスをする。そして三度チベットの宮殿へ意識が飛び、今度は元の篠柴の体に戻っていた。
⑤疑念の振動とその不規則性
パティ(18歳?)は植物人間の姉シンディ(28歳?)を殺してヒッチハイクの旅に出る。そこで鮭川の車に乗せてもらい、「ナイアガラの滝」へとドライブする。彼女は自分の事をシンディと名乗っていた。一方赤目姫も同じ道を北へ(トロントへ)向かっていた、運転してるのは元博物館員の男。その男は「母(胸のガン)が危篤」のプロトコル(通信?)を受け取って、赤目姫とナイアガラの滝で別れることになる。その際、赤目姫から「気管の奥へと入るイメージを持つことです。気体になることで観察が可能になります」など不思議なアドバイスを受ける。
⑥虚数のように軽やかに
鮭川はトロントのロビンス卿(目が黄色)の豪邸で愛人でシンディの母のクーパの誘いを受け、「ナイアガラの滝」へドライブすることになる。鮭川の父とロビンス卿は親友である。鮭川は北極の穴や二頭の虎やロビンス卿の愛でている薔薇の話をクーパとする。そして、南からシンディ(パティ)と「ナイアガラの滝」へやってきたもう一人の鮭川と出会い、じぶんが鮭川に化けた篠柴のゴーストだと思い出す。そこへ赤目姫がやってきて、二人の鮭川はいつの間にか一人になっていた。
⑦天知る地知る
アフリカ?の砂漠でロビンス卿(科学者でもある)のいる砂に埋まった潜水艦に招き入れられた学者のマタイ(摩多井)とアシスタントの三木(黄緑の目)は「地面の移動と原因に関する調査」について語り合う。その時、河の大移動が始まって、潜水艦は水に飲まれ動けるようになる。その際移動に使った二頭の駱駝は洪水に流される。
⑧麗しき天兒(天兒とは幼児の傍らの置いて凶事を移し負わせた人形)
マタイのアシスタントの三木(黄緑の目)は渋谷のジャズ喫茶でオレンジの目のアメリカの研究員タリアと出会い研究にのヒント「遺伝子アルゴリズム」について示唆を貰う。その場には無意識に砂糖で曼荼羅を描こうとする老人(紫王?)もいた。タリアは自分のことを端末といい、彼女の部屋には空気が吹き出している穴があった。そして以前チベットの宮殿で空気穴で遊んだことがる事も話す。その宮殿で三木と会ったことがある気がすることを話す。その後二人は付き合って30年がたった。
⑨熟せずして青枯らび(青枯らびとは多分「青枯病」に罹る事だろう)
再び篠柴と鮭川の会話。篠柴には母が危篤のドライバーになって、母の気管の中に侵入した記憶があった。二人はこの世界が発想・アイデアを生み出すために脳だけ取り出された人間達のネットワーク空間じゃ無いだろうかと疑い出す。
(つづく)

934めんたい:2018/06/17(日) 00:50:09 ID:rODKo/KA
◆赤目姫の潮解(その2)
ストーリーのつづき
⑩紅塵を逃れるに迅(紅塵とは俗人の住む世の中のこと)
赤・緑・黄・黄緑・オレンジ・紫の目をした6人が世界各地で起こってる意識の混線や異常について会議している所へテロリストの一団が乗り込んでくる。撃退した赤目姫達は脳以外を機械化された人間達のストレスが原因なのかもと推測する?ここは「脳だけ人間」の見ている仮想世界なのか?遺伝子アルゴリズムにより成長する世界なのか?現実世界にあやつり人形人間(サエバ・ミチルのような)が存在する世界なのか?
⑪座して星原を見る
北極に向かって旅する?赤目姫と緑目王子。野宿していたら、赤目姫は他人に乗り移れる能力で、梟に乗り移って平原を飛ぶ。元に戻れなくなり、梟はいつの間にか飛行機になって飛行場に着陸。そこで青い瞳の女性(神・創造主・真賀田四季女史?)と会う。そこで色々なイメージを想像して体験し、子供になった赤目姫と緑目王子はキスをする。そして夢は覚めて野宿している現実へ戻る。その際、夢の中で金髪の犬ロイディとじゃれるシーンもあった。
⑫シルーノベラスコイヤ(神話のヒュアキントス(死んでヒヤシンスになった)の事らしい)
クーパとマタイと夜中に彼の日本の屋敷のサンルームで語らっている。クーパはの目は昔は赤かったとか日本に来たのは初めてなのに、マタイとはどこかで会っているとか、ロビンス卿は病気で臥せっているとか、紫王は別の人物になって大統領候補にとか。三木(黄緑の目)の操り人形でなくなったマタイは一人でロビンス卿の家に訪ねた時のことを思い出す。その屋敷の円形の広場には少女姿のタリアがドールハウスで(マタイとクーパの)操り人形で遊んでいた。いつの間にか少年の姿の三木も操り人形で紫王や犬(駱駝)を使ってタリアと会話する。タリアは「私たちはシンディのの中にいる」という。
⑬フォーハンドレッドシーズンズ(100年だね)
私(篠柴か鮭川)はマタイの屋敷にて朝ベットから起きて食堂へ。庭を見ると目まぐるしく季節が変わっていく。そして庭に白いワンピースの女性(真賀田四季かなあ)。彼女は疑うべきものは何?と問う。私は架空のロゴスと考える。その後私はふと庭に何十年も捨てられている少年少女の人形を見て、いつの間にか正面に座っていたマタイと「人間と人形の違い」について議論し、この世界を一人の天才(あの人?)が作ったとマタイは仄めかす。そして、いつの間にか私もマタイも消え、そのテーブルにはかつての自分やマタイや赤目姫が座っていた(あやつり人形劇ですね。)、つまり第一章に戻る。(終)

さて自分なりの精一杯の解釈と感想です。まず、時系列が全然分らんw一章では三木シゲユキはもう老人、喫茶店ではまだ若者、庭で人形劇をしてた時は少年。何が現実でなにが幻想か、ややこしすぎるのでもう考える事を諦めましたw次に天井が黒いと自分は操られている人形って事なのかな。マタイはマタイ「マタイの福音書」の暗示?蝶は魂の暗示?曼荼羅は前作にも出てきた。気になる言葉「想像主への接近こそが人類の願望」「観測が全ての存在の証」「ぼんやりとしたフルカラーのイメージこそが人間の到達した高み」「世界の始めにロゴスがあった」「全てのものは矛盾を内包してるから矛盾はしていない」うーん深い言葉だ。
つまり、前作のロイディとミチルのような共存関係が発展して、この世界は脳が別の所にあって人形(ウォーカロン)を自分の代わりに動かしてる世界なんだと思います。そしてそのシステムを管理しているのが目の色が違う6体のAI搭載のウォーカロン(赤目姫、緑目王子・・)。かれらは古くなると別のAIウォーカロンにその役目を渡す。その6体をさらに上から管理するのが青い目の創造主(真賀田四季のクローン)って事かなあ。え、そのシステムに異常が起こり、篠柴や鮭川が別の人物の記憶を持ったりしたのかなあ。このシステムに不満を持つ脳だけ人間達が自分の人形を使って、会議を襲ったんだと思います。つまり、「ウォーカロン」シリーズより未来の話なのかなあ。
しかし、長生きできて、便利で効率的な未来かも知れませんが、ディストピア的で怖いですね。自分は脳だけになって生きたくないですね、普通に生きて死にたいです(普通ってなんなのっていわれそう)w

935めんたい:2018/06/17(日) 04:28:52 ID:rODKo/KA
赤目姫の潮解のストーリーの訂正
>>933
③紫の朱を奪う の最後の部分
篠柴はロレンス卿を知ってると言う。→篠柴は蝶の腕時計の仮面の男(紫の目の王)を知ってると言う。

の間違いでした。
ロレンス卿(大富豪の研究者)と紫王(チベット宮殿の緑目王子の父)は最初同じ人かと勘違いしてました。

936めんたい:2018/06/23(土) 19:39:23 ID:rODKo/KA
◆少年Nのいない世界 04
知ってる人は知っている少年Nシリーズのもう一つの物語。猫を殺してビルから飛び降りた7人の小学生は異世界に飛ばされてしまう。
5年後、ようやく再会できた7人の内の4人は、異世界から来た彼らを狙う「ある組織」のことを知る。その「ある組織」に協力した、まだ再会していない元同級生の手によって、仲間の一人「糸川音色」が誘拐?)されてしまう。(前巻までの話)

もう一つのシリーズ「少年Nの長い長い旅」のメインキャラの「あの人」がとうとうこっちにも登場しましたねwだんだん二つのシリーズが繋がっていく所は、あざとく感じるものの、ワクワクします。問題は主人公の少年N(五島野依)が今どうしているのか、なぜ「ある人」と別れてしまったのか、生きているのか?今どういう冒険をしているのか?凄く気になります。
上手くこのシリーズと繋がって欲しいし、まだ整合性は無視して自分が思いも付かないような題名に嘘偽りの無い、長い長い旅になっていて欲しいし、作者も大変だなあって思います。はっきりいって、この小説は週刊マンガと同じ感覚で読んでますし、マンガ好きの方にもそういう感じで気軽に読めますよ〜って勧めたい気持ちもありますw

気になるのは研究所での見たら怖くなって眠れなくなると言う実験の内容。そして、惑星ファリで何をさせられるのか(AIの一部にさせられるとか、人間生命体でつくるAIってもう生物じゃんw)。異世界の住民が地球がある世界に争いごとを持ってやって来るとかの展開だったらそれはそれでワクワクしますね。異世界の方が文明は進んでいるし。

と言うことで、はやくこのシリーズの続きや「少年Nの長い長い旅」のつづきを読みたいです。

937めんたい:2018/07/04(水) 04:14:25 ID:rODKo/KA
◆ヴォイド・シェイパ

「シェイパ」シリーズの第一巻。前にも読んだことがあるが、内容を大分忘れたので再読してみた。
内容は自分お育て親で剣や人生の師匠「スズカ・カシュウ」が病気で亡くなり、住んでいた山を下りて旅に出る侍のゼンノスケの旅の最初の10日間を描いた物語。

文章は淡々として起伏がほとんど無い感じなのだが、たった10日間話なのに人との出会いやそこで起こる出来事が濃密で、これは人生の修行・剣の修行の旅なんだなあって考えさせられる。
10日の旅の間に戦いが二回、人の死が3回あり、この世界(江戸時代っぽいが)主人公くらい強くないと旅も満足に出来ないなあって思うぐらい濃い(2回目)。付け加えるなら、女性に言い寄られること二回(これは行く先々で女性に惚れられるハーレム物語でもあるのかなw)。
それから、何か有るたび、悩み考える主人公の心の成長も見事に書かれているように思えました。山から下りて里へ隣村へ街へ大きな川へ山林の村へさらに大きな川へ最後は海を見て終わるのだが、それが多分何も知らなかった主人公の人として剣士としての成長を表す暗示になってるんだと思います。
ラスト付近で「刀を隠す」という意味の一端を理解して(多分殺気を隠すといとい意味う意味)心の曇りが取れたように目の前に大海原、良い締め方だと思うなあ(ただ読んでいては気付きにくい小説とは思う)。

この小説は流して読んでいては、なんだこれ?ただの強い侍の旅日記じゃんって思うだろう。自分から文章に意味を見いだす、考える小説だと思う(考えすぎかなw)。

それにしても 三味線のノギや白髪のチシャや気の強いイオカ(全部女性w)とはまた何処かで再会して欲しいな(多分一人ぐらいは再会するでしょうw)。
何にしても続きが読みたくなるような小説でした。(まだこのシリーズは4冊も出てるし、まだ続編も出そうだし)。

938わんのねこ:2018/07/08(日) 00:00:59 ID:XyokFPM6
・未来のミライ
上映に先駆けての小説版。いいですよこれ。すごく良い。
家族の話、世代の話、家の話、子供の時代のすこし不思議な話。

レイアウト、作画の要求が高くて「ふふっ」ってなる。
売れる要素全部つっこんで、かつ細田守のフィルムにちゃんとなっている。
台詞がもうちょい練れたような気もするが、それは些細な問題っす。

前作「バケモノの子」には若干の不満があったのですよ。
映画として纏まりがよすぎること、父親の描写の2点で。

母親を描くには理想だけでいいけど、
父親を描くには自分と向き合わないといけないっすからね。

939めんたい:2018/07/12(木) 21:11:21 ID:xSoXLvgQ
◆ブラッド・スクーパ

「ヴォイド・シェイパ」シリーズの第2巻。ブラッドスクーパとは「血を掬う人」という意味かな。
前巻の旅の続きで、凄腕の剣士「クズハラ」との出会いから始まる。彼の道場の横に建っている村の庄屋の「竹の石」(不老長寿の薬の元)を狙って強盗団が攻めてくるらしいので、クズハラ達と協力して庄屋を守ることになる。
具体的には主人公は庄屋の娘「サヤ」の護衛をすることになる(またいつものようにヒロインに惚れられる展開w)。

さて感想だが、文章は淡々としているが、実に味わい深いストーリーでした。特に剣の達人VS剣の達人の描写が秀逸。淡々な文章だからこそ、読む人の想像力がかき立てられると言うか、納得のいくかつてに汗握る勝負展開。ただ、ラストの戦いは、狙撃銃使いの盗賊のボスが、主人公を舐めていてくれたことで助かったんだけどねw
主人公は世間のことは何人知らない設定だから、目にする物が一々珍しくて仕方が無い、でも子供では無いから、失礼の無いように人に尋ねたりするのだが、聞き方が悪かったり、勘違いされたり、もう聞くのは辞めとこうと思ったり、その辺の日常会話がまた面白い。そして暇があれば、剣の戦い方のシミュレーションや哲学的な疑問を思考したりする。日々切磋琢磨してるなあって感じ。
それから、ギャグメーカー?三味線のノギ(女性)の存在がじつにいい、殺伐とした斬り合いや哀しい別れの後の空気を明るくして和らげてくれる。

じつに読後感が爽やかな面白い小説でした。主人公ゼンノスケの正体(将軍の隠し子かな?)と都で待ち受けていそうな跡目争い?とか続きが楽しみですねえ。

940めんたい:2018/07/21(土) 15:40:54 ID:xSoXLvgQ
◆BatLAND(バットランド)

五つの中短編からなるSF小説集。どれも理解が難しく読むのが大変でしたw
・コンセスター
人体実験により、コンセスター(二つの生物の共通の祖先、ここでは指先に感光細胞がある人間)にされた男の苦悩を描いた物語。
狂った話だが、これは理解できたしまあまあ面白かった。
・バットランド
「人工海馬」を移植され12時間だけ認知症が治った詐欺師の主人公が、元バットランドの研究員と共に命を狙われながら追われ、最終的には宇宙を救おうとする話。
ブラックホール・ゴルディオンが蒸発して、「情報保存の法則」が失われ、宇宙が消滅してしまうとか、コウモリの脳とそのブラックホールが量子学的に対になっていて、「情報保存の法則」を守るために、失われていく情報がコウモリの脳に転送されているとか、理解できるかい?
自分は何とか感覚的に理解できましたw作者の脳はどうなってるのか?って思いましたがw頭の良い詐欺師が追跡者を躱したり排除したりする機転が面白かったです。
・別の世界は可能かも知れない
実験によって他のマウスを操る能力を持ったミュータントマウス「ジェリー」の陰謀を察知して、同じような能力を覚醒した識字障害のヒロインが、人を操って戦うという物語。
中々に面白い物語だったが、ミラーニューロンという単語が出てきて「またかよ!好きだねえ」ってニヤニヤしましたw
・お悔やみなされなすな晴姫様、と竹拓衆は云った
高松城を攻めていた秀吉は、信長が本能寺で死んだことを知り、急いで戻ろうとするが、毛利の大軍の追撃を食い止めなければならない。そこで時を操る一族「竹拓衆(チクタクしゅう)」の力を使って、秀吉にとってより良い未来(誰よりも早く信長の仇討ちをして信長の後継者となり天下を統一する未来)を決定させようとする話。
ストーリー的にはありふれていて他の短編よりかは面白みが無かったが、竹拓(チクタク)衆に始まり滑車(セミ)、波步(ハブ)、噛(カム)とか時間川、時匠、時間櫓、時場、とか時間に関する駄洒落やん!って叫びたくなるような命名が楽しかったかなw高松城って水攻めで有名なあれか。
・雲の中の悪魔
量子化された知性を発掘する為の惑星「深淵」で強制労働させられる奴隷(房奴)達。そこから脱出するために革命に特化したサバン症候群のヒロイン(特殊能力を持ってる)とドSなパートナーの青虎が「重力知性体」や彼らが仕組んだ障壁と戦う話。
これが一番、訳が分からなく一番難しいSFストーリーでした。ブラックホール、クオリア、情報(知性)の発掘で、ああ「バットランド」の従妹みたいな話だなっては理解できたけど。「マックスウェルの悪魔」「四次元構造体(テラサクト)」「万物理論知性体」「重力知性体」「電磁力知性体」・・もう頭が混乱して読んでいて何も確かな物がない浮遊状態でしたわ。作者大好きな「パノプティコン」が出てきたときは「またかよ!」って笑っちゃったけど。
ここで、五つの電磁力知性体の能力を書き記します(ネタバレ)。


第一(ディイ)・・質量を100%エネルギー変換できる、例えるなら「水爆」と同じ威力。
第二(ディエ)・・原子を動かす能力、一番活躍する。
第三(ディスアン)・・水生命体(水流に宿る知性体)、過去に記憶した状態に戻す。
第四(ディスウ)・・「愛情不変の法則」で「愛の歌」をさえずるw「パノプティコン」には効果抜群。
第五(ディヴ)・・「重力知性体」の存在を知り、戦うことが出来る。

頭を柔軟にして読まないと、本を放り投げたくなるような「いつもの感じ」のSF小説でした。発想力は凄いし、良くこんなぶっ飛んだ4次元みたいな小説を書けるものだとは感心はする。
でも結構好きで、理解しがたくて頭が痛くなるけど、なぜか癖になる小説でした(ドMって言われそうw)。

941めんたい:2018/07/27(金) 20:33:20 ID:xSoXLvgQ
◆緑衣の美少年

美少年探偵団シリーズ8作目。5人の美少年+主人公(中学生女子)の学園ミステリー&コメディ。
真の敵、胎教委員会の主催する映画コンテストに挑む美少年探偵団。と、主人公(ヒロイン)の裸の絵を美術館から盗もうとする美少年探偵団の二本。

アレ?緑衣要素が無いよ?もしかして裸の王様に着せる「馬鹿には見えない服」に掛けただけかなw題名の元ネタは乱歩の「緑衣の鬼」だと思います。
まあ、作者が片手間にさらさらと書いたようなライトなノベルでした。それなりに面白かったし、深いと思えば深い話であった。しかし、機本 伸司の「ぼくらの映画の作り方」みたいにもう少し制作場面の描写が欲しかったかかなあ。
まあ、ライトなノベルだし詳しく書かれて全体に流れるライトなリズムが狂っても味を損なうかな。
とにかく「裸の王様」みたいな童話みたいな話でした。
でも軽さの中に、もうすぐ主人公の失明(目が良すぎるため)とか、美少年探偵団の卒業や脱退とか、小五郎が小六郎になってしまうとか、シリアスで深刻な話に少し読んでいて哀しくなるストーリーでもありました。

是非、ヒロインには失明を回避して明るい未来が、ハッピーエンドが、美少年探偵団も次のステージに(新しいメンバーに引き継がれるとか)続いていって欲しいですね。
あと、不良くんの髪型はゆるふわ長髪よりもっとワイルドっぽい方がいいと思います(美声の長広と差別化)w

もう一つ、胎教委員会やトウェンティ-ズや目鼻じびかや札槻嘘との決着も付けて欲しいかなあ。
と言うことは、まだまだ続いて欲しいって事なのかなw

942めんたい:2018/08/06(月) 18:12:57 ID:xSoXLvgQ
◆スカル・ブレーカ

「ヴォイド・シェイパ」シリーズの第三巻。剣の師匠が死に山を下りて旅することになった主人公、初めて触れるもの初めて観るものばかりの波乱に満ちた剣と心の修行旅物語。
今回は、ある少し大きな町で、ヤナギという剣士と出会い、城のトラブルに巻き込まれる話。そこで、自分の出生の秘密にも少し知ることになる。

ヤナギ(タガミ流)・チハヤ(無言流)・マサミチ(将軍の母の護衛)・クク様(城主の妻)・ナナシ(忍者)という味方っぽい人々との共同戦線が熱かった話でした。そして、ラブコメ担当のお姉さんノギの存在もいつも通り楽しかった。
ノギは最初はガンガン主人公に猛アタックしてましたが、この巻ではもう主人公の朴念仁さを楽しんでる節がありますね(そこがいいね)w主人公より年上なんですが、膨れたり拗ねたり泣いたりするところ(でもさっぱりしていてしつこくない)がちょっと可愛い存在です。
ただ今回、ノギの宴会芸仲間の女性が悪徳侍の仲間に殺されるところは、何とも言えず腹が立ちました。そしてラストの13人(主人公と将軍の母の護衛+α)対250人位(悪徳侍や悪徳家臣の軍)の壮絶な戦いは凄くドキドキしました、面白かったですね。
素朴な文章に素朴な旅、まったりとしていてたまに激しい戦いや考えさせられる出来事、このバランスが読んでいて心地よい時代劇小説でした。

さて次は第4巻に挑戦。

943めんたい:2018/08/13(月) 21:14:23 ID:xSoXLvgQ
◆フォグ・ハイダ

『ヴォイド・シェイパ」シリーズ第4作目。剣の師匠が死んで山から下りて都へ向かって一人旅をする主人公。盗賊に襲われ斬り倒し難を逃れるも、その盗賊の妻リュウ(元忍者)に仇と付け狙われることになる。仕方なく盗賊の助太刀をしていた凄腕の剣士キクラは濡れ衣を着せられ、不治の病の妻とともに都からの追手から逃げていた。事情を知った主人公は再会したノギやキクラの旧友のチハヤと共に何とか救おうとするが・・。「フォグ・ハイダ」って霧に隠れる人かな。霧隠才蔵みたいな題名ですね。

感想。今回は実に面白い話でした。そして病人を庇いながらの戦いがいかに大変かってのが良く伝わる話でした。そして悲しい結末に戦いの非情さ虚しさを感じる話でもありました。冷静で大人しい主人公が激情かられ、都で三本の指に入る凄腕剣士に仇討ちを挑む場面は熱くて、別の小説を読んでるかのようでしたね。クライマックスの3人(主人公達)対30人(敵)の激闘に次ぐ激闘がとても面白かったです。敵には弓と銃があり、こちらは隠れながらのゲリラ戦法。そして凄腕剣士との剣筋の長い長い読み合い、一撃でも貰えば直ぐには死な無いが、血を失い力を失い戦闘不能に繋がるリアルさ、まさに剣格闘小説って感じでワクワクしました。
今回、剣の戦いだけでなく、戦いが終わった後の死体の後始末や敵のけが人の介護などもあり、よりリアルで面白かったです。しかし、悲しいなあラストは。
あと、主人公に敵の情報を教えてくれる謎の忍者ナナシの存在や宿屋の娘スズ、医者や寺の坊主、改心した女盗賊リュウの存在もそれぞれの生き方が交差していて楽しかったです。忘れていけないのが旅の道ずれチハヤとノギの掛け合い漫才(+リュウ)、こいつらだけが殺伐とした戦いの中で、笑えてほっとするオアシスですねw
いやあ、実に考えさせられてかつ面白い小説でした。
さて次巻は「マインド・クアンチャ」を続けて読むことにしますか。都まで近そうでまだ道のり遠そうだなあ。主人公は将軍の息子らしいので、都へ着いてからのゴタゴタもありそうだし。

944めんたい:2018/08/23(木) 22:41:12 ID:xSoXLvgQ
◆マインド・クアンチャ

「ヴォイドシェイパ」シリーズ第五巻。マインドクアンチャとは「心を癒やす人」という意味です。誰の事かは今までのシリーズを読んできた人ならお分かりですよね。

主人公が謎の集団に襲われ、戦いに敗れケガを負い記憶を無くしてしまう。人里離れた山奥で暮らす姉弟に掬われた主人公はそこで記憶を無くした代わりに、刀の奥義である「無の心」を習得する。都で待ってる人がいることを知った主人公ゼンノスケは姉弟の所を旅立つ。そして都で待っていたものは・・・。というストーリーです。
ネタバレが嫌な人はもう読まないで下さい。感想を書く上でネタバレしないとかけないので。


感想:凄く良い終わり方だった。多分最終巻でしょう。途中で別れた賑やかな旅のお供である三味線のノギさんの行動が意地らしくて、ウルっときました。主人公に会うために何度も城へ通ったり、手紙を出して寺で何日も待ったり主人公のため三味線を弾いたり・・。一方記憶を失ったゼンノスケはノギさんなのか分からないって所がミソですね。
また、記憶が無いのに、数ヶ月前に自分を斬った相手を見た途端、勝手に体が動いて勝負を挑むシーンが凄く劇的で読んでいて心が震えましたね。数ヶ月前までは自分より腕が上だった相手、しかし記憶と大怪我と引き替えに会得した「無の心」を身につけての再戦。そして天下人へ。

天下人となった主人公は裕福・身の安全・権力という物を得た換わりに自由を失い退屈な毎日を過ごす。それは贅沢な事ではあるが、世の中の平和のために、今までの自由な生活を捨て、いきなり飾られる人形になれと言うこと。誰だって無理だよなあ、年を取って色んな経験をして体力が追いつかず動く事がおっくうになった人ならまだしも、まだ20代(多分)で色んな事に挑戦したい若者が、民衆のための偶像(アイドル)なって、いままでの知り合いにも会えず、城に閉じ込められるってのは残酷だよなあ。
まあ、いつかは気持ちを切り替えて良き賢い国王を目指すって新たな目標に向かうことに気付いてくれるでしょうね。貧しい者から観ればこんなシンデレラストーリーは羨ましい限りだしね。

そしてラストシーン、全てを思い出して、必死で城を抜け出して、ノギさんと駆け落ちするのか、それとも自分の運命を受け入れ国王になるのかって所で終わるのは言い終わり方だったですね。何とも言えない感動がありました。読後感が良かったし、うん、良い小説でした。

945めんたい:2018/08/27(月) 18:54:24 ID:xSoXLvgQ
◆ブギーポップ・ビューティフル パニックキュート帝王学

ブギーポップと対決するため「何でも知ってる」末真博士(あだ名・女子高生)を利用して、ブギーポップを探すパニックキュートとマロゥボーン。
しかし、末真博士自体はブギーポップの存在を信じてなく、嫌々強制的に彼らに協力する。果たして、彼らの前にブギーポップが現れたとき何が起こるのか?と言うストーリーでした。

さて読んだ感想ですが、今ひとつのめり込めないと言うか、共感できないというか、昔のブギーポップに比べて面白くなくなったかなあって印象です。前半の末真博士とその友人宮下藤花と気取った連中との対決めいた会話は面白かったんですが、パニックキュートとマロゥボーンやカレイドスコープなどの行動理由が厨二的というか、ふわっとして曖昧模糊っとしていて、つかみ所がなくて、キャラが立ってないというか、キャラが薄くて敵としては面白くなかったかなあ。
何となく戦って、何となく勝負がついた感じで、そこにカタルシスもなく、やっぱり昔のブギーポップ作品の良さ(意外性・カタルシス・強引に納得させられるパワーを持った厨二哲学など)が無い気がしました。
いい加減、統和機構との決着(ピリオド)を付けていったん締めて欲しいんですが、続けようと思えばいつまでも続けられる内容なんで、風呂敷も広げすぎて何処が端っこなのか見えないんで、読者としては困りましたねwとにかく少しでも物語が前進して欲しいですね(前進が何かももう分からないけど)。

今回の話は結局、パニックキュート的な帝王学を真似して実行しようとしたマロゥボーンが勇み足を踏んで、統和機構のカレイドスコープに追われて、ブギーポップにやられちゃった(または自滅した)という話だったのかな。少し可哀想なマロゥボーンさんでした。

946めんたい:2018/09/07(金) 23:05:40 ID:ThfKNmts
◆レディ・ヴィクトリア 謎のミネルヴァ・クラブ

「レディヴィクトリア」シリーズ第4巻。友人アミーリアの誘いでペンブルック伯が療養のため新しく手に入れた館(エジプトのミイラが安置してある)を訪れた主人公ヴィクトリアとレディメイドのローズは秘密組織「ミネルヴァクラブ」を始めとする様々な人々の思惑が待ち受けていた。果たしてその罠をかいくぐりその者達に勝つことが出来るのだろうか、というミステリーサスペンス。

凄く読みやすくて、凄き面白かったです。この作者の十八番というか、本領発揮したオカルトめいた館ミステリー、「建築探偵」や「アベラシオン」その他数々の洋館や城で繰り広げられるドロドロ人間ドラマの小説を思い出す、この作者の原点みたいな内容で懐かしくもありました。この作者の小説は、登場人物の多さとその複雑な人間関係を覚えるのが大変なのだが、今回もエジプト大好きな冒険家の友人「レオーネ」を始め、侍女が4人、執事や従僕や食事係のメイドや館に呼ばれた貴族や「チーム・ヴィクトリア」の面々、スコットランドヤードの刑事に「ミネルヴァクラブ」の面々とかなり複雑で、大変だったけどそういう部分も面白かったですね。

あとは、館の構造も結構頭の中で組み立てて、それぞれの登場人物がどういう動きをしたかをパズルのように解くのも大変ですが面白かったです。

ラストのミネルヴァクラブとの対決は、チーム・ヴィクトリアの機転で大逆転でスカッとしました。まあ、敵が冷静で紳士的なので、すっきりスマートに解決できたのかも知れません。
次巻で最終回だそうですが、面白いのでぜひ続きを書いて欲しいです。
最後に、ハードボイルドを気取る探偵ビルのマントを羽織った女装姿はゴツそうでよくばれなかったなあってちょっと無理がありそうwでも男勝りのレオーネも図体デカそうなので紛れてしまったとも考えられますね。

947ビックリバコ:2018/10/16(火) 21:37:10 ID:YVgM5.Gg
とある魔術の禁書目録(1巻)
アニメ化したし読んでみようということで読んでみました。
ブリーチよろしくかなり大勢のキャラが出てくるんだけど、良いキャラも居れば悪いキャラもいますね。

・上条さん
やれやれ系を気取ったチンピラ。基本的に善意で行動するが本質がチンピラ。あんたのやってる事説得じゃなくて恐喝だよ!?

・御坂美琴
時代を感じる暴力系ヒロイン。そんじょそこらの暴力系と違って上条さんと周囲に迷惑な実害を及ぼすので正直なんで人気なのかよくわからない……

・一巻のボスキャラ達
非常に良いキャラにして展開の犠牲者。正直貧乏くじ引きすぎなので報われてほしい

総評:上条さんってアニメだと好青年にデフォルメされてたんですね。

948フーガ:2018/10/16(火) 22:40:05 ID:hJ3ebjnc
とあるは一巻だけだとそんなに……って感じですね。
上条さん、勝手なこと言ってるなーって印象でした。
ファンの方からは、五巻から化けるって聞きました

949めんたい:2018/10/16(火) 23:47:09 ID:ThfKNmts
◆ヒトごろし

土方歳三の幼少期から箱館戦争までの生き様を描いた1000ページ以上もある超長編小説。

どこまで、作者の創造か史実なのかは分からないが、新撰組結成までのいきさつや幕末のヤクザ集団「新撰組」や幕末や戊辰戦争の経過に少しは詳しくなれる一冊でした。「龍馬によろしく」ってギャグ多めのドラマでも「清河八郎」が悪く描かれていたけど、この小説でも悪いというか駄目な人物として描かれていましたw
しかし、彼が新撰組の元「浪士組」を作ったんですねえ(打倒幕府のために)。その悪巧みが失敗して清河は暗殺されるのですが、芹沢鴨を神輿にして「土方」と「近藤」が浪士組から独立して「新撰組」を作ったんですね(初めて知ったわ)。
あと、剣の天才と言われる「沖田」の描き方が独特。沖田は土方と同じ人を殺すのが大好きで、こっそり町人を辻斬りして楽しんでいた「人でなし」だったんですね(この小説では)w同族嫌悪?で土方にとことん嫌われて最期は労咳で惨めにのたれ死に。沖田は戦いの中で死にたかったんだが、土方はそれだけはさせない、畳の上で惨めに病死させるって・・変な意地の張り合いでちょっと笑った。

その土方の生き様も壮絶、子供の頃に観た血しぶきに魅せられて、人を斬り殺すのが好きになったと言う設定。人を切リ殺しても罰せられない身分になるために、近藤や芹沢や幕府を利用して「新撰組」を作る。そこに世の中を良くしたいとか一切大志は無く、ただ人を殺したいだけというだけのために、頭を使い陰謀を張り巡らす生き様w
そんな生き様に、勝海舟や山崎丞(新撰組のスパイ活動)や佐々木(会津の暗殺リーダー)などの切れ者が集まってくると言う皮肉。なかなかに読み応えのある群像劇でした。

1000ページ以上もある小説なので、全ての感想を短い文でまとめる事は難しいのですが、とにかく読んで損は無い内容だと自分は思いました。新撰組好きな人で、他の作品では見れない土方や沖田を読みたい人ならお勧めですね。書きたい感想が有りすぎて全部書けないのが残念出す。あと、やっぱり1000ページ超は長えよw

950めんたい:2018/10/17(水) 01:16:09 ID:ThfKNmts
訂正
「龍馬によろしく」ではなく「竜馬におまかせ」でしたw
三谷幸喜脚本のTVドラマです。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板