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武勇伝まとめ

34第九次ダンゲロスメインGK:2012/06/28(木) 23:02:43


「私の両親は……、何の役にも立たない理想論を唱えて死んだの」
誘子は遠い目でそう告げた。

大銀河超一郎。彼の存在を知った時、誘子は確信した。

――彼しかいない。

誘子の目にも、彼はカリスマに映った。この狂った学園を元に戻すだけの魅力と強さを秘めた存在。誘子は彼に全てを託そうと思った。


――人殺しに加担するのか?


莫大な融資の申し出をしたとき、彼の取り巻きらが誘子に向ける視線は冷ややかだった。

蔑み、嘲笑。もの言わずとも、誘子には彼らが内心で自身を偽善者と罵っているのがよく分かった。
誘子自身に自覚は無かったが、周囲は誘子の在り方を「聖人」のようにあれと望んでいた。
争いを否定し、愛と平和を唱え、自ら率先して人を癒す、そんな聖者としてのイメージを彼女に押し付けていた。。

今回、誘子が大銀河超一郎との対話を望んだ時、誰もが誘子は彼を批判し平和的な解決を要求するものだと信じていた。しかし、実際に彼女が対話のさなか申し出たのは「批判」ではなく「協力」だった。
「――お前のような子娘が、進んで人殺しに協力したいとは、いったいどういう了見だ?」
若干の怒気と、わずかな戸惑い。
大銀河超一郎も、誘子がどのような人間か、聞きかじっていたのだろう。誘子の申し出に対して、わずかに驚きの表情を見せ、そしてそう尋ねたのだ。
どのような正義を掲げていても、力で捩じ伏せれば、行き着く先は畜生道。大銀河超一郎、彼が自らの所業を「人殺し」と皮肉ったのも、自らの掲げた正義に対する矛盾をどこかで感じていたからかもしれない。

そして、誘子もそれは十分に承知していた。そして、ここで返答を誤れば、自分が築き上げてきた全ての信頼を失うことも。
静寂が支配する中、誘子は静かに口を開き、大銀河の目を見据える。

「私の両親は……」

ゆっくりと、しかし強い意志を伴って、誘子は言葉を紡いだ。

「何の役にも立たない理想論を唱えて死んだの。それじゃ、誰も救われない」

高尚な理念や言葉など必要ない。ただ、事実だけを述べ、誘子はすっと頭を下げた。

「協力させてください」

それが、大銀河超一郎の問いに対する誘子の答えだった。

しかし、誘子が期待した大銀河超一郎は今いない。
誰かが大銀河の後を継がなければ全てが無駄になる。だから、誘子はそのために自分のできることをするだけだった。


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