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『プリキュアシリーズ』ファンの集い!2

1 運営 :2015/06/27(土) 19:59:43
現行作品を除く、『ふたりはプリキュア』以降の全てのシリーズについて語り合うスレッドです。
本編の回想、妄想、雑談をここで語り合いましょう。現行作品以外の、全てのSSと感想もこちらにてお願いします。
掲示板のローカルルール及び、保管庫【オールスタープリキュア!ガールズSSサイト】(ttp://www51.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1.html)のQ&Aを読んで下さい。
※現行作品や映画の話題は、ネタバレとなることもありますので、このスレでは話題にされないようお願いします。
※過去スレ「『プリキュアシリーズ』ファンの集い!」は、過去ログ倉庫に移しました。

2 名無しさん :2015/06/27(土) 21:10:29
転載

995 :名無しさん:2015/06/26(金) 22:25:26
あとはミズ・シタターレがハピプリでリボンに・・・
あっ、
敵役が妖精に転生しがち←プリキュアあるある

996 :名無しさん:2015/06/27(土) 17:21:23
プリキュアあるある 王族関係者の闇落ち率

劇場版で闇落ちしたココ

本編でメフィストと三銃士 劇場版でアフロディテ様が闇落ち

ジコチューに乗っ取られた国王と王女のプシュケーのレジーナ

実はカナタの妹だったトワイライト

3 名無しさん :2015/06/27(土) 21:18:31
>>2
>995
結構、敵キャラやサブキャラで出た人が、後のシリーズでメインキャラになるケースって多いんだよね。
あと、フレプリのウエスターは後にはるかパパになったけど、
初代のなぎさパパはフュージョンになって、その後はオレスキー将軍に……。

>996
まぁ大体、王族が絡んで物語が始まってたりしますよね〜。
ロイヤルクイーンみたく世代交代したりとかね。

4 名無しさん :2015/06/27(土) 21:53:53
なぎさパパ、波乱万丈だな(笑)

5 名無しさん :2015/06/29(月) 19:34:58
>>997
もう1000スレなんですね〜。長編57話、短編71話の投下ですか!
私も毎回楽しませてもらってますが、書かれてる方には頭が下がる思いです。
ウンチクも面白いです!SS以外の楽しみ方もあるんだなといつも感心してます。

6 名無しさん :2015/07/20(月) 01:19:44
転校生とか転入生とか列挙
ひかり・舞・満・薫・くるみ・せつな・つぼみ・エレン・
みゆき・まこぴー・ひめ・トワ、そして坂上あゆみ。ついでにあかね。

7 名無しさん :2015/07/20(月) 06:42:47
>>6
ひかりは違うんじゃない?
この世界に転入した、って感じだけど。

8 名無しさん :2015/07/21(火) 01:58:10
>>7
・・・ですね。

9 Mitchell&Carroll :2015/08/06(木) 01:16:05
2レスお借りします。

『ピーマニズム』


「ハァ、ハァ、ハァ......」
逃げても逃げても、どこまでもそれは追いかけて来る。
「このままじゃ埒(らち)が明かないわ!チェインジ・プリキュア、ビートアップ!!」
少女の体は紅い光を放ちながら水の中を突き進み、胸にはクローバーが輝く。
真紅、漆黒、そして純白を彩った衣装に身を包み、髪は薄桃色に変わる。
その髪と耳を華麗に飾って水中から勢い良く飛び出すと、小気味良く踵(ヒール)を鳴らして着地した。
「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ、キュアパッション!!」
敵はもう目前に迫っている。変身した少女はハート型の竪琴を呼び出した。
「歌え、幸せのラプソディ! パッションハープ!」
手にしたそれを軽やかに爪弾くと、装飾された赤いダイヤは眩(まばゆ)く輝いた。
そして竪琴を高く掲げる。
「吹き荒れよ、幸せの嵐!プリキュア・ハピネスハリケーーン!!」
無数の赤いハートと羽毛の激しい旋風が敵を包み込み、見る見るうちに浄化してゆく。
「やったわ!!」
だが、安心したのも束の間、次から次へと新しい敵が押し寄せて来た。

 尋常でない数のピーマンがキュアパッションを飲み込む。
「イヤァァァーーーッ!!!」
そして一際(ひときわ)大きなピーマンが、キュアパッションの眼前に躍り出て言い放った。
「いいか、よく聞け!われわれは、決してお前を憎んでいる訳ではない!!」
それを聞いて、絶望に染まりかけていた少女の瞳に、僅かだが光が戻った。
「われわれはお前と話がしたかったのだ。それなのにお前ときたら、われわれを見るやいなや、全力で逃げ出すではないか」
「...悪かったわ。蛸を目の当たりにした美希も、こんな気持ちだったのかしら」
「美希というのはお前の友達の、あの...背の高い子か。それよりも、だ。われわれは知っているぞ。
 お前が昨日の昼に食べたピッツァ、そのピッツァにトッピングされた、緑色の輪切りにされたもの、そう、われわれだ。
 われわれの存在に気付いたお前は、一瞬、表情を曇らせたな?そして、食べる時も僅かに躊躇したな?
 われわれは知っているぞ!お前が一瞬表情を曇らせたことを!食べるのを躊躇したことを!!」
「なっ...ちゃんと完食したじゃない!」
「味わったかね?」
「.........」
「ならば、味わったかね。われわれを」
「それは......」
「どうせ息を止めて、なるべく風味を鼻に残さないようにして飲み込んだ、そんなところだろう。
 ミッションを早く済ませたい、そんな気持ちでな」

 ピーマン親分はさらに激しく少女を叱責する。
「言え!われわれのどこが嫌いなのかを!!」

10 Mitchell&Carroll :2015/08/06(木) 01:17:35
「そんな...あなた達を傷付けるような事は出来ないわ!」
「われわれなら大丈夫だ。さあ、恐がらずに言ってみろ」
「.........」
「どうした?早く言え」
「...あなた達、ニガイのよッッ!!!!」
「そうか。それなら分かっている。もし『形が嫌いだ』などと言われたらどうしようかと思っていた。
 よし、ならば逆に、お前の好きなものは何だ?」
「ラブよ!」
「即答か。開き直りか、それともただ単に正直なだけか...まあいい。つまりだ、われわれを苦手とする、それも含めてお前だということだ。
 好きなものがあるということは、嫌いなものもあるということ。逆に、嫌いなものがあるということは、好きなものがあるということだ。
 おまえのその『ラブのことが好きな気持ち』と『われわれのことが苦手な気持ち』、両方を大切にすることだ」
「でも、好き嫌いは良くないってお父さんから言われてるの。だからあたし、あなた達を受け入れられるように、精一杯がんば...」
「待て!!そのせりふは言わせん!!」
「なぜ!?」
「お前は確かに努力家だ。呑み込みも早い。そのせりふを言うことで自分を鼓舞し、奮い立たせ、ときに追い込んできたのだろう。
 だが、今回はそうはいかん。嫌いなものを無理に好きになる必要はないのだ。精一杯頑張らなくてもよい」
「そんな......」
「いつか、ひょんな事からわれわれに対する苦手意識を克服する時が来るかもしれん。われわれは、それでよいのだ」

 深い緑色の光が、少女の体を包んでいく。
「なんて温かくて、優しい光なの......」
「安らかに眠るがよい......」


 完

11 名無しさん :2015/08/06(木) 07:36:43
>>10
ぴーまんかましてよかですかwww
口調がピーマンもといカボチャかぶった咲を彷彿とさせた。
あ、誰かさんのニンジンさんじゃなくてw
ミシェルさんの感性って独特だよね。
先が読めなくて面白かった。

12 名無しさん :2015/08/06(木) 22:15:02
>>10
面白かったw このピーマン親分好きだな〜!いい味出してる(苦味ではなくてw)
せっちゃんはピーマンとちゃんと向き合ったのでマジで克服しそうw

13 名無しさん :2015/08/06(木) 23:49:14
>>10
めっちゃ面白かった!
ピーマンって、野菜のスーパーマンですよねw

14 名無しさん :2015/08/08(土) 18:02:00
ふたりはプリキュアとハートキャッチプリキュアの公式小説が出版されるらしいですね。
フレッシュは出るのかな?期待しつつ今後の推移を見守りますかね。

16 Mitchell&Carroll :2015/08/25(火) 01:42:32
2レスお借りします。バッドエンドですのでご注意下さい

『灼熱』


真夏だというのに、足の裏からは厳かな冷たさが伝わってくる。
ここは、明堂院流古武道の道場。
大勢の先輩と後輩が見守る中、その二人は既に精神統一を始めている。
誰かの固唾を呑む音すら聞こえてくる、そんな静寂の中、氷川流師範が口を開く。
「では、明堂院流師範、そろそろ始めますかな?」
「うむ。これより、明堂院いつき・氷川いおなの二人は、タンバリンを取り入れた演舞をし、
 より“可愛いだけじゃなくてカッコイイ”方を勝ちとする。なお、公平をす為、二人にはこちらで用意した
 タンバリンを使ってもらう。では、互いに礼!」
いつきといおなはキビキビとした動作で礼をすると、すかさず変身を始めた。

向日葵の花が咲き乱れる中、いつきの髪はロングヘアーに変化する。
妖精の「プリキュアの種、いくでしゅ〜!」という掛け声に、いつきも続く。
「プリキュア、オープン・マイ・ハート!」
種をパフュームにセットし、体の要所要所に振りかけると、その身は瞬く間に鮮やかな衣装に包まれていく。
颯爽と靡(なび)かせた髪は金色(こんじき)に輝き、花をモチーフとした可愛らしい髪飾りで括る。
さらに耳飾りも装着し、華麗な上段蹴りを放ちながら、変身は完了する。
「陽(ひ)の光浴びる一輪の花!キュアサンシャイン!!」

一方、いおなは特製のパレットを開く。
「プリキュア、きらりん☆スター・シンフォニー!」
星をかたどった指輪を嵌(は)め、パレットの鍵盤を弾くと、音階に合わせて指輪は輝く。
白い巻きタオルに身を包み、眩(まばゆ)い光を放ちながら少女の姿は徐々に変化してゆく。
巻きタオルを脱ぎ去ると、スカートをふわりと翻(ひるがえ)しながら、凛々しいその姿を現した。
「夜空にきらめく希望の星!キュアフォーチュン!!」

審判を務める明堂院流師範が、高らかに試合開始を告げる。
「では、先手・キュアサンシャイン!演舞、始め!!」

手渡されたタンバリンを握ると、可憐な演舞が始まった。
夏の太陽の下にそよぐ風を思わせる、爽やかなジングルの音。
きらめく汗が少女の健康的な姿を映し出す。
ときにお尻でタンバリンを鳴らし、可愛らしさとカッコよさをアピールする。
青い春の香りを漂わせながら、演舞は終了した。

「続いて、後手・キュアフォーチュン!演舞、始め!!」

どこか妖しさすら感じさせる、トラディショナルな雰囲気が漂い始める。
キュアサンシャインのそれとは趣(おもむき)を異にするその演舞に、場の空気はがらりと変わり、
やがて皆をその独特な世界に引き込み始めた。
だが、大勢の者がその演舞に見惚れる中、一人、不安な眼差しで見つめる者がいた。
いおなの姉・まりあである。
「......動きが硬いわ。気負っている」
その姉の悪い予感が的中する。
いつきへの対抗心からか、いおなの心に焦りが生じていたのだ。
「(もっと、もっとスナップをきかせて、ジングルの音を響かせなきゃ......!)」
やがて、力(りき)んだジングルの音が響き始め、間も無くいおなの体に異変が生じる。
「うっ、手首が......!?」

17 Mitchell&Carroll :2015/08/25(火) 01:47:19
――タンバリンが、硬い床に落ちる。そして螺旋状に転がり、なかなか静まろうとしないその切ない音が、道場に響き渡る。
ようやく無音となった後、辺りからは溜め息が漏れ、中には涙ぐんでいる者さえいる。
一人の厳しい視線がキュアフォーチュンに突き刺さった。
「お祖父様......」
「未熟者めが。技術を見せびらかそうとするから、そうなるのだ。自分の体を壊すようでは駄目だ」
いおなは堪え切れずに大粒の涙をこぼした。それにつられて、声をあげて泣き出す者もいた。
混沌とした空気の中、審判は告げる。

「勝者、キュアサンシャイン!!」

いおなは涙を拭いながら、いつきと握手を交わした。その手にいつきが込めた想いをいおなが理解するのは、まだ当分先のことである。
その後、皆が二人に駆け寄り、賞賛や励ましの声が飛び交った。
しばらくして氷川流師範が切り出す。
「皆様方、今日はわざわざ集まっていただき、本当に感謝している。しかし、うちの娘が見苦しいものをお見せしてしまった。
 そこで、お詫びと言ってはなんだが、私の演舞を見て下さるかな?」
そう言って先程のタンバリンを拾い上げ、シャラシャラと音を鳴らしながら高く掲げた。
「破(は)っ!!」
長年の修行で鍛え上げられた肉体と精神が、空気を切り裂く。その空間に、燻し銀を思わせるジングルの音が敷き詰められていく。
だが、間も無く氷川流師範の体に異変が生じる。
「うっ、指が......!?」
先程と全く同じようにタンバリンを床に落とし、氷川流師範は指を押さえながらその場に蹲(うずくま)った。

「あのねー、その穴は指を通す穴じゃないんだよ」
「(のぞみ!シーッ!!)←りんちゃん」

「いおなちゃん、手首は大丈夫?」
「ええ。一瞬、電気が走ったけれど、今はもう大丈夫よ」

「氷川流師範、大丈夫ですか......!?」
「む......骨に達しているようだ......」



 完!!

18 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/09/16(水) 22:34:12
こんばんは。
フレッシュの長編をスタートさせて頂きます。
タイトルは、『幸せは、赤き瞳の中に』
第1話は5、6レスお借りいたします。

19 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/09/16(水) 22:34:50
 高速で後ろへと流れる光の回廊が、ふいに途切れる。
 目の前に現れる白いゲート。開いた先には、もう西の空へ傾きかけた太陽と、まだ真昼のような明るさを残した空があった。

「とうちゃ〜く!」
 ラブが右手を高々と挙げてそう叫ぶと、ぽん、とクローバーの丘の上へと降り立つ。美希と祈里が、互いに顔を見合わせて小さく微笑み、ラブに続く。それを見届けてから、せつなも笑顔で異空間移動ゲートの外に出た。

 途端に初夏のじっとりとした熱と、むせ返るような草の匂いが体を包む。
 東せつなとしてラビリンスに戻ってから半年と少し。四つ葉町に帰るのは、これが三度目だ。そして毎回、こうやってこの世界の季節に肌で触れると同時に、胸の奥をやんわりとつねられたような、優しい痛みを感じる。
 ほんの数秒、静かに目を閉じてその感触を味わってから、せつなはパッと目を開け、小走りで仲間たちの後を追った。

「いやぁ、楽しかったなぁ、お料理教室!」
「ま、先生があまりにも先生らしくなくて、お料理教室っていう感じじゃなかったけどね〜」
 満足そうなラブの後ろから、美希がからかうような口調で声をかける。
「もぉ、美希たんってば。みんなで楽しくお料理して、楽しく食べられたら、それが一番だよぉ」
「うん、そうだね。なんて言うかぁ、凄くラブちゃんらしかったかも」
「うん! って……ブッキー、それってどういう意味?」
 くるりと美希を振り返って口を尖らせたラブが、祈里の笑顔に複雑な表情で首を傾げた。それを見て、せつながたまらず、口に手を当ててクスクスと笑い出す。
「あーっ、せつなまで笑うなんてヒドい!」
「ごめんごめん」

(それにしても……やっぱりみんなは凄いわね)

 せつなは、笑いさざめく仲間たちに笑顔を向けながら、心の中でそっと呟いた。



   幸せは、赤き瞳の中に ( 第1話:幸福な食卓 )



 中学三年生の夏休みを迎えたラブたちは、今日、せつなと一緒にラビリンスに出かけていたのだった。せつなが給食センターの職員たちと一緒に春先から準備して来た、新生・ラビリンスで初めての料理教室の、お手伝いをするためだ。

 調理器具と一緒に用意した真新しい調理台の前に、これまた新品のエプロンを身に着けた、老若男女三十人ほどの生徒が並ぶ。一番後ろの調理台には、今日の手伝い要員として、既に料理の手順を覚え、せつなと一緒に予行演習も済ませた給食センターの職員たちが、ずらりとスタンバイしている。
 期待と緊張が入り混じった彼らの視線の先には、この日のために祈里が作った、赤、ピンク、水色、黄色のエプロンを着けた四人の少女たち。その中の一人――赤いエプロンを着けたせつなが、口火を切った。

「皆さん、準備はいいですね? ……じゃあラブ、お願い」
「は、はい!」
 ラブがゴクリと唾を飲み込んでから、調理台の上のタマネギを手に取る。それを合図に、美希と祈里は調理台を離れ、生徒たちの横手に回った。

 今日のメニューは、ラブが得意なハンバーグと、サラダと野菜スープだ。
 包丁さばきは実に鮮やかなのに、説明は何だかしどろもどろのラブに代わって、せつなが分かりやすく料理の手順を解説していく。

 せつなの言葉に耳を傾け、ラブの手元を一心に見つめてから、生徒たちがぎこちない手つきでタマネギの皮をむく。そして、包丁の持ち方を何度も確認しながら、真剣な面持ちで微塵切りを始めた。

 辺りはしんと静まり返って、聞こえるのは説明役のせつなの声だけ――そんな状況が数分続いたのだが、生徒たちの間から、小さく「痛っ!」という声が聞こえた途端、その場の空気はガラリと変わった。

「あ! 指切った? 大丈夫? う、うわぁっ!」
 ラブが慌てて声のした方へと向かおうとして、勢い余って床につんのめりそうになる。
「ラブ! だいじょぶ?」
「もうっ、何やってんのよ」
 せつなと美希が素早く駆け付けて、両脇からラブを支えた。

20 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/09/16(水) 22:35:31
「怪我は、大したことないみたい。痛みますか?」
「いいえ、もう大丈夫です。ありがとう」
 その頃には、怪我をした女性の元には祈里が駆け付けていて、慣れた手つきで手当てをしていた。

「ナハハ〜、失敗失敗。えーっと、台所にはいろんなものが置いてあるし、火を使う場所だから、何があっても落ち着いて……」
「それ、お母さんがよくラブに言ってることよね」
「うっ……ごめんなさい」
 照れ笑いのラブに、極めて真面目にツッコむせつな。二人のやり取りを隣で見ていた美希が、アハハ……と明るく笑った。それにつられるように、あちらこちらから小さな笑い声が漏れ始める。
 それはだんだんと大きくなって、ついには調理場全体が明るい笑いに包まれた。

 ラブが再び照れ笑いをしながら、気を取り直して調理台に立つ。
「怪我が大したことなくて良かった……。包丁はね、慌てないでちゃんと使い方を守れば、恐くないんです。ほら、こうやって。ね? あ、見えにくい人は、遠慮しないでこっちに見に来ちゃって!」
 あの小さな失敗が功を奏したのか、ラブの口調がさっきよりずいぶん滑らかになっている。生徒たちの方も、周りを見回しながら恐る恐るラブの周りを取り囲んだ。

 美希がその様子を見て小さく微笑むと、近くでタマネギと格闘している男の子の元へと向かう。
 救急箱を片付けて戻って来た祈里の方は、照れ臭そうな笑顔で、せつなに小さく手招きした。
「せつなちゃん。あっちの人、切り方ちょっと間違えてるみたい。わたしはお料理あんまり得意じゃないから、せつなちゃんが見てあげてくれる? お願い」
 せつなが一瞬ポカンとしてから、その言葉にフッと頬を緩め、祈里に教えられた生徒に歩み寄った。祈里はそれを見届けてから、今度は後ろで成り行きを見守っている給食センターの職員たちに、にっこりと笑いかける。

「よぉし、じゃあ切ったタマネギをボウルに入れて、挽肉と混ぜて行くよ〜」
 よく通るラブの声に、調理台のあちこちから、はーい、という声が上がる。
 その頃には、手伝い要員も含めた全員が調理台に立って、小声ながら談笑しつつ、楽しげに料理を始めていた。

 さらに一分の後。
「いいこと思いついたっ!」
 ハンバーグのタネを完成させ、それを丸める段階に移ろうとしたラブが、再び明るい大声を上げた。全員が手を止めて、最初の時と比べて格段にキラキラした目でラブに注目する。

「ねぇ、みんな。少し小さくなっちゃうけど、このボウルの中身を二つに分けて、一人二個ずつハンバーグ作ろうよ!」
「でも、これはハンバーグ一個分の材料なんですよね?」
 生徒の一人が不思議そうに問いかける。
「うん。でも大丈夫だよ! 一個は自分で食べるけど、もう一個は誰かに食べてもらうの。そしてその分、誰かのを貰って食べ比べてみるの。
みんな、自分が作ったハンバーグだけじゃなくて、隣の人が作ったのも食べてみたいでしょ? それに、自分が作ったハンバーグも、誰かに食べてもらいたいって思わない?」

 全員が一瞬しんとしてから、隣同士、そっと目と目を見合わせた。そして少しくすぐったそうに、小さく笑い合う。その時、手伝い要員として参加していた若い女性が、あ、と明るい声を上げた。
「それって……誰かと“半分こ”ってことですね?」
「その通り!」

 ラブが満面の笑顔で頷いてから、近くの調理台を手伝っているせつなの方に目をやった。照れ臭そうな、少し得意そうな、そしてとても嬉しそうな、何とも複雑な表情。それを上目づかいに一瞬だけ睨んでから、せつなが赤くなった頬を隠すように、さりげなく顔をそむける。

「じゃあ、予備の材料も持って来て、もっとたくさん作りましょうか。僕、材料を取りに行ってきます」
「いいね! せっかくだから、たくさん作った方が楽しいよね!」
 今度は若い男性の手伝い要員の弾んだ声に、ラブは緩みかけた顔を慌てて引き締めると、一緒に張り切って冷蔵庫に向かおうとする。だが。
「ちょっと、ラブ! 半分を交換するだけなら、たくさん作る必要はないでしょ?」
 せつなの生真面目な声が追いかけて来て、ラブと若者は、あ……と顔を見合わせた。
 どちらからともなく、エヘヘ……と力のない笑い声を上げて頭を掻く。その情けなさそうな顔に、調理場は再び穏やかな笑いに包まれた。

21 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/09/16(水) 22:36:06
 こんなちょっとした暴走はあったものの、ラブの提案のお蔭で、調理の後の試食タイムはさらに賑やかで楽し気なものになった。
 自分が作った料理を食べる仲間の顔を、心配そうに固唾を飲んで見つめる者。
 同じ材料を使って同じ手順で作っているのに、こんなに味が違うなんて……と驚く者。
 美味しい、という仲間の声を聞いて、嬉しさと照れ臭さでひたすら目を泳がせる者。
 中には“半分こ”だけでは飽き足らず、別のテーブルにまで出かけて行って、ひと口ずつ食べ比べを始める者も出始めた。

「は〜い、ハーブティーが入ったわよ〜。肉料理に合うように、さっぱりしたブレンドにしてみたの。良かったらどうぞ」
 美希が、祈里に手伝ってもらって、ポットとカップを載せたお盆を持ってテーブルを回る。今日のメニューに合わせて自分で選んだ茶葉を、四つ葉町から持って来たのだ。

 そもそも“お茶を飲む”という習慣が、ラビリンスには無い。
 誰もが恐る恐るカップに口をつけ、美味しい、と呟いたり、何だか不思議そうな顔をしたり、くんくんと匂いを嗅いだり。
 そのうち何人かが美希の周りに集まってきて、熱心に質問し始めた。美希も柔らかな口調で、丁寧に質問に答えている。

 せつなは、ラブと並んでテーブルに座り、全員の様子を端から端までじっくりと眺めていた。
 その顔には穏やかな笑みが浮かんでいるが、よく見るとその赤茶色の瞳が、小刻みに揺れている。彼女が内心ひどく驚き、激しく心動かされている証拠だった。

 四つ葉中学校の昼休みよりは静かだけれど、わいわいガヤガヤと絶え間なく聞こえてくる無秩序な声。
 時に楽しげに、時に心配そうに、相手の反応に一喜一憂して、くるくると変わる人々の表情。
 テーブルのあちこちから、これまた絶え間なく響いて来る、楽しそうな笑い声。

 ほんの数か月前、給食センターで自分一人が先生になって開いた、今日のための予行演習の様子を思い出す。
 あの時も、人々は今日のようにとても熱心で協力的だったけれど、今日とは雰囲気が天と地ほどに違った。初めて経験する料理というものに、目を輝かせて興味津々ではあったけれど、こんなに楽しそうな空気は感じられなかった。

(本当に、ここはラビリンスなのかしら……)

 どうやったらみんなでご飯を作って食事をする幸せを伝えられるのか、あの時は一人、人知れず悩んでいたというのに……。

 ラブがそんなせつなの様子を、実に嬉しそうな眼差しで、隣からそっと見つめる。そして、ハンバーグのカケラをわざとらしく、ごっくん、と飲み込んでから、おもむろにせつなの肩をつついた。

「ほら見て、せつな。あの子たち、何だかあたしたちみたいじゃない?」
 そこには、ちょうど中学に上がるかどうかというくらいの年頃の女の子が二人、頬と頬とをくっつけるようにして、小さな一つのハンバーグを仲良く一緒に食べている姿があった。
 ねっ? と少し上気した笑顔を向けてくるラブに、赤い顔でコクリと小さく頷きながら、せつなは何だか夢でも見ているような気持で、この明るく幸せに満ちた食卓の光景を眺めていた――。


   ☆


「せつな〜、どうしたのぉ?」
 不意にラブの声が聞こえて来て、せつなは追憶から覚めた。いつの間にか、仲間たちからずいぶん遅れてしまっている。ラブ、美希、祈里の三人は、いつになく歩みの遅いせつなを心配するように、こちらに顔を向けて立ち止まっていた。
 四人はクローバーの丘を抜けて、クローバータウン・ストリートの近くまでやって来ていた。前方から聞こえて来るのは、きっとすぐ先の四つ葉町公園で鳴いている、蝉たちの声だろう。
「何でもないわ」
 せつなは笑顔で駆け出すと、仲間たちと並んで歩きながら、彼女たちの顔を見回した。

「みんな、今日はどうもありがとう」
「どういたしまして! あたしもすっごく楽しかったよぉ」
「何よ、改まって。まぁ、アタシのハーブティーも好評だったし」
「わたしはあんまり役に立てなかったけど、みんなで作ったハンバーグ、美味しかったよね」

 いつもと変わらない三人の笑顔に、せつなの笑みも大きくなる。だが。
「さぁて、明日から何しよっか。まずはダンスレッスンでしょう? それから、三人でどっかに遊びに行ってぇ……あ、週末になったら、家族でドライブに行くのもいいかも!
ねぇ、せつな。それまでこっちに居られるでしょう?」
 ラブの弾んだ声に、せつなの顔が少しだけ曇った。

22 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/09/16(水) 22:36:40
「……せつな?」
「あ……うん。それくらいは居られるといいんだけど……」
「ラビリンスで、急ぎの用事があるの?」
 ラブと美希に心配そうな顔を向けられて、せつなが慌てて笑顔を作る。

「ごめんなさい。まだ予定が立っていないけど、次のお料理教室の準備を、いつから始めなきゃいけないかなって……。まだまだ、希望者がたくさんいるし」
「でも、給食センターの人たちは普段の仕事もあるから、そう頻繁には開催出来ないんでしょう? その、毎週、とかは」
 祈里の言葉に、そうね、とせつなが頷くと、ラブが勢い込んでその手を取った。
「だったら、せつなはもう少しこっちに居なよ! あたしたちも夏休みだし、お父さんとお母さんも、せつなと一緒に居たくてうずうずしてるんだからぁ!」

 ねっ? と笑顔でこちらを覗き込んでくるラブの瞳に、自分の顔が映っている。
 少し困ったような、それでいてとても嬉しそうな……。その顔は驚くほど間が抜けた、無防備な顔に見えた。
 何だか少し可笑しくなって、せつなはフッと小さく笑う。

(これが私の、幸せな顔なのかしら)

 幸せな時間を積み上げることで、自分の幸せの形を知っていきたい。そうすることで、ラビリンスの人たちに幸せを伝えることも、きっと出来るはず――。
 それは今年の春、ある事件をきっかけに再び四つ葉町に帰って来たせつなが、そのときの経験を通して学んだことだった。
 今、この幸せの町で、家族や親友たちと過ごす時間を持てたことも、きっと幸せの形を知る一歩なのだろう。
 ラブや美希や祈里、あゆみや圭太郎にとっての、特別な日々を送るわけではない。求めているのはささやかだけどあたたかい、ごくありふれた日常。でも、せつなにとってそれは特別の、かけがえのない一歩だ。
 その一歩を積み上げて行けば……。

(私もいつか、みんなのように幸せを広げていけるかしら)

「わかったわ。じゃあ週末まで精一杯、みんなと楽しく過ごさせてもらうわ」
「やったぁ!」
 ラブが両手を天に高々と突き上げて叫んだ、そのとき。

「よぉ。お前たち、今帰りか」
 聞き慣れた声と共に、公園の入り口から、一人の男が姿を現した。
 オレンジ色の半袖シャツに、グレーのハーフパンツ。すっかり夏の装いとなった、西隼人――元・ラビリンス幹部ウエスターの、この世界での姿だ。

「隼人さん!」
 ラブが嬉しそうな声を上げて、男の方へと駆け寄る。三人もそれに続いたが、隼人の顔を見た瞬間、せつなは僅かに顔をしかめた。
 隼人の方はそんなことを知ってか知らずか、いつもの能天気な笑顔で四人を迎える。

「もう来てるなんて早いね。カオルちゃんに、今日の報告?」
「おう。今日は押しかけて悪かったな。おまけにご馳走にまでなっちまって」
「ううん。たっくさん作ったから、みんなに食べてもらえて良かったよ」
 嬉しそうにかぶりを振るラブに、隼人も穏やかな笑みを返す。

 ウエスターが、今所属している警察組織の部下らしい若者を何人も連れて、料理教室の会場にふらりと現れたのは、試食タイムの最中だった。それも、ウエスターお手製のドーナツが入った紙袋を、彼自身も部下たちも皆、両手いっぱいに抱えて。
 元々ドーナツに目が無かったウエスターは、ひょんなことからカオルちゃんに弟子入りして、熱心にドーナツの作り方を習っている。今日はその成果である手作りドーナツを、大量に持って来てくれたのだ。
 思いがけないデザートの差し入れに、会場は更に湧き立った。そして、急遽彼らの席が設けられ、みんなで作った料理を分け合って、一緒に食べることになったのだった。

「隼人さん、腕を上げたよね〜。今日のドーナツ、超美味しかったよぉ」
「そうか!?」
 ラブの言葉に、隼人が心底嬉しそうな顔をする。
「うん! みんなもすっごく喜んでたよ。じゃ、あたしたちからもカオルちゃんに、ちゃんと感想を報告しなきゃね。行くよっ、せつな、美希たん、ブッキー!」
「オーケー!」
「うん!」
 ラブが、あの頃と同じように仲間たちに号令をかけて、ドーナツカフェへ向かって走り出す。美希と祈里はすぐに後に続いたが、せつなは隼人の隣に立って、大男の顔を見上げた。

23 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/09/16(水) 22:37:28
「ねえ、隼人」
「なんだ?」
「今日、あなたが連れて来た人たちの中に、女の子が居たでしょう? あの子もあなたの部下なの?」
「いや、あいつはまだ、単なる知り合いと言ったところだ」
 事もなげにそう答えた隼人だったが、せつなの次の質問――正確には確認の言葉を聞いて、その表情が微妙に変わった。

「あの子……施設育ちよね?」
「やっぱり分かるか。まぁ、俺が連れているヤツらで、そうじゃないってヤツは一人も居ないがな」
 少し低くなった隼人の声を聞いて、せつなが、やっぱり……と小さく呟く。
「どこの棟?」
「E棟だ。見覚えがあったか?」
「いいえ。あの頃は、戦闘訓練で当たらない年下の人間になんて、興味なかったもの」
 苦いものを含んだせつなの言葉に、今度は隼人が小声で、そうだな、とぼそりと言った。

 “施設”――それは、かつてラビリンスに三か所存在していた、軍事養成施設のこと。ノーザを除く三人の幹部と、それに続く武人を育成していた施設だ。
 歴代のイース、ウエスター、サウラーは皆、それぞれの施設――E棟、W棟、S棟から一人ずつ選ばれるのが決まりだった。勿論、せつなも隼人も、例外ではない。

 メビウスによる管理体制が崩壊した後、これらの施設は解体され、そこに属していた子供たちは、一般の子供たちと同じ居住区に移った。だが、物心つく前の幼い子供はともかく、長い年月を施設で過ごしてきた子供たちにとって、変わりつつあるラビリンスは、そう簡単になじめる世界では無かった。
 ウエスターは、そんな子供たちをとりわけ気にかけていて、居住区に顔を出してドーナツを振る舞ったり、中でも年長の何人かを警察組織に誘ったりしていた。

 そして、今日料理教室にやって来た若者たちの中に紅一点の、せつなより少し幼く見える少女が居た。
 肩の少し上くらいで切り揃えた、少しくすんだライトブラウンの髪と、色素の薄いラビリンス人には珍しい、オレンジがかった鮮やかな紅い瞳を持つ少女。
 揃って体格のいい男たちに混じって皆の前に現れた少女は、その一人だけ華奢で可憐な容姿よりも、目の覚めるような鮮やかな身のこなしと、人一倍ふてぶてしい態度で皆の目を引いた。

 抱えて来たドーナツの袋を、放り投げるような乱暴な手つきでテーブルの上に置き、そこに集まっている人間たちを、鋭い目つきでじろりとねめつける。
 一緒に食事をしようと勧めた給食センターの職員は、至近距離に居たにも関わらず、まばたきひとつの間に彼女を見失った。
 部屋から飛び出したところをウエスターに連れ戻された彼女は、椅子に座ろうともせずに腕組みをしたまま料理を一瞥して、ふん、と鼻を鳴らした。が、半ば強要されてしぶしぶハンバーグをひと口頬張ると、一瞬目を丸くしてから、がつがつと皿の上の料理を平らげた――。

(ひょっとしてあの子は今も、施設に居た時と同じように、たった一人で戦っているんじゃないかしら……)

 心の中でそう呟きながら、燃えるような赤い眼差しを思い出す。途端に胸の中が炎で焦がされたようにチリチリと痛んだ気がして、せつなは隼人に気付かれないように、静かに息を吐き出した。

「まあ、あいつのことは心配するな。今のところ居住区で問題は起こしていないし、俺も気を付けて見ている」
 いつもの明るい声に戻ってそう言ってから、隼人がそんなせつなに向かって、パチリと片目をつぶって見せる。

「それに、前に師匠が言ってたぞ? 食べ物を旨そうに食べるヤツは、それだけで幸せをひとつ手に入れられる、ってな」
「それが本当だとすると、あなたとラブは、いつも真っ先に幸せをゲットしてるってことになるわ」
「おお! やっぱりそうか?」
 半ば本気で喜んでいるような隼人の様子に、せつながようやく、クスリと笑った。

 二人はそれきり黙ったまま、ドーナツカフェの方へと足を向ける。
 四つ葉町公園の木々は、少しオレンジ色に染まった光をちらちらと反射して、夏の一日の終わりを、美しく彩っていた。


〜終〜

24 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/09/16(水) 22:38:32
以上です。失礼しました!
全何話になるかまだ分かりませんが、どうぞしばらくの間お付き合いください。
よろしくお願いします。

25 名無しさん :2015/09/20(日) 17:16:50
来年3月にフレッシュの公式小説が出るらしい!
今から楽しみでなりませんね〜。

26 名無しさん :2015/09/21(月) 09:09:23
>>25
マジですかー!?3月か〜待ち遠しいな〜!
無印とハトプリの評判もまずまずですかね?フレッシュも期待したい♪

27 Mitchell&Carroll :2015/10/15(木) 01:04:40
もしかしたら18禁かもしれません。その時はすみません。


『奏は肉球がお好き』


奏「うぅ〜、肉球…肉球〜……」
エレン「どうしたの?アレ」
響「ここのところずっと肉球触ってないらしくて、禁断症状が出てるみたい」
エレン「か、奏…よかったら私の親指の付け根、触って……」
奏「ありがとう、エレン……(もきゅもきゅ)嗚呼、ダメだわ、こんなのじゃ……」
エレン「がーん!こんなの、って……」
響「なにか肉球の代わりになるモノ……そうだ!」

響「ほら、コレ、肉球の形のグミ!(開封)奏、これ触って元気出して!」
奏「……私をバカにしてるの!?(バシッ)」
響「あ……」
エレン「響がせっかく買ってきたグミが……地面にバラバラと……」
奏「肉球はねぇ!!香ばしい匂いがするのよ!!そんな甘ったるい匂いなんかしないのよ!!!」
響「ひどい!!せっかく奏の為に買ってきてあげたのに!!もう奏なんて知らない!!!」
ファリー「おいしいファファ……」
エレン「こらっ!拾い食いやめなさい!」

エレン「ねえ、奏。一緒に来て欲しいところがあるんだけど……」
奏「え……?」

エレン「ほらっ、ここ!“猫カフェ”!えー、なになに?本日…定休……日」
奏「ふふっあはははは!!@▽@」
エレン「奏!!気をしっかり持って!!」
アコ「そもそも、肝心のハミィはどこにいるの?」
エレン「自分探しの旅に出るって言って、どっか行ったわ」
ハミィ「ただいまだニャ」
エレン「おかえり、ハミィ。自分は見つかった?」
ハミィ「結局、ハミィはハミィだったニャ」
アコ「バカの会話だわ……」
奏「ハミィ!!待ってたのよ!肉球触らせて!!」
ハミィ「い、痛いニャ!!もっと優しくニャ!!」
奏「イク!イク!!」
エレン「行くって……どこに?」
アコ「猫カフェなら閉まってるわよ」
奏「(失神)」
エレン「キャーッ!?奏、大丈夫!?」
ハミィ「電気が走ったニャ……!!」
アコ「すごく幸せそうな顔してるわ……」

響「おまたせ、奏!猫、連れて来たよ!!」
ミス・シャムール「ごきげんよう、えぶりわ〜ん!ミス・シャムールよ〜ん♡
         で、悩める子猫ちゃんというのは、どなたかしら〜ん?」
アコ「もう解決したわよ」
響「えっ」


おわり

28 名無しさん :2015/10/16(金) 19:33:36
>>27
ミス・シャムールの肉球スタンプ、奏に押してあげて!

29 運営 :2015/10/28(水) 22:41:02
こんばんは、運営です。
れいん様より、今年2月の競作で投下して頂きましたコロ助MH様作「幸せの素」の挿絵イラストを頂きました。
新しい「幸せの素」のペンダントを片手に幸せそうに微笑むせっちゃん!
保管庫に挿絵として保管させて頂きます。ありがとうございました。

30 ドキドキ猫キュア :2015/10/30(金) 21:28:01
ドキドキプリキュアのハロウィン小説です 時期設定は 六花達が中3の時の話です

タイトルはtrick or treat 4スレ程使います。

31 ドキドキ猫キュア :2015/10/30(金) 21:28:33
trick or treat

ピンポーン ピンポーン 六花ー 六花ー!! ピンポーン ピンポーン

六花「はぁ・・・」

溜め息を付きながらも 六花はしぶしぶ玄関に向かう

声の主は誰かは分かってる そして目的も。 とうとうこの日が来たか・・・と、
六花は思っていた。

レジーナ「もう、さっさと出て来なさいよ!!」

あぐり「客を待たせるとは関心しませんわね」

そこにはエースと小悪魔の仮装をしたレジーナとあぐりがいた。

六花「あぐりちゃんまで一緒になって 随分と楽しそうね(呆れ)」

あぐり「当たり前ですわ!仮装するだけでお菓子が沢山手に入る・・・こんな夢のようなイベントはありませんわ☆」

レジーナ「そうよ!だから六花もお菓子ちょうだい!!」

あぐり「トリック or トリートですわ♪」

六花「・・・ないわよ」

テンション高らかにせがむ二人につれない返事をする六花。

レジーナ「はぁ!?」

あぐり「どういう事ですの!!」

六花「だーかーら 無いって言ってるの! だいたい 私はあなた達に付き合ってる暇はありません 」

レジーナ「何よ!マナはももまんくれたのに六花の意地悪ぅ〜!!」

あぐり「プリキュア五つの誓い 一つ!プリキュアたるものイベントを蔑ろにしてはならない!! 許しませんわよ六花!!」

六花「はいはい、お菓子が欲しいなら他をあたってちょうだい。」

そう言って六花は扉を閉めてしまいました。

レジーナ「ムカつく〜!! なんなのよあの態度」

あぐり「仕方ありません、ありすの所にでも行きましょう」

レジーナ「そうねぇ きっとありすなら凄いお菓子をくれるに違いないわ」

二人は行ってしまいました。

32 ドキドキ猫キュア :2015/10/30(金) 21:29:24

ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン

六花「しつこい!! お菓子は無いって言ってるでしょ!!」

まこぴー「ごめんなさい・・・(しょぼーん)」

六花「え、まこぴー!!ごめん またレジーナ達だと思って」

慌てて謝る六花

まこぴー「いいのよ 突然来た私も悪いし・・・」

六花「いや、ホントにごめん>< てゆーかその格好は何・・・」

ぬりかべの格好をしているまこぴーにちょっと引いてる六花

まこぴー「ハロウィンだからナッツハウスに遊びに行ったら こまちさんに捕まってこんな姿にされたの」

六花「まこぴーってホントにのぞみ達と仲がよいのね っていうかこまちさんのチョイス・・・」

まこぴー「りんの幽霊姿も凄かったわ!! そうそうみゆき達も来ていて なおがりんを見た途端超高速で逃げて行ったわ 流石は風のプリキュアね!」

いや、注目する所そこじゃないけど・・・と六花。こまちさんは恐ろしい人だと思いました。

六花「りんもなおも大変ねぇ・・・」

まこぴー「それでね 豆大福とシュークリーム沢山貰ったからみんなにおすそわけしようと思って♪」

六花「そうだったの わざわざありがとう」

まこぴーは六花に豆大福とシュークリームを渡しました。

33 ドキドキ猫キュア :2015/10/30(金) 21:30:00

六花「さてと 集中集中」

ピンポーン ピンポーン ピンポーン

六花「・・・今度は誰よ?」

トリック or トリート にんじーん♪♪

六花「・・・・・・」バタン

マナ「ちょ、ちょっとー六花 なんでそんなに冷たいの〜><」

六花「一体何の冗談かしら マナ」

怖い顔をする六花 マナは慌てます

マナ「今日は ハロウィンなんだから そんな顔しちゃだめだよ〜>< ほら 六花も楽しもうよ ね?」

六花「あのねー わたしは受験勉強で忙しいのよ そもそもあなたもそんなんで大丈夫なの?もう少し受験生としての自覚を」

突然説教を始める六花 マナはたじたじです

マナ「あううう〜 一応 毎日頑張ってるから大丈夫だよ 今日はハロウィンなんだから 六花も息抜きが必要だよ><」

六花「あなたはよくても 私はよくないの とにかく、今日は帰って頂戴!!」

マナ「六花様〜><」

六花が相手にしてくれなくてマナは残念そうでした。

六花「全く・・・マナは浮かれ過ぎよ その気楽さが 逆に羨ましいくらいだけど」

そう愚痴をこぼしながら勉強を再開する六花。

34 ドキドキ猫キュア :2015/10/30(金) 21:30:36

六花「ふぅ・・・」

少し休憩しようかしら 一息付く六花
まこぴーに貰った豆大福を一つつまみます

六花「うーん おいひー♪ ・・・それにしても」

もうこんな季節なのね と六花。窓の外 遠くを見ながら六花は思います・・・
一年ってほんとあっという間 去年の慌ただしい一年もそうだったけど 今年ももう
10月も終わりか・・・

後どれくらい マナとどれくらい一緒に過ごせるのだろうか? 学校が違うからって会えなくなる訳ではないのだけれど
でも 一緒に過ごせる時間は少なくなるかも知れない この先 大学 社会人 そうなれば もっともっと少なくなるだろう

そう、近いような 遠いような未来の事を考えながら六花はまた一つ豆大福を食べていた。

六花「だめ だめ 暗い事考えちゃ 今は受験の事が一番 集中 集中!!」

ネガティブな考えを打ち消すように六花はまた勉強に戻ります。

ピンポーン ピンポーン ピンポーン

あぐり「六花ー 六花ー!!」

六花「また来たの・・・」

最初は無視しようと思っていましたが
余りにもしつこかったのとあぐりの尋常ではない様子に気になって六花は外に出ました。

六花「どうしたの?てゆうかレジーナは?」

あぐり「レジーナがお菓子の食べ過ぎでお腹が痛いと><」

六花「ハロウィンだからって調子にのるからよ(呆れ)」

35 ドキドキ猫キュア :2015/10/30(金) 21:31:49

レジーナは薬を飲まされて安静になっています。幸い大事には至っていないので大丈夫のようです。

六花「全く世話がやけるんだから・・・」

マナ「六花が来てくれて助かったよ〜><」

六花「だいたい あなた達は少しは加減ってもんを知らないの? そんだけ食べれば普通はお腹を壊すでしょうに」

呆れている六花に不服そうにレジーナは言います。

レジーナ「六花が悪いのよ!」

六花「はぁ?」

レジーナ「六花が冷たいから マナとお菓子のやけ食いしてたの ねーマナ♪」

マナ「え、あ、うん・・・」

六花「どういう事よ」

マナ「だってハロウィンなのに六花が全然つれないから〜 その事でついレジーナと盛り上がっちゃって〜>< そしたら・・・その こんな事に」

六花「ふぅ・・・」

まこぴー「六花?」

六花「あなた達のせいで勉強投げ出してきちゃったわ(呆れ) というか今日はなんか集中できないし、レジーナも心配だし 今日の所はもういっそハロウィンを楽しむ事にするわ(笑)」

マナ「六花様〜><」

六花「全く・・・(微笑み)」

ありす「あらあら♪」

何だかんだ言って嬉しそうな六花でしたとさ。

trick or treat 完

36 ドキドキ猫キュア :2015/10/30(金) 21:32:22
以上です。

37 名無しさん :2015/10/31(土) 09:35:15
>>35
あのメンバーを相手にして、六花がハロウィンに巻き込まれないワケないですよねw
レジーナと焼け食いするマナがツボでした。

38 Mitchell&Carroll :2015/11/07(土) 23:08:03
『ひたすら黙認する、の図 〜食欲の秋〜』

あかね「た、大変や!なおがお腹すきすぎて、幻覚見えとるらしいで!!」
なお「うぅ〜、おなかすいたぁ〜……あ、チョココロネいただきまぁ〜す」
みゆき「う、うわぁぁぁっ!?」
あかね「なお!それ、みゆきの髪の毛や!!」
なお「伊達巻、伊達巻」
キャンディ「ク、クルぅぅ〜〜っ!?」
あかね「キャンディの髪の毛(?)や!」
なお「わぁ〜っ、おっきぃシュークリームだぁ」
やよい「いやぁぁぁっ!!」
あかね「やよいの頭、食べたらアカン!!」
なお「あ〜、コレあたしの大好物(カプッ)」
れいか「いっ‥…」
あかね「(黙認)」
れいか「……あかねさん、早く突っ込んでもらわないと、わたくしの左太ももがなおに食べられてしまいます」
あかね「え?突っ込むトコなんてある?」
なお「ごちそうさまー。あ、もう一本あった(カプッ)」
あかね「(黙認)」
れいか「あかねさん、早くしないと、わたくしの右太もももなおに食べられてしまうだけでなく、
    なおのよだれでベトベトの左太ももが先ほどから木枯らしを受けて、このままでは風邪を引いてしまいます」
あかね「れいかはなおの大好物…‥何もおかしなことなんてあらへん……(ブツブツ)」
れいか「あかねさん!!」
あかね「(黙認)」

おかわり

39 名無しさん :2015/11/08(日) 09:16:47
>>38
おかわり期待www

40 名無しさん :2015/11/10(火) 00:10:08
プリキュアあるある
声優さん、プリキュ「ワ」って言いがち

41 名無しさん :2015/11/10(火) 07:19:42
>>40
プリキュワっ! ヒーリング・プレア〜!!
カワイイw

42 名無しさん :2015/11/10(火) 07:23:44
>>41
ベリーはんはたまーに「プリキャア」になってたw

43 名無しさん :2015/11/27(金) 22:54:48
来年は魔法使いかあ。ってことは再来年は童話がテーマなのかな?

44 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/12/01(火) 22:39:39
こんばんは。
2カ月半も間が空いてしまいましたが(汗)、長編の続きを投下させて頂きます。
5レスお借りいたします。

45 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/12/01(火) 22:40:20
 赤いカーテンの隙間から、朝の光が漏れている。せつなは久しぶりに、桃園家の自分の部屋で目を覚ました。
 普段寝起きしているベッドより、二回りも小さなベッド。部屋の中の温度も、気温そのものが一年中ほぼ一定のラビリンスと違って、変動が激しい。
 それでも、そしてこの家を離れて半年以上経った今でも、この部屋で眠る時が一番安心して心からくつろげていることを、せつなは目覚めの瞬間、改めて実感していた。

 外はもう明るいが、早朝と呼べる時間。昨夜、つい遅くまで話し込んでしまったから、隣の部屋のラブは勿論、家族はみんな、きっとまだ夢の中だろう。

 せつなは手早くダンスの練習着に着替えると、足音を忍ばせて階段を下りた。
 『朝のジョギングに行って来ます』とリビングのテーブルにメモを置いて、家を出る。
 今日は、これまた久しぶりに、四人揃ってのダンスレッスンだ。だから少し身体をほぐしておきたかったし、何より大好きなこの町を、改めてゆっくりと眺めたかった。
 せつなは、玄関先で軽く屈伸運動をしてから、通りを颯爽と走り出した。

 まだ人通りもなく、店々のシャッターも閉まっている商店街。昼間とは打って変わって静かな通りを愛おしそうに眺めながら、せつなは少しずつペースを上げていく。

(何だか香ばしい匂い……。パン屋のおじさん、もうお仕事始めてるんだわ。駄菓子屋のおばあさんも、お元気なのね。今日もお店の前に、ゴミひとつ落ちていない)

 誰も居ないガランとした通りなのに、そこに住まう人々の笑顔が、鮮明に目に浮かぶ。それが嬉しくて、自分でも気付かないうちに頬が緩んでいたせつなだったが、不意にその瞳が大きく見開かれ、足が止まった。

 通りの一角に、『新装開店!』と書かれた大きなのぼり。ビニールをかぶった花輪が、店の前に幾つも並んでいる。
 朝日を浴びて開店を待つファミリーレストラン――そこは一年と少し前、イースが生み出したナケワメーケに壊された店があった場所だった。
 しばらく更地のままになっていたのだが、ようやく新しい店を建てることが出来たのか。いや、それとももしかしたら、持ち主が代わってしまったのだろうか。

――町じゅうを、ジュースの海にしてしまえ!

 あの時の自分の声が蘇る。
 使命にかこつけて、心に巣食う衝動に突き動かされるように暴力を振るった、かつての自分。「人を不幸にする」ということがどういうことか、まるで分かっていなかった――分かろうともしていなかった、あの時の愚かな自分の声が。

(こんな私を、この町の人たちは受け入れて、笑顔を向けてくれた。だからやり直したい。精一杯頑張って、ひとつひとつ。)

 せつなは、ぐっと唇を噛みしめて追憶を受け止めてから、その場所に向かって、深々と頭を下げた。そして元の通りに戻り、今度は一気に加速する。

(私は、この町の人たちのように、ラビリンスを笑顔でいっぱいにしたい。そのために、私に出来ることって何だろう。そもそも私に、何か出来ることなんてあるのかしら……)

 さっきまでと同じように通りを駆けるせつなの姿。だが、その頭の中にあるのは、今は四つ葉町商店街の人たちの顔ではなかった。



   幸せは、赤き瞳の中に ( 第2話:二兎を追う者 )



「あ、せつなちゃん!」
 日課である犬の散歩の途中で、四つ葉町公園の石造りのベンチで休憩していた祈里は、商店街へと続く通りに目をやって、明るい声を上げた。

 遠くから見る見るうちに近付いて来る、一人の少女。ジョギングと呼ぶには速すぎるスピードなのに、その走り方は実に軽やかで、まるで空を飛んでいるかのようだ。
 しなやかな獣のような美しい姿に、思わず見とれていた祈里だったが、その姿が次第に大きくなるにつれ、うつむきがちな表情が目に入ってきて、ハッとした。
 真剣に考え込んでいるように見える、何だか他者を寄せ付けないような、緊張感を持った表情――。
 祈里が心配そうに、かすかに眉を下げる。と、少女の顔がこちらを向いて、それまでとは百八十度違う、嬉しそうな笑顔になった。

46 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/12/01(火) 22:40:51
「おはよう、ブッキー。早起きね」
「せつなちゃんこそ。わたしは、今日は何だか早く目が覚めちゃったの。そうしたら、この子たちにお散歩をせがまれて」
 祈里の足元でじゃれ合っていた二匹の小型犬が、せつなにワンワンと吠えかけながら、千切れんばかりに尻尾を振る。それを楽しげに見つめてから、祈里は持ち前のおっとりとした口調で言った。

「久しぶりよね〜、せつなちゃんとのダンスレッスン。楽しみだわ」
「そうね。みんなとちゃんと息を合わせられるといいんだけど」
「ミユキさんの練習プランは、こなせてるの?」
「ええ、特に問題ないわ」

 四つ葉町にあまり頻繁には帰って来られないせつなのために、ミユキはダンスの練習プランを組んで渡していた。一カ月や二カ月レッスンが受けられなくても、なるべくレベルを落とさずに他のメンバーに付いて行けるよう、ミユキが何度も試行錯誤して作ったプランだ。
 最近はせつなだけでなく、モデルの仕事が忙しくてレッスンを休みがちな美希も、このプランで自主練習をすることが増えて来ていた。

 二匹の頭を優しく撫でてから、その場で屈伸運動を始めたせつなの笑顔が、心なしか硬いように見える。久しぶりに四人揃って、しかもミユキの前で踊るのだ。さすがのせつなも、少し緊張しているのかもしれない。そう思って、祈里がニコリと笑って話題を変えた。

「そう言えば、せつなちゃん。明日は、どこに行きたいの? どこか、行きたいところがあるんでしょう?」
 今日はミユキにしごかれるだろうが、明日は朝から四人で遊ぶ約束をしているのだ。
 ラブと美希と三人で相談していた時は、海や遊園地に遊びに行こうかという話も出たのだが、ラブがせつなの希望を聞いてみると、出来れば四つ葉町で過ごしたいという返事だと言う。

「ううん。ただみんなと楽しく、四つ葉町での時間を過ごしたいだけ」
「それだけでいいの?」
「ええ。そして、この町の幸せを少しでも、ラビリンスに届けられたら、って……」
「そっか。じゃあ、せつなちゃんがどんな幸せを届けたいのかで、明日の予定を決めればいいね」
 祈里の思いやりがこもった同意の言葉を聞いた途端、何故かまた微かに、せつなの顔に陰が帯びる。それを見て、祈里は今度こそせつなの顔を真っ直ぐに見つめると、柔らかながらストレートな調子で問いかけた。

「ねぇ、せつなちゃん。何か、困っていることがあるんじゃないの?」
「え?」
「何かあるなら、言って? わたしで良ければ、話だけでも聞くよ?」
 大きく目を見開いて祈里の顔を見つめ返したせつなが、それを聞いて小さく微笑む。そして少し顔を俯かせながら、言葉を押し出すように話し出した。

「この町には、幸せに繋がる楽しいことが、たくさんあるわ。ほんとに、数えきれないくらい」
 みんなでお喋りをしたり、ご飯を食べたり、ダンスをしたり。それから、スポーツやお買い物や、お祭りや……。
 ひとつひとつを、さも大切そうに、嬉しそうに数え上げてから、せつなはそのままの表情で、祈里の顔を見つめた。
「ラビリンスの人たちが、楽しいことをたくさん知って、一人一人が、自分の好きなことを見つけてくれたら、とても嬉しい。でも……」
 せつなの顔が、再び下を向く。そして膝の上に置かれた自分の手を見つめたまま、せつなはしばらくの間、沈黙した。
「……私、みんなのように、喜びや幸せを伝える自信が無いの。どうやって伝えればいいのか、よく分からなくて」

 隣からせつなの顔を覗き込むようにして、じっと話を聞いていた祈里の顔に、穏やかな笑みが浮かぶ。そして祈里は、白くほっそりとしたせつなの手の上に、そっと自分の手を重ねた。
「あんまり伝えようってばかり、思わなくてもいいのかも」
「え?」
「わたしね、せつなちゃん」
 黄色と赤の練習着が、石造りのベンチの上で、そっと寄り添う。

「前に、聞かれたことがあったけど……。わたしが本当にダンスをやりたいって思ったきっかけはね。トリニティのミユキさんにダンスを教えてもらえるから、ってことじゃ無かったの」
 突然何の話が始まったんだろう、という顔で小首をかしげるせつなに微笑んでから、祈里はベンチの後ろに広がる雑木林を指差す。

「ラブちゃんの誘いを断った後にね。あの辺から、レッスンを受けてるラブちゃんと美希ちゃんを、こっそり見てたの。まだ始めたばっかりだから、ステップも全然踏めなくて、テンポだって滅茶苦茶なのに、二人ともとっても楽しそうで、生き生きしてて……。それを見てたら、わたしもやってみたいな、って思ったの」
 そう言って、祈里は目の前に広がる石造りのステージに、その穏やかな視線を向ける。まるでそこで、その時のラブと美希が踊っているかのように。

47 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/12/01(火) 22:41:42
「本当に楽しそうに何かをやっている人を見たら、自分もやってみたいって思う人は、きっと居ると思う。そして一緒にやれば、もっと楽しい時間が過ごせるわ。だから、まずはせつなちゃんが、楽しんでいる姿を見せればいいんじゃない?」
「私が? でも、そんなにたくさんのこと、私一人じゃ……」
 驚いた顔で呟くせつなに、祈里が笑ってかぶりを振る。
「楽しいって気持ちを知れば、新しい楽しみを探そうっていう人も、きっと現れると思うの。そういう人が増えて行けば、きっと少しずつ、いろんな楽しいことが増えていくわ。だからね。まずはせつなちゃん自身が心から望むことをして、幸せを感じられることが、一番大切なんじゃないかな」
「私が……一番楽しめること? 幸せを、感じられること?」

 せつなが、一言一言を噛みしめるように、小さく呟く。祈里がゆっくりと頷いた時、通りの方から、せつなと祈里を呼ぶ声が聞こえて来た。
 いつもの青い練習着に身を包んで、美希がこちらに向かって一心に走って来る。
「あ、美希ちゃん。おはよう」
「おはよう。二人とも、今日はヤケに早いんじゃない?」
 美希がハァハァと息を弾ませて、首にかけたタオルで額の汗をぬぐう。その顔を、せつなは夢から覚めたような顔で見つめると、すぐにまた、穏やかな笑顔になった。



   ☆



「うわぁ、美希たん、カッコイイ!」
「うん。いつもより、なんか大人っぽいかも」
 試着室の前でポーズを決める美希に、ラブと祈里が目をキラキラさせる。そんな二人に小さく微笑んでから、美希はやや緊張気味な視線を、もう一人の親友に向けた。
 人差し指を下唇に当てて、せつなが真剣そのものといった顔つきで、美希の姿を上から下までじっくりと眺めている。その眼差しに、美希が思わずごくりと唾を飲み込んだその時、せつなの表情が、ふっと緩んだ。

「完璧ね。その差し色、やっぱり美希によく似合ってる」
「あら。差し色だなんて、せつな、ファッションに随分詳しくなったんじゃない?」
 濃い砂色のワンピースの襟元に、明るいターコイズブルーのスカーフをあしらった美希が、ニヤリと笑ってから、こっそりとホッとしたような息をつく。

 せつなが帰って来て三日目の今日は、朝から四人揃ってのお出かけだ。昨日はダンスレッスンでみっちりしごかれてヘトヘトになったのだが、四人とも、今日は勿論元気一杯だった。
 祈里の希望で今話題の映画を観て、ラブの希望でハンバーガーを食べてから、四人はこのブティックにやって来ていた。ここへ来たいと言ったのは美希だが、ラブも祈里も、楽しそうに何着も試着を繰り返している。
 私服に着替え、さっさと支払いを済ませた美希は、張り切った様子でせつなの腕を取った。

「じゃあ、次はせつなの番かしら?」
「私? いや、私は別に……」
「なぁに言ってんのよ。ここまで来て遠慮しないの。アタシが完璧に……」
「せつな、ほら! これなんか、せつなにすっごく似合いそうだよ。あと、これとぉ……それから、これも!」
 美希が得意げに言いかけたところへ、ラブが両手いっぱいに洋服を抱えてやって来た。そして鼻歌交じりでせつなを試着室に押し込む。

「ちょっと、ラブ! こんなに沢山、着られないわよ」
「いいじゃんいいじゃん。ちょっと着てみるだけだから。気に入ったのだけ、買えばいいんだからさ。ねっ?」
「だから、私は買うなんて一言も……」
「うふふ。せつなちゃんも、ラブちゃんには敵わないね」
 楽しそうな祈里の言葉に、美希はハァ〜っとため息をつくと、さっきのせつなの慌てた顔を思い出して、クスリと笑った。



 結局、それから一時間ほど後にドーナツ・カフェに腰を落ち着けた時には、四人全員がブティックの紙袋を提げていた。
 テーブルの上に置いた紙袋に、嬉しそうにそっと手を触れるせつなに向かって、美希が再びニヤリと笑う。

「何だか嬉しいなぁ。せつながこぉんなにお洒落に興味を持ってくれるなんて」
「そ……それほどでもないわよ」
「そんなこと言って〜。一緒に買い物すれば分かるわ。今日はアタシの出る幕なんか無かったじゃない? 自分に似合う服を、完璧に選んでて」
「いや、これはラブが無理矢理……」
「でも、せつなも気に入ったんでしょ?」
 畳みかけるような美希の問いかけに、せつなが赤い顔でこくりと頷く。それを見て、ぱぁっと笑顔になったラブが、さらにテンション高くせつなに詰め寄った。
「そうだよねっ! だってせつな、超可愛かったもん。ねぇ、すっごく気に入った? ねえねえ、せつなってばぁ!」
「……ええ。すっごく、気に入ったわ」

48 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/12/01(火) 22:43:45
 ますます真っ赤になったせつなの横顔を、優しい眼差しで見つめるラブ。そんな二人を、美希も笑顔で見守る。
 四つ葉町に帰って来ても、どうやらラビリンスのことばかり考えているらしいせつなに、何か素敵な買い物をさせてあげたい――そう思って完璧な計画を立てていたのだが、ラブのせい……いや、ラブのお蔭で、思った以上に上手く行ったようだ。

「さぁて、ドーナツを食べながら、次にどこに行くか決めなきゃねっ!」
「そうだね。じゃあ、まずは注文に行かなくっちゃ」
「カオルちゃーん!」
 ラブと祈里が笑顔で席を立って、ドーナツ・ワゴンに向かう。それを見送ってから、美希はせつなの方に顔を寄せて、囁くように言った。

「せっかくだから、ラビリンスでもお洒落しなさいよ。自分が気に入った服を着る幸せを一番伝えられるのは、せつな自身のファッションだと思うな〜」
「え……な、何言ってるのよ! 私は美希と違って、モデルにはなれないわ」
「ノンノン! 雑誌の写真で見るのと、実際にその服を着て、楽しそうに動いている人を見るのと、どっちが素敵に見えると思う? 着ている人が、その服を気に入っているのなら、尚更よ」
 途端にドギマギと目を泳がせるせつなに、美希がパチリと片目をつぶる。
「ラビリンスに幸せを伝えるんでしょう? だったら、せつな自身が幸せな姿を見せなくてどうするの。好きなものは好き、欲しいものは欲しいって、せつなはもっとアピールしていいと思うわよ?」
「別に、私は……」
 せつなが真っ赤な顔で言いかけた時。
「は〜い。美希たんはアイスティー、せつなはオレンジジュースだよね〜」
「カオルちゃんに、ドーナツおまけしてもらっちゃった。ほら」
 ラブと祈里が、ドーナツが詰まったバスケットと四人分の飲物を持って、笑いさざめきながら戻って来た。

 せつなは、まだ赤い顔で美希を軽く睨んでから、ドーナツをひとつ手に取って、そのハート型にあいた穴を、じっと見つめた。



   ☆



 その夜。せつなは自分の部屋のベッドに横になり、ぼんやりと天井を見つめていた。
 階下からは、ラブとあゆみの話し声が途切れ途切れに聞こえてくる。時折、圭太郎の明るい笑い声がそれに混じる。
 すっかり聞き慣れた――そして今では少し懐かしい、桃園家の団欒の声。その輪の中に混じってみんなの話を聞いている時間は、せつなが何よりも好きな時間だ。
 だが、今日は少し疲れたからと言って、先に部屋に戻ってきてしまった。一人で考えてみたいことが、たくさんあったからだ。

 家族で笑い合って、ご飯を食べて。仲間たちとダンスレッスンをして、みんなで四つ葉町のあちこちにお出かけをして。
 ずっとこの町で過ごしたかった、かけがえのない時間――それなのに、気が付くと、いつもラビリンスのことを考えている自分が居る。この町で幸せな時間を積み重ねるために帰って来たのに、幸せを感じている気持ちのどこかに、常にラビリンスの影がある。
 その癖ラビリンスに居る時は、何度となく四つ葉町の家族や仲間たちの姿を思い描いてしまうというのに。

(私がこの町で幸せな時間を過ごしたいのは、自分の幸せの形を知りたいから。じゃあ、何故それを知りたいのかと言えば、そうすることで、ラビリンスに幸せを伝えたいから。だとすれば……両方が気になってしまうのは、当然なのかもしれない)

 “二兎を追う者、一兎をも得ず”――かつて覚えた、この世界の諺を思い出した。ダンスとプリキュア、両方やろうと明らかに無理をしていたあの頃のラブに、何とかプリキュアを諦めさせようとして言った言葉だ。

(四つ葉町で積み上げる私の幸せと、ラビリンスに届けたいみんなの幸せ――。繋がっていると思っていたのに、ひとつにはなれないのかしら)

 寝返りを打って、今は闇に沈むカーテンに目をやりながら、仲間たちの言葉を思い起こす。

――まずはせつなちゃん自身が心から望むことをして、幸せを感じられることが、一番大切なんじゃないかな。

――好きなものは好き、欲しいものは欲しいって、せつなはもっとアピールしていいと思うわよ?

49 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/12/01(火) 22:44:22
(幸せは、こんなにも……溢れるほどに貰っているわ。心から望むこと? 私が欲しいものは……)

 そう自分に問いかけた時、ズキリと胸が痛んだ。
 心から望んだことも、欲しいものをアピールしたことも、いくらでもある。そのために、多くの人を傷付けたことも。それでもあの頃、本当に欲しいものは、決して手には入らなかった。
 今、こんなに多くの人たちから幸せを貰っているというのに、何故胸が騒ぐのだろう。
 そう思ってじっと心の奥に目を凝らせば、あの頃の自分が――イースがまだそこに居るような気がする。

(もしかしたら、それが怖くて、私は……)

 せつなは、ひとつ頭を振って気持ちを落ち着けると、もう一度天井の木目を見つめた。

(もう誰も傷付けたくない。誰の笑顔も奪いたくない。だから――私が望むのは、みんなに幸せを伝えること。そのための、私の幸せよ)

 ベッドから起き上がり、机の一番上の引き出しの奥から異空間通信機を取り出す。何だか急に、ラビリンスの次のお料理教室の準備のことが気になったのだ。とは言え異世界に居る自分がわざわざ連絡を取ったりしたら、きっと何事かと思われるだろう。

(この世界の端末と繋げれば、メールくらいなら見られるはず……)

 一瞬、圭太郎の書斎にあるパソコンを借りようかと思ったが、万が一壊してしまったりしたら申し訳ない。かと言ってリンクルンでは、端末としては少々スペックが不足している。
 少し考えてから、以前、タルトがよく遊んでいたゲーム機を使うことにした。タルトは使っていなかったようだが、このゲーム機にはネット環境が備わっているのだ。
 多少試行錯誤はしたものの、三十分ほど経った頃には、せつなはラビリンスで使っている自分のメールアドレスを開くことに成功した。
 小さなゲーム機の画面に並ぶ、未読メールのタイトル。心なしか、いつもより数が多いな、と思いながら、一件一件、中身をチェックする。

(え……何これ。給食センターで、何かあったの?)

 最初は不思議そうだったせつなの表情が、次第に怪訝そうなものになり、ついには険しい表情に変わった。

〜終〜

50 一六 ◆6/pMjwqUTk :2015/12/01(火) 22:44:53
以上です。ありがとうございました!

51 名無しさん :2015/12/07(月) 10:04:01
うぉぉい!また続きが気になるところで終わりましたね
長編は制作大変だと思いますけどいつまででも待ってますんで続きはよ下さい‼︎ (矛盾)

52 名無しさん :2015/12/12(土) 00:55:08
せつなはいつか、「伝える」んじゃなくて「伝わる」ってことに気付くんだろうね

53 Mitchell&Carroll :2015/12/12(土) 01:07:52
なんか毎回、一六さんの後に変なの出してすいません

『マダムモメールの憂鬱』


 ブルブル……日本の冬は寒いのね。何か温かい飲み物でも飲んで、ひと休みしようかしら。
……まあ、移動販売のドーナツ屋さん?丁度良かったわ。ついでに甘い物でもいただこうかしらん♪

「すみませぇ〜ん、オススメのドーナツ三つと、何か温かい飲み物、くださるぅ〜ん?」
「ごめんねーお客さん。今、あの子達の分で材料切れちゃって、今日はもう店じまいなのよ。また来てねー」
「まあっ、何ですって!?お詫びに私のドーナツの穴、埋め(自主規制)」

 ははぁ〜ん、あの小娘たちね?ここは一つ、さりげな〜く会話に加わって、さりげな〜くドーナツを分けて貰おうかしらん。

「あらぁ〜若いっていいわね〜お肌もツルツルで!ねぇ、何のハナシしてたの?」
「ひっ!?ねぇ、ラブちゃん、どうしよう!?」
「お、落ち着いてブッキー!こういうときはたしか、背中を見せないようにして、そのまま後ずさりして……」
「それは熊に遭った時の対処法でしょ?私は全然平気よ。ファッション業界はこういう人ばっかりだから」
「ラビリンスにはこういうタイプの人はいなかったわ」

 なんだかリアクションがバラバラね。まあいいわ。手っ取り早くドーナツいただきましょ。

「あらぁ〜ん?おいしそうなもの食べてるじゃな〜い!ホントにおいしそうね〜(ジュルジュルペロペロ)!
 ねっ、それひとつ分けてくれなぁ〜い?」
「(こ、この人は動物学的には♂なの!?♀なの!??)」
「(この人、口の回りが真っ青……さてはどこかでブルーハワイを!?)」
「(素材、色遣い、内側からにじみ出る美意識……この人、只者じゃないわ!)」
「(ラビリンスの科学力を持ってしても、この人の特性はデータ化できそうにないわね)」

 あら?みんな神妙な面持ちになっちゃって……さてはドーナツをよこさないつもりね?
力ずくで奪っちゃおうかしら。でも、モメ事は起こしたくないわ。ええ、アタシはもうモメ事を起こすのも見るのもイヤ!

「ねぇ〜ん、一口だけでいいから、それ、くれないかしらぁ〜ん?」
「あ、ああっあなたはおすなのめすなのぉ〜〜っ!??」
「どっどどっどこでぶるーはわいを〜〜っ!??」
「ぶっぶぶぶぶぶらんぶらんどどど!!!」
「◎△$♪×¥●&%#!!!」
「ちょっと!テーブルがひっくり返っちゃったじゃないの!!もぉ〜なんなの〜!?モメモメ〜〜〜ッ!!!」
 
 
 おわり

54 名無しさん :2015/12/13(日) 16:45:21
>>53
マダムモメール……w
ハワイを氷漬けにしてたし、寒いの好きなんじゃなかったっけwww

55 Mitchell&Carroll :2015/12/13(日) 23:20:37
>>54
浄化後という設定なので!( ̄^ ̄)ゞ

56 名無しさん :2015/12/13(日) 23:49:06
>>55
ああ、そっか。だからモメ事はもうたくさんなんだ。
失礼しましたw
だったらハワイにいればいいのに、日本に来たかったんだねw

57 そらまめ :2015/12/18(金) 21:23:33
こんばんは。ご無沙汰しております。
せつなが吸血鬼だったらな話というssの続きのようなものです。
前作がだいぶ前なので覚えてないと思いますが…よろしくお願いします。
せつなが吸血鬼だったらな話 パート2 です。

58 そらまめ :2015/12/18(金) 21:24:40
あの日から、何度目かの満月が来た。

ラブに自分が吸血鬼だと知られ、一緒に暮らすことになったあの日から私の日常は変わった。

まず、朝起きてから火を熾す。ということをしなくなった。そんなことをしなくてもコンロの摘みを捻れば火が出るし、自分で材料の調達をしなくても冷蔵庫を開ければ食材が入っているから鮮度の心配もいらない。

また、お風呂が温かい。まあ火を焚いて水を温めれば前にいたところでもできはしたが、如何せん面倒くさいのだ。自分ひとりだけなら行水でいいかと思ってしまい、ついつい水浴びで済ませていた。

それに、布団がフカフカしている。寄せ集めの枯葉やなんやらで作った簡易ベッドもいいにはいいが、やはり羽毛には勝てないようで、いつも熟睡してしまっている。


と、上記の事を住まわせてもらっている感謝と共にラブに言うと、何故だか涙を流して抱きしめられた。

抱きしめられながら、前の場所との一番の違いは、この空間の暖かなぬくもりだとは恥ずかしくて言えないと、そっと苦笑いしながら窓から空を見上げる。

今日も、やってくるのだろう。黄色くて大きなあの月のせいで、まだ午前中だというのに胸がざわつく位だから。それと同時にいつもよりも苛立ちを感じるし、些細な事も気に障る。そろそろ、限界だろうか。


ラブからの血の提供は、ほとんど最小限と言っていいくらいに少なくしている。最初の無意識での半ば暴走したあれのせいで、吸血をするという行為自体に嫌悪していた。いくらラブからの了承があったとしても、本当にぎりぎりになるまでは控えている。

そして、そんな非日常的なことが行われていることは、未だほかの人は知らない。できれば、ずっと知らずにいてほしい。ラブのように受け入れてくれる人ばかりではないとわかっているから。

59 そらまめ :2015/12/18(金) 21:27:30
案の定やってきたのは、丁度おやつ時だろうかという頃だった。騒々しい地響きとナケワメーケを連れてきたウエスターは、今日はナケワメーケと一緒になって攻撃してきた。


「イース!」

「私はもうイースじゃないって言ってるでしょ!」


ウエスターが私を呼ぶ。変わらずイースと呼び続ける彼にいつも以上に苛立ちが募る。いつもより雑な攻撃。当然の事ながらそれは躱されて、逆に死角を作ってしまった私にウエスターからの蹴りが背中から衝撃となって伝わってきた。


「パッション落ち着いて! みんなで連携してナケワメーケを倒さなきゃ!!」

「わかってるっ!」


息を切らせながらピーチ達に並んだ。今の自分が冷静でない事は分かっている。それでも体の内側からくるイライラを抑えきれなくて、奥歯を噛みしめて耐える。


「イース! こちらに戻ってこいっ!!」

「うるさい! 私は戻らないって言ってるだろ!!」


いつもより乱暴な言葉遣い。そのやり取りにみんなはどう思っているだろかと考えても、その反応を見る余裕は今の自分にはなかった。


「余裕が無さそうだな」

「関係無いでしょ」

「今日は、満月だもんな」


そう言って、まだはっきりと出ていない白い月を見上げたウエスターは、いつもとは違って気怠そうだった。横で「満月だと何かあるの?」「さあ?」とベリーとパインが話すのを聞きながらウエスターを睨む。大体私がこうなるのを知っていたから今日襲撃してきた癖に。そういう所も今の私の苛立ちを助長させていた。



「戻ってくる気はないか…」

「当たり前でしょ」

「ならこれをやる」

「っ…!」


少しだけ落胆したような雰囲気をしながら私に差し出したのは、銀色のパウチだった。デザインなどない銀色が日常的ではない仕様を感じさせ、人工さを助長させている。それに入っている中身の液体を私は知っている。血液だ。あの容器からするとラビリンスで支給されているものだろう。


「いら…ない!」

「どうせお前の事だからずっとやせ我慢してるんだろう? でも今日は流石に無理だと思って持ってきた。おとなしく受け取っておけ」

「あなたはもう私の敵なのよ。敵から物を貰うなんて出来るわけないでしょ」

「敵とか味方とかじゃない。だってお前もう、変わり始めてるじゃないか」

「えっ…」


その瞬間、後ろから風が吹き視界の端に髪が映る。プリキュアになっているから桃色のはずの髪が、銀色になっていた。まるでイースの時のように。

ウエスターの背後に月が見える。いつの間にか日が落ちてはっきり見えるようになった黄色く、大きな丸い月。

見てしまった。体がざわつく。動悸が激しい。苦しい。

立っていられなくて、膝を落として地面に手をついた。痛いくらい手のひらを握っても、治まりきらない。

60 そらまめ :2015/12/18(金) 21:28:02
「ぐぁっ……はぁっ…くっ」

「ほらみろ」

「パッションっ!」

「なんで髪の色が…!」

「どこか痛いのパッション?!」


そのうちプリキュアの変身が解けて、代わりにスイッチオーバーした姿になった。


「ウエスター! せつなに何をしたの!!」


未だ地面に俯いて何かに耐えるせつなを庇いながら、ベリーは怒気を荒げて叫んだ。その眼は睨むよりもさらに強くウエスターを射抜く。


「俺は何もしていない」

「ならどうしてせつなはイースの姿になっているの?! なんでこんなに苦しそうなの!!」

「それは今日が満月だからだ」

「茶化さないで!」

「茶化してない。だってイースは…」

「言うな!!」


何かを言おうとしたウエスターを遮るようにせつなが叫ぶ。その声に驚いたベリーが振り返ると、胸に手を当てて苦しそうに、そして悲痛な表情でウエスターを見ていた。そんな反応にも驚いたが、近くにいるピーチがウエスターに対して自分と同じようには追及しない事や、なぜか悲しそうな表情でせつなを見ている事に理解が出来なかった。


「言うな…」

「そいつらに知られたくないのか? 仲間なのに? …よく分からんな。だがそうだな…知られたくなかったら今すぐ俺達のところに戻ってこい」

「なん…で、そんなの…」

「サウラーならこの場面ではこう言うんだろうな。俺はこういうやり方はあまり好きじゃないが、目的は一緒だからまあいいか。どうするイース?」

「そんなの…」


選べるわけない…ラビリンスにはもちろん戻りたくない。ラブは自分の事を知っているからいいが祈里と美希に知られるのも嫌だ。

でも、どちらかを選ばなければいけないというのなら……私は一人になる事を選ぼう。遅かれ早かれこうなるとわかっていたからこそ、今まで必要以上に仲良くなる事を拒んできた。これからは、今までの距離がより遠くなるだけだ。大丈夫。自分は何も失くしてない。だって元々何も持っていなかったんだから。



「せつなの何を知ってもあたし達が仲間である事は変わらないよ!!」

「そうよ。だから脅しにもならないわよ!」

「わたし達はずっとせつなちゃんの味方でいるの!」



「言えばいい……私は何があってもラビリンスに戻るつもりはない。みんなに知られても、私があなた達の仲間に戻る事はないから」


「せつな…!」


ピーチが嬉しそうにこちらを見る。もうラビリンスには戻らない。ただ、ラブ達の元にも居られなくなるだろうから、ラブの眼を見る事は出来なかった。



「そうかい? なら教えてあげよう。イースは君達のようにただの人間ではなく、人の血液を摂取しないと生きていられないのさ。こちらでは吸血鬼と言うんだっけ?」

「え? その声…え? 吸血…鬼?」


脇の茂みからそう言って現れたのはサウラーだった。


「ウエスター、あんまり遅いから見にきてみれば、やっぱりイースにそれ渡すつもりだったんだね」

「うわっサウラー?! えっとこれはその…」

「はあ…全く……ほらもう今日は帰るよ。僕達だって今日はなるべく静かに過ごさなきゃいけないんだから。今日は失礼するよプリキュアのみなさん。イースも、プリキュアを辞めて戻ってくるなら歓迎するよ」

「それは無いわね」

「そうか。じゃあね」


慌てるウエスターとダイヤに戻したナケワメーケを連れて、暗闇に紛れて消えてしまったサウラーが残した言葉は、しばらくの間四人の動きをとめていた。

61 そらまめ :2015/12/18(金) 21:28:44
バキッ!と音がした方向を見ると、ウエスターが壁に穴をあけている。その音は、壁が壊れた音だけなのか、拳が一緒に砕けたのか定かではない。でも、自分たちに限って後者はないか。と、いまだ興奮冷めやらぬ彼を冷やかな目で見ながら紅茶に口をつけた。


「くそっ!! イースの奴!」

「落ち着きなよウエスター。大体こうなることは解っていたんじゃないのか?」

「くっ…!」


断られることを予想していなかったわけではないけれど、あそこまでなって、それでもあちら側にいることが、腹立たしかった。

こちらに適応するよう変えていた姿が無意識に解かれるなんて、それほど切迫しているのになぜあれを受け取らなかったのか。


「俺だって、これは嫌いだけど」


ラビリンスから定期的に送られてくるパック。血液の入ったそれの味が、ウエスターはあまり好きではなかった。無機質な味というかなんというか、そもそも血液の味自体が好きじゃない。あの鉄を噛み砕いているような感じ。だがこれを言うと決まって理解できないといった顔をされるので、いつしか主張することはなくなった。


「君も、そろそろ摂取しておかないとじゃないのか? 最近大食いに拍車がかかっているようだし」

「うっ…わかってる…」


いつからかは覚えていないが、消極的な血の摂り方をしていたら、体がヤバいと判断したのか人より多く食べるようになっていた。それがさらに大食いになると、そろそろ血液が必要だという基準にもなっていて、仕方なくパックを一つ手に取った。


「あー、まじこれまずいわー」

「そんなに嫌なら自分で調達してきたらどうだい?」

「それもなあ…結局同じものだし…」

「まあ僕はどんなものでもどんな味でも必要に応じて摂れればいい。ただ、定期的にというところには煩わしさを感じてしまうけどね」


くしゃっと空になった容器を握りつぶすウェスタ―を横目に、同じように軽くなったそれをゴミ箱に捨て、紅茶を飲む。


「…紅茶には合わないな」


口直しにコーヒーを入れるため立ち上がったサウラーに、締め切られたカーテンの隙間からチラリと月が見えた。

62 そらまめ :2015/12/18(金) 21:29:24
気まずい空気と言うのはこういうのを言うのだろうかと、祈里はチラリと思う。もしくは空気がどんよりしていて重いともいえる。

そう考えてしまうほど、この部屋にいつもの優しい心地よさは漂ってはいなかった。


「あ、あのね…」


ラブがオロオロと視線を彷徨わせた後、小さく口にする。それはどこか、小さな子供が親に咎められる時のように所在なさげで、いつものような勢いはなかった。


「ラブは知ってたのね」


そんな声にいつものように凛とした、ともすればそれよりは低く感じる音程で発した美希の声にビクリと肩があがるラブ。それと同じように、それまで微動だにしなかったせつなの体が少し動いた気がした。


「…うん。知ってたよ」

「いつから?」

「せつながうちで暮らしだすちょっと前から」

「そう」


淡々と、一問一答のように答えては、チクリチクリと体に刺さる空気に、祈里は身動ぎする。

横目に映るせつなは、うつむいた顔をいつまでもそうしていたため、髪に隠れた奥の表情を窺い知る事が出来ずにいる。

吸血鬼。おとぎ話でしか聞いたことがないその単語。空想上の生き物だと思っていた。祈里からしてみればユニコーンや妖精の類と同類くらいの位置にいたそれが、今目の前に居ることに未だ信じられずにいた。だって、せつなはどう見ても自分たちと同じだったから。楽しそうに笑い、おいしそうにドーナツを食べ、言葉を交わし一緒に戦っている。そんなせつなが吸血鬼だというのなら、自分が思っていたよりも吸血鬼という存在は遠い物語のように身構えるものではないのかもしれない。鳥が空を飛ぶように、野良猫が歩くように、何でもない日常の一部でしかないのかもしれない。

そんな風に思うのだ。そう思えるほど、せつなが自分の生活に溶け込んでいて、今更夢物語のように外側の世界には追いやれなかった。


「ウェスタ―がなんか渡そうとしたわよね。あれは何?」

「…あれの中身は…血液よ。ラビリンスで支給されるもので、私達は定期的にあれを飲まなくてはいけない事になってる」


抑揚のないせつなが説明する言葉に、この場にいる全員が耳を傾ける。


「そういう体質だから、こちらに来てかも占い館に居る時は摂取していたわ」

「なら、ラビリンスから抜けた後はどうしてたのよ。まさか町の人を…」

「せつなはそんなことしないよ!!」


美希の言葉を遮って、それまでの声音が嘘のように大声で唸ったのは、まるで絞り出すかのようで、泣きだす一歩手前のようで、思わず祈里は胸前の服を握る。


「せつなはずっと我慢してた! どんなに辛くても必死で抑えて、もしかしたら死んじゃってたかもしれないのに最後までずっと! せつなは自分の欲望に負けて町の人を襲うなんてしない!」

「そう…せつなは死にかけてたのに誰にも言わなかったってことよね」

「うん。あたしがあの日家に呼んでなかったら、こうして一緒に住むこともせつなの体質もわからないままだった。わからないまま、いつの間にかせつなはいなくなってたかもしれない…」

「そうなのせつな? アンタあのままだったらどうするつもりだったの?」

「そ、れは…症状は抑え込んでたし…」

「何事も限界ってものがあるわ」

「ギリギリまで我慢するつもりだった」

「アタシはギリギリのその先を聞いてるのよ」

「それは…その」

「死んでもいいと、思ったんでしょ」

「……」

「人に迷惑かけるくらいなら、理性が負けるくらいならって」


淡々としていた美希の口調が荒々しくなっていく。そこで祈里はやっと気付いた。美希の気持ちが揺れ動いているその原因が、せつなが吸血鬼だったからじゃないことを。


「ふざっけんじゃないわよっ!!」


ついに限界を突破した美希の怒号に部屋の空気が揺れる。

63 そらまめ :2015/12/18(金) 21:29:55
「アタシはねせつなが吸血鬼だったとかそんなことはどうでもいいのよ! だから何? 今更そんなこと聞いたところで、アタシの中ではせつなはもう仲間だもの! 大体せつながラビリンスの一員だったって知った時の方が衝撃度が高いわよ!! そんな経験してるんだからちょっとやそっとのことじゃアンタを否定する気にも仲間外れにすることもできないわ!! アタシがキレてんのはそれじゃない!」


吸血鬼がそんなことと言ったかこの人は。この世界では化け物の類であるそれをそんなことで切り捨てる美希に、心底驚いた。それと同時に、なら何に怒っているのだろうか。という疑問が湧いてくる。もしかして自分がラブから血液を提供してもらっていることだろうか。


「意味わかんないって顔ねせつな。この際だから教えてあげるわ。アタシはね、結構友達多いのよ」

「は…?」


いきなりの友達多い自慢に、自分でもわかるほど気の抜けた声がでた。はてなマークが頭の上を飛び交う。


「モデルだからいろんな人と出会うし、そこからの人脈で知り合いになる人もいるから、普通の中学生よりは顔が広いの。でもね、どんなにたくさん友達ができたからって、ラブとブッキー以上に一緒にいたいって思える人はいなかった」

「美希たん…」

「美希ちゃん…」


まあ確かにそうだろう。幼いころからずっと一緒だったと聞いている。自分にはそういった存在はいないからよくは分からないけど、美希にとって二人を差し置いて一緒に居たいと思う人ができないことは、想像に難くない。


「ずっと三人でいくんだろうって思ってた。高校生になっても大人になっても三人で、その中に入ってくる人の存在なんて考えてすらなかった。でも、初めて思った。この輪の中に入れたい人がいるって。三人が四人になってもいいって思った。それがせつなだった」

「え…」

「今までこんなこと思ったことなかった。せつなを輪に入れても、それが当たり前みたいにすんなり受け入れられた。せつなはもう、ラブとブッキーと同じくらい、アタシの中では大切な友達なの。突然いなくなっていい存在じゃないの」


音もせず、涙が流れた。気付かないほどそっと落ちる雫に、ようやく自分が泣いていることを理解して、少ししてから自分がなぜ泣いたのか理解した。

嬉しかった。とても。自分の気持ちが追い付かないほどの暖かいものが湧き上がっている。

今まで、こんなに自分が大切だと言ってくれたことはあっただろうか。面と向かって怒りながら強い感情を向けて肯定してくれたことなんてあっただろうか。

咎められると思った。自分の大切な仲間を傷つけるなんて最低だと言われると思ったし、それが向けられるべき感情だと思った。それなのに、あまりにも予想外な言葉たちに戸惑いを隠せなくて、感情が揺さぶられることも放置して、流れる涙を拭うことすらできなかった。


「せつなは普通の女の子だよ」

「ラブ…」

「ちょっと意地っ張りで照れ屋で、でも誰よりも優しい女の子で、あたし達の大切な仲間だよ。これから先何があっても、何を知っても変わらない。美希たんもブッキーもせつなのこと大切だから、こんなに心配してるの。だからもうひとりで悩まないで。あたし達がいる。大丈夫」


歪む視界でライブ会場で見せたあの時のように優しい目でほほ笑むラブ。左右を見れば同じように美希と祈里も笑いかけてくれた。拒絶ではないその表情に、この部屋の温度が上がった気がした。

64 そらまめ :2015/12/18(金) 21:30:31
「ニンニク食べられる?」

「ええ」

「協会が苦手とかは?」

「この前ブッキーとお祈り行ったじゃない」

「聖水が苦手とか?」

「聖水って何…?」

「なら十字架は?」

「教会で見たけど特に何とも…」

「陽の光は?」

「問題ないわね」

「トマトジュース好き?」

「好きだけど…ってそれ関係あるのラブ?」

「なんかつまんないわね」


質問攻めの後、美希が心底つまらなそうに吐いた言葉に、せつなはがくりと肩を落とした。

どうもこちらの世界の吸血鬼は弱点が多いらしい。血液を摂取すること以外普通の人と変わらないせつなには、特有の弱点はなかった。


「身構える必要すらなかったわね。吸血した相手を吸血鬼にするとか眷属にするとかもないし」

「あっ…それは…」

「でしょ? だからせつなもそんなに恐々しなくていいのになーってずっと思ってたんだよね」

「満月には症状が強くなるってなんだか狼男みたいで面白いね」

「ブッキー、それ多分面白い所じゃないと思う」


わいわいと話が盛り上がる中、せつなはこの三人にまだ伝えていないことがある事実を、言おうか言うまいか迷って、結局言わずにいる事にした。それは症状といったものではなく、通例のようなもので、しきたりの様なものだったから、特に害はないと思った。

吸血鬼がそこら中で誰彼構わずに吸血していったら、いくらラビリンスとはいえ統率が取れなくなる。だから、通常は支給されてくるものを摂取するが、自分の意思で誰かに対して初めて吸血をする時は、それは求婚と同じ意味を持つ。そして吸血を受け入れられたら晴れてパートナーになる。もちろんそんなことお構いなしにする人もいるが、そういう意味も持つのだと教えられた。だから慎重になりなさいと。

あの時半分無意識だったとはいえ、初めて自ら人に吸血を行った。そしてそれはラブに受け入れられた。そんなことを思うと、急速に顔が熱くなっていくのがわかった。


「あれ、せつな顔赤くない? もしかして熱ある?」

「な、ななんでもないから! 大丈夫!!」

「それほんとよねせつな?」

「具合悪かったりする? 無理してない?」


疑うような美希の目線も、祈里の心配そうに眉をハの字にしているのも、ラブにおでこに手をあて熱を計られるのも、恥ずかしさで誰の目線も見ることができなかった。

このことは自分の胸の内に仕舞っておこう。永遠に。

そんなことを思いながら、いまだ疑う三人への言い訳を必死に考えてあたふたする。


そうして、満月に輝く空を背に、まだまだ消えない部屋の明かりと共に夜は更けていった。

65 そらまめ :2015/12/18(金) 21:31:35
以上です。
長々と失礼しました。

66 名無しさん :2015/12/19(土) 00:39:52
>>65
いい! 凄くいいです!
美希たんの怒りのシーンとか、あとラストシーンも最高!
ひさしぶりのそらまめさんワールド、満喫させていただきました!

67 名無しさん :2015/12/19(土) 23:29:08
>>65
マジ切れ美希たん、愛情籠ってる〜!
せつなはラブの血を吸ってるのね、ドキドキ…。

68 名無しさん :2015/12/19(土) 23:45:30
>>65
OMORO!あらためて前作も読み返しましたが、OMORO!!

69 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/01/08(金) 00:15:03
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

遅くなりましたが、フレッシュのお正月小ネタを投下させて頂きます。

タイトルは「クローバータウンで初踊り?」

2レス使わせて頂きます。

70 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/01/08(金) 00:15:47
〜1月2日。商店街の初売りの日です!〜

ラブ 「わっはー! クローバータウン・ストリートも、すっかりお正月って感じだねっ」
祈里 「門松に、注連飾りに、鏡餅。わたしたちの家にもあるけど、お店のは大きくて立派よね」
せつな「ほんと。クリスマスもとっても華やかだったけど、また全然雰囲気が違うのね」
美希 「ええ。なんたってこっちの方が、まさに日本の伝統美よ」
せつな「ねぇ、美希。そのピンクと白の丸い飾りは何? 家には無かったわ」
美希 「え、えーっと、これは……」
駄菓子屋のお婆ちゃん「これは餅花だよ。小さく切って丸めた紅白の餅を、柳の枝にたくさん射して作る縁起物さ」
ラブ 「へぇ! とっても可愛いね、お婆ちゃん」
せつな「ええ。お店の前に、パッとお花が咲いたみたい」
駄菓子屋のお婆ちゃん「そうかい……ほら、福豆、持って行くかい」
ラ美祈せ「ありがとうございます!!!!」

〜どこかから華やかな調べが……〜

ラブ 「ん? 何だか太鼓と笛の音が聞こえるような……」
せつな「あっちの方だわ。行ってみましょう」
美希 「あれ? あそこにいるのって……」
ラブ 「あ、千香ちゃんだ。おーい、千香ちゃーん!」
千香 「いや……怖い……来ないで!」
祈里 「ちょっと待って、ラブちゃん。何だか様子がヘン」
せつな「そうね。千香ちゃん、何かに怯えているみたい」
美希 「あの曲がり角の向こうに、何か居るのかしら」
ラブ 「よぉし。みんな、行くよっ!」

〜そして千香ちゃんの元へと駆け付けると……?〜

ラブ 「千香ちゃん! 大丈夫だよ、今ラブお姉ちゃんが……! って、あ、そういうこと」
祈里 「え? なぁに? ラブちゃん。あ、可愛い!」
美希 「いや、可愛いっていうか……千香ちゃんは怖がってるわよ、ブッキー」
せつな「え……みんな、どしたの? これは……! またシーサーのソレワターセ!?」
ラブ 「違う違う! これはね、せつな。獅子舞って言うんだよ」
せつな「獅子舞……?」
美希 「ええ。これも日本の伝統……」
祈里 「あのね、せつなちゃんっ。獅子舞っていうのは、昔、ライオンさんを神と崇めていたインドの人たちが始めた儀式でね。それが中国大陸から日本に伝わって来たと言われているの。歯をカチカチ鳴らして、幸せを招くのと一緒に邪気を食べてくれるって言われててね。こんな風に二人で舞う獅子舞が多いんだけどぉ、一人で舞う獅子舞もあって、中には三匹の獅子が同時に舞う獅子舞もあるの。それから……」
ラブ 「すとーっぷ! もう十分だよぉ、ブッキー」

〜獅子舞の正体は?〜

せつな「ありがとう、ブッキー。よく分かったわ。獅子が幸せアイテムなのは、沖縄だけじゃないのね」
ラブ 「うん! だから、怖がらなくても大丈夫だよ、千香ちゃん」
千香 「でも……獅子さんが、どんどんこっちに近付いて来るんだもん」
太鼓を叩く男「それはね。獅子舞に頭を噛んでもらうと、一年元気に過ごせるからだよ」
美希 「豆腐屋のおじさん!」
祈里 「笛を吹いているのは、魚屋のおじさんだわ」
ラブ 「え? じゃあ、獅子舞に入ってるのは……?」

獅子舞・後「イテテテ……! こ、腰が……。悪い、ちょっと休憩させてくれ!」
獅子舞・前「あ、大丈夫ですか?」
ラブ 「あー、パン屋のおじさん。それに、蕎麦屋のお兄ちゃん!」

71 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/01/08(金) 00:16:20
〜獅子は一年の幸せを願って〜

蕎麦屋(獅子舞・前)「よぉ、ラブ。お前の頭も噛んでやるよ。賢くなるぞ〜」
ラブ 「やったー! これで今年は補習受けなくて済むよ!」
美希 「ちょっとラブ、そういう意味じゃ……」
せつな「じゃあ、獅子さんのためにもしっかり勉強しなきゃね、ラブ」
ラブ 「えーっ!? とほほ……」
祈里 「せつなちゃん、さすがだわ」

せつな「ねえ、千香ちゃん。獅子さん、もう怖くないでしょう?」
千香 「あ……うん」
パン屋(獅子舞・後)「じゃあ、お嬢ちゃんも噛んでもらいな。今年一年、元気で過ごせますように、ってね」
千香 「うん! ありがとう!」
ラブ 「良かったね、千香ちゃん」

〜そして、せつながおずおずと……〜

パン屋「しかし、獅子舞って思った以上に重労働だなぁ。まだ腰が伸び切らないよ」
せつな「あの……。もし良かったら、獅子舞、ちょっとだけ私にやらせてもらえませんか?」
蕎麦屋「それはいいけど、大丈夫かい? 俺は蕎麦の出前で慣れてるけど、獅子頭って結構重いんだよ? ほら、持ってごらん」
せつな「多分、少しくらいなら大丈夫です」
ラブ 「せつな! 二人でやろっか。せつなが前で、あたしが後ろね」
せつな「ラブ……」

美希 「頑張って、ラブ」
祈里 「ファイト、せつなちゃん」
ラブ 「よぉし。じゃあ、せつな、行くよっ!」
せつな「ええ、精一杯がんばるわ!」

〜そして再び、華やかな音楽が〜

蕎麦屋「そう、歯を鳴らしながら、音楽に合わせて踊るんだ。そうそう、その調子! 上手いなぁ、初めてとは思えないよ」
パン屋「リズミカルだし、何より二人の動きがよく合ってる。流石だな」
美希 「うん。ダンスで培ったチームワーク、完璧!」
祈里 「二人ならきっと上手く行くって、信じてた!」
千香 「獅子舞……カッコいい!」
獅子舞・後「さぁさぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 四つ葉町の幸せアイテム、獅子舞を見て、幸せゲットだよっ!」
獅子舞・前「ちょっと、ラブ! 獅子さんの足が喋っちゃダメでしょ?」
みんな「アハハハ……!!」


初春や 笛と太鼓と 笑い声

 幸せ初めの 獅子踊りかな


〜おわり〜

72 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/01/08(金) 00:16:50
以上です。ありがとうございました!

73 名無しさん :2016/01/09(土) 22:20:24
>>72
もしプリキュアが前編・後編の2本立てだったら後編でやりそうなお話
8:45あたりから始まりそうなお話

74 名無しさん :2016/01/11(月) 23:23:31
プリキュア声優トリビア
・キュアパッション役の小松由佳さんは、キュアパッションのことを「パショ子」と呼んでいる
・キュアトゥインクル役の山村響さんは、敵のフリーズの耳が「プルンッ」って揺れるのが好き・・・らしい

75 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/01/27(水) 19:36:52
こんばんは。
遅くなりましたが、長編の続きを投下させて頂きます。
6レス程使わせて頂きます。

76 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/01/27(水) 19:37:27
「はぁぁっ!」
 二人同時に空中へと跳び上がる。
 眼前に迫る敵の姿。同じ女性なのに、随分リーチが長そうだ。
 身長差十五センチ。脚力はどうやら互角。そして――動きに少々、焦りが見える。
 まずはそれだけを見て取って、次の一手に集中する。

「たぁっ!」
 思った通り、相手が先に打って来た。速く鋭いストレートを、半身になってギリギリで躱す。
 胴に一瞬の隙、狙いはここだ。懐に飛び込み、最高速のジャブを打ち合う。
 一発だが手応えがあった。着地と同時にバックステップで距離を取ろうとする相手めがけて、荒い息を抑え、歯を食いしばって一気に跳ぶ。

「っく!」
 火のような眼差しが私に突き刺さった。
 殺気、苛立ち、そして恐怖。隠す余裕など全く無い、むき出しの感情が込められた、強い力に満ちた視線。
 が、それも一瞬のこと。
 ジャンプの勢いのままに蹴り飛ばすと、彼女は壁に後頭部をしたたかに打ち付け、昏倒した。

「そこまで!」
 教官の声が闘技場にこだまする。
「ES*******。次の実戦訓練は、二日後の同時刻とする」
 自分の国民番号が読み上げられ、次の予定が告げられる――それだけが、今日の試験をクリアし、次へ進めるという証だ。
 だが今日はもう一言、こんな言葉が付け加えられて、私の心臓がドキンと跳ねた。
「次が最後の訓練だ。心してかかれ」

(とうとうここまで来た……。ついに私が“ネクスト”に!)

 早鐘を打ちそうな心臓を、深呼吸ひとつで何とかなだめ、努めて無表情のまま、戦闘服を解除する。

 数メートル先で、ようやくのろのろと起き上がる人影が目に入った。その瞬間に蘇る、さっきの鋭い、何もかも焼き尽くしそうな眼差し。
 自分では見えないが、私も傍から見れば、あんな目をしているんだろうか。
 こいつはまだ生きていられるのだろうか、とふと思った。メビウス様にとって、こいつにはまだ何らかの使い道があるのだろうか。
 だが、もし生きていられるとしても、もうこの施設には居られないはず。おおかた弾よけの兵士か、物資を運ぶ人夫か、とにかく数多の雑兵の一人として、残りの時間を過ごすことになるのだろう。

(どっちにしろ、私には関係のないことだ)

 そう、負け犬を振り返っている暇など無い。
 実戦訓練の間隔がどんどん狭まるようになってから、この訓練の意味は容易に想像がついていた。
 これは、新たな幹部選出のための戦い。この戦いに勝ち残った者が、新しい“イース”となるのだ。その陰で全ての敗者がここを去り、施設の顔ぶれは一気に若返ることになる。
 全てが決められているここでの日々の、唯一の例外。それは、いつも突然に、しかも秘密裡にやって来る、この命を懸けた卒業試験だ。
 最終戦を戦う二人は“ネクスト――次を担う者”と呼ばれ、この最後の戦いだけは、施設の全教官、全訓練生の前で行われるのが決まりだった。

 今の“イース”が“ネクスト”だった時の最終戦を、私ははっきりと覚えている。その一打、一蹴、全ての動きが、今でもこの目に焼き付いている。
 まだ基礎訓練の仕上げの段階で、実戦訓練の場に立つことすら許されていなかったあの頃の私にとって、彼女はそれほどまでに大きな衝撃だった。

 強かった。恐ろしいほどに強かった。
 そして、震えるほどに美しかった。

 次は私……彼女の次に“イース”になるのは、絶対にこの私だ! そう心に誓い、記憶の中の彼女の動きを何度も何度もトレースして、訓練に明け暮れた日々。
 まさかわずか半年後に、あの時の彼女と同じ場所に立てるとは――そう思った途端、身体がカッと熱くなった。
 表情を変えないように注意しながら、闘技場の分厚い扉を開けて廊下に出る。

(メビウス様……。誰よりも早く、あなたのお傍に仕えてみせます。そして誰よりも、あなたのお役に立ってみせます!)

 果たしてもう一人の“ネクスト”――最終戦の相手は、どんなヤツなのだろう。しんと静まり返った長い廊下を歩きながら、そんなことを考えていた、その時。
 突然、ズン、と足元が揺れ、そして――私が知っていた唯一の世界は、その瞬間、木っ端微塵に砕け散った。

77 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/01/27(水) 19:38:18



   幸せは、赤き瞳の中に ( 第3話:ネクストと呼ばれた少女 )



 二十人以上で囲める大テーブルが、頑丈そうな四角い足を見せてひっくり返っている。その周辺では、真っ白だったはずのテーブルクロスがくしゃくしゃに踏み荒らされて、見るも無残な状態だ。
 テーブルの周りには、横倒しになったり、あさっての方を向いたりしている数多くの椅子。その下には、割れたガラスや陶器の破片が辺り一面に飛び散っている。
 おまけに白い壁のほぼ中央には大きな穴まであいている始末。給食センターの広間は、まさに嵐にでも見舞われたような惨状を呈していた。

「あ〜あ。これはまた、ずいぶん派手にやりやがったなぁ」
 困った顔でガシガシと頭を掻くウエスターの隣で、彼をここに呼んだ給食センターの若い女性職員が、恐縮した顔で頭を下げる。
「すみません、ウエスターさん。まさか異世界にいらっしゃるとは思わなくて……。何か大事なお仕事の最中だったのではありませんか?」
「い、いやぁ……まぁ、気にするな。こっちの方が一大事だからな」
 まさか、カオルちゃんに「新作ドーナツ出来たからさ、食べに来なよ〜」と言われて二つ返事で四つ葉町に出かけていました、とも言えず、ウエスターは引きつった笑いを返した。

 昨日、若年層による“グループ現場体験”――ラブたちの世界で言うところの社会見学と職場体験を足して二で割ったような教育プログラムが、この給食センターで行われ、そこで参加者同士の喧嘩があったのだという。
 それだけ聞けば、たかが子供の喧嘩くらいで、と誰もが思うだろう。だが、当事者二人が施設育ちの若者たちであり、その二人の激しい争いがなかなか収まらなかったことから、被害は予想外のものになってしまった。
 とうとう警察組織の人間が呼ばれて、やっと彼らを取り押さえ、一晩留置。そして改めて、彼らと親交のあるウエスターが呼ばれたというわけだ。

「ところで、俺より先にイースが戻ってきたと聞いたが?」
 ウエスターの問いに、職員は笑顔で頷いた。
「ええ。せつなさんなら、今朝がたいらっしゃいましたよ。ここを見てすぐ、割れてしまった分の食器の調達に行くと言って出て行かれました。もうじき戻られると思いますが」

(何もわざわざ休暇中に戻ってこなくても、もっと誰かに頼ればいいのにな)

 そう心のままに発言しようとしたウエスターが、そこで口をつぐむ。そこには、さっきウエスターに頭を下げた時とは打って変わった、彼女の安心しきった笑顔があった。
 もしかしたら、せつなが休暇中だったとは、この職員は知らないのかもしれない。だとしても、何か困ったことがあったら、せつなが必ず助けてくれる、力になってくれると頼り切っている様子に、ウエスターは何だか腹の底からもやもやとした黒雲が湧き出した様な気分になった。
 そもそもウエスターと同じく四つ葉町に居たはずのせつなが、この事件のことを聞きつけて、ウエスターより半日も早く戻って来ていること自体がおかしいのだ。事件の後始末に困った職員の誰かが、いち早くメールか電話で彼女に相談を持ちかけたとしか思えない。
 その癖ここの職員は、自分たちでは一体どんな後始末をしているというのか……。

(イース……。お前、本当に彼らの期待に、ずーっと全部応えていくつもりなのか? そうやってお前が守ってやることが、彼らの本当の幸せなのか?)

 不意に黙り込んだウエスターに、職員が怪訝そうな顔になる。
「ウエスターさん? どうかしましたか?」
「ん? あ、いや。イースが帰って来たら、俺と一緒に来た客人を、あいつに会わせてやってくれ。今、ロビーで待ってもらっているから」
 ウエスターが曖昧な笑顔でそう言った時、別の職員が、昨日の喧嘩の関係者である子供たちを連れて、部屋に入って来た。



(そうか。喧嘩したのは、こいつらか……)

 職員のすぐ後ろを歩く二人の顔を一目見て、ウエスターの眉間にわずかに皺が寄る。
 一人はウエスターと同じW棟育ちの大柄な少年。将来は警察組織に来ないかと、ウエスターが誘っている若者の中の一人だ。
 そしてもう一人は、華奢な体つきで目つきの鋭い少女。先日四つ葉町でせつなと出会った時、彼女が話題にしていたE棟で育った少女だった。
 ウエスターはコホンとひとつ咳払いをすると、目の前にやって来た二人に向き直った。
 彼らの後ろには、やはり職員に連れて来られた体験学習の参加者たち――彼らと同年代の少年少女たち十人ほどが、固唾を飲んで成り行きを見守っている。

78 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/01/27(水) 19:38:51
「どうした、お前たち。この有様は一体何だ? 何があった?」
「……」
「何故こんなことになったのだ?」
「……」
「俺は責めているのではない。まずは何があったのか、知りたいだけだ。だから正直に答えてくれ」
「……」
 静かな口調とは裏腹に、普段の気さくな兄貴分といった雰囲気は、さすがに影を潜めている。次第に高まって来る得も言われぬ緊張感に、当事者よりも遠巻きにしている外野の若者たちの方が、次第にうつむき加減になった時。
 ウエスターの目の前に立っている少女が、沈黙を破った。

「理由を聞いて、何になる」
「何だと?」
「この部屋をめちゃめちゃにしたのは私だ。理由がわかったからと言って、その事実は変わらない。だから余計な手間をかけず、さっさと私に罰を与えろ」
 挑むような緋色の瞳を見つめて、ウエスターが小さく息を吐く。

「何か争いや問題が起こったら、何故そうなったのか、それを知るのはとても大切なことなんだぞ。ちゃんと原因を突き止めれば、次に同じことが起こるのを防げるかもしれないからな」
「この世界を守る警察とやらの言葉とも思えないな。争いの原因など、今のラビリンスには無数に存在する。ひとつ取り除いたところで、次の争いを止めることなど出来るものか」
 さっきよりさらに穏やかな口調で語りかけるウエスターに、少女は相変わらず挑戦的な視線を向けて、吐き捨てるように言う。
 ウエスターはそれを聞いてうっすらと笑みを浮かべると、腰をかがめて、彼女の瞳をまっすぐに覗き込んだ。
「確かに、お前の言う通りかもしれん。だが、それでもひとつひとつ、争いの原因を突き止めて、お互いに思っていることを言ったり聞いたりすることは大切なんだ。分からなければ、何度でも聞けばいい。そうしたら、もしかしたら分かり合うことだって、できるかもしれないぞ?」
「ふん、私は別に聞きたくはない」
 じっとウエスターを睨んでいた少女が、ぷいっとつまらなさそうに顔をそむける。それを見て、ウエスターは今度は隣に立っている少年の方に顔を向けた。

「お前はどうだ。喧嘩の原因、話してくれないか?」
「……こいつが……メビウスのことを、“メビウス様”って言ったんです」
「それを聞きとがめたのか。なるほど。それで?」
「今のラビリンスは……下らない、醜い世界だ、って」
「そうか。そんなことも言ってたのか」
 考え考え、ぼそぼそと言葉を押し出すように、しかし大いに不満そうに話す少年に、ウエスターは辛抱強く相槌を打つ。

「それでお前がカッとなって、喧嘩になったのか?」
「違います! 先に手を出したのは、こいつだ」
「ほぉ?」
 口を尖らせる少年に、ウエスターはニヤリと笑って先を促す。
「かつてのラビリンスは素晴らしかった、メビウスの管理は完璧だった、なぁんて言いながら、こいつだって昔とは違うんだ。昨日だって……」
「やめろっ!」

 そこで突然、少女が割って入った。掴みかからんばかりの勢いで、少年の言葉を遮る。
「それ以上言うな。言ったらただでは済まさないぞ!」
「何故だ……そこまで嫌がるようなことか?」
 真っ赤な顔で食ってかかる少女と、面喰った様子の少年。それを見て、ウエスターが諦めたように、フッと小さく笑った。

「わかったわかった。争いの原因を知ることは大切だが、嫌がるものを無理矢理聞き出すのが良いとも言えんな。では、お望み通り先に罰を与えよう……と言いたいところだが、これは罰では無い。こんなことをしでかしたら、当然やらねばならぬことだ」
 そこでウエスターはすっと表情を改めると、今日一番重々しい声で、こう言い放った。
「この部屋をきれいに片付けろ。いいか? 壁の穴以外は、お前たちがこの部屋に初めて足を踏み入れた時と、同じかそれ以上きれいにしないと許さんからな。こんなことをしたら、その後がどれだけ大変か、どれだけの人に迷惑をかけるのか、しっかりとその身体で体験しろ!」
 ウエスターはそう言ってから、少し離れたところからこちらに注目している他の子供たちの方へと目を移す。
「お前たちが何をするかは、お前たちに任せる。何もしないで家に帰っても良し。こいつらを手伝いたい者が居たら、別に止めはしない。お前たち一人一人が、どうするか、どうしたいか決めるんだ。いいな?」
 それだけ言って、ずんずんと大股で広間を出て行くウエスターの後ろ姿を、若者たちはあっけにとられた表情で見送った。

79 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/01/27(水) 19:39:37



   ☆



 大きな破片を片付けてから、掃除機をかけて、小さな破片を取り除く。くしゃくしゃのテーブルクロスを床から引き上げ、洗濯室に持っていく。そして横倒しになったおびただしい数の椅子を元に戻し、座面をぬぐう。
 互いに一言も口を利かず、少年と少女は、ただ黙々と片付け続ける。
 他の参加者たちは、やはり彼らに近づこうとはせず、かと言って帰ってしまう者もおらず、みんな二人の様子を眺めながら、ほんの申し訳程度に、片付けに加わっていた。

 作業は順調に進み、あとは広間の真ん中を占拠している大テーブルを何とかしなければ、これ以上は何も出来ない状況になった。これだけは一人で動かせるような代物ではないので、二人とも手を触れてはいなかったのだ。

「……おい」
 何度か逡巡してから、少年が思い切った様子で少女に声をかけた。
「このテーブルは、俺でも一人では無理だ。手伝え」
「お前の命令など聞かん」
 じろりと鋭い目を向けてくる少女を、少年はムッとした顔で見つめ返す。
「こいつを何とかしなけりゃ、片付けは終わらないぞ。それとも、自分で罰を与えろなんて言っておきながら、それに逆らう気か?」
「罰か……ならば仕方がない」
 少女が渋々と言った調子で了承すると、少年はテーブルをじっくりと眺め、少女と自分の立ち位置を決めた。

「いいか? こっちの長い縁を二人で持って、せーの、で持ち上げる」
「せーの……? 何だそれは」
「掛け声だ。「せー」で息を整え、「の」と言い終わると同時に、一緒に力を込める」
「ふん、くだらない」

「いいから行くぞ。せーのっ!」

 少年の声を合図に、少女も両腕に渾身の力を込める。
 大の大人が五、六人でかかっても、持ち上げるには相当の骨が折れる大テーブル。それが、まだ幼さの残る二人の力で、ゆっくりと持ち上がり始めた。
 長い縁の真ん中辺りに両手を掛け、真っ赤な顔で歯を食いしばっている少年――ウエスターですら一目置く彼の怪力が、少女の助力を上手く利用して、この重量物を持ち上げていく。

 テーブルは順調に傾いていき、その縁が二人の肩の辺りまで来た。だが。
「う……このままじゃ、無理だな。一旦下ろすぞ」
「ここまで来て何を言う」
 思わずそう言ってから、少女も少年の言葉の意味を理解する。ただ片側を持ち上げただけでは、反対側の縁が床で滑り、これ以上持ち上がらないのだ。それどころか、滑るごとに両手に負荷がかかって、こうやって持っているのも難しくなってくる。
「やはりあと二、三人、人手が要るか……」
 少年が、そう呟きながら遠慮がちに他の参加者たちの方を窺う。と、その時。
「すみませーん。誰か、居ますかぁ?」
 明るい声がその場に響いたかと思うと、広間の入り口から、ひょいと一人の少女が顔を覗かせた。

 栗色の髪を顔の両横で結んだ、ツインテールの髪型。大きな瞳がやたらキラキラと輝いて、口元は笑っているかのようにほころんでいる。
「あ、手伝うよ!」
 こちらの状況に気付いたらしい。彼女は軽い調子でそう言って、小走りで近付いて来ると、少年と少女の間に立って、テーブルの縁に手を掛けた。

「うーん……うーーーん! ……あれ? これって、持ち上げるの? それとも下ろすの?」
「いや……出来れば持ち上げたいんだが……」
「そういうことは、力を入れる前に確認しろ」
「ナハハ〜……ゴメンナサイ」
 少年のあっけにとられた口調と、少女の呆れたような声に、ツインテールの彼女が、実にお気楽な調子で笑う。そして二人をそのキラリとした瞳で見つめてから、その目をそのまま、所在無げに立っている他の参加者たちの方に向けた。

「ねぇ! もし手が空いていたら、みんなも手伝ってくれないかなぁ」
 十人ほどの若者たちが、バツが悪そうに俯き加減になる。やがてそのうちの一人が、もごもごと言い訳めいた言葉を口にした。
「僕たちは……その人たちと違って、強い力なんて持っていませんから」
「そんなの関係ないよ! あたしだって、そんな力持ってないもの」
 間髪入れずに返って来た、内容に合わず自信満々な明るい声に、彼らは不思議そうな顔で、この突然の闖入者を見つめた。

 若者たちにとっては、幹部候補だった恐ろしい暴れ者――その二人の間で、彼女はニコリと笑って見せる。
「確かにこのテーブル、凄く重いけどさ。でも、ここに居る全員でやれば、何とかなるよ!だから、ねっ?」
 さっきとは違う、戸惑ったような表情で顔を見合わせた少年少女たちが、やがて恐る恐る、大テーブルを取り囲んだ。

80 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/01/27(水) 19:40:13

「じゃあ、行くぞ。せーのっ!」

 少年の声に、今度は二十以上の小さな手が、ギュッと渾身の力を込める。
 スピードはさほど変わらないが、さっきよりは格段にスムーズに、テーブルが持ち上がっていく。
 一旦横倒しにしてから、天板の下にあった破片を片付け、再び全員で縁を掴み、持ち上げる。こうしてテーブルは元通りの姿で、元の場所におさまった。

「やったぁ!」
 若者たちがホッとしたような笑みを浮かべる中、ツインテールの彼女は一人テンション高く両手を上げて叫び、その手を、ぽん、と少年と少女の肩の上に置いた。
「こんな大きなテーブルだったんだね〜。みんなで力を合わせた結果だよぉ。良かったね!」
「あ……ああ」
「ところで、ここへ来たのは何の用だ」
 少年が気圧されたように頷く隣で、少女が冷静に問いかける。

「あ、そうだった! 実は、ちょっと迷っちゃってぇ。だから道を聞きたかったんだ」
「どこへ行きたいんだ?」
「あのね。ここからロビーに行くには、どう行けばいいのかな?」
「え……迷ったって、この建物の中で、ってことか?」
 今度は少年がポカンとした顔になり、少女は呆れ返った様子で、はぁっとため息をついた。その反応を見て、彼女の方は不思議そうに首を傾げる。

「お? お前たち、頑張ったな。ほとんど片付いたじゃないか」
 不意に、入口の方から新たな声が聞こえた。様子を見に来たのだろう、ウエスターがそう言いながら入って来て、ツインテールの彼女を見つけて、ん? と怪訝そうな声を上げた。
「なんだ、ラブ。こんなところに居たのか。探したぞ」
 それを聞いて、少女がわずかに目を見開いた。厳しい目つきになって、ラブと呼ばれた彼女を見つめる。
 当のラブの方は、少女の視線にはまるで気付いていない様子で、ウエスターの姿を見てパッとその顔を輝かせた。

「ああ、ウエスター! 良かったぁ! ちょっと建物の中をぶらぶらしてたら、道に迷っちゃってさ。今、この人たちに聞いてたところだったの」
 そう言って歩き出そうとした途端。
「わっ!」
 彼女が椅子の足につまづいて、その身体がぐらりと傾いた。

 少女が咄嗟に、彼女を支える。
「危なかったぁ……。助けてくれて、ありがとう!」
「別に」
 ホッと安堵の息を吐いてから、嬉しそうに礼を言う彼女。その視線から、少女が少し強張った顔で目を逸らす。
 じゃあね〜、と手を振りながら、ウエスターに連れられて部屋を出て行く彼女。それを見送ってから、少年がボソリと言った。

「やっぱりお前も……以前とは違うんじゃないか?」
「……何っ?」
「今だって、あいつを助けた」
「助けたんじゃない。たまたま私にぶつかったから、受け止めただけだ」
「昨日はたまたまじゃなかった。人助け、してたよな?」
「……」
 黙り込んだ少女に、少年が至って真面目に、そして少し不思議そうに問いかける。

「なぁ。何故そんなに嫌がる」
「……黙れ」
「みんなで助け合っていこうって、ウエスターさんが言ってた。だから堂々と助ければいいんだ」
「……黙れ」
「今は命令されてないことをしてもいいんだ。なのに何故……」
「……そんなこと、知るかぁっ!」

 叫びと同時に、少女の右ストレートが少年を襲った。大テーブルの周りにいた若者たちが、悲鳴を上げて後ずさりする。
 咄嗟に飛び退く少年。それを追おうとしたところで、少女が動きを止めた。
 怯えた表情でこちらを見つめる若者たちをぼんやりと眺め、固めた自分の拳に目を落として、グッと唇を噛みしめる。
 次の瞬間、少女は身を翻した。そして風のような速さで広間から駆け出すと、あっという間に姿を消した。

〜終〜

81 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/01/27(水) 19:40:44
以上です。5レスで納まりましたねw
ありがとうございました!

82 名無しさん :2016/01/27(水) 23:49:50
>>81
少女はいつかせつなと……続きが楽しみだす

83 血液型占い嫌う人いるけど、アレ何なん? :2016/02/08(月) 23:00:36
トワっちはB型っぽい。ひめもB型っぽい。
せつなもB型かなぁ?ブッキーもB型っぽい。
エリカは言うまでもない。
ほのかは公式にB型。

84 名無しさん :2016/02/10(水) 23:33:19
マナはO型だろうな

85 名無しさん :2016/02/11(木) 21:47:34
>>83
姫プリならきららちゃんもB型っぽいですね。
はるか:O型
みなみ:A型
ゆいちゃん:A型かAB型

86 名無しさん :2016/02/11(木) 22:37:40
やっぱりピンクキュアはO型なのかな。なぎさも咲もO型だし。
でもラブはAB型だったような。
つぼみはA型でしょうかね?

87 Mitchell&Carroll :2016/02/16(火) 22:21:20
『〜Tasting〜』

アイちゃん「きゅぴ〜チュパチュパ」
ランス「へぇぇ〜でランス」
なお「……ねぇ、アレっておいしいのかな?」
あかね「何がや?」
なお「あの黄色の……耳」
あかね「(あいかわらず、食い意地張っとんのォ〜)」
なお「ちょっと確かめてくる!」
あかね「こら!アカンて、よそ様のは!!」
ランス「なっ、なにするでランス〜っ!?」
なお「味見!味見するだけだから!!」
あかね「スマン、ちょっとの間だけ辛抱したってや」
なお「チュパチュパチュパチュパ……なるほど」
あかね「気ィ済んだか?」
なお「味自体はそんなに無いかな。気に入ったのは食感だね。
   ぬいぐるみみたいな食感だと思うでしょ?ちがうちがう。
   なんていうかな……溶けない綿アメ?みたいな。ずっとしゃぶりついていたい、
   そんな気分にさせてくれるね。この子は耳をしゃぶられるのを嫌がってるみたいだけど、
   この耳はしゃぶられる為にあると思うんだ。運命って残酷だよね。
   ちょっと口の中に毛が入っちゃった……まあとにかく、あかねもしゃぶってみなよ」
あかね「お、おう……(ハッ!これって間接キス!?)」
なお「なに遠慮してんの?この子気ィ失ってるし、しゃぶるなら今のうちだよ?」
あかね「チュパチュパチュパチュパ……ドキドキが止まれへん」
なお「でしょ?」
ありす「あら、お二方。ごきげんよう」
なお「ああ、今、アンタのとこの子の耳、ちょっと味見させてもらってたんだ。ごちそうさま」
あかね「………」
なお「あかね、いただいた後は“ごちそうさま”でしょ?そこんトコ、ちゃんとしないと」
あかね「ご ち そ う さ ま で し た ぁ ー ー っ ! ! ! 」
なお「うわっ、ビックリした!」
ありす「お元気で何よりですわね。うふふ」

おしまい

88 名無しさん :2016/02/17(水) 00:36:47
>>87
ランス受難w
ありすの落ち着きっぷりは流石と言えよう。

89 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/02/21(日) 22:08:11
こんばんは。
競作が始まってしまいましたが(汗)、長編の続きが書けましたので投下させてください。
5レスで納まると思います。

90 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/02/21(日) 22:09:05
 夜もとっぷりと更けた、ラビリンスの居住区。立ち並ぶ集合住宅は、外から見るとどれも判で押したように同じ大きさ、同じ形の建物だ。その一棟の片隅にある小さな部屋に、今、灯りが点いた。
「どうぞ、上がって」
「お邪魔しまーす!」
 玄関先で靴を脱ぐ二人の少女は、せつなとラブ。ここは、ラビリンスでのせつなの住まい。彼女が一人で暮らしている部屋だ。

 一足先に上がってラブにスリッパを差し出したせつなは、少し困ったような表情だが、その口元は嬉しそうに緩んでいる。ラブの方はワクワクを絵に描いたような顔で、部屋に入るやいなや、わぁっと歓声を上げた。
「広いじゃん、せつな。ベッドも凄く大きい!」
 えーっと、ここは何かなぁ……などと大きな声で言いながら、ラブが幾つかの扉を開けて、楽しげに中を覗き込む。そして最後はきれいに整えられたベッドめがけて、勢いよくダイブした。
 もう、と呆れた顔をしてみせてから、せつながクスリと笑う。そしてラブの荷物を机の上に置くと、自分はベッドの縁に腰かけた。ラブもすぐに起き上がって、その隣に座る。

 ベッド、机、本棚、姿見。どれも桃園家のせつなの部屋にある物より一回りか二回りほど大きいが、それらは全て、桃園家の部屋と同じ配置で置かれている。
 それ以外には、家具らしい家具は無い。女の子の一人暮らしにしては、殺風景なくらい必要最小限のものしか置いていない部屋。改めて見回したラブは、机の上に置かれた写真立てに気付き、小さく微笑んだ。
 それは、あの最後の戦いから帰った後、タルトやシフォン、アズキーナも一緒に家族で撮った写真だった。ラブも同じ写真を、同じように自室の机の上に飾っている。が、そのことには触れず、ラブはせつなに微笑みながら、おどけた調子で言った。

「やっぱきちんと片付いてるねー、せつなの部屋。あたしなんか、つい散らかしちゃうのにさ」
「ラブの部屋は、物が多すぎるのよ」
 そういつもの調子でたしなめてから、せつなはまた少し困った表情に戻って、ラブの顔を見つめた。
「それよりラブ。本当に泊まっていったりしていいの? お父さんとお母さんが心配してるんじゃ……」
「大丈夫だよぉ。お母さんには、ちゃんと言って来たもん」
「でも……」
 ラブの即答とは対照的に、せつなが曇った顔のままで口ごもる。

 今朝、せつなは四つ葉町での休暇を早めに切り上げてラビリンスに戻って来たのだが、驚いたことに、ラブも後から彼女を追ってラビリンスにやって来た。ちょうどこちらへ戻るところだったウエスターとばったり出会って、彼に頼み込んで連れて来てもらったのだと言う。しかもラブは、着替えを詰めた大きなスポーツバッグを肩にかけ、泊まる気満々の格好で現れたのだ。
 いくら移動が可能と言っても、ここは異世界。友達の家にちょっと遊びに行くのとは、わけが違う。だが、ラブは事もなげに、こんな言葉を付け足した。

「大丈夫だって! せつなの家に泊まるって言ったらさ、お母さんが、せっちゃんのところなら安心だわ、だって」
「……ホントに?」
 せつながそれを聞いて、まだ心配そうな表情を残したまま、うっすらと頬を染める。その顔を見て、ラブの言葉にさらに力がこもった。
「うん! だから、明日からせつなの手伝い、あたし、精一杯がんばるよっ!」
「明日から、って……。そんな、ダメよ。せっかくの夏休みなのに」
「もう。わかってないなぁ、せつなは。夏休みだから、あたしにもせつなの手伝いが出来るんでしょう?」
 再び困ったような表情になるせつなの隣で、ラブが得意げに胸を張る。
「あたし、この前のお料理教室で、せつなの手伝いが出来て、すっごく嬉しかったんだ。だから、もしまた手伝えることがあるなら一緒にやらせてよ。だって、せつなの夢は、あたしの夢でもあるんだから」
「ラブの……夢?」
「そう!」
 ますます得意げにニッと笑ってみせるラブを、せつなは一瞬、不思議そうな顔で見つめる。そして、フッと顔をほころばせてから、うん、とひとつ頷いた。

「わかったわ。ありがとう、ラブ」
「やったぁ!」
「でも、そう長い間はダメよ?」
「え〜、なんで?」
「まだ夏休みの宿題も、終わってないんでしょう?」
「うっ……それは……」
 途端に目を泳がせるラブに、せつながクスクスと笑い出す。

 この部屋で、こんな風に笑ったことなんてあっただろうか、とふと思った。
 ラビリンスを笑顔でいっぱいにしたい――そう思ってここに戻って来たけれど、ここでの自分の笑顔のほとんどは、ラビリンスの人々のために――人々の緊張をほぐしたり、敵意が無いことを伝えたりするために浮かべるもののような気がする。

91 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/02/21(日) 22:09:35

――せつな自身が幸せな姿を見せなくてどうするの。

 昨日の美希の言葉が蘇った。いや、もしかしたらさっきから、心の中にあったのかもしれない。
 そして、蘇ったその言葉は、初めて聞いた時よりずっと優しく、せつなの心に沁みた。

「あーあ、失敗しちゃったなぁ。宿題、持って来てせつなに教えてもらうんだったよぉ」
 そんなことを言って頭を掻いているラブに、もう一度小さく微笑んで、せつながベッドから立ち上がる。
「じゃあ、お風呂の準備してくるから。準備が出来たら、ラブが先に入って」
「え、シャワーだけじゃなくて、お風呂もあるの?」
「え……ええ。小さなバスタブだけど」
「そっか。じゃあせつな、一緒に入ろう!」
「ちょっ……何言ってるのよ!」
 慌てるせつなの手を取って、ラブが俄然元気になって、ベッドから立ち上がる。
「だって、お風呂場の使い方、わかんないんだもーん。さ、せつな早く!」
「ちょっと、ラブ! まだお湯も入れてないんだから!」
 いきなりお風呂場に向かおうとするラブに、せつながもう一度、クスリと笑った。
 部屋の灯りが、いつもより明るく、あたたかい。何だか夢を見ているような気持ちで、せつなはそれに半ば納得し、半ば不思議に思っていた。



   幸せは、赤き瞳の中に ( 第4話:再会 )



 次の日、ラブはせつなと一緒に、ラビリンスの中心地から少し離れた場所へ出かけた。
 かつて見た、人々が一糸乱れぬ隊列を組んで歩く光景は、今のラビリンスではもうすっかり見られなくなったらしい。全員が同じグレーの服に身を包んでいるところは変わらないが、人々は皆、思い思いの方向に、思い思いの速さで、時々立ち止まったり急ぎ足になったりしながら歩いている。
 すれ違う人の中には、せつなの顔を見て微笑みながら会釈をする人、せつなの方から声をかける人も多かった。そんな光景を見るのが何だかとても嬉しくて、ラブは自分も元気よく挨拶しながら、隣を歩く親友の横顔を誇らしげに見つめた。

 やがて二人がやって来たのは、低い塀で囲まれた広大な敷地だった。中に入ると、石や木の柵で区切られた花壇や、まだ植えられたばかりの苗木が二人を出迎えた。
「ここを、四つ葉町公園のような憩いの場にしたいの」
「へぇ! いいね、それ」
 せつなの言葉を聞いて、ラブの顔がぱぁっと輝く。
 ウエスターとサウラーも一緒に政府に進言し、公園の設計も、三人が中心になって考えたのだと言う。もっとも、ウエスターの要望は公園がどうこうと言うより、「絶対にドーナツの店を出す!」というただ一点だったらしいが。

「でも、ラビリンスには公園に植えられるような植物なんて、なかったから」
「うん」
「異世界から、木の苗や花の種を持って来てね」
「うんうん」
「ラビリンスに適しているものを選んで、公園に植えられる大きさにまで高速栽培させたの」
「う……ん?」
 話に付いて行けなくなったのか、ラブが頷くのをやめて、首を傾げる。
 せつなは、ひょろひょろと頼りなく並んだ、まだ並木とはとても言えない小さな木々を、愛おしそうに見つめた。
「この木が大きくなるまでには、まだまだ時間がかかりそうだけど」
「うん。でも、それを待つのも楽しいよね。どんどん変わっていく公園を見られるのって、なんか楽しくない?」
 ラブが、さっきまでとは打って変わった力強い声でそう言うと、せつなと並んで、まだ柔らかい木の葉を、ちょん、とつつく。
 せつなは少し驚いたような表情でその横顔を見つめてから、嬉しそうに、そうね、と頷いた。

「ところで、せつな。今日はお料理教室の準備に来たんじゃないの? それとも、何か別の用事?」
「ううん、ちゃぁんと料理学校のための用事よ」
 不思議そうに尋ねるラブに、少し悪戯っぽく微笑んで、せつながずんずんと公園の中へ入っていく。
 やがて公園の一番奥まで辿り着いた時、突如そこに開けた景色に、ラブは驚いて目をパチパチさせた。

 そこに広がっていたのは、柔らかそうな土の黒と、みずみずしい緑のコントラスト。ラブたちの世界のものとそっくりな、野菜畑だった。

92 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/02/21(日) 22:10:08
「ラビリンスの食材は、野菜も全て工場で、人工的に作られているの」
 せつなが静かな声で説明する。
「でも、やっぱり自然の土や光で育ったものの方が、美味しいんじゃないか、って……」
 それで試験的にここで野菜を育て、収穫したものの一部を、料理教室でも使わせてもらっているのだと言う。
 丁度せつなが話し終えたところで、畑の隅にある小さな小屋の扉が開き、中から一人の老人が、ゆっくりと姿を現した。

「こんにちは〜! あの、今ちょっといいですか?」
 せつなが両手をメガホンのようにして大きな声で呼びかけてから、彼の方に向かって歩き出す。ラブもその後ろを付いて行きながら、わずかに眉根を寄せた。

(あれ? あの人、どこかで会った、ような……)

 老人は、せつなの言葉に特に反応も見せず、うつむき加減でゆっくりと歩いて来る。
 銀髪と言うより白髪に近い髪が、頭の周りにだけ残った髪型。少し腰を曲げるようにして歩く姿は見るからに老人だが、その足取りは意外としっかりしている。
 そして彼が、そこに置いてあった大きな袋を抱え上げた瞬間、ラブが、あっ、と小さく声を上げた。
「やっぱり……。この人、あの時のおじいさんだよ」
「え?」
 せつなが不思議そうに、ラブと老人とに交互に目をやる。
「ほら、あたしたちがメビウスの城に行く時に、すれ違ったおじいさん」
 そう言うが早いか、まだポカンとしているせつなをその場に残して、ラブは老人に駆け寄った。

「大丈夫? 持つよ、おじいさん」
 そう言いながら、老人が抱えた袋を一緒に持とうとするラブ。それを見て、せつなもようやく思い出した。
 あれは、メビウスとの最終決戦のために、ここラビリンスにやって来た時。ラビリンスの人々の列に紛れてメビウスの城に向かおうとした四人の近くに、大きな荷物を抱えた彼が歩いていたのだ。

(確か、この人がバランスを崩して、そして……)

 咄嗟に助けようとしたラブを、列が乱れると見つかるという理由で、せつなは止めた。その時は、彼が無事体勢を立て直して、事なきを得たのだが。

(あの時ほんの少し見ただけなのに、ラブはよく顔を覚えていたわね)

 ラブにとっては、困っている人を助けることは息をするくらい自然なことで、それが出来なかったことの方が、心にかかる出来事だったのかもしれない。
 そう思うと、何だか申し訳ないような複雑な気持ちで、せつなは老人とラブの元へと駆け寄った。

「結構重いね〜、この袋。何が入ってるの?」
「肥料だ」
「へぇ。これから畑に撒くの?」
「ああ」
「あたしも手伝おうか!」
「いや」
 ラブが袋に手を掛けながら、明るい声で老人に話しかけている。だが、老人の返事は極めてそっけなかった。特に不機嫌そうなわけではない。ただ聞かれたことに、必要最小限な答えを返しているだけだ。
 やがて、肥料の袋を畑の隅に置いた老人は、ゆっくりとせつなの方に向き直った。

「すみません。次の料理教室の日程が、変更になりそうなので――」
 そう老人に説明しながら、せつなはそっと唇を噛みしめる。せつなの話を聞いている老人のねずみ色の瞳はぼんやりとしていて、その反応は事務的以外の何物でもなかった。

(この人は今でも、まだ管理されていた頃のラビリンス人、そのものだわ)

 ここに畑を作ることになった時、近くの居住区に住む人々に向けて、畑の世話をする人を募る知らせが出された。彼はそれに応募してきた、数少ない一人だ。
 だからもっと新しいことに興味を持っている人物なのかと思ったのだが、会ってみると、彼はせつなの想像とは全く違っていた。
 仕事は黙々とこなしている。ラビリンスで野菜を路地で育てるためには何が必要か、サウラーが事前に様々なことを調べて書き記していたのだが、それを見てきちんと作業をしているらしい。
 だが、それだけだった。果たして野菜作りに興味を持っているのか、はたまた自分が作った野菜のことをどう思っているのか、まるでわからない。
 何も考えていないかのように、淡々と仕事をこなし、淡々と規則正しい生活を送る――それは確かに、かつてのラビリンスの人々の生活そのものと言えた。

93 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/02/21(日) 22:10:41
 次の料理教室についての連絡を一通り終えて、せつなが再び頭を下げる。するとそれを待っていたように、ラブがニコニコと老人に歩み寄った。
「ねぇ。今度のお料理教室には、おじいさんも参加してみない?」
「いや……遠慮しておく」
 やっぱり、とせつなが心の中で呟く。せつなも何度か彼を料理教室に誘って、そのたびに断られているのだから。だが、ラブは簡単には諦めなかった。
「そう言わないでさぁ。みんなでお料理するのって、すっごく楽しいんだよ?」
「……」
「みんなで作ったハンバーグも、すっごく美味しいし」
「食事は……栄養がとれればそれでいい」
「じゃあじゃあ、ためしに試食だけでも来てよ! すっごく賑やかなんだ。みんなが自分で作ったハンバーグを交換して……」
「すまん。私はそういうものは、苦手なんだ」
 老人の、すまなそうながらキッパリとした拒絶の言葉に、ラブも口をつぐむ。すると、今度はせつなが静かに口を開いた。

「おじいさん。おじいさんがここでの仕事を選んで理由って、もしかして……」
「もしかして……何? せつな」
 そこで言いよどんだせつなの顔を、ラブが心配そうに覗き込む。
「その……ここなら一日、ほとんど誰とも会わずに居られるから、ですか?」
 せつなの問いに、老人は相変わらず何の感情も読み取れない表情で、ああ、と頷いた。老人の顔をひたと見つめていたせつなの瞳が揺らぐ。それを見て、老人は目を伏せると、フーッと長く息を吐き出した。

「メビウスに管理されていた頃、私たちは皆、人のことには無関心でした」
「ああ」
 せつなの言葉に、老人が短く応じる。
「その方が……おじいさんには、居心地がいいですか?」
「わからん」
 老人は相変わらずそっけなく答えると、腰を伸ばすようにして、公園の並木の方を見つめた。
「今のラビリンスは、あの頃とは違う」
「そう……思いますか?」
「ああ。きっとこれから、もっと変わっていくだろう」
 我知らず頬を緩めたせつなの方に、老人が視線を戻す。
「それが人としての、本来の姿なのかもしれん。だが……今のラビリンスは私には少々賑やか過ぎて、どうしていいかわからんのだ」

 野菜畑が一瞬、しんと静まり返った。ああ、この静けさこそが、この人には馴染みの日常なのか――せつながそう思った時、沈黙を破ったのは、ラブだった。
「大丈夫だよ。お料理教室で出会った人たちは、みんな優しい人たちだったよ。だから、おじいさんにもきっと友達が出来るって」
「友達? よくわからんが……。もう老い先短い身だ。このまま静かに、一人で過ごさせてくれ」
「でも!」
 静かにかぶりを振る老人に、ラブが詰め寄り、なおも言い募ろうとする。

 するとその時、老人がわずかに顔を上げた。視線はラブを通り越して、畑の入り口辺りを見ている。
 至近距離からその顔を見ていたラブは、心の中で首を傾げた。今までまるで生気のなかった瞳が、何だか少し嬉しそうに輝いたように見えたのだ。
 ラブが思わず後ろを振り向いて、そのまま笑顔になる。そこに立っていたのは一人の少女。昨日ラブが給食センターを訪れた時に出会った、あの少女だった。

「こんにちは。あなたとは、よく会うね」
 ラブが明るく声をかける。が、答えは返ってこなかった。彼女は目を大きく見開いて、何かにひどく驚いたような表情で、ラブとせつなを交互にみつめていたのだ。

「お前……どうしてそいつと、一緒に居るんだ」
「そいつって……ああ、せつなのこと? せつなは、あたしの大切な友達だから」
 かすれた声で問いかける少女に、ラブが満面の笑みで答える。が、それを聞いて、少女の瞳が大きく揺れた。
「ということは、まさか……お前もプリキュアなのか!」
「あ……アハハ、うん。実は、そうなんだ」
 少女の問いに、軽い調子で答えて頭を掻くラブ。それを見て、少女がわなわなと震え出す。
「え……ちょっと、大丈夫?」
「ラブ、待って!」
 心配そうに駆け寄ろうとするラブの手を、せつなが掴んで止めた。

 少女の瞳が、二人を――いや、ラブを睨み付ける。
 燃えるような赤い眼差し。そこに宿るのは今や戸惑いではなく、驚愕と――怒り。
 食いしばった奥歯の間から、ごく小さな呟きが漏れる。その言葉を、せつなだけは聞き取ることが出来た。

「こんなヤツに……こんなヤツに、メビウス様は倒されたと言うのか……!」

 ハッとした瞬間、ラブの腕を掴んでいたせつなの手が緩む。それを待っていたかのように、ラブが心配そうな表情で、一歩、二歩と少女の方に歩み寄った。
「ねえ、ホントにだいじょう……」

「ラブ、下がって!」
「寄るなっ!」

94 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/02/21(日) 22:11:12
 せつなが高い声で叫んだ瞬間、ラブの体があぜ道に転がる。少女がラブを突き飛ばしたのだ。
 慌ててラブを助け起こしたせつなは、ラブと老人を庇うように、少女の前に立った。

「なんてことするの! 彼女は、今はプリキュアじゃないわ」
「それがどうした」
「一般の人間に手を挙げるなんて、かつても許されていなかったはず。“己の力は”――」
 激しい口調でそう言いかけたせつなが、そこで口をつぐむ。そして、気持ちを落ち着けるようにひとつ大きく深呼吸をしてから、努めて静かな声で言った。

「メビウスは、もう居ない。それはあなたもわかってるんでしょう?」
「黙れ! お前がそんなことを言えた義理か」
 吐き捨てるようにそう言って、少女が不敵に笑う。
「さっきお前が言いかけた掟を、正確に言い直してやる。
“己の力は、メビウス様のために。それ以外のものに使ってはならない”
そうだったわね、先代――私の前の、イース!」
 今度はせつなの方が驚きの表情を浮かべた後、その顔が苦しそうに歪んだ。

「私は今でもメビウス様の僕。そのメビウス様を倒したプリキュアを、みすみす放ってはおけぬ!」
「……どうしてもラブを傷付けると言うのなら、私が相手になるわ!」
 二人の少女が睨み合ったまま、ゆっくりと構えを取る。が、次の瞬間。
「二人とも、やめてっ!」
 凛としたラブの声が、辺りに響いた。

 少女が、ふん、と鼻を鳴らしてから、構えを取ったままで後ずさり、やがて一目散にその場を駆け去る。それを見届けてから、ラブはまだ構えを解いていないせつなの肩に、ぽん、と手を置いた。
 せつなが、ハッと我に返ったように、自分の両手をしげしげと見つめ、続いてぼんやりとした目でラブの顔に目をやる。
「……せつな?」
「ラブ……。私、今、あの子と……」
「大丈夫。大丈夫だよ、せつな」
 ラブは、その場に棒立ちになっているせつなの体を抱きしめると、その背中を優しく撫で始めた。
 せつなの体はひどく強張っていて、その背中は微かに震えている。ラブは、せつなを抱く手にギュッと力を籠め、震えが収まるまで、何度も何度も、優しく背中を撫で続けた。


   ☆


 その夜、星ひとつ無い空の下、ラビリンスの人々が深い眠りに就いた頃。
 今は廃墟となっているメビウスの城の跡地に、こっそりと近付く小さな影があった。
 影は跡地に侵入すると、爆発の及んでいなかった地下の部屋から、ある小さな物を持ち出した。そして闇に紛れて街を駆け抜けると、いずこへともなく、消えてしまった。


〜終〜

95 一六 ◆6/pMjwqUTk :2016/02/21(日) 22:11:59
以上です。
明日からは競作に全力投球させて頂きます。
ありがとうございました!

96 運営 :2016/04/14(木) 00:15:52
こんばんは、運営です。
先日ご連絡致しました通り、競作スレは過去スレに移しました。
たくさんの投下と書き込み、本当にありがとうございました!!
なお、告知を頂いている方の投下分は競作として保管しますので、
以後はこちら「『プリキュアシリーズ』ファンの集い!」にて、
引き続き投下をお待ちしております。

97 名無しさん :2016/04/26(火) 22:59:42
前田健さん、素敵な振り付けをありがとう!!!!!

プリキュアといえば、エンディングのCGが有名だけど、
それに見合う振り付けを考えたのはこの人です!
「カワイイ!」がテンコ盛りの振り付けで、特にスマイルプリキュアの「イェイ!イェイ!イェイ!」は、もはや伝説です。
個人的にはハートキャッチの前期も好き。

カオルちゃんがいなかったら、ラビリンスの人達はドーナツの味を知らないままだった。

98 名無しさん :2016/04/26(火) 23:56:18
カオルちゃん・・・
きっと今も、四つ葉町のあの公園で、「グハッ!」と笑いながらドーナツを売ってるって、俺は信じてるよ。
さよならは言わない。またいつか会える日を楽しみにしてるからね。

99 Mitchell&Carroll :2016/05/01(日) 01:15:11
お久しぶりです。投下させていただきます。スイートプリキュア♪で……


『アコの誕生日』


アコ「――痛いって、奏太!そんなに強く、手、引っ張らないでよ!」
奏太「早く早く!姉ちゃん達、待ってるから!」

(奏の部屋)
奏太「姉ちゃーん!アコ、連れて来たよ〜!」
響「♪バースデー、バースデー、バーバーバーバーバースデー」
奏「ハイ!」
響「♪バースデー、バースデー、バーバーバーバーバースデー」
エレン「ハイ!」
響「♪バースデー、バースデー、バーバーバーバーバースデー」
ハミィ「ニャプ!」
響「♪バースデー、バースデー、バーバーバーバーバースデーーイ!!!」

響「♪今日は!姫の!たんじょ〜び!!」
ほか「「ワッショイ!」」
奏「♪生まれて!出会えて!ア・リ・ガ・ト・ネ☆」
ほか「「ワッショイ!!」」
ハミィ「♪今夜は!美味しくシャン○リー飲・め・る・の・は?」
ほか「「ニャプショイ!」」
エレン「♪姫の!笑顔のお・か・げ・で・す!!」

響「♪こぉ〜んやの主役はジュリエット!」
ほか「「ハッピーバー、ハッピーバー、ハッピーハッピーバースデー!」」
響「♪こぉ〜んやの主役はジュリエット!」
ほか「「ハッピーバー、ハッピーバー、ハッピーバースデー!!」」
みんな「「「♪バースデー、バースデー、バーバーバーバーバースデー(×4)」」」

奏太「そんなHAPPY‐GIRLから一言聞いてみたいと、お・も・い・ま……」
ほか「「スリーツーワン!!」」





アコ「私の誕生日……再来月なんだけど……」

100 Mitchell&Carroll :2016/05/01(日) 01:22:11
さっそく訂正、すみません……

ほか「「ハッピーバー、ハッピーバー、ハッピーバースデー!!」」
みんな「「「♪バースデー、バースデー、バーバーバーバーバースデー(×4)」」」

この、ほかとみんなの間を一行、空けて下さい。よろしくお願い致します。


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