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『劇場版プリキュア』を楽しもう!

67makiray:2015/04/22(水) 23:04:39
Echo, Next Stage (11/17)
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 キュアエコーの白いドレスがまっすぐに伸びる。それは青い空の上でたなびいた。
 クリーム色の髪の周りで金色の輪が太陽の光を反射する。
「あれって…」
「妖精たちの力で、キュアエコーが」
「キュアエコー プリンセス・フォームです!」
「キュアエコー プリンセス・フォーム?」
 キュアエコーの体は再びゆっくりと浮かび上がった。ドラゴンの顔の正面で止まる。
〈お前は、一体、何者なのだ〉
「私はキュアエコー。
 思いを届けるためのプリキュアです」
〈思い、だと?〉
「ハルモニアの人たちが見えますか。
 あなたのために祈っているのが」
〈儂に見えるのは、儂の姿に怯える弱い人間の姿だけだ〉
「違います。
 望んだことではなくとも、あなたとの約束を破ってしまってことを悔いて、謝るために祈っているんです」
〈儂をたばかるつもりなら〉
「あなたを恐れていたら、あそこにとどまったりはしません!」
 もろくなっていたレンガが崩れる。人々は、それに巻き込まれることを恐れて場所を変えたが、そこを離れようとはしなかった。
「私は感じます。
 ハルモニアの人たちの、自分たちを守ってきてくれたあなたへの感謝と、それに報いることができない口惜しさ、カーニバルを穢してしまった自分たちへの憤り」
〈…〉
「これを言ったらあなたは怒るかもしれない。
 私も自分が一人だと感じていたことがありました。誰も私を見てくれない、私なんかいなくなってもいいんだって。それがもとで大きな過ちを犯してしまいました。
 でも、それはただの間違った思い込みだった」
〈…〉
「自分が心を閉ざしていただけだったんです。
 お母さんはいつも私のことを考えてくれていたし。
 新しい学校のクラスメートたちは、私に話しかけるきっかけを探してくれていた。
 そして、フーちゃんは、私のためならどんなことでもすると言ってくれた。
 グレルとエンエンは、私と一緒に戦おうと言ってくれた」
〈同じだというのか〉
「気づいてあげてください。
 ハルモニアの人たちは、あなたのことが大好きなんだっていうことに」
 王が祈っている。女王が両手を合わせている。ふたりは、ひとたびドラゴンが口を開けば、今度こそ崩れてしまうに違いないテラスにとどまっていた。
 ハルモニアの人たちは、形を失ってしまった自分の家のそばで頭を垂れていた。
 閉じ込められてしまった妖精たちは、必死にその声を届けようと頑張っていた。
 そして、それを支え、助けようとしている四十人の光の使者たち。
〈そうか…〉
「わかって――」
〈だが、遅すぎたようだ、キュアエコー〉
「どういう…ことですか」
〈ひとたび咆哮を上げて絶望と怒りに委ね、獣に戻ってしまったこの身はどうにもならん〉
「え…」
〈見えぬか。
 儂の心の臓で生まれた、この世を煉獄に変える炎が〉
 ドラゴンの胸を透かして赤い光が脈打っているのが見える。
〈所詮、儂は化け物、理屈の通らぬ怪物だ。お前の言うことはわかったし、今ではハルモニアの者たちの後悔もわかる。
 だが、この炎を消すことは、もはや儂にもできん〉
「待ってください。私たちが」
〈いや、儂はもう儂ではなくなろうとしている。この邪悪…炎は、な……してもこの世…焼き尽…さんと、わ…の体を乗…取ろう……ている。こ…してお前と話…て……間にも、わ…の心をむしば…、内…から突…崩そ……〉
「守り神様」
〈す…ぬ。ハルモニア…裏切る…は儂…方じゃ。
 下…れ。お前…で焼か…てし……ぞ〉
「守り神様!」
〈のけ、キュアエコー!〉


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