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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 避難所ログ

27必殺●持ち人 ◆2LEFd5iAoc:2009/06/18(木) 01:37:58 ID:???
バイバイさるさんもSamba24も無視出来るくせにあんまり投稿しねえあたしが来たなりよ
ステキな作品ありがとうございます
代理投稿やったるで!

ついでにこのBBSでトリップ使えるかどうかテスト

してみたけどだめでしたテヘヘ

28必殺●持ち人:2009/06/18(木) 01:38:23 ID:???
4,5と代理投稿しておきました
これで眠れる

29◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:38:45 ID:???
>まとめ人様
代理投稿ありがとうございました。・゚・(ノ∀`)・゚・。
スレ仕様でしょうか、丁寧な改行も入れて頂いたようで、
お手数痛み入ります<(_ _)>

保存庫に入れる時はどっちがいいんでしょうか。可能であれば、
この避難所に投稿した版のままで、よろしくお願いします。

>エロいですよ!エロスは程々じゃないと危険が危ないじゃないッスか!
そーなんですよ(ノ∀`) 
なんてか、避難所に続き来てたよ的な告知だけとかのが章によっては
いいかもしれません……。

>必殺●持ち人さん
おお勇者さま……。支援ありがとうございまーす!
代理投稿の申し出もありがとうございます。
ちょい前にエロの是非論でモメたりしてたから、ご無理はなさらないでください。

スレのみなさんから抗議があったら、素直にこちらに篭ってます。
てかそもそもアク禁で篭らざるをえないんですがw

その場合は続編投稿の告知だけ、よろしければお願いいたします。
要はスレのみなさんに読んでいただいて、
贅沢を言えば感想などが欲しいだけなので……。

30必殺●持ち人:2009/06/18(木) 01:39:20 ID:???
>>16
こっちがレスつかなかったのは隠されていたから

そして俺など書いた作品に誰も感想もねぎらいの言葉もつかなかいんだぜ!
でもまったく気にしない
2chで罵倒批判いちゃもんがつかないのは珍しいことだし
読者が心に抱えていたとしてもわざわざそれを文字にして読ませてくれない方が俺はいいし
何より俺の心の中にある大河と竜児の世界を形に出来る方が楽しいのだ

31◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:39:43 ID:???
>必殺●持ち人
>4,5と代理投稿しておきました
ぎゃあ、ありがとうございます! 勇者さま。
改行までして頂いて、お世話になりました……<(_ _)>

32必殺●持ち人:2009/06/18(木) 01:40:02 ID:???
ちなみにこのスレッドのURLは
http://tigerxdragon.bbs.fc2.com/?act=reply&amp;tid=2283473
だぜ
こちらだとレス番号が表示されるのだ

>>28
いわゆる「2ちゃんねらー」な方々や自治厨が沸いて出てくるようなら
そのへんの状況は察して代理投稿は控えようとは思います
まあ文句投稿が出来ないように作品で埋め尽くしちまうって手も考えて
作品ストック考えてはいますがねフフフ

しかしつくづく不思議なスレだと思います
具体的にはほとんど文句言う人がいないんですよ
アニキャラ個別板の他のスレ見ると2ちゃんらしい叩きと煽りの応酬だったりするのに

何より自治厨があまり沸いてこないのがいい!
結局みんな大河と竜児が二人のラブラブな光景が好きだからなのかもしれません
だから感想の陰の側面「辛口批判レス」も自重されるのかもね

33◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:40:21 ID:???
>>31
ご配慮痛み入ります。まずは様子見でしょうか。

本スレはいいスレですよね。とらドラ!のSSリンクとかはまだ無いぽいので、
本スレとかまとめスレがすごく重要な拠点になっていると思います。

感想が……と言っても、私は他の方みたいに深いものは書いてないので、
GJとかそんな気軽な感じのレスに憧れているだけだったり。

最初の投稿後、まとめ人さんのレスがつくまでの間は半日ほど真っ暗な
気分だったのでw、それでも当初からノーリアクションも念頭には入れて
いたので、なにがあろうと毎日ひたすら投稿する覚悟ではいたんですが。

今は必殺●持ち人さんもいらっしゃるし、おかげさまで明日というか
今夜は気分も明るく続きをうpできそうです。本当に感謝してるんだぜ……。

34通りすがりのななしさん:2009/06/18(木) 01:40:43 ID:???
ん?避難所にうpしてから代理に頼むんですかい?
二度手間だからあっちに普通に投下したほうがいいと思うんだが…。
まぁなにかしらの事情があるのかね。とりあえず続きに超期待。全裸待機してる。

35通りすがりのななしさん:2009/06/18(木) 01:40:59 ID:???
アクセス禁止らしいからね。もし解除されればまた考えればいいさ。
というわけで、自分も応援してますよ、頑張って下さい。

36◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:41:17 ID:???
>>33
ここの最初の方にも書いたんですが、どうもOCNサーバの全面アク禁に
ひっかかってるようです。さすが2ch俺たちに出来ないことを平気で(ry
初めての書き込みすら本スレには出来ないという。閲覧は出来るんですが。

では、次から続きを投下します。6章から。

37◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:41:35 ID:???
  6

 唇が唇を、ついばみあうようなキス。
「竜児……」
「大河……って、おうっ?」
「うう〜っ!」
 大河はいきなりえぐえぐと泣き出したのだからたまらない。なんだなんだ? またやっちまったか俺? ここ、キスするところじゃなかったのか? 認めたくない若さゆえの過ちなのか? 坊やだからなのか? 竜児はあわてふためいてティッシュを出して、
「こわかったんだもんっ、私だってっ!」
「おうっ?!」
 大河はそんな竜児の首に抱きついてきたものだから、これでは涙も拭けやしない。大河の首筋からたち上る香にも似た匂いに、ずっとそこに鼻をうずめていたい欲望にかられながらも、竜児はなんとか大河にかけるべき言葉を探りあてる。
「そ、そうか、ごめんな……おまえもこわかったんだな」
「ちがうのっ!」
 わあもうわけがわからない。
「私があんな……すごくなって。竜児が引いちゃったんじゃないか、って……」
 こわかったの……と、大河の声の最後は消え入りそう。
 なるほどと、ようやく納得できた竜児はつい、苦笑して、
「ばーか」
 言ってやる。竜児の首筋に涙と鼻水を塗りたくっている大河の小さな頭を、正面に引き据えて。汗で張りついた前髪をわざわざよけてやってから、額で額をコツンとしてやる。
 涙で濡れた頬をぷくっとふくらませて、なにやら不服そうに上目遣いに睨んでくる大河の、
「ばかじゃないもん……あっ」
 左目の涙の跡にキスをする。
 右目の涙の跡にキスをする。
 そうして竜児は、ちょっと迷ってから、いちおう言ってみる。
「……なあ、鼻水もキスで拭いていいか?」
「やめてよ変態っ!」
「俺は変態で結構だよ。おまえにしか、しねえし」
 とはいえ当人の意思は尊重して、大河に鼻水だけはティッシュにちーんさせる。ちーんさせながら竜児は語りかける。
「……そりゃ俺だって驚いたさ。死んじまうんじゃないか、なんて一瞬思ったし。でも、べつに身体は大丈夫なんだろ?」
「うん、平気……」
「それで……大河は、その……気持ち、よかったんだろ?」
「う、うん……す、」
 すごく……と、大河はまた消え入りそうな声で。なんで不服そうなんだおまえは。
「愛しくてたまらなくなったよ、俺は」
 はっとして、大河は顔を上げる。
「ひょっとして竜児って、派手にイク娘が好み?」
「は、派手にって、おまえね……」
 派手に、イク。まったく予想だにしない言葉の組み合わせ。だけど、まあ、なるほど、大河のアレを、言い得て妙というか、たんに妙というか……あれ俺なんかちょっと感動的な告白をしたはずなのに、大河はなんか俺の隠された恥ずかしい性的嗜好について訊いてきているような……?

38◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:41:49 ID:???
「答えて! 竜児は、派手にイク娘が好みなの?」
「おう、そ、そうだな……まあ、ど、どちらかと言えば?」
「煮え切らない男ねあいかわらず……ま、いいわ。引こうが引かれまいが、つきあってもらうから。パンツ脱ごうっと」
 竜児の予想をはるかに越える急展開。これが手乗りタイガー、逢坂大河だ……てかちょっとまておい!
「おう、パ、パンツ?!」
「そこに反応するんだ。まあやらしい男」
 なにぼーっとしてんのよ、しっ、しっ……と、大河は片手をひらひら、本当に犬でも追い払うように竜児を下がらせて。ふたたびふとんを首まですっぽり。
「おう……」
「なによ。まさか目の前で脱ぐと思ったの? ほんとどうしようもないわねこのエロ犬は……」
 などと罵声も快調な大河は、うんしょうんしょとふとんの中でもぞもぞし始めた。
 やがで何かの仕掛けのように、竜児からは遠いほうのふとんの端が持ち上がって、そこから一応は丸められたパジャマが、ぽんと畳の上に転がり出る。これはぜひともたたみ直さねばと竜児の双眸が死兆星のごとく妖しく光る。たぶんその中には、大河の、パパパパンツがががが、とか思っているようで、実際にはやはりその中には大河のパパパパンツがががが……。
「じーっと見るんじゃないよこの目からエロビーム放射メイドっ! それに触ったら殺すからね」
「おうっ!?」
 叱られた。
「ねぇ竜児、そこ」
 と、大河はふとんから右手だけ出して竜児の方を指さす。
「おう、なんだ?」
 俺の背後でも指さしているのかと、首だけまわして振り返ろうとして、
「勃起してる」
「おう、なんだ勃起か。俺の後ろに今のところ勃起は無いよう……いやんっ!?」
 竜児は股間を隠して女体化した。
 大河が指さしていたのは竜児の股間、正確に言えば寝巻きがわりの膝丈短パンをひたすらに盛り上げ続けている、つまりなんというか手乗りドラゴンの方だった。
「見ないでっ」
 いまいち女体化が解けきれてない竜児に、大河は眇めた目つきでニヤニヤと、
「なーにを今さら。さっきからずっと見えてたんだよ、スケベな子だね……」
 隠さなくてもいいじゃないか、クックック……なんて、対抗するかのように声音まで低くしてエロオヤジ化。そういえば、大河を抱き起こしたあたりから、竜児はすっかり股間を隠すのを忘れていたのだった。それにしても、俺が女であいつが男で。ボクたち一体どうなっちゃうんだろう……なんて、竜児は大河との将来に新たな不安を見出しかねない勢いだったのだけれど。
 そんなふうに将来はおろか性別も見失いかけた竜児を、もう一度ちゃんと男に戻してくれるのは、それでもやっぱり大河なのだった。
「やだやだ竜児たら、そんなに勃起させて……私のこと、犯したくてたまらないのね?」
 犯すとか、そんな趣味はないはずの竜児なのに、その言葉に反応して股間はびんっと漲ってしまう。ずっと見ていたくなる恥ずかしそうな大河の可愛い顔が、ずっと聞いていたいその可愛い声がいけないのだ、と竜児は思う。そして、
「来て、竜児……犯して」
 そう、大河に、まっすぐに両手をさしのべられて、まっすぐに求めてこられては、竜児に抗えようはずもないではないか。
 こーいこい、ほれ、苦しゅうない、近う寄れ一休……と、ふとんをめくってぽんぽんと誘う大河は、どうやら今度は足利義満になっていたのだけれど。竜児は思わずにはいられない――
 おまえは追い出される虎の方じゃねえのかと。

39◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:42:03 ID:???
  7

 頬こそ赤らめている違いはあれど、大河のこの表情を竜児は知っている。ねぇ竜児、私いいもの見つけた!――これはそういう報告をする時の大河の顔。
 で、だ、
「こ、これくらい細ければ大丈夫かも!」
 ふとんの中、竜児の股間を手探りしていた大河が言った一言がこれ。
 細い細い細い細い細い細い……。
 ひっ、と、声にならない息を喉から漏らした竜児の脳裏に渦巻くのはそんなエコー。えもいわれぬショックのあまり古来まれという悲死も間近の竜児は、しかし、意識をブラックアウトさせるぎりぎり手前のところで気がついた。
 俺のが握られている感触が、無い。
「大河おまえ……何を握ってるんだ?」
「何って、やだ。竜児ったらどこまで超々々弩級ドドドドエロ戦艦なの。さすがの私もついていけるか心配だわ……うん、でも、私、ずっとついていくって決めたんだったね……竜児ったら、ほんとにえっちで、ひどいんだから……い、い、いいい言うぞオルァ! 覚悟して聞くがいいっ。わ、私がぁただいま握りましたるわあっ、りりゅりゅ竜児の、ち、ち、ちちち、ちん、ちん、んんん……んんんっ? んちっ?」
 インコちゃんになった大河がいいかげん可哀相だから言ってやる。
「お前の握っているのは高須棒だ」
「あらやだ。竜児の言葉責めってそういうマニアックな方向?」
「言葉責めじゃねえ。事実だ」
 そう言ってから竜児も、ふとんの奥に手を突っ込み、下だけはいてる自分の寝巻きのポケットに。
「えっ、竜児のって外せるの?!」
「外せるかボケ。いいかげんその手を離せ」
 ボケって言ったボケって言ったよフォ、フィアンセに今ボケってこいつ……などと、婚約後も快調な自分の罵倒は棚に上げ、イチゴミルク色の頬をぷくっとをふくらませ薔薇の蕾の唇もつんと突き出し、大河はぶつぶつと不平を漏らしている。
 そんな大河の目の前に、竜児はほれ、とふとんからそれを取り出し、
「高須棒」
 つきつける。誓って淫語などではなく、高須家特製掃除用具の方である。
 大河は大きな瞳も寄り目に、次いでジト……っと眇めて竜児を睨む。
「……なんでこんなもん持ってんのよ」
「おう、まだあるぞ?」
 てか暑ぃな、やっぱ……と竜児はひとりごちして、ふとんから出て身を起こす。ふとんに入っていたのはわずかな間だったのに、大河に裸に剥かれた上半身は汗でべっとり、下の短パンもトランクスごと湿ってなんだか気持ち悪い。それはともかくと竜児はポケットの中身を取り出す。
「これはさっきおまえにちーんさせたティッシュだろ? で、これは絆創膏。部屋でもどこでも傷を作るおまえの特殊能力用のキズパワーパッドだ。で、これがおまえの胃腸薬。三剤併合、夏の海からこのかた欠かせたことはねえ。頭痛薬も当然ある。おまえのアレルギーにはもちろんひっかからないから安心しろ。チーカマ。突然かつ謎のおまえの不機嫌の主原因ハラヘリ能力対策。真空パックで常温携帯も安心、3日たったら取り替えるつもりだが、たいがいその前におまえの胃袋に納まっている。まだあるな、これは……おうっ? どうした大河、なぜ急にしがみつく?」
「ぜんぶ出せ馬鹿」
 ポケットから竜児があれこれ出すさまを、みるみる顔を真っ赤に染め上げながらいまいましそうに睨んでいた大河は、唐突にふとんを跳ねのけて竜児の胸板に顔をうずめるように抱きつく。

40◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:42:20 ID:???
 大河の背中を流れるように隠す淡色の髪はふんわりと途中で左右に割れて、反って細くくびれたミルク色の腰の向こうには、ちいさいくせに女らしくぷるんと丸くて白い尻まで見えて。竜児の目は吸いついて離せなくなる。なぜか湧き出た強い罪悪感を梃子にして、竜児はなんとか視線を大河の尻からもぎ離し、ごまかしの声も上ずらせて。
「お、俺は汗かいちまったから、かっ、髪が濡れるぞ?」
「ほんと、竜児ったら汗でべたべた。気持ち悪い」
 ほんと、気持ち悪い……と、大事なことなので二回言いましたとでもいうのか、そのくせ大河は竜児の胸板にぺとぺとと頬擦りなんぞしてくる。竜児の見下ろす目にもわかるほどうっとり目蓋を伏せた、その時。
 不意に大河の瞳はかっと見開かれ、獲物を見つけた猛禽の眼になる。なぜまたそこで虎の本性が、とこちらは襲われる草食動物の気持ちになって、嫌な予感を抱いた竜児の見下ろす視線と、見上げる大河のらんらんと輝く瞳がばったり。大河はいらやしく、にやあり、と、
「獲物発見伝っ!」
「おうっ!? まさかそこは駄目ん……っ」
 親友直伝のアホ台詞とともに竜児の乳首をパクリ。ちゅーちゅー吸って、んべろんべろと小さな舌で大河は竜児の乳首を男のプライドごと乱暴に舐めたてる。そしてちゅぽんと音も高らかに口を離した大河は、
「やだやだしょっぱい」
 とまずは味の感想で軽くジャブ。続けざまに、遺憾にも勃起した竜児の乳首を眺めてストレートに一言、
「ほら、やっぱり黒レーズン……」
 そして仕上げはアッパー、見上げて、ニヤリと。
 ほんとうの悪魔がそこにいた。竜児が真珠とか言った仕返しなのだった。どっちが言葉責めが趣味なんだ……呆然と竜児は思う。何? 大河に舐められた俺の感想? ノーコメント。しいて言うなら、くやしい、でも感じちゃ……いねえよ! い、いないんだからねっ!
「ちくしょう……もう可愛いとか言ってやらねえ」
「えーっ!? これでおあいこなんだからいいじゃない」
「もう言わねえ」
「……じゃあいいもん、べつに……竜児ってほんと意地が悪い」
 意地が悪いなのはどっちだよ……と竜児は思わずにはいられないけれど。ぷくっと頬をふくらませて拗ねてみせる大河はやっぱりどうにも可愛い。言ってはやらないが。しかし、そうか。
 竜児に可愛いと言われて、やっぱり大河は嬉しかったのだ。大河の天邪鬼につきあって長い竜児には、そんな反応の裏もいいかげんお見通しで。なによりやっぱり、そのこと自体が竜児には嬉しくてならない。
「……やっぱり駄目。言って」
 そしてこれだ。今や大河はただ天邪鬼一辺倒ではなくて、素直におねだりさえしてくるのだ。これがまたなんとも凶悪に……凶悪だ。
「やめないで。やめちゃ嫌。言って、竜児、言って」
「……可愛いよ、おまえは」
「うん……っ」
 不意に大河は何かに耐えるように目蓋を閉じて、ふるふるっと、二たび三たび、震える。その震えもやがておさまり、そして。
 大河は潤みも新たにした星散る瞳で竜児を見上げる。えへへ、と泣きそうな顔で照れ笑いする。
「おかしいでしょ……? おかしいの、私の身体。竜児に可愛いって言われると、こうなるみたい……身体が勝手に反応しちゃうの。おへその下のあたりが、ずきん、って、なるの。ずきんって、甘くて、切なくて……切ないのに、何度も欲しくって……何度も欲しくなるの。えっちな身体……やんなっちゃう」
 変態さんだよね、これじゃあ、はは……なんて笑って、なのに大河は涙をぽろりとこぼす。
「竜児がいなくなったら、どうなっちゃうんだろ。竜児に可愛がられなくなったら、私、きっと……」

41◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:42:37 ID:???
「いなくならねえし、可愛がるのもやめねえ」
 馬鹿なことを言って泣いている大河の頭を抱きしめてやる。つむじまで愛しい娘の髪に鼻をうずめて竜児は、馬鹿なことを言ったのは俺じゃないかと悔やむ。やっぱり意地悪だったのは俺の方だと反省する。言ってはいけない残酷な冗談というものがあるのだと、また大河に教えられる。けれど竜児も、自虐をしゃぶって大河を見失うような馬鹿を重ねたりは、もうしないのだ。
「俺こそ、おまえの中毒になっちまいそうだよ、大河。可愛いくせにえっちとか、反則もんだぞ?」
 大河は顔を上げたけれど、そこに律儀なふるふるが来て、竜児にその時の表情を晒してしまったことにも気づかない様子で、
「……ほんとう? 中毒に、なってくれる?」
 哀願してくる。
「おう、てかもう、中毒、かもな」
「……ほんとう?」
 声を低くした大河はなんだか瞳まで眇めて、疑り深い。
「おう、本当だって。婚約者の言うこと、信じられないのか?」
 竜児はキメたつもりだったのだが。
「じゃあ証拠見せて」
「おう? 証拠?」
「これが証拠なんでしょ? 見せて」
 大河は竜児の胸板から身を起こし、下を指差して、これ、と。
「お、う、そ、れ」
 つまり、竜児の股間で布を盛り上げているそれが、これ。
「さっきからもう気になって仕方がないのよ。私がふるふるってしたら、竜児のここ、ぐっ、って、ふくらむの? 持ち上がるの? よくわかんないけどそんな」
 大河よりも顔を真っ赤にした竜児を、まっすぐ見つめて指摘する。
「みみみ見てたのか? て、てか、そうだよ、証拠つかんでんならもういいんじゃ」
「つかんでない。私まだ触ってもいないし」
「いやつかむってそうじゃなくてだから」
「見せて」
 まっすぐなご依頼に絶句した竜児は、
「見せて。婚約者の言うこと、聞けないの?」
 逆に大河にキメられてしまう。

42◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:42:52 ID:???
  8

 おまえに股間を見せる前に、言っておきたい事がある。かなり微妙な話もするが、俺の本音を聴いて
「……えいりあん?」
 ない。未来の夫婦の危機を避けるための、大事な大事な竜児の股間白宣言も、大河は「まだるっこしいっ」の一言で片付け、竜児の短パンをオルァと下げて、びょんとバネのように鎌首をもたげたそいつとご対面。大河は異星人と第三種接近遭遇するシガニー・ウィーバーになっていた。
「エイリアンじゃねえ」
 剥く時は剥く女、大河の行動にあっけにとられた竜児も、かろうじて事実だけは指摘する。実際のところ、エイリアンは男性器の形をモデルにデザインされたとかで、大河の見立てはわりと正鵠を射ていたのだが、そのことを、今はまだ、竜児も大河も知らない。だけどいつかは、きっと見つけられる。そういうふうになっている、映画の歴史は。
 大河は、おびえるでもなく、嫌がるでもなく、顔色こそ赤く変えたままだけれど、むしろ新しいペットと思わずご対面した子どものような目つきで竜児のナニを眺めている。というか近すぎて、ちょっと寄り目になっている。
 ともあれ無事に相棒を紹介できた、というか剥き出された竜児にしてみれば、ひと安心ではあった。
「まあ、エイリアン、でも。まあいいや、うん。ショックとか、引かれたり、馬鹿にされるなんてよりは、ずっとま……」
「無理」
「し……え? むり?」
「無理無理無理無理無理無理無理っ! 絶対絶対ずぅえええ――――――――っっっ、たいにっ、無理っ! この馬鹿変態洋ピンドスケベ淫獣教室っ! こんなっ! こんなこんなこんなモンであんたっ! ああああんた私を殺す気かあぁああぁ――――――――っっっ!」
 叫ぶ大河は両目もぎゅっとつぶって、淡色の髪もわっさわっさ、嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌っ、と首をぶんぶん振りたくる。存分に振りたくった後、大河はぴたりと止まって俯いて固まるのだからまた怖い。
 あああだから俺の股間白宣言を聴いておけ、と。いや聴いてもこれはどうにもならねえのか、と。竜児はまたも目の前が真っ暗。心の世界の車窓から、ひたすら広がる無限の闇を眺める旅人になりかける。今日はナニヲコイビトニメッチャキョヒラレからお送りいたします……なんて落ち着いた声のナレーションまで聞こえてくる。
「……なんて、言うと思った?」
 そんな意地悪大河の声まで聞こえてくる……あれこれリアル? と心のロケ地から現実へと帰ってきた竜児に。
 憎らしいほどの間をおいて顔を上げた大河は、ニヤリと。
 つまりはからかわれたのだった。意地悪な太陽の光で心の闇が追い払われるのが、竜児にはなんだかいまいましい。ああだけど、それなのに、
「おっきい、ね?」
 なんて照れながら言って、ふにゃんとした微笑みにかわる大河の上目遣いに、そんないまいましささえ吹き払われる竜児はいまや恋の奴隷だった。
「おう、そ、そうかな?」
「うん、おっきい……他の男のは知らない、けど……あいつの、しか」
 そう、大河は、最後にさも余計なものという感じで付け足した。
「あいつう!?」
 聞き捨てならないとはまさにこのことよと、竜児の凶眼がくわっと見開かれる。焼く、そのあいつをナニごとソレして焼き尽くし、ついでにこんな世界もアレして焼き尽くし、ただひとり三光の化身である我こそが殺し、焼き、奪い尽くすことを許されているのだと、大河を小脇にかかえて西の果ての至高の山頂から宣言するのだコレ! などと、紫光を猛り放つその双眸はここに来てついにドンピシャで竜児の思いを語りつくす。

43◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:43:07 ID:???
「やだ竜児、あれよ、その、バ……お父さん。子どものころ、お風呂で」
「おう、そうか俺ちょっとお前の親父を殺してくる」
「もう、りゅーじっ、たら!」
 もちろんそれは冗談で。冗談の冗談みたいなもので。
 本当に許すことはまだ出来ないとしても、それを冗談にすることはもう許せていて。
 そんなちょっぴり危うい賭けも二人でなら乗り越えられたのだから、今も二人はクスクスと笑いあえるのだった。
 そして竜児は自分のものに視線を落として、話を戻す。
「……そうだなあ、俺も、他のやつのは、この状態のは。比べあったことなんかねえし」
「そうだよね……あったら、いかがなものか、だもんね」
 比べあったらどういかがなのかはさておき。つまり大河の言うおっきいは、他の男のと比べた相対評価ではなくて。きっと、むしろ、大河の……。
「おっきいね……うん、竜児の」
 しげしげとそれを眺める大河の不思議と穏やかな視線が、愛情あるものであって欲しいと竜児は思う。とはいえ小柄で華奢な大河、頭も身体も小さな大河は、たぶんきっとそこも小さいはずで、だからやっぱり厳しいのではないか……などとも思い至って、竜児は複雑な気分になる。中断ということも、考えに入れるべきではないのか。
「裂けちゃうかも、私」
「おう、それは……やっぱり、今日は」
「あ、すごい。ちょっと小さくなったみたい。ふうん、デリケートなんだ……ウチの駄犬とは大違い」
「うるせえよ……って、え、ちょ、ちょっと待て。おまえ、口をすぼめて、なにする気だあひゃっ」
 大河は薔薇の唇を蕾のようにすぼめて、ふーっ、ふーっ、と竜児のそれに息を吹きかけてくるのだからたまらない。竜児も変な声を出してしまう。
「ちょっ、おまえっ、はおっ、ひっ、火を起こすんじゃ、ねえんっ、んっ、だからっ」
 しかし結局、やっぱりそれはある意味、火起こし、ではあった。
「あ、おっきくなったよ? ほら、竜児、ぐっ、ぐっ、って」
 なんて大河も嬉々として報告する。そして目蓋を伏せて、
「へえ、おっきくなると嬉しいんだ、私。不思議なものよね」
 独り言めいたことを言う。
「嬉しい、のか?」
「うん、嬉しい……竜児は、ふーっ、ってされると、気持ちいい?」
「おう? うん、まあ、たぶん……」
「ぐっぐっ、って、おっきくなると気持ちいい?」
「あーそれはだな……まあ、気持ちいいというか、切ないというか……」
「そっか、切なかったりもするんだ。なんかわかる、気がする。うん、まあ、でもわかったかも。竜児が気持ちいいから私も嬉しいんだね、きっと」
「大河……」
「やめないよ、私」
 大河はまぶしいほどにまっすぐに見つめてくる。
「だから竜児もやめるなんて言わないで。最後までして。ね、竜児……私にこれ、ちゃんとハメて。最後まで……して」
 ちいさな耳まで真っ赤にして、薔薇の唇をふるわせながら言いきる。大河の言葉に竜児は脳天まで痺れてしまう。
「……あっ、また、ぐぐってなった。やらしいったらないわ」
「やらしいって、おまえね……おまえのせいだぞ」
「私、裂けてもいい。竜児だったら」
 その言葉の怖さがそのまま愛になってあふれかえる。竜児はまた胸がいっぱいになって、その名を吐かずにはいられない。
「た、大河……」
「でもやっぱり裂けるのは嫌よね」
「た、大河……どっちなんだ?」
「竜児だって、嫌でしょ?」
「おう! そりゃもちろん」
 おまえが傷つくなんて嫌に決まってる。それが心だろうと身体だろうと。それは竜児のほんとうだった。
「だから拡げてね?」

44◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:43:26 ID:???
「おう! ……って、拡げ、る?」
「うん、拡げるの、竜児が」
「拡がる……のか?」
「らしいよ? じゃなきゃ……まあ、いいや。拡げて?」
「ひ、拡げるったって、何で……へぶっ!ぷおっ!」
 何か使えそうなものはないかと部屋の中を見回す竜児の頬に、大河は往復ビンタを見舞っていた。竜児は思わず涙目して頬を押さえる。
「なぜ二回……」
「馬鹿っ……指で拡げてよ、竜児の」
「おう、指って、この指でか?」
「その指に決まってるでしょ……あっ、ちょっと、や……っ!」
 目の前に差し出された竜児の指を見て、大河の身体が不意に跳ねる。薄い胸を両腕で抱えるようにして、困ったように眉根をひそめて瞳も眇め、ぶるっ、ぶるっ、と震える。
「りゅ、りゅうじの、すけべっ。こんな、私見て、興奮して、る、でしょ。ぐぐっ、って、おっきく、して……はあっ、やばい、目閉じよ……」
 いま襲ってきたら許さないからね……なんて言って、大河は目をつぶって、痙攣がおさまるのを待つ。口も閉じて、ふっ、ふっ、と鼻だけで喘ぎを漏らす。
 おまえ可愛いすぎるぞ……と、大河の様子を見ていた竜児はつい、そう呟きかけてあわてて自分の口を手でおさえる。ここに可愛いとか言うのは、追い打ちもいいところではないか。
 やがて震えもおさまったところで、大河が発した第一声は、
「というわけですよ」
 なぜか慇懃無礼に丁寧だった。
「おう……な、何がだ?」
「まあ、やられっぱなしなわけですよ」
「うん……うん?……うん」
「きっと私、竜児に拡げられてるうちに、もう駄目になると思うのね……そこでうなずくな」
 駄目になると思う、のあたりでつい竜児の股間がうなずくように反応してしまったのを、大河が叱る。叱るどころか、
「おう、すまん・んんんんんんんん――――っっっ!?」
 大河はいきなりそれを握っていた。
「ねえこれ触ってもいい?」
「しっかり握ってから言うなっ……おう……っ」
 返事をした竜児はもう必死だった。というのも、
「痛い?」
「い、いや、痛く、ない……その逆、だ」
 大河の右手に握られた竜児のそこからすさまじい快感が生じて、尾骨から脳天へとそれがひっきりなしに走りぬけるのだ。どうしてこんなに自分の手とは違うのかと竜児は驚きながらも、まともに目を開けているのも辛い。歯を食いしばらなければキモい喘ぎ声が出そうだった。
「その逆……じゃあ、気持ちいいんだ」
 大河が竜児の顔を覗き込む、ほほえむように瞳を細めたその表情は、いたずらを楽しんでいるようでもあり、そしてなにより、まだあまり見たことがないような優しさにも満ちていて。それがいっそう、たまらない恥ずかしさを催させて、つい竜児は目をそむけてしまう。
「竜児……可愛い」
「馬鹿っ、可愛くなんか、ねえっ! クソっ、仕返しなんか、しやがって……っ」
「仕返しなんかじゃないもん! ……ねぇ竜児、気持ちいい?」
 そう言って大河は、握ってゆるめてを繰り返してくる。
「うわっ、そんな……気持ちいい、ってか、すごいんだよ……大河、おまえの手、なんなんだ……クソっ」
 こらえきれず、竜児はとうとう目をぎゅっとつぶってしまう。
「私の手? 手は私、わりと普通だと思うんだけど……ちっちゃいけど……ねぇ、竜児?」
「な、なんだ、よ……っ」
「竜児の腰、くいくいしてる」

45◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:43:41 ID:???
「嘘っ!?」
 叫んで、竜児は目を開けて、愚かなことに自分の腰を見下ろして確認しようとする。当然、意識された腰は止まっていて、初めから動いてなかったかのようにしか見えない。
「やめちゃ駄目っ」
「動かして、たのか? 俺、腰」
 つい訊ねてみたものの、大河は真剣な面差し。とても辱めとも嘘とも思えない。しかし無意識に腰を使っていたなんて、そのこと自体が恥ずかしすぎた。竜児は血ものぼせて顔を熱くする。
「意識してなかったんだね」
「ああ、たぶん、勝手に……」
「ん。私も、そうだったもん。……馬鹿だな、私」
 言わなきゃよかった……と、声も消沈させて大河は悔いていた。しょんぼりと。
「気持ちいいと、腰が勝手にそうなるんでしょ? 竜児が気持ちいいの、私、とめちゃった……」
「そんな顔するな」
 恥ずかしさなんて、吹き飛んでいた。沈んだ大河をどうにかしたくて、ミルク色の頬を撫でてやる。親指で眉根を撫でて、悔いのひそみを消してやる。笑っておくれと微笑んで、頬に添えた手で導いてキスをする。大河が瞳を閉じる。
 もう一度キスをする。薔薇の蕾の唇を唇でついばむ。蕾はほぐれて、薄い小さな花びらのようになる。愛しくてまたついばむ。大河は瞳を閉じたまま、長い睫毛を美しく震わせている。
 そうしてそっと唇を離して、竜児は大河が瞳を開けるのを待つ。
 上手く出来ただろうか、と竜児は思う。キスなんて上手くなくたって、かまわなかった。ただ大河の笑顔が欲しいと、そう思う。大河は頬も桜色に、ゆっくりと瞳を開けて。
 竜児を見つけて、そして大河は微笑んでくれた。
 報われる。俺はおまえの喜びのために上手であればいい、と竜児は思う。大河の上手にさえ、俺はなれればいい。
 そして微笑んだ大河は、こうも言ってくれるのだ。
「竜児のキス、大好き……」
「おう……嬉しいよ、大河」
「ね、もういちど……」
 ねだる大河が瞳を閉じて備える前に、竜児はその唇にキスをする。大河が瞳を閉じるのを見て、今度は竜児も目蓋を閉じる。可愛いよ、と唇をついばむ。
 唇を逢わせたまま、大河の唇にそっと舌先をあてる。ふっ、と大河は可愛く鼻から興奮の息をもらす。唇の花弁がわずかに開いて、大河のちいさな舌が竜児の舌を迎えてくれる。高鳴る心臓が竜児の舌を震わせる。
 胸の真珠にしたように、大河の舌先をくるりと舐めてやる。大河の舌は逃げない。その手が竜児の性器をきつく握ってきて、快感が爆ぜて竜児の尾骨が震えてしまう。大河の可愛い舌を唇で吸いたてて、自分の舌にのせるようにして口の中に招き入れる。ちいさな舌を一生懸命に伸ばして大河が喘ぐ。
 大河の髪にくしけずるように指を入れて、細くて熱いうなじを抱き寄せる。大河の甘い舌を吸う。口の天井と舌で包むようにしてやる。境い目が溶けて消えた唇と唇の間で、大河の舌の裏側を舐め上げる。おまえの性器もこうして吸うんだよ、と竜児は思う。おまえの性器もこうして舐めるんだよ、と竜児は思う。応えるかのように大河は腰を跳ねさせる。
 竜児はそっと腰を使いだす。大河の手をおのれの性器で犯す。おまえの性器もこうして犯すんだよ、と竜児は思う。意識が快感を支配する。竜児は舌先を硬くして、大河のちいさな口に突き入れる。硬くした自分の舌を大河にしゃぶらせる。舌を伸ばして何度も突き入れる。おまえの性器もこうして犯すんだよ、と竜児は思う。

46◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:43:59 ID:???
「ふっ! ふっ!」
 ほら、きっと大河にも伝わっている。可愛い鼻息も荒くして、可愛く腰を何度も跳ねさせて。
「くうん……っ」
 虎なのに、子犬のように鳴く。とうとう口を離すように開けて、大河はわずかな隙間で喘ぐ。竜児はまだ大河のうなじを抱いて離さない。唇が触れるか触れないかのところで、竜児は大河の伸ばした舌を下から舐めあげる。大河は舌を嬲られるまま喘いで声を出す。
「はっ、はっ、えう……ら、らめ。らめぇ……っ」
 竜児は目を開けて、そしてようやく大河のうなじを解放してやる。離れ際に大河の舌先を舌先で舐める。わずかに開いた大河の薔薇の唇から、桜色の舌がのぞいたまま、震えて取り残される。
 大河は瞳を開けると、少し驚いたように目を見開いて竜児を見つめる。その瞳のはたからは甘い涙をぽろぽろとこぼして。大河は喘ぐことも、跳ねる腰もまだ止めることができない。
「ふうっ、ふうっ、りゅ、りゅうじ、ひどい……えっち……っ」
 きっ、と睨もうとするけれど、喘ぎに口を結ぶこともできない。
「そんなやさしい顔、したって、だめ、なんだから……私の、こうして舐めるぞ、って……私の、こうして犯すぞ、って……はあっ……竜児の、へんたいっ、えっちっ、スケベ犬……っ!」
 責めて、竜児を見つめるのにも疲れたのか、とうとう大河は震えながら俯いてしまう。
 そんな大河の様子を見て、さすがに竜児も反省しないではいられない。愛しさのあまりしたことだけれど、ちょっとやりすぎだったかと。その時。
「キラン……」
 俯いたまま、大河がつぶやく。嫌い? いや、きらん? きらん、てなんだと竜児は思う。なんだか嫌な予感がする。はたして大河は、
「真・獲物発見伝」
「わあちょっと待てそこはあほおぉおおぉぉん…………っっっ!」
 すっと獣の動きで身を伏せると、握った持ち手も変えて竜児のナニの先っぽに――
 ちゅううううううっ……っっっ!――強烈過ぎるキスをくれた。てかなんか吸われた……先に俺の性器が吸われたんだよ、と竜児は涙目で思う。
「ねぇ竜児っ、ここの先っぽなんか透明な蜜みたいの出てるの! キスしていい?」
「だから吸いきった後に訊くんじゃねえ!」

(この章おわり、9章につづく)

47◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:44:11 ID:???
今夜はここまでで。代理投稿の方、お世話になります。
スレ投稿に慣れたみなさんの改行センスを信じております<(_ _)>

しまった、名前欄にタイトル入れるの忘れてた……_ノ乙(、ン、)_
当然「竜虎並び寝る」の続きです。

>>34
ありがとうございます。励みになります。・゚・(ノ∀`)・゚・。

48◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:44:27 ID:???
もちろん代理投稿でなく、告知だけでも助かります。
おまかせいたします……。

49必殺●持ち人:2009/06/18(木) 01:44:50 ID:???
キテター
これからいろいろとなにやらしてくる

>>46-47
おぅ

50必殺●持ち人:2009/06/18(木) 01:45:12 ID:???
本日分投下してきました
編集してる際に読むんですが、今夜もなかなかの出来栄え
なんつーか初々しい二人がいいねぇ

51◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:45:28 ID:???
>>49
ありがとうございまーす! 改行のお手数も痛み入ります。
改行版を読むのは私にとっても新鮮です。充分満足しております。

感想もありがとうございます(゚∀゚)ええ、初々しい二人が奇跡を起こす物語ですw

よろしかったら代理投稿の際に、元はまとめサイトの避難所にある旨も、
添えてやって頂けるとありがたく……<(_ _)>

52◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:45:40 ID:???
>>33
>とりあえず続きに超期待。全裸待機してる。

あはーん。アク禁事情の説明ばかりしてお礼忘れてた。
ありがとうございまーす!

53手乗り名無し:2009/06/18(木) 01:47:19 ID:???
前スレいきなり満タンだったので立てました>まとめ人

54◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:47:40 ID:???
本スレ、やはり抵抗を感じる方も出てこられたようで……。
荒らすのは本意ではないし、次の9章は避けがたい言葉とかも出てくるので、
お言葉に甘えさせて頂いてきましたが、代理投稿はここまでで……。
まとめ人さん、必殺●持ち人さん、本当にありがとうございました。

でも続編投下の告知だけはお願いしたいと思います(ノ∀`)

55名前書かないと書けないのね:2009/06/18(木) 01:47:57 ID:???
まとめサイトの避難所にあることは
最初にまとめ人が投下されたときにその旨が書かれていますよ

いろいろありますが書き始めた以上はラストも期待しておりますので
どうかよろしくお願いいたします

って書いたらスレッド満タンかよオイ

告知だけでいいならそうしますハイ

56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 01:48:18 ID:???
エロパロスレにも竜児×大河の新風は必要だしな
でもこっちのまとめ人がすさまじく優秀だからなあ
作品ファイルごとにちゃんとタイトルタグは入れるし
センスいい作品名付けるし

57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 01:48:49 ID:???
>>54
あなたまで作品打ち切りになさったらどうなるかとヒヤヒヤものでしたよ
続けていただけるようでありがたいです

たぶん「彼の人」も作品自体は嫌いじゃないはずです
投下するスレッドが「彼の人」の中では間違ったところだったから、なんだと思いました

58◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:49:07 ID:???
前回、本スレでエロ是非論が持ち上がった際、ああこりゃ無理かな……と思って、
エロパロスレに投稿することも考えたんですよ。ところがそもそもOCNアク禁に
巻き込まれていて2ch自体に投稿できないことが判明_ノ乙(、ン、)_

しかもエロパロスレのまとめサイトにはこの避難所に相当するBBSとかが無く。

というわけでこの避難所に投稿した理由は、大河×竜児スレが大好きなことが一番、
もうひとつの理由は、エロパロスレやそちらのまとめサイトにすらも投稿できないから、
なのでした。

59高須家の名無しさん:2009/06/18(木) 01:49:20 ID:???
エロパロ板は一応2chとは別のサイト扱いなんだけどやっぱり駄目なのか

60◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:50:02 ID:???
本スレへの代理投稿は初め考えていなかったんですが、
そのお申し出を聞いた時のあまりの甘い響きにクラクラして気づけば全裸に(なってない
もちろん、それを決めたのは私なので、責任は私にあります。って別にどーにもできませんが、
代理投稿してくださったお二人は責めを負わないということで、よろしくお願いしたい……。

>>4
スレ満タン早いですねここ……。大丈夫です。最後まで書きます。
初投稿後の半日の暗黒ぶりにくらべたら太陽テカテカです。
みなさんがいるから。

告知、お世話になります。告知だけならさすがに許されると思いたいんですが。

>>5
そもそも2chに書き込めないので、この避難所が無ければ私たちをつなぐものは
どこにもないとゆー……。

>>6
ご心配おかけしました。大丈夫です。明日……てか今日の夜も続きをアップするので、
読みに来てやって下さいね。

SSでエロが嫌いという方がいるのもわかることなので、仕方ないことですね……。
私としては大竜のエロが書きたいというよりも、エロなのに大竜らしいSSが書きたい
という気持ちなんですが。そもそもエロのあるSSなんか書いたの初めてだし。
慰めてくださって、ありがとうございました。


本スレで下さった感想もすべて拝見しています。遠く?から、感謝を。
こちらに来ていただけたら、食べます。いえ、個別にレスさせて頂きます……。

61◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:50:12 ID:???
>>8
>エロパロ板は一応2chとは別のサイト扱いなんだけどやっぱり駄目なのか
おう、と思って一応、もう一度試してみました。駄目でした'`,、('∀`) '`,、

半永久的OCN全面アク禁スサマジス

62名無しさん@おっぱい。:2009/06/18(木) 01:50:32 ID:???
避難所が立っちゃった後にこんなこというのはアレだと思うんだけど
したらばで立てたら基本2chと同じ仕様だし専ブラも使えて便利だったのでは?

63名無しさん@おっぱい。:2009/06/18(木) 01:50:45 ID:???
実はわいわいカキコというのもありましてな
こっちは2chと同じ会社がやってるレンタル掲示板

64◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:51:04 ID:???
>>本スレ540
>いや・・・そのギシアン描写ありなんだ うん

さあ来いっ! このエデンの東へ!

65◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:51:25 ID:???
>>本スレ524
>>本スレ556前半

このガイドラインでの棲み分けに一票。
アク禁に巻き込まれて2ch住人になれない私ですが。

66名無しさん@おっぱい。:2009/06/18(木) 01:51:46 ID:???
◆eaLbsriOas氏が結構冷静でありがたい

67◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:52:10 ID:???
>>65
そんなあなたがありがたい(-∧-)

68◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:52:28 ID:???
お昼に来たあなたになごみのSSS。

・フラグ立て

「大河ぁ、今日は何食べたい?」
「ドラゴンの丸焼き」
「あー、ドラゴンは売ってねえなあ」
「あんたの丸焼きよ」
「おう、おまえに食わすモンがひとっつも無くなったらな。いいぞ、俺を食え」
「うぐ……やだやだやだ今日食べるの!」


・悪夢

 1回目。
「どうか、どうか一緒になって下さい! 一匹ぽっちじゃ生きられねえ、どうか俺と結婚して下さい!」
「仕方ない……あんたがそこまで言うんなら、やぶさかではないわねえ」

 3回目
「どうか、どうか一緒になって下さい! 一匹ぽっちじゃ生きられねえ、どうか俺と結婚して下さい!」
「し、仕方ないわね……ああああんたがそこまで言うんなら、やさ、やぶか、やぶさかではないわ!」

 18回目
「どうか、どうか一緒になって下さい! 一匹ぽっちじゃ生きられねえ、どうか俺と」
「結婚して、って言うんでしょ。私知ってる。ねえ、あんた本気なの? 私で、いいの……?」

 37回目
「どうか、どうか一緒になって下さい! 一匹ぽっちじゃ生きられ」
「私だって駄目だもん! あんたがいなくちゃ嫌なの……っ!」

 62回目
「どうか、どうか一緒になって下さ」
「いいわよ」

 63回目
「どうか、ど」
「よくてよ」

 83回目
「ど」
「うん!」

 ――なんなんだ、どんどん悪化している気がする。なぜだ……?
 今朝も口をあけて待機している大河に、「あーん」と手づから飯を与えながら、
 竜児はしきりに首をひねっていた。

69◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:52:41 ID:???
代理投稿可で。なごんでくれればいいのだけど……。

70名無しさん@おっぱい。:2009/06/18(木) 01:53:01 ID:???
せっかくですので代理投稿してみます。

71名無しさん@おっぱい。:2009/06/18(木) 01:53:14 ID:???
なごんだ
あんた天才

72◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:53:41 ID:???
>>70
ありがとうございます(゚∀゚)お手数おかけしました

>>71
なごんでいただけたのなら幸い。険悪な雰囲気押し流したい……

73◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:53:55 ID:???
遊園地いいよね……妄想ふくらむね……。

74◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:54:10 ID:???
なごみのSSS、3本立てで新避難所の方に投稿してきました。

大河×竜児ラブラブ妄想スレ 新避難所
http://jbbs.livedoor.jp/anime/7850/

75◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:54:23 ID:???
なんかぜんぜんむこうに人が流れてる感じがしない。
夕方じゃなくなっちゃうよ……。・゚・(ノД`)・゚・。

76◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:54:36 ID:???
「竜虎並び寝る」9章、新避難所に投稿しました。よろしくねっ

新避難所スレのURL
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/7850/1245088864/

77◇eaLbsriOas:2009/06/18(木) 01:54:57 ID:???
「竜児並び寝る」10章、新避難所に投下しました。よろしく<(_ _)>

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/7850/1245088864/37-42

78まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2009/06/18(木) 01:57:56 ID:???
とりあえず前の避難所のログを移しました。
手動は無理があったなこりゃ…

とりあえず全部移したと思う…

79◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/18(木) 02:14:49 ID:???
私、見てたの。まとめ人さんが、ログ移し頑張ってくれているところ……

というわけで、お疲れ様でした。ありがとうございます。
本スレに関わったすべてのSSを等しく大事になさる方なんでしょうけれど、
とりわけ、私にとっては、こうして平日にもかかわらず、
避難所の整備をして下さって、私のSSを大事にして下さって、
本当にありがとうございます。

おかげさまで、初投稿以来の環境の激変にも、ちゃんと
ついていけそうです。たぶん、きっと。

文体が艶っぽいのは、今まさにSSを書いている最中だからです。
そう、それだけ……それだけなの。

80まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2009/06/18(木) 02:28:34 ID:???
|w0´)ナズェミテルンディスー!!

81高須家の名無しさん:2009/06/18(木) 02:36:37 ID:???
おお、仕事終わって帰ってみたらもう続きできてたとは
>>79
GJです
なごませてもらいますたw

82高須家の名無しさん:2009/06/18(木) 12:42:38 ID:???
>>78
ごくろうさま
コピペは大変だな

>>79
おんにゃのこみたい

83◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/18(木) 14:00:54 ID:???
>>80
いや、たんに起きてて。そろそろかなーって。

>>81
ありがとう!
他の作家さんとかでにぎわうようになったら、なんとか2chな語りをマスターして、
埋もれるつもり。だけど。

>>82
女の子じゃないっ!

84高須家の名無しさん:2009/06/18(木) 18:29:40 ID:???
>>83
おっさんだ!

85◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/18(木) 20:05:02 ID:???
>>84
おっさん……そう、こんどお産なの。竜児の子なの……

86高須家の名無しさん:2009/06/18(木) 22:45:42 ID:???
>>85
経産婦だ!

87◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/06/18(木) 23:59:33 ID:???
>>86
そう、わりと最近名づけられた萌え要素なの……

88高須家の名無しさん:2009/06/19(金) 00:05:52 ID:???
>>87
   ノノノハヽ
    川?Vv?V) ねえよ!
  / U  つ ビシッ
  し'⌒∪

89高須家の名無しさん:2009/09/16(水) 14:33:15 ID:???
生理が?

90 ◆wVNPBvxl56:2009/10/29(木) 00:18:52 ID:ToaBLmBU
アク禁になっていました。私に死ねと。

91虎飛び出し注意(1/4) ◆wVNPBvxl56:2009/10/29(木) 00:23:25 ID:???
しかもsage忘れるという失態。
知らない方ははじめまして、覚えておられる方はご無沙汰しております。
虎注の人です。
気がつけば半年近く。
その間保管庫にサイトバレし、背中の痛みに唸り、pixivに逃避するなど色々ありました。
色々ありましたが虎注を終わらせるために帰ってまいりました。

*

 竜児はHRぎりぎりの時間になってから教室に戻ってきた。偏執的なまでに清掃された教室に、
どこか座りの悪い思いをしている教え子たちの間に流れる微妙な雰囲気を過敏に察知し、
ゆりちゃん☆先生(独身)は思わず尻込み、大人げなくビクビクしながら教卓に着いた。
怯える担任のHRもその後の授業も特に滞りはなかったが、竜児は授業が終わるたびに、
有無を言わせぬ早足で教室から姿を消すのだった。

「おおっと高須くん、そうは問屋が卸さねえ」

 それも昼休みまでの話だった。弁当片手にそそくさと教室を後にしかけた竜児を捕まえたのは、
(竜児にとっては)思いもよらぬことに実乃梨だった。

「あ、いや、俺は……」
「まあまあまあまあまあまあまあまあ……」

 意外な展開に虚を突かれた竜児はなすすべなくあれよあれよと席に着かされる。
 その席の横には既に大河が陣取っており、反対側に椅子を引っ張ってきた実乃梨がハアどっこいしょ!
 と腰を下ろしたことにより、竜児は逃げ道を失った。

「あんた何やってんの? 一人で食べる気だった? 便所飯?
 みじめだわね。哀れすぎて言葉もないわ。誰にいじめられてんの? ばかちーとか?」
「お前な……」

 いじめっ子がいるとしたらそれは大河だろう。
竜児の横目に映った大河は何事もなかったかのように弁当の包みを解き、内容に視線を走らせた。
 肉を探しているのだ。

「亜美ちゃんがいじめてるわけないじゃん。あんたじゃあるまいし、何が楽しくて……」

 どこからともなく姿を現した亜美は大河と実乃梨の間で小さくなっている竜児を見て、
にやあと嗜虐的な笑みを浮かべた。

「それとも、亜美ちゃんにいじめてほしい……?」
「……遠慮しとく」

 竜児は目を逸らそうとしたが、どちらを向いても誰かがいるので結局下を向いて小さくなった。

「ばかちーまで出てくるわけ? やめてよねややこしくなるから」
「そうだぜーあーみん、昼ドラだぜー」
「昼ドラって……あー」

 亜美はすっと目を細めて、ふふんと笑った。

「へーえ? そっか、そういうこと」
「何一人で分かってるんだお前は」

 不穏な笑顔の二人に挟まれて恨めしげに亜美を見上げる竜児。勿論知らぬは竜児ばかりなり。
やたらと挑発的な大河に抱きかけた妙な意識をごまかすためになるべく顔を合わせないようにしていたのに、
思わぬ加勢によって牛歩戦術も跡形なく、どのみち夕食時までの期限つき先送り作戦ではあったものの、
何ら心の準備もないまま竜児は矢面に立たされてしまったのだが、その思わぬ加勢が他ならぬ実乃梨だったり、
大河が昨夜のことをおくびにも出さない上、眠れぬ夜すがら考えても分からなかったことを、
ちらっと様子を見ただけの亜美に看破されてしまったりと、竜児の混乱は増すばかりであった。

92虎飛び出し注意(2/4) ◆wVNPBvxl56:2009/10/29(木) 00:24:34 ID:???
「え〜高須くんがバカだから分かんないだけじゃないのぉ?」

 まるっきりバカにしきった調子で竜児の鼻を弾くと、亜美は踵を返した。

「まあ、よかったんじゃない? 逃げ道がなくなって。
 実乃梨ちゃんもタイガーも、安心していいよ。亜美ちゃんそんなとこに割り込んだりしないから。
 でも……高須くんがどうしても逃げたいっていうんなら、匿ってあげてもいいけどね」

 その振り向きざまの意外に屈託のない笑顔はどういうわけか竜児の肌を粟立たせた。
これが魔性って奴か……感慨に浸るのも束の間、

「フム、あーみんめ中々やりますぞ?」
「ばかちーらしい姑息な手だわ」

 敵もさるもの、などと頭越しに会話されている竜児である。

「まっ、気を取り直してお昼にしよっかね!」

 自分の弁当箱を開ける実乃梨に倣い、竜児も蓋を取る。内容は当然大河のものと同じだが、
実乃梨はほうっ、とうっとり顔。

「た、高須くん! その美味そうに煮しまったがんもどきを……俺っちのから揚げ(冷凍)と……
 トレードしちゃくれまいか……」
「え、ああ、いいけど」
「みのりん! これ同じだから! 交換しよっ!」

 大河の箸が素早く竜児の目の前を往復し、自分のがんもどきとから揚げを入れ替えた。
入れ替えたが早いか、から揚げは大河の口の中に詰め込まれていた。してやられた表情の実乃梨を見て、
目を白黒させるばかりの竜児だった。
 またしても水面下で何かが起きている。よく分からないが何かが起きているのは確実だろう。
うめーちょーうめーよなんつーのおふくろのあじっていうのーと悶える実乃梨を見ているのは楽しかったし、
実乃梨と一緒にお昼を食べられるのは嬉しいのだが、山積する疑問のせいで素直に喜べない。
まず席順が気になる。今までは大体この三人の組み合わせでは、どのパターンでも竜児が中央に来ることはなかった。
必ず大河と実乃梨が隣あうからである。数1の問題だ。ところが今竜児は二人に挟まれている。両手に華である。
 見方によっては。
 次に実乃梨の態度が気になる。これまでは友達とはいっても大河越しの遠慮のようなものがそこはかとなく
感じられたものだが、全くなくなっている。高須くん高須くんと、大河抜きに話しかけてくるのだ。正直ドキドキする。
大河は大河でそんな実乃梨の態度を受け入れているようで、且つ竜児に対する態度といえば、
ちょっと竜児ねえ竜児こら竜児竜児竜児竜児と、こちらはもとより変わらない様子だ。ひとり竜児祭である。
口もとにご飯粒をつけていたり、すぐに何かこぼしそうになったりと、気になって実乃梨との会話も楽しめない。

93虎飛び出し注意(3/4) ◆wVNPBvxl56:2009/10/29(木) 00:25:16 ID:???
「こ……これは完全に大河の世話焼きが高須くんの生活習慣の中に組み込まれている……ッ、侮りがたし! 大河!」
「おう、すまん櫛枝、今何か言ったか? 大河がどうとか?」
「……い、いやぁ、こんな美味しいご飯を毎日食べられるなんて、大河は幸せものだなあ、ってね」
「そうそう。私もう一生台所に立たない気がする」
「いや、そこはお前、やれよ。ちょっとは」

 竜児は何か重要な発言をスルーした。もしやそんなのは日常茶飯事で言っていることなのだろうか。
そして二人ともすっかり麻痺してしまっていると。実乃梨は背中に冷たいものを感じた。
核心に触れないよう、特別なものを抱かないように一歩引いた位置から竜児に接していたときは分からなかったが、
いざ線の内側に入ってみると、二人と実乃梨との間にはもう一つ高い壁がそそり立っているように思えた。
この二人は二人で居ることに慣れきっていて、普通の異性同士ならどう見ても意味深長などころか、
完全アウトな言動に対しても何とも思わなくなっているのだ。それは……それはどうなんだろう。
竜児が大河を異性として見ていないかといえば、全くそうというわけではないだろう。
少なくとも異性に払うべきデリカシーは働かせていると思う。ただしそれは「それなり」な範囲で。
 大事なのはギャップだ――実乃梨は魚肉ソーセージにぐいっとフォークを突きたてた。
いわゆる捨て猫を拾う不良理論。終始異性として意識している相手の当然と、
意識していない相手が不意に見せるいつもと違った一面のギャップ、そのどちらに心動かされるかと言えば、
それは後者ではないだろうか。その点大河に対しては、実乃梨は一歩出遅れているのだ。
大河は幾ら見慣れたってとびっきり綺麗な女の子だ。傍若無人なようで性格だって結構かわいい。
そんな大河の見慣れた姿に不意に異性を見出すようなことがあったら、かなり心動かされるだろう。
 実乃梨ならきっと一撃でオチる。
 それを言ったらあたしも意外にいけるか? ギャップで――フォークの背でピーマンの内側の粒々を潰す。
実乃梨は自分がおかしなキャラであることは自覚していた。だからこそ竜児の好意は、いろんな意味で衝撃だったのだ。
この私を? 何で? ほんとに? 嘘だろ? 気づいてからしばらくは動揺して人に心配されたものだ。
靴の左右を間違えたり、靴の上に靴下を履こうとしたり、靴紐同士を結び合わせて転んだり。
こんな、大橋で変と言ったら誰もが真っ先にその名が挙げる櫛枝実乃梨を、家事万能成績優秀品行方正な完璧超人高須竜児が?
しかしそれは、変だけど好き、じゃなく変だから好きという可能性もあるわけで、変だけど女の子なのよ☆
というギャップで意外性を狙うことはできないかもしれないのだが。

「櫛枝?」

 よほど変な顔をしていたのか、竜児は実乃梨の顔を覗き込んでいた。
 パッと顔を上げる。

「……あ、はははは、大河ぁ、油断しちゃいけねえよ、高須くんってかなりの優良物件だぜ〜?
 ぜひ嫁にって引く手あまただと思うけどなあ。ウチにも一人ほしいくらい」
「へっ?」
「そんなことないもん。ね、竜児、私今日朝ごはんの食器ちゃんと洗ったんだよ」
「なにぃ!?」

 そんなこと、というのは「油断」にかかっているのだろうが、竜児は気づかなかったらしい。
別の言葉にひっかかって、咄嗟に大河の両手を掴み、裏表をかわるがわるチェックしている。

「嘘だろ、どこもケガしてないじゃねえか」
「失礼ね。洗いものくらいでケガなんかするわけないでしょ」

 言いつつ、お粥程度で手を包帯だらけにしたのは大河であったが。

94虎飛び出し注意(4/4) ◆wVNPBvxl56:2009/10/29(木) 00:25:55 ID:???
「……げっ、あんた何涙ぐんでんのよ!」
「……大河お前、やればできるんだなあ」
「同感だぜ高須くん! これで涙を拭きな……!」
「おう、すまねえ櫛枝」

 差し出されたハンカチを素直に受け取る竜児だったが、実乃梨は「やるな」と大河を見た。
いつの間にか竜児との会話は不敵に笑う大河を介したものに戻っている。このペースはかなり手強い。
 だからこそ、やってやろうじゃん、という気にもなるのだ。

「あ……ところでさ」

 早くも弁当を食べ終わらんとしている大河に、味わえよ、などと思いつつ、実乃梨。

「あのとき、高須くん、なんで大河と踊らなかったのさ。権利じゃん」

 竜児はしばしぽかんとして、おぅ、と漏らした。

「そういやそうだった……なんか忘れてたな、あのときは。レースに勝つことしか考えてなかったし……」
「おっ、妬けるねえ?」
「いやっ……だってあれは、まあ、なんだ、んん」

 何と、否定しないよこの人は。これは本格的に妬けてしまう。否定すると思ったのだ。
実際実乃梨は「そんなんじゃねえって」と頑張る竜児を、どこかで期待していた。

「権利っていや、櫛枝も一緒じゃねえか。同着一位なんだから権利ならお前にもあるだろ、なあ」

 と竜児はなぜか大河に話を振る。

「そいやそうだわ。なんで言ってくれなかったのよ! 私みのりんとなら踊りたかったのに! 使えない駄犬ね……」

 打てば響くように、一が十になって返ってくる。おいおいそんなこと言っちゃっていいのかい?
実乃梨は竜児の反応を窺って、フォークを取り落としかけた。そこには罵られて悦ぶ変態の顔が……
もとい、満更でもない苦笑いの竜児がいた。「これこれ」という感じ。人は痛みに慣れるというが、
それであえて辛い食べ物を楽しむように、罵られることに快感を覚えつつあるのだろうか。文化が違う。
と実乃梨は遠い目をしそうになり、自分も辛党で怖いもの好きであることを思い出す。こりゃあ中毒だね。

「なあ知ってるかい……コーヒーは文化的な飲み物らしいぜ……」
「何言ってんだ櫛枝。
 ……っつーか大河、お前あんとき北村と踊ってたじゃねえか」
「うえっ……!? だ、だってあれはその……」

 ごにょごにょ言葉尻を濁す大河に何を思ったか、竜児は北村の方を見た。
 北村はまさにランチジャーの仕切を食べようとしていた。

95 ◆wVNPBvxl56:2009/10/29(木) 00:31:33 ID:???
これまで挿絵をつけてまいりましたが、
正直本編より時間がかかるという本末転倒っぷりなので、
余裕のあるときだけにいたします。誰に求められているわけでもないですが。

挿絵ではありませんがツンデレ発言をする大河を置いておきますね。
ttp://sakuratan.ddo.jp/uploader/source/date120520.jpg

96まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2009/10/29(木) 01:26:41 ID:???
虎注キター!
お久しぶりです。続編お待ちしておりました!
挿絵の方も密かに楽しみにしてましたが、お忙しいみたいで残念です。
ああでも大河様のお言葉が身に沁みる!ありがたやーありがたやー

そしてこの感動を本スレに分け与えんが為代理投稿をしようとしたら
自分もアク禁で涙目。

チクショウ、最萌で大河支援とかしてたからか…?

97 ◆wVNPBvxl56:2009/10/29(木) 01:53:52 ID:???
まとめ人様!
ご無沙汰です。リンクありがとうございました。
今更ですが作者別インデックスに収録していただけるとは。望外の幸せです。

代理投稿、そういうのもあるのか! という感じですが。
しかしアク禁www
なんだかもうさっぱりです。
最萌の話は風の噂に聞きました。大河めでたいがですね。

98高須家の名無しさん:2009/10/29(木) 07:30:36 ID:???
おかえりなさい!

2chの方はvipperが何かやらかしたらしくて、大量の全鯖規制が発動してるようです。
斯く言う私も巻き込まれorz
あまりに件数が多すぎるんで2週間で時限解除するとかいう話もあるとか。

99高須家の名無しさん:2009/10/30(金) 04:45:00 ID:???
>>虎注の人

竜児祭てwそんなチャーハン祭みたいにww
みのりんとさわやかに張り合ってる感じがいいな楽しげで


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