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死亡者たちの酒場 二杯目

210寒いのでついやっちゃいました3/4:2009/10/23(金) 20:33:37 ID:sxxn9wRo
「!?」
 
突如、背後から抱きすくめられた。
肩越しに振り向くと、長い金髪が目に付いた。
 
「フ、フェイト!?」
「こんな所でじっとしてたら風邪引くよ。ほら、中に入ろう」
「……いいわよ、別に。心配してくれる人もいないし」
 
自分を気遣うフェイトに、つい憎まれ口を叩くアスカ。
そんなアスカに、フェイトは優しく語りかける。
 
「私じゃ駄目かな?」
「え?」
「私じゃ、アスカのお母さんの代わりにはなれない?」
「な、何言って……大体、あたしはあんたの娘を殺そうとしたのよ!!なのに、何でそんな事……」
 
「私もね……母さんに「お前はいらない子」って言われた事があるんだ」
「え……」
 
かつて、母の願いを叶える為悪事に手を染めた。
どんなに虐げられても、母に喜んで貰えるのなら苦にはならなかった。
だが、そんな彼女に突き付けられたのは、彼女が母の本当の娘を甦らせる為に作り出された「人形」だったという現実。
そして、彼女は母に捨てられ、全てを失った。
 
「でもね……こんな私にも、手を差し延べてくれる人がいたんだ」
「……それが、なのは?」
 
アスカの問いに、フェイトは無言で頷いた。
 
「あの時なのはが手を差し延べてくれなかったら、私は今こうして此処に居なかったと思う。なのはがいつも傍に居てくれたから、私は「私」で居られたんだ。だから、今度は私がアスカの傍に居てあげたいの」
 
他意も打算も悪意も無く。
優しく語りかけるフェイトの言葉を、アスカはただ無言で聞いていた。。
やがて、アスカが口を開く。
 
「あんたバカぁ?自分が今何歳が分かってんの?もしあたしがあんたの娘だったらあたしはあんたが何歳の頃の娘よ?違和感あり過ぎでしょうが」
「そ、そんなに変かな?」
「変、よ」
 
力強く断言するアスカ。
だが。
 
「……まあ、あんたがどうしてもって言うんなら……妹、にだったら、なってあげてもいいけど……って、何よその顔!!言っとくけど、ホントは嫌なんだからね!!あんたがどうしてもって言うから、仕方無くなんだからね!!分かった!?」
「うん、分かった」
 
耳まで真っ赤になりながらまくし立てるアスカに、フェイトは苦笑しながら頷く。
 
「ほら、早くお風呂入ろう?本当に風邪引いちゃうよ」
「あーもう、分かったわよ」
 
程なく、二人の姿は建物の中に消えた。




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