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死亡者たちの酒場 二杯目
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先程、女湯に設置されたモニターにて上映された光景が脳裏に浮かぶ。
いかにも悪人面の眼鏡女の手で、母と慕った女性……なのはと殺し合わされるヴィヴィオ。
なのはにより眼鏡女が倒された事で解放されるも、自らが「道具として作られた存在」である引け目からなのはを拒絶するヴィヴィオを、なのはは真正面から受け止める。
モニターの中で繰り広げられるその光景に、アスカはただ無言で見入っていた。
やがて物語は終わり、無言で女湯から出たアスカに声を掛ける人物がいた。
「彼女が強いのは、辛い時手を差し延べてくれる人がいたからだよ。だからこそ、悲しい別れを経て尚前に進む事が出来る」
振り向くと、死亡者達の酒場のマスターこと渚カヲルが女湯の入口に背を預け立っていた。
「君にもいた筈だよ?君が苦しい時、手を差し延べてくれた人が、ね」
それ以上、カヲルは何も言わなかった。
ただ、カヲルに背を向け温泉の中庭に出るアスカの後ろ姿を無言で見詰めていた。
いつしか、身体は冷え切っていた。
だが、アスカは中に戻る気にはなれなかった。
自分に、あの暖かい仲間達の輪に戻る資格が無いような気がして。
「分かってるわよ、それくらい……」
それは、先程のカヲルの言葉に対する答えか。
か細い呟きは、白く染まった息と共に夜空へと消えていった。
元の世界でも、この殺し合いの中でも、アスカには確かに救いの手が差し延べられていた。
それを振り払ったのはアスカ自身。
その結果、アスカは自業自得の死を迎えた。
「散々我が儘言って、好き放題やって、他人に迷惑掛けて、揚げ句の果てに死んでからも倉庫の片隅でプチこもりなんて、ホント笑っちゃうわ」
思わず自嘲の笑みを浮かべるアスカ。
だが、その表情は直後に込み上げたくしゃみであっさり崩れる。
「ぐすっ……流石に冷えてきたわね……」
鼻を擦りながら背後に目を向けると、冬樹が加持と共に男湯の方へ歩いていった。
先日、この死者スレに来たタママを加持の仇とばかりに徹底的にフルボッコにした事もあり、タママの友人でもある冬樹と今顔を合わせるのは気まずい。
「ったく、タイミング最悪なのよあんたは……」
悪いのが自分なのは分かっているのだが、つい悪態が口を突いて出る。
この際、風邪を引くのを覚悟で冬樹が温泉宿を出るまで待とうか……そう考えた時だった。
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