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仮投下スレ2
380
:
決着! 復讐の終わり
◆5xPP7aGpCE
:2009/06/30(火) 02:05:56 ID:HUBhMMTs
それは爆弾並みの爆発だった。
落雷の様な轟音と同時に鉄骨鉄筋コンクリートのデパートが突き上げる様に揺さぶられる。
地階防犯カメラの映像は全てが砂嵐に変わり監視パネル一面に赤いランプが点灯した。
『こちらはまあまあ上手くいったな、彼はタフだから安心は出来ないがね』
アプトムとネブラは単純に元栓を開放しただけではない、爆発を発生させその威力を高める為にいくつかの工作を行っていた。
一つは建物の空調を停止させガスが排気されないようにした事。
二つは防犯シャッターを下ろして地階を密閉空間と化していた事。
三つはスプリンクラー等の消火設備が作動しない様にしていた事。
四つはデパートへの途中で発見したガスボンペをゼクトールと同時に運び込んでいた事。
結果大量のガスが短時間で充満した、そして消火設備も働かない以上階層全域が燃え続ける。
爆発だけでゼクトールが死ぬとはアプトムも期待していない。
爆発、熱、酸欠、有毒ガスの災害コンプレックスと呼ぶべき大火災を作り出して包み込む。
結果死なずとも体力を削り弱体化させられれば御の字だ、煙に紛れて隙を付く。
今度は躊躇無くゼクトールの命を奪う。
「出るぞネブラ、この建物はもう終わりだ」
アプトムは荷物を持って立ち上がる。
地階以外の防犯カメラには既に炎と煙で充満する各階が映し出されていた。
これもまた決裂への備えだった、放送前に着火した衣料品売り場の火災は既に上階の家具売り場まで及んでいた。
目的は煙と炎のバリケード、化学繊維の燃焼は大量の有毒ガスをフロア一面に撒き散らしていた。
だが上階の保安室にまでその煙は届かない。
何枚もの防火防犯シャッターで侵入を阻み、予め開放しておいた窓が煙突の役目を担って保安室を避ける排煙ルートを確保していた。
もちろん限界はある、建物全体が煙に包まれればやがて全ての空間に有毒ガスが侵入する。
だからその前に脱出するのだ、アプトムが保安室を出るとすぐ屋上に向かう階段が目の前に現れる。
このデパートは最上階が従業員の更衣室や休憩室、、機械室、保安室に割り当てられていたのだ、これもまたネブラに教えられた事だった。
しかし客向けの案内図をいくら眺めてもそのような情報は載っていない、ゼクトールが迷っている間にアプトムは遠くへと逃げられる。
屋上に出た途端ムンとした熱気がアプトムの全身を包む。
今しがた発生した火災によるものだけでてはない、市街地の大火も既にデパートに到達する寸前であったのだ。
時間が無いと見て取るやネブラが翼を広げ大きく羽ばたきだす。
火災の副産物ともいえる上昇気流に乗ってアプトムが空の人となったその時だった。
炎の全身を侵食され猛烈に煙を噴き出すデパートの奥底、爆炎に隅々まで舐め尽された筈の地階。
そこから、超高エネルギー粒子が空へ向け真っ直ぐ建物を貫いた―――
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