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仮投下スレ2

254 ◆5xPP7aGpCE:2009/06/03(水) 03:38:48 ID:BWzY8uBA



ウォーズマンがこれ程怒りを感じたのは長い人生の中でも初めてだった。
キョンに対する怒り、それに劣らぬ自らへの怒り。
すぐキョンを追おうとした、しかし三歩も進まないうちに小さな少女の悲鳴に引き止められた。

『ウォーズマンさん! スバルが! スバルがーっ!!』

広がる血だまりを見ればどちらを優先するべきかは明らかだった。
リインは何度も魔法をかけ続けていた、ウォーズマンもすぐ救命措置を取ったがスバルの状態は酷すぎた。

胴体が半分以上切断されていた。
その出血量だけでも致命傷は明らかだった、例え戦闘機人だとしても。

いかに魔法として失った血液までは戻らない。
休息にスバルの身体から体温が失われてゆくのを感じて二人は絶叫した。

「スバル! 必ずお前を助ける! だから諦めるな!」
『一緒に帰るですぅ! スバルだってまたギンガ達に会いたくは無いですかぁ!』

光が失われつつあるスバルの瞳がゆっくりと動いた。
そして普段の彼女からは考えられないような微かな声が喉から聞こえた。

「おね……がいです。キョ……ン……くんを…ゆ…る……して……あげ……て」
『こんな時に何言ってるんですかぁ! スバルは……スバルは本当に甘すぎるですぅ!』

泣きながら叫ぶリインに対し、スバルの目は確かに笑っていた。
何があろうと理想を貫かんとする少女の意思が其処に込められていた。
ウォーズマンはそれに答える事ができずただしっかりとスバルの腕を握り締めていた。

「ギン姉のこ……と……お願い……します。 それ……と、わ……たしの……くび…わ……を……つかっ……て」
『リインは嫌ですぅ! スバルが自分でやらなくてどうすんですぅ……ぅぅ』

ポロポロとリインの涙がスバルの顔に落ちた。
わかっている、スバルはもう助からない。

『スバルはそれでいいんですかぁ!! こんな所で死んで満足なんですかぁ!!』

それでもリインは認めたくなかった。
スバルはこんなところで倒れていい存在なんかじゃない、奇跡があるのなら今起こるべきだと。

「……い、や」

泣いて縋り付く上司の想いは届いたのだろうか、笑っていた筈のスバルがそんな声があふれ出た。
ウォーズマンの腕が握られる。
スバルの双眸からその名前を思わせる光の玉が落ちてゆく。


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