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仮投下スレ2

1 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:32:18 ID:SF0f54Dw
SS投下時に本スレが使えないときや
規制を食らったときなど
ここを使ってください

2 勝利か? 土下座か?(中編)  ◆gAZmQu0Bos :2009/05/15(金) 20:35:01 ID:SF0f54Dw


 ……ん、どこだ、ここは?
 ……おい。もしかしてまたあれか。夢の中か。
 冗談じゃない。またもう1人の俺とご対面か。
 もう二度とあんな夢は御免だ。こりごりだ。早く起きないと――

「……キョン。……キョン! 起きなさいよ、キョン!」

 なんだ? ハルヒの声……か? 
 そういやこんな状況が前にもあったな。夜寝てたらいきなりハルヒに起こされて、しかも場所は学校で……

「いいかげんに、起きろーーーっ!!」
「うわっ! なんだ! 耳元ででかい声出すんじゃない!」

 俺が目を覚ますと、そこは見慣れたSOS団の部室だった。
 俺はいつもの席に座ってうたた寝でもしていたらしい。状況から見てたぶん放課後だろうか。
 横を見るとハルヒが仁王立ちで腕を組み、目を吊り上げて俺を睨んでいた。
 おいおい、そんなに怒る事無いだろう。俺にだって考えがあってやってる事なんだ。
 ん? 考え? 俺が何をやってるって?

「何言ってんのよ! ようやくあんたを捕まえたんだからさっさとしなさいよ!
 たぶんあんたがここにいられる時間そんなにないわよ?」
「ようやく捕まえたって何だ? ここに居られるって……
 いよいよ生徒会か先生たちが動いて、この部屋を追い出される事にでもなったのか?」

 そこまで言って俺は自分で気がついた。
 俺はさっきまで殺し合いをするという島にいて、ウォーズマンとかいうまっくろくろすけと戦っていたはずだ。

 ……いや、そんなバカな事ってあるか? 冷静に考えてあっちが夢だろう。
 なんだ、夢か。ひどい夢を見たものだ。よりによって俺がハルヒを……

「夢のわけがないだろう!!!」
「うわっ! ど、どうしたのよいきなり! 時間ないんだから手こずらせないでよ!」
「これは夢なんだろう? ハルヒ!
 俺は……俺はお前を……お前を……っ!!」

 夢の中だってのに必死にすがりついたハルヒの肩はやわらかく、温かかった。
 それなのに俺の手は震えが止まらず、心臓の鼓動はやけに速く感じるのに体は冷たい。
 なんだこれは。俺はどうなっちまったんだ。ハルヒ。俺は一体……

3 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:35:39 ID:SF0f54Dw

 空間がゆがむ。ぼやける。なんだ、やっぱりこっちが夢か。
 そうか。俺はハルヒを殺した事を忘れようとしてこんな都合のいい夢を……

「キョン! 歯ぁ食いしばれぇーーーッ!!!」
「ごふぅーーーーーっ!!」

 ハルヒのヤツがいきなりアッパーかまして来やがった。
 歯を食いしばれってお前、殴るのと同時に言ったら間に合わないだろ。相変わらず無茶苦茶なヤツだ。

「ちょっと落ち着きなさいよ! 古泉君はすぐに納得してくれたのに、あんたと来たら!
 いいからあたしの話を聞く! わかった!?」

 きれいにアゴを殴られて腰が抜けて床に座り込んだ俺に、人差し指を突きつけてハルヒが言った。
 なんだこの夢は。最近の夢は本人の意図を無視してツッコミ入れてくるのか?
 あと、何でもいいけど人を指差すな。

「いい? キョン! あんたがやってることは全然あたしのためになんかならないからね!
 あたしを理由にして人殺しなんて冗談じゃないわ!」

 ああ、ハルヒが言いそうなセリフだな。
 こんな夢を見て、俺はハルヒを殺した罪から逃れて自由になろうと……

「ちょっと聞いてんの? キョン!
 あたしがあんたに願うことがあるとしたら、元のままのあんたで居て欲しいって、ただそれだけよ!
 あんたに人殺しなんて似合わないしガラじゃないってわかってるんでしょ!
 あたしだってそんなあんたより普通にしてるあんたの方が……」
「方が……どうした?」

 なんだよ。途中まで言いかけてやめるなよ。気になるだろう。
 いや、夢なんだから俺がそうしてるのか。一体どういうつもりだ、俺の深層意識。
 早くハルヒに続きを言わせろ。

4 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:36:09 ID:SF0f54Dw

「と、とにかく! 罪を償うとか馬鹿な事考えるんじゃないわよ?
 まったく、全然、ちっともあたしはそんなこと望んでないんだからね!」

 ハルヒは顔を赤くしてそう言った。
 なんだこれ。俺はハルヒに「普通にしてるあんたの方が好き」とでも言わせるつもりだったのか。ツンデレか。
 俺にとってハルヒはそんなキャラだったのか。
 自分で言うのもなんだが、それはどうなんだ、俺。
 こんな夢見たとは死んでも言えんな。言う相手ももう居ないだろうけどな。

「……あんた、さっきからずっと何か変な事考えてない?
 まさかこれは夢だから自分に都合のいい事をあたしに言わせてるとか、そんな事考えてるんじゃないでしょうね?」

 ハルヒはそう言って疑いの目で俺を見た。
 しかしさすが俺の夢だ。ピンポイントに俺の考えを言い当ててきやがる。

「そりゃあ思うだろう。俺にだってそのぐらいの事はわかるさ。
 亡くなった人間が夢枕に立つって話は知ってるが、そんな非現実的な事を信じるほど俺も子供じゃ……」

 非現実的? しかし俺の周りは宇宙人や未来人や超能力者といった非現実的な連中だらけだったじゃないか。
 ましてやハルヒはその中心人物。夢枕に立つぐらいの事があってもおかしくないんじゃないか?
 いや、しかしいくらなんでもそんな都合のいい事が……

「いいから信じなさい! 命令よ!
 あたしはあんたに殺された事なんか別に怒ってないの!
 そりゃあ死にたくはなかったけど、それを言うとヴィヴィオちゃんもかわいそうだし、事故だと思う事にしたのよ。
 それより問題はあんたが殺し合いに乗ってるって事よ!
 そもそもあんたがヴィヴィオちゃんに襲いかかったりしなきゃこんな事にならなかったのよ?
 そこに責任感じなさいよ!」
「そ……それは……しかし殺し合いに乗る以外、SOS団のみんなや俺の妹や朝倉を生きたまま戻す方法なんてないだろ!」
「有希はどうするつもりよ?」

 ハルヒは俺を睨んでそう言った。
 俺は頭が真っ白になった。どうするだって? どうする? どうすればいいんだ?

5 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:36:52 ID:SF0f54Dw

「ど……どうするも何も、あいつは主催者の側なんだからどうとでもするだろ!」
「あんたは有希が望んであんな事してると思ってんの?」
「あ……う……」

 答えられなかった。そりゃあ俺だって長門があんな事を望んでするとは思ってなかったさ。
 だからおそらくあいつの上にいる情報統合思念体がそういう命令を下したんだろう。
 あいつ自身はどちらかと言えば俺たちの味方だったはずだ。
 いや、俺がそう思いたいだけだろうか。しょせんあいつは俺たちを、いや、ハルヒを観察する観察者……
 観察者。そうだよ。長門は俺たちを観察してるんだ。だったら……

「わかったぞ。長門はきっとみんなを生き返らせるつもりなんだ。
 ハルヒ、お前だって生き返る。みんな生き返るんだ。口ではあんな事言ってたが、それは観察のためだ」
「何よ、観察って?」
「お前も俺の夢なんだからわかるだろう? 長門はこの状況を観察してるんだよ。
 欲しいのはそのデータだけだ。全部終わったら元通りにする。そうだ。そうに違いない」
「ちょっと! そもそも有希がみんなを生き返らせるって、そんなこと出来ると思ってるの?」
「できるさ! 本人たちが出来ると言ってるんだ。きっと出来る」
「あんた、ちょっと落ち着きなさいよ。あたしが言いたいのはそんな事じゃなくて……
 ねえ、聞きなさいってば!」

 ハルヒは長門の力を知らないからな。何を言っても無駄だろう。放置しとこう。
 そうだ。草壁のおっさんだってその気ならみんな生き返らせるぐらいできそうな口ぶりだったしな。
 きっとそうに違いないぞ。

 でも、長門はハルヒの観察者なんだから、ハルヒが死んだらこの殺し合いに意味はないんじゃないだろうか。
 そんな思いも浮かぶが、それは……その答えは……
 そうか! それなら説明がつく。

6 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:37:25 ID:SF0f54Dw

「もしかしたらお前は本当に死んでも消えてないのかもな。
 だとしたら殺し合いが続いてる理由もわかる。そうだとしたら俺のやることは決まってる。
 一刻も早くこの殺し合いを終わらせなきゃならん。そうだ。そうしよう」

 ハルヒが消えていないなら情報爆発とやらも起こる可能性がある。
 だから殺し合いが続いてるんだ。実験続行ってわけだな。

「ちょ、ちょっとどうしたの? キョン。
 そりゃ、殺し合いを終わらせるのはいいけど、あんた何か変よ?」

 ハルヒが何か言ってるが、あいつには何も知らせない方がいい。長門もそう望んでいるだろう。
 俺はただこの殺し合いをさっさと終わらせて、元の世界に早く帰れるようにすればいいんだ。
 そうさ。何も俺が殺して回る必要はない。殺し合いをスムーズに進める手伝いをすればいい。
 そうだ。それがいい。そして俺たちは元の生活に戻るんだ……

「こら、キョン! あたしの言ったこと本当にわかってんの!? ねえ!」

 まったく、死んでもうるさいヤツだ。
 いいから大人しく待ってろ、なるべく早く殺し合いを終わらせてやるから。
 そう。なるべく早く、全員が死ぬように頑張るから――

7 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:38:05 ID:SF0f54Dw





「う……ぐわあぁああぁあーーーーっ!!」

 目が覚めた時、俺はウォーズマンにわけのわからない関節技を極められていた。
 ガイバーになったって痛みがなくなるわけでも関節が自由に曲がるわけでもない。
 つまり、めちゃくちゃ痛かった。

「むっ!? キョン! 目が覚めたのか!」
「な……なんだ……こりゃあ! うわあぁっ!!」

 さらにまずい事に、俺はなぜか空中に浮かんでいたらしい。
 それなのに、状況がわからない俺は思わず重力制御球をストップさせてしまった。
 結果的に俺と背中に乗っているウォーズマンは落下する。

「うおっ……うっぎゃあああぁあぁああーーーーっ!!!」

 落ちた高さは1メートルほどだったが、ウォーズマンを背負って腕を極められたまま着地したのがまずかった。
 ウォーズマンの全体重が俺の腕関節や腰や脚を襲い、全身が悲鳴を上げる。
 痛いってレベルじゃねーぞ。俺がガイバーじゃなかったら即死だった。

『ああーーっ。あいつ目が覚めたみたいですぅ!』
「よかった。キョンくん! 早くギブアップした方がいいよー!」

 檻の外で観客と化した2人が何か言ってやがる。
 そうだった、俺はウォーズマンと戦ってる最中に気絶してたんだ。
 それで俺が気絶してる間にこの有様ってわけか。
 いや、おかしいだろ。普通気絶したらそこで試合終了じゃないのか?

「き……気絶してる間に関節技極めるなんて、お前それでも正義の味方か!」
「何を言っている。お前が気を失っている間も、お前は戦い続けていたんだぞ。
 もっとも、お前自身よりよほど手強かったがな」

 俺の腕を締め上げながら背中でウォーズマンがそう言った。
 どういう事だ? 俺は無意識でも戦う武術の達人にでもなったのか?

8 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:38:43 ID:SF0f54Dw

「これは予想だけど、キョン君のその鎧が勝手に戦ってたみたいだよー!」
『その状態になってもギブアップしないからどうしようかと相談していたですよー!』
「……そう言うことだ。いっそのこと腕をへし折ろうかとも思っていたところだぞ?」

 思うな! 恐ろしいことを考えるやつだな。
 しかし痛い。これは痛い。やばいって。腕がもげそうだ!
 小学生が真似したらどうするんだ。下手に真似できてしまいそうなところがまた危険だ。
 いっそ相手を逆さまに持ち上げてジャンプするぐらい荒唐無稽なら真似もできないだろうに。

「ぐおおおぉおお! わ、わかった! ギブアップ! ギブアップだ!」

 だが、ウォーズマンはなかなか技を解かない。くそ、やっぱり俺を痛めつけようって魂胆か。

「お前が改心して殺し合いをやめると約束するまで、技を解くわけにはいかんな。どうだ、反省したか?」
「わかった! わかったから! 反省した! もう殺し合いなんかに乗らない!
 約束するから勘弁してくれ!」
「ふむ、どうかな? 口だけなら何とでも言えるが」
「ぐわああぁぁあーーーー!」

 ウォーズマンのヤツ、この期に及んでさらに腕をひねり上げて来やがった。
 何するんだこの野郎! お前本当にやめる気あんのか! このサディストめ!
 しかし、この状況では下手に出るしかない。どうせプライドなんかとうに捨てた俺だ。構うもんか。

「わ、わかりましたァーーッ!! 私キョンめは深く反省し、殺し合いにはもう乗らないと誓いますーーっ!!
 これからは心を入れ替えて、皆様のお手伝いをさせていただきたいと存じ上げますーーーっ!!」
「……ウォーズマンさん。もうそれぐらいで許してあげてもいいんじゃないですか?」

 恥を捨てた甲斐あって、スバルが同情したらしく、助け船を出してくれた。
 相変わらず安っぽい同情だ。まあ、おかげで助かったけど。

「うむ。これぐらいやっておけば少しは懲りただろう。
 審判。これで試合は終了だ。文句はないな」

 俺からは見えないが、長門はウォーズマンの言葉を了承したらしく、ウォーズマンの技が解かれ、俺は自由になった。
 自由になってから改めて見ると、長門が『試合終了。勝者、ウォーズマン』と書いたプラカードを掲げていた。
 それとほぼ同時に檻の出入り口が開き、スバルたちが入ってくる。

9 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:39:25 ID:SF0f54Dw

『ウォーズマンさん、お怪我はありませんかぁ?』
「ああ。最後の力比べで体が疲れているぐらいで、外傷は無い」
『無事で何よりです〜』

 ちっこいのとウォーズマンがそんな会話をしている。
 そしてスバルはおれの方へ来て、膝をついて俺の怪我を確認し始めた。

「この鎧着てるからよくわかんないけど、大丈夫?
 でも、これで少しは懲りたでしょう?」

 何を言ってやがる。不良少年を教育する青春ドラマじゃあるまいし。
 俺はちっとも改心なんかしてないんだよ。この偽善者どもめ。
 しかし、俺はガイバーで顔が見えないのをいいことに、殊勝な振りをする。

「ああ。俺はどうかしていたんだと思うよ。やっぱり人殺しなんて許される事じゃないよな。
 こんな所に連れてこられて、こんな力を手に入れて、俺は気が動転していたのかもしれない」
「…………ふーーーん」

 な、なんだスバル、その疑いの目は。人が下手に出てやってるって言うのに。

『いくら何でも急に変わりすぎって気がします〜
 この人がそんなにあっさり心を入れ替えるとは考えにくいですよ〜?』

 くそ! こいつまで余計な事を言い出しやがって!
 しかしさすがにあれだけ頑なにこいつらを拒絶し続けて、いきなり手のひら返したらリアリティが無いか。
 だったらもうこれぐらいしかない!

「す、すまん!! 確かに俺は心から改心したとは言わない!
 でも、もうお前たちに何かをしようなんて事は思ってないんだ。これだけは信じてくれ!
 俺も迷ってるんだ。どうしたらいいのかわからないんだ。
 でも、お前たちが道を示してくれるなら、俺もそれを信じられるかもしれない。
 だから、どうか俺を許してくれ! この通りだ!」

 俺は最後の手段、土下座を使った。
 ここまですればきっとお人好しのこいつらは俺を許すだろう。
 完全に許さなくても、捕虜扱いで命までは取らない。
 そう、どのみちこいつらに俺を殺す気は無いんだ。要は納得する材料を与えてやればそれでいい。

10 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:40:00 ID:SF0f54Dw

『なんだか調子いいですぅ』
「まあそう言うな、リイン。こいつも一応は懲りて反省したのだろう。
 あまり信用はできないが、この辺で勘弁してやろう」

 よーし。計算通りだ。スバルもこれで……おいおい、なんだよ。あんまり近くでじーっと見るなよ。
 いくらガイバー着てたって女の子に見つめられたら恥ずかしいだろ。
 そう思って戸惑う俺に、スバルはこんな事を言ってきやがった。

「君が本当に改心したかどうかは私にはわからないよ。
 でも、これだけは覚えておいて。
 君が何度道を間違えても、私たちがかならず引き戻す。
 そして、きっと私たちが君を、みんなを元の世界に戻してあげるから。
 私の力は小さくて、信じられないかもしれないけれど、私はずっとそのつもりで居るから。
 今は信じなくてもいいから。それだけは覚えていてね」

 ……なんてヤツだ。こいつは一度は俺とナーガのおっさんに叩きのめされたじゃないか。
 それなのに、なんでこうまで戦えるんだ。なんで前向きなんだ。
 なんで……俺に笑いかけるんだ……

 いかん、ウォーズマンに負けたせいで気が弱くなってるのかもしれん。
 そうだ、そう言えば長門。長門はどうしたんだ。
 俺がそう思ってあたりを見回すと、いつの間にか長門が近くに来ていてぎょっとさせられた。

「な……長門……」
「あなたはさっきのナーガでちょうど3人殺した。ご褒美をもらう権利がある」

 そうか、小学校で最初に殺したやつと、……ハルヒ。そしてナーガのおっさんで3人ってわけか。
 遊園地で妹と一緒にいた子供は死ななかったんだろうな。
 今の俺にはよかった、などとはとても思えんが。

「キョン! 貴様、すでにナーガ以外にも2人も手にかけたのか!」
「キョン君……もしかしたらと思っては居たし、今君を責めても仕方ないかもしれないけど……」
『この事件の解決後には、あなたには相応の刑罰が待っている事は覚悟して下さいですぅ。
 もちろん状況が状況なので、情状酌量の余地はあると思うですけどぉ……』

 あー、まずいな。せっかく治まった奴らの怒りがまた再発しそうだ。特にウォーズマンとか。
 刑罰とやらは一向に構わんが、今ここで死刑にされるってのはまずい。非情にまずいぞ。

11 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:40:54 ID:SF0f54Dw
「誰だ! 誰を殺したんだ! 白状してもらおうか!」

 ウォーズマンが俺に詰め寄ってくる。そんなことを聞いてどうしようってんだ。
 いや、しかし残りの2人もじっとこっちを見てるし、言わずに済ませられる雰囲気じゃないな。
 仕方ない。もしこいつらの知り合いを殺していたらその時はその時だ。

「1人は俺の知り合いで、涼宮ハルヒっていう女子高生だ……です」

 俺がそう言うと、心なしか長門がぴくりと反応したような気がしたが、気のせいか?
 いや、今はそれより他の反応の方をどうにかしないとな。

「もしかして、知り合いを殺したって放送で言ってたのは……君だったの?」

 スバルがつらそうな顔で俺に言った。
 そうだよ。俺だよ。この間抜けな男が守ろうとした女を殺しちまったんだよ。

「そうです。俺が……殺してしまいました」

 重い沈黙がリングを包む。
 しかし、長門はそんなことどうでもいいのか、自分の話を進めていた。

「……ご褒美は、どうする? いらないなら、拒否してもいい。好きにして」
「長門……! あなたって人は……!」

 スバルが拳を振るわせながら言ったが、襲い掛かりはしなかった。
 他の2人もどうやら同じように怒りをこらえているようだ。
 さすがに今長門に向かって行く事の無意味さはわかってきたようだな。
 しかし、長門ももうちょっと伝え方を考えてくれればいいんじゃないか?
 わざとやってるとしたらものすごい嫌がらせだ。

「どうする? あまり長くは待たない」

 スバルのことはまるっきりスルーして長門は言った。あくまでも事務的だな。
 そうだ、これはこいつらをなだめるのに使えるんじゃないか?
 その線で一丁試してみるか。

12 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:41:26 ID:SF0f54Dw

「あー、わかった、長門。ちょっとだけ待ってくれ。
 俺が殺したもう1人の名前は知りません。小学校で開始直後に出会った中学生ぐらいの少年でした。
 その事は後でいくらでも聞いて下さい。でも今はこのご褒美とやらをどうするかだと思うんです。
 長門。そのご褒美ってのは確か、昼までの他の参加者の居場所を教えてくれるってやつだな?」
「そう」

 長門の返事はいつもながら短いな。だが、今はそれはどうでもいい。

「それは1人だけか?」
「そう」
「そうか。……と言うことらしいですが、俺には別に場所を知りたい相手は居ません。
 昼までと言うともうかなり前の情報になりますが、もし皆さんが探している相手が居るなら代わりに聞きましょう。
 せめてもの罪滅ぼし、と言うのもおこがましいし筋も通らないかもしれませんが、無駄にするよりはいいでしょう?
 どうしますか?」

 3人は顔を見合わせる。やっぱり主催者からのご褒美で自分の探し人を探すのは気が引けるんだろうな。
 しかし、それを言ったら食べ物も地図も支給品も全部そうなんだ。割り切った方がいいと思うんだが。
 そう思っていたら、最初に口を開いたのはちっこいの――リインという妖精っぽい少女だった。

『ここは彼の申し出を受けてもいいとリインは思います。
 この長門っていう人に頼るみたいで嫌ですけど、情報は情報ですぅ』

 すると、その言葉に動かされたのか、スバルも自分の意見を言い始めた。

「私が探している人は多いです。でも、一番優先的に保護したいのはヴィヴィオちゃんという小さな女の子です。
 ウォーズマンさんはどうですか?」
「俺は……キン肉スグルやキン肉万太郎といった仲間は居るが、彼らとて正義超人。
 合流できればいいとは思うが、できなくともきっと独自に悪と戦っているだろう。
 メイを殺した男は残念だが名前がわからん。ホリィを殺した男もそうだ。
 ホリィに頼まれた、ゲンキ・ハム・スエゾーの3人のうち誰か1人を選ぶのも難しい。
 ……となれば、やはりそのヴィヴィオという少女を優先するべきだろう」
『そうですねえ。ヴィヴィオちゃんは早く保護してあげた方がいいとリインも思うですぅ』

 いや、待て。確かそのヴィヴィオっていうのはハルヒと一緒に居た……
 いかん、色々思い出してしまった。落ち着け、落ち着くんだ俺。

13 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:41:58 ID:SF0f54Dw
「ヴィヴィオという女の子には会いました。最初の放送の直前ですけど。その時は高校に居ました」
「本当? キョン君」
「ああ。間違いない、いや、間違いありません」
「いや、キョン君。無理に丁寧語使わなくていいよ?」
「で、でも俺は立場的にアレだからな……」
「そんな事より、それが本当でも昼前にどこにいたかわかるならそれに越したことはないだろう」

 そんな事って言うなよ。気を使ってやってるんだから。

「早く、決めて」

 長門がぼそりと俺たちを急かす。あいつの気が変わらないうちにさっさと決めた方がよさそうだな。

「じゃ、じゃあそのヴィヴィオって子の居場所を聞くって事でいいですね?
 長門。そういう事だ。ヴィヴィオちゃんが昼前にどこにいたか教えてくれ」
「わかった。ちょっと待って」

 長門はそう言うとスカートのポケットから1枚の折りたたんだ紙を取り出すと、広げて読み始めた。
 おいおい、ずいぶんとローテクだな。それプリンタで打ち出したのか?
 ていうかその紙を手を伸ばして取ったら読み放題だな。いや、どうせ無理だろうから取らないけど。

「ヴィヴィオという参加者は、12時の放送直前には高校にいた」

 長門はそれだけ言って、また紙を折りたたんでポケットに戻す。

「なんだ、あの子俺と会ってからずっと移動してなかったのか」
『……というか、まさかあなた、ヴィヴィオちゃんにまで襲いかかったりしてないですよね〜?』

 リインが疑わしそうな目つきで俺を見ながらそう言うと、他の2人も俺を同じ目で見た。
 
「ま、待って下さいよ。大丈夫です。怪我はさせてませんから」
「怪我はさせてないって……それはもしかして襲ったけど、って事?」

 スバルが悲しそうな目で俺を見る。やめろ、そういう目はやめろ。
 余計な罪悪感が呼び起こされる。
 しかし、あのヴィヴィオがスバル達の仲間だって事は、このまま一緒にいればいずれバレるかもしれん。
 いつまでも一緒にいる必要はないが、逃げられない可能性もある。
 隠しておくより今の内に言ってしまう方がダメージは少ない……と思う。

14 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:42:30 ID:SF0f54Dw
「この際だ。正直に言う。確かに俺はヴィヴィオちゃんを襲った。
 だが、今は悪かったと思ってる。今度会ったらそんなことはもうしない。約束します」
『なんだか無理して言ってるように見えるですぅ』
「ま、まあまあ。空曹長、キョン君も少しは改心したと思いますし、今その事を言っても仕方ないですし……」
『ぶーー。なんだかスバルはキョンをやけにかばうですねぇ』
「そういうつもりはないんですけど、一応彼を止めた責任があるっていうか……」

 この中では一番甘いのがスバルだから必然的に俺をかばう形になるんだろうな。
 実に気苦労の多そうなヤツだ。
 と、そんな事を俺たちが言い合っていると、突然長門が光の柱に包まれ出した。
 どうやら来た時と同じような演出で戻るつもりらしい。

『じゃあ、私は帰る』

 しかも最後までそのプラカードでしゃべるのか。普段のお前らしからぬユニークさだな。
 ていうか、さっきまでは喋ってただろう。役割によってキャラを変えてるのか?

「…………」

 まさか俺の考えを読んだわけではないだろうが、長門が無言でこちらを見つめていた。
 何か言いたいことでもあるのか。それはあいつの表情からはまったくわからない。
 でも、少なくとも嬉しそうではない。……ような気がした。
 もっとも、俺の願望がそう思わせただけかもしれないが。

 そんな事を俺が思っているうちに、長門の姿は薄れ、光の中に消えていった。

「長門…… いつか貴方の事も、きっと捕まえるから。
 中トトロも、きっと助け出してみせる……」

 消えていく長門を見ていたスバルが、そんな事を言っていた。
 言葉は穏やかだったが、拳を強く握っている。
 こいつの事だ。きっと自分の力不足が悔しいんだろう。わかりやすいヤツだから想像しやすい。

15 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:43:02 ID:SF0f54Dw

「もちろん俺もあの女や草壁タツオを許しておくつもりはない。力を合わせて頑張ろう、スバル」
『リインも及ばずながら頑張るですぅ!』

 ウォーズマンとリインがスバルにそう言った。
 だが、俺はあえて口を挟まない。
 ここで俺が「きっとできますよ」とか言っても、またリインに嘘くさいとか言われるに決まってるからな。

「ええ。ありがとうございます、ウォーズマンさん。リイン空曹長。
 それで、これからどうしますか? もう夕方だし、放送も近いと思うんですけど」
「俺はタママ達と合流する事になっている。
 スバルが止めたいと言っていたナーガとキョンは止めることができたし、今から向かおうと思っているが」

 ウォーズマンがそう言った。なるほど、ウォーズマンには他にも仲間がいたのか。

「そうですか。私は……ヴィヴィオちゃんの事も気になりますが、ウォーズマンさんとご一緒したいと思います。
 私は水野灌太という人とホテルで落ち合う約束をしていたんですが、それはお昼の待ち合わせでもう間に合いません。
 それに、すでにお話したように、ガルル中尉にはとてもお世話になったんです。
 だから、タママさんに中尉の事を自分の口で伝えたいんです」
『そうですねえ。高町一等空尉とも合流したいですけど、情報も無しで探し回るのも効率が悪いですしね〜
 ヴィヴィオちゃんの事も心配ですけど、ひとまずはそれでいいと思うですよ〜』
「そうか。もちろん俺には異論はない。君のような仲間が居れば俺たちも心強い。
 みんな喜ぶだろう。じゃあ早速で悪いが出発するか」

16 勝利か? 土下座か?(後編)  ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/15(金) 20:44:32 ID:SF0f54Dw

 どうやら行き先も決まったようだな。あとは……

「なあ。ナーガのおっさんのデイバッグが落ちてるけど、放っておくのか?」

 俺がそう言うと、3人がこっちを見て、それからおっさんのデイバッグに視線を移した。
 別に俺の口調が戻ったのが気に入らないってわけではないようだ。じゃあ、この喋り方のままでいいか。

「どう……しますか?」
「死んだものの持ち物を奪うようで気は引けるが……」
『この際ですからもらっていくですよ。何か役に立つものが入ってるかもしれないですぅ』

 そう言ってデイバッグを拾いに行ったのはリインだった。
 口うるさい上に図々しいヤツだ。見た目はロリ巨乳のくせに。
 ……いや、もちろん俺にはそんな趣味はないぞ? 誤解の無いように。

『う〜〜ん! よいしょっと。……どうやら地図とか食料とかの基本セットしか入ってないみたいですね〜』
「そうですか。でも食料ならいくらでも必要ですし、やっぱりいただいて行きましょうか」
「それがよさそうだな。ナーガ。お前の荷物、悪いが使わせてもらうぞ」

 そう言ってウォーズマンが黙祷を捧げたのを見て、リインとスバルも手を合わせる。
 ナーガのおっさんの冥福でも祈っているのだろう。仕方ないので俺も手を合わせる。
 自分で殺した相手の冥福を祈るというのも変な感じだが、そこは深く考えない事にしよう。
 ナーガのおっさんを殺した事を蒸し返すわけにはいかない。大人しくしていなければ。

「じゃあ、そのデイバッグはウォーズマンさんのデイバッグにでも入れておいて下さい」
「スバルがそれでいいならそうするが。もし必要になったらいつでも言ってくれ」
「はい。もしそういう事があったらお願いします」
『荷物と言えば……キョンさんの荷物はそのままでいいですか〜?』

 くそっ! こいつ、余計なことに気付きやがって。このまま行けるかと思ったのに。
 おっさんの荷物の事なんか言わない方がよかったか?

17 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:45:05 ID:SF0f54Dw

「そうだな。危険な支給品を持っているかもしれん。一応取り上げておくか」
「そうですね。あ、確か体を大きくする光線銃があったよね?」
『もしかして、それでスバルはさっき大きくなってたですね〜?』
「あ〜、はい。でも結局負けちゃったんですけども……」
「さあ、キョン。デイバッグを見せてもらおうか」

 仕方がない。ここは素直に従っておくか。
 空を飛べば逃げられるかもしれないが、せっかく土下座までして取り入ったんだ。
 惜しいものはあの光線銃ぐらいだし、もっと確実なチャンスが来るまで我慢しておこう。
 こいつらの情報も知っておくに越したことはないし、ダメージもそのうち回復するだろうしな。

「わかったよ。好きなだけ持っていってくれ」
「ふむ……」

 ウォーズマンが俺のデイバッグから中身を取り出していく。
 あの銃と、変な種と、SDカードの入ったカードリーダー。あとは基本セットだけ。
 うん。間違いない。

「この銃は俺が預かっておこう。……いや、スバルに渡しておくか。
 いざという時には役に立つだろう」
「えーと、じゃあお預かりします。必要ならいつでも言って下さい。お預かりするだけですから」

 お預けするのは俺なんだがな。
 まあ、俺だって元々の持ち主じゃないし、俺が言っても返してはくれないんだろうが。

「うむ。あとは……この種はタムタムの木の種? ジェロニモの持っていたものらしいな。
 これも何かの縁かもしれない。俺が預かっておいていいか? スバル」
「はい。お知り合いに関係のあるものなら是非そうなさって下さい」
『最後に残ったこれは……データの入ったカードみたいですね〜?
 キョンさん。中に何のデータが入っているか知ってますか?』

18 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:45:36 ID:SF0f54Dw
 ここで嘘を言ってもいいんだが、どうせ後でばれるんだろうな。
 殺し合いを加速するいい嘘でも思いつけば別だが、あいにくそんなもの思いつかん。
 小説の主人公みたいには行かないな。
 仕方ない。正直に言うか。

「えーと、確かパソコンに繋いでみた時は変な模様が出ただけだったな。
 そう、お前達が魔法を使う時に出るような感じの」
「魔法陣……? なんで魔法陣をこんなデータカードに?」
『リインが直接読み取れればよかったんですが、どうやら無理そうですねえ。
 今のところパソコンに繋ぐしか確認する方法は無さそうです』
「パソコンはコテージにあったんだが、壊しちまったよ。
 他にはどこにあるか知らないが、掲示板に書き込みがあったから他にもいくつかはあると思う。
 コテージには他にもあったかもしれないが、無事かどうか微妙だな」

 なにせコテージはあの有様だ。
 全部が全部ぶっこわれてはいないが、パソコンがあったとして、運良く生き残っているかは疑問だな。

『掲示板があるって事はネットに繋がっているですかあ?』
「そ、そこになんて書いてあったの?」

 ええい、違う質問を同時にするな。ややこしい。

「えーと、1つずつ答えるぞ。
 ネットには繋がってると思うが、インターネットじゃないぞ。
 なんて言うか、この島だけの限定されたネットだ。確か掲示板とチャットとkskっていうのがあった。
 kskっていうのはよくわからんが、キーワードを入れないと入れなかったから重要なコンテンツかもな」
「ネットか。主催者たちが用意したにしては妙な設備だな」
『kskですか〜。何の略でしょうねぇ。一般的に使われている用語には無いと思いますが〜』

 知らん。俺はパソコンの専門家じゃないからな。
 ホームページだってソフトがあったから説明読みながら作っただけだ。

19 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:46:06 ID:SF0f54Dw
「掲示板には、誰が危険人物だとか、どこに危険な人が居そうだとか、そんなことが書いてあったと思う。
 危険人物は確か〜ゼロス、ナーガ、ギュオーだったかな」

 朝比奈さんや古泉の事は別にいいだろう。後で掲示板を見て聞かれたら忘れてたって言おう。
 いや、やっぱり言った方がいいか? しかし嘘の書き込みをしたとか言いにくいしな。
 と思っていたら、ウォーズマンがギュオーという名前に反応しやがった。

「ギュオーだと? そいつは俺と行動を共にしている1人だ。
 その書き込み、間違いはないのか?」
「書き込んだヤツの名前は、なんか変な名前でしたね。
 仲間内でしかわからないことを名前欄に書くって書いてたが、少なくとも俺の知り合いじゃなかった。
 もし知り合いならそいつが信用できるかどうかわかったと思うが」

 さらに俺は掲示板に書いてあったギュオーの容姿や変身能力について説明してやった。
 すると、ウォーズマンは俺の言った内容に心当たりがあるようで、何やら考え込み出した。

「うーむ。ギュオーの事は元々100%信用していたわけではなかったが、もっと疑うべきだろうか?
 そこにはギュオーがどんなふうに危険だと書いてあったんだ?」
「はっきりは覚えていないが、殺し合いに乗っているって事だったと思う。
 書き込んだ連中を襲ってきたとかなんとか」

 確かそんな内容だったと思うが、色々あってはっきりとは覚えてないな。
 まあ大筋間違ってはいないだろう。うん。

「俺が出会った時、ギュオーは確かに戦闘で傷ついていたが、あいつも襲われたと言っていた。
 どちらかが嘘を言っているという事かもしれんが。ウーム」
『ウォーズマンさん、ここでじっと考えていても仕方ないです。
 夕方までに神社に集合って話になっていたですよ?
 早く行かないと放送にも間に合わないですぅ』
「おっと、そうだったな。よし、後は移動しながら考えよう。
 それで、このカードリーダーとカードはスバルが持っていてくれ。
 俺には魔法のことはわからないからな」
「わかりました。お預かりします」

20 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:46:36 ID:SF0f54Dw

 スバルはそう言ってSDカードごとカードリーダーを手にとって自分のデイバッグに放り込んだ。
 それ以外の支給品は返してもらえるようだな。
 食料は無くてもかまわんが、地図や名簿が無いと困りそうだから助かった。
 俺は慌てて基本セットを自分のデイバッグに詰め込んでいった。

「少し走っても大丈夫か? スバル、キョン」
「俺は一応走れると思うけど……」
「ええ。私もなんとか」
『スバル、大丈夫ですか? 無理はいけないですよ?』
「はい、空曹長。ずっと走るのは無理でも少しぐらいなら……」
『――スバル。あなたの疲労は危険なレベルに達しつつあります。少し休んでいくことを推奨します』

 ん? 今の声は誰だ? 聞いたことあるような気もするが。

「レイジングハート! 修復が終わったの?」
『言語機能の修復は完了しました。ただ、デバイスとしての機能は引き続き修復中です』
「そっか。でもよかった! 本当によかった!」

 何かと思ったらスバルの赤いペンダントがしゃべってやがる。
 今更その程度では驚かないけどな。

『レイジングハートさん、リインも居るですよ〜』
『こんにちは、リインフォース空曹長。貴方もこの島に来ておられたのですね』
『はいです〜。せっかくですから情報交換しておくですか?』
『そうですね。直接接触すればデータ通信可能かもしれません。試してみましょう』
『はい〜。リイン頑張るですよ〜』

 リインはそう言ってレイジングハートというスバルの首にぶら下がっているペンダントを両手で掴んだ。
 するとリインとペンダントがぼんやり光り始める。
 さっきの話からするとデータのやり取りでもしているんだろう。
 ファンタジーなのかハイテクなのかよくわからん連中だ。

21 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:47:07 ID:SF0f54Dw

「スバル。そのペンダントは君やリインの仲間なのか?」
「そうでした。ウォーズマンさんに紹介がまだでしたね。
 これは私の上司、高町なのは一等空尉のデバイス。レイジングハートです」
『初めまして、Mr.ウォーズマン。レイジングハートと申します。どうぞよろしく。
 そちらの方はMr.キョンですね。リイン空曹長のデータにありました。よろしくお願いします』
「あ、ああ。よろしく頼む」

 てっきり俺はスルーされてると思ったが、礼儀正しいペンダントだったようだ。
 しかしリインからデータをもらってるなら俺が何をしたか知ってるだろうに。
 まあ社交辞令って事なんだろうな。

「それでこれからどうするんだ? スバル。なんなら俺だけでも先に神社に向かうが?」
「いえ、やっぱり私も行きます。ただ、できれば歩いて行くわけには行きませんか?」
「うむ。多少遅れるかもしれんが、やむを得んだろう。
 弱っている者を守ることも正義超人のつとめだ」
「ありがとうございます。じゃあ、行きましょう」
『キョン。貴方はなるべく先頭を歩いて下さい。要注意人物なんですからね!』

 スバルの肩に座って、赤い宝石のペンダントを抱えたままリインが言う。
 へいへい、わかったよ。先に行けばいいんだろ。
 俺にとってはお前こそ要注意人物だ。いや、要注意妖精か。

 結局隊列は、俺、ウォーズマン、スバル+リイン+レイジングハートという並びになった。
 ウォーズマンは道案内をするから先頭を歩こうとしたようだが、結局は2番目を歩くことになった。
 俺のヘッドビームで奇襲されたら危険だとリインが言ったからである。
 さすがに後ろから撃たれたら回避できないだろうからな。妥当な選択だ。




 こうして俺はこの偽善者達に連行されて森のリングを後にして、神社に向かう事になった。
 神社にいるギュオーってやつが本当に危険人物なら、うまく行けば逃げるチャンスかもしれない。
 ついでに何人か殺せるかもな。できれば強いヤツはつぶし合ってもらいたいが。

22 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:47:40 ID:SF0f54Dw
 夢で見た事がきっかけで行動を変えるなんて我ながら馬鹿馬鹿しいが、基本は変わってない。
 要するにこの殺し合いが早く終わってくれればいい。
 ただ、最悪の場合ハルヒだけでも生き返らせてもらえるように、これまで通り優勝も目指す。
 うん。今までとやる事は同じだ。

 情報統合思念体とやらの趣味の悪さには吐き気がするが、元に戻してくれるなら仕方ないから付き合ってやろう。
 そうだ。元に戻してくれるなら。

 戻してくれるよな? 長門――

23 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:48:19 ID:SF0f54Dw

【I-4 森のリング/一日目・夕方】


【名前】キョン@涼宮ハルヒの憂鬱
【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、0号ガイバー状態
【持ち物】デイパック(支給品一式入り)
【思考】
0:手段を選ばず優勝を目指す。参加者にはなるべく早く死んでもらおう。
1:とりあえずウォーズマン、スバル、リインに従うふりをしておく。
2:ギュオーが危険人物ならどうにか利用して逃げる?
3:午後6時に、採掘場で古泉と合流?
4:ナーガが発見した殺人者と接触する。
5:妹やハルヒ達の記憶は長門に消してもらう。
6:博物館方向にいる人物を警戒。


※巨人殖装の残存エネルギーはあまり無いと思われます、どの程度で尽きるのかは次の書き手にお任せします。
※ゲームが終わったら長門が全部元通りにすると思っていますが、考え直すかもしれません。
※ハルヒは死んでも消えておらず、だから殺し合いが続いていると思っています。

24 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:49:00 ID:SF0f54Dw
【名前】ウォーズマン @キン肉マンシリーズ
【状態】全身にダメージ(中)、疲労(中)、ゼロスに対しての憎しみ、サツキへの罪悪感
【持ち物】デイパック(支給品一式、不明支給品0〜1) ジュエルシード@魔法少女リリカルなのはStrikerS
     クロエ変身用黒い布、詳細参加者名簿・加持リョウジのページ、タムタムの木の種@キン肉マン
     リインフォースⅡ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、日向ママDNAスナック×12@ケロロ軍曹
     デイバッグ(支給品一式入り)
【思考】
1:スバルたちを連れて神社に向かい、タママ達と合流する。
2:ギュオーが危険人物かどうか気になる。
3:タママの仲間、特にサツキと合流したい。
4:もし雨蜘蛛(名前は知らない)がいた場合、倒す。
5:ゲンキとスエゾーとハムを見つけ次第保護。
6:正義超人ウォーズマンとして、一人でも多くの人間を守り、悪行超人とそれに類する輩を打倒する。
7:超人トレーナーまっくろクロエとして、場合によっては超人でない者も鍛え、力を付けさせる。
8:キョンを見張る。殺し合いに戻るようならまた叩きのめす。
9:機会があれば、レストラン西側の海を調査したい
10:加持が主催者の手下だったことは他言しない。
11:紫の髪の男だけは許さない。
12:パソコンを見つけたら調べてみよう。
13:最終的には殺し合いの首謀者たちも打倒、日本に帰りケビンマスク対キン肉万太郎の試合を見届ける。


【備考】
※ゲンキとスエゾーとハムの情報(名前のみ)を知りました
※サツキ、ケロロ、冬月、小砂、アスカの情報を知りました
※ゼロス(容姿のみ記憶)を危険視しています
※ギュオーのことは基本的に信用していますが、彼の発言を鵜呑みにはしていません
※加持リョウジを主催者側のスパイだったと思っています。
※状況に応じてまっくろクロエに変身できるようになりました(制限時間なし)。
※タママ達とある程度情報交換をしました。
※DNAスナックのうち一つが、封が開いた状態になってます。
※リインフォースⅡは、相手が信用できるまで自分のことを話す気はありません。
※リインフォースⅡの胸が大きくなってます。
 本人が気付いてるか、大きさがどれぐらいかなどは次の書き手に任せます。
※リインフォースⅡは、レイジングハートとデータを交換しています。どの程度進んだかは次の書き手に任せます。
※大キナ物カラ小サナ物マデ銃で巨大化したとしても魔力の総量は変化しない様です(威力は上がるが消耗は激しい)

25 もふもふーな名無しさん :2009/05/15(金) 20:49:45 ID:SF0f54Dw

【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】全身にダメージ(大)、疲労(大)、魔力消費(大)
【装備】メリケンサック@キン肉マン、レイジングハート・エクセリオン(中ダメージ・修復中)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【持ち物】支給品一式×2、 砂漠アイテムセットA(砂漠マント)@砂ぼうず、ガルルの遺文、スリングショットの弾×6、
     ナーガの円盤石、ナーガの首輪、SDカード@現実、カードリーダー
     大キナ物カラ小サナ物マデ銃(残り7回)@ケロロ軍曹、
【思考】
0:ウォーズマンと神社に行き、タママに中尉の事を伝える。
1:機動六課を再編する。
2:何があっても、理想を貫く。
3:人殺しはしない。なのは、ヴィヴィオと合流する。
4:キョンを見張る。殺し合いに戻るようならまた止める。
5:人を探しつつ北の市街地のホテルへ向かう (ケロン人優先)。
6:オメガマンやレストランにいたであろう危険人物(雨蜘蛛)を止めたい。
7:中トトロを長門有希から取り戻す。
8:ノーヴェのことも気がかり。
9:パソコンを見つけたらSDカードの中身とネットを調べてみる。


※レイジングハートは、リインフォースⅡとデータを交換しています。どの程度進んだかは次の書き手に任せます。

26 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/15(金) 20:51:59 ID:SF0f54Dw
以上です。

前スレの投下分のタイトルは「勝利か? 土下座か?(前編)」になります。

27 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/16(土) 16:26:30 ID:SF0f54Dw
さるさん食らってしまいました。やっぱり夜にした方がよかったかもしれませんね……
上で投下したものと重複する形になりますが、微妙に修正した部分もあるので投下させてもらいます。

よろしければどなたか代理投下お願いします。

28 勝利か? 土下座か?(前編)  ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/16(土) 16:28:10 ID:SF0f54Dw
本スレ投下分の続きからです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「スクリュー・ドライバーッ!!」

 ウォーズマンの体が再び黒い弾丸となってガイバー目がけて飛んでいく。

「やった! 今度はナーガに使ったのと同じスクリュー・ドライバー! あれを食らったら今度こそ……」
『やっちゃえですぅーー!!』

 2人の期待を裏切ることなく、黒い弾丸は今度も狙い違わずガイバーに命中する……はずだった。
 しかし、ガイバーに残された右側頭部のセンサーはウォーズマンを見失ってはいなかった。
 そしてガイバーは振り向きざまに高周波ソードを伸ばしつつウォーズマンを切り裂こうとする。

「ちぃぃーーっ!!」

 持ち前の分析力で高周波ソードの切れ味を見抜いたウォーズマンは、とっさに体を反転させる。
 そしてスクリュー・ドライバーの回転力を利用してガイバーの腕を蹴り飛ばし、さらにガイバー自身をも蹴り倒す。
 しかし、それはガイバーを遠くに飛ばしただけで、たいしたダメージは与えていない。

 現に、ガイバーは蹴り飛ばされても平気な様子ですっと立ち上がり、戦いに備えて身構えていた。

「これはつまり……スクリュー・ドライバーが破られたという事か。
 おのれ! あんな男に後れを取るとは、俺としたことが!」

 こちらも立ち上がりつつ、ウォーズマンは悔しそうに呻いた。

「そんな! あの技をキョン君が破るなんて!」
『どうもあいつさっきからおかしいです! 別人が戦ってるようにしか見えません!』
「でも、空曹長。別人と言っても……」

 スバルはリインの言うことをもっともだと思いつつも、その原因が思いつかずに口ごもった。

『リインの見たところではあの鎧が怪しいです!
 これは推測ですが、キョンって人はもう、一度目のスクリュー・ドライバーで気絶してると思います。
 急に喋らなくなったのもきっとそのせいです。
 今はあの鎧が勝手に動いて戦ってるとリインは思うですよ〜』
「そんな……鎧が勝手にだなんて……」

 あるはずがない。そう言おうとしたが、あの生き物っぽい鎧を見ると、そういう事もありそうな気がしてくる。
 実際そうとでも思わなければ説明のしようがなかった。
 だが、そうだとすれば今ウォーズマンが戦っている相手はキョンよりずっと手強いという事ではないか。

29 勝利か? 土下座か?(前編)  ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/16(土) 16:29:07 ID:SF0f54Dw
「ウォーズマンさん! キョン君は今自分の意志で戦ってません!
 きっと鎧が勝手に戦ってるんだって空曹長が!!」
『今のそいつは危険ですぅーー! 気をつけて下さいですぅーー!』

 もちろん2人の必死の声はウォーズマンの耳に届いた。
 そして、その事はウォーズマンの方でも薄々感じていた事であった。

「なるほどな。確かにそう考えれば納得が行く。
 だとすれば、少々気合いを入れてかからねばなるまいな!」




 リインたちの予想はまさに正鵠を射ていた。
 ガイバーには殖装者が意識を失った時に作動する自己防護プログラムがそなわっているのだ。
 この状態のガイバーは己の前に立ちふさがる者は何者であっても区別無く撃破する。
 そうすることによって強殖装甲は意識を失った殖装者を守ろうとするのだ。

 もちろん本来のキョンの意図からすれば黙って気絶していてよかったはずだ。
 だが、キョンの中にあるウォーズマンへの敵意と、気を失う瞬間に感じていた恐怖がシステムを作動させてしまったのだ。

「隙のない攻撃……ウォーズマンさん大丈夫かな?」
『う〜ん。油断さえしなければ鎧の自動攻撃なんかには負けないと思うですが……』

 ガイバーの攻撃はその後も絶えることなく続いていた。
 それも、ヘッドビーム、高周波ソード、ソニックバスターと、ガイバーの武器を自在に使いこなしている。
 ウォーズマンが大きな隙を見せればメガスマッシャーさえ撃ってきたかもしれない。

 しかし、リインの言う通り、ウォーズマンとて一流の超人レスラー。
 ガイバーの自己防護プログラムごときに容易く倒されはしない。
 むしろ、正確で隙のない今のガイバーの攻撃は、ファイティングコンピューターには予想しやすい部分もあった。
 だからウォーズマンはたくみにガイバーの攻撃をかわし続けていたが、むろんいつまでも防戦一方ではない。

「フッ。もはや貴様の動きは見切ったぞ!
 そろそろ終わりにさせてもらおうか!」

30 勝利か? 土下座か?(前編)  ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/16(土) 16:30:00 ID:SF0f54Dw
『防戦一方に見えたウォーズマン。いよいよ反撃にでるか?』

 長門が律儀にプラカードで実況する中、ウォーズマンの攻撃が始まった。
 ヘッドビームの的を絞らせぬように左右に体を振りつつガイバーに接近。
 接近する途中でガイバーは一発ヘッドビームを撃ってきたが、発射の瞬間を見極めれば避けることは容易い。
 格闘の間合いに入ったウォーズマンを今度は高周波ソードで切り裂こうとするガイバー。
 しかし、その動きをすでに予想しているウォーズマンは、片手で下からガイバーの腕を跳ね上げて攻撃をかわす。
 ガイバーの剣は肘にあるため、攻撃時は前に移動しながら斬りかかる形になる。
 だから、そうやって回避してしまえばウォーズマンは容易くガイバーの後ろを取ることができた。

 そして、ウォーズマンはガイバーに後ろから襲いかかり、あっという間に『ある形』にガイバーを捕らえてしまった。
 相手の背後から自分の両足を前に出して相手の両足を内側から引っかける。
 相手の両腕をチキンウイングでひねるように絞り上げ、高く差し上げる。
 ウォーズマンがガイバーに背負われるような形でありながら、ガイバーは腕を極められて脱出不可能。
 そう、この形こそがウォーズマンのもう一つの必殺技――

「長門よ! 貴様に見せるのはもったいないが、やむを得まい!
 スバル! リイン! よく見ておけ! これが俺のもう一つの必殺技。パロ・スペシャルだ!!」

 パロ・スペシャルのかかり具合は完璧だった。
 ガイバーに超兵器が多数備わっていると言っても、ほとんどが体の前面についている。
 肘の高周波ソードもパロ・スペシャルが極まった後は前に向いていて後ろは死角になってしまう。
 もはや、ガイバーにウォーズマンを攻撃する手段は残されていないかのように思われた。

「す……すごい! 完全にキョン君の動きを封じ込めている!」
『パロ・スペシャル、かっこいいですぅーー!』

 完全に実況役が板についてきた2人組が驚きの声を上げる。

『キョンは動けない。このままウォーズマンの勝利か?』

 長門もプラカードでウォーズマンの優勢を伝える。
 と言っても他の3人から見て、あまり意味のある行動とは言い難かったが。

31 勝利か? 土下座か?(前編)  ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/16(土) 16:30:36 ID:SF0f54Dw
 だが、ガイバーはその怪力でウォーズマンを振り払おうとし続けていた。
 なにしろ相手は自己防護プログラムである。諦めるという概念はないのだろう。
 しかし、いかに怪力と言ってもウォーズマンとて腕力は人並みではない。
 圧倒的なパワーが売りのバッファローマンやネプチューンマンならいざ知らず、ガイバーにまで必殺技を破られはしない。

「往生際が悪いヤツだ。おとなしくギブアップしろ!」

 ウォーズマンはそう言ったが、そもそも会話もしないガイバーがギブアップするはずはない。
 その事に気付いていたリインがウォーズマンに叫ぶ。

『ウォーズマンさん! そいつは意識がないんですぅーー! ギブアップはしないと思うですぅーー!』
「むむっ! そうか! しまった。
 このまま腕をへし折ってもいいが、キョンを懲らしめると言ってもそこまでやってしまっていいものか……
 そうだ、審判! この状況では決着がつかんぞ! どうするんだ!」

 ウォーズマンは一応この試合の審判である長門に判断を仰ぐ。
 だが、長門の下した裁定は事態を解決するものではなかった。

『彼はギブアップしていないし、意識を失ってもいない、戦闘不能にもなっていない。試合は続行』

 長門が出したプラカードの文字を読んで、ウォーズマンは抗議の声を上げる。

「何を言っている! そもそもこいつは気絶しているんだろう!
 さっきから一言も喋らないのがその証拠だ!」

 ウォーズマンの訴えにリング外の2人もうんうんと頷いたが、長門はそうではなかった。

『現に動いている以上戦う意志があると見なされる。
 実際、あなたが技を解けば彼にもまだ勝つ可能性はわずかにあると予想される』

「技を解けばだろう! このまま腕をへし折ってもいいんだぞ!」

『問題ない。その結果彼が戦闘不能になれば試合はあなたの勝利』

 頑としてウォーズマンの勝利を認めない長門。
 どうやらとことんまでやらせるつもりのようだ。
 長門にしてみればこんな殺し合いを運営しているのだから当然なのだろう
 だが、ウォーズマンはまた長門に対して怒りを強くする。

32 勝利か? 土下座か?(前編)  ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/16(土) 16:31:07 ID:SF0f54Dw
「長門め……どこまでも冷酷な女だ。
 しかし、このままじっとしていても仕方がない。どうしたものか……」
「長門! そんなに私たちを戦わせたいの!?
 キョン君は明らかに意識を失ってるじゃない!」

 スバルがなおも長門に抗議するが、長門はただ首を横に振るだけだ。

(長門……少しは心が通じる相手だと思ったのは、やっぱり私の思いこみだったの……?)

 スバルが悔しそうに唇を噛む。しかしその時、動かないと思われたリング内の状況に変化が起きた。

「うおっ! な、何だ……!!?」

 キョンをどうするかを考えていたウォーズマンの体がふらついていた。
 しかし、パロ・スペシャルは完璧に極まっているはず。
 ガイバーが多少動こうとも、よりきつく締め上げる事はあっても揺らぐことはありえないのだが。

 そう思ってウォーズマンが改めて確認すると、ガイバーはウォーズマンを背負ったまま空中に浮かび上がろうとしていた。
 ガイバーの腹部にある重力制御球が作動して、2人を持ち上げようとしていたのだ。

「おのれ……こしゃくな!
 こんな事で俺のパロ・スペシャルが破られると思うか!」

 とは言え、パロ・スペシャルは重力下において相手を床に立たせていてこそ成り立つ技である。
 いかにファイティングコンピューターと言えども浮遊状態での対策は想定外だった。
 相手を押さえつけるために自分の体重を利用しづらくなり、パロ・スペシャルの拘束力が弱まる。

「くそっ! スクリュー・ドライバーに続いてパロ・スペシャルまでもこんな男に破られてたまるか!
 この状態でも全身をロックしている事に変わりはない! この足も手も、死んでも離さんぞ!」

 フラフラと1メートルほど浮かび上がった状態で、しかしまだパロ・スペシャルは破られていなかった。
 だが、ガイバーは不安定になったパロ・スペシャルを振りほどこうと、怪力でもがき続ける。

「まさか、あのままの状態で浮かび上がるなんて……」
『鎧のくせに嫌なこと考えつくやつですねえ。キョンよりよっぽど賢そうですぅ』
「空曹長、そんな事言ってる場合じゃありませんよ。ウォーズマンさんが……」
『だ〜いじょうぶです。あの技はリインの見立てではそう簡単に破れるとは思えないです』

 リインの言う通り、いくらガイバーが空中で怪力をふるってもパロ・スペシャルは崩れることがなかった。
 もっとも、それは技の完成度だけではなく、ウォーズマンの必殺技を破られまいとする意地がそうさせたのかもしれない。
 だが、その意地に引き寄せられたのか、幸運の女神は確実にウォーズマンに味方しつつあった。

33 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/16(土) 16:48:22 ID:SF0f54Dw
自分で投下できました。スレ汚し、申し訳ありませんでした。 orz

34 スープになっちゃいました :スープになっちゃいました
スープになっちゃいました

35 スープになっちゃいました :スープになっちゃいました
スープになっちゃいました

36 スープになっちゃいました :スープになっちゃいました
スープになっちゃいました

37 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:00:24 ID:SF0f54Dw
ドロロ・リナ・朝倉・ヴィヴィオ・晶・スエゾー・雨蜘蛛の仮投下です。
また使わせていただきます。

38 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:01:36 ID:SF0f54Dw
 ここはズーマとの戦いが終わった直後の遊園地(D−2)。
 支柱を折られて倒れた観覧車などの、戦いの余波による破壊の跡が生々しい。


「あなたたちのおかげで助かったわ。本当にありがとう」

 なぜかメイド服を着て、金髪の幼い少女を背負っているいる女子高生、朝倉涼子。
 彼女の顔には疲労の色が見られたが、それでも微笑みを浮かべながらリナとドロロに礼を言って、ぺこりと頭を下げる。
 すると彼女の長い黒髪がさらりと流れる。

 その容姿を見れば、多くの人は優しそうだとかお淑やかそうだとか、そんな印象を抱くのだろう。
 ――もちろん、必ずしも全ての人が朝倉にそういう印象を抱くわけではないが。

「こっちこそ闇の霧を消してもらって助かっちゃったわ。
 最後のレーザーブレスもどきからも助けてもらったし。
 それにあいつにはずっと命を狙われてたからね。ここで倒せたのはラッキーだったかもしんない」

 リナ=インバースは明るく、軽い口調で朝倉に答える。
 本音を言えばリナはこの朝倉という少女を完全には信用していない。
 彼女の言動にはどこか空々しさを感じてしまうのがその理由だった。
 どことなくあの微笑みを絶やさない魔族、ゼロスを思い出させる。そんな気がしたのだ。
 そもそもさっきズーマの虚霊障界(グーム・エオン)を打ち消したあの能力。おそらく普通の人間ではあるまい。

 だが、朝倉が背中に背負っているヴィヴィオという小さな女の子を守っているのは確かなようだ。
 それに会話していると、少なくともゼロスよりは性根が曲がっていないとも感じられる。
 だからリナは多少の不信感は胸にしまって、朝倉と協力関係を結ぶ方向で話を進めようと考えていた。

「拙者からも礼を言うでござるよ、朝倉殿。
 しかしリナ殿。あのズーマというのは何者だったのでござるか?」

 ドロロがリナに尋ねる。

39 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:02:35 ID:SF0f54Dw
「それが、あたしの世界に居た一流の暗殺者……って事ぐらいしかわかんないのよ。
 個人的にあたしに恨みがあるみたいだったんだけど、何の恨みがあるのか結局聞けずじまいだったし。
 本名、出身、年齢、家族構成、その他もろもろ、一切わかんない」
「そうでござるか。そんな相手がわざわざ連れてこられていたとは、主催者の悪意が感じられるでござるな」
「まあ、殺し合いの場に連れてくるには丁度いいヤツだったんでしょうけどね。
 それよりドロロ、大丈夫? かなりやられてたみたいだけど」
「これしきの傷、ギュオーにやられた左目に比べればたいした怪我ではござらんよ」

 リナにそう答えたドロロではあったが、それでもズーマから受けた傷は浅くはない。
 しかし、それでも暗殺兵として忍者として訓練を積んだドロロにとっては、支障なく活動が可能なレベルでもあった。

「うーん、あんたがそう言うならいいけど。無理しないでよ?
 そうだ。ねえ! アサクラはどう? 大丈夫?」

 朝倉もかなりダメージを受けているはずだと気づき、リナは朝倉に声をかける。
 だが、リナに声をかけられた朝倉はヴィヴィオを背負ったまま何かを探すようにあたりを見回していて気付かない。

「どうしたの〜? アサクラ〜?」
「あ、ごめんなさい。クロスミラージュ……この銃の銃身が落ちていないかと思って探していたのよ」
「銃身……? ああ。こりゃひどいわね。真っ二つだわ」

 リナは朝倉の持つ銃のグリップを見て驚きの声を上げる。

「ガイバーの肘のブレードはどんなものも切り裂くとは聞いていたが、まさにその通りの威力でござったな。
 よかろう。しばし待たれよ、朝倉殿。拙者が探してみるでござる。ニンニンッ!」
「ああっ、ドロロ! あんた一応怪我人でしょうが!
 もう、しょうがないヤツね〜」

 ニンニンと言い残して一瞬で姿を消したドロロにリナは不満の声を上げるが、すでにドロロは見える場所には居なかった。

「ドロロさんって本当に忍者なのね。
 それも小説とか映画とかマンガの中みたいな『らしい』感じの」
「うーん。あたしはそのニンジャってよくわからないんだけど。
 でも、とりあえず何をするにも頼りになる仲間ではあるわね」

40 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:03:17 ID:SF0f54Dw
 2人がそんな話をしている間にもう周囲の探索を終えたのか、ドロロが不意に姿を現す。

「朝倉殿。お探しのものはこれではござらぬか?」

 そう言ってドロロが朝倉に差し出したのは、まさしく切断されたクロスミラージュの銃身であった。
 朝倉は嬉しそうにそれを受け取り、ドロロに礼を言う。

「そう。これよ。ありがとう、ドロロさん」
「少し離れた所に落ちていたでござるよ。
 しかしその状態ではもはや修理も難しいのではござらぬか?」
「そうね。これは私でも直すのは無理みたい。
 くっつけるだけならできるけれど、機能までは回復できそうにないわ。
 ただ、今までいろいろと助けてくれた銃だからなんとなく持っていたかったの……かな?」

 壊れて、直す見込みもない武器を持ち歩くなど、非合理的である。
 だが、なぜか今の朝倉はそうしたいと思った。
 普段の朝倉からすれば少々おかしな行動だったかもしれないが、不思議とそう悪い気分ではない。

 朝倉はヴィヴィオを背負ったまま、受け取ったクロスミラージュを器用にポケットに入れながら、そんな事を思うのだった。

「それで、あなたは大丈夫なの? アサクラ」

 リナは改めて朝倉に怪我のぐあいを尋ねる。
 そして、今度は朝倉もちゃんとそれに答えた。

「そうね。私が自分で治せるのは表面だけだから、まだ結構きついかも」

 苦笑いしながらそう言った朝倉は、確かにかなり具合が悪そうだった。
 何しろバリアジャケット越しとは言え、ガイバー・ズーマの蹴りを受けている朝倉である。
 ヘッドビームで貫かれた脚も、外見上はほとんどわからないほど治っているが、完全にとは行かなかったようだ。
 また、その前に火事の中で吹き飛ばされたりして受けたダメージも無視できない。

41 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:03:57 ID:SF0f54Dw

「じゃあもう一回治癒(リカバリィ)をかけるわ。じっとしてて?」
「ごめんなさい。助かるわ」
「その子は治療が済むまで拙者が支えておくでござる」
「ありがとう。じゃあ、お願いするわ」

 朝倉はドロロに一旦ヴィヴィオを預け、地面に座り込む。
 それを見てリナは朝倉に近寄り、痛みがひどい部分を聞きながら魔法で治療していった。
 ちなみにヴィヴィオが小さいと言っても、ドロロでは抱えきれないので、上半身を支えて地面に座らせている。

「この子は大丈夫なのでござるか? 朝倉殿」

 ドロロがヴィヴィオの様子を見ながら朝倉に尋ねる。
 朝倉はリナの治療を受けながらドロロの方を見て、ヴィヴィオの状態について答えた。

「この子はズーマの攻撃を受けて気絶してしまったの。
 それにズーマに会う前にも市街地で大変な目にあったから疲れているんだと思うわ。
 でも、外傷はないみたいだから、このまま寝かせておきましょう」
「そうでござるな。拙者の見たところでも、たいして怪我はしておられぬようでござる」




 そうしてしばらく経って、リナが朝倉の治療を終える。

「あ〜〜。さすがにちょっと疲れたわね〜〜」
「ありがとう。リナさん。おかげでずいぶん楽になったわ」

 朝倉が立ち上がって、メイド服についた土を払う。
 もちろん今の治療だけで完治したわけではないが、とにかく動くのに支障は無くなったと言える。

「でも……ちょっと体の力が抜けてきた感じもするんだけど」
「あー。治癒(リカバリィ)は回復速度を速めるけど、怪我を治す力は本人のものだからね。
 食べて寝たら治ると思うからそこは我慢しといて〜」

 リナの説明に朝倉は少し落胆するが、すぐに気を取り直して言う。

42 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:04:37 ID:SF0f54Dw

「そうなの…… まあ、それぐらいの代償は仕方ないかな」

 そう言って朝倉はドロロからヴィヴィオを受け取ろうとするが、疲労のせいで思わずよろめいてしまう。

「朝倉殿。その様子ではヴィヴィオ殿を背負うのは危ないのではござらんか?」
「そ、そうかもね。でも、誰かが背負って行かなきゃ……」

 朝倉はヴィヴィオを守るという約束をしたせいか、あくまでも自分でヴィヴィオを背負っていこうとする。
 だが、どう見ても無理をしているのがわかるので、やむなくリナが助け船を出す。

「しょうがないからあたしが背負って行くわよ、アサクラ。
 あたしも疲れてはいるけど、それは魔力を消費してるだけだしね」
「拙者が抱えて運んでもよいのでござるが、この体の大きさゆえ、いささか無理があるでござるな……」

 そう言われて朝倉は少し考えるが、確かに今の自分がヴィヴィオを運ぶのは少々危険なように思えた。

「じゃあ、悪いけどリナさん、お願いできるかしら?」
「ええ。どのみちこんな小さな子、放ってもおけないしね」

 リナはそう答えて自分のデイバッグをドロロに渡し、ヴィヴィオを背負う。

「ああ、軽い軽い。これぐらいなら大丈夫だわ。
 そんじゃ、そろそろ移動を始めましょうか」
「リナさんたちは行くあてがあるの?」
「うむ。拙者たちは放送前に遠くにいる協力者と連絡を取ることになっているでござる。
 そのためにここのスタッフルームに向かう途中で、お二人を助けに来たのでござるよ」
「あら、そうだったの。じゃあ早く行かないとその協力者さんに悪いわね。
 でも、遠くにいる相手とどうやって連絡を取ってるの?」
「パソコンっていう道具があってね。それでチャットっていうのをするのよ」
「パソコンでチャット……? この島でそんな事ができるの?」
「できるでござるよ。朝倉殿はこの島で今までパソコンを見かけたことは無かったでござるか?」
「1回見たんだけど、その時はパソコンのせいで一緒にいた仲間がいなくなっちゃって……
 そう。この島にはネットがあったのね……」

 中学校の3階にあったパソコンは、調べる間もなくゲンキ君たちの方へ向かったから詳しく調べなかったのよね。
 まさかこの島でそんな事ができるようになっていたなんて思わなかったわ……

43 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:05:20 ID:SF0f54Dw
 朝倉はそんな事を考えていたが、リナとドロロはその朝倉の発した言葉に疑問を抱いた。

「パソコンと仲間がいなくなるのと何か関係があんの?」
「ああ、そうね。説明するわ。
 でも、このまま立ち話するのはちょっと…… せめて移動しながらでいいかしら?」
「あ〜〜、そうね。あたしもこのまま立ち話はきついわ」
「おっと、そうでござるな。さあ、こっちでござる。
 そう遠くはないはずでござるよ」

 こうして4人はパソコンのある遊園地のスタッフルームを目指して移動する事になった。




「転移装置? そんなのがあるの?」

 ヴィヴィオを背負って歩きながら朝倉の説明を聞いたリナが驚きの声を上げる。

「ええ。SOSっていうマークが出てるパソコンと、床に変な模様が描かれた部屋。
 他にもあるかもしれないわね。
 もっとも、SOSマークは仲間が消えたと同時に消えちゃって使えないし、
 模様のある部屋からはどこに移動するかわからなかったけどね。
 そうだ、ここに中高生ぐらいの男の子と若い女性とドロロさんに似た感じのカエルっぽい人が来なかった?
 そんなに時間は経ってないはずなんだけど。
 女性の方は茶色の長い髪をこう、左側に結んだ、私よりちょっと年上って感じの人よ。
 その人が『なのは』っていう、ヴィヴィオちゃんのお母さんなの」

 朝倉は自分の頭の左側を指差しながらそう言って冬月やなのは、そして名前を知らないケロロのことを尋ねた。

「申し訳ないが、拙者たちもここにたどり着いたばかりゆえ、わからないでござる。
 しかし少なくとも先ほどの捜し物の時には、誰の気配も感じなかったでござるよ」
「そう…… じゃあやっぱり違う所に転移したってことかしら。
 そうだ。バルディッシュ。あなたは何かわからない?」

 朝倉はヴィヴィオが持っているバルディッシュの事を思い出し、話しかける。

44 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:05:53 ID:SF0f54Dw
『I am sorry. 常に周囲をサーチしては居ますが、あなた方以外の生命反応・魔力反応を感知できません』
「そう。でもあなたが探知できる範囲もそんなに広くはないのよね?」
『Yes. 我々デバイスの探知能力は近距離に制限されています』
「仕方ないか。今は彼女たちは居ないものと思っておきましょう」

 朝倉は納得したようだが、自分の背中から突然誰かの声が聞こえたリナはさすがに驚きを隠せない。

「アサクラ、あんた誰と話してたの? この子の声じゃなさそうだったけど」
「通信機のようなものでござるか?」
「ああ。今話してた相手はバルディッシュって言って、ヴィヴィオちゃんが持ってるデバイスよ。
 デバイスって言うのはヴィヴィオちゃんの世界のアイテムで、魔法をサポートするものらしいわ。
 人工知能が組み込まれていて会話もできるし、ある程度の索敵もやってくれるの。
 さっきドロロさんに探してもらったクロスミラージュもデバイスだったの。
 ねえ、バルディッシュ、2人に挨拶して?」

 朝倉がそう呼びかけると、ヴィヴィオの首に掛かっていたペンダントが少し浮かび上がってちかちかと光を発する。

『私がバルディッシュです。よろしくお願いします』
「バルディッシュはちょっと無口だけど、信用できる相手よ」
「よろしく、バルディッシュ。
 暇になったら魔法のサポートっていうのをちょっとやってみせてくれる? 興味があるわ」
『了解しました。Miss.リナ』

 少々面食らっていたのも最初の内だけだったようで、リナはあっさりデバイスの存在を受け入れていた。
 元々魔法の世界の住人なので、喋るペンダントぐらいは驚愕するほどのものではなかったらしい。
 もちろんそれはドロロにしても同じ事。
 もっとも彼が見慣れている喋るアイテムはクルルが作った発明品などの科学の産物ではあるが。

45 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:06:30 ID:SF0f54Dw
「バルディッシュ殿、よろしくお願いするでござる。
 しかし、朝倉殿が言われたカエルっぽい人というのはおそらく拙者の仲間の誰かでござるな。
 体の色は何色でござったか?」
「炎の中だったからはっきりしないけど、たぶん……緑色だったと思うわ」
「ではそれはきっと隊長殿でござるな。
 拙者が居た世界で、拙者の所属する部隊の隊長をしておられるケロロ軍曹殿でござるよ」

 ドロロはそう言ったが、残念ながらそれがわかった事についてあまり他の2人の反応は芳しくない。
 そもそも彼らが今どこに居るかがわからないのではあまり意味がないのだ。

「ねえアサクラ。その人たちも変な模様の部屋からどこかへ移動したって事?」
「ええ。この目で見たわけじゃないけれど、首輪探知機の反応が一度に消えたからたぶん……」
「へえ〜、首輪探知機なんてあるんだ。今もあるの?」
「それが市街地で誰かの攻撃に巻き込まれて無くしちゃったのよ。
 火事の中だったから、もう回収しても使えないと思う」
「そっか〜。残念ね。役に立ちそうなのに」
「首輪探知機などというものがあるなら、それを調べれば首輪のことも少しはわかったかもしれないでござるが……
 惜しいことをしたでござるな」
「そうね。あの時は思いつかなかったけど、そういう使い方もあったかもしれない。
 壊れていても回収すれば首輪の分析に少しは足しになるかもしれないわね」




 その後一行は黙って歩き続けたが、しばらく経ってからドロロが口を開いた。

「朝倉殿たちは市街地に居たようでござるが、あそこで何があったのでござるか?
 拙者たちもここに来る途中、遠くから煙を見たのでござるが」

 その問いに対して、朝倉は自分の知る限りの事をリナとドロロに話し始めた。
 特に隠したり出し惜しみする事はなく、ヴィヴィオがなのはに会ってすぐに引き離された事なども話す。
 その流れで、朝倉はアスカや小砂と自分達の間に起こった事件の事にも言及していく。

46 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:07:00 ID:SF0f54Dw
 それまで朝倉の話を黙って聞いていた2人だが、その事件の犠牲者の名前には反応せずに居られなかった。

「ゲンキ殿……! ゲンキ殿は死んだのでござるか?」
「知ってるの? ゲンキ君は名前通りの元気そうな男の子だったんだけど……ね。
 優しすぎる性格が災いしたの。
 アスカを助けて、身代わりになって小砂に撃たれたのよ。
 今思えば小砂はアスカだけを狙っていたんだと思う。
 アスカは殺されても無理ないと思うぐらいひどい女の子だったもの。
 現にアスカはゲンキ君や妹ちゃんも、私やヴィヴィオちゃんも、怪物だって決めつけて殺そうとしていたの。
 どこかおかしくなっていたのかもしれないけど、あれじゃ救いようがなかったわ。
 それなのに、ゲンキ君は、自分達を殺そうとしたアスカをかばって……」
「…………」

 ドロロとリナは何も感想を返すことができなかった。
 できれば合流したいと思っていた参加者の1人が、既に死んでいた。
 それも、そんな悲しい死に方をしたと聞かされたのだ。

 そして、そのためにゲンキの友人であるキョンの妹が復讐の末の自殺を望んでいる事も朝倉は話した。
 何とか出来るものならしてやりたい。
 だが、市街地ではぐれたというキョンの妹を助けに行くには少々場所が遠い。
 それに、ヴィヴィオの安全も考えねばならないだろうし、晶たちとの約束もある。
 ズーマとの戦いで受けたダメージや疲労・魔力の消費も考慮しなければならない。
 2人の間に決着がつくまでに2人を発見できるかどうかわからない。
 そして、仮に間に合って駆けつけたとして、どうやって彼女を説得できるというのだろう。
 もはや彼らにはキョンの妹の無事を祈る他に出来ることはないように思えたのだ。

「ゲンキって子は、今から連絡を取る相手の知り合いなのよ。
 もし見つけたら一緒に行動しようと思ってたんだけどね」
「そうなの……
 そう言えば、そろそろその協力者っていう人の事も教えてもらえないかしら?
 どういう人たちなの?」

 朝倉にそう聞かれて、リナはドロロと一瞬視線を交わす。
 ドロロはそれに無言の頷きで答えたが、リナはまだ朝倉を信じ切ってはいなかった。
 ここまでの話を聞けばうっかり感情移入してしまいそうになるが、まだ朝倉が嘘を言っている可能性もある。
 ヴィヴィオも寝たままで、証言できそうなのはバルディッシュのみ。
 リナの冷静な判断では、まだ朝倉を信じ切るには材料が足りない。

47 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:07:36 ID:SF0f54Dw
「まあ、名前ぐらいは教えておいた方がいいわね。
 深町晶とスエゾー。あと、参加者じゃないけど小トトロっていうのが一緒にいるらしいわ。
 知ってる名前はある?」
「うーん。残念だけど知らないわね。
 トトロって言う参加者の事は少しだけ聞いたことがあるけど。小トトロっていうのはその関係者なのかしら?」
「たぶんそうみたいなんだけど、はっきりとはわかんないのよね〜」
「うむ。喋らない小動物のような生き物のようで、どうやらトトロの関係者らしいという事しかわからないそうでござるよ」
「ふうん。私はトトロっていうのは体格のいい外国人か何かだと思ってたんだけど、違うのかしらね」
「外国人? アサクラ、あんたなんでそう思ったの?」
「ある人に聞いた話から想像したのよ。
 その人が、トトロは大きくて強いって言っていたから。
 でも、不思議な力も使えるって言っていたし、人間じゃないと考えた方が辻褄が合うかもしれないわね」
「その、ある人というのは誰でござるか?」
「うーん…… まあいいか。これからあなたたちとは仲良くやって行きたいし。
 草壁メイっていう小さな女の子よ」

 わざわざもったいぶった言い方をしたのは2人に少しでも恩を売っておこうという打算なのだろう。
 だが、2人はそんな事よりも朝倉の言った名前に強く興味を引かれて食い付いていた。

「草壁メイ? 草壁メイに会ったの?」
「草壁メイは小さな女の子でござったか。やはり草壁タツオの関係者だったでござるか?」
「それが残念なんだけど、メイちゃんとはこの殺し合いが始まってすぐに会って、すぐに別れちゃったのよ。
 変なマスクとマントを着けた変態っぽい人にさらわれちゃってね。
 一緒にいたウォーズマンっていう人が探しに行ったんだけど……」
「放送で名前を呼ばれていたという事は、助けられなかったでござるな……」
「そうね。私はその後ウォーズマンと合流できなくて、仕方なく別れて行動する事になったの。
 ウォーズマンっていうのは全身まっ黒でヘルメットとマスクで顔を隠した体格のいい男の人でね。
 自分の事を正義超人だって言っていたわ。
 その後会った参加者のキン肉マンって人もそのウォーズマンの知り合いで、正義超人って名乗っていたわね。
 そう名乗るだけあって、悪は許さず弱い者を守るって感じの人たちだったわよ。
 ……外見は変だったけど」

48 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:08:20 ID:SF0f54Dw
 朝倉の話を聞いて、リナは図書館で見つけた本で読んだ知識を思い出す。
 だが、あの本に書いてあった内容を思い出して何とも言えない気分になり、あえてその事を口にはしないのだった。

「しかし、草壁メイとトトロはやはり関係者でござったか」

 少しの沈黙の後、そうつぶやいたドロロに朝倉が話しかける。

「メイちゃんは友達だって言っていたわ。
 あと、言っていた事といえば、草壁サツキがおねえちゃんだって事ぐらいね」
「おねえちゃん、でござるか。そうなると草壁サツキもやはりまだ子供と考えてよいでござろうな」
「それはわからないけど……もう草壁サツキは死んでいると思うわ」
「……思うって事は誰かに聞いたって事かしら?」

 朝倉の驚くべき発言を聞いて、リナは真剣な顔で確認する。

「ええ。さっき話したアスカって女の子が殺したって言っていたわ。
 草壁サツキが彼女の味方に襲いかかってきたからって。
 主催者の手先だったとも言っていたけど、彼女の言う事じゃ信用はできないと思う」
「う〜む。それは……また……」

 ドロロも、そしてリナも言葉を失った。
 むろん2人ともこんな殺し合いに巻き込まれているのだから、そういう事が起こりうるのは予想していた。
 だが、現実に狂ったように人を攻撃している人物の話を聞くとさすがに嫌な気分にさせられる。
 朝倉から聞いたアスカの発言内容も、朝倉に言われるまでもなくあまり信じていなかった。

「そっか。じゃあもう直接草壁サツキから話を聞くことはできないのね」
「残念だけど、そう言うことになるわね。
 アスカの勘違いであってくれればとは思うけど、そんな幸運は期待できないかな……」

49 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:08:56 ID:SF0f54Dw
 朝倉の言葉に一行の足取りは重くなる。

「しかし、まだ草壁姉妹の情報を調べる手段はあるでござるよ。
 草壁タツオに繋がる線が完全に絶たれたわけではござらん」

 ドロロがそう言うと、朝倉がそれに興味を持って尋ねてくる。

「ということは、何か調べるあてがあるの?」

 そう聞かれて、ドロロは朝倉に悟られぬように素早くリナの方を伺う。
 リナは首を振ったりはしないが、あまりいい顔はしていない。直前まで伏せておこうという事だろう。

「確かに今から行く先にあてはあるでござる。でも、それはその時になってからのお楽しみとさせて下され。
 もし上手く行かずにぬか喜びさせてしまっては申し訳ないゆえ」
「……そう。わかったわ。楽しみにしておくわね」

 こうしてある程度の会話を進めた一行は、少々重苦しい空気の中、スタッフルームに向かって歩き続けた。







「……ふう。やっと映像を確認できたな。
 これでドロロさんとチャットを再開した時に伝えるべき事はわかったぞ」

 場面は変わって、ここはH−8エリアにある博物館。
 その中にある学習室の中に設置されているパソコンの前で晶がつぶやく。
 ちなみに食事の時に解除していたガイバーは念のため再び殖装している。

50 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:09:40 ID:SF0f54Dw
 晶・スエゾー・小トトロはドロロ・リナ=インバースの2人とこのパソコンから見られる映像を確認する約束をしていた。
 だが、川口夏子とチャットしたり、食料を探したり、雨蜘蛛と話をしたりしていたために、今やっと確認が済んだのだ。

「しかし、異世界ってやつは底が知れねえな〜〜
 その映像に出てきたアシュラマンにしてもオメガマンにしても、想像を絶するバケモンだ。
 スバルって女もそいつらに勝っちまうんだから同じようなモンだな。
 ガルルってカエルの最後はあっけなかったが、あんな生き物が居るって事自体が不思議発見だぜぇ〜〜?」

 同じ部屋で脚を組んで椅子に座り、帽子とゴーグルとマスクで顔を隠した怪しい男、雨蜘蛛が晶に話しかけた。
 そして、やはり同じ部屋にいるスエゾーも話に加わる。

「オレから見たらまだ理解できる範囲内やったけどな。
 せやけど、このオメガマンっちゅうやつはホンマに許せんやっちゃ。
 今度会うたら……いててて」

 オメガマンへの怒りで力んだせいか、スエゾーが体の痛みで顔をしかめる。
 一応怪我の応急処置はしてあるが、万全の状態とは言い難い。

「無理するなよスエゾー。もしオメガマンを見つけたら俺も一緒に戦うから」
「おんやあ? 晶。お前は確かみんなで生き残るつもりじゃなかったのか?
 こいつだって生き残るために割り切って人を襲ってるだけで、被害者には違いないんじゃねえの?」

 雨蜘蛛がからかうように晶に問いかける。
 ふだんの雨蜘蛛ならばいちいち青臭い相手にツッコミなど入れなかった。
 いや、むしろ近づきたがらなかっただろう。
 だが、雨蜘蛛は空を飛べる深町晶を利用するつもりなので、とりあえず近くに居るのは避けられない。
 それでついなんとなく口を出してしまった。要するに暇つぶしだ。

「そ、それは…… でも、このオメガマンは力を合わせて殺し合いを潰そうと言っても聞くような相手とは思えません」
「話を聞かないやつは力でぶっ潰す、か。いいねえ。それが正解ってもんだ。
 お前さんにその覚悟があるなら何も言うことはないぜえ〜
 だがまあ。途方もない大仕事をやろうって時には、それだけじゃ足りない事もあるがなぁ〜?」
「足りないって……何がですか?」

51 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:10:51 ID:SF0f54Dw
晶のその返事を聞いて、雨蜘蛛は呆れたよう椅子に座ったまま天を仰ぎながら言った。

「カ〜〜ッ。まったく、お前はどうしようもない唐変木だな。
 少しは考えるとかしたらどうなんだ、このドテカボチャ!
 利用するんだよ。ヤツが殺しを望んでいようが、その考えを読めば利用する隙はあるもんだ。
 敵だけじゃねえ。この島のありとあらゆるものを利用できる知恵がなくちゃ到底脱出なんざ不可能だぜ?
 お前さん、本気で殺し合いを潰す気があるのか?」
「あ、あります! こんな殺し合いに乗るなんて絶対できません。
 俺の進む道は、殺し合いを潰す事しかないんです」
「そうかい。だがな、こうして話してる内容があの草壁ってオッサンや長門って小娘に筒抜けになってるとは思わないのか?
 もし筒抜けだったらどうする? 今頃あいつらお前の話を聞いて大爆笑してるぜ〜? ひ〜っひっひっひぃ」
「うっ……」

 言われてみればその通りだ。
 首輪に発信器のようなものがついている事は間違いないだろう。
 だからこそ主催者たちは死亡者を発表することができるのだ。
 だったらマイクだって仕込まれているかもしれないと、晶とて薄々わかっては居たのだ。

 まだ具体的にどうやって主催者に立ち向かうか何もわかっていないので油断していたかもしれない。
 だが、殺し合いを潰すための行動を続けていれば、いずれ目をつけられて殺されるかもしれないのだ。
 ――あの、最初に液体にされた少年のように。

「それぐらい相手はでっけえってこった。
 どうだ? なんだったら諦めて殺し合いに乗ってみるか?
 俺だって主催者どもを信用してるわけじゃあねえが、立ち向かうよりはマシだと思わねえか? んん〜?」
「ダメです! そんなことできるもんか!」
「そうやそうや! 強い相手やから言うていいなりになって人殺しなんかできるかいな!」

 晶もスエゾーも殺し合いに乗る気は欠片もなさそうだ。

「まったく、おめでたい連中だぜ。
 だが、それが本物の信念ならいいが、本当の地獄を見てもまーだ言ってられるかねえ〜?」

52 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:11:29 ID:SF0f54Dw
 雨蜘蛛は手をひらひらさせながらそう言って、晶とスエゾーをあしらう。
 だが、晶はひるまずに雨蜘蛛を正面から見据えて答えた。

「地獄なら……もう見ました。ここに連れて来られる前に」
「オレかて地獄のひとつやふたつ、見てへんて思うなや!?」

 スエゾーもでっかい一つ目で雨蜘蛛を見据えて言う。
 
「ほ〜う。言うじゃ〜ねえか。
 だったらもっと真面目に頭を使ってやるこったなぁ〜
 あんまりお粗末だとだ〜れもお前らの所になんか来てくれねえぜ?
 もちろん、俺だってお前らがダメだと思ったらそれまでさ。俺は自分の命が助かることが最優先だからなぁ〜」
「雨蜘蛛さん……」

 晶はそう言った雨蜘蛛を苦しそうな顔で見つめた。
 スエゾーもしかめっ面で雨蜘蛛を見ている。
 雨蜘蛛は言い過ぎたか? と少し後悔したが、言ってしまったものは仕方がない。
 本来の雨蜘蛛の目的からすれば、晶たちに調子を合わせて利用するはずだったのだが、どうも話が違ってきた。

(どうやら俺はこいつらにちょいと興味が湧いてきたようだなぁ〜)

 ヘンテコな鎧を着込んだ、自称・地獄を見てきた少年と目玉お化け、それとおまけのもふもふ。
 何が雨蜘蛛の興味を引いたかはわからないが、人の縁の始まりなどこんなものかもしれない。
 もちろん雨蜘蛛の性格からして、いつ切れるかわからない縁ではある。
 ある瞬間、あっさり晶たちの敵に回る時が来るのかもしれない。
 だが、少なくとも利用価値があるうちはこいつらに肩入れしてやってもいいかと雨蜘蛛は思うのだった。

53 遊園地に日は暮れる ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:12:08 ID:SF0f54Dw


 ぽむ ぽむ


 雨蜘蛛の言葉に自分の無策を改めて自覚させられて黙り込んだ晶の手に何かが当たる。
 晶がそっちを見ると小トトロが机の上に置いたガイバーの手の上で跳びはねていた。

「どうしたんだ、小トトロ? あっ、チャットか!」

 振り返った事でパソコンの画面が目に入り、晶はチャットに変化があったことに気付いた。
 いつドロロたちから連絡があってもいいように、『ゴーレムの友』という名前でチャットに入ったままにしておいたのだ。

「そ、そうやった。そろそろドロロから連絡がある頃やったな」
「お〜っ? やっと来たか〜 そいつらから何かいい情報が入るといいんだがな〜?」
「まだ遊園地のパソコンにたどり着いただけかもしれませんけどね」

 そう言って晶はパソコンに向かってキーボードを叩き始めた。

54 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:13:01 ID:SF0f54Dw
まだ続きます。実は全部で4本あるんです……

55 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:13:58 ID:SF0f54Dw


 少し時間はさかのぼる。


「少々遅くなってしまったでござるな」

 遊園地(D−2)のスタッフルームにあるパソコンを立ち上げながら、ドロロがつぶやいた。
 同じ部屋には、ドロロがここまで行動を共にしてきた魔法使いの少女、リナ=インバースの他に新たに2人の人影がある。
 1人はメイド服を着た女子高生、朝倉涼子。
 もう1人は5歳ぐらいの金髪の女の子、ヴィヴィオである。
 ちなみにヴィヴィオはまだ目を覚ましておらず、スタッフルームのソファーに寝かされている。

「少しぐらい遅れたって仕方ないわよ。あんな事があったんだし。
 放送前には充分間に合ってるんだから、問題ないわよ」
「確かにそうかもしれぬでござるな。あとはあちらに何事も起こっておらねばよいのでござるが……」

 そうつぶやいてドロロはパソコンが立ち上がるのを待つ。
 しばらく経つとデスクトップ画面が表示された。
 壁紙は青いもふもふした生物とそれより一回り小さい白いもふもふした生物がてくてくと歩いている画像だ。
 そしてアイコンは『Ksknet Explorer』のみ。
 最初に見た時となんら変化はない。
 だが、ドロロはふとその白い生物に注意を引かれ、しげしげと観察し始めた。

「リナ殿。この白いもふもふした生物はもしや小トトロでござろうか?」
「え? ああ、そう言えば白くてもふもふしてるわね。じゃあ横の青いのがトトロかしら?」
「うーむ。とりあえず後で晶殿に聞いてみるしかないでござるな」

 実物を見ていないのだからどうしようもないと思い直し、ドロロは『Ksknet Explorer』をダブルクリックした。
 すぐにksknetの画面が表示され、掲示板、チャットルーム、kskという3つのコンテンツが表示される。

「へえ〜。こんな風になってるのね。でもさすがにインターネットには接続してないか……」

 朝倉がそう言ってドロロの左側にやって来て椅子に座り、画面を覗き込む。
 リナも右横に座って画面を見ているので、ドロロは両手に花といった状態である。
 もっとも、ドロロはその事を特に意識してはいないのだが。

56 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:14:34 ID:SF0f54Dw
「そうだ、ドロロの治療もついでにやっといた方がいいわね。この先も何が起こるかわかんないし」

 リナはそう言って、またドロロの傷に治癒(リカバリィ)をかけ始める。

「リナ殿も魔法を使い続けて疲れておられるのではござらんか?
 ここまでヴィヴィオ殿を背負ってきたのでござるし。無理はせぬ方がよいでござるよ?」
「心配しなくても大丈夫よ、ドロロ。落ち着ける時間があれば回復する方法もあるしね」
「う〜む。リナ殿がそう言うのであれば……」

 ドロロはまだ遠慮しているようだが、それ以上は何も言わない事にしたようだった。
 そこで、ふと気になってドロロが朝倉に尋ねる。
 
「朝倉殿。ヴィヴィオ殿は見ていなくてよいのでござるか?」

 ヴィヴィオが眠っているソファーはパソコンのある机から4メートルほど後にあった。
 放っておいても問題は無いのだろうが、小さな子をほったらかしにするというのは心情的に少し気になったのだ。

「ええ。寝ているだけみたいだし、何かあったらすぐに教えるようにバルディッシュに頼んでおいたから大丈夫よ」
「なるほど。こういう時もデバイスというのは頼りになるでござるな。
 では早速、と言いたい所でござるが、まずは掲示板のチェックをしておいた方がよいでござろう」

 ドロロはそう言ってまず掲示板をクリックする。
 掲示板の内容はほとんど既に読んだものや自分で書き込んだものだが、1つ新しい書き込みが増えている。
 書き込んだ時間は昼過ぎ。書き込んだ人物の名前は「名無しさん@kskいっぱい」
 つまり名前無しの書き込みである。

57 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:15:23 ID:SF0f54Dw
『学生服を着た茶髪の男は危ない、気を許したと思ったら隙を見て襲い掛かってきた。古泉、という奴だ
 そいつは既に人を殺してる、涼宮ハルヒという元の世界の知り合いを高校で殺したと俺に言った』


「確かに第1回の放送で友達に殺された人が居るとは聞いてござったが……」
「これを書いたヤツが誰なのかわからない以上、話半分に聞いておくしかないわよね」

 新しい書き込みへの感想を言ったドロロに、治癒の魔法をかけ続けているリナが答えた。
 しかし、朝倉は彼らの知らない情報を持っていたため、より踏み込んだ意見を述べる。

「これはたぶん嘘よ。涼宮さんを殺したのはキョン君。たぶんそれは間違いないわ。
 目撃者はヴィヴィオちゃんだからね。
 ただ、キョン君はさっきのズーマと同じ変な鎧を着ていたから、顔を見たわけじゃないらしいけど。
 でも、涼宮さんと話していたそうだから、間違いだとは考えにくいの。
 キョン君も涼宮さんの親しい人間だからね」
「うーむ、その鎧はガイバーでござるな。鎧の色は何色だったと言っておられたでござるか?」
「あの鎧、ガイバーって言うの? でも色までは聞いてないわね」
「そうでござるか。ガイバーⅠ殿という事はないであろうが、0号ガイバーという可能性はあると思ったのでござるが」

 ドロロはあえて晶がガイバーⅠだとわからぬように注意しながらそう言った。
 朝倉にそれを打ち明けるのはどうしても必要になってからでいいだろうという配慮であった。

「ガイバーⅠとか0号っていうのがいるの?」
「うむ。ガイバーⅠ殿は水色。0号ガイバーは緑色だと聞いているでござる」
「確かズーマの鎧は黄色だったわね。ガイバーってこの島に一体いくつあんのかしら?」
「さあ。それはなんとも言えぬでござるな。
 あと、気になったのでござるが、涼宮殿を殺したキョンというのはつまり、先ほど話された妹殿の……」

 ドロロが朝倉の方を向いてそう尋ねると、朝倉は少しうつむいて答えた。

「ええ。実のお兄さんよ」
「やはり、そうでござるか……」

 気まずい沈黙が流れる。
 だが、リナがその沈黙を破って、チャットを開始する事を促す。

58 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:15:57 ID:SF0f54Dw
「まあ、その話はその辺でいいんじゃない?
 あんまりこの事で時間潰してもしょうがないわ。ドロロ、チャットを始めましょう」
「そうでござるな。わかったでござる」

 リナに言われて、ドロロはすぐにチャットに移ろうとするが、朝倉がそれを止めた。

「ちょっとだけ待って。他の書き込みも私は見てないの」

 朝倉がそう言って横からキーを操作して画面を上にスクロールさせたので、ドロロは椅子を引いて朝倉に場所を譲る。
 そして、ドロロの治療を続けているリナも、必然的に少し移動する。
 朝倉は「ありがとう」と礼を言って、素早く書き込みのチェックをする。

(朝比奈みくるは主催者の仲間……か。ある意味間違ってないけど、それなら私の方がよっぽど長門さんに近いわね)

 朝倉は自分と長門の関係を告げるかどうか一瞬考えたが、結局話さない事にした。
 今のところ良好な関係になれそうなのに、疑われるような事を進んで話すのはデメリットが大きすぎるからだ。
 後でばれた時にスパイだなどと疑われるのも嫌だが、この2人はかなり冷静に物事を見るタイプのようだ。
 自分に懐いているヴィヴィオも一緒だし、弁明できる可能性は高いと判断した。

 その他の書き込みは危険な人物について警戒を促す同一人物によると思われる書き込みだった。
 だが、その中でゼロスに関する書き込みを発見し、朝倉は興味を引かれる。

「このゼロスって人には会ったわ。
 問答無用で襲いかかって来たりはしなかったし、むしろ友好的と言っていい相手だったけどね。
 でも、確かに何か信用ならない感じのする人ではあったわね」
「この一連の書き込みをしたのは拙者でござる。
 ゼロス殿についてはリナ殿が詳しくご存じなので、書いたことに嘘はないはずでござるよ」

 ドロロの言葉に、朝倉は思わずリナの方を向いて確認する。

59 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:16:42 ID:SF0f54Dw
「本当? リナさん」
「ええ。本当よ。
 ただ、あいつが友好的に接してきたってのもわからなくはないわね。
 あいつだってこの殺し合いの島から出来れば逃げ出したいと思ってるだろうし。
 そのために情報や味方を集めてるって事はありそうだわ」
「拙者が会った時も、首輪に関係する人物は殺さないと言っていたでござるな」
「ふ〜ん。あ、そう言えば、ゼロスさんは『セイギノミカタ』を探してるみたいだったわよ?」

 朝倉のその発言に、リナは少し不思議そうな表情になる。

「正義の味方? なんでかしらね?」
「さあ、それはちょっと……」

 聞かれてもゼロスの考えなどわかるわけはない。朝倉はあやふやな返事をして他の書き込みに感心を移した。
 その後の中・高等学校に危険人物がいるという書き込みについてもリナといくらか話をして朝倉は掲示板を見終える。
 そして、その頃にちょうどリナによるドロロの治療も終了する。

「ほい、これでとりあえず目立つ怪我はふさがったわよ」

 リナはぽんとドロロを軽く叩きながらそう言って、ひとつため息をつく。
 制限を受けているせいか、やはり回復魔法を使うのにも結構な疲労が伴うようだ。

「かたじけないでござる。疲れているようでござるが、大丈夫でござるか? リナ殿」
「う〜ん、結構疲れたわね。回復しときましょっか」

 リナはそう言って自分のデイバッグから赤い宝石――レリックを取り出し、意識を集中させる。
 その様子を見て、朝倉がドロロにパソコン前の場所を譲りながら尋ねる。

「ありがとう。もういいわ、ドロロさん。
 ところでその、リナさんが持ってる宝石は何なの?」

 まあ、突然リナが宝石を持ち出して見つめだしたのを見て、疑問に思うのは当然だろう。

「ああ。あれはリナ殿の精神力の回復を早める効果がある宝石でござる。
 他にも使い道があるかもしれないでござるが、説明書きが無くてわからないのでござる」
「ふ〜ん。あれを使えば私も少しは疲れが回復するかしら?
 こうして座れたのはよかったけど、そろそろ眠るとかしないと限界が近いかもしれないわ」

60 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:17:27 ID:SF0f54Dw

 実際朝倉はかなり疲れがたまっていたのでそう尋ねてみる。
 だが、リナの返事は朝倉を喜ばせる内容ではなかった。

「それは無理だと思うわよ? あたしは魔力を取り込んで自分の精神の疲労を回復してるわけだから。
 アサクラには、っていうか魔法を使う人じゃなきゃ難しいんじゃないかしらね」
「そう……残念ね。
 でも、ヴィヴィオちゃんは魔力を使うみたいだからもしかしたら…… ちょっと見せてくれる?」

 朝倉はそう言うと立ち上がり、リナの座っている方、ドロロの右斜め後方あたりへ椅子ごと移動する。

「チャットは始めてよいでござるか?」
「あたしは別にいいわよ? アサクラはこの宝石が気になるみたいだけど」
「あ、ごめんなさいドロロさん。気にしないで始めて?」

 ドロロは急に他のことを始めた2人に一応確認する。
 そしてどうやら問題なさそうなので、マウスを操作して掲示板からトップページに戻り、チャットのページに入った。
 それからチャットの名前入力画面に移ると、そこには現在チャットに1人入室していると表示されている。

「おお、ちゃんと待っていてくれたようでござるな」
「まあ、深町晶だからね」

 リナのその言葉に、朝倉は深町晶だと待っていてくれるという事になるのだろうかと疑問を抱くがあえて口にはしない。
 そして朝倉はそれよりもこっちが先だと、リナから受け取ったレリックをよく観察する。

 朝倉には本来魔力というものの情報がなかったものの、クロスミラージュを扱った事で多少は理解できていた。
 その事がレリックを理解する上で役に立つ。
 どうやらこれは内部に膨大なエネルギーを蓄えた物質のようだった。

 そうして朝倉が考えている間に、ドロロは名前欄に『泥団子先輩R』という名前を入力してチャットに入室する。
 それに気付いた朝倉がちらりとドロロの肩越しに画面を除いて、ドロロに尋ねる。

「……なんなの? その泥団子先輩Rっていう名前」
「いくら何でもチャットに本名で入るのは抵抗があったゆえ、知り合いだけにはわかりそうな名前を考えたのでござる。
 この名前を見ればたぶん拙者の知り合いにはわかるはず。わかると思う。わかったらいいな……」
「ちょ、ちょっとドロロさん、どうしたの?」

61 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:18:09 ID:SF0f54Dw
 タママあたりが「こんな名前知らないですぅ」と言っている姿が容易に想像できたので、ドロロは落ち込みそうになる。
 だが、こんな所で鬱になっていても2人や晶たちに迷惑なのでどうにか持ちこたえるドロロであった。

「い、いや、なんでもないでござるよ。
 うむ、やはり中にいたのは晶殿でござったな」

 チャットに入ると、画面右側には『ゴーレムの友』という名前が表示されている。
 ドロロは手早くキーを叩き、チャットを開始する。


  (泥団子先輩Rさんが入室しました)
  泥団子先輩R>お待たせしたでござる。


 だが、なかなか晶からの返事がない。

「離席してるのか、画面を見てないんじゃないかしら。
 いくら待ってるとは言っても、ずっと画面に張り付いてるのも疲れるだろうし」

 朝倉が推測を述べる。
 そして、ドロロとリナもそれには納得したので、しばらく待ってみることになった。

 ちょうどいい暇が出来たと、朝倉はレリックに意識を戻し、情報改変のプランを頭の中で構築していく。
 リナは難しいと言っていたが、これなら少し手を加えればリナのやっている事をもっとやりやすくできる。
 朝倉はそう考えたのだった。

「ねえ、リナさん。この宝石にちょっと手を加えてもいいかしら?」
「手を加えるって……どうするかにもよるわね。
 それ、うっかり手を出すと大爆発する可能性もあるわよ?」
「だ、大爆発でござるか?」

 リナの説明でドロロが少し緊張する。こんな所で大爆発など起こされてはたまらない。
 しかし朝倉はそういう心配はまったくないと説明する。

62 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:18:56 ID:SF0f54Dw
「大丈夫。急激にエネルギーを解放するようなヘマはしないわ。
 リナさんがやってる作業がやりやすくなるように改変するだけだから」
「う〜ん。アサクラを疑ってるようで悪いけど、ちょっと心配ね。
 本当の本当に大丈夫?」
「ええ。宝石の構造そのものには手は出さないから危険はないわ」

 リナはそれを聞いても少し迷っていたが、結局は朝倉の言うことを信じることにした。
 精神力の回復が楽にできるようになれば、リナにとっては願ってもない事だったからだ。

「わかったわ。じゃあお願い。アサクラ」
「まかせて。すぐに済むから」

 リナにそう言って朝倉は数秒間異常なスピードで呪文のような複雑な発音をする。
 あとはあっけないものだった。ただレリックが一瞬ぼんやり光を放ったぐらいで、朝倉の作業は終わってしまった。

「はい、リナさん。試しに魔力を引き出してみて?」

 朝倉はそう言ってリナにレリックを返す。
 あまりに簡単に終わったのでリナは半信半疑だったが、言われた通りにやってみる。

「あ、確かにさっきより楽ね。回復量はそんなに増えてないけど、ほとんど集中してなくてもいいみたい」

 リナはそう言って素直に朝倉の改変の効果を認めた。
 これなら手に持ってさえいれば、普通に会話や考え事をしながらでも回復ができるだろう。

「でも、やってもらってこう言うのは悪いんだけど、それでもアサクラには使えないと思うわよ?」
「それはいいんだけど、後でそれをヴィヴィオちゃんにも貸してくれないかしら?
 ヴィヴィオちゃんならそれを使えると思うの」

 そう言われてリナは少し考えるが、手を加えてもらった恩があるので、ここは素直に頼みを聞いておく事にする。

「そうねー。うん、いいわ。あの子が起きたら自由に使ってちょうだい」
「ありがとう、リナさん」
「ううん。こっちこそ感謝しないとね。ありがと、アサクラ」

63 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:19:41 ID:SF0f54Dw
 そう。朝倉がわざわざこんな事をしたのはリナに恩を売るためだけではなく、ヴィヴィオの回復にレリックを使うためだ。
 さっきのままでは高度な技術を持つリナには可能でも、ヴィヴィオには魔力の回復は難しかっただろう。
 だから、朝倉はレリックに改変を施して、ヴィヴィオにも精神の回復ができるようにしたのだ。

 だが、朝倉は知らない。
 かつてヴィヴィオがスカリエッティによってレリックを体内に埋め込まれた事を。
 それによってヴィヴィオが大きな力を得て、操られ、育ての母であるなのはと戦ってしまった事を。




「リナ殿、朝倉殿。あちらから返事が来たでござるよ!」

 リナと朝倉のやりとりに耳を傾けながらも画面を見ていたドロロが、晶たちからの返事が来たことを告げた。

「ん。わかったわ。ちゃっちゃと始めちゃってちょうだい。ドロロ」

 リナはレリックを手に持って精神力の回復を続けながらドロロに答える。
 回復のスピードはあまり変わっていないが、楽に回復できるぶん他にちょっかいも出せるというものだ。

「心得たでござる。
 それでは、まずは互いの状況確認からでござるな」

 リナにそう答えると、ドロロはキーを叩き始め、チャットが本格的に再開された。
 そして、リナの方へ移動していた朝倉も、画面をよく見るために再びドロロの左側へと椅子を持って移動する。


  ゴーレムの友>返事が遅れてすいませんでした。
  泥団子先輩R>いやいや、こちらこそ待たせて申し訳ないでござる。
  泥団子先輩R>そちらは何事も無かったでござるか?
  ゴーレムの友>危険な事は何もありませんでしたが、2人の参加者とコンタクトが取れました。
  ゴーレムの友>1人は川口夏子という人で、そちらが退室した後にチャットに参加して来た人です。
  ゴーレムの友>もう1人は雨蜘蛛という男の人で、こちらは博物館で直接会った人です。
  泥団子先輩R>直接会ったという事は、今も近くにいるでござるか?
  ゴーレムの友>はい。
  ゴーレムの友>雨蜘蛛さんはその、今は殺し合いには乗っていませんが、生き残ることが最優先という方です。

64 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:20:18 ID:SF0f54Dw
「あー、なんか変なのに引っかかってる気がするわね…… なんとなくだけど」

 リナが目を細めながら少々呆れた口調で言う。

「まあ、人が集まれば晶殿のような信用できそうな相手ばかりというのもあり得ない事だとは思うでござるが……」
「ねえ。深町さんたちが何者かに人質を取られたりして脅されているっていう可能性はないの?」

 朝倉はかわいい顔をしてずばっと嫌な可能性に言及した。
 と言っても、もちろん雨蜘蛛の姿と名前が一致しない朝倉が雨蜘蛛の正体に気付いたわけではない。
 単に気になったことを口にしただけだ。

「そうね。その可能性もあるかも」
「しかし、今のところ判断できる情報がなさ過ぎでござる。
 とりあえず話を進めるしかないのでは?」

 ドロロとリナは少しの間う〜んとうなって考えたが、リナが決断を下した。

「まあいいわ。とりあえず余計なことは言わないように釘を刺しておいて、話を進めましょ。
 チャットしてて助けを求めているようなそぶりがあればその時に考える。それでいいわ」
「釘を刺す、でござるか。とにかくやってみるでござるが……」


  泥団子先輩R>その雨蜘蛛殿には失礼かもしれぬでござるが、拙者たちが信用しているのは晶殿とスエゾー殿でござる。
  泥団子先輩R>よって、こちらの情報はあまり伝えぬようにしていただきたいのでござるが、よろしいでござろうか?
  ゴーレムの友>わかりました。合言葉も誰にも教えていません。
  ゴーレムの友>そちらに迷惑がかかることだけは無いように注意します。
  ゴーレムの友>ただ、そちらの名前や多少の情報は伝わってしまいますが、よろしいでしょうか?
  泥団子先輩R>名前程度であれば構わないでござろう。
  泥団子先輩R>一緒に行動する以上、ある程度やむを得ない事は理解できるでござるよ。
  ゴーレムの友>ありがとうございます。ご心配をかけてすいません。


「とりあえず助けを求めている感じは無さそうだけど……どうなのかしら?」
「う〜〜ん。たぶん普通にややこしい参加者を引き込んじゃったって感じだとは思うけど。
 考えても仕方ないわね。ドロロ。話を続けて」
「了解でござる」

65 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:20:50 ID:SF0f54Dw








「おいおい〜。こいつ、俺の事を信用できないって言ってるぜ〜〜
 おじさん傷ついちまうなあ〜〜」
「いや、それはしょうがないんじゃないかな。
 雨蜘蛛さんの事を相手は何も知らないんですから」
「そうやで。タダでさえ相手の顔が見えへんのに、生き残るんが最優先やって聞いたら心配すんのもしゃあないで」

 博物館の学習室のパソコンを前にして、ガイバーⅠ、スエゾー、雨蜘蛛、小トトロの2人と2匹が話し合っていた。
 話し合いと言っても「泥団子先輩R」に釘を刺されたことに雨蜘蛛が愚痴を言っているだけなのだが。
 ついでに言えば小トトロはみんなの顔を見回して頷いたり首をかしげたりしているだけなのだが。

「おいおい。お前らちょっと俺に冷たくないか〜?
 生き残るのが最優先なんて、誰だって同じだぜ?
 なあ〜、俺怒っていいかな〜? なあおい、晶、どうなんだ? ヴルルゥァ〜〜」

 そう言って雨蜘蛛はガイバーをまとった晶の肩をグーでゴンゴンと叩く。
 ガイバーは丈夫なのでその程度では痛みも感じないのだが、精神的にはかなり気になる。

 この雨蜘蛛という人物は確かに晶に無いものを持っている。
 それはきっと狡猾さとか非情さとか言ったたぐいのものだ。
 それは0号ガイバー・キョンとの戦いを経験した晶が欲したもの。
 そして、それはこの島で生き抜いて殺し合いを潰すために必要になる事もあるだろう。
 だが、それに呑まれてしまうわけにはいかない。それが晶の動かせないスタンスであった。

「我慢して下さい、雨蜘蛛さん。
 とりあえず今は情報のやり取りをする事が先決なんですから」
「ちっ。しょうがねえなあ。まあ、俺はこっちで休んでるから、さっさと終わらせちまいな〜〜」

66 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:21:26 ID:SF0f54Dw
 晶に説得されて、雨蜘蛛はしぶしぶパソコン画面から離れた椅子に腰掛けて脚を組み、腕を組んでふんぞり返った。
 無駄に偉そうである。

「しゃあないやっちゃなあ。まあ、食いもんとか荷物とかの恩もあるし悪いヤツやないとは思うんやけど」
「いや、俺はどっちかっていうと、あの人は悪い人に分類できるような気がするよ……」

 雨蜘蛛が語った彼の世界。
 どこもかしこも砂漠で覆われた砂の世界。
 そこでは人が野垂れ死にしようが誰も気にしない。盗賊や人買いは風景の一部だと言っていた。
 人の命がひどく軽く、法も道徳も役に立たない。雨蜘蛛はそんな世界の住人なのだろう。
 そこでは当たり前の考え方は、晶たちにとっては悪だと思える事も充分ありえる。
 そうでなければいいとは思うが、この島ですでに人を殺している可能性だって0ではないと晶は考えていた。

「悪人やったらアカンやんけ! どうするつもりやねん晶!」
「……それでも俺たちはあの人をも味方にして行かなきゃいけない。そう思うんだ。
 あの人が一緒に居ることは、きっと俺たちにもプラスになると思うからね。
 もちろん全部を受け入れるとは言わない。俺たちの絶対譲れない所を譲歩するつもりはないよ。
 それにあの人だって手加減してくれていると思う。
 本気で俺たちを利用するつもりなら、騙すにしろ脅すにしろ、あの人はもっとうまくやれる気がするんだ」

 晶とスエゾーがそんな事を話し合っていると、後ろから雨蜘蛛のツッコミが入る。

「おお〜ぅい! 小声で言っても聞こえてんぞぉおお〜〜ぅ!」
「やかましいわ! ちょっとおとなしゅう待っとれ!」
「前途は多難かなぁ……」

 そうつぶやく晶の方を見て、小トトロが首をかしげる。

 しかし、そんなやり取りをしながらも晶はちゃっかりチャットを進めていた。
 晶も少しこの空気に慣れてきたのかもしれない。

67 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:21:57 ID:SF0f54Dw







  ゴーレムの友>そちらは何事もありませんでしたか?
  泥団子先輩R>こちらも2人の参加者と合流したでござる。
  泥団子先輩R>朝倉殿という若い女性と、ヴィヴィオ殿という幼い少女でござる。
  泥団子先輩R>どうやら信用に足る相手のようでござるよ。
  泥団子先輩R>とは言え、もちろんこちらも簡単には晶殿やスエゾー殿の事を話さぬようにはするつもりでござる。
  ゴーレムの友>わかりました。
  泥団子先輩R>あと、ズーマという危険人物を倒したでござる。
  泥団子先輩R>と言っても名簿に名前が載っておらぬのでござるが。
  泥団子先輩R>首輪はしていたようなので、おそらく名簿には別の名で載っているのだと思うでござる。
  泥団子先輩R>ズーマはリナ殿の世界にいた暗殺者なのでござるが、なぜか黄色いガイバーをまとっていたでござる。
  ゴーレムの友>私の知っている黄色いガイバーはガイバーⅡと呼ばれています。
  ゴーレムの友>私の世界ではかなり前に私が破壊したのですが、この世界にはあったんですね。
  ゴーレムの友>もっとも、大昔の存在である0号ガイバーが存在するのですからそれも不思議ではないのでしょう。
  泥団子先輩R>主催者は失われたものも手に入れられるという事でござろうか?
  ゴーレムの友>もしかしたら異世界を行き来するように時間も移動できるのかも。
  ゴーレムの友>いや、これは考えすぎでした。すいません。

68 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:22:39 ID:SF0f54Dw
「時間移動……できると思うわ」
「しかし、拙者たちの科学でも時間移動は困難でござるが……」
「あたしも時間移動ってのはさすがに難しいと思うけど……」

 時間移動をあっさり肯定した朝倉に対し、ドロロとリナの反応は否定的であった。

「私は自分の世界で実際に時間移動していた人物を知っているし、主催者にもできると思うわ。
 私たちにとっては必ずしも不可能な事ではないしね」
「じゃあアサクラもできるの?」
「今は無理よ。元の世界でも必要もなく安易にできるようなものじゃないし。
 でも、主催者が異世界を渡り、その技術を全て持っているのならできても不思議じゃないわ」
「それ、信じていいのね?」
「ええ。ただし、時間移動と言っても自由自在というわけではないけどね。
 さまざまな制約の中で出来る事と出来ない事があるの。
 それでも、限定された過去から人や物を取ってくるぐらいの事なら充分できると思うけど」
「そうでござるか……これは一応晶殿たちにも伝えておくでござる」


  泥団子先輩R>いや、あやまる必要はないでござるよ。
  泥団子先輩R>どうも朝倉殿の意見では主催者が時間を移動できる可能性は高いようでござる。
  ゴーレムの友>そうですか。我々にとってはどうにも困った話ですね。
  泥団子先輩R>ただし、時間移動と言っても自由自在というわけではないようでござる。
  泥団子先輩R>と言ってもそれで充分やっかいではあるのでござるが。
  ゴーレムの友>そうですね。


「ドロロ〜。困った困ったって言っててもしょうがないから話進めない?」
「む、そうでござるな。失礼したでござる」

 その後、ドロロは朝倉に聞いた話を元に、市街地であった火事についても簡単に晶たちに伝えた。
 ただし、キョンの妹やアスカ、そしてゲンキについてはあえてここでは伝えなかったが。
 そして、話題はようやく本題に入る。

69 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:23:21 ID:SF0f54Dw

  泥団子先輩R>それはともかく、リングの映像で何かわかったことはあったでござるか?
  ゴーレムの友>はい。
  ゴーレムの友>あの後、リングに例の背中に手のある怪人が現れたんです。
  ゴーレムの友>怪人の名前もわかりました。オメガマンです。
  ゴーレムの友>オメガマンとアシュラマンは殺し合いに乗った者同士協力してスバルさんやガルルさんと戦いました。
  ゴーレムの友>でも、激しい戦いの末にスバルさんとガルルさんはその2人に勝ったんです。
  ゴーレムの友>スバルさんはアシュラマンに自分が勝ったら殺し合いをやめるようにと約束させていました。
  ゴーレムの友>そして、アシュラマンはそれに従おうとしていたのです。
  ゴーレムの友>その時に試合の勝敗のルールを無視してオメガマンが襲ってきて、不意を突かれた3人は重傷を負いました。
  ゴーレムの友>オメガマンはスバルさん、ガルルさんだけでなく、アシュラマンも攻撃したのです。
  ゴーレムの友>おそらくガルルさんの致命傷と思われる、銃で撃たれた傷はこの時のものです。
  ゴーレムの友>スバルさんはオメガマンに一矢報いましたが、特に重傷だったガルルさんを抱いて去っていきました。
  ゴーレムの友>スバルさんはアシュラマンの事も気になっていたようですが、仕方なかったと思います。
  ゴーレムの友>その後、アシュラマンは改めてオメガマンと戦いましたが、敗れて殺されたのです。
  ゴーレムの友>これがあの戦いで起こった事の大まかな流れです。
  泥団子先輩R>なるほど。あいわかり申した。


「どうやらこのオメガマンってヤツはかなり危険なヤツみたいね」
「不意打ちも人殺しもなんとも思っておらぬようでござるな」
「この深町さんが嘘を言っている可能性は?」

 深町晶をよく知らない朝倉はおもむろにそんな疑問をぶつけてきたが、2人はかなり晶を信用しているようだった。

「考えにくいわね。もちろん100%とは言わないけど、9割以上信じられると思うわ」
「うむ。晶殿が何者かに脅されているという線も考えにくいでござる。
 少なくとも前回のチャットの時と比べて違和感は感じられないでござるよ」

 2人にそう言われては朝倉もある程度深町晶の発言を信じざるを得ない気がしてくる。

70 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:24:01 ID:SF0f54Dw

「そうすると、アシュラマンは悪い人に戻っていたのかしらね。
 話を聞くと最後は改心しつつあったみたいだけど」
「アサクラはアシュラマンってやつを知ってるの?」
「ええ。キン肉マンやウォーズマンから話を聞いたの。
 昔は悪い人だったんだけど、今は改心して正義超人になったって聞いてたんだけど……」
「じゃあなんでスバルとガルルを襲ってきたのかしら?
 深町晶……ショウは最初に襲ってきたのはアシュラマンで、しかも不意打ちを仕掛けてきたって言ってたわよ?」
「何か誤解があったか、この場に連れてこられてから悪人に逆戻りしていたのでござろうか?」

 2人の疑問を聞きながら、キン肉マンやウォーズマンの発言を思い返し、朝倉は少し考える。
 確かにこの殺し合いに連れてこられて心変わりするという可能性は充分あるだろう。
 だが、キン肉マンやウォーズマンのあの信頼からすると、アシュラマンが容易く心変わりすることは考えにくい気がする。
 深町の話を信じるなら、アシュラマンは殺し合いに乗ってもなお約束は守るような人物なのだ。
 そこからも簡単に心変わりしたという予想はしっくり来ない。
 となれば残された可能性は……

「アシュラマンは改心する前の時代から連れてこられたのかも……」

 その朝倉の発言をリナはしばらく頭の中で検討し、意見を述べる。

「その可能性はあるかもしれないわね。ショウもキン肉マンたちも嘘は言ってなさそうだし」
「でも、時既に遅し、といった感があるでござるな。
 アシュラマン殿はもう……」
「それは仕方ないでしょ。他にも別の時代から来てる人がいるかもって事がわかっただけでも収穫だわ。
 っていうか、そうとでも思わなきゃ虚しくなるじゃない!」

 そう叫ぶリナにドロロが少し気圧されつつも同意する。

「ま、まあ、確かにそうでござる。おっと、まだあちらの話は続くようでござるな」

71 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:24:44 ID:SF0f54Dw


  ゴーレムの友>あと、リングで戦いが始まった際に実況中トトロという生物が現れました。
  ゴーレムの友>小トトロに似ていますが、体は青くて少し大きいです。
  ゴーレムの友>会話はできないようですが、不思議なプラカードで文字を使って意思の疎通ができるようです。
  ゴーレムの友>本人は特設リングのレフェリー兼実況兼観客だと主張しています。
  ゴーレムの友>実際にこの中トトロが試合の審判をしていました。
  ゴーレムの友>つまり、彼は主催者側の存在ということなのですが、小トトロとも無関係ではないようです。
  ゴーレムの友>というのは「仲間か?」と尋ねたら本人が頷いたような気がしたからですが。
  ゴーレムの友>ただ、私たちはそれでも小トトロを疑ってはいませんが。


「中トトロ……体が青いもふもふって確かさっきの絵に居たのよね?」
「そうでござった。壁紙の件を尋ねてみるいい機会でござる」


  泥団子先輩R>1つお尋ねするでござる。
  泥団子先輩R>そちらのパソコンの壁紙は何が表示されているでござるか?
  泥団子先輩R>こちらには青いもふもふした生物と小さくて白いもふもふした生物が歩いている画像なのでござるが。
  ゴーレムの友>そうですね。こちらの壁紙も同じです。
  ゴーレムの友>この小さいのが小トトロで、少し大きいのが中トトロで間違いありません。


「やっぱりそうなのね〜
 と言っても、そんなことがわかったってどうって事もないんだけどさぁ」
「でも、パソコンの壁紙に使うって事は、このゲームのシンボル、マスコット的な存在なのかもしれないわね。
 なんていうか、イメージキャラクターみたいな?」
「うーん。でも、特に意味があってそうしてるとは思えないんだけど……」
「とにかく中トトロについてもう少し聞いてみるでござる」

72 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:25:19 ID:SF0f54Dw
 その後、ドロロは晶に中トトロの能力を尋ねる。
 だが、プラカードに文字を表示させる以外は特殊な能力の無い、ただの審判ということらしい。
 そして、さらに深町晶の話は続く。


  ゴーレムの友>そして、スバルさんについてですが。
  ゴーレムの友>彼女はオメガマンに銃で撃たれたガルルさんを連れて西に移動したっきり映像に出てきません。
  ゴーレムの友>だから、彼女の行った先はわかりませんが、島の南西に居る確率が高いかもしれませんね。
  ゴーレムの友>スバルさんはアシュラマンを改心させようとしたほどの人ですから、きっと味方になれると思います。
  泥団子先輩R>同意するでござる。
  泥団子先輩R>もし会うことができたら協力するように努めるでござる。


「そう言えばスバルって……クロスミラージュに聞いたわ。
 ヴィヴィオちゃんの知り合いだと思う」
「えーと、クロスミラージュって確かデバイスっていうヤツね。
 だったらもしかしてバルディッシュもスバルの事知ってるのかしら?」
『Yes. スバル・ナカジマ二等陸士の事は存じ上げています』

 ソファーで眠るヴィヴィオの首にかけられたバルディッシュがそう答える。
 ただし、ヴィヴィオを起こさないようにとの配慮か、あまり大きな声ではなかったが。

「それなら後でバルディッシュにも話を聞いた方がいいみたいね」
「そうでござるな。他にもいろいろ聞けることがあるやもしれぬでござる。
 この事は一応晶殿たちにも伝えておくでござるか?」
「う〜ん。そうね。隠しておくのもアレだし。
 アサクラはどう? ショウたちに教えてもいいかしら?」
「私は構わないわ。それで困るという事は無いだろうし」
「では伝えておくでござる」

73 時間の謎 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:25:53 ID:SF0f54Dw

  泥団子先輩R>スバル殿については、ヴィヴィオ殿が持っておられるデバイスというものが知っているようでござる。
  泥団子先輩R>デバイスというのは喋るペンダントなのでござるが、魔法のサポートをする品物らしいでござる。
  泥団子先輩R>今は少々都合が悪いゆえ、後で話を聞くつもりでござる。
  ゴーレムの友>わかりました。
  ゴーレムの友>映像の話の続きですが、オメガマンのその後も確認しました。
  ゴーレムの友>しばらくオメガマンはリングの跡で休んでいました。
  ゴーレムの友>その後、空から大きなカナブンが現れて、オメガマンの怪我を治したのです。
  ゴーレムの友>さらにオメガマンはそのカナブンの背中に無理矢理乗って、北の方へ飛んでいったようです。
  ゴーレムの友>その後、私が確認した範囲ではオメガマンもここには戻ってきていません。
  泥団子先輩R>カナブンが怪我を治した、で間違いないのでござるか?
  ゴーレムの友>はい。空を飛んだまま不思議な光をオメガマンに当てて治していました。
  ゴーレムの友>良く映像を確認したのですが、首輪はしていないので参加者ではなさそうです。


「まあ、カナブンに首輪ってのも難しいでしょうしねえ?」
「参加者でないとしたら、支給品かしら?」
「う〜む。この島で起こることはよくわからぬ事が多いでござるなあ……」

 そうつぶやくドロロ。頷いて同意するリナと朝倉。
 そして、チャットはまだまだ続くのであった。

74 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:26:53 ID:SF0f54Dw
ここで2本目終わり。次から3本目です。

75 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:27:36 ID:SF0f54Dw

 「むむ。また何か追加情報でござろうか?」

 ドロロがそう言ってディスプレイを見たので、リナと朝倉も画面に目を向ける。


  ゴーレムの友>あと、雨蜘蛛さんからの情報で0号ガイバーの名前がわかりました。
  ゴーレムの友>彼はキョンという名前のようです。


 その書き込みを見た朝倉の表情が少し硬くなる。

「キョン君? 0号ガイバーって……」
「さっきも少し話に出たでしょ? ショウとスエゾーを襲ったガイバーよ。
 雨蜘蛛って人の情報なのが気に入らないけど、これが本当ならヴィヴィオちゃんの証言と辻褄は合うわね」
「襲ったっていう事は、やっぱり殺し合いに乗っていたのね?」
「ショウはそう言ってるわね。たぶん嘘じゃないわ。
 確か叶えてもらいたい願いがあるとか言って襲ってきたって言ってたっけ?」
「そうでござったな。説得する晶殿を偽善者だと言って話を聞こうとしなかったとも」
「……キョン君。何やってんの……」

 彼の叶えたい願いなど、そんなに大それた事とは思えない。
 これはあくまでも朝倉の予想だが、彼は自分が勝ち残って仲間たちの復活でも願うつもりなのではないか。
 そんなに自己犠牲精神にあふれた人物とは思わなかったが、今ある情報を総合するとその確率は高い。
 しかしそれならなぜ涼宮ハルヒを彼が殺したのか。
 やはり何かの手違いで殺してしまったのか。あるいはいっそ自分の手でと思ったのか。

 だが、朝倉の知る限り、情報統合思念体にも涼宮ハルヒを復活させる事はできないはずだ。
 なんという短慮。なんという愚行であろうか。

(ま、いずれにせよ彼を殺すという私の方針には変更無しね)

 そんな物騒な事を考える朝倉だったが、表情からはそんなそぶりは見られない。
 リナが朝倉からゼロスに似た印象を受けたのも、こういう所が原因だろう。

 そして、考え事をして何も言わなくなった朝倉を気にしつつも、ドロロは晶とのチャットを続けていた。

76 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:28:25 ID:SF0f54Dw


  泥団子先輩R>川口夏子という方とはどういうやり取りをしたのでござろう?
  泥団子先輩R>もちろんそちらに不都合のない範囲でかまわないでござるが。
  ゴーレムの友>川口さんにはこちらの持っている危険人物の情報だけは伝えてあります。
  ゴーレムの友>あちらからの情報はオメガマンが10時過ぎぐらいにモールに居たという事だけでした。
  ゴーレムの友>ただ、川口さんは18時に公民館で仲間と待ち合わせていると言っていたのが心配です。


「公民館ねえ。確か火事の中心近くにあったはずよねえ?」
「そうでござるな。もし早めに向かっていたのなら火事の中に居たのかもしれないでござる」
「でも、その人本当に信用できるのかしらねえ?
 なにしろショウの言うことだしねえ……」
「正確なやり取りがわからぬ以上、なんとも言えぬでござるよ。
 でも、そんなに心配なら一応注意だけはしておくでござる」







  泥団子先輩R>余計な気遣いかもしれぬでござるが、くれぐれも相手を信用するかどうかの判断は慎重にして下され。
  泥団子先輩R>リナ殿の言うには、晶殿は正直すぎるという事らしいでござる。
  泥団子先輩R>人を疑う事も時には必要と拙者も思うでござるよ。
  泥団子先輩R>もし気を悪くされたなら謝るでござるが、これもそちらを心配するがゆえと考えて下され。

77 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:28:56 ID:SF0f54Dw

「晶。お前ドロロとリナに心配されてるで?」
「…………」

 晶はガイバーの中で顔を赤くしていたが、幸いガイバーをまとっているせいでスエゾーには見られていなかった。
 確かに自分が狡猾でも疑い深くもない事は承知しているが、付き合いの短い相手にも言われてしまうのは恥ずかしかった。
 それだけに晶はなるべく気をつけようとは思ったのだが、性格というのはそう簡単に直るものでもない。

「ぶわ〜〜っはっはっは!
 晶! お前こんな通信越しの相手にまで心配されてんのか!
 これじゃあダメだな。ああ、ダメだ。とても主催者になんか対抗できねえなあぁ?」
「なんや雨蜘蛛、また来たんか?」

 いきなり声をかけられて見るといつの間にやら雨蜘蛛が再びパソコンの近くに来ていた。
 まったく油断のならない男である。

「こ、これからなんとかしますよ」
「なんとか? なんとかねえ〜? まあそうしてくれりゃあ俺も助かるって〜もんだけどなぁ〜」
「わかってます。このままじゃどうしようもないって事は」
「わかってりゃいいってもんじゃ〜ないぜ?
 必要なのは結果だ。結果を出せない意気込みなんてのは他人からすりゃあゴミみてえなもんさ」
「じゃあ雨蜘蛛さんはどうすればいいって思うんですか!?」

 晶がそう反撃すると、雨蜘蛛はドカッと手近な椅子に腰掛けた。
 そしてマスクと共に彼の顔を隠しているゴーグルを鈍く光らせながら言う。

「そうだなぁ〜。お前が何も思いつかないって言うなら、最終的には主催者の言う通りにするしかねえなあ……」
「ぐっ……」

78 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:29:35 ID:SF0f54Dw

 そうなのだ。結局雨蜘蛛は晶がどうにかしてくれるなら付き合おうと言ってくれているだけなのだ。
 その雨蜘蛛に知恵を求めてもこう返されるのは仕方のない事かもしれない。
 でもこれはずるい。自分には考えろと言っておいて言った本人は何も考えないなんて。
 そうしてこの世の理不尽を噛みしめる晶にスエゾーが声をかける。

「おい晶、チャット続いてんで?」
「ああ。わかってる……」


  泥団子先輩R>そして、こちらから1つ悪い情報があるでござる。
  泥団子先輩R>伝えるべきかどうか拙者には判断がつかぬゆえ、そちらで決めて欲しいのでござる。
  泥団子先輩R>聞くか。聞かないか。選んで下され。
  泥団子先輩R>もっとも、いずれは嫌でも知ることになる情報でござるが。


「しょ……晶。こ、これって、どういう意味やろうな?」
「…………」

 晶は答えなかった。相手の書き方からある程度予想は出来ていたが、それを認めてしまうのがつらかったのだ。
 だが、ここにはそんな事に頓着しない人間がいる。約一名。

「はは〜ん。こいつはアレだな。いずれ嫌でも知ることになるってのがポイントだ。
 この島にいる参加者が必ず知ることになる情報って言やあ、アレだろ? アレ」

 雨蜘蛛がまったくいつも通りの調子で言いにくいことをさらっと言い始めた。
 マスクとゴーグルのせいでわからないが、なんとなく楽しそうな顔をしているような気がする。
 晶は空気を読んでくれと思いつつも、いずれわかることならはっきりさせてしまうべきかとも思う。

「なァ、晶。こいつぁアレだぜぇ? アレ。
 早く聞いちまえよ晶。いずれわかることだって相手も言ってくれてんだからよおぉ?」

 雨蜘蛛に従ったというわけではないだろうが、晶は無言でキーを叩き始める。
 スエゾーは蒼白になって打ち込まれる文字を黙って見つめるのみだった。
 小トトロもスエゾーを心配しているのか、スエゾーの頭の上に乗ってしゅんとしていた。

79 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:30:27 ID:SF0f54Dw


  ゴーレムの友>それはこちらの探している仲間に何かあったという情報ですか?
  泥団子先輩R>その通りでござる。聞きたくないかもしれぬが、知ってしまった以上は伝えるべきかと迷ったのでござる。
  ゴーレムの友>それはこちらの探している仲間が死んだという情報ですか?
  泥団子先輩R>その通りでござる。どうするでござるか?


「どうする? スエゾー」
「…………」

 スエゾーは一層蒼白になって画面を見つめ、何も答えなかった。
 晶たちがドロロたちに伝えた「探している仲間」とはゲンキとハムの2人しかいない。
 晶にはこの島に来ている仲間がいなかったからだ。
 つまり、死んだのはゲンキかハム。どちらにせよスエゾーの仲間なのだ。

 そして、2人の雰囲気からそれに気付いたのか、雨蜘蛛は絡む相手をスエゾーに絞ってきた。

「おいおい、どうしたスエゾー?
 お前さん言ったよなあ。地獄ぐらい見てきたって言ったよなあ。
 どうしたんだ? 言っちまえよ。誰が死んだか教えてくれって言っちまえよ〜
 それとも何か? 地獄はくぐってきたけど、いつも仲間が一緒にいてくれました〜とでも言うつもりか?
 まさかそんな甘っちょろい事は言わねえよなあ? さあ、言ってやれよ。さあさあさあさあ!」
「雨蜘蛛さん!」

 マスクのままでスエゾーに顔を近づけて決断を迫る雨蜘蛛の肩をガイバーⅠの手が掴む。

「おい、どうした晶? なんだぁ〜? この手はぁ〜」
「ダメです。雨蜘蛛さん。
 確かに雨蜘蛛さんにしてみれば、仲間の死にショックを受けるのは甘い事なのかもしれません。
 でも、それ以上はダメです。それ以上は…… こ の 俺 が 許 し ま せ ん !!」




 長い沈黙が博物館の学習ルームを覆った。
 もしかしたら雨蜘蛛は晶たちを見限るかもしれない。
 だが、晶はこれ以上スエゾーを雨蜘蛛が追い詰めるのを見過ごすことはできなかった。




 その沈黙を破ったのは雨蜘蛛だった。

80 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:31:45 ID:SF0f54Dw
「ふっ。なあ〜〜んでえい。これぐらいの事でよぉぉ〜〜
 まあいいんじゃねえの? お前らの事はお前らの好きにすりゃあよ〜〜!」

 雨蜘蛛はそう言うとガイバーⅠの手を振りほどいて、またパソコンから遠い椅子にドサッと腰を下ろした。
 晶はほっとして雨蜘蛛に振り払われた手を下ろし、改めてスエゾーに目を向ける。

「スエゾー……」

 スエゾーは相変わらず蒼白になっていたが、心なしかさっきよりも表情は穏やかになっているように見えた。
 雨蜘蛛に追い詰められ、晶に本気でかばってもらった。
 その事が止まりかけていたスエゾーの心を少し動かしたのかもしれない。
 小トトロもそれを感じているのか、下がっていた耳が少し上がっているように見える。

「すまんな。晶。小トトロも、雨蜘蛛もな。
 オレのせいでこんな大騒ぎさせてもうて、ホンマにオレは情けないヤツや……」
「スエゾー。当たり前だよ。仲間が、大事な人が死んだって聞いたらそうなるのは当然だ。
 俺だって父さんが死んだ時は苦しかった。悔しくて、悲しかった。
 小田桐主任や村上さんが死んだ時だって……!
 誰だって、誰だってそうなんだよ! スエゾー!」
「晶……」

 ガイバーⅠの手にしっかり支えられて、スエゾーの大きな目から涙がこぼれる。
 それは仲間が死んだという悲しみだけが流させた涙ではない。
 晶が本当に自分を思いやってくれている事を感じた、スエゾーの心の震えが流させた涙でもあった。




(晶の野郎、なんてぇ迫力だ…… 俺としたことがちょっくらビビっちまったぜ〜〜)

81 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:32:30 ID:SF0f54Dw
 雨蜘蛛は見た。ガイバーⅠの額の金属円盤のリング状のスリットからすさまじい光が発せられたのを。
 マスクをしていてよかった、と雨蜘蛛は思う。
 もし素顔だったら、晶とスエゾーにみっともない顔を見られていたかもしれない。
 同じガイバーをまとっているというのに、以前に見たキョンとはまったく異質なもののように感じた。
 もしかしたらガイバーという鎧は装着者の精神によって強さが違ってくるのかもしれない。
 さっきのガイバーⅠには雨蜘蛛にそう思わせるほどの何かがあった。

(あいつ……普段はただの青二才だが、爆発力だけは一流かもしれんな……)

 確実な勝利を得るためならば爆発力などというものをあてにするのは愚かだと雨蜘蛛は考える。
 だが、普通にやって勝てない相手と戦うときは?
 ああいう手合いは最後の希望ってやつになる可能性がある。

 ……まあ、雨蜘蛛としては、しなくて済むならそんな一か八かの勝負など御免被りたいところだ。
 だが、もし晶と戦うとしたら意外に手こずらされるかもしれない。

 雨蜘蛛は態度には表すことなくそんな事を考えながら、スエゾーをいたわる晶に荒っぽく声をかけた。

「おい、晶よぅ! スエゾーの世話を焼くのもいいが、チャットの方は放っておいていいのかよおぅ?」

 雨蜘蛛にそう言われて晶は確かにチャットを放っておくわけにも行かないと気付く。

「スエゾー。今は聞かずにいよう。詳しいことを聞くのは、放送で告げられてからでいいじゃないか」
「……ああ。そうやな。どうせこのチャットが続いとるうちに放送になるやろうし。
 その後で詳しい話聞いたらええ」
「よし。じゃあそれで行こう」


  泥団子先輩R>晶殿、何かあったでござるか?


 晶が画面に目を戻すと、チャットの画面にはいつの間にかドロロの晶たちを心配する発言が表示されていた。
 かなり待たせてしまったようだ。晶は急いでそれに返事を返す。

82 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:33:22 ID:SF0f54Dw

  ゴーレムの友>大丈夫です。さっきの件ですが、詳細は放送の後で聞かせていただけますか?
  泥団子先輩R>わかったでござる。もし何かさっきの事でトラブルがあったのなら申し訳なかったでござる。
  ゴーレムの友>いえ。情報を伝えるかどうかが難しかったのはわかります。気にしないで下さい。
  泥団子先輩R>かたじけないでござる。
  泥団子先輩R>もう1つ、申し訳ないのでござるが、提案があるでござる。
  泥団子先輩R>もしかしたらどこかの特設リングが動いているかもしれないでござる。
  泥団子先輩R>もし動いているリングがあったら、放送後にすぐ映像をチェックできるでござる。
  泥団子先輩R>予定に問題が無ければそちらのkskコンテンツを今一度調べてみてはどうでござろう?


「そうか。映像は6時間ごとに解禁されるから、放送直後に見れば直前の映像を見られるんだ」
「な〜〜るほどなァ。多少は考えてるヤツがいるようだぜ。
 そういやぁ、お前らと話す前、そのパソコンの地図を見させてもらったが、作動してるリングがあったと思うぜぇ?」
「本当ですか? 雨蜘蛛さん」
「ばぁ〜かやろう。嘘ついてどーすんだ。確か湖の所にある点が青になってたぜ。
 あとは、この博物館前のリングはもうわかってるとして、レストランとコテージ群の間のも青くなってたかなぁ〜?」
「もしかしたら今も作動してるかもしれませんね。見てみます。……あれ? 地図が無い」

 晶は地図を表示させていた画面を開こうとするが、どこにもその画面が無い。

「あ〜。悪い。操作がよくわからなかったんで間違えて消しちまったみてえなんだな。これが」

 雨蜘蛛のその言葉を聞いて晶はがくっと力が抜けるが、すぐに気を取り戻す。
 今はドロロたちとチャットで会話できるのだから、いくらでもキーワードを教えてもらえるだろう。
 地図が消えたことはたいした問題ではない。

「そうですか…… じゃあドロロさんたちにキーワードを聞かないといけないですね。
 え〜と、どうだろう? スエゾー。小トトロ。
 ドロロさんたちの言う通りにしていいかな?」
「あ、ああ。そうやな。それがええやろ……」

 スエゾーはやはり元気がないが、さっきより少しは顔色もいい。
 そしてスエゾーの頭の上の小トトロもどうやらドロロたちの意見に従うことに異議はなさそうだ。
 ……いや、そもそもどこまで話が通じているのかも疑問だが。

83 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:34:10 ID:SF0f54Dw

「問題無さそうだな。じゃあ答えるぞ」


  ゴーレムの友>わかりました。私たちは夜にやる事がありますが、それまでは特に予定がありません。
  ゴーレムの友>今から調べようと思いますが、地図の画面を消してしまったので、キーワードをお願いできますか?
  ゴーレムの友>ヒントは「冥王(ヘルマスター)の名を持つ、魔王の腹心の1人」です。


「……どうしたんだろう? なかなか返事がこないな」
「あっちでもなんか、取り込んどるんちゃうか?
 たまにはそういう事もあるやろ」
「まあ、そうだな。少し待ってみるか。
 しかし、やっぱりチャットっていうのも結構疲れるな。あんまり長く続けたくはないよ」

 そう言って晶が背伸びなどしながら少し待ってみると、ほどなくして返事が来た。


  泥団子先輩R>お待たせしたでござる。答えは「フィブリゾ」でござる。
  ゴーレムの友>ありがとうございます。


「よし。これで地図が見られるな。フ・ィ・ブ・リ・ゾっと」
「さぁ〜〜てぇ〜〜、動いてるリングはあるかなぁ〜〜?」
「雨蜘蛛、お前その変な喋り方どうにかならんか……?」
「うるせぇ〜〜。お前ら相手に気を使って喋ってられるかっつーんだ」
「いや、頼むからちょっとだけ静かにしてくれないかな、2人とも……」


 現在の時間は17時48分。
 果たして作動中のリングがあるのか。
 仮にあったとして、利用価値のある映像データを見ることができるのか。
 それは18時を過ぎなければわからない――

84 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:34:43 ID:SF0f54Dw
【H-8 博物館/一日目・夕方(放送直前)】

【名前】雨蜘蛛@砂ぼうず
【状態】軽度の船酔い(回復中)、胸に軽い切り傷 マントやや損傷
【持ち物】S&W M10 ミリタリーポリス@現実、有刺鉄線@現実、枝切りハサミ、レストランの包丁多数に調理機器や食器類、各種調味料(業務用)、魚捕り用の網、
     ゴムボートのマニュアル、スタングレネード(残弾2)@現実、デイパック(支給品一式)×2、RPG-7@現実(残弾三発) 、ホーミングモードの鉄バット@涼宮ハルヒの憂鬱
【思考】
1:生き残る為には手段を選ばない。邪魔な参加者は必要に応じて殺す。
2:晶、スエゾーを利用して洞窟探検を行う(ギリギリまで明かさない)
3:水野灌太と決着をつけたい。
4:暫くは博物館で時間を潰す。
5:ゼクトール(名前は知らない)に再会したら共闘を提案する?
6:キョンの妹・朝比奈みくるをちょめちょめする。
7:草壁サツキに会って主催側の情報、及び彼女のいた場所の情報の収集。その後は……。(トトロ?ああ、ついででいいや)
8:キョンを利用する。午後六時に採掘場に行くかは保留。
9:ボートはよほどの事が無い限り二度と乗りたくない。
10:晶の可能性だけは認めてやってもいい。


【備考】
※第二十話「裏と、便」終了後に参戦。(まだ水野灌太が爆発に巻き込まれていない時期)
※雨蜘蛛が着ている砂漠スーツはあくまでも衣装としてです。
 索敵機能などは制限されています。詳しい事は次の書き手さんにお任せします。
※メイのいた場所が、自分のいた場所とは異なる世界観だと理解しました。
※サツキがメイの姉であること、トトロが正体不明の生命体であること、
 草壁タツオが二人の親だと知りました。サツキとトトロの詳しい容姿についても把握済みです。
※サツキやメイのいた場所に、政府の目が届かないオアシスがある、
 もしくはキョンの世界と同様に関東大砂漠から遠い場所だと思っています。
※長門有希と草壁サツキが関係あるかもしれないと考えています。
※長門有希とキョンの関係を簡単に把握しました。
※朝比奈みくる(小)・キョンの妹・古泉一樹・ガイバーショウの容姿を伝え聞きました。
※蛇の化け物(ナーガ)を危険人物と認識しました。
※有刺鉄線がどれくらいでなくなるかは以降の書き手さんにお任せです。

85 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:35:16 ID:SF0f54Dw
【深町晶@強殖装甲ガイバー】
【状態】:精神疲労(中)、苦悩
【持ち物】 小トトロ@となりのトトロ、首輪(アシュラマン)、博物館のメモ用紙とボールペン、デイパック(支給品一式)
      手書きの地図(禁止エリアと特設リングの場所が書いてある)
【思考】
0:ゲームを破壊する。
1:雨蜘蛛に借りを返す。
2:雨蜘蛛を受け入れて仲間にしたいが、流されはしない。
3:しばらくは博物館で待機。
4:もっと頭を使ったり用心深くなったりしないと……
5:巻島のような非情さがほしい……?
6:スエゾーの仲間(ゲンキ、ハム)を探す。
7:クロノスメンバーが他者に危害を加える前に倒す。
8:もう一人のガイバー(キョン)を止めたい。
9:サツキの正体を確認し、必要なら守る。
10:巻き込まれた人たちを守る。


【備考】
※ゲームの黒幕をクロノスだと考えていましたが揺らいでいます。
※トトロ、スエゾーを異世界の住人であると信じつつあります。
※小トトロはトトロの関係者だと結論しました。スパイだとは思っていません。
※参戦時期は第25話「胎動の蛹」終了時。
※【巨人殖装(ギガンティック)】が現時点では使用できません。
  以後何らかの要因で使用できるかどうかは後の書き手さんにお任せします。
※ガイバーに課せられた制限に気づきました。
※ナーガ、オメガマンは危険人物だと認識しました。
※放送直後までの掲示板の内容をすべて見ました。
※参加者が10の異世界から集められたという推理を聞きました。おそらく的外れではないと思っています。
※ドロロとリナをほぼ味方であると認識しました。
※ケロロ、タママを味方になりうる人物と認識しました。
※ドロロたちとの間に4個の合言葉を作り、記憶しています。
※川口夏子を信用できる人物と認識しました。

86 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:36:29 ID:SF0f54Dw
【スエゾー@モンスターファーム〜円盤石の秘密〜】
【状態】:全身に傷(手当済み)、火傷(水で冷やしただけ)、貧血気味、激しく動揺中
【持ち物】 なし
【思考】
0:晶、小トトロと行動を共にする。
1:ゲンキ、ハム。無事でおってくれ……
2:オメガマンにあったら……もう、逃げへん。
3:雨蜘蛛はいまいち信用できない。


【備考】
※スエゾーの舐める、キッス、唾にはガッツダウンの効果があるようです。
※ガッツダウン技はくらえばくらうほど、相手は疲れます。スエゾーも疲れます。
※スエゾーが見える範囲は周囲一エリアが限界です。日が昇ったので人影がはっきり見えるかも知れません。
※ギュオー、ゼクトール、アプトムを危険人物と認識しました。
※放送直後までの掲示板の内容をすべて見ました。
※参加者が10の異世界から集められたという推理を聞きました。おそらく的外れではないと思っています。
※ドロロとリナをほぼ味方であると認識しました。
※ケロロ、タママを味方になりうる人物と認識しました。
※ドロロたちとの間に4個の合言葉を作り、記憶しています。
※川口夏子をたぶん信用できる人物と認識しました。








 時間は少しさかのぼって、場所は遊園地(D−2)のスタッフルーム。

87 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:37:01 ID:SF0f54Dw


  ゴーレムの友>それはこちらの探している仲間に何かあったという情報ですか?
  泥団子先輩R>その通りでござる。聞きたくないかもしれぬが、知ってしまった以上は伝えるべきかと迷ったのでござる。
  ゴーレムの友>それはこちらの探している仲間が死んだという情報ですか?
  泥団子先輩R>その通りでござる。どうするでござるか?


「……反応無いわね。やっぱりショックが大きかったのかしら?」
「そうでござるな。拙者たちですら少なからずショックを受けたのでござる。
 あちらが大きなショックを受けたとしても当然でござるよ」
「放送を待つべきだったかな〜?
 でも、放送の後で実は知ってましたって打ち明けるのもなんか気まずいしね〜」

 しかし伝えてしまったからには相手の返事を待つしかない。
 ただ待つことを強いられる結果になり、スタッフルームは気まずい沈黙に包まれる。
 ドロロが一応相手の様子を伺うために発言してみる。


  泥団子先輩R>晶殿、何かあったでござるか?


 だが、やはり反応はない。どうやら腰を据えて待つしか無さそうだ。

「……そう言えば、ここに来る前に草壁姉妹について調べるあてがあるって言ってたけど、アレは結局なんだったの?」

 どうせ暇ならばと思ったのか、朝倉がドロロに尋ねてきた。
 ドロロは朝倉に気取られぬようにリナの様子を伺ってみるが、さすがにリナももう隠そうとは思っていないようだ。

88 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:37:54 ID:SF0f54Dw

「このチャットに入る前の画面に『ksk』というコンテンツがあったでござろう?
 そこをクリックするとパソコンごとに違う様々な情報が見られるようになっているのでござる。
 ただ、ページを移動するごとにキーワードを求められるので、簡単には閲覧できぬでござるが」
「あっちのパソコンで見られる映像っていうのも、そのkskの情報なのよ」
「ふう〜ん。映像って、そこのリングの映像だけなの?」
「いや、島の中に設置されているいくつかの特設リングのどこの映像でも見られるようでござるよ」
「特設リングってたくさんあるの?」
「ええ。何個かはあるみたいね。
 ただ、映像は6時間ごとに解禁だから、直前の放送よりも前の映像しか見られないけど」

 リナたちから博物館のパソコンの使い方を聞いて、朝倉は少し考え、思いついたことを言ってみた。

「へえ……面白いわね。そう言えばもうすぐ放送よね。
 今の説明だと、放送直後なら直前までの映像がすぐに見られるわけよね?」
「そうでござるが、リングはたくさんあるゆえ、どこを見るのかがわからねば徒労に終わる可能性が高いでござるよ」
「あ、でも確かリングが作動してるかどうかは地図の形で見られるんじゃなかったっけ?
 だったら作動しているリングを探せばいいんじゃない?」
「そんな機能まであるの?」
「確かにそう言っておられたでござるな。試してみる価値はあるやもしれぬでござる」
「どうせこっちが調べ物してる間はあっちにやることは無いでしょうしね」
「もしかして調べ物って、ここのパソコンの情報の事ね?」

 話の流れからそう予想した朝倉に、リナは頷きながら説明する。

「ええ。そう言うことよ。あたしたちはここのパソコンのkskコンテンツっていうのに用があって来たの。
 このパソコンの情報は参加者の名簿なんだけどね。
 はっきり断言はできないけど、どうやら配布されてる名簿よりは詳しい情報が書いてありそうなのよ」

 その説明を聞いて朝倉も納得したように頷き、その使い道に考えを巡らせる。

89 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:38:45 ID:SF0f54Dw
「なるほどね。それは確かに役に立ちそう。
 でも、今正体を知りたいと思う参加者って言ったら……草壁姉妹とトトロぐらいかしら?
 そうだ。冬月コウゾウっていう人もちょっと気になるわね」
「冬月コウゾウ? 確かにそんな名前の参加者が居たでござるが、なにゆえ気になるでござるか?」
「さっき言ったなのはさんとケロロさん……だっけ?
 その2人と一緒にいた少年が冬月コウゾウって名乗ったのよ。
 たぶん味方になれると思うんだけど、どんな人か気になるでしょ?」
「確かに知っておいて損は無さそうね。あと、他にも正体がわからない参加者はチェックしてみるつもりよ。
 この首輪をなんとかできる人物を捜さなきゃいけないからね」
「ああ、それは確かに必要な事ね。でも、首輪なら私がなんとかできるかもしれないわよ?」
「ええっ!?」
「なんと!?」

 朝倉の発言に驚く2人。
 しかし、同時にチャットの画面に変化が起こる。
 どうやらやっと反応が返ってきたようだ。

「朝倉殿。その話、後で詳しく聞かせて下され」
「ええ。ただ、今すぐどうにかできるってわけじゃないから、あまり期待しない方がいいわよ?」
「少しでも見込みがある人間が居るってだけでもありがたいわ。後でゆっくり聞かせてね。アサクラ」
「わかったわ」


  ゴーレムの友>大丈夫です。さっきの件ですが、詳細は放送の後で聞かせていただけますか?
  泥団子先輩R>わかったでござる。もし何かさっきの事でトラブルがあったのなら申し訳なかったでござる。
  ゴーレムの友>いえ。情報を伝えるかどうかが難しかったのはわかります。気にしないで下さい。
  泥団子先輩R>かたじけないでござる。


「さきほどの話をしてみるでござるか?」
「そうね。一応聞いてみたら? あっちに予定があれば断ってくるだろうし」
「うむ。では聞いてみるでござる」

90 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:39:25 ID:SF0f54Dw


  泥団子先輩R>もう1つ、申し訳ないのでござるが、提案があるでござる。
  泥団子先輩R>もしかしたらどこかの特設リングが動いているかもしれないでござる。
  泥団子先輩R>もし動いているリングがあったら、放送後にすぐ映像をチェックできるでござる。
  泥団子先輩R>予定に問題が無ければそちらのkskコンテンツを今一度調べてみてはどうでござろう?


「ねえドロロ。そろそろこっちも参加者名簿を調べてみる?」
「そうでござるな。そもそもそれが目的でここまで来たのだし、そうするでござるか」

 ドロロはリナにそう答えると、チャットの画面を一度最小化してもう一つ『Ksknet Explorer』を起動する。
 そして、画面が表示されると迷わず「ksk」をクリックした。
 すると画面には"現在地:遊園地と判断。キーワードを入力してください"という文字と入力欄が表示される。
 さらに、画面の下の方には小さくヒントが表示されていた。
 今回のヒントは「スクライア一族出身の無限書庫司書長の名前。フルネームで」である。

「これはまた手強そうな問題でござるな……」
「やるっきゃないでしょ。今度は手がかりがあるんだから」

 そう言ってリナは自分のデイバッグからずぼっと1冊の本を抜き取る。
 本のタイトルは『プロジェクトF 〜挑戦者たち〜』
 リナが図書館から失敬してきた虎の巻であった。
 その本を手近な机の上に広げ、左手にレリックを握ったままで、リナは本のページをめくってキーワードを探し始める。

「う〜ん。無限書庫の司書長、無限書庫の司書長……」
「スクライア一族というからにはファミリーネームは『スクライア』という事なんでござろうか?」
「そうね〜。でもファーストネームがわからなきゃ……無限書庫無限書庫……」
「……つまり、そのヒントの答えがキーワードなわけね。クイズみたいなものかな」

 しばらく黙ってリナとドロロのやることを観察していた朝倉が、だいたいの事情を把握して、ドロロに確認する。

「そういう事でござるな。しかしいかに手がかりがあるとは言え、なかなか骨が折れそうでござる。
 いっそのこと次のヒントに行った方が早いやもしれぬでござるなあ」

91 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:39:57 ID:SF0f54Dw
 そうしてドロロが弱音を吐きそうになっていると、突然後ろから声が聞こえてくる。

『ユーノ・スクライアです』
「はぁ?」

 リナは思わず聞き返す。誰よいきなり後ろから、と思いながら振り返るが誰もいない。
 居るのはソファーで眠っているヴィヴィオだけだ。

『無限書庫の司書長は、ユーノ・スクライアです』

 いや、居た。声の主はヴィヴィオのペンダント。デバイスのバルディッシュであった。
 リナはようやくそれに気付いてバルディッシュに確認してみる。

「バルディッシュ? あんた知ってんの?」
『Yes. その端末のキーワードは、我々の世界の言葉である可能性が極めて高いと分析します』

 それを聞いてリナががっくり肩を落とす。
 博物館のパソコンの時も結局リナが答えられるキーワードだったので、本が必要なかった。
 そして、今回もこの本は必要なくなったと気がついたからだ。

「あーー。な〜んだ。この本も使う必要なかったわね……」
「ま、まあいいではござらんか。立て続けに都合良くキーワードがすらすら出てくる状況を作れたのでござる。
 むしろこれは幸運。僥倖というべきではござらんか、リナ殿」

 そうしてドロロがリナを励まそうとしていると、今度は朝倉がドロロに声をかけてくる。

「ねえ、ドロロさん。そろそろチャットの方見なくていいの?」
「おっと、そうでござった。えー、チャットチャット。
 む。晶殿から返事がもう来ていたでござる。早くお答えせねば」

92 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:40:51 ID:SF0f54Dw


  ゴーレムの友>わかりました。私たちは夜にちょっとやる事がありますが、それまでは特に予定がありません。
  ゴーレムの友>今から調べようと思いますが、地図の画面を消してしまったので、キーワードをお願いできますか?
  ゴーレムの友>ヒントは「冥王(ヘルマスター)の名を持つ、魔王の腹心の1人」です。


「晶殿がキーワードを聞いてきているでござる。リナ殿。わかるでござるか?」
「ええ。やっぱりその世界の人間にはすぐわかる問題みたいね。答えは『フィブリゾ』よ」
「承知したでござる」


  泥団子先輩R>お待たせしたでござる。答えは「フィブリゾ」でござる。
  ゴーレムの友>ありがとうございます。


「さてと。うまく行ったらお慰みってとこね」


 こうしてリナたちは晶たちからの連絡を待つことになった。
 現在時間は17時48分。
 放送を目前にして、彼らのこれからの運命は?――

93 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:41:25 ID:SF0f54Dw
【D-02 遊園地/一日目・夕方(放送直前)】

【リナ=インバース@スレイヤーズREVOLUTION】
【状態】疲労(小)、精神的疲労(中)
【持ち物】ハサミ@涼宮ハルヒの憂鬱、パイプ椅子@キン肉マン、浴衣五十着、タオル百枚、
     レリック@魔法少女リリカルなのはStrikerS、 遊園地でがめた雑貨や食糧、ペンや紙など各種文房具、
     デイパック、 基本セット一式、『華麗な 書物の 感謝祭』の本10冊、
     ベアークロー(右)(刃先がひとつ欠けている)@キン肉マンシリーズ
【思考】
0.殺し合いには乗らない。絶対に生き残る。
1.晶たちとチャットしつつ、参加者名簿を調べながら、放送を聞く。
2.当分はドロロと一緒に行動する。
3.ゼロスを警戒。でも状況次第では協力してやってもいい。
4.草壁サツキの事を調べる。
5.後で朝倉と首輪解除の話をする。
6.後でバルディッシュからスバルの話を聞く。


【備考】
※レリックの魔力を取り込み、精神回復ができるようになりました。
 魔力を取り込むことで、どのような影響が出るかは不明です
※レリックは魔力を引き出しやすいように改変されました。
 これによってリナ以外がレリックで魔力を回復する事もできそうです。
※ガイバーの能力を知りました。
※0号ガイバー、オメガマン(名前は知らない)、アプトム、ネオ・ゼクトールを危険人物と認識しました。
※ゲンキ、ハムを味方になりうる人物と認識しました。
※深町晶、スエゾー、小トトロをほぼ味方であると認識しました。
※深町晶たちとの間に4個の合言葉を作り、記憶しています。
※参加者が10の異世界から集められたと推測しています。

94 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:41:57 ID:SF0f54Dw
【ドロロ兵長@ケロロ軍曹】
【状態】切り傷によるダメージ(小)、疲労(大)、左眼球損傷、腹部にわずかな痛み、全身包帯
【持ち物】匕首@現実世界、魚(大量)、デイパック、基本セット一式、遊園地で集めた雑貨や食糧、
【思考】
0.殺し合いを止める。
1.晶たちとチャットしつつ、参加者名簿を調べながら、放送を聞く。
2.リナとともに行動し、一般人を保護する。
3.ケロロ小隊と合流する。
4.草壁サツキの事を調べる。
5.後で朝倉と首輪解除の話をする。
6.後でバルディッシュからスバルの話を聞く。
7.「KSK」という言葉の意味が気になる。


【備考】
※なのは世界の単語が車に関することだと思っていましたが、違うような気がしてきました。
※ガイバーの能力を知りました。
※0号ガイバー、オメガマン(名前は知らない)、アプトム、ネオ・ゼクトールを危険人物と認識しました。
※ゲンキ、ハムを味方になりうる人物と認識しました。
※深町晶、スエゾー、小トトロをほぼ味方であると認識しました。
※深町晶たちとの間に4個の合言葉を作り、記憶しています。
※参加者が10の異世界から集められたと推測しています。

95 輝く光輪 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:42:29 ID:SF0f54Dw
【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
【状態】疲労(特大) 、ダメージ(中)
【持ち物】鬼娘専用変身銃@ケロロ軍曹、小砂の首輪
     メイド服@涼宮ハルヒ、ディパック(支給品一式)×2、新・夢成長促進銃@ケロロ軍曹、
     リチウムイオンバッテリー(11/12) 、クロスミラージュの銃身と銃把@リリカルなのはStrikerS
【思考】
0、ヴィヴィオを必ず守り抜く。
1、ドロロたちに協力しつつ、放送を聞く。
2、キョンを殺す。
3、長門有希を止める。
4、古泉、みくるを捜すため北の施設(中学校・図書館・小学校の順)を回る。
5、基本的に殺し合いに乗らない。
6、ゼロスとスグルの行方が気がかり。
7、まともな服が欲しい。
8、できればゲーム脱出時、ハルヒの死体を回収したい。
9、ヴィヴィオの変化が気になる。


【備考】
※長門有希が暴走していると考えています。
※クロスミラージュを改変しました。元に戻せるかどうかは後の書き手さんにお任せします。
※クロスミラージュは銃身とグリップに切断され、機能停止しています。
 朝倉は自分の力ではくっつけるのが限界で、機能の回復は無理だと思っています。
※制限に気づきました。
 肉体への情報改変は、傷を塞ぐ程度が限界のようです。
 自分もそれに含まれると予測しています。
※アスカが殺しあいに乗っていると認識。

96 ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:43:43 ID:SF0f54Dw
終わってるように見えますが、もうちょっとだけ続きます。

97 Dream of a silence ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:44:33 ID:SF0f54Dw

 ヴィヴィオは見知らぬ部屋にいた。
 いや、どこかで見たような気もする。どこだっただろう?

 左側に本棚。右側にキレイな服がたくさん。
 正面に窓を背にした机があって、その上に……コンピューターの画面かな。

「そっか…… ハルヒお姉ちゃんのお部屋……」

 そう。ここは昼過ぎに見た夢と同じ部屋。
 ハルヒと会ったあの部屋だった。

「ハルヒお姉ちゃんは……?」

 居た。ハルヒは前と同じく、正面の窓際の席に座っていた。
 しかし、その表情はなんだか不機嫌そうだ。

(なんでだろう? もしかしてヴィヴィオがキョンさんをまだ助けないから怒ってるのかな?)

 ヴィヴィオがそう思っておそるおそる近づいていくと、ハルヒはヴィヴィオに気付いてヴィヴィオに話しかけた。

「……………………」

 でも、ハルヒはヴィヴィオに話しかけているのに、上手く聞き取れない。
 ハルヒは優しい笑顔で話しているから、自分に対して怒っていない事はわかったが、声がうまく聞こえない。
 こんなに近くにいるのに、まるでずっと遠くから聞こえてくるような小さな声だった。

「聞こえないよ? ハルヒお姉ちゃん」

 ヴィヴィオがそう言うと、ハルヒは驚いたような顔でまた何事か言ったが、ヴィヴィオには聞こえなかった。

「なんて言ってるの? お姉ちゃん。ハルヒお姉ちゃん」

98 Dream of a silence ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:45:06 ID:SF0f54Dw

 ヴィヴィオはその事が悲しくて不安になり、ハルヒにまた話しかける。
 するとハルヒは困ったような顔で頭をかいて、それから腕を組んで考え始めた。
 それからおもむろに手元でなにかを紙に書くと、ヴィヴィオに見せる。

「なあに? 何が書いてあるの?」

 ヴィヴィオは近寄ってそれを見るが、そこに何かが書いてあるのはわかるのに、何が書いてあるかがわからない。
 難しかったり知らなかったりで読めない文字とも違う。ただ、ぼやけていて読めない。

「読めないよ、ハルヒお姉ちゃん」

 ヴィヴィオがそう告げると、ハルヒはがくっと肩を落としてまた頭をひねり始めた。
 だが、しばらくすると観念したようにため息をついて、顔を上げて情け無さそうにヴィヴィオに微笑んだ。

「ハルヒお姉ちゃん、お話できないの?」

 ヴィヴィオの問いにハルヒは頷き、何事か言いながら残念そうに首を横に振る。
 それからハルヒは立ち上がってヴィヴィオの肩を抱いて中央の机の方に連れて行き、座らせた。
 ヴィヴィオがわけがわからないでいると、ハルヒは隣の椅子に座って身振り付きで何事かヴィヴィオに話しかけた。

 聞こえないのでよくわからないが、なんとなくヴィヴィオに言いたいことを話せと言っている気がした。

「ヴィヴィオにお話して欲しいの?」

 そう尋ねると、ハルヒは少し考えた後で、うんうんと頷く。
 大筋では間違っていなかったようだ。

「じゃあ、ヴィヴィオの事お話しするね」

 ハルヒにそう告げて、ヴィヴィオは話し始める。
 今までに起こったこと。困っていること。考えていること。心配なこと。不安なこと。
 ハルヒはそれを時には机に肘をつきながら笑顔で。
 時には心配そうに。時には頭を抱えて。時には無言で。(まあ、元々無言なのだが)
 そして時にはガタンと椅子をならして立ち上がり、たぶん大声で何か言いながら怒り心頭で聞いてくれた。

99 Dream of a silence ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:45:42 ID:SF0f54Dw

 そうやっていろいろな事をハルヒに話してから、ヴィヴィオは今一番気になっている事をハルヒに話す。

「あのね。妹さんが……キョンさんの妹さんが、アスカお姉ちゃんを……殺すって言ってるの。
 あんな事があって、つらいのはわかるよ? ヴィヴィオもすごく悲しかったよ。
 でも、ヴィヴィオはゲンキ君の気持ちがわかるの。
 アスカお姉ちゃんも本当は悪い人じゃないと思う。
 きっと、きっと、だから。妹さんがアスカお姉ちゃんを殺すなんていけないと思う。
 おかしいかな? ヴィヴィオが変なのかな?」

 ハルヒは笑顔でヴィヴィオを見つめて、首を振る。

「でも。でもね。妹さんにはヴィヴィオが何を言ってもわかってもらえないの。
 妹さんはヴィヴィオなんかより、ずっと、ずーーっとゲンキ君の事が好きだったんだと思うの。
 だから、きっとものすごく悲しくて、やりきれなくて、悔しくて。
 それはヴィヴィオにもわかるの。
 でも、でも、だからって、アスカお姉ちゃんを殺してゲンキ君の所に行くなんて……」

 そう言って顔を両手で覆ってうつむいたヴィヴィオの頭をハルヒは優しく撫でていた。

「ヴィヴィオが何を言ってもダメなの。届かないの。
 なんとかしたいのに。しなきゃいけないのに。
 ゲンキ君に、妹さんを頼むってお願いされたのに。
 ゲンキ君の、最期のお願いだったのに……」

 両手で顔を覆ったままのヴィヴィオを慰めるように、ハルヒはその頭を撫で続けていたが、突然その手が止まった。
 何事かと思ってヴィヴィオが見ると、ハルヒは手と首を振って否定の仕草をしている。

「え……? ヴィヴィオ、間違ってるの?」

 その問いに対して、ハルヒは人差し指と親指で何かの厚みを示すような仕草をした。
 ちょっとだけ、と言いたいようだ。

100 Dream of a silence ◆O4LqeZ6.Qs :2009/05/19(火) 00:46:14 ID:SF0f54Dw

「ちょっとだけ? わからないよ」

 そこからハルヒは少し考えて、あれやこれやとジェスチャーで何かを伝えようとした。
 ヴィヴィオはよく考えてみたが、結局ハルヒが何を言わんとしているかがわからない。
 だが、なんとなくヴィヴィオに元気を出せ、気にするなと言っているような印象を受けた。

「うん……
 元気を出さなきゃいけないのはわかるよ。
 ヴィヴィオが悲しんで落ち込んでいちゃ誰も助けられないよね。
 でも、どうしたらいいかわからないの。
 もう、ヴィヴィオには何も出来ないのかな?
 妹さんがアスカお姉ちゃんを殺して、ゲンキ君の所へ行こうとするのを見ているしかないのかな?」

 するとハルヒはさらに何やらジェスチャーをしてヴィヴィオに何かを伝えようとする。

「口で言うだけじゃだめってこと?
 胸? 心? 交換するの?
 ……引き替えにする。……賭ける?
 うーーん……」

 何か大事なことを言われている気がするのだが、ヴィヴィオにはなかなかわからない。
 だが、ハルヒがしつこく伝えようとするので、ヴィヴィオは頑張って解読を続けた。

「賭けているものが足りない……? そう言うこと?」

 ハルヒは頷く。どうやらそういう事が言いたかったらしい。

「確かにヴィヴィオは、口で説得しようとはしたけど、何にも無くしてないよね……
 じゃあ、もし何かを賭けて説得すれば聞いてもらえるかな?」

 ハルヒは「さあ?」というジェスチャーをする。
 これはわかりやすかったが、ヴィヴィオはわけがわからなくなる。


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