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没SS投下スレ

10心に愛が無ければ、スーパーヒーローじゃないのさ(没ver):2008/09/30(火) 17:13:42 ID:3WwCHiTw
殺し合い……俗に『バトルロワイアル』とも呼ばれる、残虐な遊戯の会場となった孤島の北西部。
その場所に存在する、地図上にも記されている施設・小学校のグラウンドの隅にて、何かを行っている人物がいた。
鋼の様な肉体を持ち、ブタ鼻にたらこ唇と言ういささか美男子と言うには難のある顔つき、
そして特徴的すぎる額に輝く『肉』の文字を宿しているその青年の名はキン肉スグル、又の名をキン肉マン。
『奇跡の逆転ファイター』と呼ばれ、数々の悪を倒し正義超人たちの中心となって活躍している彼は今、
『手にスコップを持って穴を掘る』という奇妙な行動を取っていた。

「やれやれ…ただ穴を掘るだけの労働がこんなに疲れるものとは思わなかったのう」

現地調達したスコップを一旦土に突き立て、コキコキと首を鳴らしながらスグルがふぅ、と息をつく。
言葉の通りにその顔には疲労の色が浮かんでいるが、それは『ただ穴を掘っただけ』にしては妙に強い物であった。
明らかに普段よりも重い自身の体に不信感を持ちながらも、「晩飯に食った牛丼が少し痛んでいたのかも知れんな」と、
テキトーに納得しながらスグルはチラリとすぐ傍の地面に目を向ける。
そこには、白い布で風呂敷の様に包まれた物体が鎮座していた。
しばらく黙ってその謎の物体を見つめていたスグルだったが、やがて「よし!」と気合を入れ直すと、再びスコップを地面へと突き刺し始める。

「…………待っていてくれ。すぐに終わるからな」

ポツリと呟かれたその言葉と、じっと穴の中へと向けられた視線には、深い悲しみが溢れていた。







この会場へと飛ばされ、支給品及び名簿確認、そして今後の行動方針を決定したスグルは、まず北にある都市部へと向かっていた。
理由は簡単、悪魔将軍のような参加者に危害を加えるであろう悪人を退治するにも、自分たち超人とは違い戦う力を持たない一般人を守るにも、
自分の名前を騙る『キン肉万太郎』なる不届き者をとっちめるにも、ともかく誰か他の参加者と合流する必要性があったからだ。
都市部へと向かった理由は単純に『町の中ならば人も集まるだろう』という予測からだったが、これが大ハズレだった。
最初に自分のいた森林部から灰色のコンクリートジャングルへと移動しても、行けども行けども参加者どころかネズミ一匹にも遭遇する事が出来なかったのである。
探し回るのならばとりあえず端っこから順番にと北西部へと移動し、
途中で見えてきた地図にも載っている施設・図書館の内部も隅々まで探し回った物の、完全に空振り。
参加者がそこにいた、という痕跡すら見いだせないままに、スグルは図書館の中をただうろつくだけという完全に無駄な時間を過ごすハメになってしまった。
地図に載っているという事で、もしかしたらこの図書館へと向かってくる参加者がいるかも知れないという希望を胸に、
しばらく入口で待ち構えたりもして見たものの、結果は惨敗。結局何の収穫も得られぬままに、スグルはトボトボと図書館を後にした。
そのまま、当初の目的であった北西部の端に向かおうと、図書館のあったB-03エリアからA-02エリアへと移動し、青い海が広がる海岸線へと到着した物の
そこに至るまでの道でも誰一人として他の参加者に遭遇する事は無かった。
「もしや、私一人だけ全然関係のない島に飛ばされてしまったのかのう…」としばらく体育座りで青い海と綺麗な星空を眺めながら傷心を慰めたりもしたが、
どうにか立ち直ると、スグルは南へと進路を変えて、ひとまずすぐ傍のエリアB-02にある小学校へと向かう事にした。
これでこの場所にも誰もいなかったらばどうしよう、という不安を振り払いながらも『ksk小学校』なる文字が刻まれた校門をくぐり、薄暗い校舎内へと侵入した所で、
ようやくスグルは他の参加者と合流する事が出来たのだった。

いや………正確には他の参加者『だったモノ』と。


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