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本スレに書き込めない職人のための代理投稿依頼スレ

38LB ◆ErlyzB/5oA:2009/02/09(月) 10:10:08 ID:hnehCqd6
 ――あの人を、助けてください……
 惨めな姿で、少女は確かにそう言った。
 プレシアのためではなく、少年のためにそういったのだ。
 プレシアの前で我侭を言うなど、今まで一度たりとも有りはしなかった。
「何故……」
 どうしてあの時、自分は手を止めたのだろう。
 ――次はもっと、がんばります。だから……
 私のことだけ考えていればいい。そう叱るべき筈なのに。
 この状況で、あなたは私にお願いできる立場だというの。そう諭すべき筈なのに。
 頭ではそれがわかっていたはずなのに、プレシアは確かに躊躇した。
「何故……」
 躊躇する理由など、どこにもない筈なのに。
 ――おねがい、します……
 なぜ、そこで完全に手を止めてしまったのだろうか。
 わからない。
「けど……考えても、あまり意味がないわね」
 直後にプレシアは首を横に振り、その疑問を切り捨てた。
 そうだ。こんなことを考えている場合ではない。
 あんなことは、どうせ一度きり。フェイトが自分に我侭を言うことなど、もう二度とないだろう。
 そもそも自分があの少年を保護した理由は、フェイトの頼みによるものではない。
 左手に握るものへと、プレシアは視線を移す。
 鈍い光沢を放つ、二振りの剣。あの少年が持っていたものだ。
 最初はあの少年を追い出すつもりではあった。だが、腰のベルトに差していた『これ』を一目見た瞬間、プレシアは気付いた。
 持ち主の少年からは一切魔力を感じなくとも、『これ』そのものに電子音声機能が搭載されていなくとも……
 それでも『これ』は、デバイスだと。
 フェイト達は気付いていなかったようだが、間違いない。
 少年をフェイトから紹介されたときにもらった少年のデータを見る限り、少年のもといた場所は、おそらく管理局も見つけていない別の次元世界。
「案外と、使えるかもしれない」
 プレシアの両頬が、不気味に吊り上がる。
 フェイトが課した保護条件に、少年は素直に従っている。
 未知の世界から現れた少年。正体不明のデバイス。
 うまく利用すれば、悲願達成の近道になるかもしれない。
 価値が無ければ捨てるもよし。戦力になるのなら、管理局が手を出してきた時はいい駒となるかもしれない。
 プレシアの両肩が自然と震えだし、次第に声が混ざっていく。
 やがて、誰もいない廊下に、誰にも聞こえることのない壊れた笑い声が響き渡った。




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