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本スレに書き込めない職人のための代理投稿依頼スレ
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――あの人を、助けてください……
惨めな姿で、少女は確かにそう言った。
プレシアのためではなく、少年のためにそういったのだ。
プレシアの前で我侭を言うなど、今まで一度たりとも有りはしなかった。
「何故……」
どうしてあの時、自分は手を止めたのだろう。
――次はもっと、がんばります。だから……
私のことだけ考えていればいい。そう叱るべき筈なのに。
この状況で、あなたは私にお願いできる立場だというの。そう諭すべき筈なのに。
頭ではそれがわかっていたはずなのに、プレシアは確かに躊躇した。
「何故……」
躊躇する理由など、どこにもない筈なのに。
――おねがい、します……
なぜ、そこで完全に手を止めてしまったのだろうか。
わからない。
「けど……考えても、あまり意味がないわね」
直後にプレシアは首を横に振り、その疑問を切り捨てた。
そうだ。こんなことを考えている場合ではない。
あんなことは、どうせ一度きり。フェイトが自分に我侭を言うことなど、もう二度とないだろう。
そもそも自分があの少年を保護した理由は、フェイトの頼みによるものではない。
左手に握るものへと、プレシアは視線を移す。
鈍い光沢を放つ、二振りの剣。あの少年が持っていたものだ。
最初はあの少年を追い出すつもりではあった。だが、腰のベルトに差していた『これ』を一目見た瞬間、プレシアは気付いた。
持ち主の少年からは一切魔力を感じなくとも、『これ』そのものに電子音声機能が搭載されていなくとも……
それでも『これ』は、デバイスだと。
フェイト達は気付いていなかったようだが、間違いない。
少年をフェイトから紹介されたときにもらった少年のデータを見る限り、少年のもといた場所は、おそらく管理局も見つけていない別の次元世界。
「案外と、使えるかもしれない」
プレシアの両頬が、不気味に吊り上がる。
フェイトが課した保護条件に、少年は素直に従っている。
未知の世界から現れた少年。正体不明のデバイス。
うまく利用すれば、悲願達成の近道になるかもしれない。
価値が無ければ捨てるもよし。戦力になるのなら、管理局が手を出してきた時はいい駒となるかもしれない。
プレシアの両肩が自然と震えだし、次第に声が混ざっていく。
やがて、誰もいない廊下に、誰にも聞こえることのない壊れた笑い声が響き渡った。
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