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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

1迷子のフレイたま:2004/03/02(火) 22:57
愛しのフレイ・アルスター先生のSSが読めるのはこのスレだけ!
|**** センセイ、          ・創作、予想等多種多様なジャンルをカバー。
|台@) シメキリガ・・・       ・本スレでは長すぎるSSもここではOK。
| 編 )    ヘヘ         ・エロ、グロ、801等の「他人を不快にするSS」は発禁処分。
|_)__)   /〃⌒⌒ヽオリャー     ライトH位なら許してあげる。
|       .〈〈.ノノ^ リ))    ・フレイ先生に信(中国では手紙をこう書く)を書こう。
        |ヽ|| `∀´||.      ・ここで950を踏んだ人は次スレ立てお願いね。
     _φ___⊂)__
   /旦/三/ /|     前スレ:フレイ様人生劇場SSスレpart4〜雪花〜
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|. |    http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/anime/154/1070633117/
   |オーブみかん|/    
              既刊作品は書庫にあるわ。
             ○フレイスレSS保存庫 ttp://oita.cool.ne.jp/fllay/ss.html

              こっちも新しい書庫よ。
             ○フレイたんSS置き場 ttp://fllaystory.s41.xrea.com/top.html

846人為の人・PHASE−50・2:2004/09/30(木) 14:17
ジェネシス破壊を目指し進むエターナルを攻撃したMS、プロヴィデンス。
機体が限界を訴える中、僕はフリーダムでその前に立ちはだかった。
―――もう誰にも、あなたの手で悲しい思いになどさせはしない。
僕の最後の怒りの矛先が今までにないほどに鋭く、しかし切なく、
世界を滅ぼすことだけを生きる糧としてきた人に向けられようとしていた。
なぜそんなことを。問いかけられた彼の心には夢も希望も、平和を願う
人々の想いも届かないのか。彼は人の業の罪深さを延々と説き、滅ぶべき
「理由」をそこに作り出そうとする。違う、人はそんなものじゃない。
決死の思いで希望を捨てずにいる僕の心をあざ笑うかのように、
彼は僕の言葉をまた否定する。憎しみの目と心、そして引き金を引く指しか
持たぬ者たちの世界で、何を信じ、なぜ信じるのかと。クルーゼさんは
それしか知らない、だからそんなことを言えるのだ。僕はなおも反論する。
それでも、彼の暗黒の思考回路は人の愚かさを如実に示してみせた。
―――知らぬさ。所詮人は己の知ることしか知らぬ。
もう僕は何の言葉も返すことができなかった。そうだ、その通りなのだと
考える他に道はなかった。己の知ることしか知らぬ者同士が互いを認めず、
互いを理解せず、互いを愛せずに凶行へと走り、結果訪れた破滅の危機。
暗い嘆きに満たされた彼の仮面の奥をわずかでものぞき見た僕は、その
どうしようもない感情に彼自身のもどかしさを重ね合わせることさえできた。
この世でただ一人全人類に裁きを下すことができると豪語する、それが彼、
人ならぬ存在。クローン。生まれながらにして短命を余儀なくされた運命。
結局は僕もそんな彼を生み出した罪深い世界に生きる人々の業、その一部に
過ぎないのだ。最高のコーディネーター。全てを調整され完成した一作品。
偽りに覆われ、長く真実を知ることのなかった僕の、本当の存在意義は
何なのだろうか。いつかは分かってもらえる、いつかは信じてもらえる、
いつかはつらい時が終わる。そうやってただ思い続けるという甘い毒こそが
僕を苦しめ、戦場でない場所でさえも僕を戦わせ続けてきた。自分の行動で
傷つき、自分の思いで悩み、自分の境遇に涙する、それが僕の人生だった。

いつしか僕たちの背後では、ジェネシスが最後の時を刻み始めていた。
ヤキン・ドゥーエの自爆と連動して設定されていた、ジェネシスの第三射。
地球へと向けられた想像を絶する砲火が放たれようとする中で、僕たちは
まだ戦っていた。すでに僕はプロヴィデンスの持つドラグーン・システムの
ほとんどを撃破していたが、同様にフリーダムも片足と盾を失っていた。
それでもクルーゼさんは語り続ける。地は焼かれ、涙と悲鳴は新たなる
争いの狼煙となるだろうと。彼は既にジェネシスが照射された後のことを
頭に描いていた。だが、それは早かったのだ。僕はアスランとカガリの
存在を忘れてはいなかった。そんなこと、絶対に起こりはしない。
彼らがいる限り、多くの人の想いがある限り。そして僕も、守りたい世界を
持つ者の一人として、あなたを倒してみせる―――。
両腕を切り落とされたプロヴィデンスを、ビームサーベルを一心に抱えた
隻腕のフリーダムが一直線に貫いた。小爆発を起こし動きを止める
プロヴィデンスに続き、ジェネシスの膨大なエネルギーが僕へと迫る。
それを大きく回避した後、ジャスティスの核爆発でジェネシスは崩壊した。
ラウ・ル・クルーゼ。彼は死に際に何を思っただろうか。もし彼が
微笑んでいたのだとしたら、僕は誰にも勝ってはいないことになるのだろう。
理想を追い求めたはずの僕が結局彼を殺したという事実は変わらないのだ。

パトリック・ザラは死に、地球とプラントの間に停戦協定が結ばれた。
そして死んでいった人々の想いを乗せたかのような幻想的な宇宙を、
フリーダムから投げ出された僕は静かに漂っていた。死の恐怖はもうなく、
ただ目の前の宇宙の神秘的な情景に僕は感動すら覚えていた。
―――僕たちはどうして、こんなところに来てしまったんだろう。
バイザーの前でゆらゆらと揺れるラクスの指輪が輝き、こちらへと
向かってくるストライクルージュの姿を僕は見てとることができた。
涙と微笑みと喜びと、何もかもが入り混じった表情のアスランとカガリが
僕を迎えてくれる。僕も涙にあふれ、しばらく宇宙という名の海に
その身を委ねることにした。目を閉じれば浮かんでくる、たくさんの顔。
―――僕たちの世界は、ここにある。

847人為の人・エピローグ:2004/09/30(木) 14:21
僕はペンを机の上に置き、両手を広げて大きな伸びをした。
終わりだ。これでようやく「戦争」は終わったんだ。そう考えようとする
自分とは裏腹に、こんなことをしても何にもならないという諦めの気持ちが
ふつふつと湧き上がってくるのを僕は感じていた。こんな「自伝もどき」を
書いたところで、失われたものは何も戻らないなどと言われればそれまでだ。
―――自分の行為が何の役に立った?どれだけの大切なものが失われた?
でも僕はどこか満足感を感じずにはいられなかった。それはもしかすると、
今こうして僕が生きている環境に由来するのかもしれない。かつて僕を
助けてくれたマルキオ導師のもとに、ラクスと生活する僕。ここは確かに
平和だけれど、どこか大事なものを失くしてしまったような静けさがある。
その中で自分の系譜とでも言うべきものを書き上げたことは、僕にとって
何か特別な意味を残してくれるのではないかと思えるものだった。

あえて紙には記さなかった名前が一つある。彼女は僕の手からこぼれ落ちた
存在だから、僕の手で記される必要はない。彼女は僕の中で生き続ける。
そしてそれがある限り、僕はラクスの気持ちに応えることはできないのだ。
僕は彼女を愛してもいなかった。いや、愛情を超えた想いで結ばれていた。
それが何なのかを理解するすべは僕にはない。だからこそ、分からないまま
そっとしておいてほしい。それでいいだろう?―――フレイ。

―――世界がこれ以上戦争に巻き込まれないことを祈りながら、
偽らざる人、「人為の人」は生きる。

848人為の人・作者:2004/09/30(木) 14:32
以上で「人為の人」全話終了です。
キラの思いとは裏腹に戦争がまた始まる―――そのまさに直前に
過去の出来事を思い出して筆記していく、という形式をとってみました。
先日最終話を見たせいか、PHASE−50はえらく描写が細かくなっているような……
ともかく最後まで読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。

849私の想いが名無しを守るわ:2004/10/01(金) 20:48
連載終了おめでとうございます。
放送終了してから種を見返す機会が無かったので、50話全体の流れを思い出すことが出来て非常にありがたかったです。
2ヶ月にわたる長期連載は大変だったと思いますが、多分このスレ最後になるだろう作品にふさわしい出来だったと思います。本当にお疲れ様でした。

850人為の人・作者:2004/10/02(土) 11:43
>>849
丁寧なレスありがとうございます。
どうも自分が小説を書いた所はやたら閉鎖されていくというジンクスみたいな
ものがあるので心配だったのですが、ともかく最終話まで続けられたことには
ほっとしています。2ヶ月……長いようでいて短かったです。
内容はあくまで自己流の解釈ですが、読んだ人が何かそれなりのものを
感じることができたらいいなと思っています。

851私の想いが名無しを守るわ:2004/10/05(火) 00:20
連載お疲れさまです。
最終回の色々な問題が綺麗に片づけられていて良かったです。
断片的にしか映らないキラの心情もうまくつなげられててなるほどと思いました。

852前作でラクスが死んでフレイが生きてたらスレの4:2005/08/29(月) 00:22:34
お借りします
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1124899669/からの出張です


第09話「驕れる牙」

<ユニウス7落下により、プラント連合の間には不信感が増した。そしてついに連合はプラントに対して宣戦布告。核を発射するも、ジュール隊の奮戦によってプラントは守られたのだった>

アスランは正装に身を包みながら、脇に映っていたテレビを見た
デュランダル議長が会見をしているのが見える
「済みません、ちょっと顔を洗ってきます」
案内の背広の男に断りを入れると、洗面所に足を運んだ
わずか数時間。アスランがここに来るまでのそのわずかな間に情勢は怒涛の展開を見せた
連合によるユニウス7落下の犯人達の公表、デュランダルによる説明と災害支援、連合の宣戦布告、そして……オーブの連合との同盟締結
何故だ!?とまでは言わない。どのみち避けられない事態であっただろう。しかしあまりにも早すぎた
蛇口を捻り、勢いよく放出されていた水を止めると、アスランは鏡に映った自分に自問した
「また戦う場所を失った……」
舌打ちを打つと、アスランは身を翻した。自分の顔を見ていたくなかった


「ええ、大丈夫。ちゃんと解ってますわ。時間はあとどれくらい?」
「ん?」
公式の場にはやけに似つかわしくない、若い女性の声が聞こえたから、アスランは思わず視線を合わせてしまった
「ならもう一回確認できますわね……ぁ…ぁ…あぁ…!?」
「ハロハロ、Are you O.K.?」
「ラ……クス…?」
初めは幻でも見てるのかと自分を疑った。しかし、走りよって手を握ってきたラクスの温もりは本物だった
舞台衣装を着たラクスは、感極まったようにアスランの顔を覗いてまくしたてた
「あぁ…アスラン!うれしい!やっと帰って来て下さいましたのね」
「ぁ…ぇぇ?…ぁ…」
帰った?どこに?ここはプラントで、自分はアレックス……
動転するアスランに、ラクスは畳み掛けるように話続けた
「ずっと待ってたのよ、あたし。貴方が来てくれるのを!!」
「どうして……ラクスは……死んだ筈じゃ……」
そう、死んだ筈だ。アスランは、ジェネシスに向かって散っていったエターナルも、そのエターナルの中で歌っていたラクスの声も聞いていた。忘れようも無い
「死んだ?ふふっ、おかしなアスラン。私はここにおりますのに。貴方の目の前に」
「………」
「ずっと……お待ちしてましたわ。貴方のお帰りを」
俺は帰ってきてなどいない…そう言いかけたアスランより先に、ラクスの付き添いらしい男がラクスを咎めた
「ラクス様」
「ああ、はい解りました。ではまた。でも良かったわ。ほんとに嬉しい。アスラン」
「Hey,hey,hey! Ready go!!」
「まぁ!ハロも喜んでいるのね」
ピョンピョンと跳ねるハロに語りかけるラクスの仕草は、アスランには懐かしいものであった
しかし、アスランはあのような色のハロを作った記憶もなければ、ハロの言語にそのような言語登録をした覚えは無かった
「君は本当に……」
ラクスなのか?という問いは、低い男の声に遮られた
「おや、アレックス君?ああ君とは面会の約束があったね。いや、たいぶお待たせしてしまったようで申し訳ない」
「デュランダル議長……」
カツカツとなる足音が、アスランの前で止まる
「ん?どうしたね?」
「あ…いえ…ぁぁ…」
訊ねながら、デュランダルは返答を許さない空気を持っていた
アスランはまるで父を相手にしたときのような錯覚を感じた。これが政治家というものなのだろうか
「いえ、なんでもありません…」
「そうかね?……あぁ、ラクス、仕事が終わったらまた行政府においで?私とアレックス君の話も終わっている頃だろうから」
「まぁ!はい!わかりましたわ。キングさん、早く行きましょう!私、お仕事頑張りますわ!」
「っ!!?」
戸惑いと、少しの畏怖を含んだ目で、アスランはデュランダルを見つめた
デュランダルは張り付いたような微笑と崩さず、アスランを逆にその黒い瞳で覗き込み、飲み込むようであった

853前作でラクスが死んでフレイが生きてたらスレの4:2005/08/29(月) 00:26:51
第10話「父の呪縛」


大人たちは皆、俯き、気力を失っていた
ただ、子供たちはフレイ達が作るスープの匂いにワクワクし、声を上げながら並んでいた
「……どうしたの?早くいきなさい、後ろ並んでいるんだから」
「もっと注いでよぉ」
「……アンタね、欲張らないの。沢山食べたかったらおかわりすればいいでしょ?」
「やだ。無くなっちゃうもん」
きかん坊な顔をした男の子は、口をへの字に曲げて、フレイに対抗している
「……」
フレイは黙って、お玉で男の子のお椀からスープの具を取り返した
「ああ゛ーーー!!お肉ーーー」
「……冗談よ。ホラ、これでいいでしょ?大盛り」
「……人参ばっかりだよーぼく食べれない!!」
「 リ ク エ ス ト 通 り 大 盛 り で し ょ ? 」
「……はい」
はぁ…とフレイは溜息をつくと、次の子のお椀を受け取った
しかし、流れていたラジオの緊急速報を聞き思わずそのお椀を落してしまった
『大西洋連邦をはじめとする地球連合各国はプラントに対し、宣戦を布告し、戦闘開始から約1時間後、ミサイルによる核攻撃を行いました。
 しかし防衛にあたったザフト軍はデュランダル最高評議会議長指揮の下、最終防衛ラインで此を撃破。現在地球軍は月基地へと撤退し攻撃は停止していますが、
 情勢は未だ緊迫した空気を孕んでいます』
「……どうしたの?」
子供たちは変わりなく、ご飯を求めている
大人たちは沈黙を守ったまま、動こうともせずにいる
ボランティアの仲間たちだけが、この速報にたいして反応を見せた
「核だってよ……」
「信じられない…」
「開戦?」
「ぶっそうなもんバカスカ撃ちやがって……これならニュートロンジャマーで核使えない方がマシだったな」
「それは……でも、そうかもね」
「馬鹿言わないでよ。アレが撃ち込まれて、エネルギー不足で何億人が死んだと思ってるのよ」
フレイは胸を締めつけられるようだった
生きているのが辛かった。こうしてボランティアで各地をめぐるたび、そう思った
ニュートロンジャマーキャンセラーを運んだのは自分なのだと思うたび、アークエンジェルにいたことすら、自分が戦争を長引かせたような気すらして
「キラ……」
昨日、もっと話せばよかった。泣きついて、甘えればよかった……本当は近くに居たいと言ってしまえば良かった
そうすれば、キラは受け入れてくれただろう。言葉じゃなくて、暖かいその両手で私を抱きしめてくれただろう
「でも……許せないもの」
落したお椀を拾って、別のお椀に変えて、女の子にスープを注いであげた
フレイは俯かないことにした

854前作でラクスが死んでフレイが生きてたらスレの4:2005/08/29(月) 00:34:47



同じニュースを、アスランも聞いていた
デュランダル議長と共に
「そんな…まさか…!」
「と言いたいところだがね、私も。だが事実は事実だ」
テレビのニュースキャスターはこの異常な事態を繰り返し、繰り返し報じていた
プラントのテレビだからであろう、キャスターは噴気に耐えれぬ声で、読み上げている
「君もかけたまえ、アレックス君。ひとまずは終わったことだ。落ち着いて」
そういうと、デュランダルはスッとその手をソファに向けて、アスランを促した
この男の、こういった間こそ、若くしてプラント最高評議会議長に上り詰めさせた天性の才能であった
「…んッ…」
「しかし…想定していなかったわけではないが、やはりショックなものだよ。こうまで強引に開戦されいきなり核まで撃たれるとはね」
自分は想定すらしていなかった……アスランは自分の甘さに歯噛みをした
「隠しきれるものではない。プラントには事実を全面的に公表している。当然、市民の感情は……」
「 しかし…それでも、どうか議長!怒りと憎しみだけでただ討ち合ってしまったら駄目なんです!
 これで討ち合ってしまったら世界はまたあんな何も得るもののない戦うばかりのものになってしまう…。どうか…それだけは!」
悲痛な、それは芝居がかったと言っていいくらいの顔をしてみせたデュランダルに、アスランは懇願する
「そうだな。この状況で開戦するということ自体、常軌を逸しているが……我々がこれに報復で応じれば、世界はまた泥沼の戦場となりかねない。
 解っているさ。無論私だってそんなことにはしたくない。だが市民は皆怒りに燃えて叫んでいる。許せない、と」
デュランダルは薄暗い応接室の窓を開いた。窓からはプラント市内を一望出来る
この行政府の下に集まる市民のデモも
「私が只一人のギルバート=デュランダルならば、あそこに混じりたい気分だがね
 既に再び我々は撃たれてしまったんだぞ、核を。ここからでも彼らが何を言っているか充分に聞こえるよ、私には
 「報復を!」 「守る為よ、戦うわ!」 「犠牲が出てからでは遅いんだぞ!」 「もう話し合える余地などない!」
 ………どうかな?君も聞こえるだろう?アレックス君」
振り向いたデュランダルの視線に耐え切れず、アスランは声を荒げ、否定した
「俺は…俺はアスラン・ザラです!」
テーブルに置いていたサングラスを拳で叩き割りながら、アスランは叫ぶ
「二年前、どうしようもないまでに戦争を拡大させ、愚かとしか言いようのない憎悪を世界中に撒き散らした、あのパトリックの息子です!
 父の言葉が正しいと信じ、戦場を駈け、敵の命を奪い、友と殺し合い、間違いと気付いても何一つ止められず、全てを失って…なのに父の言葉がまたこんなッ!」
「ではアスラン、その血塗られた手で私を殺し、あの民衆に迎えられるといい。そしてザフトの兵を率い、弔いの戦いの先頭をゆくがいい」
感情を込めない声で、デュランダルはアスランを見下ろし、そして自分は代弁者であるかのようにアスランを促して見せる
「違う!絶対に繰り返してはいけないんだ!あんな…!」
アスランはこれでもかと、きかない子供みたいに首を振った

855前作でラクスが死んでフレイが生きてたらスレの4:2005/08/29(月) 00:37:27
「アスラン…ユニウス7の犯人達のことは聞いている。シンの方からね。
 君もまた……辛い目に遭ってしまったな」
デュランダルはゆっくりとしゃがむと、サングラスの破片が突き刺さって、血を流すアスランの手をとって父親のような優しさで包み込んだ
「いえ違います。俺はむしろ知って良かった。でなければ俺はまた、何も知らないまま…」
「いや、そうじゃない、アスラン。君が彼等のことを気に病む必要はない。君が父親であるザラ議長のことをどうしても否定的に考えてしまうのは、
 仕方のないことなのかもしれないが。だが、ザラ議長とてはじめからああいう方だったわけではないだろう?」
「いえそれは…」
否定しようとして、出来なかった。アスランの知ってるパドリックは……あの頃の、父も母もいたザラの家族は……優しかった。大好きだった
それをずっと否定したかった。忘れようとしていた。その自分に、アスランは……気づいた
「彼は確かに少しやり方を間違えてしまったかもしれないが、だがそれもみな、元はといえばプラントを、我々を守り、より良い世界を創ろうとしてのことだろう
 想いがあっても結果として間違ってしまう人は沢山居る。またその発せられた言葉がそれを聞く人にそのまま届くともかぎらない。受け取る側もまた自分なりに勝手に受け取るものだからね」
「議長…」
「ユニウス7の犯人達は行き場のない自分達の想いを正当化するためにザラ議長の言葉を利用しただけだ」
断言したようにデュランダルは言った。それは矛盾を孕んでいた言葉だったが、アスランに気づくだけの余裕は無かった
「だから君までそんなものに振り回されてしまってはいけない。彼等は彼等。ザラ議長はザラ議長。そして君は君だ。
 例え誰の息子であったとしても、そんなことを負い目に思ってはいけない。君自身にそんなものは何もないんだ」
「議長…」
「今こうして、再び起きかねない戦火を止めたいと、ここに来てくれたのが君だ。ならばそれだけでいい。一人で背負い込むのはやめなさい」
アスランが幼い頃、彼の父がしてくれたように、デュランダルは肩に置いた、
「ぁぁ…」
「だが、嬉しいことだよ、アスラン。 こうして君が来てくれた、というのがね
 一人一人のそういう気持ちが必ずや世界を救う。夢想家と思われるかもしれないが私はそう信じているよ」
それは我が子の成長を喜ぶような言い方であったと、アスランは記憶している

856前作でラクスが死んでフレイが生きてたらスレの4:2005/08/29(月) 00:39:45



アスランはデュランダルについていきながら、二年ぶりのザフトの軍事基地内を歩いた
「……」
「どうかしましたの?」
隣を歩くラクス=クラインが話しかける
「何でもない、ミーア」
君には隠しきれるものではないだろうと、デュランダルはこの少女の正体を明かしたが、実を言えば、それほど彼女と深い関わりは無かったとアスランは思った
この少女はラクス=クラインの身代わり。笑ってくれてかまわないとデュランダルは言った。小賢しくプラントに強い影響力をもつ彼女の虚像を使うことを
そして、君の力も必要としているのと言われた時、心が躍ったことを、必要とされたことを、
だが、この前をいく男の背中を、そこまで信用していいのだろうかとも、アスランは思う
「ここだ」
厳重にロックされ、警備されたドアが、デュランダルによって開かれる
おそらく、ザフトの基地が変わっていなければここはMS格納庫であった筈だと、アスランは思い、足を踏み入れた
「ぁぁ…これは…」
「まぁ…」
アスランとミーアは息を呑んだ
冷たい、無機質な格納庫の中で、主を待つ鉄の剣が仁王立ちしていた
「ZGMF-X23Sセイバーだ。性能は異なるが例のカオス、ガイア、アビスとほぼ同時期に開発された機体だよ。この機体を君に託したい、と言ったら君はどうするね?」
切れ長の、自信に溢れた目が、アスランに注がれた。自分に無い、この目にアスランは弱い
「…どういうことですか?また私にザフトに戻れと」
怪訝そうな顔をアスランは向けてみせた
そうでもしなければ、自分はこの状況を何も疑わずに受け入れてしまいそうだったからだ
「ん…。そういうことではないな。ただ言葉の通りだよ。君に託したい。
 まあ手続き上の立場ではそういうことになるのかもしれないが。私の想いは、先ほど私のラクス・クラインが言っていた通りだ。だが様々な人間、組織、そんなものの思惑が複雑に絡み合う中では、願う通りに事を運ぶのも容易ではない。
 だから想いを同じくする人には共に立ってもらいたいのだ。出来ることなら戦争は避けたい。だが、銃も取らずに一方的に滅ぼされるわけにもいかない。
 そんな時のために君にも力のある存在でいてほしいのだよ。私は。ミーアにはその立会い人になって欲しくてね」
「議長…」
「先の戦争を体験し、父上の事で悩み苦しんだ君なら、どんな状況になっても道を誤ることはないと信じてる。我等が誤った道を行こうとしたら君もそれを正してくれ。その為の力だ
 ……急な話だから、直ぐに心を決めてくれとは言わんよ。今日はミーアと一緒に食事でもして、休んでくれたまえ。そして考えてくれ、君に出来ること。君が望むこと」
デュランダルは灰の鉄の巨人に手を触れると、アスランに言った
「それは君自身が一番よく知っているはずだ」

857私の想いが名無しを守るわ:2005/08/29(月) 01:08:34
>>852-856

フレイはキラに依存しない様にしてるみたいだね
その辺りが「成長したんだな」って感じで良い
最初の二人の関係が依存から始まったし

それと、アスランは無意識の内に両親って存在を求めてるのかなと
新シャアスレのカリダとのやり取りや
今回の議長とのやり取りにふっとそう思った
今はいない父親の姿を議長に求めて、認められたい…ってね
その辺り、シンとも似てるのかもしれないが

858私の想いが名無しを守るわ:2005/09/03(土) 22:47:40
乙です。

ラクスが死んでいたらというIFのせいで、
ミーアと会ったときのアスランの動揺ぶりが切実そうでなるほどなぁと。
そうすると議長がやってること(ラクスという偶像が必要)の正当性って強くなりますしね。

まぁそれはそうとフレイのこれからの役割がどうなるか期待。

859私の想いが名無しを守るわ:2005/09/24(土) 10:16:22
フレイ・・・

860私の想いが名無しを守るわ:2005/10/23(日) 14:59:23
他キャラが死んでいたらな過程での話自体が、どうかとオモ。

861私の想いが名無しを守るわ:2005/12/26(月) 22:08:43
人いな杉
過去ログ見て結構良いSSとかあったりしたのになぁ

862私の想いが名無しを守るわ:2006/09/23(土) 03:11:20
フレイ厨って痛杉

863 ◆eOdxQcpQdk:2009/04/24(金) 20:50:11
tesuto

864バーバリー バッグ:2012/11/06(火) 21:08:11
こんにちは、またブログ覗かせていただきました。また、遊びに来ま〜す。よろしくお願いします
バーバリー バッグ http://burberry.suppa.jp/

865もしフレイが生きていたら:2015/03/22(日) 21:28:25
18歳にしてオーブ軍准将となったキラヤマト、彼はプラント代表ラクス・クライン
と公認パートナーがいながら2人の関係はプラトニックだった。
彼には16歳の時から囲い人のような関係にあるナチュラルの恋人がいた。
故大西洋連邦事務次官ジョージアルスター令嬢フレイアルスター。

866もしフレイが生きていたら:2015/03/22(日) 21:30:54
というssが書きたいのですが自信がありません。

867私の想いが名無しを守るわ:2015/08/22(土) 02:58:21
読みたいです。ぜひ^-^


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