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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

1迷子のフレイたま:2004/03/02(火) 22:57
愛しのフレイ・アルスター先生のSSが読めるのはこのスレだけ!
|**** センセイ、          ・創作、予想等多種多様なジャンルをカバー。
|台@) シメキリガ・・・       ・本スレでは長すぎるSSもここではOK。
| 編 )    ヘヘ         ・エロ、グロ、801等の「他人を不快にするSS」は発禁処分。
|_)__)   /〃⌒⌒ヽオリャー     ライトH位なら許してあげる。
|       .〈〈.ノノ^ リ))    ・フレイ先生に信(中国では手紙をこう書く)を書こう。
        |ヽ|| `∀´||.      ・ここで950を踏んだ人は次スレ立てお願いね。
     _φ___⊂)__
   /旦/三/ /|     前スレ:フレイ様人生劇場SSスレpart4〜雪花〜
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|. |    http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/anime/154/1070633117/
   |オーブみかん|/    
              既刊作品は書庫にあるわ。
             ○フレイスレSS保存庫 ttp://oita.cool.ne.jp/fllay/ss.html

              こっちも新しい書庫よ。
             ○フレイたんSS置き場 ttp://fllaystory.s41.xrea.com/top.html

62ザフト・赤毛の虜囚 28:2004/03/13(土) 08:24
6.継承 7/12
[ダメ、心が解ける]

私とユーレンは、フラガに見つかって逃げ出した。仲直りさせるはずだったヴィアと会う前に。
ユーレンは、私が泊まっているのとは別のホテルに部屋を取った。呆然とベッドに
座り込む私にユーレンは話しかける。
「とりあえず、シャワーを浴びて落ち着きなよ。僕は部屋を出るから」

私は、ユーレンの気づかいを感じながら、それを受け入れられない。

「なんてことしちゃったの。もうフラガは、あなたを許さない。ユーレン、あなた、
 殺されるわよ。私になんかに構ったために」
「僕が望んでやったことだ。後悔はしないよ」

「嘘! あなたにはヴィアがいるでしょ。今からでも、ヴィアのところへ帰って、
 コロニーから逃げて。私のことは、いいからほっといて」
「ダメだ。君を見捨てる訳にはいかない」

「言ったでしょ。私はフラガの奴隷よ。あいつのオモチャよ。守る価値なんか無い」
「いや、君は、そんな悲しい目をするべき人じゃ無い」

「いやよ、同情してるならやめて。後悔するわ。死ぬほど後悔するわ。さっさと出ていって!!」

返事の代わりにユーレンは、私を抱きしめた。
「いつのころからか、一瞬、自分の視点が別人のそれに変わることがあった。誰なのか、
 分からなかった。ある時、視点が鏡を見ていて、やっと女性なのだということが分かった。
 悲しい目をしていた。それが、君だ。君と出会って、その感覚は無くなったけど、
 僕は、君に悲しい目をさせないことを願った。だから、ヴィアといる君を見るのは、
 僕には嬉しかった」

ユーレンの語る内容に、私は驚いた。私も幽閉されている頃、ユーレンの視点と一瞬重なることがあった。
その目が見るのは、研究室の複雑な器具だったり、同じ研究員だったり。そして、裸で顔を上気させ
見つめるヴィアだったり。私とユーレンは、出会う前、不思議な感覚で繋がっていた。
出会った今は失ってしまったけど、私達二人には出会う運命があった。

でも、もう遅いのよ。ユーレンはヴィアと結ばれ、私はフラガの虜囚となった。今さら出会っても、
悲しいだけ。

「いや、離して。私を離して。ダメよ絶対ダメ」
「僕が君を守る。研究所だって、フラガ氏の言いなりじゃない。君を守る力はあるよ」

「嘘! 嘘よ、嘘! 嘘ばっかり。みんなフラガが壊しちゃう。みんな不幸になる。
 私のせいで、私のせいで」
「大丈夫だ! 大丈夫だ、メルデル。心配しないで。僕を信じて」

ユーレンは、私に口付けしてきた。私は抵抗する。ダメ、心が溶ける。ダメ、絶対ダメ……

私は溶けてしまいそうな心をなんとか繋ぎ止めようと、やっと言葉を出した。
「私、奴隷よ。妊娠できないように、体に何か入ってる。フラガの奴隷の証しが……」

「知ってるよIUDのこと。僕がコーディネータの妊娠のために取り出したから。そして、
 今は入っていないことも。あれは装着する時期があるんだ。今、君は自然に受精できる。
 奴隷なんかじゃない。自分の意思で恋して子供を授かる、普通の女性だよ」

ユーレンは、さらに私をきつく抱きしめた。私の心は、もう……

「ヴィアを捨てるの……」
「後悔していないと言ったら嘘になる。でも、君を見捨てることはできなかった。
 もう、戻れない。だけど、君のためなら覚悟を決める。
 …… 君を守りたい。…… 愛してるメルデル」

私の心は溶け落ちた。

63ザフト・赤毛の虜囚 29:2004/03/13(土) 08:30
6.継承 8/12
[二億分の一の奇跡]

「私、こんなの初めて、こんなに安らかな気持ちになれたの……」
私は、心の底から呟いた。隣に寝ている男は、それを聞いていないかのように何も言わない。

「ねえ、聞いてる? 答えてよユーレン」
「言うまでもないだろ、僕もさメルデル」

私は、ユーレンの感覚に入り込んだことがある。男の生理を感覚で分かっている。
私は自分で体をユーレンにピッタリくっつけ、その言葉だけで満足する。
ユーレンは、私に入った時の記憶を思い出したのか、余韻を求める私の腰に手を回し、
ゆっくり、さすり続ける。

私、ユーレンと不倫している。大切な友達のヴィアを裏切って。
でも、私はもうユーレンを手放せない。ヴィアに絶対返したくない。

* * *

私、ヴィアと会っている時、こんなことを話したことがある。

「私、幸せなんかじゃないわ」私は、ヴィアと談笑する中、急に暗く視線を落として言った。
「そんなこと無いわよ」ヴィアは、急に態度の変化した私を慰めるように話す。

「嫌、違うわよ。私……私、あなたに嫉妬しているかも」
「どうしたのメル。私、そんなつもりは……」

「奪うかもしれない。私、あなたからユーレンを奪うかもしれない」
「メル、そんな馬鹿なこと……」

私の口から漏れた心のかけらに、ヴィアは不安げに顔を曇らせた。
そんなヴィアを見て、私は自分の心を押し込め、表情を明るく変えた。

「嘘。そんなの嘘。嘘よ…… 私が、そんなことする訳ないでしょ」
「もう何言ってるのよ!」

「本気にした?」
「この馬鹿!! 意地悪!」

その時、ヴィアは不安に表情を曇らせ、次に、私の否定の言葉に、恥ずかしそうに
顔を真っ赤にしていた。まるで、一途に恋する純情な乙女のように。

* * *

時折、男っぽい言葉をするくせに、心は純真なヴィア。それを、汚れた女の私が侮辱した。
ヴィアは、多分、許してくれないと思う。もう、私はヴィアには会えない。
さようなら、ごめんなさい、ヴィア。

私は、私のお腹に触れた。ヴィアが、退院の日に、私のために送ってくれた言葉を思い出した。

「自然の受精ってのはね。二億もの精子が競い合い、たった一つだけ卵子と結ばれるのよ。
 まさに劇的瞬間」

「それまで、精子は長い長い旅をして、卵管まで辿りつくのよ。そして卵子と結ばれて、
 また卵管を戻って子宮に入って行く。ここで私の仮説だけど、精子って子宮を旅してきて
 そこで、自分の戻るべき場所を先に見つけて覚えているのだと思う。そして、卵子と一緒に、
 そこへ戻って着床する。それで赤ちゃんになる」

今、ユーレンの精子が、私の体を旅している。私の体を覚えながら。そして、卵子と出会う。
いや、もうコーディネータの手術で無茶苦茶になった私の体は、いつ排卵するかも分からない。
そのまま精子は、捨て駒として死んで行くのかもしれない。でも、それは、可哀想じゃない。
精子は二億分の一の奇跡を信じて死んで行く。後から、それを継ぐものがあるから。

ああ、ユーレン。これで良かったのかな。私には分からない。でも、私、今とても幸せよ。
もっとして。一杯して。あなたのに、私の体をしっかり覚えさせて。
二億分の一の奇跡のために。


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