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【SS】乙宗梢ノ彼トノ情事【ヘテロテロ】
1
:
名無しで叶える物語◆xboqy4Ip★
:2026/03/08(日) 20:33:20 ID:???00
【注意】
※乙宗梢で一番気持ちよく出来るのって純愛なんじゃない?シリーズです。純愛イチャラブで非寝取られですが、非俺君ですので注意。
※オムニバス形式というか、シチュエーション集的に色んなプレイをしていく話になります。個人的な趣味による特殊性癖寄りのモノもあるかもしれません。注意。
※ヘテロの時点でだいぶキャラ崩壊前提ですが「あの乙宗梢が男に絆されてこんなことまでやっちゃうのかよ……」というがメインコンテンツのつもりです。繰り返しますが注意。
※いわゆるラ板梢💚要素があります。
次から始めます。
386
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/06(水) 17:48:43 ID:???00
彼女が私の背後に回る。
夢の世界で私たちはいつも裸だった。
『わたし』に背後から抱きすくめられ、身体をべたべたと愛撫される。
梢「っ……」
コズエ『似合っているわよねこの髪型……評判だっていいのではなくて?』
おろした髪を指で梳かれながら、耳元で囁かれる。
梢「……別に」
コズエ『ウソ💚 気付いているわよねぇ、大学に来てからあなたに向けられる視線が蓮ノ空にいた頃とは違うこと💚』
梢「……」
387
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/06(水) 17:52:38 ID:???00
コズエ『乙女の花園から解き放たれた女の子を、オオカミさんたちが食べたい食べたいと狙っているわ💚』
梢「……やめて」
コズエ『ああ💚 誰かさんが早く受け容れてしまえばいいのに💚 お薬なんてやめてムラムラのまま流されちゃいましょう💚 ほんとは誰かにめちゃくちゃにされたくて仕方ない、とってもいやらしい誰かさん💚💚』
梢「やめてっ!」
くりっ♡
梢「う、あっ……」
乳首を摘まれ、私は身体を硬くして縮こまろうとするのに少しも動けない。
夢の中で、身体の自由はいつも彼女に奪われている。
『私』の身体は『わたし』の身体なのだから。
コズエ『……忘れたの? わたしを抑えつけてもあなたは結局何も"解消"なんて出来ていないのよ?』
梢「っ」
388
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/06(水) 17:55:04 ID:???Sd
コズエ『女の子では決して肉体的に満足出来なかった、男性器でめちゃくちゃにしてもらわないと満たされないどうしようもない淫乱処女💚💚』
彼女の指が秘裂に伸びる。
だけど中に入れられることはない。
薄く濡れだした表面を撫でて、敏感な突起を軽くつつく。
そう、彼女は私なのだから、ソコを弄ることは出来ない。
……現実の私が、指すら入れたことのない人間だから。
狂った性欲に身を焼かれながらも決して純潔だけは穢されなかった、そうなりたくてもなれなかったほどの臆病者だから。
389
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/06(水) 17:56:43 ID:???00
コズエ『……そうだわ💚 慈みたいに『彼』に手伝ってもらったらどうかしら💚』
梢「……!?」
コズエ『きっと『彼』だって……『私』のえっちな身体ならたーっぷり可愛がってくれるわよ💚💚』
梢「──やめてっ!!」
自分の叫び声で私は目を覚ました。
久しぶりに、ひどい夢を見た気がする。
梢「……っ」
下着が、ぐっしょりと濡れていた。
390
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/06(水) 18:03:01 ID:???00
………………
…………
……
391
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/06(水) 22:43:24 ID:???00
あれからひと月以上が経っていた。
新しい年を迎えそろそろ最初の月も変わる、1月下旬。
私は怪我のことは気になりはしたものの、あの日以来何となく彼を避けるようになってしまっていた。
授業こそサボるわけにはいかないので一緒になっているけれど、ライブには行っていないからそこから学食で感想会をやることもないし、そもそも話す理由さえ無くなってしまった。
今日もまた私は教室の最前列に座り、最後列にいるだろう彼から最も遠いところで講義を受ける。
……そのつもりだった。
梢「……えっ?」
ども、と彼は短い挨拶と共に私の隣の席に座ってきた。
いつも私しかいない最前列に、不自然に男女一組が隣り合って座っている。
392
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/06(水) 22:44:54 ID:???00
梢(……な、何を急に意識しているのよ)
「怒ってる? なんか」と彼は言った。
梢「別に、そんなことはないわよ」
わざと素っ気なく答えると、じゃあどうして最近無視されてるのかと疑問を投げかけてくる。
彼がこうして会話に食い下がってくるのは初めてかもしれない。
梢「無視なんてしていないわ、ただ……そう、少し忙しくなってライブに行くような時間が取れなかったの」
それは半分本当だった。
招待されている3月のBloom Garden Partyに向けて、いよいよスクールアイドルとしての練習を始めなければならない。
だけれども今の私は、蓮ノ空にいた頃のような練習を出来るはずもなくて、綴理こそ同じ東京にはいるもののバイトを始めたという彼女には彼女の生活リズムがあるだろうと思い、まだ誘いあぐねていた。
……いや、これはまた私の悪い癖だ。
ただ色んなことを考え込んで声を掛けられないだけ。
393
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/06(水) 22:46:42 ID:???00
でもそれ以外にも、練習するための課題がまだいくつかあるような状況なのだ。
例えば、練習用の音をどう準備するかがネックだった。
歌唱については、普段大学であまりにも恵まれた環境でレッスンが出来るため、引っ越してきたこともあって家には専用の音響機器が無い。
だからといって、BGPの練習を大学でやるわけにもいかない。
そうなると問題なのが曲をどう流すかだった。
蓮ノ空時代の音源自体はスマートフォンの中にも持ってはいるものの、私はワイヤレスのイヤホンを持ち合わせていなくて──ワイヤレスなイヤホンの使い方がまだ勉強中というかよくわからないのは置いておいて──有線のものではダンスを含めた練習には不向きだった。
そもそも音を聴くために耳を塞ぐイヤホンでは、歌唱の練習が難しいのもある。
かといってスマートフォンから直接音を垂れ流したのでは、流石に質が低すぎる。
394
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/06(水) 22:47:43 ID:???00
それこそ練習のためにスタジオでも借りるべきかとも考えたのだけれど、そんな費用までは工面が難しい。
乙宗の両親は『歌唱の自主練のため』という名目なら協力はしてくれるかもしれないけれど、蓮ノ空を卒業した今完全に学業とは関係のないスクールアイドル活動に、騙し討ちのような真似をしてまで迷惑は掛けられなかった。
……元々、スクールアイドルのことをよく思われていたのかもわからないから。
梢(花帆が作ってくれた大切なイベントなのに……)
一緒に練習する仲間もおらずまともな環境も準備出来ない自主練じみたもので、どれだけあの頃の感覚を取り戻せるのか。
いや、もっと上乗せしないといけないかもしれないのに。
私は不安と焦りを感じ始めていたのは事実だった。
梢(必ずいいものにしたい……そうよ、他のことにかまけている時間はないの……)
……それを、彼のバンドのライブに行かない理由にしてしまっている。
でも本当はそれだけではなく──
395
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/06(水) 22:48:47 ID:???00
梢「…………」
頭を過ったモノを隠すように私がそのまま授業開始まで集中するフリをして押し黙っていると、ノートの上に突然右手が差し出された。
書いたり読んだりするのを妨害すると同時に、私の視界に強引に入るような仕草。
……猫が飼い主に構って欲しくて作業の邪魔をするという話を何故か思い出した。
梢「あ、怪我……」
彼の手には薄く痕が残っていた。
顔を見るとにこりと笑ってみせる。
「治った、ちゃんと」と拳を握ったり開いたり、指を親指から小指まで順番にくねくねさせたり。
確かに動きに支障があるようなところは見受けられない。
ああ、よかった……
梢「……え? ライブ来れないなら手伝ってあげる?」
彼は傍から聞くと全く繋がりのわからないことを言い、ふわりと笑った。
396
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 15:56:21 ID:???00
梢「……ふぅ」
練習の前でも一定の緊張感は持つようにしている。
本番と同じ内容でないと意味がないと思っているから。
でも、この状況は流石に予想していなくて、緊張以前に困惑が大きかった。
ここは私の部屋の、練習部屋にしている一室。
私の借りている物件は防音がとてもしっかりしている所を選んでいて、歌唱や演奏だってよっぽどの音量で無ければ周囲の迷惑にはならない。
とはいえ普段やるのは精々発声練習くらいで、本格的なものは設備の整った大学で行うようにしている。
そんな場所に……私の前に、椅子に座った彼がいる。
私のアコースティックギターを携え、いつでも準備が出来ているとばかりにこちらを見ていた。
397
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 15:57:40 ID:???00
彼が言ったのは、私の練習に付き合うという提案だった。
自分の怪我がきちんと治ったのを演奏して証明してみせるのと、私が「音楽を必要としている」のがわかったからだという。
梢(……どうして)
私は一言も今置かれている状況について話はしていない。
そもそも私がスクールアイドルをやろうとしていることも知らないはず。
なのに、何故か彼は私が歌やダンスについて練習をしようとしていて、そしてその環境が満足のいくものを用意出来ていないことを把握というか理解しているようだった。
「わかるんだ、なんか、音が要る人」とは彼の言だ。
生演奏は音源とは勝手が違うとはいえ、提供してくれるのはありがたいとは思う。
傍で見てくれるような人がいたら自分がどのような状態にあるのか客観的な視点を持つことも出来るので、そういう意味でも助かる。
でも……上手くいくのかしら?
私は未だにあまり気乗りがしなかった。
398
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:00:06 ID:???00
梢「あなた……ギターを弾けるの?」
そこがまず疑問だった。
だって、彼はベースの人間なのだから。
疑いの目を向ける私に、怪我をした右手をひらひらさせて彼は得意げに笑みを浮かべる。
「音源聴くだけでもイケると思うけど、あれば見せて、楽譜とかそんなの」と言ってきた。
梢「……これよ」
幸か不幸かこの家にはそういうものがあった。
引っ越した際でもわざわざそれを持ってきたのは、何かに使えるかもと思ったわけではなくただ大切な思い出としてしまっておいた、それほど手元に置いておきたかったもの。
梢「『ユメワズライ』という曲なの」
399
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:01:19 ID:???00
そう、大切な思い出の曲。
だから、本当は誰かに軽く扱われたくはない曲。
……彼に失望したくないから、あまり気乗りしないの?
……それでも、彼になら弾いてほしいの?
そんなことを考えながら、私が作ったことは伏せたまま昔書いた楽譜ノートを見せる。
彼はそれをじぃーっと数十秒見て「ありがと」と言ってそのまま譜面台に置くよう促した。
梢「も、もう弾けるの?」
確かにそんなにとてつもない技巧を凝らした曲にしたつもりはない。
それでも、譜面をこんな短時間で把握してそれをベースではなくギターで表現出来るというの……?
400
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:02:48 ID:???00
彼は訝しがる私の方をもう見もしないで、精神統一するかのように数瞬だけ瞼を閉じると、そのまま目を開いて演奏を始めた。
アコースティックギターだけでアレンジされたユメワズライのイントロが、元々そう作られていたかのように流れ出す。
梢「────」
そのあまりの流麗さに、私は歌い出しのタイミングを逃して聴き入ってしまった。
Aメロを弾き終えたところで、彼がその手を止める。
自分の演奏に不備があったのかというような少し不安げな、でもどこか納得のいっていない顔。
完璧だったはずだけど?という言外の感情が表れている。
梢「あ、ああ……ごめんなさい、あまりに自然と弾き出したものだから……」
私は一度深く呼吸をし、またイントロから始まった曲に合わせて歌い出した。
401
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:04:00 ID:???00
梢「……っ」
1曲歌い終えて、息をつく。
彼の演奏も合わせるようにアウトロを調整して終わった。
思わず彼の方を振り返ると、にこりと笑みを浮かべている。
出来たでしょ、という少し自慢げな様子。
梢「すごい……すごく良かったわ」
素直な感想だった。
彼の演奏は、いきなりやり始めたアレンジ版とは思えないほど曲として完成していた。
これがユメワズライのアコースティックバージョンとして作られたと言われたら、本来の作曲者である私ですら納得してしまうかもしれないほど。
いえ、もちろんそんなものを作った覚えはないのだけれど……
402
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:06:44 ID:???00
そして何より、彼の演奏はとても歌いやすかった。
決して歌唱の邪魔をせず、かといって歌に覆い隠されてしまうような弱々しさもなくて、リズムを取るのもやりやすい。
本番用の音源よりも、とは言い過ぎにしても、単純なオフボーカルのカラオケよりはよっぽどやりやすかったかもしれない。
梢「あなた、本当に凄いのね」
何よりそれが、彼の本職の楽器ではないはずのもので奏でられたことに驚いていた。
彼が得意げに「イエー」などと言っておどけてみせる。
一体どういう人なのだろう……今更ながらそんなことを思ってしまった。
梢(でも、これなら本当に充実した練習が出来るかもしれない)
梢「……あの」
私は彼への感謝と共に、協力をお願いした。
3月に大切なイベントがあること。
私がそのステージに『スクールアイドル』として出場するつもりであること。
歌だけでなくダンスも練習したいから、そちら用の演奏も可能なのかなど。
403
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:15:20 ID:???00
梢「……ど、どうかしら?」
一気にまくし立てるように説明したところで、自分が前のめりになりすぎていることに気付く。
な、何を言っているの私は。
彼が今ここにいるのだって気まぐれみたいなものかもしれないのに。
私は少し恥ずかしさを覚えながら俯きがちに彼の方を見やる。
「────綺麗だった、オトムネサン」
梢「…………えっ!?」
目の合った彼が、突然そんなことを言った。
たじろいだ私に、「声綺麗、めっちゃ」と続ける。
こ、声……? ああ……そういう……
「やりたいかも、一緒に。お返ししないとだし」と彼はふわりと微笑んだ。
……それから、私たちのレッスンともセッションとも言えない時間が始まった。
いつの間にか、私は当たり前のように彼を部屋に上げるようになり、彼が日々そこにいるのが自然なことになっていくのに時間は掛からなかった。
404
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:16:38 ID:???00
………………
…………
……
405
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:25:24 ID:???00
綴理「──なんだかいいね、こず」
梢「え?」
3月中旬の、いよいよBloom Garden Party本番に向けての最終調整に近い時期。
私はついに綴理を誘い、お互いお金を出し合ってスタジオを借りて1日だけ合同練習を行った。
本来なら誘った私が全額出すつもりだったのだけれど、綴理曰く「いまのボクは『りっち』なんだ」とのことで彼女の方が出したがった。
……アルバイトのおかげかしら?
綴理「今日のこずはとても楽しそうだったし、すごかったよ。きらきらしてる」
綴理がそんなことを言い出したのは、全ての練習を終え2人で帰っている途中のことだった。
梢「そうかしら……? 確かに調子は良いと感じているけれど」
綴理「すごく、スクールアイドルだった」
梢「あなたにそう言って貰えるのは、いつだって自信になるわね」
406
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:27:56 ID:???00
綴理「……」
梢「?」
綴理は私の顔をじいっと見ていた。
目の前の私を見ているようで、何か別のものを見つめているような顔。
……最近、綴理以外にもこの手の目で見てくる人が私の周りにいるので、なんだか少し慣れた感覚があった。
綴理「うん、やっぱりきれいな色をしてる」
梢「色?」
綴理「ボクの好きな、こずの色だ」
昔から綴理はそういうことを言っていた。
各人にそれぞれ色があって、それが混じり合うことで反応する。
スクールアイドルの醍醐味のようなもの。
綴理はきっと醍醐味なんて言い方ではなくもっと独特なことを言うのだろうけれど。
407
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:31:59 ID:???00
綴理「前にも見たことあるよ、今みたいなこずの色」
梢「確か、いつも同じというわけではないのよね?」
綴理「うん。ボクが好きなこずの色は、ボクたちが出会ってしばらくしてから仲良くなれた頃のこずと──」
綴理「──かほと楽しそうにしてたときのこず」
梢「……」
綴理「でも、そうだね……今のほうがあざやかかもしれない。とてもぴかぴかだ」
梢「……そう、なのね」
綴理の言う私の色がどんなものなのか。
それはきっと私にはずっと見えないしわからないのかもしれない。
だけど、彼女が言っているその時期の自分がどうだったのかは、今はなんとなくわかる気がするの。
私が立ち止まると、一歩先で綴理が振り向く。
408
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:36:13 ID:???00
梢「ねえ、綴理」
綴理「うん」
梢「……ありがとう」
綴理「こず……?」
梢「私、今も昔もあなたのことが大好きよ」
綴理「……」
梢「だから、今一緒にいてくれてありがとう」
綴理「……うん」
綴理は一度目を伏せ、そしてまたこちらを見ると優しく微笑んだ。
私たちは、ずっと一緒にやってきたと言えるのかはわからない。
でも今でもこうして一緒にいられている。
だから、ありがとう。
409
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:38:09 ID:???00
綴理「ボクも大好きだよ、こずのこと」
梢「ふふっ……ありがとう、嬉しいわ」
あなたが好きな私の色は、きっと誰かに恋をしている時の色なの。
そう、私はあなたのことが好きだったの。
花帆のことが好きだったの。
あなたが今、改めて私にそう教えてくれたのよ綴理。
だから、ありがとう。
梢「Bloom Garden Party……絶対にいいステージにしましょう」
綴理「うん、ボクたちならできるよ」
もう一度綴理と微笑み合う。
410
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:39:31 ID:???00
梢「……そうだわ、何か食べて帰らない?」
綴理「じゃあおでんがいいな」
梢「この時期でもまだやっているのかしら……」
綴理「ボク、毎日おでん食べられるところ知ってるよ」
綴理が好きな色をしている今の私。
今、私は──
411
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 16:43:23 ID:???00
………………
…………
……
412
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 20:56:11 ID:???00
Bloom Garden Partyは大成功だった。
少なくとも私は、今の私が出来る最高のステージをやり切ったと心から思えている。
花帆たちが作り上げた大切なイベントを終えて、私はとても充実した気持ちで金沢を後にした。
久々に会う後輩、先輩、そして綴理と慈との時間はとても楽しくて、私はそのきらびやかな日々をまた新しい思い出にして東京に帰ってきた。
梢「……」
東京の桜は満開から数日経って散り始めている。
ライトアップもされていない夜桜の下を、私は少しだけまだ肌寒い夜の街を一人歩く。
今回の旅程は、綴理や慈たちとは別に行動をしていた。
私は金沢の両親のもとに1泊多めにしてきたから。
あの子たちとしたい話は尽きないけれど、でも大切な思い出が出来たならそれでいいとお互いみんな感じていたのだと思う。
413
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 20:57:43 ID:???00
もう4月、あと数日したら大学も2年目のカリキュラムが始まる。
私たちは蓮ノ空での大切な思い出を胸に、あの場所以外での生活がまた始まる。
想いは重なり、時間は進んでいく。
そう、また一人で……
梢「……え?」
マンションのエントランス前に、見覚えのある人影があった。
本当は部屋からのオートロック解除が出来るはずなのに、まだ部屋の機械さんとあまり仲良くなれていなくてこないだまで何度も私がエントランスまで迎えに行ったあの人。
こちらの姿を確認すると、彼はにこりと笑って「ども」と手を上げた。
414
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 20:59:34 ID:???00
梢「……ずっとここで待っていたの?」
彼の笑顔が、なんだか少しホッとしたようなものに見えて。
それは長い間会えるかもわからない待ち人を待っていた人間の様子に思えて。
「あー……2回くらい怒られた」と彼は苦笑した。
つ、通報みたいなことまでされたということ?
梢「ど、どうして……」
私は彼に金沢でのイベントに参加することは伝えていたけれど、いつこちらに戻ってくるのかは伝えていなかった。
両親のところで1泊長く滞在するなんてことももちろん知らなかったはず。
……いったい、いつからここで待っていたのだろう。
415
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:01:09 ID:???00
「ずっとじゃないけど、昨日から夜になったら帰ってこないかなー、って」と彼は視線を泳がせながら呟いた。
梢「昨日、も……?」
なんだかバツが悪そうに頬をかいている。
……そんなに、私に会いたかったということ?
……それは、どうして?
梢「──と、とにかく上がって?」
私は彼を伴ってエントランスを抜けた。
416
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:03:20 ID:???00
梢「はい……紅茶だけどよかったかしら?」
とりあえず彼を部屋に案内し、いつも食事をとっているテーブルにつかせて私はお茶を淹れた。
引っ越し当時綴理たちを念頭に来客用の椅子を購入していて良かったと今更ながら思う。
彼は少しだけ寒そうにしていた。
4月になったとはいえ夜はまだ冷えるし、外で長く立ちっぱなしだったのならそうだろうと思う。
少し息で冷ましながら、美味しそうに紅茶を飲んでいた。
梢「ごめんなさいね……その……」
私は向かいの席に座りながら、なんと言ったものかと、何故か少し考え込みながら言葉を探していた。
待たせてごめん? 別に今日約束をしていたわけでもないのに?
金沢行きのスケジュールを話さなかったこと? 別に彼には直接の関係のない話なのに?
417
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:05:26 ID:???00
そもそも、私は彼の連絡先さえ知らない。
もちろん向こうだってそう。
この半年くらい、多くの時間を共にしてきたはずなのに、私たちは友人とも呼べるのかわからない関係でしかなかった。
それは、とても──
梢「……まさか、あなたがいるなんて思っていなくて」
結局、なんだか素っ気ないというか冷たく聞こえる物言いになってしまった。
彼がぴくんと身体を震わせたのを見て、言った直後に後悔する。
ああ、違うのよ、そんなつもりはないの……
別にあなたがいて困っているとか迷惑とかではないのよ……
梢「……ああ、なんだか、その……ごめんなさい」
私は何を言っているの……
418
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:08:10 ID:???00
でも、ただ……
少し、驚いているの。
あなたに会えて、いま本当は嬉しいのに戸惑っているの。
梢「……っ」
2年生になったら同じ講義を取ることもなくなるかもしれなくて、それはつまり次いつ会えるかなんてわからなくなるのに、何の確認も約束もしていなかったから。
同じ講義を取っていなかったら、またあなたのバンドのライブに行って会えたからって、今までみたいに感想会になるのかもわからなかったから。
あなたとの練習だってBloom Garden Partyが終わったら、当然無くなってしまうものだと思ったから。
……そういうものが無くなれば、私たちはどういう関係でもなくて、会う理由があるのかもわからなかったから。
それなのに、Bloom Garden Partyのことで頭がいっぱいでつい昨日まで思い付きもしなかったから。
それは、とても──怖いと思ったから。
また一人になるのは……あなたと会えなくなるのは嫌だって思っていたから。
419
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:10:18 ID:???00
梢「────」
なのに、あなたが今……目の前にいてくれるから。
だから私は、嬉しいのに戸惑ってしまっているの。
どうこの想いを伝えたらいいかわからないの。
梢「あの──」
「会いたいなって思ったんだ」
梢「……!」
彼が私の言葉を遮るように話し出す。
420
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:11:44 ID:???00
「わかんなかったから、オトムネサンと次会えるの、いつか」
「イベント終わったら……無くなるじゃん、なんか、そういうの」
「それは、やだなーって……」
「あと……金沢? 昔の、自分の知らないとこに行っちゃって帰ってこないんじゃないかって」
「……なんか楽しそうだったし、ほんとに」
「それも……やだなーって」
「だから、待ってた」
「会いたくて、待ってた」
421
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:13:42 ID:???00
梢「…………」
彼が紡ぐ言葉は、とてもダイレクトで。
彼の作る音楽の世界とは真逆の、あまりにもわかり易すぎる言葉で。
だからこそ、意味がわかるような、わからないような……
どうとでも捉えられてしまえる言葉に聞こえて……
私と同じ気持ちだったように聞こえて──
梢「っ」
とくん、と鼓動が聞こえた気がした。
自分の胸の、心臓の音。
とくんとくんと高鳴って、目の前の彼に聞こえてしまうんじゃないかって思ってしまうくらい大きく。
梢「それは……どうして?」
……確かめたいと思ってしまった。
……欲しいと思ってしまった。
422
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:14:39 ID:???00
ああ自分でももうそれが何かわかってるくせにだったら自分から言えばいいのに私はわざわざ知らないふりをしている卑怯者で思えばいつも私はそうで何か理由をつけては手に入らないと諦めてほんとは諦めたくもないのにそれで後悔してなのに今でもそれを何も変えられなくてああどうしてこんなに臆病者なのだろういつまで私はこんな風でいるのだろうこんなのはダメよあなたは花咲きたかったのではないのそれじゃいつまで経ったってなにもかわらないわだってもうわかっているじゃないあなたはこんなにもかれのことを
「多分、好きなんだと思うオトムネサンのこと」
423
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:16:02 ID:???00
「…………」
「……あー、ごめん今の"多分"、ナシ」
「好きです乙宗梢さん」
「だから、その、お付き合いしてください」
彼はそう言って、ぺこりと頭を下げた。
まるで初めて彼と話したあの教室で、眠たそうに私にお礼をしたときみたいに。
424
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:19:55 ID:???00
梢「……えっ? あっ……その、?」
だから、私もあの時みたいに……ううん、いつもみたいに変なことを言ってしまう。
梢「…………あの、その」
梢「私の…………どこが好きなのかしら?」
ああ……本当に何を言っているのだろう……何を言っているの……
こんなの、想いを確認したがる面倒くさい彼女みたいじゃない……
でも、私には本当によくわからなくて……
…………えっ? 彼女???
425
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:21:16 ID:???00
梢「っ!!?!?? そ、そもそもっ?! あなたは何故私の名前を最初から知っていたのっ!?!」
思考回路がショートして意味不明な繋がり方をしていた。
だからわけのわからないことを思い出して、今訊くことでもないことを尋ねている。
彼は「えっ? いや声楽科の有名人じゃん」と言った。
そ、そうなのかしら……?
「あーでも」
「顔、めっちゃ好きだから」
「初めて見たときからめっちゃ好きだったから、顔」
「だから、調べた? ……感じ?」
426
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:23:12 ID:???00
梢「…………」
それは、確かに告白だった。
彼は私のことを好きだと言ってくれた。
お付き合いしてほしいと。
初めて見たときから、好きだったと。
私の顔が好きだからと。
それはすごく直接的で、即物的で、あんまりと言えばあんまりな理由かもしれなくて。
でも私はその時、よく慈に言われていた「梢は顔良いやつが好きだからなー」という心外な言葉を思い出してしまって。
私も……彼の顔は、好きだなと思ってしまって。
427
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:26:14 ID:???00
梢「────ぷっ」
梢「……ご、ごめんなさい……くすっ、くすくすっ……」
梢「……あはっ、あはははははっ!」
私は本当に久々に、お腹が痛くなりそうなほど笑ってしまった。
こんな哄笑は、蓮ノ空にいた頃もしたことがあったかしら……
色々考え込んでいたことが、一気に霧散する。
思い切り笑って、自分の想いがクリアになった。
彼は、私を笑わせてくれる人。
私を楽しくしてくれる人なんだ。
全然ロマンチックなんかじゃない、歌詞で書いていたような恋ではないかもしれない。
だけれども、だからこそ私は自分の気持ちがはっきりとわかった。
しっかりと伝えたいって思った。
428
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:28:05 ID:???00
梢「ふふふっ……好きよ、私も」
梢「あなたのことが好きなの」
梢「だから……これからもよろしくお願いします」
私はあまりに笑いすぎて滲んだ目尻の涙を拭きながら、そう応えた。
彼は何故か驚いた顔をして「い、イエー」と言った。
泣くほど笑ってしまった女の子と、びっくりしておどけて見せる男の子。
全然、ちゃんとしてない告白シーン。
でもなんだか、それはとてもしっくりきて。
私は目の前の彼を……男の人を、生まれて初めて愛おしいと思った。
こうして私と彼は『彼氏』と『彼女』の関係になったのだった。
429
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:29:46 ID:???00
『音』が、とどくひとだった。
はじめてみたときから、きれいなひとだとおもった。
きれいなだけじゃなくて、かわいいところもあるひとだった。
がんばりやで、かっこいいところもあるひとだった。
うたごえが、まっすぐでかがやいていた。
わらうところも、とてもうつくしかった。
だから、すきになった。
430
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:31:24 ID:???00
すきになったから、ほしくなった。
ぜんぶぜんぶ、ほしくなった。
はがしたい。
ひきずりだしたい。
もてあそびたい。
たべたい。
めちゃくちゃにしたい。
こわしたい。
431
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:32:28 ID:???00
ぜんぶぜんぶ、したい。
じぶんのものにしたい。
オトムネサン。
乙宗。
梢。
もえつきたって、ぜんぶ、してやる。
ぜんぶぜんぶ、じぶんだけのものにしてやる。
432
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 21:35:13 ID:???00
今回はここまでです……エロ無くてサーセン。
次回こそ、こずの処女喪失編&色んなことを仕込まれる調教編。
回想編はそこで終わりになると思います。
明日から映画だ!!!
433
:
名無しで叶える物語◆ubUuxrGu★
:2026/05/07(木) 21:56:09 ID:???Sp
ひとまず乙
エロ意外の文章も上手くて凄い
434
:
名無しで叶える物語◆hkEGWItV★
:2026/05/07(木) 22:25:11 ID:???00
ありがとうございます。
したらばみたいな場所だと、ある意味感想だけが誰かにちゃんと読んでもらえている確信になりますので、モチベも上がります。
プロット自体は最後まで出来ているのでもうしばらくお付き合いいただけたら幸いです!
435
:
名無しで叶える物語◆A6dSkJhH★
:2026/05/08(金) 11:58:31 ID:???Sa
乙です、自分も楽しみにしてます
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