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栞子「夜の道? 怖くなんてないですが」
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テクテク
栞子(随分帰りが遅くなってしまいました)
栞子(この辺りは夜になると暗いんですよね……街頭の明かりも小さいですし)
ワオーン
栞子「しおっ!?」チョロッ
栞子(犬の声……何処かで飼われている飼い犬でしょうか)
栞子(びっくりしてなんていませんよ。強い子栞子ちゃんです)テクテク
-
栞子「ふぅ……」
栞子(生ぬるい空気が風に乗って頬を撫でる)
栞子(じんわりと汗ばみ、肌に張り付く服が気持ち悪い)
栞子「早く帰ってシャワーを浴びましょう」
栞子(一人言って、自分を鼓舞する。別に怖くなんてありませんけどね)
テクテク
栞子「ん?」
栞子(向こうから人が……)
-
「……」テクテク
栞子(……なんだか怖そうな見た目の男性ですね。目が虚ろというか、こちらを向いていないというか)
栞子(べ、別に怖くなんてありませんけど!)テクテク
「……」テクテク
栞子「……」テクテク
ルビィちゃーん! はーい!
栞子(すれ違う一瞬、流行りのスクールアイドルの声が聞こえました)
栞子(ちらっ、と見ると男性の耳にはイナホンがついていました)
栞子「音楽を聞いていたんですね」
栞子(好きなスクドルの曲を聞いてトリップしていただけですか。ほっとしました)
栞子(いや、怖くなんてないですけどね。しおっ!)
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怖がらせてえ
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サワサワ
栞子(竹やぶを風が揺らす音がします)
栞子(いつ見ても不気味ですねぇ、この竹やぶ。怖くはないですけどね!)
栞子「……」
栞子(そういえばこの竹やぶ、以前死体が見つかったとか聞いたような……)
しおママ『私が小さい時だけど。そりゃもう酷かったのよ』
しおママ『発見が遅れてねぇ、腐って、ボロボロになって……警察も来てねぇ』
栞子(腐って……)ブルッ
栞子「こ、怖くなんてないですよ!」
栞子(死んでたとしても、お化けさんは四十九日で天国に行きますから!)
ガサガサッ
栞子「ぴぃっ!?」ビクッ
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犬「くぅーん?」
栞子「ひっ、ひっ……はぁ。い、犬ですか……」
栞子「怖がらせるんじゃ……い、いえ怖くはないですが! 驚かせないでください!」
犬「わんわん」ピューッ
栞子(また竹やぶに戻っていきましたね)
栞子「さっきの遠吠えもあの犬でしょうか。全く人騒がせな……」
栞子(やっぱり全部勘違いです! 何かあっても全部理由がつく!)
栞子(夜道なんて怖くありませんよ! ふふっ!)スタスタ
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強い子栞子ちゃん
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可愛い
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テクテク
栞子(ふぅ、もうすぐ家ですね)
栞子(帰ったらすぐにシャワーを浴びましょう。そして暖かいお湯につかって、美味しいご飯を食べてゆっくり寝るんです)
栞子(姉さんが怖かったら添い寝だってしてあげてもいいんですよ? 私は強い子ですからね)
ペタ ペタ
栞子「ぴっ!?」
ペタ ペタ
栞子(な、なんですか!? 湿った足音が後ろから……)
栞子(……っとぉ。私は騙されませんよ、多分またどうということのない物があるだけです)
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栞子(ペンギンさんでしょうか)
ペタ ペタ
栞子(いや、ペンギンは町中にいませんか。川に落ちた人とか?)
栞子(ぷうん、と生臭い臭いが漂ってきます。やっぱり近くの川に落ちたのでしょう)
栞子(きっとそうです。何も問題ありません)
栞子(だから、私が早足になったこともこれとは関係ないんです。私は一秒でも早く家に帰ってシャワーを浴びたいから早足になっただけです)スタスタ
ペタ ペタ
栞子「……」
栞子(こんなに早足で歩いているのに、足音が近付いてきます)
栞子(ゆっくりと、ゆっくりと……)
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栞子「う、うぅ……」スタスタ
ペタ ペタ
栞子「ゔぅ……うぅぅ……」スタスタ
ペタ ペタ
栞子「そ、そうだ! 宿題をやりませんと! だから早く帰らないとですね!!」ダッ
栞子(そう、宿題があるんです。だから私が走るのも仕方ないんです)
栞子(怖くない! 怖くない! 怖くないっ!!)
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ペタ
ペタ……
栞子(足音は遠ざかっていきました。ほっ……い、いえ全然怖くなんてないですが)
栞子(走ったおかげかもう家は目の前です。玄関の明かりがぴかぴか輝いてみえます)
栞子(さぁ、おうちに……)
背後から、にゅうっと手が伸びるのが見えました。
腐ってぐずぐすになって、変色した手。
ぽたぽたと汁を垂らしているのが、明かりのせいでよく見えてしまいました。
ばさり、と油まみれの汚れた髪の毛が私に被さって、生臭い臭いがぷうんと強くなりました。
そして、耳元で。低い低い潰れた声が、途切れ途切れに言ったんです。
「振り向かないで、よかったねえ」
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栞子「ぴゃああああっ!!!」
ガラガラッ!!
栞子(玄関扉を開けて中に飛び込むと、姉さんとお母さんが居間から飛び出してくるのが見えました)
しおママ「栞子!?」
薫子「変質者にでも追われたの!?」
栞子(身体の震えが収まりません。あんな、あんな恐ろしいものがいるなんて)
栞子「夜の道なんて怖く……怖く……」ガタガタ
栞子「怖いですぅぅぅ!!」ビィィィッ
栞子(私は二人に、帰り道で見たものを説明しました。その日はお母さんと一緒にお風呂に入って、姉さんと一緒に寝ました)
栞子(二人が怖がったからです。私は怖くなんてないですよ? 怖いって言ってた? 聞き違いじゃないですか?)
栞子(私は強い子栞子ちゃんですからね! 怖くなんてないですよ!)
栞子「……それはそうと、今後暗くなる時は姉さんが駅まで迎えに来てください」
薫子「怖くないんじゃないの?」
栞子「怖くはないですけどね!」
終わり
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ᶘイ;⇁;ナ川 こわいなーこわいなー
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怖がってるしおちゃん可愛い
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乙
怖かった
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怖いなーやだなー
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かわいい
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実際に遭遇してるじゃないか
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本当にホラー
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