最期に、もう一度だけ力を貸して。
この子を止めたいんだ。
その後はもう何もいらないから。
私の未来も心も体も、全部歩夢にあげる。
これからは本当にずっと一緒だよ。
愛してるよ、歩夢」
歩夢「1人で何してるの、侑ちゃん……」
侑「……〜〜〜〜ｯ、ｷｭｩｩｩｩ……」
歩夢「ゆ、侑ちゃん？」
侑「っ！」
ドダダダダダダダダ
歩夢「ゆ、侑ちゃ〜ん！？」
ミア「帰れ」
侑「待ってよ〜！ 相談乗ってよ〜！」
ミア「コミックの台詞真似してるの見られたくらいで、ボクの部屋の前に居座るなって言ってるんだよ！」
侑「ミアちゃんにしかわかってもらえない話しだもん〜！」
ミア「んなわけあるか！ 子犬ちゃんとかしずくにでも頼ればいいだろ！」
侑「後輩にこんな相談出来ないよ〜！」
ミア「ボク14歳なんだけど！？」
ミア「喧嘩売ってるなら追い出すよ」
侑「褒めてるんだよ！？」
ミア「チッ、まぁこんなことはどうでもいい。
問題はベイビーちゃん、君のそのどうでもいい悩みについてだ。
さっさと解決したいから、まずは端的に君がどうしたいか話しなよ」
侑「うん、まぁ、その……歩夢に対する告白みたいな台詞だからさ、それとなく歩夢に気にしてないかどうか知りたくて……」
ミア「……多分だけど、ベイビーちゃんがくだらないことやるのなんてしょっちゅうだし、気にしてないんじゃない？
この間だってせつ菜と玩具持って遊んでたけど、2日もしたら忘れられてたじゃん」
侑「うーん、確かにそうなんだけど……今回は内容が内容だし……歩夢は私に対して本気で好きかもわかんないから……」
侑「う、うん……そう、思ってて」
ミア「……バカじゃないのか？ 君が歩夢と過ごした年月はそんなこともわからないくらい薄っぺらいのか？ だったら2度と関わらない方がマシさ」
侑「そ、そんなことないよ！ 歩夢と私が過ごしてきた月日は誰にだって負けないくらい濃くて、楽しくて、凄い日々だもん！」
ミア「ならキミの信じる歩夢を信じろよ！
歩夢も自分のことを本気で好きだと思ってくれてるって！」
侑「！」
ミア「というか、さっさと愛の告白でもなんでもしてきなよ。
そうやって口下手で自分の想いもロクに伝えられなかったせいで、危うく実家にとんぼ返りしそうになったバカを、ボクらは知ってるだろ」
侑「言い方……でも、そうだね。
ちゃんと伝えてくるよ！ ありがとう、ミアちゃん！」
ミア「このお礼は銀座でケーキ、それくらいでいいよ」
侑「うぐ、ま、まぁ好きそうなの用意しとくね！」
ミア「いってらっしゃい、そして報告はメールでしてねベイビーちゃん」
侑「うん！」
タッタッタッタッタッ……
歩夢「それでね、せつ菜ちゃんってば突然お醤油を飲み干し始めて……」
愛「え〜マジ！？ せっつー肝臓つっよ！」
侑「歩夢〜！！！」
歩夢「ん、あ、侑ちゃん！」
侑「歩夢ーっ！！！」
ぴょんっ
歩夢「へ？」
侑「っ！」
抱きーっ
歩夢「へっ！？ え、あっ、ゆ、侑ちゃん……？」
愛「ぇーーー……？？？」
侑「ごっ、ごめん急に！ でも、そのっ、部室で聞かれてたことっ、ホントに歩夢に伝えたいことで！
歩夢のこと大好きだから、心の底から伝えたい本音でっ、でも、その、漫画の台詞真似してたから、また変なことだと思われるの嫌で、早く伝えたかったから！」
歩夢「侑ちゃん……！ うん、私も侑ちゃんのこと、大好きだよ。
生涯を一緒にしたい人として、愛してる！」
侑「歩夢……！」
愛（……良かったじゃん、ゆうゆ、歩夢。
この場に愛さんはいらないね。
宮下愛はクールに去るとするよ）
スタスタ
まぁ、それでも贔屓をしないのがベイビーちゃんというかなんというか。
他のスクールアイドルともこれまで通りの接し方で、歩夢に対してもプライベートかどうかで接し方は変わってる……日本人だからなのか、ベイビーちゃんがおかしいのか知らないけど、律儀な奴だね。
けど、そこがベイビーちゃんの魅力なんだろうね……。
おしまい
あと愛は果林とお互いに猛烈に濃厚な告白をしあって付き合い始めたんだってさ。
はーっ、同好会内で次々にバカップルが誕生しててボクも困るよ。
これからお見舞いに行く相手が誰かに取られてないかと不安で仕方がないんだからさ。
本当におしまい
ミアせつだと！？