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きな子「どうもっす!オニナッツファイナンスっす!」
1
:
名無しで叶える物語◆wyqd8f70★
:2025/04/06(日) 15:10:05 ID:???00
居酒屋
「せーの、かんぱーい!」
「みんな久しぶりー!」
「まさかみんな北海道から上京して就職してるなんて、ね?」
きな子「偶然っす!」グビッ
きな子(今日は地元の仲良し三人組で飲み会。みんなそれぞれの進路を選んだけど、東京で偶然再会することができた)
「あ、そうそう。地元に残って就職したあの娘さ──」
「えー、もう結婚!?」
きな子「すごいっす……!」
ワイワイ
きな子(近況報告でひとしきり盛り上がったあと、今やっている仕事の話に話題が移った)
「そういうえば、何の仕事しているんだっけ?」
「えっとね、商社の営業だよ。見積つくるのと接待で残業多くて……」アハハ
「キャリアOLっぽくてかっこいいじゃん、私はコールセンターだよ!座りっぱなしでクレーム対応はキツくてさー。ま、給料いいからやってるんだけどね」
きな子「みんな大変っす……」シミジミ
「そういうえば、きな子ちゃん就職できたんでしょ?」
きな子「……まあ、うん……」モグモグ
83
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/01(木) 21:36:58 ID:???00
メイ「融資のとき、土地の権利書が無いっていうのがなんか引っかかったんだよな……」
メイ「きな子、ハデにやらかしたな。2000万だぞ、2000万」
きな子「うぅ……」シュン
冬毬「恐らく桜坂しずくはもう東京にはいないでしょう。住民票を移した痕跡もないので夜逃げ確定です」
きな子「!?」
きな子「じゃ、じゃあ警察に通報するっす!」スッ
夏美「待つですの!!」バッ
きな子「ふぇ!?」
きな子(電話しようとするきな子を社長が大声をあげて止めさせたっす)
84
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/01(木) 21:39:42 ID:???00
夏美「通報しても逮捕されて刑務所に行くだけで回収できませんの。子供じみた正義感を振りかざしてもビタ一文のマニーにもなりませんの」
夏美「マニーにならない事に労力をオニ割く必要はないですの」
きな子「……確かにそうっす……」
夏美「それよりきな子ちゃん、良かったと思いませんのー?」ニャハー
きな子「ふぇ?」
きな子(何が、と言葉を続ける前に社長は笑顔で言った)
夏美「──中須かすみを保証人につけておいて」
きな子「!」
きな子「えっ、でも……」
冬毬「アグリーです姉者。桜坂しずくより確実に回収できるでしょう」
夏美「そうですのー!マニーは取れるとこから取るのが鉄則ですの!」
きな子「そ、そんな……」モゴモゴ
きな子(詐欺を見抜けなかったきな子のせいっす、と今まさに大きな災難が降りかかろうとする中須さんへの罪悪感がこみ上げてきた)
夏美「今すぐ中須かすみを追い込むですの!!時はマニーなり、2000万全額回収ですの!!」クワッ
きな子「は、はいっすー!」ダッ
きな子(有無を言わせない社長の号令で、きな子はすぐに事務所を飛び出したっす)
85
:
名無しで叶える物語◆9lXD4m55★
:2025/05/02(金) 12:20:35 ID:???MM
マニーのオニですの
86
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/03(土) 13:51:42 ID:???00
夕方 お台場海浜公園
かすみ「はい、かすみん特製コッペパン4個セットですぅー」
「ありがと、かすかす!」
かすみ「かすかすじゃなくて、かすみんですぅ!!」ムキーッ
「あはは、ごめーん!つい反応が可愛くてさー」
「お店の休憩のときにふたりで食べるね!バイバーイ!」スタスタ
かすみ「もうっ、愛先輩ったら……」
コペ子「まあまあ……あっ、あと数個で完売だね!かすみん!」
かすみ「うん!」
「すみません、そこにあるコッペパンを全部ください」
かすみ「はい!ありがとうございますぅー!って……あっ!!」
きな子「こんにちはっす」ペコッ
87
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/03(土) 13:52:21 ID:???00
かすみ「ななな、何ですか?」
きな子「大事なお話があるっす……あっ!」
きな子「その前にコッペパンくださいっす」
かすみ「あ、はい……」
コペ子「かすみん、誰?なんの話……?」
かすみ「あ、あとで話すよ!はい、どうぞ」
きな子「ありがとうっす。これ代金っす」
かすみ「……確かに。じゃあ、あっちのテラスで……」
きな子「はいっす」
スタスタ
コペ子「……」ジッ
88
:
名無しで叶える物語◆56eGBFs3★
:2025/05/03(土) 21:57:08 ID:???00
あー…ついに…
89
:
名無しで叶える物語◆56eGBFs3★
:2025/05/05(月) 23:53:11 ID:???00
どうなるかすみん…
90
:
名無しで叶える物語◆XFXAtie5★
:2025/05/08(木) 22:02:22 ID:???00
期待
91
:
名無しで叶える物語◆3NaPuxWq★
:2025/05/08(木) 23:15:26 ID:???00
最近ウシジマくんを読破したのでこっちの続きも期待
92
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/10(土) 10:39:53 ID:???00
かすみ「うえええっ!?しず子が夜逃げ!?」
きな子「はいっす。アパートもすでに引き払われてました」
かすみ「そ、そんな……ウソでしょ……えっと」スッ
きな子(慌てた様子でポケットをまさぐると、スマホを取り出して何度も電話をかけ続けたが……)
かすみ「……出ない」タップ
かすみ「あ、メッセージアプリもアカウントが消えてる……」
かすみ「しず子、なんで……?」
きな子(信じていた旧友がトンで音信不通という事実に、中須さんは愕然としている)
きな子「……」
きな子(何も知らず、戸惑いうろたえる彼女を今から地獄に堕とす……こみ上げてくる罪悪感と後ろめたさを抑えて言い渡す)
きな子「中須さんは桜坂さんの連帯保証人っすよね?」
かすみ「え?うん」
きな子「他人名義の担保を自分名義と偽造していた以上、この借用証書にある……」ピラッ
きな子「……債務不履行と信頼関係の破綻を理由に直ちに全額弁済する、とあります」
きな子「よって──桜坂さんが音信不通になった以上、連帯保証人である中須さんに融資元本2000万円を一括請求するっす」
きな子(そう告げると、中須さんは目を丸くして絶句したあと)
かすみ「えっ?」
きな子(歯の隙間から漏れ出たかのような、なんとも気の抜けた返事が返ってきた)
93
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/10(土) 10:41:08 ID:???00
かすみ「え?え?」
かすみ「えっとぉ……かすみん名前を貸しただけなんだけどー?」キョトン
かすみ「どうしてしず子が借りた2000万円を、かすみんが返さなきゃいけないのですかぁ?」
きな子「連帯保証人だからっす。中須さんがサインした連帯保証書は、債務契約者と同じように債務義務を負う責任を持った書類っす」
きな子「つまり債務者が返せない、返す気が無いとみなされた場合には返済を要求することも可能っす」
きな子「……知らないでサインしたんすか?」
かすみ「し、知らないよ!そんな細かい文章なんて読むの苦手だし、それに……」
かすみ「……友達のしず子を助けたかったから」シュン
きな子「とにかく、2000万、直ちに支払ってもらうっす」
かすみ「そんな……」
かすみ「私2000万なんてお金、払えないよ……」ガクッ
「かすみん!!」ダッ
きな子(絶望のあまり膝から崩れ落ちそうな中須さんのもとに、誰かが駆けつけて身体を支えてあげた)
かすみ「コペ子……?」
94
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/10(土) 10:43:35 ID:???00
コペ子「……」ギュッ
きな子(支えてくれたのは中須さんのビジネスパートナー、コペ子さんだったっす)
かすみ「もしかして、聞いてた?」
コペ子「……うん」
ギュッ
コペ子「かすみん、なんで相談してくれなかったの?私たちパートナーでしょ?」
コペ子「ふたりの夢を叶えるためにお金関係は協力していこうって、約束したじゃない!!」
コペ子「あれ嘘だったの!?」
かすみ「ごめん、コペ子……」
きな子(涙目で肩にすがりつくコペ子さんの目をまともに見れてなかったっす)
コペ子「どうするのかすみん!?2000万なんてお金」
きな子「2000万、どうしても無理なら……せめて半分でも返済できないっすか?」
コペ子「1000万なんて払えないですよ!!」
かすみ「……実家がある」
コペ子「えっ……!」
かすみ「江戸川区新小岩の、私の実家なら……売ったら3000万くらいになるはず……」
コペ子「かすみんちょっとそれ本気!?」
かすみ「うん、大丈夫……ごめんね迷惑かけちゃって。ダメダメな私が全部責任をとるからもう心配しないで──」シュン
バシッ
.
95
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/10(土) 10:45:23 ID:???00
コペ子「……」ジンジン
かすみ「こ、コペ子!?」ヒリヒリ
コペ子「かすみん、そんな顔で自分をダメって言わないで」キッ
コペ子「中須かすみは計画通りにいかなくても、ライバルに置いてけぼりされても、世界からNOと言われても……」
コペ子「……とっておきのキュートな笑顔で自分を信じる前向きな無敵級ビリーバーでしょ」
かすみ「でも……」
コペ子「あのとき一生懸命に輝いてるかすみんを見て、私はずっとついていこうって決めたの!」
コペ子「日本一可愛いコッペパン屋になっていつか全国展開する──卒業前に語り合った夢も、そのためにまずはキッチンカーから始めることも!」
コペ子「私たちパートナーでしょ?だから、降りかかってきた火の粉は一緒に振り払うよ……」
コペ子「……だから絶対にダメと言わないで!あと無敵級ビリーバーはすぐ簡単にあきらめたりしない、でしょ!?」
かすみ「うん、うん……」ジワッ
コペ子「だから……」クルッ
コペ子「オニナッツさん!この通りです!」
バッ
かすみ「コペ子ぉ!?」
きな子(冷たい路上に手をついて、コペ子さんがきな子の前で土下座した)
96
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/10(土) 10:49:19 ID:???00
コペ子「2000万、今すぐには払えません!でも、かすみんの勝手は私の勝手。だから……」
バッ
コペ子「必ず、必ずお返しします!!ダブルワークでも何でもして!!」
コペ子「信用できないなら、私が学生のときから預けてた定期預金が200万あります!それを明日お渡ししますから!」
コペ子「だから……かすみんを信じて、2000万を分割返済させてください!」
コペ子「お願いします!!」バッ
かすみ「!!」
バッ
かすみ「お願いします!!私を……かすみんを信じてくださいっ!!」
きな子「……」
きな子(オニナッツファイナンスで働いて一年。他人の土下座は見慣れたつもりだったけど、やっぱり痛々しくて辛いっす)
きな子(とくにふたりの若い娘が覚悟を決めた土下座ほど、心にクルものは)
きな子「……わかったっす」
きな子「でも、条件があるっす」
97
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/10(土) 11:46:17 ID:???00
メイ「なに、最初の返済は明日?で、たった200万?」
メイ「しかも相殺した1800万を利子つけて月50回の分割払いにしただって!?」
きな子「はいっす。中須さんのその債務の連帯保証人にコペ子さんをつけたっす」
メイ「……」
メイ「きな子お前……甘いんじゃないか?」ジロッ
きな子「!」ビクッ
メイ「なあきな子、桜坂に融資するとき、法務局にいって直に登記簿を確認したか?」
きな子「いえ」フルフル
メイ「あの園下木とかいうヤツ、司法書士会に照会したか?」
きな子「いいえ」フルフル
メイ「その甘さ、きな子のその甘さがすべての元凶なんだぜ?」
きな子「はいっす……」
メイ「わかってんのか?2000万だぞ、2000万!」
メイ「会社に大損害を与えてる自覚、あるかよ?」
きな子「……はいっす」コクリ
98
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/10(土) 11:52:07 ID:???00
メイ「だったらな、その日のうちにかすみを追い込んで、さっさと新小岩の家を競売にかけろ。家族が邪魔で売れないなら、ふたりに街金を回らせて限度額いっぱいに金借りさせて……」
メイ「……足りない分は前借りさせた風呂屋に沈めるなりして、すぐ金を作らせろ」
メイ「何度でも言うぜ!!金融のセカイはな、食うか食われるかなんだよ!!」
バンッ
メイ「──金融のオニになれないんだったら、食われて地獄に堕ちるんだよ。わかってんのか」
メイ「オニになれない生ヌルい覚悟と甘さで生きていくほどコッチは甘くねーんだよ」
きな子「うぅ……」グッ
メイ「きな子、鏡見てみろよ。今のお前の顔──」
メイ「──追い詰められた債務者みたいになってんぞ」
きな子「!?」
スッ
四季「メイ、それくらいで、いい……」
メイ「……わかった」
きな子「本当にすみませんでした」ペコッ
四季「きょうは遅いし、もうあがっていいから。お疲れ様」
きな子「はいっす……」ペコッ
トボトボ
バタン
四季「……いつもごめん」
メイ「……いいさ。みんな優しいから叱るのは私の唯一の仕事、だからな」
99
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/10(土) 17:39:47 ID:???Sa
表参道
トボトボ
きな子「はぁ……」
きな子(きっと今のきな子は周りから会社で叱咤を受けて落ち込んだOLに見えるんすかね)
きな子「……」
きな子(インセンティブに浮かれた自分の甘さのせいで)
きな子(会社に2000万の大損害を与え、夢を持った将来ある若い娘ふたりを借金地獄に突き落としたという事実)
きな子(──それが両肩に重くのしかかり、きな子の歩みをさらに重くさせる)
きな子(米女さんの言う通りっす)
きな子(きな子はオニになりきれない中途半端な金融屋っす)
きな子「……」ジワッ
グウウゥ
きな子「あっ……」
きな子「ショックでご飯が喉を通らないって、嘘っすね……普通にお腹が空くし」
きな子「近いし、かのん先輩のお店に行ってみるっす」
トボトボ
100
:
名無しで叶える物語◆XFXAtie5★
:2025/05/10(土) 18:09:02 ID:???00
つらいけど続き気になる
101
:
名無しで叶える物語◆CaGBfHPW★
:2025/05/10(土) 18:33:11 ID:???00
メイちゃん怖いッス…
102
:
名無しで叶える物語◆56eGBFs3★
:2025/05/10(土) 22:01:11 ID:???00
しず子ぉ…
103
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/12(月) 23:18:49 ID:???00
きな子「あれ?お店の雰囲気が違う……」
きな子(ランチで通い慣れたる店のはずなのに、夜の先輩の店はなんか雰囲気が違ってた)
きな子(大きな窓はブラインドで閉じられ、中の様子は窺い知れない。それにピッタリ閉じられた木目調の扉は、ほんのりと電飾が足元を照らすだけの門構えがさらにきな子を戸惑わせた)
きな子(それはまるで、オーセンティックバーみたいだったっす)
きな子「ほ、本当にかのん先輩の店っすよね……?」ドキドキ
ガチャ
かのん「いらっしゃいませ」
かのん「って、きな子ちゃん!?」
きな子「あ、どうもっす……」
きな子(わずかな照明が店内を照らすだけのシックな雰囲気。そのカウンター越しにかのん先輩を見つけてほんの少し安心した)
きな子「なんか昼と雰囲気違いますっす。それに恰好もビシッと決まってるっす」
かのん「ふふっ、びっくりしたでしょー?昼はカフェで夜はバーをやってるんだ」
きな子「へえ、そうなんすねー」
きな子(かのん先輩はランチ時のエプロン姿とは打って変わった、真っ白い長袖シャツに蝶ネクタイ、黒いベストをつけたバーテンダー姿だった)
きな子「先輩かっこいいっす!」
かのん「えぇー?そんなことないってー」ニヤニヤ
きな子(言葉とは裏腹にすぐ嬉しそうな顔するの、やっぱりお昼のかのん先輩っす)
104
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/12(月) 23:19:32 ID:???00
かのん「カウンター、好きなとこに座っていいよ」
きな子「は、はいっす」ストン
かのん「珍しいね、夜のうちは初めてでしょ?」
きな子「は、はいっす……あの……」モジモジ
かのん「ん?」
きな子「あんまり手持ちがないけど、大丈夫っすか……?」
かのん「大丈夫!リーズナブルで楽しく飲めるお店だから」
かのん「お腹すいてるかな?フードメニューもあるよ」スッ
きな子「本格的っす……このスペイン前菜セットってなんすか?」
かのん「おっ、お目が高いね。生ハムのハモンセラーノ、スペインオムレツことトルティージャ、スペイン産オリーブとチーズ、たこのガルシア風のワンプレート前菜5点セットだよ」
きな子「美味しそうっすー!じゃあお願いしますっす」
かのん「かしこまりました!あ、ドリンクはどうする?カクテルがおすすめだよ」
かのん「なかでもイチオシは……私のルーツ、スペインの人気カクテルのカリモーチョ!」
かのん「1:1の赤ワインのコーラ割りでグラスにレモン飾ってるんだ」
きな子「美味しそうっすー!お願いしますっす」
かのん「はーい!」
105
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/12(月) 23:21:12 ID:???00
カランッ
きな子「……カリモーチョ、もう一杯っす」トン
かのん「ちょっと、きな子ちゃん飲み過ぎじゃない?」
かのん「もう9杯目だよ」
きな子「ふぃ……だい、大丈夫っすよ……」
かのん「そう?とりあえずお冷を置いておくね」スッ
きな子「ん……」ゴクゴク
トンッ
きな子「ルンルンっすー、今日のきな子はルンルンっすー」フラフラ
かのん「……」
かのん「ねえきな子ちゃん、何かあった?」
きな子「ふぇ?まあ……あることはあったすよ……」
かのん「よかったら話してくれるかな?ここに来た時、なんか思いつめた感じだったし」
かのん「頼りにならないかもだけど、聞いてあげることはできるから」
きな子「はいっす……」
きな子(洗ったグラスを丁寧に拭いているかのん先輩に打ち明けた)
106
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/12(月) 23:22:27 ID:???00
かのん「そっかー、そんなことが……」
きな子「はいっす。自分の甘さでたくさんの人に迷惑をかけたっす」
きな子「寄ってきた人間にニコニコ顔で金を貸し、利息をむしり取って、返せなくなったら家族友人も巻き込んで地獄に落としてでも金を回収する……」
きな子「……それがオニの金融屋、きな子の仕事っす」
きな子「でも、きな子は借金を肩代わりさせられたふたりの覚悟を決めた土下座を見て、甘さが出たっす」
きな子「本当に今すぐふたりの夢や将来を叩き潰してまで金を回収していいのか、って」
きな子「……ふふっ、やっぱりきな子はオニになれないダメで半端な金融屋っすね」
きな子(酔って空のグラス片手に愚痴をこぼすきな子の今の姿を自嘲気味に笑い飛ばし、話を切り上げると、かのん先輩が口を開いた)
かのん「そうかな?」
107
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/12(月) 23:23:54 ID:???00
きな子「ふぇ?」
かのん「私はそうは思わない。きな子ちゃんはきっといい金融屋になれる、と思うな」
かのん「──取り立て上手なメイちゃんや機械みたいに精密な四季ちゃんとは違う、優しさと厳しさを持った金融屋さんに」
きな子「……」
かのん「あっ、これ私のカンだから!あんまり真に受けないでね」アハハ
かのん「ここで色んなひとを見てきた経験で、なんとなくきな子ちゃんがそんな雰囲気をまとってるように見えただけだから」
きな子「……」
かのん「──でも、きな子ちゃんはこのままでいいと思っていないでしょ?」
きな子「!」
かのん「金融屋として、きな子ちゃん流のやり方でやってみるといいよ」
かのん「El que busca, encuentra.」
かのん「大事なのは、諦めないキモチ、だよ」
きな子「……ありがとうございますっす、かのん先輩」
きな子「そろそろ会計するっす」
かのん「かしこまりました!頑張ってね!」
きな子「はいっす」
きな子(金融屋としてきな子のやりたい事は……)
108
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/12(月) 23:25:40 ID:???00
お台場海浜公園
かすみ「はい、今月の返済分」スッ
きな子「……確かに」
きな子(今日は1800万の分割払いの債務を抱えた中須さんの集金日っす)
きな子「あの……キツくないっすか?」
きな子「お昼のキッチンカーの営業が終わったあと、パン工場で深夜から早朝まで働いているそうっすね」
かすみ「あー、うん。もちろんキツいよ。3時間しか眠れないし、お肌は荒れちゃうし……」
かすみ「……でも、かすみんもう慣れました」
かすみ「コペ子と一緒に交代で休みをとりながら、頑張ってますよぉ……!」ニコッ
きな子「毎月58万円を4年2か月……大変だと思うっす」
かすみ「もちろん大変ですけど、かすみんとコペ子はパン製造技能士の資格を持ってますから、時給はちょっといいんです」
かすみ「それに、かすみん目が覚めたんです。本当に大事なのは──」
かすみ「──遠い旧友よりも身近なパートナーだって」チラッ
きな子(晴れやかな顔でいう中須さんの目線の先には──)
コペ子「かすみん、ただいま!ニジガク、今日も完売だったよ!」タッタッ
コペ子「あ、こんにちは!」ペコッ
きな子「どうもっす」ペコッ
かすみ「今、家賃を節約してふたりでルームシェアしてるんです」
コペ子「ちょっと狭いけど、毎日楽しいよね、かすみん?」ニコッ
かすみ「うん!かすみん日本一のコッペパン屋になってやるんだから、一緒に頑張ろう!」ニコッ
きな子「……それじゃ、失礼しますっす」ペコッ
きな子(借金地獄という絶望の中で夢を捨てず互いを励まし合い、絆を深めて必死にあがく──そんなふたりのひたむきな姿を見て、ようやくきな子は決心がついたっす!)
109
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/12(月) 23:27:08 ID:???00
きな子のアパート
ガチャ
きな子「……」
バタン
きな子「ふぅ……」スタスタ
きな子(仕事を終え、誰もいないアパートに帰ってきた)
きな子「疲れたー!」ボフッ
きな子(ジャケットをハンガーにかけ、ベッドに頭から飛び込んだ)
きな子「きな子のやりたい事は……でも……」
きな子「うぅ……」
きな子「頑張ってみたけど、なにも手がかりがないっす……!」バタバタ
きな子(枕に顔をうずめ、悔しさで足をばたつかせる)
きな子「そもそも日本にいるのかさえ……」
きな子「諦めちゃダメっす!!きな子なりのケジメとふたりを助けるために決心したっすから!!」
きな子「……まずは落ち着いて、整理するっす!もう一度、手がかりを見逃してるかもしれないから」バッ
きな子(脳内で一連の流れをシーンごとに思い起こしてみた。その中で──)
きな子「──スマホで写真を撮ってたっす!」スッ
きな子(手を伸ばしてスマホをつかみ取り、さっそくフォトを開く)
きな子「やっぱり……!」
きな子(そこには、新橋の土地を下見したときの桜坂しずくと園下木の顔がバッチリ写っていた)
110
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/12(月) 23:28:17 ID:???00
きな子「しずくと偽司法書士の園下木……あっ……!」
きな子(そういえば社長が言ってたっす!確か──)
夏美「桜坂しずくが用意した偽者に間違いないですの。たぶん──三流役者か劇団員を雇って、きな子ちゃんの前でひと芝居をやったですの」
きな子(──って!!)
きな子「もしも、園下木がどこかの三流役者か劇団員なら……!」バッ
きな子(きな子、手がかりを見つけたっす!)
ノートパソコン
きな子「今日は朝まで徹夜っす!!」
パンッ
きな子(顔を叩いて気合注入して、パソコンの電源を入れた)
111
:
名無しで叶える物語◆nnghgRPO★
:2025/05/12(月) 23:30:24 ID:???00
翌日 都内某所 小劇場
「ありがとうございましたー!」
「座長!千秋楽、無事に終わりましたね」
「そうだね。みんなのおかげだよ、ありがとう」
「さあみんな、打ち上げに行こうじゃないか」
「やったー!」
「座長のおごりですよね!?」
「おいおい、参ったな……」
アハハ
「先にいっててくれ、あとでいくから」フリフリ
「はい座長!みんな行くぞー」
スタスタ
シーン
「やれやれ……」
パチパチパチパチ
「!?」
「やっと見つけたっす。あのときみたいに迫真の演技でブラボーだったっすねぇ」パチパチ
「だ、誰だ!?そこにいるのは」キョロキョロ
スッ
きな子「こんばんは、園下木さん。いや──」
きな子「──元虹ヶ咲学園演劇部部長さん」
元部長「!?」
112
:
名無しで叶える物語◆dD019iBR★
:2025/05/12(月) 23:41:18 ID:???00
かのん先輩かっこいい
113
:
名無しで叶える物語◆ynQohAkG★
:2025/05/13(火) 00:25:33 ID:???00
部長ガチのクズで笑った
114
:
名無しで叶える物語◆XFXAtie5★
:2025/05/13(火) 00:37:48 ID:???00
がんばれきなきな
115
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/16(金) 20:18:25 ID:???00
元部長「えっ、あっ、えーと……」
元部長「ひ、人違い、じゃないかな?」
きな子(これが演技ならアカデミー賞主演女優レベルの最高に良いうろたえた表情を見せてくれたっす)
きな子「……これでもっすか?」
スッ
元部長「あっそれ……!」
きな子「小さな劇団の座長なさってて、ホームページに堂々と顔を載せてるじゃないっすかー、気合い十分な自己PR文までのっけて」
元部長「……」オロオロ
きな子「だって大事っすからね。こういう業界は積極的に顔を出していかないと、俳優として成功できないっすから」
きな子「そこで、この……」タップ
きな子「……このスマホとサイトの顔写真、どうみても一緒っすねー」
きな子「しかも、ご丁寧に桜坂しずくと一緒に当時の高校の広報誌にしっかり写ってるのもあったっすから、関係性も一致するっすねー」
きな子「これでも、人違いっすか?」ジロッ
元部長「あぇ……」
きな子「とりあえず事務所に来てもらうっす。ヒマそうだし、いいっすよね?」
元部長「はい……」
116
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/16(金) 20:19:45 ID:???00
オニナッツファイナンス
ガチャ
メイ「いま帰ったぞ」
メイ「20万、キッチリ切り取って──」
メイ「おい……どうしたんだよ?」
四季「……静かに。きな子ちゃんがファインプレー、してる」
メイ「は?」
四季「衝立のすきまから応接間をのぞいてみて」
スッ
メイ「きな子と向かい合ってるのは……誰だアイツ?」
四季「桜坂しずくの共犯者、偽司法書士」
メイ「は!?どうやって──むぐっ」
四季「静かに。しばらく聞き耳、立てて」
メイ「わかったよ……」
117
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/16(金) 20:20:50 ID:???00
元部長「あ、あの……」
きな子「なんすか?」ジッ
元部長「や、ヤクザとか、ですか……?」オロオロ
きな子「ヤクザじゃないっす。オニナッツファイナンス、オニ合法の金融屋っす」
元部長「よ、良かった……」ホッ
きな子「?」
元部長「しずくから再現ドラマの司法書士役になって、と頼まれて出たんだけど……まだギャラを全額もらってないんです」
元部長「……てっきり私にギャラを請求しに来たのかと」ホッ
元部長「数分だけの出演で破格の報酬だったし、ちょっと怪しいなーと思ってたんだ」
きな子「……」ジトッ
きな子「実は、桜坂しずくとお話がしたいっすけど、連絡がつかなくて困ってるっす」
きな子「だから教えてくれないっすか?桜坂しずくのこと」
元部長「はっ、はい!」ビクッ
きな子(借りてきた猫から情報を聞き出すのは簡単だったっす)
118
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/16(金) 20:23:43 ID:???00
きな子「で、しずくはどこにいるっすか?」
きな子「こちらは今すぐ知りたいっすけど」ジロッ
元部長「ヒッ」
元部長「し、知らない……むしろ私も知りたいです……」
元部長「まだ約束のギャラ、1万円しか払ってないんです!携帯も連絡つかないし!」
元部長「来月の公演のハコ代も払わないといけないのに……どうしよ……」
元部長「いっそのこと、鎌倉にいって直接──」
きな子「!?」
きな子「ちょっと待つっす!今、鎌倉といったっすね!?」ズイッ
元部長「えっ!?う、うん」
きな子(確か、確か新橋での会話の最中でその単語が出てたっす!)
きな子「鎌倉が……鎌倉が何すか!?」ズイッ
元部長「えっ、ええ……えっと、しずくの実家は鎌倉なんですよ」
きな子「!?」
119
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/16(金) 20:25:10 ID:???00
きな子「……あの会話、嘘じゃなかったんすね。鎌倉から東京に出てきたって話」
元部長「あ、それ、しずくが書いた台本にあったくだりだね」
元部長「台本っていうのは全て虚構の設定だけじゃないんだよ。これは基本的な脚本論で、真実らしく嘘をつくというのがミソなんだ」ペラペラ
きな子「はぁ……」
元部長「つまり、嘘のなかに真実を混ぜることで、観客にどこまでが真実でどこまでが嘘か分かりにくい状況にする。要するに、100の嘘は観客すぐにフィクションだと見抜かれるけど、60の嘘と40の真実なら観客はすぐに全体の虚構を見抜けず、そのストーリーは真実味を帯びていくという手法なんだ。この方法を台本に使うと、出演者の演技性のリアリティを高められる……というわけなんだよ」ペラペラ
きな子「ご講釈どうもっす……よく回るクチっすね……」
きな子「──桜坂しずくの実家は鎌倉」
きな子「……よし、またひとつ手がかりを得た」グッ
元部長「あ、あの……帰っていいですか……?」
きな子「あ、もういいっす」フリフリ
きな子(高校の先輩とはいえ、ただの雇われみたい。もう聞き出せる情報は無さそうっす)
120
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/16(金) 20:27:30 ID:???00
スクッ
元部長「ど、どうも失礼いたしました……」ペコペコ
きな子「あっ、やっぱり待つっす」
元部長「えっ!?」ビクッ
きな子「……渡しておく物があるっす」
スッ
元部長「……オニナッツファイナンス、桜小路きな子……」
きな子「きな子の名刺っす」
きな子「さっき耳にしたっすけど、公演のハコ代でお困りのようでしたので」
きな子「弊社なら法令遵守の固定金利でお金、貸してあげられるっす」
元部長「えっ!?ほんと?」
きな子「はいっす。さらに保証人を連れて来てくれたら、最短審査で即金できるっす」
きな子「座長サンなら、実家の太い劇団員のひとりやふたり、いるっすよね?」
元部長「そ……そうだね!ぜひお願いしようかな」
きな子「では、またのお越しをお待ちしておりますっす」ペコッ
バタン
きな子「ふぅ、とりあえず一歩前進、っすね」
121
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/16(金) 20:28:55 ID:???00
メイ「……」
きな子(応接間を出ると、そこに立ってたっす)
きな子「あっ、米女さん……」
きな子(怒られたあの日から少し気まずいままっす……)
メイ「しずくの仲間、見つけたんだって?」
きな子「はいっす」
メイ「どうやって見つけたんだ?」
きな子「社長がヒントをくれたっす。スマホのメモリに残ってた園下木の画像を、徹夜で片っ端から検索かけたっす」
きな子「ホント、都会は便利っすねー」
四季「ナイス」グッ
メイ「……それで、きな子はどうするつもりなんだ」ジッ
きな子「……」
きな子(真剣な表情の米女さんを前に、ひと呼吸おいて)
きな子「決めたっす。2000万を持ち逃げした桜坂しずくを見つけ出して、必ずキッチリ回収するっす!!」
きな子(声高に宣言したっす)
122
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/16(金) 20:30:34 ID:???00
メイ「きな子……」スッ
きな子「!」
ポンッ
メイ「よく言った!!それでこそオニナッツファイナンスの人間だぜ!!」
きな子「ふぇ!?」
きな子(笑顔で肩を叩かれたっす)
メイ「チマチマと中須かすみから回収するより、しずくを押さえたほうがハッキリいって効率がいいんだ」
四季「うん、うん」コクコク
メイ「それに……」
きな子「……それに?」
メイ「最初から騙すつもりで金持って逃げたヤツには、キッチリ教えてやらねーとな」
メイ「──金融のオニを怒らせたらどうなるかってよ」グッ
123
:
名無しで叶える物語◆vOneWS75★
:2025/05/16(金) 20:31:07 ID:???00
きな子ちゃん強くなってるっすねえ!
124
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/16(金) 20:31:56 ID:???00
きな子「そうっ、すね……」フワフラ
きな子「……社長に報告を……」フラフラ
きな子(あれ、すごい眠い──そこできな子の意識は飛んだっす)
メイ「あ、おい!」バッ
メイ「急に倒れるんじゃないぜ、危ないだろ……!」
四季「徹夜、してたんだよね。お疲れ様」
メイ「ソファで少し寝かせたら、タクシーで家まで連れていく」
メイ「で、明日はあさイチで鎌倉だ。桜坂の実家を調べる」
メイ「社長に報告、頼んだぜ」
四季「うん」
四季「良かったね、メイ」
メイ「なにが?」
四季「きな子ちゃんが期待以上に頑張ってくれて」
メイ「……さあな。これからが金融屋の腕の見せ所だ」
メイ「今はしっかり休んでもらわないとな」
きな子「すぅ……すぅ……」
125
:
名無しで叶える物語◆sa6fRU3a★
:2025/05/16(金) 20:37:04 ID:???00
更新ありがたい
このSSマジで楽しみ
126
:
名無しで叶える物語◆HcRnYuNB★
:2025/05/16(金) 20:45:32 ID:???Sp
がんばれきな子
127
:
名無しで叶える物語◆m5IJBZow★
:2025/05/16(金) 21:08:28 ID:???00
利子はトイチっす!
128
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/17(土) 13:31:45 ID:???Sa
きな子(翌朝。きな子は米女さんと一緒に鎌倉にいたっす)
メイ「いい家してんなー、こりゃ昔の華族とかじゃねーか?」
きな子(大きな青銅色の屋根が特徴的な二階建ての邸宅を見下ろせる、近くの丘の上からライフルスコープ片手に米女さんがつぶやいた)
きな子「……役所や近所の人たちも、鎌倉の桜坂さんって聞けばここだって教えてくれるくらい有名みたいっす」
きな子「ところで、華族ってなんすか?ファミリーみたいな?」
メイ「ちげーよ、かつて日本に存在した特権階級だ」
メイ「戦後すぐ占領軍が華族に特権剥奪と財産税って重税をかけて消滅させられたんだけど……桜坂家はまだ生き残ってるみてぇだな」
きな子「はぇー、いまでいう上級国民っすね」
メイ「この邸宅と周辺の山林と竹林は全部、桜坂家のものらしいぜ」
メイ「一部でも売り払えば、簡単に2000万回収できるかもな」
きな子「はいっす!」
129
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/17(土) 13:33:19 ID:???Sa
きな子「早速、お宅訪問するっす!!」
きな子「きっとしずくもそこに──」ダッ
ガシッ
メイ「いねーよ、早まんな」
きな子「ふぇ!?」
メイ「こんな分かりやすい場所に逃げ込むわけねえよ。きっとロクに手続きをしないで入居できるどっかの安アパートだ」
きな子「そうっすか……じゃあ、居場所を聞き出すのはどうっすか」
メイ「ホイホイ借金取りに教える親がどこにいるんだよ……あとな、無理やり押しかけて警察呼ばれたらコッチが不利になるだろーが」
きな子「そうっすね……」シュン
きな子「じゃあどうするっすか?もう手詰まりっすよ……」
メイ「そうだな……」ウーン
メイ「……そうだ!まだ手はあるかも知れねーぞ」
きな子「あるんすか!?何すかそれ!」
メイ「落ち着け、きな子……アレまだ持ってるか?」
きな子「ふぇ?」
130
:
名無しで叶える物語◆9MyoinmE★
:2025/05/17(土) 13:35:07 ID:???Sa
きな子「アレ、すか……?」
メイ「しずくに融資した日、アイツから変な水素グッズを持たされただろ?ソレだ」
きな子「あー、いちおう部屋の端っこにあるっす……捨てようにも捨てられないし」
メイ「よし、アレが最初で最後に役立つときが来たんだよ」
きな子「あんな持て余してる物、一体どう使うっすか?」
メイ「まあ見てなって……」ニヤッ
メイ「よっしゃ、東京に帰るぞ。親の資産はもう調べたし、住処を見つけるには四季の道具が必要だからな」
きな子「はいっす……!」
131
:
名無しで叶える物語◆5obgMf6a★
:2025/05/18(日) 21:29:06 ID:???00
回収できるか…!?
132
:
名無しで叶える物語◆H2EZFlBF★
:2025/05/19(月) 11:38:03 ID:???00
おいついた、前作も凄く好きだったから続編嬉しい!!
きな子ちゃんも成長しててアツい!
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