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【SS】蓮ノ空ファンタジーⅡ
1
:
名無しで叶える物語◆hGbfJXJd★
:2025/03/31(月) 16:19:29 ID:???00
センパイ達の卒業が寂しいなら、卒業なんて無い空想の世界のお話をしようよ!
というわけで今日は『蓮ノ空ファンタジーⅡ』を考えていくよ!
ぱちぱちぱち〜👏
300
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 22:48:05 ID:???00
【東門】
カホ「カチマチちゃん、いつも通ってた門はここ?」
カチマチ『違う…と思います!』
カホ「そっかぁ…」
メグミ「ここじゃないって?」
カホ「はい、違うみたいです」
コズエ「二択を外してしまったわね。でもこれで南門の周辺であることは確定したわ」
メグミ「そんじゃ南門の方に向かいますか!」
301
:
名無しで叶える物語◆vv5EWKoJ★
:2025/04/28(月) 22:49:34 ID:???00
目回してるカチマチかわいい
302
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 22:52:00 ID:???00
カホ「そういえばカチマチちゃん、おじいちゃんってどんな人だったの?」
カチマチ『とっても優しい人でした!カチマチがお腹がすいて森で倒れてたところを助けてくれたんです!』
カホ「カチマチちゃんの命の恩人だったんだね」
カチマチ『それにカチマチが穴を掘ったり、「ちぇすとー!」って叫ぶといつも頭を撫でてくれるんです!』
カチマチ『寝る時も布団に入れてくれるし、一日中ずっと一緒でした!』
カホ「仲良しなんだ!」
カチマチ『はい!だから今頃、カチマチがいなくなって一人で寝れていないかもしれません!』
カホ「あはは!じゃあ早く再会しないとね」
カチマチ『はい!』
303
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 22:53:30 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翁「チェストー!」ガコン
翁「ふぅ。だいぶやったが…今夜は冷えそうだし、もう少し薪を割っとくか」
カチマチ「ワン!ワン!」
翁「どうしたカチマチ。腹でも減ったか」
カチマチ「ハッ ハッ ハッ」チョコン
翁「ん?見てるだけか?」
カチマチ「ワン!」
翁「どうせなら手伝って欲しいもんだかな。まあ、犬に薪割りは無理か──よっと」
304
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 22:55:01 ID:???00
翁「チェストー!」ガコン
カチマチ「ワン!ワン!」
カチマチ「 ワオーン!」
翁「なんだ俺の真似か?チェストー!」ガコン
カチマチ「ワオーン!」
翁「へへっやかましい野郎だ」
翁「チェストーー!」
カチマチ「ワオーーン!」
翁「チェ──ごほっ!ごほっ!」
カチマチ「? クーン」ツンツン
翁「ははっ悪い悪い。心配すんな、ちょっと張り合って大声出しすぎただけだ」
305
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 22:56:39 ID:???00
カチマチ「ワン!」スリスリ
翁「おい!あんまくっ付くと危ねえだろ────ん?」
翁「何だあれ…でっかい鳥?」
メグミ「猫ちゃんいないな〜」プカー
翁「な!?て、天使!?」
翁「まさか、俺にもお迎えが?いや、天使なんかいるわけねえ…きっと見間違いだ。そうに決まってる!」
カチマチ「?」
翁「お前を置いては逝けねえもんな」ナデナデ
カチマチ「ワン!ワン!」シッポフリフリ
翁「わかってんだか無いんだか…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
306
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 22:57:36 ID:???00
カホ「あれ?ここら辺なんか見覚えがあるような」
ニャー ニャー
カホ「あ!そうだ、トラちゃん達の溜まり場だ!」
トラ猫『腹減ったなー』
白猫『またあのおばあさんの家に行くにゃ?』
三毛猫『もうパンは食べ飽きたよ〜!』
カホ「おーいみんなー!久しぶり!」
トラ猫『ん?嬢ちゃんじゃねえか。元気にしてたか』
カホ「うん!おかげさまでね!」
307
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 22:59:10 ID:???00
メグミ「あれ?いつかの猫ちゃん達じゃん」
三毛猫『あ!鳥人間と殺人ゴリラも一緒だ!』
カホ「……メグちゃんとコズエちゃんのこと、だよね?」
メグミ「なになに?私達のことも覚えてくれてるの?」
カホ「は、はい!えっと……可愛い天使と麗しの乙女だって!」
コズエ「うふふ、何だか照れてしまうわね」
308
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 23:01:31 ID:???00
白猫『ん?犬の匂いがするにゃ!隠れてないで出てくるにゃ!』
カチマチ『こ、こんにちは!カチマチです!』
トラ猫「シャーー!!!」
カチマチ『ひっ!』
トラ猫『おっと、すまんすまん。反射でつい威嚇しちまった』
三毛猫『なんでカホが犬を連れてるの?』
カホ「今ね、この子の元の飼い主を探してるんだ」
白猫『元の飼い主?』
カホ「実はかくかくしかじかで──」
309
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 23:02:31 ID:???00
トラ猫『なるほど。あんたも大変だな』
カチマチ『恐縮です!』
トラ猫『お前じゃねえ!嬢ちゃんのことだ!』
カチマチ『あぅ…』シュン
カホ「それで、みんなはカチマチちゃんのおじいちゃんのこと、何か知らないかな?」
白猫『うーん、ご飯くれる人間以外はあんまり覚えてないにゃ』
三毛猫『オイラもわからない!』
カホ「ここでは手掛かりなしかぁ」
310
:
名無しで叶える物語◆1MXzWLCv★
:2025/04/28(月) 23:03:33 ID:???Sa
ゴリラ草
311
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 23:03:58 ID:???00
カチマチ『カチマチはめげません!必ずおじいちゃんを見つけます!ちぇすとー!』
トラ猫『ん?そのバカみてぇな掛け声、どこかで聞き覚えが……』
トラ猫『おい犬、ちょっと匂い嗅がせろ』
カチマチ『? はい!』トコトコ
トラ猫『近寄るんじゃねえ!!』
カチマチ『理不尽です!?』
トラ猫『クンクン…』
カホ「トラちゃん?」
トラ猫『思い出したぜ。こいつ、いつもパンくずばっか寄越すばあさん家の隣に住んでた犬だ』
312
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 23:05:48 ID:???00
白猫『そういえば、たまに隣の家から犬の気配がする日があったにゃ』
カホ「本当に!?お願い、そこまで連れて行ってくれないかな!後でソーセージあげるから!」
三毛猫『それくらいお安い御用さ!』
コズエ「どうしたの?」
カホ「もしかしたら、この子達がカチマチちゃんの家を知ってるかもしれません!」
メグミ「まじで!?すごいじゃん!」
トラ猫『案内するから付いてきな』
カチマチ『ありがとうございます!』
トラ猫『お前はもっと後ろにいろ!!』
カチマチ『ひゃい!』ビクッ
313
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 23:06:59 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
チーーーン……
翁「おはよう、ばあさん」
翁「ばあさんが死んじまってから、この家はずいぶん静かだったが…最近はまたうるさくなったよ」
カチマチ「……」zzz
翁「カチマチは何の手伝いもできねえ駄犬だけど、あいつと居ると何だか毎日楽しいんだ」
翁「ちょっと前までは早くばあさんに会いたいと思ってたんだが、今はもう少し長生きしたいと思うようになった」
314
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 23:07:54 ID:???00
カチマチ「ワン!」
翁「やっと起きたか。よしよし」ワシャワシャ
カチマチ「♪」シッポブンブン
翁「とは言え、いつお迎えが来るかもわからねぇし、せめて遺書でも書いておくか」
翁「お前はひとりだとまた行き倒れそうだしな?」
カチマチ「ワン!ワン!」ペロペロ
翁「うわっやめろ…!くすぐってえだろ!だははは!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
315
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 23:09:02 ID:???00
トラ猫『ここだ』
お婆さん「あらぁ?可愛らしいお嬢さん達ね」
カホ「こんにちは!」
三毛猫「ニャー」
お婆さん「あなた達も一緒なの?またお腹が空いたのかしら」
白猫『お肉が食べたいにゃ』
お婆さん「待っててね、今パンを持ってくるから」
白猫『お"肉"がいいにゃ!!!!』
316
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 23:10:09 ID:???00
コズエ「実は私達、人を探していまして」
お婆さん「人探し?」
カチマチ「ワン!」
お婆さん「まあ!カチマチちゃんじゃない!新しい飼い主に出会えたのね!」
カホ「やっぱりカチマチちゃんのこと知ってるんですね!!」
お婆さん「ええ、お隣に住んでたスズヤさんが、ある日拾ってきたのよ」
317
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/28(月) 23:11:41 ID:???00
お婆さん「スズヤさん、奥様が亡くなってからずっと塞ぎ込んでたんだけど…」
お婆さん「カチマチちゃんが来てからは、以前の快活さを取り戻してたわねぇ」
メグミ「そのスズヤさん?って今どうしてるかわかります?」
カホ「カチマチちゃん、またおじいちゃんに会いたがっているんです!」
お婆さん「え、スズヤさんは──」
318
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:19:49 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
むかしむかしあるところに、一匹の子犬がいました。
子犬は狩りが苦手で、森の中で飢えに苦しんでいました。
子犬『お腹空いた……もう一歩も動けない』
子犬『このまま死んじゃうのかな…』
ザッ ザッ ザッ…
翁「……◻️◻️?◻️◻️◻️」
子犬『誰……人間?』
翁「◻️◻️◻️◻️◻️。◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️」
子犬『ハンターかな…お願い殺さないで』
319
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:20:36 ID:???00
翁「◻️?◻️◻️◻️◻️◻️…◻️◻️◻️◻️◻️」
子犬『!! この匂いは、お肉だ!』ガツガツ…!
子犬『美味しいよう!』
子犬『ハッ!勝手に食べちゃった!怒られる!?』
翁「◻️◻️◻️?◻️◻️◻️◻️◻️。◻️◻️◻️◻️◻️」
子犬『怒って…ない?優しい人間だ!よかったー!』
翁「◻️◻️◻️◻️!◻️◻️◻️◻️!」
子犬『あれ?やっぱり怒ってる!?うぅ、ごめんなさい…』トボ…トボ…
翁「◻️◻️◻️◻️◻️ー!」
320
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:22:08 ID:???00
子犬『あの人間さん…さっきからずっと地面を掘ってるなー』
翁「◻️◻️◻️◻️」
子犬『なんか疲れてそう』
子犬『そうだ!お肉のお礼に木の実をあげよう!ご飯を食べれば元気になるよね!』
子犬「…」ツンツン
翁「◻️◻️!?◻️◻️◻️◻️…」
子犬『これ、さっきのお礼です!』ポト
翁「◻️?◻️◻️◻️?」
子犬『あなたは命の恩人です!お手伝いできることがあったらなんでもやります!』
321
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:22:33 ID:???00
翁「ガハハハ!◻️◻️◻️◻️!◻️◻️◻️◻️◻️!」
子犬『喜んでる?きっとそうだ!』
翁「◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️」
子犬『地面を指さしてる?そっか!代わりに穴を掘って欲しいんだ!』ザッザッザッ!
翁「◻️◻️◻️!◻️◻️◻️◻️!」
子犬『あ!これなんかすごく楽しい!わーい!』ザッザッザッ!
翁「◻️◻️◻️◻️?」
322
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:23:25 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ガコン!
カチマチ『ふあ〜おじいちゃん何してるんだろう?』
翁「チェストー!」ガコン
カチマチ『ちえすと?』
翁「◻️◻️◻️◻️◻️カチマチ◻️◻️◻️」
カチマチ『ねぇ!さっきのもう一回やって!』チョコン
翁「◻️◻️◻️◻️?」
カチマチ『お願い!お願い!』
翁「◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️」
翁「チェストー!」ガコン
カチマチ『あはは!面白い鳴き声!』
カチマチ『ちぇすとー!』
323
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:24:30 ID:???00
翁「◻️◻️◻️◻️?チェストー!」ガコン
カチマチ『ちぇすとー!』
翁「◻️◻️◻️◻️チェストーー!」
カチマチ『ちぇすとーー!』
翁「チェ──ごほっ!ごほっ!」
カチマチ『あれ?どうしたの?』ツンツン
翁「◻️◻️◻️◻️◻️◻️◻️」
カチマチ『よくわからないけど無理しないでね!』スリスリ
翁「◻️!?◻️◻️◻️◻️!?」
カチマチ『? 空に何かいるの?』
翁「◻️◻️◻️◻️◻️」ナデナデ
カチマチ『わっ!頭撫でてくれた!おじいちゃんの手大きくて好き!』シッポフリフリ
翁「◻️◻️◻️◻️…」
324
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:25:39 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
チーーーン……
カチマチ『ん…』ピクッ
翁「◻️◻️◻️◻️◻️◻️」
カチマチ(おじいちゃんは毎朝、大きな箱の前で女の人の絵に手を合わせてる)
翁「◻️◻️◻️◻️◻️◻️」
カチマチ(その時のおじいちゃんはちょっぴり寂しそうで、それでも嬉しそうだから、カチマチは邪魔をしないと決めてるんだ)
翁「◻️◻️◻️◻️◻️◻️」
カチマチ(人間の言葉はわからないけど、おじいちゃんと一緒にいると毎日楽しい)
325
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:26:22 ID:???00
カチマチ『おじいちゃん!』
翁「◻️◻️◻️◻️」ワシャワシャ
カチマチ『えへへ!ちょっぴり雑な撫で方だけど、カチマチはそれが好きなんだ!』シッポブンブン
翁「◻️◻️◻️◻️◻️」
翁「◻️◻️◻️◻️◻️◻️?」
カチマチ『おじいちゃん!これからもずっと一緒に居ようね!』ペロペロ
翁「◻️◻️◻️◻️…!◻️◻️◻️◻️!だははは!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
326
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:27:48 ID:???00
みんなで小さな墓石に手を合わせる。
お婆さん『スズヤさんは、1ヶ月前に亡くなったわ──』
カホ「……ごめんね、カチマチちゃん。きっと会えるって言ったのに」
カチマチ『カチマチはわかりません…ここにおじいちゃんがいるんですか?おじいちゃんの匂いもしないのに…』
カホ「うん。おじいちゃんはね、眠りについちゃったんだ。二度と起きれない、長い眠りに…」
カチマチ『信じません!おじいちゃんはきっと山に行ってるだけです!もう少ししたら家に帰ってくるに決まってます!』
カホ「……カチマチちゃん、さっきのおばあさんから手紙を預かってるんだ」
カチマチ『てがみ?』
カホ「おじいちゃんがカチマチちゃんに遺した手紙。正確には、カチマチちゃんの次の飼い主に宛てたものだけど…」
327
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:30:44 ID:???00
カホ「遺書──」
翁『遺書って言っても、俺には大した財産もねえし、親族もいない。ただこれを読んでる人に俺の心残りを任せたいだけだ』
翁『俺の家には一匹の犬がいる。カチマチ犬のカチマチだ。我ながら安直な名前だと思うが、あいつもそれを自分の名前だと思ってるみたいだから、そう呼んでやってくれ』
翁『カチマチは馬鹿な犬でな。狩りどころか、山菜を掘るのだってまともに手伝えねえ』
翁『そんな駄犬だが、俺にとってはかけがえのない家族だった。ばあさんが死んでから暗かった我が家が、カチマチが来てからパッと明るくなった気がした』
翁『最初は鬱陶しかった鳴き声も、今じゃ聞こえないと不安になるし、夜は一緒じゃなきゃ眠れない程だ』
翁『あいつは俺にベッタリ懐いてるから、俺が急に死んだらどうしていいかわからずに混乱するだろう』
翁『だからもし良ければ、この手紙を読んでるあんたにカチマチのことを頼みたい』
翁『何度も言うが、あいつは馬鹿で使えない犬だが、紛れもなく俺の大切な家族なんだ』
翁『俺がいなくなった後も、カチマチが楽しく幸せに生きられるように、どうか愛情を持って育ててやって欲しい』
328
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:31:58 ID:???00
翁『追伸──』
カホ「──お前と出会えて幸福だった。ありがとう、カチマチ」
カチマチ『う…うぅ……』💧ポロポロ…
カチマチ『イヤだよ!カチマチおじいちゃんともっと一緒にいたいよ!!』
カチマチ『他の人じゃなくて、おじいちゃんとずっと暮らしたい!』
カチマチ『また一緒に山に行こうよ!今度はちゃんと手伝うから!カチマチがんばるから!!』
カチマチ『だから!だから……』
カチマチ『うぅ…おじいちゃんーー!』
カチマチ『カチマチも大好きだよーーー!!!』
その遠吠えは夕暮れの墓地に高く響き渡った。
別れの悲しみと、精一杯のありがとうを乗せて。
329
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:33:01 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【コズエの家】
カホ「我が家へようこそ!カチマチちゃん!」
カチマチ『わー!ここがカホさんのお家ですか?お花がいっぱいでとってもオシャレです!』
カホ「正確にはコズエちゃんの家だけどね」
コズエ「別にもう堂々と自分の家だと言っていいのよ?実際3人で暮らしているのだから」
メグミ「そうそう!ここは私たちみんなの家だよ!」
コズエ「あなたはもう少し遠慮を覚えなさい」
330
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:34:33 ID:???00
カチマチ『カチマチ、ほんとにここに住んでいいんでしょうか…』
カホ「もちろんだよ!」
カホ「……カチマチちゃんは、本当はおじいちゃんと一緒に暮らしたかっただろうけど」
カホ「カチマチちゃんのこと、手紙で託されたし、何よりあたしがカチマチちゃんと一緒に暮らしたいんだ!嫌かな?」
カチマチ『そんな!全然イヤじゃないです!おじいちゃんも、カホさんなら安心してくれると思います』
カホ「えへへ、そうかな?そうだったら嬉しいな!」
331
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:35:29 ID:???00
カチマチ『……あ、あの!カホさん!』
カホ「ん?」
カチマチ『カホさんは使い魔を探していると聞きました。もし良ければ、カチマチをカホさんの使い魔にしてください!』
カホ「ええ!?いいの?」
カチマチ『はい!カチマチ、カホさんには本当に感謝してるんです』
カチマチ『カホさんがいてくれなかったら、カチマチはおじいちゃんが死んじゃったことも知らないままでした…』
カチマチ『それにカチマチだけでは、おじいちゃんの手紙を読むこともできませんでした!』
カホ「カチマチちゃん…」
332
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:36:20 ID:???00
カチマチ『だから今度はカチマチが、カホさんのお力になりたいです!カチマチはどうやらバカな"ダケン"?らしいですが、精一杯がんばります!』
カホ「うん。わかった!カチマチちゃんをあたしの使い魔にします!」
メグミ「お?そういう話になったんだ」
コズエ「ある意味予定通りなのかしら?」
カホ「ところで、使い魔ってどうやって契約するんでしたっけ?」
メグミ「知らないんかい!」
333
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:38:01 ID:???00
コズエ「使い魔ショップの店員さんに教えてもらったわ。自分とお揃いの私物を与えた上で、契約の呪文を唱えるそうよ」
カホ「お揃いの私物かー」
カホ「あ、そうだ!あたしのウサギの髪飾り、これを片方あげるね!」凹
カチマチ『わー!うれしいです!』凹
カホ「さてと──」
カホ『汝、人に仕える獣よ。その魂を我に捧げよ』
カホ『汝の魂は我が手に、我が魂は汝の背に』
カホ『ファミリア!』✨
334
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:39:10 ID:???00
ピカーー!!✨✨✨
呪文を唱え終えると、カチマチちゃんの体は眩い光に包まれる。
カチマチ『お?おおお!?』ムクムク…
メグミ「なんか体おっきくなってない!?」
コズエ「動物が使い魔の契約を結ぶと、人間の魔力が流れ込んで半魔獣化するのよ。その影響で体が一回り大きくなるそうよ」
カチマチ『そうなんですね!びっくりしました!』
カホ「何だか頼もしくなったね!カチマチちゃん!」
カチマチ『はい!どんな冒険も任せてください!』
335
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:41:10 ID:???00
メグミ「……ていうか」
コズエ「私達にも聞こえるわね…カチマチさんの声」
カチマチ『はっ!そういえばカチマチにもお二人の話していることがわかります!』
カホ「そうなの!?どうして?使い魔になったから?」
コズエ「そう考えるのが妥当でしょうね。察するにカホの以心伝心の加護がカチマチさんに逆流したということかしら?」
カチマチ『よくわかりませんが、カホさん以外の人間さんともお話できるようになったということでしょうか?』
カホ「そうみたいだね!」
336
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:42:38 ID:???00
カチマチ『おお…すごいです!一気に世界が広がった感じがします!』
メグミ「カチマチちゃんってこんな感じなんだあ。素直でいい子そうじゃん!」
コズエ「ええ、また賑やかになるわね」ウフフッ
カホ「よーし!今夜はカチマチちゃんの歓迎会だー!」
メグミ「おー!」
コズエ「またやるの!?昨夜あれだけ騒いだばかりじゃない!」
ガヤガヤガヤ…!
カチマチ(おじいちゃん、離ればなれは寂しいけど、カチマチ新しい家で幸せになるから)
カチマチ(だから安心して、空から見守っててね!)
【使い魔と契約しよう】完了!
337
:
名無しで叶える物語◆lPBVkchJ★
:2025/04/29(火) 21:45:18 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【おしえて!魔法教室】
『ファミリア』
契約魔法。
動物と契約して使い魔にすることができるよ!
使い魔とは魂で繋がるから使役者のスキルが使えるようになるんだ!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
338
:
名無しで叶える物語◆1a8ztDYV★
:2025/04/30(水) 01:06:27 ID:???00
カチマチいい子やなぁ…
339
:
名無しで叶える物語◆FzCcivWt★
:2025/04/30(水) 03:53:05 ID:???00
飼い主との別れ話は涙腺にくる……
カチマチちゃん幸せになってね…
340
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/01(木) 21:25:05 ID:???00
【翌朝】
カホ「おっはようございまーす!」
カチマチ『おはようございます!』
コス「二人ともとおはよう。今朝は早いわね」
カホ「昨夜はカチマチちゃんを抱いて寝てたおかげで快眠でしたので!」
カチマチ『カチマチはカホさんの寝相が悪いのでよく眠れませんでした!』
カホ「さっき快眠のテンションじゃなかった!?」
コズエ(カホの抱き枕になるなんて…羨ましいわね…)
341
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/01(木) 21:26:35 ID:???00
カホ「今日はメグちゃんはどこで寝ているんですか?」
コズエ「さあ?そういえば見てないわね」
カホ「ふーん」ガタ
ムニッ
カホ「あれ?机の下に何か…」
メグミ「…」zzz
カホ「うわあっ!!」
コズエ「机の下にいたのね。よくそんな狭い隙間に入り込めたものだわ」
カチマチ『カチマチはリビングに入った時から気が付いていました!』エッヘン!
カホ「カチマチちゃんは目線が低いからでしょ!ていうか気付いてたなら教えてよ!」
342
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/01(木) 21:27:46 ID:???00
メグミ「ふぁ〜うるさいな…」ガタン!
メグミ「痛て…狭っ!何ここ!?監獄?」
コズエ「自分で入ったのでしょう…」
カチマチ『アハハ!メグミさんは面白いです!』
コズエ「全員起きたのなら朝食にしましょう。──あら?そういえばカチマチさんのご飯はどうすればいいのかしら?」
カチマチ『おじいちゃんと暮らしてた時は干し肉とかをもらってました!』
カチマチ『お店ではなんかカリカリしたやつ?でした!』
343
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/01(木) 21:29:11 ID:???00
カホ「ああ、ペットフード!買うの忘れてましたね」
コズエ「とりあえず今はベーコンでいいかしら?ちゃんとしたのは今日買ってくるわ」
カチマチ『ありがとうごさいます!』
カホ「ペット用のトイレも買わないとですね」
メグミ「意外と出費かかるね。使い魔になったら排泄しないとか無いわけ?」
コズエ「あるわけないでしょう…使い魔と言っても基本は動物よ」
カチマチ『うぅ、みなさんに迷惑をかける訳には…!カチマチ、うんち我慢チャレンジです!』
カホ「我慢しなくていいから!体に悪いよ!」
344
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/01(木) 21:31:14 ID:???00
カチマチ『いえ!カチマチごときのために大切なお金を使ってもらう訳にはいきません!』
カチマチ『がんばるぞー!ちぇすとー!』💩ブリッ
カチマチ『ああ!力んだら出ちゃいました!!』
カホ「あわわわ!コズエちゃんキッチンペーパーを!」
コズエ「え、ええ!」バタバタ
カチマチ『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!カチマチが責任をもって掃除します!』アーン
カホ「きゃーー!!食べようとしないで!カチマチちゃんステイ!」
メグミ「ふっ…まったく騒がしい朝だね」☕️ズズー
コズエ「メグミはなに呑気に飲んでるのよ!手伝いなさい!!」バシッ
メグミ「ぶほっ!──って、熱っつ!あっ白い服にシミが!」
メグミ「メグちゃんの一張羅なのに…!おいどうしてくれんだ!」
ガヤガヤガヤ……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
345
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/01(木) 21:33:56 ID:???00
「「ごちそうさまでした」」
コズエ「ふう、やっと一息つけたわね」
メグミ「この後はどうするの?」
コズエ「とりあえずペット用品を買ってから、出費した分をクエストで稼ぎましょうか」
カホ「クエストにはカチマチちゃんにも着いてきてもらうからね!」
カチマチ『はい!初仕事がんばります!』
ツヅリ「キミはやる気があって偉いね」
コズエ「ええ、本当に──ってツヅリさん!?」
346
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/01(木) 21:35:36 ID:???00
カホ「いつ来たんですか!?」
ツヅリ「今だよ。ちょっとみんなにお願いがあって」
メグミ「今って……瞬間移動かよ」
コズエ「それで、お願いとは?」
ツヅリ「君たちに受けて欲しいクエストがあるんだ。本当はボクにに来た依頼なんだけど、ちょうど他の依頼と被っちゃって」
カホ「王国騎士さんに来た依頼なんて、あたし達にできるんですか?」
ツヅリ「大丈夫。見た感じそんなに難しくないから、キミ達にもできるよ」
カチマチ『あの、突然現れたこの方は……』
347
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/01(木) 21:37:24 ID:???00
カホ「あ、初めましてだよね。この人はユウギリ ツヅリさん。この街に駐屯してる王国騎士さんだよ!」
カチマチ『おうこくきし?』
カホ「そう!すっごく強くて頼りになる人なんだ!」
カチマチ『そうなんですね!初めまして!昨日からカホさんの使い魔になったカチマチです!!』
ツヅリ「うん。よろしくね、カチマチ」
メグミ「んで、私達に押し付けたい依頼ってのはなに?」
ツヅリ「これだよ」
ツヅリからの依頼
1.連続殺人鬼の確保
2.???(自由記述欄)
348
:
名無しで叶える物語◆T4k2UJeE★
:2025/05/01(木) 21:41:16 ID:???00
1
349
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/01(木) 23:23:06 ID:???00
2.『そこに居るんですね、花帆さん』
350
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:22:35 ID:???00
1.連続殺人鬼の確保
カホ「連続殺人鬼!?」
ツヅリ「そう。最近被害が増えてるんだって」
メグミ「いやいや、絶対危ないでしょ!」
ツヅリ「危険はあるけど、キミ達なら大丈夫だと思うよ」
ツヅリ「あと正直に言うと、ボクの魔法は人探しに向かないんだ」
コズエ「ツヅリさんの魔法……」
ツヅリ「カホは人探しが得意なんでしょ?それに今は捜索が得意な犬の使い魔もいる」
カホ「得意というか…誰かを頼ってたらいつの間にか見つけてると言いますか…」
メグミ「まあぶっちゃけ、コズエは対人戦の方が得意みたいだし、私達向きの仕事ではあるのかな?」
351
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:24:01 ID:???00
コズエ「私は受けてもいいと思うのだけれど、みんなはどうかしら?」
カホ「コズエちゃんがそう言うなら」
メグミ「異議なーし」
カチマチ『カチマチも賛成です!人探しなら役に立てそうです!』
ツヅリ「よかった。成功報酬はボクが出すから、終わってもギルドには行かないでね」
メグミ「それで、おいくら頂けるんですか?王国騎士さん☆」
コズエ「ちょっとメグミ!そんな露骨な聞き方…!」
メグミ「え〜だってこんな危険そうな仕事を押し付けられたんだし、それ相応の報酬は期待したいじゃん?」
352
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:25:14 ID:???00
ツヅリ「うーん。そうだな……500,000SIsCaでどう?」
メグミ「──────は?」
カホ「ご、50万!?!?」
コズエ「Aランククエスト相当の報酬金額ですよ!?」
ツヅリ「そうなんだ?ボクそういう相場はよく知らないから」
カホ「50万もあれば3ヶ月は働かずに暮らせますよ!」
コズエ「さすがに3ヶ月は厳しいのではないかしら…?でもそうね、カチマチさんも増えて食費も上がるし、50万SIsCaはありがたいわね」
353
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:26:18 ID:???00
コズエ「わかりました。ツヅリさん、その依頼こちらでお受けします」
ツヅリ「ありがとう。じゃあ、これとコレ渡しておくね」
カホ「手紙と……笛?」
ツヅリ「紙の方は依頼書、そっちの笛は魔道具だよ」
ツヅリ「その笛を吹くとボクにだけはどこに居ても聞こえるから、犯人を捕まえたらその笛で教えてね」
ツヅリ「もちろんどうしても危険な時にも呼んでいいよ」
カホ「わかりました!お預かりします!」
ツヅリ「依頼の詳細はこの紙に書いてあるから。それじゃよろしくね」 パッ
カチマチ『わっ!消えちゃいました!』
コズエ「相変わらず神出鬼没ね」
カホ「とりあえずツヅリさんが置いていった依頼書を読みましょうか」
354
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:27:26 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【依頼書】
ユウギリ ツヅリ 様へ
ここ最近世間を騒がせている連続殺人鬼『切り裂きジャック』の確保を依頼します。
『犯行の特徴』
・事件が起きるのは夜
・被害者は身体を鋭利な刃物で切り裂かれている
・この犯人に関連すると思われる死者は計17人
・ここ2ヶ月で被害者が増加傾向
・襲われた者で生存者は無し
・被害者は若く美しい女性が多い
・犯人の容姿について情報は無し
以上
情報が少なく恐縮ですが、これ以上被害を出さないためにも早急な解決をお願いいたします。
冒険者ギルド カナザワ支部
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
355
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:28:28 ID:???00
カホ「ふんふん…女性ばかり狙う殺人鬼『切り裂きジャック』…」
カホ「え、17人も被害者出てるんですか!?思ってたより危険そう……」
コズエ「もともと王国騎士に依頼が来た案件だもの。一般に出回るクエストとは訳が違うわ」
メグミ「まっ!その変態通り魔をとっ捕まえるだけだし、楽勝っしょ!」
コズエ「あまり気を抜かないの。17人も殺害してなお犯人に関する情報が全くないということは、相手はかなりの手練ということよ」
カホ「でも、受けたからには必ず捕まえましょう!」
コズエ「ええ、これ以上被害者を出す訳にはいかないわ!」
メグミ「それで、どうするの?被害が出るのは夜みたいだけど、それまで待機?」
コズエ「そうねぇ…昼間のうちにできることもあるはずよ」
コズエ「とりあえずカチマチさん用のペット用品を買ってから、作戦を立てましょう」
カホ「了解です!」
356
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:30:23 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
コズエ「さてと、買い物は一通りできたわね」
カホ「やっぱり結構お金掛かっちゃいましたね」
カチマチ『カチマチごときのためにありがとうございます!』
メグミ「いいんだよカチマチちゃん!今夜には50万SIsCaも手に入るんだから!」
コズエ「"成功報酬"よ。犯人を捕まえられなかったら1SIsCaももらえないわ」
カホ「それで、ここからどうするんですか?」
コズエ「まずは事件現場を見ておきましょう」
357
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:31:39 ID:???00
コズエ「犯人を特定できるものは無いでしょうけど、事件現場の特徴がわかれば、注意するべき場所が絞りこめるわ」
カチマチ『おー!コズエさん頭がいいです!』
カホ「なんか探偵さんみたい!」
メグミ「ていうか私達、いつも探偵みたいなことしてない?猫探しとか人探しとか…」
コズエ「まあその実績があるから、ツヅリさんも頼ってくれたのよ」
カホ「あれ?でも事件現場ってあたし達知りませんよね?」
コズエ「ツヅリさんから預かった依頼書に添付されていたわ」
メグミ「うわ、結構場所バラバラだね…」
358
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:32:19 ID:???00
コズエ「夜までまだ時間はある。行けるところだけでも行って、情報収集するわよ」
カホ「カチマチちゃん、事件現場に行ったら共通する人の匂いがないか覚えておいてね!」
カチマチ『わかりました!任せてください!』
メグミ「えっと、ここから一番近い事件現場は──」
カホ「ルリノちゃんの教会の近くですね。こんな身近で殺人事件が起きてたなんて……」
コズエ「まずはそこに行きましょう。みんな昼間だからって油断しないようにね」
「「はーい!」」
359
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:33:40 ID:???00
【教会近くの裏路地】
カホ「ここですね。なんかお昼なのに薄暗い……」
コズエ「建物に囲まれて陽の光が入らないのね。大通りからも死角になっているわ」
メグミ「いかにもって感じの場所だね」
コズエ「ここでは2ヶ月前に20代の女性が被害にあったようよ」
カホ「ぱっと見た感じ、事件に繋がりそうなものは何も残ってないですね」
コズエ「掃除されたのでしょうね。カチマチさん、何か気になる臭いはある?」
360
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:34:46 ID:???00
カチマチ『クンクン…微かに血の匂いがします!』
メグミ「え、血痕なんてどこにも無くない?」
カホ「ワンちゃんはすっごく嗅覚がいいんです!例え目には見えないくらいキレイに掃除してても、少しでも成分が残ってたらわかっちゃうんですよ!」
メグミ「へ〜……待って、私達臭くないよね?大丈夫だよね!?」
カチマチ『ご心配なく、みなさんとってもいい匂いです!』
カチマチ『あとメグミさんからは紅茶の匂いがします!』
メグミ「げ、今朝こぼしたやつ…ちゃんと洗ったつもりだったけど匂い残ってたか〜」
361
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:35:44 ID:???00
コズエ「はいはい雑談はそこまで。カチマチさん、血の臭い以外に何か感じるものは無いかしら?」
カチマチ『すみません…それ以外は色んな臭いが混ざっててよくわかりません』
カホ「人通りは少ないとはいえ、事件が起きたのは2ヶ月ですからね」
カチマチ『ん?待ってください!血の臭いです!』
メグミ「だからそれはわかったってば」
カチマチ『違います!大通りの方から強い血の臭いがするんです!』
362
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:37:54 ID:???00
カホ「まさか…!こんな昼間に殺人鬼が!?」
コズエ「行きましょう!カホ達は私の後ろから付いてきて!」
カホ「はい!」
コズエを先頭に路地裏を出る。
そこに居たのは、口元を押さえて立つヒョロガリな男性だった。
しかし、手に隠れた口元からは真っ赤な鮮血が滴っている。
カホ「ひっ」
コズエ「あなた何をしているの!」
痩せ男「え、ええ?何ですかあなた達…」
メグミ「それはこっちのセリフだよ!その口元の血はなんだ!お前が連続殺人鬼か!」
痩せ男「殺人鬼!?!?何を言っているんですか!」
363
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:39:12 ID:???00
痩せ男「この血は見ての通り鼻血ですよ!なかなか止まらないから困ってたんです」
カホ「わ、大変!ちょっと待っててください…」
カホ「どうぞ、このハンカチを使ってください!」
痩せ男「え…いやダメだよ。せっかくの可愛らしいハンカチを汚してしまう」
カホ「困った時はお互い様です!ハンカチは返さなくてもいいので、遠慮なく使ってください!」
痩せ男「……すまないね。それなら遠慮なく使わせてもらうよ」
カホ「はい!」
痩せ男「そういえば、さっき殺人鬼がどうのとか言っていたけど…」
364
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:40:55 ID:???00
コズエ「先程は失礼しました。実は私達、近頃話題の通り魔犯を追っているんです」
カホ「あたしの使い魔が『血の臭いがする』って言ったので、てっきり事件が起きたのかと思いまして…」
痩せ男「そういう事でしたか」
メグミ「疑っちゃってごめんね。ついでと言ったらなんだけど、その殺人鬼について何が知ってることあったりします?」
痩せ男「うーん済まない…数か前に越してきたばかりでね。そういう事情には詳しくないんだ」
コズエ「そうですか…お時間を取らせてしまい申し訳ありません」
痩せ男「いやいや。こちらこそハンカチまで貸してもらったのに何も返せなくて申し訳ない…」
365
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/02(金) 23:41:54 ID:???00
コズエ「気にしないでください。もともとすぐに情報が集まるとは思っていないので」
カホ「鼻血、早く止まるといいですね!」
痩せ男「ありがとう。君たちも気をつけるんだよ」スタスタ
カホ「優しそうな人でしたね」
メグミ「いやいやカホちゃん。ああいうタイプが実はってのがミステリーの定番なんだよ!」
コズエ「メグミは小説なんて読まないでしょう……」
コズエ「とりあえず次は教会に行って事件当時のことを聞いてみましょう」
カホ「はーい!」
366
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:23:05 ID:???00
【教会】
カホ「こんにちわー!」
ルリノ「お?カホちゃん!一昨日ぶり!」
メグミ「ルリちゃん…♡」
ルリノ「げ、メグミさん…羽根は隠しておいてくださいよ」 コソッ
メグミ「わかってるよ。ルリちゃんに迷惑はかけないから♡」
カチマチ『こんにちは!』
ルリノ「おや、かわいいワンちゃんですな〜よしよし」
カホ「あたしの使い魔のカチマチちゃんだよ!」
ルリノ「カホちゃん使い魔買ったんだ。そう言えばこの間のパーティーの時にそんな話してたね」
367
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:25:20 ID:???00
カホ「そうなの!あ、カチマチちゃん、この人はあたしの友達のルリノちゃんだよ!」
ルリノ「こんにちは。オオサワ ルリノだよ。よろしくねカチマチちゃん!」 ナデナデ
カチマチ『はい!よろしくお願いします!』
ルリノ「それで、今日はどうしたの?新しい家族の紹介?」
カホ「それもあるけど、実は──」
コズエ「私達は今、とある殺人鬼を追っているの。近頃世間を騒がせている『切り裂きジャック』って知っているかしら?」
ルリノ「ああ、若い女の人ばかり狙ってる通り魔だよね…教会の近くでも被害者が出たから知ってるよ……」
メグミ「事件当時のこと、知ってることがあれば教えて欲しいんだけど」
ルリノ「うーん知ってることか…」
368
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:26:13 ID:???00
カホ「どんな些細なことでもいいから教えて欲しいな!」
ルリノ「そうは言っても、ルリが知ってることといえば、襲われたのは近所の若い女性だってことくらいだし…」
ルリノ「そうだ!確か被害にあった女の人を見つけたの、うちのシスターだった!」
カホ「本当!?その人から直接お話聞けないかな!」
ルリノ「ちょっと待っててね。今呼んでくるから」 パタパタ
メグミ「さすがは私のルリちゃん!頼りになる〜」
コズエ「メグミはいつまで勘違いしているのよ…」
メグミ「勘違いじゃないもん!ルリちゃんがちょっと忘れてるだけだもん!」
369
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:28:13 ID:???00
カチマチ『メグミさんとルリノさんはお知り合いなんですか?』
メグミ「そうだよ。もう幼なじみと言ってもいいくらい昔からの付き合いなんだから!」
カチマチ『わ〜幼なじみ!ステキです!』
コズエ「カチマチさん、あまり素直に人を信用してはダメよ。主人を守るためにも疑うことを覚えなさい」
メグミ「私は仲間なんですけど!」
ルリノ「お待たせー!連れてきたよ」
シスター「こんにちは」
ルリノちゃんが連れてきたのは、黒髪でスラッとしたシスターさんだった。
身長はコズエちゃんより少し小さいくらい。控えめな印象の美人といった感じだ。
370
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:29:22 ID:???00
シスター「えっと、通り魔の犯人を探しているとお聞きしましたが…」
カホ「そうなんです!事件当時のこと、何か知ってたら教えてください!」
シスター「…わかりました。あの日の夜は、私は聖堂にいました」
カホ「夜に聖堂?」
ルリノ「たまに夜にもお祈りしに来る人がいるからね。毎晩交代でひとりは居るようにしてるんだ」
シスター「私は聖堂でひとり、静かに祈りを捧げていたんです。そしたら突然、持っていた十字架が震えだして……」
カホ「十字架って、首にかけてるそれですか?」
シスター「そうです。この十字架は祈りの道具であり、同時に魔のモノに反応する魔道具でもあります」
371
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:30:42 ID:???00
カホ「魔のモノって…まさか街に魔物が出たってことですか!?」
シスター「私もそう思い、急いで反応のある方へ向かったんです。被害が出る前に祓わなければいけないと…」
シスター「すると路地裏の方から背の高い大男が飛び出してきて、走り去るのを見ました」
カホ「大男…まさかそれが殺人鬼?」
シスター「そうだと思います。その男が出てきた路地裏を覗いたら、首を裂かれて倒れている女性を見つけました」
カホ「あれ、でも十字架は魔物に反応するんですよね?でも逃げていったのは人間…それっておかしくないですか?」
372
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:31:47 ID:???00
シスター「確かに十字架は人間には反応しません。ですが私は、神が事件が起きていることを教えてくれたのだと思っています」
シスター「最も、その女性を助けることはできませんでしたが…」
シスター「私が知っていることは以上です。お役に立てたでしょうか?」
カホ「はい!貴重なお話ありがとうございました!」
ルリノ「カホちゃん達も、殺人鬼を捕まえるなら気をつけてね」
カホ「大丈夫!こっちにはコズエちゃんとカチマチちゃんがいるから!」
メグミ「今ナチュラルに私のこと戦力から外さなかった?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
373
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:33:53 ID:???00
【商店街】
カホ「こんなに人通りが多い場所でも事件が起きているんですか?」
コズエ「ええ、最も事件現場は大通りから外れた場所だけれど──」
カチマチ『わー!人がいっぱい!いい匂いもいっぱい!』
メグミ「カチマチちゃんは商店街は初めてなの?」
カチマチ『はい!初めて来ました!』
カホ「ここはお肉、魚、野菜なんでもそろってるから!食べたいものがあったら遠慮せず言ってね!」
カチマチ『な、なんでも…!ゴクリ』
コズエ「聞き込みがてら少しお店を見てまわりましょうか」
カチマチ『いいんですか!?わーい!』
374
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:35:10 ID:???00
カホ「ふふっ、カチマチちゃん嬉しそう!」
カチマチ『おじいちゃんはいつも森にばかり行ってたから、こんなに賑やかな場所に来るのは初めてです!』
メグミ「あ、見て!あそこのお肉屋さんコロッケ売ってるよ!せっかくなら食べ歩きしようよ!」
コズエ「確かに、ちょうど小腹が空いてきたわね」
カホ「すみませーん!コロッケ3つください!」
肉屋「はいよ!お、可愛らしいお嬢さん達だね!お買い物かい?」
カホ「買い物ではないですけど、美味しそうなコロッケだったのでつい!」
肉屋の主人はワイルドでガタイのいい男の人だった。
ニコニコの笑顔とハッキリとした話し声から人の良さが伝わってくる。
375
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:36:10 ID:???00
肉屋「はいコロッケお待ち!嬢ちゃん達可愛いから一個オマケしといたよ!」
カホ「わーいありがとうございます!」
カホ「あむっモグモグ……ん!おいしい!!」
コズエ「確かに美味しいわね」
カチマチ『……』 ジュルリ
メグミ「カチマチちゃんも食べる?」
カチマチ『食べたいです!』
カホ「ワンちゃんってコロッケ食べられますか?」
コズエ「どうかしら…食べられないことはないと思うけれど」
カチマチ『多分食べられます!いや…食べてみせます!!』
376
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:38:16 ID:???00
カチマチ『あむっ!おいしいです!!』
メグミ「よかったね、カチマチちゃん」
カチマチ『はい!』
コズエ「ご馳走様でした。とても美味しかったです」
肉屋「そうだろう!うちのコロッケはここで売ってる上物の肉を使った特製だからな!」
肉屋「ミンサーを使わずに包丁を使ってひき肉にしてるから、肉がごろっと入ってて美味いんだ!」
カホ「確かに普通のコロッケよりもお肉の食感を感じました!」
メグミ「でも機械使わずにひき肉作るの大変じゃない?」
肉屋「この特製の包丁と鍛え上げた筋力がありゃ、どんな肉だって簡単に細切れにできるさ!」🔪キラン!
カホ「っ!」
377
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/03(土) 23:40:47 ID:???00
肉屋の店主は大きめの肉切り包丁を掲げてみせた。
ガタイのいい体でそんなことをされると妙な迫力がある。
カホ(犯人の特徴は大男…まさかね?)
メグミ「あー!カチマチちゃん食べ方汚すぎ!口周りとかリボンとかベチャベチャじゃん!」
カチマチ『はっ!夢中になって食べてたらこんなことに!』
コズエ「あらあら、油汚れは落ちにくいのよね…」
カチマチ『ごめんなさい…』
???「何かお困りですか?」
カホ「え?」
突然後ろから声をかけられた。
振り返るとそこには、髪をおさげに結った美少女がこちらを伺っていた。
378
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/04(日) 21:00:13 ID:???00
肉屋「おや?サヤカちゃんじゃないか!今日も肉買ってくかい?」
サヤカ「はい。でもその前にこちらの方が困っているようなので」
カホ「えっと…」
サヤカ「ああ、汚してしまったんですね。少し失礼します」
サヤカ『エクス ウォッシャー』
カチマチ『わっ!ベタベタが無くなりました!』 フサッ フサッ
メグミ「それどころか全体的に毛がフサフサしてない?」
サヤカ「ふふっお役に立てて何よりです」 ニコッ
コズエ「あの、あなたは?」
サヤカ「失礼しました。わたしはムラノ サヤカと申します」
サヤカ「お困りのようだったので、つい声を掛けてしまいました。驚かせてすみません」
379
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/04(日) 21:04:14 ID:???00
カホ「ううん!カチマチちゃんをキレイにしてくれてありがとう!」
カホ「あたしはカホ!こちらはコズエちゃん、メグちゃん、カチマチちゃん!」
コズエ「よろしくねサヤカさん。それよりもさっきの魔法、上級の洗浄魔法かしら?」
サヤカ「はい。生活魔法が得意なもので」
コズエ「上級の生活魔法を使えるなんて珍しいわね。もしかして家政婦でもしているのかしら」
サヤカ「いえいえ、趣味で学んでいるだけです」
カホ「でも一瞬で油汚れがこんなにキレイになるなんて、すごい魔法だね!」
サヤカ「上級洗浄魔法は汚れを分子レベルで分解しますから、どんなにしつこい汚れも一発なんですよ」☝️
メグミ「あ、じゃあじゃあ!私の服にもさっきの魔法使ってくれない?今朝紅茶こぼしちゃってさ、匂いが落ちないの」
コズエ「ちょっとメグミ、初対面の相手に図々しいわよ」
380
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/04(日) 21:05:45 ID:???00
サヤカ「いえ、構いませんよ」 ニコッ
サヤカ『エクス ウォッシャー』
メグミ「カチマチちゃん、どう?」
カチマチ『クンクン…匂いが消えました!お日様で干した後みたいです!』
メグミ「よっしゃあ!ありがとう、サヤカちゃん!」
サヤカ「お役に立てて何よりです」
カホ「そうだ、サヤカちゃんってここら辺に住んでるの?」
サヤカ「ええ、このすぐ近くですよ」
カホ「じゃあさ、『切り裂きジャック』っていう殺人鬼知らない?この近くでも被害者が出たみたいなんだけど」
サヤカ「いきなりですね……もちろん知っていますよ。女性ばかりを狙っているとか」
381
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/04(日) 21:08:50 ID:???00
カホ「あたし達その犯人を追ってるんだ。何か犯人について知ってる事ない?」
サヤカ「そうですね…あ、確か『月』の出ている夜に現れると聞きました」
コズエ「晴れた夜ということかしら?なんだか違和感があるわね」
メグミ「よく知らないけど、悪いことするなら普通は暗闇の中じゃないの?」
サヤカ「奥様方の情報網によると、最近の事件は毎回月の綺麗な夜に起きているらしいです」
カホ「うーん…何が関係あるのかな?」
コズエ「一応心に留めておきましょう」
メグミ「そういえば今夜は月出そうじゃない?晴れてるし」
サヤカ「今夜は満月ですよ。もしも月と犯人に関係があるなら、今夜は動きがあるかもしれませんね」
カホ「む!なら捕まえる絶好のチャンスですね!」
382
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/04(日) 21:11:04 ID:???00
コズエ「サヤカさん、貴重なお話ありがとう」
サヤカ「いえいえ。どんな事情かわかりませんけど、危険な人物を追うなら注意してくださいね」
サヤカ「それではわたしはここで」
カホ「うん!また会ったらよろしくね!」 バイバイ
サヤカ「はい、さようなら」 テクテク
カホ「──サヤカちゃん、いい人でしたね!」
コズエ「そうね」
メグミ「いやいやカホちゃん、ああいう露骨な登場をした人物は犯人の可能性が高いんだよ!」
コズエ「だからメグミはどこでそういう知識を身に付けたのよ」
メグミ「何か違和感は感じなかった?近寄って来た時に気配がしなかったとか、体の動きが妙に洗練されている…とか!」
コズエ「無いわよ!普通に気配もしたし、違和感も感じなかったわ」
383
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/04(日) 21:13:41 ID:???00
コズエ「だいたい服をキレイにしてもらった分際でよく疑えるわね…」
カホ「そもそも犯人は大男ですよ?サヤカちゃんは女性だし、明らかに小柄だったじゃないですか」
メグミ「で、でも!あんな洗浄魔法が使えるなら、人を殺した後でもすぐに自分の居た痕跡を消せるでしょ!」
コズエ「それはできるかもしれないけれど──あなた、単に探偵ごっこがしたいだけなんじゃ…?」
メグミ「ふん!マジメに考えてるだけだもん!」
カチマチ『サヤカさんはいい人だと思います!人を傷つけるような悪意は感じませんでした!』
カホ「カチマチちゃんがそう言うのならいい人ですよ。動物は人の悪意に敏感だって言いますし!」
コズエ「さあ、メグミのことは放っておいて、次の事件現場に向かいましょう」
メグミ「あ!置いていこうとするなー!」
384
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:32:32 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
コズエ「ここは最も直近で事件が起きた場所よ」
カホ「そう言われるとなんか不気味に感じますね…」
カチマチ「クンクン…」
メグミ「何か感じる?」
カチマチ『うぇ…さっきの場所よりも濃い血の臭いがします』
コズエ「被害者の女性は首を切り裂かれていたのよね。きっと血を流しすぎたせいで亡くなったんだわ」
カホ「可哀想…」
コズエ「一刻も早く犯人を捕まえましょう」
385
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:33:23 ID:???00
メグミ「その為にはカチマチちゃんが頼りだよ!」
カチマチ『はい!頑張ります!クンクンクン…』
カチマチ『あれ?この臭い、今日どこかで嗅いだような……』
カホ「え、まさか今日会った誰が殺人鬼!?」
カチマチ『でもちょっと違うような?どちらかと言うと獣臭い感じ…』
メグミ「獣?犯人も使い魔を使ってるとか?」
カチマチ『う〜ん、別の場所も行けばハッキリわかるかもしれません!』
コズエ「それなら次に向かいましょう。案の定ここも、目視で確認できるような証拠は残っていないみたいだし」
386
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:34:45 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
カホ「ここで5箇所目ですね」
カチマチ『クンクン…やっぱり『あの人』の臭いがします!』
メグミ「てことはほぼ確定か。まさか捜査初日に犯人に出くわしていたとは…」
コズエ「獣臭というのが若干気がかりだけれど…」
メグミ「それでどうするの?犯人はほぼわかったけど、あいにく名前も住んでる場所も知らないよ?」
カホ「あ、それならカホに考えがあります!」
カホ「前に猫ちゃん達に一斉に意思を伝えた感覚で……」ムムム
カホ「ふん!」⚡️
カチマチ『わっ!』⚡️パチン
コズエ「カホ、何をしたの?」
387
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:35:45 ID:???00
カホ「街中の動物さん達に一斉送信で情報を伝えました!これで『あの人』に動きがあれば教えてくれるはずです!」
コズエ「本当に便利な能力ね…」
メグミ「もとはメグちゃんのあげた加護なんだから感謝してよね!」
コズエ「はいはい。でも動物達は正しく見分けられるの?」
カホ「動物は特に悪意には敏感なので、悪いことをしようとしてればわかるはずです!」
カホ「だよね、カチマチちゃん!」
カチマチ『はい!』
メグミ「そしたら後は人を襲おうとしてるところを現行犯逮捕だ!」
コズエ「……いえ、もっと確実な方法を思いついたわ」 ジー
メグミ「な、なに?こっちをじっと見つめて…」
コズエ「みんな、耳を貸してちょうだい」コショコショ…
388
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:37:58 ID:???00
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【夜】
女性「……」 テクテク
夜の10時。
人気の無くなった道を、女性が歩いている。
月はちょうど雲に隠れ、辺りはいっそう暗い。
夜の散歩か、はたまた友達の家から帰る途中なのか。
何にせよ、夜中に女性がひとりで出歩くのは無用心だ。
???「……」ソロリ…
だからほら、悪い狼がそんな格好の獲物を見逃すはずがない。
???「……」 ガシッ
女性「んむ!?」
389
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:40:13 ID:???00
そいつは後ろから近づき、女性の口を手で塞ぐ。
女性は見た目よりもずっと軽く、簡単に路地裏に引きずり込まれてしまった。
女性「んー!ん〜〜!!」バタバタ
暴れる女性を地面に押し倒し、体を観察する。
大きめのローブを着ていてわかりずらいが、よく見ればかなり男好みの体つきをしていた。
なんて──
『 お い し そ う な 』
???「はぁ…はぁ…もう我慢できない」
男は女性の首筋に手を伸ばし──
コズエ「そこまでよ」
390
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:42:07 ID:???00
???「!!!」
後ろからの突然の声に、男は思わず振り返る。
コズエ「ふん!」👊バコッ
???「があっ!」
そこに強烈な一撃が入り、思わず体が仰け反る。
???「ひっ…ひぃぃぃ!!」バタバタ!
コズエ「! 待ちなさい!」
なりふり構わず表通りに走る。
しかし──
カホ「カチマチちゃん!」
カチマチ『ちぇすとー!』ガブッ!
???「痛"っ!!」バタン
足を犬に噛みつかれて、勢いそのままに地面に倒れ込んでしまった。
391
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:43:29 ID:???00
コズエ「ふっ!」ガシッ!グググ…!
うつ伏せの体勢のまま背中に乗られ、腕を締めあげられる。
かくして、連続殺人鬼は呆気なく捕まってしまった。
コズエ「やっぱりあなただったのね」
カホ「鼻血出してた男の人…」
痩せ男「な、なんの真似ですか!」
コズエ「とぼけないで、あなたが切り裂きジャックなのでしょう?」
痩せ男「! 君達は昼間の…まだ探偵ごっこをしているんですか!」
コズエ「私達は正式に依頼を受けて捜査していたのよ。探偵ごっこなんかじゃないわ」
メグミ「あー怖かった!なんでメグちゃんが囮役なわけ?コズエがやればよかったじゃん」
コズエ「メグミが一番見た目が地味だから、覚えられていないと思ったのよ」
メグミ「地味じゃないし!メグちゃんは世界一の美少女だし!髪の色だけで決めないでくださいー!」
392
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:45:16 ID:???00
痩せ男「っ!離しなさい!何かの間違いだ!」ジタバタ
メグミ「あんなに『はぁはぁ』言いながら私を襲っといて、言い訳なんか通用するとでも?」
カホ「カチマチちゃん、この人の臭いで間違いない?」
カチマチ『クンクン…はい!事件現場に残ってたのはこの人の臭いです!』
痩せ男「わ、私は記者です!君達と同じように通り魔を追っていて…その時に臭いが付いてしまったんだ!」
カホ「それならなんでメグちゃんを襲ったんですか!」
痩せ男「そ、それは…女性がこんな時間にひとりで出歩くのは危ないから…注意しようと……」
コズエ「御託ならいいわ。メグミ、この人の体を探ってちょうだい。刃物を持っているはずよ」
メグミ「はーい」
痩せ男「あ、やめ…!どこ触ってるんだ…///」
メグミ「気持ち悪い反応しないでくれる?えーと、刃物は…」ゴソゴソ
393
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:47:10 ID:???00
メグミ「ん?」
カホ「どうしたんですか?」
メグミ「いや、この人刃物っぽいものは持ってなくて……」
コズエ「ちゃんと探しているの?」
メグミ「探してるってば!」
痩せ男「だから言ったでしょう!勘違いだって…!」
コズエ「…………いえ、どの道女性を襲おうとした不審者よ。ひとまずツヅリさんを呼びましょう。カホ、笛は持っているわね?」
カホ「もちろんです!」
ピーーーーーー!!!
痩せ男「な、何を……」
コズエ「この街に住んでる王国騎士を呼んだわ。あなたの身柄はその人に引渡します」
痩せ男「そ、そんな!」
メグミ「なーんか思ったより呆気なかったね」
カホ「連続殺人鬼って聞いてたから、もっと怖そうな人だと思いましたよ」
メグミ「たいして大男って感じでもないしね。まさか本当に人違いじゃ……」
394
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:49:35 ID:???00
コズエ「尋問はプロに任せましょう……それよりも、ツヅリさん遅いわね」
カホ「いつもはパッと現れるんですけどね」
メグミ「笛が聞こえなかったんじゃない?もっかい吹いてみたら?」
カホ「そうですね」ピーーー!
シーン……
コズエ「まあ、忙しいから私達にこの依頼をしてきたのだし、すぐには来られないわよね」
カホ「とりあえずこの男の人を縛っちゃいましょう!コズエちゃんもずっと抑えてるの疲れるでしょうし!」
コズエ「そうね。二人ともお願い」
痩せ男「…」
その時、上空の雲が風に動かされ、月がその姿を露わにする。
月光に照らされた男の目が、一瞬ギラリと光った。
395
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:51:12 ID:???00
痩せ男「…」 グググッ
コズエ「抵抗しても無駄よ。あなたの体格では私は退かせられないわ」
カチマチ『! 臭いが…変わった?』
カホ「どうしたのカチマチちゃん?」
カチマチ『この臭い…!事件現場でいつもしてた獣の臭いです!』
カチマチ『それがこの男の人からします!』
コズエ「え?でも使い魔なんて──」
バンッ!!
コズエ「きゃ!」
「「!!!」」
コズエはあろうことか、完全にマウントを取った姿勢から後ろに弾き飛ばされてしまった。
痩せ男(?)「ふぅー…ふぅー…」メキメキ
396
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 22:56:59 ID:???00
メグミ「なに…?あいつの体、なんか大きくなってない!?」
痩せ男(?)「お、お"お"お"お"!」
ニョキニョキ……フサフサ……
痩せ細っていた体はみるみる肥大化し、破けた服からは毛むくじゃらで筋肉質な上半身が露になる。
更には肉食動物のように鋭く伸びた爪や牙は、コズエ達に剥き出しの敵意を告げていた。
コズエ「まさか…人狼──」
人狼「…」ガシッ
ガシャーン!!
397
:
名無しで叶える物語◆T4k2UJeE★
:2025/05/05(月) 23:00:10 ID:???00
ワーウルフか
398
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 23:00:29 ID:???00
コズエ「がっ──」ボロ…
人狼は一瞬でコズエに近くと、その頭を鷲掴みにして外壁に叩きつけた。
カホ「え──コズエちゃん!?」
カホ(速い!!動きが見えなかった!)
人狼「油断シスギダ…自分達ナラ殺人鬼相手にモ楽勝だナンテ、本気デ思ッてイタノカ?」
カホ「っ!」ゾワッ
人狼の声は人の姿だった時よりも低く、そしてしゃがれている。
まるで肉食獣がその声帯で無理やり人間の言葉を話しているようだ。
メグミ「人狼…ってなによ!あいつ人間じゃなかったの!?」
カホ「人狼は人と狼の血が混ざった魔獣です!噂には聞いてたけど、本当に存在してたなんて…」
399
:
名無しで叶える物語◆PRLEhQiD★
:2025/05/05(月) 23:04:30 ID:???00
『ドラゴン』がトカゲとコウモリ、獅子などの血が交わり生まれた魔獣ならば、『人狼』はヒトと狼が交わって生まれた魔獣である。
普段は人の姿で街に溶け込み、月夜には真の姿を現し、人を襲うと言い伝えられている。
人狼「サテ、今夜は豪華ナ食事にナリソウダ」
カチマチ「ガルルル…ワン!」バッ!
カホ「あ、ダメ!!」
人狼「邪魔ダ」ザクッ
カチマチ「キャウン…!」バタ
カホ「カチマチちゃん!!」
カチマチは人狼の鋭い爪で皮膚を裂かれて、血を流して地面に倒れる。
人狼「犬の肉ハ不味い。ソレに毛ガ舌に張リ付ク」シュッ!
ガシッ!
カホ「かはっ…!」
カホ(また一瞬で距離を詰めて来た…!)
人狼「ヤハリ、女の体ガ一番ウマイ」ジュルリ
カホ「!!」
メグミ『エンジェルブロー!』🔥
人狼「フン…」スカッ
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