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ᶘイ^⇁^ナ川 えっ!? ちんちんを触らずに見抜きを!?
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ᶘイ^⇁^ナ川 できらぁっ!
愛「一人で何言ってんのさイナってぃー」
ᶘイ^⇁^ナ川 演劇の練習ですよ。帰ったらミイさんと一緒に舞台に立つんです
愛「台詞からストーリーが全く見えてこないんだけど……」
しずく「ミイちゃんも来れたら良かったんだけどね」
ᶘイ^⇁^ナ川 風邪ですし仕方ありませんよ……
今日は虹ヶ咲の皆で、栞子さんの親族が所有する無人島へ一泊旅行に行く日です。
ですがミイさんは前日に風邪を引いてしまってお休み。二人で無人島を見抜き回ろうと思ってたので、少し寂しいです。
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ᶘイ^⇁^ナ川 島はまだ見えませんか?
栞子「そろそろの筈だけど……」
無人島に行くのは初めてですね。
皆さんも私と同じようで、初体験に興奮しているのかあちこちで姦しく騒いでいます。
歩夢「島についたら一緒に散歩しようね、侑ちゃん」
侑「勿論だよはゆむぅ……」
かすみ「あはは……歩夢先輩、あんまり身を乗り出しちゃ落ちちゃいますよぉ」
歩夢さんがヨットの欄干から身を乗り出して、かすみさんに引っ張られています。はしゃいでますね。
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エマ「果林ちゃんいっぱい荷物持ってきたんだね?」
果林「日焼け止めに保湿剤に……旅行が終わったらモデルの仕事が入ってるのよ」
せつ菜「日焼けしたら駄目ってわけですね!!!!」
パンパンに膨れた鞄を持った果林さん。エマさんとせつ菜さんはその化粧品? ケア用品? よくわかりませんが、その多さに驚いているみたいです。
ミア「……」ウプッ
ランジュ「きゃあっ! ミアったら船酔いしたのね!?」
ミア「そ、そんなわけないだろ!? クルージングなんてアメリカで何度もして……うぷっ」
ミアさんは顔を真っ青にして、遠くを見ています。強がってますけど、多分酔ってます。
その背中をランジュさんが擦っていますね。
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イナ川さぁ…
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おお
続くのか
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彼方「すやぴ……zzz」
璃奈「彼方さん起きて。璃奈ちゃんボード『目覚まし』」
彼方「うーん……もうちょっと。璃奈ちゃんも一緒にお昼寝しようねぇ」ギュッ
璃奈「えぇ……」
彼方さんはいつも通りですね。愛用の枕を頭の下に入れて、すやぴしています。
起こしに行った璃奈さんも抱き着かれて、仕方なく寝始めたようです。もう着くというのに……。
「おっ……見えてきたよ、三船島」
タイミング良く船長さんが言って、遠くに小さな塊が見えました。
ᶘイ^⇁^ナ川 おおー……
それがどんどん大きくなって……気付いたときには、ヨットは島の船着き場に止まっていました。
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可愛いなぁイナちゃん
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ノレcイ´=ω=)
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ᶘイ^⇁^ナ川 すごいです! すごいです!
思っていたよりも大きな島に、ついはしゃいでしまいました。飛び上がる私を愛さんがひょいと持ち上げる。
愛「こらこら、飛び跳ねると海に落ちるぞー?」
ᶘイ^⇁^ナ川 海に落ちると?
愛「サメの餌になっちゃうよー?」クシクシ
ᶘイ^⇁^ナ川 キャッキャッ
栞子「しかし本当に大きいですね……」
しずく「あれ、栞子さん来たことなかったの?」
栞子「えぇ、話に聞いていただけです。こんな機会が無ければ無人島へ行こうなんて思いませんし」
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「この道をまっすぐ行くと屋敷があるからさ、そこを自由に使っちゃって。電気もガスも来てるし」
栞子「はい、ありがとうございます。船長さんは……?」
「アタシはこのヨットで寝るから。屋敷には無線もあるからさー、何かあったら連絡お願いね」
お屋敷があるならそこで寝ればいいのに、ヨットで寝るなんて変わった人です。
流されないように、とかあるのでしょうか?
「正直雇い主の娘さんと一緒に泊まると気疲れしそうだしねぇ」
なるほど、そういうことですか。
せつ菜「うぉぉぉぉ! 孤島にお屋敷! ミステリーの予感ですねぇぇぇっ!!」ダダダッ
璃奈「せつ菜さん、行っちゃった」
かすみ「あっ、ずるいですよぉ! 一番乗りは一番かわいいかすみんのものです!!」ダダダッ
何人か、船長さんへの挨拶もそこそこにお屋敷に走っていってしまいました。
確かに孤島のお屋敷……なんともミステリアスな響きで、見抜きが捗りそうです。
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しずく「私達は景色を見ながら歩いていこうね、イナ川さん」
ᶘイ^⇁^ナ川 はい!
しずくさんと愛さんとお手手を繋いで……と思ったのですが、二人と手を繋ぐと宙ぶらりんになってしまいます。
折衷案で愛さんとしずくさんに手を繋いでもらい、私はその後ろをトボトボ歩いていきました。
栞子「抱っこしてあげましょうか?」
ᶘイ^⇁^ナ川 子供じゃないんですから結構ですよーだ
栞子「そうですか」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……やっぱり抱っこしてください、栞子さん
栞子「はいはい」クスッ
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孤島サスペンスの流れ
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イナ川は身長どれくらいだっけ
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歩夢「手入れはされてるのかな? 道も意外と整備されてるね、侑ちゃん」
果林「無人島って感じはあんまりないわね」コツコツ
石畳、って言うんでしょうか?
レンガのような模様の綺麗な道が、真っ直ぐに船着き場から森の奥へと伸びています。
道の脇には街灯もあって、確かに無人島らしさはあんまりないですね。
ᶘイ^⇁^ナ川 人は住んでない……んですよね? だから無人島なんですし
栞子「手に入れた時からこんな感じだったみたいですよ。整備はしているみたいですけど」
エマ「へぇ……前の人、なんで手放しちゃったのかな? こんなに素敵な道路を敷くくらいなのに」
栞子「そこまでは……」
ᶘイ^⇁^ナ川 でも、この島を開拓した人が売ってくれたおかげで私達が島に来られたんですから。ラッキーです!
愛「……ん?」
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ᶘイ^⇁^ナ川 どうしました?
愛「ん? いや……気のせいだと思う」
しずく「それ言われると気になるやつじゃないですか」
愛「いや本当に大したことじゃないんだけど……」
愛「森の中から一瞬、視線を感じたような……」
……視線?
愛さんが見ている方へ目を向けても、鬱蒼と茂った森が広がっているだけで、他には何もありません。
果林「無人島だし人は無いわよね……動物とか?」
エマ「ヤギかな? ヤギかなぁ?」
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彼方「クマだったり……」
ᶘイ゜⇁゜ナ川 く、くま!
愛「そりゃクマったね」
ᶘイ;⇁;ナ川 クマは怖いですー! 怖いですぅ!
クマは恐ろしい生き物です。見抜きで鍛えあげたこの肉体でも勝てません。きっとクマは射精も早いでしょうし。
栞子「大丈夫ですよ、大型の動物はいないと聞いていますから。小動物くらいならいるかもですが」
璃奈「あ、リス」
愛「あのリスの視線かな? かわいいね、どんぐりあげるからおいでー?」
リス「チューチュー!」
ᶘイ^⇁^ナ川 リス族を舐めるな下等なヒトメスが、って言ってますね
愛「どんぐり投げてやる」ビュッビュッ
リス「ヂュウッ!?」
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歩夢「あんまり虐めると可哀想だよ」
愛「け、けどあのげっ歯類が……!!」
歩夢「ほら、侑ちゃんも言ってあげて」
侑「やめなよ」
愛「……うん、ごめん」
そんな話をしながら歩いていると、不意に森が開けました。
森を抜けた先にあったのは、大きな庭園。花壇には何も植えられていませんが、本来ならば色とりどりの花が咲き誇っていたのでしょうね。
そして、その先には……。
ᶘイ^⇁^ナ川 おおー! おっきいです!
二階建ての、大きな建物がありました。漫画やテレビで見る洋風のお屋敷……密かに憧れていましたので、なんとも言えないじんわりとした嬉しさが心に広がります。
せつ菜さんが嬉ションしていないか心配になりました。
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開け放したままのドアを通ると、大きな玄関ホールが出迎えてくれます。目の前には巨大な階段、まるでホテルのロビーのような広さに目を丸くしてしまいます。
うぉぉぉおおお!!!
らぁぁぁぁああ!!!
屋敷のどこかから、せつ菜さんとランジュさんの声が響いてきました。テンションが振り切れているようで微笑ましいですね。
ミア「テンション高すぎなんだよ、あいつら。ボクみたいにゆっくり出来ないものかな」
やってきた私達を見て、ホールのソファでくつろいでいたミアさんが呆れたように肩を竦めました。
ミアさんも船着き場から嬉しそうに走っていったのは私の見間違いでしょうか。
ᶘイ^⇁^ナ川 私も探検してきていいですか?
栞子「本当なら部屋割りや食事の集合時間を決めてから……と言いたいのですが」
栞子「かすみさん達も戻ってこなさそうですし、自由行動ということにしましょうか」
ᶘイ^⇁^ナ川 やったー!
-
ᶘイ^⇁^ナ川 彼方さん彼方さん、探検しましょう。今なら特別に見抜きしてあげますよ
彼方「彼方ちゃんはねぇ、ちょっとおネムだねぃ。すやぴzzz」
ᶘイ;⇁;ナ川
歩夢「私達も探検しよっか、侑ちゃん!」
侑「うん、そうだね歩夢」
愛「……」
ᶘイ^⇁^ナ川 愛さーん
愛「ん? どしたのイナ川ー?」
ᶘイ^⇁^ナ川 探検行きましょー。彼方さんにはフラレちゃいました!
愛「いいよー。愛さんイナ川の2番目の女でもいいもんねー」ウリウリ
ᶘイ^⇁^ナ川 照れますねぇ
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あいいな尊い
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しずく「イナ川さん探検いくの? 私も行きたいな」
ᶘイ^⇁^ナ川 勿論ですよ!
ミア「やれやれ、そんなに頼むならボクも一緒に……」
ᶘイ^⇁^ナ川 頼んでないです
ミア「……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……ミアさんも行きます?
ミア「……行く」
ᶘイ^⇁^ナ川 栞子さんと璃奈さんは……
栞子「私は調理場と部屋の数を確認したいので、別行動でお願いします」
璃奈「私も。船旅で疲れちゃったから、彼方さんとゆっくりする」
彼方「んー、おいでぇ。一緒にすやぴしようねぇ」zzz
璃奈「すやぴ、すき」zzz
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早速探検に……おや、果林さんとエマさんはお二人で化粧品を塗っていますね。
ᶘイ^⇁^ナ川 それなんですかー?
果林「日焼け止め以外にも色々あるのよ?」
エマ「新色のコスメなんかも……イナ川ちゃんも使ってみる?」
ᶘイ^⇁^ナ川 困ります……これ以上美人になったら
エマ「あはは……」
果林「これとか、塗ると肌が白くなるのよ?」ピタピタ
ᶘシ^⇁^ロ川
愛「へぇ、凄いね真っ白じゃん?」
果林「愛も試してみる? 肌が合うか分からないから軽く腕に……」ピタピタ
愛「おぉ……塗ったところだけ真っ白だ」
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ᶘイ^⇁^ナ川 お二人は探検には……
果林「やめておくわ。疲れちゃったし」
エマ「私も果林ちゃんと一緒にいるよ。あ、これ!
そばかすが消えるって噂の化粧品……」
ᶘイ^⇁^ナ川 そばかすを消すなんてとんでもない! シコリティが下がります!
エマ「えっ!? そ、そうかな?」
ミア「エマのそばかすはチャーミングなんだから、消さなくてもいいんじゃない?」
エマ「ん……ミアちゃんが言うなら……」
しずく「……」
しずくさんがハートを出してますね。百合の波動を感じたのでしょうか。
こういう時のしずくさんが書くエロSSはとてもドスケベで淫らなんですよね。夜に期待しちゃいます。
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そうと決まれば私達四人は、くんずほぐれつ探検を開始しました。ミイさんがいれば決起の見抜きをしていたのですが、人生とはままならんもんです。
ᶘイ^⇁^ナ川 二階は全部客室みたいですね?
愛「ひーふーみー……8つかな?」
しずく「12人だから最低4人は同室だね」
ᶘイ^⇁^ナ川 私は栞子さんと寝ます!
ミア「イナ川は一人じゃ寝れなさそうだしね。家でもぴっぴさんに添い寝してもらってるんだろ?」
ᶘイ^⇁^ナ川 むっ! 失敬な! 一人で寝てるんですけど!
嘘をつきました。
本当は毎日ぴっぴさんに添い寝してもらって、ぎゅっと抱きしめてもらわなきゃ寝れません。お化け怖いですもん。
愛「部屋は……おぉ、広いね」
1部屋1部屋にユニットバスが備え付けられて、ベッドはキングサイズというんですかね? 大きいのが一つ。
ホテルにありそうな鏡のついたテーブルが壁際にありました。唯一ホテルと違うのは、テレビがないことです。
ᶘイ^⇁^ナ川 旅館によくある謎の空間がありませんね
ミア「部屋の奥にある小さな椅子とテーブルがあるやつ? あれはボクも好きだよ、和風って感じで」
しずく「流石に普通の家にあの謎空間はないかな」アハハ
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愛「他の部屋も全部同じかな……あ、せっつーだ」ガチャ
せつ菜「ランジュさん! 暴れないでください!」バタバタ
ランジュ「何やってるラ! 冗談でもよすラ!」バタバタ
愛「なにやってんの?」
ランジュ「淫夢ごっこに決まってるじゃない!」
せつ菜「すいません、人前で淫夢ごっこは恥ずかしいことでしたね……」
愛「人前じゃなくても恥ずかしいよ。存在が」
ᶘイ^⇁^ナ川 ここも謎スペースはないですね……
せつ菜「謎スペース?」
ᶘイ^⇁^ナ川 旅館にあるやつです
ランジュ「広縁ね。ランジュも好きよ!」
しずく「かすみさんは一緒じゃないんですか?」
せつ菜「かすみさんなら1階の大浴場を見に行きましたよ!」
大浴場もあるんですね。ますますホテルめいてきました。
この屋敷、元々はホテルか何かに使う予定だったんでしょうか?
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淫夢ごっこを再開した二人を残して、私達は一階に降りました。ホールから右に行くと食堂とキッチン、左に行くと大浴場と娯楽室があると二人は言っていましたが……。
ᶘイ^⇁^ナ川 とりあえず大浴場と娯楽室から見ますか
ミア「娯楽室はボクも一度見てきたけど……何もないよ?」
ᶘイ^⇁^ナ川 えっ……娯楽室なのに?
ミア「ただの広い部屋さ。鍵も壊れててかからないみたいだし」
愛「まぁ無人島だしね。使う人もいないんじゃ仕方ないって」
ビリヤードくらいは置いておいてほしかったですが……まぁ、あっても手が届きませんけど。
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ミア「一応見るかい?」
大浴場までの道すがら、ミアさんが言うので一応覗いてはみましたが……確かに何もありません。
殺風景な部屋の中、もふもふした茶色い絨毯が引かれているだけです。ここで出来る娯楽なんて、お昼寝くらいじゃないですか。
ミア「つまらないだろ?」
しずく「本当に鍵も壊れてる……」ガチャガチャ
ᶘイ^⇁^ナ川 ここまで手が回らなかったんですかね
思ったよりも面白くない娯楽室でした。
さっさと大浴場に向かいましょう。
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かすみ「ふーん……うーん……」
大浴場に入ると、浴槽を見ながらうんうん唸っているかすみさんがいました。
左手には数人くらいでいっぱいになりそうな小さなサウナ。身体を洗う為の桶なんかが入ってすぐ右に積まれています。
ᶘイ^⇁^ナ川 かすみさーん
かすみ「わぷっ!? 急に飛び込んでこないでよイナ子!」
ᶘイ^⇁^ナ川 何見てたんですか?
かすみ「これ。浴槽のところに効能が書いてるんだけど……」
愛「効能? 家の風呂に効能……?」
ミア「やっぱり元ホテルか何かなのかな、ここ……?」
かすみ「美人の湯、って書いてあるんですよぉ」
「「「「美人の湯!?」」」」
美人の湯……美人が溺れた悲劇的伝説がある、というわけじゃなくて、肌がツルツルになって肌年齢が若返る成分が含まれているってことらしいです。
今でも肌ツルツルですのに、これ以上ツルツルになったら……ミイさんから逆に見抜きされてしまいますね。恥ずかしいです。
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かすみ「入りたいんですけど、皆に合わせないと冷めちゃいますし……」
ミア「お風呂冷めちゃった、なんてことになったらつまらないもんなぁ」
愛「ご飯食べたらお風呂だろうし、キッチンにしおってぃーがいる筈だから確認してみたら?」
かすみ「そうします! 皆でお肌ツルツル美人になりましょうねぇ」
しずく「かすみさんは今でも十分美人だけどね?」
かすみ「? 知ってるよ?」
あくまで高みを目指すその飽くなき探究心……顔文字淫獣として見習わなければなりませんね。私もツル川になって、ミイさんに頬ずりしてあげましょう。
顔文字淫獣同士なら効能が移るかもしれませんし。
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キッチンに行ったかすみさんを追ってキッチンに……行く前に屋敷の外の探検です。
玄関ホールからドアをくぐって、庭園へ。綺麗な花壇なのに、一つも花が咲いていないのは何だか寂しいですね。
しずく「多分何もないと思うけど……」
ᶘイ^⇁^ナ川 何もないがあるって言うじゃないですか
ミア「ふうん。色即是空ってやつか」
愛「ミアち日本語めっちゃ詳しいよね……?」
ミア「ま、ボクもランジュもエマもN1取ってるからね。そこいらの日本人には語彙力で負けたりしないさ」
N1というのは日本語能力試験のことです。私も例題を見てみたことがありますが、何問か『このニュアンス外人に伝わらないだろ』と思ったことがありますね。
キャリアの意味とか出てきてこれ日本語扱いでいいのか? とも。
ᶘイ^⇁^ナ川 あっ、倉庫がありますよ!
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淫獣同士で草
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愛「倉庫……って言っても何も入ってないんじゃない?」
ミア「無人島だしね。どれどれ……」
ミアさんがシャッターを開けると、もうもうと埃が舞いました。屋敷と違って、長い間誰も入っていないみたいです。
倉庫の中には愛さんの予想とは裏腹に、工具が一通り揃っていました。
しずく「ナタにチェンソーに……万力まである」
愛「うーわ、せっつーじゃないけどさぁ。なんだか本当にミステリー感出てきたね」
ミア「やめろよ! 屋敷にチェンソーなんて……ホラー映画じゃないか!」
愛「あっ、ミアちはそっちか」
ᶘイ^⇁^ナ川 確かに海外だと殺人事件よりパニックホラーですよね
倉庫の中にはなんと財宝の在り処を示した地図や謎の碑文が! となれば面白かったんですが……倉庫はただの倉庫でしかなく、中に入っているのは工具くらいでした。
まぁそんなもんですよね。
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しずく「じゃあ気を取り直してキッチンに……」
ᶘイ^⇁^ナ川 はい! あれ?
愛「……」
倉庫の奥で愛さんが何かしてますね。
いたずらでも? いやいや、かすみさんじゃありませんし。
ᶘイ^⇁^ナ川 愛さーん、どうしました?
愛「なんでもないよー。このナタかっこいいな、せっつーに見せたら喜ぶかなって思っただけ」
しずく「せつ菜さん、そういうの好きそうですもんね」
ミア「淫夢ごっこがひぐらしごっこになるだけだろ」
惨劇が起こりそうなごっこ遊びですね。
まぁ、今日のメンバーは仲良しばかりなんですから、ひぐらしみたいな惨劇は起こらない筈です。
殺人なんて……ううっ、考えただけで震えてしまいますよ。ミイさんで見抜きしているところを想像して身体を落ち着かせないと。
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ᶘイ^⇁^ナ川 では、キッチンに行きましょう!
愛「あ、ごめん。愛さんちょっとヨットに忘れ物しちゃってさ」
ᶘイ^⇁^ナ川 そうなんですか?
愛「うん、取りに行ってくるね」
ミア「愛はおっちょこちょいだね。半分寝てた彼方ですら忘れ物をしなかったのに」
愛「忘れ物ってついうっかりしちゃうものだからさー。許してよミアちぃ」ムニムニ
ミア「ちょ、どこ触って……んっ!」
愛「じゃ、行ってくるねー」
ᶘイ^⇁^ナ川ノシ イナバーイ
しずく「じゃあキッチンに行こうか? 多分歩夢さんもキッチンにいると思うし」
ミア「……そ、そうだね」ドキドキ
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愛さんを見送って、また玄関ホールに入って右へ。
まっすぐ進んだ先の食堂には栞子さん、かすみさん、歩夢さんがいました。
栞子「おや、イナ川さん達。探検は終わりましたか?」
ᶘイ^⇁^ナ川 はい! 楽しかったです!
栞子「それはよかったですね」ニコッ
かすみ「キッチンの方はまだ見てないでしょ? 凄いよ、食材いっぱい用意してくれてるんだよ」
しずく「本当?」
歩夢「お肉も野菜もお魚も……あんなに食べきれるかな? 侑ちゃんすぐお腹いっぱいになっちゃうし」
侑「歩夢が食べさせてくれたらいくらでも食べられちゃうよー!」
歩夢「もうっ、侑ちゃんったら」
ᶘイ^⇁^ナ川 歩夢さんが食べきれない量となるととんでもなさそうですね
歩夢「イナ川ちゃんそれどういう意味!?」
アハハ……ハハハ……
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色々伏線多そうで気になる
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それから愛さんが戻ってきて、続々とお昼寝組やお化粧組、淫夢組が食堂へと集まってきました。
栞子「それでは、ご飯を食べてからお風呂に。後は自由行動で……12人ですか。部屋はどうします?」
ᶘイ^⇁^ナ川 私は栞子さんと一緒です!
栞子「イナ川さんは12人の中に入ってないです。多分私と寝ると思いましたし」
ᶘイ^⇁^ナ川 顔文字淫獣だからって差別は駄目ですよ?
果林「私とエマも同室でいいわ。寮でもよく一緒に寝てるし」
愛「りなりー、一緒に寝る?」
璃奈「彼方さんと寝る」
愛「り、りなりー?w」
彼方「いいよぉ。璃奈ちゃん柔らかくて、抱き枕みたいで気持ちいいんだよねぇ」
話し合いの結果。
果林さんとエマさん。
彼方さんと璃奈さん。
ランジュさんとミアさん。
かすみさんとしずくさん。
がそれぞれ同室で寝ることになりました。璃奈さんにフラレた愛さんがシオシオのパーになっていて可哀想でしたね。
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そうと決まれば早速料理……と言いたいところですが私は調理台に届きません。
仕方ないので、せつ菜さんが料理をしたがるのを押さえ付ける役になりました。せつ菜さんに作らせたら殺人兵器が出来てしまいますからね。
結局愛さん、歩夢さん、彼方さん、栞子さんの四人が料理を作って、残りのメンバーでせつ菜さんの暴走を抑えることに終止しました。
途中吹き飛ばされましたが、三人に分身することでなんとか押さえ込みに成功しました。せつ菜さんにも困ったものです。
愛「料理出来たよー」
ᶘイ^⇁^ナ川 おお、美味しそうですね!
愛「愛さんはお好み焼き! 切り分けといたから配るねー」
歩夢さんの具たっぷりラーメン、彼方さんのお肉がたっぷり入った野菜炒め、栞子さんのチンジャオロース……次から次へと料理が運ばれてきます。
調理組も交代で食事に入って……食事が終わる頃には全員、お腹がまんまるに膨れていました。
ᶘイ ^⇁^ ナ川 美味しかったですねぇ……
愛「愛さんもう食べられないや……」
-
栞子「げぷっ……失礼しました。お風呂に入る人は先に……お湯は溜めておきましたので……」
果林「じゃあ私先に入るわ……うっ」
かすみ「かすみんだって入りますよぉ……! うぷっ……」
歩夢「侑ちゃん、私達も入ろっか?」
侑「背中流してあげるね、歩夢」
せつ菜「私も入ります!!! ……げほっ」
ᶘイ^⇁^ナ川 入りたいですが迷いますね……お腹いっぱいですし
そもそもお腹いっぱいのときに入って大丈夫なんですかね? 血糖値とか……。
エマ「私洗い物してくるね」
ミア「ボクも手伝うよ……ふぅ」
愛「うぶっ……皆、食後のコーヒー持ってくるから待ってて……」
愛「洗い物は後でいいよ……」
お腹はいっぱいでしたが食後のコーヒーは別腹です。
愛さんの入れてくれた美味しいコーヒーを飲んで、すっきりリフレッシュ……とはならず、相変わらずお腹はパンパンで苦しいですが、まぁ仕方ないことです。
ᶘイ^⇁^ナ川 ……ふぁ
-
お腹いっぱいになって、なんだか眠くなってきました。
ドカシコり気絶部の者として、ドカ食い気絶部のような状況でなんだか恥ずかしいです。
ᶘイ=⇁=ナ川 なんだか眠たいです……
愛「ふぁ……そうだね、愛さんも眠いや……」
ミア「食べすぎたかな……」
栞子「んん……お風呂組は大丈夫ですかね……湯船で寝たら死んでしまいますよ……」
うとうとが止まらない。
なんとか気怠い身体を持ち上げて、二階の部屋まで行こうとしたのですが……階段を上がるのも億劫です。
なんとか階段を登りきって、手近な部屋に入って。
ベッドに倒れ込んだ後は。
意識が。遠ざかって。
暗闇。
-
……ちゃん! ……川ちゃん!!
ᶘイ^⇁^ナ川 ふぁ……?
身体を揺さぶられる感触で目を覚ましました。
気怠い感覚が身体に纏わりついているみたいで、なんだかスッキリしない目覚めです。
エマ「良かった……イナ川ちゃんは生きてた……」
ᶘイ^⇁^ナ川 なんですかエマさん……寝てたのに……
ᶘイ^⇁^ナ川 ……私『は』生きてた?
その言葉に眠気が一気に吹き飛ぶ。
生きてた? なんですか、その言い方は。
それじゃあまるで。
誰か死んだ人がいるみたいじゃないですか。
そんなことあるわけないのに。
そんなことがあるわけないのに。
-
エマ「落ち着いて聞いてね。……えっと、えっとね」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
聞いてはいけない。
そんな気がします。
聞いたら戻れない。
楽しい日常にもう。
戻ることは出来ず。
暗闇に落ちていく。
だけど、そんな私の逡巡をエマさんは無視して。
短く、言った。
エマ「下の娯楽室で六人、死んでるの」
エマ「彼方ちゃん、璃奈ちゃん、愛ちゃん、しずくちゃん、ミアちゃん」
エマ「そして……栞子ちゃん」
は、は、は。
ははははは。
はははははははは。
は?
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寝ます
-
最初から12人カウントなのには何か意味があるのか……?
抜けてるメンバーは居ないはずだよな?
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愛さん死んでんのか
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>>44
確かに ᶘイ^⇁^ナ川抜いても13人のはず
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ᶘイ^⇁^ナ川 怖いです怖いです〜
-
侑ちゃん不気味だな
-
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
娯楽室。
一度内部を確認した時には、絨毯以外の何も無かったこの部屋。
ᶘイ;⇁;ナ川 ……
エマさんに起こされ、慌てて駆けつけた今は……違いました。部屋の中には六人分の身体が転がっていて。
六人が死んでいるのは誰の目にも明らかで。
だって、その身体には。
ᶘイ;⇁;ナ川 なんでこんな……酷いこと……
首が無かったのですから。
六人の首無し死体が、寄り添うように部屋の中で固まっていました。
ランジュ「ミア……起きてよ、ねぇ……」
せつ菜「ランジュさん駄目です……警察が来るまでこのままに……!」
虚ろな目をしたランジュさんがミアさんを揺すっているのを、せつ菜さんが必死に止めています。
警察……そうです、警察を呼ばなければ……。
-
ᶘイ;⇁;ナ川 栞子さん……
私を撫でてくれる柔らかな手。お母さんのような優しい香り。
ミイさんで過酷な見抜きをしている私を見て苦笑するその笑顔。
愛さん、抱きしめてくれたことを覚えてます。
璃奈さん、見抜きグッズを作ってくれたの嬉しかったです。
しずくさん、夜泣きしている私にエロSSを朗読してくましたよね。
ミアさん、素直じゃないところも大好きでしたよ。
その全てが。
今はもうない。
果林「はっ……はっ……」バタンッ
かすみ「駄目です! 船長さん、いません!」
娯楽室に飛び込んでくるなり、汗だくの二人が言いました。
果林「無線機はあったけど使い方が分からなかったわ……警察への連絡はまだ出来てない」
ᶘイ;⇁;ナ川 ……
果林「っ……ごめんなさい、話は食堂の方へ移動してからでいい? 流石に……」
エマ「うん……」
せめて、と遺体に毛布をかけて首のないその姿を見えないようにして、私達は食堂へと移動しました。
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エマ「詳しく説明してもらっていいかな? イナ川ちゃんも起きたばかりで状況が分かってないし……私も正直、まだよく理解出来てないんだ」
食堂へついて、エマさんの淹れてくれたコーヒーを飲んでから、果林さんとかすみさんは、寝ていた私にも分かるようにぽつりぽつりと話をしてくれました。
果林「……最初から説明するわね。私達が先にお湯を頂いて、大浴場から上がってきたところから」
果林「大浴場からホール側に向かう廊下に娯楽室があるじゃない? あそこの電気がついていたのよ」
歩夢「大浴場に向かった時には真っ暗だったし、鍵もかかってたんだよね。ね、侑ちゃん」
侑「歩夢が開けようとしたけど開かなかったんだよね」
果林「それで……少し気になって。誰かいるのかしらって」
果林「それに、ね。なんて言えばいいのかしら……嫌な臭いがしたのよ」
ᶘイ^⇁^ナ川 嫌な臭い……
娯楽室に入る前、ホールにいる時からムンムンと血の臭いが漂っていたのを思い出します。
-
果林「それでドアノブを回してみたら開いて……中であの六人が亡くなってたのよ」
かすみ「それで、皆パニックになったんですけど……とりあえず船長さんに連絡して警察を呼んでもらおうってことになって」
果林「食堂にあった無線機を探しに来たらエマが机に突っ伏してたのよ……あの時は肝が冷えたわ」
エマ「眠くなっちゃって寝てたの……部屋に行くより眠気を優先しちゃって。ごめんね」
確かにエマさんは最後まで「洗い物を……」って言ってましたし、洗い物をするか寝るか迷ってるうちに寝ちゃったんでしょうかね?
果林「無線機を試したんだけど応答がない。だから寝ているのかもと思って、私とかすみでヨットまで呼びに行ったのよ」
ᶘイ^⇁^ナ川 なるほど……
-
>>50 訂正
ᶘイ;⇁;ナ川 栞子さん……
私を撫でてくれる柔らかな手。お母さんのような優しい香り。
ミイさんで過酷な見抜きをしている私を見て苦笑するその笑顔。
愛さん、抱きしめてくれたことを覚えてます。
璃奈さん、見抜きグッズを作ってくれたの嬉しかったです。
彼方さん、お昼寝する私と一緒にすやぴしてくれましたよね。
しずくさん、夜泣きしている私にエロSSを朗読してくましたよね。
ミアさん、素直じゃないところも大好きでしたよ。
その全てが。
今はもうない。
果林「はっ……はっ……」バタンッ
かすみ「駄目です! 船長さん、いません!」
娯楽室に飛び込んでくるなり、汗だくの二人が言いました。
果林「無線機はあったけど使い方が分からなかったわ……警察への連絡はまだ出来てない」
ᶘイ;⇁;ナ川 ……
果林「っ……ごめんなさい、話は食堂の方へ移動してからでいい? 流石に……」
エマ「うん……」
せめて、と遺体に毛布をかけて首のないその姿を見えないようにして、私達は食堂へと移動しました。
-
エマ「残った私はランジュちゃんとイナ川ちゃんを起こして……」
せつ菜「私は歩夢さんの側にいました。震えて泣いていましたので心配で……」
歩夢「何かした方がいいかと思ったんだけど……怖くて動けなかったんだ」
屋敷に残ったのはせつ菜さん達。
ヨットに向かったのは果林さん達。
寝ていたのはエマさん、ランジュさん、私。
かすみ「走ってヨットに向かったんですけど、中にも船長さんはいなくて……」
果林「ヨットの無線機は使い方がよく分からなくて、そのまま戻ってきたのよ」
果林「これで全部、だと思うけれど」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
話を聞いて一つだけ分かったことがあります。
多分、皆気付いてはいるんでしょう。あえて口に出すまでもない……イタズラに不安を煽るだけだと思っているのでしょうか。
しかし、言わなければ現状をキチンと捉えることは出来ませんよね。
私は、皆さんを見回してから。ゆっくりと言いました。
ᶘイ^⇁^ナ川 栞子さん達を殺害した犯人は、船長さんですよね?
-
果林「それは……」
ランジュ「……ううん、イナ川の言う通りよ。ヨットに船長がいないって聞いた時点で、その可能性には思い至ってた」
ランジュ「私達の中に人殺しなんているわけないラ。ずっと一緒に活動してきた仲間を殺す人間がいるわけないわよ!!」ドンッ
ᶘイ^⇁^ナ川 ランジュさん……
果林「……そうね。目的は分からないけれど、そう考えるのが自然かもしれないわ」
かすみ「そうですよぉ! それに……」
かすみさんは此方をチラッと見て、そこで止める。
きっと彼女はこう言いたかったんでしょう。
お風呂組には相互にアリバイがある。
もし仮に私達の中に犯人がいるなら、殺せたのは……。
ランジュさんとエマさんを見る。二人とも、人を殺せるような人ではない。
仲間を疑うような真似はしたくはありません。仲間で見抜きをしないくらい最低なことです。
ᶘイ^⇁^ナ川 どう……しましょうか
-
せつ菜「そうですね……こういった殺人事件が起こると、離れ離れになった人が次に殺される、というのが定石です!!!」
歩夢「皆で一緒に過ごすのが一番だと思うよ」
ᶘイ^⇁^ナ川 一泊の予定でしたし、明日の夜に帰らなければ騒ぎになると思います
ᶘイ^⇁^ナ川 そうなれば栞子さんの家から誰か来てくれる筈……それまでの辛抱です
その後簡単に話し合った結果、
船長さんの襲撃を避けるために何があっても全員で行動する。
基本は食堂内で過ごし、トイレに行きたい時は最低二人で客室に向かう。
睡眠は毛布だけ客室から持ってきて交代で行う。
という形に落ち着きました。
歩夢「でも……武器とかなくていいのかな? ねぇ、侑ちゃん」
侑「あった方がいいとは思うけど……そんなのある? キッチンにある包丁くらい?」
果林「確かに……首を切り落とすくらいだから、向こうも刃物は持ってるのよね」
ᶘイ^⇁^ナ川 武器……それなら、倉庫にいくつかありましたよ
-
探索をしておいて不幸中の幸いでした。
私達は全員で固まって、倉庫まで移動しました。いつ襲われてもおかしくない、そんな緊張感の中で……。
果林「……埃っぽい倉庫ね。足跡は結構あるけど」
ᶘイ^⇁^ナ川 私達が探検をした時に歩いちゃいましたので……うっ!?
倉庫の電気を付けた瞬間、それが目に入りました。
血の付いた、ナタ。
それが何に使われたのかは、この場にいる全員が一瞬で気付いたと思います。
歩夢「……うっ、ううっ」ポロポロ
せつ菜「歩夢さん……」
ランジュ「許さない……あの船長、絶対に許さないわ……」
殺してやるっ……!
呟くように言ったランジュさんの言葉が、歩夢さんの泣き声に混じってコンクリートの倉庫の中にシンと響きました。
私達はそのナタをなるべく見ないように、武器になりそうなものを探しました。
倉庫の中には物が多く。チェンソー、スコップ、ノコギリといった分かりやすいものから、ペンキ、瞬間接着剤、掃除機なんてものまで……。
果林「なるべく武器になりそうなものは全部食堂に運びましょ。また船長に使われても厄介だし」
エマ「……これは?」
血の付いたナタ……これも置いておけば、また船長が手にしてもおかしくありません。布で包んで、嫌そうに果林さんが持ち上げていました。
-
船長の動機は何なんだろうな
-
果林「……」
食堂に一度武器になりそうなものを運び、キチンと玄関ドアに施錠をしてホールに戻りました。
何とも言えない雰囲気の中、ランジュさんがポツリと言いました。
ランジュ「もう一回、娯楽室に行っていい……?」
果林「娯楽室に……?」
ランジュ「ミアとちゃんとお別れ出来なかったから……バイバイを言いたいの」
歩夢さんが暗い顔で俯きました。あの光景を見たくなかったのでしょう。
それは私も同じでした。あの首無し死体をもう一度見る勇気は……私にはありません。
結局私と歩夢さん、かすみさんは娯楽室の外で待ち、残る四人が娯楽室の中に入るということになりました。
ホールから左へ向かって娯楽室へ……。
果林「……は?」
血の道。
娯楽室から真っ直ぐに大浴場へと続く血の道が、廊下に続いていました。
開け放たれた娯楽室の中には遺体はなく、ただ血だまりと、血で出来た轍だけが残されています。
ᶘイ^⇁^ナ川 遺体がない……?
-
しかし、首無し死体だってのにどうやってどれが誰だか判別したんだろうな
-
かすみ「大浴場……」
血の道を追うように私達は大浴場の方へと向かいました。
血は脱衣所を越えて、浴室まで繋がっていて。扉を開くと湯気の向こうに、赤い湯が見えました。
そして。浴槽の中で浮いている六つの首無し死体が、怯えた私達を出迎えて。
ランジュ「あ……」
ランジュ「あぁぁぁぁぁっ!!? な……なんでっ、なんでここまでっ!! 酷いことが出来るのよぉっ!!」ポロポロ
果林「酷い……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
私達が食堂から倉庫へ向かった際に移動させたのでしょうか……。わざわざ死体を浴槽に浮かべるなんて……。
なんの為に、そんなことを……。
-
発見された遺体をわざわざ風呂場に運ぶ理由か……
湯気のある風呂場となると、腐敗の促進?
とは言っても、遺体腐らせたくらいで消せるものなんて精々触れた痕跡とか小さな傷跡くらいだもんなぁ……
-
「出てこい、殺してやるラァっ!!」と暴れて、サウナを開けたり脱衣所のロッカーを殴ったりしているランジュさんを落ち着かせ、遺体を浴槽から脱衣所へ引き上げると私達は食堂へと戻りました。
水をたっぷり吸った衣服が重くて、引き上げるのは大変でしたが……。
何とも言えない微妙な雰囲気が漂っていました。
船長は外ではなく、この屋敷の中にいる。それが確定したことによる恐怖だったのかもしれません。
果林「……食材、大丈夫かしら」
果林さんの言葉に、皆青い顔でキッチンの方を見ました。どの道、この状況では何も食べられないですが……。
歩夢「なんで……あんな事したんだろうね」
ᶘイ^⇁^ナ川 あんな事、というのは殺人の方ですか? 死体移動の方ですか?
歩夢「両方……だけど、後者かな。首を斬った後にわざわざお風呂に入れるなんて……」
せつ菜「死亡時刻を誤認させる、なんてフィクションではよくありますけど……この場でやっても意味ありませんしね」
せつ菜「服も着たままでしたし、何か回収しようとしたわけではない……? うーん……」
ランジュ「殺人鬼の考えなんて分かるわけ無いでしょ!? ただ私達を驚かせたかっただけよ!!」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
そうなんでしょうか。しかし、私達が犯人の思惑を理解出来るわけもなく、時間は無駄に過ぎていきました。
-
>>62
気持ちわかるけど展開潰しになりかねないから考察は避けたほうがいいよ
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>>64
ごめんなさい
-
いや別に推理は歓迎よ
真実を見抜け
-
作者からお許しが出たならやってやルと申します
-
交代で眠り、異様な空気の中で……誰も言葉を発することはありませんでした。
ちら、と時計を見ると午前7時になっていました。
本来ならばお台場の船着き場に着くのが午後3時……そこで私達がいなければ、迎えに来たぴっぴさん達が不審に思ってくれる筈です。
浴槽事件以降船長の襲撃はない……だから、私達は油断していたのかもしれません。
せつ菜「んん……コーヒー淹れてきますね」
眠そうに言ったせつ菜さんがドアを開けて、奥のキッチンに行きました。
別にせつ菜さんがコーヒーを淹れることが油断だったわけではありません。いくら彼女でもお湯を入れるだけなら紫ヘドロは作りようがありませんしね。
せつ菜さんがキッチンに行ってから二分後。ドタっ、と。
何かが倒れる音が聞こえて。
ᶘイ^⇁^ナ川 ……せつ菜さん?
果林「!」ダッ
果林さんがキッチンへのドアを開けて、すぐに。
果林「っ!! せつ菜ァッ!!」
飛び込んでいく果林さんのただ事でない様子に、私達も立ち上がりました。
開け放たれたキッチンのドアの向こう。その先に。
ᶘイ^⇁^;ナ川 ……そんな
頭を割られたせつ菜さんの死体がありました。
-
キッチンの中に果林さんの姿はありません。
ランジュ「やだっ!! せつ菜ぁ……やだぁぁっ……」ポロポロ
歩夢「そんな……せつ菜ちゃんまで……!」
エマ「果林ちゃんは……!?」
開け放たれたままの裏口のドア……そこから飛び出していったのかもしれません。
何故? 何故なんて、答えは一つしかありません。
犯人を追っていったに決まってるんです。
ᶘイ^⇁^;ナ川 果林さん、まさか犯人を……!?
かすみ「か、果林さん何も持ってないのに……っ!?」
せつ菜さんの遺体を見て、頭に血が上ったのか……とにかく追うしかありません。
手近にあったバターナイフを手に取り、私も裏口から飛び出しました。
かすみ「イナ子!? バターナイフじゃ無理だって!」
後ろからかすみさん、エマさんの追ってくる足音が聞こえます。一対一で果林さんの身に何かあれば最悪です、とにかく今は一秒でも早く追いついて……!!
-
ᶘイ^⇁^ナ川 ……ぁ
裏口から少し行った森の中。
果林さんは血まみれになって倒れていました。
袈裟斬りにされたのか、身体は血で汚れ服の下から肉が見えていました。
かすみ「果林先輩ぃ!!」
果林「ぅ……」
エマ「! まだ息があるよ! 果林ちゃん、大丈夫!? 果林ちゃん!?」
まだ生きている。しかし……致命傷を負っていることは明らかでした。
その目からは光が消え、虚ろな視線が空を彷徨っています。
果林「なん、で……」
エマ「喋らないで! すぐに手当するから!!」
果林「なんで……あ……」
エマ「大丈夫だから……果林ちゃんは死なないから!!」
エマ「かすみちゃん、イナ川ちゃん! 手を貸して! 屋敷に運んであげないと!!」
ᶘイ;⇁;ナ川 エマさん……
エマ「早く……早くしないと! ねぇ、早く手を貸してぇっ!!」
ᶘイ;⇁;ナ川 果林さんは、もう……
-
い?
ゆむは流石に無理だろうし
-
愛さんさあ
-
やっぱり犯人は愛か?
死体は船長の死体に愛の服を着せた上で首がなければ誤認してもおかしくないし
-
その目はもう、何処も見てはいなかった。
唇から血の気が引き、白くなった顔は……化粧品よりも病的で、ゾッとするほどに美しかった。
かすみ「果林先輩……」ポロポロ
エマ「やだっ……やだよぉ……そんなのやだぁぁっ!!!」ポロポロ
ᶘイ;⇁;ナ川 ……屋敷に戻りましょう
エマ「果林ちゃんを……果林ちゃんを運ばなきゃ……」
ᶘイ;⇁;ナ川 はい……まだこの辺に犯人がいるかもしれません。急いで……戻りましょう……
残った歩夢さんとランジュさんのことも心配です。
私達は力を失い重くなった果林さんの身体をなんとか持ち上げて、屋敷へと戻りました。
まぁ私は手が届かなかったんで運ぶフリだけですが。へへっ。
歩夢「……ぁ、みんな……」
ランジュ「……果林も、なの?」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……私達が行った時には、もう
ランジュ「犯人は……見なかったの?」
エマ「ごめん……もう何処にもいなかったよ」
エマ「ごめんね……なんだか疲れちゃった。私……ちょっと眠るね……」
果林さんの遺体をキッチンに横たえると、エマさんは身体を引きずるように食堂へと戻りました。
もう何も言いたくない。もう、何も見たくない。
私も、そんな気持ちでした。
-
なにわろてんねん
-
愛が犯人だと仮定して推理すると、愛は致死性の毒や注射器を倉庫などで手に入れた?
それを愛の淹れたコーヒーで眠っていた殺害対象に注射、殺害した後に首をナタで切断して、頭部を集めた上でどこかに隠し、遺体を一箇所に集めた?
娯楽室にはその前から忘れ物を取りに行く、と言って殺しておいた船長の首無し死体を置いておいて、船長の服をはぎ取って自分が着用、後に遺体を丸ごと湯に沈めることで死亡推定時刻をずらしつつ死体の腐敗を促進させて船長の死体を自分のものと誤認させている?
しかし何故殺したのが6人だけなのだろうか、全員殺すつもりならわざわざ自分の死亡なんて偽装せずにもう一度同じ手を使う事も出来たはずだが……
-
一時間。二時間。
淡々と時間は過ぎていきます。
15時が近付いているとはいえ、緊張は途切れません。
交代で眠っていたとはいえ、空腹も眠気もピークが近い……。
かといって、遺体を見てしまっては食欲がわかない。
ᶘイ^⇁^ナ川 エマさん、コーヒー淹れてきますね……
ランジュ「ランジュも一緒に行くラ……」
せつ菜さんのことがありましたし、そもそも私ではコンロに手が届かないだろうと考えたのかランジュさんが私に続きます。
キッチンに入って、二人の遺体を目に入れないようにしながら、ランジュさんはお湯を捨てて。
ランジュ「……ん、これ、どっちかしら」
封の開いた2つのコナコーヒー。
片方は愛さんが使ったやつで、もう片方はエマさんが開けたものでしょうか。なんでわざわざ、と思いましたが……犯人が何か入れているかもしれませんし、確かに新品じゃないと不安ですよね。
ランジュさんもそう思ったのか、一度封の開いたコーヒーを無視して戸棚を探っていましたが結局見つからず……。
そもそも倉庫に行った時点で食堂は空でしたし、エマさんが開けた方も何をされてるか分かりません。
ランジュ「……コーヒーはやめときましょ」
ᶘイ^⇁^ナ川 はい……
-
>>66
>>67
あらごめん
-
エマさんはわざわざ新しいコーヒーを開けた?
愛の開けたコーヒーを使いたくない理由があったからなのか?
単なる警戒なのか、それとも愛の淹れたコーヒーに何か入っているのを知っていたから?
それにエマさんには最初にアリバイがない状態……となると、エマさんは共犯の線もあるのか?
-
侑ちゃんもなんかおかしいよね
歩夢以外触れてないし
-
ランジュ「他に……これは?」
ᶘイ^⇁^ナ川 紅茶ですか……
ランジュ「封も空いてないしコーヒーよりはマシでしょ。さ、淹れるわよ」
カップに茶葉のパックが入れられ、熱湯が注がれる。ふわり、と紅茶のいいにおいが漂いました。
ジャバ ジャバ ジャバ ジャバ ジャバ
ランジュ「さ、持っていくラ」
ᶘイ^⇁^;ナ川「これだけあるとカップも重いですねぇ」ヨチヨチ
頭の上で盆を抱えながら食堂に戻り、エマさん達の前にカップを並べます。
普段ならお手伝いをすると、エマさんはいい子いい子をしてその豊満なおっぱいを触らせてくれるので大変見抜きが捗るのですが、この状況では流石に何もしてくれませんでした。
ゆっくりと紅茶の香りを楽しみながら口に運びます。
渋い。ストレートティーは苦手なの忘れてました……。
ᶘイ;⇁;ナ川 しぶいですーしぶいですー
かすみ「イナ子はおこちゃまだね、この渋さがいいのに」ズズッ
かすみ「うぇ、しぶ……」
ᶘイ^⇁^ナ川 かすみさんもおこちゃま舌ですね
かすみ「うっさい!」
ほんの少しだけ、皆の顔に笑顔が戻りました。
なんだかこんな状況でも、一瞬だけ日常に戻れたような……そんな気がして。
嬉しくなって。
あぁ、ホッとしたからでしょうか。
なんだか、眠たいです。
交代で、眠らなければ。あれ……?
皆、眠って……確か、この感じ、前も……?
-
暗闇。
暗闇。
暗闇。
痛み。
ᶘイ^⇁=ナ川 づっ……ぁ……
なんだか頭がズキズキとする。痛い、身体が上手く動かない。
ここは……娯楽室? フカフカの絨毯に血がこびり付いて……。
私、手に何か持って……これは……ナタ?
歩夢「ぁ……ゆぅ、ちゃん……」
侑「……」
血まみれの歩夢さん……何か呟いた後に、そのまま床に倒れて。
かすみ「……」
かすみさんも頭を割られて、絨毯の上に転がされて。
ランジュ「……」
ランジュさんは首を半分切られて、壁にもたれかかって。
ᶘイ;⇁;ナ川 ぁ……?
-
エマ「皆!? 皆、何処に……!?」
エマ「ひっ!?」
娯楽室のドアが開く音がして、エマさんの声が聞こえました。
頭が痛い、何も考えられない。
エマ「そんな……なんで、なんでぇっ!?」
私が持った血まみれのナタを見て、エマさんが悲鳴を上げました。
あぁ、これじゃ……これじゃまるで……。
私が、犯人みたいじゃないですか。
皆を殺した、犯人みたいじゃないですか……?
エマ「もうやだ……こんなのやだぁぁっ!!」
エマさんの駆けていく足音が聞こえて。
あぁ、痛くて。苦しくて。
何もかもが遠くなって、身体の感覚がなくなって。
暗闇が、広がって。
-
多重人格?とも思ったけどせつ菜と果林パイセンは殺せないしなぁ
-
そもそもカップを持つのが精一杯なイナ川じゃナタで同好会の皆を殺せるか怪しいし、遺体を運べるとは思えない
となると、愛が仕立てた? しかし愛はどうやって皆が眠った瞬間を把握した?
監視カメラの類をキッチンにセットしておいた? もしかしてせつ菜を殺したのはそのセットの際に遭遇したから咄嗟に、って感じか?
-
────
愛「お疲れーイナってぃー!!」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……はい?
暗闇が広がって。
気付くと私はパーティー会場にいました。
あれ? なんですこれ? まさか今までのって……ドッキリ? いや、そんなわけないですよね、果林さんが死んでるのもこの目で……。
しずく「イナ川ちゃんびっくりしたよね? 皆殺されちゃったから」
ランジュ「ミアが死んだ時、すっごくショックだったのよ?」
ミア「悪かったよ、ボクも殺されるつもりじゃなかったんだけど」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……ここは?
エマ「ここはね、えっと……なんだっけ? 幻想の世界だよ」
ᶘイ^⇁^ナ川 幻想?
歩夢「そうだよ! 残酷な殺人事件も、見たくない現実も、ぜーんぶ閉じ込めて見たいものだけ残した優しい世界!! ねっ、侑ちゃん!」
侑「きちんと説明できて偉いね歩夢!」ナデナデ
かすみ「あっ、ずるいですよぉ! かすみんも撫でてください侑せんぱぁい!」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
なんですか、これ。
なんなんですか、これ。
なんの……茶番なんですか、これは。
-
ᶘイ^⇁^ナ川 皆を殺した犯人は……
彼方「そういうのってもういいじゃん」
璃奈「そう。探したって不幸になるだけ。璃奈ちゃんボード『黒山羊』」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
せつ菜「この事件の犯人はいない! 強いて言えば……船長さんですかね?」
「おいおい、アタシが犯人かよ。まぁ、一番怪しいのはアタシだけどな」
ᶘイ^⇁^;ナ川 ……果林さんは犯人を見たんですよね!?
果林「さぁ、どうだったかしら? 見たかもしれないし、見てないかもしれないわね?」
愛「どっちでも変わらないよ。だってさぁ」
愛「この幻想の世界以外だと皆、死んじゃってるんだから。あ、エマっちは生きてたっけ」
エマ「うん! この後助けに来たヨットで東京に戻るんだよ!」
エマ「でもね、出来れば私……ずっとここにいたいな。皆がいないの寂しいもん!」
-
なんだ。なんなんですか。
この狂った世界は。殺人が起こったのに。
殺人が起こったのに。殺人が起こったのに。
それを見ないことにして、蓋をして。皆で楽しくパーティーを続ける。
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
ですが、ここには。
彼方さんがいて、璃奈さんがいて、栞子さんがいて、愛さんがいて、しずくさんがいて、ミアさんがいて。
せつ菜さんがいて、果林さんがいて。
歩夢さんがいて、ランジュさんがいて、かすみさんがいて、エマさんがいて。
そして、侑さんもいる。
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
幸せな世界。
永久に続く黄金の世界。
誰も傷付かない、誰も狂わない優しい世界。
そんな世界でお茶会を続ける。
それもいいのかもしれない。
真実は猫箱の中に放り込んで、殺人事件なんてなかったことにして。
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
こんなにみんなが幸せそうならそれでいいじゃないですか。
不幸になる道なんて選ばなくても……。
私は、ゆっくりと。全てを諦めて。
カップに手を伸ばして……。
ミイ
-
ᶘイ゜⇁゜ナ川 !!
jΣミイ˶^ ᴗ^˶リ
ᶘイ^⇁^ナ川 ……駄目ですよ
カップに伸ばした手を固く握りしめる。
忘れていた。なんで忘れていたんですかね、私は。
あんなに大切な人を……。
しずく「イナ川ちゃん……?」
ᶘイ^⇁^ナ川 私達がここで永久に微睡んでいたら、残されたミイさんはどうなるんですか?
栞子「それは……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ミイさんは私達を待ち続ける……何も分からないまま、覆い被さったベールの外側で独りぼっちで!!
ᶘイ;⇁;ナ川 そんなの駄目です!!
愛「でもイナってぃー……現実に戻ったところで待ってるのは『死』だけだよ?」
愛「皆が見たくないものを暴いて、それで待つのが『死』だけ……周りを全員不幸にしてまで、イナってぃーは真実を暴こうとするの?」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……例え死しかなくても
ᶘイ^⇁^ナ川 ミイさんのいない幻想の世界で偽りの真実を楽しみ続けるなんて、私には出来ません
歩夢「やめて……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……私は真実を暴きます
歩夢「やめてよぉ……」ポロポロ
ᶘイ^⇁^ナ川 そして、ミイさんに……真実を伝えるんです。例え私が死んでいたとしてもっ……
ᶘイ^⇁^ナ川 ちんちんを触らずに『真実』を見抜くことが出来ることを、証明してやるんです!
-
タイトル回収アツい
-
愛「──は」
愛「はは、はははっあはははっ!?」
瞬間、パーティーは崩れて。
幻想は壊れて。
そこには六人の首無し死体があって。
そこには頭の割られた死体と袈裟斬りにされた死体があって。
そこには絶望に染められた死体たちがあって。
ただ一人、泣きじゃくるエマさんがそこにいて。
エマ「壊れちゃった……あんなに、あんなに楽しかったのに……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
エマ「本当にイナ川ちゃんは真実を知りたいの? 皆不幸にしかならないのに……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ごめんなさい……我侭ですよね
ᶘイ^⇁^ナ川 でも……
エマ「ううん……仕方ないよ。私も付き合うから……」
エマ「でも、忘れないでね。イナ川ちゃんが『真実』を見抜けなくても……」
エマ「望みさえすれば。屈伏さえすれば。『幻想』はいつでもイナ川ちゃんを受けいれてくれるんだから……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
-
ᶘイ^⇁^ナ川 ……最初の事件、ですが
イナ川の言葉と共に、空間が歪む。
そして、六人の首無し死体が並ぶ娯楽室が現れる。
エマ「彼方ちゃん、愛ちゃん、璃奈ちゃん、しずくちゃん、ミアちゃん、栞子ちゃんが殺された事件だね」
ᶘイ^⇁^ナ川 一つ、確認したい証言があります
エマ「証言……?」
ᶘイ^⇁^ナ川 果林さん達がヨットから戻ってきて、食堂で話をしていた時……歩夢さんが言った証言です。あの、娯楽室についての……
イナ川の言葉に呼応し、歩夢がその場に姿を表す。
歩夢『大浴場に向かった時には真っ暗だったし、鍵もかかってたんだよね。ね、侑ちゃん』
エマ「これが一体どうしたの?」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……娯楽室は真っ暗で、鍵がかかっていた
ᶘイ^⇁^ナ川 でも、そんな筈ないんですよ
-
なにっ見落としていた
-
エマ「なんで……? 使ってない部屋に鍵がかかってるなんて、普通のことじゃ……」
ᶘイ^⇁^ナ川 私達が探検に行った時、娯楽室の中も見たんです
ᶘイ^⇁^ナ川 その際……
ミア『ただの広い部屋さ。鍵も壊れててかからないみたいだし』
そう、ミアさんは言っていた。
その後実際に、しずくさんが鍵がかからないことを確かめている。
エマ「ってことは……」
ᶘイ^⇁^ナ川 あの部屋に鍵がかかってるなんて有り得ないんですよ!
-
エマ「じゃあ歩夢ちゃん達は嘘を吐いていたの!?」
ᶘイ^⇁^ナ川 それはまだ分かりませんが……歩夢さん達お風呂組は複数人で行動しています
ᶘイ^⇁^ナ川 そして、歩夢さんがその証言をした際誰もそのことに異を唱えなかった
ᶘイ^⇁^ナ川 つまり……『全員で口裏を合わせていた』あるいは『本当に扉は開かなかった』のどちらかになります
エマ「でも、あの部屋に鍵がかかっていたなんて嘘を証言をする意味が……」
ᶘイ^⇁^ナ川 えぇ、ですから私はこの問題にはこう結論付けたいんです
『鍵はかかっていなかったが、何らかの理由によってドアは開かなかった』
エマ「まだ誰も死んでいない状態で……既に何かの仕掛けを施そうとしていたってこと?」
エマ「一体何を……」
ᶘイ^⇁^ナ川 それはまだ分かりません。続いて死体ですが……
ᶘイ^⇁^ナ川 ……何故、私達はこの死体を彼女達だと思ったんでしょうね?
-
この手の二次創作大好きなんだけどシリアスでᶘイ^⇁^ナ川登場するのは新しい
-
エマ「それは……服が同じだったし、生き残ってる人達を除いたらあの六人だったから……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……エマさん、一つだけ見落としてますよ
エマ「見落とし?」
ᶘイ^⇁^ナ川 あの島には私達以外に人間がいたじゃないですか
エマ「人間……ま、まさか!?」
ᶘイ^⇁^ナ川 私達を三船島まで連れてきてくれた船長さん……彼女の行方は最後まで分かりませんでしたよね
エマ「この六人の中に、船長さんがいるって言いたいの!?」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
あの六人の中に船長がいた。警察が来ない状態で……首を撥ねられた死体なら、偽装は簡単にできます。
しかし、それを断言してしまっていいんでしょうか。
だって、それは。あの六人の中に……犯人がいた、ということになるのですから。
自分の死体を偽装した人物。彼女が犯人……。
-
ᶘイ^⇁^ナ川 首を戻してほしい……とは言えませんよね
実際、言ってみたところで首は戻らない。
論理が繋がらなければ幻想は再現してくれないということだろう。
ᶘイ^⇁^ナ川 とりあえずパンツを捲ってみましょう……一人一人マンコ・チェックをして見抜けば分かるかもしれません。船長さんが非処女なら処女じゃない人が犯人です!
エマ「流石に死体の下着を剥ぎ取るのは倫理的に駄目だよ」
ᶘイ;⇁;ナ川
ᶘイ^⇁^ナ川 ひ、ひとまず第一の事件は置いておいて、第三の事件に行きましょう
エマ「第二の事件は……?」
ᶘイ^⇁^ナ川 あれは……恐らく突発的な事件ですからね。推理には余り役立たない気もするんです
エマ「そうかな……?」
ᶘイ^⇁^ナ川 では第三の事件、歩夢さん達が死んだあの事件を……!
-
娯楽室。
ナタを持って倒れている私。
そして、それぞれ死んでいる歩夢さん達。
エマ「……」
ᶘイ^⇁^ナ川 エマさんはこの状況を見たんですよね?
エマ「うん……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……私が犯人だと思いました?
エマ「……」
ᶘイ^⇁^ナ川 いいんですよ。では……エマさんが見たこの現場の『確定事項』を教えてください
エマ「『確定事項』……」
ᶘイ^⇁^ナ川 えぇ、お願いします
エマ「事件後……警察に保護された後に知ったことも含まれてるけど、こんな感じかな」
『エマを除いて室内には五人いた』
『イナ川は血塗れのナタを持っていた』
『うち四人は他殺されている』
ᶘイ~⇁~ナ川 ……
ᶘイ^⇁^ナ川 エマさんは……事件が起こる前、どうしてたんですか?
エマ「私は食堂で目を覚まして……気付いたら誰もいなくて。慌てて皆を探して走り回ってたら娯楽室で死体を……かな」
ᶘイ^⇁^ナ川 なるほど……
-
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
実のところを言うと、この幻想を打ち砕くのは……非常に簡単なんです。
きっと、私じゃなくても……同好会の皆なら、誰でも分かる矛盾なんです。
だけどそれは……。
この幻想を打ち砕くのは、とても残酷な行為で……。
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
それでも、この現実を壊さなきゃいけない。
真実を見抜く為に、例え傷付く人間がいたとしても。
ᶘイ^⇁^ナ川 エマさん、私の言葉が正しかったら肯定してください
エマ「うん……?」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
ᶘイ^⇁^ナ川 『高咲侑はこの事件現場にいない』
-
エマ「う……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
エマ「……肯定、するよ。第三の事件現場に侑ちゃんはいない」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……まだ、足りませんね
エマ「……」
ᶘイ^⇁^ナ川 再度、確認します。『高咲侑はこの事件に……』……いえ
ᶘイ^⇁^ナ川 『高咲侑はこの島にはいない』
エマ「……」
エマ「イナ川ちゃん……自分が何言ってるか分かってるの?」
ᶘイ^⇁^ナ川 分かってますよ。分かった上で言ってるんです
-
エマ「……っ」
エマさんの視線が歩夢さんへと向きました。高咲侑と手を繋ぎ、事切れた彼女の死体へ。
しかし、ゆっくりかぶりを振って。
エマ「肯定する。高咲侑は島にはいない……だって」
エマ「三ヶ月前に……事故で死んじゃったから」
エマ「この旅行は……傷付いた心を癒やす為の慰安旅行だから」
歩夢さんの隣から侑が消失する。
高咲侑がいる、という幻想が溶けて消えていく。
歩夢さんの死体の目から、一筋涙が溢れるのを私は見ました。
皆テンションが高かった。島に来る時から。島の中でも。
そうでもしないと泣いてしまいそうだったから。
侑さんがいない現実が嫌で。壊れた歩夢さんを見ることが辛くて。
ᶘイ^⇁^ナ川 ……つまり、『エマを除いて室内には五人いた』は
歩夢、侑、ランジュ、かすみ、イナ川
ᶘイ^⇁^ナ川 こうではなくて
歩夢、ランジュ、かすみ、イナ川、?
ᶘイ^⇁^ナ川 こういうことだったわけです
-
エマ「でも……『うち四人は他殺されている』んだよ?」
エマ「もし侑ちゃん以外の誰かがいたとしても……その人は死んじゃってるんじゃない?」
エマ「だったら犯人はイナ川ちゃん……そういうことになっちゃうよ」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……エマさん、ごめんなさい
エマ「……」
ᶘイ^⇁^ナ川 エマさんが幻想の中で生きたいのは分かってるんです。でも、その程度のロジックエラーで屈服することは出来ません
エマ「……そっか」
ᶘイ^⇁^ナ川 肯定要求! 『他殺された中にはイナ川も含まれている』
エマ「肯定するよ。イナ川ちゃんは殺されてた……私が部屋に入る前に襲われたんだろうね」
エマ「パニックになってたけど、酷い傷を負ってたのは分かってたのに……ごめんね、助けてあげられなくて」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……いいんですよ
-
ᶘイ^⇁^ナ川…
-
うみねこかな?
-
ᶘイ^⇁^ナ川 そして私が他殺と判明した時点で確定事項の2つ目『イナ川はナタを持っていた』は犯人の偽装と分かります
ᶘイ^⇁^ナ川 エマさんを生き残らせていたことから……きっと、目撃させて私を犯人に仕立て上げようとしたんだと思います
エマ「……」
ᶘイ^⇁^ナ川 それにしても……誰も抵抗できなかったんでしょうかね?
エマ「確かに……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……そういえばあの時、とてつもない眠気を感じたんですよね
エマ「私も。緊張してたせいかと思ったんだけど……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……確かあれは、紅茶を飲んだ直後でしたか
エマ「紅茶に何か細工をされてたのかな?」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……でも、なんだか。あの眠気……以前にもあったような気がするんですよね
エマ「……気のせいじゃない?」
ᶘイ^⇁^ナ川 確か、あれは……
愛さんが淹れてくれたコーヒーを飲んだ時……。
-
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
ᶘイ^⇁^ナ川 第一の事件でも、恐らくコーヒーに何か細工がされていたようですね
エマ「……」
ᶘイ^⇁^ナ川 細工が出来たのは調理をしてくれた愛さん、歩夢さん、彼方さん、栞子さんってところでしょうか?
エマ「コーヒーに薬か何か入れて、実は自分だけ飲まずに……ってこと?」
ᶘイ^⇁^ナ川 歩夢さんは恐らく除外していいでしょうね、お風呂組ですし
エマ「ってことは愛ちゃん、彼方ちゃん、栞子ちゃん……」
ᶘイ^⇁^ナ川 しかし……ここで疑問が生まれるんですよね
ᶘイ^⇁^ナ川 調理組の中に事件の首謀者がいるなら……
『何故、料理に薬を仕込んで全員眠らせなかったのか』
ᶘイ^⇁^ナ川 仮に私が犯人ならこの時点で全員眠らせ、見抜きした後に殺害します
ᶘイ^⇁^ナ川 何故わざわざコーヒーの方に……?
エマ「イナ川ちゃん見抜きしたいの? 幻想に屈伏するなら私でしていいよ?」ヌギッ ドタプン ユサッ
ᶘイ゜⇁゜ナ川 うっ!!! い、いえ……我慢します……
-
語り手のᶘイ^⇁^ナ川すら死んでいた!?
-
えらいぞイナちゃん
-
ᶘイ^⇁^ナ川 何か目的があったとしか考えられない……
エマ「……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……例えば、なんですけど
ᶘイ^⇁^ナ川 第一の事件発生時は、全員殺すつもりはなくて……
ᶘイ^⇁^ナ川 殺したくない人間が『お風呂組』に入ったから、残った人間を殺害しようとしたとか……
エマ「……流石に暴論じゃないかな」
ᶘイ^⇁^ナ川 暴論だろうと推論だろうと証拠が少ない状況だと使うしかないんですよ!
犯人は殺したくない対象が『お風呂組』に入ったのを見て、残った人間に睡眠薬入りのコーヒーを飲ませた。
そうなると、私達を眠らせたのは……。
ᶘイ^⇁^ナ川 愛さん、ってことになりますよね?
-
エマ「愛さんが?」
ᶘイ^⇁^ナ川 愛さんが犯人だと考えれば……色々辻褄が合うんですよ
六人の死体に船長さんが含まれていたとすると。
船長さんを殺害する、あるいは此方へ呼び寄せる必要がありますよね。
それが出来たのは、ヨットに忘れ物を取りに行った愛さんだけです。
エマ「……ヨットへの無線は食堂にもあったよね? 栞子ちゃんかもしれないよ?」
ᶘイ^⇁^ナ川 そうですね、その可能性はあります。しかし……タイミング良くコーヒーを淹れる提案をしたのは愛さんです、仮に共犯としても愛さんは確実に事件に関わってるんですよ
エマ「は……あはは、そんな単純なトリックじゃ簡単にバレちゃうよ」
ᶘイ^⇁^ナ川 バレなかったんですよ
ᶘイ^⇁^ナ川 愛さんも含めた死体を目撃したから……誰も疑うことすらしなかった
-
ᶘイ^⇁^ナ川 愛さんは……船長に、例えばこんな風に言ったんじゃないでしょうか
愛『しおってぃーが余興でドッキリをやりたいって言ってるんだよね』
愛『愛さんかと思って声をかけたら船長さんでしたー! みたいな……娯楽室に来てもらっていいかな?』
ᶘイ^⇁^ナ川 雇い主の娘である栞子さんの提案と言われては船長さんも断れなかったでしょうね
ᶘイ^⇁^ナ川 そして娯楽室にこっそり船長さんを招き入れる
ᶘイ^⇁^ナ川 そこで……
愛『船長さんがいるのがバレたらドッキリ失敗だから、娯楽室にいることは気付かれないようにして』
ᶘイ^⇁^ナ川 とでも言えば、船長さんは誰も娯楽室に入らないようにするでしょう
ᶘイ^⇁^ナ川 『鍵のかかった部屋』の真相は……中から船長さんが開かないように抑えていた、というところではないでしょうか
-
ᶘイ^⇁^ナ川 そうして皆を眠らせたあとは、娯楽室に行き船長さんと服を交換する。えっちですね、へへっ
ᶘイ^⇁^ナ川 その後はお礼にコーヒーを淹れたから、とでも言って船長さんを眠らせた……もしくはスキを付いて殺害した。そのどちからですかね?
ᶘイ^⇁^ナ川 後は眠らせた皆を順に運び、殺していった……
エマ「……6人だったのは?」
ᶘイ^⇁^ナ川 単純な話です。2階で寝たのが私とランジュさんだけだった、それだけです
ᶘイ^⇁^ナ川 彼方さんと璃奈さんはホールのソファで昼寝していましたから、眠くなれば仮眠気分でそっちを選んだでしょう
ᶘイ^⇁^ナ川 栞子さんとしずくさんはエマさんと同じ洗い物をするか迷ったまま寝てしまって……ミアさんはたどり着けなかったんでしょうね
ᶘイ^⇁^ナ川 遠くにいる人間より近くの人間の方が殺しやすい。単純な理由ですよ
エマ「……私が殺されなかったのは!?」
ᶘイ^⇁^ナ川 第三の事件で殺されなかった辺り、最初はエマさんを犯人に仕立て上げるつもりだったんじゃないでしょうか?
-
ᶘイ^⇁^ナ川 しかし結局は私を犯人に仕立て上げて……多分、エマさんは……
ᶘイ^⇁^ナ川 生き残った目撃者という役割を与えられたんだと思います
エマ「目撃者……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
エマ「……あはっ、あははっ! イナ川ちゃん、それ全部推測に過ぎないよね?」
エマ「愛ちゃんが犯人だって証拠は何一つない! 死体が入れ替えられた証拠もない!」
エマ「船長さんが中で抑えてた!? 立て付けが悪かっただけだよ! 愛ちゃんが薬を入れた? 単に眠かっただけかもね!?」
エマ「ね、立証不可能でしょ? もうやめようよ、ねぇ? 今なら皆許してくれるよ」
エマ「優しい幻想の中で、一緒に生きよう?」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
確かにそうです。愛さんが犯人……それを立証する方法はありません。
私が持つ情報の中で、せめて死体のすり替えがあったと証明できれば……。
何か、愛さんにあって船長にないもの……。
-
青き真実、有効です
-
ᶘイ^⇁^ナ川 ちんちん?
エマ「愛ちゃんも船長もちんちんは生えてないと思うよ……?」
ᶘイ^⇁^ナ川 私は生えてますが
ᶘイ^⇁^;ナ川 (くそっ、エマさんの心象が悪くなったみたいだ)
ᶘイ^⇁^ナ川 ……なんで、犯人は死体を浴槽に移動させたんですかね?
エマ「それがどうかしたの?」
ᶘイ^⇁^ナ川 お風呂に入るのって……どういう時ですか?
エマ「そりゃまぁ、夜だったり汚れたときだったり……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
エマ「イナ川ちゃん、何を言いたいの?」
ᶘイ^⇁^ナ川 私はこう思ったんです。もしかしたら犯人は……とある痕跡を無くしたかったんじゃないかと
ᶘイ^⇁^ナ川 いえ……『湯に浸かったから無くても仕方ない』ということにしたかったんじゃないかと!
エマ「え? えぇ……? ど、どういうこと?」
-
ᶘイ^⇁^ナ川 第一の事件……宮下愛の死体
ᶘイ^⇁^ナ川 娯楽室にあった時点で……もしそこにあるものが『無かったら』!!
果林『これとか、塗ると肌が白くなるのよ?』ピタピタ
ᶘシ^⇁^ロ川
愛『へぇ、凄いね真っ白じゃん?』
果林『愛も試してみる? 肌が合うか分からないから軽く腕に……』ピタピタ
愛『おぉ……塗ったところだけ真っ白だ』
エマ「あ……」
立ち上がった死体が、ゆっくりとその袖口を捲り上げる。
そこにあった肌は……全て均一な色で。
愛さんが付けたはずの『肌が白くなるコスメ』は、その腕の何処にもない。
エマ「あぁぁぁぁ……!!」
幻想がまた一つ壊れる。
エマが望んでいた安らかな永久が壊れていく。
朽ちた死体の中で、私はただ一言。虚空に向かって叫ぶ。
-
.
ᶘイ;⇁;ナ川 宮下愛!! お前がこの事件の犯人だ!!!
.
-
愛「……く、は」
愛「あっ、ははは……」
幻想は完全に崩壊し、ナタを持った血塗れの……船長の服を着た愛さんがそこには立っていた。
ニヤニヤと揶揄うようないつもの顔に、不似合いなほどにその血はおぞましい。
愛「やれやれだなぁ……やっぱり行きあたりばったりじゃ駄目かぁ……」
エマ「愛ちゃん……」
愛「エマっちもさぁ……酷いよね? 折角生き残らせてあげたのにさぁ……?」
愛「全ッ然役に立ってねぇぇェェよなぁァァァ!? きゃははははっ!!」
エマ「私は……私はただ、幻想の中で……」ポロポロ
ᶘイ^⇁^ナ川 なんで……なんで、こんなことしたんですか?
ᶘイ^⇁^ナ川 皆を殺して……何がしたかったんですか?
愛「んん……? 真実はもう分かったでしょ?」
愛「愛さんが犯人! 皆を仲良くぶっ殺しました! それでいいじゃん?」
-
ᶘイ^⇁^ナ川 っ……
愛「おめでとうおめでとう。愛さん完全に見抜かれちゃったよー」
愛「やっぱさぁ、うん、元に戻そうなんて思わずに全員ぶっ殺しちゃえばよかったかなぁ」
愛「でもなぁ、やっぱり希望を持ってたからなぁ。こんなさぁ……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
愛「さ、幻想はおしまいだよ」
愛「エマっちは生き残って、残りの皆は私含めて仲良く死亡。真実は解かれました、と」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……元に戻す
愛「……」
ᶘイ^⇁^ナ川 今、そう言いましたよね
-
愛「あぁ、言ったかな? それが一体……」
ᶘイ^⇁^ナ川 歩夢さんですか?
愛「……」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……愛さんは、歩夢さんを元に戻したかったんですか?
愛「……だったらなんなの?」
ᶘイ^⇁^ナ川 侑さんを失って壊れた歩夢さんに……強いショックを与えて、現実に引き戻したかった
ᶘイ^⇁^ナ川 それが……理由なんですか?
愛「……」
-
まるでダンガンロンパ……
-
愛「……はっ」
愛「どうでもいいじゃん、そんなこと」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
愛「どう? 真実を見抜いて……何か変わった?」
愛「イナってぃーはさ、ミイちゃんの為ってはりきってたけど……こんなくだらない真実に、皆の望んだ幻想を壊してまで辿り着く必要はあった?」
ᶘイ^⇁^ナ川 ……分かりません
ᶘイ^⇁^ナ川 分かりませんよ……私には……
愛「……そっか」
愛「なんにせよ……時間切れだよ。全てはもう終わる」
世界が溶けていく。
痛みが身体を支配していく。
意識が遠くなって。ゆっくりと空間と交わって。
あぁ、ミイさん。
もう一回、見抜き……したかったですね。
-
エマ「……っ!」
jΣミイ˶; ᴗ;˶リ ミイ!
「目が覚めましたか!?」
エマ「ここは……」
「病院です。エマ・ヴェルデさん……三船島で保護されたことは覚えていますか?」
エマ「はい……」
jΣミイ˶; ᴗ;˶リ ミィー!
「あの島で……その、遺体が発見されて……」
エマ「……」ポロッ
エマ「はい……全部、全部知ってます……」
エマ「彼女が……」
ᶘイ^⇁^ナ川
エマ「真実を見抜いてくれたから……」
-
こうして三船島で起きた惨劇は幕を閉じた。
ぴっぴさんはミイと暮らすようになった。今は泣いてばかりのミイの顔にも、いつか笑みが戻るだろう。
イワタはイナ川の死を悔み、仏道に帰依した。今では絶対見つけ出そうとする尼僧として有名である。
れんちゃんはトッリとブッブと今日も遊んでいる。
美里さんは就職に失敗し、かのんは豊胸した。
三船島で起きた事件はエマが語った話以外にも数多くの謎を残し、今でも素人探偵達の語りのタネとなっている。
この島の事件から様々な偽書が生まれ、彼女たちの真実を見抜こうと大勢の人間がそれらを読みあさった。
……宮下愛以外に、全ての真実を知る事なんて出来はしないのに。
犯人達の事件簿
三船島殺人事件
愛(私は宮下愛。楽しいの天才系スクールアイドル!)
愛(今日も練習を終えて、ゆうゆとお台場デートしてるんだ!)
侑「このパフェ美味しいねぇ愛ちゃん」
愛「そうだね……あ、ゆうゆ? ほっぺにクリームついてるよ?」ペロッ
侑「ふわっ!? ときめいちゃうからやめてよぉ……」テレテレ
愛(友達がいてスクールアイドルとしても活動して、こわな毎日超サイコーって感じだよね!)
-
大まかには当たってたか、動機まではわからなかったけど……
-
愛(それに……気になる子もいるしね!)
侑「でさぁ……愛ちゃん、ちょっとは歩夢と進展あった?」
愛「いやぁ……駄目だね。何かあると侑ちゃーんってゆうゆの方行っちゃうし」
侑「まいったねこりゃ」
愛(愛さんの片思いの相手……同級生の上原歩夢は、目の前の高咲侑の幼馴染。その上……歩夢はゆうゆに惚れてるみたいで)
愛「前途多難だなーって感じ。」テクテク
侑「そう? でも歩夢と愛ちゃんってお似合いって感じだけど。こんな二人が付き合ったらもうときめくどころじゃないよ!」テクテク
侑「イナ川ちゃんみたいに毎日見抜いちゃうもんね」シコシコ
愛「もうっ! 照れるじゃんゆうゆ!」ドンッ
侑「ありゃっ?」コケッ
愛(軽く押しただけだった。でも、場所が悪かったのかな)
愛(ゆうゆは片足でトットットッとバランスを崩していって……)
侑「まいったねこりゃ」ゴロゴロ
愛(そのまま、階段を転がっていった)
愛「ちょ、ゆうゆ!?」
-
愛「大丈夫!? ゆうゆ!?」
侑「……」
愛「え……」
愛(死んだ……?)
「大丈夫か!?」
「おい、なんだ!? 血を流してるぞ!?」
愛(ぁ……人が……)
正直に言えば良かったんだ。でも、気付けば口をついて出ていたのは。
愛「この子、こけて階段から落ちちゃって……誰か救急車を!!」
ゆうゆが一人で転んで事故を起こした。そうとも取れる自己保身の言葉だった。
-
救急車に運ばれたゆうゆは結局助からなくて。
その死はうっかり階段から足を踏み外したことによる、事故死と認定された。
愛「ごめん……ごめんね、皆……」
彼方「愛ちゃんが悪いんじゃないよ」ヨシヨシ
ᶘイ^⇁^ナ川 咄嗟のことだったんですから…… シコシコ
事故死だと認定されてから……愛さんは誰にも本当の事を言わなかった。怖かったんだ、裁かれるのが。
優しく慰めてくれる皆の中で、徐々に罪悪感を募らせて。でも歩夢だけは……。
歩夢「……」
愛さんのことを慰めてはくれなかった。
むしろ、冷めたような、虫を見るような……大切なものを壊したクズを見るような目で愛さんを見続けた。
それでも良かったんだ。
愛さんの罪悪感は、歩夢に嫌われるという裁きでしか安らがなかったんだから。
毎日のようにゆうゆに謝りながら過ごしていたある日のこと。
急に、歩夢が壊れた。
-
歩夢「愛ちゃん、おはよっ!」
愛「え、お、おはよう歩夢」
嬉しかったよ、歩夢が挨拶をしてくれるなんて久し振りだったから……。
でも、歩夢は。
歩夢「良い天気だよね侑ちゃん!」
歩夢「そうだね歩夢」
歩夢「同好会終わったら久しぶりにお散歩しよっか? どこ行きたい?」
歩夢「歩夢と一緒なら何処でもときめいちゃうね」
一人二役で見えない何かと話し続けていて。
それがゆうゆだと知るのに時間はかからなくて。
-
愛「……」
歩夢が愛さんに対して普通に振る舞うと同時に、愛さんの心には罪悪感が増していった。
だって、歩夢を壊したのは愛さんなんだから。
ゆうゆを殺して、歩夢を壊したのは……。
何とかして歩夢を元に戻せないか考えたよ。
心理学の本もたくさん読んだ。でも答えは見つからないんだ。
大きなショックを与えればいい、あるいは時間をかけて……だってさ。
愛「……」
そんな時だったよ。無人島への旅行を提案されたのは。
-
愛(無人島での旅行かぁ……いいね。豊かな自然に囲まれて刺激を受ければ、歩夢も元に戻るかも)
ゆうゆが亡くなった慰安旅行って名目だったけど、一番癒やさなきゃいけないのは歩夢だって皆分かってたんだろうね。
旅行当日。
その頃には歩夢の奇行は皆がスルーするところとなっていて、ゆうゆに対して話しかけるのも『心の傷が癒えるまでは……』って生暖かい目で見守ってたんだ。
ᶘイ^⇁^ナ川 愛さん、愛さん
愛「どしたのイナってぃー?」
ᶘイ^⇁^ナ川 船に乗る前にパンパンの金玉を整理したいです。見抜きしていいですか
愛「ミイちゃん来られなかったもんね……ね、イナ川。あれ見える?」
ᶘイ^⇁^ナ川 コンクリートの上に干からびたミミズがいますね
愛「あれで済ましときなさい」
-
ᶘイ^⇁^ナ川 ……
ᶘイ^⇁^ナ川 シコシコ
ᶘイ^⇁^ナ川 うっ ビュルル
ミミズ「おぉ……水……」ヌルヌル
ᶘイ^⇁^ナ川ノシ もう干からびちゃ駄目ですよ
愛「感動的な光景だなぁ……」ポロポロ
-
ネタとシリアスの過剰配合すぎる
-
ここまでで一番の狂気
-
⎛(V,,O ᴗ O,,V⎞
-
このネタとシリアスを狂気的に混ぜてᶘイ^⇁^ナ川をもシリアスに組み込むところ……やっぱり前に殺し屋書いてた人?
-
そうして私達は三船島へと出発したんだ。
船を降りて、自然に囲まれて……やっぱり歩夢はゆうゆと話したままだったけれど、久し振りに大自然に囲まれてなんだか気分が良かった。
ᶘイ^⇁^ナ川 えいえい
愛「げっ歯類め! げっ歯類め!」ポイポイ
そうして屋敷についた愛さん達。
愛「おお……肌が真っ白だ」
エマ「ん……ミアちゃんが言うならそうする」
愛(えっ? エマっち、ミアちが好きなレズなの……?)
なんだか親近感を持ったりしながらも探検に出たんだ。
-
客室は意外と広くてテンションが上がってさ。
イナってぃー達もベッドでぽいんぽいんって跳ねてたよ。
客室を調べ終えたら1階。
娯楽室があるんだって聞いてテンション上がってたけど……。
ミア「なんにもないよ。鍵もかからないし」
愛「ふうん……」
せめてビリヤード台くらい置けばいいのに、と思ったけどね。無人島だから管理が難しいのかな。
その後は大浴場を見て、倉庫に行って……。
愛「うわ、埃臭いね……」
ミア「誰も入ってないんだろうさ」
愛「うん……ん?」
倉庫の奥で、小さな箱を発見したんだ。
薬箱かな、と思って開けてみたらその通りでさ。
これで怪我しても安心……って言っても期限切れてるか、なんて思ってたらね。
その薬箱の中に、睡眠薬が入ってるのを見つけたんだ。
-
愛(睡眠薬……)
その瞬間、愛さんの頭の中で悪魔が囁いたんだ。
強いショックを与えて……。
愛(強いショック……)
愛(……死体を見つけて、現実に気付かせるとか?)
愛(いや! いやいや、ダメダメ! そんなこと考えたら……でも……)
愛(……歩夢の為なら。どうせ愛さんゆうゆを殺した殺人者だし)
愛(とはいえ仲間を殺すのは駄目だよね!)
愛(よし、船長さんには悪いけど……死んでもらうよ!!)
-
愛(あの人なら背格好も似てたし……服を交換して愛さんが死んだように見せかけて……)
ᶘイ^⇁^ナ川 愛さん? シコシコ
愛「ん? あ、ごめんごめんすぐ行くよ」スッ
愛(睡眠薬を懐に入れて、皆のあとに続く。よし、なんとかしてヨットに戻らなきゃ……)
愛(違和感ないように……)
愛「ごめん。ヨットに忘れ物しちゃった! 取りに行ってくるね!」テヘペローイ
愛(よし! これで無事脱出できた……後はヨットの船長さんをおびき出して……ん?)
愛(雇い主の娘がいるから気まずいって言ってる人間を、どうやっておびき出すんだ……?)
-
愛(……)
リス「ヂューイヂューイ(マンコを見せろヒトメス)」
愛「失せろ」
リス「怖っ……」
愛(んー……しおってぃーが雇い主の娘ってことは、何かしら命令をしたら聞いてくれるかな……)
愛(しおってぃーがドッキリを考えてる! よし、これでいくぞ!!)
愛「あのー、すいません」
「んん? どうしたの?」
愛「いや、実はしおってぃー……栞子ちゃんがですね、ドッキリ企画を考えてまして」
「ドッキリぃ? 最近の子は変わったことすんねぇ」
-
愛「それであの……私かと思って声をかけたら船長さんでしたー! みたいな……」
「……え、それって何が面白いの……?」
愛「いや、あはは……箸が転がっても面白いんで……」
「……」
愛(あれ、めっちゃ疑われてる……? こんな完璧な計画なのに……?)
「ちょっと無線使っていい? 栞子お嬢様に1度連絡を……」
愛「い、いやいや! 他の人が出るとバレるかもなんで!!」
「そう……?」
愛(疑われながらも船長さんを何とか呼ぶことに成功して……娯楽室に入ってもらったんだ)
-
愛「誰も入らないように鍵かけといてくださいね」
「はいはい」
愛「ふぅ……よし、後は合流だね」
愛「ごめんごめん、皆ぁ。愛さん戻ったよ!」
ᶘイ^⇁^ナ川 遅いですよ愛さん
ミア「チキン冷めちゃったよ……」
愛「あはは! ごめんね」
愛(……ん? あれ? なんか見過ごしてるような……)
愛(………………娯楽室、鍵かからなくない!?)
-
愛(えっ、まずっ……船長さんいるのバレたらヤバいじゃん! 愛さんが疑われる……!)
愛(まだ誰も殺してないけど! なんでそんなことしたのかって聞かれたら……)
歩夢「愛ちゃん、手が震えてるけど大丈夫……?」
栞子「包丁持つと危ないですよ……?」
愛「だ、大丈夫! 愛さんさ、包丁持つと手が震えるんだ!!」
彼方「無理はしちゃ駄目だよぉ? 船旅で疲れたんだねぇ、おっぱいもんどく?」
愛「うん……」モミモミ
彼方「ん……」
愛(いやバレない……よね? わざわざ娯楽室見に行かないよね……?)
愛(……いや、言いに行こう。トイレ行くふりして……)
愛「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるから!」
-
愛「……」ガチャ
「あれ、もうドッキリやんの? ……あれ? 鍵かけてなかったっけ」
愛「いやー……実はちょっと、あの」
「ん?」
愛「この娯楽室、鍵かからないみたいです……」
「えぇ……どうすんの?」
愛「いや、もう……すいませんけど誰か来たらバレないように手で抑えてもらって」
「マジでぇ……後で特別ボーナス貰うからね?」
愛「はい、すいません……栞子ちゃんの父親からふんだくってください」ペコペコ
愛(よし……これで大丈夫、だよね?)
-
その後は皆で料理をお腹いっぱい食べて……。
果林「じゃあ私、お湯もらうから……」ゲフッ
愛(来た! チャンス!)
愛(作戦はこう! 皆がお風呂に行っている隙に、行かない面子を眠らせて……その間に船長さんと服を交換した後に殺して首を切る!!)
愛(皆愛さんが死んだと思う筈だから……歩夢がショックで正気を取り戻したら愛さんは自首してハッピーエンド!)
愛(船長さんには悪いけど……ごめんね、本当に)
栞子「私はまだ大丈夫です……」ゲプッ
エマ「洗い物しなきゃだしね」
愛(結構多いな……残る人……。料理作り過ぎちゃった?)
愛「愛さんコーヒー入れてくるよ……」ゲプッ
-
彼方「……」すやぴ
璃奈「……」すーすー
エマ「すー……」
愛「よし……皆寝たかな?」ムニムニ
愛「うんうん、寝てるね……ん?」
ミア「……」ゴガーン
愛(階段で寝てる……危ないなぁミアち)
愛(よしよし、何にせよチャンスは今しかない。首を入れる袋も用意して、ナタも持ってきてと……)
「んん……待ちくたびれたよ。開けようとしてくるしさぁ……」
愛「ごめんね、もうすぐだから。服を交換して……」
「はいはい。汗臭くても文句言わないでよ」ヌギヌギ
愛「愛さんのこそ汗臭かったらごめんね」ヌギヌギ
-
「んで……これからどうするんだ?」
愛「皆を呼んでくるから、部屋の奥で……」アッチ
「はいはい……があっ!!?」ボグォッ
油断しきった後頭部にナタを叩きつける。
一発、二発……完全に動かなくなったところで、愛さんはふっと息をこぼしたよ。
さて、首を切り落とさないと。ナタを首に添えて……あれ、中々切れない。
愛(……人の首って斬りにくいんだなぁ)ゴリゴリ
愛(うわ、グロい……でもこんなにグロいんだもん。きっと歩夢も驚くよね……)
愛「よし……首は切れた。袋に入れて……」ゴソゴソ
愛「後は身を隠せば……ん?」
ミア「……」
愛(ちょ、ミアち寝相悪すぎでしょ。転がり落ちてるじゃん)
愛(愛さんも血に濡れてるし、起こすのはあれだけどせめて体勢を整えてあげて……あれ?)
ミア「……」
愛「えっ、死んでる?」
-
あっ…
-
◆なんか死んだ
愛(えっ、えっいやちょっと待って)
愛(階段から落ちて……ミアち死んだの? マジで?)
愛「……」チラッ
愛(絶対偶然と思って貰えないやつじゃん!!)
愛(どうする……どうする……)
愛「と、とりあえず娯楽室に……」ズルズル
「……」
ミア「……」
愛「……ふぅ、なんとか運べたけど……」
愛(バランス悪くない?)
愛(えっ、なんで愛さんだけ首切られてんの? 偽装されてない? ってなってない?)
-
愛(そもそもゆうゆが階段から落ちて死んでるのに、ミアちを階段から落として殺したって……歩夢ショック療法どころか精神崩壊だよ)
愛(っ……やるしかない……毒を食らわば皿まで!!)
愛「ミアちごめん!!」ブンッ
ドシャッ
愛「フーッ……フーッ……」
愛(ミアち……ごめん、愛さんが睡眠薬なんか入れたから……)
ギリギリ
愛(愛さんは二人殺した罪を背負って生きるよ……死刑かな……あはは……)
愛(ごめん、本当に……殺人なんて、殺人なんてもう二度と……!!)
彼方「んー何の音?」
璃奈「愛さん? 倒れてるのは……え?」
愛「えっ?」
-
愛さんさぁ…
-
彼方「……」チーン
璃奈「……」チーン
愛「……」
愛「……」
愛「……うん! よし、よし!! 切り替えていこう!!」
愛「ポジティブシンキングだよポジティブシンキング!! 首無し死体が増えて愛さんが怪しまれる確率が減る!!」
愛「よーしこうなったら船長さんに罪押し付けて逃げられるところまで逃げちゃうぞ! なんて……」
愛「なんて……さ……」
愛「……」
-
ギコギコ
ドスッ
愛(なんか首を切る作業に慣れてきた自分が嫌になるなぁ……)
愛(愛さんもう三人も友達殺しちゃった……ゆうゆ含めたら四人か……あはは……)
愛(大量殺人だよこれ……殺人鬼……)
愛(落ちるとこまで落ちた感じあるなぁ……うん……)
愛「もうどうしようも……」
ズルズル
愛「……?」
愛(また誰か来た……もうやめてよ……愛さんこれ以上人殺したくないよ……)
しずく「……」ヒョコッ
愛(! しずく……! ごめんね、愛さん殺……)
バタッ
愛「……え?」
-
計画からガッバガバでオリチャーまみれじゃねーかよえーっ!?
-
愛(しずく……もう死んでる? 背中に刃物が……)
栞子「おや……愛さんもお仲間でしたか?」
愛「しおってぃー……? しおってぃーがしずくを……?」
栞子「ふふっ、ええ、そうです」クスッ
愛(友達を殺すなんて……!)
愛(この女、頭おかしい……っ!!)
栞子「昔から……興味があったんですよ。殺人行為に」
栞子「小動物から始めて、徐々に大きくしていって……ふふっ」
愛(なんか語りだした……)
栞子「この無人島の話を親族から聞いたときには心が踊りましたよ。あぁ、なんて素敵な場所なんだろうって」
-
愛「……」
栞子「この島は元々罪人が流れ着いた島だったんですよ。島で生活を始めた罪人たちは……ある日、何故か急に殺し合い始めて全滅した」
栞子「その島を買ったある金持ちが、いわくつきの島でミステリーツアーをやる計画を立て……その際に出来たのがこの屋敷風のホテルです」
栞子「ところがまた島で殺し合いが起きたんです、完成したばかりの屋敷でパーティーを開いていた人びとが急に……そうして、この島は売りに出された。宙ぶらりんになっていたこの島を買い取ったのが私の叔母です」
栞子「ふふっ……私が旅行を計画した理由はもう分かりましたよね?」
栞子「殺し合い、殺人行為……あぁ、ゾクゾクしますよね……? まさかこの島で仲間に合えるなんて思いもしませんでした……」
愛「いや、愛さんは……」
栞子「安心してください、私が生き残れば……親族は何としてでも揉み消してくれるはずです。愛さんも無事、日常に戻れますよ……」
-
サスペンスモノにある"なんか犯人とは別ベクトルに狂ってて事態をややこしくした奴"だコレ
-
愛「……」
栞子「さぁ……二人で……」
栞子「虹ヶ咲の皆を殺して回りましょう……っ!!」キラキラ
愛「うわっ!」
栞子「なんで私を拒否するんですか、仲間に会えて嬉しかったのに……あぁ、なるほど! 愛さんは殺し合いでしか興奮できないんですね!」
愛「え、え……?」
栞子「ふふっ、ならば仕方ありませんよね……」チャッ
栞子「殺し合うのは……初めてです!!」(とてもかっこいい決め台詞)
栞子「……」チーン
しずく「……」チーン
愛「えぇ……」
-
愛(いや……えぇ……?)
愛(ひーふー……六人、六人て……完全に愛さんヤベー奴じゃん……)
愛(とりあえず首を落として……うう、やだなぁ)
ドッサリ
愛(6人分の首重いし……どこに隠そう……)
愛(倉庫はすぐ見つかっちゃうし……とりあえずキッチン裏の森にでも放り込んどこ……)
-
愛「ふぅふぅ……やっと捨てられた……重かったなぁ」
愛「愛さんもう……限界だよはゆむぅ……武器は船長が狂ってる感出す為に倉庫に戻してきたけど……どうなったかな?」
愛(屋敷の中の様子はどうかな。ちょっと窓から覗いて……。ん……食堂に皆集まってる……?)キョロッ
果林「船長はいなかったわ……」
愛(お、船長の話だ)
ᶘイ^⇁^ナ川 栞子さん達を殺害した犯人は、船長さんですよね?
愛(おっ、いいねイナってぃー! キスしてあげたいくらいだよ!)
果林「武器になりそうなものを……」
愛(倉庫に行くみたいだね。ナタを見つけてビビって船長への警戒を強めてくれたら……)
愛「よし……皆行ったね。キッチンに入れたし……」ガチャ
愛「一応睡眠薬をカップに塗りこんどこ。愛さんがコーヒー入れたから犯人!なんてウルトラC決められたらやだし……」
愛「ふぅ……これで……あっついなぁ。動きすぎて汗かいてきちゃったよ」メクリメクリ
愛「ん?」
-
愛「……」マッシロ
愛「あ、これ……コスメの……」
愛「……」
愛(いやこれ見られたら終わりなやつじゃん?)ダバーッ
愛(あの時イナってぃーいたし、愛さんの袖を捲りましょうなんて言われたら……)ドバドバ
愛「うぉぉぉぉぉっ!!!」ダダダ
愛(運べ運べ運べぇぇぇぇっ!!! 皆が戻ってくる前に!!!)ズリズリ
愛(廊下に血が付いちゃうけど……もうそんなこと気にしてられるか!! うぉぉぉぉぉっ!!!)
-
愛「ふぅ……ふぅ……」
愛「や、やっと運べた……後はここから脱出……」
ドタドタ
愛「!?」
愛(や、やばっ!? 皆来るっ……!?)
愛(隠れるところ隠れるところ……サウナ!!)バタンッ
ガラガラッ
ᶘイ^⇁^;ナ川 なっ……!! 遺体が……!!
愛(バレるな……バレるなよぉ……)ドキドキ
-
ランジュ「出てこいっ! 殺してやるラっ!!」ドカンバタン
愛(え……ランジュこっち来てない?)
愛(やばっ、サウナ開ける気!? なんで!?)
愛(えっと、えっとどこか隠れる場所! 隠れる場所……!?)
愛「!!」
ランジュ「ふーっ……ふーっ……」
愛「……」←サウナストーンを入れるとこの裏に隠れてる
ランジュ「……ちっ」ガラッ
愛「……」←ロウリュのように小便を漏らしている
-
愛「な、なんとか行ってくれた……」ヨロヨロ
愛「でもこれで腕を見られても違和感はないよね……?」
愛(こっそり出ていって……あれ、玄関ドア鍵かかってる)
愛(……娯楽室の窓辺りから出た方が良さそうかな? ドアを開ける音で気付かれるかもしれないし)
ポソッ
愛(よしよし、無事脱出成功。後はキッチンから回って……)ポテポテ
愛(皆の動向を見ながら何とか……)サッ
歩夢「なんでこんなことに……ねぇ、侑ちゃん……」
愛(……は?)
-
愛(え、今……ゆうゆと話した?)
愛(は……は、はぁ? なんで?)
愛(愛さんこんなに頑張ったのに、愛さん友達まで殺しちゃったのに)
愛(歩夢、一切変わらなかったの?)
愛「……」ギリッ
愛(……愛さんのやったこと、無駄だった?)
愛(だとしたら……愛さんはただの……)
愛「道化……どうかしてる、だけに」
-
愛(……はは)
愛(あーあ……もう……最悪……)
愛(死んじゃいたいや……)
愛「……」
愛(……のど、乾いたな)
愛(水……気付かれたら? あはは、どうでもいいや……)
愛「……」コソッ
-
愛「……んくっ、んくっ」
愛「……ふぅ」
コーヒー淹れてきますね。
愛「!!」サッ
愛(テーブルの下に隠れちゃったけど……今のせっつーだよね?)
カチッ ボッ
せつ菜「皆……なんでこんなことになっちゃったんですかねぇ……」ポロポロ
愛(せっつー……泣いてる……)
-
本当に睡眠薬か?w
-
愛(ごめんね……愛さんがバカなこと考えたから……)
愛(もう……もう二度と人殺しなんて……)
せつ菜「ふぐ……おや?」
ζ㎗òヮóリ !
/⁄*イ`^ᗜ^リ !
/⁄*イ`^ᗜ^リ スゥゥゥゥ
ζ㎗òヮóリ !!!!
せつ菜「……」ドサッ
愛(や、やっちゃった……)
-
果林「何今の音……せつ菜!?」
愛(!! カリンが来る!!)
愛(逃げなきゃ……!!)タッ
果林「待ちなさい……っ!!」ダダダッ
愛「……」チラッ
愛(包丁持ってる……!? これ捕まったら殺されるじゃん!!)
愛(なんとか逃げ切らないとっ……!!)
果林「っ……!!」
愛(やばい……やばいやばいやばい!! カリン足早すぎ!! 捕ま……っ!!)
-
果林「このっ……止まりなさい!!」ブンッ
シュッ!!
愛「ひっ!!」
愛(切られ……こ、殺されるっ!!)
愛「うわぁぁぁぁぁっ!!」ブンッ
愛さんが我武者羅に放った裏拳がカリンの顔に吸い込まれて。
カリンは包丁を取り落として、その場に倒れ込んだんだ。
愛(まずい、まずいまずいまずい!! 殺らなきゃ……殺らなきゃ殺される!!!)バッ
果林「っ……え?」
果林「あなた……愛……?」
愛「あぁぁぁぁぁっ!!」
ザグッ!!
愛(包丁で心臓を刺して、そのまま下へ。身体を斜めに裂くように包丁を突き入れる)
果林「ぎっ……ぁ……!?」
果林「な、んで……」
-
愛「っ……うっ!!」
愛(カリンはピクピクと細かな痙攣を繰り返していた。まだ生きてる……殺らなきゃ!!)
果林さーん!!
愛「!」ピタッ
愛(イナってぃーの声……)
愛(隠れなきゃ……っ!!)サッ
果林「ぁ……なんで……」
果林「あ……」パタッ
愛「……」
-
愛(カリンは愛さんの名前を言えず事切れた……)
愛(これからどうしよう……ヨットで逃げようかな……?)
愛(もう自首なんて出来ないほどに罪を重ねちゃってるしね……あはは……)
愛(とりあえず食堂近くの窓から気付かれないように様子を伺って……)
愛(万全を期して、皆が睡眠薬を飲んだらヨットで脱出する……よし、これで……)
──────
愛(あれから数時間……やっと飲み物を取りに行ってくれた……)
愛(コーヒーじゃなくて紅茶を選んだんだ。どのみち細工されてるのはカップだから意味ないんだけどね)
かすみ「うぇ、しぶ……」
エマ「この紅茶ボーノだね……」ゴクゴク
ランジュ「そう? よく分からないわ……」
ᶘイ^⇁^ナ川 エマさんが言うなら…… ゴクゴク
歩夢「……あんまり美味しくないな、侑ちゃんはどう?」
愛(よし、皆飲んでる……これで……)
ᶘイ^⇁^ナ川 ん…… パタッ
エマ「ふぁ……ごめん、皆……ちょっと眠いや……」
愛(皆寝始めた! これで……)
かすみ「……」ウトウト
ランジュ「ふぁ……」
歩夢「……」
かすみ「っ……そう、いうことですか……っ!!」
愛(……ん?)
-
ランジュ「なに……どうしたのよかすみ?」ウトウト
歩夢「かすみちゃん……?」
かすみ「なん、だか……凄く眠いんですよぉ……!!」
かすみ「ランジュ……睡眠薬を盛り、ましたねぇ……!?」
ランジュ「は……ぁ!? 何言って……」
ザクッ
歩夢「ひっ!! か、かすみちゃん!?」
愛(よく見えない……何が起こって……)
歩夢「痛くないの!? は、早くフォーク抜いて……!!」
愛(まさか……かすかすが自分の身体をフォークで刺した……!?)
かすみ「ふーっ……ふーっ……やっと、やっと分かったんですよぉ!!」
かすみ「この事件の犯人がぁ……犯人は船長さんなんかじゃありません!!」
-
ランジュ「犯人が……!?」
愛(……ま、待って? なんであの三人ピンピンしてるの?)
愛(眠たげにはしてるけど……あっ!!)
愛(そうか紅茶……口に合わなかったからほぼ飲んでないんだ……!! だから摂取量が……!!)
かすみ「果林先輩が最後に言おうとした犯人の名前……」
かすみ「『あ』から始まる名前だったんですよぉ……っ!!」バリバリ
ランジュ「『あ』……?」
かすみ「一人、しかいませんよねぇ? そんなの、一人しかって……!!」バリバリ
-
歩夢「ま、待って!? 私そんなこと……!?」
かすみ「私だって信じたくなかった……それに歩夢先輩一人じゃ犯行は行えない……だから頭から消し去ろうとした!!」
かすみ「なのに、ランジュは……睡眠薬をもって……」ポロッ
かすみ「私には全部分かってんだよォッ!! この事件の犯人は、歩夢先輩とランジュだって……!!」ポロポロ
ランジュ「は……ぁ!? 何言ってるラ!?」
ランジュ「言っていいことと悪いことがあるでしょ!? ランジュがミアを殺したって言いたいの!?」
かすみ「へ、へへ……今度は寝ている最中に、かすみん達の首を切り落とすつもりですか……そ、そうはさせませんよぉ?」バリバリ
ランジュ「いい加減に……っ!」
かすみ「ひっ!!」
バキンッ!
硬い金属音が聞こえる。室内用のライトスタンドで、かすかすがランジュを殴り飛ばしたんだ。
頭から血を流したランジュが、キッとかすかすを睨む。
ランジュ「かすみ……あなた……!!」
かすみ「ひ……ぃっ!! 来ないでください……この、この……人殺しぃ!!」ダッ
-
ランジュ「っ……待ちなさい、かすみ!!」ダッ
歩夢「ランジュちゃん!!」
ランジュが、武器として倉庫から持ってきていたハンマーを片手に走っていく。
もしかするとランジュは……かすかすが犯人だと思ったのかもね。それとも、武器を持ってるかすかすへの牽制かな?
歩夢「あ、あぁ……どうしよう……起きて、エマさん……!!」ユサユサ
エマ「ぁん……♡」
歩夢「全然起きない……イナ川ちゃん!!」
ᶘイ^⇁^ナ川 ファーブルスコファー
歩夢「うぅ……あ、そ、そうだ! イナ川ちゃんはランジュちゃんとキッチンに行ってたよね、侑ちゃん!」
歩夢「そうだね、歩夢。イナ川ちゃんを連れていけば無実を証明してくれるはずだよ」
歩夢「イナ川ちゃん……! よいしょっ……!!」ギュッ
歩夢「うぅ……重い……」ヨロヨロ
そうして歩夢がイナってぃーを連れて部屋を出ていく。
ぐっすり寝てるエマっちだけがそこに残されて……。
-
愛「……」ガチャッ
愛(キッチンの裏口を開け、食堂に入る。エマっちは相変わらずすやすやと寝息を立てている)
愛(何も知らない、幸せな寝顔で)
愛「ぁ……」
愛(部屋の隅に転がったナタ。布にくるまれてはいるけれど、愛さんが首を切り落とした時に使ったものだということはすぐに分かった)
愛(それを手に、愛さんは娯楽室へと向かう。自分が引き起こした惨劇の幕引きを見届ける為に)
愛(ゆっくりと、娯楽室の扉を開けて)
愛(……そこにあったのは、最悪の光景だった)
-
入り口のすぐ側で血塗れで倒れているイナってぃー。
ランジュが頭を割られて死んでいた。
かすかすがナイフで首を裂かれて死んでいた。
そして、歩夢が。
歩夢は虚ろな目でこちらを見ていた。
体は血まみれで、口からは血を吐いていて。きっともう助からないことは明らかだった。
愛「……歩夢」
歩夢「……ぁ」
愛「……」
歩夢「侑、ちゃ……」
愛「っ……!!」
最後まで……最後の瞬間まで、歩夢はゆうゆを見続けていた。
あはは、なんだ。あはははは、なあんだ!
全部、無駄だった。全部茶番だった。
そんな単純な論理を私はこの状況でようやく理解した。
私がやったこと、全部無駄だったんだ!
-
イナってぃーに近付く。まだ息があるのか、苦しげに震えている。
その小さな手に、愛さんは手にしたナタを握らせた。
これを見たエマっちはどんな反応をするのだろう? カップ程度しか運べないイナってぃーがこの惨劇の犯人だとでも思うのだろうか?
いや、思わないだろう。
茶番だ。
愛「全部全部……茶番だ」
この世界も、すべての物語も、すべての真実も、すべての幻想も。
茶番に過ぎない。
だから、私はイナってぃーにナタを握らせる。
この状況を見た誰かに警察に、新聞記者に、素人探偵に……全ては茶番でしかないと知らせる為に。
-
それから、私は。ゆっくりと娯楽室を出ようとして。
エマ「皆……皆どこなの!?」
エマっちの声に、思わず身体を突き出た柱の影に隠す。別にもう隠れる必要なんてないのに。
エマ「もうやだ……こんなのやだぁぁぁっ!!」
叫び、エマっちがどこかへ駆けていく。あぁ……そうだね。
同感だよ。こんな物語はいらない。
偶然と茶番に満ちた喜劇。それを無理やり悲劇として仕立て上げようとしたつまらない物語。
こんなものは、もう嫌だ。
-
今までになく、足取りは軽やかだった。
全てを捨て去ったような、そんな気分で私は森を進む。
愛(ゆうゆを殺した罪悪感すらも……今はもうない)
愛(友達を殺した悲しみすらも、もうない)
愛(まるでショーを見ているように、なんの感慨もわかない)
汚れた衣服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿で更に森を進む。身に纏う全てが邪魔で、脂肪と筋肉の塊は最早私にとって枷でしかなかった。
歩夢をもとに戻してあげたかった。
ただ、それだけが真実だ。壊したのは私で、治そうとして台無しにしたのも私。マッチポンプに笑えてくるよ。
愛「あは……あはは……」
-
目的地を決めず歩いていた足取りは、不意に森が開けたことで止まった。
海だ。
切り立った崖、私の立つ遥か下で波が寄せては返し手招きをしている。
私を抱きしめるように、此方へと手を伸ばしている。
ゆうゆ。船長さん。ミアち。カナちゃん。りなりー。
しずく。しおってぃー。せっつー。カリン。かすかす。
ランジュ。イナってぃー。エマっち。
そして、歩夢。
愛「皆、ごめんね……」
そうして、軽やかにワルツを踊るように。
私は崖に向かって歩いていく。浮遊感。空が青く光っている。
私の死体は見つかるのだろうか?
もし見つからなければこの事件は……。
きっと、『真実を見抜いた』誰かが適当な理屈をつけてくれるんだろう。
そんな事を考えながら、私は空と海の間を落ちていった。
終わり
-
乙
真実を求めるjΣミイ˶^ ᴗ^˶リの長い旅が始まりそう
-
>>186
「「グッド」」
-
ᶘイ;⇁;ナ川 かなしいです
-
乙
つらい
-
なお璃奈があらかじめ作っておいた何か問題が起こったらゾロリがやってきて全部なんとかしてくれる機械で、オナラで侑も含めてみんな生き返ったしハッピーエンドになった
これが一なる真実や
終わり
-
乙
推理は3割くらいは当たってたけど、予想外なポイントも多かった
辛いけど同時に面白かった
-
⎛(cV„Ó ᴗ ÒV⎞ まいったねこりゃ
-
おもしろ
もう一度最初から読もう
-
乙
予定外の殺人に事故や別犯とか推理しようがないわ
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