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【SS】小鈴「聖杯戦争?」
1
:
名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★
:2025/01/31(金) 18:29:44 ID:???00
〇〇新聞 号外
【金沢市に隕石落下 3万棟が被害】
2月10日 午前5時13分頃、石川県金沢市の卯辰山付近に隕石が落下した。
落下した隕石は、当初地球に接近後、通過予定だった彗星、「ロータス彗星」と推定される。
観測基地の情報によると、この彗星は日本上空を飛行中、突如として進路を変更し、地上に落下したと見られる。
専門家は地球の引力によって天体が崩壊したことで、破片の一部が落下したのではないかと考えているが、詳しい原因は判明していない。
この隕石衝突により、金沢市内の約3万棟が倒壊するなど、5万人以上が何らかの被害を受けたと考えられている。
現在、自衛隊が救助に当たっているが、瓦礫が多く救助は難航している。
また、隕石の落下地点の付近には市内の名門私立高校『蓮ノ空女学院』が位置しているが、上空からの映像では校舎の姿は確認できていない。
蓮ノ空女学院は全寮制であり、事故当時、寮には341人の生徒がいたと見られるが、現状安否は不明である。
528
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 21:56:41 ID:???00
綴理(すごい、よく避けれたね)
小鈴「体が勝手に動きました!」
バーサーカーとの特訓が生きている。
攻撃が来るより先に、体が最適な回避行動をしてくれる!
ピュン❄↣
小鈴「っ!」サッ
トワ「ちょこまかと...!」
小鈴「はあっ!」ドガン!
トワ「!!」
小鈴「ふっ!」ベシン!
トワ「ぐっ...!」
529
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 21:58:14 ID:???00
小鈴(バーサーカーに教わったこの技で!)
小鈴『二手蓮弾!!!』ドドン!
肝臓と脾臓を両拳で挟むように殴り、破裂させる。
トワ「ごはっ...!」メキメキ…バシャ!
小鈴「やった!」
トワ『スケイプゴート』
トワ(影)「ごぼっ」バシャ!サー…
小鈴「!?」
トワ「ふん!」
小鈴「がっ!」ヨロ
ピュン❄↣
小鈴(しまった!避けられ――)
530
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 21:58:56 ID:???00
綴理(『レディバグ』!)
小鈴「!?」フワッ
スカッ
小鈴「なに、今の?」
綴理(すずの魔術回路でもできそうな魔術を試してみたんだ)
小鈴「体を浮かす魔術ですね!」
綴理(本当は自由に空を飛べるはずだったんだけど...)
綴理(すずの体だと一瞬浮くのが限界みたいだ)
小鈴「それは知らなくてもよかったです!」
綴理(ごめん)
トワ「さっきからぶつぶつと鬱陶しい!」
531
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 21:59:46 ID:???00
小鈴「綴理先輩、さっきの浮くやつもう一回できますか?」
綴理(できるよ)
小鈴「なら――」
綴理(わかった。やってみよう)
小鈴「...」グググッ
小鈴「!」ダン!
トワ(また馬鹿正直に突進か...なら正面から焼いてやる)
トワ『Crimson lotus』🔥
綴理(『レディバグ』!)
小鈴「...っ」フワッ
正面に迫る火球を浮いて避ける。
トワ「!!」
532
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:00:28 ID:???00
小鈴(地面を蹴ったわけじゃないから、進行方向は変わらない!)
最初に飛び出した勢いのまま、トワの顔面に飛び蹴りを放つ。
小鈴「はっ!」ゴン
トワ「がはっ!」バタン
小鈴(次の一発で決める!)
キュイーン!バチバチ⚡
魔術回路を限界まで回す。
トワ「まず――」
小鈴「はああああ!!!」ドン!!
自分史上最速で、最大の一撃を放つ。
小鈴「これで!!」
533
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:01:23 ID:???00
クラッ
小鈴「――へ?」
バタン!ズサー…
綴理(すず!?)
小鈴「綴理先輩...これはなんの魔術ですか...!」
綴理(いや...すずは今“勝手に転んだ”)
小鈴「え」
立ち上がろ言うとするが、体に力が入らない。
小鈴「なん、で...!」
強化は切れていない。
指先まで余すことなく魔力は満ちている。
なのに、体を動かすことができない。
534
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:02:22 ID:???00
トワ「...ふん、あんなに速く動くからだ」
トワ「魔力で肉体を強化したところで、お前の体は人間のまま」
トワ「サーヴァントのように動けば、“酸欠”になるに決まっているだろう?」
小鈴「!?」
綴理(立つんだ!すず!)
小鈴「う〜〜!!!」ムクッ
トワ「ほう、根性だけはあるな。なら――」
トワ『希望的プリズム』
トワの前の空間が歪む。
まるで一度切り取った空間を、適当にハメ直したようだ。
トワ『Sparkly Spot』ピカッ
光の束はプリズムを通過し、無数の細い光線となり拡散する。
535
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:03:21 ID:???00
小鈴(あ、これダメだ。避けられない)
ブス!ブス!ブス!ブス!ブス!
小鈴「かはっ...」バタン
綴理(すず!!!)
1本1本は即死級のダメージにはなりえない。
だが、肺やそのほかの内臓、体中の筋肉に針金ほどの小さな穴が開く。
体に力を入れるたびに全身に強烈な痛みを感じ、起き上がることができない。
仰向けに倒れた視線の先には、夢で見たあの――
トワ「今度こそ、本当に終わりだ」
トワ「強化しかできない未熟な身で、お前はよく頑張ったよ、徒町小鈴」
トワ「もしもサーヴァントになれたなら、また戦おう」
トワ『Crimson――」
536
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:04:39 ID:???00
慈『エンジェルスマイル!』
グリン!
トワ「――は?」
慈「コスズちゃんなんかより、めぐちゃんのカワイイ笑顔でも見てたらどう!」ニコッ
トワ「藤島慈!!」
慈「あれ?数日見ない間に随分ボロボロになってるね」
慈「もしかして小鈴ちゃんにやられたの?」
慈「ぷぷぷwあんな小さな子にボコボコにされるとかうけるですけどw」
トワ「あ"?」ギロ
慈「きゃー恐ーい!せっかくの可愛いお顔が台無しだぞ☆」
トワ「魔術回路も持たないゴミが気やすく話しかけるな」
537
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:05:26 ID:???00
トワ「バーサーカーにやられた傷がなければ、こんな奴に苦戦することはなかった」
慈「え?w苦戦してたのwww」
慈「数日前まで魔術も知らなかった子にwww」
トワ「」ビキ💢
トワ『Crimson――」
瑠璃乃「たーー!!」ゴン!
トワ「ぐっ!ランサーだと!?」
トワ「なぜ消滅していないんだ!!」
瑠璃乃「ヒーローは遅れてやってくるものなのさ!」
トワ「答えになってない!!!」
538
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:06:07 ID:???00
慈『エンジェルスマイル!』
グリン!
トワ「あ"ー!めんどくさい!!」
トワ「『DEEPNESS』!」
慈「ぐべっ」バタン
瑠璃乃「とう!」シュバ
トワ「っ!」パシッ
瑠璃乃「うぇ!?」
トワ『Crimson lotus』🔥
瑠璃乃「あ"あ"あ"あ"!」🔥
慈「ルリちゃん!!」
539
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:07:12 ID:???00
トワ「消滅しかけのサーヴァントなど、ただの人間と変わらない!」ブン
瑠璃乃「ぐえ!」ゴロゴロ…
トワ「さっさと消滅して聖杯に注がれろ!」カチカチ❄↣
ピュン❄↣
慈「あぶない!!」
グサッ
慈「う"...!」ビチャ
瑠璃乃「めぐちゃん!!!」
トワ「どいつもこいつも...」
トワ「羽虫程度が、人間の歩みを止められるわけないだろう」
慈「自分以外は人間じゃないとでも言いたいの...」
トワ「そうだ」
540
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:08:01 ID:???00
慈「ふん...でも、あんたはその羽虫ごときにやられるんだよ...!」
トワ「は?なにを言って――」
トワ「待て、ランサー。お前宝具はどうした?」
瑠璃乃「あげたよ。一番必要な人にね!」
トワ「......」
トワ「!!!」バッ
後ろからの殺気を感じ、咄嗟に振り返る。
そこには、もう立つ力も無いはずの女が、こちらを睨んで立っていた。
その手には――
541
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:08:30 ID:???00
トワ「ランサーの宝具...はっ!?」
上を見上げる。
空には、アーチャーの夢で見たあの彗星が飛んでいた。
トワ(そうか!そういうことか!)
トワ(徒町小鈴に星を落とせる魔術は無い!)
トワ(だが、あの宝具なら...!)
小鈴「――――――!」
トワ「させるか!『Crimson lotus』」🔥
――――――
542
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:09:23 ID:???00
瑠璃乃『小鈴ちゃん生きてる?生きてるね!』
瑠璃乃『これ、ルリとめぐちゃんからのプレゼント!』
瑠璃乃『というか、お詫びかな...」
瑠璃乃『たくさん迷惑かけちゃったからね』
瑠璃乃『めぐちゃんが小鈴ちゃんに渡してほしいってさ!』
瑠璃乃『小鈴ちゃんならこれを正しく使ってくれると、ルリ思う』
瑠璃乃『ゆえに、ルリあり!』
ランサーは徒町の手に槍を握らせると、すぐに去っていってしまった。
小鈴「...接続開始」
バチバチ⚡
魔術回路を宝具に接続する。
それだけで、この宝具の性能を理解した。
543
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:10:27 ID:???00
なるほど、確かにこの宝具なら、星だって落とせる。
これは“引き寄せる”というただ一点においては、間違いなく最強の宝具だ。
目の前には綺麗な彗星が飛んでいる。
赤、青、黄色の美しい光の尾を伸ばし、今まさに徒町の上空を通過しようとしている。
綴理(すず...)
それは、いいのか?
あれを落とせば、何万人もの人が死ぬことになる。
何十万人もの人が、住む家を失くす。
――――――
さやか『それが、かえって多くの人を不幸にするとしても、ですか?』
――――――
544
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:11:36 ID:???00
徒町はその罪を背負いきれるの?
小鈴「...」ユラ
体に鞭を打って立ち上がる。
小鈴(徒町は...聖杯を壊すんだ...)
罪なんて関係ない。
自分の未来なんか関係ない。
徒町はただ、聖杯が憎い。あの女が憎い。
今この瞬間、あれを壊(殺)せる力がこの手にあるのなら、迷うことなんてない。
綴理(すず...ぼくはきみの選択になら力を貸すよ)
綴理(それが、不幸な結果を招こうとも)
宝具を掲げる。
彗星との距離を測る。
小鈴(終わらせるんだ、この聖杯戦争を)
小鈴(たとえ何を犠牲にしても!)
小鈴「――――!」
545
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:12:07 ID:???00
梢『小鈴さん、近道ばかり考えてはだめよ』
梢『結果だけを求めていると、本当の目的を見失ってしまうわ』
546
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:13:02 ID:???00
小鈴「...」
違う。
違う違う違う違う違う!
徒町の目的は、聖杯を破壊することじゃない!
この土地に縛られた不幸な魂を、解放することだ!
もうこれ以上、悲しい思いをする人を増やさないことだ!
聖杯の破壊は、その結果でしかなかったはずだ!
徒町は弱い。
徒町は馬鹿だ。
そんな徒町が、自分一人で何とかしようとするから、何かを犠牲にする選択しかできないんだ!
547
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:14:38 ID:???00
弱い自分を受け入れろ。
ダメな自分を受け入れろ。
綴理先輩も言っていたじゃないか。
徒町は台風の目だって。
周りにはいつも、強い風が吹いているって。
徒町はただ手を伸ばして、その風を掴むだけでいいんだ。
この状況をひっくり返せる、強い強い風を!
小鈴「計測、開始――」
距離を、時間を、常世と現世の垣根さえ超えて、“縁”あるものを引き寄せる。
それがこの宝具の、本当の力。
綴理(そうか、それがすずの選択なんだね)
綴理(その選択になら、ぼくも全力で力を貸せそうだ)
548
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:15:54 ID:???00
遠く、遠く、遠く。
次元を超えて、釣り糸を伸ばす。
トワを倒せる力を持つ者を。
徒町に協力してくれる人を。
――――――
『少しくらい頼ってください!』
『ずっと、一緒にやってきたじゃないですか...』
――――――
カチャ
目標に届いた。
釣り糸を通して、確かな重みを感じられる。
“わたしを呼べ”と合図が来る。
小鈴「――――計測、完了(セット)」
549
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:17:25 ID:???00
小鈴「是、『BUNG YOU グラビティ』!!!」
ピカーン!
🔥カチン!
眩い光と共に、辺りが冷気に包まれる。
トワの放った火球は、巨大な氷の壁に阻まれた。
目の前には――
「召喚に応じ参上しました。サーヴァント、アーチャー」
さやか「徒町先輩、貴女がわたしのマスターですね」ニコッ
小鈴「うん...うん!」
小鈴「“一緒に”戦おう!さやかちゃん!」
何より頼もしい後輩が、徒町を優しく見つめていた。
550
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:18:35 ID:???00
トワ「な!?アーチャーだと!」
トワ「馬鹿が!私はそいつの元マスターだ!戦い方なら熟知してる!」
さやか「そうですか。なら頑張って避けてください」
さやか「Tragic Drops」
トワ「!!!上!?」バッ!
トワは咄嗟に頭を庇うと、頭上を見上げる。
しかし、そこには星空があるだけだった。
トワ(しまった!ブラフ――)
ヒュン❄↣ ヒュン❄↣ ヒュン❄⚔
グサッ! グサッ!
トワ「ぐっ!!」ガクン
トワ(2本もらった...!)
551
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:19:50 ID:???00
トワ「姑息なまねを!」
さやか「相手に武器が割れているなんて、戦場ではよくあることです」カチカチ❄↣
さやか「それならそれで、戦い方というものがあるんですよ!」ヒュン❄↣
トワ「ちぃ!」バッ
さやか「最も、100年も鳥かごの中に閉じ籠ってた人には、わからないでしょうが」
トワ「アーチャー...!」
トワ「『Crimson lotus』!」🔥
ボン🔥 ボン🔥 ボン🔥 ボン🔥 ボン🔥
トワは複数の火球を広範囲にばらまく。
さやか「...」スッ スルッ サー
だが、アーチャーはまるで氷上を舞う花のように、飛んでくる火球を華麗に避ける。
552
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:20:35 ID:???00
トワ「ちょこまかと...!『DEEPNESS』」グン
さやか「!」ガクン
さやか「」スー…
トワ「霊体化した!?」
さやか「はっ!」スー
バシン!
トワ「ぐっ!」ヨロ
さやか「ふっ」ピト
さやか『吸収』
アーチャーはトワの体に触れると、熱を奪う。
トワ「!!」ブルッ
トワ(体が...寒い!)
553
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:21:16 ID:???00
さやか「はっ!」ゴス!
トワ「かはっ!」
さやか「これで終わりです」カチカチ❄⚔
トワ(まだだ...!せっかく根源に手が届くんだ)
トワ(こんなところで負けてたまるか!)
トワ「アーチャー!!!」👁👁ギロ
さやか「!」ビクッ
さやか「魔眼!?そんなものまで!」
トワ「私の勝ちだ!『Crimson――」
さやか「いいえ。“わたし達”の勝ちです」
トワ(わたし達?いや待て、あいつは...徒町小鈴はどこに)
554
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:22:46 ID:???00
トワ「後ろか!!」バッ
小鈴「っ!」❄⚔
トワ(氷の剣!?いつの間に...いや、最初に飛ばした矢か!)
小鈴(示現流、蜻蛉の構え――)
――――――
祖父『いいか、こすず、刀を抜くってことは、相手を必ず倒すってことだ』
祖父『次なんて考えるな!一振りにありったけの力を込めろ!』
――――――
小鈴(ありったけを、この一振りに!!)グッ!
小鈴「ちぇぇすとおおおおぉーーーー!!!」ザンッ!!
トワ「!?!?!?」ブシャー!
全身全霊の一太刀は、咄嗟に頭を庇ったトワの両腕を輪切りにし、左肩を削り斬った。
555
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:23:34 ID:???00
しかし、まだ生きている。
腕で軌道をずらされたせいで、心臓を外した。
渾身の一撃でさえ、この女の命には届かなかった。
小鈴(また失敗した!絶好のタイミングで、こんなにもお膳立てしてもらったのに!)
全力の振り下ろしをした直後では、再び刀を振りかぶることなんてできない。
その一瞬の隙があれば、この女は徒町を殺せるだろう。
小鈴(結局いつもそうだ、徒町は肝心な時に勝負を決めきれない!)
全力の一太刀を外した武士に、次なんてない。
後はもう、殺されるのを待つのみ。
――だが、それはあくまで、他人の話だ。
徒町小鈴には、徒町小鈴の戦い方がある!
556
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:24:40 ID:???00
小鈴(諦めない!失敗したって、何度だって、何度だって!立ち向かう!)
小鈴(それが!あたしの戦い方だ!!)
小鈴「ふんっ!」ガッ!
氷の剣を翻し、全力で蹴り上げる。
腕の力で持ち上がらないなら、蹴った衝撃で跳ね上げればいい!
小鈴「うおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」
ズバーン!!!
トワ「かっ――」ブシャー
氷の剣は、トワの左わき腹から右肩にかけて逆袈裟斬りにした。
トワ「 」バタン
小鈴「はあ...はあ...」バタン
もう一歩も動けない。
正真正銘、すべて出し切った。
557
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:25:13 ID:???00
トワ「...」ズル…
トワ(ま...だ...日野下花帆の体さえ手に入れば...)
ストン❄⚔
トワ「あ――――」
トワ「 」
さやか「まったく、本当に生き汚い人ですね」
小鈴「さやか...ちゃん...」
さやか「トワはわたしが殺しました。あなたではありません」
さやか「手柄を横取りしてすみません」
小鈴「はは...やさしいね...」ムクッ
さやか「はて、何のことでしょう?」
558
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:25:47 ID:???00
小鈴「ありがとう。助けに来てくれて」
さやか「こちらこそです」
さやか「今度はちゃんと頼ってもらえて、嬉しかったです」ニコッ
小鈴「頼るよ。ずっと徒町のこと、思ってくれてた人だもん」
さやか「そう言われると...照れますね///」
さやか「さあ、まだ終わっていませんよ」
小鈴「え?」
さやか「この土地に縛られた魂を解放するんでしょう?」
小鈴「そうだった!でも、どうすればいいのかわからない...」
さやか「あそこに聖杯召喚のための魔法陣がありますね」
さやか「あれを利用して、聖杯の構造を読み解けば、できるはずです」
さやか「わたしも力を貸します。さあ、立ってください」
小鈴「うん」
559
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:26:28 ID:???00
2人で魔法陣の傍による。
さやか「なるほど、思ったより難しくなさそうです」
小鈴「いけそう?」
さやか「はい。これなら問題なく」
それから、さやかちゃんに言われるまま、魔法陣を書き換えた。
小鈴「あとはどうすればいいの?」
さやか「あとはもう、手を置いて願うだけです」
小鈴「願う...」
560
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:27:27 ID:???00
バーサーカー、キャスター、姫芽ちゃん。
他にもたくさんの人の魂がいまだここに縛られている。
みんな願いを抱えて死んでいった。
願いを叶えられないまま死んでいった。
徒町がやろうとしていることは、その魂たちにとって本当にいいことなの?
このままにしておけば、また機会があるかもしれない。
聖杯は偽物でも、サーヴァントとして蘇ればまた別の方法があるかもしれない。
サーヴァントになれば、また会うことができるかもしれない。
それでも――
小鈴「どうか、安らかに眠ってください」
失ったものは、取り戻せない。
だから、亡くなった人たちの想いは、今を生きる私達が受け継ぎます。
561
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:28:00 ID:???00
キラキラ…✨
蓮ノ湖から光の粒子があふれ出す。
光は天に向かって次々と登っていく。
その光景は、この世のどんな景色よりも、美しくて、悲しかった。
小鈴「さようなら。バーサーカー、姫芽ちゃん...」
562
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:28:34 ID:???00
さやか「さて、わたしもそろそろ帰らなければなりません」
小鈴「あ、さやかちゃんはどうなるの!?」
小鈴「隕石落ちなかったから、アーチャーにはならないんだよね?」
さやか「今のわたしは守護者なので、この世界の村野さやかとは関係ありません」
小鈴「じゃあ、また会えるの?」
さやか「それは...どうでしょう」
さやか「わたしと会うということは、ろくでもないことが起きているということですから」
小鈴「なら、これでお別れ...」
さやか「悲しまないでください。わたしはいつでも、徒町先輩を見守っていますから」
小鈴「うん...」
小鈴「あっそうだ!さやかちゃんに言いたいことがあったんだ!」
さやか「?」
563
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:28:54 ID:???00
小鈴「さやかちゃん」
さやか「はい」
小鈴「今まで、よく頑張ったね!」
さやか「え!?」
小鈴「ずっと、ずっっと!頑張ってきたんだよね!」
小鈴「えらいえらい!」ヨシヨシ
さやか「――っ!」
さやか「ずるいです...!こんな時だけ、先輩ぶって」ポロポロ
小鈴「どうしても、言いたかったんだ」
小鈴「さやかちゃんは、すごく頑張ったって!」
さやか「徒町先輩...」
564
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:29:35 ID:???00
小鈴「徒町は、結局何者にもなれなかったけど...」
小鈴「さやかちゃんの先輩なんだってだけで、胸が張れそうだよ!」
さやか「...」
さやか「ふふふっ...」
小鈴「え、なんでそこで笑うの!」
さやか「だって、徒町先輩が何者でもないだなんて...ふふっ」
小鈴「だ、だって!徒町は何にもできないし...」
小鈴「さっきだって、結局さやかちゃんに頼ることしかできなかったから...」
さやか「何言ってるんですか?」
さやか「何度同じ失敗をしても、諦めずに続けられるような人が」
さやか「何者でもないわけないでしょう?」
小鈴「え?」
565
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:30:23 ID:???00
さやか「たとえ失敗続きの軌跡でも」
さやか「その軌跡が、あなた自身の証です」
小鈴「軌跡が、証...」
さやか「何者かになろうと足掻いた時点で、あなたはこの世界でたった一人だけの」
さやか「他の誰でもない“徒町小鈴”じゃないですか」
小鈴「――!」
そうか、そうだったんだ。
例え何も為せなくても、全部失敗してても良かったんだ。
これまで徒町が歩んできた足跡が、あたしを“徒町小鈴”にしてくれてたんだ。
566
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:31:23 ID:???00
小鈴「ありがとう。さやかちゃん」
さやか「はい、どういたしまして」キラキラ…
小鈴「!さやかちゃん、体が...!」
さやか「最後に一つだけ、頼んでもいいですか?」
小鈴「なに?」
さやか「4月に、この蓮ノ空にひとりの女の子が入学してきます」
さやか「その子はとても悩んでいて、もしかしたらやさぐれているかもしれません」
さやか「なので、そんな子を見かけたら、声をかけてあげてほしいんです」
小鈴「うん...わかった!」
小鈴「絶対に声をかける!」
小鈴「絶対に友達になるよ!」
さやか「ありがとうございます...」
さやか「徒町先輩が友達になってくれるなら、安心です」ニコッ
ピカッ
朝日が視界を遮る。
再び目を開けた時、もうさやかちゃんの姿はなかった。
小鈴「ありがとう、さやかちゃん」
567
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名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:32:00 ID:???00
クラッ
小鈴「あ...れ...」
バタン
眩暈に襲われ、地面に倒れる。
寒い。
体から体温が消えていく。
小鈴(そっか、あんなに血を流したんだから、当たり前だよね...)
小鈴(さやかちゃんと約束したばっかりなのに...)
小鈴(ごめんね。やっぱり約束は守れそうにないや...)
視界はどんどんぼやけていく。
日の光が眩しい。
このまま光の中に消えて――
568
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名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:32:35 ID:???00
花帆「『フラワー』!」🌸
小鈴「あ、花帆先輩...」
花帆「...」
小鈴「えへへ...また花帆先輩に助けてもらっちゃいました」
花帆「...」
小鈴「花帆先輩?」
花帆「...」
小鈴「どうして――」
小鈴「泣いているんですか?」
花帆「っ!」ポロポロ…
花帆先輩は、とても辛そうな顔をして泣いていた。
何かを後悔するように、誰かに謝るように。
569
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名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:33:37 ID:???00
花帆「ねえ、小鈴ちゃん。もしも...」
花帆「あたしが小鈴ちゃんのことを傷つけてたとしたら、どう思う?」
小鈴「え?」
花帆「小鈴ちゃんの知らないところで、何度も傷つけてたとしたら...」
花帆「小鈴ちゃんは怒る?」
小鈴「...」
小鈴「花帆先輩がそうしてほしいなら、怒ります」
小鈴「でも、徒町は花帆先輩に、何度も助けられました」
570
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名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:34:20 ID:???00
小鈴「今は、感謝の気持ちしかありません」
花帆「ぅ...ぅ...」ペタン
花帆「ごめんなさい...ごめん...なさい」ポロポロ…
小鈴「花帆先輩、徒町は花帆先輩が何に苦しんでいるのかわかりません」
小鈴「...だから、話してください」
小鈴「一緒に悩ませてください」
小鈴「花帆先輩は、一人じゃありません」
花帆「っ!あたしは――」
571
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名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:34:53 ID:???00
夜明けが来た。
新しい朝の光は、思ったよりもずっと眩しかった。
ここから先の未来は、まだ誰も知らない。
でも、きっと良いものにできる。
どんな運命が待っていようと。
私達は、一人じゃないから。
手を取り合って、歩いていくんだ。
572
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:35:26 ID:???00
――――――
573
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名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:38:00 ID:???00
これにて聖杯戦争は終結です。お疲れさまでした!
エピローグは休日にでもゆっくり書くので、もう少しお付き合いくださると嬉しいです!
574
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名無しで叶える物語◆kCa2DoLp★
:2025/02/11(火) 22:42:18 ID:???00
超大作乙でした
Fateの内容を上手く落とし込みながら蓮メンバーの個性もしっかり描かれてて素晴らしかったです
エピローグ楽しみです
575
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名無しで叶える物語◆zOiuS4tH★
:2025/02/11(火) 22:49:17 ID:???00
お疲れ様でした、戦闘描写どんどん上手くなっていって
最後は夢中で読んでました
576
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名無しで叶える物語◆cTw0A8bz★
:2025/02/11(火) 22:49:56 ID:???00
Fate要素の拾い方が上手くてめちゃくちゃ面白かった
エピローグ楽しみにしてます
577
:
名無しで叶える物語◆G1Vgt747★
:2025/02/11(火) 22:53:30 ID:???00
ちなみにOPに設定した「Take It Over」は1番が小鈴、2番がさやか、ラスサビか2人の辿り着いた朝ってイメージです。
正直この曲を改めて聞くまでは隕石エンドでした。
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