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【SS】慈「栞子ちゃん拾った」
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慈「綴理〜」コンコン
慈「入るよ〜」
綴理「おはよ」
慈「おはよ。ところでさ」
綴理「ノックされたけどボクまだお返事してないよ」
慈「まぁそれは私とつづたんの仲なんだしいいってことじゃない」
慈「大体この時間の綴理はベッドにひっくり返って天井の染み数えてるか、ベッドにひっくり返って虚空を見つめてペンギンムーブしてるか、ベッドにひっくり返ってそこの変な網戸の横糸の本数数えてるかしかないでしょ」
綴理「ボクなんなの」
慈「で、本題なんだけど」
綴理「今日はね、縦糸」
慈「綴理?」
綴理「1、2、3、4、5、6……ほら、縦のほうが2本多いんだ。横はインチあたり21本しか無いのに」
慈「ごめんなさい、わたくしが悪うございました」
綴理「うん」
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ᶘイ^⇁^ナ川 !?
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綴理「それでその子は?めぐの娘?」
慈「そうそう、その話なんだけど……」
慈「って誰の娘じゃい!どう見てもほとんど私らとおんなじでしょうが!」
綴理「じゃあこの子がはり?」
慈「玻璃乃は犬だって!」
綴理「でもるりは人間だよ?」
慈「でももヘチマもあるかい!」
栞子「申し遅れました、虹ヶ咲学園1年、三船栞子と申します」
栞子「慈さんの娘であることを求められるのであれば、期待に応えられるよう精一杯努めていく所存です」
綴理「ママはやさしい?」
栞子「ええ、とても」
慈「ちょっとー、おふたりさーん」
綴理「名前、なんて言うんだっけ」
栞子「三船栞子です」
綴理「しお?」
栞子「しお?」
綴理「めぐ?」
慈(もうやだ……るりちゃん段ボール貸して……)
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しお?
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しおめぐ?
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綴理「どこから来たの?」
栞子「東京です」
綴理「へー、東京、すごいね」
綴理「虹咲学園?」
栞子「惜しいです、1文字足りません。虹ヶ咲学園です」
綴理「5文字は長い……」
慈「蓮ノ空も5文字なんだけど!?」
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綴理「それでしおはなんでこっち来たの」
栞子「まぁいろいろありまして……」
慈「それなのよ、よくわかんないけど私が拾っちゃったってわけ」
慈「綴理はよくいろんなもの拾ってるからどうしたらいいか訊こうかなって思ったの」
綴理「ボクは犬も人間も拾ったことないよ」
慈「玻璃乃から離れなさい」
慈「そりゃその辺はないだろうけど、とはいえいろいろ拾ってきてたでしょ」
慈「さっきの網戸とか、場末の喫茶店の看板とか、ひゃくまんさんとか、あと一点ものの高いロボットとか」
綴理「でもみんな返してきてるよ」
慈「そこなの、どうやって丸く収めてるのかなって」
綴理「元あった場所に戻す」
慈「わー、人生がときめく片付けの魔法」
栞子「トキメキですか、いいですよね。走り出したくなります」
綴理「しおは拾われたの?」
栞子「はいかいいえで答えるなら、はいですね」
綴理「そっか、めぐをよろしくね」
栞子「はい、精一杯頑張ります」
慈「勝手によろしくしないで」
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綴理「ワン、ツー、スリー、フォー」パンパンパンパン
綴理「うん、最後がちょっとお豆腐だから、もっとこう……お麩になって」
栞子「確かに今のところは動きが硬かったかと思います。おっしゃるとおりもっと柔軟に表現できるようにしたいです」
慈(なんか勝手に意気投合してる……)
慈(てか普通に綴理語わかるのすごくない?)
慈「あのー、おふたりともお取り込み中のところすいませんが」
綴理「しお、めぐがさみしいって」
栞子「すみません、私が至らないばかりに」
慈「そうじゃないでしょ」
綴理「めぐに金沢案内してもらってくるといいよ」
綴理「ボクはまだあみあみ数えるの残ってるから、バイバイ」
慈(あれって途中から再開できるもんなんだ……)
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慈「放り出された……」
慈「まぁせっかく来たんだから楽しんでいってほしいし、市内回ろっか」
栞子「不束者ですがよろしくお願いします」
慈(んー、謎の距離感。ま、なるようにしかならないでしょ)
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慈「鼓門はもう見たよね」
栞子「有名なやつですよね、すぐに見つかると聞いていたんですが、結局見つからずじまいでした……」
慈(あれを逃すって大丈夫かこの子)
慈「方向音痴?」
栞子「躊躇せず進んでいくことで道はひらけるという信念でやっています」
慈(人生の知恵としてはそれでいいのかもしれないけど……)
慈「とりあえず見ておきな、こっちだから」
栞子「なるほどそちらでしたか、助かります」
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躊躇知恵?🤔
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慈「最近こっちの方に出来た和菓子屋さんがあってね、みたらし団子が美味しいって聞くから行ってみたいなって」
栞子「いいですね、ぜひ行ってみたいです」
慈「栞子ちゃんずいぶん和のイメージあるけどそれは自分として異論ない?ま、だから和菓子屋さんかなーって」
慈(私とかは吟子ちゃんのイメージに引っ張られてるところもあるんだろうけど)
栞子「そうですね、割とみなさんにはそう言われることが多いかと思います」
栞子「それに期待されるのならそれに応えようという思いもあるかもしれません」
栞子「もちろん和菓子は好きですが」
慈「まぁ自分の想うところを大事にね」
栞子「そういうものでしょうか」
慈「そういうもの」
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どういうことなの
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慈「着いた、ここここ」
慈「すいませーん、みたらし団子2つで」
慈「出来たてだよ出来たて。はい、栞子ちゃんの」
慈「んー、みたらしのたれが甘くておいちおいちー」
栞子「たれ?」
慈「変化球投げなくていいから」
慈「というかしおだからたれなの?焼肉?」
栞子「そうですね、やっぱり焼肉は塩で食べることを期待されている感はあります」
慈「そもそも栞子だからしおっていうのはキャラ付け?」
栞子「それもかすみさん、……周りの方に言われてやってみたところ、一部にウケているようでしたので……」
栞子「それに塩対応の栞子と言われるよりは幾分かはいいのかなと」
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慈「そーれお団子と栞子ちゃんのほっぺとどっちがぷにぷにかな」ウリウリ
栞子「やめてください」ムニュムニュ
栞子「ほんはひひっはははいへふははい」ビヨーン
慈「なんて?」
慈「まったく、そんなふうに笑えるんだから別に塩対応じゃないと思うけどな私は」
栞子「硬いとはよく言われますし、目つきもそんなに柔らかくはないでしょうし、なかなか難しいところだと思います」
慈「まぁほっぺはそんなに柔らかくはないかな」
栞子「そうですよね……」シュン
慈「いやそんなに落ち込まないでよ」
慈「だいたいキリッとした目に八重歯にとシャープな印象なんだから、頬もシュッとしてていいでしょ」
栞子「ですがスクールアイドルとして大切な、慈さんのようなかわいらしさ愛らしさは私にはあまりないようなので……」
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慈「例えばの話だけどさ、普段ずっとすんとしてるおすましさんが、ふとした時に笑いかけてくれたら特別に思うでしょ」
慈「それが自分だけに対してだったらなおさら」
慈「その子がスクールアイドルだったら、接近や個別ファンサのときに実践すれば強力な武器になると思うよ」
慈「ま、例えばの話なんだけどね」
栞子「……」
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慈「めぐちゃんは〜、めぐ党さんいっぱいいるしいつもニコニコハッピーめぐちゃんだからあんまり関係ないけどね〜」
栞子「ふふっ、それが慈さんらしさですもんね」
慈「栞子ちゃんも栞子ちゃんらしくあればいいだけだよ」
慈(キミはね、そんなふうにして私にはできないことができるんだ)
慈「それに、栞子ちゃんはきれいな目をしてるから」
慈(その輝きから意思の強さが感じられたんだ)
慈「だから私はキミを拾ったの」
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慈「まさか泊まるとこもなんもなしにこの辺さまよってるなんて思いもしなかったけど」
栞子「その節は大変ご迷惑をおかけしました」
栞子「でも本当に何も訊かないんですね」
慈「まー旅に出たくなるときもあるでしょ」
栞子「それに、ありがとうございました。アドバイス心に留めます」
慈「別になんも。めぐちゃんは栞子ちゃんとお団子食べてただけだから」
栞子「では、今のお礼はお団子を奢ってもらったことに対してです」
慈「あ、こいつ、端から奢られる気だったな〜!そりゃ払わせるつもりはなかったけど、少しは遠慮しろ〜」グリグリ
栞子「あーいじわるな先輩に絞られてます〜」
慈(できるじゃん、自然に笑ってるのが一番かわいいよ)
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しおこかわヨ
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慈「この辺は街歩きが楽しいところかな。ウインドウショッピングって感じではないけどね」
栞子「木造建屋が多いと東京のように一面ガラス張りとはあまりならないですよね」
慈「栞子ちゃんはいっつも髪結んでるの?」
栞子「まぁ結んでいる方が落ち着くというのはあると思います」
慈「そのリボンはお気に入り?」
栞子「?」
栞子「結べるものならなんでも」
慈「じゃあめぐちゃんが見繕っちゃおっかな〜」
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慈「ほら、こういう髪飾りとか栞子ちゃんに似合うと思うんだよね」
栞子「つまみ細工、ですか」
慈「そ、伝統工芸。お花がいい感じだと思わない?」
栞子「はい、とてもかわいらしいと思います」
慈「じゃあ今日の記念にめぐちゃんからプレゼント」
栞子「いいんでしょうか、こんなにもらってばかりで」
慈「いいのいいの、たまにつけて今日のこと思い出してね」
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慈「ただいまー」
栞子「度々おじゃましております」
慈「栞子ちゃん明日には帰っちゃうんだよね」
栞子「はい、さすがにあまり長くというわけにはいきませんし。それにもう大丈夫ですから」
慈「ひとつお願いがあるんだけどさ」
栞子「できることならなんでも、一宿一飯の恩を返します」
慈「おっけ!ちょっと待ってて」
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慈「姫芽ちゃ〜ん、ちょっといい〜?」コンコン
姫芽「めぐちゃんせんぱい!?ちょっと待ってくださいすぐに片付けます今はとてもめぐちゃんせんぱいを迎え入れられる状況になっていなくてですね」
慈「おじゃましま〜す」
姫芽「ぎゃあああ」
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慈「いつも言ってるけどしっかりきれいじゃんお部屋」
姫芽「そう言ってもらえてますがどこに綻びがあるかわからないですし万全を期してからお迎えするのが武士の作法でして」
慈「はいはい、それでね、姫芽ちゃんちょっと制服貸してくれない?」
姫芽「?!」
姫芽「めぐちゃんせんぱいがアタシの制服で!?」
慈「”で”って何」
姫芽「うりゃりゃりゃー!」(イグニッションモード)
慈(あー……)
姫芽「もちろんです喜んで全部お渡ししますやっぱり今着てるやつの方がいいですよね待ってください今脱ぎますね」ガタッ
慈「待ってくださいはこっちのセリフだよ」
姫芽「あああっ」シュルシュル
慈「待ってお願いだからここで脱がないで」
慈「普通にストックのでお願いね」
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姫芽「はい、こちらが献上品でございます」
姫芽「残念ながら洗濯したものになります」
慈「残念なのはキミの頭だよ」
姫芽「使用済みはそのまま返してくれて構いませんからね、洗濯とかしなくていいですからね洗濯しないでくださいねしないでくださいお願いします」
慈「あのー散々引っ張った上でご期待に沿えないみたいで申し訳ないけど、着るのは私じゃないからね」
姫芽「そんなー」シオシオ
姫芽「でもめぐちゃんせんぱいが持っていって他の人が着る、これってもしかしてスワッピング!?NTRれるアタシの制服……!」
慈(??????)
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慈「お願いっていうのはね、これ着てほしいな〜って」
栞子「これ、ここの制服……」
慈「栞子ちゃんなら似合うと思うんだよね」
栞子「スカーフ、黄色ですね。ニジガク1年のリボンと一緒」
慈「今年の1年生は黄色なんだよ」
栞子「そうと決まれば不肖三船栞子、慈さんのために一肌脱がせていただきます」
慈「待ってあの、あっちクローゼットとかあるから……」
慈(最近の1年生はなんでこうすぐ脱ぐの?)
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慈「やっぱり〜めぐちゃんが見込んだ通りすっごく似合ってる!」
栞子「他校の制服というのはなんだか不思議な感じです」
慈「栞子ちゃんかわいいんだから、もっと堂々としてればいいの」
栞子「そ、そうなんでしょうか、ありがとうございます……」
慈「ね、記念に制服おそろの写真撮ろ。ほらほら、自撮りなんだからもっとこっち寄って」
慈「はい、ハロめぐー」
栞子「ハ、ハロめぐー」
パシャ
………
……
…
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栞子「大変お世話になりました」フカブカ
慈「いいってことよ、私も楽しかったしさ」
栞子「このご恩は必ず」
慈「硬い硬い!ま、それがいいところでもあるんだけどね」
栞子「難しいものです」
慈「東京行く機会あったら連絡するから、向こう案内してよね」
栞子「はい、まかせてください」
慈「おっ言ったなー、とっておきのスポット期待してるよ。栞子ちゃんなんと言っても東京のJKだもんなー」
栞子「うっ、それまでに周りの人に聞いておきます……」
慈「ふふ、それに、またこっちにも来てよね」
栞子「それはぜひ」
慈「もう電車出る時間だよ、ほら」
慈「じゃあ、またね!」
栞子「慈さん、本当にありがとうございました。それではまた」
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慈(あれだけしっかりしてそうなのに結構行き当たりばったり、不思議な子だったな……)
慈(ま、勢いで飛び出して旅に出ちゃうような子に悪い子はいないから)
慈(それに私の見込みは間違ってなかった、あの子はまだまだ高みを目指すことができる。応援してるよ)
………
……
…
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慈「ほら花帆ちゃん、見て見てこの写真」
花帆「あれ、吟子ちゃん……じゃない!」
慈「ちぇー、いけるかなって思ったけど騙されなかったか」
花帆「吟子ちゃんの偽物!?」
慈「本物の栞子ちゃん!!」
花帆「誰!?」
慈「栞子ちゃんかわいかったな〜、また来てくれるってさ」フフ
花帆「むー、慈センパイがなんだか知らない子と楽しそうなことしてる……」
花帆「めぐ♡じぇらーと権はアタシのなんですからね!誰にもあげませんから〜!」
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おわり〇
ありがとうございました
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しおめぐ良かった👏
流行ってほしいんだ
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しおめぐいいな🤗
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しおめぐはあったんだ…
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しおりこさんもめぐちゃんもかわいかったんだ🤗
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栞子冷静で面白かった
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