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果林「留守番するだけで20万円もらえるバイト?」
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助かる
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たすかる
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果林「なにかいいバイトないかしら……?」
果林「SNSで探してみましょう」スッ
果林「ハッシュタグの高収入、バイト、ホワイト案件っと……」ポチポチ
果林(ニジガクを卒業した私は芸能事務所の新人モデルとして働いていた……)
果林(……と、いっても短期のアルバイトと掛け持ちしながらなんとかやってるギリギリの毎日)
果林「どれどれ……?」タップ
果林(撮影がない日はこうやって、スマホいじりで楽に稼げるバイトをSNSで探している)
果林「……タタキ?かけ子?運び屋?」
果林「パスね。どうみても怪しいじゃない」ハァ
果林(今日もいいバイトが見つからなさそう……そう思ったとき)
果林「……留守番するだけで20万円もらえるバイト?」
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勤務内容:10日間、指定の部屋で留守番
給与:20万円
条件:若い女性。住み込み可であること
#ホワイト案件 #バイト #高収入 #住み込み
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待ってた!
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果林「……部屋で10日留守番するだけで20万!?日給2万円じゃない!」
果林「これなら欲しかったハイブランドのヒールを買ってもおつりがくるわ」
果林「でも……」
果林「破格の条件すぎて疑わしいわね?」
果林「うーん……」
果林「……ダメもとで応募してみるわ」タップ
果林(依頼者のアカウントにメッセージを送ってみると、すぐに返信があった)
果林(アプリ上で色々やりとりしていると、依頼者が私と同じスクールアイドルだったことがわかり、話はあっという間に進み……)
果林(さっそく明後日からお願いしたいということで、採用となった)
果林(そしてこれが──)
果林(──私にとって怖ろしい体験の始まりだった)
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都内某所
果林「……おっきいマンションね」
果林「オートロック付きだし、立地的に億はするんじゃないかしら?」スッ
果林「あら、もう時間。急がないと」
果林「依頼主は時間にうるさい人だった……!」スタスタ
果林(この目的地まで散々迷ったけど、早めに出たおかげで何とかたどり着けた)
果林「メッセージだと、ここの最上階……」
果林「いつか私もトップモデルになって、ここに住みたいわね」ポチッ
「……はい」
果林「すみません、アルバイトを申し込んだ朝香果林です」
「……どうぞ。お待ちしておりました」
果林(メッセージの文言のイメージ通り、丁寧な口調の依頼主に安心しつつ…エレベーターで最上階へ向かった)
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ガチャ
「お待ちしておりました、どうぞ」
果林「お邪魔します……」
果林(ドアを開けて迎えた依頼主は、長い髪の和服姿の女性だった。聞くと、ひとり暮らしでペットは飼っていないそうだ)
「いまから部屋をご案内しますね」
果林「……お願いします」ペコッ
果林(依頼主に案内してもらう。部屋は畳の和室がついた2LDKで広々としたリビング、ひとり用にしては大きなベッドに素敵なダイニングキッチン、そしてジャグジーつきのバスという豪華さだった)
果林(この広い部屋は全て清潔に保たれており、家主がまめに掃除をしていることが手に取るようにわかる)
「……部屋は自由に使っていいですよ。冷蔵庫のもので飲食なさっても結構です、光熱費などの心配はしないでください」
「また、外出しても構いませんが、最低でも10時間はこの部屋にいてください」
「──ただ10日間、ここで留守番をして頂くだけで構いませんので」
果林「わかりました」
果林(若い女性のひとり暮らしにしては豪華すぎる……きっとどこかのお嬢様ね?うらやましいわ……)
果林「……素敵なお部屋ですね」
「……」
「ええ……とっても」ニッコリ
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「では、さっそくですが今日から留守番をお願いいたします。もう荷造りは済ませてますので」
果林「わかったわ」チラッ
果林(……大きなキャリーケースね、長期滞在用かしら?)
果林「もしかして、海外旅行ですか?」
「いえ、海外公演ですよ。私のうちは日本舞踊の家元をしておりまして……縁あってアメリカの大学で公演することになったのです」
「シアトルから最後はニューヨークまでいきます。そのニューヨークにはシンガーをしている幼馴染がいて会いに……あ、これは失礼、つい無駄話を」
果林「いえ……あの」
「はい?」
果林「良かったら、この家でして欲しいことってありますか?もしくは──」
果林「──やってはいけないこと、とか」
「返事」
果林「え?」
果林(ニコニコしていた依頼主の表情が突如サッと変わる──表情が硬くなり、見開いた目が真剣な眼差しとなって私に向けられた)
-
「……返事、を必ずお願いいたします」
果林「へんじ、ですか……?」キョトン
「はい、返事です」
「……くれぐれも、お願いしますね?」ジロッ
果林「わ、わかったわ……」
「……ふふ」
「ご理解いただけたようで、結構です」ニッコリ
果林(凄まじい気迫におされ、生返事をした私を見ていた依頼主に再び笑顔が戻った)
「これは鍵です」
「では、留守番をお願いしますね」スッ
封筒
「……こちらは前金の10万円です、残りは帰国後にお支払いします」
果林「ありがとうございます、助かったわ」スッ
「では、いってまいります」ガラガラ
果林「いってらっしゃい」
ガチャ
バタン
果林(行っちゃった……返事っていったいなにかしら?)
果林「ま、いっか」
果林「お留守番、めいっぱい楽しんじゃおうっと!」フフッ
-
ドサッ
果林「ふぅ、重かったわ」
果林(いったんアパートに戻って、着替えをとってきた)
果林(自由とはいえ、さすがに依頼主のクローゼットから拝借するわけにはいかないわ。それに……)
果林「胸がキツそうだし、ね?」
果林「さてと、冷蔵庫の中身を見てみましょう」スタスタ
果林「他人の家の冷蔵庫を開けるってなんか背徳感あるわね……」
果林「どれどれ?」ガチャ
果林「……生鮮食品はなし、当たり前ね。飲み物は充実してるから、食べ物は買い出しする必要があるわね……あ、これ!」スッ
果林「シャンパンのペリエジュエ2013!しかもアネモネの花をボトルにあしらった高級なものじゃない!」
果林「事務所の社長が接待で飲んだって自慢してたものに間違いないわ」
果林「あとでリビングに見える夜景を楽しみながら、ラグジュアリーな晩酌といきましょう」
果林「ほかにどんなものがあるかしら……?」ゴソゴソ
果林(高級シャンパンを見つけ、気分が舞い上がって背徳感もすっかり忘れて冷蔵庫をあさっていると──)
-
. 「ホノカチャン」
果林「はい?」
.
-
ホノカチャン
-
果林「えっ、なに……?」バッ
果林(背後から奇妙な音がして、キッチンからリビングの方へ振り返る)
果林「……なにもないわね」
果林(目に映るのはシン、と静まり返ったリビングだけ)
果林「……」
果林(まるで薄いカーテンを隔てて聞こえる音というか──声?あまりに唐突すぎて、確かに声なのかさえ曖昧だった)
-
果林「……気のせいね」
果林「きっと疲れてるのね……とりあえずお風呂に入ってサッパリするわ」ヌギヌギ
ポイッ
果林「そのあとは……お楽しみのシャンパンを開けちゃおうっと!」ヌギヌギ
ポイッ
果林(下着をそこらへ放り投げ、ジャグジーつきの風呂を楽しんだあと)
果林「うふっ……乾杯」スッ
果林(リビングから見渡せる夜の東京タワーと、黒いじゅうたんに宝石を散りばめたようなビル群の夜景をつまみにシャンパンをたしなみ)
ボフッ
果林「このベッドふかふかで気持ちいぃ……!」
果林「おやすみなさーい」
果林(快適な酔い心地に身を任せ、ベッドに飛び込むと、そのまま熟睡)
果林(こうして、10日間の留守番生活が始まった──)
-
2日目
シャー
果林「ロンリロンリロンリナイト」ルンルン
キュッ
果林「ふー、サッパリしたわ……」バサッ
果林(朝とも昼ともつかない時間に起きた私。優雅にシャワーを楽しんだあと、上質なバスローブに身を包む)
果林「気分は完全にホテルのスウィートルームの宿泊客──」
果林「ホントはただのお留守番バイトなのに、ね」ウフッ
果林「あっ、壁にせっけんの泡が……」
果林「洗い流さなきゃ」スッ
ジャーッ
果林(こういうところでアパート暮らしの感覚が抜けきれないのよね……)
果林「ふふっ……」ニコッ
果林(シャワーノズルでタイルについた泡を丁寧に洗い落としていると──)
-
待ってた
-
. 「ホノカチャン」
果林「はいっ?」
.
-
期待
-
果林「……!」
ガラッ
果林(昨日と同じ、壁越しに語りかけるようなくぐもった女の声──驚いた私は、バスルームを見回したあと、廊下へ飛び出した)
果林(空耳じゃなかったのね……!)
果林「誰かいるの?」バタン
シーン
果林「……いないわ」
果林「こっちは?」ガラッ
シーン
果林「いない……」
-
果林(正体を確かめようと、廊下からリビング、和室、寝室をくまなく探した。もちろん、クローゼットやベッドの下など人や動物が隠れられそうなものも……)
果林(当たり前だが、誰も何もいなかった。そもそも、依頼主はペットを飼っていないから動物なんているはずもない)
果林「はぁ……なんなのよ、もうっ……!」
果林「昨日の変な声、気のせいなんかじゃなかったのね」
果林(この部屋での生活を満喫していた私に芽生えた小さな不安の種──そこで私は気づいた)
果林「依頼主が言っていた返事って……もしかして、アレに?」
果林「……」ゾッ
果林(背中に冷水を浴びせられたかように、私の背筋が凍る)
-
果林「すぅ……はぁ……」
果林「……落ち着くのよ、朝香果林」
果林「そんな非科学的なもの、いるわけないじゃない」ブンブン
果林「きっと、声はAIとか人工知能がついたスピーカーか何かよ。依頼主が持っている家電がバグって誤作動してるだけなの」
果林「機械音声よ、機械音声。あんな脳がトロけているような声を出す人間なんていないわ」
果林「返事すればバグが止まるみたいだし、そういう仕掛けでしょ」
果林(この怪現象を今持ちうる知識で何とか論理づける。不可解なものに怯える自分に対して必死に説明し、納得させるかのように正常性バイアスを働かせた)
果林「……それに」
果林「もし、ちゃんと留守番しなかったら残りの報酬がもらえないどころか、前金まで返せと言われるかもしれないわ」
果林「それは嫌よ。私はプロのバイト、受けた仕事はきっちりこなすの」
グゥゥ
果林「……考え事をするとお腹がすくわね……コンビニいってこよ」スタスタ
果林(こうして、この部屋に棲む奇妙な声との生活が始まった)
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助かる
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果林(数日過ごしてみて分かったことがある。その声は、1日に1回だけで、返事をすれば特に何もしてこないということだ)
3日目
──都内で行方不明になったデザイナーの失踪事件から、来月で3年になります。現在でも警視庁は情報提供を呼びかけており──
果林「ふーん、今はこのパンツがトレンドなのね……」ペラッ
果林「あ、このキャミソールワンピース!いいじゃない!」
果林「前金もらってるし……買っちゃおうかしら?」
果林(テレビつけっぱなしのまま本革ソファに足を伸ばし、寝そべってファッション雑誌を読んでいると……)
「ホノカチャン」
果林(来た……!)
果林「……はい」
果林(声が聞こえたら、返事をする。その心の準備ができていたので、それ以降は余裕をもてるようになった)
-
果林(そして、その声はTPOをわきまえない──)
4日目
ガチャ
果林「ただいま」スタスタ
果林「ふぅ……疲れた……」ヌギヌギ
ポイッ
果林(担当モデルが病欠となり、急きょ空いている私が撮影することになった。今回は衣装をいろいろ着せられ、ポーズもたくさんとらされ……だいぶ疲れてしまった)
果林「あ、下も脱いじゃお」ヌギッ
ポイッ
果林(その場で服を脱ぎ捨て、シャワーを浴びようとしたとき)
. 「ホノカチャン」
果林「はーい」
果林「……疲れてるから、仕事あがったあとはやめてちょうだいね?」
シーン
果林「シカト、ね」ハァ
-
5日目
. 「ホノカチャン」
果林「……はい……」
果林「ねえ、あの……私、いまトイレ中なんだけど……?」
.
-
6日目
午前2時
果林「すぅ……すぅ……」
. 「ホ
. ノ
. カ
. チャ
. ン」
果林「んんっ……?んむぅー」ゴソゴソ
果林「……ふぁーい」
果林「いま何時だと思ってるのよ……」
果林(そんな声についてわかったことがふたつある)
-
7日目
ガチャ
「ライバーイーツですの!お届けにあがりましたー」
果林「ご苦労様。えっと、代金は……」ゴソゴソ
「ホノカチャン」
果林「はいっ?」クルッ
「えっ、どうしました……?」
果林「あっ、いえ、ごめんなさいね!えっと、2580円よね……」スッ
「ちょうどですの、こちら商品ですの」
果林「どうも」
「ありがとうございましたー!」ペコッ
バタン
果林(どうやら、その声は私以外には聞こえないらしい)
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待ってた
-
8日目
果林「うん、いい感じ」ヌリヌリ
果林「……あとは親指っと」キュポッ
果林(足のパーツモデルの仕事が入り、ソファに座って新作のペディキュアを丁寧に足の爪に塗っていると)
「ホノカチャン」
果林「……いま集中してるから待って。あと」
果林「私、ホノカじゃなくて、果林っていうの。AIなら、そろそろ名前くらい覚えて欲しいわ」
果林「覚えてくれなきゃ、もう返事しないわよー?」ニヤッ
「ホノカチャン」
果林「!」スッ
果林「……はい!」バッ
シーン
果林「ふぅ……」
果林(つい正座して手まで挙げてしまったわ……冗談は通じないみたいね)
果林(こうして問題なく9日目まで過ごし、ついに10日目。留守番の最終日を迎えた)
-
10日目
果林(ついにお留守番バイト最終日。依頼主は明日の朝、帰ってくる)
果林「どうしよう……」
果林(私は今──すごく切羽詰まった状況にあった)
果林「さすがに、このまま引き渡すわけにはいかないわよね……?」チラッ
果林(リビングのソファまわりは)
グチャァ
果林「脱いだ服とビニール袋、紙くずだらけ……」
果林(キッチンまわりは)
グチャァ
果林「飲んだあとのグラスに食べたあとの皿がシンクに山積み……」
果林「うぅ……どうしましょう……!」オロオロ
果林「あ、そうよ!」
果林「最後の頼みの綱は──」スマホ
果林「もしもし?」
果林「助けて……エマぁ……!」
-
エマさん……
-
いい歳こいて何をやっている……!
-
ガチャ
エマ「もうっ、すぐ来てほしいっていうから何かと思ったら──」
エマ「お部屋の掃除してほしいなんて……!」パッパッ
果林「ごめんね、エマ。いつもお世話になって」
エマ「はいはい、あっ……!」
エマ「どうして果林ちゃんの服と下着があっちこっちに散らかってるの?」
果林「ついその場で脱いじゃって……」
エマ「まったく、洗濯機があるのに……全部いれるからね」ヒョイ
果林「はーい」
エマ「……ゴミは全部ここに入れて。あ、ちゃんと分別して」ガサッ
エマ「洗濯終わったら乾燥機に入れて、つぎは皿洗いだよ!」
エマ「……私がスイスに帰ったら、果林ちゃん何も出来なくなっちゃうよー?」
果林「あはは……面目ないわ……」
果林(夕方、大使館の仕事を終わらせたエマを呼び、部屋掃除の手伝いをしてもらった)
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大使館に勤めてるようなエリートに10日間放置した下着を洗わせるな
-
俺なら喜んでやるのに…
-
エマ「ふう……やっときれいになったね……」
果林「エマ、ありがとね。はい、シャンパン」スッ
エマ「もう、人のだからって……!」
果林「まあいいじゃない、そういうの」
果林(すっかり留守番前まできれいになったリビングのソファに、ふたりで腰掛ける)
果林「……」ポチ
果林(私がチョイスした音楽をかけ、ちょうどいいムードを演出っと)
果林「乾杯!」チン
エマ「乾杯……うーん、ボーノだよぉ!」
果林「でしょ?」ウフフ
果林(シャンパンを飲み干したエマを見つめてみる──)
果林(艶やかな赤茶色の髪。美しい瞳と、高めの鼻。滑らかな肌ともちもちな頬、プリッとした唇。そしてなにより……)
エマ「?」
果林(女を磨き続けてる私でさえうらやむ、たわわなバスト──)
グイッ
エマ「ちょっ、果林ちゃん!?」
果林「エマ……久しぶりにしましょう……?」トンッ
エマ「あっ……うん……」ボフッ
果林(ガラス細工を扱うように優しくエマをソファに倒すと、ゆっくり覆いかぶさる)
果林(愛おしいエマの温もりを服越しに感じ、口づけをしようとしたそのとき──)
-
. 「ホノカチャン」
.
-
なんつータイミングで呼ぶんな
-
エマかりだ
-
果林「……はいはい」
果林(まったく、一番いいときに水を差すわね……)
エマ「果林ちゃん?いきなり返事なんかして」
果林「なんでもないわ」
果林「……明かりを薄暗くして……」スッ
果林「さ、始めましょう」サスッ
サスッ
エマ「んっ、そこ……!」カァッ
果林「ふふっ、脱がしてあげるわね……」
「ホノカチャン」
果林「えっ」
「ホノカチャン」
果林「……うそでしょ……?」
「ホノカチャン」
果林「……なんで」
「ホノカチャン」
.
-
「ホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャンホノカチャン」
果林「いやぁあああああ!!」
-
興奮してるなホノカチャン
-
果林(どうして!?まったく収まらない!!)
果林「あっ!!」
果林(もしかして──声がエマに怒っている!?)
エマ「いったいどうしたの!?」
果林「……でて……」
エマ「えっ……?」
果林「い、いったん出て!!」ガシッ
グイッ
果林(着崩して肌が露になってるエマの両肩を無理やり手で掴んで、玄関へ追い立てる)
エマ「えっ、ちょっ、果林ちゃん!?」
果林「マンションの前で待ってて!!後で訳をちゃんと話すわ!!」
エマ「ねえ!?押さないでよ!」
エマ「かりんちゃ……」
バタン
果林(エマを外に放り出したあと、声はぴったりと止んだ)
-
果林「ハァ……ハァ……!」
シーン
果林「……よかったわ」ホッ
果林「あとでエマになんて説明したらいいのかしら……」スタスタ
果林(声が止み、ひと安心した私。とりあえず、リビングに戻った)
ブチュ
果林(そのとき、私の素足が何かを踏んだ)
果林「えっ、なに?」
果林(……見てみると足の裏に泥がべっとりとついている)
果林「なんで、泥が……?」
果林(あるはずのない泥……異常を感じた私は、リビングを見渡そうと足もとから顔を上げると──)
果林「ひっ……!」
果林(──リビングの奥に、女が立っていた)
-
急に怖くなってきたな
-
ヒエッ
-
怖すぎんだろ…
-
ひえっ…
-
おう果林さんをお漏らしさせるんだよ
-
果林さんはどうなるかねぇ
-
果林「あ……ぁ……」
果林(声が出ない。なぜなら、女の姿があまりにも異様だったから)
果林(その女は長い髪とボロボロの服。顔はうつむいているせいで表情をうかがい知ることはできない。さらに、異様なのはその立ち方──)
果林(まるで身体の右側だけ糸で引っ張った操り人形のようだった。女の右肩のみがあがり、その肘も同じようにあがっているものの、そこから指先はだらしなく垂れ下がっている)
ミシッ
果林「ひぃ、っ……」
果林(女がその体勢のまま、こちらへゆっくり歩き出す。なのに私の足は床に固定されたようにまったく動かず、逃げることができない)
ミシッ……
果林(うつむいたままの女が動くたび、その身体から音がする。まるで、長いこと動かしていない硬直した人形を無理やり動かしたときに関節が発する軋むような音で──)
ミシッ……ミシッ……ミシッ
果林(背後の廊下の明かりに照らされ、姿が鮮明に見えてきた)
-
半裸で外に出されたエマさん……
-
果林(一方は青黒い肌の素足、もう一方は泥だらけの靴下を履いている女は、ついさっき土の中から這いずり出たばかりのようだった)
果林(生気のない素肌は全体的に赤黒い。指の爪は土をかき出したようにどす黒く、爪の先も割れて肉がでている)
ミシッ
果林(ボサボサのベージュの長い髪は泥や落ち葉が至る所にこびりつき、髪をまとめている黒ずんだリボンの端から、かろうじて元の色が緑だったことがわかる)
ミシッ
果林「うっ……!」
果林(漂ってきた凄まじい臭気に顔をしかめる。それは賞味期限を過ぎて腐った肉や魚の何十倍も臭い──いわゆる腐乱した人間の死臭に近かった)
ミシッ
果林(腐乱臭を放つ身体を包むワンピースも、泥と赤黒い体液で汚れて元の色はわからない)
ミシッ
果林(手を伸ばせば触れられる距離で、女の動きが止まる。私はすっかり恐怖で声さえ出せず、漏らしそうになるのをこらえることがやっとだった)
果林(そして、女が顔をあげた──)
-
こっわ
-
果林「……!」
果林(顔を見た私はハッと息を飲む──女の顔は醜かった。鼻が壊死して欠けており、頬は左部分が腐り落ちてて、赤黒い歯茎と奥歯がむき出しになっている)
果林(そして落ちくぼんでいる目はカッと見開いたまま、濁った黄色い瞳が私の顔を覗き込んできた)
ギッギッ
果林(垂れ下がっていた腕がゆっくりと上に向き、関節の軋む音を鳴らして人差し指を立てて、ビシッと私を鼻先を指さす)
果林(そして、粘り気のある口をニチャッと開けてこういった──)
「ホノカチャン」
果林「はぁああああいぃいいいい!!」
果林(突如動けるようになった口で思いっきり叫ぶと、その場で意識を失ってしまった)
-
>>55
訂正です
誤り
果林(生気のない素肌は全体的に赤黒い。指の爪は土をかき出したようにどす黒く、爪の先も割れて肉がでている)
訂正
果林(生気のない素肌は全体的に青黒い。指の爪は土をかき出したようにどす黒く、爪の先も一部が割れて肉がでている)
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訂正で二重にダメージ与えて来た
-
どうすんのこれ
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>>57
また訂正すみません
誤り
果林(垂れ下がっていた腕がゆっくりと上に向き、関節の軋む音を鳴らして人差し指を立てて、ビシッと私を鼻先を指さす)
訂正
果林(垂れ下がっていた腕がゆっくりと上に向き、関節の軋む音を鳴らして人差し指を立てて、ビシッと私の鼻先を指さす)
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果林(意識が戻ったとき──私はエマの部屋にいて、裸でベッドにいた)
果林(あの泥まみれの腐乱した女はどこにもいない)
果林「ううっ、まぶし……」
果林(窓から差し込む朝日の光にまぶしさを感じ、そして誰かの温もりに気づく)
エマ「んんっ……あ、起きたんだー」
果林(寝ぼけまなこをこすりつつ、私を包み込むように抱きしめている裸のエマが優しく声を掛けてくれた)
果林「わ、私はいったい……?」
エマ「覚えてないの果林ちゃん?」
果林「ええ……あのあと何があって、どうしてここにいるのか教えて?」
エマ「うん……」
果林(神妙な顔のエマが口を開き、私が意識を失ったあとに起きたことを話してくれた)
-
果林(エマの話はこうだった──)
果林(私に部屋を追い出され、怒りを覚えつつマンションの前で待っていると)
果林(両手に荷物を持った下着姿の私が正面玄関から飛び出してきたらしい。そこで詰問しようと詰め寄ったが、私の表情にただならぬ雰囲気を感じたそうだ)
エマ「すごく怖かった……目を一切まばたきしないで見開いたまま、ブツブツ訳のわからない言葉を言い続けてて……こっちの話をまったく聞かなかったんだよ?」
エマ「返事した返事した返事した返事した、って……」
果林「うーん、覚えてないわ……」
エマ「とにかく普通じゃなかったから、タクシーを呼んでうちに連れてきたの」
エマ「とにかく果林ちゃんの体をあっためようと、温かいお風呂に入れてベッドで一晩中、抱きしめてあげたんだぁー」サスサス
果林「わっ……くすぐったいわよ……!」
果林(エマが私のくびれた腰を優しく手でさすった)
-
バイトは?
-
エマ「……でも、あれは何だったんだろうねー?」
果林「えっ、なに?」
エマ「果林ちゃんをおうちに連れていってすぐお風呂に入れたんだけど、そこで気付いたの……」
エマ「果林ちゃんの腕に、臭い泥の手形みたいなのがあったんだ。なんか掴んでいたみたいな感じでこびりついてたの……」
果林「ウソ……」
果林(ゾッと悪寒を覚え、思わずビクンと打ち震えた。もし、無意識に振り切ることなく女に腕を掴まれたままなら、きっと今こうやって生きてはいなかったはず──幸運とエマに感謝した)
果林(とりあえず恐怖の夜から救い出してくれたエマに礼を述べ、いったんマンションへ戻る事にした)
-
11日目 朝
ガラガラ
「おや………わざわざ玄関までお迎えに来てくれたんですか?」
果林「あ、はい……」スクッ
果林(私はマンション正面玄関の花壇の端に腰掛けて、依頼主が帰ってくるまでずっと待っていた)
果林(さすがにあの部屋に戻る勇気はないわ……)
果林「鍵をお返しします」
「確かに。お留守番、ありがとうございました……これを」スッ
封筒
「こちらは残りの報酬、10万円です」
果林「あ、ありがとう……ございます……」
「それと──」
果林「!」ビクン
「──返事、はしっかりやっていただけましたか?」ジロッ
果林「は、はい……!」ドキドキ
「そうですか……」
「なら、結構です」ニコッ
果林(ふぅ……)
「では、ごきげんよう」ペコッ
ガラガラ
果林(依頼主はそれきり振り返ることなく、マンションの奥へと消えていった)
果林(こうして、10日間のお留守番バイトは終わった)
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果林(今思えば……)
果林(きっと、依頼主はあの女のひとが好きなんだろう)
果林(ずっと部屋に居て欲しいから、わざわざ留守番を雇って自分の代理として返事をさせたのだ)
果林(女の正体はわからないし、もうわかりたくはない。元々あの部屋にいた存在なのか、それとも──)
果林(──依頼主がどこからか連れてきたのか、それとも憑いてきたのか、とか)
果林(ちなみに、依頼主の名前は、ホノカじゃないわ)
果林(さて……これで私の恐怖体験は終わりよ)
果林(あ、そうそう……)
果林(今の私はスマホで楽なバイト探しをやめて、彼方のやっている居酒屋でバイトしているの)
果林(キツいけど、美味しいまかないも出るし、頑張れる。なぜズボラな私が真面目に頑張れるかって……?)
果林「……あの腐った女のことを忘れられるから、かしら?」フフッ
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「ホノカチャン」
「はい」
「ふふっ、今日も元気ですね……」
「ことり」
おわり
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あれ?付いてこなかったか
乙でした
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乙
むしろ穂乃果はどうなったんだ…
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ハノケチェン…
果林てゃんが無事で良かった
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悲しい純愛だ…
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ギャグかと思ってたらちゃんと怖かった
おつでした
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面白かったわ
シリーズ化してほしい
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乙
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乙、世にも奇妙な物語みたいな感じで面白かった
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あー読み返して分かったわ
果林が名前言ったけどホノカチャンのままだったから付いてこなかったのか
改めて乙でした
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>>77
はい。果林パイセンが助かったのは名乗ったからです
夢枕獏の陰陽師シリーズにもありますが、名前はそのモノを縛る呪だそうです。
果林さんが果林たらしめる呪いであり、ホノカチャンではないため返事してもことりに憑かれたりさらわれなかった──という訳です
クールだけどちょっぴりからかうのが好きな彼女の性格が功を奏しました
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なるほどなぁ、そういう理屈だったのか
じゃあ、依頼主の人は一度だって部屋で自分の名を言わないようにしてるってワケか
怖えな
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,,(d!.இ ヮ இ..) 寒いよ…カリンチャン…
/(・)(・)\
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なるほど面白かった
ンミチャンも悲しいね…
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>>70
穂乃果ちゃんは生存してます
いちおうSS内にそれを匂わせております
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穂乃果はニューヨークでシンガーをしてる、ってことみたいだな
……つまり、ことりだけ、ことりだけが、かぁ
辛いな
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>>78
こういうホラー話、好きなので出来れば色んなグループでシリーズ化して欲しいです!
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