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ヨハネ「秘密のマカロン作戦」
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ウミウシ哀好会のみんな!ご機嫌いかがかしら?
私はヨハネ、華の16歳よ!!
今回の話は以下の話の続きとなっているわ。
1ヨハネ「(ウミウシってムカつくわね……)」
2ヨハネ「旅行に行きましょうか、ウミウシ?」
3ヨハネ「ウミウシが誕生したわ!」リコ「かわいい〜!」
4リコ「ふぅ……」ドロォッ
5ヨハネ「餅つきをしましょうよ!!」
6ヨハネ「惨劇のワーシマー島!!!」
7ヨハネ「惨劇前の時間」
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ヨハネ「ヨハウシ、マゾウシ、そこになおりなさい」
「「ミィ!!!」」
ヨハネの部屋の床でシ頭にニヨンをつけた可愛らしいウミウシが二体座っていた。
詳細は省くが、2匹とも以前ヨハネがウミウシを産ませてできた子供である。
しかし情はほぼ無い。
作戦のために鍛え上げたヨハネの「道具」である。
ヨハネ「そろそろマリのウミウシ奪取作戦を行おうと思っているの。あんた達を含めた超精鋭のウミウシ計5匹で遂行してもらうわ」
「「ウミ!!!」」
ヨハネ「あなた達は通常のウミウシと違い私の血が混じっている。マリの家のウミウシも強引に連れ去ることもできるはずよ」
「「ミィ!!!」」
ヨハネ「けどそれは避けたい。なぜならバレるリスクが高いから。だからマリのウミウシ……マリウシと呼ぶわ。マリウシをマカロンで釣って欲しいの」
「「ミィ!!!」」
ヨハネ「ま、今日は休みなさい。詳しい説明は5匹揃ってから行うから。私はちょっと出るけど部屋から出たらダメよ?」
「「ミィ!!」」
ヨハネの血が混じったウミウシは比較的普通のウミウシに比べて待遇は良い。
以前のように虐待はかなり減った上いい子にしていたらマカロンも食べられる。
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ヨハネ「さぁて、マリウシを釣るためのマカロンを買いに行きますか…」
ヨハネは電車でヌマヅを通り過ぎてシズオカ駅まで移動する。
ヌマヅだとマリの能力を意識して独り言すら満足に呟けないからだ。
シズオカ駅の中にはパルシェというデパートがあり、そこで一通りなんでも揃う。
ヨハネ「おぉ〜最近のお菓子はオシャレね。こんな良いものをウミウシ風情に買うのも勿体無いわ…」
洋菓子屋のショーケースの前で品を眺めるヨハネ。星型や貝型のマカロンがあったため、それを幾つか購入した。
せっかくシズオカまで来たのだ。
鬼のヨハネも1人の少女。すこしショッピングを楽しむことにした。
お金は幸い不自由していない。
ヨハネ「トウキョウにいた時は考えられなかったな…」
高そうな服屋に入店しブランドもののカバンや靴を見始める。
ヨハネ「うーわ…たかが靴に10万円?1億円あっても買わないでしょうね…」
店員の近くで失礼なことをぶつぶつ呟くヨハネ。興味本位で入った店なのですぐに出た。
そこで思わぬ人物に遭遇する。
コハク「おや、ヨハネさん。お久しぶりです」
ヨハネ「え〜と、コハクさんでしたっけ?」
コハク「覚えてくれていて嬉しいです。シズオカで会うなんて思いもしませんでした」
ヨハネ「確かに、お仕事ですか?」
コハク「ええ、私は今ダイヤの代わりに市長になりましたからね。少し会議に」
ヨハネ「そうだったんですね…」
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コハク「美味しそうなマカロンを買われましたね。随分たくさんと」
ヨハネ「あーまぁ…ーえへへ」
コハク「ヨハネさんがお一人で食べるんですか?………それとも」
コハク「ウミウシと一緒に…とか?」
ヨハネ「っ!!!??」ビクッ
思わぬ言動に心身ともに成長したヨハネとはいえ動揺を隠せなかった。
コハク「あははは、冗談ですよ。私は忙しいのでこれで」
ヨハネ「あ、はい………」
コハクが去った後もしばらくその場で立ち尽くすヨハネ。
心臓がバクバク鼓動しており、背中は嫌な汗でグッショリ濡れていた。
ヨハネ「何今のは……。どういう意味!?」
ヨハネ「ヤバイやばいやばい!!!………くそ!!!」
周りの人間の注目を浴びるほど取り乱すヨハネ。
ヨハネ「派手な作戦だとは思っていた……けど抜け目ない作戦だと思ってたのに!!」
ヨハネ「私が容疑者と疑っているなら、あの作戦からしばらく経っているのに家に来ないのはなぜ?」
ヨハネ「頭がおかしくなる…リコの家に行こう」
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ハママツ
リコ「それって本当?」
ヨハネ「嘘ついてどうすんのよ。行政局は私を疑っていると見たほうがいい」
リコ「証拠が無いにしても事情聴取くらいはありそうだけどね。なんで今まで捜査が入っていないのかしら」
ヨハネ「そこが不気味なのよね………」
リコ「しばらく身を潜めたほうが良さそうね。あと、丁度いいから頼まれていたウミウシを持って帰ってちょうだい」
ヨハネ「!!」
リコが箱を開けると中から頭にリコと同じ帽子を被ったウミウシが出てきた。
リコウシ「ウミィ!!」フリフリ
ヨハネ「すご!なんか頭良さそう」
リコ「私の種から産まれて毎日勉強漬けにしたからね。たぶんそこらの高校生より勉強できるわよ。見ての通りケツ振りはやめさせて無いから。虐待経験も浅いし調教のしがいはあると思う」
ヨハネ「ありがとう!この個体は殺せないわね〜勿体なさすぎて」
リコ「これと同じクラスのを作ろうとすると一月はかかるからね」
リコウシ「フニィ……?」
リコウシは「殺す」や「虐待」など聞きなれない言葉が飛び交い首を傾げていた。
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ヨハネは家に帰るとリコウシの調教を始める。
この個体は作戦に不可欠のため殺さないようにしなければならない。
ヨハネ「リコウシちゃん、この表を見なさい」
リコウシ「ミィ?」
その表にはヨハネの家のルールが記載されていた。
1『許可のないケツ振りは禁ずる』
2『ヨハネは神である。絶対神である』
3『虐待は愛である』
4『寝る前は2分間感謝を行う』
5『子を成せ、産ませよ』
15秒ほどルールをリコウシに見せた後、50音のシートを取り出して記憶力テストを行う。
ヨハネ「いま見せたルールを全て示してみなさい」
リコウシ「ウミ!!」
スッ…スッ…
驚いたことにものの10数秒でリコウシは今のルールを全て記憶していた。
あきらかに一般的な人間より優れている。
ヨハネ「(これは使える。頭がいい分反逆の恐れがあるくらい……)」
リコは事前にリコウシに対して「ヨハネは神である」、「崇拝すべき存在」として調教をおこなっていた。
毎日ヨハネの顔を見せてお辞儀をさせていたのだ。
ヨハネはそれを事前に聞いていたがあまりの能力の高さを目の前に、どうしても「裏切り」の可能性を払拭できなかった。
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ヨハネ「ちょっと席を立つわね。移動しちゃダメよ?」
リコウシ「ウミ!!」
リコウシの良い返事を背に、ヨハネは別室に向かう。
そこでリコウシがいる部屋の隠しカメラをモニターで確認する。
人は監督者のいないところで怠ける。
それはウミウシも同じだ。この部屋には出口もあり、一応部屋の外に出ることができる。
興味本位で部屋を出ないか、逃げ出さないかを観察するヨハネ。
1時間後……
ヨハネ「………」
2時間後……
リコウシ「ウミ……ウミ………」ソワソワ
3時間後
リコウシ「フニィ…フニィ!!」ソワソワ
ヨハネ「机の上でクネクネし始めたわね……どうしたのかしら?」
リコウシ『ミッ…ミッ……!』
リコウシ『ウミィ〜〜!』ジョロジョロ
ヨハネ「あっ!!」
モニターの向こうで、リコウシが机の上で放尿し始めた。
どうやら小便を我慢できなかったようだ。
逆にいえばそれほどまで命令に忠実に守っていたということ。
ヨハネ「悪くない。けど作戦時に予定外のことが起こったら対処が難しそうね」
ヨハネ「にしても生理的欲求の支配はゾクゾクさせられるわね…」
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マトモそうなスレタイを付けるんじゃないよ
危うく騙されるところだったぞ
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リコの遺伝子を持つウミウシかぁ…
参考画像欲しい
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ウミウシ哀好会になってしまったお前ら
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>>9このクソゴミの頭にリコの帽子をのせただけの下等生物やで
https://postimg.cc/zVVdMkSb
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ウミウシ可愛いと思ってたけどあの触角みたいなの目なの?
それならクソキモいんだけど
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ウミ虐系はこれで全部?取りこぼしあったら教えて
1 ヨハネ「(ウミウシってムカつくわね……)」
2 ヨハネ「旅行に行きましょうか、ウミウシ?」
3 ヨハネ「ウミウシが誕生したわ!」リコ「かわいい〜!」
4 リコ「ふぅ……」ドロォッ
5 ヨハネ「餅つきをしましょうよ!!」
6 ヨハネ「惨劇のワーシマー島!!!」
7 ヨハネ「惨劇前の時間」
8 ヨハネ「秘密のマカロン作戦」
1 ライラプス「ヨハネ…またシコったの?」
2 ヨハネママ「ヌマヅでミスコンですって!?」
3 コハク「ヨハネさん、旅行楽しんできてください」
マリ「行政局を潰してやるわ……」
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>>13
あってるよ
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>>14ありがとう!
全部プリントアウトして外でも読んでるよ
コミカライズしてほしいくらい好きだ
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コハクさん信じてるぞ
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プリントアウトは草
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リコウシ「ウミ……ウミ……」シクシク
リコウシは漏らしてしまったショックで泣いていた。
ヨハネ「汚いわね…こういう時どうするんだっけ?」
リコウシ「ミッ!?」バッ
いつのまにかヨハネが真後ろに立っており、驚いた様子で振り返るリコウシ。
怒りのヨハネの顔を確認すると土下座のポーズで謝り始める。
リコウシ「ウミィ!ウミィウミィ!!」ペコペコ
ヨハネ「あはは!よく調教してるじゃんリコ!!」
ヨハネ「ほら、除菌ティッシュをあげるから自分で拭き取りなさい」
リコウシ「ウミィ……」サワッ……
リコウシ「ミャァ!!!??」
除菌シートはアルコール製でできていた。
そのため体の弱いウミウシは皮膚も弱く、触った部分がヒリヒリ痛むのだ。
それでもリコウシは頑張って汚した床を掃除する。
リコウシ「ミィ………フゥ!!……ミィ!」フキフキ
一生懸命頑張るリコウシを見てヨハネは感心していた。
ヨハネ「私の血が混じったウミウシなら文句の一つでも言ったでしょうけど流石リコのウミウシね。良い子…」
リコウシ「ウミウミ!!」キュッキュッ!
ピカピカ
机の汚れが完全に取れた。
ヨハネは気をよくして次の指示を出す。
ヨハネ「リコウシ、今日はこの部屋全体を今みたいにピカピカに掃除しなさい。机の上、天井、床、タンス、全てをね」
リコウシ「ミィ…!?」
え、ここ全部をやるの!?といった様子でヨハネを見上げるリコウシ。
ヨハネ「まさか文句があるの?」
リコウシ「ミィ〜ミ!!」フルフル
全力で首を横に振るリコウシ。
ヨハネの試験はまだ続いていた。
ウミウシの小さな体で10畳ほどあるリビングを綺麗に掃除するのは至難だろう。
めげずに任務に取り組めるか見定めるつもりだった。
ヨハネはアルコールテッシュを置いて部屋をでる。リコウシは取り敢えず放置、後で録画している動画を見返すつもりだった。
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部屋を出たその足で三畳ほどしか無い小部屋に入る。
中にはウミウシが何体もいて服を縫っていた。
「ウミ…?」
「フニィ…」カクッ
ヨハネが入ったというのにどのウミウシも反応が鈍い。疲れている様子だった。中には針を持ちながら船を漕ぐウミウシもいた。
実はヨハネは副業としてウミウシに服を縫わせてフリマで売ったりもしていたのだ。
格安の糸と裁縫具を購入し無休で働かせ続ける。利益はかなりのものだ。
このウミウシ達はもう2日は寝ていないだろう。
ヨハネ「せいれええええええええつ!!!!!!!!!!!!!!」
中に入るや否や大声で整列を促すヨハネ。
ウミウシ達はハッ!!とした様子で急いでヨハネの前に集まる。
ヨハネ「……」
皆が賢く整列する中、1匹だけ針を持ったまま今だに夢の中にいるウミウシがいた。
「フニィ…ウミミ///」クゥクゥ…
好きなウミウシと一緒にいる夢でも見ているのだろうか。
顔を赤らめて恥ずかしそうな顔で可愛くいびきをかいていた。
ヨハネはそのウミウシをそっと摘み上げる。
「ウミミ///…ウミィ…」クゥクゥ
よほど良い夢なのだろうか。ここまでしても起きる気配がない。
ヨハネはこういった怠け者専用の罰を遂行することにした。
ヨハネ「アンタたちは今から3時間の睡眠を許します。各自休息に入ってよし」
「「「ミィ!!!」」」
ヨハネは寝ているウミウシを摘んだまま部屋を出る。
金回りの良くなったヨハネは家を増築し、防音室を作っていた。
作りはたった2畳。大きなスピーカーの前にウミウシ用の檻が置いてあるだけの簡素な部屋だ。
ドアには窓が付いており中の様子がよく分かる。
部屋に入ると檻の中に夢の中のウミウシをそっと入れてスピーカーのリモコンを取って外に出る。
窓から寝ているウミウシを確認したヨハネはリモコンのスイッチをゆっくりと押した。
ピッ
「ガァァァァァァァンンンン!!!!!!!ズドォォォォォォンンンン!!!!!」
「ウミャ!!!?!??」ガバッ
スピーカーからは雷の音が爆音で、かつ連続で鳴り続けていた。
突然の轟音にさすがのウミウシも飛び起きた。
しかしそれだけでは爆音は鳴り止まない。
「バァァァァァァンンンン!!!!!!ダァァァァァァァン!!!!!!」
「ウミミ!!!フニィィィィィィ!!!!!!」ジタバタ
「ウミャァ!!!フニャァ!!?!!!?!!!!!」
今の音の大きさがおよそ120デジベル。
人間に耐えられる最大の音と言われておりこれを超えると鼓膜が破れる恐れがある。
それを貧弱なウミウシが味わったらどうなるかお分かりだろう。
鳴り続ける轟音。
初めはウミウシは小さな手で頭を抑えてうずくまっていたがその程度で防げる音量ではない。
「ウミャァァァァァァァァァァ!!!!!ミッミッ!!!!!」
「ウ゛、ウ…ウウウウウ……!!!!」ドプドプ
数秒経過した後、なんと体の至る所から白い液体が噴出してきた!!
「………ウウウウウ!」ドプ…ブリュッ!!
それに脱糞も。
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今日は寝ます
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字面だけならめちゃくちゃ可愛らしいスレタイなのに即座にウミ虐だとわかるのだいぶ汚染されてるなと思う
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時間にしておよそ3分程度。
ヨハネはようやく音を止める。
「…………」ビクビク
ウミウシは仰向けになりビクビクと死にかけのセミのように痙攣している。
内部はウミウシが撒き散らした小便と糞、謎の液体で汚れていた。
ヨハネはウミウシが普段生活している居住エリアに足を運んだ。
居住エリアといってもプラスチック製の収納ボックスを改造しただけの簡素なものだ。
ボックスは透明で、1ケースにウミウシが5体入っている。
ヨハネの入った部屋にはそのケースが15ケースあった。それぞれの箱に1〜15の数字がプリントされている。
ちなみにウミウシの出した糞尿は全て自分たちで処理をさせている。
ボックス内に紙が敷いてあり、そこにウミウシ達は用をたす。
部屋の隅にトイレがあるのでそこにまとめて流す、という仕様になっている。
ヨハネ「1番部屋!!防音室の掃除を行いなさい!!!」
「「「ッ!!ミィ!!!」」」
掃除類は最近ヨハネは自分で行なっていない。
全てウミウシに任せている。
ヨハネ「こういう時ウミウシ飼ってて良かったって思うわね」
しみじみ呟くヨハネだった。
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ヨハネは自室でジュースを飲みながらモニターを見ている。
横でヨハウシとマゾウシが腹筋をおこなっており、ベッドでは精◯まみれの※オナウシ2が痙攣していた。
※オナウシ2とは前回ヨハネが無理やり赤ちゃん製造機にしたウミウシのことだよ!
そこにはリコウシが開始から7時間も経つというのにまだ広い部屋の掃除に勤しんでいた。
リコウシ『ウミウミ!』キュッキュッ!!
リコウシ『フニィ〜』フゥー
綺麗になった部分を見て満足げに汗を拭うリコウシ。
その姿に思わず額に青筋が経つヨハネ。
ヨハネ「作戦まであと3日。仕上げをしなければならないわね」
ヨハウシ「ウミャァ?」
ヨハネ「……」ブスッ
ヨハウシ「ウミャァァァァァァァァ !!!!」
可愛く首を傾げるヨハウシの背中にヨハネは針を突き刺した。
思わぬ虐待に苦しみと疑問の表情を浮かべてヨハネを見る。
ヨハネ「媚びるな」
ヨハウシ「ッ!!!」ビクッ
ただ一言。
ヨハウシ達に視線を合わせずモニターを見ながら冷たく言い放つヨハネ。
ヨハウシ「ミィミィ!!」ペコペコ
マゾウシ「ミィミィ!!」ペコペコ
もう命令されずとも2分間土下座の体制で頭を上げ下げ続ける「2分間謝罪」を自分達で行えるようになった。
ヨハウシは針が背中に刺さったままだが痛みに懸命に堪え、謝る。
ヨハネはそんなウミウシに見向きもせず冷たい目でモニターを眺めていた。
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自室を出たヨハネはリコウシの部屋に移動する。
ヨハネ「リコウシ、もう掃除はいいわ」
リコウシ「ウミ!」ピッ
リビングは半分も綺麗になっていないがリコウシはヨハネに敬礼のポーズをとる。
何となく、ヨハネはリコウシの頭の上にのっている帽子に触れようとした。
リコウシ「ウミミ!!!」パッ
帽子には触られたく無いのか絶対神であるヨハネの手を振り払い拒絶した。
ペチ、と可愛い音がする。
……これは冒涜である。
リコウシ「ミッミッ!!」スッスッ
リコウシは50音シートで自分の意見をすらすら述べていく。
『帽子に触らないで』
ヨハネ「あ、あはははは、キキ、クククキキキキ…………」
リコウシ「ウミ………?」
リコウシは自分が悪いことをしたとは思っていないのだろう。
笑顔でピキるヨハネの行動が理解できず首を傾げていた。
ヨハネ「(こ、殺しちゃだめ……リコウシは虐待なしで作戦に投下しようと思ってたのに、やっぱり所詮ウミウシ。虐待なしにはダメか………)」
ヨハネ「(作戦日は近い。肉体的には虐めちゃダメ……)」
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ヨハネ「なに、帽子触れられるの嫌なの?」
リコウシ「ミィ!!」
ヨハネ「んなもん許すかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」バッ
リコウシ「ウミィッ!?」
まさか強引に襲ってくるとは思っていなかったのだろう。
驚きの「ウミィ」の声と同時にヨハネに持ち上げられる。
帽子を触られたく無いのかジタバタと暴れ回るがヨハネの力に勝てるはずがない。
ヨハネはそのままリコウシの帽子に自身の顔を近づける。
リコウシ「ウミャアアアアアアア!!!!!!」ジタバタ
ヨハネ「ん、ベェ~ロベロベロベロ!!!」
ヨハネはそのままベロで帽子を舐め始める。
リコウシ「イミャアアアアアアアアア!!!!!」フルフル
いや!いや!と首を振るリコウシ。
帽子を舐めながらヨハネは驚いていた。
ヨハネ「(この帽子…体の一部として引っ付いてる。素材も布じゃなくて肉ね)」ベロベロ
リコウシ「ミャア!!ウミャア!!!!」フルフル
ヨハネ「(本当に面白い生態ね、こいつらは)」ベロベロ!!
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リコウシ「ウミィィィィィ!!!!」フルフルフル
ヨハネ「(もういいか………)」
ヨハネは大口を開けてリコウシの帽子に噛み付く。
そしてそのまま……………
ブチィ!!!!!
なんと根本から噛みちぎってしまった。
血が噴水のように噴き出す!!
これでは見た目はただのウミウシだ。
リコウシ「ウミャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」ガクガクガク
めちゃくちゃに暴れ回るリコウシ。
ヨハネは机の上に雑にリコウシを投げ捨てると帽子を片手でつまんだ。
リコウシ「ウミィ!!!ウミィィィィィィ!!!!」フワ
ヨハネ「へぇ!!」
許さない!と言わんばかりに、リコウシは勇敢にもヨハネに飛んできた。
頭は帽子部分を引きちぎられてかなり出血しているというのにだ。
ヨハネもこれには驚かされた。
ヨハネ「(命を顧みず帽子を取りに来たか…この習性は使える)」
ヨハネは帽子を口の中に入れて両手で再びリコウシを掴む。
続けてポケットからライターを取り出して傷口を焼き始めた。
シュボ!
リコウシ「ミアアアアアアアアアアアア!!!!!!ウミャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」ジタバタ
ジュウウウウウウ…………
肉の焼ける匂いが周りに広がる。
約1000度の火がリコウシの頭を焼く。
焼き続ける。
リコウシ「ウミャアアアアアアアアアア!!ミ゛ィィィィィィィィ!!!!!!??!?!?」ジタバタ
リコウシ「ウミ……アアアア…………」ブリュ
ヨハネ「うわぁ…また脱糞したw汚いわね」
10分後
リコウシは瀕死の状態でぐったりと倒れて、氷水で頭を冷やされていた。
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1やがウミウシに会うために伊勢まで来たで
https://postimg.cc/w3SzfvLz
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暴れんようにな
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中々可愛い
けど子供が多すぎてうるさすぎるンゴ
https://postimg.cc/065288Yb
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ずっとガンつけてきやがる…
https://postimg.cc/V5kkC9V5
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本当にアニメみたいなデザインなんだな
ちょっとビックリする
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とうとうリアルでウミウシ会いに行く事になってるの草
これがアニメでの感動をリアルライブで見に行くラブライブってやつか…
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それからしばらくしてリコウシが意識を取り戻す。
リコウシ「ウミィ……ミ゛!!!!」
火傷の痛みが酷いのか両手で頭を押さえるリコウシ。
リコウシ「ウミィ……ウミ!?」ババッ
リコウシ「ミィ………ウミィ……」シクシク
あるはずのものがない事に驚き頭を素早く2回触るリコウシ。
改めて帽子が引きちぎられた事を再確認して、絶望してシクシク泣き始めた。
ガァン!
その時リコウシの目の前に鏡が置かれる。
リコウシ「ミィ………ミィ!!!!????」
鏡に映るのはアイデンティティである帽子がなくなり、他のウミウシと見分けのつかなくなったリコウシだった。
違いがあるとすれば火傷跡があるかないかくらいだろう。
ヨハネ「ウミウシ…あ、違った、リコウシか」
ヨハネがヘラヘラしながら嫌味っぽく口を開く。
リコウシはヨハネの姿を見た瞬間怒りが込み上げ、必殺の頭突きを喰らわせる。
リコウシ「ウミィ!!!ウミィ!!!!!」プニプニ
ヨハネ「やめないと帽子をトイレに流すわよ」
リコウシ「ミ゛ィッ………」ピタ
ヨハネ「そうそう、あんたは私のいうことを聞いておけばいいのよ」
リコウシ「………ッ!!」ギリッ
ヨハネ「命より大事なこの帽子…返して欲しかったら分かるわね」
ヨハネ「リコにも聞かされていた例の『作戦』…期待してるわよ」
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なぜヨハネはリコウシの頭の帽子をちぎったのか。
それは作戦のためにあった。
作戦当日はヨハウシ、マゾウシ、リコウシ、ウミウシ二体の計5体で遂行する。
仮にワーシマー島でリコウシやヨハウシがマリに見つかれば「何故リコの帽子を被っているのか、ヨハネのシニヨンを付けているのか」と絶対に問題になる。
そうなれば襲撃事件の首謀者も、下手したらルビィ殺害の疑惑もヨハネとリコに向いてしまう。
それ故証拠となるそれぞれのウミウシのアイデンティティを無くす必要があった。
ヨハネ「私はかなり優しくてね。今の気持ちを50音のシートで教えてくれてもいいわよ?」
バサっとシートを机の上に広げるヨハネ。
リコウシは素早くシートの上に飛ぶと自分の意思を示し始める。
『お前を許さない』
ヨハネ「何言ってんの?私はあなたに叩かれたから報復として行ったのよ?」
『私に取って帽子は一番大切なもの』
ヨハネ「答えになってないわね。だから作戦成功したら返すわよ?」
『お前のような悪い女が返してくれる保証がない』
ヨハネ「……」
ヨハネ「(保証ときたか…ウミウシの分際で。やっぱここで殺す?)」
ヨハネ「…もういいわ。帽子は砕いて捨てるわ」
リコウシ「ッ!!」
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冷たく言い放つヨハネにビクッと動揺するリコウシ。ヨハネの声色が本気だと分かったのだろう。
再びミィミィ言いながらヨハネに向かってくる。
リコウシ「ウミャァ!!ウミウミ!!!」ツンツン
ヨハネ「!」
ヨハネはウミウミ言うだけの下等生物の鳴き声にもそれぞれ意味があることを経験で理解していた。
事実リコウシはヨハネの腕を引っ張っている。
どうやら何か50音のシートで示そうとしているみたいだ。
ヨハネ「なによ」
リコウシ「フニフニ!!!!」スッスッ
『任務に参加するからやめてほしい』
ヨハネ「馬鹿なのアンタは!?」ガンッ!!!
リコウシ「ッ!」ビクッ
ヨハネは机を思い切り叩き恫喝する。
ヨハネ「参加するくらいなら誰でもできるのよ!!!!ねぇ!?ねぇ!!!!????」ガンガン
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リコウシ「ミッ…ミィ!!!!」スッスッ
机を叩き続けるヨハネに恐れ慄きながら続きの文字を示すリコウシ。
『成功させます。帽子を捨てないで』
ヨハネ「それで?」
リコウシ「ウ…ミィ…?」ガタガタ
ヨハネ「私すっごく今心が痛いのよ。アンタに手を叩かれたせいですっごく心が痛いのよ。……ねぇ?」
リコウシ「ミッ……!」ガタガタ
頭のいいリコウシは今理不尽なことを言っているのはヨハネだとしっかり理解できている。
並みのウミウシなら頭がテンパって即謝るしかないだろう。
リコウシは分かった上で同じ対応をとった。
リコウシ「ウミィ!…ウミィ!!」ペコペコ
ヨハネにウミウシ流の謝罪を行う。
土下座のように這いつくばり、頭を上げ下げする媚びた謝り方だ。
リコウシ「ミィ!…ミィ!」ペコペコ
ヨハネ「……」
ヨハネもこれが形だけの謝罪であることは分かっている。つい先程まで敵意剥き出しだったリコウシがすぐに意見を変えることなどできないのだ。
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2分間謝罪
https://postimg.cc/JyvHyVYM
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>>37
可愛すぎるわ
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>>38生意気にもシンデレラウミウシとかいうらしい
https://postimg.cc/gnH0prwb
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リアルと結びついてしまった
今後水族館でどんな目で見たら良いんだよ
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沼津の水族館にウミウシいないかなと思ったら年明けくらいにウミウシ搬入したという深海水族館公式ブログの記事見つけたわ
普通の紹介文と画像なのになぜかピキピキ来る
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ラ板民のウミウシに対する評価
幻日のヨハネに出てくるウミウシくんかわいすぎない?
https://itest.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1690794540/
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次の日
ヨハネの部屋
ヨハネ「……」
ヨハネは悩んでいた。
作戦決行まで後2日。部隊の編成についてだ。
ヨハネ「マリウシを誘い出すのは通常のウミウシ2体でいいか…。マカロンを携えて誘えばいい。意外とマリウシはマリのそばにいない事も多い。側近はあくまでペラピーだからね…」
カリカリとノートに現状の情報を再度洗い出すヨハネ。
ヨハネ「だからマリウシが外に出たタイミングを狙って工作員(ウミウシ)に接触させる。
失敗すれば周りのヨハウシ、マゾウシが強引に連れ去る…でいいかな。
リコウシには現場の指揮官をやらせる…」カキカキ
ヨハネ「1日で終わるか分からない。運良くマリウシが城から出てくれたらやりやすいんだけどね。食料は現地調達させましょう」
ヨハネ「よし!これで行こう!」
その後ヨハネは作戦部隊のメンバーをヨハネの部屋に集めて最後の禊を行う。
ヨハネ「ヨハウシ、こちらに来なさい」
ヨハウシ「ウミミ…」フワッ
ヨハネはヨハウシのシニヨンを片手で乱暴に引きちぎった。
ヨハウシ「ウミャァァァァァァァァァァ!!!!!」
マゾウシ「ミィ…ミィ…」ガタガタ
まさか僕もするの?とマゾウシが怯えていた。
ヨハネ「当たり前でしょ」
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ブチィ!!!!
マゾウシ「イミヤァァァァァァァァ!!!!」
ヨハネ「アンタらのシニヨンは敵に発見されたら厄介なのよ。あとは仕上げね」
ヨハネはヨハウシ、マゾウシの傷口をライターで炙り出血を止めると青色のペンキを取り出す。
そしてその傷口の上からべったりと塗って火傷痕を隠した。
リコウシの番
リコウシ「フニャァーーーーー!!!!」ジタバタ
リコウシは嫌だと言わんばかりに暴れ回ったがヨハネは無言でペンキを塗り始めた。
リコウシ「ウゥ…ミィ…」シクシク
ヨハネ「あははははは!!!!!リコウシ、アンタますますただのウミウシじゃん!!アイデンティティゼロねぇww」
ヨハネ「今の感想を述べていいわよ、リコウシ」
リコウシ「……」スッスッ
リコウシは50音のシートの上に飛ぶ。
『絶対に帽子を返してもらう』
ヨハネ「いい心がけよ。成功したら、ね」
-
明確な意思を持ってるのがいい塩梅だなリコウシ
-
作戦当日
ヨハネ「ついにこの時が来ました」
ヨハウシ「ウミ!」
マゾウシ「フニ!」
リコウシ「……」
ヨハネの目の前には五体のウミウシが整列していた。
いつもの3匹に加え、通常のウミウシ2匹だ。
火傷の跡をうまくカバーしているためぱっと見見分けがつかない。
ヨハネ「今まで培ってきた技術を全て出して作戦を成功させる事。これが成功すれば高級マカロンが毎日食べられるのよ?」
ヨハウシ「ウミャァ!!」
マゾウシ「フニィ!」フリフリ
リコウシ「………ジュル」
無愛想なリコウシも高級マカロンと聞いただけでよだれを抑えられなくなっていた.
ヨハネ「はっ、何リコウシ?所詮アンタもウミウシねぇ。マカロン食べたいんでちゅか〜?」
リコウシ「ッ!!……ミィィィィ…」
恥ずかしさを隠すように、リコウシは低く唸り鳴き声を鳴らしてヨハネを威嚇する。
しかしヨハネももう大人だ。
下等生物の威嚇にいちいち反応しなくなった。
深夜2時
深夜ヨハネは以前ワーシマーを攻めた時と同じ鷲頭山にてウミウシ五体を解放する。
ヨハネ「分かっているわね?」
リコウシ「ウミィ……」コクン
ヨハネはマリの能力があるため本音で話せない。しかし頭のいいリコウシなら今の言葉だけでヨハネの言わんとしていることがわかったのだろう。
逃げるな、任務を成功させろ。
リコウシは渋々うなづいた。
-
作戦開始
ヨハネは近くの駐車場で車の中で待機している。
ウミウシ達はリコウシを司令塔として動き始める。
リコウシ「ミィミィ」フワッ
ウミウシ「ミィ!」フワッ
リコウシの号令でワーシマー島まで一斉に飛び立つ。
鷲頭山からワーシマー島まで約3キロ。
ワーシマーに着いた時には午前2時40分
リコウシ「ミィ…ハァ…ミィ…ハァ…」
ヨハウシ「ウミミ!」ヒョイ
リコウシ「ミィ…」
五体の中でやはりリコウシだけが息を切らしてその場に倒れ込んだ。
体力トレーニングよりも座学や思考トレーニングに時間を割いたためだろう。
ヨハウシはヨハネから全員分マカロンを預かっていたためそれぞれに配る。
リコウシ「ジュル…」
マゾウシ「ウミウミ!」パクパク
ウミウシ「ウミャァ♩」パクパク
皆マカロンにかぶり付いて栄養補給をする。
ヨハネの施しなど受けるかといった様子のリコウシもマカロンの誘惑には勝てずにハムハムと可愛く食べ始める。
リコウシ「ウミャァ〜♩」パクパク
ヨハウシ「ウミウミ」パクパク
しばしの休憩時間である。
-
ここまで
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本当に可愛いわ😍
-
ほんと楽しみ
-
これしか楽しみじゃない
ウミウシを早く仕置きしてくれよ!
-
リコウシ「ウミウミ!」
皆がマカロンを食べ終えてリコウシは改めて次の行動の指示を出す。
それは監視カメラにできるだけ映らずにマリの城まで辿り着くことだ。
あらかじめワーシマー島の地図をリコウシは頭に叩き込んでいた。
リコウシ「ウミウミ!ミィ!」
ウミウミ言いながら追加の指示を飛ばす。
監視カメラに映らずともワーシマーには他の幻獣も存在する。
そういった生物に見つかっても違和感がないように遊んでいるフリをしながら城を目指す。
ヨハウシ「ウミャァ〜」フワフワ
ウミウシ2「フニィ♩」フワフワ
キャッキャしながら飛行する一行。
「遊んでいるフリ」といいつつ下等生物共は本気で遊び出そうとする。
しかしさすがの司令塔というべきか。
リコウシがすかさず注意に入る。
リコウシ「ウミャァ!」パシッ
ヨハウシ「ウミィ!!」
怒りの鉄拳制裁。
リコウシがヨハウシの顔面を平手打ちして注意する。
リコウシも帽子がかかっている為本気なのだろう。
ヨハウシ「ウミャァ……」ヒリヒリ
-
マリの城まで後数十メートル。
深夜とだけあり、周りの幻獣も寝ている個体が多いようだ。
「ん?ウミウシか。全く呑気なものだな」
リコウシ「ッ!!!」
遊ぶフリをしながら移動中、行政局の監視員に見つかった。
事前にヨハネから聞いていた情報では監視員は全員で昼夜問わず5人巡回しているようだ。
監視カメラと違って人間は動き回るので油断ならない。
しかし遊びながら移動していた事もあり疑われる事もなかった。
これが5匹とも真っ直ぐに城へ向かっていたら違和感を感じるかもしれない。
リコウシの作戦は成功した。
監視員を突破し、再び移動すると目の前にマリの城があった。
リコウシ「ウミィ…」ゴク
ついに辿り着いた。
このままマリウシを見つけられれば問題ないがそう簡単にいかない。
入り口を見つけないといけないからだ。
リコウシ「フニィ!!」
リコウシは一旦5匹に散開させ城への入り口を5分ほど探させることにした。
この辺だと幻獣も多い。
ウミウシが単独で動き回っても違和感はないだろう。
ウミウシ「フニフニ!」
マゾウシ「ウミィ〜♩」フワフワ
マゾウシは初めて見るたくさんの幻獣に興味津々なようだがリコウシが再び注意を促し、全員で捜索を開始した。
-
毎朝の楽しみ助かる
-
ウミウシ「ウミィ!?」
ウミウシ「ウミウミ!!」
通常のウミウシが何かを発見してリコウシを呼んだ。
リコウシ「……ミィ」
それはガラスの一部が割れて応急処置として透明のテープが貼ってあったのだ。
前回のワーシマー島襲撃作戦でウミウシが上空から落下した際に割れたものだろう。
他にも割れた窓はあるはずだが全て修理されていた。
業者が忘れたのだろうか。
どちらにせよこれはチャンスだ。
リコウシは周りをキョロキョロと見回して監視カメラがないかチェックする。
リコウシ「ウミィ!」
無い、と判断した。
そもそも行政局はワーシマー襲撃の犯人は人間の犯行と思っているのだろう。
ウミウシが見つけた場所はとても人では通れないほど小さな窓だ。
監視カメラがなくても仕方ないのかもしれない。
まず、力のあるヨハウシとマゾウシが2匹でテープを剥がそうとする。
ヨハウシ「ウミミィー!」グイグイ
マゾウシ「フニィ〜!」グイグイ
しかしテープは強力で中々剥がせない。
無駄に体力を使って欲しくないので、リコウシはマゾウシと通常のウミウシの2匹にテープの少し剥がれている部分に唾液を垂らすように言った。
そらにより少しずつだが粘着性を薄めようという作戦だ。
ウミウシ「ウミウミ!」ペロペロ
マゾウシ「ミャァ」ペロペロ
当分時間がかかりそうだった。
-
ヨハネ「ふぁ〜あ…暇ね」
車の駐車場内でヨハネは欠伸をしながら本を読んでいた。
時刻はもうAM3時を回っている。
外には時たま車が通過するのみで、歩いている人はクラブや居酒屋で酔っ払った者ばかりだ。
グゥ〜…
腹の虫が鳴る。
夜ご飯を食べてから6時間以上経っているのだ。無理もないだろう。
ヨハネ「肉食べるか…」
ヨハネは車の中にあった透明の瓶を取り出す。
中にはウミウシの卵が2個入っていた。
どちらももうすぐ孵化するだろうが片方は2、3分で生まれてきてもおかしくない。
リコ同様ヨハネもウミウシの孵化タイミングを経験で分かっていた。
もう産まれる方の卵を瓶から取り出して車のシートの上に置く。
パキ…
卵にヒビが入る。
パキン!
「フニィ〜〜〜!!♩」フワフワ
卵から赤ちゃんウミウシがクルクルと回転しながら孵化した。
元気いっぱいの赤ちゃんだ。
空中を飛び回り生を実感しているようだった。
体長は10センチほど。
愛くるしくキャッキャと飛行していた。
「ウミウミウミ〜♩」フリフリ
-
ヨハネ「ゲームスタート」
ヨハネはマリの能力があるため虐待を連想させる言葉は慎んでいた。
もっとも今の時間だとマリは寝ているだろうが…念には念をいれてだ。
ヨハネは赤ちゃんウミウシを片手で捉えると尻尾の部分にライターを近づける。
「ウミィ!?」ジタバタ
突然掴まれて驚いたウミウシはバタバタ暴れる。
その瞬間ライターの火が尻尾を炙り始めた。
シュボォォォォォ…
約1000度の火が生まれたばかりの赤ん坊を焼き始め、鮮やかな青紫のしっぽが段々と茶色に変化していく。
「ウミヤァァァァァァァ!!!!!?????ミィャァァァァァ!!!!!!!!」バタバタ
小さな絶叫が車内に響き渡る。
ウミウシからしたら生まれたばかりで、何をされているかも分かっていないだろう。
ただ度し難いほどの苦痛を受けているのは分かるためそれから逃れようと暴れる。
ヨハネは体の中心を避けてあえて尻尾のみを焼いていた。
3分ほど炙った後ウミウシの様子を再び見た。
ヨハネ「大丈夫?」
「ウ、ミャ……ヒューヒュー…」ビクビク
浅い呼吸で痙攣する赤ちゃんウミウシ。
ヨハネは特にこのウミウシを虐待する意思はない。
単に腹が減っているだけである。
焼けた肉の匂いがヨハネの鼻腔をくすぐる。
-
ヨハネ「いただきます!」
ガブッ!!
しっかりと焼いた赤ちゃんウミウシの可愛い尻尾を噛みちぎった。
「フニィィィィィィィ!!!!!!!」
引きちぎられた尻尾からはダラダラと出血し始めた。
ヨハネ「ふむ…うん…」モグモグ
「ウウウウウウ、ウーーーー…ミィ」ガクガク
ウミウシは痙攣しながら助けを求めるように手を前に突き出す。
何が起こっているの?誰か…痛いよ…助けて、と。
しかしヨハネは遊びでその手にハイタッチのように人差し指で合わせてあげる。
ヨハネ「いえーい!」プニッ
「フニィ…ミ゛……」ガタガタガタ
痛みのあまり痙攣しながら口から謎の液体を垂れ流す赤ちゃんウミウシ。
ヨハネはウミウシの意思を知るための50音シートを車のシートに広げてそこにウミウシを置く。
「ミィ……」ガクガク
-
ヨハネ「誕生おめでとう!突然の事で驚いた?今の気持ちが知りたいな」
「ウ……ミッ……」ズリ…ズリ
ウミウシは息も絶え絶えという様子でゆっくりと地面を這いながら文字を示していく。
改めてヨハネは生まれたばかりのウミウシが言葉を理解できるところにワーシマー島の神秘を感じた。
『いたい』
ヨハネ「今してみたいことは?」
出血でシートが汚れていくがウミウシは頑張って文字を示し続けた。
「ウミウミ……」ズリ…ズリ
『体を治してたくさん遊びたい』
ヨハネ「なんて健気なの!?あぁ…ダメね、最近エモーショナルになっている気がするわ」
「ミ゛……」
ヨハネ「そうだ!時間もあるからハンカチ縫っておいてくれない?最近アパレルにもハマっているのよ」
「ウ……ミィ……?」
針と布をウミウシの前に置くヨハネ。
苦しみながら何を言っているんだこいつはという雰囲気でヨハネを見上げるウミウシ。
それもそのはず、産まれたばかりで遊びたい盛りのウミウシに餌を与えるどころかヨハネのご飯として消費された上、労働まで強いられているのだ。
通常ならあり得ないだろう。
ヨハネは紙に文字を書いてウミウシに見せた。
ヨハネ「『やらないと腹を割いて殺す』」
「ミ゛ッ…!?」
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かわe
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-
5分後
「ウミィ……フニィ…」ヌイヌイ
車内で出血がようやく止まった赤ちゃんウミウシは、痛みに耐えながら手袋を編んでいた。
これから楽しいことがたくさん待ってる。
そう思っていたはずなのに…。
「ウミィ、ウミィ……」ポロッ
「フニィ〜…」グスン
手袋を編みながら赤ちゃんウミウシは泣き始めてしまった。
僕のウミ生はこんな強制労働をするはずではなかったのに…!
ヨハネ「ふんふんふーん♩」
ヨハネ「お料理お料理〜♩」
悪魔ヨハネは車の外でキャンピング用の小さなフライパンに火をかけて、今にも孵化しそうなもう一つのウミウシの卵を用意する。
パキキキ…
ヒビが入った瞬間に素早くフライパンの中に卵を放り込み、蓋をする。
バキッ!と中からウミウシの赤ちゃんが飛び出してくる。
「ウミャッ!?ウミィィィィィ!!???!!?!?」ジュウウウウウウ
通常産まれた瞬間のウミウシは体全部を使って生を表現する。
この世に生まれたことを祝福するかのように、媚びたように飛び回るのだ。
しかしヨハネが孵化と同時に加熱しているフライパンの中に卵を放り込んだため、できる事は焼かれることだけだった。
今まで散々孵化した瞬間のウミウシを◯してきたヨハネだが、そのウミウシ共は数秒から数分の短い時間とはいえ生まれてきた喜びを噛み締める時間はあった。
媚びたダンスを踊る時間はあった。
そういう意味では今フライパンの中で踊り狂うウミウシは「嬉しさ」、「幸せ」を感じる時間はなかったのでは無いだろうか。
ようやく卵から生まれた先が熱々のフライパンなのだ。哀れというほかない。
-
「フニィィィィィィィ!!!ミァァァァァァ!!!!!??!!」ジタバタ
体全体をくねらせて暴れ狂う赤ちゃんウミウシ。ジュウウウウウウ…と肉の焼けるいい匂いがあたりにただよう。
ヨハネ「夜食には最適ね!」
「ウ゛、……ミ゛ィ………」ジュウウウウウウ…
時間にして一分も経っていないだろう。
小さな体の赤ちゃんウミウシは、もう暴れることもできずに最期に短く鳴いた後、体全体を茶色に焼いてこの世を去った。
ヨハネはプレートを開けると、赤ちゃんウミウシの丸焼きを塩で味付けし箸で摘んで口に入れる。
ウミウシを噛んだ瞬間中からジューシーな肉汁が口の中に広がりさらに食欲を求める。
ヨハネ「やっぱ美味しいわね。もっと持ってくればよかった」
ヨハネ「(こいつらが苦しみながら調理され、最期私に食べられる…この過程はウミウシ共を支配した証みたいでゾクゾクするのよね。…作戦が成功してマリウシを手にしたら絶対食ってやる)」
心に誓うヨハネだった。
※ヨハネ「ワーシマー島のウミウシ共は人体に無害で毒もないけど、実際に野生のウミウシはフグの毒とか持つ個体もいるので食べないでね!」
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人間には優しい
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水族館でウミウシについて勉強してきたのか?
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昭和天皇はウミウシ煮付けにして食べたことあるらしいな
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場面は変わり、ワーシマー島
ヨハウシ「ウミィィィィィ!!!」ペリペリ
マゾウシ「ウミャァァァァ!!!」ベリベリ
潜入部隊はマリの城のガラスに貼ってあったテープを剥がすことに成功した。
リコウシ「ウミィ!!」
リコウシの号令で他の4匹が一斉に中に突入した。
中はどうやら廊下のようだった。
リコウシ「ウミウミ」
マリの家の地図はヨハネが知る限り皆に共有している。
他の個体は覚えるまでにかなりの時間を要したがリコウシは1時間ほどで暗記してしまった。
リコウシ「フニィ……ウミ!」
メインエントランスに向かうことにした。
そうと決まれば急いで移動する。
ウミウシ2「フニィ?」
移動中ウミウシ2が小さく綺麗なマカロンの彫刻を見つけてはしゃぎ始めた。
ウミウシ2「ウミウミ♩」フワ
この個体はまだ生まれてそれほどの時間が経ってなくヨハネも最後まで作戦に入れるか迷った個体である。
ウミウシ2はマカロンの方に飛んでいきそれに触ろうとする。
リコウシ「ウミ!!!!」
勝手なことをするなとウミウシ2を注意するリコウシ。
その時事件が起こった。
バチっ!!!
マカロンの彫刻から致死量の電撃が放出されてウミウシ2を焼いてしまった!!
ウミウシ2「ウ゛……ウ゛ミィ……」ガクッ
-
マゾウシ「フニィィィィィィィ!!!??」
突然の仲間の死に驚き鳴き声をあげるマゾウシ。
どうやら防犯用のトラップだったらしい。
ヨハウシ「……ウミィ」
悲しそうな様子でヨハウシは死体となったウミウシ2を持ち上げると、一旦窓から外に出て茂みの中に隠す。
リコウシは改めて周りのウミウシ達に勝手な行動を控えるように注意を促した。
メインエントランス
ウミウシ「ウミャ……」
その光景に思わず感動のため息をするウミウシ。
そこは幻想の世界のように様々な幻獣が自由に飛び周っていた。
先程まで作戦外の行動に注意を促していたリコウシも見入ってしまっていた。
リコウシ「ウミィ…」
リコウシ「ミッ!!」ハッ
さすがはリーダーというべきか、すぐさま我に帰り、各自この部屋を5分間捜索するように指示を出した。
ウミウシ「ウミ!!!」
マゾウシ「ミィ!!!」
ヨハウシ「フニィ!!!」
-
5分後
ヨハウシ「ウミウミ!!!」フワ
マリウシ1「ウミィ〜?」
なんとヨハウシがマリウシを一体見つけた。
マリのペットのウミウシ、マリウシは二体いるがそのうちの一匹があっさりと見つかったのだ。
リコウシ「………ミィ」
リコウシはマリウシを見て驚愕する。
明らかに自分たちよりサイズが一回り大きい。
無理やり連れ去るのは避けたい…なんとしてもマカロンで釣らなければならない。
リコウシ「ウミウミ!」パクパク
リコウシはまず自分で貝型のマカロンをもぐもぐ食べ始める。
マリウシはすぐにそれに食いついた。
マリウシ「フニィ!!ウミウミ!!」ピョンピョン
自分にも食べさせて!とその場でステップするマリウシ。
リコウシは山のようにマカロンを食べられる場所があると説明する。
マリウシ「ウミィ!?」
本当にそんな場所が!?と言う様子で驚くマリウシ。
続けてリコウシは友達のウミウシも連れて一緒に遊びに行かないかと提案する。
マリウシ「ウミウミ!!」フワ〜
マリウシはすぐに頷くともう一体のウミウシを目掛けて飛び始めた。
リコウシ「ウミウミ」
マリウシがもう一体を呼びに行っている間、リコウシはヨハウシ達に待機を命じた。
-
ウミウシの命軽すぎて草
-
トラップであっさり退場するのを見るとやはり知性は全てを解決するんだなあ
-
この作者のSSだと苦しまずに一撃で逝けただけでたいぶ幸せな部類に入ると思う
-
マリウシ「フニィ〜〜〜〜♩」フワ
最近マリウシは不幸なことが立て続けに起こっていた。
同族のウミウシの大量死。それによりマリが塞ぎ込んでしまった。
けど初対面の自分をマカロンを食べ放題の場所に連れて行ってくれるなんて!
嬉しさでウキウキするな。
マリウシ「ウミウミ〜〜〜♩」フワ
ペラピー「フニィ!?」
ドンっ!
マリウシ「ウミミ!!」ドテ
浮かれて飛行した結果マリウシは廊下を飛んでいるペラピーにぶつかってしまった!
ペラピーが心配そうに地面に倒れたマリウシに駆け寄る。
ペラピー「フニフニ!」
マリウシ「ウミィ」
大丈夫だよ、とペラピーに答えるマリウシ。
何でそんなに慌てているのかペラピーが問いかけた。
マリウシ「ウミウミ!フニィ!!」
ペラピー「………フニィ」
ペラピーは怪しんだ。
というのもマリにワーシマー襲撃以降、島で起こる些細な違和感にも注意するように言われていたからだ。
マカロンを食べ放題?
野生のウミウシがそんなの用意できるかな?
ペラピー「フニフニィ!」
ペラピーは寝ているマリを起こして判断を仰ごうと思った。
-
〜メインエントランス〜
ウミウシ「ウミィ……」
中々マリウシが戻って来ず、潜入組は集中力が切れかけていた。
そんな中リコウシだけはあらゆる可能性を考えていた。
………マリに見つかったかな
まだ探しているのかな?
友達のマリウシに止めるように注意されたかな?などだ。
リコウシ「ミィミィ!ウミミィ!!!」
念の為他のウミウシに、自分に続き物陰に隠れるように指示を出す。
ヨハウシ「ミィ!」フワ
マゾウシ「フニニ」フワ
一行が物陰に隠れた2分後
ちょうどマリとペラピー、ウミウシが現れた。
危なかった。
マリ「あれ、どこにもいないじゃない」
マゾウシ「ミィミィ………」
どうする?と小声でリコウシに問うマゾウシ。
マリが来た理由は怪しいウミウシ達をこの目で見るためだろう。
マリウシ「ウミィ?」
ペラピー「フニィ?」
マリウシとペラピーはおかしいなと言うふうに声をあげる。
マリ「寝ぼけたんじゃないの?最近マカロンあげてなかったもんね。また明日おやつで出してあげるから今日はもう寝なさい」
マリウシ「………フニィ」
ペラピー「フニィ……」
やれやれといった様子でペラピーは首を振る。
マリウシは残念そうに落ち込んでいた。
そのままマリは自室に戻りペラピーもそれに着いて行った。
マリウシはまだメインエントランスを飛び回っている。
本当に夢だったのかな?と言うふうに。
-
リコウシ「………ウミ」
その様子を見てリコウシは決断した。
マゾウシとウミウシにに最初侵入してきた窓に戻るように伝えた。
リコウシはマカロンを手に再びマリウシの元へ飛行する。
リコウシ「フニフニィ!」フワ
マリウシ「ウミィ!!!」フワフワ
マリウシはリコウシの姿を見ると嬉しそうに近寄っていった。
リコウシ「ウミ!」
一緒に行こうよ!とマリウシを廊下に誘い出す。
ヨハウシはもう1匹はどうするのか疑問だったがリコウシに従うことにした。
リコウシ「………」
リコウシはもう1匹の奪取は現状厳しいと判断した。
確実性を持たせるためにマリウシ一体のみに今回は絞った。
リコウシ、ヨハウシ、マリウシの三体は出口に向かって飛行した。
三体は窓を抜けて城の外へ出ていく。
その光景をもう一体のウミウシが見ているとも知らずに。
マリウシ2「フニィ!?」
自分の知らないウミウシと一緒に、こんな真夜中に出ていくことに驚き、追いかけようとしたがその前にマリに報告しにいくマリウシ2。
マリウシを含む五体はそれを知らずに移動し始める。
ヨハウシ「ウミウミ♩」
マリウシ「ウミミ~~~!」
リコウシ「……」
ヨハウシとマゾウシは純粋に仲間が増えたことを喜んでいるみたいだが、リコウシは複雑だった。
帽子のためとはいえ純粋無垢なマリウシをヨハネという名の悪魔のもとに連れていくことは許されないだろう。
どんな酷い目に遭わされるか………。
-
実はリコウシはヨハネの残虐性を半分も知らない。
リコウシが受けた虐待など、ヨハウシやマゾウシが経験してきたことに比べればまだまだマシだということを。
ウミウシ「ウミィ!!」
通常ウミウシが島の脱出地点まで来れたことを報告する。
マリウシは島の外に出ることを聞いていなかったため困惑し始めるが、リコウシが「マカロンが他のウミウシに食べられる」と嘘を言うことで前進させる。
その時に後ろから大声でウミウシ達を制止を促す少女がいた。
マリ「あなた達待ちなさい!!!私のウミウシを何処へ連れていくの!?」
ペラピー「フニィ!!!」
リコウシ「ッ!!!」
マリとペラピーが全速力でこちらに走ってきていた!
マリウシ2は安全のために自宅待機だろうか、そこにはいなかった。
マリウシ「ウミッ!?」
マリの行動は良くなかった。
主人の初めて聞く大声にマリウシは驚いてしまい咄嗟に逃げるスピードを早めてしまったのだ。
島から出て海上に移動する一行。
マリ「あなた達!誰に脅されているの!?本当はこんな事したくないでしょう!?」
リコウシ「……!!!」
-
海上に出て数10メートル。
かろうじて届いたマリの声にリコウシは驚いた。
マリの声が自分たちを責めるどころか心配していることに。
リコウシ「…………」フワフワ
ヨハウシ達はリコウシより前に出て飛行している。
リコウシ「………ミィ!!」クルッ
リコウシは決断した。
1匹だけ鷲頭山への道を引き返してワーシマーに戻る決断を。
リコウシはマリは話せば分かる人間だと思った。
今回マリウシを二体連れて来れなかった罰とかでもしかすると帽子は捨てられるかもしれない。
しかしマリに全てを打ち明ける事でヨハネに支配されているウミウシ達が全員解放され、帽子も人間が取り返してくれるかもしれない。
それに賭けた。
リコウシの行動に他のウミウシが気付いたのは鷲頭山に到着してからだった。
マリ「クソ……」
ペラピー「フニィ………」
マリはウミウシ達が消えて行った海を見ながら無力感に襲われていた。
ペラピーが横でマリの肩に顔を埋めて慰めている。
リコウシ「ウミ!ウミ!!!」フワフワ
マリ「え?」
引き返してきたリコウシがマリの元に駆け寄った。
リコウシ「フニフニ!!ウミウミウミ!!!!」フワフワ
マリ「あなたさっきのウミウシの1匹よね。もしかして私の言う事を………」
リコウシ「ウミィ!!」
マリ「っ!!ありがとう。今すぐ家で何が起きているのか聞かせて頂戴!!」
リコウシ「ウミ!!」
-
鷲頭山付近
駐車場
ヨハネ「………なるほどね」
ヨハネは全ての経緯をヨハウシから報告を車内で受けた。
手には焼いた赤ちゃんウミウシの串刺しを手に持ちながら、だ。
マリウシ「ウミィ………?」ブルブル
マリウシは訳がわからないと言う様子でヨハネを見ている。
何で同胞があんな無惨な姿で食べられているの?
マリのお友達が何でこんな事しているの?
マカロンはどこ?
ヨハネ「……多分、というより確実にリコウシは裏切ったわね。私の詰めが甘かったか………。たった三日じゃ早すぎたか……ふふふ」
不気味に笑うヨハネ。
次の瞬間グーパンチで隣のシートを殴る。
ガァン!!!
マリウシ「フニャアアアアアアアア!!!??」ビクッ
ヨハネの豹変に驚き情けない声を上げるマリウシ。
ヨハネ「あんのクソウミウシがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!下等生物の分際で私を嵌めやがった!!!!!ふ、ざけんじゃないわよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」ガァン!!
ヨハネ「クソが!!!クソガァァァァァァァああああああ!!!!!!」ガンガン!!!
ヨハウシ「ミッ…………」ガクガク
マゾウシ「ミィミィ………」ビクッ
あまりのキレ具合にヨハウシ達でさえ怯えきっていた。
マリウシ「ウミィ……」グスン
マリウシは恐怖で泣き始めてしまった。
-
ヨハネ「………ウミウシ、命を差し出しなさい」
ウミウシ「ウミィ!?」
言ってる意味が分からないとばかりにヨハネを見る通常ウミウシ。
ヨハネはそんなウミウシを無理やり掴むと何度も何度もドアに叩きつけた。
ガァン!!
ガァン!!
ガン!!!!!!
ウミウシ「ミ゛ッ!!!ミ…………ミ゛……………ミ……」
恐らく生きていたのは最初の2発までだろう。
死してなおヨハネはウミウシをドアに叩きつけた。
ヨハネ「無能が!!!この無能ウミウシどもが!!!!!」ガンガン!!!
ヨハネ「はぁ…はぁ…………」
ウミウシ「」グチャア……
ウミウシは頭から叩きつけられたせいで、もはや上半身の原型がなくなっていた。
マリウシ「ウミャアアアアアアアア!!!!」ジョロジョロ
精神の限界が来たのか絶叫しながら小便を撒き散らすマリウシ!!
ヨハネは頭がおかしくなったのかその小便をベロベロ舐め取り始める。
ヨハネ「ん、べぇろべろべろべろ〜〜」
ヨハネ「ジュパジュパ…………ふぅ………」
マリウシ「フ、フニィ…フニィ…………」シクシク
異常の連続に俯きながら再び泣き始めるマリウシだった。
ヨハネ「もうあとは賭けね………」
ボソッと呟くヨハネだった。
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ここmade
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クライマックスだな
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いうてリコウシおらんかったらマリウシ一匹も無理だったからな…
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明日が待ち遠しいぜ
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ヨハネ狂いすぎて草
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リコウシが裏切り、マリの家に向かっている道中。
マリはリコウシを優しく手で触る。
マリ「酷い……よく見たら頭に火傷痕があるわ。それを隠すためか上からペンキが塗られてる。人のする事じゃないわね」
リコウシ「………」
マリ「前の襲撃事件の時も上から降ってきたウミウシは火傷痕がある子も多かった……やっぱり犯人は一緒なのね?」
リコウシ「ウミ!」コクン
マリ「そう……あなたは証言してくれてありがとう。勇気ある選択だったでしょうに」ナデナデ
マリはリコウシの背中を撫でてあげる。
ヨハネの家では一切無かった愛情にリコウシは涙が出てきた。
リコウシ「ウミィ………ウミィ………」ポロポロ
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マリ「思い出して怖くなってきたのね。美味しいものを食べてから犯人について聞かせてね」
リコウシ「ウミィ!!」ズキッ
リコウシ「………?」
突然、自分の腹部に鋭い痛みが走り違和感を覚えるリコウシ。
マリ「どうかした?」
リコウシ「ミィ~ミ!!」フルフル
気のせいだろうと何事もないように振る舞う。
マリの部屋。
山盛りのマカロンを机の上に出されてリコウシは目…というより体全体を使って喜んでいた。
マリ「たくさん食べてね!ジュースもあるわよ」
マリは無理やり聞き出すのはウミウシのトラウマを刺激するかもと思い、愛情を与えてからゆっくり話を聞き出そうと思っていた。
リコウシは与えられたお菓子に早速手をつけようとする。
リコウシ「ウミウミィ!!!♩」ズキン!!
リコウシ「ッ!!!!!」
まただ。
腹部の痛みが再び訪れた。
しかも先ほどよりも強い痛みだ。
けど、マリの優しさに応えるためマカロンに手を伸ばす。
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あっ…
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リコウシ「ミィ……ミィ………?」ブルブル
体全体が震え出し、腹部も破裂するほど痛い。
身体中の器官が悲鳴をあげているような感覚。
マリ「なんか体調悪そうね…大丈夫?」
リコウシ「ウミィ!」
大丈夫だよ!と気丈に振る舞うリコウシ。
再びマカロンを手に取って口に入れようとするが……。
ポロッ…
リコウシ「フニィ…!?」ガタガタ
体に力が入らずマカロンを落としてしまった。
先ほどから何かおかしい……。
実はリコウシの体内では恐ろしいことが起きていたのだ。
「毒」
ヨハネがリコウシに仕込んだ「保険」である。
初めからヨハネは、後々扱いが厄介になるであろうリコウシを始末するつもりでいた。
ワーシマー島上陸後、休憩のためにみんなで食べるマカロンはそれぞれ指定されていたのだ。
リコウシのマカロンだけ猛毒が仕込まれていた。
そしてこの瞬間、ちょうど毒がリコウシの体内を全て包み込んだ。
リコウシ「ケポ…ケポ……ゲポ!!!!」ベチャベチャ
リコウシ「ウ゛、ミ゛ィ………!!!ゲポゲポォ!!!!」ドポポポポ
リコウシ「ウウウウウウウウ……………!!!!」クネクネ
マリ「ウミウシちゃん!?どうしたのよ!!!」
夥しい血とゲロを吐きながら体をくねらせるリコウシ。
マリが最初からリコウシを家に連れて帰り、変な優しさなど見せずにすぐ事情聴取すれば犯人は分かったであろう。
リコウシ「………………ミ゛ィ」ブリュ
リコウシは十数秒吐き続けた後、便を漏らしながら息絶えた。
マリ「あ………あ………」
マリ「嫌ぁぁぁああああああああ!!!!!!!!!!」
マリの絶叫が城中に響き渡る。
すんでのところでヨハネが競り勝った。
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ヨハネの正体バレてウミ虐できなくなるんじゃないかとヒヤヒヤしてたけど当分バレなさそうでよかった
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ヨハネ宅
リコウシがマリに情報を漏らさずに死んだのは僥倖である。
しかしそんな事ヨハネは知る由もない。
ヨハネは証拠を清算することにした。
ヨハネ「ふぅ〜〜〜………」
ヨハネは最初から証拠隠滅の段取りは整えていた。
ウミウシの居住スペースはプラスチック製の箱を改造したものである。
1スペースにつき5匹住んでいる箱が連結して15箱。
計75匹が一部屋に住んでいた。
それが全部で3部屋ある。
単純計算で225匹。
その他にも住まわせているウミウシがいるため数はもっと増えるが、ヨハネはまずこの225匹にこの世にいなくなってもらう事にした。
楽しんでいる時間はない。
プラスチックの箱は上層の5箱にはそれぞれホースを捻り込んでいた。
ヨハネは水量を最大限にしてウミウシがぐっすりと寝ている部屋に水を放水する。
「ウミャ…ウミャ……♩」クウクウ
「ミィー…ミィー…」スヤスヤ…
ボチャボチャボチャ!!
「ウミャ!?」ガバ
「フニニ!!!??」
上層階のウミウシ達は水を浴びて、いい夢から強制的に目覚めさせられる。
しかし水が溜まるのは下段の箱から。
「ウミャーーー!!?」
「ウミウミ!!!?!」ペタペタ!
居住しているウミウシが全員起床する。
ワーシマー島のウミウシは鰓呼吸ではないためこのまま水が溜まればみんな溺れ死ぬ。
それゆえ、水が入り込む下層階のウミウシはパニックでプラスチックの壁を叩き続ける。
室内が焦りと恐怖で満たされる!!
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「ウミ!!ケポケポ!!!」
「ミャアアアアアアアア!!ゲポ!!?アアアアアア!!!」バシャバシャ
「フニィィィ!!!フニャアアアアアアアアア!!!!」バシャバシャ
ついに下層階のウミウシが溺れ始める。
「絶望」が迫り上がってくる。
「ウミャアアアア!!!」プニプニ
中にいるウミウシどもが壁を叩き続けるが、貧弱な彼らの力で割れるはずもない。
下層のウミウシの部屋が水に浸かる。
『ウ゛ゴ、ゴポポポポポポ!!!!!』
『ミ゛、ミ゛ポポポミ!!!』
『…………』プカ~
水の中でも酸素を求めて暴れ回るウミウシ達。
一体、また一体と尊い命が奪われていく。
中層階のウミウシたちも次は自分たちの番だと中で慌てふためいていた。
「ウミィ!!ウミミ!!!」
「ミャアアアアアアアア!!!!」ガンガン
しかしできることなどあるはずがない。
パニックになり、壁を叩き続けるだけ。
ドバドバドバ……………
水嵩が増してくる。
中にはもう諦めたように放心する個体もいた。
「ウミャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」
神にでも頼んでいるのか、天を仰ぎ絶叫するウミウシもいた。
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「フニィィィィィィィ!!!!」フワッ…ギュウウゥ
中層階のウミウシの1匹が我先に逃げようと、天井にある小さな穴に顔を埋めようとしている。
水が溢れてくるため他の個体もその穴を巡って喧嘩が起きていた。
ドボドボドボ……!!
「ウミャッ!!」プニプニ
「フニニィ!!!」ポフポフ
「ウミャァァァァ!!」ポフン
媚びた見た目のウミウシ共が攻撃力皆無のパンチや頭突きを仲間内で行い始めた。
喧嘩する気あるのかというほどの迫力だが本人達はいたって真面目である。
もちろん無駄な徒労なのだが。
『ゴパ!!!!ゴポポポポ!!!』
『ケホケポ!!!プクプクプク……!!』
「フニィィィィィィィ!!!…ゴポポポポ』
中層階が水でいっぱいになり、またもや尊い命が奪われていった。
数分後、ヨハネは上層階含む225体を◯した後、死体を大型のミキサーにかけてジュース状にしてトイレに急いで流す。
全てが終わる頃には日が出ていた。
残ったウミウシ達はヨハウシなどを合わせてなんと20体のみ。
ウミウシ販売業を始めた当初を思い出して懐かしくなったが、今後のプランを練り始める。
ヨハネ「ウミウシ仲間のところへ逃げる?……いや、さすがに嫌がられるでしょう」
ヨハネ「貯金はあるから高跳びするのもいいかな……」
ブツブツ呟きながら部屋中を歩き回るヨハネ。
そんな時、家のチャイムが鳴り響く。
ピンポーン!!
ヨハネ「…………行政局?」
もう来たか、とヨハネは自分でも知らないうちにナイフを腰のホルスターに刺してドアスコープを見る。
そこにいたのは……。
コハク「ヨハネさん、少しお話ししませんか?ドアを開けてください」ガチャガチャ
ヨハネ「コハクさん…?」
終わり
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終わり。
鳥羽水族館でウミウシ見てきたけどマジでリアルに見に行くべき。
捕獲難易度高くない割にペットショップにはいなくて残念
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エサが特定のカイメンとかだから飼育難しいんよね
そのカイメンも飼育が難しいから…
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緊迫した引きだ
コハクさん信じてるけどな
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おつおむ
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全然愉快じゃないし希望が見えたら打ち砕かれるしでかなりもやもやするんだけど
続きが気になってどんどん読んでしまう
進撃の巨人読んでた頃に味わった感情に近い
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最初は引いてたのに今ではウミ虐の為にヨハネを応援している
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はやくヨハ虐しろ
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ネームドで◯んだのってオナウシ、リコウシだけか
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>>98
それは可哀想じゃあないかい?
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>>100
期待してます!
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ウミウシだって可哀想でしょうが😭
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ヨハネは逃げ切って欲しいわ
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https://youtu.be/5IHqZ3ZdzHg?si=ewGreXgi77SWNv2z
シンデレラウミウシって青色個体もいるんだな
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