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【SS】果南・ダイヤ「漢字」
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【辛】
果南「『辛』って漢字あるじゃん」
ダイヤ「はい?」
果南「そこに一本棒を足すと『幸』せになるっていうけど、あの棒どこから持ってくるんだろうね」
ダイヤ「これまた手垢のついた話ですわね」
果南「え、さっき洗ってきたけど」
ダイヤ「そういうことではありませんわ!」
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果南「なんか想像しちゃうんだよね」
果南「『一』が震えているのを」
ダイヤ「本当に何を言っているんですの」
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果南「周りの『辛』がそこら中の棒を奪って『幸』になるじゃん」
ダイヤ「はあ」
果南「そんな状況を目の当たりにして、全身を震わせながら怯えるんだ」
果南「『俺にはもうこれしか残っていないんだー!取らないでくれー!』って」
ダイヤ「……『一』が?」
果南「そう、『一』が」
ダイヤ「考えたこともありませんわそんなこと」
果南「へへっ、そうかな」
ダイヤ「褒めてませんわ」
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果南「ふと思ったんだけど、棒をたくさん足したらもっとハッピーな感じになるのかな」
ダイヤ「どういうことですの」
果南「『幸』にいっぱい棒を足してさ」
果南「こう……松ぼっくりみたいにするんだよ」
ダイヤ「想像は付きますがなんだかぞわっとしますわね」
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果南「寄せ集めて作った仮初めの幸せなんてそんなもんなのかもね」
ダイヤ「急にIQが高くなりましたわね」
果南「ふふっ、高校3年生だよ、私」
ダイヤ「果たして関係あるのでしょうか」
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果南「それで、松ぼっくりみたいになった『幸』ができたら」
ダイヤ「できたら?」
果南「崩れないように棒を一本ずつ抜いていくんだ」
ダイヤ「趣旨が変わりましたわ」
果南「やってみると案外楽しいよ」
ダイヤ「まさか経験者だったとは」
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ダイヤ「そもそも果南さんがしたかったのは、その棒をどこから持ってくるかという話ではありませんの?」
果南「……ふふっ、こりゃ参ったね」
果南「一本取られたのは私だったってことかなん」
ダイヤ「何ひとつ上手いことは言っていませんわよ!」
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【幸】
果南「そうそう、それで肝心の『幸』って漢字だよ」
果南「あれ、8画で書けるんだよね」
ダイヤ「だからどうしたというのですか」
果南「8画で書けることが発覚……」キリッ
ダイヤ「帰りますわ」
果南「待ってよダイヤ〜」
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──从c*•ヮ•§──!
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果南「棒の数を足したり引いたりするのはなんかずるいけど、同じ棒の数ならいいんじゃないかな」
ダイヤ「はい?」
果南「つまり『幸』が8画で書けるなら、他の8画で書ける漢字に変形できる」
果南「幸せは万物を生み出すってことだね」
ダイヤ「……そういうものなんですの?」
果南「そういうものだよ」
ダイヤ「そういうことにしておきましょう」
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ダイヤ「ときに、8画で書ける漢字は何があったでしょうか」
果南『「竏」とか?』カキカキ
ダイヤ「少なくとも最初に出す例ではないでしょう」
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ダイヤ「そもそもこの字を人生で初めて見ましたわ」
果南「読み方はわかるかなん?」
ダイヤ「難しいですわね……」
果南「ヒント!読みは6文字!『◯◯◯◯◯◯』!」
ダイヤ「……はっ!」
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ダイヤ「『千』の後ろに『立』つという漢字......これはバク転して立ち上がった千歌さんを意味しています!」
果南「ほう!」
ダイヤ「つまり『Miracle Wave』!Miracleは奇跡!」
果南「おお!」
ダイヤ「読み方は!『奇跡ウェーブ』ですわぁーっっっ!!!」
果南「いや、中国四千年だよ、漢字?読みに横文字入るわけないでしょ」
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果南「しかも、漢字の読みにまた漢字入れちゃってるし」
ダイヤ「まるでマトリョーシカですわね」
果南「ダイヤが言い出したんでしょ」
ダイヤ「果南さんばかりボケ倒しているのが羨ましくてつい」
果南「うむ、発想力は満点かなん」
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ダイヤ「それで、結局何と読むんですの?」
果南「キロリットル」
ダイヤ「なるほど……『立』がリットルで、『千』がキロということですわね」
果南「そうだね」
果南「この会話がなければ一生キロリットルを漢字で書くことはなかったと思うよ」
ダイヤ「……よく考えればキロリットルも横文字ではありませんか!」
果南「四千年もあればまあ横文字くらいはね」
ダイヤ「なんですのその雑な信頼。さっきと言ってることが違いますわ」
果南「ポテンシャルを信じてるからね、四千年の」
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果南「『幸』も『竏』も8画で書ける」
ダイヤ「ですわね」
果南「ということは、幸せの単位はキロリットルなのかな」
ダイヤ「調べてみたら『キログラム(瓩)』も8画でしたわ」
果南「へえ」
ダイヤ「そういえば『金』も8画ですわ」
果南「人間にはそれぞれ幸せの尺度があるってことかなん」
ダイヤ「急にギリシャ哲学みたいなことを言い出しましたわね」
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果南「昨日の倫理の授業でそんなこと言ってたね」
ダイヤ「起きてたんですの?」
果南「そこだけ聞いてた。あとは空見てたら終わってた。まさにSKY JOURNEYって感じ」
ダイヤ「注意散漫の言い換えに私たちの曲名を使わないでほしいですわ」
果南「いや、これには理由があって」
ダイヤ「聞くだけ聞きましょうか」
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果南「鱗雲が出ていてさ。どの魚の鱗なんだろうって考えてたんだ」
ダイヤ「優雅でいいですわね。ちなみに次回小テストがあるそうですわ」
果南「えっ!聞いてない!」
ダイヤ「聞いていないなら聞こえるはずありませんわ」
果南「『泣』きそうだ、私」
ダイヤ「きちんと8画ですわね」
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【魚】
果南「さっかっなっ さっかっなっ さっかなっ」
果南「自由な〜み〜ら〜いを〜」
ダイヤ「……しばらく泳がせておきましょうか」
果南「魚だけに?」
ダイヤ「聞いてたんですの」
果南「壁に耳あり障子にMaryですわ」
ダイヤ「鞠莉さん、突然出てきますものね」
果南「最近忙しそうだけどね」
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果南「そうそう聞いてよ、この前ちょっとお高いお寿司屋さんに行ったんだ」
ダイヤ「あら、いいですわね」
果南「のれんを潜ってドアを左にスライドすると、厨房を囲むようにL字型のカウンターがあって」
ダイヤ「雰囲気のあるお店ですわ」
果南「席に座るとあたたかい緑茶が出てきたんだけど」
ダイヤ「お寿司屋さんのお茶ってなぜか普段より美味しく感じますよね」
果南「湯呑みに漢字がびっしり書いてあったんだよね」
ダイヤ「これもまたお寿司屋さんのあるあるですわね。魚の漢字はたくさんありますからね」
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果南「それ見て思わず言っちゃったんだ、『うおっ』って」
ダイヤ「さて帰りのバスは、と」
果南「ねえダイヤ〜」ユサユサ
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果南「そんなこんなで、いくつか魚の漢字を覚えてきたんだ」
果南「せっかくだから紹介しようかなん」
ダイヤ「お願いしますわ」
果南「まずは〜『鰆』」カキカキ
ダイヤ「さわら」
果南「これは?『鯑』」
ダイヤ「かずのこ」
果南「じゃあこれ!『鰰』」
ダイヤ「はたはた」
果南「さっすがダイヤ!」
ダイヤ「網元の娘ですもの、当然ですわ」
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ダイヤ「では私からも……こちらは読めますか?『鱻』」カキカキ
果南「ぎょぎょぎょ!」
ダイヤ「もう少し考えたらどうですの」
果南「だってこんなの見たことないんだもん」
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果南「うーん、魚が3つ......?はっ!」
ダイヤ「何か閃きましたのね」
果南「ダイヤ……私のことをそんなに思ってくれてるだなんて」
ダイヤ「はあ?」
果南「魚が3つあるということは、さかな・さかな・さかな」
果南「つまりこれは私のソロ曲『さかなかなんだか?』を表しているかなん!」
ダイヤ「......ぶっぶー!ですわ!」
ダイヤ「そもそもなぜ中国四千年の歴史にご自身の曲が入っているとお思いなのでしょうか」
果南「海は広いからね!」
ダイヤ「全くもって答えになっていませんわ」
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果南「あ、じゃあダイヤのソロ曲も入れとく?」
ダイヤ「そんなプレイリストに曲を追加するような感覚で作れるんですの!?」
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果南「それで、結局その『鱻』ってどういう意味なの?」
ダイヤ「新鮮の『鮮』と同じ意味の漢字らしいですわ」
果南「『鱻』=『鮮』……勉強になるよ!」
ダイヤ「なによりですわ」
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果南「つまり魚2匹で羊1匹ってことだね!」
ダイヤ「両辺を魚で割らないでください」
果南「羊は魚の2倍泳げるってことかなん」
ダイヤ「もういいですわそれで」
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文字化けしてるずら
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>>28
∬(_c||^ヮ^|| 教えてくれてありがとうな〜ん
∬(_c||^ヮ^||「木」が3つで「森」になるように、「魚」3つで一つになる漢字を打っていたな〜ん
参考:https://kanji.jitenon.jp/kanjio/7083.html
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【歩】
果南「はっ……はっ……」
ダイヤ「はあっ……はあっ……」
果南・ダイヤ「「ふーっ」」
果南「いい汗かいたね」
ダイヤ「やはり海辺のランニングは心地いいですわね」
果南「ねっ!きょうは風が気持ちよかったし」
ダイヤ「そうですわね。お水、飲みますか?」
果南「ん、ありがとう」ゴクゴク
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果南「ところでダイヤ」
ダイヤ「なんですの?」
果南「『歩』って漢字あるじゃん」
ダイヤ「はあ、また漢字の話ですか」
果南「考え始めたら気になっちゃってさ」
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果南「あれは『止』まるのが『少』ないって書くけど」
果南「だったら走っている状態は『止』まるに『零』って書きたくならない?」
ダイヤ「まあ、言いたいことはなんとなく分かりますわ」
果南「でしょ?」
ダイヤ「ですが、果南さんが『零』を漢字で書けるとは」
果南「おっ、言うねえ」
ダイヤ「すみません、少々見くびっていたようです」
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果南「ほら、私天体観測が趣味じゃん」
果南「空を見上げるようになったのって、『銀河鉄道の夜』に触れたこともきっかけのひとつでさ」
ダイヤ「そうでしたのね」
ダイヤ「そしてのちに銀河鉄道999を見て『零』の字を覚えたと」
果南「そうそう!話が早いね」
ダイヤ「長い付き合いになりますからね」
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ダイヤ「やや本題から逸れますが、思い出したことがあります」
ダイヤ「どうしてタイトルの数字をキリのいい『1000』ではなく『999』という数字にしたのか。果南さんはご存知ですか?」
果南「おっ、知らない。教えて教えて」
ダイヤ「人づてに聞いた話なので定かではありませんが」
ダイヤ「あえて1000に1届かない『999』という数字を用いることで、大人になる一歩手前に存在する未完成な青春の終わりを描きたかったんだとか」
果南「へぇ……!すごい!やっぱダイヤは物知りだね」
ダイヤ「あくまで人から聞いた話なので、正確かどうかは分かりませんよ」
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ダイヤ「それにしても、果南さんの万物に疑問を持つその姿勢は素晴らしいと思いますわ」
果南「ギリシャ哲学者だからね」
ダイヤ「それでは哲学者さん、この前の小テストの点数は?」
果南「えー、松浦果南はあえて満点の100に100届かない『0』という数字を用いることで……」
ダイヤ「ぶっ ぶっ ぶー!ですわ!!」
ダイヤ「届くもなにも一歩も進んでいないではありませんか!」
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果南「……今度こそゼロからイチの扉を開けるときかなん!」
ダイヤ「たぶん、どころか本当にこの先の未来が謎のままになってしまいますわよ?」
果南「別れも愛のひとつだよ」
ダイヤ「今日はこのまま私の家で勉強会ですわね」
果南「そんなぁ〜」
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∬(_c||^ヮ^|| 今夜はここまでかなん
あと1章残っているので、最後までお付き合いいただけたらとてもうれしいです
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乙
見ているぞ
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素敵な話ずら
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とても面白い
いろんなウンチクを交えた軽妙な会話とても好き
冷めてるようで付き合ってくれるダヤさんもいい
AqoursのSSは少なくなってきてるのでできれば継続してもらえるよう応援したい
ただ一点だけどうしても気になるのが果南をあまりバカキャラにするのだけ止めて欲しい
あれはスクスタだけの悪しき設定で果南は普通に勉強できるはず
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∬(_c||^ヮ^||
見てくれてありがとうな〜ん
コメントとてもうれしいよ
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>>40
丁寧に意見くれるのとてもうれしいし、励みになるよ。ありがとう
果南のバカキャラ扱いについては自分も思うところがあるからよく分かるし、だからこそその点で不快感を抱かせてしまって申し訳ないと思ってる
この話は果南がやや脳直で話しているように見えるけど、前提は果南の頭の柔らかさと着眼点の良さありきで書いているんだ
【魚】のパートについては、「知っていて然るべきことを知らない」と果南の頭の良さに疑いが出ちゃうから、あえて普段使わないし読めなくても妥当なラインの漢字(鱻※魚3つ・零)を選んだ意図もあった。ダイヤさんとの掛け合いも、軽い冗談飛ばし合ってるみたいなイメージで書いていた
果南のテストの点数がこうなったのにも後々理由が出てくるから、ひとえに自分の技量不足であって、安易にバカキャラ扱いしたかったわけではないことを知ってもらえるとうれしいな
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>>42
お返事ありがとうございます
俺の思いすごしで良かった
ラ板の過剰なキャラ付けに引っ張られて果南を必要以上のヤンキーキャラ、バカキャラにするのが嫌だったのでわかってくれて嬉しい
貴重なAqoursのSSなので全力で応援したいです
楽しみに読んでるので頑張ってくださいね
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【夢】
果南「ダイヤ!見て!」
ダイヤ「走ってきたら危ないですわよ……どれどれ」
果南「追加課題!ばっちり点数取れた!」
果南「これで前回の小テストの点数は大目に見てくれるんだってさ、よかったよ〜」
ダイヤ「よかったですわね。ひとまず安心ですわ」
果南「ほんとありがとう〜ダイヤ様〜」
果南「勉強付き合ってくれたお礼に、これあげる」コトッ
ダイヤ「これは......期間限定の抹茶プリンではありませんか!」
果南「たまたまコンビニに売っててさ、最後の1個だったよ」
ダイヤ「ありがとうございます。仕事もちょうど片付きましたし、おいしく頂くとしますわ♪」
果南(かわいいなあ)
ダイヤ「〜♪」モグモグ
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果南「今は何してたの?」
ダイヤ「統合に関する資料をまとめていましたの。残念ながら廃校も決まってしまいましたし」
果南「ここのところずっとやってるよね。何か手伝えることありそう?」
ダイヤ「ありがとうございます。今日でほとんど片付いたので大丈夫ですわ」
ダイヤ「みなさんが力を貸してくれたおかげでようやく終わりが見えてきましたの。重荷になっていなければいいのですが」
果南「みんなダイヤに頼ってもらえるのが嬉しいんだから、大丈夫だよ」
ダイヤ「……そういうものなんですの?」
果南「そういうものだよ」
ダイヤ「ふふっ、ではそういうことにしておきましょう」
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ダイヤ「ときに果南さん」
果南「どうしましたの、ダイヤさん」
ダイヤ「なぜ真似をするのですか」
果南「ずっと一緒にいたら口調が移ってしまいましたわ」
ダイヤ「ふむ」
ダイヤ「ねえ果南〜やめてよ〜」
果南「!?」
ダイヤ「ずっと一緒にいたら口調が移ってしまいましたわ」
果南「ふふっ」
果南・ダイヤ「「あははははっ!」」
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果南「ほんと、小さい頃からずーっと一緒だよね」
ダイヤ「狭い町ですからね、そういうこともあるでしょう」ポリポリ
果南「照れちゃって」
ダイヤ「……ゴホン!まあそうですわね、こうした貴重な縁には感謝しなければなりませんわ」
果南「いつもありがとね」
ダイヤ「こちらこそですわ」
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ダイヤ「卒業まで、残った時間もそれほど多くはありません」
ダイヤ「だからこそもっと3人でこういう風にお話したいものですが……ここのところ鞠莉さんはずっと忙しそうですわね」
果南「声掛けてもすぐ行っちゃうもんね」
ダイヤ「生徒会長の私ですらこんなに忙しくなるのですから、理事長となるとなおさらでしょう」
果南「何度か手伝えることがないか聞いてみたんだけどね。いつもはぐらかされちゃって」
果南「……きっと鞠莉のことだから、誰にも迷惑かけないように一人だけで頑張ろうとしてるんだと思う」
ダイヤ「廃校になってしまったことにも一番引け目を感じてましたものね……だからこそ今の職務を全うしたい気持ちも強いのだと思います」
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ダイヤ「こうしているうちに時は過ぎ、やがて私たちも離れ離れになってしまうのでしょうか」
果南「ダイヤ……」
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ダイヤ「そうそう、仕事が終わったらこれと向き合わないといけませんわ」ペラッ
果南「それって……ああ、進路調査票」
ダイヤ「……未来のことを考えると、どうしても明るい部分よりも暗い部分に目がいってしまいまして」
ダイヤ「生徒会の仕事をしている間は少し忘れられたというか、忘れるためにやっていたというか。いわば合法的に目を逸らすことができていたんですの」
果南「で、ある程度カタがついたこのタイミングで私を呼び出したと」
ダイヤ「ええ。色々お話したかったのですわ」
ダイヤ「そう遠くない未来のことを」
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ダイヤ「果南さんは、卒業したあとどうするんですの?」
果南「私か〜」
ダイヤ「ええ。……ここにはあなたと私しかいませんわ」
果南「……色々考えたんだけどね、やっぱりダイビングショップを継ぎたいなと思っているんだ」
果南「そのためにまずは資格を取ろうと思って。今いろいろ勉強してるところ」
ダイヤ「それで夜中遅くまで勉強して昼間の授業を聞いていないようでは本末転倒ですわよ」
果南「あはは、ごめんごめん。試験近くてさ、つい」
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果南「卒業するまでに知識をつけて今取れる資格を取りきったら、そのあとは海外に行こうと思ってるんだ」
ダイヤ「……そうでしたのね」
果南「やっぱり私は海が好きだからさ。この目でまだまだ知らない世界をたくさん見たいんだ」
果南「たくさん経験を積んでからここに戻ってきて、今度は私からみんなに、私が大好きなものの魅力を伝えたい」
果南「昔ダイヤがスクールアイドルについて私に教えてくれたみたいにね」
ダイヤ「……やっぱり果南さんは素敵ですわ」
果南「ありがとう!話せてよかったし、ダイヤが聞いてくれて嬉しいよ」
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果南「それで、ダイヤはどうするの?」
ダイヤ「今は東京にある大学への進学を考えていますわ。幸いなことに使えそうな推薦の枠もいくつかありますし」
果南「コツコツ頑張ってきた成果だね」
ダイヤ「ただ正直なところ、もうどうでも良くなってしまいまして」
果南「……聞かせてよ」
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ダイヤ「……のです」
果南「えっ?」
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ダイヤ「……だって!私の行く道には果南さんも鞠莉さんもいないのです!!」
果南「……」
ダイヤ「一度は失いかけてしまった大切な時間をようやく取り戻せたばかりだというのに、もうすぐ終わってしまうんです……」
ダイヤ「あまりにも皆さんと過ごした時間が愛おしくて、ふと思い出すたびに寂しさを覚えるんです」
ダイヤ「......後ろを向いて立ち止まったままの私からすれば、『止』まることが『少』ないと書いて『歩』という意味になった理由がよく分かります」
ダイヤ「まだ私には、一人で歩いていける強さはないと思い知らされるばかりですわ」
ダイヤ「歩く先に待っているのも家を継ぐという使命のみ」
ダイヤ「果南さんのように、人生を賭して叶えたい大きな夢があるわけでもない」
ダイヤ「そんなことばかり頭の中をぐるぐると巡っていて、考えることにも疲れてしまったのです」
果南「……そっか。話してくれてありがとう」
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果南「ねえダイヤ」
ダイヤ「……なんでしょうか」
果南「『夢』って漢字あるじゃん」
ダイヤ「……また漢字の話ですの?」
果南「まあ聞いてよ」
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果南「今ダイヤはポジティブな意味で『夢』って言葉を使ってたけどさ」
果南「あの漢字って元々は『暗い』とか『よく見えない』って意味だったらしいんだよね」
ダイヤ「……人の夢は『儚』いと言いますし、確かに明るい意味ではなかったのかもしれませんね」
果南「だから、光を当ててあげないとはっきりと見えないんだ」
ダイヤ「なんだか詩的ですわね」
果南「そりゃあ初代Aqoursの作詞担当だからね!」
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果南「今ははっきりと見えない真っ暗な夢も、何かに照らされると美しく輝き出すはずなんだ」
果南「月が太陽に照らされてその姿を現すようにね」
果南「そして私たちは、たった一瞬のきらめきのために青春を捧げて」
果南「お互いの輝きでお互いを照らしあってきた」
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果南「家の事情とか難しいことは分かんないけどさ。ダイヤにはもう見えてるんじゃないかって思うんだ」
ダイヤ「『夢』が、ですか?」
果南「そう。みんなの光に照らされて、形を取り始めた夢がね」
果南「すぐに名前をつける必要はないけれど、一度怖がらずに見つめてあげてほしい」
果南「その未来も、実は案外悪くないものかもしれないよ」
ダイヤ「……」
果南「大丈夫!例えどこにいたって繋がってるよ、私たち」
果南「それこそ私が海の中にいたとしてもね!」
ダイヤ「果南さん……」
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鞠莉「シャ〜イニ〜☆」ガラガラ
果南・ダイヤ「「鞠莉(さん)!?」」
鞠莉「もうどうしちゃったの?そんな暗い顔で」
ダイヤ「これは……ふふっ。文字通り一際強い輝きですわね」
ダイヤ「お仕事はよろしいんですの、理事長さん?」
鞠莉「Perfect! 二人に会いたいから頑張っちゃった。今日で終わったところよ☆」
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果南「いつからいたの?」
鞠莉「Umm……我が浦の星の誇る優秀な生徒会長が頬を緩ませて抹茶プリンをおいしそうに頬張ってるあたり?」
ダイヤ「ほとんど最初からではありませんか!」
鞠莉「その後の話もぜーんぶ聞いてた。ダイヤったら、マリーたちのこと大好きなんだね♪」
ダイヤ「ええい!うるさいですわ!悪いですか!」
鞠莉「悪くない。だからそのままのダイヤでいて?」
鞠莉「果南の言った通り、私たちは世界中どこにいたって気持ちは繋がってるから」
ダイヤ「……鞠莉……さん……かなん……さん……」
果南「ちょっダイヤ!……もう、ほら」
ダイヤ「……あたたかい……ちゃんと……いますわ……」
果南「うん、いるよ。ずっといる」
鞠莉「ふふっ。もうダイヤばっかりずるい!マリーも入れて♪」
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ダイヤ「……やはり三人で集まって話せるのは嬉しいですわね」
果南「ねっ、私も嬉しい!」
鞠莉「ダイヤが元気になってよかった♪」
ダイヤ「二人とも、本当にありがとうございます」
ダイヤ「......何だか安心したら急にお腹が空きましたわ」
果南「さっきプリン食べたばっかりじゃん!」
ダイヤ「プリンは別腹ですの」
鞠莉「マリーもいっぱい仕事したらhungryになっちゃった!」
果南「じゃあ三人で駅前のファミレス行こうよ」
果南「それで山盛りポテト頼んで分けよう!」
ダイヤ「なんだか高校生みたいですわ」
果南「そりゃあ高校生だからね!」
ダイヤ「ふふっ……。それでは荷物をまとめますか」
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ダイヤ「あら?鞠莉さんがいませんわ!」
果南「ほんとだ!……あれ?外から何か聞こえない?」
鞠莉「……ーい!おーい!ダイヤー!果南ー!」
ダイヤ「もう外にいますの!?」
鞠莉「『膳』は急げっていうでしょー!ほらHurry upー!」
ダイヤ「それを言うなら『善』は急げ、ですわ!」
果南「あ、そういえば『善』には『羊』って字が入ってるじゃん」
ダイヤ「また漢字ですの!?その話は後でゆっくり聞きますわ!行きますわよ!」
果南「ダイヤ〜置いていかないでよ〜!」
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∬(_c||^ヮ^|| これで終わりかなん!
お付き合いいただきありがとうございました。
三年生組は永遠に仲良しでいてほしい
▽ 過去作
【SS】∬(_c||^ヮ^|| 「おしらせがあるな〜ん」
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11177/1705937159/
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いいじゃん
ありがとう
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最後まできちんと読んで本当に良かった
こういう幸せな気分に浸れるSS大好き
三年生が大好きな気持ちが伝わってきて本当に嬉しい
素敵な作品をありがとうございます
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感動したずら
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3年生の仲の良さが伝わってきた
果南とダイヤの会話も日常を垣間見るようでとても良かった
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後半からのしっとりとした雰囲気すき
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良いテンポ 乙乙
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