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梢「はあ。最近寝付きが悪いのよね……」コキコキ
-
花帆「寝付き、悪いんですか?」コト
梢「ええ……。たまにあるのよね。体は疲れてる。脳も疲れてる。でも不思議と眠れない。花帆さんにも覚えはない?」
花帆「あ〜、確かにあるかも。なんで寝られないんだろう? って思って、頑張って寝ようとするんだけど、それが逆効果だったりすること」
梢「そうよね、そうなのよ……。んく……。美味しいわ花帆さん。いつもありがとうね」クピクピ
花帆「いえいえ。実務ができないあたしにできることなんてお茶汲みくらいなので」
梢「ふふっ。そんなに卑下しないで。花帆さんからはだいぶ力を貰っているのだから」
花帆「それなら、いいんですけど……」
梢「これで寝付きの改善もしてくれたら、言うことなしなのだけれどね……はあ」ボソッ
花帆「寝付きの改善、ですか」
梢「あ、ごめんなさい。つい口を衝いて出てしまったわ。きっと一過性のものだろうし、そこまで悩んでいるというわけじゃあ──」
花帆「いえ、梢センパイ。任せてください」ドンッ
梢「任せるって……」
花帆「明日また来てください。本当の睡眠をお届けして見せますから。それじゃあ、失礼します」バタンッ
梢「……明日また来てくださいって、ここ私の部屋なのだけれど」
-
──
トントン
梢「あら。こんな夜更けに誰かしら……」ガチャ
花帆「こんばんは、梢センパイ」
梢「花帆さん。どうしたの、こんな夜更けに……。あまり感心できることじゃないわよ?」
花帆「明日また来てください、って昨日言ったじゃないですか」
梢「え。それは確かに……。ということは、睡眠の改善に来てくれた、ということかしら」
花帆「はい。腕によりをかけて、梢センパイを睡眠の深遠へと引きずり込んでみせますよ!」グッ
梢「睡眠の深遠て……。なんだか物騒ね」
-
花帆「まあまあ。ではまず、歯は磨きましたか?」
梢「いえ、これからするところだったけれど」
花帆「そうですか。なら良かった。これを飲んでください」スッ
梢「これは……ホットミルク」
花帆「寝る前に飲むと安眠効果があるんですよ」
梢「へえ、存外論理的なのね。んく、んく……はあ。安心する味ね」フゥ…
花帆「ですよね。あたしにとってお母さんの味でもあるんです」
梢「お母さんの……。そういうバックボーンがあるとより効果的かもしれないわね」
花帆「それと、これはリラックスとは関係ないんですが」
梢「ええ」クピリクピリ
花帆「それ、あたしが普段使ってるマグカップなんです」
梢「……」ピタッ
-
花帆「すごく気に入ってて、ワンポイントだけうさぎさんがあしらわれているところが可愛いですよね」
梢「え、ええ。つい、飲む手が止まらなくなってしまうほど愛嬌があるわね」クピピピ
花帆「そうみたいですね」
梢「ええ、ええ。全く、愛嬌があり過ぎるのも考えものね」
花帆「……もう中身がないのに口を付けてしまうくらい、可愛いですよね」
梢「ええ。それはもう……。あ、あら、もう無くなっていたことに気が付かないなんて、そ、その……なんて罪なうさぎさんなのかしら」アセアセ
花帆「そうですねえ。罪なうさぎさんですよねえ」
梢「ええ……全く」
花帆「……それじゃあ、ベッドに行く前に歯磨きしましょうか」
梢「そ、そうね。きちんと歯を磨かないとばい菌の温床になってしまうものね。洗面所に行ってくるわ」
花帆「じゃあ、あたしは梢センパイのベッド、温めておきますね」モゾリ
梢「ふふっ。その物言いは草履を温める秀吉を思い出すわね」スタスタ
-
シャコシャコシャコシャコ…
梢「……」チラッ
花帆「……すぅ、はあ。すぅ……はあ」
梢「……」ブクブク、ペー
花帆「……梢センパイの、匂い。いいなあ、これ。瓶に入れて売ったら値千金はくだらないよね」ボソッ
梢「……」ブクブク、ペー
梢(ふぅ……聞こえてない。聞こえてないわ乙宗梢。まやかし、幻聴、妄想の類よ)
梢(というか、今日の花帆さんは何なの。狙ってるの? 計算してるの? いえまさか、そんなこと……)
梢(……洗面台の鏡越しに見れば、不審がられることもないわよね)チラリ
花帆「……(やや上体を起こし、掛布団を鼻の上まで被りつつ、流し目を送ってる姿勢)」ジッ
梢「……っ!」ビクッ
梢(えっ、ええっ!? み、見て……!?)
梢(……き、気のせい、よね。私の一挙手一投足を観察しているだなんて、そんなこと……)
梢「……ふぅ」ガシッ
梢(……長い、長い夜になりそうね)
-
──
花帆「ではでは、次に紹介する快眠グッズはこちらです!」
梢「あ、あの花帆さん。ちょっと待って」
花帆「なんですか?」
梢「シングルベッドに二人は、その……あまりに密着が過ぎるというか、あまりその、よろしくないのではなくて?」
花帆「いいじゃないですか。こっちの方があったかいですよ?」モゾモゾ
梢「も、もぞもぞしないでっ」
花帆「……それに」コソッ
梢「……っ!(耳は弱いのよ!)」ビクンッ
花帆「今は夜中です。普通に喋っているだけでも、隣の部屋には聞こえちゃうかも……」コソコソ
梢(みぇっ、みみっ、よ、弱いのよ!!)
花帆「だから静かに、こそこそ喋らないと、ご近所迷惑じゃないですか……」コソコソ
梢(あ、あたまがっ、かほさんいろにそまっちゃうっ!)ビクビク
花帆「……」クスッ
梢「……?」
花帆「……はむっ」
梢「ひゃあっ!?」ビクンッ
-
梢「かかかかかか、花帆さんっ……?」アトズサリー
梢「ぎゃんっ!」ドシンッ
花帆「ああ、シングルベッドで後ずさりなんてしたら落っこちちゃうに決まってるじゃないですか、もう」スッ
梢「だ、だって花帆さんがあんなこと……っ!!」
花帆「え? 花帆はただ囁いていただけですよ?」シラッ
梢「そ、そんなこと……!」
花帆「落ち着いてください梢センパイ。まずはお布団の中に入りましょう」ササッ
梢「それは……っ! あの……っ!」パクパク
梢「……ええ」スッ
花帆「よ〜し。それじゃあ、次の快眠グッズの紹介に移りますよ〜。お布団は十分あったまったのであたしは退散しますね」
梢「……」コクリ
花帆「ではでは……こちらっ、電熱式のホットアイマスクです!」ババーン
梢「ホットアイマスク……」
-
あらあら、あらあらああら
-
花帆「こちらの面を目に付けて、スイッチを押せばあったかくなるんです。ささ、付けてみてください」
梢「ええ。こっちの面を目に付けて、スイッチを、押す……」スチャッ
梢「……じんわり、あったまってきたわね。あ、結構熱い……。でも、岩のように凝った眼精疲労が砕かれているような、そんな感じがするわ」
花帆「もし熱すぎるなら、スイッチをもう一度押せばちょっと抑えられた温度になりますよ」
梢「いえ、このままでいいわ……。はあ、いいものね、ホットアイマスクって……。常用していたら、これ無しでは眠れなくなってしまうかも……」
花帆「そうですねえ。実際そういう人も多いそうです」
梢「そうなの……。それはなんだか、考え物かもしれないわね……」
花帆「ではではそのまま、次の快眠グッズにいきましょう」
梢「ええ……。外したくないわ、これ……」マッタリ
花帆「お次は〜……これ! 重い毛布! ばば〜んっ!」
梢「……ばば〜んっ、と言われても見えないのだけれど」
花帆「重い毛布とはその名の通り、普通の毛布よりも重い毛布のことです。大体4㎏〜7㎏の物がメジャーですね」
-
梢「それは……毛布にしては重いわね。他にどんな効果があるの?」
花帆「ふふふ。ありません」
梢「え、ない……?」
花帆「はい。ただ重いだけです。まあ、重量がきちんと分散されるような構造になってるとかはありそうですが、重い毛布、ここに主眼が置かれているんですね」
梢「へえ……。けれどここに来た時、そんな大きなものを持っているようには見えなかったわ」
花帆「そうですね。重い毛布は流石に手が出ませんでした。結構高いんですよ」
梢「あら、それは残念だけれど仕方がないわね。でもそれじゃあ、なぜその紹介を……?」
花帆「ふふふ。重い毛布は買えなくても、重い毛布を再現することは可能なんですよ」
梢「……? どういうこと、かしら?」
花帆「言って聞かせるより、感じて貰った方が早そうですね。では、失礼します」
モゾリモゾリ
梢「花帆さん……? 上で何をもぞもぞ……」
ポフッ
-
梢「みぇっ、いきなり重く……って、まさか花帆さん……」
花帆「どうなってると、思いますか……?」
梢「花帆さんが、上に乗ってるの……?」
花帆「……ふふふ。どうですか、重くないですか……?」
梢「重く、は無いけれど……」
花帆「最初は違和感あるかもしれませんが、どうぞ、身を委ねてください」
梢「身を委ね……。ええ」
梢「……」
梢(……確かに、重い。けれど、嫌な重さじゃない。毛布に抱きしめられているような、そんな感覚を覚えるわ)
梢(そう、これは……ハグをされているような気分。確か人は、ハグをされると幸せホルモンであるオキシトシンを分泌するはず……)
梢(あ、ああっ、副交感神経優位になっちゃう〜〜〜っ!)
-
花帆「……どうですか」コソッ
梢「ひゃうっ」ビクンッ
花帆「目が見えなくても、しっかりと花帆を感じますか……」コソコソ
梢「か、花帆さんっ、耳はっ」ビクビク
花帆「……あの、身を委ねてくださいって言いましたよね。ビクビクしないでください」コショリ
梢「そ、そんなこと言ったって……」
花帆「……ふふ。可愛い。可愛いですよ、梢センパイ」
梢「……っ」
花帆「……ぎゅって、しちゃいます」コソッ
ギュウッ……
梢「は、はう……っ!」
梢(先ほどまでは包まれている感触だったけれど、上から力を入れられると……包まれるというより圧迫されているような感覚になる)
梢(安心感、というよりも……そのちょっと先。もっと身を委ねたくなるような、全てを許してしまいたくなるような、そんな気持ちになってしまう……)
梢(その気持ちに名前を付けるなら、それはきっと──)
花帆「──支配されたい」
梢「……っ」ビクッ
-
こずはネコ
-
花帆「ね……梢センパイ、こんな風に上から抱きしめられる経験ってなかなかないですよね……?」
花帆「前から抱き着くこと、後ろから抱き着くことはあっても、あたしが包み込むように抱きしめることなんてありませんよね」
花帆「だって……あたしよりも梢センパイは背が大きいから、仕方がない」
梢「そ、うね……」
花帆「でも、こうして横たわってしまえば関係ない。どれだけ背丈に差があろうと、こうしてあたしになされるがままになっちゃう」
花帆「感じますか……? 少しずつ、あたしに侵蝕されていく感覚……。あたしに包まれること、抱きしめられること、支配されること……」
花帆「そして……征服される悦び。感じられてますか……?」
梢「……そ、れは」
花帆「素直になってください。身を委ねてください。自分の心に正直になってください」
梢「……」
花帆「髪の毛の先から、足の爪に至るまでぜ〜〜〜んぶ、あたしに支配されちゃうの、すっごく心地いいですよね……?」
梢「……」コクリ
-
花帆「……そうなんだ。花帆に包まれるの、そんなに心地いいんだ」
梢「……ええ。とても……。永遠にこうされていたいような、そんな気持ちよ……」
花帆「それは、あたしだからですか?」
梢「え……?」
花帆「日野下花帆に包まれているから、そんな気持ちになるんですか……?」
梢「……そうね。花帆さんだからこそ、ここまで心地よくなれるんだわ」
花帆「他の人だったら、こんな気持ちになりませんか……?」
梢「ええ」
花帆「断言できますか……?」
梢「もちろん。花帆さんだから、花帆さんの重みだからこそ、ここまで心地よく支配されるのよ」
花帆「ふぅん……。あたしだから、そんなに気持ちいいんだ」
梢「……? 花帆さん……?」
花帆「じゃあアイマスク、ズラしますね」グイッ
梢「え……? あ、えっ、えぇっ!?」ビクッ
梢「なっ、なっなななななっ、なあっ!?」ズササッ
梢「どうして私の上に乗ってるのよ! 慈っ!!」
-
慈「あ、あはは……。はろめぐ〜、梢」
梢「は、はろめぐ、って、ええっ!? じゃ、じゃあっ、今まで私の上に乗って、抱きしめていたのって!」
慈「そ、そうで〜す。みんなのアイドル、めぐちゃんで〜す。ぴ、ぴ〜すっ……」ニヘラ
梢「ぴ、ぴーすって……それをしていいのは素顔のピクセルの花帆さんだけ……って、そうでは無くて!」
慈「わっ、と……じゃあ、そろそろめぐちゃん降りるから……よいしょ、と」
梢「花帆さんっ! これは一体どういうことなの!?」
花帆「……あ〜あ、あたし、期待してたんだけどなあ」
梢「花帆さん……?」
花帆「きっと梢センパイなら、上から掛かる重みだけであたしだと気付いてくれるって、そう思ってたんだけどな〜……」
花帆「ちょっぴり花帆は、残念なのです」
梢「か、花帆さん……それは流石の私も……」
花帆「あたしの重みだから心地よく支配される、って言ってましたよね」
梢「そ、それは……」モゴモゴ
花帆「違うじゃないですか。慈センパイでもすご〜く心地よさそうにしてたじゃないですか」
梢「う、うぅ……。だ、だって……状況証拠的にそう思うのが普通じゃない……」
-
花帆「あの言葉は何となく、雰囲気に流されて出た言葉だったんですね……。日野下花帆であるという確信を持って言った台詞ではない、と」
梢「そ、それは、その……」オロオロ
花帆「……結局、あたし以外でも簡単に気持ちよくなっちゃうんだ。誰でもいいんだ」
梢「そ、そんな言い方……しないで。まるで私が軽い女みたいじゃない……」
花帆「だって事実じゃないですか。あたしじゃなくても、慈センパイで簡単に気持ちよくなっちゃう。それが梢センパイの事実なんですよ」
梢「あぅ、うぅ……うぅ〜……」ジワッ…
花帆「……どうしました梢センパイ。何か言い返さないんですか?」
梢「うっ、うぐぅ……ぐすっ、ひっくっ」ジワワッ
花帆「……っ」ゾワッ
花帆「な、泣いてちゃ何もわかんないですよ。このままじゃあ、あたしの名前を呼びながら他の女でよがっちゃう浮気者の烙印を押されちゃいますよ?」
梢「うっ、ぐすっ、そんなっ、言い方ぁっ、しなくてもいいじゃないっ!」
梢「言い返せるっ、ひぐっ、わけえっ、ぐすっ、ないじゃないっ! だ、だだ、だってっ、事実なんですものっ!」
梢「私はあっ、誰でも気持ちよくなっちゃうっ、ぐすっ、うっ、うぅっ、軽い女なのよおっ……!」
梢「うぇああっ、びぃええっ、うわあああああああああんっ!」ボロボロ
花帆「……っ」ゾワゾワッ
花帆「ふぅ……梢センパイ」モゾ
梢「ぐすっ、ひぐっ、か、ほさん……? な、なんでベッドの中に……」ビクッ
-
花帆「ごめんなさい、いじわるし過ぎました」ギュッ
梢「……かほ、さん」ピクッ
花帆「ね、梢センパイ。今なら分かりますか。あたしの体温、体重」ギュウッ…
花帆「毛布越しじゃない、ゼロ距離で上から抱きしめてるのがあたしだって、日野下花帆だって、分かりますか……?」
梢「う、うぅ……わ、わか……わからない、わ……っ。目で見えていても、肌で体温を感じられてもっ、今の私にはっ、花帆さんと言い切れるだけの自信がないわ……っ」グスグス
花帆「……そうですか。なら、これから何度でも、こうやって抱きしめてあげます」ギュッ
花帆「いくら間違えたっていいです。いくら他の女の名前を呼んだっていいです」
花帆「その度に何度だって、あたしの重さを刻み付けてあげますから。梢センパイの魂の奥底にいたるまで」ツツツ…
梢「いい、の……? こんな……花帆さんを誰かと間違えてしまうような私でも……」
花帆「いいんです。梢センパイがいくら間違えたって、その度に日野下花帆に軌道修正してあげます」
梢「花帆さん……」
花帆「だから、今度はあたしを上から抱きしめてください。あたしに乙宗梢の全てを刻み付けてください」
花帆「互いの重さを、体温を知らないと、不公平じゃないですか」
-
可愛いけど小悪魔でタチなンッ花帆さぁん…💚
-
梢「……っ」グシグシ
梢「ええ、ええっ。そうしましょう、そうしましょう花帆さんっ」ガバッ
花帆「きゃっ」ポスンッ
梢「私を感じてっ、私を刻み付けてっ、私を知ってちょうだいっ」ギュウッ
花帆「えへへ……。梢センパイに押し倒されちゃった……」ギュッ
梢「これが私よ花帆さん……分かる……?」
花帆「分かります……でも、でも……足りません」
梢「た、足りない……? じゃあ、もっと力を込めて……」
花帆「違いますよ、梢センパイ。邪魔なものがあるじゃないですか」
梢「じゃ、邪魔なもの……? 慈のこと? 排除する?」チラッ
慈「おい」
花帆「違いますよ。こ〜れ、ですっ」ツマミ
梢「これって……ふ、服……」
花帆「まだまだ、伝導率が悪いんです。服という薄皮一枚でも、まだまだ遠いんです。だから、ね……? 梢センパイ、分かりますよね……?」ウルッ
-
梢「か、花帆さん……っ。も、もうどうなっても知らないわよ……っ!」ヌギヌギッ!
花帆「……はぁ〜い、ストップです、梢センパイ」ピトッ
梢「……え」ヌギ…
花帆「今日はここでお開きにしましょう」
梢「なっ、えっ、ど、どうしてっ!」
花帆「今晩は一日ずっと、悶々としたまま寝てください」
梢「そ、そんなあっ、こんなの生殺しよ!」
花帆「……悶々とするってことは、誰かのことを想い続けてるってことです」
梢「……?」
花帆「あたしも我慢できないけど……でも、今日はずっと……梢センパイのことを想いながら眠りたいなって……」
花帆「梢センパイにも、あたしを想い続けて貰いたいなって……。だめ、ですか……?」
花帆「そうやって想いを募らせ続けて、限界まで高め合った後の方が……」
梢「あ、後の方が……?」ゴクッ
花帆「盛り合える気がするって……思うんです(上目遣い)」
梢「……っ!」ジュンッ!!
-
梢「だ、だめじゃないわっ! そうしましょう花帆さんっ! 今晩は互いを想いながら眠りに就く! そうしましょう、そうしましょう!!」
慈(うへぇ、めっちゃ早口。知り合いの盛ってる姿見るのって複雑だなあ……)
花帆「えへへ。ありがとうございます。あたしたち、相思相愛ですね」
梢「ええ。それじゃあ、花帆さん……また明日、ね……?」ムラムラノ!!
花帆「はい。また明日です、梢センパイ。おやすみなさい」
慈「じゃ、めぐちゃんも帰るから。ばいめぐ〜」
ガチャッ
梢「……ん、んふふ」
梢「高め合って、盛り合いましょう、って……」
ボフンッ
梢「花帆さんったらっ、もうっ……! 仕方のないうさぎさんなんだからっ! もうっ、もうっ!!」ジタバタ
梢「いつまでも花帆さんの手の平の上でなんて、踊らされてあげないんだからっ!」モゾモゾ
梢「……で、でも、可愛い後輩の手の平の上っていう操り人形感も、捨て難い背徳なのよね」
梢「な、な〜んて……。きゃ〜……っ! 明日の私、一体どうなってしまうのかしら〜っ!」ジタバタジタバタ
-
──
花帆「お疲れ様でした、慈センパイ」
慈「お疲れ花帆ちゃん。で、あれでよかったの?」
花帆「はい。あたしの言った通り動いてくれたおかげで、無事に梢センパイをあたしだって騙せました。やっぱり元子役って対応力っていうか、アドリブが凄いですね!」
慈「違う違う。元子役じゃなくてめぐちゃんが凄いんだよ」
花帆「あ、それもそうですね。さすめぐです!」
慈「へへ。それはそうと、るりちゃんの方は順調なの?」
花帆「と、言うと?」
慈「いや、伝われし……。だ、だからぁ、あれだよ。るりちゃんに友情以上の……もにょもにょ……」
花帆「あはは。大丈夫です。万事恙なく順調です。瑠璃乃ちゃんはまだ友情と恋愛を切り離せないから、そこをあたしが日常的に開発する」
花帆「そして徐々に、慈センパイへの意識を変質させる……。深層心理に刷り込みを入れるのは得意なので任せてください」ドン
慈「そ、そっか。それならよかった」
慈「……で、でも、互いに利のある関係で言うのもなんなんだけどさ」
花帆「なんですか?」
慈「花帆ちゃん、おっそろしいなあ……」
-
花帆「……えへへ。恐ろしくなんてないですよ。梢センパイが奥手なので仕方なく付けた知識、手法なんですから」
花帆「その源流は、純愛なんですよ? それが恐ろしいわけないじゃないですか。嫌だなあ、もうっ」ニコッ
慈「……仕方なく付けた知識、ねえ。その割に嬉々として楽しんでいるように見えたけどなあ、梢を追い詰めてる時の花帆ちゃん」
花帆「そうですね、否定しませんよ。それがなんですか?」
慈「なにって……」
花帆「だって、梢センパイが大好きなんだから楽しいに決まってるじゃないですか」
慈「……ん?」
花帆「あたし、自分でもビックリしてるんです。梢センパイのああいうところも大好きなんだって」
慈「ああいうところって言うのは……?」
花帆「それは──」
慈「ああ、やっぱいい。やっぱいいや。第三者が聞いちゃいけないって言うか、理解できない領域な気がする」
花帆「そうですか? 残念だなあ。踏み込んだ恋バナができるのって慈センパイだけなのに……」
慈「……はあ。じゃあ、ちょっとだけなら聞いたげる。梢のああいうとこって、どこ?」
-
花帆「やったっ。ああいうとこ……初めて気付いたのは、梢センパイが風邪で寝込んだ時です」
花帆「自分の不甲斐なさに落ち込んで、打ちひしがれてる梢センパイ……。その時あたし、この人の力になりたい、癒してあげたいって強く思ったんです」
花帆「でも同時に……悲痛な面持ちの梢センパイも可愛いな、って思ったんです」
慈「……げぇ」
花帆「もちろん、柔らかく笑いかけてくれる顔も、キリッとした頼りがいのある表情も大好きですよ?」
花帆「だからこれから先、すごくすごくすご〜〜〜く楽しみなんです。どれだけ梢センパイのこと好きになれるんだろうって。愛の行く末、その末路ってどこなんだろうって……」
花帆「本当に、真の意味で、『全てが好き』って言える日が来るかもって考えたら、ちょっと怖いくらいなんです」
-
慈「……そっかあ。花帆ちゃんは梢のこと、ほんとに大好きなんだね」トオイメ
花帆「はい。慈センパイも瑠璃乃ちゃんのこと大好きですよね」
慈「まあ……。花帆ちゃんとはベクトルが違う気がするけどね」
花帆「そうですか? 好きに貴賤と相違はないと思いますけどね」
慈「どうだろうねえ……」
慈(どこまでも澄んだ目と口調で大好きを語る花帆ちゃんに、私は一つの疑問を抱いた)
慈(花帆ちゃんは梢の笑ってる顔と泣いてる顔、どっちの方が好きなの? と)
慈(でも……もし後者ならば、今回の計画の捉え方が変わってくる)
慈(前者なら、奥手な梢を積極的にさせるマッチポンプ。後者ならば、)
慈(質の悪い歪んだ愛から来るマッチポンプだ。ただ、花帆ちゃんに言わせればそれもまた純愛なのだと標榜するだろう)
慈(たとえ梢の寝付きの悪さが、花帆ちゃんの淹れたお茶のせいであったとしても)
慈(私にそんなパンドラの箱を開ける勇気は無く、そもそも聞く気もない)
慈(ただまあ、一つだけハッキリしていることがあったので、ぽつりと独り言ちることにした)
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慈「おっも」
慈(私の独白が聞こえたのか、花帆ちゃんは笑みを深めながらこう口にした)
花帆「ふふっ。梢センパイは、重い方が好みみたいですよ?」
おしまい
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おもしろかった
(asmrの人かしら)
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花帆さんに狂わされたいのだけれど
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花帆さんを狂わせた梢
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この花帆さんは少しDVの素質があるのではないかしら?
たまらないわね
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こずはネコ
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この花帆さんはnnckを感じる
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素晴らしいわ花丸よ
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神定期
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花丸よッッッッッ!!
-
神
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>>33
ブラック花帆ちゃん
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