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「あなたは昔から男の子だよ?」√果林

1名無しさん@転載は禁止:2020/12/01(火) 23:45:43 ID:.7ogJnco
春。
出会いと別れの季節、春。

それはここ、虹ヶ咲学園にも当然訪れる。
三年生は卒業して、新入生が新たに加わる。

それは今までもあったことだし、今更戸惑うこともない。

たった一つだけ、あることを除けば。

歩夢「──どうしたの? 今日は朝からなんだか調子が悪そうだけど……」

「あ、あぁ……いや、なんでもないよ、歩夢ちゃん」

歩夢「ならいいんだけど……何か困ってることとか、悩みごとがあったら、なんでも相談してね!」

幼馴染みの上原歩夢ちゃん。
自分で言うのもなんだけど、可愛い女の子だと思う。そんな子が幼馴染みだと……羨ましがられるんだ。

そう──特に、今は。

歩夢「そういえば、今日は身体測定があるんだって。『女子』は更衣室使うみたいだけど、間違って入っちゃだめだよ〜」

自分が──女の子から、男の子に変わってしまっている今は。

☆☆☆

「はぁ〜〜〜なにがなんだか……」

まさか眠りから覚めたら男の子になっちゃってるなんて……いや、わけわかんないよ。
わけわかんないけど、仕方ないから順応する。

わかっていることは、歩夢ちゃんとは変わらず幼馴染みであること、自分のことは僕と呼ぶ事、そして一番驚いたのは、ここではスクールアイドル同好会が存在しないこと。

スクールアイドルという文化自体はあるようだけど……。

先生「はい、身長169センチ、体重は57キロね」

「ご、57……」

先生「ん? どうしたの?」

「いえ……」

女の子の体のときを、かんがえるとちょっとショックだったけど、別にこれくらいが普通、というかちょっと軽いらしい。

むしろ身長はもう少し欲しいくらいだね、なんて言われた。

(むしろ、視線が高くなって変な感じ)

まさか歩夢ちゃんを見下ろす日が来るとは思わなかった。

(でも、なにはともあれ、だよね)

どんな理屈、ファンタジーで私が男の子になってしまったのかはわからないけど、普通に日常を送らないと。

もしかしたら、そのうち元に戻れるかも……しれないし。

「え〜と、となると気を付けないといけないことは……」

うっかり女子トイレにはいらない、男子のちんちん見えても動揺しない、僕っていうこと、男の子っぽく過ごすこと。

2名無しさん@転載は禁止:2020/12/01(火) 23:54:06 ID:.7ogJnco
侑「……ん?」

考え事をしていても、その騒ぎは耳にはいってきた。

「朝香せんぱーい!」
「今日は久しぶりに部活でてくれるんですか!?」

果林「えぇ、今日は時間もあるから、そのつもりよ」

「やったー!」
「待ってますね、先輩!」

侑(果林さんだ)

抜群のプロポーション、容姿、そしてセクシー。

綺麗な人、みんなが憧れる美人なお姉さんをそのまま地で行くような人。

侑(部活?)

なににはいってるのかな……。


彼方「お〜、今日も人気だねぇ」

侑「あ、彼方さん」

3名無しさん@転載は禁止:2020/12/02(水) 00:06:31 ID:srSXx0qo
彼方「おはよぉ、侑くん」

侑「おはよ……?」

あれ、なんか……。
……まあいいか。

侑「あ、彼方さん。そういえば……果林さんって、なんの部活に入ってるんでしたっけ」

彼方「水泳部だよ〜。最初は水泳は良い運動だから、っていう理由ではいったみたいだけど、いまは楽しいんだって」

侑「水泳、ね」

……あぁ、なんか、人気でそう。
果林さんの水着姿が見られるチャンスとあれば、他の男子たちも黙っていないだろう。

侑(久しぶり……っていってたけど、普段はモデルの仕事があるのかな)

4名無しさん@転載は禁止:2020/12/02(水) 00:10:22 ID:srSXx0qo
とりあえず果林√です。
また明日に。

5名無しさん@転載は禁止:2020/12/02(水) 04:25:51 ID:Kzs7pZVE
果林ちゃん√きたーーーー!!

6名無しさん@転載は禁止:2020/12/04(金) 00:12:33 ID:Jlw/hofQ
侑(やっぱり、すごく綺麗な人)

改めて見ると、その完璧すぎる『美人』ぶりに圧倒される。

整えられたスタイル、身長に容姿。
町を歩けば誰もが振り替えるだろう。

侑(……あれで勉学もすごかったら、神様はいろいろ与えすぎだよね)

侑(部屋とか……そういえばここでもエマさんに起こしてもらってるのかな)

7名無しさん@転載は禁止:2020/12/04(金) 00:17:59 ID:Jlw/hofQ
侑(まあでも……)

元の世界ではスクールアイドルっていう繋がりがあったから、知り合えたけど……。

あの様子じゃ、お近づきにはなれそうにはないな。

☆☆☆

そう思っていた週末。


果林「あれ……こっちよね……?」

出掛けている最中、どうみても道に迷っている果林さんを見つけた。

8名無しさん@転載は禁止:2020/12/04(金) 07:02:51 ID:Jlw/hofQ
侑(……助けた方がいいんだろうけど)

なんか話しかけにくい気もする……。
向こうからしたら、知らない男子のわけだし。

果林「○▲茶屋……こっちかしら」

侑(ああっ、そっちは逆……!)

ああもう、見ていられない!

侑「あ、あの!」

果林「?」

侑「あっ、えーと……その場所なら、そっちじゃなくて……あっちです」

果林さんが目指していた逆方向を指差し、端的に伝える。

9名無しさん@転載は禁止:2020/12/05(土) 00:33:05 ID:z7lJevOQ
日曜日に再開です。

10名無しさん@転載は禁止:2020/12/05(土) 03:13:35 ID:WxQqipAY
正座待機

11名無しさん@転載は禁止:2020/12/05(土) 04:01:11 ID:MGfIX7qI
@わた歩夢ちゃんがゆうぽむ成分足りなくて死にそうなので早くしてください

12名無しさん@転載は禁止:2020/12/06(日) 23:19:19 ID:jMv7O9ZU
来なさそう

13名無しさん@転載は禁止:2020/12/07(月) 02:21:50 ID:gOy14rDI
果林「あら、君は……」

侑「あ、ええと……おなじ学校、なんです。かり……朝香さんは、有名人だから、見かけてつい……」

果林「そうなのね、ありがとう、助かったわ」

それだけ残して、果林さんはその方向へ。

侑「ふう……一安心……」

……なのかな?

一応、念のため果林さんの後をついてみると……。

果林「次はこっちね!」

侑「ちがーう!!」

果林「?」

さっそくまた逆方向を進もうとしていた。

14名無しさん@転載は禁止:2020/12/07(月) 03:56:13 ID:gOy14rDI
侑「あ……あの! 僕が目的地まで案内しましょうか?」

誰かと待ち合わせ……の可能性もある。
それなら迷いなく行ってもらわないと……

15名無しさん@転載は禁止:2020/12/08(火) 18:54:50 ID:5GkFqM7E
もう少しお待ちを。

16名無しさん@転載は禁止:2020/12/08(火) 19:59:48 ID:gl.QnMGw
まってる

17名無しさん@転載は禁止:2020/12/10(木) 09:00:19 ID:AvNR./7.
夕方に少し更新。

18名無しさん@転載は禁止:2020/12/10(木) 13:58:59 ID:MnelIw7M
初代から見続けてるけど作者さん本当にありがとう

19名無しさん@転載は禁止:2020/12/10(木) 17:38:32 ID:AvNR./7.
果林さんは少し考えた後、

果林「そうね、お願いしようかしら」

当たり前ではあるけど、初対面の相手からの申し出に少しとまどっているようだ。

それもそうだよね。

侑(なにもしないけどさ)

20名無しさん@転載は禁止:2020/12/10(木) 17:57:03 ID:AvNR./7.
そんな果林さんを何事もなく、平和に目的地まで案内した。

果林「ありがとう、助かったわ。方向音痴はそうそう治らないものなのよね……」

侑「いえ、僕は案内しただけですから」

果林「ふふ、……同じ学校だったわよね? いつかお礼はさせてもらうわ」

そう言って、果林さんは茶屋の中へ入っていった。

21名無しさん@転載は禁止:2020/12/12(土) 17:14:14 ID:XJcgp70w
侑(お礼、ね……)

でも、名前もクラスも教えてないけどわかるのかな。
まぁそれが目的で案内したわけじゃないけどさ。

侑(でも、誰と待ち合わせだったんだろ)

22名無しさん@転載は禁止:2020/12/13(日) 19:01:17 ID:Wfuyf9Bw
歩夢最高ですね。はやいところ歩夢編を書きたい反面、ボロっボロに失恋するところも書きたいです。
今から再開。

23名無しさん@転載は禁止:2020/12/13(日) 19:20:42 ID:Wfuyf9Bw
☆☆☆
翌日、月曜日。

いつものような日常を送っている最中、その非日常は突然やって来る。


果林「あ、いたいた」

果林さんが二年生の教室に現れると、クラスメイト全員の視線がそこに集中した。

そして誰を訪ねてきたのか……と。

果林「あ。えーと……名前きいてなかったわね。そこの、ちょっと髪の毛の先が緑の子」

やっぱり私だった。

24名無しさん@転載は禁止:2020/12/13(日) 19:43:43 ID:Wfuyf9Bw
果林「昨日はありがとう、助かったわ」

侑「いや、僕は大したことは……」

果林「いいえ、あと少し遅れてたらエマ……友達にどやされてたところだったわ」

侑(あぁ、あの時点ですこしおくれてたんだ……)

果林「じゃ、これで。また機会があれば会いましょう」

そう言い、果林さんは去っていった。

去っていったのだが──

「どォいうことだ……」
「朝香先輩のお礼……?」
「殺すか」

歩夢「ゆ、侑くん……あの人、と……何があったの?」

侑「あ、いやいや。昨日道に迷ってるの見つけて、案内しただけだよ」

歩夢「……それだけ?」

侑「うん、そうだけど……」

歩夢「そ、そっか。………………よかった……」

25名無しさん@転載は禁止:2020/12/13(日) 19:47:34 ID:HCHn1BoY
歩夢ちゃんの失恋シーンはオレに効く…

26名無しさん@転載は禁止:2020/12/13(日) 19:48:36 ID:Wfuyf9Bw
歩夢(あんな人がいたら……私じゃ……勝てないよ……)

☆☆☆

放課後家に帰って、そのお礼の中身を確認してみると、なんだかおしゃれなクッキーだった。

なんていうか、芸能人の差し入れみたいな。

27名無しさん@転載は禁止:2020/12/13(日) 21:05:22 ID:MyOW5zMo
歩夢ちゃんがまた悲しんでる……
愛さん果林先輩あたりは特に眩しすぎて戦意削がれるよね

28名無しさん@転載は禁止:2020/12/13(日) 23:01:46 ID:Wfuyf9Bw
侑「すごいや……」

本当に大したことはしていないのに、お礼がここまでしっかりだと……。
逆にこっちもお礼のお礼をするべきなんじゃないかって思い出す。

侑「機会があればまた会いましょう、か……」

29名無しさん@転載は禁止:2020/12/13(日) 23:10:17 ID:Wfuyf9Bw
とびっきり美人の果林さん。
というか実際モデルとして活動してるんだから、それはつまりは世間的にも「容姿が整っている」と認められているようなものだ。

スタイルの維持も拘って……すごい事だと思う。

侑「真似、できないや……」

あの頃、女の子だった時に憧れを抱いたことはあった。
背も低かったから、167cmの景色に、少し憧れて……。

侑(今はそれ以上の視線だけど)

30名無しさん@転載は禁止:2020/12/13(日) 23:20:10 ID:Wfuyf9Bw
ぽけっとしていると、携帯に着信。
歩夢からだった。

歩夢『あ、侑くん?』

侑「どうしたの歩夢? 」

歩夢『大したことじゃないんだけど……』

歩夢『……侑くんって歳上がタイプとかだったり……する?』

侑「へ?」

歳上がタイプ?
なんの話だ?

歩夢『あっ、いや、えっと、ちょっと気になって、居ても立ってもいられなくてつい訊いちゃったの! 』

侑「そっか。……でもそういうことなら、特に拘りはないよ?」

歩夢『ほ、ほんと?』

侑「? うん」

歩夢『同い年でも、歳下でも……?』

侑「そうだね」

歩夢『…………オサナナジミデモ?』

侑「えっ、ごめんちょっと聞こえなかった。なんて?」

歩夢『う、ううん! なんでもないの! じ、じゃあね! また明日、学校で……!』

そういって歩夢は電話を切った。
なんだか変な歩夢。

31名無しさん@転載は禁止:2020/12/13(日) 23:20:35 ID:Wfuyf9Bw
果林さんもだいぶチョロめでいきます。
今回はここまで。また明日に。

32名無しさん@転載は禁止:2020/12/13(日) 23:22:58 ID:Wfuyf9Bw
どうでもいいことなんですけど、歩夢を見てると西野カナのEsperanzaを思い出します。

33名無しさん@転載は禁止:2020/12/14(月) 01:03:26 ID:3lE8Ga3c
歩夢ちゃん…
早く歩夢ちゃんに幸せになってもらいたいけど他の子の話もしっかり見たい……

34名無しさん@転載は禁止:2020/12/15(火) 00:32:51 ID:oEYxNS3.
侑「……あ、そうだ」

お礼のお礼……言葉だけなら伝えるのはいいよね。

侑(次あったらお礼言おう……)

侑「……ん?」

紙袋の隅に、なにか固いものがはいっている。
パンダのキャラクターのストラップだ。

侑(どうしてこんなものが……)

考えられるとするなら、果林さんが何かの拍子に紙袋の中にこれを落としてしまったのか。

侑(もしかしたら探してるかも)

これも明日渡しに行こう。

☆☆☆

35名無しさん@転載は禁止:2020/12/15(火) 00:34:03 ID:oEYxNS3.
明日きちんと再開。

果林さんはクールお姉さん多めでいくか、割りとポンコツ気味でいくか。そのへんが難しいですね。

36名無しさん@転載は禁止:2020/12/15(火) 15:32:05 ID:xIozcghU
りなりールートからするにここで歩夢ちゃんが告白してたら付き合えてたのかと思うと泣けてくる
あんなこと言われてるのに侑くんにぶにぶだよな

37名無しさん@転載は禁止:2020/12/15(火) 15:54:00 ID:J18tM90s
歩夢ちゃんには本当に申し訳ないがラストまで悲しみを貯め込んで貰う
膨大なエネルギー量だ

38名無しさん@転載は禁止:2020/12/15(火) 22:12:58 ID:bqNBWWv2
https://www.girlsheaven-job.net/kagoshima/ma-200/sa-352/spa_fckagoshima/movie/

39名無しさん@転載は禁止:2020/12/15(火) 22:13:54 ID:bqNBWWv2
https://www.girlsheaven-job.net/kagoshima/ma-200/sa-352/spa_fckagoshima/movie/

40名無しさん@転載は禁止:2020/12/16(水) 22:03:33 ID:k4Bw.lPo
果林「あら……?」

おかしいわね、どこにやっちゃったのかしら。

大事にしてたストラップ……鍵につけてたはずの。

果林(何かの弾みで落としたのかしら)

41名無しさん@転載は禁止:2020/12/16(水) 23:45:38 ID:k4Bw.lPo
侑から歩夢への好感度もカンストしてる状態のつもりでやってます。

ちょっと果林難しいですが頑張ります。
明日23時頃再開。

42名無しさん@転載は禁止:2020/12/17(木) 03:36:18 ID:jtC60HEE
楽しみに見てるよ

43名無しさん@転載は禁止:2020/12/17(木) 04:23:16 ID:BxAwajvo
待ってますぜ

44名無しさん@転載は禁止:2020/12/17(木) 23:26:29 ID:dHtVJhdU
果林「……」

☆☆☆

翌日、私は果林さんを探して三年生の教室へ向かった。
果林さんを見つけたのはすぐのことで、果林さんも私に気付いた。

果林「あら? あなた……」

侑「高咲です。あの、これ……」

パンダのストラップを見せた瞬間、果林さんの顔がパァッというオノマトペが聞こえてきそうなくらい、明るくなった。

果林「あ、ありがとう! 探してたのよ、ずっと……!」

パンダのストラップを、私の手と一緒に包み込む。
ひんやりとした果林さんの手。
すべすべで、しっとりしていてもちもち。

ずるいな、こんなの。
綺麗な人は、手まで綺麗に仕上がっている。

45名無しさん@転載は禁止:2020/12/18(金) 23:31:43 ID:mGOanIc2
果林「はっ……」

はしゃいでいた果林さんは言葉にも出ているけれど、はっとしたかと思うと手を離した。

果林「あ、ありがとう。あなたが拾ってくれたのかしら?」

侑「えと、昨日もらった紙袋の中に入ってて、それで……」

果林「そうだったの……ごめんなさいね、わざわざ届けさせて」

さっきまでの果林さんは見当たらず、クールなお姉さんに戻っている。

46名無しさん@転載は禁止:2020/12/18(金) 23:43:18 ID:mGOanIc2
果林「……そういえば、今さらだけど名前も訊いてなかったわよね?」

侑「高咲、侑です」

果林「高咲侑……ね」

果林「うん、いい名前ね」

侑「あはは、ありがとうございます」

果林「それで、私は朝香……」

侑「朝香果林さんですよね? 知ってますよ!」

果林「……!」

侑「モデルもやってて、学校の有名人で──」

──あぁ、この子もか。

侑「……?」

果林「──ふふ、ありがとう」

47名無しさん@転載は禁止:2020/12/18(金) 23:48:17 ID:mGOanIc2
侑(……いま、確かに)

果林さんが、そう言った。
あぁ、この子もか、と。

侑(……果林さん?)

☆☆☆

果林「ふぅ……」

自分で言うのもなんだけれど。
私、朝香果林は学校ではいろんな子達から憧れられている。
その視線が痛いくらいに。

美人。
抜群のスタイル。
モデル業。

テンプレート染みた言葉の羅列は、必ずその子達の口から流れてくる。

勉強を、教えてほしいと頼まれたことがある、
でも自分の事もまともに出来ないのに、人になんて教えられるわけもない。

そもそも二年生の問題も完璧にできるか怪しい。

48名無しさん@転載は禁止:2020/12/18(金) 23:56:39 ID:mGOanIc2
だからやんわりと断ると、悲しそうな顔と、「先輩も忙しいですもんね!」のフォロー。

そんな事には、少し疲れてきていた。

果林(歳上の……頼りがいのある人とかいないかしら)

甘えさせるよりも甘えたい派の私には──これもあまり知られたくない──、求めるのはそんな男性。

過去に、告白されたから交際をしたことはある。
でもキスさえしないまま別れた。

理由は「なんだかイメージと違ったから」、と、

果林(私のイメージってなによ……)

それこそ勝手に期待して、勝手に失望しているのと同じじゃない。

49名無しさん@転載は禁止:2020/12/19(土) 00:10:18 ID:uWSYxGFg
曰く。
スタイル抜群のクールな美人で、勉強もできてスポーツもできる文武両道、大人の色気漂うとかなんとか、いろいろ言われた気がする。

果林(そんなに大人っぽいって、いいものなの……?)

私自身、私をまだまだ子供だと自覚している。
朝も自分じゃなかなか起きられないし、道だって迷うし。
可愛いものだって大好きよ。

果林(いつか、自分をさらけ出せる人が……現れたりするのかしら)

☆☆☆

侑「へっくし!」

歩夢「侑くん大丈夫?」

侑「んー……ただのくしゃみだよ」

50名無しさん@転載は禁止:2020/12/19(土) 00:27:45 ID:uWSYxGFg
歩夢「……ねぇ、侑くん」

侑「なに?」

歩夢「良かったら今度……久しぶりに一緒に出掛けない? 高校生になってから……そういうことしばらくなかったし……」

歩夢は指の腹を合わせて──ホームズハンドとか言われてるらしい──聞いてきた。

買い物とかかな。それなら断る理由なんてないし……。

侑「そうだね。次の日曜日とかにしようか」

歩夢「!」

歩夢「あっ、そ、そうだね! じゃあ、えっと日曜日に……駅で待ち合わせして……」

侑「家となりなんだから、一緒にいけばいいんじゃ……」

歩夢「ま、待ち合わせしたい気分なの!」

ぷくっと頬を膨らませている歩夢。
そういうところ可愛いなぁ。こりゃあクラスの男子たちが黙ってないね。

歩夢(やった……侑くんとデートだ……!)

☆☆☆

51名無しさん@転載は禁止:2020/12/19(土) 00:31:49 ID:uWSYxGFg
今回はここまで。

今までの話(μ'sから)で一番性癖に刺さったというか、ストレートに言うとえろいなって思えたのってどのあたりでしょうか。
個人的には彼方のはこれ良いじゃないか……?と思ってます。

また明日に。

52名無しさん@転載は禁止:2020/12/19(土) 02:14:49 ID:RPelzB4k
梨子ちゃんがドエロかった

53名無しさん@転載は禁止:2020/12/19(土) 03:04:45 ID:W4X1jQqc
虹はみんなえっちだった

54名無しさん@転載は禁止:2020/12/19(土) 03:39:23 ID:yyX06sYc
璃奈のイチャラブ感好きだった

55名無しさん@転載は禁止:2020/12/19(土) 16:44:01 ID:Few66v2M
実用性の観点からであれば(勿論自分の性癖とかありきの評価だけど)彼方、梨子、聖雪、ダイヤあたりが特に刺さったかな。

彼方√はもう性別関係なくお互い気兼ねない相棒、みたいな間柄の友達だったけど実は彼方側が割と侑の事恋愛的にも好き?かも?みたいな風も匂わせつつ、酒の勢いでじゃれてから身体の関係を結んで〜みたいなのたまらんよかった。梨子√もそういう感じに最初は全然意識しない良い友達って感じだったのから発展してったの好きだった。
あとは彼方もそうだったけど姉様だとか、女の子がMっ気ある感じのも好き。でも理亜ちゃんみたいに女の子の方がS気質だったり上位にくる感じのも大好き。女の子上位なのはそんなになかったと思うので、これから書く子達で沢山見れたら個人的にはすごく嬉しい。

長文気持ち悪くてすまない。毎回楽しみにしてます。いつもありがとう。

56名無しさん@転載は禁止:2020/12/19(土) 17:01:38 ID:OcD3icUs
彼方のはそんなに…

読み返さないと思い出せないのもあるけど、ヨハネかなぁ

57名無しさん@転載は禁止:2020/12/19(土) 17:12:48 ID:DFp1AFKA
曜ちゃんとの手加減しないエチすき

58名無しさん@転載は禁止:2020/12/20(日) 03:02:05 ID:EHEzQdFE
μ'sはンミチャ
Aqoursは渡辺ですわね

59名無しさん@転載は禁止:2020/12/20(日) 23:09:31 ID:8jlnhioo
深夜に再開。

60名無しさん@転載は禁止:2020/12/21(月) 05:11:27 ID:IrBnHqPk
☆☆☆

週末、私は歩夢と出掛けるために駅で待ち合わせをしていた。

侑(わざわざ別々にいかなくても……)

とはいえ少し遅いな、歩夢。
そんなことを思っていると。

歩夢「ご、ごめ〜ん! ちょっと遅くなっちゃった……!」

少し小走りでこちらへ駆けてくる。

歩夢「ごめんね、待たせちゃったよね」

侑「ううん、全然。……」

ふと、歩夢の全身を見た。

なんだかいつもと違うようで、今まで見たことのない姿だった。

侑「なんか、今日の歩夢は大人っぽいね」

歩夢「そ、そうかな?」

侑「うん、似合ってる。とってもね」

歩夢「はぁあ……!」

思ったことを正直に言った。

侑「とりあえず何か服とか見る? あ、でもそういえばスタバ新しいの出てたっけ。なんかすっごい抹茶のやつ」

61名無しさん@転載は禁止:2020/12/21(月) 05:14:17 ID:KOF/bzJQ
意識してる歩夢ちゃん可愛い

62名無しさん@転載は禁止:2020/12/21(月) 05:17:41 ID:IrBnHqPk
☆☆☆
平和な1日だ。
やっぱり歩夢といると、変にいろいろ考えなくていいから楽しいな。

そんな昼の、最中。

侑「ん? あれ……」

見覚えのある姿。

侑(果林さんだ)

果林さんはスマホを見ながらたまに首をかしげたり、どこかへいったかとおもえば、また戻ってきたり……。

侑(また迷ってるのかな)

63名無しさん@転載は禁止:2020/12/21(月) 05:29:12 ID:IrBnHqPk
歩夢「……侑くん、どうしたの?」

侑「あぁ、いや……かり……朝香さんがまた道に迷ってて」

歩夢「……『また』?」

侑「うん。実は前もめっちゃ迷ってて、目的地まで案内したんだ……ほら、僕のところにお礼って言って来たでしょ? 」

歩夢「あ、あぁ。あの時……」

侑「あの人の方向音痴は中々だから……歩夢、ちょっと助けにいこう」

歩夢(ええ!?)

歩夢「あ……うん、そうだね」

歩夢(……)

64名無しさん@転載は禁止:2020/12/21(月) 09:06:19 ID:VVlNCjFA
迷子果林ちゃん

65名無しさん@転載は禁止:2020/12/21(月) 16:59:10 ID:IrBnHqPk
☆☆☆

果林(うん、迷ったわね)

果林(我ながらそろそろ一人で外を出歩くのはやめようかしら……)

軽く絶望していると、聞き覚えのある声が背後から。

侑「朝香さん」

いつか、私が道に迷っていると助けてくれたあの子。
高咲侑。

果林「侑じゃない」

歩夢(よ、呼び捨て……)

66名無しさん@転載は禁止:2020/12/21(月) 17:43:38 ID:IrBnHqPk
侑「こんにちは……もしかして、また迷子です?」

果林「まあ……そう、ね」

侑「良かったら案内しましょうか?」

果林「それは嬉しいけど……その子とのデートを楽しまなくていいのかしら?」

侑の後ろにいる、可愛らしい女の子。
侑の彼女かしら?

侑「困ってるなら放っておけませんよ。ね、歩夢」

果林「……ありがとう、また助けられちゃうわね」

☆☆☆

目的地まで案内してもらう。

果林「ありがとう、なんとか助かったわ」

侑「お安いご用ですよ」

果林「ふふ。彼女さんもごめんなさいね、せっかくのデートだったのに」

歩夢「へっ!? か、彼女……」

侑「やだなぁ、僕と歩夢はそんなんじゃないですよ」

歩夢「……」

67名無しさん@転載は禁止:2020/12/21(月) 17:50:36 ID:IrBnHqPk
果林「あら、そうなの?」

侑「幼馴染みなんです。ね?」

歩夢「う、うん。そうだね……」

果林「ふふ、どうかしら……また学校で会いましょう」

侑「はい! 」

☆☆☆

歩夢「ほらっ、侑くん、はやくいこ?」

果林さんの姿が見えなくなると、歩夢ちゃんはそう急かしてきた。

68名無しさん@転載は禁止:2020/12/21(月) 23:02:02 ID:3WTh4to6
果林先輩は侑ちゃんほどにぶにぶじゃないから歩夢ちゃんの気持ちに気がついてそう
侑ちゃんあんまり歩夢ちゃんいじめないでくれ泣けてくる(いいぞ歩夢ルートのためにもっとやれ)

69名無しさん@転載は禁止:2020/12/22(火) 01:58:57 ID:IZ1c1Aqo
https://www.girlsheaven-job.net/kagoshima/ma-200/sa-352/spa_fckagoshima/?gop=newc

70名無しさん@転載は禁止:2020/12/23(水) 04:04:24 ID:c39aPcEs
昼再開。

71名無しさん@転載は禁止:2020/12/23(水) 12:02:35 ID:ouAKWf6E
月ちゃんルートもえっちだった

72名無しさん@転載は禁止:2020/12/23(水) 16:13:19 ID:c39aPcEs
やはり明日に。

73名無しさん@転載は禁止:2020/12/24(木) 04:31:11 ID:/WROinUE
楽しみ

74名無しさん@転載は禁止:2020/12/25(金) 17:47:10 ID:PAK0ei26
明日から正月休みなのでその間に果林終わらせられたらなと思います。

明日から再開。

75名無しさん@転載は禁止:2020/12/27(日) 01:10:15 ID:330mmxgw
☆☆☆

歩夢とのお出掛けも終わり、一日が終わる。

侑「今日はいろいろ見たなぁ」

そういえば、果林さんも見つけたな。
迷子になってるところをだけど……わ

76名無しさん@転載は禁止:2020/12/27(日) 15:43:15 ID:330mmxgw
青春系のアニメ映画が好きなので、ジョゼと虎と魚たちを観に行ったんですけど、やっぱり良いですね。
すぐ影響受けるので大学生って立場いいなぁ、と思ったのでキャラによっては彼方みたいに大学生まで行きます。

夜再開。

77名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 00:07:16 ID:dxMMWgYI
侑「というか、あれだけ迷子になるなら誰かと向かえばいいのに」

そうじゃないなら、一人で何処かに行ってるときなのかな、迷子なのは。

侑「……なんか心配だな」

侑「……」

侑(次……またあったら考えよう)

78名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 00:16:50 ID:dxMMWgYI
☆☆☆

で。

侑「朝香さん」

果林「あら、侑じゃない」

侑「迷子ですか」

果林「……わかる?」

侑「ええ、とても……」

まさか本当に会うとは思わなかった。

侑「……あの、朝香さん。もし良かったら、今度から案内しましょうか」

79名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 00:29:47 ID:dxMMWgYI
果林「え?」

侑「いや、お節介だったらいいんですけど……」

よく考えなくても、意味のわからない申し出だ。

果林「……そうね。……でも」

果林「それはお願いしたいけど、一つ条件があるわ」

侑「条件?」

80名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 00:37:59 ID:dxMMWgYI
果林「……私が行ったお店とか、誰にも言わないでほしいの」

侑「それは大丈夫ですけど……でも、どうしてですか?」

果林「そうね……夢を守るためかしら」

果林「みんなの……ね」

81名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 01:50:48 ID:11GaCwng
https://www.girlsheaven-job.net/kagoshima/ma-200/sa-352/d_jukujo_kagoshima/blog/40683099/

82名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 01:51:39 ID:11GaCwng
https://www.girlsheaven-job.net/kagoshima/ma-200/sa-352/spa_fckagoshima/blog/40682617/

83名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 04:28:19 ID:mUfPtJ36
夢を壊さないのは大事

84名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 16:30:25 ID:dxMMWgYI
侑「なんだかよくわからないですけど……そういうことなら、全然問題ないですよ」

侑「……あれ、でも」

果林「?」

侑「その『みんな』には僕は含まれてないのかなって」

果林「あぁ……」

☆☆☆

そう言われたとき、私の頭のなかには、あの健気な雰囲気の女の子を思い出した。

果林(まぁ、あの子が怒りそうだけど……だからこそ、この子なら……問題ないかしら)

果林「じゃあ早速、案内してもらっても良いかしら?」

侑「はい。場所は……」

☆☆☆
猫カフェだった。

果林「はぁぁぁ……!」

猫に囲まれて幸せそうな顔の果林さん。

85名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 16:46:52 ID:dxMMWgYI
果林「やだもう可愛い〜! 何回来てもドキドキしちゃう……!」

侑「結構来るんですか?」

果林「気付いたら行きたくなってるのよねぇ、ふふ。猫ちゃん……」

侑「でも、なんで知られたくないんですか?」

果林「……朝香果林は、猫撫で声で可愛い〜なんて言わないの」

猫を抱えながらそう言う。

侑「朝香果林は、って」

果林「そういうものなの……方向音痴ってことも、バレたら面倒くさいわ」

86名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 21:27:28 ID:dxMMWgYI
果林「私は自分を隠して……それに、今さらそれを露呈させるのも、……言っちゃえば恥ずかしいし」

果林「今の私を見て憧れてくれる子もいるの。それを壊してしまうのが怖くて……」

果林「だから私は、完璧な朝香果林を演じるの」

侑「朝香さん……」

侑「猫を愛おしそうに抱きかかえながら言われても……」

果林「い、今は良いのよっ。今は!」

87名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 21:41:59 ID:dxMMWgYI
果林「とにかくそう言うことだから、この事は内密に! もし誰かに話したら……」

侑「は、話したら?」

果林「そうね……その時は、侑の誰にも話したことのない秘密を私に暴露してもらおうかしら」

侑「僕の秘密ですか……」

果林「えぇ。とびっきりのね」

88名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 23:49:10 ID:dxMMWgYI
果林「これは二人だけの秘密よ?」

☆☆☆

しばらく猫カフェで猫たちに癒された果林さん。

果林「これ、私の連絡先」

侑「え?」

果林「え? って……お互い知らないと不便でしょう?」

お互いの連絡先を交換する。

侑(……もしかして、これって結構すごいことじゃ?)

学校で果林さんの連絡先知ってる人どれだけいるんだろ……。

89名無しさん@転載は禁止:2020/12/28(月) 23:59:46 ID:dxMMWgYI
果林「じゃ、何かあったら連絡するわね」

☆☆☆

しかし、みんなの理想の朝香果林、か。

確かに学校でのあの様子を見れば、皆が皆、果林さんにはフィクションのような完璧を夢見ている、というのはあるかもしれない。

でも……。

可愛いものが好きだったり、方向音痴とか、そういうのを見てがっかりするって言うのも……違うと思う。

侑(そういうところが可愛いんじゃないのかなぁ)

90名無しさん@転載は禁止:2020/12/29(火) 00:35:27 ID:9IFouQuY
これも言ったら嫌がるんだろうけど。

そんなこんなで、私と果林さんのお出掛けの日々が始まった。

☆☆☆

果林「あら、おはよう」

侑「あ、おはようございます」

何気ない挨拶。学校で出会い、すれ違い様に軽くおはようと言っただけ。

「おい、朝香先輩になんでおはようなんて言われてんだよ」

侑「え、えーと……」

91名無しさん@転載は禁止:2020/12/29(火) 00:50:31 ID:9IFouQuY
歩夢「……」

☆☆☆

歩夢「侑くん、……次の日曜日なんだけど、ちょっと気になってる映画があって……一緒に行かない?」

侑「あ、その日は……」

歩夢「何か予定?」

侑「うん、ごめんね。また違う日で良かったら行こうよ」

歩夢「うん……そうだね」

☆☆☆

予定というのは果林さんの事だ。
歩夢には悪いけど、先約だって事で。

侑「……あれぇ」

待ち合わせの時間になってもまだ果林さんは姿を見せない。

侑(ここまで来るのに迷子? ……あ、いやもしかして……)

92名無しさん@転載は禁止:2020/12/29(火) 01:03:43 ID:9IFouQuY
☆☆☆
30分後、息を切らせて走ってくる果林さんがやってきた。

果林「ご、ごめんなさい!待たせちゃったわよね……」

侑「心配しましたよ、電話も出ないから」

果林「申し訳ないわ……その、実は」

……ちょっといじわるしてみるかな。

侑「いや、ちょっと待ってください。どうして遅れたのか、当てて見せましょう……ズバリ、寝坊しましたね!」

そう言い当てると、果林さんは雷に打たれたようにハッ、として。

果林「ど……どうしてわかったの?」

侑「エスパー、なので」

果林「えすぱぁ?」

侑「朝香さんの考えていることはお見通しです」

ちょっとここだけ見たら私の方が不思議ちゃんみたいになってるけど……。でも、果林さんはそうとは思わなかったみたいで。

果林「すごいわ、侑にそんな力があったなんて……」

侑(ん?)

果林「そんなものが使えるなら、テストだって勉強しないでも……」

侑「あ、あの、朝香さん? 嘘です、嘘」

果林「へ?」

ポカンとした顔をしたかと思えば、ほんのり頬を染めて、

果林「も、もちろんわかってるわよ、ちょっとノッてあげただけ」

……絶対に信じてたよ、これ。

93名無しさん@転載は禁止:2020/12/29(火) 01:04:10 ID:9IFouQuY
歩夢は軽率に曇らせていきます。
また明日に。

94名無しさん@転載は禁止:2020/12/29(火) 09:40:24 ID:UPYzvBo6
今回じゃなくても良いけど、歩夢が「いやぁっ…!」タックルからの押し倒しで着信音とかの邪魔が入らずそのまま…
みたいなのも見たい

95名無しさん@転載は禁止:2020/12/29(火) 19:46:45 ID:9IFouQuY
侑「……あ、それで今日は何を?」

果林「観たい映画があって……」

それは見覚えのあるタイトルだった。

侑(歩夢が観ようっていってきたやつだ)

96名無しさん@転載は禁止:2020/12/29(火) 20:06:12 ID:9IFouQuY
侑(まあでも、仕方ないよね)

歩夢と行くのなら、それはそれでいいし。

侑「恋愛系のやつですよね」

果林「泣けるって話題の、ね」

侑「確かに予告編見たとき、なんかグッと来そうだなぁって思ってました」

果林「まぁ、泣けるとは言っても所詮はフィクションよ」

☆☆☆
二時間後。

果林

97名無しさん@転載は禁止:2020/12/29(火) 20:07:36 ID:9IFouQuY
果林「うっ、ぐすっ……」

めっちゃ泣いてた。

侑「めっちゃ泣いてますね」

果林「泣いてない……」

侑「無理ある無理ある……はい、これで拭いてください」

98名無しさん@転載は禁止:2020/12/29(火) 23:32:21 ID:9IFouQuY
果林「ありがと……」

私のハンカチで涙を拭う。

果林「洗って返すわね」

侑「はい。……それにしても、結構涙脆いんですね」

果林「だって良い話じゃない。それに男の子が健気で……」

侑「これも、知られたくない一面なんですか?」

果林「そうね……なんでかは知らないけど、私、休みの日は小難しい洋画観てることになってるから……」

99名無しさん@転載は禁止:2020/12/29(火) 23:47:04 ID:9IFouQuY
果林「むしろそういうの観たら眠たくなっちゃうんだけど……」

侑「あはは、でもわかりますよ」

果林「日本人なんだから、日本語の方が伝わると思わない?」

それから他愛もない話を二人でしばらく続けた。

果林「これでお別れなのも味気ないわね。お気に入りのカフェがあるんだけど、どうかしら?」

侑「あ、ぜひ!」

☆☆☆

100名無しさん@転載は禁止:2020/12/29(火) 23:58:32 ID:9IFouQuY
☆☆☆

果林「──どう? 結構美味しいでしょ?」

侑「ほんとだ……わぁ、良い香り……」

普段紅茶飲まないけど、不思議と落ち着く。

果林「実際、紅茶にはリラックス効果もあるから、それも間違ってないわね」

侑「そうなんだ。ここには、よく来るんですか?」

果林「えぇ。……仲良くしてた友達がいたんだけど、最近母国に帰っちゃって……」

侑「母国?」

果林「スイスにね」

侑(エマさんの事かな……?)

101名無しさん@転載は禁止:2020/12/30(水) 00:47:12 ID:r9fMAGmY
果林「朝も起きられないし……」

侑「そういえば、朝も弱いんですよね」

果林「前まではその子に起こしてもらってたわ……」

侑「じゃあ今は……」

果林「なんとか気合いで起きてるわ。……問題は、ぐっすりとは眠れないことね」

侑「そうなんですね……」

果林「いっそ、侑が毎日モーニングコールでもしてくれたら助かるんだけど」

──距離感。

侑(なんか、距離感近いな……?)

いや、もしかしたらこれくらいフレンドリィで、親しみやすいのが本当の朝香果林なのかもしれない。

侑「僕はそれでも大丈夫ですけど……」

果林「え? 本当?」

侑「朝香さんがぐっすりねむれるのなら」

果林「じゃあ──お願いしちゃおうかしら」

☆☆☆

それから果林さんは、モデルの仕事関係で打ち合わせがあるらしく、今日は解散となった。

侑(モーニングコール、か)

なんだか、新しい日課が出来てしまった。

102名無しさん@転載は禁止:2020/12/30(水) 00:52:56 ID:r9fMAGmY
侑(一先ず、明日から少しだけ早起きしなきゃ……)

☆☆☆
☆☆☆

本当に。
本当に、偶然見つけてしまったの。

歩夢(侑くん……?)

侑くんと、あの人。
朝香果林さん。

駅前広場で待ち合わせをして。
遅れた果林さんに冗談を言ったりして。

二人で向かった先……。

歩夢(映画館……)

無意識に二人のあとを追っていた。
……。

歩夢(ぁ……)

侑くん……予定って……この事だったの?

103名無しさん@転載は禁止:2020/12/30(水) 00:56:14 ID:r9fMAGmY
果林さんと……二人で……。

歩夢(あ……やだ……)

チケットを購入している。
あれは、そんな、まさか。



歩夢(一緒に、観たかった映画……)

なんで?
なんで、侑くん……それ、観るの……?

私と……観る約束……したのに……。

歩夢(……)

帰ろう……。
もう……これ以上ここにいる必要……ないよ。

☆☆☆

104名無しさん@転載は禁止:2020/12/30(水) 00:59:40 ID:r9fMAGmY
☆☆☆
早朝。

侑「ふぁあ……あ……」

月曜日がやってきた。

侑「っと、いけないいけない……」

果林さんへのモーニングコール、第一回目だ。

侑「……ちゃんと出るのかな」

何度かのコール音。
ほどなくして、電波の向こうから声がした。

果林「…………はぁい」

うわっ、眠そう。

105名無しさん@転載は禁止:2020/12/30(水) 01:02:57 ID:P3iaGZaM
更新多くてうれしぃ

106名無しさん@転載は禁止:2020/12/30(水) 01:03:04 ID:r9fMAGmY
侑「あー……朝香さん、朝ですよ。起きてくださーい」

果林「うぅん……あと5分……」

侑「そんなコテコテな……でもだめです。もう朝は来てるんです。頑張って起きて」

果林「まだねむいのぉ……」

いつもの芯の通った喋り方からは遠く離れ、ふにゃふにゃと子供みたいに駄々をこねる。

侑「起きないと、みんなにこの事言いますよ」

果林「うぅ……それは困る……」

ベッドの軋む音。
どうやら立ち上がったみたいだ、

果林「うん……もう大丈夫。ありがとう」

侑「いえいえ。じゃあ、また学校で」

107名無しさん@転載は禁止:2020/12/30(水) 10:45:18 ID:r9fMAGmY
☆☆☆

侑「あ、歩夢。おはよう」

歩夢「……おはよう」

歩夢と学校へ向かう。
これももういつもの事だった。

歩夢「……ねぇ、侑くん、昨日さ……」

侑「ん?」

歩夢「……ううん、やっぱりなんでもない。ごめんね、気のせい」

侑「? そっか」

108名無しさん@転載は禁止:2020/12/30(水) 17:42:56 ID:r9fMAGmY
☆☆☆

侑「あ。朝香さんだ」

歩夢「……」


果林「あら、おはよう。今朝ぶりね」

侑「それもそうですね」

歩夢(……?)

☆☆☆

歩夢「ねぇ、今朝ぶりって……どういうこと?」

侑「あぁ……」

あ……でも内緒にしてたほうがいいよね。
これも果林さんの内面に関わることだし……。

侑「うーん……内緒!」

歩夢「えっ……」



侑「あっ、いけない、そういえば今日朝イチで課題先生に出さないといけないんだった! ちょっと行ってくる!」

歩夢「……」

歩夢(侑くん……)

109名無しさん@転載は禁止:2020/12/30(水) 23:21:23 ID:r9fMAGmY
☆☆☆

果林「……進路、ですか」

「うん。モデルの道を進むのもあるのかもしれないけど……」

果林「……」

「一応、第2、第3の志望も、ね。でも朝香さんならモデルの道を進めると思うけどね」

☆☆☆

侑「あっ、朝香さん」

果林「あら、侑……あっ、ちょうどいいわね」

侑「?」

果林「ハンカチ。返そうと思って」

侑「あぁ、ありがとうございます……ん?」

手渡されたハンカチ。
だけどこれ……私のじゃない。

侑「朝香さん、これ僕のじゃない……」

果林「えっ? ……あ、本当……これ私の」

侑「じゃあまだ朝香さんの家に? あ、それとも寮ですか?」

果林「寮ね。……たぶん机の上」

侑「まぁでも、全然急いでないし、また明日でも大丈夫ですよ」

果林「ごめんなさいね……あっ、そうだわ」

侑「?」

果林「最近の撮影で、美味しいクッキーと紅茶をもらって……」

果林「ハンカチを返すついでに御馳走するから、放課後私の部屋まで来られるかしら?」

☆☆☆

110名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 00:53:51 ID:itmEK0G2
歩夢×果林のカップリングも良いなと思いました
侑ちゃん差し置いて2人の大人な関係もアリだと思います

111名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 01:06:40 ID:f0ibcXHE
☆☆☆

放課後。
果林さんに、「少しだけ片付けるから待ってて」と言われ、部屋の前で待っている。
待っている、んだけど。

侑(なんかすっごい……ソワソワする!)

考えてみれば、皆が憧れる朝香果林さんの部屋にあがる……って、すごいことなんじゃ……。

というより異性を簡単に部屋にいれるってのも……。

侑(……いや、そのあたり。深くは考えてなさそう)

112名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 01:17:04 ID:f0ibcXHE
実際、部屋に来られる? と言われたとき、やんわりと「いいんですか、僕いっても」とは聞いてみたけど。

果林『?』

何が問題なのかわからない、という顔をしていたのを思い出す。

それから少しして、部屋のなかから果林さんが「もういいわよ」と声をかけてくれた。

侑「お、おじゃまします」

部屋は思っていたよりも綺麗で、今からのために用意したらしいテーブルにクッキーと紅茶がおかれている。

侑「朝香さん、部屋綺麗ですね」

果林「散らかってると思ってた?」

侑「うーん……まぁ、少し」

果林「私のイメージ、どうなっちゃってるのかしら……」

でも私の場合は、もう既に果林さんのことを知っているから……っていうのが大きいんだけどね。

113名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 01:35:07 ID:f0ibcXHE
果林「私も気が楽でいいけどね。……さ、どうぞ」

侑「いただきます」

クッキーと紅茶を頂く。
紅茶ってあんまり普段飲まないけど──午後ティーくらいなもんだよ(紅茶にカウントするのかわからないけど)──素直に美味しいと思えた。

香りも良くて、心がほっとする。
それに紅茶も『ホット』だしね。
なんつって。

果林「気に入ってもらえたみたいでよかったわ」

侑「とっても! ……?」

果林さんもコップを口へ運びはするが……それが減っていない。

もしかして……。

侑「朝香さん、猫舌?」

果林「へ?」

侑「いや、紅茶熱いのかな〜って」

果林「う……まぁ、ちょっと」

少し気恥ずかしいのか、目線をそらす果林さん。
その仕草が妙に可愛くて、つい。

侑「可愛いですね、そういうの」

果林「え?」

114名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 01:51:24 ID:f0ibcXHE
侑「あっ、すみませんっ、生意気言っちゃって……!」

果林「ううん違うの……ただびっくりして」

果林「綺麗とか、美人は……まぁ、言われたことはあるけど、『可愛い』は初めてだったから」

侑「嫌でした?」

果林「そんなわけないじゃない。女として、それらは褒め言葉なんだから」

115名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 01:52:15 ID:f0ibcXHE
今日はここまで。
次の子はかすみです。
また明日に、ガキ使見ながらのんびり更新します。

116名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 04:56:42 ID:g9MsvM1k
かすみん楽しみすぎるぜ

117名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 20:18:10 ID:f0ibcXHE
果林「君、面白いわね 」

侑「面白い、ですか?」

果林「好きよ、侑みたいな子」

侑「……」

これは……。

侑(ぅあ〜……今の……キく……)

118名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 20:41:28 ID:f0ibcXHE
侑「そ……そうですか」

果林「あら? 照れてるの?」

侑「まぁそりゃ……朝香さんみたいな人に言われたら」

果林「緊張する?」

侑「だって、朝香さんは綺麗だし、スタイルの維持だって頑張ってる努力家で、でもさっきみたいに可愛いところもある……」

果林「ちょ、ちょっとまって、急にどうしたのよ」

侑「いや、なんとか照れてくれないかなって」

果林「あ、じゃあ今のはお世辞だったわけ?」

侑「本音ですよ」

果林「……ふーん」

なにかを誤魔化すように髪をかきあげる。

……なんでもないような顔をしていても。
一瞬見えた耳が、真っ赤になっているのを見逃さなかった。

119名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 20:59:29 ID:f0ibcXHE
果林「……」

侑「……」

なんとなく気まずい空気。
なんだ……これ。

果林「とょころで」

侑「はい?」

果林「……んっ、ん。……ところで」

120名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 21:21:18 ID:f0ibcXHE
果林「今週は空いてる? ちょっと行きたいところがあって」

侑「あっ、はいっ、大丈夫です」

果林「動物園なんだけど……新しくできたところ」

侑「あぁ、知ってます。そこなんですね」

果林「えぇ。よろしくね」

☆☆☆

薄々わかってはいることなんだけど。

侑「デートだよね……」

日曜日、駅前。
待ちながらそんなことを考えていた。

週末に待ち合わせして、一緒に遊んで。

侑(う〜、意識するな。向こうはあくまで案内をしてもらってるだけなんだ)


果林「おはよう、待たせちゃったかしら?」

侑「いえ全然待ってないですよ! むしろちゃんと起きられて偉いです!」

果林「ふふ、本当? やったわ」

なんだこの会話。

侑「さっそく行きましょうか」

果林「えぇ、お願い」

☆☆☆

動物園までの道すがら。

「あの子すご……」

「モデルじゃん」

「いやマジでモデルだよ、あの子。見たことある」

果林さんを見て振りかえる人が多い。
それもわかる。果林さんはそりゃそうだ、すれ違ったら振り返っちゃうよ。

果林「侑? なにかソワソワしてる?」

侑「あっ、いえ……」

等の本人はこれだ。慣れているのか、それとも気付いてないのか。

121名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 21:36:38 ID:f0ibcXHE
侑(まぁ本人が良いなら良いか……)

☆☆☆

果林「──わぁぁっ、かわい〜♡」

パンダの赤ちゃんを見て心のそこから癒されている。

果林「ねぇ見てみてっ、頑張って岩を登ろうとしてる……」

でも体重が後ろにかかりすぎて、ゴロんと転がってしまう。

果林「〜〜〜っ♡」

口を押さえてぴょんぴょんと小さく跳ねる。

侑(なにそれ……可愛い……)

122名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 21:54:35 ID:f0ibcXHE
果林「可愛いわねっ侑!」

侑「うえっ、は、はい」

侑「可愛いです……」

果林「ちょっとちょっとっ、下向いててもパンダはいないわよ。ほら見て……!」

ぐっと身を寄せてしっかりパンダを見るように私に言う。

その時に感じた、いや初めて気付いた。

侑(あっ……なんか良い香り……香水……?)

くらりとした。
匂いがきつかったとかじゃない。

──色気を感じた。

侑(やばい)

忘れていたことがある。
この人は、朝香果林。

──勝手に奪われる。

侑(どうしようもなく、心を)

123名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 22:03:31 ID:f0ibcXHE
☆☆☆

果林「──あ〜っ、楽しかった! 今日はありがとう、侑」

侑「い、いえっ! こちらこそ楽しかったです!」

果林「じゃあ、また明日学校で……」

侑「あ……」

侑「あの、朝香さん……寮まで送ります」

果林「え?」

しまった、ちょっと……余計だったかな……。

侑「さ、最近はほらっ、なんか物騒だし……」

果林「……ありがと。じゃあお願いしちゃおうかしら」

124名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 22:12:10 ID:f0ibcXHE
☆☆☆

寮につくまでいろんな話をした。
今さらだけれど、好きな食べ物、好きな季節。
休みの日一人だったらなにをしてるとか、最近ハマっている事とか。

楽しかった。
果林さんのことを一つ知る度に。

果林さんのことをもっと知りたい私がいた。

果林さんに、惹かれている私がいた。

125名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 22:17:58 ID:f0ibcXHE
☆☆☆

果林「ここまでありがとう」

侑「いえ……」

果林「……」

侑「あの、朝香さん……」

果林「果林でいいわよ」

侑「え?」

126名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 22:30:05 ID:f0ibcXHE
果林「果林って呼ばれる方が好きなの。だから朝香さんはもうだめ」

侑「だ、だめって……」

果林「果林さん、って呼べる?」

侑「……」

侑「果林、さん」

果林「ふふ、良い子ね」

果林「それじゃあね、侑」

☆☆☆

果林「ふぅ……」

ベッドに倒れこむ。

果林「ちょっと意地悪しすぎたかしら……」

可愛い男の子。
本当に初めて会うタイプ。

果林「高咲侑」

彼が頭にちらついて離れない。

果林「……」

私の好みは歳上の頼りがいのある人だったはず。
でも……。

果林「あ、でも……頼りがいはあるわね」

127名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 23:36:59 ID:f0ibcXHE
果林「……」

ふと、ふわふわしたあの子を思い出す。

果林(あの子からしたら、私はおじゃまなのかしら)

……って。

お邪魔って、なによ。

果林(私は別に侑のことを、どうにかしようってわけじゃないんだから……)

果林「はぁ……」

128名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 23:49:03 ID:f0ibcXHE
☆☆☆
だけど、後日。
私と高咲侑の……いえ。

……私の、彼に対する意識が変わる。

そうそれは……明確に「事件」と呼べるあの出来事から。

☆☆☆

129名無しさん@転載は禁止:2020/12/31(木) 23:57:53 ID:f0ibcXHE
侑「──滝?」

果林「そう、いわゆるパワースポット、絶景スポットっていうやつね」

果林「でもバスで移動するし、ちょっと田舎で……」

侑「あ〜、一人じゃ無理ですね!」

果林「あ、バカにしてるわね」

130名無しさん@転載は禁止:2021/01/01(金) 00:44:38 ID:w3p0FhjI
侑「してないですしてないです!」

侑「とにかく、そこに行きたいってことでいいんですよね?」

果林「そう、お願いね」

☆☆☆

侑「いやしかし……本当に行きにくいな」

その滝の名前を聞いて、調べてみたらまぁ田舎。
これは仮にひとりでいくと言われても、行かせられない。絶対に迷う。

とりあえず今日がその日なのだけど。

侑(それにしても……暑い)

私たちがこの関係になってから、それなりの時間が過ぎていた。
季節は、夏。

☆☆☆

果林さんと合流して、まずは他県へ。

131名無しさん@転載は禁止:2021/01/01(金) 00:45:15 ID:w3p0FhjI
あけましておめでとうございます。
また明日に。

132名無しさん@転載は禁止:2021/01/01(金) 11:40:57 ID:iRSbr7U2
いいゾォ
今回の雰囲気が好き

133名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 00:16:54 ID:DZ7vMSVY
侑「すごく有名、っていうわけではないんですね」

果林「そうね。私も人から教えてもらって知った場所だから」

果林「……あ、あれじゃない?」

バスを待っていてしばらく。

侑「ぼくたちだけですね」

果林「まぁ気楽で良いわね。お喋りしてても問題なくて」

134名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 00:30:34 ID:DZ7vMSVY
ノスタルジックな空気が心地よかった。
喧騒から離れて静かなところへ行くのも、ある種の気分転換になるのかもしれない。

果林「でも、出掛けてる場合か〜って、ちょっと小言言われたのよね」

侑「そうなんですか?」

果林「私も受験生よ? 夏なんて受験勉強の真っ只中よ」

侑「あ、そっか……」

果林「勉強できないんだから、必死になれって言われるけど……」

侑「……読者モデルから、本当にモデルにならないかって話は」

果林「そうねぇ……迷うところでは、あるけど」

侑「受けた方がいいんじゃないですか? だってすごいじゃないですか! 芸能人みたいなものですよ!」

果林「それはそうかもしれないし、私の人生が大きく変わるポイントでもあるけど……でもそうしたら……」

侑「?」

135名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 00:38:37 ID:DZ7vMSVY
果林「侑と──」

その時だった。

侑「あれ……なんか、バス、どんどん左によってません?」

果林「え?」

ふらふらとバスが蛇行している。
なんで……。

侑「……あれ?! 運転手さん!?」

運転席をみると、運転手のおじさんがハンドルに倒れかかっていた。

136名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 00:43:57 ID:DZ7vMSVY
それに気付いたときにはもう遅かった。
山中の道路、ガードレールを飛び越え──

侑「あっ──」

まずい──

果林さん……!

侑「果林さんッ!!」

☆☆☆
☆☆☆
☆☆☆

137名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 00:54:44 ID:DZ7vMSVY
バスは傾斜を転がり落ちた。
一つだけ幸いだったとしたら、底までの高さがそれほどではなかったこと。
とはいえ新聞やニュースになるほどの騒ぎになった。

☆☆☆

果林「ぅ……あれ……」

侑「か、果林さん……大丈夫ですか?」

自分が生きていることが不思議だった。
でも生きている、侑の腕の中にいることが、それを実感させた。

果林「ゆ、侑、あなた……」

侑「良かった……果林さん、怪我、ない?」

果林「自分の心配をして! 腕が……!」

侑の右腕があらぬ方向を向いている。

侑「こんな状況なら、骨折で済んでるならばんばんざい……」

果林「バカ言わないで!」

私のせいで……!

138名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 00:57:16 ID:DZ7vMSVY
侑「……ごめんなさい」

侑「……運転手さんは」

侑に言われて確認すると……。

果林「……」

……もう駄目だと、一目でわかった。

侑「とにかく今は……救助がくるのを待つしかないですね……」

139名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 01:03:21 ID:DZ7vMSVY
☆☆☆

バスから離れた方がいいだろうと、私は果林さんと共に少し歩き、木に背を預ける。

侑「はぁ……はぁッ……」

右腕が痛む。
脂汗が滲む、悪寒が止まらない。
骨折なんて初めてだし、すぐに病院に行けず放置している状況がそれを加速させる。

果林「……」

侑「……果林さん?」

泣いていた。
果林さんが、涙をボロボロと溢して。

140名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 01:08:34 ID:DZ7vMSVY
侑「果林さ……」

果林「ごめんなさい……」

果林さんは言葉を続ける。

果林「私が誘わなかったら、こんなことには……侑も怪我なんかしなかったのに……」

果林「でも……私自分勝手ね……それなのに、『無事に帰れるのか』って不安になって……!」

……果林さんだって高校三年生。
オトナびていても……大人じゃない。

☆☆☆

果林「ごめんなさい、侑……」

いろんな感情が心をよぎる。
溜めきれないのか、それが溢れて涙へ変わる。

果林「ごめ……」

肩を抱き寄せられた。
左腕で。

果林「ふぇ……」

侑「大丈夫……大丈夫だから」

侑「絶対になんとかなる。だから……泣かないで、果林さん」

果林「……」

141名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 01:11:17 ID:DZ7vMSVY
☆☆☆

こんな時に。
私は何を考えているの。
馬鹿じゃないの。

果林(あ……)

胸が締め付けられた。
怖いとかじゃない。
不安でもない。

侑がいてくれることに、喜びを覚えた。

142名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 05:18:33 ID:VHr8MTiw
おぉう…

143名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 10:37:53 ID:SVuKhxW2
グリザイア始まったな

144名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 16:46:15 ID:uMh6eWbs
まーた始まったか

145名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 18:47:10 ID:DZ7vMSVY
果林「……」

☆☆☆
バス転落から数時間経ち、想定していたよりも早く、あっけなく私たちは救助された。

それからしばらくしてからの状況。

テレビ局からの質問攻め、学校でも心配されて……。
でもそれより……。

146名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 22:22:24 ID:DZ7vMSVY
果林「何がいいかしら……」

事故のあと、お互いいろんなことに追われてまだ顔を合わせていない。

お見舞い……とも違うけど、それとは別に。

果林(助けてくれたし……お礼をね)

侑が体をはって私を庇ってくれたから、怪我もなくて……。

果林「よし、これにしよっと」

喜んでくれるかしら。

147名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 22:23:41 ID:DZ7vMSVY
果林「さて……あら」





歩夢「……」

148名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 22:39:42 ID:DZ7vMSVY
果林「確か……」

歩夢「歩夢です。上原歩夢……」

知っている。
侑の幼馴染みで、侑に好意を寄せている……。

歩夢「どこに行く気ですか」

果林「……お詫びと、お礼の意味を込めて、お菓子をね」

歩夢「……それなら私が渡しておきます。それ、下さい」

果林「大丈夫よ、ちゃんと自分で渡すわ」

歩夢「……」

歩夢「ごめんなさい……」

果林「?」

歩夢「今から言うことは、全部私の個人的な事です……でも、もう言わないと私が持たないんです!」

果林「……というと?」



歩夢「もう……侑くんと仲良くしないでください……」

149名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 22:49:45 ID:DZ7vMSVY
果林「……どうして?」

歩夢「っ……」

果林(わかりやすい子……)

嫉妬だということは、誰が見たって簡単にわかる。
それをたまらず言葉にしてしまう事が悪いとは言いにくい。

だけど……。

果林「……あの子は、あなただけの男の子じゃないの」

果林「あなた、侑の事が好きなんでしょう?」

歩夢「……!」

果林「わかるわよ、とっても分かりやすいもの」

150名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 23:01:29 ID:DZ7vMSVY
歩夢「……だったら」

果林「えぇ。会ったりなんかしないと思う。あなたのためを思ってね」

歩夢「じゃあ……!」


果林「でも、ごめんなさい」

歩夢「え……」

果林「私自身もまだわからないけど……私の中に、彼に対する『特別な感情』があるのは確かよ」

果林「でもそれがなんなのかは……まだわからないけど」

果林「……今、考えてみたの」

151名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 23:08:01 ID:DZ7vMSVY
歩夢「な、なにをですか」

果林「……もしも侑とあなたが恋人になったら、って」

果林「ちょっと嫌だった」

歩夢「……!」

果林「私の事を嫌うなら、それはそれでいいわ」

果林「でも、行動を起こして侑をどうするかは──」

歩夢「……せいなのに」

果林「え?」



歩夢「侑くんが怪我したのはあなたのせいなのに……!」

152名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 23:12:59 ID:DZ7vMSVY
果林「ぁ……」

歩夢「あなたが侑くんを誘わなかったらっ、あんな事故に巻き込まれることもっ、侑くんが怪我することもなかったのにっ……!」

歩夢「なのにっ、それなのに……!」

果林「……」



歩夢「侑くんは──私のなんだからぁ!!」

☆☆☆

歩夢はそう叫んで走り去った。

果林「……」

……実際。
侑がそのことについて、どう思っているか分からない。

もしかしたら私の事を恨んでいるのかもしれない。

果林「わかってるわよ……」

私が……私のせいで……。

☆☆☆

153名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 23:29:12 ID:DZ7vMSVY
☆☆☆

歩夢「──侑くん、はい、あーん♪」

侑「だ、大丈夫だよ歩夢、自分で食べられるよ」

歩夢「怪我してるんだから、甘えて良いんだよ! はい!」

侑「んむぐ……」

侑(なんか歩夢、めっちゃお世話焼いてくる)

利き腕が骨折しているから、確かに困ることはあるけど。

侑(果林さん、最近会わないな……)

154名無しさん@転載は禁止:2021/01/02(土) 23:51:30 ID:YEuU7fnY
続き頼むよ
期待してる

155名無しさん@転載は禁止:2021/01/03(日) 00:08:31 ID:ZY6yNbLI
侑(会いたいな……)

歩夢「……」

☆☆☆

侑(LINEも既読つかないなぁ)

少し前までなら、割りと早めに返事も来ていたのに。

侑(なにか忙しいのかな……)

歩夢「……ねぇ侑くん、腕の調子はどう?」

侑「ん、特に痛くもないし、大丈夫だよ」

私の部屋には歩夢がいる。
もう、あれやこれやとお手伝いをしてくれる。

侑(トイレにまでついてきそうになったときは止めたけど)

156名無しさん@転載は禁止:2021/01/03(日) 02:07:16 ID:ZY6yNbLI
歩夢「よいしょ……ねぇ、侑くん」

侑「ん?」

歩夢「侑くんって……朝香さんの事どう思ってる?」

侑「……果林さんを?」

歩夢「……っ。そうだよ」

侑「う〜ん……」

侑「……」

侑「……わかんないけど、仲良くしたいかな」

歩夢「……もし、私が」

歩夢「もし私が、それを嫌だっていったら……?」

侑「……? 歩夢、何の話を──」




歩夢「私、侑くんの事が好き……」

157名無しさん@転載は禁止:2021/01/03(日) 11:56:48 ID:fK86hvgI
いい所で止めるね

158名無しさん@転載は禁止:2021/01/03(日) 12:06:40 ID:IocNds9M
普通にゆうかりしといてくれ・・・

159名無しさん@転載は禁止:2021/01/03(日) 12:06:59 ID:IocNds9M
普通にゆうかりしといてくれ・・・

160名無しさん@転載は禁止:2021/01/03(日) 12:15:25 ID:x0vTiGI.
正直歩夢ちゃん最高だわ
最後のカタルシスのためにも軽率に曇らせていけ

161名無しさん@転載は禁止:2021/01/03(日) 22:49:42 ID:ZY6yNbLI
侑「ぇっ」

歩夢「男の子として、好き」

侑「……」

歩夢「侑くんは、私の事……どう思う?」

侑「……」

歩夢「私と付き合ってほしいの……」

歩夢の顔がすぐそばに。
匂いがする。
この子の匂いが。

あの人と、違う。

近付いてくる。
ゆっくりと、唇が。

これを受け入れたら、きっと私達は今日から恋人になるんだろう。
歩夢となら楽しいと思う。
受け入れてもいいのかもしれない。
だけど──


『好きよ、侑みたいな子』

侑「──」

162名無しさん@転載は禁止:2021/01/03(日) 23:01:45 ID:ZY6yNbLI
歩夢の唇が触れた。

私の手のひらに。

歩夢「……」

侑「……」

歩夢「だめ、かぁ……」

侑「ごめん」

歩夢「ううん、いいの」

歩夢「……でも悔しいな。……侑くん、あの人のこと、好き?」

侑「……」

侑「まだ言葉には出来ない。だけど、頭に過ったんだ」

侑「──果林さんの顔が」

163名無しさん@転載は禁止:2021/01/03(日) 23:04:10 ID:ZY6yNbLI
歩夢「……そっか」

侑「会いたいんだ」

侑「そう想うこの気持ちが、そういう事なんだって言うなら」



侑「僕は、果林さんの事が好きなんだ」

164名無しさん@転載は禁止:2021/01/03(日) 23:35:30 ID:ZY6yNbLI
歩夢「……」

歩夢「……だったら、行かなきゃ」

歩夢「待ってるよ、きっと」

声が震えていた。
どうしたの、とは……訊いちゃいけない。

侑「……うん」

☆☆☆

果林「……」

届いたLINEを見る。
届いた瞬間に確認して、既読をつけずに。

どれも侑からの。

果林「……」

果林「はぁ……」

コーヒーの入ったカップに手をつけようとしたとき。
目の前の席に、座る人物。

果林「……え」


侑「一人で来られるようになったんですね、果林さん」

果林「……なんで」

侑「ここかな、って思って。そうしたら果林さんが物憂げな顔で携帯見てたから」

165名無しさん@転載は禁止:2021/01/03(日) 23:38:24 ID:e6ZavKIU
切ない…早くしあわせな歩夢がみてぇよ

166名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 00:48:50 ID:B3PCMveI
あっ
良い
良い……

167名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 01:06:50 ID:Ztk1/Odg
果林「そう、なの……」

視線が一瞬、私の右腕に向く。

侑「最近あんまり会ってなかったから、つい探しちゃいました」

果林「……」

侑「……」

侑「もしかして、腕の事。自分のせいだなんて思ってます?」

果林「……」

侑「もしもそうだったら、そんな事はないです。あれは、『事故』なんです」

侑「果林さんのせいだっていう人がいるなら、僕がその人を許さない」

果林「侑……」

168名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 01:23:12 ID:Ztk1/Odg
果林「……違うの」

果林「誰かに言われなくても……私が気にするの」

果林「する必要のない怪我をさせて、侑が私の事を恨んでたらどうしよう、とか、嫌われてたらどうしようとか……そもそも私が……」

侑「うん、うん」

果林さんはもう泣き出していた。
止めることはしない。
吐き出すだけ、吐き出させてあげよう。

果林「私がっ、出掛けるときに着いてきてなんて言い出さなかったら、こんなことには……!」

侑「違うよ」

果林「ぇ……?」

侑「……果林さんがあの時、僕の事を呼んでくれなかったら」

侑「僕たちは仲良くなれなかったし、一緒に遊びに行くこともなかった」


侑「僕はそんなのは、嫌です」

169名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 01:38:25 ID:Ztk1/Odg
果林「っ、侑……」

ハンカチを差し出す。
あのときと同じ物だ。

果林「ありがとう……」

侑「今度は、ちゃんと忘れないで下さいね」

涙を拭き取る果林さん。

果林「……侑は、優しいのね」

侑「そうですかね?」

果林「あの子も……あなたのそう言うところが好きなのかもね」

侑「あの子……歩夢のことですか?」

170名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 01:42:53 ID:Ztk1/Odg
果林「うん。……宣戦布告されちゃって」

侑「……なるほど。でも、それならもう解決しましたよ」

果林「そうなの?」

私は何でもないことのように言い放つ。


侑「僕は、果林さんの事が好きですから」

171名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 02:28:03 ID:Ztk1/Odg
果林「へ……へぇっ!?」

めちゃめちゃ動揺している。

果林「えっ、っと、それは……あっ! 人としてね! それならそうと……」

侑「あ、女性として好きです」

果林「えええっ!?」

口がへにゃへにゃと波打っている。
めちゃめちゃどころか、はちゃめちゃスーパーに動揺している。

果林「なっ、なんでっいつから……ていうかなんでそんなに堂々としてるのよぉ……!」

侑「んー……なんか僕、いま開き直ってますね! 好きなものは好きなんだから仕方ないです!」

果林「うぅ……」

顔を隠しているが、隠せていない耳まで真っ赤だ。

果林「……私のこと、好きなの?」

侑「はい」

果林「……付き合いたいって、こと?」

侑「もちろん」

172名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 02:30:11 ID:Ztk1/Odg
果林「……」

侑「駄目、ですか?」

果林「だ、だめって言うか……その……いろいろたくさんありすぎて……私も動揺してるっていうか……」

果林「い、一回待ってほしいの。付き合うかどうかは……」

173名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 02:30:38 ID:Ztk1/Odg
続きは昼。
甘えん坊果林さん突入。

174名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 03:58:43 ID:yUmny7cs
いいねぇいいねぇ…

175名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 15:35:11 ID:Ztk1/Odg
☆☆☆

果林「はぁ……」

あの後、一先ず解散をした私達。
けれど私の体の火照りは未だに収まらない。

果林「……」

もっと素直になればいいのに。

果林「だって、返事の仕方とか……知らない」

本当の意味での、だ。

果林「私だって……」

きっと好き。
もうわかっている。
私が侑のことを……。

176名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 16:00:30 ID:Ztk1/Odg
でも恥ずかしいの!
じぶんの想いを伝えることが……こんなにドキドキして、無理が張り裂けそうで。

……両想いなんだから、こんなに悩む必要はないはずなんだけど。

果林「付き合う、かぁ……」

どんなことをするの。
デートしたり、キスしたり、その先だって……。

果林「……」

想像しただけでまた顔が熱くなる。

果林「ま、まぁ……明日、明日会えばぜんぶ……」

明日……明日に……。

果林「……」

無理!

177名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 21:09:13 ID:Ztk1/Odg
果林「……」

侑『……はい、もしもし?』

果林「あっ、あのっ、侑わたちっ」

噛んだ。

果林「〜〜〜!」

侑『か、果林さん?』

果林「なんでもない……ふぅ……」

果林「さっきの……話なんだけど」

果林「その……私も……」

侑『……』


果林「侑のこと……好き……」

言葉が段々小さくなる。

178名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 21:17:28 ID:Ztk1/Odg
電話越しで本当に良かった。
面と向かってなんか言えない。

侑『……じゃあ』

果林「私こそ……付き合ってほしい……」

侑『……』

侑からの返事がない。
と思っていたら。


侑『やったぁ〜〜〜!!!』

すごい喜んでくれた。

179名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 21:20:01 ID:Ztk1/Odg
侑『じゃあ今度っ、デートしましょ、デート!』

果林「も、もう……」

でも私もそうしたかった。
もう一つ、話したいことが、あったから。

180名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 21:20:15 ID:Ztk1/Odg
侑『じゃあ今度っ、デートしましょ、デート!』

果林「も、もう……」

でも私もそうしたかった。
もう一つ、話したいことが、あったから。

181名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 23:47:28 ID:ako0yWnM
噛むネタ、前もやってなかった…?

182名無しさん@転載は禁止:2021/01/04(月) 23:50:49 ID:Ztk1/Odg
果林「……ねぇ、侑」

侑『はい?』

果林「……今さらだけど、私……あなたに会えて良かった」

果林「こんな私を……受け入れてくれて」

侑『「そんな」果林さんだから、好きなんです』

果林「っ! もう……!」

歯が浮く言葉を簡単に言う。
そんなことで簡単に浮かれてしまう。

183名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 00:06:08 ID:sHrcmbXA
果林「……じゃあ、また明日」

侑『はい! また学校で!』

☆☆☆

朝がきた。
いつもよりちょっと不思議な気持ちの朝。

学校に行けば、あの子に会える。
今度は、付き合いだした恋人として。

もう可愛い後輩だけじゃない……。

果林(いえ、ここは先輩として緩むのもなんだか悔しいわね。きりっと……)



侑「あっ、果林さん!」

果林「っ!」

校門付近で侑と出会った。
冷静に、冷静に……。

果林「お、おはよう……」

目が合わせられない。
威厳が……(あるのかしら?)。

侑「おはようございます!」

ぺかっー、とか。
にかっー、とか。

そんな風に、もう音が聴こえてくる。
あんまりにも純度の高い笑顔が、私に向けられている。

果林(やだ、可愛いこの子……)

184名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 02:11:28 ID:sHrcmbXA
でも、ここは深呼吸をして。

果林「……侑、学校が終わったら、二人になれない?」

侑「二人に……ですか」

果林「話しておきたいことがあるの」

☆☆☆

放課後、侑の自宅で私はその話を切り出す。

侑「……モデル、本当に?」

果林「えぇ。……しかも結構有名な事務所だから、危ない話もないわ」

言ってしまえばスカウトだった。

侑「すごいじゃないですか!」

果林「うん、すごいの……でも」

果林「もし……その活動を続けるってなると」

果林「デート、とか。そういう……恋人らしいことが出来なくなるかもしれなくて……」

モデルなのに、恋愛NGというのもおかしな話だとはさすがの私でも思った。
だけど規則は規則らしい……。

果林「……侑は、どう思う?」

侑「……」

侑「本音を言えば、ちょっぴり嫌です。これから恋人らしいこと、たくさんしたかったから」

侑「でも、果林さんがその道を進みたい気持ちがあるなら、絶対にそれを優先するべきだと思います……というより」

侑「果林さんが、やりたいことをやりたいようにするのが、一番です」

果林「私の、やりたいこと……」

185名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 02:20:59 ID:sHrcmbXA
果林「……やっぱり、自分がどこまで行けるのか、試してみたい」

果林「だから……やる」

侑「……頑張ってください、果林さん」


果林「……その、だから」

侑「?」

果林「私はまだ、その縛りにはないから……いまなら、何しても問題はなくて……」

☆☆☆

果林さんの言葉に、私は意味は問わない。

侑「……」

果林「……」

黙って、口づけ。
果林さんもそれを受け入れた。

果林「ん……」

侑「っ……」

果林「……想像と違った」

侑「……どうでした?」

果林「……わからないから、もう一回」

今度は果林さんからの方からキス。
ベッドが僅かにギシりと軋む。

侑「……わかりました?」

果林さんは──



果林「全然わからないから……もっと……」

186名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 02:26:33 ID:sHrcmbXA
指を絡み合わせる。
唇と唇から漏れる息が酸素みたいで。

それが充満するこの部屋だけが、私たちの世界だ。

果林「抱き締めて……」

言われた通り、私は果林さんを強く抱き締める。
そのままキスをする。
果林さんの両腕も私の背に回っている。
お互いが決して離さないと言わんばかりに。

果林「はぁっ、はぁ……」

侑(いや……無理……)

──果林さんを、ベッドに押し倒す。

187名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 02:38:18 ID:sHrcmbXA
果林「あっ……」

侑「……」

潤んだ瞳と、火照り上がった身体と顔。

侑「……」

果林「……」

果林さんの両手が私の顔を包む。
そしてそのまま自分の唇へ引き込む。

またキスをしてから、果林さんは目をそらしながら言った。

果林「私……初めてだから……その、なにもわからないけど……」

侑「僕もです……でも……」

私たちの気持ちは一緒だった。

侑「頑張ります……」

♡♡♡

お互いなにもわからないから。
ムードとかもすっ飛ばして、とりあえずお互い全裸になることに。
というよりも、本当に順序がわからなかったから。

そういうことを……セックスをするときは裸になるんじゃ? という考えから今に至った。

侑「すごい綺麗です、果林さん……」

果林「あ、あんまりじろじろ見ないで……恥ずかしいから……!」

裸でベッドに横たわる果林さん。
胸と大事なところを手で隠していて、本当に恥ずかしがっているのがわかる。

そんなのをみて、興奮しないのは失礼だと思えた。
実際。

果林「わ、わ……そんなに……なる、のね……」

穴が開くんじゃないかってくらい、私の勃起したそれを見ている。その視線がまたくるものがある。

188名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 02:40:06 ID:sHrcmbXA
続きは明日に。
一応ですが、ランジュとミアはキャラがよくわからないんで多分やりません。

189名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 03:27:01 ID:QfYuwBJs
きたー!!!

190名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 10:19:08 ID:tcpXfZtk
過去のにこ、ダイヤ、理亞とかの見るに、ツンデレ書く適性ありそうだし栞子はやって欲しいな

191名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 11:25:17 ID:NPVOcpZw
お忍び路線いいね
ドキドキしちゃう!

192名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 14:49:27 ID:sHrcmbXA
侑「果林さん見てて、こうならないわけないですから……」

キスをするときに、肌と肌が触れる。
胸があたる。
こんなに、柔らかいものだったっけ、と感動さえした。

侑「っ、果林さん、ここ座って……」

あぐらをかいて、その上に乗ってもらう。
対面座位っていわれる体勢になるのかな(まだ挿入してないけど)

果林「ん……」

侑「んふ……」

密着度が桁違いだ。
おっぱいはむにゅっとなってるし、私のちんちんは果林さんのお腹に押し付けて……。

侑(もう既に気持ちいい……)

果林さんの体温が心地よい。

侑(……)

果林「ぁっ……」

おしりを触る。
果林さんのお尻は、大きい。

大きいよ。すごく大事なこと。
果林さんのおしりは。

大きい。

193名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 15:16:04 ID:sHrcmbXA
果林「っ、……ぅ……」

侑(おしりも良い。だけど……)

というか全部すごい。
おっぱいだってめっちゃおおきい……。

侑「おっぱい触っていいですか……?」

果林「う、うん……」

両手で持ち上げる。
……。

侑(やわらっか〜い……)

形も綺麗でちくびも綺麗で……。
何から何まで綺麗だ……。

侑「んちゅ……」

果林「あっ……!」

ちくびに吸い付く。
舌先で弧を描くようにして、乳首を舐める。

果林「ぁっ、はぁ、あ……!」

ちゅぅ〜……と音が響く。口を離すと、乳首がぴんっと勃っていた。

侑「は、はは……ぁあやば……興奮止まんないです……」

果林「も、もう……仕返し……!」

今度は果林さんに押し倒される。
そして仕返しというのは、乳首に対してだった。

果林「ん……」

ちゅうちゅうと乳首を吸われる。
初めての快感だ……変な声が出そうになる。

194名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 15:27:22 ID:sHrcmbXA
☆☆☆

果林(っ、やだ……お腹に当たってるの……ぴくぴくしてる……)

吸う度に反応する、侑のソレ。

侑「あっ、あっぁ、あ……」

今触ったら……どうなるんだろう。
恐る恐る、熱気を持ってそそり立つモノを握る。

195名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 18:33:25 ID:sHrcmbXA
侑「ぅ……」

果林「熱い……すごい硬い……」

果林「なんか、透明なのでてるけど……」

ネバネバしてて、それが潤滑油みたいになって……手コキ、っていうのがやりやすい。

果林「これって、痛くないの?」

侑「いや、むしろ……」

果林「そう……」

こんなに硬くして……
そんなに……私に……?

侑「か、果林さん……まって……」

196名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 21:10:34 ID:Kbk0RRVc
続きはよ!!!

197名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 22:39:59 ID:sHrcmbXA
果林「あっ、ごめんなさい、何か嫌だった……?」

侑「いやむしろ最高です……でも、続けたら出ちゃいそうだったんで……」

果林「で、出ちゃいそう……」

それって射精のことよね……。

果林(私の手で気持ちよくなってくれてたんだ……)

侑「次は僕が……」

☆☆☆

果林「や、やだっ、侑ぅっ、これ恥ずかしい……!」

侑「大丈夫です、果林さんのココ、すごく綺麗ですから……」

股を開かせる。
アンダーヘアもしっかり整えられている。
果林さんらしいな、と思う。だけど私の意識は──

侑(果林さんにも、生えるよね……下の毛……)

それはとても当たり前のことなのに、私の心は騒ぐ。

侑「んふ……」

果林「ひあっ……!?」

下の口にキス。
果林さんはそれだけで可愛い声を出してくれる。
鼻先に果林さんの陰毛が擦れる。

侑(あ、やば……)

というか。

侑(あ〜〜〜……)

くっさー……。

侑(でもたまらん……なんだこれ……)

そういえばお互いシャワーも浴びてない……だからかも。

侑(すごいおしっこの臭い……)

198名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 22:51:41 ID:NaEbJIX6
よわよわ果林さん、まじかわいい、

199名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 22:51:49 ID:sHrcmbXA
それに気付いたのか、果林さんも慌てて。

果林「ま、まって今絶対そこっ、汚いからぁっ……!」

侑「大丈夫、果林さんのなら……」

構わずクンニを続ける。
一通り満足──私がだ──したあとは。

侑「手でしてもらったから、僕も……」

中指を入れていく。

果林「ひっ……!」

異物の侵入に声が漏れている。

侑「果林さん、中すごいとろっとろですよ。あったくてきもちいい……」

果林「い、言わないで……」

侑「もう一本いけそ……」

薬指も入れていく。
圧迫感が増して、さらにぎゅうぎゅうと指が締め付けられる。

果林「はぁぅ……!」

200名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 23:08:41 ID:sHrcmbXA
あとはもう、果林さんが気持ちよくなってくれるところを刺激する。

果林(こ、れ……自分でするのと全然ちがうぅう……!)

侑「ここも……」

親指でクリトリスを軽く押さえる。
それだけでも果林さんは絶頂へと近付いていく。

果林(やだっ、イくっ、イッちゃう……!)

☆☆☆

私は……気持ちよくなる瞬間の顔を見られたくなかった。
そんな恥ずかしい瞬間の顔なんて、見せたくなかった。
だから顔を手で隠した。
のだけど……。

侑「だめ、見せて……」

果林「ああっ……?!」

片手で、私の両腕を押さえられた。

侑「果林さんがイくとこ、ちゃんと見せて……?」

侑の顔が、こんなに目の前に──

果林「やっ、あっ、ぁっぁ……!!」

イッ──

果林「ぅぅぅ〜〜〜っ……!!」

涙が溢れた。
気持ちよくて、涙が。
その瞬間も、侑に全て見られた。

いや、違うのかも……。

侑にだけ見せる……私の姿。

果林「はぁっ、はぁ、ぁ……」

侑「わぁ、見て果林さん。僕の手こんなになっちゃった」

私の体から出たであろう粘膜の液。
それは侑の手のひらを水浸しにしていた。

果林(私、あんなに……)

侑「はは、は……」

果林「……」

おそらく、前戯は終わった。
だとしたら?
この後は……。

☆☆☆

201名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 23:13:40 ID:sHrcmbXA
すぐにセックスがしたかった。
だけど……。

侑「ぁ……すみません、コンドーム、ないです……」

事前の準備が出来ていなかった。
ここまでしておいて、……とは思う。だけどやっぱり、いや果林さんの事を考えるならば、避妊は絶対するべきだ。

侑「こ、今回はここまでで……」

果林「嫌……」

侑「え……」

果林「ちゃんと……最後まで……」

侑「で、でも生はさすがに……」

果林「……」

果林「これから……もしかしたら、二人きりで会うこともそうそう出来ないかもしれない」

果林「ましてや、二人で同じ部屋にはいって、エッチなんてもっと出来ないかもしれない……」

果林「……侑との、想い出……いま、ほしいの」

侑「ぁ……か、果林さん……」

202名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 23:23:28 ID:sHrcmbXA
果林「……ね? お願い」

☆☆☆
一旦中断して、コンドームを買いにいけばなんの問題もないだろって?

うるさいな、そういうことじゃないんだよ!
私たちは、今すぐ!したいんだ!


だいたい、そこまで言われて嫌だなんて言えるわけない。

侑「いれ、ますよ」

果林「うん……」

指で感じていた、あのトロトロが、ダイレクトに伝わる。
肉塊を掻き分けていく、この感じ。

侑「あっ、ふぅ、あ……」

息が漏れる。
やばい。
気持ちよすぎる。

果林さんは……。

果林「ぁ、っ、ん……」

また、涙を流していた。
痛かった、のかな……?

侑「だ、大丈夫ですか?」

果林「うん、平気よ……嬉しいの」



果林「侑と繋がれたことが……すごく嬉しいから……」

涙の笑顔。

侑「果林さん……」

果林「侑……」

どちらからともなく、キスをした。
……お互いを求めあう、交わり。

203名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 23:32:04 ID:sHrcmbXA
もう私たちは止まらない。

侑「うっ、ふっ、うぐ……!」

射精に耐える。
絶対に果林さんをイカせる。それまでは耐える。
気持ちよくなってもらうんだ。

果林「はぁっ、ぁぅ、ぁぁつ……!」

侑「っ、果林っ、果林……!」

果林「〜〜〜っ!!」

侑「好きだよ、愛してる……」

☆☆☆

あっ、ぁ、ぁぁっ……!!

侑「好きだよ、愛してる……」

耳から伝わるそれは、脳へ。そして下腹部へと。

果林(〜〜〜だ、めぇ……っ♡)

そんなこと言われたら……!

果林「私もっ、すきぃ……♡」

204名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 23:41:01 ID:sHrcmbXA
侑(ぅっっ……やばいっ、もう……!)

侑「っ果林、もう……でる……!」

果林「やだっ、まだ抜かないでぇ……!」

☆☆☆

そう言うと、果林さんは私の腰に足をクロスさせてがっしりとつかんで離さない。

侑(っ!?)

侑「かっ、果林さんっ!! まっっ、うっぅ、やばっ、やばいって、マジでっっ、で、でっっ、ぐっぅ……!!」

奥歯が割れるんじゃないかってくらい歯を食いしばって、お尻が一つになるんじゃないかってくらい力いれて射精をこらえる。

でも……。

果林「侑の……証……ちょうだい……」

侑(ぁ……)


もう、いいよね。
こんなに愛されてるんだ……。

侑「ぅ、ぅぁあぁあっ〜っ……!」

びゅぼっ!!なんて、エッチな漫画ならそんな擬音が書かれていた。

中で果ててしまった。
一滴残らず、全てを果林さんの中で、吐き出した。

果林「はぁっ、はぁ、ぁは……」

侑「はぁっはぁ、っあ……かはっ……」

果林「……侑」

侑「は、はい……」

果林「好きよ……」

侑「……僕もです」

キス……。
次、いつできるか、わからないキスを……。

私たちは、いつまでも……。

☆☆☆

205名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 23:44:07 ID:.sUX9sXU


206名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 23:45:00 ID:sHrcmbXA
https://youtu.be/TQ8WlA2GXbk

Pretender

Official髭男dism

207名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 23:48:49 ID:sHrcmbXA
☆☆☆
☆☆☆

それからしばらくして、果林さんは卒業した。
私は三年生になり、環境はかわった。

果林さんはほんとうにモデルになって、その人気もありテレビ出演なんかもしている。

もうすっかり芸能人だ。

……そして、私たちは、あの日以来。

個人的な理由では、会えていない。
果林さんが多忙であることも理由のひとつだけど。

いつどこで誰が見ているかわからないから、二人で出会うのはまずい、と。

果林さんも電話越しで「アイドルじゃないんだから、なにがだめなのかしら……」とぼやいていた。

208名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 23:51:02 ID:sHrcmbXA
確かにそれは同感。
でもたまに思うことがある。

侑(モデルの道を選ばなければ、今頃……)

もっとデートして。
もっとキスをして。
もっと夜を越えて。

侑「ばか、なに考えてるんだ……」

それは果林さんの決断を否定することになる。
わたしが応援しないで、どうする。

209名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 23:54:18 ID:sHrcmbXA
侑(今は、陰ながらの応援をするんだ)

いつか、二人でまた会うために。

☆☆☆
☆☆☆
☆☆☆

私たちにとっては、あまりにも永い時間に思えた。
三年だ。

210名無しさん@転載は禁止:2021/01/05(火) 23:55:01 ID:sHrcmbXA
今回はここまで。
シリアスなんてありません。
また明日に。

211名無しさん@転載は禁止:2021/01/06(水) 05:10:50 ID:/P4T6oUY
えっちで甘えん坊な果林さん良い…

212名無しさん@転載は禁止:2021/01/06(水) 23:51:43 ID:IHLaRrGg
今日は、久しぶりに会えるんだ。

侑(あ〜、緊張する……)

姿は、いつもテレビで見ている。
もっと綺麗になっていく、あの人の姿を。

──どうして三年経った今、会おうとしたのか。

良く言えば、ここらが切り替えるタイミングだと。

悪く言えば、もう我慢できなかった。

213名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 00:09:46 ID:g1n5whsw
侑(……でも、明日にはもう公表するって言ってたな)

朝香果林には交際している一般男性がいると。

侑(一般男性……って紹介される日が来るとは思ってなかったな)

そんなことを思っていると。


果林「──侑」

侑「ぁっ……!」

振りかえる。
その声の姿を、はやく見たかった。

侑「あ……」

果林「……久しぶり」

綺麗だ。
ほんとうに。

侑「……果林さん」

果林「もう、なによぽっーとしちゃって」

214名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 00:14:41 ID:g1n5whsw
侑「いえ……感動してたんです」

果林「再会に?」

侑「もちろんそれも。でも、こんなに綺麗な人が僕の彼女なんだ、って」

果林「もう……そういうところ、全然変わってない」

果林「……行きましょ? 今日は、私がリードするんだから」

☆☆☆

果林さんに、いろんなところへ連れていってもらった。
果林さんが、私が案内しなくても目的地に着けることに少しだけ寂しくなってしまったけど、それも果林さんの成長だ。

果林「ふふ、私だってもう22よ? 道くらい、覚えちゃうんだから」

それで鼻高々と胸を張るところはめちゃくちゃ可愛いけど。

215名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 00:25:26 ID:g1n5whsw
侑「それにしても、今日っていう日に会えたのは嬉しいです」

だって今日は、クリスマス。
なんて素敵な日なんだ。

果林「……この後は、ホテルをとってあるからそこでゆっくりしましょ」

侑「……うん」

……。
ゆっくり、ね……。

♡♡♡♡♡

ホテルの一室を借りていたと言っていたけど、こんなに豪華なところだとは思わなかった。

侑「すごい……こんなところ、本当にいいのかな」

果林さんはシャワーを浴びている。
だから返事がかえってくるわけはないのに、そう訊いてしまった。

果林「お待たせ」

侑「あ、果林さん、ここ本当にすご……」

──釘付けになってしまった。

侑「あっ、ぁ……」

果林「……どう、かしら」

いわゆる……セクシーランジェリーというやつだった。シースルー、隠さないといけないところが透けている。

侑「っ……」

生唾を飲み込む。
……本当に、いいのか。

侑「……もうたまりません」

本当に……私が、抱いていいんだ。

果林「良かった……」

朝香果林を、抱いていいんだ。

216名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 00:27:52 ID:g1n5whsw
♡♡♡

侑「んっ、んっぅ……!」

果林「んく、ぅ……」

三年ぶりのキス。
もう言葉に出来ない、ただただ、むさぼる。
ずっと我慢していた。
ずっと、ずっと……ずっと!

侑「果林っ……」

果林「んんっ、ぁ……!」

痛いくらい勃起している。
今日だけは、萎える気が一切しない。

217名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 00:30:56 ID:g1n5whsw
続きは明日に。
かすみも大学生になります。
残りのしずく、エマ、栞子、せつ菜は高校生のままです。
歩夢は大人です。

218名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 10:09:50 ID:/KUCz2mE


しずせつ高校編なの意外かも
もうある程度構想練ってるみたいだから余計だと思うけど、せつ菜の神参考スレ見つけたから貼っとくね
http://itest.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1600339852/

219名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 12:07:59 ID:uoYQFBro
そういうの良くない
自分の気に入ってる設定とかゴリ押しするのに使われるじゃん
それがまかり通るなら、しずくでこういうの良かったってスレやSSを列挙して良いのかってなって収集つかなくなる

220名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 16:23:38 ID:OfPRZB1I
>>217だけど、
何人分も書いてきてシチュとか展開とか考えるの大変そうだな、採用されるかはともかくとして>>1の構想の手助けになればいいな、という思いで自身が感銘を受けたスレを貼ったんだけど、軽率だったかもしれない。
不快に感じた人達、申し訳ないです。

ゴリ押しのつもりはなく、この先、もしリンク貼ったスレと同じ展開やシチュがあっても「ここから引っ張ったんだな」とかは思わないし、逆に全くなかったとしても「なんで採用しなかったんだよ」とかいう風にもならないので、>>1は本当自分の好きなように自由に書いてください。
これからも楽しみに読ませて頂きます。いつも感謝。

221名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 16:25:09 ID:OfPRZB1I
>>220
>>217でなく>>218です。失礼しました。

222名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 17:14:43 ID:dQhqzC7E
まぁ互いに作者の手助けをしたくてやったことだから穏便に行きましょうや

ちなみにかすみ編はどんくらい侑君にべったべたになるか楽しみにしてる

223名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 18:06:10 ID:oULNLUg.
果林さんはお尻大きいの大事だよねわかる
かすみんでついに璃奈ちゃん√で出てきた各学年男子人気ランキングトップの3人を落とすことになりますね
歩夢ちゃんは大人ってのも楽しみすぎるな

224名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 21:00:56 ID:g1n5whsw
流れぶっ壊してしまうと、そのせつ菜のスレ自分も好きです。三回くらい見ました。

22時頃再開。

225名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 22:53:44 ID:CBQit1n6
マジレスすると>>197の辺りでシャワー浴びずに臭いを感じてる状態でク◯ニした後にキスするのは、相手に特有の臭いが伝わりそうで何かイヤだわ

226名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 23:21:36 ID:g1n5whsw
侑「……久しぶりに会ったその日にできるの、正直めちゃくちゃ嬉しい」

果林「えっち……」

侑「そんなに着てる人が言わないで……期待してたんじゃないんですか」

果林「……」

無言は図星だ。

侑「どっちがえっちなんだか……」

♡♡♡

果林「……えっちでもいいわよ。むしろ本望……」

フェロモンが充満する部屋で、一際存在感を放つ、侑のソレ。

蒸れた臭い、たくましくて、熱くて。

果林「ん……」

睾丸との付け根から丁寧に舐めあげていく。
長く楽しんでもらうために。

果林「んっ、む……」

唇だけで、二つの玉を食む。力を入れすぎないように、唇だけの刺激で。

侑「ぅあ……」

そのまま吸い付く。
ちゅぽん、と音を鳴らせて、唇から玉が離れる。

侑「それやばい……」

果林「ふふ、まだまだ……」

227名無しさん@転載は禁止:2021/01/07(木) 23:57:02 ID:g1n5whsw
ローションを胸に少し垂らす。
ちょっと冷たいけど、別に構わない。

侑「ぅーわ……」

胸で挟み込む。
いわゆるパイズリってやつね。

果林「んっ、あっつい……」

侑「やばいそれ……」

果林「んふ、すごい顔になってるわよ……かわい」

亀頭にリップ。
そして指でいじめるようにつんつん。

果林「うっふふ、もうすごいびくびくしてる……そんなにいい?」

侑「このまま出したいくらい……」

228名無しさん@転載は禁止:2021/01/08(金) 00:03:47 ID:mmZI4sj6
ぞくぞくした。
私の体で気持ちよくなってくれていると考えると、えもいわれぬ高揚感におそわれる。

果林「ふふっ、いいわよっ、出しちゃいましょ? ほら、ほら……!」

搾り取るつもりでおっぱいの圧を強くする。
侑が「あっ」と声を出したかと思うと、顎に精液がかかった。

果林「あっ、すごいっ、胸のなかで爆発してるみたい……」

挟んでいる谷間に精液がたまっていく。
侑のまだまだ硬いモノを解放すると、私の胸はどろどろに汚れていた。

果林「ん……」

指でからめとって口にいれる。
やっぱり、想像通り苦いと言うか、えぐいと言うか、美味しいものではないけれど。

果林「えぁ……」

侑「っ……」

それで侑が興奮してくれるなら、いくらでも飲み込む。

229名無しさん@転載は禁止:2021/01/08(金) 00:11:32 ID:mmZI4sj6
次の瞬間に、侑に押し倒される。
あの日よりも、ずっと激しく。

果林「……ゴムは?」

侑「そんなの着けたくない……」

それは私も同感だった。

果林「……きて」

侵入する。
それがわかると、背筋がぞくりと震え上がった。

この、このっ……!

果林(あぁぁっ、たまらないこの感覚……!)

あの日から忘れられなかった、制圧されている……蹂躙されているような感覚。

侑「はぁっ、はぁっ、ぁっ……!」

男と女が、本気で愛し合う。
忘れてはならないけれど、セックスというのは。

子作りはもちろん……パートナー同士がお互いに与え会う、愛情表現の最高の行為。

いま私たちは……愛し合っている。

侑「愛してるっ、愛してる……」

耳元で囁かれる。
だから私もそれを返す。

果林「私も……愛してる……」

230名無しさん@転載は禁止:2021/01/08(金) 00:21:16 ID:mmZI4sj6
侑「ぅ、でるっ……」

果林「うんっ、うん、いいよっ、中で……!」

腰を打ち付けて、そのまま中で射精。
子供ができても良かった。
むしろ……。

侑「ふぅっ、っつ……まだいける?」

果林「もちろん……」

♡♡♡

私は射精したあと、抜かずにそのまま騎乗位の体位へと。

果林「……なんで、後ろ向かせるの? 顔見たい……」

侑「いいから……」

果林さんの気持ちもわかるけど、どうしてもしたい……。

侑「動いて」

果林「ん、んんぅ……」

ぱちんぱちん、とお尻が弾む。

侑「っ、ぁいい……」

お尻のはずむ衝撃が心地いい。
そして上下するお尻もいい……。

侑(私こんなにお尻すきだっけ……)

いや、私は悪くない。
果林さんのお尻が大きいのが悪い。

231名無しさん@転載は禁止:2021/01/08(金) 00:22:27 ID:mmZI4sj6
今回はここまで。
たぶん次で果林√はおわり。
また明日に。

232名無しさん@転載は禁止:2021/01/09(土) 00:43:07 ID:Kfv5IABs
お尻が上にあがると、糸を引いている。
それもまた、すごく良い。

侑「こっち向いて……」

背面から対面。
ノーマルな騎乗位はそれはそれで良い。
果林さんの表情、揺れる胸、なにより動いてくれていること、嬉しい要素が満載だ。

果林「ふ、ふ……ほら、どう……?」

侑「ぁ〜……」

どこで覚えてきたのか──動画で勉強したそうだ──腰をなめらかに動かせるグラインドが興奮を駆り立てる。

233名無しさん@転載は禁止:2021/01/09(土) 00:55:09 ID:Kfv5IABs
果林「っこれ、いぃっ、ぁあ……!」

果林さんの気持ちいいところによく当たる。
恍惚とした顔で必死に腰をくねらせる姿。
写真に納めたいくらいだ。

とはいえ、私ももっと気持ちよくなりたい。

腰を突き上げ、ピストンを開始。
果林さんの奥にコツコツとノック。きゅうっと膣が閉まる感覚に射精感が高まる。

果林「だめっだめっ、それっまたっ……ぁっ……!」

侑(イッてる……)

私に倒れかかり、息が乱れている。

侑「んっ……」

果林「ん、ふ……!」

まだ呼吸を整えている途中であったけれど、その口を塞ぐ。
そして次に、また騎乗位をそのまま続ける。

果林「んっむ!?」

逃がさない。

☆☆☆

まだ。
まだ、私、イッてるのに。
イッてる途中なのに。

果林(あっ、だめっ、っ刺激っ強すぎってぇ……!)

がっしりと侑に抱かれて、ただ私はイかされて……。

果林(ぁあっまたイくっ……っ!!)

侑「ぅっ……!」

強い腰の押し付け。
侑もイッたみたい……今日三回目の射精。
そして二回目の中出し。

果林(絶対赤ちゃんできちゃう……)

もう一度言うけれど。
……出来ても、構わない。

234名無しさん@転載は禁止:2021/01/09(土) 00:59:07 ID:Kfv5IABs
全然終わりませんでした。
かすみでやりたい内容は決まってるんですけど、栞子も早くやりたい欲がすごい……けど、

今では栞子もメインと言えばもちろんメインメンバーなんですけども、なんとなく他の子達よりやるのも違うのかも、しれないなぁとか。

また明日に。

235名無しさん@転載は禁止:2021/01/09(土) 10:04:37 ID:ybxTi.sA
月ちゃんパターンはやめてくれよ…

236名無しさん@転載は禁止:2021/01/09(土) 11:38:52 ID:Kfv5IABs
あれはなんか悪ノリでした。
今回は全員普通の女子高生です。

237名無しさん@転載は禁止:2021/01/10(日) 02:04:39 ID:pi57eWNM
深く、深く。
意識が落ちていく。

果林「好きよ……」

侑「僕もだ……」

この時間を待ち望んでいた──

☆☆☆
☆☆☆

238名無しさん@転載は禁止:2021/01/10(日) 02:08:45 ID:pi57eWNM
果林さんに恋人がいると公表してから、数日が経った。
祝福する声もあれば、妬みの声もあった。

もう果林さんは、みんなの果林さんではなくなってしまったのだ。

いや、それはあの日からそうだった。
私と果林さんが出逢ってから──

侑「それにしても、むしろ仕事が増えるなんてね」

果林「クイズ番組でてから、っていうのもあるかもしれないわね」

私の膝を枕にしている。
最近はこれが定着している。

239名無しさん@転載は禁止:2021/01/10(日) 02:24:28 ID:pi57eWNM
侑「どっちかっていうと逆な気がする」

果林「だって、たくさん甘えていいんでしょ?」

侑「……うん、いいよ」

果林「じゃ、今夜は同じベッドで寝ましょう? 変な意味じゃなくて、ね」

侑「もちろん」

幸せな時間は短く感じる物。
だから、言いたいことは。
言えるときに言うべきなんだ。

それが今日と言う日を生きる私たちに与えられた、素晴らしい瞬間なんだ。

侑「愛してるよ」

果林「……うん!」

例えそれが、明日来なくとも。
今を生きる。


果林「幸せよ、私……世界で、一番!」


果林√END

240名無しさん@転載は禁止:2021/01/10(日) 02:30:51 ID:pi57eWNM
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1610213189/

かすみ√です。

241名無しさん@転載は禁止:2021/01/10(日) 03:08:40 ID:H19aUIzQ
おつ
甘えんぼ果林さんって初めてみたかも、とても良かった

242名無しさん@転載は禁止:2021/01/10(日) 06:46:37 ID:9gFeNkEk
果林さんの尻良いよな…


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