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穂乃果「イメチェンしたら、大騒ぎになっちゃったっ!?」

1 ◆bK3.D2B8eM:2019/10/20(日) 10:11:22 ID:5N.c3b1Q
・話のメイン=穂乃果&ことり&あんじゅ
・基本アニメ準拠+一部SIDネタ
・ご都合主義&超絶ベタ王道展開
・超スローペース進展ストーリー
・オリジナル設定有り(やや多め)
・誇張表現&長回し台詞有り(多め)
・穂乃果ハーレム要素有り(強め)
・長編(前作より大幅に長くなる予定)

※公式アンソロ作品「穂乃果イズム」をきっかけに思い浮かんだ妄想ストーリーです
※数多くの先駆者様SS作品の影響を受けており、もしネタ被りの際には何卒ご容赦願います
※SS投稿二作目となります(↓粗い出来ですがこちらが一作目です)
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1552425466/l50

239 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 11:10:48 ID:ayaiOhQQ
にこ「ま、要するに。巨大なリスクとリターンが、常に背中合わせとなっている…いわゆる『諸刃の剣』と言える手段なのよ。」


絵里「『諸刃の剣』…つまり、表裏一体って事ね。」


にこ「さてさて。今の話の中からポイントとなる単語を、幾つか簡単に組み合わせてみるとー。」

にこ「その一つとして、こーんな分かりやすい形のヤツも出来上がるわよ?」


にこ「『人気』の『アイドル』が『イメチェン』に『失敗した』『影響力』によって。」

にこ「『大きな』『イメージダウン』が『生まれ出てくる』ってね。」


海未「なる程…にこの話していた事は、その全てが繋がっているのですね。」


にこ「ええ、そうよ。これらは全部が深く繋がってるわ。実に単純で分かりやすいでしょ?」

にこ「んで。今のが本当にそうなった場合には、対象は人気や評判等に甚大なダメージを受けるってワケ。」

にこ「それが『アイドル』として、どれ程に致命的な事態となるのか。それくらい、今のあんたたちなら…想像出来るでしょ?」


花陽「ふむフム…なる程ナルホド……流石にこちゃん、とても参考になりマス…!」メモメモ

240 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 11:34:57 ID:ayaiOhQQ
花陽「この私こと、小泉花陽…アイドルに関しての知識量や情報網、それに先見の目については…」ブツブツ&メモメモ

花陽「例え、にこちゃんが相手であろうとも…決して、引けを取るつもりはありまセンが…」ブツブツ&メモメモ

花陽「こうゆう視点においての…にこちゃんの、アイドルへの観察眼や見解は……実に…実に素晴らしいデス…!」ブツブツ&メモメモ


にこ「そして、何よりも…」クルッ


穂乃果「……?」


にこ「コイツは…この穂乃果はね。」ジッ

穂乃果「あ、あの……えっと…?」


にこ「あの絶対王者と言われていた『A-RISE』を破った事で…今や、第二回ラブライブでの大本命とまで言われている『μ's』。」

にこ「その『μ's』の設立者で、リーダーで、メインセンターで……私達の『顔』よ。」


穂乃果「…っ!」

241 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 11:59:04 ID:ayaiOhQQ
にこ「そんな重いポジションにいるヤツ…『μ's』の看板である『高坂穂乃果』が。」


にこ「今の大事な時期。第二回ラブライブ決勝大会前の、この一番大事な時期に。」

にこ「もしも、何かつまらないイメチェンでもしてしまったせいで。」

にこ「その結果、大きなイメージダウンを引き起こす事にでもなったとしたら。」


にこ「もう二度と取り返しのつかない…そんな事態になってしまう可能性だって…それこそ、充分にあり得るのよ。」


穂乃果「……っ…」


真姫「…ねえ、にこちゃん。話の途中なのに、口を挟んで悪いとは思うけど…」

にこ「あら、真姫。何か気になる事でも?」


真姫「まあ、そうゆう事になるわね。私、話を聞いてて…少し思ったのよ。」

にこ「へえ、何かしらね?こっちこそ、ちょっと気になるじゃない。」

242 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 12:13:22 ID:ayaiOhQQ
真姫「…言っても、構わないかしら?」

にこ「ええ。構わないから、ハッキリ言ってみなさい?」


真姫「…その『アイドル』の『イメチェン』についてだけど。」

真姫「にこちゃんの言わんとしてる事自体は、私も理解は一応出来てると思うわ。」


真姫「だけど…それでもね?」

にこ「それでも?」


真姫「この話って…にこちゃんが、オーバーに考え過ぎてるんじゃないかしら…って。」


にこ「………」


真姫「正直に言うと…私としては、そう思ったのよ。」

243 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 12:23:44 ID:ayaiOhQQ
凛「…うん、そうだよね。」


真姫「…凛?」


凛「実は凛も、ちょっと大げさかなって…思ってたんだ。」


真姫「あら…凛もそうだったの?」

凛「あはは…何となく言いにくかったから、真姫ちゃんに乗っかっちゃったにゃ。」


花陽「…あ、あのね…?真姫ちゃんも、凛ちゃんも……にこちゃんの話は、まだ途中なんだし…」

花陽「だから…そう判断するのは、まだ…ちょっと早いかもって……」


真姫「…そうかも知れないけど。やっぱり私には、オーバーな話に聞こえてしまうのよね…」

真姫「だって、この話には…穂乃果や私達『スクールアイドル』も、一緒に含まれている訳なんでしょう?」


花陽「う、うん…それは間違いないって、思うけど…」

244 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 12:47:49 ID:ayaiOhQQ
真姫「だからなのよ、花陽。私としては、そこに違和感があるの…どうしても。」

真姫「特に…『一人のスクールアイドル』の『イメチェン一つ』で、そこまでの大きな影響力なんて…本当にあるのかしらって。」


凛「…凛もね。今、真姫ちゃんと同じコト思ってるよ。」

凛「プロの大人気アイドルだけの話なら、まだわかる気もするんだけど…」

凛「穂乃果ちゃんや凛たちにまで、そんなにも関係あるコトなのかなって…そう思っちゃうんだ。」


花陽「で、でも…!あの、二人とも?今はまだ、そうだとしてもね?」

花陽「にこちゃんの話を、最後まで聞いてみれば…きっと真姫ちゃんも、凛ちゃんも…!」


ポンッ


花陽「…え?」


にこ「花陽。」


花陽「…にこちゃん。」

245 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 12:59:02 ID:ayaiOhQQ
にこ「…ありがと。」


花陽「……うん。」


にこ「…ねえ、真姫。それに凛。あんた達二人ってさ?」


真姫「え…?」

凛「にゃ?」


にこ「さっきのアレ……本気で言ってるの?」ギロッ


真&凛「「…っ!」」ビクッ


にこ「特に…凛。」ジロッ


凛「だ、だって…イメチェンしたくらいで、凛たちまで大ゴトになるなんて…」

凛「それって、なんかおかしいかなって…やっぱり、思っちゃうよ。」

246 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 13:33:51 ID:ayaiOhQQ
にこ「………ハア。『くらい』ねえ…?」ヤレヤレ


凛「……?」


にこ「凛?よりによって、あんたが…それを言うワケ?」

凛「え…?」


にこ「まあ、いいわ。それなら…予定変更よ。」


にこ「この際だから、あんたにミッチリ教えてあげようじゃない。」ジトー

凛「にゃ?」


にこ「それに…花陽。後、絵里もね。」スッ


花陽「え…?わ、私も…?」

にこ「ええ、あんたも。」

247 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 14:07:55 ID:ayaiOhQQ
花陽「で、でも。私は、にこちゃんのお話…とっても参考になったって、思ってるけど…」

にこ「いいえ、まだまだ全っ然ダメね。だってあんたも、一番肝心な事は分かってないんだから。」


花陽「…ううっ……ア、アイドルの道は…やっぱり高くて、とっても険しいみたいデス…」シュン


絵里「それにしても…このタイミングで、私まで呼ばれるとは思ってなかったわね。」 


にこ「なーに言ってんのよ。あんたにだって、この話は大いに関係あるわよ?」

絵里「私が…?それって、どうゆう事なのかしら?」


にこ「いいから、絵里。あんたも私の話を、今からちゃんと聞いてなさい。」

にこ「あんたが自分でも気付いてない大切な事、私がしっかりと教えてあげるわ。」


絵里「…ええ、分かったわ。どうやら貴女には、何か考えがあるみたいだから。」


にこ「ああ、そうそう。話が分かりやすい順番で行くつもりだから、あんたは最後よ?」

絵里「もう…意地悪ね?」

248 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 14:30:04 ID:ayaiOhQQ
にこ「フン…全く。結局は、私が思ってた通りだったわね。」

にこ「やっぱり、あんた達ってさ?本っ当に、なーんにも分かってないわ。」


にこ「ま、そうゆうワケだから…海未、ことり、真姫、希。」

にこ「あんた達四人も、よく聞いてなさいよ?」


海未「にこ…」


ことり「………」


にこ「私がさっきから話している『アイドル』にとっての『イメチェン』。その意味と重さ。」

にこ「それが私達『スクールアイドル』にとっても、一体どれ程の繋がりを持っているモノなのか。」

にこ「今から私が、ここにいるあんた達全員にね?それをじっくりと、そしてタップリと教えてあげるわ。」フン


真姫「もう…何なのよ。今度は、やけに偉そうにして。」

249 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 14:41:20 ID:ayaiOhQQ
希「まあまあ。とにかく今は、にこっちの話を最後まで聞いてみよ?」


真姫「…分かってるから、心配しなくてもいいわ。」


希「クス…了解や。海未ちゃんとことりちゃんも、それでええよね?」


海未「はい。私もそれで構いませんが…」


ことり「…えっと。私も、いいけど…」


希「うん、これでみんなOKやね。それじゃ…にこっち?」パチッ☆


にこ「あー、はいはい。相変わらずお節介なヤツね、あんたって。」


にこ「ま、礼だけは一応言っておくわ。ありがと、希。」ツーン

希「いえいえ、どういたしましてや。」クスッ

250 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 15:08:28 ID:ayaiOhQQ
にこ「フン…」スッ


穂乃果「あ…にこちゃん…?」


にこ「穂乃果。状況が少し変わったから、改めて言っておくわよ?」

穂乃果「え、えっと…?」


にこ「この話が全部終わるまで…あんたは黙って、最後まで静かに聞いてなさい。」

にこ「勿論、どの話も絶対に聞き逃さないように…しっかりとね。」


穂乃果「え…?あの、それって……私は話に入ったら、ダメって事…なのかな?」

にこ「そうよ。」


穂乃果「…でも……どうして私だけ、喋っちゃいけな…」

にこ「いいわねっ!?」キッ!


穂乃果「…っ!う、うん……分かった…!」

251 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/16(土) 15:16:29 ID:ayaiOhQQ
今回は、ここで終了となります。

コメントを下さった方、本当にありがとうございました。
自分の初作品からお付き合い頂いている方から、励ましの言葉や貴重なアドバイスを
沢山込めて下さったメッセージを頂けた事、すごく嬉しかったです。
これからも「好きだから」「楽しいから」という気持ちを、常に忘れない様に頑張りたいと思っています。

それでは、今後ともどうか宜しくお願い致します。

252 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 08:10:59 ID:PWMrz3IQ
にこ「……それじゃあ、始めるわ。最初はあんたからよ、凛。」


凛「にゃ?凛から?」


にこ「三人の中だと、あんたの話が一番分かりやすいからね。だから、トップバッターには最適ってワケ。」

凛「そうなの?凛、自分だとよくわからないけど。」


にこ「すぐ分かるようになるわ。それよりも凛、あんたさ?」

凛「ん?なにかにゃ?」


にこ「今日は練習休みだけど、いつもの練習着は持って来てる?」


凛「練習着?うん、持ってきてるよ。」


真姫「…何で練習休みの日なのに、わざわざ持って来てるのよ?」


凛「あはははー…実はね?今日が休みだってコト、朝はウッカリ忘れちゃってたんだ。」

253 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 08:30:42 ID:PWMrz3IQ
凛「だから今日も、いつものクセで持ってきちゃったにゃ。」

真姫「…ハア。考えてみたら、聞かずとも分かる答えだったわね。」


凛「だってだってー。練習が休みの日って、最近じゃなかったんだもん。」

凛「だから凛ね?どーしても、いつもの感じが抜けてくれなかったんだよー。」


にこ「ま、実にあんたらしいわね。多分そうだろうと思って、私も聞いたんだけどさ。」

凛「むー!何それー!?」


にこ「それに、こっちとしては好都合だったし。」

凛「好都合?なにが?」


にこ「あんたの『ウッカリ』が。」フフン


凛「ちょっとー!にこちゃんから聞いてきたクセに、さっきからヒドイにゃー!」

254 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 08:40:10 ID:PWMrz3IQ
にこ「そんな事よりも、凛。今から練習着を出して、それをよく見てみなさい?」


凛「…にゃ?練習着を見ろって…どうして?」

にこ「いいから、早く。」


凛「もー…人使いが荒いんだにゃ。」ガサゴソ


凛「えっと……あった。凛がこれを、よく見るの?」

にこ「そうよ。何か気付く事があるでしょ?」


凛「うーん……別に…いつも練習用に着てる、ただの服だよね?」


にこ「…あんたって、いつもにゃーにゃー言ってるからさ。」

にこ「野生のカンってヤツで、もうちょっと鋭いかもって思ってたわ。」


凛「ああー!?今、またバカにしたーっ!」

255 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 08:59:46 ID:PWMrz3IQ
にこ「うっさいわね。悔しかったらそれをよく見て、ちゃんと自分で気付きなさいよ。」


凛「むむー…そんなコト言われてもー!別にこれって、スカートタイプの普通の服じゃんっ!」

にこ「そうね。」 


凛「なのに、何でさっきから…!」


にこ「………」


凛「………あ……」


にこ「凛。あんたって、ずっと前からスカート穿いてたの?」


凛「……ううん…」


にこ「じゃあ、それがいつからなのか。あんたが忘れてるワケ、ないわよね?」

256 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 09:24:33 ID:PWMrz3IQ
凛「…二年生の穂乃果ちゃんたち3人が、修学旅行に行って…」

凛「それで…ファッションショーのライブには、出られなかったから…」

凛「だから…凛たち一年生と三年生の、6人で出るコトになって……」


凛「そして…凛は……みんなに、背中を押してもらって……あのドレスを着たんだよ。」


にこ「ええ…そうだったわね。」


凛「…凛、あの頃は……自分が女の子だってコトに…自信がなかったんだ。」 


凛「だけど…みんなのおかげで、あのドレスを…凛が着られるコトになって…」

凛「みんな、あの真っ白なドレスを着た凛を…いっぱい褒めてくれて…」

凛「だから凛は…それが、とってもとっても嬉しくて…!」


凛「…それからだよ。凛が、スカートを穿くようになったのは…」

凛「自分が女の子だってコトに、ちょっとだけ自信を持てるように…なれたから。」

257 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 09:47:02 ID:PWMrz3IQ
にこ「…凛。あの時の出来事は、あんたのイメージを大きく変えたわ。」

にこ「あんた自身にとっても、あんたの周りの人間達にとってもね。」


凛「…やっぱり、そうだったのかな?」


にこ「ええ、そうよ。あの時より前のあんたの印象って、自他共に『ボーイッシュ』だった…そうでしょ?」

凛「うん…その通りだったよ。」


にこ「でも、あんたは変わったわ。あの日、あのドレスを着てから。」

にこ「あれからあんたは、自分の女の子としての魅力にやっと気付いた。そして、それを受け入れた。だから…変われた。」 


にこ「そして…自信を付けたあんたは、私服でもスカートを穿く様になって…より女の子らしくなったわ。」
 

凛「…ねえ、にこちゃん。凛、ホントに嬉しかったよ…?」


凛「みんなが、スカートの凛を…カワイイって、言ってくれて。」

258 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 10:15:57 ID:PWMrz3IQ
にこ「当然でしょ?だってあんたは、成功させた側の人間なんだから。」

凛「成功、させた側…?」


にこ「他人からのあんたへのイメージ。そして、あんた自身からのあんたへのイメージを。」

にこ「凛。あんたが自分で変えたって事よ。」


凛「……!」


にこ「そう。そのどちらに対しても、更なるプラスの方向へとイメージを変える事が…あんたには出来たの。」

凛「……そっか…そうゆうコト、だったんだ。」


にこ「ま、確かにあの時はさ?花陽を筆頭に私達は、あんたに色々とフォローもしたわ。」

にこ「でもね。その後のあんたにとって、私達はあくまできっかけに過ぎなかったのよ。」


凛「…にこちゃん…」

259 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 10:38:49 ID:PWMrz3IQ
にこ「だって、そうでしょ?自分の抱えていたコンプレックスと、自分自身で向き合って。」

にこ「ずっと立ち止まっていたその場所から、勇気を出して自分の足を踏み出して。」

にこ「そして今。あんたがいるこの場所まで、自分の意思で前に進んで来たのは……」


にこ「凛。それは他の誰でもない、あんた自身だったんだから。」


凛「…うん。」


にこ「…あんたがスカートを穿くようになってからさ。それをバカにするヤツなんて…誰もいなかったでしょ?」

凛「うん…誰もいなかったよ。だから凛、すごく…すっごく嬉しかったんだ…!」


にこ「フン。なら、良かったじゃない。」ニッ

凛「えへへ…うん!」ニコッ


にこ「つまりね、凛。あんたが憧れてたそんな世界に、あんたが本当に来られるようになったのは…」

にこ「あんたが自分の中で抱えてた『マイナスイメージ』を、あんた自身で『プラスイメージ』に変えたからなのよ。」

260 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 10:53:21 ID:PWMrz3IQ
凛「凛自身が…プラスイメージに、変えた…」


にこ「ええ、そうよ。あんた自身がそれを出来たからこそ、そのプラスイメージはね。」

にこ「ここにいる私達は勿論、あんたの周りの多くの人達にも伝わって…より大きく広がっていったわ。」


凛「うん…そうだね。凛も…凛も、そう思うよ。」


にこ「凛。これこそが、あんた自身が体現してみせた…『スクールアイドル』『星空凛』の『イメチェン』よ。」


凛「…そうだよね。そうだったんだよね。」


凛「凛、自分のコトなのに…そんな大事なコト、全然わかってなかったんだなって…今、思ってるよ。」


にこ「ねえ、凛。さっきの『スクールアイドル』の『イメチェン』の話だけどさ。」


にこ「あんたにとっては、やっぱり大げさな話だって…まだ、そう思う?」

261 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 10:59:04 ID:PWMrz3IQ
凛「ううん…ゴメンね、にこちゃん。」


にこ「分かってくれたんなら、それでいいわ。」


凛「うん!ねえ、にこちゃん?」

にこ「ん?何よ?」


凛「とっても大事なコト、凛に教えてくれて…ホントにホントに、ありがとーだにゃっ!>ω<」


にこ「フン。調子いいんだから。」クスッ


花陽「にこちゃん…」

絵里「にこ…」


真姫「………」


穂乃果(にこちゃん……)

262 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 11:36:23 ID:PWMrz3IQ
穂乃果(『イメチェン』って…言葉だけでなら、簡単に言えるものかも知れないけど…)

穂乃果(でも、誰かにとっては…その人が重く背負っているものまで、大きく変えてしまう程の力を…持っているんだ。)

穂乃果(だから、にこちゃんは…『儀式』や『革命』でもあるんだって…そう言ってたんだね。)


穂乃果(でも…そこまでのものを抱えた上での『儀式』『革命』を始めてみるって事は…決して、簡単な事じゃない。)

穂乃果(きっと、その人にとっての…沢山の勇気や覚悟が、やっぱり必要なんだって…思う。)


穂乃果(だけど凛ちゃんは…精一杯の勇気と覚悟を持って、大事な一歩を踏み出したからこそ。)

穂乃果(そして、そこから前に進んで来たからこそ…自分自身で、自分を変える事が出来た。)


穂乃果(…そっか。凛ちゃんがそうやって変われた事の、とても大切なきっかけでもあって…)

穂乃果(そして…変わる事を願った凛ちゃんが、その願いを叶える為に必要だったものこそが…)

穂乃果(『スクールアイドル』になった凛ちゃんが『イメチェン』をしたって事…だったんだ。)


穂乃果(その二つを…本当に大切な、その二つのものを通して…)

263 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/18(月) 11:49:49 ID:PWMrz3IQ
穂乃果(ずっと自分の抱えてた悩みを、ついに乗り越えた凛ちゃんは…)

穂乃果(あの時から、自分の女の子らしさに…自信を持てる様になれたんだね。)


穂乃果(…自分の女の子らしさに…自信を……)


穂乃果(……私は、どうなんだろう…?)


穂乃果(今の私も、凛ちゃんみたいに…自分が女の子だって事に…)

穂乃果(今までの私よりも……自信を持てる様に…なれるのかな…?)


穂乃果(凛ちゃんの様に…自分から勇気や覚悟を持って、前に進んだ訳じゃない…)

穂乃果(そんな……今の…私が……)


にこ「さてと……花陽。」


花陽「え…?あ、えっと……」


にこ「次は、あんたよ。」

264 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 07:51:39 ID:Lk3bf1Qg
花陽「でも…私は、凛ちゃんみたいに…これといった事って、特に…」


にこ「花陽?」ジロッ

花陽「はっ、はいぃ…!」ビクッ


にこ「さっきも言ったけど。あんたってホント、自分の事には全っ然ダメね。」ジー

花陽「…ううっ……返す言葉も、ないデス…」シュン


にこ「ハア…全く。やっぱり世話が焼けるわね、あんたも。」


にこ「ま、とにかく……あのさ、花陽。ウチの学校って、一年生は少ないでしょ?」


花陽「え…?あ、うん…一年生のクラスは、一つだけしかないから。」


にこ「ええ。だから生徒の人数が少ない分、名前は知らずとも顔は覚えやすいのよね。」

花陽「うん…そうかも。」

265 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 08:08:07 ID:Lk3bf1Qg
にこ「それで、私が『μ's』に入るよりも前の話なんだけど。」

にこ「たまたまアルパカの飼育係で見かけてたあんたの事、私も顔だけは一応覚えてたのよ。」


花陽「あ…そうだったんだ。」


にこ(本当の事を言うなら、それから暫くの間は忘れてたのよね。)

にこ(また顔を思い出したのは、花陽も来てた穂乃果達の1stライブの時だったし。)


にこ「さて、ここからが本題なんだけど……ねえ、花陽?」


花陽「え、えっと…何かな、にこちゃん…?」


にこ「この学校に来た頃のあんたって、今みたいにコンタクトだった?」


花陽「…ううん。その頃は、私…いつも眼鏡を掛けてたから。」

266 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 08:19:02 ID:Lk3bf1Qg
にこ「ええ、そうよね。あれぐらいの時期のあんたは、確かに私の記憶でもメガネだったから。」


花陽「うん…それで合ってるよ。だって、あの頃の私って…今より、もっと臆病で…」

にこ「花陽。」


花陽「は、はい…!」


にこ「何であんたは、メガネからコンタクトに変える事にしたの?」


花陽「……えっと…」


にこ「これは私の勘だけど。あんたって子供の時から、ずっとメガネだったんじゃない?」

花陽「…せ、正解です。」


にこ「そう、やっぱりね。でも、それなら何で変えたの?」

花陽「………」

267 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 08:32:45 ID:Lk3bf1Qg
にこ「ずっとメガネを掛けてたあんたが、それをやめてコンタクトに変えたのは…どうしてなのかしらね?」

花陽「……それは…」


にこ「…もう分かるでしょ?私があんたに、何を言いたいのか。」


花陽「……うん…分かるよ。」


にこ「と、言うよりもさ。私が話を始める前には、あんたは薄々気付いてたんじゃない?」

花陽「…あはは。やっぱり…バレちゃってたんだね。」


にこ「フン、それくらい当然よ。そうゆうトコも含めた上で、私はあんたに言ったの。」

にこ「『あんたは自分の事になると全然ダメ』ってね。」


花陽「…うん。本当に…そうだよね。」


にこ「でもね、花陽。そんなダメな自分と、いつだって真剣に向き合ってきたのも…他の誰でもない、あんた自身なのよ?」

花陽「え…?」

268 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 08:52:56 ID:Lk3bf1Qg
にこ「そう。いつだって、あんたは『ダメな自分』を自分でちゃんと理解していた。」

にこ「そして『ダメな自分』を何とかしたい、いつか変えたい…そう願う気持ちも、あんたは常に宿し続けていたわ。」


にこ「そんなあんたには、恐らく何らかのスイッチとなるモノが必要になってたんでしょうね。」

にこ「あんたの強く宿していた気持ちを、実際の行動に移せるだけのモノ。そんな『あるきっかけ』が。」


花陽「……うん。」


にこ「そしてあんたは、ついに『あるきっかけ』と出会った。それによって、あんたは自分を少し変えてみようと決心した。」

にこ「何故ならあんたは、その『あるきっかけ』と繋がった事で。自分に少しだけ、自信を持てるようになったから。」


にこ「花陽。きっと、あんたにとってのメガネってさ?いつからか、自分の素顔を隠す為の仮面になってたのよ。」

にこ「その仮面はね。あんたと過ごしてきた時間と共に、あんたの自分自身への自信のなさの表れとなっていって…」

にこ「あんたがそれに気付いた時には、既にあんたの『弱さの象徴』そのものになってしまっていた…違う?」


花陽「……ううん。私も…そうだったって、思うよ。」

269 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 09:34:17 ID:Lk3bf1Qg
にこ「だからこそ…花陽。その『弱さの象徴』である仮面を、あんたが自分自身で外すという事は…」

にこ「ずっと自信のなかった自分が隠し続けてきた素顔を、二つの意味で多くの他人の前に晒すという…とても重い意味を持っていたわ。」

にこ「それはあんたにとって、本当に沢山の勇気と覚悟が必要になる行動だった筈よ?」


花陽「……そう、だね。」


にこ「だけど、あんたにはそれが出来たの。ただ弱いだけじゃなく、それと向き合う強さも持っていたあんたには…それが出来たのよ。」


花陽「………」


にこ「…確かにあんたもね。その気持ちと行動の『本質』自体は、凛と同じよ。」


にこ「ただ、本当なら言うまでもない事だけど。一応、念は押しておくわよ?」

にこ「これは凛とあんたの二人の、どっちの方が云々…なんてくだらない話じゃないわ。」


花陽「……っ…」

270 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 10:06:06 ID:Lk3bf1Qg
にこ「だって、そうでしょ?凛の時は『μ's』の人気が出てから。あんたの時は『μ's』が始まって、まだ無名だった頃。」

にこ「そもそも、あんたがイメチェンをしたのは『μ's』に入ったのと同時。もっと正確に言えば、まだ世間に顔を出す前だったワケ。」


にこ「要するに凛とあんたじゃ、あらゆる状況が何もかも全然違う。それなのに、わざわざ比べるのはおかしいって事よ。」

花陽「……うん。そう、なんだよね。」


にこ「大体ねえ?そんな簡単に比べられる様な安っぽいモノなんかじゃないでしょーが。」

にこ「それに、そんな必要だって価値だって全くありゃしないわ。」フン


花陽「…あはは。にこちゃんの、言う通りだよね…本当は、それで良かった筈なのに…」

花陽「私も…私だって……本当は、分かってた筈だったのにね。」


花陽「それなのに、私…さっきの凛ちゃんの話を、聞いてる内に……ちょっとだけ、自分と比べちゃって…」

花陽「だから…にこちゃんが、私の話もしてくれる事に…少し、尻込みしちゃってたから。」


凛(…かよちん…そうだったんだ。)

271 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 10:42:05 ID:Lk3bf1Qg
凛(…でもね、かよちん。)

凛(凛は、あの時のかよちんを見てたから。あの時のかよちんが、とっても輝いてたから。)


凛(だから凛は、かよちんが凛の背中を押してくれた時に…)

凛(あの時のかよちんみたいに、勇気を出すコトが…できたんだよ?)


花陽「でも、にこちゃんは…また私が、少し弱気になってた事にも気付いてて…」

花陽「そんな私の、そうゆうところも含めて…『私は自分の事に全然ダメ』って、そう叱ってくれて…」

花陽「それに…私にとって、すごく大切な事を…ずっと私に、教えてくれてたんだね?」 


にこ「フフン、まあねー?それくらいも出来ない様じゃ、このアイドル研究部の『部長』は務まらないってコトよ。」ニッ

花陽「うん…そうかも。」クスッ


にこ「…あんたは、穂乃果達に出会った。スクールアイドルを始めたその三人に、強く激しく惹かれた。」

にこ「そして、自分もスクールアイドルをやってみたいと思った。そう思ったあんたは…『μ's』に入った。」

272 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 11:08:40 ID:Lk3bf1Qg
にこ「そこに凛と真姫の後押しが、確かにあったとしても。自分自身で、その最初の一歩を踏み出したのは…」


にこ「花陽。紛れもない、あんた自身でしょ?」


花陽「…うん!」


にこ「ねえ、花陽。今だからあんたに聞くけどさ?メガネの頃のあんたを知ってる同級生の中で、その頃のあんたがよ?」

にこ「後から、人気スクールアイドルグループのメンバーになるなんて…思ってたヤツが、誰かいたと思う?」


花陽「あはは……ううん。きっと、一人もいなかったって思う。」


にこ「そうね、絶対いなかったって断言出来るレベルよ。私はそう思うし。」キッパリ

花陽「はぁうっ!?」グサッ


にこ「だってさー?あの頃のあんたの弱キャラっぷりを見てたヤツなら、まあ普通はそうなるわよねー?」ズバズバ

花陽「……うう……自分で分かってはいても、ハッキリそう言われると……やっぱり、辛いデス…」ズーン

273 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 11:43:07 ID:Lk3bf1Qg
にこ「でもね、花陽。あんたは臆病だった自分の殻を破って、そこから前に進む強さだって持っているヤツだったわ。」

にこ「不安な思いや怖い気持ちを、懸命に振り切って。ありったけの勇気を出して、スクールアイドルを始める事を決めて。」

にこ「ずっと隠していた素顔を、多くの人前に出す決意をして。そして、ついには自分のイメージまでも大きく変えた。」


にこ「そう。あんたは弱かっただけの以前のイメージを、見事に覆してみせたわ。あんたが持ってた、自分自身の力でね。」


花陽「…にこちゃん。」


にこ「それは『スクールアイドル』『小泉花陽』であるあんたが、自分自身の想いと力で示してみせた…」


にこ「花陽。あんたの、あんただけの…立派な『イメチェン』じゃない。」


花陽「…うん!そうだよね…そうだったんだよね、にこちゃん。」


にこ「ええ、そうよ。そして今のあんたは、あのラブライブの優勝候補と言われる『μ's』のメンバーなの。」


にこ「子供の頃から、ずっとアイドルが大好きだったあんたが。それなのに、ずっとアイドルに憧れてただけだったあんたは。」

にこ「もう今では、多くの女の子達の憧れや目標になっている…『アイドル』『小泉花陽』なんだから。」

274 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 11:54:01 ID:Lk3bf1Qg
花陽「…えへへ。そうだと…すごく、嬉しい。」


にこ「ねえ、花陽。今のあんたが、それを少しでも実感出来たって言うのなら…」

にこ「あんたは、自分が選んだ今のあんたに…もっと自信を持ちなさい?」


花陽「うん…ありがとう。本当にありがとう、にこちゃん…!」ニコッ


真姫(……にこちゃん。)


真姫(…そうね。ちょっと、悔しいけど……やっぱり私って…)

真姫(本当に、大きな勘違いを……してしまっていたのね。)


にこ「ったく。あんたも凛と一緒で、手間が掛かり過ぎなのよ。」

花陽「うん、そうだよね…ごめんね?」テヘヘ…


にこ「これからは他のアイドルへのエネルギーを、もう少し自分の事にも回せる様にしてみたら?」

花陽「あはは…何とか、頑張ってみるね?」

275 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 12:08:22 ID:Lk3bf1Qg
にこ「ま、何だかんだであんたと凛ってさ。実は似てない様で、すごく似てる部分もあるかもよ?」 

花陽「すごく似てる部分…?私と、凛ちゃんが?」


にこ「ええ。だってあんた達は、自分を変える為に自分の意思でイメチェンをやってみて。」

にこ「そして、どっちも本当に良い結果を出せたんだから。二人揃って、さ?」パチッ☆


花陽「そっか…えへへ。私と凛ちゃんが、お揃いだなんて…すごく嬉しいな。」

凛「うんうん!やっぱりかよちんと凛って、相性バッチリだったんだにゃー!」ヒョイ


にこ「だけどー、あんたと花陽とじゃ月とスッポンだけどねー?特に、オ・ツ・ム・が。」フフン


凛「ちょーっと待つにゃっ!そんなのにこちゃんには言われたくないにゃっ!!」シャー!

にこ「ぬわんですってぇっ!?」ウガー!


ドタンバタンッ!


花陽「ええっ!?こ、今度はこのパターンなのぉーーっ!?」ピャー

276 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 12:18:54 ID:Lk3bf1Qg
希「ほら、にこっち?そんな暴れてたら、折角の言い話が台無しやん?」ヤレヤレ

海未「希の言う通りです。それに凛も、まずは少し落ち着いて下さい。」マッタク


花陽(希ちゃん、海未ちゃん…!ああ、何て頼もしい…本当に、頼もしい人達デス…!)テアワセ


ドタンバタンッ!


希「うーん…あの感じやとー、もうちょっと放っといた方が良さそうやね?」

海未「はい。どうやらにこも凛も、ある程度まで発散した方が落ち着きそうな雰囲気ですし。」


花陽(…えっ?)


ドタンバタンッ!


希「海未ちゃんも、そう思うん?なら暫くは、このまま様子だけ見てようかね。」

海未「ええ、それが良いかと思います。万一、二人が暴走しそうになった時には止めましょう。」

277 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 12:27:39 ID:Lk3bf1Qg
花陽(…あれっ?)


ドタンバタンッ!


海未「最もあの二人なら、特に問題も無いと思いますが。」フフッ

希「うん、そうやね。」クスッ


花陽(…あれえ…?あれれえぇ〜…??)ウミチャン、ノゾミチャン…?



穂乃果(…花陽ちゃん。普段は、大人しくて控えめで…少し、オドオドしたところもあって。)

穂乃果(だけど時々、私達も驚いちゃうくらいに…アイドルが本当に大好きで。)

穂乃果(優しくて、可愛らしくて。それに、とっても強い想いを持っている…本当に素敵な女の子。)


穂乃果(そう…1stライブに駆けつけてくれた時も、この場所で『μ's』に入ってくれた時も。)

穂乃果(そして…可愛い素顔を、みんなに見せてくれる様になった時も……いつも、そうだったね。)

278 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/21(木) 12:31:57 ID:Lk3bf1Qg
穂乃果(いつだって、花陽ちゃんは…『怖い』『不安』という気持ちを抱えながらも…)

穂乃果(そんな気持ちと向き合いながら、一歩一歩前に進んで来た…そんな強さを持っている女の子だった。)

穂乃果(それは勿論、今だって変わらない。ううん…きっとあの頃よりも、もっと強くなってると思う。)


穂乃果(…そうだよね。花陽ちゃんも…そして、凛ちゃんも。)

穂乃果(自分の悩みに、真剣に向き合って…自分で考えて、自分で決めて…)

穂乃果(そして、自分自身で…自分を変えたんだ。)


穂乃果(…なのに、私は……自分の事だったのに…)

穂乃果(本当に悩んでいるのなら…自分で何かしなくちゃいけなかった筈、だったのに…)

穂乃果(それなのに、私は…あんじゅさんに、助けて貰ってばかり…だったんだ。)


穂乃果(…だけど。それでも、私は……)


穂乃果(……どうして…私は……)

279 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 12:51:12 ID:13vtaBPU
にこ「…待たせ…たわね、絵里…!」ゼーゼー

凛「…髪、ボサボサのクセに…カッコ、つけて、言うセリフじゃ…ないにゃ…!」ゼーゼー 


にこ「うっさいわね!あんたはもう終わったんだから、大人しく引っ込んでなさいよっ!」

凛「なんだとーっ!?」シャー!


花陽「」ダレカタスケテ…


絵里「あのね、にこ。実は…」

にこ「ああ、遅くなって悪いわね。このバカ猫のせいで。」

凛「まだ言うかーーっ!」シャシャー!


真姫「もう…仕方無いわね。凛、いいからこっちに来なさい?」

凛「フーッ!フーッ…!」


花陽「」マキチャン…カンシャDEATH…

280 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 12:57:07 ID:13vtaBPU
にこ「ったく、つまんない事で時間食っちゃったわ。」ポンポン


真姫「…ねえ、花陽。」


花陽「」…?イマ、ナマエヲ…ヨバレタキガシマス…


真姫「…花陽?」

花陽「……ハッ!?」


真姫「…?何をそんなに驚いてるのよ?」

花陽「えっ?あ、ううん…!えっと、ごめんね?」


真姫「まあ、それはいいけど…ところで花陽、凛を頼めるかしら?」

花陽「え?凛ちゃんを…?」


凛「フーッ…フーッ…」

281 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 13:08:29 ID:13vtaBPU
真姫「まだ完全には、落ち着いてないみたいだから…貴女に任せてもいい?」

花陽「う、うん。それは別にいいけど……えっと…ほら、凛ちゃん?こっちに来て…?」サッ


凛「……………」トコトコ


花陽「…フフ、よしよし……良い子だね。」ナデナデ…

凛「………フニャ〜…ゴロゴロゴロ……」スリスリ…


真姫「本当に猫みたいね…とにかく、ありがとう。」

花陽「うん…でも、どうかしたの…?」


真姫「ええ…ちょっとね。早く伝えておいて、それでスッキリしたくて。」

花陽「早く、伝えたい…?」


真姫「それじゃ、悪いけど花陽。また凛が暴れない様に、宜しくね?」

花陽「あ…う、うん。」

282 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 13:18:09 ID:13vtaBPU
にこ「さて…やっと落ち着いたかしらね。じゃあ、そろそろ…」

真姫「にこちゃん。」


にこ「…真姫?」


真姫「悪いけど、ちょっとだけ待ってくれる?」

にこ「…何よ、一体?」


真姫「まあ、ちょっとね。また横槍で申し訳無いけど、手短に済ませるから。」


真姫「だから…絵里。にこちゃんとの話、少しだけ待って貰えるかしら?」


絵里「ええ。私は構わないけど…何かあったの?」


真姫「別に、そこまで大した事じゃないの。ただ…」

絵里「ただ…?」


真姫「どうしても、先に謝っておきたくて…にこちゃんに。」

283 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 13:38:12 ID:13vtaBPU
絵里「謝っておきたいって…もしかして、さっきの事かしら?」

真姫「まあ…そうゆう事ね。」


にこ(…真姫。)


真姫「なるべく早く終わらせるから…だから絵里。私に少しだけ、時間を頂戴?」

絵里「そう…分かったわ。だけど、そんなに慌てなくても大丈夫よ。」


真姫「…ありがとう。」スッ


にこ「…あのさ、真姫。一応、まだ話の途中なんだけど?」


真姫「分かってるわ。だから……ごめんなさい。」

にこ「……真姫。」


真姫「さっきも、私はそうだったわ。まだ話の途中で、最後まで聞いてもいないのに…勝手に一人で、勘違いをしていたのよ。」

真姫「そのせいで…にこちゃんの話していた事の、表面上の部分しか見てなかったくせに。」

284 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 13:58:39 ID:13vtaBPU
真姫「完全に自分が、話を履き違えて捉えてしまってる事にも…全く気付いていなかったくせに。」

真姫「それなのに…『話自体の理解は出来てると思う』なんて、恥ずかしげもなく…言ってしまって。」


にこ「………」


真姫「きっと、にこちゃんが本当に伝えたかった事に…私は、何一つ気付いていなかったわ。」

真姫「そんな私は…大きな勘違いからの、本当につまらない疑問を投げ入れて…大事な話を邪魔してしまったのよ。」

真姫「余計な口を挟まずに、ちゃんと話を聞いていれば…こんなにも大事な話だって、分かっていた筈だったのに。」


にこ「………」


真姫「だから…もう一度言うわ、にこちゃん。」


真姫「色々と、本当にごめんなさい。」


にこ「………ふう。」

285 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 14:13:31 ID:13vtaBPU
真姫「………」


にこ「…珍しくあんたがさ?そこまで素直なのは、それはそれで殊勲な事だけど。」


にこ「でも、いいのかしらね?まだ話は残ってる内から、そんなにしおらしくなっちゃって。」


真姫「…だから、なのよ。」


にこ「……?」


真姫「絵里の話を含めて、まだ大事な話が残っているのは…私にだって分かってるわ。」


真姫「でも…だからこそ私は、自分の失敗に気付いてモヤモヤしたままの…こんな気持ちを抱えた状態じゃなくて…」

真姫「ちゃんとそれを認めて謝った事で、私自身がスッキリした気持ちで…この後の話を聞ける様になりたかったから。」

真姫「それに、凛は自分の話の時に謝ったけど…この話で名前を呼ばれていない私は、今しかないって…そう思ったから。」


真姫「だから今、私は謝ったのよ。自分の為にも。」

286 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 14:21:41 ID:13vtaBPU
にこ「…なる程ね。確かに色んな意味で、あんたらしいわ。」

真姫「…それはどうも。」


にこ「ま、いいわ。それじゃ…真姫?」

真姫「…何よ、にこちゃん?」


にこ「これからの話だけど。あんたも耳をかっぽじって、しっかりと聞いてなさいよ?」

真姫「フン…分かってるわよ。」ツーン


にこ「ったく。あんたは今までの二人以上に、手間が掛かるヤツよね。」クスッ


真姫「にこちゃんに言われたくないわ。」ムスッ

にこ「はいはい。」ヤレヤレ


真姫「もう……絵里、時間を取らせちゃったわね…ごめんなさい。」

287 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 14:41:33 ID:13vtaBPU
絵里「大丈夫よ、そんなに気にしないで。それよりも…真姫?」

真姫「え…?」


絵里「自分の思っていた事、ちゃんと言えて…良かったわね。」


真姫「……ありがと。」プイッ

絵里「クス。」


にこ「…あのさ、絵里。私からも、ちょっといい?」

絵里「あら、どうしたの?」


にこ「待たせついでになって、本当に悪いんだけど。もう少しの間、私にも時間くれる?」

絵里「ええ、分かったわ。きっと何か、大切な事があるんでしょう?」


にこ「…まあね。こうゆう時のあんたは、話が早くて助かるわ。」

絵里「フフ、お褒めに預かり光栄ね。」

288 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 15:10:34 ID:13vtaBPU
にこ「…さて。話を再開する前に、一応ここで確認だけはしとくわよ。」

にこ「ねえ、あんた達?ここまでの話だけど、勿論しっかりと聞いてたわよね?」


凛「うん!モチロンだにゃ!」

花陽「わ、私もしっかり聞いてたよ、にこちゃん…!」


にこ「フン、良い返事じゃない。なかなか悪くないわよ?」

にこ「ま、あんた達二人は当事者でもあったワケだし、当然と言えば当然よね。」


凛「えへへ!だってにこちゃん、凛にすっごく大事なコト教えてくれたからね!」

花陽「うん…私も、凛ちゃんと一緒。とっても大切な事を、私に教えてくれて…本当に嬉しかったから。」


にこ「あらあらー。やけに可愛らしい事、二人して言ってくれるじゃない?」フフン


穂乃果(にこちゃんと凛ちゃん…さっきまでケンカしてたのに、すっかり元通りになってる。)

穂乃果(でも、そんなの当たり前だよね。だって、二人とも…ううん。)

穂乃果(ここにいる全員が、みんな仲良しなんだもん。)

289 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 15:29:01 ID:13vtaBPU
穂乃果(うん…やっぱり『μ's』って……とっても素敵だな。)


にこ「じゃあ、次は…真姫以外で外野だった三人は、どう?海未、ことり。それに希?」


希「うん。ウチなら、ちゃんと聞いとったよ。」


にこ「そう。ま、元々あんたは協力的だったものね。」


希「でも、にこっち?ウチらは『外野』扱いって、それはあんまりやないの?」クスッ


にこ「言葉のアヤよ、言葉のアヤ。それで、海未は?」


海未「はい。勿論、私もしっかりと聞いていました。」


にこ「そうね。こうゆう場でのあんたに関しては、私も心配してなかったけどさ。」

海未「フフ…それはありがたい言葉ですね。」

290 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 16:07:12 ID:13vtaBPU
海未「ですが、にこ。やはり先程からの貴女の話に、それだけ引きつけられているからだと思います。」

海未「私としても、色々と考えさせられる事が多いですし。その点も含めて、とても貴重な話になっていますから。」


にこ「ああ、実に真面目なあんたらしいわ。でもそうゆうの、私は嫌いじゃないわね。」


にこ「さて、後は…ことり。あんたは、ちゃんと聞いてた?」


ことり「…うん。私も、ちゃんと聞いてたけど。」


にこ「…あんた、また悪いクセが出てるわよ?」


ことり「え…?」


にこ「何か悩んでるのか、単に疲れてるだけなのか。その理由までは、私だって知らないし。」

にこ「それに多分、あんた的にはさ。ずっと重めで真面目な話が続いてたからってのも、そりゃ確かにあったんだろうけど。」


ことり「………」

291 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 16:40:21 ID:13vtaBPU
にこ「にしてもよ?さっきから大人しすぎるせいで、ずっと影が薄くなってるのよ…今のあんたは。」


ことり「……ごめんなさい。」


にこ「別に謝れって言ってるんじゃないし、無理をしろって言いたいワケでもないわ。」

ことり「あ…う、うん…」


にこ「ただね?今みたいに多人数でいる時には、もう少し気持ちを切り替えてみるとか。」

にこ「もし何か思ってる事があるんだったら、それをちゃんと口に出して言ってみるとか。」


にこ「『今の』あんたにだって、何かしらの出来る事はあるんじゃない?」


ことり「……うん。」


にこ「それに今は、インターバルみたいなモンなんだからさ。何か言うタイミングとしては、丁度いいと思うけど?」

ことり「…そうだよね。あの…みんな、ごめんなさ…」

292 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 17:01:36 ID:13vtaBPU
にこ「だーかーらー。謝って欲しいんじゃないって、そう言ってるでしょっ?」


ことり「あ、あはは……えっと、みんな…ことり、実はね?」

ことり「ちょっとだけ、今日は疲れてるみたいで…それで、ボーッとしちゃってたの。」


花陽「あ…やっぱり、そうだったんだね。教室でも、そんな感じがしてたから。」

絵里「そう…それなら、ことり?もし体調が優れないのなら、余り無理はしない方が…」


ことり「あ、ううん。もう大丈夫だから。」


真姫「本当に大丈夫なの?実は無理してるって話なら、正直に言いなさいよ?」

ことり「うん、本当に大丈夫!だってにこちゃんが、さっき気合い入れてくれたから☆」


真姫「…貴女と『気合い』って単語の組み合わせ、すごく似合わない気がするわね。」

ことり「え?そうかな?」

293 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 17:43:07 ID:13vtaBPU
凛「うん、凛もそう思うにゃ。ことりちゃんって『ふわふわ』とか『ぽわぽわ』って、カンジだもん。」

花陽「あ、それ分かるかも。おっとりした感じが、すごくことりちゃんっぽいよね。」


希「そうやね。ことりちゃんのイメージには『気合』よりも、そっちの方がピッタリなんやない?」ウンウン

真姫「全くの同感。」クルクル


ことり「ねえ、みんな〜。それって褒めてるの〜?><」


海未「フフ…ことり。分かっているのでしょう?」


ことり「えへへ…うん。みんな、本当にありがとう☆」


にこ「フン、さっきよりはマシになったじゃない。」

ことり「うん。ありがとう、にこちゃん☆」


にこ「それでいいのよ。とりあえず、今はね。」

にこ「私も、あんたの事情までは知らないけどさ。きっと、これからの事は…あんた次第なんでしょ?」

294 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 17:57:35 ID:13vtaBPU
ことり「…うん。」


ことり(…そうだよね。にこちゃんの言う通りだって、私も…思う。)

ことり(それに…ずっと私が、元気のない顔してたら…みんなにも、心配かけちゃうから…)

ことり(だから…せめて、今この時は…みんなのとの時間を…大切にしなくちゃ。)


穂乃果「………」


穂乃果(ことりちゃん…今は少しだけ、元気になってくれたみたいだけど…)

穂乃果(でも…無理だけは、本当にしないでね…ことりちゃん。)


にこ「…さてと。残る一人は…一番肝心なヤツね。」チラッ


穂乃果「………」


にこ「穂乃果。」ザッ


穂乃果「…にこちゃん。」

295 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 18:06:07 ID:13vtaBPU
にこ「今までの話、しっかり聞いてたわよね?」

穂乃果「…うん、ちゃんと聞いてたよ。」


にこ「そう、ならいいわ。」

穂乃果「うん…」


にこ「それとね?ここからは他のヤツらにも、話に絡んで貰う事が増えるだろうけど。」

にこ「あんたは今まで通り、最後まで静かに聞いてなさい。分かったわね?」


穂乃果「……うん…分かった。」


海未「…あの、にこ。どうしても、そこまでしないと…いけないのでしょうか?」

凛「うん、凛もそう思う。このままじゃ穂乃果ちゃんが…かわいそうだよ。」


真姫「…ねえ、にこちゃん。もう少しくらいは、何とかならないの?」


にこ「ダメよ。」

296 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 18:27:34 ID:13vtaBPU
花陽「に、にこちゃん…」


真姫「…どうして、ダメなのよ?」


にこ「…コイツにはね。話を聞く事だけに、集中して貰わなきゃいけないからよ。」


真姫「それって…どうゆう事?」


にこ「どうもこうもないわ。後はコイツが、それを分かっているか否か…それだけの事よ。」

真姫「…何それ、意味分かんない。」ムスッ


にこ(フン…だって、そんなの当たり前じゃない。)

にこ(ここまで私が、ずっと話をしてきたのも。ここからも、まだ話を続けるのだって。)

にこ(その一番の理由は……コイツに聞かせる為、なんだから。)


絵里「…ねえ、穂乃果。あなたは…それで納得しているのかしら?」


穂乃果「…うん……してるよ。」

297 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 19:06:12 ID:13vtaBPU
絵里「…穂乃果…」


穂乃果「私、にこちゃんの事…信じてるから。」


にこ「………」


穂乃果「だから私、平気だよ?ちょっとだけ、寂しいけどね…えへへ。」


ことり「……穂乃果ちゃん…」


絵里「…ねえ、みんな。当事者の穂乃果が納得している以上、此処はにこに任せましょう?」

希「うん、ウチもそう思う。それに少し占ってみたんやけどね?カードも、それが良いよって。」


海未「…分かりました。穂乃果が、自分自身で納得しているのであれば。」

花陽「そうだよね…穂乃果ちゃんが、それで良いって…思ってるなら。」


真姫「…そうね。それに、にこちゃんなりの考えがあるみたいだし。」

凛「うん、きっと大丈夫だよ。だって凛とかよちんに、あんなにいいお話してくれたにこちゃんだもん!」

298 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 19:33:40 ID:13vtaBPU
絵里「ええ、だから私達も。穂乃果と一緒に、にこを信じましょう?」

希「了解。まあ、そうゆう事やね…にこっち?」パチッ☆


にこ「…それはど-も。皆サマからの厚ーい信頼、身に染みすぎて火傷しそうですわ?」ツーン


凛「テレてるにゃ?」

花陽「うん、テレてるよね。」

真姫「テレてるわね。」


にこ「うっさいわね、そこの一年トリオ!///」


凛&花&真「「「やっぱりテレてる。」」」


ことり「………」


にこ「……ことり。」


ことり「え…?あ、にこちゃん…どうしたの?」

299 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 19:50:56 ID:13vtaBPU
にこ「話を再開する前に…あんたには、先にハッキリ言っておくわ。」

にこ「あんた一人だけは、この件に納得してないみたいだったからね。」


ことり「………」


にこ「いい?話の最中には、絶対に穂乃果に話しかけたらダメよ?」

ことり「………うん…」シュン


にこ「……その代わり。」コホン

ことり「……?」


にこ「あんたが、コイツの側にいて……手を、握ってやるくらいは…別に構わないわ。」フン

ことり「え…?ほ、本当に…!?」パアア


にこ「ただし!もしコイツと喋ってたら、すぐにナシにするから。いいわねっ?」ビシッ!

ことり「うん…!ありがとう、にこちゃん…!」

300 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/24(日) 19:56:56 ID:13vtaBPU
にこ「…フン。どいつもこいつも、ホント世話が焼けるんだから。」



ことり「あの…穂乃果ちゃん。」

穂乃果「あ…ことりちゃん。」


ことり「あのね?今から、ことり…穂乃果ちゃんの側にいても、いい…?」

穂乃果「…うん。ことりちゃんに、穂乃果の側に…いて欲しい。」


ことり「えへへ…嬉しい。後、手を繋いでても…いいかな?」

穂乃果「うん…勿論だよ。繋いでて、くれるかな…ずっと。」


ことり「…うん…!」


ギュッ…


ことり「…えへへ…///」

穂乃果「…あはは…///」

301 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/25(月) 12:25:22 ID:Jg.Qfv/Q
ことり「改めて、こうしてみると…何だかテレちゃうね…?///」

穂乃果「う、うん…ちょっとだけ、気恥ずかしいかも…///」ポリポリ


にこ(やれやれ…あんなに嬉しそうにしちゃって。何だかんだで、ことりも現金なヤツよね。)クスッ

にこ(ま、それ程の動力源って事なんだろうけどさ。ことりにとっての、穂乃果って存在は。)


真姫「…相変わらず仲良いわよね、あの二人って。」

花陽「うん…それに、すごく絵にもなるよね…///」


海未「そうですね。二人は幼い頃から、本当に大の仲良しでしたから。」


凛「でもでも、海未ちゃんは行かなくていいのかにゃ?」

花陽「あ、そうだよね。海未ちゃんも、二人と親友で幼馴染みなんだし…」


海未「ええ。でも私は、此処で良いんです。」

302 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/25(月) 12:37:25 ID:Jg.Qfv/Q
花陽「えっと、そうなの?」

海未「はい。」ニコッ


海未(何故なら、私にとって…とても大切な二人が、いつも笑顔でいてくれる事。)

海未(それこそが、二人の幼馴染みで親友である…私の幸せでもありますから。)


海未(そして、これから先…辛く困難な道を、きっと進まなくてはならない…その大切な一人が。)

海未(例え、それが今…この瞬間だけのものであっても。)

海未(あの様に、嬉しそうに笑っている顔を…私は、見ていたいのです。)


にこ「はーい。それじゃあ、話を再開するわよ?」パンパン


花陽「あ、もう始まるね。」


海未「はい。それでは、にこの話に集中しましょう。」


真姫「そうね、そうしましょうか。」

303 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/25(月) 13:21:07 ID:Jg.Qfv/Q
凛「凛も了解にゃ!」


希(さて、次はえりちやけど…今度はどんな話になるんやろうね。)



穂乃果(…そっか。今から暫くの間は、私…また話せなくなるんだね。)


穂乃果(……だけど。)チラッ


ことり「……?」チラッ


穂乃果(今、私の側には…ことりちゃんがいてくれるから。)ニコッ


ことり「あ……えへへ…///」ニコッ


ギュッ…


穂乃果(だから、私……もう寂しくないよ。)

304 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 12:14:00 ID:xDvILJt6
にこ「さてと…散々待たせちゃって悪かったわね、絵里。」


絵里「フフ、平気よ。それは全然気にしていないわ。」

絵里「さっきまでの時間だって、私達9人にとって大切な時間だったって思ってるから。」


にこ「…ありがと。なら、こっちとしても気がラクになるわ。」

絵里「どういたしまして。ただ……あのね、にこ。」


にこ「ん?どうしたのよ?」


絵里「今日の貴女の話だけど…実を言うと私も、最初は余りピンとは来てなかったの。」

絵里「だから真姫や凛が、話の途中で疑問を感じた事も理解は出来る…というのも、私の本音の一つでもあるのよ。」


にこ「………」


絵里「だけどね…?貴女からの凛や花陽への話を聞いている内に、私にも段々と分かってきたの。」

305 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 12:23:10 ID:xDvILJt6
絵里「『アイドル』…そして『スクールアイドル』と『イメチェン』から生まれる、その影響力。」

絵里「それが、決して大げさでは無いものだって事。誰かにとっては、とても重く尊いものである事。」

絵里「そして真姫が言っていた、きっとにこが本当に伝えたかった事が…少しずつだけど、私にも伝わってきたから。」


にこ「…そう。じゃあ、絵里?」

絵里「…ええ。」


にこ「さっきからあんたは、何がそんなに気になってるのよ?」

絵里「…そうね。私には、分からないから…でしょうね。」


にこ「…分からない?」


絵里「ねえ…にこ。どうして貴女は、この件で私まで指名したのか。それが私には…まだ分からないのよ。」


絵里「だって私は…凛や花陽の様に、自分で前に進んで自分を変えたなんて…そんな立派な事は、何もしていない。」

絵里「それに私は、二人みたいに容姿的な何かを変えてみた…という訳でも無いわ。」

306 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 12:38:54 ID:xDvILJt6
絵里「そう。私は…自分では特に何もしていない。」

絵里「それなのに…そんな私を、にこは何故…」


にこ「あのさ、絵里?」

絵里「え…?」


にこ「やっぱりあんたってポンコツね?一見、賢そうに見えても。」

絵里「なっ…!?」 


にこ「巷で言われてるKKEとやらも、あんたがこれじゃ聞いて呆れちゃうわよねー。」ハハーン


絵里「ぐっ……な、なら…そろそろ、教えてくれないかしら?」ヒクヒク

絵里「この話に、私を指名した…その理由を。」


にこ「まあ、いいわ。このにこにーが〜、やさし〜く教えてあげるから〜☆にっこにっこにー♪」

絵里「………」イラッ

307 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 12:47:23 ID:xDvILJt6
にこ「確かにあんたは、前の二人とは違うわね。自分から何か動いたワケじゃない分、明らかにケースは違う。」

絵里「………」


にこ「でもね。それでも間違いなく、あんたの『イメチェン』は存在してたのよ。」

絵里「…よく分からないのよ。私には、それが何なんだったのか…」


にこ「絵里、あんたさぁ?自分が『μ's』に入る前の、周りのあんたへの評判って知ってる?」

絵里「…いきなりね。まあ、余り誉められたものではなかったって…自分でも理解してるつもりよ。」


にこ「『冷徹』『堅物』『鬼会長』。」


絵里「うっ……ス、ストレートねぇ…!」


にこ「ま、こんなトコでしょ。ねえ、希?」 


希「そうやね。言い方はちょっと荒っぽいけど、大体合ってるんやないかな。」

絵里「の、希…!」

308 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 13:07:26 ID:xDvILJt6
希「ええやん、えりち。もう全部過ぎた事なんやし、今だから笑い話で済むんよ。」

絵里「…それは、そうだけど…」ブツブツ…


にこ「でもさ?ことり達だって最初の頃は、コイツに結構な目に遭わされてたんでしょ?」チラッ

絵里「え…!?まだ引っ張るのっ!?」チカッ!?


ことり「あはは…そこまで酷い目には、遭わされてはいないけど…」

ことり「ただ…取っ付きにくい感じは、やっぱりあったかな。」


海未「そうですね。あの頃の絵里は、私達の活動を猛反対していましたから…それこそ、目の仇の如くに。」


希「うんうん。そうやったね、えりちー?」ニヤニヤ


穂乃果(そう言えば…そんな頃もあったんだよね。でも、今だと…何だかウソみたいかも。)


にこ「やっぱりねえ。あたしがその後『μ's』に入ってからも、ずーっとカンジ悪かったしさー?」

絵里「………」モウヤダ…

309 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 13:27:10 ID:xDvILJt6
にこ「ほらね?ちょっと前のあんたって、さっきの評判通りのヤツだったんじゃない。」


絵里「……返す言葉も無いわ……」オウチカエル… 


凛「穂乃果ちゃんのポテト盗み食いしてた誰かさんが、何か言ってるにゃー。」ボソボソ

真姫「他にもデコピンしたりとか、色々チョッカイ掛けてたみたいよ?その誰かさんは。」ボソボソ


花陽(真姫チャンナンデソコデノッチャッタノオオッッ!!?)ピャー


にこ「うっさいわよっ!そこの外野っ!」


凛「あー、ごまかしてるにゃー。」

真姫「フン。」ツーン


穂乃果(…あ、あはは。)


にこ「…ったく。話を戻すわよ?」

310 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 13:37:18 ID:xDvILJt6
にこ「で、前はそんなヤツだったあんたが。ずっと敵視してた私達と、今は仲間として一緒にいる。」

にこ「それにさ?私にこんなに言いたい放題言われても、あんたは怒らずにそれを受け入れてる。」


にこ「これって『μ's』に入る前のあんただったら、考えられないくらいの変化なんじゃない?」

絵里「……それは…」


にこ「そうでしょ、絵里?」

絵里「…ええ。確かに、そうよね。」 


にこ「これは、あくまで客観的に見てだけど。」

絵里「……?」


にこ「『μ's』に入って、一番変わったのは…きっとあんたよ、絵里。」

絵里「…私、が…?」


にこ「だって、そうじゃない。あんたが目を血走らせて、鬼生徒会長やってた頃によ?」

絵里「…『鬼』は余計よ。」モウ…

311 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 13:58:49 ID:xDvILJt6
にこ「今、ここにいるあんたを。一体どこの誰が、想像出来たって思う?」

絵里「…そうね。きっと他の誰よりも、私自身が…そんな想像なんて、出来なかったでしょうから。」


にこ「…絵里。きっかけはあんた本人じゃなかったとしても、あんたは内面的に大きく変わったわ。」

にこ「穏やかな表情が多くなって、よく笑う様になって。それに面倒見が良くなって。」

にこ「『μ's』が9人になって『先輩後輩禁止令』で良い流れを作ったのも、あんただったわよね。」


絵里「…ええ。少し前の事なのに…随分と懐かしく感じるわ。」


にこ「そんなあんたは、もう今では『μ's』に欠かす事の出来ないメンバーで。それに私達の、大事なまとめ役だわ。」

にこ「絵里。今のあんたには、私達『μ's』も含めて沢山の人間が…あんたの周りにいる筈よ。」


絵里「…にこの言う通りよ。今の私には、沢山の大切な人達がいるわ。」 

絵里「そんな大切な事にも、以前の私は気付けていなかったけど…今の私は、その大切さがハッキリと分かる様に…なれたから。」


にこ「それはね、絵里。あんたにも、確かな『イメチェン』が発生していたからなのよ。」

312 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 14:09:12 ID:xDvILJt6
絵里「…そう。そうゆう事、だったのね。」

にこ「やっと気付いたみたいね?」


絵里「ええ。にこが、私も指名した理由…そして、私に言いたかった事…やっと分かったわ。」


にこ「あんたにそのつもりはなくても、穂乃果や希や私達をきっかけに、あんたは大きく変わった。」


絵里「私の内面が変わった事で、私に対する周りの人達の『印象(イメージ)』も…」

にこ「今までとは違う、全く別のものへと『変化(チェンジ)』していった。」


絵里「そして…そんな私と、ここにいる貴女達を繋いでくれたのが…『スクールアイドル』だったのね。」


にこ「そうよ。これこそが『スクールアイドル』『絢瀬絵里』の『イメチェン』ってワケ。」


絵里「…今思うと、少し不思議だわ。何故、すぐ気付かなかったのかと思えるくらいに…こんなにも簡単な答えだった筈なのに。」


にこ「あんたの場合は、さっきまでの二人と違って、自ら望んでそうなったものじゃなかった。」

313 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 14:43:20 ID:xDvILJt6
にこ「だからさ。自分だけでは、どうしても気付きにくい面があったのも…別に否定はしないわよ?」


絵里「あら。今になって、フォローしてくれるのかしら?」フフッ

にこ「ただ事実を言ったまでよ。」フン 


穂乃果(…自分の意思とは別の『イメージチェンジ』が、絵里ちゃんの様に起きる事もあって…)

穂乃果(それでも絵里ちゃんは、その『イメチェン』を受け入れて…どんどん良い方に変わっていった。)


穂乃果(…私は、凛ちゃんと花陽ちゃんの話を聞いて…二人と自分との、すごく大きな違いに…ショックを受けていた。)

穂乃果(自分の悩みを、自分自身の力で乗り越えた二人と違って…今の私は、自分で何かを頑張った訳じゃなくて…)

穂乃果(『アイドル』にとっての『イメチェン』が、こんなにも重くて大切な意味があった事だって…全然分かってもいなかった。)


穂乃果(それに…何も分かってない私が、そのせいで軽率な行動をとったんだと…にこちゃんは判断したから。)

穂乃果(だからにこちゃんは、その事が許せなくて…私に対して、きっと怒っていたんだって。)

314 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 15:26:29 ID:xDvILJt6
穂乃果(…そう思って、ずっと辛い気持ちになってた私だけど…)

穂乃果(でも…本当は、そうゆう事じゃなかったのかな…?)


穂乃果(だって、この絵里ちゃんの話は…何だか今の私にまで、深いところで繋がってる気がして…)

穂乃果(私の中の辛い気持ちを、まるで慰めてくれている様な…そんな感じさえしてたんだ。)


穂乃果(もしかしたら、にこちゃんは…最初は分からないけど、少なくとも今は…私の事を怒ってる訳じゃなくて…)

穂乃果(凛ちゃんと花陽ちゃんの話を聞いた私が、きっと落ち込んじゃうって事も…最初から、お見通しで…)


穂乃果(それが分かっていたから、この絵里ちゃんの話を通して…今の私を、別に責めてる訳じゃないって…)

穂乃果(にこちゃんは私に、それを順を追って伝えたかったから…絵里ちゃんの話を、一番最後にしたんじゃないのかな…って。)


穂乃果(もしも、本当にそうだとしたなら…にこちゃんは、今の格好をしている私を…受け入れてくれてる、のかな…?)

穂乃果(にこちゃんは『スクールアイドル』と『イメチェン』の大切な事を…今も私達に、真剣に教えてくれているけど。)

穂乃果(そんなにこちゃんにとって、今の私は……一体、どんな風に映ってるんだろう…?)

315 ◆bK3.D2B8eM:2019/11/28(木) 15:55:42 ID:xDvILJt6
今回は、ここで終了となります。次回もどうか宜しくお願い致します。

数日ぶりで鈍ってたのかsageミスしてしまいました…メル欄にsしか入ってなかったなんて…今度からは気を付けたいです。

316名無しさん@転載は禁止:2019/11/30(土) 19:22:10 ID:ZmBMlF/E
期待

317 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 13:07:01 ID:m0hAmPtc
にこ「ふぅ…一旦、話を簡単にまとめるわよ。」


にこ「ここまでは、イメチェンが上手くいった場合の話をしてきたわ。」

にこ「それは凛や花陽の様に、自分の意思で引き寄せてみせたケースもあれば。」

にこ「絵里の様に、本人が意識せずとも起き得るケースもある。」


にこ「ま、一言で『上手く言った場合』と言ってはみても。その形自体は、人によって様々ってワケね。」


にこ「後、今回は指名しなかったけど。私達には隠そうとしてた、ことりのバイトの件だって。」チラッ

ことり「え、えっと…あはは。」


にこ「自分で自分を変えたい願望。つまり『自分自身に対してのイメチェン』を願った上での、行動と結果だったと思うし。」

ことり「…うん、そうかも。」


穂乃果(そう言えば…あの時のことりちゃんも、自分を変えたくて行動を起こしてたんだ。)

318 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 13:27:27 ID:m0hAmPtc
穂乃果(その為に取っていた行動は、直接『スクールアイドル』を通した訳ではなかったけど…それでも。)

穂乃果(ことりちゃんが前に進もうと頑張っていた事は、あの路上ライブの大成功にも繋がっていったんだね。)

穂乃果(そう、間接的ではあったけれど…ことりちゃんはあの時も、私達『μ's』にとっても大きな力になってくれた。)


穂乃果(だから…あれからのことりちゃんは、きっと前の自分よりも自信が持てる様に…なったんじゃないかな。)


にこ「とにかく。イメチェンがプラスに働いた時、どれだけの大きな影響力があるか。」

にこ「それはあんた達にだって…特に話をした三人は、充分に分かったでしょ?」


凛「うん!バッチリにゃ!」

花陽「うん…!私も、よく分かったと思う。」

絵里「そうね。この件について、異論を唱える人はいないと思うわ。」


にこ「フン、なかなか良い返事じゃない。それでこそ、時間を掛けて話してきた甲斐があるってモンよ。」

にこ「ま、要するに『イメチェン』ってヤツはさ?プラスにさえ働けば、特に何の問題もありはしないわ。」

319 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 13:42:55 ID:m0hAmPtc
海未「では、それが問題となるのであれば…」


真姫「マイナスの方へと働いてしまった場合、ね。」


にこ「ええ、その通りよ。それにある意味、これこそがこの話の本題とも言えるわ。」


穂乃果(…自分の、今までのイメージを変える事が…)

穂乃果(もしも、マイナスに向かった場合には…それは一体、どんな事になるんだろう。)


穂乃果(……何だか…怖い。)


穂乃果(だって、それは…そのまま今の私にも、繋がってるかも知れない事…なんだから。)


ギュッ…


穂乃果(……あ…)


ことり「………」ニコッ

320 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 13:51:18 ID:m0hAmPtc
穂乃果(…ことりちゃん……うん、ありがとう。)ニコッ


ことり(えへへ…///)コクッ


穂乃果(あはは…やっぱり、ちょっと気恥ずかしいかも…///)


穂乃果(でも…ことりちゃんの手、とっても温かいから…それでもいいかな///)


ギュッ……


穂乃果(…うん、もう大丈夫。)

穂乃果(私の側には、ことりちゃんがいてくれるから…大丈夫だよ。)

穂乃果(だから…今の私は、ちゃんと話を聞かなくちゃ。)


にこ「最初にハッキリ言っておくわ。『イメチェン』は『諸刃の剣』って、話を始めた時に例えてはみたけど。」

にこ「プラスとマイナスが隣り合わせで、どっちも大きな影響力がある…という意味だけで言えば、確かにその通りよ。」

321 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 14:15:52 ID:m0hAmPtc
にこ「だけどね。もっと話を追求して、その二つの力のバランスを考えた上でなら…その例え方は、正確じゃなくなるわ。」


希「まあ…そうやろうね。」


にこ「そう。何故なら『イメチェン』が、もしマイナスに働いてしまった場合には…」

にこ「その影響力の大きさ、その強さや規模は…プラスの時と比べる事すら、値しなくなるからよ。」


絵里「…マイナスパワーの方が強い、か。その事実は、あらゆる世界での真実でもあるものね。」


にこ「そうゆう事。さて…それじゃあ、何から話そうかしら。」


にこ「まずは……そうね。ちょっとあんた達、ハロウィンライブの時を思い出してみなさい?」


海未「ハロウィンライブの時、ですか…?」


ことり「確かあの時は、穂乃果ちゃんのアイディアで…」

花陽「いつも通りの、私達で行こうって…」

希「それが上手く行って、ライブは大成功したんやね。」

322 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 14:29:09 ID:m0hAmPtc
真姫「…ねえ、にこちゃん。どうして今、その話を持ってきたの?」

凛「うん、そうだにゃ。もし失敗してたならわかるけど、ライブはすっごく盛り上がってたよ?」


にこ「…だから、どうしてライブは成功したのよ?」


真姫「もう…!今みんなで話したばかりでしょっ?それは、いつも通りの私達で……」ハッ


にこ「………」


真姫「……さっきまでの話でも、思ってたんだけど。『アイドル』が絡んでる事には、にこちゃんって本当に頭が回るのね。」

にこ「何よ、失礼な言い方ね。」


真姫「これでも一応、褒めたつもりよ。」クルクル

にこ「フン、どーだか。」 


海未「真姫…貴女は、何か気付いたのですか?」

真姫「まあ、そうね。私もさっきまでは、すっかり忘れてたんだけど。」

323 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 14:40:40 ID:m0hAmPtc
絵里「それなら私達にも、出来れば聞かせて欲しいわね。にこ…それでいいかしら?」


にこ「ご自由にどうぞ。」


真姫「もう……ねえ、みんな。あの時の事、よく思い出してみて?」


真姫「確かに私達って、ハロウィンライブ自体はちゃんと成功させたわ。」

真姫「でも。あのライブの前に、みんなでやろうとしてた事が…あったわよね?」


穂乃果(……あ…!)


花陽「みんなで…」


凛「やろうと…」


絵里「してた事…」


6人「「「「「「………」」」」」」

324 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 15:00:53 ID:m0hAmPtc
6人「「「「「「ああーーっ!?」」」」」」


真姫「そうよ…『イメチェン』だったの!」 


真姫「私達はライブを成功させる為に、色んなイメチェンを試してみたわ。」

真姫「でも…何をやってみても、失敗の連続だったのよ。」


花陽「うん…そうだったよね。」

凛「色々やってみたけど、ゼーンゼン上手くいかなかったにゃ。」


真姫「だから結局、最後は『普段通りの私達』でいく事になって。」

真姫「あの時の結果としては、それで上手くいったわ。」


真姫「だけど…それって、裏を返して言ってしまうのなら。」


真姫「私達は、9人全員が揃っているベストな状態で。」

真姫「何度も何度も、一緒に良い案を考えようとしていたにも関わらず…」

325 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 15:21:25 ID:m0hAmPtc
海未「全員で成功を信じられる様な名案を、私達は何一つ…」

ことり「見つけられなかったって…事だよね。」


穂乃果(うん…そうだったね。もっとインパクトが欲しいから、みんなでイメチェンしようって事になって…)

穂乃果(だからみんなで、あんなにも色々考えたり試したりしてみたけど…それなのに、全然ダメだったんだ。)


にこ「…真姫。変わるわ、ご苦労様。」

真姫「にこちゃん…ええ、後は任せるわ。」スッ


にこ「…あの時、私達が出した案は、本当にしょーもないのばかりだったわ。」

絵里「それに関しては、全く反論出来ないわね…」 


にこ「でもね、考えてもみなさい?部活系だの、ヘビメタだの、身内モノマネだの。」

海未「…少し、耳が痛いですね。」


にこ「さっきの絵里じゃないけど、今だからこそ笑い話で済むけどね?」

絵里「…それは、もういいわよ…」ムー…

326 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 16:06:47 ID:m0hAmPtc
にこ「だけど。実にくだらない、本当にくだらない例えなんだけど。あの救いようのないネタ案のどれかをさ?」

にこ「もしもよ?私達が全国優勝を目指して出場する、ラブライブの会場で。」


にこ「大勢の観客達が集まって来て。全国から厳しい予選を勝ち抜いて来た、沢山のライバル達がいて。」

にこ「今やプロの人気アイドル並みに注目されている、スクールアイドルの祭典ラブライブで。」

にこ「そのラブライブ全国大会の決勝戦のステージで、あんなものをやってしまったら…」


にこ「そんな愚行を犯してしまった私達は、その後…どうなると思う?」


絵里「……それは…」

花陽「………」


海未「…決して『笑い話』で、許しては…貰えないでしょうね。」


真姫「正直、想像もしたくないビジョンしか…今、思い浮かばないわ。」

凛「うん…凛も。」

327 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 16:25:27 ID:m0hAmPtc
希「まあ、どんなに少なく見積もってみても…」

希「もう二度と『スクールアイドル』は…名乗らせては、貰えなくなるんやないかな。」


ことり「…きっと、そうなっちゃうんだろうね。」


にこ「その程度で済めば、超ラッキーね。ま、そんなの無理だろうけど。」


真姫「……もしかしたら、だけど。」

凛「真姫ちゃん…?」 


真姫「それをやってしまった、私達のせいで…また学校が、廃校の危機に…なってしまったり。」


にこ「そうね。可能性としては、充分過ぎるまでにあり得るわ。」


穂乃果(……!)


海未「そんな…幾ら何でも、そこまでは…」

328 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 16:50:38 ID:m0hAmPtc
にこ「あら、だってそうじゃない。もしも、本当にそうなってしまった時の私達なんてね?」

にこ「スクールアイドルなら、誰もが憧れる『ラブライブ・全国大会優勝』という名の栄光。」

にこ「それを目指す全国のスクールアイドルが集う、その神聖な場所を汚した…とんでもないまでの重罪人よ?」


にこ「しかも、それだけじゃ済まないわ。そんな私達の愚行は、絶対王者『A-RISE』への侮辱行為にもなるのよ。」

にこ「あの『A-RISE』って王者とか言われてたクセに、こんな程度の連中に負けたのかー(笑)…ってね。」 


真姫「…確かに、そうゆう事になってしまうのね。」


にこ「そんな私達への、このスクールアイドルの世界からの認識は…もう目に見えてるわ。」

にこ「スクールアイドル界の『面汚し』『戦犯』『裏切り者』…そして、ただの『汚物』よ。」


花陽「……っ…」


にこ「それに、よく考えてもみなさい?この音ノ木坂が廃校から救われたのは、どうしてだったのかしらね?」


海未「……それは……」

329 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 17:27:11 ID:m0hAmPtc
にこ「そうよ、海未。この学校の『スクールアイドル』である、私達『μ's』がいたからよね。」

にこ「でさ?その簡単な答えが、今のあんたへの答えの一つでもあるってワケ。」


にこ「廃校から救った程の力を持っていたのが『μ's』なら、それを再び危機に晒す力を持ってるのも…同じ『μ's』なのよ。」

にこ「それこそ崩壊させるなんて、いとも簡単に出来てしまえるくらいにね。」


海未「………」


にこ「おまけに、ここはスクールアイドルの聖地・秋葉原の目と鼻の先よ?」

にこ「その聖地から、歩いて行き来出来る場所にある音ノ木坂。そこに通っている私達。」


にこ「ねえ、海未?こんな状況にいる私達とこの学校が。事が起きた後でも、平穏無事で済むと…あんたは本気でそう思えるの?」


海未「……いいえ。にこの言う通りです。」


にこ「…さっきも少し言ったけど、今や人気のあるスクールアイドル…そしてラブライブ大会ってね。」

にこ「今やプロの人気アイドルに迫るくらいに、大きく注目されてるとまで言われてるわ。」

330 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 18:13:55 ID:m0hAmPtc
絵里「…確かに、前回優勝者の『A-RISE』を見れば…それもよく分かるわね。」


にこ「あの時の、あんなしょーもないネタ案なんて…失敗するのは、誰だって目に見えてたでしょ?」

にこ「だから私達は、その後もそんなマネは絶対にしなかったし。増してや次のラブライブなんて、尚更の事だわ。」


にこ「だけど同時に、それは私達『μ's』にとっての『イメチェン』が、どんなに難しいモノなのか。」

にこ「その事実を、ハッキリと露呈した結果にもなったのよ。」


希「にこっちの言う通りやね。実際にウチらは、上手くやれなかった訳なんやし。」 


にこ「…でもね。何よりも私が、一番恐ろしいのは…自分が真剣に考えて、悩んで、決断して、実行して。」

にこ「そして、自分自身が絶対に成功すると信じて。それをもう、決して疑う事がないくらいまでに。」

にこ「そこまで自分が全力を注ぎ込んだものが、何もかも失敗してしまって…全てが裏目に出る事になった時よ。」


にこ「その瞬間。最悪の場合、文字通りに…全てが崩壊するわ。」

にこ「そんな可能性が、決して消える事なく…常に隣合わせに存在する。」

331 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 18:21:47 ID:m0hAmPtc
にこ「それが『スクールアイドル』の道を共に進んで来た、今の私達がいる…この世界なの。」


絵里「…そうかも、知れないわね。」

希「えりち…」


海未「…にこの懸念が、ようやく理解出来た気がします。」

ことり「…確かに、そうなっちゃったら…怖いよね。」


真姫「もし、本当にそうなった時の事なんて…正直、考えたくもないものね。」

花陽「私だったら…多分、ずっと立ち直れないかも…」

凛「うん。凛もそうなっちゃうと、ちょっと自信ないかもにゃ。」


穂乃果(………)


ことり(…穂乃果ちゃん…) 


にこ「ことり。」

332 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 18:27:07 ID:m0hAmPtc
ことり「え…?あ…にこちゃん。」


にこ「穂乃果に話があるから…少し離れてなさい。」

ことり「…あ……うん…」


スルッ…


穂乃果(………あれ…?)


穂乃果(…何だか、急に寒くなった気が…する。)


にこ「穂乃果。」

穂乃果「………」


にこ「穂乃果…!」


穂乃果「…っ!あ…ご、ごめんね、にこちゃん…!」

にこ「ボーッとしてんじゃないわよ…ったく。」

333 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/01(日) 18:58:16 ID:m0hAmPtc
今回は、ここまでとなります。また次回も宜しくお願い致します。

自分でも予想外に長くなったにこちゃんのターンも、恐らく次回で一段落の予定です。
その次からは、穂乃果ちゃんが主役に完全復帰してみんなとイチャイチャします。

コメントをくださった方、どうもありがとうございます。
お付き合い頂いてる方がいてくれる事は、本当に大きな励みになっています。

334 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/04(水) 02:48:56 ID:7UPvWyhg
穂乃果「え、えっと…でも私、ちゃんと話は聞いてたから…」

にこ「分かってるわ。それよりも、穂乃果?」


穂乃果「う、うん…」


にこ「この話を始めた時に、私があんたに言ってた事。その続きを、これからあんたに言うわ。」

穂乃果「…うん、分かった。」


にこ「あんたは『μ's』の顔、代表なの。そんな大きな看板を背負ってるヤツが。」

にこ「メンバーの私達に何の話もなく、独断で勝手にリスクを負った行動を取ってしまう事が。」

にこ「それを一歩間違えただけでも、どれだけ取り返しの付かない事態になる可能性を生んでしまうのか。」


にこ「あんたは、それをよく知っておく必要が…その責任があるのよ。」


穂乃果「……そう、だよね。」

335 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/04(水) 03:24:20 ID:7UPvWyhg
にこ「…あんたが生徒会長になったばかりの頃。それまでの自分を振り返りながら、あんたは色々と考えていた。」

にこ「その結果として、次のラブライブには出なくていいと。一度は、そう答えを出したわよね。」

にこ「本当は出たかったっていう、自分の本心を抑えてまでさ。」


穂乃果「あはは……そうだったね。みんなのおかげで、結果的には出られる事になったけど。」


にこ「そうね。結局のところ、私達は出場する事になった。そして私達は、今や全国大会決勝にまで足を進めてる。」


にこ「でもね、穂乃果。私はあんたの『出場しない』って意見には、思いっきり反対したけど…」

にこ「あんたがあの結論を出すに到るまでにあった、数々の考えや『想い』は…とても立派だったと思ってるわ。」


穂乃果「…あの時のにこちゃんは、私に勝負を挑んできてまで…私の意見に対して、本気で向き合ってくれたけど…」

穂乃果「でも本当は…私の事を、そんな風にも思ってくれてたなんて…すごく嬉しいな。えへへ…」


にこ「コホン……とにかく。その『想い』を経験してるあんたなら、今の私が言いたい事も分かるでしょ?」

穂乃果「…うん。今なら、私にも…よく分かるよ。」

336 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/04(水) 04:05:46 ID:7UPvWyhg
にこ「そう。そこらの一人の普通の女の子と、人気スクールアイドルグループのリーダーでは…」

にこ「単にイメチェンをするって事ですらも。その重さも、その意味も、その結果も…全部が違うわ。」


穂乃果「………」ギュッ…


にこ「これも最初に言ってるけどね。あんたという『スクールアイドル』『高坂穂乃果』は。」 

にこ「あの『A-RISE』を破った事で、ラブライブ大会の優勝候補筆頭とまで言われている『μ's』。」

にこ「その私達『μ's』の設立者で、リーダーで、メインセンターなの。」


穂乃果「……うん。」


にこ「…穂乃果。あんただけに限らず、これは私達一人一人にも言える事なんだけど。」


にこ「例えば、私達の中の誰か一人が。ちょっとした軽い気持ちで、考えの浅い行動を何か取ったとして。」

にこ「その何の悪気もない、些細な一つの行動が。時と場合によっては、私達9人全てを巻き込んで…」

337 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/04(水) 04:24:32 ID:7UPvWyhg
にこ「今までに私達が全員で積み重ねてきた、努力や功績や時間を…その全てを。」

にこ「その何もかもを、壊してしまう事だって…本当にあるかも知れないのよ。」


穂乃果「……っ…」


にこ「ねえ、穂乃果。私達『μ's』って、例えるなら『家』なの。一つの家という建物。」

にこ「そして、その家の中に住んでいる人。それが私達を応援してくれる人達…つまりはファン。」


穂乃果「『μ's』が家で……住んでる人が…応援してくれるファンの人達…?」


にこ「そうよ。そして穂乃果、あんたは『柱』よ。家そのものを支えている、とても大きな柱。」

穂乃果「…私が、家を支えている…柱。」 


にこ「じゃあ、ここで一つクイズよ。もしも、その柱がヒビでも入って崩れていって。」

にこ「そのせいで、もう家を支えられなくなってしまったら…その家は、一体どうなってしまうと思う?」


穂乃果「……!」

338 ◆bK3.D2B8eM:2019/12/04(水) 04:56:08 ID:7UPvWyhg
穂乃果「…きっと、支えを失ってしまった家まで……崩れて、潰れてしまって…」

穂乃果「そして、潰れてしまった家は…中にいた家の人達まで……巻き込んでしまって…」


穂乃果「もし、そうなる前に避難出来たとしても…それでも、その家に住んでた人達は…」

穂乃果「すごく大きなショックを受けたり…もしかしたら、どこか怪我をしてしまったかも知れない…」

穂乃果「それに何よりも…自分達が住んでいた、大切な家を失ってしまう事に……なっちゃうんだ。」


にこ「はーい、そこまで。まあ、あんたにしては上出来よ。」

穂乃果「…あはは…ありがとう。」


にこ「ま、これが『一蓮托生』ってヤツよ。だって私達は、いつも繋がってるんだから。」

にこ「そんな私達だからこそ、何か一つがちょっと失われただけでも。その全部までが、一瞬で崩壊してしまう事だってあるの。」


にこ「言い方を変えてみるなら、たかがその程度の事でも。全てが崩れ去ってしまう程に、脆く『儚い』のが…私達よ。」


穂乃果「………」


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