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梨子「リライフ?」千歌「してみませんか」
19
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/14(水) 18:52:51 ID:5rFYohg6
ザワザワ…
カワイイ……メッチャキレイ……
梨子「うぅ……///」
梨子(視線浴びてる……恥ずかしいよぉ……)
担任「自己紹介、してくれる?」
梨子「はい。えと……両親の都合で、東京の音ノ木坂学院から転入させていただきました。桜内梨子と申します」
梨子「以後よろしくお願いします」ペコッ
梨子(よし、噛まずに言えた!)
シーン
梨子(あれ?)
ヒソヒソ…
「え、もしかしてお嬢様?」
「音ノ木坂学院って、音楽で有名なところじゃなかったっけ」
「すごーい、ガチなお嬢様じゃん」
梨子「……?」
梨子(普通……だったよね?)
20
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/14(水) 18:53:22 ID:5rFYohg6
「奇跡だよっ!!」ガタッ
梨子「ふぇ?」
梨子「――あ、あなたはっ」
千歌「フフッ……久しぶり、梨子ちゃん!」
梨子(な、なんでいるの〜〜〜っ!?!?!?)
梨子(確かに、少し子供っぽいなーとか、学生でも通じるんじゃないかなーとか、こっそり思ってたけど!!)
梨子(まさか本当に女子高生だったとか、そんな話ってある!?)
曜「知り合い?」
千歌「うん。昔、東京で知り合って」
曜「ふーん、そっか」
千歌「こんな所で巡り合うなんて、まさに奇跡としか言いようがないね、うんっ!」
梨子(白々しい……)
担任「丁度いいわね。高海さん、桜内さんを案内してくれる? 軽く学校を一周する程度でいいから」
千歌「はーい」
21
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/14(水) 19:09:00 ID:5rFYohg6
―――
―
廊下
千歌「で、そこが美術室、あそこが音楽室ね」
梨子「……」
千歌「梨子ちゃん、聞いてるー?」
梨子「説明して」
千歌「説明も何も、見ての通りだけど。ちゃんと制服着てるでしょ?」
梨子「そうじゃなくて! なんであなたがいるの!」
梨子「っていうか、高校生だったの……? 高校生が研究所で?」
千歌「梨子ちゃんって、たまにバカだよね」
梨子「は?」
千歌「自分はどうやって女子高生になったのかな」
梨子「まさか、あなたも飲んでるの?」
千歌「そういうこと。研究対象を観察するには、これが一番手っ取り早いからね」
千歌「因みに、私は去年からここに通学しているのだ! 上手く馴染めてるでしょ?」
梨子「なるほど、どうりであなた……」
22
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/14(水) 19:09:29 ID:5rFYohg6
千歌「あとその、"あなた"っていうのやめない? 一応知り合い設定なんだからさ」
梨子「そういえば、なんであんなことしたのよ。余計目立っちゃったじゃない」
千歌「私なりのフォローのつもりだったんだよ? っていうか……クスクス……面接みたいだったね、梨子ちゃんの自己紹介……プククッ」
梨子「面接? ……あっ」
梨子(そっか!! だからあの時お嬢様って……!!)
梨子「うぅ……///」カァァァ
千歌「すっかりお嬢様キャラ定着しちゃったね」クスクス
梨子「笑わないでよっ!」
千歌「じゃあ第一印象を払拭するために、まずは呼び方から変えていこー!」
梨子「呼び方って言っても、なんて呼べば……高海さん?」
千歌「固い固い。もっと親しみを込めて……"千歌ちゃん"って呼んでほしいな♪」
梨子「えぇ……」
23
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/14(水) 22:06:26 ID:hDIvdSbI
やっぱり設定はいいんだよな
中身がダメだった
24
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/15(木) 04:18:59 ID:eUedfa/E
読んでるよ
25
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/15(木) 06:13:22 ID:Bhac3L7U
乙
ここの千歌は一体何者なんだ
26
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/15(木) 17:05:31 ID:Q19Gwy7A
未来のあなた自身なのです
27
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/15(木) 23:46:29 ID:3d0vfX0c
ガラッ
千歌「失礼しまーす」
梨子「ちょ、高海さん! 勝手に入ったらダメでしょ!」
千歌「もー、よーびーかーたー!」
梨子「それどころじゃ……」
千歌「大丈夫だよ。そういうの、基本自由だから」
梨子「自由に使っていいってこと?」
千歌「ウチの理事長がね。学校の設備を生徒が自由に使えないのはおかしいって」
梨子「うーん……そうかもしれないけど、防犯上の問題として……」
千歌「ねえねえ梨子ちゃん。ピアノ、弾いてみない?」
梨子「――え?」
千歌「聴いてみたいな、梨子ちゃんの演奏」
28
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/15(木) 23:46:44 ID:3d0vfX0c
千歌「だめ?」
梨子「……無理よ。もう10年近く弾いてないし」
千歌「どうして? お客さん、私だけだよ?」
梨子「誰かに聴かせられるようなものじゃないから」
千歌「私は聴いてみたいけどなぁ」
梨子「……ごめんなさい」
千歌「ふーん……ま、いいや」
千歌「戻ろっか、教室」
29
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/15(木) 23:47:06 ID:3d0vfX0c
―――
―
キーンコーンカーンコーン…
担任「はい、じゃあテスト始めるよー」
担任「春休み明けの課題テストね。みんなちゃんと勉強してきたー?」
梨子「……は?」チラッ
千歌「あ」
千歌「……てへっ」
梨子(言い忘れてたなあー!!)
梨子(くそぉ……まあ二浪もしたわけだし? それなりに覚えてるでしょ……多分ね)
30
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/15(木) 23:48:02 ID:3d0vfX0c
担任「ジャンジャン後ろに回してー、みんな早く始めたいでしょ」
梨子(あー、あったよね。後ろに回していくやつ)
梨子(流石に身体が覚えてるなあ。……あれ?)
梨子「……」キョロキョロ
梨子(どうやって書くの? ペンとか渡されてないけど)
梨子(嘘……みんな机に出してる)
梨子(――あ、そっか)
梨子(筆記用具……自分で持ってくるんだ)
梨子(あああああああああああああああっっっ!!!)
梨子(仕事ではほとんど使わないから、すっかり持ち歩かなくなってたんだった……!)
梨子(やっば、どうしよう)
梨子(高海さん……は、席離れてるし)
梨子(っていうか、試験中に話しかけられるわけがない!!)
梨子(どうしよう……先生に言うしかないよね)
梨子(でもなあ。いきなり筆記用具忘れましたーなんて言ったら、間違いなく目立つし……また変なレッテル貼られちゃうし)
梨子(でも、背に腹は代えられないし……うぅ、仕方ないかぁ……)
梨子(やば、いい歳して泣きそうなんだけど)
31
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/15(木) 23:48:38 ID:3d0vfX0c
曜「……」スッ
梨子「……ふぇ?」
曜「……」クイックイッ
梨子(シャーペンと……消しゴム)
梨子「……いいの?」
曜「シー」
曜「ん」
梨子「ありが……とう……」スッ
梨子(やばいやばいやばいっ!! 隣の人が超イケメンだった!!)
梨子(あぁ……一回りも下の子に泣かされちゃったよ)グスッ
32
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/15(木) 23:52:48 ID:3d0vfX0c
梨子(よし! 隣の子の善意に応えるためにも、頑張って解かなくちゃね!)
梨子(まずは……国語か。古文から解くのが定跡だよね)ペラッ
梨子(え? 全然読めないんだけど。文法……助動詞? この単語って意味なんだっけ)
梨子(嘘でしょ……ほとんど忘れてる?)
33
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/16(金) 00:02:37 ID:PHTmX1Fs
―――
―
キーンコーンカーンコーン…
曜「ふぁ……午前のテスト終わったぁ」
梨子「あ、あの……さっきはありがとう」
曜「ん? あー、いいのいいの。予備の置いてただけだし、問題は無かったよ」
梨子「また色々目立っちゃう所だった」
曜「えへへ。曜ちゃんのファインプレーだね!」
梨子「曜ちゃん?」
曜「あたしの名前は渡辺曜。これからよろしくね」ニコッ
梨子「渡辺さん……あ、私の名前は……」
曜「桜内梨子ちゃんだよね!」
梨子「へ?」
曜「あれ、違った?」
梨子「え……ううん、合ってる。なんで知ってるの?」
曜「だって、今朝自己紹介してくれたばっかじゃん」
梨子「それはそうだけど……」
梨子(私だったら初対面の人の名前とかすぐ忘れちゃうかも。この子偉いなあ……優しいし)
曜「あ、午後もそのシャーペン使っていいよ。持ってきてないんだよね」
梨子「うん、忘れちゃって。本当にありがとう」
曜「もしかしてドジっ子?」
梨子「違うよ……多分」
34
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/17(土) 01:48:28 ID:bA.7fZPo
おつ
30手前でも数時間で人の名前忘れたりしないだろ
35
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/17(土) 09:38:48 ID:wsJIKqus
美少女の名前はともかくオッサンの名前は数時間で忘れるかも
36
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/20(火) 11:18:16 ID:CXyiKTtE
―――
―
梨子(間近で若さを見せつけられて、午前だけで相当体力持ってかれた気がする)
梨子(なんか午後もテストあるみたいだし、せめてお昼休みだけでも一人でゆっくり食べよう)
梨子(――って思ってたのにぃ)
曜「あーん……ハムハム……んー! 新発売のチョコチップパンおいしい!」
千歌「新発売って言っても、今までのとあんまり変わんない気がするけど」
曜「全然違うよ! 今回のパンにはねー、生クリームも入ってるんだ!」
千歌「なにそれメッチャ甘そう」
梨子(いつの間にか高海さんと渡辺さんと私の三人で中庭に来てるし)
梨子(私は断ったのに、強引すぎるよぉ……)
曜「女の子は甘い物に目が無いんだよ」
千歌「私が女の子じゃないみたいな言い方やめてくれる?」
曜「胸に立派なものついてるじゃん」
千歌「よーちゃんだって大して変わんないよ!///」
梨子(凄いなあ、高海さん。今時の女子高生とこんなに仲良くなれるなんて)
梨子(今いくつなんだろう……大人の姿の彼女をまだ見てないから想像もできないよ)
37
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/20(火) 11:20:31 ID:CXyiKTtE
曜「りーこちゃん!」
梨子「わっ……り、梨子ちゃん?」
曜「あれ? 梨子ちゃんで合ってるよね」
梨子「そうだけど……"梨子ちゃん"はちょっと」
曜「可愛いじゃん」フフッ
梨子「はぁ……」
梨子(実年齢言うわけにもいかないしなあ)
梨子(っていうか、高校生くらいの年齢なら"ちゃん"はつけないと思うんだけど……私の時とは違うのかしら)
曜「じっと見つめて、そんなに私のパンが食べたかった?」
梨子「へ?」
曜「はい!」スッ
梨子「……なに?」
曜「食べない?」
梨子「食べかけじゃない」
曜「あれ、梨子ちゃんってそういうの気にするタイプ? やっぱ東京の子は違うなあ」
梨子「……食べる」
曜「へへっ♪ はい!」
梨子「……」ハムッ
梨子「モグモグ……あっま」
千歌「やっぱり?」
梨子「甘ったるくて、好き好んで食べようとは思わないかな」
曜「えー!?」
千歌「ほらー! おかしいのはよーちゃんだよ!」
曜「こんなにおいしいのに……」ムゥ
38
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/20(火) 11:53:20 ID:CXyiKTtE
千歌「そういえば梨子ちゃん、テストの出来はどう?」ニヤニヤ
梨子「あなたねぇ……」
曜「梨子ちゃん、前の学校では成績トップだったらしいね」
梨子「はぁ!?」
曜「千歌ちゃんが言ってたよ」
梨子「高海さん……?」ニッコリ
千歌「だって……ねえ?」
千歌「H大に合格したくらいだもん。地方の田舎高校のテストなんて余裕でしょ?」ボソボソ
梨子「二浪よ二浪! それに、あれから何年経ったと思ってるのよ!」コソコソ
千歌「6、7年くらい? 大丈夫だって、二年余分に勉強しても大半の人は合格できないよ。それだけ梨子ちゃんは凄いんだ」ヒソヒソ
梨子「半分以上忘れてたし……多分赤点ギリギリだよ」ゴニョゴニョ
曜「ふーたーりーとーもー!!」
ちかりこ「わあっ」
曜「仲間外れにしないでよ。内緒話、私も混ざっちゃダメかな?」
梨子「そんなことないよ」
千歌「そうそう、私とよーちゃんの仲じゃない」
曜「千歌ちゃんだけズルい! 私も梨子ちゃんと内緒話するー!」ギュー
梨子「きゃっ!」
曜「クンクン……梨子ちゃんっていい匂いするね」エヘヘ
梨子「ちょ、渡辺さん……周りの人が見てるから!」
曜「見られたらイヤ?」
梨子「イヤじゃ……ないけど」
梨子(こんなスキンシップ激しい子、私の同級生にはいなかったよね。この子が変わってるって事なのかな……?)
39
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/21(水) 00:04:01 ID:3znLH2PI
期待
40
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/21(水) 20:03:35 ID:Jvw6EpTU
キーンコーンカーンコーン…
千歌「あ、もうお昼休み終わりだ」
曜「テストしんどー」
千歌「よーちゃんはいいよー、どうせ今回も一位取っちゃうんでしょ?」
梨子「一位?」
千歌「よーちゃんはね、学年で一番勉強ができるんだよ! 去年なんか全教科で一位取った事もあるんだ!」フフン
梨子「なんで貴方が得意気なのよ……でも、本当にすごいのね」
曜「いやー、それほどでも」エヘヘ
千歌「おまけにスポーツ万能だし、まさに才色兼備の美少女! よーちゃんが見てるのは、普通星人の私には想像もできない世界だよ」
曜「そんなことないよ? 私も千歌ちゃんも大して変わんないって」
千歌「……」ニヤッ
梨子「?」
千歌「今回のテスト、結果が楽しみだね」
41
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/21(水) 20:03:58 ID:Jvw6EpTU
―――
―
キーンコーンカーンコーン…
梨子「ふぁ……終わったー」
曜「千歌ちゃん! 一緒に帰ろ?」
千歌「うん、いいよー」
梨子(ふーん……あの二人、家が近いんだ)
梨子(きっと高海さんが住んでるアパート? が、渡辺さんの家と近いのね)
梨子(それにしても想像以上に疲れたわね。浪人時代は大して苦痛に感じなかったけど……久しぶりに一日中テスト受けてみると、やっぱり堪えるなあ)
梨子(浪人生の私に、敬礼)
梨子「……帰ろ」
42
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/21(水) 20:18:19 ID:Jvw6EpTU
―――
―
コンビニ
梨子(お酒買っていこうかな。頑張った自分へのご褒美、みたいな)
梨子(ワインだけでいいや)
梨子「お願いしまーす」
店員「……未成年の方ですよね」
梨子「え? ……あ」
梨子(――制服だったああああああああああああああああ!!!)
梨子「ごっ、ごめんなさい!!」パタパタ
店員「あっ、お客様!」
ウィーン…
梨子「はあっ……はあっ……はぁ」
梨子「ここまでくれば、大丈夫……かな?」
梨子(いや、監視カメラに写っちゃってるか。浦女の制服ってバレバレだし、学校に連絡されちゃうかなぁ)
梨子「やってしまった……」ズーン
43
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/21(水) 20:19:22 ID:Jvw6EpTU
クスクス…
梨子(誰かが笑ってる?)
千歌「いやー、梨子ちゃんってホント面白いよね」プクク…
梨子「って、高海さん!?」
千歌「制服のままお酒買おうとするなんて、私が今まで担当した中では初めてだよ」
梨子「うぅ……笑わないでよぉ……///」
千歌「はい」ガサッ
梨子「ふぇ? これ……」
千歌「お酒が欲しかったら、今度から私に言ってね。あんまり高いのじゃなければ何でも持ってきてあげるよ」
梨子「あ、ありがと……」
千歌「さてと。これから梨子ちゃんの家にお邪魔してもいいかな」
梨子「は?」
千歌「無事に初日が終わったわけだし、感想が聞きたいんだ。経過観察も兼ねて」
梨子「あー……なるほどね」
44
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/22(木) 21:05:05 ID:EnkVbB0c
見てるよ
45
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/22(木) 22:12:40 ID:sn469t4U
お前を見ているぞ
46
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/23(金) 00:59:47 ID:/EtyjLCI
はよ
47
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/23(金) 12:58:45 ID:cCnhpXOk
―――
―
梨子'sアパート
千歌「それで、どうだった? 高校生に戻った感想は?」
梨子「……」ジー
千歌「やだなー、そんな怖い目で睨まないでよ。はい、ワイン」
梨子「どうも」スッ
コクッ…コクッ…
千歌「赤が好きなの?」
梨子「別に。今日はそういう気分だっただけ」
千歌「苦い思い出を渋さで忘れたかった?」
梨子「うるさいなあ……意味なんてないよ」
千歌「色々思い出したんじゃない? 私もそうだったから」
梨子「……まあ、ね」
梨子「最悪だったわ。思い出したくないことが、頭の中でいくつも浮かんできた」
千歌「期待されてた頃のこと?」
梨子「渡辺さんを見てると、嫌でもね」
千歌「生徒だけじゃない、先生たちも。学校中の期待を背負ってたんだよね」
梨子「そういうのってどこまで調べてるわけ?」
千歌「企業秘密ってことで」
48
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/23(金) 12:58:58 ID:cCnhpXOk
梨子「……まあ、今の私には関係ない事よ。とにかく、この一年間を平穏に過ごす事さえできれば、それでいいの」
千歌「平穏に……か」
梨子「だから、学校の行事とかは全部忘れずに教えてよね。また忘れてましたーなんて言って、無駄に目立ちたくないの」
千歌「まだテストのこと怒ってるのー? ごめんごめん、でも結構できたでしょ? 大学じゃ外国語専攻してたわけだし」
梨子「そりゃ英語はできたけど、他の教科は知識とかほとんど抜けてたわ」
千歌「大丈夫だって、高二の春休み明けテストだもん。基礎しか聞かれなかったじゃん?」
梨子「あんなのみんな満点取ってくるだろうし。……はぁ、赤点いってなきゃいいけど」
千歌「……ちなみに、浦女の赤点基準は平均点の6割以下だから」
梨子「結構低い? それならなんとかいける……かも」
千歌(自己評価が低すぎるんだよなぁ)
梨子「そういえば、今日は渡辺さんと一緒に帰ったんじゃなかったの?」
千歌「用事思い出したーって、急いで梨子ちゃんの所に向かったんだ。観察のことすっかり忘れててさー」テヘヘ
梨子「随分と仲がいいのね。渡辺さんとは去年知り合ったばかりでしょう」
千歌「……うん、そうだよ」
梨子「やっぱり高海さんはすごいなあ。私、みんなと仲良くなれるかな」
千歌「なれるよ、きっと」
梨子「……頑張る」
千歌(ごめんね、梨子ちゃん)
千歌(私……貴方に嘘をつきました)
49
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/24(土) 19:10:18 ID:AKWKeZgA
わくわくする
50
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/25(日) 00:10:05 ID:zkjPnmPE
>>47
千歌「色々思い出したんじゃない? 私もそうだったから」
ここが気になる…千歌ちゃんも被験者だったのか観察者として高校生を1年過ごしての考えなのか
51
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/25(日) 01:07:33 ID:YuYTfXLE
大いなる蟹の味噌汁
52
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/25(日) 10:26:26 ID:s80g2Fdk
元ネタ知らないけど面白い
53
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/26(月) 14:22:19 ID:aSVVVlzg
――――――
――――
――
梨子(いつからだろう)
梨子(義務感でピアノを弾くようになったのは)
――桜内さん、セミファイナルでソナタ29番選んだってホント?
――流石だよ、プロも口を揃えて難しいって言う曲なのに。
梨子『選んだのはコーチだよ。……まあ、私がやるって言ったんだけどね』
――みんな応援してるんだ。桜内さんは全校生徒の期待を背負ってるんだから。
――まあ、どうせ今回も優勝しちゃうんでしょ?
梨子『あはは……頑張るね』
――それにしてもすごいよねー、G級で優勝した次の年に特級に参加だなんて。
――ジュニアに参加したのは中学の時だっけ?
――違うよ、小学校の時。確かその時も優勝したんだよね。
――先生たちも言ってるよ、桜内さんは十年に一人の天才だって。
――羨ましい……私もそういうこと言われてみたいなぁ。
54
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/26(月) 14:22:43 ID:aSVVVlzg
―――
―
梨子『あの……』
コーチ『なにかしら』
梨子『曲を変更してもいいですか』
コーチ『どうして?』
梨子『弾けるかどうか不安なんです』
コーチ『自信を持ちなさい。練習で音を外したことはないでしょう』
梨子『そうじゃない……この楽譜を、私に表現できるのか』
梨子『彼がこの曲に込めた想いを、本当に理解できているのか……不安なんです』
コーチ『貴方の年齢で、数々の楽曲を精密に演奏できる人は少ない。貴方は選ばれた人間なのよ』
梨子『私は……』
コーチ『断言するわ。貴方は必ず優勝する』
梨子『……』
梨子『はい』
55
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/26(月) 14:23:23 ID:aSVVVlzg
―――
―
『お待たせいたしました』
梨子(来た)
『ただいまより、20××年度、第××回、ぺティ〇ピアノコンペティション、特級セミファイナル、演奏番号1番の審査を開始致します』
梨子(大丈夫、コーチの言われた通りにすればいい)
梨子(練習の通りに弾けばいいの)
梨子(それが、私のピアノなんだから)
『それでは、1番の審査を開始致します』
56
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/26(月) 14:23:48 ID:aSVVVlzg
―――
―
梨子『コーチ……お待たせしました』
コーチ『ええ、流石よ。今年のファイナルは貰ったようなものね』
梨子『その件ですが……』
――ああっ、見つけましたよ桜内さん。
コーチ『あなたは、審査員の?』
――まさに機械のような演奏……人間業じゃない。
コーチ『この子は将来必ず業界のトップに立ちますよ』
――我々も、今年のファイナルは桜内さんに決定しようと話し合っていた所なのです。
コーチ『いいんですか、そんな事を話して』
――どうか内密に。まあ、あんな演奏を聴かされて他の演奏者を推薦する審査員はいないでしょう。
コーチ『そうでしょうそうでしょう、この子は特別ですから』
梨子『あのっ!』
コーチ『うん? どうしたの、そんな大きい声を出して』
梨子『辞退……させてください』
――はい?
梨子『ファイナルは……辞退します』
57
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/26(月) 14:35:06 ID:aSVVVlzg
――
――――
――――――
梨子「う……ん」
梨子「……夢?」
梨子(最悪な朝ね)
ピンポーン
梨子(誰よ、こんな朝っぱらから)
梨子(お願いだからもうちょっと寝かせて……)
ピンポーン
梨子(留守ですよー……)
ピンポーンピンポーンピンポーン
梨子「あーもうっ!」バサッ
スタスタ…ガチャッ
千歌「おはよー梨子ちゃん」
梨子「……貴方ねぇ」
千歌「なにしてるの? でかけるよ」
梨子「……は?」
千歌「だからー、早く着替えて!」
梨子「いや、意味わかんないんだけど」
千歌「はやくはやくー!」グイグイッ
梨子「わわっ、わかったから! せめて顔洗うまで待って!」
58
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/26(月) 14:42:21 ID:aSVVVlzg
―――
―
梨子「ふぁ……まだ眠いよぉ」
千歌「家に籠っててもどうせ何もしないでしょ」
梨子「何もしないんじゃなくてできないの。テレビがないとかあり得ないから」
千歌「学生は勉強しないとね」
梨子「気分転換くらいさせてよ……」
千歌「確かに、ピアノが無いんじゃ気分転換できないよねー」
梨子「なんでそこでピアノが出てくるわけ?」
千歌「弾きたくないの?」
梨子「弾きたくないの」
千歌「ふーん……まあ、そんなわけでコレだよ!」
梨子「これ?」
千歌「気分転換♪」
梨子「休日の真昼間から学校に来ることが?」
千歌「部活動見学なのだ!」
梨子「勘弁してよ、この年で今更スポーツなんてできないって」
千歌「やってみないと分かんないよ」
59
:
◆PChhdNeYjM
:2018/02/26(月) 14:42:52 ID:aSVVVlzg
よしみ「千歌、おはよー」
千歌「おはよー! 今日の練習はどんな感じ?」
よしみ「いつも通りだよ。グラウンド2周軽く走って、ストレッチしたらもも上げやって――」
梨子(うげー、走ってばっかじゃん)
千歌「それじゃ梨子ちゃん、一緒に走ってみようか♪」
梨子「……は?」
千歌「ランニング」
梨子「どういうこと?」
千歌「そのまんまの意味だけど」
梨子「……え?」
千歌「あ、みんなもうスタートしたよ! レッツゴー!!」グイッ
梨子「わわっ、高海さーん!!」アセアセ
60
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/02/27(火) 00:27:17 ID:JwMgvOXU
おつ
61
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/01(木) 10:30:54 ID:ESTgZWPg
つづきはよ
62
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/02(金) 21:56:25 ID:u0JcE0hA
あくあく
63
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/02(金) 22:53:56 ID:JnWctC1Q
追いついた
期待
64
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/05(月) 16:47:30 ID:EFtJM9BU
―――
―
梨子「ゼェ…ハァ…ヒュー……ケホッ…」
千歌「梨子ちゃん」
梨子「ハァ…ハァ……なに……」
千歌「高校時代の体力測定ってどんな感じだったっけ?」
梨子「いじわる……どうせ……わかってる……くせに」
千歌「そういえば、シャトルランの回数はじゅう――」
梨子「言わないでぇ!!」
よしみ「その調子じゃ、練習に参加は無理そうだね」アハハ
梨子「ごめんなさい……」
よしみ「大丈夫、体力なんてこれからいくらでも身に付くからね。入部してくれるなら歓迎するよ!」ニコッ
千歌「だってよ梨子ちゃん」
梨子「うぅ……もう走りたくないよぉ」
65
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/05(月) 16:47:49 ID:EFtJM9BU
梨子「そういえば、高海さんは陸上部なの?」
千歌「ううん、安心と安定の帰宅部なのだ!」
梨子「誇って言う事? それにしては、すっごい体力あるのね」
千歌「まあ……去年頑張ったしね」
梨子(あ、なるほど)
よしみ「どうする、まだ見学してく? 校庭使ってるのウチだけだし、他の部活見るなら移動しなきゃだけど」
千歌「うーん……とりあえず、いくつか他も回ってみようかな」
よしみ「わかったー! 梨子ちゃん、いい返事待ってるよ!」パタパタ
梨子「あ、ありがと……行っちゃった」
千歌「いい子でしょ」
梨子「うん。優しくて、頼りがいがありそうで」
千歌「まるで正反対だね」
梨子「言わなくていいから、わかってるから」
66
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/05(月) 16:48:10 ID:EFtJM9BU
「――あっ、あの!」
千歌「お?」
梨子「はい……私?」
「貴方ですよねっ、音ノ木坂から来た2年生!」
梨子「そうだけど……」
ルビィ「私、黒澤っ……ルビィでしゅ!」
梨子「?」
千歌「クスッ」
ルビィ「ひゃっ……/// あの、ちがくて……ぅゅ……」
梨子(リボンは黄色だから、この子は1年生ね)
梨子「とりあえず落ち着いて?」
梨子「私は桜内梨子、音ノ木坂学院から転入してきました」
ルビィ「よろしくお願いしますっ!」
梨子「よ、よろしく……」ニコッ
67
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/05(月) 16:53:21 ID:EFtJM9BU
千歌「ところでルビィちゃん、今日は部活動見学?」
ルビィ「あ、はい……花丸ちゃんと」
梨子(花丸ちゃんって、お友達のことかな?)
梨子「ちょっと高海さん」コソコソ
千歌「ん?」
梨子「この子1年生でしょ、どうして仲いいわけ?」ヒソヒソ
千歌「浦女は人数が少ないからねー、入学式の日に1年生全員とお話できちゃうくらいには」ボソボソ
梨子「確かに1学年1クラスにはびっくりしたけど……」ゴニョゴニョ
梨子(しかも普通の半分くらいの人数だし。地方と都内を比べるのもどうかと思うけど、それにしても……ね)
ルビィ「あの……」
千歌「あ、ごめんねー、ほったらかしにしちゃって」
梨子「私に用があるんだっけ?」
ルビィ「はい! いつかお話できればと思って……」
ルビィ「私たち、今日は図書館にいたんですけど。校庭を見たら、桜内さんが走ってるのが見えたので」
梨子「げっ」
千歌「プククッ、今思い出しても笑えるなあ」
梨子「からかわないでっ!」
ルビィ「い、一生懸命走ってて、すごいなあって思いました!」
梨子(フォローで逆に抉られる……)
68
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/05(月) 16:56:23 ID:EFtJM9BU
梨子「それで、私と話したくて来てくれたのね」
ルビィ「はい!」
梨子「えと……音ノ木坂に興味があるの?」
ルビィ「μ'sの話を聞きたいんです」
梨子「ミューズ……石鹸?」
ルビィ「ふぇ?」
千歌「えぇ……」
梨子「え? え? 何、その反応」
千歌「梨子ちゃん……母校での出来事くらい知っておこうよ」
梨子「は?」
千歌「まあ無理もないか。卒業して5年近い話だし」
ルビィ「えと……ああ、μ'sの事ですね」
千歌「うん、そうだよ」ニコッ
梨子「どういうこと?」
千歌「嘘は言ってない」
梨子「???」アセアセ
69
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/08(木) 01:02:14 ID:H10LVxGQ
乙
70
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/09(金) 16:22:15 ID:pENyBZOo
マダー
71
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/10(土) 18:56:43 ID:BenPRDwQ
ルビィ「私、μ'sが大好きで……ホントは音ノ木坂に行きたかったんですけど、お姉ちゃんがダメって」
梨子「お姉ちゃん?」
千歌「黒澤ダイヤさん。この学校の生徒会長だよ」
梨子「へー……」
梨子(まあ、わざわざ東京の学校に通わせる理由はないよね)
梨子「なんかごめんね? せっかく来てくれたのに、何も話せなくて」
ルビィ「いえ、仕方ないですよ……」シュン
梨子(露骨に落ち込んでるし)
千歌「梨子ちゃん」
梨子「え?」
千歌「ピアノ、弾いてあげたら?」
梨子「……なんでピアノが出てくるのよ」
千歌「μ'sの曲を弾いてあげるとか」
梨子「無理だって。聴いたこともないのに」
千歌「今から覚えるのだ」
梨子「簡単に言わないでよ……」
72
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/10(土) 18:57:17 ID:BenPRDwQ
ルビィ「――弾けるんですかっ!?」
梨子「へ?」
千歌「うん、弾けるよ。梨子ちゃんが!」エッヘン
梨子「ちょっ……高海さん!!」
ルビィ「わあ!! 流石です!!」キラキラ
梨子「いや、期待されても……えぇ……」
花丸「――ルビィちゃん」トコトコ
ルビィ「あ、マルちゃん」
千歌「久しぶり、文学系美少女の国木田さん!」
花丸「わっ、高海さん……お久しぶりです」カチコチ
千歌「そーんな固くならないでよぉ」ニコニコ
花丸「いえ……」
73
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/10(土) 18:58:11 ID:BenPRDwQ
ルビィ「ごめんね、置いてっちゃって」
花丸「それはいいんだけど、どうして急に飛び出したの?」
ルビィ「あ、えと……」チラッ
梨子「あー……コホン。初めまして、私は桜内梨子。音ノ木坂学院から転入してきました」
花丸「音ノ木坂って、あのμ'sの!?」
ルビィ「そうだよマルちゃん! すごいよねー!」
花丸「すごいずらー! 東京の人ずらー!」
梨子「ずら?」
花丸「あ! えっと、これは……その」
千歌「口癖なんだよねー」
花丸「うぅ、直したいとは思ってるずら……あ、思ってるんです」
千歌「やっぱり可愛いなあ、マルちゃんは♪」クスクス
花丸「可愛いなんて……からかわないでください!///」プンプン
ルビィ「じゃあ、私たちは図書室に戻ります」ペコッ
千歌「またねー2人とも!」
花丸「さようなら、ずら」トコトコ
千歌「えー? いけずぅ」
梨子「ごめんね、力になれなくて」
ルビィ「気にしないでください。……わわっ、マルちゃん待って〜」パタパタ
74
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/10(土) 19:02:32 ID:BenPRDwQ
千歌「……さてと。梨子ちゃんから見て、あの二人はどう?」
梨子「かわいい」
千歌「だよね」
梨子「なんでもしてあげたい」
千歌「モフモフしたい! モフモフ!」
梨子「飴あげたいなあ」
千歌「道端でうゆうゆしてるルビィちゃんに?」
梨子「近づいてきたところを抱きしめてあげたい!」
千歌「軽く犯罪の匂いがするけど」
梨子「……お互い様よ」
75
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/10(土) 19:36:38 ID:BenPRDwQ
―――
―
ガラッ
千歌「ずっと外で疲れたでしょ」
梨子「……疲れたけど」
千歌「ちょっと休憩ね」
梨子「……音楽室で?」
千歌「だって聴きたいんだもん、梨子ちゃんのピアノ」
梨子「イヤなものはイヤなの」
千歌「どうして?」
梨子「どうしてって……」
千歌「ピアノは嫌い?」
梨子「……嫌い」
千歌「ホント?」
梨子「いつまでも好きでいられると思う?」
千歌「嫌いな事を15年も続けられるわけないよ」
梨子「あの頃と今じゃ状況が違う」
76
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/10(土) 19:37:21 ID:BenPRDwQ
千歌「じゃあ、なんで今でもドレスを飾ってるの?」
梨子「――っ」
千歌「初めて梨子ちゃんのアパートに入った時、すっごいビックリしたんだよ? 梨子ちゃん、高校時代に着てたコンサート用のドレスを飾ってたから」
梨子「飾ってたわけじゃない、クローゼットに入らなくて……」
千歌「バレバレの言い訳はしない方がいい。頻繁に手入れしないと、あんなにきれいな状態は保てないから」
梨子「……」
千歌「未練、あるんでしょ?」
梨子「……そんなの」
千歌「正直、経歴見ただけじゃわからないんだ。なんで梨子ちゃんがピアノを辞めたのか」
千歌「大きな失敗をしたわけでもない。寧ろこれ以上ないくらい順調だったはず」
千歌「あの時梨子ちゃんが、何を思って、何を諦めたのか……それが知りたい」
梨子「……それは友達として聞いてる? 研究員として聞いてる?」
千歌「両方、かな」
77
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/10(土) 21:47:59 ID:xlzW4Brk
きた!
78
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/11(日) 01:27:14 ID:FVKkDINg
乙
記憶あるまま高校生に戻れるって羨ましいな
79
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/11(日) 02:14:15 ID:C0qd0RiQ
もし高校生に戻ったら..とりあえずムダ毛を剃り落としたいな
80
:
◆XnOODp4O6w
:2018/03/12(月) 23:50:48 ID:nG6mtdN.
梨子「ハァ………………いいよ」
千歌「え?」
梨子「ピアノ、弾くから」
千歌「……いいの?」
梨子「弾けって言ったのはそっちじゃない」スタスタ
梨子「がっかりしないでね」
千歌「しないよ」
グッ……ガコン
梨子(蓋の重さ……何年ぶりだろう)
梨子「……」スッ
千歌(ピアノに指を添えた瞬間、梨子ちゃんの表情が変わった……)
梨子「――」
ダンダーンダダーン…
81
:
◆XnOODp4O6w
:2018/03/12(月) 23:53:54 ID:nG6mtdN.
千歌(静かな曲……かと思いきや、段々とテンポアップしていく)
千歌(目まぐるしく曲調が変化する)
千歌(高音と低音が混在して、聴いているだけで頭がおかしくなりそう)
千歌(こんなふざけた難易度の曲を弾きこなせる人なんて、そうそういるはずがない)
千歌(10年近く弾いていなかったなんて嘘だよ……だって)
千歌(毎日練習してる人が、馬鹿みたいじゃん)
千歌「……あれ?」
千歌(校庭の陸上部が、みんな走るのをやめてる)
千歌(聴き入ってるんだ……梨子ちゃんのピアノに)
梨子「――っ」ポタポタ
千歌(汗、かいてる……どうしてそこまで必死に弾けるんだろう)
千歌(梨子ちゃんの視界には、聴いてる人なんて私しか映ってないはずなのに)
千歌(嫌いになったんじゃなかったの?)
千歌(なんで今更、そんなに真剣になれるの?)
82
:
◆XnOODp4O6w
:2018/03/12(月) 23:54:38 ID:nG6mtdN.
ポロン…
梨子「スー……ハー……」
梨子「――ごめん、これ以上は指がもたないや」
千歌「あ……ううん」
千歌(もう10分も経ってたんだ)
梨子「アハハ……やっぱり全然思うように弾けないっていうか、最悪だったよね」
千歌「なんでそういうこと言うのさ」
梨子「え?」
千歌「すごい上手だったよ。びっくりした、長いブランクを疑うくらいに」
梨子「そんなこと……ないよ」
千歌「やっぱりそれも才能ってやつ? いいなあ、ホント羨ましいや」
梨子「……高海さん?」
千歌「――あ……ううん、なんでもないよ」
千歌「結局、全然わかんなかった。どうして梨子ちゃんがピアノをやめちゃったのか」
千歌「私みたいな普通の人間から見れば、天才にしか見えないんだもん」
83
:
◆XnOODp4O6w
:2018/03/13(火) 00:08:04 ID:rTFOK2Wg
梨子「……私のピアノ、どうだった?」
千歌「どうって、すっごく上手だったって言ったでしょ? まるでプロのお手本を聴いてるみたいだった」
梨子「だよね」
千歌「……へ?」
梨子「他人のコピーでしかないんだよ、私」
梨子「私の指が奏でる曲は、私自身の曲じゃない」
梨子「小さい頃から、イヤになるくらい、耳がおかしくなるくらい、頭が狂うくらい、何度も何度も聴かされた"完璧な曲"」
梨子「それを再現しただけなんだよ」
千歌「プロと同じレベルで弾けるってことでしょ? 相当才能がないとできないじゃん」
梨子「……耳に焼きつけられた曲を再現することが私の使命。それさえできればいいと思ってた」
梨子「でも実際は、何の価値も無かったんだ」
梨子「だって――機械と何が違うの?」
84
:
◆PChhdNeYjM
:2018/03/13(火) 00:18:23 ID:czEipnHc
トリップ間違えた
85
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/13(火) 00:57:10 ID:y0.xFI2c
表現者の悩み
86
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/13(火) 04:39:14 ID:azQzNHjg
千歌ちゃんにも色々な事情がありそうで面白い
87
:
スペシャル
:2018/03/13(火) 15:13:30 ID:M0Zhuz2.
http://ssks.jp/url/?id=1451
88
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/13(火) 15:48:56 ID:.LgvwX7w
この梨子は作曲はやってないんだな
89
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/14(水) 00:22:34 ID:I9EWPd/s
続き気になるな
90
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/17(土) 01:34:37 ID:/5ARke82
原作が最終回迎えたな
91
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/03/25(日) 19:44:28 ID:vDcQs3nA
はよ
92
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/04/01(日) 23:39:15 ID:W.A17QAY
待っとるぞ
93
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/04/01(日) 23:41:25 ID:Gu.tczH.
うむ
94
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/04/10(火) 07:19:21 ID:uMCg/2ag
まだかな
95
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/05/19(土) 22:59:53 ID:2evQu6kw
気になる…
96
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/05/20(日) 02:52:55 ID:X7Q9dMIk
マダー?
97
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/08/15(水) 16:09:23 ID:kM.bnP7I
追い付いた
98
:
名無しさん@転載は禁止
:2018/09/01(土) 20:31:37 ID:48qUKpMU
ほ
99
:
名無しさん@転載は禁止
:2019/03/05(火) 11:50:44 ID:fHhrWpDw
も
100
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/06(水) 10:42:08 ID:Ps6lhbyM
千歌「……贅沢だね」
梨子「え?」
千歌「才能がある人は、更に高みを目指す……か。敵わないわけだ」
梨子「高海さん?」
千歌「さて、梨子ちゃんのピアノも聴けたことだし。次の場所に行こうか♪」ニコッ
梨子「あ……うん」
101
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/06(水) 10:42:40 ID:Ps6lhbyM
―――
―
千歌「なんかごめんね。休むために音楽室に移動したのに、逆に梨子ちゃんを疲れさせちゃった」
梨子「ううん、いいの。そんなに疲れたって思ってないし」
千歌「そうなの? 汗かいてたけど」
梨子「うそ? でも本当に疲れてないよ」
千歌「ふーん……そっか。やっぱり、梨子ちゃんはそうなんだ」
梨子「え?」
千歌「ううん、こっちの話」
102
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/06(水) 10:43:25 ID:Ps6lhbyM
梨子「……あの、高海さん」
千歌「なーに?」
梨子「次の場所ってどこ? 学校の敷地、出ちゃっていいの?」
千歌「次に見る部活は校外で活動してるからね」
梨子「それって」
千歌「水泳部だよ」
梨子「えっと、私……水泳は苦手なんだけど」
千歌「うん、知ってる。でも、見て欲しいんだよ」
梨子「だったら、他の部活動を見てからでもよかったんじゃ?」
千歌「無いよ」
梨子「……は?」
千歌「他の部活動は無いよ」
梨子「どういうこと?」
千歌「あれ、言ってなかったっけ。浦の星女学院は今年、沼津の学校と統廃合するんだ」
梨子「……そんなの聞いてない」
千歌「ごめんごめん、まあでも梨子ちゃんには関係ないでしょ? そうせ今年いっぱいなんだからさ」
103
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/06(水) 10:44:24 ID:Ps6lhbyM
梨子「なんでそんな所選んだのよ、どうりで生徒の数が少ないわけね」
千歌「なんでって、その方がこっちとしても都合がいいからだよ」
梨子「都合?」
千歌「なまじ卒業生を体験しちゃうと、その学校に思い入れができちゃうからね。リライフの目的は、あくまで高校生に立ち戻ること」
千歌「思い出を作るための企画じゃないって、理解してるよね?」
梨子「……それは」
千歌「まあそんなわけで話は戻るけど、数あった部活動はどんどん廃部になって、今では陸上部と水泳部くらいしか残ってないんだよ」
梨子「そう、なんだ」
千歌「着いたよ」
梨子「そういえば、見せたいって言ってたのってなに?」
千歌「えへへ……よーちゃんの飛び込みなのだ♪」
104
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/06(水) 10:44:43 ID:Ps6lhbyM
―――
―
ワー スゴーイ
梨子「わあ……」
千歌「綺麗だよね、よーちゃんの飛び込み」
梨子「うん……飛び込みのことはよく分からないけど、なんとなく凄いってことはわかる」
むつ「やっぱり曜の飛び込みは綺麗だよね〜、曜なら絶対優勝できるよ!」
曜「そんなことないって」アハハ
むつ「ねえ曜、やっぱり水泳部に入らない?」
曜「あー、うん……また今度ね」
むつ「そっかぁ。気が向いたらいつでも言って、曜なら大歓迎だよ」
曜「うん、ありがと」
105
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/06(水) 10:45:19 ID:Ps6lhbyM
千歌「よーちゃん!」
曜「あ、千歌ちゃん! 梨子ちゃんも!」
梨子「あ、うん」
曜「二人ともどうしたの? 今日はお休みの日だよ?」
梨子「お休みの日って……」
梨子(すごい子供っぽい口調っていうか、なんか逆に違和感感じるわね)
梨子(最近の子っていうか、この子が特別なのかしら)
106
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/06(水) 10:45:31 ID:Ps6lhbyM
千歌「よーちゃんも、お休みなのに水泳部に遊びに来てるじゃん!」
曜「いやあ、なんか体動かしたくってさ」
千歌「やっぱり飛び込みの血が騒ぐ?」
曜「飛び込み台を見ると、無性に体が疼くのであります!」ケイレイ
千歌「さすがよーちゃん!」
梨子「さすが……なのかな?」
曜「そうだ、梨子ちゃんも一緒に泳ぐ?」
梨子「へ? 私は……その、いいよ」
曜「やったぁ! じゃあ水着貸してもらおう!」グイッ
梨子「いやっ、今のは要らないっていう意味の……は、話を聞いて〜!!」
曜「全速前進、ヨーソロー!!」
107
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/06(水) 10:46:03 ID:Ps6lhbyM
以前のトリップを忘れたのでこれで続けます
108
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/06(水) 11:07:57 ID:Ps6lhbyM
―――
―
千歌「いやー、よーちゃんはやっぱり凄かったね」
梨子「……」
千歌「梨子ちゃん? なんでそんなに疲れてるの?」
梨子「なんでって、分かるでしょ」
千歌「クスクス……梨子ちゃんって本当に泳げないんだね」
梨子「私がカナヅチだって知ってて止めなかったんでしょ」
千歌「止めなかったんじゃなくて止められなかったんだよ」
梨子「はぁ……渡辺さんって、全然人の話聞かないって言うか……おバカ?」
千歌「んー、まあそうだね」
梨子「本当に成績いいの?」
千歌「明日わかると思うよ。テスト返ってくるからね」
梨子「あ……」
109
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/06(水) 11:08:20 ID:Ps6lhbyM
千歌「そういえば、梨子ちゃんはどうだったんだっけ」
梨子「その、古典と数学が……まずいかも」
千歌「どんな風に?」
梨子「ボロボロだった。単語も文法も公式もすっかり忘れちゃって」
千歌「でも結構スラスラ解いてなかった?」
梨子「なんで席離れてるのに分かるのよ……」
千歌「曜ちゃんと梨子ちゃん席近いからね〜」
梨子「なんで渡辺さん? あっ、そういえば筆記用具渡辺さんから借りて……」
千歌「よーちゃんは周りがよく見えてるんだよ」
梨子「つまり、渡辺さんから聞いてるのね。納得」
千歌「んー、そういうことにしとくよ」
梨子「なに、その気になる言い方」
千歌「なんでもないって」
梨子「もう……」
千歌「さて、どうなるかな〜♪」
110
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/06(水) 11:10:24 ID:Ps6lhbyM
―――
―
現代文 92点 古典 74点 国語 166点
数学 145点
英語 198点
梨子(はぁ……やっぱり古典と数学が微妙だった)
梨子(確率なんて解き方すっかり忘れちゃったよ)
担任「えー、英語は桜内さんがトップですね」
梨子「え、私?」
担任「総合では渡辺さんが1位です」
ザワザワ…
スゴイ… サスガトウキョウノオジョウサマ…
曜「うそ……」
111
:
名無しさん@転載は禁止
:2019/03/06(水) 14:26:45 ID:fjL6cERw
続き来てる!!
待ってたよ
112
:
名無しさん@転載は禁止
:2019/03/06(水) 17:24:21 ID:YozotPrs
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
113
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/07(木) 22:26:59 ID:8U7Ekqa6
むつ「すごいよ桜内さん!」
梨子「いやあ、数学とか国語とか、色々忘れてるし」
むつ「7割と8割じゃん! 十分すごいって!!」
いつき「桜内さん、前の学校で学年トップだったって本当なんだね〜」
よしみ「私に英語教えて! 英語マジでヤバいの!!」
梨子「あ、うん。私でよければ」
よしみ「やった! ありがと!」
むつ「ねえねえ、梨子ちゃんって呼んでもいい?」
梨子「へ?」
むつ「千歌はもう名前で呼んでるし……ダメかな?」
114
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/07(木) 22:27:50 ID:8U7Ekqa6
梨子「えと……ダメじゃ、ないよ」
むつ「やった! じゃあじゃあ、私たちのことも名前で呼んでよ!」
よしみ「そうだよ〜、この機会に呼んでみて!」
梨子「あの、その……よしみちゃん、いつきちゃん、むつちゃん」
いつき「梨子ちゃんって可愛い」
むつ「うんうん、流石都会からきた美少女だよねえ」
梨子「そ、そんなこと……ないよ」
梨子(10歳年下の女の子たちにそんなこと言われちゃって、なんかちょっと罪悪感……騙してるみたいで)
梨子(でも、ちょっとくらいいいよね)
曜「……」
115
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/07(木) 22:28:46 ID:8U7Ekqa6
―――
―
梨子「はぁ」
梨子(なんか、ドッと疲れが押し寄せてきたわね)
梨子(若い子たちのテンションに当てられたのかしら)
曜「りーこちゃん」
梨子「わっ……えと、渡辺さん?」
曜「曜」
梨子「うん?」
曜「曜って呼んで」
梨子「あ、その……曜ちゃん」
曜「えへへ、嬉しいな」
梨子(まあ、名前で呼んでもらってるしね)
梨子(私が高校生の時は、確か苗字で呼び合ってたような気もするけど)
116
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/07(木) 22:35:11 ID:8U7Ekqa6
曜「梨子ちゃんって、本当に勉強できたんだね」
梨子「いや、そんなことは」
曜「あるよ。英語と現代文、私より点数高いもん」
梨子「でも……総合では、曜ちゃんの方が」
曜「それじゃ意味無いんだよ」
梨子「え?」
曜「去年は全教科で1位取ったけど、それでもダメだった。まだまだ足りてないんだ」
梨子「ダメだった……?」
曜「だから、1位取れないんじゃ話にならないんだよ。決めたんだ、完璧になって認めてもらうんだって。だから――」
曜「次は絶対負けない」
梨子(これって、宣戦布告だよね?)
梨子(もしかして、水泳部に入らないのって、これが理由なのかな)
梨子「……うん、わかった。私も次は負けない」
梨子「古典でも、数学でも。全教科で勝つわ」
曜「っ……望むところだよ!」
117
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/07(木) 22:42:08 ID:8U7Ekqa6
―――
―
梨子(何か、勢いで乗っちゃったけど)
梨子(勝負するってことは、また勉強し直さなきゃいけないのね)
梨子「はあ……しんどいわね」
担任「桜内さん」
梨子「あっ、はい」
担任「突然呼び掛けてごめんね。話があって」
梨子(そういえばこの人、何歳なんだろう)
梨子(私と同世代……いや、もしかしたら年下?)
担任「ちょっと職員室まで来てくれるかしら」
梨子「え? わ、わかりました」
梨子(私、何かしたっけ)
梨子(まさか、コンビニでお酒買おうとしたこと……バレた?)
梨子(やっば)
118
:
◆nDhcp.GYyc
:2019/03/07(木) 22:45:16 ID:8U7Ekqa6
ガラッ
担任「あのね、ちょっと話があるんだけど」
梨子「申し訳ありませんでしたあっ!!」
担任「はい?」
梨子「あれはほんの出来心で……」
担任「別に、怒ろうとしたわけじゃないんだけれど」
梨子「えっ」
梨子(バレてない?)
担任「何かしたの?」
梨子「いっ、いえ! 何もしてないですよ、何も」
担任「そう。じゃあ要件を話すわ」
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