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>>2「>>2の3分クッキングの時間だよ!」 PartⅩⅩⅣ
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安価スレのようなそうじゃないよう
なSSスレ
前スレ(PartⅩⅩⅢ)
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前前前前前スレ(PartⅩⅨ)
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前前前前前前スレ(PartⅩⅧ(再々))
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1486897355/
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てんぷれ
過去編〜土曜編までの略年表
http://urx.mobi/BK9a
日曜編チャート
http://urx.mobi/BK9h
終末編チャート1(『200』まで)
http://urx.mobi/BK9i
終末編チャート2(『201』以降)(更新)
http://ur0.link/CNAi
新終末編チャート
http://urx3.nu/HyLn
現在の登場人物の図(更新)
http://urx3.nu/HyLK
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Part表
Part1 Part2:クッキング編
Part3:クッキング編〜前世編〜土曜編秋葉原深夜決戦前
Part4:土曜編秋葉原深夜決戦〜日曜編序盤
Part5:日曜編(ディズニーシー決戦編、博物館編、冥界内乱編、ビワッシー編、アノールロンド編)
Part6:日曜編(アノールロンド編、幕張メッセ編、英玲奈家襲撃、ドスケーブ城厨房騒動)
Part7:日曜編(病院編、亜里沙編、魔王軍過去編、ドスケーブ城襲撃編)
Part8:日曜編(魔王様日記編、亜里沙北海道編)
Part8再:日曜編(大雪山拠点決戦)〜終末編(ドスケーブ城防衛戦、津軽海峡偵察戦、神田明神地下研究所編)
Part9:終末編(大阪防衛戦)
Part10:終末編(滋賀・琵琶湖追撃戦)
Part11:終末編(ロシア編、ドスケーブ城三者会談、深海とっり編)
Part12:終末編(冥界襲撃・対ミナ仮面勢力編)
Part13:終末編(深海バーミヤン編、竜宮城編)
Part14:終末編(イオンモール草津パニック編)
Part15:終末編(名古屋編、空中名古屋支部〜ドアラランド突入)
Part16:終末編(黄金ドアラランド決戦・前)
Part17:終末編(黄金ドアラランド決戦・中)
Part18:終末編(黄金ドアラランド決戦・後)
Part19:終末編(凍結名古屋決戦)
Part20:新終末編(狭間の世界編、冥界ムスペル編、天空の城編、音ノ木坂跡編、GODの里編、ほのキチ倶楽部VS魔王キチ団前編)
Part21:新終末編(ほVS魔後編、玩具の箱庭編、VS新魔王編、UTX跡編、名古屋凍結砂漠編、バーミヤン下層編、関門海峡偵察編、魔の海域編)
Part22:新終末編(琵琶湖再び編、バーミヤンVSヨルムンガンド編、VS神造人間編、ドスケーブ城崩壊編)
Part23:新終末編(音ノ木坂跡アルパカウイルス編、北方領土地下空洞編)
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○前スレのあらすじ
音ノ木坂跡を中心に広がる謎のウイルス
事態を解決しに向かった寿限無たちはアルパカ兵士の猛攻に苦戦しつつも原因であった感染体を倒すことに成功した
その後ウイルスを作成した博士アルパカを中心に再びミーム的特性を備えたウイルスが拡散してしまうものの
鞠莉とマッキーが味方になってくれたアルパカ族の力を借り、ウイルスを駆逐する新抗体を作成し事なきを得た
だが一難去ってまた一難
突如現れたクローバーによってもたらされたのは『宇宙怪獣が日本へ落下してくる』という情報
落下地点は静岡県沼津市、ただでさえ壊滅的な被害だが中国地方を進軍しているムスペル軍と合わせると
名古屋や大阪、滋賀と言った残ってる拠点が挟み撃ちになってしまう
解決の策として提示されたのはサトゥルヌスによる宇宙怪獣撃退
旧魔王の遺物を防衛兵器として活用する手段だった
クローバーによって音ノ木坂に眠っていたサトゥルヌスの左腕を
マザーと海未たちによって北方領土地下大空洞――レヴィアタンに保管されていたサトゥルヌスの本体を回収することに成功
落下までのタイムリミットが刻一刻と迫る中、2チームは最後のパーツである右腕が眠り、同時に防衛地点でもある浦の星女学院へ急ぐのだった
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てんぷれおわり
質問ご指摘等あればどうぞ
強さ格付け?記憶にないなぁ
いや……いつかやります、たぶんいつか……
では本編へ
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新終末編『251』
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──島の端
AM8:36
バババババババババッ!
海未(洞窟を通って外に出ると風が強くなっていた)
海未(だがこの風は自然のものではない、上空に待機している巨大な影が起こしているものだ)
海未(あれがマザーの言っていた船――スターニシキノの飛空艇ですか)
海未(予め支持をされていのか飛空艇は地面ギリギリまで高度を落としていて、サーチライトを私たちのほうに向けていた)
マザー「じゃ、まずうちが話を付けてくるわ」
マザー「そしたら着陸してハッチを開くはずやから乗り込んできてな」
海未「分かりました、ですがボールは――」
マザー「それこそ分かってるって、持ち逃げせんように自分に渡しとけやろ、ほらっ」ヒュンッ
海未「おおっ」パシッ
海未(マザーは何の躊躇いもなくモンスターボールを渡してくる)
海未(さっき地下で脅した私が言うのもなんですが、信頼されすぎてて少し怖いですね)
海未(本気になれば取り戻せるという自身の裏返しなのか……)
マザー「ほっ!」
タンッ!
海未(マザーは何も気にしてない様子で少し屈んでジャンプ、十数メートル上の飛空艇に跳んでいってしまった)
ピョーンッ
希「あの人……うちら全員相手にしたら勝てないって嘘なんちゃうんかな」
海未「さぁ、誰が相手でも負けるつもりはありませんが……敵に回したくない相手の1人ですね」
-
・
・
──飛空艇内
スタッ
マザー(地面からジャンプしたうちは手近の適当な窓をエアワシワシして粉砕、そこから内部の通路に着地した)
マザー「さてさて、船長室は……」
船員「いた!マザーさん!」タタッ
マザー(辺りをキョロキョロしていると1人の船員が息を切らしてこっちに走ってきた)
マザー(うちを部屋から案内してくれた子やな、顔に見覚えがある)
船員「はぁ……はぁ……」
マザー「よっ、任務を果たして戻ってきたで」
船員「それは良いんですけど……普通の場所から入ってきてくださいって」
船員「降りる時は壁壊すし、戻ってくる時は窓壊すし、一応ニシキノさんの船なんですから」
マザー「ごめんって、急ぐとつい最短距離を進みたくなるんよ」テヘッ
マザー(うちは顔の前で手を合わせてウインクをする、すると船員さんは顔を真っ赤にしてたじろいでしまう)
マザー(ふふっ、可愛いなぁ)
船員「う……ま、まぁ良いですけど……それよりこちらも報告があるんです」
マザー「報告?」
船員「実は>>8」
-
あと数分で敵が襲来
-
船員「実はあと数分で敵が襲来してくるんです!船のレーダーがキャッチしました!」
マザー「なっ!?それは大変やな、早く海未ちゃんたちを乗船させんと……」ダタッ
プルンッ
船員「あ!ま、待ってくださひっ!」
マザー「ん?」
マザー(船長室へ急ごうとうちが走りだすと船員さんが裏返った声で呼び止めてきた)
マザー(振り返ると船員さんは顔を赤くしつつ目を伏せて妙にモジモジしている)
マザー「どしたの?」
船員「その……先程から気になっていたのですが、その格好はどうにかしたほうがいいかと」
船員「何分あっちは船長を始め人が多いので……色々と出ちゃってると不味いというか……」
マザー「格好……」
チラッ
マザー(指摘されて改めて自分の格好を思い返してみる)
マザー(下はミニスカで上は海未ちゃんと交換した超マイクロビキニやったっけ)
マザー(うちには小さすぎるサイズでちょっと動けばポロリしちゃうような紐水着)
マザー(そんでうちは飛空艇までジャンプして来たから……)
チラッ
マザー「なっ!?」ボッ!!
マザー(うちの胸の2つのふくらみはピュアな青少年には目の毒過ぎる有様になっていた)
マザー「…………っ!!」カァーッ
-
マザー(うちは慌てて布の中にあるべき物を戻そうとするけど、元々布なんてあってないようなものなので戻らない)
マザー(船員さんは自主的に後ろを向いてくれている)
マザー(ああもう!なんでこんな服来ちゃったんやろう!誰にも見せたことなんてないのにぃぃっ!)
マザー「ご、ごめんな、変なもの見せちゃって……」
船員「い、いえ……」
マザー(うちはいかにも恥ずかしがってない体で冷静に謝る)
マザー(本当はめっちゃ恥ずかしい!恥ずかしいけど……なんかうちが恥ずかしがってるって知られるのが1番恥ずかしい!)
マザー(だから冷静で出来る大人のふりをするんや、余裕を見せるんや、落ち着け……落ち着け……)
ドキドキッ ドキドキッ
船員「あのマザーさん!せめてこれを羽織ってください!」バッ!
マザー「お、おう」
マザー(船員さんが後ろを向いたまま渡してくれた制服の上着を手に取り羽織る)
マザー(胸がキツイけど……なんとかボタンは止められるな)
マザー「あ、ありがとう……そんじゃ急ごうか、時間も無さそうだし」
船員「は、はいっ!」
スタスタ スタスタ
-
・
・
スタスタ スタスタ
マザー(顔を手でパタパタさせて赤い顔を仰ぎつつ、うちらは通路を歩いて船長室へ急ぐ)
マザー(仕事モード、仕事モードに切り替えるんや……)
マザー「……で、レーダーに写った敵って言うのは?」
船員「はっ!詳細は解析班が解析中ですが……」
船員「今のところ判明してる情報から考えるに敵は>>12だと思われます」
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機械生命体
-
船員「敵は機械生命体だと思われます」
マザー「機械生命体……?機械の体を持った生物やったっけ」
船員「はい、マザーさんは会ったことあります?」
マザー「いや……見たことあるのは異能者が作った機械生命体モドキくらいやな」
マザー「異界や地球外には種族として存在を確立させた機械生命体がいるそうやけど、そっちとは会ったことはない」
マザー「今回襲撃して来てんのは後者のほうやろ?」
船員「そう……ですね」
船員「船のレーダーが捉えた限りでは巨大な金属の塊ですが、内部に確かに生命体が出すサインを感知しました」
マザー「サイン……バイタルサインみたいなもんか」
船員「はい、ですが心臓や血管と言った生体組織は見られない」
船員「襲撃者は無機物の部品だけで人のに酷似した生体活動を行っていると思われます」
マザー「……ふむ」
-
スタスタ スタスタ
マザー(そう話してるうちに船長室に到着した)
ウィーン!
鞠莉(自動で扉が開くなり、うちは開口一番船長に命令する)
マザー「船長!いますぐ船を降ろして下の子たちを回収!」
船長「ま、マザーさん、あの少女たちは?」
マザー「あの子たちは仲間、敵じゃないのはうちが保証するから安心していいよ、今は時間が無いんやろ?」
船長「ですが……」
マザー「てか任務の確保対象を預けて来ちゃってるし、このまま逃げても手ぶらやで」
船長「……ぐっ!」
バッ!
船長「各員に告ぐ、船を降ろしてマザーの仲間を回収!回収しだいすぐに発進だ!」
マザー「よしよし」
スタスタ
マザー(船長が動いたのを確認した私は分析官のデスクの所へ行く)
マザー(デスクの前のモニターには船の周囲の情報がデータで羅列されている)
マザー「あんたが解析分析担当の人やな、敵の情報はどれだけ入ってきている?」
分析官「今のところは船長に伝えた程度の話ですよ」
分析官「あとは形くらいですかね、こちらへ向かってる機械生命体は飛空艇と同じくらいの大きさ」
分析官「形は>>15」
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ハーケンクロイツ
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カマドウマ
-
分析官「形はハーケンクロイツの形をしています」
マザー「ハーケンクロイツ……スワスティカ、鉤十字、この国的にはまんじって呼び方がしっくり来るかな」
-
マザー「わざわざ独語呼びってことは某党を想起させる右まんじなんか?」
分析官「よくお分かりで」
船員「右まんじ?」
マザー「日本でも使われる卍マークを反転させたやつやな、逆鉤十字や逆まんじとも言われる」
船員「ほうほう、要は右まんじの形をした機械生命体が近づいてきてるわけですか」
分析官「そう、自分の体を海と水平にしてグルグル回転しながら向かってきてますね」
マザー「随分とシュールな飛び方の飛行物体やな……」
マザー「機械生命体と言うからには何かの生物っぽい形をしてると予想してたが完全に外れ」
マザー「むしろUFOかなんかの亜種と言われたほうがしっくりくるで」
タタタッ!
船長「マザーさん!お仲間の乗船が完了しましたぞ!」
マザー「……よし、じゃあ飛空艇を浮かせて全速前進や!」
マザー「まんじ野郎に追いつかれる前にさっさとこの島を出発するで!」
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島の端〜飛空艇
AM8:36〜AM8:40 新終末編『251』了
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というわけでここまで
NGに引っかかって探ってたら変な区切りになってしまった
ではこのスレもグダグダやっていきます
新終末編『252』に続く
かもしれまない
-
気と首を長くして待ってます
をつ
新スレもをつ
-
新終末編『252』
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──飛空艇内・客室
AM8:40
海未(マザーと分れてから数分後、私たちの前のスペースへ飛空艇が着陸)
海未(下部ハッチが開くとやけに慌てた船員にが中から出てきた、その船員に促されるように私たちは船の中へ)
海未(ここで待機していてくださいと案内されたのは豪華な客室、VIP用の部屋なのでしょうか)
海未(明らかに身元不明な集団の扱いにしては良すぎる対応、マザーが何か口添えしたのか……少し不気味ですね)
希「てっきり倉庫にでも入れられると思ったら優遇されてるなぁ」
コトーリ「ひろいひろい」
海未「まぁ私たちも人数が人数ですしね、広いに越したことはありません」
海未(私、希、ダル子、コトーリさん、ウミトラマン)
海未(ほのり、善子、ココロ、彼方、かもめ……の合計10人が一部屋に詰め込まれている)
ココロ「天使様!ティーセットがあるので今お茶を淹れますね!」
コトーリ「うーい」
ダル子「こっちのソファーは彼方ちゃんを寝かせるので使わないでくださいねー」
善子「くくく……空を駆ける暗黒飛空艇ダーカーシップ、私に相応しい乗り物だわ!」
ほのり「こらテーブルに足あげないの」パシッ
善子「ぐっ……」
海未(みんな割りと好き勝手に騒いでますね……)
-
タタタッ
かもめ「海未さん、あの船員の制服に付いてたエンブレム……スターニシキノの物ですね」
かもめ「結構悪評を聞く戦争会社ですから気をつけたほうがいいかと」
海未「ええ、マザーと協力すると決めた時から注意は払ってるつもりです」
海未「あくまで力を借りるだけで深入りはしない、あなたも下手に刺激しないようにしてくださいね」
かもめ「……はい」
かもめ「じゃ、私は扉の近くで休みがてら見張っていますから」タタタッ
海未「はい、お願いします」
海未(かもめは扉の横の壁まで走っていくと壁を背にして座り込み、ライフルを股の間に挟んで休息の姿勢を取る)
海未(もっと普通に休んでもらっても良いのですが……)
海未「……さてと」
海未(船は発進したようですがマザーはまだ来ない、今のうちに>>23)
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天界について聞く
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海未(今のうちに天界について聞いておきましょうか)
海未「ほのり!ダル子!こちらへ来てください」
ほのり「はーい」
ダル子「今行きます!彼方ちゃん健やかに寝ててね」
彼方「……」スピー
タタタッ
ほのり「どうしたの?」
海未「マザーがいないタイミングですし、この際に天界の話を聞いておこうと思いまして」
ダル子「なるほど、分かりました」
ダル子「ほのりさんがロスヴァイセさんに連れられて行った世界、つまり私の世界ですが……あそこは北欧神話をベースにした世界になっています」
海未「北欧神話……巨大な世界樹を中心に複数の世界が連結して成り立っている世界体系ですね」
ほのり「オーディンってエロ親父が治める国だったわ」
ダル子「はい、そして前提として知っていて欲しいのは私たちの世界が唯一無二の天界では無いということ」
ダル子「仏教ベースの天界もあれば、ギリシャ神話ベースの天界もある、それぞれがお互いに独立した世界なのです」
海未「ほう……複数神話が習合している冥界とは別なのですね」
ダル子「まぁ冥界も地獄なんかは別異界として存在しますけどね、天界ほどバラバラではありません」
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善子「ん?なんで人間の書いた神話の通りに他の異界は出来てるの?」
ほのり「今更そんな基本的なこと聞かないでよ、異界同士は相互に影響を与えあってるの」
ほのり「こっちで考えた『お話』があっちで『現実』になったり、あっちの『現実』がこっちの『お話』になったりしてる」
善子「ややこしいのね」
ほのり「ややこしいのよ」
ほのり「でっかいプールの中に小さなボールが無数に浮かんでる」
海未「北欧神話に語られる他の国も存在するのですよね」
ダル子「はい、ムスペルヘイムなどは独立存在してますし、人の世界ミッドガルズはこの世界と同一視されていて、ニブルヘイムなどは冥界と習合しています」
海未「なるほど、北欧神話から見て都合の良いように他異界を説明付けてるのですね」
ダル子「まぁ悪く言えば屁理屈で良く言えば解釈、他の神話世界でも同じことをしてるでしょう」
海未「ふむ……」
ダル子「ではここからが私の世界、北欧神話ベースの天界が他の天界と違う所についての説明です」
ダル子「海未さんが言った通り、北欧神話の世界は世界樹によって複数の世界が繋がった世界」
海未「繋がっている……まさかっ」
ダル子「はい、世界樹理論を対応させれば天界と他の世界を容易に行き来できるわけです」
善子「すごいじゃない!だったら北欧神話の強い神様に来てもらえばフードマン軍なんてイチコロよ!」
ほのり「善子……あなた天界で話聞いてなかったの?」
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善子「え?」
ほのり「今は世界樹が枯れて消失してるの、だから大型の神格は現世との行き来が難しい」
善子「あー、そうだったっけ」
ほのり「だからね海未さん、私たちは枯れた世界樹に関する手がかりの調査も依頼されているの」
ほのり「かつて人間の世界と天界を繋いでいたのなら、この世界にも手掛かりが残ってるはず」
ほのり「世界樹さえ復活すれば天界から援軍が呼べるのよ」
海未「……なるほど」
ダル子「向こうでそんな話になってたんですか、それは知りませんでした」
ほのり「一応トゲわんに調査依頼はしてるけど、海未さんは何か思い当たることない?」
ほのり「何か……とてつもなく大きな木の話について」
海未「思い当たること……>>27」
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小さい頃よく用を足していた大きな木
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海未「思い当たることは……」
海未「そうですね、小さい頃よく用を足していた大きな木とかでしょうか」
ほのり「何でいきなりそんな思い出がでてくるのよ……」
善子「てか木でトイレって犬なの?」
海未「い、いえっ!本当に小さい頃の話ですよ!今はそんなことしません」
ブンブンッ
海未(自分でも分からない、どうして最初にこの思い出が口をついて出たのか)
海未(絶対に人には話すまいと思っていた記憶、私もすっかり忘れていた記憶だったのに)
海未(でも……)
海未「あの木は、本当に思い出の木だったのです」
海未「私が良く行っていた公園に生えていた木で、やがてそこで穂乃果たちとも出会って……」
海未「その木でことりが怪我をしてしまったり悲しいこともありましたが、それでも皆で遊んだ思い出の木です」
善子「用を足してたのに?」
海未「その頃はもうしてませんよ……」
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ほのり「海未さんたちが遊んでいた公園の木か、一応チェック候補に入れておこうかしら」メモメモ
海未「でも確かあの木は老朽化で切られてしまったような……」
ほのり「……よし」
ほのり「じゃあ次に……クッキング博士から告げられた情報に関しても共用しておくわ」
海未(ほのりは声のボリュームを少し落として続ける、なるべく他に聞かれたくない話なのだろう)
海未(私も耳をほのりの口に近付けるように前に出る)
ほのり「実は――――」
・
・
-
・
・
ほのり「――って話なんだけど、海未さんはどう思う?」
海未「……なるほど」
海未(世界改変による歴史の捻じれ、それもう看過できない所まで進んで来ている)
海未(捻じれ過ぎた世界を戻そうとすればその反動は凄まじく、歴史は元に戻るところかマイナスの状態まで戻ってしまう)
海未(私たちが3分クッキングを始めようとした時間より前、ほのりたちが生まれていない世界へと――)
海未(それがクッキング博士の提唱している理論)
海未(本当かどうかは分かりかねますが……一応留意しておいたほうがいいですね)
海未「分かりました、引き続き他の人には話さないでおいてください」
海未「μ'sのメンバーには私のほうからタイミングを見て話しておきます」
ほのり「はいっ」
海未(……と、話に区切りが付いたところで見計らったように扉が開いた)
シュッ! ウィーン
マザー「よー!みんな揃ってるかー?」
かもめ「っ!?」ビクッ!
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海未(いきなり現れたマザー、気配を事前に感知できなかったのか扉の横にいたかもめが驚いて飛び跳ねる)
かもめ「あ、足音がしなかった……?」
海未「揃ってますよ、飛空艇は真っ直ぐ内浦へと向かうのですか?」
マザー「それなんやがな……実はこの船、謎の空飛ぶ敵に追っかけられてるんや」
海未「敵?」
マザー「うん、現在進行形で迫ってきている」
マザー「飛空艇も全力で飛ばしてるけど、今のスピード差だと追いつかれるまで>>32」
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40秒
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マザー「あと40秒」
ほのり「……え?」
マザー「だから40秒、40秒で激突するから心構えしててな」
ほのり「はぁぁぁぁぁっ!?」
ダル子「なんですかそれ!聞いてませんよ!」
マザー「あと30秒なー」
海未「こちらから攻撃して撃墜は出来ないのですか?飛空艇には武装がついていたでしょう」
マザー「もちろん試したけど飛空艇の砲撃じゃ90%回避されるし、着弾した所で有効打は与えられなかった」
マザー「敵さんの金属装甲は普通の兵器では傷1つ付けられない硬さらしいなぁ」
海未「それは厳しいですね」
マザー「スターニシキノは対異能系の兵器も製造してはいるけど、この船には付いていないんよなぁ」
マザー「元々うちを運ぶだけの仕事やったから戦闘なんて想定しとらんし、船長たちも大慌てやで」
マザー「で、残り10秒」
海未「仕方ありませんね……皆さん!姿勢を低くして部屋の中央に集まってください!」
ココロ「天使様!ははははやく私の下へ!抱っこしてあげます!」グイッ グイッ
コトーリ「だいじょーぶ、だいじょーぶ」
ダル子「か、彼方ちゃんが吹っ飛ばないように固定して……」ギュゥゥッ
マザー「5……3、2、1」
マザー「ゼロ」
海未(そして、激しい衝撃が飛空艇全体を大きく揺さぶった)
ドゴォォォォォォォォンッ!!!!
─────────────────
スターニシキノ飛空艇
AM8:40〜AM8:46 新終末編『252』了
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というわけでここまで
衝突、そして
新終末編『253』に続く
かもしれない
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新終末編『252』
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──スターニシキノ飛空艇
AM8:46
ドガガガガガガガガガガガッ!!
海未(船体が激しく上下左右に揺れて、部屋の中のテーブルや椅子が跳ね回る)
ココロ「どどどどうしましょう天使様!おおお落ちるんじゃないですかこれ!」
コトーリ「こころおちついて」ポンポン
善子「この状態で落ち着けってほうが……わわっ!むむむりなんじゃないぃぃぃっ!?」
マザー「ふーむ……この感じ、敵が激突した箇所は――」
ダル子・かもめ「「船尾右側上部!!」」
海未(ダル子とかもめが張り合うように同時に同じ箇所を叫ぶ)
海未(ダル子は神眼で、かもめは持ち前の耳で判断したのだろう)
マザー「……うん、正解やね」
海未(マザーはまるで答え合わせのように頷きながら余裕の笑みで答える)
海未(初めから分かっていて2人を試したのだろう)
かもめ「ちっ」
海未(かもめはそれがまた気に入らないみたいで不機嫌な表情を見せる)
海未(マザーの接近を感じ取れなかったことがかなり悔しかったみたいですね……)
海未「マザー、その激突した箇所には何があるんですか?航行に重要な箇所が破壊されていたら大変です」
マザー「確かあそこは……>>36」
-
ワームホール
-
マザー「確かあそこにはワームホール発生装置があるな」
海未「ワームホール?なんでまた……」
マザー「いいから向かうで!」
マザー「付いてきて欲しいのは海未ちゃんとそれから……」
ダル子・かもめ「「私たちも行きます!」」バッ!
海未(また2人揃って手を上げる、やけにやる気がありますね……)
マザー「うんっ、じゃあその3人で行こう、急いでな!」タタタッ
海未「分かりました、希はここの皆をお願いしますね!」
ダル子「彼方ちゃんもお願いします!」
希「おうっ、気をつけてな!」
タタタタタッ!!
-
・
・
──通路
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
海未(引き続き揺れ続ける飛空艇内の通路)
海未(私たち4人はそこを船の後方に向かって走っていた)
タタタッ
海未「しかしワームホール発生装置とは……どうしてそのようなものを積んでいるのです?」
マザー「さぁ?単に積荷として積んでるだけやと思うよ」
マザー「この飛空艇がロシアに迎えに来てうちが乗り込む時にはもう積んでたし」
マザー「仕事の途中でニシキノから急にうちを運ぶ依頼が来て、先にしていたワームホール運びを中断したんちゃうかな」
海未「ふむ……」
マザー「うちも乗り込む時に気になって聞いたけど詳細は教えてもらえんかったで」
海未「そうですか、マザーが知らないのでは仕方ありません」
タタタッ
ダル子「海未さん、ワームホールって何ですか?」
海未「ええと……そうですね……」
海未(後ろを走っているダル子からの質問に少し言い淀んでしまう)
海未(自分が曖昧なイメージで認識してる概念を、いざ人に言葉で説明しようとすると難しい)
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海未「ワームホールとは数学の理論上に存在する時空と時空を繋ぐトンネル……ですかね」
海未「フィクションでは主にワープホールやタイムマシンのトンネルとして使われることが多いです」
マザー「宇宙人が出てくるSFで遠い距離を短く移動するための方法とかな」
ダル子「なるほど、海未さんのキーブレードゲートみたいなものですか」
海未「まぁ……似てるといえば似てますが、ワームホールはまだ技術としては再現不可能な理論ですし」
海未「再現できたとしても脆くて実用性は無いはずです」
かもめ「異能を知っている私たちが言うのも何ですけどね……」
マザー「それを言っちゃあお終いやで」
海未「はい、ですから気になるのです」
海未「スターニシキノが商品として運んでいる装置とやらが、異能を使ったものなのか……はたまた人類の知らない科学なのか」
マザー「なんにしても直接見てみたほうが早いで」
マザー「ほら……もうそこが目的の格納庫や!」
タタッ!
海未(襲撃者が激突した最後尾の部屋)
海未(通路に続く扉は衝撃で吹き飛んでいて中の様子は通路からでも見て取れた)
海未「……!」
海未(外に面した壁は派手に崩壊し、そこから巨大な金属の直方体が部屋の中に突っ込んできている)
海未(部屋に入ってる長方体は外に向かって更に続いてるようで、中からでは全景が見えない)
マザー「あれが襲撃者、金属生命体の端っこや!」
海未(そして襲撃者……マザーの言う金属生命体は>>40)
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ケーブルを伸ばしてハッキング中
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海未(直方体を構成している1番先端の正方形の面、そこから複数のケーブルを周囲の壁や装置に伸ばして接続していた)
海未(何かを読み取っている……?まさかハッキング?)
かもめ「金属生命体というか完全に金属の塊ですね、全形はどうなってるんです?」
マザー「ハーケンクロイツ、右まんじの形やな」
マザー「卍がグルグル回転しながら突っ込んできて、鉤爪みたいになっとる先の部分が船の最後尾に突き刺さってる形」
マザー「うちらは船の中からその鉤爪の部分を正面に見てるんや」
かもめ「あー、なんとなくイメージはできました」
-
海未「それよりケーブルを断ち切ったほうが良いですよね、ワームホール発生装置にまでケーブルを伸ばしていますよ!」
マザー「せやな、手分けして行くで!」
マザー「右がうち、正面がかもめちゃん、左は海未ちゃんで!」
かもめ「はいっ!」
海未「了解です!」
海未(格納庫中にウネウネと伸びる太いケーブル)
海未(部屋を大きく分けて向かって右側のケーブルをマザーがエアワシワシで削り取り、中央のケーブルをかもめちゃんがライフルで撃ち抜く)
海未(同時に私が左側のケーブルにファントムエッジで斬り込んだ)
ゴッ! ダンダンッ!! バシュッ!!
海未(3人の同時攻撃、ケーブルに対して有効打を与えられたのは>>43)
-
誰一人いない
-
キィィィィィィンッ!!
海未(有効打を与えられたのは……誰1人いなかった)
マザー「……っ!アカンなぁ、こいつガッチガチやで!」
かもめ「ちょっ!メタルジェットを発生させる特殊弾が装甲の1枚も貫けないって……」ガチャッ!
海未「ファントムエッジで焼き斬れない……っ!?」
海未(マザーは赤く腫れた手をぶんぶんと振り、かもめは驚いた顔で薬莢を排出する)
海未(かくいう私も自分の刀が通じないことに動揺を隠せない)
海未(直接刀身部分で斬ったわけではないため、コイヌの時みたいに折れることありませんでしたが……)
海未「それでも、この装甲の強度は異常と言えます……」ブンッ
マザー「せやなぁ、普通の兵器じゃ破壊できないと聞いてはいたけど、海未ちゃんでも斬れないとは聞いてへんで」
かもめ「少なくとも地球上の金属とは考えられませんね」ガシャンッ
かもめ「異能で強度を高めてるのか、そもそもシールドで物理攻撃を弾いてるのか……」
かもめ「幾つか可能性を考えて複数の特殊弾を試してみます」ググッ!
ダンッ!
海未(かもめが素早く装填して放つ二撃目、だがそれも金属生命体のケーブルに弾かれてしまう)
-
キィンッ!
かもめ「はいはいこれはダメっ!」ガシャッ!
かもめ「そこ後ろの人!何か弱点みたいのは見つからないの!?」
ダル子「ダル子よ!言われなくても神眼で探してますけど……」キィィィィィィッ
ダル子「こいつ、全身が継ぎ目のない金属で覆われていて穴みたいな穴が無いのっ!」
かもめ「そりゃ最悪」
海未(ダル子の言うとおり、ケーブルが出てきてる場所でさえ、ケーブルと平面のつなぎ目が見当たらない)
海未(まるで金属が液体みたいに変化してケーブルを生み出してるような感じ)
マザー「とにかく壊せへんでも時間を稼ぐ、その間に何か手を考えよう!」
ワシワシッ ドンッ!! ドンッ!!
海未(マザーさんは直接本体に攻撃することを諦め、ケーブルの周囲の空間を爆発させてケーブルの動きを邪魔していく)
海未(けれど一度接続されたケーブルが外れる様子はない)
海未「何か……何か方法は……>>46」
-
サトゥルヌスの試運転
-
海未(何か……何か……方法は……)
カチャッ
海未(ん?コートのポケットの中に硬い感触が……)
海未(はっ!そうだこれ!)
海未「マザー!」
マザー「なんや!?」
海未「突然ではありますがここで『例の物』の試運転をしてみるのはどうでしょう」
マザー「例の物……?」
海未「はい、今私のポケットに入ってるボールですよ」ニヤリ
マザー「なっ!まさか海未ちゃん……」
海未「そのまさかです!2人とも後ろに退いてください!」
スッ
かもめ「は、はいっ!」サッ!
マザー「もう……どうなっても知らんからな!」
海未(2人が下がったのを確認して私は手に掴んだボールを投げる)
ビュンッ!!
海未「サトゥルヌス!君に決めました!」
カッ!!
─────────────────
スターニシキノ飛空艇
AM8:46〜AM8:49 新終末編『253』了
-
というわけでここまで
試運転でどうなるのか
新終末編『254』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『254』
─────────────────
──スターニシキノ飛空艇・船尾格納庫
AM8:49
カッ!!
海未(モ○スターボールが空中で割れると、光と共にサトゥルヌスの巨体が格納庫に姿を表す)
海未(想定していたことですがサトゥルヌスの体長は飛空艇の狭い格納庫には収まりきらない)
ググググググッ!!
海未(サトゥルヌスの頭が格納庫の天井を突き破り破壊してしまう)
バゴォォォォォォォォンッ!!
サトゥルヌス「ぐおおおおおおおおおおおっ!」
海未(金属生命体に衝突で破壊された最後尾の壁と合わせて、これで格納庫は外に面する2つの壁が破壊されたことになる)
海未(つまり通路から格納庫に入ってそのまま前を向いた場合、正面と上方向が吹き抜けなわけで……ほぼ野ざらしみたいなもの)
海未(地上ならともかく目も眩むような高さの上空さを高速で飛んでいる飛空艇の上)
海未(強い風が吹きつける中で壁がないというのは非常に怖いですね)
ゴォォォォォォォッ
-
かもめ「あらら……」
マザー「ほらなぁ、言わんこっちゃ無い……」
マザー「正面と上どころから左右の壁まで少しずつ崩れて来とるやんか」
ダル子「というか……船の高度が段々下がって来ていません!?あと床も斜めになって来てるような……」
マザー「そりゃサトゥルヌスは重いやろう、空飛ぶの船の上で出せば重量過多で傾いていくのは自然の理」
かもめ「墜落はしませんよね……?」
マザー「今すぐにってことは無いと思う、このままなら分からんけどな」
海未「かもめ!飛空艇は地上で言うと今どのあたりを飛んでるか見えます?」
かもめ「あ、はい!それなら壁が無いのでばっちり見えますよ」
かもめ「今は……>>52の辺りまで来れてますね」
-
津軽海峡
-
かもめ「津軽海峡の辺りまで来られてますね、下に海が見えています」
かもめ「というか場所を確認するなら私よりダル子に頼んだほういいのでは?」
海未「あ、普通に間違えました」
ダル子「海未さん!?」
海未(しかし北方領土から出発して10分ほどで津軽海峡ですか……金属生命体に激突されたことを計算に入れても遅めですね)
海未(もちろん普通の飛行機と比べれば速い部類ですが、私たちのタイムリミットは静岡沼津に9時)
海未(その前に到着してサトゥルヌスを合体させて宇宙怪獣を迎え撃つ、それを考えると間に合う気がしない)
海未「とにかくここで落ちるわけにはいきません、手早く金属生命体を飛空艇から引き剥がしましょう」
マザー「ホンマに頼むで!」
ダル子「頑張ってください!」
-
ササッ
海未(私はコートの内側からコントローラーを取り出して電源を入れる、充電は満タンで問題なし)
ピピッ
コントローラー『認証完了、ようこそ園田海未さん』
海未「外部からマニュアル操作でサトゥルヌスを操作します!」ピッ
コントローラー『了解』
海未「ふぅ……」
海未(今のサトゥルヌスは両腕の無い頭部と胴体と両足だけの状態、頭は遥か上にあって下手に屈んだら飛空艇がバランスを崩しそうだ)
海未(本当にサイズが大きすぎて私たちと金属生命体の間に巨大な柱が2本ある感じ)
海未(そんな現状で取れる有効な攻撃手段は……これ!)
グイッ
サトゥルヌス「がっ!」ブンッ!!
海未(私はジャイロ操作を使ってサトゥルヌスを操って、金属生命体に蹴りを食らわせる)
ゴッ!!!!
海未(すると>>55)
-
吹き飛んで海に落ちた
-
ゴッ!!!!
海未(サトゥルヌスの蹴りが金属生命体の装甲に直撃する)
海未(出現させた場所の関係上、後ろに大きく足を持ち上げて振ることができないため、直立の姿勢から単に足を前に突き出すだけの操作)
海未(まるで目の前の小石を小突くような低空の前蹴り)
海未(それだけの動作なのに格納庫には吹き飛ばされんばかりの暴風が生じる)
ドヒュゥゥゥゥゥゥッ!
海未「ぐっ……!」
海未(その蹴りに一瞬だけ、ほんの一瞬にだけ、金属生命体は耐える様子を見せた)
キィィィィィィンッ!
海未(けれど……サトゥルヌスの蹴りは止まらない)
海未(ケーブルを必死に伸ばして格納庫の壁や床にへばりつく金属生命体の抵抗も何のその)
海未(無骨な金属の塊を空の彼方へ蹴り飛ばす!)
ギュリィィィィィィィッ! ブチブチブチッ!!
サトゥルヌス「ガァッ!!!!」
ゴンッ!!!!
ヒューーーーッ!
海未(飛空艇から離された金属生命体――卍型の飛行物体はみるみる遠くなって津軽海峡の海へと落ちていった)
ドボーーーーンッ!!
-
マザー「すごっ……!あっさりやな……」
ダル子「さすがはかつての主神と同一視された神格……本当に路傍の石のように蹴り飛ばしてしまいましたね」
マザー「スケールが違いすぎて腰が抜けてしまうわ……」
かもめ「ダル子……今の見ました?金属生命体が張ったケーブルが千切れた瞬間……」
ダル子「うん見た、サトゥルヌスは押し出す力任せにケーブルを引き千切ったんじゃない」
ダル子「ケーブルが……いや、ケーブルが周囲の空間ごと捻じ曲がって切断された……」ゴクッ
かもめ「能力?」
ダル子「ううん、海未さんが何か能力を使えと指示したわけじゃない……サトゥルヌスの蹴りの威力が単純に凄すぎたんだよ」
ダル子「その衝撃に金属生命体の装甲が耐えれてしまったものだから、そこで衝撃の逃げ場が無くなった」
ダル子「逃げ場のない衝撃は同じ空間に加算され続け、ついには空間が処理落ちを起こしたんだと思う」
かもめ「処理落ち……ゲームのバグみたいな話ですね、それで空間が耐えきれず捻じ曲がってしまったと」
ダル子「そう、それにサトゥルヌスの爪先は耐えられてケーブルは耐えられなかった」
ダル子「自己崩壊を起こした金属生命体は溜まった衝撃を一気に受けて空の彼方へホームラン」
ダル子「ってのが今の2,3秒で起こったことだと思う」
かもめ「ふむ……」
-
マザー「ただ足を動かしただけで現実にバグを起こすなんて、さすが神様想像を超えとるわ」
海未「それに一瞬でも耐えた金属生命体だって異常な存在ですよ」
海未「私たちの攻撃が通用しなかったのも納得がいきます、悔しいですけどね……」
マザー「まぁ良い、事態が解決したんなら海未ちゃんはサトゥルヌスを早くボールに戻してな」
マザー「そしたら皆で破損箇所の確認や!」
海未「はいっ」
カッ! シュルルッ!
海未(モ○スターボールにサトゥルヌスを帰還させる)
海未(コントローラーの操作通り動いて特に問題はない、試運転としては成功みたいですね)
タタッ
マザー「さてさて、大事な積荷のワームホールの様子は……>>59」
-
女神アテナの宮殿に繋がった
-
マザー「ワームホールの
様子は……なぁっ!?」
海未「どうしました?」
タタタッ
海未(マザーが大きな声を出したので私たちは装置の前に集まる)
海未(ワームホール発生装置は複数の直方体の機械が組み合わさった形をしていて、素人目には何に使うものなのか分からない)
海未(装置には側面に1つの小型モニターと、上部に電極のような部位が複数飛び出ていた)
海未(装置全体が固定用の紐でグルグル巻きにされて、紐は床に接続されて動かないようになっている)
海未(この紐が切れたり、装置のどこかが破損してるということは無い)
海未(けれど……素人目にも分かる1つの異変が装置には起きていた)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ジジジッ
海未(装置上部の電極に似た出っ張りから電流のような紫色の光が迸っている)
海未(複数の出っ張りから出た光は空中で一箇所に集まり、光全体が空中に大きな輪を形作っていた)
海未(輪の大きさは1メートルほどで、覗き込むと向こうに格納庫とは違う景色が見える)
-
ダル子「なに……これ……」
ダル子「私の神眼で向こう側を見ようとすると正しく能力が働かない、普通の時空間じゃないの……?」
海未「マザー、これってまさかワームホールが開いたのでは……」
マザー「ああ、そのまさかやな」
かもめ「金属生命体とドタバタしてる時に何かの衝撃でスイッチが入ってしまったんですかね」
海未「ならばこの向こうは別の場所に繋がっている……!」
海未(私が装置の側面についているモニターを見ると、そこにはゲートの開いた先らしき場所名が表示されていた)
海未(それは……)
海未「……女神アテナ、宮殿前?」
─────────────────
スターニシキノ飛空艇
AM8:49〜AM8:53 新終末編『254』了
-
というわけでここまで
新終末編『255』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『255』
─────────────────
──スターニシキノ飛空艇
AM8:53
マザー「女神ぃ……?また神さんの仲間なんかいな……」
海未「装置に表示されてる名前が正しければ、アテナはギリシャ神話に登場する神の名前ですね」
海未「オリュンポス十二神の一柱で都市を守護する戦いの神、同時に思慮深き知性ある女神でもあります」
かもめ「聞いたことあります、有名な名前ですよね」
海未「このワームホールが本当にアテナの元に繋がっているのだとしたら……穴の先はギリシャ神話に対応した異界」
海未「女神アテナの居城ですから、おそらくはオリュンポス山のどこかでしょう」
ダル子「なっ……!こうも簡単に異界との扉を開けるなんて……この装置はなんなんです!?」
マザー「さぁ……ただ、野ざらしになった格納庫で正常に動いてるんだから異能の類やない」
マザー「超科学の産物か、異界からもたらされた未知の技術か……材料が少なすぎて判断できんな」
ダル子「…………」
海未(と、私たちが突然開いたワームホールに警戒を続けてたところ、穴の向こうから声がした)
海未(聞くものの心を震わせるほど美しく、尚且つよく通る力強さを持った声)
??「なんだ、不快なティターン族の匂いがするからタルタロスへの穴でも空いたのかと思い来てみれば……」
??「あなこれは……人の子の世界ではないか」
海未「……っ!」
??「人の子、私の声が聞こえるか?」
海未(穴の向こうからこちらを覗き込む……おそらくアテナと思われる女神)
海未(彼女の姿は>>65)
-
口調からは想像できないおっとり癒し系
-
海未(彼女の姿は口調からは想像できないおっとり癒やし系の見た目をしていた)
海未(毛量の多いフワフワとした長い髪、柔和な表情を作り出す下がり眉と垂れ目)
海未(手や足の長さは西洋人然としたスタイルではあるが、メリハリの効いたプロポーションというよりは豊満という言葉が似合う)
海未(どこか仏教の菩薩を思い出す慈愛溢れる雰囲気は、自分が想像していた戦の女神の姿とは違っていた)
海未(格好はその豊満な体に宗教画で見るような白いローブを巻きつけた女神っぽい服、他に様々な豪華な装飾品を身に着けている)
海未(だが胸当てや膝当てなど、甲冑の一部を取り付けたような装備もローブの上から身に着けていて、戦の女神の意匠は一応残ってるようだ)
海未(特に目立つのは左腕に装着している大きな盾、伝承通りならおそらくあれは――)
アテナ「おい人の子、聞いておるのか……?」
海未「あ、はいっ!」
海未(私が全然返事をしなかったからか、アテナはワームホールのすぐ近くまで顔を近づけていた)
海未(ドアの除き窓に近づきすぎて顔だけしか見えない人みたいになってますね)
-
アテナ「ほっ……どうやら言葉は通じるようだな」
海未「そ、そのようですね……」
アテナ「ふーむ……そちらは人の世界よの、穴からティターン族の匂いがしたから急いで来てみたのだが見当違いか」
アテナ「また脱獄してきたのなら送り返してやろうと思ってたところだぞ」
海未「ははは……」
海未(アテナさんはおっとりとした柔和な笑みを崩さないまま物騒なことを言う)
海未(神話通りならこの人は二回目のティターン族との戦争で、逃げ出した巨人相手に地上の島一つを持ち上げ投げつけたアグレッシブ女神様なのである)
海未(あんまり発言が笑えなくて困りますね……)
海未「実は私が使役している使い魔の一匹に別神話の巨人がいるんですよ」
海未「今はきちんとしまってますが、おそらくその気配がワームホールから伝わってしまったのだと思います」
アテナ「ほう……巨人を使役か、人の子もやるのう」
海未(もちろんアイツを完全に使役できてるわけではないのですが、今は安全性を主張しておいたほうがいい)
海未(冥界から魔王が脱獄させたクロノスのそっくりさんだとでも言ったらどうなることか)
-
アテナ「……ん?そちらに人間でなく神族がいるな」ピクッ
ダル子「は、はい!」タタッ
ダル子「北欧神話異界アースガルズ、アース神族ヘイムダルの娘のダル子と申します」ササッ
海未(ダル子はワームホールの前まで来ると膝をついて頭を下げる)
アテナ「畏まらなくもよい、面をあげよ」
アテナ「お主たちの世界と人の子の世界に関する話は聞いておる、何やら大変なことになってるらしいな」
ダル子「本当ですか?」
アテナ「ああ、叔母と義姉が冥府での事件に関わっていてな、そこからの情報だ」
海未(……ん?アテナの叔母と義姉って……)
アテナ「何か協力はしてやりたいが私ほどの神格となると容易に現世に降臨できなくてな」
アテナ「直接出向く以外の支援となると>>69」
-
神鎮めの唄の歌詞がある場所を教える
-
アテナ「神鎮めの唄の歌詞がある場所を教えるとか……かな」
海未「神鎮めの唄?」
アテナ「そうだ、神話体系が違えど神を相手取るなら有効だと思ってな」
アテナ「確か場所は――」
??「あれっ?海未さんじゃない?」
アテナ「……ん?」
海未(会話の途中で通りすがりの人が話しに割り込む)
海未(ワームホールの向こう、アテナの後ろから顔を覗かせたのは……)
海未「……デメテルさん?」
デメテル「そーよー!覚えててくれたのねー!お饅頭いる?」
海未「い、いえ」
海未(まるで近所のおばさんのようにフランクに話してくる……この人も一応ギリシャ神話の女神様)
海未(豊穣神デメテルその人である)
海未(やはり……アテナの叔母というのは、アテナの親であるゼウスの姉のデメテル)
海未(義姉というのはデメテルの娘のペルセポネー、つまりダークドレアムのことですか)
-
デメテル「あのねアテナちゃん、海未さんはうちの娘を助けるのに協力してくれたのよー」
アテナ「ほう……私の叔母と義姉と知り合いだったのか、ならば話は早い」
海未「まぁペルセポネーさんとはそこそこ、デメテルさんとは前にちょっと会っただけですけどね……」
マザー「海未ちゃん……あんた只者では無いと思ってたけど改めてすごい女の子やな……」
かもめ「神様相手に平然と話してますよこの人……」
海未「ちょっ!私は普通の女子高生ですから!そういうイジりはどうかと思います!」
ダル子「普通ってなんだろう」
海未「コホン、ともかく神鎮めの唄という物は知りたいですね、教えてください」
アテナ「ああ」コクンッ
アテナ「神鎮めの唄は神性を持つ相手に歌うと様々な効果をもたらす特効の唄」
アテナ「その歌詞が眠っている地は>>72」
-
ロードス島
-
アテナ「その歌詞が眠っている地は……ロードス島」
海未「ロードス島?それってあのロードス島ですか!?」
かもめ「海未さん知ってるんですか?」
海未「知ってるも何も……ことりや理事長、旧魔王に深く関係のある島ですよ」
海未「まさかここでその名前が出てくるなんて……」
ダル子「クッキングの時に出てましたね!ドラゴンのお肉!」
マザー「うちも聞いたことがあるで、大昔の船乗りの間で噂になっていた伝説の島や」
マザー「せやけど伝説のある海域は日本からかなり離れたところやで、今寄ってる時間はない――」
アテナ「この穴、神の国に届くくらいなんだから同じ地球の島くらい届くでしょ」
マザー「あっ、そうか……!」
海未「ワームホールを利用するという案ですか、使いこなせるかが問題ですね」
海未(衝撃で偶然異界に繋がってしまうくらい、今の装置は不安定な状態と言える)
海未(こうして穴越しに会話するだけならまだしも、人が通るのに耐えられる耐久性があるのかは分からない)
-
海未(そう考え込んでいたところで、私はある事実に気づく)
ハッ
海未「……というかマザー!そろそろ9時では無いのですか!?」
マザー「あぁっ!ほんまや!」
ササッ
海未(マザーは時間を確認すると慌てて無線機のようなものを取り出す)
海未(飛空艇はまだまだ飛行中、とても内浦には届いていない)
マザー「とにかく連絡してみるな」ピッ
ツーツー ピッ
マザー「クローバー?声聞こえてるか?」
クローバー『ザッ ザザッ え、ええ……ノイズが少しあるけどザザッ……聞こえるわ……』
マザー「良かった、このくらいの距離なら特殊通信機で話せるな」
クローバー『そのようね……ザザッ要件は……?』
-
マザー「悪いけど単刀直入に言うで、アクシデントがあって飛空艇が遅れてる、このままじゃタイムリミットに間に合いそうにない」
マザー「クローバーのほうはもう内浦に着いてるん?」
クローバー『ええ着いたわ、ザザッ 今右腕の封印を解いている途中よ』
マザー「そっかー、くぅ〜!本当にすまん!」パンッ!
クローバー『あの……スピリチュアルマザー、実はタイムリミットのことなんだけど……ザザッ』
マザー「ああ」
クローバー『少しだけ墜落想定時間が伸びてるらしいのよ』
マザー「……え?」
クローバー『各国の機関がリアルタイムで弾き出してる計算結果を傍受してるんだけど、明らかに地球に近づいてから速度が落ちている』
マザー「それって……」
海未(マザーは雪雲に覆われて光の見えない空を見上げた、まるでその向こうにある宇宙を見るように)
クローバー『どうやら、地球圏で何者かが宇宙怪獣の進路を妨害してるみたいね――』
─────────────────
スターニシキノ飛空艇
AM8:53〜AM8:59 新終末編『255』了
-
というわけでここまで
やっぱり間に合いそうにないのでお助けイベント
次は宇宙から始まります
新終末編『256』に続く
かもしれない
-
をつ
伏線を安価で回収
-
新終末編『255』
─────────────────
──月面
AM??
ほのほの(ええっと……高坂ほのほのです、紆余曲折あって月にいます、あのお空の月です、ムーンです)
ほのほの(とりあえず不思議なことが起こって一命を取り留めた私は、地球へ帰る手掛かりを求めて月面を歩いていました)
ほのほの(そこで発見したのが人工物で作られた基地らしき建造物)
ほのほの(何も当てのない私はそこに向かっていたんだけど……)
宇宙服の人「ワット!?アメリカゴペラーペーラー!?」
ほのほの「う、うーーん……」
ほのほの(基地に近づいたところで宇宙服を着た私以外の人類に出会った)
ほのほの(宇宙服の人は基地の周辺で何かの仕事をしていたみたいけど、私を見つけた途端に仕事を放り出して走って来た)
宇宙服の人「ヘイヘイ!アメリカゴペラペーラ!?」
ほのほの(喋ってる言葉はたぶん英語、私を見て驚いてるのは分かる……でも言葉は全然分からない)
ほのほの(どうしよう困ったなぁ……英語勉強しておけばよかった)
宇宙服の人「エイリアン!?エイリアン!?」
ほのほの(宇宙人……って思われてるのかな)
ほのほの(まぁ月面で宇宙服を着てない人に出会ったらそう思うよね、私も思う)
-
ほのほの(早く私が宇宙人じゃないことを説明しないと、英語……英語……ダメだ全く思いつかない)
ほのほの(私は一般常識や会話についてはお母さんたちから自然と学んだものの、義務教育すら受けていない)
ほのほの(まぁ生まれてから一ヶ月も経ってないから当たり前のことだけど)
ほのほの(勉強と言えばお母さんの部屋の教科書を1人で読んだり、海未さんに分からないことを質問した程度)
ほのほの(バリバリの外国人の英会話するスキルなんて当然身に付いていない)
ほのほの「う……うぅ……あ!」
ほのほの(そうだ!とりあえず日本人だってことを伝えよう!)
ほのほの(日本は確かジャパン、ジャパンだから……)
ほのほの「アイムジャパン!」
宇宙服の人「ジャパン……ジャパニーズ?」
ほのほの「い、いえす!ジャパニーズ!」
宇宙服の人「おぉー……」
ほのほの(宇宙服の人は少し戸惑った様子を見せたが、すぐに1人で何処かと話し始めた)
ほのほの(たぶん宇宙服に付いてる通信機で他の人に連絡してるのかな……)
宇宙服の人「へいへい!せいせい!」
ほのほの(かなり焦った感じの英語、必死に説明してるのか中々終わらない)
ほのほの(待ってる間少し暇なので少し先にある基地の様子を見回してみる)
ほのほの(あそこにあるのは……>>80かな)
-
光の巨人達を呼び出すスイッチ
-
ほのほの(あそこにあるのは……何かのスイッチかな)
ジーッ
ほのほの(基地のすぐ横にある発掘現場みたいな場所、今この時も複数の機械が自動的に地面を掘っている)
ほのほの(そんな発掘現場の中央、一際高くなってる祭壇らしき舞台の上にスイッチがあった)
ほのほの(祭壇は四角形の巨大な舞台、スイッチは半球状の台座の上に円筒形のボタンが付いていて、祭壇とスイッチ共に石造りに見える)
ほのほの(月面は遠近感が狂うから大きさは分かりにくいけど……周囲の機材と比較するとかなり巨大だろう)
ほのほの(……と、その発掘現場のほうから宇宙服を着た別の人がやってきた)
ほのほの(その人は私たちのところまで来ると、先に会った宇宙服の人と英語で会話した後に私の方を向く)
ほのほの(そして日本語で恐る恐る話しかけてきた)
??「あなた……本当に日本人なの?」
ほのほの「おおっ!日本語!そうだよ日本人!」
ほのほの「英語だからアメリカの基地だと思ったけど日本の人がいたんだよかったー」
??「え、ええ……私は月野調査、この月面基地計画に参加してる宇宙飛行士よ」
ほのほの「月野さん!宇宙飛行士ってすごいね!」
月野「私からすればあなたのほうがすごいし……普通に会話できてることに驚いてるわ……」
月野「色々質問したいけど、していいの?」
ほのほの「うんっ!」
-
ほのほの(まずは私が謎の地球外生命じゃないことを証明しないといけない、情報は積極的に話していこう)
ほのほの(地球へ帰れるかどうかは月野さんに信用してもらうかにかかってる……)
月野「まず名前は……」
ほのほの「自己紹介だね、私の名前は高坂ほのほの!お母さんと太陽の子だよ」
ほのほの「日本生まれで日本育ち、戸籍はどうなってるのか分かんないけど……一応日本人」
ほのほの「色々あって月に飛ばされちゃって迷子になってたんだ」
月野「ほのほの……ほのほのさんね」
月野「宇宙服を着ずに外に出ていられるのはどういうわけ?」
ほのほの「異能……って言って分かるかな、特殊体質みたいなものなんだ」
ほのほの「私は太陽の光があれば生命活動に必要なものを生み出せる体質になったみたい」
月野「こ、光合成みたいな感じかしら」
ほのほの「……光合成?」
月野「植物が光を受けてエネルギーと酸素を作り出すことよ」
ほのほの「ああっ、本で読んだことあるある」
月野「まぁここには水や二酸化炭素は無いから厳密には光合成とは違うけど」
月野「あなたの体から酸素のようなものが排出されてるとしたら、こうして普通に会話できるのも頷けるわ」
ほのほの「会話……?」
月野「普通は空気の無い場所じゃ音が聞こえないの、離れた距離であなたと会話できるのはあなたの周囲に空気が形勢されてるからだと思う」
ほのほの「ほうほう」
月野「って……なんで私が考察して凄い力を持ってる本人が納得してるのよ」
ほのほの「いやー、如何せんさっき手に入れたばかりの力だから、私もよく分かんないんだよねー」
月野「はぁ……」
-
月野「とりあえずこっちの彼、ジョンに基地の上司に報告して来て貰うわ」
ジョン「ペラペーラ!」タタッ
ほのほの(ジョンは聞き取れない英語を話すと基地に向かって走っていく)
月野「あなたには悪いけど身元不明な人をいきなり基地の中に入れるわけにはいかない」
月野「まだしばらくここで話を聞かせてもらうか……」
ほのほの「ねぇ、あっちの発掘現場?にあるスイッチってなんなの?」
月野「……え?」
ほのほの「月野さんあっちから来たってことはあっちで作業してたんだよね」
月野「ああ、あれは基地建設作業の途中で見つかったものよ」
月野「まだまだ調査中だから不明な点が多いけど、祭壇の所に地球の複数の言語を組み合わせると解明できる文字が発見されたわ」
ほのほの「文字?」
月野「『救済を求む者、これよ触れよ、さすれば光の巨人は現れる』」
ほのほの「光の巨人……か」
月野「ってこれ機密事項なのよね、ついペラペラ喋っちゃったわ」
ほのほの「それはすみません」
月野「いいのよ、月面であなたみたいなのに会ったからテンションおかしくなってるんだわ」
月野「ムーンリライト計画なんて実用性の薄い謎な計画に参加しちゃったなーと思ってたけど」
月野「月の謎の文明の痕跡に、宇宙で活動できる謎の人類、ここに来てすごいワクワクしてきた」
ほのほの(宇宙服越しの月野さんの顔は子供のような笑顔になっていた)
ほのほの(それにしても……ムーンリライト計画?ただの月面基地建設計画じゃないんだろうか)
-
ほのほの(そういえばアメリカ、NASAの月面基地計画はあまり進んでないって読んだような気がする――)
ピーッ ピーッ
ほのほの「あ、月野さん、通信機なってるよ」
月野「おっと」ピッ
月野「ハイ、オーケーオーケー……ワッツ!?」
ほのほの(最初は普通に対応していた月野さんは急に驚いた声を出す)
ほのほの「どうしたの?」
月野「基地の観測機が月付近に高速で接近する物体を捉えたらしいわ」
ほのほの「ええっ!?」
月野「物体はモンスター、まるで怪獣みたいな風貌だそうよ、一番の特徴は>>85」
-
トゲトゲしい
-
月野「一番の特徴はトゲトゲしいこと、体のあらゆる所が本当にトゲトゲしいらしいわ」
月野「進行方向的に……地球?地球に向かってるって言うの!?」
ほのほの「……っ!?」
バッ!!
ほのほの(私は月の空を見上げる、すると遠くの空に真っ黒な夜空を横切る影があった)
ほのほの「いた……あそこにいるよ月野さん!」
月野「ギリギリ目視できる距離ね、ここには落ちてこないだろうけど……あんなものが地球に行くなんて……」
ほのほの(宇宙の怪獣――宇宙怪獣は腕と足を持った赤黒いトカゲに似たフォルムをしていた)
ほのほの(怪獣と聞いて誰もが想像するフォルムに相違ない姿だ)
ほのほの(怪獣の体の各所からは鋭い大小のトゲが生えている、近付くもの全てを刺し殺すような凶悪な意思を滲ませている)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ほのほの「ダメだ、行かせられない」
月野「え?」
ほのほの「地球ではお母さんたちが必死に戦ってる、宇宙怪獣まで対応する余裕なんて無い」
ほのほの「このまま見過ごすことなんて出来ないよ!」ギリッ
ほのほの「月野さんは万が一を考えて基地の中に入ってて!」
月野「ほのほの……あなた何をっ!」
ほのほの「アイツは――私が止める!」
-
キュィィィィィィィンッ!!
月野「っ!眩し――」
ほのほの「シャイニングジャンプ!」
ドンッ!!!!
ほのほの(太陽エネルギーを足元に集中させ爆発、その勢いで月の空へ飛び出す)
ほのほの(月の重力が軽いことと、太陽の光を直接吸収し放題な環境が味方し、私は地球上の何倍のスピードで月面を移動していく)
ドドドドドドドドドドドッ!!
ほのほの(今の私は補正がかかって強い!宇宙怪獣だって相手出来るはず!)
ダンッ!!
・
・
ほのほの(おそらく数キロメートルくらいの距離を一気に飛び越すジャンプ、それを数回繰り返したところで私は宇宙怪獣に接触できる位置まで来た)
グググッ
ほのほの(宇宙怪獣の進行方向と直角になる向き、ちょうど怪獣の頭の上辺りにジャンプの頂点を合わせる)
ほのほの「はっ!」
ダンッ!!
宇宙怪獣「……」ギロッ!
ほのほの「……!」
ほのほの(宇宙怪獣が頭上の私を鋭く睨んだ)
ほのほの(ま、もうそれくらいじゃ怯まないよ)
ほのほの(私は空中で体勢を整えると真下の宇宙怪獣に対して>>88を繰り出す)
-
ソーラービーム
-
ほのほの(掌を真下に向け、太陽のエネルギーを凝縮させたビームを繰り出す)
ババッ!
ほのほの「ソーラー……ビーム!!」
カッ!!
チュィンッ!
ほのほの(ソーラービームを脳天に食らった宇宙怪獣はそのまま眼下の月面に墜落)
ドゴォォォォォォォォォォンッ!!!!
ほのほの(衝撃で割れた岩石が空中に舞い上がる)
ほのほの「やった……やっぱり私の攻撃は通用する――」
ドシュッ!!!!
ほのほの(そんな慢心が生まれた瞬間、地面に叩き落とした宇宙怪獣の背から鋭いトゲが一瞬で数十倍の長さに伸びた)
ほのほの「っ!?」
ほのほの(私を正確に狙った赤黒いトゲの刺突、何とか身を捻って躱すことはできたが頬に一閃が走り血が滲む)
ほのほの「ぐ……っ」
ほのほの(だがトゲの攻撃は終わらなかった、既の所で躱せたと思ったのも束の間)
ほのほの(真っ直ぐ放たれたトゲが尻尾のようにスイングされ、横にいた私を地面へと叩き落とす!)
ビュンッ!
ほのほの「がっ!!」
ズドォォォォォォォォォンッ!!
-
ほのほの「げほっ……げほっ……」
ほのほの(下手したら死んでいたかもしれない衝撃、けれど死ぬことはない)
ほのほの(トゲの横薙ぎで切断されかけた脇腹の傷も、地面への衝突で骨折した何本かの骨も、太陽の光を浴びれば回復していく)
ほのほの「ふぅ……」
ザッ
ほのほの(私が息を整えて立ち上がると、横に落ちていた宇宙怪獣もトゲを地面に突き刺しながら2本足で立ち上がる)
ほのほの「横……ねぇ」
ほのほの(横とは言うものの数キロメートルくらい離れてはいるんじゃないかな)
ほのほの(周囲に物体のない月の平面と、宇宙怪獣のあまりの大きさが距離感を狂わせる)
ほのほの「これ……下手したら堕天使ヨハネより大きいかもしれないな……」
宇宙怪獣「グアオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ほのほの(宇宙怪獣の咆哮が自身のトゲを振動させ、トゲが突き刺さった月面が激しく震える)
ほのほの「ま……相手がなんだろうが構わないよ」
グググッ
ほのほの「お前みたいなやつを……絶対に地球には行かせない!!」
─────────────────
月面
AM??〜?? 新終末編『256』了
-
というわけでここまで
最近パート数ミスが多い
そんなこんなで月での戦いです
日本時間的には午前9時ちょっと前くらいですかね
新終末編『257』に続く
かもしれない
-
をつ
-
月野さん視点から書こうと思ったらちょい長くなりました
すぐ戻るのであしからず
では本編へ
-
新終末編『257』
─────────────────
・
・
・
──数年前・某宇宙飛行士訓練所
月野「ムーンリライト計画……ですか?」
上司『そうだよ月野くん、我が国の代表としてはぜひ君を推薦したいと思っている』
月野「はぁ……」
月野(それは本当に急な話だった)
月野(某国の訓練施設でトレーニングを積んでいた私に日本から1本の電話がかかってきたのだ)
月野(とても冷え込む寒い冬の朝だったと記憶している)
月野(当時の私はISS――国際宇宙ステーションを始めとした幾つかの宇宙での任務を経験していて、そこそこ実績はあると自負していた)
月野(比較的若いことと女性宇宙飛行士ということもあり、メディアへの露出や世間の人気もままあったように思う)
月野(自慢しているわけではない、これは単なる事実だ)
月野(そんな事実しか……当時の私には無かった)
月野(人から与えられた仕事を淡々と処理し、求められたように振る舞う)
月野(事実を積み重ねるだけで私は順調にキャリアを積んでいく)
月野(地球にいても宇宙にいてもやることは地味な研究と訓練の繰り返し、何年経とうが変わりはない)
月野(そこには心を焦がすようなロマンも、ハラハラするような冒険も無かった)
月野(私が憧れて……あれほど必死になって目指した宇宙飛行士という仕事は……こんなものだったのだろうか)
月野(ジョンが初の宇宙での仕事に感動し興奮して話しかけて時、私は映像で見た通りだなと淡々と返していた)
月野(彼には、君はリアリストなんだねと皮肉られたが……たぶん私は誰よりもロマンチストなんだと思う)
月野(ロマンチストで夢想家で憧れを求め続けるからこそ、予想できていた光景なんかには感動できなかったのだ)
-
上司『どうだい?計画に参加してみないか?』
月野「そう……ですね……」
月野(そんな私にとってムーンリライト計画への参加は全く予想外のものだった)
月野(前々から予定されていた宇宙開発計画とは全く別のもの、突発的に発動されたNASAを中心とする多国籍プロジェクト)
月野(何か怪しい裏があると確信しつつ……どうしようもなく燻っていた私はその裏に惹かれてしまった)
月野(ああ……良いな、こういうの)
月野(なんだか、私が求めていたものが手に入るような気がする……!)
上司「月野くん?」
月野「……ええ、分かりました、私で良ければぜひ」
上司「おおっ!そうか!」
月野(こうして、私のムーンリライト計画への参加が決定した)
-
・
・
・
月野(ムーンリライト計画……なんて大層な名前が付いてるけど要は月面基地開発だ)
月野(月への調査は宇宙開発競争時代に各国が熱心にやっていたけど、ここ最近はあまりやらなくなってきて)
月野(こと月面基地計画に関しては滞ってるのが現状だ)
月野(NASAに至っては中止しちゃったし、他の各国もそれなりに展望は出してるけど実現はまだまだ未来の話)
月野(月面基地なんてものはしばらくはフィクションだけの話……)
月野(……にならなかったのである、ところがどっこいだ)
月野(中止していたNASA自身が何故か各国政府に秘密裏に協力を要請)
月野(急ピッチで人類が移住可能な居住区を備えた月面基地を作ることを決定したのである)
月野(明らかに裏がありそうな匂いがするものの、私たち平の外部協力員には表向きの任務以外は何も知らされていない)
月野(こっそり内部職員に近い立場のジョンに聞いてみたところ――)
ジョン『最近地球で起きてる異常現象がやべーから本気で月に移り住む気みてーだぜ!政治家とか偉いやつから行くんじゃねぇ?HAHAHA!』
月野(――と本当なのか冗談なのか分からない答えが帰ってきた)
月野(まぁともかく、私たちは月に行くことになり建設に励むことになったのだ)
-
・
・
──月面・基地建設本部シェルター
リーダー「というわけで、君たちには周辺の地質調査と基地建設を並行してやってもらう」
リーダー「人員は少ないが優秀な自動無人機を多数配備している、これらを使って作業を進めてもらいたい」
隊員ズ「「「はいっ!!」」」
リーダー「目標は1年後の移住第一陣の成功だ!気を引き締めていくぞ!」
隊員ズ「「「はいっ!!」」」
月野(月面基地に来て最初のブリーフィング)
月野(最初に来て拠点となるシェルターを建てていた本部組と合流した私たちは驚きの言葉を聞いた)
月野「……い、いやいや」
月野「ジョン!ちょっと今の聞いた!?」
ジョン「HAHAHA!こいつはクレイジーだね!」
月野「クレイジーどころの騒ぎじゃないわよ……」
月野(1年で移住の第一陣を迎える?基地に必要なインフラや要素がどれだけあるか分かってるの?)
月野(研究のために寝泊まりするんじゃない、ここで生活をしていくってことなのよ!)
月野(確かにNASAから提供された機材やロボット類は見たことがないくらい優秀だけど、だからと言って想定ペースが異常に早すぎる)
月野(私はロマンチストだけど現実はわきまえてる、無理でないものと無理なものの区別くらいはつけられる)
月野(もしかして……想定の何倍も無謀な計画に参加させられたんじゃ――)
-
・
・
・
──数ヶ月後、基地周辺・発掘現場
月野「はぁ……」
月野(計画が始まってから数ヶ月、私の予想は半分当たって半分外れていた)
月野(当たっていたのは計画が無理ゲーじみてるということ)
月野(巨大無人機たちの活躍により着実に建設は進んでるものの、初期の想定からすると大幅に遅れていた)
月野(このペースでは1年後の完成が無理なのは猿でも分かる)
月野(で、外れたのはロマンや危険のある仕事だという予想……)
月野(進行が遅れてる割に作業を無理に急かされることはない、シェルターの個室は快適だし、休憩時間はたっぷり取ってくれる)
月野(その他の福利厚生も下手な地球の企業よりよっぽど充実していた)
月野(私は基地周辺で採掘ロボ君と一緒に土いじりをして、就業時間になればシェルターに戻って一流シェフの宇宙食を頂いてお風呂に入る)
月野(休みの日にはシェルター内のアクティビティ施設でスポーツしたり、自分の研究を進めてみたり)
月野(また仕事になれば土いじりをして、週に1回くらい採掘状況のレポートをチームリーダーに提出する)
月野(そんな月面とは思えない剣呑で穏やかな生活が続いていた)
月野(正直言って……飽きていた)
月野「ふわぁ〜」
ガツンッ!!
採掘ロボ『発見!アンノウン!発見!』
月野「……え?」
月野(そんな折だった、採掘ロボが月の地面の中から"あの祭壇"を見つけ出したのは――)
-
月野「何よ……これ……」
月野(周囲を掘って全形を確認すると、それはまるで古代ローマの神殿のような建築物)
月野(明らかに意思を持った存在が何かの意図を持って作ったものだ)
月野(祭壇の壁面には暗号のような文章が多くあり、私なりに地球の言語で解読してみると光の巨人に関する記述が見られた)
月野(リーダーに報告したのは1つの文節だけだが、実は私は解読に成功していたものが他にもある)
月野(『救済を求むもの、これに触れよ、さすれば光の巨人は現れる』これが報告した文章)
月野(そして未報告なのが……)
月野(『光の巨人、それらの才はそれぞれ異なる、召喚の際に求む巨人を望むものにこれを残す』)
月野(『第一の巨人、万能なる可能性の光、名をホノ』)
月野(『これを呼び出すには召喚器に触れる際に>>100』)
-
ファイトだよ!と叫ぶ
-
月野(『これを呼び出すには召喚器に触れる際に「ファイトだよ!」と叫ぶこと』)
月野「光の……巨人……!」ブルルッ!
・
・
・
月野(祭壇を見つけてから退屈だった日々が少しだけ変わった)
月野(解読できた文章はまだ前述の2つだけだったけど、段々良いことが増えてきた気がする)
月野(そして今日はなんと!月面に女の子が現れた!)
月野(名前は高坂ほのほの、体全体が少し光ってることを除けば見た目は至って普通の女の子だ)
月野(しかも日本人らしいし不思議な能力が使えるらしい)
月野(光の巨人と関係があったりするのかしら、あ〜これからの研究が楽しみになっきた〜!)クゥー
ザッ!
月野「……って思ってた矢先に!なんてことが起きるのよ!!」
ドゴォォォォォォォォォォンッ!!!!
月野(遥か遠方の月面で宇宙怪獣とほのほのが対峙していた)
月野(支給された最新の宇宙服の望遠機能を使って見ても辛うじて見える距離、そこで1体と1人が戦いを繰り広げている)
ほのほの「たぁっ!!」
カッ!!
宇宙怪獣「グアオオオオオオオオオッ!!」
ドガガガガガガガガガガッ!!
-
月野(ほのほのが放つビームは正確に宇宙怪獣に命中し動きを怯ませる、だが決定打にはならない)
月野(宇宙怪獣はすぐに両腕を振り回し、全身のトゲを伸ばしてほのほのへ反撃を試みる)
月野(特に厄介なのは自由に伸縮する数千数万のトゲ……高速で逃げ回るほのほのをホーミングして追い回す)
月野(トゲの威力は絶大で月面に突き刺さると瞬時に新しいクレーターを作り出すほど)
月野(ほのほのもビームでトゲを弾きながら上手く回避し続けてるけど、最後は回避しきれず直撃を食らい吹き飛んでしまう)
月野(まぁ、傷は自動回復してるらしくすぐ立ち上がるんだけど……見ててハラハラしてしまう)
月野(そんな両者の戦いは冷静に見て……明らかにほのほのが不利だった)
ドゴォォォォォォォォォォンッ!!
ほのほの「ぐっ……!」
月野(ほのほのはスーパーマン並みの機動性と力と回復力を持っている、だけど前提としてスケールが違いすぎる)
月野(宇宙怪獣からすれば厄介な蚊と戯れてる程度の感覚だろう)
月野(お互いの攻撃が有効打にならない、ならば総合的なパワーが小さいほうが不利)
月野(今は戯れてるだけの宇宙怪獣が少し本気を出せば均衡は崩れてしまう)
月野(いや、戯れに飽きて本気で地球を目指し始めたらほのほのに止めることは出来ないだろう)
月野「……っ!仕方ないわねっ!」
ダタッ!
月野(ほのほのには逃げてと言われたけど子供を見捨てて逃げられるわけがない)
月野(細かい理由なんて知らないけど、あの子が地球のために1人で戦ってる、それだけは確かなんだから)
月野(私は急いで採掘現場……その中心の祭壇に向かって走る)
ダタッ! タタタッ!
-
タタタッ!
月野「敵は巨大な怪獣、だったら迎える撃てるのは同じ巨体を持った……巨人しかいない!」
月野「助けてっ!ほのほのの力になって!」
月野(祭壇の階段を駆け上がり舞台の上へ、そこにあるスイッチに手をかけて言葉を叫ぶ!)
月野「ファイトだよっ!」
ポチッ
月野(すると祭壇が黄金の光に包まれて――)
カッ!!!!
月野「……っ!」
月野(光が収まると祭壇の前に数十メートルの巨人が立っていた)
ホノトラマン「私はホノトラマン、あなたの助けを呼ぶ声に導かれて参上したよ!」
月野「ホノ……トラマン……」
ホノトラマン(私の前に現れた光の巨人、ホノトラマンは>>104)
-
缶バッチを大量に身に付けていた
-
月野(私の前に現れた巨人、ホノトラマンは缶バッチのようなものを大量に身に付けていていた)
月野(身に付けていた……というからには巨人は服のようなものを着てる)
月野(まぁ服というよりは鎧のようなものに近いのかしら、胸や腰回りや腕や膝、アーマー的な部分に厚い皮を纏っている)
月野(たくさんの缶バッチが付いてるのは左胸の部分のアーマー)
月野(まるで勲章のようにズラッと缶バッチが並んでいる)
ホノトラマン「あっちの怪獣が私の呼ばれた理由だね」
月野「え、ええ……あの宇宙怪獣は地球に行こうとしてるの」
月野(ホノトラマンの言葉は頭の中に直接響いてくる、テレパシーの類かしら……?)
ホノトラマン「地球?あの美しい星に怪獣が向かってるの!?」
月野「そうよ」コクンッ
-
ホノトラマン「なるほど……地球には一度警備隊の任務で来たことがあってね、任務が終わった後は幕張メッセでライブとか楽しんだんだ」
ホノトラマン「帰ってから思わずウミちゃんに勧めたほど楽しかった」
ホノトラマン「あの星を守るためなら……私は本当に頑張るよ!」ムフー
月野「ありがとう、でも1つだけ聞いていい?」
ホノトラマン「なに?」
月野「胸についてる缶バッチ、それはなんなの?」
ホノトラマン「ああこれだね、光の巨人にはそれぞれ武器があるんだよ」
ホノトラマン「様々な形態に変化するブレスレットだったり、頭に付いてるカッターが飛んだり、腕から剣が出たり」
ホノトラマン「最近の子は他の光の巨人の力を借りたり合成したりするアイテムがあるみたい」
ホノトラマン「で、私の武器がこれ」トントン
ホノトラマン「このバッチは>>107」
-
反射シールド
-
ホノトラマン「このバッチは反射シールドだね」
月野「反射シールド?その全てが?」
ホノトラマン「いっぱいあるのはそれぞれ効果が違うから、まぁ私の戦い方を見てれば分かるよ」
月野「分かった……お願い、あの子と助けて地球を守って!」
ホノトラマン「うんっ!地球の人!」
ダンッ!!
月野(ホノトラマンは大きくジャンプする)
月野(ほのほのみたいに能力を使った様子はない普通の跳躍、それでも宇宙怪獣のバトルフィールドにぐんぐん近付く)
月野(まぁ、守ってとは言ったものの……ホノトラマンでさえ宇宙怪獣と比べると大人と子どもほどの差がある)
月野(子どもの頃見ていた特撮シリーズにあの宇宙怪獣が出演していたら間違いなく物語中盤か終盤のボスだろう)
月野(ヒーローである巨人を打ち倒し視聴者の子供たちに絶望をもたらす、そんな悪意でデザインされたかと思うほど、宇宙怪獣の外見は凶悪そのものだ)
月野(祭壇の文字の解読はホノトラマン以下は成されていない、今月に用意できる最高戦力があの2人だ)
月野(どうか無理はしないで……最悪時間を引き延ばすだけでも良い……)
月野(宇宙怪獣は各国の衛星が姿を捉えて地球で対策が練られてるはず)
月野(せめてその準備が整うまでは――)
ギュッ
ホノトラマン「うおおおおおおおおおおっ!」
月野(敢然と宇宙怪獣に立ち向かっていくホノトラマン)
月野(私は……その背中を見ながら祈ることしかできなかった)
─────────────────
月面
AM??〜?? 新終末編『257』了
-
というわけでここまで
ホノトラマン参戦
ウミトラマンの記憶で出てきてた光の巨人ですね
新終末編『258』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『257』
─────────────────
──月面
AM??
宇宙怪獣「グアオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」
ほのほの「ぐっ……」
ザザッ
ほのほの(痛む体を抑えて立ち上がる)
ほのほの(ハッキリ言って宇宙怪獣は強い、強すぎた、強いって言葉が陳腐に思えるほどに強い)
ほのほの(究極生物が様々な生物や魔術を掛け合わせて神を超える力を手にした存在なら、宇宙怪獣はその身一つで神と渡り合える個としての強さがある)
ほのほの(この化物もまた宇宙における1つの生態系の頂点に君臨するものなんだろう)
ほのほの(究極生物だって本当にたくさんの人の協力でやっと倒すことが出来たんだ)
ほのほの(それと同等クラスの敵、最高にハイ状態の私とはいえ……異能者1人で相手にできる相手じゃない)
ザッ!
ほのほの「だとしても!!」
宇宙怪獣「がっ!!」ビュンッ!!!
ほのほの(百を超えるトゲが音速を超えた速度で伸びてくる)
ほのほの(傷はまだ癒えてないけど、私は掌からソーラービームを地面に撃って高速移動)
ドンッ! ビュンッ!!
-
ほのほの(いちいちビームを撃つのは月の重力が弱いせいで上手く速く走ることが出来ないため)
ほのほの(こうしてビームを撃った反動で移動したほうが速く動ける)
ほのほの「……んだけどっ!」
ビュンッ! ビュンッ! ビュンッ!
ほのほの「さすがにっ!これは!避けきれないんじゃ……!!」
ズドドドドドドドドドドドドドドドッ!
ほのほの(伸縮自在のトゲが四方八方から迫りくる、今までの何倍に規模が膨れ上がった攻撃)
ほのほの(傷が癒えてない状態でこれを食らったら……)
ホノトラマン「缶バッジガード!」
ほのほの「え?」
ガキィィィィィンッ!!
ほのほの(もうダメだと思った瞬間、突然銀色の円盤が目の前に現れて一番近く迫っていたトゲを止めた)
ほのほの(そして同時に脳内に声がする)
ホノトラマン「安心して、今投げたバッジは受け止めたものを>>113」
-
ゲットする
-
ホノトラマン「安心して、今投げたバッジは受け止めたものをゲットするバッジだから!」
ほのほの「バッジ……?」
カッ!
シュルルルルルッ
ほのほの(私へのトゲ攻撃を止めた円盤の盾は、衝突したトゲを内部にシュルシュルと吸い込んでいく)
宇宙怪獣「ガッ……?」
ブツンッ!!
ほのほの(何かを察したのか宇宙怪獣は吸い込まれたトゲを途中で自壊、本体に繋がる部分と切り離した)
ほのほの(切り離されたトゲは円盤の中に全部吸い込まれてしまった)
ホノトラマン「よしっ」
ほのほの(そして呆気に取られる私の前に、上空から巨人が降りてくる)
ドシィィィィィィィィィンッ!!
ほのほの「あなたが……声の主?」
ホノトラマン「そっ!私はホノトラマンよろしく!」
ホノトラマン「あなたと話すために念話フィールドを展開してるんだけど気持ち悪くない?」
ほのほの「う、うん、ちょっと変な感じだけど大丈夫だよ」
-
ほのほの(頭の中に直接声が響いて、私も強く念じながら考えたことが相手に伝わるみたい)
ほのほの(テレパシーみたいなものかな)
ホノトラマン「状況を知りたいからあなたの知ってること全部イメージして私にぶつけて」
ほのほの「ぜ、全部!?かなりの情報量だと思うけど平気なの!?」
ホノトラマン「平気平気、私たちの種族は念で会話することに慣れてるから、こういうイメージ記憶のやり取りもよくやるし」
ほのほの「そう、だったら……」ググッ
ほのほの(今地球で起こってること、そこで私が体験したこと、宇宙怪獣と戦ってみた感じたこと)
ほのほの(それらを思い浮かべてホノトラマンのほうへ強く念じてみる)
ほのほの「え、えいっ!」
キィーーーーーーーーンッ!
ホノトラマン「うん来た来た」
ほのほの(私がイメージを送るのと同時にホノトラマンからも僅かなイメージが送られてくる)
ほのほの(ホノトラマンはμ78星雲にある光の国から来た戦士、オトノラ警備隊の隊員で過去で地球に戦ったことがある)
ほのほの(送られてきた記憶から分かる……この人は悪い人じゃあない)
ホノトラマン「そっか、地球には今ウミちゃんもいるんだー、しかも大変そうな状況」
ホノトラマン「尚更あの怪獣を行かせるわけにはいかないね」
ほのほの「うんっ!」
宇宙怪獣「…………」グルルル
ほのほの(宇宙怪獣は突然のホノトラマンの登場に少し様子を見てるようだ)
ほのほの(しばらく唸った後に>>116)
-
破壊光線を放った
-
ほのほの(しばらく唸った後に大きく口を開けると――)
宇宙怪獣「ガッ!!」
ギィーーーーンッ!!
ほのほの(口から白色の光線を吐き出した!)
ドンッ!!
ほのほの(光線は始め宇宙怪獣のすぐ目の前の地面に接触するも口から光線は吐かれ続けたまま)
ほのほの(そのまま宇宙怪獣が頭を上げるにつれて月面の岩を砕きながらこちらへ向かってくる)
ドガガガガガガガガガガッ!!
ほのほの「……っ!あんな技もできるの!?」
ホノトラマン「ほのほのちゃんは後ろにいて!私が防ぐ!」
ほのほの「う、うんっ!」
ほのほの(ホノトラマンは私の記憶から読み取ったのであろう私の名前を呼ぶと、私の前に立ち塞がる)
ほのほの(そして彼女は胸につけているたくさんの色とりどりのバッジから何個かをむしり取ると前に投げた)
ブンッ!
ホノトラマン「バッジガード――タイプゲット!」
シュルルツ! バッ!!
ほのほの(投げられたバッジはホノトラマンの前で大きく広がって円盤状の盾になる)
ほのほの(そうか……私がさっき見た銀色の円盤は缶バッジ盾の裏側だったんだ)
-
ゴッ!!
ホノトラマン「ぐっ……」
ほのほの(白色の破壊光線がバッジガードに直撃、なおも破壊光線の威力は衰えない)
ほのほの(その威力に耐えるようにバッジガードに向かって掌を向けるホノトラマン)
ホノトラマン「ゲ……ゲット!!」
カッ! シュルルルルルッ!
ほのほの(さっきと同じタイプの盾なんだろう)
ほのほの(盾は破壊光線をどんどんその中に吸収していくけど……)
ガガガガガガッ! ビキッ! ビキッ!
ほのほの(吸い始めて10秒もしたところで盾にヒビが入ってきてしまう)
ほのほの「ホノトラマンっ!」
ホノトラマン「分かってる!容量が限界っぽい!」
ホノトラマン「じゃあこっちに切り替えて……」ブンッ!!
シュルルルルルッ!
ほのほの(ホノトラマンは複数のバッジを投げて割れかけの盾の後ろにまた複数の盾を作る)
ホノトラマン「今度は吸収じゃなくて反射タイプのシールド!しかも3枚重ねでどうだ!」
ピシッ ピシッ バリィィィンッ!!
ほのほの(一番手前のゲット盾が割れて次の新しい盾に光線が当たる)
ほのほの(すると>>119)
-
四方八方に分裂し、一部が地球の宇宙開発本部に命中
-
バシュッ!!!!
ほのほの「っ!?」
ほのほの(三重にした盾は見事に破壊光線を弾き私たちに直撃することは無かった)
ほのほの(けれど弾かれた光線は分裂して四方八方に飛び散ってしまう)
ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ!
ホノトラマン「わわっ!」
ほのほの「ちょっ!」
ほのほの(四方八方に降る破壊光線の雨は月面の色んな場所に巨大なクレーターを作っていく)
ほのほの(そしてその何本は地球のほうへ飛んでいくものさえあった)
ほのほの「なっ!これじゃ月がボコボコになっちゃうよ!それに地球にまで被害がでるかも!」
ホノトラマン「そんなこと言っても……今弾くのをやめたら破壊光線が直撃して……!」
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ほのほの「もう!まだ光線を吐き続けてるなんて……あいつにガス欠って概念は無いの!?」
月野『ほのほの!聞こえてる!?』
ほのほの「あっ!月野さん?」
月野『念話フィールドだっけ?会話は聞こえてたから試してみたけど私も使えるみたいね』
月野『基地の近くの発掘現場までならフィールドにギリ入ってるみたいね、命令無視して残ってて良かったわ』
ホノトラマン「う、うん……がんばってフィールド広げてる……!」ググググッ
-
ほのほの「まだ外にいるの?避難しといてって言ったのに……」
月野『ごめんなさいね、でも今の状況じゃどこに避難したって変わらない』
月野『まるで映画の中みたいな光景、いつこっちに破壊光線が飛んできてもおかしくない』
ほのほの「………」
月野『それに悪いニュースが1つ、基地から連絡が来たんだけど、今ので地球の宇宙開発本部が被害を受けたらしいわ』
ほのほの「なっ!今ので!?」
月野『ええ、月と地球間を飛んで辿り着く光線なんて恐ろしいわね』
月野『まぁ距離と大気圏で減衰したから威力は軽い隕石程度』
月野『そのおかげで本部全滅なんて大惨事にはならなかったけど、本部の1区画が消失したわ』
月野『他にも地球のいろんな場所に破壊光線が落ちて被害がでている』
ほのほの「それは……ごめんなさい」
月野『いいのよ、あなたが謝ることじゃない』
ホノトラマン「そうだね、私が謝ることだよ」
月野『それも違う、あなたのせいじゃ――』
ホノトラマン「だから取り返す!ミスは活躍で取り返すものだから!」
月野『待ってホノトラマン!何をする気なの!?』
ホノトラマン「ほのほのちゃん、今から盾を解除するからすぐに横に飛びのける?」
ほのほの「う、うん……ソーラービームで加速すれば……」
ホノトラマン「おっけー、じゃあそうして」
月野『ホノトラマン!?』
ホノトラマン「あいつがずっと光線を吐き続けるつもりなら……その口を塞ぐだけ」
ホノトラマン「私が直接行って塞いできてやる!!」
バッ!!
ホノトラマン「バッジガード――解除!」
─────────────────
月面
AM??〜?? 新終末編『258』了
-
というわけでここまで
まだちょいと続くのじゃ
新終末編『259』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『259』
─────────────────
──月面
AM??
ほのほの(それは、あっという間の出来事だった)
ホノトラマン「バッジガード解除!」
バシュンッ!!
ほのほの(ホノトラマンが三重の盾を解いて左に走り、私が右横に高速移動で飛び退く)
ほのほの(障害物がなくなって私たちの間を突き抜ける破壊光線の光)
ほのほの(その光を尻目にホノトラマンは宇宙怪獣の方向にダッシュする)
ダンッ!!
ほのほの(宇宙怪獣はそれを止めるべく頭を捻り、吐いたままの破壊光線の光の帯をホノトラマン側へ寄せていく)
ゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!
ホノトラマン「ガード!ガード!ガード!」
ほのほの(けれどホノトラマンは怯まない、足を止めない、右側から寄ってくる破壊の光に対して右側にシールドを多数展開)
ほのほの(1枚ずつでは光線相手に数秒しか保たないけど、ホノトラマンの走るスピードに合わせてどんどん置いていくことができる)
ほのほの(走る先さえ確保できればいい、退路なんて考えない、ホノトラマンは破壊光線に触れるか触れないかの綱渡りを続けて宇宙怪獣へ迫る)
ホノトラマン「うおおおおおおおおおおおっ!!」
ほのほの(ついには宇宙怪獣の目の前へ辿り着くと、口を開けっ放しの間抜け面にアッパーを叩き込んだ!)
ほのほの(自分の何倍もの大きさの体を持つ怪獣相手にホノトラマンの鉄拳が突き刺さる!)
ホノトラマン「その口!!さっさと閉じろおおおおおっ!!」ブンッ!!
ゴッ!!
-
宇宙怪獣「グッ!?」
ほのほの(下顎を無理やり上げられ口を閉じさせられた宇宙怪獣、行き場を失った破壊光線が怪獣の口の中で暴発する)
ドゥンッ!!!!
宇宙怪獣「…………」プシュー
ほのほの(激しい爆発の後に宇宙怪獣の口の隙間から煙に似た何かが漏れる)
ほのほの(そして動かなくなった宇宙怪獣を前にホノトラマンが少し笑みを見せた)
ホノトラマン「へ、へへへ……どう……だ……」
ほのほの(その時だった)
宇宙怪獣「ナルホド、ソウカ」
ホノトラマン「……え?」
ゴッ!!!!
ほのほの(そう、そして……)
ほのほの(ここからが、本当にあっという間の出来事だった)
宇宙怪獣「モウイイヨ、オマエ」
ほのほの(突如言葉を喋りだした宇宙怪獣は今まで見せていなかった>>126を取り出すと)
ほのほの(何の抵抗も許さずにホノトラマンを月面のマットへと沈めた)
ほのほの(本当に……あっという間の出来事だった)
-
ハンマーヘッド
-
ゴッ!!!!
ほのほの「…………っ!!」
ほのほの(あまりの衝撃的な光景に私の体は硬直する)
ほのほの(まるで息の仕方や体の動かし方を忘れてしまったかのように……)
ほのほの(ホノトラマンの名前を叫びたいのに声が出ない、あそこに駆けつけたいのに足が動かない)
ほのほの(本能が、直感が、開花した私の脳力が、全身全霊で私の行動にブレーキをかけていた)
ほのほの(私の奥底にある何かが訴えかけている、あそこに行けば塵も残らないぞと――)
宇宙怪獣「フンッ……」
ほのほの(ホノトラマンを沈めたのは1つのハンマーだった)
ほのほの(ハンマーと言っても宇宙怪獣がご丁寧に隠し持っていたわけじゃあない)
ほのほの(ハンマーヘッド――文字通り宇宙怪獣の頭がハンマーに変化したのだ)
ほのほの(頭突き……なんて言えば聞こえは可愛いけど、あれはそんな次元じゃない)
ほのほの(避けるとか耐えるとかそんなチャチな選択肢が通用するものじゃない)
ほのほの(宇宙怪獣の懐、近接戦闘の域においてホノトラマンは勝負の場にさえ立っていなかった)
-
ほのほの(敵同士なんておこがましい、単なるハンマーと釘、打つものと打たれるものの関係)
ほのほの(ホノトラマンは打たれるべくして打たれた)
ほのほの(東から昇った太陽が西に沈むくらい、冬が過ぎたら春が来るくらい、当たり前過ぎる必然の事実)
ほのほの(そんなふうを感じてしまうほど……宇宙怪獣の打撃は恐怖だった)
ほのほの(小細工のない究極にシンプルなパワーがここまで見るものの心を折るなんて……私は想像もしてなかった)
ザッ
ほのほの(月面に膝をつく、体中から力が抜けて動かない、体が勝手に震えて歯がガチガチと不快な音を奏でる)
ほのほの「あ……あ……あぁ……!」
ほのほの(私はまだ諦めてない、まだ戦う意思はある、なのに……体が動いてくれない!)
宇宙怪獣『ハムシノホウモオワリカ、ツマランナ』
ダンッ!
宇宙怪獣『モウココデヤルコトハナイ、サァ……アオイホシヘ』
ドンッ!!
ほのほの(月面を蹴って宇宙空間へ飛び上がる宇宙怪獣、やつは月の重力を振り切って地球の方向へと向かう)
ほのほの「ま……て……待てっ……」
ほのほの「待てええええええええっ!!!!」
ほのほの(喉から絞り出すように放った心からの叫びは宇宙怪獣に届くことはなく)
ほのほの(ただ……無音の宇宙へと消えていった)
-
・
・
・
ピッ ピピッ!
月野『ほのほの!大丈夫!?』
ほのほの(宇宙怪獣が地球に向かってから少しして、月野さんから念話が飛んできた)
ほのほの(少し放心状態にあった私は立ち上がりながら応える)
ほのほの「ごめんなさい、やつを取り逃しちゃった……」
月野『……仕方ないわよ、ホノトラマンがあそこまで完膚なきまでにやられちゃうなんて』
月野『あなたが後を追わなかったのは懸命な判断よ』
ほのほの「…………」グッ
ほのほの(そんなのじゃない、私ただ体が動かなかっただけで……)
月野『けれどあなた達のおかげで時間は稼げたわ』
ほのほの「え?」
月野『地球にいるチームからの情報によると、宇宙怪獣の到達予想時刻が>>130分伸びたらしいわよ』
-
44
-
月野『到達予想時刻が44分伸びたらしいわよ!』
ほのほの「44分……そんなに……!」
月野『そう!これもあなたたちが頑張ってくれたおかげなの!』
ほのほの「私たちの……」
ザッ
ほのほの「うん、クヨクヨしてる場合じゃないよね!取り逃したなら次できることしないと!」
タタタタッ
ほのほの「月野さん、私はまずホノトラマンの様子を見てくるよ!」
月野『分かった、私は基地に戻って地球へ戻るロケットが無事かどうかを確かめるわ』
月野『本当ならこんなこと起これば救助に来てくれるはずなんだけど、地球の本部も被害を受けてるから分からないわ』
月野『確認し次第また念話フィールド内に戻ってきて話しかけるから!』
ほのほの「うんっ!」
テテテテッ
ほのほの(そうだ、念話フィールドが生きてるってことはホノトラマンも生きている)
ほのほの(まだ希望はある!)
タタタタッ!
-
・
・
ほのほの(ホノトラマンが倒された場所には月で1番大きいんじゃないかってくらいのクレーターが出来ていた)
ほのほの(長い長いすり鉢状の円領域を私は降りていく)
ザザザザザッ
ほのほの(その円の中心にホノトラマンはうつ伏せに倒れていた)
ほのほの「ホノトラマンっ!!」
ホノトラマン「う……ぐ……」
ほのほの「……!」
ほのほの(私が呼びかけると微かにだがホノトラマンは反応する、やっぱりまだ息がある!)
ほのほの(私は呼びかけを続けながらホノトラマンの近くに寄って触れる)
ほのほの(すると念話で彼女の声が聞こえてきた、さっきとは違うか細い声だ)
ホノトラマン『ああ……うん……だいじょうぶ……生きてはいるよ……』
ほのほの「はぁ……良かった」
ホノトラマン『ただ体を動かすにはもうちょっとかかりそうかな、念話を介さないと声も出せない』
ホノトラマン『かなり手痛くやられちゃったねぇ……ははは……』
ホノトラマン『特にあのハンマーが直撃した箇所が箇所で、>>133ができなくなってるみたい……』
-
ホノマゲスラッガー
-
ホノトラマン『ホノマゲスラッガーが発動できなくなってるみたい』
ほのほの「ホノマゲ?」
ホノトラマン『私の頭についている唯一の攻撃武器のこと……見てみて、壊れてるでしょ?』
ほのほの「ふむ……ああ確かに」
ほのほの(ホノトラマンの頭の方に回ってみると、頭の上に装着されてたらしき刃物のような武器が粉々に砕けていた)
ほのほの(てことは脳天に直撃したのか、結構危ない場所だな、頭蓋骨陥没とかしてないといいけど……)
ホノトラマン『もうしばらくしたら動けると思う……そしたら一緒に宇宙怪獣を追いかけてくれる?』
ほのほの「もちろん!」
ほのほの「月野さんもロケットの様子確認しに行ってくれてるけど、現状を見るに部外者の私たちが優先して使うのは気が引ける」
ほのほの「その点ホノトラマンなら単独で大気圏突破できそう……てかできるでしょ?」
ホノトラマン『うんっ』
ほのほの「やっぱりか、私の方も最初から連れてってもらおうと考えてたんだよ」
ホノトラマン『おお!気が合うね!』
ほのほの(ほのとホノ、名前も近いし似たもの同士なのかもしれない)
-
ホノトラマン『でもごめん……思った以上にダメージ大きくて時間かかりそう……』キュゥ〜
ほのほの「うーん……まぁ宇宙怪獣のあの一撃を受けてすぐに立ち直れるほうがおかしいよ」
ホノトラマン『面目ないぃー』
ほのほの(念話でやる気まんまんな気持ちが伝わってくるから錯覚しちゃうけど、今のホノトラマンはピクピク動くだけの瀕死の巨人だ)
ほのほの(指1つマトモに動かせないし生きてるのがやっとの状態)
ほのほの(本人は頑張ると言ってるけど回復までどれだけかかるか……)
ほのほの「……あ!そういえば記憶を読んだんだけど、光の国の人って恒星の光エネルギーを栄養にできるんだよね」
ホノトラマン『う、うん、そうだね……ここだと太陽がエネルギー代わりになるかな』
ほのほの「よしっ!だったら私が太陽エネルギーを凝縮してホノトラマンに送るよ!」
ホノトラマン「え?」
ほのほの「そしたら回復を早めることができるかもしれない!」
─────────────────
月面
AM??〜?? 新終末編『259』了
-
というわけでここまで
次は地球に戻りたい
新終末編『260』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『260』
─────────────────
──月面
AM??
ほのほの「私は太陽光を色々便利に操る能力を持ってるんだ」
ほのほの「月に降り注ぐ太陽光を私が増幅してホノトラマンに注入するよ」
ホノトラマン『そんなこと出来るの!?』
ほのほの「うむっ」
バッ!
ほのほの(私は両手を高く掲げて太陽光の吸収を始める)
ほのほの(宇宙怪獣と戦ってる時は余裕が無かったけど、落ち着きさえすれば月面はエネルギー吸収し放題の場所だ)
ほのほの(地球より簡単に光が集まっていく)
キュィィィィィィンッ!!
ホノトラマン『おぉ……うつ伏せで倒れてるから見えないけど、なんだか暖さを感じる……』
ほのほの「じゃあ打ち込むよ!ソーラービームの形で良い?」
ホノトラマン『うんっ、体のどこでもいいから来ちゃって!』
ほのほの「では遠慮なく――」
カッ!!
ほのほの「ソーラービーム!!」
ビビビビッ!
ほのほの(私の手から放たれる光のエネルギー、それがホノトラマンに当たると>>139)
-
宇宙怪獣の3倍の大きさに巨大化
-
ほのほの「あれ……うわわわわわわわっ!!」
ホノトラマン『ののののっ!?』
ドドドドドドドドッ!!!!
ほのほの(私が高濃度の光エネルギーを放つとホノトラマンの体はグングンと大きくなっていく)
ほのほの(ちょっと背が伸びたとかそんなもんじゃない、このまま近くにいたら押しつぶされてしまう!)
ビュンッ!!
ほのほの(私は慌ててクレーターの中心から高速移動で外に向かって逃げる)
ほのほの「ちょちょっと!回復だとしても急に成長しすぎじゃない!?」
ホノトラマン『いつもはこうじゃないんだけど……光に栄養があり過ぎたのかな?』
ほのほの「分かんないよ!とにかく止められるなら止めて!」
ホノトラマン『止めるのは無理かなー』
ほのほの「ええええええっ!」
ドドドドドドドドッ!!
-
・
・
ほのほの(……で、結局ホノトラマンのさらなる巨大化は止まることを知らず、最終的に宇宙怪獣の3倍くらいの大きさになってしまった)
ほのほの「大きくなったねぇ……」
ホノトラマン『てへへ』
ほのほの(動けるようにまで回復したのは良いものの、こう大き過ぎると色々困るなぁ、顔もあんまり見えないし)
ほのほの(宇宙怪獣の大きさが最終進化した堕天使ヨハネと同じかそれより少し大きいくらいだったから600〜800mくらい?)
ほのほの(その3倍だから今のホノトラマンは身長が2弱〜2.5kmってところなのかな)
ほのほの(もはや数字がインフレしすぎてて実感が沸かない……)
ホノトラマン『いやー、ここまで大きくなるなんて自分でもびっくりだよ』
ほのほの「うん、念話があるからいいけど普通に会話すると考えると不便なくらいにデカい」
ほのほの「今も足の先と喋ってる気分だよ」
ピピッ
月野『ほのほの、今いい?』
ほのほの「あ、月野さん戻ってきたんだ、基地の様子はどうだった?」
月野『大混乱も大混乱よ、もちろん計画は一旦中止、地球から救助がくるまで地下の避難シェルターに篭もることになったわ』
月野『あなたたちはこのまま宇宙怪獣を追うの?』
ほのほの「うんそのつもり」
月野『そう……だったら>>142』
-
月で見つけた最高ランクの設備がついた宇宙戦艦をプレゼントします
-
月野『今から話すポイントに月で見つけた戦艦があるから使ってちょうだい』
ほのほの「戦艦……?月にそんなものがあるの?」
月野『発掘調査の時に別のチームが見つけたものでね、私は報告書で見たくらいだけど気にはなっていた』
月野『戦艦と呼称してはいるけど、正確に言えば戦艦の形をした何か……かな』
ほのほの「また曖昧な言い方だね」
月野『見つけた時は艦橋の部分だけが地面の上に出ていらしく、掘り進めたら戦艦と思わられる形の巨大物体が出てきたみたい』
月野『物体の表面の材質は月の地面に似たもので構成されてたことから、担当チームは戦艦を象ったモニュメントか何かってことで報告してる』
ほのほの「使えないハリボテってこと?」
月野『ハリボテやレプリカにしては再現が緻密すぎるって所が報告書で指摘されてるわね』
月野『内部調査の結果から戦艦の中も私たちの想像し得る戦艦の設備が揃ってるらしいし、計器類の1つに至るまで完璧に石で再現してある』
月野『中には本物であるのならオーバーテクノロジーと呼べる兵器と推察できるものまであったらしいわ』
ほのほの『でもそれを使えってことは……あなたはただのレプリカだと思ってないんだよね』
月野『ええ、報告書でも可能性の低い仮説として1つの考えが記されている』
月野『あれは超精密に作られた未知の戦艦のレプリカなどではなく、未知の方法で封印されたオーバーテクノロジーの宇宙戦艦なのでは……と』
ホノトラマン『ふむ』
月野『まぁ仮説は仮説、どこを触っても戦艦が起動することは無かったし、詳細な調査は専用の機器を持った調査団の派遣を待つということで調査はストップしてるわ』
月野『私たちの仕事はあくまで周囲の土地が基地の建設に有用かどうかの調査だからね』
-
月野『で、私が気になったのは戦艦に記されていたというマーク』
ホノトラマン『マーク?』
月野『このマーク、実はホノトラマンを召喚した祭壇にも同じマークが付いていたの』
月野『さっきまで確証が無くて、今戻るついでにデータで報告書を確認してみたんだけど、確かに同じものよ』
月野『祭壇が本物の力を持っていたのだから戦艦だって本物なのかもしれない』
月野『祭壇やあなたたちとの出会いが、朧げだった戦艦の話を現実味のあるものにした』
月野『そしてさっきのホノトラマンを回復させた行為を見て……ピンと来たわ』
ほのほの「そっか!戦艦がホノトラマンに関係のあるものなら強い光エネルギーで起動するかもしれない!」
月野『そういうこと!』
ほのほの「試してみる価値はあるね、座標を教えて!ホノトラマンで飛んでいくよ!」
月野『おっけー、場所は――』
-
・
・
・
タンッ
ヒュゥゥゥゥゥゥ
ドシィィィィィィィンッ!
ホノトラマン『お?見えてきたかな?』
ほのほの「そうだね、確かに戦艦の形をしてる」
ほのほの(ホノトラマンの掌に乗って座標の場所を目指した私はすぐに目的の場所に辿り着いた)
ほのほの(超巨大になったホノトラマンは歩幅だって超巨大、軽くジャンプすればすごい距離を行ける、下手に自分で移動するより超速かった)
ほのほの(例の戦艦はホノトラマンの足元には地面から斜めに飛び出した形で後ろ半分ほどが埋まっている)
ほのほの(戦艦の周囲には発掘用の機材が放置されていた)
ほのほの「っていうか……戦艦にしたって巨大すぎない?単純な長さがホノトラマンの半分くらいある気がする」
ほのほの「もしまだ地面に埋まってる部分が同じ長さがあるなら、ほぼホノトラマンと同じ……」
ほのほの「もし起動するのなら完全にオーバーテクノロジーで造られた宇宙戦艦」
ホノトラマン『それは長い!私も戦艦の下に抱きまくらみたいに掴まって行けるね!』
ほのほの『いや……そういえば聞いてなかったけど、ホノトラマン小さくなったりできないの?』
ホノトラマン「あ……できる!」ハッ!
ほのほの「えぇっ!?」
ホノトラマン『いやー完全に忘れてた忘れてた』テヘヘ
ホノトラマン『警備隊の学校で習ったんだよね、その星の文化を利用する必要もあるからーって』
ほのほの「まぁ元に戻ったらまた超巨大モードなんだろうけど、戦艦で移動する手前小さくなってよ」
ホノトラマン『了解っ』
シュルルルルッ
ほのほの(ホノトラマンは私を下に降ろすと、私と同じ大きさまで縮んていく)
ほのほの(人間大になったホノトラマンは>>146)
-
当然全裸
-
ほのほの(人間大になったホノトラマンは当然全裸だった、まぁ当然だ)
ほのほの(顔は少しお母さんに似てる気がしないでもない、他人の空似ってやつかな)
ホノトラマン「おぉ〜こんな感じか、久し振りに小さくなったから不思議に感覚だな〜」
ほのほの「寒かったり暑かったりしない?」
ホノトラマン「大丈夫、見た目変化するけど星の環境にはちゃんと適応できるから」
ホノトラマン「でもこの姿だと武器は使えないんだよね、そこらへんはほのほのちゃんよろしく」
ほのほの「分かった、服は……ここには何も無いから裸のままかな」
ホノトラマン「他に誰もいないし平気だよ、それより早く行こう!」
タタタッ
ほのほの「うんっ」タタタッ
ほのほの(走り出したホノトラマンを追って私は石造りの艦橋の上へ行く)
ほのほの(歩いてみた感触からもただの石にしか思えない、本当に戦艦として動くんだろうか)
ほのほの(キョロキョロと様子を見てると念話で月野さんから指示が来る)
月野『ほのほの、調査の際に作られた内部の地図がこっちにあるから入り口を教えるわね』
月野『入り口は艦橋の向かって右側、例のマークが掘ってあるドアがあるんだけど……分かる?』
ホノトラマン「見つけたー!」
ほのほの「あ、今ホノトラマンが見つけたみたい」
月野『よし、そのドアは石化したまま動く唯一とドアだからそれを開けて中へ入って』
月野『入ったら真っ直ぐ進んで右左右上上下下右一歩戻って左でブリッジへ着けるわ』
ほのほの「何かのコマンドみたいな道だね……でも分かった!」
タンッ
-
・
・
──船内
ほのほの(指示された入り口から入り、覚えづらいコマンドみたいな道を歩いていく)
ほのほの(するとあっさりブリッジに着くことができた)
ほのほの(中には計器類や何かの装置がいっぱいで、船に詳しくなくてもここで何か操作をするんだなということが分かる)
ホノトラマン「おぉーすごい!でも全部石だね」コンコンッ
ほのほの「でも封印されてるだけなら、エネルギーを与えれば動くかもしれない」
ほのほの「月野さん!どこに当てればいいか分かる?」
月野『報告書によるとブリッジの中、例のマークの下にある球体が怪しいらしいわ』
月野『立ち並ぶ装置の中でこれだけか用途が分からなくて不自然って書いてある』
ほのほの「分かった、じゃあ遠慮なく2発目の――」
キュィィィィィィィィィンッ!
ほのほの「――ソーラービーム!!」
カッ!!
ほのほの(強い閃光がブリッジ内に走り、太陽光線が石の球体に突き刺さる)
ほのほの(すると球体を構成していた石が溶けるようにグニャグニャと波打ち、透明な球体の水晶へと変化する)
ほのほの(水晶はそのまま太陽光線を吸収し続けて――)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ホノトラマン「わっ!なに!?」
ほのほの「船が……揺れ始めた……!」
ほのほの(激しく揺れる戦艦、その揺れと共に光を受けた水晶から波のようなものが壁や床を伝って周囲に広がっていく)
ほのほの(まるで光の波、エネルギーを貰った水晶がエネルギーを戦艦の隅々にまで与えてるような光景)
キィィィィィィィィィンッ!
ホノトラマン「見て!波の通り過ぎた場所が石から別のものに変わっていってる!」
ほのほの「これは……鉄?もしくは未知の金属?」
ほのほの(詳しい材質は私には分からない、でもこれだけは分かる)
ほのほの「戦艦が……本当の姿を現してるんだ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
-
月野『望遠で見てるけど外からも観測できてる』
月野『戦艦の外装が塗り替わるように変化していく、カモフラージュが解けていってるんだわ!』
ほのほの「月野さん、それに……私分かる」
月野『え?何が?』
ほのほの「この宇宙戦艦の動かし方が水晶を通じて頭に流れ込んでくる……」
ほのほの「水晶にエネルギーを与えた私を操者として認めるんだ……!」
ドクンッ! ドクンッ!
月野『ふっ、それは好都合!行きなさいほのほの!私は責任取らないけど!』
ほのほの「そこは責任取るとこでしょ……浮上!!」バッ!
ほのほの(私が浮上をイメージをしながら手を振り上げると、水晶の中の光が形を変える)
ほのほの(装置たちがオートで動いて巨大な戦艦の各場所を動かしていく)
ギュィィィィィィィィィィンッ!!
ホノトラマン「おおっ!」
月野『すごい……元の姿を取り戻した戦艦が周りの地面を崩しながら上昇してる……』
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ほのほの「じゃあ行ってくる、色々ありがとう月野さん!」
月野『私のほうこそお願い!あの怪獣から地球を守って!』
ほのほの「もちろん!」
ホノトラマン「りょーかいっ!」
グイッ
ほのほの「さらば月面、飛び立て宇宙戦艦!」
ほのほの「目的地は――目の前の地球!!」
ドンッ!!!!
─────────────────
月面〜宇宙戦艦
AM??〜?? 新終末編『260』了
-
というわけでここまで
どうにか発進まで漕ぎ着く
次は再び地球、どこから始めるか
新終末編『261』に続く
かもしれない
-
新終末編『261』
─────────────────
──スターニシキノ艦内
AM9:05
カツ カツ カツ
海未(私とダル子とかもめの3人は格納庫を後にして、希たちの待つ客室へ戻るため通路を歩いていた)
海未(マザーは『ワームホール発生装置借りる許可貰ってくるわ〜』と言って1人で先に行ってしまった)
海未(相変わらず勝手な人ですねぇ……)
海未(さっきまで話をしていた通信機も私に投げていく始末)
海未(この通信機……片手で持つにしてはかなり大きめのものですが、AASの中でも変わらず通信ができるのは凄い代物です)
海未(うちでこんなものが作れるのは鞠莉くらいなものでしょう)
クローバー『園田さん、聞いてる?』
園田「え?は、はいすみません、歩きながらなので……」
海未(通信機の向こうの相手はまだ話すことがあったらしく、マザーが行ってしまったと告げると溜息をついてしまった)
海未(仕方がないので私が代わりに聞きましょうかと提案し今に至る)
海未(話をしてる相手はクローバー、彼女が言うにはマザーの仲間の1人らしい)
海未(彼女は『私の仲間』と協力して音ノ木坂跡からサトゥルヌスの左腕を回収し、先に合流ポイントに着いているらしい)
海未「それでクローバーさん」
クローバー『クローバーで良いわ』
海未「はい、クローバー……そちらでは既に右腕の封印解除作業を行ってるんですよね」
クローバー『そうよ、マザーにも話したけど時間が無さそうだから先に進めてる』
クローバー『宇宙怪獣の到着時刻が後ろ倒し……9時44分頃になったけど、それでも早めに行動したほうがいい』
海未「内浦――浦の星女学院でしたっけ、そこの封印はどんな手段で解除してるんです?」
クローバー『そうね、一言で言うなら>>152』
-
とんでもなくエロい
-
クローバー『一言で言うならとんでもなくエロい方法よ』
海未「うっ……それはあまり聞きたくないですね……」
クローバー『まぁ心配しないで、あたなの仲間に危害を加えるようなことはしないわ』
海未「もちろんですよ」
クローバー『そっちはどのくらいで着きそう?』
海未「金属生命体は追い払ったので、このまま順調に行けば10分か15分くらいで着くかと……」チラッ
ダル子「……」コクンッ
海未「着くと思います」
クローバー『そう、とにかく無事に着いてちょうだい』
海未「そういえばクローバーたちの船は一度ドスケーブ城に寄ったんでしたよね」
クローバー『ええ、左腕をコントロールできるために南が必要だからね』
クローバー『城では慌ただしく復旧作業が続けられていたわ』
クローバー『あと重傷患者を連れて病院に運ぶって言ってたから、ついでに船に乗せて近くの病院に運んであげたわ』
海未「病院ですか……」
-
クローバー『その際にあっちの真姫ちゃんをチラッと見かけたわね、会いに行こうとしたらマッキーに止められちゃったけど』
マッキー『余計なこと言わなくていいから』パシッ!
クローバー『わっ……も〜何するのよマッキ〜』
海未「……?」
海未(通信機越しに真姫らしき声が聞こえる……いや、これはマッキーの声か)
クローバー『うちの子がごめんなさいね』
マッキー『子じゃないし……』プイッ
クローバー『話が逸れてしまったけど、何か聞きたいことがあったの?』
海未「ああそうでした、城に立ち寄った際に誰かが降りたり加わったりはしたのですか?」
クローバー『それは病院組は別にして……ってことよね』
海未「はい」
クローバー『だったら……ええと……んん……?』
海未「クローバー?」
海未(深く思い出すように唸り始めたクローバーはそのまま黙ってしまった)
-
マッキー『もう何してるの私に変わって、あなたは自分の興味あること以外覚えてないんだから』バッ!
クローバー『おぉっ!』
マッキー『もしもし海未、クローバーじゃ埒が明かないから代わったわ、私のことは分かる?』
海未「まぁ……一応は、直接話すのは初めてだったかと」
マッキー『そうだっけ、私の方は元型記憶があるから馴染みの友達くらいの感覚だけどね』
海未「元型記憶?」
マッキー『後で話す、それでメンバーの変遷ね……基本的に音ノ木坂跡戦で力を使い果たしたやつは降りたわ』
マッキー『博士アルパカやブンドルビィオッパイ姉妹、妹たちに付き添ってデスワも降りたかな』
マッキー『寿限無も降りたほうがいいんじゃないって話になったけど、本人の強い希望で残ることになったわ』
マッキー『他には……>>156』
-
鞠莉がノリノリで加入
-
マッキー『鞠莉がノリノリで加入したわ、残念なことにね』
鞠莉『だーれが残念ですってー?』
マッキー『ちょっ、くっつかないでって……!』
鞠莉『んー?』
海未(はぁ……よく人が増える通信機ですねぇ)
カツ カツ カツ
海未(こちらと言えばマッキーたちと話してる間に客室の前まで着いてしまった)
ダル子「どうします?」
海未「ダル子たちは先に中に入って説明していてください」
ダル子「分かりました」
かもめ「了解しましたっ」
ウィーン
海未(中に入ったのを見届けると、私は通路の壁に背を預けて話を続ける)
海未「というか鞠莉……あなたゲートの作成や日記の解析と言った諸々の仕事があったのでは無いのですか?」
海未「それがドスケーブ城を離れるなんてどういうつもりですか」
-
鞠莉『まぁサトゥルヌスに興味があったし、実際に見てみたいなーと思ったなら仕事なんてどうでも……』
海未「まーりー?」ピキッ
鞠莉『じょ、冗談よ冗談』
鞠莉『日記の解析は完了したし、蒼天龍に教えてもらった座標の入力も完了した』
鞠莉『データ上の処理が終わっただけで現実のヨハネゲートの実装はまだだけど、そこはラボに残った面子と名古屋のトゲわんに引き継いで来たわ』
鞠莉『あそこまでやってれば他のやつでも大丈夫でしょう』
海未「なっ!本当ですか!?」
鞠莉『本当よ、このマリーを舐めないでちょうだい』
鞠莉『やることはやって全力で遊びに来たの!』ドヤッ
マッキー『遊びに来られても迷惑……ってか通信機トラナイデ!』
海未「日記……日記とはロシアで真姫たちが受け取ってきたハラッセオの手記のことですよね」
マッキー『ハラッセオ?』
海未「古代にあった獣人の街、そこで獣人の姫に仕えていた少女の名です」
海未「街で賢者と魔王の戦いがあった後、旅に出たハラッセオが書いていたのがその手記」
海未「おそらく……"私たちの知らない昔の魔王と今の魔王を繋ぐ歴史"が記されてる書物」
マッキー「……?」
-
鞠莉『なんでそんなややこしい言い方……ああ、これがやつらの通信機だからか』
海未「はい、警戒しすぎですかね?」
鞠莉『まぁ警戒しておくにこしたことは無いわよ』
鞠莉『それで話を続けると、実は日記の解読から1つの事実が分かったの』
鞠莉『それによってゲートの作業が飛躍的に進んだと言っても過言ではないわ』
海未「日記とゲートが関係……?」
鞠莉『ええ、その事実とは>>160』
-
恋する乙女の想いは世界を超える
-
鞠莉『恋する乙女の想いは世界を超える――ってことよ』
海未「恋する乙女……?」
鞠莉『あら、恋愛経験の少ない海未には難しかったかしら』
海未「わわわわ私にだって少しくらいはありますよ!」
鞠莉『穂乃果だけでしょ?』
海未「ぐっ……ゆ、雪穂とか」
鞠莉『他には?』
海未「…………」
鞠莉『まぁ海未をからかうのはこれくらいにしておいて……』
海未「むぅ」
鞠莉『日記には1人の乙女が恋の力を持って異界へ行く様子が記述されているの』
鞠莉『それも現代科学や現代異能学、どの技術を使っても説明がつかない形でね』
海未「単なる創作という線は?」
鞠莉『私も最初はそう思った、でもハラッセオは日記に未知の数式を残していた』
鞠莉『気になってさらっと解読してみたらその数式の面白い事実が判明したわ』
マッキー『さらっと未知のもの解読するのね……』
鞠莉『なんとその数式には人の感情、特に恋や愛と言った感情が要素として組み込まれていたの』
海未「人の感情……?」
鞠莉『イエース』
-
海未「ふむ……確かに人の感情は時として異能の力を高め、更に強い感情はそれ1つで異能を超える存在と成り得る」
海未「穂乃果の大罪穂乃果しかり、私のファントムエッジしかり、ことりのマカロンだって感情から生まれるものです」
鞠莉『そう、そしてこの日記に書かれた数式の効果は異能なんて目じゃない力を発揮するものだった』
海未「異能を超えた……何という名前の力です?」
鞠莉『日記には特に書いてなかったわ、感情を組み込んで発動する理論だから……』
鞠莉『そうね、敢えて定義するなら『感情論』なんてのはどうかしら』
海未「良いですね、では感情論としての名前を付けるなら――」
海未「『感情論:恋鎖方程式』……という感じになるのでしょうか」
鞠莉『……数式と絡ませて上手いわね、歌詞とか書いたらどう?』
海未「書いてましたよ、早くまた平和な世界で書きたいものです」
鞠莉『ま、取り敢えず採用ね』
鞠莉『海未が名付けてくれた恋鎖方程式は恋する気持ちを持った乙女が発動させることで、自身と恋の対象の間を鎖のようにガチッと結びつける』
鞠莉『どんなに離れていても別の世界でも関係ない、外郭界だろうが関係ない』
鞠莉『絶対に切れることない確かな繋がりが出来上がる』
-
マッキー『それをどうゲートに役立てるわけ?』
鞠莉『簡単なことよ、フードマンの拠点に行きたいんだから拠点にいる誰かとこっちの誰かを結びつければいい』
鞠莉『恋鎖方程式が成立すればヨハネゲートの強度は確かなものになるわ』
マッキー『いやいや、敵地に恋してるやつがいる人なんて……』
海未「あっ!ことりはどうです?ことりたちは外郭界にいるでしょう!」
鞠莉『ダメね、ナグルファルが行ってるのはあくまで外郭界、フードマン拠点の周囲に広がる広大な砂漠』
鞠莉『内部まで侵入してる可能性も考えられなくはないけど、連絡が無い以上は保証がない』
海未「そうですか、ですが他に……」
鞠莉『いるのよ、もっと確実な人選がね』
海未「え?」
鞠莉『敵の幹部級、フードマンの側近に恋する人を取り込まれたメンバーがね――』
─────────────────
スターニシキノ艦内
AM9:05〜AM9:15 新終末編『261』了
-
というわけでここまで
鞠莉を動かすと自然に重要な部分が動く
あんまり見返してないから設定に齟齬があったらすみません
新終末編『262』に続く
かもしれない
-
をつ
さすが最年長
-
新終末編『262』
─────────────────
──スターニシキノ艦内
AM9:15
海未「メンバー……?ということは1人ではないのですか?」
鞠莉『勘が良いわね、海未は穂乃果が新魔王と戦った時の話は聞いている?』
海未「まぁ話だけなら」
鞠莉『その時に現れたフードマンの手下である緑氷の巨人に吸収された人が2人いる』
鞠莉『どちらも新魔王に氷漬けにされていて、氷ごと砕かれて緑氷の巨人に吸収されてしまった』
鞠莉『その2人こそ……ミナ仮面と高坂雪穂』
海未「……っ!」
鞠莉『ああ、偶然だけど2人ともあなたに関係のある人物ね』
鞠莉『こっちのあなたとこっちのあなたの恋人……気になるわよねえ』
海未「……誰だろうが敵に取り込まれたのなら心配ですよ」
海未「で?その2人と恋鎖を繋げる相手がいるんですよね」
鞠莉『ええ、ドスケーブ城跡にミナ仮面に対応するパンドラが、岩壁の塔に雪穂に対応する亜里沙がいるわ』
鞠莉『あの子たちに恋鎖を繋げてもらえば二重の鎖で繋がりはより強固なものになる』
海未「なるほど……今の岩壁の塔の方の様子はどうなのでしょうか?」
鞠莉『あっちは前からやってたヨハネゲートの研究と新通信網の整備を続けつつ』
鞠莉『塔の外ではカローン組、白ムンガンド組に加えて伊勢湾から戻ってきたバーミヤン組が合流をしたそうよ』
鞠莉『それからそうねぇ……>>167』
-
塔の外組でバトルロイヤルをしてNo. 1を決めた
-
鞠莉『塔の外組でバトルロイヤルをしてNo. 1を決めたそうよ』
海未「何をやってるんですか……」
鞠莉『知らないわよ、やることなくて暇だったんじゃない?』
鞠莉『結果は聞いてないから知りたければ直接聞きなさい』
海未「はあ……」
鞠莉『そんなことより……あなた達そろそろ到着じゃない?』
海未「え?」
鞠莉『あなた達の飛空艇、こっちから見えるわよ』
・
・
ババババババババッ
海未(窓の外、広大な駿河湾を望む丘の上に浦の星女学院の校舎はあった)
海未(その校庭の端には巨大な飛空艇が一機着陸していた、おそらく私たちが乗ってるのと同じスターニシキノの飛空艇)
海未(クローバーたちが乗ってきたものでしょうね)
-
ピンポンパンポーン
スピーカー『全乗組員に次ぐ、これから我らが船は下に見える浦の星女学院の校庭へ着陸する』
スピーカー『任務があるものは下部ハッチの前へ集合、任務の無いものは引き続きその場で待機だ』
スピーカー『繰り返す、これから我らが船は――』
海未(アナウンスを繰り返しながら飛空艇はゆっくりと校庭へ降下していく)
海未(私が通路に立ったままその様子を眺めていると客室から希たちが出てきた)
ウィーン
希「海未ちゃん、今の聞いた?」
海未「はい、マザーは戻ってきていませんが私たちだけでも下部ハッチへ向かいましょう」
希「うんっ」
ダル子「はいっ!」
タタタタタッ
海未(私たち10人は客室を出発すると通路を進んで下部ハッチへと向かう)
海未(道順は乗り込んだ時と逆を行けばいいので迷うことなくたどり着くことができた)
タタタッ
海未(そして下部ハッチの手前まで行くと、そこでマザーが何人かの船員と一緒に待っていた)
マザー「よっ」
海未「マザー、ワームホール発生装置の件は話が付いたのですか?」
マザー「もちろん、うちがちゃーんとお願いしたら貸して貰えることになったから大丈夫」
海未「色じかけですか……?」ジーッ
マザー「どこを見て言っとるんや失礼な子やな」
コトーリ「おっぱいがおおきいからしかたない」
マザー「ちょいちょい」
コトーリ「おっぱいがおいしいからしかたない」
船員「おいしい……?」ザワザワ
マザー「コトーリちゃーん、周りの船員さんたちがザワつき始めたからそのへんにしといてなー」
コトーリ「はーい」
マザー「それで海未ちゃん、装置を貸し出すに際して船長から1つ注意することを教えて貰ったで」
海未「注意ですか、確かに色々不安定な装置みたいでしたからね」
マザー「注意点ってのは>>170」
-
海水に浸かったらブラックホールにつながる
-
マザー「注意点ってのは海水に浸かったらブラックホールにつながること」
海未「なっ!」
ほのり「ブラックホールって……あのブラックホール!?」
マザー「そっ、海水を吸い込むとワームホールが崩壊してブラックホールに変化するらしい」
マザー「詳しい仕組みは船長も元の客も分からんらしいけどな、ていうか運んだ先でさらに研究するつもりだったらしい」
海未「ふむ……ワームホールはブラックホールとホワイトホールから発展した理論」
海未「何かのきっかけで変化してもおかしくはないですが……まぁ何であれ気をつけましょう」
マザー「せやな」
マザー「てことで船員さんたち!これ船から降ろして運んでちょうだい」ポンポンッ
マザー「濡れないように注意してなー」
船員ズ「「はっ!」」
海未「私たちも降りましょう」
希「うんっ」
スタスタ
-
・
・
──浦の星女学院・校庭
海未(下部ハッチが開き私たちと船員数名が浦の星女学院の校庭に足をつけた)
海未(船員さんたちは降りるとすぐに運んできていた板を地面に敷いて、その上にワームホール装置を慎重に置く)
海未(そして雨風が発生した時のためにビニールシートのようなものを装置の周りに張り巡らしていく)
海未(校庭の一角をワームホール用のエリアに作り変える感じなのですかね)
海未(一方校舎のほうへ歩いていった私たちの前にはクローバーとマッキー、それから鞠莉が出迎えに出てきていた)
マザー「やぁクローバー、元気そうで何よりや」
クローバー「あなたもね、スピリチュアルマザー」
海未(想定できていたことだけど、マッキーは真姫に、クローバーは真姫ママさんによく似ていた)
海未(クローバーの白衣の下……隙間から肌色がチラチラ見えて裸な気がしますが、たぶん気のせいですね)
クローバー「サトゥルヌスの本体は?ちゃんと持ってきたのよね」
海未「あ、はい!それなら私がボールの中に持っています!」
マザー「コントロール権も海未ちゃんが獲得して試運転も済んでる、問題あらへんで」
-
クローバー「なるほど、あなたが本体の奏者ってわけね」
鞠莉「さっすが海未、抜け目ないわねー」
海未「……?」
クローバー「良いわ、付いてきて、右腕の封印の儀を行ってる場所に連れて行ってあげる」
海未「は、はいっ」
スタスタ
ほのり「しかし……ここに封印されてるってわりには校庭には誰もいないわね」
ほのり「儀式ってのはどこでやってるの?」
クローバー「儀式の内容が内容だからね、なるべくひと目につかない場所でやってるの」
ほのり「学校の敷地の中で……ひと目につかない場所?」
マッキー「>>174よ」
-
スクールアイドル陪の札がある部屋
-
マッキー「スクールアイドル陪の札がある部屋よ」
ほのり「スクールアイドル……陪?」
鞠莉「部の間違いだと思いマース!」
海未「スクールアイドル部ということですか、この学校にもスクールアイドルがいたのでしょうか」
鞠莉「たぶんそうでしょうねぇ、今は絶賛非難中で生徒は誰もいないけど」
マッキー「梨子やデスワも平和な世界ならスクールアイドルに参加してたのしら……」
海未「?」
マッキー「いやいや、こっちの話、連れの中にこの学校に通ってたやつがいるのよ」
海未「ほー」
マザー「クローバー!うちは装置の様子を見ておく仕事があるから校舎の前に残ってるでー!」
クローバー「はーいっ」
コトーリ「まざーがのこるならわたしものこる」
ココロ「天使様が残るのなら私も残りますっ」
ウミトラマン「海未、私もいざという時に巨大化する都合上外にいますね」
海未「了解しました」
海未(つまりマザー、コトーリさん、ココロ、ウミトラマンが昇降口の前に残ることになる)
海未(中に行くのは私、希、ダル子、ほのり、善子、かもめ、彼方の7人に)
海未(クローバー、マッキー、鞠莉の3人を加えた合計10人となった)
-
スタスタ スタスタ
海未「そうだ、クローバーさん、さっき私に言った奏者というのは……?」
クローバー「サトゥルヌスの各部位を操るもののことをそう呼ぶと魔王軍のマニュアルに書いてあるわ」
海未「ほう……」
クローバー「基本的には部位の封印や封印解除に関わったもの、操るのに適性があるものなどが選ばれる」
クローバー「本体はあなた、左腕が南って感じにね」
クローバー「そして右腕の奏者は今まさに封印解除の儀式を行っているあの子になるでしょうね」
海未「あの子?誰が右腕を担当してるんです?」
クローバー「>>177よ、あの子が1番適任だったからね」
-
梨子と梨子を追い回しているしいたけ
-
クローバー「梨子よ、あの子が1番適任だったからね……犬嫌いという意味で」
海未「犬?犬が関係してるのですか?」
クローバー「あなたがコントローラーを使って本体を使役してるように、南が土地神を使って左腕を使役してるように」
クローバー「サトゥルヌスを制御するためには、私たちと神のパーツの間を取り持つ仲介役が必要なのはわかるわよね」
海未「はい」
クローバー「それがこの内浦では大型犬の形を取っているの」
ほのり「……は?」
クローバー「名前はしいたけ、マニュアルによるとその犬と仲良くなるのが儀式の内容」
クローバー「元が犬嫌いな者ほど仲良くなった時のコントロール率は高いらしいわ」
希「なんやそれ……」
クローバー「仕方ないじゃない、書いてあるんだもの」
マッキー「そこで内浦に来たクローバーは、初めてしいたけを見た時の反応から梨子が犬を苦手としてることに気づき彼女を選んだ」
マッキー「不幸にも目を付けられてしまった彼女は、スクールアイドル部の部屋にしいたけと閉じ込められてしまった」
カツンッ
海未(そこまで話が進んだ所で私たちはスクールアイドル陪の札がある部屋の前に辿り着き――)
ガタガタガガタッ!! ドンガラッシャァァァァァンッ!!!!
梨子「いぃぃぃやぁああああああああああっ!!」
海未(部屋から鳴り響く騒がしい音と悲鳴を聞くことになったのだった)
─────────────────
スターニシキノ艦内〜浦の星女学院
AM9:15〜AM9:30 新終末編『262』了
-
というわけでここまで
次は梨子ちゃんパニック編
新終末編『263』に続く
かもしれない
-
新終末編『263』
─────────────────
──浦の星女学院
AM9:30
──部室前
梨子「ぎゃぁあああああああああああああっ!!」
ドタバタッ! ドタバタンッ!!
海未(部屋のガラス越しに梨子と思われる女性の悲鳴が聞こえてくる)
海未(部屋の前には寿限無……それからにこに似た人が立っていて、部屋の中の様子を眺めていた)
マッキー「ゴースト、儀式の進行具合はどう?」
ゴースト「はぁ……どうもこうもないわよ、さっきからまるで進展なし」
海未(マッキーの問いにゴーストと呼ばれた矢澤にこ似の人が首を振って答える)
ゴースト「ん?そっちの人たちは?」
マッキー「私たちの協力者、紹介するわ、まず――」
海未(ここに来る過程で歩きながら軽い自己紹介は済ませていた、マッキーは要領よく端的に紹介していく)
海未(これだけ人数がいると合流の度に説明するのが不便ですねぇ……)
鞠莉「そうねぇ、そのうち名刺代わりの情報共有デバイスでも作っておこうかしら」
海未「鞠莉、人の考えに割り込んでこないでください」
鞠莉「ソ〜リ〜」
寿限無「海未さん!希さん!ほのり姉さん!」タタッ
ほのり「寿限無!」
海未(マッキーが説明を続ける傍ら、寿限無が私たちのほうへ駆け寄ってきた)
-
海未「音ノ木坂組の大体のいきさつはクローバーから聞いています、寿限無も大変な目にあったそうですね」
ほのり「相変わらず無茶するんだからー」
寿限無「いやいや私なんて……海未さんやたちこそ無事で良かった」
寿限無「姉さんが背中に背負ってる大剣とか、後ろにいるどこかて見たことある堕天使的な人とか」
寿限無「聞きたいことはいっぱいあるけど……まずは行われている儀式の話をするわ」
海未「はい」
寿限無「今部屋の中には梨子としいたけだけが入ってる、仲良くなるのがクリア条件なんだけど上手く行ってないのが現状」
ほのり「そこまでは聞いた、でもエロい要素があるとも聞いたのよね」
ほのり「どこらへんかエロいわけ?」
寿限無「ああ、それなら梨子の衣装のことじゃないかしら」
ほのり「衣装?」
寿限無「仲良くなる儀式ためにクローバーが用意してた衣装があって、梨子はそれを着させられてるの」
寿限無「その衣装ってのが>>182」
-
犬の好きな匂い付きの絆創膏を秘所だけに着けてる
-
寿限無「犬の好きな匂い付きの絆創膏を秘所だけに着けてる格好なの」
ほのり「へー……秘所だけに……ってえええええっ!?」
海未「あー、だから追い掛け回されてるのですか」
ほのり「それって殆ど裸みたいなものじゃない!変態よ!獣モノのエロビデオよ!」ブンブンッ
寿限無「おおおっ、襟元掴んで揺らさないで姉さん、だからエロいって言ったじゃないっ!」
クローバー「仲良くなるには手っ取り早い方法でしょ?」テヘッ
海未「この人には鞠莉と同じオーラを感じます……」
鞠莉「ちょっと変な発想の人見たらすぐ一緒にするのやめてほしいなー、鞠莉さん傷ついちゃう」
海未「では日頃の態度を改めて頂きたいですね」
希「仮に鞠莉さんだったらどうするん?」
鞠莉「それはもう梨子ちゃんに犬を好きになる媚薬を与えて一発でズドンよ」
希「もっとひどかった!!」
クローバー「そうよ、あなたの方法じゃあ犬に群がられて嫌がってる女の子が見れないじゃない」
クローバー「嫌悪から段々と快楽に変わっていく様子がいいのよ、わびさびが分からない人ね」
鞠莉「えー、私は犬相手にどエロになる様子を動画に取っておいて後で本人に見せるほうが楽しいけどなー」
-
海未「はぁ、もうド外道同士の会話は良いですよ……」
寿限無「ちなみにマッキーならどうするの?」
マッキー「私は別に女の子を虐める趣味はないし、梨子が無理だってんなら別の子にするわよ」
マッキー「契約を交わして1回こっちのもんにしたらコントローラーである犬の方をバラして出力上げる改造を施すかしら」
寿限無「うーん……別方向で我が道を行くわねぇ」
マッキー「でも現状は梨子が放り込まれた、そして猥談に勤しむ時間もない」
ゴースト「手持ちの駒で手早く何とかするしか無いってことね」
マッキー「そう、ぶっちゃけ人を強制的に操る方法なんて此処にいる面子なら10や20持ってると思うけど」
マッキー「梨子が自分から心を開いて犬を受け入れないとこの儀式は意味がない……少なくとも私はそう考えてるわ」
ほのり「ふーむ……難しいわね」
善子「はいはいっ!それなら私に良い考えがあるわ!」ピョンピョンッ
ほのり「どしたの善子、厨二病発言なら要らないわよ?」
善子「犬を好きになる方法よ、それには>>185」
-
犬に壁ドンされる
-
善子「犬に壁ドンされるのよ!」
ほのり「壁ドン……?」
ゴースト「隣人がうるさいから壁をたたくやつ?」
善子「ちーがーうー!ラブでロマンスな壁ドゥーンよ!」
タタタタタッ
海未(善子は部屋の中が見える場所まで走っていくと、ガラスにおでこをくっつけて中を見ながら大きな声を出す)
善子「ほらやっぱり!あの梨子って子、壁ドンか好きそうな顔してるわよ!」
ほのり「どんな顔よ……」
マッキー「壁ドンか、そういえば除去ウイルスのトリガーに選んだ言葉も壁ドンだったわね」
マッキー「梨子にとって壁ドンは何かしら思い入れのある言葉、行動なのかもしれない」
ほのり「本当に!?本当にそう思う!?」
ゴースト「無駄よ、こうなったマッキーは止められないわ」ポンッ
マッキー「クローバー!どうにかして犬に梨子を壁ドンするように誘導できないかしら!」
クローバー「やってみるわ、土地神であるしいたけに指示は出来ないけど、部屋の中はとっくに改造済み」
クローバー「建築物を自由自在に操るなんてこのクローバーには朝飯前なんだからっ!」
海未(クローバーはどこか楽しげに白衣の中からラジコン用のようなコントローラーを取り出す)
海未(どこか喜んでるようにも見えるのはマッキーに頼られたことと関係があるのでしょうか……)
クローバー「スイッチー、オン!」
ポチッ
海未(そしてクローバーがコントローラーのスイッチを押すと――)
-
・
・
──スクールアイドル部室内
梨子「い、いやぁあああああああああああああああっ!!」
しいたけ「はぁっ!はぁっ!」
ダタタタタタッ!!
梨子(あり得ないあり得ない!冗談じゃない冗談じゃない!)
梨子(こんな密室で……しかも裸になって犬に追いかけられるなんて、いったい何の罰ゲームなのよ!?)
梨子(股間についてる絆創膏、メノノリを出す穴も塞がれちゃってるし、特別製なのか剥がすこともできない)
梨子(私が何か悪いことしたって言うの!?)
しいたけ「わんっ!わんっ!」
梨子「ひぃぃぃぃぃっ!」
梨子(クローバーたちは契約のために必要なことって言ってたけど、仲良くなるなら別に私じゃなくてもいいんじゃない!?)
梨子(元々苦手な人のほうが向いてる〜とか嫌がる私を見て楽しむための方便としか思えないっての!)
梨子(それに犬!まだドスケーブ城跡に迷い込んできたあんこちゃんみたいな小型犬ならいいけど)
梨子(このしいたけって土地神、アレキサンダーくらい大きな大型犬じゃない!)
梨子(興奮したあんなのに近づかれたら……無理無理無理っ!)
ダタタタタタッ!!
梨子「もう契約なんてしらない!逃げ切ってやるんだからぁぁっ!!」
クローバー『ポチッとな』
梨子(……と、その時突然、私が足を置いた床のタイルが跳ね上がった)
-
バインッ!
梨子「え?」
梨子(そしてバランスを崩した私が次に片足をつけた床のタイルが一回転する)
グルンッ!!
梨子「わぁぁぁっ!?」
梨子(私はそのまま体ごと回転し、目の前にあった壁に背中を向ける形で衝突する)
ダンッ!!
梨子「くぅぅぅ……」
梨子(さして強い衝撃では無かったものの、不意をつかれた私はそのまま壁にもたれかかり、真っ直ぐ床に腰を降ろしてしまう)
梨子「もう……なんなのよ」
しいたけ「わんっ!」
梨子「うわぁぁぁっ!」
梨子(顔を上げると、私を追ってきていたしいたけが猛スピードで壁に突進してくる)
クローバー『ポチッとな』
バイーンッ!
しいたけ「あう?」
梨子(だがまたしても謎の装置が発動し、タイルがバネのようになって上に乗っていたしいたけを高く跳ばす)
梨子(放物線を描くように跳んだしいたけの前足は、ちょうど私の頭の横の壁に触る形になって――)
トンッ
しいたけ「わんっ」
梨子「……え?」
梨子(壁に背を預けるように座っていた裸の私は、壁と、壁に前足をかけて立ったしいたけの間に挟まれる形になってしまった)
梨子「……え?なにこれ……壁ドン?」
しいたけ「ばうっ!」
梨子(人生初の体験、犬に壁ドンされた私は>>189)
-
中途半端な壁ドンに怒りMax
-
梨子(中途半端な壁ドンに怒りMaxになった!)
梨子「何よこれ!全然なってないじゃないっ!!」
しいたけ「わ、わんっ!?」
梨子(もはや犬に対する恐怖などは微塵もない、溢れる怒りが恐れを凌駕したのだ)
梨子(私はしいたけの前足をはらって立ち上がると、しいたけの体を持ち上げて壁側に立たせる)
梨子(壁ドンにおける私としいたけの位置を交換したのだ)
梨子「良い?今から本物の壁ドンってのを見せてあげる」
しいたけ「く、くぅ〜ん?」
梨子「怖がらなくていいわ、痛いことはしないから……ふふっ」
梨子(すっかり追う側から追い詰められる側、逃げ場を失くして萎縮したしいたけちゃんに私は優しく微笑む)
梨子「壁ドンと一口に言っても種類は幅広い、壁ドン業界では常に新しい壁ドンが開発されているの」
梨子「その中で今1番お勧めなのは……そうねぇ、>>191壁ドンかしら」
-
ぬり
-
梨子「そうねぇ、ぬり壁ドンかしら」
しいたけ「わ、わうっ!?」
梨子「じゃあやるわね――ふんっ!」
ポンッ! ドリュルルルルルルルッ!!
梨子(下腹部に力を込めて軽く力むと絆創膏が音とを立てて外れ、メノノリ穴から流体メノノリが部室の床に噴射される)
ジャボボボボボボボッ!!
梨子(さっきまで剥がすことができなかった絆創膏なのに、メノノリ水圧でこんな簡単に取れるなんて……)
シャドウ『梨子、それは怒りで貴女の中のレズ力が上昇してるからよ』
梨子「うん……言ってる意味がサッパリ分からないわ、もう一人の私」
シュルルルル
梨子「ま、とにかくメノノリが使えるなら再現は簡単」
梨子(私は股下から噴射したメノノリに周囲の板や椅子を適当に食べさせて流体の体を個体にさせていく)
梨子(そうして育ったメノノリを壁のように一面が広い直方体に形成して――)
シュルルルルッ! モニュニュニュッ!
キィーーーーンッ!!
梨子「完成!ぬり壁メノノリ!」
-
シャドウ『そのまんま壁の形のメノノリね、表面はぷにゅぷにゅしててスライムみたいだわ』
梨子「シャドウ、守護霊みたいに現れて後ろでいちいち解説しなくて良いですから……」
シャドウ『そう?』
梨子「じゃあしいたけちゃん、その場から動かないでね」ニコッ
しいたけ「くぅ〜ん……」ブルブル
梨子(本物の壁とぬり壁メノノリに挟まれたしいたけちゃんは小型犬のように可愛く震える)
梨子(大丈夫よ、今すぐにその恐怖を快楽に変えてあげるから)
梨子「行きなさいメノノリ!突進よ!」バッ!
ぬり壁「ぬりぃいいいいいいいいっ!!」
梨子「ぬり!壁ぇぇぇえええ!」
ゴッ!!!!
しいたけ「ばぅぅぅぅぅっ!!」
梨子「ドンッ!!」
ドンッ!!!!
─────────────────
浦の星女学院
AM9:30〜AM9:35 新終末編『263』了
-
というわけでここまで
壁ドンとは
新終末編『264』に続く
かもしれない
-
をつ
壁がドンしてくるのか......
-
新終末編『264』
─────────────────
──浦の星女学院・部室
AM9:35
ドンッ!!
メシメシメシッ……
梨子(壁とぬり壁メノノリにぴったりと挟まれるしいたけちゃん)
梨子(でもしいたけちゃんが潰れてしまうことはない)
梨子(スライムのような弾力を持ったぬり壁メノノリはしいたけちゃんの形にへこみ、ぎゅーっとその体を包み込む)
シャドウ『これは……』
梨子「壁と壁に挟まれた心地よい圧迫感と窒息感が、挟まれた相手の脳内に幸福を感じる物質を生み出す」
梨子「これが相手をドンすることに特化した最新の壁ドン、ぬり壁ドンよ!」
シャドウ『見た目的にも理論的にもロマンスとはかけ離れた壁ドンね……どっちかというとSMプレイの延長っぽいわ』
梨子「でも見て、しいたけちゃんは喜んでるみたいよ」
しいたけ「く、くぅ〜ん」ポワーッ
ピクピクッ
梨子(半透明なぬり壁メノノリの向こう、しいたけちゃんは笑顔で尻尾を振っている)
-
シャドウ『一見すれば壁に挟まれて苦しんでるようにも見えるけど、あれで喜んでるのね……』
梨子「そう、喜んでるの」
しいたけ「はっ!はっ!」
梨子「まぁ初心者に長い圧迫が危険なのは確かだし、そろそろ解放してあげるわ」
パチンッ シュルルルッ
梨子(指を鳴らしてぬり壁メノノリを解除、液状になったメノノリを分解して股間のメノノリ穴に収納する)
シュルンッ
梨子「よしっ」
梨子(手前の壁が無くなり圧迫から開放されたしいたけちゃんは、尻尾を振りながら私に駆け寄ってくる)
しいたけ「はっ!はっ!」フリフリ
梨子「よしよし、あなたも壁ドンの良さが分かったみたいね」
梨子(あれほど犬を怖がっていたのが嘘のよう、私はしいたけちゃんを自然と撫でることが出来ていた)
梨子(恐怖が怒りを経て、ある種の親しみへと変化していた)
しいたけ「わんっ!」
梨子「……え?契約者として認める?」
シャドウ『梨子、あなたこの犬の言葉が分かるの?』
梨子「うん、なんとなく……」
梨子「日本語に聞こえるわけじゃないけど、言いたいことがイメージとして頭の中に伝わってくる感じ」
しいたけ「わんっ!」
梨子(このイメージが正しければ私はしいたけちゃんに認められたのだろう)
梨子(そして契約者の証として>>198)
-
しいたけとシンクロ率400%
-
梨子(契約者の証としてしいたけちゃんとあらゆる感覚が同期したのを感じた)
梨子(正にシンクロ率400%ってほどの高いシンクロ率)
ビビビビビッ!!
梨子(しいたけちゃんが見ている目線の低い景色、人間とは比較にならない鋭い嗅覚がを刺激する匂い、その全てが自分の感覚のように感じ取れる)
梨子(もちろんしいたけちゃんが考えてることだってテレパシーのように正確に伝わってくる)
ガラッ
マッキー「梨子、お疲れ様、契約は上手く行ったみたいね」
ゴースト「はいこれ」スッ
梨子「ええ、ありがとう」
梨子(密閉されていた部室が開かれてマッキーたちが入ってきた)
梨子(私はゴーストからクローバーに脱がされた自分の服を受け取って着る)
梨子「はぁ……やっと全裸から元に戻れたわ」
クローバー「私はもっと美少女の全裸を眺めていても良かったんだけど……」
海未「そんな時間はありませんからっ、少しは真面目にしてください」
クローバー「冗談よ冗談」
梨子「あれ?そっちの人は……」
海未「私は園田海未、穂乃果やことりたちの仲間と言えば分かるでしょうか」
梨子「あ、ああ……どうも」ペコリ
梨子(よく見るとマッキーたち以外にも知らない人が大勢いる、この人たちにも裸を見られていたんだと思うと恥ずかしい)
カアーツ
梨子(……って、恥ずかしがってる場合じゃないっ)ブンブンツ
梨子「しいたけちゃんと契約は済ませた」
梨子「今の私にはこの子の考え……サトゥルヌスの右腕を起動させるやり方も全部分かる」
梨子「校庭へ急ごう!」
マッキー「ええっ」
海未「校庭……そういえばマザーのほうはどうなったのでしょうか」
-
・
・
──校庭
カンッ カンカンッ カンカンッ
マザー(雨風よけに作られたテントのような作業エリア、その中で船員たちがワームホール発生装置の調整を始めて10分ほど)
ウミトラマン「相変わらず作業音は響いてきますが……工程は順調なのでしょうか」
マザー「さぁな、うちらに信じて待つことしかできへんよ」
ココロ「天使様!外は寒いですね!ぜひ私のコートを!」シュバッ!
コトーリ「へいき、わたしさむくないし」
ココロ「そうですか……」
マザー「というかさっきまでいた北方と比べたら全然寒くないやろ、ここは静岡やで」
マザー「空はあいにく一面の曇り空やけど、あれはAASとは違うただの雲、少し薄暗いが日差しだって感じられる」
ウミトラマン「確かに……久々に日の光を浴びて少し元気が出ています」
マザー「北海道から関東までを覆っている第一のAAS地帯、大阪から近畿に広がる第二のAAS地帯」
マザー「愛知を中心とした大凍結地帯や、九州や中国地方を脅かしとる大炎上地帯」
マザー「そんな中でここは被害を逃れられている稀有な地域の1つ」
ココロ「でもそんな場所に……宇宙怪獣が落ちてくるんでしょう?」
マザー「ああ」
マザー「けどここだからこそ、全力で迎え撃つこともできる」
コトーリ「そうだね……」
マザー(うちらがお空見ながらそんな話をしていると、船員の1人がテントから出てきて走ってきた)
タタタッ
船員「マザーさん!調整の方は終わりました」
マザー「ご苦労さん」
船員「それでワームホールの行き先を調整するやり方なのですが>>201」
-
コズミックエナジーを注入して、ダイヤルを回す
-
船員「コズミックエナジーを注入して、ダイヤルを回すという方法で調整可能です」
マザー「コズミックエナジー?」
船員「その名の通り宇宙から降り注ぐエネルギーです、まぁ説明書はあるので自分で何とかしてください」スッ
マザー「随分となげやりやな……」
船員「では私たちはこれで」
船員ズ「失礼しますっ!」
ザッザッザッザッザッザッ
マザー(船員さんはうちに説明書を渡すと他の数人と飛空艇へ戻っていく)
マザー「ふーむ……」
ウミトラマン「どうしました?」
マザー「装置を起動するのにコズミックエナジーってのが必要らしいんやけど、ウミトラマンは何か知ってる?」
マザー「確かあんた宇宙人なんやろ?」
ウミトラマン「コズミック……あーはいはい、知ってます知ってます」
コトーリ「おおっ」
-
マザー(そう言うとウミトラマンは装置が置いてあるテントへ歩いていく)
マザー(何か知ってるようなんで、とりあえずうちらも流れで付いていくことにした)
スタスタ スタスタ
ウミトラマン「警備隊学校で習いましたが、コズミックエナジーを使用するには『スイッチ』と呼ばれるものが必要なんです」
ウミトラマン「それを想定してる装置なのであれば……」
バサッ
マザー(ウミトラマンは入り口のシートを捲って中の装置をまじまじ見つめる)
ウミトラマン「……やっぱりありました!」
ウミトラマン「皆さん見てください、装置の横に取り外せるスイッチがついています」
マザー「ほう?」
マザー(ウミトラマンが指差したのは装置のモニター横に取り付けてあった掌大のデバイス)
マザー(スイッチと呼ばれるそのデバイスの形は>>204)
-
まさに、デンジャラス
-
マザー(スイッチと呼ばれるそのデバイスの形は……まさに、デンジャラス)
マザー(本体と思われる直方体の周りを知恵の輪のような複雑怪奇な形の刃物が取り囲んでいる……)
マザー(銀色の刃物はとても鋭利で、下手に触れば指を切って怪我しそうな危ない形をしていた)
マザー(ウミトラマンは慎重にそのスイッチを摘み上げる)
ウミトラマン「ふむ、スイッチにも色々種類があるのですが……これはデンジャラススイッチというやつですね」
ウミトラマン「高出力を誇るスイッチである反面、取扱が難しく危険なスイッチです」
マザー「名前の通りやね」
ウミトラマン「では次にコズミックエナジーについての説明です」
ウミトラマン「コズミックエナジー自体は宇宙に溢れてるので宇宙に行けば取り放題ですが、地上だと自然のものは届きにくいですね」
マザー「届かないわけやないんやな」
ウミトラマン「量の問題ですね、特にデンジャラススイッチは高出力な分バカ食いなので微量では動きません」
ウミトラマン「上空にザ・ホールという穴がある特異点ならそこから吸収できるのですが……」
マザー「穴を起動させるのに別の穴が必要なんか、めんどい話やな」
コトーリ「うむめんどい」
-
ウミトラマン「上空で一度異世界へワ繋がったという話を聞きましたが、おそらく何かの影響でコズミックエナジーに近いものが装置に影響を与えたのでしょうね」
ウミトラマン「サトゥルヌスのせいなのか、金属生命体のせいなのか、はたまた偶然ザ・ホールのある位置を通過したのか」
マザー「なるほどなぁ……それでワームホールが開いたと」
ウミトラマン「はい」
ココロ「で、これからどうするんです?」
マザー「まぁコズミックに詳しいウミトラマンがいるならそのうち何とかなるやろ」
マザー「装置の使い方も分かったし、こっちは一旦保留」
マザー「まずは……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ココロ「わわわっ!地面が揺れて……!?」
コトーリ「おぉ」
マザー(浦の星女学院が建っている敷地全体が激しく振動し、轟音と共に校庭の中心が2つに分れていく)
マザー「始まったな……右腕の封印解除が――」
─────────────────
浦の星女学院
AM9:35〜AM9:40 新終末編『264』了
-
というわけでここまで
あまり進まなかった気もする
次はついにパーツが揃う……かな
新終末編『265』に続く
かもしれない
-
新終末編『256』
─────────────────
──浦の星女学院・校庭
AM9:40
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
マザー(真っ二つに割れた校庭の下から巨大な腕が浮上してくる)
ココロ「おおおおっ!でででででかいですねっ!!」
マザー「当たり前や、あの巨人の腕やで」
コトーリ「かま……持ってる?」
マザー「ああ」コクンッ
マザー(腕は右肩から右手まで筋骨隆々としたもので、その手にはこれまた巨大な鎌を握っていた)
マザー「情報が正しければあれはおそらくアダマスの鎌」
マザー「同一存在であるクロノスも持っていた万物を切り裂く最強の鎌や」
ウミトラマン「おおぉ……」
マザー(そしてサトゥルヌスの右腕の真下……校庭の裂け目の近くには1人の女の子と犬が立っていた)
マザー(近くにはクローバーたちもいるし、おそらくあの子らが右腕の契約者なんやろうな)
・
・
梨子「しいたけちゃん!そのまま空中に持ち上げといて……絶対に落とさないでね!」
しいたけ「わんっ!」
タタタッ
クローバー「よし、上手くいったみたいね」
海未「ですが時間ギリギリです、早く合体を済ませないと……左腕を操れる理事長は今何処に?」
クローバー「ああ、南ならもちろんすぐ来れる場所にいるわ」
クローバー「彼女は今>>209」
-
十千万で温泉に入っている
-
クローバー「彼女は今、十千万で温泉に入って身を清めているわ」
海未「温泉……?」
クローバー「そっ、近くに知り合いの旅館があってね、もちろん避難中で従業員はいないけど特別に使わせて貰ってるの」
クローバー「予め延長時間も伝えておいたし、連絡すればすぐに来るはず……」
ピッ
・
・
・
──十千万・温泉
オカン「は〜いはいはい、こちらオカンやで〜」
クローバー『オカン!右腕の封印が解けたわ!急いで南を連れて戻ってきて!』
オカン「了解っ、すぐに向かわせて頂きますー」
ピッ
オカン「……ってことらしいで、穂乃果ちゃん」
アニメ穂乃果「はいっ!」コクンッ
アニメ穂乃果(ここは学校近くの旅館……十千万の温泉の脱衣所)
アニメ穂乃果(私たちは理事長さんが温泉に入るのに付き添ってこの旅館へと足を運んでいた)
アニメ穂乃果(私たちって言うのは……ええと、まず脱衣所にいる私とオカンさん)
アニメ穂乃果(それから手早くお風呂から上がって脱衣所の外で待っているダストボックスと英玲奈さん)
アニメ穂乃果(まだ温泉に入っている理事長さんと、ヨハネ、ぺぺペペーン、ハグカナーン、吸血鬼穂乃果)
アニメ穂乃果(全員で9人……かな?)
-
アニメ穂乃果(温泉に入りに来たわけは理事長さんが左腕を完璧に操るために身を清める必要があったから)
アニメ穂乃果(どうやら仲介役にしてる音ノ木坂の土地神が綺麗好きらしい)
アニメ穂乃果(あとは吸血鬼穂乃果が回復するための湯治……とかかな)
アニメ穂乃果(元々GODの温泉で働いてたぺぺペペーンちゃんは2人の体を洗ったりマッサージしたり慌ただしそうだった)
アニメ穂乃果(ま、とにかく右腕の封印が解かれたからには急がないと)
タタタッ
アニメ穂乃果(私は着てる途中だった服を急いで着ると、温泉に続く扉を開けて中の皆に叫ぶ)
ガラッ
アニメ穂乃果「みんな!時間だよ急いで!」
ハグカナーン「うんっ、こっちでも強い揺れは感じたよ」
ヨハネ「地獄の蓋が開いた音、黙示録は間もなくだわ……くっくっく」
ぺぺペペーン「わわっ!もうそんな時間!?」
吸血鬼穂乃果「かなり疲れを取ることができたわ、このくらいで充分でしょう」
ジャバッ
アニメ穂乃果(私の呼びかけに対し、近くのお風呂に浸かっていた面々がタオルを巻いてあがってくる)
アニメ穂乃果「……ってあれ?理事長は?」
ぺぺペペーン「ああ、理事長なら奥の>>212の湯に行ったわ」
-
熟女のお色気マシマシ
-
ぺぺペペーン「理事長なら奥の熟女のお色気マシマシの湯へ行ったわ」
アニメ穂乃果「どういう温泉なの……?」
ぺぺペペーン「効能は名前通り熟女の色気をマシマシにする効能よ」
ぺぺペペーン「今頃は――」
タタタタタッ
理事長「今の揺れ!浦の星で何か起こったのね!」
モワーンッ! ムワーンッ!
アニメ穂乃果「おっ、おおおおっ!」
アニメ穂乃果(こちらに走ってきた裸の理事長は、もう熟女の色気がモワンモワンでムワンムワンですごいことになっていた)
アニメ穂乃果(熟女好きな人がこれを見たら瞬殺されてしまうほどの色気をまとっている)
ハグカナーン「すごいわ……素人目で見ても熟女の色気がハッキリと伝わってくる……」ゴクッ
アニメ穂乃果「魔眼を使える私にはもっと分かるよ」
アニメ穂乃果「理事長さんの色気が一種のオーラみたいなエネルギー派を放出している!ゴゴゴって出てる!」
吸血鬼穂乃果「それって最早異能の域なんじゃ……この下民は無能力者のはずよね」
ハグカナーン「ええ、そのはずだけど……」
吸血鬼穂乃果「まったく、ある意味で計り知れない女だわ」
-
アニメ穂乃果「今までも色んなところで理事長の色気はアピールされて来たけど、ここに来て一気に爆発した感じがする」
理事長「そうね……自分でも力が高まって来ている感覚はあるわ」
理事長「空中名古屋支部で乳神とかいうムカつくやつをぶっ倒した時と同じ感覚よ」
ガラッ
オカン「はいは〜い!リフレッシュが終わったんなら早く戻りまっせ〜」
オカン「早くしないと裸のまま放り出しはりますからなぁ」
ヨハネ「わわわわっ!」
ダタタタタッ
アニメ穂乃果(オカンの声に急かされて、お風呂に浸かっていたメンバーが急いで脱衣所に走っていく)
アニメ穂乃果「でもオカン……今から戻って間に合うかな、タイムリミットまであと5分もないよ」
オカン「大丈夫、超早く戻れる手段は考えてはります」
オカン「それは>>215」
-
小原家のテーマソングが鳴るヘリコプター
-
オカン「それは――」
オゥ…オゥ…オゥ…オゥ…オゥ…オーゥ…♪
バババババババババッ!!
アニメ穂乃果「何この変なBGM……それにこの音は……」
オカン「鞠莉の用意していたヘリの音」
アニメ穂乃果「鞠莉さんの?」
オカン「ええ、どうやらあの女、内浦にも1つ拠点を持っていたらしいんですわ」
オカン「向こうの島のホテルのオーナーになってて、ホテルの一部を改造して自分の予備倉庫にしてるとかなんとか……」
アニメ穂乃果「うはー手広い」
オカン「そんで、もしもの時の移動手段として鞠莉が旅館の近くにヘリを用意してくれたってわけ」
バババババババババババババババッ
アニメ穂乃果(ヘリの音はどんどん近くなり旅館の近く……というか露天風呂の所に降りてくる)
アニメ穂乃果「そ、そっち!?」
オカン「今いる場所が風呂やしこっちのほうが早いやろう」
アニメ穂乃果「まぁ確かにそうだけど……あれの運転はどうしてるの?」
オカン「自動運転や、さぁ!服を来たもんから乗り込むで!」
タタッ
-
・
・
──ヘリ内
バババババババババッ
オカン「よし、これで全員乗り込んだな」
アニメ穂乃果「うん、脱衣所の外で待ってた2人含めて全員揃ってるね」
ハグカナーン「問題ないよ、行こう」
オカン「じゃあ出発!」ポチッ
オゥ…オゥ…オゥ…オゥ…オゥ…オーゥ…♪
アニメ穂乃果(オカンが運転席のボタンを押すと例の音楽が流れてヘリが上昇する)
ヨハネ「何よこの音楽……」
英玲奈「気にするな」
ババババババババババババ
アニメ穂乃果(ヘリは空高く舞上がり丘の上の浦の星女学院を目指す)
ババババババッ
アニメ穂乃果(だけどその道中、私の魔眼は内浦の空に起きていたある異変を捉えた)
アニメ穂乃果(その異変とは>>218)
-
機関車が走っている
-
アニメ穂乃果(その異変とは空に機関車が走ってるということ)
アニメ穂乃果(空に機関車……機関車が空……)
アニメ穂乃果「えっ!?えっ!?どういうこと!?」
ダストボックス「どうした!」
アニメ穂乃果「あっちの空見て!……って言っても私以外には見えないかな……」
ぺぺペペーン「だから何がよ?」ジーッ
アニメ穂乃果「皆が距離的に見えないのか異能的に見えないのか、まだ分からないから見たままを言うけど」
アニメ穂乃果「内浦の空、ちょうど浦の星の上のすっごい高度の場所に機関車が走ってるの!」
ぺぺペペーン「機関車?」
アニメ穂乃果「そう機関車!」
シュッポシュッポ
アニメ穂乃果(私は思わず両腕で走る機関車のジェスチャーをする)
ダストボックス「私にも見えないな……視力が人外のやつだと……吸血鬼穂乃果!見えるか?」
吸血鬼穂乃果「はいはい待って見てみるから」ジーッ
ハグカナーン「何にしてもこの場面でアンノウンは気になるね」
ハグカナーン「穂乃果が確認した機関車が封印に関わるものなのか、宇宙怪獣に関わるものなのか」
ハグカナーン「はたまた全く別の第三者存在なのか……」
ハグカナーン「とりあえず――今は浦の星に急ぐしかない!」
─────────────────
浦の星女学院
十千万の温泉
AM9:40〜AM9:44 新終末編『265』了
-
というわけでここまで
またパート数表記ミス
そして次へのぶん投げ
本当に作中時間が無さすぎる
たぶん宇宙怪獣はもう落ちてきます、そろそろ落とします
新終末編『266』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『266』
─────────────────
──ヘリ内
AM9:44
ババババババババババババッ!!
ハグカナーン「それにしても機関車か……オカンは何か知ってるの?」
オカン「んー?ヘリの音がうるさくてよく聞こえへんわ」
ハグカナーン「機関車について知ってるのー!?」
オカン「機関車……ねぇ」
ピッ ピッ
アニメ穂乃果(オカンは操縦席で何かボタンを押しながら振り向いて答える)
オカン「うーん……うちは知りはりませんなぁ、もしかしたらクローバーや鞠莉の仕掛けかもしれへんなぁ」
ピッ
オカン「ま、通信機で聞いてみます」
ハグカナーン「お願いね、穂乃果の方は何か分からない?」
アニメ穂乃果「え?そうだね、何かと言われても……」
ジーッ
アニメ穂乃果(私は魔眼を使って浦の星の上空を走っている機関車を再び見る)
アニメ穂乃果(空中を走ってる以外に何かしている様子は>>223)
-
うちっちーが避難誘導してる
-
アニメ穂乃果(様子は……んん!?)
アニメ穂乃果「あ!機関車を運転してる人が見える!でもあれ……人……なのかな?」
ダストボックス「なんだハッキリしない返答だな」
アニメ穂乃果「だってキグルミみたいの着てるんだもん、キグルミの胸に付いてる名札には『うちっちー』って書いてある」
オカン「うちっちー……」
アニメ穂乃果「うちっちーが機関車を運転して、後ろの車両には普通の人たちが乗ってる」
アニメ穂乃果「いったい何をしてるんだろう……」
クローバー『その名前なら知ってるわ』
アニメ穂乃果「え?」
アニメ穂乃果(通信機からクローバーの声が聞こえる、こっちの会話を聞いていのかな)
オカン「ん?やっぱあんたの仕業やったんか?」
クローバー『違う、うちっちーはしいたけと同じこの内浦の土地に住み着いてる幻想種の名前よ』
クローバー『しいたけは土地神だけど、うちっちーは妖精のようなポジションの存在ね』
クローバー『おそらくは逃げ遅れた内浦の人たちを乗せつつ避難誘導してるんでしょう』
オカン「ほー、優しい妖精なんなぁ」
-
クローバー『ただ……今浦の星の上空にいるのはやばいわね、下手したら宇宙怪獣が落ちてくる余波に巻き込まれるかもしれないわ』
オカン「それはマズイな」
アニメ穂乃果「どうにかして知らせられない?ヘリであそこまで行くとか!」
オカン「できひんことはないけど……まずは理事長はんたちを降ろしてからな」ポチッ
ガラララッ!!
アニメ穂乃果(オカンがボタンを押すとヘリの扉が自動的に開く)
アニメ穂乃果(扉の真下は浦の星の校庭、もうここまで来てたんだ、本当にに一瞬だったな……)
ババババババババババババッ
アニメ穂乃果(ヘリが停止した場所はかなり高い所で、下に豆粒みたいな人影が見える)
オカン「じゃあ理事長さんには降りてもらってっと……」
理事長「え!?こんな上空から?着陸しないの!?」
オカン「しないしない、時間がもったいないやん」
理事長「いやでも……さすがにパラシュート無しで飛び降りるのは――」
ガシッ ガシッ
ダストボックス「行くぞ、空中の姿勢制御は私に任せろ」
ぺぺペペーン「大丈夫、私が怪力で地面ぶん殴って衝撃殺すから」
理事長「……え?」
タンッ
理事長「うわああああああああああっ!」
-
ヒューーーーッ!
アニメ穂乃果(ダストボックスとぺぺペちゃんに両脇から抱えられた理事長さんは落ちていった)
アニメ穂乃果(まぁ……あの2人のサポートがあればちゃんと着地できるかな)
アニメ穂乃果「じゃ、私たちは機関車の元へ!」
オカン「そうやね、穂乃果ちゃん座標を教えてくれる?」
アニメ穂乃果「うんっ!」
バババババババババッ!
アニメ穂乃果(ヘリは更に上昇、私の誘導でオカンが自動操縦装置に座標を入力し、機関車の所へ急ぐ)
クローバー『人の心配するのもいいけど、危なくなったらオカンたちもすぐに退避しなさいよ』
クローバー『空を見ればもう本当に時間がないのが分かる』
クローバー『落下してきている宇宙怪獣の影響で空が>>227』
-
バルタン星人だらけ
-
息が苦しくなるほどの暗雲が立ち込めている
-
クローバー『空がバルタン星人だらけになってるわ』
アニメ穂乃果「うわっ!いつの間に……!」
アニメ穂乃果(さっき見た時は機関車に気を取られてたから気づかなかった)
アニメ穂乃果(内浦の空を覆っていた雲が少し散っていて、雲間に無数の円盤と巨大なバルタン星人が整列している)
アニメ穂乃果(まるで空の向こうから来る何者かを待ち構えているように――)
オカン「ピリピリしとるなぁ、うちらのことは完全には信用できんと出向いてきたか」
アニメ穂乃果「どういうこと?」
オカン「バルタン星人とは地球に移住してもええでって契約を交わしとる、つまりこの星はやつらにとっても次の母星になるってこと」
オカン「まぁうちらは怪しい宇宙人を軟禁して利用するくらいの気持ちやが、やつらにとってはやっと見つけた安寧の地」
オカン「宇宙怪獣なんて外敵の侵入は許すわけにはいかへんのやろう」
アニメ穂乃果「つまり協力者ってこと?」
オカン「建前上はな、せめて盾くらいにはなってほしいもんやわ」
ハグカナーン「それより穂乃果、機関車はもう近いの?私たちには全然見えないんだけど……」
ヨハネ「そうよ、あなたが言わないと通り過ぎちゃうかもしれないじゃない!」
吸血鬼穂乃果「ここまで上昇しても私が見えないってとは何か外部から見られない術をかけてるんでしょうね」
アニメ穂乃果「ああっ!ごめんごめん!もう上昇はいいよ扉開けて!」
オカン「ほいさっ」ポチッ
-
ガラララッ
アニメ穂乃果(再びヘリの扉が開く)
アニメ穂乃果(私にしか見えないけれど、確かにこの高度をうちっちー機関車が周回しているのだ)
アニメ穂乃果(周回の範囲は狭く、ちょうど浦の星女学院の敷地分くらいの面積をグルグル)
アニメ穂乃果(私たちのヘリは機関車が周回しているその円の真ん中辺りに停止した)
アニメ穂乃果「おーーいっ!!」
アニメ穂乃果(私は開け放たれたヘリの扉から機関車が走ってる位置に向かって叫ぶ)
アニメ穂乃果「姿を見せて!そして私たちの話を聞いて!すぐにここから離れないと危険なのー!!」
うちっちー「……」ピクッ
アニメ穂乃果(機関車の運転室にいたうちっちーは私の声に反応し、プラカードのようなものを掲げた)
うちっちー「……」ササッ
アニメ穂乃果「メッセージ……?」
アニメ穂乃果(それには文字が書いてあるけど……普通の人なら絶対にあんな遠くの文字読めないよね、私の能力に気づいてるんだろうか)
ハグカナーン「うちっちーからメッセージが来てるの?口に出して読みあげて!」
アニメ穂乃果「う、うん」
アニメ穂乃果「『自分たちはまだここを離れるわけにはいかない、それはまだ逃げ遅れてる人が1人いるから』」
アニメ穂乃果「『逃げ遅れた人というのは>>231』」
-
美渡
-
アニメ穂乃果『逃げ遅れた人というのは……美渡?』
ハグカナーン「ミト?」
アニメ穂乃果「うん、美渡って人が逃げ遅れてるみたい」
アニメ穂乃果「うちっちーはその人を待って空中に待機してるんだろうね」
ハグカナーン「なるほど……でもここで待ってたら列車に乗ってる大勢の人が巻き添えになってしまう」
ハグカナーン「美渡さんの捜索は私たちに任せてうちっちーには遠くに逃げてもらおう、そう伝えてくれる?」
アニメ穂乃果「分かった!」
アニメ穂乃果「おーーい!うちっちー!」ブンブンッ
アニメ穂乃果「美渡さんは私たちが助けるからうちっちーたちは先に逃げてー!」
うちっちー「…………」
アニメ穂乃果(私の呼びかけにうちっちーは少し戸惑ったものの、すぐに頷いてプラカードに文字を書いていく)
サラサラッ
うちっちー「…………」バッ!!
アニメ穂乃果(そこには美渡さん個人に関する情報と、今どこに居そうかの情報が書いてあった)
アニメ穂乃果「うん!確かに覚えたよー!ありがとうー!」
うちっちー「……」コクンッ
-
アニメ穂乃果(うちっちーか再び強く頷くと、機関車は定期周回を止めて遠くへ走っていく)
シャラララララッ
アニメ穂乃果(その際に機関車から青い光の粒子が飛び散り空に舞っていった)
ハグカナーン「ああ……あれが……」
ヨハネ「本当に機関車ね!」
アニメ穂乃果(皆の反応を見て分かる、たぶんあの光の粒子たちが機関車を見えなくしていたんだろう)
アニメ穂乃果(去っていく時になったから透明化を解除してくれたのかな……)
アニメ穂乃果(うん、きっと私たちを信頼して姿を見せてくれたんだ)
アニメ穂乃果(ちゃんと美渡さんを探し出さないと……!)
グッ
アニメ穂乃果(私は拳を握りしめて決心を新たにする)
アニメ穂乃果「じゃあ皆!うちっちーに教えてもらった情報を今から――」
アニメ穂乃果(……と、私が皆の方を振り向いた時だった)
――――――――カッ!!!!
アニメ穂乃果「……え?」
アニメ穂乃果(振り向いた私の視線の先、ヘリの外側に巨大な光の柱が降り注いだのだ)
ドッ!!!!!!
アニメ穂乃果(叫びを上げることすら出来なかった、そんな暇すらなかった)
アニメ穂乃果(光の柱は大気を貫き破裂させ、周囲の空間にとてつもない衝撃波を発生させた)
アニメ穂乃果(その衝撃波に呑まれたヘリは一瞬でバラバラに破壊され……)
ドシャァァァッ!!
アニメ穂乃果(私たちは――――)
─────────────────
ヘリ内
AM9:44〜AM9:47 新終末編『266』了
-
というわけでここまで
ついにヤツが来る……のか
新終末編『267』に続く
かもしれない
-
新終末編『267』
─────────────────
──浦の星女学院・校庭
AM9:47
カッ!!!!
ダル子(巨大な白い光の柱が浦の星に降り注ぐ)
ダル子(それは紛れもなく宇宙怪獣の襲来を意味していて、そして私の神眼は千里眼を用いてその一部始終を捉えていた)
ダル子(あまり凄まじい……あまりに素早い出来事だったから頭が追いつかなかったけど、1つ1つ思い出そうと思う)
ダル子(まず最初に抵抗したのは、各国が地球と宇宙の境目に配置していた軍事衛星たちだった――)
・
・
-
・
・
──静止軌道上
AM9:45
カチッ
ドドドドドドドドドドドドッ!!
ダル子(地球の大気圏に迫る宇宙怪獣に対して複数の軍事衛星からミサイルやレーザーが放たれる)
ダル子(全てが秘密裏に開発されていた衛星兵器であり、明るみに出れば国際問題になるものも含まれている)
ダル子(だが宇宙怪獣の攻撃が地上の宇宙開発本部に直撃したこともあって、そんなことを気にしていられる状況ではなかった)
ダル子(軍事衛星たちは核ミサイルはもちろんのこと、レーザーや質量兵器、はたまた公表されていない最新兵器を躊躇いなく宇宙怪獣へ打ち込んでいく)
ドガガガガガガガガガッ!!!
ドーンッ!! ガーンッ!!
ダル子(十数秒の間に国家予算数年分の兵器がポンポン消費されていく)
ダル子(けれど……そんなものは宇宙怪獣の敵ではない)
ダル子(軍事衛星たちから放たれた数千数万の火は宇宙怪獣の外皮に1つの傷すら付けることができない)
ダル子(そして――)
宇宙怪獣「ガッ!!!!」
ドシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ!!
ダル子(宇宙怪獣は体から何百というトゲが伸びて全ての衛星を串刺しにしていく)
ドォォーーンッ!! ドォォーーンッ!!
ダル子(全ての軍事衛星が一瞬にして沈黙する呆気ない幕切れ)
ダル子(正に打つ手なし、初戦において地球人類の科学力は宇宙怪獣に敗北を喫したのだ)
宇宙怪獣「ガァアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
-
・
・
──浦の星・上空数万キロメートル
AM9:46
ダル子(数多のミサイルを蹴散らしそのまま大気圏へと突入する宇宙怪獣、摩擦熱など気にする様子はない)
ドドドドドドドドドッ!!
ダル子(地球人の科学は止めることはできなかった、では……宇宙人の科学力ではどうなのか)
バルタン星人「「フォッ!!」」
ダル子(上空で待機していた大勢のバルタン星人と、彼らの操る多くの円盤が宇宙怪獣へ攻撃を仕掛けた)
ビョビョビョビョビョビョッ!!
ダル子(地球の技術では考えられない色とりどりの光線が宇宙怪獣を襲う)
宇宙怪獣「……グ?」
ピキッ ピキッ ピキビキッ!!
ダル子(光線を食らって凍りつき始める宇宙怪獣の外皮)
ダル子(おそらく食らわせてるのは外宇宙の技術を使った冷凍光線)
ダル子(バルタン星人たちはさっきの攻防を見て外皮を傷つけるより冷凍させることを選んだに違いない)
ダル子(けれど宇宙怪獣の巨体に対して凍るスピードが遅すぎる、光線は複数のバルタン星人の手と円盤の砲塔から放たれてるも全身を覆うには量が足りない)
ダル子(そして……それを黙っている宇宙怪獣ではなかった)
宇宙怪獣「スゥーーーー」
ダル子(トゲの伸縮が凍結に妨害されてると気付くやいなや、宇宙怪獣は息を大きく吸い込んで――)
宇宙怪獣「ガッ!!!!」
ドゥゥンッ!!!!
ダル子(口から白色の光線を眼下に向かい吐き出した)
ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
ダル子(直径十キロはあるであろう極太の光線は待ち構えていた円盤群を破壊しながら下へ下へ)
ダル子(大気を焼き、空気を爆発させ、衝撃波を生み出しながら、光線は地上へと降り注ぐ)
ダル子(その光線に巻き込まれたバルタン星人たちの被害の規模は>>238)
-
全滅
-
ダル子(バルタン星人の被害の規模は凄まじく、ほぼ全滅と言っていい大惨事だった)
ドッゴォォォォォォォォォンッ!!
ダル子(バルタン星人の全滅は私たちにとっても他人事ではない)
ダル子(それは同時に空の盾が無くなったことを意味するのだから)
ダル子(盾を貫通した巨大な光の束は……そのまま私たちのいる地上へと降り注ぐ)
カッ!!!!
-
・
・
──浦の星女学院
AM9:47
海未「ふむ……ダル子が言っていたタイミング通りですね」
ダル子「はいっ」
ダル子(浦の星の空が白い光に包まれる)
ダル子(敷地全てを消し飛ばすような極太光線が私たちの頭上すぐそこまで迫っていた)
ダル子(数秒後には光に飲まれて学校ごと消えるのが運命……)
海未「……ですが、そうはいきませんっ!」
梨子「ええっ!」
理事長「もちろんよっ!」
ダル子(海未さんの言葉に頷くのは梨子と理事長……サトゥルヌスの各部位を操る奏者たち)
ダル子(私の眼で宇宙怪獣の行動を予測していた海未さんたちは、天から振ってきた光に対してサトゥルヌスを起動させていたのだ)
海未「サトゥルヌス!あなたの力を見せるのです!」
サトゥルヌス「ダッ!」
ゴッ!!
ダル子(操られたサトゥルヌスは>>241を繰り出し、宇宙怪獣の光線を弾き返す!)
-
昼虎
-
ダル子(操られたサトゥルヌスは昼虎を繰り出し、宇宙怪獣の光線を弾き返した)
ゴッ!!!!
ダル子(昼虎は一見すれば拳からエネルギー波を放つ技……けれど実は違う)
ダル子(サトゥルヌスはただ天から降る光線に向かって正拳突きを繰り出しただけだ)
ダル子(昼虎の真意はリミッターを外した正拳突きが引き起こす空気圧の一撃にある)
ドゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!
ダル子(極限まで極められた拳の突きはそれだけで空気を圧縮し、空間さえ捻じ曲げて拳の先にある全てを弾き飛ばす)
サトゥルヌス「フゥ…………」
シュゥゥゥゥッ
ダル子(正拳突きを放ったサトゥルヌスの右腕の先から煙が上がる)
ダル子(その様子を奏者たち、海未さん3人は横並びになって屋上から眺めていた)
ダル子(巨大なサトゥルヌスを操作する手前、自分たちも目線の高いところにいたほうが都合が良いかららしい)
ダル子(ま、屋上でもサトゥルヌスの背丈にはまだまだ届かないんだけど……)
ダル子(ちなみに私は目の役目を果たすために海未さんたち3人のすぐ後ろにいる)
ダル子(他の皆は校庭の隅や校舎、サトゥルヌスの動きに巻き込まれない場所に各自の判断で移動している)
-
海未「梨子、どうして鎌を使わずに正拳突きを放ったのです?」
梨子「何でも斬れる鎌だと光線まで切っちゃいそうだなと思って……光線を切ったらそのまま下に落ちちゃうでしょ」
梨子「海未さんからサトゥルヌスの空間を捻じ曲げるほどの身体能力は聞いてたし、前に漫画で読んだことがあった技を試してみたの」
理事長「試してみたって……1つ間違えれば全滅な場面でよくそんなことできるわね」
梨子「なんでも度胸よ!」
理事長「はぁ……」
海未「まぁ成功したので結果オーライです」
海未「むしろそれくらい出来なければ…………」
ダル子(そこで言葉を切って海未さんは屋上から見える海を見つめる)
ダル子(海未さんの右手側に立つ梨子、左手側に立つ理事長、2人も海未さんに次いで海を見る)
ダル子(内浦の海から遠く遠く、伊豆半島先端から御前崎を結ぶ線の内側の海域)
ダル子(最深部2500m、日本で1番の深さを誇る湾――駿河湾)
ダル子(そこへ……宇宙から飛来した怪物が降り立つ)
ヒューーーーッ
ドシャァァァァァァァァァァンッ!!!!
海未「それくらい出来なければ……アイツには到底敵いませんよ」
宇宙怪獣「グアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
-
ダル子(宇宙怪獣の落下がもたらしたもの、それは最早生物の着地というより隕石の衝突に近かった)
ダル子(立っていられないくらいの揺れが内浦、沼津、静岡、ひいては周辺の地域全体を襲う)
ダル子(そして落下の衝撃波と引き起こされた高波は沿岸の街々を破壊していく)
ドガァァァァァァァァァァァッ!!
ダル子(本当に対魔支部とうちっちーによる避難が間に合って無かったらどうなっていたことか……)
ブンブンッ
ダル子(いや、それを考えるのは後だ)
ダル子(目の前のアイツを止められなければ被害はこんなものに留まらない)
理事長「園田さんどうする?サトゥルヌスを動かしてこっちから向かう?それとも様子を見て迎え撃つ?」
海未「そうですね……>>245」
-
海上は足場が不利なので、遠距離技を打ちまくる
-
海未「そうですね……海上は足場が不利なので、遠距離技を打ちまくる形で行きましょう」
理事長「おーけー!じゃあ梨子ちゃんの出番ね!」
梨子「はい!任せてください!」
ダル子(戦い方の方針を決めた海未さんたち、呼応して校庭のサトゥルヌスも戦闘態勢を取る)
ダル子(その気配を感じ取ったのか……駿河湾沖合からこちらを見ている宇宙怪獣が口を開く)
ダル子(私の能力……いや、能力などで聴覚を強化していなくても分かるほどの大きく低い声)
ダル子(そんな声が内浦一帯に地鳴りのように響き渡る)
宇宙怪獣『カッカッカ……!!ワレトタタカウツモリカ……』
宇宙怪獣『ヨイゾ!ジツニヨイ!』
宇宙怪獣『オマエカラカンジルハドウ!ワレトオナジキョウシャノハドウダッ!!』
ブンッ ドシャァァァァァァァァァァンッ!!!
ダル子(振り回された宇宙怪獣の尻尾が海面を叩き巨大な水柱が高く上がる)
宇宙怪獣『サァコイ!ワレニソノチカラヲミセツケテミロ!!!!』
ドンッ!!!!
─────────────────
浦の星女学院
AM9:47〜AM9:48 新終末編『267』了
-
というわけでここまで
ついにやってきた宇宙怪獣
……ですが対決の前にちょいちょい周りの描写もしていきましょう
吹っ飛んだヘリ組とかね
次は大晦日だから短めかな
新終末編『268』に続く
かもしれない
-
をつ
良いお年を!
-
新終末編『268』
─────────────────
──浦の星女学院上空
・
・
時は少し戻ってAM9:47
──ヘリ内
カッ!!!!
アニメ穂乃果(白い光が私たちの乗ったヘリのすぐ脇を通過する)
アニメ穂乃果(おそらくは空の上から地上に向かって放たれた、とてつもないエネルギーを持った光線)
アニメ穂乃果(その光線の衝撃波はすぐ側を飛んでいた私たちのヘリを襲い、ヘリはなすすべ無く粉々に砕かれてしまう)
ドォォォォンッ!! ガシャァァァァンッ!!!!
アニメ穂乃果「ぬぁぁあああああああああっ!?」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥッ!
アニメ穂乃果(ヘリが粉々になったのだから当然私たちも空中へ投げ出されてしまう)
アニメ穂乃果(物凄い突風、空中でグルグル回転してどっちが空でどっちが地面なのかも分からない)
グルングルンッ
アニメ穂乃果(ヘリに乗っていたのは……えっと……)
アニメ穂乃果(私、オカン、ハグカナーン、英玲奈さん、吸血鬼穂乃果、ヨハネの6人か)
アニメ穂乃果(皆も心配だけどまずは自分をなんとかしないと、このままじゃ地面に叩きつけられてしまう)
アニメ穂乃果(どこかのポケットにエグゼイドのライダーガシャットが……ああもう!こんな落下中じゃ上手く取り出せない!)
アニメ穂乃果(右ポケットのを……取って……ゲーマドライバーに差し込ん……)
ゴォォォォォォッ!!
アニメ穂乃果「だぁぁっ!もう地面!間に合わないぃぃぃぃっ!!」
ハグカナーン「――時の潮発動、10秒逆転」
キュィィィィィィィィンッ!!
アニメ穂乃果「……え?」
-
ピタッ
アニメ穂乃果(どこからかハグカナーンの声が聞こえた瞬間、地面に激突寸前だった私の体がピタリと止まる)
アニメ穂乃果(いや……止まっただけじゃない、静止した私の体は再び空中へ飛び上がる!)
ヒューーーーーーーーーンッ!!
アニメ穂乃果「おおおおおおおおおおおおっ!?」
アニメ穂乃果(その現象は私以外にも起きていた)
アニメ穂乃果(ヘリから投げ出されて吹き飛んだ他の皆、粉々になったヘリの破片全てが上昇をはじめ)
アニメ穂乃果(まるで"映像を逆再生した"かのように元の位置に戻っていく……!)
シュルルルルルルッ!
アニメ穂乃果(そして……)
ガッチーーンッ!
アニメ穂乃果(一度破壊されたヘリは何事も無かったかのように復活し、外へ投げ出された私たちもヘリの中へ戻っていた)
アニメ穂乃果「な、何が起こったの!?」
ババッ!
アニメ穂乃果(慌てて周囲を魔眼で確認すると白い破壊光線は消えていて、遠くの沖合に宇宙怪獣が降り立ってるのが見えた)
アニメ穂乃果(周りの時間は進んでる?ということは……)
ハグカナーン「巻き戻したのはヘリと、ヘリに乗ってた私たちの時間ってことだね」
アニメ穂乃果「ハグカナーン!」
アニメ穂乃果(復活したヘリの中、隣に座っているハグカナーンが笑いながら口を開く)
-
オカン「ほぉ……時間逆行か、珍しい技を使いはりますなぁ」
英玲奈「いつこんな仕掛けを?」
ハグカナーン「機関車に注意をしに行くって決めた時かな、その時にこうなる可能性も考慮してたんだよ」
ハグカナーン「ヘリが壊されても大丈夫なように、ヘリと皆に私の塩をこっそりまぶしておいたの」
ハグカナーン「そしてバラバラになった際に皆についた塩を起点に時の潮を発動してフィールドを形成、その中の時間を戻したわけ」
アニメ穂乃果「こっそりじゃなくても良いような……でも助かったよ」
吸血鬼穂乃果「私は別に平気だったけどね」フンッ
ヨハネ「でも本当に降りてきちゃったのね宇宙怪獣、デッカイ体で私より目立って生意気だわ」ジーッ
アニメ穂乃果「うん、一筋縄じゃいかなそうね相手だね」
-
オカン「まぁ学校の校庭でサトゥルヌスが起動できてるようですし、うちらはまた落とされないようにこの場を急いで離れましょ」
オカン「逃げ遅れた人を救助しに行くって仕事もありますからなぁ」
アニメ穂乃果「そうだね、うちっちーから教えてもらった美渡さんの情報を教えるよ」
ハグカナーン「うんっ」
アニメ穂乃果「まず美渡さんは私たちが温泉に入らせてもらった旅館、高海さん家の娘さんみたい」
アニメ穂乃果「三姉妹だけど避難勧告が発令された時に内浦に残ってたのは美渡さんだけだって」
ハグカナーン「高海……どこかで聞いたような……」
ヨハネ「近場に残ってて何で逃げ遅れるのよ、迷惑なやつねぇ」
アニメ穂乃果「それで今いる可能性が高い場所は>>253」
-
旅館の地下お仕置き部屋
-
アニメ穂乃果「今いる可能性が高い場所は旅館の地下お仕置き部屋だって」
ヨハネ「旅館?私たちが温泉に入ってたとこ?」
英玲奈「あそこは避難が済んで無人だったと聞いてたはずだが……」
オカン「うちもそう聞いてはりましたでー」
アニメ穂乃果「でもうちっちーが言ってるってことは地下があるんじゃないかな」
アニメ穂乃果「オカン、もう一度旅館に向かってみて」
オカン「了解っ」ポチッ
ババババババババババババッ!!
アニメ穂乃果(運転席のオカンかボタンを押し、ヘリはまた自動運転で十千万へと向かう)
-
・
・
アニメ穂乃果「旅館……ん?」
アニメ穂乃果(そこで私はあることに思い至った)
アニメ穂乃果「ねぇ皆、確か旅館って海の近くにあったよね」
ヨハネ「ええ……それが?」
アニメ穂乃果「宇宙怪獣みたいな重さの化物が空から海に落ちてきたら沿岸部はすごい被害を受けちゃう……よね」
ハグカナーン「まぁアレだけの質量体だし無事では済まないだろうね」
アニメ穂乃果「あの旅館……壊れちゃってるんじゃないかな」
ヨハネ「ああっ!!」
オカン「はいはい、そんな騒がんでも自分の目で見てみたらええんない?」
オカン「もう旅館はすぐそこやで〜」
アニメ穂乃果「……!」
アニメ穂乃果(下降しつつ旅館の場所へと近づいていくヘリ)
アニメ穂乃果(私の目が捉えた旅館の姿は>>256)
-
奇跡的に被害を受けずに無事
-
アニメ穂乃果(旅館の姿は……奇跡的に被害を受けずに無事そのものだった)
アニメ穂乃果「え……?」
ヨハネ「おおっ!全然壊れてないじゃない!杞憂だったみたいね!」
アニメ穂乃果「いや……逆におかしいよこれ……」
ハグカナーン「そうだね、多少波は被ってる様子はあるけど旅館の外壁や地面は無傷」
ハグカナーン「旅館から離れた沿岸部は崩れてるって言うのに、旅館の周囲の建物だけが被害を免れている」
ハグカナーン「こんなの奇跡でも起こらなきゃ有り得ない……」
アニメ穂乃果「あっ!旅館の前に誰か人が立ってるよ!」
英玲奈「美渡か?」
アニメ穂乃果「わかんない!とにかく行ってみよう!」
オカン「じゃあ降りはりますでー」
ババババババババッ!!
アニメ穂乃果(ヘリはそのまま降下して旅館の前へ着地)
アニメ穂乃果(扉が自動で開くやいなや私とハグカナーンは外へ飛び出す)
アニメ穂乃果「ほっ」タンッ
スタッ
-
スタスタ
??「……おや?」
アニメ穂乃果「あの!あなたは高海美渡さんですか!?」
??「私?そうねぇ私は……」
ハグカナーン「……はっ!違うよ穂乃果!その人は――」
ザッ!!
シマ「私は高海志満!またの名を奇跡シマよ!」
アニメ穂乃果(白装束を身に纏った女の人は長い黒髪をなびかせながら、自らの名を叫び振り向いた)
アニメ穂乃果「シマ……さん?」
ハグカナーン「やっぱり、高海家の三姉妹と聞いてもしかしたらとは思っていたんだよ……」
アニメ穂乃果「え?ハグカナーン知り合いなの?」
ハグカナーン「知り合いというか……元同じ組織のメンバーだったって言ったほうが正しい」
ハグカナーン「そうでしょ?元ほのキチ倶楽部の奇跡シマさん?」
シマ「ふむ……そういう貴女はハグカナーンね、まさかこんな所で会うことになるとは思わなかったわ」
ハグカナーン「それはこっちのセリフだよ」
ハグカナーン「あのズラー陣地の攻防で私とデスワ以外の隊員は全滅したものだと思ってた」
シマ「魔王キチ団が攻めてきたやつね、あれは流石の私も死ぬほどキツかったわ」
-
シマ「でも奇跡的に生き残っちゃった、そこも流石の私」
オーホッホッホ!!
アニメ穂乃果(シマさんは自画自賛で高笑いする、始めて会うけど変な人だな……)
ハグカナーン「だけどシマがいるってことで旅館が無事なのには納得いった」
ハグカナーン「あなた、奇跡術式を使ったのね」
シマ「ええ、可愛い妹が中に取り残されてるとあれば使わざるを得ないわ」
アニメ穂乃果「奇跡術式……はっ、まさかそれって!」
アニメ穂乃果(点と点が繋がった私は思わずハグカナーンの顔を見る)
ハグカナーン「そうだよ、穂乃果がピンと来ている通り奇跡シマは奇跡ダヨオの姉」
ハグカナーン「そして同じ奇跡術式の使い手なんだよ」
アニメ穂乃果「……!」
アニメ穂乃果(奇跡ダヨオ、ドアラランドで会ったことのある女の子)
アニメ穂乃果(最初は敵だったけど色々あって一緒に魔王軍や堕天使ヨハネに立ち向かった……ような気がする)
-
シマ「同じと言っても私のは『元祖・奇跡術式』だけどね」
シマ「まぁ良いわ、あなたたちも妹を気にかけて来てくれたのなら一緒に行きましょう」
アニメ穂乃果「そ、そうだ!早く助けないと今度こそ宇宙怪獣の攻撃に巻き込まれちゃうよ!」
シマ「ええ、私の奇跡だってそう何発も打てるものでもないしね、ハグカナーンたちと一緒のほうが助かるわ」
ザッ!
オカン「うちはヘリで待ってはるのでー!危なくなったら逃げるからなー!」
アニメ穂乃果「はーい!」
シマ「じゃ、行きましょうか」
スタスタ
アニメ穂乃果(オカン1人をヘリに残し、私たちはシマさんの先導で旅館の中へと向かった)
アニメ穂乃果(目指すのは高海美渡さんが居ると思われる地下お仕置き部屋だ――!)
─────────────────
浦の星上空〜旅館十千万
AM9:47〜AM9:49 新終末編『268』了
-
というわけでここまで
短めなようなそうでもないような
取り敢えずこれで今年は終わりです
よいお年を
新終末編『269』に続く
かもしれない
-
おつ
去年一年間休載なしか?
-
新終末編『269』
─────────────────
──旅館
AM9:49
スタスタ スタスタ
アニメ穂乃果「そういえばシマさんはどうしてここへ?ハグカナーンの話だと名古屋にいたんだよね」
シマ「奇跡的に妹の危機を察知したから急いでやってきたのよ」
シマ「まったく……ダヨオはどこにも見つからないしミトはこんな時に逃げ遅れてるし、二人共何をやってるのかしら」
アニメ穂乃果「ああ、ダヨオちゃんなら――」
ポンッ!
アニメ穂乃果「お!?」
アニメ穂乃果(ダヨオちゃんについての話をしようとした所で、私の右腕に半透明の小型デバイスが出現する)
アニメ穂乃果(いや、私以外のみんなの腕にも同じものが出現している、どこかで見覚えがある楕円形の形、これは……)
アニメ穂乃果「ウミトラマンの念話機だ!!」
ヨハネ「念話機?私たちの腕にも出てきたんだけど何よこれ」
アニメ穂乃果「ええっと、念話機ってのは念話フィールドにいる人全員が念話できるようになるもので、番号登録しておけば電話みたいに個別通信できたり……」
アニメ穂乃果「まぁとにかく便利なよのなんだよ!」
-
アニメ穂乃果「使い方を説明すると――」
ピッ
海未『穂乃果、聞こえますか?』
アニメ穂乃果「おわぁっ!海未ちゃん!?き、聞こえるよ!」
英玲奈「私たちにも聞こえるな」
シマ「不思議な装置ねぇ……」
海未『そちらに穂乃果がいるなら念話機の説明は省きます、ウミトラマンにフィールドを発生させてもらいました』
アニメ穂乃果「やっぱりそうか、でも良いアイディアだと思う、これならお互いの連携が取れるしね」
海未『はい、こちらは宇宙怪獣との交戦に入ります』
海未『校舎自体はクローバーが改造してるらしいので私たちの心配は必要ありません、むしろ心配なのは……』
ハグカナーン「こっちへの流れ弾……だね?」
海未『はいっ』
ハグカナーン「大丈夫、こっちはこっちで何とかするから海未ちゃんたちは全力でやっちゃって」
ハグカナーン「むしろ気にされて全力を出せないとかのほうが困るから、ねぇ穂乃果?」
アニメ穂乃果「うん、そうだよ海未ちゃん!」
海未『分かりました、ではこちらは予定通り遠距離からサトゥルヌスで攻撃をしかけますね』
海未『まず最初の攻撃は>>265』
-
セクシービーム
-
海未『まず最初の攻撃は……セクシービームです!』
・
・
・
──浦の星女学院・屋上
アニメ穂乃果『せ、せくしーびーむ……?』
海未(困惑する穂乃果の声をよそに私たちはサトゥルヌスを操作する)
海未「梨子!」
梨子「はいっ!」
海未(サトゥルヌスの操作はそれぞれの奏者が担当の箇所をコントローラーを介して動かしている)
海未(私の担当は本体と両足で主に移動と回避を担当)
海未(そして梨子が右腕で理事長が左腕の担当だ)
海未(私はセクシービームを発射するためにサトゥルヌスの体勢を変え、梨子が右腕を宇宙怪獣めがけ伸ばしていく)
ズズズズズッ
アニメ穂乃果『待って待って!セクシービームってなに!?』
海未「体から溢れるセクシーさをビームにして指先から発射する技ですよ?」
アニメ穂乃果『さも常識みたいに言われても……サトゥルヌスのどこにセクシーさがあるの?』
海未「いえいえ穂乃果、これでもサトゥルヌスは女性なのですよ」
アニメ穂乃果『え、ええっ!?』
海未「さぁサトゥルヌス!あなたのセクシーパワーを宇宙怪獣にぶつけるのです!!」
キュィィィィィィィィンッ!!!!
海未「セクシーー!」
梨子「ビーーーーームッ!!」
ドゥンッ!!
海未(その瞬間、サトゥルヌスの全身のセクシーパワーが右手の指先に集まりピンクのビームとなって発射される!)
海未(梨子の照準は正確、ビームは真っ直ぐ宇宙怪獣へ飛ぶと>>267)
-
宇宙怪獣はサトゥルヌスにメロメロになった
-
海未(セクシービームは宇宙怪獣に直撃、宇宙怪獣の体がピンクのオーラに包まれる)
ビビビビビビビビビビビビッ!!!!
宇宙怪獣『ンン?セイシンカンショウハカ?オモシロイガ……ヌンッ!!』
バシュッ!!
海未(しかし宇宙怪獣が気合を入れて吠えると、その覇気でピンクのオーラは揺らいでしまう)
海未「くっ……セクシービームに耐えている……?」
梨子「不味いっ!このままじゃ弾き返されちゃう!」
宇宙怪獣『フハハハハ!タリンタリン!!』
宇宙怪獣『ワレヲロウラクスルニハオマエノミリョクハタリナスギル!!』
海未「ぐっ……!」
ググググググググググググッ!!
理事長「――なら、私の色気をプラスしたらどうかしら?」
海未「り、理事長!?」
理事長「二人共!そのまましっかりビームを放っていなさい!」
梨子「は、はいっ!」
ググッ ガシッ!!
海未(理事長はサトゥルヌスの左腕を操作すると、その左手でサトゥルヌスの右手首を掴む)
海未(そして……)
理事長「お色気注入っ!!」
ビビビビビビビビビビッ!!!
-
海未(サトゥルヌスの左腕を通じて理事長のセクシーパワーが右腕に流れ込む!)
梨子「分かった、理事長の力……借りるよっ!」
グゥンッ!!
宇宙怪獣『ナ二?ナンダコレハ……!ビームノツヨサガジョウショウシテイク……!?』
梨子「いっけえええええええええっ!!」
海未(すごい、明らかにさっきよりセクシービームの出力が上がっている)
海未(私がサトゥルヌスの体を踏ん張りで固定させ、梨子が照準を合わせ、理事長が足りないパワーを送り込む)
海未(まるで1つの砲台のようになったサトゥルヌス、そこから撃ち出されるセクシービームは強力無比)
海未(桃色の稲妻は内浦の海を割る勢いで突き進み、駿河湾に仁王立ちの宇宙怪獣へ注ぎ込まれる)
ビビビビビビビビビビビビビッ!!
海未(元々サトゥルヌスの復活のためにエネルギーを集めさせられていたせいか、理事長とサトゥルヌスの相性はいい)
海未(理事長が温泉でムンムンにした色気がサトゥルヌスの体内で何百倍にも増幅されて放出されていく)
宇宙怪獣『アア……ヤバイ……コノママデハ……メロメロ二……ナッテシマウ……』
ビビビッ! ビビビッ! ビビビッ!
理事長「我慢は毒よ!さっさと私の色気に屈しちゃいなさい!」
宇宙怪獣『グッ……グッ……ガアアアアアアアアアアアアッ!!!!』
ビクビクビクビクビクビクッ!!
-
海未「怯んだっ!」
海未(今まで覇気に満ちていた宇宙怪獣は、大きな叫びをあげると一歩後ずさりして体躯を後ろに逸らす)
海未(そして目をピンク色に……いや、全身がピンク色に染まってしまった!)
梨子「なにあれ……効いてるの?」
理事長「効いたに決まってる!宇宙怪獣はもうメロメロよ!」
宇宙怪獣『ア……ア……オマエ……グヘヘ……』
海未(理事長の言うとおり、宇宙怪獣はだらしない顔でサトゥルヌスを見つめている)
海未(そして>>271)
-
求愛の破壊光線を返して来た
-
海未(そして求愛の破壊光線を返して来た)
宇宙怪獣『スキダアアアアアアアアアアアアッ!!ガッ!!!!』
カッ!!!!
理事長「光線来たわよ!」
海未「全く……求愛行動が派手すぎますよ!梨子っ!」
梨子「はいはいっ!!」
シュババッ!!
海未(梨子がサトゥルヌスの右腕を操作してセクシービームを解除し、手を握り拳の形にして腕を引く)
海未(そして海を蒸発させながら迫りくる破壊光線に対し正拳突きを繰り出した)
梨子「時空圧縮正拳突き――サトゥルヌス式昼虎ァっ!!」
ゴッ!!!!
海未(真っ直ぐ放たれた拳のあまりの威力に前方の時空間を捻じ曲げ圧縮、圧縮された空間が反動で大爆発を起こす)
ギュギュギュギュィィィィッ!
ドォゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!!!
-
海未(破壊光線とサトゥルヌス式昼虎)
海未(2つの人知を超えた力が海上でぶつかり合い、内浦の湾内の海水が一瞬で全て消し飛ぶ)
海未(吹き飛んだとか蒸発したとかそんなレベルの話ではない)
海未(まるでその空間だけが抉り取られたように、目の前の海だった場所にポッカリとクレーターが出来上がったのだ)
ドボォォォォォォォォォォォォッ!!
海未(新たにできた空白地帯のクレーターに沖合の海から海水が勢い良く流れ込む音が響く)
海未(そして内浦に迫り来る海水と共に宇宙怪獣自身がサトゥルヌスの方へ走ってきた)
宇宙怪獣『グオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
ダダダダダダダダダダッ!!
海未(ピンクに染まった瞳が完全にマジな目をしている、途中で止まる気配は微塵も感じられない)
海未「……っ!」
海未(やつの走るスピードから計算するに遠距離攻撃をまた打ち込む時間はない)
海未「こうなれば接近戦です、梨子!鎌の用意を!」
梨子「はいっ!」
─────────────────
・旅館
・浦の星女学院
AM9:49〜AM9:52 新終末編『270』了
-
間違えた『269』了
というわけでここまで
確かに去年は毎日してたような……気がします
今年もよろしくおねがいします
愛のバトルの行方はいかに
新終末編『270』に続く
かもしれない
-
をつ
あけおめことよろ
神絵師が見てたら漫画にしてほしい
-
新終末編『270』
─────────────────
──浦の星女学院・屋上
AM9:52
ドドドドドドドドドドドドッ!!
海未(こちらへ全速力で走ってくる宇宙怪獣、サトゥルヌスとの数キロはあるであろう距離を数秒で詰めてくる)
海未「校庭の上に立っていては学校を巻き込みかねません!サトゥルヌスを前に進めますよ!」
カチャカチャッ!
サトゥルヌス「ガッ!」
ダンッ!!
海未(私はコントローラーを操作してサトゥルヌスを学校の上からジャンプさせる)
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!
ドシィィィィィィィンッ!!!!
海未(着地させた場所は学校が建っている丘の下、破壊光線と昼虎の余波が作りだしたクレーターの上)
海未(10秒前までは海だった場所で今は海底が地面のように露出している場所)
海未(一度破壊が起きたここならば存分にサトゥルヌスの力を振るうことができる!)
梨子「しいたけちゃん、右腕の本気を出していくよ!」
しいたけ「わんっ!」
海未(……と、目の前の相手を気にしつつもう一方も気にしないと)
ピッ
海未(私は宇宙怪獣から目を離さずに、通話を繋げっぱなしにしてる念話機を通じて穂乃果に話しかける)
海未「穂乃果!そっちは今の相殺爆発で被害でませんでしたか!?」
穂乃果『え、ええと……>>277』
-
パンツのみが消し飛んだ
-
アニメ穂乃果『え、ええと……特に被害はないけど……パンツだけ消し飛んじゃったみたい!』
海未「はぁ!?パンツぅ!?」
梨子「海未さん前見て前!」
海未「す、すみませんっ!!」
海未(穂乃果の言葉に驚いてる場合ではない、宇宙怪獣は目と鼻の先に迫っている)
海未(主に攻撃するのは梨子と理事長ですが胴体の私がしっかり構えないと攻撃の威力がでない)
梨子「サトゥルヌスの右腕の権能解放――アダマスの鎌!」
しいたけ「わんっ!」
キィィィィィィィンツ!!
海未(クレーターへ飛び降りたサトゥルヌスの右腕には巨大な鎌が握られている)
海未(その鎌はしいたけが力強く吠えると段々と光沢を増していく)
海未(だが目の前の宇宙怪獣は鎌程度には怯まない、それどころか更に気持ちを高揚させていく)
宇宙怪獣『カカカッ!コレマタブコツナブキダッ!!ニアイダゾッ!!』
梨子「お褒め頂き感謝するわ、けれど――気軽に触れたら怪我するからね!」
サトゥルヌス「グラァッ!!」
ブゥンツ!
海未(サトゥルヌスの持ったアダマスの鎌がこちらへ走ってくる宇宙怪獣に対して躊躇いなく振り下ろされる)
-
宇宙怪獣『ハッ!!』グンッ!!
海未(しかし宇宙怪獣は巨大に似合わぬ反応速度で身を捻ると縦振りの鎌を横に躱す)
海未「くっ……一筋縄では行きませんか」
理事長「なら左腕のパンチよ!!」
宇宙怪獣『クハハハハッ!コイコイッ!タノシイゾッ!!』
海未(サトゥルヌスの鎌とパンチの連打を宇宙怪獣は子供と遊ぶようにいなしていく)
海未(一発一発が触れたら空間ごと吹き飛ぶような必殺の一撃なのにどれも当たる気配すらない)
海未(私たちがサトゥルヌスを操るのが初めてというのもありますが……やはり攻撃が単調過ぎる……これでは追い詰められない!)
海未「穂乃果!そっちのパンツはどうなりました!?」
アニメ穂乃果『パンツの謎は相変わらず分からないけままだど、今から地下に入るところだよー!』
海未「そうですか……」
-
鞠莉『はいはーい、念話で口を挟むけどおそらくパンツが消えたのは戦闘のせいね』
海未「戦闘の?」
鞠莉『使ってる海未なら分かってることでしょ、サトゥルヌスの一撃一撃には空間を捻じ曲げる重さがある』
鞠莉『サトゥルヌスが動くたびに周囲の空間に影響を与え、それはバタフライエフェクトを伴って更に遠くの空間に影響を与える』
海未「行動するだけで世界改変レベルの事象を起こすのですか……流石といえば流石ですね」
鞠莉『だからたぶんさっきの昼虎のバタフライエフェクトでパンツが弾け飛んだのよ』
海未「バタフライエフェクト万能過ぎじゃないですか!?」
クローバー『なるほど、私のパンツが無いのもそのせいか』
マッキー『あなたは最初からでしょ!』
海未「ああもう!次々に同じ念話に参加してこないでください!」
海未(そう私が鞠莉たちに突っ込んでる間にも旅館組からの念話報告が上がってくる)
ハグカナーン『ほうこーく、今旅館の地下に入ったよー!』
ハグカナーン『地下の様子は>>281』
-
みとねえが1人でお楽しみ中
-
ハグカナーン『地下の様子は……おっ、美渡さんが1人でお楽しみ中かな?』
美渡『だっ!ちょちょっと何よあなたたち!?勝手に入ってきて!?』
『ドタンバタンッ!! ドタンバタンッ!!』
海未(念話越しにドタバタしてる様子が聞こえてくる、向こうは些細なことで大騒ぎ出来て良いですねぇ……)
海未(こちらは一手一手が命がけだというのにっ!)
宇宙怪獣『フハハハハハッ!イイゾイイゾ!ヒサビサ二ヒリヒリスルイチゲキダ!!』
梨子「あぁもう!全然当たらないっ!」
理事長「桜内さんここは両手同時攻撃で行きましょう!」
宇宙怪獣『ツキノセンシトクラベテウゴキハミジュク、ダガコウゲキノシツガイイ』
宇宙怪獣『ソシテ――』ゴッ!!
海未「ぼ、防御姿勢っ!!」
ドゥンンッ!!
ミシシシシシシッ!!!!
サトゥルヌス「ガァァァッ!?」
海未(宇宙怪獣のパンチがサトゥルヌスの左腕に突き刺さる)
海未(理事長の防御操作が間に合って体に当たることは無かったものの、直撃した部分の左腕の皮が有り得ない方向に裂けてしまっている……!)
宇宙怪獣『ソシテ、イチゲキデタオレナイノモマタイイ、サスガハワガヨメッ!!』
宇宙怪獣『グアーハッハッハッハッ!』
梨子「このっ!」
サトゥルヌス「ガッ!」ブンッ!!
宇宙怪獣『オットアブナイ、マタハナレナケレバ』ヒュッ
スタッ
宇宙怪獣『ククク!ヨメトノタワムレハジックリタノマナケレバナァ……』
-
梨子「まったく、嫁って何よ……こんな筋骨隆々の巨人に惚れるなんて好き物ねぇ」
理事長「惚れさせたのは私たちだけどね……」
海未(宇宙怪獣はまだまだ余裕、それに対してこちらはギリギリの綱渡りだ)
海未(今のパンチだってサトゥルヌスが受けたから良かったものの、もし地面や背後の丘に当たったら全て吹き飛んでしまう)
海未(学校から操作してる私たちを巻き込んで沼津ごと消し飛びかねない……!)
海未「とにかく攻撃を続行!相手の攻撃は漏らさず相殺するか受け止めますよ!!」
梨子「は、はいっ!」
・
・
-
・
・
──旅館地下
ハグカナーン(地下室の入り口、そこで私は学校側の様子を聞きながら吸血鬼穂乃果と話していた)
ハグカナーン「ふーむ、あっちは結構手こずってるみたいだね」
吸血鬼穂乃果「あれだけの神格を操りながら手こずるとは情けない下民共だわ」
ハグカナーン「あれだけの神格だからこそ……ってことかもしれないけどね」
吸血鬼穂乃果「え?」
ハグカナーン「力を万全に振るえている宇宙怪獣とは違って、サトゥルヌスは操り人形のように遠隔操作されている状態」
ハグカナーン「昔の特撮の撮影でも大変だったらしいけど、1つの体の各部位を大人数で動かすのってすごい難しいんだよ?」
ハグカナーン「訓練を積んでいないあの3人がサトゥルヌスの100%を引き出せるとは考えにくい」
吸血鬼穂乃果「でもマニュアルやめてオートにするわけには行かないんでしょ?」
ハグカナーン「まぁねぇ」
ハグカナーン「魔王軍の最終兵器に想定されていたあの暴君が素直に私たちに協力してくれると考えにくい」
ハグカナーン「眠っていた間に人間に利用されていたと知れば尚更怒るでしょう」
吸血鬼穂乃果「それは私だって怒る」
ハグカナーン「もし言うことを聞くとしたらサトゥルヌスが弱みか恩を感じている相手」
ハグカナーン「でもそんな相手なんて――」
美渡「ぎゃーーっ!もう出てってーーーー!」
ハグカナーン「……ま、こっちの問題を解決するのが先かな」
-
吸血鬼穂乃果「私は関わらないわよ、面倒そうだし」
ハグカナーン「はいはい」
ハグカナーン(地下のお仕置き部屋の中心、そこで美渡さんは裸になって喚いていた)
美渡「ううぅーーーーーー!!」
ハグカナーン(まぁ……簡単に状況を整理すると次のような感じ)
ハグカナーン(美渡さんが避難してなかったのは地下で『お楽しみ』をしていたから、どうやら外の様子に気付いてなかったらしい)
ハグカナーン(なんとも気の抜ける理由でちょっとムカつくけど、閉じ込められて出れなかったーってよりは良かったかな)
ハグカナーン(結果的にうちっちーたちも美渡さんも無事だったわけだしね)
シマ「もう美渡!喚いてないで早く外に行きましょう!」
美渡「やだやだ!お姉ちゃんや知らない人にこんなの見られて生きていけない!すぐに出てって!!」
ハグカナーン(……で、今はお楽しみを見られたショックでパニクってるらしい)
シマ「ワガママ言わないの!」
アニメ穂乃果「早く逃げましょう美渡さん、ここにいると危ないよ?」
美渡「だからやだって!いい加減にしてよ!出ていってくれないなら私は……>>286」
-
シマの高校時代のポエムノートを音読する
-
美渡「シマねぇの高校時代のポエムノートを音読するからっ!!」
シマ「んなっ!?」
シマ「そそそそんなハッタリには惑わされないわよよよよ!!」
美渡「ふっふ〜、地下室にあったの見つけたんだよね〜」ヒラヒラッ
シマ「のぉおおおおおおおうっ!?」
英玲奈「うるさい姉妹だな……」
アニメ穂乃果「ああもうー」
シマ「返しなさいっ!」バッ!
美渡「やーだよーっ、えーとなになに私は黒い風――」
シマ「奇跡術式!」カッ!!
ズルンッ!
美渡「あいたぁっ!」
アニメ穂乃果(シマさんが奇跡術式を使うと美渡さんが滑ってコケて、持っていたノートが手を離れ奇跡的にシマさんの手へ)
アニメ穂乃果(私の魔眼は美渡さんの足元に一瞬ノイズのようなものが走ったのを捉えた)
アニメ穂乃果(奇跡術式の仕組みはよく分からないけど何かで確率や因果律に干渉する術式らしい、たぶん魔眼はその何かを捉えたんだろう)
アニメ穂乃果「てかシマさん!回数制限がある術をそんなことに使っていいの!?」
シマ「回数制限があるんだから使いたい時に使わないと損でしょ!」
アニメ穂乃果「確かに一理ある……ってそうじゃなくて!」
-
美渡「おねぇの好きにさせてたまるか!奇跡術式」カッ!!
シマ「のぉぉうっ!」ズルッ!
シマ「こ、転んでたまるか!奇跡術式!」カッ!!
美渡「転ばせるのよ!奇跡術式!」
カッ! カッ! カッ! カッ!
アニメ穂乃果(シマさんが奇跡的な体勢で転ぶのを回避すると美渡さんが奇跡的に転ばせようとして、さらにシマさんが奇跡的に回避する)
アニメ穂乃果(そんな小学生の屁理屈ゲームみたいな光景が目の前で繰り広げられる)
アニメ穂乃果「ちょっと二人共!バリアにバリアーみたいなことしてる場合じゃ……」
グニャァァァァァァァッ!!
アニメ穂乃果「え?」
アニメ穂乃果(二人が醜い争いを続けていると辺りの空間が捻じ曲がっていく)
英玲奈「こいつは不味いな……」
吸血鬼穂乃果「……!」
アニメ穂乃果「なになに!?またサトゥルヌスのバタフライエフェクト?」
英玲奈「違う、奇跡術式の重ねがけのせいだ!」
ハグカナーン「そうだよ!因果律に干渉する術式をあんなにぶつけ合ったら歪みが戻りきらなくなる!」
グニャァァァァァァァッ!!
アニメ穂乃果(そしてグニャグニャに歪んだ空間は激しく光り始めて――)
キュィィィィィィィィィィィィィンッ!!!!
ヨハネ「どどど、どうなるのおおおおおおおっ!?」
─────────────────
浦の星女学院
旅館地下
AM9:52〜AM9:55 新終末編『270』了
-
というわけでここまで
どうなるのか
新終末編『271』に続く
かもしれない
-
新終末編『271』
─────────────────
──旅館地下
AM9:55
キュィィィィィィィィィンッ!!
アニメ穂乃果(空間の歪みはどんどん歪みを増していき、そこから発せられる光が思わず目を覆うほど強くなった瞬間――)
ポンッ!!
ダヨオ「奇跡だよ!!」
アニメ穂乃果(歪みの中心から光に包まれた奇跡ダヨオが出現した)
アニメ穂乃果「ダヨオ!?」
ダヨオ「あれ……確か穂乃果ちゃんだっけ、それにお姉ちゃんたち……」キョロキョロ
アニメ穂乃果(ダヨオにも突然の状況が理解しきれてないようで、ダヨオは周りを見渡しながら1人1人の顔を見る)
ダヨオ「もしかしてここ……私の家!?」
アニメ穂乃果「う、うんそうだよ」
シマ「ダヨオ!あなたどこから来たの?」
ダヨオ「いや私にも本当に分からないって、こっちが聞きたいくらいだよ」
ダヨオ「というか美渡ねぇは何で裸?」
美渡「そこには触れないで……」
アニメ穂乃果(……と、こんな感じでみんなが困惑してる中、ハグカナーンが私たちのところへ歩み進んできた)
ハグカナーン「奇跡での相殺……じゃないかな」
ダヨオ「ハ、ハグカナーン!?」ビクッ
ハグカナーン「ああ、ダヨオに対して言っておくけど今の私は完全に味方だから安心していいよ」
ダヨオ「…………」
-
アニメ穂乃果(そう言われてもダヨオは訝しげにハグカナーンを見ている)
アニメ穂乃果(まぁダヨオにとってのハグカナーンは、初めからほのキチ倶楽部の工作員だったことを隠して自分たち幹部を裏切りに誘った、いわゆる二重スパイみたいなものだからね)
アニメ穂乃果(いまいち信用できないのも仕方ないのかなぁ……)
アニメ穂乃果「ハグカナーン、相殺ってどういうこと?」
ハグカナーン「えーとね……シマと美渡のケンカ――奇跡術式の掛け合いによって生まれた歪み、あれは世界にとって無視できない歪みに成長しちゃったんだよ」
ハグカナーン「そこで世界の修正力が働いた」
英玲奈「修正力……タイムリープものやパラレルワールドものでよく聞く言葉だな」
ハグカナーン「うん、私たちの世界で言えばうみかちゃんが全力で異能を使ったりすると起こるアレだね」
ハグカナーン「魔王もその一種……と思われてたけどあっちはフードマンの仕掛けか」
ハグカナーン「とにかくその修正力が必要になる自体がこの地下室で起こった」
ダヨオ「それと私に何の関係が?」
ハグカナーン「あるよ大あり、奇跡術式のせいで起こった歪みは何で対処するのが1番簡単だと思う?」
ダヨオ「そりゃあ……奇跡?」
ハグカナーン「正解っ」
-
ハグカナーン「歪みを正すために2人同じ能力を持って尚且つ近縁という都合の良い存在がダヨオ」
ハグカナーン「世界の修正力によってダヨオの奇跡術式がオート発動してダヨオが召喚された」
ダヨオ「待って待って!じゃあ私はお姉ちゃんたちのケンカを止めるためにわざわざ転移させられたの!?」
ハグカナーン「そういうことになるね」
ダヨオ「ええええええええええっ!?」
シマ「ごめんなさいねダヨオ、不甲斐ない姉たちで、全部美渡が人の黒歴史を堀り起こすのが悪いのよ」
美渡「おねえか無駄に張り合うからでしょうが!」
ワー! ワー! ドッタンバッタン!!
アニメ穂乃果「また始まったよ……」
ハグカナーン「もう奇跡術式の連続使用回数は切れてるだろうから放っておいていいよ」
ダヨオ「それにしても困ったな、私さっきまで外郭界で>>293してた途中だったのに……」
-
ナンパ
-
ダヨオ「それにしても困ったな、外郭界でナンパしてた途中だったのに……」
アニメ穂乃果「ナンパ……していたの?」
ダヨオ「うんナンパ、ちょっと事情があってね」
アニメ穂乃果「いったいどんな事情があれば外郭界の探索がナンパに繋がるんだか……」
クイクイッ
ヨハネ「ちょっと穂乃果!私にも分かるように説明しなさいよ、こいつはどこの誰で何してたの?」
アニメ穂乃果「ああごめん、ダヨオは元魔王軍で今は私たちの仲間」
アニメ穂乃果「ことりちゃんたちと一緒にナグルファルって船に乗って外郭界の探索に乗り出してたんだよ」
ヨハネ「へー、確か外郭界ってフードマンが拠点を築いている狭間の世界よね」
ヨハネ「そこでの探索ってことはフードマンの拠点を探ってたの?」
ダヨオ「まぁ……それに近い感じかな
、大体そんな感じ……だと思う」
アニメ穂乃果(ヨハネの質問に何故かダヨオは曖昧な答え方をする)
アニメ穂乃果(普通に探索の結果を教えてくれてもいいのに、何か答えられない事情でもあるのだろうか)
ダヨオ「とりあえず後で話すから先に穂乃果たちのことを説明してよ」
ダヨオ「どうして皆が私の実家……てか内浦に集まってるの?」
アニメ穂乃果「そうだね、実は今学校のほうでサトゥルヌスと宇宙怪獣が戦ってて――」
アニメ穂乃果(……と、今の状況を説明しようとした瞬間、今ままで1番大きい揺れが旅館を襲った)
ゴッ!!!!
ドォォォォォォォォォォォォォォォォウンッ!!!!
グラグラグラッ!!!!
-
アニメ穂乃果「なぁぁぁぁっ!?」
アニメ穂乃果(地下室の壁がきしんで不快な音を出し、吊るされた照明がバンジーのように激しく揺れる)
アニメ穂乃果(あまりの揺れに私は立っていられず両手を床についてしまった)
ヨハネ「今度はなに!?」
英玲奈「落ち着け皆!慌てずに対処を――」
グラララララララララッ!!!!
アニメ穂乃果(揺れが続く中、私は念話機を使って海未ちゃんへ連絡を取る)
アニメ穂乃果「海未ちゃん!どうしたの!?」
海未『…………マ、マズイことになりましたっ!』
海未『宇宙怪獣の>>296せいでサトゥルヌスが攻撃を防ぐのに失敗してまいました!!』
-
超電磁砲を放つ第二形態に進化
-
海未『宇宙怪獣が超電磁砲を放つ第二形態に進化したせいでサトゥルヌスが攻撃を防ぐのに失敗してしまいました!』
アニメ穂乃果「えぇ……っ!?」
海未『放たれた超電磁砲はなんとか逸らすことに成功しましたが……サトゥルヌスは右肩を大きく負傷!』
海未『逸らした超電磁砲は後方の山に激突、建物などは無いし避難済みだから被害は少ないと思いますが……』
アニメ穂乃果「……が?」
海未『正直……次の攻撃を耐え凌ぐ自身がありませんっ!!』
・
・
・
──裏の星女学院
宇宙怪獣『グアッハッハ!ガッハッハ!!』
サトゥルヌス「グッ……ゲハッ……」
海未「……っ!」
海未(サトゥルヌスとの戦いの最中、宇宙怪獣は次のステージへ進化を果たした)
海未(禍々しい桃色の体、その全身に生えていたトゲがその容貌を変化させていく)
海未(三角錐だったトゲの頂点が潰れて円形の面が出来ると、面の内部に穴が広がって行き)
海未(同時にトゲ全体が一回り太くなって砲台のような形に変化していく)
ズズズズズズズズズズズッ!!
-
海未(変化は1つのトゲだけではない、宇宙怪獣が体に生やしている数百数千のトゲが全て同じ形に変わったのだ)
海未(何かを打ち出す形に見えるもののその用途は不明……)
海未「……だったはずなのですが」
梨子「今のはなにっ!?」
海未「超電磁砲――レールガンですっ!!」
ビリッ! バリバリィィィィィッ!!
宇宙怪獣『グハッハッハッハッハ!!』
海未(一発撃ち出された砲塔の先端が電気を帯びて音を立てている)
海未(あれほどの威力を叩き出す超電磁砲だ……地球にあるものとは文字通り次元が違うっ)
海未(更に宇宙怪獣の進化は攻撃面に留まらない、その見た目が>>299)
-
ケルベロス
-
海未(その見た目がケルベロスのように……宇宙怪獣の頭が全部で3つに増えた……!)
理事長「ヤバイわね、あの宇宙怪獣の怪物度が数段階上昇したわ……」
海未「それより厄介なのは体中に展開している超電磁砲です」
梨子「そうよ!なんなのあの砲撃!サトゥルヌスの昼虎で完全に防げなかったわよ!?」
海未「超電磁砲は電磁力で弾を加速させて放つ兵器、おそらくは宇宙怪獣の生み出す電磁力が桁違いなのでしょう」
海未「そして弾はトゲを形成していた硬い外皮を利用しているのだと思われます」
梨子「だから……なんでそんな物理攻撃がサトゥルヌスの空間圧縮拳を突破できるんですか!」
海未「サトゥルヌスの殴り蹴りだって物理攻撃ですよ、相手の威力がそれを超えるくらい桁違いだったということ」
海未「究極にまで加速された超電磁砲の弾がサトゥルヌスの空間圧縮の壁を貫くほど強かった、それだけの話です」
梨子「……!」
海未「加えて厄介なのは速さ、現行技術のレールガンでさえ音速の数倍は軽く出ます」
海未「地球産でそれなのだから宇宙のレールガンが音速程度に収まらないのは確実」
海未「となると……私たちがサトゥルヌスを操作していたのでは間に合わない!」
理事長「……そうね、私たちが超電磁砲の発射を察知してコントローラーを動かしてサトゥルヌスが動く」
理事長「しかも3人の操作がぴったり合わないと遅れがでる、そんなラグありきな状態では対処なんて無理」
梨子「無理って……超電磁砲は一発じゃないのよ、軽く数えたってこっちに向いてる砲塔は百以上ある」
梨子「あれが一斉に発射されたら……」
海未「ええ――間違いなく詰みでしょうね」
梨子「……っ!!」
─────────────────
裏の星女学院
AM9:55〜AM9:58 新終末編『261』了
-
というわけでここまで
ピンチですね
ペースがゆっくりですが確実に進めて行きたい
新終末編『262』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『262』
─────────────────
──浦の星女学院
AM9:58
宇宙怪獣『ククク、コレゾワガアイ!コノアイヲゾンブンニクラウガイイ!!』
ビリリリリリッ!! バリリリリリッ!!!!
海未(宇宙怪獣の体に付いている無数の砲塔が帯電して激しい音を立てる)
海未(あれが一斉に発射されたら私たちに止める術はない)
海未(何か……何か思いつく案は……!!)
宇宙怪獣「ハッ!!」
カッ!!!!!!!
海未「……っ!!」
海未(私の思いも虚しく宇宙怪獣から数百を超える超電磁砲が発射される)
海未(音速をゆうに超える速度の弾丸は音すら置き去りにしてサトゥルヌスに迫る……)
海未(くっ!こんなの無理です!)
海未(思考速度は追いつけるが操作速度が追いつかない)
海未(自分1人が避けるならともかく、サトゥルヌスを操作して内浦を守るなんて到底無理)
海未(ギリギリまで頑張ってギリギリまで踏ん張ってみたものの、ピンチの連続は終わらない)
海未(これではもう――――)
??『諦めないでっ!!』
海未「……っ!?」
海未(心折れかけたその瞬間、直接脳内に聞いたことのない声が響く)
??『バッジガード!特盛りっ!!』
パパパパパパパパパパッ!!
海未(そして超電磁砲がサトゥルヌスに届くより速く、サトゥルヌスの前に無数の円盤型シールドが出現した)
カカカカカカカカカッ!!
海未(超電磁砲の弾がそのシールドに当たると>>304)
-
消失し3分後に宇宙怪獣に命中
-
海未(超電磁砲の弾がそのシールドに当たると跡形もなく弾は消失してしまった!)
バシュンッ!!
宇宙怪獣『……ナニ?』
海未「なっ……!?」
海未(目の前で起こった予想外の事態に私たちと宇宙怪獣が同時に驚く)
海未(両者が状況を理解できないまま数秒の間が過ぎ……)
海未(最初に状況を理解して発言したのは、校庭にいて戦闘を見守っていたウミトラマンだった)
ウミトラマン『この声……まさかホノトラマン!?』
ホノトラマン『そうだよっ!ウミちゃん!上を見て!』
ジュァッ!
海未(念話通信に割り込んできたその声の主に従い空を仰ぐと、そこには巨大な戦艦の姿があった)
海未(神話に出てくる木造船などではない、近代技術……いや未来技術によって造られたSF作品で見るような戦艦)
海未「ウミトラマン!あの戦艦にホノトラマンとやらがいるのですか?」
ウミトラマン『おそらくそうかと!私にも理由は分かりませんがホノトラマンが駆けつけてくれたみたいです』
-
宇宙怪獣『ホウ……アヤツカ……』
宇宙怪獣『スデニウチハタシタツマラヌモノダトオモッテイタガ、マダイキテイタトハナ』
海未(私が、ウミトラマンが、宇宙怪獣が、全員が空に浮いた戦艦を見上げる)
海未(その中では――)
・
・
・
──宇宙戦艦・ブリッジ
ホノトラマン「おぉー、なんだか大変なことになってるみたいだね」
ほのほの「大変なことになってるだろうなというのは想像してたけど……まさかここまでとは思わなかったよ」
ほのほの(宇宙怪獣を追ってきたら海未さんたちが巨人を操って宇宙怪獣と戦っていた)
ほのほの(しかもあの巨人……見てるだけで背筋がゾクゾクしてくる、宇宙怪獣と同じくらい凶悪なものなんじゃないかな)
ホノトラマン「とにかく私はウミちゃんが心配だから急いで降りるね!ほのほのは援護をお願い!」
ほのほの「うんっ!」
ほのほの(この戦艦には未知の技術による武装がたくさん備わっている)
ほのほの(もちろん私は全部把握してるわけじゃないけど一部なら航行中に理解した)
ほのほの(援護に使う武器は……>>307だ!)
-
巨大ロボに変型
-
ほのほの(使う武器は……これだ!)
ポチッ
ほのほの(私がブリッジのボタンを押すと戦艦が振動して変形を始める)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ビーッ! ビーッ!
『重力制御変更、出力方向切り替え、隔壁を降ろしブロック同士の行き来を禁止します』
『変形途中は危険なので各乗組員はその場で安全帯を付けて衝撃に備えてください』
ほのほの(私以外の乗組員がいない艦内に警告アナウンスが響く)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ほのほの(戦艦はその向きを90度変えて直立、艦を構成していた各パーツか腕や足の形に変形していく)
ほのほの(そう!まるで巨大ロボットのように!)
ガシャーーンッ!!
『ムーンライトマクロス・強攻型へ変形完了』
ほのほの「そんな名前だったんた……」
『イエスマスター、私は元々とある異星人によって造られた宇宙船、その後光の国や様々な星を渡り歩き改造を施された戦艦です』
『恒星光がエネルギーになるのは光の国で使われていた時の名残ですね』
ほのほの「しかも喋れる!?」
『はいマスター、放置されていたことによりAIである私も停止していましたが、マスターのエネルギー供給によって復活しました、ありがとうございます』
ほのほの「ま、まぁ良いや、とにかく私の代わりに操作よろしくね!」
AI『了解!』
-
・
・
・
──浦の星女学院・校庭
ヒューーーーーーッ!
ホノトラマン「ウッミちゃーーん!」
ウミトラマン「わわっ!ホノトラマン!?」
ウミトラマン(戦艦から生身のまま飛び降りたホノトラマンはそのまま一直線に校庭まで落ちてくる)
スタッ
ホノトラマン「ふぅ……」
ウミトラマン「ホノトラマン!どうしてここに?っていうか縮小体か裸じゃないですか!」
ホノトラマン「も〜、私のことは友達なんたからホノって呼んでって言ったでしょ」
ウミトラマン「すみません……ホノ」
ホノトラマン「私は月で月野さんって人の助けを聞いて召喚されたんだ、服は……まぁ何もなかったし誰が見るわけでもないから」
ウミトラマン「それでもダメですよ、服は私のを少し貸してあげますからっ」
ビリッ
ウミトラマン(私はホノの話を聞きながら自分の服の千切ってホノの体に巻いていく)
ウミトラマン(自分の格好がさらに破廉恥なっていくがこの際仕方ない)
ホノトラマン「――それでね、ほのほのちゃんって子の能力で私はパワーアップしたんだよ」ムフー
ウミトラマン「なるほど、太陽光能力者のエネルギーを直接送ってもらう……その発想は画期的ですね」
ホノトラマン「うんっ、だから今の私は強い!」
ホノトラマン「そして――」
コツンッ
ウミトラマン「ホ、ホノっ!?」ビクッ!
ウミトラマン(ホノが急に自分の額を私の額にくっつけてきて、私は思わずたじろいでしまう)
ホノトラマン「ウミちゃんと一緒なら……私はもっと強い!」
ウミトラマン「…………はいっ!」
ホノトラマン「じゃあ今から私に溜められてるほのほのエネルギーの半分をウミちゃんに送るね」
ウミトラマン「そんなことして大丈夫なのですか?」
ホノトラマン「平気だよ、宇宙を航行してる間もちょっとずつほのほのちゃんに充電してもらってたから」
ホノトラマン「これを使って元の姿に戻ればウミちゃんと私は進化した光の戦士になれるはず」
ホノトラマン「そして2人で伝説の技、>>310を使うんだよ!」
-
あなたは最低DEATH
-
ホノトラマン「そして2人で伝説の技――『あなたは最低DEATH』を使うんだよ!」
ウミトラマン「あの伝説の技……はい!分かりました!」
ホノトラマン「じゃあ流し込むよ――」
ピトッ
キュィィィィィィィィンッ!
ウミトラマン(合わされたホノの額から私の中へ光のエネルギーが流れ込んでくる)
ウミトラマン(それは光の国でも滅多に感じたことのない重厚で暖かい光のエネルギー)
ウミトラマン(いつの間にか組んでいたお互いの手の指からホノの心音も伝わってくる)
ウミトラマン「来た……!私にも感じられます……!」
ホノトラマン「うんっ!2人で一緒にイくよ!」
トゥッ!
ビシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュッ!!
ウミトラマン(私たちは手を繋いだまま真上へジャンプし変身――もとい元の姿へと戻る!)
ジュワッ!!!!
・
・
-
・
・
──浦の星女学院・屋上
ドシィィィィィィィィンッ!!!!
海未(元の姿に戻ったウミトラマン、そしてウミトラマンとの会話から同じ種族だと思われるホノトラマンがサトゥルヌスの両脇に降り立つ)
海未(2人の大きさは宇宙怪獣と同程度、ホノトラマンの話だと月では宇宙怪獣の3倍の大きさになったらしいので)
海未(単純にそれを2人で分けて1.5倍ずつの巨大化、宇宙怪獣もケルベロスモードに進化して1.5倍くらい)
海未(……で大体同じくらいの大きさになってるんですかね)
海未(まぁそんなことは今はどうでもいいのです!)
海未(それより重要なのはウミトラマンの姿が僅かに変化しているということ)
海未(銀色の体にブルーの線が入ったウミトラマン、オレンジの線が入ったホノトラマン)
海未(だが以前のそれに加えて金色の線が各メインカラーとなる線に沿って全身に引かれていた)
海未(あの金のラインがほのほののエネルギーによって戦士として進化した形なのでしょうか)
海未(特撮シリーズ違いではありますが、名付けるならウミトラマン・ライジングと言ったところですかね)
ウミトラマン『気力が漲ってくる、これが進化した光の戦士の力……』
ホノトラマン『うんっ!今なら誰にも負ける気がしない!!』
海未(そしてほのほのがロボットに変形させた戦艦が宇宙怪獣の背後に降り立つ)
ドシィィィィィィィィィィィィンッ!!
宇宙怪獣『ホウ……イチ、二、サンタイ、ホウイモウトイウワケカ?オモシロイ!』
宇宙怪獣『ワレノアイヲジャマスルモノハ!ダレデアロウトウチタオス!』
宇宙怪獣『シニタイヤツカラカカッテコイ!!!!』
ドンッ!!!!
─────────────────
浦の星女学院
AM9:58〜AM10:00 新終末編『262』了
-
というわけでここまで
サトゥルヌス包囲網が構築されつつある
アレとかソレとかの名前は適当なノリです、深い意味はありません
消えたのは3分後にちゃんと飛んでくるはず
新終末編『263』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『263』
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──浦の星女学院・校舎
AM10:00
海未(サトゥルヌス、ウミトラマン、ホノトラマン、そしてムーンライトマクロス)
海未(干上がってクレーターの出来た内浦の海で、宇宙怪獣は4つの巨大人型存在によって四方を包囲された形になる)
海未「ダル子!お願いしていたアレはできますか!?」
ダル子「うっ……アレですか、まぁできるだけやってみます!」
鞠莉『試作品だけどやっちゃってー!』
ダル子「はぁ……ではっ!」ススッ
キィィィィィィィィンッ!
海未(ダル子は懐からゴーグルのようなものを取り出すとそれを顔にかけて神眼を発動させる)
海未(このゴーグルは鞠莉が前から開発していたもので、装着したものの視覚情報をネットワークを介して他デバイスへ転送できるゴーグルらしい)
海未(更にこのゴーグルは付属アタッチメントで未知のネットワークに接続することが可能)
海未(つまりは……)
ダル子「念話フィールドネットワークに介入!システムを利用して私の視覚を念話機に転送するよ!」
キュィィィィィィィィィンッ!!
海未(ダル子の神眼が巨人たちのバトルフィールドの光景を上空から俯瞰で捉え、それがゴーグルを通じて念話フィールドに流れ込む)
海未(音声しか流せなかった異星人のネットワークに映像を強引に流し込む鞠莉の荒業である)
海未(これによって腕に巻かれている念話機にホログラムで戦場の映像が出現、どこにいても様子が見れるようになった)
鞠莉『ふっふ〜ん、成功ね!念話フィールドの話を聞いた時から改造したいと思ってたのよー』
海未(校舎のどこかに避難しているであろう鞠莉の嬉しそうな声が脳内に響く)
-
海未「ですが鞠莉……」
鞠莉『ええ、強引にクロスさせた負荷も予想通りね』
ダル子「うっ……おぇえ……」ガクッ
海未(視覚を念話フィールドネットワークに送っているダル子が、私の後ろで両膝をついてえずく)
鞠莉『元々生理的に苦手で、北方領土で視覚共有した時も不快な気持ちになったと聞いたけど、きっとそれは世界体系レベルで相性が悪いのよ』
海未「つまり?」
鞠莉『北欧神話由来の能力とμ78星雲由来の能力がかけ離れすぎてて食い合わせが悪いってこと』
海未「カニと柿みたいな話ですか……」
鞠莉『ざっくり言えばね、細かい原因は長い説明になるから省略』
鞠莉『で、問題はダル子がいけるかどうかなんだけど……』
ダル子「い……いけます!やれる!このくらいなら我慢できますっ!」
鞠莉『よしっ、じゃあこっちも引き続きネットワークの調整を進めてみるわね』
鞠莉『なるべく負荷は少なく済むようにするから〜』
ダル子「気持ち悪いけど……それでも皆さんの眼になれるならっ!」
海未「ダル子……」
海未(そんなダル子が送り続ける映像が各人の念話機に表示され続けている)
海未(そしてそれを見た梨子が叫んだ)
梨子「宇宙怪獣が動いたわ!最初に狙う相手は……>>317」
-
突如現れたコトトラマン
-
梨子「最初に狙った相手は……だ、誰これ!?」
海未(宇宙怪獣の矛先が向かったのは突如現れた全く別の巨人だった)
海未(銀色のベースに緑の線の引かれた体、頭には大きなトサカが付いている巨人)
海未(おそらくはウミトラマンたちと同じ種族の巨人だろう)
ホノトラマン『コトちゃん!?』
ウミトラマン『コトトラマン!?』
海未(2人が名前を呼んだからたぶん知り合い、コトトラマンとやらも2人に対して返事をする)
コトトラマン『やっほー2人とも、集まってみたいだから私も来ちゃったー!』
海未(だが宇宙怪獣はそのやり取りに反応すること無く超電磁砲を50発ほどコトトラマンに叩き込む)
カカカカカカカカカッ!!
コトトラマン『いったい何してるnぐへええええええええええっ!!!!』
ドオォォォォォォンッ!!
ホノトラマン『コトちゃーーん!?』
-
海未(宇宙怪獣や他の巨人より一回り小さいコトトラマンは超電磁砲の連撃を食らって呆気ないほどに吹き飛ぶ)
海未(吹き飛んで干上がった地面を数度転げ回ってさらに跳ね跳び、水のある沖合まで飛んで海上を水切りのように跳ねていく)
ウミトラマン『……っ!何でこのタイミングで来たのか……ライジングにもなってないコトならああなって当然ですよ!』
宇宙怪獣『オ?シランヤツヲフットバシタキガスルガマァイイ』
ダンッ!!
海未(そして乱入者をぶっ飛ばした隙をついて宇宙怪獣が包囲網より抜け出そうとする)
理事長「しまった!」
ほのほの『私に任せて!』
海未(慌ててサトゥルヌスを動かそうとする私たちを静止するようにほのほのが発言)
海未(すると彼女が動かすマクロスから>>320)
-
拘束光輪を射出
-
海未(彼女か動かすマクロスの腕の先から光の輪が射出される)
AI『ムーライトサークル:Typeβ』
ほのほの『拘束する光輪!!』
ピシュシュシュシュシュッ!!
海未(軽く百個を超えるであろう光輪の群れは素早く宇宙怪獣に迫ると輪の大きさを広げて体を縛っていく)
宇宙怪獣『ガッ!?』
パシュンッ! パシュンッ! パシュンッ!
海未(3つの頭部を纏めて縛るように1つ、二の腕と胴体をまとめて縛るように1つ、右足と尻尾をまとめて縛るように1つ)
海未(殆どか外れてしまったものの、3つの光輪が見事サトゥルヌスに嵌り体を締め付けていく)
ギュゥゥゥゥゥゥッ!!
宇宙怪獣『グ……コンナモノッ!!スグニコワシテクレルワッ!!』
ググググググッ
ほのほの『壊させないっ!』
海未(宇宙怪獣は強がるものの拘束されて体の可動域が少なくなっているのは事実)
海未(今の状態では左足くらいしかマトモに動かせないっ!)
-
ホノトラマン『今だよウミちゃん!』
ウミトラマン『は、はいっ!』
キュィィィィィィィィィンィィィッ!
海未(そのチャンスを逃さない、ウミトラマンが胸の前で腕をクロスすると青と金色の光がクロスの中心へ集まり……)
ウミトラマン『アクションビームぅぅぅぅ――』
カッ!!
ウミトラマン『――ライジングっ!!』
ビュィィィィィィィンッ!!
海未(強化されたウミトラマンの必殺ビームが黄金の力を纏って放たれる!)
宇宙怪獣『ナァァァァァァ!メルナァッ!』
ダンッ! グルンッ!!
梨子「嘘っ!?」
海未(だが宇宙怪獣も一筋縄では行かない、目で確認できた攻撃を避けられないわけがない)
海未(宇宙怪獣は自由に動かせる左足1本に力を込めると、空中に跳び上がって体を海老反りにし)
海未(飛んでくるビームをまるで走り高跳び選手の背面跳びのような形で避けてしまう)
シュンッ!
-
ウミトラマン『躱された……!?すみませんホノ!』
ホノトラマン『いや……あれでいいんだよウミちゃん』
ウミトラマン『え……?』
ホノトラマン『私が最初に現れた時に投げたバッジガード、あれは当たったものを一旦消失させる盾なんだよ』
ホノトラマン『そして消えたものはエネルギーを保持したまま3分後に現れる、座標は私が好きに設定できる』
ウミトラマン『……はっ!まさか』
ホノトラマン『そう!今がその3分!』
バッ!
海未(ホノトラマンが腕を上から下に振ると、空中で海老反りになっている宇宙怪獣の真上に空間の歪みが生じる)
海未(歪んだ空間は円形に広がって透明なゲートとなり――)
バリリリッ! バリリッ!!
ホノトラマン『自分の攻撃、自分で食らったらどうなるのかなっ!?』
カッ!!!!
海未(数百発のレールガンが無防備な宇宙怪獣の土手っ腹に降り注いだ)
ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
海未(その効果は>>324)
-
重傷を負ったが、怒りMAX
-
海未(その結果は……大成功と言って遜色ないものだった)
宇宙怪獣『ガァアアアアアアアアアアアアッ!!!!』
ジュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!
海未(仰向けのまま地面に落下した宇宙怪獣の腹部が焼けただれている)
海未(今まで誰も傷つけることのできなかった外皮が貫通されたのだ)
海未(それもそのはず、直撃したレールガンは宇宙怪獣の硬化した外皮を弾として発射したもの)
海未(同硬度ならば宇宙怪獣自身の防御を貫く可能性はあった、そしてそれがホノトラマンの手によって証明された)
海未(数百発のレールガンを打ち込まれた宇宙怪獣は腹部を大きく抉られ、ドス黒い血を地面へ垂れ流してる)
海未(人で言えば重傷も重傷、瀕死の状態に近い)
海未(けれど……宇宙怪獣はまだ終わらない!)
宇宙怪獣『グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』
宇宙怪獣『ワレノアイ!!アイヲトドケタイダケナノニ!!グオオオオオオオオオオオッ!!』
ブチブチブチィィィィッ!!
海未(宇宙怪獣の怒りはMAXに到達し、力ずくで拘束光輪を引きちぎって立ち上がった)
海未(腹部から流れ出る血液はそのままに全身の桃色の細胞がグツグツと煮立っている)
宇宙怪獣『ユ!ル!サ!ン!!!!』
宇宙怪獣『アイガトドカヌノラバ……スベテヲコワスッ!!!!』
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
─────────────────
浦の星女学院
AM10:00〜AM10:02 新終末編『263』了
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というわけでここまで
最終形態……かな?
新終末編『264』に続く
かもしれない
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新終末編『264』
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──浦の星女学院
AM10:02
宇宙怪獣『オオオオオオオオオオオウッ!!』
カカカカカカカカカカッッ!!!!
海未(追い詰められた宇宙怪獣はもうなりふり構わなかった)
海未(3つの頭から3本の破壊光線を、体中から生えた超電磁砲台から無数のレールガンを、全て同時に撃ち放つ)
海未(そこには狙いを定めるも意思も何も無い、全方位に持てる破壊の全てを撒き散らす攻撃!!)
ダル子「……っ!」
海未(目が眩むまるで超新星爆発のような光、瀕死の宇宙怪獣が放つ最大の衝撃)
海未(あまりに乱暴な力の渦は内浦全てを吹き飛ばすに余りあるエネルギー、これを防げなければゲームオーバー……)
海未「……ですがっ!絶対に防ぎきりますっ!!」
バッ!!
梨子・理事長「右腕左腕――両腕昼虎!!」
ホノトラマン『全部持ってけ!!バッジガードインフィニィー!!』
ウミトラマン『アクションビーム・ライジングッ!』
ほのほの・AI『ムーライトサークル:Typeγ!防護の光輪!!』
ドルルルルッ!!
パパパパパパパパッ!!
ゴッ!!!!
シュシュシュシュシュシュシュシュシュッ!!
-
海未(私たちは宇宙怪獣の攻撃とタイミングを合わせ同時に攻撃を放つ)
海未(両腕で同時に放った両腕昼虎が破壊光線を2本、ウミトラマンのアクションビームライジングが破壊光線を1本相殺)
海未(ホノトラマンが展開したバッジの盾とムーライトマクロスが展開した光輪の盾が宇宙怪獣の周囲を囲み)
海未(放たれた数千のレールガンの弾道を全て塞ぐ)
ドガガガガガガガガガガガッ!!!!
海未(初撃は防げた、でも……)
ダル子「宇宙怪獣の攻撃が止まらないっ!?」
海未(宇宙怪獣が放っている攻撃の全ては現在進行形で防御はできている)
海未(けれど相殺している光線はいつまでも吐き出され続けていて、レールガンの連射は終わる気配がない)
海未(相手の攻撃の合計とこちらの防御の合計がちょうど50:50、膠着して宇宙怪獣にトドメを刺すことができないのだ)
海未「せめて……せめてあと1つ、こちらに攻撃の手があれば……っ!」
ドンッ!!
コトトラマン『ちっちっ、誰かを忘れてはいないかちゅんねぇ……』
ホノトラマン『コトちゃん!?』
海未(天啓のように私たちの脳内に響いた声、それは宇宙怪獣に呆気なく吹き飛ばされ水平線の彼方に消えたコトトラマンの声だった)
コトトラマン『私のトサカスラッガーは最強!切れ味はもちろんのこと最大の特徴は>>329』
-
爆発する
-
相手の攻撃を吸収しそのままぶつける
-
コトトラマン『最大の特徴は切りつけた後に爆発すること!これにより――』
ウミトラマン『ああもうっ!御託はいいから速くやってください!!』
コトトラマン『……っもう、まぁいいや、数々の怪獣を葬った私の武器を食らうといいちゅん!』
コトトラマン『トサカァァァ!スラッガー!!!!』
ブゥンッ!!
海未(コトトラマンがそう叫んだ瞬間、水平線の彼方からコトトラマンの放ったトサカが高速で飛んできた)
ザザザザザザザザザザザザザッ!!
海未(トサカ目にも止まらぬ速さで縦回転しながら水面を切り裂き、軸をぶらすことなく真っ直ぐ宇宙怪獣へと迫る)
海未(怒りMAXで必死に命を燃やしている宇宙怪獣がそれに気付くことはない)
海未(いや、本人にとっては気付かなくて問題ない攻撃なのだろう)
海未(実際に目の前にいるサトゥルヌスたちとの攻防に比べれば相手取る意味のない些細な攻撃)
海未(当たったところで堅い外皮に数センチの傷がつけばマシという程度の威力)
シュシュシュシュシュシュシュシュシュッ!!
海未(実際のところ……その判断は当たっていた)
ガキインッ!!!!
海未(トサカスラッガーは宇宙怪獣の三叉に分れた首の根本に直撃するも、背中側の厚い外皮を貫通することはできずに弾かれる)
海未(付いたのは数センチすら届かない数ミリの僅かな傷だけ、人間で言えば蚊に刺された以下の傷とも呼べないもの)
ダル子「……っ!やっぱりダメ!?」
ウミトラマン『いや……アレで成功です!』
-
海未(何かを確信したウミトラマンに未だ姿の見えないコトトラマンが続く)
コトトラマン『ふっふっふ、さっきは解説が中断されちゃったけどトサカスラッガーは少しでも傷が付けば充分なのです』
海未「爆発……ですか?」
コトトラマン『そう、トサカスラッガーで付けた傷は……数秒後に爆発する』
カッ!
ドゴォォォォォォンッ!!
宇宙怪獣『グッ!?』
海未(トサカスラッガーが直撃した部分、宇宙怪獣の首の後ろがコトトラマンの言った通りに爆発を起こす)
海未(だがその爆発自体は外皮を破壊するには至らない……)
コトトラマン『けどけどっ〜?』
ドンッ!! ドンッ!!
ドゴォォォォォォンッ!!!!
宇宙怪獣『ガァァァッ!?』
海未(爆発が終わってもまたすぐに次の爆発、爆発の連鎖は終わらずに爆発の規模はどんどん大きくなっていく)
海未「ま、まさかこれ……」
ウミトラマン『そうです、コトトラマンのトサカスラッガーは付けた傷が爆発する能力を持っている』
ウミトラマン『そして傷の定義には……その爆発によって付けられた傷も含まれるのです!』
海未「……っ!」
-
海未(何という能力……つまり一度傷を付けてしまえばその箇所ごと切り落としでもしない限り無限に爆発してしまう)
海未(鳥山穂乃果が生み出したボンバーマンを思いだす、凶悪な必殺系爆発能力ですね……)
ドゴォォォォォォンッ!! ドゴォォォォォォンッ!!
宇宙怪獣『ガァアアアアアアアアアアアアッ!!!!』
海未(私たちと必殺技の押し合いをしているせいで宇宙怪獣は首に手が回らない)
海未(起こり続ける爆発の連鎖を止めることができない)
海未(そして爆発の連鎖は堅く分厚い首の外皮を下へ下へと掘り砕いて行き――)
ドンッ!!!!
海未(見事に宇宙怪獣の3つの首のうち1つを吹き飛ばす!)
宇宙怪獣『ッ!!??』
ホノトラマン『今だよウミちゃん!伝説の技の準備を!』
ウミトラマン『はいっ!』
海未(光線の数が1本少なくなりウミトラマンの手が空く、自由に動けるようになったウミトラマンは>>334)
-
一撃必殺ウミミビーム
-
海未(自由に動けるようになったウミトラマンは宇宙怪獣へ近づきながら今まで見たことのないビームを繰り出す)
ウミトラマン『これは通常状態の私のエネルギーをほぼ全て使って放つ必殺技』
ウミトラマン『撃った後に縮小化してしまうので普段は使えませんが、ライジング化している今なら一発くらい撃てる余裕があるはず』
ウミトラマン『その名も――』
ダンッ!!
ウミトラマン『一撃必殺ウミミビーーーームッ!!』
カッ!!
海未(蒼い閃光のウミミビームは既に重傷を負っている宇宙怪獣の腹部に直撃)
海未(外皮がなく内蔵にビームをもろに食らった宇宙怪獣は大きく怯んで吐き続けていた破壊光線を止める)
宇宙怪獣『ガッ……!』
海未「今です梨子っ!」
梨子「ええ、今度こそ……当てる!」バッ!!
しいたけ「わんっ!!」
サトゥルヌス「ハアアアアアッ!」
ダンッ!!
海未(破壊光線が止んだことでサトゥルヌスも動けるようになった)
海未(私たちはサトゥルヌスを操作して宇宙怪獣の元へダッシュ、梨子がしいたけを通じて右腕を動かす)
海未(その手に再び握られているのは……アダマスの鎌!!)
-
梨子「とりゃああああああっ!」
ブンッ!!!!
海未(幾度となく宇宙怪獣に避けられた鎌の一振り)
海未(だが今ならば、このタイミングならば!宇宙怪獣の首に届く!!)
ザンッ!!
宇宙怪獣『……グッ!!』
梨子「宇宙怪獣、2つ目の首……確かに貰ったわよ」
ドシャァァァァァァンッ!!
海未(巨大な首が地面に落ちる、これで残りはあと1つ!宇宙怪獣はもうノックアウト寸前!)
ウミトラマン『ホノ!これなら行けますか!?』
ホノトラマン『うんっ!今こそ伝説の技――あなたは最低DEATHを使おう!』
ウミトラマン『そうですね、>>337をするあの技ならトドメをさせるはずっ』
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威力が倍々で増えていく100往復ビンタ
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ウミトラマン『威力が倍々で増えていく100往復ビンタするあの技ならトドメをさせるはず!』
ダンッ!
海未(ウミトラマンとホノトラマン、共にライジングへ進化した光の巨人が並列して宇宙怪獣へ走り出す)
海未(対する宇宙怪獣の瞳の光もまだ完全に消え去ってはいない)
海未(首を2つ落とされ、腹を抉られ内蔵を焼かれ、息が絶え絶えになってもまだ戦う意思を無くしてはいない)
海未(背中に生えている数千の超電磁砲塔は半分ほどがエネルギー不足で稼働しなくなったものの、残りは散発的にレールガンを発射して何とか空中の盾を突破しようと試みている)
宇宙怪獣『グ……グァ……ワ、ワレハ……マダ……!』
宇宙怪獣『マダダアアアアアアアアアアアアアッ!!』
ウミトラマン『まだ立ち向かってくるその意気やよし、敵ながら天晴です』
ウミトラマン『ですから……』
ホノトラマン『これで終わらせてあげるっ!』
キィィィィィィィンッ!!
海未(ウミトラマンの右手、ホノトラマンの左手、それぞれの手が黄金色の光を発し輝きだす)
海未(そして2人は宇宙怪獣の左右に辿り着くと、黄金の掌で交差するように往復ビンタを繰り出した)
ホノトラマン・ウミトラマン『『あなたは最低DEATH!!』』
パァンッ!!!!
─────────────────
浦の星女学院
AM10:02〜AM10:04 新終末編『264』了
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というわけでここまで
宇宙怪獣ボコボコシリーズ
そろそろ決着かな
新終末編『265』に続く
かもしれない
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新終末編『265』
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──浦の星女学院
AM10:04
パァンッ! パァンッ!! パァンッ!!!
パパパパパパパパパパパパパッ!!!!
海未(ウミトラマンとホノトラマンが宇宙怪獣にクロス往復ビンタを当てていく)
海未(その速度は一発ごとに速く、その音は一発ごとに大きく、2つの黄金の掌が宇宙怪獣へダメージを与えていく)
海未(ウミトラマンの言うことが確かならあなたは最低DEATHは一往復ごとに威力が倍になる技)
海未(しかもそれを100往復!)
海未(言葉通りだとすれば最終的な威力は単純に考えて、最初の威力×2の99乗まで達する)
海未(全てを合わせれば等比数列の和だから……って今考えてる場合じゃないっ!)
ウミトラマン『たぁあああああああああああああっ!!』
ホノトラマン『はぁあああああああああああああっ!!』
ダダダダダダダダダダダダッ!!!!
海未(とにかくその威力は物凄い)
海未(2人のビンタは音速を通り越し最早手の形が肉眼では見えない、ただ交差を繰り返す黄金の光が宇宙怪獣の命を削っていく)
海未(そしてビンタが最後の100往復目に到達した瞬間、>>341)
-
光の巨人たちが超速特化の最終形態に進化した宇宙怪獣に倒された
-
海未(突然、宇宙怪獣の姿が消えた)
ウミトラマン『え……?』
ホノトラマン『何が……』
海未(その様子を見ていた者たち、勝利を確信していた者たちが状況を理解できずに固まってしまう)
海未(その中で1人だけ状況を理解していた、神眼で宇宙怪獣の移動を捉えていたダル子か叫ぶ)
ダル子「上です!避けてええっ!!」
海未(だが……間に合わない)
海未(ダル子の声が念話機を通じてウミトラマンたちの脳内に届き、ウミトラマンたちが体を動かす……その前に)
ドッ!!!!
海未(天から降り注いだ見えない一撃がウミトラマンたちを地に沈めたのだ)
ドシィィィィィィィィインッ!!
メリメリッ……
ウミトラマン『がっ……!』
ホノトラマン『あがっ…………!』
海未「ウミトラマンっ!?」
海未(いったい何が起こったんですか……とダル子に問う時間すら無かった)
海未(間を置かずして今度はムーンライトマクロスが見えない何かに薙ぎ倒される)
ドゴォォォォォォォォォォンッ!!!!
ほのほの『わああああああああああああああっ!!』
海未(ほのほのの悲鳴と共に巨大ロボットが仰向けに倒されて、衝撃で破壊された多数のパーツが弾け飛ぶ)
海未(そして次にサトゥルヌスが学校側へ吹き飛び――)
ドッ!!!!!!
海未「……っ!」
海未(――そこで、私の意識は消失した)
-
・
・
・
──旅館十千万・地下
ブツッ!
アニメ穂乃果「……え?」
アニメ穂乃果(念話機が映し出していた映像が途切れ、海未ちゃんたちの念話も通じなくなる)
アニメ穂乃果「海未ちゃん!?海未ちゃん!?」
英玲奈「私の念話機も応答がないな……向こうで何かが起こったんだろう、かなりマズイことがな」
ヨハネ「宇宙怪獣が急に消えた後は何も見えなかったわよね?見えないうちに皆倒されて……」
ハグカナーン「たぶん宇宙怪獣が超高速移動に特化した形に進化したとかかな」
ハグカナーン「それでわけが分からないうちに皆やられてしまった」
ヨハネ「あの土壇場でまた進化!?」
吸血鬼穂乃果「不運ねぇ、宇宙怪獣を追い詰めてたとはいえ、それは全員の包囲と連携があってこその戦術」
吸血鬼穂乃果「パワーバランスが一瞬でも宇宙怪獣側に傾いて1人倒されちゃえば……全てはガタガタと崩れていく」
-
アニメ穂乃果「とにかく学校へ行こう!ダヨオも付いてきてくれるよね?」
ダヨオ「もちろんだよ、かなり大変な自体みたいだし皆一緒にいたほうが安全だと思う」
ダヨオ「奇跡術式が使えないお姉ちゃんたちも無能力者と変わらないんだから私と一緒に来て!」
シマ「ええ、情けないけど妹の奇跡に頼るとするわ」
美渡「ふ、服だけ取ってくる!」
タタタタッ
アニメ穂乃果(そして私たちは地下から旅館のほうに出て、服を着てきた美渡さんと合流)
アニメ穂乃果(学校へ戻るため旅館前で待機しているはずのオカンのヘリへと急ぐ)
ガラッ!!
アニメ穂乃果「オカン!無事!?」
アニメ穂乃果(旅館の玄関を開けて外に出るとヘリは>>345)
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なんやかんやあって宇宙怪獣を倒していた
-
アニメ穂乃果(旅館の外へ出るとヘリは無事にさっきの場所にあった)
タタタタッ
アニメ穂乃果(私たちは開けっ放しのドアの中へ駆け込み、運転席に座っているオカンに慌てて話しかける)
アニメ穂乃果「オカン!早くヘリを出して!海未ちゃんたちが――」
オカン「……ああ、見てたで」
アニメ穂乃果「オカン……?」
アニメ穂乃果(慌ててる私たちとは対象的にオカンは妙に落ち着いていた)
アニメ穂乃果(アレを見ていたなら血相変えてもいいはずなのに……)
アニメ穂乃果「オカン!だから早くっ!」
オカン「落ち着きはりなさい穂乃果ちゃん、もう全ては終わったことや」
アニメ穂乃果「終わった?」
オカン「そうや、ダル子ちゃんほどでは無いにしろ穂乃果ちゃんの魔眼も遠くを見れるんやろ?」
オカン「だったらクレーターのほうを見みてるとええ、うちが終わったと言った理由が分かる」
アニメ穂乃果「う、うん……」
アニメ穂乃果(とりあえすオカンに言われた通り魔眼を発動させてクレーターの方向を見る)
アニメ穂乃果(そうすると……)
アニメ穂乃果「……っ!?」ビクッ!
ヨハネ「ちょっとちょっと!何よあれ!」
アニメ穂乃果(魔眼を発動する必要も無かった、たぶん私以外の皆にも見えていることだろう)
アニメ穂乃果(干上がった内浦の海にできたクレーター、そこに一体だけ立っていたのはサトゥルヌスだった)
アニメ穂乃果(サトゥルヌスは多少傷を負っているものの2本の足で力強く地面に立っている)
アニメ穂乃果(そしてサトゥルヌスの手には……宇宙怪獣の体が掴まれていた)
-
アニメ穂乃果「……え?」
アニメ穂乃果(宇宙怪獣の体はお腹から下が千切れたように無くなっていて、そこからは無数の超電磁砲がロケットのブースターように伸びていた)
オカン「おそらくあれが進化した最終形態やったんやろうなぁ」
オカン「腹部の筋肉を破壊されてマトモに動かなくなった下半身を捨てて軽量化、同時に全身に生えていた超電磁砲台を腰から下へ移動」
オカン「攻撃に使っていたレールガン全てをロケットブースターみたいに移動に使うことで超高速移動を実現」
オカン「後は目に止まらん速さで移動しながら呆気に取られてた敵たちを薙ぎ払った……と」
アニメ穂乃果「け、けど……!」
アニメ穂乃果(私が震えながら指差す先、サトゥルヌスに腕に胴体を掴まれている宇宙怪獣)
アニメ穂乃果(その首から上には、何も無かった……)
オカン「そうや、今のあの宇宙怪獣には頭がない、完全に殺されとる」
オカン「飛んでいた所をサトゥルヌスに掴まってもぎ取られた……速すぎてうちには直接見えなかったけど、まぁそんなとこやないかな」
アニメ穂乃果「……っ!」
ハグカナーン「サトゥルヌスが宇宙怪獣にトドメを刺したということ?」
オカン「うむ」
ハグカナーン「いやいや、それじゃ疑問点が山ほどあるって!」
ハグカナーン「サトゥルヌス一体じゃ宇宙怪獣の相手をできなかったのは私たちだって知ってる」
ハグカナーン「それに海未たちが音信不通になってるんだよ、彼女たちが操作できているとはとても思えない……」
オカン「だったら……操作してないんやないかな」
ハグカナーン「え?」
-
オカン「今あそこに立っているサトゥルヌスは誰も操作していない」
オカン「海未をはじめ操作していた子たちは最終進化した宇宙怪獣の攻撃の余波で気絶でもして、なんやかんやだコントローラーの機能が失われた」
オカン「そして真の意味で自由を取り戻したサトゥルヌスは目覚め、目の前にいた敵を何となく掴まえて殺した」
オカン「相手は瀕死の特攻隊みたいなもんで、自我入りのサトゥルヌスなら赤子の手を撚るようなもん」
オカン「どうや?そう考えるとうちは自然やと思うなぁ……」ニヤリ
ハグカナーン「まさか……」
ヨハネ「見て!サトゥルヌスが動くわ!」
サトゥルヌス「…………」ブンッ!
アニメ穂乃果(サトゥルヌスは掴んでいた宇宙怪獣の体を興味が無くなったかのように投げ捨てると、>>349)
-
自己再生し次の獲物を探しだした
-
アニメ穂乃果(サトゥルヌスの体に周りに漆黒の粒子が発生、それが受けた傷に染み込んで行って自己再生をはじめる)
シュゥゥゥゥゥゥゥゥッ
吸血鬼穂乃果「へぇ〜、治癒まで出来るなんて中々やるじゃない」
ハグカナーン「いやあれは治癒というよりは私の術式に近いような……」
サトゥルヌス「……修復完了、さて」
ザッ
ドシィィィィィィインッ! ドシィィィィィィィインッ!
アニメ穂乃果(傷を治したサトゥルヌスはゆっくりと歩き始めた)
アニメ穂乃果(念話フィールドは既に機能していないけど、サトゥルヌスの大きくて低い声はここまで響いている)
サトゥルヌス「今のは中々の強者だったが呆気ない最後だったな」コキッ
サトゥルヌス「まぁ……人間や異星人や機械人形が削っていたせいか、口惜しいがこればかりは仕方ない」
サトゥルヌス「死んだものは放棄して次の獲物を探すか」
ドシィィィィィィィインッ! ドシィィィィィィィインッ!
-
アニメ穂乃果「どどどうしよう!なんかこっち……旅館の方向に向かってる気がするよ!?」
オカン「自我を取り戻したらわりと理知的に喋るなぁ」
英玲奈「そうか?結構殺伐とした性格の持ち主に感じられるが」
アニメ穂乃果「そういう感想言ってる場合じゃなくて!!」
ハグカナーン「確かにあれを放っておくのは危険、でもコントロールできるのはコントローラーだけだからどのみち学校に行くしか無い」
ハグカナーン「なるべく目立たないようにして急ごう」
アニメ穂乃果「う、うんっ」
ダヨオ「ふーむ……サトゥルヌスをコントロール……ねぇ」
─────────────────
浦の星女学院
旅館
AM10:04〜AM10:07 新終末編『265』了
-
というわけでここまで
宇宙怪獣は倒すことができたものの……?
新終末編『266』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『266』
─────────────────
──旅館前・ヘリ内
AM10:07
アニメ穂乃果「でもこっそり行くってどうするの?」
アニメ穂乃果「ヘリで移動したらどれだけゆっくり動いても音で見つかっちゃうんじゃ……」
ハグカナーン「だったらヘリ降りて歩いていく?時間はかかっちゃうけど」
アニメ穂乃果「うーん……」
オカン「サトゥルヌスは自分の相手のできる強者を探しとるようやし、人間の乗ったヘリなんて大して気にせんやろう」
オカン「なるべく大きく迂回して近付かんように行けばええんとちゃいます?」
英玲奈「そうだな、ここで迷っていてもどのみち見つかることに変わりはない」
アニメ穂乃果「……わかった、オカンに任せるよ」
オカン「じゃあ発進!」
ポチッ
ババババババババババババッ!!
アニメ穂乃果(ヘリが上昇、けれど直線的に学校へは向かわず、大きく陸地側に迂回してサトゥルヌスを避けるコースを進む)
アニメ穂乃果(まぁコースを変えただけで空を飛んでいたらサトゥルヌスに見つかるのは変わらない)
サトゥルヌス「………」
アニメ穂乃果(その私たちの乗ったヘリを視界に捉えたであろうサトゥルヌスは>>355)
-
笑顔で大きく手を振り続ける
-
アニメ穂乃果(私たちの乗ったヘリを視界に捉えたサトゥルヌスは、笑顔で大きく手を振り続ける)
アニメ穂乃果(あの宇宙怪獣にトドメをさした筋骨隆々の巨人とは思えない満面の笑み)
サトゥルヌス「…………」ニンマリ
ブンブンッ!! ブンブンッ!!
アニメ(友好の証である笑顔がどこか不気味に思えて、私は思わず窓際から飛び退いてしまう)
アニメ穂乃果「ひっ!」ガタンッ!
ヨハネ「何よあの反応……私たちのことをどう思ってるわけ?」
ハグカナーン「単に敵意や殺意を向けられるより分かりにくくて困るね」
ハグカナーン「疑い深い私なんかは笑顔で誘って近づいた瞬間にドカーンとか考えちゃう」
英玲奈「同感だな」
アニメ穂乃果「ど、どうする?何か話しかけて見る?」
オカン「相手がスルーしてくれるんならこっちから構いに行く必要はないんやない」
アニメ穂乃果「うん……そうかもね」
アニメ穂乃果「海未ちゃんたちが心配だし今は急ごう!」
-
ババババババババババババッ!!
アニメ穂乃果(私たちがヘリが移動して学校へ近づいてもサトゥルヌスはまだ笑顔で手を振り続けている)
アニメ穂乃果(何がしたいか全然わからない、けど分からないものを考えている時間は今はない)
アニメ穂乃果(それより確かなこと、海未ちゃんたちが受けた被害を確認しに行かないと!)
・
・
──浦の星女学院・上空
ババババババババババババ!
アニメ穂乃果(そうしてやってきた学校の上空)
アニメ穂乃果(海未ちゃんたちが音信不通になったということは学校の敷地にも宇宙怪獣の被害が及んだということ)
アニメ穂乃果(まずパッと見で分かる校庭の様子は>>358)
-
地割れだらけ
-
アニメ穂乃果(ぱっと見て分かる校庭の様子は地割れだらけ)
アニメ穂乃果(校舎は崩れてはないものの窓ガラスが割れたり壁にヒビが入ったりしていた)
オカン「ふーむ……思ったほど派手に崩れてはない……でもクローバーが校舎を改造してこれか」
オカン「もし改造して耐久力を上げていなかったらと考えるとゾッとするなぁ」
アニメ穂乃果(オカンの言うとおり校庭や校舎は壊れているものの、壊れ具合は大きな地震にあった程度)
アニメ穂乃果(最終形態まで進化した宇宙怪獣の攻撃の余波を食らったにしては形が残ってるほうだ)
英玲奈「スターニシキノの艦が2つ共ひっくり返っているな、アレもう飛び立てないんじゃないか?」
オカン「クローバーが手を加えたのは建物と敷地だけやからなぁ、スターニシキノの船員たちは諸に食らってご愁傷様や」
ヨハネ「見てあそこ!校庭の端にテントみたいのがあるわ!あれだけダメージ受けてないわよ!」
オカン「んん?」
アニメ穂乃果(ヨハネちゃんが指差す先を皆で見ると確かにブルーシートで作ったようなテントがあった)
アニメ穂乃果(地割ればかりの校庭で明らかに耐久力のない素材で作られたテントはピンピンしている)
アニメ穂乃果(重い飛空艇が吹き飛んで転がっているのに明らかに不自然だ)
アニメ穂乃果「オカン!あのテントの横に降りよう!」
オカン「了解っ」ポチッ
-
・
・
ババババババババババババッ!!
アニメ穂乃果(そうしてヘリが校庭へ降下するとテントの中から1人の女の人が出てきた)
アニメ穂乃果(外見は希ちゃんを大人にしたらこんな感じかなーって外見の人)
アニメ穂乃果(その人はヘリの中の私たちの姿を見ると手を口に当てて何かを叫ぶ)
オカン「待ち待ち、今扉開けるから――」ポチッ
ガララララッ
マザー「オカーン!そっちは無事やったんやねー!」
オカン「はぁ……それはこっちの台詞や、よくこんな校庭にいてテントが吹き飛ばなかったなぁ」
マザー「それは>>361したからやな、実際ギリギリやったで」
-
無敵バリアー
-
マザー「無敵バリアーしたからやな、実際ギリギリやったでー」
オカン「バリアー?」
バサッ!!
ダストボックス「何がバリアーだ適当に言いやがって、人のメインウェポンを壊したんだから正確に伝えろ」
マザー「ごめんごめん、冗談やから怒らんといてぇな」
アニメ穂乃果「ダストボックス!」
アニメ穂乃果(理事長と一緒に校庭に降りたはずのダストボックスがテントから出てくる)
アニメ穂乃果(彼女だけじゃなくぺぺちゃんやコトーリさん、あと知らない女の子も一緒だった)
マザー「まぁ種を明かしてしまうと、サトゥルヌスの攻撃の衝撃を打ち消すのにダストボックスの靴を使わせて貰ったんや」
マザー「ダストボックスのダストシューズは踏んだ対象を消すことができるから、それをバリア代わりに利用したわけ」
オカン「はぁ〜ん、なるほどなぁ確かに範囲は狭いけど無敵バリアと変わらん性能や」
ココロ「そして!その靴を履いて防御をしたのは他でもない天使様なのです!!」バッ!!
アニメ穂乃果「コトーリさんが?」
コトーリ「うん」コクンッ
ダストボックス「自分で言うのも情けないが、私ではもしもの時に間に合わない可能性があった」
ダストボックス「だから宇宙怪獣との戦いが激しくなった時点で、私より種族的に感知能力と身体能力に長けてるコトーリに貸していたんだ」
-
ココロ「くくくっ、そうですこいつは頼りないのです、ぷぷぷー」
ダストボックス「……言っておくが神域にいる相手に対して自分を正当に評価しての判断だからな」
ダストボックス「お前くらいなら道具無しでも2秒で殺せるぞ」
ダストボックス「試してみるか……?」ギロッ
ココロ「ひいっ!助けて天使様!」ザッ!!
コトーリ「おーよしよし」ナデナデ
アニメ穂乃果(うーん……調子が良いのかビビリなのか分からない子だなぁ)
アニメ穂乃果「まぁでも大体理解したよ、ダストシューズをコトーリさんが使ってテントを守ったんだね」
コトーリ「うん、いっしゅんでひゃっかいくらいけった」
コトーリ「まざーのそーまをのんでいたからいまはちょっとげんき」ムフー
ココロ「凄かったんですよ!靴裏くらいの面積を手数で補って衝撃波を全部消しちゃったんです!」
ダストボックス「おかげでダストシューズは負荷がかかり過ぎて壊れてしまったがな、本来はあんなデカイものを一気に消す道具じゃないんだ」
マザー「まぁまぁ、事態が解決したらうちのコネ使って同じようなもんプレゼントしたるから」ポンポンッ
ダストボックス「本当だろうな……」
オカン「とにかく無事ならええわ、うちは校舎の中のもんらが無事が確認してくるから」
スタスタ
マザー「あ!中に行くんならクローバーや鞠莉たちに1つ伝えてくれる?」
オカン「……ん?なにを?」
マザー「ワームホール発生装置の起動実験や、それにちゃんと成功したってな!」
─────────────────
ヘリ内〜浦の星女学院
AM10:07〜AM10:10 新終末編『266』了
-
というわけでここまで
オカンとマザーの関西弁はちょっと差別化しようとしてるのだが安定しない
ネイティブではないのでバリエーションが分からないのだ
人がごちゃごちゃしてきたので次の最初に軽くまとめます
新終末編『267』に続く
かもしれない
-
浦の星周辺の人まとめ
またすぐ人が移動してしまうと思いますがとりあえず
http://urx3.nu/HUli
では本編へ
-
新終末編『267』
─────────────────
──浦の星女学院・校庭
AM10:10
オカン「ワームホール……?」
マザー「そうそう、クローバーたち見つけたらそれだけ話してくれたらいいから」
オカン「何かは知らんが了解、校舎捜索隊に参加したい人はうちについて来てぇな〜」
タタタッ
アニメ穂乃果「あ!海未ちゃんたちが心配だから私は行くよ!」
英玲奈「穂乃果1人では心配だ、私もついて行こう」
ダストボックス「なら私とぺぺペペーンも行くか、ここにいてもやることないだろう」
ぺぺペペーン「そうね」
タタタッ タタタッ
ダヨオ「ふむ……」
ダヨオ(校舎の中にオカン穂乃果英玲奈、そして後2人が向かう)
ダヨオ(私も行きたい気持ちはあったけど……それよりワームホールという響きが気になった)
-
ダヨオ「ええと……マザーさん?だっけ?」
マザー「スピリチュアルマザー、マザーって気軽に呼んでいいよ〜」
ダヨオ「ありがとう、私は奇跡ダヨオって言うんだ」
ダヨオ「マザーに聞きたいんだけどワームホール発生装置ってどういうもの?」
マザー「うん、じゃあ今からその説明をしようか、他の皆もテントの中に入っておいで」
スタスタ スタスタ
マザー「装置はその名の通りワームホールを発生させる装置」
マザー「とある理由から起動が難しやったんやけど……状況が変わって起動できるようになったんや」
マザー「今は試運転代わりにホールの先を>>368に繋げてある」
-
マリアナ海峡
-
マザー「ホールの先をマリアナ海峡に繋いどる」
ダヨオ「マナリア……海峡?」
ハグカナーン「マリアナ海溝だね、世界で1番深い海溝として知られている」
マザー「そうそうそれそれ」
ダヨオ「海溝って海のすっごい深い所だよね、そんなところと繋いで大丈夫なの!?」
マザー「まぁ設定で向こうの海水がホールの中には流れ込まないようにしとるから平気っちゃ平気」
マザー「ただホールの中に海水が
入るとブラックホールに変化するらしいから注意は必要や」
ダヨオ「ええぇぇ……?」
ハグカナーン「それを知ってて何でマリアナ海溝に繋げるか分からないね、頭おかしいのかな」
マザー「うっ……」
マザー「でもほら!既に海水が入ってたとしたらうちらは生きてないし、逆に生きてるってことは防水はちゃんとしとるってことや!」ウンウン
ダヨオ(マザーは自分に言い聞かせるように意味のない納得をする)
ダヨオ(とてもじゃないけど防水確認のために命をかけるとは信じられないし、わざわざマリアナ海溝に繋げた説明にはなっていない)
-
ダヨオ(テントの中に入ったマザーは私達の疑惑の視線に耐えられなくなったのか、渋々と言った様子で話し始める)
マザー「あー……すまん、ちゃんとイチから説明するわ」
マザー「ワームホール発生装置を起動するにはコズミックエナジーをぶちこむスイッチってデバイスが必要でな」
マザー「うちが持ってる唯一のスイッチがこのデンジャラススイッチ」
ダヨオ(マザーはそう言うとテーブルの上に置いてあった、握ったら手に無数の切り傷ができそうな危ない形のスイッチを摘み上げた)
マザー「こいつは大量のコズミックエナジーを集められる代わりに特殊な性質があって……それが困りもんなんや」
ダヨオ「性質?」
マザー「はじめにワームホールを繋げた場所がとてつもなく危険な場所に繋がる性質」
ハグカナーン「それはデンジャラスだな……」
マザー「スイッチを刺して二回目以降は普通に任意の場所に繋がるらしいけどな」
マザー「溜めたコズミックエナジーが切れて、供給のために一度取り外したら次の最初はまたデンジャラス」
ダヨオ「ふ〜ん、だったら早く切り替えちゃったほうがいいんじゃない?」
マザー「うちもそう思う、けどちょっと見てほしいものがあるんや」
ダヨオ「見てほしいもの?」
マザー「ワームホールの先のマリアナ海溝の景色に>>371」
-
巨大生物の骨だらけ
-
マリアナ海溝のに浮かぶお城
-
マザー「ワームホールの先のマリアナ海溝の景色、たぶん海溝の底やと思うけど……見てみ」
ダヨオ「わっ!何この大きな骨!?」
マザー「驚くやろ?普通の生物のものとは思えん巨大な骨がゴロゴロしとるんや」
ダヨオ「すごい……」ゴクッ
ハグカナーン「ここってマリアナ海溝の深部だよね、最深部であるチャレンジャー海淵に近い場所だとしたら光も届かない世界のはず、光源はどうしてるの?」
マザー「光はワームホールがこっちの光を届けてるんやないかな」
マザー「向こう側からの侵入は全部シャットアウトしてるけど、こっちからの移動に制限はかけてないからな」
マザー「あんたもワームホールに入ればマリアナ海溝にダイブできるで?」
ハグカナーン「遠慮しとく、水圧で潰れたくないし」
ヨハネ「地球の深淵……くくっ、堕天使に似合う中々惹かれる言葉ね」
吸血鬼穂乃果「なら突っ込んであげる?」グイッ
ヨハネ「のうのうのっーーう!」
ブンブンッ
-
ハグカナーン「まぁ向こうに行くのは別にして、これだけ巨大な骨を持ってるとなると確かに既知の地球生物ではないだろうね」
ハグカナーン「大昔に滅んだ古代生物やUMAといった幻想種のカテゴリに入る生物とか……」
ダヨオ「でもなんでマリアナ海溝に?」
ヨハネ「古代人が実験で作り出した生物を廃棄してたのよ!間違いないわ!」
ハグカナーン「うーん……そこは推察の域を出ないね」
ヨハネ「むっ、ロマンが無いわねぇ」
ハグカナーン「仮に分かった所で今は役に立たないし」
ヨハネ「はい!サトゥルヌスをワームホール通してあそこにぶち込む!」
ハグカナーン「どうやって誘導してどうやって穴に入れるの?ヨハネが囮になる?」
ヨハネ「じゃ、じゃあいっそブラックホールを作って……」
ハグカナーン「サトゥルヌスの前に私たちが死ぬよ、てか下手したら地球が死ぬ」
ヨハネ「むむぅ……」
マザー「まぁまぁ、うちも見て欲しかったってだけで大したことは考えてないよ」
マザー「いつまでも海溝と繋いでても仕方ないし別の場所に切り替えようか」
ハグカナーン「ん?そういえば任意の場所に変えることができるのか、どうやるの?」
マザー「それは簡単、>>375」
-
周りの人を手当たり次第ハグしてワシワシ
-
マザー「周りの人を手当り次第ハグしてワシワシした後に目的地を思い浮かべて、装置に接続されたスイッチを押せばワームホールが繋がるで」
ダル子「なるほど、コズミックエナジーだっけ?エネルギーになるそのエナジーは沢山あるの?」
マザー「コズミックエナジー自体は腐るほどあるで、なぜならお空から降り注いでおるからな」
ダル子「空……?」
マザー「ああ、コズミックエナジーは宇宙から空にある特異点を通って降り注ぐ謎のエネルギー」
マザー「本来内浦の空は特異点では無かったんやけど……あることが起こって宇宙と繋がる穴ができた」
ハグカナーン「……!宇宙怪獣の大気圏を貫いた破壊光線か!」
マザー「せや、宇宙怪獣の攻撃で何か上空の大気に何か変化があったのか、急にあれ以降スイッチがエネルギーを感知しはじめた」
-
ハグカナーン「それはすごいな……空の特異点って地上で言ったら龍脈みたいなものでしょ」
ハグカナーン「ただ落ちてくるだけで星の環境を変えちゃうなんて、やっぱり宇宙怪獣はとんでもないやつだったわけだ」
ダル子「スイッチ自体のエナジーを溜められる量は?」
マザー「デンジャラススイッチはデメリットがある分溜められるエナジー量は多いで」
マザー「1発起動してみた感じだとワームホール発動5回分はいけるんやないかな」
ダル子「そっか……それなら良かった」
ハグカナーン「ダル子?」
ダル子(何かを察したようなハグカナーンの視線を受けつつ、私は前に進み出て皆のほうへ振り返る)
ダル子「みんな聞いて!1つお願いがあるの!」
ヨハネ「お願い?」
ダル子「うんっ」コクンッ
ダル子「私に1回だけ、このワームホールを使わせてほしいの!」
─────────────────
浦の星女学院・校庭
AM10:10〜AM10:15 新終末編『267』了
-
というわけでここまで
まとめた直後に人が分かれる
仕方ないのだ
新終末編『268』に続く
かもしれない
-
をつ
稀によくある
-
新終末編『268』
─────────────────
──浦の星女学院
AM10:15
ダル子「このワームホール装置、私に使わせてくれないかな?」
マザー「ダル子に?」
ダル子「そう、スイッチに溜まったエナジーはいっぱいあるんでしょ?だったら1回くらい使わせて!」
マザー「別に構わへんけど……どこに繋げる用事なん?」
ダル子「外郭界!」
ハグカナーン「……!」
マザー「……ほう?中々面白い地名が出たな」
ダル子「実は私さっきまで外郭界で探索班の皆と一緒にいて、お姉ちゃんたちのケンカのせいで急に内浦に飛ばされちゃったの」
ダル子「だから皆に連絡取っておきたいなって思うんだ」
ダル子「あそこは普通の通信が届かない世界の狭間だけど、ワームホールを使えば直接話せるでしょ?」
マザー「ふむ……そういうことなら分かった、ただフードマンの軍勢が入り込んで来ない場所にしてな」
ダル子「大丈夫、イメージするのは船の中だからっ」
ハグカナーン「……そういえばダル子、あっちでナンパしてたって聞いてたけど何で?」
ダル子「うっ……ほ、ほら!情報収集の一環で……」
ハグカナーン「へー」
マザー「ナンパ?何人くらい成功したん?」
ダヨオ「へ?そうだなぁ、ナンパ自体は連敗も連敗、成功したのは>>381って子1人くらい……かも」
-
かすかす
-
ダヨオ「かすかすって子1人くらい……かも」
ハグカナーン「なんだかんだ言って成功してるんじゃん」
ダヨオ「偶々だよ偶々!奇跡的に1人!」
ハグカナーン「本当に〜?本当はナンパ成功して嬉しいんじゃないの〜?」ジーッ
ダヨオ「ぐ……」
ダヨオ(ちょっとハグカナーンがうざかったので、私はハグカナーンに抱きついて胸を揉みしだく)
ギュッ! モニュモニュモニュモニュ!!
ハグカナーン「のわぁあああああああっ!?な、何するのダヨオ!?」
ダヨオ「装置を起動するために誰かに抱きついて胸を揉む必要があるんでしょ?誰でも良いならハグカナーンでもいいかなって」
ハグカナーン「誰でも良いなら私じゃなくても……んんっ!」ビクンッ!
ダヨオ「ほら、ハグカナーンはハグ好きだし」
ワシワシ ワシワシ
ハグカナーン「自分からするのは好きだけど……強引にされるのは……ひゃううっ!!」
ビクンビクンッ!!
-
ダヨオ「マザー、揉むのってこれくらいでいいの?」
マザー「人数と時間は乳の大きさと反比例する感じやな、うちの時は周りに胸大きい人がおらんかったから数人揉んだけど……」ジーッ
マザー「まぁその子くらいの大きさがあれば一回の起動には充分やろ」
ダヨオ「よしっ」パッ
ハグカナーン「はふぅ……」ヘロヘロ
ダヨオ(充分揉みしだいた所でハグカナーンを開放してあげて、私はワームホール発生装置の前に立つ)
ザッ
ダヨオ(確かホールを繋ぐ場所をイメージしながら装置にセットしてあるスイッチを押せばいいんだよね)
ダヨオ(……ってうおっ、本当にスイッチの周りを無数の刃物が囲んでるな、指切らないように気をつけて押さないと)
ソーッ
ポチッ
ダヨオ(そして注意深くデンジャラススイッチを押すと、装置の中のワームホール……その景色が海底から木造の船の内部に変化する)
キュィィィィィィィィンッ!
ダヨオ(ナグルファル――私が乗っていた、今は外郭界にあるはずの船だ)
ダヨオ「成功……かな」
ダヨオ(私が恐る恐るワームホールの先の景色を覗き込んでいると、ホールの向こう側に>>384)
-
乱痴気騒ぎしてる様子が見える
-
ダヨオ(ホールの向こう側に乱痴気騒ぎしてる様子が見える)
『うひょーーーー!』
『おほーーーーーーっ!!』
『いえぇーーい!』 『ひゃおーーーーーーうっ!!』
ドンドン! パフパフッ!! ピューッ!!
ダヨオ「なんだこれ……」
ダヨオ(船員さんやポポポポーンが歌えや踊れやの大騒ぎ、後ろで壁に頭を突っ込んでるのはフリュム……なのかな)
ダヨオ(とにかく皆がお酒でも飲んだみたいにアホになっている)
ダヨオ(そんな予想外の光景に私が驚いてると、ワームホールの先に横から顔を出してくる人がいた)
??『あれ〜?なんでしょうこれ、さっきまでこんなの無かった気がするんですけどー』
ダヨオ(その人……というか女の子は不思議そうにワームホールを覗き込んでいる)
-
マザー「誰?」
ダヨオ「ええと……この子がかすかすちゃんです」
かすみ『あっ!ダヨオ先輩じゃないですかっ!』ピコッ!
ダヨオ「うわ見つかった!」ビクッ!
マザー「そりゃ双方向共に光や音の通過を許可設定にしとるからな、そうやないと話せないやろ」
かすみ『うわとはなんですか〜!それとかすかすじゃなくてかすみです!か・す・み!』
ダヨオ「……わ、分かったよかすみちゃん」
かすみ『はいっ』ニッコリ
ダヨオ「それでこの乱痴気騒ぎをしてるのはどうして?」
かすみ『あーこれですか、先輩が急に虚空に消えてかすみ寂しくなったんですよ〜』
かすみ『だから暇になりすぎて皆の飲み物に楽しくなるクスリを混ぜちゃいました』テヘッ
ダヨオ「てへっ……じゃないよ!?」
かすみ『まぁ大丈夫ですよ、弱いクスリなので>>387』
-
鼻血がでるまで興奮したら治まる
-
かすみ『弱いクスリなので鼻血がでるまで興奮したら治まりますよー』
ダヨオ「そっか、それなら良かった……いや良くはないけど」
マザー「この子なんなん?」
ダヨオ「かすみちゃんはちょっとおかしいだけで悪い子では無い……たぶん」
マザー「人にこっそりクスリを盛るような子がかぁ?」
かすみ『そうですよー、誰か分からないけど失礼なこと言わないでくださいおばさん!』
マザー「ああんっ!?」ピキッ
ダヨオ「こーら、かすみちゃん余計に反感買うようなこと言わない」
かすみ『す、すみません』
ダヨオ「私がこっちに転移しちゃった理由と現状の説明をしたいから皆を落ち着かせて……そうだな、ことりちゃん辺りを呼んできて!」
かすみ『はいっ!分かりました!』
テテテテッ!
-
ダヨオ(元気よく返事をするとかすみちゃんはワームホールの前から離れて走っていく)
ダヨオ(かすみちゃんは確かに面倒な所があるけど、こういう時に余計な疑問を持たずに動いてくれるのは助かる)
ダヨオ(『目の前の変な穴に対する疑問<とりあえず私のお願いを叶える』という行動原理は都合が良い)
ダヨオ(これで私以外の人にも同じくらい優しくしてくれたらなぁ……)
ダヨオ(私にも懐いてくれて良い子だけど他の人と摩擦を生みやすい言動が玉に瑕)
ダヨオ「ごめん、皆ちょっと待っててね」
マザー「別に構わへんよ、向こう側の話も聞いてみたかったとこやしな」
ハグカナーン「そうそう……私のを揉んだんだから有益な話をしてよね」プイッ
ダヨオ「ありがとう」
ダヨオ「ことりちゃんたちと情報共有ができたらちゃんも皆にも話すよ」
ダヨオ「私たちが外郭界で何をして来て何を得たのか、その全部を――」
─────────────────
浦の星女学院・校庭
AM10:15〜AM10:20 新終末編『268』了
-
というわけでここまで
かすかす登場
新終末編『269』に続く
かもしれない
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新終末編『269』
─────────────────
──浦の星女学院・校庭
AM10:20
ダヨオ(かすかすちゃん……でなくかすみちゃんがワームホールから離れて遠くへ走っていくと、見えない所でドタンバタンと騒がしい音がする)
ダヨオ(そして一通りの音が止むとワームホールの前にことりちゃんが現れた)
ことり『う……うう……こ、これ?』
かすみ『そうこれです!この穴の向こうに先輩がいるんです!』
ダヨオ(一応ワームホールは通り抜けできる穴なんだけど、こうして見るとテレビ電話みたいにも思えるな)
ことり『はぁ……はぁ……』
ダヨオ(ことりちゃんは鼻から真っ赤な血の跡を流しながらフラフラしていた)
ダヨオ「ことりちゃん!」
ことり『ほ……ほんとだ、ダヨオだ、今どこにいるの?』
ダヨオ「それは今から説明する、それよりことりちゃん大丈夫?少し休んだほうがいいんじゃない?」
ことり『だいじょぶ、>>392をして鼻血を出してクスリは切れたから……そのうち体力も回復してくると思う』
-
やっぱり“ことほの”なんだよちゅんなぁ…
-
ことり『ことほのをして鼻血を出してクスリは切れたから……』
ダヨオ「ことほの?」
ことり『そうそう、手っ取り早く興奮したい時もやっぱり“ことほの”なんだよちゅんなぁ……』ウヘヘ
ダヨオ「う、うん」
ダヨオ(意味が分からないけどこれ以上深く聞くのはよそう、私の本能がそう言っている)
ダヨオ「じゃあ今からこっちの状況を説明するね、私が知らないとこもあるだろうからマザーとハグカナーンも協力してくれる?」
マザー「もちろんっ」
ハグカナーン「構わないよ」
ダヨオ「ありがとう、まず話すのは――」
・
・
-
・
・
ことり『――そっか、宇宙怪獣で……サトゥルヌスが……私たちがいない間にそんなことになってたんだ』
ダヨオ「うん、私もさっき転移してきた詳しくは知らないんだけどね……」
マザー「城は城のほうでフードマンの手下に攻められて大変なことになってるみたいやな」
マザー「拠点側の事情が関わってるみたいやけど……ことりちゃんは何か知らん?」
ことり『あー……心当たり無くはないないか……も』
マザー「ほんとか!?」
ことり『うん、でもそれを話すには私たちが外郭界でしてたことをイチから話した早いと思う』
マザー「それでいいで、こっちも腰を据えて聞くつもりやったからな」
ダヨオ(……と、そんな感じでこちらの状況を話し終えた時、テントに外から人が入ってきた)
ガバッ!
アニメ穂乃果「みんなっ!……って良かったここに全員いた」
ダヨオ「穂乃果ちゃん?」
ダヨオ(穂乃果ちゃんは少し息を切らしている、急いで走ってきたのかな)
ことり『お、私の穂乃果ちゃんじゃないほうの穂乃果ちゃんか』
ダヨオ「別にどっちの穂乃果ちゃんもことりちゃんのものではないと思う」
マザー「その論争はどうでもええけど、穂乃果ちゃんは校舎の方の確認をしてきたんよね?」
アニメ穂乃果「ああそうそう、中の皆の様子は気絶してたくらいで大きな怪我は無かったよ」
アニメ穂乃果「それと>>395」
-
サトゥルヌスが彼方の「千年子守唄」で眠ってる
-
アニメ穂乃果「それと……サトゥルヌスの一時沈静化に成功したみたい」
マザー「ほんとか!?」
アニメ穂乃果「うん、彼方ちゃんって子の「千年子守唄」って技で眠らせたって聞いたよ」
マザー「彼方……あの眠っていた信者の子か、まさかサトゥルヌスに効く技を持ってたなんて思わなかったな……」
ハグカナーン「でもそれが本当なら大成果だよ、あいつの扱いは私たちも困っていたとこだし」
ダヨオ「他の人……海未ちゃんたちは無事だったんだよね?」
アニメ穂乃果「うん、屋上にいた海未ちゃんたちは衝撃で意識を失ってた」
アニメ穂乃果「校舎の中にいた人たちも同じようにほぼ気絶、意識があったのは鞠莉さんと寿限無ちゃんと……あと善子ちゃんって子くらいかな」
アニメ穂乃果「私たちが校舎に入った時には3人で他の人の介抱をしてたよ」
ダヨオ「そっか、怪我がないなら良かったよ」
ヨハネ「善子……?他人とは思えない名前ね」
アニメ穂乃果「ああ、そういえばヨハネちゃんと顔が似てたような――」
マザー「待って、気絶しなかったのがその3人だとしたら彼方ちゃんは?」
アニメ穂乃果「へ?ああ、彼方ちゃんは逆に寝てたところをサトゥルヌスの衝撃で起こされたみたい」
アニメ穂乃果「不意に起こされて不機嫌だった彼方ちゃんはダルそうに走って屋上まで駆け上がって」
アニメ穂乃果「寝袋の中に入っていた>>397を使って、海岸の道を歩いていたサトゥルヌスに術をかけたんだって」
-
メガホン
-
アニメ穂乃果「寝袋の中に入っていたメガホンを使ってサトゥルヌスに千年子守唄をかけたんだって」
アニメ穂乃果「今サトゥルヌスは丁度内浦と沼津市中心の間くらい?の位置で立ったまま寝てるみたい」
ハグカナーン「へー、英玲奈たちは?」
アニメ穂乃果「私以外の人はさっきも言った通り皆を介抱してたり、内浦クレーターのほうで倒れてるウミトラマンたちを助けに行ったりしてるよ」
ハグカナーン「なるほど、サトゥルヌスが沈静化して救助の手数も足りてるのなら、私たちはテントで話をしていて大丈夫かな」
アニメ穂乃果「話?」
ことり『そう、時間があるなら穂乃果ちゃんも聞いていって』
アニメ穂乃果「わっ!変な装置の穴の向こうにことりちゃん!?」
ことり『これから話すのは私たちがナグルファルに乗って名古屋から離れた後の話』
ことり『砂の大地が広がる外郭界を探索した結果、私たちが見つけたものについての話だよ』
ことり『そうだね……まずは外郭界に着いてからすぐ起こったあの出来事について』
ことり『そこから全容を話していくことにするよ』
─────────────────
浦の星女学院・校庭
AM10:20〜AM10:25 新終末編『269』了
-
というわけでここまで
少し短めですねすいませぬ
次からはいよいよことりちゃん編の続き
半年ちょいぶりくらいですね
新終末編『270』に続く
かもしれない
-
新終末編『270』
─────────────────
──外郭界・上空
AM??
──ナグルファル内・操舵室
ことり(私たちの世界をナグルファルが旅立ってから1時間くらいの時間が流れた)
ことり(といってもあくまで私の体感時間なので、外郭界の時間の流れが私たちの世界の時間と同じかは分からない)
ことり(スマホの画面を確認してみても、外郭界に入って最初に確認した時のまま、ピタリと固まって動いている様子はない)
ことり(スマホではない普通の時計や、ナグルファルに備え付けの異界対応時計なんかもバラバラの時間を指し示しているようで……結局時間は不明なまま)
ことり(船長であるフリュムや船のシステムと連結しているレイちゃんたちが何とか調整しようとしてるみたいだけど……)
レイ「あーーもう!機器が全然ちゃんと働きませんですーー!!」プスー!
フリュム「一応異界渡りの船としての機能は備えてるんだが、どこの世界にも当てはまらない外郭界じゃまた勝手が違うのかねぇ」
ポポポポーン「諦めずに調整だけは進めてみましょう!」
ことり(……うーん、まだダメみたいだね)
ザッ
髑髏穂乃果「こうなるとお前が導き出した座標のみが頼りだな」
ことり「髑髏穂乃果……」
ことり(私の横に音を立てず髑髏穂乃果が並ぶ)
ことり(髑髏穂乃果はミナ仮面の部下だったけど、今はどうやら自分の思惑のために私たちに協力してるみたい)
ことり(彼女が私だけに話してくれた『自分の正体が大罪穂乃果の1人、虚飾の穂乃果である』ということ)
ことり(あれが本当だとしたら髑髏穂乃果の狙いはいったい……)
髑髏穂乃果「くくっ、そんなに訝しげな顔をしなくてもいい、私は間違いなく味方だよ」
ことり「…………」
-
タタタッ
ダヨオ「座標の話?今話してた座標って元魔王が囚われてる場所のことだよね」
ことり「へ?ああうん、そうだよ」
ことり(髑髏穂乃果にどう対応しようか考えてると、元気よく駆け寄ってきたダヨオちゃんが話に入ってくる)
ことり(ダヨオちゃんの後ろにはダヨオちゃんと契約しているリホ様もいた)
リホ様「鏡の向こうに見えた景色は砂の地面に大きな岩が乱立してるような場所でしたね」
ダヨオ「うんうん!」
リホ様「ことりが能力で導き出した座標にレイが補正をかけ、ナグルファルの力で転移してきたのが今の状況」
リホ様「しかし目的の座標からはかなり離れた所に転移してしまった感じですね」
ダヨオ「だねー、今船のデッキに出て周りを見てきたけど全方角どこ見ても砂漠」
ダヨオ「サラサラした砂がずーっと広がっていて岩とかなんもない」
髑髏穂乃果「ふむ、目視では目立ったものは発見できない、船の計器も役には立たない、分かっているのは座標の方角だけ」
髑髏穂乃果「ならば現状はその方角にただ進むしかあるまい」
ポポポポーン「簡単に言ってくれますねぇ、計器がダメってことは船の速度も高度も分からないんですよ」
ポポポポーン「気流や重力の強さも分からないからちょっと速度を強めた瞬間に墜落も有りえます」
ポポポポーン「今はフリュムが船長としての勘で操作してはいますが……いつ事故ってもおかしくはない」
ことり「……ははは、そうならないことを祈ってるよ、ほんとに」
ことり(私達がそんな会話をしつつ、唯一の手がかりである座標の方向に向かっていた時)
ことり(突然>>402)
-
船が墜落
-
ことり(突然、船の高度がガクンっと下がる)
グンッ!!
ことり(操舵室の窓から見える景色がどんだん地面に近づいていく)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!
ダヨオ「お、落ちてる落ちてる!フリュム落ちてるよ!!」
フリュム「わかってら黙ってろ小娘!!」ググッ!
ことり(フリュムが特殊舵輪を操作して必死に船の高度を保とうとするけど間に合わない)
ことり(みるみるうちに船は地面へと近付いていって――――)
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!
ドシャァアアアアアアアアアンッ!!!!
ことり(砂の海へと墜落した)
-
・
・
トントン
髑髏穂乃果「ことり、大丈夫か?」
ことり「…………う、うん」
ことり(墜落の衝撃で派手に床に叩きつけられてうつ伏せに倒れたものの、幸い意識は失っていなかった)
ことり(私は痛む体に力を入れてどうにか立ち上がる)
グググッ
ことり「はぁ……」
髑髏穂乃果「よし、動けるなら平気なようだな」
スタスタ
ことり(そう言うと髑髏穂乃果は別の倒れてる人の所に行って私と同じように揺り起こす)
ことり(あんな墜落の直後だってのに1人だけ平然としてるな……怪我や動揺といったものが全然見られない)
フリュム「あ痛たたた……おい!誰か外の様子を見てきちゃくれねえか!」
フリュム「一応すぐに船を飛ばせるように復旧作業はするが外の様子が知れねぇと困る!」
ことり「分かった!じゃあ私が行ってくるね!」
ダル子「私も!」
タタタッ
タタタタタタッ
-
ことり(船の復旧をフリュムたちに任せて、私とダヨオは操舵室から出て通路を通り甲板へと出る)
バンッ!
ことり「……!」
ダヨオ「おおっ!砂!砂!砂!」
ことり「これは……飛び立つのに苦労しそうだね」
ことり(甲板に出て気付く、船の前方は深く砂の地面にめり込んでいて、甲板の高さが周りの地面とほぼ同じくらいになっていた)
ことり(甲板の端まで行けば小学生でも安心してジャンプで地面まで降りれる高さだ)
ことり「船が砂に埋まりかけてること以外の異変、周りに変な場所や危険な生物なんかは……>>406」キョロキョロ
-
骸骨犬の群れに囲まれた
-
ことり「危険な生物なんかは……」
グー! ワンワンッ!! ワンワンッ!!
ことり「……っ!」
ダヨオ「骨の犬!船の周りをたくさんの骸骨犬に囲まれてるよ!」
ことり(ダヨオの言うとおり、無数の骨だけの犬が船を取り囲んでこちらを睨んでいた)
ことり(骸骨犬だから目はないはずなのに目の部分にだけ赤い光が宿っている)
ことり(今のところ甲板に上がってくることはせずに遠くから吠えて威嚇しているけど……)
ことり「餌をあげたら懐いてくれる……って感じでは無さそうだね」
ダヨオ「むしろ私たちが餌になるパターじゃないかな」
ことり「嫌だなぁ、それは本当に避けたい」
ダヨオ「同感……だからっ!」
バッ!!
ダヨオ「リホ様!力を貸して!」
リホ様「もちろんです!」ポワンッ
-
ことり(ダヨオが契約しているリホ様を背後に召喚、そしてリホ様の手に光が集まり始める)
キュィィィィィィィィンッ!!
ダヨオ「集え!奇跡の光!」
リホ様「奇掃射――ミラクルサンライスシャワー!!」
ドンッ!!
ババババババババババババババッ!!
ことり(ミラクルサンライスシャワー……たぶん花陽ちゃんが使ってた掃射サンライスシャワーにダヨオの奇跡パワーを付与した合体技)
ことり(リホ様の手から放たれたマシンガンのような光弾の雨が、周囲を取り囲む骸骨犬に降り注いでいく)
ことり(適当にばら撒いてるように見えて一発たりとも外れはない、奇跡のような命中率だ)
ことり(光弾を食らった骸骨犬たちは>>409)
-
吸収して巨大化
-
ことり(だけど骸骨犬たちは砕けない)
ことり(直撃した光弾を吸収して骨自分の体を巨大化させていく)
ググググググッ!!
ことり(小型犬レベルだったものが中型犬大型犬……そして車やバスより大きくなっていく)
ことり(それも一匹じゃない、ダヨオが正確に全部に撃ち込んだせいで無数の骸骨犬が巨大化してしまっている)
骸骨犬「ガルルルルルルルルッ!!」
ダヨオ「えええええええっ!?」
リホ様「エネルギーを吸収して糧にするタイプでしたか、まさか私の光弾まで餌にされるとは……予想外でしたね」
ことり「エネルギーを伴った攻撃を吸収するのか、てことは私のバーニングデーモンも吸収されちゃいそう」
ダヨオ「冷静に言ってる場合じゃない!あいつら怒って今にも乗り込んで来そうだよ!」
ことり「うん、最悪船に立て籠もることを考えないと……リホ様、転移は使える?」
リホ様「どうでしょうね、外郭界で正常な転移ができるかは試してみないとわかりません」
ダヨオ「奇跡パワーも今使ったから少し時間経たないと使えないよ!」
ことり「……仕方ない、私がハッピーティアーで放水するからその隙に走って船内に――」
ザッ
骸骨穂乃果「なんだ、お前らこの程度に手こずっているのか」
ことり「髑髏穂乃果!?」
ことり(いつの間にか甲板に出てきていた髑髏穂乃果は私たちの前に出ると>>411)
-
骨を擦り合わせるような不快な音を口から出した
-
ことり(骨と骨を擦り合わせるような不快な音を口から出した)
キィー! キィー! キィー!
ことり「……な、なにこれっ!」
ダル子「ううぅー!背筋がゾクゾクする〜!」
髑髏穂乃果「嫌なら耳でも塞いでいろ」
髑髏穂乃果「こいつは骨鳴り――やつらの骨の体に直接振動を与える音波だ」
キィー! キィー! キィーーーーンッ!!
髑髏穂乃果「これならば……」
ピキッ ピキッ バキンッ!!
骸骨犬「グワウッ!?」
ダヨオ「おおっ!」
ことり(髑髏穂乃果が骨鳴りをするやいなや1番近くにいた骸骨犬の前足にヒビが入り砕ける)
ことり(音波で振動を伝えて破壊した?音は餌として吸収できないってことなのかな……?)
骸骨犬「ガルル……」ザリッ
ことり(そして一匹の骨が砕かれたのを察したからか、他の骸骨犬は後ずさりし一定のラインから近づいてこなくなる)
ことり(ずっと唸り続けてはいるものの、骨鳴りをかなり警戒しているみたいだ)
髑髏穂乃果「よし、牽制が効いているな、今のうちに態勢を整えるぞ!」
ことり「う、うんっ!」
─────────────────
外郭界・砂漠地帯
AM??〜?? 新終末編『270』了
-
というわけでここまで
外郭界探索編の始まりです
無事に目的地に着けるのか
新終末編『271』に続く
かもしれない
-
新終末編『271』
─────────────────
──外郭界・砂漠地帯
AM??
ダヨオ「態勢を整えるっと言ったって……どうするの?」
髑髏穂乃果「選択肢としては船に籠城するか今のうちに骸骨犬を倒すかのどっちだろ」キィー! キィー!
ダヨオ「というか普通に喋りながらどうやって骨鳴りしてるの」
髑髏穂乃果「今気にすることか?ホーミーみたいなものだよ」
ダヨオ「あーなるほど」
リホ様「ダヨオ?それで本当に納得できてます?」
ことり「今のうちにおさらいしよう」
ことり「光弾の件を見るに骸骨犬は熱エネルギーや運動エネルギーと言ったエネルギーを吸収してしまう」
ことり「ただ……音だけは別?」
髑髏穂乃果「別というより……これは骸骨犬の仕組みの問題だな」
髑髏穂乃果「やつらは骨と骨の隙間の虚空からエネルギーを内部へ吸い込む、逆に言えば骨自体をピンポイントで叩けば壊せるんだ」
髑髏穂乃果「骨だけに干渉する攻撃なら音による共振現象で破壊しても直接殴りに行っても構わない」
ことり「なるほど」
リホ様「今の説明を聞くに私が持つ遠距離攻撃系などは餌にしかなりませんね」
ダヨオ「私が奇跡的に骨だけにぶつけることができれば……どっちみち奇跡パワーが溜まってないからどうしようもないな」
髑髏穂乃果「戦うか退くかどうする?ことりがリーダーみたいなものだから私は判断に従うよ」
ことり「そうだね……>>415」
-
物理で殴る
-
ことり「そうだね……」
ことり(籠城する選択肢もありっちゃあり、だけど仮に船を壊されてしまったら私たちは詰んでしまう)
ことり(相手は外郭界の未知の生物、突っ込むのは無謀……?)
ブンブンッ
ことり(ううん、どのみち私たちがこれから挑むのはこれまで以上の困難な道、無謀くらいが丁度いい!)
ことり「よし!ここは物理で殴ろう!」
髑髏穂乃果「ふっ、良いぞ」
ことり「え?」
髑髏穂乃果「覚悟を決めて想いを口にするのは良いことだ、お前の想いは力になる」
ことり「……うん、そうだねっ!」
バッ!!
ことり(私は右腕を頭上に掲げて自分の想いを口に出す)
ことり「鋼の硬さは覚悟の硬さ!手にした重さは仲間の重さ!全ての壁を打ち砕く鉄槌を我が手に!!」
ことり「ぴゅあぴゅあマカロン!」
キュィィィィィィィィンッ!
ことり(私が天に伸ばした右手の先、上空にマカロン砲が出現する)
ことり(空中に浮いたままのマカロン砲は砲身を下向き……つまり甲板にいる私のほうへ向け、砲身の先からマカロンを発射する)
ポンッ!!
-
ヒューーーーッ!
ことり(投下された銀色のマカロンは落下中に段々と形を変えていき、銀色に輝くハンマーへとなっていく)
ことり(そして落ちてきたハンマーの柄を私の手がしっかりと掴む)
パシッ!
ことり「Silver Hammer Macaron!!」
ドンッ!!
ダヨオ「ハンマー型の……マカロン?」
リホ様「これまた直球なものが出てきましたね」
ことり「……うん、手に取った私には分かる」
ことり「このハンマーはとてつもない破壊力を秘めてる、それに加えて>>418」
-
持ってるだけで女子力UP
-
ことり「それに加えて、持ってるだけで女子力UP!」キュピーンッ
ダヨオ「ほんとだ!ハンマーを構えたことりちゃんがさっきより魅力的に見える!」
リホ様「それは必要な機能なのでしょうか……?」
ことり「よしっ!いっくよー!」
ダタッ!!
ことり(メタリックなハンマーは初めて持ったとは思えないほど手に馴染む、たぶん私の能力で作ったものだからだろう)
ことり(自分の背丈ほどある大きさのわりには片手で振り回せる適度な重さ)
グッ
ことり(いや……ハンマーが思ったより軽いというより今の私の体にいつも以上の力が漲ってるのかな)
ことり(心なしか床を踏みつける足の力や走る速さまで向上してる気がする)
ことり(もしかしたら女子力含めて、持つ人の力強さを高める効果があるのかもしれない)
ダンッ!!
ことり(私は甲板の端から溢れんばかりの力で踏み切ると、こちらを威嚇している骸骨犬の群れに飛び込んでいく)
ことり(全ての犬がバスやトラック並の大きさ、成長し過ぎにもほどがあるなぁ)
ことり(たぶん噛みつかれでもしたら体は普通の人間の私は一発でアウト)
-
ことり「髑髏穂乃果!サポートお願い!」
髑髏穂乃果「言われなくてもっ!」
キィーーーーーーンッ!!
骸骨犬「グッ……」ビビッ
ことり(髑髏穂乃果が骨鳴りで私の近くの骸骨犬の動きを封じる)
ことり(骸骨犬が音を嫌がるように体を捻って硬直させた隙、私はその隙を逃さずハンマーを……)
ことり「打ち込むっ!!」ブンッ!
バキバキバキバキッ!!
骸骨犬「ギャウウウッ!!」
ことり(骨と骨の隙間に当たらないように気をつけて、骨の真ん中に直撃させたハンマーの一撃)
ことり(それは骸骨犬の前足の1本を完全に砕き、その巨体を砂の地面にうつ伏せにさせる)
ダヨオ「いけるいける!」
ことり「通用する……でもっ」
骸骨犬の群れ「「バウバウバウバウバウバウバウバウッ!!」」
ことり「ちょっと多すぎないっ!」
髑髏穂乃果「私を信じてハンマーを振るっておけ」
髑髏穂乃果「うるさい骨犬どもに、もう1つ私の術式をくれてやる!」
ババッ!!
髑髏穂乃果「その名も>>421」
-
骨粗しょう症発症ビーム
-
髑髏穂乃果「骨粗しょう症発症ビーム!」
ビビビビビビビビビーーッ!!
ダヨオ「なにそれ!?」
ことり(黒マントの裾から出した髑髏穂乃果の手から黒い閃光が迸り、骸骨犬の一匹に当たる)
ことり(閃光に撃たれた骸骨犬は驚いて飛び退くものの骨にはヒビが入り……)
ピキッ! ピキッ!
ガクンッ!!
骸骨犬「ガウッ!?」
ことり(派手に着地した骸骨犬はその重みで自分の後ろ足の骨を折ってしまう)
ことり「これは……」
髑髏穂乃果「このビームを浴びたものは骨がスカスカになって脆くなるんだ」
ダヨオ「冗談みたいな名前から恐ろしい効果のビームだね」
リホ様「攻撃的なエネルギーは無く単に骨を劣化させるビームだから吸収はされないんですかね……」
髑髏穂乃果「共振させて骨を砕く骨なりと骨自体を脆くする骨粗しょう症ビーム」
髑髏穂乃果「この2つでお前を援護してやる!存分にハンマーを振るえ!」
キィーーーーーーンッ! ビビビビビビビビ!!
ことり「分かった!こうなったら全部砕いてあげる!」
ブンッ!!
─────────────────
外郭界・砂漠地帯
AM??〜?? 新終末編『271』了
-
というわけでここまで
ハンマーでガンガン
新終末編『272』に続く
かもしれない
-
新終末編『272』
─────────────────
──外郭界・砂漠地帯
AM??
・
・
ドゴーンッ!!
バゴーーンッ!!
髑髏穂乃果「次は9時方向!その次は4時方向だ!」
ことり「うんっ!」ブンッ!
ドガシャーーンッ!
ことり(骸骨犬との戦いが始まって10分くらい、私は全体の約半数の骸骨犬を倒すことに成功していた)
ことり(私の髑髏穂乃果のコンビネーションの良さ……まぁ髑髏穂乃果が上手く合わせてくれてるんだろうけど)
ことり(その相乗効果もあって骸骨犬退治はスムーズにいっていた)
ザッ
ことり「残りは……ん?」
骸骨犬ズ「「ギャウギャウッ!」」
ダダダダダダダダダダダダッ!
ことり(次の骸骨犬を砕こうとしたところで、骸骨犬たちが走って船から離れていく)
ことり「どうしたんだろう……?」
髑髏穂乃果「おそらく仲間がやられたことにビビって退散したんだろう、お前が追い払ったってことだ」
ことり「私そんなに怖くないよ?」
髑髏穂乃果「巨大ハンマー振り回してる女は一般的に怖いと思うが……まぁ良い」
髑髏穂乃果「ことり!その辺りに何か落ちてないか?」
ことり「何か……?」
ことり(何かと言われても周りには砂と骨の残骸しか転がっていない……)
キョロキョロ
ことり「ん?あれは……>>425」
-
ピラミッド
-
パンティ
-
ことり「ん?あれは……ピラミッド……?」ジーッ
髑髏穂乃果「ピラミッドが落ちてるのか?」
ことり「いやいや、ピラミッドが落ちてるわけないでしょ……」
ザッ ザッ
ことり(私は船の甲板の端に立っている髑髏穂乃果の元へ戻りながら、船とは反対側の遠くのほうを指差す)
ことり「あっち!骸骨犬たちが逃げていったほうにぼんやりとピラミッドみたいな建物が見えるの!」
ことり「あれって――」
ガチャッ
ことり「……んん?」
ことり(ピラミッドを指差しながら歩いてたら足が不思議な感触のものを踏んだ)
ことり(なんだろうこれ、感触が砂でも骨でもない何か……)
スッ
ことり「鍵……?」
ことり(手にとってみるとそれは15cmくらいの大きめの赤い鍵だった)
ことり(鍵の先の鍵穴に差し込む部分は普通の鍵には有り得ない複雑な形になっている)
-
タンッ
タタッ
髑髏穂乃果「おお、それだそれだ、その鍵が私が見つけて欲しかったものだ」
ことり(髑髏穂乃果は甲板から砂の地面に飛び降りると私が鍵を見つけた場所までやってくる)
ことり「この鍵はなんなの?状況を見るに倒した骸骨犬が落としていったものだよね」
髑髏穂乃果「ゲームで言えばドロップアイテムというやつだな」
髑髏穂乃果「この鍵は骸骨犬たちか根城にしている場所を開く鍵と言われている」
ことり「……そうなんだ、というか気になってたんだけどさ」
髑髏穂乃果「ん?」
ことり「髑髏穂乃果って妙に外郭界に詳しいよね、骨の犬のこととか、鍵のこととか」
髑髏穂乃果「ああ……それについては後でちゃんと説明するよ」
髑髏穂乃果「お前が見つけたピラミッド、おそらくそれがこの鍵で開く骸骨犬たちの根城だろう」
髑髏穂乃果「私の情報が正しければその根城は>>429という名前で呼ばれている」
-
呪殺の魔殿
-
髑髏穂乃果「その根城は呪殺の魔殿という名前で呼ばれている」
ことり「魔殿……行ってもろくなことが無さそうな響きの場所だね」
髑髏穂乃果「分かりやすく“骸骨犬の根城”と言ったが、魔殿は骸骨犬を始めとした砂漠地帯のスケルトン系生物たち全般が根城としている場所だ」
髑髏穂乃果「そこを住処にしている生物の種類や多さは場所によって様々、建物の形も様々だ」
ことり「じゃあ全部がピラミッドの形をしてるわけじゃないんだ」
髑髏穂乃果「ああ、だから鍵を見つけるまでピラミッドにピンと来ていなかったんだよ」
ことり「なるほど……」
ダヨオ「ことりちゃーん!奇跡パワーが回復したから何とか船を砂から掘り起こしてみるねー!」
ことり「うんおねがーい!」
ことり(ダヨオがリホ様と一緒に砂を吹き飛ばす作業を始めたため、私と髑髏穂乃果は船から少し離れる)
ザッ ザッ
髑髏穂乃果「……ふむ、ちょうどいいな、この待ち時間の間にお前に話しておこう」
ことり「え?」
髑髏穂乃果「私のことについてだ、お前も知っておいたほうが良いだろう?」
ことり「う、うん」コクンッ
-
髑髏穂乃果「私が大罪穂乃果の1人だということは言ったよな」
ことり「うん、確か虚飾の穂乃果だったよね」
髑髏穂乃果「世界改変の際に魔王によってはじき出され、深淵に落ちて砕け散った高坂穂乃果の心の欠片」
髑髏穂乃果「無数にバラけた心の欠片の中でも特に強い感情を宿していた欠片が大罪穂乃果だ」
髑髏穂乃果「感情を根源とした強い力を持っていた彼女らは他の欠片を吸収して肉体を形成」
髑髏穂乃果「自力で深淵から現世へ復活して、同じように復活してきた他の大罪穂乃果や深淵穂乃果と対立した」
ことり「…………」
ことり(プライド、グリード、大食い、お色気、地獄、嫉妬、羨望、怠惰、憂鬱)
ことり(みんな性格や目的は違っていたけど誰もが穂乃果ちゃんの一部であることに変わりはない)
髑髏穂乃果「ではその中で何故私だけがこんな特殊な立ち位置にいるのか」
髑髏穂乃果「それは私の元となった心の欠片が深淵からこの外郭界へ紛れ込んでしまったからだ」
ことり「な……!」
-
髑髏穂乃果「誰かが意図したものじゃない、おそらくは偶然」
髑髏穂乃果「ガラスの瓶を床に叩き付けた際に、1つの欠片だけが跳ねて遠くのタンスの隙間に入ってしまったようなもの」
髑髏穂乃果「私は高坂穂乃果の心の欠片の中で1人だけ……この砂漠の世界で目覚めた」
髑髏穂乃果「大罪穂乃果だったのが幸いし、私の体は人間と呼べる大きさまで回復したが辺りには何もなかった」
髑髏穂乃果「私は傍に落ちていたこのボロい黒マントと髑髏の仮面だけを拾って纏い、広大な砂漠の世界の探索を始めたのだ」
ことり「なるほど……だからモンスターの習性や建物について知っていたんだね」
髑髏穂乃果「1つ1つ体当たりで知っていった経験の積み重ねだよ」
髑髏穂乃果「そして……呪殺の魔殿」
髑髏穂乃果「あそこは今でこそスケルトン系生物の根城となっているが、元は別の用途で使われていた建物だと思う」
ことり「別の……?」
髑髏穂乃果「私は何度目かに発見した魔殿で『魔王』に関する痕跡を発見したんだ」
ことり「ええっ!?」
髑髏穂乃果「そいつは>>433」
-
最初の死者の棺
-
髑髏穂乃果「そいつは棺、最初の死者の棺だ」
ことり「棺……?それが魔王の痕跡なの?」
髑髏穂乃果「ああ、棺に関しては魔殿に着いた時にまた詳しく――」
ダヨオ「でっぇぇぇぇきたぁあああああああっ!!!!」
ドシャァァァァァァァンッ!!
ことり「ふぉっ!砂が舞い上がって……」ペッペ
髑髏穂乃果「ダヨオが船を掘り起こすことに成功したみたいだな」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ことり(砂地から解放されたナグルファルが砂を落としながら上昇していく)
ことり(どうやら船の航行システム自体も治ったみたいだ)
髑髏穂乃果「では行くぞ、次の目的地は決まった」
ことり「うん……呪殺の魔殿、あのピラミッドまでGO!だね!」
─────────────────
外郭界・砂漠地帯
AM??〜?? 新終末編『272』了
-
というわけでここまで
ピラミッドへGO
新終末編『273』に続く
かもしれない
-
新終末編『273』
─────────────────
──外郭界
AM??
──ナグルファル・ブリッジ
ことり(私たちが船に戻って事情を説明すると、フリュムは舵をピラミッドの方向へ切ってくれた)
フリュム「他に目的地になる場所もねえ砂だらけの場所だし構わねえよ」
フリュム「だがあんなピラミッド、さっきまで目視できる距離にはなかったはずだぜ」
ダヨオ「私が甲板に出て見回した時も見つからなかったよ!」
レイ「私のログにもありません」
髑髏穂乃果「魔殿はその姿を蜃気楼のような結界の中に隠す性質がある」
髑髏穂乃果「骸骨犬たちが帰還する際に結界を開いたから私たちの目に見えるようになったのだろう」
フリュム「ほう……」
ことり「もう運転は大丈夫なの?」
ポポポポーン「出力が復活しただけで計器の使えない不安定飛行に代わりはないですよ」
ポポポポーン「もう一度墜落しないことを祈るばかり……む?」ジーッ
ことり「どしたの?何か見つけた?」
ポポポポーン「ええ、あのピラミッドの正面に何かが現れました」
ポポポポーン「あれは……巨大な骨の塊?形は>>437のように見えますね」
-
スフィンクス
-
うさぎ
-
ポポポポーン「巨大な骨の塊、全体の形はスフィンクスのように見えますね」
フリュム「ピラミッドを護る門番ってわけかぁー?」
ことり(その姿は私にも見えた)
ことり(さっきの骸骨犬より何倍も大きいスフィンクスの形を取った骨の塊)
ことり(体を構成する骨は人骨を始めとした獣や鳥など様々な動物の骨が混ざりあったもので、それらの大量の骨が体内で流動的に蠢いていた)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ことり(そして私たちが乗ったナグルファルを見つけたスフィンクスは……)
スフィンクス『――――――――!』
カッ!!
ことり(大きく口を開けると私たちの耳では聞き取れない音を発し、口から大量の骨をビームのように吐き出す)
ドドドドドドドドドドドドッ!!
ポポポポーン「……っ!面舵いっぱいっ!!」
フリュム「分かってらぁ!!」
ガラララッ! グゥンッ!!
-
ことり(フリュムが舵輪を激しく回し船を思っきり右に曲がらせ、空中に放たれた骨の濁流を回避する)
グラグラッ
ダヨオ「おおおっ!」
レイ「バランス補正!先程の墜落に至るデータをリアルタイム解析して片っ端から適応!」ピピピピッ!
レイ「計器が役に立たないのなら私自身がフリュムの操作と船の動きに関するデータを取って演算するまでです!」
ことり「どうする?また私と髑髏穂乃果が甲板に出て攻撃する?」
フリュム「いや……要らん」
ことり「え?」
ことり(フリュムは舵輪を慌ただしく動かしながら口の端を歪めニヤリと笑う)
フリュム「俺の船を舐めやがって、ならたっぷりと味わってもらおうじゃねえか!」
ポポポポーン「フリュム船長、あれを使うのですね」
フリュム「ああ!この船に備え付けられてるとっておきの兵器!>>441だ!」
-
とろろ爆弾
-
フリュム「とろろ爆弾だ!」
ポチッ!
ことり「とろろ……爆弾?」
ポポポポーン「ナグルファル下部に搭載された大砲から発射される爆弾です」
ポポポポーン「内部には冥界で栽培されている氷鬼芋から作られた氷トロロが搭載されています」
ことり「異界の植物……真姫ちゃんの地獄トマトみたいなやつだね」
ポポポポーン「ええ、氷トロロはその名の通りとても冷たいトロロ、そして粘性は他の山芋から作られるトロロの比ではない」
フリュム「発射!!」
ドンッ!!!!
ことり(窓の外、骨のスフィンクスの方を見るとナグルファルの下から発射されていく青白い塊が見えた)
ことり(塊はスライムのように空中で自在に形を変えながら高速で飛翔し――)
バシュッ!!!!
ことり(骨スフィンクスの体へ直撃する!)
スフィンクス「――!!」
ことり(また人間には聞き取れない叫びを上げたスフィンクスは、体に纏わりついた粘性の物体を取り払おうと体をくねらせる)
ことり(けれど……)
-
ピキッ! パキッ!
ダヨオ「スフィンクスの体が凍り始めている!?」
フリュム「見たか!あれがトロロ爆弾の真髄さ!」
ポポポポーン「氷トロロはその粘性で直撃したものの動きを制限するトリモチのような特製に加え、その冥界の冷気の如き冷たさで触れてる部分を凍らせる」
ポポポポーン「一度体にくっついたトロロを取ることは容易ではなく動けば動くほど接触面積を広げて更に凍っていく」
ダヨオ「強いじゃん!なんでさっきこれ使わなかったの!?」
リホ様「大砲が砂の下に埋まっていたでしょう……」
ダヨオ「ああそっか」ポンッ
フリュム「外郭界の未知の生物だ、破壊することはできなくても動きを封じることはできるだろう」
フリュム「このまま凍っていてくれれば――」
ことり(フリュムが睨む視線の先、トロロに纏わりつかれた骨スフィンクスは>>444)
-
めちゃくちゃ痒そう
-
スフィンクス「――!――!」
ブンブンッ! ブンブンッ!
ことり(スフィンクスは凍り付きながら痒そうに体を拗じらせる)
ことり「痒そう……?」
ポポポポーン「当然トロロですから痒くなりますよ」
ダヨオ「そこは同じなんだ……」
ポポポポーン「くっつく・痒い・凍る、この三点コンボがトロロ爆弾の絶妙な強さを醸し出しているのです」
ポポポポーン「どうやらこの様子だと普通に効いてるみたいですね」
フリュム「ああっ」
ドダンッ! バダンッ!!
ことり(骨スフィンクスはかゆみで直立していられなくなったのか、体を倒してゴロゴロ砂に体を擦り付けていく)
ことり(そうすると氷トロロは砂を巻き込んで更に氷結面積を広げていく)
ピキッ ピキピキッ!!
フリュム「これなら行けそうだな……一気に船をピラミッドに近づけるぞ!」
─────────────────
外郭界・砂漠地帯
AM??〜?? 新終末編『273』
-
というわけでここまで
またペースが遅くなってくる
精進せねば
新終末編『274』に続く
かもしれない
-
新終末編『274』
─────────────────
──ピラミッド上空
AM??
髑髏穂乃果「よし、ピラミッドの中に入るぞ」
ポポポポーン「入るのですか?」
髑髏穂乃果「そうだよ、ことりが発見した鍵があるからな」
髑髏穂乃果「この大きさの魔殿なら私が探してる棺が存在する可能性が高い」
ことり「棺を見つければ魔王に関する手がかりが分かる……だよね?」
髑髏穂乃果「ああっ」コクンッ
フリュム「まぁ良い、スフィンクスも無力化したし俺らはこの場所で待っている」
フリュム「探索して来るならさっさとしろ」
ことり「ありがとうっ」
レイ「私も船に残っていますから……探索班はことりさん髑髏穂乃果さんダヨオさんですね」
ダヨオ「私にはリホ様も憑いてるけどね」
リホ様「髑髏穂乃果、鍵と言うことはどこかの扉を開けて入るのでしょうが……ピラミッドの何処に扉はあるんです?」
髑髏穂乃果「そいつは>>448」
-
意図的に隠されていてわからない
-
髑髏穂乃果「そいつは意図的に隠されていて分からない、実際に降りてみて調べるしかないな」
リホ様「手当り次第ということですか……」
ことり「だったら手当り次第探すしかないよ、行こう!」
ダヨオ「ゴーゴー!」
タタタッ
・
・
ことり(操舵室を出た私たちは通路を通り甲板へ出て、そこから下のピラミッドへ飛び降りる)
タンッ!!
ことり「ぴゅあぴゅあマカロンの……Sweet-mouth-Macaron!!」
ポンッ! ドンッ!!
ことり(召喚して小脇に抱えたマカロン砲からピラミッドの段々になってる斜面に向かってマカロンを放つ)
ことり(壁に激突したマカロンは膨れ上がって大きな『人の口』に変化する)
ポワンッ!
ダヨオ「わわっ!なにあれ!?」
ことり「ただの柔らかい口だよ、クッション代わりに召喚したから普通に踏んで!」
ダヨオ「うーんっ、そう言われても気が引けるなぁ……」
ヒューーッ
グニュッ ボイーンッ
ダヨオ「おおっ!」
髑髏穂乃果「悪くない踏み心地だ」
スタッ
ことり(Sweetmouthのおかげで特に怪我することなく私たちは着地できた)
-
ことり(着地した場所はピラミッドの中腹辺りの外壁)
ことり(頂点に向かって階段のように積み上がってる石の壁は、1つの段の高さが私たちの背丈をゆうに超えている)
ことり(幅も人が楽々すれ違える広さがあって、少し走ったくらいでは足を踏み外して落ちる心配は無さそうだ)
ことり(私はパパっとマカロン砲と口クッションを消して皆の方に向き直る)
ことり「さっ、入り口を探そうか」
髑髏穂乃果「ああ、だが気を付けろ」
髑髏穂乃果「ここはもう砂漠の化物共の根城だ、いつピラミッドから骨が湧き出してきもおかしくない」
ことり「うん……っ」
ことり(髑髏穂乃果の言葉に私は改めて気を引き締めピラミッドの外壁を歩きだす)
ことり(慎重に壁にペタペタ手を当てながら扉らしい場所がないかを確認……)
ブルルッ
ことり「……ん?」
髑髏穂乃果「どうした?」
ことり「いや、今私のポケットに入れてた赤い鍵がブルっと震えて……」
髑髏穂乃果「震えた?魔殿の扉を開くあの鍵が?」
ことり「うん」
ことり(不審に思って私がポケットから赤い鍵を取り出してみると、>>451)
-
ピンク○ーターに変化していた
-
ことり(取り出してみると……)
ブブブブブブブブッ!!
ことり(ピンクの大人の玩具に変化していた)
ことり「……へ?」
髑髏穂乃果「ピンク○ーターだな」
ことり「なんでっ!?」
ダヨオ「○ーター?」
リホ様「破廉恥ですね……」
ことり「私が破廉恥みたいな目でみるのはやめて……」
カチッ
ことり(とりあえずブーブー煩わしいのでスイッチは切っておく)
ことり「私たちが魔殿に近づいたことと鍵が変化したことにはやっぱり関係があるよね」
髑髏穂乃果「そう考えるのが自然だな」
リホ様「○ーターになったことは全然自然じゃありませんけどね……」
ことり「はぁ……訳の分からないことが多すぎだよ……」
ことり(だけど頭を抱えてる時間はない)
ことり(足を止めた私たちに対して、ピラミッドの角の向こうから聞き覚えのある声で叫ぶ敵が現れる)
骸骨犬「ガウガウっ!!」
ことり「骸骨犬!?」
-
髑髏穂乃果「ちっ!反対側に走るぞ!」
ダダダダダッ!!
ダヨオ「ひぃいいいいいいいいっ!!」
ことり(角まで歩いてきていた私たちはクルッと引き返し骸骨犬から必死に逃げる)
リホ様「またハンマーを出して攻撃すれば……」
髑髏穂乃果「こいつのマカロンには発動のタメがある、この距離では召喚してる間に食われるぞ!」
髑髏穂乃果「今は私の骨なりで遠ざけながらとにかく逃げるのが最善だ!」
ダダダダダッ!!
骸骨犬「バウバウ!!」
ことり「で、でもっ!この外壁の通路ってピラミッドをぐるっと一周してるよね!」
ことり「このまま走っててても切りがないんじゃ……」
ダヨオ「でも今は走るしかないって!」
ことり(そして直線を走りきり反対側の角まで行って曲がる、つまり私たちが最初に着地したピラミッドの辺から別の辺に行く)
ことり(するとその先には>>454)
-
ナンパチャレンジの看板
-
ことり(するとその先には……)
ことり「……看板?」
ことり(そう、看板があった)
ことり(角を曲がった私たちから見て前方、角から角までの石段を1つの通路と仮定すると通路を半分ほど進んだ辺り)
ことり(そこで木材で作られたっぽい風化した看板が石段に突き刺さっていた)
髑髏穂乃果「止まるな!とにかく看板の所まで走るぞ!」
ことり「う、うんっ!」
タタタタタッ
ことり(何とか看板の場所まで走ってきて看板を見ると、そこには簡素な文章が書いてあるのが分かった)
ダヨオ「はぁ……はぁ……何が書いてある?」
ことり「ナンパチャレンジ」
ダヨオ「え?」
ことり「ナンパチャレンジ……」
リホ様「なんでしょうこれ?」
髑髏穂乃果「さすがに私にも分からん、今までの魔殿にはこんなもの無かったぞ」
ことり(私たちが一斉に頭の上に疑問符を浮かべたその時――)
パンパカパーン!! パンパンパンパーン!!
ことり(どこからか掠れたファンファーレの音が響く)
ことり「っ!?」
-
??「おめでとうございます!あなた方はナンパチャレンジゲームの挑戦権を得ました!」
髑髏穂乃果「誰だっ!」
ことり(謎の声に髑髏穂乃果が叫ぶと看板の後ろに人影が現れた)
ことり(人影は手に錆びた小型スピーカーみたいなものを持っている、ファンファーレはあれから流れたのかな)
ダヨオ「……!」
リホ様「おかしいですね、さっきまで看板の後ろには誰もいなかった、転移か何かでしょうか」
??「ようこそ世界の外の旅人たちよ!我が名は>>457!」
??「この呪殺の魔殿の主……と考えてもらって間違いない」
-
呪井幸子
-
ことり「呪井……幸子?」
幸子「うむっ」コクンッ
ことり(私の呟きに人影は芝居がかった仕草で頷く)
ことり(人影……呪井幸子は見る限り普通の人間のように見える、骨で出来たモンスターなんかじゃない)
ことり(体はゴシック装飾の外套のようなものに包まれていて、そこはかとなく女性のシルエットが現れている)
ことり(深くかぶったシルクハットからは2つに結ばれた銀色の髪が肩の下辺りまで伸びていて……)
ことり(シルクハットの縁と長い前髪が顔にかかってるせいで顔の上半分はよく見えない)
ことり(透き通るほど白い肌についた薄い唇がニヤリと笑う)
ことり(あまりに似つかわしくない……)
ことり(こんな人が砂漠の骨モンスターたちが根城にしている魔殿の主なの……?)
幸子「これから始まるは幾百年ぶりかの遊戯、存分にもてなそうではないか」
幸子「旅人よ!心ゆくまで楽しんでゆくといい!」バッ!
ことり「…………」ゴクッ
幸子「さぁ、ナンパチャレンジの始まりだ……!」
─────────────────
外郭界・呪殺の魔殿
AM??〜?? 新終末編『274』了
-
というわけでここまで
ナンパチャレンジとはなんなのか
新終末編『275』に続く
かもしれない
-
新終末編『275』
─────────────────
──呪殺の魔殿
AM??
ことり「ナンパチャレンジ……?それって――」
幸子「では説明しよう!」
ことり「うぐっ……」
ことり(私に口を挟ませたくないのか、単に話を聞いていないだけなのか)
ことり(呪井幸子は私の疑問を遮って話を進めていく)
幸子「ナンパチャレンジはその名の通りナンパを成功させれば勝利となる遊戯だ」
幸子「一度に挑むのは1人、つまり1人ずつの挑戦となるわけ、理解はできた?」
ことり「う、うん」
幸子「ならOK……では誰から挑む?」
ことり「待って!このゲームをクリアすると何かあるの?」
ことり「何もないなら私たちは他にやることあるんだけど……」
幸子「くくっ、報酬がないと挑戦する気が起きないか……良いだろう、説明してさしあげよう!」
幸子「このナンパチャレンジに成功した暁には>>461」
-
ピラミッド内部に入り、神の神殿へのカギを手に入れるチャンスが与えられる
-
幸子「ピラミッド内部に入り、神の神殿へのカギを手に入れるチャンスが与えられる」
ことり「……っ!」
髑髏穂乃果「神の神殿……だと?」
幸子「左様」コクンッ
ことり「どうする、挑戦してみる?」
髑髏穂乃果「神の神殿とやらのことは分からんがピラミッド内部に入れるのなら有り難い」
髑髏穂乃果「下手に扉を探し回って骸骨犬たちに追い立てられても面倒だ」
ことり「……だね、とういかさっき追いかけてきた骸骨犬はどうしたんだろ」
ことり(立ち止まって話してるけど骸骨犬が来る気配は一切しないし、振り返って見ても背後にはいない)
幸子「彼なら私がここへ近づかないようにと命令したよ」
幸子「私はここの主、魔殿に住み着くモンスター全てを従えているからね」
髑髏穂乃果「邪魔をさせない配慮か……中々気が利くじゃないか」
幸子「ではフィールドオープン!」
パチンッ
ことり(そう言って幸子が指を鳴らすと辺りが激しく振動し、私たちが今いるピラミッドの隣に一回り小さいピラミッドが現れる)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ズサァァァァァァッ
ことり(砂の中から上昇するように現れた小型ピラミッドは、私たちのいる大型ピラミッドの3分の2ほどの高さまで上昇したところでストップ)
ことり(そして丁度私たちが今いる場所に向かって石橋が伸びてきて2つのピラミッドを空中で繋ぐ)
ガシィィンッ!
ダヨオ「おおっ!」
-
幸子「この橋を渡った者を挑戦者とみなす、心の準備ができたら渡るといい」
ことり「一度の挑戦につき1人ずつ……だったよね、誰が行く?」
髑髏穂乃果「私はナンパはしたことがないな、ことりはどうだ?」
ことり「私だってないよ、スクールアイドルの勧誘の声掛けくらいならしてたけど……」
ダヨオ「だったら私が行く!」
リホ様「経験はあるんです?」
ダヨオ「自信だけはある!」
リホ様「無いんですね……」
髑髏穂乃果「魔殿の主、仮に失敗しても罰などはないのだな?」
幸子「うむ、心配せずに挑戦するといい」
髑髏穂乃果「だったら試金石としてダヨオに行ってもらうのは1つの手だな、ことりもそれでいいか?」
ことり「うんっ」
ダヨオ「じゃ――」ザッ
ことり(そして意気揚々と橋を渡ろうとするダヨオ、だが橋の手前で幸子が手を伸ばしてダヨオを止める)
幸子「待て」サッ
ダヨオ「なに?」
幸子「私は挑戦者は1人と言った、この場合は契約女神も1人とカウントする」
ダヨオ「……ああそうか、リホ様は置いていかなきゃいけないのか」
ダヨオ「じゃあリホ様、私がチャレンジしてくる間はここに居てね」
リホ様「はい、契約は繋がったままだと思うので本当に危険な時は呼んでください」
ダヨオ「うんっ」
タタタタタッ
-
・
・
──小型ピラミッド
ダヨオ「よっと……」
スタッ
ダヨオ(リホ様を向こうのピラミッドに置いて石橋を渡り、私は小型ピラミッドまでやって来た)
ダヨオ(どこかに扉は無いかなとキョロキョロしていると自動的に目の前の石段がスライドして入り口ができる)
ガガガガガガガガガ
ダヨオ「ほー、自動ドアみたい」
ダヨオ(その入り口から中に入ると内部はうす暗くヒンヤリとしていて、斜め下へ階段が続いている)
ダヨオ(この先がナンパチャレンジのステージになってるのかな……)
スタ スタ
ダヨオ(私がその石の階段を慎重に降りていくと>>465)
-
パンツをくわえた女の子と曲がり角でぶつかった
-
??「遅刻〜!遅刻遅刻〜!!」
ダダダダダッ!
ダヨオ「え?」
バッタッ〜ン!!
ダヨオ「わぁっ!?」
??「きゃ〜!!」
ダヨオ(階段を降りきった十字路になってる場所で、私は右の通路から走ってきた女の子とぶつかってしまった)
ダヨオ(ぶつかった反動でどこかの学校の制服を着た女の子は尻もちをついてしまう)
ダヨオ(その子は口にパンツをくわえていて……)
ダヨオ「……ん?パンツ?」
ダヨオ(私の目がおかしくなったわけじゃない、確かに目の前の子はパンツをくわえている)
ダヨオ(こういう場合遅刻遅刻言いながら食べてるのってパンじゃないのかな……いや実際見たこと無いけど)
ダヨオ(とりあえずぶつかった手前放置してるのもバツが悪いので手を伸ばす)
ダヨオ「だ、大丈夫?怪我とかない?」
??「いてててっ、なんですかも〜」
パンパンッ
ダヨオ(女の子は制服を軽くはたくと私の手を取って立ち上がる)
??「怪我は無いですけど……ん?その制服……もしかして同じ高校の人ですか?」
ダヨオ「え?……ってなにこれ!?」
ダヨオ(自分の格好を見てみるといつの間にか目の前の子と同じ制服を着ていた)
-
ダヨオ(どういうこと?このピラミッドの中に入ったから!?)
ダヨオ(曲がり角でぶつかるシチュエーションもよく考えたら不自然だし)
ダヨオ(もしかしてもうナンパチャレンが始まってたりするのかな……?)
ダヨオ(ナンパナンパ……ダメだ全く思い浮かばない)
ダヨオ(とりあえず名前を聞いてみたりしようかな)
ダヨオ「ええと……あなたの名前は?」
??「名前?私は中須かすみって言いますけど……」
ダヨオ「かすみちゃん!かすみちゃんか!うんうん!」
かすみ「変な人ですね……というかあなたは何年生なんです?」
ダヨオ「何年生……?」
ダヨオ(困ったな、学校には通ってないんだよねぇ、通ってたとしたら高校2年生くらいなのかな)
ダヨオ「うん、2年生くらいだと思うよ」
かすみ「2年生、ということは先輩ですね……こんな変な先輩がいたんですか」ジーッ
ダヨオ(すごいジロジロ見られてるな……)
-
かすみ「まぁ良いです、私急いでるんで先に行きますね」
ダヨオ「行く?どこに?」
かすみ「そんなの朝なんだから学校に決まってるじゃないですか、やっぱりおかしな先輩です」
ダヨオ「ああっ、そっか……そうだよねー」
ダヨオ(このまま普通にスルーして学校に言かれたらナンパ……には発展しないよねぇ?)
ダヨオ(どこかにお茶か遊びにでも誘うのが古典的なナンパだと思うけど、こんなピラミッドの中にお店なんて……)
キョロキョロ
ダヨオ「ん?あそこにあるのは>>469」
-
ランジェリーshop
-
ダヨオ「あそこにあるのは……」
ダヨオ(私の目に映ったのは石で作られたピラミッド内部に似つかわしくない派手な看板を掲げたお店)
ダヨオ(看板にはランジェリーshopと書かれている)
ダヨオ「そ、そうだ!あのランジェリーshopに行こう!」
かすみ「は、はぁ〜!?」
ダヨオ(私がお店を指差すとかすみちゃんは困惑した顔をする、まぁ当たり前だよね……)
かすみ「何言ってるんですか!今朝ですよ!これから学校に行くって言ってるんですよ!?」
かすみ「そんな初対面の相手を下着のお店に誘うとか何考えてるんですか!!」
ダヨオ「い、良いから!ほら行くよ!」グイッ!
かすみ「えええええっ!?」
ザッ ザッ
ダヨオ(あまりにかすみちゃんのほうか正論過ぎて反論できなかったので手を引っ張って強引に連れて行くことにする)
かすみ「ちょっ!離してくださいって!」
ダヨオ「ごめん!ほんとうちょっとだけでいいから!ちょっと来て!」
ダヨオ(分かっていたことだけど強制的に連れて行くだけじゃナンパ成功にならないよなぁ)
ダヨオ(うーん……どうすればいいんだろう……)
かすみ「せ、先輩〜!?」
ダヨオ(私は悩みながらとりあえずランジェリーSHOPに向かうことにした)
─────────────────
呪殺の魔殿〜小型ピラミッド内部
AM??〜?? 新終末編『275』了
-
というわけでここまで
ダヨオのナンパ?開始です
新終末編『276』に続く
かもしれない
-
新終末編『276』
─────────────────
──小型ピラミッド内・ランジェリーSHOP
AM??
ザッ ザッ!
かすみ「先輩っ!先輩ってば!」
ダヨオ「ごめん今は我慢してちょっと来て!」
ウィーン
ダヨオ(かすみちゃんの手を引っ張ってランジェリーSHOPの自動ドアをくぐる)
ダヨオ(ん?自動ドア……?)
店員「いらっしゃいませー」
ダヨオ「ど、どうも」
ダヨオ(お店の中は普通の都会のランジェリーSHOPみたいな感じだった)
ダヨオ(普通に店員もいるし、とても古びた石作りのピラミッドの中にある施設だとは思えない)
店員「あ!かすかすちゃんじゃない!」
ダヨオ「かすかす?」
かすみ「う……かすかすって呼ばないでください!か、す、み、です!」
店員「ふふっ」
-
ダヨオ「かすかすちゃん、ここの店員さんと知り合いなの?」
かすみ「だからかすみですって、ここには放課後や休みの日にたまに来るんですよ」
かすみ「ちょうど家から学校までの道の近くですからね」
ダヨオ「へー」
ダヨオ(たぶん『そういう設定』なんだろう……)
ダヨオ(店の前は薄暗い石作りの通路で通学路や学校なんてものがあるとは思えない)
ダヨオ「そういえばぶつかった時にパンツ咥えてたけど……あれはなんで?」
かすみ「ああ、あれもこの店のパンツで>>474」
-
パンツが大好きだから
-
かすみ「あれはこの店のパンツで、咥えていたのは単にパンツが好きだからです」
ダヨオ「そ、そうなんだ……」
かすみ「パンツは素晴らしいです、特にこのお店のパンツは絶品で素晴らしい味わい」
かすみ「だから朝食代わりに食べていたんですよ」
ダヨオ「そうなんだ」
ダヨオ(そうなんだ……とは言ったものの意味がわからない、朝食代わりにパンツを食べる女子校生ってなに!?)
ダヨオ(こんな子をナンパするなんてすごい難易度高いゲームなんじゃない?)
ダヨオ(困ったな、私にクリアなんてできるのかな……)
かすみ「で?先輩は私をこの店に連れ込んで何をするんですか?」ジーッ
ダヨオ「ええと……」タジッ
ダヨオ(いや、弱気になっちゃだめだ……考えろ、考えるんだ私)
ダヨオ(ナンパを成功させるには相手の好きなもので釣ればいい)
ダヨオ(そしてかすみちゃんの好きなものはパンツだから……よし!)
バッ!
ダヨオ(私はかすみちゃんの気を惹くために>>476)
-
今自分が穿いているヨーソローのパンツを見せた
-
ダヨオ(私はスカートを捲り今自分が穿いているヨーソローのパンツを見せた)
ダヨオ「どうだ!」
かすみ「……お、おおおおおおうっ!!」キラーン
ダヨオ(そのパンツを見たかすみちゃんの目の色が変わる)
かすみ「これは何ですか!どこで手に入れたパンツですか!?」
かすみ「形といい色合いといい匂いといい……素晴らしい!素晴らしすぎる!」
スンスンッ スンスンッ
ダヨオ(顔が近いなぁ、あと嗅ぐのはちょっと勘弁してほしい……)
かすみ「先輩!ちょっと先輩!聞いてます!?」
ダヨオ「聞いてる聞いてる、このパンツは私の親友の子のパンツなんだ」
ダヨオ「今は遠くにいるんだけど……このパンツがそんなに良いものなの?」
かすみ「良いです!というか自分で履いていて価値を感じられない先輩が信じられません!」
かすみ「食べたらどんな味がするのかな〜」ヘヘヘ
-
店員「あらあら、かすかすちゃんメロメロねぇ」
ダヨオ「メロメロ……」
ダヨオ(ヨーソローちゃんのパンツがどうして高評価を得てるのかは私には分からない)
ダヨオ(でもこの反応……私の考えた作戦が通用するんじゃ……?)
グッ
ダヨオ(よし!やるだけやってみよう!)
ダヨオ「そうだかすみちゃん、このパンツをあげるから……代わりに今日一日私に付き合ってくれない?」
かすみ「……!」ピクッ
かすみ「本当……ですか?」
ダヨオ「うんっ」コクンッ
かすみ「……そうですね、それならば>>479」
-
そのパンツの代わりにこのラッキーパンツをはいてくれれば
-
かすみ「そのパンツの代わりにこのラッキーパンツをはいてくれれば」
ダヨオ「ラッキーパンツ……?」
かすみ「私が咥えていたパンツです!」
かすみ「実は先輩を一目見た時から密かに思ってたんですよ……ラッキーパンツは先輩にこそ似合うパンツなんじゃないかって!」
ダヨオ「なるほど……交換条件ってわけか」
かすみ「はいっ」
ダヨオ「……分かった!それでかすみちゃんが付き合ってくれるならお安い御用だよ!」
グイッ
ダヨオ(私は勢い良く自分のパンツを下ろすとかすみちゃんに手渡し、かすみちゃんが持ってたパンツに足を通す)
かすみ「おおおおおおおっ!」
ダヨオ(私がパンツを腰まで引き上げたところでかすみちゃんは辛抱たまらなくなったようで)
ダヨオ(私の下半身に強く抱きつくとラッキーパンツに頬ずりを始めた)
スリスリッ スリスリッ
かすみ「ふわぁぁぁぁぁっ!やっぱり私の見立ては間違ってませんでしたぁぁ!」
かすみ「先輩の下半身は最高です!骨盤が作る腰からのラインもお尻の形もラッキーパンツとの相性が抜群!」
かすみ「くぅ〜!舐めていいですか!?」
ダヨオ「舐めるのはダメ」
かすみ「……ちっ」
ダヨオ(ちょっと舌打ちした……もしかして腹黒い子なのかな)
-
ダヨオ「というかかすみちゃん、私が渡したパンツはいいの?」
かすみ「はっ!そうでした!」
ダヨオ(我に返ったかすみちゃんは自分のポケットから何かの小瓶を取り出すと、ヨーソローちゃんのパンツにちゃちゃっとふりかけて――)
かすみ「はむっ」
ダヨオ(大きく口を開けてパンツを咥えて咀嚼しはじめた)
モグッ モグッ
ダヨオ「え……えぇ……?」
かすみ「はぁ……甘美甘美〜」
ダヨオ「ちょっと待って、本当に食べるの……?」
かすみ「残念ながら私は布製品を分解できる胃袋は持ち合わせていません」
かすみ「なので味付けをしてしゃぶるくらいしかできませんね」モグモグ
ダヨオ「へ、へー」
ダヨオ(大体の人はそうだと思うけど……)
かすみ「うん……良い味だなぁ」
ダヨオ(恍惚の表情を浮かべるかすみちゃん)
ダヨオ(ま、しばらくこのままにしておこうかな……)
─────────────────
小型ピラミッド内部・ランジェリーSHOP
AM??〜?? 新終末編『276』了
-
というわけでここまで
かすみちゃんがパンツキャラになっていく
新終末編『277』に続く
かもしれない
-
新終末編『277』
─────────────────
──ランジェリーSHOP
AM??〜??
かすみ「っぷはぁ……満足です」
ダヨオ「なら良かったよ、何が良いかはさっぱり分からないけど」
ダヨオ(かすみちゃんは本当に満足そうにパンツをしゃぶりつくすと口から取り出し、また別の小瓶をポケットから取り出してふりかける)
サッサッ
ダヨオ(そうすると唾液でびしょびしょだったヨーソローパンツが一瞬で乾燥した)
パッ!
ダヨオ(そして乾いたパンツを広げるとかすみちゃんはそれを頭に被る)
ダヨオ(最早その程度では私は突っ込んだりしない……しない)
ダヨオ「すごいね……その液体はなんなの?」
かすみ「その名の通り液体乾燥薬と呼ばれるクスリですよ」
かすみ「パンツを堪能した後に保管する際にはこれで染み付いた体液を飛ばすんです」
ダヨオ「便利だなぁ」
-
かすみ「……はぁ、仕方ありませんね」
ダヨオ「ん?」
かすみ「先輩に今日1日付き合うって約束ですよ、こんなパンツを味わってしまったら断れません」
かすみ「それに……先輩についていったら他の良いパンツに巡り会えそうですし」ニヤリ
ダヨオ「ほ、ほんと!?」
かすみ「私に二言はありません」
ダヨオ「やっ……やったーーーー!」
ダヨオ(思わず両腕で大きなガッツポーズを取る)
ダヨオ(かすみちゃんを遊びに誘えた、ということは……)
パンパカパーン!! パンパンパンパーン!!
ダヨオ「来た!」
ダヨオ(店内に聞き覚えのあるファンファーレが鳴り響き、>>485)
-
かすみちゃんから愛のビンタ
-
ダヨオ(ファンファーレが鳴り響き、私はかすみちゃんからビンタを食らった)
バシィィンッ!!
ダヨオ「……へ?」
ダヨオ(ぶたれたほうの頬がジンジンと痛み耳がキーンとする)
ダヨオ(あれ?私ナンパに成功したんだよね、なのにどうしてビンタされたの……?)
かすみ「あら?先輩驚いてます?」
ダヨオ「そりゃねぇ……」ジトー
かすみ「そう怒らないでください、これは先輩を想ってるからこその愛のビンタですよ」
かすみ「嫌いだったらこんなことしません」フフッ
ダヨオ(な、なんか怖い!パンツ被ったS体質の女の子とかちょっと手に負えない!)
ダヨオ「幸子!どうせどこかで見てるんでしょ!クリアしたから報酬を頂戴!」
ビビビッ
店員「そうね、あなたのクリアは正式に認められたわ」
ダヨオ「……っ!」
ダヨオ(私の叫びにランジェリーSHOPの店員さんが『幸子の声』で答えた)
-
店員「電話代わりにこの店員の口を借りてるんだ、この店員のことは私だと思ってもらって構わないよ」
ダヨオ「こんなところにランジェリーSHOPなんておかしいと思ったけど……やっぱりあなたの差し金だったんだね」
店員「その通り、ここは私がゲームのために作った仮想的な空間」
店員「でもこの店員や君がナンパしたかすかすは本物の人間だ、少し催眠をかけてキャストに使った」
店員「かすかすはそのまま君にあげるから大事にしてあげるといい」
ダヨオ「……!」
店員「そして報酬だが本命ピラミッドの内部に入る権利は既に外の南ことりたちに与えた」
ダヨオ「ほっ……良かった」
店員「……ん?なんだラッキーパンツをゲットしているのか」
ダヨオ「え?」
店員「それはこのゲームにおいてのレアアイテムだ、かすかすと一緒に大事にするんだな」
ダヨオ「レアアイテム?このパンツが?」ピラッ
店員「うむ、ラッキーパンツの効力は>>488」
-
一度だけ死んでも復活できる
-
店員「うむ、ラッキーパンツの効力は死んでも一度だけ復活できること、つまりは蘇生アイテムだね」
ダヨオ「蘇生……もし本当ならそれは役に立つな、履いておいて損はないかも」
かすみ「そうですっ!ぜひ履いていてくださいねっ」
店員「では君もそろそろ戻ってくるといい、お仲間たちは先に魔殿内部に入ってるそうだよ」
ダヨオ「なっ!」
ダヨオ(ことりちゃんたちがもうあっちのピラミッドに侵入してるってこと?)
ダヨオ(このままじゃ置いて行かれちゃうっ!)
ダヨオ「……分かった、行くよかすみちゃん!」
かすみ「良いんですか?私まで連れていって?」
ダヨオ「どうせダメって言っても付いてくるんでしょ?」
かすみ「……はい、もちろんっ!」
タタタタタタッ
-
・
・
・
──呪殺の魔殿内部
カツンッ カツンッ
ことり「良かったのかな……ダヨオちゃんが来る前に私たちだけ中に入っちゃって」
髑髏穂乃果「構わんだろう、リホ様を入り口の所に残してきたし、何より"ダヨオ自身"が先に行けと言っているんだ」
ことり「そう……だね」
ことり(呪井幸子が言うにはダヨオはゲームを無事クリアして、更に私たちに伝言を託したらしい)
ことり(戻るのに少し時間がかかるから先に進んでて欲しい……と)
髑髏穂乃果「ま、あいつの言うことだから完全に信じるわけでもないがな」
ことり「……?」
髑髏穂乃果「とにかく今は先に進もう」
ことり「う、うん」
カツンッ カツンッ
ことり(私たちが進む呪殺の魔殿の内部、そこは>>491)
-
真っ暗闇で死の臭いで満ちている
-
ことり(そこは真っ暗闇で死の臭いで満ちていた)
ジリッ
ことり(歩くだけで動悸が激しくなり自然と汗が垂れてくる)
ことり(辺りは暗闇に包まれていて何も見えないけど……何か凶悪な存在がそこら中に潜んでる気配がある)
ことり(少しでも気を抜いたら殺されそうなピリピリとした気配)
ことり「…………」ゴクッ
ことり(ダヨオちゃんのことも気になるけど、今は自分たちの歩みに集中しないと危険だ)
ことり(一歩一歩、暗い通路を確実に進んでいく)
カツンッ カツンッ
ことり「髑髏穂乃果、道は分かるの?」
髑髏穂乃果「ああ、魔殿は幾つか潜ったから内部の構造パターンは頭に入っている」
髑髏穂乃果「目の前が見えなくとも大体どう進めば中心部に着くかは分かるさ」
髑髏穂乃果「だが油断は禁物だ」
ザッ
髑髏穂乃果「ここは呪殺の魔殿――何が起こっても不思議ではないからな」
ことり「……うんっ」
─────────────────
ランジェリーSHOP
呪殺の魔殿内部
AM??〜?? 新終末編『277』了
-
というわけでここまで
魔殿の中へ
新終末編『278』に続く
かもしれない
-
をつ
公式のイメージが固まる前に変な目で見てしまいそうだ
-
新終末編『278 』
─────────────────
──呪殺の魔殿内部
AM??
カツンッ カツンッ
ことり(真っ暗な中を進む私と髑髏穂乃果)
ことり(さすがに暗いのでバーニングデーモンでも出そうと思ったけど髑髏穂乃果に止められた)
ことり(私たちから見えやすくなるということは、同時に暗闇に潜む者たちからも見えやすくなるということ)
ことり(それに彼らは灯りに敏感、相手が手を出してこないうちは下手に刺激しないのほうがいい……と髑髏穂乃果は言っていた)
ことり(魔殿の内部には髑髏穂乃果のほうが詳しい、大人しく従っていたほうが安全だろう)
ことり(そんなやり取りをしつつ数分ほど経った時、髑髏穂乃果が口を開く)
髑髏穂乃果「そうだな……そろそろお前にも話しておいたほうがいいか」
ことり(暗い通路に反響する髑髏穂乃果の声)
ことり「話ってなんの?」
髑髏穂乃果「最初の死者の棺についてだ」
ことり「ああ……確か髑髏穂乃果が他の魔殿で見つけた棺だよね、魔王に関係があるとかいう……」
髑髏穂乃果「そうだ、まずは最初の死者について説明しよう」
髑髏穂乃果「最初の死者は遥か古代に起きた『とある出来事』に関わった存在の名称」
髑髏穂乃果「その出来事において最初の死者は他の盟友と共に>>496を成したんだ」
-
27の強き魂を作った
-
世界統一
-
髑髏穂乃果「最初の死者は他の盟友と共に27の強き魂を作った」
ことり「27の……魂?」
髑髏穂乃果「無数の世界の球が海に浮かんで揺られてるような、現在の多元世界構造ができるずっとずっと前」
髑髏穂乃果「気の遠くなるほど遥か昔の頃の話だ」
髑髏穂乃果「その時代において世界と呼べるものは1つしかなく、世界は砂と石で作られた荒涼の大地だった」
髑髏穂乃果「大地には光も闇も存在せず、ただ冷たさ死の気配だけが広がっていた」
髑髏穂乃果「だがそんな死の大地にも生きている者はいた」
ことり「最初の死者とその盟友たち?」
髑髏穂乃果「ああ、死の大地で寒さに凍えながら生きていた彼らはある時『火』を発見したんだ」
髑髏穂乃果「火がいつ現れたのか、どこから来たのか、彼らにも分からなかった」
髑髏穂乃果「しかし『最初の火』と呼ばれるそれは荒涼の大地に確かな暖かさを、そして光と闇をもたらした」
-
ことり「不思議なこともあるんだね、それで寒さに困らなくなったのかな?」
髑髏穂乃果「少なくとも前の世界よりは快適になっただろうな」
髑髏穂乃果「だが彼らは火の暖かさをただ享受するだけに留まらなかった」
髑髏穂乃果「彼らは最初の火の中に存在する強力なエネルギーを自らの手で取り出しある者を作り出したんだ」
カツンッ
髑髏穂乃果「それが強き27の魂――焔のソウル」
ことり「ほむらの……ソウル……」ゴクッ
髑髏穂乃果「ああ、最初の死者たちは火から作り出した魂をそう呼んだんだよ」
髑髏穂乃果「彼らは最初の火と焔のソウルを使い、外敵を倒し、国を興し、虚無の世界を切り開いていった」
ことり「そしてある所まで世界が発展したところで>>500」
-
世界を壊そうとした者が現れた
-
ことり「そして世界がある程度まで発展したと……それで?」
髑髏穂乃果「世界を壊そうとした者が現れた」
ことり「……!」
髑髏穂乃果「火と魂を使い世界を手のうちに収めた指導者である彼らに敵対する者」
髑髏穂乃果「本来なら敵は無いはずの彼らと対等な力を持って戦いを挑んできた者」
髑髏穂乃果「その者の名は――魔王」
ことり「なっ!!??」
ことり「ま、待って待って!どうしてそこで魔王が出てくるの?」
ことり「魔王はフードマン――ロキが世界の自殺機構に見せかけて仕込んだ破壊者のことでしょ?」
ことり「最初の死者たちがいた遥か古代にロキはいないんじゃ……」
髑髏穂乃果「ああ、だからロキ製の魔王ではない、正真正銘本物の魔王だ」
髑髏穂乃果「というよりこの魔王のデータを利用して後にロキが魔王を作ったのだろう」
ことり「つまり今の魔王の元になった魔王ということ……?」
髑髏穂乃果「その通り」
-
カツンッ カツンッ
髑髏穂乃果「最初の死者とその同胞たちは自らのうちに1つずつ焔のソウルを宿していた」
髑髏穂乃果「ソウルを持った彼らは世界において最強、だが魔王はそんな彼らと対等な力を持っていた」
髑髏穂乃果「だから彼らは魔王についてこう考えるしかなかったんだ……」
髑髏穂乃果「魔王をまた、最初の火から作られたソウルを宿しているのだと」
髑髏穂乃果「彼らが独占したはずの最初の火、だが彼らの知らない所で火の力は第三者に掠め取られていた」
髑髏穂乃果「存在しないはずの28個目のソウル、それを有していたのが魔王」
ことり「…………」ゴクッ
ことり「それで最初の死者たちは……魔王を倒すことができたの?」
髑髏穂乃果「倒すことはできた、だが代わりに>>503」
-
死者たちは悠久の輪廻の輪に入った
-
髑髏穂乃果「だが代わりに最初の死者たちは悠久の輪廻の輪に入った」
ことり「輪廻の輪……?」
髑髏穂乃果「輪廻転生、聞いたことはあるだろう?」
ことり「う、うん」
髑髏穂乃果「魔王を倒したものの彼ら指導者たちの肉体も激しく傷ついた」
髑髏穂乃果「彼らは肉体を癒やすため肉体を封印し、自らの魂を切り離して悠久の輪廻の輪へと放流したのだ」
髑髏穂乃果「放流された魂は輪廻転生を繰り返すこととなり、その時代時代で別の生命体の中に入って受け継がれていった……」
髑髏穂乃果「私たちの生きる現代までずっとな」
ことり「世界や最初の火、他のソウルはどうなったの?」
ことり「指導者たちが自らの身に宿していたのは1つずつだけだったんでしょ?」
髑髏穂乃果「世界は魔王との戦いでバラバラ割れ、1つだけだった世界は無数の世界へと分裂した」
髑髏穂乃果「これが現在の多元世界の元」
ことり「……なるほど」
髑髏穂乃果「そして王たちが守りきれなかった他のソウルは世界の分裂と共に散らばっていった」
髑髏穂乃果「それらのソウルも多元世界の成長と共に形を変え宿主を変え、今もどこかに存在しているはず」
髑髏穂乃果「最後に最初の火だが――」
カツンッ
髑髏穂乃果「それだけは死守せねばなりないと、戦いで生き残った指導者の1人がとある空間に自身と共に隔離した」
髑髏穂乃果「特に重要と考えられた9つのソウルと一緒にな」
ことり「重要?焔のソウルにも種類があったの?」
髑髏穂乃果「ああ」コクンッ
-
髑髏穂乃果「最初の火から初めに作られ、世界に安寧を与えた最初の9つ」
髑髏穂乃果「次に作られ開拓や文明の発展に使われた、世界に発展の波を与えた9つ」
髑髏穂乃果「最後にそれらを改良して作られた比較的新しいソウルが9つ」
髑髏穂乃果「最後の9つについては詳しい記述が無いが、指導者たちが自分に宿して戦闘に使っていたのもこのソウルだと思われる」
ことり「ふむふむ、全て合わせて27個ってわけか」
ことり「最初の9つが火と一緒に隔離空間へ、指導者が使っていたいくつかは輪廻の輪へ、残りのソウルは多元世界に散らばった」
髑髏穂乃果「その理解で合っている」
カツンッ カツンッ
ことり「理解したのは良いけど……この世界創世的なお話と今私たちが侵入してる魔殿になんの関係があるの?」
髑髏穂乃果「大有りさ」
髑髏穂乃果「指導者たちが自らの肉体を封印するために選んだのが外郭界だからな」
ことり「そうなんだ!まぁ確かに世界と世界の狭間にある外郭界なら見つかりにくいよね」
髑髏穂乃果「つまり傷付いた彼らの肉体を収める棺、棺を安置する墓所が外郭界には存在する」
髑髏穂乃果「なぁことり、この魔殿はどんな形をしていた?」
ことり「形……はっ!まさか!」
髑髏穂乃果「そう、ピラミッドは王の墓でもあったよな」
ことり「……!」
ことり(私の中でバラバラだった点が繋がって線になる)
ことり(外郭界の砂漠地帯に点在する魔殿はかつて魔王との戦いで傷付いたソウルの持ち主たちの墓所)
ことり(前に他の魔殿で髑髏穂乃果が見つけた最初の死者の棺、あれは名前の通り封印された最初の死者の肉体だったんだ!)
-
髑髏穂乃果「まぁ魔殿の全てが指導者たちの墓というわけではない」
髑髏穂乃果「多くは魔王によって破壊された旧世界の建物の残骸、そこに事情を知らないモンスターが住み着いているだけ」
髑髏穂乃果「だがここはピラミッドの外見から考えても墓である可能性は高い」
ことり「ということはここにも……ソウルを生み出した指導者を封印した棺があるってこと?」
髑髏穂乃果「ああ」コクンッ
ことり「それを見つけてどうするの?」
髑髏穂乃果「見つければ分かるさ」
髑髏穂乃果「お前がもし見つけることができれば、かつての私と同じ体験をすることになる」
髑髏穂乃果「棺の発見がお前らの外郭界探索にどう役立つかはその時に直接聞けばいい」
ことり「聞く……?」
カツンッ
髑髏穂乃果「さぁ、歩きながらの長話はお終いだ」
ことり(髑髏穂乃果は立ち止まり、暗闇の向こうに手を伸ばして何かを掴む)
ガチャッ ギィィィィィィ
ことり(その瞬間、辺りの死の気配がより一層濃くなったのを感じる)
ことり「……っ!」ビクッ!!
タンッ
髑髏穂乃果「ここから……ついに魔殿の中心部だ」
─────────────────
呪殺の魔殿内部
AM??〜?? 新終末編『278』了
-
というわけでここまで
適当に根幹の設定を増やしていく
まぁ後付で帳尻合わせればいいのですよ
次もたぶんお話回
新終末編『279』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『279』
─────────────────
──呪殺の魔殿・中心部
AM??
ギィィィィィィ バタンッ!!
ことり「……!」
ことり(中心部へ足を踏み入れた私たちの後ろで扉が大きな音を立てて閉まる)
髑髏穂乃果「よし、もう灯りをつけて大丈夫だ」
髑髏穂乃果「中心部まで入ってしまえば厄介な雑魚は入って来られない」
ことり「うんっ」
ポワンッ
ことり「Burning-Devil-Macaron」ポイッ
ボォォォォォォォウッ!!
ことり(手のひらの上に召喚した赤いマカロンを床に投げると、マカロンが割れて炎の悪魔が現れる)
ことり(鬼の姿を象った生ける炎は真っ暗だった魔殿内を淡く照らし出す)
ことり「これは……」ゴクッ
ことり(炎に照らし出された魔殿の中心部は1つの巨大な石室だった)
ことり(教科書で見た実際の遺跡内部に似てるけど大きさだけが規格外、バーニングデビルの炎でさえ天井まで照らしきれない)
ことり(そして周囲の壁一面には文字と絵がびっしりと刻まれていた)
-
ことり(文字は日本語でも英語でもない、たぶん私たちの世界のどの言語とも違う)
ことり(外郭界……最初の火によって作られた文明の古代文字だろう)
ことり(絵画の方も複雑怪奇で何を表したものなのか見当がつかない)
ことり「ねぇ、髑髏穂乃果は壁の文字が分かるの?」
髑髏穂乃果「うむ」コクンッ
ことり(髑髏穂乃果は頷くと周囲の壁の文字を注意深く読んでいって……そして笑った)
髑髏穂乃果「くくっ、思ってた通りだ……喜べことり、この魔殿は当たりだぞ」
ことり「?」
髑髏穂乃果「壁面の文章によればこのピラミッドは指導者の1人の肉体を封印するための墓でドンピシャ」
髑髏穂乃果「そして……ここに眠ってる者の名は>>511」
-
GOD
-
髑髏穂乃果「そして……ここに眠っている者の名はGOD」
髑髏穂乃果「最初の死者と共に最初の火からソウルを生み出した同胞の1人だ」
髑髏穂乃果「GODもまた魔王との戦いで傷付いて肉体を封印、魂だけを分離させて輪廻転生の輪に放流した」
髑髏穂乃果「そして封印された肉体は……」
スッ
髑髏穂乃果「この部屋の中心の棺に安置されている」
ことり「……」ゴクッ
ことり(髑髏穂乃果が指差した先、そこに巨大な棺が置かれていた)
ことり(あそこに……GODが眠っているんだ)
ことり(でも待って、確かGODってどここで聞いた気がする名前だな、どこかで……)
髑髏穂乃果「ことり、あの棺を開けてみろ」
ことり「え?いいの?」
髑髏穂乃果「何か問題が起これば私が対処するから心配するな、思い切って開けてみろ」
ことり「うん……分かった」
-
カツンッ カツンッ
ことり(私はバーニングデビルを引き連れて石室の真ん中へ向かう)
ことり(歩くたびにどんどん濃くなる死の気配、たぶんあの棺から漏れ出しているんだろう)
ことり(棺に近づくにつれて鼓動が早くなり冷や汗が出て来る)
ことり「ふぅ……はぁ……」
ググッ
ことり(そして震える手で棺の縁に手をかけて棺を開くぅぅ……)
ことり「……ていっ!」ブンッ!
ガラララララッ
ことり(蓋が外された棺、その中に眠っていたGODの肉体の形は>>514)
-
白いローブとファントムマスクを着ている
-
ことり(棺の中のGODは白いローブを着ていて顔にはファントムマスクを着用していた)
ことり(ミイラや白骨をイメージしていたけど、マスクに隠れてない顔の部分を見るにちゃんと肉体が残ってるみたい)
ことり「ふーむ……」
ことり(そんなGODの肉体を恐る恐る眺めていると――)
ピクッ
ことり「え?」
ことり(GODの体が突然動き出し、白いオーラのようなものを纏って空中に浮かび上がる)
ことり「わぁぁっ!」ビクッ
ことり「な、何これ!?GODの肉体は封印されているはずじゃ……」
GODの器『その通り、私の肉体は封印されている』
ことり「……っ!?」
ことり(脳内に直接声が……目の前の浮いているGODが私に話しかけてるの?)
GODの器『私のことはGODの器とでも呼ぶといい、ソウルの力を失ったただの肉の器だ』
GODの器『器が眠ってる間に誰かが接触してきた場合だけ、GODとしての私の意識が表層に浮かんでくる仕組みになっている』
GODの器『といっても今の私は封印中の身であって出来ることは多くない』
GODの器『もしお主が本気で襲ってきたら抵抗できずに破壊されてしまうかもしれぬな』
ことり「…………」
-
ザッ
髑髏穂乃果「くくくっ、かつての火の指導者が何を言っているんだか」
髑髏穂乃果「そこらの盗掘家など指一本使わずに捻り潰せるだろう」
GODの器『それこそ何を言っているんだ』
GODの器『我が魔殿に潜って棺の場所まで辿り着ける者がただの盗掘家なわけ……ん?』
GODの器『そうか、もう一人のお主……アイツの器に触れているな』
GODの器『しかも触れただけではない、器の一部を身に宿しているのか』
髑髏穂乃果「その通りだよ、やはり同胞の匂いには敏感になるんだな」
ことり(アイツの器……?)
ことり「髑髏穂乃果、どういうこと?」
髑髏穂乃果「どういうことも何もない、言っただろ?私は以前に別の魔殿で最初の死者の棺を見つけたって」
髑髏穂乃果「その時、最初の死者は今のGODのように器の形で動き始めたんだ」
髑髏穂乃果「そして私の話――魔王によって心をバラバラにされ世界の外へ弾き飛ばされた私の話を聞いてくれた」
髑髏穂乃果「当時の私のことだから殆ど魔王に対する恨み節のようなものだっただろうな、話として成立していたかも怪しいうわ言」
-
髑髏穂乃果「だがそれを聞いた最初の死者は、魔王に対抗するためと言って私に自らの器の一部を与えてくれた」
髑髏穂乃果「彼もまた魔王に世界を破壊された経験がある、何か思うところがあったんだろう」
ことり「へー、そんなことが……」
髑髏穂乃果「私の能力はもちろん大罪穂乃果としての側面もあるが、半分は最初の死者の器の力を使っている」
髑髏穂乃果「外郭界の生物に効果的な力が多いのはそのおかげだ」
ことり「なるほど通りで……不思議に強くて役立つ人だな思っていたよ」
髑髏穂乃果「GODよ!私たちは魔王、正確には初代魔王のソウルを使って作られた現代の魔王の痕跡を探している!」
髑髏穂乃果「もう二度と魔王が作られないために魔王に関係するものは全て探し出して回収しなくてはならないんだ」
髑髏穂乃果「GODも何か力を貸してはくれないだろうか!」
GODの器『そうだな……魔王のソウルの痕跡を探すならば>>518』
-
ことりが「天の焔」を使いこなせば足跡をたどれる
-
GODの器『私の棺を開けたお主が「天の焔」を使いこなせれば足跡を辿れるだろう』
ことり「天の焔……?」
GODの器『私には最初の死者のような戦いに有利になるような力を直接与えることはできない』
GODの器『どちらかといえば私はソウルを元手に新たな武具や道具を開発することを得意としていたからな』
GODの器『その中の1つが……「天の焔」』
ことり「それを使えば魔王のソウルを辿れるのか、どうすればいいの?」
GODの器『天の焔はとある焔のソウルから作られた道具、そのソウルと適性が無ければ扱えない』
ことり「え?じゃあ私には扱えないんじゃ……」
GODの器『尻込みするでない、お主に適性があるから私は提案したのだよ』
ことり「……?」
GODの器『天の焔の元になったソウルは最初の9つの1つ」
GODの器『「焔のソウル:天」という呼称で区別されていたソウルだ』
ことり「待って、同じような単語がいっぱい出てきた混乱してきた、1つずつ整理して良い?」
GODの器『うむ』
-
ことり「まず天って呼ばれてた焔のソウルから作った道具だから天の焔って名前……だよね」
GODの器『そうだ』
ことり「じゃあ次、最初の9つのソウルは世界が破壊された時に隔離空間に持って行かれて保護されたんだよね」
ことり「天は最初の9つの1つだから当然持って行かれた」
GODの器『その通り、何も起きて無ければ今も隔離空間に置かれているはずだ』
ことり「うーん……そこが不思議なんだけど」
ことり「どうして隔離空間にあるはずの縁もゆかりもないソウルと私の間に適性があるって分かるの?」
GODの器『縁やゆかりならあるぞ』
ことり「え?」
GODの器『最初の9つのソウルは特に強大なソウルだ』
GODの器『隔離空間に置かれたとは言えその影響力は変わらず、ソウルの力は自然と他の世界へと染み出す』
GODの器『9つの力は知らず知らずのうちに無数の世界へ影響を与えていたんだ』
GODの器『お主も影響を受けたその1人なのだよ……"ことり"』
ことり「……っ!」
ことり「私が……焔のソウルの影響を受けている?それにどうして急に私の名前を……」
GODの器『分かるさ、「焔のソウル:天」に影響を受けたもの、特に人間の名前は9割方がことりになるのだから』
-
GODの器『そして既に影響を受けているのなら話は早い、あとは資格を得て自らの魂を目覚めさせるだけ』
ことり「資格……?」
GODの器『そうだ、これからお前には資格を得るために「焔のソウル:天」がある場所への門を開いてもらう』
ことり「まさか……ソウルのある場所って……」
髑髏穂乃果「最初の火がある隔離空間のことか?」
GODの器『うむ、そのまさかだ』
GODの器『焔のソウルを生み出した最初の火、決して失ってはならぬそれを私たちが隠した場所』
GODの器『そこは焔(ホムラ)のソウルの世界、故に"ホムラ"という言葉と古代語で世界を意味する"ノンド"という言葉を合わせた名前で呼ばれている』
GODの器『"ホムノンド"――それが私たちが希望を託した最後の地の名前さ』
─────────────────
呪殺の魔殿
AM??〜?? 新終末編『279』了
-
というわけでここまで
最初の火と焔のソウル
それはホムノンド、そしてあの因子へと繋がっていく
次はことりちゃんが例の試練に挑戦
新終末編『280』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『280』
─────────────────
──呪殺の魔殿・中心部
AM??
ことり「ホムノンド……?」
ことり(私はその言葉に聞き覚えがあった)
ことり(聞いたのは究極生物を倒した後のドアラランド跡での情報共有会の時)
ことり(究極生物を倒したサンシャイン高坂はホノムンドの力を現実世界に抽出したものだったという話)
ことり(ホノムンド、漢字で書けば穂圏)
ことり(穂圏は穂乃果因子に満たされた世界であって――その深部には全ての穂乃果因子の源、『根源たる穂乃果』が存在する)
ことり(ゴーストの話によれば穂圏を守護するのは9人の因子穂乃果)
ことり(ん?9人……?)
ことり(ちょっと待って、まさか因子穂乃果って――――)
GODの器『では試練の時間だ』
ボゥゥゥゥッ!!
ことり(私がその考えに至った瞬間、空中に浮かぶGODの器の手に炎が宿る)
ことり「えっと……それは?」
GODの器『最初の火の残り火だ、最初の火とは同じエネルギーを有している』
GODの器『まぁ最初の火と比較すれば微々たるものだが、人間にぶち当てるなら充分過ぎる濃度だ』
-
ことり「……うん、聞き間違いかもしれないからもう一度聞くね、その炎を誰にぶち当てるって?」
GODの器『お前だよっ!ことり!』
ブンッ!
ボォォォォォォォウッ!!
ことり「ひゃあああああああっ!?」
髑髏穂乃果「火だるまだな」
ことり(GODの器の投げた炎が私に当たって私の全身を包んだ)
ことり(だけど不思議と熱くはないし痛みも感じない、どちからといえば心地よい感覚)
ことり(暖かい、とても暖かくて気持ちいい、日だまりの中にいるような……)
シュィィィィィィンッ!
ことり(やがて炎は光の粒子となって私の中に入り込んでくる)
ことり(外も中も暖かさに包まれた私は意識が遠くなり――――)
────────
────
──
・
・
ことり(気がついたら、>>526な場所に立っていた)
ことり(意識がハッキリしない、夢と現実の狭間みたいな感覚)
ことり(白昼夢……的な世界なのかな)
-
穂乃果だらけ
-
ことり(周りを見渡すと穂乃果ちゃんだらけの空間だった)
ことり(床には穂乃果ちゃんが印刷されたカーペットが、壁には穂乃果ちゃんの壁紙が、床には穂乃果ちゃん人形が置かれている)
ことり(中々趣味がいい……じゃないじゃない)ブンブンッ
ことり(私は周りの可愛い穂乃果ちゃんグッズたちに気を取られないように心を落ち着かせて、白昼夢に似た空間を歩きだす)
サッ サッ
ことり(右を見ても穂乃果ちゃん、左を見ても穂乃果ちゃん)
ことり(そんな空間を歩いていくと穂乃果ちゃんの群れの中に1つだけ穂乃果ちゃんと違う存在がいた)
ことり「……!」
ことり(穂乃果ちゃん柄のソファに腰をかけた人)
ことり(その人は……私と瓜二つな姿をしていた)
-
ことり「あなたは……」
ことり穂乃果「私はことり穂乃果、はじ
めまして、私の元型を持つ人」
ことり「ことり穂乃果……もしかして因子穂乃果だったり?」
ことり穂乃果「そうだよ、9人いる因子穂乃果の1人が私」
ことり穂乃果「ここは私のプライベートルーム、あなたの世界と穂圏の間にある空間かな」
ことり「やっぱり……」
ことり(私の推測は当たっていた)
ことり(最初の火を隔離した場所こそが私の知っている穂圏、9つのソウルは因子穂乃果に対応している)
ことり「ねぇ、幾つか質問したいんだけど良い?」
ことり穂乃果「良いよ、でも先に試練の説明をしようか」
ことり穂乃果「私の元型資格を得るための試練の内容は>>529」
-
愛の証明
-
ことり穂乃果「試練の内容はズバリ愛の証明!」
ことり穂乃果「どんな形でも良いからあなたの愛を証明してくれたら元型資格をあげちゃいます!」
ことり「愛か……分かった、じゃあ私からも質問するよ」
ことり穂乃果「うん」
ことり「まず1つ目、私ここに来る時に変な炎に包まれたんだよね、アレが何か分かる?」
ことり穂乃果「そうだね、私に会うための条件は2つ――私の元型を持っていることと、大量の穂乃果因子を自らのものにしようとすること」
ことり穂乃果「私たちの影響を受けた元型持ちは強い能力者になりやすい、そんな能力者が人の身に余る量の穂乃果因子を悪用したら大変」
ことり穂乃果「だからそのタイミングで自動的に担当の因子穂乃果の元に呼ばれるわけ」
ことり穂乃果「変な炎ってのは知らないけど……たぶん穂乃果因子に関係するものじゃないかな」
ことり「ふむ……やっぱりあの残り火に包まれて感じた暖かさは穂乃果因子の暖かさだったのかな」
-
ことり(てことは残り火の元である最初の火が"根源たる穂乃果"と関係がある可能性も高くなったわけだ)
ことり「じゃあ次の質問、元型資格って?」
ことり穂乃果「内なる元型に目覚めると色々と特典があるのです」
ことり穂乃果「他の元型持ちと記憶を共有できたりー、因子能力という更なる能力に目覚めたりー」
ことり穂乃果「それをどこまで扱えるか決める資格が元型資格、全部私が決めて与えます」エッヘン
ことり(ことり穂乃果はソファの上で足を組みつつ、指を1本立ててクルクルと回しながら説明する)
ことり「なるほど、試練に合格すれば元型の力は全部使えるようになるの?」
ことり穂乃果「いいよ、この試練は難易度高めだからクリアできたら全部あげちゃう」
ことり「よしっ」
ことり(ことり穂乃果の言う元型の力が焔のソウルの力なら、この試練さえ突破すれば私にも天の焔が使えるようになる!)
グッ
ことり(さて……試練の内容は愛の証明だったね)
ことり(これをクリアするには>>532)
-
全てが終わった後の穂乃果との幸せ家族計画を熱くスピーチ
-
ことり(これをクリアするには私の熱い想いをぶつけるしかない!)
ザッ!
ことり「南ことり!スピーチさせて頂きます!」
ことり穂乃果「うんっ」
ことり「私には好きな人……ううん、愛してる人がいます」
ことり「その人の名前は高坂穂乃果ちゃん」
ことり「私と穂乃果ちゃんはお互いに愛し合っていて、まだ結婚式とかは挙げてないけと可愛い子供だっている」
ことり「私はね、もしこの戦いが終わったら――――」
・
・
ことり(私は自らの胸のうちにある穂乃果ちゃんへの想いをことり穂乃果に向けて叫ぶ)
ことり(私がいかに穂乃果ちゃんを愛しているかについて)
ことり(全てが終わった後に結婚式はどこでどんな風に挙げるか、どんな家に住むか、子供は最終的に何人欲しいか)
ことり(穂乃果ちゃんと作っていく綿密な幸せ家族計画を熱くスピーチしていく)
ことり(でも……)
ことり穂乃果「……で、それだけ?」
ことり「え?」
ことり穂乃果「それだけじゃあ……まだまだ足りないんだよねぇ」フワーァ
ことり「う、嘘っ!」
ことり(私としては100%の想いをスピーチしてるつもりなのに、ことり穂乃果は退屈そうに欠伸をする)
ことり(これだけやってまだ足りないってこと!?)
-
ことり穂乃果「確かにあなたの想いは暑苦しいほど伝わってくるよ」
ことり穂乃果「でもそれは"あなたの想い"だけ、全元型の代表となって因子能力を操る資格には値しないかな」
ことり「……っ!そんなこと言われても……」
グッ
ことり(ことり穂乃果の言っていることは何となく分かる)
ことり(私の想いだけじゃ足りない、つまりは"他の私"の想いも背負わなきゃいけないということ)
ことり(私と同じ元型を持つ他世界の南ことりが穂乃果ちゃん対して持つ想い)
ことり(全ての元型の南ことりとしての愛の証明をしなくてはならない)
ことり(だけどそんなもの、どうやって知ったら、表現したら…………)
ガクッ
ことり(私は体の力が抜けて床に膝をついてしまう)
ことり(そのまま両手を床について、諦めたように両目を閉じた……その瞬間)
ことり(私の中に声が聞こえた)
ほのリル『何を臆している』
ことり(……ほのリル?)
ほのリル『外郭界に来てから調子が悪くて少し寝ていたが、起きたら随分と弱気な顔をしているじゃないか』
ほのリル『この試練に対して尻込む必要がある、お前ならできるはずだ』
ことり「で、でも……」
ほのリル『お前は種族も立場も違う私と心を通わせた唯一の人間なんだぞ』
ほのリル『別の世界とは言え相手は自分、私に比べたら難しいことではない』
ほのリル『それにお前は実際にもう一人の自分と出会っている、その想いを聞いている』
ことり「ほのリル……」
ほのリル『ここが正念場なのだろう?ならばお前の持てる全てをぶつけろ!諦めるんじゃない!』
ことり「……うん、そうだね、ありがとうほのリル!」
-
ダンッ!
ことり(私は気持ちを入れ替えて立ち上がる)
ことり(そして胸に手を当ててしっかりと思い出す)
ことり(私を励ましてくれたほのリルと始めて出会った時のこと、それに私が出会ったもう1人の私が抱いていた熱い想いを――)
ギュッ
ことり「私1人で足りないのなら!あの子の分まで届けてあげる!」バッ!
ことり「ちゃんと聞いてね元型さん、これが私たち……"南ことり"の愛なんだから!」
キュィィィィィィィィィンッ!!
ことり(私の持てる能力を限界まで使って、私とミナリンスキー……ううん!全ての私の想いをぶつける!)
カッ!!
ことり「ぴゅあぴゅあマカロン――!」
─────────────────
呪殺の魔殿中心部〜ことり穂乃果ルーム
AM??〜?? 新終末編『280』了
-
というわけでここまで
全力のスピーチは届くのか
新終末編『281』に続く
かもしれない
-
新終末編『281』
─────────────────
──ことり穂乃果ルーム
AM??
ことり「ぴゅあぴゅあマカロン――Heart Synchro Macaron!」
ポワンッ!
ことり穂乃果「へぇ……」
ことり(このハートシンクロは初めてほのリルちゃんと出会った時に使ったマカロン)
ことり(気持ちを通じあわせた相手とシンクロできるマカロンだ)
ことり(今ほのリルちゃんが声をかけてくれなかったら、これを使うという考えは浮かばなかった)
サッ
ことり(私は空中に浮いて優しい光を放っているマカロンに手をかざして目を閉じる)
ことり「これは心を重ねるためのマカロン」
ことり「私はこれを使って……私自身と心を重ねるっ!」
キュィィィィィィィィィンッ!
ことり(相手と同じ気持ちを持てばシンクロできる、逆に言えば最初から同じ気持ちを持ってる相手なら直接合わなくてもシンクロできるということ)
ことり(もちろん言うほど簡単な話じゃない、でも自分自身が相手なら成功する確率は上がる!)
ことり(穂乃果ちゃんが好きという気持ちをキーワードに検索すれば他の世界の私とだって……)
ピンッ!
ことり(見つけた!)
ことり(瞼を閉じた私の視界、真っ暗なその中に見たことのない景色が浮かび上がってくる)
ことり(これが他の世界の私が見てる景色なんだろう、じゃあまずこの私とシンクロ!)
キュインッ!
ことり(……できた、他の世界の私の意識と記憶が私に流れ込んでくるのが分かる)
-
ことり(よし、この調子で2人目3人目!)
キュインッ! キュインッ!
ことり(4人6人8人……いやもっと!)
キュインッ! キュインッ! キュインッ!
ことり(10人!20人!30――)
ズキッ!!!!
ことり「ぐっ!?」
ガクンッ!!
ことり穂乃果「あれ?また膝ついちゃったね、苦しそうだけど大丈夫?」
ことり「はぁ……ぐっ……ぐあっ……」
ググッ
ことり(シンクロを発動した瞬間に酷い頭痛と吐き気が襲って私は立っていられなくなる)
ことり(なにこれ……私の中に……頭が……脳に流れて……溢れて……)
ほのリル『バカっ!一気にやりすぎだ!1人ずつ慎重にシンクロしていけ!』
ほのリル『シンクロはお前の魂の領域に他の1人分のスペースを作って共有するのと同じことなんだ』
ほのリル『しかも相手は別次元の存在!次元を超える負荷がかかる中で無理やり詰め込んでいったらパンクするぞ!』
ことり「はは……自分がけしかけたくせにやけに心配性だなぁ、臆してるのはそっちじゃないの……?」ゲホゲホッ
ほのリル『私っ、オレは諦めるなと言ったが自殺行為をしろと言った覚えはねえっ!』
グググッ
ことり「大丈夫だよ、私は不可能を可能にできる女の子だから……」
ほのリル『ことり……』
ことり「私の……私たちの愛は……世界も次元も超えられるって証明するんだっ!!」
キュインッ!
ことり「……え?」
ことり(その瞬間、私の中に誰かの意識が流れ込んでシンクロした)
-
ことり(どうして?今私は自分からシンクロしてないのに――)
ミナリンスキー『……全く、他の世界のことりの意識を入れるくらいなら先に私を呼んでよね』
ことり「ミナリンスキー!?」
ミナリンスキー『後回しにされてるみたいで不愉快だったから自分から来ちちゃったじゃない』
ことり(間違いない、今私の中に入ってきてシンクロした意識はミナリンスキーだ)
ことり(他に取り込んでシンクロしている『他世界の南ことりの意識』より私本体と近い場所)
ことり(ほのリルと同じくらい私と近い場所で、私に話しかけてくれている)
ことり「どう……して……」
ミナリンスキー『こっちもびっくりしたんだよ、伊勢湾から帰ってる途中で急にあなたの呼び声がしてと思ったらウトウト』
ミナリンスキー『いつの間にか眠ってしまって、気がついたらあなたの魂の中、変な夢を見てるみたいで妙な気分』
ミナリンスキー『でも……夢じゃないんだよね?』
ことり「うん、ミナリンスキーの意識は私が能力で呼んだものだと思う」
ミナリンスキー『分かった、でもどうして私だけ普通にことりと話せるんだろう?"他のことりの意識"はただの情報存在みたいだし』
ほのリル『……推測でしかないが、ミナリンスキーは一応同じ世界に存在していて、更に一度ことりと直接出会って会話を重ねている』
ほのリル『そういう点で他のことりよりシンクロ率が高いのかもしれない』
ミナリンスキー『なるほど……』
-
ミナリンスキー『そういうわけなら私も協力するよ、魂の中でしか動けないけどことりの負荷が減るように頑張ってみる』
ことり「ありがとう……っ、じゃあ私も本気出さないとね……!」
ググッ!
ことり「不可能を可能にする……私のとっておきのマカロンでっ!」
ポワンッ!
ことり(私はハートシンクロを残したままマカロン砲を再召喚して、銃口を空中に浮いてるハートシンクロのマカロンへ向ける)
ことり(この技は他のマカロンと合わせて使うと、合わせたマカロンの能力を強化することができる技)
ガチャッ!
ことり「I Love You Macaron!!」
ドンッ!!
ことり(マカロン砲から発射されたハート型のエネルギー弾、それがハートシンクロマカロンに直撃)
ことり(強化されたハートシンクロマカロンは更に光を増して>>541の形に変化する)
-
虹色マカロン
-
ことり(マカロンは分裂して百を超える虹色マカロンに変化する)
ことり(各色のマカロンが空中に浮かんで綺麗な虹色のグラデーションを作り出す)
ことり(これが新しい合体マカロン技)
カッ!
ことり「Love Heart Synchro Rainbow Macaron!!」
ミナリンスキー『……名前長くない?』
ことり「いいの、適当につけてるんだから」
ことり「このマカロンはハートシンクロの強化版、かなりの心の力を使うけど一斉に大人数とシンクロができる」
ことり「さぁ来て――――私たちっ!」
パパパパパパパパパパパパッ!!
ことり穂乃果「おおっ」
ことり(私が力を込めたその瞬間、周囲に浮いてるマカロンを台座のようにして人の姿が投影された)
ことり(百を超えるマカロンから投影されたホログラム、それは全て私と同じ顔をしている)
ほのリル『すごいな……これが全てことりがシンクロした別世界のことりたちか』
ほのリル『年齢も服装もバラバラだがことりの面影は感じられる』
パッ!
ことり(そして私の隣のマカロンにはミナリンスキーの姿が現れた)
ミナリンスキー『おっ、私も出てこれたみたいだね』
ことり「うんっ」
-
ことり(大勢の自分の幻影を背後に展開した私は自信を持ってことり穂乃果の前に立つ)
ザッ
ことり「ことり穂乃果……私分かったよ」
ことり穂乃果「……ふむ」
ことり「これだけ多くの別世界の自分の意識と記憶が一斉に流れ込んできて混乱したけど、ちゃんと読み込んでいけば1つだけ確かなことがあった」
ことり「どの世界の私にも共通する確かなこと、変わらない絶対事項があったんだ」
ことり「それはね、例えどんな世界でも私はやっぱり穂乃果ちゃんが大好きってこと」
ことり穂乃果「…………」
ことり「見れば分かるけど、私の後ろに浮かんでる"私たち"はそれぞれ別の道を歩んできた私たち」
ことり「私と同じように平和な世界でスクールアイドルやってる私がいれば、スクールアイドルをやってない私もいる」
ことり「大学生になって穂乃果ちゃんと同居してる私がいれば、別々の学校で離れ離れになった私もいる」
ことり「中にはずっと片思いで話かけられなかった、友達にすらなれなかった私だっている……」ギュッ
ことり「それに、急に穂乃果ちゃんが魔王に目覚めちゃったりしたこともあったっけ……」
ミナリンスキー『ことり……』
ことり「世界自体が私の世界と全く違う私だっていっぱいいる」
ことり「戦争が起きた世界、文明が滅びた世界、植物に支配された世界、AIが人類の友達になった世界、人類が外宇宙に進出した世界」
ことり「そこで私は穂乃果ちゃんたちと一緒に頑張って生き延びたり、時には人型ロボットに乗って穂乃果ちゃんと敵対することもあった」
ことり「私と穂乃果ちゃんが人間ですらない世界だってあった」
ことり「でもね、例えどんな世界でも変わらなかったんだよ」
ことり「2人がどんな関係性だろうと、どんな選択肢を選ぼうと、どんな人生を歩んでも……」
グッ
ことり「私は――何度だって穂乃果ちゃんを好きになる!」
ことり「これが愛の証明じゃなかったらなんだって言うの!!」
-
ことり穂乃果「…………」
ことり(私が見る、私たちが見る)
ことり(ソファに座ることり穂乃果を百を超える私たちが見つめる)
ことり(それぞれの世界で穂乃果ちゃんを愛してきた私たちの想いが届くことを願って…………!)
タンッ
ことり穂乃果「……分かった、合格だよ――ことりちゃんたち」
ことり「…………っ!」
ミナリンスキー『やっ……』
ことり「やったあああああああああああああああっ!!」
ことり(私は思わず飛び上がり、隣にいるミナリンスキーに抱きつく)
ことり「やったああああっ!やったよおおおおおおおっ!」
スカッ
ことり「ううっ……ホログラムだから抱きつけない……」
ミナリンスキー『まぁまぁ、あなたの嬉しさは分かるよ』
ことり穂乃果「ことりちゃん、合格したから私の元型の全権限をあなたに譲渡するよ」
ことり穂乃果「それで私固有の因子能力の説明なんだけど、これを使うと穂乃果因子で>>545」
-
穂乃果とシンクロ出来る
-
ことり穂乃果「これを使うと穂乃果因子を使用して穂乃果とシンクロができるようになる」
ことり「穂乃果ちゃんと……?その穂乃果ちゃんの定義は?」
ことり穂乃果「穂乃果の元型を持つ穂乃果なら誰でもオーケー、シンクロしたい相手をイメージすればいいよ」
ことり「なるほど」
ことり「因子能力ってのは穂乃果因子を燃料にして使う能力だから因子が周りにないとダメなんだよね?」
ことり穂乃果「そうだよ、燃料切れに気をつけてね〜」
ことり穂乃果「そうだ、あとそっちのことりちゃんにも記憶共有くらいの権利上げるね」
ことり穂乃果「私の部屋に来てそれだけ自我を保ててるなら元型に目覚めてそうだし」
ミナリンスキー『オマケみたいで癪だけど……貰えるものは貰っておくよ』
ミナリンスキー『じゃあ私はこの辺で退散して目覚めようかな――』
ことり「あ、待ってミナリンスキー!」
ミナリンスキー『ん?』
ことり「私たちが今外郭界を探索してるのは知ってるよね」
ミナリンスキー『うん』
ことり「実はこれから……旧魔王、あなたにとっての穂乃果ちゃんを探そうと思ってるんだ」
ミナリンスキー『…………!』
ことり「……何か、何かっていうのも変だけど、もし見つけられたら何か伝えておくことはある?」
ミナリンスキー『そう……だね、>>547』
-
くまさんパンツを盗んだのは私です
-
ミナリンスキー『くまさんパンツを盗んだのは私だって言っておいて』
ことり「くまさ……そんなことでいいの?」
ミナリンスキー『他人の口から伝えるのはそんなことでいいよ』
ミナリンスキー『本当に伝えたいことは本人が帰ってきた時に自分の口から伝えるから』
ことり「ミナリンスキー……」
ミナリンスキー『じゃ、うちの穂乃果ちゃんこと宜しくね!』
シュンッ!!
ことり(それだけ言い残すと精神体のミナリンスキーは消失する)
ことり「じゃあ私も戻ろうかな、ことり穂乃果もありがとう」
ことり穂乃果「別に、これが私の役目だからお礼は要らないよ」
-
ことり穂乃果「しかしこれで資格所有者が3人か……この短期間にそれほどの人数が試練を突破するなんて聞いたことがないなぁ」
ことり穂乃果「目覚める者が多いということはそれだけ力を欲するものが増えているということ」
ことり穂乃果「つまりは力を欲さなければ生きられない危機に世界は瀕している」
ことり穂乃果「それは世界の終末を意味しているのか……はたまた新たなる始まりを意味しているのか」
ことり「……?」
ことり穂乃果「ま、暇人の戯言だよ、気にする必要はない」
ことり「う、うん」
ことり「じゃあ……今度こそ私も帰るね」
スゥーー
ことり(ことり穂乃果の気になる言葉を耳に残しつつ、私は頭の中で帰ることを意識する)
ことり(すると私の意識は段々と朧げになって、目の前の景色が歪んでいく)
ことり(まるで……夢から覚めるように……)
ことり(そして、私はことり穂乃果の部屋から帰還したのだった)
─────────────────
ことり穂乃果の部屋
AM??〜?? 新終末編『281』了
-
というわけでここまで
戻ります
新終末編『282』に続く
かもしれない
-
をつ
そもそもマカロン砲の能力自体が穂乃果への愛を具現化したものじゃなかったっけ
-
そうですね
溢れてたまらないことりちゃんの愛の気持ちを制御するために作られた能力がぴゅあぴゅあマカロンです
今回は元型の試練なのでもうちょっと工夫してみた感じかと
では本編へ
-
新終末編『282』
─────────────────
──呪殺の魔殿・中心部
AM??
フッ
ことり(次に意識が戻った時、私は棺がある例の石室に立っていた)
ことり(良かった……ちゃんと元の場所に戻ってこれたんだ)
髑髏穂乃果「ことり!」
ことり「髑髏穂乃果……私はどのくらいこうして立っていた?」
髑髏穂乃果「そう長くない、1分くらい気絶したように突っ立っていただけだ」
髑髏穂乃果「それで焔のソウル天とは適合できたのか?」
ことり「焔のソウル天……」
ことり(ああ、一瞬なんのことかピンと来なかったたけど、ことり穂乃果の元型資格のことか)
ことり(同じ対象について穂圏と外郭界でそれぞれ別の用語で呼んでるから混乱するなぁ)
ことり「うん、向こうでの経験からソウルの適正はできたと思う」
髑髏穂乃果「そうか、上手くやったようだな」
GODの器『ふむ……私の目にも見えるぞ、お主の中のソウルの力が行く前よりも強くなっている』
GODの器『約束通り私からは天の焔を与えることにしよう』
ことり「…………」
ことり(そう言うとGODの器は自分の棺から>>554のような形の道具を取り出す)
ことり(あれが……天の焔?)
-
ひょっとこのお面
-
ハレンチなマッサージ器
-
ことり(ひょっとこのお面のような形の道具……あれが天の焔なの?)
GODの器『受け取れ』
ヒュンッ!!
ことり「わわっ!」パシッ
ことり(受け取った天の焔はひょっとこの面という以外は特に変わったところはない)
ことり(何の素材で出来てるかは分からないけど軽くて薄い面、丈夫そうで少し力をかけたくらいでは折り曲がらないみたいだ)
ことり(これが焔のソウルから作られた古代のすごい道具……だとは思えないなぁ)
ことり「これ使い方はどうするの?お面だから被ればいいのかな?」
GODの器『そうだ、被ることで面を通して魔王のソウルの痕跡を探索することができる』
ことり「へぇ〜、でもどうせならGODみたいな格好いい仮面が良かったな」
GODの器『これは私専用のデザインなんだ、お主はその面で我慢してくれ』
ことり「ひょっとこかぁ……」
-
髑髏穂乃果「GODの器、一段落ついたところでまた少し私から質問していいか?」
GODの器『なにかな?』
髑髏穂乃果「この呪殺の魔殿の外で魔殿の主という女に出会った、名前は呪井幸子という女だ」
髑髏穂乃果「やつが言うには魔殿の中心部に入ると『神の神殿』への鍵を手に入れるチャンスを得られるという話」
髑髏穂乃果「ことりが最初の火の隔離空間へ行くことは出来たが、それと神の神殿はまた別の存在だと私は思う」
髑髏穂乃果「GODの器、お前は何か心当たり無いか?」
GODの器『神の神殿か……>>558』
-
昔住んでた実家
-
GODの器『あそこは昔住んでた実家だな』
髑髏穂乃果「……実家ぁ?」
GODの器『ああ、私を含めて何人かの仲間が暮らしていた実家みたいな神殿さ』
GODの器『世界崩壊後は当然誰にも使われてないと思うが……鍵が欲しいのなら棺に入ってるから持っていくといい』
ことり「いいの?呪井幸子の言い分だと鍵を得るには更なる試験的なものが必要って感じだったけど」
GODの器『そうは言われてもな、逆に私にはそこまでの価値が感じられないから困る』
GODの器『私の記憶が正しければあそこは本当に何も無いはずだぞ、入りたいのなら好きにすればいい』
GODの器『試練が必要だと言うのなら焔のソウルの試練をクリアした副賞で良いだろう、持っていけ』
ことり「う、うん……ありがとう」
スッ
ことり(私は棺を覗きこんで鍵らしきものを手に取る)
ことり(因子能力に天の焔、更に神殿の鍵まで色々貰ってしまった)
ことり(1つの試練で貰えるものがやたら多いなぁ)
髑髏穂乃果「では最後に1つ、呪井幸子という存在について知ってることは?」
髑髏穂乃果「どうも私はあいつの言動が少し信じられなくてな……お前は知ってるのか?」
GODの器『>>560』
-
全ての祖の成れの果て
-
GODの器『直接は知らない、だが今この外郭界において人間型の生物は存在しない』
GODの器『髑髏穂乃果が教えてくれたフードマンというお客様たちを除けばな』
髑髏穂乃果「じゃあ……あいつは、呪井幸子はなんなんだ?」
GODの器『考えれる可能性とすれば……成れの果て、全ての祖の成れの果てだ』
ことり「なにそれ?」
GODの器『古の時代、私たちが焔のソウルを使って世界を切り開いて国を興していた頃、その過程でソウルの切れ端が出ることがあった』
GODの器『私たちはそれをソウル屑と呼んでいた、薪で火を起こした際に出る煤のようなものと考えてくれればいい』
GODの器『ソウル屑は弱々しいエネルギーで1つの1つの欠片では何の形になることもできない』
GODの器『だが微量でもソウルに変わりはない、長い時間をかけて数千数万の欠片が寄り集まって人の形を取ることがあるんだ』
GODの器『私たちはソレを全ての祖たる最初の火の成れの果て――『成れ果て』と呼称した』
GODの器『私たちの時代にもソウル屑から生命体が生まれたケースがいくつかあった』
-
GODの器『……ま、全て漏れなく鎮圧したけどね』
髑髏穂乃果「幸子も成れ果てだと?」
GODの器『おそらく世界が崩壊して外郭界となってから、長い長い時間をかけてソウル屑が集まって成れ果てとなったんだろうな』
GODの器『成れ果ては27のソウルから溢れたソウルの切れ端、種類は様々で姿にもこれと言った決まりはない』
GODの器『だからお主の見た幸子が成れ果てと言い切ることはできんが……可能性は十分高い』
髑髏穂乃果「なるほどな……」
ことり「成れ果て……ねぇ」
─────────────────
呪殺の魔殿
AM??〜?? 新終末編『282』了
-
というわけでここまで
次は外に戻ります
新終末編『283』に続く
かもしれない
-
新終末編『283』
─────────────────
──呪殺の魔殿
AM??
ことり「呪井幸子が成れ果て?成れ果ては味方なの?」
GODの器『さぁな、味方か敵かはそいつ次第だろう』
GODの器『成れ果てはソウルの欠片から生まれた不安定な存在だからハッキリとした言及ができない』
GODの器『本人の精神面も不安定なことが多いから交渉を望むのなら注意することだな』
ことり「……そっか、気をつけておくよ、ありがとう」
髑髏穂乃果「よし、聞くべきことは聞いたし私たちは外に戻るか」
ことり「あ、ちょっと待って!」
髑髏穂乃果「ん?」
ことり(踵を返して石室の入り口へ行こうとした髑髏穂乃果を呼び止める)
ことり「私1つ思い出したことがあるんだ」
髑髏穂乃果「思い出したこと?」
ことり「うん、私……たぶんGODの魂を今持ってる人を知ってる」
GODの器『ほう』
ことり「直接会ったわけじゃなくて話で聞いただけなんだけど、冥界のGODの里って所に魂の浄化を専門にする神様がいるんだって」
-
ことり「ポポポポーンちゃんたちが働いていた場所の主で、名前はGODって言うらしいよ」
髑髏穂乃果「そのまんまだな、魂を扱っているのもそれらしい」
GODの器『ふむ……私の物だったソウルは無事に輪廻転生の輪に乗っているようだな、安心した』
GODの器『教えてくれて感謝する、安心したついでに私の魂を持つ者たち宛にプレゼントを届けてはくれないか?』
ことり「プレゼント?」
GODの器『私が現役の時に使っていた道具だ、私のソウルと慣れ親しんでる者なら使えるだろう』
ポイッ
ことり(そう言ってGODの器がこちらに念動力?的な見えない力で何かを投げてきた)
ことり(投げられてきたそれは>>566)
-
ボンテージと手錠
-
ことり(投げられてきたそれはボンテージ衣装と手錠だった)
ことり「その棺本当に色んなものが入ってるね……」
GODの器『自分の肉体を封印する際に自分で色々詰め込んだからな』
GODの器『一度封印すれば完全回復するまで棺から離れることはできなくて暇なのだよ』
GODの器『大半は意識まで封印して眠っているが……お主のような来訪者が来た時は起きて対応せねばならん』
ことり「はは……起こしてごめんね」
GODの器『構わんさ、お主たちが立ち去ればまた寝るだけさ』
ことり「じゃあ今度こそ帰ろうか、髑髏穂乃果も待たせてごめんね」
髑髏穂乃果「別にいい、急ぐぞ」
ことり「うんっ」
タタタッ
ことり(私は多めのお土産を持って髑髏穂乃果の後ろを歩きだす)
ことり(待たせてるダヨオやリホ様のことも心配だし、急がないと……!)
-
・
・
・
──呪殺の魔殿・入り口
ダヨオ「ふーむ……」
ダヨオ(私がかすみちゃんを連れて小型ピラミッドから戻ってきた時、既にことりちゃんたちは魔殿の中に入っていた)
ダヨオ(魔殿の扉は閉じられていて私やリホ様が入ることはできない)
ダヨオ(つまり私はここで2人が帰ってくるのを待ってるしかないんだけど……)
ダヨオ「……うーん?」ジーッ
幸子「よっ!ほっ!」
ダヨオ(さっきから幸子は>>569してるけど……これは何をしてるんだろう?)
-
裸芸
-
ダヨオ(さっきから幸子は裸芸をしてるけど……これは何をしてるんだろう?)
幸子「はっ!よっ!」
ダヨオ(幸子は全裸になっていて、脱ぎ捨てた外套を使って上手く危ないとこだけを隠したりしている)
ダヨオ(見えそうで見えない芸……というやつなのかな)
かすみ「先輩先輩、あの変態は何なんです?」
ダヨオ「私に聞かれても分からないって……」
かすみ「でも怖いですよ、何かされたら私怖くて困っちゃいます〜!」ギュッ
ダヨオ「……うーん」
ダヨオ(かすみちゃんは私の後ろで私の服を掴みながらわざとらしくプルプルと震えている)
ダヨオ(私としては裸芸くらい放置してても良いんだけど、かすみちゃんとの絡みが疲れそうので仕方なく聞きに行くことにした)
スタスタ
-
ダヨオ(本人に聞く前に……まずはリホ様にかな)
ダヨオ「リホ様、リホ様は幸子があんなことしてる理由が分かる?」
リホ様「さぁ?私はことりたちが中に入った時からずっとここに立っていましたが……あの人の考えはさっぱり分かりませんね」
ダヨオ「そうなんだ、あの裸芸はどのくらいしてるの?」
リホ様「ことりたちが中に入って数分後くらいでしょうか、突然服を脱ぎだしてやり始めました」
リホ様「不気味だったのと近寄りたくなかったので触れないようにしてましたね」
ダヨオ「……そっか、じゃあ私が聞いてくるよ」
リホ様「大丈夫ですか?」
ダヨオ「うん、私には奇跡術式とラッキーパンツがあるし最悪の事態は2回までなら回避できる」
ダヨオ「もし何かあったらリホ様はかすみちゃんを守るほうを優先して」
リホ様「そうですか、お気をつけて」
ダヨオ(リホ様と会話を終えた私はちょっと離れた場所で裸芸をしている幸子の元へ行く)
スタスタ
ダヨオ(晒された真っ白な肌とヒラヒラひらめく黒いマントのコントラストが見る人にとっては芸術的……だったりするんだろうか)
ダヨオ(ともかく私は幸子に話しかけてみることにした)
ダヨオ「幸子……何でそんなことしてるの?」
幸子「おやおや、見事ナンパチャレンジを成功させた客人じゃないか」
幸子「私が今行っているのはとある踊り、この踊りは>>572」
-
このダンジョンをクリアされたことを残りのダンジョンとフードマンに伝える
-
幸子「このダンジョンをクリアされたことを残りのダンジョンとフードマンに伝える踊りなのさ!」
ダヨオ「え……?」ピクッ
ダヨオ(私は幸子が言ってることの意味が一瞬理解できなかった)
ダヨオ(ダンジョンをクリア……?フードマン……?伝える……?)
ダヨオ「……っ!」
ダヨオ(そして一瞬の後、私が事実を理解した時には全てが遅かった)
幸子「はい、連絡完了」バッ!
シュンッ!!
ダヨオ「幸子っ!!」
ダヨオ(私が慌てて手を伸ばした先で幸子は自分の体全てを覆い隠すように黒いマントを翻しす)
ダヨオ(私はマントの端を掴むことには成功するものの、その向こうに幸子の体の感触は無かった)
ダヨオ(音を立てて地面に落ちる大きなマント、呪井幸子の体は完全にその場から消失してしまっていた)
ダヨオ「……くっ!」
リホ様「どうしました!?」
ダヨオ「幸子がフードマンと繋がってた!私たちのことを伝えられちゃったみたい!!」
リホ様「なっ!!」
-
ダヨオ「初めから支配下にあった?それとも協力関係?いや、今更考えても仕方ないっ」
ダヨオ「増援が来るかもしれないから急いでここから離れないと!」
リホ様「でもことりたちがまだ来て――」
ガチャッ
ことり「あれ?どうしたの?」
髑髏穂乃果「何やら慌ただしいな」
ダヨオ「よし来た!ナイスタイミング!」
ダヨオ(慌ただしくしていた私たちの横で、丁度良く魔殿の扉が開いてことりちゃんたちが出てきた)
ダヨオ「ことりちゃん!何か成果はあった!?」
ことり「へ?あ、あったよ、中では色々と――」
ダヨオ「あったならよし!今はこの場から離れることを優先するよ!」
かすみ「先輩?」タタッ
ダヨオ「かすかすちゃんも来て!」
グイッ
かすみ「だからかすかすじゃなくて……ええっ?」
タタタタタッ!
ダヨオ(私はことりちゃんとかすみちゃんの手を掴んで船の方向へ走り出す)
ダヨオ(説明が足りないけど説明は船に乗ってからすればいい)
ダヨオ(今はとにかくこの魔殿から離れないと…………っ!)
─────────────────
呪殺の魔殿
AM??〜?? 新終末編『283』了
-
というわけでここまで
慌ただしくなります
新終末編『284』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『284』
─────────────────
──ナグルファル内・通路
AM??
ダヨオ「はぁ……はぁ……」
髑髏穂乃果「全く、焦らせれて船に乗ったはいいものの事情が全く分からんぞ」
ことり「何かあったの?」
ダヨオ「うん、説明はするよ、フリュムたちのいる部屋まで行ってから話すことにするよ」
ダヨオ「どうせ皆に話しておかなきゃらないし―――」
タタタッ
・
・
・
──操舵室
ダヨオ「――ってことが起きたんだよ」
ことり「幸子が……情報を流してた?」
ダヨオ「うん」
髑髏穂乃果「なるほど……フードマンや他のモンスターに今の私たちの情報を知られるのはかなりに不味いな」
髑髏穂乃果「フードマンの拠点はまだまだ遠いだろうからすぐに本隊がやってくることは無いだろうが、それでもこの場は離れたほうがいい」
ダヨオ「やっぱりそう思うよね」
髑髏穂乃果「フリュム!」
フリュム「分かってらぁ!全速前進でピラミッドから離れてる最中だ!」
ガララララララララッ!!
ことり「そうだポポポポーン、あなたに見てもらいたいものがあったんだよね」
ポポポポーン「はい?なんでしょう」
ことり「これ、GODのソウルに親しんだ関係者なら使えるらしいんだけど、里で働いてたポポポポーンなら何か分かるかな?」
ポポポポーン「ふむ……」
ことり(ポポポポーンにボンテージと手錠を手渡してみる、すると>>578)
-
女王様に変身してことりを調教しだした
-
ポポポポーン「はっ!」ピクッ!
バシュンッ!!
ことり(ポポポポーンがボンテージを受け取った瞬間にポポポポーンの体を煙が包む)
ことり(そして煙か晴れるとポポポポーンは女王様スタイルに変身していた)
ことり「なんで……?」
ポポポポーン「おだまりっ!」
ことり「ひっ!」
ことり(なぜか中身まで女王様化してるみたいだった)
ポポポポーン「口答えしないで犬みたいに四つん這いになりなさい!」
ことり「は、はいっ!」
ガバッ!!
髑髏穂乃果「何をしている……?」
ことり「いや、私も分かんない、でもどうしてかポポポポーンの言葉に逆らえない気がするんだよ」
ポポポポーン「わんわんと鳴くんだよ!」
ことり「わんわんっ!」
髑髏穂乃果「ふーむ……これはGODの道具の効果と考えるのが自然か」
-
髑髏穂乃果「かつてのGODはソウルを加工する力に長けていて、今のGODも魂関係の能力に長けている」
髑髏穂乃果「それでソウルに適合したことりが調教されたかのように支配されてるのを見るに……」
髑髏穂乃果「GODの道具はソウル持ちを操れる能力があるのかもしれない」
ことり「待って待って!じゃあ私はどうすればいいのわん!?」
髑髏穂乃果「支配と言っても相手はGOD本人ではないポポポポーンだ、完全に抵抗できないわけじゃないはず」
髑髏穂乃果「女王様スタイルと言動に驚かずにしっかり気を保て」
ことり「う、うん……」
レイ「ダヨオさん!ちょっと窓から外の様子を見てみてください!何かに追われてたりはしませんよね?」
レイ「レーダーが当てにならないので目視確認をお願いします!」
ダヨオ「わかった!」
タタタッ
ダヨオ「えーっと……今の船の周りは>>581」
-
ずーっと砂砂砂・・・・はっ!誰かに呼ばれてるからちょっと行ってきます
-
ダヨオ「ずーっと砂砂砂、今のところは何も見当たらないし追ってきてるやつもいないよ」
レイ「そうですか、ですが念の為に監視を続けて――」
ダヨオ「ああっ!!」ビクッ
レイ「ど、どうしました?」
ダヨオ「私……その……誰かに呼ばれてるような気がして……」ソワソワ
ダヨオ「ちょっと行ってくるね!」
タタタッ
バタンッ!
レイ「ダヨオさん?」
リホ様「いきなり操舵室を飛び出してどうしたんでしょうか……トイレ?」
レイ「さぁ?」
かすみ「あのっ!私探してきますね!」タタタッ
リホ様「かすみまで……仕方ありませんね、私が代わりに外を見ておきましょう」
レイ「お願いします」
-
ことり(ダヨオちゃん……?)
ことり(いきなり何かに操られたみたいにフラフラと部屋を出ていってしまうダヨオちゃん)
ことり(すごい気になるけど……ポポポポーンの犬と化してる今の私は身動きがとれないっ!)
グググッ
髑髏穂乃果「どうすることり?私の能力でポポポポーンを気絶でもさせるのが手っ取り早いと思うが」
ことり「だいじょ……ぶ……気力で何とかする……わん」グググッ
髑髏穂乃果「本当か……?」
ことり(髑髏穂乃果が言ってた通り、これは気持ちの問題だ)
ことり(いわばポポポポーンはGODの近縁ってだけの仮使用者、GOD自身のような本使用者ではない)
ことり(だとすれば何処かに抜け道があるはず……!)
グググッ
ことり(髑髏穂乃果に手を貸してもらえば私が無駄に頑張る必要はないけど、これは私にとっての練習だ)
ことり(今後ポポポポーンやGODのように焔のソウルに干渉する能力者が出てきた時、私1人で抵抗できなければ簡単に負けてしまう)
グググッ
ことり「はぁ……ぐっ……!このっ!」
バッ!!
ことり(この調教支配から脱するために私は>>584)
-
フェンリル化
-
ことり(ほのリルちゃんの力を借りる!)
カッ!!
シュルルルルッ!!
ポポポポーン「っ!?」
髑髏穂乃果「ほう……獣化か」
ことり「はぁ……はぁ……」
シュゥゥゥゥゥゥッ
ことり(私の体が毛皮に包まれて狼の耳と尻尾が生え、周囲には極寒の冷気が発生する)
ことり(そうしてフェンリル化した私の体はさっきより楽に動くようになっていた)
ことり「ふぅ……よし、動ける!」
ほのリル『急に呼び出されて驚いたぞ、オレの戦闘力が必要な相手には見えないが』
ことり「ううん、今ほのリルちゃんの力を纏ったのは戦闘力とは別の話」
ほのリル『?』
ことり「私さ、ぴゅあぴゅあマカロンとほのリルちゃんの力って同時に使えないでしょ?」
ほのリル『ああそうだな、ことりが中心となる能力とオレが中心となる能力は同時に行使するとぶつかってしまう』
ほのリル『100%以上本気で使うにはどっちかが引っ込まなきゃならん、試したことは無いが同時に使ったら50:50の出力が限界だろう』
ことり「そう!それで思ったんだ」
ことり「焔のソウル天と適合した私、つまり因子能力を得た私の魂が操られる原因なら、その魂を別の力で覆ってしまえばいい」
ことり「ほのリルちゃんの力が占める領域を広げることで因子能力が占める領域をできるかぎり小さくするんだよ!」
髑髏穂乃果「……なるほどな、融合獣の力を使ってる時はその力に押し退けられて他の力が使えない」
髑髏穂乃果「使えないということは逆に言えば表に力が出てきにくいということ」
髑髏穂乃果「獣化のデメリットを自分由来の力を封印するメリットとして利用したわけか」
ことり「そういうこと」
-
ことり「私の力も、ぴゅあぴゅあマカロン、ほのリルちゃんの獣化、スキル鏡花水月、因子能力と増えてきた」
ことり「今後は海未ちゃんみたいに適材適所で切り替えていけるようになりたい」
ことり「そうじゃないと、この先はきつくなる……」
ザッ
ことり「……てわけで、とりあえずポポポポーンちゃんはその服脱いでね」グイッ
ポポポポーン「わっ!うわあああああああああ!」
ことり(私は獣化の膂力で強引に押さえつけるとボンテージを脱がしていく、ついでに手錠も取り上げる)
ことり(するとポポポポーンはまた煙に包まれて元の姿に戻った)
ボワンッ!
ポポポポーン「けほけほっ……あれ?私は何を……」キョロキョロ
ことり「このボンテージは使い所を考えれば便利そうだけど、ポポポポーンちゃんは暴走気味になってダメだね」
髑髏穂乃果「どうしてもという時が来たら与えればいい、今はお前が持っておけ」
ことり「そうだね」
フリュム「おいオメェら!騒いでんのもいいが次の目的地はどこなんだ?」
フリュム「ピラミッドん中で魔王の痕跡について調べて来たんだろう?」
髑髏穂乃果「ああもちろん、いけるかことり?」
ことり「うんっ」コクンッ
ことり(今度は別の能力の出番)
ことり(私は獣化を解くと、自分の中のソウル……元型の力を高めながら懐に入れていたひょっとこの面を被る)
スッ
ことり「さぁ、魔王の居場所を見つけるよ――役に立ってね天の焔!」
─────────────────
ナグルファル
AM??〜?? 新終末編『284』了
-
というわけでここまで
再び飛び立つナグルファル
そしてどこかへ消えたダヨオの行方は……
新終末編『285』に続く
かもしれない
-
をつ
-
もう何がどうなったら終わりなんだよ
-
とりあえず新終末編での目標はフードマンを何とかしてラグナロクを防ぐことですね
そこに向けてゲートや国土防衛のメインクエストを進めつつ複数のサブクエを進めております
やることは増えていくが一個一個片付けて行きたい
では本編へ
-
新終末編『285』
─────────────────
──ナグルファル・操舵室
AM??
スチャッ
ことり(私は天の焔を顔に装着する)
ことり(他の人から見るとひょっとこの面を被った変な姿、髑髏穂乃果がちょっと笑ってるような気がするけど……気にしない)
ことり(GODの器の説明が正しければ天の焔には魔王のソウルの痕跡を辿れる機能がある)
ことり(私たちが魔王と呼んでいる旧魔王は最初の魔王のソウルから作り出されたもの)
ことり(だったら今もどこかにソウルの欠片が残っているはず)
ことり「天の焔!起動!」
キュィィィィィィィンッ!!
パッ!
ことり(天の焔を起動させると面を通した私の視界にフィールドマップのようなものが映し出される)
ことり(フィールドマップの中心には真っ直ぐ進む青い矢印、これが私たちの船かな)
ことり(そしてフィールドの端、この赤黒い焔みたいなスタンプが押してあるのが……)
ことり「見えたっ!魔王のソウルの場所だ!」
髑髏穂乃果「本当か!?どこにある!」
ことり「ここからだとそう遠くないと思う、ナグルファルの速さで進むと>>592くらいの時間で着けるかな」
-
アメリカと秋葉原とドームでライブした
-
ことり「アメリカと秋葉原とドームでライブしたくらいの時間で着けるかも」
髑髏穂乃果「随分と分かりにくい例えを出してきたな……お前らのライブ時間なんて知らんぞ」
ことり「早くて一時間半か……遅くても数時間くらいかな、とにかくここから1日以上かかるとか物凄い遠い距離じゃないよ」
フリュム「おうっ!場所が分かったんなら案内してくれ!」
ことり「うんっ!」タタタッ
ことり「天の焔のマップには2つの魔王のソウルの痕跡が表示されているの、1つはとても大きくてもう1つは今にも消えそうなくらい小さい」
髑髏穂乃果「大きい方はフードマンの拠点にある新魔王のほうだろうな」
ことり「そう、私たちが目指すのはもう1つの小さな痕跡のほうだよ」
ことり「場所はあっちで……次にそっちに向かって……」
フリュム「ふむふむ」
ことり(そうやって私がフリュムに航路の説明をしていると……)
ガチャッ
かすみ「はぁ……」
ことり(ダヨオちゃんを追って出ていったはずのかすみちゃんだけが戻ってきた)
-
リホ様「どうしました?ダヨオは?」
かすみ「いや先輩のあとを急いで追いかけていったつもりなんですけど……見失っちゃったんですよね」
かすみ「船のどこ探してもいないし、そこらへんの兵士さんたちに聞いても見てないって言ってるし」
かすみ「はぁ……かすみ先輩に本気で逃げられるほど嫌われちゃったんでしょうか」
リホ様「あなたの好感度は置いといて……ダヨオが消えたというのは妙な事態ですね」
髑髏穂乃果「だな、敵の攻撃と決めつけるのは安直だが気になる」
ことり「私がミラーマカロンで見てみようか?」
髑髏穂乃果「いやいい、お前は天の焔のを持続することに集中していろ」
髑髏穂乃果「ダヨオの捜索はナグルファルに乗ってる暇な兵士共と……こいつらに探させよう」
ボォォンッ! コキャコキャ
リホ様「骨の兵士、スケルトンの召喚ですか……そんなこともできたんですね」
髑髏穂乃果「ま……最初の死者の能力の1つだよ、行け骨共!」
スケルトンズ「「カキャキャキャ!」」
カサカサカサカサカサカサ!
かすみ「はぁ……先輩がいないと暇ですね、料理でもしていましょうか」
リホ様「また唐突ね……」
かすみ「私こう見えて料理が趣味なんですよ、そうですねぇ……今の手持ちの材料だと作れるのは>>595」
-
Happyな気分になるコッペパン
-
かすみ「Happyな気分になるコッペパンですかねぇ」サッサッ
リホ様「パン?器具が無いのにパンが作れるんですか?」
かすみ「私独自の方法ですけどね、まずはカバンから道具と材料を一式出します」
かすみ「そして折りたたみ式の調理台を広げてー」
パカッ ガタッ
かすみ「そこに予め練っていたパン生地を置いてコッペパンの形に成形してHappy薬と発酵促進薬を数滴」
ポタポタッ ボワンッ!
かすみ「準備ができたらオーブン薬をまた数滴落として……」
ポタッ
ボォァァァァァァァァァッ!!
リホ様「おおっ!」
髑髏穂乃果「すごいな、ただ置かれているだけのパンがあっという間に焼かれていくぞ……」
髑髏穂乃果「液体をかけただけで物体をオーブンのように焼いてしまうとはヤバイ薬だな」
かすみ「様々な薬を調合できるのが私の能力ですからね〜、まぁ調合にはそれなりの材料と時間がかかるのですが」
-
ボォォォォウッ! パリパリッ!
かすみ「……っと、無事良い感じに焼けました」
かすみ「焼き立てですよ、一口どうです?」スッ
リホ様「わ、私ですか?」
かすみ「はい、そっちの髑髏面黒マントは食べてくれなさそうなので」
髑髏穂乃果「人を見かけで判断するな、まぁそんな怪しいものを食べないがな」
かすみ「やっぱり食べないじゃないですかー」
リホ様「……分かりました、私が試食してみましょう」スッ
パクッ
かすみ「どうです?私のHappyコッペパンは?」
リホ様「これは……>>598」
-
テンション上がってキターーーー!!!!!
-
リホ様「これは……」ピクッ
リホ様「テンション上がってキターーーー!!!!!」
ヒャヒャヒャヒャヒャッ!!
髑髏穂乃果「おいおい!何かヤバイ薬を混ぜたんじゃないだろうな!?」
かすみ「またまた〜ヤバイ薬だなんて人聞きの悪いこと言わないでくださいよ〜」
かすみ「私先輩が側にいなくなって悲しいからすこ〜しだけ気分がHappyになれる薬を混ぜただけです」
髑髏穂乃果「それがヤバイって言ってるんだ!」
髑髏穂乃果「よりによってコイツは女神だぞ?コイツが本気で狂ったら私でも止めることは難しい!」
リホ様「ははははははははっ!」
髑髏穂乃果「今のうちに私の能力で拘束を――」
リホ様「転移」シュンッ!
髑髏穂乃果「なっ!?」
リホ様「はいあなたにも幸せのお裾分け」グイッ
髑髏穂乃果「お前いつの間に背後に……あむぐっ!?」
リホ様「は〜い美味しい美味しい〜」
-
ことり「ちょっ!私が航路を見てる間に後ろで何騒いでるの!?」
髑髏穂乃果「ぐ……ことり……気を付けろ……リホ様が転移で背後に回り込んで無理やりパンの欠片を食わせてくる……」
髑髏穂乃果「今すぐここから離れ…………テンション上がってキターーーー!!!!!」ビクッ!!
ことり「えええっ!?」
髑髏穂乃果「さぁリホ様!ここにいる全員にHappyコッペパンを食わせるぞ!Happyぃぃいいいいいっ!!」
リホ様「Happyぃぃいいいいいっ!!」
ことり「二人共落ち着いて!落ち着いて!落ち――」
ガバッ!!
ことり「ひゃあああああああっ!」
ことり(今思えば速攻で獣化すれば逃げれた可能性もあっただろう、けれどその判断が遅れてしまった)
ことり(素の状態の私は当然この2人の力に抵抗することはできず……)
パクッ
ことり(敢え無くパンを食べさせれてしまったのでした)
─────────────────
ナグルファル
AM??〜?? 新終末編『285』了
-
というわけでここまで
みんながハピハピ状態に
そろそろ内浦組と繋がりますね
新終末編『286』に続く
かもしれない
-
新終末編『286』
─────────────────
──ナグルファル・操舵室
AM??
・
・
・
──
────
────────
ことり「――――ってところで私の意識は途切れて、次にかすみちゃんに起こされて今に至る」
ことり「私たちが外郭界に来てからの出来事はこれくらいかな」
アニメ穂乃果『なるほど……』
ことり(私は自分の鼻から垂れる鼻血を拭いながら、なんとかワームホールの向こうに見える穂乃果ちゃんたちへの説明を終える)
ことり(全く……かすみちゃんのHappyコッペパンのせいで大変な目にあったよ)
ことり(そして私たちのことを話すと同時に向こう穂乃果ちゃんたの状況、私が意識を失ってた時のダヨオちゃんののことも理解できた)
ことり(奇跡術式のせいで内浦にワープしてあっちの争いに巻き込まれていたみたい)
アニメ穂乃果『外郭界……骸骨犬……呪殺の魔殿……過去のソウル……天の焔か』
アニメ穂乃果『情報量が多くて一気には飲み込めないけど、大体は分かったよ』
ハグカナーン『そうだね、この情報は他の仲間にも共有していい?』
ことり「問題ないよ」
ハグカナーン『よし、じゃあ連絡してっと……』
ダヨオ『ことりちゃん、私はそっちに戻ったほういいかな?』
ダヨオ『たぶんこのワームホールを通れはワープはできる……んだよね?』
マザー『ああ、不安定やから確実な移動は保証はせんけどな』
ことり「そうだね……だったらダヨオちゃんは>>603」
-
そこで待機しててもいい
-
ことり「そこで待機しててもいいよ、無理して渡ってくる必要はないと思う」
ことり「ワームホールが不安定なのは外郭界に繋いでるせいもありそうだし」
マザー『せやな、たぶん同じ世界や普通の異界ならワームホールはもっと安定すると思うで』
マザー『今でもホール越しにノイズが走ってるからなぁ』
ザザッ ザザッ
ことり(そう、マザーの言う通り)
ことり(最初は綺麗に相手側を見通せていたワームホールは私の話が長引くにつれて段々歪んでいった)
ことり(たぶん外郭界と繋いでることが装置自体に負荷をかけていってるんだろう)
ことり(この状態でダヨオをくぐらせる危険な橋を渡る必要はない)
かすみ「えぇー!?先輩戻ってこないんですかー!?」
ことり「じゃあかすみちゃんが渡る?途中でワームホールが消えて次元の狭間に落ちるかもしれないけど」
かすみ「うぐっ……それはぁ……」
ダヨオ『お願いかすみちゃん、私のためにもそこでジッとしていて』
かすみ「わ、分かりました」ムゥ
-
ダヨオ『よし、これからことりちゃんたちは予定通りに魔王のソウルがあるポイントに向かうんだよね?』
ことり「そうだね、私たちの意識が飛んでる間も奇跡的に船は落ちず真っ直ぐ飛んでたみたいだし、このまま一気に目標地点まで行くつもり」
ことり「穂乃果ちゃんたちのほうは戦闘の事後処理だっけ?」
アニメ穂乃果『うん、その後はとりあえず怪我人を城跡か病院に、無事な人は西日本方面への応援に行くかな』
マザー『それとロードス島もやな』
マザー『上の二班とは別にワームホールを通ってロードス島に行く班を作る必要がある』
ことり「分かった、じゃあお互いの確認も取れたしワームホールは……閉じる?」
マザー『せやな、これ以上無理に繋いでおくとバグりそうやから一端切ろう』
マザー『まぁ一旦と言ってもこっちの世界と外郭界の時間の流れは全然違う』
マザー『次に繋いだ時に今より未来のナグルファルに繋がるか過去のナグルファルに繋がるかは分からんけどね』
ことり「過去に繋がったらタイムパラドックスとか起きそうで嫌だなぁ……」
マザー『ことりちゃん、切る前に何かこっちに伝えておくことはあるん?』
ことり「ん?そうだね……さっき言ったこと以外だと>>606」
-
ちゅんちゅんちゅちゅん
-
ことり「ちゅんちゅんちゅちゅん」
マザー『……分かった、特に何もないってことやな、念のために確認しただけやら気にせんでくれ』
ことり「ちゅんちゅん!」
マザー『じゃあワームホールを切るで、無事に帰ってきてくれな』
ことり「うんっ!」
ブゥンッ!!
ことり(私が返事をしたところで目の前に出現したワームホールは消失した)
髑髏穂乃果「さぁ、情報共有が終わったところで私たちも次の目的地へ急ごう」
髑髏穂乃果「Happyコッペパンで意識が飛んでる時間と向こうの世界と話してる時間を合わせれば結構進んだんじゃないか?」
フリュム「あ、ああ……大体航路の半分くらいは進んだんじゃねえか?どうだことり!」
ことり(Happy状態から復帰したフリュムは鼻血を拭いながら舵輪に手をかけこちらを振り向く)
ことり(私は答えるためにまたひょっとこの面――天の焔を被る)
スッ
ことり「……だね、私の天の焔のフィールドマップで見ても結構近付いてる」
ことり「もし旧魔王が何かの建造物の中に囚われているならそろそろ見えてくるはず――」
髑髏穂乃果「おっ!何か見えたぞ!」
ことり「……っ!」
髑髏穂乃果「巨大な……神殿だろうか、>>608のような形をしてるな」
-
豪華絢爛な教会
-
髑髏穂乃果「豪華絢爛な教会のような形をしてるな」
ことり「ほんとだ……すっごい大きい教会風の建物だね、でも教会には似つかわしくない豪華でキラキラな装飾がしてある」
リホ様「大きさもかなりのものです、GODの魔殿より大きいのではないしょうか……」
ブルルルッ!
ことり「……!今ポケットで震えた!」
髑髏穂乃果「ローターか?」
ことり「違うよ……結局何にも使わず持ったままのピンクロー○ーじゃなくて鍵が震えたの」
ことり「このGODに貰った神の神殿の鍵がね」スッ
髑髏穂乃果「神の神殿……GODたちがかつて住んでいたという実家か」
フリュム「実家ぁ?実家って言葉が1番似合わねぇ建物だなぁ」
リホ様「あそこに魔王のソウルの痕跡があるんですか?」
ことり「私の天の焔はそう示してる」
髑髏穂乃果「鍵も持っててお膳立てがいいなぁ?行くかことり」
ことり「うんっ!あそこにナグルファルで降りよう!」
フリュム「おしっ!任せとけ!」
─────────────────
ナグルファル内
AM??〜?? 新終末編『286』了
-
というわけでここまで
神の神殿へ
新終末編『287』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『287』
─────────────────
──ナグルファル甲板
AM??
ことり(ナグルファルは神殿の横の砂の地面に無事着陸することができた、今度は墜落じゃない)
ことり(周囲の安全を確認した私たちは甲板へと移動して地面へ降りる準備を整えていた)
ことり(ダヨオちゃんがいなくなったので降りるメンバーは私と髑髏穂乃果とリホ様)
ことり(それと……)
ことり「かすみちゃんは……やっぱり来ない感じ?」
かすみ「行きませんよ、先輩が行くならともかくあなたたちに付いていく義理はありません」
かすみ「先輩には船から動かないでーとだけ言われましたし」
ことり「まぁ良いよ、神殿に何があるか分からないからね、かすみちゃんは安全な船にいて」
髑髏穂乃果「てことは神殿に行くのは3人か……」
リホ様「ええ、ですが今の私は契約者が不在なことは覚えておいてください」
リホ様「転移や基本的な能力は使えますが射撃系などの攻撃はできません、いざとなれば……」
髑髏穂乃果「私かことりと契約するんだな、分かってる」
リホ様「はいっ」
ことり「じゃ……行こうか」
タンッ!
-
ザッ ザッ
ことり(私たちは甲板から降りて神殿へ向かう)
ことり(ナグルファルが近場に降りてくれたこともあって神殿までは歩いてすぐに着いた)
ことり(神殿の入り口には巨人が入る用の扉なのかなってほど巨大な両開きの扉、その扉には錠がついている)
ことり「ひゃー、入り口まで来て見上げると建物が本当に大きく感じられるね」
髑髏穂乃果「錠が比較的低い位置についていて手が届きそうなのが幸運だな、開けてみろ」
ことり「うんっ」
ことり(私はGODからもらった鍵を取り出すと目の前の錠に差し込む)
ことり(すると扉が大きな音を立てて開く)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ことり(その先、神殿の中の光景は>>614)
-
十字架にはりつけられた旧魔王
-
各々見る者にとって一番望む光景が広がっている
-
ことり(その先の光景は実に教会らしいものだった)
ことり(左右の壁にある色鮮やか巨大ステンドグラスから光が降り注ぎ、長らく家主がいなかった教会の砂埃を照らし出す)
ことり(目の前には参列者用の長椅子が奥までズラッと並び、左右の長椅子の間には豪華なカーペットが敷かれた1本の道)
ことり(その道が奥……大きな十字架が掲げられている壇上まで続いていた)
髑髏穂乃果「無駄に豪華だな、GODはここ本当に実家として使ってたのか?」
ことり「あ……っ」
タンッ
髑髏穂乃果「ってことり!おいっ!」
タッ タッ
ことり(壇上に掲げられている十字架を見た瞬間、私の体は自然と動いていた)
ことり(髑髏穂乃果の静止も聞き流して中央の道を十字架へ歩いていく)
ことり(だって……その十字架には……)
ことり「魔王……!」
ことり(私の探していた旧魔王が張り付けられていたのだから――――)
ことり「魔王!魔王っ!」
タタタタタッ!
ことり(気がつくと私は駆け出していた)
ことり(十字架に鎖で張り付けられた魔王の体は穂乃果ちゃんの面影が残っているものの、霊体みたいに半透明なって今にも消えそうだ)
ことり(話を聞き出す前に……ミナリンスキーにもう一度会わせる前に……消失させるわけにはいかないっ!)
-
ことり「魔王っ!!」
魔王「…………こ……ことり……?」
ことり(十字架の真下まで辿り着いた私の声に魔王が微かに反応する)
ことり(ただ反応が薄い、目は半開きで声がか細い、指先さえ動かさず軽く顔をこっちに向けただけ)
ことり「そうだよ!ミラーで話してた南ことりだよ!」
魔王「そう……か……」
ことり「魔王……その体は……?フードマンのせい?」
魔王「ああ……フードマンに私が核にしていた高坂穂乃果の魂と、魔王としての力の殆どを取り出したからな……」
魔王「今の私は魔王の残りカス、放っておけば後僅かで塵と消える存在だ……」
ことり「させないっ!消えさせない!」
魔王「私を……助けるというのか……?お前に散々迷惑をかけた私を……」
ことり「そうだよ!助ける!あなたのことはぜんっぜん許してないけどね!」
ことり「あなたが消えたら悲しむ人と、あなたの力と情報を欲しがってる人がいる」
ことり「それに穂乃果ちゃんの魂を奪っておいて、更に他人に奪われましたごめんなさいじゃ済まされない」
ことり「もうやることが無いって言うんなら、無理やりにでもそれを取り返す手伝いをしてもらうよ!」
魔王「…………はっ、好きにしろ」
ことり「うんっ、好きにする!」
ことり(そう宣言した私はカバンから出発前に渡された『魔王のよりしろ』を取り出す)
ことり(これは鞠莉さんが開発したもので魔王の意識を入れて保つ仮の器のような役割を持ってるらしい)
ことり(その形は>>618)
-
コンパクト
-
ことり(その形はコンパクト、可愛い装飾がされた二つ折りのもので昔の魔法少女アニメに出てきそうなコンパクトだ)
ことり(私はコンパクトを開き、鏡の部分に十字架に張り付けられた魔王の姿を映す)
ピカーーーーッ!!
ことり(てくまくなんちゃら……って呪文は要らないみたい、鏡から光が溢れると自動的に魔王がコンパクトに吸い込まれていく)
シュルルルルルルルッ!!
魔王「おおおっ!」
ポンッ
魔王『これは……』カパカパッ
ことり(十字架のほうの半透明だった魔王は消えて、代わりにコンパクトから魔王の声が聞こえる)
ことり(魔王が話すたびにコンパクトがカパカパと口代わりに開いたり閉じたりするみたいだ)
ことり「魔王、何か体に違和感はない?」
魔王『ああ……体の崩壊が止められたようでさっきよりは快適だ』
魔王『手足が無いから思うように動けないこと以外は特に不便なところはない』
ことり「良かった……」
ことり「これは魔王のよりしろっていう仮の器、説明書によると喋る以外に>>620の機能があるみたい」
魔王『ほう?』
-
マスコット
-
ことり「マスコットとしての機能があるみたい」
魔王『マスコット……それは役に立つのか?』
ことり「えーと、説明によるとコンパクトの中に入った精神体と周囲の人間との関係に影響を与えるみたい」
ことり「中に入ったものの正体を知らない人からは可愛く喋るマスコットととして扱われるんだって」
魔王『正体隠匿の術式か……』
ことり「うん」
魔王『確かにそいつは便利だ、カモフラージュのためにも私はことりちゃんの手荷物になっていたほうがいいな』
ことり「ことりちゃ……ぷぷっ」クククッ
魔王『ん?どうした』
ことり「……いやっ、その声と喋り方でことりちゃんって呼ぶの面白くて……ぷぷっ」
魔王『ぐぬっ……』
ことり「ごめんごめん」
魔王『し、仕方ないだろう、これでも十年以上穂乃果の口調を真似てきたんだ、すぐに抜けるものでもない』
ことり「大丈夫大丈夫、私も慣れるようにするから」
-
ことり(とりあえず魔王を救出できたことに安心していると、後ろから髑髏穂乃果が声をかけてくる)
髑髏穂乃果「おーいっ!ことり!何1人で突っ走っているんだ!」
ことり「ごめーん!今戻るから!」
タタッ
ことり(私は魔王のコンパクトを手に持ち豪華なカーペットの道を引き返す)
スタスタ スタスタ
ことり「……あ、今思いついたんだけど」
魔王『なんだ?』
ことり「魔王は魂と力を取られた後放置されたんだよね、フードマンは見張りとかは残していかなかったの?」
ことり「普通に入って普通に回収できちゃったから少し拍子抜けしちゃって」
魔王『やつにとって今の私はたたの抜け殻、特に人員を割く意味は無いだろう』
ことり「そっかー」
魔王『ただ……万が一私が自然消滅する前に救出された時に発動するセンサーのようなものはあるかもしれない』
ことり「……へ?」
魔王『だってそうだろう?考えても見みろ、やつに私を放置しておく意味はない、必要なものを奪った時点ですぐに始末するのが自然』
魔王『そうしなかった理由を考えれば1つしかない、消えかけの私を放置しておびき寄せる餌としての役目だ』
魔王『ことりちゃん……ちょうどお前のようなやつらをな』
ことり「……っ!」
ことり(魔王がその可能性について言及した……正にその瞬間だった)
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!!!
ことり(耳をつんざくような轟音、パイプオルガンの音に似た荘厳な爆音が神殿内に響く)
魔王『やはりか、これは警報音だな』
ことり「なぁぁぁぁぁっ!?ま、魔王っ!!」
魔王『そんな知ってるなら初めに教えてよみたいな目をして私を責めるな、今思いついただけで私だって知らなかったんだ』
魔王『お前に救助される前は意識も薄弱でマトモに頭が働かなかったしな』
魔王『とにかくフードマンの追ってでも来たら面倒だ、さっさと神殿から出るぞ!』
ことり「う、うんっ!」
─────────────────
神の神殿
AM??〜?? 新終末編『287』了
-
というわけでここまで
魔王を救出
しかし一難さってまた一難
新終末編『288』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『288』
─────────────────
──神の神殿
AM??
ゴォォォォォォォンッ! ゴォォォォォォォンッ!
ことり「ほのリルちゃん!」
ほのリル『おうっ!』
シュルルルルルルルッ!
ことり(パイプオルガンの音が鳴り響く中、緊急事態に備えてとりあえず獣化しておく)
髑髏穂乃果「どうした!」
ことり「魔王を助けたのが何かしらにバレたっぽい!」
髑髏穂乃果「な……仕方ないな、リホ様!万全をきすために私の方と契約だ!」
リホ様「分かりましたっ」
キュインッ!
ことり(現状私と魔王が教会の真ん中辺りまで戻ってきていて、リホ様と契約した髑髏穂乃果が教会の入り口辺りにいる)
魔王『ことりちゃん、あいつらに神殿の外を見させろ!』
ことり「うんっ、髑髏穂乃果!先に外を見てみて!」
髑髏穂乃果「言われなくとも……」
タタタッ
ことり(髑髏穂乃果は入り口の扉の隙間からそーっと外を覗く)
髑髏穂乃果「外は……>>626」
-
無数の目玉に覆い尽くされている
-
髑髏穂乃果「外の様子は…………っ!」ビクッ!
ことり「どうしたの!?」
リホ様「目玉です!外が無数の目玉に覆い尽くされています……!」
リホ様「地面や空中に目玉の化物が浮いていて神殿を取り囲んでいるんです!」
ことり「目玉……?」
髑髏穂乃果「骨系モンスターじゃないってことは現地のモンスターではないな」
髑髏穂乃果「フードマンの手のものの可能性が高い、どうすることり!」
ことり「どうも何も突破しなければ船まで帰れない!突撃するだけだよ!」
髑髏穂乃果「全く……お前もいい加減脳筋になってきたな」
ザッ!
髑髏穂乃果「だったら私たちが先陣を切るぞ!」
リホ様「はいっ!」
-
バンッ!!!!
ことり(髑髏穂乃果が勢いよく教会の両開きの扉を開け放つ)
ことり(すると私にも外を囲む大量の目玉が私にも見えた、1つ1つの大きさが直径1メートルくらいあるでっかい目玉)
ことり(その目玉が全てがギョロリと髑髏穂乃果を見やる)
ことり(対する髑髏穂乃果に臆した様子はない、余裕を持って背後のリホ様を振り返って笑う)
髑髏穂乃果「数が多いな……一気にやれるか?」
リホ様「愚問ですね、誰に聞いてるんです?私は女神ですよ」
髑髏穂乃果「……はっ、そうだった」
キュィィィィィィィィィィンッ!!
ことり(リホ様が伸ばした両手の先に眩い光が集まる)
ことり(リホ様の得意技である射撃術式、それが髑髏穂乃果の力を介して行われる)
バッ!!
リホ様「髑射ノ始――ファーストボーンショット!!」
ドォウンッ!!!!
ことり(リホ様の手から発射された光弾、それは無数の目玉の元へ飛ぶと>>629)
-
目玉がはじけて刺激性の臭液をまき散らした
-
ことり(無数の目玉の元まで飛んだ光弾は分裂し無数の巨大な骨へ変化)
ことり(分裂した骨が雨のように降り注ぎ目玉の化物たちに突き刺さっていく)
ドドドドドドドドドドドドッ!!
目玉ズ『グアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』
ことり(骨が貫通した目玉たちは破裂、勢いよく弾けて臭液を辺りに撒き散らした)
ブシュッ! ジュァァァァァァァッ!
ことり「うへ……気持ち悪……」
ことり(髑髏穂乃果のところへ追いついた私は外の光景を見て思わず口を押さえる)
ことり(外はたくさんの潰れた目玉が地面に落ちていて足の踏み場もないほどの体液が撒き散らされている惨状)
ことり「っていうか何か変な匂いもするし……」
髑髏穂乃果「あの体液から酷い刺激臭がするな、良いものじゃないだろうから吸わないように注意しろ」
ことり「うんっ」
髑髏穂乃果「では一気に駆け抜けるぞ!」
タタタタタッ
-
ことり(口を塞いだまま刺激臭地帯を走っていく)
ことり(地面に撒き散らされた液体はジュウジュウ音を立てていて髑髏穂乃果の言う通り触らないほうが良さそうだ)
ことり(なるべく液体のかかってない地面を選んでけんけんぱのように跳びつつ船へ急ぐ)
ことり(そんな最中、潰れて地面に転がっている目玉たちが私たちの背へ声を投げかける)
ことり(低くくぐもった声が何重にも重なって反響する)
目玉ズ『『オマエラハニゲラレナイ、ムダダ、ムダダ』』
目玉ズ『『アノオカタカラハニゲルコトナドデキナイ、アキラメロ、アキラメロ』』
目玉ズ『『ワレワレハケイコクスルモノ、ワレワレヲタオシタトコロデイミハナイ』』
目玉ズ『『モットモチカクニオワス、アノオカタチョクゾクノセンシ……』』
目玉ズ『『>>632サマガクレバ……オマエタチハオワリダ!』』
-
闇落ちした暗黒魔女ピピピピーン
-
目玉ズ『『アンコクマジョ、ピピピピーンサマガクレバ……オマエタチハオワリダ!』』
目玉ズ『『フハッハッハ!フハッハッハ!!』』
フハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!
ことり「暗黒魔女……ピピピピーン?」
髑髏穂乃果「気にするな行くぞ!」
ことり「う、うんっ」
タタタタタッ
ことり(ピピピピーン……ポポポポーンちゃんと似てる響きの名前)
ことり(私はその名前を思い出そうと自分の記憶を探る、ピピピ……ピピピ……)
ことり「あっ!」
ことり(思い出した!ぺぺペペーンと一緒に里を家出した子の名前がピピピピーンだ!)
ことり(その後外郭界でピピピピーンが人質に取られて、朱雀穂乃果の力を与えられたぺぺペペーンがナグルファルを襲ってきた)
ことり(ぺぺペペーンは朱雀の腕輪を壊して元に戻ったけど、人質になったピピピピーンは囚われのまま)
-
ことり(……って、自分で言ってて混乱してきた)
ことり(ポポポポーン一族はややこしい名前だなぁ、GODの里にはパパパパーンもいるらしいし)
ことり(それにしても……暗黒魔女ピピピピーンか)
ことり(私の聞き間違いじゃなければ人質になっていたピピピピーンが闇落ち――新魔王軍に操られているってことなのかな)
かすみ「何ぼーっとしてるんですか!早く甲板まで登ってきてください!」
ことり「うん、分かった!」
ことり(甲板の上から薬瓶をポイポイ投げて船に張り付いてる目玉を焼いていくかすみちゃん)
ことり(その声に促されて私たちは船へと戻る)
タンッ!
ことり(まぁピピピピーンのことを考えるのは後だ、今は急いでここを離れないと!)
─────────────────
神の神殿
AM??〜?? 新終末編『288』了
-
というわけでここまで
船から降りたり乗ったり
新終末編『289』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『289』
─────────────────
──ナグルファル
AM??
髑髏穂乃果「ちっ!」
リホ様「髑射ノ次――セカンドボーンショット!!」
ズドドドドドドドドドドドッ!!
かすみ「このっ!ていっ!」
ポイッ! ポイッ!
ことり「氷の……壁っ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ことり(髑髏穂乃果の力を使ったリホ様が骨のマシンガンを放ち、かすみちゃんが燃焼薬を投げて、私が氷の壁を作る)
ことり(なんとか3人で甲板の上から船に這い上がって来ようとする目玉の化物を撃退し続けているけど……)
ことり「けどっ!切りがない!」
ことり(船の壁面を登ってくる目玉と空中を浮いて移動してくる目玉の群れ)
ことり(倒しても倒しても切がない、無限に湧いてくる感じすらしてくる)
かすみ「船はまだ浮かばないんですか!?」
ことり「ちょっとずつ浮かんではいるよ!操舵室からも甲板の状況は見えるはずだからフリュムも発進の操作はしてるんだ」
ことり「ただ……船に張り付いてる目玉が重くて浮上する速度が遅いんだよ!」
かすみ「なっ!どんだけ張り付いてるんですかあの化物っ!」
-
??「ククク……ちゃんと足止めはできてるようね」
ことり「っ!?」バッ!
ことり(その時、うめき声を上げ続ける目玉たちでも、対処に追われる私たちでもない、第三者の声が空中から聞こえた)
髑髏穂乃果「箒に乗った黒装束の女……あいつが暗黒魔女か!」
ピピピピーン「ええそうよ」
髑髏穂乃果「……ちっ、もう少し時間を置いてから来てくれると助かったんだがなぁ」
ピピピピーン「それは残念ね、私がこんな辺境を担当させてもらっているのは足が速いから」
ピピピピーン「何か起こったらすぐに駆け付けられるのが取り柄なの」
ことり(箒に座りながらピピピピーンは私たちに話しかけてくる)
ことり(完全にノリノリで敵の幹部やってるけど……もしこれがぺぺペペーンみたいに操られたものだとしたら、どこかに力の源の装置があるはず)
ことり(ぺぺペペーンで言う朱雀の腕輪のようなもの)
ジーッ
ことり(何か、ピピピピーンの身につけてるものの中で不自然なものは……>>639)
-
妖しげに光る箒
-
ことり(不自然なものは……やっぱりあの妖しげに光る箒かな)
ことり(魔女が持ってる箒だから多少ぼわーっと光るくらいアリだと思うけど、明らかにあれは変な光り方をしている)
ことり(色は数秒ごとにチカチカと切り替わっていて、魔女っぽくダークな色に光ることもあれば青やオレンジといった明るい色に光ることがある)
ボォォォォンッ! ボォォォォンッ!
ことり(色は赤やピンク、緑に紫とどんどん変わっていく、最早箒というより色が変わる巨大なサイリウムにさえ見えてくるよ……)
ことり「髑髏穂乃果、あのサイリウム箒が私は怪しいと思う、あれを破壊すればピピピピーンは無力化されるかもしれない」
髑髏穂乃果「本当か?」
ことり「ぺぺペペーンと同じなら……可能性は高いっ」
かすみ「いやいやっ!まずは目玉たちを何とかするほうが先じゃないですか!?」
かすみ「あのボスを倒したら目玉まで消えてくれるってわけじゃないでしょう?このままじゃ船が飛び立てませんって!」ポイッポイッ!
ことり(確かにかすみちゃんの言うことも一理ある)
-
ことり(私たちは目玉を叩き落とすのに精一杯でピピピピーンにまで手は回らない)
ことり(今はピピピピーンを相手にするとか助けるとか考えるよりも、いち早く船を浮上させ逃げることが先決)
ことり(だけど……)グッ
ピピピピーン「そうよ!あなたたちは逃げられない!ここで沈む運命なの!」
ことり「……っ!」
ピピピピーン「はっ!」バッ!
グルンッ!
ことり(ピピピピーンは座ってるサイリウム箒を両手で掴むと体を後ろ側に倒し、体操の鉄棒のように一回転して箒にぶら下がる形になる)
ことり(そして片手を離し、空中で箒を私たちに向けて振った)
ピピピピーン「ていっ!」ブンッ!
ことり(すると振られた箒の先から>>642)
-
性欲を増進させる触手が大量に召喚された
-
ことり(箒の先から七色の触手が大量に召喚された!)
シュルルルルルルルッ!!!!
ピピピピーン「暗黒魔女の特性召喚術!レインボー触手に囚われちゃいやさい!」
ことり「まずっ……」バッ!
髑髏穂乃果「退くぞ」ガシッ!
リホ様「ひゃっ!」
ことり(あれに掴まっては不味いと判断した私は反射的に獣化の走力で甲板の反対ギリギリまで飛び退く)
ことり(髑髏穂乃果も同じ判断をしたようで、真後ろにいたリホ様の腰を抱えると私と同じ場所に飛び退いていた)
リホ様「あ、ありがとうございます」
髑髏穂乃果「構わんさ、お前の転移は発動までに数秒のラグがあるだろ、私が抱えて跳んだほうが早いだけだ」
髑髏穂乃果「だが……あいつを助け忘れたな」
ことり「うん……」
かすみ「きゃぁああああっ!」
ことり(咄嗟に上手く逃げられた私とリホ様とは違って、逃げ遅れたかすみちゃんが触手に掴まってしまう)
ことり(そりゃそうだよねぇ……かすみちゃんは不思議な薬作れるだけで身体能力は普通の人間だし)
-
かすみ「ちょっ!やめっ……って、ヌルヌルで気持ち悪……んんっ!!」
ことり(複数の虹色の触手がかすみちゃんの体に纏わりついて服の中を弄る)
ことり(かすみちゃんは最初こそ嫌がっていたものの、段々と顔を赤らめて触手の攻めに色っぽい反応を示すようになっていく)
かすみ「はんっ……ひゃうぅ……ダメっそこは……ひゃぁぁああんっ!!」
ビクンビクンッ!!
ピピピピーン「ふはははっ!効いてるわねぇ!このレインボー触手の性欲増進効果で骨抜きになってしまいなさい!」
髑髏穂乃果「性欲増進……なるほどねぇ、だから掴まったかすみが気持ち良く無力化されてるのか」
ことり「お下品な能力……近づきたくないなぁ」
リホ様「そうは言っても助けないわけにはいきません、どうします?」
ことり「……だね」コクンッ
ことり(かすみちゃんをあのままにはしておけないし、何より目玉を殲滅する手数が足りなくなる)
ことり(こうしてる間も目玉の化物は船へと這い上がって来ているだから)
ことり「よし、ここは>>645」
-
全部凍らす
-
ことり「よし、ここは全部凍らす!」
髑髏穂乃果「凍らす!?」
ことり「そう!だから2人は早く船内に入ってフリュムたちにナグルファルを転移させるように伝えて!」
髑髏穂乃果「転移?こいつらを引き連れたまま転移するのか?」
ことり「そうっ!取り敢えずここから離れることができればどこでもいいっ!」
髑髏穂乃果「……分かった!気を付けろよっ」
バタンッ!!
ことり「よし……」
ことり(船内へ入っていった髑髏穂乃果たちを確認した私は足元の甲板へと片手を付ける)
サッ
ことり「ほのリルちゃん!全力で冷気を出せる?」
ほのリル『全力……とはどの程度だ?』
ことり「この船全部を一気に凍らせるくらいの全力だよ、出せるよね?」
ほのリル『……構わねえが、そうすると触手に掴まってるあの女まで凍っちまうぞ?』
ことり「うん、それでいい」
-
ことり(船も目玉もかすみちゃんも触手も全部纏めて凍りつかせる……)
ことり(ナグルファルは元々冥界製の船だから外が凍ったくらいで機能停止しないし、かすみちゃんは一気に全身の体温をさげて仮死状態まで持っていく)
ことり(躊躇わない、ほのリルちゃんの力を全開全力フルアクセル――!)
バッ!!!!
ことり「氷河時代――アイスエイジ!!」
ガギィィィィィィィィィンッ!!!!
ピピピピーン「なっ……!!」
ことり「……できた!」
ことり(私の手から発さられた強大な冷気は一瞬でナグルファル全体を凍らせて、ナグルファルに張り付いていた目玉、空中に浮いていた近場の目玉まで一緒に凍らせた)
ことり(そして触手に掴まっていたかすみちゃんの体、かすみちゃんを捉えてる触手、そして触手の発生源の箒)
ことり(更に箒を持っていたピピピピーンの片腕まで!!)
ガキィンッ!!
ことり「アイスエイジは全てを凍らせる……!」
ピピピピーン「くっ……このっ……!」ググッ!
ことり(空中で大凍結に巻き込まれたピピピピーンは何とか箒を引き剥がそうと力を込める)
ことり(だけどそのくらいじゃ幻想種の生み出した氷は壊れない)
ピピピピーン「くそっ!くそっ!」
ガンッ! ガンッ!
ことり「無駄だよ、箒と腕一本を捨てれば逃げることくらいはできると思うけど……」
ことり「捨てたら困るんでしょ?その箒」ニヤリ
ピピピピーン「ぐっ……!」
ことり(やっぱり思った通り、能力の核となるあの箒をピピピピーンは手放させない)
ことり「だったら凍ったまま私たちと一緒に来てもらう」
ことり「魔王と同じ、あなたにだって向こうで待ってる人がいるんだから!」
─────────────────
ナグルファル
AM??〜?? 新終末編『289』了
-
というわけでここまで
船がカッチンコッチン
新終末編『290』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『290』
─────────────────
──ナグルファル
AM??
ピピピピーン「な、何を……」
ことり(ピピピピーンを困惑した表情を浮かべる中、ナグルファルの周囲の空間が歪んでいく)
グニャァァァァァァッ ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ことり「よし、ナグルファルの転移が始まった」
魔王『ほぅ……ことりちゃんにしては中々強引だな、救助者ごと船全体を凍らせて緊急転移をするとは』
魔王『緊急転移では転移場所も選べないだろうしかなりの賭けじゃないか?』
ことり「成功する可能性があるならやるだけだよ、どんなに低い可能性でも私は皆を助けたい」
魔王『……確かにな、ことりちゃんらしい良い意見だ』
魔王『というか氷河時代って私のぜったいれいどと似てる気が――』
カッ!!
ことり(魔王が次に何かを言いかけた瞬間、歪んでいた周囲の景色が激しく光って別の景色に切り替わった)
・
・
・
魔王『ぐ……眩しいな、眩しさを感じるとは不便なコンパクトの体だ』
魔王『おい、今ので転移が完了したのか?』
ことり「そう……みたいだね、ここはどこだろう」キョロキョロ
ことり(私は甲板の上から周囲の景色を見渡す)
ことり(凍り付いたナグルファルが転移した場所は>>651)
-
ダーマ神殿
-
ことり(ナグルファルが転移した場所はさっきまでの砂漠地帯とは違って、緑と水に溢れた場所だった)
ことり(そして船の隣には大きな神殿がドカンとそびえ立っている、教会的な形をしていた神の神殿とは違って本物の神殿だ)
ことり(外郭界ではないどこか別の世界に転移してきた……ってことなのかな?)
ことり(とにかく目玉の軍勢から逃げれただけ良かった)
ことり(後は船上や船の外壁で凍り付いている目玉たち、それからピピピピーンの問題を片付ければいい)
魔王『おい、あの神殿看板が出てるな、ダーマ神殿と書いてあるぞ』
ことり「ダーマ神殿……?どこかで聞いたことあるような気なするなぁ」
ことり(記憶の片隅にはあるのだけど思い出せない、市役所とかが関係してたような……)
ザッ
ことり「ま、それより先にピピピピーンちゃんのお片付けだね」
-
ピピピピーン「ぐ……このっ……」ググッ! ググッ!
ことり(ピピピピーンは相変わらず船の端で凍った自分の腕と箒と悪戦苦闘している)
ことり(私から見れば隙だらけ、何を使っても簡単に捕まえられそう……に見える)
ことり「ふぅ……」
ことり(少し心配ではあるけど、ナグルファルが凍ってるせいで中から人が出てくるには時間がかかる)
ことり(今は私1人でやるしかない!)
ダンッ!!
ことり(私は>>654を使ってピピピピーンを無力化するため走り出した)
-
落ちていた丸太
-
ことり(なぜか凍った甲板の上に落ちていた丸太を拾ってピピピピーンに駆け出した!)
ダンッ!!
ピピピピーン「っ!?」
ことり「よおーっ」
タタタタタタタタタタタタタタタタッ!
ピピピピーン「ま、待って!まさかそれで殴る気なんじゃ……」
ことり「ていっ!!」
ブンッ!!
ゴンッ!!
ピピピピーン「がっ!!」
ことり「……すとらーいくっ」
ことり(獣化状態の私が懇親の力で振り抜いた丸太はピピピピーンの後頭部にクリーンヒット)
ことり(その威力はピピピピーンを昏倒させるには充分だった)
ピピピピーン「…………っ」
バタンッ!!
-
ことり「よしっ」
魔王『容赦ないな』
ことり「躊躇してても仕方ないもん、やるときはパパッとやらなきゃ」
ことり「それで次はっと……」
ことり(私はピピピピーンが本当に気絶しているのを確かめると、凍った触手の部分と、箒を掴んだピピピピーンの腕の部分を爪で切り離す)
ザンッ!!
魔王『あの女ではなくそっちを先に救助するのか?』
ことり「かすみちゃんは全身を一気にコールドスリープしてるからしばらくは保つ、でもピピピピーンは体の一部だから逆にちょっと危険なんだよ」
ことり「心臓は動いてるし意識はあるから無意識に内臓系を守ろうとして体温を体の中心に集めてしまう」
ことり「早めに手当をしないと凍傷になっちゃうかも、獣化を解くよほのリルちゃん」
ほのリル『おうっ!』
シュルルッ
ことり「さて、バーニングデーモンで氷を溶かしてヒーリングボディで治療かな」
ことり「何か暖かい飲み物もあると良いけど……む?」
ことり(手当の準備を進めながらふとダーマ神殿のほうを見てみると、>>657)
-
歩夢が炊き出しをしていた
-
ことり(ダーマ神殿の外で女の子が炊き出しをしていた)
??「ふんふふーん、ふんふふーん」
コポコポッ グツグツッ
ことり「む?人間の女の子がいるね」
魔王『人型生物、着ている服や使ってる調理器具も近代日本に近いな、話が通じるかもしれん』
ことり「ふぅ〜ん、まぁ何か料理作ってるみたいだから分けてもらえると良いかも……」
ことり(私は炊き出しをしている女の子の様子を見ながら片手でマカロンを出す)
ことり「バーニングデーモン」
ポワンッ ボォォォォッ
ことり「バーニングデーモン、私があの子の所に行ってる間にピピピピーンちゃんや船の氷を溶かしててくれる?」
炎鬼『ガウッ』コクンッ
ことり「一気に溶かすと危ないからゆっくりお願いね、ってことで私はジャンプ!」
タンッ!
-
スタッ
魔王『気を付けろよ、マカロン発動中の今のお前は獣化を使えない』
ことり「分かってるって」
ザッ ザッ
ことり(地面と着地した私は久し振りのしっかりとした土の地面を歩いて炊き出しをしてる女の子の元へ向かう)
ことり「あのー!私たち今ここに迷い込んで?……来たんですけどー!」
ことり「ここってどこでしょうかー?」
??「はっ!あなたはお客様ですね!いらっしゃいませ!」
ことり「お客様……?」
歩夢「私の名前は上原歩夢、ここダーマ神殿で神官見習いをしています!」
ビシッ!
─────────────────
外郭界〜ダーマ神殿
AM??〜?? 新終末編『290』了
-
というわけでここまで
ダーマ神殿へ来ました
新終末編『291』に続く
かもしれない
-
新終末編『291』
─────────────────
──ダーマ神殿前
AM??
ことり「神官……見習い?」
歩夢「はいっ」
ことり「ええと……ごめん、さっきも言った通り迷い込んで来たからここのこと何も分からないんだよ」
歩夢「なるほど、では説明しますね」
スタッ
歩夢「ここはダーマ神殿、様々な冒険者様たちが訪れて転職を為さる場所です」
歩夢「ここで言う転職というのは勇者や戦士や魔法使いといったジョブのことですね」
歩夢「ダーマ神殿は広く展開していて、私の後ろにあるこの本部以外にも数々の世界に支部を持っていて冒険者の手助けをしています」
歩夢「……というのも、知らないんですよね?」
ことり「うん、初めて知った」コクンッ
ことり「でも名前だけならどこかで聞いたことあったな、私たちの世界にも支部ってのがあったかもしれない」
魔王『炊き出しの話はしなくていいのか?』
ことり「あっ、そうだね……」
歩夢「?」
ことり「歩夢ちゃんだっけ?お願いがあるんだけど」
歩夢「はい、なんでしょう?」
ことり「そのー、今作ってる暖かそうな料理をできれば分けてもらいなーなんて……」
歩夢「なるほどそういうことですか、この>>662で良いのなら全然構いませんよー」
-
口臭500倍ニンニクカレーライス
-
レアチーズケーキ鍋
-
歩夢「この口臭500倍ニンニクカレーライスで良いのなら全然構いませんよー」
グツグツッ グツグツッ
ことり「うっ……すごい匂い、スタミナはつきそうだけどきついなぁ」
ことり(歩夢ちゃんが指さした鍋の中にはすごいニンニク臭を放つ大量のカレーが入っていた)
ことり(まぁ食べるのは私じゃないしこの状況だ、背に腹は変えられない)
ことり「うん、それを貰うよ」
歩夢「はいっ」スッ
ドロロロッ
ことり(私がお願いすると歩夢ちゃんは取皿を用意してそれにカレーをよそってくれる)
ことり「歩夢ちゃんは見習いってことはここで働いてるの?」
歩夢「はい、ダーマ本神官様に仕えて色々と学ばさせてもらっているんです」
歩夢「今は雑用が殆どですけどね、いつかは1人で神殿を任される神官になるのが夢で……っと、はいどうぞ」スッ
ことり「ありがとう」
ことり「取り敢えずこれを船で待たせてる人に届けてくるね、まだ話聞きたいからまた戻ってくるよ」
歩夢「熱々だから気をつけてくださいねー」
-
ことり(私はカレーを受け取って冷凍ナグルファルのほうへ歩きだす)
ザッ ザッ
ことり「ふぅむ……転職か」
魔王『どうした?』
ことり「いや、ふと思っただけなんだけど、ピピピピーンちゃんの暗黒魔女が誰かに植え付けられた肩書なら転職で変えちゃえばいいんじゃない?」
ことり「重要アイテムである箒を壊して、尚かつ転職で魔女を消してしまえば操りは完全に解けると思うんだよ」
魔王『なるほどな……一理ある』
ザッ
ことり(そんな話をしつつ船の元まで戻ってきたは良いものの……)
ことり「あ……獣化できないなら梯子無しで甲板まで上がるの面倒だな、カレーの皿も持ってるしどうしよ」
魔王『考えて無かったのか』
ことり「おーい!バーニング!そっちからピピピピーンを上手く下に持ってこれないかなー?」
炎鬼『グルッ!』
ことり「お、いけるみたい」
魔王『あれで返事の区別がつくのか……』
ボンッ!! ドヒュルルルッ!!
ポーンッ!
ことり「……って!それは持ってくるじゃなくて投げるだってば!」
ことり(船の上から空気が爆発するような音が聞こえると、頭上からピピピピーン体と箒が落ちてくる)
ことり(私は慌ててカレー皿を地面に置くと両手を広げてピピピピーンをキャッチ……)
ドサッ!!
ことり「ぐおっ!!」
ことり(……できたはできたけど、さすがに獣化無しで受け止めるのはきつかったな、腕がジンジンする)
-
ピピピピーン「…………んっ、んんっ」
ことり「……!」
魔王『どうやら意識が戻りそうだな』
ことり「だね……じゃあまずは拘束しちゃおうか」
ビリリッ
ことり(ピピピピーンの魔女的なマントを破って適当な紐を作り、勝手に動けないようにピピピピーンの体を縛る)
ことり(そして凍りついていた腕にはヒーリングマカロンを当てて……っと)
ピタッ
ピピピピーン「ぐ……な、なにが起こって……」
ことり「言いたいことは色々あるだろうけどまずはこのカレーを食べて」
ピピピピーン「カレー……?」
ことり「そうカレー」スッ
ことり(私は戸惑うピピピピーンの口にスプーンでニンニクカレーを突っ込む)
ことり(するとピピピピーンは>>667)
-
がっついて食べる
-
ことり(するとピピピピーンはカレーをがっついて食べだした)
ピピピピーン「はふはふっ!ばくばくっ!」
ことり「予想外の食いつき……美味しいのかな?食べたくないけど」
魔王『匂いくらい気にしなくていいと思うがなぁ』
ことり「500倍はさすがに気にするよ……女の子だからって理由の他に匂いを辿る敵とかいるかもしれないしね」
ほのリル『うむ、獣タイプだと鼻が効くからな』
ピピピピーン「も、もっと!もっと頂戴!早くっ!!」ジタバタッ
ことり「へ?う、うんっ」
ことり(ピピピピーンは腕を縛られているから私が食べさせるしかない、がっつくピピピピーンに対してスプーンで次々にニンニクカレーを食べさせていく)
パクッ! ガツガツ! ガツガツ!
ことり(なので食べるスピードは物凄く早く、あっという間に小皿のカレーはなくなってしまった)
ピピピピーン「もうないの?もっとよ!もっとちょうだい!」
ことり「えぇ……?もっとかぁ……だったら炊き出しの所に戻ろう、運んでいくから暴れないでね」
ピピピピーン「分かったわ!」
ことり「よいしょっと……」ググッ
ことり(というわけで今度はピピピピーンを持ち上げて歩夢ちゃんの場所に戻る)
ことり(ピピピピーンの体はポポポポーン一族に漏れず小柄だからそこまで重くはないけど、素の私はそこまでムキムキじゃない)
ことり(1人で治療したりカレー食べさせたり運んだり往復したり結構疲れてくるなぁ……早く凍った船から誰か出てきて欲しい)
ことり「ま、文句言ってても仕方ないか」
ことり(私はバーニングに今度は船の入口を溶かしておいてと頼んで再び歩夢ちゃんの所へ向かうことにした)
ザッ ザッ
-
ザッ ザッ
ことり「おーい!歩夢ちゃーん!」
歩夢「あれ?結構早かったですね」
ことり「私が抱えてるこの人……ピピピピーンがすぐ食べちゃって、おかわりってできるかな?」
歩夢「できますよ、今はあなたたち以外にお客様もいませんしどんどん食べちゃってください」
ことり「ありがとう、ほらピピピピーン」
ピピピピーン「おおーっ!美味しそうーっ!」
歩夢「あの……なんでその人縛られてるんですか?」
ことり「諸事情だよ、気にしないで」
歩夢「はぁ……」
ピピピピーン「はむっ!はふはふっ!」
ことり(歩夢ちゃんは困惑しつつもまた取皿にカレーを盛ってくれて、それにピピピピーンはかぶりつく)
ことり(もう私がスプーンを使って食べさせなくても直接口を皿につけて食べている)
ことり(すごい勢い……何か中毒性のあるのものとか入ってるんじゃないよね……?)
ことり(少し気になりつつ、私は歩夢ちゃんに転職の話を切り出した)
ことり「そうだ歩夢ちゃん、転職についてなんだけど……このピピピピーンを転職させることはできないかな?」
歩夢「転職ですか、元のジョブと熟練度はどのくらいです?」
ことり「元は……暗黒魔女?熟練度はそこそこあると思うよ、うん」
ことり(新魔王軍の戦士になれるくらいの能力は持ってるみたいだしね……)
歩夢「ふむふむなるほど……うちで転職をする際にはですね、>>670」
-
熟練度分のガチャを回して一番レアリティの高い職に転職できる
-
歩夢「熟練度分のガチャを回して一番レアリティの高い職に転職できると言うシステムなんですよ」
ことり「え?ガチャなの?条件式とかじゃなくて……?」
歩夢「はい、ここ最近ダーマ本神官様ガチャ式に変えたんですよ、そのほうが儲かるからって」
ことり「切実な事情だね……」
歩夢「一応ここが本家なのにあんまりお客さん来ないんですよねー、ははは」
ことり「まぁ転職できるならこの際なんの手段でも構わないよ、一刻も早く暗黒魔女から解放しないと」
魔王『だな、ついでに持ってきた箒はいつ破壊する?』
ことり「箒の破壊は転職して様子を見てみてからかな、取り敢えず今は引き離しておこう」
魔王『うむ』
ピピピピーン「ふぅ……お腹いっぱい」
歩夢「ではお連れ様が満足したみたいなので行きましょうか、ダーマ神殿の中へご案内します」
ことり「うんお願い」
スタッ
ことり(私はまたピピピピーンを担ぎ、歩夢ちゃんの案内に従ってダーマ神殿の中へ入っていく)
ことり(ガチャで転職……どんな感じなんだろうなぁ)
─────────────────
ダーマ神殿前
AM??〜?? 新終末編『291』了
-
というわけでここまで
ダーマ神殿へ
新終末編『292』に続く
かもしれない
-
新終末編『292』
─────────────────
──ダーマ神殿
AM??
カツンッ カツンッ
ことり(歩夢ちゃんに付いていってダーマ神殿の階段を登っていく私たち)
ことり(ダーマ神殿は非常にしっかり作られた石造りの神殿でかなり広い、私たちが向かっている場所以外にも沢山の部屋がありそうだ)
歩夢「今から皆さんにはダーマ本神官様に会っていただきます」
ことり「さっきから気になってたんだけど、本神官って?神官とは違うの?」
歩夢「そうですね……ダーマ神殿の神官って沢山いますから、どの支部の神官様を呼ぶときもダーマ神官様と基本呼ぶんですよ」
歩夢「たぶん本部のプライド的に区別をつけたくて本神官って名乗ってるのかと」
ことり「ほぉ……」
カツンッ カツンッ
ピピピピーン「じゃああなたもいずれはダーマ神官って名前になるの?」
歩夢「そうじゃないですかねぇ……でも普通に名前も名乗れるらしいですよ、ダーマ神官歩夢って感じがいいです」エヘヘ
ことり(っていうかピピピピーンの口すごい臭いな……うぅ)
歩夢「あ!いましたいました!ダーマ本神官様ー!」
ことり「あの階段の先に立ってる人が……そうなの?」
歩夢「そうです、あの>>674みたいな人がここの神官様です」
-
80年代アイドル
-
薬中ヒッキー
-
歩夢「そうです、あの80年代アイドルみたいな人がここの神官様です」
ことり「ほー」
ダーマ神官「……ったく、誰が80年代アイドルですか、適当なこと言ってると一生雑用ですよ」
歩夢「ははは……ごめんなさい」
ことり(確かに歩夢ちゃんの言う通りダーマ神官さんの髪型やメイクは昭和のアイドルそのもので、服装もフリルのついた清楚なワンピースと神官らしくはない)
ことり(この人が本当にここの神官様なのかな……)
ダーマ神官「それで?そちらの方たちは?」
歩夢「転職を希望されるお客様です、ダーマ神殿は初めてとのことだったので案内しました」
ダーマ神官「なるほど、転職したいのはどちら?それとも二人共?」
ことり「私が抱えてる子のほうです」
ダーマ神官「分かった、名前は?」
ことり「この子はピピピピーン、私は南ことりって言います」
ダーマ神官「ふむ……おっけー、じゃあ中についてきて」
ことり「はいっ」
タタタッ
-
・
・
──ダーマ神殿内
ことり(私たちは神官さんの案内で神殿内部へ入る)
ことり(連れられて来た場所は巨大な神殿の最上階の中心辺り……に位置する場所かな)
ことり(長い正面階段を登ってきたから上層なのは間違いないと思うけど……)
ザッ!
ダーマ神官「さぁ!これが我がダーマ神官が誇る転職システム!ガチャっと転職マシンですよ!」
ことり「おぉー!」
ことり(その部屋の中心にあったのは巨大なガチャガチャのマシン、よく見るあれを何十倍にも大きくしたものだ)
ことり(中に入ってるカプセルも余裕で人1人が入りそうなほど大きい)
ダーマ神官「今からこのガチャっと転職マシンの投入口に熟練度を投入して頂きます」
ことり「投入ってどうやって?」
ダーマ神官「こうですよ」
トンッ
ピピピピーン「むむっ!?」
ことり(神官さんが自分の持っていた杖で軽くピピピピーンを叩いた瞬間、ピピピピーンの体からオーラのようなものがでてくる)
シュルルルルルルルルルッ!
ことり(それは神官さんの手元に集まると凝縮されて1つのコインになる)
パシッ
-
ことり「それは……」
ダーマ神官「熟練度コインと呼ばれるものです、名前の通りその人の熟練度をコインにしたもので熟練度によって価値が変わります」
ダーマ神官「ピピピピーンさんのものはかなり価値が高いコインですね、これならばレジェンド職とは行かなくてもスーパーレア職くらいは確定かもしれません」
ことり「職にレアとかあるんだね」
ダーマ神官「あるんです」ニッコリ
ピピピピーン「ん?待って、私別に転職するとは言ってな――」
ことり「しますします!早くして!」ギュッ
ピピピピーン「むぐっ!」
ダーマ神官「ではさっさく」スッ
コイーンッ
ことり(神官さんの手によってコインがマシンへ投入されると、マシンが謎の発光とBGMを流し始める)
ことり(そして中のカプセルの1つが勢いよく取り出し口に落ちてきた)
カコーンッ
ダーマ神官「ふむ……引き当てた職は>>679」
-
仮面女子
-
ダーマ神官「仮面女子ですね」
ことり「仮面女子……?聞いたこと無い職だな、それって本当にジョブなの?」
ダーマ神官「はい、ピピピピーンさんの熟練度コインで引けるレア度の中ではかなり上位だと思いますよ」
ことり「ほー」
ダーマ神官「ではピピピピーンさんをマシンの近くへ」
ことり「はいっ」
ことり(私が言われたとおりにピピピピーンの体をマシンの近くまで持っていくと、神官さんは当たった大きなカプセルを取り出して蓋を取る)
ダーマ神官「ほっ」パカッ
ことり(すると割られたカプセルの中から光が溢れてピピピピーンの体を包む)
キュィィィィィィィィンッ!!
ことり(その光が晴れると……)
パッ!
ことり「おおっ!ピピピピーンの衣装が変わってる!」
魔王『服装が魔女からアイドルっぽい服装に変化、更に仮面を被っているな』
ピピピピーン「へ?なに?私……どうなったの……?」キョロキョロ
ことり「よし……」
ことり(仮面女子というジョブはよく分からないけど、暗黒魔女からピピピピーンを解き放てたのは確か)
ことり(私はピピピピーンの意識状態を確認するため質問をすることにする)
ことり「ピピピピーン、あなたの拘束を解く前に話を聞かせて」
ことり「あなた記憶は戻ってる?ぺぺペペーンのことは憶えてる?」
ピピピピーン「……>>681」
-
もちもちろんろんきな粉餅♪
オケオケオッケーダイジョーブ♪
-
ピピピピーン「もちもちろんろんきな粉餅♪オケオケオッケーダイジョーブ♪」
ピピピピーン「ふんふふーん♪ふんふふーん♪」
ことり「……魔王、これ治ったのかな?」
魔王『微妙なラインだな、前の人格から解き放たれたのは確かだろうが精神が不安定になっている』
魔王『無理に暗黒魔女の属性を引き剥がした影響なのか……今は時間をかけて様子をみるしかあるまい』
ことり「分かった」コクンッ
ピピピピーン「なーにいってるんでーすかー?私は全然オケオケオッケーなのよー!?」
ことり「はいはい、手の拘束を前に変えて足の拘束は解いてあげるから、しっかり自分の足で立って」
ピピピピーン「はれ〜?」フラフラ
ことり(私は酔っ払いみたいにフラフラしてるピピピピーンを無理やり立たせると神官さんたちの方へ向き直る)
-
ことり「神官さん歩夢ちゃんありがとう、おかげで何とかなった……うん、なんとかなったよ」
ダーマ神官「いえいえ、これが仕事なので」
歩夢「役に立てて良かったです」
ダーマ神官「……というか、魔王?」
ことり「へっ!?」
ダーマ神官「今そのコンパクトに向けて魔王と呼びかけませんでしたか?」
ことり「うあっ……それはぁ……」
ことり(しまったぁー!?私普通に口に出してた!?)
魔王『落ち着けことりちゃん!コンパクトの認識変換能力が働いてるから私はマスコットとしか認識されないはずだ!』
ことり(そ、そうだね……)ゴクッ
ことり「これはただのマスコット、喋るコンパクトだよ!」
ことり「魔王ってのは……私たちが昔戦ってた相手だよ、うん、もう倒したけど!」
ダーマ神官「そうですか」
ダーマ神官「実はこのダーマ神殿はちょっと魔王と関係のある施設なんですよね」
ことり「え?」
ダーマ神官「実はここは――」
─────────────────
ダーマ神殿
AM??〜?? 新終末編『292』了
-
というわけでここまで
新終末編『293』に続く
かもしれない
-
新終末編『293』
─────────────────
──ダーマ神殿
AM??
ダーマ神官「実は――――」
ダーマ神官「……あ、これわりと長い話になりますけどお時間大丈夫です?」
ことり「え?うん大丈夫だよ」
ことり「今私の使い魔が船を外側から、仲間が内側から解凍作業してる最中だと思うから時間はある」
ダーマ神官「そうですか、ではお話しますね」
ダーマ神官「ダーマ神殿は今でこそ様々な目的の冒険者様たちをお手伝いしていますが、元は魔王を倒す冒険者をバックアップするために作られたのです」
ことり「ここが……対魔王用の施設……?」
ダーマ神官「はい、その歴史は古く私たちは長い時間魔王と戦ってきました」
ダーマ神官「その名残でこの神殿で転職できるジョブはすべて魔王に特攻を持つものなんですよ」
魔王『ほう…………』
ことり「ピピピピーンがなった仮面女子ってジョブもそうなの?」
ダーマ神官「ええ」コクンッ
ダーマ神官「良い機会だわ、歩夢がお客様にジョブの説明をしてみて」
歩夢「は、はいっ!」
パララララッ
ことり(神官さんに指名された歩夢ちゃんが手を震えさせながら分厚い本を開く)
ことり(どこから取り出したかは見えなかったけど、たぶんあの本はマニュアル的な本なんだろう)
歩夢「ええと……仮面女子というジョブはですね、>>686」
-
異能の仮面をかぶれるようになる
-
歩夢「異能の仮面をかぶれるようになるジョブです」
歩夢「武器や防具こそ無いものの、様々な異能の力を持った仮面の力を扱えます」
ことり「ほー、仮面の力」
魔王『どこぞの仮面をたくさん体につけた亜種穂乃果みたいな能力だな』
歩夢「そして扱える仮面の1つに……魔王への特攻能力を持つ仮面があるんですね」パララララッ
ことり「なるほど」
魔王『もしピピピピーンの精神が安定して味方になってくれれば新魔王軍の戦いで有利に進むかもしれん』
魔王『魔王に特攻というのは魔王のソウルに特攻ということだろう』
ことり「だね……ピピピピーンが元に戻ればだけど……」
ピピピピーン「もちもちもちー!きなこ餅ー!いぇーい!」
ことり「大丈夫……かなぁ……?」
ことり(私が相変わらずフラフラしてるピピピピーンを心配そうに見てると、神官さんが言葉を続ける)
ダーマ神官「そして、冒険者様たちへ与えるジョブの他にこの神殿自体にも対魔王の機能があります」
ダーマ神殿「それは>>688」
-
歩夢のもつ全体完全回復法術と勇者の剣
-
ダーマ神官「それは歩夢のもつ全体完全回復法術と勇者の剣」
歩夢「えっ!?わ、私ですか!?」
ダーマ神官「そうです、あなたは自分が雑用係の仕事をさせられてると思っていたでしょう?」
ダーマ神官「実はあれは全て全体回復魔法と勇者の剣を扱うための修行だったのです」
歩夢「あの炊き出しもですか?」
ダーマ神官「そうです」コクンッ
歩夢「なっ……!」
ことり「なんか漫画みたいな展開だね」
魔王『半分くらいは本当に雑用だったんじゃないか……?』
ダーマ神官「半分は言いすぎですよ」ニッコリ
魔王『……!』
魔王『ことりちゃんにだけ聞こえる程度の小声で話してたつもりだったんだが……耳がいいんだな』
-
ダーマ神官「耳が良いついでにもう1つ、さきほど新魔王軍と言っていましたね」
魔王『あ、ああ、前の魔王が倒された後に新たに魔王を作り出した集団だ』
魔王『私たちはそこと戦っている……と思ってもらっていい』
ダーマ神官「ふむ、だったら歩夢を連れて行くといい」
ことり「え?」
ダーマ神官「魔王相手ならこの子の能力も役に立つし、この子自身の修行にもなるはず」
ことり「そう……私たちは味方が増えるのは歓迎だよ」
ことり「歩夢ちゃんはどうする?」
歩夢「……そうですね、修行の一貫と言うのなら行きますよ、私の能力で皆さんのお役に立てるのならありがたいですし」
歩夢「それに……私には魔王と戦う理由が1つ、>>691」
-
勝った功績により、人気投票で一位になる
-
歩夢「勝った功績により人気投票で一位になることです!」ビシッ!
ことり「人気投票?」
歩夢「ダーマ神官や神殿で働く職員たちの間で開催される人気投票ですよ、一ヶ月ごとにあって上位三名までが発表されるんです」
歩夢「私は魔王討伐に加わった功績を手にこの人気投票で1位を取る!そう決めました!」
魔王『ほう……大人しそうな見かけによらず野心家なのだな』
ことり「分かった、これからよろしくね歩夢ちゃん!」スッ
歩夢「はいっ」
ギュッ
ことり(そうしてお互いに握手を交わした瞬間――)
ビビッ!!
ことり「っ!?」ビクッ!
ことり(握手をした私の手に静電気のような刺激が走った)
ことり(ビリビリッとした刺激が指の先から腕を通じて私の心の奥……1番深いところにある何かを揺らす)
-
歩夢「どうしました……?」
ことり「……?」
ことり(歩夢ちゃんは何事もなかったのように不思議がっている、てことは今のビリビリは私だけが感じたもの?)
ことり(これっていったい……)
ピピピピーン「ソウル……の共鳴……見える……きなこもち」
ことり「……!」
ことり(ピピピピーンが仮面越しに歩夢ちゃんを見て気になる言葉を呟く)
ことり(ソウル?まさか歩夢ちゃんの中にも何かのソウルがあって資格持ちの私と反応したとか……?)
魔王『ことりちゃん、そろそろ戻るぞ』
ことり「へ?う、うんっ、じゃあ歩夢ちゃん行こうか、ピピピピーンもしっかり付いてきてね!」
歩夢「はいっ!神官様いってきます!」
ピピピピーン「オケオケオッケ〜♪」
ダーマ神官「お気をつけていってらっしゃーい、あと勇者の剣は神殿の前の畑にさしてありますからねー!」
ことり(まぁ今はソウルの問題はいいか、とにかく早く船へと戻ろう)
ことり(解凍が終わって皆が出てきてるかもしれないし……!)
─────────────────
ダーマ神殿
AM??〜?? 新終末編『293』了
-
というわけでここまで
船へ戻る
新終末編『294』に続く
かもしれない
-
新終末編『294』
─────────────────
──ダーマ神殿前
AM??
タンッ
歩夢「さて……畑畑」
ことり(ダーマ神殿の正面階段を降りると後ろにいた歩夢ちゃんが私たちを追い越していく)
ことり「確か畑に勇者の剣が突き刺さってるんだっけ?」
歩夢「はい、神官様も渡し方が適当ですよねー、こういう時はちゃんと手渡ししてくれればいいのに」
歩夢「置いてあるから持って行けってお弁当じゃないんですから」
ことり「ははは……」
スタスタ スタスタ
歩夢「……っと、ありましたあれが畑です」
ことり「おおっ」
ことり(歩夢ちゃんが指さしたダーマ神殿の脇には小さな畑があった)
ことり(畑では様々な野菜が育てられていてよく手入れされているのが分かる)
ことり(その畑の真ん中……農耕具に混ざって明らかに剣らしきものが刺さっていた)
魔王『あれか?』
ことり「うん、あの>>696みたいのが勇者の剣なんだろうね」
-
待ち針
-
ツヴァイへンダー
-
ことり「うん、あのまち針みたいのが勇者の剣なんだろうね」
魔王『随分と細い剣……というか本当にただのデカイ針だな、あれでは刺突くらいしかできないぞ』
ことり「だねぇ、硬いものにぶつけたらポッキリ折れちゃいそう」
歩夢「まぁ私もそう思いますけど……よっ!」
ズサッ
ことり(歩夢ちゃんが苦笑いしながら勇者の剣を畑から引き抜く)
ことり(まち針の剣は本当にただ地面に刺さっていたようでサクッと軽く引き抜けたようだ)
歩夢「……ま、勇者の剣と言うくらいですから何かしら特殊な力は宿ってるんじゃないかな」スッ
魔王『無かったら困る』
歩夢「だねー」
ことり(歩夢ちゃんは抜いたまち針の剣をベルトを使って上手く腰の脇に固定する)
ことり(針剣の先端がブラブラしててちょっと危なっかしいけど、まぁ鞘が無いから他に帯刀する方法も無いよね)
-
ことり「よし、剣が回収できたし船に向かおうか」
歩夢「はいっ」
スタスタ スタスタ
ことり「あそこに見える大きなのが私たちの船……ってずっと見えてたよね」
歩夢「はい、話を聞くに次元転移機能を持った船なんですよね?」
ことり「そうだよ、ナグルファルは冥界で作られた船で異界に飛ぶことができるの」
ことり「私たちはあれで外郭界って所を探索してたんだけど新魔王軍に見つかっちゃって、それで慌てて逃げたらこの世界に来たんだ」
歩夢「なるほど……」
ことり(……という感じに、今まで起こったことの軽い説明をしながら私たちは船へと向かった)
ことり(解凍作業が終わっていれば誰かが甲板に出ていてもおかしくない)
ことり(船の様子を見てみると>>700)
-
勇者が一杯
-
ザワザワ! ザワザワ!
ことり「……?」
ことり(船の様子を見てみると何か妙に騒がしい、甲板の上から大人数の雑踏が聞こえてくる)
ことり(明らかに髑髏穂乃果やフリュムたちが出している音じゃない)
歩夢「ことりさん、これって……」
ことり「歩夢ちゃんはここで待ってて!バーニーングデーモン!」
炎鬼「ガウッ!」
ことり(私が呼ぶと炎鬼は甲板の端まで来てこちらを見下ろす)
ことり「バーニング!船で何が起こってるの!?」
炎鬼「ガウガウ、ガウガウガウ!ガウガウ!」
ことり「なるほど……」
魔王『なんて言ってる?』
ことり「……分からない」
魔王『なぁっ!?』
ことり「単純なことなら感覚で分かるけど、複雑な説明はさすがに言葉が違うから分からないんだよねぇ」
ことり「ってわけでバーニングデーモン回収!そしてほのリルちゃん発動!」
キュィンッ! ボゥゥゥゥ!!
歩夢「わあっ!」
ことり「ちょっとジャンプして上見てくるから歩夢ちゃんはピピピピーンを見てて」
歩夢「わ、分かりました」
ことり「よっ」ダンッ!!
-
ヒューーッ
スタッ
ことり「なっ……!」
ことり(ひとっ跳びで甲板に着地すると、そこは人でごった返していた)
ザワザワ ザワザワ
ことり(顔を見たことがない知らない人、人、人、人、人)
ことり(年齢も性別もバラバラの色んな人がいるけど、みんな一様にゲームの勇者っぽい装備をしていた)
ことり(そうだあれ、ドラ○ンクエストの勇者みたいな……)
ことり「あのー!あなたたちは……」
勇者「むっ?」クルッ
ことり(私が声をかけると近くにいた青年風勇者が反応した、一番ゲームの主人公っぽい勇者だ)
勇者「おおっ、勝手に乗り込んで済まない、君はこの船の人かな?」
ことり「え?ええ……まぁ」コクンッ
勇者「そうか、私たちは>>703」
-
勇者を見送るために派遣された、勇者のコスプレイヤー
-
勇者「勇者を見送るために派遣された、勇者のコスプレイヤーだ」
ことり「そ、そう」
ことり(別に本物の勇者の援軍とかじゃなくてただの応援団だったのか……)
ことり(でもそれならこんなに人数要るのかな、ちょっと邪魔な気がするなぁ)
髑髏穂乃果「おい!ことり!」
ことり「髑髏穂乃果!」
ことり(私が勇者たちの前で困惑してると人混みをかき分けて髑髏穂乃果がやってきた)
ことり「良かった、船の中から出てこれるようになったんだ」
髑髏穂乃果「ああ、お前の悪魔が外から熱を加えてくれたおかげで中との扉は通れるようになった」
髑髏穂乃果「それよりなんだこの不審者共の群れは……敵意は見えんが排除したほうがいいのか?」
ことり「いやこの人たちは応援団だから害は無いと思う、たぶん」
髑髏穂乃果「応援団……?」
ことり「とりあえず皆が無事なら良かった」
ことり「私の方はピピピピーンを暗黒魔女から変えて新しい味方を連れてきたよ」
髑髏穂乃果「ほう」
ことり「今から連れてくるからその子の紹介と、ナグルファルの壁面に張り付いたままの凍り目玉の除去」
ことり「それが終わったら……また出発しよう!」
─────────────────
ダーマ神殿前〜ナグルファル
AM??〜?? 新終末編『294』了
-
というわけでここまで
船に戻りました
新終末編『295』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『295』
─────────────────
──ナグルファル
AM??
・
・
ザクッ! ザクッ! ガンッ! ガンッ!
ことり「次!スケルトン隊はそのまま右に、勇者応援隊は左に作業を進めていって!」
スケルトン隊「「ガッ!」」
勇者隊「「はっ!」」
ことり「よし、この分なら早く済みそうだね……」
髑髏穂乃果「無駄な頭数もこうやって使えば役に立つものだな」
ことり(私の指示で勇者のコスプレしてる集団と髑髏穂乃果が召喚したスケルトンたちが動いていく)
ことり(一人一人体にロープを巻いて甲板の上から壁面に降りて、壁面に張り付いた目玉化物の死体を削り取っていく作業だ)
ことり(ちょっと手間だけど数を揃えてローラー作戦で一気にやっちゃうのがてっとり早い)
ザッ ザッ
フリュム「おーやってるなぁ、中の復旧作業が落ち着いたから見に来たぜ」
ことり「あ!フリュムさん、船を凍らせてしまってごめんなさい」
フリュム「構わねぇよ、それよりこれからの話だ、旧魔王と人質を回収できたから一旦お前たちの世界に戻るのか?」
ことり「……うん、戻ったほうがいいと思う」
髑髏穂乃果「同感だ、今外郭界は警備が強まっているはず、私たちだけで再び乗り込んだら何の成果も得られない」
ことり「そうだね、成果……ん?」
ことり(その言葉に私は少し引っかかりを感じた)
ことり(確かにこの探索で私の目的は達成できた、私個人の……あれ?そういえば髑髏穂乃果も何かやりたいことがあったんじゃなかったっけ?)
ことり(髑髏穂乃果にも個人の目的があったから私たちに協力して付いてきたはず)
ことり「ねぇ、髑髏穂乃果の目的って結局なんだったの?実はこっそり達成してたりした?」
髑髏穂乃果「ああ、それなら>>708」
-
遺跡の発見
-
髑髏穂乃果「遺跡の発見が私の目的だったんだよ」
ことり「遺跡って……あのピラミッド魔殿のこと?」
髑髏穂乃果「そうだ、本命は私が力を手に入れた最初の死者の魔殿だったが、他の魔殿を見つけられただけでも幸運だった」
ことり「でも魔殿で得したのって私だけだよ……ね」
髑髏穂乃果「お前に力を付けさせるだって目的のうちさ、それで半分達成したと言ってもいい」
髑髏穂乃果「私が高坂穂乃果の中に戻ってしまえば独自に動くことはできなくなるしな」
ことり「髑髏穂乃果……」
ことり(なんだかんだ言ってちょっと心配しててくれたのかな)
ことり(そうだよね、髑髏穂乃果だって私の知ってる穂乃果ちゃんの一人なんだもん)
髑髏穂乃果「……で、もう半分は私が最初の死者から聞いた昔話」
ことり「GODの器から聞いた話だね」
髑髏穂乃果「そうだ、私は多少朧気だったその話の記憶を再確認して誰かと共有しておきたかった」
髑髏穂乃果「そのために外郭界に再び行く必要があり……ミナ仮面勢力を隠れ蓑にして潜伏していたわけだ」
-
ことり「なぜミナ仮面のとこに?」
髑髏穂乃果「一番自由に動ける集団だったからな、技術力や人材に困らない上に、幹部になれば変な思想や業務の強要もない」
髑髏穂乃果「ミナ仮面も私たちはお互いを利用するだけの関係、メリットが感じられなくなったら離れるのは自由だと言っていた」
髑髏穂乃果「無貌穂乃果なんかもそういう所が気に入って居座っていたんじゃないか?」
髑髏穂乃果「そして私はナゴヤドームでお前たちと出会ったチャンスに乗じ、ナグルファルへと乗り込んだわけだ」
ことり「……なるほど」
フリュム「昔話ってやつぁ俺も聞いたけどよ、要は今の魔王は昔の魔王を再利用して作られた偽モンってことだろ」
フリュム「後は強い力を持ったソウルが各世界に散らばったって話か、この話がそんなに聞きたかったのか?」
髑髏穂乃果「実用的じゃない……って言いたいのか?」
フリュム「ああ」
フリュム「俺としては新魔王軍に一泡吹かせるような逆転の手段とかじゃねえといまいちな気がするぜ」
髑髏穂乃果「……ま、気持ちは分からなくもない」
髑髏穂乃果「そっちの本命は新たな力を手に入れたことりや旧魔王の情報に期待しておくとして……実はもう1つGODの器から話を聞いていたんだ」
ことり「もう1つ?」
髑髏穂乃果「お前が試練に挑戦してる間にな、こっちは少し実用的な話、私の中の大罪穂乃果とは別の力を上手く引き出す方法だ」
ことり「別の……最初の死者の器の力?」
髑髏穂乃果「そうだ、アレを最大限に引き出す方法をGODの器から聞いた、それは>>711」
-
眷属を造る
-
髑髏穂乃果「それは眷属を作ることだとだとやつは言っていた」
ことり「眷属?あのスケルトンたちみたいな?」
髑髏穂乃果「あいつらは単なる下僕、簡易労働力のために兵隊に過ぎない」
髑髏穂乃果「本格的に器の力を共有し預けることのできるの存在が眷属だ」
髑髏穂乃果「眷属に器の力を預けておけば私は自分の力と混線させずにスムーズに引き出せる」
髑髏穂乃果「例え私の姿がどう変わってもな……」
ことり「…………」
ことり(髑髏穂乃果は敢えて口には出さなかったけど……自分が穂乃果ちゃんに戻った後のことを考えてるんだろう)
ことり(せっかく手に入れた最初の死者の器の力を穂乃果ちゃんにも残したいと……)
髑髏穂乃果「ではさっそく今から作るぞ――はっ!!」
ボォォォォウッ!!
メキメキッ ボキボキッ
フリュム「おおっ」
ことり(髑髏穂乃果が手をかざすと床に暗黒の雲のようなものが現れ、そこから無数の骨が飛び出してくる)
ことり(無数の骨が膨らみながらそれぞれ組み合わさっていって……やがて>>713の形となった)
パキィィィィンッ!
ことり「これが……髑髏穂乃果の眷属……?」
-
りきゃこの描いた象
-
ことり「これが……髑髏穂乃果の眷属……?」
フリュム「なんつーか不気味な形をしてるな、四足歩行の動物ではあるんだろーが……なんだ?」
ことり「さぁ……」
ことり(私に聞かれても全然分からない、骨で作られた動物……に見える何かはすごく奇妙な姿をしていた)
ことり(全体の大きさは一般的なイエネコを一回り大きくしたくらいのサイズ)
ことり(尻尾のある胴体の下には4本の足が直列に並んで生えていて、前から3本は同じ太さをしてるものの、一番後ろに生えた足だけが何故か太い)
ことり(胴体についた顔には猫のような瞳と口、顔の両脇には象のように大きな耳がついていた)
ことり(更に一番奇妙なのは顔の下、顎の部分から伸びている象の鼻のような細長い触手に似た機関)
ことり(顔についてるなら鼻だと認識できるけど、これは明らかに喉の辺りから伸びている、こんな生物見たことがない)
ことり「髑髏穂乃果、これ名前はあるの?」
髑髏穂乃果「ふむ……外郭界の――最初の死者の遺跡の壁画でこいつ似た絵を見かけたな、確か名前はリキャコゾウとか……」
ことり「リキャコ……象?」
髑髏穂乃果「ああ、そんな感じの名前だ、リキャコという人がゾウという生物を描いた壁画だと最初の死者は言っていた」
ことり「ほんとかなぁ……」
リキャコ象「パオーーンッ!」
髑髏穂乃果「ほらリキャコ象が答えた、お前の名前はリキャコ象だな」
ことり「まぁ本人が良いならそれで良いけどねぇ」
髑髏穂乃果「ふふっ」ナデナデ
ことり(髑髏穂乃果は嬉しそうにリキャコ象を撫でている)
-
ことり(少しの間その様子を眺めていると歩夢ちゃんが話しかけてきた)
歩夢「ことりさん!」タタッ
ことり(そうそう、歩夢ちゃんは船の清掃作業が始まる前にちゃんと上に連れて来てたんだよね)
ことり(調子の悪そうなピピピピーンは氷から救出したかすみちゃんと一緒に船内で寝かせている)
歩夢「船の壁に張り付いていた目玉の死骸を剥がす作業が終わりました、この後は何をすればいいですか?」
ことり「おおありがとうっ、他にはもうやることが無いから皆にもお礼を言って解散の流れ……かな?後は好きにしていいよ」
歩夢「分かりました、応援団の人たちにも伝えてきますね!」
タタタタッ
フリュム「よし、これで多少氷は残ってるもののナグルファルは元通り」
ことり「だね」
フリュム「準備が整い次第現世に向けて出発だ!!」
─────────────────
ナグルファル
AM??〜?? 新終末編『295』了
-
というわけでここまで
恒例の出発するぞ詐欺
次こそは出発するぞ
新終末編『296 』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『296』
─────────────────
──ナグルファル
AM??
フリュム「てわけで操舵室へ行くぞ」
ことり「出発だ!って意気込んだわりにすぐに出ないんだね」
フリュム「意気込んだだけだ、物事には順序というものがある」
ことり「ははは……」
フリュム「歩夢とか言ったか、お前も来るなら来いよー!」
歩夢「あ、はーい!……って誰?」
フリュム「この船の船長だよ!ったく……」
スタスタ
ことり(フリュムは遠くで応援団に作業終了を伝えてる歩夢ちゃんに一声かけると足早に船内に戻っていく)
勇者応援団「あの人が船長さんですか、ずいぶんイカツイ人ですねぇ」
ことり「あんな見た目だけど中身は良い人だから」
髑髏穂乃果「あんな見た目はわりと酷い言い草だな」
ことり「ん?というか……」
ことり(私は偶々近くにいて話しかけてきた応援団の人……この人は年上の女の人かな?)
ことり(その人にふと思った質問を投げかけてみる)
ことり「応援団の人たちってここで歩夢ちゃんを見送るの?それとも乗ってくるの?」
ことり「この船はわりと広いけどさすがに全員乗ると手狭になっちゃうような……」
勇者応援団「ああ、私たちなら>>719」
-
合体して1人の真の勇者になります
-
勇者応援団「私たちなら合体して1人の真の勇者になるからご心配無く」
勇者応援団「省スペースで勇者様を応援させていただきます」
ことり「なるほど、それなら大丈夫……なのかな?」
髑髏穂乃果「合体して1人の人間になるとは中々に不思議生物だな……」
勇者応援団「私たちは正確にはあなたたちと同じ人ではありません」
勇者応援団「あくまで古今東西の勇者というイメージが投影された投影体、実態はありますが確立した個と過去の歴史は持たないのです」
ことり「えーと……よく分かんないけど実態を持った幽霊みたいな?」
髑髏穂乃果「勇者を応援するための疑似キャラクターって感じか」
勇者応援団「はい、そんな感じです」
ことり「よし……じゃあ私たちも船の中へ行こう、歩夢ちゃん!」
歩夢「はーいっ!」
タタタタッ
-
・
・
──ナグルファル内・操舵室
フリュム「おおっ!来たか!」
ポポポポーン「お帰りなさい、今回はピピピピーンまで助けて感謝するわ」
ポポポポーン「あとピラミッドを出発したあとに迷惑をかけてごめんなさい、私はあまり記憶が無いんだけど……」
ことり「いやいや、あれは実験した私も悪かったから気にしないで」
歩夢「へー、ここが船の中心部ですかー」キョロキョロ
ことり「そうだ歩夢ちゃんに紹介するね」
ことり「さっき甲板にいたゴツい人の隣にいるのが副船長のポポポポーン」
ことり「そっちの女神っぽい人がリホ様であっちにいるロボっぽい子がレイちゃんね」
歩夢「よろしくおねがいしますっ!」
レイ「よろしくです」ペコリ
リホ様「よろしくね」
レイ「それでことりさん、元の世界に戻るとのことですが……どの辺りの座標に転移するんです?」
ことり「そうだね……ワームホールを通じて聞いた今の状況を考えると>>722」
-
内浦
-
ことり「やっぱり内浦に直接行ったほうが良いと思う」
ことり「レイちゃん、静岡県の沼津市内浦に転移座標を合わせられる?」
レイ「やってみます!」
ピピピピピピッ
ことり「お願いねっ」
ことり(これで転移の準備はオーケー、あと他にやることはあったかな……?)
ことり(ナグルファルは可動状態に戻ったし、探索の目的である魔王とピピピピーンも回収できた)
ことり(元型資格、因子能力、天の焔、ソウルを操るボンテージ諸々も手に入れて、新たな仲間も加わった)
ことり(主な乗員はここに全員集まってるし、ピピピピーンとかすみちゃんは医務室で、勇者応援団は出発時に1人になって乗り込んでくれる)
ことり(あとは適当にこの部屋で待機してればいいのかなぁ……)
ことり「髑髏穂乃果、私たち出発する前に何かやり忘れていることは無いよね?」
髑髏穂乃果「唐突だな」
ことり「ははは……なんか出発まで時間を持て余しちゃってる感じがして、何か考えてないと落ち着かないんだよね」
髑髏穂乃果「そうだなぁ、>>724」
-
27のソウルの持ち主を予想
-
髑髏穂乃果「27のソウルの持ち主を予想でもするか」
ことり「ソウルの持ち主か……そうだねぇ」
ことり「まず最初の9つは最初の火と一緒に隔離空間――ホムノンドにあるでしょ」
ことり「誰のものでも無いけど、強いて言うなら因子穂乃果たちのものかな」
ことり「そして因子穂乃果たちに最初のソウルの一端を扱うことを許可された私ような元型資格者」
ことり「9つという数と、私やミナリンスキー、にこちゃんに似たゴーストが資格者ってことから考えるに……」
髑髏穂乃果「……μ'sか?」
ことり「うん、どんな因果かは分からないけどμ'sとそのメンバーに似てる人は元型を持っている可能性が高い」
ことり「もちろん資格に目覚めないとソウルの力は引き出せない、でも潜在的なソウルの持ち主と考えていいと思う」
髑髏穂乃果「なるほどな、残りの18個はどう考える?」
ことり「残りはバラバラに散らばったんだっけ……こっちはとっかかりがないよね」
髑髏穂乃果「ああ、だが元型持ち――ソウルの潜在的適合者がμ'sという形で集まったのは偶然とは思えない」
髑髏穂乃果「異能者と異能者が引かれ合うように、ソウルの持ち主たちもまた引かれ合うのだろう」
-
髑髏穂乃果「ならばだ……他の18個のソウルの関係者も、お前たちの味方となってくれた者の中にいる可能性はある」
髑髏穂乃果「μ'sが比較的同年代で集まったことから他のソウルも歳が近いやつが持ってそうだな」
ことり「そっか、てことは高校生くらいの歳……ダヨオちゃんやブンドルビィ、デスワやハグカナーン辺りが怪しいね」
ことり(それに……)チラッ
歩夢「?」
ことり(ピピピピーンがうわ言のように呟いていた言葉が正しければ歩夢ちゃんも怪しい)
ことり(私と同年代くらいだし、何より魔王に対する強い能力を持っている)
ことり(もしソウルの持ち主たちが何かの運命によって魔王との戦いに集うのだとしたら、歩夢ちゃんほど条件を揃えてる人はいない)
髑髏穂乃果「良いかことり、かつて敗れはしたものの、27のソウルは魔王のソウルに対抗した強大な力だ」
髑髏穂乃果「どれだけ集められるかが新魔王軍との戦いを左右する」
ことり「……うん、分かってる」
魔王『…………』
レイ「座標設定完了しました!」
ピピッ!
レイ「転移先は静岡県沼津市内浦、転移誤差はそれほど無い予想ですが時間軸がどれほどズレるかは予想できません」
フリュム「外郭界には特殊な時間流があるからなぁ、転移した先がお前らがワームホールで向こうと話した直後だとは限らねぇ」
フリュム「もしかすると数時間後か、下手すりゃ数日ズレるかもしれねぇってことだ」
ことり「戻れるなら構わないよ!行こう!」
フリュム「よっし!」
ガッ!
ことり(フリュムは強く舵を握り、ポポポポーンが艦内用の通信機に向かって呼びかける)
ポポポポーン「乗組員全員に告ぐ!これからナグルファルは次元転移航行に入る!」
ポポポポーン「安全のため甲板に出てるものは急いで中へ!衝撃に備えて周囲のものに掴まっていて!」
キュィィィィィィィィィィンッ!!
フリュム「来た来た来たぁぁっ!行くぞぉ!」
レイ「ナグルファル――転移開始」
シュンッ!!
─────────────────
ナグルファル
AM??〜?? 新終末編『296』了
-
というわけでここまで
出発したので外郭界探索組のシーンはひとまずここで一区切り
さて次はどこから初めましょうか
新終末編『297』に続く
かもしれない
-
新終末編『297』
─────────────────
──浦の星女学院
AM10:30
ブゥンッ!
アニメ穂乃果(ワームホールの中に出現していた外郭界と通じる空間が音を立てて消える)
アニメ穂乃果(ことりちゃんたちの話は色々あってまだ整理できないけど、順調に外郭界を探索できているのが分かっただけでも良かった)
アニメ穂乃果「それで……これから私たちは何をすれば良いんだっけ?」
ダヨオ「向こうから飛ばされてきた私に振られても分からないって……」
アニメ穂乃果「ごめんごめん」
ハグカナーン「マザー、あなたは元々別の目的でワームホール発生装置を使おうとしてたんだよね」
マザー「せやな、うちが……というかうちを始めとした海未ちゃんたち北方領土組がこの装置を治してたのはロードス島に行くためや」
ダヨオ「ロードス島?」
マザー「女神アテナがその島に行けば新魔王軍との戦いを有利に進められるものがあるって言ってたんや」
マザー「この島が中々に遠くでなぁ……せやからワームホールを使おうと思ってた」
アニメ穂乃果「ふむふむ」
マザー「けれど島の詳しいことを知ってるのはうちの知ってる限りじゃ海未ちゃんだけ、しばらくは気絶したあの子が復帰するの待ちかな」
マザー「それまでに>>729」
-
海未ちゃんのおっぱい揉んどこ
-
忘れてました
雑ですが今のところの登場人物表置いておきますね
http://ur0.work/IrEh
-
マザー「それまでに海未ちゃんのおっぱい揉んどこ」スタスタ
アニメ穂乃果「ちょいちょいっ!」
マザー「ん?」
アニメ穂乃果「ん?じゃなくて……!なんでそういう発想になるの?」
マザー「だってワームホールを発動するには人のおっぱいを揉んでエネルギーを貯める必要があるやろ」
アニメ穂乃果「うん」
マザー「そしてロードス島のことは海未ちゃんに聞かなあかん」
アニメ穂乃果「うん」
マザー「だったら海未ちゃんの所に行って揉むのが一番や!」
アニメ穂乃果「だからそこ合体させるのがおかしくない!?」
マザー「まぁまぁ、気になるなら付いてくればええやろ?うちは校舎の中に行くだけやし」
アニメ穂乃果「仕方ないなぁ……」
タタタタッ
アニメ穂乃果「ダヨオ!ハグカナーン!私また校舎の方に行くからこっちのほうお願いね!」
ダヨオ「わかったー!」
-
・
・
・
──校舎内
スタスタ スタスタ
マザー「……それで?海未ちゃんたちは今どこで安静にしとるん?」
アニメ穂乃果「すぐそこの教室で簡易的なベッドを作って寝かせてるよ」
アニメ穂乃果「医療用具は保健室から色々と使えるものを持ってきたり、鞠莉が持ってたものを使ってる」
マザー「ほうほう」
アニメ穂乃果「寝かせてるのは屋上で宇宙怪獣攻撃の余波をくらった海未ちゃん、梨子ちゃん、理事長さんとダル子ちゃん」
アニメ穂乃果「それと何故か倒れてたのが>>733」
-
かもめ
-
アニメ穂乃果「それと何故か倒れてたのがかもめちゃんで、今は海未ちゃんたちと一緒にベットで寝かされてます」
マザー「かもめ……ああ、あの大空洞でフルタマンに捕まってたスナイパーの子か」
マザー「体にかかってた呪いはうちのソーマで全部排出させたはずやし、怪我でもしたんか?」
アニメ穂乃果「さぁ?そこまでは聞いてないな……」
スタスタ スタスタ
アニメ穂乃果「屋上にいた海未ちゃんたちや校庭のテントにいたマザーたちとは違って、他の人は安全な校舎の中にいたはず」
マザー「校舎はクローバーが強化してたって話やからなぁ、あんな戦闘の間近にあってかすり傷程度で済んでいる」
マザー「かなり物理的にも魔術的にも材質を強化してるはずや」
マザー「その中に避難していて何かダメージを食らうってのは考えづらいなぁ」
アニメ穂乃果「だよねぇ……あ!ほらそこの教室だよ」
マザー「おっ!じゃあ早速……」タタッ
アニメ穂乃果「おっぱい揉むのはダメだからね!?」タタッ
アニメ穂乃果(目的の教室を見つけたマザーは一気に駆け出し、私もそれにつられて走る)
-
ガラッ
マザー「海っ未ちゃ〜ん!見舞いに来たで〜!」
マザー「……ん?」
クローバー「あなたは相変わらずテンション高いわねぇ」
マザー「なんやクローバーか」
アニメ穂乃果(マザーが開いた教室の扉の先、そこには白衣を着たクローバーが立っていた)
アニメ穂乃果(ベッドに寝ている海未ちゃんたちの看病をしているみたい、奥にはマッキーの姿も見える)
アニメ穂乃果「クローバー、皆の容態はどう?」
クローバー「そうねぇ、大きな怪我もないし安静にしてればそのうち治ると思うわ」
クローバー「ただ……あのかもめって子なんだけど、>>735」
-
ミス
安価↓
-
彼方の千年子守歌を聞いて、全く起きない
-
クローバー「彼方の千年子守唄を聞いて眠っちゃったみたいなの、起こそうとしても全然起きないわ」
アニメ穂乃果「千年子守唄……サトゥルヌスを眠らせたあれだよね」
クローバー「ええ、彼方ちゃんが眠ってる間に溜めたエネルギーを使って放った強力な催眠攻撃」
クローバー「その音波は範囲性ではなく指向性であり、自分の睡眠を妨げる一番の原因に向かって真っ直ぐ放たれる」
マザー「術者の近くにいても巻き込まれはせえへんってことか」
クローバー「そうよ、ただ……この時に術者と術を放たれる対象を結ぶ一直線のライン」
クローバー「千年子守唄の音波が通るそのライン上にいると一緒に効果を受けちゃうらしいのよ」
マザー「ああー」
アニメ穂乃果「かもめちゃんはそのラインに入っちゃってたってこと?」
クローバー「ええ」コクンッ
クローバー「千年子守唄の発動は突発的なものだったし、催眠音波は壁を貫通して放たれるから気付くのも防ぐのも難しい」
クローバー「かもめは偶々そのライン上で警備をしちゃってたってことね、不幸な事故だわ」
アニメ穂乃果「そっかぁ……」
アニメ穂乃果「何か助ける方法は無いのかな、眠った人を夢の中から呼び戻すみたいな――」
ググッ
海未「無くは……無いかと」
アニメ穂乃果「海未ちゃん!?」
アニメ穂乃果(私がポツリと呟いた言葉にベッドに寝ていた海未ちゃんが反応する)
アニメ穂乃果(そして海未ちゃんは少し辛そうに上半身を起こす……)
アニメ穂乃果「え?今なんて……」
海未「……ですから、あると言ったのです」
海未「眠りの奥底――夢の国からかもめの意識を連れ出す、その方法がね」
─────────────────
浦の星女学院
AM10:30〜AM10:35 新終末編『297』了
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というわけでここまで
再びの内浦
またダラダラやっていきます
新終末編『298』に続く
かもしれない
-
新終末編『298』
─────────────────
──浦の星女学院・教室
AM10:35
海未「かもめを連れ戻す方法が……痛っ!」ズキッ
アニメ穂乃果「だ、大丈夫!?」
海未「平気です……このくらい……」
ググッ
アニメ穂乃果「もう、無理はしないでね」
アニメ穂乃果(とは言っても海未ちゃんのことだから無理はするだろう、さっそくベッドから立ち上がろうとしてるし)
アニメ穂乃果(仕方ないので近くに行って体を支えてあげることにする)
海未「あのくらいで意識を失ってしまうとは不覚です……」ブンブンッ
クローバー「どこまで状況を把握してる?宇宙怪獣を倒したことは?」
海未「理解しています、起き上がれない間も半覚醒状況であなたとマッキーの会話を聞いていましたから」
海未「宇宙怪獣は倒されてサトゥルヌスは眠りの底、それにかもめが巻き込まれたと……」
クローバー「ええ、大体そんな感じだわ」
マッキー「それであなたが知ってる方法って?具体的で実現可能な方法なの?」
マッキー「私が色々実験……もとい治療を試してみたけど眠りを覚ますことはできなかった」
マッキー「彼方の千年子守唄は中々に強力よ?」
海未「おそらく行けます」
マッキー「へぇ」
海未「私の思っている方法は……>>741」
-
夢能力
-
海未「私の思っている方法は……夢能力です」
マッキー「夢能力……?」
海未「さすがのマッキーでも知りませんか?」
マッキー「いや知ってるわよ、ドリームランドの存在が持ってる能力でしょ」
マッキー「ただ如何せん夢の中にある世界だから直接見かけたことは……」
アニメ穂乃果(……と、そこでマッキーは言葉を切って海未ちゃんを見る)
マッキー「……え?まさかあなたは会ったことがあるの?いや、それどころかまさかあなたたちの仲間に――」
海未「はい」コクンッ
マッキー「……!」
海未「SID穂乃果とSID海未の2人、今はおそらくドスケーブ城にいる2人がドリームランドの住人です」
マッキー「なっ!あの城にいたの!?ちゃんと探しとくんだったわ……」
海未「どうにかしてあの2人を呼んで……ぐっ……」ガクッ
アニメ穂乃果「ほら無理しちゃダメ、まだ立てないんだからっ」
-
クローバー「呼ぶねぇ……でも借りてたスターニシキノの飛空艇は全部宇宙怪獣の攻撃の余波でひっくり返ってボコボコ」
クローバー「今すぐ東京へ戻る移動手段は無いわよ?」
アニメ穂乃果「あ!ワームホール!あれを使えばどうかな?」
マザー「まぁ……あれなら行けないことも無いなぁ、同じ世界なら大した負荷もかからんやろ」
マザー「ロードス島に行く前に試してみようか」
アニメ穂乃果「うんっ」
海未「お願いします……」
マザー「……で、ここには負傷者とクローバーとマッキーだけ?」キョロキョロ
マッキー「ここにいない他の人は何してるん?」
クローバー「大半は内浦湾クレーターでぶっ倒れてる人たちの救助よ、それ以外は>>744」
-
食っちゃ寝してたり遊んだりしてる
-
クローバー「それ以外は食っちゃ寝してたり遊んだりしてるわ」
マザー「自由を満喫してるなぁ」
クローバー「クレーターに救助に行ってるのはダストボックス、ぺぺペペーン、寿限無、ゴースト……後はほのりも行ってたかしら」
クローバー「各自治療や救助に必要な道具を持って外に向かったわ」
海未「単体でも動ける面子ですね」
クローバー「残りは……いちいち数えるのが面倒ね、たぶん好き勝手してるんでしょう」
マザー「把握するのが面倒だから適当言ってんちゃうか……?」
マッキー「まぁ鞠莉やオカンはどこかで何かの研究、希は寝てる彼方の面倒を見てるんじゃないかしら」
マッキー「善子は……本当に分からないわね」
アニメ穂乃果「なるほど」
マッキー「そうだ、ワームホール?城に行き来できる方法があるなら1つ頼みたいことがあるのよ」
アニメ穂乃果「頼み?」
マッキー「ええ、私あって出てくるときドタバタしてて……ちょっと今になって用事を思い出したのよ」
マッキー「その頼みってのは>>746」
-
充電器を貸して欲しい
-
マッキー「その頼みってのは充電器なんだけど……」
アニメ穂乃果「充電器?それだけ?」
マッキー「ええ、この学校電気が来なくて色々不便なのよ」
マッキー「だから発電と充電ができるタイプの充電器を借りてきてほしいの」
アニメ穂乃果「分かった、ワームホールが繋がったら向こうの人に伝えるよ」
アニメ穂乃果(私は充電器のことを忘れないように頭の片隅に留め置き、マザーの腕を引っ張って教室を出ようとする)
アニメ穂乃果「ほら行くよ」
マザー「ええっ!?海未ちゃんのおっぱいはぁ!?」
アニメ穂乃果「おっぱいだけなら他にいくらでもあるでしょ、海未ちゃん動くのも辛いみたいだしダメだって」
マザー「うぅ……」
海未「待ってください」
マザー「お?おっぱい揉ませてくれるん?」
海未「いえ、それは無いですが……」
マザー「無いんかい」
海未「私も体が回復して理事長の意識が回復し次第ワームホール発生装置の元へ行きます」
アニメ穂乃果「理事長?」
海未「はい、ワームホールを作るには目的地をイメージできる人が必要なのでしょう?」
海未「あの島――ロードス島の風景は校内に流れた3分クッキングの映像越しに見てはいますが、実際に私が行ったわけではありません」
海未「より確実にワームホールを成功させるには実際に行ったことり、もしくは……」
アニメ穂乃果「理事長……か」
海未「ええ、彼女にイメージさせるのが一番確実だと思われます」
-
アニメ穂乃果(3分クッキングをやってた頃の話は私もそれとなく聞いていたから分かる)
アニメ穂乃果(理事長とことりちゃんがクッキングの食材を探しにロードス島を探検するVTR、それが番組の途中に流されたということ)
アニメ穂乃果(実際のところ、その旅は理事長に憑いていた魔王がことりちゃんに乗り移るための儀式だったらしいんだけど……)
アニメ穂乃果(つまり確実にロードス島に行くためには理事長が目覚めるのを待つか、ことりちゃんが外郭界から帰ってくるのを待つ)
アニメ穂乃果(どちらも遅かったら映像を見てた海未ちゃんで賭けてみるしかないって感じかな)
マッキー「ミナリンスキー辺りが私と同じように目覚めてれば……いやそれも所詮記憶だけか……」ボソッ
クローバー「どうしたの?」
マッキー「ううん、なんでもない」
アニメ穂乃果「分かったよ海未ちゃん、先に行って待ってるから無理せず後で来てね!」
海未「はいっ」
アニメ穂乃果「じゃあ今度こそ行くよマザー」グイッ
マザー「はぁ……海未ちゃんのおっぱい揉みたかったなぁ……」
─────────────────
浦の星女学院
AM10:35〜AM10:40 新終末編『298』了
-
というわけでここまで
最近短め短めですみませぬ
なんとかペースを崩さず行きたい
新終末編『299』に続く
かもしれない
-
新終末編『299』
─────────────────
──浦の星女学院・廊下
AM10:40
スタスタ スタスタ
アニメ穂乃果「……あれ?」
アニメ穂乃果(教室を出て廊下を歩いていると、その道中で挙動不審な人影を目撃した)
アニメ穂乃果「あれって……善子ちゃん?」
マザー「せやな、ほのりちゃんと一緒にいた子や」
アニメ穂乃果「へー、聞いてはいたけどヨハネちゃんとよく似てるなぁ」
アニメ穂乃果(確かマッキーの話だと善子ちゃんは何してるか分からないって言ってたよね)
アニメ穂乃果(スルーするのも変だし話しかけてみようか……)
アニメ穂乃果「善子ちゃん!」
善子「ひゃっ!」ビクッ!
マザー「よっ」
善子「な、なんだマザーたちかびっくりした……」
マザー「こんなとこで1人で何してたん?」
善子「何って……>>751」
-
異界と交信中
-
善子「え?ええと……ちょっと異界と交信してたのよ」
マザー「異界……天界のことか?」
善子「へ?」
マザー「だってほのりちゃんと善子は信者に召喚される前は天界にいたんやろ?だから天界と交信してたんかなーと思って」
マザー「その反応だともしかして違った?」
善子「え、ええっ、そうよ!その通り!」
善子「天界にいたオーディンたちに私とほのりが消えた経緯を話してたのよ」
善子「消える前に一緒にいたやつらがすごく心配そうにしてたわ〜」
アニメ穂乃果(うーん……明らかに嘘をついてるよね、マザーの話に合わせて来た感じ)
アニメ穂乃果「善子ちゃん、交信って何でしてたの?」
善子「え?えーと……この通信機よ!」
アニメ穂乃果「へー」ジーッ
善子「……なに?」
-
アニメ穂乃果「私さ、魔眼っていう能力持ってるんだけど、これを使うと肉眼には見えないものが見えるんだよね」
アニメ穂乃果「通信の電波とかもその一種なんだけど……」
ジーッ
アニメ穂乃果「善子ちゃんの通信機からは電波が出てないように見えるんだよねー」
善子「っ!?」ビクッ
善子「そ、それは今は通信してないから当たり前じゃない、ほら見てこうしてスイッチを入れれば――」
ポチッ
アニメ穂乃果(よし来た、ここで本当に魔眼発動っと)
キィィィィィィィィンッ!
ピピピッ! ピピピッ!
アニメ穂乃果(確かに通信機から電波が発信されているのが見える)
アニメ穂乃果(もしこれが天界に行くのなら空の上……つまりは上方向に向かうはず)
アニメ穂乃果(……で、善子ちゃんの通信機の電波が向かってる方向から考えるに行き先の異界は>>754)
-
異界じゃなくてヌーマーズ
-
アニメ穂乃果(やっぱりだ、電波が向かってる方向から分かる、どう考えても天界じゃない)
アニメ穂乃果(そして異界でもない、電波が向かってるのは同じ世界、しかもこの近くだ)
アニメ穂乃果「んー?」
アニメ穂乃果(この方向は街の方向、確か沼津市がある方向……だよねぇ)
アニメ穂乃果「ねぇ善子ちゃん、街の方向に何かあるの?」
善子「ぐぇっ!?」ビクッ!
マザー「すごい声出したな」
善子「どどどうしてわかったの!?」
アニメ穂乃果「だから私の魔眼で見えるんだって、天界じゃなくて街の方に通信してたんでしょ?それただの電話じゃない?」
善子「ぐっ……こうなれば仕方ないわね、本当のことを話すわ」
マザー「最初からそうすればええのに」
善子「実は私はその……ヌーマーズに連絡をしてたのよ」
マザー「ヌーマーズ?」
善子「沼津市にあるお店よ、私はそこに連絡して>>756」
-
新作ゲームの在庫確認
-
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-
善子「新作ゲームの在庫確認をしてたの」
アニメ穂乃果「……え?」
善子「だーかーらー!新作ゲームがあるか確認してたのー!」
アニメ穂乃果「……な、なるほど」
善子「私がまだ実験室……古巣にいた頃に発売日が決まっていたゲームで楽しみにしてたの」
善子「結局私は発売日前に例の作戦に参加することになって、その後は諸々……あなたたちも知ってるでしょ!堕天使ヨハネの騒動!」
アニメ穂乃果「う、うん」
善子「そのゴタゴタで結局ゲームを手に入れることはできなかった、だから今確認してるの」
マザー「確認ってなぁ……この状況でゲーム屋なんかやってるんか?」
善子「それがやってたのよ、在庫もあるって」
マザー「ほぅ、頭おかしい店やな」
善子「だから今から買いに行こうと思うのよ、どうせ他の皆はグダグダ次の準備してるんでしょ?」
善子「今なら敵もいないだろうし遠出してくるわ」
アニメ穂乃果「1人で沼津まで?大丈夫なの?」
善子「平気よ平気」
タタッ
アニメ穂乃果(善子ちゃんは軽い口調で手を振ると、私たちの先を歩きだした)
アニメ穂乃果(1人で行くなんてトラブルしか生まないような気がするけど……)
-
アニメ穂乃果(まぁとりあえず行く方向は同じなので出口まで一緒に歩いていく)
スタスタ スタスタ
アニメ穂乃果(そして校舎の出口まで来た時……外から誰かが騒いでる声がした)
ヨハネ「だーかーらー!ゲーム買いに行きたいのー!沼津までだからー!」
ハグカナーン「何度も言うけどそれは――」
アニメ穂乃果(声はハグカナーンとヨハネちゃんかな?というか会話の内容ついさっき聞いたような……)
善子「なんだ、私の他にもゲーム買いたがってる人がいるじゃない、この声の人と一緒に行けば――」タタッ
アニメ穂乃果「あ、善子ちゃん!その子は……」
アニメ穂乃果(校舎の出口から走って出ていく善子ちゃん、そして善子ちゃんは出会う)
ザッ
善子「そこのあなたー!……え?」
ヨハネ「……へ?」
アニメ穂乃果(全く同じ姿をした、もう1人の自分と――――)
─────────────────
浦の星女学院
AM10:40〜AM10:42 新終末編『299』了
-
というわけでここまで
善子とヨハネ
新終末編『300』に続く
かもしれない
-
をつ
邂逅
-
これもう家族だろ
-
新終末編『300』
─────────────────
──浦の星女学院・校舎前
AM10:42
ヨハネ「……へ?」
善子「え……?」
ハグカナーン「おや、ヨハネの所にヨハネが来たね」
マザー「善子と善子が出会ったな」
ヨハネ・善子「「えええええええええええっ!?」」
ヨハネ「ちょっ!あなた何!?」
善子「あなたこそ何よ!」
ヨハネ「私はヨハネ!堕天使ヨハネ計画でコアにされてたヨハネシリーズの一体よ」
ヨハネ「あなたは……別の個体?」
善子「はぁ?何言ってるの?私がコアにされていたヨハネよ!」
善子「堕天使本体が倒された後に気づいたら天界にいて、ほのりと出会って現世に戻ってきたの!」
ヨハネ「いやいや、私だって堕天使が倒された後に戦場後に転がってた所を鞠莉に助けられたのよ、記憶だってしっかり持ってる」
善子「ええぇ……?」
ヨハネ「意味が分からないわね」
アニメ穂乃果(初めて対面して困惑する善子ちゃんとヨハネ)
アニメ穂乃果(お互いに状況が理解できなくて戸惑った2人は>>764)
-
全裸でお互いの身体を褒め合う
-
アニメ穂乃果(着ていた服を脱いで全裸になり、お互いでお互いの身体を褒め合いはじめた)
バサッ!!
ヨハネ「ふむ……裸を見ても私の体と変わらないわね、さすが私の体」ジーッ
善子「あなたの体も綺麗ね、さすが私の体だわ」
マザー「なぁ穂乃果ちゃん……この2人は何やってるん?」
アニメ穂乃果「私に聞かれても……」
ヨハネ「まぁ理屈は全然分からないけど、あなたが私自身だということは事実なようね」
ヨハネ「あなたのお尻のここ、ヨハネシリーズのマークが入ってる、しかも私のと同じシリアルナンバー」
善子「ほんとねぇ」
アニメ穂乃果「ああ、全裸になったのはそのマークを確認するためだったんだね」
ヨハネ「うんっ」
善子「しかし全く同一人物か、どういうことなのかしら」
ヨハネ「バグで分裂したのか……それともどっちかが別の世界の私なのか」
善子「どっちにしても今判別することは難しいわね」
ヨハネ「そうねぇ」
アニメ穂乃果(会話する善子ちゃんとヨハネちゃんのやり取りはまるで1人の人間の頭の中を見てるようだ)
-
善子「ま、考えても分からないことは仕方ない、今すべきことは分かるわよね私?」
ヨハネ「ええ、分かるわ私、今すべきことは――」
善子・ヨハネ「「ゲームを買いに行くこと!!」」
ハグカナーン「はぁ……」
アニメ穂乃果(2人が当然のように同時に口にした結論にハグカナーンが大きくため息をつく)
善子「ってわけで私たちはゲームを買いに沼津まで行ってくるわ!」
ヨハネ「2人ならいいでしょ?」
ハグカナーン「はぁ……仕方ないなぁ、止めても聞かないんでしょ?」
ハグカナーン「2人だけだとまだ心配だし>>767を連れていくならいいよ」
-
無駄に打たれ強い梨子
-
マッキー
-
ハグカナーン「無駄に打たれ強い梨子を連れて行くならいいよ」
アニメ穂乃果「梨子ちゃん?」
アニメ穂乃果(梨子ちゃんは確か気絶して別途に寝かされてたはず……)
クルッ
アニメ穂乃果(と、私が後ろを振り向くとそこには梨子ちゃんが立っていた)
アニメ穂乃果「わっ!?」
梨子「そんな幽霊でも見たような反応しないでよ」
アニメ穂乃果「梨子ちゃんもう歩いて大丈夫なの?」
梨子「無駄に打たれ強いから大丈夫、それに実は私も買いに行きたいものがあったのよ」
梨子「たぶんヌーマーズ?なら売ってると思うし丁度いいわ」
アニメ穂乃果「まぁ梨子ちゃんがついていくなら安心……かな」
梨子「ええ、しっかり監視して早めに戻ってくるわ」
ヨハネ「では出発!堕天使の行進よ!」
善子「血塗られた闇のパレード!」
タタタタタッ!
梨子「こら隊列を乱さないのー!」タタッ
アニメ穂乃果(許しをもらったヨハネちゃんたちは喜んで走り出し、それを梨子ちゃんが追いかけていった)
アニメ穂乃果(あの3人の行方も心配だけど、私は私でやらなきゃいけないことがある)
アニメ穂乃果「マザー!ワームホール発生装置の所へ行こう!」
マザー「ああっ」コクンッ
-
タタタタタッ
アニメ穂乃果(私とマザー、それとハグカナーンは校舎の入り口前から再び校庭のテントへと向かった)
アニメ穂乃果(テントへ入ると英玲奈さんが出迎えてくれる)
バサッ
英玲奈「お、戻ったか、海未の様子はどうだった?」
アニメ穂乃果「海未ちゃんは起きたよ、でもワームホール作りを確実にするために理事長が起きるのを待ってから来るみたい」
英玲奈「そうか」
アニメ穂乃果「あとかもめちゃんが千年子守唄の巻き添えで眠っちゃってて、それを起こせる人を連れてくるために一端ワームホールを城に繋げようと思うんだ」
英玲奈「城か……まぁ私たちが出発してから大分経つし悪くないな、今の状況も伝えておきたい」
アニメ穂乃果「うんっ、それじゃあ早速……」ジーッ
アニメ穂乃果「よし、マザーのでいいか」
マザー「へ?」
モギュッ モギュッ
マザー「ちょっ!穂乃果ちゃん何でいきなりうちの胸を……んんっ!!」ビクンッ!
アニメ穂乃果「発動にはおっぱいエネルギーが必要でしょ、私の魔眼で見るとマザーから取れるエネルギーが一番コスパがいい」
マザー「そ、そんなのまで分かるんか!?」
アニメ穂乃果「分かる」
コトーリ「まざーのおっぱい、とくべつ」ウンウン
-
アニメ穂乃果「よっ、ほっ」モミモミッ モミモミッ
マザー「くっ……んっ……」ビクッ ビクッ
アニメ穂乃果「ま、このくらいでいいかな」パッ
マザー「はぁ……何度されても慣れへんなぁ……」
アニメ穂乃果「後はドスケーブ城をイメージしながらデンジャラススイッチを押して――」
ポチッ!
ブゥゥゥゥゥゥゥンッ!!
アニメ穂乃果「来た!」
アニメ穂乃果(目の前のワームホールが歪んで中の景色が切り替わる)
アニメ穂乃果(白い雪の振る私たちの拠点――ドスケーブ城へと)
キュィンッ!
アニメ穂乃果(繋がったワームホールの先、そこにいたのは>>772)
-
「私は哀れな奴隷です」と書かれたプレートを掛けた蒼天龍
-
アニメ穂乃果(そこにいたのは「私は哀れな奴隷です」と書かれたプレートを掛けた人だった)
アニメ穂乃果「誰……?」
英玲奈「蒼天龍だな」
アニメ穂乃果「蒼天龍?」
英玲奈「ドスケーブ城を襲撃した神造人間の1人であり、私たちの味方に寝返ったやつでもある」
アニメ穂乃果「へー」
英玲奈「私が最後に見かけた時はあんなプレートを首から下げては無かったはずだが……」
英玲奈「おい!蒼天龍!」
蒼天龍『はっ!確かに僕は哀れな奴隷の蒼天龍です!けどこの声はどこから……?』キョロキョロ
アニメ穂乃果(英玲奈さんの言葉に蒼天龍はすごく驚いて辺りを見回す)
英玲奈「こっちだこっち、時空間を超えるトンネルを使ってお前に話しかけている」
蒼天龍『おおっ!?ここでしたか!』
英玲奈「私のことは分かるか?うみかの仲間の統堂英玲奈だ」
蒼天龍『はいっ!哀れな奴隷の僕はこの拠点にいた全員のデータを頭に入れていますので分かります!』
英玲奈「随分と卑屈な調教をされたな……誰の仕業だ」
蒼天龍『奴隷ですからっ!』
英玲奈「……まぁ良い、今からこっちの穂乃果が言う人物をワームホールの前に連れてこい」
アニメ穂乃果「それと今から言う物も持ってきてほしい!」
蒼天龍『はっ!了解しました!』
アニメ穂乃果「じゃあ言うね、まずは――――」
─────────────────
浦の星女学院
AM10:42〜AM10:45 新終末編『300』了
-
というわけでここまで
新終末編『301』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『301』
─────────────────
──ドスケーブ城跡
AM10:45
蒼天龍「ふむふむ、SID穂乃果様とSID海未様ですね!それと充電器を持ってくるようにと……分かりました!」
アニメ穂乃果『おねがいねー』
蒼天龍「この奴隷にお任せください!」ビシッ
タタタタタッ
バサッ
蒼天龍「はぁ……」
蒼天龍(奴隷用テントを出て大きく息を吐く)
蒼天龍「ちっ、また妙なことを頼まれてしまいましたね……」
蒼天龍(自分の身の安全を保証するために自ら奴隷に身をやつしてパシリに徹してるわけだけど)
蒼天龍(さすがにロールプレイを続けてると自分が本当に哀れに思えてくる)
蒼天龍(……ま、とにかくあの穂乃果と英玲奈の頼みを遂行しよう、SIDたちなら医務室テントにいたはず)
スタスタ スタスタ
??「蒼天龍!」
蒼天龍「……はっ!ご主人?」
蒼天龍(奴隷用テントから医務室に向かう道を歩いてると、僕のご主人様である>>777が向こうから歩いてきた)
蒼天龍(まぁご主人様っても僕がそう振る舞ってるだけなんだけど……)
-
絶対神うみか
-
蒼天龍(僕のご主人である絶対神うみか様は不思議そうな顔で僕に尋ねる)
うみか「蒼天龍、今誰かと話してなかった?」
蒼天龍「はっ!僕が待機していたテントにワームホールを使って穂乃果様と英玲奈様が連絡を取ってきました」
蒼天龍「ワームホールの向こう、内浦で起きてる自体を解決するためにSID穂乃果様たちの力をお借りしたいとのこと」
うみか「なるほど……了解した、お前はそいつらを呼んでこい、私は穂乃果たちと話をしていよう」
蒼天龍「はっ!分かりました!」
蒼天龍「しかしうみか様、もう動いても平気なのです?」
蒼天龍「うみか様は世界の補正反動でかなりのダメージを食らっていたはず……」
うみか「ほう、お前が私の心配をするか?」
蒼天龍「い、いえ!急いで呼んできますね!」
タタタタタッ!
-
蒼天龍(全く……口ではあんな事言ってるが立っているのもやっとのはずだろうに)
蒼天龍(他の負傷者が真姫の手によって病院に搬送される時だって1人だけ残ってたし)
蒼天龍(一応リーダーとして気張ってる姿を見せてるつもりなんだろうねぇ)
蒼天龍(……ま、うみかが無理しようが僕には関係ない、早く言われたことを済ませてしまおう)
タタッ
・
・
蒼天龍「……お、あったあった」
蒼天龍(奴隷用のテント――ほぼ僕専用の待機場所から少し走った所に医務室テントがある)
蒼天龍(夜明け前まではたくさんの負傷者が寝かされていたものの、搬送されてからは特に仕事がない人の待機場所となっていた)
蒼天龍(そこの入口を開けるとすぐの場所にSID穂乃果とSID海未はいた)
蒼天龍「SID穂乃果様!」
SID穂乃果「……ん?」
蒼天龍(テントの中にいた2人は>>780)
-
SIDことりを呼び出していた
-
蒼天龍(テントの中にいた2人は地面に描かれた召喚陣を挟んでいて、その陣の上にもう1人……南ことりに似たやつが立っていた)
SID穂乃果「蒼天龍にも紹介するよ、この子はSIDことりちゃん、ドリームランドから呼び出したんだ」
SIDことり「どうも〜」
蒼天龍「よ、よろしくおねがいします」ペコリ
SID海未「それで?蒼天龍は何か穂乃果に用があったのですか?」
蒼天龍「はい、穂乃果さんというよりドリームランドから来た方全員に用事があってきました」
蒼天龍「実は――」
蒼天龍(僕は穂乃果たちから聞いた話をSID穂乃果たちに話す)
蒼天龍(内浦での戦いが終わったこと、かもめというやつの治療にドリームランドの住人が必要なこと)
蒼天龍(あと充電器が必要だって話もちょっと)
蒼天龍「――ってわけです」
SID海未「なるほど……そういうことでしたら私たちの力をお貸ししましょう」
SID海未「穂乃果もそれでいいですね?」
SID穂乃果「うんっ、それに丁度ことりちゃんの能力も役に立ちそうだしね」
蒼天龍「能力?」
SIDことり「ふふふっ、聞いて驚くちゅん、私の夢能力は>>782」
-
ニワトリの鳴き声がずっと聞こえて、他の音の効果を受け付けない
-
SIDことり「ニワトリの鳴き声がずっと聞こえて、他の音の効果を受け付けなくなる能力だよ」
蒼天龍「それは……うるさそうですね」
SIDことり「うむっ」
蒼天龍(ずっと鶏の声を聞かせるなんて何て限定的な能力なんだろう)
蒼天龍(ただ、寝てる相手を起こすにはこれ以上ピッタリの能力はない、都合が良すぎるくらいピッタリだ)
蒼天龍「ではお願いします」
蒼天龍「先にワームホールのある奴隷テントへ行っていてください、そこにうみか様がいるかと」
蒼天龍「僕は充電器を借りに行ってきます」
SID海未「分かりました、機材類ならおそらくラボなら借りられるでしょうね」
SID海未「鞠莉と理事長はいなくなりましたがロトーチカならいるでしょう」
蒼天龍「ですね……行ってみます!」
クルッ
蒼天龍(というわけで僕は医務室テントを出て次のテントに向かう)
バサッ
蒼天龍「はぁ……」
蒼天龍(もうとっくに日は昇ってるはずなのに空は分厚い白い雲で覆われて薄暗い)
蒼天龍(今頃新魔王軍の皆は何をやってるのかねぇ……)
ザッ
蒼天龍(かつての同僚のことを考えつつ、奴隷の僕はおとなしくラボ区画へと向かう)
蒼天龍「充電器充電器ーっと」
タタッ
─────────────────
ドスケーブ城跡
AM10:45〜AM10:48 新終末編『301』了
-
というわけでここまで
遅いですみません
新終末編『302』に続く
かもしれない
-
新終末編『302』
─────────────────
──ドスケーブ城跡・ラボエリア
AM10:50
・
・
バサッ!
蒼天龍「失礼します!」
ロトーチカ「あら、蒼天龍……」
蒼天龍(ラボエリアを覆う大きなテント、その中に入るとメガネをかけたロトーチカが椅子に座ったままこっちを振り向く)
蒼天龍(確かロトーチカは鞠莉の残したデータで研究を続けてたんだったか)
蒼天龍「ロトーチカ様、実は内浦に行った組から連絡が来て充電器を貸して欲しいとのことなのですが……」
ロトーチカ「充電器?分かったわ」
サッ
ロトーチカ「でも内浦には鞠莉もいるんでしょ、鞠莉なら自分で作れそうな気がするのにおかしな話ねぇ」
蒼天龍「はて……私に聞かれても」
ロトーチカ「まぁいいわ」
ガサゴソ ガサゴソ
蒼天龍(ロトーチカは疑問を口にしつつも立ち上がって棚を漁っていく)
ロトーチカ「あ、あったあった、これなら使えるんじゃないかしら」
蒼天龍(そしてロトーチカが取り出した充電器らしきものは>>786)
-
自転車で漕ぐタイプ
-
貞操帯そのもの
-
蒼天龍(ロトーチカが取り出した充電器は自転車を漕いで電力を貯めるタイプの充電器だった)
ロトーチカ「自転車付きだから大型で重い反面、電力はかなり貯められると思うわ」
ロトーチカ「いざとなれば自転車に積んで移動することもできるしね」
蒼天龍「なるほど……ベーシックなタイプで実用性がありますね」
ロトーチカ「でしょー?」
蒼天龍「そうだ、ロトーチカさんの研究のほうはどこまで進みました?」
蒼天龍「そろそろヨハネゲートをフードマンの拠点に繋げることができたり……?」
ロトーチカ「そうねぇ……」
ロトーチカ「ハラッセオの日記やあなたが教えてくれた座標を元に鞠莉がまとめたデータ、そのヨハネゲートへの適用は順調に進んでるわ」
宇宙人「イガイでした、ロトーチカさんもアタマがイいのですね」
ロトーチカ「失礼な、私だって一応賢者よ」
-
ロトーチカ「転生直後は現代の知識が不足してたけど、インターネットで色々調べたり、このラボにある資料で大分補完できた」
ロトーチカ「頭脳ならそこらの異能科学者なんかには負けないんだから」
宇宙人「これはシツレイ」
蒼天龍「ふむ……」チラッ
蒼天龍(ロトーチカの机を見ると沢山の本が乱雑に積み上げられていた)
蒼天龍(かなり読み込んだんだろう、この様子だと鞠莉の作業の後継としては申し分ない)
ロトーチカ「ただ……ヨハネゲートへの実装までに最後の関門、詰まってるところがあるのよねぇ」
蒼天龍「詰まってるところですか?」
ロトーチカ「そうね、向こうにいた蒼天龍ならアドバイス貰えるかもしれないから話すけど、>>790」
-
チョコレート分が足りてない
-
ロトーチカ「チョコレート分が足りてないのよね」
蒼天龍「……はぁ」
蒼天龍(チョコレート分?チョコレートってあのチョコレート?何を言ってるんだこの人は……)
ロトーチカ「ヨハネゲートをフードマン拠点の座標と繋げる作業の最後……ほら、この机に広げてる図を見て」サッ
蒼天龍(そう言ってロトーチカが広げた紙には素人には読み取れない複雑な図が書いてあった)
蒼天龍(何種類化に色分けされた層?みたいなものが積み重なっていて、層それぞれに何か文字が書いてある)
ロトーチカ「ここに書いてあるのはフードマン拠点側の防壁レイヤー」
ロトーチカ「ネット通信でいうファイアーウォールみたいなもので、異能的に言えば結界に近い存在かしら」
蒼天龍「それが幾つか重なってる……と?」
ロトーチカ「ええ、ここを異能的にハッキングして通り抜けることでヨハネゲートを接続させることができるの」
ロトーチカ「異能ハッキング用のプラグラムは鞠莉が考案してくれたからその通りに組めばいいんだけど……」
トンッ
ロトーチカ「……問題はここ」
ロトーチカ「防壁レイヤーの最下層、ここが特殊な仕組みになっていてるのよね」
ロトーチカ「簡単に言うと味覚を感じる機能がついている」
-
蒼天龍「味覚……?防壁プログラムなのに?」
ロトーチカ「そう、だから私も混乱したのよ」
蒼天龍「まぁ……フードマンとクッキング博士が組んだ防壁ならあり得なくはないかもしれない、頭がおかしいですからね」
ロトーチカ「しかも味覚センサーの判断で通り抜けられるのがチョコレート味だけと来てるのよ?分けわからなくない?」
ロトーチカ「目に見えないデータ上のプログラムに味をつけるなんてどうすればいいか……」
蒼天龍「……もしかしたら、いけるかもしれないですよ」
ロトーチカ「え?」
蒼天龍「僕のこと信頼してくれたら……という条件次第ですが」
ロトーチカ「そうね、話を聞いてから判断するわ」
蒼天龍「分かりました、まずは今城跡にいる中でチョコレートを一番上手く作れそうな人が必要です」
ロトーチカ「チョコを?」
蒼天龍「はい」
ロトーチカ「うーん……上手くチョコを作れるとしたら……>>793」
-
ガングレト
-
ロトーチカ「上手くチョコを作れるとしたらガングレト辺りかしら」
蒼天龍「ガングレト……ああ、あのメイドですか」
ロトーチカ「家事全般をこなす使用人の彼女なら料理も得意だろうし適任だと思うわ」
蒼天龍「確かに、ならば彼女にチョコ作りを頼みましょう」
ロトーチカ「え?待って、たとえ現実でチョコを作ったとしてもデータの中には送り込めない――」
蒼天龍「そこで、僕の神能力ですよ」
ロトーチカ「あっ」
蒼天龍「僕の神能力の1つ『ラウフェイの針』を使えば自分の体を極小化してどんな種類の"路"にでも入り込めるようになる」
蒼天龍「普通な人が入れないミクロの隙間から電気回路、そしてもちろんデータ通信の路にだって入り込める」
ロトーチカ「ネットワークの中に侵入できるってこと……?」
蒼天龍「ええ、そこに路が続いているのならね」
蒼天龍「ちなみに僕以外の生物や物体も能力の影響下にあれば同じ事ができる、まぁ蜘蛛穂乃果様やうみか様の例で分かってますよね」
ロトーチカ「そっか、チョコを作ったら蒼天龍に持ってネットワークに侵入してもらって、ハッキングプログラムと一緒に送り込む」
ロトーチカ「これでフードマン拠点へ転移するための最後の防壁が破れるわけね!」グッ
蒼天龍「はいっ」
-
ロトーチカ「……あれ?でも蒼天龍の能力はうみかに奪われてなかった?」
蒼天龍「奴隷契約の際に返して貰いましたよ、あれを抱えてるだけでうみか様には負荷がかかり続けますし」
蒼天龍「只でさえボロボロの体なのに本人に毒でしか無い神能力まで持ってるのはさすがにきついです」
蒼天龍「あ、もちろん返してもらう際に色々と制約はつけられましたが、うみか様の許可があれば万全に使用出来ます」
ロトーチカ「分かった、じゃあ早速チョコ作りの依頼を頼みに行きましょう、ガングレトは厨房テントにいるはずよ」
蒼天龍「はい、私は一旦奴隷テントに充電器を届けてうみか様の許可を貰ってから合流しますね」
ロトーチカ「お願いっ」
タタタタッ
蒼天龍(それだけ言うと手早くテントを出て走っていくロトーチカ、僕も急いでうみか様のとこにいかないと)
ググッ ガタンッ!
蒼天龍(充電器をコードに繋がってる自転車の荷台に乗せて、自転車にまたがる)
ガチャッ
蒼天龍(それにしても最後のセキュリティがチョコとは……クッキング博士もおかしな趣味をしてる)
タンッ ガラララララッ
蒼天龍(そんなことを思いつつ、僕は奴隷テントに向かって自転車を漕ぎ出した)
─────────────────
ドスケーブ城跡・ラボエリア
AM10:50〜AM10:55 新終末編『302』了
-
というわけでここまで
次はチョコ作り
時事ですね
新終末編『303』に続く
かもしれない
-
新終末編『303』
─────────────────
──ドスケーブ城・厨房エリア
AM10:58
・
・
ガングレト「チョコですか……?」
ロトーチカ「そうチョコ!」
ロトーチカ(ラボエリアを出て厨房エリアのテントに入った私は、早速ガングレトに要件を伝えた)
ロトーチカ(制服エプロンのガングレトはちょうどお昼ご飯の準備をしていたところらしく、テーブルの上には様々な材料や調理器具が並んでいる)
ロトーチカ(あとガングレトの近くにはエプロンをつけたダークドレアムもいた、こっちは似合わないわね……)
ガングレト「そうですね、作れないことはありませんよ」
ロトーチカ「本当!?」
ガングレト「幸いこの城の食料庫には古今東西様々な食材が置いてあります」
ガングレト「ちょうどその辺りに……あ!ダークドレアム様そこのカカオ豆を取ってください」
ダークドレアム「か、かかおまめ……?」
ロトーチカ(ダークドレアムはどれが何か分からないと言った様子で戸惑う)
ガングレト「ああ、良いです自分で取りますから」
ダークドレアム「ごめん……」シュンッ
-
ロトーチカ(あからさまに落ち込むダークドレアム、何か気の毒なので話しかけてみる)
ロトーチカ「ガングレトは分かるけど、ダークドレアムまで厨房エリアにいるとは思わなかったわ、どうしたの?」
ダークドレアム「その……実は私もガングレトを手伝おうと思って、料理くらいならできると思ったのよ」
ダークドレアム「だけど予想以上に難して……」
ロトーチカ「ずっとアワアワしてたってわけか」
ダークドレアム「ええ……」シュンッ
ガングレト「仕方ありませんよ、ダークドレアム様は生まれてこの方料理には縁のない方なのですから」
ダークドレアム「うぐっ」グザッ!
ガングレト「それでロトーチカさん、どんなチョコを作りましょうか」
ガングレト「カカオ豆を砕いたカカオマスにカカオバターか砂糖を合わせたベースで良いとして、固める際に何か混ぜますか?」
ロトーチカ「そうねぇ……美味しいチョコにするなら>>799」
-
美女の分泌液
-
ロトーチカ「美女の分泌液かしら」
ガングレト「分泌液……?」
ロトーチカ「そう、古代より魔術では効力を高めるために人体の一部を組み込むことは珍しくないわ」
ロトーチカ「例えば聖人とされた人の遺体を触媒にしたり、御守を作るために自分の髪や爪を入れたりね」
ロトーチカ「後者は呪術にも感染呪術というカテゴリーで存在するしポピュラーなものよ」
ガングレト「そういう風に聞くと少し高尚な理論に聞こえてきますが……要はチョコに体液を入れるだけでしょう?」
ガングレト「バレンタインによくいる変態と変わらないじゃないですか」
ロトーチカ「まぁ近代魔術師とか殆ど変態だし」
ガングレト「酷い風評被害ですね……」
ロトーチカ「そしてどうせ体液を入れるなら格が高い存在のほうがいい、聖人や天使やその辺りの存在ね」
ガングレト「格の高い存在……ああ」チラッ
ダークドレアム「え?なんで私を見るの……?」
ロトーチカ「なんでって当たり前じゃない、ダークドレアム今はそんな格好してるけど本当は女神なんだから」
ロトーチカ「女神ペルセポネの分泌液のチョコレートとか超レアアイテムになること間違いなしよ!」
-
ダークドレアム「は……はぁ!?そんなの嫌に決まってるじゃない!」
ガングレト「ダークドレアム様、説明されたでしょう?本命の作戦に必要なものなんですから嫌がってる場合じゃありません」
ガングレト「私たちが滅亡を回避できるかどうかはダークドレアム様の分泌液にかかってるんです」
ダークドレアム「そんなことで運命が決まってしまう戦いってどうなの……?」
ロトーチカ(ダークドレアムが正論を言い出したわねぇ、これ以上こじれないうちにさっさと分泌液を取るとしますか)
スッ
ロトーチカ「ダークドレアムは特に何をすることもないわ、抵抗せずにその場に突っ立っていて」
ロトーチカ「私が勝手に分泌液を搾り取るから」
ダークドレアム「へ……?」ビクッ
ロトーチカ「新賢者アイテムの1つ!>>802を使ってね!」
-
妖しい媚薬
-
ロトーチカ「妖しい媚薬を使ってね!」
ダークドレアム「っ!?」
ロトーチカ「この媚薬を布に染み込ませて嗅がせたら最後――」バッ!!
ダークドレアム「うぐっ……」
ロトーチカ「体中の全ての穴という穴から分泌液が絞り出る!」
ダークドレアム「……っ!」ビクンッ!!
ダークドレアム「あ……が……」
バシャッ! バシャァァァァァァァァァァァァッ!!
ドシャァァァァァァァァァァァッ!!
ロトーチカ「よしっ」
ロトーチカ(アイテムの効果は抜群に発揮されたようで、ダークドレアムの全身から体液が滝のように溢れ落ちる)
ロトーチカ(床に落ちた分が勿体無い……急いで近くの瓶を持って液体を掬わないとっ)
ロトーチカ「ほっ」スッ
バシャシャシャシャッ!
ロトーチカ「ガングレト!チョコの準備を進めて!」
ガングレト「は〜い、ちゃんと進めていきますよ〜」
ガチャッ
ロトーチカ(私が液体の確保を進める裏でガングレトがカカオ豆をオーブンに入れていく)
ガングレト「まず加熱焙煎して、そこから豆を砕いて他の材料と混ぜていきます」
ロトーチカ「焙煎にかかる時間はどのくらい?」
ガングレト「そうですね、この特製オーブンだと>>804」
-
5秒後に周囲50mの爆発と共に出来る
-
ガングレト「5秒後に周囲50mの爆発と共に出来上がりますかね」
ロトーチカ「……へ?」
ピッ
ピッ
ピッ
ピッ
ロトーチカ「……っ!」
タタッ!!
ロトーチカ(ガングレトの言葉に私の理解が追いつき、ダークドレアム液入りの瓶を抱えたまま走り出した時にはもう遅かった)
ピッ!
ロトーチカ(駆け出す私の背後でオーブンが爆音と爆炎を上げて弾け飛ぶ)
ドゴォォォォォンッ!!!!
ロトーチカ「ぐっ……!」
ロトーチカ(当然私の足では爆風の速度に適うはずもなく)
ゴッ!!!!
ロトーチカ(背中に爆風の衝撃を受けた私は――)
・
・
・
──外
ドゴォォォォォンッ!!!!
深淵穂乃果「……爆発?」ピクッ
黒雪姫「厨房の方からだね、かなり大きな爆発」
深淵穂乃果(今は厨房にはガングレトちゃんたちがいるはず、何かあったんだろうか)
深淵穂乃果「心配だね……行ってみようか」
黒雪姫「うんっ」
タタタタッ
─────────────────
ドスケーブ城・厨房エリア
AM10:58〜AM11:00 新終末編『303』了
-
というわけでここまで
チョコ作り後編へ
新終末編『304』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『304』
─────────────────
──厨房前
AM11:00
タタタタッ
深淵穂乃果「うおぉ……厨房エリアのテントが焼き焦げて派手に吹き飛んでる」
黒雪姫「この事故の範囲だと中の人の安否が心配だね」
深淵穂乃果「ガングレトは死人だしダークドレアムは女神だからこのくらいで怪我はしないと思うけど……」
蒼天龍「なっ!?なんだこれ!」
深淵穂乃果「蒼天龍……?」
深淵穂乃果(声のほうを見ると私たちと同じように驚いてる蒼天龍がいた)
蒼天龍「ほ、穂乃果様!これはいったい……」
深淵穂乃果「爆発音を聞きつけて来ただけだから私にも分からないよ、蒼天龍はどうしてここに?」
蒼天龍「僕はロトーチカ様にここに来るように言われてて……うみか様に能力制限を解除してもらって来たらこんなことに……」
深淵穂乃果「待ち合わせしてたってわけか、ロトーチカさんが厨房の中にいたらちょっと危険だ」
深淵穂乃果「早く探し出して――」
黒雪姫「穂乃果!あれじゃない!?」
深淵穂乃果「……!」
深淵穂乃果(私が探そうとした矢先、黒雪姫ちゃんがバラバラになったテントの一画を指さした)
深淵穂乃果(そこには瓦礫に埋もれたロトーチカさんが……)
深淵穂乃果「ロトーチカさんっ!」
タタッ!
深淵穂乃果(私は倒れたままのロトーチカさんに駆け寄って揺り起こす)
深淵穂乃果(ロトーチカさんの容態は>>809)
-
黒こげアフロ
-
深淵穂乃果(ロトーチカさんの容態は……)
サワサワ
黒雪姫「どう?」
深淵穂乃果「良かった、大きな怪我はないみたい」ホッ
深淵穂乃果「髪が黒焦げアフロになってる以外は大丈夫だよ」
ロトーチカ「けほっ……けほっ……」
深淵穂乃果「ロトーチカさん!」ユサユサ
ロトーチカ「ほの……か……?」
深淵穂乃果「大丈夫?何が起こったの?」
ロトーチカ「げほげほっ!チョコを作っていたらトラブルが起きちゃってね……」
ロトーチカ「私はしばらく動けそうにないから……この瓶をガングレトに届けて……」スッ
深淵穂乃果「瓶?」
深淵穂乃果(私はロトーチカさんが爆風から守るように抱えていた瓶を受けとる)
深淵穂乃果(何かの液体が入ってるみたい……)チャプッ
深淵穂乃果「分かった、私がガングレトちゃんのとこに行ってくるね」
深淵穂乃果「黒雪姫ちゃんと蒼天龍はここでロトーチカさんを見てて」
黒雪姫「おっけー」
蒼天龍「分かりました」
深淵穂乃果「よし……!」
-
ザッ
深淵穂乃果(ロトーチカさんを2人に任せて、私はまだ火の手が上がってる厨房エリアの中心へ向かう)
深淵穂乃果(地面は砕け散った調理用具や食材が転がっていてすごく歩きにくい)
深淵穂乃果(瓦礫は高温で熱されてるし転んだら普通に手を切ってしまいそうだ)
ザッ ザッ
深淵穂乃果(私が慎重に爆発後の現場を進んでいくと……ガングレトがそこにいた)
ガングレト「あら?こんにちは穂乃果さん」
深淵穂乃果「こんにちはって……爆心地で随分と平然な顔してるね」
ガングレト「私は少し焦げた程度ですから平気です、ダークドレアム様もそこらへんに無事に転がってるかと」
深淵穂乃果(無事に転がってるって変な日本語だけど、ガングレトが平気と言うなら心配しなくていいんだろうな)
深淵穂乃果「瓶を持ってきたよ、これどうすればいいの?」
ガングレト「このミキサーの中に入れてください、それと次の工程として>>812」
-
裸でいやらしいダンスを踊っててください
-
ガングレト「裸でいやらしいダンスを踊ってください」
深淵穂乃果「裸で……それ必要なの?」
ガングレト「今穂乃果さんに入れてもらったダークドレアム様の分泌液の効果を最大限に引き出すためです」
ガングレト「ダークドレアム様の属性は神様、日本の神話にもある通り神様と裸踊りは切っても切り離せないものなんですよ」
深淵穂乃果「絶対適当なこと言ってるよね……」
ガングレト「お願いします、最高のチョコを作り上げることがフードマンの拠点へ攻め入る最後の鍵!……らしいんです!」
深淵穂乃果「そう言われては……しょうがないなぁ」
スッ スッ
深淵穂乃果(私はため息を付きつつ服を脱ぐ)
深淵穂乃果(色々体験したせいで今更裸踊りくらいでは動揺しない)
バサッ
ガングレト「ふーむ、細マッチョみたいな中々良い体付きしてますね、手足はメタルですか?」
深淵穂乃果「肉体改造?的なことしたからね」
ガングレト「ほう……」ジロジロ
深淵穂乃果(いや……さすがにジロジロ見られるのは恥ずかしいかな、人並みくらいの羞恥心はある)
-
深淵穂乃果(なので能力に頼ることにした)
深淵穂乃果「大罪出産――色欲:アスモデウス」
ポンッ!
アスモデウス「あら?急に私を召喚してどうしたの?」
深淵穂乃果「アスモデウス、私に能力を使って良い気分にして踊らせて」
アスモデウス「いいの?いいんだったら私としてはノリノリでやるけど」
深淵穂乃果「お願いっ」
アスモデウス「じゃあ……」
キュィィィィィィンッ!!
深淵穂乃果「うっ!」ビクッ!
深淵穂乃果(アスモデウスの手から出た桃色の粒子が体に触れると、自分の体の奥から熱いものがこみ上げてくる)
深淵穂乃果(どんどんと気持ちが高揚してくるのが分かる)
ドクンッ! ドクンッ!
深淵穂乃果「おぉーー!テンション上がってきたーー!」
深淵穂乃果「ほっ!よっ!」
ガングレト「よし踊り始めましたね、私は調理を続けます」
ガングレト「砕いたカカオ豆を砂糖や他の材料、ダークドレアム様の分泌液と一緒に混ぜてミキサーにかけます」
ガチャッ
ドドドドドドドドドドドドッ!!
深淵穂乃果(私がアスモデウスの力を借りて裸でいやらしい踊りをしてる横で、ガングレトはミキサーを回転させていく)
深淵穂乃果(ミキサーの中の液体はチョコとは思えない様々な色に変化していって……>>815)
-
触手化して、深淵穂乃果をエロい感じで拘束した
-
深淵穂乃果(ミキサーから溢れ出た液体は触手化して私の体に纏わりついた!)
シュルルルッ!! ガシッ! ガシッ!
深淵穂乃果「なぁっ!?」
ニュルルルルルッ
深淵穂乃果(触手は私の腕や足に絡みついて動きを封じると、胸や股間を這いずり刺激する)
深淵穂乃果(アスモデウスの能力で敏感になっていた部分を弄られた私の体にとてつもない快感が走って――)
ジュルルッ!!
深淵穂乃果「んんんんっ!!」
ビクビクビクビクビクビクンッ!!!!
ガングレト「これはまた奇妙な形のチョコになりましたね」
アスモデウス「穂乃果!?今助けて――」
深淵穂乃果「だ、大丈夫!!」
アスモデウス「でもっ」
深淵穂乃果「アスモデウスの能力は……ひゃうっ!たぶん触手には効かない……今は戻って……んんっ!!」ビクンッ!
アスモデウス「……わ、分かったわ」
ボシュンッ!
深淵穂乃果(召喚していたアスモデウスを消す)
-
ニュルルルルルッ! ジュルルッ!
深淵穂乃果「ひゃうっ!」
深淵穂乃果(敏感な場所を攻められすぎて頭がぼーっとしてくる、頭がおかしくなりそうだ)
グググッ
深淵穂乃果(この触手……好き勝手にして……私が両手両足を縛られていてるから反撃ができないと思ってるんだろうな)
深淵穂乃果(そうだとしたら甘いっ)
グググッ!
深淵穂乃果(私の能力は……手足を封じられても発動できるんだから!!)
深淵穂乃果「神造出産――黒雪姫:ヘル!」
カッ!!
キィィィィィィィィィンッ!!
深淵穂乃果「はぁ……」シュゥゥゥゥ
深淵穂乃果(神能力を自分の体に降臨させる神造出産)
深淵穂乃果(黒雪姫から貰ったヘルの力を降臨させた私の体からは冥界の冷気が吹き出て、周囲の物を一気に凍らせていく)
パキッ! パキッ!
深淵穂乃果(もちろん私の体に巻き付いていた触手はカチカチに凍る!)
ガングレト「おおっ!」
深淵穂乃果「……ま、これでチョコは完成かな」
─────────────────
ドスケーブ城・厨房エリア
AM11:00〜AM11:05 新終末編『304』了
-
というわけでここまで
完成?
新終末編『305』に続く
かもしれない
-
新終末編『305』
─────────────────
──厨房エリア
AM11:05
深淵穂乃果「よっ」
パキンッ! バキンッ!
深淵穂乃果(凍り付いて樹氷みたいになったチョコの触手は少し力を込めるだけで簡単に折れた)
深淵穂乃果(私は腕や足を束縛していた部分を追って地面と降りる)
スタッ
深淵穂乃果「も〜ガングレトちゃん、こんなことになるなら初めに言ってよびっくりしたじゃん」
ガングレト「ごめんなさい、私も予想してかったもので」
ガングレト「女神の汁を混ぜると命を持たない料理でもあんなに元気になるんですね、まだまだ勉強です」
深淵穂乃果「私も久し振りに3分クッキングしてた時を思い出したよ、こんな感じにハチャメチャしてたなぁ……」
深淵穂乃果(もはや懐かしく感じるレベルだけど、まだ3日4日前くらいしか経ってないんだっけ)
深淵穂乃果(本当にアレから色々あって濃すぎる時間が流れている)
深淵穂乃果(楽しかったあの時間を取り戻すため……あともう1踏ん張りしないと!)
ザッ ザッ
ロトーチカ「穂乃果!チョコはどうなった!?」
深淵穂乃果「おっ」
深淵穂乃果(蒼天龍と黒雪姫ちゃんに抱えられたロトーチカさんが歩いてくる)
-
ロトーチカ「……って、なんで裸?」
深淵穂乃果「チョコ作りで色々あったんだよ、黒雪姫ちゃんそこに置いてある服取って」
黒雪姫「ほーいっ」テテッ
深淵穂乃果(黒雪姫ちゃんから服を受け取りつつ、私はロトーチカさんに作戦の話を聞くことにした)
深淵穂乃果(何となく話は聞いたけど実際のところチョコとヨハネゲートがどう繋がるのか理解していない)
深淵穂乃果「チョコは完成したよ、これをどうするの?」
ロトーチカ「そのチョコを蒼天龍に持ってもらって、彼女の神能力を使ってヨハネゲートが作るネットワークの世界に侵入してもらう」
深淵穂乃果「ネットワーク……電脳世界?」
ロトーチカ「大体そんなものよ」
ロトーチカ「そして鞠莉が組んで私が実装したハッキングウイルスと一緒に防壁へ攻撃を仕掛けてもらう」
ロトーチカ「その攻撃が成功すればヨハネゲートを使ってフードマンの拠点に転移することができるようになるわ」
深淵穂乃果「おおっ!」
黒雪姫「逆転の一手ってことね」
深淵穂乃果「ロトーチカさん、何か私に手伝えることはあるかな?」
ロトーチカ「そうねぇ、実際の作業は私と蒼天龍だけでできるから……>>821」
-
ストリップして
-
ロトーチカ「ストリップして」
深淵穂乃果「またぁ!?今服着たとこなのに?」
ロトーチカ「裸の穂乃果に応援されるとやる気が出るのよ、作業の効率が上がるわ」
深淵穂乃果「はぁ……ロトーチカさんが求めてるのは前世穂乃果のほうの穂乃果でしょ」
深淵穂乃果「私じゃなくてあの人に頼めば……って今は名古屋にいるんだっけ、だったら無理か」
ロトーチカ「お願いっ!」
深淵穂乃果「……うぅ、分かった仕方ない!一度脱ぐのも二度脱ぐのも同じ!」
深淵穂乃果「てかいちいち脱ぐの面倒だからプライドの能力使うね」
プライド『そんなことに使われるとは心外だ』
キュィィィィィィンッ
深淵穂乃果「大罪出産――傲慢:ルシファー!」
ポワンッ!
深淵穂乃果「透明な玉座!ドレスモード!」
シュンッ!!
ロトーチカ「おおっ!」
深淵穂乃果(プライドの力を発動して透明なドレスを羽織る、これなら服を着てる状態で裸が見えるはずだ)
ロトーチカ「よし、やる気が湧いてきた!行くわよ蒼天龍」
蒼天龍「はいっ」
タタッ
ロトーチカ「そういえばワームホールのほうはどう?上手くいった?」
蒼天龍「はい、今頃SID穂乃果たちが内浦に向かったはずです」
蒼天龍「無事にワープできていればいいのですが……」
-
────────
────
──
・
・
・
──浦の星女学院・校庭
AM11:00
キュィィィィィィンッ!
マザー「ワームホールの直径を崩壊しないギリギリに広げるで!」
英玲奈「いいか?一人ずつだぞ!慎重に渡ってこい!」
SID穂乃果『はーい!』
SID海未『本当に大丈夫ですかねぇ?』
アニメ穂乃果(ワームホールの向こうに揃ったSID穂乃果たちがこちら側に渡ってこようとしていた)
アニメ穂乃果(理論的には人が通れる強度はあるらしいけど、初の試みはなんだって不安だ)
SID穂乃果『そうだな、人間サイズだと心配だし私は夢能力で>>824の動物に変化していくよ』
-
卑しい雌豚
-
SID穂乃果『卑しい雌豚に変化して移動するよ!』
SID海未『豚ですかぁ?』
SID穂乃果『ほら海未ちゃんとことりちゃんも一緒に!』
ギュッ ギュッ
SIDことり『うんっ!穂乃果ちゃんの夢能力受けるの久し振りだなぁ』
SID海未『仕方ありませんねぇ』
アニメ穂乃果(SID穂乃果が海未ちゃんに似た子とことりちゃん似た子の手を握る)
アニメ穂乃果(そして能力を発動させると……)
キュィィィィィィンッ
ポンッ!
SID穂乃果『できたブヒ!』
SID海未『私まで豚ですか……』
SID穂乃果『よし行くよ!三匹の雌豚部隊!』
タンッ! タタタッ!
アニメ穂乃果(三匹の豚になった穂乃果たちは軽やかにワームホールを歩いてこちら側にやってくる)
トンッ
SID穂乃果「よし!ワープ成功!」
─────────────────
ドスケーブ城
浦の星女学院
AM11:05〜AM11:08
AM11:00〜AM11:02 新終末編『305』了
-
というわけでここまで
短くてすみません
新終末編『306』に続く
かもしれない
-
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-
新終末編『306』
─────────────────
──浦の星女学院・校庭
AM11:02
マザー「ほぉ?この豚みたいなものがドリームランドの穂乃果たちなんか」
SID穂乃果「豚なのは能力で変身してるからだブヒ!」
英玲奈「SID穂乃果の変身能力は他人を変身させることもできたのか、それは初耳だな」
SID海未「夢能力の共有は比較的簡単にできますブヒ、私の透過も他人に影響を与えられますからね」
SID海未「ただし人の夢を共有してる時は自分の夢能力は発動できません」
SID海未「穂乃果の夢能力で豚になりながら透過能力を使うことはできないってことですブヒ」
英玲奈「なるほど」
アニメ穂乃果(三匹の豚が無事にこちら側へ来ると、向こうにいたうみかちゃんが口を開く)
アニメ穂乃果(うみかちゃんとは軽く情報交換したのでこっちの状況は伝えてある)
うみか『穂乃果、蒼天龍の話が正しければ、こちらではもうすぐフードマン拠点への扉が開く』
アニメ穂乃果「うん」
うみか『そこで我々は戦力を大きく二分することになるだろう』
うみか『1つはフードマン拠点へ攻め込む組、2つ目は日本列島を北上してくるムスペルヘイムの防衛と殲滅組だ』
うみか『後者は名古屋の塔に集まってる連中が中心となって当たることになる予定だ』
アニメ穂乃果「だね、私たちはどうすればいい?」
うみか『お前たちはロードス島にて神鎮めの唄を入手後>>829に向かってくれ』
-
好きな場所
-
うみか『好きな場所に向かってくれ、各自で考えて構わない』
アニメ穂乃果「うーん……そう言われると困るなぁ」
うみか『お前ら全員指示待ち人間でもないだろう?』
アニメ穂乃果「そうだけど……」
英玲奈「今のドスケーブ城跡は負傷者組が運ばれて人員が減ってるんだろ、こっちから何人か送ったほうがいいんじゃないか?」
うみか『それを含めてお前らが考えろってことだ』
うみか『最悪今いる面子だけでも潜入チームを作れないことはない』
英玲奈「……分かった、私たちは私たちで相談してみるよ」
うみか『ああ』コクンッ
ダヨオ「あ!穂乃果ちゃん!海未ちゃんが来たよ!」
アニメ穂乃果「ほんと?」
アニメ穂乃果(外を見ていたダヨオちゃんの声に呼ばれてテントの入口まで行く)
アニメ穂乃果(見てみると確かに海未ちゃんが校舎の入口からテントの方に歩いてきていた)
アニメ穂乃果(そして海未ちゃんの傍らには理事長もいた)
アニメ穂乃果「海未ちゃん!理事長さん!」
タタタタッ
海未「穂乃果!」
アニメ穂乃果「もう来れるようになったんだ、理事長さんの容態は?」
海未「理事長も歩けはします、ただ>>831」
-
加齢臭が強力になった
-
海未「ただ少し加齢臭が強力になりましたね……」
理事長「そ、そんなに!?」
アニメ穂乃果「確かに……この距離からでも臭うかな」クンクンッ
理事長「うぅぅ」ガーンッ!
海未「おそらくはお色気パワーを使い過ぎた後遺症でしょう」
海未「女性の加齢臭の原因の1つは加齢と共に女性ホルモンが減少してくることにあります」
海未「サトゥルヌスへエネルギー貯めるためにお色気パワーを使った結果、女性ホルモンが減ってしまったのでしょうね」
理事長「うぅぅぅ……私の女性ホルモン……また温泉に入らないと」
海未「温泉は好きにして構いませんがまずはワームホールを開くのが先です」
理事長「え、ええ」
アニメ穂乃果「じゃあこっち、みんな待ってるよ!」
タタタタッ
海未「理事長、ワームホールを開く際には向こうの島のことをイメージしてもらう必要があります」
海未「何かロードス島のことで強く憶えていることはありますか?」
理事長「そうねぇ……>>833」
-
純粋宣言の祭壇
-
理事長「やっぱり純粋宣言の祭壇かしら」
海未「純粋宣言……魔王憑依時代の理事長が何かの儀式をした祭壇ですね」
海未「おそらくそこでことりに憑依先を移したのでは……というのが私たちの予想ですが」
理事長「私もハッキリとしたことは憶えていないわ、あの頃の記憶は朧げで思い出せない」
理事長「それを確かめるためにも私はもう一度ロードス島へ行きたい」
海未「そうですね、その気持ちがあればきっとワームホールは開くでしょう」
マザー「こっちやこっち!」
アニメ穂乃果(会話をしながら走る海未ちゃんたちをマザーがテントの中へ手招きする)
海未「はいっ」
タタタタッ
SID海未「海未ブヒ!」
海未「ん?誰です?」
SID海未「豚になってるけどSID海未だブヒ!」
海未「あぁ……通りで私の声に似てる声を出す豚だと思いました」
SID海未「かもめとやらの話は聞きました、そっちの治療は私たちに任せてくださいブヒ」
海未「お願いします、校舎の案内は……」
アニメ穂乃果「私が行くよ!」
海未「では穂乃果についていってください」
SID海未「分かりましたブヒ」
アニメ穂乃果「じゃあ付いてきてねー」
SID穂乃果「ブヒー!」
タタッ
アニメ穂乃果(私はロードス島組を海未ちゃんに任せ、テントを出てまたまた校舎へと行く)
アニメ穂乃果(頼んだよ……海未ちゃん!)
─────────────────
浦の星女学院・テント
AM11:02〜AM11:05 新終末編『306』了
-
というわけでここまで
先にロード島編かな?
新終末編『307』に続く
かもしれない
-
風俗専だった不細工なワイが意中の女を落としてリア充になった訳↓。
野口英世2枚あればおまえらもこっち側へ来れるぞ。
goo.gl/3dtVP
-
新終末『307』
─────────────────
──浦の星女学院・校庭
AM11:05
海未(テントの中へ入るとマザーがワームホール発生装置の横に立っていた)
海未(マザーの近くには英玲奈さんとハグカナーンとダヨオ)
海未(あとはテントの隅にコトーリと見知らぬ子、吸血鬼穂乃果とまた知らない女性が2人いる)
海未(そして……ワームホールの向こうにはうみかがいた)
海未「うみか!」
うみか『海未、話は聞いているな?ロードス島へ急げ』
海未「聞いています、ではドスケーブ城とのホールを切りますよ」
うみか『ああ』
ピッ ブゥンッ!
理事長「うみかちゃんともう少し話さなくて良かったの?」
海未「お互いの状況は把握してますし、いざとなれば連絡は取れますから」
理事長「そういう感じなのねぇ」
-
海未「では理事長、装置の起動をお願いします、乳エネルギーはマザーから取ればいいらしいので」
理事長「分かったわ」
マザー「なっ!またうち!?ってかちょっとあなた臭い……」
理事長「揉みますね」
モミモミモミモミモミモミモミモミ!!
マザー「ひゃぁああああああっ!!」
ビクビクビクビクンッ!!
ハグカナーン「この流れテンプレになってきたな……」
理事長「じゃあホールを開くわよ」カチッ
ヴゥゥゥゥゥゥゥンッ!!
英玲奈「開いた!」
海未(理事長がデンジャラススイッチを捻るとワームホールの向こうに緑溢れる景色が広がった)
海未(そこには>>839)
-
SOSの札を持ったエマがいた
-
海未(そこにはSOSの札を持った少女が立っていた)
海未「どうやら人がいるみたいですね」
理事長「そのようね」
海未「向こうへは理事長、付き添いに私が渡る予定です」
海未「他には……」チラッ
吸血鬼穂乃果「…………」
海未「吸血鬼穂乃果、あなたに付いてきてもらってもいいですか?」
吸血鬼穂乃果「いいわ、手持ち無沙汰だし病み上がりで体を動かすには丁度いい」
海未「お願いしますね」
海未「マザーたちは引き続き装置の防衛をお願いします」
マザー「おうっ」
海未「じゃあ行きますよ」タンッ
理事長「わぁぁ、ま、待って!ちょっとワームホール怖くて……」
吸血鬼穂乃果「ほらワームホールの前で立ち止まってないでさっさと行くのよ!」ゲシッ
理事長「きゃぁぁっ!」
-
・
・
・
──ロードス島
ズドンッ!!
理事長「あいたたた……」
吸血鬼穂乃果「よっ」スタッ
海未(ワームホールの出口が少し高いところに出現していたせいで、理事長が派手に尻もちをついて落ちる)
海未「大丈夫ですか?」
理事長「ええ、それよりあの子……怯えてるみたいだから話してあげて」
海未「そうですね、いきなり空中の穴から人間が降りてきたらびっくりするでしょう」
海未(私は理事長たちから離れてワームホールの反対から見えていた女の子の元へ行く)
海未(外国の方……でしょうか?日本語で通じますかね)
海未「私の名前は園田海未と言います、あなたは?」
エマ「わ、私はエマです!私は>>842」
-
超巨乳です!貧乳さん
-
エマ「私は超巨乳です!貧乳さん!」
海未「はぁ……?」ピキッ
海未「理事長、ちょっとこの子洗脳していいですか?」ニュルルッ
理事長「やめなさい、触手もしまいなさい」
海未「ぐぬぬ……」
海未(私が不満げに触手を髪に戻してる傍らで理事長がエマに話しかける)
理事長「エマさんと言ったかしら、私のことは気軽に理事長と呼んでちょうだい」
理事長「少し私の体臭……臭うかもしれないけど我慢してね」
エマ「いえ、私もここ数日お風呂に入れてないので気にならないです」
理事長「数日か、やっぱりそのSOSの札は救難信号?」
エマ「はいっ」
エマ「私生まれはスイスで日本の学校に留学する予定があったんです、だから日本語も勉強してて」
エマ「だけど日本へ来る途中に>>844が起きて私は何処とも知らないこんな島に流れ着いてしまいました」ショボーンッ
エマ「ここ数日はろくな物も食べてなくて……お腹ペコペコです」
-
おっぱい革命
-
エマ「おっぱい革命が起きなければ今頃は東京に着いてるはずだったのに……残念です」ショボーンッ
理事長「おっぱい革命?」
エマ「私の国で起きた巨乳民族と貧乳民族との争いが原因となった革命です」
エマ「革命の過激派が船を襲撃して大破、私は海を漂流して島に来た……」
理事長「なるほど……困ってることだけは分かったわ」
海未「巨乳や貧乳の話は知りませんが、私たちならあなたを救助することはできますよ」
海未「そこの空中の穴を通れば日本に直通ですから」
エマ「本当ですか!?」
海未「ただし条件が1つ」
エマ「条件……?」
海未「数日ロードス島で暮らしていたということはこの辺りは散策していますよね」
エマ「は、はい、あまり遠くまで言ってないけど食料とかお水を探しに歩き回ったりはしました」
海未「その際に近くで何か祭壇のようなものは見かけませんでしたか?」
エマ「祭壇……あっ!もしかしてアレかな……」
海未「心当たりがあるのであれば案内してくれると助かります」
海未「そうすれば私たちはあなたに食料と帰還の方法を分け与えましょう」
エマ「うーん…………」
海未(私の提案にエマは少しの間黙って迷う様子を見せたものの、すぐに大きく首を縦に振った)
エマ「……分かりました!お目当てのものかは保証できないけど案内します!」
タタッ
海未(手招きしながら駆け出すエマ)
海未(私と理事長、それから吸血鬼穂乃果の三人はエマの導きに従って島の奥へと進んでいった)
タタタタタタッ
─────────────────
浦の星女学院〜ロードス島
AM11:05〜AM?? 新終末編『307』了
-
というわけでここまで
ロードス島編開始
新終末編『308』に続く
かもしれない
-
新終末編『308』
─────────────────
──ロードス島
AM??
ザッ ザッ
海未(島の奥へと進む度、植物は深く生い茂って行き湿度は増していく、さながら熱帯の島のよう)
海未(ただ空に浮かぶ太陽の位置の不自然さから考えるに地球上にある島ではないだろう)
海未(どこか異世界の海に浮かぶ島……)
ザッ ザッ
海未「理事長、ロードス島に関する記憶は思い出せて来ましたか?」
海未「この島の事や時間の流れについて……何か手がかりがあると探索の手助けになるのですが」
理事長「うーん……全然ねぇ、頭にモヤがかかったように思い出せないわ」
海未「そうですか、やはり魔王に何か記憶を操作されてるのかもしれませんね」
ザッ ザッ
エマ「あっ!付きました!ここが目的の祭壇じゃないですか?」
海未「ほう」
海未(エマが立ち止まって指さした先、そこにあった祭壇は>>848)
-
崩壊していた
-
海未(そこにあった祭壇は……崩壊していた)
理事長「なっ!?派手に壊れちゃってるじゃない!」
吸血鬼穂乃果「どう見ても自然に風化したようには見えないな、外から加えられた力による破壊だ」
吸血鬼穂乃果「石造りの祭壇が元型が分からないほどに粉々にされている」
海未「理事長これは……」
理事長「分からないわ、微かに憶えている私の記憶でも祭壇はちゃんと存在してたはず」
海未「記憶と同じもの?」
理事長「ええ、粉々になってはいるけど破片に残ってる装飾……そしてこの周囲の景色に見覚えはある」
海未「なるほど」
-
海未「考えられる可能性としては魔王が再び来て壊した、もしくは第三者の手によって壊された」
吸血鬼穂乃果「原因なんて考えて何になるの?ここに来た目的は祭壇見物じゃないでしょ?」
海未「まぁそれは分かってますけど……」
海未(これが魔王の仕業だとしたらある程度意図は読みやすい、単なる証拠消しでしょう)
海未(けれどもし未知の第三者の手が加えられてるのだとしたら注意しなければならない点が増える)
海未(まだこの島に潜伏している可能性もありますからね……)
海未「よし、では吸血鬼穂乃果の言う通り神鎮めの唄を探しに行きましょう」
吸血鬼穂乃果「そうそれ、というか何か唄を探す手がかりはあるの?」
海未「手がかりは……>>851」
-
あったらいいのになぁ〜
-
このロードス島丸わかり観光ブックに載っています
-
海未「あったらいいのになぁ〜」
吸血鬼穂乃果「無いの!?」
海未「いやだって女神アテナから教えられたことって神鎮めの唄がロードス島にあるってことだけですよ?」
海未「来たはいいものの唄を手に入れられるポイントなんてさっぱりすっかり分かりませんっ」
吸血鬼穂乃果「えええええっ!?」
理事長「余りに無計画ね、来てどうするつもりだったの?」
海未「そこは理事長の記憶と……後は来たら何か起こるかなぁと」
吸血鬼穂乃果「本当に行き当たりばったりだな」
海未「エマ、他に何か島で怪しい場所は知りません?」
エマ「いえ……ここ以外には特に……」
海未「ふむ……困りましたね」
海未(あまりに手がかりが少なすぎる、これでは探索どころではない)
海未(私たちが壊れた祭壇の前で手ぐすね引いていると……>>853)
-
ミス↓
-
宝探しに来ていた愛が現れた
-
ガサガサッ
??「お?こんなところに人がいるなんて珍しいなぁ〜」
海未「……む?誰です?」カチャッ
海未(草を掻き分けて出てくる人の気配に私はファントムエッジへ手をかける)
??「おっと、アタシは敵じゃないよ」サッ
海未(私の警戒心を感じたからか草むらから出てきた人物……ラフな探検家の格好をした女性は両手を頭の上にあげた)
愛「アタシは愛――宮下愛って言うんだ、気軽に愛さんって呼んでくれ」
海未「愛……ここで何を?」
愛「それはアタシのほうが聞きたいけど……まぁいいや」
愛「アタシは趣味でトレジャーハンターをしてるんだ、お宝を愛してるの、愛だけにっ」
海未「トレジャーハンター……」
愛「元はうちの爺ちゃんがやってた趣味でアタシは二代目、爺ちゃんの残したアーティファクトを使って色んな秘境を冒険してる」
愛「現世も異世界も関係ない、お宝があるならアタシはそこへ行く!」
愛「このロードス島もその1つってわけ」
海未「ふむ……」
海未(異世界を冒険するトレジャーハンター……これは私たちの助けになるかもしれませんね)
海未(上手く交渉して味方にしたいところです!)
─────────────────
ロードス島
AM??〜?? 新終末編『308』了
-
というわけでここまで
新終末編『309』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『309』
─────────────────
──ロードス島
AM??
海未「愛さん、この島のことについては詳しいのですか?」
愛「そりゃ探索しに来たから下調べは済んでるよ、全部知ってるかと聞かれたらそうではないけど」
海未「ふむ……『神鎮めの唄』については?」
愛「へぇ……」ニヤリ
海未(私がその言葉を口にした瞬間、愛の目の色が変わり、こちらを値踏みするような目線を送ってくる)
愛「あんたたちがロードス島に来た目的はそれか、なーるほど」ウンウン
海未「知っていれば教えてもらいたいのです、もちろんただとは言いません」
海未「私とそこの吸血鬼穂乃果は異能者、あなたがこの島で何かを見つけることが目的なら力になれると思いますよ?」
愛「……ふむ、分かった」
理事長「ほんと!?」
愛「アタシはその唄のことは知ってる、だから協力してやるのはやぶさかじゃない」
愛「その代わりにあんたたちには>>860」
-
おいしい料理を作ってもらう
-
愛「美味しい料理を作ってもらう」
海未「料理……?」
愛「アタシ冒険は得意なんけど料理はいまいち上手くなくてねぇ」
吸血鬼穂乃果「そんなのでサバイバルできてるの?」
愛「上手くないってだけで料理はできるよ、ただ美味しいものが作れないだけ」
愛「冒険の時はずっと味気ないものばっかり食べてるんだよ」
理事長「料理くらいならいいんじゃない?」
海未「はい、ですが食材がありません」
海未「ワームホールの向こうから持ってくるという事もできますが少し手間ですね」
愛「食材ならこの愛さんが島で狩ってきたものがあるから使ってよ、調理器具も貸し出すから」
海未「ほぅ、それは助かります、見せてもらえますか?」
愛「うんっ」
ドサッ
海未(そう言って愛が出した食材は>>862)
-
ドラゴン肉
-
海未「ドラゴン肉……!?」
愛「お?切り身なのに見ただけで分かるんだ」
海未「昔同じものを見たことがありますからね、理事長も憶えていますか?」
理事長「ええ、私とあの子がクッキングのために島に取りに来たドラゴン肉だわ」
海未「そして穂乃果が食べて能力を強化させた食材でもあります」
海未(強力な滋養強壮効果を持った食材、食料の確保が難しいサバイバルでは貴重な食料になるでしょうね)
海未(お腹を空かしているエマにも食べさせてあげたいものです)
エマ「…………お肉」グゥ〜
海未「よし!では早速私の腕を振るいましょう!」
バッ!
海未「クッキングの開始です!」
─────────────────
ロードス島
AM??〜?? 新終末編『309』了
-
というわけでここまで
最近短くて本当にすみませぬ
新終末編『310』に続く
かもしれない
-
をつ
たまにはゆっくり自分のペースで
-
新終末編『310』
─────────────────
──ロードス島
AM??
海未「はっ!」
バッ!! ズトトトトトトッ
海未(ファントムエッジを物理モードに切り替えて周囲の木を切って組み立て、広めの簡易テーブルを作る)
海未(そこに愛から受け取った調理道具を並べて真ん中に肉をおく)
トンッ!!
海未(さすがに地面に布を引いて料理するわけにはいかないですしね、調理台兼まな板は必要です)
愛「おぉ〜、手際がいいね」
海未「このくらい普通ですよ」
クルクルッ
海未(ファントムエッジを一度霊体モードに切り替えて木屑を落とし、もう一度物理モードにして起動)
ブゥゥゥゥゥンッ!!
海未(これで一度剣についた物理的な汚れはリセットされる)
愛「その不思議な剣を包丁に使うの?包丁あるよ?」
海未「こっちのほうが手慣れてますから」
スッ
海未(さて、何を作りましょうか)
海未(メインとなる食材はドラゴン肉、肉料理と言えば……>>867)
-
焼肉でっしょー!!!
-
こんがり肉ステーキ
-
海未「焼き肉でっしょー!」
サササササッ
海未(迷った時はシンプルイズベスト、素材の味を活かしつつ引き上げる料理を選ぶべき!)
海未「はっ!」ザクッ!
海未(まずは巨大なドラゴンの肉を食べられるサイズにカットしていく)
ザクッ! ザクッ!
愛「焼き肉?肉焼くくらいならアタシでもできるけど」
海未「たかが焼き肉されど焼き肉です」
海未「肉に対するこだわりと焼く前の処理で味は大きく変わります」
海未(ドラゴン肉……この肉質だと切る厚さはこれくらいがベストですね)
スッ ザシュッ
海未「よしっ」
海未(霊的エネルギーで構成されたファントムエッジの切れ味は抜群、巨大な肉の塊を全く抵抗なく切断していく)
海未(次は愛が持って来ていた調味料や食材を肉に対して使う)
海未(これを使ってするのは>>870)
-
油へポーン
-
海未(この中の……)
海未「油を使うっ!」
愛「油?」
ドポポポポポポッ!!
海未(大きなフライパンに油をこれでもかと入れて熱する)
ボボボボボボボッ!!
海未「ふふふ、ここに肉をポーンと投げ込むのです」
愛「そんなに入れるの?揚げ物じゃなくて焼き肉でしょ?」
海未「ステーキのような分厚い肉を焼くには高温かつ大量の油でガッツリ焼くのがいいんですよ」
海未「おそらくこのドラゴン肉にも合う……」
ボボボボッ
海未「……ん?」
理事長「どうしたの?」
海未「愛に貸してもらったコンロだと火力が足りませんね、もっと温度を上げたいのですが……」
海未(私の能力だとこれと言ったものがパッと思いつかない)
海未「吸血鬼穂乃果!何か良い方法はありませんかね?」
吸血鬼穂乃果「温度?だったら>>872」
-
海未に血を与えて人体発火の能力を与える
-
吸血鬼穂乃果「あなたに血を分けて人体発火の能力を分け与える……とかかしらね」
海未「あなたの血を?そんなことができるとは初耳ですよ」
吸血鬼穂乃果「そうねぇ、私も数時間前に知った能力だから一部の人間にしか話してないわ」
吸血鬼穂乃果「私が賢者の石で進化したのは知ってるでしょ?」
海未「はい、音ノ木坂跡の戦いで能力の使い過ぎで倒れたとも聞きました」
吸血鬼穂乃果「あの後にクローバーやマッキーに治療されて、合流した鞠莉に診てもらった結果、私の中に新しい能力が芽生えたの」
吸血鬼穂乃果「おそらくは賢者の石がう生み出したもの……」
海未「それが血を分ける能力」
吸血鬼穂乃果「眷属を作り出す能力と言ってもいいわね」
海未「眷……属……?」
ジリッ
吸血鬼穂乃果「そう身構えなくてもいいわ、別に眷属になったからと言って私の奴隷になるわけじゃないし」
吸血鬼穂乃果「私の能力を分け与えて下等種族の人間からすこーし吸血鬼に近付くだけ」
吸血鬼穂乃果「人としての機能を失うことは無いから安心していいわ」
海未「それを聞いて安心できる人間はいないと思いますよ……」
吸血鬼穂乃果「くくっ、それで提案に乗る?それともやめておく?私はどっちでもいいわ」
海未「そうですねぇ……」
海未(正直なところ今の自分は人の身か離れることにそこまで抵抗はない)
海未(既にダイオウイカの幻想種と融合してるし、能力が増えるに越したことはない)
海未(問題は私の体が能力の複数保持に耐えられるかどうか……)
グッ
海未「まぁこの際悩んでいても仕方ありません」
海未「吸血鬼穂乃果!あなたの力を借りましょう!」
吸血鬼「ええいいわ私も初の眷属がどうなるか楽しみ……」ニヤリ
─────────────────
ロードス島
AM??〜?? 新終末編『310』了
-
というわけでここまで
肉を焼くぞ
新終末編『311』に続く
かもしれない
-
をつ
むしろ吸血鬼に近づくことで身体が耐えられるようにはなりそう
-
新終末編『311』
─────────────────
──ロードス島
AM??
吸血鬼穂乃果「じゃあ遠慮なく……」スッ
ガブッ!!
海未「……ぐっ!」
海未(近付いてきた吸血鬼穂乃果が私の首筋に牙を立てる)
海未(さながら古いヴァンパイア映画での美女が吸血鬼に血を吸われる一場面)
海未(けれど私の血が吸われるわけではない、ここから行われるのは逆のこと)
ジュルルッ
海未(突き刺さった牙が空けた穴から、吸血鬼穂乃果の血が私の中に流れ込んでくる)
海未(温かくドロっとした吸血鬼の血……)
海未「……っ!」ビクッ!
海未(血が血管を通して全身に回ると私の体が一気に発熱していく)
海未(熱い……熱い……!体が沸騰してしまいそうだ……!)
ドクンッ! ドクンッ!
吸血鬼穂乃果「進化が始まったわね、今からあなたの体は人間を離れて半吸血鬼の体となっていく」
吸血鬼穂乃果「そして私の眷属となるの……ふふっ」
海未「はぁ……うぐっ……がっ……!」
理事長「園田さん!?」
海未(ふらつく体、インフルエンザに時みたいに体の節々が傷んで熱で意識が遠のいていく)
海未(その感覚は10秒ほど続き……やがてすっと治まると、私の体には1つの変化が起きていた)
海未(その変化とは>>877)
-
左目から熱くないが炎が吹き出る
-
海未(その変化とは、私の左目から炎が吹き出ていたこと)
ボォォォォォウッ!
海未「これは……」
理事長「目から炎が出てるわ、熱くないの?」
海未「はい、特に熱さや痛みは感じません、物理的な炎とは違ってオーラのようなものなのでしょう」
海未「ちょっと厨二チックでカッコいいです……くくくっ」
吸血鬼穂乃果「眷属への進化は成功のようね、目から炎が出てるのがその証拠」
吸血鬼穂乃果「今のあなたは人体発火能力が使える上、身体能力も並の人間より上がっているわ」
海未「これ目の炎消したりできます?」
吸血鬼穂乃果「自分の意思で切り替えできるんじゃないかしら」
海未「では試しに……」
ジュッ!
海未「おおっ」
海未(消すように念じると左目の炎は消えた、吸血鬼穂乃果の言うとおりですね)
海未「人体発火ということは体の好きな部位を燃やせるという解釈でいいのですか?」
吸血鬼穂乃果「ええ」コクンッ
海未「よし、だったら話は早いです」
ボォォォウッ!
海未(再び左目に炎を灯し、燃焼のイメージを持って左手に意思を集中させる)
海未(すると左手からも大きな炎が吹き出た)
ゴォォォォォッ!!
-
海未(今度の炎は左目のものとは違う本物の炎)
海未(熱さは感じるものの火傷する気配は全く感じない、私の肌が耐火仕様になってるのですかね)
海未「はっ!」
ゴォォォォォォォォォッ!!!
海未(更に左手に力を込めると炎の色が赤から青に変わっていく)
海未「なるほど……温度を高めることもできるわけですか」フムフム
海未(薪を拾って火を付けてもいいですが……少々面倒ですね、鍋を私の左手で掴んでしまいましょう)
ガシッ!
ジュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!
理事長「おおっ!」
海未(私が燃える左手を鍋に添えた瞬間、油が一気に高温になって音を立て始める)
パチパチッ! パチパチッ!
海未「ここですかさずドラゴン肉をポーンっと投入!」
バシャンッ!
ジュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!
海未(高温の油の中で揚げられるかのごとく焼かれていくドラゴン肉)
海未(そして良い感じに焼けて来たところで>>880)
-
油に直接ファイヤー!!!
-
海未「油に直接ファイアー!!」
ボォォォォォォォォォォォウッ!!!!
理事長「ちょっ、ええええっ!?」
愛「大胆だなぁ」
海未「最後の仕上げはこのくらい一気に熱くするんですよっ!」
ゴォォォォォォォッ!!
海未「そして一気に油から取り出して皿に置いて適当に味付け!」
パパパパパパッ!
海未「肉を一口サイズに切ったら完成です!」
ドドンッ!!
愛「おぉ〜!」パチパチ
海未(調理し終わったドラゴン肉は外が真っ黒なほどにカリカリに焦げてる反面、中はとってもジューシーに仕上がっていた)
海未(とても食欲をそそる肉の匂いが漂ってきて美味しそうだ)
愛「食べていいの?」
海未「はいどうぞ、あなたのための料理ですから」
愛「では遠慮なく……はむっ!」
モグモグ
ゴクンッ!
愛「おおっ……これは>>882」
-
ちょっと美味すぎない?(半ギレ)
-
愛「ちょっと美味すぎない?(半ギレ)」
海未「そうでしょうそうでしょう」ウンウン
愛「最早焼き肉というかステーキって感じだけど、今まで食べたどの肉より美味しい」
愛「美味しすぎてちょっとイラッと来るくらい美味しい……」
エマ「わ、私!私も食べていいですか!?」
海未「どうぞ、肉はたくさんありますからどんどん焼きます」
エマ「やったー!」
海未(その後も私はドラゴン肉を焼き続け、愛とエマはその肉を食べ続けた)
海未(何回かおかわりしたところで愛はフォークを置いて地面に仰向けに寝転がった)
カランッ
愛「ふぅ〜美味しい美味しい、満足した〜」
海未「では約束通り……」
愛「うむっ、この愛さんに二言はない」
愛「あんたらが探してる神鎮めの唄の在り処はちゃんと教えてあげる!」
─────────────────
ロードス島
AM??〜?? 新終末編『311』了
-
というわけでここまで
肉美味しい
新終末編『312』に続く
かもしれない
-
新終末編『312』
─────────────────
──ロードス島
AM??
愛「まず神鎮めの唄はこの島に確実にある」
愛「アタシの爺さんが残したロードス島の資料にも名前が載っている」
パララララッ
海未(そう言って愛は自分の荷物から取り出した古い手帳を開く)
海未(劣化具合から相当年季が入ってる手帳に思える、お爺さんが使っていた手帳でしょうか)
海未「アイ……あなたのお爺さんもロードス島へ来た経験が?」
愛「らしいね、アタシは話で聞いた程度だけど」
パララララッ
愛「この手帳によるの神鎮めの唄があるのは>>886」
-
地下252階のシェルター
-
愛「神鎮めの唄があるのは地下252階のシェルターらしい」
海未「シェルター?そんなものがこの島にあるのですか……場所は?」
愛「ここ」
海未「え?」
愛「シェルターへの入口は純粋宣言の祭壇の下に隠れてる、そこの瓦礫が純粋宣言の祭壇でしょ」
海未「……!」
理事長「この下に!?」
海未(純粋宣言の祭壇がシェルターへの入口……ならば破壊されていたのも頷ける)
海未(何者かが祭壇を壊してシェルターへ侵入したということ……!)
吸血鬼穂乃果「入口ねぇ、私たちは先に来て調べてたけどそれっぽいものは見つからなかったわよ?」
吸血鬼穂乃果「瓦礫をどけた所であるのはただの地面だし」
愛「ノンノン、入口を出現させるには特殊なアイテムを使う必要があるのんだよ」
愛「トレジャーハントには付き物の特別な鍵ってやつさ」
海未「ほう」
-
愛「ただこう瓦礫で埋まってると鍵を使う場所を見つけるのに一苦労だなぁ、誰かどかしてくれない?」
吸血鬼穂乃果「そのくらいなら私がやるわ」スッ
シュルルルルッ!
海未(吸血鬼穂乃果が瓦礫のほうへ手をかざすと、彼女の体の各部から流れ出た血液が掌の前に集まる)
海未(凝縮された血液は長く太いムチを形作り、振るわれた血のムチは遺跡の瓦礫を容易に吹き飛ばす!)
ゴッ!!!!
愛「おぉ〜!すごいすごい」
吸血鬼穂乃果「造作もないわ」
愛「じゃあここからは愛さんの領分だ」
タタッ
海未(愛は瓦礫かどかされた祭壇の跡まで歩いていくと注意深く地面を見ながら鞄からとあるものを取り出す)
海未(あの>>889がシェルターへの道を開く鍵……なのでしょうか)
-
伝説の勇者のほのパン
-
海未(あれは……ほのパン?)
吸血鬼穂乃果「なにあれ?パンツ?」
海未「いえ、あれはただのパンツではありません」
海未「大いなる力を秘めた布――聖遺布と言っても過言ではない」
愛「よく知ってるねー!このパンツはほのパンと言って伝説の勇者のパンツらしい」
愛「このパンツを手帳に記された場所に当てれば――」
カチッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
海未(地面が激しく振動すると、愛がパンツを当てた部分に一筋の線が走りる)
海未(線から左右に地面がスライドしてぽっかりと大きな穴が姿を表す)
海未(地下への――シェルターへの入口……!)
愛「よしっ!」
吸血鬼穂乃果「ほう、中々大掛かりな仕掛けじゃない」
理事長「ねぇ園田さん……どういうことだと思う?」
理事長「魔王が儀式した祭壇の下に勇者のパンツで開く秘密の扉がある、なんかチグハグさを感じるわよね」
海未「ええ……」コクンッ
海未(それは私も不思議に思う、なので愛に聞いてみることにした)
海未「愛!そのほのパンはどこで手に入れたのですか?」
愛「ん?これ?これは>>891」
-
「ぱんつぁー」なる人から買った
-
愛「これは『ぱんつぁー』なる人から買ったもの……って爺さんは言ってた」
海未「ぱんつぁー?」
愛「古代の聖なる布を収集している奇特な人間だと聞いてるよ、詳細は分からないけどね」
海未「なるほど……」
理事長「園田さんはどう思う?」
海未「サロンやセブンや医師団のような人種でしょうね」
海未「魔王との戦いに関係なく異能的活動をしている集団もしくは個人、おそらくは『ぱんつぁー』のその1つかと」
理事長「色々いるのねぇ……」
愛「どうするー?早速地下に入るー?」
海未「そうですね、善は急げです、早速突入しましょう」
海未「突入するメンバーは私たち三人と愛、中は危険な可能性があるのでエマはここで待っていてください」
海未「もし私たちがあまりに長時間戻って来ないようなら来た道を戻って穴のところへ」
海未「穴の向こうに話しかければマザーという人がなんとかしてくれるはずです」
エマ「は、はい」
理事長「危険なら私も行きたくないなぁ」
海未「理事長は記憶思い出すかもしれないので無理矢理にでも連れていきますよ」
理事長「うぅぅ……やっぱり」
海未「では行きましょう!地下252階のシェルターへ!」
─────────────────
ロードス島
AM??〜?? 新終末編『312』了
-
というわけでここまで
地下へ
新終末編『313』に続く
かもしれない
-
新終末編『313』
─────────────────
──ロードス島
AM??
海未(祭壇があった地面に開いた入口、そこに降りると目の前に見慣れた形の金属製の箱があった)
カツンッ
理事長「これは……エレベーター?」
海未「そのようですね、内部のデザインは現代のものとは違いますが昇降機に違いはないでしょう」
海未「島の地下シェルターというと北方領土地下の大空洞にあったレヴィアタンを思い出します」
海未「ただあっちが洞窟のような天然の空洞にシェルターを設置したものに対し、こっちは完全に入口から人工のものですね」
海未「明らかに誰かが意図して作ったもの……」
愛「どうする?乗るの乗らないの〜?」
海未(私たちが少し考えてるうちに愛は躊躇いなくエレベーターに乗り込んでボタンに手をかける)
海未(あのガツガツさがトレジャーハンターらしさなんですかねぇ)
海未「行きますよ」
タタッ
海未(愛が待機してるエレベーターへ私と理事長、それから吸血鬼穂乃果が乗り込む)
愛「では252階のスイッチを……ポチッとな」ポチッ
ウィーンッ
ゴォーーーーーーッ!!
海未(扉の閉じたエレベーターが加速して地下へ地下へと降りていく)
海未(そして……)
チーンッ!
海未(再び扉が開いた先、おそらく地下252階のシェルターと思わしき場所は>>895)
-
ぷわぷわーおな世界が広がってる
-
海未(シェルターと思わしき場所にはぷわぷわーおな世界が広がっていた)
海未(お菓子で作られた世界だったレヴィアタンを更に一層サイケデリックでファンタジーにしたような極彩色の空間)
海未(まるで誰かの夢の中に入り込んでしまったような錯覚さえ覚える)
愛「ほ〜!こりゃまた凄い光景、とてもシェルターの内部だとは思えない」
理事長「眺めてるだけで頭がぷわぷわしてきそうなだわ……足を踏み入れて大丈夫なの?」
吸血鬼穂乃果「環境的にダメなら扉を開けて時点で悪影響が出てるはずだわ」
吸血鬼穂乃果「まぁ人間は脆弱だし……もしものことを考えて吸血鬼である私が先を歩こう」
海未「ではその後ろを私が」
ザッ ザッ
海未(私たちはエレベーターから出てぷわぷわーおなシェルター内を歩きだす)
海未(歩く順番は話した通り吸血鬼穂乃果、私、愛、理事長の順番)
海未(私は歩きつつ後ろの愛に対して話しかける)
海未「神鎮めの唄がこのシェルター内にあるとのことですが……」
愛「うん」
海未「それはシェルター内の何処かに置いてあるとか、シェルター内にいる誰かから授かるとか、そういった感じのものなのでしょうか」
愛「ふーむ……実はあんまり分かんないんだよね」
海未「え?」
-
愛「神鎮めの唄について爺さんの手帳に書かれてることは本当に少ないんだよ」
愛「だからアタシはシェルターに来れば自然と何か分かるんじゃないかと思ったんだけど、まさかこんなに広いとはねぇ〜」
愛「グルっと一周するだけでも一日かかっちゃうんじゃないかなぁ」
海未「確かに……」
海未(唄というからには形あるものではない、可能性としては伝えてる人か刻まれてる石碑か、おそらくその辺りでしょう)
海未(ただ余りに手がかりがなさすぎる)
海未(いや、1つだけ分かっていることはある……第三者の存在だ)
海未(私たちがロードス島に来るより以前に純粋宣言の祭壇を壊して侵入した者がいる)
海未(だとすればその者の痕跡が何かあるはず)
海未(歩きながら注意深く周囲を見回してみると……>>898)
-
巨大な爪痕があった
-
海未「……ん?」
愛「どうしたの?」
海未「あっちの地面に巨大な爪痕がありませんか?」
愛「ほんとだ、かなりデカく地面が抉れてる、行ってみよう!」
タタタッ
海未(私たちが現場へ駆け寄ると爪痕の大きさはより一層常識を超えたものだと分かる)
海未(まるで竜の爪……現存する生物では有り得ない破壊の跡、もしこんなことができるなら純粋宣言の祭壇の破壊なんて容易だったろう)
サッ
海未「ふむ、触るった感じまだ熱を持っています、破壊が起こってからまだ時間は経っていない」
愛「こんなことが起こせる異能者が先を進んでるのか、お宝の争いになったら勝てなそうだなぁ」
海未「異能者ならまだ良いですがね……」
愛「?」
海未「とにかくここからは更に警戒を強め――」
ゴッ!!!!
海未「っ!?」
海未(私が警戒を提案した瞬間、それをさせまいとばかりに背後から"巨大な圧"が出現した)
海未(何度も戦線を潜った私の直感はそれを敵意と認識し、それが私を殺すために放たれた殺意ある攻撃だと確信する)
海未(高速で迫る巨大な"何か"に対して私は考えるより速く刀を抜く……)
ブンッ!!
海未(……が、ちょっと間に合わないですかね……)
-
吸血鬼穂乃果「ブラッディシールド!!」
海未「おっ」
ギィィィィィィンッ!!
理事長「きゃぁっ!」
海未(反応の遅れた私より速く、人体を超えた反射神経を持つ吸血鬼穂乃果が血の盾を放った)
海未(私たちを襲った何か――巨大な攻撃はシールドに弾かれて逸れ、隣の地面に大きな爪跡を残す)
ジュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!
愛「なになに?攻撃!?」
海未「はいっ!お二人は私たちの後ろに隠れて体を小さくしてください!」
吸血鬼穂乃果「へぇ〜、中々に手応えのある攻撃じゃない、私のブラッディシールドにかなり傷がついたわ」
海未「吸血鬼穂乃果……」
吸血鬼穂乃果「この敵はヤワな相手じゃない、ちゃんと構えなさい海未」
吸血鬼穂乃果「ほら――ニ撃目が来るわよっ!」
─────────────────
ロードス島
AM??〜?? 新終末編『313』了
-
というわけでここまで
また短め
戦闘へ
新終末編『314』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『314』
─────────────────
──ロードス島・地下シェルター
AM??
海未(吸血鬼穂乃果の言う通り、すぐさま敵のニ撃目が放たれた)
ゴッ!!
ギィィィィィィンッ!!
海未「……っ!」
海未(一撃目と動揺に吸血鬼穂乃果が血の盾で攻撃を反らす)
海未「見えませんね……」
吸血鬼穂乃果「そうねぇ」
海未(完全に私の死角から放たれた一撃目とは違い、今度は攻撃の来る方向に目を光らせていた)
海未(それなのに巨大な爪痕を残す攻撃の正体も、攻撃を放った相手の姿も見えない)
海未(始まりも過程も感知することができず、突然『攻撃された』という結果だけが起きる状況)
海未(かなり厄介と言わざるを得ない)
海未「ステルスでしょうか、それともどこかに潜伏してる?」
吸血鬼穂乃果「ここは割と開けた場所だから前者のほうが可能性はあるわね」
吸血鬼穂乃果「だとしても私の知覚能力で捉えられないなんて……有り得ないと思うけど」
理事長「見えない相手ってこと?ど、どうするのよ!?」
吸血鬼穂乃果「落ち着きなさい人間、姿が見えなくても相手が意志を持った存在なら攻撃のタイミングはある程度読める」
理事長「意志……?」
吸血鬼穂乃果「そう、相手は拳銃やミサイルと言った意志のない存在じゃない」
吸血鬼穂乃果「自分の痕跡がバレて海未が警戒を呼びかけた瞬間に攻撃を放ち、防がれたら間髪入れずにもう一撃」
吸血鬼穂乃果「そして再び防がれたと見るやこうして様子を見ている……」
理事長「…………」
-
吸血鬼穂乃果「意志ある相手には呼吸がある、呼吸を読めば行動が分かる、行動が分かれば目的が分かる」
吸血鬼穂乃果「目的が私たちの排除なら……」
シュルルッ!!
理事長「っ!?」
海未(吸血鬼穂乃果はニヤリと笑うと、私たちの周囲に張っていた血の盾を解除)
吸血鬼穂乃果「――こうして誘い出してやれば引っかかるっ!」
ゴッ!!!!
海未「……!」
海未(血の盾が解除された瞬間、見計らっていたように先ほどとは別角度から見えない攻撃が飛んできた)
吸血鬼穂乃果「ほらね!」バッ!
海未(もちろんそれを読んでいた吸血鬼穂乃果はピンポイントで血の盾を張って攻撃を逸らす)
ガキィィィィィィンッ!!
吸血鬼穂乃果「海未っ!」
海未「はいっ!今の方向はしっかり記憶しています!」
海未(攻撃の来た方向を見据えた私は瞬時に体を眷属化&幻想種化させ、両手にラブアローを召喚する)
ボンッ!!
海未(そして体を傾かせ血の盾から少しだけ身を乗り出すと、攻撃の飛んできた方向目掛け矢を放つ!)
海未「ラブアローシュートBテンタクル――フレイムブースト!!」
ドンッ!!
ドドドドドドドドドドドドドッ!!
海未(私の放った矢は注入したテンタクルの力により無数に分裂した後、上乗せした眷属の発火能力により燃え上がる)
海未(威力と速度をロケットのようにブーストされた無数のラブアローは何も無い空間に飛んで行き――)
海未(そして>>905)
-
まったく同じ攻撃で打ち落とされた
-
巨大な竜巻にかき消された
-
海未(私の放った矢は全く同じ攻撃で撃ち落とされた)
ガガガガガガガガガガガガガッ!!
海未「なっ!?」
海未(さっきまでの大雑把な一撃とは違う、確実に私の矢の1つ1つを的確に打ち落とす攻撃)
海未(それに……あれは矢だった)
海未(私のラブアローが破壊された際の爆風で見えた透明な攻撃の輪郭、それが紛れもなく矢の形をしていた)
海未(しかも見間違いでなければラブアローと全く同じ形の矢)
海未「吸血鬼穂乃果、今の……」
吸血鬼穂乃果「私にも見えたわ」
吸血鬼穂乃果「ただ海未の攻撃を叩き落としただけじゃない、海未と同じ攻撃を放ってきた」
海未「どういうことでしょう?」
吸血鬼穂乃果「さぁねぇ……」
シュルルルルッ
海未(首を傾げながら吸血鬼穂乃果は血の盾を周囲に張り巡らせる)
海未(けれどこのままじゃジリ貧なことに変わりはない)
海未「吸血鬼穂乃果、試しにもう一発打ちます、少しだけ盾に穴を開けてください」
吸血鬼穂乃果「ええ」シュルルルルッ
海未「ラブアロシュッ!」
ドンッ!
キィィィンッ!
吸血鬼穂乃果「また見えない攻撃に弾かれたわね」
海未「はい、今度は一本だけ反対方向から飛んできました」
愛「変に律儀だなぁ」
理事長「どうするの?」
海未「そうですね、ここは>>908」
-
理事長が囮になってください
-
海未「理事長が囮になってください」
理事長「……へ?」
海未「敵は強力なオートカウンターらしき能力を有しています」
海未「今見た通り、こちらの放った攻撃を即座にコピーして相殺してくる能力です」
理事長「それは見たから分かるけど……私が囮になるのとどう繋がるの?」
海未「可能性……あくまで可能性ですが、敵は巨大な爪の攻撃とオートカウンターを同時に使えない可能性があります」
海未「それを確かめるためにも理事長には囮になって頂きたいと」
理事長「えええええっ!?」
海未「大丈夫です、敵の攻撃は私と吸血鬼穂乃果で防ぎますから危険はありません、たぶん」
理事長「たぶん!?」
海未「吸血鬼穂乃果、理事長を投げてください」
吸血鬼穂乃果「了解」コクンッ
理事長「ちょっと待って!私は了解して――」
吸血鬼穂乃果「よっ」ブンッ!!
理事長「きゃぁああああああああああああああっ!!」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥッ!
ドスンッ!
理事長「いたたた……」
海未(吸血鬼穂乃果に投げられた委員長は私たちから少し離れた場所に落ちる)
海未「いいですか?理事長に攻撃が来た瞬間にあなたが防ぎ私が攻撃します」
吸血鬼穂乃果「分かってる、貴女こそタイミングを合わせるのよ」
海未「はいっ」
理事長「ううぅ……」キョロキョロ
海未(1人離れた場所に放置された理事長は不安そうに周りを見回す)
海未(すると敵は>>910)
-
理事長に心配そうに駆け寄って来た
-
海未(すると敵は……)
タタタタッ!
理事長「な、なんの音!?」
海未「足音……でしょうか」
吸血鬼穂乃果「そのようね」
海未(姿は依然として見えず、敵は足音だけを鳴らして理事長へと近づいて行く)
海未(近付く以外に何か理事長に攻撃を加える様子は見られない)
ザッ ザッ
海未(それにしても……今まで聞こえなかった足音が聞こえるようになった原因はなんなのでしょう)
海未(敵がこちらの行動に困惑して隠すのを忘れてしまったのか、わざと理事長に存在をしらせてるのか)
海未(はたまた――)
??「ダイジョ……ブ……カ……」
海未「……声?」
吸血鬼穂乃果「ふむ、どうやら敵は声をかけながら理事長の周りを回ってるみたいね」
吸血鬼穂乃果「アレは様子を伺ってるというか……心配してる?」
-
理事長「ちょっ!園田さん!私どうしたら――」
??「ガッ!」グイッ
理事長「きゃっ!?」
愛「あ、担がれた」
海未(私たちの方を見て理事長が助けを求めた瞬間、見えない敵が理事長を持ち上げた)
海未(傍から見ると理事長が1人で宙に浮いてるように見える)
??「アイツラ……アブ……ナイ……オマエキケン、イマハニゲル」
ダッ!!
理事長「きゃああああああああああっ!!」
海未「あっ……」
海未(浮いた理事長はシェルターに入ってから何度目かになる悲鳴を上げ、そのまま見えない敵に連れ去られてしまった)
愛「どうするの?理事長さん連れ去られちゃったよ?」
海未「見れば分かります」
海未「あの様子だと理事長を心配して保護したようにも思えましたね、もしかしたらどこか拠点へ戻るかもしれません」
吸血鬼穂乃果「理事長が私たちに捨てられたと思ったとか?動機が分からないわね」
海未「私にもハッキリとしたことは分かりませんよ」
海未「とにかく今は理事長を追いかけましょう!」
吸血鬼穂乃果「ええっ」コクンッ
─────────────────
ロードス島地下シェルター
AM??〜?? 新終末編『314』了
-
というわけでここまで
追いかけます
新終末編『315』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『315』
─────────────────
──ロードス島地下シェルター
AM??
理事長(姿の見えない何者かは私の体を掴んだまま高速で走り続けていた)
理事長(危害を加えられたりする気配は全く無い、一応私に気を使ってくれてる様子はあるけど……)
ダタタタタタッ! グンッ! グンッ!
理事長「きゃっ!ちょっ!おふっ!」
理事長(見えない人が大きくジャンプしたり着地したりする度に私にもそれなりの衝撃が来て辛い)
ガンッ! ダタタタタタッ!
理事長「ど、どこまで行くの!?」
??「アンゼンナトコ……マデ……」
ダンッ!!
理事長「うぐっ!」
ダタタタタタッ!
理事長(こうして連れ去られながら周りを見渡してみると、シェルター内は予想以上に広い)
理事長(横に広いだけじゃなくて縦にもぷわぷわーおチックな建物が立体的に伸びている)
理事長(まるで無機物のジャングル、私を抱えた人はそこを縦横無尽に駆け抜けて行っている)
ヒューーーーッ
ダンッ!
理事長「おおうっ!」
理事長(今までで一番大きなジャンプの後、私を担いでた何かは走ることを止めた)
理事長「……?」
??「……ツイタ、ココナラアンゼン」
理事長(安全……この>>916みたいな場所が拠点としてる場所かしら)
-
ねずみの国のお姫様のお部屋
-
理事長(連れられてきたのは立体迷路のように入り組んだ高層ビル群の一画)
理事長(この辺りのビルは廃ビルのように壁が無かったり、ビルの構造自体が歪んでたり、空や真横から生えて他のビルを突き抜けて交差してたり様々)
理事長(ぷわぷわーおな色使いやデザインと相まって本当にファンタジーな世界観だわ)
理事長(そしてとあるビルの中……このねずみの国のお姫様のお部屋みたいな場所が拠点かしら)
キョロキョロ
理事長(部屋には可愛らしい形の家具やフリル付きのベッド、大きなぬいぐるみなどがそこら中に置かれてある)
理事長(隅にはチーズ型のクッションが置いてあるのも見えた)
理事長(とてもじゃないけど私たちを襲撃した凶悪な敵の拠点には思えない……)
??「スコシ……マテ」
ガサゴソ ガサゴソ
理事長(見えない人は私をその場に立たせたまま部屋の奥へ行き、何か物を探っている……透明だけど)
理事長「あのー、そろそろ姿を見せてはもらえないかな」
??「スガタ……ワカッタ……」クルッ
スゥーーーーッ
理事長「……!」
理事長(私がダメ元で問いかけてみると、相手は以外にもあっさりと透明化を解いてくれた)
理事長(その姿は>>918)
-
ボーイッシュな褐色少女
-
理事長(その姿はボーイッシュな褐色少女だった)
理事長(体の大きさも私とそう変わらない、一見すれば普通の人間の女の子に見える)
理事長(服はボロ切れを繋いで作ったドレスのような服)
理事長(こんな子があんな豪快な攻撃を放ってきたとは思えない)
理事長(それに……)
理事長「あなた、どうして私を助けてくれたの?」
??「カワイソウ……ダッタカラ……」
理事長「え?」
??「ナカマにステられて……カワイソウ……ダッタ、マルデ……」
理事長(褐色少女はそこで言葉を切って俯く)
理事長(まるでの先に続く言葉が私はなんとなく分かってしまった)
理事長「あなた……名前は?」
??「ナマエ?」
理事長「そう名前、私のことは理事長と呼んでちょうだい」
??「ナマエ……ナマエは>>920」
-
ココアハート
-
ココアハート「ナマエは……ココアハート」
理事長「ココアハートちゃん、良い名前じゃない!」
ココアハート「イイ……ナマエ……」
理事長「そうよ良い名前」
ココアハート「良い……名前」
理事長「……?」
理事長(なんだろう、私の言葉を反復したココアハートの言葉がさっきより流暢に聞こえる)
理事長「私の名前は理事長」
ココアハート「私の……名前は……理事長」
理事長「あなたの名前はココアハート」
ココアハート「あなたの……名前は……ココアハート……」
理事長「寿限無寿限無五劫の擦り切れ!」
ココアハート「寿限無寿限無五劫の擦り切れ!」
理事長(やっぱり……この子聞いた言葉を反復すれば同じ言葉を喋れるのかもしれない!)
理事長(理屈はよく分からないけど、オートカウンターの能力が関係してるのかしら)
ココアハート「私の名前はココアハート……私の名前はココアハート……」
理事長「上手く喋れる?」
ココアハート「うん、上手く喋れる」コクンッ コクンッ
理事長「よし……」
理事長(園田さんたちは私を追ってきてるでしょうけどまた時間はかかるはず)
理事長(それまでにこの子を手懐けられれば……!)
─────────────────
ロードス島地下シェルター
AM??〜?? 新終末編『315』了
-
というわけでここまで
ココアハートちゃんの登場
新終末編『316』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『316』
─────────────────
──ロードス島地下シェルター
AM??
理事長「そうねぇ……まずは何から聞こうかしら」
ココアハート「聞こう?」
理事長「うん、あなたのことを色々教えて欲しいの」
ココアハート「教えて……」
理事長「分かった?」
ココアハート「分かった!」コクンッ
理事長「じゃあ1つ目、あなたはどうしてここにいるの?1人?」
ココアハート「ここに……いるのは……ミステラレタカラ」
理事長「見捨てられた?」
ココアハート「そう、見捨てられた」
ココアハート「見捨てられて……1人で……サミシカッタ……」
ココアハート「でも……ウタを見つけてくれば……またナカマにモドしてくれるってイッテタ」
理事長「仲間か……良いように使われてる可能性が出てきたわね」
理事長「その唄っていうのは見つけたの?」
ココアハート「唄は……>>925」
-
危険だから封印した
-
魔獣が守っている
-
ココアハート「唄は……キケンダカラフウインした」
理事長「封印しなければいけないほど危険なものなの?」
ココアハート「うん、危険」コクンッ
ココアハート「アレはカミサマヲシズメルウタ、カミサマヲダメニスルウタ」
ココアハート「ダカラ……危険」
ココアハート「カミサマがダメになったら……私はスクワレナクナル……」ブルルッ
理事長(ココアハートは自分で自分の体を抱いて見えない何かに怯えるように震える)
理事長「神様……救う?あなたに命令を下したのが神様なの?」
ココアハート「チガウ」ブンブンッ
ココアハート「神様にアッタコトハない、命令したのはベツのヒト」
ココアハート「そのヒトがイッテタ」
ココアハート「私たちのセカイは神様によってツクラレタ、だから神様をダメにする唄は封印しなくちゃならない」
理事長「そう言われて説明されたのね?」
ココアハート「うん、私はそう言われてこのシマにキタ」
-
理事長「ふむ……」
理事長(ココアハートに神鎮めの唄を封印するよう命令した人物、状況から考えるに新魔王軍の構成員よね)
理事長(今の状況で唄を封印して得するのなんてあの勢力しかいない)
理事長(となると神様というのはフードマンのことか、スルトたちのことか)
理事長(単にココアハートを騙して命令するための方便かもしれないわね……)
理事長(でも困ったわ、ココアハートが単に命令を受けただけの戦闘員と考えると大した情報は持ってなさそう)
理事長(神鎮めの唄が何故ここにあるのかの理由や誰が作ったものなのかとか……そこらへんは聞けないでしょう)
ココアハート「……理事長?」
理事長「うん、あなたがここに来た理由は分かったわ」
理事長「じゃあ次に>>929」
-
シャワーを貸してください
-
理事長「じゃあ次に……そうだ!シャワーを貸してもらえないかしら」
ココアハート「シャワー?」
理事長「うん、ここまで来るのに汗かいちゃって少し臭くなってるのよ」
理事長(本当は来る前から臭いけど)
ココアハート「シャワーってミズアビ……だよね?」
理事長「そう水浴び!上から水をシャーって浴びるやつ!」
ココアハート「だったら……あっちのヘヤでミタカモ」
理事長「あっちね!ありがとう」
タタッ
理事長(ココアハートの指差す方向の壁には扉)
理事長(その扉を開けてみると、向こうにはこちら側の居住スペースと同じくらいの広さの部屋があった)
理事長(こちらと違うのは家具や雑貨が置かれていない、コンクリート打ちっぱなしの殺風景な部屋だということ)
理事長(その中心には不自然にシャワーだけが設置されていた)
-
理事長「怪しい……」ジーッ
理事長(明らかに怪しい、でも怪しんでいても仕方ない)
理事長(私は服を脱ぐと広々とした部屋の中心まで行ってシャワーノズルに手をかける)
理事長(至って普通のシャワーだけど……普通という所がこのぷわぷわーお空間だと引っかかるわね)
理事長「ま、とりあえず水を出して浴びてみるとしますか」
キュッ
ジャァァァァァァァッ!
理事長「……ひゃっ」
理事長(シャワーから出てきた水は少しぬるいけれど特におかしなところは見つからない)
理事長「大丈夫……なのかな?」
理事長(汗を流すためにそのまま浴び続けていると……>>932)
-
頭に直接唄が流れてくる
-
キィーーーーンッ
理事長「……?」
理事長(シャワーを浴びているとシャワーから流れる水音に混ざって他の音が聞こえてきた)
理事長(単なる自然音ではない、特定の旋律を持った音の繋がり……音楽?)
キィーーーーンッ
理事長(音楽は耳の鼓膜を通して聞こえるのではなく頭の中に直接聞こえてくる)
理事長「これは……?」パッ
理事長(試しにシャワーノズルを離してみると音は聞こえなくなった)
理事長(もう一度体にシャワーの水を当ててみると再び聞こえる)
ジャァァァァァァァッ!
〜♪
理事長(更に目を閉じて集中すると音の中に唄のようなものが混ざってるのが分かる)
理事長「まさか……神鎮めの唄が封印されてるのって……!」
─────────────────
ロードス島地下シェルター
AM??〜?? 新終末編『316』了
-
というわけでここまで
新終末編『317』に続く
かもしれない
-
新終末編『317』
─────────────────
──ロードス島地下シェルター
AM??
理事長「シャワーの水を浴びてる間だけ唄が聞こえる」
理事長「まさか……このシャワーの水が神鎮めの唄と関係があるのかしら」
キュッ
理事長「とりあえず水を止めて服を着て……あっ」
理事長(私はそこで体を拭くものが何もないことに気付く、さすがに濡れたまま服を切るわけにもいかない)
理事長(仕方ないので裸のまま扉まで戻り、少しだけ扉を開けてココアハートに呼びかける)
ガチャッ
理事長「ココアハートー?」
ココアハート「どうしたの理事長」
理事長「ごめんなさい、何か体を拭けるものを取ってもらえないかしら」
ココアハート「拭けるもの……これとか?」スッ
理事長(ココアハートが渡してきたのはやけに高級そうな布)
理事長(明らかにタオルには不向きだと思うけど他に選択肢が無いならこれで拭くしかない)
理事長「ありがとう」
フキフキ フキフキ
理事長「ねぇココアハート、あのシャワーなんだけど……あれはあなたが設置したもの?」
ココアハート「ん?あれは……>>936」
-
シャワーじゃない
-
ココアハート「あれは……シャワーじゃないよ」
理事長「え?」
ココアハート「タシカ二あっちにシャワーはあると言った、でもそれは私の言ったシャワーじゃない」
理事長「待って、隣の部屋にあるのがシャワーって話じゃ……」
ココアハート「チガウ」
ココアハート「隣の部屋を通っていくもう1つの部屋、そっちにシャワーがある」
ココアハート「アイダの部屋は……サワッチャダメ」シ
理事長「……!」
ココアハート「もしかして……サワッタ?」ジロッ
理事長「ああ……えっと……うん」
理事長(一瞬誤魔化そうかとも思ったけど、ココアハートの強い眼に臆して本当のことを言ってしまった)
理事長(何となく……この子に嘘を言ってはダメな気がしたのだ)
理事長(この子を騙して良いように使っている新魔王軍の人とは同じになりたくない)
-
ココアハート「そっか、それはちょっとコマッタ」
理事長「困った?」
ココアハート「うーん……理事長にだからハナスけど、ジツはあのシャワーのナカに神鎮めの唄を封印してるんだ」
理事長「なっ……!」
理事長(……やっぱりか、と言いそうになる口を塞ぐ)
理事長(しかしシャワーの中とはどういうことなんだろう……確かに水を浴びると唄が流れてきたけど……)
ココアハート「あれ……ナマエは>>939って言うナマエのアイテム、私がここに来るトキにワタサレタ」
ココアハート「あれをツカウト、封印したいものをミズにして封印することができるんだって」
-
嫌なことは水と一緒に流れちゃえ君
-
理事長「嫌なことは水と一緒に流れちゃえ君か……またストレートな名前ねぇ」
ココアハート「私はアレを使って唄を水にして吸収した」
理事長(唄を水……ココアハートの言葉をそのまま受けとるなら、音波である唄を液体に変化させたということ)
理事長(物理的に説明がつかないけど異能が絡んだアイテム――しかも新魔王軍から渡されたものならば不思議ではない)
ココアハート「あの水をアビたの?」
理事長「ええ、浴びたら音が脳内に直接聞こえてきたわ」
ココアハート「そう……音から水にスガタをカエてもそのトクセイはカワラナイ」
ココアハート「カラダにフればオトはヒビく、だから水にフれるのは危ない」
理事長「なるほど……」
理事長(ということはあのシャワー的なアイテムさえ確保すれば神鎮めの唄は手に入る)
理事長(何とかして手に入れなければ……)
ココアハート「……あ!」ピクッ
理事長「どうしたの?」
理事長(考え込んでいた私の横、ココアハートは突然ビクンと体を震わせる)
理事長(そして何かに弾かれたように外が見える場所まで駆けていく)
ダタタッ!
ココアハート「キタ……テキ……」
理事長「敵……まさか園田さんたちがそこまで来てるの!?」
ココアハート「キョテンボウエイユウセン、ゲイゲキヨウイ――」
ガシャンッ!!
ココアハート「――テキをセンメツする!!」
─────────────────
ロードス島地下シェルター
AM??〜?? 新終末編『317』了
-
というわけでここまで
サクサク進めたい
新終末編『318』に続く
かもしれない
-
をつ
-
新終末編『318』
─────────────────
──地下シェルター
AM??
ドゴォォォォォォンッ!!
理事長(ココアハートが動くと同時にビルの下の方から轟音が響く)
理事長「な、なに!?」
ココアハート「敵のコウゲキ!」
理事長(敵……園田さんたちが何か能力を使ったのね)
ココアハート「グルルル……」ジーッ
理事長(ココアハートは外を見ながら体を震わせている)
理事長(不味いわね……神鎮めの唄を手に入れられる可能性があると分かった今、ココアハートと無駄に争う必要はない)
理事長(ただココアハートも園田さんたちも今の状況じゃ戦う気バリバリの気配を出してる、ぶつかったら戦闘は必至)
理事長(何とかして戦いを止める方法は……>>944)
-
サバ折ハグ
-
理事長「ダメよココアハート!」
ダタタッ!
理事長(私はとっさに駆け寄って背後からココアハートの腰に抱きつく)
ガシッ!
ココアハート「理事長……?」
理事長「あの人たちと戦っちゃダメ!戦う必要はないの!」
ココアハート「でもアイツラは理事長を捨てた、ワルイヤツ」
理事長「あ、あれは私も驚いたけど事情があって……とにかくダメなのっ!」
ココアハート「でもっ、ここにコられたら神鎮めの唄のバショがバレるよ、離れて理事長!」ググッ
理事長「行かせないっ!」
ギュゥゥゥゥゥゥッ!!
理事長(私の細腕でココアハートを足止めしておけるかは分からない、というかたぶん無理だろう)
理事長(ココアハートが本気で振り払おうとすれば私は紙切れのように飛んでいくに違いない)
理事長(それでも……この手は離さない!この子に無用な争いはさせない!)
理事長「うおおおおおおおっ!」
ググググググググッ!
理事長(これは背後からのハグだけど、サバ折するくらいの力を込めてココアハートをその場に押しとどめる)
理事長(見かけ上は私より小さな女の子の体、体重を使って全力で負荷をかければ――)
ココアハート「……ダメだよ、理事長」
バギィィィッ!!
理事長「がっ!!??」
-
理事長(ココアハートが悲しげに呟いた瞬間、私の腰回りを強烈な圧迫感が襲う)
理事長(ギリギリと締め付けられ骨まで軋むような痛みが走る)
理事長「こ……れ……はがはっ……!」
ココアハート「ハナれて、理事長がサキにダメになるよ」
理事長(ココアハートのオートカウンター、私の締付けが現在進行形で私に跳ね返って来ている……?)
理事長(しかも明らかに私より体格の良い人に締め付けられてるような強い痛み)
理事長(単に私の力を跳ね返してるだけじゃなくて、私がココアハートに与えられている相対的な力を再現しているのかしら)
バギィィィッ!
理事長「がっ!!」
理事長(……って!そんなこと呑気に考えてる場合じゃないっ!)
ココアハート「理事長……」
理事長「は……離さないわよ……絶対に離さない……」
ココアハート「シカタナイ、だったら>>947」
-
ココアとハートの二人に分裂
-
話を聞こう
-
ココアハート「ブン・レツ!」
カチッ!
ココア・ハート「「とうっ!」」
理事長「なぁっ!分裂っ!?」
理事長(私が掴んでいた腰の辺りからココアハートの上半身と下半身に分かれ、私の腕をするりとすり抜けてしまう)
理事長(更に上半身と下半身が変化してそれぞれ褐色の少女の姿になった)
ハート「ココア!理事長は私がオサエテオクカラ敵をやって!」
ココア「分かったよハート!」
ダンッ!
理事長「ああっ!」
理事長(分かれた片方、ココアのほうが部屋から飛び出してビルの壁面を降りていく)
理事長「ま、待ちなさいって!」
ハート「ダメだよ理事長!理事長はここにいて!」ギュゥゥゥゥゥゥッ!
理事長「ぐっ……!」
理事長(ココアを追って部屋の端から下、高層ビルの壁面を覗こうとする私の腰にハートがすがる)
理事長(ダメだ、こうなったら園田さんたちに賭けるしかない!)
理事長(聞こえるかどうかは分からないけどここからビルの下へ叫んでみる!)
-
ググッ
理事長「園田さーん!吸血鬼穂乃果ー!神鎮めの唄はこの部屋の奥にあるわー!」
理事長「その子は新魔王軍に良いように使われてるだけの女の子なの!なるべく優しく倒してあげてーー!」
ハート「なっ!何を……」ビクッ
理事長「おおおおおおっ!!」
理事長(唄のことを暴露されたことにハートが動揺した隙を付いて思っきり這いずり、私は部屋の端――床の切れ目からビルの外側へ顔を出す)
理事長(そして真下……ココアが飛び降りたビルの壁面を見下ろす)
ココア「たぁぁぁぁっ!」シュンッ!
理事長(ココアは垂直なビルの壁面を走るように駆け下りながら自分の姿を透明化させる)
理事長(一方の園田さんたちはココアが駆け下りていく先で……>>951していた)
-
エイサイハラマスコイ踊りをしていた
-
理事長(何か不思議な踊りをしていた)
海未「エイサァァ〜イハラマスコ〜イ」
理事長(ビルの外壁の下層、垂直な壁面に吸血鬼穂乃果が血で足場を作り三人がその上に立っている)
理事長(その上で園田さんが奇妙な踊りを踊っていた)
理事長(踊りは脇を締めて、腕を胸の高さまで上げて状態で肘を上下させる簡単なもの)
理事長(そして肘の上下に合わせてよく分からない掛け声を放つ)
理事長(かなり大声で叫んでるため数十メートルは上にいる私の耳にもはっきりと聞こえる)
海未「エイサァァ〜イハラマスコ〜イ!」
理事長「なにあれ……?」
海未「……!」グッ
理事長(困惑する私の顔を遥か下層から捉えた園田さんは親指を立てて私に大丈夫です的な合図を送る)
理事長(本当に大丈夫なのかしら……不安になるわね)
グッ
理事長(でも……今は信じて待つしか無い)
理事長「頑張って!園田さん!」
─────────────────
地下シェルター
AM??〜?? 新終末編『318』了
-
というわけでここまで
新終末編『319』に続く
かもしれない
-
昨日は物理的なトラブルで回線が繋がらず更新ができませんでした
スマホが規制されてなければ行けたのですが……とにかくすみません
今日からはまた出来ると思いますのでよろしくおねがいします
-
更新無かったから事故にでもあったのかと思って心配してたけど無事みたいで良かったです
-
無事で良かった
-
新終末編『319』
─────────────────
──地下シェルター
AM??
海未(ロードス島地下のシェルター、ぷわぷわーおな景色が広がる巨大な空間の一画、無数の高層ビルが立体交差するビルの山)
海未(連れ去られた理事長を追いかけてきた私たちは、そのビルの中の1つに敵の拠点があることを突き止めた)
海未(そしてビルの外壁を吸血鬼穂乃果の能力で足場を作りながら登り始めた時――)
ココア「たぁぁぁぁっ!」シュンッ!!
海未(理事長の声が聞こえると共に、外壁から褐色の少女が飛び出し垂直の壁を駆け下りながら透明化)
海未(そして必死の形相の理事長が上階から顔を出す)
愛「あの女の子が透明な敵の正体か、また透明になったけど無力化する方法はあるの?」
吸血鬼穂乃果「あるわ、そのために海未にエイサイハラマスコイ踊りを踊って貰っているの」
吸血鬼穂乃果「私が教えたこの踊りは吸血鬼界に伝わるもので眷属が踊ると効果を発揮する」
海未「エイサァァ〜イハラマスコ〜イ……ってこれ何時まで続ければいいんですか!?」
吸血鬼穂乃果「もう良いわ、そろそろ踊りの>>958効果が現れるはず!」
-
ギャグ漫画補正
-
吸血鬼穂乃果「ギャグ漫画補正効果が現れるはず!」
海未「ギャグ漫画補正……」
吸血鬼穂乃果「ダメージを受けてもギャグ漫画のように受け流せる補正よ」
吸血鬼穂乃果「今のあなたなら敵の攻撃を食らった所でダメージは受けない、思っきり突っ込んで行きなさい!」
海未「またおかしな能力ですねぇ?信じますけどっ!」
吸血鬼穂乃果「存分に信じなさい!」
ダンッ!
海未(踊りを止めた私は真上に飛び上がり垂直なビルの壁に足をかける)
海未(同時に幻想種の力を発動して髪の先端をダイオウイカの触手に変化、その数は2本、ツインテールのような触手だ)
海未(その触手を頭上の壁面に吸盤で張り付け、触手を引っ張る反動と眷属の膂力を組み合わせて壁を駆け上がる!)
グッ! ビュンッ!!
ダダダダダダダダダダダダッ!!
海未(すごい……堕天使ヨハネを登ったときより遥かに楽に垂直の壁を駆け上がることができる)
海未(これが吸血鬼の眷属となった私の身体能力……!)
-
シュシュシュッ!
海未「……!」
海未(上層から駆け下りてくる不自然な風……透明な褐色少女がそこまで来ているのが感じられる)
海未(吸血鬼穂乃果の言葉を信じるなら彼女の地面を抉るような一撃を受けても私は大丈夫なはず)
タンッ
海未(私は触手と足で垂直な壁を駆け上がりながら、わざと褐色少女が攻撃を当てやすい位置に移動する)
海未(わざと無防備に……攻撃を誘うように……)
ゴッ!!!!
海未(来たっ!)
海未(目の前を全てを薙ぎ払うような強烈な攻撃の圧)
ガガガガガガッ!
海未「……っ!」
海未(その攻撃を正面から食らった私はギャグ漫画補正により>>961)
-
服だけ破れる
-
海未(ギャグ漫画のように服だけが弾け飛ぶ)
バリィィィィィィッ!!
海未「いやぁ〜〜んっ!」
海未(我ながら変な声を出しましたがギャグ漫画っぽいとのことなので仕方ない)
ココア「……っ!?」ビクッ
海未(そして褐色少女は動揺する)
海未(渾身の一撃を食らった私が傷一つ付かず全裸になったことに、褐色少女は大きく動揺する)
海未(動揺は呼吸を乱し彼女の動きを鈍らせる)
海未(そこを見逃す私ではない!)
サッ! グッ!!
海未(私に触れた敵の爪らしき武器、それを手に取り引き寄せる)
ココア「なっ!?」
海未(目に見えない相手とはいえこの距離で捕まえてしまえば関係ない、力で引き寄せて拘束するだけ!)
ココア「ム、ムダだっ!私をコウソクしようとも全てオマエにハネカエル!!」
海未「ふふふっ、攻撃なんてしませんよ……少し大人しくしてもらうだけですっ!」
シュルルルルッ!!
海未「マインドコントロールテンタクル!」
海未(髪から伸ばした2つの触手が透明な少女の頭に張り付く)
海未(彼女に施す洗脳の内容は>>963)
-
レッサーパンダになる
-
海未(レッサーパンダになる洗脳!)
キィィィィーーーーンッ!
ココア「がっ!!」ビクンッ!
海未(これで彼女は自分がレッサーパンダだと思いこむようになる、人の知能を無くせばもう戦うことは――)
キィィィィーーーーンッ!
海未「うぐっ!」
海未(彼女に洗脳を施した瞬間、私の脳にも強い痛みが走る)
海未(能力の反射――オートカウンターによる同時洗脳)
海未「あ……ぐ……」ビビビビビッ!
海未(感じる、私の精神がレッサーパンダに変化していくのを感じる)
海未(でもこれもある意味想定内、私と相打ちでこの子を無力化できるのなら――)
ヒューーーーッ
海未(頭レッサーパンダになった私と褐色の少女は自然と能力を解除され、生身で下へ下へと落ちていく)
海未(そして、私の人としての意識は段々と無くなって行く)
海未「後は……頼みますよ……吸血鬼穂乃果……」
ヒューーーーッ
─────────────────
地下シェルター
AM??〜?? 新終末編『319』了
-
というわけでここまで
レッサーパンダ化とは
新終末編『320』に続く
かもしれない
-
新終末編『320』
─────────────────
──地下シェルター
AM??
ヒューーーーッ!
吸血鬼穂乃果「よっ」
ドサッ ドサッ
吸血鬼穂乃果(頭上から落ちてきた海未と褐色の女を両の手でキャッチする)
海未「ぴぃー!ぴぃー!」
ココア「ぴぃー!ぴぃー!」
愛「へーレッサーパンダってこんな鳴き声で鳴くんだ」
吸血鬼穂乃果「海未のマインドコントロールが両者に上手く決まったようね」
吸血鬼穂乃果「見事に二人共動物レベルまで知能が落ちている」
吸血鬼穂乃果「これを血の鎖で縛って……っと」シュルルルルッ!
ギュッ
海未「ぴぃー!」
吸血鬼穂乃果「トレジャーハンター、この2人はあなたに任せるわ、この足場から落ちないように見張ってて」
愛「分かった、あなたは?」
吸血鬼穂乃果「私はこの上に行って理事長を回収してくる」
ググッ
吸血鬼穂乃果「ほっ!」
ドンッ!!
吸血鬼穂乃果(足に力を込めて垂直に飛び、壁をぱぱっと軽く駆け上がる)
-
スタッ
吸血鬼穂乃果(そしてあっという間に理事長のいる上層まで到達)
吸血鬼穂乃果(この程度の跳躍は賢者の石の力を媒介とした私の筋力を使えば造作もない)
吸血鬼穂乃果「やぁ理事長」
理事長「吸血鬼穂乃果!」
吸血鬼穂乃果(部屋の隅には理事長が倒れていて、その上には落ちてきた褐色少女と瓜二つの少女が乗っかている)
吸血鬼穂乃果(私はそれを指さして理事長に尋ねる)
吸血鬼穂乃果「これは?」
理事長「さっき園田さんが無力化したココアの片割れよ、ココアハートって一人の女の子から分裂したの」
吸血鬼穂乃果「分裂……ねぇ」
吸血鬼穂乃果(同一個体で精神リンクしてるのなら海未のマインドコントロールがこっちにも効いてる可能性はあるけど……)
チラッ
吸血鬼穂乃果(理事長の上に乗っかったままの少女の様子は>>968)
-
おっぱいを飲もうとしてる
-
吸血鬼穂乃果(理事長の母乳を飲もうとしていた)
ハート「んっ……んっ……」ガサゴソ
理事長「きゃっ!ちょっと何してるの!?」
吸血鬼穂乃果(少女は一心不乱に理事長の服を弄り乳を出し、その先端に口をつけようともがいている)
吸血鬼穂乃果(明らかに幼児退行した行動、やっぱりレッサーパンダとは行かないまでも何か影響が出てるのかしら)
ハート「んーっ!んっー!」
理事長「ダ……ダメだからっ!ダメだって!離れて……」グググッ
ハート「ママァ……ママァ……」
理事長「私はあなたのママじゃありませんっ!」
吸血鬼穂乃果「理事長、それで神鎮めの唄はどこに?」
理事長「え?それなら奥の部屋のシャワーにある……うぐぐ……」グググッ
ハート「ママァ……おっぱい……」グググッ
吸血鬼穂乃果「シャワー?」
理事長「ココアハートは新魔王軍から持たされたアイテムで唄を液体に変えてシャワー風のアイテムに封印してたのよ」
理事長「だから奥の部屋のシャワーが……ぐぐっ……私たちの探してたもの……って!吸血鬼穂乃果もハートを引き剥がすの手伝って!!」
吸血鬼穂乃果「そう……分かったわ」
スタスタ
吸血鬼穂乃果(私はハートと組み合ってる理事長の横を通り部屋の奥へ進む)
吸血鬼穂乃果(そして扉を開けて次の部屋へ)
理事長「ちょっとちょっとー!?」
-
ガチャリ
吸血鬼穂乃果「ふむ……」
吸血鬼穂乃果(扉の向こうは物が多いこちらの部屋とは違い、打ちっぱなしの殺風景な部屋)
吸血鬼穂乃果(あるのは中央のシャワースタンドとそれにかけられたシャワーヘッド)
吸血鬼穂乃果(ヘッドから伸びるホースの先は地面に埋まっていてどこに繋がっているか分からない)
吸血鬼穂乃果(部屋の床にはシャワーから流れ出たものか……所々に水が溜まっている)
カツンッ カツンッ
チャポンッ
吸血鬼穂乃果「……!」
吸血鬼穂乃果(部屋に溜まった水を踏んだ瞬間、脳内に直接音楽が聞こえてくる)
吸血鬼穂乃果(なるほど……これが液体に変化した唄というわけね)
カツンッ カツンッ
吸血鬼穂乃果(そのまま歩き続けてシャワーの元へ)
吸血鬼穂乃果(シャワーヘッドを手にとって見てみると、ヘッドには幾つかボタンが付いている)
吸血鬼穂乃果(一番上は……)
ピッ
ジャァァァァァァァッ!!
ピッ
キュッ
吸血鬼穂乃果「ふむ、シャワーを出したり止めたりするボタンね」
吸血鬼穂乃果「2つ目のボタンは……>>971」
-
異能殺しの毒霧+麻痺煙を噴射
-
吸血鬼穂乃果「よっと」ポチッ
ブシュッ!! ボワワッ!
吸血鬼穂乃果「……っ!?」
吸血鬼穂乃果(2つ目のボタンを押すとシャワーからは水ではなく紫色の霧と黄色の煙が噴出された)
吸血鬼穂乃果(明らかに体には良くない成分を直感的に悟った私は即座にボタンを押して霧の噴出を止め、シャワーヘッドを高速で遠くの壁へ投げつける)
ブンッ!
ゴッ!!!!
吸血鬼穂乃果「はぁ……はぁ……」
吸血鬼穂乃果(シャワーヘッドを投げた衝撃で周囲に溜まりかけた煙は晴れた)
吸血鬼穂乃果「ぐ……」
吸血鬼穂乃果(そのおかげで全部吸い込むことは無かったものの、少しだけ吸ったしまったのか体がピリピリする)
吸血鬼穂乃果(麻痺系の煙……かしら)
吸血鬼穂乃果(それにもう一つ……)
グググッ
吸血鬼穂乃果(紫の霧がかかってしまった左手に違和感)
-
吸血鬼穂乃果(肉体的に動かせないというよりかは、賢者の石のエネルギーが上手く通わないといった感覚)
吸血鬼穂乃果(この手から血液の武器を出そうとしても上手く扱えない……そんな気がする)
吸血鬼穂乃果「むぅ……」
吸血鬼穂乃果(あの霧のほうは異能的な力を封じる効果でもあるのかしら)
吸血鬼穂乃果(何にしても厄介な機能を持ったシャワーだわ、封印アイテムじゃないの?)
吸血鬼穂乃果(封印対象を先に無力化することでも考慮されてるとか……まぁ私が考えても仕方ないことねぇ)
吸血鬼穂乃果「ってか、シャワー思っきり投げて向こうの壁にめり込んでるけど……ホースってどうなってるの?」
吸血鬼穂乃果(ホースの先は地面に埋まっていてそこまで伸びる仕組みには見えなかった)
吸血鬼穂乃果(シャワーのホースに目をやると>>974)
-
そんなもの無いよ
-
吸血鬼穂乃果(……そんなものは無かった)
吸血鬼穂乃果(投げたシャワーヘッドから先に繋がってるものは何もない)
吸血鬼穂乃果(私が思い切り投げたせいで千切れたとかそういう痕跡は一切無く、ホースそのものが消失している)
吸血鬼穂乃果「幻覚……?まさかねぇ」
スタスタ
吸血鬼穂乃果(私はシャワーヘッドを放り投げた場所まで歩いて行きシャワーを拾う)
吸血鬼穂乃果「ま、持ち運びがしやすくなったと思えばいいかしら」
吸血鬼穂乃果「他のボタンの機能や消えたノズルについて、詳しいことはハートたちに聞けばいいでしょう」
クルッ
吸血鬼穂乃果「予想していた形とは違うけど、ともかくこれで神鎮めの唄はゲット」
吸血鬼穂乃果「後は後片付けと帰還ね!」
─────────────────
地下シェルター
AM??〜?? 新終末編『320』了
-
というわけでここまで
ついに唄ゲット
新終末編『321』に続く
かもしれない
-
新終末編『321』
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──地下シェルター
AM??
ガチャッ
吸血鬼穂乃果「理事長ー、とりあえずシャワーヘッドごと神鎮めの唄は回収したわよー」
吸血鬼穂乃果「……って、仰向けで乳吸わせて何してるの?」
理事長「吸わせてるんじゃなくて吸われてるの!」
吸血鬼穂乃果「はあ……」
吸血鬼穂乃果(私が元の部屋に戻ってくると理事長は仰向けに寝転がされてハートにマウントポジションを取られていた)
吸血鬼穂乃果(服は胸の辺りが大きく裂かれて乳房が露出、ハートはそれに一心不乱に吸い付いている)
吸血鬼穂乃果(わずかに抵抗した痕跡が見えるけど人間の力では叶わなかったわけか)
チューーーーッ ンパッ!
ハート「……でない」
理事長「だからそんな不満そうな顔をしても出ないものは出ないの!私の授乳期間はとっくの昔に終わってるんだから!」
ハート「やだやだやだっ!」
ドンドンドンッ!
理事長「ひゃっ!乗っかったまま暴れないで!お腹へ振動がぐふっ!ごほっ!」
吸血鬼穂乃果(マウントを取っている関係か、筋力の差のなのか、ハートが腹上で駄々を捏ねてるだけで今にも理事長が圧死しそうねぇ)
吸血鬼穂乃果(別に私が力尽くで引き離せばいいけど……あの様子だと理事長の母乳さえ与えれば納得しそう)
吸血鬼穂乃果(そうね……ここは>>978)
-
血液で作った搾乳器をつかう
-
吸血鬼穂乃果「理事長、あなたの血を少し貰うわよ」
理事長「へ……?」
吸血鬼穂乃果(突然の申し出に理事長は困惑するものの、私は特に返答を待たずに仰向けの理事長の手首に爪を刺す)
プシュッ
吸血鬼穂乃果(手首の切れ目から私の能力を注入して理事長の血液を操り体外へ出す)
シュルルルルッ!
理事長「ひぇぇぇぇっ!?」
吸血鬼穂乃果「失血死はしないように気を付けて抜くから平気、あんまり暴れないでね」
理事長「う、うん……あなた自分のだけじゃなくて人の血液も操れたの?」
理事長「それってかなり……ううん、物凄くチートな能力なんじゃ……」
吸血鬼穂乃果「そうねぇ、こうやって相手の血管内の血液に直接触れるって条件はあるけど、ただの人間相手に負ける気はそうそうしないわ」
吸血鬼穂乃果「相手の血液、血流さえ操れることができれば相手を殺すことさえ造作もない」
シュルルルルッ
理事長「今まさに私の命を握られてるってわけね……」
吸血鬼穂乃果「そっ」
-
吸血鬼穂乃果「そして集めた貴女の血液を私の中の賢者の石を通して……変換!」
シュルルルルッ ゴポポポポッ!!
理事長「赤い血液が……白い液体に変わった……?」
吸血鬼穂乃果「母乳は血液から作られるもの、賢者の石を使って変換すれば母乳を生成することができる、錬金術のちょっとした応用ね」
理事長「そんなことまでできるの?とことんチートな吸血鬼だわ……」
吸血鬼穂乃果「私と相性が良い血液だからできるってのもあるわ、そこまで万能ではないわよ」
吸血鬼穂乃果「まぁこうして生成したあなたの母乳を……そこらへんに落ちてた瓶に詰めて」スッ
ジョボボボボボボッ
吸血鬼穂乃果「はいできた」
吸血鬼穂乃果「これを飲ませれば少しはハートも落ち着くんじゃない?」
ポイッ
理事長「あ、ありがとう……」
吸血鬼穂乃果(理事長は受け取った哺乳瓶モドキをハートの口にあてがう)
吸血鬼穂乃果(それを飲んだハートは>>981)
-
加齢臭が臭ってきた
-
吸血鬼穂乃果(それをハートはすごく美味しそうに飲みほして満足そうに頷く)
ハート「ぷはぁ〜」
理事長「良かった、どうやらこれで満足してくれたみたいね」
吸血鬼穂乃果「ええ」コクンッ
吸血鬼穂乃果「でも……臭いわね」
理事長「え?」
吸血鬼穂乃果「あなたの匂いが母乳を通じてハートにも移ってるわ、本当に加齢臭なのそれ?」
理事長「園田さんはそう言ってたわ……そんなに臭うものなのかしら」スンスン
吸血鬼穂乃果「鼻の鈍い人間は知らないけど、敏感な私の鼻にはこのくらい離れてても結構きついわ」
吸血鬼穂乃果「なんだか加齢臭というより別の危険な匂いに思えてくる……」
理事長「な、なによそれ」
吸血鬼穂乃果「さぁ?聞かれても正体は分かんないわよ、ただの吸血鬼としての勘」
理事長「ええぇ?」
吸血鬼穂乃果「ほーら、赤ん坊をあやせたならさっさと立ち上がって下へ戻るわよ、立ち上がれる?」
理事長「ええ、あなたの助けは要らないわ」ググッ
吸血鬼穂乃果(理事長は母乳を飲んで眠そうにしているハートを抱き上げながら立ち上がる)
吸血鬼穂乃果(特に怪我などはしてないみたいね、足を引っ張られなくて助かるわ)
カツンッ
吸血鬼穂乃果「じゃあ戻りましょう、下のレッサーパンダたちも何とかしないといけないしね」
─────────────────
地下シェルター
AM??〜?? 新終末編『321』了
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というわけでここまで
また短め
次もまだこのスレで出来るかな
新終末編『322』に続く
かもしれない
-
新終末編『322』
─────────────────
──地下シェルター
AM??
ヒュゥゥゥゥゥゥゥッ
理事長「ここ……飛び降りるの?下の足場まで10階以上は高さあるけど……」
吸血鬼穂乃果「そうよ」ガシッ
理事長「ひゃっ!」
タンッ
理事長「ひゃあああああああっ!」
ヒューーーーーーッ!
吸血鬼穂乃果(理事長が部屋の端で飛び降りるのを躊躇っていたから強引に掴んで一緒に飛び降りる)
吸血鬼穂乃果「叫ぶのは良いけど抱えてるハートは離さないでね、さすがに拾いにいくのは面倒だから」
理事長「わわわわわ分かってるわよおおおおおおおおっ!」
吸血鬼穂乃果「じゃあオーケー」
ヒューーーーッ
スタッ
吸血鬼穂乃果「はい到着、すぐだったでしょ?」
理事長「いやいや……私1人で飛び降りたら普通に死ぬから……汗すごいかいたわ」
吸血鬼穂乃果「どうりで臭さがマシてるのね」
理事長「ぐぬっ……」
愛「お帰り〜!理事長さんは取り返せたみたいだね」
吸血鬼穂乃果「ええ、ついでに目当ての物も手に入れられたわ、レッサーパンダたちの様子はどう?」
愛「あなたに縛られたまま大人しくしてるけど……戻す方法はあるの?あれ洗脳を使える本人が洗脳されてる状態なんでしょ?」
吸血鬼穂乃果「あるわ、海未は私の眷属だからね、>>985をすれば元に戻ると思う」
-
メスイキ
-
吸血鬼穂乃果「メスイキさせれば元に戻ると思う」
愛「メスイ……っ!は、破廉恥だなぁ」
吸血鬼穂乃果「そういう仕組みなんだから仕方ないわ」
シュルルルルッ
吸血鬼穂乃果「2人を縛ってる血の紐を一旦解いて……海未をだけ取り出して褐色の片割れはまた縛る」ギュッ
吸血鬼穂乃果「そして海未の服を下半身だけ脱がしてっと」バサッ
愛「おおおっ……」ゴクッ
吸血鬼穂乃果「耐性無いなら直視してなくていいわよ、少し時間かかるだろうし」
愛「う、うん」
吸血鬼穂乃果「よっ」シュルルルルッ
吸血鬼穂乃果(私は海未の足を開くと指に血のカバーを纏わせて彼女の秘部に挿入させる)
スッ
吸血鬼穂乃果(中々キツイ……穂乃果たちは子供を産んでると聞いたけど、海未は経験してないのかしら)
吸血鬼穂乃果(だとしたら慎重に優しくやってあげないと――)
スリスリ スリスリ
海未「ぴゃっ、ぴゃうっ……」ビクッ
理事長「そういえば愛さん、あなたはあなたで目当てのものがあってロードス島来たのよね」
愛「へ?う、うんっ……そうよ」
理事長「あなたに神鎮めの唄の情報を教えてもらう変わりにそっちの探索も手伝うって契約だったけど、あなたの目的は何?」
愛「ああ、私のは>>987」
-
分裂する少女という名前の宝
-
愛「私の、アタシのは……たぶんもう見つかってる」
理事長「どういうこと?」
愛「アタシが探してたのは分裂する少女って名前の宝だ」
愛「理事長さん、あなたなら心当たりあるんじゃない?」
理事長「……っ!」
理事長「まさかそれってココアとハートのことを言ってるの……?」
愛「その通り」
理事長「いや待ってよ、ココアとハート――分裂する前のココアハートは新魔王軍の命令を受けて島に来たのよ」
理事長「そんな彼女のことをどうしてあなたが知ってるのよ?」
愛「うーん……1つ勘違いしてるね、アタシがロードス島の宝として文献で知っていたのは分裂する少女ってことだけ、ココアハートのことじゃない」
理事長「?」
愛「つまりは分裂能力自体が個別に存在していたって話だよ」
愛「ココアハートはこの島に来てから何かの経緯で宝に触れ……能力を得た、アタシはそう考えるね」
理事長「……なるほど、分裂能力を与える宝はどういう形のものなの?」
愛「文献通りなら小さいもので身に着けるものだから今も持ってるんじゃないかな、形は>>989みたいな形だよ」
-
双頭ディルド
-
愛「形はその……棒状のもので男の人のアレみたいなものがついた……」
吸血鬼穂乃果「双頭ディルドね」
愛「なっ!人がせっかく濁してるのにハッキリ言わないでよ!」
吸血鬼穂乃果「別にいいじゃない、何も恥ずかしがるものじゃないわ」グリグリ
クチュッ グチュグチュッ
海未「ぴゃっ!ぴゃうっ!」
愛「アンタは自分の行為の方を恥ずかしがったらどうかな……?」
吸血鬼穂乃果「こんなのちょっとしたマッサージよ、理事長も同じようにしてココアとハートの股間を見てみなさい」
吸血鬼穂乃果「このトレジャーハンターの言うとおりなら2人にもディルドが挿入されてるはず」
理事長「分かったわ、どれどれ……」
グイッ
理事長「あった!ハートのお尻の穴にディルドが挿入されていたわ!」
理事長「ココアのほうは……前の穴にあるわ!」
吸血鬼穂乃果「やっぱりね、双頭ディルドを自分の2つの穴に挿入しておくことで能力を発動するタイプのアーティファクトでしょう」
吸血鬼穂乃果「分裂した際にはそれぞれの穴にディルドも分かれる」
理事長「それじゃ男の人は使えないわね」
吸血鬼穂乃果「だから少女って書いてあるんじゃない?」
理事長「ああなるほど、でもそれなら大人の女性のほうが良いような――」
愛「どっちでもいいよ!今はそこ気にするとこじゃない!」
-
理事長「そうね、とにかくこのディルドを抜いて……」
キュポンッ! キュポンッ!
理事長「ん?」
キュィィィィィィィンッ! バシュンッ!!
理事長「おおっ!」
吸血鬼穂乃果(理事長がディルドを抜くと同時にココアの体が瞬間移動、ハートの体の上に重なって1つの体に戻る)
吸血鬼穂乃果(そして理事長が両手に持っていたディルドも合体して双頭ディルドに戻っていた)
理事長「こういう仕組みだったのね……びっくりしたわ」
スッ
理事長「はい愛さん、これがあなたの探していたお宝でしょう?受け取って」
愛「う、うん……ありがと」
吸血鬼穂乃果(理事長が差し出した双頭ディルドを微妙な顔をして受取る)
吸血鬼穂乃果(よし……あっちの問題は解決したようだし、私の方も一気に終わらせちゃいましょうか)
吸血鬼穂乃果(海未に挿入してる指に纏わせた血を操作してドリル状の流れを作り出す)
ドリュルルルルルルッ!!
海未「ぴゃぁああああああああああああああああっ!!」
吸血鬼穂乃果「ほらほら!面倒だから早くイっちゃいなさい!ダメ眷属!」
海未「ぴゃぁぁぁっ!ぴゃぅぅっ!ぴゃっ」
ビクッ
海未「ぴゃああああぁぁぁああああああぁぁぁあああああんっ!!!!」
ビクビクビクビクビクビクビクビクッ!!
プシャァァァァァァァッ!!
海未「あっ……あっ……」ピクピク
吸血鬼穂乃果「ふぅ……」
吸血鬼穂乃果「起きなさい海未」パチンッ
海未「…………はっ!」
海未「吸血鬼穂乃果……私は……成功したのですか……?」
吸血鬼穂乃果「ええ、作戦は成功したわ、トレジャーハンターとの約束も果たせた」
吸血鬼穂乃果「あなたが動けるようになり次第ここを出て地上に戻るわ」
海未「は……はい……!」
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地下シェルター
AM??〜?? 新終末編『322』了
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というわけでここまで
洗脳でレッサーパンダになった海未をメスイキさせて終わるというカオスな状況なのがこのSSらしい
次は次スレに移ります
新終末編『323』に続く
かもしれない
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実家のような安心感
をつ
このスレもをつ
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誘導遅れてましたが次はこちらのスレでやります
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/10627/1520423523/
このスレもお付き合い頂きありがとうございました
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http://ssks.jp/url/?id=1451
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http://goodld.seesaa.net/article/a451406304.html
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https://www.girlsheaven-job.net/11/aromaopus_kg/?of=y
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ドン・ファンの隠しネタ
http://bit.ly/2JVc7to
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