- 1 : ◆POYO/UwNZg :2022/09/30(金) 22:01:30
- ――「ブレイブ&モンスターズ!」とは?
遡ること二年前、某大手ゲーム会社からリリースされたスマートフォン向けソーシャルゲーム。 リリース直後から国内外で絶大な支持を集め、その人気は社会現象にまで発展した。
ゲーム内容は、位置情報によって現れる様々なモンスターを捕まえ、育成し、広大な世界を冒険する本格RPGの体を成しながら、 対人戦の要素も取り入れており、その駆け引きの奥深さなどは、まるで戦略ゲームのようだとも言われている。 プレイヤーは「スペルカード」や「ユニットカード」から構成される、20枚のデッキを互いに用意。 それらを自在に駆使して、パートナーモンスターをサポートしながら、熱いアクティブタイムバトルを制するのだ!
世界中に存在する、数多のライバル達と出会い、闘い、進化する―― それこそが、ブレイブ&モンスターズ! 通称「ブレモン」なのである!!
そして、あの日――それは虚構(ゲーム)から、真実(リアル)へと姿を変えた。
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ジャンル:スマホゲーム×異世界ファンタジー コンセプト:スマホゲームの世界に転移して大冒険! 期間(目安):特になし GM:なし 決定リール:マナーを守った上で可 ○日ルール:一週間 版権・越境:なし 敵役参加:あり 避難所の有無:なし
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- 560 :崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg :2023/12/01(金) 22:06:48
- カケルが前線でマーリン相手に戦っているのを見ながら、ガザーヴァはベースをかき鳴らし一心に歌い続けた。
自分とカザハの前にはガーゴイルが陣取っており、時折飛来してくる結晶を黒翼の羽搏きと額の角で弾き飛ばしている。 戦闘は互角――否、どちらかというと此方に優位なように推移しているように感じられる。 が、だからといって油断はできない。特にカザハと自分はこのフィールド全体のバフを担当しているのだ、 万一自分たちが『響き合う星刻の軍歌(アストラルマーチ)』を歌い続けることが困難になれば、 再度の逆転を許すことになりかねない。
>ねえガザーヴァ、あれ、延長できるかな……?
ジョンの発動させた『雄鶏乃啓示(コトカリス・ヴィクトリア)』の太陽を指し、カザハが訊ねてくる。 『雄鶏乃啓示(コトカリス・ヴィクトリア)』は強力なバフスキルだが、効果が60秒しか持たないという弱点がある。 もし効果を延長できるのなら、更に此方は有利になる。カザハの提案は尤もだった。 ガザーヴァはカザハの言葉に敢えて返答することはなく、その代わり束の間ベースから手を離すと、 両手を今にも持続時間が切れて消えようとしている太陽へ向けて突き出した。 キィィン――と澄んだ音がして、ガザーヴァの突き出した手のひらに魔力が宿る。深紅の双眸が見開かれ、 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 561 :崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg :2023/12/01(金) 22:07:27
- >ガザーヴァ、お願いね。君となら、出来る……!
隣でカザハが次の歌の前奏を始めている。 片膝立ちになったガザーヴァはカザハの顔を一瞥すると、小さく笑った。 そして右の口角についた血を右腕で雑に拭うと、
「……へん、気軽に言ってくれるよなあ……。 このガザーヴァ様をいいだけこき使いやがって……あとで覚えてろよ、バカザハ……!」
そう掠れ声で言って、なけなしの力を振り絞って立ち上がった。 肉体はとっくに限界を超えている。精神は疲弊しきっている。 であれば、残されたものはただ気力のみ。魂だけの力で闘い続ける以外にはない。 何より――
負けたくないのだ。あいうえ夫やクリスタル・オールドメイジにではない、隣で歌うカザハに。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 562 :崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg :2023/12/01(金) 22:08:17
- 「ミドガルズオルムの攻撃!
四海に轟け、ラグナロクの先触れ! ……『終焉を告げる角笛(インペリアル・ガンマ・レイ)』!!!」
『キョオオオオオオオオオオ―――――――――――ッ!!!』
ミドガルズオルムが甲高く吼える。 臨界状態に達した魔力の奔流、この世界そのものの存在すら消し去りかねないほどの破壊の波動が、 マイディアとエリザヴェートへ向けて一直線に放たれる。 超レイド級、ミドガルズオルムのユニークスキル――『終焉を告げる角笛(インペリアル・ガンマ・レイ)』。 質量とは単純に強さである。世界の終焉に万物万象を喰らい尽くすという伝説の巨竜、 ミドガルズオルムの放つ魔力の奔流はありとあらゆる守護呪文、回避スキル、防御手段を薄紙の如く突き破る。 しかし―― なゆた最大の技とは、其れではなかった。
「はあああああああああああ――――――ッ!!!」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 563 :崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg :2023/12/01(金) 22:08:47
- 「わたしも結構、搦め手とか得意な方って自負してたんだけど……。
やっぱりマイディアさんとは比べ物にならないね。動画で知ってるつもりだったんだけど、全然対処できなかった。 わたしが勝つためには、早々に正攻法を諦めて銀の魔術師モードを発現させるしかしかなかった。 絶対負けられない闘いだった……なんて理由があったからって、こんなの裏技を使ったのと一緒だよ。 だから、実質的にはわたしの負け」
はー、と息をつき、なゆたは隣のマイディアを見た。
「ね、マイディアさん。わたしはあなたとのデュエルを、この一回きりで終わらせるつもりなんてないよ。 これからも、何回だって闘いたい! そして、今度は裏技なんて使わないわたしだけのデッキとスキルで勝ってみせる! ……わたしたちは、そのための世界を創りに行くんだ。 人の生き死にだとか、未来だとか。そんなものを賭けたデュエルじゃない―― ただ、楽しいからやる。そんな“本当のブレモン”を取り戻しに行くんだよ」
屈託ない表情で、にっこりと笑いかける。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 564 :崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg :2023/12/01(金) 22:12:44
- ブレイブ&モンスターズ! 世界チャンピオンのミハエル・シュヴァルツァーは、ビートダウン戦法の使い手だ。
フォン・ノイマンの再来とも称される人類最高レベルの明晰な頭脳、他を圧倒する判断力と勝負度胸、 そして【堕天使(ゲファレナー・エンゲル)】の高いフィジカルを以て、相手の戦陣が整う前に粉砕する。 誰も、そんなミハエルには太刀打ちできなかった。 テキサスの荒野で培われた荒々しいスタイルを信条とするアメリカチャンピオンも、 湯水のように課金して欲しいものすべてを手に入れ大軍勢で攻め込んでくる中国王者も、 誇りある大英帝国貴族の末裔とされるイギリスチャンピオンも、極寒の地で戦術を鍛えたロシアチャンピオンも、誰も。 だのに。
>失礼な事を言うなよ――試練ごときに敗れた覚えはないぜ。クソイベすぎてエンディングを飛ばしちまったけどな
「な……ん……だと……!? お前は……成し遂げていたって言うのか!? ムスペルヘイムを踏破していたと!? ローウェルは、そんなことは一言も――!!」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 565 :崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg :2023/12/01(金) 22:13:54
- 「リュシフェ――――――――ルッ!!!」
ミハエルがパートナーの名を叫ぶ。 主人の求めに応えるように、リュシフェールが残りの斬閃を繰り出す。 リュシフェールの斬撃はその速度、威力共に、過去に類を見ない最高のものであっただろう。 今まで幾多の『異邦の魔物遣い(ブレイブ)』を退け、屠り、栄冠を手にしてきた必殺の剣。 其れが、凌駕される。
「……は……」
もはや、常人ではフラウとリュシフェールの動きを目で捉えることは出来ない。 ミハエルにしてもそうだ。今のミハエルは『エンバースならここはこう動くだろう』『フラウはこう考えている筈』という、 自らの予想に基づいて行動している。全ての戦況を予測し、先行することで、神速を実現している。
「……はは……はははッ」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 566 :崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg :2023/12/01(金) 22:14:28
- もしも、この闘いが世界の存亡を賭けた闘いではなく、純粋なブレモン世界大会であったなら。
何万という観客が固唾を呑んで見守るデュエルだとしたら。 きっとこの戦いを観戦しているほぼ全員が、相打ちだと思ったことだろう。 そう思えるほどに、エンバースとミハエルの攻撃は優劣がなかった。同時だった。 しかし――実際はそうではなかった。 ほんの僅か。ほんの零コンマ数秒、瞬きほどの時間にも足りないタイミング、ミハエルの動きがエンバースより遅れていた。 そして、そんな微細に過ぎる違いに気付いたのは――この場に於いてたったひとりだけであった。
ザシュッ!!
ダインスレイヴの刃が獲物を捕える。右肩から左脇腹までを、この世の理の外の剣が狙い過たずに薙ぎ払う。 鮮血が飛沫となって迸り、フィールドを赤色に染める―― が、その対象はミハエルではない。
「……リ…… (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
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