- 1 :語り(管理人) :2015/05/29(金) 21:47:48
- 私は小閑者さま本人ではございません。願わくばご本人からのご返事が来ること願います。
・本作は恭也の年齢を変えたDWの再構成に当たります。
お蔭様で、長らく続いたA's編も無事(?)終了しました。 これからは拙作、鏡の世界の迷子の旅路の後日談的な続編を書いていく積りですのでよろしければお付き合いください。
ご意見・ご感想を書いて下さる方は別スレッドへと、お手数ですがそちらへお願いします。
- 460 :名無しさん :2018/12/09(日) 23:26:16
- 15.結末(その1)
訓練室に展開されたレイヤーである高層ビルの屋上を緩やかな風が吹き抜ける。 模擬戦で加熱した思考と火照った身体を冷ましてくれる風の心地良さにクロノは目を細めて広がる青空を見やった。
思いの外、短時間での決着だった。 いや、恭也との戦いであれば勝敗の如何に係わらず短期決戦か、ひたすら索敵と潜伏に終始して時間切れでの引き分けのどちらかしか思い浮かばないからこんなものだろうか?
空を仰いでいた顔を前方へと戻すと、視線の先、50m四方ほどの屋上の対角にいる恭也の姿が見えた。 一戦交えた直後とは思えないほど疲労感を滲ませる事の無い超然とした立ち姿を見せられると、直ぐにでも座り込んでしまいたい誘惑に駆られているクロノの心に悔しさが首をもたげてくるが、その姿が弱みを隠すための演技に過ぎないという冷静な判断を下す自らの理性に従い溜め息の様に大きく息を吐きだすことでやり過ごす。そうやって平静を取り戻した後、クロノは改めて恭也の様子を窺った。 クロノの居るその場所から恭也の表情までは読み取れないが、静かに佇む姿からすると先程の模擬戦を反芻しているのだろうか? そんな事を考えながら歩み寄っていくと、こちらに聞かせるようなタイミングで、しかし実際には恐らく単に聞こえる距離まで近づいた時だっただけという偶然のタイミングで、恭也の口から言葉が零れた。
「・・・ああ、土星の環、か」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 461 :名無しさん :2018/12/09(日) 23:26:53
- 「別に無理やり話を逸らさんでもいい。
そろそろ夕飯だろうから俺は帰るぞ。 お前も忙しい身だろう。執務に戻るなり、帰宅して休むなりしろ」 「いや、待て待て。 言い方が悪かったのは謝るが、反省会はしよう。君だって戦闘の展開や僕の魔法について確認したい事はあるだろう?」 「?いや、別に。 お前が使った魔法、最後のやつ以外はノーマルだったろ?展開も、終わってから振り返れば詰め将棋みたいなものだしな、特に疑問の余地はないだろ?」 「いや・・・、そんなあっさりと。 僕の方は聞きたい事があるんだが・・・、特に君の取った行動の意図は聞いておきたい事がいくつかあるんだ」 「そうか? まあ、良いけどな。どの場面についてだ?」
疑問符を浮かべつつも、一方的に情報を搾取する気はないのか応じる姿勢を取った恭也に安堵しながらクロノが切り出す。
「じゃあ、最初から順番に・・・」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 462 :名無しさん :2018/12/09(日) 23:27:33
- そうして一息ついたところで、ふと気が付いたという風に恭也が口を開いた。
「ところで、未だに会敵すらしてない段階なんだが、この調子で進めるつもりか? 一挙手一投足を取り上げていたら、キリが無いぞ。下手したら、今日中に帰れなくなる」 「・・・まあ、出来るだけ手早くいこう」 「期待出来るのか、それ? ・・・で、次は?」 「どうして後ろから隠れて近付いた僕に気付いたんだ?500m以上は距離があったから気配での探知とやらの範囲からは外れてると思ったんだが。 そう言えば、今聞いた話では僕からの先制攻撃を許容する事を前提にして待ってたって事なのに気付いたって事は、何か特殊な探知を行っていたのか?」 「一歩しか進んでねぇ・・・ モロに顔出した上で思い切り直視したくせに何を言っとるんだお前は。 先制を許容するとは言ったが手を抜いていないとも言ったろうが。察知したのに行動を見過ごす理由なんぞあるか」 「え?いや、どうやって察知したかが知りたいんだが・・・」 「だから答えただろうが。 お前だって、街中を歩いていれば視線を感じることくらいあるだろう?」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 463 :小閑者 :2019/01/25(金) 22:02:45
- 15.結末(その2)
「・・・正直、この誘導弾はヒット出来ると思ってたんだ」 「年明けにやった集団戦の回避行動を解析しただろ?」 「あー、うん。やっぱり予想はされてたか・・・」 「で、裏を掻くパターンまで想定した?」 「まあねぇ。 君自身がさっき『知られたくない技を模擬戦で使うな』と言っていたろ。君が人に見せる技は『見せてもデメリットが発生しない場合』か『隠すまでもない場合』のどちらかだろうとは僕も思っていたんだ。 回避技能は見られれば対策を立てられるから思いっきりデメリットになるはずだから、それを見せたのは裏を掻く手段があるんだろうと予想した。 そうして、何パターンかの回避行動とその対応策を想定して挑んだ結果がこれな訳だ」
そう言って内心を隠す事なく不貞腐れた表情のクロノが睨み付けるモニターには、単発とは思えないほど鋭く複雑な軌道を描くクロノの誘導弾と、一見するとその誘導弾が貫通している様にさえ見えるのに実際には掠りもしていない恭也が縦横無尽に空間を駆け巡る姿が映っていた。 クロノは映像を一時停止させると、疲れた様に溜め息を吐き出してから続く言葉を口にした。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 464 :小閑者 :2019/01/25(金) 22:04:02
- 詮無い事かと気持ちを切り替えるために制止させていた画像を再生させたところで、素朴な疑問を覚えたクロノはそのまま恭也に問い掛けた。
「これ、僕の目で捉えられる動きって事は、スピードじゃなくって技能で躱してるんだよな?」 「そうなるな」 「フェイント無しでスピードだけで躱す事も出来るのか?」 「今のところ、一対一であれば問題無いだろうな」 「・・・複数人なら被弾する可能性があると?」 「躱す空間が無ければ詰むからな。飽和攻撃と言うか、俺の逃走距離をカバー出来る範囲の『面』を弾丸で作れるだけの人数が居れば被弾する」 「そりゃあそうだろうね。理屈通りだよ。序に言うなら、『面』さえ出来れば人数は関係ないじゃないか。 ・・・あれ?こないだフェイトが、フォトンランサー・ファランクスシフトを躱されたって落ち込んでなかったか?」 「・・・ああ、あの時の。 あれは惜しいところまで行っていたんだが、弾幕にムラがあったんだ。範囲外に逃げられる事を危惧して効果範囲を広げたんだろうが、弾数が変わらんから反比例して密度が下がった。その隙間に滑り込んだだけだ。 どうせやるなら、躱せない密度にするべきだったな」 「それが出来ないから苦労してるんだと思うんだけど・・・。いや、多少密度が下がっても躱せるものじゃないとツッコむべきか、元々発動してから逃げようとしても範囲外まで逃げられる程に発動速度は遅くない上に範囲も狭くない魔法だった筈だと言うべきか・・・」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 465 :小閑者 :2019/01/25(金) 22:04:32
- 「それも言い過ぎだろ。近接戦闘を鍛えてる者が居れば変わってくるし」
「気軽に言うが、クロスレンジで君を相手に時間を稼げる魔導士が今までに居たか?」 「立ち回りにも因るだろうが、ちゃんと居るぞ。 今まで会った中で言うなら、アルフ、シャマル以外のヴォルケンズ、あと猫の使い魔のリーゼ・・・格闘の方」 「ロッテな、リーゼロッテ。それにしても一人として人間の魔導士が選ばれないとか。・・・フェイトでもダメなのか?」 「距離を取ることを優先すればいい線行くだろうし、せめて一撃離脱に徹すれば可能性もあると思うんだが、あいつ最近足を止めて打ち合おうとするんだ。 心意気は買ってるし将来性は十分あるんだが、現時点ではまだ及第点は付けてやれんな」 「・・・そうか、相変わらず厳しいな」 「戦い方の問題だ。 魔導技術は門外漢だから伸び代までは分からんが、現時点でも十分な技能があるだろう?それを身体能力と合わせて駆使すれば、現時点でも俺を圧倒することは可能なはずだ」 「う~ん・・・、圧倒は難しいんじゃないかなぁ? そう言えば、さっきは聞き流してしまったけれど、一般的に魔導士にとっての『全力』と言えば面制圧より一点集中だって事は分かっているよな?」 「ああ、勿論だ。 まあ尤も、俺にとってはそれもプラス要因なんだよなぁ。良いのか、こんなに優遇されてて」 「・・・ああ、そうか。さっきの話に戻る訳か。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 466 :小閑者 :2019/01/25(金) 22:05:11
- まあ、なのはの魔法は先程の『余程の実力差がある場合』の例外に該当するためディバインバスターどころかアクセルシューターですらも標準的な魔導士ランクの武装局員を制圧出来てしまうのだが。
因みに、はやてはデアボリック・エミッションをはじめとする広域攻撃魔法を得意とする訳だが、発動までの時間で範囲外まで逃走されるか逆に接近されて制圧されるため、恭也との相性は最悪と言える。少なくとも、誰かの補佐が無ければ模擬戦が成立しない。まあ、はやての場合は相性以前に単独戦闘に致命的に向いていないのだが、それは彼女の魔法の特徴であり用途の差だ。攻城兵器と対人兵器を比較しても優劣など付けられるものではない。
「ところで、まだ続けるのか?映像は決着直前まで来てるぞ」 「おっと、いつの間に」 「って、巻き戻すのかよ」 「『巻き戻す』?・・・ああ、早戻しの事か」 「呼び方なんぞどうでも良い。本気で夕飯に間に合わんな、これは」 「諦めてくれ。長引いてるのは悪いとは思うけど、元々、夕飯はこっちで済ます予定だったろ。こんなに模擬戦が短く済むとは想定してなかったんだし。 で、話を戻すけど、今回は結局『スピードで躱す』方はやらなかった様だけど、そのスピードで動く場合でもフェイントとか使えるのか?」 「・・・?当たり前だろう?何故、使えない可能性があるんだ? アースらの武装局員相手だとフェイントと認識して貰えなかったから、相手は選ぶことにはなるが、『使う』『使わない』は有っても『使えない』では話にならん」 「やっぱりなぁ、恭也に限って仮に使えなかったとしても使えないまま放置、なんてある訳ないか。 どうしてこんなことを聞いたかと言うと、補助魔法に高速行動を可能にするものがあるんだけど、使った場合に何の妨害も受けてないのに制御しきれずに障害物に激突する事例が多くてね」 「そんなものと比較されてもな。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
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