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唯「忘れてた!!」
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唯「ごめんねあずにゃん!!」
梓「うわああああ唯先輩!?」
唯「あずにゃん、ちょっと驚き方酷くない?」
梓「いや、だって、これから学校いってきまーすって家のドア開けたら県外の大学に行ってるはずの先輩が土下座してるんですから」
唯「土下座してるのによく私だってわかったね」
梓「そういうツッコミはいいです」
唯「えーあずにゃんのけちー」
梓「っていうかなんとなくわかるでしょう。で、何してるんですか? 大学はどうしたんですか? 何をしに来たんですか?」
唯「ごめんねあずにゃん!!」
梓「……何がですか?」
唯「あずにゃんの誕生日忘れてたの! ごめん!」
梓「あ、ああ、そういうことですか……って、私の誕生日明日ですから謝らなくても大丈夫ですよ? 顔を上げてください」
唯「ううん、そうじゃなくて」
梓「? あ、昨日思い出したから誕生日プレゼントが間に合わない、とかですか? 大丈夫ですよ、気持ちだけでも充分うれしいですから」
唯「ううん、思い出したのは先月なんだけどね」
梓「早っ! それ忘れてたって言いませんよ!?」
唯「っていうか、ほら、私達同じ月だし。「そういえば私の誕生日来月だっけ」って気づいたら、後は、ほら」
梓「確かに、自分の誕生日が近いなーって気づくことは必然的に相手の誕生日が近いってことにも気づきますよね」
唯「でしょー?」
梓「……だったらホントに何も謝ることないじゃないですか」
唯「ううん、それでもあずにゃんの誕生日は私にとって忘れ物だったんだよ」
梓「……? は、はぁ」
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唯「あ、よくわかってないでしょ」
梓「唯先輩の表現と考え方は時々異次元に行きますから」
唯「スケールが大きいってことだね!」
梓「それでいいですよ」
唯「えっと、何の話だったっけ。そうだそうだ、忘れ物を取りに行く時って大抵誰かに謝るじゃん」
梓「一緒に帰ってる友達に「あっ、ごめん!忘れ物した!」とかですか?」
唯「あと深夜の学校の守衛さんに「すいません鍵貸してください!」とか」
梓「そんな夜に出歩くと危ないですよ?」
唯「まあマンガの知識なんだけどねー」
梓「そんなことだろうと思いました」
唯「だからあずにゃんにも謝っておくの!」
梓「でもこの場合、私に謝っちゃうと忘れ物そのものに謝ってるような感じになりません? 教室に置き忘れた勉強道具とか、部室に忘れた何かとか」
唯「教室に置き忘れたお弁当箱とか……」
梓「……怖っ」
唯「ま、まあ実際のところはそういう細かいこと考えてなかったんだけどね! ごめんねから入ったほうが話を聞いてもらえるかと思って!」
梓「そんなことだろうと思いました」
唯「なんかあずにゃんがクールだよ」
梓「最近めっきり冷えますからね」
唯「くっついていい?」
梓「「思い出したのは先月」のあたりからずっとくっついてるじゃないですか」
唯「あったかいねー」
梓「……そうですね」
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唯「でさ、忘れ物の話なんだけど」
梓「あ、まだ続くんですか」
唯「これからが本題でーす」
梓「……はあ」
唯「あのさ、あずにゃん、忘れ物って『いつまで』忘れ物なんだと思う?」
梓「……どういう意味ですか?」
唯「だってさ、あずにゃんが謝らなくていいよって言ってくれたみたいにさ、思い出した瞬間にはもう『忘れ』物じゃないよね?」
梓「……唯先輩のくせに理屈っぽいですね」
唯「人生の中で一番口が達者な時期の大学生ですから!」
梓「そんな格言ありましたっけ?」
唯「わかんない!てきとう!」
梓「全然達者に動いてませんね、口」
唯「最近寒いから……」
梓「そうですねぇ」
唯「……で、いつまでが忘れ物だと思う?」
梓「うーん」
唯「たとえばあずにゃんが忘れ物を思い出して引き返したとします。テッテケテー」
梓「なんか始まった」
唯「その瞬間からあずにゃんの頭の中は忘れてたそれのことでいっぱいです。もう忘れようがないくらいに」
梓「そうですね」
唯「あずにゃんはちっちゃい身体で一生懸命走ります。可愛いですねぇ〜」
梓「はあ」
唯「でも忘れ物のことばっかり気にして走ってたあずにゃんは曲がり角でイケメンさんとぶつかってしまいます」
梓「あらまあ。それはすいません」
唯「でもイケメンだと思ったその人は実は未来の私でした。普通に女の人でした」
梓「へえ」
唯「あずにゃんは思います、「唯先輩が将来こんな美人になるなら今のうちに唾つけておこう」と」
梓「思いませんから」
唯「こうしてあずにゃんは恋に落ちました」
梓「聞いてます?」
唯「ごめんね、忘れ物の話をしてたはずなのに落し物の話になっちゃったよ」
梓「うまいこと言ったつもりかもしれませんけどそうでもないですからね?」
唯「で、いつまでが忘れ物だと思う?」
梓「今の例え話は何だったんですか」
唯「ごめんね、台本書いてくるべきだったね」
梓「……まあ、忙しい大学生にそこまでさせるつもりもないですからいいですけど」
唯「あずにゃんやさしー」
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梓「……やっぱり、忘れ物は手に取るまで忘れ物なんじゃないですか。普通の答えで申し訳ないですけど」
唯「家に帰るまでが遠足、みたいな?」
梓「そんな感じです。忘れてる間は『忘れてる物』で、思い出してからは『忘れてた物』で、手に取るまではどっちも略して『忘れ物』なんですよ、きっと」
唯「おお〜、あずにゃん口が上手いねぇ」
梓「……それ、褒め言葉ですか?」
唯「え?もちろん」
梓「……そうですか」
唯「でもやっぱり手に取るまでが忘れ物だよねー、安心できないもんねぇ」
梓「そうですね」
唯「というわけで、最初のあずにゃんの質問に対する答えもそれなんだよ」
梓「へ? 私なんて言いましたっけ?」
唯「何しに来たの、って言ったじゃん。私も忘れ物を手に取りたくて来たんだよ。ねっ、あずにゃーん」
梓「…………ちょっと、抱きつき強すぎです」
唯「えへへ、ごめんごめん。というわけで、私も安心できたしそろそろ大学に戻ろうかな」
梓「えっ!? 今から戻るんですか!?」
唯「大丈夫だよ、また明日来るから。みんなと一緒に誕生日プレゼントを持って、ね!」
梓「いや、そうじゃなくて、そんな急に……じゃなくて、時間!」
唯「あずにゃんもそろそろ行かないと遅刻でしょ?」
梓「あっ、あぅ、確かに……ギリギリですけど」
唯「私はイザとなったら代返してもらうし!大学生だからね!」
梓「……憂には言っておきますね」
唯「ああん、そんなぁ」
梓「……でも、ありがとうございます。明日も来てくれるんですよね、待ってますから」
唯「うん、着いたらメールするからね。じゃあねあずにゃん、また明日!」
梓「はい、また明日です!」
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おわり
あずにゃん誕生日前日おめでとう!
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乙でした!
あずにゃんお誕生日当日おめでとー
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