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唯「宙空舞傘」

1 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 02:54:59 Exkv3uFk0
SS


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2 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 02:55:54 Exkv3uFk0
お買い物の帰り道!

唯「今日の晩ご飯も楽しみ〜♪」

憂「デザートも買ったしね♪ 今日はお姉ちゃんが付いて来てくれて本当に助かったよ。傘差しながら一人で帰るのは厳しいから……」

唯「困った時はいつでも言ってね! 憂と相合い傘〜ふふ〜♪」

憂「ふふ♪」

ビュウウウ

唯「わっと!? やっぱ風が強いね……」

憂「早く帰って洗濯物取り込まないと……」

唯「あまり降っていない今のうちにやらないとね。わたしも手伝うよ!」

憂「じゃあお願いするね」


3 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 02:56:24 Exkv3uFk0
唯「早く通り過ぎないかなあ……学校休みになって家でゴロゴロできるのもうれしいけど、やっぱりみんなとも会いたいなー……」

憂「今夜には通り過ぎるってニュースで言ってたよ」

唯「そっか、それなら明日からまた……」

ビュウウウウウウッ

唯「!! 風が……!」

憂「下から吹き上げて……!」

ビュウウウウウウッ

唯「か、傘が飛ばされちゃう!」ギュッ

憂「お姉ちゃん!」

フワッ……

唯「あっ、買い物袋が……って、わたし浮いてる!?」


4 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 02:57:04 Exkv3uFk0
憂「お、お姉ちゃん……飛ばされない……でっ!」ギュッ

ビュウウウウウウッ

唯「わわわわっ……! 憂、離さないで……わたしこのままだと飛ばされちゃう……!」

憂「絶対に……離さないよっ!」ギュウウウッ

ビュウウウウウウッ!

憂「あっ!」

フワッ……

唯「憂まで浮いた!?」

バサッ

憂「ああっ、今日の晩ご飯がっ!」

唯「ちょっと待って! わたしたち、空飛んでるよ!」


5 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 02:57:44 Exkv3uFk0
憂「えーっ!?」

唯「あーっ! どんどん昇っているよ!」

ビュオオオオッ

唯「浮いてる……」

憂「浮いてるね……」

唯「わたしが傘から手を離さなかったせいだね……」

憂「これ地面までどれくらいあるのかな……」

唯「わかんないけど、落ちたら絶対に痛いよ……」

憂「…………」

唯「今、傘から手を離したら……わたしたち落ちちゃうね」

憂「ぜ、絶対に離さないでね!?」


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"
6 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 02:58:35 Exkv3uFk0
唯「う、うん……わかってるよ。憂もちゃんとわたしにしがみ付いててね?」

憂「うん、わかった」

ビュウウウ

唯「これ、わたしたち移動してるね……風のおかげでなんとか宙に浮かべてるけどさ」

憂「もう少ししたら風も弱まるだろうからだいじょうぶだよ……!」

唯「いきなり止んで落ちたりしないかなっ……!? どうしよう……」

憂「お、落ち着いてお姉ちゃん! きっとだいじょうぶだから!」

唯「本当に……?」

憂「うん! それにきっと誰かが助けてくれるよ!」


7 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:01:47 Exkv3uFk0
唯「それならいいんだけど……あっ、さっき買い物に行ってたスーパーだよ!」

憂「…………」

唯「歩いてならけっこうかかるけど、空からならあっという間だね」

憂「こんなことはまず起きないだろうけど……」

唯「このまま待つしかないねー……」

憂「どうか、いきなり風が止みませんように……」


8 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:02:43 Exkv3uFk0


純「まさかスーパーで梓と出くわすとはねえ……」

梓「私はお母さんに頼まれたお買い物。純はお菓子を買いに来ただけでしょ!」

純「失礼な……店からすればどっちもお客様だよ! まったく……」

梓「しかもそんなにたくさん買って……それ全部一人で食べるの?」

純「そんなわけないでしょ! 一応、あっちゃ……お兄ちゃんの分もあるよ!」

梓「あれ……?」

純「ちょ、人の話無視しないでよ……」

梓「えっ、いや、まさかあれって……」

純「? どうしたのさ」


9 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:03:16 Exkv3uFk0
梓「唯先輩と憂が……」

純「おっ、平沢シスターズ! どこどこ?」

梓「あ、あそこ……」

純「……誰もいないよ?」

梓「あそこだよ、ほらっ!」バッ

純「はっ……って、ええええええええええっ!!!??」

梓「唯先輩と憂が……宙に浮かんでる……!」

純「これって本当のことなの……!?」

梓「現実のことだよ! どにかく……えーっと……!」

純「ど、どどどうしよう!?」


10 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:04:00 Exkv3uFk0
梓「とりあえず通報して助け出さないと!」ピッピッ

プルルルルルルル

純「…………」

梓「あっ、もしもし! えーっと、ですね……女子高生二人が強い風で空に飛ばされていて……えっ? いえ、冗談じゃなくて! いや、本当なんですよ! 今も傘持ったまま浮かんでますよ! ……あーえー……桜が丘駅の方向に向かってると思います! あっ、ちょっ、ええっ!? お忙しいのはわかってますけど……はい……。で、でもこれはいたずらじゃありませんからね! とにかく空を見上げてみて……あっ」

プープープー

梓「切られたけど……一応、通報はした」

純「まともに取り合ってもらえたの……?」

梓「どどどどうしよう!? 絶対にちゃんと聞いてくれてなかったよー!」

純「お、落ち着いて、梓……唯先輩に連絡してみたら?」


11 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:05:52 Exkv3uFk0
梓「はっ! その手があったね! 唯先輩お願い、どうか電話に出てください……!」

プルルルルル ブッ

ただいま電話に出ることができません。ピーという

梓「……出ないよ、出てくれない!」

純「私も今、憂にかけてみたけど出ないや……。二人とも今はケータイ持ってないんだと思う」

梓「じゃあどうすれば……」

純「軽音部の先輩たちに連絡すれば何か助けてくれるかもしれないよ!」

梓「もう頼れるのは先輩たちだけ……」ピッピッ


12 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:06:26 Exkv3uFk0
プルルルルル

律『もしもし。どうしたんだよ梓、珍しいな』

梓「律先輩、大変なんです! 唯先輩と憂が風に飛ばされたみたいで今空に浮かんでて!」

律『……言ってる意味がよくわからないんだが……唯と憂ちゃんがどうしたんだ?』

梓「と、とにかく! 二人が危ないんです! 今すぐ助けに来てくれませんか!?」

律『二人に何かあったのか!? わ、わかった! 梓は今どこにいるんだ?』

梓「純と一緒に空にいる二人を追いかけていて、今は桜が丘駅の方に向かってます!」

律『了解、そっち方面に今すぐ行く。澪とムギには私から連絡しとくよ!』


13 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:06:51 Exkv3uFk0
梓「今も移動を続けてますので!」

律『また何かあったらすぐに連絡してくれ!』

梓「はいっ!」

ピッ

梓「このまま二人を追跡しつつ、先輩たちと合流するよ!」

純「なんか休校日がすごいことになったね……」

梓「だね。とにかく私たちも行くよ!」

純「了解!」


14 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:07:30 Exkv3uFk0


ビュウウウッ……

唯「そういえば憂は今、ケータイ持ってる?」

憂「お買い物だけのつもりだったから持って来てないや……お姉ちゃんは?」

唯「わたしも持って来てないよ」

憂「そっか……じゃあ連絡は取れないね……」

唯「ここからの眺めを写真に撮っておきたかったなー……」

憂「ってそっちなの!? 助けを呼ぶためだと思ったんだけど……」

唯「だ、だって珍しい景色だから……」

憂「(この状況に慣れすぎだよお姉ちゃん!)ま、まあとにかく傘から手を離さないでね……」


15 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:07:51 Exkv3uFk0
唯「がんばるよ!」

憂「うん……(心配だなあ……)」

唯「大きな声出したら下にいる人で誰か気づいてくれないかな?」

憂「声出さなくてもけっこう目立ってると思うよ」

唯「そっか、それもそうだね!」

憂「じっとしていよう。ムダな体力を使わないように……」

唯「そだね」


16 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:08:29 Exkv3uFk0


「おーい、梓、純ちゃん!」

梓「律先輩! 澪先輩とムギ先輩も早いですね!」

紬「たまたま駅の近くでお買い物してたから!」

澪「唯と憂ちゃんが危ないんだ!って律にものすごい剣幕で呼び出されて……」

律「それで、唯と憂ちゃんはどこにいるんだ……!?」

純「あそこです!」バッ

澪「ほ、本当だ……!」

紬「傘を持っているのが唯ちゃんで……それにしがみ付いてるのが憂ちゃんね!」

梓「純と一緒にいたらたまたま発見して……」

律「これは台風のせい……なのか……?」


17 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:09:19 Exkv3uFk0
澪「二人とも落ちて来たらどうしよう!?」

律「どうするって……このままぴったり追いかけてキャッチするしかないだろ!」

澪「そそっ、そんなことできるかな……!?」

律「できるかどうかじゃなくてやるんだ! 今私たちにできることを全力で!」

澪「律……」

梓「律先輩……!」

律「どんなことがあっても二人は私が受け止めてやるっ!」


18 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:09:57 Exkv3uFk0
紬「私も!」

梓純「私も!!」

澪「私だって!」

純「と、とにかく追いかけましょうか!」

紬「走ってでも多分追いつくわ!」

律「よし、行くぞ! 二人を助け出すんだ!」

紬澪梓純「おーっ!!!!」


19 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:11:42 Exkv3uFk0


ビュウウウッ……

唯「浮かんでるねー……飛んでるねー……」

憂「いつまでこのままなのかなあ……」

唯「今のわたしたちさ、下の人たちからは天使みたいに見えるんじゃないかな!」

憂「天使?」

唯「うん! 羽はないけど、ふわふわ飛んでるからさ」

憂「そう見えるといいね、素敵だと思うよ……」

唯「ふふ……。あっ、ほら見て、学校だよ! あそこに校舎が」

憂「あ、ほんとだ。ここからなら小さく見えるね」


20 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:12:45 Exkv3uFk0
唯「白くて綺麗……でも案外広くないね」

憂「まあこの高さだから……」

唯「……ねえ、憂」

憂「どうしたの、お姉ちゃん?」

唯「この町のことどう思う?」

憂「この町……? うーん……良い町だと思うよ」

唯「だよね、空からこの町全体を見て改めてそう思ったよ。自然もあるし、人も多すぎでも少なすぎでもない、にぎやかで楽しくて過ごしやすい……」

憂「…………」

唯「それにみんなともすぐに会えるから! みんな今ごろ何やってるのかなあ……」

憂「休校だし、みんな家でのんびりしてるんじゃないかな」


21 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:13:29 Exkv3uFk0
唯「やっぱそうかなあ」

ビュウウウッ……!

憂「!? お姉ちゃん、風が!」

唯「えっ、弱まってる……!?」

憂「強まったり弱まったりしてるよ!」

唯「傘が不安定に!?」

憂「山の方に向かってるね……」

唯「ちょっとずつ高さが……」

ビュオオオオオッ!

唯「わっ!? 憂、わたしの体から離れちゃだめだよ!」ギュッ

憂「離さ……ないよぉっ……!」ギュッ


22 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:13:58 Exkv3uFk0
フッ……

唯「……あれ」

憂「止んだ、ね……」

唯「……風がないのにわたしたちどうやって浮いてるのかな?」

憂「どうしてだろうね」

唯「あ、いつの間にか地面が……もう少しで着陸できるよ!」

憂「ほんとだ。せーので一緒に降りよっか」

唯「オッケー。じゃあいくよー……」

唯憂「せーのっ!!」パッ

ドッ……

唯「やった、ついに地上に!」ギュッ

憂「よかった……お姉ちゃん……!」ギュッ


23 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:14:34 Exkv3uFk0
唯「憂、怖かった……?」

憂「私は……」

「唯ー! 憂ちゃーん!」

唯「あっ、みんな!」

憂「あっ」

純「はーっ……やっと追いついたぁ〜……」

律「二人とも……一体どうして空に……」

唯「傘持ってたらね、急に風が吹いて飛ばされちゃったんだ! 助けようとしてくれた憂も一緒に飛ばされてさ」

憂「でも、みなさんどうしてここに……」


24 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:15:33 Exkv3uFk0
梓「下でずっと二人を追っかけてたんだよ!」

憂「そうだったの!?」

澪「まあ、二人が無事ならそれでよかったよ……」

紬「ケガが無いのなら何よりね」

憂「すいません、みなさんにかなりご迷惑をおかけしたみたいで……」

律「気にしなくていいよ。でも、二人も災難だったなー……」

純「高いところ、怖くなかったの……?」

憂「お姉ちゃんが一緒だったから怖くなかったよ!」

唯「わたしも、憂が一緒だったから怖くなかったよ!」

梓「まったく……この姉妹は……」

唯憂「えへへ」


25 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:16:47 Exkv3uFk0
澪「二人が無事ってわかったら急に力が抜けたよ……」

律「同じく……」

憂「お詫びに今夜の晩ご飯、一緒にどうですか? みなさんもお疲れみたいですし……」

純「え、本当に?」

唯「やったー!」

紬「いくいくー!」

梓「こんなことがあった後だけど、憂はだいじょうぶなの?」

憂「お姉ちゃんの笑顔が見られればへっちゃらだよ!」

梓「それならいいけど……」

唯「あ、和ちゃんも誘おうっと!」


26 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/15(水) 03:23:38 Exkv3uFk0
律「和にも今日の出来事を報告か?」

唯「もちろん! ……それに、この町は良い町だってこともね!」

律澪紬梓純「……?」

唯「そのことはみんなにも話してあげるよ、わたしと憂が空で見た素敵な光景をさ! それじゃあ、みんなで帰ろっか」

憂「うん、帰ろう!」

唯憂「〜♪」

澪「……ほんと、あの二人は仲良いなあ」

純「ですねえ」

紬「いつまでもいつまでも」

梓「ずっと仲良く……」

律「いてほしいよな!」


おわり


27 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/17(金) 03:09:51 GpI2U99c0

元ネタあるのかな?
素敵なお話です


28 : いえーい!名無しだよん! :2014/10/18(土) 20:13:34 mEVBDf.60
良い雰囲気のSSだ
乙です


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