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唯「ぷるしかー!」澪「Плушка?」
-
唯「うえぇ、20分待ちだって」
澪「急行止まんないからな・・・」
唯「やっぱ一駅早かったんだ・・・ごめんなさい」
澪「いいって。そこで座ってよう?」
唯「うん。・・・何か買ってくるよ」
澪「ここ、売店もないじゃん」
唯「あ、そっか。・・・・うへぇ」
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"
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澪「唯。この駅で降りたことある?」
唯「ないよ、だって東京自体あんま行かないもん。あるの?」
澪「私もない。……でも、なんかいいな」
唯「?」
澪「・・・ほら、あっちの看板。「アップル歯科」の、アが錆びて消えてる」
唯「……っぷるしか」
澪「っぷるしか」
唯「ロシア語っぽい!」
澪「言われてみれば!」
-
唯「ぷるしか、ちぇぶらーしか!」
澪「チェブラーシカ知ってるの?」
唯「え、なにそれ」
澪「……うん、まあいいけど。うん」
唯「えー、なんかごめんなさい」
澪「って、そんな話じゃなくて!
ほら、なんていうかさ、こういう雰囲気、いいなーとか思わない?」
唯「よくわかんないです」
-
澪「えーっと、ほら、そこのホコリっぽい家の向こうにトタン屋根でさ、
そしたらずーっと畑がひろがってて、
名前も知らないような、へんなコンビニがあって、」
唯「澪ちゃんこういうとこで暮らしたいの?」
澪「・・・・・いや。もうちょっと便利なとこがいいかな。
スーパーとかなさそうだし」
唯「あのねー、お母さんが、この辺はクルマないと不便よねーって言ってたよ」
澪「この辺? て、ここ?」
唯「いや、おばあちゃん家で」
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澪「おばあちゃん家かあ。なつかしい」
唯「行かないの?」
澪「行けないの。秋田のね、ずーっと遠くにあって」
唯「あー・・・」
澪「飛行機、怖かったな。急に動くでしょ、あれ」
唯「わかるー! すすすすす・・・・・ぷるしかぁーーっ!!! って」
澪「あはは、なにそれ」
唯「ロシア語」
澪「違うってば」
"
"
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唯「ロシア行きたいね」
澪「わかる。さむくて、良さそう」
唯「私さむいのやだよ」
澪「じゃあロシア行けないな。私ひとりで行く」
唯「それもやだ」
澪「じゃあ我慢しろ」
唯「澪ちゃんのいじわるー」
澪「……カイロ。たくさんもってこうな」
-
唯「澪ちゃん寒いとこ似合いそう」
澪「・・・それ、ほめてるの?」
唯「うん。なんで?」
澪「なんでもない。・・・・・ロシアもいいなあ」
唯「でっしょー」
澪「こう、暖炉にあたって本を読むんだ。詩集がいいかな。
ゆらゆら揺れるいすに座って」
唯「おおー」
-
澪「窓の外でちらちらと雪がふっているの。
すーって静かな夜に、ずっとそうしているの」
唯「・・・外、出なよ」
澪「寒いじゃん」
唯「せっかくロシア来たんだよ?!
もっとこう、モスクワー!!とか、ドストエフスキー!!とか、
クアラルンプールゥ!!!みたいなさぁ」
澪「最後はロシアじゃない」
唯「そうなんだ」
澪「授業で習っただろ。モスクワも、ドストエフスキーも」
唯「プルシカも?」
澪「それは習ってないです」
唯「勝った!」
澪「・・・いや、なにが?」
-
唯「電車まだかなあ」
澪「20分って長いな」
唯「・・・・ロシアって、いま冬?」
澪「うーん、場所によるんじゃないかな。広いから。
モスクワとか夏っぽそう」
唯「じゃあロシアもこんな感じなのかなあ」
澪「そうかもね。遠くに行っても、景色って案外変わらないから」
唯「・・・私、思ったんだけど」
澪「?」
唯「秋田って、もうほとんどロシアじゃない?」
-
澪「・・・・はあ? 秋田は日本の都市だよ、唯」
唯「私そこまでばかじゃないよ!!」
澪「じゃあどこがロシアなんだ」
唯「えっとね、秋田って北国でしょ? ロシアも北国でしょ?」
澪「ざっくりいくなあ・・・秋田県民に怒られるぞ」
唯「でも秋田ってすごく遠いんでしょ?
飛行機で行くしかないってゆってたでしょ?」
澪「いや、電車でもがんばれば……うん、いいや」
唯「それに、景色がすごくきれいなとこなんだよね? ロシアじゃん!!」
-
澪「どうしよう。なんだかロシアだったような気がしてきた」
唯「でっしょー? さすが私!」
澪「ま、待て待て唯。
たしかに私のおばあちゃん家は田舎だよ。
でも家の周りは、こことさほど変わんなかったから!」
唯「そうなの?」
澪「うん。だって、トタン屋根とか、畑とか」
唯「あーじゃあここも実はロシアだったんだよ澪ちゃん」
澪「そっち?!」
唯「だっていま、この駅、私たちしか日本人がいないでしょ?」
澪「た、たしかに・・・いや、客が他にいないだけだけど・・・」
-
唯「ほら、その看板だって文字が読めないよね?」
澪「唯。あれは「こつそしょうしょう」って読むんだ」
唯「そっちじゃないよ! たしかに読めなかったけどっ!」
澪「・・・あっちのあれは、文字とかじゃなくて、もともとそういう柄で、」
唯「ほらー澪ちゃんよめなーい! いっつぁローシアー!!」
澪「それは英語だ!」
唯「そういう話じゃないよ! ぶー、澪ちゃんのいじわるー」
澪「唯がどう思おうがここは日本なんだっ。いっつあじゃぱーん」
唯「はぁ・・・がっかりだよ。澪ちゃん、もっと夢を見ようよ」
澪「ええー・・・」
唯「ていうかさ。私思うんだけど。澪ちゃん聞いて?」グイッ
澪「う、うん」
唯「観光スポットとかじゃないとこって、ぶっちゃけどこも変わんなくない?」
-
澪「・・・唯にしては現実的な話だ」
唯「もー、さっきも澪ちゃん言ってたじゃん。あんま変わんないって」
澪「そういう意味で言ったんじゃ・・・いや、いいです続けてどうぞ」
唯「高いお金を払ってちゃんとロシアやロンドンに行くのもいいけど、
私と澪ちゃんでここをロシアにしちゃえば、安くない??」
澪「安いとかそういう問題じゃないでしょ。
あ、でも前に読んだ小説と似てるかも。レモンを爆弾にするやつ」
唯「なにそれ」
澪「近所を散歩しながら、ここが京都だと思って旅をするのが趣味だとか。
そういう主人公で、すっごい繊細で、こう、きれいな文章なんだ。
その作家、クールな感じする。写真見たことないけど」
唯「そうかなあ。意外と普通の人と変わんないかもよ?」
澪「あはは、こことロシアぐらい?」
唯「ていうかここがロシアだから!」
-
澪「はぁ・・・・なんかもういいや、ロシアで」
唯「そうそう。観光なんだから、楽しまなくっちゃ。
私たち放課後ティータイムはロシアの大地にきておりまーす!」ピョンッ
澪「でも、観光ったって電車が」
唯「シベリア鉄道、ね?」
澪「・・・シベリア鉄道が来ちゃうよ、そろそろ」
唯「駅弁とかないかなー、あっ私テレビで見たんだけど、
外国の列車って電車の中でも食べ物売ってた気がする」
澪「乗る時間長そうだからね。
ロシアの料理って何があったかな。ボルシチとピロシキしか知らない」
唯「私どっちも知らない!」
-
澪「ボルシチは・・・ほら、鍋みたいなのだよ、たしか。
ロシアってほら、寒いから、あったまるんじゃない?」
唯「おおー、いいねえいいねえ。みんなで囲んで箸でつっついたりするのかなっ」
澪「いや、ロシア人は箸じゃないから。
フォークかスプーンか、そんな感じじゃないかな?」
唯「いいねえ。澪ちゃん私の分もふーふーして冷ましてよね?」
澪「はいはい。それで、ピロシキは・・・・・・・なんだっけ」
-
唯「ええー澪ちゃんもしらないのー?
ピロシキってあれだよ・・・・なんかこう、硬いやつ!コリコリしてて!」
澪「そうなの?! ってか唯、知らなかったんじゃ」
唯「なんかシャキシャキ感があって、香ばしくて、魚介類風味?な感じでぇ、
とれたて新鮮野菜がおいしくって、とにかくなんかいい感じのだよ!」
澪「・・・・全く知らないだろ、唯」
唯「ていうかピロシキじゃなくてプルシカだよ、私が言ってるのは」
澪「プルシカそういう意味だったの?!」
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唯「やだなあ澪ちゃん、プルシカっていったらロシアの家庭料理だよー。
ロシアの女の人はね、嫁入り前にお母さんからプルシカの作り方を教わるの」
澪「なんかそれっぽい・・・!
あれだ、肉じゃがみたいな、姑さんから味付けに小言言われたりするやつだ!」
唯「そうそう、ロシアのお嫁さんも大変なんだよ!
だからシベリア鉄道のプルシカも、大事に味わって食べなきゃだねっ」
澪「プルシカにそんな歴史が・・・ありがとう、唯」
唯「それでねっ、シベリア鉄道長いから、たぶんベッド付きの電車なんだよ」
澪「寝台特急か・・・! いいな、それ!」
唯「うんっ! もちろん私と澪ちゃん二人で一緒のベッドだよ?
それでね、眠る前にカーテンを開くの!そしたら・・・」
澪「北半球の、満点の星空が・・・! オーロラなんかも見れちゃうかも!」
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唯「すごいよ澪ちゃん!
うわあっいいなあっ、それでこうやって一緒のベッドにくるまるの!」ぎゅうっ
澪「わわっ、ゆい、ちょっ?!」///
唯「ねー、あったかいでしょう?そしたら窓の隙間から流れ星がみえちゃったりして!」
澪「・・・・いいなあ、今夜が楽しみだ」
唯「もー、まずはシベリア鉄道が来てからのお楽しみ、だよ?」
澪「楽しみだなぁ・・・! 唯、おいしいピロシキいっぱい食べような!」
唯「うんっ! じゃあ今夜は澪ちゃんとふたりきりでロシアの天体観測だねぇ、」
< まもなく2番線に普通列車 新宿行きが参ります
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唯「・・・・」
澪「・・・・」
< 途中 急行の待ち合わせを致します 新宿へお急ぎの方は 次の……
唯「澪ちゃん。ここ、日本だ・・・」グスッ
澪「・・・・知ってた」
おわり。
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悲しい奴らよ……
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もうちょっと色々書いてくれたらもうちょっと色々伝わった気がする
「伝わらない悲しさ」が主題の1つなんだろうけど…
うーんでもそれだとやっぱり伝わりにくしなぁ
でも書かないからこその悲しさな気もするので…
その辺りは書き手のさじ加減なんだろうけど
あと1匙か2匙は砂糖なりなんなりを加えてもよかった気がする
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「伝わらない悲しさ」が主題の1つとか、そういうこと考えてるとこのSSは楽しめないんじゃねぇのかな。
ただ、妄想がいっぱいいっぱいになって2人で自分たちの世界観の中でキャッキャッしてたけど、ふと我に帰ったら自分たちは何処にも行けてなんかいなかったっていう滑稽さよ
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>>21ってコピペだと思ってたわ
いちおつ、面白かった
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