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澪「ノリのいい優等生」
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律「さ〜て、クリスマス会をすることも決まったし」
澪「そろそろ、練習……」
律「クリスマス会の催しを詳しく決めないとな!」
澪「いや、練習……」
律「澪。練習はいつでも出来るけど、クリスマスは年に一回しかこないんだぞ!」
澪「そのいつでも出来るはずの練習が、いつも出来てないじゃないか」
律「はて、いったいなぜだろう……?」
唯「なんかなぞなぞみたいだね」
澪「なぞなぞって……」
澪「ムギからもなんか言ってやってくれよ」
紬「何する何する? プレゼント交換はすることはもう決まりよね?」
紬「みんなはどんなプレゼントにするの?」
紬「私ね、もう何にしようか候補が何個かあって、どれにしようか迷ってて
ちょっと聞いて欲しいんだけど……」
律「おいおい、今言ったら楽しみが無くなっちゃうだろ」
紬「あ、そっか……」
唯「ムギちゃんはしゃぎすぎだよ〜」
紬「だ、だって、みんなとクリスマス会するのすごく嬉しくて」
律「ほらほら、こんなに目を輝かせているムギを前に、それでも頑なに練習を迫る気ですか? 澪さん?」
澪「くっ……!? 仕方ないな」
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紬「あ、ごめんね、澪ちゃん」
澪「いや、いいんだ。私もみんなとクリスマス会するの楽しみなのはムギと一緒だし」
律「結局澪もそうなんじゃーん」
澪「う、うるさい……」
紬「ところで他に誰か呼んだりしないの?」
律「私たち4人と憂ちゃん」
唯「5人じゃ寂しいかな?」
紬「さわ子先生は?」
澪「先生は、きっと無理だろ」
律「なんで?」
澪「だって、さわ子先生だったら恋人くらい居そうじゃないか」
唯「あ〜そっか〜」
律「一応誘ってみたら?」
澪「変に誘ったりしたら、気を遣わせちゃうかもしれないだろ」
紬「恋人よりも生徒を優先させちゃうかもってこと?」
律「さわちゃんはそんなタマかな」
澪「とにかく、カップルにとってクリスマスっていうのは特別なものなんだから」
律「そーゆーもんかねー」
唯「じゃあ、さわちゃんは誘わない方向で」
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紬「他に誰かいないかしら?」
澪「別に5人でもいいんじゃないか?」
律「もっと多い方が盛り上がるだろ。ムギの中学のときの同級生とかどうだ?」
紬「そうね〜」
澪「あ、あのさ……あんまり知らない人だとちょっと……」
唯「澪ちゃん人見知りだもんね」
澪「……うん」
律「まぁ、こればっかりは仕方ないか」
紬「ねぇ、だったら唯ちゃんのお友達は?」
唯「和ちゃん?」
紬「誘えないかな?」
唯「聞いてはみるけど、澪ちゃんは大丈夫?」
澪「うん。真面目そうな人だし、真鍋さんなら安心かな」
律「ちょっと待った!」
澪「な、なんだよ」
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律「真鍋さんったら、あの生徒会の人だろ?」
唯「うん」
律「しかも眼鏡」
澪「眼鏡だからなんだっていうんだよ」
律「生徒会+眼鏡なんて真面目の申し子じゃん! 超優等生だろ? じゃあダメだな」
唯「う〜ん。真面目っていうよりも、しっかり者って感じかな」
律「いや、同じような意味じゃん」
唯「そっかな〜」
澪「真面目で優等生の何がダメなんだよ」
律「いや、せっかくのクリスマス会だぞ。羽目を外したいじゃん」
紬「あまりやりすぎると怒られるかもしれないってこと?」
律「そうそう。お行儀のいいクリスマス会になりそう」
澪「それくらいでいいんだよ。特に律は限度を知らないから」
律「え〜! 騒ぎたいよ〜!」
唯「いや、和ちゃんはそんなんじゃないよ」
律「そうなの?」
唯「うん。確かに前に私が5日連続で宿題忘れてノート写させて貰おうとしたとき
4日目までは見せてくれたけど、5日目からは見せてくれないくらいの真面目さはあるけど」
澪「結構大らかだな」
律「澪だったら3日目からもう見せてくれないもんな」
澪「忘れる方が悪いんだろ」
唯「だから、別にそういうクリスマス会とかで騒いだからって怒るようなことはしないと思うよ」
律「そっか」
唯「でも、りっちゃんが羽目外しすぎて、いきなり和ちゃんの眼鏡を奪って
床に叩き付けて割っちゃったりしたら、さすがに怒らないって保証もできないけど」
澪「いや、そこは確実に怒るだろ」
律「あと、さすがに私もそこまで羽目は外さねーわ」
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唯「それじゃあ、和ちゃん誘ってみる?」
律「うん、いいんじゃないか?」
紬「これを機会に真鍋さんともっと仲良くなれそう」
澪「まぁ、唯の幼馴染だし悪い人じゃないだろうしな」
唯「じゃあ、和ちゃんにメール送ってみるね」
律「でも、唯の幼馴染ってことは色々と苦労してそうな」
澪「唯も相当天然入ってるから、ツッコミとかも鍛えられてるだろうな」
紬「なんだか面倒見もよさそうだし」
律「私が部活申請用紙出し忘れたときも助けてもらったしな」
唯「そうそう。和ちゃんはなんかこうお母さんみたいな感じなんだよね」
律「なんかもうそこまでになってくると、ノリが合わないかもしれない恐れが」
唯「大丈夫だよ〜」
ピロリーン♪
唯「あ、和ちゃんからだ」
唯「和ちゃんも生徒会でまだ学校にいるから、一緒に下校しようって」
唯「で、その時に詳しい話を聞きたいって」
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校門前
律「和さんも、軽音部のクリスマス会に参加しない?」
和「私部外者だけどいいの?」
律「いいよ〜。私たち友達だし」
律「人数増えた方が使えるお金増えるし」
澪「それをどうする気だ?」
澪「てか、だから参加者増やそうとしてたのか」
唯「和ちゃん来れる?」
和「うん」
唯「うわ〜い」
和「あ、それと」
律「なになに?」
和「和さんだなんて呼んで貰わなくてもいいわ」
律「えっと、じゃあ和」
和「ええ、よろしくね、律」
律「な〜んだ、結構ノリもいいじゃん。安心したよ〜」
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和「私ってノリ悪そうに見えた?」
律「いや〜、生徒会だし眼鏡だし、見た目も肩書きも真面目だったから」
律「しかも雰囲気とか声も落ち着きがあるし、騒いだら怒られるんじゃないかって思ってさ〜」
和「そう……」
澪(あれ? なんか真鍋さん気にしてる?)
澪「お、おい律。ちょっと」
律「あ、ごめんごめん。気に障っちゃった?」
和「いいえ、別にそんなことないわ」
和「ただ、私だって女子校生だし、落ち着いては見えるだろうけど、みんなと一緒よ」
唯「そうだよ〜。和ちゃんもノリいいよ」
紬「そうだ、クリスマス会にみんなでプレゼント交換するから和ちゃんも何か考えててね」
和「うん、考えておくわ」
律「ここは一つ、ノリのいいプレゼント期待してるぜ!」
和「ええ、そうね」
和「……」
澪(やっぱり、ちょっと律にノリが悪そうって言われたの気にしてるのかな……?)
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クリスマス会当日
律「な、なんか焼き海苔がプレゼントで当たったんだけど……」
和「あ、それ私」
唯「和ちゃん、お歳暮じゃないんだから〜」
和「でもそれ、結構良い海苔なのよ」
律「いや、いくら良い海苔ってもクリスマスに海苔貰ってもなぁ……」
和「すごく良い海苔なんだけど」
律「良い海苔なのはわかったってば」
和「うん。良い海苔なの」
澪「……」
澪(……はっ!? もしかして!?)
澪(前に律にノリが悪そうって言われたから、だから良い海苔を持ってきてノリのいい奴って)
澪(そんな一世一代の大ボケをかましてるんじゃ!?)
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律「え〜、でもプレゼントに海苔って……」
澪(違うんだ律! その贈り物の真意に気づけ!)
和「良い海苔なんだから。本当に海苔良いのよ」
澪(あー! もう決まりだ! 絶対そうだ!)
律「海苔なんてもらってどうすればいいんだよ……」
澪(このバカ律! もっと視野を広く持て! 海苔に心を囚われるな!)
和「……」
澪(ここは、私がツッコむべきか……)
澪(いや、でも、まだ真鍋さんとはそんなに打ち解けてないし)
澪(真鍋さんには和でいいわよ。って言われて一応呼びかけるときは和って呼んでるけど
こうやって心の中ではまだ真鍋さんって言っちゃってるし)
澪(くっ……!? 今日ほど人見知りな性格が災いしてこんなにも苦しい思いをしたことはない!)
和「良い海苔なのよ……良い海苔……」
澪(真鍋さん……。いや、和! ここは勇気を出して私がっ!)
-
澪「律にノリが悪そうって言われたからって、良い海苔を持って来るなんて、ノリにノッてるや〜ん!」ビシッ!!
澪(これでいいんだろ? 和)
和「えっ?」
澪「えっ?」
和「海苔は乗るものじゃなくて食べるものよ」
澪「あの……ノリがいいと良い海苔をかけたボケなんじゃ……」
和「何のこと?」
澪「本気のプレゼントなの!?」
和「すごく良い海苔見つけちゃったのよ」
澪「こわいよ! 私は和がこわい!」
律「うおっ! マジでこの海苔すっげー美味い!」
唯「どれどれ?」パリッ
唯「本当だ! こんな海苔初めて食べた!」
憂「お姉ちゃん! おにぎりに巻いたらもっとすごいよ!」
さわ子「ああ、お酒にも合いそう」
和「当然よ。良い海苔なんですもの」
紬「ね、ねぇ! 和ちゃん! これどこで買ったか教えて!?」
和「ええ、いいわよ。良い海苔だからみんなにも知ってもらいたいわ」
澪「なにみんなも普通に食べちゃってるんだよ!」
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和「ほら、澪も食べて。良い海苔だから」
澪 パクッ
和「どう?」
澪「……」
和「澪?」
澪「ノーリアクション」
和「?」
澪「海苔だけに」
和「良い海苔、でしょ?」
澪「そーじゃないだろ!? もっとこうあるだろ! 言うべきことが!」
和「え? 良い海苔じゃなかった?」
澪「いいよ! もういいよ!」
和「そうよね、良いわよね。この海苔」
澪「そんなに良い海苔良い海苔言ってたら、そりゃ〜深読みだってしちゃうってば!」
和「味わい深いわよね」
澪「はい、もうその通りでございます」
和「澪とはなんだか分かり合えた気がするわ」
澪「こいつぁ〜敵わないや」
おしまい
-
乙。
なんかいたぞwwww
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