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純「これがきっかけだったと思う」

1 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 18:40:06 wqe4SrVY0


 ‐外‐


純「おっ?」

憂「……」

純(憂がケーキ屋の前にいる)

憂「うーん……」

純(ケーキ買うのかな? いやでも待てよ)

憂「どうしようかな……」

純(……近々あるケーキの必要なイベントって)

憂「やっぱり自分の誕生日だし、自分で作っちゃおうかなあ」

純「待てい!!」

憂「あっ、純ちゃん。どうしたのこんなところで?」

純「いやー、入試も終わったことだし、ここは一つ散歩でもと……じゃなくて!」

純「なんで自分でケーキ作る流れにしちゃってるの!」

憂「おかしいかな?」

純「自分の誕生日に自分でケーキ作るなんて、そんな寂しい誕生日は純ちゃん許さないぞ」

憂「寂しくなんかないよー」

憂「お姉ちゃんも寮から帰ってきてるし」

純「それがケーキの原因か」

純「いい、憂? 誕生日のケーキは自分で用意しちゃいけないの」

憂「でも純ちゃん、一回自分で自分の誕生日ケーキ買ってたよね?」

純「……誰も私の誕生日知らなかったみたいだしね」

憂「あっ、ごめん……。でも、もうちゃんと覚えてるから」

純「ほんと?」

憂「うん。四月上旬でしょ?」

純「アバウト!」

憂「もう、冗談だって。前はケーキ焼いたでしょ?」

純「そうだけどさー。まあ四月上旬って祝いにくいよね、タイミング的に」

憂「そうだね〜」

純(……にしても憂の誕生日か。軽音部で色々計画してはいるけど、
 出来れば平沢家の誕生日パーティーも、より良いものにしてあげたい)

純(そのためには……)


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2 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 18:40:41 wqe4SrVY0


 ‐平沢家‐


純「さあ唯先輩、ケーキを作りましょう!」

唯「うぅ、いきなり純ちゃんが遊びに来たと思ったらこれだよ……」

純「憂は自分でケーキを用意しようとしたんですから。これは由々しき自体です」

純「いくら自立したとしても、唯先輩にはまだ出来ないことがあります。
 それを一つだけでも埋めることが、憂にとっての喜びでもあると思うんです」

唯「ごもっともだけど純ちゃんのキャラじゃないよー……」

純「あとついでにケーキを分けてもらえれば、私も喜びます」

唯「それでこそ純ちゃん!」

純「さあ、早速作りますよ。唯先輩はお菓子作りの経験はありますか?」

唯「前にチョコを固めて溶かしたことならあるよ〜」

純「多分順序が逆ですけど、わかりました」

純「とはいえケーキは溶かして固めるわけにはいかないので、
 そのぐらいの経験は役に立ちませんね」

唯「残念。純ちゃんは作ったことあるの?」

純「こう見えても、クッキーぐらいなら焼いたことあります」

唯「おお、やるねえ純ちゃん」

純「というわけで、今回は私が料理の先生ですね」

唯「よろしくお願いします」

純「いえいえ」


3 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 18:41:10 wqe4SrVY0


  *  *  *


純「では始めますよー」

純「鈴木純の、三分クッキングー!」

唯「いえーい!」

純「今回は憂の誕生日ケーキを作ろうと思います」

唯「では材料を!」

純「まずはこちら市販のスポンジケーキです」

唯「えっ?」

純「えっ?」

唯「生地は自分で焼かないの?」

純「別に焼いてもいいですけど、一発勝負で失敗してもいいんですか?」

唯「なるほど」

純「ちなみに評判の良いものを買ってきましたから、味は確かですよ。
 安物だとスポンジの時点で不味いので、注意が必要です」

純「では続いてシロップです。これを先に作っておきますよ」

唯「お、これはお酒かな?」

純「今回は洋酒を使ったシロップにしたいと思います」

純「どんな洋酒がいいのかはわからないので、
 とりあえず聞いたことあるラム酒を用意しました!」

唯「変なところで適当だね!」

純「まず水と砂糖を火にかけ溶かし、そこにラム酒を加えて混ぜます」

純「冷ましたらシロップ完成です!」

唯「早いね〜」


4 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 18:41:40 wqe4SrVY0

純「次の作業は唯先輩にやってもらいますよ」

唯「任せて!」

純「まずスポンジケーキを三枚にスライスしましょう。
 ボロボロにならないよう、気をつけてくださいね」

唯「……が、頑張るよー!」

純「……」

唯「……」

純「……唯先輩って意外と包丁使えるんですね」

唯「それは私を舐めすぎだよ、純ちゃん……」

唯「でも均等に切るのって難しいね。憂はどうやってたんだろ?」

純「色々コツとか方法はあるみたいですけど、よく知らないんですよね」

唯「なんか純ちゃんの下調べって、どこか中途半端だね〜」

純「……自覚してます」


5 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 18:42:30 wqe4SrVY0


  *  *  *


唯「ほい、ちょっと不格好だけどできたよー」

純「じゃあ次はこの生クリームと砂糖をホイップさせましょう」

唯「よーし、行くよー!」

唯「うりゃりゃりゃりゃ!」

純「おお、勢いありますね!」

唯「おーりゃりゃりゃりゃ!」

純「これなら七分立てぐらい、すぐ出来そうです!」

唯「……疲れた。純ちゃん代わってー」

純「……」


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6 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 18:43:03 wqe4SrVY0



  *  *  *


純「さあ、ついにデコレーションですよ」

唯「い、いえーい……」

純「……疲れてますね?」

唯「なかなかの相手だったよ……!」

純「でももうデコレーションだけです、頑張りましょう。
 さて、まずはスポンジにシロップを塗ります」

唯「塗り塗り〜」

純「そしたら生クリーム」

唯「塗り塗り〜」

純「最後にスライスしたイチゴです!」

唯「……純ちゃん。まだイチゴがスライスされてないよ?」

純「しまった」


7 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 18:43:40 wqe4SrVY0


  *  *  *


純「気を取り直して、スライスイチゴを乗せます」

唯「そうしたらスポンジを重ねて……」

純「二枚目も一枚目と同様にお願いしますね。
 そして三枚目のシロップも忘れずに」

唯「よし、あとは表面にクリームを塗っていくだけだね」

純「そしてそんなこんなして、イチゴ乗せたら完成です!」

唯「やったー!」

純「なんとか憂が来る前に作ることができましたね」

唯「純ちゃんのおかげだよ〜! ホントありがと!」

純「いえいえ、いつも憂にはお世話になってますから」

唯「えへへ、こんなお友達がいて、幸せだね憂は」

純「……えと、そう言ってもらえると、私も嬉しいです」

唯「照れてる純ちゃんも可愛い〜!」

純「あ、あの、そろそろ梓が憂を連れて、ここに来る頃です!
 お出迎えしましょう、唯先輩!」

唯「うん!」


8 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 18:44:19 wqe4SrVY0


  *  *  *


憂「ただいまー」

唯「おかえり、憂!」

純「お邪魔してるよ、憂ー」

憂「あれ、純ちゃん? 先に帰ったんじゃなかったの?」

純「まあ色々とね。それより、唯先輩」

唯「うん」

憂「どうしたの二人とも?」

唯「ふっふっふ〜……驚くよ〜!」

憂「お姉ちゃん?」

唯「いいからいいから! 早くあがってあがって!」

憂「ちょ、ちょっと引っ張らないでって〜!」

純「……じゃ、私は帰るねー」

憂「えっ? 純ちゃん、結局なんで家にいたの……?」

純「お邪魔しました〜」


9 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 18:44:44 wqe4SrVY0


  ‐外‐


純「……」

純「うー、寒……」

純「……」

純「あっ」

純(ちょっとぐらい味見しておけばよかったかな)

純(……なーんて。憂への誕生日プレゼントなんだし、そんなことしないっての)

純(つーか梓も、憂送ったらさっさと帰ってんじゃないよ……。
 私一人で帰ることになるじゃん……)


 「――ん!」


純「んっ?」


 「純ちゃーん!」


純(誰かが、こっちに来てる?)


憂「純ちゃーん!」


純「え、憂!?」


10 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 18:45:47 wqe4SrVY0

憂「もう! なにも言わずに行っちゃうなんてずるいよ!」

純「あ、いやー……ほ、ほらさ。誕生日プレゼントなら、部活で渡したじゃん?」

純「あれはあくまで、唯先輩からの誕生日プレゼントなんだし」

憂「純ちゃん、プレゼントは一人からいくつ貰っても嬉しいよ?」

純「んー……まあそうかもしれないけど……」

憂「大丈夫。純ちゃんの言いたいこと、ちゃんとわかってるから」

憂「……私、嬉しいんだ」

憂「お姉ちゃんがケーキを作ってくれるなんて、思ってなかったから」

憂「でも、私にはもう一つ嬉しいことがあるの」

純「……」

憂「純ちゃん、ありがとう。ケーキを作ってくれて。私の友達でいてくれて」

純「……な、なにさ今更。私だって好きで憂の友達でいるんだしさ」

憂「うん。私も、純ちゃんが好きだよ」

純「ん……」

憂「……大好きだよ」

純「えっ」

憂「えへへ……。それだけ。じゃあ、また明日ね」


11 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 18:46:49 wqe4SrVY0


  *  *  *


純「……」

純「……なんだったんだろ、憂」

純(とにかく喜んでたのは伝わってきたから、良かったかな)

純「……」

純「……てか、知ってるっての」

純(憂は、私や梓やスミーレに直、そして唯先輩……。
 他にも皆のことが好きなんだってこと)

純「……」

純(でも、あの笑顔は反則だった。心臓止まるかと思ったよ)

純「……大好き、か」

純「……」

純「あー……顔あっついわー……」

純(……でも本当に可愛いよね、憂ってさ)

純「……」

純(なんだよもう。……ドキドキが止まらないじゃん)



 ――この気持ちって、なんだろうね、憂。



 ‐おしまい‐


12 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/22(土) 20:03:03 67tr6Dmg0

唯と純の組合せって結構いいね


13 : いえーい!名無しだよん! :2014/02/23(日) 15:57:42 u50VpWzc0
乙乙


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