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唯「love exposure」
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Chapter1
HTT
今、世間で何が話題になってるか知ってる?
愛に産まれ愛に包まれ愛に生き愛を込める。
愛のアイドル。愛ドル。HTTだ。
中野梓。秋山澪。田井中律。琴吹紬。そして私平沢唯。この五人で結成されたアイドルグループはとてつもない規模のファン(愛)を持っている。
何処の事務所にも属さず。何十万人のファンを抱えているのは私達の愛が合ってからこそだった。
しかし、そんな大規模のファンを抱えていてもネットでの評判はあまり良くないらしい。
例えばカルト教団なんて呼ばれてる。
自分でも思うが確かにそれは否定出来ない。
ファンから沢山のお金(愛)を貰っている。
それだけじゃない、私が命じればファン達は火の中にも飛び込むかもしれないし人を殺すかもしれない。
命じた事は勿論無いが、ファン達はやるだろう。
そう、HTTのファンは愛で支配されているから。
私の愛はいつもむきだしで、そして醜い。
"
"
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Chapter2
中野梓
梓「うーん。はいポイントカードたまったにゃん!ご褒美に握手にゃん!」
ファンの手を両手で優しく包み込む。
しこうの
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Chapter2
中野梓
梓「うーん。はいポイントカードたまったにゃん!ご褒美に握手にゃん!」
ファンの手を両手で優しく包み込む。
至福の表情。この為に生きて来た。言葉にはしてないがファンの顔はそう言っていた。
1ポイント付くのに5000円の愛。
50ポイントで握手。
このえげつなさにも関わらず毎日平均20人と握手している。
HTTは当初、普通のガールズバンドグループだったのにどうしてこうなったのかなぁ。
こう思うのも毎日平均20回。
ギターを握る代わりに手を握る。
私はアイドルがやりたいんじゃない。
バンドがしたい!
そう唯先輩に何度も言おうと思った。
言ってしまえば後は楽できっと唯先輩はごめんねあずにゃん辛い思いさせて本当にごめん。
そう言って泣くだろう。
唯先輩は色々変わってしまったが、一つだけ変わっていないものがある。
それは私達への愛。
この愛はファンへの飾りの愛ではなく本当の愛。
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勿論、私にも愛がある。
友達を助けて救いたい。このアイドルグループの原動力だ。
だけど、一日何回も普通のバンドがしたいと思うのはきっと私が我儘で薄情だからだ。
だから、私はHTTの猫担当。
我儘で薄情で甘えたい時に甘える。
そう、私は猫。
だから、猫は猫らしく生きる為に尻尾をただ振り続ける。
犬のように嬉しそうに、猫が尻尾を振るのはイライラしてるとは知らずにみんなは私を愛でる。
私はただ我慢する。
猫らしく生きるには今はこの活動をもっと大きくもっと大きく!しなければならない。
そして、友達を救って全て元通りになって私はようやく落ち着ける場所を見付けそしてそこで尻尾を巻いて眠るだろう。
普通のバンド昔のHTT昔の唯先輩昔の昔の昔の・・・。
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Chapter3
田井中律
例えばとても救いたい人がいて凄く努力した。
でもその努力は報われず救えなかったとする。
その時、人はどう言う行動を取るんだ?
分からない。
もし、唯が救えなかったとしたら、どう言うラストが待っている?
これも分からない。
ただ悲惨なラストが待ってるに違いない。
それもとびっきりの。
その為に私達がいるんだが、私達もここまで来るのに様々な努力をした。
唯の為にひたすら努力した。
もしその努力が報われなかったら?
正直、考えたくもない。
"
"
-
考えたくないからこそ考える。
みんなが絶望に染まらないように、自分自身も絶望に染まらないように。
随分変わってしまったけど今でも私はHTTのリーダーでみんなのムードメーカーだ。
それは私だけが唯一出来る仕事。
他の誰でもない私だけの・・・昔からそうだった。
リーダーシップなんてものは無いけれど、みんなを笑わす事は出来る。
この悲惨で辛い状況の中でも私はみんなを心の底から笑わす事を私だけが出来る。
だから私は唯に付き合った。
今のHTT風に言うと愛を捧げる。
こう何度も言ってしまうと愛は凄く薄く聞こえるよな。
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今日はここまでにします
また明日
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乙
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Chapter4
秋山澪
和「本当、変わったよね」
澪「また、それか」
和とこうして、喫茶店でコーヒーを飲む度に言われる。
私には何がどう変わったのかよく分からないが、毎回そう言われるって事は相当変わってしまったらしい。
和「喋り方も容姿も変わって無いんだけど何か変わったのよねぇ」
澪「人は変わる生き物なんだよ」
和「ふふ。流石、HTTの作詞担当ね。やっぱそう言うフレーズすぐ出てくるもんなの?」
澪「恥ずかしいからやめろよな」
和「そう、最近はどうなの?活動は?」
澪「どうもこうもないよ。頑張ってるただそれだけだ」
和「唯は?大丈夫なの?」
澪「大丈夫だよ。いや、弱音を吐かないだけかも知れない。でも、私達が何とか助けるよ」
和「本当、変わったよね」
澪「またそれか」
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和「じゃあ私もうそろそろ行くわね」
澪「あぁ、じゃあな。また会おう」
和「そうね。じゃあ」
澪「うん」
変わったか、本当に変わったのか?
もし変わってしまったのならきっと悪い方向に変わってしまっに違いない。唯も私も。
喫茶店のBGMが切り替わり、聞き覚えのある曲が流れて来た。
私達の曲だ。
私達があるカルト教団に向けて作った曲だ。
唯から憂ちゃんを奪った全ての元凶。
私達から唯を奪った全ての元凶。
その教団の名前はゼロ教団。
私達はこの教団と戦う為に活動している。
そして憂ちゃんを救う為に、愛を育んでいる。
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Chapter5
琴吹紬
私はHTTのメンバーが好き。
そのファン達も好き。
握手する為だけにお金と言う愛を捧げる姿もライブ中倒れるまで踊る姿も私は好き。
ファン達はHTTに対して凄く深い愛を抱いていて、私はそれに持てる愛を全て注ぐ気持ちでいる。
だから私は困惑しているの。
唯ちゃんはいずれこのファン達を使って憂ちゃんを取り戻す為にゼロ教団を潰すだろう。
その為にその為だけに私達はこの活動を続けてきた。
寝る暇もなく愛想を振りまいてようやく何十万人ものファンが出来た。
そして私はその何十万人ものファンを愛していた。
私達のライブに行くためにニートをやめ仕事をするファンも家庭を捨てて私達に愛を捧げるファンも私は均等に愛してるいるのだ。
ファンは大きな愛で包まれていた。
誰にも理解出来ないその愛を私だけが理解出来ている。
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友達とファン。
どっちか選べと言われたら私は友達を選ぶだろう。
私だけが理解出来ているファンの愛を捨てて友達を選ぶだろう。
それが正しい選択かどうかは分からない。
けど、唯ちゃん私達がやってる事は本当に正しいの?
憂ちゃんを取り戻す行為は正しいと思う。
でも、ファン達はその為に利用されていると知ったらどう思う?
どのくらい傷付く?そしてファン達はどう言う行動に出る?
これだけの大きな愛だ。
裏切られたと分かったその瞬間。
みんなは、愛に潰されてしまうだろう。
だから、もしその時が来たら私の仕事はただひとつ。
ファンを救いみんなを救う。
私の愛も同様に大きいのだから。
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Chapter6
平沢憂
憂「この空虚な世界に何も求めてはなりません。お金も時間も家族も愛も。あなた達は個であり無です。ゼロです。ゼロからは何も産まれません。そう、何も。かつて私も求めていました。姉を。パンフレットの5ページを開きなさい。そこに私のゼロ教団のやってる入団のきっかけが書いてあります」
そう、それはお姉ちゃんが大学に入りしばらく経った頃。
私は家では一人だった。
学校に行けば友達がいたが、どこか満たされない気持ちで包まれていた。
理由は分かっている。
お姉ちゃんがいないからだ。
お姉ちゃんは私の全てでお姉ちゃんは私がいないと生きて行けないそう思える自信があった。
だけど、お姉ちゃんが一人暮らしを始めてから私はようやく気付いた。
お姉ちゃんは私の物ではないと、私の捧げる愛はお姉ちゃんの為にある物だと思っていた。
だが、お姉ちゃんの愛は私だけの物じゃないと知ってしまった。
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今日はここまでにします。
明日書けたら書きます
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乙
期待してる
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欝展開になるのかね?
怖い気もするが、見ていきたい。
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そう分かっていても、私はお姉ちゃんの愛を求め続けてた。
毎晩、電話を掛け私を愛してるかどうかを確かめる。
お姉ちゃん毎晩私に愛してると言った。が、何故か満たされない。
確かに愛は伝わる。
電話越しに聞こえるお姉ちゃんの声は確かに愛はあった。
しかしなんで満たされない。
この嫉妬はなんだろう?
答えは簡単だ。
お姉ちゃんの愛は私以外にも伝わってる。
例えば私の父と母にも毎晩電波を掛けていたし私の友達にも電話を毎晩掛けていた。
その愛を私は欲していた。
いや、お姉ちゃんが他の人に向ける愛を、そう全ての愛を私は求めていた。
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それから、数ヶ月とちょっと過ぎた私の誕生日。
この日、私はお姉ちゃんと海に行く約束をしていた。
楽しみだった。
久しぶりにお姉ちゃんと二人っきりになる。
そして、背景は海だ。
とても綺麗な時間が私を待っていた。
だけど、お姉ちゃんはその日来なかった。
忘れてたとかそんな理由じゃない。
お姉ちゃんはバンド活動をやっていて、その活動の後に私と海に行く予定だったが、頑張り過ぎて倒れてしまったのだ。
まだ、忘れてたって言われた方が良かった。
許せなかった。
私の誕生日。お姉ちゃんを独占できる数時間が消えた。
許せなかった。
私の誕生日。その日にお姉ちゃんがバンド活動をしていて、海に行く約束をしていたのにも関わらず倒れるまでギターを弾いていたことが。
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昔の私なら我慢出来たかも知れない。
お姉ちゃんにだってやりたい事もあるし、色々都合もある。
家を出て途方も無く歩く私の頭に何度も何度も考えが思い浮かんだ。
しかし許せなかった。
人はそれは仕方ないよ。とかまた行けばいいでしょ?そう言うだろう。
確かに他人からは仕方ない事なのかも知れない。
でも、私は・・・私の人生はお姉ちゃんだ。
産まれて死ぬまで一分いや一秒でもお姉ちゃんの側にいたい。
お姉ちゃんにだけ愛をむきだしにしていたい。
お姉ちゃんは私の神様だ。
夜の闇がさらに深くなった頃、私は小さい頃の事をふと思い出していた。
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それは、私が三歳の頃。
お母さんとお姉ちゃんと私の三人で近くのスーパーに寄って買い物していた時。
私はお母さんにお菓子一つだけ買っていいと言われ、ガムとグミどちらにしようか迷っていた。
このガムはぶどう味なんだ。ガムは味も長続きするし味がなくなっても風船作れるし凄い!
でもこっちのグミは色々な味があるしガムよりも量が多いし色も綺麗だし凄い!
そうやってガムの凄い所、グミの凄い所を交互に考えて一番凄い所が多かったお菓子にすればいいと思っていたが、どっちも同じくらい凄かった。
そこで思い付いた。
一個盗んじゃえと。
誰にもバラなければ大丈夫だし、見付かってもなんかポケットに入ってたで済むだろう。
そう思ってガムをポケットに忍ばせた。
ガムの方をポケットに忍ばせた理由は小さいからだ。
罪悪感はあった。
お菓子二つ食べらるワクワクで罪悪感はかなり薄まっていた。
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スーパーを出るとお菓子を盗んでしまった事がバレてしまいお母さんにこっぴどく怒られた。
今でもお母さんが店員さんに頭を下げる姿を思い出せる。
その日の夜。
私はもう二度とこんな事をしないと何回も頭に刻みながら暗い部屋で泣いていた。
誰かが私を呼ぶ声が聞こえた。
顔を上げるとお姉ちゃんが左手にスナック菓子を持って微笑んでいた。
一緒に食べよう?
お姉ちゃんは私の横に座って寄り添った。
そらからずっとお姉ちゃんと私はお菓子を食べた。
お菓子が無くなってもお姉ちゃんは私の側から離れなかった。
一言も喋らず、ずっと私の側にいてくれた。
この時間はとても優しい時間だ。
今でもそう思う。
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今日はここまでにします
-
乙
最近じゃ病んだ憂も珍しくなったな
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電話が掛かってきた。
お姉ちゃんからだった。
謝罪の電話だろう。
すぐには出なかった。しかし4コール目で私はある事を思い付いた。
試して見たいそう思い。
私は電話に出た。
ごめんなさい!第一声はそれだった。
その後に聞こえた鼻を啜る音。
泣いているとすぐに分かった。
なんだか申し訳なかった。
私の為に泣いてくれているお姉ちゃんに電話じゃなく、直接大丈夫だよと言ってあげたかった。
すぐに、家に帰ろうそう思ったが先程思い付いた事をやる為に辺りを見渡した。
すると足元に数匹のアリがいた。
お姉ちゃん?
私は言った。
その後に大きく足を上げてそのアリを踏み潰す。
今ね。私、アリを数匹殺した。
何匹が正確な数は分からないけど、今ね私はアリを殺したよ。
続けてそう言った。
お姉ちゃんはすぐに私の居場所を聞いてすぐに私の元にも駆け付けた。
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本当にごめんなさいとか私お姉ちゃん失格だとかお姉ちゃんが思い付く限りの謝罪の言葉を私は聞いたと思う。
本当ごめんなさい。
普通のごめんなさいよりワンランク上の謝罪の言葉だ。
だって本当にが付いている。
だから、私は本当に大丈夫だよと返した。
その後、私達は家に帰って久しぶりに二人で寝た。
その日のお姉ちゃんは愛を全て私に注いでくれた。
だが、分かっていた。
またお姉ちゃんは私だけじゃなく、他の人に愛を捧げるだろう。
その時は今日やったことを繰り返せばいい。
悪い事をやれば、私が万引きした時みたいにお姉ちゃんは側に来てそして愛を捧げてくれる。
悪い事も許してくれる。
先程思い付いた事とは悪い事をやってお姉ちゃんの気を引かせる事だった。
そして、この時私は気が付いた。
私はお姉ちゃんが好きじゃない。
いや、好きだけど何か言い方が違う。
これは信仰だ。
お姉ちゃんは私にとって神で全てだ。
私はお姉ちゃんは信仰心を抱いている。
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今日はここまでにします
しばらく更新速度遅くなるかもですが、毎日更新する予定です
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毎日とは凄いね。
頑張れ!
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私の中で愛しい姉はいつの間にか愛しい神に変わっていて、無意識の内にお姉ちゃんを信仰していた。
次の日、私は朝一番でスーパーに行きガムを万引きした。
部屋で寝ていたお姉ちゃんを起こしガムを見せ付け、万引きしてきたと告げた。
人生始めての懺悔だ。
お姉ちゃんは何で盗んで来たか理由を聞いてきたが、それはそんなに重要では無かった為、適当に理由を付けた。
私が罪を作りお姉ちゃんは慈悲深い愛を持って私の相手をしてくれる。この時間が重要だった。
お姉ちゃんは大丈夫だよごめんねと言って私を抱き締めた。
肌でお姉ちゃんの愛を感じ取り、私は確信した。
罪を作れば求めていた愛を独り占め出来る。
罪を作りお姉ちゃんに懺悔する事で罪を作った私は絶対でいられる。だからこそお姉ちゃんは絶対と認識出来るようになり、私の中で大きな存在となる。
それから私ははお姉ちゃんに愛を求める為に罪を作り続けた。
-
乙
憂ちゃんいい病み具合だなw
-
主に万引きだったが自傷行為などもした。
手首にはうっすらとそのしこりがあり、触ると指先に確かな凹凸を感じる。
この傷が出来てからお姉ちゃんはよりいっそう私を愛してくれるようになった。
この事を友達の梓ちゃんに言うと私を避けるようになってしまった。
勿論、私がどうかしたと思ったのだろう長い間心配し何度も万引きを止めてくれたりしたけど私にはやめる気なんかなかった。
そしてとうとう梓ちゃんは私を避けるようになってしまった。
もう一人の友達、純ちゃんは学校に最近来なくなっていた。
家族がゼロ教会に入っていると言う噂は聞いていた。
その頃のゼロ教会のイメージは私の中では邪教。
悪い噂も沢山あった。
例えば純ちゃんがされたみたいに家族丸ごと取り込み。
そして、洗脳するという噂だ。
しかし、そんな事は全く無い。
言い方が悪いだけだ。
取り込みという言い方は違う。
望んで入ったが正しい。
洗脳という言い方は違う。
考えが変わったが正しい。
それもいい方向に。
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そして、私が罪を作り始めてから三ヶ月が経った。
街中で久しぶりに純ちゃんを見た。
募金活動をしていた。
私は久しぶりに見る友達に喜び長い間話た。
万引きしたスナック菓子とジュースを飲み食いしながら昔の話をした。
日が暮れて帰る時にケータイ番号を教えてもらった。
前のケータイ番号は変わってしまっているらしい。
今度、話したい事があるから電話してと最後に言われ私は家に帰った。
何時ものようにドアを開け、何時ものようにお姉ちゃんの部屋へ直行する。
しばらく立っていられなかった。
目を覆いたくなるような光景。
お姉ちゃんのながそでと真ん中にプリントされた青色のTシャツは血で紫色になっていて、横たわってるお姉ちゃんの右手首は血で地肌が見えない。
左手にはカッターナイフ。
私は狂ったよう叫んでいた。
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ここまでにします
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何か憂の病み具合に凄まじく力が入ってて、純も不幸で悲惨な終わりしか見えない。
ここから、もっと明るい展開があるのか?
できるならそうしてほしい。
-
この手の話だと純が引き止め役をやりそうだけど
純の方が先に墜ちちゃってるのか
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すぐに救急車を呼び、数時間後。
お姉ちゃんは一命を取り留めた。
一先ず入院する事になり、私とお母さんお父さんは家に帰る事になった。
もう、一度お姉ちゃんの部屋に入ると少しだけ鉄の匂いがした。
ふと目に入る。紙。
何気なく開いて見るとそれが遺書だとすぐに分かった。
『お母さんお父さんごめんなさい。
そして憂、ごめんね。
私には何も出来ない。
今まで憂がどんな理由で悩んでるのか分からないけど、私じゃ憂は救えない。
憂が色々な悩みをもって、そして私に救いを求めてたのは分かる。
そして、憂を何とか救おうと努力もした。
大学の友達の誘いも断りバンド活動も休止した。
とにかくどんなに大切な用事があっても毎晩、家に帰って憂に付き添った。
だけど、憂はまるで私の言葉を聞いていないかのように昔やらないような事も繰り返した。
あの日の事覚えてる?
憂の誕生日の日に私が倒れて海に行けなくなった事。
あの日から憂は悪い事やるようになったよね。
私が原因でやったの?
私が原因で自殺未遂したの?
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もし、そうなら直接そう言ってよ。
お姉ちゃんだってやりたい事もあるし友達とも遊びたいし、私の事を憂はどう思ってるのか知りたい。
だけど全然わかんないよ。
万引きしてくる理由もカナブンを殺して悲しかったからだとか、変なのばっかりで正直もう耐えられないよ。
本当の理由を話してくれても良かった。
ついこの間、大学で出来た新しい友達に絶好されちゃった。
放課後ティータイムのみんなにも、悪い事をした。
本当に耐えられないよ。
本当に。
昔みたいになりたいよ。
でも、もう私には何も出来ない。
もう疲れた。
だからごめんなさい。
みんなごめんなさい。
憂、私は怒ってるんだよ。
お姉ちゃん許さないからね』
間違っていた。
何もかも、私は間違っていたんだ。
私がお姉ちゃんの気を引く為にやった行動はお姉ちゃんの気を引かせ過ぎて交友関係も終わらせてしまい。
適当な理由を作って万引きしたのも、私が真剣に何かに悩んでそれを隠す為に嘘の理由を話したと誤解されてしまった。
ただ、お姉ちゃんの愛を独り占めしたかっただけなのに・・・。
お姉ちゃんは私の為に真剣に悩んで考えて私と向き合ってくれたのに、私は自分としか向き合ってなかった。
次はどうお姉ちゃんを独り占めするか、その事ばっかりでお姉ちゃんの事なんて考えてなかったんだ。
もう戻れない。
何もかも、私とお姉ちゃんはもう戻れない。
昔のようにはもう二度と。
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今日はここまでにします
-
すいません
今日はちょっと無理そうです
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無理はしなくても良いよ
期待してまってる
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う〜ん何か変な方向に進んでますな。
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この日から私は自堕落な日々を過ごしていた。
学校へ行かず家に引きこもり、お姉ちゃんが帰ってくると信じて待っていた。
でも、お姉ちゃんは帰って来なかった。
あの遺書を何度も読み返した。
読み返す度に最後の2行が私の心を何度も痛め付けた。
それから何日か経ったある日。
純ちゃんから遊びの誘いがあった。
何もやりたくなかった私は誘いを何度も断ったがしつこく誘ってくるので、仕方なく私は純ちゃんと久しぶりに会う事にした。
憂「そして、私は純ちゃんにこのゼロ教会の素晴らしさを教えて貰い。このゼロ教会への入信を決意しました。他人の為に尽くす素晴らしさ。他人の為なら自分はどうなってもいいと言う自己犠牲の美しさがこの教会にはあります。私はかつて姉を求めていましたが今はもう何も求めてはいません。信仰、希望、愛この三つの中で大いなる物が何か分かりますか?それは信仰です」
スピーチが終わり頭を下げると聞き入ってた者達を見る。
立ち上がり拍手する者、涙を流す者、寝ている者もいた。
まずは寝ている者から考えを変えさせなければならない。
変わらないのなら、無理矢理洗脳をさせなければならない。
かつては私もそうだった。
純「憂、この後すぐに募金の活動がある。一緒に来てくれると嬉しいんだけど」
憂「うん、いいよ。純ちゃん」
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Chapter7
ムカデ
唯「ここ?憂が募金活動している場所って?」
律「あぁ、たまたま通りかかったら憂ちゃんの姿が見えたから唯を呼ばなきゃと思って」
確かにそこには憂がいた。
何処か目が虚ろで、生気も無かった。
まるで、誰かに操られてるみたいだ。
澪「行くのか?」
唯「うん、久しぶりに会うから何て声を掛けたらいいか分からないけど」
律「唯、梓とムギが来るまで待とう。無理矢理連れ出そうとしたら奴らに捕まるぞ」
唯「うん、ごめん待てない」
律「そっか、じゃあ仕方ないよなー」
確かに私は怒っていた。
憂の事が嫌いになっていた。
だけど、憂があんな事になった今助けられるのは私しかいない。
澪「でも、髪の毛整えた方がいいんじゃないか?さっきまで歌って踊ってのは分かるけどさ、ボサボサだぞ男みたい」
唯「うんそうだね。そろそろ行く・・・?」
ナイフを持った男が募金活動をしているメンバーの内一人を刺していた。
唯「えー今から私が颯爽と憂を助けるつもりだったのに・・・。クール気取ってた私が馬鹿みたいだよ!」
律「やっぱりクール気取ってたのか、ほら逆にチャンスだよ。行ってこい!」
唯「うん!」
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サングラスを掛け、ボサボサの髪を靡かせながら私は男に向かって走り出した。
この男はきっと、この教会の被害者だろう。
気持ちは分かる復讐したいと言う気持ちは・・・。
ただ、そこには私の愛する妹がいるんだ。
やるなら他でやって欲しい。うん。
「ぐぇ!!!」
思いっきり体当たりを喰らわせた。
男は吹き飛び、衝撃でナイフを落とし倒れる。
純「捕らえて!!!」
他の教団員達が男を一気に取り押さえる。
唯「大丈夫?」
憂「は、はい。ありがとうございます」
唯「愛してる」
憂「はい?」
唯「愛してるよ」
憂「えっと、お名前は?」
唯「え、分からない?」
もしかして私を忘れてしまったの?
そう思って、ガックリと頭を下げる。
視線が捕らえたのは今私の靴に這い寄ろうとするムカデ。
唯「わぁっ!ムカデ!!!」
憂「ム、ムカデさん?ありがとうございます。ムカデさん!私も愛しています」
唯「え、いや、違う・・・」
憂「何でか、ムカデさんに会った瞬間。私、懐かしい気分になりました。それと、男の人に愛してるって言われるの始めてです!私もその・・・あ、教会にこの人連れて行かなきゃならないのでまた会いましょう!」
憂は私や電話番号を渡してどっか行った。
どっか行った。どっか行った。
唯「失敗した?」
澪「どんまい唯」
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ここまでにします
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とんでもないことになってるな。
憂が唯すら覚えてないというのは悲しい…
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[秋山澪]
地団駄を踏んでる唯を律が優しく宥めている。
律「しょうがないってもう3年も会って無いんだ。男と見間違うのはしょうがないしょうがない」
澪「まぁ髪もボサボサだもんな。でも、サングラスなんで掛けたんだ?」
唯「かっこいいから!」
かっこいいからか・・・。
唯らしい返答に吹き出しそうになる。
[田井中律]
律「ほら、帰るぞ唯」
唯「やだ!追いかける!」
律「ばーか、追い出されるのがオチだよ。例え憂ちゃんを救ったカッコいいヒーローだとしても奴ら余所者嫌うだろ?」
唯「でも、愛があればいいんだよ」
律「そうだな・・・。だから作戦を考えよう」
澪と一緒にうなだれる唯に肩を貸してやり、私達の家へと帰る。
[平沢唯]
失敗した。
しかも、この私を男だと思うなんて!
私の愛が足りないからこんな結果になっちゃったの?
憂。うーいー。
愛さえあれば憂を救えるよね?
憂。うーいー。
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三日間更新しなくてすみません
また、いつもの様に更新していきます
今日は疲れたのでここまでにします
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言い忘れました。
[平沢唯]
これからは、このようにキャラの視点が切り替わります
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色々複雑な展開そうなんで、疲れるのは分かります。
ゆっくり書いていってください。
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乙!
あせらずに書いて
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唯「うーーーいーーー」
梓「あ、唯先輩、おかえりなさい」
紬「どうだった?」
唯「ダメだったよ。しかも私の事を男だと思ってるみたい。それに惚れられたー」
梓「憂が唯先輩を?」
唯「うん」
紬「あ、唯ちゃん達の紅茶淹れてくるわねー」
律「おう、サンキュー」
[琴吹紬]
いつもの台詞を言って私は紅茶をすぐに用意した。
紙パックの紅茶だが、愛さえ込めればうんと美味しくなる。
紬「はい、どうぞー」
唯「ありがとー」
澪「ふーあったかいなー」
唯「うん。愛が沢山詰まってる。ムギちゃんありがとー私も何かお礼しなきゃ」
紬「ううん。いいのよ」
唯「ダメだよ!ほら、舌出して」
紬「えっ?舌?」
-
私は唯ちゃんに言われた通り、さっきまで飲んでいたレモンティーの風味が残っている舌を出す。
唯「噛んであげる」
紬「えっ・・・?」
噛む?何を?
すぐに、その言葉の意味が分かった。
私の舌に唯ちゃんは甘噛みをした。
鼻と鼻がくっ付いて、舌に上唇の下唇の柔らかい感触。
突然の事で感覚が麻痺していたが、舌先を舐められてる。そう脳が処理した瞬間、全身に電撃が走る。
頭からつま先へ、つま先から頭へ。
その電撃は唯ちゃんがキスを終えるまでずっと続いていた。
唯「ムギちゃん美味しいー」
紬「ゆ、唯ちゃん・・・」
梓「な、何してんるんですか!?ハレンチです!」
唯「ん・・・そうだねーじゃあ私はもう寝るねー」
唯ちゃんは私に微笑んで自分の部屋へと帰って行った。
澪「だ、大丈夫か?」
紬「え、えぇ・・・」
まだ頭がぽーとしていたのは内緒だ。
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迷走してきた?
いや、これこそけいおんSSの展開か…
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まだ?
-
[中野梓]
愛が無ければ私は何者でもない。
これは、唯先輩が口癖のように言っている言葉だ。
でも、今は愛と言う物がどう言う物か分からない。
昔。憂が宗教にハマる前のバレンタインの日、澪先輩にチョコレートを渡した事がある。
だけど、純もチョコを渡す予定で純のチョコは私のより少し大きくて形も綺麗なハートの形だった。
凝る時は凝るんだ純は。
私のと言えば小さいし形も歪だしとても自信作と言える物でも無かった。
なんで愛を込めて作ってるのに、なんで上手くいかないんだろう?
昔は愛と言う物が感覚的に理解出来ていた私は純のチョコより私のチョコの方が愛が詰まってると思っていたが、純のチョコを見る度に打ちのめされていた。
いざ渡すとなった時。
純は簡単に渡していたが、私は外面的な恥ずかしさと内面的な恥ずかしさが押し寄せ渡すのにかなり手こずった。
澪先輩は幾つかチョコを貰っていたが、やっぱり純のチョコが一番綺麗だった。
私のチョコはと言えばチョコの山に埋もれて何処にあるのかさえわからなかった。
私は渡さなきゃ良かった。
そう口にした隣にたまたま憂がいた。
聞こえてたみたいで、憂は嫉妬してるの?
そう言われた。
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続き、待ってます。
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[平沢唯]
海がいい。
もし全てが終わって憂も昔のようにまともになってもう大丈夫と思った時は憂と海で何かを語り合いたい。
語り合う内容は何でもいい。
海が重要なんだ。
ラストシーンに海が出てくる映画はいい映画が多い。
私達もこの姉妹喧嘩の最後を海で終わらせたいんだ。
あの日。
憂が全てを投げて宗教にハマった時。
私も全てを投げて憂を救うと誓った。
澪「入るぞ」
唯「どーぞー」
澪「相変わらず汚い部屋だなぁ・・・掃除しろよ」
唯「大丈夫!何処に何があるかぐらいは分かってる!」
澪「ふぅーん。よくこの部屋で物を無くすのは誰だっけ?」
唯「澪ちゃんそんな事で私のとこ来たんじゃないでしょー?何か用?」
澪「明日、会い行くつもりだろ」
唯「そう、私の愛する妹に男に変装して会いに行くよー」
澪「あの宗教に家族がハマって底の底まで落ちた人が何人かいるだろ?」
唯「あーいるねーいるいる」
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澪「やっぱりその人達も家族を救う為に頑張ったけど救えなかったみたいだぞ」
唯「へーつまりこう言いたいの?失敗するってそれはやってみなきゃ分からないよー」
澪「やってみなきゃ分からない事よりやってみて分かる事の方が大事だろ?」
唯「ダメ!予定変更。あの計画は最後の手段だよ!」
澪「はいはい分かった分かった」
[琴吹紬]
唯ちゃんは女ったらしだ。
可愛い時は可愛いくなってカッコイイ時はかっこ良くなってエッチな時はエッチになる。
臨機応変に全ての女の子を堕とす小悪魔だ。
ついさっきも私にディープキスなんか!
心は憂ちゃんに向いているのに・・・すぐ誰かの愛を求める。
だから私も今は唯ちゃんの愛を求めたい。
紬「唯ちゃん入るわねーあのーさっきのなんだけどー・・・」
唯「んふふ。澪ちゃんやっぱりおっぱい大きいね」
澪「あっ!さ、触るな!」
唯「あ、ムギちゃん!」
紬「あ、あらあら・・・見てもいい?」
唯「いいよー。ほら澪ちゃんもっと寄せて」
澪「や、やめろー!もう行くからな!!!」
-
[平沢憂]
憂「ふふっ。ムカデさんカッコ良かったなぁー」
彼の事ばかりを思いだす。
ボサボサの髪、優しい目、温かな雰囲気、私を救ってくれたムカデさん。
名前に難があるけどもう私は彼の事しか考えられない。
憂「そうだ。ムカデさんにもこの宗教に入って貰おう!」
美しい物は皆で分け与えて行かなくてはならない。
和「憂、入るわよ」
憂「あ、和ちゃん!どうしたの?」
和「どうしたのって、私達は同じゼロ教会の幹部でしょ。ゼロ様に捧げる募金活動のミーティングに来たんだけど」
憂「あっそっかー。入って入って」
和「で、どうすればいいと思う?」
憂「私、恋したみたい!」
和「へーそうなんだ。で、どうすればいいと思う?」
憂「和ちゃん聞いてよー」
和「はいはい。で、誰に恋したの?」
憂「ムカデさんって男の人!」
和「便利な名前ね。親の知能レベルがすぐ分かる」
-
憂「もー名前なんてどうでもいいじゃん。大事なのは性格だよ?」
和「そうね。でも一回会っただけでよく性格なんかわかったわね」
憂「わかるよー。あの人は凄く暖かくて優しくてかっこ良くて・・・良い所ばっかりなんだよ!一回会っただけですぐわかったよ」
和「ふーん。昔、唯にも同じ事を言っていたわね」
憂「お姉ちゃん?お姉ちゃんはもういいや。私もうお姉ちゃん離れしたもん」
和「そう・・・」
憂「ちょっとごめん電話。知らない番号だ・・・誰からだろ?」
和「出たら?大事電話かも知れないし・・・じゃあ今日はもう寝るわね。おやすみ」
憂「うん、おやすみ!・・・はいもしもし」
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少しずつでもいいから書いていって。
どんな方向に行くか楽しみにしてます。
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【平沢唯】
ワンコール目。
心臓がドクンと跳ねる。
ツーコール目。
頭が真っ白になる。
スリーコール目。
憂は電話に出た。
憂『はい、もしもし』
唯「こ、こんばんはー」
これは、憂をあの愛無き宗教団体から連れ戻す最初の段階。
憂は私の事を悪者から救ってくれた白馬の王子様だと思っている。
これを利用して憂に近付き連れ戻す。
惚れた男の言う事ならある程度の言う事は聞くだろ。
そうりっちゃんが言っていた。
彼氏なんていたことない癖に。
でも、確かにそうだ。
好きな人の言う事なら期待に答えたくなる。
それに、憂はあの忌々しい宗教団体に完全に入れ込んでいる。
だったら、私は王子様になり切り私に入れ込ませればいい。
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憂『あの誰ですか?』
私は咳払いし、声を男っぽく作る。
唯「俺だよ俺」
その作った声はお腹を膨らませ、体中に響き骨を微かに震わせた後、口と耳から音が抜ける。
こんな酷い声は世界中探したって見つかりっこない。
憂『あの、詐欺もいいですけどもっと打ち込める物もありますよ。私、実はゼロ教会の幹部なんです。世間一般では悪どい宗教って言われてますけど、そうじゃ無いんですよ』
唯「ムカデだぜ!!!」
憂はどうやら相当あの宗教にお熱らしい。
しかも、幹部だって!
憂を連れ戻すのは思ったよりも苦戦しそうだ。
憂『えっ!?ムカデさん!?』
唯「おう!」
男声を作り妹と電話する姉。
その男声の主を姉とは知らず意中の男性と思い声色を弾ませる妹。
どちらもとてもマヌケだ。
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再開お疲れ様です。
展開としては難しいと思うけど、期待してます。
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次の再開待ってます。
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毛色が変わってるので、面白い。
このまま終わらせるのはもったいない。
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