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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part14
1■■■■:2011/01/09(日) 19:51:03 ID:BfXkRA1c
上条さんと美琴のSSをじゃんじゃん投下していくスレです!
別に上条さんと美琴だけが出てくるスレじゃありません。
上条さんと美琴が最終的にいちゃいちゃしていればいいので、
ほかのキャラを出してもいいです。そこを勘違いしないようにお願いします!

◇このスレの心得
・原作の話は有りなのでアニメ組の人はネタバレに注意してください。
・美琴×俺の考えの人は戻るを押してください。
・このスレはsage進行です。レスする際には必ずメール欄に半角で『sage』と入力しましょう。
・レスする前に一度スレを更新してみましょう。誰かが投下中だったりすると被ります。
・次スレは>>970ぐらいの人にお願いします。

◇投稿時の注意
・フラゲネタはもちろんNG。
・キャラを必要以上に貶めるなど、あからさまに不快な表現は自重しましょう。
・自分が知らないキャラは出さないように(原作読んでないのに五和を出す等)。
・明らかにR-18なものは専用スレがあるみたいなのでそちらにどうぞ。
・流れが速い時は宣言してから書き込むと被ったりしないです。投稿終了の目印もあるとさらに◎。
・ちなみに1レスの制限は4096byte、行数制限は無い模様。

◇その他の注意・参考
・基本マターリ進行で。特に作品及び職人への過度なツッコミや批判は止めましょう。
・クレクレ(こうゆうのを書いてください)等はやりすぎに注意。
・読んだらできれば職人にレスしてあげましょう。職人の投稿するモチベーションを維持できます。
・誰か投下した直後の投下はできれば控えめに。
・倫理的にグレーな動画サイト、共有関係の話題はもちろんNG。
・書きたいけど文才無いから書けないよ!
  →スレの趣旨的にそれでも構いません。妄想と勢いでカバー(ネタを提案する程度でも)。

◇初心者(書き手)大歓迎!◇

前スレ
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part12
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1281121326/

まとめページ
とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫 / 上条さんと美琴のいちゃいちゃSS
ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/81.html

まとめページの編集方針
ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/213.html

スレのテンプレ
ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/82.html

2■■■■:2011/01/09(日) 19:51:44 ID:BfXkRA1c
■過去スレ
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1256470292/
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part2
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1262324574/
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part3
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1264418842/
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part4
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1265444488/
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part5
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1266691337/
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part6
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1268223546/
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part7
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1269624588/
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part8
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1271074384/
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part9
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1272858535/
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part10
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1274888702/
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part11
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1278386624/
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part12
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1281121326/

■関連ページ
とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫
ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/
とある魔術の禁書目録 Index
ttp://www12.atwiki.jp/index-index/
御坂美琴まとめ Wiki
ttp://wikiwiki.jp/misakamikoto/

■関連スレ
上条当麻×御坂美琴 専用雑談スレ 追いかけっこ2日目(感想スレ)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1274286031/
とある魔術の禁書目録 自作SS保管庫スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1263738759/
とあるSSの禁書目録 PART9
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1280227550/
上条さんと○○のいちゃいちSS
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1269574273/
【とある魔術の禁書目録】御坂美琴と101匹ゲコ太
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1287242178/
【とある魔術の禁書目録】上条当麻殺した幻想12個目
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1286725037/

■関連スレ(R−18)
上条当麻×御坂美琴 いちゃエロスレ 2ふにゃー
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1279978000/
禁書でエロばなし
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1137215857/
【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 29フラグ目
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1285307937/

3■■■■:2011/01/09(日) 20:03:29 ID:BfXkRA1c
>>2に追加

■過去スレ
上条さんと美琴のいちゃいちゃSSpart13
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1287267786/l50

41-879@まとめ ◆NwQ/2Pw0Fw:2011/01/09(日) 21:28:04 ID:Q5YSNwBc
>>1
保管庫にあるテンプレ使わなかったのか。

■関連スレ
【とある魔術の禁書目録】御坂美琴の想い輝け122
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1294484702/
【とある魔術の禁書目録】上条当麻の17い世界
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1294485422/

■関連スレ(R−18)
【とある魔術の禁書目録】鎌池和馬総合 31フラグ目
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1292488980/

5■■■■:2011/01/09(日) 22:28:59 ID:0QIboBi2
美琴スレと同じ現象が・・・

とりあえず現行スレに貼る位して下さい

6■■■■:2011/01/09(日) 23:10:25 ID:fFeOCTB.
>>1
上琴厨に癒しを与えてくれる職人の皆様に感謝します。

7■■■■:2011/01/09(日) 23:34:40 ID:BfXkRA1c
申し訳ないです…orz

8■■■■:2011/01/09(日) 23:48:23 ID:E6AUEKUU
すごいですね〜

9■■■■:2011/01/10(月) 00:57:23 ID:uXSn92/o
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        ∧. . .\. . . . . {__,〉. 从    乂ツ 〉  ∨}Ⅵ : : : : .
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      〉‐|/. . . . . . . 〈/ /. (}.!! 人 `マ 7   /i:「!:|\: \\\)
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        >v、)\. . . . . . . ∨. . . .()ヘ 〈. . . i厶         、.
      ,j ノ i. . . .\. . . . . . `ーv. . . . い.__「        }  ∧ヽ
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     \ //   \. . . . . `. . . 、 . ` く___   > ∠ノ\  人 レ')‐‐ .
         L!     \. . . . . . . . . . . . . . `ヽ   /| |ヘ  \ /厶ノ 〈
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           \`'ー< . . . . . .、____. . . . . . . . . . . . . . . . ,    __,ノ \_____
             ∨. ./. . . /. . . . (). 「 ̄`マ. . .、. . . . . . /‐ <   、\ マ  `ヽ
             ∨'. . /. . . . . . . ./j/   >、. \`'ー'′     }  ∧ 〈‐‐  -ヘ
              〈. . ./. . . . . . . . . , !/ /  \.{\         / /   }     \
              ∨.′. . . .7. . ./ .; /      〉 ∨二    く    :`'ー‐‐‐ ‐ヘ
              l/. . . . /. . . .  .′       /{ \}           ∧  ___   }
              {/ . . . . . . /  ,          〉  |\          〈. \     /
               / . . . . . . . /  ′ ∠    /∧ ,ハ  `T  、  / \  ヽ _,/            >>1乙〜!
            / . . . . . . . . ∧  /‐‐‐―‐‐ ´ イ. . |/  .  |   |\〈   \ヽ. /
            \. . . . . . . . . .〉.:′ ̄ ̄. . . . . 〉.∨..| i  ∨.:′ |  } /i_)/
              `  、. . . . . .}. . . . . . . . . . /∧.}.〈, |____ }   ./  {,/   /
                  \ ̄. . . . . . . . . . . /.//. . . . ∧|)___/}7___j   . ′

10トンマ:2011/01/10(月) 06:01:27 ID:PmQy5r8s
始めましてトンマです。 
いつも皆さんのSSを楽しく読ませていただいてます。

真に恐縮ながら自分も書いてみたいと思ったので書いてみました! 
タイトルは「恋と嘘と信頼と」です
皆さんのストレートな意見が聞きたいのでビシバシ指南していただければと思います。


被らないようであれば6:10頃から投稿させていただいてもよろしいでしょうか?

11恋と嘘と信頼と1:2011/01/10(月) 06:11:26 ID:PmQy5r8s
[恋と嘘と信頼と]

「アンタみたいな役立たず要らないの。もう私に近寄らないで。」
一体何度この嘘を使って自分の周りの人間を偽り、拒絶し、失望させただろう? 
常盤台中学3年生、Lv.5のエレクトロマスター、超電磁砲の御坂美琴は長い欠席のため学校から進級試験を言い渡されたが、
先月丸一日掛かるはずの試験を難なく午前中に終わらせ、今日始業式を迎えた。
始業式の後、数人の教師から「よく頑張った」と褒められたが、一人として生徒が声を掛けることは無かった。
しかしそれは今に始まった事ではない。実はここ3ヶ月ほど教師や親、妹達以外で美琴に声を掛ける者など居なかった。

半年前、世界を巻き込んだ戦争はとある少年の活躍により事実上終結したものの、美琴は行方をくらませたその少年のためにミサカ10777号とロシアに残り捜索を続けた。
途中、打ち止めや番外固体と合流し捜索を続け2ヶ月が経った頃、学園都市で捜索の協力をしていた妹達から「ハッキングによりある情報を見つけました」と報告が入る。
そしてその情報を見た美琴はある決意を胸に秘め一度学園都市に戻る事になった。 

始業式の後、美琴は一人で学校を後にし今はビルの屋上の手すりに寄りかかりながら茜色に染まり始めた第7学区の町並みを眺めている。
そしてそのままポケットに片手を入れ小さなプラスチックの塊を握り締めた。それはもう長い事会っていないとある少年との唯一形のある思い出だった。
これを凍り付いた海から拾い上げて半年間、肌身離さず持っていたが未だに拾った時の様に冷たく感じて、それがあの時から何も変わっていないかの様に思わせる。 
だがそれも今夜で終わらせる。美琴は足元に置いた薄っぺらい学生鞄とスポーツバッグを取り空を見上げた。
「まったく、まだやる事ってどんだけ時間が掛かってるのよ。・・・・・いいかげん声ぐらい聞かせてもらうからね・・・・」
そう呟き、手すりに手を掛けて飛び越えようとする。美琴は磁力を操る事が出来るので20階建てのビルからでも階段を使わず楽々降りることが出来る。 
足に力を入れ一気に手すりを飛び越えようとした時、後ろから「カツッ」っと靴が地面を叩く音がした。 
美琴はそのまま振り返らずに動きを止める。 
「ジャッジメントですの!ここに不法侵入者がいると通報を受け・・て・・・・・・・・御坂さん?」
ズキンと美琴は痛みを感じた。振り向かなくても声ですぐ解る。かつてのルームメイトで元パートナー、誰よりも美琴を慕っていた後輩、白井黒子だ。
自分でそうさせたにもかかわらず、未だに苗字で呼ばれると距離を感じてしまう。
美琴が無言で唇を噛み締めているとガバッっと急に黒子がしがみ付いて来た。
「な!何をしようとしていますの?!ダメです!死ぬなんて!約束したでしょう!?グズッ わだぐじも強くなるって!!あなだの力になれるように強くなるって!!ウエッ だからそんな事はじないで下さいでずの!ヒック お姉さま!!」
黒子のしゃくり上げる声を聞いて美琴は心の中で温かい物を感じた。
まったくこの子は何を勘違いしてるんだか・・・・でも・・・・・「お姉さま」か・・・まだそう思ってくれているのね。
こぼれそうになる涙を必死に堪え美琴は振り向かずに声を掛けた。
「大丈夫よ 黒子」 
「え?」
フッと黒子の力が抜けたその隙に美琴はスっと黒子の腕からすり抜け手すりを乗り越えビルから飛び降りた。 
番外固体に教えてもらったように、着地地点近くにあった風力発電機に磁力で自分を引き寄せ軽やかに着地するとそのまま振り向かず夕日を背に走り去った。

12恋と嘘と信頼と2:2011/01/10(月) 06:16:53 ID:PmQy5r8s
「あっ!!」
黒子が急いで手すりから下を見下ろすと美琴が走り去って行くのが見えて軽く溜息を吐く。
それは美琴が無事だった安堵と美琴の発言による困惑が入り混じった溜息だった。
黒子はポケットから携帯を取り出すと電話を掛ける。
『あ!白井さんですか?!丁度良かったです。やっと監視カメラのノイズが取れたところだったんで』
「初春。監視カメラで何か見えましたか?」
『いえ。ノイズが酷くて、やっと映るようになったと思ったら白井さんしか居ませんでした。そっちは誰か見ましたか?』
「いいえ。誰も居ませんでしたの。多分電波障害か何かでしょう。アンチスキルに連絡するほどでもないでしょうけど、一応周辺を見回りしておきますわ」
『解りました。では気を付けて帰って来てください』 
「ええ」
黒子は電話を切ってポケットに仕舞って先ほど美琴が居た手すりに寄りかかりながらまた溜息をついた。
「お姉さま・・・・・」
さっきの声はなんだったのか?黒子は考える。あの声は久し振りに聞いた声だった。そう美琴が2ヶ月半ほど失踪する前、まだ拒絶される前の声だった。
美琴が学園都市に帰って来てから、最初に聞いたのは自分が彼女に必要とされて無く、ただの足手まといだと言う拒絶の言葉だった。
その時初めて彼女から逃げ出した。一晩中誰も居ない公園で泣いたのを覚えている。それからというもの、美琴はずっと自分に冷たかった。
最初は嘘だと思い、何か秘密があるのではないかと聞いてみたが「アンタに何がわかるの?」「話しかけないでよ」「うるさい」などと拒絶される一方で、本当に自分が足手まといだったんじゃないかと思って自ら身を引いた。
しかしさっき聞いた声は今までとは違った。思いやりのあるやさしい声だった。どうして今更そんな声で話しかけてくれたのか。
黒子にはわからなかった。
ピロリロリン 黒子が思いふけっていると携帯からメールの着信音が聞こえたのでポケットから携帯を取り出しメールを開く。
_________
From:御坂美琴
Re:お願いします

大丈夫。 
必ず帰ってくるから
そのときは話させて
_________


「え?」
黒子は驚いた。なぜならそのメールはもう返信される事は無いと思っていたからだ。

13恋と嘘と信頼と3:2011/01/10(月) 06:17:54 ID:PmQy5r8s
今年に入って1ヶ月が経った頃、急に美琴が「勉強に集中したい」という理由で寮監に一人部屋にしたいと言い始めた。
学校側も美琴の勉強のためになら、と一人部屋を承諾した。
黒子は部屋が別々になってしまったらもう和解する事は出来なくなってしまうと思ったが直接話しても相手にしてくれないと思い、意を決して「本当の理由を聞かせて下さい」とメールで聞いた。
翌日美琴にメールを読んでくれましたか?と聞いてみたが「え?メール?見てない、てか着拒してるし」と返事をされ、それ以降美琴を「お姉さま」と呼んだり必要な時以外話しかけるのを止めた。
やっぱり何か違う理由があったんですね・・・お姉さま! 
パタタッと涙が手すりに落ちる。そして気が付いた。手すりには白くて丸い、まるで塩水を乾かした様な跡が無数にある事を。
「まったくバカですわね。パートナーを信用出来ないなんて」
黒子は思った、どうして信用出来なかったのか?と、どうして勝手に決め付けたのか?と、どうして「自分は役立たずだ」と諦めてしまったのか?と。
「後悔なんて後でいくらでも出来ますわよね・・・お姉さま」
そう言うと黒子は携帯を取り出しリダイアルボタンを押して電話を掛けた。
『はい。どうしました?白井さん』
「初春!!先ほどの監視カメラを中心に半径5km以内のカメラの5分以前からの映像にサーチを掛けて!!今すぐですわ!!」
『ひゃい!?急にどうしたんですか?ていうか誰をサーチするんですか?』
「きまっていますわ!お姉さまですの!」
『お姉さま・・・って御坂さんですか!!仲直りできたんですか!?』
「いいえ!これからしますの!!だから急いで!」
『わかりました!5分ほどで出来るので見つけたら連絡します!』
ピッ
黒子は電話を切り群青色になった東の空を見る。
「お姉さま、もうわたくしはもう逃げません!」
そして美琴が走り去った方向へ瞬間移動した。

14恋と嘘と信頼と4:2011/01/10(月) 06:27:22 ID:PmQy5r8s
「意外と遅かったですね。なにか問題でも?、とミサカは少々溜息交じりで呟きます」
「ごめん。ちょっと色々あってね。虫の方は大丈夫?」
美琴は第16学区にあるホテルの一室に入りミサカ10032号と合流していた。
「既にジャミング電波を発信していますので盗聴の心配はありません。まずはこの間渡した服に着替えて下さい。しかし、お姉様は最近ルーズすぎます、とミサカはやれやれという感じで愚痴ります」
「愚痴こぼせるならそろそろ社会勉強は必要なさそうね。こっちは大丈夫、問題ないわ」
美琴はスポーツバッグから黒い服を取り出しながら話す。
「そうですか」
そう言いながら御坂妹はテーブルに大きな紙を広げた。
美琴は御坂妹から貰った黒いジャージの上下に着替え終え、ニット帽を被りながらその紙に目を落とすと御坂妹は口を開いた。
「ではブリーフィングを始めます。これが地下施設の見取り図です。ここが港でこのA地点深度約15mから巨大な地下水道が続いています。長さはおよそ800m。そして地下水道の突き当たりの真上に巨大冷凍倉庫がありますがこれ

は倉庫ではなく潜水艦用のドッグ兼研究施設への昇降機だと思われます。この倉庫をB地点としそこから北西へさらに530mほど地下施設が続いている事がわかりました。さらに張り込みの結果、作業員に偽装した研究員が数人

出入りしている事がわかりましたので研究施設と見て間違いないでしょう。そしてこのC地点から奥に10mほどの所に目標があると思われます。」
御坂妹は淡々と説明しながら紙に赤いマジックで書かれたアルファベットを指差していく。
「よくこんなに詳しく調べられたわね」
美琴は関心しながら声を漏らす。
「ソナーの原理を利用して大体の構図を解析し、その後工作員として忍び込みました、とミサカは説明します」
「え?侵入出来たのにどうしてアイツを助け出さなかったのよ!!」
美琴は声を張り上げた。
「私たちはチームワークがあっても個々の戦闘力はそれほどありません。なので彼を発見出来たとしても彼を連れて施設外に脱出するにはリスクが高すぎたのです、とミサカは自分の非力さを悔やみます」
「なるほど。じゃあ今回は私がいるから救出できるってわけね。」
「はい。今回は偵察ではないので人員を増やせます。ルートは3つ用意しました。侵入はB地点から10人。青、緑、橙のルートでC地点に向かいます。
このライン上のセキュリティだけを解除しますのでこれ以外のルートは使わないで下さい。基本はスリーマンセル、お姉様だけフォーマンセルで行動してください。
最短ルートの青と最長ルートの橙を私たち、お姉様は中間距離の緑のルートを使って下さい。作戦開始は21:45。開始と同時に先ずA地点の水道を爆破して封鎖します。
その後お姉様と私たちは昇降機より施設内に侵入。残りは施設外からの監視とセキュリティの解除、通信妨害、破壊工作、増援の阻止などをします。」
「随分と忙しそうね。大丈夫?」
「問題ありません。施設外は36名で担当するので人手は足ります。とにかくお姉様はC地点に行く事だけに専念してください。そこで一番最初に付いたチームが10分だけ待ちます。
他のチームと合流したらそのまま目標を救出した後脱出して下さい。」
「わかったわ」
「では。派手に行きましょう、とミサカは興奮を抑えられずにニンマリします」
「ええ。ここまで来るのに半年も掛かったけど、これで終わらせるわよ」
そして二人は部屋を後にした。

15トンマ:2011/01/10(月) 06:30:33 ID:PmQy5r8s
え〜 ここまでが前半って感じです。
中途半端で申し訳ありません。
後半は後ほどあげます。

16■■■■:2011/01/10(月) 08:26:53 ID:fZngQpdE
>>15 GJ!最初の10数行で泣きそうになりました。これは期待せざる負えません!

17■■■■:2011/01/10(月) 08:43:32 ID:1qBMiHl6
なぜここで切った…
続きが気になって仕方がない…

18■■■■:2011/01/10(月) 09:29:48 ID:CSWjNgjA
>>15
もっと改行を入れると、読みやすくなるかも。

   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) Good Job!!
フ     /ヽ ヽ_//

19■■■■:2011/01/10(月) 18:59:20 ID:u2JKi5vo
みんな〜1円だってお(´・ω・`)
ttp://t65.pupu.jp

20:2011/01/10(月) 19:22:07 ID:Nu.jrUC.
こんばんは。
昨日の続きを投下しにきました。
五分後から8レス消費です。

21【side by side】―あれから一週間―(41):2011/01/10(月) 19:27:03 ID:Nu.jrUC.
 ―――そうこうしている内に、やっと上条の高校の学生寮が見えてきた。
 日も落ちてゆき、次第に辺りも暗くなり、今日という一日ももう終わっていく。
 そこで上条は今日という一日を振り返る。
 今日は朝からいいことはなく、久々に不幸なことばかりだった。
 朝は、今隣で何やら鼻歌を歌っている彼女とのキスシーンを舞夏に見られた。
 午前中の授業から楽しみだったはずの昼休みでは、元同級生で友人の土御門と青髪ピアスに朝でのことや彼女の存在がバレてボコられた。
 その後は後で、昼間の二人から元同級生達に留年や彼女等諸々のことがバレて襲撃受けた。
 そして極めつけには今隣を歩く彼女と単なる追いかけっこをするつもりが、命懸けを追いかけっこをするはめになった。
 本当に、不幸で疲れた一日だったと振り返る。
 しかし、不幸ながらもこの先についての光明を得ることもできた一日。
 そう思うと、なかなかに悪くない一日であったようにも思えてくる。
 上条はちらりと隣を歩く美琴に視線を移した。
 実は先ほど、歩く速度を少しだけ速めたことで遅れた彼女が、途中から隣に移動してきた彼女を気遣い、少し歩く速度を落としていた。
 その事実に知ってか知らずか、当の美琴は何やら考え事をしているらしく、頭に手をあて『あれ…じゃないわよね?じゃああれかな?いやでも…』などと上条には意味不明なことをブツブツ呟いている。
 超能力者で元常盤台のお嬢様のお考えは未だによくわからない。

(ま、いいか。こいつはこいつで最近楽しそうだし)

 美琴が魅力的な女の子であることは昔からわかってはいた。
 わかってはいたが、上条はここ最近においてその魅力にさらに磨きがかかっているように感じていた。
 再開した一週間前にも感じたことなのだが、それでもあの時とも比べものにならない。
 ……いや、今現在の隣の美琴の方が本来の彼女なのかもしれない。
 今思えばあの時の彼女は今と比べて少しやつれていた。
 それは恐らく長い間上条と会えなかったことによるストレスによるものだろう。
 しかし一週間前、美琴は念願の上条との再開を無事果たし、今日まで二人の生活を満喫している。
 大好きな人、愛する人といつも一緒にいられるということはこんなにも女の子に変化を与える。
 敢えて言うのであれば、髪や肌に艶がでてきて、上条が何気なしに美琴を見たときには妙にドキッとくる時さえある。
 まだ子供っぽさが残っていた行動や雰囲気、そして身体の方も、徐々に大人のそれに近づきつつあるのだ。
 時は確実に進み、彼女はそれにつれ、上条が気がつかないうちにどんどん変わっていく。

(じゃあ、俺は…?)

 その時間の流れにのって、自分もまた変わっているのか。
 時々上条は、自分だけが変わっておらず、変わっていく世界から取り残されていってるような錯覚に襲われることがあった。
 そのたった一つのことが苦しくて、思い悩んでいたこともあった。
 しかし、変化というものは、成長期の外見の変化ならいざ知らず、それ以外の変化については大抵の場合、勝手に起こるものではない。
 変化は外からの刺激を受け、自分から何らかのアクションを起こして訪れるもの。
 何かのきっかけがあるから人は変わってゆく。

22【side by side】―あれから一週間―(42):2011/01/10(月) 19:27:29 ID:Nu.jrUC.

 それが良い方向への変化なのか悪い方向への変化なのかは別にして。
 だから上条は今日を通じて一つの決意をした。
 変わりたい、自分に何らかの変化を起こすなら、考えるだけでなくそれを実現することができるような行動を起こそうと。
 それを支えてくれるはずの人なら、今隣を歩いている。
 きっと彼女なら…
 やるべきことが見えてからはモヤモヤしていた心の中がスッキリした。
 心の中がスッキリしたら、上条は空腹がより感じられた。
 あまり防犯の役に立ってるのかどうかわからない学生寮のエントランスを抜け、お世辞でもあまりきれいとは言えないエレベーターに乗りこむと、階のボタンを押して目的の階へ向かってエレベーターは動きだす。
 上条の部屋は今や二人のもう目と鼻の先。
 上条にとって、夕食も今や一日の楽しみの一つ。
 偶には自分でやるとは言いつつも、ここ一週間で毎日、今彼の隣にいる美琴によってその意見は退けられていた。
 そのためここ一週間の炊事一切を任せてしまい、多少の罪悪感は感じてはいる。
 しかし彼女の料理は贔屓目なしで純粋に美味い。
 だからついつい彼女の好意に甘えてしまい、彼女の料理が食べられる夕食も自然と一日の楽しみになった。
 エレベーターが止まり、目的の階への到着を知らせる人工の音声が流れると、上条の部屋へはもう一直線。
 二人は手を繋ぎ、部屋への直線通路を通り抜けて部屋の前に立つ。
 そして最後は部屋の鍵を開け、上条は自分の部屋のドアを開け放った。




 同日21時、上条宅

「―――で、何なの?改まって話なんて」

 今日はいたって平凡な夕食を美琴は作った。
 出来は美琴にとってはそこそこの出来ではあったが、そこはやはり上条はうまいうまいと言いながら美味しそうに食べていた。
 夕食を済ませると、彼女は夕食の片付けをして、その間特にこれといってやることのなかった彼はお風呂に入った。
 そして美琴が後片付けを終えて、テレビでも見もってゆっくりとしていたところで上条がお風呂からあがると、彼はちょっとだけ外出てくると言って、本当にものの五分ほどで戻ってきた。
 そしてその後、上条の方から『話がある』と真剣な表情をしながら美琴に話をもちかけ、今へと至る。
 今はベットの前に置かれているガラステーブルを挟んで、美琴はベットにもたれかかりながら座り、上条はその向かい側で座っているという図だ。

「えっとだな……その、なんだ」
「話があるって切り出したのはアンタの方でしょ?そんなおどおどしてないではっきり喋りなさいよ?」

23【side by side】―あれから一週間―(43):2011/01/10(月) 19:27:47 ID:Nu.jrUC.

 正直な話、彼の方から真剣な表情で話があると言われた時は少し驚いた。
 彼は自分に対しては『もっと人を頼れ』、『相談があるなら遠慮なくしろ』などと言うくせに、彼の方から相談事などはあまりしてこないからだ。
 そんな彼から、話があるという申し出。 それがどういう内容なのかはまだわからないが、悪い話でないことだけを願う。

「別に話があるっていうか、聞いてもらいたいことなんだけどな。……まぁ、今後のことについて」
「…………今後のこと?」
「あぁ。……って、別に俺がどっかに行くとかの暗い話じゃないし、美琴にとっても悪い話じゃねぇよ。だからそんな顔すんなって。ちょっとした決意表明ってやつかな?」
「あ、あぁ、そうなの?……それを先に言いなさいよ、ばか…」

 ボソッと、彼に聞こえるかどうかの声量でそう呟いた。
 今後のことについての話。
 それを聞いた瞬間は一瞬背筋が凍った。 彼が察した通り、彼がまたどこかへ行ってしまうのではないかと思ったから。
 他の人なら冗談で済むかもしれないことも、彼が相手では冗談では済まない。
 結果的にそれが表情にでて、彼にそれを感じとったようだが、先にそれは言ってほしい。
 一瞬、本気で心配した…

「……それで?その決意表明って?」

 小さく『わるい』と、申しわけなさそうにしている彼に話の続きをを促す。

「えっと……笑うなよ?」
「アンタは真剣なんでしょ?なら私はそれに応えて真剣に話を聞く。それだけよ」
「そっか……そうだよな、お前はそういうやつだよな」

 それを聞いて一安心し踏ん切りがついたのか、彼は一呼吸おいて、

「俺……勉強、ちゃんとしようかなと思ってるんだけど」
「……………………はぃ?」
「いや、だから勉強をちゃんとしようかなと」
「…………………えーと?」

 あまりに予想外すぎる、というか寧ろあまりに彼らしくない話題に、つい間の抜けた声が漏れた。
 彼は彼自身が生まれつきから持っている能力や才能などの、先天的なことを理由に勉強については常々不満をもらしていた。
 面倒くさいだの、どうせ右手があるから能力開発は意味がないだの、やったところでできないだの。
 彼の今までを顧みるに、勉強はできることならやりたくないが彼の本音だったはず。
 それがどうだ、今彼は勉強をちゃんとやると言った。
 それもここまで改まって、ここまで真剣に。
 状況を考えてまず間違いなく真剣な話なのだろうが、どうしても冗談に聞こえてしまう。

24【side by side】―あれから一週間―(44):2011/01/10(月) 19:28:08 ID:Nu.jrUC.

「えっと……何か悪いものでも食べた?いや、食べ物は私が管理してるし……じゃあどこかで頭でもぶつけたの?もしかして今日の学校の人達にやられたんじゃ…」
「ちげーよ!そもそも真剣つったろ!!」

 どうやら、やはり冗談ではないらしい。
 どこかで頭をぶつけたことが原因という線もこの様子ならば薄いだろう。
 では一体何が彼に変化を与えたのか。
 その疑問が頭の中に浮かんできたが、それとは別に、違うものが体の内からこみ上げてきた。
 それはいたって真剣にこの話をもちかけてきた彼に対しては抑えておいた方がいいもの。
 しかし、衝動的にこみ上げてくるこれは、どうにもこうにも抑えることは無理そうだ。

「あのさ、一体どうしてそんな決意をしたのかとかの疑問は尽きないけどさ、それって別に……学生としては当然のことよね?というか、そんな真剣に決意するほどのこと?」
「…………まぁな」

 その瞬間、ずーんと彼の周りを重苦しい空気が取り巻いた。
 やはりいたって真剣な今の彼に対して、これは言うべきではなかったかもしれない。

「そりゃあ、お前とか普通の学生のことを考えれば至極当然のことだと思うけどよ、おバカな上条さんにとっては一大決心になるんですよ!」
「…………あぁ、そうね」
「お前今絶対、こいつやっぱバカだなって思っただろう!?」

 だから勉強するんだよ!と、次第にヒートアップしてゆく彼をよそに、一方で自分の心はクールダウンしていった。
 能力開発の教科は仕方ないとは思うが、一般教科まで低いのは今までの過ごし方に問題があるからだろう。
 そうツッコミをいれようかとも思ったが、彼を落ち込ませることになる可能性もあるので、口にだすのは控えておく。
 しかし、真剣な表情で話がある、と話をもちかけられ、一体何の話がくるんだと興味をもち、同時に心配さえしていたのだ。
 それなのに実際に蓋を開けてみれば、自分にとっては特に特別でも何でもない決意表明。
 正直、自分自身の耳を疑った。

「……まぁ百歩譲ってそうだとしてもさ、一体どうしてそんなことを考えたの?今までは確実に勉強嫌いだったわよね?」
「そうだけど、話題としてはむしろそこの方が重要なんだよ」
「…?」

 なら重要な方を先に言えばよかったのではないかというツッコミも、ここでは控えておく。
 また話を路線から逸らすわけにはいかない。
 しかも、そのことに関しては少なからずの疑問はあった。

25【side by side】―あれから一週間―(45):2011/01/10(月) 19:28:38 ID:Nu.jrUC.

「さっき俺、ちょっと外出てっただろ?あれ、小萌先生に相談してたんだ」
「先生と…?一体何を?」
「学年の話、なんとかできないかって」
「……なるほど、そういうことね。じゃあその急な決意のきっかけはもしかして今日の夕方のあの子達?」
「それ以外にも昼間の元同級生のやつらとか他にもあるけど、まぁ大体はそんなとこ」

 今日の夕方、自分の後輩である佐天と初春達と四人でお茶をした。
 そのお茶会の最中では、恥ずかしい思いこそしたものの、特に彼が気にするようなことは何もなかった。
 しかし話を一通り終えて、自分がファミレスでの勘定をしている時、彼は彼女たちに学年のことについて触れられたらしい。
 合流した後、彼の雰囲気がおかしかったのでその時のことを聞いてみると、彼はそう答えた。
 その場では落ち込む彼を諭すことは出来たが、思えばあの時から彼の調子や雰囲気は僅かながらも変わっていたかもしれない。
 スーパーで買い物を終えた後、学生寮に向かっている最中に感じた彼の変化はまさにそれに当たるだろう。

「……あれ?もしかして、追いかけっこするきっかけになったアレって、これのこと?」

 頭の中で夕方のことを思い出していると、あることについて思い出した。
 それは、彼が夕方にいつか必ず話すと約束したこと。
 追いかけっこをする直前に彼が言い放ったが、よく聞こえなかった話のこと。

「夕方のアレ…?あぁ、あの話はこれの話じゃないぞ?つか、あの話は今日じゃないいつかにするって言ったろ」
「あ、そう…」

 半分がっかり、半分安心した。
 彼の様子から察するに、きっとあの話は重要なことなのだろうと直感していたためだ。
 そういう意味でとりあえず半分は安心。
 しかしそれがもしこの話だったならば、彼には悪いが少し拍子抜け。
 確かに彼にとっては重要なのだろうが、自分にとってはあまりメリットがない。

「でさ、話の続きなんだけど…」
「へ?あぁうん、どうぞ」

 別のことを考えていたせいか、彼は少し怪訝な表情でこちらをみていた。
 どうやら話の続きを話すタイミングを伺っていたらしい。

「んで、小萌先生になんとかして進級できないかと相談してみたところ…」
「ところ?」
「多分無理だろう、と」
「……まぁそうでしょうね」

 当然と言えば当然。
 一度学校が決めたことはそうそうは覆らない。
 ましてや学年のこととなればなおさらだ。

26【side by side】―あれから一週間―(46):2011/01/10(月) 19:29:01 ID:Nu.jrUC.

「でもだ」
「…?」
「無理ってのは何もせずに、今の状況のまま無理やり学年を上げるってことだ。つまる話、お偉いさん方に自分はできるということさえ証明できれば、先生もそれを理由に交渉ができて、なんとかなるかもしれないそうだ。……あくまでも可能性の話だけどな」
「でも、そうなると相当の成績がいるんじゃないの?学年のことが絡んでるんだし」

 良い成績とは言っても、中途半端に良い成績ではそれは叶うとは到底思えない。
 少なくとも一年の内容なんてものは完全に理解していると思わせるくらいでないと、お偉いさん方は恐らく納得しないだろう。
 となると、そういう方々に納得してもらえるほどの成績とは、

「今度の中間と期末で学年三位以内、百歩譲っても十位以内には入ること。その後、つまり夏休みに定期テストとは別で、一年の内容の総合テストをみたいなのを作ってくれるらしいから、そっちでもちゃんと良い結果をだせたら、いけるかもしれない、らしい」
「…………」

 場を沈黙が流れる。
 それは今までの彼のことを考える限り、絶対不可能な条件。
 今までの彼は、もしもテストで平均点をとれるようなことがあれば、それはかなりの良い出来と言えるくらいの学力レベルだったからだ。
 一年間授業を受けてはきたものの、その授業の定着率には疑問符がついてくる。
 しかも中間は五月の末。
 たった一ヶ月かそこらで今の状態から上がれるとは到底思えない。
 更に言うなら、彼には幻想殺しという特殊な能力をもっている。
 その能力がある限り、能力開発は単位すら危うい状況である。

「……でも、それでもやれるだけはやっておこうかなと思うんだ」
「そうね、何もしないよりかはやれるだけでもやった方がいい。……けど、大丈夫なの?」

 彼は今まで、自分が馬鹿だからという理由で最低限の勉強しかしていなかった。
 そんな彼が、そもそも勉強の仕方を知っているはずがない。
 その状態では、効率の悪い勉強を繰り返して時間を無為に過ごすだけだ。

「ぶっちゃけた話、俺一人の力だけじゃキツい。だから、その…」
「私の手伝いがほしいって?」
「お恥ずかしながら…」

 そんなもの、答えは一つに決まっている。
 彼と共に同じ道を歩むって決めた時点で、勉強の面倒をみることは初めから決定事項。
 勉強の指導をしなければならないのは別に今に始まったことではない。

「まぁどのみちそうなるだろうし、断る理由もないし、私はもちろんいいに決まってる」
「そっか……悪いな、本当にいつもいつも」
「何を今更、今に始まったことじゃないでしょ?」

27【side by side】―あれから一週間―(47):2011/01/10(月) 19:29:21 ID:Nu.jrUC.

 口はあくまでもそう開いた。
 しかし反面、彼が勉強を頑張り、可能性は低くても難しい条件でもそれをクリアしてしまったならば、彼は進級していく。
 それはつまり、彼と自分の学年が変わってしまうということ。
 元々彼と一緒に学校生活を夢みていた自分にとっては、それはあまり喜ばしいことではない。
 だから一瞬、承諾の返答をする前に、拒否の返答の可能性も頭でちらついた。
 彼とはいつでも一緒にいて、同じ時を時を刻みたいと思ったから。
 だがそれは彼自身のことなど何も考えていない、自己中心的な単なるわがままでしかないのだ。
 そんな自分の目先の楽しみのために彼の先を、可能性を潰してしまうことなどあってはならない。
 偶にならまだしも、いつまでも我を通し続けるというのは、彼女のすることではない。
 賛成と反対、建前と本音、理性と本能という相反する意見が頭の中でせめぎ合う中、今ここで、彼のため、自分のために、それらの葛藤を理性でもってねじ伏せた。

「……まぁでも、去年のことを思えば、それくらい、なんともないだろうしね…」
「ん?何か言ったか?」
「ぅぅん、別に、何でもない…」
「……?」

 未だ釈然としないとも言いたげな目で、彼は自分を見てくる。
 しかしこれは、本心は彼には言えない。
 そうすることで彼が迷ってしまうということは絶対に避けたいから。
 それはいつもいつも自分のことなどより他人のことを優先する彼ならば、十二分に有り得ること。
 しなかったからという後悔だけは、彼にしてほしくない。

「よし、じゃあそうと決まれば善は急げ、今日からビシビシやってくわよ?」
「へ?今日はほら、時間もあれだし、明日からでいいんじゃねぇか?」
「何言ってんのよ、私ならともかく、アンタにとってはただでさえ条件がアホみたいに難しいのに、明日からやるなんて言ってると絶対にクリアは不可能。そもそも、この私に勉強の面倒見ろって言ったんだから、私の言うことは聞きなさい」
「お、おぅ…」

28【side by side】―あれから一週間―(48):2011/01/10(月) 19:29:39 ID:Nu.jrUC.

 上条は内心、とんでもないのを家庭教師につけてしまったんじゃないかと、してしまった後悔した。
 だが上条とて、男。
 しかも今回以上の修羅場や死線など、数え切れないほど経験してきた。
 覚悟を決めることはそんじょそこらの一般人よりも断然得意だ。
 人間諦めが肝心だ、とはよく言うが、それを良い意味で上条はよく知っている。
 やるべき時、腹をくくらなければならない時を熟知している。

「……とは言っても、今日はアンタが言った通り時間も微妙だし、私自身何をやるべきなのか把握してないから本格的な勉強は明日からで、今日はこの先の勉強の計画をたてよっか」
「……って、結局やらないのかよ」
「何言ってんの?計画をたてることや範囲をしっかり把握することだってすごく大事なことよ?それじゃあ教科書一通り持ってきて」
「そういうもんなのか…?まぁいいけど」

 よいしょと、上条は重い腰をあげ、ゆったりとした動きで彼の後方にある本棚へと手を伸ばし、教科書を一冊ずつ手にとってゆく。
 現在の時刻は21時30分。
 時間的には別に勉強ができない時間ではない。
 しかし、今日という残りの時間は敢えてこれからの計画をたてることに使う。
 それは今後のことを視野に入れた計画をたてることと、もう一つ、彼に気持ちの切り替えを促すという目的も含まれている。
 一つの決心をしたことで切り替えはある程度できているとは思うが、もう始まったということを彼の体にも教えていかねばならない。
 切り替えはできたできたとは簡単に言っても、そんな簡単に今までと真逆の生活をできるものではないからだ。

「……こんなもんかな?」
「ありがと。ねぇ、中間テストの範囲ってどれくらいやるか覚えてる?どの道全部やるから関係ないけど、一応重点的にやるから」
「中間の範囲か……うろ覚えだけど、確かここから―――」

 4月14日、上条はある一つの決め事をした。
 それは今までの上条のことを考えれば、越えることは到底不可能にさえ思える高い高い壁を越えるためのもの。
 今日彼が進んだ一歩はとても小さいように思える。
 だがしかし、その小さな一歩がなければ大きな一歩は成し得ない。
 その小さな一歩がなければ、不可能は不可能のままだ。
 だから上条は例えどんなに小さな一歩ずつしか進めなくても前進する。
 不可能にさえ思えるとてつもなく高い壁を越えるために。
 美琴はそんな上条を支援する。
 自分自身が何度も倒れてしまいそうになった時、上条が美琴を何度も立ち上がらせてたように、美琴もまた上条がいつまでも立って進んでいけるように彼といつまでも共にいて、彼を支えていく。
 彼女はそうして希望ある将来へと向かって進んでいこうと決めている。
 それが、美琴が考えるこれからの二人の理想の姿だから。

29:2011/01/10(月) 19:31:49 ID:Nu.jrUC.
以上です。
これで一週間は終わりです。
そして次でシリーズ通して終わります。
引き続き、暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。

では失礼します。
ご意見ご感想等お待ちしております。

30■■■■:2011/01/10(月) 20:18:35 ID:ybSqqgHc
>>29
落ち着いた雰囲気GJです
上条さんの良い所が伝わってきてイイネ

31■■■■:2011/01/10(月) 21:34:01 ID:JR/tF2vg
GJ!
いよいよ次で終わりか…

32■■■■:2011/01/10(月) 21:57:13 ID:uXSn92/o
さて、今度はどんな伝説を見せてくれるかにゃー?

33■■■■:2011/01/10(月) 22:36:14 ID:qpy8LDx2
最後を読みたいけど終わりだと思うと読みたくないww
とりあえずgj!

34■■■■:2011/01/10(月) 22:36:29 ID:oi7LjNIM
>>29
GJ

35■■■■:2011/01/10(月) 22:59:36 ID:dKR2/sEE
GJですねー

36■■■■:2011/01/10(月) 23:23:15 ID:jrRygaOw
最高だったぞ

37■■■■:2011/01/10(月) 23:23:34 ID:CSWjNgjA
>>29
 _n
( l     _、_
 \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄ ノ  Good Job!!
     /    /

38トンマ:2011/01/11(火) 01:11:31 ID:vB1jroKY
>>16
ありがとうございます!
期待に添えるようにがんばります!

>>17
もうしわけありません!
リアルの都合で・・・・

>>18
早速のアドバイスありがとうございます!

39■■■■:2011/01/11(火) 01:16:23 ID:Zes76oD.
「はい、勉強するわよ!なくよ(794)うぐいす!?」
「・・・平城京?」
「違う!!平安京よバカ!!じゃあなんと(710)大きな?」
「・・・万里の長城?」
「ドバカ!!ここで平城京を言うのよ!!じゃあこれ、いい国(1192)作ろう?」
「学園都市!!」ズビシっ
「アンタ、ふざけてるでしょ?頭に電気マッサージが必要みたいね?」
「あっ、数学ならちゃんとできるからそれだけは勘弁・・・」
「何思いついたように言って・・・なら√2の整数は?アンタがわかる訳ないわよね!ふん!」
「みことみことにみことみよ」
「不正解!!でも私的には100点満点!!」




すまんorz

40トンマ:2011/01/11(火) 01:20:05 ID:vB1jroKY
「恋と嘘と信頼と」の続きが出来ましたのでアップしたいと思います。
思いの他長引いてきてしまって・・・

もし被らなければ1:30から5スレほどお借りします。

41恋と嘘と信頼と5:2011/01/11(火) 01:32:02 ID:vB1jroKY
去年、年末まであと数日という頃、美琴はロシアの内陸で打ち止めや10777号、番外固体と共にホテルの一室で休んでいた。
彼を見失った海沿いからその近辺の集落を転々としながら携帯の写真を使い聞き込みを掛けてみたものの、
戦争の直後でドタバタしていたという事もあり芳しい成果は得られず途方に暮れていた、
その時とある村の医者から「重症の患者は医療機材が整った内陸の市街に搬送された」と聞いた。
美琴は「もしかしたらアイツも搬送されたのかも」と思い妹達と市街に向かい町中の病院などを捜索したが、
それでも彼の足取りは一向につかめず、美琴のデビットカードでこのホテルに宿泊してもう8日目になる夕方だった。

「もうこの町の医療機関は全て見終わったわね。
今までで一番大きい町だったから結構時間が掛かったけど、
明日チェックアウトしてここを出ましょう。
次はどっちにいこうかしら?」
美琴は机に置いてある地図にマーカーでチェックマークをつけると地図とマーカーをバッグに仕舞った。

「あ〜あ 今回もハズレかぁ ミサカ、足パンパン。これだけやって見付からないんだから、
もう無理じゃない?早く風呂に入りたい」
番外固体がベッドに座り足を摩りながら愚痴る。
「その台詞は今週既に15回ほど聞きました、
お風呂には賛成ですが、とミサカは番外固体のヘタレ具合に呆れます」
露ミサカは向かいにあるもう一つのベッドに正座で座りながら、
番外固体を「ム〜」唸りながら睨み付ける。
「ほらほら、喧嘩しないの。そろそろ夕飯食べにいくわよ」
「んふ、パンパンなのは彼のアレだけで十分ってかんじかしらぁん?」
「な・・・ななな、なんて事言ってんのよ!この変態!!」
美琴は顔を真っ赤にしながら番外固体に怒鳴る。
「おうおう言うねぇ☆ オリジナルはツンデレ、第二世代は純情、学園都市の奴らも良く考えたもんってイタッ!」
パコンと番外固体の脳天に後ろに居た打ち止めからチョップが放たれる。
「そう言うこと言わないの!あなたが今ここに居て大好きなお風呂に入れるのも
あの人のおかげなんだからってミサカはミサカはちょっと怒ってみた・・・・り・・・・・・」
急に打ち止めが静かになったと思うと、続いて露ミサカ、番外固体も黙り込んだ。
「どうしたの?また情報が入ったの?」
急に静かになったので美琴はミサカネットワークから新しい情報が入ったのではないかと確認する。
妹達はネットワークを使って情報交換する際、決まって無言になる事は随分前から知っていた。
「上位固体・・・・」
露ミサカは打ち止めに向かって話しかける。
「うん」 
打ち止めも露ミサカに頷いた。
「う〜ん・・・・・」
番外固体は顎に手を当てて考え込んでいた。
「なになに?!新しい情報?」
美琴はこのタイミングで来た新しい情報に期待した。
「はい。学園都市に居るミサカ13577号から。
ハッキングで新しい情報を見つけたようです、とミサカは報告します」
露ミサカは淡々と答えた。
「学園都市から?もしかしてアイツが学園都市に居たとか!?」
「いえ。残念ながらそう言う物ではありません」
ガクっと美琴は肩を落とした。
「でも少し不可解ですね、とミサカは意見を述べます」
「不可解?どんな情報なの?」
「はい。これはどうやら学園都市にある兵器開発機関のメンテナンスレポートのようです。
お姉様、学園都市が戦後ロシアとある条約を結んだ事は知っていますか?」
「ああ、あれね。確か研究のため以外に兵器を生産、所持しないって条約よね。
本当にそうしているのかは疑問だけど」
「そうです。学園都市は研究に必要最低限の兵器しか所持しないとロシアと条約を交わし。
実際、戦闘機や戦車、起動鎧など数台を残して残りのストックを全て破棄しています。
まあ、残った兵器それだけでも十分世界を相手に戦えるので学園都市側には特に問題は無いのです。
しかしある種類の兵器だけ書類上は破棄されているのにもかかわらず、メンテナンスされた記録が存在しているのです。
おかしいとは思いませんか?存在しないはずの兵器のメンテナンスが行われているなんて。」
「その兵器って?」
美琴は息を呑む。
「潜水艦です」
露ミサカは答えた。

42恋と嘘と信頼と6:2011/01/11(火) 01:33:09 ID:vB1jroKY
「潜水艦?」
「はい。どうやら学園都市は戦後も潜水艦によりロシア沿岸の海域で偵察を行っていたようです。
その潜水艦のオートナビゲーションに記録されていたルートは、
東京湾沿岸からシベリアを回り丁度あの巨大飛行物体が墜落した付近で3日ほど滞在した後、Uターンして戻ってきています。
一回の捜索に6機出動し3日毎に潜水艦をローテーションしていたようです。
当然メンテナンスも3日に一度行われているのですが、戦後から約2週間後、最後に2回行われたメンテナンスは
わずか10時間程度しか空いていません。そしてそれ以降潜水艦での偵察は行われていないようです」
「なるほど、つまり偵察と言うよりは捜索ね。そして戦後2週間で目的である何かを見つけた・・・」
それは彼では?と美琴は最初に思ったがそれを否定した。学園都市が見つけた何かが彼であると確信するのは何が何でも嫌だった。
人間は2週間も水中では生きられない。それは最悪の事態を確信してしまうのと同じだったからだ。
どうやら露ミサカと打ち止めも同じ考えに行き着いたらしく、3人揃って暗い顔で押し黙ってしまった。
「・・・・う〜ん・・・・」と番外固体だけはそのまま考え込んでいた。
「ま、まあこの情報とアイツの関係性は低そうね。ほら、何か食べよう!
飢え死にしたら元も子もないでしょ!ファミレスみたいな所でいいかしら?」
美琴は少し声を大きくして言う。自分でもただの強がりだとは解っていた。
「かまいません、とミサカは答えます」
「いいよ〜!安物バンザイ☆」
「やった〜!じゃあわたしはハンバーグ!
早く行こうってミサカはミサカはお姉様を急かしてみたり!」
・・・・・みんな、ありがとう・・・
美琴は彼女達も不安なのに自分の強がりに合わせてくれているのをわかっていた。

彼女たちはホテルを出て近くにあった世界の何処でもあるファミレスに入った。
美琴と露ミサカはパスタ、番外固体はステーキ、打ち止めはハンバーグを注文し、
全員の食事が来ると最早習慣になった「いただきます」を言って食べ始める。
「うわぁ!ここのハンバーグって今まで食べた中で一番美味しいかも!ってミサカはミサカは絶賛してみたり!」
「大袈裟ねぇ。こんなの冷凍食品だから何処で食べても一緒じゃない」
美琴は笑いながら打ち止めに言う。
「お姉様もあの人と同じ事を言うのねってミサカはミサカはちょっと昔を思い出してみたり」
「お姉様、間違っていますよ、とミサカは口を挟みます」
「え?なにが?」
「この食材は冷凍食品ではありません。
この地域は年間気温が3℃以上にはならない上、今の時期は外食する人も少ないので外部から加工された食材を仕入れるより
この周辺で取れる食材を使ったほうがコストを削減できるのです。なので上位固体が言っている事もあながち間違っては居ません。
私達が食べているこのパスタも無添加で鮮度の良い食材を使っているので味も良い筈ですが、気付きませんでしたか?
とミサカは少し意地悪になって質問します。」
「うっ・・・・」
ヤバイ!打ち止めに知ったかぶりをしてしまった上に、私がファミレスと高級料理店の味の違いも解らない人だと思われた。
美琴は姉としての尊厳の危機を感じ無理やり話題を変えた。
「そういえば、あの人って一方通行の事でしょ?へぇ、アイツもアンタをファミレスに連れてってあげるなんて以外だわ」
まるで今までの会話が無かったかのように打ち止めに話しかける。「ププッ」と露ミサカの方から聞こえたが無視する。
「そんな事無いよ〜 あの人はちょっと恥ずかしがりやなだけで本当は凄く優しいんだよってミサカはミサカは彼の株を上げてみる。
あの人は私達を守るって言ってくれたんだよ。ね!」
打ち止めは番外固体に話を振るが反応がない。
美琴も番外固体の方を見ると彼女はステーキをほったらかし、まだ顎に手を当てブツブツと考え込んでいた。

43恋と嘘と信頼と7:2011/01/11(火) 01:33:56 ID:vB1jroKY
「ねえ。あの子が何考えてるかわかる?」
美琴は打ち止めに聞いてみる。
番外固体は妹達の中でも一人で考える事が多く、こうなると周りの声が聞こえなくなるのだ。
「う〜ん この人考えてる時邪魔されるのが嫌いだから後で聞いてみるってミサかはミサカはもう頭の中で怒鳴られるのは嫌だからほうっておく」
そう、と美琴は答えて番外固体が何をブツブツ言っているのか聞き耳を立ててみた。
「・・・潜水艦・・・捜索・・・海中・・・Uターン・・・3日・・・10時間・・・2週間・・・・最悪・・・
・・・気候・・・・・・・・冷凍食品?・・・・・・・新鮮?・・・・・・・・・・あっ!!そうか!わかった!ヨッシャー!!☆」
急に番外固体が叫んだので美琴、打ち止め、露ミサカは飛び上がった。
幸い他に客は居なかったので周りの迷惑にはならなかったが
あまりの大声に3人はそのまま何も言わずに番外固体のほうを見る。
「どうしました?ついにイカれましたか?」
露ミサカが短い沈黙を破る。
「やっぱりミサカは天才?☆ いま情報を送るわ」
番外固体は勝ち誇ったようにそう言うと黙り込む。
そして5秒もしない内に打ち止めと露ミサカが同時に「あ!」と声を漏らす。
「え!?なになに!?どうしたの!?」
訳がわからず美琴は妹達に聞いてた。
「お姉様、やっぱり間違っていますよ、とミサカは答えます」
露ミサカが答える。驚く事に微笑んでいた。
「なにが!?」
美琴はさっきの会話を思い出し少しイライラしながらも聞く。
「実は前にロシア空軍に所属していた女性パイロットと話をしたことがあるのですが、
学園都市の戦闘機パイロットは脳以外の肉体を低温で仮死状態にして高負荷のGが掛かる操縦に耐えられる様にしていたそうです」
「それがどうしたのよ?」
「海水、この国の気候、潜水艦による捜索、最悪の事態、そして学園都市の技術、とミサカはお姉様にキーワードを教えます」
「へ?う〜ん・・・」
美琴は露ミサカから聞いた一つ一つのキーワードの知識を引っ張り出す、そして・・・・・・・・繋がった。

44恋と嘘と信頼と8:2011/01/11(火) 01:34:35 ID:vB1jroKY
海水、つまり塩水は真水と比べると氷点が低い。そしてあのストラップを拾った時には既に海は凍っていた。
つまりあの時海水は既にマイナス0℃以下になっていた。そして美琴が否定したかった最悪の事態。
もしあの時彼は救出されていなかったら?低温の水の中に沈んでいたとしたら?
−−−もし2週間以上細胞の破壊を免れ、新鮮なまま保存されていたとしたら?−−−
さらに学園都市には仮死状態を作り出す技術がある。つまりその逆の技術が有ってもおかしくない。
「ま、まさか!」
「はい。おそらく、確証はできませんが、今現在最も真実に近い情報です」
「アイツは・・・学園都市にいる・・・・・・・・・・・・・・・・ウッ・・・・ウエッ・・・ヒック・・ウワアアアァァァァァ」
涙が止まらなかった。止めようとも思わなかった。
ガタッと打ち止めが勢い良く椅子から立ち上がった。カランカランとフォークとナイフが床に落ちたが気にしない。
そのまま美琴に駆け寄り胸の辺りに抱きついた。目には涙が滲んでいた。
「よかったね。よかったね、お姉様ってミサカはミサカは心から喜んでみたり」
「うん。ヒック うん! よかった。ウッ よかったよおおぉぉぉ」
美琴も打ち止めを力いっぱい抱きしめた。すると番外固体も立ち上がり美琴の頭の上に手を置いてクシャクシャと頭を撫でた。
「ふふ〜ん☆この天才に感謝する事ね」
番外固体は笑いながら美琴に話しかけた。
しかしその笑顔は今までの表情を曲げる様な物ではなく、まるで心の底から幸せを表しているかの様な素直な笑顔だった。
「うん・・・うん!」
「では次はどっちに行くか決まりましたか?とミサカは問いかけます」
そして露ミサカは微笑みながら美琴の肩に手を乗せた。
グシュっと美琴は鼻を啜ると、手の甲で涙を拭き顔を上げて笑った。
「うん・・・・・みんな、ありがとう」
美琴は心の中で彼の言葉を思い出した。
アンタの言う通りね。私はこの子達を誇りに思う。
それにありがとう。アンタがあの時立ち塞がらなかったら、この子達を知る事も無かったろうから。
「みんな、明日は学園都市に帰るわよ!」
美琴はもう迷わなかった。ポケットから2ヶ月ほど前に拾ったストラップを取り出すとそれを握り締めた。
ストラップは相変わらず冷たかったが、そのせいで自分の手が冷たくなる様な感じはしなかった。

45トンマ:2011/01/11(火) 01:38:18 ID:vB1jroKY
5スレと言いましたが実際4スレでした。
すいません。1スレにどれくらい書けばいいのかわからなかったので・・・・・
これで今回はここまでです。
続きはまとまり次第投稿させていただきます。

46■■■■:2011/01/11(火) 02:01:59 ID:GUDYpMjw
>>45
乙。ついでにいうと、地の文は一つスペースを置いたほうが見やすのでござるよ。

>>39
何があった

47トンマ:2011/01/11(火) 02:12:27 ID:vB1jroKY
>>46
なるほど!指摘ありがとうございます!
読みにくくなってしまって申し訳ないです。

48■■■■:2011/01/11(火) 02:21:16 ID:aUCssN6U
続きが気になって仕方がない…

49■■■■:2011/01/11(火) 10:55:28 ID:.y8TtznI
>>45
改行入れすぎるのも…w
空行を入れる、さらにと読みやすくなるかも?
他スレだけど参考にしてみては
とあるSSの禁書目録 PART8 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1271505166/660-

   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) Good Job!!
フ     /ヽ ヽ_//

50■■■■:2011/01/12(水) 00:32:43 ID:7e1XppeU
>>45
美琴が妹達と一緒に上条さんを探すという構図は凄く胸が熱くなります。
だってみんな直接・間接的に上条さんに助けられたんですしね…
続き期待してます!

51■■■■:2011/01/12(水) 00:54:33 ID:x4Am4N6o
>>49
環境依存 人依存

52トンマ:2011/01/12(水) 02:25:44 ID:wVS.eKMk

>49
すいません。自分でもやりすぎたかな?と思いましたorz
アドバイス有難うございます!

>50
期待していただきなによりです。
応援ありがとうございます!

53トンマ:2011/01/12(水) 02:29:52 ID:wVS.eKMk
こんばんわ。トンマです。
続きが出来たので投稿したいと思います。

被らなければ2:35ごろから3レスほどお借りします。

54恋と嘘と信頼と9:2011/01/12(水) 02:35:36 ID:wVS.eKMk

 美琴と妹達は夕食を食べ終りホテルで風呂に入った後部屋で休んでいた。
 打ち止めと番外固体は部屋にあるテレビを点けロシアのバラエティ番組を観ている。
 そして美琴と露ミサカは明日の計画について話し合っていた。

「さて。学園都市に帰るって言っても飛行機の予約もしてないし、どうしようかしら?」
「その事ですがお姉様、とミサカは」

ゲロゲロッ ゲロゲロッ

 露ミサカが話そうとすると美琴の携帯から着信音が流れた。

「ん?」

 美琴は手元にあった携帯を開き確認する。着信したのは白井黒子からのメールだった。
 実は終戦後、学園都市のネットワーク規制が甘くなってからというもの、美琴の携帯は3日に一度は必ず黒子からのメールを受信していた。
 メールの内容はどれも美琴の所在地と安否を気遣うもので、美琴が居なくなって常盤台で大騒ぎになっていた事も黒子のメールを通して知っていた。
 美琴は黒子からの電話やメールに返信したかったが、今何処で何をしているか教えれば黒子は絶対に美琴の制止を無視してロシアに来てしまうと思い一切返事をしなかった。

「そういえばもう帰るんだし、安心させてあげてもいいわよね」

 そう呟くと美琴はポチポチと携帯を操作し始めたが、露ミサカにその手を捕まれ止められる。

「どうしたの?」
「先ほどの続きを聞いてください、とミサカはお姉様を制止します」
「え?メール打ってからでも遅くはないわよね?」
「いえ。その事についても話さなくてはなりません」
「そう。わかったわ」

 美琴は打っていたメールをそのままに携帯を閉じて脇に置くと露ミサカの方に向き直った。
 露ミサカは決心したように美琴を見つめると説明し始めた。

「まず最初に飛行機の件ですが。チケットは取れましたので心配要りません、とミサカは説明します」
「は?どうやって?」
「ある協力者に頼んで空港会社にゴリ押しで予約してもらいました」
「協力者?そんなのがいたの?てか誰?」
「彼はお姉様も良く知っている人です、とミサカは回答します」
「?????誰よそれ?」
「御坂旅掛、お父様です」
「え・・・・」

55恋と嘘と信頼と10:2011/01/12(水) 02:37:03 ID:wVS.eKMk


 美琴は驚いて息を詰まらせる。
 もともとこの件で美琴に協力していたのは妹達だけだと思っていたし、まさか自分の親が係わっているとは思っても居なかった。
 しかし考えてみると納得できる。
 美琴が旅費として使っていたおこずかいは元々学園都市からの奨学金と毎月振り込まれる旅掛からの仕送りだ。
 美琴は口座のとキャッシュカード兼デビットカードは持っていたが、通帳は旅掛に預けていた。
 勿論通帳記入すれば何処でいくらカードを使って支払いしていたのか解るが、何も言ってくる気配が無かったので振り込むだけで通帳記入はしていないと思っていた。
 しかし美琴の事情を知っていて何も言ってこないという事なら理解できる。
 ん?事情を知っている?・・・・と言う事は。
 美琴は恐る恐る妹に聞いてみる。

「まさか」
「はい。お父様はすでに私達の存在を知っています。今まで黙っていましたが私達は随分前からお父様とコンタクトを取っています、とミサカは打ち明けます」
「そんな」

 美琴は驚愕の事実に言葉を失って俯く。あの実験の事は一生周りに秘密にしておくと美琴は決めていた。
 それは一人の少年を除いて、友達やパートナー、そして親でさえも例外ではなかった。
 美琴は耐えろ、とショックに負けないように心の中で自分に言い聞かせ顔を上げて妹に向き直った。
 気が付けは打ち止めと番外固体もテレビを消して美琴の方を向いていた。
 露ミサカは心配そうに美琴を見ると口を開いた。

「大丈夫ですか?とミサカは問いかけます」
「うん。大丈夫。それより話を続けて」
「はい。お父様には影で協力していただく代わりにお姉様の安否と学園都市の裏情報を伝えていました。」
「裏情報?」
「はい。絶対能力進化実験の事や捜索過程で見付けた学園都市の機密事項などです」
「そう。あの人、アンタ達について何ていってた?」
「その事に付きまして、お姉様にお父様の事を話す時に伝えて欲しい、とお父様から伝言を預かっています」
「・・・・・なんて?」
「パパはいつでも美琴ちゃんの味方だよ。美琴ちゃんが受け入れるなら、パパも受け入れるよ。とミサカは一字一句正確に伝えます」
「そっか・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとうってあの人に伝えておいてくれる?」
「わかりました、伝えておきます。お父様の件、これが次にお姉様に話したかった事です」

 露ミサカは一息入れる。

「そして最後の件ですが。これはお姉様と私達が今後学園都市に戻ってどう行動すべきかという事です、とミサカは続けます」
「そりゃアイツを探すわよ」
「いえ。間違ってはいないのですが、お姉様には常盤台中学に戻ってもらいます」
「え!? どうして!?」

 美琴は学園都市に帰ったらすぐにでも彼の捜索を始めるつもりだったので妹の発言に驚く。

「お姉様は今世界でも4人しか生存していない超能力者です。当然学園都市に戻れば厳しく監視される事は間違いありません。そんな時、不自然な行動を取れば、お姉様が外部で何か情報を得た事がすぐにばれるでしょう。そうなれば監視の目

はさらに厳しくなり、最悪の場合拘束される可能性もあります。なので私達が彼の正確な所在地を見つけ出し救出する時まで自然に振舞っていてほしいのです。」
「そうか。ちょっと納得いかないけど、それならしょうがないわ」
「それと。お姉様にはこの件に関して係わりの無い、特に学園都市にいる人との必要以上の接触は極力避けて欲しいのです。」
「どうして?」
「それはこの件に学園都市の暗部が絡んでいるかもしれないからです、とミサカは説明します。今回得た殆どの情報は公にされていない物ですので学園都市の暗部が係わっていると見て間違いないでしょう。お姉様もあの実験を経て理解していると

は思いますが学園都市は時に非情で残酷です。どのような方法を使ってお姉様に圧力を掛けてくるかわかりません。無論、むこうはお姉様だけではなく周りの人に危害を加える事に躊躇いは無いでしょう」
「そんな」

56恋と嘘と信頼と11:2011/01/12(水) 02:39:42 ID:wVS.eKMk

 美琴は今年の夏の終わりごろ、暗闇に踏み込み大怪我をした後輩の事を思い出す。
 あの時、もし彼女が暗闇に踏み込んで行かなければあんな事にはならなかっただろう。
 しかし今回は事情が違う。
 もし暗闇の方から彼女に襲い掛かったとしたら?

 それに美琴は彼女のことを良く知っている。
 彼女はたとえ暗闇の方が襲い掛かったとしても恐れずに相手の懐に飛び込むだろう。
 そんなことになればもっと酷い結果になるのではないか? 美琴の手にジワリを嫌な汗が出た。

「・・・・・・それはそうだけど・・・・・でも・・・・・・・・・」
「お姉様。辛いとは思いますが解ってください、とミサカはお願いします。ミサカはもう私達のせいで関係のない人が傷つくのは見たくないのです」
「・・・・・・・・・・・・・・わかったわ・・・・・・・・・・・・・」

 美琴が覇気の無い声でそう答えると露ミサカはもう話す事が無いらしく「ではもう寝ましょう」と言ってベッドに潜り込んでしまった。
 話を聞いていた打ち止めや番外固体も隣のベッドに入ってしまう。
 美琴は脇にあった携帯を開き途中まで打ったメールを破棄するとバッグに仕舞い露ミサカの隣へ寝そべり目を閉じた。
 あの子に会ったら何て言おう?美琴は考える。
 ・・・要らないとか・・・近づくなとか・・・かしら?
 そう考えると黒子がどんな反応をするか想像できてしまい、どうしようもなく苦しくなる。
 美琴は耐えられなくなると考えるの止め眠りに付いた。

57トンマ:2011/01/12(水) 02:43:54 ID:wVS.eKMk
長くなってしまいましたがこれで回想は終わりです。
次からは本編に戻ります。
続きはリアルの都合で少し遅くなるかも知れませんが
出来次第投稿させていただいます。

58■■■■:2011/01/12(水) 02:45:29 ID:oh8SqHww
乙~
続き待ってる

59■■■■:2011/01/12(水) 11:05:36 ID:izzq5.dw
>>57
まとめが更新されたら、前の奴を修正するといいよ。

 _n
( l     _、_
 \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄ ノ  Good Job!!
     /    /

60■■■■:2011/01/12(水) 12:06:05 ID:jU8r9HJM
一方くゥンがどうなったか気になる
乙です!

61■■■■:2011/01/12(水) 18:16:31 ID:mR42wbKU
たまにはシリアスもイイネ
続き期待してます!

62■■■■:2011/01/12(水) 21:00:09 ID:1GgRcaIU
とても続きが気になる良い作品だと思います
これからにも期待してます

63■■■■:2011/01/12(水) 23:09:28 ID:sA6bRjaw
うああ…
皆さんのSS読んで私も書きたいっ!って意気込んで書き始めたはいいものの…
上条さんの出番が全然ない…

64■■■■:2011/01/13(木) 03:27:57 ID:0QTAVvKM
いちゃいちゃがあればここだ
なければ別のスレだ

65■■■■:2011/01/13(木) 03:28:15 ID:0QTAVvKM
悩むことはない、そのまま書き続けたまえ

66■■■■:2011/01/13(木) 17:46:07 ID:QuAlhaAY
 _n
( l     _、_
 \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄ ノ  Good Job!!
     /    /

67Good Job:2011/01/13(木) 17:46:56 ID:QuAlhaAY
 _n
( l     _、_
 \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄ ノ  続き待ってるぜ!!
     /    /

68■■■■:2011/01/13(木) 17:57:49 ID:BukdRFjI
面白いなまったく!

69■■■■:2011/01/13(木) 20:38:34 ID:R/LRdPec
              /: : : : : : : : : : : : : く: : : : : : :\
                . : :/: : /: : : : : : : : : : : >: : : : : : : ヽ
               //∨ : : : | / : : : : : : : : : ト、 : : : : : : : ',
            /: :∨: : : /:| i/: :/ : : /}: : | ㍉\ : : : : :
             ,′: :i: : : : |八{: : : : : / :|: : リ  ヾミ';.:. : : :i
          i : | : |: : l /ト、/|: :|: : /  i: :/ /  ミ∨ : i:|
          l : | : |:i: :Nx‐ミi: :|: /、__厶イ⌒ヾ  Yミ}: : :│
          | 八 从:.:! {{  心乂 〃 r'ハ   }} j/`ヽ:ハ
          l/ ハ: :f小  Vリ     Vソ _,     ノi 八      続き書かないと許さないんだからね!
               ∧:{.∧      '        u _/ :|:!.:.j\
                / : \ハ    r   ⌒ヽ   /.:.:.:.j:从: |
           厶イ:./}人    ∨    _ノ  .イハ.: /!│jノ
             |//⌒≧=-      _, イ\ト、}:/八{
            〃      ヽ\>‐<〉´│/Y `⌒!
                ハ      (   \  ∧ |/ {    〉
             /         \  } ∨  ∨┌ノ  ,_ノ
             ,′    丶   ∨      ゚| l/   /┘
            {          \j {ニニニフ | /  /

70■■■■:2011/01/13(木) 20:43:23 ID:RjbSPRTQ
とりあえず小ネタ一本…上げてもいいんですよね…?

71■■■■:2011/01/13(木) 20:55:17 ID:R/LRdPec
良いに決まってんだろ。言わせんな恥ずかしい。

72■■■■:2011/01/13(木) 21:10:13 ID:RjbSPRTQ
じゃあ上げますー…妄想を文にするのって難しいですね…


・学園都市最強の?
※17〜8年後風味。


学園都市には大小様々な都市伝説が存在している。
その中には、

・幻想御手(レベルアッパー)
・レベル5のクローンが大量生産されている

などといった、今では完全に廃れてしまったものから

・守護神(ゴールキーパー)
・虚数学区関連

といった、今でも語り継がれているものまである。
そして日々、生まれては消えていく数多の都市伝説の中には…


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「「学園都市最強の夫婦?」」
「そ。なんか最近学校で噂になってるんだけど…聞いてみたらおとーさんとおかーさんのことだと思うんだよねー」
「ど、どんな内容なのよ?」
「えーっと…時々路地裏でスキルアウトを相手に暴れているという、通称『路地裏の電撃女』と」
「………」
「スキルアウトに絡まれてる女性を助けていい雰囲気になるも、『路地裏の電撃女』にすぐ発見されて追い掛け回される、通称『フラグメイカー』で」
「………」
「二人セットで目撃されることが多いから、二人合わせて通称『学園都市最強の夫婦』って呼ぶらしいのよ」
「美琴…お前いまだに不良狩りやってんのかよ…」
「当麻こそいい加減に見知らぬ女性にフラグ立てるのやめなさいよ!」
「スキルアウトに絡まれてる女性がいてもスルーしろっていうのか?」
ギャンギャン

「はぁーあ、まーた始まった。今回は私のせい…なのかな?ま、どうせいつも通り寝る頃にはベタベタに戻ってるでしょ。ほっといてお風呂入っちゃおーっと♪」


喧嘩する学園都市最強の夫婦、それを見守りつつもスルーする娘。
上条家は今日も平和です。

(終)

73■■■■:2011/01/13(木) 21:14:57 ID:R/LRdPec
なんで裏路地限定なんだwww
美琴ヤンキーじゃねーかwww

GJ! 久々に笑ったよ。
いや、良い意味でね。次も期待してる!

74■■■■:2011/01/13(木) 21:14:59 ID:RjbSPRTQ
ああああああああダメだなんか実際投稿すると恥ずかしいいいいいいいいい
正直SSなんて書くの初めてなんですよね…
SSまとめ読んで奮起したのが間違いだった…

75■■■■:2011/01/13(木) 21:26:27 ID:9EKODb/U
>>74
GJなのです!!

書いてるうちにまとめに載るようなSSを書ける力がつきますよ! 頑張ってください!

76■■■■:2011/01/13(木) 21:58:11 ID:zU1dbuJw
>>74
そんなことないって
面白かったよ 次も期待して待ってるぜ

77■■■■:2011/01/13(木) 22:04:28 ID:RjbSPRTQ
>>73>>75>>76
ありがとうございます…精進しまっす!

78■■■■:2011/01/13(木) 23:21:27 ID:WW0zZHkc
>>77
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) Good Job!!
フ     /ヽ ヽ_//

79■■■■:2011/01/14(金) 08:42:39 ID:Hk93wkso
>>74
初めて、ですか。
はっきり言って上手いと思いますよ。私が初めて書いたのなんかあまりにも酷い内容なんで人に見せられませんでしたから。
処女作が人に見せられるレベルになってるだけで本当にすごいと思うのです。
悲観することなんて何もありません。これからもどしどし書いて下さい

80■■■■:2011/01/14(金) 08:43:12 ID:Hk93wkso
なんだ、この名前……?

81■■■■:2011/01/14(金) 11:14:21 ID:Px86d7rE
>>73
こういう短くてすっきりしたの好きですお
また妄想溜まったら書いて下さいお願いします!

8281:2011/01/14(金) 11:14:43 ID:Px86d7rE
>>73じゃねぇ>>74だorz

83■■■■:2011/01/14(金) 12:01:53 ID:bKwOl6hs
>>58-69
たくさんの応援やアドバイスありがとうございます!

すいません 大変遅くなりました。
飛行機でSSを書いていると「やっとノってきた」ていう時に限って、機内食やら飲み物がきて・・・・

もし被らなければ5レスほど12:00からお借りします

84トンマ:2011/01/14(金) 12:04:03 ID:6Z9FL9B2
すいません 間違えました 
12:10ごろから投稿させていただきます。

85恋と嘘と信頼と12:2011/01/14(金) 12:11:57 ID:6Z9FL9B2
『見つけました!第16学区の〇〇ホテルです! 今から2分ほど前に御坂さんらしい人が入っていくのをカメラが捕らえています』
「了解ですの!ではわたくしの連絡があるまで初春はその周辺を監視していてください。動きがあったらすぐに連絡して下さいな」
『わかりました!』 

 黒子は電話を切ると近くにあったデパートへ走り込み、数十分後ジーンズとパーカー、キャップという姿で出てきた。
 紙袋に入った常盤台の制服を近くのコインロッカーに入れると、そのまま連続テレポートで例のホテルのエントランスから反対側の歩道に出る。
 空は既に暗くなっており、春と言っても夜はまだ少し肌寒い。
 黒子は丁度そこにあった喫茶店に入ると紅茶を注文しホテルのエントランスが良く見える窓際のカウンターに座った。
 注文した紅茶が来るとそれを一口飲み一息ついてから携帯を取り出すと電話をかけた。

「もしもし、わたくしですの」
『あ、白井さん。何してたんですか?というより何処ですか?』
「ちょっと野暮用ですの。そんなことより、お姉さまはまだホテルですの?」
『はい。ずっと見てましたけど。御坂さんらしい人が出てくることはありませんでした』
「そうですか。個人的な用事に付き合ってもらってありがとうですの。もう遅いですし初春は帰ってください」
『何言っているんですか白井さん。私は最後まで付き合うつもりですよ。それにこれは個人的なんかじゃありません。白井さんが私にとって大切な友達であるように、御坂さんだって私の大切な友達なんです。今日中に仲直りして、また一緒に買い物とか行きましょう』
「初春・・・ありがとうですの。今度は4人そっろってお揃いの下着でも買いに行きましょう」
『ふふ、楽しみにしています。でもあんまり過激すぎるのはダメですからね』
「ええ、わかっておりますわ。では何かあったら連絡しますので、初春はそのまま待機していてぐださいですの」

 黒子は電話をポケットにしまうと紅茶を飲みながらホテルのエントランスの方を眺め張り込みを続けた。
 しばらくして、丁度2杯目の紅茶を飲み始めた頃に黒いジャージの上下にニット帽を深く被った人物がホテルから出てくるのを発見した。
 背格好は美琴に似ているものの、黒子は美琴が常盤台の制服を着ているものと思っていたので、ランニングにでも行くのだろうと思ってその人物を目で追った。
 しかしおかしい事にその人はエントランス前に居たタクシーに乗るとそのまま何処かへ行ってしまった。

「あれはお姉さま?でもお姉さまのジャージといえば白とかピンクとかですし、しかしあれは。あ、紅茶のお変わりお願いですの」

 黒子は少し考えたが自分のカップが空になった事に気づき近くの店員に声をかけた。
 少しすると、店員がポットを持って黒子の所へ来て紅茶を注ぎ戻っていった。

「ふう、退屈だからってちょっとガブガブ飲みすぎましたわ。なんだか水っ腹になってきま・・・あれ?」

 黒子がホテルの方を見るとさっきとまったく同じ黒いジャージの上下にニット帽という格好の人物がホテルから出てきた所だった。
 しかしさっきとは違い、肩から中くらいのパッセンジャーバッグをかけている。
 さっきタクシーでどこかに行ったのにいつの間に戻って来たのだろう?と黒子が思いながら見ていると、今回はタクシーには乗らず小走りで同じ方向に去って行った。
 荷物を持ってランニング?怪しいですわね。
 黒子は携帯を取り出し初春に電話をかけた。

86恋と嘘と信頼と13:2011/01/14(金) 12:14:03 ID:6Z9FL9B2
『はひ。ほうひまひた?』
「まずは口の中のものを処理してくださいまし」
モグモグモグ・・・ゴキュン
『はい。どうしました?』
「初春。1分ほど前にホテルから出てきた黒いジャージの人物を確認しましたか?」
『ちょっと待ってください。今確認します・・・あ、確認しました。御坂さんに見えなくもないですね』
「まあお姉さまとの関係性は置いといて、ちょっと怪しいので調べていただけます?ジャッジメントとして不審者は放っておけませんので」
『わかりました。今調べてみるのでちょっと待っててください』
「お願いしますの」

 黒子は電話を切ると紅茶を飲みながら初春からの報告を待つ。
 すると電話がかかってきた。

「もしもし、なにか分かりまして?」
『はい。白井さんの言うとおり、ちょっと怪しいですね。まず最初にわかったのは、今から5時間以内にあの人と同じ格好をした人が少なくとも30人近くその周辺のカメラで捉えられています。
それともう一つ分かったのが、時間はバラバラなんですけど全員同じ場所に移動しています』
「どこですの?」
『第11学区の港です。何かありそうですね』
「ええ、初春はそこのGPSコードを転送してください。わたくしはちょっと偵察してきます」
『わかりました、今送ります。気を付けてください。組織的な反停戦テロの可能性もありますので』
「わかっておりますわ。では」

 黒子は通話を切って会計を済まし喫茶店から出ると第11学区にむけて瞬間移動した。 







 美琴は港から通り3つ程離れた場所でタクシーを降りて歩いていると後ろから鋭い目つきをした御坂妹が走って追いついてきた。
 
「何をしているんですか?とミサカは少し怒りながら問いかけます」
「何って、一緒だと目立つから別々に移動しようって言ったのはアンタじゃない」
「確かにそう言いましたが、お姉さまが単独で目立つ行為をしては意味がありません、とミサカは呆れながらため息をつきます」
「目立つって、タクシー乗っただけじゃない。ちゃんと手前で降りて歩いて目的地に行くわけだし」
「はぁ、常識的に考えてあの格好でタクシーに乗って何処かへ行くのは不自然すぎるのでは?」

 御坂妹は溜息をつくとキョロキョロとあたりを見回し今度はジト目で美琴を見た。

「まさか愚痴の次には常識を語られるとは・・・・ごめん。確かにちょっと軽率だったわ」
「まあ、尾行の様子はありませんし、次からは気を付けて下さい」

87恋と嘘と信頼と14:2011/01/14(金) 12:16:34 ID:6Z9FL9B2
 そうこうしている内に美琴と御坂妹は目的地に到着した。
 港といっても周囲はフェンスで囲まれ敷地内には大量のコンテナが積まれている。
 美琴はかつて彼が自分と妹達のために戦った操車場を思い出した。

「あれ?誰も居ないじゃない」
「バックアップ班は既に施設内で待機しています。突撃班は今来ます」

 そう言うやいなや、美琴と御坂妹の後ろから8人の妹達がやってきた。
 御坂妹は全員が合流するとフェンスのゲートに付いた端末に手をかざし能力でロックを外す。

「あの時はアイツに助けられて、それから始まって、やっと自分の気持ちに気づいたと思ったら、急にどっか行っちゃって・・・今度は私たちが助ける番よ」
「はい。彼にはまだ何も恩を返せていません、とミサカは意気込みます」

 ガシャコン!
 妹達の方から物騒な音がしたのでそっちを見る。
 すると妹達がバッグからサランラップ程のランチャーやサブマシンガン等を取り出した所だった。

88恋と嘘と信頼と15:2011/01/14(金) 12:17:59 ID:6Z9FL9B2

「まさか戦争でもする気!?」
「いえ。使用するのは暴徒鎮圧用のゴム弾です。まあ、アザや骨折はありますけど殺傷能力はありません。お姉様も使いますか?超電磁砲よりは人道的ですよ」
「遠慮するわ・・・」
「そうですか、一応予備も持ってきたのですが。では作戦開始まで10分を切りました。行きましょう」

 どうやら妹達の情報通り、この時間には既に作業員達は居ないようで、港には人の気配が全く無かった。
 美琴達はB地点となる巨大冷凍倉庫にたどり着くと、能力で扉のロックを外し中に入る。
 倉庫の外側の壁にはデカデカと「冷凍倉庫」と書いてあったのにもかかわらず、中には何もなく真ん中にトラック2台分ぐらいの大型昇降機があるだけだった。
 全員が昇降機に乗ると妹達の1人が昇降機に付いている電子端末に触れ確認を取る。

「では時間になりましたので作戦を開始します。少し揺れますので気を付けてください」

 ガコンッと音を立てて昇降機が降下する。
 少しするとドンッとくぐもった衝撃音がした。

「地下水道を爆破したようですね」
「え。したようって、ネットワークでわかるんじゃないの?」
「残念ながら地上まで距離がありますので施設外のメンバーとは通信ができないのです」
「じゃあ外と連絡は一切できないのね」
「はい、ここからは何が起きても私たちで何とかするしかありません」

 そう話してる内に昇降機は止まった。
 御坂妹は目の前に現れた扉のロックを外し開くと後ろを振り向く。

「では始めます。全員予定通りのルートで、C地点でまた会いましょう」

 そして全員が施設の中に入って行った。

89トンマ:2011/01/14(金) 12:22:42 ID:6Z9FL9B2
今回の投稿はここまでです
続きが遅くなってしまって大変申し訳ないです。

みなさんのコメント読ませていただきました。
「確かにイチャイチャしてない・・・」と思い反省していますorz

でも始めたからには最後までやりたいので
どうか長い目で付き合っていただければ幸いです。

ではまた続きが出来次第投稿させていただきます

90■■■■:2011/01/14(金) 12:26:44 ID:1UmzsPWQ
GJ!
続き待ってます!

91■■■■:2011/01/14(金) 12:32:25 ID:6Z9FL9B2
>>74
面白かったです!

92■■■■:2011/01/14(金) 12:35:36 ID:Px86d7rE
最後の最後に濃厚ないちゃいちゃが来ると信じてるぜ
続きwktk

93トンマ:2011/01/14(金) 15:36:42 ID:6Z9FL9B2
時差ボケで眠れない・・・・
1レスだけですけど
続きを書いたので
被らないようであれば15:40から投稿します

94恋と嘘と信頼と16:2011/01/14(金) 15:42:19 ID:6Z9FL9B2

 地下施設の中は意外と明るかった。壁や天井、設備などは全て白くまるで昼間のオフィスビルの中にいるようだった。
 美琴と3人の妹達が通る緑のルートは研究員が作業するエリアを通って行くらしく、突撃から5分もしないうちに5人程の研究員たちがデスクで作業している部屋に入った。

「なんだお前ら!」

 研究員の一人がそう叫ぶと懐から拳銃を取り出した。他の研究員達も続いて銃を抜く。
 シュボン! パパパン! シュボン!
 美琴は電撃を放とうと身構えたが後ろから発砲音が聞こえたと思うと、研究員達は後ろにすっ飛んで行った。

「お姉様、気絶させてください」

 妹達の一人がそう言ったので美琴は悶絶している研究員達に歩み寄り電流を流して気絶させる。

「今ほかの班と連絡してみた所、どうやらセキュリティはほとんど機械任せで警備員は居ないようです、とミサカは報告します」

 御坂妹はそう言うと6連ランチャーのシリンダーから薬きょうとゴム弾を全て抜き取り、バッグからリローダーを取り出して違う色の弾を装填する。

「アーマーを装備した警備員を想定してソリッド弾を装填していましたが、武器を持っていても所詮は研究員ですので散弾の方が効率がいいですね」
「ねぇ、将来ケンカとかしても絶対にそんな残酷なもん出してこないでね」
「心配いりませんよ。ケンカしても数で押さえこんで、せいぜい24時間くすぐりの刑ぐらいにしておきますので」 
 
 それも十分残酷よ!と美琴は思ったが何も言わなかった。
 美琴達は進み続け、途中10人程の研究員と行き会ったが妹達のチームワークになすすべもなく倒れていった。
 20分ほど進みC地点までたどり着くと他の妹達と合流し一番奥にある高さ3m幅4m程の扉の前で立ち止まる。
 白く分厚いドアには大きな赤い文字で「ImagineBreaker」と書かれていた。

「なんか、あまりにも呆気無くて拍子抜けしちゃったけど、やっと着いたわね」
「はい、無駄な戦闘が少なくて何よりです。扉を開けますので下がっていてください」

 御坂妹は扉の隣にある端末に手をかざし能力で操作した。
 ピピッと言う電子音が鳴ると扉がガラガラと音を立てながら上に持ち上がっていき中の部屋が露わになる。
 5人の妹達が先に部屋に入って安全を確認すると美琴も後に続いて部屋に入った。
 扉の中は外と同じく真っ白な長方形の部屋で奥の壁の真ん中に白い円筒形のカプセルが棺桶の様に置いてあり、その周りに沢山の計測器やモニターなどが設置されていた。
 円筒形のカプセルには扉と同じく赤い文字で「ImagineBreaker」と書かれており、美琴はそれを見つけると駆け寄って御坂妹の方を向いた。

「ねえ、これじゃない」
「はい、今開けます」

 美琴がそう尋ねると御坂妹はそう答えカプセルに繋がった端末を能力で操作した。
 すると、プシュッと音を立てながらカプセルの上半分が開いた。

「・・・・やっと。やっと見つけた」

 そこには緑の手術服を着た少年がいた。
 美琴が遥かロシアまで追いかけ、消息を絶ち、探し続け、その間も、そしてその前も、ずっと美琴の心の支えだった少年。
 

 上条当麻がそこにいた。



「まったく、まだやることがあるって言ってどっか行っちゃったと思ったらこんな所で寝てるなんて。ほら!起きろ!・・・・・あれ、機械で操作しないと起きないのかしら。ねえ、そっちで操作出来る?」

 美琴は上条の隣にしゃがみ込むと彼を揺すって起こそうとするが、起きる様子が無いので御坂妹に問いかける。
 御坂妹は暗い顔で端末に触れたまま無言でモニターを見つめていたが、決心したように美琴の方を見ると口を開いた。






「お姉様・・・・残念ですが・・・・設備の記録を見た所、覚醒措置は既に取られているようです・・・それも3ヶ月ほど前から・・・・」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」 
 美琴は言葉を失った。

95トンマ:2011/01/14(金) 15:43:13 ID:6Z9FL9B2
続きがんばります!

96■■■■:2011/01/14(金) 15:55:22 ID:tJ9LOCWg
>>95
めっちゃ面白いです!
頑張ってください!!

97■■■■:2011/01/14(金) 16:18:34 ID:2bgu06HQ
>>95
 _n
( l     _、_
 \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄ ノ  Good Job!!
     /    /

98■■■■:2011/01/14(金) 16:54:12 ID:PJArwn7A
GJ!続き待ってます!

99■■■■:2011/01/14(金) 17:20:32 ID:XgV8oM3s
GJ!
続きが気になる…

100■■■■:2011/01/14(金) 18:30:10 ID:DRdMy1kk
普段はもっとどぱーと投下して欲しいけど、こうちょくちょく投下されるのも忙しい時期にはありがたいな
GJ!続きは?

101■■■■:2011/01/14(金) 19:03:53 ID:W2C1LKdQ
細切れが嫌ならスルーして保管庫にまとめられた後見りゃいいしな
俺はそうしてる
完結待ってるよ

102■■■■:2011/01/14(金) 19:46:55 ID:AG.tGm5A
>>71
ツンデレワロタwwwwww

103■■■■:2011/01/14(金) 23:06:20 ID:scSfdrFE
つ、続きが気になるーっ!

104■■■■:2011/01/14(金) 23:17:08 ID:PJArwn7A
GJ!続きが気になります...

105■■■■:2011/01/16(日) 01:14:08 ID:oGwxeRNc
GJ!続きを待ってます!

106■■■■:2011/01/16(日) 19:50:55 ID:wHQzVo0Y
グゥジョオブ!

107■■■■:2011/01/17(月) 16:48:17 ID:DweeOJR2
蒼さん、続きまだかなー。
あれの完結を見届けないと自分のを書く気力が湧かないんだよー

108:2011/01/17(月) 22:28:27 ID:aFiO.YDw
>>107
Σまじすか!
すいません、あとラストのほんの少しと推敲だけなので、恐らく明日か明後日には投下できると思います。
私も含め、皆様が納得、そして満足できるラストにしたいと思ってますので、もう少しだけ待ってくれるとありがたいです。

109■■■■:2011/01/18(火) 00:15:46 ID:v5cPbta.
>>72です
酔った頭で妄想妄想
小ネタ一本出来上がりっ

読み直してみたら事後っぽいけど健全ですケンゼン。

110■■■■:2011/01/18(火) 00:16:58 ID:v5cPbta.
・たまにはこんな朝も


「ふぁあ………朝…」

目が覚める。常盤台の寮ではない、だがよく見慣れた天井が目に入る。
時計を見れば既に時刻は8時半、今日が日曜なのを考えると、まだそこまで遅い時間ではない。

が。

「目ぇ覚めちゃったしなぁ…朝ご飯作らなきゃ…」

まだまどろんだ頭でそんなことを考えていると、ふとこの部屋の主がどこにもいないことに気付く。

「あれ…当麻は…?」

美琴と上条が付き合いだして早一年。
翌日が休みの場合、美琴は時々こうして上条の家に泊まりに来ているが、上条の方が先に目覚めていることなどただの一回もなかった。
それなのに今日に限って見えぬ上条の姿。
まだ眠い目で辺りを見回しても人影一つ見えない。

が、

次第に意識がはっきりしてきて、ふと胸部に違和感を感じた。
いや、違和感というか、その。

重い。

「…重い?」

そっと布団をめくる。
そこに見えたのは自分の胸ではなく、

つんつんした黒い”なにか”。

「こいつ…なに人の胸を枕代わりにしてるのかしら…」

それは、胸に頬を擦り寄せ、美琴を抱きかかえるようにして眠っている上条。

「起きろー…って、まぁいっか。それにしても可愛い寝顔よね…」

頬をプニプニとつつくが起きる気配は無い。
それどころか、「んー…みことぉ…」などと寝言を言いながら微笑んでいる。

「ホント幸せそうな寝顔…どんな夢見てるのかしら…。夢の中でも私と一緒にいてくれてるの…かな…?」

今日は日曜、時刻は間もなく9時になろうとしている・

「ま、たまには昼まで寝ててもいいよね…?」

誰に問うわけでもなく、美琴はつぶやく。
そして、

ちゅっ

上条の額にキスをし、彼の頭を抱き締めながら二度目の眠りに入る。
願わくば、夢の中でも彼と共にいられますように、と思いながら………

111sage:2011/01/18(火) 00:19:38 ID:C9PlaKBA
続きがないと死んじゃうって
ミサカはミサカは泣きついてみたり…

112■■■■:2011/01/18(火) 00:20:47 ID:v5cPbta.
ということで。
長い文章が書ける人が羨ましいなぁ…
ストーリー仕立てで書いてみてもすぐ破綻しちゃうんですよねぇ

113■■■■:2011/01/18(火) 01:00:52 ID:903VorbA
>>112
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) Good Job!!
フ     /ヽ ヽ_//

114■■■■:2011/01/18(火) 01:08:10 ID:yWwqxyvo
癒される…
GJです!

115■■■■:2011/01/18(火) 02:57:00 ID:zvYnY9ek
>>112
読んでる自分が幸せになった気分だわ
ありがとう

116■■■■:2011/01/18(火) 06:08:27 ID:MGwmTotI
癒されるぜい

117トンマ:2011/01/18(火) 10:53:24 ID:9oo3hl4g
お久しぶりです、トンマです。
続きが出来たので投稿したいと思います。

もし被らなければ11:15頃から5レスほどお借りします。

118恋と嘘と信頼と17:2011/01/18(火) 11:19:45 ID:9oo3hl4g

 美琴は御坂妹が何を言っているのか理解できなかった。
 最初、仮死状態から戻るのはそれぐらいかかるのでは?と思ったが、その可能性はすぐに否定された。
 なぜならば美琴は常盤台の授業で第三次世界大戦が出てきた時、教師が「停戦時、学園都市側の死傷者はゼロ。戦争に参加していた警備員たちは次の日には普通の生活に戻った」と説明していたからだ。
 ならどうして上条は起きないのか?そう考えるととてつもなく嫌な予感がして額から汗が出る。

「でも・・・・うそ・・・・まさか・・・・」

「・・・・・どうやら、学園都市の技術をもってしても彼を目覚めさせる事は出来なかったようです、とミサカは苦痛に耐えながらも言葉を紡ぎます」

「・・・・そんな・・・ここまで来たのに・・・・やっと会えたのに・・・・ねえ、起きてよ・・・声ぐらい聞かせてよ・・・」

 御坂妹は俯くと何も言わなくなってしまった。
 美琴は上条の方へ向き直ると上条の肩を掴み揺すり始める。
 しかし上条は答えない。
 美琴が揺するのを止めるとガクガクと揺れていた上条の頭も止まり、横へ力なく傾いた。
 そしてついに、支えを失った美琴だけの現実がガラガラと音を立てて崩壊した。

「いや・・・いや!・・・・いやああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 美琴は上条を抱き寄せ叫ぶと、周りにバリバリッと放電し始める。
 その時、上条の体がビクンっと動いた。
 ピーッとカプセルに繋がれたモニターが赤く光り、警告音を発信する。

「何をしているのですかお姉様!!」
 
 我に返った御坂妹が美琴に駆け寄る。
 ドンッと美琴を突き飛ばし、上条から美琴を引きはがした。
 突き飛ばされた美琴はそのまま床に崩れ落ちたまま嗚咽を漏らす。 
 それまでビクンッビクンッと動いていた上条の体は力なくカプセル内に倒れた。
 部屋にいた他の妹達も上条の方へ駆け寄る。

「彼を殺す気ですか!?」

 御坂妹は上条の方へ向き手を手術着の中に入れると胸に触れる。
 上条の息は浅く、顔は青冷めていた。
 
「心臓は動いていますが不整脈が起きています。応急処置を行います、離れてください」

 ビクンとまた上条の体が動いて呼吸がもとに戻り、顔色も良くなった。
 モニターからの警告音も止み、元にもどった。
 御坂妹は上条の状態が正常に戻ったのを確認すると、美琴の方を向く。
 美琴はまだ床に突っ伏したまま泣いていた。

「お姉様、まだ終わってはいません。彼はまだ死んではいないのですから」
「うん」

 美琴は頷くとゆっくり立ち上がり涙を拭った。

「そうよね。まだ終わってなんかないわよね」
「大丈夫ですよ。行きましょう、とミサカは手を差し出します」
「ありがとう」

 そう言うと美琴は差し出された御坂妹の手を取る。
 妹達の内の二人が上条を担ぎ、全員が扉に向かって歩き出した。
 しかしその時、フッと明かりが消え辺りが真っ暗になった。
 そして、ガラガラガラガラドオォォンと凄まじい音を立てながら部屋の扉が落っこちた。

119恋と嘘と信頼と18:2011/01/18(火) 11:21:12 ID:9oo3hl4g

「え?何が起きたの?」
「ちょっと待ってください。今確認します」

 そう言うと妹達はバッグからライトを出しスイッチを入れる。

「確認できました。どうやら施設内のセキュリティが異常を感知し施設内の電源を落とした様です」
「異常ってもしかして」
「はい。さっきの放電です、とミサカは答えます」
「ごめん」
「いえ、過ぎたことです。それよりもまずここから出る方法を探しましょう」
「それなら私が扉を吹き飛ばすわ。向こうの子達に下がるように伝えて」
「わかりました」

 美琴はポケットからコインを取り出し指で弾く。
 次の瞬間、ドゴオオォォンと爆音がして美琴と扉の間にオレンジ色の光の線が現れて消えた。
 しばらくして閃光で眩んだ眼が闇に慣れてくると妹達がライトで扉を照らした。
 扉には美琴が超電磁砲で打った所に黒いインクを垂らした様な跡があるだけで、それ以外には全く変化が無かった。

「そんな・・・」
「大丈夫です。他にまだ手はあります向こうのメンバーに地上へ・・・・」

 御坂妹は言葉を詰まらせた。
 美琴は俯いて呟く。

「ねえ。私って空回りしてばっかりだよね。ていうか皆の足引っ張ってばかりだし・・・・」
「そんなことありませんよ。後ろに下がって下さい」
「え?うわっ」

 御坂妹はそう言うと美琴の腕をつかみ後ろへ引っ張った。
 美琴は後ろに尻餅をついて御坂妹に何事か?と尋ねようとしたとき、ガガガガガガンと金属同士がぶつかり合う様な音が部屋に響いた。
 
「な、なに?」

 美琴が扉を見ると丁度真ん中あたりに無数の金属矢の先端が縦に並んで現れ、消えた。
 そして、ガギィンと電話ボックス程の演算器が扉を引き裂き現れると、また消えて大きな穴がポッカリ空いた。
 するとその奥からキャップを被った少年の様な人影が現れた。

「まったく、驚きましたわ。不審者を追いかけていたらお姉さまがいっぱい居るんですもの。黒子はとうとうお姉さま禁断症状になったかと思いましたの」
「黒子!?」
「詳しいことはあとですの。それよりもこんな所で何を・・・ああ、なるほど。まあ、目的は果たせた様なので今は外へ出ましょう」

 黒子はぐったりした上条を見ると何かに納得しそれ以上話さなかった。
 



 その後の脱出はかなり簡単だった。
 妹達のおかげで研究員達は全員ダウンしていたし、施設のセキュリティも電源が落ちていたため一直線に昇降機まで行くことが出来た。
 昇降機まで辿り着くと、美琴は妹達が開けたハッチから床下のモーターに電流を流し、昇降機を稼働させ地上へ上がり倉庫の外に出た。
 こんなに簡単でいいのだろうか?と美琴が思っていると先頭にいた黒子が美琴の方へ振り返って口を開いた。

120恋と嘘と信頼と19:2011/01/18(火) 11:22:10 ID:9oo3hl4g

「ではお姉さま、また明日学校で」 

 そう言って黒子は背を向けて歩き始める。

「黒子!あの」
「お姉さま、責めるのも後悔するのも今でなければ出来ない訳ではありません。では」

 黒子は美琴の言葉を遮ると瞬間移動して居なくなった。
 そして上条当麻救出作戦は終了となった。
 実の所、外でバックアップしていた妹達はかなり暇だったらしい。
 彼女たちが言うには、セキュリティの解除以外にやった事と言えば、研究員から発信された緊急信号とセキュリティにより発信された異常報告を妨害しただけで、それ以外は何もしていなかったそうだ。
 本当にこんなに簡単でいいのだろうか?美琴はそう思っていると御坂妹が話し始めた。

「ちょっと上手く行き過ぎなような感じもしますが今は彼を病院まで運びましょう」
「ではお姉様、また会いましょう」「さようなら」「ごきげんよう」「失礼します」

 美琴と4人の妹達以外は会釈をすると闇の中に消えて行った。

「あの子たちは?」
「各々がお世話になって居る研究所や医療機関に帰るだけです。ここからは私達だけでも彼を運べますし」
「なるほど。じゃあちょっと肌寒いし早く病院にコイツを連れて行きましょう」

 美琴はそう言いながらジャージのジッパーを開け上着を脱ぎ、妹達に担がれた上条に着せる。
 そして彼女達は第7学区へと帰りカエル医者の病院へ向かった。


 
 




「ん・・・うぅ〜ん」

 上条は目を開けた。
 少しぼんやりしていた周りの輪郭が徐々にはっきりしていき自分がいつもの病室に居ることを理解する。

「なんか、長い夢を見ていた様な気分だな」

 窓から見える景色は夕日で茜色に染まっていた。
 上条がしばらくボーッと窓の外を眺めていると、ガラララと扉の開く音がした。
 上条は窓の外から目を離し、そっちの方を見るといつものカエル先生が立っていた。

「おや?久しぶりだね。気分はどうだい?」
「はあ、お久しぶりです。物凄くだるい感じがします。ていうか俺はいつ日本に帰って来たんですか?」
「君、随分と寝ていた様だからね。あ、喉乾いたかい?水でも持ってきてあげるよ」

 そう言うとカエル医者は部屋を出て少しすると紙コップに水を入れて戻ってきた。
 上条はそれを受け取り飲んだ。カエル医者は扉の近くにある丸椅子に腰かけた。

「ありがとうございます」
「もっと欲しかったら言ってくれ。そうだな、まず何から話そうか?やっぱり最初からの方がいいかな」

 そしてカエル医者は美琴と御坂妹から聞いた大体のあらすじを説明した。
 
「と言うわけで、君は丁度一週間前の夜に御坂さん達に担がれてここに来たってわけだ」
「はあ、俺が眠っている間にそんな壮大なエピソードがあったんですか。所で御坂と妹は?怪我とかしてないですか?」
「彼女達なら大丈夫だよ。さっき連絡したからもうそろそろ来ると思うけど。おや?来たようだね」

121恋と嘘と信頼と20:2011/01/18(火) 11:22:56 ID:9oo3hl4g

 タタタタタタッと廊下を走る音が聞こえたと思うとガラララッと部屋の扉が勢いよく開いた。
 するとそこには肩で息をしながら険しい顔をした美琴が居た。

「先生!アイツは!?」
「こらこら、病院では大声を出さないでほしいね?彼ならそこだよ」

 カエル医者はベッドを指差した。
 美琴は深呼吸して息を整えるとベッドに歩み寄って来たので上条は声を掛けた。

「う、うっす」
 
 美琴は上条をジッと見つめて口を開く。

「・・・・・ねえ、私の事誰だかわかる?」

 上条は美琴が記憶喪失の事を心配しているのだとすぐにわかった。

「ああ、覚えてる」

 上条は美琴の顔をみて答える。
 美琴は一瞬明るい顔をしたと思ったがすぐに俯いてしまった。

「アンタがどうしてここにに居るか知ってる?」
「ああ、さっき先生から全部聞いた」

「・・・何か言うことは?」
「ごめん、迷惑かけたな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ばか」
「お、おい!」
 
 美琴が上条の胸に顔を埋めるように抱きついてきた。

「ヒック・・・・・・・ばか・・・ばかばかばかばかばかばかばかばかばかバカアアァァァ!!うっすじゃないわよ!!ヒック どんだけ心配したと思ってんのよ!!ウエ・・・ウ、ウワアアアアアアアアァァァァァン!」

 美琴は上条の胸にしがみ付き、子供の様に大声で泣いていた。
 上条は何も言わず美琴の頭をやさしく撫でた。
 するとまた扉の開く音がして今度は妹達が部屋に入ってきた。

「ようやく起きましたか、とミサカは安堵します」
「お前らにも迷惑かけたな、ありがとな」


 プルルルルルルルルルルル


「おや?電話だ。ちょっと失礼するよ」

 カエル医者の白衣の胸ポケットに入っていた病院の電話の子機が鳴ったので、一旦廊下へ出て行った。
 上条は美琴の方へ向き直り話しかける。

「心配かけてすまん。ありがとな、御坂」
「もういいの。ヒック 起きてくれたから。でももうちょっと、このままで居させて」
「ああ」
「では次は私です、とミサカは志願します」
「じゃあその次はこのミサカです」
「このミサカもお願いします」
「じゃ、じゃあミサカも」

 上条が美琴の頭を撫でていると御坂妹達が我先にと手を挙げて注文していた。

「おいおい、俺はレンタルきるぐまーじゃないんだぞ」

 フフフと漏れるような声が聞こえて上条は驚いた。
 上条はその時初めて妹達が笑うのを見た。

122恋と嘘と信頼と21:2011/01/18(火) 11:23:37 ID:9oo3hl4g







 医者は子機を取ると耳を当て話しかけた。

「はい。どうしました?」
「やはり貴方には敵いませんね」

 男にも女にも、聖人にも狂人にも聞こえる声が受話器から返ってきた。

「おや?めずらしいね。君のほうから電話が掛かってくるなんて。敵と言われた以上、宣戦布告でもされてしまうのかな?」

 医者は面白そうに返事をした。

「まさか。こちらが成し遂げられなかった事をやってくれたのだ。こちらが数ヶ月掛かっても覚醒させる事が出来なかったのに、こんな短時間で幻想殺しを覚醒させられると複雑な気分ですが。感謝はすれど、危害を加える気はありませんよ。」
 
 それは感謝にも憎悪にも聞こえる声だった。

「なんのことだい?」

 医者が笑いながらとぼけた様な声で返事をする。

「ふふ、人が悪いですね。わたしは自信をなくしそうですよ」

 嘘にも真にも聞こえる声がそれに答える。
 医者は「ふぅ」と一息つくと話し始めた。

「なあ、アレイスター。若いって素晴らしいと思わないかい?」
「私からすれば貴方もかなり若いのですが」
「違うよ。体の事じゃない。心の事さ。若者はいつだって僕達老いぼれのつまらない予想から遥か彼方の場所で、思いもよらない答えを見つけ出す。」
「・・・・・・・・・・・・・・・医者の台詞とは思えませんね」

 尊敬にも嘲笑にも聞こえる声が返ってきた。

「はは、僕だって人間だ、ちょっとセンチになってしまう時だってあるさ。それにさっきの事だけど、僕には何の事だかサッパリだよ?感謝ならあの子達にするんだね。」

 医者は後ろを振り返りながら電話に話す。
 そこには微笑みながらベッドを囲むように立つ同じ顔をした4人の少女、
 もう一人同じ顔を涙でグシャグシャに濡らしながらベッドに居る少年に抱きつく少女、
 そして抱きつかれながら笑うツンツン頭の少年の姿があった。

「あと、前にも言ったけどあの子達は僕の患者だ。なにかしようものなら、僕は君を許さないよ?」

 医者は低い声で警告する。

「わかっていますよ。先ほども言った通り、危害を加えるつもりはありません。久し振りに楽しい会話をさせてもらいました。では。プツッ ツーツーツー」

 喜悦にも悲愴にも聞こえる声はそう答えると通話を切った。
 医者も電話から耳を離し子機を上着の胸ポケットに仕舞うと病室に戻り少女達に話しかけた。

「まあまあ、目が覚めて一安心だけど、ついさっきまで半年以上無意識だったんだ。精密検査だけはさせてもらうからちょっと待ってて欲しい。御坂さんに君たちの部屋でも見せてあげれば?検査が終わったら呼ぶから」
「わかりました、お姉様こっちです。ではまた」

 御坂妹達はそう言うと部屋から出て廊下で美琴を待った。
 美琴も上条から離れ扉まで歩き出したが、途中でクルッと上条の方へ振り返った。

「またね!当麻!」
「え?」

 美琴が今まで見せたことがないような笑顔で、急に名前を呼ばれて上条はフリーズした。
 美琴は上条の思考が追いつく前に扉から出て妹達と行ってしまった。

「ラブラブだね?」
「・・・・・・・」
「でもこの病院では如何わしいことはしないでくれよ?産婦人科は再来年導入予定だからね」
「・・・へ? そ、そんなことしませんてば!!!!」

 上条は我に返り医者の世迷言にツッコんだ。

123恋と嘘と信頼と22:2011/01/18(火) 11:24:18 ID:9oo3hl4g


 精密検査には2時間ほど掛かったが美琴は幸せ半分、緊張半分でそれほど長く待った気がしなかった。
 実は美琴、上条が起きたら告白しようと決めていたからだ。
 もう去年の秋からずっと言えなかったし、またどっかに行っちゃうかもしれないし、今回で全部ハッキリさせる!!
 そう意気込んでいたため妹達の部屋でトランプゲームなどを教えている間も殆ど上の空だった。
 そうこうしている内に妹達の部屋にある内線が鳴り、受話器を取った御坂妹に検査の終了を伝える。

「お姉様、検査が終わったので病室に行ってもいいそうです。先に行ってて下さい」
「アンタ達は?」
「私たちは後から行きます。お姉様の一大決心を邪魔したくありません」
「な、なんでその事を!?」
「先ほどからのお姉様の様子を見ていればすぐわかります」
「うっ、そんなに顔に出てた?」
「それはもう、一喜一憂全て表現してました、とミサカは真似します」

 御坂妹は笑ったり落ち込んだりニヤけたりを繰り返した。

「う、うっさいわね! じゃあ行ってくるから!」
「頑張ってください」

 そして美琴は妹達の部屋を後にし上条の病室へ向かった。
 病室に入るとそこには笑っている上条と険しい顔をしたカエル医者がいた。
 カエル医者は美琴の方へ振り向くと話し始めた。

「お、早かったね御坂さん。上条君と話す前にちょっといいかな?」
「いや、先生。俺が自分で話すんで大丈夫です」
「そうかい?じゃあまた後で来るよ。妹達には話しちゃっていいかな?」
「はい、そうしてもらえると助かります。後で自分も行きますんで」
「わかった」

 カエル医者はそう言うと部屋を出て行った。
 部屋に上条と二人きりになったので美琴はドキドキし始めたが思い切って話しかける。

「「あのさ」」
「どうした?先にいいよ」

 二人同時に声を掛けたので上条が先を促す。

「じゃあ私から。つ、次にアンタにあ、会えたらね、は、話しておきたい事があったの。だからっ、い、言うね」

 自分でもわかる、顔が赤くなってきた。動悸が加速する。言葉が詰まる。
 何よ!いざとなったら緊張しちゃって!根性出せ、私!
 心の中で言い聞かせた。その間上条は黙って美琴の方を見て頷いた。
 美琴は深呼吸をして自分を落ち着かせると話し始めた。

「私、御坂美琴は上条当麻の事をずっと前から好きでした。もう私にとってあなた以外の人はあり得ません。だから、これからの人生、私と一緒に歩いてくれませんか?」

 もはや告白と言うよりプロポーズだった。
 上条は少し驚いた様だったが、何も言わずに最後まで美琴の言葉を聞き終えると優しく微笑んだ。
 そして美琴に答える。

「正直、ちょっと驚いたけど凄くうれしい。まさか自分の事を好きになってくれる人がいると思わなかったし、それがこんなに見た目も頭も良いお嬢様だなんて思ってもみなかった」

 そして上条は俯く。

「・・・・でも、ゴメン・・・」
「そっか・・・」

 美琴は上条が答えても目を逸らさなかった。
 こうなる可能性も有るって分かっていたけど、やっぱり、無理!我慢できない!
 美琴の目からポロポロと涙が溢れ、止まらなくなった。

「・・・・ウッ・・・グスッ・・・ヒック・・・」

 嗚咽が漏れる。
 すると俯いていた上条が美琴の方に向き驚いた様に話しかける。

「御坂さん!? いや、確かに誤解されるような言い方したけど!なんか勘違いしてませんか!?」
「へ?」
「いや、上条さんは美琴さんと付き合えるのは万々歳なのですよ!でも、あの〜、なんて言うか御坂さんのお願いは聞けないと言うか、出来ないというか・・・だーっもう!」

 上条は叫びながら頭をガリガリと両手で掻き毟ると「はぁ」とため息をついて美琴の方へ向き直る。

「御坂、俺も御坂に聞いてほしい事があるんだ」

 すると上条は手を自分の手を足に乗せ話し始めた。

「俺、もう歩けないんだ。だから一生、御坂と一緒に歩くことは出来ないんだ」
「え・・・・・・・・・・」

124トンマ:2011/01/18(火) 11:28:28 ID:9oo3hl4g
今回はここまでです。
結構いい所まで来た感じです。 

でもまだもうちょっと続きます。
終わるまで付き合っていただければ幸いです。

続きは出来次第また投稿します!
では!!

125■■■■:2011/01/18(火) 12:19:02 ID:Kbt6YD6k
>>124
ちょおおおおお!!!
めっちゃ気になるじゃないか!
続き楽しみにしてます!
乙でした

126Good Job:2011/01/18(火) 16:07:13 ID:YCBdjR5Q
歩けない...だと?

127■■■■:2011/01/18(火) 18:02:09 ID:vHEk/C7M
GなJ!!

きれいなアレイ☆が新鮮だったwww

128■■■■:2011/01/18(火) 18:27:45 ID:7cpJZ9TY
GJ!
続き待ってました
このあとどうなるんだ…

129■■■■:2011/01/18(火) 18:49:57 ID:rxQFzjGE
御坂の電撃で覚醒?とか思っちゃったけどそんな単純なルートじゃないんですね。
それにしても歩けないってどういうことだ。すごく気になります!

130とある通気管:2011/01/18(火) 19:56:48 ID:YCBdjR5Q
いいネェ!いいねェ!ッ最高っだねェ!

131■■■■:2011/01/18(火) 21:41:13 ID:Vuk9JPZs
>>126>>130
そろそろage自重しろ


あと>>124はGJ

132■■■■:2011/01/18(火) 22:05:56 ID:v5cPbta.
歩け…ない…!?
でも上条さんの意識戻って良かったぁ…

上琴車椅子デートなんていいかも…なんて不謹慎にもちょっと思ったり。

133■■■■:2011/01/18(火) 22:24:39 ID:dnMyMbGw
乙!そしてGJ! 続きが気になるェ……
ついにいちゃいちゃ突入ktkr
ただアレイ☆って口調敬語じゃなかった気が

134■■■■:2011/01/18(火) 22:34:23 ID:903VorbA
>>124
 _n
( l     _、_
 \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄ ノ  Good Job!!
     /    /

135■■■■:2011/01/18(火) 23:49:37 ID:QEY6hsHA
GJ!

136■■■■:2011/01/19(水) 00:53:34 ID:x1Cdh7Og
>>72>>110です
実は一週間くらい前から書いていた短編が出来たので…

被らないようでしたら1時丁度から3レスほどお借りします…

137■■■■:2011/01/19(水) 01:00:41 ID:x1Cdh7Og
最近当麻の様子がおかしい。
あれは絶対私に何か隠し事をしているはずだ。
「アンタ何か私に隠し事してるでしょ?」
と尋ねても、
「この上条さんが可愛い可愛い美琴たんに隠し事なんてするわけありませんのよー」
などと言ってはぐらかされてしまう。
アイツには前科がありすぎるのよ。記憶喪失とか居候シスターとか。
ここ数日など、毎日居残り授業があるとかでほとんど会えてないし、デートにも行けていない。
再来週の日曜日は私の誕生日で、それはアイツも知ってるはずなのに、デートの誘いがくる気配など微塵もない。
それどころか、
「次の土日も、その次の3連休も補講だぜ?不幸だ…」
なんて言ってたから、希望はもうほとんどないだろう。

「ホントにもう…なんなのよアイツ…。とはいえ私から言い出す、ってのもなんか癪よね…」

誕生日は再来週、まだ14日もある。
遠出はしなくてもいいからせめて放課後デートくらいはしたいな、などと考えつつ、悶々としながら今日も消灯時間を迎える。




最近黒子の様子がおかしい。
あれは絶対私に何か隠し事をしているはずだ。
黒子が私に隠して”パソコン部品”を購入するのはもう日常茶飯事なので、隠し事に関してはあまり気にしていなかったが、それより気になることがある。
ここ数日、毎日門限ギリギリで帰ってくるし、消灯時間を過ぎても布団の中でずっと携帯電話を弄っているのだ。
相手は誰だろう。初春さん?佐天さん?それとも私の知らない人?
メールを読みながら時折嬉しそうな顔になったりニヤリと笑ったりしているから、風紀委員関連の連絡ではないはず。
気になりすぎて、今朝ついに
「黒子、アンタ最近夜中にずっとメールしてるけど誰とメールしてんの?あ、もしかしてカ・レ・シ?」
と、冗談めかして聞いてみたら、
「うふふ…それはお姉さまのご判断にお任せしますの」
などと、笑顔で返されてしまった。しかも肯定とも否定とも取れない曖昧な返事を。
まさか…あんなに私に付きまとってたあの子に彼氏…?ありえないわよね…?
あの子の周りの男性…当麻?いや、アイツが浮気するなんてありえないし…
常盤台は女子校だから違うだろうし…あとは…風紀委員の誰かかしら…?
そんなことを考えていると、また黒子の携帯に着信が入る。
その音を背後に聞きながら、私はその日も眠りについた。

138とあるカップルの浮気疑惑(2):2011/01/19(水) 01:03:49 ID:x1Cdh7Og



――次の日曜――

「と、いうことなのよね。佐天さんは何か知らない?」
「んー…私は何も知らないですねー」
「そっか…」

ひとりで悩んでいても仕方ないので、いつものファミレスでお茶にしながら佐天さんに探りを入れてみる。
ホントは初春さんにも聞きたかったんだけど…黒子も朝から風紀委員の詰所に行くと言ってたし、初春さんも風紀委員の用事があるのだろう、今日は来ていない。

「土御門経由でお義兄さんにも聞いてもらったから、居残り授業と補講の裏は取れてるのよね…」
「それより白井さんのほうが問題じゃないですか?今は門限内で帰ってきてるみたいだからいいですけど、門限破ったり無断外泊までいっちゃったら…」
「そ、そうよね。今夜帰ってきたら黒子にきつく言っておかないと…ん?」

突然私たちの席の前で人影が立ち止まる。
店員かな?と思ってそちらに目をやると、そこにいたのは

「御坂さん、佐天さん、お待たせしましたー」
「お、初春。待ってたよー」
「え?初春…さん?」

初春さんだった。
あれ?今日は今日はてっきり風紀委員の用事で来ないと思ってたのに。

「どうしたんですか御坂さん?そんな驚いた顔して…あ、もしかして私に聞かれちゃ困るようなこと話してたんですか?」
「い、いや、そんなことないけど…風紀委員のほうは結構早く終わったのね」
「え?確かに詰所には寄ってきましたけど、忘れ物取りに行っただけで私は今日非番ですよ?」
「もー御坂さんったらー。『初春は遅れてくる』って、ちゃんとここに来た時に言ったじゃないですかー」

…記憶にない。単に聞き逃してしまったのだろう。
あれ?とすると…黒子は?

「ごめんごめん、ちょっと聞き逃してたみたい。ところで初春さん、黒子は?」
「?白井さんも今日は非番ですけど…いないんですか?」
「朝から”風紀委員の用事”で出掛けてるわよ。…ってことはあの子今日も”誰かさん”と一緒にいるってことかしらね…」

電話して黒子を直接問い詰めてみよう、と思って携帯電話を取り出した、その瞬間。

ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ……

「ちゃ、着信?しかも土御門から…?何の用かしら…」  ピッ
『おー、みさかかー?』
「当たり前でしょ。私の携帯なんだから私以外に出る人いないわよ。で、どうしたの?」
『それもそうだなー。ところで上条当麻の耳寄りな情報が入ったん……』
「つつつつつ土御門!当麻がどうしたの!?何があったの!?何を知ってるの!?早く!早く言いなさい!」
『落ち着けみさかー。その様子だと知らないみたいだなー?落ち着いてちゃんと聞けよー』

と、そこで土御門は一度言葉を切り、

『今日は上条当麻の補講はないらしいぞー。兄貴情報だから間違いないぞー」

衝撃の事実を口にした。

「そ、それってアンタのお義兄さんだけ補講なくなったんじゃないの?だって今朝当麻がメールで『今日も朝から晩まで補講だ楽しいなー…不幸だー!』って言ってたわよ?」
『それはおかしいぞみさかー。だって今日の補講の中止が決まったのは昨日の帰り際らしいからなー」
「え…?じゃあアイツは補講がないことをわかっていながら、私に『今日も補講だ』ってメールを…?」

電話の向こうで土御門がまだ何か喋っていたが、無言で通話を切る。
向かいの席で初春さんと佐天さんが私に何かを話しかけてきているみたいだが、その声は私の耳には届かない。

ノロノロとした動きで当麻に電話を掛ける。1コール、2コール、3コール…出ない。
続けて黒子にも電話を掛けるが、やはり出ない。

頭の中が思考でいっぱいになる。

最近様子がおかしかった当麻と黒子。
補講がないのに『ある』と嘘をついた当麻。
非番なのに『風紀委員の用事』だと言って出掛けた黒子。
電話に出ない二人。


それってもしかして――――

139とあるカップルの浮気疑惑(3):2011/01/19(水) 01:04:21 ID:x1Cdh7Og


その解答に行きついた瞬間、さっきまでいっぱいだった頭の中が真っ白になる。

信じていたのに。最愛の恋人と可愛い後輩、二人とも信じていたのに。

「ごめん、私もう行かなきゃ。初春さん来たばっかりだけどごめんね?また今度お茶しようね…」
「ちょ、ちょっと!?御坂さん!?」
「ごめん、ホントごめん。今度奢るから、今日は払っといて…」

そのままフラフラとファミレスを後にする。
後ろからあわてて二人が追っかけてくるが、気にする余裕はない。

寮に帰るわけでもなく、店に入るわけでもなく、あてもなくフラフラと歩いてゆく。
気が付くと、いつも当麻の待ち合わせに使う、自販機のある公園の前にいた。
仕方なく、自販機に八つ当たりでもして寮に帰ろう、黒子は夜にでも締め上げようと、そう考えながら自販機に近づき、私はその後ろ姿をを見つけた。

それは、何十回、何百回と追い駆け回した黒いツンツン頭の男。
そしてその横で彼と腕を組んで歩くのは、よく見慣れたツインテールの少女。


「あ…あ…」

頭に血が上っていくのがわかる。全身がバチバチと音を立てて帯電していく。
そして、

「アンタら何やってんだコラアアアァァァーーー!!!!」

怒声と共にフルパワーで電撃を目の前の二人の背中に向けて飛ばす。
だが、最早条件反射のように振り向いた男が右手で私のフルパワーをかき消す。
と、同時に少女もこちらを振り返り、驚いたような顔をしている。

「げ!やべぇっ!意外と早く追い着かれた!どうする白井!」
「ど、どうするも何も、逃げ切らなければわたくし達の命がありませんの!」
「そりゃそうだ!とりあえず俺が美琴を足止めするから、白井は先に俺の部屋行って準備してろ!」
「確かに上条さんを連れては空間移動できませんものね!わかりましたわ、先にお部屋に行ってお待ちしておりますの!ではご武運を!」

そう言って、少女―黒子は空間移動でその場から離脱した。

「へぇ…アンタと黒子がそんなに仲良かったなんて気付かなかったわよ?」
「あぁ、まぁなんだ、色々あったんだよ」
「そう。それで”準備”って何?お昼には遅いし晩御飯にはまだ早いわよね?あ、そっか。門限破ったり無断外泊とかしちゃうと黒子が怒られるものね。真昼間からそんなことするなんてお盛んなのね。流石男子高校生!」
「い、いや!そういう準備じゃねぇよ!」
「じゃあどういう準備よ!なんで私に言えないの!?私は!アンタの彼女じゃなかったの!?」
「みっ、美琴は俺の可愛い彼女sだよ!でもな、悪い!今ここでは言えねぇんだ!」
「”今ここでは”?じゃあいつどこでなら言えるのよ!…って、あ、コラ逃げるな!待ちなさいよおおおっ!!」

逃げる当麻の背中に向けて、追い駆けながら連続して電撃を放つ。
その電撃を後ろ手でかき消しながら当麻は逃げ続ける。

フルパワーで電撃を放ち過ぎた。スタミナ切れで、少しずつ当麻との差が開いていく。
気が付けば、彼を見失っていたが、彼の寮の前まで辿り着いていた。


「ハァ…ハァ…アイツ…『俺の部屋行って準備してろ』って言ってたわよね…ってことは少なくともアイツの部屋に黒子はいる、ってことかしら…」

つぶやきながら彼の部屋の前まで行く。
大きく深呼吸。一度、二度、三度。よし、少し落ち着いた。
ドアノブを回す。鍵が開いている…?
そしてドアを大きく開け放つと同時に

140とあるカップルの浮気疑惑(4):2011/01/19(水) 01:04:52 ID:x1Cdh7Og



パン!パン!パン!
「きゃっ!何!?」

破裂音、火薬の匂い。思考が一瞬にして止まる。
そして、次に聞こえてきた声で、さらに私の頭の中は疑問符で埋め尽くされる。



「「「御坂美琴ちゃん、ちょっと早いけど誕生日おめでとう!」」」



「へ?は?何?これ…どういうこと…?」

部屋の中でクラッカーを手に立っていたのは、当麻と黒子、そして…土御門?

「ったく…ちょっとやりすぎだったんじゃねぇのか?本気で死ぬかと思ったぞ…」
「ですが、お姉さまの足止めなんて上条さん以外にできる人がいるわけないですの。」
「いやー見事に引っかかったなみさかー。仕掛け人のひとりとして私は結構嬉しいぞー」

え?引っかかった…?仕掛け人…?

「予想以上にうまくいきましたね!」
「ホント、見事に引っかかってくれましたね御坂さんっ!発案者兼シナリオライターとしては喜ばしい限りですよ!」

後ろから初春さんと佐天さんが満面の笑みで話しかけてきた。
あぁ、なるほど、来週は私の誕生日だもんね。誕生会ね。なんか早いけど。
って

「あ・た・し・を・騙したのかぁー!!!」

さっきまでとは違う種類の怒りが爆発する。

「おおおおお落ち着け美琴!電化製品がやばいから!」
「大体一週間ずれてるし!なんで間違えてんのよ!」
「いや、これで合ってるんだよ。『ちょっと早いけど』って言ったろ?」
「わけわかんないわよ!ちゃんと説明しなさい!言い訳くらいは聞いてあげるから!」
「はいはいわかったわかった。説明するからとりあえず入れ、な?お前がそこをどかないと初春さんと佐天さんが入れないから。」
「あ、うん…」

納得いかないが、とりあえず靴を脱いで奥に入る、と。
そこには”御坂美琴ちゃんお誕生日おめでとう”と書かれたチョコプレートの乗ったケーキを初めとする料理の数々。

「わかってると思うが、料理担当は私だぞー」
「そりゃ土御門が一枚噛んでるなら料理担当はアンタでしょうけど…いいから早く説明しなさいってば」
「まぁいいから食えよ。食いながらでも話はできるだろ?ほい皿と箸な。」
「あ、ありがと…」
「全員飲み物回りましたねー?じゃあ改めまして、ちょっと早いけど御坂さんお誕生日おめでとう!カンパーイ!」
「「「「おめでとー!」」」」
「それではそろそろ御坂さんが爆発する前に、ネタばらししますか?」
「その前に私は退散させてもらうぞー。みさかの誕生日を祝いたいのはやまやまだけどなー。このあとちょっと用があるんだー。申し訳ないが誕生日プレゼントは料理だと思ってくれー。じゃーなー」
「おう、口裏合わせに料理の準備までしてくれてサンキューな舞夏」

と、舞夏はさっさと帰って行った。

「さて。じゃあネタばらしだな。まず事の初めは一か月前にだな…」

141とあるカップルの浮気疑惑(5):2011/01/19(水) 01:05:21 ID:x1Cdh7Og



要約するとこういうことだ。

美琴の誕生日を一か月前にして、上条がサプライズパーティーを開こうと思いついた。
が、上条がひとりで美琴の誕生日当日に自室に美琴を呼んでも、すぐにばれてしまう、と考えた。
ひとりで悩んでも、何もいい案が出ない上条は、美琴と仲の良い初春・佐天に協力を仰ぐことに。
すると佐天が、「じゃあ長期計画でドッキリ仕掛けましょうよ!」と言い出し、その場である程度のシナリオを即興で考えた。
最初にできたシナリオは、「上条が浮気。浮気現場を目撃した美琴が上条を追い駆け回し、上条の部屋に押しかけたらそこで誕生会の準備がされてました」というもの。
上条の浮気相手役としては、様子の変化を美琴に気付かせやすい黒子が抜擢された。
当初は嫌がっていた黒子も、美琴にドッキリを仕掛けられると聞いて渋々承知。
黒子が連日門限ギリギリだったのは、ウィンドウショッピングなどで時間を潰していたから。


だが、私を一番驚かせたのは、

「実は居残り勉強はおろか、今週も来週も補講なんか入ってねぇんだよ」

これだった。

「どうせ美琴が舞夏経由で土御門に探りを入れるだろうと思ってたから、早めに土御門兄妹を仲間に引き込んだんだよ」
「ちなみに御坂さんが舞夏さんに連絡を取らなかった場合のプランは『上条さんと補講を受けているはずの土御門さんに街中で出会って、補講が無いという事実を知る』だったんですよ」
「あとですね、今日の一連の出来事は全部仕込みですよ?白井さんはもちろんのこと、初春も詰所になんか行ってません」
「佐天さんのカバンの中に、通信状態のトランシーバーを仕込んでおいたんです。御坂さんと佐天さんの会話を聞きながら、頃合いを見計らってファミレスに入ったんですよ」
「舞夏さんからの電話は、私が舞夏さんにメール送った直後に御坂さんに電話をかけるてはずになってて」
「お姉さま達がファミレスに出た後の動向は逐一メールで初春からわたくしに連絡が来てたんですのよ」
「で、美琴の動きを見つつ、『俺と白井のデート現場を目撃』できて『俺の寮から余り遠くない』ポイントに俺らが移動して、うまい具合に美琴を釣って」
「あとは御坂さんが上条さんを追い駆けてこの部屋に来るのを待つだけでした」
「ちなみにわたくしが毎晩メールしていた相手は上条さんですのよ?」

「はぁ…なんかドッと疲れた…怒る気力もないわよもう…」

それに、言い出しっぺが当麻だというのはちょっと、いやかなり嬉しかった。
こんな騒動になってしまったとはいえ、私のことを考えてくれていたのだ。嬉しくないはずがない。

「さ、ネタばらしも終わりましたし、次は誕生日プレゼントですの。ではまずわたくしから…お姉さまにこれを。」

と、黒子が手のひら大の小包を私に手渡してきた。

「黒子、一応聞くけどこれ下着じゃないわよね?」
「まぁお姉さまったら。そんなの決まってるじゃありませんの」
「下着ね?下着なのね!?」

カバンに下着(と思われる)小包を仕舞う。
まぁ…いつかは役に立つ時が…来るかしら。

「まぁまぁ御坂さん落ち着いて。私からはこれです」
「きゃー!初春さんそれってもしかして最近出たゲーセン限定のゲコ太ぬいぐるみ!?嬉しい!欲しかったのよこれ!」
「喜んでもらえてなによりです!」
「お姉さま…わたくしのプレゼントを受け取った時と反応が違いすぎませんか…?」
「じゃあ次は私からですね!」

と、言いながら佐天さんが私に封筒を差し出してきた。

142とあるカップルの浮気疑惑(6):2011/01/19(水) 01:05:49 ID:x1Cdh7Og

「実はですね、"コレ"を御坂さんに使って貰いたかったからこそ、誕生日会が一週間早まったんですよ!」

とりあえず開けてみてください、と言われて素直に封筒の中身を取り出す。
三つ折りの紙が一枚と、細長い紙が二枚出てくる。

「チケット…?」
「そうです!二泊三日の温泉旅行のペアチケットですよ!ホラ、来週は三連休だから丁度いいじゃないですか?」
「こ、こんなのどうやって…?」
「懸賞で当たったんですよ。ペアチケットだから初春と一緒に行こうかと思ったんですけど、せっかくですし御坂さん達に楽しんでもらえたらなぁと思いまして。御坂さんにはいつもお世話になってますしねー」

嬉しい。ここまで私のことを想ってくれる友人がいることが嬉しい。
だから、

「ホントはC賞の最新音楽プレイヤーが欲しかったんだけどねー。なんで特賞当たっちゃうかなぁ」

なんて言葉は聞かなかったことにしてあげよう。


「これで、誕生日会が早まった理由はわかったけど…あれ?肝心の当麻はプレゼントくれないの?」
「あ、あぁ…俺はな…正直今週と来週の休みに補講が入らないようにここ一か月は猛勉強してたから…用意してないんだよ。」
「えっ…?」
「だからさ…」

と、当麻が私の耳に口を近づけ、


「来週、な。だから今は…これで勘弁してくれ」

と、言い終わるか終わらないかの瞬間、触れるだけのキス。

ボン、と顔が真っ赤になって行くのが自分でもわかる。
幸い当麻の右手が私の手を握っているので、漏電はしなかったものの、恥ずかしくて顔を上げることができない。

(え?え?来週ってことは旅行中にってことよね?これはもしかして…もしかするかも…!?あ、そうだ!さっき貰った黒子のプレゼントがさっそく役に立つ…?)

「おーい美琴ー、帰ってこーい…って、顔真っ赤じゃねーか。大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ大丈夫。」
「そっか、それならいいんだが」
「!!お姉さま!そろそろ門限が!」
「え?あ、も、もうこんな時間!?」
「あ、私達もそろそろ時間ヤバいわよ初春?」
「そうですね…でも片付けが…」
「あーいいよいいよ、片付けは俺がやっとくから。ほらほら門限あるんだから早く帰った帰った」


お邪魔しましたー と、当麻の部屋を後にする。

「それにしても…黒子、アンタいつの間に当麻と仲良くなったのよ?」
「それは一か月ほど前…いえ、本当はもっと前から上条さんのことは許してましたの」
「へ?どういうことよ?」
「お姉さまが選んだお相手ですし、二人が正式にお付き合いを始める前から上条さんのことは存じておりましたし。私自身、上条さんに助けていただいたこともありますしね…」
「………」
「あのお姉さまと同じまっすぐな瞳…あんな瞳で見つめられたら、お姉さまでなくとも世の女性はイチコロですの」

ま、わたくしはお姉さま一筋ですの、とつぶやく黒子の横顔を見つめる。

「ありがとね、黒子」
「礼には及びませんの。でもお姉さまが是非と言うならそうですね…わたくしのプレゼントの感想を聞かせてくださいですの」

笑いながら寮の208号室に戻り、手早くシャワーを済ませてベッドに潜り込む。
初春さんに貰った人形を枕元に置き、携帯をチェックしてみると当麻からメールが入っていた。

『今日は驚かせてごめんな。でも正直面白かったぜ?それにしても来週が楽しみだな。それまでにプレゼントは考えておくから期待して待ってていいぞ。じゃあまた明日の放課後、いつもの場所でな。おやすみ美琴。』

うん、すごく驚いたけど、すごく楽しい誕生日会だった。色々ありがとう。来週を楽しみにしてるわよ。じゃあまた明日ね。おやすみ当麻。

メールに返信をして目を瞑る。
来週が楽しみすぎて眠気が全くやってこない。
あ、外泊申請出さなきゃなぁ…などと考えているうちにいつの間にか私は眠っていた。

143■■■■:2011/01/19(水) 01:07:47 ID:x1Cdh7Og
おしまい、です。
3レスとか言いながら6レスに…
文字数制限ちゃんと考えなきゃなぁ…

144■■■■:2011/01/19(水) 01:10:16 ID:TgqzFkxc
ъ(゚Д゚)グッジョブ!!
その後を楽しみに待ってるぜ

145■■■■:2011/01/19(水) 01:26:27 ID:x1Cdh7Og
>>144
う…
実はもうこれで終わりなんですよ…
もっと上手く完結させないとわかりにくいですかねぇ
あと自分で読んでみて改行が読みにくいかも…?

146■■■■:2011/01/19(水) 01:27:20 ID:YSJRbRMU
 _n
( l     _、_
 \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄ ノ  Good Job!!
     /    /

147■■■■:2011/01/19(水) 01:28:21 ID:VFicS2fQ
GJ!!

148■■■■:2011/01/19(水) 10:47:14 ID:ZIFNUqfQ
>>145
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) Good Job!!
フ     /ヽ ヽ_//

149とある通気管:2011/01/19(水) 15:40:48 ID:9YBlWnrA
イイハナシダナー  Good Job!!

150■■■■:2011/01/19(水) 19:24:29 ID:MgQLkfnE
>>149
またお前か…
いい加減sageしろ
迷惑なんだよ

151:2011/01/19(水) 19:26:57 ID:tIF9DTk6
 こんばんは。
 ええー、本当に長らくお待たせしました、【side by side】最終回です。
 本当に最後ですので、楽しんでもらえればなと思います。
 五分後から18レス消費予定。

152【side by side】・一生かけて(1):2011/01/19(水) 19:31:42 ID:tIF9DTk6
 ―――二年後、8月20日、9時、夏

 学生が八割を占める学園都市で、今の時期は学生の誰もが浮き足立っているであろう夏休み。
 日本の内陸部に位置する此処は、毎年厳しい暑さに見舞われ、今現在も太陽は燦々と地上を照りつける。

「うーす……あぁ、まだねみいぞ」

 そんな中、ツンツン頭が特徴的な少年が、眠たい目を擦りながらのそのそゆったりとした動きで、リビングの食卓の椅子へと腰掛ける。
 上条当麻19歳、これでも彼は今年の四月からは立派に大学生をやっている。

「おはよ、当麻。ていうか、もう9時なんだから眠いなんて言わないの」

 その彼を、食卓のテーブルの椅子に腰掛け、待っていた少女がいた。
 御坂美琴17歳、さる四月から晴れて高校三年―――ではなく、上条と同じく大学一年生である。
 それも、二人とも同じ大学の。
 しかし上条と同じ大学だからといって、そこの大学のレベルが特別低いわけではない。
 低いどころか、それなりに名も知れていて、レベルとしては上位にあると言ってもいい。
 にもかかわらず、上条は余裕の合格ではないものの、見事にその大学の合格を勝ち取ったのだ。
 彼、上条当麻は確かにお世辞でも頭の良い高校生とは言えなかった。
 一時は能力開発を始めとして、あらゆる教科においても赤点が続出するというほどの落第生であった。
 だがある日を境に、彼にある変化が訪れる。
 二年前の4月14日、その日を境に。
 その日は上条がある決意をした日。
 留年という一種のコンプレックスにもなりうるその事実に対して、少しでも抗うという決意を。
 上条が担当である小萌に、進級させる為に提示された最低条件は決して簡単ではなかった。
 事実、何回か諦めるという選択肢が幾度となく頭の中でちらついた。
 もし上条一人だけの挑戦だったならば、それは恐らく成し遂げられなかっただろう。
 しかし上条は一人ではなかった。
 御坂美琴という恋人で、互いが互いよく知る協力者がいた。
 単純に勉強の手伝いという面だけでなく、身の回りのこと、精神的な面などというあらゆる面で上条を支えてくれる、これ以上ないくらいの女性がいた。
 だから上条は頑張れた。
 そこまでしてくれる人がいながら、そこで簡単に諦めるわけにはいかない、と。
 結果、一つの関門とされていた中間と期末テストでは、心配されていた能力関連でやはり得点を落としてはいたものの、二つとも八位という順位で辛くもクリアだった。
 そして次の関門でもある夏休みのテストでも、端から見ても合格点と言える結果を残せた。
 上条のその頑張りに感銘を受けた小萌は、それらの結果を交渉材料に交渉を開始。
 交渉の結果、上条は二年への進級を果たした。

 ―――美琴ともに。

 何故ならば、美琴は中間期末ともに二位との圧倒的とも言える大差で学年一位という成績を残し、本人たっての希望で上条とともに進級を希望し、一年の学習内容の総テストを受けた。
 その結果は言わずもがな、上条より上だった。

153【side by side】・一生かけて(2):2011/01/19(水) 19:32:01 ID:tIF9DTk6

 常盤台中学の教育方針、それは卒業した時点で社会に通用する、即戦力となりうる人材を育成すること。
 したがって、常盤台で行われる学習内容や水準は中学や高校のそれを遥かに上回り、中学であるのにかかわらず大学レベルのことを教えられる。
 美琴は、そんなただでさえ高レベルの中学を卒業しただけでなく、そこでもトップクラスの人間。
 彼女にとって高校の、ましてやその中でも平均校のテストなど簡単で仕方ない。
 だから彼女は一年に留まることよりも、彼とともに進級することを選んだ。
 ……というのは勿論建て前であり、本音は言わずと知れている。
 閑話休題。
 とにかく、本音を言えば上条は三年への進級を望んでいたが、そこに関しては上条も何も言えなかった。
 二年でやるべきことを何もやっていないからだ。
 そういうわけで二人は二年に進級ということで落ち着いたが、その後はトントン拍子にことは進んでいった。
 始めこそ二年の一学期にやる範囲をやるための補習に追われていたが、それを乗り越え、周りの進度に追いつくと、後は障害になりうるものは何もなかった。
 彼には優秀な専属の家庭教師のような存在がいる。
 その点で勉強にはまず困らない。
 ともに同じ時を過ごしていて楽しくなれる人がいる。
 その存在、彼女の存在のおかげで退屈な学生生活を送ることはなかった。
 上条は美琴に対して、返しても返しても返しきれないような借りを作った。
 だから、今度は上条がそれを少しずつ返していく番。

「なぁ……今日花火大会あるの知ってるか?」
「ああ、そういえばなんかそんな触れ込みがあったわね」
「今日は美琴も俺も特にこれといった予定はないし、せっかくだから見に行かねえか?最近こういう機会あまりなかったろ?」
「もちろんいいわよ。でも、当麻からの誘いってなんか珍しいじゃない?まあ、嬉しいからいいんだけどさ」
「うっせ、俺だってそういう時くらいあるんだよ」

 驚いたような、それでも少し嬉しそうな表情を美琴は見せ、その後で少々意地の悪い笑みをこぼす。
 上条自身、柄じゃないのはわかっている。
 事実、今までのデートの誘いのほとんどは美琴からのもの。
 しかし、上条はこういう形でしか彼女への恩を返せないのだ。
 平和な世の中で幻想殺しの出番がない今、これといった特筆すべき長所がない上条ができる恩返しの方法は、美琴が喜ぶという形でしか。
 だからこれからは、今まで以上に彼女へ愛情を送り、大事にしていく。
 しかし今日の目的はそれだけではない。
 今日は、それから…

「じゃあ、さっさと飯食って準備すっか」

154【side by side】・一生かけて(3):2011/01/19(水) 19:32:28 ID:tIF9DTk6

 現在の時刻は夜の8時。
 日は完全に沈み、今二人を照らすのは淡い月明かりと、数はかなり少ないが、人工の明かりのみ。
 そんな中、二人は今、今夜行われる花火大会の会場である場所の、花火を一望できる高台にいた。
 そこは花火大会が行われる本当の会場とは少しだけ離れた位置にあり、人混みなどはあまりなく、花火を静かに楽しむには絶好の場所とも言える。
 しかも、二人の周りにいる数少ない見物客達のほとんどは、カップルばかり。
 静かで人通りが少なく、さらに花火も一望できるまでくれば、周りを気にしなくてもいいここは、そういった者達にとっても絶好の場所でもあるのだ。

「冷えないか?大丈夫か?美琴」
「えっ…?あ、ぅ、ぅん……大丈夫…」

 そして、茹だるような暑さも、日が完全に沈んだ今、昼間のそれよりは格段にましになっている。
 それどころか、気温はいつもより低いくらいと言えるほど。
 温暖化がどうのこうのなどの問題が解消されたなどという話は何も聞いていないが、いくら夏の夜と言っても涼しい時は流石にある。
 そして今日は、そのいつもよりは幾らか涼しい夜。
 寒いまでは流石にいかないものの、薄着をしていると少し冷える。
 それ故の上条の気遣いなのではあるが。

「……なんかさ、今日の当麻、ちょっと変じゃない?」
「……そうか?上条さんはいたって普通ですよ?」
「それなら別にいいんだけどさ……何というか、その…」

 いや、必ず何かあると、美琴はふんでいた。
 というのも、今日という日を振り返って、いくらなんでも今日の上条の行動には不可解な点がありすぎるからだ。
 確かに今朝はほぼいつも通りの朝を過ごした。
 ほとんどいつも通りの時間に起き、いつも通りの朝食を食べ、夏休みに入ってからはいつも通りのまったりとした朝。
 そこでは別に美琴は何ら違和感を覚えていなかった。
 唯一いつもと違う点である上条からの外出の誘いも、今まではかなり少なかったものの、全くなかったわけではない。
 しかしいざ外出してみると、違和感ばかり。
 花火までの時間を潰すために二人で買い物をしていても、いつもなら嫌々やっていた荷物持ちを率先してやってきた。
 いつもなら絶対拒否していた対象年齢がかなり低いマスコットキャラクター、つまりゲコ太ショーにも一緒に入場してくれた。
 そしていつもなら、『一般庶民が食べるものじゃない』と言って断固として譲らなかったような、少しお高い料亭(とは言っても少しだけだが)で夕飯を済まそうと上条の方から美琴を誘った。
 それも、上条の奢りで。
 いわく、偶にはいいんじゃないか、とのことなのだが…
 因みに、高校卒業からは上条から『まぁ、流石に、高校卒業したら、別に…』と、お許しの言葉を得たこともあり、今二人は一緒に暮らしている。
 その時から二人の財布の紐を握っているのは不幸体質の上条ではなく、美琴。
 それは上条からの了承の上でそうなった。
 なのでそういう経緯もあり、考えようによっては上条のお金もまた美琴のお金のようなものではあるが、これもまた『こういうのは気持ちだから』と、押し切った。
 確かに、上条のお金がどういうものであれ、それに対して美琴は気持ち的には嬉しいとは思っている。
 今までそういった誘いはなかっただけに。
 しかし他にも、先ほどのような気温への気遣いといった感じの細かい点で、美琴は違和感を多々感じていた。
 それなのに、上条自身が言うように普通であるはずがない。

155【side by side】・一生かけて(4):2011/01/19(水) 19:32:48 ID:tIF9DTk6

「……ねぇ」
「んー?」
「今日って、何か特別な日だったっけ?」

 彼がここまで明らかな変化を見せているというのに、そこに何も理由がないわけがない。
 何らかの、理由があるはず。

「…………………今日か?花火大会がある日だろ?」
「……アンタ今、明らかに何か誤魔化したわよね?」

 今日という日が何か特別な日であるというのは、美琴自身には全く心当たりがなかった。
 強いて言うのであれば、彼が言った通り今日が花火大会の日であるということだけ。
 なので先ほどの美琴の問いは、何か特別なことがあるのかどうかを確かめるためのものだったのだが、どうやらそれは当たりらしい。
 美琴がそれを尋ねた時、ほんの一瞬ではあるが、上条はギョッとしたような表情を見せた。
 そして考えるにしてはやたらと焦った表情に、言うまでの不自然な間。
 無論それを見逃すほど美琴は甘くはない。

「い、いや、決してそのようなことは…」
「アンタさっき何を隠したの?何を誤魔化したの?」
「だから…」
「言いなさい」

 上条に返答させる間も与えず、美琴は詰め寄る。

「……少なくとも、今は言わない」
「はぁ?何よそれ、どういうこと?」
「ううぅ……とにかく今は言えねぇ!後で絶対話す!だから今は…な?」

 聞くなと言われるとなおさら聞きたくなるのが人間の悲しい性ではある。
 それは美琴の場合も例外ではなく、本音を言えば、今すぐにでもその話を聞き出したいとも思っている。
 しかし、その聞き出したいという激しい衝動に駆られる美琴が選んだ選択肢は、それではない。
 彼が絶対と言った、だから今はそれを信じ、我慢するという一つの選択肢を。

「……絶対、後で話すこと。いいわね?」
「……約束する」

 今日が一体何の日なのか、何故彼はそれを今言いたくないのか、一体彼は何を企んでいるのか。
 まだまだ美琴には考えたいこと、気になることはたくさんあった。
 しかし今は我慢するという行動をとった。
 だから、今は敢えて考えないようにする。
 今はこれから始まる花火を楽しもう。
 美琴はそう割り切った。

156【side by side】・一生かけて(5):2011/01/19(水) 19:33:12 ID:tIF9DTk6

「……そういえばさ、あの星座知ってる?」

 ふと、美琴は夜空を見上げた。
 今夜の空は雲一つない快晴。
 そして地上からの眩い人工の光に負けじと、夜空の星々も弱々しくも輝いていた。

「あん?あのってどれのことだ?」
「いや、あれよあれ」

 無限に広がっている夜空に対して、美琴は腕を目一杯伸ばしてその小さな指でもって、自分が言う星座を指し示す。

「??……星がいっぱい有りすぎてどれを言ってるかさっぱりわからん」
「はぁ……まぁ知らないならそれはそれでいいんだけどさ。ほら、あの辺に明るい星が三つほどあるでしょ?」
「明るい星…?あぁあの三角形っぽいのか」
「そう、それは夏の大三角形って言って、それの一角がベガっていう一等星なの。んで、そのベガの近くに平行四辺形っぽいのがあって、それが琴座なんだけど……その様子じゃわかんないみたいね」
「そ、そんなことないぞ?多分…」

 知ったようなフリこそ上条はしているものの、まだ言葉尻の疑問符は拭い去れていなかった。
 ここまで説明をされたが、上条は具体的にどれが琴座を指しているのかはイマイチ理解できていない。
 三角形は見つけられたものの、それの近くに平行四辺形らしきものは見つからない。

「……まぁ、琴座はこの学園都市じゃ見えにくいかな。明るい所だと見つかりにくいのは事実だし」
「そうなのか?……つか、それならお前は見えてるのかよ」
「何となくはわかるかな。私は大体の場所知ってるもの。……と、それはいいとして。じゃあさ、その琴座にまつわるお話は知ってる?」
「……お恥ずかしながら」
「そっか。別に知らないならそれでいいのよ?その方が話しやすいし」

 少しだけ申し訳なさそうにツンツン頭をポリポリと掻く上条に対して、美琴は夜空に向けた視線はそのままに、少し素っ気なく答えた。
 別に琴座の話を上条が知らなかったことに対して、美琴がどう思ってたかなどはない。
 むしろ彼女が先ほど言ったように、知らない方が話がしやすいため、好都合と言えるくらいである。
 美琴が素っ気なく答えたのは、何が原因というものはなく、単に彼の答え自体が比較的どうでもいいことだから。
 むしろ美琴の目的は、確認。

「……星ってさ、きれいよね」
「……?あ、ああ」
「私ってさ、まだ私が小さかった頃、それこそ能力が使えるようになってすぐの時よ?この能力がもっと強くなれば、夜空の星も作れるんじゃないかって本気で思ってたのよね。今でこそ思うけど、我ながら馬鹿な発想だったな」
「……別に、それくらい小さい頃なら仕方ないんじゃないのか?むしろ夢をみてて子供らしい。……つか、さっきの琴座の話ってのはどうなったんだ?その話は何か関係あんのか?」

157【side by side】・一生かけて(6):2011/01/19(水) 19:33:32 ID:tIF9DTk6

 少し、上条は疑問に思った。
 ほんのつい先ほどまで星座の話をしていたはずなのに、何故小さかったの頃の話をするのかと。
 彼が美琴の過去について興味がないわけではない。
 だが、あれだけ話を引っ張っておいて、結局話さないというのはあまりにもどかしい。
 できることなら早く話を聞きたいと思うのが普通だろう。

「あら、意外に興味あった?ちゃんと話すから心配しないの」
「は…?」
「後で話す、はアンタだけの専売特許じゃないのよ。いつもやってるんだからいいじゃない。それに、強ち無関係ってわけでもないわよ?そりゃどうでもいいと言えばそれまでだけどさ」
「???」

 全く話が読めず、わけがわからないと言わんばかりの表情を見せる上条。
 それを見て、美琴はクスッと笑い、

「とにかく、そんな馬鹿げたことを考えるくらい、私は星空が好きだったわけ。それがきっかけで星座とか、それにまつわる神話なんかは結構調べたりしたのよ。だから私は星に関しては色々知ってるつもり」
「へぇ、初めて聞いたぞ、そんな話」
「そりゃ今までそんなこと話したことなかったしね、当然でしょ」

 美琴が話していたのは過去の話。
 そして、彼女が星座の神話などに手を出した経緯。
 確かに考えようによってはどうでもいいことかもしれない。
 その話自体は直前でしようとしていた話とは関係ないのだから、それがどうしたと思うかもしれない。
 しかしそれを少なからずわかっていても、美琴は上条に聞いて欲しかった、いや、知って欲しかった。
 自分のことを、今よりも、もっと。

「それでね、琴座の話は結構私のお気に入りの話なの。だからもし知らないなら聞いて欲しいな……って、思ったわけ」
「なんだそういうことか。じゃあ話せばいいじゃねえか、俺は全然構わねえぞ。むしろ美琴のお気に入りの話なら聞きたい」
「そっか、よかった」

 いくら話の内容が良くても、いくらその話が美琴のお気に入りでも、上条の聞く気がなければ、その話は一気に面白くなくなってしまう。
 それでは話し手も聞き手もつまらない。
 せっかく話をするのなら、双方面白い方がいいに決まっている。
 それ故の確認。
 美琴は上条の了承の返事を聞いてから返事をし、そこからさらに一拍おいてから視線を夜空へと向けると、

「琴座ってのはさ、一説ではオルフェウスっていう、とある琴の名手の琴が元になってできた星座なのよ」

158【side by side】・一生かけて(7):2011/01/19(水) 19:33:52 ID:tIF9DTk6

 やはり、上条はそれを知らなかった。
 神話や伝承には、なんとなく似たような名前の神様やら人物やらがでてくるというイメージを上条はもっているためか、その主人公の名前自体にはさほどの違和感はない。
 だがやはり、それだけを聞いても特にこれと言ってピンとくるものなどはなかった。

「そのオルフェウスが持ってた琴ってのは、元々ヘルメス神が波打ち際で拾ったカメの甲羅に七筋の糸を張って、音楽の神アポロンに贈ったものだったんだけど、それをアポロンが音楽の才能に秀でたオルフェウスに譲って、それからオルフェウスはギリシア一の音楽の名手となりました。
 それで、オルフェウスには美しいニンフのエウリディケっていう人が妻にいたんだけど、ある時、エウリディケは毒蛇に咬まれて亡くなってしまいました。……と、ここまでは大丈夫?こっからがこの話の良いとこなんだけど」

 淡々と話を続けていた美琴がここで小休止をとる。
 これからという時に、実は話を理解出来てませんでした、では話をしている意味がまるでない。

「当たり前だろ、この手の話を聞くのには慣れてんだ。全然続けてもらって構わねえよ」
「そうなの?」
「そうなの」
「ふーん……まぁいっか、じゃあ続けるね」

 上条の理解を得たので、美琴は話を続ける。

「でも、オルフェウスは奥さんのエウリディケのことをを諦め切れなくて、その人の後を追うために黄泉の国におりていって、オルフェウスはその黄泉の国で心を込めて琴を奏でました。それこそ、妻を返してくれー!ってね。
 そしてその美しい音色を耳にすると、冥土の神プルートンも心を動かされ、『地上に出るまで妻を振り向いてはいけない』と約束させて、エウリディケを帰しててくれたの」
「おおー」

 そこまで話をしたところで、上条はパチパチと美琴に軽く拍手を送った。
 その上条を、少し暗い表情で美琴は見つめながら、

「……オルフェウスはエウリディケを取り戻すことができたから、喜んでエウリディケを従えて地上への道を辿っていったんだけど…
 やがて、洞穴の出口に差しかかって、地上の光が見えてくると、オルフェウスは我慢できずにエウリディケの方を振り返ってしまったのよ」
「あれ…?ちゃんと地上に出てるのに、何か問題でもあるのか?」
「大ありよ。地上の光は見えてきてても、洞穴はまだ抜けてないもの」
「ああ、なるほど…」

159【side by side】・一生かけて(8):2011/01/19(水) 19:34:18 ID:tIF9DTk6

 なんだそれは、と少し納得がいかない表情を上条は見せた。

「……それで、オルフェウスが振り返った途端に、エウリディケはオルフェウスの名を呼びながら、吸い込まれるように黄泉の国へ引き戻されちゃったんだ。
 そして再び妻を失ったオルフェウスはついには気が狂ってしまって、ディオニュソスっていう神様の祭りで琴を弾けと無理強いされたのを断わったために、琴もろとも川に投げ込まれてしまったの。
 結局、首と琴は流れるままに海に出てある島にたどり着いて、落ち葉の下に埋もれたんだけど、大神ゼウスはこれを見て、哀れに思い星々の間に琴をかけたのでした…
 これが琴の星座で、静かな夜には今も悲しく美しい音色を響かせることがある……と、伝えられているわけ。どう思った?」
「な、なんか、随分悲しい話だな……そんなバットエンドになるとは思ってなかったぞ」

 上条は途中まで気分よく聞いていた分、ラストでの出来事はショックを受けていた。
 彼とて話の全部が全部、ハッピーエンドで終わるとは流石に思ってはいないものの、期待を裏切られた感がどうしても拭えない。

「まぁ、ラストだけ聞けば酷いかもしれないけど、私は結構この話好きなんだけどね」
「どの辺がだよ?」

 信じられない、とまではいかずとも、上条は多少驚いた様子でそう問いかけた。
 この話の主役であるオルフェウスは、結局最後では何も報われず、無念の死を遂げたというのに。
 それではあまりに悲しすぎる、そう上条はこの話を評価していた。

「そりゃあオルフェウスは亡くなった奥さんを最終的には救えず、死んじゃったわけだけど……私はその何が何でも奥さんを救いたいっていう、オルフェウスの真っすぐな奥さんへの想いがすごく好き」
「真っすぐな、想い?」
「だってさ、並大抵の想いや愛じゃわざわざ得体の知れない黄泉の国なんかにはいかないでしょ?だからオルフェウスはそれだけ奥さんのことを愛してたってわけだから、私はそういった真っすぐな愛が見え隠れするこの話が結構好きなんだ」

 なるほど、と上条は思った。
 確かに並大抵の想いや愛では、身の危険を冒してまでそこまでのことはできない。
 この話では“二度”も妻を失ってしまい、終いには気が狂ってしまったオルフェウスだが、そもそも普通ならば“二度”失うことはない。
 それはオルフェウスの純粋とも言える真っすぐな想いと愛があったからこそ成せたこと。

160【side by side】・一生かけて(9):2011/01/19(水) 19:34:39 ID:tIF9DTk6
「確かに、言われてみれば、そうともとれるよなぁ……それならお前が好きそうな話かもな。お前って無駄にそういうもんに憧れてるもんな」
「……無駄に何よ、無駄にって」

 悪い意味で言っているようにしか聞こえない上条の発言に対して美琴は反応し、じろりと彼を睨みつけた。
 好きな物事に対して、それへの好きの度合いに無駄なんてない。
 好きなものは好きなのだから、それは仕方ない。
 だからこそ美琴は上条に多少の怒りを示した。
 しかしそれも長くは続かず、次第に怒りは薄れていき、また視線を夜空へと戻す。

「おっと、もうこんな時間か。そろそろ花火始まるな」

 ちらっと、上条はポケットの中に潜ませていた携帯を手にとり、時間を確認する。
 携帯の時計が指していた時刻は8時27分。
 そして花火が始まる時間は8時30分。
 花火が始まるまであと3分というところまできていた。

「当麻は、さ…」
「え?あ、ああなんだ?」
「例えば私がもしエウリディケみたいに毒蛇とか、何かの拍子に死んじゃったら、当麻はオルフェウスみたいな行動とってくれるのかな?」

 美琴は視線はそのままに、呟くような調子で上条にそう問いかけた。
 相変わらず、自分自身を馬鹿だなと美琴は思った。
 こんな質問をすれば、上条の性格からしてどんな答えをくれるかなど、容易に予想できる。
 彼ならばきっと、そんな悲しい幻想は俺がぶち殺してやるなどと言って、冥土の神プルートンをその右手で殴り倒してでも美琴を黄泉の国から救い出そうとしてくれるだろう。
 そして恐らく、彼はそれに似たような内容の答えをくれるはず。
 そこまでを、美琴は質問した時点で既に予想することができた。
 にもかかわらず、問いかけた美琴自身が答えがほぼわかってしまうような問いを、敢えて美琴はした。
 だからこそ馬鹿だなと、美琴は自分で自分を思った。
 しかし大体は予想できたとしても、やはりそれは頭の中の上条からでしかない。
 それを現実で言ってほしい、真っ正面から目を見ながらそう言い切ってほしい。
 我が儘で自分勝手なそんな願いを、彼に叶えてほしいと思ったから。

「……いや、俺はそのオルフェウスと同じようにはしない……かな?」
「え?」

 しかし上条からの答えは、美琴の予想とは大きく違うものであった。
 絶対、とは言わずとも、九割九分そうなるだろうと予想していた分、美琴には上条からの答えはあまりに意外に思えた。

161【side by side】・一生かけて(10):2011/01/19(水) 19:35:04 ID:tIF9DTk6

「だってよ、オルフェウスの奥さんは毒蛇に咬まれて亡くなったわけだろ?それはやろうと思えば未然に防げる事故(ふこう)だ。そんな程度の事故(ふこう)で、俺はお前を亡くすなんてへまはしねえよ。そんなことが起きる前に、俺は全力でお前を守ってやるさ」
「……!」

 彼らしくない、いつもと何かが違うと、美琴は今日という日で何回思ったことか。
 ほんのついさっきの彼からの答えでも、それは思った。
 美琴には彼が今日何をしたいのか、今日が一体何の日であるのか、それは今でもさっぱりわからない。
 だが、そのせいで彼らしくないと思っても、それはあくまで表面的なもので、根っこは何も変わらない。
 何のことはない、上条はやはりいつもの上条だった。
 先ほどのやり取りで彼らしくないと思ったのはほんの束の間、そんな美琴の考え、そして推測はあっさりとぶち壊された。

「ば、馬鹿!それじゃそもそもの前提条件が違うじゃない!もし万が一、私が何かの拍子で死んじゃったら、の話よ!」
「あっ、そっか。……じゃあその時は冥土の神様とやらを殴り倒してでも絶対お前を奪い返してやるよ」
「!!……そ、そう」

 ニカッと、上条は笑顔でそう答えた。

 やはり、ちゃんと前提条件をたてた時の答えは、美琴の予想通りのもの。
 それでも、ちゃんと心構えをしているのと、不意打ち的なタイミングで言われるのでは違いがある。
 心構えをしていた先ほどならば、別段気にすることもなく返事もできていただろうが、羞恥が先行し、少し頬を染めて、美琴は俯き加減に返事をした。

「でも、…」
「……?」

 そこからさらに上条が何かを言おうしたので、美琴は顔を上げると、

 ドーン!!

「っ!?」
「ん?あー、花火、始まっちまったか…」

 突然の大きな爆発音は、これから始まる花火大会の始まりを告げる第一発目の花火の音だった。
 一発目が闇夜に打ち上げられ、夜空を色とりどりの巨大な火花によって彩られると、堰を切ったかのように立て続けに花火が打ち上げられていく。
 そしてそれに呼応し、先ほどまではシンと静まり返っていた二人がいた場所も、どころどころで歓声があげられていた。

「び、びっくりしたけど、やっぱきれい…」

 美琴は始めの一発こそしっかりと見られなかったものの、後続の次々に打ち上げられる花火には、暫くの間魅入っていた。
 一発一発が夜空を舞う時間自体は短いもの、その一発にも個性がある。
 これ以上ないほど綺麗なもの、一風変わった色や形のもの。
 そして最後には儚くも散っていってしまうが、共通してその花火を見る者全てに強烈な印象を与えていく。

(それにしても、こういうところであの当麻と花火かぁ……なんか夢みたい…)

 夜景が綺麗な場所にいて、大好きな人が隣にいて、花火を二人きりで静かに眺める。
 このシチュエーションは美琴にとっては堪らないものだった。
 一度はやってみたい、そうも思っていたほど。

(後は、……まぁそれはないか。そんなに期待しちゃダメかな)

 このシチュエーションに後一つ加われば、もうそれは完全に美琴の理想通りのシチュエーションになる。
 しかし、その残り一つとなるものを美琴は心の中でも口にすることはなく、飲み込んだ。
 上条はそういったロマンチックとはほど遠い位置に存在する人間。
 これ以上の期待は酷というもの。
 ここまでのシチュエーションが揃っただけでも、それは十分に満足しなければならない。

「……あ、あのさ、美琴」
「……?何?」

 美琴が次々に打ち上げられていく花火に魅入っている中、不意に上条の方から美琴に声をかけられた。

162【side by side】・一生かけて(11):2011/01/19(水) 19:35:34 ID:tIF9DTk6

「あ、えっと、その……」

 しかし、上条の方から声をかけてきたにもかかわらず、その後に続くであろう言葉が、なかなか彼の口から出てこない。
 視線を美琴の目に少し向けたかと思えば、その後すぐに目を剃らしたり、周りを気にしているのか、キョロキョロと辺りを控え目ながらも見回したりと、その挙動もどこか落ち着いていない。
 少しだけ、二人の間に沈黙が流れた。
 肝心の上条が何も喋らないからだ。
 だが一方で、美琴もまた何も喋らない。
 普段ならば、上条がこれほどじれったい反応を見せようものなら、早く続きを言うように促す彼女だが、今美琴は、何故だかそれをしようという気にはどうしてもなれなかった。
 直感、強いて理由を挙げるならばそれしかないだろう。
 今の場の空気が、今の上条のいつもと違う態度が、先を促してはいけないと言っているように思えて。
 そしてその沈黙が続いている間にも、花火は関係なく打ち上げられていく。
 花火が次々と放たれていることもあるせいか、周囲はその花火が打ち上げられる音や、ボツボツとまだらながらも見られる人々の少し賑わいで静寂とはほど遠い。
 それでも、美琴には何故だかそれらの雑音は気にならなかった。
 今の彼女の耳が唯一感じとっていることと言えば、それは彼女の目の前に立つ上条。
 周りの音が何も気にならなくなるほど、今美琴は上条がこれから発するであろう声だけに耳を傾け、彼が口にするであろう言葉をじっと、待つ。
 まだ幾分かの迷いが伺える上条の瞳のさらに奥を見据えながら。

「ちょ、ちょっと待ってくれな?」
「……?」

 漸く口を開いたかと思えば、一旦上条は美琴に背を向け、大きく深呼吸をし始める。
 しかし大きく一呼吸、二呼吸する上条のその様は、美琴にはおかしく思えてならなかった。
 それこそ、殺しても死なないような彼、無神経とも言えそうな図太い神経を持っている彼が、一体何に怯え、何を緊張しているのかと。
 そのためか、深呼吸が三回目に突入したところで、美琴からくすっと、小さく笑みが漏れ、

「一体何をしたいのかさっぱりわからないけど、とりあえず頭と体は大丈夫?」
「大丈夫に決まってんだろ?つか、頭も大丈夫かってどういう意味だよ!?」
「別に、そのまんまの意味だと思うわよ?」
「て、てめぇ…って笑うな!」

 そこでまた、先ほどよりは少し大きめに、美琴は笑みを漏らした。
 美琴がほぼ予想した通りの突っ込みを返してくれた上条がまた、おかしく思えて。

「ごめんごめん。だってアンタがおかしかったんだもん。だからつい…」
「あぁはいはい左様でございますか。せっかく俺が…」
「こらこら、そんな拗ねないの。それで?何かを言う決心っぽいのはついたの?」
「…………」

 がっくりとうなだれる上条の背中をポンポンと軽くたたいて笑顔で慰める美琴だが、最後の問いに対する答えはすぐには返ってはこなかった。
 美琴は別に、なかなか返事が返ってこないことに関しては特にじれったいとは思ってはいない。
 上条から言葉を言ってくれるのを待つ、その気持ちは先ほどとは全く変わってはいないのだから。
 しかし逆に、彼が言いたいことというのは、一体何なのだろうかという僅かながらの疑問は少なからず湧いてくる。
 良いことも悪いことも、言いたいこと、思ったことは大抵は比較的すぐに口にしてしまう上条が、ここまで躊躇うほどの内容。
 それは一体何なのか、と。

「さっき、」

 今までうなだれていた上条が、背筋を伸ばし、しっかりと芯の通った声で美琴の名を呼んだ。
 その声には、今までちらついていた迷いは存在しない。

「さっき、美琴が話してくれた星座の話じゃないけど、その話の主人公のオルフェウスは奥さんを一度失って、頑張りはしたけど、結局は失うことになった」
「……?」

163【side by side】・一生かけて(12):2011/01/19(水) 19:36:05 ID:tIF9DTk6
 
 確かにそうだ、上条が言ったことには何も間違いはない。
 琴座の神話にでてくる主人公、オルフェウスは一度妻を亡くし、彼女の死を諦めきれずに黄泉の国にまで赴き、ある条件付きではあるが妻を一度取り戻すも、結局は二度妻を亡くす羽目になった。
 それはいい、花火が始まる前に美琴が話していた通りだ
 だがしかし、何でまた先ほど話したことについて確認するのだろうかと、美琴は疑問に思い、首を傾げた。
 この話が、どうしたのかと。
 そして美琴がそう思うことなどお見通しと言わんばかりに、上条は薄く笑みを浮かべ、

「そしてさっき、お前はもし自分が死んだら、なんて質問してきたよな?」
「そ、そうだけど?」
「でもさ、俺は例え一度でも、一度たりともお前を、美琴を失いたくなんかないんだ」
「……!!」
「もし万が一自分が何かのせいで死んだ時どうするか、と聞いてきた。だけど俺はそんなことなんか考えたことはない、いや、考えたくない、考えるのも嫌だ。想像する事自体がもう怖いんだ」

 ほんの少し前まで鳴り響いていた、花火が打ち上げられ、その花を開かせる音がいつの間にか消えていた。
 ほんの少し前までざわついていた周りの人々も、今は黙って先ほどまで花火が打ち上げられていた方へと向いている。

「俺の中ではな、俺の隣にはお前がいることがもう当然になっちまってんだよ。毎日生きるために当然のように呼吸して、飯食って、そしていつも日の光を見るように、俺の隣には美琴がいること。それがもう既に普通なんだ」

 申し訳程度にしか吹いてはいなかったが、それでもほんの少し前まで吹いていた冷たい風が空を切る音も、止んでいた。
 そのためか、周りの木々がユサユサと枝葉をこすらせ、木全体揺れ動く音すらも、今は止んでいる。
 この世界には何もないのかと錯覚してしまいそうなほど、音という音全てが、今この瞬間止んでいた。

「だから俺の隣から美琴が消えること、それが今の俺にとって一番怖いこと。だから俺はいつまでも、少しでも一秒でも長くお前と一緒に同じ時を過ごしたい、一緒に笑いあっていたい。今はもちろん、ずっとこっから先もできたらそうしたいと思ってる」

 美琴は緊張と驚きで、目は次第に見開き、呼吸は静まっていき、だが次第に心臓が脈打つ早さも早まっていく。
 そして一方で、それを上回る莫大な感情が、想いが、美琴の中を駆け巡る。
 彼女の目尻には、若干の涙。
 しかし今度は真の意味で、美琴の耳が感知している要素はただひとつ。
 だから上条の言葉を聞くこと、それだけに美琴は今身体全ての神経を集中させ、それだけに全てを注ぐ。
 今は自分のことなど、どうでもいい。

「俺は、御坂美琴が好きだ、大好きだ、心の底から愛してる。だから俺が美琴を護りたい。他の誰でもない、俺が、美琴を。だから……俺が、俺の一生かけて、俺の全てをかけてお前を護るから、美琴も、ずっと俺の側にいて、ずっと俺を支えていてくれないか?」

 瞬間、堰を切ったかのように美琴の目から涙が零れ落ちる。
 彼の言葉があまりに唐突で、衝撃的で、嬉しくて。
 しかし同時に、小さく、それでも確実に、こくっと美琴は首を縦に振った。
 言うまでもなく、了承の証。
 そしてそのすぐ後、美琴が上条のもとへ飛び込み、顔を上条の胸に埋めると、

 ―――ドーン!

 そこで、今まで止んでいた花火が再び一斉に打ち上げられた。
 それも、花火もそろそろ終わりなのだろうか、今までに比べ、勢いも増し、さらに一段と豪勢なものへとなって帰ってきて。
 だがその進化して返ってきた花火を、上条の胸に顔を埋める美琴は、直視する事などできなかった。

「美琴……花火、さっきよりも…綺麗だぞ…」
「ひっく、えぐっ…ばか……アンタの、せいで…ひっく……花火見れないんじゃない…」
「そっか……それは悪いことをしたな」

164【side by side】・一生かけて(13):2011/01/19(水) 19:36:32 ID:tIF9DTk6

 涙で顔をグシャグシャに崩し、完全に取り乱している美琴とは対照的に、上条の声は至極穏やかで、戸惑いの色など全く存在しなかった。
 もちろん、上条は悪いなどとは思っていない。
 彼は彼がしたことに対して、全く後悔はしていない。
 それが上条自身の、素直な気持ちなのだから。

「ほんとばか……ひっく…アンタは、いちいち勝手すぎんのよ…」
「悪かったって」
「頑張って私が告白した時も、アンタは自分の都合で断ってくるし」
「えっ?」

 美琴は涙ぐむ声を必死に抑えつつ、上条の服を握りしめる力を強くし、話す。

「それでホワイトデーにどんなことしてくれるのかと思えば、私に嘘ついてくるし」
「うっ」
「付き合って二ヶ月もしない内に、一年も私を置いてけぼりでどっか行っちゃうし」
「うぅっ!」
「私が色々追い詰められて大ピンチって時なのに、登場すんのはめちゃくちゃ遅いし」
「み、美琴さん!?」
「それで一昨年は私に泣きついてきて、それなのに挙げ句の果てにはずっと隣にいてほしい?一生かけて私を護る?アンタ一体どの面下げて言ってんのよ…?」
「………」

 そこで上条の中で一つの疑問が生まれる。
 先ほどの美琴の頷きは、あれは見間違いだったのだろうかと。
 普通、こういったことを了承した後は、自分も好きだ、などの甘い言葉を囁くものなのではないのだろうかと。
 しかし現実は、上条の理想とは遠く離れ、美琴は上条への今までの不平不満ばかりを述べている。
 それからか、果たして本当に自分の愛の告白は、本当に成功したのだろうかと。

「私は、本当に出会ってから今の今まで、アンタに振り回されっぱなし。泣かされるし、ムカつくし、死ぬほど心配させられるし…」

 対する美琴も、一度開いた口がなかなか止まらない。
 涙ぐんでいた声も、今は少しだけは落ち着いている。
 今彼女の頭の中で思い出されていることと言えば、今までの上条との思い出。
 思い出されるのは全部が全部、楽しい思い出ではない、むしろ今彼女が思い出しているのは何故だか嫌なこと、苦労したことばかり。
 初めての出会いは子供扱い、それから暫くはスルーが続き、ちゃんと対面したとしても何かにつけて不幸不幸。
 美琴からの決心の覚悟の、それも彼女にとって生涯初となる告白の返事はあろうことか拒絶。
 紆余曲折あって付き合い始めても、本来お返しをするべき日に騙されるわ、一年中離れ離れになるわ、挙げ句果てには危うく殺されそうになるわで良いことがまるで思いつかない。

「なのに、それなのに…」

 何時の日からか、こんなに大変な感情を抱えていた。
 何時の日からか、こんな場面をずっと夢見てた。

「私だってアンタが、当麻以上に大好きよ!」

 結局は、それ尽きるのだ。
 いくら泣かされても、いくらムカついても、いくら心配させられても、これまでずっと一緒にいたのはそのためだから。
 それは恐らく、今後も変わることはないのだろうと、美琴は思う。

「……なんかその言葉、すっげー久しぶりに聞いた気がする。……でも」
「……でも、何よ」
「……やっぱり、今までのどの好きって言葉よりも、嬉しいよ。ありがとな、美琴」
「……ぅん」

 その言葉は、今までのどの言葉よりも上条には重たく感じていた。
 何回か聞いて聞き慣れたはずの同じ一言でも、心への響き具合がまるで違うのだ。
 悩んで悩んで、その末に出した答えの返答。
 先ほどから今の今までずっと聞きたかったその言葉は、上条にこれ以上ない安らぎと安心を与えた。
 そして上条は今この時放たれたその言葉を大事に胸にしまい込み、代わりに今までポケットに忍ばせていた小さな箱を取り出すと、今まで抱きついてきていた美琴を一度剥がしてから、その中身を取り出し、美琴の左手をとると、

「これをさ、受け取ってほしい…」

 その箱の中のものを、美琴の左手の薬指にはめ込んだ。

「こ、これって…」
「婚約指輪…ってほどでもないけどさ、そんな感じのものと思ってくれると有り難いかな。将来俺がしっかり働いて、ちゃんと稼ぐようになった時、またちゃんとしたのを贈るからさ、その時まではそれで我慢してくれないか?」

165【side by side】・一生かけて(14):2011/01/19(水) 19:36:51 ID:tIF9DTk6

 謙虚しているのか、上条はこう言うが、美琴はそこまで悪いものだとは思わなかった。
 暗がりで光源があまりないこの場所でも、光輝く一粒の小さなダイヤモンド、そのダイヤモンドを受けるリングは、そこらの店で売られているようなちゃちな造りにはなっておらず、ダイヤモンドには代表的な縦爪プラチナリング。
 美琴が安く見積もっても、十万は超えていそうにさえ見える。

「我慢もくそも、十分だと思うんだけど……これ結構したんじゃないの?すごく、綺麗…」
「額についてはそんな大したもんじゃねえよ。……もっとも、俺が今まで貯めてた分全部使ったけどな。は、ははは…」
「……ばかね、そんなに無理しなくてもよかったのに…」

 乾いた笑いを見せる上条に対して、美琴は優しく笑いかける。
 言葉では美琴はこう言うが、実際は上条にここまでされて、内心嬉しくて仕方がない。
 夜景が綺麗で静かなこの場所で、綺麗な花火が打ち上げられているというロマンチックな雰囲気の中、彼からのプロポーズに素敵な贈り物。
 しかも、上条の告白の狙いすましたかのようなタイミングは、まさに圧巻。
 了承したと同時に打ち上がる花火は、理想そのものだった。

「もしかして今日の花火、狙ってた?」

 美琴にはそうとしか思えなかった。
 偶然にしてはあまりに出来過ぎであるし、何よりもそもそもの花火の一発目の時、上条は残念そうな表情をみせていた。

「……お前の後輩にさ、聞いたんだよ」
「私の、後輩?」
「初春さんと佐天さんだっけか?俺が店の前でちょっと指輪選びで頭抱えてた時に会ってよ、それで色々話を聞いたし聞かされたんだよ。美琴は夜景が綺麗な場所でプロポーズされて、オーケーしたら花火がドーン!って上がると可愛いくていい、と話してたことがあったって。悪いけど参考にはさせてもらったよ」
「…………」

 確かに、美琴にはそういったことを言ったような記憶があった。
 あすなろ園の男性の先生と、常盤台女子寮の寮監をくっつけようと動いていた時だ。
 しかしあれは今からかなり前の出来事で、しかも何気ない会話の中で言ったこと。
 正直な話、美琴はよく覚えていたなと思った。

「それでも、今日を選んだのはそれが理由じゃない、順序が逆。元々今日言うつもりで、結果的に今日花火大会があるって後で知ったから狙ってみた、それだけだ。もっとも、本当は一発目にしたかったんだけどな」
「……?そういえば今日は何か特別な日だと何とか言ってた気がするけど、それのこと?」

 花火が始まるよりも、星座の話をするよりも前に、そんな話をしていた。
 その時は今日が何の日なのか、美琴にはさっぱりわからなかったわけだが。

「今日はな、“今の”俺とお前が初めて出会った日なんだよ。そりゃあ本当の意味での初めての出会いは違うだろうけどさ」
「あ……そっか、アンタ記憶が…」
「そう、だから今日はお前と“今の”俺が出会った、特別な日なんだよ」

 4年前の8月20日、二人はとある自販機の前で出会った。
 その時美琴は自販機に蹴りをいれてジュースを確保し、そんな彼女に対して記憶のない上条は、を美琴に対して何だこいつと発言した。
 今の二人の全ての物語は、そこから始まっていたのだ。
 だから8月20日、今日は二人が初めての出会いを果たした日、二人の時間が動き始めた日。
 何ともないような平凡な日思えるが、上条にとってはこれ以上ない、運命的な日。

「……もう一つ質問」
「何だ?」
「二年前、本格的に勉強したいって言ってきた日の夕方に、いつか言ってやるって約束したことあったわよね?それって、」
「『ずっと、一生隣にいてほしい』…ってな。約束通り、今日言ったぞ?」

166【side by side】・一生かけて(15):2011/01/19(水) 19:37:12 ID:tIF9DTk6
 それは二年前の4月、高校が始まって一週間経った日に指切りをして交わした約束。
 それも、嘘吐いたら本気で針千本飲ますとまで言って交わした約束。

「そっか……残念、針千本用意して待ってたんだけどなぁ。どうせだし、飲んどく?」
「俺を殺す気か!つか、針千本なんていつの間に用意してたんだよ!?」
「冗談よ、ジョーダン……多分」
「……何やら不穏な単語が聞こえたような気がしたが、そこは敢えてスルーしよう」

 そうこうしている内に、いつの間にやら花火は終わりを迎えていた。
 先ほどまではドンドンと鳴り響いていたその音も、今ではすっかり途絶え、辺りは静けさを取り戻しつつある。
 時間も時間であるため、退散していく見物客も少なからずおり、多少ガヤガヤとはいているのだが。

「……さて、俺らもそろそろ退散するか?」
「あ、ちょっと待ってよ」
「あん?」

 周りを見渡し、帰ろうという姿勢を見せる上条に対して、美琴は待ったをかける。

「か、帰る前にさ、その……キス、してほしいかなって思って…」
「……いきなり何こっぱずかしいことを言い出すのかね?美琴さん。一応周りには人もいるんだぞ?」
「だってさ、今日の出来事全てって、みんな夢みたいで、幸せで、非現実的みたいなことが起きすぎたんだもん。これが現実かどうか、ちょっと不安でさ。どうせ夢なら当麻に覚ましてほしいかも〜って思って」
「なら、自分のほっぺでもつねってれば…」
「…………ダメ?」

 美琴は、甘えた上目遣いで、上条を見やる。
 今日は色々と変わったことあった。
 朝は珍しく彼の方から出かけようと誘いがあったと思えば、珍しく率先して荷物持ちをかってでて、いつもは嫌がるゲコ太ショーにも付き合ってくれた。
 そして今日の夕食も、いつもは絶対入らないような所で美味しいものを食べて、ちょっと不思議な気分で夜まで過ごしてた。

「……目、瞑れよ」

 しかしそれ以上に、幸せなことがあり過ぎた。
 本当に夢の中でしか起きないだろうと思っていたことが、立て続けに起きたのだ。
 それこそ、実はまだ本当の自分は寝ているのではないかと錯覚するくらい。
 だからどうせ夢から覚めるなら、大好きな彼からのキスで目を覚ましたい。
 それで目覚めるのなら、別にいい。

「……ぅん」

 そして美琴は、顎を少し上げ、そっと瞼を閉じる。
 それを見た上条は美琴の頬に両の手を添え、優しく、包みこむようにして、そっと口付けた。
 辺りを照らす照明はやはり少なく、花火も終了した今、光源はかなり少ない。
 そんな暗がりの中、二人のシルエットは、今確かに一つとなっていた。
 二人の口付けは続く。
 少しだけでは足らない。
 ゆっくり、時間をかけて、これが夢でないことを確認する。
 互いが、互いの存在が確かなものであることを確かめるために、二人のシルエットは繋がったまま。

「っ……!」

 苦しくなるほど時間をかけ、息が切れかけた時、二人は離れた。
 離れても、二人の瞳は視線を外さず、名残惜しそうに互いに熱のこもった瞳を揺らして、見つめ合う。

「…………夢、じゃないみたい」

 先に視線を外したのは美琴。
 美琴は、自分が危惧していたことはやはりないと呟くと、安心からか、脱力して上条にもたれかかる。

「……たりめーだ。俺がどんだけ覚悟を決めて言ったと思ってるんだ?」

 対して、上条はもたれかかってきた美琴を受け止め、優しく両腕で包み込む。
 上条の言うとおり、彼とて今日のことには緊張せずにはいられなかった。
 大学に入った頃から、いや、高校の頃から、悩んで悩んで、その末に今日決行を決めたのだ。
 今後の人生を決める一大イベントに対して、生半可な覚悟で望んでいるわけがなかった。

「そっか………ぁりがと」
「ああ…」

 それだけ言葉を交わすと、美琴は上条から離れ、うんと背伸びをした。
 なんだかんだで美琴も緊張して、肩の力がなかなか抜けずにいたからだ。

167【side by side】・一生かけて(16):2011/01/19(水) 19:37:40 ID:tIF9DTk6

「さてと、それじゃあこれから色々と大変になるわねぇ…」
「……?例えば?」
「例えばって、そりゃいつ式挙げるかとか、とりあえず式は後で籍だけいれるかとか、今後のことで色々あるじゃない。他にも親にも言わないといけないし…」
「あら、最後のは特に必要はないと思うわよ?」
「「へ…?」」

 三人目、美琴でも上条でもない誰かが、二人の会話に入ってきた。
 その声の主は女性らしく、二人ともやたらと聞き覚えがある声。
 恐る恐る、声がした方へと二人が視線を向けると、

「なっ…!!」
「み、美鈴さん!?」
「うんうん、二人とも久々だね」

 いくら暗がりでも、目を凝らせば互いの顔をなんとか認識できる程度には照明はある。
 それ故、二人が目を凝らして見て確認した人物は、御坂美鈴、まさにその人。

「な、ななな、何でアンタがここにいんのよ!?」
「うーん、私が大学いってた時に世話になってた教授に呼ばれて来てたんだけど、今日花火大会があったじゃない?それを聞いてせっかくだからと思って、花火がよく見えそうなとこ探してたら…という成り行き」
「な、な、な…!!つか、いつからいたのよ!?」
「花火が始まる少し前くらいからはいたわよ?ちょうど美琴ちゃんが……うふ、乙女なこと話してた時だったかなーん?」
「〜〜っ!!」

 終わった、美琴の中で何かが終わりを告げた。
 美鈴が言うことが本当に正しいならば、その頃から話していた他人には聞かせたくないようなこと全てを聞かれていた、見られていたということになる。
 花火が始まる前の会話、上条からのプロポーズは勿論、先ほどのキスまで。
 一番見られると厄介な人物に見られてしまっていた。

「ふっふーん♪しかもね、今日の私はとっても素敵ななアイテムを持ってたんだなぁ〜」
「な、何よ…?」
『俺は、御坂美琴が好きだ、大好きだ、心の底から愛してる。だから俺が美琴を護りたい。他の…』
「ぶっ!!」

 盛大に吹き出したのは上条。
 今突然流れてきた気恥ずかしい言葉は、今日上条がしたプロポーズの内容そのもの。

「ちょ…!美鈴さん!?」
「これね、今日ちょうどその大学の教授に貰ったのよ。何でくれたのか理由は実はよくわかんないけど、普通に使える学園都市製の逸品よ?」

 やや自慢げに語る美鈴の手に握られているものは、一見普通のビデオカメラ。
 学園都市が誇る技術で生み出されたそのカメラの液晶には、あまり光源がないこの場所だったにもかかわらず、二人の姿は鮮明に映し出されていた。
 しかも周りの雑音という雑音もなく、二人の声だけがやたらとはっきりと流されている。
 美鈴曰わく、そのカメラは、暗がりだろうがどんなとこだろうが関係なく、自分が撮りたいものだけを鮮明に撮り、設定すると入れたくない雑音までカットできる代物らしい。
 更に、外からの衝撃や故障の原因となりうるものにはそれなりの耐性がある、らしい。

「って、そんなことはどうでもいいのよ!今すぐそのカメラを捨てなさい!」
「『私だってアンタが、当麻以上に大好きよ!』……だって、もう、美琴ちゃんったら可愛いんだから♪」
「っ!!ぶ、ぶっ壊す!」
「ばかやめろ!そりゃお前が本気になりゃ壊せるだろうが、んなことしたら機械と一緒に美鈴さんも逝っちまう!」
「ぐっ…!」

 美琴が本気でカメラを壊そうと帯電して身を乗り出したところで、上条それを右手制する。
 確かにそこそこ耐性があるとはいっても、超能力者級の力を受けて壊れないわけがない。
 むしろたかがカメラ如きにそれほどの耐久力をつけてもまるで意味がない。
 普通なら、もっと平和的に使われるのだから。

「美琴ちゃん怖〜い。ママはそんな子に育てた覚えはないのに〜」
「……やっぱり一回くらい痛い目合わせない気が」
「だぁー!もうやめろって!」

 再三にわたって美鈴に突っかかろうとする美琴とは対照的に、美鈴は明らかにこの状況を楽しんでいた。
 何せ、突っつけば必ずと言ってもいいくらいの頻度で返事が返ってくる娘を、これでもか言うほどからかえる材料を手に入れたのだから。
 この状況を楽しんでいないかと言えば、それは当然嘘になる。

168【side by side】・一生かけて(17):2011/01/19(水) 19:38:23 ID:tIF9DTk6

「……けどまあ、おめでとう。お二人さん?」
「……へ?」

 かと言って、二人を祝福する気が全くないわけがなかった。
 幼少の頃から学園都市に預け、早くから親元を離れていたとは言え、美鈴は美琴の母親であることには変わりはない。
 娘の幸せを願わない親など、いないわけがない。
 だからこそ美鈴は上辺だけでなく、心からの言葉を二人に送る。

「それにしても、二人の仲は何となくわかってたけど、まさかここまでとは思わなかったわよ」
「まぁ、色々ありまして…」
「そう、色々あったのよ」
「ふーん?まあその辺はいずれ聞こうかしら?何にせよ、上条君、美琴ちゃんをよろしくね?」
「えっ?あ、はい…」

 これまでふざけた調子を通していた美鈴が一変し、それまでとは打って変わって真面目な表情で上条に笑いかける。
 そのいつもは見せないような美鈴の表情には、流石の上条も呆気をとられた。
 そこには確かに、娘を想う母親の優しさ、愛情が存在していたのだから。

「……さてと、私はそろそろお暇しようかな?私は二人にとってお邪魔虫のようだし?」
「あ……家に帰ったら、父さんに言うの?」
「そりゃ、当たり前でしょう?心配しなくてもうちのパパはどっかのドラマみたいに、こういうことに関して文句を言うような人じゃないわよ……多分。それとも自分から言いたいとか?」
「うん……いくら何でも、こんな大事なことは、面向かって話した方が良いと思うから」
「そう。なら私は言わない。美琴ちゃんの方から近々話があるかもとだけ言っておくわ」
「ぅん、お願い」

 頷き、美琴からの頼みを了承すると、美鈴は振り返り、ゆっくりと歩いていく。

「あ、このカメラの内容はダビングして送ったげるから、心配しなくていいわよー」

 が、早々に立ち止まり、カメラをおもむろに振りつつ、ニヤニヤとした表情で美琴へ視線を向ける。
 その表情には、先ほどのような優しさはなく、もう既に見知っている美鈴の表情。

「へ?あ、ありがと……じゃなくて!そんなもん早く捨てなさい!」
「むふ、本当は欲しいくせにー。やっぱり上条君にキスをねだるくらい素直にはなれても、そういうところは素直になれないのね?」
「なっ…!そ、そんなもん欲しくないわよ!」
「そう?美琴ちゃんはそうだと思ったんだけどなー?ならこれは私一人で楽しむとするわ。それじゃあね、お二人さん♪」

169【side by side】・一生かけて(18):2011/01/19(水) 19:38:52 ID:tIF9DTk6

 美鈴はそれだけ言い残し、今度は駆け足でこの場を去っていく。

「〜〜っ!!こ、これ以上は我慢できない!!ちょっと懲らしめてやるわ!」
「いてぇ!!あ、ばか!待てっつうの!」

 今まで美琴を抑えていた右手に美琴は噛みつき、力が弱まった隙を突いて颯爽と前を行く美鈴を追いかけていった。
 今の彼女に、止まるという選択肢はない。
 せっかく心地良い雰囲気の中で、良い気分でいたところを荒らされては、流石に我慢の限界。
 いくら親であっても容赦はしない覚悟で、ひた走っていく。

「あーあ、行っちまったよ……まぁ、どうせあいつのことだし、限度はわきまえてるだろうけど」

 美琴は心根はとても優しい人間。
 いくら少しの怒りに身を任せても大きな事故には至らない。
 上条には、そうなる確信があった。

「……でも、今はとにかく美琴のことより、先のことだよなぁ…」

 気がかりはあのビデオ、とんでもない場面を撮られてしまった。
 しかもそれを撮った人物というのが、厄介なことにあの美鈴である。
 たとえ美琴が今日ビデオを上手く破壊できたとしても、それは物として残らないだけで、美鈴の頭の中には残り続ける。
 先々、今日のことについて何を言われたものかわかったものではない。

「はぁ……にしても、」

 それを思うと、将来が暗いように思える。
 しかし、果たしてこの先待ち受けているであろう問題は、不幸ばかりなのだろうか。
 確かに暗い問題はある、楽しいことばかりではない。
 だが今日、上条は今までにない、最高のものを手に入れた。
 他をどれだけ探しても、決して代わりなど見つからないような、そして決して代えのきかないかけがえのない存在を。

「どうしてこう、俺の人生は」

 確かに始めて出会った時は不幸な出来事の始まりの予感はしていた。
 実際、夜通し追いかけまわされたり、やたらと勝負勝負と攻撃を仕掛けられたり、何かにつけて文句を言われたりと、起きたことは不幸なことばかりだった。
 だがその彼女と出会ったという“不幸”がなければ、今の自分は到底有り得ない。
 彼女がいたからたとえ死にそうな時でも頑張れた。
 彼女がいたからここまで心身ともに強くなれた。
 彼女がいたから今の自分がいる。
 そして、これからも。
 彼女がいるから、どんな時でも頑張れる。
 彼女がいるから、不幸が起きても毎日を過ごしていける。
 彼女がいるから、自分は強くなれる。
 これからはその彼女が、美琴がずっと側にいてくれる、支えてくれる。
 それのどこが不幸なのだろうか、いや、それは最早、

「―――幸せ(ふこう)、なんだろうな」

 以前、美琴は上条に言った、ある言葉を知ってるかと。
 結論を言えば、長らく英国に住んでいた甲斐あって、上条は言葉も意味も知っていた。
 しかしあれから、その言葉は上条の知っていた意味とは違う特別な“意味”をもった。
 その言葉の示す意味は、並んで、協力して、隣り合わせ。
 意味にするとそれだけしかないかもしれない。
 だがその言葉は二人の心のなかでは、とても深く、とても強く根付いている。
 その言葉はこれからもきっと、二人の間で特別な意味を持ち続ける。
 その言葉は、side by side。

170おまけ・―そして―:2011/01/19(水) 19:39:56 ID:tIF9DTk6

 あの夏の暑さも完全に抜け、冬の寒さが目立ちつつある11月の中旬。
 そんな月のとある日に、様々な者達からの祝福を受けながら、二人の結婚式は挙げられた。

 嘗ての上条のクラスメイトは言った。

「絶対その子を幸せにしたるんやで、カミやん」
「二人ともおめでとさんだにゃー。俺もいつか舞夏と…」
「上条、貴様もようやく身を落ち着けたのだから、むやみやたらと女にちょっかいだすなよ?」

 美琴の友人は言った。

「「おめでとうございます!みさ…いや、上条美琴さん!」」
「殿方さん、お姉様を不幸にしたら、わかっていますわよね?……おめでとうですの」

 イギリス清教、天草式の者達は言った。

「ふん、君が幸せになろうが不幸になろうが僕にとっては限りなくどうでもいいことだが、ただ一言、おめでとうとだけ言わせてもらうよ」
「上条当麻、あなたへの多大な恩は未だに返しきれていませんが、今はそれはいいでしょう。二人とも、おめてとうございます」
「二人とも末永くお幸せになのよな!(五和、大丈夫だ。例え正妻の座がダメでも側室の座を狙えば…)」
「(な、何を言ってるんですか建宮さんは!)あ……お、おめでとうございます…」

 白髪の少年と、美琴とそっくりの者達は言った。

「めんどくせェ……大体なんで俺がこの二人をしふうなんくおめでとォ!?」
「もう!どうしてあなたは素直に祝福できないの!?ってミサカはミサカは憤慨してみたり!ごめんね、この人素直じゃないから。でもでもとにかくおめでとうって、ミサカはミサカはとっても綺麗なお姉様に抱きついてみたり!」
「お姉様もここまできましたか。となると、私達は今後彼を義兄様と呼べばいいのでしょうか?……それはともかく、おめでとうございます、とミサカは密かな疑問を胸に秘めつつ心の底から二人を祝福します」

 二人の両親は言った。

「当麻、もし誰か他の女性にうっかりフラグを建ててしまっても、何も言い訳せずその子にすぐ謝らないとだめだぞ?でないとあだだだ!」
「あらあら刀夜さん、あなたは自分の息子に何を吹き込んでるのかしら、それで自分の行いが許されるとでも?……当麻さんも、あまりその子に迷惑をかけてはいけませんよ?」
「当麻君、娘を頼んだぞ?美琴も、幸せにな」

 そして、白い修道服を着たシスターの少女は言った。

「短髪、とうまは確かに不幸だけど、それ以上に不幸にしたら許さないんだよ。……でも、私は心の広いシスターだから、二人のことはちゃんと祝福してあげるんだよ。……二人とも、おめでとう」

 正直な話、二人にとってインデックスのこの言葉が一番胸に響いた、
 彼女は上条にとってはかけがえない存在であることには変わりはなく、美琴にとっては互いにいがみ合っていた仲だったとは言え、それ故の因縁がある。
 だからこそ彼女、インデックスの祝福するという言葉が、一番胸に響いた。
 そして他にも、約二百人にのぼるシスター達、イギリス王室の者達など、美琴には上条が一体どこがどう間違って繋がりをもったのかわからないほど多くの人達から祝福を受けて、二人の結婚式は執り行わた。

「―――えー、続きまして、新郎新婦の親族を代表して、御坂美鈴さんからのスピーチです」
「どうも、新婦の母親の御坂美鈴です」

 本来、こういったスピーチは父親がするのが常なのだが、今回は父親の辞退や美鈴からの強い希望により、美鈴となった。
 美鈴はスピーチ台に立つと、何やら式場の従業員に合図を送り、

「それでは皆さん早速ですが、恐らく皆さんも私と同様、かたっくるしい挨拶やらスピーチはあまりお好きではないと思います。なので、まずこれを観て楽しんでもらいたいと思いまーす♪」

 やたらとニヤニヤした表情で、どこからか現れた大型スクリーンを指差した。

『―――そういえばさ、あの星座知ってる?』
「「!!??」」

 会場全体の注目を浴びている、大型スクリーンに映し出されたものの内容、それは今年の8月20日の夜にあった、二人のとある出来事の様子だった。

171:2011/01/19(水) 19:40:24 ID:tIF9DTk6

 ……はい!まあこんな感じ(!?)で無事終わりを迎えたこの物語ですが、いかがでしたか?
 始めは後日談をここまで長くする予定はなかったのですが、せっかく書くのだからと、本編の終わった10スレの459さんのおっしゃった、『後日談の範疇を超える後日談』をコンセプトにこれを書きました。
 ……結果的に内容で超えたかはわかりませんが、煮詰まった時期を経て、量ばかりが増え、ある意味で後日談の範疇は超えられたかもしれませんが…(汗
 それでも長くかかってしまった分、それだけよく考えたので一応私は満足しています。
 ただ、後日談として希望のあった二人の高校生活を満足に書けなかった、これだけは少し心残りです。
 とにかく皆様が納得できたか、満足できたか、そればかりが気がかりで、不安な蒼にございます。


 今まで本当に長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。
 皆様の声援があったからこそ、私も楽しく執筆でき、完結できたのだと思っています。
 これからもネタさえあれば投下していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
 では長々と大変失礼しました。
 今回の話はもちろん、この長編を通しての感想などを聞かせてくれると嬉しいです。


 ……結婚式がこの後どうなったか、それは各々受信してください。

172■■■■:2011/01/19(水) 19:57:29 ID:4ZN5JzMk
ありがとうございました、そしてお疲れ様でした。

最高のGJを送ります。

でも本当に続編がないと思うと少し寂しく思います

173■■■■:2011/01/19(水) 20:19:30 ID:EzZjlY9.
超グッジョブです!
とても素晴らしいハッピーエンドでした!!

174■■■■:2011/01/19(水) 21:21:52 ID:4Hbd0GIQ
すごく良かった。
嫌なこととか忘れて楽しめました。今までどうもありがとう。
でもやっぱり完結って寂しいなぁ…

蒼さんの作品もっと読みたいです。

番外短編集とかどうでしょうか?(暗にまだ書けとry)

番外編でも新作でも、蒼さんの次回作を楽しみに待ってます。

175■■■■:2011/01/19(水) 21:57:20 ID:YSJRbRMU
ふにゃー

176■■■■:2011/01/19(水) 22:05:08 ID:x1Cdh7Og
長い間お疲れ様。
最後に素敵なハッピーエンドをありがとう!
幸せすぎて私の涙腺緩みっぱなし…涙が止まらない…w

177■■■■:2011/01/19(水) 22:05:57 ID:fu3UiMgg
>>171
いい話だったぁ。・゚・(ノД`)・゚・。
これでこのシリーズが終わってしまったのかと思うと残念ですが大変に良い終わり方で大満足でした!
上条さんが1年間いなくなるところのどん底から考えると今の幸せ展開は本当にいい物です
また新しい作品も楽しみに待っていますのでとりあえずはお疲れ様でした!

178■■■■:2011/01/19(水) 22:18:06 ID:6Q3IEFeI
素晴らしい作品ありがとうございました。
とても面白かったです!
新作も楽しみにしてます。

179■■■■:2011/01/19(水) 22:27:57 ID:zyCTGzuw
なんといいますか、まずはお疲れ様、と言いたいです。

今回の話の感想としては、なんか今までの話に比べて派手さや読み進めたいっていうインパクトは
ないんですが、心に染みてくるって感じがしました。
そして読み終わった後に残る最後まで読んで良かった、という読後感。
投下、ありがとうございます。

とまあ堅苦しいこと言ってますが結局は美鈴さんGJなんですけどね!
…トラウマもんだぞ、あの結婚式はw

私事になりますがこの話読んでて、自分の作品では面倒だからあえて書いてなかったプローズ話を
書かなきゃならないかな?と思ったりしたこともないかもしれないような気がするかも…
ちなみに私は琴座の神話はかわいそうで嫌いです、イザナギイザナミの話も同様にw

また新しいお話を楽しみにしてます

180■■■■:2011/01/19(水) 22:47:47 ID:ZIFNUqfQ
>>171
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job!!
 フ     /ヽ ヽ_//

181■■■■:2011/01/20(木) 00:17:46 ID:VF67rdK6
楽しく読めました!
 ほんとにありがとうございます

182■■■■:2011/01/20(木) 00:40:13 ID:.MRtrib6
GJ!!!

ついに完結してしまったのか…
寂しくなりますな…そう思うとさらに涙が…
取りあえず番外編があるのなら期待してみるってミサカはミサカはねっだってみたりww

183■■■■:2011/01/20(木) 01:27:53 ID:nUxIG37k
GJです!
まとめサイトを見てみたら初投稿から一年近くたつんですね
告白するところから始まり紆余曲折を経て晴れて恋人となるのも束の間様々な困難がありそれを乗り越えて最後はプロポーズでハッピーエンド
最後の花火が打ち上がる中でのプロポーズはロマンチックで感動しました
自分は最初のときから読んでましたが終ってしまうとなると少し寂しい感じです…
今まで本当にお疲れ様でした!

184■■■■:2011/01/20(木) 01:44:02 ID:RhkNfaKY
これだけの長編完結させるとかマジですごいなぁ。
お疲れ様でした!上琴スキーのみんなを楽しませてくれて
ほんとうにありがとでした。

185■■■■:2011/01/20(木) 02:00:26 ID:1HASNJBY
>>171
蒼さん、長編完結本当におつかれさまでした
ドキドキワクワクしながら長い間楽しく読ませて頂きました
蒼さんの甘く切ないラブストーリーは私にはツボだったので今は脱力感でいっぱいですよ

ところで、次回作など期待してみちゃったりしたいのですが、そのご予定はどうなんでしょう!!??

186だめだこりゃ:2011/01/20(木) 14:29:00 ID:bUoagGyU
蒼さんおつかれさまでした!!
蒼さんは自分がssを書くきっかけとなった方の1人なので終わってしまうのは残念です…
またネタが出来たら書いて下さい!!
自分もなんとか今週中に思いついた短編書き上げます。

187とある通気管:2011/01/20(木) 15:43:07 ID:6IJOjImE
い、いい話すぎる....GJ!(涙目)

188■■■■:2011/01/20(木) 17:20:40 ID:IuvCVMoM
蒼さんお疲れさまでした&GJ!!
とても面白かったです。文うますぎだぜ…

189■■■■:2011/01/20(木) 18:39:41 ID:znGTU8Wg
蒼さん『side by side』の真終了お疲れ様です。
今回の奴を読んで気に成りましたが美鈴さんが隠し撮りした内容を果たして流して良かったと思います。
と言うのは美琴が『あなた、記憶が・・・』と言う事を言ってましたよね!?
どういう意味かと聞かれる恐れが有るのではと感じます。
新しい門出で果たしてと思ってしまいます。それとも此処は撮られていなかったのですか?

190■■■■:2011/01/20(木) 18:53:50 ID:TCSHWDF2
>>186-187
感想書くときはコテ外そうな

とくに>>186は書き手でもないくせに何なのって話?

191■■■■:2011/01/20(木) 19:30:42 ID:K6Ev5912
むしろお前こそ何なの?って話

192■■■■:2011/01/20(木) 19:49:46 ID:Sc58htGQ
>>186の人は作品書いてるぞ

193■■■■:2011/01/20(木) 19:51:42 ID:L1960UIs
だめだこりゃさんは書き手だよ。
上琴好き同志、もっと落ち着こうぜい

194■■■■:2011/01/20(木) 19:54:16 ID:RAYI05mg
だよなー、だめだこりゃ氏はpart13で書いているぜよ
>>190はいったい何を言っているんだ?

195とある通気管:2011/01/20(木) 20:17:33 ID:6IJOjImE
小ネタ コタツで...

御坂「あったかいね〜」

上条「そうだな〜」

「「・・・・・・」」

上条「みかん...食うか?」

御坂「食べる〜」

上条「ほれ」

御坂「ありがとう」

上条「やっぱりコタツとみかんですよね〜」

御坂「ここに猫がいたらもっといいんだけど」

上条「猫ならここにいるぞ」

御坂「え?」

上条「ただし..俺専用の美琴猫だけどね〜」

御坂「もう〜当麻ったら〜」

上条「美琴た〜ん」

御坂「ふにゃ〜♪」



....後悔はしていない反省はしている
初めてやったけど...本当になんかすいませんorz

196■■■■:2011/01/20(木) 20:20:34 ID:uBPQUvxY
>>195
何これかわいい。

197190:2011/01/20(木) 21:28:39 ID:TCSHWDF2
>>192-194
ミスッた
>>186じゃなくて>>187だった
ageばかりしてるからイラッと来ただけ
だめだこりゃ氏と>>192-194すまん…

198:2011/01/20(木) 23:37:49 ID:iXbdhkko
>>189さん
Σしまったーー!!orz
すいません、すっかり失念してました…しっかりと撮られてるはずです…
確かにちょっとまずいかもですので、後日まとめに挙げられた後、加筆修正しておきます。

そして普段はやらないのですが、せっかくなのでレスをしたいと思います。
たくさんの感想ありがとうございました!

>>172さん 最高のGJ有難うございます。続編に関してはすいません、今のとこ考えてないです…
>>173さん どうもです!
>>174さん
そこまでおっしゃってくれて嬉しい限りです。私としては無事完結できてほっとしてますが…w
続編や番外編に関しては、この話が既に番外編という位置づけでしたので、今のところ予定はありません…
それにいい加減終わる終わる詐欺みたいで鬱陶しいかなと、少し思ってるところもあるので…(汗
>>175さん ふにゃー
>>176さん
ヾ(・ω・`)フキフキ
涙してくれて有難うございます…!
>>177さん 満足してくれたようで、こちらも大満足です。
>>178さん こちらこそ有難うございます。
>>179さん
この話で終わらせる予定でしたので、確かに派手な事や真新しいことはあまりせず、二人の過去の回想やこれまでの心情の移り変わりなどを重視して書いたのは確かですね。
結婚式は一生記憶に残る、どうせならそんな結婚式がよくないですか?w
ちなみに私の琴座の解釈は美琴の方です。感じ方の違いに関しては当然のことながら私は何も言えません。
>>180さん (`・ω・)b
>>181さん 楽しんでもらえて何よりです。
>>182さん
はい、大変長らく待たせてしまいましたが、無事完結しました。
番外編に関しては、申しわけありませんが上でも書いた通り、今のところは予定してないです…
>>183さん
最初の頃から読んでくれていたのですか!それは嬉しい限りです。
花火の演出はアニメのあの美琴の発言を聞いてからずっとやりたいと思っていた事なので、やれて良かったです。
>>184さん 中途半端はしたくない、やるならやりきる。それがモットーなのでw
>>185さん
ツボ…ですか。有難うございます!
こんな私の作品でもよければ、待っていてくれると嬉しいです。
新作に関しては一つだけ長編っぽいもののネタを考えています。
ただそれは次の巻が出てしまうと書きにくくなるかもしれないので、できるだけ早めに投下したいなとは思ってます。
>>だめだこりゃさん
なんと!Σ それはそれは、ssを書くきっかけになれて光栄ですw
今後もお互いに頑張って上琴ssを書いていきましょう!
>>とある通気管さん 有難うございます!
>>188さん いやいや、私の文はまだまだ稚拙なので、お恥ずかしい限りです…;
>>189さん
今回はご指摘、有難うございました。
今後はその辺のことも特に注意して書いていきます(汗

本当にたくさんの感想、そしてご指摘有難うございました!(読みにくかったらすいません…
私のssを読みたい、期待してる、という声を原動力に、これから精進していきたいと思っています。
あと知っている方もいらっしゃるとは思いますが、まとめの方の【side by side】を少しずつですが加筆修正しています(バレンタイン編に関しては既に完了)。
最近はラストの執筆で滞ってましたが、少しずつ再開していくつもりです。よかったら覗きにいってください。
では大変長々と失礼しました。次は新作の投下時にでも〜

199:2011/01/20(木) 23:47:37 ID:miNjKuKQ
連投失礼
>>179さんへ一言w
どなたかはわかりませんが、あなた様のプロポーズ話ぜひとも読みたいです!

200179:2011/01/21(金) 10:25:29 ID:SjV0.1hw
>>蒼さん
いや、あの、すいません。終わらせたはずなのになぜかまだダラダラ続いてる自作長編で
「そういえばこの二人、両親公認で婚姻届まで書かせたけど肝心のプロポーズ書いてねー」
と思っただけなので…。
今書いてるのは別の長編(にする予定)の話ですし…すいません。

と、ともあれ、次の作品、楽しみにしております!

201■■■■:2011/01/21(金) 19:40:02 ID:7JfhKDJw
189です。
凹まないで下さい!!!
そんなつもりで聞いたつもりは無いので・・・。

202かぺら:2011/01/21(金) 21:49:04 ID:oXAio5Ds
どうもこんばんは。
短編書いてきましたので置いていきます。

21:50より4レスお借りしますね。

203Aquarius 1:2011/01/21(金) 21:51:08 ID:oXAio5Ds
 今年も、学園都市に冷たい風が吹く。
 とあるファミレスのとある席。
 シャーペンを走らせているツンツン頭の少年と、雑誌をペラペラとめくる少女は向かい合わせに座っていた。
 上条当麻は今日も今日とて課題との格闘を繰り広げていた。
「えっと……これは、さっき教えてもらったアレだな」
 ふんふんと頷きながら、比較的軽快なスピードで問題を消化していく。
 そんな上条の様子を、美琴は雑誌から視線を外して盗み見る。
「順調そうね」
「その節は大変お世話になりましたよ、美琴センセー」
 そう言いつつも、上条は視線を外さない。
 礼を言う時くらいこっち見ても良いじゃないのよ、なんていう女心を分かるわけもなく、彼はプリントと睨めっこしている。
「はぁ………ま、いいけどね」
「ん? 何か言ったか?」
「何でもないわよ」
 これ以上言う事はない、と言わんばかりに、美琴は再び雑誌へと視線を向ける。
 その視界に飛び込んできたのは、星占いのコーナー。
 特に目的があって開いていたわけではないページの端にあったそれは、一ヶ月分の運勢をまとめて占っちゃおーぜなんていう雑なもので、当たるか否かレベルのものではない。
 そもそも、科学の最先端のここに居て、占いも何もないだろうと。
 そんなことは美琴も分かっている。
 それでも。
(ちょ、ちょっと見てみるだけよ……ね)
 なんだか悪戯をしているようなドギマギ感を抱きながら、美琴はするすると文字を追う。
(えっと、私の運勢は、っと―――)
 総合運も健康運もすっ飛ばして、ハートマークのついた欄を見てしまうのは恋する乙女、と言ったところだろうか。
 文字列を目で追って行く美琴の顔が、だんだんと難しく歪んでいく。
(えっと、何? 積極的にかつ素直に行動するべし?)
 もっと具体的に書いてくれればいいのに、という不満は胸にしまいつつ美琴は背もたれに身体預ける。
 素直になれれば、とはよく思う。
 でも、それはそう簡単なことではなかった。
 そうでもなければ、こんなま冬までこの想いを引っ張るわけがないのだから。
(な、なんとかなる………わよね?)
 来月はバレンタインもあるし、とまで思考を巡らせたところで美琴は首をブンブンと横に振った。
 幸いにも上条にはバレていないらしいが、恐らく顔は真っ赤になっている事だろう。
(落ちつけ、私! それについてはじっくりと作戦を練るのよ)
 美琴はふぅと息を吐き、雑誌へと目を戻した。
 そこで―――
「あれ?」
 ふと、疑問が浮かぶ。
 そう言えば、このツンツン頭は何座生まれなんだろうか、と。
 というか、そもそも誕生日はいつなのよ、といった具合だ。これでは相性占いも出来やしない。

204Aquarius 2:2011/01/21(金) 21:51:24 ID:oXAio5Ds

「ね、ねぇ」
「おう?」
「アンタ、何座生まれなのよ?」
「ナニザ? あれか、星占いとかの?」
「そうそう。ちょうど星占いのってたから、アンタのも見てやろうかなーってさ」
 美琴は雑誌をテーブルの上に広げると、ようやくこちらを向いた上条の顔をじっと見る。
「いやいや、どうせ運勢は最悪外に出ちゃ危ないですよ―、とか書いてるので見なくて結構です」
「なんで全国の人が見んのにアンタ一人狙い打ちされてんのよ。良いから何座生まれか教えなさい」
 やたらと積極的な美琴の気迫に圧されるようにして、上条はシャーペンを動かす手を止める。
「水瓶座だけど……」
「おっけー。えっと、水瓶座は『貴方の運命の人は意外と身近にいるものです。視野を広く持ってみましょう』だってさ」
「はぁ……身近に、って言われるとロクなことを思い出さないのですが」
 上条は暴れまわる暴食シスターを思い出すと、いつもの口癖と共に溜息をつく。
「ア、アンタ………目の前に女の子がいるってのにそれはないんじゃないの?」
「? み、御坂さんはなんでそんなにバチバチされてるんでせう?」
「…………もういい」
 ぷい、とそっぽを向く。
 そんな美琴の想いなんて気づく様子もなく、上条はただ首を捻るだけだった。
「にしても、いきなり恋愛運って、お前……普通は総合運とか気にすんじゃねぇの?」
「っ!?」
「まぁ、お前も女の子だもんな。やっぱそう言うのって気にするんだ?」
「さ、最初に目に入っただけよ!」
「ふーん」
 興味があるのかないのか、上条は納得したような顔で頷いている。
(き、気にするに決まってんでしょうがっ)
 美琴はぎゅっと右手を握る。
 だが、上条の結果も美琴の結果も、考えようによっては好機ではないか。
 上条の『身近にいる』という点では、シスターさんは気になるものの、少なくとも圏内には入っているだろう。
 あとは自分が素直になることが出来れば、というだけだ。
(デ、デートに誘うにしてもきっかけが欲しいわよね)
 ふむ、と考え込む。
 なにも用なしに誘えれば一番簡単なのだが、それは少し気恥ずかしい。
(バレンタインもあるけど)
 それまでに一歩でも前進しておきたい、というのが美琴の考えだった。
 上条の事だからバレンタイン当日にライバルとなる人はたくさんいるのだろう。
 秘めたる想いの強さならば負ける気はしない。
 だが、もし先制で誰かが告白でもすれば、感涙しながら、ホイホイとついていく姿が想像できてしまう。
(課題に付き合った代わりに……っていうのはちょっと、ね)
 無理矢理つきあわせてしまったみたいになるのは気が引ける。
「そう言えば」
 ふと、雑誌に再び視線を向ける。
 水瓶座、と上条は言っていた。それならば―――。
「アンタ、誕生日もうすぐじゃないの?」
「え……あ、そういやそうだな」
 いやー、すっかり忘れてたぜ、と笑う上条に、美琴はまた溜息をつく。
「まぁ、上条さんにはお祝いしてくれるような人はいませんけどね」
「ふふん。じゃぁ私がお祝いしてあげるから、さっさと行くわよ」
「ちょ、おま、え? 行くってどこに?」
 上条の腕を掴んで無理矢理立たせる。
 美琴は困り顔で課題のプリントと鞄を持つ彼をファミレスの入口まで引っ張って行く。
「どこって、プレゼント買いに行くのよ」
「今から?」
「今から」
 にこっと、美琴は楽しそうに笑う。
「ふ………こうじゃねぇわな」
 課題を攻略しておきたい気分ではあったが、こうも綺麗に笑われてはどうしようもない。
 諦めたように課題を鞄に戻し、上条は美琴の後を追った。

205Aquarius 3:2011/01/21(金) 21:51:40 ID:oXAio5Ds
 美琴に右腕を取られたまま、上条は通りを歩いていた。
 突き刺さる黒い視線が妙に痛く感じてきたころ、上条は視線を美琴へと向ける。
(なんで今日のコイツはこんなに積極的なんでせう?)
 あててんのよ、とでも言いそうなくらいに、彼女は上条の右腕を掴んで離さない。
 ハイになってしまっているのか、爛々とした表情は眩しいくらいだ。
「ねぇねぇ、あのゲコ太人形とかどうよ?」
「そりゃ、お前の欲しいもんだろうよ」
「アンタね、さっきからそればっかりなんだけど」
 そりゃそうだろうよ、と上条は言葉を飲み込む。
 ファンシーグッズの山から選んだ品を見せられても、上条としては困惑するしかない。
「じゃぁ、アンタ、何が欲しいのよ?」
「そうだなぁ………」
 考えて思い出す物と言えば。
「幸せ?」
「アンタ、真面目に言ってんの?」
 どんだけ苦労してんのよ、と白い目で見られる。
 不幸少年にとっては切実なのだが、さすがのレベル5でもこればっかりはどうしようもない。
(米俵レベルで欲しい、って言ったら流石に笑われるな)
 あれだけの大食いを飼っている身からすれば、何よりも食料が欲しいのは必然かもしれないが。
「えーっと、単位?」
「私にどうしろっていうのよ、それ」
「課題を手伝っていただけるだけで十二分ですよ、美琴センセー」
 お世話になってます、と上条は頭を下げる。
「そうじゃなくてさ……」
 美琴には頭を掻くしか出来なかった。
「出会いとかも欲しい、ってのわぁっ!?」
 バチィッ! という高音と共に美琴の前髪から雷撃の槍が飛ぶ。
 勿論、その槍は上条の右手に吸い込まれ打ち消されるのではあるが。
「アンタ、いい加減にしなさいよね」
「上条さんは何か変なこと言いましたか?」
 顔を青くする上条に、美琴はやれやれと首を振った。
 これは本格的に何かを楔になるようなものをプレゼントしなくてはいけないらしい。
 それも、上条を悩ませるようなものを。
「そうね………じゃぁ」
 うーん、と頭を悩ませた美琴は何かを思いついたように上条のすぐ隣に立つ。
「ちょっと、耳貸しなさい」
「は? こそこそ話するようなことなのか?」
「いいから」
 笑いながら『貸せ』と言う彼女に上条は怪訝な顔で耳を美琴の方へと向ける。

206Aquarius 4:2011/01/21(金) 21:52:05 ID:oXAio5Ds
「……………え?」

 上条が感じたのは美琴の声ではない。
 頬に当たった、なにか柔らかく暖かい感触のみ。
「み、こと?」
「じゃ、じゃぁねっ!」
 上条がキョトンとしている間に、美琴は勢いよく走り去って行った。


「な、なんなんだ?」
 そっと、何かを感じた頬に手を触れる。
「も、もしかして―――」
(ほほほほ、ほっぺにキスとかいうやつですか? これがプレゼントとかいうアレですかぁぁ!?)
 ぼんっ! と上条は顔を赤くする。
 美琴が何を想ってそうしたのか、真相は確かめるすべがないが、どうやらそういうことらしい。

 ピリリリリ! と携帯が鳴動する。
「おわぁっ!?」
 近くにいた人が視線を向けるくらいに大きな声で、上条は驚く。
「なんだ?」
 受信したメールの差出人は御坂美琴。
 いつもよりも三割増しくらいの速さで受信フォルダを開いた。

『誕生日、おめでと』

 妙にそっけない文が、上条の心を暖める。
 楔、となったかは上条のみぞ知る。

『私の誕生日はよろしくね』

 スクロールした先に、書かれていた文に上条は微笑む。
「あんにゃろう……」
 携帯を閉じ、上条は帰路へと付いた。
 彼女の誕生日に、どう仕返しをしてやろうかと考えながら。

207かぺら:2011/01/21(金) 21:54:25 ID:oXAio5Ds
以上になりますの。
生まれ星座がズレるとかいうニュースから思い付きました。
まぁ、俺がもうすぐ誕生日っていうのもあるのですが。
美琴ちゃんは上条さんとこに行くと思うので、私は佐天さんといちゃいちゃしようと思います。

では、この辺で失礼します。

208■■■■:2011/01/21(金) 22:02:37 ID:d8g67.FY
なんというニヤニヤ。すばらしい!!
早めになりますが、おめでとうございます。
しかし佐天さんは渡さない。

209■■■■:2011/01/21(金) 23:25:48 ID:G2hmXlYc
>>207
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    iレノノノ゙i  }
 \ \从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !! & Happy Birthday !!
     /    /

210■■■■:2011/01/21(金) 23:26:31 ID:UqGjzfr6
GJ!上条さんを手玉に取る美琴がカッコカワイイです!

211■■■■:2011/01/22(土) 01:44:54 ID:t9hxFSGM
>>207
乙です美琴かわええ
上条さんの仕返しはどうなっちゃうのかな〜

212■■■■:2011/01/22(土) 01:47:48 ID:jOzZuX86
>>207
GJ!
鈍感当麻君可愛いなぁ

213■■■■:2011/01/22(土) 03:46:19 ID:0pR8a36g
最ッ高にGJだねェッ!

214■■■■:2011/01/22(土) 07:01:36 ID:bimih.2w
これはGJ!良かったですほンと
愉快に素敵にきまっちまっています

※追記
「二人の」の作者の→ですが今までパソコンが壊れて作業できませんでした
おかげで作りかけのssも消えた始末
頭の隅の隅にでも期待していてくださった方、すみません

215とある通気管:2011/01/22(土) 11:17:00 ID:pLndelhk
これはいい2828だぜ

216とある通気管:2011/01/22(土) 11:23:34 ID:pLndelhk
 _n
( l     _、_
 \ \ ( ´・ω・`)
   ヽ___ ̄ ̄ ノ  Good Job!!
     /    /

217■■■■:2011/01/22(土) 15:34:13 ID:7WH9sTzM
 _n
( l     _、_
 \ \ ( ´・ω・`)
   ヽ___ ̄ ̄ ノ  Good Job!!
     /    /

218びぃ ◆K7dCoes7VE:2011/01/22(土) 19:55:00 ID:mt77U69Q
この前某所の台本形式で気合入れすぎたせいか、地の文書く気力が沸かない……
ってことで台本形式小ネタ投下。5分後から3レス貰います。

219お守りの意味は……1:2011/01/22(土) 20:00:00 ID:mt77U69Q
prrrrrrrr prrrrrrrr

上条「もしもし」

美鈴『もしも〜し。美琴ちゃんとイチャイチャしてる?』

上条「どういう挨拶ですか……」

美鈴『してないの?』

上条「黙秘権を行使します」

美鈴『イチャイチャしてる、と』

上条「切りますよ」

美鈴『待った待った! 上条くんにお願いがあるのよ』

上条「お願い?」

美鈴『さっき上条くんにお守り2つ送ったんだけど、片方を美琴ちゃんに渡して欲しいの』

上条「いまいち状況が飲み込めないんですけど、何で俺から?」

美鈴『学園都市に住んでると、非科学的なモノってあんまり信じなくなっちゃうでしょ?
    で、同じ学園都市に住んでる上条くんからなら素直に受け取ってくれるかな〜って』

上条「あ〜そうですね。でも、親からなら別なんじゃ?」

美鈴『私からよりも、彼氏からのプレゼントの方が喜んで受け取ってくれるでしょ?』

上条「なるほど」

美鈴『否定しないんだ〜』

上条「本当のことなので」

美鈴『うわっ、ノロケられた』

上条「美琴には俺から渡しておきますね」

美鈴『くれぐれも私から、って言っちゃダメだからね』

上条「なんかよく分からないけど、分かりました」

美鈴『上条くんのは健康祈願のお守りよん。健康祈願って私が内袋に書いたから、美琴ちゃんの方は開けないでね』

上条「美琴に渡す方は健康祈願じゃないんですか?」

美鈴『うん。でもある意味、健康祈願のお守りよ』

上条「ある意味?」

美鈴『それは渡した時のお楽しみってことで』

220お守りの意味は……2:2011/01/22(土) 20:01:00 ID:mt77U69Q
美琴「あ、あ、アンタ! このお守りってそういうこと!? 買い間違いとかじゃなくて!?」

上条「? お前の健康を思って渡したんだけど?」

美琴「ええええええええええええええええええええええええええ!!!!!?????」

上条「な、なんだよ!? 俺が美琴の無事を祈っちゃいけないのか?」

美琴「ぶ、無事って、色々と気が早いというか、物事には順序があるというか……」

上条「順序? そんなもんいらねぇだろ。あ、もしかして信じてないのか?」

美琴「そんなことない! でも当麻のことは信じてるけど、私まだ中学生だし……」

上条「中学生が何か関係あるのか? このお守りだけで伝わるだろ?」

美琴「わ、分かったわよ。当麻の気持ちは十分に伝わったわ」

上条「そりゃ良かった」

美琴「そ、その……わ、私も当麻とずっと、ずっと一緒にいたい」

上条「………………………………え?」

美琴「料理とかもまだまだだけど、ちゃんと花嫁修業するから」

上条「ちょ、ちょっと……」

美琴「不束者ですが、よろしくお願いします!」

上条「ええええええええええええええええええええええええええ!!!!!?????」

美琴「な、何で驚いてんのよ!?」

上条「いや、だって、お守り渡しただけで何でそうなるんだよ!?」

美琴「は、はぁ!? だってこれ、安産祈願のお守りで、つまりプロポーズじゃないの!?」

上条「はい!? 俺は健康祈願のお守りを美鈴さんから預かって、お前に渡しただけなんだけど!?」

美琴「………………………………え?」

221お守りの意味は……3:2011/01/22(土) 20:02:00 ID:mt77U69Q
上条「な〜んてこともあったなぁ」

美琴「やめて! もう言わないで! 恥ずかしくて死にそう!」

上条「いいじゃねぇか。あの勘違いのお陰でこうして今も一緒にいるんだし」

美琴「……ふ〜ん。私が言わなきゃ結婚してくれなかったんだ〜」

上条「何で怒るんだよ。それにちゃんと改めてプロポーズしたじゃねぇか」

美琴「それはそうだけど……」

上条「それじゃあ今度こそ俺からの安産祈願のお守り」

美琴「ありがとう。私、絶対にいいママになるからね」

上条「おう。俺もいいパパになれるように努力するよ」


終わり

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
恋人じゃないver.も考えたんですが、あんまり変わらなかったのでこっちにしました。
今回も読んで下さった方ありがとうございました。感想頂けると嬉しいです。

222■■■■:2011/01/22(土) 20:22:33 ID:r9KfFV76
>>218
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job!!
 フ     /ヽ ヽ_//

223■■■■:2011/01/22(土) 21:25:12 ID:PSA0x41.
乙です

224■■■■:2011/01/22(土) 21:37:32 ID:OxtnNVeM
乙!
美鈴さんにGJ!!!!

225■■■■:2011/01/22(土) 23:00:05 ID:M79JLPOo
>>214
気長に待ちます。続き楽しみにしてます。
>>221
GJ!ニヤニヤです。

226■■■■:2011/01/22(土) 23:45:08 ID:.Hg13a5A
>>221
じぇんいえさんの上琴絵が脳内再生されますた!

227■■■■:2011/01/23(日) 00:21:40 ID:XAtxR50U
                                   / ̄ ̄\
              --――--                    |  い  |
          /    俺  ア \               |   や  |
           | し  .た  レ  |                |   |  |
           | た   ち  が  |                |   |  |
           | ん   結  あ  !               \______/
           | だ   婚   っ                          、  人人__,/
           | な      た  !                       _)`´    (___
           |  |       か .|                         \    う   /
           |  |      ら  |                          )   る   (
          \___________/                      ∧     <    さ   >
                                      |\   /::::::、       ).  い   (
                                 !\ |::::\/:::::::::::\/{___∠   !   \
                                  |::::::\|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  〉'⌒Y⌒´ ̄
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        .′:/: : : : ! : : : : : ハ: :! ∨: : ′    `7:::::::::::::|:::::::/ |ハ:::|\|、:::::::: !:::::::::<
      ': _jT : : : `ト: :|i : /斗ノ´ ∨: : :}    ./:::::::::::|:∧|:/    }/ ___ \!::|:::::::_\
.     /: `7|: : : : /\ハ/  ,、   }: :∨   厶__/:::::|ハ ,==≦   ´ ̄`  | 厂}::\
    /ィ: : 入ト、/ 厂|/ / / | v' /! : {  っ     ̄|::: }///    _ /// j/イ  ̄
.     ∨: :ハ: |/;  ; ___.|. ∨.}: : \ つ    ∨{     、__丿  .イ∧|
      }: : `'ヘ:|/   i   }|  _}人: `弋          `    __ zァ¬ヽ
.     礀: : ∧vー / .`^二=≦∧∧「 ̄        _____/__j∧∠ .∧
        |ハ/  ^Y__j {厶j {__/             } 安産祈願 _j_  |       ← 思
              「      !               (\       `r 、ヽj       い
              |   新  !              「         !  「         出
              |   妻  {\            └―‐‐ァ―‐一 礀          の
          /|       ∨                   /  ̄>―‐ ┤          品
.       __,. く .|__    ___,/}‐ 、         ___j{. . . {. . . . . . . . Lつ  、
     /   こ二フ´ ̄_ノー‐'"   \       、  `'ー'^'ー―一'" ̄´ /
     \                /         `'ー―――一
       `     …--…     ´

228■■■■:2011/01/23(日) 05:17:34 ID:CuL8pcsg
>>218
色々期待してます
ぐっじょぶ!

229かぺら:2011/01/23(日) 05:50:33 ID:ocfThBRM
沢山のレスありがとうございました。
以下、お返事です。

>>208
ありがとうございます!
ニヤニヤしていただけたのなら書いた甲斐もあったというものです。
涙子は俺の嫁!

>>209 >>216 >>217
AAさんくすです!

>>210
偶には上条さんも責められるべき!
覚悟を決めた美琴ちゃんはすごいと思うのですよ。

>>211
上条さんの仕返しはアレがアレになってアレするんです。

>>212
どうもです!
鈍感上条萌えー、ですね。
美琴からすればとんでもない話ですがw

>>213
一方さん、ありがとうございますww

>>214
決まらなかったらどうしようかと。
執筆の方も頑張ってくださいね!

>>215
2828していただいて良かったですのっ!


某呟きサイトで出たネタなのですが、まとまった話(長編というか、短編連作?)をサイトでちまちま書いてるのですが、ある程度まとまったらココにお世話になるかもしれません。
その時はよろしくお願いします。

230■■■■:2011/01/23(日) 14:33:53 ID:141mqUuU

東京・立川で配布していた、学園都市マップをもらってきたが、シリアルナンバー欄に吹いた。。。

ミサカ No.(シリアル番号)

231びぃ ◆K7dCoes7VE:2011/01/23(日) 20:00:13 ID:chBCW2s.
>>222-228
ありがとうございます♪

>>226>>227
どっかで見たオチになったなぁ、と思ったらそれでしたorz

232原作知らず:2011/01/23(日) 21:46:10 ID:.rQBs0OA
ようやく原作を読破してきました。なのに名前は原作知らずです。

キャラ崩壊ストーリー「とある姫と勇者のRPG」の続きを投稿しに来ました。

今誰も居ないようでしたら、今から5分後に投稿したいと思います。12レスほど使います。

233とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:52:09 ID:.rQBs0OA
『仮想世界』のとある街の一角、美琴達は適当に街をぶらついていた。ステイル達は十分に見て回ったが、御坂姉妹はこの状況について行くのに精一杯で街の景観を眺めている余裕がなかった。

街には活気があり、いろんな所で店が開かれているし大道芸じみた見世物もある。広い通りになると露店もあり、軽食を取り扱う店、衣料品を取り扱う店、装飾品を扱う店と様々な屋台がある。

露店に置かれている物は現在学園都市で販売中の物か発売予定の物が並んでいるようだ。実際に見た事のある商品や、CMや雑誌で見た事のある物も多い。

この中を御坂妹はまだいいとして、美琴は今の服装で歩く事を気にしていたが中々どうして、この街の人々は奇異の視線をこちらに向けるどころか極々自然に受け入れている。ならばローラはどうだろうと彼女を見ても同じだった。

「ここはゲームだからね。NPCが一々プレイヤーの服装に驚いていたら進まないだろう?」

とステイルは言う。なるほど。確かにそうだ。この世界はリアリティが高いため忘れてしまいそうになるがゲームだ。この服でなければ完全に忘れてしまうだろう。……ホント、何でこんな服なんだろう。

「それより、仲間はどうするんですか? とミサカは腕輪を見ながら尋ねます」

彼女たちとてただ観光している訳ではない。ローラを除いて。彼女たちはまだ最初のミッションをクリアしていない。

ローラはどうやら正規メンバーには入らないらしいので後2人の仲間を見つけなければならないのだが、これが存外見つからない。80人という参加人数ではNPCの数に対してプレイヤーの数が圧倒的に少ないのだ。

「大体仲間を作れってアバウトよね」
「仲間になれない役の人もいるからね。まぁ、気長に行くしかないんじゃないかな」

ぼやく美琴にステイルが応える。背の高い彼の視線で見えるのは人の頭ばかりで参加者らしき姿を見つける事が出来ない。

早くも前言撤回だが、真面目に探しているのは美琴とステイルだけだった。御坂妹とローラはもう完全におのぼりさんだ。すっかり仲良くなって、目を離すと二人で色んな店に突撃しそうになっている。

その二人が早速一つの露天に突撃しその前にしゃがんで商品を見ていた。『仮想世界』はアレンジこそされているがあくまで中世ヨーロッパがモチーフなのだから、缶ジュースが普通に売っているというのはおかしい気がしてならない。

二人が露店を見ているので美琴とステイルも彼女たちの近くで立ち止まり、これからどうしようかと適当に話していた。

「ほら、妹。なんだかあやしきものが置かれたるわよ」
「…おお、本当ですね。……ジョロキアサイダーなんて飲み物、ゲテモノぞろいの学園都市でも見た事がありません…、とミサカは作った人に恐怖を覚えます…」

ジョロキア。正しくはブート・ジョロキア。相当な辛さを誇るハバネロの2〜3倍の辛さという、辛味ではなく痛みを与えてくる世界一辛いトウガラシ。それを何でサイダーに入れちゃったのか強く問いたい。

「ドリアンおでんってなるものもありよかしなのねー」
「名前だけであの2大地獄を超越している気がします…、とミサカはこれだけは飲みたくありません…」
「じゃあわたしがチャレンジしてやらむかしら」

学園都市が誇る2大地獄。ガラナ青汁とイチゴおでん。誰もが2大地獄と認める一品でありながらも自販機から消える事のない、商品とあまり認めたくない一応商品。ちなみに、消えないのは作った側の嫌がらせなんじゃないかと学園都市では噂になっていた。

234とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:52:22 ID:.rQBs0OA
ドリアンも臭いがきついが味はいいらしいし、おでんも美味しい物だ。しかし、だからと言ってだ。何で混ぜちゃった? 『美味しい物+美味しい物=美味しい物』という式は絶対じゃないという事を、試作品を作っている人たちに実際に食べてもらい思い知ってほしい。

ローラのチャレンジ魂に呆れつつ御坂妹が他に何かいい物はないかと物色している所に隣から缶ジュースを開ける音が聞こえ、次に感じたのは臭いだった。いや、臭いなんて生易しいものではない。化学兵器。その単語が脳裏に浮かぶほどに強烈だった。

「イメージの魔女の鍋は実在していたのですね……、とミサカは袖をマスク代わりにします…」

ゴポゴポと怪しい音を立て、怪しい物が大量に入って、怪しい色をした、怪しい魔女がかき混ぜている怪しい鍋。それが目の前に顕現していた。

袖を口元に当てなるべく呼吸を抑えているというのに一呼吸で感じる臭いが吐き気を催してくるレベルだ。これを無防備に直接吸引したローラはと言うと…。

「………………………」

どっかに旅立っていた。御坂妹がうろ覚えで十字を切り祈りを捧げたところで、この臭いに気付いた美琴とステイルがやってきた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ラストダンジョンの魔王の部屋。そこではお姫差がある種の窮地に立たされていた。

お姫様にとって『本命』なんて者がいるはずもなく、また『痴話喧嘩』なんてする相手も当然いない。お姫様から見ればアレは割と切実に命の危険を感じているけど単なる追いかけっこだ。ただ、もうちょっと平和的にゆっくり話せたらなぁとは思ってはいた。

だから、お姫様が黒いオーラを纏った彼女たちに部屋の隅に追いつめられる理由はない。はずだ。多分。きっと。

「それで上条当麻。『本命』とはどういう事ですか…?」
「あと『痴話喧嘩』についても説明してほしいのでございますよ…?」
「だから! アイツはただの喧嘩友達でそれ以上でもそれ以下でもないんだってば!!」
「あァ? ただの喧嘩友達が手繋いだり一緒に遊園地に行ったりするもンなのか?」
「ばっ!? 余計な事言うな!! っていうか何で知ってる!?」
「両方テキトーに行ってみただけだ。まさか当たるとはなァ…?」
「性格悪ぃぞテメェ!!」

更なる爆弾を燃料付きで投下され焦る上条を楽しそうに見ている一方通行。彼に悪態をつき、ほんのりと殺意を抱きつつも彼の注意は目の前に最も注がれていた。神裂とオルソラを包んでいる黒いオーラがちょっとだけ大きく深くなった気がした。

「その話も詳しく聞かせて頂けますよね…?」
「聞かせてくださるのでございましょう…?」

彼女たちは笑顔で上条に詰め寄る。そう、笑顔だ。溢れんばかりの輝きを隠そうともしない素晴らしい笑顔で彼女たちはいる。控えめに言っても彼女たちは美人の部類に入るだろう。その彼女たちの笑顔は眼福の他ならない。

そう上条は自分をどうにかして誤魔化そうとしていた。ただ、その輝きは黒く、素晴らしい笑顔にはお札の人もびっくりな陰影があった。……現実は上条には優しくなかった。

「何だ三下、話さねェのか?」
「話せるかぁ!!」
「じゃあミサカが話すよ! ってミサカはミサカは名乗り出る」
「あァ? 何でお前が知ってンだ?」

ちょっと待ってくれ打ち止め。それは考え直してくれ。上条は切実に思った。例えるならそれは上条にとって、自動式の銃でロシアンルーレットを迫られているにも等しい。そしてその指は既に引き金に掛かっている。

235とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:52:36 ID:.rQBs0OA
「黄泉川と芳川と一緒に遊園地に行った時に偶然お姉さまと上条当麻の姿を発見したんだよ! ってミサカはミサカは答えるよ」
「是非詳しく聞かせてください」
「私も興味津々なのでございますよ」
「だぁーー!! ちょっと待て打ち止め!! 話すな!! お願いですから話さないでください!! 後でなんか奢るから!!」
「え!? 本当!? ってミサカはミサカはその誘惑に話すのをやめちゃいそう!」
「打ち止めァ。話したら『学舎の園』で好きなだけ奢ってやるぞォ(オリジナルに頼めば入れンだろ)」
「本当!? やったー!! ってミサカはミサカは更なる誘惑に負けて全部話しちゃう!」
「一方通行ーーーーーーーー!!!???」

引き金に掛かっている指を剝がすことに成功したかに見えた瞬間、一方通行の言葉により再び引き金に指が掛かった。白い魔王様はそれはそれは愉快そうにニヤニヤとした表情だった。「この銃口ソイツに向けて!」と心中で叫んだが、口から出たのはお決まりの言葉だった。

「不幸だーーーーーーーーー!!!!!!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ゲームイベントが始まる事1カ月前のとある日曜日。上条はいつもの自販機の前にいた。今日は奇跡的に補習もなく、インデックスは姫神や舞夏と一緒に遊び行くようなので、久々に一日中家で自堕落に過ごす予定だったのだが、それは先日、更なる予定で上書きされた。

(というか、何で俺なんだ?)

上条がここにいる理由。それは電撃姫に誘われたからだ。曰く「遊園地でゲコ太イベントがあるから付き合いなさいよ!」とちょっと顔を赤らめていた。なんでも、これから行く遊園地ではカップルでの入場の際、ゲコ太シリーズのストラップが貰えるらしい。

(顔が赤くなるくらい恥ずかしいなら誘わなきゃいいのに)

自販機に背を預けながら思う。何でまた顔を合わせる度に電撃をぶち込むくらい嫌いな奴に頼もうと思ったんだろう。こっちとしては仲良くしたいんだけどなぁ。どうすりゃいいんだろ?

(最近は仲良くなったと思うんだけどなぁ…。わざわざウチで勉強教えてくれるし。………あれ? 女の子、それも御坂がウチに来るって上条さん意外とハッピー…?)

ええ、ハッピーですとも。青髪やクラスメイトの男子共に見つかれば真剣に殺意を抱かれるレベルで幸せですよ、上条さん。そして時には手料理を振る舞われている。幸せ以外のなんだと言うのか。

「にしても遅いな御坂の奴。それか俺が早すぎるのか?」

待ち合わせ時間は11時。今の時間は10時半と携帯に表示されていた。上条は遅くとも待ち合わせの30分前に着く事を目標としていた。地味な不幸の連発(横断歩道が全部赤とか)に見舞われる事も珍しくないからだ。

おかげで今日は1時間前に着いてしまった。とは言え、待たされる分には一向に構わない性質の上条は、とくに気にした風もなく携帯を取り出し適当にゲームをして待つことにした。

けれどそのゲームが始まる事はなかった。開いた直後に美琴が到着したからなのだが、なんだか少し離れた位置でびっくりしてるようだった。

「何でもういるのよ…!? 早すぎない!?」
「そうか? んーまぁ、確かに今日は不幸もなく来れたからずいぶん早いな」

駆け足でこちらに駆けよる美琴の格好はいつもの制服ではなく、ちょっと大人っぽい私服だった。携帯をしまいつつ駆けよってくる美琴に上条も歩み寄る。

「なぁ、常盤台って休日も制服だろ? 私服でいいのか?」
「大丈夫大丈夫。たまには私だってオシャレしたいのよ」

236とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:52:49 ID:.rQBs0OA
と言っている美琴の内心は穏やかじゃない。結局、ドキドキしすぎてあんまり眠れなかったし、出発するギリギリまでどの服にしようかと試行錯誤するもなにを着合わせてもイマイチ自信が持てず、それでも待ち合わせに遅れるのも嫌なので、もうやけくそにも似た境地で服を決め今こうしている。という訳だ。

上条の方も自分の私服姿をじーっと見ているし、平静を装うその下ではドキドキと恐怖が入り混じって大変な事になっていた。

(も、もしかしておかしかった…!? ふえ〜! やっぱりあっちにすればよかったよ〜!)
「…あ〜、んとな、こういう時ってなんて言えばいいんだかわかんねぇけど、その、なんだ、…似合ってる、ぞ」

けれど上条から聞こえてきたのは嬉しい言葉だった。言った本人は気恥ずかしそうにそっぽを向いている。普段からこのようなセリフを言っているのに珍しい。

上条とて内心穏やかじゃないのだ。美琴はどう控えめに見ても美少女だし、常盤台の制服では彼女を引きたてるには程遠い。それが私服に変わるとどうだ。少女らしい可愛らしさの中にちょっと背伸びした綺麗さを併せ持っている。

少なからず思っている少女が目の前でこんな格好していれば平静を装えなんてのは初心で純粋な少年には無理な注文だ。

(でもなぁ…、俺ってば嫌われてんだろ? はぁ…、不幸だ……)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ちょっと待てーーーー!!!!」

打ち止めが語っている最中、上条が叫んだ。打ち止めも語るのをやめて全員上条に視線が集まった。心なしか、神裂とオルソラが3割増しくらいになっている気がする。何が、とか言ったら上条さん泣いちゃう気がする。

「まるで俺が語ってるみたいじゃねぇか!! 何で一日の始まりから語ってるんだよ!?」

勢いに任せて吠える上条だが、自分のセリフで地雷を踏んだ事には気付いていない。『俺が語ってるみたい』なんて言ってしまったらそれは正解だと言っているようなものだ。

そのセリフを当然聞き洩らす事などない訳で、神裂とオルソラがさらに4割増しになっている。何が、とか言うのは野暮だろう。とにかくこれで計7割増し。上条は明日の朝日を拝めるのだろうか。

「ミサカネットワークに常識は通用しないぜ! ってミサカはミサカはあの人の決め台詞を真似てみたり」
「正直に言ってみィ?」
「未元物質なていとくんと心理掌握に聞きました! 一緒に遊んでくれて、ていとくんアイス買ってくれたんだよー。ってミサカはミサカは正直に答える」
「よく言えましたァ。ってェことは、遊園地云々ってのは嘘か?」
「嘘じゃないもん! 遊園地に行ったのも本当だし見たのも本当だもん! ってミサカはミサカは言い返す!」
「だとしても、何であのメルヘン野郎と第5位が知ってンだよ?」

後ろになんだか修羅場っぽい空気を感じるが悲鳴が聞こえないから大丈夫だろうと一方通行は無視し、椅子に座っている自分の膝に座ってやがる打ち止めに問う。不満爆発の顔をしながらそれでも落とさない一方通行さんだった。

「んとね、ていとくんがナンパした相手が心理掌握で、彼女も暇だったから一緒に遊園地に行こうってなったんだってー、ってミサカはミサカは頑張って思い出してみる」
「クソメルヘンはともかく、なんつーか、ずいぶん軽いな、第5位…」
「でね、ていとくんが空を飛んで心理掌握と遊園地に向かっている時に上条当麻を発見して、面白そうだから心を読みつつ尾行したんだって、ってミサカはミサカは答えてみる」
「いや、もう、アレだな。平和だな」

237とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:53:01 ID:.rQBs0OA
未元物質と心理掌握の尾行とはなんと豪勢な。そしてなんと性質の悪い。この場にいないその二人相手に上条はドレス姿で叫ぶ。

「そのていとくんと心理掌握ってどこにいるの!? 今から上条さんが説教してあげるから!!」
「あ〜、まぁ別に止めはしねェがその二人、第2位と第5位だぞ?」
「……へ?」
「ま、そうなるよなァ。オイクソガキ、さっさと続きを話せ」

なんかこう、言葉では言い表しにくい形相になっている神裂たちを一切気にせず、ただ暇つぶし程度に自分が聞きたいだけの一方通行の促しで打ち止めは再び語り始める。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(でもなぁ…、俺ってば嫌われてんだろ? はぁ…、不幸だ……)

それを思い出し上条はちょっと沈む。顔を赤くして自分に話しかけているのは、いつも怒っているか恥ずかしいかのどっちかだろうし、出会いがしらに電撃ぶち込んでくるんだからそうなんだろうと思っていた。それが照れ隠しだとは気付かずに。

「ねぇ、どうかした?」
「ん、あぁ、いや、なんでもない。気にすんな」
「そっか、ならいいんだけど。てっきり遊園地行くの嫌なんじゃないかと思っちゃった」
「そんな訳ないだろ。御坂と一緒に遊園地に行けるのを上条さん心待ちにしてましたよ」
「ふぇ?!」

「御坂と一緒に」その言葉が美琴の頭で何度もエコー付きで再生し、彼女の顔が一気に赤面する。惚れてる男にこんな事を言われれば初心な美琴は真っ赤になるしかない。対する上条は表情こそ至って普通だったが内心では「やべっ!? またビリビリ来るか!?」とか思ってたり。

(そっか…楽しみにしてくれたんだ…えへへ…よかった…)

一緒に行けるのが(ここ重要)楽しみだと言われればそれはもう顔が緩んで仕方ない。待ちに待った二人での遊園地なのだ。そんな事を言われた日には美琴ちゃんの危ない妄想が火を吹くぜ!

「吹かないわよ!」
「おお!? どうした!?」
「え…? あれ…? なんか今変な男の声が聞こえてきたような…」
「変な男の声?」
「こう、羽を生やしてホスト崩れな感じで冷蔵庫をこよなく愛してそうな…」
「えらく具体的だな…」

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「ほら、あなたが変な事を言うから勘付きそうじゃない」
「いやぁ、悪い悪い。ああいう初心な奴らは弄ると楽しいんだぜ?」
「人を弄って遊ぶ趣味は私には無いわよ」
「そりゃあもったいない。おっと、移動開始したな。俺たちも行くぞ」
「…ねぇ、あなた。私が言うのも変なのだけれど、私をナンパした事忘れてない…?」

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

電車にしばし揺られて、二人が到着したのは隣の学区にある最近できたばかりの遊園地だった。なんでも、ここのアトラクションは学園都市の大学や企業の試作品だけここにしかないアトラクションが多いとの事。それゆえに早くもかなりの人気があるらしい。

「へぇ〜。結構でかいんだな〜」
「ほら、早く入場券買うわよ」
「おー」

どこか気の抜けた返事をしつつ上条が見上げるのはひときわ巨大な観覧車だ。確か、世界最大の観覧車は165M程。それがどの程度の大きさなのかよくはわからないし、今見上げているのもどれだけ大きいのかもわからないが、相当にでかい。高層ビルでも見上げている気分になる。

「学生2人でお願いします」
「かしこまりました。お二人はカップルでよろしいですか?」
「ふぇ!? カカカカップ…!?」
「はい、そうです」
「!?」
「なんだよ、そう言わないとゲコ太がもらえないんだろ?」
「そそそそうね!」
(何慌ててんだ? やっぱ、俺とカップルに見られるのが嫌なんだろうなぁ…。はぁ…不幸だ……)

238とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:53:15 ID:.rQBs0OA
その場から離れて上条ががっくりと項垂れている間に、美琴がチケットとゲコ太ストラップシリーズ(2人分)を受け取り、ホクホクとした顔でこちらに戻ってきた。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「なぁ、アイツちょっとぶっ飛ばしてきていいか?」
「やめなさい。気持ちは分からなくはないけど」
「アイツ鈍感過ぎるだろ!! 女心がちっともわかってねぇ!」
「あなたが言える言葉ではないと思うのだけど」
「そんな事はないぞ。俺ほど女心の分かる奴はいないだろ。それに頼りがいがあるんだから我ながら完璧だな。だからどんどん頼っていいんだぞ? こころん」
「こっ!? こ、こころんって何よ!?」
「心理掌握の『心』をとってこころん。可愛いだろ?」
「へ、変な名前付けないで頂戴!!」
「全くもう、ツンデレだなぁ、こころん」

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

入場ゲートをくぐり上条と美琴は道のど真ん中でパンフレットを広げどうするかと考えていた。道も某ネズミーランドのように広いのだから一人二人立ち止まっても何も問題ないだろう。実は地味に邪魔なんだけども。

「ねね、折角だからさ遊園地遊びつくさない?」
「俺は大歓迎だぞ」
「んじゃしゅっぱーつ!」
「っておい!」

パンフレットを上条に押しつけ、美琴は先に遊園地の奥に進む。その後ろを慌てて追うが、人が多くて中々思う様に前に進めない。比較的、同年代では背の高い美琴だが人込みに入ればやはり小柄だ。すぐに彼女の姿を見失ってしまう。

(確かこっちの方に進んだよな…)

人の波に揉まれつつ彼女の歩いていった方へ少し早足で向かうと、そこからそんなに遠くない位置で、まるで親を見失った子供のように辺りをきょろきょろと見ている美琴の姿を見つけた。上条は人込みを掻き分けて彼女の元に駆け寄る。

「よかったぁ…。早速はぐれたかと思ったぞ」
「そ、それはこっちのセリフよ! アンタが早く来ないから悪いんでしょ!」
「へーへー、お嬢様のおっしゃる通りで」
「……む〜…」

上条がちゃんと居た安心感。先ほどの表情を隠すため。その両方のせいで攻撃的になってしまい、しかもそれを軽くあしらわれて美琴はちょっと居心地の悪そうな顔になる。しかしそれもほんの僅か。左手の不意の暖かさでそんなものはたやすく吹っ飛んでしまう。

「ふえ?」
「え、あー…、んーと、はぐれたら、大変だろ…?」
「………アンタ、もしかして、照れてる?」

バツの悪そうな表情で開いた手で頬をかく上条の顔は、どことなく赤い。それにこっちを真っ直ぐ見ようとしない分、どうにも照れているように見えて仕方ない。それを隠すように上条は繋いだ手を少し乱暴に引っ張る。

「んな事いいからほら、早く行くぞ!」
「ねーねー! アンタやっぱり照れてるでしょー?」
「し、真摯で紳士な上条さんが照れるはずがないですのことよ!」
「でもアンタさ、気付いてないかもしれないけど、慌てたりドキドキしてる時って、口調、おかしいわよ?」
「うっ…」

ピンポイトで上条の図星を貫く美琴。上条の弱点見つけたり、といった感じで美琴はしばらく上条を弄り倒し、上条もその猛攻から必死にかわそうとしていたが、既に図星を突かれていて敗戦ムードだった。ただまぁ、美琴が笑っているならいいか、とその流れを受け入れていた。

239とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:53:27 ID:.rQBs0OA

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「やー、青春してるなぁ。なぁ、こころん俺たちも…」
「私は嫌よ」
「まだ何も言ってないんですけど…」
「手は繋がないわよ」
「もぅ! こころんのツンデレさん!」
「ちょっと! だから繋がないって言ってるでしょ!?」
「とか言いつつ、しっかりと俺の手を握っているツンデレなこころんだったとさ」
「っ!? 〜〜〜!! 離しなさいってば!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「何で所々にメルヘン野郎が出てくンだよ」
「ミサカは聞いたまま話しただけだもーん、ってミサカもミサカもまた遊園地に行きたくなってきたよー!」
「知るか。勝手に行ってろ」
「えー! あなたも一緒に行こうよー! あなたと行きたいんだよー! ってミサカはミサカはボディーランゲージも交えて全力アピール!」
「鬱陶しい」
「いったーい!! また能力使ってチョップしたでしょー! ってミサカはミサカは怒鳴ってみる!!」
「あーはいはいー」

遊園地に行きたいと騒いでいる打ち止めは適当にあしらう。

一方通行は目の前の成り行きが結構気になっていた。修羅場は見ている分には面白い。自分が打ち止めに言った言葉だが、これが本当に面白い。

(まァつっても、三下の恋愛事だけだろうけどなァ)

それでも十分な娯楽になるだろう。土御門辺りならそう言いそうだ。現に彼も上条に想いを抱く女性をからかって遊んでいる。

その遊ばれている当人はオルソラと一緒になってお姫様を無言で見つめていた。美女二人に無言で見つめられ、針のむしろってこんな感じなのかなぁ。と、どこか他人事のような上条さん。

(殺気って凄いんだなぁ…。俺、殺気だけで死んじゃうんじゃない…?)

正確には嫉妬、なのだが嫉妬も過ぎれば殺気になる。しかもこの人たちは自力で暗雲効果を作っているからして、迫力が尋常じゃない。あのおっとりしたお婆ちゃん思考の持ち主のオルソラがこんな空気を出すなんて。

(オルソラもやっぱり魔術側の人間なんだなぁ、って上条さんは上条さんは納得してみたり)

完全に別な事で納得する上条の心は現実逃避したいという思いで溢れかえっている状態だ。というか、現実逃避させてくださいお願いします、切に。

「『喧嘩友達』の割にずいぶんと仲がいいんですね、上条当麻…?」
「そうでございますねぇ。これじゃあまるで付き合ったばかりの恋人でございますよ…?」
「そ、そうは言ってもですね…? こっちとしてはただ会う度にビリビリしてくれなければいいなぁと思っているだけなんでございますなのですよ…?」
「そう言えば回想中にあったのでございますよ。あなた様は図星を突かれたりすると途端に口調が乱れると」
「ええ、確かにありましたね。現に今も口調が乱れていますからね。と言う事は…」
「やっぱりあなた様は…」
「やっ! ちょっと待ってください! 落ち着いて話そう! 話せばわかるから!?」

まるで美琴に女の人と一緒にいるのを目撃された時の状態だなぁ、とどこか冷静なところで思う。いやぁ、上条さんにもまだ冷静なとこがあったのですね。とか思っている場合でもない。

美琴の時は殺人的な電撃が降り注ぐが、それなら今回の場合は?

神裂は腰の二刀の柄に手をかけている。それに対しオルソラはなんだか拳を握っているように見える。不意に、上条はいつかオルソラに叩かれた時の事を思い出していた。あの時は可愛らしいものだったのだが。

240とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:53:40 ID:.rQBs0OA
上条は考える。しかし考える前に答えは出ていた。つまり。

「不幸だーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

刀と拳の乱撃が飛んでくるという事だ。「刀はもちろン、嫉妬に燃えた拳って凄いンだな。つーかドレスであそこまで動ける三下って何だ? 実は着慣れてるンじゃねェの?」と一方通行はのちにそう語る。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


姫神はインデックスに引っ張られる形で教会から飛び出し、今は広い通りに出ていた。通りはとても人が多くて、ともすればこの手を離せばものの数秒でインデックスと逸れてしまいそうな気さえした。

「ちょっと。人に酔いそう…」

学園都市も人が多いがそれ以上に土地が広いのでここまで人で溢れ返る事はない。人の多さに酔いそうになっている自分の隣のシスターは特に何もないようで、せわしなく首を動かして目を輝かせていた。

「凄いよあいさー! 見た事ない物がいっぱいなんだよ! これが『ばーちゃるー』っていうものなんだね!!」
「…。確かに。ヨーロッパとも違うようだし。ゲーム風にアレンジしてるのかも」
「うん、きっとそうだよ。よく似てるけど、私が知らない建築様式ばっかりだし」
「建築に詳しいの?」
「そんなに詳しくないかも。ちょっと前に本で読んだだけだよ」

完全記憶能力を有するインデックスにかかれば、映像だろうが文字だろうが瞬間的なものだろうが決して忘れる事はない。インデックスの隣で不思議そうにしている姫神が知らない彼女の能力だ。

「それより! ね、あいさ!あそこに行こっ!」
「あそこ?」

インデックスが指さす方向は山の一部を切り取ったような、この街を一望できそうな高台だ。ここから見た限り人もいなさそうだし、あそこなら人に酔わずに済みそうだ。そして誰も気にも留めないが自分は槍を持っている。もし傷つけたらと思うと不安だ。

(それに。何でこの人たちは私たちの格好を何も言わないんだろう。はっきり言って。もの凄く浮いた格好なのに。私なんか槍持ってるし)

スルーされている訳ではない。かといって注目されている訳でもない。当たり前の風景のように受け入れらている感じがする。

(ゲームだし。別にいいかな)

と思って考えるのをやめる。誰も気にしていないならこちらが必要以上に気にする事でもない。着なれていない服ならそれなりに気にもしたが、幸いにして巫女服は着なれている。周りから見ればコスプレなんだろうが、姫神から見れば普段着にも等しい。

知り合いに見られてもどうせ一時の恥なのだし、折角ゲームなんだからド派手なコスプレをしてみたいと思った。だというのに自分の服は着なれた巫女服。がっかりしたようなよかったような。

(あれ…?)

インデックスに引っ張られながらなんとなしにもう一度高台に目をやると、いつか見た事のある赤い髪の男が見えた。隣にいる―相当離れているのにその服装だけははっきり見える―ゴスロリメイドがもの凄く目立っていた。その他にも女の子が二人ほどいた。

服装に統一感が見えないうえに、自分と同じく服装と街の景観が、世界を間違えているとしか言えない程に合っていない。彼らも同じ参加者なのだろう。出来る事なら仲間に入れてほしいと思ったが、向こうは既に4人いるから無理そうだ。姫神は余り期待せずにインデックスに引っ張られるままに高台を目指した。

高台には思いのほか早く着いた。高いから勘違いしたのか、実際にそれほど距離は開いていないのかもしれない。けれどそれでもここからの眺めは壮観だった。

「わぁー! 凄い眺めー!」

241とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:53:52 ID:.rQBs0OA
街はビックベンにも似た巨大な時計塔を中心に円心上に広がっていた。自分たちがいるのはその円の端のようだ。それでも時計塔が大きく見えるのはよほどその時計塔が大きいのか、もしくは街がそれほど大きくないのか。

それを口にしてインデックスに尋ねるも彼女も難しそうな顔をして黙り込んでしまった。

「多分、後者じゃないかな」

と、後ろから不意に覚えのある声が聞こえてきた。姫神はインデックスと一緒になってその声の方へ振り向くと、そこには高台に上る前に見えた4人が立っていた。

「あれ? すているにろーら? それに短髪にクールビューティーまでいるんだよ」

あの髪の赤い人はやっぱりあの人だった。それに、いかにもコスプレな女の子は多分上条の事をよく追いかけ回している人で、魔女っぽい服の人は確か猫のノミ取りをしてくれた人。あ、もしかしたら逆かもしれない。で、最後の一人。近くで見れば見るほどに派手なゴスロリメイド。

「…。だれ?」
「あの人はローラ=スチュアートって言って、んー、一言で言うと、私の上司かな?」
「あの。いる場所を間違えているとしか思えない。ゴスロリメイドが? あの人。秋○原かどこかのコスプレ会場からの参加者?」
「んなっ!?」

姫神の言葉がぐっさりと刺さったローラ。インデックスはインデックスで「『あきはばらー』とか『こすぷれかいじょうー』って何?」って言っていたが、それでも姫神はローラの服が気になっているようだった。

実際、いるところにいるとは言え、彼女のような服をした人には中々に会えない。むしろ、ここまで派手だと会いたいという気も失くしてしまいそうだった。

「…、気にしないでくれると助かるかな」

本気で項垂れているローラを支えながらステイルが言う。いい加減、彼女の日本に対する意識を改めさせないと。でないと一々自分がフォローに回らなければならなくなりそうだと、ため息をつきながら思うステイル。他の人にフォロー任せればいいんじゃないかと思う。

「すている達も参加してたんだね」
「僕たちはゲストって形で参加してるんだ。後、神裂とオルソラも来てるよ。何処にいるかはわからないけど」
「あ、そうだ。ねね、とうま見てない?」
「ちょっと、アンタと一緒にいるんじゃないの?」
「む。アンタって呼ばないでほしいかも! 私はインデックスって名前があるんだから!」
「アンタが私を短髪って呼ばなかったらやめてあげるわよ?」
『う〜!』

二人の睨み合いに置いてかれる3人。ローラは姫神の言葉がショックで目の前の事に気付いていない様だった。なんか危険っぽい香りがしたので姫神は御坂妹の隣へ避難する。

「えっと。あの時。猫のノミ取りしてくれた人?」
「はい、そうです。その時のミサカで間違いありません。あの時の猫は元気ですか? とミサカはまたあんな事をしてないか不安になります」
「それは大丈夫だと思う。上条君がいるから」
「ならよかったです。と、ミサカは安心します」
(あんまり表情が変わっていない気がする)

不安になるといった時と安心するといった時の顔で余り表情に差がない気がするが、姫神はあまり深くは気にしなかった。ただわかりにくいだけなのかもしれない。自分も時々そう言われるからよくわかる。

ふと他に視線をやるとローラはまだショックを受けたままだった。「そんなにひどい事言ったかな?」と思いつつも、目はそこに固定されず次の二人で固定された。

242とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:54:05 ID:.rQBs0OA
「大体さ! 短髪はとうまのなんなの!? いっつも会う度にビリビリされるってとうま言ってたよ! とうまのためにやめて欲しいかも!」
「んなっ!? アンタこそアイツのなんなのよ! アイツ言ってたわよ! 事あるごとに噛まれて困るって! アンタこそアイツに噛みつくのやめなさいよ!」
「それはとうまが悪いんだもん! ご飯の用意忘れたり、気付いたら女の人と知り合いになってるし、それに事件に首突っ込んでるし!」
「……。最初のを『私をスルーするから』に変えればそのまんまだわ…」
「え? 短髪も?」
「ええ…」
『はぁ…』

なんだかよくわからないけど決着がついたようだ。上条の事で揉めているのはよーくわかった。ついでに言えばこの二人の関係も。ライバルだ。もっと言うなら恋敵。その勝負は美琴の方が有利だと姫神は天の声を聞いた。様な気がしなくもない。いやだって。相当に近いとこから聞こえたから。

インデックスの場合、彼女の事だから素直に正面から突撃だろう。けれど、それも上条の半端じゃないスルースキルの前では暖簾に腕押し。結局は「いつもの事だろ」と徒労に終わる。それに、毎回のように噛みついてくるからそれもあってやっぱり徒労だ。

それに対し美琴は素直になれない分、上条に会うとそれはもうテンパってしまうだろう。多分、素で。男とは往々にしてそういうのに弱い。普段は気丈に振る舞っているのに、時々子供のように慌てている姿は可愛いと思うものだ。って。やっぱり天の声が聞こえた。もう出所はわかる。というかさっきからわかってる。

「って。この子が言ってた」
「ミサカとしてはお姉さまとあの人がくっつくのがベストですから、とミサカはお姉さまのライバルをじっくり観察します」
「そこで何で。私を見るの?」
「あの人の事です。あなたにもフラグを建ててると思うので。あの人のフラグ建築能力に際限はありませんし、とミサカはあの人のフラグの広がり様は一種のウィルスではないかと思案します」
「あー、そんなことよりちょっといいかな」
「なんですか? 空気の読めない人ですね、とミサカは少し睨みます」

本当に言葉の通り話に割って入ってきたステイルを睨む御坂妹。彼女は大まじめに姫神とインデックスを観察していた。と言うのは嘘で、単にインデックスと美琴のまた始まった言い合いを面白がって眺めているだけだった。

そして空気の読めない人とレッテルと貼られたステイルの方は、ただミッションを先に済ませて思っただけ。インデックスと言い合いを始めてからどうにも美琴も目的を忘れているみたいだし、自分が進めないと、と思った矢先の空気読めない発言だ。ちょっぴり悲しくなる。

「単に先にミッションをこなしておこうと思っただけだよ」

けれどその悲しさは決して表に出さない。頑張れステイル。

「ミッション? おお、そういえばそんなのもありましたね。すっかり忘れてました、とミサカはわざとらしく思い出します」
「私も忘れてた。あの二人見てると。忘れる」
「まぁそれはわかるけど…」

姫神の言葉に同意しつつステイルは上司を支えながら話を進める事にした。早く起きないかなこの上司。いい加減馴れてきたけどそれでもやっぱり邪魔だ。

「まずあの子と君を仲間に入れよう。そうすると次のミッションが届くはずだよ」
「あの。そっちは既に4人いるようだけど。私たち入れるの?」
「それは大丈夫だよ。ローラは人数にカウントされてないからね。ほら、ゲームによくあるお助けキャラのような感じだと思えば」
「早速彼女を仲間に入れますね、とミサカは肩を叩きます」

243とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:54:18 ID:.rQBs0OA
4回、姫神の肩を叩く。するとそれまで彼女が右手首にあった白のブレスレットの色が変わり色がオレンジ色になる。どうやら、別のパーティーに合流する時は人数の多い方に準ずるようだ。

自分のブレスレットの色が変わったのを確認してから、姫神はさっきまで同じパーティーにいたインデックスに知らせようとするもすぐに諦めた。インデックスと美琴の口論はまだ終わりが見えない。折を見て話に行こう。

「向こうは……、まだ終わらなさそうだね…」

そういうステイルは少しだけ呆れたような表情になっていた。小さくため息をついて、ステイルは視線を再び姫神と御坂妹に戻した。その前に、なんだか顔色の悪くなっているローラを手近なベンチに座らせ、倒れないように背中を支える。

「う〜…、心ばせが悪いのよ、ステイル〜……」
「あんな物に手を出すからですよ、全く…」

実はドリアンおでんの臭いを思い出してしまっていて、ローラはその記憶だけで吐き気に襲われていた。恐るべしドリアンおでん。

ローラを気に留めつつステイルは続きを口にした。

「んじゃ、続きを話すよ? このゲームはあくまでも試作段階だからね。ミッションも本当にごく僅かだ。だから次のミッションは多分、いきなり魔王を倒せ、だろう」
「ずいぶんと吹っ飛んだ進み方ですね。作った人はきっと考えなしですね、とミサカは推測します」
「仕方ない。所詮は試作品。きちんと遊びたいなら完成品待たないと」
「そう、その子の言ったとおり仕方ないんだよ。動作確認が出来ればいいんだから。短くてもちゃんと進んでいればそれでいいんだ」

魔王を倒せ、とミッションが来るのもステイル達が戦闘の出来る役柄になっているからだ。出来ない役柄の人達には別のミッションが配られている。中にはそれをこなさず、純粋にこの世界を楽しんでいる人達もいる。楽しみ方は人それぞれだ。

「それで。魔王はどこにいるの?」
「それならさっき聞いておいた。ここから馬車でおよそ1時間の場所みだいだ」
「ずいぶんと近い位置ですよね、とミサカはこれも試作故だと判断します」

やることも決まったし後は行くだけ、と言いたいところだがまだインデックスとシスターは口論しているし、ローラはまだぐったりとしている。それよりも、一体あの二人は何を口論しているんだろうか。

ステイル達の疑問はよそに、インデックスと美琴はカナミンとゲコ太でどちらが愛くるしいか討論していた。………どういう変遷を経てそこに至ったのかとても気になるが、ものすっごいどうでもいい。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「いたたた……」

気が付くと床の冷たさを頬に感じた。そしてちょっと離れた位置にサングラスが落ちていた。サングラスをかけつつ首をコキコキと鳴らし空いた手で摩りながら起き上る。まだちょっと頭がぼーっとする。

「ほう? もう目が覚めるとは。その筋肉は見せかけじゃないという事か」
「いきなり首を刈られるなんて…。オレもびっくりですたい…」
「加減したからそれほど痛くもないだろう」
「加減…? アレで…? ……もし本気だったら…? ……考えるのはやめるにゃー…」

244とある姫と勇者のRPG:2011/01/23(日) 21:54:36 ID:.rQBs0OA
ゾッとしたのでその思考はすぐさま遠くに放り投げる。なんだか心なしかまた首が痛くなってきた。もう一度コキコキと首を鳴らしてアレイスターにこの女性の事を尋ねる。

「彼女は今でこそ寮監をやっているが、以前はその実力を買われて研究所の警護や要人の護衛をしていたんだよ。君も納得の実力だろう? 『超電磁砲』がその姿を見ただけで戦意を失くす、と言えばもっとわかりやすいかな?」
「……おいおい、そりゃ学園都市第3位じゃないかにゃ。……って、マジですたい…?」

一方通行や未元物質といい勝負が出来るんじゃないだろうか。土御門は割と真剣に思う。もしかしたら勝ちさえもぎ取ってきそうな気さえするから恐ろしい。それがあながち冗談にも思えないからなお恐い。

そんな女性がこの場にいる理由が土御門はとても気になった。アレイスターの事だから、本人は大真面目でも周りから見ればふざけた理由で呼ばれてたりして。例えば「面白そうだから」とか「なんとかく」とか。いや、本気で。

「RPGではラスボスよりも強い隠しボスの存在はお決まりだ。面白そうだろう?」
「……。お前、ホント軽くなったよにゃー…」
「そういう事だ。今日は丁度休暇だったのでな。御坂も参加しているようだし、暇つぶしにと思って来たんだが、こんなところに連れてこられるとは思わなかった」

このゲームの事は先週には聞いており、またその時に参加の意志も伝えておいた。そして案内役の少女にここまで連れてこられた。正直、ここに来た瞬間、色々と度肝を抜かれたし今も平静とは程遠い。

「それに隠しボスの存在はイベントから見れば完全にイレギュラーな存在だ。ここから入るしかない。ちょうどイベントに使われている物と同じ物がある」
「なんであるんだにゃ?」
「決まっているだろう。私も遊びたいからだ」
「………言うと思ったぜよ」

至極真面目にアレイスターは言った。まぁ、平和っていいよね。

「その前に…」

と、いきなりアレイスターの纏う雰囲気が険呑とも言えるほどに真剣な物になる。土御門はもちろん、寮監もそれを瞬間的に察し二人の纏う空気も真剣な物になる。訳ではなかった。土御門はなんとなく察しがついてだらけていた。どうせアレだろう。

「一般人の視点から言って欲しい」

土御門の思った通り、その言葉は彼ではなく寮監へと向いていた。向けられた方も身構え次にくる言葉を待っていた。

「どうすればゲコ太が売れると思う?」
「…………………………………………………は?」
(まーそうなるよにゃー)

アレイスターの特徴。面白いこと大好き。超好き。そしてゲコ太も超好き。でもきるぐまーはあんまり好きじゃない。あと最近カナミンが気になってる。

245原作知らず:2011/01/23(日) 21:54:52 ID:.rQBs0OA
以上となります。さぁアレイスターはどこまでおかしくなっていくのか。自分もわかりません。

寮監に関しては相当にぶっ飛んだ設定を付けるつもりだったんです。
けれど試しに書いてみたら纏めきれずに没になりました。今回没ネタ多し。

次回はようやくお姫様と勇者様の感動の対面です。やっとイチャイチャSSらしくなりそうです。

では、これで失礼します。皆様のお暇を少しでも潰す事が出来れば幸いです。



…………あ、遊園地デートの続き書くの忘れてた……

246■■■■:2011/01/23(日) 22:31:33 ID:qiBaEze2
>>245
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
の間は、いっそ1レス使った方が良いのでは?

        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    iレノノノ゙i  }
 \ \从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

247だめだこりゃ:2011/01/24(月) 01:26:46 ID:x4wbLnOM
どうも、だめだこりゃです。
なんとか書き上げた短編(になるのかな?)を1:30から投稿したいと思います。
3スレで収まる予定です。

248プロポーズ? 1/3:2011/01/24(月) 01:30:00 ID:x4wbLnOM
タイトルは『プロポーズ?』です。
では、どうぞ。
==========
正月も開けた1月上旬。美琴は上条の部屋に居た。
年末に寮に帰省届けを提出してから、実家には戻らず上条の部屋で寝泊まりしていたのだ。
美琴が部屋に泊まることを反対していた上条だったが、今では特に何も言わなくなった。
2人が付き合い始めてもう1年の時間が流れている。
美琴は1年前は短かった髪も背中まで伸び、スタイルも美鈴には及ばないもののかなり均整のとれたものに成長している。
今は肩にタオルをかけパジャマを濡らさないようにしながら、ベッドにもたれて雑誌を読んでいる。

この部屋の主である上条は今入浴中だ。
奇跡的に進級を果たした上条は、平和な生活を送っている。
変わったことといえば身長が178cmまで伸び、補習を受けなくてすむ程度に勉強が出来るようになったこともそうだろう。


ガチャ、と扉が開く音が聞こえ上条が居間に戻って来た。
「あれ、もう出たの?」

上条が上下ジャージで部屋に戻ってきた。
ちなみに美琴は今花柄のかわいらしいパジャマを着ている。
これは、寮から持って来たわけではない。
見れば1年前はなかったものが沢山ある。
ゲコ太のぬいぐるみや、ゲコ太のランチョンマットのような美琴の趣味が反映されたものだけでなく、美琴用のお茶碗や箸、歯ブラシ、パジャマなどの着替えを入れておける棚やケース。
何も知らない人が見れば、同棲しているような空間が出来上がっていた。
実際は同棲はしていない2人だが、美琴は常盤台を卒業したと同時にここに住むと以前上条に言ったことがある。

その時は何言ってんだ?と一蹴されイラッと来たので超電子砲を3連発を食らわした。
美琴としてはかなり勇気を出して言ったのである。後日、あれでも足りないと言った美琴に上条は戦慄を覚えるしかなかった。

249プロポーズ? 2/3:2011/01/24(月) 01:30:22 ID:x4wbLnOM
「あー、ちょっとな。」
「ちょっと、何よ…。って当麻、顔青いわよ。どうしたの?」
よく見ると上条は震えていた。
風呂上がりなのにおかしいと思っていると、
「使ってる途中でお湯が出なくなった。」
目の前で不幸だ。と呟く上条を見て、悪いと思いつつも笑ってしまう。
「っ…フフっ、ほんとっク、不幸ね当麻は。…ップクク」
「笑うなよ…」
「だってっ、今年に入ってから当麻の家の給湯器が壊れたのもう3回目よ?…ップクク、しかも全部当麻が使ってる時だし」
苦しそうに顔を歪めながら笑いを我慢する美琴。

「あー、もう、笑いたきゃ笑え!!どーせ上条さんは不幸ですよーだ。」
そう言って部屋の角で膝を抱えて座り込む上条。
どうやら拗ねてしまったようだ。
「ゴメンゴメン、そんなとこにいたら風邪引いちゃうから、こっち来てコタツに入りなさいよ。」
笑いをこらえつつも美琴はご機嫌をとるためにも優しい言葉をかける。
渋々動いた上条は美琴を後ろから抱きしめるように座り、コタツに入る。

「つめてっ」
「え?」
上条の小さな悲鳴を受けて、美琴は振り返った。
どうやらまだ髪が濡れていたようだ。
「まだ髪濡れてるじゃねーか。ちょっと待ってろ、ドライヤー持ってくるから。」
「ありがと…」
洗面所に向かった上条は櫛とドライヤーを持って戻って来た。
手を伸ばして受け取ろうとするが、上条はそれを渡さなかった。
「座っとけよ。」
そう言いながら結んでいたドライヤーのコードをはずし、コンセントに挿す。自分も美琴の後ろに座ってドライヤーのスイッチを入れる。
「当麻、出来るの?」
「それなりには…な。」
髪を梳かしつつ、ドライヤーの風を当てていく。
(くすぐったいな)
きれいな茶色の髪が風に舞って、上条の手をくすぐる。
「こうしてると、ほんとにお嬢様みたいね。」
「そうか?」
「そうよ。私らしくないかもしれないけどね…」
何か思うところがあったのか俯きがちに美琴が呟く。
「確かにお嬢様ではないけど…」
「けど、何?」
さらに小さくなる美琴。
声もやっと上条に届くくらいになってしまっている。

250プロポーズ? 3/3:2011/01/24(月) 01:31:47 ID:x4wbLnOM
「………何でも無い。」
何でも無いと言われれば聞きたくなるのが人の性。美琴も例外ではない。振り返って問いつめる。
「何よ、ちゃんと言いなさいよ…」
多少ネガティブになっている美琴。
対して上条は顔が少し赤くなっている。
「何でもねえったら。」
「何でも無いわけないじゃない。いいから話しなさい。」
「―――みたいだなって思ったんだよ。」
「えっ?」
「〜〜〜〜〜っだから、お姫様みたいだなって思ったんだよ!!」
上条の顔は真っ赤だ。
対照的に美琴はしかめっ面になる。
「確かに電撃姫とか呼ばれてるけど、さ…」
『常盤台の電撃姫』という通り名がついているのも知ってはいたが、望んで付いたものでもない。
その事を意識させられ、俯いてしまう。
そんな様子に気づいていないのか上条が続ける。
「そーゆーのじゃなくてだな……。なんて言うか、『お嬢様』って自分で何か始めたり、戦ったりするイメージがあんまり無いんだよな…。そりゃ、お前や白井みたいな例外もいるだろうけど。でも、俺が知ってる『お姫様』は譲れないもののために自分を犠牲にして戦っていた奴しかいないんだよ。それがそのままお前に当てはまるな。ってずっと思ってたのが理由の1つ。それで、もう1つだけど……」


俯いていた美琴の頬に温かい手があたる。
何だろう?と美琴が思っていると

―――チュっ

唇がスッと涼しく感じる。唇が触れただけのキス。
驚いて顔を上げれば、真っ赤な、でも笑顔の上条の顔が目の前にある。
瞳に写る自分の顔が負けず劣らず真っ赤になっているのが分かる。

「その、何だ、普通の童話とかの『お姫様』っているだろ?ハッピーエンドを迎えるためには『王子様』がそばにいる。つまり、それは『王子様』にとってのハッピーエンドにも『お姫様』は必要なんだ。だから、上条さんとしてはずっとそばにいてくれるって意味で『お姫様』って言ったんだよ。」


―――あぁ、何という日だろう。
人ってこんなにも幸せな気分になれるのね…。
目の前のアイツがこんなにも嬉しい気持ちにさせてくれた。
顔が真っ赤なんだけど凄く真剣に目を見て話してくれた。
そんなところも大好きなんだ、私。
でも、1つだけ気になる。

「ねぇ、当麻。今のってさ――――」



======
これで終了です。
感想お待ちしています。
にしても、何かネタになるようなシチュ無いかな…

251■■■■:2011/01/24(月) 10:11:23 ID:QWQgtZYI
GJ!!

252■■■■:2011/01/24(月) 12:35:05 ID:oqRZQ8K2
ふぅー…姫ネタはいいもんだぜい
(片方ジャンルが若干違うけれども…
ああもう、要するにGJだァ

253■■■■:2011/01/24(月) 15:36:43 ID:1YFyZhaQ
>>247
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

254とある通気管:2011/01/24(月) 17:37:58 ID:GfAfLRxM
GJ!

255■■■■:2011/01/24(月) 23:30:17 ID:frBcWg8U
>>254
名前の欄に「とある通気管」って書いてるみたいだけど感想を書くときは書かないでね
このスレのマナー的に書き手がSS投下したり感想の返信をしたりするときのみ名前に入れるのは常識

256■■■■:2011/01/25(火) 00:25:16 ID:8RRDDL3g
ごちそうさまでしたGJ!

>>255
何回言っても聞かない子だし我慢できないなら
そっと透明あぼーんでNGNameに入れると幸せになれるかもしれない

257■■■■:2011/01/25(火) 01:52:15 ID:J0.UDK0E
グッジョブ!!

258■■■■:2011/01/25(火) 11:52:47 ID:2ZSnNl3Q
>>247
GJ!
上条姫…なるほどこういうのもあるのか…


ついでに私も小ネタ投下。
会議中に携帯でぽちぽち書いた。反省はしていない。
上琴要素なくね?って思ったけど気にしない。

259■■■■:2011/01/25(火) 11:53:45 ID:2ZSnNl3Q
・デートの帰り道



楽しかったデートの帰り道。
いつものように自販機のある公園で別れたくなくて、もう少しだけ一緒にいたくて。
「暗いから」「不良に襲われたらどうするの?」なんて柄にもないわがままを言って、
寮の前まで送ってもらうことになった。

寮の前に着いても、それでも彼の腕を離さない私に、彼は困り顔で。
「俺も美琴も明日は学校あるんだから」「寮の前(ここ)まで来ておいて門限破ったら元も子もないだろ」
なんて言いながら、優しく私の頭を撫でる。

「明日だってまた会えるだろ?」と彼は言うけれど。
「明日」なんていらない。ずっと「今」が続けばいいのに。


以前は、私を「超電磁砲(レベル5)」ではなく「御坂美琴(わたし)」として見てくれる人が欲しかった。
難しいかもしれない、でもそんなに多くを望んでいたわけではないと思っていた。
だけど、今は「上条当麻(彼)」が欲しいと、その人じゃなきゃダメだと本能が訴える。
いつからだろう、こんなにわがままになってしまったのは…

もし彼をこのまま部屋まで連れて帰ることができたら、どれだけ安心して眠れるだろうか。
もし彼に抱きしめられたまま眠りにつけたら、どれだけ幸せな夢が見られるだろうか。
目が覚めた時、もし彼がそこにいてくれたら、その日はどれだけ素晴らしい日になるだろうか。

わかってる、そんなことはできないって。
これは私のわがままなんだって。


門限まであと3分。もう限界かな。
困り切っている彼の腕を不意に引っ張って、触れるだけの口付け。
そのまま小走りで数歩離れて振り向き、

「今日は楽しかった。最後にわがまま言ってごめんね。じゃあまた、明日ね。」

不意を突かれて、少し驚いていた彼の顔が、
ホッとしたような、でもどこか寂しそうな笑顔に変わり、

「おう、俺も楽しかったよ。また明日な。おやすみ、美琴。」

引き止めてくれたら、なんて。心の片隅での望みは打ち砕かれる。
それでも彼の言葉を心に、寮の入り口まで走る。
もう1分を切っている。本当の本当にギリギリだった。
入る直前にふと後ろを振り返ったら、彼はまだ先程と同じ場所に立っていて。
私の顔を見て、小さく手を振った。


(終)

260■■■■:2011/01/25(火) 12:05:10 ID:2ZSnNl3Q
しまった…レス番まちがっとる…
>>258のは>>245への感想です…ごめんなさいorz
改めて>>245>>247両名にGJ!

しかし>>247みたいな美琴ちゃんのお姫様扱いもかわいいなぁ…

261小ネタ豚:2011/01/25(火) 14:39:35 ID:ghxGiiBU
こんちわっす。
初めてSS書いてみた。
設定は
当麻がアホの子。美琴の性格が終盤ずれてるかも。
読んでてダメだと思ったらスルーしてくれい。

14:45に投稿してみます。

262変化を兆す初詣[誓う守り]:2011/01/25(火) 14:47:13 ID:ghxGiiBU
大晦日(夜)

〜上条宅にて〜

上条当麻は実家のほうで年を越すことにしていた。
インデックスは小萌先生と姫神とで新鮮食い倒れ旅行に行ってしまったので、帰省することに決めたのだ。
今ごろ年中腹ペコシスターは旅行先の調理場と小萌先生の財布を阿鼻叫喚に渦に叩きこんでいることだろう。
初詣は家族そろって日付が変わる頃に行くことにしていて、外出までの空いた時間はリビングでグータラしていた。
今こそ不幸生活に終止符を!今週のこの時間からは《とある幸福の上条日記》が始まるのですよ〜といった具合に。
そんな平和を満喫していた上条を嘲笑うかのように携帯電話の着信音が鳴った。
電話主の名前は 御坂 美琴。

『もっ、もしっ、もしもし?』

取りあえず切る。

『ちょっとアンタは!何勝手に切っ』

気のせいと思い切る。

『人の話を聞』

電源を切ろうかと考えていたところ…

「あらあら当麻さん。どうしたのかしら。さっきから様子が変よ?」

母、上条詩菜に心配されてしまった。やはり着信音とバイブレーションは幻聴と幻覚ではないらしい。
まさかの番組打ち切りっ!?まだ一話なのに殺生な!と現実逃避してみるがまったく着信は止まない。
観念して電話に出るしかないようだ。

「何か用かビリビr『いいかげんにしろぉぉおおおーーーッ!』」

興奮と怒号により荒くなった息を整える美琴と、耳元で叫ばれたので聴覚が麻痺した上条。
お互いの事情で電話は通話状態のまま一時中断された。 


『アンタ、あれよね。以前から思ってたけど一度耳鼻科に行ったほうがいいんじゃない?』

「すいません」

『なんだったらこの美琴先生が直々に治してあげましょうか?コレで。さぞかし風通しも良くなるんじゃない?』

「ごめんなさい!それだけはご勘弁を美琴様ぁーー!」

ジャラジャラという音を聞いて、上条は電話越しに土下座モードに移行する。
その様子を見ていた詩菜は何か感じてしまったのか、

「あらあら、今の当麻さんに激しくデジャビュを感じてしまうのは何故かしら。
一体どこのどなたに影響を受けてしまったのでしょうね、刀夜さん?」

この問いに父、上条刀夜もごめんなさい、と息子同様になるしかなかった。
そんな上条夫妻はさておき、不幸センサーをビンビンさせながら上条は用件を尋ねる。

「それで何の用だ?ビリビリ」

『ビリビリ言うな!それはそのぅ…アンタと…一緒に…今夜初詣に…』

「初詣?いや上条さんは先約がありまして…」

『…へ?』

「聞こえなかったのか?だから先約があるって。あ、なんだったら一緒に行くか?」

『…』

先約と表現するも単に家族で出かけるだけなのだが、しかしてこの物言いが勘違いのもとになってしまう。
無意識に出てしまった言葉なので上条も気付かない。
どうしたービリビリ?、と続けようとしたところを詩菜が遮った。

「当麻さん、お友達からのお誘い?」

「うん。ほら大覇星祭のときに会った常盤台中学の」

友達ではないよなーあれ?御坂とは傍から見たらどうなんだろーと思いながら返した。

「私たちの事は気にしないで、行っても大丈夫ですよ」

詩菜は事情をどこまで察したのか、ここにはいない誰かさんに救いの手を差し伸べる。
しかし簡単にいかないのが世の常。刀夜のデリカシーの無さが妻に向けられた。

「いいのかい?母さんいろいろ準備してたみたいだけど…」

本人は愛する妻を気遣ったつもりなのだが、妙な気遣いが女の子の気持ちをスルーすることに結婚しても学習していないらしい。

「刀夜…さん?」

言葉で表現しにくい黒いなにかを発しつつある妻に危機を感じたのか、刀夜はいつものようにDOGEZAする。

「友好関係を深めるのも大切ですよね父さんたちのことは気にせず行ってらっしゃいだからお願いしますから許して下さい母さん!」

またもやいちゃつき始めた両親を尻目に、上条は美琴に行ける旨を伝えようとするが…

「あれ?切れてる」

_______________________________________________________________________________________________________________________

263変化を兆す初詣[誓う守り]:2011/01/25(火) 14:49:22 ID:ghxGiiBU


〜御坂宅〜

断られるかもしれないことを御坂美琴は予想していた。

(『初詣?いや上条さんは先約がありまして…』)

家族で行くなら家族と行く、そう答えると考えていたのでまさか先約と言うとは思わなかったのだ。
誰と行くのかを聞けば良いのだけれど、他の言い回しを考えていなかったのでついフリーズ。

「はぁー」

落胆してしまうのは避けられない。
成功したらと誘う前からいろいろ想像(妄想とも言う)していた予定が消えてしまい、負の感情に苛まれていく。

先約ってことは他の女と?

まさか現地妻がいるのだろうか?
普段のスルーっぷりや周りにいる美少女の多さから鑑みるに既に心に決めた人がいてもおかしくはない。
あのシスターなのだろうか?
彼の両親とも先に知り合っていたようだし夏は一緒に海に行ったらしい。
もう付き合いも公認なのか?既に婚約!?結婚届け!?学生結婚!?新婚旅行!?
先ほどからやたら出てくる[婚]の一文字に惑いながら思考が泥沼と化していることに気付いていない。
そもそも[他の女]という単語が出るあたり若干のヤン化が始まっていることに自覚があるのだろうか。

でも…ここは外でそれに…

上条当麻は記憶喪失だ。曰く、約半年ほど前に記憶を失いそれ以前のことを覚えていないとの事。
ならば現地妻説は薄れるはずだが、もしかしたらという考えが不安を捕えて離さない。

(「不便だけどなんとかやっていける。それに事情を知ってる奴が一人でもいると心強いし、御坂と話すときは気が楽だしな」)

記憶の件は偶然知り、彼に尋ねてそんな風に答えてもらった。
記憶喪失という深刻な事態であるはずなのに、それでも笑っていた彼を思い浮かべる。
すると、必要以上に美化された当麻氏を回想してしまったせいか頬が紅潮し、恋する乙女のソレへと変貌していく。

最近はいつもこうよね…

上条への思いが恋だと自覚して以来、彼のことを考えるたびに心がぐるぐるする。
素直になれないが故に偶然を装ってでしか話かけることができず、彼の姿を探して街をぶらつく自分にいらいらしていた。
それでも彼と日常を過ごせた時は心がふわふわする。
具体的に言うなら、出会えたとき、無視されずに楽しく会話できたとき、またなと別れ際に声をかけられたときなどだ。
しかし、別の女性とそんな時間を楽しそうに過ごしている場面を見ると心がずきずきする。

アイツはどうなんだろう…

そのとき携帯からの着信音が彼女を現実に引き戻した。
電話主の名前は 上条 当麻。
彼からの連絡はわかりやすいよう着信音を特別にしていた。
もしこれが別の人からだったら気付かないところだったかもしれない。
携帯を震える手で掴み、深呼吸して、通話ボタンをプッシュ。

264変化を兆す初詣[誓う守り]:2011/01/25(火) 14:50:29 ID:ghxGiiBU

「先約があるんじゃないのアンタは」

『いきなりだなオイ』

全くだ。いきなりすぎる。アンタはいつもそうだ。

「なによ」

『初詣行くんだろ。何時に何処にいけばいいんだ?』

あれ?先約はどうしたの?

「…いいの?」

『いいもなにも誘ってきたのはお前だろ』

これはつまり…デート出来るってことよね?

「ええっと、ちょっとまって、時間!そう時間確認するからっ!」

『おーい落ち着けー』

無理だ。落ち着けるはずがない。他でもないアンタとなんだから。

「取りあえず後でメールするから、だからっそのっあのっ」

『?』

「あっあっありがっ」

『さっきから変だぞ』

誰のせいだ誰の。

「なんでもないっ!」

『じゃあ切るな』

電話が終わり、またもや自分に落ち込んでしまう。
どうしていつも素直になれないのだろう。
しかもありがとうの一言さえ言えないなんて。

「はぁー」

ため息を吐く。でも、ちょっと前のソレとは込める意味が違う。

「急に無理言って誘ったのに…ありがとって言いたいのよ。ばかっ」

結局、自分の都合に合わせてくれた。先約よりも自分を優先してくれた。その事実に、彼の優しさに、悶えてしまう。

「ありがとぉってぇ〜♪言いたいのよぉ〜♪ばかぁ〜♪でもぉ〜♪そんな当麻がぁ〜♪だいちゅきぃ〜♪」

まるで[ツンデレ]から[デレ]だけを抽出し濃縮したような言葉を聞こえてきた。
びっくりして振り返るとそこにはニヤニヤしながらこちらを見ている母こと、御坂美鈴が立っている。
ご丁寧に悶えているところまで再現しているのは余計だろう。

「ちょっとなに聞いてんのよ!いったいいつからっ!」

「いつからって『それはそのぅ…アンタと一緒に今夜初詣に…』から?」

「ほとんどじゃないのよっ!」

声をかけたのに無視したのは美琴ちゃんでしょ?と言いながら何やら木箱を差し出してきた。
しかも今度はニマニマしている。

「それはそうと美琴ちゃん、ここに初詣デ―トに必要なものがあるんだけどどうする?」

___________________________________________________________________________________________

265変化を兆す初詣[誓う守り]:2011/01/25(火) 14:52:11 ID:ghxGiiBU

元旦

〜某神社にて〜

「っつーか、人を呼び出しておいて本人いねーのかよ」

日付が変わったばかりの時間なので外は寒い。
少し厚めのコートとマフラー、そして手袋などの防寒具を用意したが寒いものは寒いのだ。
不幸だ、とため息をついて上条は辺りを見回すが約束の相手はまだ来ていない様子。
境内は参拝客で賑わっており、あの中に入らないといけないのか、と不満をこぼさずにはいられない。

理由その1
上条当麻は不幸体質であり人ごみは鬼門だ。
気付いた時には財布を落とし、注意はしていても誰かにぶつかり因縁をつけられる、などなど。
もっとも人ごみの有無に関わらずトラブルを起こすことに今は言及しない。

理由その2 
地域別による温暖と寒冷の格差現象。
カップル地方には比較的暖かい陽光が降り注ぎ、より過ごしやすく愛を育む一日になるでしょう。
ロンリー地方はカップル地方からラブラブ前線の影響により砂を吐きたくなり、外出を控え部屋の隅で膝を抱えたくなる一日になるでしょう。
気象予報士がいたらそうコメントを残すに違いない。
なおラブラブ前線は停滞しておりカップル地方に引っ越すしか対応策はないので悪しからず。

「ごめーん、着付けとかで遅れちゃった」

その声を聞いて舌打ちしたくなる。また格差が生じてしまったらしい。

「あけましておめでとうって、なに一人でブツブツ言ってんの?」

やはりこの右手は異性との縁まで打ち消してしまうのだろうか。
そもそも神の奇跡やら何やら打ち消してしまう能力者が参拝するのはおかしい気がする。

「ちょっと?聞こえてる?」

女の子の容姿はレベルが高いらしい。あの娘マジ可愛くね?的な男性諸君のつぶやきが聞こえてきた。
でもそんな人と縁があるわけねーよなーと思った自称駄フラグ建築士上条当麻は――

「不幸だ」

――と言ってしまった。
瞬間、上条さんの周りの温度が下がる。

「人をさんざん無視しておいて…」

ポツリと言った声に聞き覚えがあったので振り返ると

「あれ?なぜ汗が噴き出るのが止まらないんでせう?」

そこには綺麗という言葉が似合う少女がいた。

「慣れない着物とか下駄とか苦労してたのに…」

顔は俯いていてよく見えない。

「もしかして…」

けれど彼女から発せられる怒気やら電気やらには覚えがあって…

「終いには…そんな女の子に向かって…不幸だとかどういうことなのよゴラァァァアアアーーーッ!!」

《とある幸福の上条日記》は製作者の事情により《とある不幸の上条日記》に変更したようだ。

266変化を兆す初詣[誓う守り]:2011/01/25(火) 14:53:13 ID:ghxGiiBU



雷神様の怒りを買って約一時間後。
そこにはぎこちなくもカップルに見えなくもない二人がいた。

「ちょっと歩くの速いって。下駄なんだからもっと気を使ってよ」

「おぅ」

手をつないで歩いてはいるものの、ガチガチに緊張している様が台無しにしている。

「ちゃんと聞いてるのって、きゃっ!」

「うわっ御坂っ!」

美琴がつまずいて転びそうになるのを上条が抱きとめる。

「ありがと…」

「おぅ」

このやり取りも通算5回目なのだが全く変化がない。
上条は美琴を抱きとめる度に彼女の柔らかさや香り、濡れた上目づかいにやられそうになった。
しかも美琴も恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしてプルプル震えている。なにこの可愛い生き物。
今の美琴は色々とヤヴァイ。
普段とは異なった格好に違う一面を見ている気がする。
いつもなら彼女は彩度の低い制服姿だっただろう。
今は違う。
艶やかな赤い生地に気品のある刺繍の入った着物。でも不思議と派手な印象は無い。
整った顔立ちには必要無いと思っていた化粧が施されていた。
その容貌は、中学生と表現するには大人過ぎる。
そんな存在に今の状況を加えれば、動揺と緊張で固まるのは避けられない。
いつもの彼女に可愛いだの綺麗だのと意識したことは無かったはずだ。
だけど今はどうだろう?
込み上げてくるなにかを押し戻し、いつも通りに振舞おうとするも上手くいかない。

「(どうしてこうなった…)」

上条は事の始まり思い出す。
雷神様を怒らせてしまい、なだめるために上条は今までの経験を総動員して対処にあたった。
単に土下座スキルを全開にしてひたすら謝っていただけなのだが…
なだめるために使うスキルが土下座しかない自分の情けなさに泣きたくなる。
それでようやく怒りが静まったと思ったら――

「あけましておめでとう」

「あけましてまことにめでとうございます」

「新年早々アンタは私を怒らせたわよね?」

「その通りでございます」

「不愉快な思いをさせたわよね?」

「面目次第もございません」

「じゃあもちろん一日中言うことを聞くのよね?」

「それはさすがに…」

「 聞 く の よ ね ! ! ? 」

「もちろんでございます姫!」

理不尽な気がするんだけど何故だろうと惑う上条をスルーし美琴は続ける。

「まずアンタは今日一日私の…かっかか彼氏役なんだからね!」

「はい?」

突然の彼氏役任命の儀に呆気にとられる上条。
この流れにはどこか覚えがある。

「ナンパ避けとか色々あるでしょっ!察しなさいよ!」

「あー」

どうやら上条の不幸センサーに曇りは無いようだ。
呼び出しに応じた事を後悔するがもう遅い。

「というかアンタに拒否権は無いのよ!黙って言うこと聞けばいいの!」

「はぁー、ふこ」

不幸だ、と言いそうになるのを止める。
同じ過ちを繰り返せば今以上に重いペナルティーを課せられるだろう。

「じゃあ…はい」

美琴はおずおずといった感じで上条に手を差し出してきた。

「あのぅ…美琴サン?この手は一体なんでせうか?」

「今のアンタは私の…かっ彼氏なんだからちゃんとエスコートしてよっ!」


そんなこともあり上条は美琴と手をつないで寄り添いながら歩いているワケだ。
人ごみも酷いしはぐれると危ないもんな、と自身を納得させ、隣にいる未確認電撃物体に目を向ける。

(俺も結婚できたらこんな風に奥さんの尻に敷かれる生活になるんかね――)

漠然と考えながらまだ見ぬ未来に上条は想いをはせていた。

____________________________________________________________________________________________________________

267変化を兆す初詣[誓う守り]:2011/01/25(火) 14:55:51 ID:ghxGiiBU


上条が思考をどこかに飛ばしていたころ美琴も出陣前に母から言われたことを思い返していた。

「でも初詣に誘うぐらいで美琴ちゃんも大袈裟よね〜♪」

「うっさい!」

余計なお世話と言わんばかりの美琴。

「付き合ってるんだからもっと素直にならないと損するわよ?」

「つっ付き合うなんてそんなっ!」

「嘘っ!まさかまだ付き合ってないの!?」

美鈴は美琴に驚愕の視線を向けてきた。

「ッ〜〜〜!!」

「あのねぇ。恋心を自覚したのがつい最近ってわけでもないんでしょ?」

娘の奥手っぷりに呆れ顔で美鈴は続ける。

「一端覧祭とかクリスマスとかイベントあったでしょうに…」

「それは…全然会えないし…連絡も取れなくて…」

美琴も上条と親密になろうとしていたのだが、そのイベントやらの準備で忙しくなかなか会えなかった。
仮に会えたとしてもツンツンしてしまったり、意識が吹っ飛んだりとコミュニケーションになっていないという悲劇。

「どーせ素直になれなかっただけじゃないの?さっきの電話のように」

図星を突かれて何も言えなくなる美琴に美鈴は追撃する。

「彼、もてる感じだし?このままじゃ他の人に奪われちゃうわよ?」

その言葉に顔面蒼白。心当たりがありすぎるのだ。
美鈴は取りあえず茶化すのを止めてより真摯に問いかける。

「初恋なんでしょ?」

「…うん」

「好きなのよね?」

「…うん」

「自分と向き合えないクセにそれを理解しろってのは、恋に破れる臆病者よ。後悔したくないなら彼と過ごす一秒を大切になさい」


そんなありがたい言葉をいただいたのに開幕からつまずいてしまった。
そしてそう在りたい関係を形だけとはいえ命令する始末、母に申し訳なさすぎて泣けてくる。
しかし彼はこんな扱いを受けて不満は無いのだろうか?
偽海原の件のときはそっけない感じだったのに、今の彼がそれと異なるのは気のせいではないはずだ。

(ちょっとは意識してくれてるのかな…)

また意識が飛びそうになり、必死に耐える。
夢想するのは帰ってでも出来るのだ。今は目の前の彼に集中しよう。

___________________________________________________________________________________________________________



ちょうど半分投下しました。
続きはもうちょっと経ってからにしようと思います。

268■■■■:2011/01/25(火) 14:58:12 ID:bWButN4s
二人ともGJ!!

>>259
別れ際の切なさみたいなのが良かったです

>>267
美鈴と美琴の掛け合いがいいですね
続き楽しみにしてます

269■■■■:2011/01/25(火) 14:58:32 ID:bWButN4s
sage忘れてた・・・

270■■■■:2011/01/25(火) 15:50:08 ID:6DuquW2A
ふぅ…これで頑張れそうだ

271小ネタ豚:2011/01/25(火) 15:58:45 ID:ghxGiiBU
続き投下しますねー
16:00頃です。

272変化を兆す初詣(後半):2011/01/25(火) 16:00:56 ID:ghxGiiBU


お参りするために賽銭箱の前の行列に並んでいる間、上条は美琴と当たり障りのない会話で時間を潰していた。
会話しながらも最近の美琴のことを振り返る。率直に言って様子がおかしい。
具体的な時期はわからないが、ロシアからなんとか帰還してからその兆候はあったように思えてしまう。
会話中にいきなり失神、漏電はお手の物。ぼんやりとしていて何か考え込んでいることなんて多々ある。
時折自分に妙に潤んだ瞳を向けてくることも加えると、自分がイギリスに飛ぶ前と比べ明らかに変だ。
この少女の身になにかあったのだろうか?例えるならそう、シスターズの事件みたいな大きな絶望。
誰かを巻き込むことを好しとしないこの少女はまた独りで何かに耐えているのだろうか?
そう考えるとなんだか胸のあたりが痛い。

(なにやってんだ俺は…)

もし上条が学園都市を離れている際に美琴が何かに巻き込まれたのが是なら聞かなければならない。
場合によっては自身の手で調べることも必要になる。この変化が美琴なりのSOSならば尚更だ。
何故もっと早くに気付こうとしなかったのか、と過去の自分に悪態をつきたくなってしまう。
そんなとき目の前に賽銭箱が現れた。どうやら思った以上に深いところに潜っていたらしい。

(まずい。会話が途切れちまってた)

[彼氏]ならこんな風に[彼女]を放置しないだろう。そう気付いて隣を見やると…

ぽーっとした表情でこちらを見ている[彼女]がいた。

美琴もどこかに思考を飛ばしているらしい。
幸い、と言っても良いのか先に戻ってきたのが上条なので、[彼氏]らしく[彼女]に呼び掛ける。

「美琴。なにぼーっとしてんだ?俺たちの番だぞ」

「へ?」

「だからお参りするんだろ?」

「いま名前で…って…わわっごめん」

「頼むぜ美琴センセー」

賽銭箱に小銭を放り込んで願い事を唱え…ようとするが内容を決めてなかった。

(願い事…ねぇ…)

隣で必死になってブツブツ言ってる美琴のことが頭によぎるが――

(なんか違うよな。それは)

不意にロシアで対峙した彼とのことを思い出す。

―目の前で泣いてほしくない人が泣いているんだ!唇を噛んで耐えている人がいるんだ!それだけで十分だろ!―

彼に叩きつけた言葉は別に彼だけに向けた言葉じゃない。

―大して知りもしない人間に自分の一番大切なものを預けて、それで全部満足できんのかよ!!―

傍にいる少女が一番大切かどうかはわからない。

でも――

この少女の笑顔を曇らせたくないという気持ちだけはホンモノで。

なら――

(神様に願うことはこれしかねえよな……)

273変化を兆す初詣(後半):2011/01/25(火) 16:02:32 ID:ghxGiiBU



「ねぇ。とっととまっ…とまっ…」

「……トマト?何言ってんだ?美琴」

「違うわよっ!」

「さっきからトマトトマトばっか言ってるじゃねーか?」

「はぁぁぁぁーーーーー」

正月にトマトが関連する事なんてあっただろうか?そんな勘違いをする上条。
盛大にため息をつく美琴を不審に思い、顔を覗き込んで尋ねる。

「美琴?」

「〜〜〜ッ!!」

「さっきからどうしたんだ?顔も赤いし体調が悪いんだったら…」

「なんでもにゃいっ!なんでもにゃいからっ!」

本当に赤い。美琴の言うトマトが人を指しているならば今の彼女だろう。
おまけに滑舌まで怪しくなっている。口調が猫になる奇病でも流行っているのか?
そういえばクラスメイトにそんなヤツがいた気がする。

「本当かよ?」

「やっぱアンタはどんな時でもアンタよね」

不審人物Aを見るかのような目つきで確認するが、銀髪シスターと同じことを言うので??としか反応できない。
取りあえずこの問題は置いておいて、これからどうするか上条は思案してみる。
やはりここはおみくじを引きに行くのが定番か?
だが、変なものを引きそうな気がする。例えば…《異偽離須獣時製凶》とか《牢魔重磁製凶》とか…
そんな思考を打ち切らせるようにして、典型的なカップルが上条と美琴の前を通り過ぎた。
どのくらい典型なのかを具体的に記述するならば――

「ね〜え〜どんなことをお願いしてたのぉ〜」

「もちろん大好きなハニーの幸せのことさっ」

「嬉しい〜私もぉ〜ダーリンとのことお願いしてたのぉ〜」

「僕は幸せものだな。ハニーみたいな素敵な女性と一緒に歩くことができるなんて」

「私も幸せぇ〜ダーリンみたいな素敵な紳士と一緒にいれてぇ〜」

――といった具合に、典型的を通り過ぎて絶滅危惧種に認定されていそうなゲロ甘っぷりである。
ロンリー地方在中からすれば、有害な何かを垂れ流し移動する様はまさに《歩く産業廃棄物》と言えよう。
しかし上条は羨ましいとは感じなかったし苛立つこともなかった。
不思議に思いながらも美琴に視線を移すと何やら彼女はこちらをジッと見ている。
まるで言えと暗に命令するかのように。

「どうした美琴?まさかっ…まさか上条さんにあれをやれと仰るのですかっ!?」

「さすがに私だって無理よっ!ってそうじゃなくて願い事よ願い事っ!」

いま…さすがにって…言いませんでしたか?…と突っ込みたくなって我慢する。
美琴の問いにどう答えようか考えていると、どうやら焦れてきたらしい。

「なによ。アンタだって私と同じくらい長かったじゃない」

実は上条の願い事が気になって、途中から何度もチラ見してたことなんて言えない純情乙女。

「笑わねえか?」

聞かれるとは思っていたものの実際に聞かれると言いづらい。

「絶対に笑わない」

美琴が真面目な顔をしているので上条も渋々答える。

「世界平和」

「……は?」

「だから世界平和だよ。少しでもみんなが幸せになれば上条さんの不幸指数だって下がると思ったんですってなんだかむなしくなってきたぞチクショーッ!!」

274変化を兆す初詣(後半):2011/01/25(火) 16:03:38 ID:ghxGiiBU

美琴は困惑から泣きそうな顔に変わっていく。
だから言いたくなかったんだと不満をこぼし、事実とは言え若干後悔してしまう。
女の子の涙目はどうしてこうも破壊力が高いのだろうか。

「あのな美琴。なにやら勘違いしているだろうから言うぞ」

「…え?」

「その…あれだ…」

「言ってよ。じゃないと私…」

「確かに[彼氏]ならもっと違うことを願うと思う」

上条はあくまで[彼氏]役だ。
でも偽海原の一件と同様に事情はあるのだろう。
彼女が言いだしたこの関係も何らかの意図があるのだろう。
そう信じた。だから今もこうして[彼氏]役を演じているつもりである。

「でもな。こんなとき嘘は付いちゃいけねえと思うんだ」

「…ぐすっ」

「わーっ!だから最後まで話を聞いてくれ!頼むから!」

けれど、たとえ振りであっても譲れない領域があるのだ。
だから[上条当麻]が[御坂美琴]の[彼氏]であると仮定して、告白する。

「なんか…大切な人の事を得体の知らないヤツに頼むのは変だなって思うんだよ」

「願うだけじゃ…ダメなんだ」

他者から見れば、大袈裟に見えるかもしれない。
たかが仮想デートでなにを大袈裟な、と。
けれど上条は気持ちを言葉にすることの大切さを知っている。
今までもそうやって言葉に表して、相手にぶつけて生きてきたのだから。

275変化を兆す初詣(後半):2011/01/25(火) 16:04:59 ID:ghxGiiBU

「お前のこと…前に約束したんだよ」

「御坂美琴を守るって、お前とその周りの世界を守るってアイツと約束したんだ」

「でもそれは、別にアイツに頼まれたから仕方なく約束したわけじゃない。誰かに言われたからじゃない」


「――上条当麻は御坂美琴には笑っていてほしいと心から思ってる――」


「だから自分自身に誓ったんだ」

「美琴の笑顔を守るって」

「つまりだな…今日はその…改めて自分に誓ってたんだよ」

目の前の少女を抱き締めたくなる衝動が膨れ上がる。
でもこれは本題じゃない。
だからソレを振り切るように言葉を紡ぐ。

「今日の…いや、今日だけじゃねえよな」

「いつからかは具体的にも俺にはわかんねえ。でも美琴の様子がおかしいのに気付く事ができた」

「だから何があったのか教えてほしい。何に悩んで苦しんでいるのかを」

「もしかしたら役に立たないボンクラかもしれない」

「それでも…」

「それでも俺はお前の力になりたい」




「――もしお前の世界がまた暗い闇で覆われてしまってんなら――」

「――俺がその幻想〈絶望〉を何度だってぶち殺してやるから――」




言ってしまった…と思う。クサい言葉なのは重々承知だ。
こんな感じだからデコ委員長に空気が読めない扱いされているのだろうか?
でも撤回する気は微塵もない。

「…」

さっきからずっと目の前の少女は黙ったままだ。
どれくらい時間がたっただろう?秒単位なのかそれとも分単位なのか…

「あのぅ…御坂さん?」

なんの反応も無いとさすがに動揺する。

「……ばかっ」

ポツリと漏らした言葉に想いが届いたかどうか不安になってしまう。

「(上条さんはどこか失敗してしまったでせうか!?)」

そこには華奢な体を震わせて、しかしそれを堪えるようにしている少女がいた。

「せっかくっ…お化粧とかしてたのにっ…」

顔は俯いていてよく見えない。けれど…

「(なんか激しくデジャビュなんですが、と上条は戦慄しますぅ!)」

けれど彼女から発せられる嗚咽やら涙やらには暗いものは含まれてはなくて――


「とうまのっ!せいでっ!ぜんぶだいなしじゃないのよっ!!」


顔を上げたその表情には、流す涙を必死に堪えながら、

言葉の内容とは裏腹に、上条当麻が守ると誓ったモノが、確かにそこに在った――――

________________________________________________________________________________________________________________________

276変化を兆す初詣(後半):2011/01/25(火) 16:06:15 ID:ghxGiiBU


美琴は神社から少し離れたところにある化粧室に来ていた。
涙やら何やらで化粧が台無しになってしまったので、お色直しをする必要があり上条に頼んでいったん別れたのだ。
幸い、簡単な道具は持ってきていたのでスッピンという事態は回避できた。
まさか常盤台中学で自然に備わった化粧技術が役に立つとは、彼に恋する前の自分なら想像すら出来ないだろう。
そもそもこの道具の用途は当初考えていた方向とはかなり変わっている。
情けない話かもしれないが、彼のデリカシーの無さから泣かされることは想像していたのだ。想像してたのに…

「あんなこと言われたらどんな人だって落ちちゃうわよ。ばかっ」

ずるいと思う。そう、ずるい。彼は土壇場で想像以上の言葉をくれる。プラスにもマイナスにも両極端。
しかも彼が想像していた悩みは全くの見当違いだ。
他の男が言えば、何勘違いしてんの?と切り捨てていたに違いない。
でもなぜか彼の言葉は心に響く。その深いところまで。
きっと上条は上条なりに真剣に私のことを考えてくれているからだろう。

「心配してくれたんだ…」

空回りしているとは言え、その事実に嬉しくなってしまう。ニヤけてしまう。
行列に並んでいる間、会話が当たり障りのないものになっていたのは非常に助かった。
寄り添っているだけでもいっぱいいっぱいなのに、これ以上意識させられるような事態は避けたい。
しかし途中で気づいてしまった。彼が真面目な表情で何か別のことを思案しているのを。
いつもなら、私が傍にいるのになに他のことを考えてんのよ馬鹿!的なことを言って憤慨していたかもしれない。
けれど真剣な表情にどこか魅せられてしまい――

(私のこと考えていて欲しいな)

――そう、期待してしまったのだ。

もうダメだ。
自分の病状が日に日に悪化していることを悟る。
上条科専門の医師が診察したなら、手遅れです、と首を横に振るだろう。
自分が末期患者な気がして愕然としてしまう。
恋をする度にこんな気持ちにならないといけないのか。
それとも一生この恋を引きずらないといけないのか。
そこまで考えて悪い方向へ向かいつつあることにハッとする。
これでは自分が振られること前提だ。

しかし――

常に自分自身と向き合いまっすぐ想いをぶつけてくる、ありのままの上条当麻。
それに比べ御坂美琴という人物は、あまりに小さく、脆くて、不自然。
彼のことは好きだ。ずっと傍にいたい。その気持ちに偽りはない。
けれど想いを告げてしまっていいのか?私よりも…

「臆病者の言い訳…か」

出かける前に叱咤激励してくれた母の事をもう一度思い返す。
よくよく考えてみれば、今の私に必要なことは全て言ってくれていたではないか。

「後悔したくないなら彼と過ごす一秒を大切にする」

彼と過ごす時間を無下に扱って、その日常がどれほど尊いか考えていなかった。
御坂美琴がこうして生きていること自体が上条当麻のおかげなのに。
もしかしたら明日にはまたどこかへ旅立って帰ってこないかもしれない。

「だから後悔しないために、今を大切に生きよう。それで良いのよね?」

鏡に映るだれかは何も言ってくれなかったけれど――

――それでも笑って私の背中を押してくれた。

277変化を兆す初詣(後半):2011/01/25(火) 16:08:37 ID:ghxGiiBU



一度別れた場所に戻って彼の姿を探す。
思いのほか簡単に見つかった。ベンチに座ってコーヒーを飲みながら待っているようだ。
正面から話しかけてもなんかつまらないなと思って、見つからないよう背後に回る。
そこで彼の持つ缶コーヒーに目を向けて嫌な予感がした。

「(これはアレよね?いきなり声を掛けたら…)」

仕方ないから飲み終わるまで待っててあげる方針に変更。
すると彼の独り言が聞こえてきた。

「御坂、遅いな」

「(悪かったわねっ!)」

「怒ったり泣いたり本当に忙しいヤツだな」

「(誰のせいよ!誰の!)」

「やはりアレなんかね?」

「アレってなによ?」

堪えきれなくなって、つい口を挿んでしまった。

「だからほら、まだ中学生だろ?」

「(また子供扱いしてっ!)」

いい加減に子供扱いは止めて欲しい。年の差はたった二年なのだ。
しかし同時にそれ以上離れていなくてよかったとも思える。

「でも名門中学の…しかもLevel5」

「…」

「周りからの期待とかでストレス溜まっちまうよな」

結局はこれだ。たとえどれだけ地位や名誉があっても、当たり前の女の子として扱ってくれる。それが嬉しい。

「心配してくれてんの?」

「そりゃ、な。だからだと思うぜ」

「?」

「そんな環境で育てば…」

「育てば?」

「まだ反抗期も抜けられず情緒も…不安…て…ぃ…」

そしてこれだ。持ち上げて落とす。これさえ無ければ…でもいいのかもしれない。
もしそうなってしまったら、今以上にライバルは増加しているだろう。

「なによ?言いたいことがあるんでしょ?言えばいいじゃない」

予想通り気が動転してしまったようで缶を持つ手が挙動不審だ。
彼が動く前に、素早く背後からのしかかるようにして手を伸ばし缶を固定する。
中身はまだ残っていたので我ながら英断だと思う。

278変化を兆す初詣(後半):2011/01/25(火) 16:09:58 ID:ghxGiiBU

「みっみみみ御坂さんっ!?この態勢は上条さんにはハードルががっ」

横の、うわー柔らかいというか良いにおいというかいろいろとうわー状態のウニ型PC、は放置。
缶コーヒーを奪いそれを飲む、が冷たい。
そういえばずっと外のベンチで待っててくれた影響か彼はずいぶんと寒そうだ。
彼の気遣いに心がほっこり暖かくなり、同時に冷静な部分がヤレと命じている。
今、彼の体は防寒具があるとはいえ外の寒さに当てられて満足に体が動かせないはずだ。


―――唇の端がつり上がるのを止められない。


取りあえず彼から離れて正面に回り込む。
いきなりの態度の変化にまだ彼の頭の処理は追いついていないと判断、即行動に移る。

「ねぇ、とうま。お願いがあるんだけど?」

彼にやられたときと同じように瞳を覗き込む。

「うぇ?」

おおよそ彼らしくない返事になぜか胸がキュンッとしてしまう。

「少しの間で良いから目、閉じて?」

「うぇぇ?」

「とうま。目、閉じてね?」

聞き分けのない子供を諭すように優しくお願い(強制)する。

「んんしょ…っと…」

目を閉じるのを確認すると彼の膝の上に向かい合わせで強引に座った。
着物の稼働範囲はかなり狭いのでどこか生地を傷めてしまうが今はどうでもいい。
さすがに何か言われるかなと思いきや、どうやら律儀にまだ目を瞑ったままだ。
その鈍さが、今はとてもいとおしく思える。

(「とうま…」)

ここから先は過激と言えば過激にカテゴライズされてしまう。
場合によってはトウマセキュリティソフトがアクティブになるかもしれない。
そうなれば些か面倒だ。だから彼に主導権は与えない。

「とうま。目と口を閉じたまま聞いて?」

「…」

なにやらプルプル震え、寒いはずなのにじっとり汗までかいている。

「ここから先はとうまは一切動いちゃダメ。していいのは呼吸だけ」

「もしやぶったら…」

ビクンっと痙攣した。何か酷いことをすると思ったのか?ならばそれは失礼だ。


「本気で襲っちゃうから…」


彼の耳元で囁き、ふうと息を吹きかける。
すると今まで見てきた中で一番とも言えるくらい真っ赤に顔を染めていた。
ツンツンした髪の毛をヘタとするならトマトとは言い得て妙かもしれないと笑ってしまう。
しかし悠長に笑っている暇はない。次の段階へ移行。
まず首に巻いてあるマフラーをほどき、続いて厚手のコートのボタンを震える手で丁寧に外していく。
そこでわずかに身じろぎしたのを私は見逃さなかった。
ちっ、黙ってビジー状態を維持していればいいものを…
こちらも追加戦力を投入するしかないのだろうか?いや、ここで戦力を温存しても意味が無い。

「 と う ま ?」

声色は極めて優しく、かつ怒りを混ぜて脅す。
でもそれだけではダメだ。
言いつけを破ろうとした悪い子には罰を下さなければならない。

「はむっ。レロッ。っちゅ」

頬を擦りつけ、耳を食み、犯し、口づける。
それだけで彼は抵抗をやめた、というより電源が切れてしまった。
ならば再起動するまでは自由時間だ。コートの最後のボタンを外し、前をはだけ密着する。

「ふにゃ〜」

想い人の匂いに包まれ何とも言えない気持ちになる。
以前の私が手を伸ばそうにも届かなかった場所に今は届くのだ。

「こんなことで良かったんだ…」

素直になるだけでこんなにも幸せになれる。
恥ずかしさをちょっと我慢すれば、自分を偽り無く表現できる。
本当に今までの自分が愚かしい。

「とうまぁ〜♪」


______________________________________________________________________________________

279変化を兆す初詣(後半):2011/01/25(火) 16:11:31 ID:ghxGiiBU
―夢を見ていた―

確証は無いが、ここが現実ではないことが不思議と理解できた。
見なれた学生寮の一室で男性は夕食をとっている。
向かいには女性がいて、既に食事は終えていた。

(あれ?)

その男性が、女性が、誰だか知っている気がする。

「どうしたの?味付け変だった?」

「いや。いつも通り美味いぜ」

(いつも通り?でもここは俺の住んでる部屋だぞ?)

上条の疑問を余所に男性は続ける。

「〜は今日友達の家に泊まるんだっけ?」

「そうね。学校からそのまま行ったみたい……娘の外泊が心配?」

頬杖をついてに茶化すように女性が問いかける。
〜が個人名なのは理解できた。
娘の名前なのか……って…娘?

「アイツの家だろ?なら大丈夫さ」

どうやら信頼している人らしい。

「そう考えると…久しぶりに今夜は二人っきりかしら」

(まてまてまてまてまてぃーー!)

なにか妖しい雰囲気になってきた。
女性は期待を浮かべた瞳で男性を見つめている。

「ごちそうさま!」

(よく言ったっ!)

いろいろとおかしくなりそうな雰囲気を男性は打ち切るが――

「あの子、弟が欲しいって」

――女性は逃がさない。
いつの間にか男性の傍まで来ていて、そしてその首に両腕を回し、ぶら下がるような格好になる。
どこか蟲惑的な表情で“こう”言った。

「今夜はいっぱい可愛がってね?とうま…」

とうまと呼ばれた男性は観念して“こう”答えた。

「今夜《も》な。みこと?」

二人の距離は徐々に縮まり―――――

280変化を兆す初詣(後半):2011/01/25(火) 16:16:14 ID:ghxGiiBU



「ああぁぁぁぁぁぁああああーーーーーーっ!!」

目が覚めて夢特有の浮遊感が無くなりここが現実だと理解した。
荒くなった呼吸を正しながら周囲を見回すとそこは学生寮の部屋ではなかった。
実家の自分の部屋だ。取りあえず現状把握に努める。
昨日は大晦日で美琴から初詣に誘われて…どう考えてもここで寝ていることに結び付かない。
自宅に帰った部分が抜けているのだ。
初詣に行って美琴の様子が変であらためて誓いを立て…全部覚えている。目覚める直前の夢も。
だからこそ変だ。どこから現実で夢か曖昧で判別できない。

「あらあら。当麻さん。どうしたの?」

先の絶叫から心配して様子を見に来てくれたらしい。

「母さん?俺どうしてここに…はっくしゅっ!」

「あらあら。すごい汗。シャワー浴びてきたらどうかしら?」

確かにこのままじゃ風邪を引いてしまうかもしれない。

「そうするよ。って、どうしたの?」

詩菜はこちらの首筋を凝視している。

「当麻さん」

「はい?」

「いくら親が相手だからって、見せつけるのはどうかと思いますよ」

そう残して去ってしまった。

「?」


数分後、上条は知ることになる。

鏡に映った首筋には、夢と現実を確かに区切るようにして、上条当麻を侵した傷跡があちこちに残されていた――――

________________________________________________________________________________________________

以上で終わりです。
もしかしたら続きを投下するかもしんない。

しかし…話が進むごとに人物の性格がずれていくのはなぜだろう?
何か良い方法ないですかね。

281■■■■:2011/01/25(火) 16:28:44 ID:LnXU6A3c
リアルタイムGJ!
なんか最後のほう美琴が怖かったw

282■■■■:2011/01/25(火) 16:34:30 ID:61Go3i4A
ヤンデレ1cm手前って状態だなw

283■■■■:2011/01/25(火) 16:40:57 ID:bWButN4s
続き早ぇwww
ヤンデレールガンまであとちょっとだな
再度GJ

284小ネタ豚:2011/01/25(火) 17:24:34 ID:ghxGiiBU
>>281‐283
ありがとうです。
でもヤンデレは意図してなかったかなー
まさに、どうしてこうなった、って感じですね。

285とある通気管:2011/01/25(火) 17:35:39 ID:tmAm0gVc
GJ==

286■■■■:2011/01/25(火) 18:08:16 ID:0zru3bqc
最近また徐々に投下が増えてきたな
作者さんGJです!

>>260
美琴の気持ちが丁寧に描かれてて良かったです

>>280
最後の上条さんと美琴のシーンが個人的にヤバかったです
こんな感じの美琴もイイ

287■■■■:2011/01/25(火) 20:45:34 ID:BX2NFAyU
>>284
GJ!中盤の上条さんのスイッチの入り方に、何故か「御坂美琴の失恋」を思い出しました。序盤の上条さんの美琴のスルーっぷりも良かったです。

288■■■■:2011/01/25(火) 20:56:09 ID:xq/11Gfg
>>259
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    iレノノノ゙i  }
 \ \从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

>>284
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

289■■■■:2011/01/25(火) 23:05:41 ID:dhrmbls6
よかとな書き手と一緒に変なの付いて来たな…

290■■■■:2011/01/26(水) 02:48:17 ID:HHbZVnag
ふ、ふにゃー

291■■■■:2011/01/26(水) 07:33:17 ID:v/Wyn5P6
ここのスレを見ると癒される
みんなもっと書いてくれ!

292■■■■:2011/01/26(水) 09:01:17 ID:yBqPXtAQ
壁|ω・´)ゲリラするなら今のうち

3部作ぐらいの短編その1

293■■■■:2011/01/26(水) 09:02:04 ID:yBqPXtAQ
『奢られデートの前日』

---------第7学区のとある公園
まだ寒さも厳しい冬の公園では、完全下校時刻までには時間があるといえども公園で遊ぶ人影はなく、
殆どが通り道として使用し足早に去っていく中、二人の少年少女は向かい合い妙な空気を醸し出していた。


「御坂…その聞いてもらいたいことがあるんだが、いいか?」
「何よ、改まっちゃって」

「実はだな…………」

御坂美琴は考えていた。
彼、上条当麻がこれほど真剣な顔をするのは妹達や残骸事件のような、
誰かが危機に瀕している時だけだ。
誤解がないように言っておくならば、彼は誰かの危機にしか真剣にならないわけではない。
ただ優先順位が高いとでも言うのか、誰かを助ける時は掛ける意気込みが違う。
ならば自分にできることは上条当麻の悩みを聞き出し、
学園都市第3位『超電磁砲』の力で助けてあげることではないか。
そう彼女が決心したとき、上条当麻の口から続きの言葉が放たれた。

「実はだな…………今月の仕送りと奨学金、両方共使い切っちまって次の入金まで無一文なんだ。
 だからお願いです、この愚かな上条さんめをお助けして頂けないでしょうか」

「……はい?」

予想外の告白に御坂美琴はしばしの間呆然とするしかなかった。

294■■■■:2011/01/26(水) 09:02:27 ID:yBqPXtAQ
タイムセールをやっているスーパーから出てくる男女。
買物途中の仲睦まじい姿を見ていた周りの学生からはカップルに見えていたようだ。
本人達に自覚はないので噂が独り歩きする状況になるが彼らが冷静に現状を受け止められるなら、
素直になれない御坂美琴の照れ隠しという名のいつもの追いかけっこが始まるのであろう。

「いやぁ、悪かったな。お金出してもらちゃって」
「いいわよ別に。というかアンタはなんで無一文なのよ。
 普通財布の中に少しは残したり、口座の残高に気を配るものでしょ」
気にしてないとばかりに御坂美琴は上条当麻の礼を受け流すと今回の核心を突く。
上条当麻が目線をズラして「話したくないなー」ってポーズを取っているが、
御坂美琴の前髪に青白い電流が走った瞬間、誤魔化すことは諦めたようだ。

「それがなんと言いますか、不幸といいますか……
 上条さんは今月も入院したおかげで治療費諸々で残高が底をついてしまったのですよ」
「今までだって入院は何度もしてるじゃない。その時はどうだったのよ」
「この前までは以前から地道に貯めていた貯金があったのですよ。
 でも去年の夏から続く入院ラッシュであれよあれよと貯金が飛んでいって……あははー」
記憶を失う前の上条当麻は入院沙汰には縁がなかったのか、資金源を他にも確保していたのかは謎だが、
口座に貯蓄があったことを考えるに余裕はあったのだろう。
しかし今の上条当麻には、親の仕送りと学園から支給される奨学金以外に資金源のアテはなく
この口座に振り込まれたお金が尽きれば、無一文となるのも仕方ないことであった。
なお本人は否定してるが、白い居候シスターの食費が一番の出費だとか。

295■■■■:2011/01/26(水) 09:03:01 ID:yBqPXtAQ
「っと、ここでいいや」
「寮の前まででいいの、部屋まで持ってってあげるわよ?」
「いやいや、お金を貸してもらった上に部屋まで荷物を運んでもらうなんて
 恐れ多くて上条さんにはお願いできませんよ」
「………気にしなくていいのに」
「え、何か言ったか?」
「何でもないわよ。そうねえ、アンタ明日暇?」
「明日は…補習もないし家でのんびりとした土曜を過ごす予定ですよ」
「じゃあ明日は私の買い物に付き合いなさい」
「あの、御坂さん?私めは無一文な上に先ほど御坂さんからお金を借りて、
 外出する余裕はないのですが」
「知ってるわよ、ご飯代ぐらい私が出してあげるわ。
 私に悪いと思ってるなら私に一日ぐらい付き合いなさいって言ってるのよ」
「荷物持ちとかでもいいんでせうか」
「問題ないわ、じゃあ明日の朝10時にいつもの自販機の前ね。遅れるんじゃないわよ」
「あ、あぁ。明日の10時にいつものとこだな、分かった」
「じゃあまた明日ね、バイバーイ」
ここに後輩の白井黒子がいればデジカメの容量限界まで写真を撮って永久保存版のビデオを撮影する。
休日を丸一日デートに誘うことに成功した御坂美琴の笑顔はそれほど眩しかった。
この笑顔を見たならば如何に鈍感フラグメイカー・上条当麻だろうと女性の御坂美琴を意識していただろう。

「御坂のやつあんなにはしゃいじまって、そんなに俺に貸しを作るのが嬉しいのか?
 でも事あるごとに勝負ふっかけてくる奴だしなぁ……明日のこと考えたら寒気がしてきましたよ」
だが振り返らない限り、上条当麻はその笑顔を見ることがないのはどちらにとっての幸運不幸なのか。
とりあえず鈍感野郎は出直してこい。


NEXT『奢られデートの前夜』

296■■■■:2011/01/26(水) 14:32:58 ID:qtd8m1EI
>>292
ゲリラ終了?
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

297■■■■:2011/01/26(水) 16:21:58 ID:eNL4/V76
日本人女性が中国人に集団で暴行されてる映像!!!!!

『悲鳴に振り向くと』←で検索するとヒットします。

「たすけてーーー!いやああああーーーー!!!!」という声も聞こえます!!長野での出来事!!!

日本のマスコミは報道しないので、まだ日本人の1/500しかこの動画をみてません。

ここからでも見れます!

ttp://www.youtube.com/watch?v=ABVU5hnJvqw


(少しでもコピペ協力感謝します!(-人-;)(;-人-) ゆるせ管理の人

298■■■■:2011/01/26(水) 17:46:46 ID:0b3mdVOc
>292
GJ!

そして今日も会議中にぽちぽち…
なにしてんだろ私。
5分後くらいに2レス借ります

299■■■■:2011/01/26(水) 17:50:56 ID:0b3mdVOc
・弱気な当麻君も可愛いと思うんだ。



とある冬の日

(寒…早く帰ろ……ん?アイツこの寒い中何して…?)

彼は、私達がよく待ち合わせに利用する公園のベンチに座り、徐々に翳っていく夕焼けを見つめていた。
学校帰りに買い物をしてきたのだろう。
ベンチの左側には、学生鞄とスーパーのビニール袋がふたつ置いてあった。
声をかけようか、とも思ったが、その背中が妙に寂しそうで。

背後から無言で、彼を抱きしめた。

「ん?ああ、美琴か。どうしたんだ急に」
「それはこっちのセリフよ。この寒い中こんなところで何してんの?」
「いや…別に何も?ただ夕焼けが綺麗だなーって痛い痛い痛い痛い!?」

適当にごまかそうとする彼の耳を思い切りつねる。

「何もないわけないでしょ?まったく、そんな寂しそうな顔して…
 どうせあの子のことでも思い出してたんじゃないの?」
「………そんな寂しそうな顔してたか?」
「うん。すごく。で、どうしたのよ?」
「…概ね正解だよ。インデックスが帰ってもう2か月くらい経つだろ?
 そりゃ時々お前が夕飯作りに来てくれることはあるけどさ、
 やっぱり誰もいない部屋に帰るのは寂しいなぁ、って思っ痛い痛い!」
「アンタね…私という彼女がいるのに他の女のこと考えてたの…?」

今度は彼の頬を左右に引っ張る。長時間外にいたことで、完全に冷え切っている。
「誰もいない部屋に帰るのは寂しい」 そりゃそうだ。
親元から離れ、学園都市で一人暮らしを続けてきたとはいえ、
彼はあの子と同居する以前の記憶を失っている。
つまり、彼の一人暮らし歴はまだ2か月なのだ。

彼に「寂しい」なんて言わせたあの子に少しだけ嫉妬。
でも、寂しがってる彼が可愛くて、私に弱音を吐いてくれたことが嬉しくて。

後ろから彼を抱きしめていた腕を離し、彼の右側に座り直す。
そして彼の右腕を抱き、上目使いでこう言った。

「じゃあ、私が一緒に住んであげようか?」

彼のことだ、狼狽えながら一蹴するだろう、そんなことを思っていたら



「そうだな…それもいいかもなぁ…」



なんて、予想だにしない答えが返ってきた。

「へ……?」
「…ん?いやいやいや、すぐってわけじゃないぞ?
 ただほら、来年の4月には美琴も高校生だろ?そしたら一緒に住んでもいいかなって」

意外な答えに舞い上がりかけた私の心は、その後の補足で急に地に落とされる。

「なーんだ、残念。でもどうしたの?いつもは『駄目!』とか『無理!』とかの一点張りなのに、
 急にそんな具体的な期間を挙げてくるなんて」
「……わかんね」
「ったく!ホラ立って!寒いから早く帰ろ!」
「帰ろ!って…お前の寮あっちだろ?」
「はぁ…だーかーらー!晩御飯作ってあげるって言ってるのよ!気付きなさいよ馬鹿!」
「いいのか?時間…はまだ大丈夫か。じゃあお言葉に甘えますかね」

そう言った彼の顔に、ようやく笑顔が戻ってきた。

300■■■■:2011/01/26(水) 17:52:27 ID:0b3mdVOc



「あ!」

しばらく歩いて、もうすぐ彼の寮、という所で私は”あること”を思いついた。

「どうした?学校に何か忘れたか?」
「ううん、違うけど…ちょっと荷物貸して。あとアンタの部屋の鍵も」
「いいけど…重いぞ?それに鍵なんて…あ、美琴っ!」

彼の手から、学生鞄以外の荷物と鍵を引っ手繰り、走ってエレベーターに駆け込む。
足元に落ちてしまった学生鞄を取って、彼も追いかけてくる。
が、不意を突かれた為、私の乗ったエレベーターは、彼を待たずして無情にも扉を閉めた。

「よし!」

息をつく間もなく、エレベーターは7階に止まる。
私はエレベーターを降り、その扉が閉まる寸前に回数ボタンを全部押す。
せめてもの時間稼ぎだ。

「えーっと当麻の部屋は…ここ」

急いで部屋に入り、鍵をかけ、コートと上着をハンガーにかけ、エプロンを着ける。
時間稼ぎをしたとはいえ、もうすぐ彼も到着するころだろう。
大きく深呼吸をして乱れた息を整える。
耳を澄ますと、彼らしき足音が聞こえた。

ガチャガチャッ……ピンポーン

鍵がかかっていることを確認した後、チャイムが鳴らされる。
私はとびきりの笑顔を浮かべ、鍵を開けて彼を出迎え、口を開く。


私の口から出るのは、恐らく彼が今一番聞きたいであろう言葉。
まだ一緒に住むことはできないけど。いつかは毎日聞かせてあげたい言葉。



「おかえり、当麻!」
「…ただいま、美琴」


(終)

301■■■■:2011/01/26(水) 17:55:53 ID:yB//PjSI
いいなあ
ほっこりした

302■■■■:2011/01/26(水) 20:04:18 ID:RQ5yh7.o
GJ!

>>295
続き待ってます!

>>300
これ見てると確かに弱気の上条さんも新鮮でイイかも
美琴の優しさみGoodです!

303■■■■:2011/01/26(水) 21:08:34 ID:qtd8m1EI
>>298
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    iレノノノ゙i  }
 \ \从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

304■■■■:2011/01/26(水) 21:40:26 ID:OCbOG/eM
>>298
ヤヴァイ

>>303
そのAAなんか違和感あるなぁ…(悪い意味じゃないよ)

305■■■■:2011/01/26(水) 23:11:29 ID:nHWvE2b6
弱気な上条もイイ!

306■■■■:2011/01/27(木) 01:01:55 ID:s8HImGEE
乙!上条も美琴も可愛いなー

307とある通気管:2011/01/27(木) 14:46:21 ID:/T9pxqs6
GJ!っすよ!!

308とある通気管:2011/01/27(木) 15:53:18 ID:/T9pxqs6
また俺だ ええいまとめwikiにでも貼ってろ!
それじゃあいくぜええ


美琴「ヒッグ..ヒッグ...」
御坂10777号「お姉さま...」
美琴「ヒッグ...とうまー!、う、ウワアアアアアアン」
〜美琴達からすこし離れた場所〜
旅掛「しかし、どうしたものか」
上条「う、うーん」
旅掛「おや?起きたかね」
上条「あれ?ここは?」
旅掛「いやあびっくりしたよ、なんせ海でつりをしていた時君が海に浮かんでたんだからね」
上条「海?浮かんでた?...ああそういえば」
上条「助けてくれてありがとうございます、あの〜お名前は?」
旅掛「ん?俺か?俺は旅掛、御坂旅掛だよ」
上条「ん?御坂?...もしかして娘さんの名前は..美琴ですか?」
旅掛「あれ?美琴ちゃんの知り合いかい?」
上条「まあそうです....!!」
上条「そうだ!美琴!アイツは!?今何処に!?」
旅掛「お、落ち着くんだま、まずは深呼吸」
スーハースーハー
旅掛「落ち着いたかね?」
上条「はい」
旅掛「とりあえず美琴ちゃんに連絡してみるかい?」
上条「ぜひ!」
プルルルル
美琴「お、お父さんから電話?」
御坂10777号「(空気よめよ)」
美琴「..ヒッグ...スーはー...もしもし?」
旅掛「美琴ちゃん?実はねえ君の知り合いらしき人をねえ今預かってるんだけど」
美琴「知り合い?...!!まさか!?そいつの名前は上条当麻!?」
旅掛「よくわかったねえ、そうだよ今ここにいるんだけど替わってあげようか?」
美琴「いや!今からそこへ行く!直接会いたいの!ねえ!今何処!?」
旅掛「美琴ちゃん?ここはロシアだよ?学園都市から..」
美琴「私は今ロシアにいるの!!だから教えて!今何処?!」
旅掛「美琴ちゃんなんでロシアなんかに..」
美琴「いいから!教えて!」
旅掛「わ、わかったここは...」
美琴「今から行くからまってなさいよ!」
旅掛「美琴ちゃん!そのまえになんでロシアにいるか...切られちゃった」
美琴「じゃ、じゃあ行って来るから!」
ミサカ10777号「行ってらっしゃいお姉さま」
美琴「ハアハア...」
旅掛「美琴ちゃんいらっしゃい」
旅掛「お茶でも飲む?」
美琴「そんなことより!アイツは!?」
旅掛「お、落ち着け美琴ちゃん当麻くんならそこにだから首をしめるのは」
上条「....よお」
美琴「..何が『よう』よ」
上条「...ごめん」
美琴「...ウル」
上条「み、御坂さん!?なぜ泣いてるのですか!?」
美琴「馬鹿!...よかった..生きててよかった...ウワアアアアアアアアアン」
上条「美琴...」
旅掛「.....」
感情のリミッターが外れた美琴は泣き崩れた
今までためてたものを全て吐き出したように
10分後
美琴「ヒッグ...ね、ねえアンタに伝えたいことがあるの」
上条「な、なんだ?」
美琴「でもそれはお父さんと話してからにするわ」
上条「は、はあ」
隣の個室
旅掛「美琴ちゃん?話って言うのは当麻くんに告白するんだろう?」
美琴「な、なんでわ、わかったのよ!?」
旅掛「あ〜本当だったんだ」
美琴「!!」
旅掛「美琴ちゃん何があったか知らないけど」
旅掛「当麻くんに告白してきなさい!感情をすべてぶつけてきなさい!」
美琴「!!?あ、アンタ父親でしょ!?なんで止めないの!?」
旅掛「当麻くんは私が認めた男だ!だから反対なんてしない!(それにアイツの息子だったとはな)」
美琴「(一体何があったのよ!!)え、えと、あ、ありがとうね!」
旅掛「!!」
美琴「私はアイツに...当麻に告白しやるんだから!」
旅掛「...何年ぶりだろうな...美琴ちゃんが抱きついてくるなんて」

上条「よう、話ってのは済んだのか?」
美琴「ええ、次はアンタよ」
上条「...」
美琴「ねえ、だ、大事な話なんだけどね」
美琴「黙って聴いて欲しいんだけど」
美琴「私...アンタが...上条当麻の事が大好きなの!」
上条「!!」
美琴「アンタは妹達を救ってくれた、大事な後輩も救ってくれた」
美琴「いつかアンタがぼろぼろになって何処かへ行こうとした時」
美琴「私は自覚した、ああ私こいつの事が大好きだって」
美琴「だからさあ..その...私と...付き合ってよ」
上条「御坂....」
上条「.....俺は生まれついての不幸体質だ..もしかしたらお前を不幸にするからもしれない」
美琴「そんなの関係ない!私は当麻といるだけで幸せなの!それにそんな不幸私が幸福に変えてあげるわよ!」
上条「そうか....今まで気づかなくてごめんな」
上条「こんな俺でよければ....付き合ってくれ」
美琴「馬鹿...でも好き」
上条「美琴...」
美琴「当麻...」
二人の唇が重なった
当麻と美琴がカップルになった時物語は..幸せへと導く

309とある通気管:2011/01/27(木) 15:54:04 ID:/T9pxqs6
すいません↑のタイトルは
小ネタ 戦争終了後
です

310■■■■:2011/01/27(木) 17:50:11 ID:L2MLlZOM
乙だが、行と行の間空けたりしたほうが読みやすいかな

311アルエ:2011/01/27(木) 18:27:02 ID:KHRmAh5s

皆様どうも
お久しぶりです。
アルエと申します。
久しぶりに2作目書きました今回は長いので分けて投下します。
誰もいなければ3分後に投下。

タイトルは『君の見る幸福な世界』

312アルエ:2011/01/27(木) 18:30:10 ID:KHRmAh5s

『君の見る幸福な世界』


寒い・・・
体が寒い・・・
呼吸が上手く出来なくて、心臓の音が無駄にうるさい
体が全然動かない、無理に動かすとギシギシと軋む
いつから私、上条当麻はこんなにも不幸になったのだろう。

俺はただみんなが笑って過ごせることを
望んでいただけなのに
何も悪いことをしてないのに
なぜ神様はこんなにも意地悪なのだろうか・・・

俺の望みを
たまには叶えてくれたっていいじゃないか

「くっっ」

足が痛い、体全身が軋む
今上条さんは立ち上らないといけないんだよ

行かなきゃいけないんだよ
これれで何もかも終わって迎えに行けるんだよ

やっと迎えに行けるのに・・・
なんで俺はこんなところでぶっ倒れってんだよ

「ゼーゼーッッゼーゼー」

上手く呼吸ができない
地面の埃が俺の息で舞う
右手からドクドクと真っ赤な血が流れているのがわかる

「み・・みッッ美琴・・・」

313アルエ:2011/01/27(木) 18:30:34 ID:KHRmAh5s




戦いが終わってやっと廃墟ビルから出るところだった
かなりの痛手は負っていたが壁をつたいながら歩ける程度だった。

ひとり敵を追い夢中に走ったからここがどこかわからない
インデックスや五和たちとも離れてしまった

でもこれで全て終わったんだ
みんなが笑って過ごせるんだ

「ハァーハァー。でも最後の最後で上条さん死亡フラグてすか」

右腕から手にからはしる痛み、出血に我慢しながら
左手を壁につけて歩いていた

「ははは・・もう血がいっぱい出すぎて軽く貧血気味ですよ」

体がフラフラするほんとにヤバいな
インデクッス、五和たちはどこに行ったのだろうか

「でも終わったんだイギリス政教も学園都市もみんな幸せに過ごせるんだ」

自然と笑みがでる
しかしボロボロの体では長い距離は歩けない
目の前が真っ暗・・・いや・・・真っ白になり膝をついてしまった

「めまいか・・・誰か来ないかな、来ないよな・・・来ないですよね」

自分の不幸体質に後悔しながら足に力をいれた
その時だった。
近くで爆破音が聞こえて

「見つっつ・・・見つけたぞ上条当麻・・・お前を道ずれにしてやる」

314アルエ:2011/01/27(木) 18:31:05 ID:KHRmAh5s


驚いて後ろを振り向いた
先ほど俺がぶっ飛ばした血だらけの敵がそこにいた

「うぉぉぉおおおおおおおおおお」

雄たけびをあげると周りの空間が歪み、そして爆発音を爆風が襲う

「くっっ」

反射神経的に右手で自分を守ったがかなりの傷を負っていた為
何秒か程反応が遅れってしまった

そして自分の体がこんなにも軽いのかと驚くほどに吹き飛んだ
まわりの物がスローモーションに見え

バッコンンン

自分の頭が思い切りバウンドした
生温かい血液が顔を伝う
そして全身に走る痛みに一瞬呼吸をするの忘れるほどだった

無駄にうるさい心臓の音、自分の呼吸
体が震えるほどに寒い
あまりにも辛くて目をつぶると目の裏側には

【 ムッスとしている御坂美琴がいた 】

「やることやったんだ・・・やっと帰れるんだっっぅくっそおおおおお」

全身に力を入れるも立ち上がれない体が軋む
爆発の影響だろう廃墟ビルがギシギシと音をたてっていた
直観でもうすぐ崩れると感じた、倒れている自分・・・上条当麻は・・・

「くっっみ・・みッッ美琴・・・」

315アルエ:2011/01/27(木) 18:33:52 ID:KHRmAh5s

とりあえず今日は3つで出来次第と投下します。
最終的にはいちゃいちゃします。笑
皆様それまでお待ちください。
みて頂きありがとうございます。

316とある通気管:2011/01/27(木) 19:34:09 ID:/T9pxqs6
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおGooD Job!!!

317とある通気管:2011/01/27(木) 19:42:07 ID:/T9pxqs6
美琴「ヒッグ..ヒッグ...」

御坂10777号「お姉さま...」

美琴「ヒッグ...とうまー!、う、ウワアアアアアアン」

〜美琴達からすこし離れた場所〜

旅掛「しかし、どうしたものか」

上条「う、うーん」

旅掛「おや?起きたかね」

上条「あれ?ここは?」

旅掛「いやあびっくりしたよ、なんせ海でつりをしていた時君が海に浮かんでたんだからね」

上条「海?浮かんでた?...ああそういえば」

上条「助けてくれてありがとうございます、あの〜お名前は?」

旅掛「ん?俺か?俺は旅掛、御坂旅掛だよ」

上条「ん?御坂?...もしかして娘さんの名前は..美琴ですか?」

旅掛「あれ?美琴ちゃんの知り合いかい?」

上条「まあそうです....!!」

上条「そうだ!美琴!アイツは!?今何処に!?」

旅掛「お、落ち着くんだま、まずは深呼吸」

スーハースーハー
旅掛「落ち着いたかね?」
上条「はい」
旅掛「とりあえず美琴ちゃんに連絡してみるかい?」
上条「ぜひ!」

プルルルル
美琴「お、お父さんから電話?」
御坂10777号「(空気よめよ)」
美琴「..ヒッグ...スーはー...もしもし?」

旅掛「美琴ちゃん?実はねえ君の知り合いらしき人をねえ今預かってるんだけど」

美琴「知り合い?...!!まさか!?そいつの名前は上条当麻!?」

旅掛「よくわかったねえ、そうだよ今ここにいるんだけど替わってあげようか?」

美琴「いや!今からそこへ行く!直接会いたいの!ねえ!今何処!?」

旅掛「美琴ちゃん?ここはロシアだよ?今から学園都市からロシアまでなんて..」

美琴「私は今ロシアにいるの!!だから教えて!今何処?!」

旅掛「美琴ちゃんなんでロシアなんかに..」

美琴「いいから!教えて!」

旅掛「わ、わかったここは...」

美琴「今から行くからまってなさいよ!」

旅掛「美琴ちゃん!そのまえになんでロシアにいるか...切られちゃった」

美琴「ハアハア...」

旅掛「美琴ちゃんいらっしゃい」

旅掛「お茶でも飲む?」

美琴「そんなことより!アイツは!?」

旅掛「お、落ち着け美琴ちゃん当麻くんならそこにだから首をしめるのは」

上条「....よお」

美琴「..何が『よう』よ」

上条「...ごめん」

美琴「...ウル」

上条「み、御坂さん!?なぜ泣いてるのですか!?」

美琴「馬鹿!...よかった..生きててよかった...ウワアアアアアアアアアン」

上条「美琴...」

旅掛「.....」

感情のリミッターが外れた美琴は泣き崩れた
今までためてたものを全て吐き出したように

10分後

美琴「ヒッグ...ね、ねえアンタに伝えたいことがあるの」

上条「な、なんだ?」

美琴「でもそれはお父さんと話してからにするわ」

上条「は、はあ」

隣の個室

旅掛「美琴ちゃん?話って言うのは当麻くんに告白するんだろう?」

美琴「な、なんでわ、わかったのよ!?」

旅掛「あ〜本当だったんだ」

美琴「!!」

旅掛「美琴ちゃん何があったか知らないけど」

旅掛「当麻くんに告白してきなさい!感情をすべてぶつけてきなさい!」

美琴「!!?あ、アンタ父親でしょ!?なんで止めないの!?」

旅掛「当麻くんは私が認めた男だ!だから反対なんてしない!(それにアイツの息子だったとはな)」

美琴「(一体何があったのよ!!)え、えと、あ、ありがとうね!」

旅掛「!!」

美琴「私はアイツに...当麻に告白しやるんだから!」

旅掛「...何年ぶりだろうな...美琴ちゃんが抱きついてくるなんて」

318とある通気管:2011/01/27(木) 19:48:18 ID:/T9pxqs6

上条「よう、話ってのは済んだのか?」

美琴「ええ、次はアンタよ」

上条「...」

美琴「ねえ、だ、大事な話なんだけどね」

美琴「黙って聴いて欲しいんだけど」

美琴「私...アンタが...上条当麻の事が大好きなの!」

上条「!!」

美琴「アンタは妹達を救ってくれた、大事な後輩も救ってくれた」

美琴「いつかアンタがぼろぼろになって戦いに行こうとした時」

美琴「私は自覚した、ああ私こいつの事が大好きだって」

美琴「だからさあ..その...私と...付き合ってよ」

上条「御坂....」

上条「.....俺は生まれついての不幸体質だ..もしかしたらお前を不幸にするからもしれない」

美琴「そんなの関係ない!私は当麻といるだけで幸せなの!それにそんな不幸私が幸福に変えてあげるわよ!」

上条「そうか....今まで気づかなくてごめんな」

上条「こんな俺でよければ....付き合ってくれ」

美琴「馬鹿...でも好き」

上条「美琴...」

美琴「当麻...」

二人の唇が重なった
当麻と美琴がカップルになった時物語は..幸せへと導く
数年後

美琴「ほら!起きなさい!朝よ!」

上条「ふぁ〜おはよう」

美琴「ほらちゃっちゃと顔洗って、朝ご飯できてるわよ」

上条「う〜い」

美琴「何年たっても朝はテンション低いわね〜」

上条「上条さんは朝は弱いんですよ」

美琴「その『上条さんは』って言う口ぐせ止めてくんない?私だって上条なんだから」

上条「あ〜すまん、どうしてもこの口ぐせ直せないんだ」

美琴「ま。いいけど」

上条「...なあ。美琴」

美琴「ん?」

上条「久しぶりに第7学区行って見ないか?」

美琴「どうしたの?突然」

上条「いや〜昔を懐かしみたいんですよ」

美琴「ふ〜んいいわよ、打ち止めとかにも会いたいし」

上条「じゃ飯くったら行くか」

美琴「そうね、あなた」
二人は幸せな毎日を過ごしていた
To Be こんちにゅー?




ちょこっと修正じゃあとちょこっと追加じゃ
2スレも使っちまった

319小ネタ 戦争終了後:2011/01/27(木) 19:49:47 ID:/T9pxqs6
もしかしたら新婚生活やるかもしれませんね

320■■■■:2011/01/27(木) 19:56:57 ID:b81Nfn5Y
>>304
適当に作ったやつだからな!

>>315
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

321小ネタ豚:2011/01/27(木) 21:08:27 ID:SVgQbiTc
小ネタ書いてみた。
2スレ借りますね。

322小ネタ豚:2011/01/27(木) 21:09:53 ID:SVgQbiTc
変化を兆す初詣[誓う守り]番外編

俺の名前は土御門 元春
ドラマ前編《変化を兆す初詣》の現場監督だにゃー
個性すぎる役者が多すぎるのか撮影は困難を極めたにゃー
その撮影中に起きた珍プレーなどを一部ここで紹介しようと思うぜよ


ケース1
今こそ不幸生活に終止符を!今週のこの時間からは《とある幸福の上条日記》が始まるのですよ〜

美琴「ちょっと当麻!どーゆーこと!?アンタまさか黙って浮気でもしたんじゃ!?」

上条「断じて違う!上条さんはいつだって美琴一筋だっ!」

琴「とうまぁ〜♪」

土御門「はいカット!まぁこのくらい想定してたけどにゃー。いささか早すぎるぜよ」


ケース2
あのシスターはどうだろう?
彼の両親とも先に知り合っていたようだし夏は一緒に海に行ったらしい。
もう付き合いも公認なのだろうか?
既に婚約!?結婚届け!?学生結婚!?新婚旅行!?

琴「…」

琴「とうまぁ〜」

上「美琴ぉー!左手っ!左手の薬指ぃー!」

土「はいカットカットー!この時点で指輪をしてたら色々とおかしいにゃー」


ケース3
琴「ちょっとなに聞いてんのよ!いったいいつからっ!」

美鈴「いつからって《それはそのぅ…収録終わったら一緒に今夜…》から?」

琴「なんでそれをっ!?」

土「はいカットカットカットー!ここで生々しいプライベートを暴露しなくてもいいにゃー」


ケース4
琴「小さくて悪かったわね…」

上「あれ?なぜ台本と違うんでせう?」

琴「しかも大きいのが相手だとすぐにデレデレするし…」

上「土御門ォーーーー!!」

琴「そんなに大きいのが好きかゴラァァァアアアアアアッ!!」

土「これはフォローできないにゃー」


ケース5
琴「終いにはそんな女の子に向かって不幸だとかどういうことなのよ、ゴラァァァアアアアアアッ!!」

その日上条当麻は三度目の死を迎えることになる。

土「地の文違う!誰か担架!担架持ってくるにゃー!あと病院へ救急車と専属医の連絡ぜよ!!」


ケース6
琴「新年早々アンタは私を怒らせたわよね?」

上「その通りでございます」

琴「不愉快な思いをさせたわよね?」

上「面目次第もございません」

琴「子供は何人欲しい?」

上「男の子と女の子で二人…ってあれ?」

琴「頑張るね、とうま。キャッ♪」

土「収録の場を利用しないでほしいにゃー」

323小ネタ豚:2011/01/27(木) 21:11:28 ID:SVgQbiTc
ケース7
琴「新年早々アンタは私を怒らせたわよね?」

上「その通りでございます」

琴「不愉快な思いをさせたわよね?」

上「面目次第もございません」

琴「胸は大きい派?小さい派?」

上「美琴派」

琴「とぉ〜まぁ〜♪」

土「ここは愛の巣じゃないにゃー」

ケース8
鈴「彼、もてる感じだし?このままじゃ他の人に奪われちゃうわよ?」

琴「そんなことない…よね?とうまぁー」

土「はいカットー!青ピ、これで何回目かにゃー?」

青ピ「聞かないほうが賢明やでつっちー」

ケース9
上「美琴。なにぼーっとしてんだ?俺たちの番だぜ」

琴「…」

上「美琴?」

琴「ごっごめん。真剣な表情もカッコよくて…」

土「もう…気力が…わかないにゃー」

ケース10
盛大にため息をつく美琴を不審に思い、顔を覗き込んで尋ねる。

上「美琴?」

琴「とうまぁ〜♪」

上「みこっふむぐっ」

土「はいブレイクブレイク。二人とも続きは帰ってやるぜよ」

ケース11
上「どうした美琴?まさかっ…まさか上条さんにあれをやれと仰るのですかっ!?」

琴「さすがに私だって無理よっ!ってそうじゃなっ」

鈴「嘘ね」

禁「嘘かも」

小「嘘ですねー」

姫「嘘…」

青「嘘やね」

土「嘘だにゃー」

上琴「…」

青「でもあれは冗談のつもりで入れてたんやで」

土「ホントにやってるとは思わなかったにゃー」

ケース12

琴「とうま。目と口を閉じたまま聞いて?」

上「…」

なにやらガタガタ震え、寒いはずなのにびっしょり汗をかいている。

琴「ここから先はとうまは一切他の女を見ちゃダメ。見ていいのは私だけ」

「もしやぶったら…」

ビクンっと痙攣した。何か酷いことをすると思ったのか?ならばそれは失礼だ。


「本気で襲(殺)っちゃうから…」


土「これがヤンデレールガンかにゃ?」

青「なにそれ?」

土「そんな神の声が聞こえたぜよ」

324■■■■:2011/01/27(木) 22:19:29 ID:erHecgXg
>>321
噴いたw
なるほど、舞台の裏側ではこんなやりとりが…w

325アルエ:2011/01/27(木) 23:43:56 ID:KHRmAh5s

また出来たので貼ります。
3枚ほど貼ります。

326アルエ:2011/01/27(木) 23:45:10 ID:KHRmAh5s
君の見る幸福な世界





俺はまだやることあんだよ


神様


お前が望む事は一体なんだよ


これは俺が望む事じゃないんだよ


たまには不幸な上条当麻にも


幸せな世界を見せてみろよ



「まだ俺にはやることがあっぁぁぁぁぁぁあるんだよ」


全身に力を込めたでも立ち上がれない
自分がいくら望んでも立ち上がることは出来ない

大きい声を出したせいか口から大量に血液がでた


「わたしだってアンタの力になれる」

いつか言っていた美琴の言葉を思い出した
そうだよ美琴は・・・美琴の存在は俺の原動力になっていたよ

327アルエ:2011/01/27(木) 23:45:34 ID:KHRmAh5s

「上条さんもここでを終わりか・・・ゼェーゼェー」

自分が死に直面すると妙に冷静になってきた
また自動販売機の前のベンチでヤシの実サイダー飲みたかったな
今度は貧乏だけど俺がおごってやるか
自分の置かれている状況では非現実的なのにそんなことを思って笑ってしまった



ドーンと大きな音が鳴った
頭を少し動かして音のする方を見た
少しでも頭を動かすとまた生温かい血液が流れた

廃墟ビルの壁が少しずつ崩れていた
いつまでこの廃墟ビルがもつかわからない
シュンとどこかで音が鳴ったがビルが崩壊するからだろう
ゆっくりと目を閉じながら


「もう一度最後に美琴の顔見たかったな・・」


そう呟いたあとに
またシュンと音が鳴った

でも上条さんには目を開く元気もない・・・
心臓の音があんなにうるさかったのに今はすごく静かで
自分が呼吸をしているのかしていないのかわからなかった・・・

ただおでこが暖かかった誰かが触れているかのように
そしてその温もりが消えると

ドーーーーーーーーーーーンと音が鳴り響いた

ビルが崩れたのだろうそう思った。

328アルエ:2011/01/27(木) 23:45:59 ID:KHRmAh5s

===================
======================
=========================


「黒子、お願いアッチに飛んで」

「でもお姉様先ほどあちらで大きな爆発音が」

泥だらけの制服をひるがえし私と黒子は走っていた
直観でなんとなくアイツはあそこにいるのではないかそう感じた

私はなんでかわからないがアイツを見つけるのが得意らしい
そう学園都市でも、あんなに広い学園都市なのに
アイツを見つけて目で追ってしまう
悔しいが私はアイツが好きなのだ・・・

「お願い、絶対あそこにいる・・・そう感じる」

「お姉様・・・はい、わかりましたの。白井黒子はお姉様と共に」

黒子は私の腕をつかみシュンと音をたてて
テレポートした。


いろんな宗教や学園都市が混乱している中心にアイツがいるなんて
そして今そのアイツが生命をかけてこの戦いに終止符を打つ為に戦ってなんて

お願い・・・
生きていて・・・

美琴は一瞬涙が出そうになるのを我慢して願った
最悪結果が一瞬頭をよぎる胸がギュっと苦しくなる

「今度は私が助けるから」

329アルエ:2011/01/27(木) 23:47:29 ID:KHRmAh5s


はい、では皆様が待っているかわかりませんが
また出来次第投下します。

ありがとうございました。

330■■■■:2011/01/27(木) 23:58:19 ID:b81Nfn5Y
>>321
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

>>329
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

331■■■■:2011/01/28(金) 00:36:53 ID:g8x81Ivs
GJ!待ってます!

332■■■■:2011/01/28(金) 00:54:07 ID:A8nFplIc
>>329
GJ!
良いところで切っちゃうな…

333■■■■:2011/01/28(金) 04:26:18 ID:9lKmrNLk
ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

334■■■■:2011/01/28(金) 05:58:45 ID:jR08xG22
書き手が増えたのはいいことだぜい

335とある通気管:2011/01/28(金) 17:48:04 ID:CT2wuwlA
く、くそおお
カミヤン!死ぬなよ!

336■■■■:2011/01/28(金) 20:32:33 ID:PknaQ4uM
遅レスだけど
>>280
GJ!しかしどうにもこの美琴は普通に一途で可愛いとしか思えない。
これがヤンデレにまったく見えない私は感覚がヤバイのだろうかw

>>295
やっぱり美琴の笑顔は最高だと思うのですよ、なんでそれをスルーするかな、上条さん

337アルエ:2011/01/28(金) 21:38:38 ID:s31gLSqU


皆様お待たせしました。
皆様のコメントだかなりモチベーションが上がりました。
嬉しかったです。

でわ続きを3分後に投下します。

338アルエ:2011/01/28(金) 21:41:05 ID:s31gLSqU
君の見る幸福な世界



「とうまを・・・・助けてほしんだよ」

「てかなんで・・・アイツは・・・黒子は先に帰ってて」

「お姉様・・・黒子は逃げ出す程、非情ではありません・・・パートナーですの」
=============================

普段はこんなところに来ないのに私は電撃の検査とかで・・・
常盤台から数百名と施設に連れられて3日間かけて検査する

まぁ簡単に崩していえば大きな宿泊研修みたいな感じだ
新しい環境で能力の向上がコンセプトらしい

しかしそのテレポーターが検査する施設と私が使用する施設に
不具合があって私と黒子は初春さんや佐天さんのお土産をこの時間に買いに行こうと
街をブラブラしもう夜の19時門限ギリギリ・・・近道しようと暗い路地に入った

どこかで爆発音がした

「なに」
「わかりませんの」

ただここからそう遠くはない
廃墟ビルが密集したところからの爆発音

黒子が走りだそうとした手を引きとめた
なんかヤバい気がするそう感じた、そして胸がザワザワした

「お姉様?」

黒子の呼びかけに耳をかたむけながら
目線は動かさずにいた

「黒子・・・」

339アルエ:2011/01/28(金) 21:41:27 ID:s31gLSqU




すぐに戦闘態勢になれるように身構え
目の前にいる人物に話しかけ

「こんな暗闇でスタンガンをバチバチなにしてんのよ」

そう言って電撃を人物に当たらないように軽く飛ばした

「ひぃぃ」

ガタガタと逃げる音が聞こえた

「待ちなさいよ」

黒子が美琴を止めようと走りだしだしたが間に合わなかった
そのまま廃墟ビルがある方へと美琴と黒子は知らずに走っていた

「曲がり角・・・待ちなさい」

見失わないように電撃を飛ばした

「うわぁぁぁ」

あれ?私の電撃は当たってないのに・・・
シュンと音を立てて黒子が現れた

「お姉様早すぎますは」

「あっっ黒子」

二人でゆっくりと曲がり角を覗くと
そこには倒れている男と

「アンタは・・・」

340アルエ:2011/01/28(金) 21:41:58 ID:s31gLSqU


そこには白い修道服を着た子と黒髪の女性がいた

「五和・・・大丈夫?あっっ短髪・・・」

私に気が付いたのかこちらを向いた

「なんでアンタがこんなところにっって怪我してるんじゃない」

よく見るといつも白い修道服は泥に汚れていて
ところどころに血液が付いていた
隣にいる女性も怪我をしていた

「短髪いまはそれどころじゃなんだよ、とうまが・・ごめん短髪今は行かなきゃ」

「ちょっと待ちなさいよ。アイツがどうかしたの?」

私はどこかに行きそうな修道服の子の腕を
掴み話を聞いた

「短髪、一般人は巻き込めないんだよ。五和先に行ってなんだよ」

「一般人ではありませんの・・・ジャッチメントですの事情をお聞かせください」

「黒子・・・」

黒子がジャッチメントの腕章を見せながら
白い修道服の子に聞いた

白い修道服の子はちらりとこちらを見て
逃げれないの確認してから

「短髪はとうまの友達だから・・・」

そしてわかりやすく私にアイツが置かれている状況を教えてくれた

341アルエ:2011/01/28(金) 21:42:27 ID:s31gLSqU
10


「あのバカ」

「短髪・・・とうまを助けてほしんだよ」

いまにも泣きだしそうな顔して
よっぽど焦ってんのね

私だって力になれる
前の借りが返す時が来たのね

「黒子・・先に帰ってて」

「お姉様・・・黒子はそんなに非情ではありませんの」

黒子・・・普段は危険なことに巻き込みたくないから
嘘をつくが今はそんなことよりもアイツの姿を見たい

「黒子」

「お姉様、黒子は引きませんよ」

「短髪時間がないんだよ。とうまが」

「わかった行くわよ、黒子危なくなったら逃げなさいよ」


そして私たち三人は走りだした
廃墟ビルに近付くにつれて爆発音が大きくなってきた

暗くてよく見えないが倒れているひとが
何人もいた

342アルエ:2011/01/28(金) 21:44:35 ID:s31gLSqU


また今日はここまでです
まだまだ続きますので皆様お待ちください

そしてたくさんのコメント本当にありがとうございました。

343とある通気管:2011/01/28(金) 22:26:33 ID:3eyhoAO2
うおおおおおおおおおおおおおおおGJ!

344■■■■:2011/01/28(金) 22:35:58 ID:i2gINDvo
>>343
???

345■■■■:2011/01/28(金) 22:58:13 ID:vnkYpkcw
いい加減SS投稿する時以外でコテハンやめれ

346■■■■:2011/01/28(金) 23:00:17 ID:HNEYaNoM
言われて気づくわ
いちいち気にしすぎだよ

347■■■■:2011/01/28(金) 23:21:07 ID:dEi.Ncgg
>>342
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

348小ネタ豚:2011/01/28(金) 23:33:31 ID:wrDwcB/U
>>342
GJ!楽しみに待ってますね。
戦闘シーン書けるってすごいなって思います。


取りあえずみんなの暇つぶしになることを祈りつつ、投下しますね。
35分ごろに7レス消費します。

349想定外の邂逅[二つの世界]:2011/01/28(金) 23:37:05 ID:wrDwcB/U
変化を〜の続きになります。
展開が強引なのはご容赦をば


一月 某日

〜学生寮の一室〜 

「今日も上条さんの日常が始まりますよっと」

冬休みも終わり今日から新学期だった。
始業式に間に合うよう余裕をもって早起きし、朝食の準備に取り掛かる。
ご飯、目玉焼き、簡素なサラダ、味噌汁を用意しているうちに居候が目を覚ましたようだ。

「おはよう。とうま」

「おはよう。インデックス」

いつものように自分の分と彼女の分を用意する。その比、1対3。
しかも上条は育ち盛りの男子高校生だ。一方、この銀髪碧眼シスターはどうみても12,3才の女の子にしか見えない。
見慣れている光景とは言え、ついため息が出るのはおかしくないはずだ。おかしくないよね?
それでも幸せそうにご飯を頬張る彼女を見てつい疑問が出てしまう。

「…なあ。インデックス」

「なにかな?とうま」

「旅行先で美味いものたくさん喰ったんだろ?こんなもんで良いのか?」

「それはやっぱり、あっちのほうが断然おいしかったかもっ」

居候の遠慮の無い言い方に閉口せざるをえない。

「でも、とうまと食べるご飯がわたしには一番幸せなんだよっ」

「俺は調味料かよ…」

人間扱いされてないことにゲンナリしつつ、塩か胡椒か該当しそうなソレを検索していると、向かいに座るインデックスがなにやら黒いオーラを纏い始めた。

「とーぅまぁぁー」

「インデックスさん?」

「とうまはいつだってとうまなのはわかってるけど…」

「ひっ」

ゆらりと残像を生み出しながら立ちあがる禁書目録。ビビる上条。

「乙女ノ幻想を粉砕シた罪ハ重いかモ……」

牙が鈍く光る。

「とうまノ頭蓋をカミクダイテ…望ミ通り…専用ノすぱいすニしテ…」

ヒタリ、ヒタリと距離を詰めて、ホラー映画もかくやと言わんばかりのインデックス。
今の彼女が出演したらきっと女優としてなにか賞が貰えるだろう。
ならば上条は哀れな犠牲者か、それともそれに打ち勝つことができるのか。
一般的にホラー映画は概して最終的には襲われる側が生き残るのだ。

「アゲルンダヨォォォオオオオオオオオーーーーーーーーッ!!」

「ぎゃーーーーーーーーーーーーーッ!!」

しかしそれは海外の風潮であり、日本のソレはだいたい悲しい最後を迎えてしまうものである。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

350想定外の邂逅[二つの世界]:2011/01/28(金) 23:38:23 ID:wrDwcB/U


「かみやんはいつも通りだにゃー」

始業式だったので特に授業もなく昼過ぎの時間帯。
既にHRも終わり帰宅時間であるのにもかかわらず、上条は机にうつ伏せてぐったりのご様子。
友人の言葉通り、あの後はいつものように不幸が待ち受けていた。
インデックスに時間さえも喰われてしまい、遅刻しないように急いだ。
犬を蹴っ飛ばし、側溝に落ち、不良に絡まれ、追いかけられながら、それでも走ったのだ。
生まれる時代が違えば伝説として人々に語り継がれ、教科書に載っていただろう。
やっとの思いで教室に辿り着き、扉を開ける上条。
物語ならそこには親友がいて、偉そうな王様がいて、そして王様はこう言っただろう。

「―わしの負けじゃ―」と

実際にはそこには級友がいて、偉大なる先生様がいて、そして先生様はこう言ったのだ。

「―かみじょうちゃん。遅刻です―」 と

そんな不幸を相手に仁義なきワンサイドゲーム繰り広げて、上条は体力と精神力を使い果たしていた。
しかしいつまでもぐったりしているわけにはいかない。
今日の日程はインデックスに伝えてあるので、家に戻り昼食を作る必要がある。
冷蔵庫の備蓄食料がずいぶんと減っていたことを今朝確認したので、買い出しに行かないといけない。
近所一帯のスーパー安売りセール日程に思考を巡らせていると、なにやら周りが騒々しいことに上条は気付いた。

「どうしたんだ。土御門?」

デルタフォースの義妹兼メイド専門、土御門 元春に問いかける。

「わからないにゃー。でも校門辺りが騒がしいぜよ」

校門で?不思議に思い教室の窓から見ようとして…
そこで先に帰ったはずの青髪ピアスの少年が慌ただしく戻ってきた。

「たいへんやでーーっ!!」

デルタフォースのジェネラリスト、青ピ(本名不明)が叫ぶ。
この慌てぶりからして、そんなに大きな出来事でもあったのか。

「どうしたんだにゃー」

「どうしたもこうしたもあらへんでっ!」

「とにかく落ち着くにゃー」

一拍置いて青ピは続ける。

「校門のところに…」

「「校門のところに?」」

「常盤台中学の女の子が…」

[常盤台中学]のくだりを聞いて、上条の不幸センサーが反応。
まさか冬休みのほとんどを振り回し、消費させたあの災害が来ているだと?
額に流れる汗を拭い、そして周囲の視線が集まっていることに気が付いた。
デルタフォース最後の一人。一級フラグ建築士、上条当麻へと。

「「かぁ〜みぃ〜やぁ〜ん〜」」

命の危険を感じて鞄をつかみ教室を退散。

「逃げたぞー!追えー!!」

背後から追討命令が聞こえる。
振り返るとまだ教室に残っていた暇人どもが追手になっていた。
彼らはこんなことに力を費やす前に自らの青春を謳歌すべきだと上条は思う。

『ぴんぽんぱんぽーん』

『被疑者上条当麻は校門のフラグ回収を目的に現在逃走中。至急応援求む。繰り返す』

どうやら放送室を乗っ取ったらしい。
この高校はいろんな意味で大丈夫なのだろうか?

『なお捕縛対象は被害者も加え二名。捕縛次第連行、二名の供述を記録し明日の上条裁判に備えることとする』

「(絶対に捕まるわけにはいかねえっ!)」

今まで開かれた数々の裁判に背筋が寒くなる。
あれは決して裁判では無い。裁判という名を冠した拷問だ。
しかも対象が二名である。捕まってしまえば今の彼女がなにを言うか想像も出来ない。

「くそっ!不幸だぁぁーーー!!」



「御坂っ!!」

美琴は校門に寄りかかり、びっくりした目でこちらを見ている。
背後で土煙りをあげながら向かってくる追討者たちの存在にも驚いているようだ。

「当麻!?どうしたの!?」

「事情は後だ!今は逃げるぞ!」

彼女の手を強引に掴み走る。

「ちょっと!?いきなりなんなのよっ!?」

「いいから!!」

美琴の手を引き懸命に走る上条。
戸惑いながらも赤い顔でテレテレしている美琴。

そんな二人を見て追手の士気が上がったのは言うまでもない。


_________________________________________________________________________________________________

351想定外の邂逅[二つの世界]:2011/01/28(金) 23:39:24 ID:wrDwcB/U
〜いつもの公園〜

追手を巻くために奔走して1時間。
二人はいつもの公園に来ていた。
走り回って喉が渇いたので自販機で飲み物を購入する。

美琴のために《椰子の実サイダー》を。
上条も同じものを買うが出てきたものは…《殺る気一発!リポナミンD》
Dの後ろに小さくethと書いてあるが気のせいと信じたい。
具体的に何が誰をどうするのかを製作者に問い詰めたくなる、そんな商品だった。

「はあぁっ…不幸だ」

朝から続く不幸ラッシュにため息をついて今日何度言ったかわからない口癖が出る。
その言葉に美琴はわずかに反応を見せたが、先に事の次第を説明してもらうことにしたらしい。

「それで?なんだったの?」

「本気で言ってんのかよ…」

上条の高校は無名だ。それに比べ美琴の中学は学園都市で五指に入る名門。

「そんなお嬢様がウチの高校で誰かを待ってるのは変だろ」

「…でもそれがなんで当麻に繋がるの?」

ベンチに座る元凶に缶ジュースを渡し、隣に座って説明を続ける。

「夏休みにあっただろ?恋人ごっこが…」

「なるほど」

夏休みの最終日、上条と美琴は恋人ごっこをした。
それには事情があってお互いにそれを能動的に行ったわけではない。
美琴は海原光貴という青年からの誘いを無碍に断り切れず、たまたま通り掛かった上条に恋人役を演じてもらうために無茶な行動をした。
その光景を多くの人が目撃しており、そこには上条の高校に通う学生も含まれている。
そんなこともあり、上条は常盤台の女の子にフラグを立てたと認識されていた。

「それで美琴はどうしたんだよ」

「メールしたわよ。あと電話も」

美琴に目的を尋ねるが、連絡をしてくれたそうだ。
しかし携帯を探すも見つからない。そういえば持ってきたっけ?

「部屋に忘れちまった…」

「そんなことだろうと思ったわ」

「で?用件は?上条さんはこれから重大な使命があるんですが…」

「今日は鶏肉ブロック100グラム99円。卵も10個入り1パック128円ね、1人1個限定だけど。あと醤油もちょっと安いのよね。さしずめお昼は親子丼?」

「なぜそれを!」

それは近所一帯の安売りセールに思考を巡らせ、標的に選んだ商品だ。
しかも主食に考えていたメニューまで……なぜわかるのだろう?

「加えて、あっちのドラッグストアじゃ日替わりセールで台所用洗剤、ボックスティッシュがお買い得ね」

「そこまでは知らなかった!と上条は驚愕します」

「妹の真似しても気持ち悪いだけよ」

「結局、美琴せんせーはなにがしたいんでせうか?」

意図が掴めない。でも嫌な予感がする。

「お昼御飯作ってあげる」

「げ…」

「どうしたの?当麻」

「(まずい)」

部屋には獰猛な獣が棲んでいるのだ。連れて行くわけにはいかない。
ましていつかの地下街でのやり取りから想像するに、二人の遭遇が危険なのは明白である。

352想定外の邂逅[二つの世界]:2011/01/28(金) 23:41:08 ID:wrDwcB/U

「男の一人暮らしじゃ大変でしょ?それを労ってあげるんだから感謝しなさい」

「いえ、あそこは男子寮でして…女の子を連れていくのは…」

「舞夏は義兄を訪ねているのに?」

「うぐっ」

「それとも……見られたくないものがあるの?とうま?」

とうま、と呼ばれ汗が噴き出る。
同じ響きでもこのニュアンスのときの美琴は非常に危険だ。
そのことは冬休みで思う存分味わっている。
手元に携帯電話が無いためインデックスを避難させることが出来ない。
あの腹ペコ目録は今も上条(昼ごはん)を待っているだろう。
ならばハングリンデックスが偶然、出かけている奇跡を信じるしかないのか。

「わかった。わかったから…」

「色々とガサ入れが必要なのかしら?当麻の部屋は」

「そのネタを引っ張るの止めてくれ。ほら買い物に行かないと」

この雰囲気は本当に精神衛生上よろしくない。
上条は話を逸らしてベンチから立ち上がり促す。

「そうね。でも…」

美琴も続いて立ちあがった、ゆらり、と。……ゆらり?

「その前にやること済まさないと」

「…はい?」

「罰ゲーム。《約束》破ったでしょ?」

その台詞に顔が青白くなるのがわかった。

「ちょっと待てっ!まだ…言って…な…い」

「言ったわよ。私の前で『不幸だ』って」

言ったかもしれない…

「校門前の『御坂』は許してあげる」

あんな状況じゃあね、と付け加えて上条は選択を迫られた。

「さて。どっちがいいの?」

なにやら美琴はポケットをまさぐりコインをジャラジャラ言わせている。

「う…ぁっ」

徐々に距離は詰められていく。
今まで繰り返されてきた罰ゲームという名の虐待のせいか、足が震えて動けない。

「とうまはコレがいいの?」

フルフル

「嫌なの?」

コクコク

「じゃあこっちかしら?」

下から覗き込むようにして見つめられた。
目が……逸らせない。
そのまま美琴の両腕が上条の首にまわされ、完全に退路が絶たれる。
そしてそれはいつか夢に見た光景。

「どっちも…っふむーーーっ!!」

「とう…んん…とう…ま…ぁ…」

苦し紛れに出た言葉が彼女の唇によって塞がれた。
それからたっぷり10分間、上条の唇は蹂躙されてしまう。

353想定外の邂逅[二つの世界]:2011/01/28(金) 23:42:18 ID:wrDwcB/U


上条当麻と御坂美琴は付き合っているわけではない。
上条は犯罪者になってないし、彼から手を出したことは皆無だ。
変わったのは御坂美琴。初詣の一件から彼女の変化は著しい。
それ以前と比べると電撃を飛ばさなくなった代わりに、彼女は過剰なスキンシップを取ってくる。
初詣が終わった後も美琴からの呼び出しは続いた。
外せない予定が無い限り、デートやら何やらで上条は美琴に振り回される。
上条も嫌ではない。むしろ楽しいとさえ言える時間を過ごしていた。
心配していた何かに悩む素振りもなく、屈託のない笑顔を上条に向けてくれる。

―わからない―と思う。

そのスキンシップの意味が、彼女が向けてくる笑顔の意味が、解らないわけじゃない。
だが、彼女は“そう”なら“そう”と言葉にする性格だ。
実際にその言葉を聞いたことはない。

では上条は?
美琴は好感が持てる人物だ。
そして繰り返される彼女との時間に、自分が惹かれつつある事にも自覚がある。
けれど“その”感情を彼女へ向ける事に抵抗があるのは事実。
それは決して道徳や倫理から成るものではない。
一度だけ、自分から“そういう風に”触れてみようと考えたことがあった。

しかし

体が強張る。 ――サワルナ――と

心が警告する。 ――ヤメロ――と

そんなこともあって彼からその行為を取ることは無い。否、出来ない。
そして、今日も罰ゲームに甘えて上条当麻は堕落する。



「不公平だっ!」

「なにが?」

「《約束》がだっ!」

上条は不満を爆発させるように言った。
内容は別段難しいものではない。

御坂美琴を名前で呼ぶこと。  これはいい。
御坂美琴の前で「不幸だ」と言わないこと。  これもまだ我慢する。

以上の記述を破った場合、違反一回に付き――

超電磁砲10発または10分間上条当麻の人権は全て御坂美琴に移る。←これが明らかにおかしい。

「なにこの不平等条約!?陸奥を!小村を呼べーっ!」

「文句あるの?とうま?」

とうま、と呼ばれ抵抗できなくなる。
おかしい。どうしてこうなった。

「そもそも公衆の面前で乙女を泣かせたことに罪悪感が湧かないのかしら?」

それを出されると上条は何も言えない。

「ま。いつか教えてあげる」

「?」

「行きましょ。お昼のタイムセールに間に合わないわよ?」

____________________________________________________________________________________________

354想定外の邂逅[二つの世界]:2011/01/28(金) 23:43:40 ID:wrDwcB/U
二人は買い物を終えて、上条の住むマンションの前まで辿り着く。
それぞれの関心は異なっているせいか、互いのテンションに落差が生じている。
美琴は何が珍しいのか、辺りを見回している。恋慕う男性の部屋を訪れるだから無理もないかもしれない。
要するに落ち着かない。挙動不審、興味津々。

「ここに住んでるんだ…」

「…」

「さっきから様子が変よ?」

「いえ…なんでも…ありません…ヨ?」

そして処刑場へ赴くかのような上条。
女の子が家で手料理を振舞ってくれることは嬉しいイベントであるはずなのに、嬉しくない。
インデックスが出かけているという奇跡に縋りたくても、彼は奇跡という単語には程遠い人間だ。
きっと磔にされて言葉と言う鋭利なモノで引き裂かれてしまうのか。
要するに落ち着けない。挙動不審、悔苦深々。

「それにこの量……明らかにおかしいわよね?」

「上条さんは育ち盛りなものでして…ハハハ…」

二人が提げているスーパーの袋の量は多い。
まるでこれから男性が4、5人集まって鍋を囲みそうな勢いだ。
もしそうなら上条は諸手を挙げて喜んだだろう。しかし悲しいかな現実は違うのであーる。

「これ以上の追及は勘弁してあげる」

「ありがとう!美琴たんっ!」

「たん言うなっ!それに部屋に着けばわかることでしょ?」

「…」

部屋の前まで辿り着き、鍵を取り出し差し込もうとするが上手く入らない。
上条がガタガタ震えているせいだ。

「(今日が上条さんの命日になるんでしょうか…)」

きらめく八重歯、ほとばしる雷光、荒れ果てる部屋が果てしなくカタストロフィー。
そこまで想像して、背後に佇む美琴の不信感が増大していることに気付き、覚悟を決める。

「ええい、ナントカを喰らわば皿まっぶふぉあっ!?」

鍵を開け、ドアを開こうとした瞬間――――上条はドアに衝突した。
不意の衝撃で尻もちをついてしまい、へたり込む。

「とうま!おそいかもっ!?もうわたしのおなかは……え?」

どうやらインデックスが中からドアを開けたせいらしい。
上条にさっさと昼食を作らせようとして……視界に入った異物を感知する。

「なんでっ!?なんで短髪がここにいるのっ!?」

「……当麻の様子が変なわけだわ」

「とうま、説明してほしいかもっ!」

予想通り?の展開に身を竦めてしまう憐れな上条さん。
きらめく八重歯、ほとばしる……………あらっ?

「とーォうまァァああああああああッ!!」

「痛い痛い痛い痛い痛いイタイですインデックスさぁーんーーーーーーーーーッ!!」

捕食される寸前に生じた違和感はインデックスよって霧散してしまった。

「わたしが苦しんでいるときにとうまはっ!とうまはぁぁああーーッ!!」

上条は勘違いをしている。
ナントカを喰らわば〜、と言ったが彼は食べる側ではない。

「いつもほかの女の子といちゃいちゃしてぇぇえええーーーーッ!!」

彼は常に食べられる側なのだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

355想定外の邂逅[二つの世界]:2011/01/28(金) 23:47:41 ID:wrDwcB/U


廊下で騒ぐのもアレなので部屋に入ってもらうことにした。
食材と調理器具を準備し調理に取り掛かろうとするも、私が作るんだから当麻は引っ込んでなさい、とのこと。
今は美琴が台所でテキパキ動いている。
常盤台のお嬢様に料理ができるのか不安だったが、彼女の淀みの無い動きから察するにそれはないらしい。
さすが常盤台。それとも美琴が凄いのか。
最初は縄張りを守るようにして侵入者(美琴)に敵意を向けていた番犬(インデックス)だったが、今は台所から運ばれる香りにおとなしくなっている。

「それで?なんで短髪はここにいるのかな?」

「コイツには世話になった事は前に言ったわよね?そのお礼よ」

調理しながら美琴はインデックスの質問に答えた。

「短髪に料理が出来るの?」

「判定は後にして頂戴」

「むむ。でもおいしそうな匂いがするんだよ」

「ありがと」

そんなやりとりを聞きながら上条は美琴を見やる。
天草式の女性、五和が料理をしてくれたときもそうだったが、女の子の料理風景は良いものだ。
エプロン姿で料理してくれる、女の子。普段の快活の様相からは想像したことがなかった。
これが“ギャップ萌”と言うヤツか?
“萌え”ではない……と思う。ただあるのは温かな気持ち。

「(なんか…良いよな…)」

五和の時と同じようになにかしようと思うが、どうしてか気が進まない。
美琴から目が離せない。ポーっとしてしまう。ずっと見ていたい―――そう、思う。
それは感謝の念か、それとも……

「…とうま?」

その声が彼を現実に戻す。

「どうしたの?」

銀髪シスターは、ちょっとへんかも、と怪訝な顔をしている。
なんでもねえよ、と、ごまかして上条は

願わくば、この時間が奇人変人どもに壊されませんように――と祈っていた。

_______________________________________________________________________________________________

これで3分の一です。続きは様子を見ながら投下しますね。

356■■■■:2011/01/28(金) 23:57:39 ID:7h1DmHU6
>>342,>>355
こんなところで切られたら気になって夜しか眠れないよ! お二方ともGJです
最近寝る前に携帯でまとめ開いてSS読みながら寝落ちするのが日課になってきた

>>345
>>256

357小ネタ豚:2011/01/28(金) 23:59:44 ID:wrDwcB/U
>>354
ごめんなさい。
“違うのであーる”ではなく“違う”です。

358■■■■:2011/01/29(土) 00:00:21 ID:nA2i6MN6
>>355
楽しく読ませてもらいました!
美琴がキレルと思ったら受け入れたよ!…そうでもないのかな。とにかく続きが気になります!

3591-879@まとめ ◆NwQ/2Pw0Fw:2011/01/29(土) 00:19:17 ID:OSP3tzjw
>>357
GJです。
「長編」としてまとめるので、シリーズタイトル考えてください。

360■■■■:2011/01/29(土) 00:31:59 ID:qvCKsuZc
>>342,>>355
焦らしプレイ乙

361■■■■:2011/01/29(土) 02:40:30 ID:Y479/iKQ
お預けはきついぜ

362■■■■:2011/01/29(土) 06:18:06 ID:X53a.ZOk
暇すぎて初めてSS書き初めてみたがBADENDルートにしかならなくて困るぜ

363■■■■:2011/01/29(土) 06:25:12 ID:jHflQl4o
いんじゃね

364■■■■:2011/01/29(土) 13:35:46 ID:ghLbcJRg
>>346
空気嫁
>>256
どうやんの?

365■■■■:2011/01/29(土) 15:09:15 ID:TnQDiPC2
>>256
まずJane styleと検索する。それを落としたらレス番号のクリックして「NGitem」をクリックし「NGnameに追加」

366■■■■:2011/01/29(土) 19:07:19 ID:EnptrDFw
>>357
であーるに意表を突かれて笑った

367Mattari:2011/01/29(土) 22:07:12 ID:0W/xLcAE
初めまして。いつも楽しく読ませていただいております。

文才はありませんが、ちょっと書いてみたくなったので一つ書いてみました。

ただ、原作とはかなり視点が異なりますので、その点はご容赦願います。

題名は『とある右手の名誉挽回(キューピッド)』です。

22時15分頃から投稿します。スレとしては15スレほどの予定です。

368とある右手の名誉挽回(キューピッド)_1:2011/01/29(土) 22:15:01 ID:0W/xLcAE
 いつもと変わらぬ朝だった。
 ちょっと違ったところがあったとしたら、少々寒かったくらいだろうか?
 何れにせよ、この学園都市に7人しか居ないレベル5の第3位。御坂美琴にとっては、いつもと変わらぬ朝……のはずだった。

 彼女には想い人が居る。
 かつて学園都市に裏切られ、地獄の底に追い落とされた自分を、助けを求めたくても誰にも言えなかった自分を、あの鉄橋の上でつい零してしまった『助けてよ……』の一言を聞いたかのように現れて、彼にしかできないやり方で自分を大切な妹達と共に地獄の底から救い出してくれた人。
 1万人以上の大切な家族を失った私に向かって『それでも、お前は笑ってて良いんだと思う』なんて気障なセリフを言ってのけたアイツ。
 そう、不幸なツンツンウニ頭の高校1年生。上条当麻、その人である。

 昨日の夕方久しぶりに、その上条の姿を美琴は見た。別に探していたつもりはない(と美琴本人は言うだろう)が……。
 放課後、彼の行動パターン(スーパーの特売日巡り)を見越して待ち伏せするのは、彼女の放課後のお楽しみの一つなのだが、出会ったにしても、上条十八番の“スルースキル”が発動し無視されるか、得意の“フラグ体質”で自分以外の女の子とイチャイチャ(少なくとも美琴にはそう見える)を見せつけられるか、子ども扱いされるかのどれかだ。
 そうなると美琴はいつもの如く怒り、思いの丈(我が侭?嫉妬?)を公称10億ボルトとも言われる【雷撃の槍】に載せて、彼に向かって放つのだが、その攻撃はあの日の鉄橋の上を除けば、1度たりとも彼に当たったことはない。彼の右手に宿る能力。【幻想殺し(イマジンブレーカー)】が彼女の放った攻撃をモノの見事に打ち消すからである。

 繰り返すが、昨日の夕方、御坂美琴は上条当麻の姿を久しぶりに見かけた。
 上条の姿を見るのは実に3日ぶりのことだった。正直、この3日間は美琴にとって長かった。
 自分が知りうる限りの上条の行動パターンを使ってサーチしてみた(実際、一昨日などは友人の初春の協力の下、第7学区の全監視カメラをハッキングしたりもした)が、彼は何処にも現れなかった。

 美琴にしてみれば、1日に1度は彼の姿が見たいのである。彼の声が聞きたいのである。
 顔を見ることが出来ただけでドキッとする。話が出来た時はもっとドキドキする。一緒に居られるだけで、会話が出来るだけで、もう自分としてはたまらなく嬉しい。
 もし恋人同士になれたなら……。そんなことを想像するだけで、美琴は幸せ一杯になれてしまう。
 でも、それを素直に言うことがどうしても出来ないでいる。
 そしてその自分の想いに素直になれないもどかしさが、【雷撃の槍】に姿を変え、彼、上条の元に飛んでいくのだ。……が、上条本人にしてみればたまったものではない。如何に自分の右手に、超能力だろうが魔術だろうが異能の力ならば全てを打ち消す【幻想殺し(イマジンブレーカー)】と呼ばれる力が宿っていても、あの【雷撃の槍】は怖い。当たれば間違いなく死ぬだろうから。

 美琴が上条の姿を街で見かけなかった理由。彼はこの3日間、カゼをひいて寝込んでいたのだ。
 上条が寝込むその前日は珍しく雪が降った。この冬一番の冷え込みを記録した日でもあったのだが、その日彼は相変わらずの人助けをした。
 何をしたかまでは敢えて言わないが、何処かの誰かにフラグを立てたのは確かなようだ。だが今それはさして重要ではない。だがその人助けをする中で彼は、今年一番の冷え込みであるにもかかわらず、しこたま汗をかいてしまったのである。
 その後、学生寮に戻った彼は着替えもソコソコに食事を取ると、満腹感と疲れていたこともあってウトウトと眠ってしまい、しっかりと風邪を引いてしまった。という訳である。
 『ナンとかは風邪を引かない』とは言うものの、無茶をすればこの時期風邪を引いてしまうのは当然のこと。上条当麻はその無茶をしてしまったのである。
 ま、いつもの不幸(自業自得)と言ってしまえばそれまでなのだが……。

 そんな不幸な出来事など知らぬ御坂美琴は、昨日の夕方久しぶりに見かけた上条に声をかけたが、体調不良の上に十八番“スルースキル”が発動。しっかりと無視されてしまった。
 で、何時もの如く彼女は怒り、何時ものように【雷撃の槍】を浴びせかけ、最終的には夜中まで追いかけっこをするハメになってしまったのである。
 彼女にしてみれば久しぶりに上条と一緒に居られて満足(?)だったのかもしれないが、上条にしてみれば病み上がりには厳しすぎる『不幸』であった。
 そして迎えた、少し冷え込んだ次の日の朝がやって来た。
 そう、いつもの朝がやって来た……はずだった。

369とある右手の名誉挽回(キューピッド)_2:2011/01/29(土) 22:16:45 ID:0W/xLcAE
「ハァ……不幸だ……」

 いつもより少し冷え込んだ朝。
 いつもの口癖を吐きながら、トボトボととある平均的な高校までの通学路を歩く上条当麻の姿があった。
 何がそんなに“不幸”なのか?
 まず、人助けをしたのは良かったが、その事が原因ではないモノの、自分の不注意で風邪を引き、出席日数が足りないにもかかわらず、また学校を休まなければならなくなった。
 部屋で寝ていた間は、食欲もなく、また食材もほとんどない状態で、3日間をほとんどスポーツドリンクだけで過ごすことになってしまった。
 そして、少し体調がマシになったからということで買い物に出てみたら、しっかり美琴と追っかけっこをする羽目に陥った。
 そしてトドメが待っていた。
 今日は土曜日、本来ならば学校は休みのはずである。にもかかわらず、彼はいつものように学校に通う道を歩いていた。
 実は昨日の夜、御坂美琴との追いかけっこを終えて、疲れた身体を引き摺るように寮に戻る途中に、携帯に留守電メッセージが入っているのに気付いた彼はそれを確認した。留守電が入っていること自体に、彼の“不幸センサー”はビビビッと反応を示していたのだが……。やはり彼の“不幸センサー”は相当なレベルでそれをキャッチするらしい。
 留守電メッセージの主は、彼の担任であり、学園都市の七不思議にも名を連ねる幼児先生こと、月詠小萌であった。因みに上条はこの先生に頭が上がらない。

『上条ちゃ〜ん、おバカの上にカゼを引いて休んだので補修なのです〜。明日の朝、いつも通り学校に来るのですよ〜』

 という非常にアリがた〜いメッセージがしっかりと録音されていた。で、そのメッセージに従っての今日……という訳ある。

「……不幸だ……」

 とブツブツ呟きながら、トボトボと通学路を歩く姿は正に“不幸”を絵にしたようであった。

 その“不幸”な少年は、いつものように例の自動販売機の前を通りかかった。
 常盤台のお嬢様の回し蹴りを毎日のように喰らっているその自販機は、ボロボロになってはいるモノの、まだまだ現役を引退する気はないらしい。
 その自販機を見て、昨夜の追いかけっこを想い出してしまったのか、“不幸”な少年は『ハァ……』と溜息を一つつくと、また通学路をトボトボと歩き出した。その時……

「ちょっと、アンタ!待ちなさいよ!!」

 と、いきなり呼び止められた。
 そこにはベージュのブレザーに紺系チェック柄のスカート、上条の知らないキャラクター系のマフラーとお気に入りのミトンの“ゲコ太(上条にはカエルにしか見えないが)”手袋をした御坂美琴が立っていた。

「何だ御坂か……」

 この一言がいけなかった。
 実は彼女は朝早くから、上条がここを通るのをずっと待っていたのである。
 彼女は昨日のことを謝ろうと思っていた。
 3日間会えなくて心配していたことを伝えようとしていた。
 そして、出来ることなら自分の胸の内を彼に伝えようと思っていたのである。
 そんな決心をしている彼女への第一声が

『何だ御坂か……』

 だったのだから、彼女にしてみれば“カチン”と来るのは当然である。
 コレが『よう』とか『オス』とか簡単な挨拶と取れる言葉であったなら、もう少し話は変わったかもしれないが、デリカシーに欠け、鈍感で女性の扱いに関しては正真正銘の【レベル0】の上条らしい反応は、美琴の神経を逆撫でするには充分すぎる一言だった。

「いきなり『何だ』は無いでしょうがぁぁぁああああああああ!!!!!」

 そう叫んで彼女はいつものように【雷撃の槍】を飛ばす。
 上条は上条で、いつもの如くそれを右手で打ち消そうとした。
 ……ところが……。

 上条の足下に小さな水たまりがあった。それは今朝の冷え込みでうっすらと氷が張っていたのである。
 上条の足はその氷に足を取られた。
 【雷撃の槍】を打ち消そうと前に突き出された右手が上を向く。
 その上を向いた右手に向かって【雷撃の槍】が飛ぶ。

バチバチッ…パキーンッ!!

 【雷撃の槍】が何かに当たった音と、【幻想殺し】が【雷撃の槍】を打ち消す音がほぼ同時に聞こえた。

「え……?」

 御坂美琴は、一瞬何が起こったのか理解出来なかった。

 いつもならば、上条は何食わぬ顔で自分の【雷撃の槍】を打ち消すはずだった。
 そう、打ち消す“はず”だった。
 しかし今日は違った。
 上条は足下の氷に足を取られ、転倒しそうになった。
 前に突き出された右手がわずかに上を向き、その手首の辺りを【雷撃の槍】が直撃したのだ。
 【雷撃の槍】は手首を伝わり【幻想殺し】に触れ、そのほとんどは打ち消され無効化された。
 だが、若干のタイムラグがあった。

370とある右手の名誉挽回(キューピッド)_3:2011/01/29(土) 22:17:51 ID:0W/xLcAE
“バチバチッ…バチバチッ……”

 上条の全身がわずかに帯電している。
 目の前で起こったことが信じられず、呆然としていた美琴が慌てて上条に駆け寄る。

「え……ウソ……ウ、ウソ……ハッ! だ…大丈夫?」

 声をかけた途端、上条の身体が“グラリ”と傾き、美琴に寄りかかってくる。

「え?……あ……う、ウソ……」

「ぐ……う……クッ……」

「あ……ご、ゴメン……ごめん…なさ……い」

「く……あ……」

「あ……ああ……ど、どうしよう……ね、ねぇ……しっかりして」

「み……さか……カエ……ル先生……のトコに……」

「え?」

「カ……エル先……生の……トコに……」

「あ……うん……分かった、分かったから……もう喋らないで」

「このこ……と……は誰……にも言う……な……」

「喋っちゃダメよ!」

「イイから!!」

『ビクッ!?』

「イイから……誰……にも……言うな」

「で……でも……」

「倒れ……てた……オレを……く……お…お前が……見つけた……」

「な、何を言ってるの?」

「そう……言う……んだ……イイ…な」

「そ、そんなこと……できな「イイな!!!」…い……」

 美琴が放った【雷撃の槍】は【幻想殺し】がその効果を打ち消すほんの一瞬前に上条の全身を襲っていた。
 だが、上条はその【雷撃の槍】を耐えた。鉄橋の時と同じように。しかし……あの時とは体調が違いすぎた。
 満身創痍になりながらも、上条は美琴に今の出来事を隠せと言う。
 美琴はパニックに陥っていて、正しい判断ができない。
 今は上条の気迫に押され、彼の言う通りにしているだけだ。
 そこに渾身の一言である。
 今の美琴に、上条に逆らう術はなかった。

 美琴が呼んだ救急車で上条はカエル顔の医者こと冥土返し(ヘブンキャンセラー)の居る病院に搬送された。
 上条に言われた通り『道端に倒れていた』と事情を説明し、美琴は救急車で病院に同行した。

 病院に搬送された上条は、冥土返しの治療を受け、今はいつもの病室で眠っている。
 美琴は上条に付き添い、ベッドの横にパイプイスを置き、そこに座っている。
 先程、冥土返しに呼ばれ、治療の結果、命に別状はないこと。後遺症の心配もないことを告げられた。ただ、ここ数日まともな食事をしていないことや、体力がかなり落ちていること。体調が万全でないので回復には時間がかかるであろうことも同時に説明を受けた。
 その上で、再度上条を発見した際の状況説明を求められた。最初美琴は上条に言われた通りのことを言おうとしたが、病院に着いた頃よりパニックから抜け出していたこともあって、上条に言われた通りにしている自分に対し自己嫌悪に陥り、結局何も言えなくなってしまった。
 美琴の様子を見ていた冥土返しは事情を察したのか「彼に感謝することだね」とだけ言って、肩をポンと叩くと、部屋を出ていった。

371とある右手の名誉挽回(キューピッド)_4:2011/01/29(土) 22:18:47 ID:0W/xLcAE
 今、美琴の目の前で上条は寝息を立てている。
 その顔を見ているだけで、美琴は罪悪感に押し潰されそうになっていた。

 いつものことだった。そう、いつもやっていることだった。
 深く考えていなかった。彼なら大丈夫だと思っていた。いや、そんなことすら考えていなかったのかもしれない。
 無視されることもあった。子ども扱いされることもあった。だから、いつも振り向いて欲しくて、自分だけを見て欲しくて、自分の能力を使っていた。彼なら大丈夫だと、受けとめてくれると勝手に思い込み、何も考えずに全力で……。
 それが……こんなコトになるなんて……。

 “最愛”の人を自分の能力でもう少しで殺してしまうかもしれないところだった。自分が唯一自分で居られる居場所を、【常盤台の超電磁砲(レールガン)】ではなく、【御坂美琴】という十四才の少女として自分を見てくれる人を、傷つけてしまった。
 それに、上条の言う通りにしなかったら、自分は犯罪者になっていただろう。上条はあの瞬間にもそこまで考えてくれていたのかも知れない。
 この事実が目の前に迫って来る。あの瞬間の光景が目に焼き付いて離れない。
 逃げ出したい。でも、逃げ出すことはできない。そんなことをすれば、美琴は二度と上条に会うことすらできなくなるだろう。何故かそれだけは理解出来た。その想いだけが、今彼女をこの場に押し留めている。
 もし今、上条が目覚めたら、自分は何と言えばいいのだろう。
 どんな顔をして会えばいいのだろう。
 湧き上がる一つ一つの疑問が彼女をどんどん追い詰めていく。
 自分がしてしまったコトが時間を過ごすほどどんどん重くなってゆく。自分で自分を責めている。自分が自分を押し潰してゆく。
 彼が目覚めた時、自分はどうすれば良いのだろう?
 考えても答えが出るものではなかった。でも、その答えを求めずにはいられなかった。
 だがその答えを見つけることはできなかった。
 今の美琴は、上条の顔を見ながら、ただただ涙を流すしかなかった。

 ふと気がつくと、眠る上条のとなりでベッドに突っ伏している自分に気がついた。
 窓の外は既に暗くなっていた。
 自分は泣き疲れて眠ってしまっていたのか。……とボンヤリとそんなことを考えていた。
 何かが頭の上に乗っているのに気がついた。
 それは上条の右手だった。
 いつものように自分の電撃を止めるように優しく、フワリとその右手が頭の上に乗っていた。
 まるで、泣いている自分を慰めるように。その髪を優しく梳くように……。

 眠っているにもかかわらず、自分を心配してくれるような上条の優しさが美琴は嬉しかった。
 でも同時に申し訳なさが溢れ、自分自身を許す気にはどうしてもなれなかった。
 (私はここに居る資格がない)
 その結論に至ってしまった彼女は、頭の上に乗っている上条の右手をそっとベッドの上に降ろすと、イスから立ち上がり部屋を後にしようとした。

372とある右手の名誉挽回(キューピッド)_5:2011/01/29(土) 22:19:54 ID:0W/xLcAE
 その時だった。
 上条がゆっくりと起き上がってきた。
 だがそれは、明らかに違和感のある起き上がり方だった。
 どこも力の入っている様子はない。どう見ても寝ている状態のままだ。何より手を支えに使わずに……。なのに上体がゆっくりと起き上がってくる。まるでマリオネットが起き上がるような感じだった。
 そして上条の瞼は閉じられたままだった。閉じられたまま、上条の顔がゆっくりと美琴の方を向いた。
 美琴は何が起きているのか分からず、ただ呆然とその様子を見ているしかなかった。

 上条の瞼がゆっくりと開いてゆく。
 その目が美琴を捉えると、上条は“ニッコリ”と微笑んだ。
 その瞬間に美琴は直感した。
 『違う』と。
 目の前にいるのは間違いなく【上条当麻】本人だ。しかし、今自分の目の前にいる上条は【上条当麻】ではない。明らかに別人だ。その確信が美琴にはあった。

『やれやれ……しかし……困ったものだ。お前さんたちにも……』

「え?……な、何……」

『もう少し自分の気持ちに素直になれば、全ては解決するというのに……』

「な……何を……」

 明らかな“作り笑顔”のまま話し始めた上条に戸惑う美琴だったが、違和感はより大きくなっていた。だが、それ以上に自分の気持ちの核心を突かれ、何も言えなくなってしまう。

『まあ、こちらにも謝らねばならぬコトがあることだし、一応話だけはしておくとするか』

「……あ、アンタ……一体……」

『右手だよ』

「え?」

『私はコイツの右手だ』

「右手って、……まさか……【幻想殺し(イマジンブレーカー)】!?」

『その名で呼ばれるのは好きじゃない……が……仕方ないな……まあ、そういう事だ』

「そんな……信じられない……」

『信じる、信じないは勝手だ。……だが事実だ』

「……そ……そんな……あ……じゃあ……あの……アンタ……じゃなくって……当麻は?……当麻はどうなったの?」

『……フッ、さすがに気になるようだな』

「え……(ボンッ)」

『……分かり易いな……その気持ちを素直に出せば、こんなコトにはならずに済んだのにな』

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(ぅ、うるさい……わよ)」

『ま、今回のことは良い薬にはなっただろ。早く素直になることだ』

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

『心配することはない。この身体の持ち主には今、とある場所に行って貰っている』

「……とある場所?」

『詳しくは言えんが、私の“力”をも封じることが出来る場所だ。そこであることをして貰っている』

「……ある事って……?」

『これから起こることのための準備だと言っておこうか。これ以上は言えぬ。……さて、本題に入ろうか』

「え?……本題って……?」

『今日のことは……すまなかったな』

「え?……なんで、なんでアンタが謝る訳?」

『お前が放った【雷撃の槍】は、全身に回る前に打ち消そうと思えば打ち消せたんだが……』

「な……なんですって!?」

『ある方からの指示でああいう風にすることにした。そのせいでお前さんは傷ついてしまったからな。だから謝ったんだ』

「じゃ、じゃあ……当麻はこんな風に傷つかずにすんだってコトなの?」

『そういう事になるな』

「……それじゃあ、コレも……今日のことも……アンタが呼び込んだ“不幸”ってコト?」

『オイオイ、私はコイツを“不幸”にしたことはないぞ』

「なっ!?……何言ってんのよ!!アンタが右手にあるから“神様のご加護”まで消してるって……だから、当麻は“不幸体質”なんだって……」

『ああ、それか』

「ああ、それか……って、何を他人事みたいに言ってんのよ!?」

『言い出したのはあの【禁書目録】と呼ばれる銀髪のシスターだろう?……まったく、だから魔術なんてモノに関わってる奴らは……何を勘違いしているのやら。……それに、今日のことは何だかんだ言っても、お前さんにも原因があることだと思うんだがな……』

「うっ……そ、それは……そう……だけど……」

『……やはり……一から説明した方が良さそうだな……さすがに全てを明かすことはできんが……』

「……説明って?」

373とある右手の名誉挽回(キューピッド)_6:2011/01/29(土) 22:20:53 ID:0W/xLcAE
 【幻想殺し(イマジンブレーカー)】であるという上条が、少し考え込んだ顔をしている。
 普段の上条だったら、絶対にあり得ない顔だ。

『そうだな。今の機会をどう捉えるか。新たな“現実”を生み出すためには、“いつものまま”ではイカンからな。全てはその瞬間の“想い”が決めること。そう……大事なのは今、この子たちの未来を信じること……そして、今自分が出来ることに最善を尽くすこと』

「え?……何を?」

『……コッチのことだ。まあいい、一から説明をさせて貰おうか。……但し、言えぬコトもあるのでそのつもりでな』

「う……うん、分かったわ……」

『……とは言え、何から話せば良いものか……ウーム……』

「……あ、あの……さ……だったら……」

『ん?……何だ?』

「私から……質問しても……イイ?」

『フム……、その方が良いかもな。答えられることとそうでないことも別けやすくなるし……良かろう、まず何が聴きたい?』

「……アンタって……一体何なの?」

『フム、なるほど、さすがに直球勝負だな。そのストレートさをもっと素直にコイツに向かって出せれば……』

「い、いい、いいいいいいいらないコトは言わないでイイから……」

『フフッ……まあいいか。……まずは……私の正体が何なのか……だな?』

「……まさか、“言えない”なんて言うんじゃないでしょうね?」

『能力であろうと、魔術であろうと、【異能の力】とされるモノであれば、触れるだけで打ち消せる摩訶不思議な力。それ自体が能力なのか、魔術なのかすらも分からない。この学園都市最強の【レベル5】の第1位ですら、この力の前には為す術がなかった超希少価値の“力”……それがお前さんたちが【幻想殺し(イマジンブレーカー)】と呼ぶこの上条当麻の右手に宿る“力”のこと……だったな』

「そんな説明、わざわざ要らないわよ……それに……魔術って……なに?」

『まあ、そう言うな。お約束という奴だ。それに魔術は魔術だ。言わば“力”を行使出来ぬ者たちが、その“力”に対抗するために開発した技術。と言ったら理解が出来るかな?……まぁ、本来はどちらも【異能】というか【異端】の力なのだがな……』

「ちょ、ちょっと、魔術ってのが【異端】の力って言うのは分かるけど、能力が【異端】の力……って、どういうコトよ!?』

『オイオイ、それはおかしな話だな?』

「な、何がよ?」

『自分の知らない“魔術”は【異端】だが“能力”は違うってのは、おかしいんじゃないのか?私にとってはどちらも同じように“浄化”すべき対象でしかない』

「え?……“浄化”する対象?」

『そう。どちらも“神の理”から外れた力であることに何ら変わりはない』

「え……“神の理”から外れた……力って……、……そ、そんな……」

『勘違いして貰っては困るが、その力を行使することが“神の理”から外れているのではないぞ。まあ、大概は外れていることの方が多いんだがな。それ以上にその力を生み出すプロセスが“神の理”より外れている。という意味だ。お前さんたちが“神の理”から外れている存在だと言うことでもない』

「“力”を生み出すプロセスが“神の理”から外れている……?」

『お前はこの学園都市に巣くう【闇】の存在を知っているだろう?【暗部】と呼ばれる連中のことだ』

「!!!」

『お前たちが使う能力というその“力”は【暗部】の連中が“神の理”から外れた方法で開発したものだ。木山春生がその事を言っていただろう。『この学園都市は生徒たちの脳を日々開発している』と。そして彼女はその開発の犠牲になった子どもたちを救おうとしていたことも知っているはずだ』

「そ、それは……」

『もう一方の魔術にしたって同じコトだ。“神の理”の解釈をねじ曲げ、異世界の法則を無理矢理こちらの世界で自分たちの都合の良いように行使出来るよう術式を組上げている。この世の法則を歪めているとさえ言える。お前さんたちが使う能力に比べると、魔術は使っている奴がそれを分かっている分タチが悪い』

「……」

「その“神の理”から外れた“力”を“浄化”し、本来のあるべき姿に戻す。それが私の力だ」

「え?」

『この男が『神より貸し与えられし“浄化の力”』それが私だ』

「神様から貸し与えられた……“浄化の力”?」

『ああ、神の手と言っても良い。その中の一つでしか無いがな。神の手はこの星の人間の数よりも多い」

「神様の手……」

『但し、“神の手”とは言っても、人の身に宿る以上、制限がかかるのは仕方がないコトだ。神が使われるのではないのだし、元々人の身には剰るものだ』

「……制限……」

374とある右手の名誉挽回(キューピッド)_6:2011/01/29(土) 22:23:51 ID:0W/xLcAE
『それに、私は上条当麻という人間の身の中でなければ、この力を揮うことが出来ん。それが神との契約だからな。その事を知らぬまま私の力を我が物にしようとした奴が起こしたのが、この前の戦争、第3次世界大戦だ』

「なっ!?」

『どうした?話の内容が完全に理解の範疇を超えてしまったか?まあ、無理も無いだろうな』

「い、いきなり、これだけのことを……聞かされたら……、……誰だって……混乱するわよ。……第一、信用出来る内容じゃないわ」

『それはそうだろうな。第一お前たち科学側の人間にとっては“神”などという単語自体が受け入れられるモノではないのだろうしな』

「そ、それは……確かに……そう……第一、神様なんてモノが存在するなんてこと自体……信じられない」

『哀しい話だな。自分達を創造してくれた存在を信じられぬなど、本来あってはならんこと。ではないのか……な』

「そ、そんなコト言ったって……」

『……まあ、今の時代は“見えぬ”モノは信じられぬようだしな。どうしようも無い……で片付けてしまう訳にも行かぬのだが……。今はやめておこう。……それじゃあ私の正体に関しては答えたぞ。次は何だ?』

「え!?……ちょ、ちょっと……まだ、話が……え?」

『どうした?私はこの男、上条当麻に神が貸し与えられた『浄化の力』だと言ったろう』

「そ、それは……そう……だけど……。……じゃあ、何故、当麻にその“力”が貸し与えられたの?」

『……それに関しては、これから起こることが関わるために詳しくは説明出来んのだが……この男がこの世界で成さねばならんことを成すため“浄化の力”がどうしても必要だった。ということだけは言える』

「訳が分からないわ」

『私もそれ以上は詳しくは言えん。こちらにも事情がある。その点は察して欲しい』

「……はあ……仕方がない訳ね。……まあ、しょうがない……か……」

『理解が早くて助かる』

「アンタ……じゃなくって、コイツと一緒にしないで欲しいわ。その点に関しては、特にね」

『フハハ、なかなか言うな』

「アハハ、まあ……ね」

 美琴は訳の分からない話をしている。と自覚していたが、何故かその話をやめようとは思わなかった。
 様々な使い慣れぬ単語が飛び出してきたりして、戸惑うことが多かったが、少しずつ心が軽くなっていくような気がしていた。
 それに、この目の前の上条の中に居る存在、自らを“神から貸し与えられた『浄化の右手』”と言ったこの存在がウソをついているとは思えなかった。
 右手の話には、今まで自分の目では見られなかった“真実”があるような気がする。もう少し話を続けてみようと美琴は想い出していた。

375とある右手の名誉挽回(キューピッド)_7:2011/01/29(土) 22:26:14 ID:0W/xLcAE
『次は……どうする?』

「そうね。じゃあ、アンタとコイツ、当麻の不幸の関係性についてってのはどう?」

『さっきも言ったが、私は上条当麻を不幸にした覚えはないぞ』

「でも、“神様のご加護”を消しているって……」

『それはあの【禁書目録】が言ったことであって、彼女自身も確信を持ってそう言った訳ではないはずだ』

「う……」

『第一、その身の内に“神の一部”を宿しているのに、“神のご加護”がいるのか?』

「えっ!?……言われて……みれば……そう……よね……」

『それに、この男は本当に“不幸”なのか?』

「だって、いつもいつも『不幸だー』って言ってるわよ」

『どう『不幸だー』なんだ?』

「真似しないでよ。……そうね、歩けば転ぶ。キャッシュカードやお金を機械に呑み込まれる。財布は落とす。何てことは日常茶飯事だし、事件には巻き込まれるし、解決しても病院(ふりだし)に戻るだけ。こうして見てみると、ホント散々な人生ね」

『それの何処が『不幸』なんだ?』

「え?……だって、そうじゃない。望まない現実が次から次へと……」

『そんなものは程度の差こそあれ、誰の人生にだって起こることだろう?』

「コイツの場合、その頻度が普通じゃないって言うか……子どもの頃は“疫病神”って呼ばれてたそうだし、見知らぬ男に背中を刺されたこともあったらしいわ……」

『だとしても、今この男は自分を必要としてくれる場所に居て、自分を認めてくれる仲間と共にあって、自分の成すべき事を成している。コレが出来ていることの何処が“不幸”だと言うのだ?』

「えっ!?」

『しかも、お前のような者にまで想われている。コレを“不幸”と呼んだら、この世界に“幸せ”など存在しなくなるではないか?』

「(お、想われてる……って……“不幸”じゃなくって“幸せ”だって……(ボンッ!!))」

『……本当の“不幸”とは何だろうな?』

「えっ!?……本当の不幸……」

『この世界には、目の見えぬ者。耳の聞こえぬ者。手や足に不自由を抱える者。生まれながらに病を抱える者。と“不幸”と呼ぶべき条件を抱えた人間が数多くいる』

「……!!」

『それ以外にも居場所もなく、誰からも必要とされず、成すべき事も成せない。コレも“不幸”と言えば“不幸”だが……』

「……」

『本当の不幸というのは……お前自身が経験した、“あの出来事”のようなことを言うのではないのか?』

「!!!」

『信じていた者から裏切られ、自分という存在を根底から否定され、自分が蒔いた種であるはずなのに、自分の力ではどうする事も出来ない現実を突き付けられる。それこそが“本当の不幸”なんじゃないのか?』

「……そう……ね……」

『あの出来事に比べれば、今のこの男を取り巻く現実など“不幸”などと呼べるものではない。違うかな?』

「……確かに……そう……。……あの時の……あの出来事に比べたら……」

『そうだろう』

376とある右手の名誉挽回(キューピッド)_8:2011/01/29(土) 22:27:58 ID:0W/xLcAE
「でも、でもさ……だったら、神様が居るって言うんなら、どうしてあの時に神様は私を助けてくれなかったのよ?不幸のどん底にいる私を何故神様は見捨てたりした訳!?」

『神はお前を見捨ててなど居ない。第一、見捨てるなどということを神がされるはずはない』

「でも、でも、あの時……神様は……救いの手を……私には差し伸べて……くれなかった……」

『神は救いの御手を差し伸べられたじゃないか?そうでなければ、今お前はこの場には居ないはずだが?』

「その手を差し伸べてくれたのは、この人よ。上条当麻よ!!!神様じゃないわ!!!!!」

『その上条当麻は“神より貸し与えられし浄化の力”をその右手に宿す男。じゃないのか?』

「エッ!?」

『それこそ正に“神の代理人”と呼ぶに相応しい存在ではないのか?』

「え……あ……」

『神が救いの手を差し伸べられる時、直接その手を差し伸べられることは非常に稀だ。だが、救いの手は必ず訪れる。直接、間接は関係ない……だろう?手は必ず差し伸べられるのであれば』

「じゃ、じゃあ……私……私は……」

『既に神に救われた存在だ。何度も言うが、神が直接手を出されることは稀だ。だが、必ずその人を救える道を用意されているのも事実だ。人や物を介して、必ずその手は差し伸べられる。後は受け手の問題だ。その救いの御手に気付き、その手を握り返すか、それとも払い除けてしまうのか?』

「……あ、……」

『どうやら、その事がずっと引っ掛かっていたようだな。上条には助けられたが、神からは見捨てられた。とでも思っていたのか?』

「あ、アレ?……私……、グスッ……なんで、泣いてるんだろう……」

『人は創造主である神との絆を実感できたとき、本当の“癒し”を感じるコトが出来る……『悲しむ者は幸いである。心癒されるであろうから』……聖書の一節だ。本当にその通りだな』

「あ……」

377とある右手の名誉挽回(キューピッド)_9:2011/01/29(土) 22:28:47 ID:0W/xLcAE
『ただ、神の救いというのは君にだけじゃない。もう一方の少年もまた救われている。その智慧深さこそが人の身では到底及ばぬところでもある』

「えっ!?」

『彼は【一方通行(アクセラレーター)】と言ったな。彼もまた、地獄から救われた存在だ』

「で、でも……奴は……」

『確かに彼は君の妹達を1万人以上殺している。だが、クローンであろうと1万人以上もの命を奪うなどという行為をそう簡単に行えると思うのか?お前がもし彼の立場であったとしたら、果たして同じコトが出来ると思うか?』

「あ……え……でも……」

『彼は彼なりの信念を持ってあの出来事に向かっていた。だが、同時に『止めて欲しい』とも願っていたのもまた事実だ。彼がそこまで自覚していたかどうかまでは、私には分からないがね』

「あ……」

『君が『助けて……』と言っていたのと同じように、彼もまた『止まりたい……』と思っていた』

「……」

『そしてそれを『止めた』のは、他でもないその身に私を宿す上条当麻だ。そうだろう?』

「あ……」

『あの事件の被害者、加害者の両方を拳一つで救い出した。コレが普通の人間に出来るコトかね?』

「た、確かに……」

『そんな事が出来る人間が“不幸”な訳はない。私はそう思うのだが……』

「あ……そ、そう……ね……、それは……そう……。そ、それにしても……アンタと話していると……自分の考え方を根底からひっくり返されてばかりで……何か、言いくるめられているような気に……」

『違うと思うのならそう思えばいい。だが、こういう考え方もあるのだ。と知ることが大事だ。私はそれを信じろと言っている訳ではない』

「信じろと言っている訳じゃない?」

『そう言う考え方もある。ということを知ることは、選択肢が増えると言うことだ。困難な現実に向かい合った時に、その事を知っているのと知らないのとでは、選べる行動の数が違ってくる。選べる道が増えると言うことは、解決へ向かえる可能性が増えると言うことだ。コレはそういう意味だ』

「選択肢の数が増える……」

『要は“モノの見方”は一つじゃない。ということだ』

「……な、なるほど……ね……」

『今言ったことは、お前の心の底にでも止めて置いてくれればイイ。だが、決して忘れないで欲しい。道は一つではない。ということを』

「うん、……分かったわ」

『老婆心で付け加えるのなら、今日のような出来事は“いつもと同じ気持ち”で起こしていることが多い。“いつもと同じ気持ち”は“いつもと同じ関わり”しか生まぬ。そして、“いつもと同じ関わり”は“いつもと同じ結果”しか生まないものだ。それでは新たな現実を生むことは出来ない』

「いつもと同じ……」

『そう。お前が何度も“素直になろう”としても、そう出来なかった。それは何故なのか?今日の出来事を思い返してみればイイ。お前はどんな気持ちでコイツに電撃を放ったんだ?』

「え……そ、それは……だから……ふ、振り向いて……欲しくて……」

『振り向いて欲しくて……それは一体何だ?』

「私だけを……見て欲しくて……って……だから……それって“いつもと同じ気持ち”だったってコト?」

『そして……いつもと同じように【雷撃の槍】を放った。それは……』

「あ……それは……“いつもと同じ関わり”」

『そうだ』

「でも……結果は……」

『そう、今日は少し違っていた。それは、ある方の意志が働き、ほんの少しだけ条件が異なっていたからだが……そういう可能性があると、もし考えていたら、お前は【雷撃の槍】をコイツに向かって放てたかな?』

「あっ!!」

『“人”は“後から知る者”に過ぎぬ。だからこそ、普段の出来事から学ばねばならん。そしてそれが神に応えることにも繋がる』

「……」

「もっと出来事から学ぶことだ。それがお前達の人生を切り開く。それを忘れなければそれでイイ』

「あ……うん……あ、ありがと」

『素直だな。その素直さを、コイツの前でも出せると良いのだがな……』

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

378とある右手の名誉挽回(キューピッド)_10:2011/01/29(土) 22:29:46 ID:0W/xLcAE
『さて、すまんが、そろそろ時間だ。もうコイツが目を覚ます頃だ。私も戻らねばならん』

「あ……」

『ん?……どうした』

「あ……、あ、あのさ……最後に……一つ……だけ……、……イイか……な……」

『ん〜、時間はあまりないが……何だ……』

「あ、あの……コイツって、……コイツって、私のこと……(ど、どう思って……いる……の……かな?……って)」

『……さすがにそれは、答えられんな。それは、お前が自分で確かめなければならんことだろう?』

「えっ!?……(ボンッ!!)」

『気持ちは分からんではないが……さすがに、宿主のプライバシーに関することを、私が口にするのは憚られるからな……フッ、フフッ、フハハハハハハ』

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

『案ずることはない。とだけ言っておこうか?さて、本当にそろそろ時間だ。最後に、今コイツが居るところをお前に見せてやろう』

「えっ!?……コイツのいるところ?」

『特別な場所だ。身体のこともあるが、今後のこともあって、今のウチに解いておかねばならん封印もある』

「封印?」

『だが、こちらの世界では私の力がジャマをしてそれが出来ん。何せ【異能の力】を全て消し飛ばすのでな。だから私の力を一度封じれる場所にコヤツの意識を移さねばならなかったのだ』

「……」

『そこに一度だけ連れて行ってやろう。今回私の他愛もない話につき合ってくれた礼だ』

「そんな……」

『……右手に、私に触れて、目を閉じよ』

「……あ、はい……」

『そして、奥の方に見える光に意識を集中し、心の波動を合わせるのだ』

「……あ、あれ……光、……光が……見えた……」

『ゆっくりと、緊張することはない。ただ、全てを委ねるように、光に心を合わせるように……』

「委ねるように。光に心を合わせる……」

 目を閉じ、呼吸を整えながら、右手の導きに全てを委ねて美琴は意識を集中する。

『チリーン、…チリーーン……、……シャラーン…、……シャララーン……』

 どこかで浄い鈴の音が聞こえたような気がした。
 と思ったら、身体がフワリと浮いたような感覚が訪れ、閉じているはずの目の中が光で溢れた。

『ゆっくりと、目を開くといい』

「え……うん……」

 目を開けると、そこは何とも表現のしようのない世界だった。
 空には銀色のオーロラが光り輝き、世界そのものが光り輝く球体に包まれているような場所だった。
 その球体は、虹のように様々に色を変え、形を変えながら、だが全体と調和するようにそこにあった。
 ふと気がつくと、自分は上条と共にその世界以上に七色に光り輝く“繭”のようなモノの中に居るのが分かった。
 「じっ」と上条の顔を見つめる。
 その時、上条の目がゆっくりと開かれ、美琴の姿を認めた。
 そして、上条の口が何か動いたような気がした……。
 と、思ったら、上条の顔にいつもの笑みが浮かんで、安心したようにまた眠りに入っていった。

「良かった……」

 確信と共に美琴の目にまた涙がたまる。
 だが、その涙は今日流していた涙とは違う涙だった。

『雷撃の姫よ。本当にもう時間だ……。名残惜しいが、お別れだ』

「あ、あの……」

『本当に楽しかった。久しぶりに人と話が出来て、私も嬉しかった』

「うん、私も……」

『ではさらばだ。時が来たなら、またじっくりと話がしたいな……』

「本当にありがとう。……私、素直に……なります」

 そう美琴が言った時、上条ではないもう一人の誰かが微笑んでくれたような気がした。
 気がつくと、美琴は上条の手を握り、あの病室に戻ってきていた。

379とある右手の名誉挽回(キューピッド)_11:2011/01/29(土) 22:30:53 ID:0W/xLcAE
「ん……、う……あ……」

 先程まではほとんど身動ぎすらしなかった上条が、小さく声を上げ始めた。
 『右手』が言っていたように、もうそろそろ目覚める頃なのだろう。
 ついさっき、『右手』に、「素直になります」と言った美琴であったが、そう簡単に“いつもと同じ気持ち”を変えられるかどうか不安だった。
 だが、自分の想いに素直になれるように誓ったのだ。その誓いだけは守りたい。そう願う想いが手に力を込めた。いつの間にか美琴は、上条の手を握りながら、祈るように胸元で手を合わせるのだった。

「ン……ゥ……ン?……あ、アレ?……、み、御坂?」

「……あ、……気がついた?……よ、良かった……」

「……付き添っててくれたんだな……ありがとう……御坂……」

「……ウッ……エッ……グスッ……ヒクッ……ご、ゴメン……ね……」

「……」

「今日は……ホンットに……エッ……ゴメン……なさ……い……グスッ……」

「……な、泣くなよ……」

「だって……だって……、……わ、……わたし……私……」

 上条が目を覚ました嬉しさと、そして今日のコトを起こしてしまった申し訳なさ。そういった感情が綯い交ぜになって、もう少しで美琴は溢れる涙を抑えられなくなるところだった。
 その瞬間、握っていた上条の手が美琴の手を握り替えし、「グイッ」と引っぱられたと思ったら、美琴は上条に抱き締められていた。

「御坂……ゴメンな……でも、さ……オレ……、……お前に泣かれると……どうしてイイか……分かんなくなるから……さ……」

「……!!!(ドキドキ)……」

「こんなことするなんて、ズルいって分かってんだけど……ゴメンな……」

「な……何で、……謝るの?……確かに今のコレは……恥ずかしい……けど……、謝らなきゃ……いけないのは……私の方なのに……」

「お前は別に悪くないよ。いつものように受けきれなかったオレのドジだ」

「違う!!アンタは悪くなんかない!!!……悪いのは……私の方。……だって……」

「……御坂……」

「だって……何にも考えずに……あんな電撃を……アンタなら……平気だって……勝手に思って……」

「……」

「ご、ゴメン……ホントに……ゴメ……ゴメン……なさい……グスッ……」

「……きょ、今日の美琴たんは……素直……ですねぇ〜……」

「(えっ?)」

「上条さんは、素直な美琴たん萌え〜ですよ……」

「(……また、名前……きゃぁ〜……)」

「ん?……どうした?」

「(す、素直に)……」

「……御坂……?」

「自分の気持ちに素直になろうと思ったから!!……だから……だから……」

「そっか……素直に……か。……じゃあ、オレも御坂を見習おう……かな」

「えっ?」

「……」

「……」

「……御坂……好きだ……」

「えっ!?い、今……何て……?」

「……」

「ねぇ、……もう一回……、もう一回言って……」

「……」

「ねぇ……ねぇってば……」

「……無理です。……恥ずかしすぎて……言えません……です。ハィ……」

「……ジィ〜(上目遣い)……」

「……あ……あの……」

「……ズルい……」

「う……」

「……男らしくない……」

「(グサッ!!)」

「こんな大事なこと……言うのに……こんなの……」

「……ご、ゴメン……」

「……ちゃんと言って……」

「……う……」

「……ちゃんと私の目を見て言って……」

「……ハィ……」

「……あ……そ、その前に……」

「……ん?」

「は、……放して……」

「……あ!!……ご、ゴメン!!!」

「(モジモジ)」

 美琴に言われるまで、彼女を抱き締めたままでいることを上条は忘れていたようだ。
 美琴に言われて自分が今まで何をしていたのか、やっと気付いたようで、慌てて彼女を抱き締めていた手を弛めるのだった。
 そして、抱き締められていた恥ずかしさに、モジモジしている美琴の正面を向いてベッドにキチンと正座し直した。
 目を閉じて二、三度深呼吸した後、意を決したように「じっ」と美琴の目を見つめる。

「私、上条当麻は御坂美琴さんのことが大好きです。バカで不幸な男ですが、恋人としてつき合って下さい!!」

380とある右手の名誉挽回(キューピッド)_11:2011/01/29(土) 22:32:09 ID:0W/xLcAE
 上条らしい張りのある声で、美琴の目を見つめながらハッキリと言い切った。
 但し、顔はこれ以上ないくらい真っ赤である。

「うっ……ううっ……う、……う……ぅ、ぅわぁぁぁぁああああああああああ……」

 美琴は上条の言葉を聞いた途端、泣き出してしまった。
 それは、待ちに待った言葉だった。
 でも、絶対に言って貰えないだろうと諦めていた言葉でもあった。
 その言葉を今、上条当麻の口から聞けたのだ。
 御坂美琴が唯一御坂美琴で居られる人から、御坂美琴を御坂美琴として見てくれる人から、その言葉が聞けたのだ。
 しかも「素直になろう」と思い、そう出来るように願い、そのように生きようとした……その途端、想い続けた人からの思いもかけない告白をされた。
 驚きと共に、嬉しさで胸がいっぱいになり、今までの色んなコトが一気に思い出され、それが涙となってあふれ出した。

 一方、上条は……一世一代の告白した。
 と思ったらいきなり泣き出した美琴を見て、ただただオロオロするばかりだった。

「み、み、みみみみみみ御坂さん……ゎ、わたくし上条当麻は……何かいけないことを言ってしまったんでせうか?」

「……だって……だって……だって……私……」

「……あ、……あの……」

「……ずっと、……ずっと……」

「……ずっと?……」

 大粒のうれし涙をポロポロと零しながらも、美琴は「じっ」と上条の目を見つめて言い切った。

「御坂美琴は上条当麻さんのことがずっと、ずっと、ずっと好きでした。私もアナタのことが大好きです。だから、だから……ずっと一緒に居て下さい!!!」

 そう言って、美琴は上条の胸に飛び込んだ。

「ずっと、ずっと、ずっと好きだった。でも、ずっと、ずっと、ずっと言えなかった。……全然自分に素直になれなくて。……だから……怒ったり、電撃を飛ばしたり……してばかりで……、絶対!!……絶対……嫌われてると……思ってたのに……まさか、……まさか当麻から告白して貰えるなんて……信じられない!!」

「お、おい。御坂……お前、今……名前で……」

「と、当麻だって、さっき、私の名前呼んだもん……」

「え?……そう……だっけ?」

「む〜〜〜〜〜〜〜」

「あ、あ……アハハ……アハハハハ……」

「もう……でも、嬉しい」

「そ、そうか……?」

「……それにしても……信じられないな……」

「な、何がだよ?……そんなにオレが告白したのが信じられないのか?」

「そ、それもあるけど……それ以上に……「素直になろう」って思って、そして出来たら告白しようって思ってたのに……」

「思ってたのに……?」

「……そしたら……まさか、先に告白されちゃうなんて……ホント、信じられない」

「(ボンッ!!)」

「ほんのちょっとだけ“いつもと同じ気持ち”から抜け出そうとしただけ……何だけど……、それがこんなに変わっちゃう……なんて……ホントに信じられない」

「“いつもと同じ気持ち”って?」

「さっき、ある人が教えてくれたの。“いつもと同じ気持ち”だと“いつもと同じ関わり”しかできないから、“いつもと同じ結果”しか出せないって……」

「へ、へえ……」

「今までだって、何度も素直になろうって思って……自分の気持ちを伝えたくて……、……でも、どうしても……素直になれなくて……その度、自己嫌悪に陥って……」

「……」

「だから、余計にイライラしたりして……、余計に怒って……、……余計に当麻に……当たったりして……」

「でも、今日の美琴は素直だったぞ。……だからオレも素直に告白出来たんだ」

「(ボンッ!!)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「と、ところで……さ。……その『ある人』って誰なんだ?……カエル先生のことか?」

「あ……その……人って言うか……何て言うか……ウーン……」

「???」

「多分、言っても信じない……と思う……」

「……何だよ、それ……余計気になるぞ……」

「だって……ねぇ……」

 そう言って、美琴は上条の右手を掴む。
 上条は「?」を浮かべるだけだった……。

381Mattari:2011/01/29(土) 22:34:50 ID:0W/xLcAE
15スレまでは行きませんでしたね。計算間違えたな…σ(^◇^;)。

もうちょっと続く予定ですが…今日はここまでで。

382■■■■:2011/01/29(土) 23:02:51 ID:OSP3tzjw
>>381
> ちょっと書いてみたくなった
その割りには大作ですねw
続き期待してます。

    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

383■■■■:2011/01/29(土) 23:10:19 ID:qvCKsuZc
>>381
これは新鮮でイイですね!
続き待ってます
GJ!

384■■■■:2011/01/29(土) 23:28:44 ID:WBClNZWU
危ない危ない、かぶりかけた…。
というわけで結構レベルの高い話が投下されて、自分のをちょっと恥ずかしく感じたので今日は
退散です。
推敲&校正し直してまたそのうち来ます。

>>381
なんだか面白い展開ですね、もうちょっと続くというのがどんな展開になるのか予想もつきませんが
続き楽しみにしてます

385■■■■:2011/01/30(日) 00:14:49 ID:clrLAmXE
中の人ネタは好きだな

386小ネタ豚:2011/01/30(日) 00:22:13 ID:UMSbBw0o
>>381
これは新鮮で読んでて楽しい。続き待ってます。
>>359
編集ありがとうございます。タイトルは――ふたり――でお願いします。

駄文で恥ずかしいけど、投稿してみる。
25分ごろに6レス消費しますね。

387小ネタ豚:2011/01/30(日) 00:26:51 ID:UMSbBw0o


上条の熱っぽい視線を余所に、美琴の胸中は複雑怪奇と化していた。

(「まさか同棲しているなんて…」)

銀髪シスターとはち合わせた時、電撃をぶっ放さなかった自分を褒めてやりたい。
上条とあのシスターの仲が良いのは理解していたのだ。
上条に関わるならばいつかはこうなることは目に見えていたけれど、こんな形になるとは想像すらしていなかった。
ようやく彼女の“帰ってきてくれる発言”の意味がわかってしまった。納得はしないが。
それに一級フラグ建築士、上条当麻が好きならばこの道は避けられない。
もう、つまらない劣等感に振り回されることは止めたのだ。
自分のやりたいこと、ありのままの自分を表現することに迷いは無い。

「(…上等よ)」

さらに彼女との邂逅は美琴にとって望んでいたことでもある。
この機会を不意にするつもりはない。
未来の旦那のために、未来の出来る奥さんとして在るために!

「(やってやるわ!)」

美琴は闘志を燃やし加速するっ!

「(……あれ?)」

前言撤回。
付け合わせとしておひたしを作るためにほうれん草を刻んでいたのだが…
包丁の手を止めて、美琴は現状を振り返る。

「(私は料理をしていて…そこには当麻がいて…今のわたしは無防備で…)」

そこで美琴の料理の師、土御門 舞夏の言葉がよみがえってきた。

(「男はだなー。料理をしている女の子の背中を見ているとだなー。ムラムラしてしまう、そんな哀しい性を持った生き物なんだぞー」)

「(ムラムラ!?私ムラムラされちゃうのっ!?あんなことやそんなこともっ!?)」

インデックスの存在を彼方に追いやって、美琴の暴走(+妄想)は止まらない。

(「まして裸エプロンをするとなー。男はいろんな意味で悦んでくれると思うぞー。上条当麻も例外では無いと思うなー」)

「(はっはは裸!?むむ無理よ!?そんにゃの無理!!!)」

そもそもまだそんな関係に至っていないのだが……美琴にとってそれこそ関係ないのか?

(「御坂もだなー、上条に頼まれたら断れないんじゃないのかー?」)

それに対して美琴はどう返したのか覚えていない。
恐らくテンプレ通り、ふにゃー化したのだろう。

「(今とうまに頼まれたら…)」

388小ネタ豚:2011/01/30(日) 00:27:37 ID:UMSbBw0o

断れない、そう思う。
自分のやりたいことの中には、上条が自分に対して望むことも含まれている。

でも――

上条が自分に対して何か望んだことがあっただろうか?
彼は美琴に笑顔であることを望んでくれた、それだけ。
他に具体的に何かを望まれたことは………無い。

わからない――と思う。

美琴と上条は付き合っているわけではない。
最初は告白しようか、と考えてもいた。
しかし告白とはあくまで一方的なものだ。相手に応えてもらって始めて恋人になれる。
つまり、どんなにこちらが想いを募らせても相手にその気が無ければ意味が無い。
だから、まず上条に美琴を好きになって貰うことから始めることにした。

――惚れるより惚れさせろ――昔の人は良いことを言った。(惚れている時点で失敗してるだろ、おい)

冬休みの間、帰省先であろうと学園都市であろうと上条の都合が付く時間はほぼそれに費やしたと言ってもいい。
ただ一緒にいるだけでは異性として意識してもらえないだろうから、気絶寸前モノのスキンシップすら頑張った。
(おかげで美琴から攻勢に出ることに耐性が付いた)
加えて、“あの”上条だ。鈍感スキルでスルーされても困る。だから《約束》を作った。
無理やり交わしたとはいえ《約束》を上条は律儀に守ってくれる……罰ゲームでさえも。
罰ゲームにかこつけて親密になろうとする様は以前と変わらないかもしれない。
でも、“あんなこと”をしないと彼には気づいてもらえない、そう思ったから。
嫌がられている訳ではないと思う。本当に嫌なら彼はそう言う性格だ。
そんな素振りを見せることも無く、ただされるがままの上条。

では好いてくれているのか?――それがわからない。

美琴は能動的で上条は受動的、それを繰り返していつも思う。
彼からなにか些細なことでも良い、本当に小さなことでもいいから動いて欲しい、と。
“結果として”彼から動いたことは無い。そう“結果として”だ。
一度だけ、彼から動こうとしてくれたことがある。といっても大袈裟なことじゃない。
ただ肩に触れようとしただけ、それを知ることができたのは偶然だ。

あれは学園都市で何回目かのデート(美琴はそう思っている)をしたとき。
私は彼と待ち合わせをしていた。
約束した場所にはまだ着いていなかったようで、暇つぶしに近くにあったアクセサリーを眺めていた。
店内に入って眺めていたわけではなく、外からのガラスケース越しにそれらを見つめる。
ガラスが鏡の役割を果たしていたのか、彼が背後から近寄って来たのがわかった。
申し訳なさそうな顔で呼びかけようとして、なにやら考え込んでいる様子。
困った顔が、小さく笑い、戸惑い、でも赤くして。
彼が私の事で百面相するのが嬉しかった。
私が原因で色々と考えている、その事実がなんだかたまらない。
すると彼はいつかのように顔を真っ赤にして手を伸ばし――――

―――あのときの当麻の顔が忘れられない―――

《イタイ》

そう表現するしかない、そんな顔。
言葉は便利なもので、何かを表すとき様々な単語がある。
そのときは、痛、怖、恐、悲、哀、惑、辛、涙、怯、苦、けれど、どれも当てはまるようで当てはまらない。
そんな表情を浮かべながら――

――私の知らない上条当麻がそこにいた。
____________________________________________________________________________________________

389想定外の邂逅[二つの世界]中盤:2011/01/30(日) 00:29:19 ID:UMSbBw0o
「できたわよー」

その言葉を聞いてインデックスがなにやら瞳に星を浮かべ、落ち着かない様子。
そんな彼女を放置して上条は食器を並べ、料理を運び、美琴を手伝う。
献立は、親子丼、ほうれん草のおひたし、お吸い物。
しかし美琴は勘違いをしたのか上条とインデックスの分量を間違えていた。

「あー、美琴。すまん言い忘れてた」

「そのやけにデカイ器使ったけどまずかった?でも成長期なんでしょ?」

「いや、そうじゃなくてだな…」

自分とシスターのどんぶりを交換する。
彼女の物に手を出そうとした時、凄まじい殺気を感じてしまったが、意図が分かったのかソレを引っ込めてくれた。
おまけに胸を張って堂々としている。これがあるべき立場なのだと。

「食べきれるの?」

「あたりまえなんだよっ」

「見た目からは想像できねえよな、ははは…はぁ」

乾いた笑いにため息が続く。
察しが良いのか、美琴は食糧事情が理解できたらしい。

「とーうーまー……」

「わかってる。もう大丈夫か?」

「(まるで家族の団欒風景よね…)…え?あ、うん」

上条が許可を得ようと聞いたのだが上の空だった。
呆けていたことに気付き、美琴は反射的に答える。

「じゃあ」

「「「いただきますっ!」」」


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


食事の様相はなかなか苛烈だった。
インデックスがショベルカーのように貪り、ブルドーザーのようにおかわりを奪って消化していく。
上条も奮闘するが、腹ペコシスターに8割以上奪われた。
美琴は予想以上の食べっぷりに目を白黒させていたが、どこか嬉しそうだ。
そんな感じで今は三人とも食後のお茶でのほほんと過ごしている。

390想定外の邂逅[二つの世界]中盤:2011/01/30(日) 00:30:44 ID:UMSbBw0o

「ありがとうな」

「ありがとうなんだよ」

「え?」

突然の感謝の言葉に呆けたように驚く美琴。

「美味かった。本当に」

「とうまの100倍はおいしかったんだよ」

「…インデックスさん?はっきり言われると上条さんは」

「でも本当のことかも」

このシスターはいい加減に遠慮という言葉を覚えて欲しい、そう思う上条を無視してインデックスは続ける。

「短髪もなかなかやるんだよ」

「短髪やめて。私には御坂美琴って名前があるんだから」

「じゃあ…みこともなかなかやるんだよ」

「ありがとう。あなたのことは…インデックスでいい?」

「かまわないかも」

遭遇したときはどうしようかと思ったけれど、二人の様子に安心してしまう。
地下街で出会ったときからは考えられないくらいに温和な雰囲気だ。

「ねえ、当麻?」

「なんだ?」

「このあと予定ある?」

「いや?無いな」

イギリスやロシアなどに飛ばされ出席日数が心配された上条だが、代わりに課せられた補修や課題は無事に年内に終わらせることができた。
それは周りの人間が彼を支えてくれたおかげだろう。
小萌先生、姫神、クラス委員である吹寄をはじめクラスメートには多大な感謝をしなければならない。
(もっとも、手伝ってくれたクラスメートがほとんど女子ということもあって、昼にあったようなことも起きた)
そして冬休みの課題は美琴に教わりながら頑張って終わらせることが出来たので、追加の課題は無い。
(美琴が年末の二の舞やデートの妨げになるのを恐れて、上条に即行で終わらせることを強いた為)

「じゃあインデックスと二人で話があるから…」

「…あるから?」

美琴は笑顔で玄関を指さし―――

「出てって」

「………へ?」

家主へのこの言い様。
上条は突然、必然、唖然、愕然。

「なによ?女の子同士の会話を邪魔する気?」

「どうしたんだ?いきなり」

「もともとインデックスにも用事はあったのよ」

意外な用件を切り出されたので困惑の色が隠せない。
どんな内容か聞きたいところだが答えてはくれないだろう。

「話が終わったら連絡するから」

「……わかったよ」

「今度は忘れないようにね、携帯」

「はいはい」

釈然としないが大切な話かもしれない、そう思い携帯を掴んで外出する。
しかし―――
美琴はインデックスに用事があると言ったが、プライベートなものだろうか?
だが、互いの自己紹介を済ませたばかりの二人がどんなことを話すのか想像できない。
一抹の不安を覚えるが、あの二人なら大丈夫か、そう自分に言い聞かせて行き先も定まらないまま足を進めた。
___________________________________________________________________________________________

391想定外の邂逅[二つの世界]中盤:2011/01/30(日) 00:33:40 ID:UMSbBw0o


さて、と美琴はインデックス視線を向ける。
彼女も美琴の纏う真剣な雰囲気を察したのか居住まいを正している。
まるで夫の浮気相手を問い詰めるような雰囲気だ。
そこまで考えて苦笑してしまう。

「(どっちが浮気相手なんだか…)」

それが案件ならば、ここにいるのが現在の私で良かった。
かつての私なら怒って彼を問い詰めるだろう。
でも今は違う。

「(当麻にだって事情がある)」

そもそもそんな話をするために彼女と1対1になったわけじゃない。
だからこの雰囲気はなんとかしないと…

「ねえ。インデックス」

「なにかな。みこと」

真っ直ぐにこちらを見つめて返す彼女。

「紅茶とココアどっちが良い?」

「え?…どっちでもいいかも」

「じゃあ…ココアで良い?」

「うん」

すでにあったお茶だけではなにかと続かないだろう。
台所にあるココアとカップを拝借して二人分用意する。
その間、電磁波によるレーダーで盗み聞きの存在に警戒するが…いないようだ。
念のため盗聴されないようジャミングする。今ので電子機器類が逝ってしまったかもしれないが、しょうがない、後で弁償しよう。

「はい」

「ありがとうなんだよ。」

これで緊張がほぐれてくれるなら幸いだ。

「それで?聞きたいことってなにかな?」

「そうね。」

まずは彼女の誤解を解くことから始めよう。

「インデックスは当麻のこと好きなのよね?」

「もちろんなんだよ」

「私もよ」

その真っ直ぐな言葉に嫉妬してしまう、彼女の素直さに。
そこに辿り着くために私はどれだけ苦悩したことか。

「今日聞きたいのはね?」

「うん」

「そういう話じゃないの」

「………え?」

驚いてる驚いてる。なんか可愛い。抱きしめてギュっとしたくなるような可愛さだ。
しかし、この話題と“あの”話題は関係ないのだろうか?根本的にはあるのかもしれない。
なぜなら私は彼が好きだから。失うわけにはいかないのだから。

「じゃあ…みことは何を聞きに来たの?」

「逆に聞くけど、何聞かれると思った?」

「それは…なんで一緒に住んでるのとか…とーまとはどんな関係とか…」

「どんなことかは知らないけど事情があるのよね?」

「そう…だけど」

「なら私が口出しする問題じゃないわ」

「結局みことは何が知りたいの?」

焦れてきたらしい。

「前置きはこのくらいで十分よね」

「私が知りたいのはね……」

彼女を真っ直ぐ見据えて、告げる。

「――――――――――――――魔術のことよ」

ここまで来た以上、もう止まれない。
_______________________________________________________________________________________________________________

392小ネタ豚:2011/01/30(日) 00:36:29 ID:UMSbBw0o
以上で三分のニが終わった感じですねー

続きはまた様子見て投下します。

393■■■■:2011/01/30(日) 00:47:40 ID:PMXSwXYo
>>392
GJ! 魔術ときましたか… この先どんな展開になるんだろ?

394■■■■:2011/01/30(日) 01:03:36 ID:9faxE9qc
>>392
こっちも期待。

        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

395■■■■:2011/01/30(日) 01:09:13 ID:ZON/CUzQ
>>392
GJ!
続き待ってます!

396■■■■:2011/01/30(日) 12:55:33 ID:iCxkuAvA
ついに言っちまったな!もう戻れないぜ☆
とりあえずGJ!

397■■■■:2011/01/30(日) 13:55:51 ID:y5XXpgOc
ニ作に最高のGJと名誉を与えたい。

398■■■■:2011/01/30(日) 14:00:27 ID:clrLAmXE
魔術ネタに挑戦するだけでGJ

399■■■■:2011/01/30(日) 21:20:27 ID:rkLzaB0o
投下をためらわなくて良いのだよ。

400小ネタ豚:2011/01/30(日) 21:33:36 ID:UMSbBw0o
ちゃーっす。
まとめサイトで編集されてることに不覚にも感動してしまった。
編集者さんありがとう!!

というわけで、たまには戦端の口火を切ってみることにしました。
35分ごろに6レス浪費します。

401小ネタ豚:2011/01/30(日) 21:36:10 ID:UMSbBw0o
〜とある喫茶店にて〜

上条は当初ぶらぶらと散策をしていたがトラブルに遭う気がしたので、今は適当な喫茶店に入って時間を潰している。
そしてあらかじめコンビニで購入しておいた漫画雑誌を取り出す。
(ちなみに立ち読みをすることもできたのだが、偶然入ったコンビニは雑誌棚を清掃していたので気が進まなかった)
そんな上条に声をかける人物が一人。

「にゃー。かみやんなんでここにいるんだにゃ?」

「土御門?」


そんなこんなで男二人、茶をしばくわけである。

「それで?あの中学生はいいのかにゃー?」

「中学生を強調して言うな」

自分が犯罪者であるかのような口ぶりに辟易。
なぜ周りには口の悪い人ばかりなのだろう。

「御坂はインデックスに用事があるんだとよ、って土御門?」

「どうしたんだにゃー。かみやん?」

土御門の格好に違和感を感じる。
相変わらずの奇抜なスタイルだが、耳にはイヤホンが。

「お前、音楽とか聞くタチだっけ?」

「いや、違うぜよ。あちら側と言えばわかるかにゃー?」

土御門は科学と魔術、二つの世界で暗躍する多重スパイだ。
学生でありながら同時にその道のプロでもある。
もっとも、普段からニャーニャー言ってるようなふざけた様子からは想像できないが。

「また何か厄介事を持ち込んで来たんじゃないだろうな?」

「それは無いにゃー」

「どういう意味だよ?」

「盗み聞きも立派な仕事だぜい」

また学園都市の外に飛ばされて、単独で魔王殿に潜入、そこの脳筋悪魔貴族を撃破しろと言われるのか。
そう考えていたが違うらしい。しかし盗聴とは物騒な物言いだ。

「堂々と言うな。でもこんな騒がしい場所じゃ無理だろ」

「その通りなんだがにゃー」

「どうしたんだ?」

「あちらさん、盗聴を警戒している感じだからこの機材に意味は無くなってしまったにゃー」

イヤホンを外し、土御門はため息を吐く。

「おまけに直で聞こうにも向こうは特殊なレーダーも所持しているもんだから…」

「打つ手が無いと」

そういうことぜよ、と言って頼んであったコーヒーに口をつけた。

「だからやることも無くて、ここのメイドさんを見に来たのか?」

「ここの制服はメイドとは言わないぜい」

どうやらこだわりがあるらしい。
今度は土御門が上条の事情を尋ねる。

「かみやんは追い出されたクチかにゃー?」

「女の子同士の会話を邪魔するなってよ」

「どういうことかにゃ?」

「わからねーよ。ただ…」

「ただ?」

「もともとインデックスに用事はあったって言ってたから…」

どこか物思いにふけるように上条は答えた。
極僅かだが空気が張り詰めたことに彼は気付かない。

「単に気に入っただけじゃねーの?御坂は可愛いもの好きだし」

その言葉を聞いた土御門は激しく脱力した。

「土御門?どうしたんだ?」

「…なんでもない…にゃー」

あまりの気の抜けようにサングラスがずれている。
それを整えて土御門は呟く。

「かたや魔術の禁書目録、かたや科学の超電磁砲…か…」

だがその呟きは上条の耳には入らなかったらしい。
土御門の胸中を余所に物語は始まる―――――
___________________________________________________________________________________________________________

402小ネタ豚:2011/01/30(日) 21:37:34 ID:UMSbBw0o


「具体的に言えば魔術の世界とあなたが見てきた当麻、ね」

第三次世界大戦が始まる前、日本の学園都市は自分らと同じような科学機関が海外にもあることを公表した。
そしてそこでは《魔術》と呼ばれる《超能力》を開発していることも。
だがそれはとても曖昧な情報に思える。なぜなら実際に彼を追いかけて、ロシアでその技術の一端の見てしまったから。
超能力は知らない人から見れば、まさに魔術に見えるかもしれない。しかしその力には科学として正当な理屈、理論がある。
ロシアで見てしまったアレらは決して科学と呼べる代物じゃない。私の知識が、経験がそう叫んでいた。
つまり《魔術》の存在は実、それが《科学》分野であることが虚、強引過ぎるが結論として間違ってはいないはず。
それにインデックスが関わっているかの根拠は無かった。けれど、今、この瞬間確信した。関連が有ると。
彼女はそのことは予想していなかったらしい。一瞬呆けて、瞳が警戒の色を帯びる。

「それを聞いて……短髪はどうするつもり?」

周囲の空気が変わった。
踏み込んではならない領域に足を突っ込んだ感覚がする。
先ほどまでとは残酷なまでに先ほどと目付きが違う。
なにやら穏やかでないものを孕む圧力を、幼く見えるその容姿から放っているとは思いたくない。
彼女から発せられるソレはとても冷たく、鋭く、硬くて、そして怖い。
まるで子を守る母のようだ。
何を言おうが撥ね退ける、そんな強い意志を感じさせる瞳をしている。
本当に当麻が大切なのだろう。そしてそんなに危ない世界なのか。
インデックスの変わり様に気押されてしまう。

でも――

「インデックス…」

私は引けないし、今更引くつもりもない。
だから、私は募る想いをシスターに告白する。

「当麻はいつも酷い怪我をして入院してるわよね?それを知ったときは心配したわ。またかっ…てね」

「でも…それがいつもの事だなんて知らなかった。命懸けの怪我なんて普通、滅多に起こることじゃないもの」

思い浮かぶのは、ボロボロになっても無理をしていた当麻。

「そのことを知ったのはアイツがイギリスに行く前の大怪我のとき」

「病院から抜け出しているところをね、偶然見つけたの。…もちろん止めたわよ」

結局は止められなかったけどね…と加える。

「なんでもっと頼ってくれないのかって言ったわ」

「ほら、他の人には頼れって言う割には自分のことは相談しないヤツでしょ?」

「けれど…きっと。アイツには関係ないのよね」

「頼る頼らないの問題じゃない。自分がそこへ行くことに意味を見出している」

それは彼の言葉を聞いて、彼の様子を見てきて、行きついた結論。

403想定外の邂逅[二つの世界]後篇:2011/01/30(日) 21:39:09 ID:UMSbBw0o

「当麻はいつだって当麻だから」

「上条当麻としての生き方がそこに在るから」

「私たちが縋りついて止めても、きっと変わらない。変えられない。そう思うの」

その在り方につい悲しくなって、泣きそうになってしまう。
声も上手く出せない、カップを取ってソレと一緒にこげ茶色の液体を呑み込む。

「アイツがボロボロになるのを想像すると無力感に苛まれる」

「アイツが外に出ているのを知るたびに無事を願ってるばかりだった」

「でも…後悔したくないから…願うだけじゃダメだから…」

深呼吸。覚悟を言葉に変える。

「私だって戦える。超能力者としての力が無くても、この気持ちは変わらない」

借りを返す、助けられた恩がある、それは方便だ。
本当の意味でやりたいことじゃない。

「私は当麻を守りたい。あのどうしようもないくらいにボンクラで優しい当麻を守りたい」

「だから知りたいの。当麻の戦う世界を」

でも気持ちだけでは守れない、それが現実。
そして失敗するわけにはいかない、リセットは出来ないのだから。

だから――

「あなたの力を貸して欲しい。お願い、インデックス」


ここで断られるならば自分で調べるしかない。
今まで築いてきた全てを失うかもしれない。最悪、学園都市が敵に回ることも十分にありえる。
以前PDAで調べた内容からはわかっていたことだ。
でも、この選択に後悔は無い。きっと今まで過ごしてきた日常も帰ってこないだろう。
それでも譲れない想いが――――ここに在る。


「短髪は…」

沈黙が破られるがどうしても不安になる。

「ううん」

「みことは……わたしといっしょだね」

そこには柔らかく微笑む聖職者がいた。

「でも…不公平…なんだよ…」

「…え?」

我ながらマヌケな声だ。

「わたしの話だけじゃあ…不公平なんだよ」

「わたしだって、いつもいつもとうまと一緒にいるわけじゃないんだよっ」

「だから、だからぁ、わたしだってみことの話が聞きたいんだよぉっ」

矢継ぎ早に言葉を発するインデックス。様子がおかしい。
なにかマズイことを言ってしまったのか…終いには泣きじゃくり始めた。
衝動に駆られ彼女を抱きしめて、年相応の少女の様子に安心してしまう。
もしかしたら先ほどまでのインデックスはただの強がりで、なにかの拍子にその糸が切れてしまったのだろうか?
それでも私の無遠慮な頼みを許してくれた彼女に―――――

「ありがとう」

――――私は感謝を述べる。

_______________________________________________________________________________________________________________

404想定外の邂逅[二つの世界]後篇:2011/01/30(日) 21:40:03 ID:UMSbBw0o

上条と土御門はあの後は取りとめのない会話で時間を潰していた。
そこで鳴る上条の携帯。どうやら用件は終わったようだ。

「終わったのかにゃー?乙女の密談は?」

「そうみて―だな」

気になって仕方なかったので、早々に会計を済ませて帰宅しようとするも土御門に呼び止められた。

「なあ。かみやん」

「なんだよ」

夕刻、またの名を逢魔ヶ刻。

「かみやんはそれでいいのか?」

「どういう意味だ?」

それは、人と魔に魅入られた者の時間が交わる意。

「そのままの意味だ」

夕日が眩しくて表情はうかがえないが、彼が纏う空気には覚えがある。
それは魔術師、土御門元春としての顔。

「かみやんは頑張った。いろんなヤツを救った」

「でも、自分がやっている意味を全く理解していない。かみやんはいつか――」


「――裁かれる――」


「俺みたいな嘘つきは逃げても良い。だがお前は逃げるな」

「結果的にたくさんの人々を救ってしまったお前だけは―――逃げちゃいけない」

「それを忘れるな」

そう残して、魔術師は去った。全く意味がわからない。
裁かれる――と彼は言ったが、それは記憶喪失の事か?ならばインデックスと向き合えという意味か?
心を占める大量の疑問符に戸惑いながら上条は帰宅の路へと着く。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

405想定外の邂逅[二つの世界]後篇:2011/01/30(日) 21:41:25 ID:UMSbBw0o


「ただいまー」

「「おかえりなさい」」

扉を開けると二人の少女が和気藹藹としている。
しかもなにやら上条に意味深な目を向けてニヤニヤしているのだ。物凄く居心地が悪い。
そんな雰囲気を打ち払うために、取りあえず聞いてみる。

「それで?一体何の話をしていたんだ?」

「「べぇーつぅーにぃー」」

「(何なんですかこの団結っぷりは!?)」

上条さんは!上条さんは!と、とある変態の空間跳躍者と同様に悶えてしまう。
そんな様子を見た二人は上条に残虐な言葉を浴びせた。

「当麻」「とうま」

「はい?」

「「気持ち悪い」んだよ」

この仕打ち。女の子から言われるとこれは傷つくだろう。嗚呼無情。
傷心上条を放置して美琴は立ち上がった。

「さてっ」

「あれ?もう帰るのか?」

「門限だってあるしね」

「そうか……残念だな」

「あれだけ家に上げたがらなかったくせに」

しょうがないだろう、そう思って無意識のうちにインデックスに視線が移る。

「なにかな?とうまはわたしのせいって言いたいの?」

「イイエソンナコトハ…」

ナイデスヨ…と目を逸らす上条。

「とうまはいらないからみことがココに住めばいいんだよ」

「インデックスさん!?」

「それもいいかもね」

うんざりしてきてため息を吐きながら、玄関までついていき靴を履く。

「ここでいいわよ」

「却下だ。昼ごはんを作って貰った礼にもならないけど…このくらいはさせてくれ」

するとインデックスも見送りに来て、なにやら形容しがたい表情を浮かべていた。

「……みこと」

「どうしたの?インデックス」

どこか悩むように、それでも大切な何かを頼むように彼女は告げる。

「とうまのこと、よろしくなんだよ」

「うん。頑張る」

普通男女の事を考えれば逆なのだが、二人には通じるらしい。

「とうまは頑固で無鉄砲で甲斐性無しでポンコツだけど」

「…うん」

「みことにしか、お願いできないんだよ」

「……うん」

上条は自分がボロクソに言われていることにまたもや閉口。

「じゃあ。またねインデックス」

「うん。ばいばいみこと」
___________________________________________________________________________________________________________

406想定外の邂逅[二つの世界]後篇:2011/01/30(日) 21:42:47 ID:UMSbBw0o


「わたしとみことは……ちがう」

二人を送り出しわたしは虚空に呟く。
みことがとうまと共に部屋へ入ったときから嫌な予感はしていた。
わたしが見てきたみことは素直になれない女の子であり、彼へ恋慕の情を向けていることは知っている。
よって、二人っきりになった時もそれが本題になるだろうと思っていたのだ。
だが彼女は違うと言った。それはあくまで前座であり本題は先にあるのだと。
わからなかった、何が言いたいのか。そして口を開いて出た言葉が―――――

―――――魔術

一瞬理解できなかった。
それが理解できた時、目の前の能力者が識らない何かに思えて恐怖した。
能力者と魔術師は対極に位置する存在であり、お互いの無闇な接触は禁忌にあたる。
だから警戒した。敵意を向けた。必死に強がった。

だって―――

その得体の知れないモノがまた彼を何かに巻き込んでしまいそうで、怖かったのだ。
何と言われようが、何をされようが、教えるつもりはなかった。

だって―――

そもそも魔術とは無縁の生活を送るはずだった少年を戦いに巻き込んだ元凶は――

――――わたしなんだから――――

その事実はたとえ誰に弁護されようとも変えられない。もちろん彼にも、だ。
元凶に嫌味ひとつ言わないで、だれかのために戦いに身を投じる。
右手を除けば彼はただの高校生に過ぎない。
特別な知識も無ければ、〈聖人〉のような身体能力があるわけでもない。
であれば何度も重傷を負うは必常。いや、生きているほうが異常だ。
彼にはもう傷ついて欲しくなかった。
恨んでもらっても良かった、それで彼が戦いを止めるなら。
言って欲しかった、もう戦いたくないと、傷を負うのは嫌だと。
しかし現実はどこまでも残酷で、より深いところまで彼を争いに誘っていく。
この連鎖がいつまで続くのかと絶望したことさえある。
そんなときだ、みことが来たのは。
彼女の言うことは“ほぼ”わたしと同じだった。

(「当麻はいつだって当麻だから」)

(「上条当麻としての生き方がそこに在るから」)

(「私たちが縋りついて止めても、きっと変わらない。変えられない。そう思うの」)

わたしもそう思う。彼の生き方は変えられない。それだけの強い意志がある。
彼はそれで良いのかもしれない。
けれど、それが周囲の人にとってどれだけ悲しい生き方なのか、理解しているのだろうか?
戦いを遠ざけようにも、既に戻れない場所まで来ている。

407想定外の邂逅[二つの世界]後篇:2011/01/30(日) 21:43:38 ID:UMSbBw0o

(どうすればいいのか…わからないんだよ…)


しかし――


(「――私だって戦える――」)

そう、彼女は言った。

(「――超能力者としての力が無くてもこの気持ちは変わらない――」)

それでも彼女は言った。

(「――私は当麻を守りたい。あのどうしようもないくらいにボンクラで優しい当麻を守りたい――」)

わたしと同じ結論に至りながら、それでも彼女はそう、言ったのだ。

(「――あなたの力を貸して欲しい。お願い、インデックス――」)

彼を守りたいと、騒乱の元凶であるわたしに助力を願った。
断るべきかもしれない。……でもこんな人をわたしは知っている。
魔術とか科学とかそんな垣根を簡単に飛び越えて、守りたい人のために真っ直ぐ言葉をぶつけてくる――そんな人を。
心が震える。理屈抜きに。そして思ってしまった。

(みことなら…だいじょうぶ…かも)

そう、期待してしまったのだ。




「わたしとみことはちがう」

あのときは込み上げる涙を我慢していて強がって言ったが、どちらかと言えばあのボンクラに似ている。

「願うだけじゃダメだから……か…」

その通りかもしれない。では――

「わたしには何ができるんだろう?」

少女の問いを答える者は無く、しかし真摯に答えるように、そこには沈黙しかなかった。


_________________________________________________________________________________________________________

408小ネタ豚:2011/01/30(日) 21:47:09 ID:UMSbBw0o
みんなごめん…7レスだった。

これで一応終わりです。
続きはまた様子を見て投下しますね。

409■■■■:2011/01/30(日) 21:50:27 ID:R76fKeGg
いいねぇ 美琴もインデックスもセリフがらしくて
続き期待して待っております

410小ネタ豚:2011/01/30(日) 21:54:08 ID:UMSbBw0o
さらにごめんなさい
>>402
先ほどまでとは残酷なまでに先ほどと目付きが違う。
ではなく
先ほどまでとは残酷なまでに目付きが違う。
です。嗚呼恥ずかしい。

411■■■■:2011/01/30(日) 22:10:07 ID:e/cFpK4E
乙乙
インデックスの心理描写が丁寧で惹きこまれた・・・
美琴とインデックスは原作じゃあんなんだけどお互いに最高の理解者足りえると思うんだよなぁ

412■■■■:2011/01/30(日) 22:13:31 ID:p5NVI/BQ
いいねいいねェ、最っ高だねェ!!

413■■■■:2011/01/30(日) 22:27:29 ID:9faxE9qc
>>408
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

414Mattari:2011/01/30(日) 23:16:17 ID:O63InK/c
>>408
スゴいなぁ。GJです。
何か続き書くのがハズくなってきた……。

とは言え、途中で放り投げる訳にも行かないので……。

20分頃から投下します。多分10スレほど使用する予定です。(計算間違いじゃなければ……ですが)

415Mattari:2011/01/30(日) 23:22:24 ID:O63InK/c
「……で、でもさ……告白しといてこんなコト言うのもアレなんでせうが……ホントに……オレなんかで……イイのか?」

「何言ってんのよ。私は当麻でなきゃダメなの!!」

「え?」

「私が私で居られるのは、当麻と一緒に居る時だけ。自分が自分で居られるのは、当麻の隣だけだもん。私をちゃんと14歳の女の子として見てくれるのは、当麻だけ。だから当麻じゃなきゃダメなの」

「そ、そうなのか?」

「うん、そうだよ。エヘッ(ギュッ)」

「(わ、わぁ〜〜〜〜〜〜〜、何か柔らかいモノが当たってます〜〜〜〜〜〜〜)」

「と……当麻こそさ……ホントに私でイイの?」

「へ?」

「私って、怒りっぽいし……すぐ電撃するし……ヤキモチ妬きだし……」

「……それが美琴だろ?オレはそんな美琴を好きになったんだ。それでいいじゃないか」

「(ボンッ!!……こ、コイツは……なんでこういうコトを平気で言えるのよ……ぅ、嬉しいけど……)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「14歳の女の子……か。確かに……そうだよな……。【常盤台の超電磁砲(レールガン)】とか【最強無敵の電撃姫】とか【7人しか居ないレベル5の第3位】とかさ、変な肩書きが多いもんな。美琴は……」

「……ぅ、……うん」

「でも……あの鉄橋の上で見た時の美琴は、「助けてよ」って呟いてた時の美琴は、ホント普通の女の子だった よな。……それに……」

「え?……それに?……」

「何時だったか……河原で勝負したことあっただろ?あの時、電撃も砂鉄剣も効かなくってさ、最後に直接攻撃かけようとして、オレの右手を握っちゃって……あん時の『ビクゥッ』ってして、こーんな感じで涙目になって、ビビってた美琴も……普通の女の子……だったよな。ただ……『まいりました〜』ってやった後に、盛大に電撃を……」

「!!!……な、……な……何で……」

「い、いいい、いいいいい痛い、苦しい、痛い、苦しい、痛苦しい。あ、頭に右手が乗ってるから……ビリビリ出来ないからって……そ、そんなに力一杯……や、柔らかいモノを当てながら……抱き締めないで……ち、力が……み、みみみみみ美琴……入りすぎ……てませんでせうか?……ぐえぇぇ……」

「な、何で当麻がその事知ってるの!?覚えてるのよ!?……え……だって……それって……記憶を……」

「へ?」

「そうよ!!それって……記憶を無くす前の出来事よ?ホントは覚えてないはずなのに……私だって言ったこと無かったはず……」

「……アレ……そういえば……何で……?……え?……ウーン……」

「ね、ねぇ……何で?」

「じ、実はさ……四、五日前から風邪をひいて寝込んでたんだよな、オレ」

「えっ?」

「心配かけるといけないから、黙ってたんだけど……」

「……また、当麻は……そういうことをするから、余計に心配するんじゃない!!」

「あ……ゴメン……」

「こ、今度からはちゃんと言ってよ。わ、わたっ、私たちはもう、こ、ここ、ここここここ恋人同士なんだから……ね……」

「(そ、その“上目遣い”だけは、反則過ぎませんでせうか?)……ハィ……」

「エヘヘ(ギュッ)」

「(か、可愛すぎる……何なんだ、この生き物は?……お、オレの理性は……保つのだらうか?)……」

「ねぇ、それで……?」

「あ、……そうそう。(ホッ……なのか?……ん?)……で、その寝込んでた時に、何か知らないけれど盛大に夢を見続けてたみたいなんだよな」

「……何よ、その“見続けてたみたい”って……?」

「よく覚えてないんだよ。とにかく眠かったし、クスリも飲んでたから、何か寝てるのか起きてるのかも良く分からないような感じでさ……」

「……」

「でも……そう、誰かと一緒に居たような……、そして……一緒に……アレ?……」

「と、当麻……?」

「アレ?……オレ……だって……コレ……あ……、ああ……」

「ど、どうしたの?当麻。何で泣いてるの?」

「あ……、ああ……。オレは……お、オレは……」

「当麻!?……当麻ったら!?」

「お、オレは……、そう……そうだよ。……オレは……オレは……、……オレは上条当麻なんだ!!!!!」

「えっ!?」

「美琴!!!オレは上条当麻なんだよな!?」

「えっ!?……な、何を言ってるの?」

「そうだ、そうだよ。オレは、オレは上条当麻なんだ。上条当麻で居て良かったんだ!!!!!」

「と、当麻……えっ?……ま、まさか……」

416とある右手の名誉挽回(キューピッド):2011/01/30(日) 23:25:21 ID:O63InK/c
「そうだよ、記憶が……記憶が戻ってるんだ!!!」

「う、うそっ!?……ほ、ホントにっ!?……ホントに記憶が……?」

「ああ、多分……間違いないよ。全部が全部って訳じゃないと思うけど……だって、普通に忘れてることもあるからさ。でも、大切にしたいことや重要なこと。そういったことは全部思い出せるようになってるんだ!!!」

「ほ、ホントにっ!?」

「美琴と初めて出会った時のことも、夜通し追いかけっこした時のことも。全部思い出せるぞ!!!」

「な、何を思いだしてるのよ!?……、でも……でも……、……あ、ああ……ああ、当麻、当麻ぁ……」

「美琴、ありがとう。お前のお陰だよ。お前が傍に居てくれたから……」

「ううん、私は何にもしてない……。でも、ホントに良かったね、当麻……」

「ああ、……ホントはさ……記憶を失ってからずっと……不安で、怖くて、苦しくて……さ。みんながオレを【上条当麻】として見てくれてるのは分かるけど……オレはそれに応えるだけで……自分の中では、その根っこが無い状態でさ……」

「……当麻……」

「オレの中に“オレは上条当麻なんだ”って言う確信がないんだよな。だから、……ずっと自分はコレでイイんだろうか?っていうのがあって……何ていうか【上条当麻】を演じているだけで、本当は別人何じゃないか?っていう疑問が常にある……って感じでさ……」

「……」

「何が不幸って、これ以上の不幸はねえよな。自分が自分である確信が持てねえんだから……でも、それももう……もう……」

「……(あ……も、もしかして……【右手】が言ってた“当麻にやって貰わないといけないこと”って……コレのコトだったんじゃ……)……」

「ん?……どした……美琴?」

「あ、あのさ……さっき言った“いつもと同じ気持ち”のことを教えてくれた“あの人”って……」

「ああ、その事か……。……で、誰なんだ?」

「信じて貰えないかもしれないけど……その……“あの人”って……当麻の【右手】なの……」

「へ?」

「……」

「……」

「……だから……【右手】……なの……」

「……」

「……」

「……あ、あの……コレ?……」

「……うん……そう……」

「……」

「……」

「……美琴……大丈夫か?お前……」

「あ〜〜〜〜、もう!!!!だから言いたくなかったのよ!!!!!!!……でも、ホントだもん。そう言ってたんだもん……」

「……」

「……」

「……」

「……あ〜、信じてないでしょ。そりゃ私だって信じられないけどさ……でも、でも……」

「……オレの【右手】が……ねえ……」

「む〜〜〜〜〜〜」

「ん?……あ、ひ、姫?……美琴姫様……そんなにカワイイ顔で睨まれても……上条さんは困ってしまうんでせうが……」

「だって、だって、だってぇ……むぅ〜〜〜〜〜〜〜」

「(お、オレは……どうすれば……このままじゃ、鉄壁の理性が崩壊するのは時間の問題だ……)」

「(じぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)」

「(な、何とかゴマかす方法は……あっ!……)……なぁ、美琴姫?」

「……な、何よ……」

「あの……さ、【右手】って言うけど、どうやって話したんだ?」

「どうやってって、当麻が喋ってたのよ。……でも、私は『違う』って感じた。アレは当麻じゃなかった。それは確信があるわ」

「オレの身体を使って?……何か腹立つな……。でも【幻想殺し(イマジンブレーカー)】だからな。幻想を繰り出す訳にも行かないってコトか……」

「あ……、その名前で呼ばれるの……嫌がってた……」

「へ?……何で?」

「知らない……本当の名前は違うみたい……。そこまでは聴いてなかったけど……」

「へ、へえ……」

「それに……自分は上条当麻を“不幸”にしたことはない。って」

「ハァ?何言ってんだよ、コレがあるからオレは、神様のご加護とか赤い糸とかまで全部消されてんだぞ?」

「……赤い糸はちゃんとあったじゃない……そ、それとも何?私じゃ不満な訳?……むぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「(ギクッ!!!)め、めめめめめめめ滅相もない。み、美琴だったら、何の不満もありません!!!か、かかかっ上条さんは幸せ者ですよ〜……」

「……だったら、宜しい。……エヘヘ……」

417とある右手の名誉挽回(キューピッド):2011/01/30(日) 23:27:01 ID:O63InK/c

「……」

「……その【右手】が言ってたんだけど……」

「ん?……」

「当麻は、自分を必要としてくれる場所に居て、自分を認めてくれる仲間と共にあって、自分の成すべき事を成している。それは“不幸”じゃないって……」

「……」

「そ、それに……」

「……それに?」

「わ、わわ、わわわわわわ私みないな子に慕われてるのに、何処が“不幸”なんだって。それを“不幸”だって言ったら、世の中に“幸せ”なんて存在しなくなるって……」

「(ボンッ!!)……そ、そう……だよな……(ぅ、うわぁ……なんつー恥ずかしいことを……)」

「……本当の“不幸”っていうのは……あの……妹達(シスターズ)の……一件のようなこと」

「あ……」

「……」

「……オレの記憶も……」

「……うん……」

「……」

「信じていた者から裏切られ、自分という存在を根底から否定され、自分が蒔いた種であるはずなのに、自分の力ではどうする事も出来ない現実を突き付けられる。そんな出来事……」

「……」

「あの時、神様なんて信じてなかったけど……神様は何で私を助けてくれないの?って思ってた。その事を言ったら……『お前は既に神様に助けられているじゃないか?』って……」

「どういうコトだよ?」

「当麻の右手は“神様から貸し与えられた浄化の力”が宿っているんだって。だから、当麻は“神様の代理人”なんだって……」

「オレの右手が……“神様から貸し与えられた浄化の力”を宿す……」

「だから、……だから、当麻は神様の代理人として、私を……私と妹達を、あのとんでもない“不幸”から救ってくれた……。それは神様に救われたのと同じだって……」

「オレが……神様の代理人……」

「それに、それが出来る上条当麻が“不幸”な訳がないって……」

「……あ……」

「話をしていても……何か自分と全然違う価値観というか、視点で話してくるから……言いくるめられてるような気にもなったけど……」

「……オレなんか、ほとんどついて行けてないぞ。……でも、間違ってない……と思えるよ……」

「……うん……」

「……この右手が神様から貸し与えられたモノで……オレが神様の代理人……ってのは、俄には信じられないけど……」

「……でも……」

「ん?」

「当麻はその右手で、たくさんの人を救ってきている。この前なんか戦争まで止めちゃって、地球の危機まで救った。でもそれが“神様の右手”なら……」

「そうだな……そんな事が出来てもおかしくない」

「記憶を失っても、当麻は当麻のままだった。それって【右手】のお陰……なのかも……」

「それも【右手】が言ってたのか?」

「ううん、それは私の想像。でも……そう考えたら……ううん、そう考えないとあり得ないこと……」

「……」

「……」

「でもなぁ……いきなりこんなスゴいコト言われてもなぁ……オレはただの不幸な高校生だぞ」

「不幸じゃない。って言われても……当麻にとっては、そうよね……クスッ」

「な、何だよ……」

「いっつも『不幸だ』『不幸だー』って言ってるもんね……アハハ」

「笑い事じゃねえよ。オレにとっちゃ……、ん〜……でも……」

「え?」

「こ、こんなにカワイイ彼女が出来たんだ。もう“不幸だー”なんて言えないよな……」

「(ボンッ!!と、とととと突然何を言い出すのよ、コイツは!!!)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜と、ととと、ととととととととっ当然よ……」

「ありがとな……美琴」

「え?……ゎ、私は……別に……」

「美琴が変わろうとしてくれたお陰で、色んなモノが変わったんだ。オレと美琴の関係も変わったし、右手のことも少し分かった。神様の代理人とかまだ信じられないトコは少しあるけど、最後にはオレの記憶まで戻ったんだ。こりゃ、一生美琴には頭が上がらないな〜……」

418とある右手の名誉挽回(キューピッド):2011/01/30(日) 23:28:37 ID:O63InK/c

「……ふ、フ〜ン……(ニヤニヤ)」

「ん?……な、何ニヤけてんだ……よ?」

「……ねぇ……当麻?」

「……な、何だ?」

「今さ、……“一生頭が上がらない”って言ったわよね」

「……言いましたね……(う……不幸センサーが……)」

「ってコトは……一生、私の言うことを聴く。ってコトで良いわよね?」

「ちょ、ちょちょちょちょちょちょちょっと待て!!……いくら何でもそれは……」

「良いわよね?」

「……そ、そんな……」

「良・い・わ・よ・ね・!」

「……ハィ……」

「じゃ、私は当麻のお嫁さんに決定ね!!!」

「へ?……お嫁さん?」

「うんっ!!」

「……い、い、いいいいいいくら何でも、それは話が飛躍し過ぎじゃないでせうか?」

「一生、私の言うこと聴くんでしょ?」

「……い、いや……だからって……それは……」

「大丈夫。外ではちゃんと当麻を立ててあげるから」

「そ、そういう事じゃなくてだな……」

「何よぉ〜、それとも私じゃ不満だって言うの?」

「そ、そんなことはないぞ。っていうか……オレには勿体なさ過ぎるって言うか……」

「(も、勿体ないって……キャー!!!)……エヘヘ……」

「ここで、デレられても……困るんですが……」

「い、いいいいいイイじゃない……もう私は彼女……じゃなくって、私は当麻の奧さんなんだから……」

「だ、だからその話は待てって!!上条さんのオツムでは、展開が早過ぎて着いて行けないのですよ」

「い、いやなの……?(じぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)」

「……い、いいいいい……いや……じゃない……でも……」

「でも?……」

「まだ……早過ぎる……と……思うんだ……オレたち……学生……だし……」

「あ……うん……」

「少しずつ……少しずつでイイから……一緒に……前に進めたら……って思うから」

「一緒に……うんっ!!……だったら、ずっと一緒……だよ……」

「……ああ、……ずっと一緒だ!!」

「エヘヘ……当麻、大好き!!!」

「オレも美琴が大好きだぞ!!!」

「……」

「……」

「……ね……キス……して……」

「え!?」

「一生、一緒に居てくれるって言う……誓いのキス……」

「(ボボンッ!!!)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「……ダメ?……」

「(うぅ……必殺の上目遣い攻撃が……)……だ、ダメじゃない……」

「……じゃあ、……当麻……」

「……美琴……」

『チュッ……』


「美琴……愛してる……」

「当麻ぁ……私も……ふにゃー……」

「……寒いだろ?……こっちに来るか?」

「え……イイの?」

「ああ……大事な彼女に風邪でもひかれたら、上条さんは……」

「彼女じゃないもん、奧さんだもん!」

「だから、それは……」

「ずっと一緒に居るって、誓いのキスまでして……まだ言うの?」

「え?……ま、まさか……お前……」

「ンフフフ……気付いてなかったの?」

「ま……まさか……」

「私にとってさっきのキスは……プロポーズと一緒だからね!!」

「そ、それ……って……」

「一生、頭が上がらないんでしょ?」

「……ハィ……」

「ずっと、一緒に居てくれるんでしょ?」

「……ハィ……」

「誓いのキス、してくれたよね?」

「……ハィ……」

「アレは……プロポーズ……だよね?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「プ・ロ・ポ・ー・ズ……だよね?」

「……ハィ……」

「……エヘヘ……当麻……大好き……愛してる……チュッ」

「……ふにゃー……」

 この瞬間、上条当麻は一生、御坂美琴の尻に敷かれることが決定した。

 “神より貸し与えられし浄化の力”をその右手に宿す“神の代理人”は、その後“中学生に手を出した上に、結婚の約束までさせたスゴい人”の称号も手にする訳だが……それはまた……別のお話。

419とある右手の名誉挽回(キューピッド):2011/01/30(日) 23:29:35 ID:O63InK/c
後日談

 いつもと少しだけ違ったあの日以来、上条当麻と御坂美琴の生活は一変してしまった。
 あの日の翌日には退院できた上条であったが、その横には“恋人”である御坂美琴が居て、しっかりと【赤い糸】という手綱を握られてしまっていた。(『恋人じゃないもん。奧さんだもん』とは美琴の弁……である)

 特に変わったのが上条の生活であった。変わったと言うべきか、美琴に変えられてしまったと言うべきかは、敢えて言わない。
 ただ、ちょっとした不幸(?)が原因であった。
 病院を出て、途中スーパーで食料品やら何やら(上条の部屋で使う美琴用の色々な小物)をイチャイチャ(本人達にはその自覚0)しながら買い物をしていたところを、とある人物に見られてしまったのだ。
 その人物とは、二人にとって決して見られたくない上条と美琴の双方を知る人物だった。彼女は早速その情報を兄である人物へと伝えた。色々と尾ヒレが付いていたことは言うまでもない。愛しの妹からの情報を鵜呑みにした彼は『デルタフォースの友情を裏切った奴には制裁が必要だにゃー』と、どす黒い声で言い放ち、すぐさま行動を開始した。
 “神より貸し与えられし浄化の力”を宿すその右手は、上条を『不幸にしたことなど無い』と言ったが、それは多分、『右手が“不幸”の原因ではない』ということなのだろう。どうやら“右手”とは全く別のところで、上条当麻は【不幸体質】を持ち合わせてしまっているらしい。

 そんな裏事情など全く知らない二人は、病院からスーパー、そして上条の寮までの間、初々しくもしっかりと手を繋いで仲良く歩いて帰って来た。

「ふ、不幸だ……」

 寮に戻ってきて、自分の部屋の入り口を見た上条の第一声である。
 入り口の前にはミカン箱大の段ボールが3箱『でで〜ん』と置いてあった。箱の横には風で飛んでしまわないように、ガムテープでしっかりと貼り紙がしてある。

 『先週休んだ分+土曜日の補習用の問題集やテスト等 ・ 提出期限:月曜日 ・ 担任:月詠小萌』

 と、ワープロででかでかと書かれた貼り紙を見て、上条はいつもの口癖を呟くしかなかった。
 実は、小萌先生が出した補修やら追試用のテスト等は確かにそれなりの量ではあった。だが、段ボール3箱分もあるはずがなかった。それを段ボール3箱分にまで増幅させたのは(お気付きの方も多いと思うが)この部屋の隣に住む人物であった。
 彼は妹からの電話を切ると部屋を飛び出し、もう一人のデルタフォースに連絡を入れ、自分たちに出された分+クラスメイトらの分などの補修資料をかき集め、段ボール箱に詰め込み、貼り紙をして上条の部屋の前に置いたのである。そして、自分たちは部屋で待機し、隣室の様子を伺いながら、事ある毎にジャマをしてやろうという魂胆であった。

 ところが……彼らの演算(企みとも言う)には大きな誤算があった。
 そう、御坂美琴の存在を計算に入れていなかったという点である。彼女はレベル1から努力のみでレベル5になった稀有な例として知られており、その功績は教育指導の模範とされている程の存在だ。
 美琴も上条と同じく、部屋の前に置かれている段ボールとその横に貼られた貼り紙を見て、最初は唖然としていた。
 しかし、この状況を見ただけで唖然としたまま、上条のように『不幸だ……』と呟いて事態を打開しようとしない。などという行動を彼女が取るはずがなかった。美琴は“目の前にハードルがあれば、飛び越えなければ気が済まない”性格なのだ。
 しかも、今日は上条と一緒に病院から帰ってきて、この後色々とやりたいことがあった。
 二人で一緒に部屋を片付け、二人で一緒に食事を作って、それを食べたかった。そして何より、二人一緒に他愛ない時間を過ごし、時には甘え、通じ合った気持ちを育みたかったのだ。
 その想いを踏みにじるように置かれた段ボール3箱を見て、彼女は自分の中のスイッチが次々と“ON”になっていくのを止めようとは思わなかった。

 部屋の前でorzの姿勢を取っている上条の後ろで、スイッチが既に入ってしまった美琴は『ゴゴゴゴゴゴゴ……』と彼女をレベル1からレベル5にまで押し上げた“努力”という名のオーラを身に纏い、上条の背中越しに段ボール箱3箱を見つめていた。
 この時、段ボール箱に押し込められた補習資料や追試テスト達は、箱の外から押し寄せてくる超強烈なプレッシャーにその身を縮こまらせていた。そして、自分たちをこんな状況に追い込んだ隣室に息を潜めて隠れているデルタフォースの残り2名を間違いなく恨んだのだった。

420とある右手の名誉挽回(キューピッド):2011/01/30(日) 23:30:55 ID:O63InK/c

「……当麻……、やるわよ!」

「ヘッ!?……あ、あの……み、美琴……」

「いいから!!……やるわよ!!!」

「(ビクゥッ!!!!!)……な…ななななななななな何をそんなにやる気になっておられるんでせうか?」

「この課題、サッサと片付けちゃいましょ?……イイわね。やるわよ!!!」

「お、お前なぁ……そんなコト言うけど……この量だぞ。そう簡単に終わる訳が……」

「ああ〜もうッ!!ゴチャゴチャうるさいっ!!!!!ウダウダ言ってるヒマがあったら、まず動く!!!」

「ヒッ!!!」

「サッサとカギを開けて!段ボールを玄関の横に置いて!!カゼひいてんだたから、部屋の中散らかしっぱなしでしょ?ゴミ拾って、要るモノと捨てるモノに分けて!!!その間に私は買い物の片付けとか洗濯をするから!!!!ちょっと寒いけど、窓開け放って部屋の掃除もやっちゃいましょ?イイわね!!!!!!」

「は、はひぃぃぃいいいいい〜」

 美琴の勢いに気圧された上条は、彼女の言う通りにするしかなかった。
 スイッチが入ってしまった美琴の行動力は、上条の想像を遥かに超えるモノだった。
 食料品や小物などをテキパキと冷蔵庫や食器棚に収めていく速度が尋常ではない。まるで、もう既にそこが居場所であったのではないかと錯覚するほど適切で、しかもキチンと収まってゆくのである。
 掃除する段になって、上条は信じられないモノを見ることになる。
 美琴がいきなりベッドをフワリと持ち上げたのである。美琴曰く、床の鉄骨とベッドのスプリングに磁気を帯びさせ、互いに反発させているから重さはほとんど消えているのだという。リニアモーターカーの原理だが、上条はそれを自分の部屋の中で見ることになるとは思わなかった。
 部屋のスミに溜まったホコリを集めるのも、静電気を自在に操って掃除機を使うよりも短時間で、しかもより綺麗にしてしまった。
 美琴はある程度の掃除が終わった時点で、拭き掃除などの仕上げを上条に任せると、食事の支度に取りかかる。正に八面六臂の大活躍だった。

 昼食は宿題をやりながら食べられるもの。ということでサンドウィッチに眠気覚まし用のコーヒーに決定。美琴の作ったそれは見た目はありふれたモノだったが、味の方は何処に出しても恥ずかしくない。と思える程のモノだった。
 だが、その至福のサンドウィッチを食べながらも、上条は地獄に突き落とされた気分だった。段ボール3箱分の課題の山を今日中に片付けてしまわねばならないからだ。
 一方美琴は食事もソコソコに、その段ボール3箱に収められた中味を調べ始めていた。そして、その中味がおかしいことに気付いていた。同じものが2〜3冊入っていたり、どう見ても上条レベルでは解けない内容の問題集が入っていたりするからだ。

(ウーン…どう考えてもヘンよね、コレ。でも、貼り紙には先生の名前があったし……何かの意図があるんだろうし……)

 この件を仕組んだデルタフォースの二人は、この宿題の山を見たら彼女は上条のレベルの低さに愛想を尽かすだろうと踏んでいた。
 つまり、彼らが描いたシナリオはこうだ。

 彼女と一緒に上条が帰ってくる。⇒ 部屋の前に置かれている宿題の山を彼女が見る。⇒ 上条のレベルの低さに彼女がショックを受ける。⇒ 彼女に捨てられる“不幸”な上条。⇒ 一人取り残され、宿題をやる上条。⇒ 中味を調べることなく、全ての宿題を明日の朝まで徹夜して仕上げる。⇒ 自分たちは宿題をせずに済む。

 というモノだった。

421とある右手の名誉挽回(キューピッド):2011/01/30(日) 23:33:37 ID:O63InK/c
 ところが、美琴は上条を見捨てなかった。いや、見捨てる以前にこの宿題の山を見た途端、自身のスイッチが入ってしまい、この宿題というハードルを飛び越えることしか考えなかったと言って良い。
 しかも、上条ならば宿題の中味を調べることもせずに、ただ淡々とそれと向き合っていただろうが、美琴はまずその内容を調べることから始めた。そして幾つモノ資料が重複していることを発見し、それを出した担任の意図を推察しようとしている。
 コトの一部始終を隣室で探っているデルタフォースの二人は、全く思い通りに進まない展開にヤキモキしていた。このままではヘタをすれば、自分たちの身が危うくなる。担任の小萌先生に電話でもされたら、全てが終わってしまう。上条一人が相手なら、絶対にそんなところにまで気が回らないだろう。だが、今の相手はこの学園都市に7人しか居ないレベル5の第3位なのだ。学園都市が世界の誇る、超お嬢様学校【常盤台中学校のエース】なのである。デルタフォースレベルの悪巧みが通用する相手ではない。
 美琴は自身のセンサーのレベルを上げてみた。すると隣室に息を潜めている二人が居ることを感知した。こちらの部屋の壁に耳を当ててこちらを探っているのが美琴には“見えた”。そして『ピンッ!』と来たのである。

(何らかの意図がある)その答えが出たのだ。

 状況を理解した美琴の行動は早かった。
 まず隣室の潜伏者(バカ)達に気付かれぬように筆談で上条に状況を伝え、担任の先生に連絡を取らせた。
 そして、自分に出された分の課題の内容を確認させ、その上で現在の状況を説明するように伝えた。もちろん隣室の二人には気取られぬように、上条をバスルームに移動させた上でだ。
 連絡を受けた小萌先生は大凡の状況を理解した。そして、デルタフォースの残り二人の悪巧みを瞬時に見抜いた。小萌先生は【出来ない子】の面倒をみるのは大好きだが、【ズルをする子】は大嫌いなのだ。
 上条からの電話を受けた小萌先生は、すぐに上条達が居る寮に向かい、上条の隣の部屋に突入した。突入時に結標淡希の能力【ムーブポイント】が役立ったのは言うまでもない。蛇足だが、小萌先生はいきなり天井近くに出現し、二人の後頭部を踏みつけて仁王立ちしたという。大人の小萌先生を怒らせると怖いのだ。
 そして上条の部屋を訪れ、デルタフォースの二人がかき集めた分の宿題を持って隣室へと再突入していった。その後、隣室から小萌先生にしごかれながらかき集めた宿題をやらされる二人。明日から1週間『すけすけ見る見る』を補習として受けることを約束させられた二人は、小萌先生が帰る頃には真っ白に燃え尽きていたという。

 一騒動遭ったモノの、今は落ち着いて美琴に教えて貰いながら、上条は出された課題に取り組んでいる。
 美琴からすればイライラしてしまうほどの速度なのだろうが、上条からしてみれば信じられない速度で宿題をやっつけていることになる。
 第一、段ボール箱3箱分などという量ではなくなったことが何よりも、気分を楽にしてくれていた。とは言え出されている宿題の量は確かに多い。が、美琴の支援もあって今のペースでやっていければ夕食までには片が付きそうだった。

 一方美琴にとっても、ドタバタはあったモノの上条との時間を確保出来たことに満足していた。
 実は美琴は、どうしても上条に聴いておきたいことがあったのだ。
 それを夕食時に勇気を出して聴いてみようと思っていた。
 だが、あの量の宿題があったなら、それも聴けないところだった。
 その壁が取り払われたのだ。もう彼女を止めるモノは存在しなかった。

 今夜のメインメニューは、この季節には有り難い温か〜いシチューである。もちろん師匠である舞夏直伝の味付けが施されている美琴自慢の逸品である。
 大量の宿題を終えた上条は今、風呂に入っている。美琴は付け合わせのサラダを盛り合わせているところだ。

「あ゛〜……イイ風呂でした〜。オッ、美味そうな臭いだ」

「もう出来るから、座って待ってて」

「ありがとうな、美琴。しかし、こうしてると新婚さんみたいだな〜」

「(し、しししししししし新婚〜ッ!!!!????)……ふ、ふ……」

「ン?……どうした?美琴?」

 その時、上条の不幸センサーがアラームを鳴らした。
 『ヤバイッ!!!』
 そう思った上条は、神速モードで美琴に駆け寄り、右手で頭を撫でる。

「……ふ……ふにゃぁあ〜……(バチッ!…バキィンッ!!)」

 上条の放った“新婚”の一言に過剰反応してしまった美琴は、漏電しそうになった。
 それを上条が【幻想殺し(イマジンブレーカー)】で止める。
 後一瞬遅かったら、上条宅の家電製品のほとんどはその役目を終え、成仏していたところだった。

422とある右手の名誉挽回(キューピッド):2011/01/30(日) 23:35:58 ID:O63InK/c

「お、オイ、美琴。大丈夫か?」

「あ、当麻ァ〜……ふにゃぁあ〜……」

「あ、あの、いきなり漏電モードになられても……困るんですけど……」

「ヘッ!?……あ、アレ?……わ、私、どうしたの?」

「それはコッチが聴きたい……」

「あ、ご、ゴメン。……でも、何でだろ?」

「さあ……?」

 (さあ……?じゃねぇだろが……ったく)
 とツッコミを入れたくなるのは我慢しても、二人のデレイチャモードを止める者は居ない。止められない。
 正直、筆者としてもこれ以上は書く気が失せるほどのデレイチャぶりである。

【閑話休題(それはさておき)】

「「いただきます」」

 初めての二人だけの二人揃っての夕食。美琴にとってはそれだけで幸せだった。
 今までも食事を一緒にしたことはあったが、二人だけの空間で……というのは初体験だった。
 帰る前に挨拶に来られた小萌先生には、ちゃんとお裾分けのシチューを渡してある。
 こういう気配りが出来るのも、美琴だからだろう。
 但し、渡したのは上条で、美琴はその時姿を隠していたのは言うまでもない。
 ということで、二人揃っての楽しい時間が始まった。

「ん!美味い!!……けど……」

「えっ!?……け、けど……何?」

「ウーン、どっかで食ったような……味だぞ……」

「えっ!?うそっ!!」

「いや、確かに食った味だ。……何処でだったっけ?」

(そ、そんな……この味は舞夏直伝の味よ。こ、コイツまさか……舞夏とまで関わりが……)

「そうだ!!隣の土御門んトコだ!!!」

「ええっ!?な、何で当麻の隣に舞夏が住んでるのよ!?」

「ヘッ!?……ああ、違う、違う。隣に住んでるのは舞夏のアニキだよ。オレのクラスメイトなんだよ、ソイツ」

「えっ、そうなの?」

「そうだぞ。それより美琴こそ、舞夏と知り合いなのか?」

「う、うん。舞夏は繚乱家政でしょ?で、常盤台の寮に修行によく手伝いに来てるから、顔見知りなの」

「そっか、しかし、世の中って広いようで狭いよな」

「そう言われるとそうね。でも、隣の人って……」

「あ、アハハ……今日のドタバタの首謀者……だったらしい」

「……(ピンッ!!)……」

「ん?どした、美琴?」

「何でもないわ……ただ……」

「ただ……?」

「今度一度、舞夏をとっちめなきゃって思っただけ」

「(う、うゎわぁぁ……こ、怖えぇぇぇ……)」

「あ、と、とととととところでさ……ちょっと聴きたいことがあるんだけど……イイかな?」

「ん……ングッ……な、何だ?」

「あ、ああああ、ああああああああああのね・・」

「美琴、落ち着け……」

「う、うん……スーハー、スーハー……あのね……」

「ああ」

「き、昨日、私のこと“好きだ”って言ってくれたじゃない?」

「(ボンッ!!)グッ!?ブホッ、ゲホッゲホッ!!……い、いきなり……何を!?」

「す、スゴく嬉しくって、私も泣いちゃって……聴けなかったから……今日、聴こうと思ってたんだけど……」

「う……ンンッ…ゴホッゴホッ…ハァ……あ〜、ビックリした……それで?」

「い、いつから……私のこと……“好きだ”って思って……くれてたのかな……って……」

「……」

「ねぇ……教えて……(じぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)」

423とある右手の名誉挽回(キューピッド):2011/01/30(日) 23:37:40 ID:O63InK/c

「(出たね。出たよね。出ましたね。の3段活用。……じゃなくって、出たな、美琴の必殺技【上目遣い攻撃】……コレで堕ちない男は……いない)……ハァ」

「ねぇ……(じぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)」

「……あ、あのさ、美琴」

「え?……何?」

「オレはお前みたいに頭も良くないし、自分の気持ちもあんまり掴みきれてないから……、ちゃんと説明出来ないと思う。それに、もしかするとお前を傷つけることになるかも知れない……それでもイイのか?」

「あ……うん……でも、やっぱり聴きたい……」

「分かった……」

 上条は暫し天井を見上げながら、ゆっくりと思い出すように語り出した。

「オレ、あの夏休み最後の日に、ある奴と約束したことがあるんだよな。ソイツは海原に化けていた奴なんだけど……『御坂美琴とその周りの世界を守る』って約束をしたんだよ」

「えっ!?(ボンッ)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「本当はそんなヤツと約束するなんておかしな話だよな。そういう約束するんなら、ちゃんとお前にも伝えなきゃいけない。でも、その場はそれで良いかなって、終わらしてたんだけど……」

「……(い、言えない。ま、まさか、聴いてたなんて……絶対に言えない)……」

「あの戦争の時にさ、美琴が最後の最後に助けに来てくれただろ?オレは自分の意志でそれを断ち切ったけど……。まだやらなきゃならないこともあったし……さ。あの時、ホントに嬉しかったんだ……。でも、同時にメチャクチャ腹が立ったんだ……」

「えっ!?」

「だって、オレにとっては守るべき存在である美琴が、わざわざ俺を追いかけて戦争のまっただ中に来てるんだぜ。そんなの許せる訳無いよ。『オレは何て莫迦なんだろう』って自分にメチャクチャ腹が立ったんだ……」

「あ……」

「その後色々あって、なんとか学園都市に戻って来れて……でも、色んなモンを失ってて……美琴を一杯泣かせて……でも、なんとか日常を取り戻せて……」

「……うっ……ひっ……ひくっ……グスッ……うっ……ううっ……」

「そんな時に昨日の一件が起こってさ……」

「(ビクッ!!)」

「昨日、記憶が全部戻ってるのが分かったけど……それって、昨日見た“夢”が原因だと思うんだよな」

「夢?」

「うん……それまでは確かに断片的なモノ、記憶みたいなのはあったと思う。ただ、それが全部バラバラでさ、繋がらなかったんだよな」

「それって、風邪で寝込んでた時に見たって言う……」

「そう、それ。……でもさ、その後美琴と追いかけっこしただろ?あの時もそれはまだゴチャゴチャしてて、記憶だなんて気付けなかったんだよ。そうまるで、ジグソーパズルを始める前みたいにピースが全部バラバラでさ、それも袋か何かに入ったままのような、何の絵なのかも全然分からない状態だったんだ」

「……そう、だったんだ……」

「ところが、昨日はさ……結構ハッキリ覚えてるんだけど……もの凄く綺麗なところに居てさ……何かこの世じゃないような感じだったな。“特別な場所”っていうか、何て言うか……上手く言えないけど……」

「……うん……何となくだけど、分かるよ……」

「そこで、その場所以上にもっと綺麗な……何か“繭”みたいなモノの中にオレは寝かされてたんだ。で、そこで誰かがオレに聞いて来たんだよ」

「……何を聞いて来たの?」

「色んなコトを聴かれたと思うんだけど、全然覚えてないんだ……。でもこれだけは覚えてるんだよな。『お前は目の前にある者を沢山救ってきた。だがもし、たった一人しか救えないとしたら、お前は一体誰を救うのだろうな?』って聴かれたんだよ……」

「で、……どう答えたの?」

424とある右手の名誉挽回(キューピッド):2011/01/30(日) 23:39:02 ID:O63InK/c

「……答え……られなかった……」

「えっ!?」

「オレは、目の前で誰かが泣いていたら、誰かが救いを求めていたら、そいつを助けたいと思う。オレってそういう奴だからさ……。だけど、たった一人しか選べないとしたら……何て状況を考えたことがなかったんだよ。だから……選べない……と思ったんだよな……。……でも……」

「でも……?」

「悩んでる最中にフッと目を開けたらさ……美琴の顔が見えたんだよ。目に涙を一杯に溜めて、ホントに心配そうにオレを覗き込んでる美琴の顔がさ……」

「(……あ、あの時……の……)」

「その瞬間に分かったんだ。オレはお前を選ぶんだって。上条当麻は御坂美琴を最後の最後に選ぶんだって。その瞬間に分かったんだ。そうか、そうだったんだ。って……もの凄く納得出来たんだ。……そうしたら、全部のピースがその瞬間に並び変わったような気がして……」

「ピースが並び変わったって?」

「で、気がついたら……美琴に告白してて、記憶も戻ってたってコトに気が付いた……」

「……」

「だから……美琴を“好きだ”って分かったのは……ホントに昨日って言うか……ついさっきみたいなモンなんだよ」

「そう……なんだ……」

「……ゴメン……」

「な、何で謝るのよ!?……だって、だって当麻は……その気持ちに気付いた時に、ちゃんと私に告白してくれたんでしょ?」

「……ああ、それは間違いないよ……。でも、それは……美琴が素直だったから、オレも自分の気持ちに素直になれたからだ……。全部お前の、美琴のお陰なんだよ」

「ううん、そんなこと無いよ。私なんて、ホントに何度素直になろうって思っても……全然出来なかったんだよ?当麻の方がキチンと自分の気持ちに気がついて、その時に正直に伝えてくれたんだもん。本当に嬉しかったんだよ。ワンワン泣いちゃうぐらいに、ホントに嬉しかった……」

「……でも……ホントは、もっと早くに気付いていなきゃいけない気持ちだったんだって……今になると思うんだよな、ただ……」

「ただ……?」

「コレはコレで良かったのかも?……とも思うんだよな。美琴には悪いと思うけど……」

「そ、それは……そうかも……知れない……(カナ……ゴニョゴニョ……)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「美琴に『プロポーズでしょ?』って迫られた時に、少しずつで良いから一緒に前に進んで行きたいって言っただろ?アレは、このことを経験したから言えたことだったんだよ」

「……そ、そうなんだ……」

425とある右手の名誉挽回(キューピッド):2011/01/30(日) 23:40:59 ID:O63InK/c

「美琴に告白して、美琴がオレの恋人になってくれて、オレにとっては美琴は何物にも代え難い存在になった。オレは美琴が居るから、今度もし何処かに誰かを救いに行くことがあっても、絶対にここに帰ってくる。どんなことをしてでも絶対に生き延びて、そしてここで『美琴と美琴の周りの世界を守り続ける』って言う約束を絶対に果たすんだって、今は思えるんだ」

「(ボンッ!!!!!)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「だからさ、美琴。今度は本当にお前に誓わせて欲しいんだ。何処の誰かも分からない奴じゃなくて、オレが世界で一番大切な美琴に誓わせて欲しい」

「そ、それって……あ、あの……」

「オレは、上条当麻は、御坂美琴と御坂美琴の周りの世界を必ず守り続ける。そして御坂美琴を絶対に幸せにしてみせる。その為にはオレは絶対に死んじゃいけないんだ。生きて、生き抜いて、御坂美琴と美琴の周りの世界を守り続けると誓う。だから、美琴もオレと一緒にその世界を守って欲しい」

「……ホンットに……ホンットに、アンタって奴は……」

「エッ!?」

「……ホンットに、……ホンットに……アンタって奴は……どうしてそんな気障なセリフを……」

「……あ、あの……み、美琴……?」

「そんなコト言われたら……、そんなコト言われたら……」

「え?」

「絶対、一生、当麻と一緒に守るって言うしかないじゃない!!!!!!!!!!!!!!!!」

「……美琴……」

「バカ、馬鹿、莫迦、バカ、馬鹿、莫迦、ホンットにバカなんだからッ!!!!!!!!!!!!!!」

「……お、オイ……」

「私が一体どれ程、当麻に惚れ込んでると思ってるのよ!?私にとって、当麻は必要不可欠な存在なの!!!絶対に居なきゃいけない存在なの!!!当麻が居ない世界なんて私にとっては地獄そのものなのよ!!!だから、当麻は絶対に私の許に帰って来なきゃダメなの!!!!!だから……だから……」

「……美琴……」

「私も当麻に誓う。絶対に当麻と一緒に幸せになるって。当麻と一緒に私も幸せになって、私の周りの世界を守ってみせるって。だから…だから…絶対に私を離さないで!!!!!!!」

「ありがとう……美琴」

「絶対に離しちゃダメなんだからね!!!」

「分かってる!」

「ずっと、ずっと、一緒なんだからね!!!!」

「ああ、ずっと、ずっと一緒だ!!」

「私を幸せにするのは当麻の義務なんだからね!!!!!」

「分かった。必ず幸せにしてみせる!!!」

「私だけ置いてけぼりにしたら、今度こそ許さないんだからね!!!!!」

「ああ、今度は絶対に一緒だ!!!!!」

「……ああ、当麻、当麻、当麻ァ……」

「美琴……愛してるぞ」

「私も……当麻のこと……世界で一番愛してる」

「……」

「……」

 互いに見つめ合い、何も言わずに目を閉じて唇を重ねる二人。
 言葉はもう要らない。
 互いの気持ちを確かめ合った二人は、永遠の絆を手にした。
 その絆は【幻想殺し(イマジンブレーカー)】であっても絶対に壊せない【幻想】ではなく【確固】たる現実のモノとしてこの世界に現れた。
 例え神の力であっても、この絆を壊すことは出来ないだろう。
 いや、この絆こそ、愛こそが神の力の源なのかも知れない。否、そう信じることが大切だ。
 神がこの世界を人に託し、人が神に応えようとする限り、世界は必ず良き方向に向かうだろう。

 当麻と美琴の二人には、これからも様々な試練(不幸)が襲いかかるだろう。
 でも、心配は要らない。この二人ならきっと切り拓いていけるだろうから。

426Mattari:2011/01/30(日) 23:45:44 ID:O63InK/c
ということで、この作品は以上です。

敢えて、幻想殺し(イマジンブレーカー)を取り上げてみたのですがいかがでしたでしょうか?

個人的には書きたかったことの半分ぐらいしかかけてない気がしますが……σ(^◇^;)。

忌憚なきご意見をお聞かせいただければ幸いです。

ただ、この作品を書きながら、色んなエピソードが浮かんできたのも事実です。

ですので、また機会があれば……と思っております。

ありがとうございました。

427■■■■:2011/01/31(月) 00:09:12 ID:e43WH/u6
うむ。。。マスター次のを頼むよ

428■■■■:2011/01/31(月) 00:16:22 ID:7IWia2j6
マスター、ストレートで頼む。

429■■■■:2011/01/31(月) 00:44:21 ID:Oz/4IB0o
マスター早く頼む、、、

430■■■■:2011/01/31(月) 00:52:15 ID:IlkCBLs.
>>426
二人ともポンポンしすぎだろw
次もまた書いてください。
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

431■■■■:2011/01/31(月) 02:20:48 ID:oX1sa9y6
かまわん。続けろ

432■■■■:2011/01/31(月) 03:29:42 ID:h9jNd2N.
最近efやら君望見て死にそうになったからここに来たけど癒されるわー

ありがとう良い上琴です。

433■■■■:2011/01/31(月) 10:29:50 ID:VRJRXaus
>>408
GJです。
良い感じで話が進んでますね、インデックスも含めてどういう落としどころを付けるのかが楽しみです。
>>426
メインの話は前半でほとんど終わってたから後半どうするのかな、と思ったらまさかイチャイチャしまくってくれるとは。
前半ラストで唐突に感じた上条さんの告白の理由もちゃんと語られていて良かったと思います。GJ!

434■■■■:2011/01/31(月) 17:40:42 ID:2tS4Jfsg
マスター次もいちゃいちゃ成分を入れてくれ

435つばさ:2011/01/31(月) 18:59:31 ID:VRJRXaus
こんばんは。
最近全然書いていなかったのでほとんどの方には忘れられてるんじゃないかと思いますが、
皆様お久しぶりです。

どなたもいなければ五分後に投下したいと思います。
内容は
いちゃスレPart12「笑顔のもと」ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1262.html
いちゃスレPart13「嫌い!好き!」ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1380.html
の続きになります。
単独でも一応は読めるようにしているつもりですが、前回、前々回を参照している部分がありますので
もしお時間があればそちらも読んでいただけると嬉しいです。

今回のタイトルは「いざ、尋常に!」

暇つぶしでも冷やかしでも構いませんので読んでいただけたら

436いざ、尋常に!(1):2011/01/31(月) 19:03:12 ID:VRJRXaus
 とある高校のある日の放課後。
 周りの生徒が帰り支度やクラブ活動の準備を始める中、彼、上条当麻は何をすることもなく惚けたような表情でぼうっと机を見続けていた。
 そんな上条の側に彼の悪友二人が近づいてきた。
「カミやーん、なーにやってるんだにゃー? もう授業は終わったぜい」
「せやせや。せっかく今日は補習も追試もないんやし、はよ下校しようや」
 土御門元春と青髪ピアスである。
 彼らは自分達の呼びかけに何の反応も示さない上条の様子に興味を持ったのか、上条の前で手を振った。
「カミやん、どないしたんや? 反応薄いで」
「薄いというよりまったく反応がないにゃー。カミやーん、おーい、カミやーん」
「ん? あ、お前らか……」
 何度か目の前で手を振られた上条はようやく二人の存在に気づいたようだった。数度目をしばたたかせると、うん、と大きく伸びをする。
「どうしたんだよ二人とも、もうすぐ授業始まるんじゃねーのか……あれ? もしかして、もう放課後か?」
 真面目な顔でそう言った上条を見て、土御門達は呆れたようにため息をつく。
「カミやん、いつから意識飛ばしてたんや? 授業なんてとっくに終わっとるで」
「ああ、とっくの昔にな。で、どうしたんだカミやん? 意識を完全に飛ばしてでも気になるようなことでもあったのかにゃー?」
「気に、なる?」
「そう、気になること」
「そうか、俺、やっぱり気になってるのか……。そうか……」
 そう呟くと、上条は再び先程と同じような表情で机に目をやったまま動かなくなってしまった。
「?」
 土御門達はいつもと違う上条の様子に首を傾げるのだった。

 そんな時、三人の側に一人の女性が大声を出しながら近づいてきた。
「ちょっと、そんなところで何やってるのよ、貴様達は掃除当番じゃないんだからさっさと教室から出て行ってちょうだい。掃除の邪魔よ」
 上条のクラスメートであり、色っぽくない美人の代表、吹寄制理である。
 吹寄に大声で注意された上条達三人だったが、その場から動こうとはしなかった。
 その様子に小さく舌打ちをした吹寄は、イライラしたようにもう一度声を出した。
「ちょっと、聞こえなかったの? 掃除の邪魔なんだから、手伝わないんなら教室から出て行って」
 不機嫌さを隠そうともしない吹寄の方に顔を向けた土御門と青髪ピアスは、互いに目配せをすると困惑したような表情を浮かべた。
「いや、それがにゃー、俺達もさっさとここから退散したいのは山々なんだにゃー」
「けどカミやんがこんな状態なんや」
 青髪ピアスは困ったような表情のまま上条を指差した。
「友情に熱い俺達としては、こんな状態のカミやん一人置いて下校するわけにはいかないんだぜい」
「そういうことや。女にはわからへんかなー? 男同士の熱い友情が」
 土御門の言葉にうなずく青髪ピアス。
 一方、吹寄は土御門達の言葉に呆れたような表情になった。そしてその表情を怒りのそれに変えると、吹寄はバンと乱暴に上条の机を叩いた。
「何馬鹿なこと言ってるのよ。要するに上条当麻を動かせばいいだけのことでしょ。ほら上条、さっさと立ちなさい。貴様一人のためにあたし達掃除当番、みんなが迷惑してるのよ」
 上条はぼうっとした表情のまま吹寄を見た。
「吹寄……」
 そんな上条の視線に吹寄は露骨に不機嫌そうな表情を作る。
「何?」
「お前、女の子だよな?」
「は? 当たり前でしょ」
「…………」
 上条は小さくうなずくと、ぎゅっと吹寄の手を握った。
「…………!」
 上条の行動に目を開いて吹寄は頬を染める。
「吹寄」
「な、何よ」
「今、時間あるか?」
「時間って、あたしは掃除当番なのよ」
「いいじゃねーか、そんなこと。代わりにこいつらがやってくれる」
 上条は土御門達を指差した。
「にゃ!?」
「酷いでカミやん!」
「というわけだ、悪い吹寄、俺と付き合ってくれ!」
「へ? つ、付き合う? あたしが、貴様と? な、ななななんの冗談!?」
 口ではそう言いつつも吹寄は露骨に動揺しだす。
 そんな吹寄の態度を気にした風もなく、上条は吹寄の手を掴んだまま廊下に飛び出した。
「というわけで、ちょっと来てくれ吹寄!」
「貴様、なんのマネ! あたしは貴様と付き合うつもりなんて――」
 しかし上条は吹寄の抗議を無視して、彼女の手を掴んだまま廊下を走り続けた。

437いざ、尋常に!(2):2011/01/31(月) 19:04:14 ID:VRJRXaus



「で? 貴様、こんなところに人を連れてきてどういうつもりなの?」
 上条が吹寄を連れてきたのは屋上だった。
「いや、さすがに教室だと他人の目があったんでな」
「……あんな大げさに騒いで人を連れてきて、他人の目も何もあったもんじゃないでしょう」
 文句を言いながらも、吹寄は頬を染めたまま先程まで上条に掴まれていた手を握りしめたり離したりを繰り返す。さらにその目は上条の顔をちらちらと見ている。
 そんな吹寄を見ながら上条は小さく細く息を吐いた。息を吐き終えた上条はぴたりと口を閉じると、吹寄の顔をキッと見つめた。
「吹寄!」
「な、何!?」
 上条は大声を出すと緊張した面持ちで吹寄に向かって頭を下げた。
「えっと、たの、頼みがあるんだ!」
「たの……み?」
「そう、頼み。その、お前にしか頼めないと思って」
「あたし、に、しか……?」
 訝しげな表情を浮かべる吹寄の言葉に、上条はこくりとうなずいた。
「ああ。だってほら、俺って、この学校で頼み事ができるくらい親しい女子ってお前か姫神くらいしかいないからさ。だから――」
「……だからあたしに頼むの? そんなの姫神さんに頼めばいいじゃない。貴様に頼み事をされて、あたしが引き受けるとでも思ってるの?」
「俺も最初はそう思ったんだけどな。けど、なんとなくだけど姫神ってこういうのにあんまり向いてなさそうで。たぶんお前の方が適任だと思うんだ。な、頼む」
「ふーん……」
 申し訳なさそうに何度も頭を下げながら話す上条を見ているうちに、吹寄の顔からはすっかり赤みが消えていた。

 吹寄は上条の顔をチラリと見ると、盛大なため息をついた。
「わかったわ。仕方ないから話だけは聞いてあげる。ただし、そこからあたしがどうするかはその話の内容次第ね」
「ほんとか? いや、助かったー。ありがとうな、吹寄」
 ぱっと表情を明るくした上条は思わず吹寄の手を握った。
「…………!」
 しかしその途端、吹寄の表情は厳しいものになり、上条の手を振り払った。
「は、離しなさい! なに勝手に人の手を握ってるのよ!」
「ああ、悪い」
 上条はぽりぽりと頭をかく。
「まったく……で? 話の内容は?」
「簡単なことなんだけどさ、実は相談に乗ってもらいたいことがあってな」
「相談? どんな相談よ?」
「えと、あの、そのな、女の子の気持ちって奴を教えてもらいたくって」
「は?」
「だから、女の子の気持ち」
「は……」
 あっけらかんと言い放たれた上条の言葉で、吹寄の思考は一瞬停止する。数秒後、なんとか回復した吹寄は上条に冷たく当たった。
「何を言ってるの、貴様? 意味がよくわからないんだけど」
「わかんねーってことはないだろう? 女の子のお前に、女の子の気持ちって奴を教えてもらいたいんだよ」
「……それは、あたしじゃなくて第三者である他の女の子の気持ちって事よね?」
「そりゃそうだ。お前の気持ちを知りたいのなら、こんな回りくどい事するわけないだろう」
「…………」
「なあ頼むよ、吹寄。俺、女の子の気持ちなんてわけわからないし」

438いざ、尋常に!(3):2011/01/31(月) 19:06:26 ID:VRJRXaus

「…………」
 両手をパンと合わせて頭を下げる上条に対して吹寄は何も答えなかった。
 なんとなく面白くない、吹寄はそう思っていたからだ。
 上条が誰に興味を持とうと、誰と何をしようと自分には一切なんの関係もない。ない、のだが、それでもなんとなく面白くない。
 先程上条に詰め寄られた際に、自らの心臓が無意識に早鐘を打ったこと、それらも含めてとにかく面白くなかったのだ。
 しかしその感情を呑み込んで、吹寄は上条を軽くにらみつける。
「……詳しく話しなさい」
「いいのか?」
「一度約束した以上、その約束は守るわ。ほら、早く言いなさい」
「ありがとう」
 上条はふうと軽く息を吐いた。

「あのさ吹寄、女の子が嫌いな奴とデートするのって、どういう気持ちからなんだ?」
「はい? どういう事よ、それ?」
「だから、俺のことを嫌ってる、というか俺に対してあんまりいい感情を持ってない女の子がいるんだよ」
「……へえ」
「けど、そのくせしてなんか最近そいつと関わり合いになることが多くてな。で、この間デート、みたいなこと、をしたん、だ?」
「なんで疑問系なのよ?」
「いや、実のところ俺、デートとかってよくわかんねーんだよ。なあ吹寄、いっしょに服見て回って、公園散歩して、ベンチに座ってアイス食べて、ゲーセンでプリクラ撮って、これって……デートなのか?」
「……女の子と二人っきりでそういうことをしたんでしょう? デート以外の何があるのよ」
「やっぱそうなのか。まあ確かにアイツもホントのデートとか言ってたしな……でもアイツ、だったらなんで……」
 上条は腕を組むと、うーんと唸りだした。
 そんな上条の様子を黙って見ていた吹寄は、突然ダン、と大きな音を立てて地面を踏みつけた。
 上条はその音にびくりと体をこわばらせる。
「あたしも忙しいの。で、結局話の要点はなんなの?」
「あ、ああ悪い。だから、その俺のことを嫌ってる女の子がなんで俺なんかとデートなんてしたのかって理由が知りたくってさ」
「…………」
「だっておかしいだろ? 嫌いな奴とそんな事するか、普通? 正直言ってさっぱりわからない。女の子ってのはそういうものなのか?」

439いざ、尋常に!(4):2011/01/31(月) 19:08:13 ID:VRJRXaus

「…………」
 皆目見当も付かない、といった表情をしている上条を見ながら、吹寄は心の中で盛大にため息をつく。しかしそんな感情をおくびにも出さずに吹寄は口を開いた。
「……いくつか確認したいんだけど、いいかしら?」
「ああ」
「いつデートしたの?」
「えっと、こないだの土曜、じゃない、金曜日だったかな。そうそう、金曜だ」
「デートに誘ったのは?」
「アイツの方からだけど」
「デート代は?」
「……みっともない話だが、上条さんの財布には当時ほとんどお金がありませんでした。まあ、今もほとんど無いけど」
「その女の子と初めて出会ったのは?」
「夏休み前、だったかな? 悪い、もうちょっと前だったかもしれないけどよく覚えてねー」
「少なくとも二、三ヶ月は付き合いがあるってわけね。出会ったきっかけは?」
「えっと悪い、これもよく覚えてねー」
「ふーん、まあだいたい予想はつくけど。それで、その二、三ヶ月の間はどんな関係だったの?」
「えっと、どんな、というかなんというか、基本的に追いかけ回されてばっかりだった、みたい、な……な?」
「そこがどうして疑問形になるかよくわからないんだけど。貴様達のことでしょ?」
「わ、悪い」
「まったく……それで、どんな感じの娘なの?」
「うーん、どんな感じね……。そうだな、見た目は悪くないと思うぞ。というか、あれ、普通に考えるとアイツってすげーかわいいんじゃねーか? お嬢様だし。え? ただ性格がな……人に向かって平気で電撃ぶっ放してくるし、顔を見ればギャーギャー文句言ってくるし。悪い奴じゃないのはわかるんだけど、どうしてああも俺に対してケンカ腰なんだか……。あれ? 吹寄、今聞いてることと俺の相談と、なんの関係があるんだ? 特にアイツの事なんて、なんの関係もないんじゃ?」
「え? あ、ああ、そうね。あれ、あたし、なんでこんなこと聞いてるんだろう……」
 吹寄は不思議そうに首を傾げた。
「いや、俺に聞かれても困るんだけど」
「わ、わかってるわよ、うるさいわね」
 自らの動揺をごまかすかのように、吹寄はこほんと咳払いをした。
「じゃあ最後の質問ね。貴様がその女の子に嫌われてるって言ってる根拠は、今言ったケンカ腰のことなの? もっと具体的な事はないの?」
「うーん、そう言われればそんな事はこれと言って……あった。あったぞ! こないだの土曜に大っ嫌いって言われて追いかけ回された! そうだそうだ! 大嫌いって言われたよ、俺」
「……追いかけ回されたって、いったい何やらかしたの、貴様?」
「別に何もしてねーって。ただ人が落とした財布を拾ってやってたら、突然どっかから現れて追いかけてきたんだ」
「……ひょっとして、財布を落とした人って女の人?」
「ああ、よくわかったな」
「…………」
 上条の言葉を聞き、吹寄はゆっくりとかぶりを振った。
「上条、貴様って本当の馬鹿ね」
「は? なんだよいきなり。そりゃ確かに上条さんはお馬鹿ですが、それでももう少し言葉を選んでいただきたいと思いますのことよ」
 憮然とした表情で反論する上条の鼻先に、吹寄はビッと指を突きつけた。
「貴様相手に言葉を選ぶ必要なんてないわ。あのね上条、貴様、本当にその女の子の気持ちがわからないの?」
「わからないからこうして聞いてるんだろ?」
「……本当に筋金入りの馬鹿なのね。今の貴様の話だけでも十分わかるじゃない。あのね、貴様の疑問は根本的に――」
 上条へ解説を始めようとした吹寄だったが、なぜか急に口をつぐんでしまった。
 その様子に上条は訝しげな表情をする。

440いざ、尋常に!(5):2011/01/31(月) 19:08:57 ID:VRJRXaus
「? どうしたんだ、吹寄?」
「……なんでもないわ。上条、その女の子の気持ちがわからないって貴様の疑問、確かにある意味もっともなのかもね」
「だろ?」
「だったらなおのこと自分で考えなさい。あたしに答えを求めるなんて言語道断よ」
「そんなぁ」
「そんな、じゃない! ようやくわかったわ、これは貴様にとっていい機会なのよ。上条、貴様、もう少し周りに目を向けなさい。他人が何を考えているのか、他人が自分に対してどう思っているのか、自分が無意識でやった行動が他人に対してどういう影響を及ぼすのか。今の貴様にとっては大事な事のはずよ」
「な、なんか、小難しい話になってきてないか?」
「難しくなんてないわよ。その女の子の気持ちだって、貴様がもう少し常日頃から他人の気持ちについて考えていればわかる事じゃない。それがわからないなんて、あくまで貴様の努力不足なのよ。努力すればわかる事を他人に頼るなんて、みっともないと思わないの?」
「なんで俺は説教されてるんだ……?」
「聞いてるの、上条!」
「は、はい! 聞いておりますです、吹寄さん!」
 直立不動になって敬礼をする上条を見て、吹寄は小さく舌打ちした。
「まったく、人が真剣に話している時に……。とにかく、その女の子の気持ちが知りたいのなら必死で考えなさい。その女の子の気持ちに、男も女も関係ないわ」
「わ、わかった」
 上条はそう言うと、神妙な顔つきでうなずいた。
「そうか。でも、ありがとうな吹寄」
「なんで礼を言うのよ」
「だってお前、ただのクラスメートの俺のためを思って、そんな事言ってくれてるわけだろ? やっぱありがとうじゃねーか」
「……あたしはだらしない人間が嫌いなだけよ。目の前に嫌いな人間がいたからそれを嫌いでない状態にしようと思っただけ。感謝されるいわれはないわ」
「きっついな」
 口ではそう言いながらも上条はまんざらでもない、といった感じで苦笑した。
「ま、とにかく少しは頑張ってみる。今日は付き合ってくれてありがとう。んじゃな」
 上条は吹寄に片手を上げてその場から立ち去ろうとした。
 しかし吹寄がその手を掴んだ。
「待ちなさい上条。あたしの話はまだ終わってないわよ」
「なんだ、まだ何かあるのか?」
「ええ。貴様にね、一つだけヒントをあげようと思って」
 吹寄はちらりとさっき自分達が出てきた校舎への昇降口を見て、一瞬だけニヤリと笑みを浮かべた。
「ヒント?」
「そう。他人の気持ちを考えようとしただけでも貴様にとっては大きな進歩だから、ご褒美。覚えておきなさい。女の子はね、本当に冷たいわよ、男が思っているより遥かにね。だから、自分の得にならない行動は絶対にしない。嫌いな人間をデートに誘ったりなんか絶対にしない。ましてや自分が奢ってまで、なんてあり得ないわ」
「え、それって……」
 上条の思考は吹寄の言葉に反応して、ある考えにたどり着こうとした。
 しかしその瞬間、
「痛ってー!」
 吹寄によって放たれたビンタと頭突きによってその考えは消し飛んでしまった。
「痛ってーな、何すんだよ吹寄!」
 頬と額を抑えながら抗議の声を上げる上条。
 吹寄はそんな上条に冷たい目を向けながら、校舎の方を向いた。
「人を下らない事で引っ張り回したんだから当然の報いでしょ。じゃあね、上条」
 そのまま吹寄は上条を気遣うこともなく校舎へ入っていった。

441いざ、尋常に!(6):2011/01/31(月) 19:09:43 ID:VRJRXaus



 上条と別れた吹寄は、廊下にまで続く階段の途中でぴたりと歩みを止めると、チラと天井を見上げた。
「クラスのみんなもどうしてあんないい加減な男が好きなのかしら、さっぱりわからないわ」
 そう言いながら吹寄は、先程昇降口の陰にいたクラスの女子生徒達の姿を思い出していた。
 彼女達は自分達が屋上に来た時からずっと、こちらの様子を伺っていたのである。
 その彼女達の心配事はおそらく一つ、自分と上条の間に何か間違いが起きないかという事だろう。
 だからこそ吹寄は彼女達を心配させないために一芝居打ったのだ、上条を殴る事によって。

「なんであたしが上条のためにここまで気を遣わなきゃいけないのよ、まったく……。でも……」
 吹寄は先程上条の頬をはたいた右手を見た。
「ちょっと、スッキリしたわね」
 吹寄は美琴の気持ちについて思い悩む上条に対して抱いた、自らの苛立ちを隠すことなく呟く。
 その顔は、どことなく嬉しそうだった。



「吹寄の奴、最後に何しやがんだよ、まったく……痛てて」
 一方、吹寄が立ち去って数分後、上条はさすっていた額と頬からようやく手を離した。
「結局一日考えてなんにもわかんなかったんだな……。俺、今日一日何やってたんだろう?」
 上条は屋上から見える夕焼けを見ながらポソッと呟いた。
「あれ? そういえば俺、どうしてアイツの事が、こんなに気になってるんだろう? ……さっぱりわからん」
 上条は首を傾げながらうーんと唸りだした。
 しかしその疑問に対する答えに上条が気づくには、まだもう少し時間が必要である。

442いざ、尋常に!(7):2011/01/31(月) 19:10:22 ID:VRJRXaus



 その頃、今の上条の興味が自分に向いているなどということを露ほども知らない御坂美琴は、放課後の教室で何をすることもなくぼうっと窓の外を眺めていた。偶然ではあるが、今日の上条と似たような行動である。
「…………」
 美琴は何も言わず窓の外を眺め続ける。
「…………」
 そして時折、やや伏し目がちになって悩ましげにため息をつく。
 普段とは明らかに違う様子なのだが、クラスメート達は声をかけることがはばかられるのか、遠巻きに美琴を見ているだけだった。

「御坂様、どうなされたのかしら」
「わかりませんわ。ただ、今日一日ずうっとあんな調子で」
「違いますわ、正確にはここ数日、ずっとあんな感じです。何かを思い悩むような、もどかしいような」
「……明らかに普段の御坂様と違いますわね」
「でも……」
「ええ……」
「今の御坂様も、素敵ですわね」

 訂正。
 はばかられるのではなく、クラスメート達は単に美琴の物憂げな、正にお嬢様といった様子に見惚れていただけのようだった。

 しかし当の美琴はそんな周りの視線など意に介した様子もなく、頬杖をついたまま、今日何度目とも付かないため息をついていた。

「どうして、あんなに腹が立つのかな……」
 そう言いながらふうとため息。
「あのときだって、今になって考えてみればアイツが悪くないことは確かだったのよね……」
 また、ため息一つ。
「人が落とした財布を拾ってあげただけ、単にお礼を言われただけ。アイツ自身に、他人への下心なんて存在しない……」
 先日の土曜日、街中で上条を見かけた時のことを思い出しながら美琴はさらにため息をつく。
「私や、妹達を助けてくれた時だって、下心なんか存在しなかった……。私にだけは、ちょっとくらいあったっていいのに……。私は別に、アンタなら……え?」
 思わず口から漏れた自らの言葉に、美琴は顔を真っ赤にする。
「な、ななな何言ってるのよ私は! あり得ないあり得ない、そんなことあり得ないわ! 私はそんな安い女じゃないのよ! ああもう、馬鹿!! みんなアンタが悪いのよ!!」
 頬に手を当ててブンブンと頭を振った美琴は、肩で息をしながらぎゅっと目を閉じた。

「あの馬鹿……」
 無理矢理呼吸を整えた美琴は、未だ火照りの残る頬を冷まそうと思い、洗面所へ向かうべく立ち上がった。
 次の瞬間、教室の外からガタガタという音がした。
「?」
 首を傾げた美琴は廊下に出て教室の外を見回した。しかしそこには人っ子一人いない。
「…………」
 若干の疑問を持ったまま、美琴は首を傾げたまま廊下を歩き出した。

 ちなみに、
「あ、危なかったですわね……」
「ええ……」
 美琴の気配が完全に消えた途端、廊下や近所の教室中から安堵の声が漏れたとかいないとか。

443いざ、尋常に!(8):2011/01/31(月) 19:11:43 ID:VRJRXaus



 洗面所で顔を洗い、頬の火照りがようやく治まったのを確認した美琴は苦虫を噛み潰したような表情になった。
「やっぱ調子悪いわね、私。自分の感情をこんなにもコントロールできないなんて。まったく、これもみんな、アイツが悪いのよ」
 そう言いながら美琴は右手を見た。
 そこからパリパリッと電気を放出させてみる。
「…………」
 しばらく電気を放出させていた美琴だったが、表情を消すと、そのまま電流の放出も止めた。
「これじゃアイツを負かすことはできないのよね。でも……」
 美琴は顔を上げて前を向いた。そして目の前にある鏡に映る自分の顔をじっと見つめた。
「でも、このままじゃダメ。そう、ダメなのよ。どんどん私が私でなくなっていく。常盤台の超電磁砲が、アイツの前では、ただの、女の子に……それだけは、ダメ、絶対に……」
 鏡を見つめ続ける美琴。その瞳に、徐々に今までとは違った意思を持った炎が灯り始めていた。その意思とはレベル5としての意地、そこにたどり着くまでに培ってきた今までの自分を変えたくないという、純粋な意地だった。
 レベルの違いなどという小さな事にこだわる、自らの狭量さに対する若干の自己嫌悪を無理矢理心の奥底に閉じこめると、美琴は自らに言い聞かせるように呟き続けた。
「やっぱり、アイツは倒さなきゃいけない。絶対に、どんなことがあっても。そうよ、今の私がおかしいのはアイツに負け続けているから。勝てば、アイツに勝ちさえすれば、私は私でいられるのよ」
 美琴は腕を組むと、うんうんとうなずく。
「アイツを完膚無きまでに負かせば、私は常盤台の超電磁砲、最強のレベル5のままでいられる。そう、負けるのも、変わるのも、アイツの方でなきゃ。アイツの方が変われば全てが上手くいく。私自身も、私達の関係も。私が私のままで、今のアイツとの関係を変えられるのよ。それでそれで、アイツが私に完敗したら……」



『どう? これでアンタも少しは自らの立場をわきまえたかしら? 私に楯突くことがどんなに恐れ多いことか?』
『ははー、上条さんが悪うございました。やはり貴方様に勝つことなど、私のような者には大それた事だったのです。お許し下さい!』
『そう、アンタもようやく自らの立場がわかったようね。その点だけは誉めてあげるわ』
『ははー、ありがたき幸せにございます』
『それで、アンタはこれからどうする気なの? 今は土下座してるわけだけど、これからは?』
『は、はい! わたくし、上条当麻といたしましては今までの貴方様への非礼をお詫びし、自らの所行を恥じると共に、二度とわたくしのような下賤な者の顔を貴方様にお見せしないよう――』
『ち、ちょっと待ちなさい! 誰がそこまでしろって言ったのよ!』
『で、ですが……』
『いいこと? アンタは私に対して今までの失礼を償う必要があるの!』
『で、ですから二度とお目にかからないよう……』
『違うわよ、そうじゃないの! だ、だから、その……えっと……』
『?』
『だから、アンタは、一生私の側で私に対して罪を償うの! いいわね!』
『? ……は、ははー、ありがたきお言葉! 貴方様の寛大な御心に不肖上条当麻、感激いたしました!』
『そうよ、アンタは一生この私といっしょにいるのよ、他の女の所になんて行ったら承知しないんだからね!』
『滅相もございません! 上条さんは一生貴方様のお側に! 貴方様一筋です!』
『そう、いい心がけね。それから、いい加減私のことは名前で呼びなさい。貴方様、なんて他人行儀過ぎるわ』
『は、はい、ありがとうございます、御坂様!』
『御坂……チッ、今のところはそれでいいか』

444いざ、尋常に!(9):2011/01/31(月) 19:12:29 ID:VRJRXaus



「こんな感じかな? なんかちょっと違うような気もするけど、アイツがフラフラしなくなるんだし、別にいいか、な?」
 美琴は先程までとは微妙に違った意味で頬を染めながら自らの想像に突っ込みを入れていた。
 ちなみに瞳の中にあった意地の炎などはとっくに消えてしまっている。ずいぶんと儚い意地の炎であった。
 けれどそんなことにも気づかないまま、美琴の想像はまだ続く。
「とにかくこれでアイツは私とずっといっしょにいるって決まったわけだけど、そうね、まずは毎日アイツをいろんな所に引っ張り回そうかな。で、デートじゃないわよ! この間はデートしたけど、私達の新しい関係にはまだ早いわ、うん」



『あの、御坂様?』
『何?』
『御坂様は常盤台中学に所属しておられるわけですから、こんなに服をお買いになっても着る機会があまりないのでは? 中にはドレスなどもあったようですが』
『何よ、文句あるの?』
『い、いえ、滅相もございません!』
『ならいいじゃない、黙って運んでよ。それにアンタだって見たいでしょ、私がいろんな服着たところ? 特別サービスで、アンタにだけは見せてあげるわよ。ね?』
『そ、それはもう見たいです。御坂様はかわいいですから、着飾られるとその魅力はもう何倍にもなられますし。ですからそのお姿が見られるのでしたら、もういくらでも――』
『ち、ちょっとアンタ、今、何て言ったの!?』
『はい? ですから御坂様はかわいいですか――』
『も、もう一度言いなさい!』
『御坂様はかわいいです』
『もう一度!』
『御坂様はかわいい』
『もう一度――!!』
『御坂様はかわいい』
『へ、へへへ、そう、私、アンタの目から見てかわいいんだ』
『はい、御坂様は本当にかわいいと思います』
『そう、そうなんだ……』



「な、何恥ずかしいこと言ってるのよ、アイツったら。そういうことは街中じゃなくて、二人っきりの時に言いなさいよ、二人っきりの時に……」
 美琴の想像は止まるところを知らず、だんだんその表情もだらしなくなり始めていた。
「でも御坂様ってのは違和感あるわよね。やっぱり名前で呼んでもらいたいわよね、うん」



『ねえ、アンタ。どうして私の名前を呼ばないのよ、美琴って』
『で、ですが上条さんは御坂様に罪を償う立場。そのような大それた事は……』
『私がいいって言ってるんだからいいの! それとも何? 気に入らないの?』
『そんなことはありません! ただ、その、ちょっと恥ずかしいというか、なんと言うか……』
『…………』
『……御坂様?』
『…………』
『み、美琴、様……?』
『…………』
『み、みこ、と……?』
『……うん、た、確かにす、すごく恥ずかしいけど、やっぱりそれがいい。いいわね、これからは私のことは美琴って呼びなさい。私もアンタのことは当麻って呼ぶから。いいわね!』
『は、はい、み、美琴!』
『よろしい。これからもよろしくね、当麻』



「そ、そそそそうよね、やっぱり親しくなったらお互いに名前で呼び合わないとね、うん!」
 あくまで想像の中の話なのに、誰かに言い訳する美琴の表情は完全に緩みきっている。
 既にその想像は妄想と言い換えても過言ではない。
「それでもって時は流れていってクリスマス。こ、ここ恋人達の聖夜、よ」

445いざ、尋常に!(10):2011/01/31(月) 19:13:05 ID:VRJRXaus



『世の中はクリスマス、か。恋人達のとはいうけど……。いや、俺は美琴といっしょにいさせて貰えるだけで幸せなんだ、これ以上何を望むことがあるって言うんだ』
『ね、ねえ当麻』
『はい、な、なんでしょうか美琴!』
『……その、これ、あげる』
『これは、もしかしてクリスマスプレゼント……? そんな、俺のために……?』
『い、いいから、早く開けなさい!』
『わ、わかりました! ……あ、これ、手編みのマフラー、市販品じゃないですよね』
『そ、その、佐天さんから、こういうのは手作りがいいって教えてもらったから作ってみたんだけど、い、嫌、かな……?』
『とんでもない! 本当に、嬉しいです、美琴が俺のために……本当に、ありがとう、ございます』
『ち、ちょっとやだ、泣かないでよ! そ、そんなに喜んでもらえたら、私も嬉しいんだから』
『あ』
『? どうしたの?』
『俺、美琴にプレゼント用意してません。どうしよう、美琴は俺のためにこんな素敵な物を用意してくれたっていうのに』
『いいわよ別に』
『良くない! 俺は嬉しいんです、美琴からのプレゼントが。だから、俺も何か、何かしないと』
『そうね……じゃあ、今日は一晩中私といっしょにいなさい。イブの夜にアンタの目に最後に映る女の子は私。クリスマスに一番最初にアンタの目に映る女の子は私。それでいいわ』
『そんなことで?』
『ある意味究極の贅沢よ。たぶん、この権利が欲しい女の子、かなりいると思うわよ』
『いるわけないじゃないですか、こうして俺の相手をしてくれる優しい女性なんて美琴だけですよ』
『……アンタのその性格、今日ほど嬉しいと思ったことはないわ』
『?』



「やっぱりクリスマスに手編みのマフラーは基本よね、あんなに喜んで貰えたら私としても作った甲斐があるわね」
 実際には何も作っていないにも関わらず、美琴はなぜか満足げにうなずいていた。
「そういえばこのままだと、イブの夜にアイツと一晩中いっしょなのよね。ど、どうしよう私! やっぱりかわいい下着付けた方がいいのかな? ゲコ太じゃアイツ、興ざめしちゃうかな? でもでも、最後まではまだ許してあげないんだから。そう、最後の一線はまだ」
 美琴は白井がいつも勧めるような色っぽい下着が必要になるのか、と真剣に考え始めていた。
 イブの日の上条の予定も把握していないというのに。
「こうして私達の距離は縮まっていくわけよね。それで、それで……最後は、やっぱり……」



『身分違いの恋だっていうのはわかっている……けど、やっぱり俺は、美琴のことが好きだ……。償いとか関係なく、俺は、アイツの側にずっといたい……』
『と、当麻、今、なんて言ったの……?』
『み、美琴、え、今、今の、聞いてたのか! あ、だ、だからあれは別にその、忘れて――』
『忘れない。けど、もう一度言って。ちゃんと、私に向かって言って、ちゃんと、アンタの気持ちを、聞かせて、ほしい』
『わかった……み、美琴、俺は、お前のことが、好き、好きなんです! ずっと好きだったんです! だからずっとずっと、いっしょにいさせてくれ!』
『それ、罪滅ぼしとか、私に負けたとか、関係ないのよね』
『関係ない! 俺は、美琴のことが好きなんだ! だから、だから……!』
『そう……やっと言ってくれたのね……。その言葉、待ってた……。嬉しい……』
『え? ……じ、じゃあ……』
『そうよ、アンタのその言葉で、気持ちでアンタの償いはもう終わり。でも、これからもずっといっしょにいてね、当麻』
『ああ。俺は、お前が、美琴が好きだから、ずっといっしょにいる!』
『うん。私もよ、当麻。大好き!』

446いざ、尋常に!(11):2011/01/31(月) 19:13:47 ID:VRJRXaus



「えへへへへへ……あ、あれ? な、何これ、なんなのよ、この妄想は! あり得ないあり得ない、だいたい告白とか好きとか、そんなこと絶対絶対絶対ぜーったい、あり得ないんだから――――!!」
 御坂美琴妄想劇場のグランドフィナーレをたっぷりと堪能した美琴は、ここに来てようやく我に返っていた。
 肩で息をしながら美琴はそっと両の頬に手を当てた。そのまま鏡を見ると、そこには今まで見たこともないほど顔を真っ赤にした自分の姿がある。
「まったく、何考えてるのよ私は、とんでもない妄想ね。……ちょっと、楽しかったけど」
 ポソッと呟いた美琴は自らの発言をごまかすかのように咳払いをした。
「と、とにかく、アイツに負けを認めさせられれば、それをきっかけに何かが変わるかもしれないのよね。そうすれば、あんな事だってもしかしたら本当の事に……」
 口をぎゅっと結んだ美琴はそのまま静かに目を閉じた。
「ケンカばっかりしてる今を、変えられるかもしれない。変えたい、アイツとケンカなんて、本当はしたくない。アイツと普通におしゃべりしたり、遊んだりしたい。アイツと仲良くしたい。だったらやっぱり、アイツに勝たないと!」
 目を開けて拳をぎゅっと握りしめた美琴は、それをぐっと天井に向かって突き上げた。
「アイツに勝つ! 絶対勝つ! ファイト、私! ……あれ?」
 だが何かに気づいた美琴は二、三度瞬きするとすっと拳を下ろした。
「でも、勝つって、どうなったら勝ちなんだろう? 私達の関係を変えられる勝ちっていったい? 大体、アイツに勝ったくらいで本当に変わるの? え、何言ってるんだろう、私? そんなこと言ったらそもそもの前提が」
 訝しげな表情になった美琴はわずかに首を傾げる。
「あれ? そもそも私が私でいられるためにアイツに勝ちたかったのよね。でもその結果得られるのは私達のより良い関係で。そうよね、私の希望としては私達の関係を変えることが第一で、私自身が変わることは別に……。あれ、何言ってるの私? なんか趣旨変わってない?」
 思考の迷路にはまりだした美琴は腕を組んで、これ以上ない、というぐらいに首を傾げた。
 洗面所の入り口で学校中の生徒が美琴の暴走を興味津々といった視線で見ていることも知らずに。

 こうして、とある男子高校生徒と、とある女子中学生、奇妙な縁で結ばれている二人の放課後は過ぎていくのだった。

447つばさ:2011/01/31(月) 19:19:01 ID:VRJRXaus
以上で前半になります。
後半はまた後日投下したいと思います。

後それからこの一連の話をシリーズにしようと考えているので、まだ長編にはカテゴライズ
されませんが、(続きを書くよう自分を追い込む意味も含めて)シリーズタイトルを付けておきます。

シリーズタイトルは「素敵な恋のかなえかた」

では、「素敵な恋のかなえかた:第三話『いざ、尋常に!』後編」でお会いしましょう

448■■■■:2011/01/31(月) 21:39:59 ID:IlkCBLs.
>>447
たぶん、サイズ的に「長編」だと思う。
続き待ってます。
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

449小ネタ豚:2011/01/31(月) 22:17:12 ID:7IWia2j6
>>447
妄想劇場にニヤけてしまった。GJです。


さて、今更、インデックスの一人称を間違えていたことに気付いたブタです。
でも美琴と対比させたかったんだ。気になる人はごめんね。

想定外の〜の続きになります。
良い感じで区切れる場所が無かったから、ちょっと微妙になってしまった。
5分後ぐらいに3レス消費です。

450生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/01/31(月) 22:23:33 ID:7IWia2j6
〜とある帰り道〜

帰り道。意外にも上条と美琴の間を沈黙が支配していた。

「(どうしたんだ?美琴のヤツ?)」

話しかけても会話が続かない。
しかし彼女は無理をしている様子はない。ただ何か考えている、そんな感じ。
部屋を出てからずっとコレだ。正直に言って気まずい事この上ない。
そういえば、インデックスとの別れ際のやり取りが妙に気にかかる。

「なあ。美琴」「ねえ。当麻」

意を決して尋ねようとするも被ってしまった。

「先にどうぞ…」

「うん…」

取りあえず先に促す。

「ちょっと付き合って欲しいところがあるんだけど…」

「門限はいいのかよ?」

「まだ大丈夫」

嘘だと思う。
時節は冬。冬至を過ぎたとはいえ、一ヶ月も経っていないので暗くなるのは早い。
そんな状況で学生が外を徘徊することに教師は快く思わないはず。
実際はどうかわからないが、門限より早めの帰宅を通達されているだろう。

「………わかったよ」

「ありがとう」

しかし、彼女の雰囲気から察するに大切なことかもしれない。
瞳には決意が宿っている。先ほどまでの沈黙はこの時の為か。

「どこまで行くんだ?」

「あの場所」

「あの場所?」

「行けば分かるから」

もともとそこが目的地だったのか、はたまた偶然なのか、方向転換はしない。
美琴の足は“あの場所”へ向かう。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


そこは街の中心部から離れた鉄橋。
夜の帳は下りていて、もう真っ暗だ。
街灯は無く光源は街と月のみ。
そのわずかな灯りの役目を果たすはずの月は雲に隠れていた。

451生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/01/31(月) 22:25:39 ID:7IWia2j6

「当麻は覚えてる?この場所の事」

「ああ」

手すりに両手をついて、少女は昔語りをするかのように上条に問うた。
回想する。あの時の出来事を。
あまりに弱く、脆く、希薄な様子で少女はかつてそこにいた。
誰にも助けを求めようとせず、強く在ろうしていた。

「あの時は本当に助かった。まるで漫画に出てくるヒーローよね?」

「困ってる人を何処からかやってきて解決しちゃう、そんな英雄」

今はどうだろうか。
年相応に笑い、友達と語り合い、日常を過ごす少女。

「別にそんなつもりじゃねーよ」

「助けたいと思った。だから頑張った。それだけの話だろ?」

上条は無能力者だ。そんな大層な者じゃない。
守りたい人がいて、助けたい人がいる。それだけで戦う理由になる。

「そうよね。でも、ありがとう」

「よせって」

感謝なんていらない。それが欲しくて戦うわけじゃない。
助けたいと思って、助けることができて、その結果で十分。
他になにもいらない。

「昔話をするためにここに来たのかよ?」

つい照れくさくなって茶化してしまう。
でも本当に良かったと思えるのだ。
なぜなら此処に一つの事実が確かに在るのだから。
上条当麻として生き抜いてきたことが決して無駄ではない、そんな事実が。
これからまた何かに巻き込まれたとしても戦える。
また少女の笑顔がまた曇ってしまったなら、その笑顔を守るために、きっと。

「当麻は後悔してないの?」

「ボロボロになって、挙句の果てに記憶まで失って…それでも……」

これが本題なのだろうか?突然変わってしまった話題に戸惑ってしまったが…

「ああ」

断言する。そんなことを言うために頑張ってきたわけではない。
誰かのせいにするつもりなんて無い。この道はいつも自分で、自分の意志で常に選んできたことだ。
だから後悔なんてしない。


「そう…あくまで、そう言うのね………」


少女が振り向いた。


雲に隠れた月が顔をのぞかせる。


月の光が彼女の容貌を照らしだす。


その光景はどこか神秘的で、まるで、そう、御伽噺。


「当麻に助けられてね、今ではこう思うの……」


その瞳に映る色は――――――怒り、そして哀しみ。


救われた少女は救ってくれた英雄に告げる。


「当麻を巻き込むんじゃなかった。私自身でなんとかするべきだった」


予想だにして無かった、言葉。


「救われたはずなのに―――――――――


救われたはずの少女は救ってくれたはずの英雄に告げる。







  ―――――――――――――――――死ぬほど不幸だよ」







目の前の少女が  誰だったか


涙を宿した少女が  何だったか


守ると誓った少女が  何を言ったか  わからなかった

452小ネタ豚:2011/01/31(月) 22:29:17 ID:7IWia2j6
以上で5分の1でした。といっても均等じゃないです。
続きはまた様子見て投下しますね。

453■■■■:2011/01/31(月) 22:35:46 ID:cf0G2m86
なんという止め方!
さあ早く続きを上げる作業に戻るんだ!

454■■■■:2011/01/31(月) 22:48:20 ID:1yUEg4/I
>つばささん
美琴が乙女ですてきですねぇ。マロン(だったっけ?)、ワンちゃんの話から割とマジなファンでした(爆)
過去の作品もdkdkなものばかりで、もしもの時のために印刷して本棚に保管してありますよwww
次回も楽しみしてます。あと早めにしてください。

>少ネタ豚さん
で、続きはいつかね?

455■■■■:2011/01/31(月) 23:04:42 ID:4EXzjXOk
>>452
ここで止めちゃうのかよ・・・
今日寝れなくなったらどうしてくれるんだよ〜〜

というのは冗談として、続き超期待して待ってるぜ!

456■■■■:2011/01/31(月) 23:13:32 ID:IlkCBLs.
>>452
短いので、続きを早く。

        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

457ソーサ:2011/01/31(月) 23:22:04 ID:uZf3Yjm.
はじめましてソーサと申します
初SSである短編が完成しましたので投稿します!
誰もいなければ5分後くらいに2スレ消費です。

458ソーサ:2011/01/31(月) 23:27:19 ID:uZf3Yjm.
タイトルは「上琴の受験」です。

今日は3月某日、上条の高校の入試の日だ。
上条当麻は現在高校2年生。
普通なら生徒は休みなのだが上条、土御門、青髪ピアスの3人は
補習代わりに入試の手伝いに来ている。
手伝いといっても簡単なもので校舎の入り口付近で教室の場所を教えるなどをしていた。

「お!あの子かわいいで!?」

「それよりあっちの黒髪ロングの子のがいいにゃー!」

「おまえら真面目にやれよ…」

まあこんな金髪や青髪に場所を聞く受験生などほとんどおらず忙しいのは上条だけだ。
土御門&青ピがやることといったらかわいい子探しくらいだった。

「と〜う〜ま♪」

すると突然背後から上条は誰かに抱きつかれた。
急な衝撃に驚きながらも後ろを振り向く。
抱きついてきたのは上条の彼女である御坂美琴だった。
付き合って1年以上が経ち今ではどこでもいちゃいちゃするバカップルである。
だが上条は抱きつかれたことに対し嬉しいというより驚きの表情だ。

「み、美琴!?こんなとこでなにしてんだ!?おまえ今日受験じゃなかったのか!?」

「そう受験よ。だからここに来たんだけど。」

「……言ってる意味がわからないんですが…」

「だからこの学校を受験するのよ!!」

「……………ぇぇぇえええええええええええええええ!!!!!?????」

上条が驚くのは当然である。
美琴は上条を驚かすため別の高校を受けると言っていたからだ。

459■■■■:2011/01/31(月) 23:28:11 ID:p1DldStY
>>452
くそぅ…いいところで止められちゃ続きが気になって仕事に手が付けられないじゃないですか…

ということで仕事に手が付かないので小ネタ投下
2レス?3レス?まぁそれくらいです。

被らないようなら35分から爆撃開始しまっす。

460ソーサ:2011/01/31(月) 23:28:24 ID:uZf3Yjm.

「な、なんで!?なんで常盤台のお嬢様であるお前がこんな平凡極まりない学校を!?」
「なんでって……それは…当麻と同じ学校に通いたいからに決まってるじゃない!」

もはや上条はいろんな意味でパニック状態である。
その一方で上条はかなり嬉しかった。

「(美琴と一緒に通えるようになるのか…やばい…にやけが止まらん!)」

周りからみれば不審者と間違われるくらい上条の顔はにやけている。
だが次の美琴の言葉に上条は動揺した表情に変わる。

「でもね…今日の受験不安なの…」

「え?いや美琴ならうちの高校くらい余裕だろ?」

「今の状態だと確実に落ちるわ。」

「そんなわけな―――」

そこまで言い上条の言葉は途切れる。
美琴は上条にキスをしていた。
それはほんの一瞬の出来事だったが美琴は満足そうに満面の笑みでこういった。

「これで準備完了!じゃあ行ってくるね、当麻♪」

そう言って美琴は校舎に入っていった。

その場に呆然とし立ち尽くす上条。
だがその顔は幸せそうだ。
幸せオーラがにじみでている。
そしてその一部始終を見ていた土御門と青ピからは黒いオーラがでている。
そのオーラはもはや肉眼で見える。

「「カ〜ミ〜や〜ん〜!」」

「は!?まてお前ら!まだ仕事は残って―――」

「「天誅ーーーーーーー!!!!!!!!!」」

そう叫びながら上条に飛び掛る2人。
まだ受験生が周りにいる場所でいつものとっくみあいが始る。
そして数分後、黒いオーラ纏う2人に敗北した上条が横たわっていた。
しかしその状態でも上条の幸せオーラが消えることはなかった。

ちなみにこの喧嘩?はもちろん先生達にバレ補習&宿題の追加に
校庭50周がデルタフォースに言い渡された。

461ソーサ:2011/01/31(月) 23:32:53 ID:uZf3Yjm.
今回は以上です。
SSはド素人なもんですから何かミスとかあったら指摘お願いします。

受験シーズンってことで受験ネタにしてみました。
そして私は明日大学受験本番…

462■■■■:2011/01/31(月) 23:33:45 ID:p1DldStY
>>457
うわぁー!?
書き込んでる間に被ってたとか凡ミス!リロードしてから書き込め私!
マジごめんなさい><

463■■■■:2011/01/31(月) 23:36:56 ID:uZf3Yjm.
>>462
いやいや気にしないでください^^

464■■■■:2011/01/31(月) 23:42:23 ID:p1DldStY
ていうか被ってテンパって連投とかちょっと悪いパターン入ってしまった…
落ち着け 落ち着け私…

>>461
試験前に気合注入してから本番か…羨ましい…

私も素人だけど、読み手としては読みやすいと思います。
あ、明日試験ですか…頑張ってくださいね!



ということで改めて…0時から爆撃開始します。

465■■■■:2011/01/31(月) 23:49:18 ID:6ajBhLKk
凄い、あっという間にレスが進んでる!ということで、0時の爆撃前に感想を一つ
>>Mattariさんへ
 イチャイチャも良かったですが、悪のりというか、ギャグの感性がすばらしいと思いました。
「この時、段ボール箱に押し込められた補習資料や追試テスト達は、〜」←ここで盛大に吹きました。

466■■■■:2011/01/31(月) 23:54:45 ID:H0Y5eGKY
>>つばささん
GJです!
気になってたつばささんのssキターw
つばささんの美琴や上条さんはよりらしさがでていて、物語のテンポ、語り口調が個人的にすごく好きです。
今回の話でも、まだ自分の気持ちにきずかないけど色々悩んでいる上条さんに、
依然として自分の気持ちを認めようとしないけど、
心の底では一緒になりたがっている美琴を上手く書けててよかったです。(偉そうですいません…
続きに大いに期待!

にしても最近は投下が多くて幸せだ…
私もがんばって書こう。

467■■■■:2011/01/31(月) 23:57:19 ID:Ga2UtgU.
つばささんのつづきが気になってしょうがないです

468■■■■:2011/02/01(火) 00:00:28 ID:yYf1m/P2
・小ネタ 部屋でのんびり?


ザアァァァァァ…

「雨止まないわねー…」
「今日は一日止まないって天気予報で言ってたからなぁ」

本日の天気は大雨。どしゃ降り。傘をさしても5分で濡れ鼠。

「とは言ってもこんなどしゃ降りじゃ買い物も行けないじゃない…
 せめて少しでいいから弱まってくれればいいのに」
「そうだなー…っていうか美琴、流石に重い」

上条はベッドにうつ伏せに寝転がり、雑誌を読んでいる。

「年頃の女の子に向かって『重い』って何よ!馬鹿!」

美琴はその上条の上に寝転がり、肩の所から顔を出して一緒に雑誌を読んでいる。

「馬鹿って…流石の上条さんも長時間背中に乗られたら堪えますよ?」
「いいじゃない、このベッド狭いんだから。それに私もそれ読みたいんだから」
「…美琴さん、さっきまでこれ読んでましたよね?」
「………うん」
「はぁ…」
「…」「…」

ごろん  「あっ…」

上条は雑誌を読むのを止め、不意に横向きに体勢を変えて、美琴を背中からずり落とした。
特に抵抗もなく落とされた美琴は、そのまま仰向けになってぼーっと天井を見つめている。


ザアァァァァァ…

雨は先程と勢いを変えずに降り続いている。

「退屈、だなぁ…当麻ー、お腹空いたー」
「あー…確かに腹減ったな。もう昼だもんな」
「なんか作ってー」
「俺が作るの?」
「うん」
「……まったくこのワガママ電撃姫は…」
「えーっと、とりあえずこのテレビから壊せばいいのかしら?」
「ごめんなさい!すぐに昼食の準備をいたしますので家電へのビリビリは勘弁してください!」

笑顔で家電を人質にとる美琴に謝りつつ、大慌てで台所へ向かう上条。

「んー、あるものでなにかパパッと…チャーハンでいいかな。
 美琴ー、テーブルの上拭いて食器運んどいてー」
「おっけー」


〜十数分後〜


「「いただきまーす」」

二人同時に食べ始める…と思いきや美琴はスプーンを手に取らず、上条のほうを向き、目を瞑って口を開けて待っている。

「(これはもしや……あーんのポーズか…よろしい、ならばその幻想を…ぶち殺す!)」

上条は美琴の皿にある空のスプーンを手に取り、そのまま美琴の口に突っ込む。

「はむ…ん!ちょっと!ちゃんとやりなさいよ!」
「はっはっは、そう毎回食べさせてもらえると思ったら大間違いだ!」
「くっ…仕返ししてやる…!」
「上条さんはいつでも相手になりますよー」
「その言葉、覚えてなさいよ…」
「はいはい、ほら早くしないと美琴の分まで食っちまうぞ?」

いつの間にか自分の分を完食した上条は、そのまま美琴の皿に手を伸ばす。

「あ、ちょっと!」

美琴が制止する間も無く美琴の皿を手に取った上条は、自分のスプーンで

「ほれ、あーん」
「へ!?あ、あーん…あむっ………不意打ちは卑怯よ…」
「かわいいかわいい美琴姫の弱点はお見通しですよ?」
「ううう……」


………………………………

469■■■■:2011/02/01(火) 00:00:50 ID:yYf1m/P2


「「ごちそーさま!」」
「当麻が準備したから片付けは私がやるわね」
「おう、じゃあ頼むわー」

と、美琴は食器を片付けに台所へ行き、
上条は特にすることもないので、ベッドに寝転がり、雑誌を広げて先程の続きを読み始めた。

「(くそぅ…どうやったら当麻をぎゃふんと言わせられるかしら…
 色仕掛けは…ダメなのよね…アイツの理性ハンパないし……)」

「片付け終わったわよー……って、寝てるわね…」

満腹でベッドに寝転がれば、人間誰しも眠くなるのは当然だろう。
その例に漏れず、上条も読みかけの雑誌はそのままに、ぐっすりと眠っていた。

「(人の気も知らずに気持ちよさそうに寝ちゃって…顔にラクガキでもしてやろうかしら……あ、そうだ!」

と、美琴は何かを思い出し、自分のバッグを漁り始める。

「あったあった!」

取り出したのは整髪用のワックス。

「(いつかあのツンツン頭をいじくりたいと思ってたのよねー。うふふふ…)」

ニヤリと笑って美琴は作業に取り掛かる。上条が起きる気配は無い。

「………想像以上に…固いわね当麻の髪…」
「よしできた!まずはスタンダードに七三分けよね。…えーっと写メ写メっと…」

ピロリン♪と携帯で写真を撮り、まずは打ち止めに送信する。
打ち止めから妹達へとMNWを通じて写真が流出し、街中で妹達に会うたびに笑われる上条の姿を想像し、
美琴は腹を抱えて、でも上条を起こさないように声を殺して大笑いしている。

「まだ起きないわよね…?次はオールバックにでもしてみようかしら」

と、上条の髪形をオールバックにして撮影。

「今度は…初春さんと佐天さんに送ろうかな?あの二人ならきっと当麻をいじくりまわしてくれるはず…」

次のお茶会にコイツ連れてってみようかしら、と、二人にいじくられて困る上条を想像し、美琴はまた無言で笑う。
流石に上条もその気配を感じ、起きてしまった。

「あ、おはよ、当麻…ぷっ…」
「(寝てる間になんかイタズラしたなコイツ……まぁロクなイタズラじゃないだろう…)」
「く…くくっ…ど、どうかした…?」

上条は、寝起きの頭をフル回転させて美琴の様子を観察する。

「とりあえず美琴、その左手で後ろに隠してるものをこっちに出せ」
「あ、ばれた?はいこれ」
「整髪用ワックスと櫛…髪か…」
「うん。それにしてもアンタの髪手強かったわよ」
「そうかい、そりゃよかっ…ん?」
「…?どしたの?」
「美琴…お前…携帯…」
「へ?携帯?」
「……撮ったな?」
「う、うん…」
「誰に送った?」
「…………」
「だ・れ・に・お・く・っ・た?」
「…打ち止めと初春さんと佐天さん…」
「うおおおおおおおおおおお前えええええええええええええ!!」
「そ、そんなにうろたえることないじゃない。たかが面白髪型の写真よ?」
「その面白髪型写真があいつ等の手に渡ったら何が起きるかわからないだろうが!」
「アンタが笑われるだけよ。ほら、もう3時も過ぎたし、夕飯の買い物行きましょ。
さっきより雨足も弱まってるから外出るなら今がチャンスだし」
「…この髪型で外に出ろと?」
「待っててあげるからシャワー浴びてきたら?」

半泣きで風呂場へ行き、ワックスを落として出てきた上条の髪を美琴が丁寧に乾かし、
また雨足が強くならないうちに、二人で仲良く買い物に出かけた。




余談だが、打ち止めに送信された写真は、黄泉川を経由で小萌へと晒され、
次の登校日に、小萌が上条を見るたびに吹き出すのを怪しんだ某おでこに追及され、
上条の面白髪型写真はクラス中へと晒されることとなる…のはまた別のお話。


(終)

470■■■■:2011/02/01(火) 00:02:09 ID:yYf1m/P2
以上!いちゃいちゃしてないとか言わないで!

ついでにどうしても入れられなかった一発ネタ


・雨

美琴「ねぇ当麻」
上条「どうした?」
美琴「その右手(幻想殺し)を天に掲げて『その雨雲(幻想)を、ぶち殺す!』って叫んだら晴れないかしら?」
上条「……晴れるわけねーだろ…」



・罰ゲーム

美琴「さあ罰ゲームを受けてもらうわよ!」
上条「よしこい!この愛玩奴隷上条当麻、どんな罰でも受けて立つぜ!」
美琴「今日の罰ゲームは…湯船ベッド!」
上条「また懐かしいネタを!っていうかそれだけは勘弁して!?」

471■■■■:2011/02/01(火) 00:20:07 ID:iwcyab82
>>461
美琴のキスで準備完了かあ。明日からの受験がんばってくださいね。
>>470
短編ながらいい雰囲気を醸し出してますね… 雨が待ち遠しいです。雪でなく。

472■■■■:2011/02/01(火) 01:24:53 ID:vAH3q3uI
何だこの投下ラッシュw
全員にGJ

473■■■■:2011/02/01(火) 05:24:15 ID:BSiODWCM
受験期になにやってんだろ・・・俺

474■■■■:2011/02/01(火) 09:49:15 ID:Fnt8MLUA
>>461
>>470
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

475■■■■:2011/02/01(火) 17:03:35 ID:MTlDePUA
俺もテスト前なのに何やってんだろおか

476■■■■:2011/02/01(火) 18:26:30 ID:h6dc2zzU
自分にいたっては明日受験本番なんだが…
作者さんGJです

477■■■■:2011/02/01(火) 21:23:14 ID:YIPwhMJU
受験生アピールから荒れるスレを幾度も見てきた

基本事項とか重要事項をサラッと確認したら風呂でよく温まって早く寝ろ
緊張したら深呼吸。深呼吸は吸うことよりも吐くことのが大事って聞いたよ
寝ろ

478■■■■:2011/02/01(火) 21:50:22 ID:VX5ulmh.
うん、自分プッシュはよくない。ここはSSを投下する場所だから。
季節ネタで「そういえばそろそろ〇〇ですねー」くらいは職人をさりげなく誘導できそうだがwww

479小ネタ豚:2011/02/01(火) 22:31:24 ID:T3gPbqvc
こんばんわー
前回の続き投下しますねー

35分ごろに3レス使います。

480小ネタ豚:2011/02/01(火) 22:36:20 ID:T3gPbqvc


上条の困惑を無視して少女は続ける。

「アンタはね。きっと誰も助けるべきじゃなかったのよ」

「他人の苦しみなんて気付かないでいれば、普通より少し不運な人間でいられた」

「他人の絶望を無視して、幸せになるべきだった、そんなヤツであるべきだった」

上条の生き方が否定される。

「けれど、不幸にも、そんなことが出来ない性格だった」

「そして、不幸にも、記憶を失ってさえその道を選ばなかった」

当たり前だ。出来るわけがない。そんなの幸せなんて言えない。
脳が覚えていなくても、心が覚えている。上条当麻の選ぶ道を。

「誰かの不幸に偶然巻き込まれて、頑張ってその誰かを助け出して、それを何度も繰り返してる」

「アンタはそれで幸せかもしれない」

「でも…………その誰かは幸せになれたの?」

少女の審判は終わらない。

「アンタは良いヤツよね。いろんな人に慕われている」

「インデックスを始め必要悪の教会、天草式、当麻が助けてきた人たち全て」

それは彼女が知らないはずの人々。

「その人たちが、戦うたびにボロボロになるアンタを見て、幸せだって言えると思うの?」

突き付けられた罪状に上条は答えられない、答えることは―――――できない。

「他の人が実際にどう思うかわからない」

「けれど私には思えない。幸せだ、って胸を張って言うことはできない」

「だから言うわ」

怒りを込めて少女は上条を睨みつける。


「そんな惨めで、アホくさい幸せ、押し付けないで」


皮肉にもかつて自分が父に叩きつけた言葉を返された。

「結局、アンタは私にそんなハリボテを押しつけて自己満足に浸ってるだけじゃない」

「そういうの、偽善者っていうのよ」

《偽善使い》―――知らない単語が不意に浮かんだ。

「違うわね。もっとタチが悪いわ。結果的にほとんど助け出して、アンタもこうして生きているんだから」

「でも次は?それが上手くいっても……その次は?」


たとえ記憶を失うことになっても、上条は“自身の死”という結末を以て悲劇にはしていない。
だが、あたかも物語のように彼の周りでは争いが続き、戦いに身を投じる事の繰り返し。
異能力を打ち消すことしかできない少年が“心”だけを武器に戦えばどうなるかは明白。
死にかけたことなんて1度や2度ではない。戦うほど彼の命は削られていく。
これが、上条当麻が無事である物語、であれば良いかもしれない。
しかし生憎これは物語では無く、現実だ。
死に物狂いで戦い抜いて、いつか上条は死ぬかもしれない。いや、既にロシアの一件で死んでいたかもしれない。

481生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/01(火) 22:38:14 ID:T3gPbqvc


「わたしには笑っていて欲しい、アンタはそう言ったわ」

「はっきり言って笑えない。笑いたくない。」

少女は上条の誓いを地に堕とす。守れていないと、そう、糾弾する。

「自分を軽んじてんのよ」

「アンタが傷つくたびに、それが周りにどれだけ影響を与えるか、わかってない」

上条は知らないのだ。少女の苦悩も、シスターの絶望も。

「あの夏の恋人ごっこの日、初詣の日、どれだけ矛盾した事を言ってたか理解してないわよね?」

「御坂美琴を守るって、私とその周りの世界を守るって」

「すごく嬉しかった」

でもね、と。

「それ以上に、哀しいよ」

「御坂美琴の世界にはね、上条当麻って人も含まれてる」

泣きそうな顔で、少女は告白する。


「ううん」

「とうまに恋したときから」

「私の世界はとうまを中心にまわってる」

「もうベタ惚れよ。ほかの男とか考えられないくらいに、とうまラヴ全力全開よ」

「とうまにはもう戦って欲しくない、傷ついて欲しくない」


愛の告白なのに、どうしてか悲しい。
上条当麻として在るほどに目の前の少女は不幸になっていく。
それが突き付けられた―――――――罪
少女の笑顔を守りたい、その気持ちに嘘の欠片も存在しない。
しかし、戦いは苛烈と化してきている。
故にこれからも上条当麻が傷つく事は避けられない必然。
なれば気付けたはずの、誰かの不幸を見捨てて安穏と過ごせと言いたいのか。
それこそ在り得ない。
《誓い》と《上条当麻》 どうしようもない――――――矛盾


「………………堂々巡りよね」

なぜなら互いの望みは対立しているのからか。

「上条当麻の生き方、在り方から考えれば無理な注文だわ」

しかしてそれは上条の理屈なのだ。“望みが対立する”ということでさえもが。
その考え方を尊重し受け入れる必要なんてどこにも無い。

「だからアンタの事情なんて知らない」

美琴が納得しなければならない決まりなど―――――無い。
ならばどうすればいいのか。どうしたいのか。それはもう決めている。

「どれだけ嫌がっても関係無い」

「私は私の事情でアンタの傍にくっついてやる」

「傷なんて負わせない」

「上条当麻を傷つける全てから護り抜くって私は決めた」


これが物語(運命)ならば、先にはHappy EndなりSad Endなり決まっているだろう。
そして脚本通り、役者の想いを無視して、その結末は訪れる。
美琴にとってソレ(未来)がどうなるかはわからない。

わからないからこそ―――抗う。

後悔なんてしないために―――選ぶ。

482生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/01(火) 22:40:53 ID:T3gPbqvc



「上条当麻を傷つける全てが」


「もし神様の作った法則通りに動いてるっていうなら」


「何年、何十年、それこそ私が死ぬまで暴れて」


「そんな幻想〈世界〉をぶち殺してみせる」



「そうすれば私は笑えるから――――」


「それが、御坂美琴の選んだ幸せだから――――」





無茶苦茶だ、としか言えない。
ここまで上条当麻の生き方を否定した人がいただろうか?
これほど上条当麻の在り方を許容した人がいただろうか?
こんなに上条当麻の考え方を無視した人がいただろうか?
答えはNOだ。
記憶喪失であってもそう言える。

だって――――

どんな記憶よりもこの体に刻まれた心が、魂が叫んでいる。

こんな人知らない――――

もちろん、生き方を変えるつもりは毛頭無い。
上条当麻の在り方を貫く気持ちに偽りは無い。
彼女はただただ自分自身を中心に据え置いた意見〈ワガママ〉をぶつけてきただけなのだから。
要するに今まで通り、戦って、生き残って、そして最後に少女の笑顔を守れば良い、ただそれだけ。

なのにどうして――――

涙が止まらないのだろう。どうしようもないくらいココロが震えるのは何故だろう。

わからない………わからない、けれど――――

目の前で笑っている少女がいとおしくて
そんな言葉を言わせてしまった事実が無性に悲しくて
触れてしまえば、壊してしまいそうで怖いけれど
今も心の何処かで警報は鳴っているけれど


衝動に身を任せ、彼女を抱きしめる。


強く、強く抱きしめる。


腕の中の存在が決して、決して―――――


幻想ではないことを確かめるように―――――――――――――


______________________________________________________________________________________________


これで5分の2です。
続きはまた明日―

483■■■■:2011/02/01(火) 22:58:06 ID:Fnt8MLUA
>>479
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

484■■■■:2011/02/02(水) 00:26:26 ID:IIncMMEA
>>482
これってここまで神作だったっけ…?
この告白シーンは個人的にかなりグッと来ました
続きが気になります
GJです!

485■■■■:2011/02/02(水) 04:06:03 ID:oPYX6a1M
これで5分の2か…へヴィーですなぁ

486■■■■:2011/02/02(水) 16:37:07 ID:neHHljn2
ぐっときた(。・△・。)

487■■■■:2011/02/02(水) 19:36:16 ID:Z6NzG2nU
          \:::::::ヽ{:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::─=≦´__,
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     ー=≦´:::/:::::::::::::|:::/|:::::l:::::l::|爪 ヒリ, =≦   { 、 ,: :)X( i: : l: ,ヘ: :、: : i :|:!|   ヽ: : : :i: : : :|
        ∠:::イ/:::::::::|∧j::::∧::ト!  `´ 、、    `V i: ! : : 」」:」/l: !\丶:i __|:_リ   〈: : : :! l: :|
              /.::::: イ:∧丶l.人|  丶 `      r {||: : : | |:厶|小 : 丶:≧|厶 ̄` ∨: :||: :|
           //  |:::/:`>─:、  U      _,.. イ||: : :!Y卞斥 : :V|/V仟i无㍉  }: :厶!: : |
            '゙´    |/|/ l:::∧::::| \   'ー ´ r'  |∧: : 从 乂ソ \{   ヒrソ 从 }イく } :|
                  /|/  ヽ{ 丶.> .._      ,イ、ヽ\小ハ       ハ/V   {ソ 八|
             _,厶 -─‐<  `'ー‐ `≧=<、  } }: !从     }          ,.ィT7´: : 、!
             ,. -──<   `丶、       },》V厶」:!: 丶   、 ___,,`   /{: V : : : ヽ:\
             /       \     \    ,ムV 丶|:!: :|: :丶、     , ´ ,ハ:/: :/: : : :i丶:`≧=-
        /            ∨     \  ,ム‐ヘ   八: :V: :/:}>‐;r<´__,.イ´ /: :∧: : : :|
    ,.  -‐<                 {       ∨    \/   ヽ{∨/ { ,厶 __/  _ノイ从: }: : |:|\
  ´              \     |       _rぅ、{_} }    {{イ∨ ノ  / }     ∨ : 从  `¬、
                 `、 丶 ∨       人 \ V ,ハ7ニ7 7 く {_,小、/ ( ̄ ̄`丶 }/ ̄     \
                 }    V       ∧ ヽ  ∨ |  ∨ /\{,」     `¨´ヽ  \ ̄ ̄      ∧
                       } /   {       |  |   i V  / (` ー---─'′   ヽ         |
                     {イ     ∧     ,ハ |   |/ /   (` ー───-    }        }

488■■■■:2011/02/02(水) 20:30:41 ID:pxpl1ASk
今週の金曜やるんだったな罰ゲーム

489■■■■:2011/02/02(水) 21:05:51 ID:v2jfvn5A
はやく金曜になれよおおおおおおおお

490つばさ:2011/02/02(水) 23:19:58 ID:mY.2fv6g
こんばんは。
待って下さっていた方、お待たせして申し訳ありません。
どなたもいらっしゃらなければ五分後に>>436-446の続きを投下したいと思います。

書かない方がいいのかもしれませんが、ダメですね、感想頂くと嬉しくてつい返事を…。
>>448>>467
読んで下さってありがとうございます、お待たせいたしました。
>>449
大覇星祭の時ももそうですが、美琴って結構妄想たくましそうですよね。
>>454
ぐはっ!印刷って…恥ずかしい限りです。
ちなみにマロンの話は連れには不評でしたが個人的にはめちゃくちゃ楽しんで書いた話でした。
>>466
テンポや語り口調というか、書き方はいつも試行錯誤で苦労しているので、好きだと言っていた
だけたら本当に救われた気持ちになります…行かん、マジで嬉しいw

それでは、「いざ、尋常に!」後半、です

491いざ、尋常に!(12):2011/02/02(水) 23:27:08 ID:mY.2fv6g



 翌日の放課後。
 上条は昨日とは打って変わって、全身に力が入らない様子で街を歩いていた。
 フラフラと右へ左へと微妙に体を揺らしながら歩き、時折残念そうにお腹をさすっている。そしてそのたびに口をついて出る愚痴。
「不幸だ……」
 おきまりのセリフを口にしながら、上条はとぼとぼと歩き続けていた。

「ねえ」
「不幸だ……」
「ねえってば」
「なんでこんなことに……」
「ちょっとアンタ!」
「あー、早く家に着きたい……」
「いい加減に、気づきなさいっての!」
「うわっ!」
 何者かに背後から飛びつかれた上条はそのまま地面に倒れた。
「い、いってー。誰だよ、いったい……ん? お前は」
 地面に鼻を打ち付けていた上条は若干涙目になりながら、背中に張り付いている人物を見た。その人物が何者かわかった上条の顔は途端に不機嫌なものになる。
「何やってんだよ、ビリビリ」
 従って上条の口から出る言葉は辛辣な物。美琴が上条からもっとも聞きたくない言葉の一つである。
 もちろん美琴は目をつり上げて反論する。
「何よ、私の名前はビリビリじゃないわよ。御坂美琴って名前がちゃんとあるっていつも言ってるでしょ!」
「いきなり人の背中にタックルしかけてくる奴なんかビリビリで十分だ。いいからさっさとどいてくれ、上条さんは残り少ない体力で家までたどり着かないといけないんだ」
「わ、わかったわよ。でも、元々アンタが私のことをスルーするのがいけないんでしょ」
 そう言いながら美琴は上条から離れた。

「スルー? あー、悪いが全然気づかなかった。マジで今、体力ないんだ。注意力が散漫なのかもしれない」
「? そういえばさっきも言ってたけど、体力がないってどういう事よ?」
「え? あ、ああ、そのな……」
 上条は美琴から目を逸らして言いよどんだ。
「何よ、言いなさいよ」
 美琴はずいと上条に言い寄る。
 その様子に、上条はしかたないといった表情で口を開いた。
「その……腹、減ってるんだ」
「は?」
 美琴は上条の言葉に、口をぽかんと開けた。
 上条はそんな美琴の反応に憮然とした表情になった。
「だから、腹減って力が出ないんだよ」
「プフ」
「なんだよ」
「プハハハハハハ!」
 ふてくされた上条の様子がよほどおかしかったのか、美琴は上条を指差し、大声で笑い出した。
 上条は面白くなさそうに小さく舌打ちすると、美琴に背を向けた。
「さよなら」
「ち、ちちちちょっと、ちょっと待ちなさいよ、アンタ!」
 慌てて美琴は上条の首根っこを掴んで引き留める。
 上条は面白くなさそうな表情のまま、美琴の手を乱暴に払った。
「なんだよ、まだなんかあるのか? 俺はもう、お前と話す事なんてないぞ」
「!」
 上条の言葉に、美琴は目を丸くする。
 だがすぐに何かに気づいたかのようにうなだれて頭を下げた。
「その、あの、ご、ごごご、ご、ごご……」
「ん? 何が言いたいんだ?」
「ご、ごめんなさい」
「…………」
「……何よその顔、謝ってるじゃない」
 鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした上条を見て、美琴は口を尖らせる。
「いやその、なんか珍しいものを見たから、つい。お前があんな素直に謝るなんてな」
「……なんかムカツくわね、悪いと思ったから素直に謝ってるだけじゃない」
「それはそうなんだが、お前が俺にそんな殊勝な態度を取るなんて、やっぱりなんか妙な感じがして」
「なんですって!?」
 上条の失礼な物言いに、美琴の周りに電気の火花が飛び始めた。
 だが何かに気づいた美琴はすぐに自ら放った電気を押さえ込んだ。
 上条はそんな美琴の顔をじっと見つめる。
「なあ、御坂。お前、今日どうしたんだ? なんかおかしいぞ」
「な、何がよ」
「いつものお前なら、俺が気づかなかったらいきなり電撃ぶっ放さないか? なのに結局はタックルしてきたけど、電撃は使ってなかったし、今だってすぐに電気引っ込めたし。あと、素直に謝ったのもなんか妙だし。ん? そっか、じゃあ少なくとも今日のお前は、ビリビリじゃないのか。だったら……」
 上条はほんの少し微笑むと、小さくうなずいた。
「さっきはビリビリ呼ばわりして悪かったな。ごめん、御坂」
「…………!」
 上条の言葉に美琴は顔を引きつらせた。そのまま無言で上条を突き飛ばすと、彼に対してくるっと背を向ける。
「うわ、な、何するんだ御坂……ん? なんなんだ、今日のお前、本当にどっかおかしいぞ」
 一方突き飛ばされた方の上条は、いつもと様子の違う美琴相手にいまいち調子が出ないのか、口をへの字に曲げて、ぽりぽりと頭をかいた。

492いざ、尋常に!(13):2011/02/02(水) 23:28:09 ID:mY.2fv6g

――う、嘘でしょ、まさかこんなに効果があるなんて。

 しかし美琴の心中は上条の困惑とは比べものにならないほど動揺していた。自分が予想した以上の反応を上条が返してくれているのだから。
 美琴はほんのり朱く染まる頬を手で押さえると、目を閉じて深呼吸を繰り返した。



 上条との関係を変えたいと強く願った美琴は昨日、上条に勝てばいいのではないかと考えた。いつもと違うことがきっかけとなって二人の関係に一石が投じられるのではないか、という思いからだ。
 しかし昨晩ベッドの中で毛布にくるまりながらその方法などについて何時間も検討した結果、上条に勝つことによって二人の関係を変えるという方法は却下する、という結論に至っていた。
 いくらなんでもそんなことで二人の関係が変わろうはずもない、と美琴の冷静な一面が結論づけたのだ。
 けれどいつもと違う行動と取ることによって、それがきっかけとなって二人の関係が変わるのでは、という発想そのものは正しいとも美琴は考えていた。
 よって昨晩美琴が熟慮の末出した最終結論は、上条に対し「普通の女の子、御坂美琴」として接することだった。

 普通の女の子のように上条に声を掛け、普通に会話をする。そこに電撃といった能力、ましてや超電磁砲などが介在してはならない。
 なぜなら美琴の知る限り、上条の周りにいる魅力的な女の子達の中に、電撃で彼を追いかけ回し危険な目に合わせる子など一人もいないのだから。
 学園都市というシステムの中では有効な能力も、上条当麻という一人の男子高校生に対してはなんのアドバンテージにもならないのだ。
 むしろ上条にとっては、美琴に対する印象を悪くする大きな要因にさえなっている。それはそうだろう、美琴は何か気に入らないことがある度に上条を電撃で追い回しているのだから。
 だから美琴はその要因を無くして上条に接しなければいけない。
 電撃を浴びせたりしない「普通の」女の子として。
 美琴の性格や上条の鈍感さから、最初はうまくいかないだろう事は容易にわかる。けれどそれを繰り返すことによって上条の自分に対する行動はいつか変わってくれるかもしれない、いや、変わって欲しい。
 電撃をあえて使わずに上条と接するという、「レベル5」として今まで保ってきた自らのプライド、人生そのものを放棄するような考えではある。
 だがそれでも美琴は上条との関係をより良い方向へ、ただの「知り合い」ではない、「友達」にしたかったのだ。
 それはまだまだ人生経験の浅い美琴としては精一杯の、必死の行動、想いだったのかもしれない。

 そう考えてできうる限り上条に普通に接し始めた美琴だったが、美琴の予想に反して上条は美琴に対する態度をすぐに変え始めた。
 元々美琴に対して悪印象など持っていない、むしろ自分でもよくわからない感情を持ち始めている上条からすれば意外どころかごく自然な反応だったのだが、とにかく美琴の行動は確実に何かを変えようとしていたのだ。



 意外な上条の反応を見て美琴は考えた。
 もしかしたら、一度は断念した考え、上条に勝つという案を実行したら自体はもっと良い方向に行くのではないか、と。もっと上条と仲良くなれるのではないか、と。
 もっと早く上条と「友達」になれるのではないか、と。

493いざ、尋常に!(14):2011/02/02(水) 23:29:04 ID:mY.2fv6g

 そう思った美琴はキッと上条をにらみつけ、彼の鼻先にビシッと右の人差し指を突きつけた。

「勝負よ!」

「は?」
「だからしてよ!」
「えっと……」
 先程からずっと続いている美琴の態度の急変にまったくついていけない上条は、気の抜けた返事を返し続ける。
「だから、やりたいのよ! 私としてよ!」
「その、な、御坂……」
 しかし突然困ったような表情になった上条は、美琴から少し視線をずらすと言いにくそうに呟いた。
「話の内容はともかく、悪いことは言わないから、誤解を招くような言い方を大声で言うのは止めた方がいいぞ」
「え? 何が、よ……!」
 一瞬、上条が何を言っているのかわからなかった美琴だったが、彼女の優れた頭脳はすぐに上条が言いたいことと、自分の先程の発言を理解するに至る。
 その途端、朱に染まる美琴の頬。
「……ば、馬鹿じゃないの! 何、妙な勘違いしてるのよ! スケベ! 変態!」
 美琴の反応を見て小さく頭を振った上条はうんざりしたような顔になった。
「わざわざ親切でたしなめてやったのに、そういう言い方するか? ……まあいいか。で? なんでいきなりそんな勝負なんて事になるんだ?」
「そ、その、勝負したいからよ。アンタに、勝ちたい、から……」
「勝ってどうするんだよ」
「だって、そうすれば――!」
「そうすれば?」
「えっと、あの……」
「?」
 口ごもってしまった美琴を見て上条は首を傾げた。わずかに流れる沈黙。

 そのとき、その沈黙を遮るようにグーという、大きな音が鳴った。
 上条はくるっと美琴に背を向けた。
「……悪いな御坂、こういうわけなんで上条さんは帰る」
「え? 何がこういうわけなのよ! 待ちなさいよ!」
 しかし美琴が再び上条の首根っこを掴んで引き留めた。
 上条はうんざりした顔のまま美琴の方を向いた。
「さっきから腹減って力が出ないって言ったろう? もう勘弁してくれよ。勝負ならまた今度してやるからさ」
「だって……」
「だってじゃない」
「……ね、ねえ」
「なんだよ。まだなんかあるのか?」
「まだ四時前なのに、なんでそんなにお腹すいてるの? お昼ご飯食べて、そんなに時間経ってないでしょ?」
「……言いたくない」
「なんでよ」
「お前、またどうせ馬鹿にして大笑いするだろう」
「しないわよ! さっきの事だって謝ったでしょ? ねえ、ちゃんと言いなさいよ! ……もしかして、お昼ご飯食べてないの?」
 美琴の言葉に上条はばつが悪そうな表情になった。
「なんで食べてないの?」
「……金がないんだよ」
 上条は吐き捨てるように答えた。
「お昼買うお金もないほど? どれだけ貧乏なのよ、アンタは?」
「……財布を忘れたんだよ、家に」
「ドジね、なんでそんなことになるわけよ。大体、友達にお金借りるとかできるでしょうに。もしかして友達いないの?」
「…………」
 淡々と自分を詰問していく美琴の態度に我慢ならなくなった上条は、空腹の苛立ちを込めてとうとう大声を出した。
「いい加減うるせーな、お前は! お前は俺の母親か何かか!? あのな、俺は今朝寝坊したんだよ! 遅刻ギリギリだったから朝も食べてない! その上財布も忘れて昼も食べてない! だから昨日の夜からほぼ丸一日、俺はなんにも食べてないんだ! それに友達に金を借りる? あのな、あいつらはもしそんなことやろうものなら、それをネタに何やってくるかわからない連中なんだよ。『こういうことに慣れるのも友情だにゃー』とかなんとか言ってな! そんな連中から金なんて借りられるわけがねーだろう! それから……」
「それに?」
「男友達じゃなくて、女子生徒や小萌先生に金を借りたりすると何かと、後が面倒っぽい……理由はわからないけど……」
「そ、そう。悪かったわね……」
 上条の剣幕に若干引き気味になった美琴は素直に謝った。上条の境遇に同情すると同時に素直に申し訳ないと思ったからだ。

494いざ、尋常に!(15):2011/02/02(水) 23:29:49 ID:mY.2fv6g

 上条はわざと美琴の存在をスルーしたわけではない、純粋にお腹が減っていたために他に気を回す余裕がなかっただけなのだ。それなのに、そんな上条の態度に対して勝手に怒りを覚えた自分の身勝手さを本当に申し訳ないと思った。
 また、謝罪の感情に加えてわずかながらだが焦りを感じてもいた。上条のフラグ体質を再確認したからだ。
 もしかしたら上条は今の飢餓状態をきっかけにして誰か自分以外の女性と仲良くなってしまうかもしれない、そう思ってしまったのだ。
 だから今、他の誰でもない自分が、御坂美琴が、上条のために何かをしてあげたい、そう願った。
 そう思った美琴の脳裏に一つの考えが浮かんだ。
 これなら自らの希望も目的も叶う、そんな考えだ。
 そう結論づけた美琴は上条の腕をぐっと掴むとずんずんと歩き出した。

「おい御坂、いきなり何するんだ! だから上条さんは――!」
「いいの! 黙ってついてきなさい、悪いようにはしないから!」
「いったいなんのつもりだ!」
「奢ってあげるわよ、ご飯」
「はい?」
「だからご飯奢ってあげるわよ!」
「は、はぁ……」
 頭に疑問符を浮かべた上条だったが、自らの欲求には勝てなかったらしく、それ以上何も言わず黙って美琴についていくことにした。



「なあ、御坂」
「うるさいわね、もうすぐできるから黙って待ってなさい!」
「でもな」
「うるさいって言ってるでしょ、食べたいの? 食べたくないの?」
「……すいません」
 美琴に連れられること二十分。
 上条はとあるお好み焼き屋に連れてこられていた。この間美琴が佐天に感情を吐露させられたあのお好み焼き屋である。

 しかし店に連れてこられてから既に十五分以上、上条は奥の座敷で待たされていた。ちなみにここも、以前美琴が佐天に連れてこられた場所と同じ席である。
「腹減った……」
 上条はちびりと水を飲むと、畳の上にだらしなくごろんと横になった。
 そのまま上条の視線は、カウンターの鉄板で悪戦苦闘している美琴と、その向かいで美琴と同じような作業をしている女将に向けられていた。
「だいたい、奢るって言ったのになんでお前が作ってるんだよ……。ああ、早くしてくれ……」
 そこから漂ってくる香ばしいお好み焼きの匂いが余計に上条を苦しめていた。

495いざ、尋常に!(16):2011/02/02(水) 23:30:51 ID:mY.2fv6g



「お待たせ!」
 さらに十五分後、ようやく上条の目の前に皿に載せられたお好み焼きが用意された。
 しかも二枚。
「なあ御坂」
「何よ」
「なんで二枚もあるんだ? 一枚はお前の分か?」
「違うわよ。アンタお腹減ってるんでしょ、だから二枚。それにこれって勝負でもあるのよ」
「勝負?」
「そう。実はね、私最近ちょろーっと料理に凝っててね、お好み焼きの作り方も二通り考えてみたのよ。で、アンタにどっちの方が美味しいか判断してもらいたいわけ」
「それのどこが勝負なんだ?」
「……う、うるさいわね。私が勝負と言ったら勝負なの! 黙って食べなさい!」

「…………」
 訝しげな表情を浮かべた上条だったが、目の前にある美味しそうなお好み焼きから漂う匂い、そして限界をとうの昔に超えている自らの空腹には勝てず、目の前のお好み焼きに箸をのばした。
「本当はヘラで食べて欲しいんだけど、皿の上のお好み焼きだし、この方がいいか」
 美琴はポソッと呟くと上条が食べようとする姿をじっと見つめた。
 ところが上条は二枚のお好み焼きの一枚に箸を付けようとしてその動きを止めた。上条はそのままじっと美琴の方に視線を動かす。
「御坂。そうやってじっと見てられると食べにくいんだが」
「いいでしょそのくらい、我慢しなさい」
「…………」
 納得いかない表情のまま上条は目の前のお好み焼きをもう一度見た。二枚ともものすごく美味しそうに見える。
 しかし、二枚は確実に異なっていた。
 片方は形も真円に近く、漂ってくる匂いと合わせて正に完璧と呼ぶにふさわしい出来だった。
 第一印象でこちらの方が美味しいだろうと上条は考えた。
 そのままもう片方のお好み焼きに視線を動かしてみる。
 そちらも十分美味しそうには見えるのだが、どこかいびつだった。形もやや歪んでおり、漂ってくる匂いももう片方に比べて幾分劣るような感じがする。
 同じ食べるのなら美味しい方を食べたい、そう考えた上条は迷うことなくより綺麗な方のお好み焼きに箸をのばすことにした。
「あ」
「……なんだ?」
「な、なんでもない」
 美琴の呟きに思わず箸を止めた上条だったが、あえて気にしないことにそのままお好み焼きを一口食べた。
「……美味い」
「…………」
 その言葉に美琴はすっと目を伏せた。
 けれどそんな美琴の様子に気づかない上条は、満面の笑みでお好み焼きを食べ続ける。

 やがて半分くらいお好み焼きを食べ進んだところで上条は何かに気づいたらしく食べるのを止めた。
「悪い御坂。これって確か食べ比べだったな。こっちも食べないとまずいんだよな」
 頭をかきながら上条はもう片方の、微妙に歪んだお好み焼きを指差した。
 その言葉に美琴ははっと顔を上げて、すがるような視線で上条を見つめた。
「……食べて、くれるの?」
「何言ってんだよ、食べろって言ったのはそっちだろ。それとも何か? 食べない方がいいのか?」
「ダメよダメ、ち、ちゃんと食べて。お願い、だから……」
 美琴は上条を見つめ、言葉をゆっくりと続けた。
「じゃあ遠慮無く」
 美琴の視線が気になった上条だったがあえてそのことを脳の片隅に追いやり、無心でもう一方のお好み焼きを口に入れた。
 すがるような視線のまま美琴はそんな上条の様子を見つめ続ける。

496いざ、尋常に!(17):2011/02/02(水) 23:31:36 ID:mY.2fv6g

「…………」
 上条はほんの少し首を傾げた。
 しかし黙ったまま口中のお好み焼きを呑み込むと、再び歪んだ方のお好み焼きを口に入れる。
 二度食べ、三度食べ。上条は首を傾げながらではあったものの、歪んだ方のお好み焼きを食べ続けた。
 そのまま上条は綺麗な方のお好み焼きに目をやることもなく、歪んだ方のお好み焼きを平らげた。
 その様子をじっと見つめていた美琴はごくりとつばを飲み込むと、おずおずと口を開いた。

「ね、ねえ、どうだった、味は?」
「その、な……上手く言えないんだけどな……」
「うん」
 上条はまだ残っている綺麗な方のお好み焼きを指差す。
「こっちの方が美味しいと思うんだよ、客観的に言ったら」
「そう……」
 上条の言葉を聞いた美琴は、露骨に残念そうな顔をした。
 しかし頭を振ると、すぐに笑顔を浮かべた。
「そ、そうよね、私もこっちの作り方、の方が、ほら、形だって綺麗だし、味だって、じ、自信あったから! あったから、だから、と、当然の結果――」
「けどな」
 だが、美琴の言葉は上条によって遮られた。
「?」
「本当に上手く言えないんだけどな、俺は、なんでかわからないんだけど、こっちの方が好き、だな。なんて言うか、こっちは腹の中がすごくあったかくなったんだ。それでもってなんか甘いってそんな感じがしたんだ。お好み焼きに甘いっていうのは変な感じがするんだけど、とにかく甘かくて、なんとも言えず、美味しかった」
 そう言った上条が指差していたのは、やや歪んだお好み焼きがあった皿の方だった。

「…………!」
 美琴ははっと目を見開いて口に手を当てた。そのまま少しずつ言葉を繋げていく。
「ど、ういう、事よ、それ……?」
 美琴の言葉に上条はぽりぽりと頬をかきながら、綺麗な方のお好み焼きを指差す。
「だから上手く言えないんだって。世間一般的に言えばこっちのお好み焼きの方が味は上だと思うんだ。形だって整ってるし。でも」
 上条は空になった皿を叩く。
「本当にこっちの方が俺好みって、それだけなんだ。一般的評価はどうあれ、俺はこっちのお好み焼きの方が好き、それだけだ。あ、あれ、どうしたんだ御坂?」
 美琴の様子に気づいた上条は思わず顔を引きつらせた。
 上条の言葉を聞きながら美琴はその瞳に涙を溜めていたのだ。
 しかし目をごしごしとこすり涙を拭うと、美琴は本当に嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「なんでもない、ないから。本当、全然、気にしないで」
「でもお前、泣いて――」
「泣いてないから! 大丈夫! そ、それより、まだ足りないでしょ? 作ってきてあげるから待ってなさい!」
 そう言うや否や、美琴は空になった皿とまだ皿に残っている完璧な方のお好み焼きの両方を片付けて、カウンターに向かって行ってしまった。
「おい御坂、そっちまだ残ってるじゃねーか、もったいない! おい!」
 上条は必死で美琴に抗議したが、美琴は上条の方をまったく振り向こうともしなかった。
「なんなんだよ、泣いたり笑ったり、変な奴だな……。それに、あのお好み焼きどうするんだよ、もったいない……」
 口をへの字に曲げた上条は恨めしげに美琴の背中をにらみつけた。

497いざ、尋常に!(18):2011/02/02(水) 23:34:04 ID:mY.2fv6g



 一方、カウンターに来た美琴は鼻歌交じりで、次のお好み焼きを焼き始めた。
 そんな美琴に店の女将が嬉しそうに話しかけてきた。
「御坂、ちゃんだったっけ? もうあたしが焼く必要はないみたいだね」
「あ、女将さん、あの、今日はわがままを聞いて下さってありがとうございました」
「? 別にいいさ。こっちはあくまで客商売、お客さんの要望には出来うる限り応えるよ」
「でも、客に出すお好み焼きは必ず自分で焼くっていう、女将さんのポリシーには……」
「今回は話が別、だろ? それにあたしもちゃんとお好み焼きは焼いたよ。負けちまったみたいだけどね」
 女将は美琴の側に置いてある皿の上のお好み焼きを見た。上条が残した、完璧な出来映えの方だ。
 美琴は女将の言葉に表情を暗くする。
「あの、それは。でも味はこっちの方が美味しいって、アイツ言ってましたし。だから……」
「あたしは別に気にしちゃいないよ。それに大体あたしが焼いてるのを側で見ながら見よう見まねであれだけのものを作ったんだから、やっぱりアンタは大したものさ」
「あ、ありがとうございます」
「さあ、早く作っちまいな。彼氏が腹を空かして待ってるよ」
「…………!」
 女将の言葉に美琴は顔を真っ赤にする。
「何言ってるんですか、アイツとは別にそんな……!」
「まあまあいいってことさ。さ、頑張んな」
「そんなんじゃ、ないのに……」
 うつむいた美琴だったがすぐに顔を上げると、再びお好み焼きを焼く作業を再開した。
 そんな美琴を見ながら女将はすっとカウンターの奥に引っ込んだ。



 今日美琴が上条に食べさせた二枚のお好み焼きは、本当は美琴が両方を作ったわけではなく、美琴と女将が一枚ずつ作った物だったのだ。
 もちろん、より見栄えが良い方が女将作で、そうでない方が美琴作である。

 今日美琴が考えた勝負とは、上条に自分が作ったお好み焼きを美味しいと言わせる、というものだったのだ。
 けれど、単純に食べさせたのでは勝負にならない。貧乏である上条が食べ物に対して不味いということはまずあり得ないし、空腹時であるならなおのこと美味しいと言うに決まっている。
 それになんだかんだ言って上条当麻という人間が、自分に対して料理を作ってくれた女の子が悲しむようなことを言うはずがない。
 このようなことから考えるに、まがりになりにも勝負という体裁を取るためには一工夫が必要になる。
 それが今回美琴がやった、女将と自分、両方のお好み焼きを食べさせた上で上条に自分のお好み焼きを選ばせるという勝負方法だったのだ。
 だがこのような条件では、勝負はどう考えても美琴に不利。
 相手はプロ、対する美琴はなんでも人並み以上に出来るとは言っても所詮は素人、勝負になるはずもないのだ。
 しかし美琴はあえてその勝負を選んだ。
 上条になるべく美味しい物を食べさせてあげたいという気持ちと、御坂美琴自身が上条当麻に手料理を食べさせてあげたいという気持ち。この二つの気持ちに対する妥協点が今日の勝負方法だったからだ。
 もっともこの勝負方法には、常に困難な勝負を望むという美琴の負けず嫌いな性格も少なからず影響していたりはする。

 とにかく美琴は勝ち目のない勝負に挑んだわけなのだが、結果として美琴は勝利を収めることになった。
 これが美琴にとって、対上条における記念すべき初勝利である。

498いざ、尋常に!(19):2011/02/02(水) 23:34:42 ID:mY.2fv6g



 視点変わってこちらは上条。
 手持ちぶさたな彼は相変わらず、ぼうっと美琴の背中を眺めていた。
「本当に今日の御坂、なんか変だよな。まあ、上条さんとしてはお昼を奢ってもらったわけですから文句は言えませんけど。それにしても、泣いたり笑ったり、か……」
 顎に指を当て、美琴から天井に視線を移動させた上条の脳裏に、先日デートをしたときの美琴の笑顔が浮かんだ。
「…………」
 その笑顔を思い浮かべながら、上条はついさっきの美琴の笑顔も思い出した。
「…………」
 それらの笑顔を交互に思い浮かべながら、上条は自らの視線を再び美琴の後ろ姿に向けていく。上条は無意識のうちに小さくため息をついていた。
「御坂の笑った顔ね……なんだよアイツ、いっつも怒ってばっかのくせに……笑うと、めちゃくちゃかわいいじゃねーか……!」
 突然上条の頬にさっと赤みが差した。
「へ? ち、ちょっと待て、今俺、何言った? え? へ?」
 ごくりとつばを飲み込んだ上条は、自らの口から出た言葉に目を丸くする。
「かわ、いい? 御坂、が? 何言ってるんだ、俺? 落ち着け、とにかく落ち着け」
 口を抑えた上条は美琴の様子を確認した。
 美琴は相変わらず鼻歌を歌いながら調理を続けている。どうやら上条の呟きは聞かれなかったらしい。
 上条は心の中で安堵のため息をつくと、深刻な表情を浮かべながら頭を抱えだした。
「まったく、俺はいったい何を口走ってるんだ。あり得ないぞ、冷静になるんだ!」
 こうして始まった上条の他愛のない、しかし本人にとっては極めて深刻な苦悩は、美琴がお好み焼きを運んでくるまで続けられることになる。

 上条当麻、レベル0。恋愛レベルももちろん0。
 自らの気持ちを形作り、育て、具体化させるにはまだまだ時間がかかりそうである。



 そんな上条の視線を背中越しに感じているのかいないのか、美琴はお好み焼きを作りながらニヤニヤと思い出し笑いを浮かべていた。これでもう二十三度目である。
「あの女将さんのお好み焼きって本当に美味しいのに、それなのにアイツ、私の方を選んでくれたんだ。私のお好み焼きの方が暖かくって好きだって。私のお好み焼きの方を。私の方を、私の方、私を……選ぶ……。えへ。えへへへへへ」
 お好み焼きが焼き上がったのを確認した美琴はそれを皿に載せると小さくうなずき、二十四度目の笑みを浮かべた。
「さあ、出来たわよ。御坂美琴特製お好み焼き、心ゆくまで堪能しなさい」
 笑みを浮かべながら、美琴は出来上がったお好み焼きを持って上条の元へ歩き出した。



 上条に対する美琴の初勝利。
 その勝因は、もちろん、目には見えない、形もない調味料。

「御坂」
「ん? なあに?」
「そんな風にじいっと見られてると、本気で食べにくいんですが」
「気にしない、気にしない。私は平気よ」
「気にするのは上条さんの方なのですよ」
「いいから、いいから。それよりどう? 今度はどう、美味しい?」
「……ああ、今度も美味い。さっきも言ったけど上条さんとしてはこのお好み焼きが好きなんだよ、なんか、心が落ち着く」
「そっか、そっか。フフフ」
「なんで笑ってるんだよ。やっぱりお前変だぞ、今日は」
「気にしない、気にしない」
「…………」

 恋する乙女なら誰でも使える調味料、けれど恋する乙女にしか使えない調味料。
 そう、アレである。



おしまい

499つばさ:2011/02/02(水) 23:39:05 ID:mY.2fv6g
以上になります。

前作の感想で、お一方でしたが「続きを」と言っていただけたことで調子に乗って書いてみましたが
いかがでしたでしょうか?
相変わらずベタベタな展開&オチですね、もっと精進が必要です。

ですが続きは本当にどうしようかと思ってます。アウトラインとして6話まで考えているのですが、
どうにも形になりにくくて。
そのうち1話はこのスレの雰囲気に合うか心底心配な話ですし。

ともかく、読んでくださった方、ありがとうございました。
こんな話ですが何かしらの反応をいただけると嬉しいです、批評でもなんでも結構ですので。

では

500■■■■:2011/02/02(水) 23:50:16 ID:jmiKKCw.
>>499
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

501■■■■:2011/02/03(木) 00:41:39 ID:91lwb7NA
つばささん、GJです。
美琴の初勝利、良かったです。^^

お好み焼きにされたのは朝の連ドラの影響?

502■■■■:2011/02/03(木) 00:41:54 ID:BYb.Mays
上条さんが美琴を可愛いってつぶやくところがとてもグッときてしまいました。
続きがすごく読みたくなってしまった...もう読みたくて仕方ない。
つばささんの次の作品を待ってます!

503■■■■:2011/02/03(木) 00:46:56 ID:3qto0FyA
GJです!
>>499
>相変わらずベタベタな展開&オチですね
そこが良いんじゃないんですか
意外性があるのもイイですがこういう王道的なのも個人的にイイです!
上条さんの琴を思って頑張って作る美琴可愛かったです!

504■■■■:2011/02/03(木) 00:54:50 ID:91lwb7NA
お世話になってます。Mattariです。

今回はちょっと趣向を変えてみました。
前回はストーリーもほぼ決めて、話も大体書き上げてから投下させていただいたのですが・・・。
今回のはまだ完全に途中です。何より最後の落としどころが決まっていません。

一番心配なのはストーリーがメチャクチャになるんじゃないかと・・・σ(^◇^;)
更新も不定期になりますが、ご容赦願います。

内容は前回の【とある右手の汚名返上(キューピッド)】の続きです。
この後すぐに1スレのみの投下とさせていただきます。

505見知らぬ記憶:2011/02/03(木) 00:55:30 ID:91lwb7NA

【見知らぬ記憶】

「……ん……うん……ムニャムニャ……」

「……ニャハハ……」

 現在は深夜、上条当麻は夢の中である。
 ここのところ美琴の教育がかなりキツい。毎日朝6時にモーニングコールが入り、早朝の勉強を開始。7時半には美琴が朝食を作りに来て(美琴は寮で済ませている)くれて、それを食べて8時過ぎには美琴お手製の弁当を持って寮を出て学校へ。
 授業もしっかり受けて学校が終わった後、3時半にはいつもの自販機の前で待ち合わせてスーパーで買い物をしてから上条の寮へ戻って夕食まで勉強。
 夕食も美琴が作ってくれて、それを一緒に食べた後、後片付けを上条がして、その間に美琴が勉強内容をチェック。その後厳しい指導が入って、門限時間に間に合うように美琴を寮まで送っていって、残っている課題をやってから風呂、就寝というスケジュールである。
 休みの日は、朝から夜まで美琴が付きっきりで直接指導とオツムの弱い上条にはかなり厳しい毎日な訳だが、美琴と一緒に居られる事が何より。という事で充実した毎日を過ごしている。

 そんなある日の事。

(・・・・あれ?・・・・美琴?・・・・なのか・・・・?)

(ちょっと、雰囲気が違うな・・・・。何となく美鈴さんのような感じもあるけど・・・・やっぱり美琴だ)

(何か・・・・スゴい大人っぽいな・・・・色っぽいって言うか・・・・)

(え?・・・・わわわわわわわわわわわわ・・・・ききききききききききキスですか・・・・上条さんは幸せです・・・・)

(あ、アレ?・・・・み、美琴?・・・・お、お、おおおおまっおまっおまっお前っ・・・・!!!!)

(えええええええええええええええええええっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

(そそそれっそれっそれっそそそそれって・・・・はだっはだっはだっ・・・・はだかぁ〜〜〜〜〜?)

(ままままままままままままままま待てッ!待てッ!!かかかかかかかかかかかかかか上条さんは“中学生に手を出したスゴい人の称号”はいらないのですのコトよ)

(むむむむむむむむむむむむねっ!むねっ!!むねっが!!!・・・・胸がッ!!!!・・・・大きい!!!!)

(えっ!?えっ!?えっ!?えっ!?えっ!?ええええええええええええええええええええええええええっ!?)

(まっ、まっ、まっ、まっ、まままままままままままままさか・・・・)

(うっ、うっ、うっ、うわああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・)

『ガバッ!!!』

「ハァーッハァーッハァーッハァーッハァーッ・・・・ンッ・・・・ハァーッハァーッハァーッ」

「ハァ・・・・お、お、お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオレは何て夢を見てるんだあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 今見た夢の内容に身悶えして苦しんでいる上条。
 「男の子だねッ♪」
 では済まないようだ。



 病院から戻ってきたあの日、上条と美琴が誓いを立てたあの日から数週間が経とうとしていた。
 この間は上条にとって目まぐるしいモノだった。

 日曜日の一件から、美琴は上条に「せめて補習・追試を受けなくても済むようにしなさい」と言い出した。それはそうだろう。補習や追試があったのでは、上条と過ごせる時間が少なくなってしまう。それは美琴の望むところではない。
 それに、この学園都市には絶対の尺度がある。レベル(強度)がそれだ。例え上条の右手が“神に貸し与えられた浄化の力”を備えた右手であろうと、上条当麻のレベルは“0”なのだ。
 それに対し、御坂美琴は学園都市では一番有名なレベル“5”。この格差は如何ともし難い。二人にとっては大したことのない問題なのだが、周りはそう思ってくれない。
 その事を一番肌で感じ取っていたのはやはり上条だった。だから上条は美琴を見習い努力する道を選んだ。『御坂美琴とその周りの世界を守るために、御坂美琴に相応しい男になる』と決意したのだ。そしてその為に美琴に協力を仰いだ。
 美琴にしてみれば、そんな周りの声など気にする事はない。と言うつもりだったが、それ以上に上条の言葉が嬉しかった。その言葉を聞いた時は泣いた。泣きじゃくった。そして、改めて上条に惚れ直してしまった。旗男の面目躍如と言ったところなのだろうか。
 とは言え、人はそう簡単には変われない。だから美琴は敢えてスパルタで上条を鍛える道を選び、上条もそれに応える日々を過ごし始めた。

 コレはそんな時間の中の物語である。

506■■■■:2011/02/03(木) 00:57:02 ID:7XYN7ff6
>>499
>相変わらずベタベタな展開&オチですね、もっと精進が必要です。
何が言いたいのかよくわからんが、アドレナリン放出しそこねたぜ……

GJブェェ……

507Mattari:2011/02/03(木) 00:59:51 ID:91lwb7NA
いかがでしょうか?

目指すのは『18禁ではないモノの美琴と当麻がドロドロになる奴』(笑)です。

さて、どうなります事やら・・・σ(^◇^;)。

508■■■■:2011/02/03(木) 01:34:46 ID:zg6vDfmA
>>499
残った女将さんのお好み焼きはこの後いちゃスレ住人がニヤニヤしながら頂きました。

>>505
それはそれで難しそう・・・!頑張ってください!

509■■■■:2011/02/03(木) 02:26:50 ID:K/n8Pa2M
>>499
美琴が可愛過ぎて生きるのが辛いです

>>507
私は一向に構わんッッ!!

510■■■■:2011/02/03(木) 12:38:25 ID:ZnQsopmM
>>507
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

511小ネタ豚:2011/02/03(木) 12:59:08 ID:1n7BN6bk
>>499
GJです!!私もつばささんみたいな甘いSSが書きたいです。ホント。
>>507
青少年のリビドーが伝わってくようで楽しいですMattariさん。

リアルの都合でこれからは投下しづらくなりそうなので、今日のうちに二回投下するかもしれないです。
迷惑だと思いますが、何卒ご容赦ください。

今は昼だからかぶりんこはないですよね。投下します。

512生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/03(木) 13:01:25 ID:1n7BN6bk


――――――私の想いは届いたのだろうか?

必死に、縋りつくように、抱きしめてくる少年を見て思う。
私が中学生にすぎないならば、彼はただの高校生にすぎない。
少しだけ特異な能力を持って生まれただけの少年。

「いたいよ」

そのはずなのに、どうしてこうなってしまったのか。
どうしてここまで強い意志を持って、この生き方を選んでしまったのか。

「いたいよ。とうま」

本当に、いたい。
もっとずるくて、賢い生き方だってあっただろうに…
でも、それはきっと上条当麻じゃない。
こんなにも不器用で、真っ直ぐで、真剣だから。
私も好きになったのだろう。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「落ち着いた?」

「…ああ」

あれからどれくらい時間が経っただろうか。
しかし、お互いにお互いを離さない。

「…こんなときなんて言えば良いんだ?」

「私に聞かないでよ」

デリカシーの無い奴だ。でも彼らしい。

「とうま?」

抱き合っているせいで表情はうかがえない。
不安を感じて離れようとするが……

「悪い」

離れようとする体をより強くギュっと抱きしめられる。

「もう少し」

「あう」

こんな風に正面から抱き合うのは初めてだ。
その事実に加え、彼からこんなに強くされるのは。

「もう少しだけ…こうさせてくれ…」

「…うん」

そういったものの、いろいろとヤヴァイ。
彼から感じる温かさとか腕の逞しさとか匂いとか。
溶けてしまいそうだ。いやもう溶けている。とろけている。

「なあ…美琴」

「うぇ?」

愛しい人から声をかけられて、情けない声が出てしまった。

「…キス…していいか?」

「うぇぇ?」

KISS?キスって言った?接吻?するの!?しちゃうの!?

「………ダメ……か?」

「ッーーーー!!ダメじゃない!ダメじゃ……ない」

耳元で囁かれて昇天してしまいそうだった。
繰り返すが彼からされたことなんて無い。
自分からするのと相手からされるのでは意味がかなり異なる。
そんなことされたらどうなるかわからない。
でも、彼から動いて欲しい、そう期待していたではないか?

「(大丈夫。大丈夫。たぶん)」

もう何度も予習は済ませてある。
想像の中で、夢の中で、体験実習をバッチリ済ませた。
ならば本試験に臨むだけなのだ。
筆記用具は?消しゴムは?受験票は忘れてないか?

「美琴」

「え?」

呼びかけられたことに気付いて彼の顔を見た、その一瞬―――私は彼と唇を逢わせていた。
それはただ重ねるだけの簡単なもの。荒々しいものでもなく、貪るようなものでもなく。

――――――優しい――――――

それだけで私は意識を飛ばしてしまった。


______________________________________________________________________________________________

513生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/03(木) 13:02:48 ID:1n7BN6bk


「………あれ?」

「起きたのか?」

美琴は気絶していたことに気付いたらしい。
とはいえ、わずか数分程度なので気絶と表現するのは大袈裟かもしれない。

「もしかして気絶してた?」

「ああ」

その返答に美琴は噴火した火山のように赤面する。
彼女が今まで積み重ねた経験は攻勢に出るものばかりなので、防御は慣れていない。
免疫があるのか、それともないのか、微妙なところに笑みがこぼれてしまう。

「びっくりしたぜ?今まであれだけ人の唇を蹂躙しておいて気絶すんだもんな」

呆れるように言う上条。

「うるさいわねっ!私からすることはあっても当麻からしてくれたことなんて…」

無いじゃない、と呟く美琴。

「俺からするのはダメなのかよ?」

「ダメじゃない」

即答。しかし今までの不安は一度流れ出すと止まらない。

「不安だったんだから…もしかしたら迷惑なんじゃ…って思うと…」


「………はあぁぁぁ」

わかってない、そう言うかのように上条はため息をつく。

「あのなぁ。あれだけされれば意識すんなってのが無理だろ」

でも、と反論しそうな美琴を、ストップ、そう言って上条は遮る。最後まで話を聞いてくれ、と加えて。
悩むように、目を瞑り、それでも目を開いて、美琴を見据えて説明する。

「……怖かったんだ」

「惹かれていることに自覚はあったよ」

「でも、それすら怖かった。だからその気持ちすら遠ざけようとした」


上条は周りから鈍感扱いされている。
でもそれは本当だろうか?
鈍感とは他者の気持ちに鈍いことを指す。
ならば誰かが困っていることにすら気づけないはずだ。
でも気づける。なぜならその経験があるから。皮肉にも、不幸体質であるが故に。
ではなぜ他者からの好意に鈍いのか?それもまた不幸体質であるせいかもしれない。
それが原因で彼は幼少期に暗黒時代を送っている。
周りの人間は彼を遠ざけ、それに巻き込まれることを恐れた。
だから他者から好意を向けられることに慣れていないのかもしれない。
人格を構成する過程で、多大な影響をうける幼年期ならば尚更だ。

しかし、好意が向けられていることを自覚してしまい、好意を向けてしまったら?

514生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/03(木) 13:04:02 ID:1n7BN6bk


「俺は不幸体質だから」

「いつかそれが好きな人を傷つけてしまうかもしれない、その時が怖かった」

「いや、それは言い訳かもしれない」

「それに傷ついて、好きな人が俺から離れていくのが怖かったんだ」


その経験があるのかどうか、記憶を失ってしまった今では確かめる術は無い。
しかし、その経験が無くとも厄介なことに想像というものがある。
恐怖を想像すればそれだけで体に経験として刻まれる。
考える、悩む、それも立派な経験だからだ。
人の想像力を侮ってはいけない。思いこみだけで人は簡単に壊れ、歪む。
そこから生まれた防衛本能。つまり大切な存在をつくらない。

――だれかを愛することさえしなければ、傷つくこともないのだから――

それはありふれた台詞。
普遍的な考え方であるからこそ、辿り着き易い。


「正直、今も怖い…でも…もう無理だ…」

「あんなこと言われたらどんな男だって落とされちまうよ」

ずるいだろ。反則だ。美琴は。そう言って上条は見つめる。

「もしかしたら俺の不幸に巻き込んでしまうかもしれない」

“不幸に巻き込むのが怖い”それすらも押しつけかもしれない。
自己満足で遠ざけても、彼女は彼女の理由で傍にいると言った。
ならきっとそれに意味は無い。そしてそんなことさえ言い訳だ。

「それでも美琴の傍に居たい。離れたくない。美琴と一緒に―――――笑いたい」

大切なのは自分の気持ち。自分がどうしたいのか。これからどう生きたいのか。


「だから」

だから―――

「一緒に」

共に―――

「これからもずっと」

死が二人を分かつまで―――

「それこそ果てなんて無いくらいに」

それこそ『死』なんて壊してでも―――

「俺と付き合って欲しい」

―――美琴と愛し合いたい―――





「ッーーーーー!!」

対して美琴は戸惑った。

「(ふにゃにゃにゃにゃにゃぁぁーーっ!!)」

まるでプロポーズだ。ここまで要求した覚えはない。

「(こんなときになんて言えばいいのよっ!!)」

上条は本当に極端すぎる。好きと言ってくれるだけで良かったのに。
でも返事をしなければいけない。そして出た言葉が――――

「…うん」

情けない、の一言。
それでもよかったのか、上条は安堵している。
そしてまた抱きよせて…

「(……うぇ?)」

美琴は忘れている、今の態勢を。ずっと抱き合ったままなのだ。
そして先ほど男女間の告白儀式を済ませたばかり。ならば当然――――

「とう……んっ……」

――――こうなる訳で。

それから互いの気が済むまでの時間、二人は唇を求め合った。

________________________________________________________________________________________________________

515小ネタ豚:2011/02/03(木) 13:08:19 ID:1n7BN6bk
以上です。
今ので5分の3ですね。
それでは暇つぶしになる事を願って――――

――――駄文でごめんなさい。

516■■■■:2011/02/03(木) 13:51:39 ID:ToFZIVoQ
>>515
これを駄文って奴がいるのなら、
まずは、その幻想をぶち殺す!

ってかw

頭の中とろとろにとろけてるけど続き待ってるぜ〜

517■■■■:2011/02/03(木) 14:25:47 ID:D3j/ojZI
>>515
上条さんが鈍感なのはそういう事情が…あり得るかも
素晴らしいいちゃいちゃでした
乙です!

518■■■■:2011/02/03(木) 18:30:48 ID:lRuxcY0E
GJ!!

519小ネタ豚:2011/02/03(木) 19:28:17 ID:1n7BN6bk
こんばんわー、おととい嘘ついたブタです。ごめんなさい。
>>516>>518
ありがとうです。励みになります。
>>517
正直に言ってこのSSで一番悩んだのはココでした。かなり強引だと自分でも思います。申し訳ない。
記憶喪失のせいで原作には昔の彼の記述がほとんど無いので、そんな風に仮定することにしました。
本当に上条さんを書くのは私には難しすぎる。

さて、長々すみません。続きを投下しますね。30分頃に5レス消費します。

520生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/03(木) 19:30:31 ID:1n7BN6bk


「どうしよう」

「どうしませう」

夜か深夜か微妙な時間帯である。
間違いなく学生が外にいていい時間ではない。
美琴は慌てて携帯を確認するがメール、電話の着信が凄まじい数になっていた。

「今から寮に帰っても……」

「……遅いだろうな」

絶対に殺される。あの最強の寮監に。
まして理由がいちゃついていたなら尚更だ。
同居人に連絡しても同様に厄介事になる。

「当麻」

「なんだ美琴」

縋るような目をしている美琴。

「その……今日泊めてもらえない?」

ダメ…とは言えない。
なぜならこうなった責は上条にもあるのだから。

「ダメ?」

「………だめ……じゃない」

そう答えると美琴は驚いていた。

「いいの?」

「言いだしたのは美琴だろ?」

「でも当麻は断ると思ってたから」

「そうだな」

でもな、と上条は続ける。

「こうなったのは俺にも責任あるし…それに……」

「それに?」

「今日は……今日だけは………美琴から離れたくない」

その言葉を聞いた美琴は瞬間沸騰。
年頃の少女には無理もない話かもしれない。
今まで一方行だった気持ちがようやく通じ合ったのだ。
加えて今日は離れたくない発言、意識するなと言うのが無茶な注文である。
しかしそんな美琴に上条はコールドスプレーを噴射する。

「インデックスもいるから間違いも起きないしな」

その言葉を聞いて美琴は瞬間冷却。
あまりの上条っぷりに落胆してしまう。
思わずスプレーの噴射口に火を近づけてやりたいくらいだ。

「行こうぜ」

とは思ったものの心なしか上条の顔は赤い。
どうやら意識しているのは美琴だけではないらしい。

「うん」

上条の部屋へ向かう道すがら、忘れていたことを思い出してしまった。

「インデックスのヤツ怒ってるよな…」

「あはは…」


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

521生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/03(木) 19:31:25 ID:1n7BN6bk


「ただいまー」

「お…おじゃまします……」

居候に帰った旨を報告するが返事が無い。既に寝てしまったのだろうか。
だとすれば申し訳ない気持ちになってしまう。
しかし………この部屋を出たのが夕方なのでまだ夕飯は作ってないのだ。
あの食べる専門家に家事スキルは無いので、帰ってきた瞬間いつもの洗礼が待っていると思ったが…いない。
と、そこでテーブルの前で固まっている美琴の存在に気が付いた。

「どうしたんだ?テーブルに何か………」

そこには置手紙があった。内容は―――

『――とうまの帰りが遅いから、今日はこもえの家にお世話になるんだよ――』

―――あるぇ?この手紙は何をほざいてるんでせう?

そこで理解する。美琴が固まっている訳を。

「(まずい…)」

先ほど二人は互いの気持ちを通わせることができた。それは大変めでたい。
そのあともキスするなり、ベタつくなりした、してしまった。それも当然なのかもしれない。
そんな男女が二人っきり、同じ部屋に、しかも彼女はこの部屋で夜を明かす。この状況は些か非常事態である。
美琴の提案にはかなり抵抗があったが、上条が受け入れたのは事情が事情で、それにインデックスがいたからだ。
だがその存在はいない。しかも提案を了承してしまった以上、追い返すわけにもいかない。

「(落ち着け…)」

美琴から悶々と吹きだす妖しい雰囲気に巻き込まれないように、上条は深呼吸する。
取りあえず、固まっていては始まらない。

「美琴」

呼びかけにビクッと反応する美琴。
あんな過激な発言をしてしまう割には彼女も混乱している。
ならばここは上条がリードすべきところだろう。

「何か食うか?」

「……ふぇ?」

「美琴も食べるだろ?かなり遅い夕飯だけどな」

「………食べ……る…?」

少々遅い時間とは言え、何も食べないのはあまりよろしくない。
どこか遠い場所に言ってしまった美琴を引き戻す。

「何がいいんだ?」

「……………とうま………を……?」

「……………………………………………おい」

どうやら遠い場所どころではなかったようだ。彼女の飛んだ先は遥かなる時空の彼方らしい。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

522■■■■:2011/02/03(木) 19:33:04 ID:TRv7BG0U
>>499
GJです!
これはここまで形にしちゃっているのですから続きを書かないといけないでしょ、いや書いてくださいお願いします!
美琴も上条さんも自分の気持ちに100%とまでとは言わずとも、もう結構心の中で感情が形作られてきているのですから、
もう少しだけ頑張って続きをお願いします!
にしても、美琴の上条さんへの愛情ははかり知れませんね。今回も楽しませていただきました。

523生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/03(木) 19:33:05 ID:1n7BN6bk

妄想先からなんとか帰ってきてもらって数時間後。
食事は冷凍食品で済ませることにした。
互いの入浴は終わらせたので、後は寝るだけだ。
美琴の着替え問題はジャージを進呈することによって解決し、上条は浴室で寝床の準備をしようと布団を運んでいた。

「??……とうま、なにしてるの?」

「なにって、寝床の準備。さすがに同じ部屋で寝るわけにはいかねーからな」

年頃の男女が同じ部屋で寝ればどうなるのか、しかも成り立てカップルなら想像に難くない。

「なんで?一緒に寝てくれないの?」

「なんでって………」

美琴は普段はインデックスが使っているベッドの上に座り込んでいた。
おまけに枕を抱きこんで上目づかいに唸っている…………止めて欲しい。
上条さんは決して己の欲望から解き放たれた聖人では無いのだ。

「上条さんも男なんです。勘弁して下さい」

「ううぅぅぅぅ〜〜〜〜」

いつのまにか美琴が背後まですり寄って、しがみ付いてきた。
入浴したばかりのせいか、温かさと匂いで理性が揺さぶられる。
互いに寝間着のせいか、女の子特有の柔らかさが外出着に比べてより強く伝わる。
背中越しに感じるソレらが上条の理性やら倫理やらを侵していた。

「(ふぉぉおおおーーーっ!上条さんの理性が危ないのですのよぉぉーーーっ!!)」

振り切ろうにも本能という蛇が首をもたげてきた。
上条の理性を丸呑みにしようと口を大きく開いている。
そしてそのまま――――

「……………嘘つき」

「……え?」

ポツリと美琴が漏らした呟きに思考が止まる。

「………離れたくないって……言ってくれたのに…」

最初にそう言ったのは、果たして誰だったか?
呆然として布団を取り落としてしまった。

「……わたしだって………とうまと離れたくない…」

腰に回された両手は微かに震えていた。
そして自らの行動に反省して、悔いて、手を重ねる。

「悪い…」

安心させるように、優しく握る。それだけで彼女の震えは…………止まってくれた。

「……ばかっ」

「……そうだな」

不思議と先ほどまでのせめぎ合いは無くなっていた。
どうでもいい、とすら思う。有るのは一つだけ。
背中に伝わる温もりが、それをくれる美琴が、ただただ愛おしい。

「取りあえず離してくれ、もう何処にも行かねえから」

このままでは二人とも風邪を引いてしまうかもしれない。
家計の事情からエアコンは効かせていないのだから。
そして考える。やはり妥協案としては同じ部屋で寝ることだろうか?
そのためにはベッドの隣に布団を敷かなければならない。
だから落とした布団を拾おうとして――――

「…やだっ」

より強く抱きしめられて、より深く密着する。
女の子特有の柔らかさどころか心臓の鼓動すら感じる。

524生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/03(木) 19:34:06 ID:1n7BN6bk

「このまま一緒に寝るの。とうまの事情なんて………関係無いもん…」

そういえば先の告白でそんなことを言っていた。
ならば浴室で鍵をかけていてもドアを破壊してくるだろう。
別の布団で寝ていても潜り込んでくるだろう。
つまり………要するに………

「(どうしようもないじゃねーか…)」

それが結論。(諦めの境地とも言う)
抵抗は無駄だと悟りため息を吐く。

「はあぁぁ、わかった。わかったから……電気消すぞ?」

「………うん」

二人羽織状態でベッドまで歩く。非常に歩きにくい。
さらに電気を消したので部屋の中は暗い。
唯一の灯りはカーテン越しに漏れる月灯で、それを頼りに転ばないようにする。
ようやく辿り着くと、背中からの気配が離れ、布団に潜り込んだ。
解放されて、そして上条も入ろうとした瞬間――――

「うおっ!」

視界に黒くて長い何かが現れて彼の体を掴み布団に引きずり込む。
あたかも四本の触手に絡め取られているような感覚。
びっくりして確かめると、それは美琴だった。当然と言えば当然かもしれない。
単に美琴が両手両足フル稼働で上条に抱きついているだけで、触手などの人外では無い。
(ある意味でこれはホラーだ、と後に上条は語る)

「美琴?」

尋ねるも返事がない。
ちなみに上条が美琴を押し倒しているような体勢だ。
しかも下にいる彼女は彼にしがみついている。
色々と寝るには適していない、そんな二人。

「(どうしろってんだよ…)」

きっとまた聞いても答えてはくれない、そんな気がする。
自信は無いけれど、美琴が求めていることは“コレ”なのだろうか。

「みこと……」

優しく“自分から”口づける。

「うん……正解」

すると満足そうに笑って、名残惜しそうに離してくれた。
そして体を横にして彼女に並び、掻き抱く。

「ふぇぇ?」

何とも情けない声が聞こえてきた。やり過ぎた……か?

「悪い、調子に――」

――乗り過ぎた、と謝ろうとして今度は逆に唇を塞がれる。

「ううん、嬉しかっ――」

続く言葉を逆に逆に塞ぐ。

「お返しだ。これも彼氏のとっ――」

逆に逆に逆に塞がれる。

「甘いわね。これが彼女の――」

逆に逆に逆に逆に塞ぐ。

「やりやがっ――」

――以下略。

525生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/03(木) 19:36:17 ID:1n7BN6bk


どれほど意味不明な応酬を重ねたのか、わからない。
上条は10を超えたところで、美琴も30を超えた辺りで数えることを止めた。

「「っぷ」」

噴き出してしまう。
そして訪れる静寂。
美琴は上条の胸元に頭を乗せて抱きついた。

「…………私の覚悟は…………………伝わった?」

「……ああ」

それは彼女自身が決めた事。

「でも……」

「でも?」

「お前を巻き込むつもりはねーよ」

こちらにも譲れないことがある。
美琴の傍にいたい、それが正直な気持ち。
しかしそれでも巻き込みたくない、という気持ちもあるのだ。

「そう言っても首を突っ込んでくるんだろうけどな」

「当たり前でしょ?」

自信満々に告げる美琴。

「ならきっとこの問答には意味がねえよ」

「結局、お互いの生き方《ワガママ》を貫くしかないんだ」

交わっているのか、交わっていないのか、とても微妙な道。









「けどよ」


「…え?」


漠然とした予感がある。それは“まだ”幻想かもしれない。


「お互いの辿り着く場所はわかんねえけど………」


右手を高く、高く、伸ばし―――――――


「いつか見つけ出せる、そんな気がする」


――――――――つかむ


「ふたりの生き方《幸せ》ってヤツをさ―――――」







かつては他人だった


今は恋人になった


では次は?


どんな関係になるかはわからない


ただ、確かな未来はひとつだけ



――――ふたり――――



これはそんな二人が紡ぐ――――ふたりの物語
__________________________________________________________________________________


以上で5分の4です。
実際にはここで完結なんですが、イチャ分足りなくね?って思ったので、次の日みたいな感じで続きがあります。
ただ美琴のネジが完全に外れてしまっているので、私自身でも違和感が……ハハハ。
というわけで、また今度―

526■■■■:2011/02/03(木) 19:37:04 ID:TRv7BG0U
>>525
リロード忘れてました、すいません…
リアルタイムGJです!

527■■■■:2011/02/03(木) 20:07:00 ID:ZnQsopmM
>>525
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

528■■■■:2011/02/03(木) 20:20:46 ID:06sExzv.
>>525
甘い…
GJです!

529■■■■:2011/02/03(木) 22:00:50 ID:91lwb7NA
小ネタ豚さん、スゴいです。
私なぞまだまだ……それを思い知らされる内容です。

私も精進せねば。(・・)(。。)(・・)(。。)ウンウン

530Mattari:2011/02/03(木) 22:28:46 ID:91lwb7NA
お世話になってます。

今日も1スレのみです。この後すぐに投下します。

531Mattari:2011/02/03(木) 22:30:36 ID:91lwb7NA

「……ハァ……」

 あの夢の結末を見ずに飛び起きてしまった上条だったが、それ以来眠れずにいた。寝てしまったら、あの夢の続きを見てしまいそうで……(それはそれで嬉しかったりするんだけど)……とは本人も気付かぬ“男”の本音だったりするのだが……とにかく、上条本人としてはその“夢”が妙にリアルだった事にショックを受けていた。

(今日も美琴は来るんだよな……。一体どんな顔して会えばいいんだよぉぉぉおおおおお……。あ、あ、あああああああああああんな夢見た後だからなぁ……)

(オレって、もしかして、本当は、美琴と……ああああああああああああああああああああああ〜んなことや、こここここここここここここここここここここ〜んなことを……)

(イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ…………嫌じゃないけど……!!!!!!……だからっっっじゃなくってぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!)

(たたたたたたたたたたたたたたたたたた確かに、上条さんだって普通の男の子ですからね。そーゆー気持ちがないと言ったらウソになりますよ……)

(……でも……今はまだ……早いと思うし……第一、オレも美琴も学生で、特に美琴は中学生で……子どもで……責任が……)

(だけど……夢に出て来た美琴……綺麗だったなぁ〜〜〜〜〜〜〜〜……)

 などと思春期真っ只中な思考と妄想を繰り返しながら、夢に出て来た美琴を思い浮かべ口元をダラしなく開いて『ボーッ……』としていたら……(ヨダレが出てるぞ、オイ!by《天の声》)

『ビリリリリ ピリリリリ』

 と、美琴からのいつものモーニングコールが入ってきた。

“ビクッ!!!”

 ちょっと違う世界に行きかけていたため、ビックリして慌ててしまって携帯が手に付かない。ベッドから転がり落ちそうになりながら、何とか携帯を掴む。

「もっ、もしもしっ。みっ、美琴か!?」

『わっ!?ビックリした。どうしたの?今日はエラく早く出るじゃない?』

「い、いや……そ、その……ちょうど少し前に目が覚めちゃってさ……アハ、アハハハ……」

『……ヘンな当麻。でも、ちょっとはこのモーニングコールが効いてきたってコトかな?』

「そ、そう……かもな……」

『何れにせよ『早起きは三文の得』って昔から言うんだし、早起きがクセになって損はないと思うわよ』

「そ、そうだな……」

『……と、ところで……当麻……あ、あのね……』

「ン?……どうしたんだ、美琴?」

『……ゴメン!!!』

「な、何だよ!?どうしたんだ、いきなり!?」

『今朝はさ、どうしても外せない用事が入っちゃってたの。それを昨夜言うの忘れてて……だから……その……朝ご飯とお弁当を……作りに行けないの……ホントにゴメンなさい!!!』

「えっ!?……そ、そうか(内心「ホッ」)。……そ、ソイツは……残念だ……な……ハハ」

『……ちょっとぉ〜、何笑ってんのよ……(むぅ〜〜〜〜〜〜〜)私が行けないのがそんなに嬉しい訳?』

「えっ!?……ゎ、笑ってなんかいないぞ……うん、……そうか……残念だ……うん……」

『……ホント、ゴメンね。埋め合わせはちゃんとするから。特に今日の夜はサービスしちゃうね』

「えっ?えっ?えっ?(ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええ!!!!!!!!!!)い、いや……み、美琴……それはッ……ちょっと待てッ。……オレたちまだ学生だし……それにその、美琴は中学生だし……だからその……(ドキドキ)」

『ちょっと、当麻。何言ってるのよ?……まさかアンタ、何か隠し事してるんじゃないでしょうね!?』

「いえいえいえいえいえ、そそそそそそそそっそっそっそそそんな、みみみみみ美琴に隠し事なんて……ととととととととととんでもない!!」

『む〜〜〜〜〜、でも、何か怪しい……』

「(ギクッ!!!)」

『(お姉様)あ、分かったわ、黒子。……何か釈然としないけど……まぁ、いいわ。ホントにゴメンね、当麻。だけど、私が行かないからって朝の勉強サボったり、朝食抜いたりしたらダメだからね!!』

「はいはい」

『返事は一回!』

「ハイッ!!!」

『んっ、ヨロしい。じゃあ当麻、ホントにゴメンね。……好きよ』

「あ、ああ、……お、オレもだ……」

『エヘヘ…嬉しい。…じゃあね』

「うん……『ピッ』……ハァ……」

 横でその電話を耳をダンボ(死語、既に埋葬済み)にして聞いている黒子が、学園都市の【闇】よりもどす黒いオーラを纏っていた事は言うまでもない。
 が、朝からお熱い二人はそんな事には全く気付いていない……気付くはずがない。

532Mattari:2011/02/03(木) 22:35:00 ID:91lwb7NA
あ……名前の欄、変えるの忘れてる……σ(^◇^;)。
スミマセン。<(_ _)>

533■■■■:2011/02/03(木) 23:36:37 ID:ZnQsopmM
>>532
細切れすぎるような気がする。
もっと書き溜めて、投稿した方がいいと思う。

    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

534■■■■:2011/02/03(木) 23:50:00 ID:CP3FBoJs
なんなんだこの投下ラッシュはwww
ワロタwww
GJ

535■■■■:2011/02/04(金) 00:48:41 ID:y7KkWJno
最近投下数が増えてきたよね
嬉しい琴だ

536■■■■:2011/02/04(金) 01:19:07 ID:hOTVcwvg
ロシア編入ってからどっと減ったよなぁ>投下数
一時期は1スレ2週間で消化するという偉業を成し遂げたのに・・・
うん、いい事だ

537■■■■:2011/02/04(金) 13:01:05 ID:lJzy6Nt.
ウンウン、これで心置きなく隠居できるわ……

538■■■■:2011/02/04(金) 13:25:56 ID:wyHJaumg
ふざけるな!こんなにいちゃいちゃしている場所にいたら糖尿になるじゃないか!
私は部屋に戻らせてもらうぞ!

539■■■■:2011/02/04(金) 13:36:10 ID:cDKUEkmg
脂肪フラグや

540■■■■:2011/02/04(金) 14:35:17 ID:mYXONUvg
だれウマ

541Mattari:2011/02/04(金) 17:55:39 ID:KqvPaJjA
>533
ご指摘ありがとうございます。
試しにと思ってやってみましたが、ここの流れに合わないようですね。
今後は仰るように書き溜めてから投下します。

という事でこの後18時頃から4スレ消化させていただきます。

542見知らぬ記憶:2011/02/04(金) 17:59:15 ID:KqvPaJjA
 それはさておき、あの夢の後、どんな顔をして美琴に会えばいいのかを悩んでいた上条にとっては、今朝美琴が来れないというのは“不幸”なはずなのに、それを“不幸”だとは思えなかった。

「ん〜…何となく…助かったよーな…そうじゃないよ〜な。……さてと、美琴のいう通り準備しますかね…」

 誰に言う訳でもなく、でも上条はそんな事を呟きながら朝の準備を始めるのだった。
 とは言え、昨夜の“夢”は相当強烈だったようで、右手の【幻想殺し】でも打ち砕けないその“幻想”は上条を捕らえて離さなかった。
 ちょっとでも気を抜くと、あの“魅惑の美琴”が“あの表情”が“あの仕草”が…そしてあの“(自主規制)”が脳裏を過ぎり、その度に顔を真っ赤にしてニヤけてしまう。そうなると上条はツンツンウニ型PCをリセットすべく、頭をブンブン振りまくるのだが、小さな小さなメインメモリはしっかり昨夜の“幻想”というウィルスに冒されていた。
 …という訳で、朝からの勉強は何も頭に入らなかった。朝食の目玉焼きはしっかり焦がしてしまうし、トーストは炭化させてしまった。貧乏暮らしが板に付いているので食材をムダにするという事が出来ない上条は、その二つをしっかりと食べ、お昼は学食か購買でのパンと決めて、その分少し早めに寮を出た。

「…不幸だ…」

 どこがだっ!!!!!!
 と、ツッコミを入れたくなる呟きを久々に口にしながら、トボトボと学校までの道程を歩いて行くのだった。

 学校に行っても、ツンツンウニ型PCの調子は一向に変わらない。イヤ、むしろ悪化の一途だ。ちょっとでも気を抜くと…である。
 お陰で今日は“不幸(?)”の連続だった。
 最近授業をマトモに聞くようになったと、見直され始めていた親船先生にはニヤケ顔を気味悪がられるわ。
 黄泉川先生の授業では、呆けてたところに飛んできたソフトボールに顔面を直撃されるわ、そのプレーが元でグラウンドを10周走らされるわ。
 小萌先生には

「上条ちゃんは先生の授業がそんなに楽しくないのですか?」

 とウルウルと目に涙を溜めて訴えかけられ、クラスの男子全員からまたまた恨みを買う事になるわ。
 最後には災誤先生からお説教フルコース&受け身の練習を喰らうハメになるわ。
 と散々であった。

 上やんの様子がおかしい。
 今日一日、同じ反応の繰り返しだ。
 『いきなりニヤける』⇒『頭をブンブン』⇒『リセットして集中』⇒『でもニヤける』をエンドレスで繰り返している。
 先日の“補習追加で上やんを失恋させる作戦”の失敗を未だに根に持っているデルタフォースの二人(特に青ピ)は、その上条の様子を見て完全に勘違いし、嫉妬の炎を燃やしていた。

「か、上やんのあの反応。あ、あれはどう見ても“大人の階段”をォォォおおおおおお…」

「まぁまぁ、青ピ。まずは落ち着くにゃー」

「許されへん、許さへんでぇ〜。フラグ回収しただけでも許されへんのに、その上“大人の階段”までぇぇぇぇえええええ」

「しかし、昨夜の盗聴内容にそんな記録はなかったはずだがにゃー」

 オイオイ…仕掛けてあるのか?盗聴器。

「きっと、あの常盤台のお嬢様が気付いて壊してしもたんや!そうに違いあらへん!!」

「イヤ、別件でかすめた発電系能力者にも感知され難い特殊な奴なんだがにゃー…」

「つっ、土みーこそエラい落ち着いてるやないか?…はっ!?ま、まさか…土みーも既に“大人の階段”を…」

「(ギクッ!!)」

「ああ〜、ワイだけやったんや、ワイだけ置いてきぼりにされてたんやぁ〜」

「貴様ら!!五月蠅い!!!!『ドゴンッ!!』」

 暴走する青ピの後頭部に十八番のおでこマックスを叩き込み、一撃で青ピを撃破した吹寄がそこに仁王立ちして居た。

「あ、相変わらず…オレたちには容赦が無いのニャ…吹寄…」

「さっきから何をゴチャゴチャと…。第一貴様らにかける情けなど持ち合わせている訳がないわ。何なら土御門も…」

「そ、それだけは御免被るぜよぉ〜…」

 そう言い残し、青ピを見捨てて土御門は教室から走り去っていった。
 逃げる土御門の背中に『フンッ』と言い放つと、青ピには一別もくれず吹寄は、呆けている上条に向かってツカツカと歩いて行く。

「貴様、最近少しマシになったと思ったのに、今日はまた特別に呆けまくりよね。上条当麻」

「ヘッ?」

 今日一日エンドレスなループにはまり込んでしまい、ほとんど熱暴走気味のツンツンウニ型PC搭載の上条は、吹寄の呼びかけで何処かの世界に行っていた意識をこちら側に戻すことになる。

543見知らぬ記憶:2011/02/04(金) 18:00:44 ID:KqvPaJjA

 意識が戻りかけたその時、上条の目に飛び込んできたのは、(本人にその意志は全くないのだが)腕組みをする事でより強調された吹寄の胸だった。
 美琴がコンプレックスを感じてしまうほどのそれは、昨夜のイケない“幻想”を思い出させるに充分な威力を持っていた。

「どわっ!!!」

 そう叫んで、慌てて飛び起きた上条だったが、身体の方はまだ完全に起きていなかった。
 立ち上がった時に膝を机にぶつけてしまい、慌てて膝を抱えようと前のめりになったところでバランスを崩して、そのまま吹寄の胸に突っ込んでしまった。
 もし、この場に美琴がいたら…間違いなく最大出力の【電撃の槍】と【超電磁砲(レールガン)】の多重攻撃が展開されていただろう。
 だが…そこは吹寄。“対カミジョー属性完全ガードを誇る凄い人”である。『ヒクッ』とこめかみ辺りに血管が浮いたかと思うと、目の前にある上条の脳天めがけて、吹寄おでこマックスが火を噴いた。

『ッゴンッ!!!!!』

 鈍い音と共に上条は、青ピの後に続く事に…はならなかった。
 青ピの時と違い、目標が近かった事が幸いした。射程が短かったお陰で威力がそれほどではなかったのだ。もちろん青ピのそれに比べての話だが…。

「いててて…な、何すんだよ…吹寄」

「それはこっちのセリフよ!!それより、彼女との待ち合わせはイイの?上条当麻」

「えっ!?…ゲッ!!!や、やべえ…。あ、スマン吹寄。ありがとな。ンじゃまた明日な」

 上条は吹寄に礼を言って、慌てて教室を飛び出し美琴との待ち合わせ場所を目指す。
 その背中を見ながら吹寄は…

「フンッ!頭突きを喰らわせてやったのに、礼を言われるとはね…フッ…」

 と、独り言を呟き、教室を後にするのだった。
 因みに、教室に独り取り残された青ピは、用務員のオッチャンが巡回に来るまで誰にも気付かれずに放置されていたという。

 一方、吹寄のおでこマックスで強制的に現実世界に引き戻された上条は、美琴との待ち合わせ場所であるいつもの自販機を目指して走っていた。
 走りながら考える事は、待ち合わせ時間に間に合うかという事だけ。
 昨夜の“幻想”も、今朝の“悩み”も、今日の“無限ループ”も、全て上条の頭の中から消えていた。
 そう、それこそが彼にとっての“不幸”だった。

「ハァッハァッ…ハァッハァッ…ま、間に合った…ハァ〜」

「残念でした、30秒の遅刻よ。でも、走ってきた事に免じて許してあげる」

 そう言って上条の腕を“ギュッ”と抱き締める。それが誰かなど分からぬはずはない。
 ただ不意を突かれ、腕に伝わる“柔らかい”感触にドギマギしながら、そちらを見る上条。
 そこにはいつもの美琴の笑顔があった。

 …だが…その笑顔に重なる昨夜の“幻想”。
 その二つが重なるのを見た瞬間、上条は忘れていた全てを思い出す事になる。

「(ボンッ!!!!!)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「け、今朝はゴメンね当麻。その代わりという訳じゃないけど、今夜はサービスするからね。…アレ?…当麻?当麻ったら?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 全てを思い出し、真っ赤になって固まっている上条。
 そんな上条を見て、美琴は“?”を頭の上に浮かべ、首を傾げるだけだった。
 だが、その仕草がイケなかった。
 今、上条の目には“現実”の美琴と“幻想”の美琴が二重映しになっている状態なのだ。
 それでなくても上目遣いで可愛く首を傾げるポーズは、上条にとっては凶器である。
 いつもなら目を逸らして逃げるのだが、今日はダブル攻撃で全身が既に固まっているためそれも出来ない。
 そこに先程の美琴からの『今夜はサービスする』との言葉がループして…。

「ふ…」

「ちょっと、当麻?当麻ったら?」

「(ボムッ!!!)ふ…ふにゃぁぁぁあああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 どうやらツンツンウニ型PCはハングアップしてしまったようだ。
 今日一日無限ループに入り込み熱暴走気味だった上に、処理速度を遙かに超える情報量を与えられたのだから仕方がない。
 美琴なら漏電して、辺り一面に電撃を撒き散らしていたところなのだろうが、上条では何も起こらない。
 だが、いきなり倒れてしまった上条を見て、美琴は大慌てしてしまうのだった。

544見知らぬ記憶:2011/02/04(金) 18:01:35 ID:KqvPaJjA

「えっ、えっ、ええぇぇぇぇええええ!?…とっ当麻!?当麻!?当麻ったら!!一体どうしちゃったって言うのよ!?」

「ふにゃー…」

「『ふにゃー』じゃないでしょ!!…ホントにもう、何がどうなってるのよッ…?」

「…エヘヘ…み、美琴ォ〜…」

「えっ?何、何なの?当麻?」

「…き、綺麗だ…美琴…愛してる…」

「(ボンッ!!!)…い、いいいいいいいいいいいきなり何を言い出すのよ!!!!…それは、その…スゴく、嬉しいけど…さ…」

「ふにゃ〜…」

「…できれば…こんなとこじゃなくって…二人っきりになれる場所で、二人っきりの時に、言って欲しいな…エヘ、エヘヘ…」

「ん…あ?」

「…だからさ、その、綺麗だって言ってくれるのは嬉しいんだけど…もうちょっと、シチュエーションを考えて欲しいって言うか…その…」

「…アレ…美琴?」

「…た、確かにもう、プロポーズもした仲だから、別に…その…、イイとは思うんだけど…、まだちょっと心の準備って言うか…」

「…あ、あの〜…美琴さん?」

「あっ、べっ別に当麻がイヤってコトじゃなくって…私もまだ、中学生だし。ちょっとまだ早いかなぁ〜何て…でもっ、でもっ、当麻が…当麻が…望むのなら…別に…私は」

「ヘッ!?」

「私は…イイよ」

「あ、あの〜、一体何がイイんでせうか?」

「ヘッ!?…あ、…(ボムッ!!!)…ふにゃぁぁぁあああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「何でそうなるんだァ〜〜〜〜〜〜!?」

 『知らねぇよ(by自販機)』
 という呟きは放っといて、それにしても噛み合わない二人である。
 今度は漏電と共に美琴が気絶してしまった。
 上条は慌てて【幻想殺し】でそれを防ぎつつ、倒れてくる美琴を支えようとする。
 だが、手を出したところが悪かった。
 漏電を防ぐために前に突き出した右手だったが、上条は倒れて寝ていたのだ。
 その上に美琴が気絶して覆い被さってくる格好になった。
 その為、上条の右手は美琴の柔らかい部分をもろに掴んでしまったのだ。

『フニッ』

 と柔らかい感触が上条の右手に広がる。
 腕になら何度も経験があった。だが、右手にとっては初体験だった。
 イヤ、そのはずだった。
 ところが…それを受けとめた瞬間に…

「…小さいな…」

 と、上条は思わず呟いてしまったのである。

 一方美琴も漏電と共に気絶してしまったが、それは一瞬であり、自分の胸が掴まれている感触と共に覚醒しようとしていた。
 そこに上条の先程の一言である。

「…あ、アンタは…、…アンタはさあ…」

「ヘッ!?」

「いきなり彼女の胸を掴んで“小さいな”ですってぇぇぇぇぇぇえええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「えっ!?…あっ!!」

「一体誰と比べてんのよぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

『ドバキッ!!!!!』

「ごわっ!!」

 【幻想殺し】で胸を掴まれているため電撃が出せない美琴は【常磐台中内伝おばあちゃん式斜め45°からの打撃による故障機械再生法】を起き上がりつつあった上条の側頭部に叩き込む。
 それを喰らった上条は右手を前に突き出したまま、数メートル先の自販機に激突させられるのだった。



「…一体どういうコトか、説明して貰えるかしら?」

 手の中で数枚のコインを遊ばせながら、目の前で土下座している彼氏に向かって美琴は言い放つ。
 上条はただただ、地面に額をこすりつけて謝り続けるしかなかった。

「いきなり気絶するかと思えば、急に“美琴、綺麗だ。愛してる”なんて言ってくれちゃうし…。そ、それは嬉しかったんだけど…さ。かと思えば、いきなり胸を掴んで“小さいな”ですって?」

「い、イヤ、あの…胸を掴んでしまったのは、美琴が倒れてきたからで…」

「ふ〜ん、そ〜ゆ〜コト言うんだ…。覚悟はイイ訳ね?」

「あイヤッゴメンゴメンなさい〜。ちゃんと説明するからだからだから【超電磁砲(レールガン)】の連発だけはご勘弁を〜」

「ホントにキッチリ説明して貰うからね!!!納得出来なかったら…分かってるでしょうね!?」

「は、はひぃぃぃぃいいいいいい…」

545見知らぬ記憶:2011/02/04(金) 18:02:37 ID:KqvPaJjA

 久々に出た美琴のお怒りモードに上条は心底震え上がっていた。
 『不幸だ』と口には出さず、心の中で呟く上条だった。

 何だかんだで、上条の部屋に戻ってきた二人。お怒りモードの美琴のご機嫌を損ねぬように、スーパーでの買い物を済ませてからのご帰宅である。

「じゃあ、そろそろ説明して貰える?」

「あ…は、ハイ…」

「何よ?まさか、今更…」

「あイヤ、そういう事じゃないんだけど…信じて貰えるかどうか…」

「どういうコトよ?」

「実は…今回も、その…“夢”が原因で…さ…」

「えっ?」

「実は、昨夜…」

「昨夜?」

「ちょっと、その、何て言うか…」

「…もう、ハッキリ言いなさいよ!!!!」

「…(ダラダラ)…」

「…」

「…(ダラダラ)…」

「(ジャラジャラ)」

「だ…」

「だ?」

「だだだだだだから、はっはははははは裸の美琴を抱いてる夢を昨夜見ちまったんだ!!」

「(ボムッ!!!)えっ!?えっ!?ええええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「ゆっ夢に出て来た美琴は、今よりも大人っぽくって、今の美琴も充分可愛いけど、それ以上にもの凄く綺麗で、魅力的で…」

(ボンッ!!!カワイイ?綺麗?魅力的?ボムッ!!!)

「スゴく、その積極的って言うか魅惑的で、でもって…大きくって…柔らかくって…」

(ボンッ!!!せっせっ積極的で魅惑的でって…それに大きい?柔らかい?ボムッ!!!)

「さ、最後まで見た訳じゃないんだけど、その夢の中でオレと美琴は裸で愛し合ってて…」

(ボムッ!!!はだっ裸であっ愛し合ってるってェ〜〜ボムッ!!!)

「美琴もスゴく自然にオレのこと受け入れてくれてたみたいで…、でも…でも、でも今すぐにそういう事を美琴としたいとかそういうんじゃない!!!…と、思いたいんだけど…」

(ボムッ!!!自然に受け入れてるって…きゃぁぁぁぁぁああああ…でも、当麻になら…私、私ィ…ボムッ!!!)

「まっまだ早いと思うんだよな。オレたち学生だし。そっそのいくら恋人同士になったからって、美琴がどんなに魅力的でも、やっぱりまだ超えちゃイケないというか…でも、欲望もあったりして…あああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜オレ何言ってんだろ?」

(そ、そうよ、そうよね。恋人同士なんだもん。それが自然な…え?…あ)

「あ、コレは美琴に魅力がないとかそういう事じゃなくって、オレがそういう風に思ってるってコトで。だけどっこっこんな夢見ちゃうってコトは、オレってやっぱりそんなことをしたいのかって、心の何処かでそんな風に思ってるのかって考えたら…自己嫌悪に…」

「…」

「でも、やっぱり夢の中の美琴はスゴく魅力的で、だから、チョット気を抜くとすぐその姿が浮かんできて…だからっだからっ…」

「バカ…」

「ヘッ?」

「ホントに…バカ…」

「あ、あの…」

「そ、そそそっそそんなの当麻ぐらいの男の人だったら、そういう事考えてても当たり前だと思うし…って言うか、むしろ考えない方がおかしいと思うしっ!!!」

「…えっ!?…あ、それは…」

「そ、それにわっわ、わたっゎたっわたわた私だって…ちょっとは、その…考えないこと無いって言うか(ゴニョゴニョ)」

「…」

「わっ私は、別に…その、当麻が…望むのなら…」

「…美琴…」

「たったった確かに、私はまだ中学生だし、ちょっと早いかなぁ〜?なんて思うけど、当麻とならイイと思ってるもん!!!そっそれに将来は絶対にそうなるんだし…」

「(ゴクッ!)」

「だから、だからっ…!!!!!!」

「美琴…」

「当麻が望むのなら…私は…イイよ…」

(ま、マジですか…)

「…当麻…優しく…してね…」

「(もうダメ、もう無理。オレの理性はもう…)み、みみみ美琴…」

「…当麻…」

 震えながらも、目を閉じ、唇を差し出す美琴。
 この唇に自分の唇を重ねたら、もう止まれない。止まれる訳がない。
 例え美琴が途中で怖がって「やめて」と叫んでも、自分は絶対に止まれないだろう。その自覚があった。
 それに美琴はどれ程怖くとも自分を最後まで受け入れてくれるだろう。全てを捧げてくれるだろう。それが痛いほど分かった。
 だからこそ、覚悟を決めて上条は…。

546Mattari:2011/02/04(金) 18:04:02 ID:KqvPaJjA
今日は以上です。

目指すところまではまだまだですが。

お楽しみ頂ければ幸いです。

547■■■■:2011/02/04(金) 18:26:37 ID:pykvJ5Zg
あ、あれれ?テ、ティッシュが..ない....

と、とりあえずGJ!!
ゴハッ!!は、はなじが....(気絶)

548■■■■:2011/02/04(金) 19:16:45 ID:jlSMhHRY
>>546
相変わらずボンボンしてるなw

        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

549■■■■:2011/02/04(金) 19:58:51 ID:veAOgqD6
ふむ、つづけたまえ(

550■■■■:2011/02/04(金) 20:12:32 ID:pykvJ5Zg
>>549の言うとおりだ
かまわん続けろ

551つばさ:2011/02/04(金) 20:55:42 ID:bxVLIdpk
「いざ、尋常に!」を読んでくださった方、感想をくださった方ありがとうございます。
本当に恐縮です。
簡単で申し訳ありませんが返事です。

>>500
感想ありがとうございます
>>501
お好み焼きは「嫌い!好き!」でせっかく設定を作ったのだから使っちゃえという考えと、
「料理で、しかも美琴が敵わない」相手にぴったりだったという点からです。
元々設定を作ったのは私が大阪在住だからですがw
>>502
あのセリフは何度書き直してもしっくり来なくて大変でしたが、ほんの少しでも上条さんに美琴を見てもらいたくてねじ込みました
>>503
自分の引き出しの少なさに凹んでいたんで、そう言っていただけて安心しました
>>506
すいません、次はもう少しアドレナリンが出る話を書ければ、いいな……
>>508
しかもその横で上条さんをニコニコして見つめる美琴。マジで見たいなぁ
>>509
ダメです、原作で上琴が成立するまで生きて下さい!
>>522
ありがとうございます、続きは書きたくて本当に仕方ないんです。ただプロの方のような執筆速度、能力が自分になくて…。
でも期待していただいた以上、なんとしてでも書いていきたいと思います。
時間はかかるでしょうが気長に待っていただければ。
最低限、アウトラインが上がってる6話までは(それで完結するわけではありませんが)

>>小ネタ豚さん
読んで下さってありがとうございます。
私もあなたの作品、いつも楽しんで読ませていただいてます。
上条さんの鈍感さへの解釈、確かに少し目新しい視点ですがなるほどと思えました。
後はいちゃラブを残しているのみだとか……続きを楽しみにしています。

552■■■■:2011/02/04(金) 22:53:18 ID:hOTVcwvg
ところで今日罰ゲームなわけだが

553■■■■:2011/02/04(金) 23:21:34 ID:MHEUBOxY
↑超楽しみ

554■■■■:2011/02/04(金) 23:36:41 ID:D61kp1Qk
速く書けコノヤロー様

555アルエ:2011/02/04(金) 23:42:05 ID:6uDa9fjg
皆様お久しぶりです。
続きが出来ましたのであげます。

またよろしくお願いします。

556アルエ:2011/02/04(金) 23:43:19 ID:6uDa9fjg
君の見る幸福な世界
11


「五和いたんだよ」

「後ろの二人は?」

「私の知り合いなんだよ。とうまの友達なんだよ」

先ほどの女性が壁の前で仲間と立っていた
話し合いの話を聞いていると

ほんとは通れてそのさきにアイツがいるらしのだが
アイツが戦闘の際に壁が崩れたらしく
ここが通れなくなっていた

「これを・・・アイツが・・・」

そこには大きな鉄の壁があった
そして血液がべっとりと鉄の壁についていた
戦闘の壮大さが伺えた

もしたしたらアイツの血かもしれない

「この壁には難しい魔術がかかってるんだよ、外すには時間がかかるんだよ」

「壁を飛び越えるのは難しんでしょうか」

黒子があごに手を置きながら答えた
そう黒子にはテレポートが

「それなら大丈夫なんだよ、でも壁の向こうは危ないかも知れないんだよ」

「そうですの、ではお姉様いきますわよ」
そして黒子は私の腕をつかみ音をたってて消えた・・・

557■■■■:2011/02/04(金) 23:43:31 ID:7wr4Y8SQ
俺の地域は明日が罰ゲームだ
テレビと携帯とPSPで3画面同時視聴する

558アルエ:2011/02/04(金) 23:43:37 ID:6uDa9fjg
12

「ひどい」

壁の向こうはビルのがれきだらけで
血のにおいがした

後ろの鉄の壁から何か声がする
そしてどんどんと音がした

みんなアイツを助けるのに必死なんだ

「短髪、解除してから行くから先に行ってなんだよ」

あの子の声が聞こえた
そう私はこんなところで立っている暇はないんだ

早くアイツを早く助けなくっちゃ
早く・・・・・


いろんなところから爆発音が聞こえる

一瞬黒子を使ってみんなこちらにテレポートさせようか
考えていだが私はそんなことより体が動いて走っていた

早く行かなきゃ

そして聞こえたんだアイツの声が

「みっっみ・・・美琴」

そんな苦しそうな声が聞こえてんだ

「黒子お願い・・・あっちに飛んで」

559アルエ:2011/02/04(金) 23:43:55 ID:6uDa9fjg
13

「でもお姉様先ほどあそこから大きな爆発音が・・・」

「お願いあそこにいるの」

なんで自分もこんなに危ないことに足を突っ込んでいるのか
わからなかったでも
一秒でも早くアイツに会いたかった

私と黒子はシュンと音をたってて
その廃墟ビルの中に向かった

ビルの中は埃がすごく舞っていた
ほんとに爆発した直後のように感じた

「黒子・・ゴホっ大丈夫?」

「お姉様黒子は大丈夫ですの・・ゴホ」

そして私は走った
アイツは絶対この中にいる

そう感じた
でもどこ・・・

「アイツはどこにんのよ」

そして先ほどと似たような
鉄の壁がありまた大量の血液が付いていいた

よく見るとなにかの魔方陣のような絵が描かれていた

「黒子、お願いまた・・・飛んで・・・この先に・・」

アイツは絶対そこにいる。絶対に。

560アルエ:2011/02/04(金) 23:44:15 ID:6uDa9fjg
14

シュン


「いた」

美琴と黒子はついに見つけた
がれきの横に血だらけになって倒れている上条当麻を

「・・・・」

思わず息をのんだ
なぜならいつも私を無視する、私の事検索件数ゼロ件のアイツが
まるで死んでいるかのように大量の血の海の中倒れているのだから・・・

美琴はゆっくりと一歩一歩当麻に近づき
息をしているかどうか確かめに行った

黒子は何も言わずにただ愛する美琴を見つめていた
なんて声をかけていいのかわからなかった
あんなに悲しそうなお姉様を見るのは初めてだったから

「アンタ・・・ねぇ・・・ねぇってば」

美琴は当麻のそばに膝を付き
頭を触ろうとした時・・・・

「もう一度最後に美琴の顔見たかったな・・」

当麻が小さな声で呟いた

「ばか。私はここにいるわよ」

美琴は当麻のおでこに手を置き優しく笑った。
そして黒子を見ると黒子は、何かを感じ取ったようにシュンと音をたってて消えた

561アルエ:2011/02/04(金) 23:45:08 ID:6uDa9fjg
15

「アンタは右手があるから黒子のテレポートは使えない」

美琴は当麻のおでこから手を離し立ち上がった

「アンタを一人にはできないし、私もアンタを担いで脱出は無理」

スカートに手を入れコインを取り出し

「みんなに来てもらわないとね」

親指にコインを乗せ



「次は・・・私が力になるからぁぁぁああああああああああああああ」



美琴は天井に向かって電撃を放った

天井に大きな風穴が開き
綺麗な星空が見えた

「綺麗・・・」

美琴はよろよろと当麻に近づき当麻の頭を自分の膝にのせた

「こんだけ電撃柱立てればみんな気が付くでしょう、その前にビル崩れるかなぁ・・」

そして美琴は当麻の右手をつかんだ

「私も電池切れだからもう走れない、アンタと死ぬ時は一緒になるのか」

まぁそれもいいかと美琴は笑った

アンタと一緒ならそれでもいいか・・・・。

562アルエ:2011/02/04(金) 23:46:16 ID:6uDa9fjg


今回はここまでです。
またよろしくお願いします。

みなさんGJです。

563■■■■:2011/02/04(金) 23:49:40 ID:7wr4Y8SQ
>>562
GJです。被りすみませんでしたい

564■■■■:2011/02/04(金) 23:55:02 ID:/pc956/c


565■■■■:2011/02/05(土) 00:06:51 ID:pIV.qRi.

しかし罰ゲーム回に投下するとは勇者よな

566■■■■:2011/02/05(土) 00:45:10 ID:akf.KvWk
乙です
またお待ちしてます〜

567■■■■:2011/02/05(土) 01:56:32 ID:DsUJlZyw
いい!GJ!

568■■■■:2011/02/05(土) 02:59:53 ID:xlKL40nM
>>562
GJ!
続き待ってます!

569■■■■:2011/02/05(土) 04:53:20 ID:e53/Q8bk
美琴が助ける的な物語はなんかしっくりくる

570■■■■:2011/02/05(土) 12:11:17 ID:nP6gWH/.
>>562
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

571■■■■:2011/02/05(土) 12:25:30 ID:pxGhOujo
ぐあああああああ気になるぜええ
続き待ってます
GJ!!!!!

572小ネタ豚:2011/02/05(土) 12:59:51 ID:uT/hP9uk
こんばんわー
ラストです。
以前書きましたが、美琴のネジが完全に外れてしまっているので不快なればスルーして下さい。

573小ネタ豚:2011/02/05(土) 13:05:11 ID:uT/hP9uk

〜次の日〜


―――それはぬくもり


布団の柔らかさと仄かに香る匂いが混ぜ合わさった安らぎに包まれている。
こんなにも温かい環境で寝るのは生まれて初めてだ。
いつもの寮のベッドはこんなに安心できただろうか?
枕もとにあるはずの携帯電話を手探るも―――見つからない。
違和感を覚えて重い目蓋を開く。するとそこは見覚えの無い部屋だった。
電気もついていないので少々暗く、詳しい様相はわからない。

「(……えっ……と?)」

寝起きのせいか上手く頭が働かない。
どこからか物音が聞こえてきた。それは騒がしいものではなく幼いころに何度も聞いたことのある音。
それが何だったかは霞みがかった思考ではわからない。
ふと、台所のほうが若干明るい事に気付いた。目蓋を擦りながら見ると

「おっ。悪いな。起こしちまったか。おはよう、美琴」

―――――なにやらツンツン頭の男性がエプロンを着けて料理をしていた。
男性、という表現はおかしいかもしれない。知っているのだから、彼を。
何度も夢で、空想で、現実で見た愛しい人―――上条当麻。
でも、なんでエプロン姿で料理しているのかがわからない。


………テン………テン………テテーンッ!


理解した。思い出した。つまり…これはっ―――――

私が当麻の部屋に泊まってとうまが私を上条宅に泊めて一緒の部屋でベッドで布団で寝て起きたらそこにとうまがいて当麻は私の恋人で彼はエプロン姿で料理していてなんでエプロンしているかと言うと私を料理していてちがう私を朝ご飯にしようとこれも違うだから一緒の部屋で生活していてつまり当麻は彼氏ででも同じ場所に住んでいるってことは結婚していて結婚してるなら私はお嫁さんでとうまは旦那さんで要するに夫婦になるのよねだってだってとうまったら昨日あんなプロポーズみたいな告白してくれたしふにゃぁぁああだから主夫として当麻は朝ご飯を用意してくれていてEPURON装備TOMAを朝食に食べていいというわけでふにゃだけど私は中学生でとーまは高校生でそういう風な事をするにはまだ早いし道徳にも倫理にも反しているかもしれないけどそれでもこの気持ちは止められないというかだから結婚にはまだ早いかもしれないけど婚約だったらいいかなーってよってフィアンセで婚約者だからあと何年かすれば式をあげられるということで教会でドレスを着て当麻はもちろんタキシード姿で私を迎えに来てくれるってことよねふにゃあそうなれば私は御坂から上条になってつまるところこれからは上条美琴って自己紹介していいことになるわけでふへへけど御坂当麻も捨てがたいなだってそれは当麻が御坂の物になるわけででもダメ上条美琴のほうがなんか響きが良いしそうなればもちろん子供の名前はみことうまことってことで上条麻琴かなでも麻美も良いよね男の子の名前はどうしようこういうのは家族で相談したほうが良いのよねだったら当麻の両親にも挨拶したほうがいいのかしらいけない変な方向に考えが向かっている取りあえず先の事は置いて話を元に戻そうだから当麻がエプロン装備で料理しているってことは私より先に起きてでも起きたときは一緒に寝てて欲しいなだって朝起きた時に最初に見るのはとうまがいいじゃないえへへいやいかんいかんいかんまた脱線してしまった……………

―――――どうやら先に起きて、朝ご飯を用意してくれているらしい。

「当麻。起きるの早いのね」

時刻を確認すると、起床するには早すぎる時間帯だった。
外を見るとまだ夜が明け始めたばかり。

「美琴は一度寮に戻らないといけないからな。それまでに間に合わせたかったんだ」

ほれ、と青いハンカチに包まれた物を渡される。
これは……弁当?出来立てなのかまだ温かい。

「………これは?」

「今日からは普通に授業があるだろ?不味かったり量が多かったら、残しても構わねえから」

照れくさそうに頬を掻いている。
堪え切れなくなったのか、そのまま背を向けて台所のほうに行ってしまった。

574生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/05(土) 13:06:28 ID:uT/hP9uk

「ッ〜〜〜〜〜ッ!!」

彼は自身のやっている事の意味が分かってやってているのだろうか?
恐らくわかっていない。だからこそ余計にタチが悪い。
これではまるで………まるで新婚さんだ。
そこまでされて何故かイラッときた。やられっぱなしではいられない。
渡された愛夫弁当をテーブルに置き、私も台所に向かう。

「なにしてるの?」

「少し早いけど朝飯を作ろうと思って……お前も食うか?」

当麻はベーコンを焼いていた。あとは卵を投下して、ベーコンエッグを作ろうとしているっぽい。
その無防備に料理を続けている背中は――――誘っているようにしか思えない。

「(ごめん…舞夏の言ってたことは……男だけじゃ………ないみたい…)」

込み上げてくる欲望のままに背後から抱きつく。

「美琴っ!!?」

驚愕の声は無視して彼の感触を楽しむ。
私が寝ている間に軽くシャワーを済ませていたのか、少し温かい、ほっこりしてくる。
そして朝食の香りと愛しい人の匂いが混ぜ合わさって、何とも言えない。頭がクラクラしてきた。

「料理してるからっ!危ないからっ!」

まだ抵抗する気らしい。学習しないヤツだ。

「とうま」

「なっ……なんでせうか?」

無理やり振りほどくことは出来るのに……それをしない。

「私は半熟が良い」

「この格好でっ!?」

ということは体は正直で、口が素直で無いだけだろう。

「うん」

「……無茶苦茶だ」

当麻の両脇から手を差し込んで、エプロンの内側の胸元に通す。抱き付きからしがみ付きにチェンジ。

「とうま」

「………………」

彼は諦めて耳を真っ赤にしたまま無言を貫こうとしている。
抵抗しなくなったのは許す。だが、何も反応がないとそれはそれで面白くないではないか。

「朝ごはん………食べていい?」

「へ?ああ、いいぞ。レンジがなんでか壊れてるからトーストは出来ないけど、食パンならそこにあるから…」

了承をもらった。食べて良いそうだ。
こんなにも美味しそうなごはんを前にして、耐えられるだろうか?いや耐えられるハズがない。

「いただきます」

踵を浮かせ、爪先立ちに背伸びをする。
今日の献立は食パン、ベーコンエッグ、そして―――――――――トウマ

「美琴ォォ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」

悲痛な叫びを余所に、食事を続ける。
折角用意して貰ったごはんを残すわけにはいかない。完食するのが礼儀だろう。

そのまま料理が終わるまで、私はオードブルにして、メインディッシュにして、デザートを堪能した。


_______________________________________________________________________________________________________

575生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/05(土) 13:08:29 ID:uT/hP9uk


食事を終え、制服に着替え、登校するまでの時間、のほほんと過ごす。
先ほどまでの戦闘は思い出したくもない。
料理をしている最中の美琴の悪戯によって上条はだいぶ精神力を消費してしまった。
そして妨害されたせいで、彼女のリクエストからは程遠い物を作ってしまったのだ。
その事実を指摘され、何故か罰ゲームの流れになってしまい、またもや暴虐の限りを尽くす美琴。
おかげさまで上条はゲッソリ、美琴はツヤツヤしている。
何度か上条のほうも理性が飛びそうになって危ない思考に陥りそうになったが、理性を以てガード…出来た…よ。

「ふにゃぁ〜♪」

「美琴」

「ん〜♪なあに〜♪とうま〜♪」

胡坐をかいている上条の膝の上に座り、電気猫がじゃれている。

「もうそろそろ戻らねーと」

「聞こえな〜い♪はふぅ♪」

はふぅ♪じゃねーよ、と言いたい。
美琴が外泊してしまったことを彼女の同居人は心配しているだろう。

「とうま?」

まして上条の部屋に泊まったことがバレてしまったら………殺される。

「とうま」

インデックスもいつ戻ってくるかはわからない。
今すぐかどうかは不明だが、この状態を見られたら………噛み砕かれる。

「…」

そういえば、美琴と付き合うようになった事はどう説明しようか?
もしかしたら変に気を遣わせてしまうかもしれ―――――

「 と う ま !! 」

いきなり耳元で叫ばれて驚いてしまった。
見ると、頬を膨らませてなにやら拗ねている。

「今……他の女を………考えてたでしょ」

それは疑問形では無く、断定系だった。
ちょっと、いや、かなりこわい。

「へー、私というモノ〈恋人〉が有りながら、別のコト〈女〉を考えてたんだ。ふーん」

「おいまてなんでそうな…ごめんなさい謝るから機嫌直して下さい…」

上条さんが悪いのでせうか?嗚呼理不尽ナリ。

「―――――――えいっ」

「ちょっ」

突然、何の脈絡も無く、体重をかけられて押し倒された。
馬乗りになる美琴。彼女の両手によって上条のソレも封じられる。

576生き方、在り方、考え方[ふたりの道]:2011/02/05(土) 13:09:29 ID:uT/hP9uk

「(近い近いです近すぎます美琴さんっ!??)」

いつの間にか、美琴の端正な顔が接近している。
重力に引かれるままに彼女のキレイな髪が下がってきた。
彼女から伝わる柔らかさとか甘い匂いとかで、またしても侵略される上条の理性。
果たしてこのままいつものように貪られてしまうのか。
そこで上条ネットワークに2つの物体が現れた。

白い天使とロリ悪魔である。

天使は告げる。

『それで良いのかァ?三下ァ』

『確かに年下に翻弄されンのは男なら誰もが通る道かもしれねェ』

『だがなァ、されっぱなしでオマエは本当に満足なのかよォォ』

悪魔は告げる。

『往生際が悪いかもっ、てミサカはミサカは呆れてみる』

『お姉さまに食べられるほうがきっと書き易いんだよって、ミサカはミサカは筆者を盾にしてみたり』

『というか、ココのあなたは受け専門でしょ?ってミサカはミサカは現実を突き付けてみる』

身も蓋もね―な―オイ、と思ってしまった。
だが天使は良い事を言った。確かにやられっぱなしではいられない。

『むっ。なにやら旗色が悪くなってしまった、ってミサカはミサカは感づいてみたり』

『取りあえずあの人を黙らせないと、って――――――――

ロリ悪魔は猛然と白い天使に飛びかかった。

 ―――――――ミサカはミサカはフライングチッスをかましてみるぅぅーーーーーっ!!』

上条の脳内でもイチャつこうとする2つの物体。
いかん、このままでは上条さんは本当に受け専になってしまう。

『ハッ、甘いンだよクソガキがァァァアアアアーーーーッ!!』

その時、天使は飛びかかる悪魔の頭に高速チョップを叩きつけた。
崩れ落ちるロリ悪魔。消失する受け専説。
そんなやり取りを終わらせて、上条は現状を認識した。

「(急がねえとっ!)」

相手の射程距離に既に入ってしまっている。
悠長に悩んでいる暇は無い。動かせるのは首から上だけ。

ならば――――

「美琴っ」

なるべく唇を傷つけないよう優しく、しかし深く口づける。
唐突な反撃に戸惑ったのか、わずかに拘束が緩んだ。

「(いまだっ!!)」

そのまま勢いに任せ、逆に押し倒す。美琴が後頭部を打ち付けないよう手を添えて。
ここに攻守は逆転した。しかしこれで終わらせるわけにはいかない。

「美琴」

彼女は認識が追いついていないのか、え?え?え?と顔を赤くして混乱している。
好機、という文字が浮かんだ。その通りだ。このチャンスを不意にするつもりは―――無い。


確かに上条は恋愛において“攻め”に出るレベルはゼロかもしれない。
なぜなら彼はそういう風に行動することをあまり経験してないのだから。
目の前の少女が重ねてきたモノに比べれば微々たるモノかもしれない。
しかし同時にそれは“受け”に回ってきた経験を重ねてきたとも言える。
故にある程度冷静に状況を確認することができるのだ。

“攻め”のパターンは少女に比べれば決して多くはない。
総合的に考えれば彼は“受け”なのかもしれない

だからこそ。

この少年は“受け”から“攻め”に回るために行う努力の意義を知っている。


「みこと」

もう一度名を呼び、至近距離まで顔を近づけて額同士を合わせる。
逃がさないように右手を添えて彼女の頭を固定。
真っ直ぐに見詰めて、気持ちを、想いを伝える。

「あのな、お前は事あるごとに他の女って言ってるけどよ……」

「俺は既にお前のモノになってんだよ」

「こんなにも可愛くて、綺麗で、愛しい恋人がいるのに浮気なんてするわけないだろ。出来るわけがない」

「俺はこれからもずっと美琴一筋に生き、在り続ける」

「これだけは絶対に変わらないし、変えるつもりは無いんだ」







……………………アレ?

かなり恥ずかしいことを言ったのに何も反応が無い。
依然として顔は紅いままだ。気絶しているわけでもなさそう。だって開いてるもん。目が。
あるぇ?上条さんはまた空回りをしてしまったんですかー?
すると美琴はブルブルと震えだした。かなりの速さで揺れている。

「ふ」

「………ふ?」

「ふにゃぁぁぁああああああーーーーーーっ!!!」

「おいぃぃぃぃいいいいいいーーーーーーーーーーっ!!」



そのまま美琴は気絶してしまい。昼前まで起きなかった。
当然、上条は彼女を置き去りにするわけにもいかないので、学校にも行けない。
その状態でインデックスが帰ってきてしまい、いつもの洗礼を受けて死にかけたのは、また、別の話。

577小ネタ豚:2011/02/05(土) 13:11:10 ID:uT/hP9uk
以上で――ふたり――完結です。
初めてSS書いたもんでみんなに受け入れてもらえるかどうか不安でした。
それでもコメントしてくれたみんな、お世辞でも嬉しいです。ありがとうです。

あと以下は勝手に感謝(マナー違反かもに加え、見てるかわかんないけど、これだけは伝えたいんだ)

>>だめだこりゃ氏へ
とある男の本気告白を何度も読みました。
氏が書いた上条さんがカッコよくて、そんなSS書きたいなって思ったのがきっかけです。
(結局、無理でした、ハハハ)

>>ぐちゅ玉氏へ
あの、言葉 をもう一度 -Christmas Night-に心動かされました。
氏の文章にドキドキして、ハラハラして、最後にほっこりしました。そんな風に目指した目標の1つです。
(遥か遠く及びませんが、ハハハ)

>>蒼氏へ
side by sideの完結おめでとうございます。
氏の知識と表現力にムラムラして、クラクラして、胸キュンしてました。そんな感じで目指した目標の1つです。
(かなりキモくて無礼ですね、ハハハ………ごめんなさい)

最後に、もしかしたら続き書くかもです。ただ燃え尽きてしまったので時間はかかりますが。
展開の為とはいえ広げ過ぎたモノを回収しないといけないので、まあ、頑張ります。
(アホですね、ハハハ………はぁ……)

ではまた今度ー

578■■■■:2011/02/05(土) 14:23:29 ID:n09TmMlQ
>>577
GJです!
攻めな美琴もイイよね!
これ読んでて思った

579■■■■:2011/02/05(土) 14:35:20 ID:AsqwsaXU
こんにちは。誰もいないなら5分後に投下します。

タイトルは

とんだ勘違い

です

580■■■■:2011/02/05(土) 14:39:08 ID:AsqwsaXU
御坂美琴にテスト勉強を見てもらいいざテストに挑んだ上条当麻。
試験一週間前から毎日のように教わり上条本人も自信がついてきた。


だが結果は・・・


「どういうことよ!!2教科も赤点じゃない!!」
「いや、俺にはやっぱり難しすぎたと言いますか・・・」
「はぁ!?この間違えたトコ、アンタ私が教えたら解けたじゃないの!」
「それは・・・どうしてでしょうね?」
「呆れた。人がせっかく時間作って教えてやったのに赤点取るなんて考えられない」
「グサっ!」
「この私が教えても勉強ができなかったアンタには私からの罰が必要よね〜?」
「はぁ!?」
「何?口答えする気?口答えなら赤点クリアしてからじゃないと受け付けないから」
「・・・反論もございません」
「よし、ならアンタ、今度の日曜日私に付き合いなさい」
「拒否権・・・は?」
「わかったわね?」
「ですよね〜・・・・」

(よし!!また罰ゲームみたいな展開になったけどこれはこれでまたアイツと・・・
今度は誰にも邪魔されないようにしてやるんだから!!)


そして美琴が練りに練った計画の「罰」デートが始まった。
練りに練ったといっても美琴が行きたいお店をどう効率よく動けるか、お昼はどこで食べるか、
緊急事態が起こったらどう動くか、上条があまり退屈しないような場所は何か、など
ひたすら考えてのデート。普通これは恋人になっての初デートで彼氏がとるような行動なのだが・・・


結果的に言うとデートは美琴が大満足する形で終了した。別れ際に上条に

「お前とこういうの、悪くないな」

と言われてから美琴の頭はお花畑状態。勢いに任せて

「明日の朝、ここで待ち合わせ!!途中まで一緒に学校行くんだからね!!」

ここまで言えた自分に拍手を送りたい程の事だった。
寮に戻りその状態を見た白井は

「まぁお姉さま!黒子を置いて桃源郷に行かれるとは!私も一緒に連れて行ってくださいまし!」

当然返り討ちに合うのだが・・・

何はともあれ、美琴にとっては最高の一日になったに違いない。
明日は今日の事を話しながら登校しよう・・・できればまた約束をこじつける事ができればな〜
と思いながら眠りについた。

だが美琴はこの後不幸な出来事に巻き込まれるのであった。

581■■■■:2011/02/05(土) 14:39:42 ID:AsqwsaXU



数日後、美琴は佐天と初春に呼び出されファミレスにいた。呼び出しといっても怪しくはない。恒例のお喋りの時間だ。
でもそう思っていたのは美琴だけであり、開口一番に佐天は

「さあ、御坂さん!ネタはもう上がっているんですよ!」

テーブルをバン!と叩き興奮している様子。この顔、どう見ても何か尻尾を掴んだ顔をしている。

「んん〜?何のことかしら〜?」
「この前の日曜日、ツンツン頭の男の人といましたよね?」
「ギク!」
「いやぁ、パトロールしていた初春がたまたま2人を見かけたらしく私に連絡が来まして。
『私は今無理なので佐天さん、尾行頼みます!』と。」
「ほら、見間違いじゃない?最近私に似た人をよく見かけるって」

我ながら最低の誤魔化し方だ。しかも妹達をちょっと犠牲にした形にして。

「あれは間違いなく御坂さんでした!ビリビリしながら男の人にギャーっと怒ったかと思えば急に借りた猫のように静かになって。
地下街のゲコ太グッズが並んでる店の前とかで」
「とか?まさか・・・」
「ていうか御坂さんずっと男の人の服の裾握ってましたよね?」
「あ・・・・あわわわわわわ・・・」

嘘が下手な自分を恨むしかできなかった。
「さあ御坂さん!あの人は誰ですか!?んで、どんな関係ですか?」

もう美琴は覚悟するしかなかった。あの時の一部始終を見られていたとは・・・

『あ、あのゲコ太可愛い』
『はあ・・・お前なぁ、わざわざ俺を連れ出して言うのがそれか?』
『なっ!いいじゃないゲコ太好きなんだから!』
『あ〜、悪かったよ。御坂、あれ欲しいのか?』
『ふん!アンタにはわからないゲコ太美学よ。どうしてもって言うならゲコ太について教えてあげてもいいけど?』
『何言ってんだお前?欲しいんだろあれ。買ってやるよ』
『ふぇ!?ちょっ、アンタ今何て・・・』
『罪滅ぼしじゃないけど赤点取ってしまったし・・・欲しいなら俺が買ってやろうかな〜って』
『じゃ、じゃああれよりこっちが欲しい!!』
『ん?これ俺でも無理しないで帰る値段のストラップじゃねえか。こんなモンでいいのか?』
『それを二つ・・・欲しい』
『??わかった。買ってくるよ』

『おまたせ。ほら、ストラップ2個』
『・・・こっちの1個、アンタにあげる』
『え?お前が欲しいんじゃなかったのかよ』
『欲しかったからアンタにあげるって言ったの!ほら、さっさと携帯につけなさい!』
『わかったよ』
『いい?勝手に外したら承知しないから。私がよし!と言うまでつけておくのよ?』
『じゃあ御坂も早くつけろよ。そんでお前も外したらダメだからな』
『っっっ///////』
『どうした御坂?』
『・・・・・ばか』


こんなやりとりを見られてた!?しかもそれからずっと?!確かに裾も握った。歩いているときはほとんど。
アイツは引っ張るなと言ってめんどくさそうな顔をしていたがそれだけだったし。

「御坂さん!どういう関係なんですか?彼氏!?」

ていうかここはもう逃げ場がない。腹をくくった。

「アイツは・・・彼氏じゃないけど・・・私の好きな人・・・・かもしれない」

582■■■■:2011/02/05(土) 14:40:17 ID:AsqwsaXU



その夕方
「じゃあね初春〜」

ファミレスで美琴と別れ、途中で初春と別れ残りの道を一人で帰る佐天。今日の晩御飯は何作ろう?
そう考えながら最近知った激安スーパーへ足を運んでいた。

「いや〜あの御坂さんがあそこまで乙女だったとは」

独り言だが誰か反応する勢いの口調だった。それくらいの収穫なのだ。

「上条当麻っていうのか〜」

美琴の口からは「好きだけど素直になれない自分がいて罰とかそういうのを口実にデートに誘っている」とのこと。
そもそも中学生に罰を与えられる高校生ってどんなだよとつっこみたかったが美琴を思ってそこはスルーした。
でもあの美琴が好きになる少年。これは一度会ってみたいと思う。だが運命とはわからないものでその願いは突然叶ったりするものだった。

佐天の前を歩いている少年にふと視線がいった。制服を着崩して学生鞄を肩にかつぎトボトボと歩いていた。そしてなによりツンツン頭が印象的でその後頭部を見た瞬間に

「御坂さんの思い人!」

と叫んでしまったが相変わらずのスルースキルを行使する少年の耳には入っていない。
急いで少年にかけよる佐天。

「あの!上条さん?ですよね!?」
「・・・・・・・・・・・・・・」

少年は返事もしなければ振り向きもしない。

「あの〜。もしも〜し。か〜みじょ〜さ〜ん」

少年に気づいてもらおうと真後ろで声をかけても反応もない。そこで佐天は気づいた。

(この人、さっきから何かブツブツ言ってる・・・)と。

「・・・・・・・・・・・は・・・・・・・・・・・だし・・・・・・・・・・も・・・・」

耳をすませてもよく聞こえない。しかし最後の言葉だけはアリのような小さい声でもはっきりと聞こえた。


「・・・・・・ヌく・・・・・・か」


(・・・今この人なんて言った?ヌく?何を?・・・ハッ!!もしかして健全な高校生だから脳内再生の御坂さんで・・・!!!)

あらぬ予想をする中学一年生佐天涙子だった。

583■■■■:2011/02/05(土) 14:40:49 ID:AsqwsaXU



補習が終わり部屋に帰る前にスーパーで買い物を済ませようとスーパーへ足を運ぶツンツン頭の少年、上条当麻。
今の上条には最大に悩めることがある。

それは上条家の経済面。ただでさえ苦しいのにインデックスという爆食シスターの胃袋を満足させることがいよいよ大変になってきた。

ここから上条の独り言が始まる。


「はぁ、この前御坂と出かけたのも大きかったな〜。俺も意地になって金払ったし。
このままの食生活だともってあと5日。次の支給は10日後だし・・・パンの耳と水だけで耐えられるか?
いや、あの底なし胃袋シスターが耐えられる訳がない。もしそうなったら・・・

『ごめんねスフィンクス。とうまがお肉を食べさせてくれないから仕方ないことなんだよ。
恨むならとうまを恨んでね』ジュルリ・・・

「まさかと思うが本当にこんな事にならないよな?
しかし飢えたシスターは何をしでかすやら。仕方ない、スフィンクスの身の安全のためだ。

家に帰ったらヌく以外の選択はないか」

大変な所だけしっかり佐天に聞かれ盛大に勘違いされている上条。だがそんなこととは全く知らない。


(これは私の力で上条さんと御坂さんをくっつけるしかない!くっつく前にピンクイベントが起こるのを期待して・・・)

本当に悪い子佐天涙子。普通なら引くはずだが勢いよく上条に再び声をかけた。

584■■■■:2011/02/05(土) 14:41:25 ID:AsqwsaXU



「あの!上条さん・・・ですよね?」

やっと後ろで声をかけてくる女の子の存在に気づいた。

「んあ?・・・君は?」
「申し送れました、私佐天涙子と言います。御坂美琴さんの友達と言えばわかりますか?」
「あぁ・・・御坂の友達」
「今上条さんが抱えている悩み、解決してあげますよ!」
「ゲッ!今の独り言まさか聞いていたんですか!?」
「何回声かけてもスルーされてたから・・・その・・・少し」
「何故そこで顔を赤くされているんでせうか?」
「あっ・・・いや、私だとあまり力になれないので・・・というかできないし」
「・・・???」
「私じゃ役不足なので御坂さんを呼び出せば・・・」
「!!!それはまずい!!御坂だと色々めんどくさいと言いますか!」
「何言っているんですか!今ここに呼びますから!!」
「聞いちゃいねえ・・・」

いきなり現れた御坂の友人と名乗る少女は携帯を取り出し耳に当てる。多分御坂美琴に電話をかけているのだろう。
まあその通りなのだが。


『もしもし?』
「あ、御坂さん?今お暇ですか?」
『え?さっき別れたばっかじゃん。今日はあと帰るだけだけど』
「今ですね、上条さんを捕まえたんです」
『え・・・・えええええええええええええええええええええええ!!!!!???』
「独り言を言っているのを聞いたらどうやら上条さん、悩みを抱えているみたいです」
『そ、そう。アイツも人間だから悩みの一つや二つあるわよ!?』
「ですがその悩み、どうやら御坂さんしか解決できない悩み『すぐ行くわ』みたいです」

即答!突っ込みたいとこだが堪える佐天。上条も律儀に電話が終わるまで待ってくれている。

「スーパーの場所わかりますか?そこで上条さんを食い止めておきますから・・・って、切れてる」

困ったな、という表情をして携帯を見る佐天。その様子を???をいっぱいに出しながら見ている上条。

「上条さん、御坂さんもうすぐここに来ると思います」
「・・・不幸だ・・・ん?」

いや待てよ?これはもしかして御坂にお金を貸してもらえるチャンスかもしれない。
ましてや常盤台直伝の低コストで美味い料理の作り方も教えてもらえるかもしれない。
ここは佐天という女の子に感謝すべきなのかもしれない。いや、感謝すべきだ。

「ありがとう!佐天さん!わざわざ俺のためだけに御坂を呼んでくれるなんて!今日の上条さんは不幸じゃない!」
「えぇ!?そこまで!?ていうかひと時の楽しみじゃ・・・」
「もしかしたら10日持つかもしれないという嬉しさをどう表現すればいいか!」
「あはは・・・それは御坂さんに表現してください。・・・色んなやり方で・・・」
「だから何故顔を赤くしてるんです?」
「そりゃああの悩み聞いたら誰だって・・・」
「・・・・・??????」

585■■■■:2011/02/05(土) 14:41:46 ID:AsqwsaXU



数分後、御坂美琴が現れる。その様子はどこか浮かれている。

「佐天さん、どういうことなの?」
「どうやら上条さん、ヌきたいらしいです・・・御坂さんで」

とんでもない所まで話を作ってしまった佐天。だが本人は悪い気持ちはさらさらない。

「・・・・・・・・・・へ?/////」

いきなり言われれば誰もが同じ反応をするだろう。美琴の頭は真っ白になった。

「ほら御坂さん!上条さんの悩み、解決してあげないんですか?」
「ふぇ!?あ・・・いや、したいのは山々なんだけど早すぎるというか・・・」
「何言ってるんです!保健の授業で習ったでしょ?もしそういう空気になったら避妊すれば大丈夫です!」
「そういう問題じゃ・・・」

そこに女2人でヒソヒソ話す様子を見ていた上条が美琴に声をかける。

「いやぁ御坂、本当にありがたい!こんなことお前に頼むのもなんだけどさ」
「・・・・・・・・・・・///////////」
「何故お前もそこで顔を赤くする!!」
「あ、ああああ、アンタのせいでしょこのバカ!!」
「そうか。まあそうだよな。迷惑かけることだし。じゃあ悪いけど、早速俺の部屋来てくれるか?」
「へっ!!??い、今から!?」
「だから来てくれたんだろ?」
「・・・・・・・・・・あう/////」

586■■■■:2011/02/05(土) 14:43:18 ID:AsqwsaXU
すみませんこれで以上です。

続き書いていたらBADENDにしか行かなくて・・・

せっかく書いたしもったいないからと思ってここまでですが投稿しました。
申し訳ない。

587■■■■:2011/02/05(土) 15:03:43 ID:PT3yzIbc
>576
小ネタ豚さん、GJです。

特に
>573
の美琴の妄想はビジュアル的にも最高でした。^^

588■■■■:2011/02/05(土) 15:33:27 ID:pxGhOujo
>>586 まあ結局は美琴の勘違い=ビリビリ追いかけっこ(1日中)なBADENDですねわかります

589Mattari:2011/02/05(土) 17:58:54 ID:PT3yzIbc
感想ありがとうございます。Mattariです。

>548
読み直してみると、確かにボンボンしすぎてますね。……σ(^◇^;)
でも、減らせそうにありません。

>549
はい、続けます。

>550
では、遠慮無く。w

ということで、18時頃から4スレ消化いたします。

590見知らぬ記憶:2011/02/05(土) 18:00:22 ID:PT3yzIbc

 …覚悟を決めた上条は、唇を避け美琴を“フワリ”と抱き締めると…自嘲するようにこう言った。

「ゴメン、オレはまだ、そこまでの覚悟が出来てない。美琴の気持ちに応えられるほどの男になってないんだ。…だから、今は…ゴメン」

「…バカ…何で謝るのよ…」

「だって美琴が恥ずかしいの我慢して、勇気を出して言ってくれたのに…それに応えられないのが、自分が情け無くてな…」

「でも…それって、私を大切にしてくれてるってコトなんでしょ?」

「ん…ああ、それはもちろんそうだぞ。オレは美琴を傷つけたくないし、泣かせたくない。でも、今の情け無いオレだったら美琴を傷つけることしかできないし、泣かせちまうだろうから…だからスゴく嬉しいし、ホントのこと言えば、そうしたいってのも本音なんだけど…でも、絶対後悔すると思うから。今はまだ…な」

「うん…当麻、ありがと…」

「オレの方こそ、ありがとな。美琴」

 そういって上条は美琴にキスをする。
 でもそれは、先程の止まれなくなる口づけとは違う意味を持つキス。
 必ず、この人に相応しい男になる。
 その決意を大切な人に誓うキスだった。



「うぅぅぅぅわぁあぁぁ〜…緊張したぁ〜〜〜〜〜。良く耐えたぞ、オレ!良く耐えたぞ!オレの理性!!」

「もう当麻のバカ、何言ってんのよ!!…でも、ちょっと残念だった?…かな」

「ばっバカやろう。今そんなコト言うんじゃねえよ。ホント言うと今だってまだ危ねえんだぞ、理性保つのマジでギリギリなんだからな!!!」

「そ、そ、そ、それは、私だって…(…だって、期待しちゃったんだし…さ…ゴニョゴニョ)」

「ん?何か言ったか?」

「えっ?べっべっべべ別に、何でもないっ!!!」

「それにしても…ハァ…」

「どうしたのよ?その“幻想(ゆめ)”を見たことをまだ落ち込んでるの?」

「あ…えっ?…うん、ま、まあ…その、なんだ…“幻想”って言うにはさ、スゴいリアルって言うか…な、生々しかったって言うか…」

「(なっ、生々しいって…)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「何かホントにそういう事をしてるって言うか…そんな現実感があって…」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…あ…」

「ん?どうした?美琴…?」

「ね、ねぇ…当麻。それってホントに“幻想”だったの?」

「へっ?」

「もしかして…もしかして、よ。それって“幻想”じゃなくって、“記憶”なんじゃ…」

「ちょっ、ちょっと待てよ。美琴…“記憶”って?」

「だって、この前当麻は色んな夢を見続けて、その後私に『好きだ』って言ってくれて、その時にそれが失われたはずの“記憶”だって分かって、最後に守るのは私だって誓ってくれて、ずっと一緒に居るんだって、絶対幸せになって自分たちとその周りの世界を守るって二人で誓って…」

「ああ。その気持ちは今も変わらない。イヤ、変わらないんじゃないな。むしろ強くなってる…と思うし、思いたい」

「それは、私もだもん」

「う、うん…で、でもさ。それがどうして今回の“幻想”と関係あるんだ?どうしてそれが“記憶”ってコトになるんだよ?」

「コレはあくまでも私の推測でしかないんだけど…」

「うん、うん」

「良く、テレビやマンガなんかで生まれ変わりとかあるじゃない。【転生輪廻】ってやつなんだけど…」

「ああ、それならオレにも分かるよ。何度もこの世に生まれて来るっていうアレだろ?」

「そう。で、私たちはその記憶も何処かに持っている。そういう話も出てくるし…そう考えたら…」

「そう考えたら?」

「もっ勿論、いいいい今の私と当麻はそういう関係にはまだなってない。将来はなる…かも…というか絶対にそうなるんだけど…(ボンッ)…」

「(ボンッ!!!)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「だっだっだからホントは“記憶”じゃなくって“予知夢”って言った方が正しいのかも知れない。でも当麻がさっき言った『生々しい』ってコトを考えると…“予知夢”とするには無理がある…と思うのよね」

「“幻想”じゃなくって、オレの“記憶”…」

591見知らぬ記憶:2011/02/05(土) 18:01:24 ID:PT3yzIbc

「当麻の右手は“神様から貸し与えられた浄化の力”を宿す右手。この世界では“神様の理”から外れた“幻想”を“浄化”する役目しか果たせない。でも…」

「…でも?」

「この世界じゃない世界なら…違う不思議を起こせるんじゃないかって…前世の記憶も、思い出させるコトが出来るんじゃないかって…第一、当麻の【右手】は、“幻想”は打ち砕くけど“記憶”はこの前戻してくれた。そしてその事を教えてくれたのも間違いなく当麻の【右手】だった訳だし」

「…(ボムッ!!!…プシュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)…」

「アレ?当麻?どうしたの?」

「む、無理です。上条さんのオツムでは、とても着いて行けませんです、ハイ」

「もう、ホントにこういうコトにはまるでダメなんだから…。でもさでもさ、もし当麻の“幻想”が本当に過去の“記憶”だったとしたら、わたっわたっ私たちって前世も結ばれてる運命だったってコトよね?」

「ヘッ?」

「そ、それってもしホントだったとしたら、キャー!キャー!!それってスゴく素敵じゃない?…私と当麻は前世からの関係で、だから今こうして恋人としての関係はもう当然のことで、今以上に結ばれてて、だからっだからっ、前世ではもうっ完璧に夫婦でスゴい愛し合ってて、子どもなんかも居ちゃったり何かして…キャー!!!キャー!!!!恥ずかしいけど、嬉しい。どうしよ!?どうしよ!?…やっぱり子どもは女の子と男の子と一人ずつは最低欲しいし…ねぇ、当麻!!」

「はっ、はひッ!?」

「当麻が見たっていう“幻想”じゃなくって“記憶”のこと。もっと私に詳しく話しなさい!!!」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ばっばばっバカ言ってんじゃねえ!!あんなモン詳しく言える訳ねえだろが。そ、そそそそそそそんなコトしたら、オレの理性なんてあっという間に崩壊しちまう!!!第一、何でそんなこと知りたがるんだよッ!?」

「だって…知りたいんだもん…」

「ヘッ!?」

「だから、知りたいの!!!!!!」

「あ、あの…み、美琴…さん?」

「だから、前世の私ってどんな感じなのかな?とか。胸は大きくなるのかな?とか。前世の当麻はどんな風に私を愛してくれてるのかな?とか。その時の当麻ってスゴい優しいのかな?とか。それとも激しかったりするのかな?とか。どんな家庭を築いているのかな?とか。モチロン愛し合ってるのは間違いないんだろうけど、どんな風に愛を深め合ってるんだろう?とか。それから、子どもは何人くらい居て、どんな感じの子どもなのかな?とか。それから、それから…」

「えっ?えっ?えええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?胸?…大きい?…、…愛し合ってる?…優しい?…激しい…?家庭を築いて…愛を深め合って?…こっここっこここ子どもぉ〜〜〜〜〜〜〜!?」

「だからァ〜、ねぇぇ〜〜〜、教えてッ!!」

 必殺の『ウルウル瞳に上目遣い』攻撃に、『無意識に首を傾げてのお願いモード』のコンボ攻撃は破壊力満点だった。

「(ボンッ!!!!!!!!)〜〜〜〜〜〜〜ふにゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」

「ええっ!?…もうっ!!何でそうなるのよっ!!!!!当麻のバカッ!!!!!!」

 乙女モード全開の美琴の追求に上条あえなく撃沈である…。
 コレは確かに“不幸”じゃない。
 でも上条にとっては“不幸”じゃないけど“不幸”な出来事だった。

592見知らぬ記憶:2011/02/05(土) 18:02:25 ID:PT3yzIbc

 その後、上条が目を覚ました後も美琴の追求は続いたが、上条はそれを必死に拒否し続けた。
 一言でも話してしまったら、もう止まらないだろうし、美琴はもっと聞きたがるだろう。
 そうなってしまった時に、自分は理性を保っていられるだろうか?という自問自答に、上条は『NO』の答えしか出せなかったからである。
 斯くして今日は、勉強も食事もそっちのけで、“幻想”から“記憶”の話へと終始してしまい、美琴を寮まで送る時間になってしまった。
 仕方がないので今日の夕飯はコンビニ弁当に決定してしまった。

「むぅ〜〜〜〜〜〜〜。今度は絶対に話して貰うんだからね!!」

「ハァ、まだ言ってんのかよ…分かった、分かったから。今度落ち着いた時に話してやるから…」

「絶対ッ!!絶対だからねッ!!!!!約束破ったら…」

「はいはい、オレの部屋の家電がどうなるか?…だろ?」

「それだけじゃ済まないかもね。この前編み出したコインの陰にコインを隠して発射する【超長距離射程型強力超電磁砲(ロングレンジハイパーレールガン)】をお見舞いしてあげる」

「おっ、おまっ、お前なぁ…まだそんなもん開発してたのかよ?一体何のためなんだ?」

「そんなの、モチロン当麻に勝つために決まってるじゃない!!!」

「まだ勝負にこだわってんのかよ?…恋人になったんだから、そんなの必要ないだろッ?」

「何言ってんのよ。それはそれ、コレはコレよ。私は当麻に勝つのをまだ諦めてないんだからね…」

「あのなぁ…オレに言わせりゃ、ここんとこ負け続けてんのはオレの方なんだぞ?もう、オレん中じゃ美琴には絶対に適わないって思い始めてるし…」

「えっ!?そ、そうなの?」

「そうだよっ!!美琴に告白してから、連敗街道まっしぐらなんだからな。まあ、それはそれで良いと思ってるけど。美琴が傍に居てくれるからな」

「(ポンッ!!!)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「とは言え、今回の“記憶”はそう簡単には話せないからな」

「ええぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜むぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「自分の理性を保てる自信がないんだから仕方無いだろ?変に暴走しちまって美琴を傷つけたくないしさ…」

「あ…うん…」

「それに、もしかして美琴の言う通り“幻想”じゃなく“記憶”だとしたら…」

「だとしたら…?」

「続きがあるかも…」

「えっ!?…あっ!!!」

「その続きを見たら、その時はまた話してやるよ。但し…その…」

「ダ〜メ、そっちの方も全部話して貰うんだから…」

「おっおまっお前なぁ、何“十八歳未満お断り”の不穏当な発現してんだよ!!!」

「イイじゃない。どっちにしたって、洗いざらい全部吐いて貰うんだからね。こ〜ゆ〜時の美琴センセーを甘く見ないコトね」

「“女の子に夢見んなよ”ってヤツか?…ハァ…不幸だ…」

「…エヘヘ…当麻、大好きッ!!!!!!」

「何でそうなるんでせう?確かに上条さんは嬉しいですけどね?ンムッ!?」

「…ン…」

「…(い、いきなり…かよ)…」

「…」

「…(あ)…」

「…ン…ンン…」

 もう少しで常盤台女子寮というところで、美琴はいきなり上条の唇を奪った。
 そして、何かを訴えるように濃厚なキスを美琴は続けてくる。
 上条も朧氣ながら、美琴が意図していることが分かるのだった。

「…ン…あ、あの…」

「何も言わなくてイイ。美琴の気持ちは分かったから」

「ご、ゴメン…」

「謝るなよ、今変に謝られると、オレがおかしくなっちまう。今度はオレがこのまま美琴を部屋に連れ帰りたくなっちまうじゃねぇか…」

「えっ!!!(ボムッ!!!!!!)」

「オレもだけど、お前も…美琴もかなりキテたんだよな。テンパってたっていうかさ…」

「…う、うん」

「ホントは震えが止まらないほど怖かったクセに…強がって見せて…でも、オレに気付かれまいと必死になってくれて…」

「うん…」

「そんな美琴だから、オレは大切にしたいんだよ。今の二人がそうなるコトよりも、もっともっと今の美琴を大切にしたい。そう思ってるんだ。それに…」

「それに…?」

「“幻想”の中の美琴よりも、オレは“今”の美琴の方が好きだからさ」

「…バカ…でも、嬉しい…」

「美琴…愛してる」

「私もよ…当麻」

 そういって、再び唇を重ねる二人。
 先程の濃厚なそれとは違い、でも、互いの気持ちを確かめ合う。
 そして、そんな時間は瞬く間に過ぎていく。

593見知らぬ記憶:2011/02/05(土) 18:03:15 ID:PT3yzIbc

「明日は来てくれるんだろ?」

「当たり前じゃない。それに今日は勉強が出来なかったから、明日はその分取り返せるようにビシビシやるわよ!!!」

「え〜〜〜〜〜〜〜、そ、それは…」

「ダメよ!!さっきの話について来れないようじゃまだまだすぎるわ。もう少し処理能力を増やせるようにしないとね」

「何がイヤだって、それが一番イヤなんだよ!!!」

「アハハ…じゃあね、当麻。また明日ね」

「ああ、明日な。美琴」

 そう言って別れる二人。
 玄関先でこちらを向いて手を振る彼女に応える彼氏。名残惜しそうに寮の中に入ってゆくその背中を見送りつつ、上条は考える。
(でも…アレは単なる“幻想”なのか?それとも美琴の言うように本当に“記憶”なのか?)
 その答えはまだ出ていない…。

594Mattari:2011/02/05(土) 18:10:17 ID:PT3yzIbc
という事で、前編終了って感じです。

さすがに最後はドロドロにする勇気がありませんでした。(苦笑)

基本としては3部作で構想してるんですが、ネタがまとまらず四苦八苦してたりします。

ということで、お楽しみ頂ければ幸いです。<(_ _)>

595とある通気管:2011/02/05(土) 19:03:19 ID:bVT.RveA
タイトルは 『とあるカップルの日常』 戦争終了後の続きです たぶん2スレぐらい使います

あの戦争の後御坂旅掛に救助されたり
御坂美琴に告白されたり
学園都市に帰ってきたあともインデックスは治療の為イギリスへ
学校ではみんなからボコられるわで大変だったのだ(美琴と付き合ってる事がばれてボコられた)
もうなんか色々大変だったのだ

上条「はあ...不幸だ...」


美琴「アンタまた不幸だーとか言ってるけどこんな可愛い彼女手に入れたんだからそんな事言わないでくれる」


上条「いや自分で可愛いとか言うなよ」


美琴「何よ!私って可愛くないわけ?」


上条「いやいやすっごく可愛いですよむしろもったいないと言うか嫁さんにしたいくらいですね」


美琴「ななな、何言ってんのよ!アンタは!///」ビリビリ


上条「ギャーやっぱり不幸だー!!!」


美琴「こら!待ちなさい!」

どうやら二人の関係はあまり変わってないようだ

596とある通気管:2011/02/05(土) 19:17:44 ID:bVT.RveA
美琴「ったく!アンタってヤツは」はあはあ


上条「あ、あれはお前が勝手に電気飛ばしただけだろ」はあはあ


美琴「う、うるさい!と、とにかく罰ゲームの続きよ!」


上条「なんでそうなるんだよ....ってまてそれってまだ有効だっけ?」


美琴「あ、あの時はむやむやにさせられたから!もう一回よ!」


上条「お前はどうしてそうゆうことしか出来ないんだよ〜」


上条「恋人だったらもっと恋人らしいことしようぜ〜」


美琴「恋人らしいことってなによ」


上条「そりゃまあなんだ...デートしたり?」


美琴「で、でで、デートって/////」


上条「ん?...美琴!避けろ!」


美琴「ふぇ?何?」


上条「ちっくしょおおおおおおおおおおおおお」

その瞬間上条はトラックに引かれた


美琴「え?う、嘘....ね、ねえアンタ....ねえ!当麻!当麻!!」


上条「で...またこの病院か」


カエル医者「君って本当にファンタジーだね〜」


上条「確かにトラックに引かれて生きてるってすごいですけど」


カエル医者「まあそんなことより彼女さんを呼んだほうがいいかな?」


上条「お願いします」



美琴「アンタ...大丈夫なの?」


上条「ああ大丈夫だつっても4日は入院だそうだ...不幸だ...」


美琴「記憶とか失ってない?大丈夫?」


上条「ああ記憶もある美琴...ごめんな心配掛けて」


美琴「フェえええええええええええええええええん」


上条「チョ!いきなり泣かれたら困るんですけど!」


美琴「だってだって当麻がトラックに引かれて...死んじゃったかと思ったんだもん!」


上条「ごめん」


美琴「もういいよ!当麻が生きてるだけいいんだから!」


上条「ごめん....」


美琴「ヒッグ...ったく..ヒッグ...馬鹿〜」


上条「今ならこの上条さんの胸を貸しますがどうですか?」


美琴「貸してもらうわ....ふぇええええええええええん」


上条「うう」

終わり


めちゃくちゃすぎたぜ....反省はしている後悔はしていない

597■■■■:2011/02/05(土) 19:29:20 ID:nP6gWH/.
>>577
完結乙。

>>586
上条さんがBADENDになるのはいつものことなのでw
続きを希望。

>>594
寮の近くは色々危険だ、と言ってみるw

        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

5981-879@まとめ ◆NwQ/2Pw0Fw:2011/02/06(日) 00:06:56 ID:cSIUqR9k
>>594
「とある右手の名誉挽回」と「見知らぬ記憶」を合わせると
サイズ的に「長編」になるので、シリーズタイトル考えてください。

599■■■■:2011/02/06(日) 04:17:41 ID:/HlunmiE
ちょうど1年前にturn_me_on(いちゃいちゃスレのpart5)というSSを書かせてもらったっきりの投稿でドキドキしてますが
読んでいただけると嬉しいです

600one_word_too_many (1/5):2011/02/06(日) 04:19:00 ID:/HlunmiE

 簡単に言えば、ちょっとした面白半分のちょっかいだったのだ。
 なぜ自分が好奇心にかられてあのような行為に及んだのか、まったくもって後悔しきりのツンツン頭な男子高校生が夜の街を走っていた。
 この街――日本であるが日本の法律やモラルが通用しない、独立した国ともいえる超能力者育成機関――学園都市のとある一角に彼は居た。
というよりそこに追い込まれているといっていいだろう。
 この男子高校生、上条当麻が蒸し暑い残暑の夜が全ての原因でない大量の汗を手で乱暴に拭っていると、
ピリっとした刺激が拭っていた左腕に生じる。
「もう追いかけっこは終わり? はっ、なっさけない。自分から売ってきた喧嘩じゃない」
 上条を追い詰めることに成功したからなのか、どこまででも油断した、それでいて咄嗟の動きが出来るように隙を見せない彼女が姿を現した。
 オシャレを気にしだしたのか最近髪留めを変えた彼女は、お嬢様学校として有名な常盤台中学の制服を乱すこと無く走っていたらしく、
汗だくな上条と違って涼し気な顔をしている。どうせ能力を使って上手いこと熱を逃がしてるんだろうと踏んだ上条だがそれを口にはしない。
「な、なぁ御坂。俺が悪かった。こんな糞熱い夜にまで追いかけっこやる必要なんて無いだろ。な?」
 年上の男子として最大限に情けない顔の上条の満足したのか美琴はふふんと鼻で笑う。
ようやくお許しが頂けるのですねと上条は笑顔になりかけ、そこで始めて美琴の額の辺りから青白い閃光がピリピリと漏れ出しているのに気付いた。
「あ……あのぅ御坂さん? その準備体操のストレッチ的な放電はナニかな?」
「私の電撃であんたの記憶を消すためよ」
「すっ、ストレートに危ねぇ事を言ってんじゃねぇええええ!!!」
「うっさい!! 大人しく私の電撃に灼かれてこの三十分前後の記憶を無くしたり失ったり、もしくは私に負けたという現実で上書きしちゃいなさい!」
 逃げ出そうと踵を返す上条を逃さないように美琴が放った電撃がアスファルトを焼いた。
ゆっくりと美琴を確認しながら、上条はどうしてこうなったのかと思い返していた。

601one_word_too_many (2/5):2011/02/06(日) 04:20:23 ID:/HlunmiE

 記憶を失う前の自分がいつから匿っていたのか知らないが、居候のくせに大食いな修道女――
インデックスを家に置いてきて上条は大きくため息を付いて歩いていた。
 学園都市での生活は親からの仕送りで何とかなるものの、それは両親が想定した『一人暮らしでは』という範囲内の話だ。
学園都市には能力者のレベルや能力に応じて研究協力費というものが出ているのだが、
そんなもの無能力者の上条はまったくもって関係が無い。
「ま、上条さんはそんな事ちっとも気にしてないのでございます。全然、ぜんっぜん悔しくないのでございますよ」
 以前運命が交差したローマ正教の修道女オルソラ=アクィナスみたいな口調になってしまったが、
そんな事は薄っぺらい財布の中身に比べれば気にするべきじゃない。
 インデックスに夕飯の支度を頼んだのが間違いだったのだ。と、後悔してみても、まったくの機械音痴というか科学に滅法弱いのを忘れていた自分が悪いのだから、
結局は自分が悪いという結論に達してしまう。まぁ、普段の彼女が見せないおどおどとした「……ごめんなさい」なんて言葉を聞けば
怒るに怒れないというより、逆にうろたえてしまってこっちが罪悪感まで感じてしまうのだ。
「とにかく。コンビニで一番安い弁当を買ってさっさと帰らないと、私くめの頭がインデックスさんにガブリと噛じられちゃいますのことよ」
 すっかり暗くなった辺り一面をビッカーと凄まじい光量でもって照らしている学園都市のコンビニエンスストアに上条は立ち、
薄い財布をズボンのポケットに確認しながら入ろうとして――中から飛び出してきた少女にタックルを食らった。
 それはタックルでも無く彼女が外を確認せずに飛び出してきただけなのだが、ふわっと甘い匂いが上条の鼻をくすぐる。
倒れないように踏ん張って自分と彼女の身を守り、腕の中にすっぽり収まった格好となった柔らかな物体からパッと離れた。
「あぁ、大丈夫? 財布の方に頭が行ってて確認してなかった」
「こちらこそすみません。漫画を読んでいたら時間経っちゃってて。急いでいて」
 互いに頭を下げているのか早口でまくし立てていて、そこでふと気になることが出てくる。この声を知っているぞ? と。
 恐る恐る頭を上げていくと、彼女の方も思うところがあったのかゆっくりと顔を上げているところだった。
 ここ一ヶ月で頻繁に見るようになった常盤台の制服。そして、頻繁に見るようになった顔があった。
「み、御坂か?」
「あんただったんだ」
 お嬢様学校に通うお嬢様を怪我させたとあってはとビビリまくってた上条だったが、相手が美琴と知っては途端にダレた。それも思いっきり。
 美琴の方はというと、条件反射で臨戦態勢に入ろうとしたのだが、偶然とはいえ上条に抱きしめられたような先程の体制やら、
思った以上に逞しかった上条の――男性の体の感触に顔を赤く染めていた。
「怪我……は、まぁ無いよな。んじゃ。俺は夕飯買わなきゃならないんで」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。無用心にしてるからぶつかっちゃったんじゃないの」
「あのなぁ。確かに俺も悪かったけど、お前も前を確認せずに寮の門限守ろうとダッシュしてきたんじゃないか。ここは互いに悪かったということで」
「それは、そうだけど」
「もう何もないだろ? じゃあ……な?」
 と、美琴の足元にはぶつかった際に手を離したのであろうビニール袋が落ちていた。
ビニール袋から飛び出して見えるのはティーン向けの女性誌である。その女性誌はめくれていて、とあるページが開かれてあった。

602one_word_too_many (3/5):2011/02/06(日) 04:21:12 ID:/HlunmiE

『今からが本番! 食欲の秋は女の敵じゃない!? ここで上手くダイエットと食欲の秋を組み合わせることで
バストサイズだけを増加させてみよう! 今時の女性は両方得をしなきゃダ・メ☆』

 残暑でまだまだ暑いはずの夜の風が急に涼しく感じたのは上条の錯覚では無いはずだ。現にダラダラと汗が止まらない。
 上条に気付かれまいと慌ててしゃがみこもうとした美琴の手は宙で止まり、そしてプルプルと小刻みに震えている。
「さ、さーて上条さんはお夕飯のお弁当を――」
「待って」
 大げさに体を動かしてコンビニの中に避難しようとしていた上条はそんな少女の一言で動きを止めた。
体が干からびかねない勢いで汗が噴射している上条は、何とか首だけ動かして美琴の方に視線をやる。
しんと静まり返った夜に自身の鼓動とコンビニの呑気なBGMだけが辺りを支配していた。
「な、なんでせう御坂さま」
「見たわよね?」
「何をでございましょう。わたくし上条当麻は何も見ておりませんし、そもそも御坂さんは何をそんな冷酷な表情をなされておいでで?」
 ふるふると小刻みに震える美琴は、普段ならビリビリっと電撃をぶちかましている展開でも不思議と何の行動も起こしていなかった。
それが恐ろしさを何十倍にも増幅させているのだが。
「自分に言い訳をしながら『これを買うのはただ単に秋のファッションの流行を知りたいだけなんです』だなんて店員さんに見えるように演技もして。
買おうか買うまいかずっと悩んでいたから寮の門限に間に合わなくなっちゃって、急いで出たらあんたとぶつかって……」
「み、御坂さん?」
「ねぇ! 何も見てないって言いなさいよ!」
 それで助かるのならと上条は思わず土下座をしそうになる自分に涙しながら、先程からコンビニの出入口の真ん前で立ち往生してるために
自動ドアが閉じたり開いたりするので店員さんからのキツい視線を受けながら、それでも泣かずに美琴と相対した。
「そ、それで良いなら……言うぜ!」
 唾を飲む美琴。そして、店員以外のコンビニ利用者も学生の痴話喧嘩がクライマックスにさしかかったと固唾を飲んでいる。
「俺は何も見てない! 御坂が、どこかの雑誌の企画者が売上アップの為に毎年毎季と
『おいおい、それって去年か一昨年に同じこと書いてなかったっけ?』的なバストアップ法を載せた雑誌を、
悩みに悩んだ末にようやく決心して買って逃げるようにして出てきた所を俺とぶつかって落として内容まで見られちゃったなんて、俺は知らない!!!」
 しんと静寂が訪れる。
 コンビニのBGMはちょうど自動ドアが閉まった事で二人の耳には入ってこない。
 コンビニの店員は耳をほじっていたり、コンビニ利用者は諦めたような顔を上条に突きつけていた。
 そして、みんなして同じようなことを考えているのがまるわかりな表情をしているのである。
 つまり――
『ご冥福をお祈りします』と。
「ねぇ。あの生意気な銀髪シスターにお祈りの仕方は習ってる?」
「ど、どうしてなんです?」
 恐る恐る尋ねる上条に、美琴は自分の通う常盤台中学の下級生に対して向けるような、百点満点のお嬢様スマイルを放ちながらこう答えた。

603one_word_too_many (4/5):2011/02/06(日) 04:22:09 ID:/HlunmiE



 足がガクガクと震えまともに立っていられない。
そんな上条の姿を見て満足したのか、追ってきた少女は軽く雷を放射させ路地を一瞬照らした。
彼女にとっては能力を使った簡単な現象に過ぎないのだろうが、上条にとっては右手以外に当たれば酷い事になること確定の攻撃だ。
 文武両道を地で行くお嬢様でも多少は息が上がっているのか、表情から余裕という文字が少しばかり崩れている。
「もう終わり? 残念ね。私はまだまだ余裕あるけど?」
 常盤台中学指定のローファーを鳴らしながら標的へと近づく。ゆっくりと時間をかけ、自分が勝者であると相手に認めさせる為に。
「なぁ御坂」
「何よ」
 一応、口を開くことくらいは許可したのか立ち止まる。
「俺の負けで良いからいい加減にだな……」
「勝ち負けの問題じゃない。私の目的は記憶の除去だから」
「だーかーらー、そんな電気ビリビリっとやって記憶を消すなんて、わたしくめは家電やパソコンじゃねーんですぞ!」
「じゃあどーすればいいのよっ」
「俺が口外しなきゃ良いだけの話だろっ。流石に家に帰らないとマズいっつーか、ヤバいんだよ!」
 そう、家では腹を空かせたインデックスがならばお前が餌になるのかと牙を磨いているに違いない。
上条の意外な剣幕に美琴はビクっと一瞬怯んで、それから自分が怯んだという事実にカァっと顔を赤らめた。
「うっさい! いっぺんクリーンヒットしたら帰るんだから、潔くバシっと当たっときなさいよ!」
「その一発が異様なレベルの攻撃だから俺は必死で逃げてるんじゃねぇか!」
「今の今まで私の攻撃を一度として受けたこと無いじゃない。どんな技か知らないけど私の電撃をまるで無かった事のように打ち消しちゃってさ」
 美琴はこれまでの追いかけっこを思い出しながら吐き捨てるように言った。上条は学園都市の噂にある
『どんな能力も効かない能力を持つ男』という都市伝説になった男だ。
どんな仕組みか分からないけれど、こいつは悪い男では無いとは美琴は考えた。
 だから――
「だからイラっとくるのかしらね。私に勝った事を誰かに言いふらすこともしないし、勝ち誇ることもしない。
この超能力者(レベル5)の私を普通の女みたいに扱っちゃってさ」
 美琴の投げかけに上条は落ち着いたのかアスファルトの上に寝転んだ。
「だって、お前も普通の女の子だろ?」
「はぁ?」
「能力があるとか無いとかじゃなくてさ。そりゃあお前がその能力で悪さをしてたりするってんなら……知り合いになった以上は止めるけどな」
 そうすることが当たり前のように、まるで呼吸をするように告げる。
 始めを何を言われてるのか理解出来なかった。美琴は自分に向けて言われてる事なのかすら分からなかった。
無能力者が超能力者に対する言葉ではないのだから仕方がないし、守ってもらうのは無能力者であるお前だろうというツッコミすら面倒くさい。

604one_word_too_many (5/5):2011/02/06(日) 04:25:43 ID:/HlunmiE
 けれど、美琴はじんわりと全身が火照っていくが分かった。ぎゅっと胸の前で両手を合わせてもじもじとなる。
息苦しくなって、思わず短い息を吐いた。
「な、なんでトキメいちゃってるのよ私のハート!」
 わわわっとあたふたしてしまう美琴をよそに、疲れがとれたのか上条は立ち上がって帰ろうとする。
お前もさっさと帰れよーっと手をプラプラと振りながら去っていく上条の後ろ姿を見送りながら美琴ははっと気がついた。
「あっあの! さっき見たことは絶対忘れなさいよっ!」
「誰にも言わねぇよー」
 まるで信用ないくらいの軽い返事だったが、なんだかもうそれで良いような気がしてくる。
去っていく上条としては、家にいるインデックスにどう言い訳をしたものかと脳内シミュレーションに必死だ。
「本当に、絶対によ!」
 もう結構遠くからの声になったが美琴の声が聞こえてくる。聞こえてはいるが上条にはそれに応える余裕が無い。
「本当に本当だからねーっ」
 聞こえてはいるが応える余裕が無い。
「ねぇ聞こえてんのーっ?」
 聞こえてはいるが――
「ねぇってばー」
「あーもう、うるさいなぁ! ビリビリが体型保ちつつバストアップしたがってるだなんて、誰にも言わねぇよ!!!」
 全部口に出してから上条はハッとした。
 美琴とのやりとりをしている間に、人がまばらながらも居るようになった所まで来てしまっていたのだ。
周りは美琴に向けて常盤台中学のお嬢様でもそういうの気にするんだといった女性からの同情の視線やら、男性からの好奇の視線が集まっている。
ゴクリと唾を飲み込んだ上条は、先程から夜中なのにやけに明るい発光をしている後方にいるであろう雷神に向けておそるおそる顔を向けていった。



 鬼がいる。とは、こげ臭い体で家に戻った上条が言い残した言葉だった。
インデックスといえば腹が減ってイライラしていたのだけれども、ボロボロの姿でヘトヘトになって帰ってきた上条の介抱が先だったし、
もしかしたら自分の知らない所で魔術サイドとのバトルがあったのかと心配にもなって、上条を責められずにいる。
 うなされるように上条が唱える『リョウホウ トクスル ヒケツハ、ケッキョク ヒゴロノ ドリョク』という言葉に
十万三千冊の知識を持つインデックスが頭を悩ませるのはまた別の話。

 END

605■■■■:2011/02/06(日) 04:27:04 ID:/HlunmiE
と、短いですがこれで終わりです
新刊が結構衝撃的な予告がされていたりするのでどうなっちゃうのか分かりませんが楽しみですねー
それではー

606Mattari:2011/02/06(日) 07:47:40 ID:5e3g7f6E
>598
ひええ……私のような新参者の作品を……(;^_^A アセアセ…

ま、マジでせうか? い、イイのかな……。

シリーズタイトルですが

一本の白き道

で、お願いいたします。

ヤバイ、ヤバイ。ますます精進せねば……。

607■■■■:2011/02/06(日) 11:51:47 ID:JzTPLwF.
書き手達GJ
そしてよく反省はしている後悔はしていないというのをよく見るが、いい方に解釈していいんだな?

608■■■■:2011/02/06(日) 12:17:37 ID:U2iNrNow
それ開き直りの言葉だから悪いほうへの解釈って聴いたこと無い

609■■■■:2011/02/06(日) 12:21:31 ID:cSIUqR9k
>>606
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

610■■■■:2011/02/06(日) 12:38:55 ID:P0N60xp6
>>605
GJ!「普通の女の子」って言われた途端にそれまでの怒りを忘れてキュンとする美琴がかわいかったです。
それにしても上条さん、公衆の面前で爆弾発言を2度も・・・焼かれて当然かも!

611■■■■:2011/02/06(日) 13:56:09 ID:FuDhbWSk
うん、上条さんらしい

612■■■■:2011/02/06(日) 20:00:05 ID:JzTPLwF.
あああああああああああああああ

613■■■■:2011/02/06(日) 23:27:39 ID:CQqLgCW.
もふもふ

614■■■■:2011/02/07(月) 01:09:21 ID:oCPvNAPA
最近は投稿が多くて上琴分が満たされるなー

615■■■■:2011/02/07(月) 01:15:23 ID:DhIm8dtE
>>614
作者さん達に感謝だな
明日も投稿がありますように

616■■■■:2011/02/07(月) 07:30:15 ID:68dlTygk
投下されてない !?
くそう、なんのために早起きしたんだ!!

617■■■■:2011/02/07(月) 08:03:34 ID:eOtZZA2o
>>616
そういう投下を急かすような発言はやめろよ
最近は作者さんにGJしか言わなくなってる奴も増えてるし、変なのも増えてるし

618■■■■:2011/02/07(月) 10:07:52 ID:CBaZo1Ys
>>616
sageような

619■■■■:2011/02/07(月) 10:43:48 ID:stwsoBd2
>>605
GJです! が無粋な突っ込みを。美琴が髪留めを変えた時期、それに彼女がインデックスの
存在を知っているのは既に上条さんの告白を聞いた後の話なので、どうも美琴の上条さん
に対する認識がおかしいような気がするのですが。

美琴の上条さんに対する認識は原作1巻の状態、けど時系列は既にかなり上条さんに
ベタぼれ状態。……?
すいません! 鬼神から急に乙女になる美琴がすごく可愛かったのに、どうにも気になって。
髪留めを変えた、記憶を失う、ということは美琴は深層心理ではベタぼれ状態、と思って
読み進めていたら美琴の方がそうでもない独白、これは?と思ってしまったのです。

内容はほんと、キュンキュン来るような感じで面白かったのに、野暮な突っ込みをして本当すいませんです!

620■■■■:2011/02/07(月) 14:40:51 ID:b.HsE0U2
>>617
>最近は作者さんにGJしか言わなくなってる奴も増えてるし
これに突っ込むのはどうかと思うんだ。
感想書くのは似たような表現を使いがちになっちゃうから苦手、
でも何か一言伝えたいって人もいるんだろうし。
全部が悪いような言い方は良くない。

621ソーサ:2011/02/07(月) 15:16:04 ID:Jne9aKQs
どうもお久しぶりです
小ネタですが完成したので投稿します
昼間なので誰もいないのならすぐにでも投稿させていただきます

622ソーサ:2011/02/07(月) 15:17:55 ID:Jne9aKQs

タイトル「上琴VS黒子」

・いつもの公園にて

黒子「この類人猿があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ドガッ!!

上条「ぐおぁ!?し、白井!?いきなりドロップキックとは何すんだ!!」

黒子「よくも…よくもお姉様をたぶらかしましたわね!?」

上条「は!?ってうお!!!金属矢を投げるな!!死ぬから!当たったらマジで死ぬから!」

黒子「かまいませんわ!むしろそのほうが好「黒子!!」都合…」

黒子「!?お姉様どうしてここへ!?」

美琴「どうしてってここで当麻とデートの待ち合わせしてたからよ!!」

黒子「デ、デデデデデデデデデート!??」

美琴「それより黒子!あんた今何して…って当麻ケガしてるじゃない!!」

上条「へ?ああこの指か。さっきキックくらって地面に手ついた時にすりむいた…って美琴!?」

美琴「チュ…ん…よし!これで血は止まったわね。」

上条&黒子「「!??美琴(お姉様)いったい何をしてらっしゃるんで!?」」

美琴「何って応急処置よ。こうしてなめれば血は止まるでしょ?」

黒子「おおおおおおおお姉様そのような類人猿の指をなめるなどという行為はお止めください!!」

美琴「アンタがケガさせたんでしょうが!!それにさっきから当麻のこと類人猿って呼んでるけどその呼び方は止めなさい!!」

上条「(美琴がおれの指をな、なめ…)そ、そうだぞ白井!いくらなんでも類人猿はひどいだろ。」

美琴「う〜ん…そうだ!私のことをお姉様って呼んでるんだから当麻のことはお兄様って呼べばいいじゃない♪」

黒子「おおおおおおお兄いいいさ$#△%@!??」

上条「日本語になってないぞ。でもそれいいな〜将来的には俺達結婚するんだしお兄様でもなんの問題もないな。」

黒子「けっこここ、こけけっこここんん!??」

美琴「け、結婚///…私としては今すぐにでも上条美琴になりたいかも…///」ゴニョゴニョ

黒子「か、上条美こ#□@$%○*¥〜〜〜〜〜〜〜〜〜!??!?」プシュー

上条「あれ?白井?なんかかたまっちまったぞ。」

美琴「黒子なら大丈夫よ!それより早く行こ?」


WINNER:上琴

623ソーサ:2011/02/07(月) 15:22:35 ID:Jne9aKQs
とりあえず今回はこれだけです
あと前回の投稿のときにスレを乱すような書き込みをしてしまい
申し訳ありませんでした

624■■■■:2011/02/07(月) 15:26:15 ID:TWWjynDo
上琴の圧倒的勝利・・・ッ!
黒子再起不能・・・ッ!

乙でした!

625■■■■:2011/02/07(月) 15:32:05 ID:NgNQZAcE
GJです!
黒子…(´;ω;`)

626■■■■:2011/02/07(月) 16:06:06 ID:R23x9gDo
黒子が少し可哀想なんだが...でも良い!!

627■■■■:2011/02/07(月) 16:31:39 ID:NlLbOmPw
黒子が白子になっちまったぜ
作者さんにGJ!

628■■■■:2011/02/07(月) 19:51:26 ID:wpYigsx.
もふもふ

629599:2011/02/07(月) 20:13:12 ID:liGk9S3Q
>>619
記憶を失う〜の部分はその後のインデックスの説明と上条さんがコンビニに行く条件を満たす為の部分で
髪留めを変えた時期というのは、灰村さんのサイトにあるように6巻から〜という一文から、
上条さんと美琴との関係は大覇星祭後という設定で、そこでインデックスと上条が知り合いの関係であると分かってる程度ですね
ベタぼれというよりも気になるお兄ちゃんにじゃれてる年下の女の子的な感覚で書いてました
基本的に上条さん視点の地の文なので、美琴の反応や様子はなるべく態度や言葉で表現してみました(よって美琴の内にある想いなどは書いていません)

とある一夜のコメディとして書いてみたので、これといった時期も決めてませんし、こんな夜の追いかけっこがあったのかも?
くらいで読んでいただけると嬉しいです〜
また、反応があるだけでも嬉しいので、みなさんから言葉を貰うと嬉しくて飛び跳ねちゃうのですよ。読んでくれたみなさんにこそGJを〜

630■■■■:2011/02/07(月) 22:01:03 ID:HwNGXbkU
最近のSSはレベル高いな…
美琴のツンを維持させつつもデレを決めるっていうのが難しいな
ここのはよく参考になります

6311-879@まとめ ◆NwQ/2Pw0Fw:2011/02/07(月) 23:23:02 ID:R2mLQhcw
>>617
ゴメンネ、GJしか言わない変なので。

>>623
あんた、まとめで輝いてるゼ!
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

> 投稿者各位
バレンタインネタは、お早めに……。

632■■■■:2011/02/08(火) 00:49:02 ID:QITjjsEY
ぽんとバレンタインネタが書ける人が羨ましい。
私なんかバレンタインネタを書き始めたら七夕の季節になる…

633■■■■:2011/02/08(火) 01:06:05 ID:EugQjzYc
>>632
つまり七夕ネタを今から書き始めろってことだ、言わせんな恥ずかしい

634■■■■:2011/02/08(火) 02:15:56 ID:YxUWFarE
その発想はなかったわ
お前が天才って奴か

635ソーサ:2011/02/08(火) 14:45:21 ID:DD8q6Lzo
みなさんコメントありがとうございました!
また小ネタですが投稿します
昼間だし誰もいないならすぐに投稿させていただきます

636ソーサ:2011/02/08(火) 14:47:14 ID:DD8q6Lzo
タイトル「上琴VS初春&佐天」

・上条の家にて

美琴「(まさか町でこの2人に見つかるとは…不幸だわ)」

初春「では早速質問させていただきます!2人は恋人同士ですね?」

上条「まあそうだな。」

美琴「まあって何よ!れっきとした恋人同士よ!」

佐天「じゃあどっちから告白したんですか?」

美琴「それは…私からよ!」

佐天「(さすが御坂さん!積極的〜!!)」

初春「手はつないだことありますか?」

上条「それくらいあるさ。デートに行くときはいつもつないでるしな。」

佐天「デート!?何回くらいしたんですか!?どこへ行ったんですか!?」

美琴「休みの日はいつもしてるわよ。散歩に食事、買い物、映画、動物園、水族館、遊園地とかいろいろね。」

上条「もう行くとこがないくらいいろんなとこに行ったよな。…そうだ!今度は温泉旅行にでも行くか!」

美琴「それいいわね!じゃあ早速予定立てないとね!」

初春「(……完全2人の世界に入っちゃいましたね)」ヒソヒソ

佐天「(御坂さんの照れるとこでも見れるかと思ったけど無理っぽいね〜)」ヒソヒソ

初春「(こうなったらあの質問をするしかありません!)」ヒソヒソ

佐天「(あの質問?初春何聞くの?)」ヒソヒソ

初春「(まあ見ててくださいよ!)あの〜2人とももう1つ質問してもいいですか?」

上条「ん?別にいいぞ。」

美琴「それで初春さん?何を聞きたいの?」

初春「それはズバリ!お2人はキスしたことありますか!!」

上琴「「キス!!?」」

佐天「(初春すごいこと聞くな〜…でも御坂さん真っ赤になってる!ナイス初春!!)」

美琴「キ、キスってそれは…その…あう//////」

初春「(やりましたよ佐天さん!これでこの場の主導権はいただきました!!)」

上条「ああ、あるぞ。」

美&初&佐「「「!!?」」」

上条「ていうか会うたびにしてるな。美琴のほうからしてくることも結構あるぞ。」

美琴「ちょ、ちょっと当麻!2人の前でなんてこと言ってんのよ!/////」アセアセ

上条「だってほんとのことだろ?」

佐天「それ……マジなんですか…?」

初春「普段の御坂さんからは想像できないんですけど…」

上条「信じれないのか?う〜ん…だったらしょうがないな…」

美琴「どうしたの当麻?何か―――」

初&佐「「!!!?!?」」

上条「ん…これで信じただろ?」

美琴「ア、アンタいきなり何すんのよ!////////」

上条「何ってキスだけど……イヤだったか?」

美琴「ぅうん…嬉しかった………ふにゅ////////」テレテレ

初&佐「(ラブラブすぎでしょ…)/////」ボンッ!



WINNER:上琴

637ソーサ:2011/02/08(火) 14:49:49 ID:DD8q6Lzo
今日もこれだけです
また何かできしだい投稿させていただきます

バレンタインネタも書いてはいるんですがバレンタインに間に合うかどうか…

638■■■■:2011/02/08(火) 15:01:31 ID:OO0Utww2
>>637
がんばれ〜バレンタインネタも期待してる。
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

639■■■■:2011/02/08(火) 16:48:08 ID:aNByLgO.
作者さんにGJ!
次は一方&打ち止めがいいです!

640■■■■:2011/02/08(火) 19:02:47 ID:SEFWRt3E
>>637
なんだかおもしろいww
もっとやれ。いや、やってください

641■■■■:2011/02/08(火) 19:19:46 ID:BsCt1FU.
こういう小ネタって手軽に読めてありがたいです。GJ!

642■■■■:2011/02/08(火) 22:10:29 ID:rSMRGgsM
上琴強まり過ぎワロタwwww
このバカップルもっと見たいわぁ・・・!

643ソーサ:2011/02/08(火) 23:56:46 ID:DD8q6Lzo
どうもこんばんは
意外と好評っぽいのでテンション上がりました^^
だれもいなければまた小ネタを投稿したいと思います

644ソーサ:2011/02/08(火) 23:58:11 ID:DD8q6Lzo
タイトル「上琴VS舞夏」

・上条の部屋にて

美琴「で?話ってなんなのよ土御門。」

舞夏「いやー2人に聞きたいことがあってだなー。」

上条「聞きたいこと?いったいなんだ?」

舞夏「それはだなー、2人が付き合ってるってのは本当なのかー?」ニヤニヤ

上条「なんだそんなことか…それは本当だぞ。なあ美琴?」

美琴「ええ私達は付き合ってるわよ♪」

舞夏「!?(全く恥ずかしがらないとは予想外だなー…)」

美琴「それにしてもいつ私達のことを知ったのよ。」

舞夏「ん?ああ、知ったのはこの前の日曜だぞー、まあこの写真を見てくれー。」ニヤニヤ

上琴「「ん?……ってこれは!!?」」

舞夏「2人のデートの写真だー。手をつないだり料理を食べさせあったり、最後にキスとはラブラブだなー!」ニヤニヤ

上条「…わざわざ撮ってくれてたのか!ありがとな舞夏!」

舞夏「へ?」

美琴「結構いいかんじじゃない!こういう記念の写真がほしかったのよ〜!」

舞夏「(……ここまでバカップルだったとは…ここはいったん引くしかないなー)」

美琴「で、これ20枚くらいあるけど全部くれるのよね?」

舞夏「(からかえないなら持っててもしかたないしなー…)ああもちろんだー、じゃ私はこれから用事があるから帰るぞー。」

上条「おう!わざわざ悪かったな!」

舞夏「じゃあなー(何か他にからかう材料がないか探すしかないなー)」バタンッ

上条「いや〜舞夏のやついい仕事してるよな〜。」

美琴「ほんと土御門に感謝しなきゃ!あ、これ早速写真立てにいれて飾らないとねっ♪」


WINNER:上琴

645ソーサ:2011/02/09(水) 00:03:43 ID:/uNvUNDo
以上となります
VS初春&佐天にコメントくれた方々ありがとうございました
一方&打ち止めにつきましては現在別に書いてるSSがありますので
そっちが完成したら書かせていただきます^^

646■■■■:2011/02/09(水) 00:12:58 ID:DNoz9yu.
無敵wwww

647■■■■:2011/02/09(水) 00:20:50 ID:gzVReRfw
>>645
ホント、無敵だなw
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

648■■■■:2011/02/09(水) 00:30:14 ID:RMzfZoH.

美鈴さんもこの二人には勝てない気がする

649Mattari:2011/02/09(水) 00:41:03 ID:oWOImEi.
ソーサさん、最強無敵のバカップルぶり、イイですねぇ。

私にはその発想、出来ないな。さすがです。GJ!

さて、小ネタにするつもりだったんですが、ちょっと長くなってしまいました。

この後、2スレほど使わせていただきます。

内容としては、まだ美琴と上条がつき合う前。という設定です。

650Mattari:2011/02/09(水) 00:42:19 ID:oWOImEi.

ヤキモチバレンタイン

 明日はバレンタインデー……なんだけど、今年は月曜日。
 明日はあいつに会えるかどうか分からない。
 だから、ちょっとハッキングして、アイツの住所を調べて、学生寮の前までは来てみたんだけど……。

 踏ん切りが付かない。足が前に進まない。
 ここからアイツの部屋が見えるんだけどな。私の足は動かない。

 持ってきたのは、チョコレートケーキ。
 可愛くデコレーションして、『I Love Touma』と書いてある。
 コレを渡したいんだけど……(思いっ切り恥ずかしい……)。

 さっきから、アイツの部屋は取っ換え引っ換え訪問者が訪れている。
 二重まぶたの子に、巨乳シスター、シッポをはやした小さな子に、サムライガール。さっき、リムジンで乗り付けた人も居たっけ。
 どんな付き合いしてんのよ、アイツは!?

 明日は明日で、アイツはいっぱいチョコ貰うんだろうな。
 モテるんだろうな、アイツ。あの体質だし。
 そんなことを考えてたら、段々ムカムカしてきた。
 分かってるけど、感情は納得しない。アイツには私だけを見て欲しい。
 だから“ヤキモチ”。

 思わず駆け出して、近くのスーパーに入る。
 目に入ったチョコを掴んでレジに行こうとしたら……。

「きゃっ……!?」

「あ、スミバゼン……なんだ、びさがか・・」

「あ、アンタ……どうしたのよ、こんなトコで」

「おばえこぞ、だにしでんだよ……」

「なんか、発音が変なんだけど……どしたの?」

「カゼ、びいちばって……ばなびずがとばんねぇんだ……」

「そう言えば、顔もちょっと赤いかも……ちょっと……」

 私は手をアイツのおでこに当ててみる。

「ちょっと、熱があるじゃない。ダメよ、熱があるのに彷徨いたりしたら!!」

「じがだねぇだろ、ひどりぐらじなんだがら……ざっざとくずりかっで、でるよ」

「ねぇ、何か食べたの?」

「あんまじ、じょくよぐねえがら、いいよ」

「何言ってんの?カゼの時はちゃんと栄養取って、温かくしとかなきゃダメじゃない!!」

「んなごど、いっだって……」

「もう、病人が四の五の言わない。私が看病したげるから、ちょっとここで待ってなさい!!」

「あ、びさが……いっぢまいやがっだ……」

「お待たせ」

「おう、こっぢもくずりががえだぜ」

「じゃ、行きましょ?」

「おい、おばえ、おでんちじっでんのか?」

「え?……あ、そうか……(ホントは知ってるけど……)」

「ん?だんがいっだが?」

「何でも無い」

「じゃ、いぐか……」

「うん……」

 何が何だか分からない内に、アイツの部屋に……。アレ?コレってラッキーなのかな?

「ぢょっど、ぢらかっでるけど……」

「う、うん。オジャマ…しま〜す。……へぇ、結構綺麗にしてんのね」

「ば、ばあな……」

「んじゃ、台所借りるわよ」

「あ、ばるいな」

「病人が遠慮何かしないの」

「はいはい……ヘックシ!!」

「ああ、もう。はい、ティッシュ」

「いいよ、さっぎがらばなのかびずぎでばながいでえんだ」

「コレは柔らかい方のしっとりしたタイプだから、大丈夫だと思うわよ」

「え゛ぞうなのが……ブビーーッ、あ、ホントだ、痛くねえぞ」

「アハハ、普通に話せるようになったわね」

「しょうがねぇだろ?さっきまで、鼻かむと痛くなるから我慢してたんだから……」

「ねぇ、何か食べる?」

「あんまり食欲ねぇんだけど……」

「じゃあ、雑炊でもしよっか。暖まるし、お粥じゃ味が分からないだろうし」

「イイのか、オレなんかの看病してて……何かやることあったんじゃないのか?」

「病人が要らない心配しないの!」

「へいへい……」

「じゃあ、ちょっと待っててね」

651Mattari:2011/02/09(水) 00:44:16 ID:oWOImEi.

「お待たせ〜。美琴さん特製のニラ雑炊よ。ニラは風邪にイイんだからね」

「おっ、美味そうだな?どれどれ……」

「今よそったげるから、待ってなさいよ……ハィ、召し上がれ」

「いただきます……フーフー、パクッ……うん、美味い!!」

「そっ、良かった」

「御坂がこんなに料理上手だとは思わなかったぞ……うん、美味い、美味い」

「褒めても何にも出ないわよ」

「ありがとな、御坂。ホント助かったよ」

「どういたしまして……って、アレ何?」

「ああ……明日はバレンタインだろ?明日は来れない連中や宅配業者がチョコ持ってきてくれるのはイイんだけどさ、風邪引いてるもんだから……ゆっくり出来なくってまいってたんだ」

(10個以上はあるわね……コイツ、どれだけモテるのよ……)

「ところで御坂?お前スーパーで何してたんだ?」

「えっ!?……えっと、あの……その……まぁ、ちょっとね……」

「ちょっとって何だよ?」

「ウッサイわね!!女の子には色々あんのよ!!!」

「ワー、オレの部屋でビリビリするのは止めて下さいそんなことされたらウチの家電製品が全部天国に旅立っちゃうしせっかく御坂が作ってくれた美味しい雑炊も食べられなくなっちゃう〜」

「もう……それだけ元気なら大丈夫そうね。じゃあ、私帰るね」

「えっ、もう帰るのか?まぁ、あんまり長居するトコじゃないし、オレと一緒に居たら風邪うつっちまうかも知れないからな。だけど、ホント助かったよ御坂。ありがとな」

「あっ、そうだ……ハイ、コレ」

「ヘッ、……なに、コレ?」

「何って、チョコよ。……義理だけど……(素直じゃないなぁ……私……)」

「あ、ああ、サンキューな。例え義理でも御坂からチョコが貰えるなんて、上条さんは幸せですよ」

「えっ?」

「ん?なんだ?」

「……べ、別に……じゃあ、温かくして休まないとダメよ」

「ああ、今日はホントにありがとな。それとチョコも」

「うん、じゃあね」

「ああ、またな」

 そう言って、私はアイツの部屋を出た。

(ハァ、結局本命のケーキは渡せなかったなぁ……でも、アイツの部屋に行けたし、看病も出来たから……ちょっと幸せ)

 でも……ホントは自分の気持ちを伝えたかったなぁ……。

 寮に戻ってシャワーを浴びて携帯を見たら……アイツからメールが入っていた。


To 御坂 From 上条

今日はホントにありがとな。
助かったよ。
お礼と言っちゃ何だけど、今
度の休みにどっか行かないか

そうそう、義理チョコ美味か
ったよ。良く、オレの好みを
知ってたな?
じゃあ、またメールする。


 ヤキモチ妬いて、半分当てつけに買ったビターチョコ。
 それがアイツの好みに合ってたなんて……。コレってラッキーなのかな?

(明日はもう少し素直になって、本命チョコを渡してみようかな……)

 そう思った私は、明日待ち合わせが出来るようにと返信メールを打ちだした。

652Mattari:2011/02/09(水) 00:48:34 ID:oWOImEi.
いかがだったでしょうか?

書いてて、やはり自分はこういう書き方しかできないのだな……。

と、落ち込んだり……してたんですが。

一応、もう2本ほど途中のがあるんで、それは週末辺りに投下する予定です。

ではでは、お楽しみ頂けたら幸いです。<(_ _)>

653■■■■:2011/02/09(水) 02:07:56 ID:Z4DWVf46
いいですの
もう二人ともくっ付けよ!って距離感がタマンネェですの!
MattariさんGJです。

654■■■■:2011/02/09(水) 02:13:21 ID:VlTssg16
ぐっじょぶ!

655■■■■:2011/02/09(水) 12:51:26 ID:gzVReRfw
>>652
がんばれー
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

656■■■■:2011/02/09(水) 14:14:06 ID:oA9zDhgY
それじゃ、投下してみます。
文才ないので、面白くないかも知れませんが、ご容赦を
設定は、付き合って少し経った後です。

657■■■■:2011/02/09(水) 14:15:46 ID:oA9zDhgY
----

「ここで良いはずよね…」

待ち合わせはこのスーパー。
本人とチラシでタイムセールの時間を確認したから問題ないはず。
…たぶん、問題はないはず。きっと。

「もう4時10分か…」

待ち合わせは4時。
けど、待ち合わせの時刻を過ぎてもこない。
たった、10分の遅れ。まだ、気にするほどでもかもしれない。
でも、こういう時に限って、何かの事件に巻き込まれている、…事が多いと思う。
少し、心が落ち着かない。携帯で連絡取ってみようか…。
どうしようか…。
あ、やっと来た。

「やっと来たわね。今日は何があったの?」
「ごめん、ごめん。ちょっと小萌先生から呼び出しがあって」

走ってきたためか、息を切らせながら語る。
その本人は嘘を付いているようには見えない。でも、もう一度確認しておきたい。

「ほんと?」
「ほんとだ。上条さんを信じろ」

私は当麻の事情はある程度知っている。当麻の立場は私以上に危険である。
で、当麻は心配させまいと思ってか、よく嘘を付く。

「この前みたいに嘘付いて、怪我したら許さないわよ」
「だって、お前に怪我させたくないし…」
「それは私の台詞。私は超電磁砲よ」
「だけど、お前…」

当麻の譲れない一線。私の譲れない一線。
こういう所は当麻も私も折り合いが付かない。互いに頑固だからである。
…でも、いつかは分かって欲しい。
当麻が私に怪我して欲しくないように、私が当麻に怪我して欲しくないと思っている事を。

658■■■■:2011/02/09(水) 14:18:32 ID:oA9zDhgY
-とあるスーパー-
いつものデートコースである。スーパーに行って、八百屋に行って、当麻の自宅に行く。
今は、そのうちの一つ、当麻の寮の近くのスーパーにいる。

「どうしたの?」
「サンマが安いんだが、量がな」

当麻の目の先には、6匹で250円の札がある。
確か、普通は安くても一匹、50円程度。かなり安いと思う。

「かなり安いわね。でも、あの子がいるから問題ないでしょ」
「そりゃな。だけど、毎朝同じ飯を出すと不機嫌になるんだよ。あれでも…」
「ははは…、そうなの」

ちょっと苦笑するしかない。

「こういう形でしか2人きりになれないというのも、変な話よね」
「そうだな」

デートがスーパーという時点で、なんか変だと思う。
普通はこの年頃のデートは、レストランとか、映画とか、そういうものじゃないかと思う。
そういうものを吹っ飛ばして所帯じみている。

「ちょっと重そうね。ほら、左手の荷物貸して」
「あ、わるいな美琴」
「いつもながら思うけど、全部食料品なのよね?」
「ま、インデックスだからな」
「まったく、あれだけ食べて太らないわ、背も伸びないわ。羨ましいわね」
「そのおかげで、常に火の車だけどな」

片手が空くように荷物を借りた。…いつものことだけど、凄く鈍い。

「ねぇ、当麻」
「どうかしたか?」
「空いた左手だけど…」
「あ、ああ」

ようやく繋いでくれた。

「ふふ」

嬉しくなって思わず、声を上げてしまう。
でも、周囲の目を気にせず言ってしまったから、少し気恥ずかしい。
…ふと、意識を現実に戻すと、目の前に見慣れたツインテールがいた。

「あらあら、お姉様」
「げ、黒子」
「お姉様のお姿をお見かけ致しましたのですが、逢い引きの最中でしたか?」

いつものことだが、狙ったように現れる。どこかで監視していたんじゃないかと思うほど

「よう、白井」
「ご機嫌よう。上条さん。今日は何をお買いしているのですか?」

黒子の当麻に対する態度にもう、昔のような毒々しさはない。

「確か、先日は卵とニンジンをお買いしていましたね」
「おー。あの時は助かったぜ。ありがとな、白井」
「いえいえ、お姉様とお付き合いなされている方ですもの。お安いご用ですわ」

意外にも、黒子は当麻のことを嫌いではないらしい。当麻の事情を知ってからは、人間として尊敬しているようである。
黒子は、自分の正義に風紀委員に拠る所があると言っていた。
対して、当麻は自分の正義は自分の芯に拠っている。その強さが羨ましいと。

黒子は学園都市の暗部を知ってしまったから、自分の正義が揺れているのだろう。
だから、たびたび当麻と行動を共にしようとしている。自身を見つめ直すため。

…少し妬けるけど。

「あら、お荷物が多くて大変そうですわね。私が運んで差し上げましょうか?」
「お、そうか、悪いな。白井」
「ご自宅で宜しかったですわよね」
「あぁ。頼む」
「では、失礼。お姉様もご一緒で?」
「黒子。ちょっと、買い物の…」

ただ、私と当麻との交際は、心のどこかで納得していないみたい。
つまり、この子供じみた嫌がらせは、頭では納得しているが、邪魔したい。そういうことだろう。

659■■■■:2011/02/09(水) 14:20:12 ID:oA9zDhgY
-上条宅-

「とうま、ごはんまだ?」
「もうちょっと待ってろ」
「キャベツ刻み終わったけど、他に何かすることある?」
「いや、特にないから、休んでおいてくれ」
「わかったわ」

これがいつもの光景である。当麻と私が調理をして、インデックスがいちいち茶々入れる。
…最初は頭に来たけど、もう慣れた。

「洗濯物、畳んでおくわね」
「あ、わりぃな」
「あら、そんな、お姉様のお手を煩わせる事もありませんわ。私が代わりに…」
「いいわよ、黒子。私が好きでやってるんだから」

黒子は何かと私の手を患わせないように手伝おうとしてくれる。
当麻を狙っているわけはないけど、ここは譲れない。

660■■■■:2011/02/09(水) 14:24:37 ID:oA9zDhgY
----
ちゃぶ台を当麻と私、黒子とインデックスで囲む。
いつもの食事である。

「今日はまぁまぁですわね。塩分が強めなのは気になりますが」
「一昨日の方がさっぱりしておいしかったかも…」

これもいつもの光景である。味に対して厳しい意見を述べる。

「…相変わらずだけど手厳しいなぁ。お前らは…」
「そう?この煮物は、おいしいわよ」

この煮物は確かにおいしい。料亭で出ても遜色はない。
たぶん、この味は当麻じゃ無理だと思う。これをつくれそうなのは、舞夏と…。

「…ねぇ、これ誰が作ったの?」
「五和だよ」

インデックスが即答する。完全記憶能力は流石である。

「ねぇ、当麻」
「どうした、美琴」

この返事、悪いことをしたということを全く理解していない。流石に頭に来る。

「えーと、美琴さん?」
「なによ?」

急に態度が変わり始めた。ようやく怒っている事が理解できたのだろう。

「ごめんなさい。ごめんなさい」
「謝るか…、どうして私が怒っているか分かっているわよね」
「とりあえず、怒っているから謝っておこうかと思いまして…」

…この男は、どこか抜けている。

「彼女がいるのに、他の女の手料理を貰うって、どう思う?」
「いや、この前、帰って来たら、家に上がっていて…」
「ほう」

というか、あの女諦めてなかったんか。
当麻がこうだと、他にも何かありそうな気がする。

「ねぇ、インデックス。あの梅干しは?」
「あれはね、かおりが持ってきてくれたんだよ。この唐揚げはあいさで、これはオルソラで、あのお菓子はアニェーゼで」
「ふーん。あのこの部屋に似つかない剣は?」
「あれはキャーリサ」
「…じゃぁ、あの栄養剤は?」
「誰からもらったの?とうま?」

インデックスも知らないということは自分で買ってきた物なのだろうか?

「えーと、答えなきゃ駄目?」
「「駄目」」

インデックスと声がハモる。同じ気持ちなのだろう。

「…その、スーパーで偶然あった吹寄から」
「はぁ」

実は栄養剤を見て我を失いかけたが、そういうことだったのか…。
よくよく冷静に考えたら当麻は世間体を気にするから、そういうことはしないはずである。
あげた本人はというと、…あの人は真面目だから、そういう意味はないんだろうけど。
でも、怪しい。

「ごめんなさい。ごめんなさい」

溜息と共に下を向けた顔を戻すと、すでに土下座の体勢に入っていた。その姿勢はすこぶる綺麗である。
なんというか、怒る気にもならない。惚れたが負けって、格言だと思う。

「もういいわ。あんたに悪意がなさそうだから、怒る気が失せたわ」

いっつもこんな感じである。ただ、当麻は他の女からの好意に気付いていないし、応える気もない。
そして、好意は自分に向いている。だから、朴念仁な態度は諦めかけている。

661■■■■:2011/02/09(水) 14:42:04 ID:oA9zDhgY
----
とりあえず、食事が終わったから、食器を片付けている。
ふと、当麻から言葉を投げかけられた。

「その、楽しいか?」
「楽しい?」

質問の意図がわからない。

「いや、俺の家に来てしているのって炊事だけだろ。それに2人きりなれるというわけでもないし…普通の恋人の行動とは違うんじゃないかと思って」

これはスーパーで振った話題だ。
あれから、当麻は当麻なりに考えていたのだろう。
彼女には許容されているとはいえ、二人の世界に他の女を入れている。
冗談でも、指摘されると良心の琴線に引っかかるのだろう。
だから、負い目があるような尋ね方をしてきたのだと思う。
でも、そんなことよりも、嬉しくて頬が緩みっぱなしになりそうだった。

「あんたは楽しくないの?」

だが、少し恥ずかしくて、誤魔化すため、少し意地悪な言葉を返してしまった。

「俺は楽しいが、インデックスや白井がいる状況が…」
「私は楽しいわよ。一緒に料理して、御飯食べて、片付ける。充分に贅沢よ」

本当は2人きりが良いのは私も分かる。インデックスは諦めてなさそうだし、黒子は微妙な嫌がらせをしてくる。
でも、この状況になれてしまった。そして悪くないとちょっと思っている。
そう、私が嬉しかったのは、今の現状よりも私を上にみてくれているということ。そのことである。

「そうか」
「そうよ。よし、これで終わりと」

皿を戸棚にしまい、片付けは終わった。後は帰るだけだけど…。
なんか、やられっぱなしで少し悔しい。よし、からかってやろう。

「私の目をみなさい」
「えっと、なんでしょうか?」

当麻の目を見つめるが少し怯えている。当麻を怒るとき、いつもそうする。だからであろう。
このまま、勢いでキスしてやろう。
1、2の3。

「え?」

思い切ってキスをしてやった。驚いた顔を見てみたかったが…、

「み、美琴。人が見ている前でそれは…」
「こ…こうでもしない限り、キ…キスなんてできないわよ」

やっぱり、感情が追いつかない。
今更気付いたが、所帯じみたのに、こういう事は初心者じみていると思う。

「じゃ、じゃぁ、帰るわね。黒子お願い」
「行きますわよ。お姉様。では、ご機嫌よう。あと、人様の前で不純異性交遊はよして下さいな」
「ま、またね」
「お、おう」

明日もまた、同じような日常が続くのであろう。
でも、当麻や私はそんな日常に甘んじることは許されない。世界の闇に深く関わっているからである。
だから、できればこういう日常が続いて欲しいと願いたい。

662■■■■:2011/02/09(水) 14:45:22 ID:oA9zDhgY
----
二人が帰った後、微妙な静寂に包まれていた。

「とうま、十字教の教えに“姦淫するな”ってのがあるって知ってる?」
「えーとですね。私上条当麻は十字教の信徒ではないのですが?」
「ふがぁぁぁ」
「不幸だぁぁぁ」


-おわり-

663■■■■:2011/02/09(水) 14:54:14 ID:oA9zDhgY
自分でも思うのですが、落ちが弱いなと思います。とりあえず、精進します。
贈り物の所でレッサーも入れたかったのですが、思い付きませんでした。
それと、インデックスは、美琴はまだ諦めていないと考えていますが、そういう気持ちもまだあるが、整理中だと考えてください。そうじゃないと、まだ同居中というネタが使えなかったので
キスシーンは上条さんが舌を絡めようとしたら、罰を与えなきゃいけないと思った美琴サンが罰を与えるべく舌を噛むという感じにしようと考えたですが、なんか良い台詞と状況が思い付きませんでした。(元ネタはある漫画だけど…。)

664■■■■:2011/02/09(水) 16:32:36 ID:gzVReRfw
>>663
タイトルplz
黒子と禁書さんがお姑さんみたいだなw
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

665とある通気管:2011/02/09(水) 17:49:50 ID:Lna3pWFk
第3時世界大戦、上条当麻が行方不明になって3週間がたった、そんなある日だった

美琴「...なんで...なんで..帰ってこないのよ」

黒子「キー!!あの類人猿メー!お姉さまをこんなにシヨッテー!!!」

黒子「こうなれば帰ってきたときにはあの類人猿を煮るなる炊くなりしてやりますの!」

美琴「あ、アンタは何いってんのよそ、それに別に私は..アイツなんて」

黒子「キー!お姉さまったらー!..はあ...では私風紀委員の仕事がありますのでこれにて」

美琴「はいはい..行ってらっしゃい〜」

白井が去った後不意に携帯がなった


美琴「.....な!...まさか....そんな」
携帯にはこう書いていた
『上条当麻』と、その人物はかつて妹達を救った男だたった一つの右手で世界を救った男だ


美琴「あ、アンタ!帰ってきたなら顔ぐらい..」

上条「...み...さか」
上条の声はいつものような声じゃない...その声は小さくかすれてもいた

美琴「ちょ、ちょっとアンタ!大丈夫なの!?今何処にいるのよ!?」

上条「は、話があるからいつもの自動販売機前に...きてくれ」

美琴「え!?で、でも..「いいから!」!?」

上条「きて...くれ」

美琴「うん」

自動販売機前

美琴「ったくなんで寝てるのよ..しかたない....チェイサー!」
自動販売機(も、もっと!もっと強く蹴ってくれ!)
と聞こえたような気がした美琴だった

上条「....ん?....御坂?」

美琴「あ、起きた?」

上条「わりィ寝ちまったか?」

美琴「大丈夫よ私さっき来たとこだし..。それより話って何?」

上条「ああ話ね...」

上条「....好きな人いるんだ」

美琴「え?(...いたんだ...好きな人...)」

上条「続きがあるから聞いてくれ...」

上条「そいつはないつもアンタとか馬鹿とかでしか俺を呼ぶし何かあったら電撃とばしてくるようなお嬢様なんだけどなあ」

美琴「(ちょっとまって...それって!)」

上条「察してると思うけど言わせてもらうぜ」

上条「俺、上条当麻は...御坂美琴の事が大好きです...付き合ってもらいませんか?」

美琴「!!.....ば、馬鹿ー!私も大好きだったんだからね!!!」

上条「えー!マジで!?」

美琴「マジよ!この馬鹿当麻!」

上条「ちょ!美琴!今名前で!いてえー!」

美琴「あ、アンタ....当麻だって名前で読んでるじゃない!」

上条「ちょっと..何ビリビリさしてるんですか?」

美琴「それと...これはアンタが私の事さんざんスルーした罰じゃー!」

上条「ぐ、ぐわーーーーー!!なんか不幸だーーーーーーー!!」

しかしいつもと違う...幸せそうな顔だった

HAPPY END

666とある通気管:2011/02/09(水) 17:51:07 ID:Lna3pWFk
書き込むの忘れてました
↑のタイトルは『戦争が終って...』です

667■■■■:2011/02/09(水) 19:34:17 ID:dUyVNsQ6
おお!また投下されてる!
何だかんだでアニメの降下はあるんだなぁ

>>663
GJ。まったりとした感じでよかったです。
美琴の恋って、成熟したとしても何かと障害が多いですよね>インデックスや黒子を納得させないといけないから。
禁書原作でもいつかこういうふうに、皆で仲良くして欲しいもんです

668■■■■:2011/02/09(水) 20:36:37 ID:VRXtsYEw
    ok. ヘ(^o^)ヘ
        |∧
        /
If you are confident in
what you can do everything you wish,
         /
      (^o^)/
     /( )
    / / >

   (^o^) 三
   (\\ 三
   < \ 三
`\
(/o^)
( / I would destroy
/く your fuck'n fantasy.

669■■■■:2011/02/09(水) 21:15:32 ID:oA9zDhgY
>>664
タイトルですか…。
全く考えていなかったのですが、
「閑話という名の日常」でお願いします。

670■■■■:2011/02/09(水) 21:23:55 ID:uueN4bOo
書き手はGJなのに変なのがいるなAAとかageとか

671■■■■:2011/02/09(水) 22:08:04 ID:bwZlSWs6
>>668は頭の弱い子だから仕方ない

672■■■■:2011/02/09(水) 22:28:30 ID:JOUNMQBg
>>669
変なのって……おそらく>>664さんはまとめ人さんだよ

673■■■■:2011/02/09(水) 22:31:23 ID:dUyVNsQ6
そうこうしてる内に上条さんと美琴は結婚してしまった訳だが、これについてどう思う?

674■■■■:2011/02/10(木) 00:12:49 ID:olRcqM8Y
ソースどこだよ としかいえない

675■■■■:2011/02/10(木) 00:15:16 ID:G0o7.O0o
小ネタを考えついたので、ちょっと書いてみました。

どなたかが書かれていたかも知れませんが、そこまでは確認してません。

ですので、内容が重なった際はご容赦下さい。

タイトルは「知恵の輪」です。

===================================

『カチャカチャ……』

「なかなかウマく行かないわね」

『カチャカチャ……』

「ここをこうして……」

『カチャカチャ……』

「ウーン、難しい……」

「オイ、何やってんだ?ビリビリ」

「ヘッ!?」

「何真剣な顔してやってんのかな〜と思ってさ」

「あ、アンタ!?」

「あのなぁ……「アンタ」とか「このバカ」とか、オレには『上条当麻』って言う立派な名前があるんだよ!!」

「アンタこそ、私のことを『ビリビリ』って言うじゃない。私にも『御坂美琴』って言う名前があるの。いい加減覚えなさいよ……」

「へいへい……ところで何やってんだ、お前?」

「あ、知恵の輪よ……後輩が貸してくれたんだけど……」

「へえ、面白そうじゃん。オレにもやらせてくれよ」

「あっ、ちょっちょっと……もう」

『カチャカチャ……』

「アレ?結構難しいな」

『カチャカチャ……』

「ウーン……ダメか……」

『カチャカチャ……』

「アレ?」

『カチャ……』

「……」

「何やってんのよ、サッサとやりなさいよ」

「いや、やりたくない」

「ヘッ!?何言ってんのよ。勝手に人から取り上げといて。それで『やりたくない』って、ワガママもいい加減にしてよね」

「だってよ、この知恵の輪……ハートの形になってるだろ?」

「そう言えば、そうね」

「コレ外しちゃったら、何か御坂との関わりも外れちゃうような気がしてきてさ……」

「えっ?」

「だから、やりたくなくなっちまった」

「……」

「……」

「フフッ、正解よ」

「えっ!?」

「この知恵の輪は外しちゃいけないの。外れないようになってんのよ」

「お、お前!?オレを嵌めやがったな!!!」

「嵌めてなんかいないわ。ちょっと試しただけ……」

「試す?何を?」

「アンタが……当麻が、それに気付くかどうかを……」

「えっ!?……お前、今」

「好きよ、当麻」

「えっ!?」

「私は当麻が好き」

「み、御坂……」

「この知恵の輪みたいに私を離さないで」

「お、おう。わかったよ、……美琴」

「エヘッ!!」

===================================

(Fin)

676■■■■:2011/02/10(木) 00:30:25 ID:G0o7.O0o
こういうネタに挑戦したのはお初なので、何か足りない気もしますが……。σ(^◇^;)

しかし、今書いてるホンチャンの方が全然進まない……。

ダイジョブか?

677■■■■:2011/02/10(木) 00:31:04 ID:wonWyHnY
>>573
ヘ(^o^)ヘ
  |∧   いいぜ
  /


      /
  (^o^)/
 /(  ) 
/ / >



   (^o^)三
   (\\ 三
   < \ 三




(/o^) まずは
( /  
/く     ぶち殺す

678■■■■:2011/02/10(木) 00:35:37 ID:dxiD3d9k
ずいぶんストレートな上条さんだな

679■■■■:2011/02/10(木) 02:32:03 ID:i0mvP2Bc
いいよーいいよーみなぎってきたよー

680■■■■:2011/02/10(木) 11:45:10 ID:wonWyHnY
もうちょっとでバレンタインだし楽しみだ!

681■■■■:2011/02/10(木) 12:59:54 ID:TLGqGv2c
>>676
Mattari氏?
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

682■■■■:2011/02/10(木) 17:54:02 ID:BBEYub.E
お前ら書き込む前にメール欄に半角でsageって入ってるか確認しよう

683■■■■:2011/02/10(木) 20:08:58 ID:kGAUxduQ
そうか、バレンタインか…

684■■■■:2011/02/10(木) 21:50:00 ID:VitGhF8.
>>677>>680
お前らをぶち殺す

685■■■■:2011/02/11(金) 01:32:47 ID:taewEtWU
通報した

686■■■■:2011/02/11(金) 10:48:43 ID:nzV8WXho
バレンタインか....ううみんなー!俺達非リア充組は今年はもらえると願おうず

687■■■■:2011/02/11(金) 11:45:24 ID:sxCwO.EU
去年は美琴チョコみたいのが2000円くらいで売ってたなぁ
試しに2個買ってみたがディズニーのお土産みたいにサクサクした食感で結構うまかった
もう1個?もちろん上条さん宛にry)

688■■■■:2011/02/11(金) 13:12:45 ID:nzV8WXho
>>687 GJ!ださて上条さんはどんな反応をするでしょうか〜2828

689■■■■:2011/02/11(金) 13:20:29 ID:rOsWoB5w
小ネタを思いついたので、投下してみます。
こういったことは初めてなので、お見苦しい点もあるかと思いますが、なにとぞご容赦を。

690■■■■:2011/02/11(金) 13:21:10 ID:rOsWoB5w
「いい加減にっ!……1発くらいっ!……喰らったらどうなのよっ!」
しかし、放たれる電撃は全て、上条の右手によってかき消されてしまう。
放課後、いつもの公園でいつものように繰り返されるいつもの日常。
「ていうかっ……1発でも喰らったら……上条さんは死んでしまいますよ……っと」
「っこっ…このっ!このっ!このっ!」
いつものように余裕で電撃を捌かれ(美琴視点)、ムキになって連打する美琴。
敵意を剥き出しにして(上条視点)、電撃を連打してくる美琴に恐怖を覚えながらも、なんとか対応する上条。
「っくっ……っととっ……つーか、さっきからオマエは何をそんなに怒ってるんだ?」
「今日はスーパーの特売日だっていうのに………はぁ〜不幸だ」
「スーパーの…特売日……ですってええええええええ!」
(落雷!?)
上条は、自分の頭上目掛けて落ちてきた雷を間一髪防ぐと同時に、己が地雷を踏んだことを理解した。
「う…あ…あの……み…みさ…みさか……御坂サン?」
「ほ〜う、どうやらアンタは自分の命よりもスーパーの特売日の方が大事なようね」
(の、残された選択肢は少ない。どうすればこの危機を乗り越えられる?考えろ、考えるんだ上条当麻!)
「タノミマスカラオチツイテクダサイミサカサン」(土下座)
「ン〜?私は落ち着いてるわよ……ええ…そりゃあもう……これ以上無いってくらいに……」
「アンタが誰と……何をしようが……何をもらおうが……ニコニコ笑ってられるくらいにはねええぇぇぇ!!」
「どこがだっ!……いや確かに今ニコニコ笑ってるけど、目が全然笑ってねぇだろうがぁぁぁ!!」
「消し飛べ」
「だぁぁぁぁ!不幸だあああぁぁぁぁ!!」

「き、今日は……厄日か何かか?」
すっきりしたという台詞を残して、御坂美琴は去って行った。そして上条はというと……。
「があぁぁ!もう駄目だ。上条さんの体力はゼロを通り越してマイナスですよ」
と、服が汚れるのも気にせず地面に寝転がる。
「ここのところ、ビリビリも少なくなって良い関係になってきたなって思ってたんだけどな………」
残された上条は、ここ最近の美琴とのやり取りを思い返しながら、ひとりごちる。
タイムセールに付き合ってくれたり、勉強をみてくれたりと、世話になりっぱなしなのである。何かお返しをしないとなと言うと、彼女は
『ンー……別にいいわよ。私が好きでやってることだし。それにさ………アンタは私に、もっと人に頼れとか言うくせに……』
『アンタ自身は全部一人で抱え込んじゃってさ…こんな時くらいもっと私に頼んなさいよ』と笑って言うのである。
「はぁ〜……まったく何だってんだよ」その時の笑顔を思い出し、顔が熱くなるのを自覚する上条。
しかしもっと彼女の笑顔を見たいとは思う。だが何故そう思うのか分からない。分からない…判らない…自分自身のことなのに何も解らない。
「たく………この上条さんがまさか中学生に振り回されることになるとはねぇ……」ぼやきながらも、上条は笑っていた。
わからないことをいくら考えても仕方ない。上条は携帯を取り出すとメールを打ち始める。明日からまたあの笑顔を見る為に………。

691■■■■:2011/02/11(金) 13:22:11 ID:rOsWoB5w
「いい加減にっ!……1発くらいっ!……喰らったらどうなのよっ!」
しかし、放たれる電撃は全て、上条の右手によってかき消されてしまう。
放課後、いつもの公園でいつものように繰り返されるいつもの日常。
「ていうかっ……1発でも喰らったら……上条さんは死んでしまいますよ……っと」
「っこっ…このっ!このっ!このっ!」
いつものように余裕で電撃を捌かれ(美琴視点)、ムキになって連打する美琴。
敵意を剥き出しにして(上条視点)、電撃を連打してくる美琴に恐怖を覚えながらも、なんとか対応する上条。
「っくっ……っととっ……つーか、さっきからオマエは何をそんなに怒ってるんだ?」
「今日はスーパーの特売日だっていうのに………はぁ〜不幸だ」
「スーパーの…特売日……ですってええええええええ!」
(落雷!?)
上条は、自分の頭上目掛けて落ちてきた雷を間一髪防ぐと同時に、己が地雷を踏んだことを理解した。
「う…あ…あの……み…みさ…みさか……御坂サン?」
「ほ〜う、どうやらアンタは自分の命よりもスーパーの特売日の方が大事なようね」
(の、残された選択肢は少ない。どうすればこの危機を乗り越えられる?考えろ、考えるんだ上条当麻!)
「タノミマスカラオチツイテクダサイミサカサン」(土下座)
「ン〜?私は落ち着いてるわよ……ええ…そりゃあもう……これ以上無いってくらいに……」
「アンタが誰と……何をしようが……何をもらおうが……ニコニコ笑ってられるくらいにはねええぇぇぇ!!」
「どこがだっ!……いや確かに今ニコニコ笑ってるけど、目が全然笑ってねぇだろうがぁぁぁ!!」
「消し飛べ」
「だぁぁぁぁ!不幸だあああぁぁぁぁ!!」

「き、今日は……厄日か何かか?」
すっきりしたという台詞を残して、御坂美琴は去って行った。そして上条はというと……。
「があぁぁ!もう駄目だ。上条さんの体力はゼロを通り越してマイナスですよ」
と、服が汚れるのも気にせず地面に寝転がる。
「ここのところ、ビリビリも少なくなって良い関係になってきたなって思ってたんだけどな………」
残された上条は、ここ最近の美琴とのやり取りを思い返しながら、ひとりごちる。
タイムセールに付き合ってくれたり、勉強をみてくれたりと、世話になりっぱなしなのである。何かお返しをしないとなと言うと、彼女は
『ンー……別にいいわよ。私が好きでやってることだし。それにさ………アンタは私に、もっと人に頼れとか言うくせに……』
『アンタ自身は全部一人で抱え込んじゃってさ…こんな時くらいもっと私に頼んなさいよ』と笑って言うのである。
「はぁ〜……まったく何だってんだよ」その時の笑顔を思い出し、顔が熱くなるのを自覚する上条。
しかしもっと彼女の笑顔を見たいとは思う。だが何故そう思うのか分からない。分からない…判らない…自分自身のことなのに何も解らない。
「たく………この上条さんがまさか中学生に振り回されることになるとはねぇ……」ぼやきながらも、上条は笑っていた。
わからないことをいくら考えても仕方ない。上条は携帯を取り出すとメールを打ち始める。明日からまたあの笑顔を見る為に………。

692■■■■:2011/02/11(金) 13:26:26 ID:rOsWoB5w
ああ、なんか二重投稿してしまったorz
本当にお見苦しくてすみません;;
もっと精進してからにすればよかった。
不快に思われた方にはお詫びするとともに、これで失礼します。

693■■■■:2011/02/11(金) 13:34:55 ID:FyNcPa26
>>692
二重投稿なんて気にしなくていいですよ。
それより何で美琴が怒ってるのか激しく気になる… バレンタインネタ?

694■■■■:2011/02/11(金) 13:44:30 ID:bejrw7I6
>>692
ドンマイ。
また書いてくれると、うれしいな。
がんばれー。
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

695■■■■:2011/02/11(金) 13:48:29 ID:sxCwO.EU
>>692
宿題手伝ったり生活費貸してる所を見ると
一応これくらいの関係は築けてると思うんですけどねえ〜
一体上条さんはどうなってんでしょうねw

696■■■■:2011/02/11(金) 13:49:19 ID:sxCwO.EU
gjをいい忘れたっ
失礼なり

697692:2011/02/11(金) 14:53:18 ID:rOsWoB5w
みなさん、暖かいお言葉ありがとうございます。

>>693
バレンタインも少しは意識したのですが、私の文才ではそのあたり書ききれそうになかったのでぼかしました。
美琴が怒った理由は、みなさんの想像にお任せします、ということで。

>>694
ありがとうございます。
また何かネタを思いついたら、投下してみようと思います。

>>695
そこはやはり、上条さんが上条さんである所以といいますか……w

698■■■■:2011/02/11(金) 19:00:36 ID:uErJG33c
GJ!
なのですが……続きが気になって僕は死んでしまいそうです。

699ソーサ:2011/02/11(金) 22:07:51 ID:AvPkkygQ
どうもこんばんは
小ネタが2つできたので投稿します
だれもいなければ2レス消費で投稿します!

700ソーサ:2011/02/11(金) 22:10:23 ID:AvPkkygQ
タイトル「上琴VS美鈴」

・2人が付き合って1ヶ月のこと

上条「あ、美鈴さんどうも久しぶりです。」

美鈴「あら美琴ちゃんに当麻くん、久しぶりね〜。」

美琴「こっちにきてたの!?来たなら連絡くらいくれればいいのに!」

美鈴「ごめんね美琴ちゃん。でも2人のデートを邪魔しちゃいけないと思ってね〜。」ニヤニヤ

美琴「別にちょっとくらいいいわよ!当麻とは毎日デートしてるわけだし。」

上条「そうですよ!俺達は美琴に毎日会えるけど美鈴さんはなかなか会えないんですから。」

美鈴「(予想してた反応と違うわね…)ありがとね2人とも!でも今日はまだ用事があるから…」

美琴「そうなの?じゃあ今度都合がいいときに連絡してよね。」

美鈴「ええわかったわ。……あと2人とも仲が良いのはいいことだけど…」

上琴「「?」」

美鈴「美琴ちゃんが結婚式でバージンロード歩くまではバージンはとっておきなさいよ♪」

上琴「「!!?」」

上条「け、結婚式!?バ、バージンロードって話が早すぎるんじゃ!?(結婚はともかくバージンって…)/////」ボンッ!!

美琴「け、結婚…バージン…ってことはつ、つつつまり当麻とあんなことやこんなことを……////////////////」ボンッ!!

美鈴「2人とも真っ赤ね〜♪じゃまたね〜!」


WINNER:美鈴

701ソーサ:2011/02/11(金) 22:12:06 ID:AvPkkygQ
タイトル「いちゃいちゃしようぜ!〜バレンタイン〜」

・上条の寮にて

美琴「もうすぐバレンタインか〜当麻はどんなチョコがほしい?」

上条「ん?美琴たんのチョコならどんなチョコでも上条さんは喜んでいただきますよ?」

美琴「ん〜どんなチョコでもって言われるとな〜…」

美琴「……(もちろんチョコは手作りよね!まあそれは基本中の基本だわ。)」

美琴「(問題はどんなチョコにするか…無難にトリュフ?)」

美琴「(いやいやせっかくなんだからもっと気合入れてチョコケーキ?)」

美琴「(…ケーキは少しくどいかしら?ならもっと奇抜なチョコとか?)」

美琴「(奇抜…!チョコフォンデュとかいいじゃない!)」

美琴「(あ…でもそれだとチョコは溶かすだけか…これじゃチョコを作ったことにはならないわね…)」

美琴「(なら何個かのうち1個が辛いロシアンルーレットチョコ…)」

美琴「(だめだ…バレンタインにプレゼントするチョコじゃないわ…)」

美琴「(驚きはするだろうけど驚かせかたが論外よね…チョコ…溶かす…奇抜…驚き…………は!!!)」

美琴「(溶かしたチョコを私に塗って…そ、それで“私を食べて…”とか!?)/////////////」

美琴「(これなら奇抜だし驚くだろうし……うう…考えるだけで恥ずかしい……で、でも当麻が喜んでくれるなら!)///////」

上条「美琴ー?さっきから様子がおかしいけど体調でも悪いのか?」

美琴「ふえ!?いいいいや大丈夫よ!!な、なんでもないわ!!///////」

上条「…いや、明らかに何か隠してるだろ…体調のことじゃないとすると…バレンタインのことか?」

美琴「!?」

上条「無理して考える必要ないぞ?ほんとになんでもいいからな。」

美琴「う、うん…頑張るね当麻!」

上条「(あーもう可愛いな!そうだちょっとからかってやろ)なあ美琴?」

美琴「なーに当麻?」

上条「なんでもいいって言ったけど体にチョコ塗るとかはなしだぞ?」ニヤニヤ

美琴「え!?ダメなの!?」

上条「え!?(ま、まさかさっき考えてたとか!?)」

美琴「へ…あ!?(しまったーーー!!!!!)」

上条「………そ、そのなんだ、それはちょっとやりすぎかなー…みたいな…」

美琴「(こ、こうなりゃやけよ!!)と、当麻は…私のチョコいらない?」ウルウル

上条「(ズッキューン!!上目使い反則!!)いります!すごくいります!」

美琴「えへへ〜当麻大好き!バレンタインは期待しててねっ!!」ギュッ!!


美琴がバレンタインにこのことを実行したかどうかは各自ご想像ください。

702ソーサ:2011/02/11(金) 22:15:56 ID:AvPkkygQ
以上2つです
前回の投稿にコメントくださった方々ありがとうございました
コメントをエネルギーに次も頑張ります!

Mattariさんコメントどうもでした
SSいつも楽しみに見させていただいてます
次のSSも頑張ってください!!

703■■■■:2011/02/11(金) 22:31:45 ID:2fRyS.1s
>>700
さすがです美鈴さんww

704■■■■:2011/02/11(金) 23:02:06 ID:bejrw7I6
>>702
初黒星はやはり美鈴さんかw
バレンタインネタ……ごちそうさまですw
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

705■■■■:2011/02/12(土) 00:23:36 ID:zp7aZyqs
>>702
GJ
SSで見る美鈴さんは何故か下ネタがレパートリーに入ってるなwww
この手のSSではだいたい「バージン」という単語を好んで使ってるっぽい
美琴のチョコ→身体に塗る、はもはや王道なキガス。
理由は不明

706■■■■:2011/02/12(土) 01:02:01 ID:kO25Mbbw
>>702
GJ!流石美鈴さんだな

707■■■■:2011/02/12(土) 01:55:32 ID:YKV7TGIw
>>692
GJです。
「分からない」「判らない」「解らない」
私も時々使う表現方法ですが、使いドコロが難しいんですよね。
お見事です。

次回作、期待しております。

708■■■■:2011/02/12(土) 02:11:04 ID:C4S.RjxQ
こんばんは。お昼頃に投下した>>692です。
暖かい励ましや感想、感謝です。
まとめ人さんには、素敵なタイトルまで付けて頂いてありがとうございます。
なんとか続編(?)が完成しましたので、投下したいと思います。

709■■■■:2011/02/12(土) 02:11:41 ID:C4S.RjxQ
「ようするに……これはチャンスってやつなのかしら………」
ルームメイトの視線を気にしつつも、美琴は先ほど送られてきた上条からのメールを読んで呟く。
「やりすぎたかなって思ってたけど、結果オーライってやつね、うん」
「ていうか……この文面からすると…もしかしてアイツ……私のこと……」
「っ〜〜、無い無い!……アイツは素でそういうこと言っちゃう奴なのよ」ブンブンと首を振り、ふと浮かんだ淡い期待を打ち消す美琴。
(いい加減にして欲しいですの……お姉さまのああいった表情が見られるのは嬉しいのですが……それにも限度と言うものがありますの)
もやもやとした感情を抱きながら、白井は、段々とヒートアップしていく美琴の様子を眺めている。
「で、でもでも!……もしかしたらってことも!………いや………あ〜……けど……いっそ私の……迫れば………アイツ……」
(楽には殺しませんわよ!……あの類人猿めがああぁぁぁぁぁ!!)
黒い感情に支配された白井には、もう美琴の呟きは断片的にしか耳に入ってこなかった。
"いっそ私の……迫れば……"この部分だけで、白井の中では、上条当麻ブチ殺し確定となった。
「ばっ馬鹿っ!こんなところで……けど……当麻がどうしてもって言うなら………」美琴の呟き(妄想)は止まる気配を見せない。
冷酷非情な真っ黒子が誕生した。
(ケッケッケ……類人猿め…貴様の寿命も今日限りですの……)ユラリと立ち上がった白井は、金属矢を取り出し尖り具合を確認する。
「何言ってるのよ……OKに決まってるでしょ。………不束者ですが……」黒くなったルームメイトとは対照的に、美琴は真っ赤になっていく。
「えーと、………どうしよっか……初春……」二人の奇行に固まっていた左天は、隣で同じように固まっていた初春に囁く。
「さ、さあ……どうしましょうか……左天さん……」あまりの事態に頭が働かない初春は、そう返すのがやっとであった。
リッチなお嬢様気分を味わいたい、と二人の部屋を訪ねたのは、どうやら失敗だったようだ。
ビクッと、突然左天の体が震えた。どうしたのかと左天の視線の先を追ってみると、そこには………。
リンゴのように真っ赤な顔をした美琴が、青白いスパークを発生させていた。「「ま……まさか……」」
"ビリビリさえなければ………"そんな上条の願いが叶う日が果たしてやってくるのだろうか……それは誰にも分からない。

710■■■■:2011/02/12(土) 02:15:36 ID:C4S.RjxQ
いかがでしたでしょうか?
稚拙な文ではありますが、みなさんの暇つぶしにでもなれば幸いです。
では、これにて失礼します。

711■■■■:2011/02/12(土) 04:23:47 ID:zp7aZyqs
>>710

美琴は17巻で上条さんに指摘されちぇいさーを卒業した臭いので一つ一つ丸くなって欲しいですな
あと「…」が少し多いような気がしマッスル
小説だと統一的に「……」で2つ連続する形がポピュラーかなあと
たまにいっぱい取る時もあるけどそれは『間』を多めに取る手法だから通常は「……」でいいと思う

712■■■■:2011/02/12(土) 10:08:20 ID:kWEPp9to
ソーサさん GJです
やっぱり美鈴さんは無敵だwww

713■■■■:2011/02/12(土) 11:27:48 ID:TT1G2o/g
佐天さんの漢字が違ちがっているよ…(^^;

714■■■■:2011/02/12(土) 11:35:36 ID:t8H/yzMs
>>710
出来れば、タイトルは自分で付けて欲しい。
タイトルでネタバレする場合があるのでwww

空行を入れると読みやすくなるかも。
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

715■■■■:2011/02/12(土) 11:44:28 ID:cQztYrEI
>>710
そうだね、タイトル付けるのも作者の楽しみの一つだから。
もちろん上手いタイトル思いつかなくて悩むこともあるけど、自分の中でカッチリはまったときは
なんとも言えない快感になるよ。

後、もう少し時間かけても構わないから頑張ってもうちょっと長い話にしてみたら、もっと面白く
なるんじゃないかなと思う。
聞き流してくれていいけどw
なにわともあれGJ!

716■■■■:2011/02/12(土) 15:13:43 ID:7Oa9ZQvo
あげ

717Mattari:2011/02/12(土) 16:17:17 ID:YKV7TGIw
>>702
ソーサさん、やはり最強は美鈴さんですね。
コレはもう誰も文句言わないでしょう。w

それと、美琴チョコは私もネタとして考えたことがあるんですが……。
話の流れからボツにしました。
ソーサさんのように、「サラリ」と使えるとイイんですけど……。なかなかネスケなモノで……。

さて、執筆中(んな大袈裟なモンか?)の「見知らぬ記憶(中編)」ですが、一応明日投下させて予定です。
たださすが完結まではまだまだで……。かなり苦しんでいると言うのが正直なところです。
ですので途中まで……ということになると思います。
前編と中編の行間ストーリーは完成してるんですが……(オイオイ)。

で、本編のストーリーに詰まった時に、気晴らしに書いたネタを投下させていただきたいと思います。
(んなことしてるから、本編が進まないんですけどね……σ(^◇^;))
思いつくままに書いたもので、オチが弱いんですけど……。

タイトルは「さいごのバレンタイン」です。この後、5スレほど使わせていただきます。

718さいごのバレンタイン:2011/02/12(土) 16:18:45 ID:YKV7TGIw

さいごのバレンタイン

 先日、街で御坂を見かけた。
 男と一緒だった。
 年はオレより少し上くらいだったろうか?
 オレには見せたことのない笑顔を見せていた。

「オレには関係ないし……な」

 そう思った。
 でも……。
 あの日以来、なぜかイライラする。
 御坂のあの笑顔が頭から離れない。
 オレの見たことのない笑顔。
 数えるほどだが、アイツの笑顔を見たことがある。
 アイツの笑った顔は可愛いと思う。
 でも……オレの前ではいつも怒っているか、怒鳴っているか、素っ気ないか。
 そのどれかしか見た記憶がないくらいアイツはいつも怒ってる。

 一度だけ、御坂の泣き顔を見たことがあった。
 その時、コイツにだけは『笑っていて欲しい』と思った。
 コイツの笑顔を取り戻せるのなら、どんなヤツとでも闘ってやると思った。
 だから、学園都市の第1位と闘った。御坂とその家族をを助けるために。
 そして、その闘いが終わった後に『お前は笑っていてイイんだよ』と言ったんだ。

 何処かでその笑顔が自分に向けられることを期待していたのだろうか?
 そんなことはない。
 オレは、オレの目の前に助けを求める人が居たら助けるだけだ。
 ただそれだけ。それ以外は考えたこともない。
 それにオレは御坂に嫌われている……ハズだ。
 でなきゃおかしい。
 会う度に怒鳴られ、怒られ、挙げ句の果てには電撃で攻撃してくる。

 いつも、オレの右手に宿る力【幻想殺し(イマジンブレーカー)】で防いじゃいるが、いつ当たるか気が気じゃない。
 あんなのを一発でも食らったら、オレは間違いなくあの世行きだ。
 だが、それを御坂に悟られる訳にはいかない。
 知られたら、もっと恐ろしい攻撃を仕掛けられるに決まっている。
 だからいつも、余裕かました態度で捌いちゃいるのだが……どうもそれが気に入らないらしい。
 その割には、事ある毎に絡んで来るんだよな……。
 キライなら無視すりゃいいだろうに……。

 いつだったか、アステカの魔術師と約束したことがある。
 『御坂美琴とその周りの世界を守る』と。
 いつでもドコでも駆けつけて、アイツの笑顔を守る。と、そう約束した。
 その約束ももう終わり……かな?
 アイツの笑顔を守るのは別のヤツの役目になるだろう。

 でも……だったらオレは何でこんなにイライラしてるんだ?
 オレは御坂のことなんか何とも思ってない。
 思ってない……ハズだ。
 思ってない……と思う。
 アイツの笑顔は可愛いとは思うけど……。

「オイ、上条!」

「わっ!?ビックリした……何だ、災碁か」

「ほほう〜、ワシのことを呼び捨てにするとはいい度胸だな?何ならこれから柔道場に行って受け身の練習につき合うか?」

「スイマセンスイマセン災碁大先生私上条当麻めはコレから大事な食料品の調達に出掛けねばなりませんその練習につき合うことになると私めは明日の朝には餓死死体と化してしまっているかも知れませんのでそれだけは平に平にご容赦を〜」

「土下座しながらそれだけのセリフを一気に言えるとはな……その点は感心する」

「(変なトコに感心すんじゃねぇよ)」

「ん?何か言ったか?」

「い、いえ、別に……(地獄耳は相変わらずかよ)」

「それより、何か悩み事でもあるのか?さっきから変な動きばかりしおって。他の生徒が気味悪がってワシのところに連絡が来たんで見に来たら……という訳だが……」

「……ヘッ!?……(お、オレってそんなに変な動きを……)」

「悩むのはイイが、少しは周りのめを気にしろよ。学校内だからイイようなものの、外なら通報されるぞ」

「……き……気をつけます……」

「お前が捕まるとワシらがまた呼び出されるからな。そうでなくてもお前らデルタフォースは……」

「補習や追試で手間かけてるんだから、少しは大人しくしろ!!……ですよね?」

「分かっとるならイイ」

「へいへい……」

「何だ?もう悩みの方はイイのか?」

「災碁先生にいっても解決しそうにねぇし……」

「何だ、色恋沙汰か?」

「(ギクゥッ!!)」

719さいごのバレンタイン:2011/02/12(土) 16:19:28 ID:YKV7TGIw

「フン、何だ当たりか?確かにワシじゃあ相談に乗れそうも無いがな、ガハハハハ」

「分かってんなら、もうイイでしょ?」

「しかし、ウジウジ悩むとは、お前らしくないな?上条」

「えっ!?」

「お前なら悩む前に動くと思っとったがな」

「そ、そんなこと……」

「何だ?……もしかして……自分の気持ちが分からんのか?」

「そっ……それは……」

「図星か」

「うっ……」

「お前はその子のことをどう思っとるんだ?」

「……(わかんねぇ……)……」

「何だ?ハッキリ言わんか!!」

「分かんねえんだよ!!オレが御坂のことをどう思ってるか何て……考えたこともなくて……」

「……」

「確かにアイツの笑顔は可愛いと思うけど……それはオレに向くはずのないモノだし……」

「彼女がそう言ったのか?」

「いや……でも、何かあると突っかかってきて、怒って、怒鳴って、能力使って攻撃してきて……」

「能力を使ってとは、また穏やかじゃないな……」

「そんなにキライなら、関わらなきゃイイと思うんだけど……さ……」

「フム……」

「この前、アイツが男と歩いてるところを見て……それ以来、何でか知らないけどイライラして……でも……」

「でも、自分の方を向いてくれるはずはない……か?」

「……」

「上条、お前それを確かめたのか?」

「んなッ!?……んなこと出来る訳ねぇだろう!!!」

「なぜだ?」

「なっなぜって……そんなの……恥ずかしいし……もし断られたら……、……と思うと……」

「断られたら……どうなんだ?」

「えっ!?」

「断られたら……お前はどうなるって言うんだ?」

「そ、……それは……」

「そう思うのは、その子のことが好きだからじゃないのか?」

「え……『好き?』……オレが、……御坂を……『好き?』……」

「断られるのが怖いから、お前は動けないんじゃないのか?」

「怖い……断られるのが……怖い?」

「どうもお前は、人の気持ちにも自分の気持ちにも無頓着すぎるな」

「う……」

「お前はいつも「不幸だ」「不幸だ」と言っとるが、自分の気持ちに気付けんことほど“不幸”なコトはないぞ」

「えっ!?」

「自分の気持ちに気付けんと言うことは、自分と向き合っとらん証拠だからな」

「自分と……向き合う?」

「自分の中にどんな気持ちがあるのかを自分で確かめる。ということだ。それが出来ん限り“不幸”から抜け出すことは出来ん」

「……」

「自分が本当にしたいことは何なのか?それを自分が一番分かっていれば、自分の軸はずれん。自分は自分だと胸を張れる」

「オレの本当にしたいこと……」

「だが、それが分かっていなければ、自分の軸がどんどんずれて行く。そして自分のしたいことが分からなくなる。自分が何者なのかすら分からなくなる」

「自分が何者なのかが……分からない……」

「……とまあ、エラそうなコトをいったが……全部ワシの師匠の受け売りだ。ガハハハハ」

「……何だよ、カッコ付けやがって……」

「まあ、そう言うな。だがな……」

「ん?何だよ?」

「ワシも古武道の修行の中で、それを体験したよ。修行を止めたいという自分も居れば、強くなりたいと願う自分も居る。どちらが本当の自分なのかと自問自答を良く繰り返した」

「で、どうなったんだ?」

「悩んで、悩んで、悩み倒して……でも結局答えは出んかったわ」

「何だよ、それ?」

「だがな、悩む度にワシは前に進むことを選んだ。ワシの中の『前に進みたい』と思う心だけは分かっとったからな。だからその心に従っただけだ」

「へぇ……」

「まあ、今の嫁と結婚出来たのも、そのお陰だしな」

720さいごのバレンタイン:2011/02/12(土) 16:20:20 ID:YKV7TGIw

「なっ、何ィ〜〜〜!?あっアンタ、結婚してたのか!?」

「何を言う。もうすぐ子供も生まれるんだぞ」

「うっ、ウソだろっ!?もしかして相手は……メスゴリラ?」

「ん〜、何だ上条、そんなに道場に行きたいのか?」

「あっ、イヤッ、そういう意味では……」

「まあ、そう言われても仕方がないのはワシが一番自覚しとるわ。だがな……だからこそ、ワシは前に進むことを選んだんだ」

「えっ!?」

「相手の気持ちを確かめもせずに諦めるよりも、断られてもイイから“前に進んで”相手の気持ちを確かめることをワシは選んだ」

「前に進む……」

「人間というのは、やったコトよりも、やらなかったコトの方を悔やむらしいな。だったら、同じように後悔をするんなら自分の気持ちに従って“前に進む”方をワシは選んだだけだ」

「やったコトよりもやらなかったコトを悔やむ……」

「ただ、その時に誰かに背中を押して貰ったのも事実でな……。その時にその背中を押された人に言われたんだ」

「え……何を?」

「今度お前がお前と同じように悩んでるヤツを見つけたら、そいつの背中を押してやれ。オレがお前の背中を押したことを有り難いと思うのなら、お前も誰かの背中を押してやれ。それがオレのやったことは正しかったことの証明になる。とな」

「……」

「上条、お前はどうする?“前に進む”か?それとも“諦める”のか?」

「お、オレは……」

「まあ、お前がどちらを選ぼうがワシには関係ないがな。ただ、これだけは言っておいてやろう。男なら当たって砕けてこい!!!」

「……オイ、何で“砕ける”コトが前提なんだよ!!!!!」

「バカのお前にそれ以外の選択肢があるとは思えん」

「だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜断言しやがった!!!」

「文句があるなら、成績を上げろ」

「うっせえ、うっせえ。どうせ上条さんはおバカですよ〜だ」

「そういうトコロがガキだと言うんだ」

「フン、うるせえよ……ったく、……じゃあな、災碁先生。サンキューな」

「ああ、ガンバレよ」

「ヘッ……当たって砕けてくるわ」

「そうだ、上条。一つ良い事を教えておいてやろう」

「ヘッ!?良い事って?」

「今日はバレンタインだろう?日本じゃ女の子が好きな男にチョコを送る日ってコトになってるが、海外じゃ親しい恋人や家族に贈り物をしたり、告白したりする日なのだそうだ。別に男の方から告白してもイイそうだぞ」

「へぇ……そうなんだ……じゃあな、先生」

 そう言って上条は薄っぺらのカバンを手に持ち、それを肩に担いで歩き出した。
 その後ろ姿を見送る災碁先生の横に、小萌先生が近づいてきた。

「災碁先生、お手数をおかけしてしまったのです〜」

「いえいえ、小萌先生のお頼みなら断れませんので……」

「上条ちゃんが元気がないと、ウチのクラスは火が消えたようになってしまうのですよ〜」

「確かにアイツは、いい意味でムードメーカーですからな」

「そうなのです〜。だから私としては上条ちゃんに何時も元気でいて欲しいのです〜」

「ですな」

「それにしても、災碁先生。ウソはイケないと思うのですよ〜?」

「えっ!?ウソ?」

「そうなのです〜。結婚なさってるなんてウソはどうかと思うのですが〜」

「ウソも何も、ワシは本当に結婚しとりますが?」

「え゛っ!?」

 『ピリピリピリピリ……』

 小萌先生が信じられない事実を耳にした時、災碁先生の携帯が鳴った。

「あ、災碁です。あっ、先生。ハイッ、ハイッ。あ、ハイッ。それではすぐに向かいますんで……、ハイッ。わざわざありがとうございます」

 そう言って災碁先生が電話を切ると

「小萌先生、申し訳ありませんが急用が出来ましたんで、コレで失礼させていただきます。では!!!」

 というと、その巨体をダッシュさせ何処かに行ってしまった。
 後には小萌先生が一人、何か聞いてはイケないことを聞いてしまったような表情で、ただ立ち尽くしていた。

721さいごのバレンタイン:2011/02/12(土) 16:21:01 ID:YKV7TGIw

「ん?何だ。今日はバカが早い……じゃなく、バカに早いじゃないか。上条」

「……ワザと言ってんだろ?」

「ガハハハハ、まあそう言うな。ところで、どうだったんだ?昨日は?」

「えっ!?……ま、まぁ……その、……砕けずには済んだ……」

「……」

「なっ、何だよっ!?その“信じられん。絶対に信じられん!!!お前、絶対ウソ言ってるだろう”って顔はよっ!?」

「信じろと言う方が無理だ」

「淡々と言うんじゃねぇ!!!もう少し感情を込めろ、感情を!!!」

「いや、悪い。ワシは急用を思い出したので……」

「帰るなぁ〜〜〜!!!!!」

「今日は朝からテンションが高いな、上条」

「アンタのせいだろうが!!!アンタのっ!!!!!(ゼーゼー、ハーハー)」

「まあ、何にしても良かったじゃないか?ん?」

「そ、そりゃ……まあ……。とりあえず、サンキューな。災碁先生」

「うむ……あ、そうだ。上条」

「えっ!?まだ何かあんのかよ?」

「先週のテスト、お前赤点だったからな。今日からみっちり補習だ。覚悟しておけよ」

「え゛……そ、それは……う、ウソでせう?……ウソでせうよね?」

「ワシがウソを言ったことがあるか?」

「み、美琴とのデートが……糸色〜〜〜(ずぇ〜っとぁい)〜〜〜文寸に打たれる……。【超電磁砲(レールガン)】で打たれる……」

「ん?どうした……上条」

「……ふっ……、ふっ……、不幸だぁぁぁぁああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」

「どうしたんだ?アイツ。……やはりウソだったんだな」

 盛大に勘違いしている災碁先生だったりするのだが……まあ、それもコレも上条の“不幸”ということで……。
 で、その日の放課後……。
 デルタフォースが揃って補習を受けている訳だが……。

「上やん、ウソをつくんならもっとマシなウソをつかないとダメだにゃー」

「そやで、上やん。あの災碁が結婚してるって……そんなこと天地がひっくり返ったってあり得るはずがあらへんがな」

「いや、だってよ、本人が言ってたんだぜ?」

「絶対に見栄を張っただけに決まってるにゃー」

「そやそや、話の流れで上やんを納得させるためやったんや〜」

「でもなぁ……もうすぐ子どもも出来るとか何とか……」

「「なっ、何ぃ!!!?????」」

「災碁の子ども……もし、アイツにソックリの女の子だったら……」

「いくら守備範囲の広いボクかて、それだけは無理やでぇ〜」

「「ギャハハハハハ……」」

「お前ら、それは、言い過ぎだろ?」

「オイ、貴様ら……」

「「「ヘッ?」」」

「貴様ら、今一体何の時間だと思っとるんだ?」

「「「あ……」」」

「しかも、ここでワシが何をしとるか判っとるのか?貴様ら」

「「「ガクガクブルブル(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル 」」」

「土御門。ワシ似の女の子がどうしたって?」

「い、い、い、いえ、そっそっそっそそれはぁ……」

「青ピ。守備範囲がどうしたってぇ〜?」

「ぼっぼっぼっぼぼっぼぼぼぼぼぼボク、そそそそそそそそそんなこと言うてまへん……がな……」

「上条」

「はっ、ハヒィィイイイ……」

「帰っていいぞ」

「ヘッ!?」

「貴様は帰ってイイと言っとるんだ。それとも、コイツらと一緒に道場で受け身の特訓を受けるか?」

「「ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」」

「そっ、そんな上やんだけどうして免除何だにゃー」

「そやそや、同じように話してたんなら同類やんか〜」

「上条は昨日、フラレとるんだ。その傷心を癒す時間をやろうと言っとるだけだ。お前らは……」

「んじゃ、お二人さん、ガンバレよぉ〜」

「コラッ、上やん、何を勝手に見捨ててるんだにゃー」

「頼む、上やん、後生やさかいに見捨てんといて〜」

「イヤッ、オレ、昨日フラレたらしいんで……(身に覚えはないけど……)……ってコトで……」

「「上やん、助けてぇぇ〜〜〜〜」」

722さいごのバレンタイン:2011/02/12(土) 16:22:04 ID:YKV7TGIw

 悲痛な叫びも虚しく、災碁先生にズルズルと引き摺られ、道場へと連れて行かれる二人。
 それを見送りつつ、携帯で美琴に連絡を取ろうとした上条だったが……。
 ふと気が付くと、横に小萌先生が“ボーッ”と立っていた。

「アレッ!?小萌先生、どうしたんです?珍しく“ボーッ”としちゃって……」

「……あ、上条ちゃん……いえ、ちょっとショックな出来事が……」

「ショックな出来事……?」

「先程職員室で、災碁先生が……」

 どうやら昨日、災碁先生ご夫妻には待望の第一子が誕生したらしい。
 喜び一杯の災碁先生は、その子供の写真を先生達に見せて回っていたらしいのだが……

「その写真がコレなんですけどね……」

 と小萌先生が差し出す写真を見た瞬間……上条は固まった。
 そこには……

「おめでたいことなんですけど、どう言葉をかけて良いやら……どうしましょうか?上条ちゃん……」

 その差し出された写真には……
 満面の笑みで、生まれたばかりの我が子を抱きかかえる災碁先生と
 その災碁先生に瓜二つの女の子。

 そして……お産の疲れなのか?はたまた、生まれたばかりの娘の将来を心配してなのか?
 かなり疲れたご様子の奥様が写っていた……。

 〜Fin〜

723Mattari:2011/02/12(土) 16:29:45 ID:YKV7TGIw
いかがでしたでしょうか?
途中まではイイ感じで進められたのですが、オチがやはり……。

災碁先生の設定は、原作にもないものですが、ストーリーの都合でそうさせていただきました。

美琴とのイチャイチャも敢えてカットしました。
ですのでココには合ってないのかも知れませんが……。
そちらのストーリーはバレンタイン当日に……投下をと考えております。

ただ、毎回苦しむのですが、当麻の心理描写ってのが相変わらず難しくて……。
ホントにまだまだ精進が足りない。心の中の探求不足を感じています。

ではでは、お楽しみ頂ければ、幸いです。<(_ _)>

724■■■■:2011/02/12(土) 16:42:25 ID:86w87/5c
>>723 GJ!
「さいごの」ってそういうことだったんですか〜。欝展開を想像したら
愉快に裏切られました。
しかもちゃんと美琴のストーリーも用意してあるってこれは期待せざるを得ません!

725■■■■:2011/02/12(土) 17:37:58 ID:VEJV0Evg
災誤だよな?

726■■■■:2011/02/12(土) 18:19:50 ID:C4S.RjxQ
遅くなりましたが、>>692>>710です。

>>711
読み直してみると確かに多すぎですね。
気をつけます。

>>713
うあぁぁぁぁ、なんて恥ずかしいミスを……orz

>>714
う、すみません(><;)
今回は、「あふれる感情に身を任せて」でお願いします。

>>715
すいません。あれより長い縦の文句が思い浮かばなかったもので><;
機会がありましたら、挑戦してみようと思います。


みなさん、ご指摘ありがとうございました。
それでは失礼しますm(_ _)m

727■■■■:2011/02/12(土) 19:55:38 ID:t8H/yzMs
>>723
災誤先生、肉体派かと思えば……GJですなw
美琴といっしょにいた男は、ていとくん?
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

728■■■■:2011/02/12(土) 22:13:01 ID:TVTStMPc
やっほ、帰ってきたよ。上琴好きのみんな。(番外固体っぽく)
つーわけで、9-452です。バレンタインネタ(?)を一つ落としていきますね。
タイトルは「こんな上琴の交際開始〜バレンタインが近いから便乗しちゃいました〜」で。

・2/14は休日設定です。
・第三次大戦終了後の事になるので、実質22巻からの分岐です。
・第三次大戦での上条さんの活躍は公式には抹殺されてます(その代わりに多額の資金提供が上条さんに行われています。政治取引ってやつですね。話には殆ど関係ないですがw)
・自分自身のブランクが想像以上に大きく、ちょっと話がおかしな方向に転がってます。
・なんかキャラ崩壊してる気がするけど気にしたら負けだと思う。
・22:15を目処に投下します。多分4レス(もしかしたら3レスかも)。

7299-452:2011/02/12(土) 22:16:03 ID:TVTStMPc
「ふんふふん、ふんふふん、ふんふんふん♪」
上条当麻はいつになく上機嫌で街中を歩いていた。
目的は買い物だが、特売品目当てで急いでいる様子でもない。

何故なら、今日は幸運なことが続いているからだ。
折角の休みをインターホンの呼び鈴で起こされたのは多少不幸ではあったが、訪れた来客からチョコレートをもらえた。
また、それとは別に宅配によって朝から家に送られてくる大量のチョコレート。
知っている名前もあれば、「さて、誰でせうか?」と首を傾げたくなる名前まで、それはそれは数多くのチョコレートが届けられた。
(中には五和や舞夏のように、チョコレートに合う紅茶などをくれた人もいるが)
正直、その量は一日や二日で消化できるものではないのだが、幸いにも今の上条家には学園都市に(文字通りの意味で)遊びに来ている腹ペコシスター・インデックスが居る。
インデックスの来日スケジュールを考えると、今回の来日では食糧問題に悩まされる事がなくなった可能性が非常に高くなっていた。
そのインデックスは今日は小萌先生や姫神の家に遊びに行っているので、それもまた上条の足取りを軽くさせていた。
午前のタイムセールを制して食料を手に入れる必要が無いし、何より夜も多少帰りが遅れたところで、チョコレートで場を持たせることが出来る故に、頭を噛まれる危険性もかなり低くなっているからだ。
それに加え、学生最大の難関、学年末試験は既に終わり、追試や補習の確定までにはまだ暫く時間がある。
試験前には色々とあったものの、優秀な家庭教師を雇えたお陰もあって、今回は奇跡的に追試や補習を免れることが出来るかもしれない状況にあった。
家庭教師の指導は厳しく、部屋の整理整頓や食生活、健康管理など、日常生活のありとあらゆる部分を改善させられることになったのだが、それはまた別のお話。


ほぼ同時刻、場所は変わって…
「ったく…、あのバカは何処をほっつき歩いてるのかしら」
その家庭教師・御坂美琴は上条宅の前でインターホンを鳴らしつつ、悪態をついていた。
昨日、友人の佐天涙子と協力し、丸一日かけてチョコレートを作ったまでは良かったものの、帰寮後ベッドの中で数々の脳内シミュレート(大概は年齢制限に引っかかるところまでシミュレートが進んだのはご愛嬌)を行った結果寝付けなかった上、今朝は今朝で白井黒子に捕まってしまい出遅れてしまったのだ。
結局、美琴は上条宅の前で10分ほど待ったのだが、上条が戻ってくる気配は無い。
(音沙汰なし、か。これ以上待ってても無駄ね。どこかに探しに行こうかしら)
美琴はそう考え、上条宅を後にした。

「(せっかくのチャンスだと思ったんだけどな…。今日、私の思いを全て伝えてしまいたいのに…)」

7309-452:2011/02/12(土) 22:16:52 ID:TVTStMPc

10月31日、美琴は極寒のロシアで上条を目と鼻の先にその姿を捉えておきながら、手を繋げることさえ叶わなかった。
要塞と共に消えた上条を追った美琴が北極海で手に入れたのは、傷ついたゲコ太ストラップだけだった。
失意と絶望と憔悴の中で、目の前の「色」を失いながらも、それでも美琴は上条を求め、探し続けてきた。
学園都市に戻ることになっても、最後の最後まで美琴は抗った。学園都市に戻っても、美琴は上条の手がかりを求め続けた。
そこに、学園都市の象徴、常盤台の超電磁砲、最強無敵の電撃姫などの異名を誇った逞しい姿は存在しなかった。
自分を唯一女性として見てくれた、失いたくない大切な存在として見てくれた、そんなかけがえの無い「男」を捜し続ける「女」が居た。
その姿を見た者は口を揃えてこう言った。
「今の美琴を止めることは出来ない。止めてしまえば、美琴は美琴でなくなってしまう」 と。

そんな訳で、上条当麻発見・帰国の報は、冥土返しを通して、かなり早い段階で美琴の耳にも届いていた。
一通りの情報を冥土返しから得た美琴は、上条が帰国することになっていた23学区の空港で、上条を待ち構えた。
一時的に上条の存在が第三次世界大戦と相俟ってクローズアップされていた時期でもあり、生中継の放送も含め、空港には多くの報道陣が居た。
そんな中、上条が空港のロビーに姿を見せた。一斉にフラッシュや声が飛び交い、空港を喧騒が支配する。

美琴は、上条の姿を見つけると、胸の中にしまっていた感情を抑えきれなくなり、人目を憚ることなく規制線を飛び越え、上条へと全身を投げ出すようにして抱きついた。
上条は少し驚きながらも、ふらつく事無くしっかりと美琴を抱きとめ、その背中に手を回した。
上条の手の中にすっぽりと納まった美琴は、上条の胸に自分の顔を押し付けながら、ただひたすらに「会いたかった」と言い続けた。
上条は何を言うでもなく、黙って美琴の言葉を受け入れ続けていた。美琴の目には、「色」が戻ってきていた。

それはまるで、ドラマのフィナーレの1シーンのような光景だった。と、美琴を良く知る人間は口を揃えてそう言った。
美琴が上条と結ばれることに対して最後まで抵抗していた白井黒子でさえ両手を上げてしまうほど、そのシーンは劇的に、鮮やかに彩られていた。

もっとも、そのシーンがあまりにも絵になりすぎたために上条の認知度が更に上がり、「上条ファン」とも言えるような人間が増えたことや、その後のゴタゴタのお陰で、10月31日に美琴が決意した事が何一つとして未だに達成されていないのは何とも皮肉な話ではあるのだが。

7319-452:2011/02/12(土) 22:17:47 ID:TVTStMPc

結局、真っ直ぐ寮に帰る気になれなかった美琴は、いつもの公園へと足を運んでいた。
いつもの自販機の前、そこに何時に無く上機嫌に見えるツンツン頭を、美琴は見つけた。

「(あっ…居た…)ね、ねぇ、アンタ!」
「ん?ああ、御坂か、どうした?」
「(すぐに気付いてくれた?)…あ、あの、さ…」
「?」
「こ、これ…」
「ん?箱…?」
「…う、うん…」
「取りあえず、開けてみて良いか?」
「ど、どうぞ」
「じゃ、遠慮なく…おお、チョコレートかー」
「ちょこっとだけど…ね…これでも一応手作りなんだからね!感謝しなさい!」
「(朝からチョコレートばかり見てるが、これは…。トリュフってやつだっけか。一つ一つが食べやすい大きさだし、形も丸くて良い。御坂はちょっとと言っているが、普通に店に並んでいそうなくらいに丁寧に仕上げてある。これが手作りって常盤台は凄いな…)」
「一口、食べて良いか?」
「どうぞ。ビターに仕上げてるから少し苦いかもしれないけれど」
「………」
「…ど、どうかな…?」
「うん、美味い!苦味の中にほんのりと香るカカオの匂いが良いアクセントになってる」
「そ、そう、良かった…」
「でも、急にどうしたんだ?チョコレートなんて。確かに今日は朝から沢山チョコレート貰ってるけど、何かのブームなのか」
「ア、アンタねぇ…」
「…ん?」
「今日が何の日かも覚えてないわけ!?今日はバレンタイン・デーでしょ!」
「…!ああ、そうか、それでか(そういえば、バレンタインはそんな日だったな…)」
「「…」」
「(何か空気が重いんですが!?ここは取りあえず…)」

「ありがとうな、美琴」
「え、み…?」
「最近は色んな事を御坂に教えてもらって、色々と身の回りの世話までしてもらっていて、それなのに自分からは何も出来なくて、本当に申し訳ないと思うんだ」
「べ、別にそれは…」
「だから、俺からも、何か美琴にお返しがしたい。このまま色々としてもらうだけなのは、なんだか納得がいかないし…」
「「…」」
「じゃ、じゃあ…」
「…」
「ちょっとだけ、私の話を聞いて欲しいな」
「?ああ、良いぞ」
「(何だか話の展開が急だけど、今しかない!今なら勢いに任せて全部言える気がする!)」

「…アンタはね、私にとって、唯一無二のかけがえの無い存在なのよ」

7329-452:2011/02/12(土) 22:18:35 ID:TVTStMPc

「一方通行と戦って、私と1万人近い私の妹を救い出したあの日、少なくとも私は、あの日からアンタに惹かれてた」
「偽デートなんて嘘も嘘、大嘘よ。だって、本当の彼氏になって欲しかったんだもの。あの時は認めきれてなかったけど、今ならそう言える」
「大覇星祭で一緒にフォークダンス踊った時なんて、本当に幸せだった」
「罰ゲーム、なんていって携帯のペア契約もしたけど、本当はもっと自然に契約したかった。カップルですって、胸を張ってそう言える関係になりたかった」
「アンタが妹にネックレスを買ったときなんか、妹に嫉妬しちゃった。アンタだけ特別な思いするんじゃない、って。アイツの隣で、アイツから特別な思いを出来るのは私だけなんだ、ってね」
「アンタがボロボロになりながら何かと戦ってたとき、私はアンタを止めることが出来なかった。とんでもなく恥ずかしいことを言って、その上で力ずくでも止めようと思っていたのに、体が動かなかったのよ…」
「だから、この前の大戦を放送していたテレビでアンタの姿を見つけたとき、今度こそは、って思って覚悟を決めてロシアに飛んでいったの」
「…でも、やっぱり出来なかった」
「…私、ね。アンタをロシアで見失った時、本当に悲しかったし、辛かった」
「ゲコ太ストラップを拾った時、私とアンタの間にあった繋がりが全部引き裂かれた気がして、胸が痛くなって、頭の中で何も考えられなくなって、世界が止まった気がした」
「絶対にアンタを見つけて、自分の手で引っ叩いて、なんで一緒に戦わせてくれないの、なんで私には何も言ってくれないのって、言うつもりだった」
「だけど、出来なかった。何も、出来なかった」
「そうして、学園都市に帰ってきて、私は周りのもの全てを、拒絶したの」
「アンタに繋がる情報を得るために、危険なこともかなりやった。だから、かな。空港でアンタの姿見たとき、思いを抑えきれなくなっちゃって…」
「そこから先は…良く分かってるわよね?」

「…ああ。勉強もそうだけど、日常生活のありとあらゆる事を改善させられたしな」
「そういえば、俺が学園都市に帰ってきてからというもの、本当に、ずっと一緒に居るような気がするな」
「門限とか学校とかは確かにあるんだけど、それ以外の時間という時間は、いつも御坂がそばに居る気がする」
「最近じゃ、御坂が居ない生活が、考えられないしな…」
「えっ…?」
「(って何言ってるんだ俺!?)」
「(…そうか、俺は、いつの間にか御坂の事を…)」

「…美琴」
「…!?ど、どうしたの?急に改まって…」

「好きだ。どんな事があっても絶対に手放したくない、いや、手放さない」

「(ちょ、ちょっと、そんな不意打ち…)」
「(私から言うつもりだったのに…良いところだけ持っていくなんて、酷いよ…)」
「(でも、でも…!)」
「ありがとう、当麻。私も、当麻のことが、大好き。ううん、この世の誰よりも、愛してる」
「美琴…」
「当麻…」

7339-452:2011/02/12(土) 22:19:15 ID:TVTStMPc

同時刻、風紀委員第177支部…
「んー!んー!んー!(初春!佐天さん!何を見ているのかはっきりと見せてくださいまし!)」
「おお、これはこれは…」
「刺激的だねー初春。これは風紀委員的にどうなの?」
「白井さんなら間違いなく不順異性交遊で取り締まるでしょうね。まあ、私からすれば、良い話のネタが出来て嬉しい限りなんですけどね」
「…初春、ちょっと黒いよ…?」
「黒い…?なんのことですか?」
「(ゾクッ…)ううん、何でもない、よ…?」
「さーて、じゃあ引き続き監視活動頑張りますか!」



「なあ、美琴」
「ん?どったの?」
「いや、なんでもない。…ただ、幸せだなって、な」
「?」
「こんなにも可愛くて、愛しい女の子が彼女なんだ。同じ人なのに不幸だーなんて言ってたあの頃が何かもったいなく思えるくらいに、さ」
「そんなに想ってくれるなんて、嬉しい…」
「そういえば、まだ言ってなかったな」
「…?…な、何…?」


「俺、上条当麻は、御坂美琴とその周りの世界を守る。そして、御坂美琴と共に歩き続ける、ってな」

7349-452:2011/02/12(土) 22:20:39 ID:TVTStMPc
以上です。如何でしたでしょうか?(字数調整ミスって借りるレス数増えちゃいましたw)
やってみたかった実験的要素(会話分パートは徹底的に会話文だけで演出)も入っているので、今までの作品に比べると違和感があるかもしれませんが…。

※休日の朝から宅配業が仕事してるのはスルーで。
※そこ、「前フリ長い」とか「バレンタインじゃなくても良いじゃねーかw」とか言わないw

本当は、
・前日の準備も書く(美琴と佐天、初春の姦しい会話メインで。黒子は入るとややこしくなるので除外w)
・当日ももう少し騒動を巻き起こす(一旦上条さんが振る→本音を全部出し切ってゴールイン、かまちー流の落として上げるやり方ですね)
展開をと思ってたんですが、結局は何か有耶無耶になってしまいましたorz
一度落としてから持ち上げる。そんなかまちー流の書き方は流石にまだまだ自分には難しいみたいです…w
意見や罵詈雑言も大歓迎ですので、色んな忌憚の無い意見をよろしくお願いします。

735■■■■:2011/02/12(土) 23:38:11 ID:t8H/yzMs
>>734
会話文の所、棒立ちでいる訳じゃないよね?
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

7369-452:2011/02/13(日) 00:32:13 ID:F.fkFU/s
>>735
棒立ちはないっすw
>>731のラスト辺りまではともかく、そこからは良くある恋愛ドラマみたいな感じですよw
こう、後ろに手を回しながら軽く地面を蹴りつつ歩く…みたいな?
そういうベタベタな展開が超好きなんです。すいませんw

737■■■■:2011/02/13(日) 01:37:40 ID:3lAWfGBg
ほうほう。
ttp://blog.livedoor.jp/ps3douga/

738■■■■:2011/02/13(日) 02:35:57 ID:QfgRELhQ
>>717
「5スレ」じゃなくて「5レス」な

739Mattari:2011/02/13(日) 08:45:23 ID:YespwlL2
>>724
コチラの思惑に引っ掛かっていただき、ありがとうございます。w
ネタ晴らしをすると、前に書いたバレンタインネタがくっつく前の話(余韻を保たせて終了)だったので、
今度は完全にくっつける話がいいな……と思ったのがきっかけです。
で、そっちを書き出したのは良いけれど、どうもココに持っていく話が……ってコトで、災誤先生にご登場いただいた訳です。
で、それならタイトルにしちゃえ。という訳で今回この様にさせていただきました。

>>725
ご指摘ありがとうございます。(;^_^A アセアセ…
単語登録の時点で間違っていたようで……今後は間違えないよう気をつけます。
失礼しました。<(_ _)>

>>727
ありがとうございます。
「美女と野獣」じゃありませんが、結構こういうカップルが多いんですよね。
美琴と一緒に居たのは、14日のお楽しみと言うことで……。^^;

>>738
ご指摘ありがとうございます。
本人は「レス」のつもりで書いてたりするんですが……。
ダメだなぁ……こういうところが治らない。(;^_^A アセアセ…
今後は気をつけます。<(_ _)>

さて、「見知らぬ記憶2(中編)」の投下ですが、今のウチにさせていただこうと思います。
全体の半分から、2/3といった辺りまでになります。

6「レス」ほど使わせていただきます。

740見知らぬ記憶 2:2011/02/13(日) 08:46:29 ID:YespwlL2

「……ん……うん……とう…ま…」

「……ふにゃ〜……エヘヘ……」

 現在は深夜、御坂美琴は夢の中である。

 ここのところ、私はアイツ中心の生活だ。毎朝6時にモーニングコールが入れるのが習わしなので、その少し前には起きる。モーニングコールで朝の他愛ない会話を交わし、幸せな気分でシャワーを浴びて、早めの朝食。身支度を調えて7時過ぎにはアイツの寮へ。7時半きっかりに寮に着いたら、朝食を作り、アイツがそれを食べている間にお弁当を作って、8時過ぎには寮を出て途中まで一緒に学校へ。(ア〜ア、早くアイツと一緒の学校に行きたいな)
 授業が終わったらいつもの自販機の前で待ち合わせ。私はいつも少し前には着いてアイツを待つのが日課だ。アイツが3時半に来て(最近かなり時間を守るようになってきた。ムフフ、コレも私の教育の成果ね)、スーパーで一緒に買い物をしてからアイツの部屋へ戻って、アイツは勉強、私は夕食の準備に取りかかる。
 私の愛情たっぷりの夕食(エヘヘ……)を一緒に食べた後、後片付けをアイツがしてくれて(コレって、新婚さん……っぽくない?キャーッ!!!デレデレ)、その間に私が勉強内容をチェック。大体同じところばかりを間違うのよね……。何度言っても直らないからついつい厳しい言葉を言ってしまう。でも、そんな楽しい時間は瞬く間に過ぎてしまって……門限時間に間に合うようにとアイツは私を寮まで送ってくれる。嬉しいけれど、一番寂しい時間……。だから……別れ際は甘えてしまう。
 何度帰りたくない。泊まりたいと思ったことか。もっと一緒に居たい。離れたくない。それを何度か口にしたことがある。態度で示したことも。でも、アイツは絶対にそれを許してくれない。“理性”がどうとか。“中学生”だからとか。そんなの気にしなくてもイイのに……。私は……私は……ちょっと怖いけど……イイのに……。
 休みの日は、朝から夜まで一緒に居られる。今はまだ勉強のことがあるからあまりデートは出来てないけれど、当麻の成績を上げて、絶対、絶対、一杯一杯デートして、一杯一杯甘えてやるんだから!!!

 この前、アイツがスゴいことを言い出した。アイツと私が裸で愛し合ってる夢を見たというのだ。
 恥ずかしかった。真っ赤になった。でも、でもっ、いつかは必ず通る道。怖いけど、アイツなら……「イイよ」って。そう言ってしまった……。後悔なんてしてない。アイツになら、私が世界で一番好きな人。その人の前なら私は私で居られる。私に、御坂美琴に御坂美琴としての居場所をくれる上条当麻になら、私を全部あげてもイイ。
 でも、今はまだ早いと当麻は言った。だから、この想いは胸の中に秘めておこう。その時が来るまで……。そして、その時が来たら……絶対、一杯、甘えてやるんだ。あの日、私はそう誓った。
 それに、「その夢は“幻想”ではなく“記憶”なんじゃないか」という事も話した。続きが見られたら話してくれると約束した。どんなに隠したって、絶対に聞き出してやるんだからね。お嬢様、舐めんなよ!!!

 でもホントに私は今、当麻と一緒に歩けるようになったんだなぁ……。しかも、想い続けたあの人からの告白で。1月前にはこんな日が来るなんて想像も出来なかった。
 1月前の私が今の私を見たらどう言うだろう?でも1月前の自分に、今の自分が何を言っても通じないだろうな。と思う。ホンのチョットしたことなんだけど、でもそれは“超えない”と分からない。今の私はそれを“超えた”からそれが分かる。1月前の私はまだ“超えてない”からそれが分からない。それだけの違いなのに、なんて大きな違いがあるんだろう。
 レベル5になった時は気付かなかったのに、当麻と居ると色んな事に気付かされる。新しい自分をどんどん発見出来る。だから私は彼の右手を絶対に離さない。

741見知らぬ記憶 2:2011/02/13(日) 08:47:24 ID:YespwlL2

 そんなある日の事。

(………あれ?………当麻?………なの……?)

(ちょっと、雰囲気が違う?………。何となく、ううんスゴくカッコいいし、何か逞しい!!………でも、やっぱり当麻だ)

(何か………スゴく大人っぽい………何か違う………でも、間違いない)

(え?………わわわわわわわわわわわわ………そ、そんないきなり………もう、強引なんだから………でも、嬉しい………幸せ………)

(あ、アレ?………と、当麻?………えええええええええええええええええええええっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

(そっそっそんなっ………だって………だって………この前、早いって言ってたばかりなのにぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜)

(たったっ確かに、私はあの時“イイよ”って言ったけど〜〜〜〜〜)

(待ってッ!待ってッ!!待ってッ!!!こっここっここここここここここここここここここ心の準備がッ!!!!!!!!!!)

(むねっ!!むねっを!!!………胸をッ!!!!………って、アレ?………私の胸、大きい!!!!お母さんにも負けてないっ!!!!!!!!!)

(えっ!?えっ!?えっ!?えっ!?えっ!?ええええええええええええええええええええええええええっ!?)

(まっ、まっ、まっ、まっ、まままままままままままままさか………えっ!?…それッ………)

(えっ、えっ、えっ、怖い、けど、イイけど……、やっぱり怖い。えっ、うそっ!?待って、当麻!!待ってぇ!!!きゃああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………)

『ガバッ!!!』

「ハッハッハァーッハッハッハァーッ………ンッ………ハッハッハァーッハッハッハァーッハッハァー………」

「ハァ………えっ?、えっ?、ええっ?えええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!」

「………私ったら何て夢を見ちゃってんのよぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」

 今見た夢の内容に身悶えして苦しんでいる美琴。
 「だって、女の子だモンッ♪」
 では済まないようだ。



 上条が見たというあの夢が“幻想”なのか、それとも“記憶”なのか。分からないまま数日が過ぎた。
 上条が美琴に相応しい男になる。と誓いを立てたあの日から数日が経とうとしていた。
 この間は美琴にとっては普段と変わらぬ幸せな日々だった。

 あの日以来、美琴は上条に夢の続きを早く見るように催促し続けている。
 『続きを見たら話してやるよ』と上条と約束したからだ。
 しかし、上条にとっては無茶な話である。夢の続きなどそう簡単に見られる訳はない。自分の意志でどうなるものでもないのだから。
 だが、美琴はその無茶を言い続けている。過去の記憶(だと彼女はもう信じ切っている)だからこそ知りたいのだという。
 自分と上条が、どんな家庭を築き、どんな風に愛を深め、どれ程幸せでいるのかを知りたくて仕方がないらしい。
 その事を語り出すと彼女は止まらなくなり、どんどん話はエスカレートしていく。
 そして最終的に自ら地雷を踏んで『ふにゃー』化と共に漏電&気絶コースにまっしぐらなのだが、何度繰り返しても懲りないようだ。
 上条はそんな彼女を見る度に

「不幸だ……」

 といつもの口癖を呟くしかない。

 コレはそんな時間の中の物語である。

742見知らぬ記憶 2:2011/02/13(日) 08:48:17 ID:YespwlL2

『ビリリリリ ピリリリリ』

「ん……んあ……あ、もうそんな時間か……」

 毎朝の習わし、愛しの美琴からのモーニングコールで上条は今朝も眼を覚ました。

「はいはい、今起きますよっと……もしもし美琴、おはよう」

『……おはよう』

「どした。エラく機嫌悪そうだな」

『む〜〜〜〜〜〜〜〜〜』

「ヘッ!?……どうしたんだよ、ホントに。どっか具合でも悪いのか?」

『別に……』

「別に……って、じゃあなんでそんなに不機嫌なんだよ?」

『む〜〜〜〜〜〜〜〜〜』

「あ、あの〜、美琴さん。そんなに朝からむくれられても上条さんには理由が全く分からないのでせうが……?」

『……自分の胸に手を当てて、考えてみたらいいじゃない』

「えっ!?」

『(怖かったのに……)』

「えっ!?今なんて?」

『私、今日行かない』

「ええっ!?なっ何でだよ?」

『行きたくない』

「おっオイ、美琴……」

『当麻のバカ!!!』

『ピッ!』

「へっ!?……アレッ?……切っちまいやがった……。オレ、アイツに何かしたか?」

 心当たりが全くない上条は、まだ完全に目覚めてない頭の上に大きな“?”を大量に並べるのだった。

 一方、朝から超ご機嫌斜めの美琴は、先程から起きてはいるモノの、ベッドの上で枕を抱き締め、顔を半分だけ出して、座り込んだまま虚空を睨み付けている。上条のところに行かないにしても、そろそろ朝のシャワーに行かないといけない時間になのだが、一向に動く気配がない。
 ルームメイトの黒子は、起きるなりいつもの朝のスキンシップに持ち込もうとしたのだが、美琴の超ご機嫌斜めのとばっちりを受け、手加減なしで今は本当に真っ黒子にされて床に放置されている。
 因みに、この行為は寮監にはバレてないようだ。

 もうお気付きだろう。美琴が超不機嫌なのは昨夜の夢のせいだ。
 いつもは強気の美琴だが、やはりそこは女の子。昨夜の刺激的過ぎる夢に完全にやられてしまっていた。

(ホントに怖かったのに……。心の準備も出来てなかったのに……。当麻ったら、当麻ったら、止めてくれなかった)

 夢の内容は、上条の逆バージョン。つまり美琴の立場で同じ夢を見たことになる訳だが、彼女は夢の続きは上条が見るものと思い込んでいた。まさか、同じ夢を自分が見ることになるなど、想像もしていなかった訳である。
 その上で、昨夜の夢の内容が…(自主規制)…となると、嬉し恥ずかしどころではない。美琴としては“自分を大切にしてくれなかった”怒りを上条にぶつけたくなってしまう。
 何より彼女にとってアレは既に夢ではなく、“幻想”でもない。“記憶”なのだ。“実際に起こったこと”として“事実”として認識している。だから美琴としては『私が止めてって言ってるのに、当麻は止めてくれなかった。私を大切にしてくれなかった』という結論に既に達していたりする。
 だが上条にとっては理不尽極まりない感情の暴走であり、『うん、乙女心だね』という訳には行かない。

「つーか、オレ関係ないじゃん!!!アレは“夢”なんだし!!!!!」

 という上条の抗議の声が聞こえてきそうだが、そこはやはり彼の【不幸体質】の成せるワザ。
 理不尽だろうが何だろうが、やはり責任は彼に背負って貰うのが一番収まりがイイ。

(私が味わった恐怖を、アイツにも味遭わさなきゃ気が済まないんだから。当麻……覚悟しときなさい!!!)

 ……どうも八つ当たり極まりない臭いがプンプンするのだが……そんなことはお構いなしにゲームセンターのコインを握りしめる美琴だった。

743見知らぬ記憶 2:2011/02/13(日) 08:49:06 ID:YespwlL2

 『不機嫌極まりない』といった表情で虚空を睨み付けていた美琴だったが、ふと時計を見て我に返ることになる。
 大慌てで身支度を調え、食堂で朝食を掻き込み、【学舎の園】に向かって走る、走る。(黒子は既に美琴の眼中にはない……)

(アレもコレも、全部当麻が悪いのよ!!!初めてだったんだから、もっと優しくしてくれたってイイじゃない!!!!!)

 と、誰かが聞いたら完全に勘違いしてしまいそうなことを呟きながら、美琴は通学路を全力疾走する。

 一方上条は、美琴が『私、今日行かない』『行きたくない』と言ったことにショックを受けつつも、普段通りのスケジュールをこなしての登校途中である。
 『御坂美琴に相応しい男になる』との誓いはどうやら嘘ではないらしい。
 先程まで『美琴が来てくれなくったって、上条さんは頑張っちゃうのですよ〜』と、何処かの幼児先生のような口調でやるべきコトをしっかりとやっていた。
 その上条は、いつも美琴と別れる交差点を通り過ぎ、しばらく歩いたところで一瞬背筋に薄ら寒いモノを感じた。ちょうどその時美琴が、愛しの彼氏に対する恨み言を呟きながら、いつもの交差点を駆け抜けていったのだが、上条がそれを知る術はない。
 やはり彼は“不幸”だった。

 何とか遅刻せずに済んだ美琴だったが、朝からの不機嫌はその度合いは増すばかりだ。
 彼女の取り巻き達も、明らかに不機嫌な顔で虚空を睨み付け、時々どす黒いオーラを発する彼女を見て震え上がり、遠巻きにヒソヒソ話を繰り返す。その態度が余計に美琴をイライラさせるのだが、何故か小スズメ達はそれに気付かない。
 授業を行う先生達も、美琴の態度に恐れを成し、美琴の機嫌を損ねぬように細心の注意を払いながら、授業を進めていくしかなかった。
 とある新人教師は、目が合った瞬間に美琴のおでこの辺りを青白い光が飛ぶのを見てしまった。本当は朝からの不機嫌モードがピークに達しつつあったための漏電だったのだが、美琴の態度を完全に勘違いしてしまい、授業が終わった直後に涙ながらに辞表を提出し、教頭先生に宥められることになったとか、ならなかったとか。

 そんなこんなで大騒ぎの常盤台中学はちょっと置いといて、ココはいつも美琴や佐天、初春や黒子が屯してるファミレスである。
 今日も今日とて、美琴を除く3人が集まっていた。

「ハァ……ホンットに今朝は酷い目に遭いましたの……」

 いつものように黒子の前に座っている柵川中学コンビは引きつった笑いしか出せない。『自業自得だろ?』とは口が裂けても言えないし……。

「それにしても、御坂さん。どうしてそんなに不機嫌だったんでしょうね?」

「あの日……かな?」

 さすが、セクハラ女子中学生。コチラが言えぬコトをいともアッサリ言ってのけた。

「いえいえ、今日はまだその日ではありませんわ」

 自信満々に言い切った黒子に『何で知ってんの?』という視線を向ける二人。

「それよりも……昨夜お帰りになった時は、いつものように惚気話を連発されて……だから余計に、訳が分かりませんの」

「へぇ〜、相変わらずラブラブなんだ〜。そりゃそうだよね、あの二人なら」

「ああ〜、私もあんな恋がしてみたい〜」

「またアッチに行っちゃってるよ……でも、確かに羨ましいよね〜」

「お二人とも、お姉様とあの類人猿がお付き合いされているのをご存知なのですか?」

「「類人猿って……」」

「確かに、上条さんは鈍感な上にバカですけど……」

「御坂さんに対してだけは、鈍感じゃないんです!!!御坂さんはスゴく愛されているんです!!!」

「大層な口ぶりですわね。わたくしの知らぬところで何かありましたの?」

「いや、そんな大したことは……ねぇ、初春」

「ええ、佐天さんが上条さんをひっぱたいモガッ……」

「そ、そそそれは言わなくてイイから!!!」

「モガッ、モガッ。グググ……」

744見知らぬ記憶 2:2011/02/13(日) 08:49:51 ID:YespwlL2

「佐天さん、押さえるのは口か鼻のどちらかにしないと、初春が……」

「エッ!?」

「……」

「顔が紫色になってきましてよ。アラ?」

「どうかしたんですか?」

「……」

「頭の上の華飾りが先程より勢いがないような……」

「エエッ!?」

「……」

「佐天さん、もう少しそのままで。この後どうなるか見てみたいですわ」

「何、危ない発言してるんですか〜ッ!?」

「……」

「それよりも、手を離した方がイイと思いますわよ。さっきからほとんど動いてませんから、初春が」

「あっ!!ごっゴメン、初春。大丈夫!?」

「……ップハァ……ハァ、ハァ、ハァ……佐天さん!!なんてコトするんですか!?白井さんもシレッと恐ろしいコト言わないで下さい!!!」

「チッ、もうちょっとでしたのに……」

「あ、アハハハ……」

「(いつか絶対……ブツブツ)」

「何か言いまして?う・い・は・る」

「い、いえ、別に……」

 といった具合の毎日のようである。それにしても、よく入店禁止にならないものだ……。

 そんな相変わらずのドタバタを展開する3人であったが、佐天がふと外を見ると、特徴的なウニ頭が店の横を通っていくのが見えた。
 それを見た佐天は、飲み物代をテーブルにおいて外へと駆け出して行く。

「上条さ〜ん」

「ん?おお、佐天さんじゃないか」

「と、年下にさん付けは変じゃないですか?」

「イヤイヤ、この前やられたことを考えたら、さん付けしとかないと、後が怖い」

「あっ、アレは……その……ところで、今日は御坂さんと一緒じゃないんですか?」

「ん?いや、チョットな……」

「どうかしたんですか?」

「ん〜……いや実はさ、今朝も電話はかけてきてくれたんだけど、その時からエラく機嫌が悪くってさ」

「うん、うん」

「『今日は行かない』『行きたくない』って言われちゃって……最後には『当麻のバカ!!!!!』って怒鳴られちまった」

「……上条さん、何かしちゃったんじゃないんですか〜?」

「しっ、してねぇよ。昨日の夜も普段通り寮の前まで送ったし……別れ際もアイツからキ……(ポンッ!!!)」

「ムフフ〜……相変わらずラブラブですねぇ〜」

「おっ大人をからかうんじゃありません!!!」

「は〜い」

「「プッ、アハハハハ……」」

 何かエラく意気投合しているこの二人だが、何があったのかはまた別の話……。
 ということで、今はコチラの話を進めます。

「それにしても御坂さん、どうしちゃったんでしょうね?」

「それが全然分からねぇんだよな……何かしたのかって言う心当たりもないし。良く言われるフラグってヤツ?そんなの立てるヒマもなかったはずだしなぁ……」

(イヤイヤ、上条さんの場合、ほとんど自動で立てまくりですから……鈍感すぎるけど……)

「ん?何か言ったか?」

「あ、いえ……それより、これからどうするんです?」

「いやまぁ……いつもの待ち合わせ場所には行ってみるつもりなんだけど……来てるかどうか……」

「あの……一緒に着いてってもイイですか?」

「そりゃ、別に構わない……けど……」

「……けど?」

「まさか、アイツらも一緒じゃないだろうな?」

 上条が指差す方向に振り返る佐天。するとそこにはどす黒いオーラを身に纏い、金属矢を手に上条に今にも飛びかからんとする黒子と、それを必死で止める初春が居た。

「あ、アハハハ……じゃ、じゃあ私、初春と一緒に白井さんを止めてきますね」

「あ、ああ。そうしてくれると助かるよ……んじゃ」

 と言って、上条はいつもの自販機に向かって駆け出して行った。
 この後佐天は初春と共に白井の説得に当たるのだが……それに時間がかかりすぎて、美琴と上条のドタバタには間に合わなかった。
 やはり神様は、この素直なセクハラ女子中学生には優しいらしい。

745見知らぬ記憶 2:2011/02/13(日) 08:54:13 ID:YespwlL2

 上条はいつもの待ち合わせ場所にやってきたが、美琴の姿は見当たらない。

「やっぱ居ねぇか……『今日は行かない』なんて言ってやがったからなぁ……今日はホントに来ないつもりな「当麻〜、見ぃつけたっ!!!」のかな?」

「へっ!?」

「覚悟はイイ?」

「あの……“覚悟”って?」

「問答無用!!!!!」

『バチバチバチッバッシーン』

『バッキーン』

「い、いきなり何しやがるっ!?」

「ウルサい!ウルサい!!昨夜の恨みよ!!!」

「昨夜!?」

「自分の胸に手を当てて、良〜く考えてみなさいよ!!!!!(ビリビリ)」

「そっ、そんなコト言ったって……今右手を使ったら……(ダラダラ)」

「ふーん、そ〜ゆ〜コト言うんだ?(バチバチバチバチ)」

「おっ、落ち着け、美琴ッ!!!冷静に話し合おう。なっ!?」

「私は冷静よっ!!!!!(キィィィン)」

「どっどこがだよっ!?」

「行っっっっけぇ〜〜〜〜!!!!(ズドォ〜〜〜ン)」

「マジッ!?(パッキーン)」

「チッ!」

「ひぇぇええええ。……って舌打ち!?」

「サスガに手強いわね。久々に、燃えてきたぁぁぁぁあああああ〜〜〜〜!!!!!!!」

「何、変なスイッチ入れてんだよっ!?ってか、落ち着けって言ってんだろ!?」

「ウルサい!ウルサい!!乙女の怒りを思い知れッ!!!!!!」

「乙女の怒りって何だよっ!?」

「まさかもう忘れたって言うの!?」

「だから、オレが何したって言うんだよっ!?」

「だからっ……えっ?……えっと……その……、……(ポンッ!!!!)」

「ヘッ!?」

 『夫婦喧嘩は犬も食わぬ』とは言うけれど、コチラの二人の擬似夫婦喧嘩は凄まじいコトこの上ない。
 それはさておき、上条の問い掛けに昨夜の“アレ”を思い出してしまった美琴は、一瞬にして固まってしまった。
 美琴が固まった瞬間は呆気にとられた上条だったが、ダテに戦場を右手一つでかいくぐってきた訳ではない。
 美琴が動きを止まったのを見て、この好機を逃すはずがなかった。
 自慢の脚力で一気に距離を詰め、そのまま美琴を抱き締める。

「オレが何かして、お前を怒らせてしまったんなら謝るから、とりあえず落ち着け。なっ?」

「〜〜〜〜〜〜〜」

「なぁ、一体何でそんなに怒ってんだ?」

「……ったん…もん……」

「えっ!?」

「……かったんだもん……」

「何を?」

「……怖かったんだもん!……」

「ヘッ!?」

「……ホントに怖かったんだもん。……こ、この前はつい『イイよ』って言っちゃったけど……」

「……あ、あの〜……」

「だって、だって、だって、当麻がいきなり私を押し倒して、強引に唇を奪って……」

「かっかっかか上条さんはそんなことをした覚えはありません!!!」

「うそウソ嘘っ、慣れた手つきで服を脱がせて、私を、私を……」

「待て待て待てッ!!!!美琴ッ、お前一体何の話をしてるんだ!?」

「何の話って……昨夜、当麻が……(ゴニョゴニョ)」

「昨夜って何のことだよ!!一体いつオレがお前を押し倒して、強引に唇を奪って、慣れた手つきで服を脱がせて、生まれたままの姿にして、全身にキスの雨を降らせたって言うんだっ!?」

「……言ってない……」

「えっ!?」

「そこまでは言ってない……」

「……えっと……」

「……言ってないのに、何で知ってんのよ!?」

「へっ?」

「やっぱり当麻だったんだ……」

「だっ、だから……一体何の話を……」

「あんなことして、しらばっくれる気?」

「あんなことって……ん?……お前……まさか……」

「まさかって何よ。ホンットに怖かったんだから。私は止めてって叫んだのに、当麻は止めてくれなかったじゃない!!!!!」

「もしかして……美琴、お前……」

「何よ……まだ、知らないって言う気なの?」

「まさかとは思うが……お前、オレと同じ夢見たって言うんじゃないだろうな!?」

「えっ!?……夢?」

「そうだよっ!!!で、それを“記憶”だと思い込んで、夢と現実を混同してるんじゃないだろうなッ!?」

「……」

「……み、美琴?」

「……」

「お〜い美琴?……美琴さ〜ん」

「……」

「もしも〜し」

「……えっ!?……えっと……、……(ポンッ!!!)……エヘッ……」

「『エヘッ』じゃねぇぇぇぇぇえええええええ〜〜〜〜〜!!!!!!!」

746Mattari:2011/02/13(日) 08:58:07 ID:YespwlL2

今日のところは以上です。

今回のテーマは前回を続けてたりしますが、
それ以上に美琴をドコまで壊せるか?
ってコトに主眼を置きました。
変に壊しすぎるとエロに走る可能性があるので、
その点は避けたのですが……いかがでしたでしょうか?

ではでは、お楽しみ頂ければ幸いです。<(_ _)>

747■■■■:2011/02/13(日) 10:51:49 ID:i7z7LxUE
ふふふふ GJ! 次期待してるZEEEEEE

748■■■■:2011/02/13(日) 10:58:06 ID:U.1eoRz2
GJ!
続きが楽しみすぎてヤバいwww

749■■■■:2011/02/13(日) 11:02:13 ID:fmNBTEfc
>>738
ageして言っても説得力ないんだが…
馬鹿?

750■■■■:2011/02/13(日) 11:18:20 ID:IpS9hcVs
相手をたしなめるなら余計な一言を付け加えない

751■■■■:2011/02/13(日) 11:43:42 ID:LE0stuSg
>>746
GJ。ニヤニヤしっぱなしだぜ!
やっぱ現実と夢ごっちゃになることってあるよなぁ……

752■■■■:2011/02/13(日) 14:04:25 ID:Qs0mrqxY
>>746
美琴さんの「自分だけの現実」はどうなっているんでしょう?www
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

753ソーサ:2011/02/13(日) 15:20:05 ID:rujWjSYE
MattarisさんGJです!
長編書けることに尊敬します^^

前回もみなさんコメントありがとうございました!
だれもいないようでしたら投稿します!

754ソーサ:2011/02/13(日) 15:22:42 ID:rujWjSYE
タイトル「上琴VS美鈴 2回戦」

・上琴が付き合って半年

美鈴「前に会ってからもう半年近く経ったのね〜。」

上条「早いもんですね〜。それにしてもあの時は大変だった…」

美琴「ほんとよ!私達のことからかいすぎでしょ!」

美鈴「ごめんね〜2人のこと見てたらつい♪」

美琴「つい♪、じゃないわよまったく…」

美鈴「で、最近も2人はデートとかしてるのかな?」

美琴「そりゃ私達は恋人同士なんだから当たり前じゃない!」

上条「先週は遊園地に行きましたよ。来週は映画見に行きますしね。」

美鈴「(やっぱデートネタじゃからかえないか…ならば!)そうなんだ〜2人ともラブラブね!夫婦みたいよ〜♪」ニヤニヤ

美琴「夫婦みたいかぁ…“みたい”じゃなくて早く本物の夫婦になりなぁ〜…」

美鈴「!!?」

上条「焦るなよ美琴!後2年の辛抱だろ?それに最近はずっと俺んちに泊まってるんだから今のとこはいいじゃないか。」

美鈴「え!?(それって同棲してるってこと!?)」

上条「え!?(これは言わないほうがよかったか?)」

美鈴「(数ヶ月でここまで関係が進んでるとは…こうなったら奥の手よ!!)」

美琴「どうしたのお母さん?(同棲はまずかったかな…)」

美鈴「まあ2人は恋人だし当麻君ちに泊まるのはいいけど…」

上琴「「…けど?」」

美鈴「……孫は結婚したあとに見せてね!!」

上琴「「ま、孫!!?///」」

上条「前も言ったけど話が早すぎるんじゃないでせう……ってどうした美琴?」

美琴「…………と、当麻は子供ほしくなぃ…?」

上条「へ?そりゃほしくないって言ったら嘘になるな。」

美琴「あ、あの……ね!///」

上&鈴「「?」」

美琴「…と、当麻が…すぐに子供ほしい、って言うなら…今すぐにでも……わ、わわ私はいい…よ?//////////////」

上&鈴「「!!!?!?」」

上条「み、美琴お前可愛すぎ!!でも今はまだ早いから結婚したら子供つくろうな!!!」ギュッ!!!

美琴「う、うん!!私頑張るね当麻!/////」

美鈴「(……こりゃーもうからかえないわ…)」


WINNER:上琴

755ソーサ:2011/02/13(日) 15:26:38 ID:rujWjSYE
以上となります
あと完成すればまたバレンタインネタで投稿したいんですが
なかなか完成しないな…

756■■■■:2011/02/13(日) 16:15:08 ID:i7z7LxUE
最強の美鈴が負けただと...?

757■■■■:2011/02/13(日) 16:24:09 ID:i7z7LxUE
GJ!!!1!!

758原作知らず:2011/02/13(日) 18:29:23 ID:mMnZ3VjM
改名するのも面倒なので名前はこのままでいきたいと思います。原作知らずです。

季節に乗じてバレンタインネタを投稿しに来ました。

誰も居ないようでしたら今から10分後に投稿したいと思います。

タイトルは『甘さは気持ち』
計9レス消費予定

759甘さは気持ち:2011/02/13(日) 18:38:49 ID:mMnZ3VjM
 戦争だ。聖戦と言ってもいい。明日、戦争が始まる。
 いや、もしかしたら既に始まっているのかもしれない。ともあれ開戦日は明日だ。それまでに万全にしなければ。
 勝利をもぎ取るために準備と練習を入念にこなしていく。ついでにイメージトレーニングも。

 敵は多い。しかし諦めたくない。
 味方はいない。しかし諦める理由にはならない。
 目標は強大。しかし諦める訳にはいかない。

 孤軍だろうがなんだろうが、明日の戦争は勝たなければならないのだ。負けなんてもっての外。引きわけもダメだ。それでは今までと何も変わらないのだ。数多くいる敵よりも僅かでも前に出るために勝たなくてはいけない。

 目標を堕とす事が出来ればそれが最高なのだが、そんなに容易い相手ではない事は重々承知している。少しでもこちらに気を引かせる事が出来るならそれでもいい。
 だからと言って手は抜かない。相手を堕とすつもりでやる。こちらの全力を込め、全身全霊をかけて明日の勝負に臨むのだ。

「おし、上手くいったわ……」

 学校のとある一室で安心したようにほぅと息を吐くのは御坂美琴だった。彼女から少々離れた場所には至福そうな顔で、机に突っ伏し昇天している黒子の姿があった。
 美琴も明日の戦争に参加する。今はそのための準備をしていた。
 明日の一発本番なのだが、それでも練習する事は無駄ではない。練習で出来ない事が本番で出来る筈がない。自分も納得するほどの物を作れなければ意味がないのだ。

「黒子ー、これもしてくれないー?」

 その言葉に黒子の身体がピクっと反応する。彼女の周りには10枚ほどの皿が乱雑に放り投げられていた。ちなみに、常盤台の物で結構高かったりする。
 彼女はとうに限界を超えていた。お姉さまのため。その言葉で死活問題さえも無視し、彼女は文字通り身体を捧げて協力していた。

 しかし当然と言うべきか、もはや彼女に余力など欠片ほども残っていない。これ以上は大惨事になりかねない。仮にならずとも、彼女にはこの後重大な事が待っているのだ。これ以上は一人の女性として許容できる範囲ではない。
 それは本人もわかっているだろう。だというのに、黒子差し出された皿を受け取った。健気だ。

「どう?」
「こ、これ、は…。ちょっと甘い…ですの……」
「うーん、そっか」

 通算11回目になる応答。既に意識は朦朧だ。しかし黒子は止まらない。頭と身体は止めろと叫んでいるのに、「愛するお姉さまの手作りを残すなんてもっての外ですの!」と心がそれを一蹴していた。
 苦しそうな顔をしながらそれでも黒子は口に運び、己の限界を超そうか超すまいか、そこに挑戦していた。

「マカロンって、意外と難しいのね……」

 マカロン。名前くらいは誰でも聞いた事があるだろう。サクッとした食感としっとりとした口当たりが絶妙なハーモニーを奏でるアレである。
 美琴は今それを作っている。お菓子作りなら授業で何度かした事がある彼女も、マカロンを作るのは今回が初めて。6回目辺りからようやく恥ずかしくない形になり、味を吟味できる段階になってきた。

760甘さは気持ち:2011/02/13(日) 18:39:03 ID:mMnZ3VjM
 まぁ、たった6回でそこまで行くのはさすがは常盤台、と言ったところか。
 ともかく、なにはともなく練習あるのみだ。黒子を犠牲にしてきた結果、今までのマカロンは甘さが統一できていないらしい。

「ん〜、グラニュー糖と粉砂糖のバランス悪いのかな…」

 きっちり計ってるんだけどなぁ、とぼやきながらも12個目の制作に取り掛かる。明日の戦争のために。

 そう、戦争だ。明日は2月14日。年に一度しかない、乙女にとってクリスマスに次ぐ極めて重大なイベントだ。
 気になる人にチョコを始めとしたお菓子に想いをこめて渡し、あわよくば付き合っちゃったりなんかしちゃったりする日だ。

 美琴とてまだまだ女の子。それも恋する女の子だ。例に漏れず明日へ向けて余念がない。

「しっかしお姉さま」
「んー? なにー?」

 淑女らしからぬゲップが出そうになったので、ハンカチで隠しながら黒子が口を開く。先ほど渡された数個のマカロンは半分近く彼女の胃へ消えていた。
 至極気に食わない事だが、彼女は美琴が贈る相手を知っている。ひっじょーに気に食わない。出来る事なら鉄矢を一本一本指先に転移させてやりたいほどに。

 しかし愛するお姉さまの頼みだ。黒子は快く味見役を引き受けた。明日からダイエット生活ですわね、と思いながら続きを口にする。

「あの人に渡すのにここまでする必要あるんですの? 正直、あの人から見れば洋菓子はどれも同じだと思いますの」
「いいのよ。私はあの馬鹿相手には何事にも遠慮するつもりないのよ」
「おや、私は『あの人』と言っただけですのに、お姉さまの中ではもうすでに相手が決まっているのですね。………ヘッ!」
「なぁ!? ちちち違うわよ!? こ、これは…、そう! 明日佐天さん達に渡すための物なのよ!! 断じてあの馬鹿にじゃないのよ!!」
「佐天さんと初春は明日外せない用事があるとかで、1日早いバレンタインで今日のお昼にトリュフを渡したではありませんの」
「……、あ、あれ〜? 間違えちゃったかなぁ〜…? ……あ! そうそう! 湾内さんと絹保さんにあげるのよ!」
「湾内絹保さんでお一人ですの。勝手に分裂させないでくださいまし。第一、明日は湾内さんも泡浮さんも婚后光子とお出かけらしいですの」
「〜〜〜〜〜!!!! く、黒子には関係ないでしょ!!」

 顔を赤くして乱暴な手つきでボウルの生地を混ぜる美琴を、斜に構えたような拗ねたような、とにかく面白くなさそうな顔つきで黒子は眺めていた。
 決定だ。美琴は『あの馬鹿』に渡すつもりだ。常日頃から「お姉さまへの愛はいつでも全力全開ですの!! お姉さまー!!」と時たま常軌を逸している感もちらほらある黒子から見れば、当然、面白いはずがない。

 振られないかなーと黒子のどこかで言っているが、それならそれであの少年を許すつもりがないのが黒子だ。「お姉さまの心を傷つけた罪は一生かけても償いきれませんの」。…………乙女心は複雑なようです。

761甘さは気持ち:2011/02/13(日) 18:39:16 ID:mMnZ3VjM
 と、マカロンを頬張りながら現実的な事も考えてみる。
 美琴の言う『あの馬鹿』はマカロンの作り方なんて知りもしないと思うが、それでも手の込んだ物である事はわかるだろう。
 正直、恋人でもない人から手の込んだ物を贈られるのは結構引いてしまう事がある。そこんとこどうするつもりなんだろうか。

 などと思っていると美琴がぼそぼそ言っているのが聞こえてきた。はっきり聞こえてこないので、淑女らしくはないが黒子は聞き耳をたてた。

「…う〜ん……、何て言って渡そう…。『た、単に作り過ぎて余っただけよ! べ、別にアンタのために作った訳じゃないわよ!』とか…? 『はい、バレンタイン! 私の愛情がたっぷり詰まってるから、残さず食べ…』 ってわー!? 違う! こんなの私のキャラじゃない!!」

 妄想がだだ漏れですのお姉さま。そんな妄想に対して聞き耳を立ててしまった事を黒子はひどく後悔した。これはしばらく悪夢になるかもしれない。

「ハァ……ハァ……」

 今日も顔ドラムが快調だった。ええ、とても快調でしたのよ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 そして当日。戦争が始まった。
 男どもは皆どこか本人なりにかっこよく(したつもりだろう)決めていた。
 そう。この日は男どもにとっても戦争だ。普段なら意識にも上らないが、この日に何個のチョコレートを貰えるかでこの先その男の価値が決まる。本命なのがベストだが、例え義理でもこの日だけは数が価値を決める。

「ま、ボクらに関係のない日ですよー」
「へー、青ピがそんな事言うなんてにゃー。明日は吹雪かにゃー?」
「ふっ、知らんのかい土御門クン」
「お前にクン付けされるのは気持ち悪いぜよ」
「こないな感じに無関心を装ってる奴の方が「キャー! カッコイー!」って言われるんやで? つーことはですよ? チョコを貰える確率も上がるってもんやないの!」
「そんな事を大声で言ってる時点でもうダメだろうにゃー。それはともかく、アレはいいのかにゃ?」
「アレ?」

 土御門が椅子で器用にバランスを取りながら顎で示す先には、教室前の廊下でチョコを貰っている怨敵がいた。
 両手でも抱えきれないほどのチョコを既に持っていながら、それでもまだ何個もチョコを貰っているその憎き怨敵の名前は、

「上やーーーーーん!! 天誅ぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
「どわぁぁぁぁぁぁ!?」

 青ピのフライングボディアタックがさく裂し、怨敵・上条当麻を押しつぶす。幸いにしてチョコは難を逃れ、廊下に散らばっていた。

「テメェ!? いきなり何すんだコラ!!」
「そりゃこっちのセリフやで!! 人が一週間前から考え決行した作戦を何ナチュラルにやってんねん!? しかも一体何個貰ってるんや!?」
「何個…? えーと…」
「数えんでええねん!! 数えられると余計に腹立つわ!!」
「つーかどけろ!! テメェ重いんだよ!!」
「どかへんよ!! この重さはボクの心の痛みや!! モテ男は存分に味わうんがええんやー!!」
「ぎゃー!? どけろー!! 鞄のチョコが砕けるー!!」
「オノレは鞄にも入ってるんか!? 益々腹立つわー! 砕けてしまえー!!」

762甘さは気持ち:2011/02/13(日) 18:39:32 ID:mMnZ3VjM
 廊下で始まる乱闘騒ぎだが、誰も彼もが「またデルタフォースか」と言った感じで大して気にも留めていない。そこに土御門が混じってない事に少し違和感を感じるが、まぁいいか。と、各々と適当に解決していた。

「つっちー! つっちーもこの男に天誅を食らわすんや!!」
「いやー、オレはいいですたい。オレは舞夏から貰えればそれで十分ぜよ。むしろ舞夏以外からのチョコを口にする気にはならないにゃー」
「このシスコン軍曹め!! あの子吹寄サンと同じデコ全開じゃないですか!!」
「テメェこの野郎!! 舞夏を侮辱するのは許さんぜよ!?」
「つーか青ピ! 人の背中の上で騒いでんじゃねぇよ!! そして土御門!! お前も乗ろうとするな!! 砕ける!! チョコじゃなくて上条さんの背骨が砕けちゃうから!!」

 今度こそデルタフォースが廊下で乱闘を始める。乱闘、と言うよりも上条の背中の上で身長180越えの大男二人が暴れている。こう表現はしづらいが、もの凄く暑苦しく鬱陶しい。

「あたっ!?」

 結構真剣に背骨の心配をしている上条の顔にチョコが入った小さな箱がぶつかる。箱の先には足があった。そしてもう少し視線を上げると、仁王立ちした吹寄がいた。どうやら彼女が箱を蹴飛ばしたようだ。

「貴様ら、これは一体何の騒ぎ?」
「ああっ! 吹寄! いつもなら怖いおでこだけど今日ほど頼もしいと思った事はない! 上の二人をどかして!! 上条さんの背骨折れちゃう!!」
「貴様、それは褒めてるの?」
「もちろん褒めてますってばおでこ大明神様!!」

 ブチっと何か景気のいい音が聞こえた。
 静かに歩み寄った吹寄が、女子の物とは思えない腕力で土御門を引っ張り上げ頭突きで黙らせ、同じように青ピも黙らせる。

「ふーっ。助かったぜ吹寄。ありがと…って、あれ?」

 制服の誇りを払いつつ立ち上がりながら礼を言っていたら、おでこ全開の吹寄に両肩をガシッと力強く掴まれる。猛烈に嫌な予感。

「ちょ!? ちょっと待て吹寄! 上条さんは何も悪い事はいってなグハァ!?」

 吹寄おでこDXをまともに受けた上条は先に倒れた二人の上に倒れ込み、廊下にはデルタフォースの変わり果てた姿が出来た。そこで予鈴が鳴り、いつも時間ぴったりに登場している子萌先生がやってきた。

「はわわわわ!? 今回は教室じゃなくて廊下がルール無用のバトル空間ですかー!? そして吹寄ちゃんがチャンピオンな感じ!?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 戦争当日、美琴はまだその時でもないというのに心臓が破裂しそうな程に高まっていた。ただお菓子を渡すだけなのに、鼓動は朝からずっと高鳴りっぱなしだ。

(な、何でこんなにドキドキしないといけないのよ…! ……しかもあのバカの顔でドキドキしてるのがなんかムカつく!! ムカつくのに……、なんか心地いのがムカつく!!)

 そのムカつきがむしろ心地よくて、そう感じている自分に美琴はムカついていた。けど、そのムカつきもあのバカを思い浮かべると消え行って、それもまたムカついてしまうという無限ループに陥っていた。

763甘さは気持ち:2011/02/13(日) 18:39:46 ID:mMnZ3VjM
 しかしその無限ループに陥ろうが考えないといけない事はある。
 マカロンの渡し方だ。結局、いい渡し方が思い付かなかった。

(ぅ〜〜〜〜〜!!! 何て言って渡せばいいのかわからないよーー!)

 何度イメージトレーニングしても超電磁砲よろしくあのバカへ発射するという、アグレッシブ極まりない渡し方になってしまう。
 もう少し落ち着いた渡し方を目指しているのだが、どうにもあのバカの顔を思い浮かべると自分は平静でいられない。

(『ほ、ほら、不幸なアンタに美琴さんからプレゼントよ!! か、勘違いしないでよ!? 余ったら勿体ないからアンタに処分して貰おうと思っただけよ!』とか……? あれ? なんかこの感じデジャヴ……)

 と悶々と(あながち間違っていない)考えているこの時間は授業中。しかも彼女の席は真ん中の列の最後尾。意外と教師の目が向く場所だ。そして今の美琴はどう見ても挙動不審。嫌でも教師の目が向いていた。

「(ん〜、なんか違うのよね…。もっとこう、親しげでかつ軽い感じがいいわよね……。う〜ん。……あ、こんな感じとかどうかな)」
「じゃあ、御坂さん。52ページ、ちょっと読んでみて」
「にゃ、にゃい!? え、えええと! その! マママカロンは好きですか!?」
「……………………。えっと、御坂、さん?」

 差した教師はもちろん、クラスメイト全員の目が点になり呆気にとられた表情で美琴に視線が集中した。
 その痛い静寂の中、正気に戻った美琴の顔が瞬間的に燃えるように真っ赤になった。

「〜〜〜〜〜ッ!?」
「え、え〜と、先生マカロンは好きですよ…?」
「あ、その! ききき気にしないでください!! ななな何でもありませんから!! えっと、38ページでしたよね!!」
「あ、52ページです……」
「あ、すすすいません!! 53ページでしちゃね!」
『(噛んだ……。しかも間違えてる…)』
「え、っと、ですから52ページを……って、もう読んじゃってる……」

 ページを間違えたまま美琴は恥ずかしさを隠すように大声で読んでいく。噛みながら。それでも強引に読み進めていき、なお且つ気付いていない様子だから中々に重症のようだ。

(〜〜〜〜〜!!! これもあのバカのせいよ!! 覚えてなさい!! 超電磁砲打ち込んでやるんだから!!)

 完全に冤罪なのだが、美琴は一切に気にしていない。
 どうも彼女の場合、何かにつけてあのバカが致命的なようだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 そして放課後、上条は一人帰途についていた。心なしか腫れてる気のする額を摩りながら。

「まだ痛ぇぞ……。あいつのデコは何製なんだ…?」

 結局、デルタフォースが目覚めた後も色々と騒がしかったのだが、吹寄のおでこパワーと子萌先生のお叱りでその場はひとまず収まった。
 だが、昼休みになると来るわ来るわ。上条目当ての女子がそりゃもうたくさん。クラスだけかと思ったフラグは、いつの間にか学年単位に広がっていた。

 その光景に上条本人も困り果てていたが、その隣で「オノレは学校をハーレム空間にするつもりかぁぁぁぁぁ!!! 天誅ぅぅぅぅ!!」と青ピに2度目のボディプレスを食らい、さらに「面白そうだからオレも天誅だにゃぁぁぁぁ!!」と土御門までやってくる始末。

764甘さは気持ち:2011/02/13(日) 18:39:59 ID:mMnZ3VjM
 その2人は吹寄のおでこにより瞬殺されたが、何故だか上条もおでこの餌食になり本日2度目の床の冷たさを味わった。理不尽だ。
 その吹寄は「騒がしくした張本人でしょう。大人しく制裁を受け入れなさい」と言っていたが、上条にしてみれば理不尽以外の何でもない言葉だ。

「にしても、コイツが無事でよかった」

 言いながら鞄の中を確認する。入っているのは小さな箱に入ったチョコレートだ。学校に来てから貰ったのとは別で、彼なりに丁寧にラッピングしたものだった。
 学校で貰った物は鞄とは反対の手に提げている大きめの袋にまとめて突っ込んである。

(俺だけじゃさすがに食いきれないからインデックスのおやつは当分チョコだな。残してダメにするよりはいいだろ)

 上条は帰途の途中、一つのT字路で足を止めた。右が寮で左がいつものスーパーだが、何故だかここで毎度のように会う人物がいる。
 いつもなら学校の疲労も相まって辟易するところだろうが、今日はその人物に会うのが目的だ。

「さて、いつもならこの辺りで……」
「見つけたわよ!!」
「おし、ドンピシャリ。って…、オおォォォォぉぉぉぉッ!?」

 タイミングを見計ったかのようなタイミングで登場する少女に振り向くと、眼前には迫りくる見慣れたくなかった閃光。
 反射的に右手が前に出て雷撃の槍を無力化するが、心臓がバクバク言ってる。我ながら思う。よく防げたもんだ。
 超電磁砲じゃないのは彼女なりに思い直した結果だろうか。

「不意打ちで電撃ぶっ放す奴があるかぁ!? 死ぬかと思ったぞ!?」
「う、うるさいわね!! こっちだって今日アンタのせいで恥かいたんだから大人しく食らいなさいよ!!」
「今日は今初めて会っただろうが!! 大人しく食らったら死んじまうわ!!」
「〜〜〜〜〜〜!!」
「(なんだなんだぁ? 急に顔を赤くして。今日の御坂、どうしたんだ?)」

 ぶっちゃけ出会い頭に撃たれた事を驚いている訳ではない。既に出会い頭の攻撃は馴れてしまっていたから。決して馴れたくはなかった。
 美琴は何かを思い出して顔が羞恥に染まったり、どうしようかと悩む表情になったり、落ち着いたかと思えば持ってる袋を身体の後ろに回してモジモジし始めたりと、なんとまぁ忙しそうだった。

「……、どったの? お前」
「へ!? ななな何でもないわよ!」
「ふーん……」
「な、何よ!? そんなじろじろ見るな変態!!」
「上条さんもさすがに変態は傷付いちゃいます……。まぁ今は我慢しよう。……ほれ」
「わ!?」

 言って上条が無造作に放り投げるのは鞄に入っていた箱だった。
 いきなりで美琴も危なげだったがちゃんとキャッチして小さな両掌の中に収まった。

「いきなり投げるな!!」
「細かい事気にすんなって。禿げるぞ?」
「余計なお世話よ!! このデリカシーゼロ男!!」
「…デリカシーはあるつもりなんだけどなぁ……。ところで」
「ふぇ!? なな何よ!?」
「お前持ってるの何?」
「えええっと、これは、その、あの、うんと、いや……」
「あー、言いたくないなら無理して言わなくていいぞ」
「〜〜〜〜〜〜!! 受け取れこのバカ!!」
「おっとぉ!?」

765甘さは気持ち:2011/02/13(日) 18:40:14 ID:mMnZ3VjM
 突然発射された紙袋の砲弾を、両手が塞がりながらも顔面にぶつかる直前で何とかキャッチする。中で何かが潰れた感触がしたが、今はそれどころではない。
 顔を真っ赤にして発射態勢のままの美琴に上条は抗議をした。

「危ねぇだろ!! 両手が塞がってる人間に顔めがけてぶん投げるな!! お前はそんない上条さんに何か当てたいんですか!?」
「ううううるさい! アンタのせいよ! ……アンタの顔見たら何言うか忘れちゃったんだもん……、だからアンタのせいよ!」
「途中ゴニョゴニョと言われてわからなかったのですが? ていうか聞こえてなくても理不尽だってことはわかるぞ!?」
「少しはわかりなさいよ! この超絶鈍感バカ!!」

 そう言って美琴は上条から走って離れる。そして振り返って、赤い顔のまま言い放つような感じで言った。

「しっかり味わえこのバカ!!」
「バカバカ連呼するな! 俺だって傷付いちゃうんだぞ!? ……ったく。……ん? 味わえ?」

 その一言が気になったので上条はグシャグシャになった紙袋を広げ中身を確認する。中には小さくも大きくもない箱が入っており、その箱も少し変形していた。
 少し手間取りながら箱を取り出し、蓋を開けて中身を確認する。
 中身は色取り取りのマカロンだった。先ほどの衝撃で何個か割れてしまっている。
 無事な物も店売りの物と比べて形が少々崩れているので、きっとアイツの手作りだろう。

「あーあ…、アイツが投げるから……」

 箱に手を突っ込み半分に割れた物を取り出し、パクッと一口で丸ごと頬張る。モグモグと、言われた通りしっかり味わい咀嚼してから誰もいないのに感想を述べる。

「うわ、すっげぇ甘いなコレ。こんな甘いもんを食わせらインデックスに虫歯になっちまう。ってことで、ここは上条さんが身代わりに虫歯になろう、うん」

 言い訳じみた事を言いながら、上条は方向を変え公園へ足を向けた。完全下校時刻も近いし、人はいないだろう。
 公園に着くと思った通り誰もいない。それでもまだ心配なので奥の方のベンチに座り、マカロンを次々と口の中に放り込んでいく。

「あー、ホント甘いなコレ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「で、急にここを訪れて一体何の用だね?」
「アレ貸して!!」

 美琴が今いるのは木山春生が使っている研究室だった。
 元々カエル顔の医者が使っていた部屋なのだが、彼は新しい場所に居を構え、誰も使わないという事なので今は木山が使っていた。

 そこで美琴が指さしているのは小さいガラスケースとそれよりは少し大きい機械だった。
 真空保存をするためのケースとその機械で、学園都市の技術で作られたこの装置、一度やってしまえば理論上は永久的に中身の品質を保つ事が可能だ。

「最近は使っていないから別にかまわないが、一体何に使うつもりだね?」
「なんでもいいでしょ!」
「まぁ、君が何をするも君の自由だが、アレをどうやって運ぶつもりだい? ああ見えて、意外と重いぞ?」
「うっ……」

766甘さは気持ち:2011/02/13(日) 18:40:28 ID:mMnZ3VjM
 見た目は小さくとも重量はそれなりで、少なくとも女の子の力で持てる重さではなかった。磁力を使って運ぼうにも、機械に磁力は天敵だ。
 いきなり手詰まりになるも、すぐに解決する。何も機械ごと運ばなければならない理由はない。

「あのガラスケースだけ、運べる?」
「ああ、運べるよ」
「操作方法教えて?」
「ああ、構わないよ」

 木山は出来る限りわかりやすくその機械の操作方法を美琴に教えていく。
 さすがはレベル5と言うところか。一度聞いただけで使い方を覚えてしまった。
 黙々と機械を操作してガラスケース内を真空にしていく。ケースの中身は実に可愛らしいものだった。

「何を保存するかと思えば…。随分と可愛らしい物が好きなんだな、君は」
「い、いいでしょ!!」

 顔を赤くしてケースを抱えあげる美琴だが、もしやそのまま帰るんではないだろうかと木山は変に危惧を抱く。脱ぎ女さんにも一応は常識があるようです。

「じゃ、ありがとうね」

 木山の危惧は的中した。あろうことか美琴は透明のガラスケースを抱えたまま研究室を出ようとした。「突っ込み役だと思ったのだが、この子は意外とボケキャラなのか?」と思いながら木山は声をかける。

「待ちたまえ。君はそのまま出ていくつもりか?」
「ん、ああ、それなら大丈夫よ。………ほら」

 と言って美琴が目で示す空間に、ほんの僅かな音と共にツインテールの少女が現れた。なるほど、空間移動者の彼女に送ってもらうのか。
 ぺこりとお辞儀をしてから消えた2人の場所を見ながら、一人残った研究室で木山は思う。

「ゲコ太が好きとはいえチョコレートは食べるものだろうに。しかも箱も一緒に保存するとは。よほど思い入れがあるんだろうが、あれでは作った人は喜ばんかもしれないな」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 もの凄く甘いマカロン全てを苦も無く平らげてから、ほっこりとした気持ちで上条は帰宅した。

「お帰りなんだよ、とうまー」
「おー、ただいまー」

 言いながら上条の方を向くインデックスだが、その視線はすぐに上条の手に下がっている今朝は持っていなかった紙袋に行った。
 見なくても今日という日付を思えば中身はすぐにわかる。チョコを始めとした大量のお菓子だ。

「へ〜、とうまこんなに貰ってきたんだー。本当にとうまは色んな人を助けてきたんだね」
「んー、あんま実感ないけどなー」

 と、努めて平静に返す上条だが内心はドキドキだ。どうにも、インデックスに女性関連の事を勘付かれると必ず噛みつかれてしまう。理由はわからないが、経験則から断言できる。
 幸いにしてインデックスは海外のバレンタインデーを意識していたようで、日本の方は知らないようだ。

 しかし、上条に限って『幸い』なんてある訳が無かったりする。

「って、言うと思った?」
「へ?」
「天誅なんだよーーーー!!!」
「ちょっ!? ストーーーップ!! ってお前天誅って言葉知ってたの!?」
「それにゲコ太チョコどっかに持ってっちゃうしー!! あれ1個しか作って無いんでしょ!? 私が食べたかったのにー!」
「ギャーーーーーーーーーー!?」

767甘さは気持ち:2011/02/13(日) 18:40:41 ID:mMnZ3VjM
 ガブリと、いっそ小気味いいほどの音を立てて上条は噛み砕かれた。

(まぁ、御坂から貰えたし、今日は幸せ、かな)
「む! とうまが幸せそうな顔してる! もっと天誅なんだよ!」
「痛ってぇ!? 砕ける! 上条さんの頭が砕けちゃう!? そして天誅の使い方間違えてる!!」

 折角幸せな気分だったのに、今はこのままではインデックスに咀嚼までされてしまうんでないかと割と本気で危惧を抱く上条。

「こうなったらチョコの代わりにとうまを食べるんだよ!!」
「食べないで!? 上条さんは美味しくないですよ!! ほら! あそこのチョコ全部食べていいから!」
「それは当然なんだよ!!」
「当然なうえで上条さん咀嚼されちゃいます!? 不幸だぁぁぁぁぁぁ!!!」

 不幸だと叫びながらも、上条は幸せだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 常盤台の寮のとある一室、消灯時間も間近だと言うのに美琴は「にへら〜」とか「ほへ〜」みたいな擬音が似合いそうな気の抜けた顔で、机に置いたガラスケースに心奪われていた。
 その後ろで黒子がちょっと陰惨な笑みで枕を相手に正拳突きの練習をしているが、彼女はいつの間に空手を習い始めたのだろうか。

「これ、アイツの手作りだよね〜……」

 言って再び「はにゃ〜」と気の抜けた顔になる美琴。
 中に入っているのは、チョコで作られた指人形サイズのゲコ太だった。店でも売ってそうだが、これは絶対アイツの手作りだと確信していた。

 型から剥がすのに失敗したようで、耳がちょっと欠けてたり足に小さいが罅が入っている。店売りじゃ絶対ないものだ。
 それに、箱のラッピングが不器用でテープが結んでいるんだか絡まっているだけなんだか、よくわからない状態だった。

 きっとアイツはお菓子作りは初めての筈だ。
 そのアイツがチョコの湯煎や型取り、箱の用意やラッピングに苦戦している姿を想像するともう真顔が維持できない。
 しかもそれを自分のためにやってくれたと思うと、やーもう、気の抜けまくった実に間抜けな笑みを浮かべて身悶えてしまう。

「えへへ……」

 アイツが作ってくれたゲコ太チョコレート。これは箱と一緒に永久保存だ。凄く食べたいけど、でも、やっぱり勿体ない。
 ここにはいないアイツに向かって、美琴は至福の笑みを浮かべたまま思った言葉を告げた。

「ありがとね、当麻♪」

 瞬間、後ろで黒子の奇声と共に枕が宙を舞った。
 名残は尽きないが、そろそろ消灯時間だし黒子もうるさいので机から離れる。

「もー! さっきからうるさいわよ黒子!」




 バレンタインデーは実に不思議な日だ。
 普段は靡かない癖にチョコと一緒に告白するとOKを貰えたりすることもある。
 バレンタインデーはカカオ99%チョコレートだろうがなんだろうが、とにかくやたらと甘くなってしまうことだってある。

 ビターチョコなはずのゲコ太が甘い事を、美琴は知らない。

768原作知らず:2011/02/13(日) 18:41:28 ID:mMnZ3VjM
以上となります。

小ネタで抑えるつもりだったのに、勢いに任せて書いていたらこんな感じになりました。
いやぁ、勢いって怖いですね。
『美琴→上条さん』に見せかけて実は『美琴→←上条さん』っていう風になっていれば嬉しい作者です。

あと、マカロンにした理由は特にないです。

では、これで失礼します。皆様のお暇を少しでも潰す事が出来れば幸いです。




………『RPG』の続きが思いつかない…………

769Mattari:2011/02/13(日) 19:16:25 ID:YespwlL2
>>768
GJ!!
しかし「黄土色の砂(マカロン)」ネタとはなぁ……。
やられました。

770ぐちゅ玉:2011/02/13(日) 19:45:52 ID:nJrPjmHY
こちらもバレンタインデーネタ便乗〜
(本来、前の人とはもっと間をあけるべきですケド、ネタ週間というわけで)

5分後ぐらいに、7レス使います。

771Mattari:2011/02/13(日) 19:49:26 ID:YespwlL2
>>747
ありがとうございます。
続きも頑張ります。

>>748
ありがとうございます。
ただ、あまり期待が大きいと……プレッシャーが……(;^_^A アセアセ…

>>751
ありがとうございます。
仰るように「夢と現実の境界が無くなる」という体験が今回の元ネタになっています。
デジャヴだった気もするのですけど……σ(^◇^;)。

>>752
ありがとうございます。
美琴の「自分だけの現実」ですか?
ウーン、突き詰めて行けたら何かそれで一本書けそうな気もするなぁ……。

>>755
ソーサさん、ありがとうございます。
GJですよ〜。
長編が書ける……というより、短編にまとめられない。と自分では思ってます。
だから逆に、小ネタにまとめられるソーサさんの作品はスゴいと思います。

しかし……美鈴さんが負けるとは……。
でも、通算成績は1勝1敗の5分ですね。次もあるのかな?w

772ぐちゅ玉:2011/02/13(日) 19:52:34 ID:nJrPjmHY
【それでも舞夏は廻っている(1/7)】

――バレンタインデー当日。

「おー、みさか白井〜! おかえりー」
「ただいまですの!」
「ふいー、ただいまー」
 外出しようと玄関の扉に向かった土御門舞夏は、丁度学校から戻ってきた御坂美琴と白井黒子に声をかけた。

「お疲れさんだねー。私はちょっと出かけてくるよー……お?」
 舞夏は美琴の持っていた紙袋を覗き込む。
「あー、流石だねー。みさかくん」
「ほんと勘弁してほしいわ、私は女だっつの」
「さっき帰り道でも、中身が2つ増えましたわね」

 本日はバレンタインデー。美琴はあまり嬉しくないモテっぷりで、なぜかチョコをいただく立場となっていた。

「貰っても複雑な気分だし、またお返しも考えると……やってらんないわね」
 渋い顔の美琴とは対照的に、機嫌の良さそうな黒子に、舞夏は問いかける。
「白井は何か機嫌よさそうだなー?」
「それはもちろん、これから部屋でわたくしのチョコケーキをお姉様に召し上がっていただく至高の時間が、というのもございますし、……なによりお姉様が誰にもチョコを渡さなかったこと、これが大きいですの!」
「ちょっと待てアンタ。珍しく『一緒に学校行きましょう、お姉様』つって、朝一からやたらベタベタしてくるなと思ってたけど、それってもしかして監視してたってワケ……?」
「そりゃもう。もしあの類人猿などが近づこうものなら、お姉様ごと飛ばす所存でおりましたし」
「く〜ろ〜こ〜〜〜〜!」

 土御門舞夏は慌てて逃げ出し、寮から外へ飛び出した。
 高レベル者の対決はともかく、寮監が間違いなく来るであろう展開に、長居は無用と言うわけだ。



(さ〜て、兄貴と上条当麻にチョコ渡して、トンボ帰りだなー)
 そう、外出といっても、兄貴である土御門元春の帰宅時間に合わせて戻り、チョコを渡すだけの用事である。
 ついでに、隣の部屋の上条にも。
(まあ、あのシスターに食われることを想定して、質より量にしておいたけどなー……さて、お掃除ロボットは、と)
 あわれ掃除ロボット。謎の嗅覚であっさり捕まり、少女のお尻にひかれることになった。

 鼻歌を歌いつつ、舞夏は掃除ロボットに乗ってくるくると廻りながら進む。
 と、その時、見知った頭が見えた。特徴のある、ツンツン頭。
「おーい、かーみじょう、とうまー」
「……ああ、舞夏か」
 先ほどチョコを渡さねば、と思っていた当の相手、上条当麻がのんびりと振り向いた。

773ぐちゅ玉:2011/02/13(日) 19:52:49 ID:nJrPjmHY
【それでも舞夏は廻っている(2/7)】

 土御門舞夏は上条当麻に追いつくと、そのまま一緒に進む。もちろん、上条は歩くスピードを落とさざるをえない。

「……相変わらずだな」
「便利なのだよー。兄貴はー?」
「荷物あったから俺は先出てきたけど、アイツもじきに帰ってくると思うぞ」
「荷物となー? お、それはもしやー?」
「……ふっふっふ、コレ見てくれよコレ」
 自宅の寮の方向に歩きながら、上条が白い紙袋を舞夏に差し出す。

「おー? やったじゃーん、上条当麻! チョコの嵐じゃないかー!」
 中には、10個には満たない程度のチョコが入っていた。
「ふははははー、上条さんにモテ期が来てるわけですよ!」
「まあ兄貴も、『カミやんは不幸の避雷針として大人気だからにゃー。たぶん幾つか貰えると思うぜい』なんていってたけどなー」
「るっせー! ……まあ義理でも嬉しいもんだよな。帰ったらインデックスに全部食われそうだけど」
 不幸を招く男として嫌われていた時代(があったらしい)を考えると、今の状況は天と地であろう。とはいえ恋人として見ればとんでもない不幸属性であるのは変わり無く、あくまで義理どまりのようだ。

「あれ? これすごくないかー? 義理にしては豪勢な感じ……」
 くるくると廻りながらごそごそと物色していた舞夏は、大きめに包装されたチョコを取り出した。
「ああ、手作りのを除けばたぶんソレが一番すげえな」
「ふーむ、……むむう?」

 舞夏はじっと見つめていたが、やがて上条に問いかけた。
「これは……どこのお嬢様に貰ったんだー?」
「へ? い、いや、普通の、普通の奴、ですよ?」
「これ、ピエールマルコリーニだぞー。しかも最高級クラスだー」
「すごいのか、それって?」
「絶対に3千円は下らないなー。普通の学生だとしたら、90%本命クラスだぞー、これって」
「うっ……」
「まあお金持ちのお嬢様なら、義理でもありえるレベルだがなー。上条当麻の知り合いで、金持ちって誰だー……?」
「…………、」

「共通の知り合いで、これぐらいポンと渡しそうな金持ちのお嬢様となれば、みさかか白井だけど……」
「い、いや上条さんいーっぱい知り合いいますので、」
「でも先刻の話を聞く限り、今日はまだ会ってないぽいしなー。上条当麻もまっすぐ帰ってきてるんだよなー?」
「ええい、推理すんじゃねー! 誰であれ義理だ義理! 貰った時だって、頬染めてとかそんな展開何一つねーよ!」


 内心、上条はズバリ言い当てられたことにドギマギしていた。

――何のことはない、昨日の13日、御坂美琴から貰った、チョコであった。

 ◇ ◇ ◇

774ぐちゅ玉:2011/02/13(日) 19:53:02 ID:nJrPjmHY
【それでも舞夏は廻っている(3/7)】

――バレンタインデー前日。

 上条当麻は、デパートの地下食品売場でいくつかタイムセールのお惣菜を買い込んだ後、案内版をぼんやりと眺めていた。
 その案内版には『7F:バレンタイン特設会場』とあり、その派手な案内につられて立ち止まっていたのである。
(明日はバレンタインデーか。ネタでも何でもいいから、一つは欲しいよなあ)

 インデックスはとりあえず論外である。日本の風習に関係ないというのもそうだが、そもそも彼女はお金を持っていないし、彼女が何らかの手段でチョコを手に入れてプレゼントしてくれても……結局食べられてしまいそうで、カウントしたくない。
(姫神に期待かなー。アイツの弁当にかける情熱の延長上に、手作りチョコがきっとある! 俺たち3バカにくれるぐらいの事は……アリじゃねえかな? 甘いかねえ……)

 上条はエレベーターに乗り込むと、『7F』を押した。
(まあどんな喧騒か見て帰るか……)
 ただの野次馬というやつである。

 0個だった時に備え、1個買っておいたほうがいいのか? とかなり後ろ向きなことを考えている間に、エレベーターは7Fに到着した。
 フロア中に、かすかではあるが甘ったるいチョコの香りがする。試食品などがあるのだろう。
 人はそれなりにいたが、混雑とは言いがたい混み方であった。さすがにバレンタインデー前日のこの時間となると、ピークはすぎていると思われる。
(ふーん……)
 上条はそのままぶらぶらと歩き出した。
 店を覗き込むような事はせず、人が群がっているメーカーをチェックして「ああ、あの有名なヤツか」と思い出したり、いい商売だよな全く、などとつぶやきつつ、大きい通りを歩く。

 上条当麻は記憶を失っているため、去年以前のバレンタインデーの思い出はない。
 しかし、土御門元春や青髪ピアスの言葉を信ずるならば、去年はほとんど収穫がなかったらしい。
(……うーん、夏以降知り合った女性陣も、よく考えりゃ海外組だのお嬢様だので、わざわざ義理チョコで来るわきゃねえワケで、今年もダメなんじゃねーか、俺……?)
 考えれば考えるほど、クラスの女子から運良く貰える可能性しか無い事にしか行き着かない。姫神様どうかお願いします、といった心境である。

 色々と考え事をしながら歩いていると、何となく空気が変わった事に気がついた。
(なんか、この辺高そうだな)
 どうやら有名ブランド系の一画に差し掛かったらしい。
 客もまばらだが、それが大学生風であったりお嬢様風であったり、……いわゆる普通の中高生が激減したのだ。

(ふーん、常盤台のお嬢様とかが居そうだな……っと、あれは……)
 偶然にも常盤台中学らしき制服の女の子がいた。
 ブランド店っぽい店の前で、コートを小脇に抱えて、カウンターの上でなにやらペンを走らせている。

 その斜め後ろからの姿には、個人的に超見覚えがあった。
(うっ、御坂じゃねーか! ……ま、まずい!)
 今さらながら、もしここで知り合いに会ったら、マズイというか相当恥ずかしい事に気付いた。
 これではチョコに興味ありますと喧伝しているようなものだ。

 キョロキョロと見渡すと、更に進んだところは行き止まりになっており、そこから大きめの階段が繋がっていた。
(よし、あそこから帰ろう! 長居は無用!)
 幸い、御坂美琴は全くこちらに気づかず、ペンを持った手は動かずそのままに、店員と話している。
 足音をたてずに上条はその後ろ約2メートルを早歩きで通りぬけ、階段にたどり着いて一息ついた。

(あっぶねえ……しかしアイツ何やってたんだ?)
 上条は、踊り場からこっそりさっきの店を覗き込んでみた。この距離なら十分、美琴の姿は確認できる。
 丁度、会釈して店員から紙袋を受け取るところだった。十中八九、中身はチョコだろう。
(宅急便かなんかで宛先でも書いてたのか? でも今日こんな時間に送ったって、明日に間に合わねえだろうしなあ)
 そんな事を考えながら、何となく美琴を眺め続けていたが、彼女が妙な動きをし出した事に気が付いた。

 携帯を取り出し、開いた所まではいいが、そのまま携帯を閉じてしまい、はーっとため息をつき。
 また思い直したように、携帯を開き……また閉じる。
 またまた携帯を開き、今度は指をタタタと軽快に走らせていたが……また10秒もしないうちに首を振って、閉じてしまった。
 そして、また深い溜息をついている。
(何やってんだアイツ? まるで俺が小萌先生に宿題できませんでした電話をする時みたいな動きしてやがる)

775ぐちゅ玉:2011/02/13(日) 19:53:17 ID:nJrPjmHY
【それでも舞夏は廻っている(4/7)】

 やがて、彼女は意を決したように軽く頷くと、また携帯を開き、今度はピピッと指を動かすと、そのまま携帯を耳に当てた。
(お、ついに掛けた……う!?)
 上条の携帯が震えだした。
(まさか、俺かよ!?)
 おそるおそるサイレントモードになっている携帯を取り出す。――やはり、美琴からだった。

(ど、どうすっか!? 出たら声聞こえちまうか?)
 シカトという手もある。だが、さっきのやたら躊躇っている姿をみた以上、出ないというのは……。

「はーい。上条さんですよん」
 言葉は軽く、しかし凄まじく小声で上条は、出た。
『私だけど、今ちょっといい?』
「あー……いいといえばいいし、良くないといえば良くない」
『アンタ何ボソボソ言ってんの、聞こえないわよ? あー、こっちもまわりウルサいから、ちょっと移動する』

 ギクッ。
 あそこからだと、静かそうなのはこの階段の踊り場だ。

 マズイ、こっちに来る!? 上条は慌てた。
 階段を駆け下りるのはもう無理だ、せめて……小細工を。
 上条は携帯が音を拾わないように、足音を立てずに階段に駆け寄り、少し降りて振り向き、……あたかも『今、ようやく下から7Fにたどり着きました』風を装うことにした。

 そして、振り向くと同時に、御坂美琴が駆けながら階段の踊り場に飛び込んできた。
「待たせたわね、もういい……わ?」

 生の声と、電話の声をサラウンドで聞きつつ、上条当麻は引きつった笑いで、美琴を迎えた。


「あれ? お前なんでここに? ……あー、携帯はもういいよな」
「な……な……、」
「すっげー偶然だな、俺今から8Fの本屋行こうとしてたんだけど、7Fて何かあったっけ?」
「…………、」
「んで、電話ってことは、何か用か?」

 上条は、まくしたてながら美琴を観察した。……どうやら、状況を整理出来ていないように見える。まだゲコ太携帯を閉じずに固まっている。
 そして、上条の小細工に気付いてる様には見えない。

「おーい御坂、どうした?」
「…………、」
「よくわかんねえけど、電話のほうが話しやすいのか? じゃ、俺は8F行って帰るから、後で適当に電話くれ」
「……忘れた」
 さりげなく逃げ出そうとした上条の足が止まる。
「は?」
「何伝えようとしたか、忘れた」
「おいおい」
 突っ込みながらも、上条は美琴が相当動揺しているらしい事を見て取った。

776ぐちゅ玉:2011/02/13(日) 19:53:32 ID:nJrPjmHY
【それでも舞夏は廻っている(5/7)】

「……んじゃ、思い出したら電話を……」
「いやその、ちょっと待って。え、えーと」
 やたらモジモジした感じの動きをする美琴を、上条はいぶかしんで見つめる。

「で、出会っちゃったから、あげる」
 美琴は持っていた紙袋を、上条にずいっと差し出した。
「チョ、チョコレート、ですか?」
「分かるでしょそれくらい!」
「ば、バレンタインは明日だろうが!」
「明日、わざわざ待ち合わせて渡せって言うの? 会えるかどうか分かんないんだから、持って行きなさいよ! ほら!」
「ちょ、ちょっと落ち着け! 第一ソレ俺用なのかよ!?」
「誰用でもいいでしょ! いいから受け取りなさいよ!」
「お前な……」
 上条は押し切られるように、美琴から紙袋を受け取った。

(断り続けるのは失礼だしな……それにチョコ0という不名誉記録は本番を待たずして無くなるワケだけど……)
 ただ、また御坂美琴の強引さに負けてしまうのか、というスッキリしない点が引っ掛かっている。

「わ、分かった! ありがたく頂く! でもお前な、渡すにしてももっとムードっつーか、何つーか」
「わ、私だってもうちょっと、その……」
 美琴の強ばったような表情が一転して、ちょっと悲しそうな表情がよぎる。

 が、すぐ俯くと。
「……じゃあね。ホワイトデー楽しみにしてるわよ」
 言うやいなや、御坂美琴は階段を駆け下りていった。


「ホワイトデー、って……押し付けてお返し求めるって、アイツらしいというか何というか……」
 上条はつぶやいて肩をすくめた。

 それにしても、貰ったはいいが、悩ませるチョコである。
 あの口ぶりだけでは、誰宛のチョコなのか分からない。
 ただ……やたら高級感が漂っていて、箱も結構大きい。自分に宛てたものとはとても考えにくい。
 何だか、それを奪ってしまったかのような気分になってくる。

(アイツだったら……そうだな、山積みのチロルチョコで『アンタにはこれがお似合いでしょ?』とか、高級チョコが2つほど入った小さい箱で『お嬢様からのチョコよん♪ ありがたく受け取んなさーい』とか、そんなイメージなんだよな)
 まあ高級チョコという点では合致しているが……、出会い方がマズかったせいか、ハンパな貰い方をしてしまった。
 そして、別れ際のちょっと悲しそうな顔。あの表情も少し気になる。

(うーん、とりあえず今日これ食うとフライングな気分だし……明日食って、改めてお礼言うことにしよう。インデックスに見つからないようにしねえとな)


 ◇ ◇ ◇

777ぐちゅ玉:2011/02/13(日) 19:53:46 ID:nJrPjmHY
【それでも舞夏は廻っている(6/7)】

――バレンタインデー当日、再び。

 という出来事があった前日であった。
 今日、結構クラスの女子からチョコを貰えて、更には姫神・吹寄の合作手作りチョコまで貰えて、ホクホクの上条当麻であったが、それらを入れた紙袋に、前日の美琴からのチョコも一緒に入れていたのである。

 土御門舞夏は、その美琴からのチョコが気になって仕方ない様子だ。
「なあ上条当麻。これって、めっちゃ本命くさいけど、大丈夫かー?」
「ほ、本命!?」
「うん。例えばゴディバみたいな超メジャーなものなら、あまり何も考えてないケースがあるから本命か義理か読みにくいけどなー」
「…………、」
「でも、この辺りのメーカーになると、本当にこだわって大切な人に贈る、って意味合いが強くなるんだなー。義理でも感謝度MAXぐらいに思ったほうがいいなー、社会人ならともかくなー」
「て、適当に選んでるっつー可能性もあるだろ? 金持ちだったら、ブランドも見ずにさ」
「可能性言い出したらキリないけどねー。でも上条当麻、ピエールマルコリーニってね……」
「な、何だ?」

「『本命と間違われやすいから、義理では使いにくいチョコ』ではトップクラスのメーカーだからねー。ふふふふー」

「…………!」
 上条は言葉に詰まった。しかし、そうであるならば、尚更。
(やっぱ俺宛じゃなく、誰かに向けたモノなんだろコレ? そんなモノを押し付けやがって、アイツ……)
 ひょっとしたら、チョコを贈りたい憧れの人でもいるのかもしれない。でも、あの時俺に会ってしまって混乱して、つい渡してしまったとか。

「……ま、少なくとも本命ってことはねえよ。実際、いい雰囲気でもらえたもんじゃねーし」
「まあ、単に自分が好きなメーカーのチョコを渡しただけかもしれないし、私の言葉は参考程度にしておきたまえー」
 そう言いながら、廻りつつ舞夏は上条にチョコを返す。
 改めて上条は、まじまじとその包装を見つめ、何の気なしに裏側を見てみた。

「ん……? メッセージカード在中?」
 小さくスタンプが押されていた。
「おー、これは急展開!? 告白が入ってるかもー?」
「…………、」
 さすがに上条も動揺を隠せない。

「……部屋に戻ってからじゃ、まずいな。ここで開ける」
「そうだね、あのシスターの前では」
 上条は丁寧に包装のシールをはがし、中身の箱を取り出した。――メッセージカードは、二つ折りになって、添付されていた。
 そうか、あの時……と上条は思い出す。美琴が何やら書き込んでいたのは、これだったのか、と。

 上条は、おそるおそる、そのブルーのメッセージカードを、開いてみた。そこには、シンプルに、一行の言葉が。


『    いつも、ありがとう。    美琴 』

778ぐちゅ玉:2011/02/13(日) 19:54:01 ID:nJrPjmHY
【それでも舞夏は廻っている(7/7)】

 思わず、上条に笑みがこぼれた。
「何つーか、……本命とか、義理とかそういうもんじゃない、って感じがする」
 これは、自分宛だ。よく考えれば、メッセージカードを入れたチョコを、他人に渡すわけがない。
 そして、普段気が強くて、自分にどんな時もお礼の言葉など一切言ったことのない彼女が、こんなメッセージを。
「いい言葉が入ってたみたいだなー」
「ああ、すげえスッキリした」

 今にして思えば、これを貰ったとき、美琴が一瞬悲しそうな顔をした意味が分かる。
 折角考え抜いたカードを同封したチョコを、乱雑な渡し方をしてしまった事を、悔いたのであろう。本当は、あの電話で今日きちんと渡す段取りをつけたかったのだろうが、自分が滅茶苦茶にしてしまった。
(来月、真面目に返してやらねーとな……)

「昨日のうちに見とくべきだったな、今日会ってたら変な対応するところだったぜ」
「あー、昨日貰ったのか、なるほどなー。となると……」
「またいらねえ事考えてやがんな? あー、暗くなってきたし、さっさと帰るぞ舞夏」

 急ぎ足になった上条に、舞夏はついてゆく。ほぼ、その贈り主を特定しつつ……


 ◇ ◇ ◇

 1時間後。
 土御門舞夏は、兄貴である元春と、上条当麻にチョコを渡し、また常盤台中学学生寮に戻ってきていた。

 机拭きをしようと食堂に入った舞夏は、のんびり紅茶を飲んでいる御坂美琴を発見した。
「みさかみさかー、どうした一人でー?」
「黒子が部屋のセッティングするから、外で待っててくれって。何のセッティングをしてるのやら」
 机の上をみると、チョコが積んである。ここに座っている間にも、贈られているらしい。
「ほんとモテモテだなー」
「ほんとマジでリアル男に渡せと言いたい。でもあんなキラキラした目で渡されちゃーねえ」
 ふう、とため息をついた美琴に、舞夏はそろそろと近づき、美琴の耳元で、一言。

『……ピエールマルコリーニ』

 みるみる美琴が真っ赤になったと思うと、舞夏の方にギギギ、ときしむように首を回す。
「な、な……?」
 カマをかけてみた舞夏は、読みが当たったことにニンマリとする。

「いやー、さっき外で、ある高校生と話してたんだがなー。そこでチョコの話になってさー」
「…………、」
「ピエールマルコリーニは、ド本命の証だって言っておいたよ、あははははー」
「ちょ、ちょっと何言ってんのよアンタ!」
「その時、その高校生の反応はいかに! 次回放送を楽しみに待て! というわけで私は仕事、仕事〜♪」
「まっ、待ちなさい、いや、待ってくださいっ、土御門ー!」


――数分後、美琴を呼びに来た白井黒子は目を白黒させる。何故かメイドに揉み手をしながらご機嫌伺いをしている常盤台のエースの姿に……


fin.

779ぐちゅ玉:2011/02/13(日) 19:55:01 ID:nJrPjmHY
以上です。
タイトルは当然「それ町」からいただきました。

ではまた地中に潜って冬眠します。ではでは!

780■■■■:2011/02/13(日) 20:10:28 ID:VXAquFKU
>>779
お久しぶりのぐちゅ玉さん!
そう、これなんですよこれ。少年マンガのラブコメ的展開、鈍感主人公と素直になれない女の子
の気持ちがほんのちょっと交差する(少女マンガも初期〜中盤展開はこんな感じですね)
次の発展は期待できるかもしれないしできないかもしれない、けど悪い方向には決して向かわない。
ラブコメ書く時はいつも頭の片隅に置いてる、こういう展開はやっぱりいいですねぇ。
私もたまにはこういうのを書いてみたいものです、本当羨ましい。
堪能させていただきました

781■■■■:2011/02/13(日) 20:19:33 ID:F.fkFU/s
>>779
顔の2828が止まらないんだがどうしてくれるつもりだw
後、冬眠しないでwまだアレの続き待ってますからw

>>768
ビターチョコがミルクチョコもびっくりの甘さですよw

>>746
上条さんの最後の一言がwいや、思わずPCの前で自分もそう思いましたけどw

>>755
美琴の妄想が止まんねーってやつですね、分かりますw

782■■■■:2011/02/13(日) 20:33:43 ID:.IVwYysc
>>779
とても良かったです!
ホワイトデーが期待できそうな引きで更なる妄想も楽しめそうw
ありがとうでした!

783■■■■:2011/02/13(日) 20:50:07 ID:YespwlL2
>>779
もう、こういうのが書きたいッ!!
ってのを書かれるとなぁ……自分の未熟さを痛感します。

メッセージカードに感激です。GJ!

784かぺら:2011/02/13(日) 21:51:56 ID:dM7EOsLs
ういー
ぐちゅ玉さんに続いて後方支援いきまーす

21:55から3レスほど。

785Sweet Valentine 1:2011/02/13(日) 21:56:17 ID:dM7EOsLs

「寒い……」

 吐いた息が白くなる。

 もう二十分は経ったかと思うが、一向に街人が現れる気配はない。

 雪こそ降ってはいないが、ただ立っているだけでは流石に辛い。

「アイツ……いつのなったら来んのよ」

 いつまで経っても上条は現れない。

 佐天涙子の半ば強引な策略にまんまと嵌り、手作りチョコレートなんてものを作ってしまったが、本番はいざ渡すときだ。

 待てど待てどやって来ない上条に、何度目か分からない溜息をつく。

(まぁ、待ち合わせする、なんて約束はしてないんだけどさ……)

 もう一度、今度は大きな溜息。

 上条に対してではなく、情けない自分に対しての。

 昨夜、ベッドの上で一時間ほど悶々としたものの、結局待ち合わせの連絡も出来なかった。

 幸いにも月曜日であることから、学校はあるだろうと、上条の下校ルートで待ち伏せしているのだった。

 そりゃ怒るのは筋違いだと上条を擁護するか、我らが御坂さんを寒い中待たせるとは何事と考えるかは意見の分かれるところではある。

(普段ならもう下校してても良い頃なんだけど……また補習かな)

 鞄に入れたチョコレートを気にするように、ちらりと視線を向ける。

 佐天宅から寮へと帰り、白井の居ない隙に綺麗に包装したもの。

 幸いにも溶ける心配はないが、潰れてないだろうかとか、包装やぶれてないよねとか、気になることはいっぱいだ。

「いやー、今日も冷えまっすなぁー」

 良く分からない音頭に乗せて、学ラン姿の高校生が現れる。

 ツンツンとした黒髪の少年。美琴が待っていた上条当麻その人だった。

「ちょ、ちょっと待って!」

「お? 御坂?」

 『こんなとこで何やってんの?』という呑気な言葉に、一瞬放電寸前でぐっとこらえる。

「わっ、渡したいものが、あってさ」

「ん?」

「コレ………なんだけど」

 鞄から取り出したのは赤いラッピングを施された小箱。

 型崩れもしていないようで、見栄えも十二分だった。

「今日、バレンタインだし……いっつもお世話になってるし……」

「おー、さんきゅー!」

 上条はにかっと笑い、美琴の伸ばした手からその小箱を受け取る。

「なんか見た目から上品そうなんだけど……これがお嬢様の力かっ!?」

「いや、適当に包んだだけだから」

 品定めのように、まじまじと見つめられては緊張してしまう。

 耐えきれなくなった美琴は、上条から視線を外し、手をもじもじとさせる。

786Sweet Valentine 2:2011/02/13(日) 21:56:34 ID:dM7EOsLs

「包んだ、って………まさか、手作りなんでせうか?」

「うん。友達に手伝ってもらってさ」

「おー、まさか本当に『不器用なりに作ってみた〜』が食べられるとは!」

 上条が感慨深げにチョコレートの箱を見る一方で、美琴は気が気ではなかった。

 チョコレートを男の子に渡したのは初めてだし、ましてや相手は意中の相手なのだ。

「よし、食おう今すぐ食おう食いましょう!!」

「え?」

「家に持って帰ったら、インデックスに食われるとかいうイベントが発生しかねん! って事で今すぐ食べるけど、良いよな?」

 答えは聞いてない、と言わんばかりの勢いだった。

「あ、あああああああ、うん、じゃあ、私帰るからっ!」

 言葉になってるのかも分からないような発音で、美琴は上条にそう告げると、勢いよく踵を返す。

「ちょっと待て! 折角なんだから、一緒に食おう」

「な、なにが折角か分かんないんだけどぉぉぉぉ!?」

 上条は美琴の言葉を完全スルーし、近くにあったベンチへと彼女を引っ張って行く。

 遊びに行く時もこれくらいリードしてくれたらいいのに、という現実逃避ぎみの思考を巡らせながら、美琴は上条にされるままにベンチへと腰掛けた。 

「それじゃぁ早速」

 ガサゴサとラッピングを開き、小箱の蓋を開ける。

 中から現れたのは、丸なのか四角なのか分からないチョコトリュフだった。

「おおおおお……」

「た、食べるならさっさとしなさいよ!」

 さっきもそうだったが、あまり見つめられては恥ずかしい。

 自分を見られているわけではないのだが、なんとなくそんな気になる。

「いただきます」

 上条は一つを摘まむと、口に放りこむ。

 柔らかな触感と甘めの味が、口いっぱいに広がる。

「う、うまい……」

「ホ、ホント?」

 なんだか震えている気がしないでもない、上条の横から覗き込むようにしてその顔色を窺う。

 表情こそは良く分からないものだったが、少なくとも美味しい事は事実らしい。

 ホッと一息ついたところで、美琴は横から何かが伸びている事に気づいた。

「にゃ?」

「ほら、お前も……口開けなさい」

 目の前に突き出されたのは、上条の指。

 そこに摘ままれている自分のチョコレート。

「え、あ……ふぇ?」

 事態が飲み込めない。

「ほらよ」

 指が唇に触れ、チョコレートが口の中に転がる。

 良く分からないまま、食べたチョコレートの味は、やっぱり良く分からなかった。

「な?」

 こくり、と頷く。

 言葉は発せられなかった。

「一気に食べんのは勿体ねぇな……っと、なんだこれ?」

 小箱の端に挟まれた小さなカード。

 気づいて欲しいような、そうでないような。

 そんな風にも見えるカードだった。

787Sweet Valentine 3:2011/02/13(日) 21:57:01 ID:dM7EOsLs

「メッセージカード……?」

「っ!?」

「えっと………なんだこれ?」



【  Я люблю тебя  】



 そこに書かれているのは外国語だった。

 いや、記号、暗号と言っても良いくらいの。

「…………お、おい」

「あぁあああ、コレね、『義理』って意味なのよ。普通に書いても面白くないなと思って、ね?」

 急に挙動不審になりだした美琴を、上条は真っ直ぐに見る。

「そっか……」

「そう、そうなのよ! アンタにゃ色々お世話になったしね。感謝の気持ちを、って」

 あはははは、と笑う美琴に、上条も表情を緩めてみせる。

「感想、ってわけじゃねぇが……このカードは返すよ」

「え?」

「なんていうか、不幸っつーか……ついてねーよな」

 上条は右手で頭を掻き、左手に持ったカードを見る。

「オマエ、本当についてねーよ」

 いつだったか。

 聞いたような言葉だった。

「どういう……」

「このカードに書かれているのはなんでしょうか、ってか? 偶々っちゃ偶々だけど、こないだ目にする機会があってよ」

 美琴の顔が朱に染まる。

 ごくり、と唾を飲む音が聞こえた。

「いま流行ってる旅番組……って言って分かるか?」

 上条の言葉に、美琴は昨日の事を思い出す。

 『って、ドイツではそう呼ぶらしいんですよ。ロシア語も面白かったですけど、ドイツ語って、すっごいカッコイイ響きになると思いませんか?』

「まさか………」

「そのまさか、だな。俺にしちゃぁ、『幸運』すぎる気はするけど……」

 上条は手に持ったメッセージカードをくるくると回すと、美琴につきつけた。

「そっくりそのまま返してやる」

788かぺら:2011/02/13(日) 21:59:03 ID:dM7EOsLs
以上です。

みこさての前話があったりするので、興味がある方は読んでやってください。
では

789■■■■:2011/02/13(日) 22:21:29 ID:WFTQvT3A
>>788 かぺらさん

みこさての方も読んで来ました。
いやーGJです!
2828が止まりませんし、メッセージカードの内容を上条さんが知っていて。
それで美琴に「そっくりそのまま返してやる」だなんて……
あー脳内妄想会議がすごいことになってますよっ!
次回も楽しみにお待ちしています。

790■■■■:2011/02/13(日) 22:23:34 ID:.IVwYysc
>>788
素敵ですね〜
まさかロシア語でくるとは(笑)
美琴らしいけど、偶々その意味を知っていた上条さんはタイミングがすごすぎw
次回も楽しみにしています
ありがとうございました!

791■■■■:2011/02/13(日) 22:33:11 ID:TXQz0ksw
スゴくホンワカしますね。
美琴から上条さんもいいですけど、両方からってのもいいですね。

792■■■■:2011/02/13(日) 22:34:34 ID:uxGB06Mw
ageるなとかイチイチつっかかってくるやつなんなの?
馬鹿じゃねーの?
これ以上sagesage言うなら俺が荒らす。くだらねぇ

793■■■■:2011/02/13(日) 22:51:45 ID:fmNBTEfc
たくさん来てたw
書き手乙!

>>792
sageろ

794■■■■:2011/02/13(日) 22:57:50 ID:HxNCGfzg
上条さんのフレーズがかっこぃぃ

795■■■■:2011/02/13(日) 23:00:07 ID:eE40siNs
>>原作知らずさん
見事に「美琴→←上条さん」でしたね!美琴の壊れっぷりがまた良かったです。あと何気に木山先生登場・・・
>>ぐちゅ玉さん
高い完成度の作品をありがとうございます!美琴の書いたメッセージカードの「ありがとう」にブワっときました!舞夏視点も新鮮でした!
>>かぺらさん
これから読みます!

796■■■■:2011/02/13(日) 23:02:18 ID:CxiAFiZ6
>>788
上条さんのせいでおれはもうやばい

797陣海:2011/02/14(月) 00:07:21 ID:7DkNjxGQ
どうもお久しぶりです。

良作連投の中、大変恐縮ですが
バレンタインということで0:08くらいにかぶらなければ投稿をします。

タイトル『いつもの二人?』

798陣海:2011/02/14(月) 00:09:56 ID:7DkNjxGQ

今日は男女共にドキドキワクワクする年に一度の行事がある二月十四日。
いつも世界を飛び回っていた我らが主人公にして不幸なフラグ男、上条当麻は現在とある高校の三年生になっていた。

そして放課後のとある教室

「なあカミやん、今日はいくつチョコ貰ったんや?」
「………見てわからねえか? ゼロだよゼロッ!」
「そりゃそうだろうにゃー、毎日あれだけ愛の電撃追いかけっこ見てればどんな女の子も諦めるぜよ」
誤解のないように訂正しておこう。
どこぞのビリビリ中学生が俺のいるこの高校に今年入学してきた。そのことには驚いたのだったが、校舎や校門のところで顔を遇わせる度になにかとケチをつけてきてそれで追いかけっこになるというパターンがもはやこの一年で再構築されてしまっていた。
その所為で「お前ら付き合ってんの?」や「夫婦喧嘩は他所でやれよ」とか誤解をされてしまったのは言うまでもない。
つまり、愛の電撃追いかけっこではなく……只の電撃追いかけっこなのだ。
「だからっ、俺らは別に付き合ってもいねぇっての!」
「「そうは見えないから言ってるんだにゃー!(や!)」」
そう、こう返してはこう突っ込まれるのは毎度のことで……
「はぁ……不幸だ」
結果、お馴染みの台詞を呟くことになる。


少し後の校門前

「御坂さんまたあの先輩待ってるの?」
「えっ、いや…その、そんなことはないわよ」
「今日こそは頑張ってね」
と、ここで待ち始めてから既に同じようなことを何度も言われている。

『あれ? またあの上条のバカまってるの?』
『上条くん。待ってるの? もうちょっとかかると思う。』
『御坂さん、上条ちゃんを待ってるんですかー?』
『毎日毎日ご苦労様じゃん』
などこの他にも色々言われてしまった。
「アイツ、チョコいくつ貰ったんだろ……」
去年の調子だと紙袋一杯…なんて姿で現れて
『御坂、これ食べんの手伝ってくれないか?』
とか言うんじゃないかと若干去年のバレンタインを思い出してイライラしてきた。
そんな感じで校門のところで待っていると、目の前を見知ったというかいつも追いかけ回しているツンツン頭の少年がゆっくりと過ぎて行った。
「ちょっと、アンタ!」
「ん? どうした御坂」
いつもと少し違う反応。
「ったく、なんでいつもいつもアンタの検索範囲は……って、あれ? 今日は反応が早いわね」
「こっちだって無視してるわけじゃありませんのことよ、 にしてもどうした御坂、誰か待ってんのか?」
今日はなぜか聞いて欲しいことをズバズバと聞いてくる。
「うん、ちょっとね……アンタを待ってたのよ」
「………なにか、俺悪いことしましたっけ?」
しかし、こういうところの反応はいつもと一緒で鈍感。
「い、一緒に帰るくらいいいじゃない……同じ方向なんだしさ」
「あ、ああ」
いつもと違う、少し素直な態度で接したら……ちょっと照れてくれた。


帰り道、上条は御坂と二人帰っていた。
ちなみに言うと追いかけられているのが毎日と表現されるなら、一緒に帰ったりするイベントは週に1度くらいだ。
「にしても、今日は静かだな御坂」
「そ、そんなことはないわよっ」
意味が分からないが怒られた。
「まあ、なんだ…毎回言ってる事だけどさ、こんなことしてるとホントに勘違いされると思うぞ?」
そう、追いかけっこ以外にも勘違いな噂を流される原因は主にこれだったりする。
他には買い物の手伝いをさせられたり、中学時代からの名残で勉強を見てもらったりしている所為もある。
「そんなの私の勝手でしょ、勘違いしてる奴には勘違いさせとけばいいのよ」
「いや……はぁ、御坂がいいならいいけどさ、それだと好きな奴が出来た時大変だぞ……」
バチバチバチッ
「って、なんでもないっ、なんでもないからその電撃をしまって下さい!」
なんでこの話をするとあんなに怒るんだろうか……身近になったこの一年でも未だによく分からない。


なんでアイツはこんなにも分かってくれないのだろうか……
『それだと好きな奴が出来た時大変だぞ』
毎回その言葉を聞く度に私は叫びたくなる。

799陣海:2011/02/14(月) 00:10:35 ID:7DkNjxGQ

アンタのことが好きなのに、何でアンタは気付いてくれないの

しかし、その度に素直になれなくて何度か本当に言えそうなタイミングを逃している。
「み、御坂? 具合でも悪いのか?」
ずっと黙って下を向いていた所為か、具合でも悪くなったのかと心配される。
「ち、違うわよ…ちょっと悩み事」
「悩み事? 俺でよかったら相談乗るぞ?」
いつも世話になってるしな、と彼は笑って言う。
「れ、れれれ恋愛の悩み事でも大丈夫?」
「あー……御坂、悪いがそんなに詳しいアドバイスとか出来そうじゃないが…一応、話だけでも聞くぞ?」
うん、期待通りの回答だけど……もう、ここまできたら行くしかないと覚悟を決める。
「う、うん……その、さ…友達の、クラスメイトの子に聞かれたんだけどさ、片想いってどう思う?」
「お前面倒見よさそうだからな、相談されたのか……うーん、片想いってことは相手がどう思ってるか分からないってことだよな」
うーん、と少し悩んで彼は
「やっぱり想いを伝えるべきなんじゃないか? 片想いってどう思うの回答になってないかもしんねぇけど」
「ふ、振られたらどうするのよ」
「なるようになれって言うのは無責任かもしんねえけど……こればっかりはな」
そう言って彼は頭を掻く。
「じゃあ、さ……私が今、アンタのことをす、好きって言ったらどうすんのよ……」
あれ、言え…た。
「なっ、えっと…そう、だな……た、楽しそうでいいんじゃねぇか?」
顔を真っ赤にして答えてくれた彼は、私のことをこれで意識してくれるだろうか……


なんだろう…今日の御坂は物凄くおかしい……こんなこと言うキャラだったか?
「って、俺だけ恥ずかしいこと言ってんじゃアレだしな…み、御坂はどうなんだよ!」
「わっ、私?! 私がアンタに好きだって言われたら………」
頬を染めるどころか顔全体真っ赤にして御坂はオーバーヒート寸前になった。
聞き間違えであって欲しいと思うが、明らかに隣の御坂からバチバチと心臓に悪いスパーク音が聞こえる。
「み、御坂さん? 漏電はやめて頂きたいんですけど……」
「……あ、うん」
ほんと今日の御坂はおかしい……おかしいといっても素直なだけなのだが…
「あ、そうだ御坂」
「な、なに?」
声が裏返りつつそう答えた御坂。
「ほら、これやるよ」
上条は御坂に鞄に入ってたある物を渡した。


「これ…なに?」
彼が鞄から取り出したのは、ゲコ太のプリントされた小さな袋。
「いや、なんか去年にイギリス行った時さバレンタインって男でもするみたいだったからさ」
バレンタインに、男でも……ってこれ本命ってことでいいの?!
「世話になってる人俺多いからな……ホントはもっと渡す人いるんだけど身近な人にだけだけどな今回は」
……………ぬか喜び、か…と少々落ち込む。
「しっかし、今年はゼロかー」
とガックリといった感じになった彼を見て……
「去年からの一年間なにしたのよ……」
一年間での大逆転に呆れ果てる私。
「いや……思い当たる節は一切ないんだけど……」
「まあ、いいわ…可哀相なアンタにはこの美琴さんのチョコをあげましょう」
………また素直になれずについ口に出したのがその言葉だった。
「マジでっ! いやー去年のもそうだったけど御坂のチョコが一番上手かったんだよな」

800陣海:2011/02/14(月) 00:11:06 ID:7DkNjxGQ
「え、ほ…ほんとに?」
「ああ、格が違うって言うのかマジで美味かった記憶があるんだって」
「……アンタの記憶はちょっと当てにならないのよね、記憶喪失になったりしてるし」
「………いや、そのことではホントに否定できないんだけど、マジで美味かったのはホントだって」
「まあ、信じてあげるわよ…その代わり、明日の放課後買い物に付き合ってよ」
くすっと笑ってそう言う私に彼は
「はぁ…まあ、ホント美味いからいいけどさ」
と苦笑いを浮かべて了承してくれた。


「それが私とお父さんが一緒の高校に通ってた時のバレンタインの話」
「へー、母さんが父さんにデレデレになる前ってそんなんだったんだ」
父親譲りの黒髪に、母親譲りの綺麗に整った顔立ちの14歳くらいの少女が母親の隣に座ってそう言った。
「で、デレデレでもないでしょ! 普通よふ・つ・う、でも…素直になれなかった自分が今でも不甲斐ないわ……」
娘の言い分に力一杯否定をするが後半は昔の自身を思うのか溜息をつく。
「で? 付き合い始めたのはいつからなの母さん」
色恋沙汰に興味を持ち始めるお年頃である娘はお構いなしに母親に問いかける。
「そうね、次の日の買い物の時からかな? ね、お父さん?」
「あ、ああ」
今まで会話に加わらないでいたが対面で新聞を読んでいた俺はそう答える。
「へー、どっちが告白したの?」
「それは……私からよ、お父さんってば鈍感すぎるから」
「そうだよねー、父さん乙女心わからなそうだもん」
妻と共に娘に半眼で見つめられ、俺は苦笑いを浮かべて反論する。
「って、おいおい……そこまで言われるほどじゃないぞ、俺は」
「「えぇ〜」」
声を揃えて否定される。
…………父さんは心が挫けそうです。
自分の娘に自身の恋愛話をする彼女はとても楽しそうで、それを聞く娘も楽しそうに聞いていた。

「あ、そうだ美麻ちゃん、あれは用意できてるかな?」
「うん、母さんもちろん準備オッケーだよ」
話がひと段落すると今度は事前に打ち合わせをしたかのような会話になる。
勿論、俺が知る由もないから俺は新聞を読み進める。
「「はい、バレンタインのチョコレート♪」」
そんなことを言って新聞が取り上げられ、代わりに可愛いラッピングのされた包みを二つ渡される。
「お、ありがとなー」
そう一言言って新聞を取り戻そうと手を伸ばした俺は……

「「ほら、やっぱり乙女心を理解してない!!」」
の怒鳴り声と共に二人に頭を叩かれるのだった。

三人は知らず知らずのうちに笑顔になる。
これがいつもの上条家の日常だった。

801陣海:2011/02/14(月) 00:14:49 ID:7DkNjxGQ
すいません、投下時間がうだうだしてるうちに一分切ってましたorz

今回はオチが微妙かもしれません……似た様なのがあるかも知れません^^;

色々指摘していただけるとありがたいです。
追伸:『鶴の恩返し』なのですが話が上琴からずれて来た為にピクシブの方に投下しました。

802■■■■:2011/02/14(月) 00:56:00 ID:wdBuN87I
>>755
>>768
>>779
>>788
>>801
        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

803Mattari:2011/02/14(月) 01:52:08 ID:UsdPy7Cs
深夜に失礼します。
先に言っておりました『さいごのバレンタイン』の続編を投下します。
明日はリアルがかなり多忙のため、帰ってからだと時間的に間に合わないかも……ということで。
連続ですし、多くの方が投下されていますので、多少迷ったのですが……。

この後すぐに投下します。5レスほどになると思います。

804はじまりのバレンタイン:2011/02/14(月) 01:53:32 ID:UsdPy7Cs
《はじまりのバレンタイン》

 『ピロリロリンピロリロリンピロリロリン』

 いつも『ゲコゲコ』としか鳴かないはずのカエル型携帯から、カワイイ電子音が鳴った。
 御坂美琴は慌てて携帯を取りだし、その内容を確認する。
 その電子音は美琴が上条から連絡が入った際の呼び出し音に設定していたモノだった。

 to 御坂  from 上条
 件名 話がある
 内容 いつもの公園で待つ。

 その内容を見た美琴は、その素っ気ない文面を『アイツらしいな』と思った。

 実は美琴は今までずっと上条を探し続けていた。
 今日こそ自分の想いを告げようとしていたのだが、上条を見つけられずにいた。
 カバンの中には、美琴お手製のトリュフチョコが入っている。
 舞夏からレシピを借り、美琴が丹精込めて作った、そのまま売りに出されても恥ずかしくない出来映えの逸品だ。
 呼び出された場所である自販機の前にも行ってみたが、その時その場に上条は居なかった。

(アイツからの呼び出し……何だろ?……ま、まさか……告白……イヤイヤ、それは……、……ない……よね……。だって、あんなに毎日会ってるのに、会う度にビリビリやってたんじゃ……嫌われても……当然……)

 そう思った美琴だったが、上条からの呼び出しを無視することは出来ず、そのまま呼び出されたいつもの自販機を目指した。

 一方、上条も災誤先生に背中を押され、美琴を呼び出してはみたモノの……やはり踏ん切りが付かないといった様子だ。

(『前に進む』って決めたモノの、やっぱり『断られたら』って思っちまうんだよなぁ……ハァ……)

 先程からずっと葛藤が続いている。
 だが、“前に進む”と決めたのだ。その想いだけが彼を支えていた。

「い、いきなり呼び出して……何の用なのよ?」

 葛藤を続け、周りに目が行っていなかった上条は、美琴が来ていることに気付いていなかった。
 美琴に声をかけられ、現実に引き戻される。

「わっわわっ……あ、御坂か……」

「『御坂か』じゃないわよ。アンタが呼び出したんでしょ?一体何の用なのよ!?」

「ああ、スマン。……まさかホントに来てくれるとは……、思ってなかったから……」

「ハァ?何言ってんのアンタ?」

「わ、悪ィ……あ、あのさ……話って言うか、……ちょっと聞きたいことがあったっていうか……」

「……聞きたいこと?」

「……ああ、……この前、男の人と一緒に歩いてたろ?……アレ、誰なのかなって……」

「この前って……ああ、もしかして1週間くらい前のこと?」

「そ、それくらいに……なるかな?」

「アレは、今年の春、入学予定の子の父兄よ。寮の見学をしたいって言うから、案内してた……んだけど……」

「えっ!?ふ、父兄の人?(えっ!?じゃあ、もしかして……オレの勘違い……?)」

「そうよ、でも、何でそんなことをアンタが気にする訳?(コイツ一体何を気にしてるのよ?……えっ!?……まさかッ……でも……だったら……)」

「い、いや、……こっこの前、街で偶然見かけたから……チョット気になって……(ホントに、勘違い……だったんだ)」

「そ、そう……(き……気になって……って……もしかして……ホントにそう!?)」

「……」

「……」

「……」

「……」

「「あっ、あのさっ!!」」

「「あっ!?」」

「……」

「……」

「……(前に進むって決めたんじゃなかったのかよ!?何やってんだよ、オレ!!)……」

「……(コイツ、まさか……でも……だったら……イイな。聞きたい……。でも怖い……。怖い……。でも……聞きたい……)……」

「「あっ、あのさっ!」」

「「聞いて欲しいことがあるんだけどッ!!!」」

「「えっ!?」」

「な、何かさっきから、メチャクチャタイミングが……」

「良いんだか、悪いんだか……分からないね……私たち」

「そうだな……だったらさ……」

「そうね……一緒に……」

「「一緒に言おうか!?」」

「「じゃあ、せーの……」」

805はじまりのバレンタイン:2011/02/14(月) 01:54:47 ID:UsdPy7Cs

「「オレ(私)、上条当麻(御坂美琴)は御坂美琴(上条当麻)さんのことが好きですッ!!!」」

「「だからっ、恋人としてつき合って下さいッ!!!!!」」

「「ええっ!?」」

「み、御坂……お前……今ッ……」

「あ、アンタこそ……今ッ……」

「……」

「……」

「「ホントに、私(オレ)なんかでイイの(か)?」」

「……」

「……」

「「プッ……」」

「か、確認するのまで……一緒だなんて……」

「た、確かに……普通はそこまで……一緒にはならないよな……」

「「クッ……プッ……アハハハハハ……」」

「……ねぇ……“ギュッ”てして……」

「……ん……ああ……」

「こうして貰うのが、ずっと夢だった……」

「そっか……」

「ホントにかなっちゃうなんて……夢みたい……」

「オレの右手が触れてんだぞ。【幻想(ゆめ)】な訳は無いな」

「じゃあ、ホントなんだね……」

「ああ、ホントだ……」

「……」

「……」

(ザワザワ……)

「……」

「……」

(ザワザワ……ザワザワ……)

「……(何だ?ちょっと騒がしい気が……)……」

「……(せっかく良いムードなのに……何よ……)……」

「「えっ!?」」

 人通りが少ないとは言え、さすがにそれでも通る人は居る。
 往来のど真ん中で抱き合ってたら、それは目立ちますって、お二人さん。
 確かに、バレンタインデーですからね。そういう“今告白して出来ちゃいましたカップル”は、あちこちに見受けられますが……。
 そういうカップルは大体が初々しいものですよ。
 お二人のように、周囲の目を憚ることなく抱き合ったまま動かないってのは、ちょっと居ませんって。
 しかも美琴の制服は、学園都市でも5本の指に入る超有名な“お嬢様学校”【常盤台中学】の冬服。目立たないはずがないでしょ?

 という、筆者からの問い掛けをするまでもなく……。
 二人はいつの間にか自分たちの周りに出来た人集りを目にし、恥ずかしさのあまり、慌ててその場を立ち去るのだった。



 うん、既に“バカップル”してますね。(天の声)

「「してない!!!!!」」

 いや、その抗議は却下。(天の声)

「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」」

 大丈夫、大丈夫。もうちょっと、イチャイチャさせたげるから。(天の声)

「「そ、それは……嬉しい……な……」」

 言ってろ。(天の声)



 ……と言うことで、二人を弄りすぎるのもアレなので、もう少し話を続けます。
 ん?……どなたです?「もっとやれ!!」なんて言ってる方は?

「あ〜、もう……ビックリしたぁ〜……」

「い、いつの間に……あんなに人が……」

「さ、さあ……?」

「恥ずかしかった……けど、……」

「けど……?」

「もうちょっと……(していたかったって言うか……)」

「お……オレも……もうちょっと……」

「「えっ!?」」

「「……あ、アハハハ……」」

「……」

「……」

「ね、ねぇ……コレからどうする?」

「……」

「ねぇ……」

「じ、実は……告白することに精一杯で……その後のコトなんて……何にも考えてませんでした……」

「こっこ、こういう時は男の方がエスコートするもんだと思うけど……」

「いっ……い、今の私めにそのような要求をされましても……そのような引き出しを持ち合わせてはいない上に、例え引き出しがあったとしても中味は完璧に空っぽな訳で……」

「……もう……でも、アンタらしい」

「無理難題を言ってくるのは、やっぱり御坂らしいぞ」

「え〜〜〜〜。む〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「な、何でそんなにカワイイ顔で怒れるのですか?……というか、怒った顔も可愛いと思ってしまう私めは、どうなってしまったのでせう?」

「そ、そ、そう言うことは……言わない……で……(恥ずかしいから……ゴニョゴニョ)」

 ああ、もう……また勝手に二人だけの世界を作っちゃって……。

806はじまりのバレンタイン:2011/02/14(月) 01:55:46 ID:UsdPy7Cs

 しっかり二人だけの現実(バカップル・リアリティ)に入り込んでる上琴ですが、暦の上は春とは言え、やはりまだ2月。
 外に居るのは寒いわけで……。
 そこで、近くのファミレスでお茶を……と相成りました。
 それにしても……美琴はもう、しっかりと上条の右腕を掴んで離さないご様子で……。
 上条は右腕に感じる“柔らかいモノ”にドギマギ……。
 そんな二人が離れて向かい合う訳がない。
 二人並んで寄り添って、“バカップル・リアリティ”全開です。

「あ……あの、……お願いがあるんだけど……」

「お願い?」

「うん……あのね……」

「うん」

「名前……で、呼んで欲しいなって……」

「名前?」

「うん……それも、夢だったし……絶対にそうなりたいって思ってたから……」

「そっか……。じゃあ……み、美琴?」

「ひゃっ……ひゃいっ!……(い、今、全身に電気が走ったような……何コレ!?)」

「?」

「……もう一回……」

「……ヘッ!?」

「……もう一回」

「……美琴……」

「(ズキューンッ!)……もう一回」

「美琴」

「(ズキューンッ!バキューン!!)……もう一回!」

「美琴」

「(ズキューンッ!バキューン!!ドキューンッ!!!)……ふにゃぁ〜〜〜」

「あ、……アレ?……オイ、美琴?美琴?」

「ふにゃぁ〜〜〜……とーま……エヘヘ」

「ん?」

「とーま……ふにゅぅ……」

「なぁ、美琴?」

「えっ!?……あっ……えっ!?なになに?」

「何か俺の名前、違うっぽいんだけど……」

「えっ!?……アレ?……そう?」

「呼んでみろよ」

「う、うん……と、と……とーま」

「ん〜……何か……違う?」

「えっ?」

「何か違う」

「えっ?……違う?……じゃあ、とうま……」

「ウーン、もうちょっと……」

「??」

「何か……足りないよーな気がするんだよな」

「……変な当麻?」

「あっ、それ。今の!!!」

「えっ!?」

「今のだよ、今の呼び方」

「……当麻?」

「そうそれ!」

「当麻」

「美琴」

「当麻!」

「美琴!」

「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」」

 ……もう、好きにして……。

 いつものバトルモードはドコへやら。
 完全に甘々のお二人である。
 筆者は濃い目のブラックコーヒーがお好みなのだが、この二人が一緒に居るとお好みのブラックも、アンジェレネ好みの“チョコラータ・コン・パンナ”並に甘くなりそうだ。
 せめて、カフェ・モカ辺りで止めといて貰えると、有り難いのだが……。

「ねえ、当麻?」

「ん?何だ、美琴」

「さっき、私が当麻の知らない男の人と一緒に歩いてたのが気になったって言ってくれたでしょ?」

「ん……ああ……」

「何でそんなに気になったのかな?……って思って……」

「あ……アレは……その、美琴が……美琴がオレの見たことの無いような笑顔で、……笑ってたから……」

「ン〜……?もしかして……それってヤキモチ?」

「ばっ、バカ言ってんじゃ……な……、いや……多分、そう……」

「キャ〜ッ、当麻ってカワイイ!!!」

「うっ、うるせえ」

「フフフ、心配しなくたっていいわよ。アレは営業スマイルなんだから」

「え゛……営業スマイル?」

「そっ。アレは外から来た人向けの笑顔。……ホントの笑顔は……当麻にだけ……見・せ・た・げ・る」

「(バボンッ!!!)」

(コレは、かなりからかい甲斐がありそうね。エヘヘ〜、ヤッタァ〜当麻で遊べる日が来るなんて……キャ〜、嬉しい)

「な、なんか今、スンゴイ悪寒が……」

「逃げようったって、そう簡単には逃がさないわよ。せっかく掴まえたんだから」

「美琴って結構独占欲強いのな?」

「アレ?今頃気付いたの?」

「……ま、まあな……。でも、ホントの笑顔はオレだけって……約束だからな!!」

「……当麻も意外と独占欲が強いんだ……でも、イイよ。当麻なら」

「キライになったか?」

「バカ……なる訳ないでしょ。それともそうなって欲しいの?」

「イヤだ。でももしそうなったら、今までの美琴以上に毎日付きまとってやるよ」

「あ、それ、イイかも?」

「え゛……?」

「フフッ……うそよ。……大好き」

「ああ、オレもだ」

 そう言うと上条は、美琴を静かに、そして優しく抱き締めた。

807はじまりのバレンタイン:2011/02/14(月) 01:56:49 ID:UsdPy7Cs

 そんな二人の楽しい時間はあっという間に過ぎ、美琴の門限時間が近づいてきた。
 上条が「寮まで送ろうか?」と聞いたのだが、さすがに誰に見られるか分からない。
 特に、美琴のルームメイトに見られたら……と思うと……美琴としてはそれだけは避けたかった。
 それにやはり恥ずかしさもある。そういうトコロは初々しいのな。お二人さん?

 という訳で、最初に待ち合わせをしたいつもの自販機の前に戻ってきた二人であった。
 さすがにこの時間帯になると、人通りはほとんど……というより全くと言って良い程無い。

「ホントにココでイイのか?美琴」

「う……うん、まだ誰かに見られるのも恥ずかしいし、それに万が一、黒子に見られでもしたら……」

「白井か……確かに……」

 上条が想像した黒子は、ツインテールが角になっていた。

「あ……そうだ……」

「ん?何だ?」

「ハイ……これ……今日はバレンタインだから……」

「あ、ありがとうな……」

「ど、どうしたの?」

「い、いや。オレ……何も用意してなかったから……」

「そんなの……バレンタインなんだから……」

「そうなんだけどさ……やっぱり……」

「……その気持ちだけで、充分よ」

「うん……でもさ……」

 そういうと上条は、美琴のほっぺに優しくキスをした。

「オレの初めてをプレゼント……って、カッコ付けすぎだよな。……アレ?……美琴?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(ポンッ!!!)」

「美琴?どした?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜バカ」

「え゛……」

「こっこっここういう時は、くっくくっ唇にするもんでしょう……」

「あ、いや、それだと美琴の初めても奪っちゃうことになる……と思ったから……」

「……ホント、当麻は当麻なんだ」

「ヘッ!?」

「そんな気障なセリフが言えるなんて、ホントに当麻は当麻なんだから」

「な、何か……同じようなことを、他の誰かにも……言われたような気が……」

「でしょうね……」

「……うう」

「ねぇ、当麻。今度は私の初めてを奪って……」

「みっみっみ、美琴さん……いっ、いきなり何を……」

「当麻……」

「……美琴……」

 街灯に映し出された二人のシルエットがゆっくりと重なり、一つになる。
 いつもの自販機が、いつもとは違う衝撃を受けていた。
 そのお陰で、中に入っている“イチゴおでん”が一層甘くなり、一部の隠れファン達のブームになったとか、ならなかったとか。

808はじまりのバレンタイン:2011/02/14(月) 01:57:53 ID:UsdPy7Cs

「それじゃあ、今日はありがとう……。当麻、好きだよ」

「ああ、オレの方こそな。好きだぞ、美琴」

「「(テレテレ)」」

「あ、そうだ。当麻、明日の予定は?」

「ん〜。確かコレといって予定はなかったと思うけど……」

「じゃあ、明日また、ココで待ち合わせしましょ?」

「ああ、いいぜ」

「もし、遅れたりしたら……分かってるでしょうね?」

「なっ、何でいきなりポケットに手を突っ込んでジャラジャラ言わせて居られるんでせうか?美琴さんっ!!」

「決まってるじゃない。お仕置きよ、お・仕・置・き」

「分かった、分かった、分かったから……そのジャラジャラを仕舞って下さい〜〜〜」

「ん、分かればヨロしい」

「……じゃあな、もし何かあったら、メールするな」

「何かって……何?……まさか、またフラグとか……(ビリビリ)」

「何でそうなるっ!?……いや、その……追試とか。補習とかが……」

「ダメよ!!そんなので遅れたら、一緒に居られる時間が減っちゃうもん」

「そ、そそ、そっそんなこと言われましてでもですね、上条さんはおバカな訳で……」

「努力すれば済むことでしょう?何なら、私が勉強も見てあげようか?」

「えっ!?イイのか?」

「もちろん!……その代わり……」

「ヘッ!?……その代わり……?」

「当麻は私の完全管理下に入って貰うからね」

「え゛……そ、それは、一体……」

「学校に行ってる時と、夜寝る時以外は、私が当麻を管理するってコトよ。ビシビシ鍛えたげるから、覚悟しときなさい。もしイヤだって言ったりしたら……(ジャラジャラ)……」

「(ひっ、ひぇぇぇええええ……これって“不幸”……なのか?でも、美琴とは一緒に居られる訳で……それは“不幸”じゃないよな……)」

「今、『不幸だ〜』って言いそうになったでしょう?」

「(ギクゥッ!!!)」

「私が一緒に居るんだから、もう『不幸だ〜』なんて言ったら許さないんだからねっ!!!」

「なっ、何で急にそんなに厳しくなっておられるんでせう?」

「だって、私たちは今日がはじまりじゃない?だったら『はじめが肝心』ってコトよね。最初に締めるところを締めとかないと……ね、当麻」

「ふっ、不幸……じゃないけど……不幸じゃないけど……、……何かちょっぴり……不幸だぁ〜〜!!!」

「あっ、当麻。今『不幸だ〜』って言ったわね。待ちなさい!!お仕置きよぉ〜!!!!!」

 と、バレンタインの甘々モードから一転、いつものバトル追っかけモードに戻った二人。
 やはりいつものパターンってのは、そう簡単に崩れないんですなぁ……。

 何にしても、そんな二人の物語はココから始まった訳です。

〜はじまりのバレンタイン Fin〜

809Mattari:2011/02/14(月) 02:02:33 ID:UsdPy7Cs
ということで。いかがだったでしょうか?

このストーリーで拘ったのが、告白のシチュエーションだったりします。
言葉はありきたりなのですが、二人にどう言わせるかに拘ってみました。
他の方の作品も読んで参考にさせて戴いたりしましたが、二人同時というシチュがなかったので、それに挑戦してみました。
その為キャラの崩壊がどんどん進んでしまい、収拾がつかなくなってしまいましたが……。

ではでは、お楽しみ頂ければ幸いです。<(_ _)>

810■■■■:2011/02/14(月) 02:35:01 ID:7DkNjxGQ
>>809 Mattariさん

確かにブラックのコーヒーが甘くなりますねwww
上条さんは既に尻に敷かれて完全管理体制になるとは…2828
この先が楽しみですねw
次回の作品も楽しみにしてます。

811■■■■:2011/02/14(月) 09:35:12 ID:SOG2rqUM
>>801
>>809
バレンタインネタGJです!
やっぱり上条・美琴の二人はいいですねw
とても面白かったです!
ありがとうございました!

812■■■■:2011/02/14(月) 11:48:05 ID:O.7MiM4s
投下ラッシュヤバイな
作者さんGJです!

813ソーサ:2011/02/14(月) 12:34:41 ID:3b10MzX.
みなさんすごいですね…
GJです!!

短編ができたので投稿します
だれもいなければ7レスほど使い投稿させていただきます

814第1次チョコレート戦争:2011/02/14(月) 12:36:31 ID:3b10MzX.

「あーもう!ここにもないじゃない!残る店は……あと1軒か!」

今日は2月12日、時刻は16時を回ったところだ。
常盤台の超電磁砲こと御坂美琴は少しいらだちながら最後の店へと走っていった。
なぜ彼女はこんなにも必死に走っているのだろうか。
今日に限っては美琴は上条を探したり追っかけまわしたりしているわけではない。
理由は簡単、チョコレートを買うためだ。
普段なら別にチョコを買うくらいでそんなに焦らなくてもいいのだが今美琴はかなり焦っていた。
なぜか、それはチョコレートが足りないのだ。
手作りのチョコを完成させるためにはどうしてもあと1枚板チョコが必要なのだがその1枚がどこにもない。
それもそのはず今学園都市内では深刻なチョコレート不足が起きているのだ。

チョコ不足の原因は2つ
まず1つ目にこの年の始めから学園都市でチョコブームが起こったことだ。
そのため各学区でチョコは売れまくった

まあこれだけならなんの問題もなかったのだがもう1つの出来事がまずかった
2つ目の原因は学園都市内でチョコを売っている店にチョコがほとんど入荷されなくなったことだ。
原因はよくわかっていないがこのことはバレンタインに大打撃を与えた。

結果学園都市内にチョコはほとんどなくなってしまった。
そこにバレンタインでチョコ争奪戦が起きたというわけだ。

そういうわけで美琴は焦っている。
バレンタインには手作りチョコを上条に渡して告白しようと考えているためどうしてもチョコは必要だ。
こうして美琴はチョコが置いてある最後の店にたどりついた。

「(お願い神様!どうか私にチョコを!!)」

その祈りが通じたのかお菓子コーナーには念願の板チョコがあった。
誰かに買われてはならないと全速力で走っていく。

「(よっしゃー!神は私を味方したわ!!)」

美琴は心の中でガッツポーズをしチョコに手を伸ばす

「チョコゲーーーーット!!」ガシッ!!!!

しかしそんなに世の中甘くはない、ええ甘くはないんですよこれが。
チョコのように甘ければよかったんですがねぇ。

「「「ん!?」」」

チョコに伸びた手は3つ、右から神裂火織、御坂美琴、姫神秋沙。
その場が沈黙する。
さらによく見ると残っているチョコは1つだけ。

*すでに3人は知り合いという設定でお願いします

その沈黙を破ったのは美琴
美「……あのー2人とも離してもらえます?私これ買うんですけど」
神「いや御坂さん、私もこれが必要なのですが…」
姫「……私も…上条くんのためにも必要…」

「「!!?」」

姫神の爆弾発言を2人が聞き逃すわけはない。

美「ひ、姫神さんあなたもアイツにチョコを!?」
神「あなたもって御坂さんも!?」
姫「ということはあなた達も上条くんにチョコを…?」

「「「(……………この2人には絶対にこのチョコは渡せない!!!)」」」

渡す相手が上条とわかり3人はヒートアップ。
ここに世にも恐ろしい第1次チョコレート戦争が勃発した!!!
明らかにこの場だけ空気が違う。
お菓子コーナーなのに子供がいなくなっている。

美「わ、私これがあればチョコ完成するんですよ〜…譲ってはもらえないですか?」
神「私もこれで完成しますよ!」
美「……どうしても譲ってもらえないなら実力行使、ということになりますけど…」
神「…仕方ありませんね…手加減はしませんよ?」
姫「隙あり!」バッ!!

姫神は2人が言い争っている隙を突きチョコを奪いレジへと向かう―――
が、流石は美琴、レジへ走ろうとする姫神の服をとっさにつかむ。

姫「!?」

予想していなかったため姫神は大きくバランスを崩しチョコは空中を舞う。
そのチョコ目指して神裂が走り出す。
姫神の服をつかんだため美琴は一瞬出だしが遅れる。

神「もらいました!」
美「くっ!(届かないか!)」

神裂がチョコに手を伸ばす―――が、チョコを手にしたのは神裂ではなく横から飛び出してきた佐天だ!

815第1次チョコレート戦争:2011/02/14(月) 12:37:19 ID:3b10MzX.

*すでにみんな知り合いって設定でよろしくお願いします

美「佐天さん!?」
佐「悪いですけどこれはあたしがもらいます!これがあれば私のチョコは完―――」

言い終わらないうちに佐天の手からチョコが消える。
盗ったのは五和だ。

佐「あー!五和さん!?」
五「これで上条さんへのチョコが―――ぐふぅ!」
美&神「「させるかあぁぁぁぁぁーーーー!!!!!」」

2人のド派手なタックルが五和を襲う。
その衝撃にいつかの上条のように吹っ飛ぶ五和。
もはや店内ということはお構いなしだ。

神「五和!チョコを渡しなさい!!それは私のです!!!」
五「女教皇様…痛いです…ってチョコがない?」
美「え!?どこに!!?…ってあれは固法先輩に婚后さん!?」

チョコは再び吹っ飛んでいたが3人はそれに気づかない。
まああんだけすごいタックルすればチョコも空中を舞うのも当然ですな……
そして新たに参戦する固法と婚后の存在に美琴は気づく。

チョコ目指して走るのは佐天、固法、婚后の3人。

佐「渡すかー!!!」
固「今回だけは譲りませんよ!」
婚「2人とも!あれはワタクシのチョコですのよ!!」

今度チョコを手にしたのは―――――――――落下地点にいた初春だった。
初春も佐天らと店に来たのはいいが争奪戦のあまりの激しさに参加できずにいたのだ。

初「これはラッキーです!レジはどっち―――」
佐「うぅ〜い〜はぁ〜る〜!!!!!」バッ!!
初「へ……ってキャーーーーーーー!!!!!」
固「もらったぁ!!」

おもいっきり初春のスカートをめくる佐天、スカートを押さえようとしたためチョコは下に落ちる。
それを取ったのは固法。取った瞬間レジへと走り出す。
それを追うのは婚后を先頭に佐天、美琴、神裂。
五和はまだ動けないようだ。

佐「しまったぁ!!初春のパンツ眺めてる場合じゃなかった!」
婚「くっ…おまちなさい!!」
美「以外と速いわね固法先輩…」
固「私もあの人のためにチョコがいるので今回だけは――――――ってああ!」
姫「それは私の…」サッ!

物陰に隠れていた姫神が固法の手からチョコを奪いとる。

固「ち、ちょっと返しなさい!!」
姫「こんどこそレジに………とみせかせてパス」

と、ふいに姫神はチョコを横へとほうり投げる
それを受け取ったのはインデックスだった。

イ「ナイスバスなんだよあいさ!」

実はインデックスと姫神は元々チョコを半分に分ける予定だった。
インデックスでは不安だったため姫神がチョコを買いに来たわけだが(インデックスも店には来ていた)
姫神が苦戦しているのを見たためインデックスも参戦したというわけだ。
かくしてこの戦場に初の連合軍が完成した!!
これを見た初春は考える。

初「(量は半分になってしまうけどしかたありませんね…)佐天さん!提案があります!」
佐「え!?何よ初春、今それどころじゃ…」
初「私達も協力しませんか?御坂さんや神裂さん相手に個人でたちうちするのは難しいと思います!」
佐「(確かに初春の言うことも一理あるなー…半分にはなるけどこの際仕方ない!)…わかったよ初春!こっちも協力しようじゃん!」

こうしてここにひそかに佐天初春連合軍が誕生した!
そして2人は作戦を考え始める。

816第1次チョコレート戦争:2011/02/14(月) 12:37:57 ID:3b10MzX.

一方インデックスと姫神はうまくパスをすることでレジへと向かっていた、が流石に何度もパスをすればパターンはつかめてくる。

イ「あいさーパスなんだよ!」ポイッ

が、ややパスが短かったうえ行動がよまれていた。
ここでもっとも近くにいたのが婚后。

婚「いただきましたわ!!」パシッ!
姫「!?」
イ「あー!!ずるいんだよ!!」
婚「なんとでもお言いなさい!これはワタクシのですわ!」

だが婚后は初のチョコ奪取に一瞬であったが油断した。
この一瞬の油断を美琴が見逃すはずはなく

美「もらったーーー!!!」
婚「ああ!御坂様!?」
美「よし!このままレジに…ってそんな甘くないか…」

美琴の前に立ちはだかるは神裂火織。店内なので刀は抜かずにそのままかまえている。
さらに後ろには婚后と固法、右には復活した五和がいる。

神「チョコを渡しなさい、さもなければ本気でいきますよ。」
美「(店内で大きな電撃は使えない…神裂さんもそれはわかってるみたいだし…特攻するのは得策じゃないか。)」
イ「それを渡すんだよみことーーー!!!」
美「な!?インデックス!?」
五「チャンスです!」

いきなり美琴に飛び掛るインデックス、そしてそれに便乗しチョコを狙いにいく五和。
インデックスが飛び掛ってきたのは後ろから、そして右からは五和、前には神裂、つまり美琴には左へ逃げるという選択肢しかなかった。
五和とインデックスを華麗にかわしレジと反対方向の左に走る。
飛び掛った2人は交錯しその場に倒れる。
その2人を飛び越え美琴を追う3人

美「う〜レジが遠のく…」
神&固「「待ちなさい!」」
婚「今日だけは御坂様にも譲りませんことよ!!」
初「(今です!!)」

と、ふいに美琴の前に初春が現れ、美琴は急ブレーキをかける。
ここで佐天が美琴からチョコを奪い取る。

佐「よっしゃー!ナイス初春!!」
美「ちょ、ちょっといつの間に協力するようになったのよ2人とも!」
初「さっきですよ!行きますよ佐天さん!!」
佐「わかってるよ―――っと危ない危ない!初春パス!」
イ「あー!!またはずれたんだよ!!」
婚「くっ!届きませんわ!」

佐天はインデックスのタックルをかわし初春へとパスする。
婚后も手を伸ばすがチョコには届かない。
それは周りにはだれもおらず絶妙なパスだった、がしかしそのパスを見た神裂が刀をのばしはじく。

初「な!神裂さん刀はずるいですよ!!」
神「ずるくなどありません!そっちだって協力し合ってるじゃありませんか!」
五「ゲットーーーー!!!」
初&神「!?」
五「今度こそ―――ぐふぅ!」

固&神「「させるかあぁぁぁぁぁーーーー!!!!!」」

はじかれたチョコを取ったのは五和。
再びチョコを奪取し再びタックルをくらう。
3たび宙を舞うチョコ、なんかもう中身は粉々になってそうだ
固法と神裂はタックルをしたのでスタートが遅れ他の面々がチョコを追う。
美琴、佐天、婚后がほぼ同時に、少し遅れて3人の後ろに初春、インデックスが続く。
今度取ったのは美琴――――――――――――――――――ではなく御坂妹10032号だ。

佐「ええーーー!!妹さん!?」
婚「次から次へと新手が…」
妹「皆さんには悪いですがこれは私がいただきます、とミサカは謝りつつレジへと向かいます。」
美「ちょっと待ちなさーーーい!!!」
妹「いえ今回だけは私も譲りません、とミサ――――――!?」

レジに着く寸前で御坂妹は白い物体にタックルをくらう。
それはもちろんインデックスだ。
そこに美琴と初春がやってくる。そのすぐ後ろには婚后、五和、佐天、固法、神裂が迫ってきている。

イ「やっとチョコを見つけたんだよ!とーまのためにもそれは私の……ってあれ?」
初「あれ?チョコはどこですか?」
美「あ!あそこ!!」

817第1次チョコレート戦争:2011/02/14(月) 12:38:37 ID:3b10MzX.
インデックスのタックルで吹っ飛ぶチョコ。
今度は宙を舞うのではなく床を滑っていった。
そしてその先にいたのは――――――――――――――――――小萌先生だった。

小「ん〜?これは…チョコですね。なんでここにあるのかわからないけどとりあえず買っておきましょう♪」

そう言うと小萌先生はレジへと進んで行ってしまった。
それを見ていた9人は

一同「「「「「「「「「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」

と叫び声をあげるしかなかった



…………………………………9人?
美琴、インデックス、神裂、五和、佐天、初春、固法、婚后、御坂妹……
だれか忘れてるような………?

会計を済ました小萌を呆然と見ている9人、普通ならここでチョコレート戦争は終戦となるはずだった。
だが1人の少女により戦争はさらに過激度を増す!!!

9人はふと気づく、小萌に特攻する少女がいることに。
その少女は小萌の買い物袋からチョコを奪うと一目散に店の外へと走っていく。
そう、その少女とは姫神だ。
姫神はインデックスと組んでもチョコを奪取することは不可能と考え始めていた。
そこで姫神が考えた作戦はレジ寸前で奪い取りそのまま買う、というものだった。
だが小萌先生がレジへ進んでしまったのでレジの向こう側で待機していたのだ。
あまりに一瞬の出来事に小萌先生は唖然としている。

姫神に渡すわけにはいけないと大急ぎであとを追う9人。
が、店を出たところに姫神はしりもちをついていた。
どうやら店に入ってこようとした客とぶつかったらしい。その客を見てみると…

「いきなり飛び出してくるからビックリしたよ、ってなんだこれ?チョコ?」

上条だった。
チョコを拾う上条、するとなぜか殺気を感じる。
殺気のする方向をみるとみたことある面々が上条を見ている、というかにらんでいる。
ちなみに上条は佐天、初春、婚后、固法とも知り合いとなっている。
知り合った経緯はもちろん何かで困っているところを助けたからである。

上「ん?なんだこのメンバー…ってなぜこっちをにらんでるんでせうか?」

一同「「「「「「「「「そのチョコを渡しなさい!!!!!!!!」」」」」」」」」

上「へ?てうおおおおおおぉぉぉぉぉぉおお!?」

すごい殺気を出しながら自分めがけて走ってくるのだから上条は逃げた。
全速力でチョコを持って逃げた。
そしてそれを追う10人。
こうして今度は街中で10人の美女&美少女に追われる高校生、という奇妙な光景が生まれることとなった。

しかし逃げることならレベル5といっても過言ではない上条相手にいつまでも追いかけようというのは得策ではない。
そう考えた美琴は電撃の槍を上条めがけて投げつける

美「止まらんかぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!」
上「いいいいいいいいいいいい!!?」

上条は振り向き右手を伸ばし電撃をかき消す。
ここまでは美琴の計算通りだったがすべてがうまくいくはずがなかった。
電撃をかき消した反動でチョコは本日4回目となる宙を舞う。

その落下地点にいたのは――――――――――――――――――打ち止めだった。

打「?おおー!!空から念願のチョコが降ってきたよ、わーい!!ってミサカはミサカは驚きつつも全力で喜んでみる!」
固「(何かやたらチョコは吹っ飛ぶし吹っ飛んだ先に新手がいるわね……)」
佐「打ち止めちゃん!?なんでここに?」
打「なんでってあの人のためにチョコを買いに来たんだよ!ってミサカはミサカは詳しく説明してみたり!」

そう説明する打ち止めの顔は天使のようににこやかだった。
打ち止めでも今学園都市内でチョコが不足していることは知っている。
すでに何軒か店を回ったがチョコはなく、もう手に入らないかも、と考えていたのだからこのチョコはかなり嬉しかったようだ。

美「(…こんなに喜んでる子供からチョコを奪えるかー!!!)」

他のメンバーも同じことを考えているようだった。
いくらなんでもこれだけ喜んでいる子供から奪い取ろうという人はいないだろう。
御坂妹だけは飛び掛ろうとしていたがそれを察した五和が必死に止めていた。
なんとも複雑そうな表情を浮かべながら各自帰っていった。
こうしてここに第1次チョコレート戦争は終結した。
そしてその場に1人取り残される上条。

上「……いったいなんだったんだ…」

818第1次チョコレート戦争:2011/02/14(月) 12:39:04 ID:3b10MzX.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

場面は変わって常盤台の寮、美琴は自分の部屋のベッドで想像を絶するほど落ち込んでいた。
チョコを手に入れられなかったこともそうだが寮に帰ってきたら今まで買ってあったチョコがなくなっていたのだ。
犯人はズバリ黒子、美琴が上条に告白しようとしていることに感ずいた黒子はチョコを食べてしまった。
別にチョコなしでも告白はできるがバレンタインにチョコなしで告白というのは少し寂しい。
そんなこともあって美琴のテンションと機嫌は最悪だった。
黒子にプロレス技をかけまくったあとそれ死ぬんじゃね?ってくらい電撃を浴びせたがまだ機嫌は直らない。
騒ぎに気づいた寮監も駆けつけたが美琴のテンションと機嫌の悪さに気づき注意だけをし戻っていくほどだった。

「はぁー……結局うかくいかない運命なのかな…」

ベッドの上でポツリとつぶやく。
すると部屋のドアをノックする音が聞こえた。
今の気分から無視をすることも考えたが大事な用かもしれないのでとりあえず出ることにした。

「は〜い、どちらさま…って土御門じゃない。」

「お〜御坂ー今日はいろいろ大変だったみたいだなー。」

「え!?なんでアンタがあの店での出来事知ってんのよ!」

「なんでって全部見てたからに決まってるじゃないかー。いやーあのタックルはすごかったなー。」

「あれを見てたわけね…で、用はそれだけ?私今1人になりたいんだけど。」

「まーそう機嫌を悪くするなー、せっかくこれ持ってきてやったんだからなー!」

「これ…ってチョコじゃない!!それもこんなにたくさん!いったいどうやって手に入れたのよ!」

「先月からチョコが売れまくっていたからなー、こんな時のために買いだめしておいたんだぞー。ほら御坂、好きなだけ持ってけー!」

「え!?いいの!!?ありがと土御門!!(昼間の苦労はいったい……)」

「いいってことよー!その代わり結果を教えるんだぞー!」

「け、結果っていったいなんのこと…」

「とぼけるなよ〜上条当麻に告白するときに渡すんだろー。」

「!?な、なんのことかさっぱりわからないなー…(何で土御門が知ってるのよー!!)」

「ごまかしても無駄だからなー!じゃそういうことでちゃんと教えろよー」

「あ!ちょっと土御門!…って行っちゃった……まあいいわ!チョコは手に入ったしね!」

そんなことでチョコを手に入れた美琴のテンションはさっきと一転して良いほうにMAXになっていた。
こうして美琴は次の日、13日の夜には手作りチョコを完成させることができた。
途中黒子に邪魔をされかけたが何かあるたびに電撃を浴びせ防衛に成功していた。
チョコの準備は万端、あとは上条に会う約束をするだけだ。
かなり悩んだ末電話で約束することに決めた。
メールだと上条が気づかないかもしれないと心配だったからだ。

「よ、よしあとは電話でアイツに……自然に…素直に…」

電話をすると決意してからおよそ30分後、ようやく美琴は上条へ電話をかけた。

話し中だった。
やり場のない怒りにみまわれながらも数分後再度電話をかける。
今度はちゃんとつながったがコール音が聞こえるかどうか、というくらいすぐに上条が電話にでる。

『今度は御坂か…どうした何のようだ?』

「ふえ!?あの、えーと…そ、その…明日よ明日!!」

いきなり電話にでられたためテンパる美琴。
そのため上条の「“今度は御坂か”」発言に全く気づいていない。

『明日?明日がどうしたんだよ。ん〜……明日っていったらバレン―――』

「いいいいいいいいいから明日の放課後5時にいつもの公園にきなさい!!わかった!?」

『え?ちょっと待―――』

上条が返事をする前に電話を切る美琴。

「…全然イメージ通りじゃなかったじゃない……はぁ…まあ約束できただけでもよしとしよっ!!」

そういって美琴はベッドにもぐりこみ次の日を待つ―――

819第1次チョコレート戦争:2011/02/14(月) 12:39:29 ID:3b10MzX.
翌日14日、この日は平日のため上条に会い告白するのは放課後となる。
それは美琴も百も承知だったが朝から気が気ではなかった。
おかげで学校に遅刻しかけるわ、授業は上の空だわ、先生やクラスメイトに無駄に心配されるなどといろいろ大変だった。
そしてついに放課後、現在の時刻は4時半、少し早いがいつもの公園着いた。
美琴は絶賛緊張中、頭の中は真っ白だった。
するとそんな状態の美琴に声をかける人物がいた。
美琴そっくりな姿をしている人物、御坂妹10032号だ。

「お姉様?こんなところで直立不動とはどうしたんですか?とミサカは不思議そうにたずねます。」

「へ?あ、えと、わ、わわ私は夕焼けがきれいだなー、と思って眺めてただけよ!ア、アンタこそなんでここに?」

「…明らかに嘘ですね。私はあの方に告白するためここに来たのですよ、とミサカは衝撃の事実をお伝えします。」

「嘘じゃな……告白ぅ!?あ、あ、あの方ってま、まさか…!?」

「お姉様が考えている人物で合っていますよ。そういうお姉様も告白ですか?、とミサカはわかりきったことをたずねます。」

「な、な、な…」

美琴の顔は真っ赤に染まっていく。
だが先ほどとは違い頭の中ではしっかりと考えることができている。

「(この子も告白するんだ……アイツは私と妹だったらどっちを選ぶのかな…)」

と、ここで美琴は御坂妹が手にしているものに気づく。
今日はバレンタイン、そこからそれが何かはすぐに理解できた。

「ん?アンタそれチョコよね?一昨日のあのチョコは打ち止めに持ってかれたけど作れたんだ。」

「はい、先生が買ってくれたチョコがありましたので、それでなんとか作ることができました、とミサカは説明します。」

「ふ〜ん…(あ…この子と話したおかげで少し落ち着けたかな…)」

「なんですか?その興味のないような反応は、とミサカは不満をあらわにします。」

「え!?ああごめんちょっと考え事してた。……そっかアンタも告白するんだ。」

「アンタも、ということはやはりお姉様も?とミサカは聞き返します。」

「ええそうよ。でも、絶対に負けないんだからね!」

「臨むところです。お姉様には負けません!、とミサカは宣言します。」

そんなことを話しているうちに時刻は5時になっていた。
ふと向こうに目をやるとそこには上条が歩いてくる姿が見えた。
美琴の心拍数が上昇する。

「おー御坂に御坂妹、いったい何の用なんだ?」

上条に話かけられらことで再び頭の中が真っ白になりかける美琴、だが今は真っ白になっている場合ではない。

「あ、えと、こ、これ!」

「ん、おおひょっとしてチョコレートか!?」

「そ、そうよ!手作りなんだから大事に食べなさいよ!」

「おう!ありがとな御坂!義理でも「義理じゃない!」嬉しい―――え?」

「義理じゃないの!わ、私はずっとアンタのことが「上条さん!!」好……って、え?」

まさに告白しようとしたそのとき、誰かが上条を呼ぶ。
その方向を見てみるとそこに立っていたのは五和だった。

820第1次チョコレート戦争:2011/02/14(月) 12:40:41 ID:3b10MzX.

五「か、上条さん…きてくれたんですね…って御坂さんに妹さん!?」
美「五和さん!?どうしてここに!?」
妹「まさかあなたも告は「あれ?御坂さんに妹さんに五和さん!?」く…ってなぜあなたまでここに?とミサカは混乱しつつ尋ねます。」
佐「なぜってあたしは上条さんに会いにきたんですけど…」
初「はぁ…緊張すしますね……ってみなさんどうしたんですか!?」

続々とやってくる面々、明らかに全員混乱している。
するとさらに

婚「上条様!今日こそワタクシの気持ちを…」
神「上条当麻…日ごろの借りと私の気持ちなんですが…」
姫「上条くん…これを…」
イ「とーま!帰ってくるのが遅いんだよ!せっかくチョコを作ったのに…」
固「上条さん!これ受け取って…」

「「「「「「「「「「……え!?」」」」」」」」」」

一昨日チョコレート戦争を繰り広げた面々が勢ぞろいする。
全員はそれぞれが上条にチョコを渡そうとしていることに気づく。
公園は静寂に包まれる。

美「アンタ…」
神「上条当麻…」
婚「上条様…」
イ「とーま…」
姫「上条くん…」
妹「……」
佐&初&五&固「「「「上条さん…」」」」

上「は、はい…なんでございませうか…?」

上条は何やらヤバイと悟ったのか顔が真っ青になっていく。

「「「「「「「「「「これはどういうことか説明してもらおうかしら!!(ほしいかも!!)(ください!!)(とミサカは追求します!)」」」」」」」」」」

上「ええーーーーー!?説明ってどういうこと!?…ってみなさんなぜそんな怒ってらっしゃいますんでせうか!?」

実は一昨日と昨日でそれぞれなんとかチョコを手に入れることができていた。
そして昨日、上条はインデックスを除く9人から5時にこの公園にくるよう言われていたのだ。
それも全員が全員美琴と同じ様な電話をしたのだから上条はわけがわからなかった。
電話した9人が上条に告白しようとしていることは上条本人は露知らず

「全員同じ時間を指名してきたけどたいした用じゃないだろうしまあいいか」

みたいなかんじで時間をずらそうとしなかった。
それがまずかった。
こうなった以上上条はいつものセリフを言うしかない。

「ふ、不幸だぁああああああああああーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

そして一昨日のような壮絶な追いかけっこが始まった。


ちなみに今回のこの騒動の真の黒幕はというと……

「今回は実に面白かったな…。また何か考えておこう。」

「……これだけのためにチョコを売らせないようにするとはお前もよくやるにゃーアレイスター…」

アレイスターだった。


こうしてこの日10人は上条にチョコを渡すことはできたが結局告白はできなかった。

できなかったが上条は次の日から美琴を意識するようになる。
そう、あの「義理じゃない」発言と中途半端な告白は上条が美琴を意識するようになるには十分だった。

1ヵ月後のホワイトデー、上条が「本命」のお返しを渡した相手が今回のチョコレート戦争の真の勝者となる。
だがその勝者はこの日すでに決まっていたのかもしれない―――

821ソーサ:2011/02/14(月) 12:43:27 ID:3b10MzX.
以上となります。
短編は初だったので書くのが大変でしたがなんとか
今日に間に合ってよかったです^^

822■■■■:2011/02/14(月) 13:20:59 ID:wdBuN87I
>>809
美琴さん、コインをちらつかせて上条さんを強迫するのは、DVですからw

>>821
アレイスターなにやってんのw

        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

823■■■■:2011/02/14(月) 13:49:04 ID:8ROTzgoE
>>821

素晴らしい GJ!!

824バレンタインでの女達:2011/02/14(月) 14:44:59 ID:F3ErSlHg
どうも!とある通気菅です!今回はバレンタインネタです!
それではどうぞ!
__________________________________
2月14日  上条はとある路地裏にいた
そこには五和と言う天草式の人間がいた

五和「か、上条さん!わ、私と付き合ってください!」

上条「...ありがとうな俺みたいな奴好きになってくれて」

上条「でも....ごめん..俺好きな奴がいるんだ」

五和「そ、そうですか...わ、わかりました!好きな人の幸せを願うのも一種の愛情表現ですよね!じゃ、じゃあさようなら!」

建宮「い、五和どうだったのよな」

五和「...」無言のまま首を横に振る

建宮「そ、そうかだ、だめだったのよな」

五和「いや、いいですこれでよかったんです」

五和「さあ!今夜は飲みますよ!」

建宮「え?このおれもってぎゃああああああああああああああああ」

その後建宮は神裂を道連れに朝まで飲んだとか飲んでないとか

上条「....御坂...」

そのころ美琴は...

美琴「よ、よし!」

黒子「何がよし!ですの?」

美琴「な、なんでもない!」

黒子「?まあいいですわ、それでは私風紀委員の仕事がありますので」

美琴「う、うん行ってらっしゃい」

黒子「...頑張ってくださいお姉さま」

美琴「ふぇ?」

そういった白井は一瞬で消えた

美琴「..黒子...ありがとう!」

メール
送信者:御坂美琴
課題:いつもの公園で
本文:いつもの公園に5時絶対きなさいよ!

上条「?...5時ね〜間に合うかな〜」

御坂妹「こんにちはとミサカは挨拶をします」

上条「おう!御坂妹!元気か?」

御坂妹「元気といえば元気ですとミサカは胸を張って言い切ります」

御坂妹「それよりも話があるのでちょっと来てくださいとミサカは強引にあなたの手を引っ張ります」

上条「ちょ、御坂妹!?わ、わかったからあんま引っ張るな」

......

上条「で?話って何だ?」

御坂妹「これをあげますとミサカはチョコをプレゼントします」

上条「おう!義理でも嬉しいぜ」

御坂妹「いえ、義理ではありませんとミサカは義理ではないことをいいます」

825バレンタインでの女達2:2011/02/14(月) 15:04:31 ID:F3ErSlHg
上条「え?」

御坂妹「ミサカはあなたが好きですとミサカは告白と言う物をします」

御坂妹「ミサカとお付き合いしてくださいとミサカは頬を染めながらいいます」

上条「.....ごめん」

上条「俺...ミサカ....いや美琴が好きなんだだから..ごめん」

御坂妹「やはりそうでしたかとミサカはあなたの本音を探ることに成功しました」

上条「え?」

御坂妹「今のはあなたの本音を探るために言ったのですしかしチョコを渡したのは感謝しているからですとミサカは言います」

上条「え?う、嘘?なんだよびっくりしたじゃねーか」

御坂妹「それでは..お姉さまと幸せにお過ごしくださいとミサカは」

上条「ちょ、待て!それどうゆうって..もういねえか」

上条「あ....やべえ後5分じゃねーか!」

上条「ああ、不幸だ...」

御坂妹「....なんなんでしょうか..この気持ちはとミサカは..涙?とミサカは...」


美琴「遅い....」

上条「いやあわりいわりい」

美琴「遅いわよ!20分も待ってんのよ!こっちは!」

上条「いやあ、本当に..すまねえ」

美琴「はあ..まあいいわ」

上条「今度からは遅れないようにするわ」

美琴「...ねえ今日呼び出したのはね..話があるからなの」

上条「(ま、まさか...)お、おうなんだ」

美琴「こ、これあげる」

上条「おう!ありがとうな義理でもうれ「義理じゃないの」しい?」

上条「え?」

美琴「ぎ、義理じゃないわよ...本命よ」

上条「え?今なんて...」

美琴「あああ!もう!本命って言ってるでしょ!」

上条「ほ、本命!?」

美琴「ッ!?..そ、そうよ!私はアンタが好き!大好きなのよ!」

上条「み、御坂...」

美琴「お願い...私と付き合って」

上条「...なあ今日さ二人から告白受けたんだけどさあ」

美琴「!?」

上条「断ったよ」

美琴「な、なん「お前が好きだから」で?」

上条「俺、上条当麻は..御坂美琴の事が好きです...こんな俺でよければ付き合ってくれないか?」

美琴「...馬鹿...そんなの決まってるでしょ」

美琴「当麻...」

上条「美琴...」

そして二つの唇は重なった

__________________
はい終了です
俺は今年チョコもらえるかな〜...無理だわ....(涙)

826■■■■:2011/02/14(月) 18:52:20 ID:piqAiEco
>>825
俺もチョコは貰えなかったぜ(当たり前
まあこのスレのssがチョコっつーことでw
GGJ!

827:2011/02/14(月) 23:21:47 ID:nzwy5FbY
こんばんは。
バレンタインネタを投下にきました。

5分後に4レス消費予定。

828チョコの行方は(1):2011/02/14(月) 23:26:01 ID:nzwy5FbY
 2月14日の夕暮れ時、美琴はとある鉄橋を訪れていた。
 今彼女が立つその場所は、かつて上条に絶望の淵から救い出された場所。
 陸と陸とを繋ぐ長い橋の中腹、そんな場所に美琴は一人佇んでいた。

「あーあ、結局帰ってこなかったなぁ…」
 帰ってこなかった、美琴はそう一人呟くが、一体誰が来なかったのか。
 それは言うまでもなく、上条当麻のこと。
 彼はまだ、あのロシアでの騒動以来、学園都市には帰っていなかった。

「全く、ロシアに一体何があるってのよ……雪、氷、寒い、それのどこがいいっての…?」

 美琴は、あの日に北極海沿岸で拾った彼のものと思しきゲコ太ストラップに、そう問いかけた。
 勿論、それはあくまでもストラップとしての機能しかなく、返答などは返ってくるはずはない。
 そんな当たり前のことなど、当然ながら美琴は百も承知。
 しかし返事が返ってこないとわかりきっているにもかかわらず、そう問いかけずにはいられなかった。

「私がせっかくどっかの誰かさんのために手間暇かけて、チョコまで作ってあげたっていうのにさ。そんな健気な女の子の気持ちを無駄にするなんて、いくらなんでもあんまりじゃない…」

 今は地面に置かれている学生鞄に一瞬目をやり、再び視線はゲコ太、そして鉄橋の下を流れる川へと戻す。
 美琴が一瞬視線をやった学生鞄の中には、美琴自身が包装し、完全に美琴手製のチョコが入っていた。
 誰に渡すつもりであったか、それは言うまでもないだろう。
 だが作ったからといって、今日上条が帰ってくるという確証は全くなかった。
 上条からの連絡は勿論、今の彼の状態を知る手だてになるような情報は何一つ、美琴はもっていないのだから。
 携帯は毎日チェックした、世界中のニュースも余さず確認していた、酷い時は学園都市の機密情報を有するサーバーなどにハッキングを仕掛けたこともあった。
 けどそのどれもが結局はダメだった。
 本当は、彼が今日までに帰ってきて、今日までにもっと仲良くなって、今日チョコを送るのと一緒に、自身の思いの丈を伝えられるのが何よりの理想だった。
 それはあくまで、“だった”の話。
 しかし結果として彼は未だに帰ってこないまま今日という日を迎え、仲良くなることはおろか、チョコすらも渡せない状況となっている。

「ねえ、アンタもそう思うでしょう?」

 またゲコ太へと視線を戻し、問いかける。
 美琴の手の中にいるゲコ太は、パッチリとその大きな目を見開き、ニッコリと口元を上げるばかり。

「………」

 自らの想いに気付いたのは、いつからだったろうか。
 恐らく、僅かながらもその気持ちが芽生え始めたのは、夏休み最後のあの日だろう。

「御坂美琴と、その周りの世界を守る、ね…」

 それはその夏休み最後の日に、上条が誓ってくれたある約束。
 あの日は常盤台中学理事長の息子の海原を遠ざけるという目的で、美琴は偽デートを上条と決行した。
 結局つきまとっていた海原は偽物で、その偽物の海原と上条が対峙し、殴り合い、そして敗れた偽海原が上条に対してある一つの約束を結ばせた。
 その内容こそが先ほど美琴が口にしたもの。
 当の本人がその場にいなかったことをいいことに、あの二人の男達が交わした約束。

「その結果がこれ、か…」

829チョコの行方は(2):2011/02/14(月) 23:26:23 ID:nzwy5FbY

 そしてその約束をしたはずの上条は、今は姿を完全にくらましている。
 一体今どこで、何をして、誰といるのか、もしかしたら最早生きていないかもしれない。
 誰かに見つけられていたらまだいいが、今もまだ冷たい海のどこかで沈んでいるかもしれない。
 運良く生きていたとしても、今後学園都市に帰ってこないかもしれない。
 この学園都市には、常識では到底計れないほどのどす黒い闇が潜んでいる。
 それは美琴が絶対能力者進化計画の件にて存分に思い知ったことであるし、続いて戦争の時の機密情報を探った時にも、同様のことを美琴は感じていた。
 恐らく彼もその件に関しては少なからず感じてはいるだろう。
 その真の正体をイマイチ掴みきれないような、それでいて心臓部は底知れない闇に覆われているような学園都市に、簡単に戻ってこれるだろうか。

「よいしょっと」

 美琴はその場にしゃがみ込み、地面に置いていた学生鞄を開けて、あるものを取り出した。
 そのあるものとは、素人ながらも綺麗に、そして丁寧に包装されたきれいな箱。
 中には本来美琴が上条に渡すつもりであった、一口サイズの大きさのチョコが数個入っている。
 美琴が作った際に味見した限りでは、甘さも少し控えめで、一般的にみても文句なく美味しいと言えるような一品。
 その証拠に、試食代わりにルームメイトである黒子や、他の寮生達数人にも一粒ほど食べてもらった時には、絶品であると賞賛されている。
 その自慢の一品のチョコが入っている箱の包装を、美琴は自分自身の手で解いていく。
 この包装は美琴自身で、他の誰でもない彼のことを想って施したはずなのに、それを解いているのもまた自分。
 自分で丁寧に施した包装を自分自身の手で解いていくというのは、かくも不思議な気分になることは、無論美琴は知らなかった。
 そんなことを美琴は呆然と考えていると、いよいよ箱を包んでいた包装は全て解かれた。
 包装が解かれ顔を出したのは、全くムラのない黒で統一された、高級感溢れる箱。
 そして美琴はその箱を開け、中に入っていた6個ほどあるチョコのうち一粒を手にとり、

「えいっ」

 それを自身の口元に持っていくのではなく、鉄橋の下を流れる川へと放り投げた。
 投げられたチョコは次第にポチャンと水音をたて、川の水へと溶け込んでいく。


(この想いが……この川の流れにのって、この世界のどこかにいるはずのアイツに、)

 届いては、くれないだろうか。
 学園都市から彼のことを想うだけでは何も状況が変わらないのであれば、世界中を流れていく水に、この想いの伝達を手伝ってもらう。
 結果は、当然のことながら目には見えている。
 こんなことをやっても、彼に想いが届くはずがない。
 そんなことはわかっていた。
 しかしそうでもしないと、何かしらの行動を起こさないと、この状況を一生抜け出すことができないのではないだろうか。

830チョコの行方は(3):2011/02/14(月) 23:26:44 ID:nzwy5FbY

 意味がないから、できるわけがないからと結局何もしないのであれば、変わるものも変わらないし、ただ時間だけが過ぎていくだけではないか。
 そう美琴は考える。
 するのとしないのとでは心の持ちようが違う。
 例え理屈では叶わぬ願いではあっても、理屈では説明できない何かが力をくれる。
 自分の想う、彼がいつかきっと、帰ってくると信じるための力を。

(もう、末期ね…)

 こんなことを考える時点で、今の自分は変だということは美琴自身も自覚していた。
 来る日も来る日も、考えるのは上条のことばかり。
 そんな自分を嘲笑うかのように、美琴は自らに対して小さな笑みをこぼす。
 そんな時だった。

「ダメだろ?川にものなんか捨てたら」

 美琴の耳に、ひどく懐かしい、けれども長い間聞きたくて仕方がなかった声が届いた気がした。
 しかしその声の持ち主は、今は学園都市にはいないはず。
 きっと空耳。

(でも、まさか、まさか本当に…!?)

 だが美琴は可能性の低さなど全く気にせずに、思わず反応した。
 あまりに突然過ぎて、美琴はぴくっと肩を少し揺らした。
 どんなに可能性が低くても、そこに希望の光が一筋でも感じられるのなら、喜んで飛びつく。
 そして美琴はすぐに、その声がした方へと視線を向ける。

「よう、御坂」
「!!」

 そこには確かに、ツンツンとした黒髪が特徴の少年、上条当麻が立っていた。

「なん、で…?」
「なんでってそりゃお前、ここにくればお前に会えると思ったからな」

 美琴には意味が分からなかった。
 それは上条が今言ったことも然り、何故彼がここにいるのかというのも然り。
 わけが分からないことばかりで、美琴の頭は最早真っ白となっていた。

「やっぱりさ、何かが足りないと思ったんだよ」

 美琴がパニクっていた中、上条はまた口を開いた。
 今彼が言った言葉もやはり、美琴にはわかりかねた。

「実は昨日にさ、色々あったけど学園都市にやっと帰ってこれたんだよ」
「昨日…?」

 昨日の日付は2月13日。
 つまる話、バレンタインの前日である。
 その日美琴は、本来帰ってくるはずもない彼へのチョコ作りに明け暮れていた。
 チョコの材料やどういったものを作るのかといったものは、さらにその前日には準備していたため美琴は、その日は寮から一歩も出ていなかった。
 だからかもしれない、昨日上条と会わなかったのは。

「それで久々に自分の部屋に帰って、当たり前のことだけど埃とかが被ってたから掃除して、そして冷蔵庫の中は全部ダメだっから夕飯の材料の調達しに買い物して、飯食って」

 上条が今話していることは昨日の彼の行動について。
 美琴には別に何でもない日常に思えた。

「そして疲れてたから風呂入って寝たんだ。そして今日朝起きて、思ったんだよ。何かが足んねえなってな」

 彼は何かが足らないと言う。
 しかし美琴にはその何かが何を示すのか、全くわからない。
 いくら美琴でも、何も普段の上条の行動全てを把握しているわけではない。
 その生活に何が足りていて、何が足りていないのか、そんなものわかるはずがなかった。

「確かに学園都市には帰ってきたけど、どこかでまだ帰った気がしなかった。最初はその原因が何かわからなかったが、考えてわかった。いつもの日常を取り戻すために必要な欠けていたピース、それがお前だよ、御坂」
「ぇ…?」
「ロシアでは悪かったな、あんな風にお前の助け舟を無碍にしちまって。ずっと気にしてたんだよ。変に真面目で優しいお前のことなら、俺を連れて帰れなかったのは自分のせいだとかみたいに抱え込んでないかって」

 まさに上条の言う通りだった。
 美琴はあの日の出来事は、上条をちゃんと連れて帰れなかったのは自分のせいだと自分一人で背負い、悩んでいた。

831チョコの行方は(4):2011/02/14(月) 23:27:53 ID:nzwy5FbY

「それでやっとこさ帰ってこれて、普段通りのしてたけど……何かが足りないと思ったら、それはお前の笑顔なんだよ。俺の中の最後のお前は泣いたままだったからな。……だからさ」

 上条はそこで一度間をあけ、一呼吸いれると、

「長い間待たせて悪かった。笑ってくれ、御坂」

 それを聞いた瞬間、美琴には何も言えなかった。
 上条は美琴に対して笑えと言うが、今の美琴の心理状態は、とてもじゃないがそんな状態ではなかった。
 今まで彼がしてきたことへの怒り、彼が無事に生きていたということへの安堵、今目の前にはちゃんと彼が立って、笑ってくれていることへの歓喜。
 様々な感情が、次から次へと溢れ出していき、そして混沌と混ざり合っていく。
 あまりに混ざり過ぎて、一つの感情で言いたいことが一々多過ぎて、美琴の口からは何も出てこなかった。

「お、おい…?」

 しかし反対に美琴の目からは、次々と涙が溢れ出ていた。
 その涙の意味は一体どの感情によるものなのか、それは涙を流している美琴にもわからない。

「な、なんで笑えつったのに泣くんだよ?!」

 そして上条にもわからない。
 今の美琴を突き動かしている感情の大きさなど。
 本来確たる自分だけの現実をもち、感情のコントロールをも思いのままのはずの美琴が、御しきれていないのだ。
 そのことがどれほどの意味をもつかなど、上条には知る由もなかった。

「え?ちょ、おい?!」

 しかし今の美琴を突き動かす莫大な感情は時として、良い方向へと美琴を導く。
 何も言葉だけが、感情を伝えるためのツールではない。
 美琴は依然として目に涙を浮かべながらも、上条のもとへと駆け寄り、

「―――ばかっ……おかえり…」

 上条の胸の中へと、飛び込んだ。
 そこは美琴がずっといたい望んでいた場所。
 ここだけは他の誰にも譲れない。
 今はまだ自分の場所だと両手を挙げて主張はできないが、いつの日か、自分だけがいることが許されるような、そんな場所になってほしいと願っていた。
 だが今は、少なくとも今は美琴だけがそこを独占している。
 それは絶対に揺るがない事実。
 美琴は上条に対して言いたいことは山ほどあった。
 言い出したらそれだけで何時間も話せそうなほど、いっぱい。
 それでも今は別にいいのだ。
 感情の荒波に身を任せていたら、きっと余計なことまで口走ってしまうだろう。
 夢の場所に顔を埋めて、おかえりと彼に告げる。
 これだけでも、彼ならばきっとわかってくれるはず。
 だから今は、それだけでいい。
 そして上条は、いきなりの美琴の行動に戸惑いつつも、震える美琴を見て何かを察し、優しく包み込むと、非常に穏やかな声で美琴の耳元で囁いた。

「―――ああ、ただいま。御坂」





―――――――――





 美琴が落ち着くまでに時間が流れ、今は完全に日は落ちていた。
 そして月は慈愛にも似た優しい光で二人を照らし、見守る。

「ねえ、今日って何日か知ってる…?」
「何日って、14日だろ?」

 美琴はきょとんとした表情を見せる上条に対して、全くこの男はと薄く笑みを浮かべる。

「そうね。だからアンタに、受け取ってほしいもの……そして聞いてほしいことがあるんだ」

 今日という日に、上条が帰ってきてくれたのは、幸運以外の何物でもない。
 何かが彼をここまで導いてくれたのかもしれない。
 もしかしたら、川に投げ捨てた一粒のチョコが彼を導いたのかもしれない。
 あのチョコが、美琴が抱える莫大な感情を少しでも上条に届けてくれたのかもしれない。
 ともかく、必要なものは全て揃った。
 もう目の前にいるというのに、何も出来ずに見過ごすなど、美琴にはできない。
 何かから与えられたチャンスは、見逃さず、絶対ものにする。

「実はね、私―――」

832:2011/02/14(月) 23:28:49 ID:nzwy5FbY

以上です。
バレンタインなのに大していちゃいちゃしてなくてすいません。
でも他の方の作品が甘いので、いい…ですよね?

では失礼します。
ご意見ご感想等お待ちしております。

833■■■■:2011/02/14(月) 23:35:59 ID:dYzeBT7U
みんなうますぎるだろ…

読んでるだけ言うのも、あれなんで小ネタを作りました。1レスもらいます。
初めて作ったで下手くそですが、ニヤニヤしてくれたらうれしいです。
タイトルは「とても甘い棒」です。




2月の始め、ファミレスで美琴と佐天は最近の出来事など話していて、黒子と初春は風紀委員で来ていない。

佐「上条さんとどんな感じでお付き合い始めたんですか?」

美「私の実家と当麻の実家が近く、母親同士が仲良くて年越しを一緒に過そうってなったの。それで母親が当麻と二人で初詣に行ってこいと言われてその時に私が告白した。」

佐「実家が近いとか運命的じゃないですかー。いいないいなー。私も彼氏がほしいです。」

美「母親が出掛けるわよって言って行った先が当麻の家でびっくりしたわよ。佐天もすぐに彼氏できるって。」

佐「本当にうらやましいなー。そういえば、キスとかもうしちゃったんですか?」

美「え?まぁしちゃったかな…あはは…」

佐「いつしたんですか?」

美「は…初詣に行った帰りに…」

佐「それでそれでどっちからしたんですか?」

美「い…一応私から…」

佐「おー。御坂さん積極的ですね。」

美「いろいろとハプニングが起こったんだけど、そのおかげで素直になれたというか…」

佐「幸せそうでいいなー。今の御坂さんに不満なんかないじゃないですか?」

美「それがね、あるにはあるのよ。」

佐「何ですか?」

美「付き合ってから、当麻が恥ずかしがって当麻からキスしてくれないのよ。」

佐「そんな悩みですか…」

美「なによー。佐天さんが聞いてきたんじゃない。」

佐「あはは、そうですよね。いい案がありますよ。」

美「本当?」

佐「それはバレンタインに………………ですよ。」

美「それいいわね。どんなのにしようか迷ってたからちょうどよかった。ありがとう。」

佐「いえいえー。お礼は御坂さんと上条さんのお話ということで。」

美「わかったわ。当麻覚悟しておきなさい。」

日は変わり、2月14日になり場所は上条の家である。

美「彼女である私という人がいるなか、どうしてこんなにチョコをもらうわけ?」

上「仕方ないだろ。チョコくれるっていうわけだし。それに義理チョコだって。」

美(義理にしては気合い入りすぎなんだけど…)

上「全部食べるのにどのくらいかかるのか…」

美「えっ?これ全部食べる気なの?」

上「当たり前だろ?残すのもったいないじゃん。」

美「ふーん。じゃあ、私からのチョコもちゃんと全部食べてくれる?」

上「美琴もくれるのか?もちろん全部食べるに決まってるだろ。」

美「あんたねー彼氏にチョコあげない彼女なんていると思ってるの?んで、その言葉に二言はないわよね?」

上「美琴がニヤニヤしてるとか、なんか嫌な予感が…」

美「な・い・の・よ・ね?」

上「はい。ないです。」

美「よろしい。んじゃ、はいチョコレート。」

上「おう。サンキューな。んで、なんだこの箱みたいなやつ。」

美「それはねー、ちょっと貸して。」

上「なんだその口紅みたいなやつ。えっ?口紅って…」

美「正解ー。チョコの口紅を私にぬって…はい、当麻。」

上「私めにそのチョコを食べろと…恥ずかしすぎて上条さんはダメな人間になってしまいますよ。」

美「全部食べるって言ったわよね?」

上「はい…わかりました…チュッ」

美「これからは当麻からしてくれるってなんかいいわね。このチョコの口紅を当麻に渡しておくから好きに使ってね。ちゃんと冷蔵庫にいれといてね。」

上「わかりました…」

美「それから私の唇に使わずそのまま食べたら超電磁砲10連発だから。」

上「理性保ってこれちゃんと使いきれるのか?」

玄関から「上条さんいらっしゃいますか?宅急便でーす。」と言う声が聞こえたため、上条は返事をし、配達を受けとる。

美「誰からだった?」

上「美鈴さんからだった。」

美「母からなの?中身みせて。」

上「おう。あっメモだ。なになに?これを美琴ちゃんに使ってねー、なんなんだ?」

美「当麻。」

上「なんだ美琴。」

美「チョコ口紅2本目。」

上「1本でもきついのに2本目とか、不幸だ…」

そのチョコは2本とも上条さんがおいしくいただきましたとさ。

834琴子:2011/02/14(月) 23:37:40 ID:E9lfXoYU
お久しぶりの琴子です!
初投下もバレンタイン…あれからちょうど1年経ったなんて嘘みたいです。

みなさんの素晴らしい作品の後に連投して申し訳ないのですが、本日中に投下したいので今から10分ほど失礼致します。
20レスくらいまとめての投下になります。

時系列とか丸無視です!
相変わらず上手く書けないですが、せっかく出来たので落とします!

835You_are_my...? [2/10] 1:2011/02/14(月) 23:41:16 ID:E9lfXoYU
 2月10日、木曜日。御坂美琴は悩んでいた。もちろん、バレンタインデーのことで。

  ここはセブンスミスト内にある、バレンタインイベントの特設会場。数十にも及ぶ有名チョコレート店が、バレンタインデー当日までの一週間限定で集まっている。
「色々ありすぎて迷うわね」
その特設会場に、美琴はお返しのチョコレートを探しに来ていた。お返しだからホワイトデーでも問題ないのだが、美琴の場合は貰う数が多いので、貰ったその場で渡してしまうのが一番簡単だったりする。白井黒子曰く、
「お姉様に受け取っていただけるだけでも光栄なのですから、お返しなどその輝かしい笑顔だけで十分ですわ!」
しかし、それでは美琴の気が済まないのだ。
ただ、今年のバレンタインデーは三連休明けの月曜日。故に、普段は作る時間がないと購入する人でも、今年は手作りにするという人が多いらしい。しかも時間がたっぷりあるので、いつもより手の込んだものを作る人が多いという。
ということは、今年受け取るチョコの数は去年よりも多くなるに違いない。さて、今年はいくつ用意すればいいのだろう?

836You_are_my...? [2/10] 2:2011/02/14(月) 23:43:16 ID:E9lfXoYU
そして他にも、御坂美琴には悩んでいることがあった。それは自分が渡すチョコレートのことだ。
 現在、御坂美琴には想い人がいる。認めるのは癪だが、寝ても覚めても彼のことが頭を過るのだから、認めざるを得ないだろう。恋する乙女の宿命だ。
 あの馬鹿はおそらくたくさんの女の子からチョコレートを受け取るだろう。連休明けのバレンタイン。女の子たちはきっと、それはそれは手の込んだ「本命」をアイツに送るだろう。そんな激しい競争率の中、自分は一体何をどうすべきか。美琴はここ数日ずっと悩んでいた。
お返しの方は昨年同様、某ブランドのチョコレートを大量購入しよう。問題は数だが……とりあえず80個。足りなかったら最悪、名前を聞いてホワイトデーにまた用意すればいい。
 しかし、アイツへのチョコレートは未だにどうすべきか迷っている。やっぱりここは手作りにすべきなのだろうか?

 もうかれこれ1時間近くは歩き回っている。そろそろ結論を出すべきだ。
歩き回っていた美琴は、とある一角で足を止めた。なんとそこは、
「ゲコ太!?」
そこはキャラクター系チョコレートのコーナーだった。可愛らしい小さな丸い緑色の箱に、ゲコ太型のミルクチョコレートが入っている。ちなみにピョン子型もあって、こちらはストロベリー味らしい。
 瞳をキラキラさせてショーウィンドウに貼り付く奇態な常盤台中学のエースが今ここに。
(買いたい。でも買っても食べるなんて無理! こんな可愛いのに食べられるわけないじゃない!?)
 もはや、当初の目的をすっかり忘れ掛けている。いや、一応は思い出したが、
「だぁーっ!! くそ、そもそも何で私があの馬鹿の事でここまで頭を悩ませなくちゃならないのよ! あの馬鹿の分なんて板チョコで十分よ! 今重要なのはこの子を持ち帰るかどうかよ!」
 やや壊れ気味な恋する乙女であった。

837You_are_my...? [2/10] 3:2011/02/14(月) 23:44:55 ID:E9lfXoYU
 それからさらに30分後。ゲコ太の元を何とか離れて冷静になった美琴は、再び当初の目的について悩んでいた。ちなみに結局ゲコ太は購入していない。食べるなんて、無理だ。
「やっぱり手作りかしらね。でも作るにしたって何を作ればいいのよ? あの馬鹿の好みなんて知らないわよ?」
 そんなことをぶつぶつ呟きながら、会場内をぐるぐる歩き回る。ワンフロア全て使用した広い会場ではあるが、これで少なくとも2周はしているはずだ。そして再びキャラクター系チョコレートのコーナーのある通路へと差し掛かった時、
「? あれって……」
 通路の一番向こうキャラクター系チョコレートのコーナー辺りに、何やら見慣れたツンツン頭が見えたような気がした。いやでもきっと気のせいだろう。だってこんな女子だらけの催し場に一人でくるような奴じゃないはずだ。……いや、女子がいるところだからこそ、アイツがいても不思議はないのか?
 しかし似てる。すごくよく似てる。薄っぺらい学生鞄をだるそうに担ぐ姿や、眠たそうな表情、そして何より、私と目が合ったのにもかかわらずスルーしやがるところが特に。
「……、」
 ヒャ!? という小さな叫び声が周りから聞こえた。それもそのはずで、美琴の周辺の空気が不穏な感じに帯電し始めていた。本人に自覚はない。
「ほう。アンタはそんなに私を認識したくないわけか……」
マジでキレる5秒前、なんて言葉が流行った頃があったらしい。今の美琴はまさにそんな感じだった。
「私はこんなにもアンタのことで頭を悩ませてるっていうのに……」
10億ボルト炸裂まで残り5、4―――
「おいッ!? 御坂ッ!?」
 異変に気付いたツンツン頭の少年が、通路の向こうから慌てて走ってくる。

10億ボルト炸裂までは残り3秒。特設会場の運命は如何に?

838You_are_my...? [2/10] 4:2011/02/14(月) 23:45:46 ID:E9lfXoYU
 2月10日、木曜日。上条当麻は悩んでいた。もちろん、バレンタインデーのことで。

 事は今朝まで遡る。
「日本のバレンタインはおかしいんだよ」
朝の番組で流れたバレンタイン特集を見て、インデックスが不満げな声を上げた。
「ん? あー、別に宗教的な伝統を馬鹿にしてるとかじゃないぞ。元々はどこかのチョコレート会社が始めたキャンペーンで、それが全国的に広まって、今やバレンタインデーは女子が好きな男子にチョコレートを贈る日になったらしい―――」
「それがおかしいんだよ! なんで女の子から男の子限定なの!? わたしも欲しいんだよっ!!」
 おかしいってそこかよ!? とツッコみたい衝動をなんとか抑え、上条は歯をギラリと輝かせているインデックスをなだめる為の言葉を考える。
「いやでも別に絶対そうと決まってるわけじゃないぞ!? 確かに日本では女子が男子にチョコレートを贈るってパターンが定着してるけど、最近じゃ友チョコとか逆チョコとかって渡し方も結構色々あるらしいし!!」
「ともちょこ? ぎゃくちょこ? それって何?」
インデックスが怪訝そうな顔で訊いてくる。このままでは近い未来に起こりそうな理不尽な噛み付きを回避すべく、上条は誠意をもって彼女の疑問に答える。
「友チョコってのは、男女関係なく友達にチョコレートを渡すこと。逆チョコってのは、男子が女子にチョコレートを渡すことだよ。ちなみに、最近はお前が言ってるような女子から男子へってパターンよりも、友チョコの方が主流になりつつあるらしいぞ」
「ということは、とうま。とうまは私にチョコレートをくれるんだよね?」
「……、へ?」
「く れ る ん だ よ ね ?」
「……、」
 ギラリと輝く白い歯。
 上条に拒否権など、ない。

839You_are_my...? [2/10] 5:2011/02/14(月) 23:47:36 ID:E9lfXoYU
 同日午前8時25分、とある高校の教室にて。
「不公平や!!」
 中に入った途端、上条はそんな力強い声を聞いた。青髪ピアスが教壇の前に立って、何やら固く拳を握っている。
「……、何やってんだお前?」
「お? いいところに来たなカミやん。ちょうど今から我らが青髪の演説が始まるところなんだにゃー」
 扉付近に立っていた土御門が、教壇の方を指差してにやりと笑う。見れば教室中の生徒が皆、教壇前の男に注目しているではないか。
 あれ? 意外と真面目な演説なのか? と思って上条も耳を傾ければ、
「バレンタインで一部の男だけが得をするなんて不公平や!!」
 真面目とは言えなかった。
「ボクら男子はみんなで一つや! 一人に渡すんならあとの全員にも同じように渡すべきや!!」
 そうだそうだ! と男子勢から歓声が上がった。女子の方からは不満そうな声が漏れている。
「しかし女子だけに男子全員分作ってこいというのも不公平やとボクは思う」
 予想外の女子勢に配慮した言葉に、教室がしんと静まり返った。怪訝そうな顔をしていた女子たちも、ここで初めて青髪ピアスの演説に注目する。
「だから今、ボクはここに提案する。今年のバレンタインデーにおける友チョコ義務化を!!」
 おおーっ!! と教室中から歓声が沸き起こった。その声に煽られる形で、青髪ピアスがさらに語る。
「男も女も関係ない! 次の月曜日、我がクラスの諸君はみーんなクラス全員分のチョコを用意すること! 小萌学級限定バレンタイン友チョコ祭開催やで!!」
 これにはクラス全員が賛同した。なんだかんだ言って、このクラスは基本的に面白いことが大好きな連中の集まりなのだ。
 しかし女子たちは知らない。この企画が上条以外の男子の上条に対する嫉妬から生まれたものだということを。上条一人だけが本命チョコでウッハウッハという光景を阻止する為の、青髪ピアスを筆頭とした男子全員による妥協案であるということを。そして、
「ということは俺もクラス全員分のチョコを買う必要があると……?」
 そんなフラグ魔を経済的に苦しめるための制裁でもあるということを。
「「イエス!(なんだにゃー)」」
 暴食シスター分に加えてクラス全員分を用意するとなると、その予算は……
「……、不幸だ」
 今月15日以降、上条の夕飯からおかずが一品消えるかもしれない。

840You_are_my...? [2/10] 6:2011/02/14(月) 23:48:23 ID:E9lfXoYU
 ということがありまして。珍しく補習もなくあっさり解放された木曜日の放課後なのに、上条当麻は一人でセブンスミストに来ていた。
目的はセブンスミストで行われているというバレンタインイベント。様々なチョコレート店が期間限定で集まっており、なんと試食もたくさんありますよーという贅沢な催しらしい。バレンタインで「渡す側」になるのは初めてなので、とりあえずバレンタイン関係のものが集まる場所に行ってみようという安易な発想だ。
 現在、上条はとても可愛らしく飾られたブースの前にいた。キャラクター系チョコレートのコーナーで、どちらかと言えば子供向けのコーナーなのでお値段も比較的優しい。
ショーケースの中には何だか見覚えのあるキャラクターのチョコレートもあって、
「御坂が見たら喜ぶだろうな……」
 後でアイツにメールでもしといてやるか、と携帯で写真を撮っておく。よく宿題を手伝ってもらうし、これくらいのことはしておくべきだろう。
「これなんてインデックスにいいかもな」
 それはゲコ太の横に展示されているネコ型のチョコレートだった。これにも名前があるのかもしれないが、あいにく上条は知らない。
「6個入りか……これでアイツが満足するとも思えないけど、後で板チョコも買っとけば何とかなるだろ」
 本人が聞いていれば間違いなく噛み付かれるであろう失礼な事を呟きつつ、上条はポケットから財布を取り出す。そして中身を確認した上条はピタリと固まった。
「……、あれ?」
 お金が、ない。そういえば今日の昼、購買でパンを買った時に「やったね! お釣りも出ないピッタリ賞!!」とか言ってハイになっていた自分がいたような。
 せっかくここまで来たというのに。不幸だ。

841You_are_my...? [2/10] 7:2011/02/14(月) 23:49:06 ID:E9lfXoYU
「仕方ない。また明日にでも出直すか」
 薄っぺらい学生鞄を担ぎ直し、上条はショーケースから距離を置いた。出直すと決めればもうここに用はない。さっさとこのバレンタイン一色の空間から抜け出すに限る。今更な気もするが、女子学生だらけのこの会場に男一人というのは結構気まずい。
 ふと会場出口へと続く通路に目をやれば、色とりどりの制服に身を包む女子学生たちの姿が目に映った。その中に見覚えのある常盤台中学の冬制服が見えたのは気のせいだろう。しかもその少女が茶髪で、何やらこちらをじっと見ているのも気のせいに違いない。
上条はパチパチと瞬きして、
「さぁ、帰るとしますかー」
 無気力に一歩踏み出したが、
「ヒャ!?」
 何やら前方から少女の小さな悲鳴が聞こえ、周囲がざわつき始めた。
「何が……ッ!?」
声の方を見れば原因は一目瞭然。常盤台中学の制服に身を包んだ少女の周辺の空気が、何やら不穏な感じに帯電しているではないか。本人は無意識なのか、俯いたまま身動き一つしていない。しかしあれはどう見ても10億ボルト炸裂寸前―――
「おいッ!? 御坂ッ!?」
 こんな人の多い場所で10億ボルトだなんてとんでもない。右手に幻想殺しを宿した少年は慌てて少女の元へと走り出す。

 10億ボルト炸裂までは残りわずか。特設会場の運命は如何に?

842You_are_my...? [2/10] 8:2011/02/14(月) 23:50:42 ID:E9lfXoYU
 結果から言えば、特設会場は、無事だった。

 10億ボルト炸裂寸前、上条当麻は勢い余って御坂美琴に抱きつく形でそれを防いだ。ただ上条には理由がわからないが、何故かその時に美琴が意識を手放してしまったようなので、今はセブンスミスト内に設置されている休憩用のベンチで一休みしている。左肩に乗せられた美琴の頭からシャンプーの良い匂いがして、上条は目線を泳がせるなどしてそわそわしていた。

「んんっ……ここは?」
「あーやっと気が付いたか。おはようございます、ひめ」
「ふえ? おはよー……ッ!?」
 自分の状況に気付いた美琴の前髪から、反射的に青白い火花が散る。
「ちょ!? いきなり何すんだ!? というかここは建物内なんだから自重しなさい!!」
「あ、ごめん。つい」
 つい、じゃねー!! という叫びを堪えて、上条は代わりに溜息をついた。
「で、お前はあそこで何してたんだ?」
「何って……」
「白井は一緒じゃないんだろ? 何だ、お前。もしやこっそり本命チョコでも買いに来てたとか?」
「!?」
 お前がそれを言うかー!? という叫びが美琴の心中で渦巻く。しかしそんな事を知る由もない上条は、
「本命なら手製がベストですな。たとえボロボロでも手製の威力は大きいのですよ」
「!?!? な、何変なこと口走ってんのよアンタは!」
「ん? 違うのか?」
「ち、違うってわけじゃないんだけど……ぁぅ」
「?」
 お湯が沸かせるのではないかと思うほど紅潮した美琴の声は、小さすぎて上条の耳まで届かない。

843You_are_my...? [2/10] 9:2011/02/14(月) 23:52:43 ID:E9lfXoYU
 深呼吸して落ち着きを取り戻してから、美琴は再び口を開いた。
「アンタこそあそこで何してたのよ? しかも男一人で!」
「うっ!? 男一人ってとこにはあまり触れないで下さい……」
「男一人で寂しく自分チョコを探しに来たとか?」
「完全スルー!? お、俺は……」
 かくかくしかじか。今朝から起こった一連の出来事をかいつまんで話す。インデックスの名はあえて伏せた。特に深い理由はないが、美琴の前でインデックスの名を出して平和だったことはないような気がする。
「つまりはこういうことね」
 納得したのか、美琴はつまらなさそうな口調で言う。
「アンタは大量のチョコを用意しなきゃならない。いいのが見つかったから買おうと思ったけど財布の中身はスッカラカン。しかもそれが買えたところで数はまだまだ足りない」
「そう改めて淡々と言われると悲しくなるな……」
「いっそ作った方が安上がりなんじゃない? それだけの量を買うとなると大変でしょアンタは」
 最近の美琴は上条の経済事情を察してくれるようになっている。お一人様○○個の特売などに協力してもらうことがあるからだ。少なくとも2000円のホットドッグが高いという上条の感覚は理解してくれたらしい。
「それはそうだけど、俺チョコとか作ったことないしさ」
「型チョコなら溶かして固めるだけよ?」
「そうなのか? じゃあ連休中に作るかな……あ、でもまずは型を買わなきゃダメか」
 作る、という方向で決めたらしい上条。その横顔を見つめながら、美琴は自分の当初の目的を思い出していた。
(コイツの言う通りやっぱり本命は手作りよね……というか本人が言うんだから作るしかないじゃない!? でも作るとしていつコイツに渡す? 今のうちに会う約束しとかなきゃ、コイツのことだから他の女ときっと……)

 と、その時。何かが美琴の中で引っ掛かった。

アイツは何と言ったか。確か大量のチョコを買わなきゃいけないと言わなかったか?
それは美琴も同じだ。美琴も大量のお返しを用意しなければならない。だから某ブランドのチョコを大量購入する予定なのだ。
アイツは何と言ったか。チョコを大量に買うのは大変だから家で作ると言わなかったか?
美琴は買う事にした。でもそれは買う方が楽だからであって、上条と同じく「作る」という選択肢もあるのだ。
アイツは何と言ったか。確か作り方がわからないと言わなかったか?
だから簡単な型チョコを提案したが、美琴は他にも色々なチョコの料理法を知っている。アイツに教えることだって出来るし、一緒に作ることだって出来る。
そう、上条と、一緒に。

「……、ねぇ?」
 作るという方向で計画を立て始めている上条に、美琴は声を掛ける。
「ん? なんだ?」
「実は私もチョコたくさん用意しなきゃいけないのよね」
「たくさんってことは、常盤台でも友チョコってあるのか?」
「まぁね。でさ、ものは相談なんだけど……」
「?」
「一緒に、作らない?」

844You_are_my...? [2/10] 10:2011/02/14(月) 23:54:29 ID:E9lfXoYU
 つまり、美琴の計画はこうだった。
 上条と一緒にチョコを作る。手製だから費用も安く収まる上、共同作業だから一人で作るよりも楽しいし簡単だ。もちろんその間、上条との時間は美琴が独り占めだ。
 しかも一緒に作ることで、上条の好みを聞き出して「本命」作りに生かすことが出来るという特典付。
 さらに「で、味の評判はどうだったのよ?」とか言えば、14日当日も容易く呼び出せるはず。
 かなり計算高い、恋する乙女の提案である。

 さらに美琴は畳み掛ける。
「一緒に作るんだったら材料も共同購入で安上がりだし。うちの寮では作れないから必然的にアンタの家ってことになるけど、場所を提供してもらう分として材料費は私が多く持つわよ?」
 上条にとってのメリットを立て続けに提示する。
「ついでにその日の夕飯とかも作ってあげる。また連休中の課題が溜まってるなら、それも面倒見てあげるわ」
 上条はと言えば、目を丸くして美琴の顔をじっと見ている。突然の美味しい申し出に驚いているようだ。
そして美琴は返事を促す。
「どう?」

 美琴のおかげで、上条のチョコ作り計画は思ったよりも順調に進みそうだった。買わざるを得ないと思っていただけに、お財布にも優しい型チョコ案はとても役に立った。
 が、今ここに更なる思い掛けない名案が提示された。なんと、美琴が一緒にチョコを作ろうと言っている。
「どう?」
 何故か少し不安そうな顔をした美琴。本人に自覚はないのだろうが、上目遣いで自分の返事を待つ美琴に、不覚にも頬が紅潮するのがわかった。しかし。
 申し分のない提案に今すぐ飛びつきたいのは山々だが、上条には一つ問題がある。インデックスだ。
彼女が家にいるのに美琴を呼ぶのは……自身の頭蓋骨と家電たちの為にも絶対に止めた方がいい気がする。気はするのだが、
「やっぱり……ダメ?」
 ただでさえ効果抜群だった上目遣いのまま、美琴が少しだけ首を傾げた。
「ダメじゃないぞ」
 美琴の知らない所で、上条当麻が御坂美琴に敗北した瞬間だった。

845You_are_my...? [2/13] 11:2011/02/14(月) 23:55:32 ID:E9lfXoYU
 2月13日、日曜日。上条当麻は一人で家にいた。もうすぐ美琴が訪ねてくる。

 結局、この3連休のほとんどを上条は美琴と過ごすこととなっていた。
祝日だった金曜はほぼ丸一日かけて、ファミレスで美琴に課題を手伝ってもらった。小萌先生が通常の宿題に加え、「上条ちゃん専用課題」なるものを手加減なしで出してくれたおかげである。それでも一日で終わったのは、ひとえに学園都市第3位を誇る美琴センセーのおかげだ。
土曜は今日の為の買い出しをした。せっかく外に出たのだからと、何故か映画も観ることになった。前日に頭を使い過ぎて疲れていた為、上条は鑑賞中ずっと爆睡していた。その間ずっと美琴が上条に寄り添って手を握っていたなんて話は、寝ていた上条が知る由もないことだ。
ちなみにこんな3連休が実現したのは、小萌先生が「三日間食べまくりツアー」とやらにインデックスを誘ってくれたからである。上条ちゃんは三日間課題で忙しいだろうと考えた小萌先生による素敵な配慮だった。

846You_are_my...? [2/13] 12:2011/02/14(月) 23:56:46 ID:E9lfXoYU
 上条がここ数日のことを思い出していると、不意にインターフォンが鳴った。
「お、きたきた」
 ドアを開けると、そこにはいつも通り常盤台中学の冬服に身を包んだ御坂美琴が立っていた。
「迷わなかったか?」
「大丈夫よ。アンタが昨日GPSの使用コード送ってくれたしね」
「そっか。寒いし早く入れよ」
「え? あ、うん」
「? どうかしたか?」
「ふえ!? う、ううん。なんでもにゃい……」
「ならいいけど。ほら、どうぞ」
 上条が招き入れると、
「お、お邪魔します……」
 まるで迷宮にでも入るかのように、美琴はおずおずと中に入った。ドアを閉めた瞬間「にゃ!?」という変な声が聞こえたのは気のせいだと思う。
 だって考えてみたら男の子の部屋に入るのなんて初めてで緊張したんだもん! というのは後の美琴の言い分である。

 美琴に洗面所などの説明を一通りすると、上条はエプロンを身に着けて台所へと美琴を手招いた。
「これでいいか? 一応お前に言われたものは用意しといたつもりなんだけど」
「ふむ。どれどれー?」
 調理台の上には今日のチョコ作りに必要な調理器具が並べられていた。昨日の内に美琴がメールで指示した通りだ。
「生クリームとかはまだ冷蔵庫の中だけど」
「問題ないわよ。ちゃんと準備出来てるじゃない。これなら手際よく作れそうね」
 作るのはトリュフ。作り方も単純で、簡単に可愛くデコレーション出来るのが嬉しい定番チョコレシピだ。
「じゃあ早速作り始めましょうか」
 今日買った材料を冷蔵庫に入れ、持参したエプロンを身に着けた美琴が言う。
「アンタはお湯を沸かしてくれる? 私は板チョコ刻むから」
「わかった」

 現在時刻13時過ぎ。
上条当麻と御坂美琴の楽しいクッキングタイムが始まる。

847You_are_my...? [2/13] 13:2011/02/14(月) 23:57:54 ID:E9lfXoYU
 トントントンとまな板を叩く軽快な音が響く中、
「結構な種類買ったけど、アンタはどれが好みなの?」
「味か? そうだな……俺はビターとか好きだぞ」
「へぇ、そうなんだぁ」
「ホワイトも好きだけど、たくさん食べると飽きるしな」
「ふーん、なるほどねぇ」
「ストロベリーや抹茶とかって、あんまり普段食べないからなぁ」
「じゃあもしかすると今日から好物になっちゃうかもよ?」
 そんな感じで雑談(のようで実はちゃっかりした美琴の情報収集)をはさみながら、二人は順調にトリュフ作りを楽しんでいる。
 すでにいくつかの溶かしたチョコレートは冷蔵庫の中で冷やされており、今は第四弾となる抹茶チョコレートを刻んでいる。
「そろそろいい時間かしら。冷蔵庫の中チェックしてみて」
「おう」
「包丁で切れるくらいの硬さだったらOKよ」
「……、ミルクとビターは大丈夫そうだぞ? ホワイトはまだ掛かりそうだな」
「そう。じゃあこれ刻み終わったらミルクとビターから丸めていきましょ。パウダーの準備しといてくれる?」
「任せとけ」
 ココアパウダーを大きな皿にふるい入れつつ、上条はチョコレートを刻む美琴を盗み見る。
(ビリビリさえなけりゃコイツも可愛い普通の女の子なのになぁ……。面倒見も良いし、見る限り料理や家事も出来そうだし、結構いい奥さんになりそうだよなぁコイツ)
「……、何アンタこっち見てんのよ? あッ!? よそ見しないで入れなさいよアンタ! 粉末こぼれてるんだけど!?」
「え? ええッ!?」
 そんなハプニングがありながらも、二人の平和なクッキングタイムは楽しく過ぎてゆく。

848You_are_my...? [2/13] 14:2011/02/14(月) 23:58:38 ID:E9lfXoYU
「出来たっ♪」
 時刻はすでに17時。
「おおっ!!」
 エプロンを付けた二人の目の前には丸いコロコロした色とりどりのトリュフがたくさん並んでいた。冷蔵庫の中にある分も合わせると相当な数になる。
「じゃあ私は夕飯作るからラッピングは……」
「5つずつだろ? 上条さんに任せなさいっ!」
「うん。ありがとね」
 トリュフは完成した。後は袋に小分けするだけだ。
 ただ門限のこともあるので、美琴には夕飯を作ってもらい、その間に上条が一人で小分けすることになった。
「あんまり時間ないから焼き飯にしちゃうけどいい?」
「御坂に任せるよ」
 そうこうしている内に小分け作業も3分の1ほど終わり、台所からは美琴の楽しげな鼻歌が聞こえている。
 内職ってこんな感じなのかなー? とか思いつつ、台所から漂う美味しそうな匂いを嗅ぎながら黙々と小分け作業を続ける上条であった。

849You_are_my...? [2/13] 15:2011/02/14(月) 23:59:59 ID:E9lfXoYU
 2月13日、真夜中の常盤台学生寮。御坂美琴は寮内の調理室にいた。普段は鍵が掛かって入れないのだが、とある給仕の少女との取引を経てその鍵を今夜だけ貸してもらったのだ。少女曰く「これかー? みさかがくれたんだぞー。私好みな兄と妹でドロドロになるマンガだぞー」らしい。
 あの後は上条と一緒に夕飯を食べ、上条が小分けしてくれたトリュフを美琴の取り分だけ受け取り、門限ギリギリに寮へと帰ってきた。
 夕食時の不在はいつものように白井が上手くごまかしてくれていたらしい。その代償とばかりにこの連休中のことを色々と聞かれたが、何とかごまかして今に至る。

「アイツの好みはビター。ホワイトも好きだけど、少しがベスト」
 誰に言うでもなく、美琴は今日得た情報を整理してゆく。寮監の見回りなどもある為、許された時間はわずか。一秒たりとも無駄には出来ない。
「ようし。見てなさいよッ!!」
 誰に言うでもなく、美琴は気合いの一声を出す。
 帰り際、上条と明日の放課後に会う約束もきちんと取り付けられた。というか、珍しいことに、上条の方から言い出してくれた。美琴はその時のことを思い出す。

「門限ギリギリになったな。大丈夫か?」
「何とでもなるわよ。黒子もいるし」
「そんなもんなのか?」
 上条は自ら進んで、美琴を途中まで送ってくれた。本当は寮まで送ると言ってくれたのだが、それは美琴が断った。本当に嬉しかったのだが、誰かに見られる可能性を考えて断ったのだ。
「じゃあここまでで」
 とある分かれ道で上条は立ち止まった。セブンスミストへ行く時に通る道だ。
「今日は本当にありがとな。夕飯も美味しかったよ」
「こちらこそ。楽しかったわ。ありがとう」
 自分でもビックリするくらい、素直に言葉が出てきた。この調子で明日も素直に言えるといいのだけれど。
「なぁ御坂」
「ん? 何?」
「明日も会えるか?」
「え!? そ、そりゃ放課後なら会えるけど……」
「そっか。じゃあ明日の夕方5時にいつもの自販機前で会おうぜ」
「え!? あ、うん」
 美琴が顔を真っ赤にさせながら頷いたのを確認すると、
「じゃあまた明日な」
 笑みを残し、上条は走り去ってしまった。帰り道とは違う道だったが、どこか立ち寄る場所でもあったのだろうか?

 とここまで思い出に浸って、はっと美琴は我に返る。
「しっかりしろ私!! 時間は有限なんだから!」
 レシピは……大丈夫。頭の中にちゃんとある。
 真夜中の調理場で今、御坂美琴の「本命」作りが始まる。

850You_are_my...? [2/14] 16:2011/02/15(火) 00:00:56 ID:eHEMpW.2
2月14日、月曜日。言わずと知れたバレンタインデー当日。
 時刻は午後4時半。上条当麻はすでに自販機前にいた。

 たくさんチョコを用意したかいもあってインデックスの機嫌は朝から良く、一日の始まりは好調だった。
 高校では木曜日の宣言通り「小萌学級限定バレンタイン友チョコ祭」が盛大に開催されており、きちんとトリュフを用意していた上条は歓声と共にクラスメイトに迎え入れられた。もちろん企画の趣旨通り、上条自身もたくさんの「友チョコ」を貰った。貰ったのだが。
 思えばこのチョコを貰った辺りから何かがおかしくなっていたのかもしれない。そして昼休み、上条の周りの雰囲気が決定的に変わった。

「……カミやん、これ誰から貰ったん?」
 貰ったチョコレートはその日の内に食べるのが礼儀なんやでー! という青髪ピアスと共にクラスメイトから貰ったチョコレートを見ているた時、それは起こった。
「へ? お前も貰っただろアイツから」
 そう言って上条は教室の隅で他の女子と一緒にいる眼鏡の少女を示す。
「じゃあこれは誰から貰ったのかにゃー」
 一緒に見ていた土御門が、先程とはまた別のチョコレートを指差す。
「これは……アイツ。ほら、これ。お前も同じの貰ってるじゃん」
 上条はそう言って、同じラッピングが施された箱を指差す。
「お前ら何訳わかんないこと言ってるんだよ。みんな同じチョコ貰ってるんだから、俺のじゃなくて自分の見ればいいだろ」
 しかし、上条は間違っていた。気付けていなかった。青髪ピアスが指差したものは上条のものだけ明らかに大きさが異なっていたし、土御門が指差したものは上条が貰ったものにだけある言葉が書いてあったのである。
「「カーミーやーん」」
「……、えーとお二人さんは何故にそんな怖い顔をしていらっしゃるんでせう?」
 その異変に気付いたクラスの他の男子が3人の周囲に集まってくる。そして上条の机の上に広がったものを見るや否や、青髪や土御門と同じ形相に変わってゆく。
「「「「「またお前だけかッ!!!!!」」」」」
「なッ!?」
 こうして上条の平和な学校生活は幕を閉じ、騒々しく不幸な学校生活へと切り替わった。

851You_are_my...? [2/14] 17:2011/02/15(火) 00:01:56 ID:eHEMpW.2
 自販機近くのベンチに腰掛け、上条はそんな不幸な出来事を思い出していた。今自分の隣にはその騒ぎの元凶とも言えるクラスのみんなから貰った「友チョコ」が入っている紙袋があるのだが、男子勢とした死に物狂いの追いかけっこのせいでもうボロボロになっている。まだ破れていないこと自体、不幸な上条にとっては奇跡と言える状態だった。

「にしても俺が何をしたって言うんだ……上条さんは何か間違っていましたでせうか?」
「あれ!? アンタもういたの?」
 絶対私の方が先だと思ったのにあれー? といった様子の美琴が、気が付けば上条の目の前に立っていた。
「あ、御坂。おっすー」
「どうしたのよ? やけにテンション低いわねアンタ。もしかしてトリュフ不評だった?」
「いや、トリュフは人気だったぞ。おかげで俺の株が上がった」
 本当は美琴が手伝ってくれたと正直に言うつもりだったのだが、何となく言わない方が身の為だと思ってやめたという経緯があったりする。
「そうじゃなくてだな。実はさ……」
 かくかくしかじか。上条は今日学校で起こった出来事をかいつまんで美琴に話す。つい数日前にもこんな事があったような。

852You_are_my...? [2/14] 18:2011/02/15(火) 00:02:51 ID:eHEMpW.2
 一方、上条の隣に腰掛けて話を聞いていた美琴は、大体の真実を理解出来たような気がした。
「ちょろっと失礼するわよー」
 今は上条の足元に置かれている紙袋の中身をチェックする。やっぱり……クラス全員に配るものにしては一人当たりの量が多いと思われる物が、ぱっと見ただけでもたくさんあるではないか。しかも、
「”You are my Valentine” ねぇ」
「ん? そんなメッセージあったっけ?」
「……、あるわよここに」
 上条が気付かないのも無理はない。その言葉は箱を包むリボンの上に小さく書いてあるだけなのだから。でもこれは間違いなく……
「アンタ、今日は本命一つも貰わなかったの?」
「本命? ないない。ありませんのことよ。上条さんはそんな幸せとは無縁ですよー」
 上条はおかしそうに笑って否定する。コイツときたら全然乙女心をわかっていない。美琴は心底呆れたように、はぁーっと深い溜息をついた。
「あれ? 御坂さん……?」
 でもこれはある意味チャンスなのかもしれない。コイツが気付いていない今なら、私にもまだ希望があるのだから。
「えーと、美琴さーん? 返事して下さーい?」
「アンタ」
「!?」
 ビクッと上条が姿勢を正した。何もそんなにビビらなくてもと思うけど、普段から電撃飛ばされている側としては無理もない反応かもしれない。
 ゆっくり深呼吸してから、美琴は上条の目をまっすぐ見据えて問い掛ける。
「You are my Valentine. この意味わかる?」

853You_are_my...? [2/14] 19:2011/02/15(火) 00:03:48 ID:eHEMpW.2
「えっと……?」
 美琴の意図が分からずに戸惑う上条。対する美琴はつまらなさそうに、
「あなたは私の愛しい人」
 続けてとんでもない言葉を口にした。唐突な愛の言葉に、上条はぽかんとした顔になる。
「……へ?」
「You are my Valentine. 意味は、あなたは私の愛しい人」
「あ……」
「そういうこと。アンタのチョコは本命よ」
 ということは、もしかすると土御門はこれに気付いたのかもしれない。いやだからと言って追いかけられても仕方ないとは思えないが。
 そんな事を考えて悶々としていると、何やら美琴が自分の鞄の中をごそごそし始めた。その様子をぼんやり見ていると、
「You are my Valentine…」
 先程とは違い、とても小さい美琴の呟きが聞こえた。俯いているので表情もよく見えないが、膝の上には先程まではなかったものが置かれていた。美琴が鞄の中から出したものだろう。
 急に静かになった美琴の次の言葉を待っていると、突然美琴が立ち上がった。そして上条の目の前に立つと、ゆっくりと顔を上げて、
「You are my Valentine!!」
 はっきりとそう言い切った。

854You_are_my...? [2/14] 20:2011/02/15(火) 00:04:42 ID:eHEMpW.2
 目の前には馬鹿みたいにぽかんとしたアイツの顔。だけどここで止めるわけにはいかない。
「You are my Valentine.」
 再びそう言って、両手で持っていたものを上条の目の前に差し出す。
「受け取って?」
 するとナマケモノ並みにゆっくりとした動作で、上条がそれに手を伸ばす。
「……、いいのか?」
 こくん、と頷くのが精一杯だった。
「あ、開けてみてもいいか?」
 こくん、と美琴は再び頷いた。
「これチョコレートケーキだよな? ……もしかして昨日帰ってから作ったのか?」
 こくんこくん、と美琴は真っ赤な顔で二度頷いた。
 箱の中のチョコレートケーキをじっと見つめて動かなくなった上条を見て、判決を待つ被告人ってこんな感じなのかもしれないと美琴は思った。今の美琴に下される判決はYESかNOの二択しかないわけだが、心臓がこれ以上ないくらいバクバクしている。
「御坂」
 上条の真っ直ぐな視線が突き刺さる。
「……、」
 耐えられなくなって、美琴は思わず下を向く。
 コトンと音がしたので恐る恐る顔をあげれば、上条がチョコレートケーキの入った箱を横に置いて、何やら鞄の中をごそごそしていた。そして何かを取り出して、
「御坂」
 もう一度、美琴の名を呼んだ。
「……、」
 判決の時が来たようだ。上条の返事はまだわからない。怖くて不安で泣きたくなる。
 だけど泣かない。たとえ答えが悲しいものであってもずっと友達でいたいから。上条を困らせるような、泣きわめくようなことは絶対にしないと決めている。だけど、
「受け取れ御坂」
 そう言って差し出されたのは、見覚えのあるカエル柄の包装紙で包まれた箱。
「You are my Valentine.」
 続けて貰った言葉は、夢みたいな愛の告白。
「これが俺の本命だよ」
 最後にくれたのは、美琴が大好きな少年の優しい笑顔。
「……ッ!!」
 少年がくれた最高の判決を前に、美琴はその場で泣き崩れた。

855You_are_my...? [2/14] 21:2011/02/15(火) 00:06:24 ID:eHEMpW.2
「御坂ッ!?」
 美琴が完全に崩れ落ちる前、上条は何とか美琴を抱きとめることに成功した。
 泣き顔を見られたくないのか、美琴は上条の胸に顔を埋めたまま小さく震えていた。見えている両耳は真っ赤に染まっている。
「……、ごめんな」
「ヒック……なんでアンタが謝るのよ」
「いやでも泣かせちゃったし?」
「ヒック……馬鹿。嬉し泣きだから謝る必要なんてないわよ」
「じゃあ何か俺に出来る事は?」
「……、美琴」
「?」
「美琴、って呼んで」
「み、美琴……?」
 すると美琴がゆっくりと顔を上げた。涙は止まっているものの、赤く腫れて潤んだ目での上目遣いはとんでもない破壊力を秘めていた。にもかかわらず、
「ッ!?」
 この泣き虫娘。少し顎を持ち上げて瞼を閉じてなんて連続攻撃を仕掛けてきたではないか。
 恥ずかしいが、それは美琴も同じだろう。そっと彼女の望みを叶え、ゆっくりと顔を離す。
「……、嬉しい」
 これ以上どうやったら赤くなるのかというくらいに顔を真っ赤にして、美琴は上条に体重を預ける。上条はそれを受け止めて、美琴の背中に回している腕に少しだけ力を込める。

856You_are_my...? [2/14] 22:2011/02/15(火) 00:07:20 ID:eHEMpW.2
 美琴が落ち着くのを待って、二人はゆっくりと体を離した。時間にすれば5分も無かったかもしれないが、2人にとってはとても長い時間に感じた。
「あ、私も開けていい?」
 改めて上条から「本命」を受け取った美琴は、嬉しそうに確認を取る。
「ああ、いいぜ」
 中身は美琴の予想通りセブンスミストで見たあのゲコ太チョコレートだった。ということは、
「アンタ、もしかして昨日別れた後に買いに行ったの?」
「まあな。昨日作ってる時にお前にも友チョコ渡そうって思ったんだけどさ。お前と一緒に作ったやつを渡したって意味がないだろ? だからあの後買いに行ったんだ」
 まさか「本命」として渡すことになるとは思わなかったけどな、と上条ははにかむ。
「……、なんで私に応えてくれたの?」
「んー……まあ確かにお前が告白してくれたからってのもあるんだけどさ」
「うん……」
「この三日間お前と過ごして思ったんだよ。お前との時間は楽しいってさ。この連休だけしゃない。今までだって……そりゃあ電撃とか怖いこともあるけどさ。それもひっくるめて、お前との時間は楽しいなって思えたから」
「……、」
「だからお前の本命を受け取った時、思ったんだよ。お前との未来が見てみたいって」
「……それって!?」
 上条は右手で美琴の右手を取る。
「俺は無能力者だけど、それでもお前に誓ってやる」
 上条はじっと美琴の目を見据えて続ける。
「御坂美琴とその周りの世界を守る」

857You_are_my...? [2/14] 23:2011/02/15(火) 00:08:33 ID:eHEMpW.2
「御坂美琴とその周りの世界を守る」
「!!」
 上条は知らないが、美琴がこの誓いを耳にするのは二度目だ。だが間接的に聞いた前回と直接的に言われた今回では、その嬉しさも重みも天と地ほど違う。でも、
「わかってる? その世界にはアンタも含まれてるのよ?」
「……、」
「アンタが命掛けて私守って死んだら、その誓いが守られたことにはならないのよ?」
 黙って美琴の言う事を聞いていた上条は、美琴の手を握る右手にぎゅっと力を込めた。
「ああ、わかった。俺はこれからも誰かが困っていれば助けに行っちまうと思う。でも何があっても必ずお前の元に帰ってくるから」
「……!! うんッ!!」


 2月14日、夕方。とある自販機前にて。
 この日、学園都市最強のカップルが誕生した。
 その後ベンチに座ってそれぞれの「本命」を味わっていたところ、巡回中だった白井黒子やたまたま通りかかった青髪ピアスらに見つかって騒がれるのは、また別のお話。

858琴子:2011/02/15(火) 00:11:46 ID:eHEMpW.2
以上です☆

長々と駄文すみませんでした。
しかも投下途中で日付が変わるという…orz

いつもみなさんのssで元気補充してます。
毎日の楽しみをありがとうございます!!
作者の皆様にGJでは表しきれない感謝を!!!

バレンタインおめでとうございました(笑)

859■■■■:2011/02/15(火) 00:39:07 ID:7dsDXbHc
何だ何や何ですかァ!?何でこんなにもラッシュしているんだ。

皆さんGJですb

860■■■■:2011/02/15(火) 00:45:50 ID:.FWqcLLc
>>832 蒼さんにシリアスな上琴を書かせたら危険!てくらい良かったです!
>>833 親子で考えることは同じなんですね!
>>858 美琴が何か中学生らしくて良かった!You are my Valentineのチョコ誰からのなんでしょうね?

861■■■■:2011/02/15(火) 01:08:29 ID:UtVkXMfs
皆さんGJ

862■■■■:2011/02/15(火) 01:08:30 ID:5Zzy4.6Y
バレンタインネタではないですがこの勢いに乗って5分後に投下します。

タイトルは「お互い敵わない」

です。

863■■■■:2011/02/15(火) 01:12:16 ID:5Zzy4.6Y
授業が終わり、足早に帰ろうとしていた上条に土御門が声をかけてきた。

「カミやんお願いがあるにゃ〜。ちょっとこれを一日預かってくれないかにゃ?」
「これは・・・・・・・ってエロビデオじゃねえか!!」

土御門が袋に入っている一つをパッと取り出したのはなんともいえない女の子が妙なポーズをしている
パッケージが描かれたDVDだった。


「にゃ〜・・・今日は舞夏が来る予定で・・・これだけ部屋にあるのが許せないらしいにゃ。
隠しても見つかった時を考えると恐ろしいし・・・」
「メイドフィギュアとかそのへんにあるようなエロ本は許されるのにこれだけダメなのかよ?」
「そうだぜい。『兄貴、これでナニやってんだぁ〜?』と言われた時は死にそうだったぜよ」
「あぁ〜。母親に見つかった時より修羅場になるな。でも待て、俺の部屋にはインデックスがいる。毎日居るから俺のほうが危険だろ!?」
「パンでも入れてなければ鞄から出さなければあのシスターは大丈夫だろ?それに持ち物チェックするヤツでもないだろい?」
「・・・・・・そうだな。よし!!なら心優しい上条さんに任せなさい!」
「恩に切るぜいカミやん。見たいなら自由に見ていいぜよ?」
「かりに見たくなったとしても見れる環境じゃねえからな遠慮しとくよ」
「んじゃ、夜にでも取りに行くからよろしくにゃ〜」

土御門はヒラヒラと手を振って教室を出て行った。残された上条はそっと中身を覗く。
DVDが数本入ってあった。


『発掘!メイド義妹』
(いや、これはもう土御門のためにある一品じゃねえか)


『シスターさんに懺悔したいゾ☆』
(このコスプレとスタイルはオルソラを彷彿とさせるがここはあえて何も考えませんことよ)


『永遠のライバル!?最強ツンデレ姫〜別にアンタが好きって言いたい訳じゃ〜』
(土御門ってツンデレ好きなの?キャラじゃねえなぁ。でも誰かに似ている・・・)

他にも2、3本あったがこの三つのタイトルが強烈すぎた。
鞄にこれらを忍ばせてスーパーで買い物を済ませ寮に帰宅した。

のだが・・・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「あっ、おかえり〜」

玄関に入ると何故か御坂美琴が出迎えてくれていた。


美琴は上条愛用のエプロンを着用しており、ちょうど作業が何か終わったかみたいな様子でお茶を飲んでいた。
インデックスは美琴と向かい合って座りテレビにかじりついていた。とりあえず険悪なムードではないみたいだ。

「何故ここに御坂さんがいるのでしょうか?」
「何故ここにインデックスが住んでいるのでかしら?」
「いや、俺の質問に答えろよ!?」
「それがね・・・話せば長くなるけど」

864■■■■:2011/02/15(火) 01:12:42 ID:5Zzy4.6Y



放課後の帰り道、上条がいないかとあちこちを探していた美琴。しかし出会ったのは上条ではなく、

路上で倒れていたインデックスだった。

「ちょっと!大丈夫?怪我でもしたの!?」
「・・・・・お腹減った」
「へ?」
「お腹減っておうちに帰れないかも」
「つまり、ここで何か食べさせてもらうか家に連れて行けと?」
「私的にはおうちに連れて行ってくれてごはんをご馳走してくれると嬉しいかも」
「図々しいにも程があるわよアンタ・・・」
「短髪、私は健全なるシスターなんだよ?図々しいとかやましいとかそんな心はなく、
とりあえずお腹いっぱいごはんが食べられたら嬉しいというそれだけの心だけであって
つまりこれは・・・」
「わかったわよ!おんぶしてあげるから。道案内してよね?」
「ありがとう短髪」
「その短髪ってやめてくれない?私には美琴って名前があるの・・・よっと。意外と軽いのねアンタ」
「じゃあみこと、意外ってどういうこと?それと早速だけど向かっている場所反対かも」
「アンタが住んでいる場所知らないから仕方ないでしょ!?」



ギャーギャー言い合いながら美琴がインデックスをおんぶして寮まで運ぶ。だが美琴は寮に着いてあることに気付く。

「ここって男子寮じゃない?」
「ここはとうまの部屋だよ」
「・・・何故アンタは家までと言ったのにあのバカの部屋に案内したのかしら」
「だって私もここに住んでいるからだけど?」
「んな!っ・・・・・・・・・」
「大丈夫?顔赤いよみこと?」
「なんでもにゃい!とりあえずアンタとあのバカには聞きたいことが山ほどできたから。
とりあえず部屋の鍵開けてくれる?ご飯食べたいんでしょ?」
「ありがとうみこと!でも冷蔵庫の中はあんまりないかも」
「私に任せなさい。どんな残り物でも美味しい料理作ってやるから!」


この言葉だけで既にインデックスの心を掴んでいた美琴。だが本人は気付いていない。
部屋に入るといかにも学生らしいシンプルな部屋。ここがアイツの部屋・・・
でもそうウキウキしていられない。インデックスの腹の鳴り方が迷惑な程うるさくなってきた。

冷蔵庫の中を見ると意外と上条が綺麗に使用していることに驚かされた。残った食材はラップして保存。
容器も使い分けて意外と几帳面な性格。

上条には申し訳ないがこの食材で料理を作った。味には絶対の自信がある。だから帰ってきた
上条にも食べてもらおうと余分に作ったつもりだったがインデックスはとても満足そうに
全部食べきってしまった。

「インデックス・・・あれだけの量を一人で・・・」
「幸せなんだよ〜・・・みことはいいお嫁さんになれるかも」

今はこの笑顔を見れただけで美琴は満足になった。まあ、これでいいかと。

865■■■■:2011/02/15(火) 01:13:19 ID:5Zzy4.6Y



「・・・というわけなの。で、何でインデックスはアンタと一緒に住んでいる訳?」
「いや、それは〜」

土御門から預かったDVDが見つかるよりも説明するのがめんどくさいことになってしまったと
上条は心の中で不幸だ〜と呟いた。でも今日の神様は上条に見方した。

「私が学園都市に住める所がないからとうまの所に預かってもらっているんだよ」

インデックスだ。いつもより美味しい料理を食べたからか今の彼女はとても上機嫌だ。
上条をかばっているつもりはないが上条からすればそうなる。

「え?それって本当?」
「だって私はイギリス清教のシスターだから学園都市にいる必要はないんだよ?」
「そう。どうりでアンタの周りにはシスターさんや巨乳の人間が多い訳だ」
「え!?きょ、巨乳は関係ないだろそこは!」

美琴の口から巨乳の単語が出てきてドキっとしてしまう上条。鞄の中にあのDVDがバレた
のかとつい無駄に意識してしまう。

「い、いや、インデックスに飯を食わせてくれたのは非常に助かったよ。ホラ、寮の門限とかあるだろ?」
「アンタ、そのわかったからもう帰っていいよ。みたいな言い方は何?一応私は招いてもらったお客さんなのよ?」
「じゃ、じゃあお茶でも飲んで行けよ。お嬢様の口に合うかわからないけど」
「悪いけどもう勝手にいただいてますが?」
「ぐ・・・なら・・・ごゆっくりくつろいでください」
「ん、それでよろしい」


上条からすればとんだ迷惑になってしまった。自分の鞄には何せテポドンがある。もしこれがばれたら
ただのスケベ高校生の称号だけでは収まらない。
土御門が取りに来る時間まで隠し通せる自身がない。

(でも鞄から取り出さなければいい話だ。いつものような冷静を取り繕って・・・)

いかにも普通ですよ〜とアピールするように鞄をベッドの上にポイと投げてベッドに座る。

だが御坂美琴は上条の全てが気になるのでついついどうでもいいこと、上条からすれば地雷を踏まれるような質問をした。

「アンタ、やけに鞄薄っぺらいけど教科書とか入れてるの?何か入ってる?」
「ぎっくぅ!!!」
「何よその反応?」
「い、いや〜。バカでドジでマヌケな上条さんが教科書を持ち帰る?365日机の中に入れっぱなしですことよ?
鞄なんて登校中の飾り、携帯のストラップみたいなモンですから。あは、あはははは・・・・」
「・・・んま、アンタが真面目に教科書持って帰る人間ではないわよね。中学生の私に教えてもらうくらいだから」
「そのとおりでございます」
「じゃあその鞄の中には何が入ってるの?」
「はっは〜、健全な高校生の持ち物検査なんてしようと思わないことですよ?」
「まさかエッチな本・・・///」
「んな訳ねえだろ!インデックスがいるこの部屋のどこで読むんだ?見ろこの部屋を!
そんな代物どこにもございませんことよ!」
「・・・・・・・・あっそ。インデックス、そのアニメ面白い?」

無事乗り越えられた?美琴は勝手に話題を変えてくれたしインデックスも好きなアニメに
興味を持ってくれたと思いノリノリで応える。

とりあえずここでのピンチは免れた?のだった。

866■■■■:2011/02/15(火) 01:13:50 ID:5Zzy4.6Y



「御坂、晩飯食って行くか?」
「いいの?」
「インデックスが世話になったんだし。男料理が口に合うかわかんねえけど」
「じゃあご馳走になろうかしら」
「みことがご飯作ってくれると嬉しいのに」
「うるさいですよインデックスさん?」

夕飯の時間帯になってもまだ美琴は上条の部屋にいた。上条からすれば今すぐにでも帰ってほしいがここは煙たがれない。

上条がキッチンに立ち美琴とインデックスはなんと仲良く隣同士に座りテレビを見ている。
先ほどスーパーで買った食材を使って料理をやり始めた。

「とうまー。何か面白いテレビない?この時間ニュースばっかりでつまんないんだよ」
「録画してやったアニメのDVDがあるだろ?それを御坂に見せたらどうだ?」
「だって覚えてるからつまんないんだよ」
「ん〜・・・なら」

全く何も考えないでつい口走った。言ってしばらくするまで自分でも理解していなかった。

「俺の鞄にDVD入ってるぞ〜?」
「わかった〜」
「あれ?アンタ何も入ってないってさっき言ったじゃない?」
「・・・・・・・・・・・んあ?」

手元の作業をしながら2人のほうを見る。インデックスがベッドにある上条の鞄を開けようとしていた。
血の気がサーっと引いていったのがわかった。


「ま、待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」

逃げ足レベル6の力を発揮して瞬時にインデックスから鞄を奪う。

「何するんだよとうま!」
「待て、これは友人から預かった大事なものだから二人にはとても見せられない!」
「でも今DVDあるからって言ったんだよ!」
「ダメだ!これは特にダメ!今日だけ預かってくれと頼まれたんだ!!」
「むぐぐぐ・・・」
「アンタ、インデックスに噛み付かれるのと私に超電磁砲喰らうのどっちがいい?」
「今回はどっちも受け止める覚悟です!!だからこれだけは本当に勘弁してください!」
「あら、それなら余計その中身が気になるわ〜。インデックス、頼んだわよ」
「了解なんだよ!!」ガブっ!!
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


美琴とインデックスは見事な連携を見せた。インデックスが上条に噛み付き、必死に抵抗している内に美琴が上条の鞄を開けた。
おもむろに手を突っ込み手に触れたものを適当に掴みそれを取り出した。それは


『永遠のライバル!?最強ツンデレ姫〜別にアンタが好きって言いたい訳じゃ〜』


「・・・・・・・・・アンタ・・・・・・・・これ」
「違う!違うんだ御坂!いだだだだだだ!!」
「みこと、これ何!?」
「インデックス、アンタは絶対にコイツの頭から離れたらダメだから。私がいいというまで
噛み付いていいからね?」
「了解だよ!!」
「アンタ!今すぐテレビの前に座りなさい!!抵抗したら家電とアンタを焼く!いいわね!?」
「は、はいいぃ!」
「こ、こここここ、これ、再生しなさい」
「は、はあぁぁぁ!?絶対無理!!」
「これ見たかったんでしょ!?私が代わりに料理作っといてあげるからアンタはゆ〜っくり
見ていていいわよ?」
「い、いや、これはだから・・・」
「ささ、じっくり堪能しなさい。騒いだらキッチンから包丁投げつけてやるんだから」
「ひいぃぃ!!」
「インデックス、コイツがちゃんと見てるか監視しといてね?」

ここまで満面の笑顔で上条に詰め寄るが目は鬼のようだ。インデックスはまだ上条に噛み付いており、

「さっさと再生するんだよ!!」

とこちらも鬼になっていた。
もう逃げられない。しぶしぶデッキに入れて再生ボタンを押す。

「俺は世界一不幸だ」
「うるさいんだよ!」ガブっ
「うぎゃぁぁぁ!!」

いよいよ本編がスタートした。

867■■■■:2011/02/15(火) 01:14:17 ID:5Zzy4.6Y



『ちょっとアンタ、待ちなさいよ!』
『・・・またお前か』
『うっさい!私にはちゃんと名前があるの!アンタはいつも私のことお前って・・・』
『お前だって俺のことアンタってしか呼んだことないじゃないかよ』
『だってそれは・・・・・/////』
『だってなんだよ?』
『う、うるさい!この鈍感!バカ!』

(・・・・・・・・・なんかこれ私とアイツに似てる・・・)

キッチンからコソコソと見ている美琴。どうせあのパッケージだからこれからどのようにしてあの展開が・・・
ついつい目が行ってしまって料理に集中できない。

一方インデックスはパッケージはちゃんとみていなかったのでただのラブコメかと思っている。

・・・上条の頭にかじりついたまま・・・


そして物語は進み・・・

テレビの中は夜の鉄橋の下。そこに少年と少女はいつものように生死を彷徨うような追いかけっこをしていた。

『はあ、はあ、お前、しつこいぞ・・・』
『はあ、はあ、うるさい。アンタが私に捕まれば終わることじゃない!』
『なら勝手にしろ。俺はもう走れないぞ。もう煮るなり焼くなりすればいいじゃねえか』
『そう・・・なら・・・』
『おい・・・・・むぐっ』

少女が少年の唇を強引に奪った。

『お前・・・』
『アンタを捕まえてこうしたかった・・・ずっと・・・アンタのことが好きなんだもん』


もうこうなったらこういうジャンルのビデオではお約束。鉄橋の下だろうがどこだろうがどんどん進んで行った。

「ちょっととうま!!これ何!?こんないかがわしいビデオは許せないかも!!」
「待て!だからこれは俺のじゃない!!」
「問答無用なんだよ」ガブリ!
「にゃぁぁぁぁぁぁ!!!土御門めぇぇぇぇ!!!」


(ちょ・・・これ凄い・・・なんかアイツに接する勉強になったかも・・・いや、エッチなことじゃなくて。
アイツに振り向いてもらうならこれくらい強引に行かないと・・・でも強引にキスなんて///)

結局料理に集中できず美琴としてはできが悪い料理になってしまった。

868■■■■:2011/02/15(火) 01:14:32 ID:5Zzy4.6Y



いまいちな料理を済ませ(それでも上条とインデックスは美味しいと全部食べた)そろそろ門限を気にしないといけない時間帯。
インデックスは何とも思ってないようだが上条と美琴はきまずくて会話の盛り上がりに欠けた。

「私そろそろ帰らないと」
「じゃあ俺が途中まで送ってやるよ」
「えっ!?/////」
「いや、もう夜だし女の子がこの時間歩いたら危ないだろ?」
「そ、そう。じゃあお願いしようかな?」
「おう。インデックス。御坂を送ってくるから風呂にでも入ってろ」
「とうま。みことにさっきのビデオみたいなことやったら許さないからね」
「しねえよ!!」


こうして2人夜の街に出た。


「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
(うおぉぉぉぉ!!!気まずいにも程があるだろ!この空気を誰か壊して〜)
「あのさ」
「うぉ!何だ?どうした?」
「あ、あの、まだ門限までもう少し時間あるからちょっと寄り道してもいい?」
「んお?あぁ、いいぞ?」

そして美琴が連れて行った場所はこういうイチャイチャSSではお約束の・・・

「どうしてここなんでせうか御坂さん?」


鉄橋の下。まるで先ほどの再現してくださいといわんばかりの人のいなさ。

「アンタさ」
「ん?」
「さっきインデックスに釘刺された時、しねえよ!って言ったよね?」
「う・・・まあな。奥手上条さんができる訳ねえだろ」
「じゃあさ」

ジリっと美琴が距離を詰める。

「私があれみたいに動いたらどうする?」
「??????????何を言っているのですか御坂さんんん???」

距離をゼロに縮め上条の肩に手を置く。

「言ったまんまよ。どうなの?」
「いや、あの、御坂だと特に理性を保てるかわからないです・・・」

ここでさらに上条に追い討ちの一言。

「理性なんか捨てちゃえば?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴクリ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ねえ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふ」
「ん?ふ?」
「ふにゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「おい!御坂!!漏電!!」


倒れそうになった美琴を慌てて右手で支える。美琴は積極的に行こうと思って行動に出たが
彼女の性格上無理だった。しかも相手が思い人ならなお更。

「御坂?御坂?」

上条が何度呼びかけても美琴は起きそうにない。無防備に上条の腕の中で・・・



その頃
「カミや〜ん、約束のブツ返してもらうぜい!」
「あ、つちみかど。とうまなら今外出してるよ?」
「ならいいにゃ〜。明日にでもまた来るぜよ」
「返してもらいたいのって・・・これ?」
「んなっ!!何故それをお前が・・・」
「つちみかどがとうまにこんなもの預けたおかげで私は大変なものを見てしまったんだよ!!」
「落ち着けい。これには深い訳が・・・」
「とうまも同じこと言っていたけど問答無用なんだよ!!」ガブっ!!
「んぎゃぁぁぁ!!!噛み付くのはカミやんだけにすてくれ!魔術使うより体に堪えるぜよ!!」

869■■■■:2011/02/15(火) 01:15:29 ID:5Zzy4.6Y
とまあ、以上です。


なんかすみませんです。
ギャグにしようとしたら下ネタになっちゃいました・・・

870■■■■:2011/02/15(火) 01:23:20 ID:JHhw2DiY
はぁぁ今年のバレンタインも上琴豊作で嬉しい限り……
皆様gj

871■■■■:2011/02/15(火) 01:43:25 ID:YgBRMgnk
ちょっと覗いてみたらいっぱい投稿されてるううう
今日休日だから全部読むぞ〜嬉しくてテンションヤバいきゃっほう!!

皆さんほんとにGJです!

872■■■■:2011/02/15(火) 01:51:29 ID:lNnPm.0.
皆さん超GJすぎます!

873■■■■:2011/02/15(火) 08:41:20 ID:oi6h1U8o
日付変わるまでにバレンタインネタが書きあがらなかったでござる
書きかけのこれどうしよう

874■■■■:2011/02/15(火) 09:20:10 ID:sRKS6I/Y
>>873
気にせず投稿しようぜ! 待ってる

875■■■■:2011/02/15(火) 13:22:18 ID:aS7LRWro
>>832
。・゚・(ノД`)・゚・。

>>833
その棒は解けやすいのか解けにくいのかw

>>858
おめでとうございましたwww

>>869
珍しく土御門が禁書さんの被害に遭っているとはw

>>873
投稿待ってます。

        __
 _n    .'´  `ヽ
( l    8レノノノ゙i  }
 \ \ 从゚ヮ ゚*l)从
   ヽ___ ̄ ̄ ノ   Good Job !!
     /    /

876■■■■:2011/02/15(火) 15:47:46 ID:gxSS67wI
胸いっぱいになるほどの投下数とそれぞれの濃厚さにもう幸せでクラクラしそう
書き手さんたちマジ最高っすありがとうございます

877■■■■:2011/02/15(火) 16:29:01 ID:RneFbSgY
ラッシュしすぎだ とりあえずみなさんGJ!
あれ?雪触ったからかな〜
なんか右手の感触がおかしい....!?

878原作知らず:2011/02/15(火) 17:14:16 ID:xwXbb2vA
なるほど。理想郷はここだったんですね。
ぐちゅ玉さんを始めとして多くの方の素晴らしい作品の投下ラッシュ。投下したのが恥ずかしい……
そして、書き手の皆さん、本当にGJですよ! 幸せな時間をありがとうございます。


>>769さん
たしかラジオのコーナー、でしたよね。「黄土色の砂」って。
やー、言われて思い出しました。マカロンにした理由は本当にないですw
強いて挙げれば、自分が食べてみたかっただけです。実は食ったことありません(オイ


>>781さん
実は上条さんも美琴にベタ惚れですw
なので、上条さんのチョコはとても甘いでしょうw もしかしたらホワイトチョコ以上かも…


>>795さん
互いに気づかない片思いが悶絶するほど大好きです。
今回のコンセプトは「恋する乙女はどこまで暴走するか」です。
暴走しすぎてキャラ崩壊起こしてますが。本末転倒もいいとこです……。

木山さんは、気づいたら登場してましたw(オイ


>>802さん
GJありがとうございます! もう本当にGJしてくれたあなたが超GJです!



あと、陣海さんの真似をする形になってしまいまった上に実に今さらな感がありますが
次回の「とある姫と勇者のRPG」はピクシブのほうに投稿することになりそうです。
追々、これまでのも修正を加えたうえで投稿していきます。

879■■■■:2011/02/15(火) 22:28:01 ID:7wFSB0eQ
豊作豊作
これはageないとな

880■■■■:2011/02/15(火) 22:39:44 ID:6523SGBY
>>879
このスレにはageアレルギーが居るから遠慮してもらいたい
あと、
>>1 も読もう

881■■■■:2011/02/15(火) 23:02:10 ID:cUyScuv6
皆さんGJです!
数多くのバレンタインネタでほっこりしちゃいました

882■■■■:2011/02/15(火) 23:08:20 ID:a3pXoIno
とても面白かったぁ!
てか、皆さん上手すぎる・・・・
美琴と上条さんのやり取りを想像するだけで幸せな気分に・・・・
GJです^^

88345:2011/02/15(火) 23:15:02 ID:xouUTcSs
>>879
sageろ
ルール守れないなら書き込みすんな
いい加減うざい

884■■■■:2011/02/15(火) 23:17:13 ID:xouUTcSs
2chの45はミス

885陣海:2011/02/16(水) 07:08:21 ID:HEW0PLgM
>>802さん、811さん

楽しんで頂けたようで何よりでございます。

上琴をいちゃいちゃさせられるように頑張ります。

886■■■■:2011/02/16(水) 16:43:18 ID:QlrL4rWM
やっと全部読み終った
豊作過ぎるだろ
作者さんGJです!

887■■■■:2011/02/16(水) 17:09:41 ID:e.Hr/aGU
気付けば887だぜ

888■■■■:2011/02/16(水) 17:17:41 ID:O86PEkHI
気付けば888だぜ

889■■■■:2011/02/16(水) 17:48:13 ID:e.Hr/aGU
バレンタインでのラッシュが終って暇だな

890■■■■:2011/02/16(水) 19:00:33 ID:H2ZQ5U0Q
バレンタインネタは当日じゃなくて15日に投下するべきだったなと、少し後悔ちう…orz

それはさておき、ちょっとみなさんに作品のことで質問です。
今長編(の予定)を書いてるのですが、それの冒頭が今回投下したバレンタインネタと結構似ているのです(※先に書いてたのはこっちw)。
もちろん全部が全部一緒じゃないですし、展開も違うのですが、投下した後ふとそれってどうなんだろうと思った次第です。
別にそんな感じでも大丈夫ですかね?

891■■■■:2011/02/16(水) 19:19:57 ID:pFEDlkPM
>>890
むしろ積極的に似せちゃう、というのもありかも
VDネタの時とは視点を変えてもよし、変えなくてもそれはそれで
両方読んでるとニヤリとできるだろうし

892■■■■:2011/02/16(水) 19:23:12 ID:T3m9PqcA
>>890
冒頭だけなら全然構わない。
全く問題ない!

893■■■■:2011/02/16(水) 19:25:59 ID:e.Hr/aGU
で....ここはいつから雑談スレに?

894ソーサ:2011/02/16(水) 19:31:02 ID:BjOp8/4s
こんばんは
小ネタができたので2スレ使い投稿させていただきます

895ソーサ:2011/02/16(水) 19:32:15 ID:BjOp8/4s
タイトル「上琴VS土御門&青ピ」

・街中にて

美琴「ねえ当麻、次はついにあそこに行くのよね?」ギュッ!

上条「そうだぞ〜…って腕に抱きつかれると歩きにくいんですけど?」

美琴「何よ〜当麻はイヤなわけ?」

上条「いや嬉しい限りだけどさ…」

???「「あ〜!!カミやん!!」」

上条「ん?あ〜お前らか。どうしたんだ?そんな大声だして。」

土御門「そりゃ大声も出すぜよカミやん!」

青ピ「その腕に抱きついてる女の子はまさか…!?」

上条「え?美琴のことか?俺の彼女だけどそれがどうかしたのか?」

青ピ「か、彼女!?駄フラグメイカーのカミやんに彼女やなんて…そんなん信じられへん!!」

土御門「しかも常盤台の超電磁砲とは…覚悟はできてるかにゃー」ピキピキ

青ピ「そうやでカミやん…今日の拳はいつもより重いで……」ピキピキ

上条「お、おい落ち着けおまえら!!」

美琴「ちょっとまちなさい!当麻を傷つけるなら私が相手になるわ!!」ビリビリ

土御門「う……(超電磁砲に勝てるわけないにゃー…何か策は…)」

青ピ「(……!そうや名案があるで!)」ヒソヒソ

土御門「(なんぜよ!?それは?)」ヒソヒソ

青ピ「(まあ見ときなはれ!)カミやん…このことクラスメイトに言ってもいいんやで?」ニヤニヤ

上条「!?そ、それは止めろ!上条さんの命が危ない!!」

青ピ「それなら交渉や!このこと言わへんから常盤台の生徒をボクらにも紹介してもらおやないか!!」

土御門「(なるほどナイスアイデアだにゃー!)超電磁砲つながりで1人や2人くらい紹介できるはずぜよ!」

上条「な!?そんなことできるわけないだろ!」

美琴「でも言いふらされるのも困るわね…」

青ピ「(よっしゃー!!カミやんの弱みを握りつつ女の子を紹介してもらう作戦大成功や!!)」

土御門「(よくやったにゃー青ピ!頭脳の勝利ぜよ!!)」


WINNER:土御門&青ピ

896ソーサ:2011/02/16(水) 19:33:03 ID:BjOp8/4s




美琴「…今バラされたらせっかくの計画が台無しだもんねー。」

土&青「「へ?計画?」」

上条「ああ、俺と美琴の結婚式の計画のことだよ。」

土&青「「!!?」」

上条「美琴との関係は結婚式でみんなに初めて言いたいんだ、そのほうがみんなを驚かせるだろ?」

美琴「えへへ〜今から楽しみだな〜結婚式♪」

土御門「け、結婚…結婚式!?」

青ピ「カミやんがもう遠い存在になってもうたような……」

上条「そういうことだ、俺達は今から結婚式場の下見に行くからもう行くぞ?」

土&青「「結婚式場!?」」

青ピ「ってちょっと待ちや2人とも!このまま行くなら2人の関係バラ「あ!そうだわ!」す……へ?」

美琴「このことを他の人に言えば当麻によってくる女の子は減るわけだしそれはそれでいいかもね!」

土&青「「う…うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!」」ダダダダダダダダ…

上条「なんだったんだ…?泣きながら走ってったぞ…」

美琴「ねえ当麻〜早くいこ♪」ギュッ!

上条「(また抱きついて…まあいいか)よし!じゃ行きますか!!!」


訂正
WINNER:上琴

897ソーサ:2011/02/16(水) 19:34:33 ID:BjOp8/4s
以上となります
あとバレンタイン

898ソーサ:2011/02/16(水) 19:36:44 ID:BjOp8/4s
途中で書き込んでしまったorz
あとバレンタインの短編が書きかけなんですが
バレンタイン過ぎてても大丈夫ですよね?
チョコレート戦争のほうに時間かけすぎて14日までに完成しなかったんです……

899ソーサ:2011/02/16(水) 19:38:50 ID:BjOp8/4s
何度もすいません…
バレンタイン過ぎて投稿しても大丈夫ですよね?
の間違いです…

900■■■■:2011/02/16(水) 19:42:05 ID:Gupy.IH2
GJ
>バレンタイン過ぎて投稿しても大丈夫ですよね?
大丈夫だ、問題ない

901■■■■:2011/02/16(水) 20:53:37 ID:NevkVmUM
※雑談とか構想のお話は禁書板の上琴雑談スレもご使用ください

>>893
最近上琴スレが(別ベクトルで)独立しつつあるからねぇ。
こっちにもあのスレが出来た当初は居なかった人も居るみたいだし、まあ注意喚起も無しじゃ分からんでしょ。
それにしても>>893もちょっと神経質すぎるけれどな。もう少し生暖かく見ても良いんじゃないか?

902■■■■:2011/02/16(水) 20:53:43 ID:5K9rQelE
>>893
えっ

>>897-899
落ち着けw
大丈夫だ、問題ない(キリッ
    _
  .'´  `ヽ
  | 8レノノノ゙i.}
 州(l*゚ ヮ゚从     n
  ̄     \    ( E) Good Job !!
 フ     /ヽ ヽ_//

903■■■■:2011/02/16(水) 20:53:47 ID:NevkVmUM
※雑談とか構想のお話は禁書板の上琴雑談スレもご使用ください

>>893
最近上琴スレが(別ベクトルで)独立しつつあるからねぇ。
こっちにもあのスレが出来た当初は居なかった人も居るみたいだし、まあ注意喚起も無しじゃ分からんでしょ。
それにしても>>893もちょっと神経質すぎるけれどな。もう少し生暖かく見ても良いんじゃないか?

904■■■■:2011/02/16(水) 21:34:30 ID:Gupy.IH2
大事な事なのでry)

905■■■■:2011/02/16(水) 21:40:51 ID:NevkVmUM
ゴメン、投稿ミスw
最近IEの調子が良くないんだよな…と無駄な言い訳をしつつ、俺も作品書いてくるよ。
構想は出来てるんだけど、文章化していい物かちょっと悩んでたり。ま、書かなきゃ始まらないけど。

906■■■■:2011/02/16(水) 22:36:54 ID:Y2IEVs2E
>>883 >>45
何様だ?ボケがsage忘れぐらいあるだろーが
もうぜってーsageねー
カスが
てめーのせいでこのスレはあがりっぱなしだ
ルール?俺がルールだぼけ

907■■■■:2011/02/16(水) 22:42:39 ID:iIgOwL3w
>>897
GJです
相変わらずのバカップルですなw

908■■■■:2011/02/16(水) 23:07:14 ID:IbLL/DV.
>>906
可哀相な子だな
どうせリアルでロクに相手にされてないんだろ。
精神科行ってこい

909■■■■:2011/02/16(水) 23:08:12 ID:Gupy.IH2
触れるなと上条さンと美琴ちゃンが言ってたでしょーがもォ!!

910Mattari:2011/02/16(水) 23:08:26 ID:daVanQ5k

いつもありがとうございます。Mattariです。

バレンタインの投下ラッシュも一段落といった感じですが、皆さんの作品を読ませていただいて、自分の未熟さを痛感しております。
本当に皆さん素晴らしい。GJです。

それと感想をレスして下さった皆さん、ありがとうございます。
本来ならお一人ずつレスさせて戴くべきところなのですが、マジでリアルが忙しく、なかなか執筆時間も取れない日々を過ごしています。
簡単ではございますが、ココでのご挨拶をお礼に代えさせて戴きたいと思います。本当にありがとうございました。

さて、日曜日に更新させて戴いた「見知らぬ記憶2」ですが、今週末に続編を投下出来そうです。
といっても完結にはまだ至っていませんが……。
で、その前に、『右手』と『記憶』の行間ストーリーを先に投下させて戴こうと思います。

タイトルは『素直になれないその理由(わけ)は』です。
この後、12レスほど使わせて戴きます。<(_ _)>

911素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:10:02 ID:daVanQ5k

「バカ!バカ!!バカ!!!当麻のバカ!!!!!どうして分かってくれないの!?当麻なんて大っっっっ嫌い!!!!!!」

「美琴だってオレの言うこと、全然分かってくれないじゃないか!!!その日に付き合えないのは悪いと思うけど、だから謝ってるんじゃないか!!!」

「ずっと楽しみにしてたのに!!!よりによって何でその日なの!?そっちこそ別の日にずらせばイイじゃない!!!!!!!」

「だからそれは、何度も言ってるじゃないか!!オレの都合で決まったんじゃなくって、クラスのみんなの都合がイイその日に決まったんだよ!!!!今更オレの都合だけで変えられる訳無いじゃないか!!!!!!!」

「うるさい!!うるさい!!!うるさい!!!!もう、当麻なんて……当麻なんて……絶交よ!!!!!!」

 そう言い放つと美琴は上条に背を向け、駆け出してしまった。

「あ……待てよ!!!美琴!!!!!……、……ったく……勝手にしろ!!!!!」

 事の発端は、上条のクラスの担任である小萌先生が出した論文が何かの賞を取った(らしい)。それを聞きつけた土御門と青髪が『お祝いするにゃー(んや〜)』と言い出した。で、クラス緊急の生徒の生徒による小萌先生のためのホームルームが開かれ、次の日曜日に小萌先生を囲んでの【お祝い会】を開催する運びとなった。
 ところが……この日は上条にとっては都合が悪かった。美琴のたっての頼みで【セブンスミスト】で開かれる【ケロヨンとゲコ太のイベントショー】を見に行く予定だったのだ。
 ただ、クラス全員が都合が良い日というのがこの日しかなかった。何より小萌先生の予定がこの日がベストというコトもその日に決まった要因だ。こういう場合、上条当麻という男は自分の事を後回しにするクセがある。美琴には悪いと思ったが、何より(色んな意味で)大恩ある小萌先生が賞を取ったのだ。お祝い会に顔を出さない訳にはいかない。
 それに土御門から『最近上やんは彼女が出来たみたいで、付き合いが悪いからにゃー』と問題(カミングアウト)発言をされ、その後ホームルームは一変。上条当麻詰問会へと姿を変えてしまい、上条はかなり“不幸”な目に遭うこととなった。別に美琴との関係を隠す必要はないのだが、何となく気恥ずかさが勝ってしまい、その事を素直に認められなかったのである。
 だからこの【お祝い会】に絶対に出席しなければならない。斯くして上条は美琴に怒られるのを覚悟の上で、彼女に連絡を取るのだった。

 上条から連絡を受けた美琴は、ウキウキしながら待ち合わせ場所へと向かった。上条から『日曜の件で話がある』とメールを貰ったからだ。美琴はそのメールを『日曜のスケジュールを一緒に決めよう』と言ってくれていると勘違いした。鈍感な上条が美琴の乙女心を分かろうとしてくれている。そう思ってしまったのだ。
 ところが……。

 いつもの自販機の前で上条からの言葉を聞いた美琴は、完全に期待を裏切られてしまった。
 元々は自分の勘違いから始まった事ではあるが、頭に血が上ってしまった美琴はそれを認める事が出来なかった。しかも自分が楽しみにしていた大好きな【ゲコ太ショー】よりも、後から決まった【お祝い会】を優先させる上条をどうしても許せなかった。

 ……で……最初の大喧嘩……という訳である。

 余談だが、コレは読者諸兄なら誰でも経験がお有りの事と思う。『私を取るの?それとも付き合いを取るの?』と彼女に詰め寄られた事が一度や二度はあるだろう。
 女性の皆さんに言っておきたい。コレはどちらを選ぶというレベルの話ではないのだ。どちらも大事なのだ。男としてはどちらも選びたいのである。しかし、選べるのは一つだけ。そしてこの場合、「どっちが大事なの?」と詰め寄ってきた方を斬らねばならないのが常なのだ。
 男としてはどっちも大事で、苦渋の決断を迫られている訳だ。そこにより一層のプレッシャーをかけてくればどうなるか?推して知るべしであろう。

912素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:10:49 ID:daVanQ5k

【閑話休題(それはさておき)】

 寮に戻ってきた美琴は、制服のままベッドに倒れ込み、枕を抱えたまま何かをブツブツと呟いている。
 美琴は自分が我が侭を言っているコトを自覚していた。自覚していたが、その我が侭を上条に聞いて欲しかった。他の何よりも【恋人】である自分を優先して欲しかったのである。
 今にして思えば、例え10分でも、5分でも良かった。一緒に【イベントショー】に行きたかった。たったそれだけの願い。だから叶えて欲しかった。美琴はそう思っている。その後で【お祝い会】に行って貰っても構わない。だから……せめて……その日は、その日だけは自分を優先させて欲しかった。当麻にとっての“一番”は自分なのだと示して欲しかったのだ。
 でも、その願いを上条は聞いてくれなかった。後から決まった【お祝い会】の方を優先させると言い出した。
 上条からメールが来た時は、飛び上がるほど嬉しかった。一緒に日曜日のスケジュールを決めよう。そう言ってくれてると思った。あの鈍感だった当麻が乙女心を分かってくれたんだと思ってしまった。でも、現実は違った。現実は残酷だった。だから、その現実を受け入れられず、溢れてくる怒りをそのまま、全部彼にぶつけてしまった。
 我が侭だって事は自覚している。でも、自分の気持ちをどうする事も出来ない。自分の気持ちをどうすれば良いのかも分からない。

「私を守るって言ってくれたのに……」

 恨みの言葉が出た。

「私と私の周りの世界を守るって言ってくれたのに……」

 さっきからこの繰り返しだ。

「何で、何で、私が一番じゃないのよ!!!バカ、馬鹿、莫迦、ばか、当麻のバカッ!!!!!!」

 『当麻なんて大っっっっ嫌い!!!!!!』そう言ってしまった後悔が胸を締めつける。
 『当麻なんて……絶交よ!!!!!!』そんなこと、言うつもりもなかったのに……。
 つい勢いで言ってしまった。そんなことこれっぽっちも思ってなど居ないのに……。
 彼のことを嫌いになどなるはずがない。『絶交』なんて出来るはずがない。
 そんなことをすれば、自分の方がどうにかなってしまう。
 でも、その気持ちさえどうする事も出来ない。

 ふと、あの日の不思議な出来事を思い出していた。

『素直になればいいモノを……』

 そう言われた。
 あの日は素直になれた。
 でも、今はなれそうにない。

「分かってるわよ……」

「素直にならなきゃいけないってのは、分かってるわよ……」

「今の私が素直じゃないってコトは、私が一番分かってるわよ……」

 でも……、そう「でも……」が出て来てしまう。

「でもさ……当麻だって、当麻だってさ……」

「少しくらい、私の言うことを聴いてくれたってイイじゃない……」

 結局はそこに帰結してしまう。
 少女は今、意識の迷路に入り込んでいた。

913素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:11:31 ID:daVanQ5k

「ハァ……」

 もう、何度目の溜息だろうか?
 セミロングの黒髪に白梅の花を模した髪飾りをつけている佐天涙子は、窓の外に目を向けているが、外を見ている訳でもなくただただ溜息をついている。
 普段なら、挨拶代わりにクラスメイトであり親友でもある初春飾利のスカートをめくるセクハラ女子中学生なのだが、ここのところ少々様子がおかしいようだ。

「佐天さん、ホントにどうしちゃったの?」

 ここは『風紀委員(ジャッジメント)活動第一七七支部』の一室である。
 風紀委員でもないのにこの詰め所のパスを持ち、他の風紀委員よりもこの部屋に入り浸り、完全にここの住人(の一人)と化している佐天涙子だが、いつもと違うその様子にこの詰め所のトップである固法美偉は、その疑問を佐天のクラスメイトに投げかける。

「あの、この前雪が降った寒い日があったじゃないですか?……どうも、あの日から様子がおかしいんです」

「へぇ……そうなんだ」

「はい。それで学校でもずっとあの調子で……」

「で、初春はスカート捲りもされないので、寂しい……と言うことですわね」

「ちちちちち違いますよ!!白井さん!!!!そんなの捲られて嬉しい訳無いじゃないですか!!!!」

「まあまあ、でも、ホントにどうしちゃったのかな?」

「固法先輩でも分かりませんか?」

「無茶言わないでよ。確かに私の能力は【透視能力(クレアボイアンス)】だけど、心の中まで透視出来る訳じゃないんだから」

「す、スミマセン……」

「……『恋』……ですわね……」

「「えっ!?」」

「あの物憂げな仕草。あの表情。そして溜息……。コレは間違いなく『恋』ですわ」

「あ、あの……白井さん?」

「佐天さんのその『恋』。この白井黒子が成就させてあげますわ!!!」

「だから勝手に決めないで下さい!!!」

 女が三人寄ればかしましい。とは良く言ったもので、普段はイジる側の佐天をネタにして大騒ぎする3人。
 当の佐天は、そんな騒ぎなど何処吹く風で、先程と同じようにただ『ボーッ』と窓の外を眺めているだけだった。

 ところが、佐天が外の景色の中に何かを見つけたらしい。いきなり部屋を飛びだして行ったのだ。
 一瞬何が起こったのか分からない3人。頭の上に“?”を並べながら互いの顔を見合わせ首を傾げる。
 しばらくして……佐天はまた溜息をつきながら戻ってきた。

「さ、佐天さん。あのどうして急に飛び出して行ったりしたんですか?」

「あ、初春?ううん、何でもないよ。ちょっと人違いだっただけ」

「へっ!?人違い?」

「あ、イヤ、その、気にしなくてもイイから……」

「『恋』ですわね!(シャキーン)」

「擬音付で自分の意見を強調しないで下さい。白井さん!!」

「そ、そそ、そそそそそ、そんなんじゃないです!!!」

「「「ビクッ!!!」」」

「……そんなんじゃ……ただ……ただ、会ってお礼が言いたいだけなんです……」

「何があったのか話してくれる?」

 美偉が優しく問いかけると、佐天は小さく『コクン』と頷き、ポツリポツリと話し始めた。

「先週、雪の降った寒い日があったじゃないですか。あの日に本当は友達と遊びに行く予定だったんですけど、あんまりにも寒いから「やめよう」ってコトになって、で、手持ち無沙汰だったこともあって、部屋の片付けをしたんです」

「うん、うん」

 初春はもう乙女モード全開である。
 その後ろで白井が『先程はわたくしの意見を無視したクセに……』と、どす黒いオーラを纏いながら睨み付けていることさえ目に入っていない。
 多分、金属矢が刺さっても平気だろう。
 そんな二人を無視して美偉が聞く。

「それで?」

「それで、片付けしたまでは良かったんですけど……気が付いたら……お母さんに貰った大事なお守りが見当たらなくって……カバンに付けてたはずなのにって思って、慌てて外に捨てに行ったゴミをもう一度探しに行ったんですけど……既に回収された後で……」

「「「……」」」

「で、どうしようかオロオロしてたら、個性的な髪型の男の人がやってきて、私に「どうしたんだ?」って声をかけてくれて……」

「「「ふん、ふん」」」

「事情を説明したら、回収された基地に行こうって言われて、そのまま引っぱって行かれて……そこで係の人に事情を説明して、私の居る地域から回収したゴミをその人と全部探し始めたんです……」

「「「ええっ!?」」」

914素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:12:09 ID:daVanQ5k

「……確かに、スゴい量で……私なんて初めっから『ダメだ』って諦めちゃってて……、でもその人が私に言ったんです」

「『それはお前の大切なものなんだろ?お前が命の次に大事にしていたモノなんだろ?だったら、諦めずに探すんだ!!探して、探して、探し抜いて、それでも見つからなかった時は諦めたらいい。でも途中で諦めたら、お前は絶対に後悔するぞ!!!』って言ってくれて……」

「で、それは見つかったの?」

「そこでは見つからなかったんですけど……その人は寒いのに汗ビッショリになって探してくれて……でも、時間も来てしまって諦めるしかなくなって……仕方無いので戻ってきたんですけど……そしたら……」

「そしたら?」

「カバンの中にそのお守りが落ちてるのを見つけたんです。紐がハズれてカバンの中に入ってたみたいで……」

「良かったじゃない」

「ええ、……でも、その人に申し訳なくって……で、謝ろうと思ったらその人が……」

「その人が?」

「『良かったな』って言ってくれて……スゴいそのあっけらかんとした笑顔で……私が迷惑かけたコトなんて全然怒ってないって言うか、気にしてない感じで……見つかったことを本当に喜んでくれて……」

「そうなの……」

「『お前が諦めなかったから、そのお守りは出て来たんだぞ』って言って貰って、もう嬉しくって、嬉しくって……」

「胸が一杯になっちゃって、何も言えなくなって……。そしたらその人、私がお礼も言ってないのに、そのまま帰ってしまって……」

「だから、だから、どうしてもその時のお礼が言いたくて、でも、どうやって探したらいいのかも分からなくて……。いつもからかってるから恥ずかしいのもあって、初春や白井さんにも相談出来なくって」

「ホントは、御坂さんに相談に乗って欲しかったんだけど……最近御坂さん、忙しいみたいで……」

「佐天さん、その男の人の特徴は?」

「ヘッ!?ぅ、初春?」

「『個性的な髪型』って言ってたじゃないですか?どんなヘアスタイルなんですか?」

「あっ、あの……だから、全体に短めだけどツンツンしてて、何というか……ウニ?みたいな……」

(えっ!?それって、まさか……あの類人猿のコトじゃありませんの?)

「分かりました。任せて下さい。私の処理能力でその人を絶対に見つけ出してあげますから。そして佐天さんの初恋を絶対に叶えて差し上げます!!!」

「ちょっちょっと、初春ッ!?さっきからそんなんじゃないって言ってるでしょ!!!」

「……フフッ、アレ?白井さん、どうかしたの?」

「あ、いえ……何でもありませんの……」

 黒子は美偉にそう返事したモノの、頭の中では別のことを考えていた。
 今ここに居る4人の中で、美琴と上条が恋人としてつき合いだしたことを知るのは唯一黒子のみ。
 美琴からその事実を聞かされた時、黒子はショックで寝込んでしまったほどなのだが、今の美琴は自分が何を言おうが、上条を中心に回っているその生活を変えることはないだろうし、また美琴が美琴で居られる場所を与えられる上条を信頼してもいた。
 かつて『お姉様のために』と思い、自分と同じテレポーターと対決し、その闘いに敗れ、死の寸前まで追い詰められた。その状況の中、自らの死を厭わず、美琴に全幅の信頼を寄せられ、自分を助けるために相手のテレポーターが放った最後の切り札を、右拳一つで消し飛ばし、『オレはそいつとの約束を守れているか?』と自分に聞いてきたその男。
 『お姉様は輪の中心に立つことは出来ても、輪に混ざることはできない』とは自分の美琴評である。その美琴に居場所を与えられるほどの人物。それは上条当麻をおいて他に居ない。だからこそ信頼もし、逆に嫉妬にその身を焦がせてもいる訳だが……。

 その上条が、いつものように誰かを助け、いつものようにフラグを立ててしまった。今回はその『誰か』が自分たちの親友である佐天涙子だった訳だ。

 だが……そこまで考えて、黒子はそれ以上の考えを捨ててしまった。イヤ、捨てざるを得なかった。
 佐天には申し訳ないが、あの二人の間に佐天が入り込む余地はない。それだけの絆をもうあの二人は築いてしまっている。美琴のルームメイトである自分ですら、その中に入り込めないのだ。佐天にそれが有ろうハズがない。
 それに佐天が言う通り、ただお礼が言いたいだけなのかも知れない。初春は突っ走っているが、それは後で締めれば済むコトだ。
 まだ、最後の一線は超えていない(と信じたい)だろうが、そうなる、ならない以前の問題のような気がする。だからと言って、美琴にも佐天にも付く気にはなれない。今は傍観者を決め込むしかない。そう考え、黒子は自らの演算をやめてしまうのだった。

915素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:12:48 ID:daVanQ5k

「出ましたッ!!!」

 初春の声が部屋に響く。佐天が思わず画面に飛びついている。

「こっ、この人よっ、この人!!!」

「ええっと、上条……当麻さん、ですね。住所は……」

「あ……この人の高校……前に私が“特別講習”に行った学校だ……」

「ウ〜ン、……でもこの人……ドコかで……」

「どしたの?初春」

「い、いえ、ただこの人ドコかで見たような気が……」

「『大覇星祭』……だったのでは?」

 黒子は敢えて助け船を出す。

「えっ!?……そう、そうですよ、白井さん。確か御坂さんが飲んでたスポーツドリンクを貰ってた人です!!」

「御坂さんから……飲んでたスポーツドリンク?……って」

 佐天の中の不安が増大する。だが……

「でも、でも、私はこの人に会わなきゃ絶対に後悔する。『好き』とかそんなんじゃない!!会ってお礼が言いたいだけ!!み、御坂さんとか関係ないんだ!!!」

 そう叫んで、自分の頬を『パンッ!』と叩くと

「行くよ、初春!!!!!」

 と言って、一緒に部屋を飛び出してしまった。
 それを見ていた黒子は『叶いませんわね』といった笑顔を浮かべるしかない。
 隣にいる美偉も『らしいわね』といった感じで微笑んでる。
 と、その時。

『ピリリリリ、ピリリリリ』

 と黒子の携帯が鳴った。
 画面を見るとそこには『お姉様』との表記が……。

『何故、今頃……?』

 と疑問に思いつつ、黒子は携帯の通話ボタンを押すのだった。

 詰め所を飛び出した二人は、書庫(バンク)に載っていた上条の学生寮を目指す。
 『あの人に会える』
 たったそれだけのことなのに、佐天の胸は高鳴った。
 鼓動が早くなる。でも走っているからじゃない。
 顔が熱くなる。でも熱がある訳じゃない。
 『ただ会いたい。会ってお礼が言いたい。本当にそれだけなのに、何故こんなに胸が高鳴るんだろう?』
 そう思いながら、でも足は止まらない。
 このセクハラ女子中学生は、自分の欲求に忠実だった。
 自分の中に疑問があっても、それ以上に自分が『こうしたい』と思うことを素直に行動に移してしまう。
 ある意味で、美琴とは対極に居ると言える。
 そう。佐天涙子は自分の感情に素直なのだ。それは背負っている看板の有無からではない。それが彼女の『根』なのだから。

916素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:13:32 ID:daVanQ5k

「もしもし、お姉様?珍しいですわね、こんな時間にお電話していただけるなんて。もしかして……あの殿方とケンカでもなさったんですの?」

『!!!!!!◎※▲§#☆Φ∀√◆』

 半分は嫌味、半分は冗談のつもりだった。だが、どうやらいきなり核心を突いてしまったらしいことは美琴の反応ですぐに分かった。
 普段ならフォローに入るのだが、今日の黒子はなぜかそうする気にならなかった。
 それよりも、毎日毎日上条との惚気話を聞かされている仕返しを、今ここでしてやっても良いのではないか?というイタズラ心が芽生え始めていた。

「あらあら、そのご様子ですと……『図星』でしたかしら〜。ですが、『夫婦げんかは犬も食わぬ』と申しますし……今少々立て込んでおりまして……」

『だっ誰が夫婦よ!!わっ私たちは……まだ、そこまでは……(ゴニョゴニョ)……!!じゃなくって……ったく、まぁいいわ。それより『立て込んでる』って何か事件なの?』

「いえ、事件と言う程のことではないのですが……少々困ったことに……」

『困ったこと?』

「ええ、まあ。大したことではないのですけど……。どうも佐天さんがとある殿方に助けられたそうで……」

『えっ?佐天さんが?』

「どうやらその殿方というのが、上条さんのようでして……、今初春と二人でそれを調べて、詰め所を飛びだして行ったんですの」

『なっなんでアイツが出てくんのよ!?』

「お姉様がいつもボヤいてらっしゃったではありませんか?『アイツはいつもいつも私という“彼女”がありながら、どうして『フラグ』ばっかり立てる訳?』……と。どうやら今回は佐天さんにその『フラグ』を立ててしまわれたようですね」

「……」

「あ、あの……お姉様?」

『……あ、あの……』

「はい?」

『……あンのォ、クソ馬鹿鈍感彼氏ィ〜……私のお願いは聞いてくれないクセに、佐天さんにフラグ立てるってどういう了見よぉぉおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!』

『ズバァァァアアアアン!!!!ピッ』

 電話からけたたましい音が聞こえたかと思うと、美琴との通話は切れてしまっていた。
 今夜、寮に戻った後、美琴から喰らうであろう『お仕置き』に背筋が一瞬寒くなったが……黒子はそれ以上考えないことにした。

「電話、誰から?御坂さん?」

 と美偉が聞いてきた。

「ええ、まあ」

 と黒子は曖昧に答えるだけだった。

「そう言えば、最近御坂さんをあんまり見た記憶がないわね。“彼氏”でも出来ちゃったのかな?フフッ」

 完全に他人事のように美偉が笑う。
 黒子は思わず、『イヤ、今その事で大騒ぎになってるんですの』と言いそうになったが、やめた。
 美偉にとっては本当に他人事だし、自分も今は傍観者を決め込んでいる。
 その割にはかなり美琴を弄ってしまったが……それはそれで面白かったので良しとしよう。

「どうやらそのようでして……だから、わたくしも最近構って頂けなくて、少々寂しい思いをしておりますの……」

 と少々甘えた声で言った瞬間……美偉が頬をひくつかせて2,3歩引いた。
 その様子を見て黒子は頭の上に“?”を並べるだけだった。

917■■■■:2011/02/16(水) 23:13:45 ID:sy.oHQPo
上琴雑談スレに次の話の構想の相談とか書き込みたくても>>901の言う通り別ベクトルで独立
しだしてるからうかつに書き込めなくなってるんだよなw
どこで相談すりゃいいのかよ、と。

それはそうと
>>897
まさかの二段オチ、GJでした

918素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:14:03 ID:daVanQ5k

 さすがに【書庫(バンク)】にもプライベートに関する情報なので部屋の番号までは載っていなかったが、そのとある高校の男子寮の場所はすぐに分かった。
 佐天と初春の二人は、詰め所を飛び出すと一目散にここを目指していた。だが、その場に着いてみると少々愕然とする事態が待ち受けていた。
 ハッキリ言って部屋数が多いのである。
 上条の通う高校は、その経営内容が個性派揃いの学園都市には珍しく、平凡を極めようとしている(唯一平凡でない点は未だに学校名が出ないことくらいか?)のだが、だからこそ逆に、学園都市に子どもを預ける親にしてみれば、突飛な教育方針で子どもを壊されかねないリスクよりも、平凡ではあるモノのこの学園都市でのカリキュラムを受けられるこういった高校の方が受けがイイ。というコトで、この学校は余り生徒募集に苦労したことがないらしい。
 だがそんな“来るモノは拒まず”な姿勢なので、生徒数は自然と増えてしまう。デルタフォースの3バカレベルですら受け入れてくれる訳だから、それは当然だろう。そんな学校の学生寮が小さい訳がない。
 二人の前にそびえ立つ学生寮は、正に二人の前に立ちはだかる壁のように見えた。

 だが、神様はこの自分に正直な少女には優しかったようだ。
 『どうしよう?』と二人がオロオロしていると、向こうから近所のスーパーの袋をぶら下げて歩いてくる“ツンツン頭”を発見した。
 “パッ”と佐天の表情が明るくなった。そして上条の元に走って行く。慌てて初春がそれを追う。そして、その二人の行動を物陰で隠れて見ている目があった。

 上条は美琴とケンカ別れした後、仕方無く近所のスーパーで買い物をして寮に戻ってきた。
 上条個人としては、美琴の我が侭を聞いてやりたかった。だが、どうしてもそれが出来なかったのだ。だから始めから謝った。謝って、謝って、誤り倒したが、美琴は許してくれなかった。
 美琴の気持ちは分かっているつもりだった。だが、自分の気持ちも分かって欲しかった。だからつい、言ってしまった。

『美琴だって俺の気持ちを分かってくれねぇじゃねぇか!』

 ……と。
 言ってから『しまった』と思った。だが、吐き出してしまった言葉はもう戻らない。

『当麻なんて大っっっっ嫌い!!!!!!』

 彼女の言葉が胸に突き刺さった。
 今までの闘いの中で受けたどんな攻撃よりも効いた。
 身体の半分を持っていかれたような、そんな感じだった。
 だからこそ、そう簡単に納得出来ない想いが溢れてきてしまった。

『美琴のバカやろうが……』

 さっきからこの繰り返しである。
 こちらも意識の迷路にはまり込んでしまっているようだ。

「あ、あの……」

「(ッたく、美琴のヤツ。我が侭ばっかり言いやがって……)」

「あの、あの……」

「(そりゃ、今回のことはオレが悪いさ。でも、どうしようも無いことなんだ……)」

「あの、ちょっと……」

「(オレだって美琴を優先してやりたいよ。だけど出来ないこともあるんだ……)」

「あ、……あの……」

「(そうだよな……。今回はオレが悪いんだよな……。でもなぁ……もうちょっと聞き分けてくれてもイイんじゃねぇの?)……ハァ……」

「あのッ!!ちょっとすみません!!!!」

「どわぁっ!!!び、ビックリしたぁ〜……ん?アレ……アンタ……?」

「あっ、あの、あのあのあの、あの時はありがとうございましたッ!!!」

「ン〜……ああ、えっと確か……」

「あの、お守りを一緒に探して頂いた……柵川中学の佐天涙子って言います。この前は本当にありがとうございました!!!」

「ン、ああ、そんなこともあったっけ……?ゴメン、オレ頭悪いから、よく覚えてないんだよな。それにそれはオレがそうしたいからそうしただけで、別に礼を言って貰うほどのコトしてないからさ。気にしなくてもイイよ。んじゃ……」

 美琴のことで頭がいっぱいの上条は、十八番のスルースキル全開である。
 だが、その事が『感謝の想いを伝えたい』と思っていた佐天の逆鱗に触れた。

「ちょっと待って下さい!!!!!」

「へっ!?」

『パシーーーーン!!!』

 乾いた音が学生寮に響き渡った。

919素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:14:59 ID:daVanQ5k

「なっ何しやがる!!!」

「叩いたことは謝ります。でも、今のアナタの態度は絶対に許せません。確かにアナタの都合も考えずにいきなり来てしまったから。でも、でもっ!!!そんなにスルーしなくてもイイんじゃないですか!?ちゃんと話を聞いてくれてもイイんじゃないですか!!!!!!!」

「あ……ぅ、……ゴメン……」

「あ、私こそ……いきなり引っぱたいちゃって……ホントにゴメンなさい!!!」

「あ、アハハ……イイよ、イイよ。悪いのはオレなんだし……それに……」

「えっ?……それに?」

「……あ、イヤ、コッチの話……アハハ……ハァ……」

「?」

 目の前で起こっているコトが『信じられない』という表情で、ブルブル震えながら見ている初春を無視して、佐天は上条と話を始める。

「ホントにゴメンなさい!!!スルーされちゃったことに頭に血が上っちゃって、テンパっちゃって……ホントにゴメンなさい!!!」

「アハハ、イイよ、イイよ。オレも悪かったんだし、それにお陰で目が覚めた」

「えっ?」

「あ、イヤ、コッチの話……で、佐天さんだっけ?引っぱたかれて思い出したよ。あの寒い日のお守りだよな」

「は、はい……」

「わざわざ礼を言いに来てくれたのか?ありがとな。でもさ、さっきも言ったけど、アレってオレがやりたいからやったことであって、わざわざ礼を言われるようなことってしてないんだよな」

「……何でそんなコト言うんですか?」

「えっ?」

「ハッキリ言いますけど、……もう一度引っぱたかれたいんですかっ!?」

「ええっ!?」

 佐天は目に涙を一杯溜めて、上条を睨み付ける。
 その迫力に上条は気圧されていた。

「私はアナタに助けられたんです。アナタの言葉に勇気を貰ったんです。だから大切なお守りを見つけることが出来ました。なのにアナタは何故それを『オレがやりたいからやったこと』って自己完結しちゃうんですか?」

「クッ……」

「アナタにとってはたまたま助けた女の子の一人かも知れません。でも私にとってはそれこそ人生が変わるほどの想いを貰いました。今日、ここにこうやって来ることが出来たのも、アナタの言葉に後押しされたからなんですっ!!!」

「えっ!?」

「なのに、どうしてそんな風に助けた相手の気持ちを無視出来ちゃうんですか?それって残酷すぎませんか?」

「相手の気持ち……?」

「そうですよ。私はアナタに助けられて、勇気を貰って、お守りが見つかって、本当に感謝したんです。でも、でも、今のアナタにはその言葉を言うことは出来ません!!!」

「……」

「アナタは相手の気持ちに鈍感すぎますよ!!!相手が自分に対してどんな想いを持っているか考えたことがありますか!?助けた相手がどんな想いを抱くか考えたことがありますか!?」

「……」

「それも考えずにただ助けるだけなんて、そんなの……そんなの……残酷ですよ!!!!!!!」

「あ……あのさ……」

「えっ!?あっ……ごごごごゴメンなさい。わっ私またテンパっちゃって……」

「あのさ……オレって、そんなに鈍感なのかな……?」

「ハァッ!?」

「イヤ、オレってそんなに鈍感なのかなって……」

(も、もしかして……この人……鈍感な上に……バカ?)

「佐天さんの思ってる通りよ。ソイツは超鈍感な上に人の気持ちなんてこれっぽっちも気にしない大バカ野郎なんだから!!」

「「「えっ!?」」」

「もう……黒子に電話したら、当麻が佐天さんに『フラグ』を立てたって言うから、もう気になっちゃって慌ててここまで来てみたら……まさか、知らなかったとは言え、私の“彼氏”を引っぱたかれるとは思わなかったわ」

「「「みみみみ御坂(美琴?)さん?」」」

「……あっ!」

「「えっ?えっ?ええ〜〜〜〜〜ッ!?み、みみみみ御坂さんの『彼氏ィ〜』!?」」

「……あ……(ポンッ!!!)」

 何が何だか分からない内に、自ら地雷を踏んでしまった美琴。
 いきなりの事実を突き付けられ、何が何だか分からない佐天と初春。
 そして、今まで散々佐天に責められていたのに、美琴の登場と共にいきなりスルーされてしまった上条。

 さて、この事態……どうやって収集させようかな……σ(^◇^;)。

920素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:15:42 ID:daVanQ5k

「つまり御坂さんは、上条さんと大喧嘩しちゃって、気分転換に私たちとお茶しようと白井さんに電話したら、上条さんが佐天さんに『フラグ』を立てたことを知って、慌ててここに来ちゃった……と……言う訳ですよね」

「……ハイ……」

「で、上条さんは、御坂さんとの喧嘩の件が気になって気になって、佐天さんをスルーし続けてしまって、佐天さんに怒られていた」

「……はい、その通りです」

「そして、佐天さんはスルーされたこともだけど、上条さんがあまりにも鈍感なので、怒ってしまった……と」

「……うん……」

「「「「ハァ……」」」」

 美琴と当麻、そして佐天は、何が何だか分からない状況に陥ってしまったので、事態を収拾するために中立的な立場に立てる初春に現状分析をお願いしていた。

「そ、それにしても、御坂さん。良く上条さんのハートをゲット出来ましたね。これだけ鈍感だったら、相当苦労されたと思うんですけど……」

「それは、その……もう苦労なんてモンじゃなかったわよ。佐天さんもさっき遭ったでしょ、コイツのスルースキル。スルーに関しちゃ、コイツ絶対レベル5よ!!!」

「アハ、……アハハハ……」

「でも、告白は……当麻からして貰ったの……(モジモジ)」

「「ええ〜〜〜〜〜ッ!!ほっ本当なんですか!?上条さんっ!?」」

「あ……ハイ……で、でも」

「「でも?」」

「あの時は、美琴がスゴく素直だったから……オレも素直になれて……」

「「へぇ〜」」

「……なのに、今日は……」

「「えっ!?」」

「ぅ、ウルサいわね。今日の私が素直じゃないってのは私が一番良く分かってるわよ。でも、アレは当麻が悪いんじゃない!!!」

「ああ、それは分かってるよ。でもな、美琴だって少しは俺の気持ちを察してくれたってイイじゃないか!?」

「気持ち!?察しろ!?超鈍感なアンタが良くもそんなセリフを吐けるものよね?そう言うのは自分が少しでも相手の気持ちに気付けるようになってから言うべきよね!!!」

「何だと!?」

「何よ!?」

「「フンッ!!!」」

「「ハァ……」」

「あっ、あのッ……お二人に聞きたいんですけどっ!!!」

「「えっ!?」」

「本当は、本当にお二人はどうしたいんですか?」

「「「佐天さん……」」」

「上条さんはどうしたいんですか?」

「ホントのことを言えば、オレは美琴を優先してやりたい。美琴との約束を優先したいんだ。でも……先生の【お祝い会】も大切なんだよな。ホントはどっちが上なんて決められないんだけど、そっちはクラス全員が決めたことで、俺一人がどうこう出来るコトじゃない。でも、どっちかを優先しなきゃならない。だから、最初は【お祝い会】に行って、その後、美琴と待ち合わせをしてって言おうと思ってたんだけど……それを言う前に美琴が怒っちゃって……」

「えっ!?」

「御坂さんはどうしたいんですか?」

「わっ私は、そのっ……当麻と一緒に居られるんなら一緒に【ゲコ太ショー】を見られるんなら、10分でも5分でも良かったの。でも、当麻が【お祝い会】を優先させるって聴いて……頭に血が上っちゃって……」

「えっ!?」

「「……もう……」」

「ホントに……ね、初春」

「ですよね……佐天さん」

「「えッ!?」」

「「お二人ともまだ気が付かないんですか?」」

「「えっ?」」

「「もっと自分の気持ちに素直になって下さい!!!」」

「「はっ、ハイ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」」

921素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:16:21 ID:daVanQ5k

「こんなに相手のことを思いやってるのに、それを素直に出せないなんて変ですよ。ねぇ、初春」

「ですよね、佐天さん。それに上条さんも御坂さんにだけは鈍感じゃないみたいですしね」

「さっきから、『でも』『でも』って言い過ぎですよ。その前には自分の素直な気持ちを言ってるのに『でも』って言うことで自分を誤魔化してませんか?」

「佐天さんの言う通りです。こんなに互いのことを思い合ってるなんて、羨ましすぎます!!!」

「イヤ、アンタの『羨ましい』はこの場合、関係ないんじゃないかな……初春……」

「だって素敵じゃないですか〜。ああ〜私もこんな恋がしてみたい〜」

「何か……ヨソの世界に勝手に行っちゃってるし……でも、上条さん!!!」

「はっはひっ!!」

「やっぱり上条さんは鈍感すぎます。相手の気持ちをもっと思いやる必要があると思います」

「ハイッ!!」

「それに御坂さん!!」

「はっはい!?」

「御坂さんは我が侭の言い過ぎです。上条さんに甘えたいのは分かりますけど、もうちょっと上条さんの都合も考えてあげないと!!!」

「そ、それは……分かってる……んだけど……でも……」

「また、『でも』って言ってる!!!」

「ご、ゴメンなさい!!!」

「プッ……」

「「プッ……」」

「「「アハ、アハハハハ……」」」

「「「……」」」

「まさか、佐天さん達にお説教されるとは思わなかったわ。……ねぇ、当麻」

「ん?オレなんかさっきからずっと怒られっぱなしだぞ」

「フフッ、そうね……あ、あの……ご、ゴメンね」

「あ、イヤ、オレの方こそ……ゴメン」

「あの……日曜日だけど……」

「うん……それでさ、ちょっと考えたんだけど……」

「えっ!?」

「一緒に行かないか?先生の【お祝い会】」

「ええッ!?」

「い、イヤ、実は土御門のヤツに『上やんは最近彼女が出来たみたいで付き合いが悪い』って言われて、それが恥ずかしくって、言えなかったのもあって……」

「あ……」

「だからさ、どうせなら一緒に行って、クラスの奴らに美琴を『オレの彼女だ』って紹介しちゃおうかな?って……そうすりゃ、根掘り葉掘り聞かれることもないし、早めに抜け出すのもし易そうだし……」

「(ポンッ!!!)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

「メチャクチャ恥ずかしいけど、美琴が行きたがってる【ゲコ太ショー】があるから……それに早く行こうと思ったら……」

「そ、それにずっと一緒に居られるし……(ゴニョゴニョ)」

 と、さっきまで喧嘩してたのはドコへやら。
 佐天の目の前でいきなり二人だけの世界を展開し始める当麻と美琴だった。

「(……もう、こんなんじゃ……でも、ホントに私の入る隙間なんて無いんだなぁ〜……)」

「「えっ!?」」

「あっ、な、なななな何でも無いです。アハ、アハハハハ……」

(上条さんが御坂さんの彼氏さんだって分かった時から、諦めては居たんだけど……ハァ……仕方無いか)

「それにしても、ホント今日は佐天さんにやられっ放しよね」

「つーか、オレなんか美琴の次にやられそうな相手が出来ちまったみたいだぞ」

「中1にやられる高1ってどうなのかな?さすがに私も引いちゃうわ」

「イヤイヤ、佐天さんはかなり手強いと見た。自分の感情に対して素直ってコトだったら美琴も負けてるし」

「それは……認めざるを得ないわね」

「お二人で何を話してるんですか?」

「えっ、ああ、佐天さんには敵わないなってコト」

「うん、うん」

「じゃあじゃあ、これから一緒にお茶しに行きません?聞きたいこともあるし」

「「聞きたいこと?」」

「ええ、まずはお二人の馴れ初めとか、詳細な告白の内容とか、デートの内容とか、あとあとキスはもうしたのかとか、何回したのかとか……」

「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」」

「さっき『私には敵わない』って言ってたじゃないですか?だったら、洗いざらい吐いて頂きますよぉ〜」

「「お、お手柔らかにぃ〜……」」

「じゃぁ行きましょうか?あ、初春ぅ〜、いつまでアッチの世界に行ってんの!?いい加減帰ってこないとまた、スカートの中味確認しちゃうぞぉ〜〜〜〜」

「キャァァアアア〜、さっさささ佐天さん。なっ何するんですかぁ〜〜〜〜〜〜〜!?」

 いつものセクハラ女子中学生が帰ってきたようだ。
 佐天涙子の初恋ストーリーはコレで終わり。
 でも、彼女なら……当麻と美琴に負けない絆を見つけられそうな気がする。
 いや、きっと見つけることが出来る。その素直さを失わない限り。

922素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:17:02 ID:daVanQ5k

 さて、その【お祝い会】が開かれる日曜日当日。
 美琴は上条に連れられて、その会場に向かっていた。

「ねえ、当麻。ホントに私も一緒に行っちゃってイイの?」

「別に問題ねえよ。完全に内輪の会だし」

「ウーン、逆に内輪の会だからこそ、部外者は……って思うんだけど……」

「それはそうかも知れないけど……まあ、イイんじゃないか?」

「うん、当麻と一緒なら、私は幸せよ……ただ……」

「ん?……ただ……何だよ?」

「うん……ちょっと恥ずかしいかな?って……エヘヘ」

 余り深く考えていない上条。
 美琴も上条と一緒に居られる嬉しさが先に立っているようだ。
 それにしても……相変わらずラブラブな二人である。
 何で、書いてるコッチが当てられなきゃならんのか……ホントにもう……。

「「「「「「「「「「「先生、受賞おめでとうございま〜す」」」」」」」」」」」

「皆さん、ありがとうなのです〜。こんなに沢山の生徒さんにお祝いして頂いて、先生は、先生は、本当に嬉しいのです〜〜〜〜」

 と眼に涙を一杯溜めて、小萌先生はみんなに挨拶している。
 集まっているのは上条のクラスだけでなく、小萌先生が授業を担当しているクラスの生徒や黄泉川先生などの同僚もチラホラ居る。
 みんな小萌先生の周りに集まってワイワイガヤガヤとやっていた。
 ただその中で、美琴だけがその小萌先生を見て固まっていた。

「(なっ、何っ、この人。ま、まさか【絶対能力進化(レベル6シフト)】計画と同時進行で行われてたと噂されてる【絶対成長停止(ロリロリシフト)】計画って、ここまで実用化されてたって言うの?)」

 と、要らぬ妄想に囚われてしまったようだ。

「ね、ねぇ、当麻?」

「ん?どした?美琴……」

「あ、あの人が本当に当麻の担任の先生なの?」

「ああ、そうだぞ。見た目はあんなだけど、スゴい熱血教師でさ。オレなんか世話になりっぱなしで頭が上がらねぇんだ。クラスのみんなも小萌先生を泣かせるヤツは許さんって感じでさ。大覇星祭の時なんか、スゴい一致団結しちまったこともあったっけな」

「ふ〜ん、そうなんだ……(何か見たような気が……)」

「ところで上条ちゃん、そちらの方は何方なのですか?」

「あ、小萌先生」

「初めまして。私、私立常盤台中学2年の御坂美琴と言います。今日は当麻の担任の先生が賞を受賞されたと聞いて、一緒にお祝いに来させて頂きました。本日は本当におめでとうございます」

 さすがは常盤台中学のエースである。
 こういう時の礼儀作法は、さすがお嬢様。御坂美琴の面目躍如と言ったところか。

 だが、御坂美琴の名は余りにも有名すぎた。

「ええ〜ッ!?あっ、あのッ、とっ【常盤台の超電磁砲(レールガン)】さんなのですか?」

「はい、そうです」

「かっ上条ちゃん、どうして御坂さんとお知り合いなのですか?」

「あ……その……何というか……」

「……?」

「あの、コイツと、美琴とオレ、今つき合ってるんです」

923素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:17:49 ID:daVanQ5k

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ええぇぇぇぇぇえええええええッ!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

「なっ、何やて!?上やんがフラグ回収したってか?」

「フラグって何だよ!?」

「かっ上やん、お前、中学生に手を出したんかにゃぁ〜?」

「お前にだけは言われたくねぇ!!!」

「か・み・じょ・う・き・さ・ま・ァ・〜〜〜〜〜〜〜」

「待てッ、吹寄ッ、はっ話せば分か「問答無用!!!」るゴァッ!!」

「やっぱりデルタフォースはロリがお好みだったのね!?」

「中学生に手を出したらロリなのか?二つしか違ゎねぇのに!?」

「わっわたしのコトは遊びだったの?上条君?」「私も」「私だって」「私なんか……」

「ヘッ!?」

「(ジャラジャラ)……当麻、……後でちょろっと話があるんだけどぉ〜……」

「はっはっはひぃぃぃいいいい!!!!!!!!!!」

 お祝い会は上条の爆弾発言で、上を下への大騒ぎである。
 そんな中、小萌先生が美琴に“興味津々なんだけど上条ちゃんを奪われるのは少し寂しい”的な表情で質問をした。

「み、御坂さん。本っっっっっっっっっっっっっっ当に上条ちゃんとお付き合いしてるんですか?」

 そう聞かれたので、美琴は“素直”にこう答えた。

「ハイッ。色々ありましたけど、この前、当麻にプロポーズをされちゃって……。だから結婚を前提に、でも今はまだ学生なので、浄いお付き合いをさせていただいてますっ!!!!!!」

 と頬を染めながら、でも最高の笑顔と共に紡がれた美琴の言葉は、その場に居た全員の顔を真っ赤に染めさせ且つ、固めるのに充分だった。
 その中で、唯一人(固まっているのは同じだが)顔を真っ青にしている人物が美琴に聞いた。

「へっ?あ、あああああの、みみみみみ美琴さん?いいいいいいい今の発言は一体何なんでせう?」

「なによ〜、この前プロポーズして、誓いのキスまでして、“私を一生離さない”って言ってくれたじゃない?」

「ばっばっばっバカ野郎!!みみみみみみみんなの前でそんなコト言うんじゃねぇ〜〜〜〜〜!!!!!」

「いいじゃない。今日一緒に来てみんなに私を紹介するって言い出したのは当麻なんだからね。だから、私は事実を“素直”に述べたまでよ♪」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「か〜み〜じょ〜う〜(上やん)(上条ちゃん)!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

「ふっ、ふっ、不幸だァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」

 そう叫んで、美琴の手を取り、一目散に会場を後にする上条。

 この翌日から彼は

『中学生に手を出した上に、結婚の約束までさせたスゴい人』

 の称号を得ることになり、その噂は瞬く間に学園都市を駆け巡るのだった。

924素直になれないその理由(わけ)は:2011/02/16(水) 23:23:25 ID:daVanQ5k
いかがでしたでしょうか。
今回、メインで出てもらった佐天涙子譲ですが、【超電磁砲(レールガン)】キャラの中では、美琴を除いて一番好きなキャラだったりします。

ちょっぴり寂しいラブストーリーというのを目標にやってみたのですが、なかなかうまく行きませんでした。
満足のいく内容にはなっていない部分もあるのですが、コチラを先にやっとかないと、本編が……ということで投下させて戴きました。

それでは、お楽しみ頂ければ幸いです。<(_ _)>

925■■■■:2011/02/16(水) 23:31:06 ID:O86PEkHI
>>924
GJです!
こういうネタ見ると自分もなんか書きたくなるなぁ…
久しぶりになんか書こうかな

926■■■■:2011/02/16(水) 23:46:15 ID:sy.oHQPo
リロードし忘れてました。
Mattariさん、ごめんなさい。

てなわけであらためて感想を。
>>924
なるほど、前の話で佐天さんと上条さんが知り合いになってたのにはこういう経緯があったんですか。
こりゃ女性に弱い上条さんが腰低くもなるわ。
後個人的には上条さんのスルースキルを理屈で糾弾した所がお気に入りです。
無意識に他人を傷つけることだってある、ということを上条さんも少しは自覚すべきなんです、特に美琴相手には。
GJです。

927■■■■:2011/02/17(木) 00:31:35 ID:2AG0jz36
>>924
乙です。まあ、佐天さんはどうしてもそういう役回り(調整・引っ掻き役)になりますよねw
動かしやすいキャラなんですけど、動かしやすすぎるのが玉に瑕なw
…しかし、学園都市中に広がる上条さんの噂がまた増えるとかw

>>917
美琴板の方にそれ専門の隔離スレお願いする?
基本はスレの流れを汚さない程度で上琴スレで、と個人的には思うけど、このまま独立していくようなら早いうちに棲み分けしたほうが良いような…。
確かに題目的な観点で行けば、今の上琴スレの流れがダメって訳じゃないし(寧ろSS指南スレと化すよりは余程スレタイにあってる内容かと)。

928■■■■:2011/02/17(木) 00:31:52 ID:2AG0jz36
>>924
乙です。まあ、佐天さんはどうしてもそういう役回り(調整・引っ掻き役)になりますよねw
動かしやすいキャラなんですけど、動かしやすすぎるのが玉に瑕なw
…しかし、学園都市中に広がる上条さんの噂がまた増えるとかw

>>917
美琴板の方にそれ専門の隔離スレお願いする?
基本はスレの流れを汚さない程度で上琴スレで、と個人的には思うけど、このまま独立していくようなら早いうちに棲み分けしたほうが良いような…。
確かに題目的な観点で行けば、今の上琴スレの流れがダメって訳じゃないし(寧ろSS指南スレと化すよりは余程スレタイにあってる内容かと)。

929■■■■:2011/02/17(木) 00:33:31 ID:2AG0jz36
あああ、またIE不調かよorz 申し訳ない。
(感想書く度にこれだと投稿なんて出来やしないなぁ…。)

930■■■■:2011/02/17(木) 00:38:33 ID:olnNhW9c
>>928
個人的にそこまで頭固い人はいないと思うから相談の後に「スレの流れ悪くしたらすいません」とか付け足しとけば足りる気もするが…
スレ立てはお任せする

931■■■■:2011/02/17(木) 00:45:31 ID:cAKA/cyE
>>908
俺はニートで引きこもりだからな
時間ならたっぷりある。
だから頑張るアゲ

932■■■■:2011/02/17(木) 00:56:21 ID:cAKA/cyE


































933■■■■:2011/02/17(木) 00:57:44 ID:cAKA/cyE












調














934■■■■:2011/02/17(木) 00:58:35 ID:cAKA/cyE















935■■■■:2011/02/17(木) 01:00:04 ID:cAKA/cyE



















なんなの?

936■■■■:2011/02/17(木) 01:00:04 ID:5pzOp.qk
なんだスパムか

937■■■■:2011/02/17(木) 01:01:09 ID:cAKA/cyE










鹿







938■■■■:2011/02/17(木) 01:03:16 ID:cAKA/cyE
精神病の俺も悪いけど
精神病怒らせるお前も悪いよ
お前のせいでこのスレはおわりなんだよ
なあ>>883
お前のせいなんだよ

939■■■■:2011/02/17(木) 01:04:19 ID:cAKA/cyE
お前は何様なんだ?いったい
なんでそんなえらそうなんだ?
人様に迷惑かけて
ほんとに何様なんだ?
わからない、マジで分からない
怒りが収まらない

940■■■■:2011/02/17(木) 01:05:07 ID:cAKA/cyE














941■■■■:2011/02/17(木) 01:07:57 ID:cAKA/cyE
なんでサゲるの?
意味ないんじゃないのかな?
もう今日からsageる必要なんて
一切ないよ
だって俺があげ続けるから
だからもういいんだ

942■■■■:2011/02/17(木) 01:10:12 ID:cAKA/cyE







こん

精神
的苦痛を
与えて
なおも
sageろ
そんなに
大事なのか
俺の
心を
壊してまで
いうほどの
ことなのか

943■■■■:2011/02/17(木) 01:11:06 ID:cAKA/cyE
なあなんでさげるんだ?
いみないよな

944■■■■:2011/02/17(木) 01:12:04 ID:cAKA/cyE
こんなことになって
人に苦痛を与えてまで
さげろとか
なんなの?何様なの?
そんなマナーないやつが
えらそうにいえるの?

945■■■■:2011/02/17(木) 01:12:39 ID:cAKA/cyE










946■■■■:2011/02/17(木) 01:13:02 ID:cAKA/cyE
どうか納得できるご説明を

947■■■■:2011/02/17(木) 01:13:23 ID:cAKA/cyE





しい
という
説明


948■■■■:2011/02/17(木) 01:14:08 ID:cAKA/cyE
私は今納得してません
完全におかしいと思ってます
だから戦い続けます

949■■■■:2011/02/17(木) 01:14:45 ID:cAKA/cyE


私はニートです
時間はたっぷりあります
聞かせてください

950■■■■:2011/02/17(木) 01:15:16 ID:cAKA/cyE
精神病だからってないがしろにしていい理由になんねーだろ!!

951■■■■:2011/02/17(木) 01:17:11 ID:5pzOp.qk
精神病を盾に何してもいいってわけじゃないんだけどな
精神病ですかかわいそうですね何かできることありませんか?
そんなこといってほしいからこんなことしてるの?

どうしたらいいですか?このスレ見なければいいとおもうよ

952■■■■:2011/02/17(木) 01:17:20 ID:cAKA/cyE
精神病を
馬鹿にしやがって

んだ

精神病
がつらいか
わかってんのか?

953■■■■:2011/02/17(木) 01:19:38 ID:ePA.TEnc
>>952の書込みを見てほしい。
なんとつまらない書込みだろうか。
義務教育を終えていない小学生であったとしても
多少のヒネリを加えて書き込む事は容易なはずである。
しかしこの書込み内容からはその形跡は微塵も感じられない。
彼の脳に重大な障害が発生している事は誰の目にも明らかだろう。
恐らく彼は経済的な事情で十分な治療を受ける事が困難な状況に陥っているに違いない。
この一見無意味としか思えない彼の書込みは、
現在の医療システムの見直しを訴えたメッセージなのではなかろうか

954■■■■:2011/02/17(木) 01:21:11 ID:cAKA/cyE
>>951
いえそれはできません
納得できる説明じゃないからです

このスレは常駐決定しました

955■■■■:2011/02/17(木) 01:21:51 ID:7OehRwgE
>>929
なんでIEで書くんだよ…Style入れろStyle

956■■■■:2011/02/17(木) 01:22:09 ID:YOezSZEI
>>924 面白かったです
上琴で惚気るのは大好物ですよ

957■■■■:2011/02/17(木) 01:22:30 ID:oWIAyQq6
>>924
途中まで美琴うぜえと思ってたが佐天さんに諭されて
素直に反省するところがめっさ可愛かった。
上条さんまで説教して思い直させるとはすげえよ佐天さん。
まじGJっス。

>>929
専ブラ使え。

958■■■■:2011/02/17(木) 01:23:46 ID:7OehRwgE
ちなみにしたらばは削除画面でリモートホスト見れるので
管理人の一存によってさらし首にされるかもしれないことを覚悟しとくように
BBQ規制設定されたら串も使えないしね

959■■■■:2011/02/17(木) 01:28:53 ID:YOezSZEI
バレンタインは良作投下ラッシュでうれしかったんだけど
感想今から書くのもなんだし投下邪魔するのもなんだしで書き込まなかったんだよなぁ
まあ贅沢な話ですがw

960■■■■:2011/02/17(木) 01:32:03 ID:cAKA/cyE
>>958
>>953
の書き込みみてそんなこといえるなんて
あまりにも恐ろしい
脅迫といっても過言ではない

961■■■■:2011/02/17(木) 01:33:22 ID:cAKA/cyE
もし
これでさらし首いされるというならば
私は許すことができないだろう
精神的苦痛をもとに徹底的に
戦おうではないか

962■■■■:2011/02/17(木) 01:35:12 ID:cAKA/cyE
納得できる説明もされずに、
圧殺され
それが正義というならば
私は管理人とでも戦おう
精神病を馬鹿にした償いもこめて
しかるべき場で戦わせてもらう

963■■■■:2011/02/17(木) 01:37:48 ID:cAKA/cyE
どうか納得できるご説明を

964■■■■:2011/02/17(木) 01:42:25 ID:cAKA/cyE
私はさらし首にされてもかまわない
>>883もさらし首にしてくれよ
それでないとおかしい
まったく納得いかない

965■■■■:2011/02/17(木) 01:44:02 ID:5pzOp.qk
ttp://info.2ch.net/before.html
ttp://info.2ch.net/guide/faq.html
残り少ないし相手して新スレ作ろうと思ったけどめんどいわ
上に書き込みのルールが乗ってるページあるから熟読してこい

966■■■■:2011/02/17(木) 01:56:01 ID:b7xEDask
まあ別に上琴スレでやってもいいんじゃね?みんながみんなあの雰囲気じゃないし

967■■■■:2011/02/17(木) 01:59:00 ID:cAKA/cyE
ひどく嘔吐した。これは慰謝料もらってもいいレベルだ
>>965
読んできました
やはり私が正しいということですよね?
ほんとにありえないですよこの人ら

968■■■■:2011/02/17(木) 01:59:35 ID:cAKA/cyE
注意事項  
必要以上の馴れ合いは慎しんでください
暴言や第3者を不快にさせるような発言はやめましょう
悪質な削除要請や自己中心的な発言はひかえましょう
人間的モラルやルール・ネットマナーに反した発言はやめましょう
犯罪の恐れがあるものをみつけたら通報しましょう。都

969■■■■:2011/02/17(木) 02:02:16 ID:cAKA/cyE
まさにすべてあなた方にあてはまる。

ふざけんなといいたい

許されることじゃあないですよ

970■■■■:2011/02/17(木) 02:11:16 ID:cAKA/cyE
>>965
相手してもらわなくてもいいんですが
言わせてもらいます

ルールって何なんすか?
掲示板のルールってのは皆が気持ちよく不快な気持ちにならない
ためにあるものでしょう?
それなんのに>>883
みたいな不快な発言が許されるとしたら
意味ないんじゃないですか?

971■■■■:2011/02/17(木) 02:14:19 ID:cAKA/cyE
ルールをわざと破ったわけでもない
まして、このルールというのは
民主的に決めるものでしょうよ
だったら私にもルールを作る者としての一員として
いわせてもらおう
sage忘れたからって暴言はくんじゃねーと
それがルールだ
俺のルールだ
ふざけんな

972■■■■:2011/02/17(木) 02:15:46 ID:cAKA/cyE
そんな形骸化したルールとか意味ないんじゃないですか?
どうなんですか?
少なくとも俺という人間によってたかって
苦痛を与え、特に>>883のような発言が許されるなら
俺は許せない。どうしても

973■■■■:2011/02/17(木) 02:18:49 ID:W9kQxhBs
どっちにしろ荒らしはやめようか
sage進行に異論があるなら別スレでも立ててくれ

974■■■■:2011/02/17(木) 02:30:25 ID:cAKA/cyE
>>973
これが荒らし?
どこが荒らしですか。ふざけるんじゃないっすよ。
ageたら荒らし扱いかよ
話聞いてましたか?sage進行に異論があるわけでない。
sageろと暴言吐くのが許せないんだ
何様だと
ほんとに

しかも精神病ってネタにしていいの?
本当にありえない

しかし、少し落ち着いた。
やりすぎたかもしれないが後悔はしていない
今日の出来事は忘れないように日記書いときます

975■■■■:2011/02/17(木) 02:37:02 ID:cAKA/cyE
やっぱ納得いかないなー
俺は被害者でしょ?
散々いろいろ言われて
それで荒らし扱いかよ

世の中くさってんなぁ

976■■■■:2011/02/17(木) 02:37:30 ID:SAfqM18Q
上琴もふもふ で

977■■■■:2011/02/17(木) 03:41:34 ID:R2uQ0iV2
こんな展開になってしまったけど
次スレは誰か頼む?

ああ、今週内に遅れたバレンタインSSを仕上げたいな…

978■■■■:2011/02/17(木) 05:26:16 ID:UMYWN19Q
初めてだけど立ててくる

979■■■■:2011/02/17(木) 05:33:22 ID:UMYWN19Q
一応不備はないはず
                        /l /|  /|
                           /|/:::|/::::::|/:::: ! イ
                     |\}ヽ}∨::|::::/:::::::::::::::::::::|::厶__ こ__「`'r‐、__
                  、__ト|::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∠  iLノ| l! \
                    __\:::::::::::::::::::::::::::: /:::::::::::::::::::::‐‐<__ / }└' し'ヽ }_
                   \:::::::::::::::::::::::::/::/ !:::::::::/::!::::::-=≦´ { \      ∧
                 >::::::::::::::::::/i∧:::!::::::/i:|:l::::::::::<  \____,  、/. ハ
               -=≦::::::::!:::!:::::厶忘ミトi厶斗|/!:::‐<      {. \/. . . ∧
              <::::::::::/i/|:::/レ上ソ   忘、 〉:::、:__>     マ´. . . . . . . 、
                   >‐{ }|/        {└'‐ ハ::::\        \. . . . . . . \
                >人__、          {)::ト、「        .∠\. . . . . . . ヽ
                ̄ ̄}/i:!ヘ   ,   ̄`   厂/⌒ヽ . . : ´: : : : : : `: : 、. . ./
                      从 \└‐‐一'/`>. ' . . . . /: : : : : /:/: : : : : : 〉: く
                    「 ̄`ヘ  ≧=- 7/. . /. . /: : : : : : : {: {: :/: : :!: i、: : \
                    ∨   }\ |_,/. . . . .{ . /: : : _,r/: : : ∧∨: : / :|\{: : : .
                       〉‐‐1‐「 ̄ |. . . . . 、. ∨: :/: :}xi : /:厶:ト、i: /斗┼‐ ∨ : '. 上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part15
                      / . . . | }  ‐i . . . . . . /:/|: /)x|: :|厶+:ト、|/  |ィ汽ミ } : : i ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1297888034/
                 _/. . . . . .ハ{  -‐! . . . . . .i/. . j/: 「`|: :|{ んハ    {r'ハ } : :}ハ|
              { . . . . . . . i       !. . . . . 、__/ : : }从: | 乂ツ    'ー'゙  ハ〈
                   j. . {. . . . . |  |   ‐!. . . . . . `7: : : :ト、ヘ|       }     {/: :\ 職人さん達お疲れ様!
                /\ハ. . . O|/|  -‐ヘ. . . . . . //i: i: :| 「人       ‐ 、  人i: ト .、   新スレでもいっぱい書いてね!
      , ‐v‐‐、  /. . . . .〉!. . . .|/    ハ . . . . i∧l、|ハ|/} {>  └‐‐'  イ ∨: |  `
     {_,ヘ   _,>. . . . . . . . ヘ. . . . !       〉. . . . ._/    , ∧ \_`'ァ 1 _j |  ハ
     r 、}  〈. . . . . . . /   |. . O|     / \. / ̄` .   |  )\__,厶/:.( l/ ∧
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                    礀. . ./`'ー‐‐‐「\)「 ∩     |  ヽ く/ } ∧/}__   / ∧
                ハ /   / 「\`´し |   /〉       \   {,/ / ′ `v'     ,
                   / . /}  /  { \)  ノ '"  }、\     \j/ /      ∨   ′
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          /. ./. . _.  -―!. 、. . . . \. . . //ヘ         o}    } 、 ̄\    `'ーく/ r┬r、\
        / . . 厶        !. . \ . . .、 . /__7 / ∧           /     ,/\\/ }      `>、\!」 `´

980■■■■:2011/02/17(木) 10:31:53 ID:SyLsCSxU
あれ・・・どうしちゃったんですかここ?

981■■■■:2011/02/17(木) 10:44:17 ID:HULixL.A
└|∵|┐♪┌|∵|┘

982■■■■:2011/02/17(木) 12:22:40 ID:exoIdfIM


983■■■■:2011/02/17(木) 12:27:01 ID:exoIdfIM
どうせいつもの某厨が荒らしに来たんでしょ
無視無視

984■■■■:2011/02/17(木) 13:30:08 ID:UMYWN19Q
上条当麻は御坂美琴の夫
異論は認めないわよ

985■■■■:2011/02/17(木) 14:22:37 ID:YwpHnfyc
第三位さん乙www

986■■■■:2011/02/17(木) 15:49:38 ID:pALokUoI
荒らしは無視

987■■■■:2011/02/17(木) 16:14:14 ID:H8WfAW4M
あとは埋めるぞォ!

988■■■■:2011/02/17(木) 16:21:03 ID:UMYWN19Q
よっしゃァあああああああ派手に行こうぜベイビーッ!!



989■■■■:2011/02/17(木) 16:23:14 ID:XsDmChis


990■■■■:2011/02/17(木) 16:28:18 ID:pZgEtaxk


991■■■■:2011/02/17(木) 16:39:41 ID:pALokUoI


992■■■■:2011/02/17(木) 16:40:50 ID:pALokUoI


993■■■■:2011/02/17(木) 16:52:56 ID:H8WfAW4M
美琴「と、当麻!」

当麻「み、美琴!」

上琴誕生

994■■■■:2011/02/17(木) 16:53:33 ID:H8WfAW4M
打ち止め「あ、一方通行!」

一方「....打ち止めァ!」

通行止め誕生

995■■■■:2011/02/17(木) 16:54:26 ID:H8WfAW4M
995

996■■■■:2011/02/17(木) 17:01:51 ID:pALokUoI
埋めーる

997■■■■:2011/02/17(木) 17:02:29 ID:pALokUoI


998■■■■:2011/02/17(木) 17:03:10 ID:pALokUoI


999■■■■:2011/02/17(木) 17:03:39 ID:pALokUoI


1000■■■■:2011/02/17(木) 17:03:52 ID:pALokUoI


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