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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS
1■■■■:2009/10/25(日) 20:31:32 ID:C43ujLaM
上条さんと美琴のSSをじゃんじゃん投下していくスレです!
次スレは>>970ぐらいの人にお願いします。
別に上条さんと美琴だけが出てくるスレじゃありません。
上条さんと美琴が最終的にいちゃいちゃしていればいいので、
ほかのキャラを出してもいいです。そこを勘違いしないようにお願いします!

2■■■■:2009/10/25(日) 22:40:52 ID:d1/0OU1Q
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3■■■■:2009/11/07(土) 09:39:14 ID:YyTobZTI
美琴×上条は至高

4■■■■:2009/11/09(月) 20:55:44 ID:zy..sTLs
>>3その意見には激しく同意する

5ネタ:2009/11/19(木) 08:22:44 ID:Wqa4CicU
美琴「何ここ?」
上条「よう、ビリビリ。お前も呼ばれたのか?」
美琴(いきなり反応されると、び、びっくりするわね)
上条「何変な顔してんだビリビリ? 顔真っ赤にして」
美琴「ビリビリ言うなっつのが判んないのかアンタはぁぁぁあああああ!? 私の名前は――」
上条「美琴だろ?」
美琴「え?」
上条「だから、美琴だろ?」
美琴「え、あの……、も、も一回いい?」
上条「おま……何、急に携帯出して……。あ!? 録音てお前……」
美琴「か、勝手に見ないでよ!」
上条「ははーん」
美琴「?」
上条「さてはカミジョーさんの声でモーニングコール作ろうってんじゃないだろーなぁ。はは、なぁんて、あははははは」
美琴『ビクッ!?(肩が跳ねる)』
美琴「…………」
上条「ははははは……、え?」
美琴「…………」
上条「マジなの?」
美琴「…………」
上条「もしもーし」
美琴「…………、ぐすっ」
上条(何も泣かなくても……)
上条「(おい、後で協力してやるから戻ってこい)」
美琴『ビクッ!?(肩が跳ねる)』
上条「な」
美琴『コク……(頷く)』
上条「よしよし」
美琴「も、頭なんかなでて……、子供扱いしないでよっ、ぐすっ」
上条「ティッシュいるか?」
美琴「やっ!? だ、誰がそんなそこいらで配られてる様な安ティッシュ使うのよ!? 鼻が真っ赤になるでしょ! 鼻がっ!」
上条(やっと本調子になったみたいだな)
美琴「で、ここは何よ?」
上条「あ? 何か、お前と俺がいちゃいちゃするのを愛でる場所らしいぜ」
美琴「え?」
上条「な、馬鹿馬鹿しいだろ? 俺とお前がいちゃいちゃだって。大体いちゃいちゃって死語かなんかじゃねーのかって、カミジョーさんは思うんですけどね」
美琴「…………」
上条「あれ?」
美琴「…………………………………………………………………………」
上条「あの……」
美琴「ふにゃあ」
上条(またそのオチかい……)

6■■■■:2009/11/19(木) 23:27:38 ID:QE2UVyP6
ageときます

7ネタ1/2:2009/11/20(金) 17:29:03 ID:mcHzMYrs
上条「何か日が当たるようなったなここ?」
美琴「え? ええ、そ、そうね、来た時より明るくなったわね」
上条「んー。つう事はあれか? 何か期待されてるって事なのか? 俺たち」
美琴「え? さ、さあどうかしらね」
美琴(期待って……。一体何期待されてるっての!? 大体、いちゃいちゃって、やっぱ手ぇ繋いで公園歩いちゃったとかそー言う事なのかしら……)『ジ……(上条の右手をガン見)』
上条「何見てんだ御坂?」
美琴「は……? え、えええ、えーと……。あは、あははははは……、取り合えず、えいっ!」『バチッ』
上条「うおっ!? 危ねぇ! 何しやがんだ急に、このビリビリ娘はっ!」
美琴「ビリビリって言うなってんでしょうが、このバカァァァアアア!!」
上条「おまっ! 電撃飛ばしといて今度は逆ギレですか!?」
美琴「何よ、ちょっと電撃飛ばしたくらいで一々ギャーギャー騒ぐんじゃないわよ、小さい男ね! どぉーせその右手のおかげで効きゃしないんだからどぉでもいいでしょうが!!」『ダンダンッ!(足踏み)』
上条「被害を受けた上に非難まで受けるとは……。ふ、不幸だぁ……」『ガク……』
美琴「フンッ。(ど、どうやら誤魔化せたみたいね……)」
上条「あー……、カミジョーさんは今ので非常にショックを受けました。ですので、今日はこのまま帰ってよろしいでしょうか? ええ、いいですよ。はいそうですか、では皆さんさやうなら……」
美琴「コラコラ。アンタは何勝手に締めくくって帰ろうとしてんのよ? 私はどーすんのよ? わ、た、し、は」
上条「お前も帰ればぁ? ハァ……」
美琴「あ、ちょ、もうっ! ちょ……とぉ、ま、ち、な、さ、い、よぉ……」『ぐぐぐ……(上条の腕を掴んで踏ん張る)』
上条「何だよ御坂……。今日のカミジョーさんは傷心旅行に出たいくらいブルーなんですのよ? ただ傷心旅行に行く金なんかこれっぽっちも無いから、取り合えずスーパーの特売にでも行ってこようと思ってるんですがね?」
美琴「そ、それって私より大事なの!? (い、言っちゃった!?)」『カァ……ッ』
上条「はあ? あの……、仰っている意味が良く判り兼ねるのですが?」
美琴「…………」
上条「あの……、御坂?」
美琴(これ以上言っちゃダメ! 私が期待しちゃう! 私がコイツに期待しちゃうからっ!! と、とにかく、とにかく何か言わないと……)
上条「もしもーし」
美琴「え、あ、え、えーと……ね。その、あの、何て言うか……」『モジモジ……』
上条「ああーっ!!」
美琴「ふえっ?」『ビクッ』
上条「御坂!!」『ガシィィッ!!(美琴の両肩をホールド)』
美琴「ハイッ!!」『ビクッ』
上条「また『ゲコ太』か? そうなのか? そうなんだな?」
美琴「え! えぇ!?」
上条「やっぱりそーなんだなー。おかしいと思ったんだ。お前がこんな変な企画にホイホイ乗ってくるなんて。考えてみたら前回の罰ゲームん時もそうだった。その前は、海ば……ま、あれはいいな。あれはノーカンだな。ノーカンノーカン」
美琴「あ、あの…」
上条「お前ホントゲコ太好きなんだなー。よし判った! 他ならぬ御坂の頼みなら聞いてやらない事も無い事も無いの反対だからアリだ!!」
美琴「え……、ちょ、ちょっと……」
上条「インデックスの事では、随分と借りがあるからな。あん時は罰ゲームやら、その後のごたごたやらですっかりうやむやになっちまったけど、俺は忘れてたわけじゃ無いんですよ?」
美琴「そ、そんな……私は別に貸したなんて……」
上条「じゃ、要らないとか? 流石見た目通り太っぱ――」
美琴「それ以上言ったら許さないわよ」『ゴゴゴゴ……』
上条「ひゃい!?」

8ネタ2/2:2009/11/20(金) 17:29:58 ID:mcHzMYrs
美琴「フン」
上条「ハァ……、で、どうすっかねこれから」
美琴「え?」
上条「やっぱあれかね? いちゃいちゃの究極っつとABCとかになるんかね?」
美琴「ハイ! 先生!」『ビッ』
上条「はい、御坂君」
美琴「AとかBとかCって、何?」
上条「あ、あ……」
美琴「何でそこで遠い目すんのよアンタは?」
上条「ぅぅぅ……。ごめん、別の事考えっから許してくれ!」
美琴「ほほ……う……」
上条「な、何っ?」『ビクッ』
美琴「私に言えない事、な訳ね?」
上条「あ、あ……、え、え……」『タラ……(冷や汗)』
美琴「ゆったんさい。先生怒らないから」
上条「とか言って怒るじゃん。俺の経験則から言って、それ言って怒らなかった人皆無――」
美琴「じゃ、判るわよねぇ? 言わなくても怒るって……」『ギロッ』
上条「ひっ!? ふ、ふこ、不幸だッ」
美琴「男なら覚悟を決める。ほら、さっさと全部吐いて楽になったらどうだ?」
上条「何? その電気スタンド俺に向ける様なポーズ? べ、弁護士呼んでくれよ刑事サン!? こ、この人暴力振るう気だよ! 自白強要だよ!!」
美琴「は、や、く、い、えっ、て、の!」
上条「痛ッ!? 痛い痛い!! 暴力反対!! つねるの禁止!! 人類みな兄弟ッ!! 痛ッ!! 喋る、喋るからつねるの止めて!!」
美琴「最初っから素直にしてりゃ痛い目見ないで済んだものを……」
上条「(こえーよ御坂、きっとコイツの前世ってナチスのSSか何かだよ……)」
美琴「誰が第三帝国の手先ですって? 馬鹿言ってないでさっさと白状する」
上条「ぅ。じゃ、怒ったり驚いたりすんなよ。暴力も禁止だからな!」
美琴「アンタに隠し子がいるって聞いても取りみだしません」
上条「いや、それは驚こうぜ――じゃ、話すけど、ABCってのは恋愛の順序を顕わしたものなんだけど……」
美琴「うんうん」
上条「ABCは3段階の順序を表してるんだ」
美琴「それでそれで」
上条「え……。まず、A。これがキス」
美琴「うん。Aがキス。……、…………」『ボンッ』
上条「ほらぁ。またふにゃぁか? いいぞ、大丈夫だ、問題無い。(その方が俺も助かる)」
美琴「たひっ、たひじょぶだから、つづけへ」
上条「うっ。じゃ、気をしっかり持てよ」
美琴「ふ、ふひゅん」
上条「(大丈夫かコイツ)じゃ、Bな。ペッティング。Hの前戯とか――」
美琴「あう゛」『ブシュー』
上条「み、御坂っ!!」
美琴「らいじょーぶ、らいじょーぶよー」
上条「はぁ、これじゃ何時ゲコ太ゲット(いちゃいちゃ)出来るか判んねーなー。ってか出来るのか?」



いちゃいちゃだから、BとかCはないよねえ。

9■■■■:2009/11/20(金) 23:43:52 ID:t8JduanY
BとかC、別にあってもいいぞい!

10■■■■:2009/11/21(土) 17:11:26 ID:MlxKT/r2
かまわんもっとやれ!

11■■■■:2009/11/22(日) 14:49:55 ID:ITlJrnaw
>>8
C  はなんだ?なんなんだぁー!?
気になる、気になるぞぉー!!!!!!!!!!!!

・・・ん?デルタフォースの方がいちゃいちゃスレになってる気がするのだが。

12■■■■:2009/11/22(日) 17:38:27 ID:MKfXHKso
まってるお

13■■■■:2009/11/22(日) 23:23:48 ID:1ae8o7Dg
デルタフォースとの……いちゃいちゃバトルじゃあぁぁああああぁあい!

14■■■■:2009/11/23(月) 13:38:29 ID:89wIPt7Y
あまりにもいちゃいちゃ(デルタフォース離れ)になると
こっちに移行しないとな(デルタフォーススレで出たデートなど)
むしろ早く温泉旅行を終わらせて
いちゃいちゃをこっちで継続って感じでいいと思う

15■■■■:2009/11/24(火) 00:11:35 ID:3xBiadJI
まあ、向こうがそれで良いならそれでもいいんじゃないかな?

16ネタ1/3:2009/11/24(火) 13:29:10 ID:BBPohF26
結局Bまで聞いた所でダウンした美琴は、上条さんの膝枕で、上条の上着を掛け布団代わりにお休み中。
一方、上条は、そんな美琴の寝顔を時折覗き込みながら、色々と思案中です。


上条(何か妙に熱い視線を感じるなー。つーか、いい加減起きねーかな御坂? こんなトコでいつまでも寝てっと背中イテーだろうし……)
上条「おーい、御坂? もしもーし。早く起きねーと、風邪引きますよー」『チョイチョイ(頬をつつく)』
美琴「うーん……。むにゃむにゃ」
上条「なんつー幸せそうな寝顔です事……」
上条(んー、起きねえなー、やっぱり。どーすっかなーこれ?)
上条「いっそ抱き抱えてコイツの寮まで……。いやいや待てよ?」
上条(そんな姿を土御門やら青髪やらに見つかったら? いや、ぜってー見つかるに決まってる。んでアイツら俺の事目ぇ血走らせて追いかけ回すに決まってんだ。それで逃げ切ったとしても、後である事無い事言いふらさまくってみろ……!?)
上条「カミジョーさんのバラ色――予定――の恋愛模様が!? 神聖な花園が土足で踏みにじられてっ!! うっがー! 不幸だぁ――――――――――!!」
上条『ゼエ、ゼエ』「こ、こうなったらヤルしかねえ。鬼になれ――。血に飢えた獣になれ、上条当麻ッ!! そして奴らの喉笛をガブーッと……」
美琴「…………」
上条(あれ? いつの間に目を覚ましたんだコイツ?)
上条「みさ――」
美琴「イヤッ!!」『ゴンッ!(垂直アッパー)』
上条「はぐっ!?」
美琴「ぁ……」
上条「な、ないひゅあぱぁ……、ふこ……」『ドサッ(親指を立てながらゆっくりと崩れ落ちる)』
美琴「あれ? あ、あれぇ?」
美琴(私一体どうしたんだっけ? 落ち着いて思い出せー……。確か、コイツがAとかBとかおかしな事言いだしたんだったわ。それで……)『もそもそ』
美琴「これ……。ぇ?」
美琴(学、ラン……?)『ギュ―――――ッ(思わず学ランを引き寄せて丸まる美琴)』
美琴(はぁ、こんなモノからもでもアイツの無駄な包容力を感じるのねぇー……)
美琴「って!? な、何考えてんの私!? ち、違うのっ!! こ、これは寒いから!! そう!! 寒いから思わずあったかいなぁー、なんてっ!! はは、あはは、あはははは……、はは、は、は……」『スリスリ(空笑いしながら上条の膝をなでる)』
美琴「!!!」『ガバッ!! ズサササササササッ!!』
美琴(な、何でわ、わた、わた、わた……)
美琴「ふにゃあ」『ゴンッ!』
美琴「あだっ!? ぅ……、頭が割れる……。不幸だわこれ……」『すりすり(自分の頭をなでる)』
美琴「!!」『ババッ! バババッ!!(高速で自身の身だしなみチェック)』
美琴「ふー……、おかしな所は無いみたいね……」『ガックリ』
上条「う、う……」
美琴「あはははは。ま、まあ、アレね。は、初めてが気付かないうちに終わっちゃいましたじゃ、ああ、あんまりにも情けないもん……ブッ!?」『カァァァァァァアアアアア……(ゆでダコの様に真っ赤)』
上条「不幸だ……。まだ顎がガクガクする」『コキコキ』
美琴「ふぁ、ふぁたひは何期待してんのひょ? あ、あんにゃヤツ……、あんにゃヤツゥにはひ……」
上条「あの右は絶対世界に通用するよ。日本初のヘヴィ級王者誕生ってか?」
美琴「誰がヘヴィ級じゃゴラァ――――――――――ッ!!」『ガシッ!!(タックル&馬乗り)』
上条「うわっ!? み、御坂!!」
美琴「アンタはこんな時まで私の事スルーなんかっ!! ス、ル、ウ、な、ん、かァァァァァァアアアアアア!!」『ガクガク(マウントから胸倉を掴んでゆする)』

17ネタ2/3:2009/11/24(火) 13:30:18 ID:vSaWFXJc
上条「な、ん、の、は、な、し、だ、や、め、ろ、お、お、お、お……」
美琴「ざけんじゃないわよこのっ!! パンチは褒めて、体は放置ですって!? こんな目の前に美味しいそうな女の子が転がってたら、唇の一つや二つや三つ奪うのが漢(おとこ)の筋ってもんでしょうが!!」
上条「ま、待て御坂、お、お前言ってる事がおかしいって」
美琴「何がよっ!? AとかBとかCとか!! とにかくアンタが先に言いだしたんだから、さっさと責任とって私に実践してみろってのよ!! この据え膳食わずの甲斐性な――」
上条「落ち着け美琴ッ!!」『ギュ(持ちつかせようと抱きしめる)』
美琴「ッ!?」『ビクッ』
上条「美琴、ちょっと落ち着こうな。ほら、女の子のマウントポジションはカミジョーさん的には嬉し恥ずかしシチュエーションながら、取り合えず上から降りて」
美琴「う、うん……」『ボボボボボ……』
上条「よし美琴。で、何だって? 俺と、その、AとかBとかどうしたって?」
美琴「え? そ、それは、えーとぉ……」『ザァ―――――(一気に血の気が引く)』
上条「はぁ……、いいよ。言わなくて」
美琴「へ?」
上条「あのさー。お前、もう少し自分を大事にしろよな。ゲコ太ゲコ太ってそんなにお前にとって大事なのか?」
美琴「え? え?」
上条「まー、ふった俺が悪いんだけどさ。よく無いだろ? そう言う事は、好き同士がしなくちゃな」
美琴「ちょ、ちょっと待って! 何か話がおかしな方向に行って――」
上条「とにかく今回の目標は何だ! ヨシ! 美琴クン言ってみたまえ!」
美琴「へ? あ? い、いま、美琴って呼ん――」
上条「それはいいから答えたまえ!」
美琴「あ、はい……。い、いちゃいちゃ……、する?」
上条「そう! 正解ッ!」『ビシッ』
美琴「ふえ?」
上条「では第二問! 我々がいちゃいちゃするための障害を述べよ!」
美琴「え……、ア、アンタの女性遍歴?」
上条「ぐはっ!? そ、それは誤解が六回ですのよ御坂さん。ぼ、僕は決して優柔不断なハーレムキャラではございませんし、そもフラグ男などと良く言われますが、けっしてそれが良いのかと言えば、たまに発生する桃色イベントぐらいで、その後は、もう、もう……。あ、心の汗……」
美琴「(ウ、ウザい)」
上条「ぐぞ……。俺だってなぁ。俺だって、ホントは恋愛したいんだぜ。誰はばかる事無くキャッキャウフフしてえんでございますよ!!」
美琴「え!? そ、それならわたし――」
☆「それには及ばん」『グゴゴゴゴゴゴ……(床からせり上がる水槽。そこには逆さに浮かんだ、男にも女にも以下省略)』
上条&美琴『ビクッ』「「ア、アンタだれ?」」
☆「気にする事は無い。そうだな。上条当麻君。君の先輩、とだけ言っておこう」
上条(先輩……? 学校にいたかこんな変な奴……?)
☆「特に意味は無い。一つ付け加えるなら、学校ばかりとは限らん、と言う事だ」
上条「は、はあ……」
美琴「あの……」
☆「何かね?」
美琴「さっきの言葉の意味って?」
☆「言葉どおりだ。君たちは君たちの思うままに青春を謳歌したまえ、と言う事だ」
美琴「え、それってどう言う意味……?」
☆「学園都市第3位の割には飲みこみが悪いな。それとも聞き返す事に何か意味があると取るべきかな?」『ニヤリ』

18ネタ3/3:2009/11/24(火) 13:32:27 ID:BBPohF26
美琴「んなっ!? ちょ、ちょっと、今の言葉取り消しなさふががっ!?」
上条「わ、判りましたっ! 自由にしていいって事ですよね!」
美琴「むがあ―――――!!」
☆「君は物わかりがいいな」
上条「ハハハハ。よ、良く言われますぅ」
☆「(これで、後回しに考えていたプランが大幅に短縮される)」
上条「え?」
☆「若者が細かい事を気にするな。では、存分に励みたまえ。成功を期待している」『グゴゴゴゴゴゴ……(水槽が床に沈んで行く)』
上条「はぁ……、何だったんだ一た痛ッ!!」
美琴「ぷぇ。口離せこの馬鹿ぁ!!」
上条「だからって噛む事ねえだろ?」
美琴「ざけんじゃないわよ!! アノ金魚ヤロー、私の事見て笑ったのよ!? タダじゃおかない!! 今すぐ床ぶち抜いてあのクソ水槽から引きずり出して3枚にオロシテやるんだからっ!!」
上条「物騒な事言ってないで外行くぞ、外」
美琴「は、な、せっ、て、の、が、わ、か、ん、ねーのか、アン、きゃ!?」『ガバッ(上条にお姫様だっこされる)』
上条「ああ、判りませんねー。猛獣ビリビリ中学生のたわ言など」
美琴「ま、またビリビリって!? アンタまで私の事馬鹿に、きゃああ――――!?」『グワッ(上条がぐるぐる回りだしたので思わず首にしがみつく)』
上条「大人しくしないと、ぐったりするまでメリーゴーランドの刑にしますよぉ――――?」
美琴「わ、判った、判ったから、回るの、きゃああああ!?」『グルン(今度は逆回転)』
上条「判ってくれた?」
美琴「判ったって言ったでしょぉぉおぉおおお!? だ、だから、だから早く止め、きゃああああああああああああ!!」
美琴(ふふ。ホントは全然平気なんだけど、面白いからもう少しこのまま)『ギュ』
美琴「(べ、別に気分転換に抱きついてる訳じゃないんだからね! 勘違いしないでよね!)」『ギュ――――ッ』
上条「どうだ御坂ぁ!! こ、これが上条ハリケーンだぁ―――――――――――――!!」
美琴「やめてとめて、きゃああああああああああああ―――――!!」『ギュギュッ』



隣の芝生は相思相愛かぁ……。

19ネタ:2009/11/24(火) 17:26:45 ID:vSaWFXJc
謎の部屋を抜け出した2人は、☆の言った通り好き勝手する事にしたのだが。


美琴「どこ向かってんのよ?」
上条「取り合えずスーパー」
美琴「スーパー?」
上条「そう、スーパー」
美琴「先生質もーん!」『バッ』
上条「はい、美琴君!」
美琴「美こっ!? み、みみ、美ここ……」
上条「巫女? 姫神の事か?」
美琴「違ッ!? って姫神って誰?」
上条「うちのクラスメイトの巫女さん。これがまた格好とは正反対の何と言うか何と言うか、色々残念な感じなんだよ」
美琴「いつの女?」
上条「は?」
美琴「いつ助けた女なの?」『パリパリ……』
上条「ぇ……」(何怒ってんだコイツ?)『ジリジリ……』
美琴「私より先? 後?」『ギロッ』
上条『ゴクッ』「さ、先」
美琴「どっちのが大変だった?」
上条「へ?」
美琴「どっちのが手間かかる女だったのか聞いてるのよ?」『ピシッ』
上条「ひぇええ!? ひ、姫神っかな? そん時俺、右腕もげて死にかけたし。あ、でも、お前ん時も、全身打撲で毛細血管バンバン弾けてやっぱ死にかけだったしな」
美琴「…………」
上条「え? 何? 良く聞こえな――」
美琴「馬鹿っつたのよ、このトウヘンボクッ!!」『バリバリバリッ』
上条「ぬおぅわっ!! 御坂お前、急な電撃は止めろって――」
美琴「死ぬわよ」
上条「は?」
美琴「アンタなんかホントはぜんっぜん弱いんだから、いつか死んじゃうわよ!!」
上条「あの……、急にシリアス?」
美琴「茶化すんじゃないわよこの馬鹿ぁ――――――――――!!」『ドスッ(頭から鳩尾に体当たり)』
上条「おふっ!!」
美琴「勝ち逃げなんかしたら許さないんだから、ぐすっ、ぐすっ」
上条「不幸だぁ……。って、あれ?」
美琴「ぐすっ、ぐすっ……」
上条「あの……」
美琴『キッ』「ぐすっ、ぐすっ……。何よぉ、すんっ、ぐすっ」
上条(何ですかこの修羅場……?)『ポリポリ(上条困った顔で頬をかく)』「ふぅ。あのな、美琴」『パシッ(美琴のの頬を両手で挟んで)』
美琴「ふきゅい!?」
上条「俺を勝手に殺すな」
美琴『コクコクコク……(目だけでうなずく)』
上条「まあ確かにお前が言う通り、俺も毎回生き残る度に、は、まぁ本当によくもって思うのは確かだよ。だけどな、『死ぬ気で頑張る』とか、『死んでも頑張る』とか、そー言う言葉は、俺の辞書にはねーんだわ」
美琴「…………」
上条「それでもお前が不安に思うなら約束してやる。勝ち逃げはしない」
美琴「で、出来ると、思ってんの?」
上条「ああ出来る。信じてるからな――仲間を」
美琴「ッ!? そこ……ぁ……」(聞けないっ! 仲間(そこ)に私はいるのかなんて……)
上条「頼むぜ美琴」
美琴『ぽわぁぁぁぁぁ……(星と花を散らせた蕩ける様な満面の笑み)』
上条「それにはまず泣き虫治してくれよな」
美琴「ハッ!? うっさいうっさいうっさーい!! も、当麻のくせに生意気なのよっ!!」
上条「ハハッ、その調子で頼むぜ御坂。天下の学園第3位様には、涙より元気いっぱいのが似合ってるぜ!!」(あれ? 今名前で呼ばれた様な気がすっけど……)


取るに足らない会話すらラブ米にする、か?

20■■■■:2009/11/24(火) 18:33:09 ID:8lG7slDY
>>19
GJ

21■■■■:2009/11/24(火) 20:18:09 ID:PHoYvE12
>>13-15
問題はデルタッフォースは1番から繋がったストーリということになってることとあっちはもう相思相愛になっちゃってること。
かといってあれはもうデルタフォースじゃないし・・・・

もしくは新しいの作るとか?
「とある上琴の相思相愛」みたいな感じの?

22■■■■:2009/11/24(火) 23:32:21 ID:3xBiadJI
もともとデルタフォース半年ぐらい書き込みなかって上琴で復活したようなもんだから、今やってる上琴を切り離すとデルタフォースの続きを書いてくれる人がいるかな?

23■■■■:2009/11/25(水) 00:21:22 ID:BuoA/0P.
最近ここにネタをぽつぽつ投下しているものですが。
にぎやかになるならいつでも止めますんで、どうぞ遠慮なくこっちに引っ越してくださいな。
と言うのも勝手な話ですかね。

24■■■■:2009/11/25(水) 00:41:23 ID:F44/4PqQ
>>23やめなくても良いですよ!どんどん投下して下さい。GJです!

25ネタ1/2:2009/11/25(水) 13:02:13 ID:/9Rxvn.Y
取り合えず仲直り(?)した2人は、当座の目的地、『スーパー』に向かっていたのだが……。


美琴「ねえ」
上条「…………」
美琴「ねえっ!」
上条「…………」
美琴「この状況ですら無視すんのかコラァ!!」『バシバシ』
上条「って!? 何なんですかお前は? 反抗期ですか?」
美琴「呼んでんだから返事くらいしろっ!!」
上条「ああ……、わりぃわりぃ。で、何んだ?」
美琴「えっ、あ、あのぅ……」『モジモジ』
上条「どうした御坂? 顔なんか真っ赤にして」
美琴「え……あ、えっ、あぁ……」(「何で私の手を握って歩くの?」って聞きたいのに言葉が出ないっ!?)『チラ、チラ(目線が手と、顔と、何も無い空間を順番に追う)』
上条「ああっ!!」
美琴「!!」『ビクゥ』
上条(トイレ、だろ? この様子、きっとそうだ。そうに違いありませんぜ、とカミジョーさんの中の紳士な部分が申しております)
上条「わりぃわりぃ。え、えーとー」『キョロキョロ』(ここは自然に俺がトイレに行くふりをして……。お! おあつらえ向きの店があるじゃんよ)「美琴わりぃ。ちょっと寄り道いいか?」
美琴「え? あ、ちょ、ちょっとぉ」『タタッ、トタタ、トタッ……(上条に手を引かれてよろける様に後について行く)』
 そうして2人が入ったのは、とある大型ショッピングセンターの1階。しかも入った場所が悪かったのか、上条の運(ふこう)のなせる技か、この日の1階はフロア全てで女性用インナーを扱っていたのだ!!
上条(うわっ!? 何でこんなッ!! ク、クソッ、き、気にするんじゃ無い上条当麻。無心!! 無心になるんだ)『スタスタスタ……(斜め下を向いて視野を極力狭くして足早に歩く)』
美琴(やっ、ちょっ、あのニーハイかわいい……。このショーツのひらひらもステキね……。でもどうしてこんな所……? ハッ!? も、もしや……)『カァァァアアアアア……』
美琴「ねぇ……」『モジモジッ』
上条(見るな感じるな考えるな。アレには中身は入って無い。ただの布切れ、ただの布切れなんだ!)『スタスタスタ』
美琴「あの、さ……。私も最近黒子の奴に毒されて来たのかな? その……、たまには大人の下着なんてもの、その、いいかなあ、なんて……」『モジモジッ』
上条(あの黒いガーターベルトも、スケスケのキャミソールも俺には見えない! 見えないんだぁぁぁああああああああああ!!)『スタスタスタ』
美琴「それでね、もし、やっぱさ、そう言うの買うならさ、い、異性って言うの? ほら、黒子とかじゃ色々と危険だし? と、年、う、上の意見なんかも参考にし、しし、したいし?」『モジモジッ』
上条『ビクッ』(くあっ!! ば、馬鹿なっ!? 何ですか? 何で下着姿のオネーサンが頬笑みながら目の前を横切るんでせうか!? ここは桃源郷? いや馬鹿止めろ俺の心!? 無心だと言うのが判らんのかっ!!)『タタタタタ(上条、小走りになる)』
美琴「でさ、か、かかか、勘違い、し、しな、しな、しないで聞いて欲しいんだけど。さ、参考に、ア、アアア、アンタの意見聞かせ……て……ほしい、かな? なんて……」『モジモジッ』
上条(ヒッ!!)『ビクッ』「ノーパン……」
美琴「ノ、ノーパンッ!?」『ビクッ』
上条『ガクガク(目の前を通った超シースルーショーツ『羽衣』を着た女性を指さして震える)』
美琴(そ、そんな高いハードル、き、急に飛び越えろって言われ……ハッ!? これは試練? 私は今パートナーとして試されてるの……?)
上条『ギギギギ……(上条の首がぎこちなく回る)』「みさか……(棒読み)」
美琴『ビクッ』「え! あ!? あの、わ、私頑張るからっ!!」『グッ(拳を握る)』
上条「むりはするな。せかいがちがうんだ。わすれろ。おれもわすれるから(棒読み)」
美琴「だ、な、何言ってんのよ? だ、大丈夫だから。ほら、今証明して見せるからっ!」『パッ(上条の手を解く)』
上条「?」
美琴「み、見ないでよねこっち……っと、よっ、と……」『モソモソ、ゴソゴソ(上条から見えない角度で、何やらスカートに手を突っ込んでくねくねしている)』
上条「お、おい?」

26ネタ2/2:2009/11/25(水) 13:03:41 ID:6KRrWmKA
美琴「お手」
上条「お手」
美琴「はい」『パサ』
上条「何これ?」
美琴「証明」
上条「何だよ証め……(手にしたものを広げると、見た事のある短パン)ぶっ!? こ、こりゅえ!!」『ボフン(真っ赤)』
美琴「今はこれが精一杯――無くさないでよね。い、ち、お、う、返してもらう予定だから」『カァ――――ッ(上条以上に真っ赤)』
上条『コクコク(短パンを握りしめてうなずく)』
美琴「オッケ。じゃ、そ、その、恥ずかしいから、もうしまってくれる?」『モジッ』
上条「お、おう、わりぃ……」『ゴソゴソ』
美琴(ポケットに仕舞った……)『ボフッ』
上条(何やってんだ俺? 御坂の短パン、ポケットにねじ込んで……。しかも、この状況になんかドキドキしてないかぁぁぁあああああああ?)
美琴「ねえ」
上条「ひゃい!?」『ビクッ(右腕に美琴がしなだれかかって来たので)』
美琴「折角だから、ここ、回ってもいい?」『ギュ』
上条「お、おう」(む、胸ッ!? 胸ェッ!?)
美琴(おかしいわね? こう言う時は必ず邪魔が入るモンなんだけど? ま、いいわ。今はこの時間を楽しみましょ)


白井「今日は一体全体何なんですの!? つまんない事件ばっかりあちこちあちこちあちこちと――」
初春『白井さん、そんな事言ってないでさっさとお財布探して下さい! 中に入ってる映画チケットで入館出来る時間は、あと30分切ってきゃ!?』
白井「初春?」
××『その映画は超レアなんです。これを逃すと次はいつか分からないんですよ! 本当に超よろしくお願いします!!』
初春『だ、か、勝手に通信しないで下さい! 白井さん、そう言う事らしいんでよろしくお願いしますね!』『ブツッ』
白井「ホント何なんですのよ今日は?」


エロに逃げないように引きしめねば。

27■■■■:2009/11/25(水) 18:03:30 ID:F44/4PqQ
>>26
GJです!

デルタフォースの方を見てきたら向こうで続けるみたいな事になってるから
もうこっちで会議しなくてもいいんじゃない?

28■■■■:2009/11/27(金) 22:41:59 ID:Pkjj3bkM
さすがに職人さんが一人っていうのはさみしいな。ほかにも職人さんでてきてくれないかなー

29■■■■:2009/11/27(金) 23:07:29 ID:EnxlD3Sk
リレーSSっぽくなってるから書きにくいんじゃないかね?
流れブッた切っていいのかな?って思ってるんじゃね?

30■■■■:2009/11/28(土) 08:25:52 ID:VjcrzEE.
ネタ書きです。
所詮ただのネタであってSSなんて呼べるような大層なものではないですからぶった切って投下してください。
むしろこちらからお願いしたい。
とにかく私が言いいたいのは、私物化のようになってしまってゴメンナサイ。
かえって過疎化を招いていたとは…。

31■■■■:2009/11/28(土) 11:15:24 ID:AeJXZiSc
美琴スレから来ました

んじゃ俺も書きます
……一旦寝てから

32■■■■:2009/11/29(日) 18:28:05 ID:HLkJQQ9Y
>>31はいつ眠りから覚めるのか

33■■■■:2009/11/29(日) 22:29:52 ID:RxBwsis6
>>31
ザメハ

34■■■■:2009/11/30(月) 00:24:37 ID:PcF4SE/2
おねがい早く書いて

35■■■■:2009/11/30(月) 02:40:50 ID:i6SG5gPM
あまあまなSSはどうやって書けばいいんだろう

36■■■■:2009/11/30(月) 05:07:04 ID:veslq6pk
前書いた奴



10年後

当麻「えーと……すいませんまた海外出張です」
美琴「…………………」
当麻「そ、そんな顔するなよ」
美琴「私も行くわ」
当麻「赤ん坊を置いてか?」
美琴「…………………」
当麻「だからそんな顔すんなって!すぐ帰るよ。たった2泊だ」
美琴「たった………ってそれ本気で言ってるの?」
当麻「いいえ………………っていうか美琴さん?さすがに国際電話を毎日2時間以上は……」
美琴「う、うるさいわね!浮気とかしてないか心配なだけよ」
当麻「は、はあ?俺は今まで浮気なんかしたこと無いだろ?」
美琴「ああそうだったわね。あんたは“たまたま”女の人の胸にダイブしたり、“たまたま”女の人の命を助けてホテルに誘われたり、
   “たまたま”迷子の小学生のパンツを手に入れたり、“たまたま”…ムグッ!?」
当麻「…………………」
美琴「……………………プハァッ!」
当麻「落ち着いたか?」
美琴「キ……キシュでごまかひゅのはずるいってばー」(ビリビリ)
当麻「うぉっ・・・・・・あ、あぶないあぶない。危うくまた家電買い替えに」
美琴「当麻ぁー」
当麻「ん?」
美琴「もう一回キスして…そしたら許したげる」
当麻「一回でいいのか?」
美琴「んー………じゃあ72回」
当麻「多っ!1時間に一回換算!?」
美琴「しなさい!」
当麻「はい」

37寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/11/30(月) 06:53:27 ID:veslq6pk
前書いた奴 修正

あ、俺文の人じゃないので期待しちゃダメです




(何やかんや事件に巻き込まれて自転車に二人乗りすることになった二人)

上条「ん?どうした、乗らねぇのか?」
美琴「え?う、うん。乗るんだけどさ………」
   (どうしよう、普通なら後ろに立ち乗りするところだけど………でもこれは公然とあいつに引っ付くチャンス
    なんじゃ?………って、私はこの非常事態になに馬鹿みたいなしょうもないこと考えてんのよおおおおお)
 頭を抱えて悶絶する美琴。
上条(御坂がまた変だ。いつもの病気か?こういう時はそっとしておくに限るけど………)
  「み、御坂センセー?あの、時間が無いのでそう言うのは後に………」
美琴「だー!もう、わかってるわよ、乗るわよ、乗れば良いんでしょ!」
    と言いつつちゃっかり後ろに横座りする。
上条「?………えーっと、飛ばすからしっかり掴まってろよ?」
美琴「う、うん」
 上条の背中に抱きつこうとするが、いざしようとすると抱き付くという行為を意識してしまう。
 いつも気軽に触れていたり叩いたり殴ったりしていたはずなのに、どういうことか今は鼓動が
どんどん速くなるばかりで、体が金縛りのように動かない。
上条「ん、美琴?」
美琴「ぁ、ひゃい!」
 突然名前を呼ばれて動揺したが、金縛りが解けた勢いで思い切って上条の背を掴んだ。
上条(ひゃい?)
上条「てか、あの、御坂?」
美琴「………な、何よ」
上条「それは……何してんだ?」
 本人的には思い切って差し出したはずの手、の指先は上条のシャツをちょこんとつまんでいるだけだった。
上条(もしかして、俺に触りたくないのか?)
 と後ろ向きな想像をして泣きたくなる上条。
美琴「なな、何よ、あんたまさか、私があんたを抱き、抱きしめ…………だからその、ふ…」
上条「いや、掴むのはサドルでも……ってぎゃあああああああああああ」
 切なげに言いかけたところで美琴がふにゃーとか良いながら放電。
 体勢的に右手が間に合わず、やや食らって上条の体が痙攣する。
上条「お、お前・・・・・・これで何度目だふざけんなコラッってちょっとまだ出てるぅぅ!!落ち着け落ち着け
    落ち着いて下さいぃぃ」
上条「お、お前・・・・・・これで何度目だふざけんなコラッってちょっとまだ出てるぅぅ!!落ち着け落ち着け
   落ち着いて下さいぃぃ」

38寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/11/30(月) 06:56:53 ID:veslq6pk
(続き)

 美琴の肩に右手を置きつつどうにか美琴をなだめると、何故か目がグルグル回って訳が分からなくなって
いたのが徐々に回復していく。
美琴「…………わ、悪かったわね」
上条「いや、わざとじゃねぇんだろ?だったら別に良い……………って全然良くねぇ!!目的地に着くまでに
    俺が死ぬ」
 上条はややためらってから、美琴の右手を右手で取ると、ハンドルを握らせ、その上を右手で掴んだ。
 同時に座る位置を少し前にする。それでも美琴の体が引っ張られる形になるため体は自然と密着した。
上条「こ、こうするしかないな。少しくらい我慢しろよ」
 怒られるかとも思ったが、これ以外に良い方法も見つからない。
 スピードが出て落ち着いてきたら頃合いをみて離せばいいかも、と考えた。
美琴「う、うん」
 美琴はとっさのことにそれだけしか言えなかった。
 頭がおかしくなりそうになりながらも、何とか左腕も上条の腰を抱く。
上条(あれ、素直?……………って御坂、何か当たってる!)
上条「み、御坂?」
美琴「ふぁい」
上条「………ま、まぁいいや。それじゃ、行くとしますか」
 上条はやや緊張した声でそう言い、ペダルを強く踏んだ。

 美琴はまだ不安だった。
 さっきの返事が思い切り上擦ったことを変に思われなかっただろうか。とか、未だに速く大きくなる鼓動に
気付かれはしないだろうか。なんてことばかりが頭の中を駆け巡る。
 しかし、そんな滅茶苦茶な意識にも関わらず、漏電は起こっていない。
 右手がまだ上条の右手に握られたままであることに緊張しつつも、少しだけ安堵する。
 自転車はどんどん加速して、風が頬を撫でた。
 試しに大きく静かに息を吸ってみると、風の匂いと共に上条の匂いが鼻腔をくすぐり、更に緊張が解れて
逆にフニャフニャに弛緩しそうになる。
美琴(やば………私今変な顔になってるんじゃ?)
 そう思って顔を隠すように上条の背中に埋めると、余計に顔がにやけるような気がした。
 あとどのくらいこうしていられるのだろうか。
 ずっとこのままなら良いのにと、心の中で静かに呟いた。

______

体勢が無理とか突っ込まないで

あと、寝る前に書いてた奴、何かちょこっと長くなりそう……

39寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/11/30(月) 06:57:46 ID:veslq6pk
>>37
何か最後の方一文ミスってますさーせん

40■■■■:2009/11/30(月) 08:05:29 ID:KjRPPoUU
>>36>>38
GJォ!!
わがままかわいい美琴妻も、2ケツでふにゃな美琴もかわいい。

41■■■■:2009/12/01(火) 16:00:21 ID:WYFe1YPY
なんか浮かんだ。ちっともいちゃいちゃしてないが。


 上条、○度目の入院後。

美琴「あ、アンタがまた入院したって聞いたから笑いに来てやったわよ!手ぶらじゃ何だから、ほら、お見舞いにクッキー持ってきたわよ」
上条「……御坂たん。いったいそれは何の意地悪でせうか?上条さんはほれ、この通り利き手が使えないのですよ。ぐるぐる巻きに包帯が巻かれておりまして」
美琴「へ、へぇ。それはお気の毒。せっかく今回は手作りにしたんだけどなぁ。あと御坂たん言うな」
上条「手作り?お前、前回のあれ覚えてたのか」
美琴「べ、別にそんなことどうだっていいじゃない。こ、こんなの朝飯前よ、ふん」
上条「普通人を笑いにくるのに、手作りクッキーは持ってこないだろうけどな」
美琴「い、いいじゃない別に。ほら、食べさせてあげるから口開けなさいよ!」
上条「朝飯前とか言う割には、そのクッキー、形がいろいろこってるんだな。カエルに星にハートに……」
美琴「か、形はどうだっていいでしょ!いちいちチェックしないでよ!いいからさっさと口開けなさい」
上条「そんなおしつけんなって(ぱく)」
美琴「!(ゆ、ゆび!ちょっと指がこいつの唇に……!クッキーと一緒にあたしの指がー)」
上条「もぐもぐもぐ。おお、うまいじゃないか。次食わせてくれ次……あれ?御坂、何真っ赤になったまま固まってるんだよ。まだ一杯あるみたいだから次を食わせてくれよ」
美琴「…………」
上条「おーい?美琴さん?」
美琴「ふ、ふ、ふ、」
上条「お?」
美琴「ふにゃー!」
上条「うわぁ!病室で電撃はやめろー!」

42■■■■:2009/12/01(火) 22:58:25 ID:KudJ3wg.
>>36.37,41
GJ!
にやにやが止まらない

43寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/02(水) 01:18:20 ID:XRPGkAmI
昔の 修正
美琴スレのネタから 一部は他の方のレス


美琴「突然だけどしりとりで勝負よ!じゃぁしりとりのりから。はい!」
上条「へ?何だ?…………俺から?うーん、理科室」
美琴「つまみ」
上条「ミートパイ」
美琴「意味」
上条「み、三重」
美琴「笑み」
上条「う………み、味覚」
美琴「くるみ」
上条「み、み………、おい!みで攻めるなんて卑怯だぞ!み、御坂!!」
美琴「………上条///」
上条「へ?あ、海!」
美琴「耳」
上条「またみか!?……美琴」
美琴「とっ、当麻//////」
上条「………魔術師」
美琴「……………………………………………」
上条「ん、どうした?」
美琴「な、何でもないわよ!!」ビリビリ
上条「ぎゃあああああああああああああああああああああ」

44寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/02(水) 01:22:22 ID:XRPGkAmI
昔の


美琴って陰でママゴトとかしてるんじゃね?

ケロヨンを持って
美琴「今帰ったぞー美琴ー」 (声色)
ピョン子を持って
美琴「あ、おかえりー…………と、と、と、当麻!ご飯にする?お風呂にする?」
ケロヨンを持って
美琴「風呂だな―。い、一緒に入ろうぜ美琴」
ピョン子を持って
美琴「う、うん。でも私・・・・・・またビリビリしちゃうかも//////」
ケロヨンを持って
美琴「俺がずっと抱きしめていてやるさ」
ピョン子を持って
美琴「当麻……」
ケロヨンを持って、徐々にピョン子に近づける
美琴「美琴……」
黒子「お姉様…………………………」
美琴「!!!??」

45■■■■:2009/12/02(水) 13:34:44 ID:hkju7fY.
>>43,44
最高です。ガンガンください。

46■■■■:2009/12/03(木) 07:37:48 ID:gtBWU.SY
いちゃSSってオチむずいな……

47寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/03(木) 08:04:31 ID:gtBWU.SY
長い奴が全然進まないのに短いのは何故か進む不思議


Xヶ月後  (美琴は通い妻状態) (1/2)

トントントントンとリズム良く野菜を刻む音に、上条は目を覚ました。
上条「ふわーっあ。あー、おはよう美…………………こと?」
美琴「………………………………………お、おはよう…当麻」
 その台所はいつもと何かが違っていた。
 何が違うのだろうか。上条は冷静に分析し始める。
 まず美琴が付けているエプロンがおかしい。
 いつも使っているのは上条宅に元々あった黒い無地のものであったが、今美琴が付けている
のは薄いピンク色で、フリルがふんだんに散りばめられたものである。
 なるほど。エプロンを替えることによっていつもの見慣れた光景が新鮮に………って違う!
と上条はかぶりを振る。
 美琴の細い肩が丸見えである。
 美琴の滑らかで柔らかなカーブを描いた背中が丸見えである。
 美琴の程よく引き締まったかわいいお尻が丸見えである。
 つまり……
上条(裸エプロンだ。男の夢。裸エプロンだ。裸エプロンン…………!!!)
 上条はまず言葉を失い、次に美琴に感謝の弁を述べたくなった。素晴らしい贈り物をありがとうと。
 しかしあまりの感動で言葉が出ない。
 とりあえずどうにか伝えるべく美琴を見つめると、美琴の顔は不自然なまでに上条の反対側を
向いていた。
 もっとよく観察してみると、さっき切っていたであろうキュウリは全て切り終えられていて、
包丁を持った手は所在なく宙に浮いている。
 更に更によく観察すると、美琴の耳がじんわり紅くなっていき、しまいには全身が小刻みに
震えだしてきたのが分かった。
 上条は悩む。一体この状況で何て声を掛けて良いのか。
 ツッコミを入れればいいのか、ボケればいいのか、素直に礼を言うべきか……………
 と、上条が色々考えている内にも美琴の震えはさらに強くなっていく。
 正直今にも電撃が飛んできそうでちょっと怖い。

48寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/03(木) 08:10:00 ID:gtBWU.SY
上条(……………………見なかったことにしよう)
上条「さ、さーて、新聞でも…」
美琴「くぉーらぁー!!スルーしてんじゃないわよ!!」
上条「うおおおおおおおい!!人に包丁を向けるなー!!」
 とか何とか言いつつ見事に包丁を白刃取りする上条。
美琴「ひ、人がこんな格好してるんだから何か言いなさいよ馬鹿。死ぬ程恥ずかしいんだから!!」
上条「いや、いきなりそんなことされても上条さんはリアクションに困るというか何というか。
    そもそも何だってこんなことになってんだ?」
 上条が尋ねると、美琴は床に座り込み指でエプロンのフリルを弄り始める。
 ちなみにそのエプロンの前面には、可愛らしいうさぎのキャラクターが刺繍されており、どう見ても
裸エプロンには不釣り合いな代物だった。(ただし上条の友人なら逆にこれは良い!と言いそうだと
上条は一瞬思う)
美琴「………べ、別にたまたまかわいいエプロン買ったから。こ、こう言うのも、良いかなって……
    その………あんたが、嫌いじゃないなら………だけど。って何泣いてるわけ?」
上条「ありがとう。ありがとう美琴。俺は何て素晴らしい恋人を………、もう美琴の愛で前が見えない」
美琴「あ、愛とか!そういうんじゃなくて………わ、んっ」
 感極まって上条は号泣したまま美琴を抱きしめ、キスをする。
 もちろん漏電対策に右手でそっと頭の後ろを触ってやるのも忘れない。
美琴「い、いきなりびっくりするじゃないのよ馬鹿」
上条「お前が悪いんだろ馬鹿」
 右手を頭に置いたまま、唇をわずか数センチ、互いの息が掛かるくらいの距離を離して文句の言い合いをする。
 しかしそれが囁きであるせいか、両者の顔が真っ赤であるせいか、言葉とは裏腹に二人の息はますます熱く
荒くなる。
 そうしてる間に、どちらからともなく再び唇を重ねる。
上条「………あー、ところで美琴さん?朝飯の準備はもう良いんだっけ」
美琴「んんー?もう全部できちゃってるけどー?」
 徐々にフニャフニャしてきた美琴を支えるため、上条は右手の力を強める。
上条「……あれ?じゃぁあのキュウリは」
美琴「………………………………………」
 ゴンッ!と突然美琴が頭突きしてきたが、距離が近いのでそれ程痛くはない。
上条「ならいいや。美琴」
美琴「………なによ」
上条「上条ジュニアさんが限界です」
 キリッと真顔でそんなことを言う上条に対して、
美琴「………………ばか」
 と美琴は美琴で抑えようにも抑えきれないニヤケ面で返すのだった。
__________


続きはご想像にお任せ

49■■■■:2009/12/04(金) 00:22:32 ID:I2gAakOo
>>48
想像した。すんばらしい。

50■■■■:2009/12/04(金) 08:36:05 ID:c/0sf80c
一端覧祭はまだかーと思いつつ小ネタ。

上条「おーい御坂ー」
美琴「(あ、アイツが私を呼んでる!?どきどき)な、何よそんな大声で呼んで」
上条「いや、一端覧祭だけどさ」
美琴「(も、もしかして誘ってくれてるの)い、いちはならんさいが、なによ」
上条「なんで声が裏返ってるんだよ。あー、お前らのクラスって、何か出し物すんの?」
美琴「え?ああ、うちのクラスは喫茶室やるわよ。アンタ達は?」
上条「おお、よかった。うちのクラスとかぶってねーな。じゃ、これやるよ」
美琴「何よ、このチケット。……なになに、『招待券』?」
上条「ああ、うちのクラスで射的場やるんだよ。その招待券。1回タダでできるから、白井とか、クラスの奴誘って遊びに来いよ。あ、その招待券女の子オンリーだから、男には回すなよ?」
美琴「(なんだ、誘いじゃないんだ……)え?ええ、わかったわよ。って、4枚?多くない?」
上条「ああ、俺ノルマ20枚なんだわ。ほかの奴は5枚くらいなのに、あと16人声かけてこなくっちゃなんなくてさ。御坂妹がたしか、10人くらい学園都市に残ってたから、あいつらに渡して10枚だろ。インデックスと風斬と、あー神裂と五和はイギリスか。後4枚どうすっかなー」
美琴「……………」
上条「ってお前、何パチパチしてんだよ。体調でも悪いのか?ほれ」
美琴「(え?なんでこいつがあたしの頭……髪の毛なでてるのよ!)」
上条「それとも電撃使いって、冬場は静電気で大変なのか?俺の右手で止められるみたいだけど」
美琴「そ、そんなことないわよ!(こいつの手……気持ちいい……)」
上条「お前……顔赤いけど、もしかして風邪ひいてるんじゃないか?どれどれ」
美琴「(てっ、てっ、手があたしの額に!………ぷすぷす)」
上条「ありゃ、なんか熱いぞ。白井呼んで寮まで連れてってもらった方がいいんじゃないか?」
美琴「こ、これくらいで黒子なんか呼べないわよ。アンタ、このまま寮まで連れてってよ」
上条「え?俺?まあしょうがないか。ほれ、つかまれ」
美琴「(ちょ、ちょ、ちょっと、コイツと腕組んで帰るの?)」
上条「そのスカートじゃ短パン履いてたっておんぶも厳しいしな。ちっとだるいだろうけど、これで我慢しろ。俺の右腕だったら、うっかり電撃出しそうになっても止められるだろ」
美琴「う、うん……ありがとう……」
上条「……なんかお前がしおらしいと、別人みたいだな……」
美琴「(コイツと腕組んで、腕組んでる……)」
上条「おい、御坂?大丈夫か?」
美琴「へ?え、あ、うん。大丈夫……あのさ」
上条「なんだー?」
美琴「一端覧祭だけど、さ……一緒に……回らない?」
上条「あー、いいぞ。だったらほかの奴にも声かけて回ろうぜ」
美琴「いや……そうじゃなくて……あ、アンタと私の二人で……」
上条「?なんか言ったか?声ちっさくてきこえないんだけど」
美琴「な、なんでも、ないわよ……(あーあたしの意気地なしー!)」

51■■■■:2009/12/05(土) 02:07:58 ID:H1coS3kE
上条当麻は朝から腹をすかせていた。

何故ならば、今朝は何を食べようかなーと思い冷蔵庫を開けてみれば中身は空っぽで、
仕方がないので近くのコンビニに朝飯を買いに行こうと思いきや、度重なる不況の煽りを受けて
近所に唯一そこだけしかなかったコンビニは閉店に追いやられ、結局寮から少し離れた場所にある
コンビニに行かざるを得ない状況になってしまい、この有様である。

上条(はぁ・・・、朝から不幸だ。早起きは三文の得ってよく言うけど、ありゃウソだな。っつーか、俺の場合だけか?
    あぁ・・・、何かまだ不幸な事が起こりそうな気がする。二度ある事は三度あるってよく言うし・・・)

打ち止め「ねえねえ、朝からこの世の終わりを迎えたような顔してどこへ行くの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

上条(い、いや!流石に考えすぎだ考えすぎ。もっとポジティブにいかなきゃな!うーん、今日の朝飯は何にしよっかなー)

打ち止め「ちょっ、いくら何でもスルーは酷すぎるかも!ってミサカはミサカは不機嫌そうに頬を膨らませてみたり」

上条「・・・ん?ありゃ、打ち止めじゃねーか。どーしたんだ、こんな朝早くかr・・・はっ!
    ま、まさかまたトラブルに巻き込まれてるのか?すまん、協力するから少しだけ時間をくれ。
    流石に朝飯抜いた状態でトラブルを対処しろってのは流石の上条さんでもきついと言うか」

打ち止め「あなたは一体何を口走ってるの?ってミサカはミサカはあなたの被害妄想癖に少し同情してみたり
      それからミサカはただ遊びに行こうと思ってただけだよ、ってミサカはミサカは誤解を解いてみる」

上条「・・・えっ?な、なんだ良かったー。それじゃ、俺は急いでるからまたな・・・って。何故私の服の裾を掴んでるんでせうか?」

打ち止め「ふっふふーん、ってミサカはミサカはいいカモもとい遊び相手を見つけてほくそ笑んでみたり」

上条「・・・あ、遊び相手?・・・や、やっぱり二度ある事は三度ある・・・ってか。不幸だ・・・」

52■■■■:2009/12/05(土) 02:08:23 ID:H1coS3kE
上条「で、具体的に何をして遊びたいんだ?」

打ち止め「んーとね、特に何にも考えてないんだよ、ってミサカはミサカは
      「やっちゃった☆」と言わんばかりに拳をコツンと頭に当ててみたり」

上条「ノープランかよ!」

打ち止め「あ、あははー。そ、そうだ遊園地!ってミサカはミサカは苦しまぎれに提案してみたり」

上条「遊園地?そういや最近新しいテーマパークがオープンしたって土御門達が言ってたっけなあ」

打ち止め「そ、そう!その新しくできた遊園地に行ってみたいかも!ってミサカはミサカははしゃいでみたり」

上条「遊園地か・・・。そういや俺遊園地って行った事ねーな」

打ち止め「それじゃあ是非行くべきかも!ってミサカはミサカは強引にあなたの腕を引っ張ってみる」

上条「まあそれはいいんだけど・・・。
    もしお前と一緒にいるところを知り合いに見られでもしたら何やら色々とあらぬ誤解を受けそうだ・・・」

打ち止め「?よく分からないけど、要するに誤解を解ければいいんだよね、ってミサカはミサカはあなたに確認を取ってみる
      それなら、いっそ兄妹って事にしちゃえばいいんじゃない?ってミサカはミサカは王道パターンの解答をしてみる」

上条「兄妹か・・・、それならあr・・・いや、駄目だ!もし土御門とかにこの光景を見られでもしたら、
    「何だかんだ言ってカミやんも俺と同類だったんじゃないかにゃー」とか言われるに決まってる!」

打ち止め「あなたは一体何を口走ってるの?ってミサカはミサカは少々本気であなたの頭を心配してみる」

53■■■■:2009/12/05(土) 02:09:00 ID:H1coS3kE
上条「うーん・・・、そ、そうだ!従兄弟!従兄弟ならまだセーフだろ!
    これならアイツらに見つかっても変な事言われる心配はない・・・かな?」

打ち止め「よく分からないけど、あなたが納得したんならそれでいいよ、
      ってミサカはミサカは身体は子供でも頭脳は大人なのであなたに同調してあげる」

上条「・・・なんか小馬鹿にされているような気がするんですが」

打ち止め「気のせいじゃないかな?ってミサカはミサカはさらっと流してみたり。
      それじゃああなたの事は何て呼べばいいの?お兄ちゃんって呼べばいいかな?
      ってミサカはミサカは成人男性が喜びそうなキーワードを発してみる」

上条「それじゃあ結局何の解決もしてねーじゃねーか!せめて別のにしてくれ!」

打ち止め「えー?お兄ちゃんってばわがままだなー、ってミサカはミサカはいわゆる妹キャラを演じてみたり」

上条「演じなくていい!もっと他のがあるだろ、例えば・・・「当麻さん」とか「当麻くん」とか
    ・・・いや、これでも結局のところ、あらぬ誤解を避けては通れないような気がする・・・」

打ち止め「おにーちゃーん?ってミサカはミサカは女性の必殺技と言われる上目遣いで攻撃してみる」

上条(うっ!?・・・はっ!いかんいかん!俺は何を考えてるんだ!
    これじゃ土御門と本当に同類じゃないか!これは違う!違うんだ!
    俺が好きなのはあくまでも年上の管理人さんキャラであって、妹属性は―)


美琴「・・・アンタは、年端のいかない女の子に何を言わせてるのかしら・・・?」

54■■■■:2009/12/05(土) 02:09:26 ID:H1coS3kE
御坂美琴は朝から胸を躍らせていた。

何故ならば、彼女が毎週立ち読みしている週刊漫画雑誌は本来月曜日に店に並ぶのだが、
彼女が生活する寮からは少し離れてはいるものの、彼女の寮がある第七学区内のとあるコンビニで
月曜日に並ぶはずの漫画雑誌が一日早く店に並んでいるという何とも耳寄りな情報を挟んだので、
本来学生にとっては休日である日曜日にも関わらず、彼女はその目的のコンビニへ向かっていた。

美琴(ほんっといい穴場を見つけたわー。教えてくれた土御門には感謝しなきゃね。
    「密室×密室探偵」、先週は凄くいいところで終わっちゃったからなー。
    まさかバーロウ=新二だなんて・・・すごい展開よねー。一体これからどうなるのかしら!
    あーもう、まだ読んでもいないのにすっごくウキウキしちゃってるわあたし!)

と、彼女が読んでいる漫画雑誌の中でも特に毎週楽しみにしている推理漫画の今後の展開を
あれやこれやと考えながら歩いていると、彼女のわずか数メートル先に、よく見慣れた、そして
彼女が淡い恋心を抱いている少年の姿が見えた。

美琴(・・・ッ!な、何でアイツがこんな朝早くからいんのよ!
    タイミング悪いっていうか良いっていうか・・・って違う違う!そんなんじゃないんだからっ!
    あーもう!「密室×密室探偵」も読みたいけど、アイツとも話したいって言うか!
    で、でも漫画はいつでも読めるけど、アイツとはいつでも会えるわけじゃないし・・・)


美琴が顔を真っ赤にしながら、誰に言うのかも分からない言い訳を必死に考えていると、
彼女の耳に聞き捨てならない単語が飛び込んできた。

55■■■■:2009/12/05(土) 02:09:43 ID:H1coS3kE
上条「―というわけでございまして、上条さんには悪意と言うか、やましい気持ちは一切なかったんでございますよ」

美琴「本当かしら?あやしいもんだわ・・・まあ、いいけど。だけど次似たような事があったら本気でぶっ飛ばすから」

上条(ううっ・・・、やっぱり不幸だ・・・。結局朝飯は食えずじまいだし、朝からビリビリに殺されかけるし・・・)

美琴「何か文句でも?」

上条「い、いえっ!!滅相もない!!何も文句なんてないのでございますよ!!?」

打ち止め「ねえ、そろそろいいかな?ってミサカはミサカは痴話喧嘩の仲裁をしてみたり」

美琴「ち、ちわっ!!?ななな何を言ってるのアンタは!!一体何処でそんな言葉を覚えたのよ!!」

打ち止め「ふふーん、ミサカはミサカネットワークを通していろんな情報を知る事ができるんだよ、
      ってミサカはミサカは胸を張って威張ってみたり」

美琴「そんな情報まで仕入れなくてもいいのよ!大体アンタまだ子供でしょうが!!」

上条「はいはい、もうそれはいいから。ところで御坂、お前こんなとこで何してんだ?」

美琴「な、何って・・・。・・・さ、散歩よ、散歩」

上条「・・・って事は、お前今ヒマなんだな?」

美琴「暇というか、そうじゃないと言うか・・・その・・・」

上条「そーかそーか!打ち止め、美琴おねーさまが遊んでくれるってよ!
    それでは上条さんはこれから用事があるので失礼させてもらいますね!!」

美琴「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!アンタ責任放棄する気!?」

上条「いやー用事がなければ上条さんも遊んであげたいんですけどねー!
    流石に朝飯食わないと上条さんも元気が出ないって言うか―・・・はっ!」

美琴「ほほう・・・?朝ごはんを食べにねぇ・・・?」

上条「い、いや、違うんでございますよ?上条さんは朝飯を食うだけが今日の目的じゃないと言いますか、
    今日は他にも色々と用事がありまして忙しいと言いますかその」

美琴「じゃあ、今日の予定を、一時間刻みに、事細かーく説明してもらえるかしら?」

56■■■■:2009/12/05(土) 02:10:26 ID:H1coS3kE
上条・美琴・打ち止めの三人は近所のファミレスに来ていた。

「支払いは当然アンタよね?」と、ゴゴゴ・・・とか、バチバチ・・・とか効果音が聞こえそうなくらい
どす黒いオーラを放つ美琴の前に上条は為す術もなく、結局ここでの代金は上条持ちという事になった。
美琴は既に朝食を済ませていた為、彼女の目の前には紅茶しか置かれていないが、
隣の席に座る打ち止めの目の前には期間限定メニューのジャンボマロンパフェが置かれていた。

上条「っつーか、実際のところ御坂は暇なんだろ?だったら俺が遊んでやるより、よっぽどいいんじゃねーか?」

美琴「暇って言っても・・・。大体、アンタが最初に頼まれたんだからその責任は果たすべきでしょ」

上条「でも、知り合いに見られたらあらぬ誤解を生みそうだし・・・。大体、お前もキレてたじゃねーか」

美琴「そ、それはっ!アンタがこの子に「おにーちゃーん」とか呼ばせてたからでしょ!」

上条「だから呼ばせてねーって!コイツが勝手に勘違いして呼んでただけだってさっきも説明したじゃねえか!」

上条と美琴がぎゃあぎゃあと騒いでいる横で、打ち止めはジャンボマロンパフェを最後まで食べ終え、
クリームで汚れた口の周りを紙ナプキンを丁寧に拭った後、

打ち止め「じゃあ、みんなで一緒に行けばいいんじゃない?ってミサカはミサカはまたまた痴話喧嘩に割って入ってみたり」

上条・美琴「「え?」」

打ち止め「遊ぶなら人数が多い方が楽しいかも、ってミサカはミサカは少し気分が高揚している二人の説得を試みたり」

上条「・・・まあ、それが一番無難なとこかもな。御坂はどうなんだ?」

美琴「えっ、あ、アタシ?アタシはその・・・別に・・・、別に、いいけど」

打ち止め「それじゃあ決まりだね!ってミサカはミサカは色んな意味でワクワクしてみたり
      そうと決まれば早く行こう!ってミサカはミサカは二人の腕を強引に掴んでみる」

美琴「ちょ、ちょっと!!」

上条「ちょっ、まだ俺全部食ってないって!」




続きはまた次回

57■■■■:2009/12/05(土) 13:07:15 ID:N.zMyHZ2
わっほーわっほー

58■■■■:2009/12/05(土) 13:08:52 ID:vCYkV8Yo
わっふるわっふる

59■■■■:2009/12/05(土) 14:06:55 ID:3m2wJIGs
ぜひ続きを頼む。

60■■■■:2009/12/05(土) 14:17:26 ID:HZMyn3rY
2828とまらん

61■■■■:2009/12/05(土) 14:33:37 ID:vCYkV8Yo
続きが来たら本気出す

62カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/05(土) 23:59:32 ID:H1coS3kE
>>56の続き、あと酉付けた


本来、学びの場である学園都市に遊園地というものは元々ひとつも存在しなかったのだが、
いくつかの研究機関が実験という名目で学園都市上層部に掛け合い、作られる事になったのが
この巨大なテーマパーク、「スペースハイランド」なのである。

上条「ところで、これから遊園地に行くわけだけど、お前金とか持ってるのか?」

打ち止め「え?持ってないよ?ってミサカはミサカはあたかもそれが当然であるかのように言ってみる」

上条「おいっ!言い出しっぺのくせに無一文かよ!って事は、結局また俺が払うのかよ・・・」

美琴「いいわよ、さっき奢ってもらったんだし、そのくらいあたしが払ってあげるわよ」

上条「い、いいって。大体、メシ代と遊園地の料金じゃ明らかに釣り合わないだろ」

美琴「いちいち細かい事気にしないのー。こういう時くらい、素直に好意を受け取りなさいよ
    それにこの子はあたしの妹みたいなもんだし、姉として当然の務めよ」

上条「・・・そっか、悪ぃな」

打ち止め「ありがとーおねーちゃん!ってミサカはミサカはお姉様の気前の良さに惚れ惚れしてみたり」

美琴「い、いいのよこのくらい。ほら、ただでさえオープンしたばかりで混んでるんだから、さっさと行くわよ」

打ち止め「わーい、ミサカはミサカはすっごく楽しみ!」

63カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/05(土) 23:59:57 ID:H1coS3kE
上条「よし、それじゃあ何処から行きたいんだ?」

打ち止め「うーんとね、ジェットコースター!ってミサカはミサカは目の前にそびえ立つジェットコースターを指さして言ってみたり」

上条「いいけど、身長制限とか大丈夫か?小萌先生なんて、身長制限の為に断られた事があるんだぞ?」

美琴「そこまで詳しくは知らないけど、120から130cmくらいあれば普通のジェットコースターくらいなら乗れるみたいよ
    この子の身長は130cm後半くらいだし、そこまで凄いジェットコースターでもない限り大丈夫じゃない?」

上条「へぇー。そんじゃ、打ち止めでも乗れそうなところをリストアップしてみるか」

上条は入場の時に貰ったパンフレットの絶叫マシンリストにマーカーで印を付けていく。
実験とは言え、元々学生を対象として作られているので身長制限も学園都市外の遊園地と比べて
少し厳しめになってはいるものの、それでも午前中くらいなら軽く遊べそうなくらいの絶叫マシンに印が付けられた。

上条「この中なら、「キャノンボール」ってのが一番面白いみたいだな。じゃあ、これにすっか」

打ち止め「うわーい、ミサカはミサカは初めてのジェットコースターに胸を踊らせてみたり
      早く行こうよ、ってミサカはミサカは二人の手をぐいぐいと引っ張って急かしてみる」

キャノンボール。
最高速度120km/h、最大落差65mと「スペースハイランド」内にある他の絶叫マシンに見劣りはするものの、
それでも世界最高クラスのスペックを誇る、スペースハイランドの人気アトラクションである。

打ち止め「う、うわー、結構高いねー、ってミサカはミサカは少し武者震いしてきたり」

上条「それってビビってるだけなんじゃねぇのか・・・?御坂はこういうの平気な方なのか?」

美琴「あたし?あたしは絶叫マシン大好きよ。遊園地に行くといつも日が暮れるまで絶叫マシンに乗ってたしねー」

上条「そ、それはそれですげーな・・・。お前、本当に女の子かよ・・・」

美琴「ん?何か文句でもあんの?」

上条「い、いえっ!文句なんてありませんからこの人ごみの中でビリビリするのはやめてーっ!!」

64カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/06(日) 00:00:14 ID:.s1fekEE
打ち止め「あ、あんまり大した事なかったねーってミサカはミサカは平静を装ってみる」

上条「少し涙目じゃねーか・・・。で、次行きたいとこあるか?御坂も何かないか?」

美琴「あたし?あたしは別に絶叫マシン続けて乗ってもいいけど・・・、これじゃ、ねぇ・・・?」

打ち止め「ミッ、ミサカはミサカは別に怖くなんてなかったもん!って声を荒らげて反論してみる!」

上条「はいはい・・・。次はもう少し軽めなのにするか・・・」

美琴「じゃあ、この「スプラッシュコースター」っていうのはどうかしら?これならこの子も大丈夫でしょ」

上条「そうだな、これならそこまで怖くはないだろ。ほら、打ち止め、いじけてないで行くぞー」

打ち止め「ぐすん、ミサカはミサカは泣きたくても泣けないこの状況でブルーな気分になってきたり」

スプラッシュコースター。
子供向けのジェットコースターを改良した急流すべりで、スピードは改良前のジェットコースター並、
そして普通の急流すべりと違って浮き沈みする箇所が何箇所もあり、最大で40mもの落差を誇る、
これまた「スペースマウンテン」における人気アトラクションのひとつである。

上条「急流すべりって、確か端っこが結構濡れるんだよな、それじゃ俺が端に座るか」

美琴「ただでさえジェットコースターで凹んでるのに、更に水浸しにするのは流石に可哀想よねー・・・
    仕方ない、自ら濡れるのは気が進まないけど、私も可愛い妹分の為に一肌脱いであげますか」

上条「優しいんだな」

美琴「アンタほどじゃないわよ」

65カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/06(日) 00:01:49 ID:.s1fekEE
打ち止め「うっひゃー、楽しかった!ってミサカはミサカはさっきとは一転大はしゃぎ!」

上条「うう・・・、まさかレインコートを着ててもこんなに濡れるとは・・・」

美琴「・・・まぁ、あの子は楽しんでくれたみたいだし、それだけでも十分じゃない?」

上条「・・・そうだな。さて!次は何処へ行きますか!」

美琴「この辺りはどっちかって言うと絶叫系アトラクションよりも子供向けアトラクションエリアみたいね」

打ち止め「ねー!メリーゴーランドがあるよ!ってミサカはミサカは興奮気味に話してみたり!」

上条「・・・流石お前のDNAを受け継いでるというか、乙女趣味はあいつにもちゃんと引き継がれてんのな」

美琴「いいじゃないの。あのくらいの年頃の女の子なら、誰だって遊園地に来たらメリーゴーランドに乗りたいもんよ」

上条「・・・お前もそうだったのか?さっきは一日中絶叫マシンに乗り回ってるとか言ってたけど」

美琴「そ、そりゃあ絶叫系ばかりじゃないわよ!メリーゴーランドとかだって・・・その・・・ちゃんと、乗ってたわよ」

打ち止め「ねーねー!乗ろうよ乗ろうよー!ってミサカはミサカは目を輝かせながら催促してみたり」

上条「あー、俺パス。さっき濡れた服乾かしたいからさ、ここで見てるよ」

美琴「じゃ、あたしが行ってやりますか。乙女の相手は乙女にお任せ、ってね」

上条「へいへい。ほら、早く行ってやれよ。アイツ、まだかまだかと待ちわびてるぜ?」

美琴「分かってるわよー。ちょっとー、待ちなさいよー。あたしも乗るんだからねー」

上条はちゃんと見ていた。何だかんだ理由をつけても、メリーゴーランドに乗るとなって
美琴が少し嬉しそうにしていたのを。美琴の声のテンションが少しだけ上がったのを。

上条(普段はビリビリ言ってるけど、アイツもちゃんと女の子やってんだなー・・・)





続く、けど次に投下できるのはもうちょっと先になりそうかも

66■■■■:2009/12/06(日) 22:04:03 ID:QgxSweTA
いくらでも待つぞい!

67■■■■:2009/12/07(月) 17:15:59 ID:fQ65yOcI
途中からスペースマウンテンに変わんなw

68■■■■:2009/12/09(水) 10:32:17 ID:kPAEVQ9s
まだー?

69■■■■:2009/12/09(水) 10:44:46 ID:gmtfvVdE
書いてる人俺含め数人だからなー

70■■■■:2009/12/09(水) 19:43:17 ID:onKyYCH2
バレンタインで小ネタ浮かんだんで投下。
面白くなくてスマヌ。


美琴「ちょっとア……じゃなかった上条当麻!待ちなさいよ!」
上条「おっす御坂。今日も元気だなー。手に持ってる紙袋、そりゃ何だ?」
美琴「え?あ、ああこれ?後輩からもらったチョコレートよ。今日、バレンタインデーだし」
上条「ふうん。ずいぶんたくさん持ってるな。やっぱ女子校ってそういうのあるんだ」
美琴「まぁね。そういうアンタこそなにやらいろいろぶら下げてるじゃない」
上条「ああこれか?クラスの女子が不幸体質彼女なしの俺を哀れんで、恵んでくれた義理チョコですよーだ。モテモテの御坂さんとは違うんですのよー(棒)」
美琴「(っていう割には、どう見ても本気クラスの手作りチョコレートケーキらしき包みとか、あたしでも知ってる高級ブランドとかが混じってるのはどういうわけ?)」
上条「おい、御坂?何をガン見してるんだ?そんだけもらってるのに、まさかうらやましいとか言うなよ?」
美琴「う、うらやましいわけないでしょ!(ごそごそ)はいこれ、アンタ1個ももらえないだろうと思って、美琴さんが手作りしたのよ!感謝しなさい!」
上条「…………(じー)」
美琴「な、何よ?なんか文句でもあんの?」
上条「いやぁ、義理でも手作りってうれしいなぁって感動しただけ。不器用な御坂が頑張って作ってくれたってところには感謝ですよ?」
美琴「あたしは料理下手なキャラじゃないって言ってるでしょ!それに義理じゃないわよ本命よ!!」
上条「………………え?本命?」
美琴「(い、い、言っちゃったー!)」
上条「あの。御坂サン。本命って、あの本命?本に命と書いて本命と読むあれですか?」
美琴「…………(こくん)」
上条「御坂さん」
美琴「な、何?」
上条「これから俺を超弩級不幸が見舞う前に、このチョコ食べてもいいですかいいですよねって言うか今すぐ食べるの三段活用!!いただきます!」
美琴「え、や、あの、ねぇちょっとここでそれ開いて食べるのやめてきゃー!!」
上条「いやだいやだ誰かに横取りされたり蹴り入れられて落っことしたりいきなり海外へ連れ出される前に俺はこれを食う!全部胃袋に納める!本命チョコなんて初めてだもんね!(がつがつむしゃむしゃ)」
美琴「……………(呆然)」
上条「(もぐもぐごっくん)……御坂。うまかった。ごちそうさま」
美琴「あ、ええと、うん。よかった(////)」
上条「それで、ホワイトデーのお返しなんですが」
美琴「………うん」
上条「あー……当日、俺が1日御坂につきあう、ってことでいいか?」
美琴「う、うん。それで、いい………」
上条「(あーよかったー。本命で手作りなんて言われたら、10倍返し要求されてもおかしくないし)」

71■■■■:2009/12/09(水) 22:56:13 ID:r3C2Qlco
さぁホワイトデーを書くんだ!

72■■■■:2009/12/09(水) 23:34:09 ID:VD0Jlsxg
ホワイデーに期待

73■■■■:2009/12/09(水) 23:43:29 ID:jEK2lz8Q
遊園地の人もバレンタインの人も期待

74■■■■:2009/12/10(木) 02:06:07 ID:rhW3gnIE
すんません 見あたらなかったんで制限確認させて下さい (一行全角50字)             
2                                              
3                                              
4                                              
5                                              
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8                                              
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29                                              
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33                                              
34                                              
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75■■■■:2009/12/10(木) 02:10:46 ID:rhW3gnIE
おそらく60行4096byteですね
小説1巻≒100レスくらい

失礼しました

76■■■■:2009/12/10(木) 07:06:18 ID:wafKF1I.
>>74-75
失礼しましたじゃねェンだよ。
そォ言うのはよォ、ゴミみてェなスレがあンだから、そっちでやりゃいいンじゃねェのか?
それともここがゴミスレだってか?

ま、冗談はさておき、同じような人が現れない為の予防線です。
こう言う時こそ不要なスレを有効活用した方が良いと思いますよ。
でわ。

77■■■■:2009/12/10(木) 16:08:42 ID:pTRPhx2g
遊園地の人、待ってます。
その間にホワイトデー投下。


美琴「ごめーん、待ったぁ?って、アンタが先に来てるなんて意外」
上条「あ、ああ俺も今来たところだから」
美琴「ふうん。ねぇ、アンタの制服や髪の毛、なんでそんなによれぼろなの?」
上条「ここに来るまでにいろいろあったんだ。いろいろとな……」
美琴「なになに?何があったの?」
上条「とりあえず………クラス全員に追い回された……。俺はホワイトデーにお返しのクッキーを配っただけなのに。……不幸だ」
美琴「あ、あははは。まぁ、今日はあれよ、これからぱーっと遊んで、いやなことは忘れましょ」
上条「そうだな。で、どこ行く?」
美琴「はい?」
上条「いや、だからさ。どこに行く?今日はお前の行きたいところにに一日つきあうつもりだったから、俺は特に予定立ててないんだけど」
美琴「…………アーンーターはー…………」
上条「(な、何かいやな予感がする)……そうだ!げ、ゲコ太!」
美琴「ゲコ太が、どうかしたの?」
上条「ゲコ太グッズを見に行こうそうしよう。御坂、お前どこのショップに何があるとかくわしいんだろ?案内してくれよ」
美琴「アンタもやっとゲコ太の良さを理解したの?なーんだそういう事なら早く言ってよー。それなら、あたしのお気に入りのお店に行きましょ。そうと決まればレッツゴー!」
上条「御坂、ストップ」
美琴「はい?」
上条「引っ張るなら、俺の左手じゃなくて右手。こっちがお前の定位置」
美琴「(定位置って、定位置ってーーーー!!!)う、うん。だったらさ……腕組んで、いい?」
上条「あ、ああ。いいけど(よ、よしうまくいった。これで電撃回避成功)」
美琴「(て、定位置ゲット!)じゃ、行きましょう。ほらはやくぅ」

78■■■■:2009/12/10(木) 16:09:48 ID:pTRPhx2g
上条「なぁ、御坂」
美琴「な、なぁに?」
上条「さっきからさ、その、お前の……む……む……むね……いやなんでもない」
美琴「言いたいことがあるなら、はっきり言いなさいよ」
上条「ああ、いや、その……なんか妙に高級そうな店が建ち並んでる場所に引っ張ってこられたなーと。で、なんで角の宝石屋さんを目指してるんですか?」
美琴「ここのショーケースに、あたしの一番お気に入りのゲコ太グッズが飾ってあるのよ。ほら、あれ見て」
上条「……えーと、これは、ダイヤをあしらったゲコ太のブローチ……ですか?」
美琴「そう!かわいいでしょ?ホワイトデーのお返しはこれがいいなぁ」
上条「ははは……値段はいち、じゅう、ひゃく、せん、まん……っておい!学生がプレゼントするような価格じゃねーぞこれ!」
美琴「だったら、アンタがバイトして、プレゼントしてよ。あたし、待ってるから……あ」
上条「今度はなんですか?ゲコ太デザインのユニットバスとか言われてもおどろかねーぞ俺は」
美琴「あたし、返事聞いてない」
上条「返事?なんの?」
美琴「………ほ、ほ、本命チョコ……の(////)」
上条「(しまったー!本命チョコもらったって事で浮かれてて、本命もらったら返事しなきゃいけないとか言うのは忘れてた!だって『本命』って付いたチョコもらったのなんて生まれて初めてだったし!)」
美琴「ね、ねぇ。聞かせてよ。返事」
上条「(ゲコ太グッズ適当に選んで返せばオッケーくらいしか考えてませんでしたとか絶対許される展開じゃないだろうこれ!どうする、どうする上条当麻!)」
美琴「さっきから赤くなったり青くなったりしてるけど、アンタいったいどうしたの?」
上条「………御坂さん。そういうのはこういう往来で人様に聞かせるもんじゃないと、上条さんは思うのですよ。ということで、ゲコ太グッズはここでおしまいか?ほかにはもうないのか?」
美琴「え?ええ?そりゃ、ほかにもいろいろあるけど」
上条「じゃあそっちを先に見に行こうじゃないですか。今日はめくるめくゲコ太ワールドを二人で堪能しようぜははははは!!」
美琴「アンタがそういうなら、それでいいけど」
上条「じゃ、早速案内してくれ!さあ行こうゲコ太ワールド!楽しみだなぁゲコ太!わはははは!!(考えろ、考えろ上条当麻!今のうちにこの状況から逃れられる最善の方法を!)」
美琴「……ねーえー」
上条「な、なんでせう御坂さん」
美琴「……美琴って、呼んで?」
上条「は、はいいい?(この危険な空気は何ですか!?美琴なんて呼んだら回避不能のフラグが立つ予感がひしひしと!)」
美琴「あたしも……当麻って呼ぶから……」
上条「(危険信号が次々と点灯していくー!?)」
美琴「………………ダメ?」
上条「………………ダメじゃないです(負けたー、いろんな意味で負けたー)」


これっていちゃいちゃか?

79■■■■:2009/12/10(木) 18:15:46 ID:bS2fN9ZY
構わん続けろ
いえ続けてくださいお願いします

80■■■■:2009/12/10(木) 20:04:56 ID:pTRPhx2g
遊園地の人早く来てくれー!


美琴「ふっふふーんふんふんふーん」
上条「みさ……じゃなかった、美琴。機嫌いいな」
美琴「だって、今までゲコ太の良さについて語り合える同好の士がいなかったんだもん。いくら話が通じるっていっても、小学生相手とかじゃちょっとねぇ」
上条「お前それは暗に自分が小学生レベ……いえなんでもありません」
美琴「折に触れて布教し続けた甲斐があったわぁ」
上条「俺の右腕をぎりぎり握りしめながら笑みを浮かべないでーー幻想殺しが木っ端みじんにー!?」
美琴「おっと、この右手が壊れちゃうと……あたしもいろいろと困るのよね……」
上条「そうだねぇ。お前の電撃を防げるのは今のところこの右手だけだしな」
美琴「………そ、そうなのよね。だから、あたしはアン……じゃなかった、当麻がいないと困るのよ……」
上条「その論点から行くと必要なのは俺の右手だけなのでは?」
美琴「な、何言ってるのよ!右手だけあったって不気味なだけじゃない!はいもういいからこの話終わり!次のお店に行くわよ!」
上条「ぎゃー次の店でかれこれ30軒目ー!?」

81■■■■:2009/12/10(木) 20:05:12 ID:pTRPhx2g
美琴「ねぇアンタ、じゃなかった、当麻。あたし達が最初に出会った場所って覚えてる?」
上条「えーっと……どこ、だっけ」
美琴「アンタ、そういえば記憶がないんだったわね。まあいいわ。じゃあ、アンタ、じゃなかった当麻とあたしが出会った場所で、覚えてる場所ってどこ?」
上条「み、美琴が回し蹴り食らわせてる自販機の前……かな」
美琴「ああ、あそこなんだ。じゃあ、そこでいいわ」
上条「何がそこでいいんだ?」
美琴「………ちょ、ちょ、チョコの……」
上条「チョコの……って、まさかお前……」
美琴「うん。返事、き・か・せ・て・く・れ・る・わ・よ・ね?」
上条「(ぐわーしっかり覚えてるー!?俺の『ゲコ太ショップ回って御坂をいい気分にさせて全てをうやむやにする作戦』が台無しー!)」
美琴「あたしは……いつぞやの橋の上もいいかなって思ったんだけど、やっぱり聞かせてもらえるなら、その、思い出の場所がいいなぁって……」
上条「(そこで上目遣いとかいつもの御坂じゃない角度で攻めてくるなー!俺はまだ『中学生に手を出したすごい人』になりたくねぇー!!)」
美琴「ねぇ、どうしたの?急に立ち止まって。何か変な冷や汗かいてるみたいけど。ほら拭いてあげるからこっち向いて」
上条「い、いやぁなんだかこう周囲の視線が痛くって。あ、ハンカチサンキュー」
美琴「視線?」
上条「(今こうしている間にも俺は周りの人から無言で『このロリコン』とか『性犯罪者』とか無言で訴えられている気がー!不幸だー!!)」
美琴「ああ、そっか。この制服目立つし、しかもび……美少女連れて歩いてるわけだし」
上条「(美少女!とうとう自分で美少女とか言いやがりましたよ!……いや、まぁ、美少女なのは認めてやってもいいか)」
美琴「ねぇ………」
上条「な、なんですか美琴さん」
美琴「さ、さっきから人の顔をじっと見つめて、何か言いたいことでもあるの?も、もしかしてここで返事?」
上条「ち、違う違う違う断じて違う!」
美琴「そんなに思い切り否定しなくたっていいじゃない」
上条「うあ、どさくさ紛れにつねるな痛い痛い痛い!」
美琴「当麻がはっきりしてくれないからでしょ!」

82■■■■:2009/12/10(木) 20:05:30 ID:pTRPhx2g
上条「うあ……疲れた。ゲコ太グッズ扱ってる店って結構あるんだな。美琴、そこのベンチで一休みしようぜ」
美琴「うん、いいわよー。これでもまだ全体の半分なんだけどね」
上条「半分?あれでまだ半分?」
美琴「今日は第七学区しか回ってないじゃない。お店はほかの学区にもあるのよ」
上条「へ、へぇ、そうなんだ。さすがマニア………ってやばっ!」
美琴「どうしたの?」
上条「(疲れたから何となく座ってみたけど、ここって自販機横のベンチじゃねーかー!上条さんピンチ!大ピンチ!誰かー助けてくれーこの際百合子ちゃんでもいいからー!)」
美琴「ねぇ、ところで、その……ここ、自販機のところ、なんだけど(こ、コイツとこんな近距離で公園のベンチに腰掛けて、こ、恋人同士みたいに見えるかな……?)」
上条「ひくっ!あ、ああ、そ、そうだな。み、み、み、美琴」
美琴「な、なに?」
上条「お、お、俺たち、その……清いお付き合いをしような!(よ、よし!これなら完璧にフラグ回避!ジェントルマン上条さんは体面を保ったぜー)」
美琴「う、うん!でも、その、あ、アンタじゃない、当麻が望むなら、そ、その先も……いいわよ?」
上条「(だー外堀埋められたーつか今不吉な単語も聞こえてきたけど聞こえない聞きたくないーー!)」
美琴「ねぇ。そろそろ寮の門限だから、その……送ってくれる?」
上条「(いや、まあ、こいつ一応美少女だし、ゲコ太の話をしてるときは無邪気だし、素直ならそこそこかわいいんだよな、うん。考えようによっては、仲良くしておけば電撃も飛んでこないし、勉強教えてもらえるし、清い交際なら……ロリコン扱いされないといいなぁ。だうーーーー)」
美琴「ねえってば、聞いてる?」
上条「お、おう。送ればいいんだよな」
美琴「うん!送って、当麻」
上条「(なんでこんなにいい笑顔しやがるんだコイツはー!だめだ、逃げ場なし。上条さんのストレート負けだ……)」


まあこの後寮の前で寮監に見つかってあれこれ騒ぎになるんだけどな。完。

83■■■■:2009/12/10(木) 23:06:42 ID:eO/Dxf1.
乙乙

84■■■■:2009/12/10(木) 23:17:32 ID:T9Hwg7jc
GJです!いやぁ、このスレできた当初からみてるけどやっと勢いづいてくれたー!

85■■■■:2009/12/11(金) 01:36:15 ID:GRAmC7uM
うおおおお、乙です

86■■■■:2009/12/11(金) 08:54:27 ID:.GS5Ze.A
スーパーの人−、再臨プリーズー。
↑のバレンタインとホワイトデーはいまいちつまらん。

87■■■■:2009/12/11(金) 10:13:07 ID:hz6fAjq.
>>86>>23
自分で探せ

88ネタ1/3:2009/12/11(金) 16:02:21 ID:.GS5Ze.A
>>87
探しに行ったが見つからなかったので、お目汚し投下。


とある日の放課後。

「ちょっとアンタ!」

上条、スルー。

「待ちなさいよ!」

上条、これまたスルー。

「待てって……」

上条、気づきません。

「言ってんでしょうがこのどバカー!!」

いと高き天より落ちる雷撃。上条はまるで伸びをするように慣れた調子で右手を頭上にかざすと、その一撃を打ち消す。そして周囲を見回して美琴の姿を確認すると、派手にため息をついた。

「不幸だ……。おい御坂、挨拶代わりにビリビリすんのやめろよなぁ。マジでいつかお前殺人罪で前科一犯になるぞ?」
「人が呼んでるのに、アンタが無視するのが悪いんでしょうが!」
「呼んだ?お前、いつだって人に呼びかける前に電撃ぶちかましてくるじゃねーか」
「呼んだわよ!何度も何度も!」
「は?嘘だろおい。今だって電撃の方が先だったぞ」
「………え?」

美琴は過去を振り返る。いつだって自分が呼びかけてるのに上条はそれを無視して、キレた美琴がスパーキング、そして上条がキャンセルというのがパターン。

……だったはずだ。しかし、このツンツン頭には「自分が呼びかけている」という項目が入っていない。これはもしや……?

「御坂?おい御坂、人に声をかけておいて用件はないのか?上条さんはこれからこなさなくちゃいけない宿題を思うだけでグロッキー状態なので、さっさと帰りたいんだけど帰ってもいいですか帰るぞさようなら?」
「え……?あ、ああ、いいわよ、ふんっだ」
「なんだかなぁ。じゃあな、御坂」

上条はひらひらと手を振ると、美琴をその場に残して立ち去った。

「私が声かけてるってのに、気づいていない。でもアイツは意識してスルーしてるんじゃなく『最初から耳に入っていない』様子だった。ということは、呼びかけ方に問題がある、ってこと?」

美琴は首をひねる。そしてこれまで『上条が呼びかけを無視した』時の、二人が遭遇したときの構図を思い返す。美琴はいつも、おおよそ上条の後方か後ろ斜め45度くらいから声をかけている。つまり、これは少なく見積もっても美琴の姿が上条の視界に入っていない可能性が高い。

「てことは、あれよね……」

もしかして……立ち位置変えればいいってこと?

89ネタ2/3:2009/12/11(金) 16:02:56 ID:.GS5Ze.A
翌日の放課後。
美琴は通学路でツンツン頭の少年を待ち構えていた。彼を呼び止める。ただそれだけのために。

「来たわね……」

美琴は、視線の先に上条の姿を捉えると、全速力で彼の真正面へ駆け寄った。

「ちょっとアンタ!」
「おーす御坂。昨日の忠告、聞き入れてくれたんだな」
「そうそうアンタよアンタ!……って、はい?」
「だから、『挨拶より先に電撃すんのやめろ』って話。学習の成果を見せに来たんじゃないのか?」
「そ、そういうわけじゃないわよ!とりあえず、アンタがあたしをスルーしなくなったのは感心ね」
「はぁ?俺がいつお前をスルーしたんだよ。そりゃお前のビリビリピンポン攻撃はスルーしたいけどな。あんなので挨拶されたら命がいくつあっても足りないぜ」
「私がいつアンタをピンポン攻撃したってのよ!」
「お前と顔を合わせるたびにほぼ毎回。それからな、上条さんには上条当麻って名前がちゃんとあるんだから『アンタ』じゃなく、ちゃんと名前で呼べ。それと今日の用事は何だ?上条さん、今日は時間があるから大した用事じゃなければつきあってやれるぞ」
「えっと……用事は……」
「もしかして、今時の中学生の間では、用事もないのに人を呼び止めるのが流行ってんのか?」
「そんなの流行ってないわよ!」
「じゃあ何だよ。早く言えよ」
「い、一緒に……」

上条は一歩後ずさる。

「一緒に……何するんだ?」
「……その、かえらない?」
「ああなんだ。そんなことでいいのか。じゃあ途中まで帰ろうぜ」

美琴からどんな無茶振りをされるのか身構えていた上条は、内心ほっとする。
一方、ひどくあっさりと自分の要望が通ったことをようやく理解した美琴は、自分が何を言い出したかを反芻して、顔を赤らめる。
顔をゆでだこのように赤くして硬直したままの美琴の顔面で上条は手をひらひらと振った。

「……おい何固まってんだよ御坂?」
「にゃ、にゃんでもないわよ!」

90ネタ3/3:2009/12/11(金) 16:04:20 ID:.GS5Ze.A
さらにその翌日。
美琴はまたまた通学路で上条を待ち伏せていた。視界にツンツン頭の姿をロックオンすると、前日と同じく彼の元へ駆け寄った。

「と、と、と、当麻!」
「おう御坂。……名字でなく名前で呼ばれるのにはちょっと抵抗があるけど『アンタ』よりはましだな。どうしたー?」
「い、い、一緒に帰ろう?」
「あー、いいぜ。どうせ途中まで一緒だしな。あ、俺スーパーに寄ってくから今日は通る道が違うけど、それでもいいか?」
「う、うん」

美琴は上条の隣に並ぶと、歩き始める。上条は美琴に気づかれないように歩く速さを美琴に合わせた。

「んで、御坂さん。何か悩み事でもあるんですか?」
「ふぇ?な、なによいきなり」
「一昨日は用件言わないで帰っちまうし、昨日は昨日で帰り道ずっと無言だから、何か言い出しにくい話でもしたいのかと思ったんだけどな」
「え、べ、別にそんなの……ないけど」
「そっかぁ?」
「そうよ」
「ま、俺はお前とつるんでて楽しいからいいけどな。何か相談があるなら言えよ。乗れる範囲で乗るからさ」
「あ、え、うん。ありがと」
「お前さ」
「ひゃ、ひゃい?」

いつものように突っかかれないので、調子が狂いまくりの美琴は自分の言語が若干怪しくなっていることにも気づかない。

「電撃使わないで、そうやって普通に名前で呼びかけてくればさ、常盤台のお嬢様って言うのを抜きにしても可愛い中学生じゃないか。いつもこうだと上条さんはうれしいんですがねー」

可愛い中学生じゃないか。
可愛い中学生。
……可愛い。

「ふ、ふ、ふ、ふにゃああ〜〜〜〜〜〜っ!」

思考を停止し、頭から盛大に漏電する美琴。これに対し、電撃が周囲に飛ばないよう慌てて美琴の頭に右手でふたをする上条。習慣という物は恐ろしい。

「おっ、おい!いきなりどうしたんだ御坂!御坂?おい御坂ってばしっかりしろ!」

美琴の襟を掴んでがくんがくんと前後に揺らし、意識を取り戻させようとする上条。とても女の子に取る態度ではないが、割と必死な上条はそんなことにも気づかない。

「目を覚ませ!御坂!御坂ーーーっ!」

(そうにゃんだ。電撃使わないで名前で呼べば、可愛いって、可愛いって……)

ショートした美琴の頭の中で、『可愛い』という音声がぐるんぐるんとリフレインする。
この後、通報を受けて現場に急行した黒子が美琴を発見するまで、頭から煙を噴いた少女と必死な形相の少年の珍妙なコントは続くのだった。


ホワイトデーといいこれといい、いちゃいちゃ感が足りないな。

91■■■■:2009/12/11(金) 21:21:50 ID:Zo0tjf8o
ぜひ続編お願いします。

92■■■■:2009/12/11(金) 23:49:32 ID:3wLdv0Bc
別にイチャイチャじゃなくても2828でもいいし面白ければいいと思う
美琴さんが幸せでなによりです

9395の続き 1/4:2009/12/12(土) 12:46:33 ID:iEUoIp4I
その夜、少女は夢を見た。


『御坂。ちょっとつきあってくれないか』
『悪い、御坂。俺、お前の気持ちに気づいてやれなくて』
『俺、御坂のことが好きなんだ』

自分よりちょっとだけ背の高い少年に、抱きしめられる。場所は、一晩中追いか
けっこした、あの河原。美琴は、少年の抱擁で身動きがとれなくなる。

(ちょ、ちょ、ちょ、ちょっとー!?これってどうすればいいの?どどどどどうし
よう?どうしよう?)

美琴は、何となくツンツン頭の少年に好意を抱いている。だが、そこから先はど
うすればいいのかさっぱりわからない。わかっているのは、彼がほかの女性と一
緒にいるのを見かけると自分がいらつくこと、自分が彼にスルーされるのが耐え
られないこと。そして、彼にとって『女性として見られていない』ことに腹が立
つこと。

だから美琴は、彼の突然の告白に動揺して、何もできない。何も言えない。よう
やく口が動き、なんとか言葉をしぼりだす。

『わっ、わたっ、わたっ、わたし、私は………』

そこで目が覚めた。


その夜、上条は考えていた。
一昨日、美琴は電撃を落として不機嫌に立ち去った。まぁこれはいつものことだ。
昨日の帰り道、茶色の髪の少女は、いつもと違って借りてきた猫のようにおとなし
かった。
そして今日。彼女はいきなり煙を噴いた。煙を噴くというのは人間にあるまじき現
象だが、ここは学園都市。そして彼女はレベル5。何が起きてもおかしくない、と
上条はひとまず納得する。

「あいつ、いったいどうしたんだろうねぇ」

シャープペンシルを鼻の下に挟んで、両腕を頭の後ろで組んで天を仰ぐ。悩み事が
あるなら言ってくれればいいのに、と思う。とはいえ美琴は反抗期も抜けない中学
生、おいそれと悩みを人に話すこともしないだろう。

「あの性格だしなぁ……」

上条は手元の教科書に目をやる。この学園都市で尊ばれる能力は、自分とは縁が薄
い物だからと、彼は今まであまり熱心に勉強はしてこなかった。今もこうして宿題
を広げているが、気乗りがしなくてちっとも片付いていない。教科書を逆さにした
り、ページをぺらぺらとめくっていた上条は、教科書のある項目で手が止まった。

「これって……もしかして」

そこにはこう書かれていた。

『能力とパーソナルリアリティ、ストレスの関連性』

と。

9495の続き 2/4:2009/12/12(土) 12:47:08 ID:iEUoIp4I
次の日の放課後。
上条は前方に常盤台中学の制服を着た少女を見かけた。

「おーい、御坂ー」

上条が手を振ると、彼女はすぐに気がついて、上条の元に駆け寄ってきた。心なし
か顔が赤い。

「あ。と、当麻。どうしたの?」
「お前の姿が見えたから、声かけたんだよ。お前、今日この後時間ある?」
「え、ええ。空いてる……けど」
「じゃあ御坂。ちょっとつきあってくれないか」
「うん、いい、けど。どこに行くの」
「ああ、すぐそこだよ」

借りてきた猫のようにおとなしい美琴を連れて、上条は河原へと向かった。

(こ、ここって、夢に出てきた……)

美琴の動悸が速くなる。彼はここへ来て、いったい何をするつもりなのかと訝し
む。

(まさか、あの夢って…正夢?)

少し前を行く上条の後ろ姿を見ながら、そんなことはないそんなことはないと、
頭をふん分左右に振る美琴。やがて、彼は立ち止まり、美琴に向き直った。

「御坂」

(きたっ!)

美琴は緊張の面持ちで姿勢を正す。上条は美琴を見つめると、担いでいた鞄をぽ
んと地面に放り投げた。

(や、や、やっぱりあれって正夢なの!?でも、でも、私どうすれば……)

美琴の動揺に気づかず、上条は言葉を続ける。

「悪い、御坂。俺、お前の気持ちに気づいてやれなくて」

(ここまで台詞も場所も一緒って事は、やっぱりそうなの?そういうことなの?
どうしよう、私はなんて返事すればいいの?
このあとはその、やっぱり、き、キスとかするわけ???)

美琴の顔が、一気に真っ赤になる。上条は一瞬だけ微笑むと、次の言葉を紡いだ。

「お前はレベル5とはいえ、中身は中学生なんだよな。ごめんな、今までビリビリ
とか言って」
「………………………………………………………はい?」
「だから………お前の全力(ほんき)を俺にぶつけてこい。俺の全力で受け止めてや
るから」

9590の続き 3/4:2009/12/12(土) 12:48:50 ID:iEUoIp4I
すまん、レス指定間違えた。95→90だった。

上条は、送球を受ける一塁手のごとく左足を半歩後方に引き、右手を眼前に構えた。

「……ねぇアンタ、いったい何やってるの?」

突然の展開について行けない美琴が疑問を口にする。

「いやあのさ、お前ここのところなんか様子が変だったから、俺なりに考えてみた
んだよ。あれだろ?お前、時々全力で電撃を放出してやらないと、お前がストレス
でおかしくなっちまうんだろ?でも学園都市じゃ、お前の全力放電を受け止められ
るのって俺しかいないからさ。だから今まで、俺に対してだけビリビリをぶちかま
してきたんだろ?いくら強大なパーソナルリアリティがお前の中に存在すると
言ったって、まだ14歳じゃ全て制御しきれないもんな。だから、遠慮なく撃ってこ
い。そりゃ、電撃かまされるのは怖いけど、それでも『撃ってくる』ってわかって
れば心の準備だってできるし。それでお前が落ち着いてくれるなら、俺は友達とし
て身体を張ってやる」

目の前でばっちこーい、とか言ってるツンツン頭を凝視する美琴。

「あ、あ、アンタは……」
「どうした御坂。10億ボルトでも、100億ボルトでも、俺は覚悟してるぞ」
「ひ、と、を、勝手に値踏みするなーーーーーー!!」

美琴の放った雷撃の槍が、上条を目指して一直線に落ちる。
ズバーン!という、まるでボールがミットにおさまったような音を何十倍にも増幅
したよう響きが河原を満たす。そして槍は上条の右手に……打ち消された。

「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ……」
「ど、どうだ御坂?少しはストレス、発散できたか?お、お、俺はまだ大丈夫だか
ら、何だったらもう2、3発……」
「アンタがくたばるまでやってやるわよ!死ねーーーーっ!」

ズバーン!ズバーン!と雷撃が立て続けに鳴り、そしてその全てが、まるで上条の
右手に吸い寄せられるように消えた。

「なっ、なによ、なによう……」
「お、おい、御坂?どうしたんだ?何か様子が変……」
「アンタのせいよ!」

美琴はビッと上条を指さす。

「アンタの……せいよ……」

上条を指さした手がのろのろと落ちて、美琴は泣き出した。

9690の続き 4/4:2009/12/12(土) 12:49:24 ID:iEUoIp4I
「お、おい?おいおいおいおい?」

突然泣き出した美琴を目の前に、うろたえる上条。

「な、なに?どうした?御坂、何か俺気に障ることでも言ったか?」

美琴は答えない。答えの代わりに、わんわんと泣き続ける。
美琴が泣き虫なのは知っていたが、そもそもどうして泣き出したのかわからず、上
条は対処に困った。全ての異能を打ち消す幻想殺しでも、少女の涙は止められない。

「えーっと……」

これはマイリマシター、などといってどうにかなる状況ではない。
理由はわからないが、女の子を泣かせてしまったというのは、上条にとって非常にま
ずい、気まずい。しかし何をどうしたらいいか、彼の手に負えない。負えないから上
条は解決策を探す。美琴を納得させられる解決策を。

「御坂。お前が何を悩んでいるのか、俺にはわからない。悩みを打ち明けられないん
だったら俺の胸でよかったら貸すから、今日は思いっきり、すっきりするまで泣け」

上条はそーっと、御坂の頭に手を回し、自分の胸に抱き寄せた。そして右手でいい子
いい子と、美琴の頭を撫でる。美琴は上条にしがみつき、泣き続ける。

(コイツのバカ!私のバカ!何だってこんな状況になってるのよ!何もかも噛み合っ
てないじゃない!コイツの前で大泣きして……私、バカみたいじゃないのよ……)

美琴の今の心境を例えると、『頭ぐちゃぐちゃでワケわかりません』。
気になる異性の腕の中にいるというのに、美琴の心境も状況も芳しくない。
この鈍感男に対して期待するというのは間違ってると、ほかの誰かなら指摘してくれ
たかもしれない。

相手を『中学二年生』としか見てないニブチン少年と。
『中学二年生』分の恋愛経験しかないツンデレ少女では。
進展はまさしく神のみぞ知る。

『自分から積極的にならないと状況は変わらない』と少女が開き直るまで、あと×日。


完。


書いてる奴が言うのも何だが、なげーよ。

97■■■■:2009/12/12(土) 12:55:30 ID:cF/O4HwI
何だ、95に無茶振りするんじゃないのか

98■■■■:2009/12/12(土) 22:24:47 ID:ug7TiMFo
かなり切に頼みます、開き直った後書いて!

99■■■■:2009/12/12(土) 22:46:10 ID:ug7TiMFo
積極的な美琴たん超見てぇ

100カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/12(土) 23:48:44 ID:nMnFPARY
待たせちまってすいません、>>65の続きです

>>67
( ゚д゚ )



上条「そろそろ昼だな」

美琴「そうね。アンタ達、何か食べたいものある?」

上条「って、いいよ!打ち止めの入場料出してもらってるんだから、飯代くらい俺に出させてくれって」

美琴「いいわよ、そんなの気にしなくて。アンタ、どうせそんなにお金持ってないんでしょ」

上条「そりゃそうだけどさ・・・、やっぱり悪いって。何つーか、女の子にお金を出させる男ってかっこ悪いだろ」

美琴「ッ・・・!い、いきなり女の子扱いしないでよ・・・その・・・照れるじゃない・・・」

上条「ん?どうしたんだ?」

美琴「な、何でもない!そ、そうだ、ワリカンってのはどう?」

上条「何かいまいち腑に落ちないけど・・・、まあ奢ってもらうわけじゃないし、それでいいぜ」

打ち止め「付き合い始めたばかりの恋人ごっこは満足した?ってミサカはミサカはまだまだ青い二人に茶々を入れてみる」

美琴「こっ・・・!?こ、こら!!年上をからかうんじゃないわよ!!」

打ち止め「からかってなんかないもーん!ってミサカはミサカは正直な意見を述べてみたり」

美琴「こらーっ!!逃げんなー!!」

上条「あのー、立て込んでるところ悪いんですけど、昼飯は・・・?」

美琴「ふぇっ?そ、そうだったわね。どこがいいかしら」

打ち止め「んーとね、ミサカはミサカはハンバーグが食べたい!って希望を言ってみたり」

上条「あっちに行くとフードエリアみたいだな。とりあえず行ってみるか」

打ち止め「わーい、ハンバーグハンバーグ♪ってミサカはミサカは胸を踊らせてみたり」

101カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/12(土) 23:49:08 ID:nMnFPARY
上条達はフードエリア内にある一件のレストランに入った。
今、打ち止めの前にはハンバーグセット、上条の前にはチャーハンと餃子のセット、
そして美琴の前には卵やトマト等、色とりどりの具材を使ったサンドイッチが置かれている。

打ち止め「いっただきまーす!・・・って、二人も一緒に言ってよーってミサカはミサカは不平を言ってみたり」

上条「へいへい、わかったよ」

美琴「仕方ないわねー」

「「「いただきまーす」」」

打ち止め「うん!みんなで「いただきます」ってやるのは気持ちいいね!ってミサカはミサカはとっても嬉しかったり
      まるで家族になったみたいだね、ってミサカはミサカは家族っていうのがどんなものか分からないけど」

上条「そっか、良かったな・・・って、御坂?」

美琴(家族かー・・・。この子が子どもだとしたら・・・私とコイツは・・・)

上条「おーい御坂。何フリーズしてんだ?飯、食わねえのか?」

美琴「・・・ひゃい!?ななな何でもない!!い、いただきまーす・・・うん、おいしい!」

上条「?」

打ち止め「ねえねえ、次はコーヒーカップに乗りたい!ってミサカはミサカはぐるぐるハンドルを回す真似をしてみる」

上条「飯食ってすぐにコーヒーカップは流石にきつくねえか・・・?何か他に行ってみたいところはないのか?」

打ち止め「うーん、ジェットコースターはもう嫌だし、他に行きたいところと言えば・・・ってミサカはミサカは
      パンフレットを指で辿って色々と探してみるけど・・・」

上条「飯食った直後だから、あまり動くのは俺も嫌だな・・・ってどうした打ち止め?何固まってんだ?」

美琴「・・・ほほーう?アンタ、そこに行ってみたいの?」

打ち止め「ちっ、違う違う全然違うもん!ってミサカはミサカは全力で否定してみたり!」

上条「?」

美琴「この子が「ここ」に行ってみたいって」

上条「・・・ああ、なるほどね。よーし、じゃあ飯食ったら「そこ」に行くかー」

打ち止め「だっ、ダメ!ダメなんだってミサカはミサカは・・・ぐすん」

102カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/12(土) 23:49:35 ID:nMnFPARY
普通、遊園地におけるお化け屋敷と言えば、そのほとんどが子供騙しで陳腐な出来である。
しかし、スペースハイランドのお化け屋敷は従来のお化け屋敷というもののイメージを根底から覆し、
よりリアルに、更には心臓の弱い人お断りとまで言った、本格派お化け屋敷と銘打たれている。

上条「「中に入れば完全遮音」、「懐中電灯ひとつで闇の世界をお楽しみ下さい」だとよ」

美琴「へぇー、流石に研究機関がお金出してるだけあって、本格的なお化け屋敷ってわけね」

打ち止め「・・・ねえ、やっぱり止めようよ、ってミサカはミサカはお姉様の服を引っ張って踏み止まってみる」

美琴「アンタがここがいいって言ったんでしょー?それに、もうだいぶ並んでるから戻れそうにないわよ」

打ち止め「だから違うもん!ってミサカはミサカは意地悪なお姉様をぽかぽか叩いてみたり!」

美琴「あーはいはい。もういい加減諦めなさいって。これ終わったらソフトクリーム買ってあげるから」

打ち止め「そんな甘い言葉には騙されないもん!ってミサカはミサカは危うく釣られそうになったけど何とか思い止まってみたり」

その後も打ち止めが逃げ出そうとする、しかし美琴がその腕を無理矢理掴んで前へ前へと引っ張っていく、
という一連の動作を繰り返してるうちに、気づけば上条達がお化け屋敷の中へ入る番が回ってきた。

「こちらが懐中電灯になります。中は明かりがほとんどないので気をつけて下さいねー」

上条「・・・へぇ、暗闇って言うか・・・、深夜って感じだな。月明かりとか、そういう所まで再現してんだな」

美琴「ふーん。目が慣れてくれば、懐中電灯がなくても進める事は進めそうね」

打ち止め「ってやめて!懐中電灯を消さないで!ってミサカはミサカは涙目になりながら必死に訴えてみたり!」

上条「分かってるよ、消さないって。・・・ん・・・何だこりゃ、ってうわあ!!」

美琴「きゃあ!!何なのよこれ!!」

打ち止め「ぎゃーっ!!」

上条が持っていた懐中電灯で足元を照らしてみると、そこには無数の手。それでいて蠢いていて、妙にリアルさがある。
足を掴んできたりはしないものの、上条達の進行を妨げるには十分なものだった。

上条「開始早々これか・・・、流石に本格派と銘打ってるだけはあるって言うか・・・。打ち止め、大丈夫か?」

打ち止め「・・・うう、もうかえりたいよう・・・ってミサカはミサカはお姉様の手をぎゅっと握り締める」

美琴「泣かないの、ちゃんと手握っててあげるから」

打ち止め「・・・うん」

103カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/12(土) 23:49:52 ID:nMnFPARY
その後も、上条達は様々なお化け達に脅かされた。
天井から滴る水、追いかけてくる半透明の幽霊、壁を突き破って倒れかかってくる幽霊・・・。
最初から怖がっていた打ち止めのみならず、上条・美琴までもが本格派お化け屋敷に脅かされていた。
打ち止めに至っては、驚きすぎて最早声すら出ないといった感じである。

美琴「出口はまだなのかしら・・・。いい加減、この子も限界みたいよ」

上条「うーん・・・、結構歩いてるからもうそろそろだと思うんだけど・・・。って、うわああ!!」

上条が懐中電灯を向けた先には、壁に張り付けられ、喉を刃物で一突きされた人・・・の造り物だった。
ご丁寧に、血糊が四方八方に飛び散っていて、その造り物からも血糊が滴り落ちていてかなりリアルである。

上条「・・・す、すげえな、リアルすぎるだろこれ。色々と大丈夫なのか?」

美琴「怖いって言うよりかはグロいわね・・・。ほら、見た目はアレだけど襲ってこないから安心しなさいって」

美琴が打ち止めを諭したその瞬間。
壁に張り付けられた死体モドキの目がギロリと動き、打ち止めの事を睨みつけた。
不幸な事に、その今にもボトリと垂れ落ちそうな目と、打ち止めの目が合ってしまったのだ。

打ち止め「・・・う」

上条「?」

打ち止め「うわぁーん!もう出たい!出たいよお!ってミサカはミサカは」

美琴「ちょっ!落ち着きなさいっての!手離したら余計危ないわよ!」

上条「あ、おい!待て打ち止め!走ると色々と危ない―」

打ち止め「う゛」

上条「ほら、言わんこっちゃない・・・ん?コレ・・・戸か?・・・って事は、ようやく出口か」

美琴「だからちゃんと手握っときなさいって言ったのに・・・大丈夫?ほら、ちゃんとソフトクリーム買ってあげるから」

打ち止め「うー・・・ぐすっ」

上条は打ち止めが見つけた戸に手をかけ外に出ようとした。
しかし開けた戸の先には光などなく、そこに居たのは、唸り声をあげる大量の亡者モドキ。

「「「ぎゃーっ!!!!」」」

結局、上条達がこのお化け屋敷を脱出できたのはもうしばらく後の事である。

104カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/12(土) 23:50:13 ID:nMnFPARY
打ち止めはベンチに座り、美琴に買ってもらったソフトクリームを無言で食べている。
そしてその目は充血し、まだうっすらと涙が残っている。

美琴「あの子に悪い事しちゃったわね。無理に連れて行ったりして・・・」

上条「・・・今更後悔したところで仕方ねえだろ。大体、あんなに怖いもんだとは思わなかったし」

美琴「そうなんだけど・・・。どうしたらいいのかしら・・・」

上条「・・・。そうだ、なあ御坂。こういうのはどうだ・・・?」

打ち止めはソフトクリームを食べ終えはしたものの、顔色は先程と相変わらず、
まるで世界の終わりを目の当たりにしたかのような顔をして俯いている。

上条「・・・おい、打ち止めー。いつまでしょげてんだー?」

打ち止め「・・・しょげてなんか、ないもん、ってミサカはミサカは」

美琴「はいはい。気を取り直して、アンタが行きたいって言ってたコーヒーカップ、行きましょ?」

打ち止め「・・・うん、ってわあああ!?」

上条「よい、しょっ・・・と・・・とと」

打ち止めがベンチから立ち上がったのを見計らって上条は打ち止めの後ろ側に回り込み、
彼女の足の間に頭を入れそのまま立ち上がり、彼女を持ち上げた。

打ち止め「ちょ、ちょっと!?ってミサカはミサカはあなたが何をやっているのかを問いただしてみたり!!」

上条「何って・・・、肩車だけど?」

打ち止め「そうじゃなくて!ってミサカはミサカはあなたのデリカシーのなさに愕然としてみたり!!」

上条「ほーら、高いだろ打ち止めー。よーし、このままコーヒーカップのところまで行くぞー」

打ち止め「子供扱いしないで欲しいんだけど!ってミサカはミサカはあなたの頭をポカポカ叩いてみる!!」

上条「痛ててて!ちょっ、それは反則だって!!」

そう言いつつも頭を叩く打ち止めも、叩かれる上条も、そして彼らの隣を歩く美琴も、いつの間にか笑顔に戻っていた。

105カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/12(土) 23:50:28 ID:nMnFPARY
上条「と・・・到着。つ・・・疲れたー・・・」

打ち止め「お勤めご苦労様ー、ってミサカはミサカは労いの言葉をかけてみたり」

上条「肩車がこんなにきついとは・・・、全国のお父様方は何気に凄いんでいらっしゃいますね」

打ち止め「そんな事よりも、早くコーヒーカップに乗ろうよってミサカはミサカはあなたの腕を引っ張ってみる」

上条「ちょ、ちょっと待って下さい打ち止めさん!ちょっと私に休む時間を下さいお願いしますからホントにー!!」

そんな上条と打ち止めのやり取りを、美琴は一人微笑ましそうに見ていた。
まるで母親が、夫と自分達の子どものやり取りを微笑ましく見守るように。

美琴(あたしにダンナと子どもができたらあんな感じになるのかなー・・・。いいなあ、家族って
    ・・・って何考えてるのよ私は!!あ、あの馬鹿とそんな関係になるわけないっての!!
    あ、あははっ、ないない!ありえない!!あるわけないーっ!!)

上条「・・・御坂?どうしたんだ、そんなニヤニヤして。何かいい事でもあったのか?」

美琴「ひゃい!!?にゃにゃにゃんでもない!!何でもないからーっ!!」

上条「うおーっ!?心配してるのに何でビリビリ飛ばしますかアナタはー!?」

打ち止め「ねえねえ、早くコーヒーカップに乗ろうよってミサカはミサカは一人待ちぼうけ状態なんだけど」

美琴「あ、ああそうだったわね。ほ、ほらアンタも!行くわよ!!」

上条「だ、だから!ワタクシめに休憩する時間をーっ!!」

106カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/12(土) 23:50:51 ID:nMnFPARY
打ち止め「楽しかったねーってミサカはミサカは大満足!」

上条「う、うう・・・、いくら何でも回しすぎだって上条さんは忠告してみる・・・」

美琴「アンタまで何この子の口調伝染っちゃってんのよ・・・。ほら、しっかりしなさいよ」

打ち止め「次は何に乗ろうかなーってミサカはミサカはパンフレットを眺めてみたり!」

美琴「もうあんまりないんじゃないの?後は絶叫マシンばっかりでしょ?」

打ち止め「うーん・・・。あ、これはいいかもってミサカはミサカはパンフレットに指さしてみる」

美琴「「Jet' de Go Go!!」?」

「Jet' de Go Go!!」。
最頂点は60mもの高さを誇る空中ブランコで、最頂点に達したときそこから一気に急降下する。
普通の遊園地であれば何て事のないアトラクションであるが、この「Jet' de Go Go!!」は
ジェットコースター並のスリルを味わえる、スペースハイランドの絶叫系アトラクションのひとつである。

美琴「でもこれって絶叫マシンでしょ?アンタ、大丈夫なの?」

打ち止め「多分大丈夫、ってミサカはミサカは頼りなさげに親指を立ててみる」

上条「ホントに大丈夫なのか?流石の上条さんもこれ以上フォローするのはきついんですけど」

打ち止め「今度は大丈夫・・・多分、ってミサカはミサカはやっぱり頼りなさげに頷いてみる」

美琴「まあ、もしダメだったらその時は私がフォローしてあげるわよ。姉らしい事もしてあげないとね」

打ち止め「そうと決まればしゅっぱーつ!ってミサカはミサカは今回ばかりは勇み足だったり」

上条「すげえ自信だな。終わった時にもそのテンションを保ててたら褒めてやるよ」

打ち止め「そんな言葉よりも物の方が嬉しいかも、ってミサカはミサカはちょっとだけ現金思考」

上条「・・・お前は一体どこの誰に似たんだ?」

107カミコト ◆somJVmVTuY:2009/12/12(土) 23:53:56 ID:nMnFPARY
打ち止め「ちょっと足が震えてるけど大丈夫だったよ、ってミサカはミサカはVサイン!」

上条「あーはいはい。じゃあ約束通りなんか買ってやるよ、何が欲しいんだ?やっぱり食い物か?」

打ち止め「いくらなんでもそこまで食い意地張ってないかも、ってミサカはミサカはむすっとしてみたり」

上条「ありゃ、そうか悪かったな。じゃあ、何が欲しいんだ?流石に高価なものはお断りですよ?」

打ち止め「あのね、お姉様の携帯についてるストラップ!ってミサカはミサカは指さしてみる」

上条「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」

美琴「〜〜〜ッ!流石私の妹!よーく分かってるわね!何ならもう一個買ってあげてもいいわよー!」

打ち止め「やったー!お姉様とおそろいーってミサカはミサカは大喜び!」

上条「・・・御坂妹と言い、やっぱり御坂の遺伝子を引き継いでるだけはあるな」

そんなわけで、上条達は入口付近にある売店へとやって来た。
夕方という事もあってか、売店内はお土産を買いに来た人達でごった返している。

上条「うわっ、混んでんなー。こりゃ、カエルのストラップ探すのは難しいんじゃねえか?」

美琴「難しくてもかわいい妹の為よ!絶対探し出してやるんだから!!」

上条「あー、頑張れよー。上条さんは体力がもうないのでここで待ってますねー」

そうして、美琴と打ち止めがごった返している売店の中に入って十数分。
そこには、スペースハイランド限定のゲコ太ストラップを手に入れた笑顔の美琴と打ち止めがいた。
そして、打ち止めの手には更に二つ、恐らく一個は上条の為、そしてもうひとつは彼女の知人の為に
買ったと思われるゲコ太ストラップが握られていた。





続きは遅くても火曜日までには・・・

108■■■■:2009/12/12(土) 23:58:27 ID:N4J6MO9I


ところでカミコトさん
カミコト同人の人?
違ったらすまん

109カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/13(日) 00:05:56 ID:tBULoHew
>>108
ああ、全く違う人です
何か本家カミコト同人の方に申し訳ないんでコテ変えますね

110■■■■:2009/12/13(日) 00:12:33 ID:/BTSchFU
遊園地の人GJ! 続きお待ちしてます。


>>98
開き直ったというのはこういうのでいいのか?

美琴「受け取れ私の熱い思いエレクトリックトルネード10億ボルトぉっ!」
上条「愛がこもってもいつもとかわってねーっ!ふこうだぁぁぁーーーーっ!」

あ、鳥つけてないけど90以下書いた奴です。

111■■■■:2009/12/13(日) 00:17:41 ID:vCQ8okTo
>>109
いや気にせず
別に商標ってわけでもないですし

112寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/13(日) 02:50:21 ID:vCQ8okTo
(1/1)

美琴「あんた…………わ、私のこと、なんだと思ってる?」
上条「へ?うーん…………腐れ縁?ライバル?いや、普通に友達か?」
美琴「えー。いや、良いけど。えー……うーん。そうかぁ。でも……」
上条「美琴さーん?おーい」
美琴「うーん、まぁそんなところかぁ。そうよねぇ……はぁぁぁ」
上条「なに頭抱えてぶつぶつ言ってるんだ?ていうか御坂的には俺は何なわけ?」
美琴「へっ!?えっと………こ、」
上条「こ?」
美琴「いや……か?」
上条「か??」
美琴「…………友達、かな」
上条「ですよねー。って何でそんなに落ち込んでるんだ?」
美琴「…なんでもない」
上条「もしかして御坂センセー的には友達というカテゴリに不満なのか?うーん………
    あ、じゃぁ思い切って恋人ー!」

 ボンッ!

上条「なーんちゃっ……た?いや、御坂さん、冗談デスヨ?何だその笑ってるような驚いてるような、
    怒ってるような泣きそうな顔。凄く面白ぞ。もしもーし」
美琴「…はっ…はっ…はっ……わらえる、じょうだんだにゃあ」
上条「……」
美琴「そう、なったら、ばくしょうもん、だにゃあ」
上条(……御坂が壊れた)
美琴「でも、それはさすがにありえ……」

 言いかけて口を紡ぐ。その先は死んでも言いたくない。

上条「た、確かに爆笑もんかもなー。御坂も嫌だろ?」
美琴「えっ…………」
上条「…………ん?」
美琴「…………………………」
上条「………………………………………………………………」
美琴「………………………………………………………………」
上条(あ、あれ?何ですかこの空気。何かがおかしいぞ。俺何か間違えましたか?お、落ち着け、そもそも御坂は
    俺のこと虫けら程度にしか……いや、色々あったし虫けらはさすがに無いんじゃないか。というか自分で自分
    を虫けらとか、考えてて哀しくなる……って違う!違うぞ上条当麻!だから、御坂は俺のことを好きじゃない。
    好きじゃない……よな?あれ?分からなくなってきたぞ。考え方を変えよう。俺は御坂のことは……好き、か?
    アレ?ドウダッケ?そもそも相手は中学生でガキだし、ビリビリだし、短パンだし、まあでもかわいいし、面倒見良いし、
    俺のこと気遣ってくれたし、エット……アレー???)

 両者仲良く、顔を真っ赤にして目をぐるぐる回す。

上条「があああああああっ!!!」
美琴(ビクッ!!)
上条「この流れ無し!無しだ!上条さんはリセットを要求します。オーケー?オーケーだな御坂黙って頷け頷いて下さいー!」
美琴「ふ、ふぁい」
上条「よし……じゃ、じゃぁ、俺はこっちの方向に用事がありますが、御坂さんはどっちですか?!」
美琴「わ、私もそっち」
上条「…………」
美琴「…………」
上条「い、一緒に行くか」
美琴「う、うん」


つづくない

113■■■■:2009/12/13(日) 03:03:44 ID:hbJXOXaw
>>112
なんだこの続きが気になる終わり方は!
もっとやれ、いややってください

114■■■■:2009/12/13(日) 03:19:27 ID:/BTSchFU
>>112
GJ! 続きがあったら読みたいにゃー

115■■■■:2009/12/13(日) 03:28:18 ID:vCQ8okTo
どもあり
美琴スレの流れで思いついて、適当に書いてたら長くなってしまったのでこっち(ry

じゃぁ続き明日までに書きます
それにしても長編(個人的に長い)すすまねーなぁ

116■■■■:2009/12/13(日) 13:29:19 ID:/BTSchFU
大覇星祭のフォークダンスって2行ぐらいしか描写なかったよね。
ということで投下。


上条「ひめ。なにゆえに私めはこの列に引っ張られてるんでしょうか」
美琴「見てわからない?フォークダンスで男側が足りないから連れてきたんじゃない」
上条「ひめ。私めは初日の大けがで体中のあちこちがバキバキいってダンスどころじゃ
ないんですが」
美琴「常盤台中学の列で踊れるなんて学園都市の男子生徒なら涙で前が見えなくなる状
況よ。しかも常盤台の生徒自らのお誘いなんだから、少しは感謝しなさい」
上条「ひめ。そもそもこの列、男子の方は十分余ってるみたいですが」
美琴「うっさいわね!黙って踊りなさいよ!」
上条「曲に合わせてどさくさ紛れに足踏むな足!痛い痛い痛い痛いってば!」
美琴「アンタが下手くそだからでしょ!」
上条「ううう、不幸だ……。いったい俺が何をした」
美琴「アンタねぇ。……わっ、私がほかの男と、お、踊ってても、いいって言うの?」
上条「??別にいいんじゃねぇの?フォークダンスなんだし」
美琴「あ、あ、アンタは……アンタって奴は……」
上条「ちょ、ちょっと御坂たん手首の関節極めないで今はダンス中でぶべば!?」
美琴「く、黒子!アンタコイツの頭にドロップキックかましてそのまま離脱すんじゃ
ないわよ!ねぇちょっとアンタ大丈夫?起きてよ、後ろから次の人が来ちゃうでしょ
しっかりして目を開けてーー!」


場面転換。


上条「……うう、一瞬三途の川が見えたような……あれ?御坂?俺はここで何を?」
美琴「アンタ、黒子のドロップキックで吹っ飛ばされたのよ。しょうがないから私が
観客席までアンタを担いできたの。アンタ重いから苦労したわ」
上条「……えーと……このアングルは……もしかして私めの頭があなたさまの膝枕で
痛ぇぇぇっ!?み、御坂落ち着け!パチパチ電気いわすなぁ!」
美琴「怪我人は少し寝てなさい!」
上条「ひゃい……」
美琴「黒子はあとでシメとくから。ゴメン……頭、痛む?」
上条「後頭部が痛いのは慣れてるからいいけど……御坂」
美琴「な、なによ……」
上条「ひめの太ももがすべすべしてなかなかきもちいおぼべぴゃやめてよして首閉め
ないでごめんなさい決してやましい気持ちで言ったのでは死ぬ死ぬギブギブ今度こそ
三途の川渡っちゃうーー!?」
美琴「よ、よ、余計な感想はいらないから!」
上条「ひゃ、ひゃ、ひゃい……すんませんでしたぁ……」
美琴「(す、すべすべって…………////)」



ここには書いてないけど黒子が木の陰でハンカチかみしめながら「おのれあの
若ぞぉぉ」とか言って、美琴の膝枕に涙してます。終わり。

117■■■■:2009/12/13(日) 20:40:39 ID:eiK6Gi8I
もっといちゃついて欲しい。

118カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/13(日) 21:18:55 ID:75i.bMPM
陽が傾き始め、少なからずではあるが徐々に帰る人が増え始めた。
それでも、園内にはまだ多数の学生達がアトラクションに乗る為の列をなしていた。

打ち止め「今日は楽しかったー!二人とも、ありがとねってミサカはミサカは改めて感謝してみる」

上条「そっか、良かったな。じゃあ、そろそろ俺達も帰るか」

打ち止め「ダメー!まだ観覧車に乗ってないよ!ってミサカはミサカは制止してみたり」

上条「観覧車?・・・げ、あの長蛇の列に並ぶのか・・・」

打ち止め「あれに乗らなきゃ遊園地に来た意味がないよ、ね?お姉様ってミサカはミサカは同意を求めてみる」

美琴「え?え、ええ、そうね」

上条「・・・ま、ここまで来たんだし、最後まで付き合ってやりますか」

高さ120mもあるこの大観覧車からは学園都市の全景が大体見渡せるようになっている。
特にこの時間帯は、夕陽と学園都市のライトアップとが重なってとても幻想的に見えると言われていて、
恋人同士で来るには最高のスポットであるともっぱら評判である。その結果が、この長蛇の列なのだ。

上条「一周するのに20分か・・・。そりゃ、長時間待ちにもなるか・・・」

美琴「でも、だいぶ前の方に来てるからもう少しで乗れるんじゃない?」

打ち止め「・・・トイレに行きたい!ってミサカはミサカは大声で自己主張してみる!」

美琴「ばっ、バカ!アンタ何大声で言ってんのよ!大体、今からじゃ間に合わないわよ!?」

打ち止め「大丈夫、その時は二人で乗ってきてー、ってミサカはミサカは気を使ってみたり
      それじゃ、早めに戻るからーってミサカはミサカはトイレはどこかなーって探してみる」

美琴「ちょ、ちょっと!待ちなさいってば!!」

上条「・・・どうすんだ?そうこうしてる間に、もうすぐ乗る番なんですが」





打ち止め(わざとらしすぎたかな?ってミサカはミサカは「てへ☆」って言わんばかりに拳をコツンと頭に当ててみたり)

119カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/13(日) 21:19:14 ID:75i.bMPM
上条と美琴を乗せたゴンドラが、ゆっくりと動き始めた。打ち止めの姿はどこにも見えない。
つまりこの20分の間、この狭いゴンドラの中に、男と女が二人っきりという状況である。

上条「結局、打ち止めのやつ来なかったな。アイツが乗りたいって言い出したのに」

美琴(・・・ななな何なのこの状況!?あ、ありえない!!夢とかじゃ、ないわよね?
    っつーかあの子、最初っから「これ」が目的だったのね!あーもう!どうしたらいいのよ!)

上条「・・・あのー、御坂さん?何イライラして―」

美琴「うっさい!!」

上条「うわああ!?この狭くて地上から何mあるかも分からない密室の中で
    ビリビリするのはマジで死ぬからやめてー!!」

上条の嫌な予感は半分的中した。
美琴の放った電撃がゴンドラを伝って観覧車全体に行き渡り、その動きを止めてしまった。

上条「・・・ほら見ろ!言わんこっちゃない!」

美琴「うっさい!大体アンタが悪いんでしょうが!!」

上条「勝手にイライラしてキレたのはお前じゃねえか!何で俺のせいなんだよ!」

美琴「・・・う、うっさ―」

上条「わああ!?だから、ビリビリは止めろってのー!!」

美琴が頭からビリビリと電撃を放とうとするよりも先に、上条の右手が彼女の頭の上にポンと触れた。
電撃が再び観覧車に走る事はなかったが、何故か美琴までもが借りてきた猫のように大人しくなってしまった。

上条「・・・あ、あのー・・・御坂さん?い、一体、どうなさったんでせうか?」

御坂「・・・な、何でも・・・ないわよ・・・。・・・ね、ねえアンタ、頼みがあるんだけど」

上条「は、はいっ!?な何でございましょうか!!?」

御坂「・・・そ、その・・・わ、私がまたビリビリしないように、・・・その・・・あ、頭をずっと触っててくれるっ・・・?」

120カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/13(日) 21:19:31 ID:75i.bMPM
美琴の声は裏返っていて、緊張の色が強く表れていた。
それが何故なのかは上条にはよく分からなかったが、それを聞いた上条は小さく笑った。

上条「・・・わかったよ。ってか、このままじゃ触りにくいな。そっち、座ってもいいか?」

美琴「い、いいいわよ。た、ただ傾くから、ゆっくりね・・・」

上条「分かってるよ・・・しょっ、と。こ、これでいいか?」

上条は美琴の隣に座り、彼女の肩に腕を回して手で頭に触れた。
何の事情も知らない人が見れば、彼女の肩を抱く彼氏、という風にしか見えないだろう。

美琴(ちっ・・・近い・・・!!す、すごい、心臓が・・・ドキドキしてるっ・・・!)

上条「どうしたんだ?借りてきた猫みたいに大人しくなって。大丈夫か?」

美琴「ひゃっ、ひゃい!?らっ、らいひょうぶっ!!」

上条「・・・あ、あのー、これは仕方ないんでございますよ?狭いゴンドラの中じゃこうなるのは必然でして、
    上条さんには悪意とかやましい気持ちは一切ありませんでございますよ?」

美琴「そ、そう!仕方ない、仕方ない事なのよねっ、あはっ、あははは」

美琴は心ここにあらずといった感じで、無理に笑おうとして顔が引きつっている。
そして観覧車の復旧が終わったというアナウンスが流れ、ガクン、とゴンドラが動き出す。
しかし、急に動き出したために美琴はバランスを崩してしまい、上条の胸に寄り添うような格好になってしまった。

上条「お、おわっ!!?あ、あああの御坂さん!!?」

美琴「ひゃっ、ひゃい!!?ちっ、違う!違うのっ!!これは仕方なくてっ、そのっ」

上条「うわあっ!?み、御坂落ち着け!!暴れると危ね―うおっ!?」

美琴「ちっ、違うんだから・・・。そういうのじゃ、ないんだから・・・」

121カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/13(日) 21:19:47 ID:75i.bMPM
上条は気が動転して慌てふためく美琴を何とかなだめて、
結局また元の向かい合った状態で座っていた。その方がまだ安全だと判断したからだ。

上条「・・・ったく、事情が事情とは言え、暴れすぎだっての。また観覧車止める気か?」

美琴「しょ、しょうがないじゃない!!大体、あんな事があって平然としてられる方がどうかしてるわよ!!」

上条「わかった、わかったから!ほ、ほら御坂!!もうすぐ頂上だぞ」

美琴「・・・・わあ」

頂上から上条と美琴が見た景色は、まさに幻想そのものだった。
ちょうど陽が沈み始め、空が濃紺色へと変えていく中で、地上では色とりどりの光が輝いている。

美琴「・・・凄いわね。学園都市も、見る角度を変えたらこんなにも綺麗に見えるのね」

上条「そうだな。恋人達にとって絶好のスポットってのも、分かる気がするよ」

美琴「こっ・・・こい・・・!!?」

上条「ん、どうした御坂?この幻想的な景色に、圧倒でもされたのか?」

美琴「まっ、まあそんなもんよ!!あはっ、あははははっ」

上条「だよなあ、俺も学園都市に住んでてこんな綺麗な景色、初めて見たぜ」

消えゆく夕陽の残光が上条と美琴の乗るゴンドラ、そして中にいる二人を儚く照らす。
その光を浴びた上条の横顔は、美琴にとって普段見る上条よりも数倍輝いて見えた。

美琴(やっ、やばい・・・。わ、私今コイツの事「かっこいい」って思っちゃった・・・
    ああ・・・。や、やっぱり私、何だかんだ言ってもコイツの事が大好きなんだ・・・)

上条(この景色に圧倒されて、言葉も出ねえのか?
    それにしても、コイツもこう少女らしさをもっと見せていれば、十分に可愛いんだけどな)

ま、恥ずかしくて口には出さねえけど、と上条は更に付け加えた。
こうして二人だけの甘い時間は、ゴンドラに揺られながらゆっくりと過ぎていった。

122カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/13(日) 21:20:03 ID:75i.bMPM
打ち止め「おかえりーってミサカはミサカは目をキラキラさせながら出迎えてみたり」

上条「本当に乗らなくて良かったのか?頂上からの景色、すっげー綺麗だったぜ?」

打ち止め「うん、ミサカは今すっごく楽しいからいいの!ってミサカはミサカはニヤニヤしてみる
      お姉様はどうだった?ってミサカはミサカは放心状態のお姉様に問いかけてみたり」

美琴「ふぇっ?あっ、ああ、綺麗だったわよ」

打ち止め「ふーん・・・?良かったね、ってミサカはミサカはニヤニヤが止まらなかったり」

上条「さて、そんじゃ今度こそ帰るか。ほら、御坂ー、行くぞー」

美琴「ふぁ、ふぁい!」

陽はもうほとんど沈み、濃紺の空には星がぽつぽつと輝き始めている。
園内にいた学生達も、順々に出口へと向かっていく。こうして、彼らの長い一日は終わった。

打ち止め「今日はとっても楽しかったよ、ありがとう、ってミサカはミサカは深々とおじきをしてみたり
      それじゃ、ミサカはそろそろ帰るねってミサカはミサカは大きく手を振ってみるーっ!」

上条「あ、おーい!送って行かなくていいのか?」

打ち止め「あの人が心配するから早く帰らなきゃ。それに・・・ってミサカはミサカは意味深な言葉を口にしてみたり」

上条「そっか。じゃあ、またなー!」

ばいばーい、と打ち止めは大きく手を振りながら走り去っていった。
彼女は、上条達の姿が見えなくなるまで振り向いて手を振り続けていた。

上条「・・・さて、そんじゃそろそろ俺達も帰るか」

美琴「そうね」

123カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/13(日) 21:20:17 ID:75i.bMPM
上条「今日はありがとな。俺だけじゃどうにもならない事もあったから、助かったよ」

美琴「いいのよ、乗りかかった船だもん。それに、あの子は―」

上条「お前の大事な妹、だもんな?」

上条と美琴は笑い合いながら夜の学園都市を歩いていく。
休日とは言え、学生達の活動時間を過ぎているため、町を歩く人の姿は疎らだった。

上条「・・・そういや、晩飯どうっすかなー?またスーパーで惣菜でも買って帰るか・・・?」

美琴「・・・そういや私も。今から帰っても、夕食の時間には間に合わないわね」

上条「・・・そうだ。なあ御坂、どっかで飯食ってかないか?その方が、手軽でいいだろ?」

美琴「ふぇっ!?べ、べ別にいいけど」

上条「んじゃ、決まりだな」

平日の学校の下校時刻は既に過ぎているので、最終のバスもだいぶ前に行ってしまった。
そのため、彼らは歩いて帰らなければならないのだが、美琴にとってはそれがとても幸せな事に感じた。





まだ終わりじゃないぞい、もうちっとだけ続くんじゃ

124カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/14(月) 00:09:39 ID:edtwG7UI
上条と美琴は、彼らの暮らす第七学区内にある小洒落たレストランに入った。
しかし、ここは学園都市。当然ながら、客のほとんどが学生である。

美琴「いいレストランでしょ?お手頃な値段で料理も美味しくて、隠れた名店って言われてるのよ」

上条「お手頃な値段・・・ねぇ。上条さんには、どの辺がお手頃な値段なのかちっとも分からんのですが」

美琴「ま、まあ人によってはそう感じるかもしれないわね。でも、料理はほんとに美味しいんだから」

上条「ふーん。ま、とりあえず食べてみない事にはわかんねえしな。お、このスパゲティ美味そうだな!」

この後、上条はボンゴレビアンコ、美琴はシメジとエリンギの入ったクリームスパゲティ、
そして二人で食べる用にピッツァ・マルガリータとコーンスープを頼み、食後のデザートに美琴がチーズケーキを付け加えた。

上条「今日は楽しかったな。俺、遊園地行った事ないからさ。新鮮ですげえ良かったよ」

美琴「アンタ遊園地行った事ないの!?・・・あ、そう言えばアンタ、夏休み以前の記憶がないんだったわね」

上条「・・・記憶を失う前の「俺」は行った事あるのかもしれないけどな。でも、体験する事すべてが新鮮ってのもなかなかいいぜ?」

美琴「なかなかいいぜ、じゃないわよ。アンタ、そのままでいいの?そのままじゃ、色々と不便なんじゃない?」

上条「でもだいぶ皆の生活にも適応してきたしな・・・、不便って程でもねえよ。ま、記憶が戻るに越した事はねーけどな」

そのすぐ後、料理が次々と運ばれてきて上条の記憶についての話はそこで遮られた。
しかし、上条にとってはあまり触れられたくない話ではあるし、美琴もそんな上条を気遣ってか再びその話題が上がる事はなく、
主に今日の遊園地の話から彼らの学校の話、好きな漫画の話など、色々な話題に花を咲かせた。

125カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/14(月) 00:10:01 ID:edtwG7UI
上条「なかなか美味かったな。ただ、少し値が張るってのが痛いところだけど・・・」

美琴「美味しい料理にはそれくらいの対価が付きまとうもんよー」

上条「・・・さっき、「お手頃な値段」とか言ってたのはドコのドナタでしたっけねえ?」

美琴「あははっ、しーらない。さ、時間も遅くなってきたし、帰りましょ」

上条と美琴は、すっかり暗くなった学園都市を肩を並べて歩いていく。
先程のレストランでは話し足りなかったのか、再びレストランでの話の続きを始める。
しかし、ここは彼らの暮らす第七学区。楽しい話は、そう長くとは続かなかった。

美琴「じゃ、私はこっちだから」

上条「おう。今日は本当にありがとな」

美琴「別にいいって。私も今日一日楽しかったし」

上条「でも、好きだった絶叫マシンにはあんまり乗れなかっただろ?今度は二人で行こうぜ」

美琴「ふ、ふふ、ふぇっ!?ふふ・・・二人で!!?」

上条「打ち止めがいると、どうしても絶叫マシンには乗れないだろ?仕方ないけど・・・。
    そうだ、あの観覧車からの景色はもう一回見たいよなー。次行くときも乗ろうな」

美琴(こ・・・ここ、コイツと二人っきりで!!?こ・・・こここ、これってひょっとして、デートのお誘いってヤツ!!?)

上条「それじゃ、またな御坂」

美琴「う、うんっ、ま、またねっ」

美琴(アイツからデートのお誘いアイツからデートのお誘いアイツと二人っきりでデートアイツと二人っきりでデート)

美琴「・・・ふ、ふにゃあ〜〜」

美琴は完熟したトマトのように顔を赤らめ、思考能力が停止してしまったのか、しばらくその場に立ち尽くしていた。
そして寮に戻れば寮監からのきつーいお仕置きと「こんな遅くまで一体何をしていらしたんですのーっ!!?」と
黒子からの質問攻めにあい、夜の町にボーッと突っ立っていたせいもあって、次の日美琴は風邪で寝込む事になった。





おわり

126■■■■:2009/12/14(月) 00:57:54 ID:Y00kp9Bs
>>51-56
>>62-65
>>100-107
>>118-125

127寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/14(月) 03:01:54 ID:Y00kp9Bs
カミサカさん乙っす

連続ですいませんが書きます

消費:3レス

>>112の続き

あと>>112一文字だけ修正させて下さい

修正
上条「た、確かに爆笑もんかもなー。御坂も嫌だろ?」
上条「た、確かに爆笑もんかもなー。御坂は嫌だろ?」

128寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/14(月) 03:03:16 ID:Y00kp9Bs
(1/3)


 上条が歩き出すと、美琴はその斜め後方2メートル前後の微妙な間隔を空けてついていく。

上条「…………………………」
美琴「…………………………」

 美琴は焦っていた。さっきの沈黙はどう考えてもマズイ。
 もし『嫌じゃない』と捉えられていたら、それは顔から火が出るほど恥ずかしいことだし、例えばあいつの方が
嫌だったなら、これまでのような捌けた会話が出来なくなるかもしれない。というか、そもそもそんなのは誤解に
違いない……かもしれない。
 逆に『嫌だけど言い出せない』と捉えられていたら、あいつに悪い印象を与えかねないし、嫌われる可能性だって有る。
大体にして、そんなのは私の本心じゃない。
 もはや何が何だか分からないが、とにかくあの沈黙は何でもないということを伝えなければならない。
 でも、言い出しづらいし…………
 などと、上条の横顔をチラチラ見ながら考える。

美琴「…………………………」
上条「…………………………」

 上条は悩んでいた。さっきの流れはどう考えてもマズイ。
 何がマズイかよく分らないが、ああ言う居たたまれない空気は苦手だ。
 とりあえずそれをリセットした。リセットできたと信じた。
 なので、何か別の話題を振らないと……と考えるが全く思いつかない。
 歩き出してからもう5分は経っただろうか。二人ともずっと無言でこれまた居たたまれない。
 しかし考えれば考えるほど『さっきのは何だったんだ?』がちらつく。
 あの沈黙が、もし『嫌じゃない』ということなら…………いや、まさか。とかぶりを振る。
 あれはきっと『正直嫌だけど、はっきり嫌なんて言ったら可哀想だ』と言う意味に違いない。まったく、何だかんだ言って
美琴さんってば根は優しいんだから。と勝手に納得してちょっと感動する。
 美琴の方を生暖かい眼差しで見ると、美琴はまだ悩んでいるようだった。
 きっとモテない俺の心を傷つけてしまっただろうかと案じているに違いない。と再び妄想して目頭が熱くなる。
 とか勝手にやってる内に不意に目があう。

美琴「な、なによ。その気色の悪い笑顔」
上条「いえいえ、何でもございませんですよ。良い天気だなーってね」
美琴「ああ……そうね」

 前日の土砂降りとは打って変わって、その日はよく晴れていた。
 その場所は丁度高台になっていて、上条と反対の方向を見ると若干夕日に染まり始めた学園都市を見下ろせる。
 なんともゆったりした温かい景色であるはずだが、それが一層美琴を焦らせる。
 
上条「で、どこまで行くんだ?」
美琴「へ?あ、セブンスミストまで」
上条「って、ほとんど同じ場所じゃねぇか」
美琴「あんたはどこ行くのよ」
上条「そのビルの地下。特売」
美琴「ふーん」

129寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/14(月) 03:04:22 ID:Y00kp9Bs
(2/3)


 生返事をしながら、美琴はどこで切り出すべきかを考える。
 行き先が同じなら、そろそろ人通りが多い場所に出るはずだ。正直あんな会話を人前でしたくはない。
となるとそろそろ話を振って、誤解を解かなければならない。
 人通りが少ない小さな広場のような場所に差し掛かった時、美琴は意を決した。

美琴「ね……ねぇ」
上条「ん?」
美琴「えっと………………良い天気ね」
上条「さっき俺が言った……つか、何か曇ってきたぞ。さすがは秋の空」
美琴「え、あれ?」

 空を見ると確かに薄い雲に覆われていた。
 上条はちょっと寒いなと独りごちたが、美琴はさっきから体が熱くてたまらない。

美琴「じゃなかった。さっきの話なんだけどさ」
上条「…………秋の空?」
美琴「違う」
上条「…………猫って可愛いよねって話?」
美琴「んな話してないわよっ!猫可愛いけど…………そうじゃなくて、あんたのこ、恋人なんて嫌だろーって話よ」
上条「…………はい」
美琴「いやね、私が黙ってたから、あんたが間抜けでどうしようもない誤解をしてないかなーって、美琴センセーは
    心配になった訳よ」

 強気に出てみたが、目は泳ぎ、決して上条の顔は見ない。

上条「誤解なんかしてねぇよ。上条さんはこの程度の状況、きちんと把握できる男ですよ」
美琴(……だからどっちによ)

 変な笑顔の上条から真意は読み取れない。

美琴「何か信用できないわねぇ。一応言葉にしとくけど、私は………………、あ」

 そこではたと気付く。

美琴(あれ?誤解を解くって……どっちにだっけ?)

 上条の恋人になるのが『嫌じゃない』か『嫌』か、どちらかを言えばいいのだが……

美琴(これって、実質告白状態じゃない!何でこんなことになっちゃってるんだっけ??)

 普段は冴え渡るはずのレベル5の脳が、今は全く働いてくれない。
 そんな美琴を、自称状況を把握してる男、上条が茶化す。

上条「ん?私は何だってー?お兄さんは心が広いから怒らないよ。言ってごらんなさい。『す・き』って。きゃっ☆」

 余裕綽々の上条に対して、美琴は更に焦る。

美琴「ち、ちがっ、違うわよ!私はあんたなんか何とも………何ともっ………これっぽっちもっ………1ミリもっ………」

 『好きじゃない!』と言いたいはずなのに、言えない。いや、本当は言いたくないのだ。
 言ったら何かが壊れそうな気がする。
 しかしここで言わないと肯定と取られるかもしれない。言わなければならない。
 頭ではそう思っていても、心はそれを拒絶する。
 動悸が速くなり、上手く嚥下ができない。ついには、うっすら涙が浮かんできたことに気付く。

美琴(もう何だってんのよ。全然意味分かんない)
上条「うわ、おい電撃出すな。俺が悪かったって。だから落ち着け!」

130寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/14(月) 03:05:16 ID:Y00kp9Bs
(3/3)


 美琴は素直にそれ従って、とりあえず一度大きく深呼吸をする。

美琴「い、今くしゃみが出そうだったわ」
上条(うそくせぇー。まだ電撃出てるし、全然落ち着いてないじゃねぇか……)
美琴「だからさ。あの沈黙は別にただあんたの言葉に驚いただけで」
上条「ああ、うん」
美琴「そういうわけだから、私が、あんたを、す……好きなわけ……………………ない」
上条「………はいはいそうですねー」
美琴「わけ、ない……」
上条「え?」
美琴「わけ、ないわけないわけないわけないわけないわけないわけないわけないわけないわけないわけないわけない
    わけないわけないわけないわけないわけないわけないわけないわけないじゃないのよこのクソバカーーっ!!!」

 一息にまくし立てて、思いっきり息を吸う。

上条「へ?………………ええっと、わけないわけないわけない……」
美琴「わっ、わわ!何数えてんのよバカ。いちさんごーはちごーにーよんよんきゅういちにーにーごーはちさんよんじゅう!」
上条「だーっ!分からなくなったじゃねーか。何だそれ。純情な男の子の心を弄びやがって!鬼!悪魔!」
美琴「へへーん。いい気味だわ。せいぜい悩むことね。大体にして、何だって私がこんなこと言わなきゃならないのよ」
上条「……言い出したのってお前じゃなかったか?」
美琴「う、うるさい!」
上条「はぁ。不幸だ」
美琴「じゃぁあんたはどうなのよ」
上条「どうって、何が?」
美琴「この御坂美琴の恋人が『嫌』か『嫌じゃない』か……」

 言ってから後悔する。もし嫌なんて言われたら自分はどうなってしまうのだろうか。

上条「はぁ?」

 思わず目をつぶる美琴。

上条「何言ってんだ?嫌なわけないだろ」
美琴「………………………………」

 バチバチ

上条「ちょっと待てー!何でそうなるっ」

 怒ったのか漏電なのか分からなかったが、上条は叫びながら美琴の肩に右手を置いた。
 と同時に美琴の体がゆっくりと前に倒れる。

上条「あれ?おい、御坂?おーい……ってうおっ」

 とりあえず支えようとした途端に、美琴の体が弛緩して倒れる。
 どうにか頭は守ったが、美琴は引きつった笑みを浮かべて気を失っているようだった。

上条(気を失うほど嬉しかったのか、気を失うほど嫌だったのか……いやびっくりしただけか?分からん。上条さんには
    もう何も分からんっ!)
上条「て言うか、どうすりゃいいんだこれ…………」

 新たな疑問に悩むのは後回しになりそうだった。


(つづくの?)

131■■■■:2009/12/14(月) 03:22:00 ID:X4IUJOZ.
わっほーわっほー
天まで届け!

132■■■■:2009/12/14(月) 03:56:51 ID:y7//ZYVA
>>130
グッジョブ!
続いてくれええー!

133■■■■:2009/12/14(月) 08:27:30 ID:MaxOXnvw
うおー遊園地の人と寝てた人ダブルで来たー!GJ!


美琴が積極的になった場合を考えてみた。


 トゥルルルル、ガチャッ。

上条『おかけになった電話番号は現在使用されておりません番号をお確かめの上おか
け直しくださいはいガチャッ』
美琴『アンタそこにいるのに人がかけた電話までとぼけたアナウンスでスルーすん
じゃないわよゴラァッ!』
上条『………やっぱりお前か』
美琴『やっぱりじゃないわよ!私の名前がそっちの画面に表示されてるのにスルーす
るってどういうことよ?』
上条『えーと……お前の番号今すぐ削除していい?』
美琴『するなっ!』
上条『だってお前なんだかんだ言って用事もないのに毎日電話してくるじゃないか』
美琴『ペア契約したんだから電話代はほぼ無料なんだし有効活用したっていいで
しょ!それに今日は用事があってかけたの!ふーっ、ふーっ……えーとね、アンタ再
来週の週末って試験休みで暇でしょ?暇よね?映画見に行くからつきあって』
上条『ちょっと待て!うちの学校の行事予定をなんでお前が知っている!?』
美琴『べ、別にいいでしょそれくらい。で、行くの?行かないの?』
上条『確かにその日は試験休みだが俺は追試と補習の予定だから暇じゃない。じゃあ
な』
美琴『……ねぇちょっと、試験もまだなのになんで補習って決めつけてるわけ?』
上条『あ?上条さんのこれまでの傾向から推測するとこのまま試験受けても補習コー
スまでまっしぐらなんですのよ。というわけで暇じゃないです!』
美琴『あっそう、わかったわ』

134■■■■:2009/12/14(月) 08:28:06 ID:MaxOXnvw
>>133の続き

上条『聞き分けが良くて助かる。じゃそういうこ……』
美琴『美琴先生が明日から試験期間終わりまで勉強見てあげる。そんで、そのお礼に
映画につきあうって言うならいいでしょ?』
上条『のうわっ!?なぜそうなりますか?』
美琴『あん?アンタ補習受けたいの?もしかして先生が眼鏡スレンダー巨乳なの?試験
でわざと赤点取ってまでアンタはその先生の補習を受けたいわけ?』
上条『ちげーよ!つかそのピンポイントな好みは何なんだよ!そりゃ俺だって赤点取ら
ないで済むならその方がいいよ!休みだってつぶれないし!でも上条さん馬鹿だから夏
休みだって補習だったくらいだし今更赤点回避できるわけないだろ?』
美琴『じゃあ決まりね。全科目満点、とまでは行かないだろうけど、それなりの点数は
取らせてあげる』
上条『えらく自信満々だな』
美琴『この美琴先生にまっかせなさーい♪』
上条『中学生に勉強教えてもらうのか……不幸だ』
美琴『試験休みが丸つぶれになるよりきっちり試験終わって映画見に行く方が、アンタ
だって気が楽でしょ?』
上条『……そりゃ確かに一理あるけどな……。で、見たい映画ってのは何なんだ?』
美琴『うふふ、「ゲコ太のマジックアイランド」よん。前売り券買ってあるからチケッ
トのことは心配しなくていいわよ。あー早く見に行きたいなー楽しみ楽しみ』
上条『えらく手回しがいいんだな』
美琴『前売り買って黒子を誘ったんだけど、どういうワケか珍しく断られちゃったの
よねー。あの子、私の誘いだったらほぼ確実にOKするのに』
上条『そりゃいくらなんでもゲコ太じゃ、白井だって断りたくなるだろ……』
美琴『それ、どういう意味よ?……まあ黒子がOKしてもあの子連れて行ったら暗闇の
中で何されるかわかったモンじゃないし、アンタならそこら辺安心できるから、こっち
も映画に集中できて助かるわ』

135■■■■:2009/12/14(月) 08:28:46 ID:MaxOXnvw
>>134の続き

上条『俺の映画の趣味は無視かよ』
美琴『え?趣味?……アンタ、暗がりで女の子に手を出すような変態だったの?へぇ、
ふーん…そうなんだぁ』
上条『その趣味違うっ!だいたい上条さんはジェントルマンなので血迷っても中学生の
ガキに手を出したりなんかしません!へへんっだ!』
美琴『……ほほぅ、言ったわね。じゃあ今度の映画でそれを証明してもらおうじゃな
い』
上条『おう!ジェントル上条に二言はない!ゲコ太でもピョン子でもでもどんと来い
やぁ!』
美琴『その言葉、忘れないでよね。そのかわり……』
上条『そのかわり?』
美琴『この美琴先生が勉強教えてあげたのに赤点なんぞ取りやがったらただじゃおかな
いからね?罰ゲームなんてモンじゃないから覚悟しなさい?』
上条『くっ……。お、おい、そうだ常盤台中学は試験ないのかよ?』
美琴『うち?うちは期末までないけど、あんなの試験勉強しなくたって授業内容だけで
7〜8割は点数取れるわよ?』
上条『ぐ……屈辱だ……』
美琴『じゃ、決まりね。明日から放課後、図書館前に集合、OK?』
上条『わ、わかった……』
美琴『それじゃ明日ね。バイバーイ』

 プツッ。

上条「……よく考えたらなんかうまい具合に丸め込まれたような気がする……。
いろいろと不幸だ……」


美琴「ふっふーん、試験休みまであの馬鹿の予定確保しちゃった♪映画の日は当然一
緒に食事するでしょ、それからショッピングにつきあってもらって、それからそれか
ら……。万が一あの馬鹿が赤点取っても計画は修正可能だし、当日はどうしようか
なぁ。待っててねゲコ太、ああ楽しみ……」
黒子「……扉の向こうからハイなお姉様の怪しげな声が聞こえる……。さすがに今は
近寄らない方が良さそうですわね……」




136■■■■:2009/12/14(月) 19:47:41 ID:TR5tkzIY
もっといちゃいちゃさせて欲しい。

137■■■■:2009/12/15(火) 02:14:27 ID:TdoScXNs
完・・・だ、と?

138寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/15(火) 09:48:50 ID:TdoScXNs
>>130の続き書きます
どこまで続くのか謎

一応推敲してるのに後で見直すと悲しくなるのは何でだろう?
まーSSなんてそんなに書いたことないし別に良いか(^p^)

3レス消費

139寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/15(火) 09:50:09 ID:TdoScXNs
(1/3)

 美琴は夢を見ていた。
 恐ろしく強い敵と戦っている。
 そして、もう駄目かというところで、"あいつ"が少年漫画のヒーローのように都合良く現れ、あっけなく
敵を討ち滅ぼす。なんていう、ベタベタで面白みもない夢。
 それでも美琴の心は幸福感に満たされる。
 しかしその意に反した事を美琴の口は発する。
「もっと私の力を信用しなさいよ。あんたは頑張りすぎなのよ。もしあんたに何かあったらどうするのよ」
 しかし"あいつ"は頭を掻きながらそっぽを向いてしまう。
「あーはいはい。しかたねぇだろ?俺はお前が好きなんだから。ちょっとはかっこつけさせろよな」
「えっ!?」
「ん?何今更驚いた顔してるんだよ」
 あいつはそう言って近づくと、美琴を優しく抱きしめる。
「好きだぞ御坂……御坂?」
「わ、わたわたわた、私……………も、好き」
 お互い見つめ合い、徐々に顔が近づく。
 20cm……15cm……
上条「御坂?御坂?」
美琴「ん?」
 10cm……5cm……
上条「お、おはよう」
美琴「おはよう?」
上条「ふ…」
美琴「?」
上条「ふぇっくしゅ!!」
美琴「…………………」
上条「わ、悪い」

 ぼーっと、顔に掛かった何かを舌でぺろっと舐めたところで、美琴は我に返る。

美琴「ッッッ!!!??」

 美琴は、何故か自分の腕を上条の首に回し、自分の顔を上条の顔に近づけていた。距離は互いの息が掛かるくらい。
 それをどうにかこうにかそれを離すと、どうやら仰向けになっているらしく、頭が温かく弾力のある何かに落ちた。
状況から察するに、それは上条の太ももであり……

美琴(膝枕されて……た?)

 極めつけは顔に掛かった大量の唾…………

美琴(私、今、舐め……舐め……)
上条「はいはい。ビリビリ出さない。とりあえず落ち着こうなー」

 そう言うと、上条は固まって中空にあった美琴の手を右手で握り、左手で出したハンカチを使い美琴の顔を適当に拭ってやる。

美琴「ちょっ、むぐぐ…」
上条「あーそれとなぁ。さっきのは告白とかそういうんじゃないからな。嫌ではないけど勘違いすんなよ」

 早口でそう言い終わると、ようやく顔を拭うのをやめた。
 美琴は上条の顔を見上げたが、上条は顔を斜め上の方に向けていてよく表情が見えない。

上条「……分かったら学ラン返せ。寒いじゃねーか」
美琴「え?…あ」

140寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/15(火) 09:50:40 ID:TdoScXNs
(2/3)


 美琴は今更ながら体に上条の制服が掛けられている事に気付いた。
 素直にそれを返すと、起き上がるために上条の右手を離そうとする……が、上条は離さない。

上条「……落ち着いたか?」
美琴「だ、大丈夫よ」

 むしろこのままの方が落ち着かない。とは言わない。
 手を離し起き上がる。上条が制服を着終えるのを待って、ベンチの上で横向きに体育座りをし、そのまま勢いよく上条に
もたれ掛かりつつ、頭突きを決める。

上条「痛っつ!」
美琴「寒いんでしょ」
上条「お、お前なぁ……」
美琴「ごめん」
上条「…………」
美琴「色々」
上条「ま、別に良いけどな」
美琴「私、どのくらい寝てた?」
上条「んー、20分くらいかな」

 空は既に赤く染まりきっていた。あとは暗くなる一方だろう。
 冷たい風が服の隙間から入ってきて、二人仲良く身を縮める。
 しかし、互いに触れている部分だけはやけに熱く感じるのは何故だろうか。

美琴「ゎ……わ、私も………」
上条「……………」
美琴「……………何でもない」
上条「いいよ。無理すんな」

 どう無理しているのか分からないが適当に言う。

美琴「む、無理なんかしてないわよ」
上条「してるだろ」
美琴「してない」
上条「してる」

 美琴はもう一回頭突きするべく、体を前に倒して振りかぶった。

美琴「ってうわっ!」

 が、バレバレだった為か、それは上条に避けられ、体勢を崩し再び上条の太ももの上に倒れる。
 思わず目が合い、互いの顔が赤いことに気付く。

上条「ぷっ。何間抜けなことやってんだお前。しかも顔真っ赤だぞ」
美琴「う、うっさいわね。あんただって赤いわよ」
上条「違いますー。俺は夕日のせいですー。ってだからこの近距離でビリビリすんなっ!」

 再び手を握られる。

美琴「……………」
上条「……………」
美琴「はぁ。私たち何やってんのかしら」
上条「同感だな。そろそろ特売が始まっちまう。とりあえず行くか」
美琴「そうね」

141寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/15(火) 09:53:11 ID:TdoScXNs
(3/3)


 二人は溜息混じりに立ち上がると、目的地を目指して再び歩き出した。
 先ほど握られていた左手が突然外気にさらされたためか、妙に冷えるのを美琴は感じて、少し前
を歩く上条を見つつニギニギする。

美琴「ねぇ」
上条「あん?」
美琴「なーんか、さっきから能力の制御が効かないのよねー」
上条「…………で?」
美琴「またビリビリ漏れちゃうかもなー」

 とか言って少し電撃を出してみる。

上条「……………………」
美琴(何よそのあからさまに嫌そうな顔は!)

 胸中でそう呟きながらも、顔は平静を装う。

上条「御坂、知ってるか?この通りを少し行くと、人通りの多い道路に出るんだぜ」
美琴「そうね。知ってるわ」
上条「…………セブンスミストはその先だぞ」
美琴「そうね。知ってるわ」
上条「………………………」
美琴「人通りの多い場所で漏電したら大変なことになるかもねー」
上条「…………じゃぁ仕方ないから、俺はおまえから離れ……って!?う、うそうそ冗談」

 一瞬、美琴の酷く切なそうな表情を見て、上条は異常に慌てた。

上条「分かったって。こ、これで良いんだろこれで」

 照れ隠しにわざと乱暴に美琴の左手を右手で掴んでやる。

美琴「う、うん。仕方ないわよね。我慢我慢」
上条(とか言う割に嬉しそうだし。全く、さっきの顔は何だったんだ)

 未だに心臓のドキドキが止まらないことを気取られないようにしないと、と上条は思う。

上条(あれ、御坂は他人の生体電気の流れを読めるんだっけ?いや、それは手を繋いでる内はできないか。
    つうかこいつは何を考えてるんだ。もう分からん。も、もしかして俺って………鈍感!?)

上条「ふ、不幸だ」
美琴「ちょっ!この状況の何が不幸だってのよ!」
上条「い、いや、誤解だ誤解。それじゃない」
美琴「どうだか。あー、何だかあんたが酷い事言ったせいで、この手を離した瞬間に周りが大変なこと
    になる気がするわー」

 冗談めかして言っているが、実は本当にそんな気がしていた。

上条「……………」
美琴「大丈夫大丈夫。特売が先で良いわよ」
上条「……不幸だ」

(果たしてつづけるべきなのか これ以上行ったら・・・)

_______

甘い・・・・・・ばーちゃんお手製の黒豆くらいに甘い・・・・・・・

142■■■■:2009/12/15(火) 11:44:28 ID:NQZxaRsA
寝てた人GJ! くぅー甘甘いいっす!

143■■■■:2009/12/15(火) 12:01:41 ID:NQZxaRsA
ということで、投下ー。


上条「御坂頼む!もうお前しか頼れる奴はいないんだ!」
美琴「なっ、なによ藪から棒に」
上条「俺を助けると思って、お願いします!(土下座)」
美琴「ちょ、ちょっと往来で土下座って恥ずかしいじゃない。いいから顔を上げなさ
いよ」
上条「御坂……お前の力を貸してくれないか?」
美琴「アンタがそこまでいうんなら……その、手伝わないことも、ない、けど……」
上条「ホントか?ホントにホントか!?」
美琴「わっ私は嘘はつかないわよ。で?何をすればいいの?」
上条「ひとまず、俺の部屋に来てほしいんだ」
美琴「えっ!?えっ!?ちょ、ちょっと、あの、それはいくら何でもいきなりという
か私にだって心の準備というか今日の下着は余り可愛くないしだからって行きたくな
いってワケじゃなくてえーとそのほんとに」
上条「いやー、助かったですよ。実は上条さんちでそうめんが余りに余ってですね、
賞味期限があと3日なんですよ。実家から山のように送られて、食っても食っても減
らねーの」
美琴「……………………今何となくオチが見えたような気がするんだけど。それで?」
上条「土御門とか青髪とか姫神とか吹寄とかにも頼んだんだけどなかなか減らなくっ
てさー。御坂は育ち盛りだから10人前くらい1人で食べられるだろうと思って」
美琴「…………」
上条「ゆでるのとかは俺が全部やるから、とりあえず俺んちに来て……って、どうし
て御坂たんはそんなに不機嫌になってるんでせうか?」
美琴「……そんな色気のない話で女の子を部屋に誘うのってどういう神経してるのよ
この鈍感ー!!」

144■■■■:2009/12/16(水) 01:59:07 ID:K/KpqDF.
>>143
グッジョブです
10人前って美琴をなんだと思ってんだw

145■■■■:2009/12/16(水) 02:27:24 ID:VeXP2eRU
>>141さんも>>143さんもGJ!
徐々にSS増えてきてうれしい

146■■■■:2009/12/16(水) 07:15:44 ID:GNOtYOtU
続きを考えれば考えるほどエロイ流れが思いつく件

147ネタ1/2:2009/12/16(水) 08:33:59 ID:7/hOo6CE
とりあえず投下。

美琴「あ、アンタ、胸のボタン取れかかってる」
上条「む、どこだ?」
美琴「Yシャツの、ほら上から2番目」
上条「おお、一瞬どこかわからなかったぜ。サンキュー御坂。うち帰ったら落っこと
さないうちにつけ直しとくわ」
美琴「え?どう見てもすぐ取れそうじゃない。ちょっと貸して。私裁縫セット持って
るから、つけてあげる」
上条「いいって。これくらいだったら家までもつし」
美琴「アンタの裁縫スキルじゃ、つけてもまた取れちゃうでしょ。ほら貸しなさいっ
てば」
上条「おいおい!こんなところで俺に脱げっていうのか?」
美琴「じゃあ、そのまま縫ってあげる。ほらこっち向きなさい」
上条「ええっ!?そ、それはまずいですよ美琴さん」
美琴「いいからいいから。ちょっとじっとしてて」
上条「早っ!目の前であっという間に針に糸通してるし!」
美琴「こんなもんは慣れよ慣れ。ペルシャ絨毯のほつれを直すより簡単だし。ボタ
ン、1回引っ張るわよ。……ほら取れた。アンタのことだから、うちに帰るまでに
落っことしてたんじゃない?」
上条「……不幸体質だけに言い返せません」
美琴「じゃ、動かないでね。すぐ終わらせるから」
上条「はい……」
美琴「ふーんふんふん、ふーんふんふん、ふんふんふーん♪」
上条「(……あー、御坂から何かいい匂いがする……って、うっとりしてる場合か
俺!)」
美琴「ちょろっとー、動かないでくれる?」
上条「お、おう」
美琴「簡単に取れないようにしっかりつけておくからねー」
上条「……み、御坂」
美琴「なに?」
上条「きょっ、距離が、近いん、だけど」
美琴「当たり前でしょ。離れてたらつけられないわよ」
上条「そ、それもそうだなあははのはー」
美琴「もうちょっとで終わるから、我慢して」
上条「(正直この距離は近い!近すぎる!つか、周りから見たらこの状況はすげー危
険な構図では?はっ、いけませんいけません。上条さんは寮の管理人さんがタイプ!
決して、決して妹が好きな土御門方面ではありません!直立不動心頭滅却!)」
美琴「はい、終わったわよー。あ、ごめん。糸切りバサミ、黒子に貸したままだった。
アンタ、ハサミ持ってる?」
上条「そんな物は俺のペンケースにも入ってないな」

148ネタ2/2:2009/12/16(水) 08:35:08 ID:7/hOo6CE
美琴「じゃ、しょうがない。ちょっとそのまま動かないでね」

 プチッ

美琴「はい、できた。歯で切ったけど、それほど見栄えは悪くな………い……か
ら……」
上条「で、電撃で切るのかと思った……」
美琴「(こ、こ、コイツの顔が近い!この角度だとま、まるで………キ、キ、キツツ
キじゃなくて!)」
上条「み、み、み、御坂さん?」
美琴「な、なに?」
上条「なんで固まってやがりますかこの姿勢で」
美琴「……え?」
上条「お願いですから動いてくださいこのままでは上条さん新しい嗜好に目覚めてし
まいそうです」
美琴「わ、わかってるわよ……って、嗜好?」
上条「いや今のは毒電波だから忘れろ!忘れろ!えーと……ぼ、ボタン、ありがとう
な」
美琴「うん……あ、アンタ」
上条「ふぁい?」
美琴「シャツの、4番目と5番目。自分でつけた?」
上条「そ、そうだったと思う」
美琴「そ、そう。ずいぶん雑ね。すぐ取れそうじゃない。今度時間があるときに、
2つともつけ直してあげる」
上条「た、た、頼む。そそそ、そうだ!ボタンつけてくれたお礼に鞄持ってやるよお
前の寮まで」
美琴「あう?」
上条「だって、分かれ道まで5mもないし。常盤台の寮はここから近いだろ?ほら持っ
てやるから鞄貸せ鞄」
美琴「あ!……ありが、と……」
上条「いへいへ。それじゃいこーぜぃ」
美琴「う、うん」
上条「(あー、危ない危ない。危うく上条さんに新たな属性が付加されるところでし
たよ。全て気のせい、気のせいですよ!御坂がちょっと女の子らしいとか決して断じ
てこれっぽっちも思ってませんのことよ!)」
美琴「(寮まで一緒、寮まで一緒に帰宅、寮まで……ま、周りに見られたら、ど、ど
うしよう……)」
上条「(…………気まずい。なんかケツがむずがゆい!なんだこの空気は誰か俺をこ
こから連れ出してー)」
美琴「(寮監や黒子に見つかったらまずいそうじゃなくて寮生に見つかってもすごく
まずいけどこのまま黙って別れるのもそれはそれでちょっと気まずいっていうか)」
上条「な、なぁ、御坂」
美琴「なっ、何?」
上条「いい天気だな」
美琴「そうね」
上条「(…………だーれかー、このむずがゆい空気に割り込んできてくれー!土御
門ー!青髪−!この際白井でもいいからー!ドロップキックでもパイルドライバーで
もぶち込んでくれぇたーすーけーてー)」
美琴「(…………もうすぐ寮に着いちゃう。このままバイバイ、したく、ない……)」
上条「お、おおー、ほら、寮に着いたぞ御坂」
美琴「へ?あ、うん。鞄、ありがと……」
上条「えーと、その、あの、御坂」
美琴「な、なにかしら?」
上条「あ、あしたも……いっしょに……かえるか?いやそのあの、かえりみちであっ
たらだぞとくにたいはないからなホントだぞ?」
美琴「う、うん。そうね、帰り道、偶然ばったり出会ったら、ね」
上条「は、はは、そ、それじゃまたなー」
美琴「うん、ま、またねー」


上条「……はーあぶなかったですよー危うく上条さんが血迷って中学生に手を出した
すごい人になっちゃうところでしたよー俺のタイプはあくまでも寮の管理人さん寮の
管理人さん寮の管理人さん………」

黒子「お姉様?3日前からお姉様の机の上に糸切りバサミが出しっぱなしになってま
すけど、どうかしましたの?風水か何か始めたんですの?」
美琴「ふぇ?え?いやこれは別にわざと忘れてたとかそういうことはないのよこれっ
ぽっちもそうたまたま!たまたま裁縫セットの中にしまい忘れてただけなのよおほほ
ほほー」
黒子「怪しさ全開ですの……」


おわれ。

149■■■■:2009/12/16(水) 14:47:50 ID:KD8Nf88Y
とある早稲田の文学教授(ババァ)「こうして見ると分かるように、この時代から女性の肉体の魅力は徐々に胸や腰へと移っていきます。ほら、最近のアニメなんて不自然に胸ばっかり大きい子ばっかりなんでしょう?よく知りませんけど」

俺(うるっせぇんだよ、ド素人が!!)

150■■■■:2009/12/16(水) 16:43:13 ID:gXigdYjw
>>148
GJ!!!! 続いてもいーかも。

>>149
ナイスな突っ込みですねーちん!!!

151■■■■:2009/12/16(水) 18:09:08 ID:mb/BoSXk
古代インドの置物だって胸や腰が強調されてたろ
おっぱいは万国普遍って事で

152小ネタ:2009/12/16(水) 22:42:41 ID:dBx7QLmE
初投稿

153小ネタ:2009/12/16(水) 23:11:10 ID:dBx7QLmE
プルルルル…
御坂「あっ、電話が鳴ってる…誰?ってあの馬鹿!?なんで!?
   あの馬鹿から電話かけることなんてめったにないのに…」
『もしもし、御坂か?上条だけど』
『えっ、朝早く何の用?』
『いや、用というか…御坂今日時間あいてるか?空いてるなら
10時に公園に来てくれると助かるんだけど…』
御坂(これってまさか…デート!?私アイツに誘われてるの!?///)
『あっ、うん空いてるわよ』
『じゃぁ10時に公園に来てくれ、じゃぁな』
プープープー…
御坂(誘われちゃった…何の用か知らないけど行くしかないわね!)
 
10時-公園

上条「おっ御坂来たか」
御坂「えっと…何の用?」
上条(用件伝えるの忘れてたな…)
上条「えっと…御坂、付き合ってくれッ!」
御坂「えええええええええ!?」
 (これって告白!?アイツから告白!?どうしよう、たしかにアイツのことは好きだけど
  いきなり告白されるなんて思ってもなかった…嬉しい///)
御坂「いいわよ、付き合っても…」
上条「よし!早速だけど行きたいところがあるんだけど、御坂いいか?」
御坂「ふぇ?あっうん、どこに行くの?」
上条「まぁちょっとついてきてくれ」

数分後
上条「おっ、ついたついた」
御坂「Seventh mist?」
上条「じゃ、入るぞ御坂」
御坂「えっ…あっうん」

御坂「結局何の用なの?」
上条「そうそう!御坂につきあってもらったのはほかでもなくちょっと
   上条さんの服を選んでいただくだけなのですよ」
御坂「え?」
上条「いやー、普段あまり私服とか着ないからさ、それにこういうのは女の子のほうが詳しいだろ?
   そこで御坂さんに上条さんの服を選ぶのを手伝ってもらうのです」
御坂(さっきのは告白じゃなかったってこと!?)
上条「あれ?御坂!?ビリビリがでてるんですけどッ!」
御坂「アンタって奴は…」
上条「何この空気!?ミサカサンなんとかそのビリビリを抑えてくれませう?」
御坂「このボンクラがーッ!女心をもて遊ぶんじゃないわよ!」
上条「ちょっと御坂さんそこでそんな電撃打ったらしんじゃうって!絶対!」
御坂「喰らえー!」
上条「ちょっ…不幸だーッ!」

その後おさまって結局御坂は怒りつつ上条さんの服を選んであげたのでした。
                                 完

ごめんいちゃいちゃしなかった

154■■■■:2009/12/17(木) 06:48:01 ID:KO2.YV/E
いいよいいよ

155■■■■:2009/12/17(木) 07:36:29 ID:.6BmSYU.
>>153
GJ!
職人さん増えてくれてうれしい

156■■■■:2009/12/17(木) 07:40:43 ID:.6BmSYU.
>>135、続いた。

上条「『1000ならかみじょうみことー(棒)』」
上条「『1000ならみことはかみじょうさんのよめー(棒)』」
上条「『1000ならかみじょうさんはせきにんとってみこととけっこんするべ
きー(棒)』……なぁ、こんなこっぱずかしい朗読、いつまでやらせんだ?」
美琴「あ?その手に持ってる紙にあるでしょ。それ全部読み終わるまでよ」
上条「しかも人が読んでるのをICレコーダで録音、ってどれだけ陰険なんだ
よ……」
美琴「うっさいわね!これもアンタが、人がせっかく勉強教えたってのに赤点取っ
てるからじゃないのよ!」
上条「7教科中1教科だけ、しかも赤点回避まであと3点だったってのに、そこに慈
悲はないのか慈悲は!」
美琴「なんで、あとたった3点が取れないのよ!ちっとは反省しなさいよ!」
上条「……その録音した音声はあとで流したりするのか?」
美琴「さすがに、そんなことはしないわよ」
上条「じゃあ何に使うんだよそれ」
美琴「……べ、別にいいでしょ何だって……。それより、もうちょっと感情込めて読
めないの?」
上条「録音するのやめたらお前が悶え死ぬまでいくらでも言ってやるよ。あー、『み
ことあいしてるぜー(棒)』しかしどこの掲示板からこんな恥ずかしい台詞集めてきた
んだか」
美琴「…………………………………………え?いまなんて」
上条「何も言ってねぇよ。『みさか、おれたちけっこんしないかー(棒)』」
美琴「……いまとっても重要なことを聞き逃した気がするんだけど……」
上条「『おんりーまいれーるがーん(棒)』……御坂」
美琴「な、なぬ、じゃない、何?」
上条「明日はダメだけど、明後日なら空いてるから映画行かないか?『みことにおに
あいなのはかみじょうさんだけー(棒)』」
美琴「…………………………………………はい?」
上条「前売り券買って、楽しみにしてたんだろ?チケットはお前の物だけどさ、明後
日なら時間あるから映画につきあってやってもいいぞって言ってんだ」
美琴「…………………………………………えっと、もう一度言ってくれる?」
上条「明後日、いつもの自販機の前で待ち合わせな。チケット代の代わりに、高い物
は無理だけど飯は俺がおごるから、それで許せ御坂」
美琴「へ?え?あ、う、うん。それで……いい」
上条「じゃ、この朗読終わりにしていいか?」
美琴「うん………」
上条「じゃ、俺明日は追試と補習だから、これで帰るわ。またな」
美琴「あっ、そ、そうね。また明日。バイバイ」


美琴「……あれ全部読み終わったら映画に誘おうと思ってたのに、アイツに先越され
るなんてなんかくやしい……。とりあえずこの録音した音声は携帯に移していつでも
再生できるように……」


続かない。

157■■■■:2009/12/17(木) 11:55:05 ID:OhEu8R2Q
続こうよ!どんどん続こうよ!!

158カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/18(金) 01:04:41 ID:KS8dtOCA
>>156
構わん、続けろ(AAry

遊園地編(>>125)の後日談

上条「オッス。探したぜー御坂」
美琴「え・・・っ?わ、私に何か用?」
上条「この間の遊園地でさ、色々とお前には世話になっただろ?あの時の礼、まだしてないと思ってさ」
美琴「えっ・・・いっ、いいのよあれくらい。大体あれは私がす、好きでやった事なんだから、気にしなくていいわよ」
上条「・・・でも上条さん的には何だか借りを作ってしまったような気がして、どこかスッキリしないと言うか」
美琴「ま、まあアンタがそこまで言うなら・・・お礼の一つや二つ、う、受け取ってもあげてもいいけど」
上条「悪ぃな、かえって気を遣わせちまって・・・。これなんだけどさ、ほんの気持ちだ。受け取ってくれ」
美琴「あ・・・うん・・・その・・・あ、ありが・・・とう・・・。と、ところで、この大きな袋の中身は何なの?」
上条「開けてみろよ」
美琴「う、うん・・・」

大きな紙袋の中には、更にプレゼント包装された袋が入っていた。
美琴は丁寧にその包装の紐をほどき、袋の中を覗いてみるとそこには―

美琴「・・・こ・・・これ・・・ゲコ・・・太・・・?」
上条「ああ。お前、これ好きなんだろ?気に入ってもらえるといいんだけど」
美琴「覚えてて・・・くれたんだ・・・・・・・・・・・・ウッ・・・」
上条「えっ?」
美琴「・・・ウッ・・・グスッ・・・ウッ・・・・・・ウッ・・・」
上条「えええー!?ひょ、ひょっとして気に入らなかったとか!?ごっごめん、で、でも何も泣く事―」
美琴「グスッ・・・ちっ・・・ヒック・・・違うわよ・・・その・・・ヒック・・・う、嬉しくて・・・ヒック・・・」
上条「御坂・・・」
美琴「・・・ヒック・・・えへ・・・その・・・ありがとね。大事にするから・・・」
上条「!おっ、おう・・・」

そのしばらく後も美琴は泣き続けていたが、それでも彼女は笑っていた。
彼女のその笑顔は、ダイヤモンドにも勝るほどの輝きを誇っていた。

- * - * - * - * - * - * -

黒子「あらまあお姉様、また新しいぬいぐるみを買っていらしたんですの?」
美琴「まあね。・・・でもこの子だけは特別。私の一番のお気に入り、なんだから」
黒子「・・・そうですか。それではそのお気に入りが増えない事を黒子は願ってますわ」

おやすみなさい、と言って黒子は明かりを消し、ベッドに入る。
一方の美琴は、新しく仲間入りしたゲコ太のぬいぐるみを大事そうに抱き、眠りについた。

159■■■■:2009/12/18(金) 15:32:20 ID:0QFMpRfY
いい!!実にいい!!

160■■■■:2009/12/18(金) 19:07:36 ID:0QFMpRfY
これのSS保管庫ってないの?

161■■■■:2009/12/18(金) 20:26:45 ID:COEX.uxU
なんか保管庫作った方がいいと思う
最近『超電磁砲』の影響か職人さんが増えてくれるのはとても嬉しいけど
レスがパンパンになって、タイトルごとに見れないし・・・
管理人さーん 保管庫作ってください(真)

162■■■■:2009/12/18(金) 22:47:35 ID:PkWpl2UU
保管庫作ってる人って監理人さんなの?

ここも512Kで落ちるんだっけ
この調子でいけば500レス超えた当たりで落ちそう

163■■■■:2009/12/19(土) 14:10:15 ID:zBe31KVw
クリスマスネタ思いついたら投稿します〜
あくまでネタですから

164カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/19(土) 16:13:41 ID:3UY3WKok
クリスマスネタに期待

上条「何でまたしりとりなんだ・・・?まぁ、いつもみたいにビリビリされるよりかはいいけどさ。
    んじゃ、俺からなー。「しりとり」の「り」で、「りんご」」
美琴「ゴリラ」
上条「ラッパ」
美琴「パイプ椅子」
上条「スイカ」
美琴「カラス」
上条「スズメ」
美琴「メス」
上条「す・・・水蒸気」
美琴「キリギリス」
上条「す・・・す・・・滑り台」
美琴「椅子」

- * - * - * - * - * - * -

上条「す・・・す・・・スロベニア」
美琴「アリストテレス」
上条「だぁぁーっ!何なんだよお前!!何で「す」でばっかり攻めてくるんだよ!」
美琴「いいじゃない別に。これもひとつの戦略よ。それよりまだ沢山あるわよ?「す」で始まる言葉」
上条「もうほとんど出尽くしたっつーの!す・・・す・・・そうだ、「スイス」!こ、これでどうだ!」
美琴「スパイス」
上条「だぁぁーっ!もう分かった!分かったよ!!俺の負けでい―」
美琴「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!まだ他にもあるでしょ!?た、例えば・・・、「す」で始まって「き」で終わる言葉とか」
上条「「す」で始まって「き」で終わる・・・?・・・あぁ、「すき焼き」!」
美琴「何でそうなるのよ!!まぁ、確かにそれで合ってるけど・・・っ!
    「す」で始まって「き」で終わる、すごいシンプルな言葉があるでしょ?「踵(きびす)」!」
上条「「す」で始まって「き」で終わる、すごくシンプルな言葉ねぇ・・・。・・・あぁ、なるほどな!!」
美琴「や、やっとわかった?」
上条「素焼き」
美琴「それのどこシンプルなのよ!!アンタは私をなめとんのかゴラァァー!!」
上条「うわぁっ!?な、何なんだよお前は!!お前のヒント通りに言っただけなのに、わけ分かんねえよ!!」
美琴「わけが分からないのはこっちの方よ!!二文字で終わる、すごくシンプルな言葉があるでしょうが!!」
上条「墨」
美琴「もう語尾が「き」ですらないじゃないの!ふざけてるの!?アンタは私を馬鹿にしてんのかー!!」
上条「馬鹿になんかしてねえよ!!俺は本気だーっ!!」
美琴「だったら分かるでしょ!?言いなさいよ!!さっさと「好き」って言いなさいよー!!」

全てを言い終えた瞬間、何か自分がとんでもない言葉を口走った事に気づいたのか、
ボンッという音と共に美琴の顔がみるみるうちに赤くなっていく。

上条「・・・はい?」
美琴「・・・ちちち違うわよ!!勘違いしないでよね!!わ、私は農具の方の「鋤(すき)」の事を言ってるだけで、
    別に愛情表現や相手に好意を示すときに使われる、感情の方の「好き」の事を言ってるわけじゃ・・・」
上条「ヘーソウナンデスカー」
美琴「なっ、何よその明らかに信用しきってない目は!!本当だって言ってるでしょ!!」
上条「アーアーソウデスカー。それじゃしりとりの続きでもやりますかねー、・・・「好きだぞー美琴ー」」
美琴「わっ、わっ、な、ななななな!!?」
上条「ほら、美琴さんの番ですよー」
美琴「とっ・・・とうきょうとっきょきょかきょくっ・・・」
上条「狂おしいほど美琴をあいしてるー」
美琴「!!!??」

ボンッボンッ!と。先程よりも大きな音をあげ、美琴の顔は更に赤く染まっていく。
その後も上条の愛の言葉攻めが続き、最終的にふにゃあ〜という声を上げて美琴はそのまま気絶した。

165カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/19(土) 16:25:49 ID:3UY3WKok
ああああ、間違えた!

冒頭の
>美琴「今日は趣向を変えてしりとりで勝負よ!」
ってセリフが抜けてた!申し訳ないです・・・

166■■■■:2009/12/19(土) 16:29:20 ID:8OKOH/HY
カミサカさんGJ!
冒頭なくても面白かったぜー

167■■■■:2009/12/19(土) 16:46:47 ID:8OKOH/HY
じゃあスレ落とすために投下。
内容を短く、そして特定の単語を使わずに、いかに皆さんに2828してもらったり妄想してもらったりするための小ネタ。


上条「嗚呼、何つーか……不幸だ」
美琴「藪から棒に何よ?」
上条「んあ、俺たちの行動がワンパターンだというご指摘があってな。ワンパターンというよりも、御坂がビリビリ電撃入れてくるから、ほかにネタが広がりようがないってのに」
美琴「あのねぇ、それはアンタが人のことを中学生とか言ったり短パンネタでおちょくってくるからでしょ!だいたいね、その中学生に先に告白してきたの、アンタよアンタ!そこのところを忘れないで欲しいわね」
上条「何ぃ!?だったら人の服に手をかけて脱がそうとしたのはお前が先だろが!」
美琴「『ブラウスにルーズソックスだけって言うのも萌える』とかなんとかこの間言ってたのはアンタじゃない!」
上条「その前に、お前『今夜は寮に戻りたくない』とか言ってたじゃないか!」
美琴「……………………うー」
上条「はぁ……………………お約束のアレ、言っとくか?」
美琴「そうね………………せーの」
二人「「不幸だ(だわ)…………」


終わる。

168■■■■:2009/12/19(土) 23:34:15 ID:y/S/X7As
>>167
GJ!!2828してしまいました。
この短さで…すごいです。

169小ネタ:2009/12/20(日) 17:18:37 ID:gaO7iAEI
クリスマスネタ
上条「あー不幸だ…」
美琴「いたいた!アンタ!アンタよ!止まりなさいってば!」
上条「あー御坂か…上条さんは今ブルーなんですよ? 
   で何の用何だ、御坂?」
美琴「えっ…あぁえっと…」
上条「じゃぁ用がないということで?あーじゃぁな御坂」
美琴「ちょっと待ちなさいってば!えっと…」
上条「あぁ!もう御坂!いいたいことがあるなら早くいいなさい!
   今なら30秒間まってやるから!ほらよーいスタート!」
美琴「えっと…もうちょっとしたらクリスマスでしょ?
   あの…時間があるなら一緒に出どこか行こうかなぁなんてね…アハハ」
上条「何だそんなことか、別にいいぞ、インデックスは小萌先生のとこに行くから
あと俺は誘われてないから暇だしな」
美琴「えっ…本当にいいの?」
上条「あ?だからいいってどうせ俺は誘われないんですよーだ」
美琴「じゃぁ25日の昼に公園に来て、詳しいことはメールで送るから!
   忘れたり、メールをスパム扱いにしたら承知しないわよ!」
上条「行っちまった、アイツ怒ったり笑ったり忙しいヤツだな
   まさか御坂に誘われるとは…」
美琴「やった!どうにかしてアイツを誘うことができた…
   クリスマスデートかぁ…」///
続く…?続かない
いちゃいちゃ?忘れてた ただ誘うだけです

170小ネタ:2009/12/20(日) 17:20:04 ID:gaO7iAEI
すみませんsageの忘れてましたww

171■■■■:2009/12/20(日) 18:33:58 ID:Clxd4hxc
>>169 わっふるわっふる

172デレ好き:2009/12/20(日) 22:55:55 ID:xUJHhmWU
上条家

上条「こうして2人で会うのも久しぶりだなぁ」

???「…そうだね。追い出されちゃったもんね、私」

上条「おいおい人聞きの悪いこと言うなよ、シンデックス」

シンデ「…インデックス」

上条「あ、すまん。あんまり久しぶりで」

インデ「…ふんっ。いいもん。小萌ちゃん家のごはんだっておいしいもんっ」

上条「ちゃんづけ!?…まぁ、仲がよさそうでなによりだ」

インデ「で?なんなの?あのアックアと闘うときですら何も言ってくれなかったとうまがわたしに相談なんて」

上条「あ、ああ、聞いてくれ。実はな・・・」







上条「さ、最近なっ、俺に甘えっきりで困ってんだよなぁ。み、美琴のやつっ」デレデレ

インデ「…」

インデ「…ふざけてんの?」

173デレ好き:2009/12/20(日) 22:57:12 ID:xUJHhmWU
常盤台・寮

美琴「こうして2人で部屋にいるのも少なくなったわねぇ」

黒子「…そ、そうですわね。お姉さまったら、もはやどちらにお住まいなのか」ズーン

美琴「え!?そ、そんなに入り浸ってたかしら、あいつん家…」

黒子「週に5日もお泊りなさって何をおっしゃいますの!?あぁ、悲しい!黒子悲しい!!」

美琴「ご、ごめん、こればっかりは………その…ね?」モジモジ

黒子「あぁ、やめて下さいまし!その赤らんだお顔がよけいに黒子の心を!心をエグってー!!」

美琴「ま、まぁアンタも元気そうでなによりね」

黒子「グスッ…ところで何ですの?お姉さまが私に相談事だなんて」

美琴「あ、うん、じ、実はね・・・」





美琴「こ、この頃ねっ、あいつ私にべぇったりで、困っちゃってっ。と、当麻ったらっ」テレテレ

黒子「…」

黒子「…うっっっがぁぁぁああああーーーーーーーー!!!」

↑なんか思いついた。需要ある?

174■■■■:2009/12/20(日) 23:10:16 ID:Fvt7aquw
あるのでは?
少なくとも小生はこの後どうなるのか気になりますー!

175■■■■:2009/12/20(日) 23:15:24 ID:ptK75TBo
是非書いてください

176■■■■:2009/12/20(日) 23:35:37 ID:nEqRD.WY
>>173
俺にはとても需要有ります!

177■■■■:2009/12/21(月) 07:47:25 ID:p8E9OnfU
>>173
あるよーすごいあるよー

てなわけでこちらも投下。
上条さん、宿題の宿題を美琴に手伝ってもらったにもかかわらず
オルソラ救出戦で間に合わなかったあたり。

美琴「……で、アンタはこの美琴さんが何時間もつきあっていろいろ教えてあげたっていうのに宿題は間に合わなかった。そう言いたいの?」
上条「誠にその通りで面目次第もございません」
美琴「それで、どうしてそうなったのかちゃんと説明してもらえるんでしょうね?……どうせアンタのことだから、また面倒に巻き込まれたんだろうけれど」
上条「もうすでにいろいろとあきらめ癖がついているお前の態度にむしろ俺は同情した方がいいのかもしれないけれど……。あ、こんなところに大判焼きの屋台が出てる。食いながら事情を話すから、お前はちっとここで待ってろ」
美琴「ちょっ!?人を大判焼きごときで懐柔できるとでも思って……」
上条「ほれ、熱々だから気をつけろよ。女の子って甘い物が好きなんだろ?立ち食いしてたことは誰にも言わないから、遠慮なくぱくっといけぱくっと」
美琴「えーとねそうじゃなくて食べ物で私がごまかせるとでも思って……」
上条「(ぱく)おお、皮がぱりっとしてるし、中身ががぎっしりつまってる。これは久々のヒットだぞ。……御坂、食べないのか?ひょっとして、お前粒あん苦手?」
美琴「あ?え?いやそんなことはないけれど、アンタのそれもあんこじゃないの?」
上条「俺のはクリーム。お前の好みがわかんなかったから、お前のは誰でもいけそうな粒あんにしたんだけど、クリームの方がよかったか?だったら今から買い直して……御坂、お前はどうして俺の大判焼きを指さしてるわけ?」
美琴「……それと取り替えて」
上条「俺が今食べてるこれか?だったら、俺がひとっ走りして買ってくるから」
美琴「いいわよ今更そんなのめんどくさいでしょ。アンタが食べてるそれちょうだい」
上条「んじゃ、ほら。そっちの粒あんも嫌いじゃなかったらお前が食っていいぞ」
美琴「……………」
上条「御坂。粒あんの方を二つに割って、ふーふーして何するんだ?」
美琴「にっ、二個も食べられないから、アンタ食べてよ」
上条「そうか?じゃ遠慮なく(がぶ)」
美琴「!”##$$$%$%#&&〜=〜!!!」
上条「おお、これはなかなか上品な甘さじゃねぇか。あんこなのに後を引かないあっさりした甘みというのはなかなかお目にかかれないぞ。どうした御坂?何固まってるんだ?ああ、残りを早く食えってか。悪い悪い(ぱく)」
美琴「(こっ、コイツに半分渡すつもりが、コイツ、人の手から直接食べてる。いやこの状況だと私がコイツに食べさせてる?この状態はこの状態はいったいいいいいいい?)」
上条「御坂?御坂さん?何で目を回してるんだ?早く食べないと大判焼き冷めちまうぞ?おーい御坂?……とりあえず御坂の手からクリーム大判焼きを取り上げて、二つに割って、と。ほら食え御坂。あーんしろ、あーん。割った大判焼き両手に持ってたら食いづらいだろ?」
美琴「(あーんって、あーんって、さっきコイツが私の粒あんにかじりついて、今度は私があれやるの?人前で?ま、まさか食べさせっこ?しかもコイツの食べかけを?でもさっき『そっちと取っ替えろ』って言っちゃったしこれで食べなかったら変に思われるわよねきっとそうよねコイツに食べさせてもらってあまつさえ間接キスとか考えない考えてないからここは目をつぶって………ぱく)」
上条「うまいか?」
美琴「………………う、うん」
上条「そか、そりゃよかった。で、その、宿題が間に合わなかった理由なんですが」
美琴「その話はも、もういいから……」
上条「そうか?そう言ってくれると助かる。ほら、大判焼きの残り。食べろよ」
美琴「ううう…………………(ぱく)あ、アンタもこ、こっちの残り」
上条「おう(ぱく)」
美琴「(意識したら負け意識したら負けっていうかやっぱりこれは、は、は、恥ずかしいっ!!)」
上条「いやー、機嫌が直ってくれてよかったよかった」
美琴「(コイツに『食べ物につられて機嫌が直った』って思われてるのが悔しいけれどでも恥ずかしすぎてもう何も言えない………////)」


了。

178sage:2009/12/21(月) 11:57:50 ID:I13lth.A
にやにや

179■■■■:2009/12/21(月) 12:02:44 ID:NS/xTXLI


>>178
おしいw

180■■■■:2009/12/21(月) 20:36:02 ID:GaTmeRh2
上条「…私は今。せっかくのテスト休みにもかかわらず。偶然街角で出会っただけの中学生に振り回されてる。うふふ。不幸。」
美琴「口調変わってるし誰に説明してるか分からないわよアンタ、ていうか買い物に付き合えって言ってるだけでしょ」
上条「あのなぁ、上条さんは昨日までテストで疲れてんだよ、頭の血管ブチ切れるまで頑張ったって何にも起きない俺の気持ちが分かるのかコノヤロー!」
美琴「ふ、ふーん、アンタは私と一緒が嫌なんだ、ふーん」
上条「あん?今俺目逸らされる様な事言ったか?…ていうか休日にお買い物って普通恋人同士とかでするもんなんじゃないだろうか?」
美琴「こっ、KOIBITO!?意味わかんない事言ってんじゃないわよアンタ私はアンタが暇そうな顔して歩いてたから誘ってあげただけでしょーがーッ!!」
上条「暇そうじゃねぇし暇じゃねぇ…って帯電!?何やら前髪の辺りがバチバチいってて新手のモンスターみたいになってるのですがーーッ!」
美琴「それが乙女に対する言葉かコラーッ!」
上条「放電!?お前そんな堪え性無いと未来の彼氏とデートもできないぞ…」
美琴「べっ、別に大丈夫よ…」
上条「あん?」
美琴「…アンタ以外となんか来ないんだから」
上条「…ハイ?」


需要があるなら続けようかな?

181■■■■:2009/12/21(月) 21:05:17 ID:c7Mqdlo2
>180
十分需要ありますぜひ続けてください

182■■■■:2009/12/21(月) 21:36:21 ID:3leZwHGs
>>173 >>180
ともに大いに需要あり!
ぜひぜひ続けてくださいお願いします。

183小ネタ:2009/12/21(月) 23:11:08 ID:Act.rizg
>>169の続き 正直他の人が頑張ってるからあまり需要ないよね
12月24日 常盤台女子寮
美琴「いよいよ明日か…楽しみだなぁ」
黒子「お姉さま、顔が異常ににやけてますわよ?まさかあの殿方とデートに!?」
美琴「ふぇ? えっ!?いやなんにもないから何にも!!」
黒子「なんでそんなに顔が真っ赤なんですの!?最近夜中に何か作業してると思ったら
   明日のためだったんですのね!ふふふ…あの腐れ類人猿、お姉さまに手を出したら
   ただではおきませんわ…」 
美琴「ちょっと!手を出すとかそんなこと絶対にないんだから!」
しばらくギャーギャー騒ぎ続ける2人、一方その頃上条家は…

上条「なんというか明日クリスマスか早いよなぁ」
禁書「とうまは明日どうするの?」
上条「あ?俺は昼から友達と出かけるワケですよ」
禁書「友達?まさか女の子とデートでもするの!?」
上条「ブブブゥ! デ、デ、デートだぁ!?ないない!!フラグがたってもだめフラグ
   の上条さんにそんなハッピーイベントが起こるわけありませんことよ?」
禁書「すごくあやしいかも…ちなみに誰と行くの?」
上条「ええっと…御坂と…ハッ!やべ!」
禁書「短髪!?短髪とデート!?とうまはいつになってもとうまなんだね!?」
上条「もう意味わかんねぇよ!」
インデックスの犬歯がむき出しになっていてギランという不吉な音が聞こえる。
上条「うわ!インデックス!今にも噛みつきそうに…やめて!上条さんのライフはもう0よ!」
禁書「とうまはいろんな女の子に手を出して!ちょっとは反省するべきだよ!」
上条「ギャー!!!!不幸だーッ」
続く
需要なければ続かないかもww親フラ…
今回はいちゃいちゃしなかったが次回はデートです。(正直今回まじ需要なかったな)

184■■■■:2009/12/21(月) 23:22:16 ID:LyxPGZWQ
もんもんも大好物

185■■■■:2009/12/21(月) 23:36:19 ID:ohDxIeuA
>>183
デート編、楽しみにしています

186■■■■:2009/12/21(月) 23:39:20 ID:Act.rizg
天皇誕生日らへん利用してデート編書かなきゃ
それにしても職人さんが多いからこの調子で行くとすぐ落ちそう

187■■■■:2009/12/21(月) 23:40:35 ID:3leZwHGs
>>183
重要率120%なんだよ!

…いかん、おかしなことになってもた。
楽しみにしております。

188■■■■:2009/12/22(火) 08:02:57 ID:bz/VUOQw
>>180、183
ぜひとも続けてください、とミサカは胸をときめかせながらリロードします。

ということで職人さんが続きを投下してくださるまでつなぎ。

上条「なぁ御坂」
美琴「ふん、何よ?どうせ大した質問じゃないんでしょ?」
上条「一個聞くけど」
美琴「……もったいぶらないで早くしなさいよ」
上条「お前の好きな人誰よ?」
美琴「ぼふぇひゃあっ!?」
上条「……そんな奇声を上げるようなことか?」
美琴「あんひゃがひぇんなことひふから、舌噛んだじゃないのよ舌!」
上条「それは俺のせいじゃないだろ……。じゃあ質問を変えて」
美琴「わっ、私の好きな……好きな人はアン……ええ? さっきの質問はスルーするわけ!?」
上条「一個聞くけど、ここ、何て言う場所か知ってるか?」
美琴「ぶふぉげへぇっ!?」
上条「いちいち大げさなリアクションだな……また舌噛んだのか?」
美琴「ごほっ、ごほっ、違うわよ、むせただけよ!」
上条「またまともに答えられないのかと思った……時にここは『上条さんと美琴のいちゃいちゃSS』って言うんだけどな」
美琴「そ、それはその……アンタと……私の、い、いちゃ、いちゃいちゃ……って今度は先越された!?」
上条「で、ここに取り出しましたのが『とある魔術の禁書目録』19巻なんだが」
美琴「……勝手に話進めてる……」
上条「ここまで巻数は進んでるんだが、実際のところ、原作じゃ俺とお前はいちゃいちゃなんてこれっぽっちもないんだな、これが」
美琴「あるでしょ! よく見なさいよ!! 3巻とか9巻とか12巻とか」
上条「ま、要するに現実<げんさく>には存在しないんだから、ここはお前の夢の場所ってことだ」
美琴「……私の……夢?」
上条「そ。お前の夢。夢の中じゃ自由だろ?そういうこった」
美琴「そっか……ここ、夢なんだ……じゃあ、何があってもOKってことよね……ふふ、ふふふふ……私とアンタが……うふふ……」
上条「お、おい御坂? お前の体不自然にパチパチって言うかビリビリって言うか帯電していやもはやこれは漏電?」
美琴「…………ふにゃー」
上条「またふにゃーかぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁッ!!」

これの続きはきっとほかの職人さんが↓

189■■■■:2009/12/22(火) 09:55:22 ID:pQkf4PcM
>>180の続き

上条「…ハイ?」
美琴「えっ?あっ…えっとアレよ!アンタには荷物持ち係がピッタリって事よ!」
上条「おーい何処いった俺の人権」
美琴「何?もしかしてこの美琴センセーがアンタなんかとでっ、デートしてくれるとでも思った?」
上条「…いいもん、どーせモテない上条さんは今年のクリスマスも一人ぼっちだモン」
美琴「…アンタクリスマス予定無いの?」
上条「どうせクリスマスお正月お盆縁日大星覇祭り問わず一年中一人ぼっちだよーーッ!」
美琴「……………かない?」
上条「あん?」
美琴「クリスマス暇だったら一緒にどっか行かない?って言ってやってんのよビリビリーーッッ!!」
上条「ヒィッ!語尾がもうスパーク音なのですが!?」


デート編に続く?

190■■■■:2009/12/22(火) 13:01:02 ID:YvsKKGF6
>>189
続くべし!

191■■■■:2009/12/22(火) 16:06:45 ID:pQkf4PcM

>>189の続き
(前回の訂正 大星覇祭り→大星覇祭)

上条「(…しまった、クリスマスに遊びに行くんじゃなんかプレゼントっぽいもの買ってかなくちゃなんねぇじゃねぇか……何買ってけばいいんだ?)」
禁書「とうま?何かとうまが部屋の中央で唸りながら悩み事してると結構怖いかも」
上条「……インデックス、ちょっと相談があんだけど」
禁書「やっととうまは相談って日本語覚えたんだね、で、何?」
上条「お前クリスマスに貰うとしたら何が欲しい?」
禁書「…とうま?私は様々な物欲から離れてなければならないイギリス清教のシスターなんだよ?その質問はちょっと無神経かも」
上条「そんじゃお前は今年のクリスマスプレゼント無しな、ついでに七面鳥もケーキも何にも無しな」
禁書「とうまーーーッ!?」




美琴「(しまった、クリスマスにでっ、でででデートって何かプレゼント持ってかなくちゃならないじゃない、…何持っていこう?)」
黒子「お姉様ー、今日の黒子は風紀委員の仕事が無いので存分に頭撫で撫でしてくださいませー…って、どうしたんですの?何やら不穏なオーラを感じるのですが」
美琴「…ね、ねぇ黒子、アンタに相談があるんだけど」
黒子「正直子供っぽいパステルパジャマを2つ持ってどっちが可愛いか聞かれるのはもううんざり…痛たたたっ!じょっ、冗談ですの!」
美琴「ちょーっと男の気持ちになって考えてほしいんだけど…」
黒子「はっ!まさかお姉様やっと私の熱いラヴ(発音注意)を受け取ってくださる気に!?」
美琴「違うわ!クリスマスに何が欲しいか聞きたかっただけよッ!」
黒子「そうですわねー、やっぱり男黒子が欲しいのは…」
美琴「うんうん」
黒子「おねーさまですわーーッ!!」
美琴「ちょっとは反省せんかいッ!!!」

こうして24日の夜は更けていった……


今度こそデート編に続く…
長すぎて怒られないだろうか…

192■■■■:2009/12/22(火) 17:27:31 ID:QM7EZX8o
>>191 期待保守
いちゃらぶが見れるなら多少長くても可
頑張ってください

193■■■■:2009/12/22(火) 17:38:10 ID:YvsKKGF6
>>191
長くてもいちゃ&ラブ が見れて
面白ければ全く問題無しっ!!!!!!!!!

どんどん書いてくれー!!!!

194■■■■:2009/12/22(火) 19:44:17 ID:pQkf4PcM
>>191の続き

上条「お、おっすー御坂ー…」
美琴「こっ、ここここここんばんは」
上条「………」
美琴「…何よ」
上条「いや…何か制服じゃないお前も新鮮だなーって、なんかいつものビリビリ中学生じゃないみたいで…」
美琴「別に私だって年中制服な訳じゃないし…き、今日はオシャレしたかったし…それに…その…」
上条「?ハッキリしねぇな、別にいいけど」
美琴「(…そこはつっこまんかい)」
上条「何か言ったか?」
美琴「な、何でも無いわよ……さて、じゃあ何処行く?」
上条「…ゲーセン?」
美琴「ホント夢無いわねアンタ。クリスマスに女の子とゲーセンは無いでしょ」
上条「じゃ映画!?」
美琴「何か混んでそうだけど…ま、いっか」
上条「一番近い映画館は…っと、第7学区か、ちょっと遠いか?」
美琴「べ、別にアンタなんかに心配されなくても大丈夫よ」
上条「そうかー?だったらその鞄だけでも持っててやるから、ホレ」
美琴「ちょっ、ちょっと!別に良いわよこんな小さいバッグ!」
上条「それでも持ってやるのが年上の務めなのです。はっはっは、どうだジャンプしても届かないだろー、思い知れ年の差!」
美琴「くっ…ホントにジャンプしても届かない…このっ!」
上条「はっはっは、久しぶりの優越感………どうした?拗ねたか御坂?」
美琴「(い、今になって気づいたけど…顔…近い…ッ)」
上条「…?」
美琴「いいから行くわよッ!」
上条「何なんだよー…」

映画編に続く

あと何回で終わらせようか…

195小ネタ:2009/12/22(火) 20:25:55 ID:kIKYoMe6
みなさん乙ですわっふるわっふる
>>183の続きです

12月25日 上条家
上条「だぁー!朝からインデックスに噛まれるわ、説教されるわ、不幸だ…」
  「てか今何時だ?…12時10分!?やべぇ、待ち合わせ時間10分も
   オーバーしてるじゃねぇか!!」
  「急いで出ないと…たしか待ち合わせ場所公園だったよな…」
               ・
 
    一方美琴は…
美琴「遅い…まさかアイツ忘れてるんじゃないわよね?」
  (もし忘れられたらどうしよう…)
  「早めにきた私が馬鹿みたいじゃないの…」

12時30分-公園
上条「おっす御坂、遅れて悪かった」
美琴「……………………かと思った…」
上条「ん?どうした御坂…」
美琴「来ないかと思った…」
上条(やべぇ!なんか御坂が泣きそうな顔してるぞ…どうする!?)
上条「御坂ごめんな、女の子を寒い中何分もまたしてしまって…ごめんな」
美琴「いいよ…別に…ヒック…」
上条(女の子を泣かせてしまった…最悪だな)
上条「ごめんな」ギュッ
美琴「ふぇ?(アイツに抱きつかれてる…?)」
           ・
           ・
           ・
上条「落ちついたか?」
美琴「うん…」
上条「それじゃぁ、行こうぜ御坂」
続く ごめん!いちゃいちゃ書こうと思ったらまさかの憂鬱展開に!
後で暇なら続きかきます。

196■■■■:2009/12/22(火) 20:35:35 ID:QM7EZX8o
>>194
>>195

| ∧∧
|(´・ω・`)
|o   ヾ
|―u' ④ <コトッ




| ミ  ピャッ!
|    ④

197■■■■:2009/12/22(火) 20:53:00 ID:bz/VUOQw
>>194,195
GJGJ
続きお待ちしてまーす

198■■■■:2009/12/22(火) 22:19:46 ID:dMwndDXc
誰か保管庫作ってくれませんか?自分で作れたらいいんだけどあいにく作り方がわからない……(涙)

199■■■■:2009/12/22(火) 22:27:07 ID:pQkf4PcM
>>194の続き

上条「うだー、やっぱ混んでんなー」
美琴「あっ、見て見てー、あそこにでポップコーン売ってるー♪」
上条「何だお前気持ち悪いぐらい機嫌がいいな…」
美琴「ふっふーん♪今日は私がすっごく見たかった映画(「ゲコ太の冒険〜蛙の仁義DX」)の公開日なのよねー♪」
上条「ふーん、それってどの映画なんだ?」
美琴「アレ♪」
上条「…………………………御坂さん?」
美琴「何よ?」
上条「あの映画は八割の客が小学生っていうか残りの二割も保護者っていうか…」
美琴「じゃーん、前売り券」
上条「俺には拒否権すら無いのかよ!?ていうか今日映画行く気まんまんだったんだなお前!?」
美琴「なにおう!?この前売り券には「探偵ゲコ太」という素晴らしいオマケも付いてるのよ!?」
上条「わかったよ…さっさと見に行こうぜ」
美琴「あ、ちょっと待った」
上条「今度は何だよ!?」
美琴「前売り券とストラップ交換してこなきゃ、ちょっと待っててくれる?」
上条「おい俺置き去りかよ…ってもういねぇし」
美琴「お待たせー♪」
上条「ずいぶんご満悦だな…」
美琴「当たり前よ!…あ…そうだ、こ、これあげるわよ」
上条「…ん?これが「探偵ゲコ太」か?」
美琴「そ、そうよ、2つあったから……クリスマスプレゼントなんだから有難く受け取りなさいよねッ!」
上条「おー、わりィな先に貰っちゃって」
美琴「ホラ!さっさと行くわよー♪」
上条「(このテンションの御坂扱いづらい…)」

クライマックス編に続く

次が最後だよん

200小ネタ:2009/12/23(水) 00:00:35 ID:o98N.6YI
続き楽しみにしてます〜
>>195の続き
上条「そういえば今日寒いよな」
美琴「そうね、寒い中女の子を一人で待たせるってねぇ…」
上条「ああ、悪かったよ」
美琴「反省してるならそれでよし」
上条「といっても目的地のレストランまで結構距離あるよな」
美琴「まぁあそこは美琴さんがおいしいって認めた店だからアンタにも合うでしょ」
上条「お前がそこまで言うってことは高いんだろうな…」
美琴「えっ?そんなに高くないわよ?1000円前後だし」
上条「高!?貧乏高校生にとってはかなりキツイお値段ですよ!?」
美琴「クリスマスなんだから値段とか気にしないの、私がアンタの分まで払おうか?」
上条「遠慮させていただきます」
美琴「それにしても手が寒いわ…」
上条「ん?お前ちょっと手出してみろ」
美琴「え?あっうん」
上条「ほい、カイロちょうどポケットの中に入ってたからお前にやるよ」
美琴「…(普通手を繋いでほしいってことを察しないといけないでしょ!?)」
上条「ミサカサン?ナンデコッチヲニランデイルンデスカ?」
美琴「…鈍感(ボソッ)」
上条「え?今なんて言った?…うううこの視線はつらいんですのよ?」
上条(御坂の考えがわからんし、この視線は痛い…こうなればもうやけだ!
   男上条当麻ここで決意を決めて一歩前進します!
   ここはカイロを回収させておいて手を握る作戦を実行します)
上条「みっ御坂、カイロいらないなら回収するぞ」ギュッ
美琴「ふぇ!?(アイツに手を握られているアイツに手を握られている×10)
上条「わっわりぃ!御坂!今手をはなすから!」
美琴「……………でいて」
上条「えっ?」
美琴「手が寒いからこのまま握ってて…」
上条(何この桃色イベント!?いや別に嫌ってわけじゃ…いや別に…)ブツブツ
上条「わかったよ…」
美琴(これはこれで嬉しい///)
続く
いちゃいちゃしたよね!自分なりに頑張った

201■■■■:2009/12/23(水) 08:34:40 ID:AzkZr/hc
>>200
GJ!

他の人が灯をつけてくれているので、自分も小ネタ投下。


 第12話「AIMバースト」の放映が終わりました。

美琴「っていうか、一山越えたら水着回って安くない?」
上条「さぁな。出番のない俺には関係ないし。というよりなぜお前が俺の部屋でTVを見てるんだ?」
美琴「常盤台の寮じゃ深夜におおっぴらにTV見られないから、困ってたのよねー。ところでアンタ、私がみっ、水着で出演するっていうのに興味ないわけ? そもそも、予告映像が私だけ公開されてないのよ? 来週気にならないの?」
上条「ない。中学生(ガキ)の水着姿見て何がうれしいんだか。土御門じゃあるまいし俺はロリコンじゃねぇっつーの」
美琴「……………………」
上条「それにあれだろ? その回のほかの出演者だって、たしか全員白井と同じくらいの歳なんだろ? だったら……」
美琴「固法先輩はたしか高校生だったと思うけど……ってちょっとアンタ! なにリモコン握りしめてるわけ? 年上巨乳属性が出演するとわかったとたんに予約録画とかやる気見せてんじゃないわよ!!」
上条「うぉわ! ちょっと待て御坂! ここで放電するなやめろデッキが壊れるだろ!!」
美琴「……ふーっ、ふーっ」
上条「ああ、俺のデッキが……不幸だ」
美琴「……そ、そんなに見たいってんなら、私のみ、み、見ればいいじゃない」
上条「………………フーッ」
美琴「そのムカつく耳かっぽじり動作はどういうことなのか説明して欲しいわね」
上条「だって、今更水着とかの露出で来られてもなぁ。お前気がつくと俺の隣で寝てるし勝手に俺のYシャツ着てっから胸元やら何やらいろいろ見えてるしだいたい日頃のハイキックで短パン履いてるとはいえ太ももの付け根とかしょっちゅう公開中じゃねぇか」
美琴「…………うぅ」
上条「そもそも、お前の寮生活はどうした! 何で朝目が覚めるとお前が俺にしがみついて寝てるのかそっちから説明しろそっちから」
美琴「……………うぅぅ」
上条「御坂、故郷のお父さんお母さんは泣いてるぞ?」
美琴「……じゃあアンタはどうして、私がアンタのベッドに潜り込んでるのに気づいていながら何もしないわけ?」
上条「何かして欲しいのかよ! 公共良俗的にまずいだろ!! 上条さんの鉄壁の理性に感謝しなさい!!」
美琴「何かするって、何想像してんのよアンタは! あ、あ、アンタだってつまり人の胸とか足とかじろじろ見てるワケじゃない! 何でそこで何も言わないのよ!!」
上条「…………」
美琴「…………」
上条「…………、夜も遅いし、お前が何で俺の部屋にいるとかそう言う話はもうどうでもいいから、寝ろ。ついでにお前がすでに俺のYシャツを装備していることにもツッコまないから」
美琴「うん。…………おやすみ」
上条「御坂」
美琴「何?」
上条「あんま端っこ行くとベッドから落ちるから、も少しこっち寄れ」
美琴「うん」

上条(いくらコイツが中学生でも背中合わせに女の子では俺の理性が平常心がぁぁぁぁぁあぁもう不幸だぁぁあぁあぁぁぁぁぁ))
美琴(こんだけ密着してるのに何で手の一つも出してこないのよコイツはぁぁぁぁあぁぁぁぁっ)

202■■■■:2009/12/23(水) 08:35:41 ID:AzkZr/hc
>>201
完、って入れるの忘れてた。

203■■■■:2009/12/23(水) 14:39:32 ID:xxAcQJ1Y
>>201
GJ!
なかなか良い!! でも13話のタイトル長すぎだー!!!!!
『ビキニは目線が上下に分かれますけどワンピースは身体のラインが出ますから細い方しか似合わないんですよ』

これより長いタイトルあったら教えろやーっ!!
ってレベルだぞ!

204■■■■:2009/12/23(水) 14:45:16 ID:aJJRqDf.
>>203
つ スクラン26話

職人さん、いつもありがとうございます

205■■■■:2009/12/23(水) 17:02:33 ID:u4YcBVNU
>>203銀魂のタイトルはだいたいそれより長い

206■■■■:2009/12/23(水) 17:04:12 ID:HkQ6xnM2
>>199の続き
クライマックスとか言いつつこの後もあるかも

美琴「いやー、面白かったわね〜」
上条「確かにデフォルメカエルが銃撃ち合うのは結構シュール……わかったって冗談だから涙目で睨むなッ!」
美琴「フン、アンタなんかにゲコ太のカッコよさが分かる訳ないでしょ…っと、あれ?何かもう結構な時間になってない?」
上条「説明しよう、あのファンシー面してる映画はなんと三時間の超大作だったのだッ!」
美琴「あちゃー、なんかもう寮の門限ぶっちぎってるとかいう次元じゃないぐらいぶっちぎっちゃってるわねー……黒子も今日はいないしどうやって忍び込むか…」
上条「大変だなビリビリ、じゃっ、俺はこれで!」
美琴「まてまてッ!?家…もとい寮に帰れなくなってる少女が居たら自分の家につっ、連れ込むのが男じゃないのー?」
上条「お前の男に対する認識偏りすぎだろッ!?純情上条さんはそんな事しませんのよ!?」
美琴「ねーねーアンタの家行きたいー、ボロっちい寮見てやりたいー」
上条「最悪だなお前ッ!?」
美琴「何よーこの美琴サマに見せられないもんでも家にあるのかしらーん?」
上条「何かこの感じどっかで……アレだ!お前今の状態酔っ払った美鈴さんにそっくりだぞ!?酒のんでねぇだろうな酒!?」
美琴「飲んでないわよちくしょ〜…あ、飲んだかも?」
上条「どっちだよ!?…ってしっかりしろおーいそっちは川だぞ!?」

なんだかんだ言いつつ結局家に連れて帰ってしまった上条ちゃんでした。

次回、怒涛のお泊り?編(ホントのクライマックス)

207■■■■:2009/12/23(水) 17:56:02 ID:oa9Ogjj6
wktk

208■■■■:2009/12/23(水) 18:05:23 ID:xxAcQJ1Y
>>205
GJ!よっぱらった美琴さんが何しでかすかがたのしみだっ!

209■■■■:2009/12/23(水) 18:30:54 ID:AzkZr/hc
お泊まり予告キター

210■■■■:2009/12/23(水) 18:35:46 ID:HkQ6xnM2
>>206の続き

上条「おい?おーい、一応寮に着いたから起きてくんねぇか?」
美琴「むにゃ…うるさいわね後八時間ぐらい寝させなさいよ…うにゃ…」
上条「あと八時間寝たらピッタリお昼の十二時だ馬鹿、いいから起きろって…」
美琴「…む、ここがアンタの寮かー…男臭い」
上条「酷いッ!?」
美琴「おっしゃー、家捜しすんぞー」
上条「(家捜し…家捜しッ!?マズイ、アレが見つかったらホントにマズイッ!うまいこと誘導してアイツをどうにか帰さなくては…)」
美琴「なーにブツブツ言ってんのよぉ〜、ホレ、さっさと入れんかい」
上条「いいけど勝手に散らかすなよ」
美琴「あれ〜?何かお風呂に布団があるんだけどー…?」
上条「散らかすなって言ってんだろ!?ってかそこは俺の城だから侵入禁止!」
美琴「うー、ここのクローゼット漁っていい?」
上条「まず漁るっていう不穏ワードがサラッと出てくる時点で人としてどうなんだよ…って何で!?酒が入っててもビリビリは健在なのでせうか!?」
美琴「そーれ、っと…きゃッ!?」
上条「あー…言わんこっちゃねぇ…」
美琴「な…何よこのでっかいゲコ太…」
上条「あーもうッ!…ホントは今日お前の寮に届くように送りたかったんだけどな…見つかっちまったもんはしょうがねぇか、はぁ」
美琴「うぇッ!?じ、じゃあコレって…」
上条「おら、メーリークリスマス、御坂…もう26日だけど」
美琴「……るい」
上条「あ?」
美琴「ずるいずるいずるいずるい!こんなの反則よ反則!これじゃ私のプレゼントが霞んじゃうじゃない!こんなの………」
上条「えーッ!?お気に召さなかったですかーッ!?くそ、やっぱでかすぎたか…?」
美琴「うるさい、誰が気に入らないなんて言ったのよ……ぐすっ」
上条「(泣かせちゃったーーッ!?夜に家に連れ込んだ女の子を泣かせてしまいましたお父様お母様ゴメンナサイ!!?)」
美琴「うっ…うぇ……あ、アンタ…」
上条「はっ、ハイィッ!?何でございましょうか!?」
美琴「…ありがと」
上条「…お、おう」


こうして聖なるクリスマス…というか聖なる26日はこの二人にもちょっとした奇跡を与えたのでした、終わり。

次回作のテーマ求む

211小ネタ:2009/12/23(水) 19:36:54 ID:o98N.6YI
>>210 乙です!まさかの元旦編とか(ry
忘れられる前に>>200の続きを投稿します

上条(うう…この桃色空間どうにかしてくだせぇ…嬉しいですけど…)
美琴「???どうしたの?」
上条「いや!何でもないですのよ姫?」
美琴(嬉しいから私も積極的になろうかな…いや流石に恥ずかしい///)
上条「御坂?どうしたんだ?急に顔が赤くなって…まさか 恥ずかしいか?
   なら手離すけど…」
美琴「え…駄目離しちゃ…」
上条「わ、わかった」
美琴(ふぅ…危ない危ない… って何私恥ずかしいこと言ってるの!?)
美琴「うわっ!?」
上条「おっと、御坂大丈夫か?」
美琴「うん…ありがとう」
上条(うわっヤバイ御坂がかわいく見える…冷静になれ!
   相手は中学生相手は中学生…)
上条「うおっ!?御坂何を!?」
美琴「えっと…躓かないために腕組んでるのよ、ごめん迷惑?」
上条「いえめっそうもないですが、周りからカップルに見られてるかも…」
美琴「……別に私はいいけど…」ボソッ
上条「え?なんて言った?」
美琴「何でもない…」
上条「で、御坂、御坂が言ってたレストランって本当にここら辺にあるのか?」
美琴「ん?目の前にあるじゃない」
上条「あれが!?あれファミリーレストランってレベルじゃねぇぞ!?」
美琴「まぁ気にしないで行きましょ」
続く 
本当に1000までこのスレ持つのだろうか…

212■■■■:2009/12/23(水) 20:03:27 ID:HkQ6xnM2
>>211乙ですー、とっても面白いですがな
元旦編はちょっとやってみたかったけど舞台をどこにしようか…
まさかの上条家に御坂家乱入とかww

213■■■■:2009/12/23(水) 20:49:42 ID:xxAcQJ1Y
>>212
っていうか元旦はやはり実家に戻るんだろうか?
だとしたら…その乱入編 見たいっ!

まあおなじプールで母親二人会ってるし、物理的には可能だろう。

214■■■■:2009/12/23(水) 21:09:44 ID:HkQ6xnM2
>>213
よっしゃ、じゃあやっちまいます
次回作にこうご期待!!

215■■■■:2009/12/23(水) 22:20:55 ID:hJG38rdA
>>210
クリスマス終わったなら宿題か大掃除ネタをやってほしかったりするんだよっ!

216■■■■:2009/12/23(水) 22:28:03 ID:yPzzW.4A
>>203
これが私の御主人様の5と6話のタイトル

217■■■■:2009/12/23(水) 22:44:06 ID:HkQ6xnM2
>>215
なるほど…それもありっちゃあり…
じゃあ両方、大掃除編から元旦編で♪

218■■■■:2009/12/23(水) 23:02:01 ID:5AtFGm/U
保管庫作んなきゃこのスレなくなっちゃうの?
それはいかん。誰か作っておくれ〜
>>198と同じく俺も作り方がわからない……(T_T)

219■■■■:2009/12/23(水) 23:15:56 ID:FBSyTcMY
明日今日の代休だから作ってもいいが
Wikiのほうがいいのかね?

220■■■■:2009/12/23(水) 23:56:03 ID:u4YcBVNU
>>219お願いします

221■■■■:2009/12/24(木) 07:33:16 ID:teCnN1NE
>.>211
GJ〜!

ただ『甘い』だけの小ネタ投下。
あるいは>>143の続き、美琴の逆襲。


美琴「はい、あーんして、あーん」
上条「…………うぅ…………あーん(ぱく)」
美琴「おいしい?(にっこり)」
上条「ああ、……涙で目の前のホットケーキの枚数が増えて見えるほどに……」
美琴「よかった。アンタがいてくれて助かったわ。正直ちょっと困ってたのよね」
上条「…………………説明しろ……何がどうなってやがる。俺の目の前で積み上がってるこのホットケーキミックスは何だ」
美琴「先週、『ゲコ太のホットケーキミックス』っていう新商品が発売されたの」
上条「………………で?」
美琴「これ、一箱に一枚、ゲコ太シールがついてるのよ。全五二種類」
上条「……………………それで?」
美琴「もちろん美琴さんとしては、シールコンプしたいワケ」
上条「………………この時点でいろいろオチが見えてきたんだが」
美琴「でも同じシールがかぶったりして、買い集めてたら七〇箱くらいになってたのよね」
上条「ホットケーキミックスを大人買いかよ……………」
美琴「土御門には『ホットケーキミックスを使ったホットケーキなぞ邪道!』って切り捨てられるし。はい、あーん」」
上条「………………………あーん……ううっ………甘い……」
美琴「だから、寮の子や黒子に手伝ってもらったのよね。パウンドケーキにしたりブラウニーにしたりドーナツやワッフルにしてみたんだけど、みんなもダイエットが気になるみたいでなかなか食べてくれなくて」
上条「俺の部屋の中が甘い匂いで一杯だ………うっぷ」
美琴「アンタなら育ち盛りだから二〇箱分くらいいけるでしょ? 一箱がホットケーキ四枚分だから、ざっと八〇枚ってとこ? アンタの部屋ならこうやって台所も使えるし、どんどん焼くからどんどん食べてね。ほら口開けて。あ、それとも紅茶のおかわりいる?」
上条「…………エプロン姿の女の子が台所に立ってあれこれ作ってくれるのは確かに俺の夢の一つでもあったが…………なんでこうなった……不幸だ」

完。

222小ネタ:2009/12/24(木) 13:09:19 ID:NDY54Z6.
>>211 続き 完全にネタがきれますた^p^

13時30分 とあるレストラン
上条「結構人いるな」
美琴「まぁ時間が時間だし」
上条「で、お前は何で俺の隣の席に座ってるんだ?」
美琴「え?別にいいじゃない…」ブツブツ
上条「いや、俺はむしろ恥ずかしいんですのよ?」
美琴「…・・・・・・・・・」ジロッ
上条「あーそんな目で見るな!」
  「メニュー決まったか?俺はオムライスにしたけど(高ッ)」
美琴「え?あぁ私はスパゲッティだけど」
上条「ほんじゃ、注文っと」
  「いやー注文楽でいいな」
美琴「そうね…」

上条「…」
美琴「…」
美琴(はぁ…せっかくコイツといるのに話すことがない…
   しかも恥ずかしくなってきた///)
上条「ん?どうしたんだ御坂、急に顔が赤くなって。まさか俺がまたしてしまったせいで
   風邪ひいちまったか?」
美琴「え、え、な、なな、何でもないわよ」ビリビリ
上条「ちょっと御坂!隣でビリビリするのやめて!」
上条(あー不幸だ!恥ずかしいが、仕方ねぇ…)
美琴「ふぇ!?(あいつに頭なでられている!?)」
上条「ようやくおさまった…っておい御坂なんで俯いてるんだ?」
美琴「…」ブルブル
上条「おーい、なんか辛いことがあるなら言えよ?相談に乗るからさ」
美琴「…馬鹿」
上条「(気まずい…どうにかしてくれぇ)…お、飯きたぞ御坂」
              ・
              ・
              ・
上条「何だこのオムライスのふわふわは!うまッ」
美琴「オーバーねぇ」
上条「御坂のはうまいか?」
美琴「えっおいしいけど…」
上条「ならいいんだけどさ。上条さんはこのオムライスを食べたら疲れが吹っ飛びましたよ。
美琴「疲れって…そんなに疲れることだったわけ!?」
上条「いや別に、朝から噛まれたり説教させられたり…はぁ…思い出しただけで不幸だ…」
美琴「ふぁンタっていつも不幸よね」もぐもぐ
上条「食べなgらしゃべるんじゃありません、一応お嬢様なんだから」
美琴「お嬢様ねぇ」
上条「お前も大人しくてビリビリ飛ばさなかったら、ただのかわいい女の子なのにな」
美琴(かわいい!?コイツ私のことかわいいと思ってる!?かわいい…以下10回繰り返し)
上条「おーい御坂さん大丈夫ですかー、おーい…返事がないただの(ry」
  「上条さんはもう料理食べたんですよー?おーい?」
美琴「ハッ…私も食べなきゃ」
上条「おいそんなに急いで食べると…」
美琴「ゴフッ!?ゲホゴホッ」
上条「だから言わんこっちゃない…ほら大丈夫か御坂?」スリスリ
美琴「…大丈夫よ、あと、ありがとね」
上条「いいって別に (一瞬ドキッってしたが気のせい気のせい…)」
            ・
            ・
美琴「さてと支払わなきゃ」
上条「おい、御坂自分のくらい自分で出すって」
美琴「いいのよ別に、さっきの借りもあるし」
上条「借り?あんなのが?…あー払っちまった」
美琴「気にしないの、さて次行きますか」
上条「へいへい」
続く  
さて何処に行けばいいんだ… 1ショッピング 2映画 3町でブラブラ(ラブラブじゃないよ!)

223■■■■:2009/12/24(木) 15:22:43 ID:NFI8DIGY
ちょっと投下します。
このスレははじめてなので下手くそかもしれませんがよろしくお願いします。

学園都市にクリスマスが訪れた。
が、カップルたちにとって幸せな日でも彼の不幸は止まらない。

「不幸だ……。」

上条当麻のカレンダー。
12月24日は真っ白のままである。これについては毎年の事のようなのでそこまでしょげた上条ではなかったが、別の「不幸」が彼に降りかかっている。すなわち、

「冷蔵庫が空っぽだぁー!!!!」

貧乏学生上条とてクリスマスはいいものを食べたい。
そのためにいろいろと買っていたのだが、隠していたにもかかわらず、言っておいたにもかかわらず、あの暴食シスターが全てを飲み込み消化した。

「しゃあねえ、買い物にでも行くか。」

ちなみにその暴食シスターは本日小萌先生のうちで開かれる「ドキッ、男子禁制・女子だけのクリスマスどんちゃんパーティー!!」とやらに出席するため不在である。

「あの野郎、人の食いもの全て食べて自分はさらにパーティーかよっ!」

おそらく彼のクリスマスの中でもワーストの部類に入るだろう。彼自身は覚えてないが。
軍資金は今までの買いためでほとんど使い切っていたためもはや彼のクリスマスはいつもよりさらに貧乏な食事という事になりそうである。

・・・・・・30分後・・・・・・

とりあえず食糧を得た上条だが、帰り道数多くのカップルがいちゃいちゃしながら行くのを見て居たたまれずいつもの公園に逃げ込んだ。そして、

「不幸だぁああああああああ!!!!!!!!!」

いつもの3倍くらいの声で叫んだ。
すると、

「アンタ、こんなところで何絶叫してんのよ。」「…不幸だ。」

「人の顔見て言うな!!」「だっておまえ、逢うたびに電撃飛ばしてくるじゃん!!」

「それはアンタがいっつもしかとするからじゃぁ!!!!」ビリビリバッチィン!!

「やっぱり電撃してくるじゃねえか!!」
美琴の電撃は上条の右手に触れた瞬間消えうせた。

「ところでアンタ、今日予定とかあんの?」
「ヘン、どうせ上条さんはクリスマスも暇ですよーだ。」
「やっぱりねぇー。」

「………」
「………」しばしの沈黙

「じゃあ俺帰っからー。」
「ちょっ、ストーップ!!」
「な、なんだよ?」上条は彼に腕を掴んであっちを向き、何やら深呼吸している美琴に問う。
「アンタ暇なんならさ、つ、付き合いなさいよ。」
「へっ?」
「嫌なのかしら?」ニコニコと(人を殺せそうな)笑顔で美琴は言う。
「…嫌じゃございませんの事よ!」
「そう、じゃこれ」「はい??」
手渡されたのは小さめの袋。
「これってクリスマスプレゼント?」「ま、まあね。」

「俺のために?」「っ!!いや!違うから、エーっとそのなんというかあれでそのあのこんな」

「もしもし美琴サン?日本語になってませんよ。」「う、うっさい!!いるのいらないの!?ハッキリしなさい!!」

「もちろんいただくけどよ。ありがとう美琴。」「う、うん(こいつ今私の事、美琴って呼んだ!!!!!“”““”“”“)」

「何赤くなってんだ?」「なっ、何でもないわよ。ちょっと付いてきなさい!!」

「ハイーッ!??ていうかこれどうすんだ?それと俺の食いもん!」
「そこのコインロッカーに入れとけばいいでしょ。」「あ、ああ。で、どこ行くんだ?」
「内緒。いいから来て来て。」「???」
「あーもう、何ぼけーっと突っ立ってんのよ。(よーし作戦第一弾「プレゼント渡し」成功!!次行くわよーっ!!)」
「お、おう(何でこいつ今日こんなにテンション高いんだ??)」

珍しく計画を立ててアプローチしてきた美琴に???な上条さんであった。

224■■■■:2009/12/24(木) 15:23:14 ID:NFI8DIGY
続くかな?不明です。

225■■■■:2009/12/24(木) 15:32:48 ID:NJ7yHXGQ
みなさんGJですよー

226■■■■:2009/12/24(木) 15:37:52 ID:rVqcBiRs
何かすげー伸びてるな

227■■■■:2009/12/24(木) 15:52:30 ID:6RM8FR0w
いいスレ発見した!

228小ネタ:2009/12/24(木) 16:12:05 ID:NDY54Z6.
>>223乙です〜

なんか保管庫欲しいですね、いつ落ちるかわからないし

独り言 クリスマスには終わる気がしないw

229■■■■:2009/12/24(木) 16:12:20 ID:NFI8DIGY
>>223続き。

上条が連れてこられたのは彼にとっては場違いなレストラン。

「御坂様ですね。……ご予約承っております。二名様。奥のお部屋となっております。」

どうも個室レストランらしい。しかも予約。

「なあ美琴サン」「何?」

「予約ってどういう事??」「いやー、ホントは黒子とか何人かで来るつもりだったんだけど。」

「いま2名様って言ってなかったか?」「ぶっ!気、気のせいよ気のせい。ハハ、ハハハハ」計画的犯行に慣れていない美琴、致命的なミスを犯した。ちなみにその人たちは……
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
「「ハックション!!」」

「あれー、白井さんも佐天さんも風邪ですかー?気を付けてくださいよー奮発して買ったクリスマスケーキが台無しになったら大変ですー」

ここは初春や佐天たちの寮。

「いやーゴメンゴメン、って言うか私としてはクリスマスプレゼントは初春自身が良かったなあー」

「何さらりと公共良俗に反する事を言ってるんですか!?」

「誰かがクリスマスに私のうわさをしている気がしますの。」

「白井さんの噂する男の人なんていませんよー。って痛い!!」

「それ以上言うと花飾りをお外にテレポートして差し上げますの。」

「うわー!!それだけはやめてくださいー!!」

「ところで白井さん、今日は御坂さんは??」

「何か用事があるからと言ってお出かけになられましたの。ああ、黒子が何度もお誘いしたというのに!!」

「あははー、残念ですねー。ってあれ??」「どうしたの初春?」

「御坂さんと言えばこの間クリスマスプレゼントをセブンスミストで買ってましたよ。ラッピングからしてあれはそうでしたー。」

「ななななんですって!!??」「白井さんへのプレゼントでは?」

「お姉さまからのプレゼントはもう頂きましたし、セブンスミストのラッピングではありませんでしたの!」

「おおーもしかしてもしかするとっ!」「何々初春??」

「もしかして彼氏!?」「うっそー!でも御坂さんならいてもおかしくないよねー。」

「ですよねー…って白井さん!?」
なにか白井からもぞすごく黒―いオーラが出ている。

「初春。あなたお姉さまが今日どちらにいらしたかご存じ??」怖い、静かん口調だけにさらに怖い。
超高速で首を横に振る初春&佐天

「そうですか。…でしたら…」「「???」」
危険だ。白井さん危険すぎる!と二人が思ったのと白井が爆弾指示を出したのはほぼ同時だった。

「初春!第7学区の監視カメラの映像をすべてチェック!何が何でもお姉さまを見つけ出しなさい!!」

「無理ですよー!!そもそもアンチスキルとかへはどう説明するんですか!!??」

「言い訳なんて後からあなたが考えなさい!!」「ひえーっ!!」
初春のクリスマスもまた不幸なものとなりそうであった。

230■■■■:2009/12/24(木) 16:17:26 ID:NFI8DIGY
>>229続き

話は変わってこちらは上琴空間。
「それのこの個室2人利用だぜ。」「あーもう!!!いいじゃん二人で来てんだから!!」

「いや、なんか矛盾してません?」「だから!!!そもそもアンタと来るつもりだったんだから!!」

「…………ハイ?」「あっ!(やばい、言っちゃったー!!!)」

「えーと、そのー」「い、いや何でもないから忘れて!!」

「ありがとう。」「へ?」

「だからありがとう、美琴」「べ、別にいいわよ。どうせあたしも今日暇だったし。」

黒子が聞いたら絶叫していただろう。クリスマスをお姉さまと過ごしたいとそれこそ耳にたこができるほどいって、無視されたのだから。

「あー、それと俺からもクリスマスプレゼントと行きたいんだけど生憎なくてなー、この後御坂の欲しいもんかってやっから我慢してな。」

「いいわよ別に。あっ料理が来たみたい。とりあえず食べましょ。お題はもう払ってあるから。」

「ホントにありがとなー。」生まれて初めてこんなうまいもん食べた上条さんはちょっと涙目になっていたりする。

「な、泣かなくてもいいじゃない(よっしゃー!こいつすごく喜んでるー!!)」
上琴の夜(ディナー)は過ぎていく。

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
その頃
「白井さーん、もう止めましょうよー。」半泣き状態の初春。

「そうですよ白井さん、そんな眼を血走らせてミニター見る事は…」何とかしてとめようと必死の佐天。
しかし
「だまらっしゃいお二人さん!!これは黒子の未来とお姉さまの貞操がかかっておりますのよ!!すべこべ言わずモニターを見なさいな!!!」二人の願いはツインテールのヤバイモードに突入した百合ぎみのジャッジメントによって粉砕された。

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

「こんなのでよかったのかー??」「これがいいのー!ってミサカは」

「こらっ!妹の真似すんじゃねえ」「テヘ。」何かおかしい。オリジナルがやけにデレデレしてますよー!!

「そういえば、さっきの店でこいつ酒みたいなの飲んでた気が……」「なーにー?」

「何でもございませんって言うか酔いさませ美琴!!」ビクッ
あまり酔いはひどくなかったらしく下の名前呼ばれたことで覚醒。…とは行かない。

「ねえねえもう一度言ってー。」「何を?」

「もう、当麻ったらいけずー。」「はっ、はいぃいいいい!!??(今こいつ俺の事当麻って言わなかったか!?)」

「グフ、もう歩けましぇーん」「って、どうすんのよ!?」

「そう言えばアンタんちってそこらへんよねー」「え?あ、ああそうだけど(やな予感が…)」

「泊めてけ。」「やっぱりー!!??」
文句あんのかこらぁー(バチバチバチ)やめろこの至近距離で電撃するなあ!といいつつ結局美琴を寮に連れ込むことになってしまった上条さんでした。
ちなみにこの時やけに美琴の足元がしっかりしていたのは何ででせうか?

231■■■■:2009/12/24(木) 17:36:49 ID:LP.pYwN2
>>222
3の町でラブラブww

232■■■■:2009/12/24(木) 17:49:43 ID:teCnN1NE
みなさんGJ!

233■■■■:2009/12/24(木) 17:55:04 ID:ScjWS/lM
明快姓名判断やってみた
ttp://www.forest.impress.co.jp/lib/home/house/hobby/meikaiseimei.html

上 条 当 麻
3  7  6 11

総運=27:×中絶数 天運=10:×短命数 人運=13:◎俊英数 地運=17:○強情数 外運=14:×不遇数

まず,上条当麻さんの生涯の総合的な運勢ですが,あなたの総運は27です。
これは,自己顕示欲の強すぎる数です。なにごとも自分中心でないと気がすまないため,
人から悪評を受けて失敗する例が少なくありません。中年まではある程度うまくいきますが,
人間関係のトラブルが多く,それ以上の発展は望めません。

 つぎに,人運によって性格について判断します。
人運が13の人は,明るく社交的でつねに華やかな雰囲気をただよわせています。
しかし,アバウトで約束をすっぽかしてしまっても,ぜんぜん気にしません。
デリカシーに欠けるので,自分ではなにげないつもりのひとことが深く相手を傷つけてしまいます。

 また,地運の17から恋愛運に関して判断を加えますと,
あなたは,たとえどんな状況であっても,つねに自分の気持ちに素直にふるまうので,
友人の恋人との三角関係など,トラブルを起こしがちです。
あなたにふさわしい相手は,少しぐらい口が悪くても悪気のない開放的な性格の人です

234■■■■:2009/12/24(木) 17:55:34 ID:ScjWS/lM
御 坂 美 琴
12  7  9 12

総運=40:×不和数 天運=19:×障害数 人運=16:○立身数 地運=21:○大成数 外運=24:◎繁栄数

まず,御坂美琴さんの生涯の総合的な運勢ですが,あなたの総運は40です。
この数を持つ人は,度胸がよく,すぐれた知力もありますが,ごうまんな態度が嫌われ,協力者が得られません。
運のよしあしがはっきりしていて,ついているときはいいのですが,いったんつまずくと次々とトラブルに見舞われます。

つぎに,人運によって性格について判断します。
人運が16の人は,思いやりの心が人一倍強く,困っている人をみると親身になって面倒をみます。
人を自分のペースにまきこんで誰とでもすぐに仲よくなれるのですが,
悪い人間に深いりしすぎると自分自身を滅ぼしかねません。

また,地運の21から恋愛運に関して判断を加えますと,
あなたは,異性の前で素直に自分をさらけだすことができず,ついきどった態度をとってしまうため,
みすみす恋のチャンスを逃してしまいます。
あなたにふさわしい相手は,少々容姿はさえなくても,人生に高望みをせず,まじめで誠実に生きる人です。

235■■■■:2009/12/24(木) 18:13:18 ID:R30rMJmI
ttp://p18.noneash.com/anan/
これのPMになってハメ撮りアピしてくれ

236■■■■:2009/12/24(木) 18:58:08 ID:6RM8FR0w
美琴と上条さんが早くキスして欲しい

237■■■■:2009/12/24(木) 19:11:18 ID:NFI8DIGY
>>236
いちゃいちゃスレで10分間キスしてたらしいぞ。

238■■■■:2009/12/24(木) 19:12:04 ID:NFI8DIGY
↑すまんミスった。デルタフォースだ。

239■■■■:2009/12/24(木) 20:15:44 ID:mciJ5Vw2
『上条さんと美琴のいちゃいちゃSS〜大掃除編〜』
一応>>210までの流れにそっております
若干の先走り感を漂わせつつどうぞ

上条「……御坂、今の状況を字数百文字以内で回答せよ百文字だぞいいなよーいドンッ!」
美琴「えっ…えぇッ!?…えっと…この前のでッででデートの時のクリスマスプレゼント(>>210参照)のお礼をしようと思ってアンタの寮に来たらアンタが大掃除が終わんなくて困ってるって言ったからちょっと手伝って…」
上条「ハイ時間切れ!!ちなみに補足するとお前はどうでもいいことに腹立てて手伝うどころかビリビリで部屋を滅茶苦茶にしてしまったのです!ハイ言うことは!?」
美琴「………ごめんなさい」
上条「………素直に謝られると逆に釈然としないな…」
美琴「何でッ!?今のは誠心誠意心を込めた謝罪だったわよッ!?」
上条「お前のモラルの問題はいいとして……この部屋(だった物)どうしようか…」
美琴「もう専用の業者に頼んじゃえばいいんじゃない?…思いっきり他人事だけど」
上条「言葉を重ねるけど他人事だなッ!!」
美琴「す、済んだ事を蒸し返すんじゃないわよ…」
上条「わかったよ…さて、じゃあ部屋は業者に頼むとして…今何時だ?」
美琴「えーっと…十二時半」
上条「どーりで腹が減るはずだな…」
美琴「そっ、そうだ、キッチン無事でしょ!?だったら私が何か作ってあげるわよ!」
上条「……えー」
美琴「反応薄ッ!?ホラ年下女子の手作り料理よもっと喜びなさいよ!!」
上条「お前に包丁持たせるのがものすごく不安なんだけど」
美琴「ほらほら冷蔵庫見せなさいー」
上条「たいしたモン入ってないぞ…」
美琴「使うのは…羊羹と…玉ねぎと……豚肉」
上条「何作る気だよ!?」
美琴「カルボナーラ」
上条「錬金術!?常盤台のレベル5は錬金術が使えるのでせうか!?」
美琴「うっさいわね、ごちゃごちゃ言わないで黙って見てなさい」
上条「無理無理無理無理!お前が料理なんかしたらとんでもない事になるのは目に見えてますから!!」
美琴「…………うっ…ぐすッ」
上条「(泣いたーーーーーーーーーーッ!!??)」
美琴「……なかなかやるわねこの玉ねぎ」
上条「玉ねぎかよ!?」
美琴「…ぐすッ…うッ、うっひゃいわね!こんなのじぇんじぇんへっちゃらよ!!」
上条「めっちゃ号泣してるぞお前……ホラハンカチやるから拭いとけ」
美琴「んなっ……あっ、ありやと…ぐすっ」
上条「もう平気だな?……ちょっとまて、何かいろいろぶち込まれたボウルから何か変な刺激臭が…」
美琴「え?刺激臭?」
上条「…ぐっ、ぐあ!?……バタリ」
美琴「ちょっとアンタ!?大丈夫!?」

このあと上条の寮でちょっとした毒ガス事件があったのはまた少し別の話



最近いっぱい職人さんがいるから面白いぜい

240小ネタ:2009/12/24(木) 20:44:41 ID:NDY54Z6.
>>222の続き 3番√いってみよう

16時20分 とある街中
上条「大分日が落ちてきたな」
美琴「そうね、それに寒くなってきた」
  「………」ジイィ
上条「あーわかったよ」サッ
美琴「…ありがとう」カァ///
上条「別にいいって、女の子が風邪ひいたらいけないし」
美琴「アンタってただのお節介かと思ったけど優しいのね」
上条「どうせお節介ですよー、別にやさしいわけじゃないんだけどな」ボリボリ
美琴「そういう人は結構モテたりするものよ」
上条「そうかぁ?上条さんはだめフラグが多いですよー(土御門曰く)」
  「そういうお前は好きなやつとか好きな男性のタイプとかあるわけ?」
美琴「えっ!!?ええっと…ア…」
上条「ア?」
美琴「…(アンタが好きとか死んでも言えない///)」
上条「あーあんまりよくない話題だったか?」
美琴「い、いや…ただ恥ずかしくなっただけというか、何というか…」
上条「上条さんは手をつなぐことも十分恥ずかしい…って御坂!?また腕まで!?」
美琴「ダメ…?」
上条「いえどうぞご自由に」
  「…(といっても胸が…女の子の胸が…)」
美琴「アンタ、顔が赤いけどまさか照れてる?」ニヤニヤ
上条「うー不幸…か? そんな顔でこっち見ないでください」
美琴「…えいっ!」ギュッ
上条「うぉっ!御坂、そんなに抱きつかれると…」
  (やめてぇ!上条さんの理性はもう限界よ!!)
美琴「うれしくないの?」
上条「いや、かわいい女の子に抱きつかれるのがうれしくない男子はいないと思いますけど」
美琴「えっ…(それって私ってかわいい子に見られてるの?嬉しい///)」ギュッ
上条「うぉ!御坂それ以上締め付けないで!いろいろ当たっちゃうから!」
  「ていうか周りの視線が痛い!『こんな時間体からイチャつきやがってこのクソ野郎』
   的な視線で見られちゃうから!それに常盤台の制服だから余計目立つし!」
美琴「付き合ってるって思われちゃうかな…?」
上条「…(うわーなんかいつもの御坂じゃないしなんかデレデレしてるし!かわいいけど扱いづらい…)」
  「うーいろんな意味で不幸だぁ…」
美琴「不幸ってなによ?アンタ私と付き合ってると思われてうれしくないわけ…?」何故か上目遣い
上条「嫌じゃねぇよ(やべぇ反射的に変なこと言ってしまった!何言ってんの俺ー!?それに上目遣いとか反則だろ!!)
美琴「え…?(それってまさか…まさか…)」
  「…」
上条(今度は顔赤くしたまま俯いて何も話さないし!気まずい…何かないか!?何か…
    そうだ!あれがあった!)
上条「あ、あのさ御坂、18時からイルミネーションとかやるみたいだけど行くか?」
美琴「…うん」ギュッ
上条「それじゃ行こうぜ…(うわーまた強き抱きついてきた!)」
続く
いちゃいちゃしたよね…

241■■■■:2009/12/24(木) 20:47:26 ID:NDY54Z6.
>>240 ミス(うわーまた強き抱きついてきた!)×強き○強く
だから甘いものをたくさん取ると誤字すると(ry

242■■■■:2009/12/24(木) 20:55:27 ID:99Rc3Md.
>>222
>またしてしまったせい
また、シテしまったせい
に見えた

待た「せ」てしまったせいで
なのな、オレのドキドキかえせw

243■■■■:2009/12/24(木) 21:13:23 ID:NDY54Z6.
>>242ごめんね 文章書くのも練るのも苦手ですww
ドキドキは奪うもので(ry

244■■■■:2009/12/24(木) 22:36:17 ID:voo0KrWU
1レス書きました。投下します

245■■■■:2009/12/24(木) 22:37:56 ID:voo0KrWU
当麻「……」
美琴「何よ。ジロジロ見て。私の顔に何かついてる?」
当麻「…いや、お前、本当に常盤台のお嬢様なんだな」
美琴「は?」
当麻「テーブルマナーだよ。フォークの使い方とか…」
美琴「…ああ、無意識だったから、全然気付かなかった」
当麻「住んでる世界が違うなぁ…」
美琴「ぷ」
当麻「?」
美琴「くふふふ…」
当麻「何かおかしい事言ったか?」
美琴「いえ、確かに、私とアンタじゃ住んでる世界は違うわね」
当麻「嫌味かよ」
美琴「違うわ。私はアンタが羨ましい」
当麻「ますます訳が分からねえ。この不幸体質のカミジョーさんにお前が羨む所があるか?」
美琴「日頃のドジはともかく、いろんな人たちの不幸から救えるアンタに、私は憧れてるの。マンガに出てくるヒーローみたいで…いや、本当にヒーローなのよ。アンタは」
当麻「……」
美琴「どうしたのよ?」
当麻「何つーか…少し恥ずい。ストレートに言われると……その…」
美琴「ちょっとは自分の立場を自覚しなさい。言っとくけど、アンタのいる世界の方が私よりよっぽど特殊よ」
当麻「……そうかぁ?」
美琴「…男が赤くなるなっつーの。キモいから」
当麻「なっ!?随分と辛辣なコメント!カミジョーさん深く傷つきましたよ!」
美琴「あーはいはい…六時になったところで、クリスマス・イブにかんぱぁーい」
当麻「は?今日はクリスマス・イブだろ?」
美琴「クリスマス・イブって12月24日の18時から24時の6時間の事を指すのよ?知らなかったの?」
当麻「…知りませんでした」
美琴「まぁ、いいわ。予想通りだし……ねぇ」
当麻「…何だよ?」
美琴「今日は、その、言いたい事があるんだけど…」
当麻「ん?明日の事か?明日も一緒に…」
美琴「違うの!今日、言わないとダメなの!じゃないと…」
当麻「ど、どうした?」
美琴「ちゃんと、聞いてよ。そして、ちゃんと答えてよ。待ってなんて、絶対ダメだからね。「イエス」か「はい」で答えてよ」
当麻「それって、どっちも…」
美琴「いいから!」
当麻「…お、おう」


美琴「ねぇ、当麻…これからは、私だけのヒーローで…いてくれる?」

246■■■■:2009/12/24(木) 22:42:18 ID:voo0KrWU
明日はクリスマス。
…はぁ。二次元の女の子はいいなぁ。3次元の彼女と比べてはいけないと頭では分かってるのに
なんだ。この憂鬱は…
ん?
もしかして、彼女もそう思ってるのかな?二次元みたいな彼氏が欲しいと…

247■■■■:2009/12/25(金) 00:24:02 ID:kza8fFJ6
GJ!!
最後のセリフがとくに良いですたい!
それと職人さん、あした、いやもう今日か 頑張ってくださいにゃーっ!!!!

248■■■■:2009/12/25(金) 07:43:59 ID:mgTPk3l2
職人の皆さん、GJ!
鼻血が出そう……

249■■■■:2009/12/25(金) 08:42:57 ID:r5u8NC.A
>>246
美琴と上条さんがイチャついてるところを妄想したら俺は元気になれるw

250小ネタ:2009/12/25(金) 16:11:19 ID:N3xs19uo
>>240の続き 

12月25日 18時30分  とある街中-イルミネーション-

上条「ひゃーなんかすげぇな」
美琴「毎年こんなもんよ?そういえばアンタ記憶ないんだっけ…」
上条「まぁそれは仕方ないことだからさ、あと誰かと一緒に見るのもいいもんだな」
美琴(デートみたい…誰かとって、私以外でもいいの…?)
  「…」
上条「どうしたんだ御坂?急にこっち向いて」
美琴「………なんでもない」ボソッ
上条「あっそうだ、御坂今寒いだろ?なんか暖かい飲み物買ってくるからちょっと待っててくれ」
美琴「えっ…じゃぁ私もついて行く…。行っちゃった…こんな時もスルーするなんて…」

美琴(そういえばアイツにあげるために編んだマフラー…ちゃんと渡せるかな…
   もっとアイツのそばにいたいし、アイツの気持ち知りたい…。
   はぁ…私なに空回りしてるんだろ…ただ素直になればいいだけなのに…あいつにも迷惑かけてばっか…)
美琴「はぁ…」

18時55分 
上条「わりぃ御坂また待たせたな…ほい」
美琴「…いいわよ別に、ありがとう」
上条「時間やばいな、御坂門限大丈夫か?」
美琴「え?別に後でどうにかするから問題ないけど…」
上条「よかった、御坂ちょっと手を出してくれ」
美琴「え?うん」

美琴「これって?」
上条「あ?あぁクリスマスプレゼント、今日は世話になったし
   別に大したもんじゃないけどな。 あとお前の好きなものがわからなくて考えたんだが
   たしかゲコ太だっけ?あれ好きだったよな?ちょっと探すのに時間がかかったけど…
   いらないなら別に受け取らなくてもいいぞ」
美琴「…ありがとう グスッ…」
上条「おい…泣くほどのものじゃねぇだろ…」ナデナデ 
美琴「違う…嬉泣きなんだから…」 
上条「はぁ…お前も案外泣き虫だな」
美琴「いいじゃない別に…(私も勇気出さなきゃ…)」
  「あの…」
上条「ん?」
美琴「はいこれ、私からのプレゼント」
上条「え!?俺に?」
美琴「アンタ以外誰がいるのよ、あけてみなさいよ」
上条「おぉう… これマフラーだよな…」
美琴「そうよ、ちなみに手編みだからね」
上条「これが手編み!?うま過ぎだろお前!売り物かと思ったぞ…」
美琴「お世辞でもうれしいわね、どうしたの?」
上条「いや、人から貰ったの初めてだからうれしいんだ、ありがとな美琴」
美琴「うん…(名前で呼ばれた…)」
上条「それにしても、プレゼントがつり合わな過ぎだろ…」
美琴「そう?私はすごくうれしいけど…」
上条「もう7時か…そろそろ帰るか?」
美琴「あ…うん」
  「あのさ…私…」
上条「どうした?」
美琴「私…(伝えなきゃ…私の気持ち…)」
続く

ここでやめたのはネタがないとかそんなんじゃないんだからね!
ここから本番です。今日続き投稿できたらします。正直これでいいのか…

251■■■■:2009/12/25(金) 16:31:53 ID:kza8fFJ6
>>250
GJ!! 続き期待してますにゃーっ!

252■■■■:2009/12/25(金) 18:00:56 ID:F74voByE
>>250
GJすぐる・・・

253寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/25(金) 18:40:43 ID:gZj5JP3E
前の(>>141)が終わって無くてスマンのですが

クリスマスだなー
でもクリスマスネタなんて俺には荷が重いし、関連ネタで1レスくらいの書くかー

と思ったのが一昨日
どうしてこうなった!

消費:多分7レス

254寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/25(金) 18:42:41 ID:gZj5JP3E
━1━

佐天「御坂さーん」
初春「こんにちわー」
美琴「ん?あ、二人とも久しぶり!」
佐天「お買い物ですか?あ、クリスマスプレゼントとか!」

 12月25日の日中に皆でパーティーをしようという約束があった。
 もちろん画策したのは黒子だ。

美琴「え?う、うん。ままま、まぁね。あなたたちあてのは先週買っちゃったけどね」
初春「わぁぁ。セレブな美琴さんからプレゼントを貰えるだなんて感激です」
美琴「えっと……私のセンスにあまり期待しないでね。ははは……」
初春「そんな謙遜しないで下さいよー。私達は丁度さっき買ったところです」

 袋詰めされた大きな荷物を掲げる初春。

佐天「あれ?てことは今選んでるのは白井さんあてですか?」
美琴「えっ?いや、黒子のも先週買っちゃったんだけど、今のは他の奴向けで……なんていうか、先々週から悩んでるんだけど
    決まらなくてさ……」

 佐天と初春が互いに顔を見合わせる。

佐天「誰あてなんですか?」
美琴「えっっ?あ、うんと……二人は多分知らない人。別にどうでも良い奴なんだけど、一応色々世話になったというか、
    あげなくてもいい奴なんだけど……なんていうか、義理みたいなもので」
初春「は、はぁ。そんなに悩んでるんでしたら、及ばずながら私達も選ぶの手伝いましょうか?」
佐天「そうですよ御坂さん。セレブリティな物以外なら私達も協力できます」
美琴「ははは、そうね。さすがに私も悩みすぎて何が何だか分からなくなってきたところだから、助かるかも」
初春「決まりですね!それで、どんな方なんですか?」
美琴「へ?」
初春「贈り相手です」
美琴「………言わなきゃ……駄目、かな?」
初春「え?」
佐天「さすがに相手が分からないと………」

 言いたくないのだろうか、と思いつつおずおずと佐天が言う。

初春「好みとかは分からないんですか?」
美琴(うーん……巨乳、は好きなのかな?ってこの場合関係無いか。食べ物は……よく分からないわね。服装はいつも
    適当だし……あれ?もしかして私ってあいつのこと全然知らない!?)

 頭を抱えて考え込む美琴。

佐天「いやいや初春。相手の好みって実際言われると中々分からないもんじゃん?」
初春「確かにそうですねー。あ、じゃぁ、特徴とかはどうです?」

 『特徴』と聞かれて、美琴は目を閉じて再び考え込む。

美琴「………………………………………」
初春(あれ?何か御坂さん)
佐天(顔が真っ赤……?)
美琴「えっと、とりあえず馬鹿で鈍感な奴よ」
佐天「……ほ、他には?」
美琴「かっこつけで、見境無く他人の問題を勝手に解決しようとする……とか、自分を省みなさすぎるとか」
佐天「お節介な駄目人間ってことですか?」
美琴「え?違う違う、全然そんなことない!!あいつにも良いところはあるのよ。うんと、困った人を絶対見過ごさないとか、
    意外としっかりしてるとか」

255寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/25(金) 18:43:00 ID:gZj5JP3E
━2━

 徐々に俯き、掛けていたマフラーの先を指で弄りはじめる。

美琴「誰とも分け隔て無く接するとか、私より強いとか……わた、私を守って……とか、真剣な目が……とか……」

 何かゴニョゴニョ言いながら真っ赤になっていく。
 それを見てさすがに二人は気付いた。

佐天「御坂さん、それってもしかして……ん?」

 見ると初春が佐天の袖を引っ張り、少し頬を赤らめながら首を振っていた。

初春「分かりました御坂さん。もう少しで良いプレゼントが思いつきそうです」
美琴「ほ、ほんと!?」

 パァッと美琴が笑顔になるのを見て、初春は若干心が痛む。
 しかし今は心を鬼にしなければならない。
 美琴とはそこそこの付き合いだ。「その人のことが好きなんですか!?」なんて聞いて、美琴が素直に答えるわけがないこと
くらいは分かる。

初春「本当です。ですが、もう少し詳しく教えて頂きたいので、とりあえずどこか座りましょう」

 初春の妙に真剣な眼差しに少したじろぎつつ、美琴は首を縦に振った。



 3人は別の階にある喫茶店で飲み物を買うと、その外側にある椅子に向かい合って座った。
 時期のせいか喫茶店の中は喧噪にまみれていて、重要な話をする場に相応しくないと初春が判断したためだ。

初春「それでなんですが」
美琴「うん」
初春「どういう風に出会ったんですか?」
美琴「え?それって」
初春「重要なことです!」

 初春の、さも重大そうな顔から逃れようと佐天の方を見ると、佐天も同様に重大そうな顔をして頷いていた。
 美琴は諦めたように話し出す。

美琴「6月に……馬鹿な不良10人くらいが私に絡んでた時に…………」
佐天「時に?」
美琴「助け……ようとしてくれた」
初春「お強い方なんですか?」
美琴「ん?強い……かもしれないけど一応無能力者よ」

 『見ず知らずの女性一人を助けるべく、10人くらいの不良相手に果敢に向かっていく無能力者』

佐天(そ、それって何て少女漫画?も、もう駄目初春。私顔がにやけるのを抑えきれない)

 と目で訴えつつ初春の背中をバシバシ叩く佐天。

初春(佐天さん我慢です我慢)

 などと目で返すが、二人の目尻はもう緩みきっている。

256寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/25(金) 18:43:13 ID:gZj5JP3E
━3━

佐天「お、お二人の間で一番印象に残ってる出来事は何ですか?」
美琴「うーん。詳しいことは言えないんだけど、私が絶望の中にいた時に唯一あいつだけが気付いて、あいつだけが救い出し
    てくれたこと……かな」
佐天(うは〜!ないそれ。や、妬ける!)
初春「年上なんですか?」
美琴「うん。高一」
初春(ですよねー。さすが御坂さん大人!)
佐天「て、手は繋いだんですか?」
美琴「えっと、どうなのかな、繋いだと言えば繋いだし……」
初春「身長はどのくらいですか?」
美琴「私より頭半分くらい高いかな?」
佐天「き、キスはしたんですか?」
初春(ちょ、佐天さん)
美琴「ふぇ?きき、キスだなんて、何で私があいつと、そんなこと……」
佐天「してないんですか?」
美琴「………か、間接キスくらいは……ゴニョゴニョ」

 再び俯いて真っ赤になる美琴。

初春(み、御坂さんが可愛い)
佐天(なんという純情さ)

美琴「って!これちょっとプレゼントの話とは違わないかしら」
佐天「え、えーそうですかー?」
初春「あ、御坂さんは今のところどんなプレゼントを考えたんですか?参考にしたいんですが」
美琴「そうねぇ…………まず、手袋はとりあえず却下」
初春「へ?どうしてですか?」
美琴「なんというか、諸事情により…………」

 あの右手に手袋は色々まずいから、とは説明しにくい。

美琴「次に考えたのが、手編みのマフラー。実は途中まで作ってたんだけど…………」
佐天「やめたんですか?」
美琴「うん、諸事情により…………」

 ふと気付いたら模様がハート柄になっていたとは口が裂けても言えない。
 ちなみにとりあえず完成させている。

美琴「あとはセーターとか、手作りクッキーとかも似た理由により却下。他にも食べ物とか、救急セットとか、ゲコ太パジャマ
    とか、開運グッズとか、もうよく分からなくなっちゃって……」
初春「えーっと………とりあえず容姿はどういう風なんですか?誰かに似てるとか」

 うーん。と美琴は考え込む。

美琴「説明するのが難しいわね。髪はツンツンしてて、体型は普通。顔は普通に卵形で、いつも不幸そうな表情をしてる……。
    身長はさっきも言ったとおりで、多分171cmくらいかな?」
上条「168cmだぞ」
美琴「あ、そのくらいか……………も………………???」

 美琴がギギギギとぎこちない動きで前を見ると、初春と佐天が二人仲良く両手で口を覆って驚いている。
 目元がにやけていて頬が赤いのは気のせいだろうか。
 再びグギギギギとぎこちない動きで後ろを振り返ると、噂の張本人がけだるそうに立っていた。
 学生服なのは補習だろうか。

257寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/25(金) 18:43:32 ID:gZj5JP3E
━4━

上条「いっつも不幸で悪かったな」

 美琴は全力で顔を戻すと、膝を抱えて小刻みに震え出す。

佐天「ねぇねぇ初春。この人だよね、どう考えても」
初春「みたいですね。キャー超展開!」

 小声で話しているが、二人はもう興奮で何が何だか分からなくなっている。
 ふと目が合う。

初春「は、初めまして。私達、御坂さんのお友達をさせて頂いております。初春飾利と…」
佐天「さ、佐天涙子です」
初春・佐天「よろしくお願いします」

 その馬鹿丁寧な自己紹介に、上条の口は「おっ」となる。
 普通人で、かつ礼儀正しい人というのが周りにほとんど居ないせいか、こんなことにすら感動を覚えてしまう。

上条「ご、御丁寧にありがとうございます。俺は上条当麻という普通の高校生です。御坂とは………あれ?御坂、俺にとってお前って何だ?」
美琴「知らないわよ!自分で考えなさい。………ていうかあんた、さっきの話、どどど、どこから聞いてたのよ」
上条「えーっと………俺は上条当麻という普通の高校生です。御坂とは」
美琴「だーーー!!それ以上言わなくて良いっつか無視すんなコラ!大体にしてあんたのどこが普通なのよ」
上条「別にいいだろ。良いだろ普通って!素晴らしいことじゃねぇか普通って!!」
美琴「何力説してんのよ!」
上条「……ああ、聞いてたのならツンツン頭がどうとかいうあたりだけど……お前いつまでそっぽ向いてんだ?」

 美琴はそれを聞いて胸をなで下ろし、2回ほど静かに深呼吸した後振り返る。
 何故かそれと同時に初春と佐天が顔を隠すように反対側を向いてしまったが、そんなことを気にする余裕は無い。

美琴「で、女子学生3人水入らずの所に何の用?」

 さっき上条のことを話していた時とは打って変わった態度に初春と佐天が少し驚く。

上条「お前、いつだったか『用が無きゃ話しかけちゃ駄目なの?』って怒ったことありませんでしたっけ?」
美琴「う、うっさいわね!…………ってもしかして、ほんとに用事無いのに話しかけたの?」

 用もないのに、女子中学生の輪に割って入るというのは、ただならない関係なんじゃないか?と考えて少し期待する。

上条「いや、用はあるんだけどな。ほら、俺の携帯未だにおかしくてさ−。この前の返事出せなかったから直接伝えようと思って」
美琴「……………で、何のメールよ」

 少しガッカリしつつ、返ってこなかったメールを思い浮かべながらそう尋ねる。

上条「12月24日の予定について」
美琴「うっ!」

 ちらりと初春と佐天の方を見ると、二人は直立不動でカチコチに固くなっていた。目は明後日の方を向いている。

美琴「そ、それで?」
上条「とりあず……あのメールは本気なんでせうか?それともからかってるんでせうか?」
美琴「は?」
上条「いや、ほら!あるじゃん!『クリスマスの予定ってあるの?』って質問に期待を込めて『無いよ』って答えたら
    『やっぱりだろうと思ったキャハハー』っての!!こえぇ……女ってこえぇ!」
美琴「はぁ?」
上条「ああそうですよ、ありませんよ!土御門も青ピも何だかんだで予定あるって言うし、俺だけポッカリ状態ですよ!」

258寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/25(金) 18:43:43 ID:gZj5JP3E
━5━

 実は上条にクリスマスの約束を取り付けようとする攻防は裏であったのだが、上条の不幸体質が大活躍した結果、誰も予約を
取り付けられないという奇跡的状況に陥っていた。美琴のメールも同様の理由だろう。
 ちなみに土御門と青髪ピアスは、「勝った。上やんの不幸がフラグ体質に勝った!」などと訳の分からないことを言って喜ん
でいた。

美琴「ちょ、丁度良いわ。とあるレストランにクリスマス限定でゲコ太グッズプレゼントをやってるところがあるんだけど、
    複数人限定らしいのよ。というわけで付き合ってもらうわよ」

 早口でまくし立てる。

上条「………またそのパターンかよ。つか、そちらのお友達さんじゃ駄目なのか?」
美琴「あ……」

 マズった!と美琴は心の中で叫ぶ。
 確かにそういうキャンペーンをやるレストランはあった。あったというか全力で探した。
 しかし残念ながら「男女のペア」とは書いていなかったのだ。
 だからこそメールという、ツッコミが入れられにくい方法を取ったのだが……

美琴「あんたは…………嫌なの?」
上条「そういう事じゃねぇって、せっかくのクリスマスにグッズ目当てで俺なんかと居て良いのか?つってんの」
佐天(あ、鈍感だ)
初春(鈍感ですね)
美琴「……………………」
初春「わ、私達はその日ちょっと別の用事があるんですよ。ね!佐天さん」
佐天「え?……ああ、そうそう。そうなんですよ上条さん」

 良いタイミングで初春が助け船を出す。
 しかしどう考えても顔がにやけ状態であるのが分かっていたため、端から見ると嘘がバレバレだ。

上条「ん、そうなの?なら仕方な……って、お前そんなに頼める人少ないのか?」
美琴「んなわけ…………………」
上条「?」
美琴「やっぱそうよね。あんたもクリスマスまで私に振り回されたくないか」
上条「……何勝手に自嘲してんだよ。う、嬉しいに決まってんだろ?そうなったら」
美琴「え?」
上条「聞き返すな馬鹿。で?ホントにいいのか俺で」
美琴「…………………………」

 思いがけない展開に美琴が黙る。

美琴(これ、肯定したら色々やばいんじゃ……しかも初春さんと佐天さんの目の前で……ああもう!どうすればいいのよ。
    どうすれば………って、ああああ、あんた、そんな私をまじまじと見るんじゃないわよ。居心地よくなっちゃう
    じゃないのよー)
美琴「ふにゃー」

 一瞬気付くのが遅かった。美琴から漏れた電撃は四方八方へ放たれる。
 幸い近くに人は居なく、初春と佐天の前には上条が割り込んだ。

上条「お、お前なぁ!!」
美琴「……ごめん」
上条「誤る前に電撃止めろおおおおお!」

259寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/25(金) 18:43:53 ID:gZj5JP3E
━6━

 言いつつ美琴の左手首を掴んで事なきを得る。
 能力の暴発を友達の前でやってしまったせいか、美琴は恥ずかしそうに俯く。
 しかし初春と佐天は一瞬の出来事にほとんどぽかんとしていた。

上条「ほんと見境無しかよ」
美琴「あ、あんたが変なこと聞くのが悪いんでしょ!」

 悪態もいつもの勢いがない。
 とりあえず右手をこうしてれば大丈夫か、と上条が少しホッとしかけた次の瞬間、どこかで聞いたことのある警戒音が
後ろで聞こえた。

上条(こ、このパターンは……)

 後ろを振り返ると、予想通り警備ロボが猛スピードで接近してくる。

上条「はははは……不幸だっ!」

 言い終わる前に全速力で逃げ出す。右手は美琴の左手首を掴んだままだ。
 振り返ると、一瞬遅れて初春と佐天も走り始めていた。
 一応、人にも商品にも損害はなかったようなので、警備ロボが途中で諦めてくれるだろう……なんて期待を込めつつ走る。

………………

上条「はぁ……お前と居るといつもこんな感じな気がする」

 とりあえず外へ出て、人気のない公園まで逃げまくった。
 ベンチに腰を下ろすと、昨晩雪が降ったせいかズボンがグチョグチョに濡れてしまい、仕方なく再び立つ。いつも通り不幸だ。

美琴「……………………」
上条(あれ?ツッコミなしですか)
上条「それで、手離して大丈夫なのか?」
美琴「うん」

 そっと手を離す。暴走は収まったようだ。
 初春と佐天と離れてしまったが、美琴の携帯に大丈夫だというメールが来ていたのを二人で確認して安心する。

上条「それでどうすんの?」
美琴「んえ?」
上条「24日の話」
美琴「…………私はあんたと一緒が良い」

260寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/25(金) 18:46:10 ID:gZj5JP3E
━7━


 走って疲れたためか、ずっと手を引っ張られていたおかげでぼーっとしているためか、何だか面倒になって美琴はあっさり
そう言った。

上条「へ?」

 そして逆に今度は上条が混乱する番だ。

上条(あれ?ナニコレオカシイゾ。俺なにか間違えた?いや、これは罠に違いない。違い……ない?)
美琴「ま、細かいことは気にしない!あんたはせいぜい美琴センセーを喜ばせるためにプレゼントを準備しておけば良いのよ!」
上条「ん?プレゼントならもう用意したけどな」
美琴「ッ!!??」
上条「お前多分、嬉しくて卒倒します。はい」

 実はその事実だけで嬉しくて卒倒しそうだったりする。

上条「むしろその言葉、そっくりそのまま返してやろうじゃねぇの」
美琴「………あ!」
上条「ん?どした?」

 美琴は今更ながら、上条に渡すプレゼントをどうするか相談している途中だったことに気がついた。
 
美琴「ど、どうすりゃいいのよ………」
上条「だから何がだ?」



 ―――聖夜まで、あと3日。

_____________________________________


暇なら読んでみてくだしあ


当初の目的から外れて続きそうな終わり方なのは何なんでしょうか
アホなんでしょうか
続くかはマジで分かりません

261■■■■:2009/12/25(金) 18:57:47 ID:mgTPk3l2
>>260
何かすごいのキター
初春&佐天にGJ

262■■■■:2009/12/25(金) 18:58:14 ID:kza8fFJ6
>>260
GJですたい。
続いてくれにゃーっ!!
でないと半殺しに等しいぜいっ!!

263■■■■:2009/12/25(金) 19:55:51 ID:Tx.Epe5w
>>260
続けてくんなきゃ泣くぞ

264■■■■:2009/12/25(金) 20:49:22 ID:ksNSZgck
>>260
GJ、萌え死にそうです
ぜひ続きを〜

265■■■■:2009/12/25(金) 21:34:35 ID:Ed1zRVbs
>>260
GJです‼
続きがとても気になります
楽しみに待ってます

266■■■■:2009/12/25(金) 21:44:18 ID:hC4VpDRU
>>260
ものすごくニヤニヤした
これは続きが見たい!お願いします

267■■■■:2009/12/25(金) 22:56:55 ID:vs45IUVU
徹夜で更新待つか・・・

268寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/25(金) 23:08:57 ID:gZj5JP3E
どもあり
じゃぁゆっくり書いていこうかと思います
クリスマスっていつだっけ? って時期になっても怒らないでネ

あと3回推敲したのに何でミスりまくってるんだろう
>>254 セレブな美琴さん → セレブな御坂さん


とりあえず今は>>140の挿絵描いてます(?

269■■■■:2009/12/25(金) 23:25:52 ID:F74voByE
>>268
最高のクリスマスプレゼントをありがとう(;ω;)
一人で2828してました

270■■■■:2009/12/26(土) 00:07:25 ID:NnpnTh.I

「あれ」
「おう、メリークリスマス」

私は今、街中にいて、偶然、アイツに出会った。
アイツって誰か、言わなくてもいいわよね。

「め、メリークリスマス…ってアンタキリシタン?」
「いんや、こういう慣習は従ってなんぼ、つかこんな状況、仏教徒でもヒンドゥー教でも伝染するって」

確かに。今商店街にいるけど、どーやって掛けたのか、天井から電飾が垂れ下がっている。
まだ明るいので無灯だが、太陽光で様々な色の電飾がまた別に綺麗に光ってる。

「ふぅん。相変わらず一人なのね」
「悪いか」
「べっつにー。今日び、あのシスターと一緒にいるのかと思ったからさ」

首に巻いたマフラーを巻き直す。

「アイツは今家でスフィンクス…猫とお昼寝中だ。っと、そうだ、今お前暇か?」
「へっ?いや…まぁ暇といえば暇だけど…プレゼント買いに来ただけだし」

実は夕方から黒子達と一緒に小さなパーティーを開く事になっていた。
その為にプレゼントを買おうと思って一人でこうしていたわけなのだが。

「おっ、ちょうど良かった。あのさぁ頼みがあんだけども」

271■■■■:2009/12/26(土) 00:10:20 ID:NnpnTh.I
「…なんとなく察しがついたけど、何?」
「インデックスに何か買ってやろうかと思ってな」
「シスターなのに?」
「いーの。細かい事は気にするな。郷に入っては郷に従えだって」
「で、私に見繕えって事?」
「そうそう。なっ、頼むよ。俺女の知り合い少なくて、ここに会ったのも何かの縁だし!」

私はワザと少し考慮したような時間を取って、

「…まぁついで、だからね」

と言った。

「サンキュ!さっすがレベル5のお嬢様だ。話がよく分かるっ」
「…そういうおだて方すんのやめてくれない?」
「っと、す、すまん…」
「私が正直なトコ、お嬢様とかに見える?」
「…全然」
「でしょっ。今はアンタはとあるフツーの女子と一緒に肩並べて歩い…て……?」

…え、今私何て?何て言おうとした?
コイツが?私と?肩並べ、て…って…で、デートっ!!?
ち、違う違う!

「いや、それは違うだろ」
「そ、そうよね。違う…って…え?」

真っ向否定された?…はは、そりゃ…そうよね。

272■■■■:2009/12/26(土) 00:11:23 ID:NnpnTh.I

「俺とお前、肩の高さ違うのにどーやって並べんだよ」
「…は?」
「いや、だからお前の目の高さに俺の肩あるのに"並べて"って表現はおかしうおわっ!?」

ちっ。避けられた…

「ちょ!おい、そんなん零距離だと流石に上条さんも防げませんて!」
「うっさいなっ!表現をまともに受け止めんな!察しろばかっ!!」

顔が紅潮してるのが熱で分かっていく。
なんとなく、言っといて察して欲しくなくて、そっぽ向いてマフラーに顔を埋めた。

「はぁ? …お前、顔赤くない?」
「っ!う、うっさいな!ほら、さっさと行くわよ!」

思わず手を取って、足が先々前に進んでいく。
もうやだ、こんなヤツ。ホントばか。私だって…。

「…ったく。お前はクリスマスでも相変わらずなんだな」
「! あ、相変わらずって何よっ!」

私は足を止め、振り返って、きっ、と睨み付ける。

「あのなぁ、こーやって街中が平和なんだ。ちょっとくれー…よっと」
「きゃっ」

握っていた手を引っ張られ、隣に連れて来られる。

「停戦協定つーかさ、まぁお前が俺に向かって来てるだけだけど、ちったー仲良くしようぜ」
「え、あ… う…」

どうしよう、声が出ない…。

「あ…と…」
「んじゃ、エスコート頼むぜ。御坂サン?」
「は、はひっ…」

アイツの笑顔が、かっこよかった。

273■■■■:2009/12/26(土) 00:12:37 ID:NnpnTh.I
以上ですよっと。なんかgdgdっぽいのですまない
今度からもうちょい推敲しなくちゃだなー…
読んでくれた方ありがとうございました、トリとかいんのかね

274小ネタ:2009/12/26(土) 00:20:53 ID:Qp4ieob2
>>250の続き これで最後です
>>253さんが続くことを願います

美琴「私…(伝えなきゃ…私の気持ち…)」

今まで、もし告白が断られたら?『他に好きな人がいるんだ』と言われたら?
そう考えただけで胸が苦しくなる、熱くなる、イタイ。すごく痛い。
今まで感じたことのない痛みでもう立ち上がれないかもしれない。

それに今なら間に合うかもしれない。後戻りだってできる。
今まで通りケンカしたり一緒に帰ったりすることだってできる。

でもそれはできない。
これ以上自分の気持ちに嘘をつくのがなによりも辛いことなのだ。
だから伝えなくちゃいけない、どんな結末が待っていようが…

美琴「私…アンタのことが好きなの」
  「私、もっとアンタのこと知りたいし、アンタのそばにいたい…
   アンタと、アンタと…当麻とずっと一緒にいたいのよ!」

今の美琴は自分の感情をもう抑えることができない。
感情の爆発でもう自分が自分でいられないような気さえした。

上条「…」
  (御坂がここまで俺のことを思ってくれている…
   それに比べて俺はどうだ…アイツ…御坂のことをどう思っている?)
 
  (あいつといると不幸なことがよく起こる、でもアイツといると何故か楽しくなるし気持ちよくなる。
   今まで気づかなかっただけだが、よくよく考えてみると俺も御坂のことが好きだったのかもしれない。
   なら、今の俺の気持ちを素直に伝えよう…アイツの笑顔を守るために…)

上条「ありがとな御坂、俺も…俺もお前のことが好きだ、御坂」
  「なんでだろうな、いや好きに理由なんかいらない、ただ単に美琴、お前が好きだ」
美琴「え…」
上条「美琴、俺と付き合ってくれ」
美琴「………グスッ…ヒック…うん」
上条「おい泣くなって…やれやれ…よしよし」ナデナデ
美琴「ヒック…うれしいんだもん…当麻大好き!」
上条「今日は幸せだな」

今はとても幸せだ。自分に素直になることもできた。
今回はたまたま運が良かっただけなのかもしれない。
たとえ違う結果になろうとも後悔はしていない。
それが自分の運命なのだから…
完 
 うわああああああああああああんクリスマス終わっちゃったああああああああああ

275■■■■:2009/12/26(土) 00:29:04 ID:d1pUKVgg
GJ
とりあえずまとめるぜ
>>169
>>183
>>195
>>200
>>211
>>222
>>240
>>250
>>274

276■■■■:2009/12/26(土) 01:39:06 ID:UK7LNDus
萌えるわー

277sage:2009/12/26(土) 02:12:33 ID:L4YSImJo


278■■■■:2009/12/26(土) 13:54:04 ID:Qp4ieob2
>>275まとめてくれてありがとうございます
ちょっと0時に間に合わなかったのが後悔
次回作どうしよう…

279■■■■:2009/12/26(土) 18:30:39 ID:WjRglEFc
俺がいないこの一週間になにがあったあぁぁぁ

みなさまGJすぎです

280■■■■:2009/12/26(土) 19:12:46 ID:kkQq4lgM
>>279
クリスマスがあって。投下ラッシュがあった。たぶん。

皆様。GJです。

281■■■■:2009/12/26(土) 20:58:58 ID:zUKUwWbM
超萌えた!!!

282■■■■:2009/12/26(土) 22:01:18 ID:hWWb8K3M
ホーリーエンジェモン

283■■■■:2009/12/26(土) 22:13:38 ID:RvbiJSRw
なぜにデジモンww

284■■■■:2009/12/26(土) 23:36:33 ID:FxPVaboQ
ホテリアーのSSかwwwwwww

285■■■■:2009/12/27(日) 08:22:58 ID:mt52XQkQ
小ネタ投下。
いちゃいちゃにならないが。

 美琴から上条さんにメールが届きました。


From:御坂美琴
Sub:相談したいことがあるんだけど

『えっと、私の友達の話なんだけど。好きな人ができたんだけど、相手が年上らしいの。それで、いろいろ頑張ってるらしいんだけど相手がスルー、じゃなくて振り向いてくれないんだって。そう言うのってどうすれば良いの?』


From:上条当麻
Sub:Re:相談したいことがあるんだけど

『まず相手に話を聞いてもらうところから始めなくちゃダメなんじゃねぇの?』


From:御坂美琴
Sub:Re2:相談したいことがあるんだけど

『……話しかけてもスルーされるって言ってるんだけど』


From:上条当麻
Sub:Re3:相談

『それはスルーと言うより最初から相手にされてねぇんじゃねえの? お前の友達、お前みたいに能力使ったりとかして、相手から怖がられてたりとかしてないのか?』


From:御坂美琴
Sub:そんなこと……

『能力は……どうなんだろう。どれだけ呼びかけても聞く耳なしって言うのが不思議なのよね』


From:上条当麻
Sub:Re:そんなこと……

『あのな、いくら何でも極悪非道な性格でなけりゃ、普通に話しかければ普通に答えてくれると思うぞ。相手の歳っていくつとかわかるか?』


From:御坂美琴
Sub:アンタと同い年

『一六歳だって。アンタくらいの高校生って、私くらいの歳の子が話しかけても無視するのが普通なの?』


From:上条当麻
Sub:それはない

『お前みたいなのが相手でなけりゃ、よっぽどのことがない限り話は聞くぞ』


From:御坂美琴
Sub:アンタねぇ

『お前みたいなの、とか失礼にもほどがあるわよ! アンタが毎回毎回人のことをスルーするのが悪いんじゃないのよ!! 人のことをビリビリ中学生とか言ってなかなか名前覚えないし』


From:上条当麻
Sub:それはともかく

『相手の好みとか、タイプとか聞いたのか?>友達』


From:御坂美琴
Sub:まだ

『聞いたことないみたい。参考までに聞きたいんだけど、アンタの好みのタイプってどんな人?』


From:上条当麻
Sub:Re:まだ

『年上で包容力があって料理とかできればOK。大食らいでなければなお良し。つか俺の好みより、お前の友達とやらの相手の方が重要だろうが』


From:御坂美琴
Sub:ふーん

『参考にさせてもらうわ>年上で包容力があって料理 それで、アンタって好きな人いる?』


From:上条当麻
Sub:Re:ふーん

『いない>好きな人 出会いがないんだからいるわけない』


From:御坂美琴
Sub:ちょっと

『私との出会いはカウントに入ってないわけ?』

286■■■■:2009/12/27(日) 08:23:38 ID:mt52XQkQ
 トゥルルルル、ガチャッ。

上条『……なぁ御坂、相談には乗るからメールのやりとりはやめないか?俺指がつりそうなんだけど』
美琴『メールもできないなんてアンタおじさんなの?』
上条『お前らみたいなメール大好き中学生じゃないんだから、こんな短時間でちっこいボタンでぽちぽち文章打ってるの面倒なんだよ』
美琴『ま、良いわ。それで、とっ、友達のことなんだけど。勘違いしないでよね、私の話じゃないんだから』
上条『はいはいっと。んで、何だっけ。相手が無視するんだっけ?』
美琴『そう、そうなのよ。いっくら声かけてもスルーするし、人に面倒を押しつけるし、勝手に海外行っちゃうし、気がついたら怪我だらけで帰ってくるし』
上条『……今ものすごく既視感を感じたんだが……まぁ良いか。基本はあれだ、礼儀を持って、相手をよく知ってつきあえば、友達くらいにはなれるだろ。そっから先は本人の努力次第だけどな』
美琴『そっ、そうよね。そこから先は努力次第よね。うんうん。それで、相手の好みのタイプが年上だった場合、こっちが中学生だと……見込みない、かな』
上条『いや、どうなんだろう。確かに好みのタイプは重要かもしれないけど、気がついたらその子のことが気に入りました、ってのもないワケじゃないし』
美琴『そっ、そっ、そうよね。好みのタイプと違うからってあきらめちゃダメよね、うん』
上条『御坂……これ、本当にお前の友達の話か? やけに力入ってるけど、ひょっとして白井の恋話でもしてるのか?』
美琴『ちっ、違うわよ! あくまでも私の友達の話よ』
上条『そっか、なら良いんだけどな』
美琴『ねぇ。アンタの例で良いから、聞きたいんだけど』
上条『俺の? まあ良いけど、何?』
美琴『えーっとね、例えばの話よ? 例えば、うーん、アンタが友達だって思ってる女の子が、突然アンタに告白してきたら、アンタどう思う?』
上条『うーん。相手にもよる、かな。そんな素敵イベント起きたことないから、その時にならないとわかんねぇな』
美琴『ふむふむ。相手にもよる、と』
上条『なぁ、これ俺の意見だからあまり友達とやらの役には立てないと思うぞ?』
美琴『い、い、いいのよ。あくまでも同世代の意見ってことで』
上条『あ、そうだ御坂。一つアドバイス』
美琴『なっ、何?』
上条『短パンでハイキックはやめとけよ?』
美琴『なっ、なっ、なっ、なっ……』
上条『ああ、これお前の友達へのアドバイスな』
美琴『余計なお世話よ!』

 ブツッ。ツーツーツー。

美琴「……やっちゃった……。相談のフリしてアイツの好みやあれこれを聞き出す作戦が台無し……。その前に、どうして素直になれないんだろうなぁ……。ちゃんと好きって言えればこんな回りくどいことをしなくても良いのに……不幸だわ」

終。

287■■■■:2009/12/27(日) 08:53:45 ID:bRCJ9tsA
こういうの大好き

288■■■■:2009/12/27(日) 12:26:25 ID:wl6b12Sc
同じく大好き

289■■■■:2009/12/27(日) 14:24:00 ID:Re8sNv6A
>>285

From:上条当麻
Sub:Re:ふーん

『いない>好きな人 出会いがないんだからいるわけない』

このセリフにおじさん結構きれちゃったよww
ちょっと表出ようか、。

290■■■■:2009/12/27(日) 14:37:14 ID:s7QcCwvo
まあ、上条さんだからな
仕方がないだろう

291寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/27(日) 15:31:34 ID:PXQbHtKQ
>>140
図   示

ttp://2d.moe.hm/index/img/index1323.jpg

はぁ、やっとSS書ける(´・ω・`)

292■■■■:2009/12/27(日) 15:54:22 ID:bZIYLonA
GJ

293小ネタ:2009/12/27(日) 16:21:11 ID:hsK/Z//k
>>285 乙です 美琴らしいですねww
ども クリスマスのネタが完結したんで適当にネタ投稿します。
※前回の続編ではないので2人は付き合ってません。

美琴「ええっと…せっかくアイツの番号聞いたんだから…」
  「でもこっちから電話するのって恥ずかしいし…うう〜ん…」
  「えい、もうやっちゃえ!」
プルルルル…

上条『もしもし?御坂どうしたんだ?』
美琴『もしもし、えっと…』
上条『???』
美琴『あの…明日、時間空いてる…?』
上条『あぁ…わりぃ御坂。今とある事情で入院中なんだ、だから無理だわ、ごめんな』
美琴『へ…?入院中?』
上条『あぁ入院中』
美琴『アンタまた何かやらかしたの!?何で相談しないのよ?私だってアンタの力になれるのに』
上条『まぁいつも通りなんだけどな…それに俺の問題でもあるし、なによりお前を巻き込むわけにはいかねぇよ』
美琴『何よそれ!アンタはもうちょっと穏便に生活できないわけ?それに(ry』
しばらく美琴さんのありがたく長ったらしい説教を食らっていた。

美琴『でちゃんと反省したワケ?』
上条『はい、ちゃんと反省しました…』
美琴『よろしい、それじゃ、じゃぁね』
上条『ばいばい…』  プープープー
上条「はぁ…不幸だ…」
一方その頃 常盤台の女子寮では…

美琴「アイツ、今入院中だから…お見舞いに行かないと…流石に何も持っていかないのはまずいし…」
  「そういえば、アイツ手作りクッキーがいいとか言ったような…」
  「手作りクッキーでいっか、アイツ喜んでくれるかな…」何故か小声かつ顔が真っ赤       

黒子「ただいまですの…お姉さま?どうしてそんなに顔が赤くなって、恋する乙女みたいにモジモジしてますの!?
   まさか…あの殿方の仕業ですの!?ふっふっふ…覚えておくがいいですわ…あの類似猿がぁ!!」
美琴「ふぇ?赤くなってないし、アイツのことも関係ない!」
その後黒子にしつこく追及され、なかなかクッキーがつくれなかったのはまた別の話。

294■■■■:2009/12/27(日) 16:22:46 ID:hsK/Z//k
>>293の続きがあったんですけど何故かデータ消えてるし\(^o^)/俺の時間がw

あと>>291さんGJです、保存しましたw

295■■■■:2009/12/27(日) 18:07:56 ID:mt52XQkQ
>>291,293
GJGJ!

つことでもう1つ投下。
目指せ最短消費でいちゃいちゃ。

上条「ふーん、女の子ってこうなってるのか」
美琴「……………う」
上条「きれいなもんだな。つるつるしてるぞ」
美琴「や………そんなにのぞかないで……」
上条「あ。少し産毛が生えてる」
美琴「……息……ふきかけ……ないでよ……やめ……」
上条「うーん……どれどれもう少し奥まで……」
美琴「や、だ……やめて……あっ…………」
上条「こら、隠すな。見えないだろうが」












上条「晩飯作ってくれたお礼に耳かきしてやろうと思ったけど、お前ちゃんときれいにしてるんだな」
美琴「…………ひっ、人の耳の穴をまじまじとのぞくんじゃないわよ。息がかかってくすぐったかったんだから。で、でももうちょっとこのまま膝枕してて欲しい……」



終。

296■■■■:2009/12/27(日) 19:25:48 ID:1g5Yj/O.
>>291
素晴らしい・・・

297■■■■:2009/12/27(日) 19:49:05 ID:wl6b12Sc
>>291,293,295
GJです

298カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/27(日) 22:16:59 ID:saKBd7lc
皆さん何やら楽しそうで・・・ふふ。うふふ・・・。

久々に投下。アニメ13話の後日談と言う事で。

上条「オッス、ビリビリ」
美琴「だから私はぁー・・・、ビリビリじゃなくて御坂美琴だっつってんでしょいい加減覚えろやこのウスラボケェー!!」
上条「おわぁっ!!?だ、だったらお前も出会い頭にビリビリすんの止めろよ!!お前どんな精神してんだよ!!」
美琴「アンタがビリビリビリビリ言うからでしょうが!!・・・それで?私に何か用?」
上条「あぁ、ちょっと聞きたいことがあんだけど。・・・お前、この間フリフリの水着着て何やってたんだ?」

フリフリの水着・・・?と考えたところで、何かを思い出したようで美琴の身体がフリーズする。

美琴(あ、あれは誰にも見られてないはずなのに。よ、よりにもよって、何でコイツが・・・ッ!!?)
上条「よりにもよってあんなスクリーンで。あ、ひょっとして何かの宣伝か?」

スクリーン?それに関しては思い当たるフシはないが、とりあえず美琴は適当に話を合わせておいた。

美琴「そ、そ、そうなのよ!知り合いに水着のモデルを頼まれちゃってさー・・・あは、あはははー」
上条「モデルねぇ・・・。その割にはお前、ノリノリで楽しんでるように見えたけどな」

再びフリーズ。しかし、ずっとフリーズしているわけにはいかない。まずはやらなければならない事がある。
コイツが何でこの事を知っているのかは分からないが、とりあえず口を封じておかなければならない。

美琴「アンタが何で知ってるのかは知らないけど・・・、とりあえず記憶をなくせェー!!」
上条「おわぁぁ!?な、何なんだ一体!!俺が一体何をしたって言うんだ!?」
美琴「うっさい!!アレを知られた以上、生かしてはおけるかー!!あっ、こら待てぇー!!」
上条「不幸だーーッ!!」

とりあえず13話の美琴のかわいさは異常。

2991/4:2009/12/27(日) 22:26:25 ID:o2KsuBOk

「――――……っ」

ピッピッと私を吹聴するかのようにケータイの音が鳴る。
アイツの電話番号を入れるだけでこんなに緊張するなんて…ったく。
押し終えて、番号の誤りがないのを確認、何度も確認する。
…本当はこの次を迎えたくないだけなんだけど…って分かってて動けない私ってどうなのよ…。

「ああもう、レベル5のこの私がこんなのに困惑させられるとは…」

思い切ってケータイをベッドに放り投げ、ベッドに仰向けに倒れる。
倒れた拍子に背後にある雑誌を潰してしまい、くしゃっと音がした。
………やっぱり投げたケータイを拾って、番号表示のままなのを見る。

「…あの超鈍感が分かってくれれば……早いのに…」

…とはいいつつ、その超鈍感に惹かれてるのも、分かってる。
自分で動かないと無理なのも承知だ、だから電話したい、明日、24日を、共に。
今、部屋には黒子もいないから電話するに絶好の機会なのに…うう。
視界の端できらりと光るものが見えた。普段からレールガンを放つ為のコインだ。
よっ、と言いつつ起き上がり、コインを摘んでひらひらと表裏両方を自分に見せる。

「…表が出たら、電話。裏が出れば……」

自分でも後味悪く発言して、コインを弾き、それは空中で回転しながら私の手の甲に落ち、もう片方の手で覆う。
裏ならどうしよう。電話…しない、のかな。
すぅ、はぁ、と大きく深呼吸をして、被せた手を退ける。
――――表でピエロが笑っていた。

3002/4:2009/12/27(日) 22:27:22 ID:o2KsuBOk

「…ええいもうっ!当たって砕けろ!」

目を瞑って、パワーボタンを押しかける指を2つ左に移動させて…押した。
耳に当てることなく、画面を睨みつけ、『発信中』という点滅する文字をただただ見ていた。

そして。

〔―――ああ、はいもしもし。上条ですけど〕

出た。
素早く耳に受信口を当てる。
けど、声が出ない。

「…んだ? あーっと…なんだ、ビリビリじゃねぇか」

どうやら向こうは知らずに出たらしい。

「だ、誰がビリビリよっ!御坂美琴だって言ってんでしょ!」

思わず出た台詞が突っ込みだった。…なんか情けない。

〔喋るトコで大声出すな。分かったよ御坂。んで、何の用だ?〕
「えっ……あー…その、ね……」

どうしよ、やっぱり声が出ない。何で、出てよ、声。
"明日、デー…じゃなくて、一緒に街を歩かない?"だ。
『デート』は恥ずかしい。これじゃアイツには届かないのも分かってるけど…私にもこれが限界。

「あ、の…あ、あし……あした…」

お願い、お願いだから、出て、出てっ!

〔明日? そうだ、御坂。お前何が欲しい?〕

―――は?

3013/5 ←すまん、まちがえた:2009/12/27(日) 22:29:05 ID:o2KsuBOk

「え、今何て?」
〔いやだからさ。いちおー日頃お世話になってるし、クリスマスイヴだろ?
  慣習は則ってなんぼだし、女の子が何欲しいか分かんないし…
  土御門が語るにそういうのは聞くモンじゃないとか言ってんだけど、やっぱり失礼なモン送りたくないしさ〕
「…で、今聞いてるって?」
〔そうそう。…あ、なんなら明日暇か? ってお前は相手とかいるのか、いたらスマン〕
「い、いいいいないわよっ!明日?明日ねっ、え、ええっと…ひ、暇だけど!」

ろ、ろれつが回らんっ!誰か通訳と水!あと冷静さ分けてっ!

〔お、そうか。んじゃー…明日何時にするかな。明日の朝も補習なんだよなー…ったく〕
「あ、え、ええっとっ!あのさっ!」
〔ん?どうした?〕

ちょ、きゅ、急に口割り込ませるな私っ!ばかっ!逃げられないじゃない!

「そ、その、ね?いい?」
〔いや、別に構わないけど、何がだよ〕
「あ、ああああの…シスターの、子は…一緒、なの…?」
〔ん、インデックスか?いや、アイツは寒くてあんまり外でたくないらしいから
   一人のつもりなんだが、呼んだ方がいいか?〕
「い、いや、呼ばなくていいっ!!」

…思わず強く叫んでしまった…、私サイテーかも…。

〔お、おう…そうか。分かった、んで、お前は何時頃が都合良い?〕

黒子はクリスマスイヴは特に変な輩がいるから、イヴだけは仕事するって言ってるし、正直時間は空いてる。

「………夜、はダメ?」
〔夜、っていうと7時くらいか?そこら辺しか空いてないのか?〕
「え、えっと…まぁ、うん。空いてないの」

嘘。嘘だけど。精一杯の努力、にしたい。

3024/5:2009/12/27(日) 22:31:05 ID:o2KsuBOk

〔んー…お前がそれしか空いてないってなら仕方ないな。分かった。
  それじゃ、6時半にいつもの公園の前で。そこならお互い大した距離じゃないだろ?〕
「うっ、うん…ろ、6時半にいつもの公園ね。分かったわっ」
〔悪いな、御坂。っと、そういえば最初お前が何か言おうとしてたんだっけ、何だった?〕

ちょっ、折角アンタから誘った形なのに!流すか忘れなさいよ!

「え、あ、い、いや何でもないわよ!クリスマスの予定でも聞いてやろうと思っただけで!」
〔って、お前俺をバカにするつもりだったのかよ。生憎たった今イヴは埋めたけど、クリスマスは何もないですよっと〕

!! く、クリスマスもフリー!?
また深呼吸する。どうしよ、脈拍が凄い。手を顔に当てると、凄く手が冷たく感じる。
後ろの雑誌を持って来て、凝視する。…『イルミネーションの奇跡』と書かれた紙面。

「あ、あのさっ!い、一緒にご飯食べない…かな?」

…今更だけど焦りが落ち着いてきてたのに気付いた。……戻れないからかな。

〔ん、ご飯って夜か?俺はいっこーに構わないけど、そんなに金ないぜ?〕
「そ、そんなの私が奢って、あげるからさっ」
〔……いや、流石にお前に奢らせるのはまずいだろ。…安いトコでいいか?〕
「え、えと…う、うんっ!」
〔ああ、流石にファストフードとかじゃないからな。とは言っても定食屋だけど…〕
「わ、私はいいわよ!」
〔そっか。悪いな、んじゃ明日頼むわ〕

3035/5:2009/12/27(日) 22:32:17 ID:o2KsuBOk

ま、待って!まだこっちが……。

〔こっち?〕
「え?」
〔いや、今『待って、まだこっちが』とか…〕

ちょっ、こ、声出してたっ!?

「いや、なんでも……… なくはない、わ…」
〔えと、んじゃ何だ?〕
「その、ね…ご、ご飯食べてから……イルミ、ネーション…とか、どうかな…」

い、言ったーっ!
私は無意識に拳を握り締めた。

〔イルミネーション?そういや近くでやってるんだっけか。
   ま、こっちも付き合って貰ってんだから、俺で良ければそっちにつき合わせて貰いますよ〕
「ほ、ホント!?」
〔ああ、でも俺と二人きりなんかでいいのか?〕

いいに決まってんでしょっ!
心で思いながら、口がニヤけてしまう。

「あ、アンタだから誘ったのよ!」
〔そ、そうなのか?それはとても光栄といいますか…〕
「だから…その、こ、混んでるかも知れないからっ!遅くなるかも知れないわよ!?」
〔あー別に、そこら辺はお前のトコの門限とか気にしないなら別にいいんだが…
   おっと、バスが来た。そんじゃ、明日6時半な〕
「あ、うんっ!あ、明日ね!」

向こうの返事を待たずに、思い切ってパワーボタンを強く押す。
思ったより長い時間喋ってない事が画面に移され、どんだけ緊張してたのか思い知らされた。

「…はぁ……」

向こうはデートとは思ってないだろうけど…それでも、私は、一緒にいられる。
ケータイを枕元に放り投げ、雑誌も閉じて、さっきまでのやり取りを思い返して私は布団にうずくまった。

304■■■■:2009/12/27(日) 22:33:47 ID:o2KsuBOk
独り悶々と葛藤する御坂さんを書いてみたのでした。
お粗末さまでした

305■■■■:2009/12/27(日) 22:48:18 ID:M01743U.
GJ
ニヤニヤした

306■■■■:2009/12/27(日) 22:52:17 ID:wRjgoaac
ええい続きはまだか!

307■■■■:2009/12/27(日) 23:00:50 ID:lcPNJ6ag
鏡の中で気持ち悪いにやけ面が、ずっとこっちを見ているのだが……
ダレカタスケテ

308■■■■:2009/12/27(日) 23:21:44 ID:6GMQ0AAQ
なにこの投下ラッシュ
頬が緩みっぱなしで戻らない…どうしてくれるんだ…

309■■■■:2009/12/27(日) 23:58:21 ID:mt52XQkQ
>>298,303
GJ!
体中の血がなくなりそうだぜ……。

310■■■■:2009/12/28(月) 00:20:30 ID:c8cxCXhs
続きを待って三千里

311304 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/28(月) 00:37:30 ID:UIHYc4Wc
自分の続きを待ってくださってるなら本当にありがとうございます
続きとか考えてなかったのでちょっと考えてきます

312■■■■:2009/12/28(月) 01:02:24 ID:9kB7qR1s
ところでまとめサイトの件はどうするの?
パースレ化するのかどうなのか現行スレが落ちるまでに決めておいた方が良いと思うのだけれど

313■■■■:2009/12/28(月) 01:29:27 ID:nJ13vNzs
もっ萌えしぬッ!!
皆さんもっと俺を苦しめて・・・

314■■■■:2009/12/28(月) 10:25:23 ID:i9sbRe/.
とりあえず現在
274,848 バイト/512KB

3151 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/28(月) 11:04:49 ID:UIHYc4Wc
上条さん出てきません、というのを前提にどうぞ。>>303続き。
―――――――――――――――
明日、どうしよ…。流石に制服だと時間帯的にアレだし…。
って時間帯って何よ!ご飯食べてイルミネーション見てもまだ門限というか補導されるような時間じゃ…
ああもう、私何してんのよっ!アイツが相手なのに、そんなこと考えても…。

「ふんふんふーん、たっだいまー!ですの♪」
「きゃあっ!?」

思わず背筋を伸ばして、甲高い声を出す。
く、黒子か…

「お、お帰り黒子」
「何ですのお姉様、わたくしの帰宅で声を出すなんて珍しいですわよ」

えと、なんとかして誤魔化さないと…

「い、いやちょっと考え事をね…」

ちょっ、誤魔化せてない私っ!

3162 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/28(月) 11:05:28 ID:UIHYc4Wc

「考え事?それならわたくしも一緒に考えて差し上げましょうか」
「い、いや、もうちょっとで落ち着きそうだから…。ま、また詰まったらお願いするわ」
「そうですか。あ、そうそうシャワーの時間がもうすぐで終わるそうですがお姉様浴びられましたか?」

え、シャワー?……あ、忘れてた。

「いや、まだよ」
「そうですか。では、一緒に行きませんこと?ちょうど殆ど人は少ないようですしお考えするにも宜しいかと」
「うん、そうするわ]

ベッドから腰を持ち上げて、黒子の分のタオルも取って渡す。

「ありがとうございますですの。あ、あと、わたくしが言うのも何ですが」
「?」
「行動で思い悩んでるのなら、即決行動のお姉様らしくありませんわよ?」

そう言って黒子は「お先に」とも付け加えて、先に出て行った。
即決行動…いやまぁ、そっちのが私らしい、か?
柔軟材のお陰かタオルが柔らかい。仄かな香りが少し癒される。

「ありがと、黒子」

本当に、こういう時はあの子が同僚、親友、パートナーで良かったと思う。
雑誌を布団の下に隠してから、私もシャワールームに向かった。

3173 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/28(月) 11:06:34 ID:UIHYc4Wc
―――――――――
翌日。
私は目覚めて一番にした事と言えば―――送信履歴の確認だった。
上条当麻――ケータイでくらい名前、いいわよね――と一番上に載っていて安心した。
そして、液晶に映る日付時間を見て、昨日私はやったんだ、と喜んだ。

「あら、お姉様。もう起床とは珍しいですわね」

どきっ、として声のする方を見ると、当然ながら黒子がいた。
髪を梳かして、もう着替えている。

「おはよう黒子。もう行っちゃうの?」
「おはようございますですの。ええまぁ、固法先輩と今日は念入りに話し合わないとダメですし」
「ふーん、そっかぁ…」
「お姉様、黒子を愛して片時も離れたくないのは存分に承知しておりますが、これも宿命というもごふっ!?」

最後が意味不明な感嘆詞になったのは私が枕を投げたからだ、黒子の。
途中で止めとかないとテレポートでこっちに飛んでくる可能性があるし。

3183 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/28(月) 11:07:13 ID:UIHYc4Wc

「はいはい、言いたい事はよくわかってるって。張り切るのはいいけど、本っ当に無茶しちゃダメよ?」
「はひ… お姉様のそんな言葉が黒子の励みになりますの…」

突如、黒子のベッドの時計がピピピピピッと鳴り出した。

「げっ、も、もうこんな時間ですのっ!?ではお姉様失礼しますわ!」
「あ、うん。いってらっしゃい、気をつけて頑張ってね」

「はい!」と言う黒子の声と扉の閉まる音が同時に聞こえた。

「――――さて、と」

とは言いつつも、まだ10時間近くはある。つか、会うのは夜だしっ!
学校は当然冬休みだから時間が潰すモノはない。
……やっぱり外か。外しかないじゃない。

朝なら別に散歩で通るし、制服でいっか。
私はいつものように身支度して、ご飯も食べようと思いつつ寮を出た。

3195(変え忘れ) ◆pAn3AKtpUw:2009/12/28(月) 11:08:51 ID:UIHYc4Wc
―――――――――
朝の天気は快晴だった。とはいえ、普通に寒い。
コートとマフラーをしてきてよかったとしみじみ思う。
はぁ、とすると、白い息が空中で広がり消えていく。

「雪、降るといいな」
「本当にまったくその通りっ」
「どわっ!?」

ばしんっ!と思いっ切り背中をたたかれた。
勢いで2,3歩前に進んで、止まってから体を反転させる。

「さ…佐天さんに初春さんっ」
「どうもー」
「おはようございます、御坂さん」
「どうしたの?朝早くから」
「2人とも朝早くから起きてしまって、やる事もないんでぶらり街中に来ましたー」
「さ、佐天さんが私を起こして"暇だー"って言ってたんじゃないですかっ!眠いんですよぅ、私…」

そう言って初春さんは目を擦る。頭の花もなんとなく元気なさそうに見えた。

立ち止まって話しているのも寒いだけ、という事で街の中心部に歩いていく形で話す事にした。
その流れで、こっちもあっちも朝ご飯がまだという事が分かったので喫茶店に行く事になった。

「そういや御坂さん、今日明日と予定あるんですかー?」

3206 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/28(月) 11:10:29 ID:UIHYc4Wc

佐天さんの急激な問い掛けに息を詰まらせて吐き出した。
自然にゴフッとミルクティーを少し吹き出したのは許して欲しい、溢してはいないし。

「えっ、あ、え、えーっと………今日は、ちょっと…」

アイツ…男とデートだなんて言えないし…忙しい雰囲気だけ醸し出して……

「あ、デートですねっ!?」

うええええっ!!?

「ち、ちち違うわよ!友達とちょっと、遊ぶ約束を……」
「なーんだ、クリスマスイヴだしてっきり… 友達って白井さんじゃないんですか?」
「く、黒子はっ …ジャッジメントのお仕事で今日忙しいって…」

そう言うと、佐天さんの視線がサンドイッチを黙々と食べてた初春さんに向けられた。

「あれ、初春はないのー?」
「今日はお昼からだって言ったじゃないですか。だから寝たかったのにぃー…」
「はいはい、ごめんってば。目覚めのティー美味しかったでしょ?」
「う、美味しかったですけど…」

ああもうこの2人ラブラブだな、とかふと思ってしまった私が情けない。
私もレタスがはみ出したハムサンドに齧り付く。

3217 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/28(月) 11:11:54 ID:UIHYc4Wc
その時、自分が制服で向こうが私服という事に気付いた。
あー…今日どうしよ…。

「ね、ねえ初春さん、佐天さん」

そして、やはりそういうのに乏しい私は人の手を借りる事にした。やっぱり情けない。

「常盤台の友達から聞かれた事なんだけどさ」
と、前置きをしておいて。
「今日とか明日、デート…するなら、どんな格好がいいと思う?」

"友達の話"だとすらすら言えるのか…私。

「んーそうですねぇ、とは言っても私らも相手なんかいた事ないですけど。
   とりあえず女性のポイントとして、初春は男なら、ジーンズ?それともスカートのロング?ミニ?」
「な、なんで私が男前提で話す必要があるんですかっ!寧ろ佐天さんのが男らしいですよ!」
「えーなんでよ、私以上に女らしい人なんて…」
「いますよ、御坂さんとか」

即答っ!?

3228 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/28(月) 11:12:44 ID:UIHYc4Wc

「いや、私なんて特に男らしい方だから…」
「そんな事ないですよー、で、話戻しますね?
   友達がどんな人か分からないですけど、ロングヘアーならロングスカート、ショートならジーンズかミニスカ。
   多分そんな感じでいいんじゃないですか?もちろん個人差はありますけど」
「えと、その人…はショートヘアの類かな?」

と言いつつ、自分の髪を触ってしまう。
つか、私的に佐天さんはジーンズ、初春さんはロングスカートが似合ってるから既に個人差じゃない、と思う。
ジーンズか…私に似合うのかしら…。

「でも、自分なりのお洒落をしていったなら、彼氏は別に文句なんて言いやしませんよー」
「そうですよ、だからその友達にそう言ってあげるといいんじゃないですか?」
「う…あ、ありがと。そう言っておくわ」

思わずポケットからケータイを取り出してメールをする演技をする。
それを合図にしたかのように初春さんがトイレと言い出し、佐天さんもそれについてった。

3239 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/28(月) 11:14:18 ID:UIHYc4Wc

初春「佐天さんにやにやしすぎですよ」
佐天「ごめんごめん、これでも我慢してたんだよ?」
初春「あの"友達"って……御坂さんですよね」
佐天「多分、というか絶対そうだって。くぅーいいないいなぁ♪」
初春「ちょっ、せ、詮索禁止ですよ!そんなので御坂さんがショックでも受けたら…」
佐天「わ、わかってるって… あ、初春これから仕事だよねっ?」
初春「しませんよ」
佐天「何も言ってないじゃーん」
初春「どうせ監視カメラで御坂さんのデートを見てくれーとか言うんでしょう?嫌ですよ」
佐天「ちぇー。まぁそうだよね、わかったわかった」
初春「ちゃんと"友達"の話ですからね?」
佐天「わかったってば。佐天さんも初春以外にはそこまでいじめっ子じゃないですよってば」
初春「わ、私にも今後止めてくれると嬉しいんですけど……」


はぁー…頭の中で、ロングスカート・ミニスカ・ジーンズを履いた自分を想像して、死にたくなる。
普段から制服ってのもあるんだろうけど、ミニスカしか自分が思い描けない。
でも普通にミニスカ寒いし…、そこは妥協していいわよね?
ジーンズかぁ、あるにはあるけど……いやまさか履けないなんてことは、ない。うん。

流石に流れでも上の服は聞けないし…それだけにしよう、メールも返って来たって事で。


324 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/28(月) 11:15:55 ID:UIHYc4Wc
げーなんか長くなってしまった…ごめんなさい
こんな時はメモ帳うpの方がいいのだろうか…
お粗末さまでした

325■■■■:2009/12/28(月) 11:29:54 ID:i9sbRe/.
乙っす

>>314ミス
どうやらここ、512K落ち無いみたいね
1000までにゆっくりやろうぜ
最悪datは保存しとくから

326■■■■:2009/12/28(月) 13:57:28 ID:my/PpQTA
>>324
わっふるわっふる

327■■■■:2009/12/28(月) 14:03:34 ID:HKTcPHcY
>>324
GJ
ちょっと気になったんだけど佐天さんは美琴の背中は叩かないと思う

328■■■■:2009/12/28(月) 15:08:50 ID:734i6/wk
やっぱ佐天さんと初春さんは引き立ててくれるね〜

なんかニヤケてしまう

329■■■■:2009/12/28(月) 15:57:27 ID:sznA63WE

初春佐天にアドバイスを貰う美琴、っていう構図は可愛いな
これは続きを期待してもいいのでせうか

330■■■■:2009/12/28(月) 16:25:27 ID:R6qGTtxo
>>324乙です

>>293のひとです。ネタ考えたので完成次第うpします。
あとトリップはつけた方がいいんでしょうか?

331■■■■:2009/12/28(月) 16:30:47 ID:39wv7JiM
ういはる〜んもかわいい

332■■■■:2009/12/28(月) 16:31:08 ID:i9sbRe/.
被ったらゴメン

>>330
自由じゃないですかね
合った方が分かりやすいだけで

333 ◆tr.t4dJfuU:2009/12/28(月) 17:16:39 ID:R6qGTtxo
投稿します〜 大掃除イベント(仮)

上条「まじで冬休みなのに補習ってないだろ…」

2学期の期末が赤点で補習を受けることになったわけだ。
小萌先生曰く 『上条ちゃんは真面目にすれば伸びる子なのです。』だそうだ。
おかげで短い冬休みがさらに短くなって散々な上条である。

上条「ちくしょう…もうそろそろ大掃除もしなくちゃいけねぇし。あの暴食シスターができることなんて
   冷蔵庫を空にすることだけだしな…」
上条「はぁ…今年も不幸だけで終わるんだろうな…」


美琴「冬休みって暇よね…。ん?アイツ何1人でブツブツ言ってるの?」
  (暇もつぶせるし一緒に帰れるかも…)

美琴「おーい、もしもしー?」
相変わらずのスルースキルである。

美琴「ちょっと!聞いてる!?…無視してんじゃないわよアンタァァァ!!」ビリビリ
上条「うわっ!?電撃ってことは…ビリビリ!?」
美琴「ビリビリじゃないって何回言わせれば気がすむわけ!?
   私にはちゃんと名前があるんだからちゃんと名前で呼びなさいよ!」
上条「不幸だ…補習の次に待っていたのはビリビリな訳か…」
美琴「ちょっと人の顔見て不幸なんて言わないでよ!女の子はデリケートで傷つくんだから!」
上条「そんなもんかぁ?そんでもって美琴さんはわたくし上条当麻になんのご用ですか?」
美琴「へ?えっと…(今美琴って呼ばれたような…)」
上条「へぇ用がないのに電撃飛ばしてきたわけですか、ああ、そうですか。じゃぁな御坂」
美琴「ちょっと行かないでよ!あの…だから…一緒に帰らない?」
上条「別にいいけど…ってそれだけのために電撃飛ばして…はぁやっぱ不幸だ…」
美琴「アンタが無視するのが悪いんでしょ!」
上条「はいはい、すべて私が悪いんですよー」
美琴「反省する気ないわけね…」

上条「早く大掃除しないと年が越せないしもう猫の手でも借りたいくらいだぞ…」

美琴(これってチャンスじゃない私? ここでアイツに家庭スキルを見せつけて印象アップさせて…
   ついでにアイツの家にあがりこんで…ウフフ)
上条「御坂さーん、おーい?」
美琴「ハッ!? え、どうしたの?」
上条「いや…だってお前急に顔がにやけてしまいにボーっとしてるからさ」
美琴「べ、別ににやけてなんかないわよ!あとアンタ猫の手でも借りたいって言ってたわよね?」
上条「ん?あぁ言った言った。誰か手伝ってくれないかなぁってのが本心だけどな」
美琴「じゃぁ…私が手伝ってあげる」
上条「御坂が!?えぇっと…本当にいいのか?」
美琴「いいって言ってるじゃない、嫌なの?」ここで上目遣い
上条「じゃぁお言葉に甘えて…(ここで上目遣いは反則だー!)」
美琴「で、いつするわけ?」
上条「ん?あぁどうしよっかな、まぁ29日にしようかな」
美琴「29日ね…あとアンタの寮わからないんだけど、住所教えて」
上条「あーはいはい」


美琴「わかった、じゃぁ29日アンタの寮に行くわね、じゃぁね」
上条「あぁ、じゃぁな。(なんでアイツ笑ってるんだ?)」

美琴(アイツの住所ゲット〜♪)
なんというか満点な笑みの美琴である。

続いた方がいいの…かな?

334■■■■:2009/12/28(月) 17:19:51 ID:sz7KXCyk
是非続けて下さい
お願いします!

335■■■■:2009/12/28(月) 17:31:01 ID:TdsE14.I
>>333
つづきおねがいします。
明日に期待しています。

336■■■■:2009/12/28(月) 19:38:41 ID:n3OKsVvI
>>324,333
GJGJ!
こっちはつまらん小ネタだが目指せ一日一投稿。


 上条さんがどっかから帰ってきました。


上条「ああ、外国に連れて行かれて観光する暇もなく右手使ってそのままとんぼ返りで病院コース。そして目の前には学校を休んだ間の課題がどっさり……不幸だ」
美琴「はい、口動かす暇があったら手を動かす! これ、提出明日までなんでしょう? この間みたいに『勉強見てあげたのに間に合いませんでした』なんて許さないんだからね」
上条「わかってます……。上条さんは世の理不尽さを嘆いていただけです」
美琴「あ、そこの問題は最初の一文を読んだら、あとは後ろから順に文章を読んでいくとわかりやすいわよ」
上条「おっ、サンキュー。ふむふむ……なんか答えが出た」
美琴「うん、あってるあってる。そこと五番目と六番目の問題は同じ引っかけのパターンだから。それで、その次の問題は、いったん右と左に分けて考えると答えを出しやすいから」
上条「なるほど。…………できた」
美琴「どれどれ。うん、できてるじゃない」
上条「御坂」
美琴「何? どっかわからないところでもあった?」
上条「そうじゃなくて。お前、いい奴だな」
美琴「!? ど、どうしたのよ急に。アンタ、変なものでも食べた?」
上条「お前に『勉強を教えてくれ』って頼んだ俺が言うのも何だけど、何の得にもならないのに何時間も根気よく付き合ってくれて、あれこれ教えてくれて、お前ホントいい奴だな。尊敬するよ」
美琴「おっ、おっ、おだてても何にも出ないわよ?」
上条「おだててるんじゃなくて感謝してるんだ。いつもありがとな」
美琴「べっ、別にこれくらいどうって事ないわよ。アンタの勉強を見て『一緒にいられてラッキー』とか『困ったアンタを助けてあげていいところ見せよう』とかあまつさえ『ここで世話焼きスキルを発揮して好感度アップ』なんて考えてないんだからね?」
上条「うんうんそっか。でもお前に借りがたまる一方だな……」
美琴「借りだなんて、大した事してないからいいわよ別に。でもそうね、どうしてもって言うなら、たまに私に付き合ってくれるとか、アンタが遊びに誘ってくれる……とか」
上条「そうだな。来週空いてるならどこか行くか?」
美琴「え? う、うん! 行く行く!(いつもと違ってなんだかいい感じ……うわ、どうしよう。顔が赤くなって来ちゃった……////)」
上条「そうだなぁ。どこ行こうかなぁ。御坂は白井とか、友達誘ってこいよ。こっちも何人か連れてくるから。みんなでわいわいやればきっと楽しえげぼぶぁっ!? 突然右ストレートなんてにゃにすんれすかー!」
美琴「どうしてそこで『二人で出かけないか』とか誘ってくれないのよこのド馬鹿ー!!」

美琴の心上条知らず。没。

337【帰省編A-1】:2009/12/28(月) 21:43:47 ID:dOFjoWX6
12月31日。御坂美琴は携帯を仕舞い、駅のホームに向かっていた。
天気も良く、予報でもしばらく快晴が続くらしい。
旅行には理想的な気候であり、帰省とはいえ美琴はご機嫌だった。

(12時50分か。ちょっとお土産に時間かかりすぎちゃったかな…)
美琴はベンチに座って荷物を足元に置き、軽く目を瞑った。
午前中にデパートでお土産を見繕っていると、ファンシーグッズ特設会場があり、
つい立ち寄ってしまったのが運のツキである。
今ご機嫌の理由の一つに、その至高の時間を味わっていたというのも外せない。

(それにしても、今年は色々ありすぎたわね…ほとんどあの馬鹿絡みの気がするけど)
グラビトン事件・レベルアッパー・シスターズ・大覇星祭・戦争・一端覧祭等々…
あの少年と出会ってから、何かが変わった、と思う。
今まではLV5への努力といった、自分の世界に留まっていた。自分でどうにか解決できていた。
しかし、自分が敵わぬ相手が立て続けに現れ、そしてどうにもできない事件も立て続けに続いた。
…そして、そのどうにもできない事を。あの少年は良くわからないうちに解決してしまう。
(敵わない、な…)
思考の渦はぐるぐると、あの少年中心にまわる。
少し考え込むと、すぐこういった思考の渦に巻き込まれ…つまりは四六時中、あの少年の事を考えているのだった。

ふと、我に返ると、ベンチの隣に誰か座っている。
「! な、なんで? なんでいるの!?」
思考の中心、上条当麻が不思議そうな目でこちらを見つめながら、座っていた。
「いや、声かけようと思ったんだが…眠ってるのかと思って近づいたら」
「…」
「なんか幸せそうに口が緩んだりしてるのを見てると、声を掛けづら」
「最ッ低!女の子の寝顔眺めてニヤニヤしてるなんて!」
真っ赤になりながら噛み付く。むろん、インデックスのように本当に噛んではいない。
(み、見られた///)
上条はすかさず右手を美琴の頭をポンポンとなでるように叩き、
「まーまー落ち着け。旅行前にカリカリしたってつまらんっしょ。っと、電車来たみたいだぞ」
「ア、アンタねえ…」
さりげなく右手で電撃を封じられ、頭をなでられては、気を失わないようにするのが精一杯である。
「って、アンタもこれ乗るの」
「ああ、帰省だ。明後日には戻るつもりだけどな。」

意外にも中は空いていた。帰省なら日程的に遅すぎるし、旅行なら朝から出かけるということで、空白の時間帯らしい。
車内はボックスシートタイプのみの中距離移動型車両で、上条当麻は席の確保のためキョロキョロしている。
「あそこにすっか」
言いながら突き進み、窓際にどっかと座り込み、荷物を向かいの座席に放り投げた。
「…」
「ん?どうしたんだ御坂?座れば?」
(と、隣か向かいか…それ以前に一緒に座るなんて。1時間以上も…会話持たないっ!)
「…一緒に座るのが嫌ならそれでもいいけど、上条さんは非常に悲しいですねー」
「す、座るわよ!窓際が気持ちよさそうだな、て思っただけ!あ、いい、いい、そのままで」
席を変わろうとした上条を止め、美琴は顔を赤らめながら隣に座る。
(なにこのラッキーイベント!さっきの顔見られたのはマズったけど)
内心ガッツポーズの美琴である。
電車が動き出し、心地よい風が流れてくる。

338【帰省編A-2】:2009/12/28(月) 21:44:28 ID:dOFjoWX6
「御坂も…帰省っぽいな?今頃?」
「うん、LV5はちょっと学園都市の外に出る制限がきつくって。3日しか出られないのよ」
美琴は軽くため息をつく。
「だから、必然的に元旦とその前後の2日を使って3日間というわけ。私も明後日には戻らなきゃね」
「厳しいなそりゃ。俺はたいした制限はないけど、ま、同じく3日間の帰省申告だわ」
「…珍しく、あの子が一緒じゃないのね」
「ん?インデックスか?アイツは友達と正月旅行にな。おせちバイキングツアーとか言ってたな」
伝聞系にしてるが、これは上条の作戦である。
流石に実家へインデックスを連れて行くのはハードルが高すぎるため、先生と姫神を巻き込み、
2泊3日ツアーを企画した次第である。はらぺこシスターはニコニコしながら今朝旅立っていった。
なお、一応保護者という立場もあり、嫌味を言われつつもステイルに代役をお願いしていたりする。

ひとまず天敵がいないことに安堵した美琴は、肝心なことを聞いてないことに気付く。
「ふーん、で、実家てドコなの?」
「…ま、お前には言える事だけど、アレのせいで、今回帰省は初めてってことになるんだわ」
「あっ…記憶、ね」
「というわけで、こうやってプリントアウトはしてきたが、初めての土地なんだな」
ごそごそと胸の隠しから地図を取り出す。
「うーん、厄介な問題よね…ちょっと見せてね。……え!?」
「知ってる場所か?」
「知ってるも何も、私と駅一緒じゃない。もろ隣町よ。歩いていける距離」
顔を見合わせる。

「ま、まああたしは早くから学園都市に入ったから、どこかで出会ってたとかいう可能性は低いけど」
(運命?これは運命?よくわからないけど!)
美琴は幼少の頃、年上の男の子と約束したようなフラグが無かったか思い出そうとするが、流石に無かった。
「こんなことってあるのねえ…」
「まー土地勘あるのは助かった。そうだ御坂」
「ん?」
「悪いけど実家まで付いてきてくんない?」
「は?え、えーーーっ?」
美琴はあまりの急展開に頭が付いていかない。
「いや、今思ったんだけどな。帰り道でさ、昔の知り合いに会ったらマズイかな、と」
「あー…」
「一人だと誤魔化すの難しいし、過去話になりがちだけどさ、御坂がいれば」
「あー了解了解。か、彼女の振りしてればいいんでしょ!」
「(そこまで言ってないが)ま、まあそうしてくれると助かる」
「海原の時の逆パターンでしょ。まっかせなさーい!」

美琴の頭はフル回転しはじめた。
(これは大チャンス。カモン知り合い!)
名前で呼んだり、抱きついたりしても、『これは演技!』で誤魔化せる。
いやまてよ、えてしてこういう時は知り合いに会わないもんだ。それならこういう手も…と考え込む美琴。
上条は『まかせなさい宣言』の後、何やらブツブツ言い出した美琴に恐る恐る問いかける。
「もしもし?御坂さん?おーい」
「おし、じゃあ」
美琴は上条の方を見ず、早口でしゃべりだす。
「駅着いたら、もう、こ、恋人モードでいきましょう。いきなりだと不自然だし」
「は?はい?」
「何かご不満でも?」
「い、いえ…お嬢様のおっしゃる通りに(なんだこの迫力は)」
「着いて、電車降りたら私はアンタの事名前で呼ぶから。アンタも名前で呼ぶのよ。で、腕くんで歩く」
流石に上条もそれを想像して赤くなる。
「い、いきなりすぎやしませんか?」
「恋人だったら普通のことでしょー?なに照れてんのよー」
といいながら決して美琴は上条を見ようとしない。
上条は頭をポリポリと掻きながら、
「ま、お願いした立場だしな。旅の恥は書き捨て、ってな!」
そう言うやいなや、左手で美琴の細い左肩を掴み、引き寄せた!
「! きゃっ!」
「じゃあこれも普通だよな?練習だ練習…て、御坂?」
上条としては『調子に乗んな!このクソ馬鹿!』とドつかれて、ややピンクっぽい気配を打ち消そうとしたのだが。

元々ギリギリのテンションで話していた美琴は、ふにゃー化を通り過ぎて気を失っていた。

339【帰省編A-3】:2009/12/28(月) 21:44:54 ID:dOFjoWX6
幸い、御坂美琴は呼び掛けにすぐ応じ、意識は取り戻したが、ちょっとフラフラしているようだ。
「なにお前は舞い上がってるんだ。ほら、いいから寄りかかって休んでろ」
「う、うん。ごめんね」
おとなしく上条の肩に頭を乗せてきた美琴に、上条も硬直状態である。
(ぬおお、平常心平常心。くっそ、素直な御坂ってのもやりにくいっ…)
「最近、さ」
美琴が小さな声で話しだした。話しかけてるのか独り言なのか判別がつかない。
「ううん、ちょっと前から自分のコントロールができなくなってきててね」
「感情が高ぶったりすると、漏電っていうのかな、制御不能になったりして」
「ようやく、漏電みたいなのは押さえられるようになったけど、今みたいに」
「意識がとんじゃったりしちゃうのよね。感情を制御出来ずになにがLV5よ、ってね」
「パーソナルリアリティを自在に使いこなしてると思ってたけど」
「何のことはない、自分が何も知らないから極めることができただけで」
「LV5前に、今のこの感情があったら、きっとLV5になれなかった。あまりにこの感情は大きすぎる」
「そうよ、低いLVの子たちはこの感情に邪魔されて前へ…進めないのよ。人として当たり前よ…ね……」
美琴はそのまま、すぅすぅと眠りだした。制御不能なのは涙もなのか、1粒流れ落ちた。

上条はじっとこの言葉を聞いていた。
内容を理解しているとは言えないが、御坂美琴の苦悩が垣間見えたような気がした。
見たところ、美琴には対等な立場の人間がいない。
悩みを抱えていても、後輩には頼れない。
外に出せない苦悩は、形を変えて上条にぶつけられていたのだろう。
前に白井黒子に言われたときは意味が良く分からなかったが、今なら分かる気がする。
「やれやれ…助けてと言ってくれれば、上条さんはいつでも駆けつけますけどねっ、と」
右手でポケットをまさぐり、ハンカチを取り出すと、美琴の涙の跡を拭いてあげた。
ハンカチを持った右手を見て、こればっかりは役に立たないな、と肩をすくめる。

上条は気づいていない。美琴の苦悩は右手ではなく、上条そのものでしか解決できない事を。

目的の駅の事前アナウンスが流れると、起こすまでもなく美琴は目を覚ました。
上条は寝たフリをし(実際うつらうつらしてたのだが)、美琴の様子を窺うことにした。
だんだん現状を把握しだしたらしく、次第に真っ赤になったと思えば、ガバッ!と上条から離れる。
衣服の乱れを直し、手鏡をカバンから取り出すと顔をチェックし、なにやらため息をつく。
と、その時上条の携帯が震えだした。セットしておいたアラームだ。
グッドタイミング、と思いながら上条は目を開ける。
「あ〜、この天気で車内にいるとうつらうつらしちまうなー。よく眠れたか?」
真っ赤になって美琴は無言である。
「え、と、次の駅だよな?降りる準備しようぜ?」
美琴は頷くが、やっぱり話してくれない。
流石に鈍感な上条も、美琴が恥ずかしさで一杯になってるのは分かっている。
天の岩戸に閉じこもってしまった電撃姫を、どう引っ張り出すか…上条はしばし思案する。

340【帰省編A-4】:2009/12/28(月) 21:45:20 ID:dOFjoWX6
1時間半ほどかけ、ようやく到着。
荷物は2人とも大したことはなく、担いでささっと降りる。
「さて、と。では行きますかね美琴さん?」
「えっ?」
美琴はようやく反応した。
上条はこうなったら、とショック療法…恥ずかしい状態を維持させて、吹っ切れさせようと考えたのだ。
そのために名前で呼び、腕を組めるように手を腰に当てる。

美琴はパニック状態をずっと押さえ込むのに精一杯であった。
車内で何を口走ったか、そしてずっと寄りかかって寝ていた事実に平常心は完全に吹き飛んでいた。
どうやって電車から降りたのかも分からない状態の所へ…
『…美琴さん?』
「えっ?」素で反応してしまった。えっ、コイツが呼んでくれたの?
「美琴・当麻で呼び合う約束だろ?ホレ行くぞ美琴」

その時、美琴の中で何かが弾けた。
嬉しさ・喜びが恥ずかしさを上回った瞬間であった。
恥ずかしさで引き結んだ口、固い表情が、一気に花開くように笑顔に変わった。
「う…うん!……行っくぞぉ当麻ァ!」
ガッ!と腕を通して、引っ張る。
「ちょっとマテ!急にキャラ変えんな!」
「変わってないわよ!御坂美琴ちゃんはこんなのよ!と、当麻こそアタフタしてんじゃないわよ」
今だけは。今だけは夢にまで見たこういった掛け合いを。悔い無くやってみせる!

上条当麻は驚いていた。何より、先程の笑顔には自分の何かを貫かれた。
あの笑顔を生み出すために何かできないか。
あの笑顔を守るために何かできないか。
あの笑顔を独占することはできないか。
…そういった魔力が込められた笑顔だった。
(つくづく女の子って…魔物とは良く言ったもんだよ。こりゃヤベエな)

上条には実は好みは特にない。
設定として、寮の管理人タイプの年上の女性だと土御門達には伝えているが、これはほとんどネタである。
幸せになれれば何でもいい、俺を好いてくれる人であれば…と何でも来い状態なのである。
ただ、中学生以下は倫理上マズイという精神的ブロックがかかっており、
生半可なアプローチではそのブロックの前に撃ち落とされてしまうのである。
しかし、今。そのブロックにヒビが入ろうとしていた…

341【帰省編A-5】:2009/12/28(月) 21:45:45 ID:dOFjoWX6
改札を出ると、美琴は右手を上げて伸びをした。左腕は上条の右腕に絡めてある。
「んー、1年ぶりだなー、っと。当麻、さっそく家に向かう?」
美琴は意識して名前を呼ぶようにした。だんだんスムーズに出せてきた気がする。
「そうだなー。何時に帰るとか連絡してねーから、美琴が良ければどっかで食ってからでもいいぞ?」
上条は御坂妹と話すときに、使い分けのため「美琴」を多用しているため、特に抵抗はないが、やはり照れくさい。
駅前広場にはまばらにベンチが点在しており、相談のため2人並んで腰を落とす。
「お腹は空いてないけど…そういえば明日なんだけどさ」
「明日?元旦だよな」
「せっかくだし初詣いかない?近場に神社あるし…って当麻の知り合い居そうだから嫌かな。まあ場所はともかく、どう?」
「ああいいよ。場所は美琴が決めて欲しいけど。でも家族で行かなくていいのか?」
「おっけー。家族でならそれこそ近場でいいから。2回別々の神様にお願いしたって、バチあたらんでしょー」
美琴が絡めている腕をさらにぎゅっと強めた、その時。

「不純異性交遊にはバチを与えてもい・い・の・かなぁ〜」

斜め後方からの声に、2人の動きが止まる。
美琴の顔は一気に縦線が入る。
「マズった…そういや学園の駅の改札で、乗る電車伝えてたわ私…」
固まっている美琴を横目に、上条は振り返る。
「うげっ!」
何でそこまで驚くの?と美琴も振り返って、また固まる。
「あらあらあら〜。当麻さんがいいお嬢さんを家に連れてくる日を夢見てたけど、こんなに早く実現するなんてねぇ」
両家のママ、御坂美鈴と上条詩菜が満面の笑みで、そこに居た。

「な、なんで母さんがここに!美鈴さんと一緒って、なんで!」
上条は流石にこれは予想外だったらしい。
「美琴さんが帰ってくる電車を、美鈴さんが教えてくれてねぇ。当麻さん今日帰るって言ってたし、ひょっとして、とね」
「まー、入れ違いになっちゃマズイから、刀夜氏には家に残って貰って。アタシたちは車で待ち構えていたと」
「両家が連絡取り合ってるなんて聞いてないわよ…」
美琴が頭を抱える。流石に絡めた腕を外しており、むしろやや離れてさえいる。
「しかし美琴ちゃん、でかしたっ!まさかここまで進展させて帰ってくるなんて、ママびっくりよ。何があったの?ね?」
「当麻さん、まだ美琴さん中学生なんだから、オイタはいけませんよ?でもお付き合いは大歓迎ですよ〜」

実を言うと、美琴からするとこの展開は嫌ではなかった。偽装ではなく、本当の恋人でありたいのだから。
母親に弱みを握られたような気分は癪だが、相手の母親に認めて貰ったのはこの上ない。
この展開に参ってるのは上条当麻のみだ。
(偽装であることをバラすことは、記憶喪失の話につながっちまう。)
(かといって、このまま偽装を続けたら、更にドツボにはまる気配が濃厚…)
(御坂が好きとか嫌いとかじゃなく、中学生相手だぞ…こ、こんななし崩し的に人生が決まっちまうのか?)

「ふ、不幸だ…」
弱々しくつぶやく上条の横で、御坂美琴は小さい声でだがハッキリと言った。
「当麻が止めたいなら、止めてもいいわよ。ちょっと残念だけど、さ」


<とりあえずココマデです。SS2巻持ってないので美琴パパと上条パパの関係が分からず、悩み中>

342■■■■:2009/12/28(月) 21:58:19 ID:ixvE7yzo
乙です! 一刻も早くSS2買って読むことをオススメしますぜい

343■■■■:2009/12/28(月) 22:10:28 ID:sznA63WE
なんなのこの破壊力…

344 ◆tr.t4dJfuU:2009/12/28(月) 22:35:59 ID:R6qGTtxo
GJです。

こっちも続きでき次第投稿します。

345■■■■:2009/12/28(月) 23:29:29 ID:QQuhqIf6
GJ!
最近投下多くて嬉しい

346 ◆tr.t4dJfuU:2009/12/28(月) 23:31:00 ID:R6qGTtxo
>>333の続き投稿します

12月29日 

美琴「大掃除の手伝いなのに、制服で行くのもなぁ…」
  「私服で行こうかしら?まぁホテル1部屋借りればいいことだし」
常盤台の規則として休みの期間でも制服が義務づけられている。
寮監の目をごまかすためにホテルの一部屋を借りる訳だ。
                ・
                ・ 
美琴「ホテル借りたけど、どの服がいいかしら?これは地味だし、これは子供っぽいし…ん〜」
かれこれ服を選ぶだけで30分もかかってしまった。

美琴「これでよし!アイツどんな反応してくれるかな〜♪」
本来の目的すら忘れそうな美琴であった。

一方上条家では…
上条「まずインデックスを追い出さないとな…」
禁書「ん?とうまどうしたの?」
上条「あぁ、今日大掃除するんだけど」
禁書「おおそうじ?まためんどくさいことをするんだね…」と言ってげんなりしている。
上条「そこで機械音痴のそこのアナタ!」
禁書「え?私!?たしかに苦手だけど音痴ってほどじゃないんだよ!?」
上条「ええいうるさい!お前に前、ふろ掃除させたら家の風呂がぶっ壊れただろうがぁ!!!」
禁書「それは謝るけど…」
上条「これ以上壊されたらアナタの3食が2食になったり、朝食がパンの耳だけとかの生活になるぞ!」
禁書「えー!?それは流石に嫌かも…」
上条「はい!そのためにお前は大掃除の間、小萌先生に預かってもらいます!」
ついでに食べさせてもらえるし、手伝わなくていいと言う一石二鳥だぞ。と付け加える。
食べさせてもらえると聞いて納得するインデックス。

上条「ふぅ…どうにか追い出せた…さてそろそろ片づけるか…」
ピンポーンというインターホンが響く。
上条「おっ来た来た」
ガチャ
上条「よぉ御坂よく来たな…ってッ!(なんで私服なんだ?しかもかわいい…ハッ相手は中学生相手は中学生…)」
一瞬理性が緩んだ上条である。
美琴「???どうしたの?急に顔が赤くなったり青くなったり…」
(まさか効果アリ?…へへ、そんなに似合ってるかな…えへへ)
上条「なッなんでもございませんことよ!? ってお前はどうしてそんなに顔がにやけてる訳?」
美琴「にッ…別に、にやけてなんかないわよ!」
上条「あーわかったわかったとりあえず入ってくれ」
美琴「あ、うん。おじゃまします。」
続く 
ネタが切れてきたZE! パトラッシュ、僕はもう眠いんだ…

347sage:2009/12/29(火) 00:16:17 ID:thsJtiO.
もう皆さんすばらしい!
1日1日が楽しくてしょうがないですね!

348■■■■:2009/12/29(火) 07:48:20 ID:bsOJHt3M
>>341,346
GJ!
カミやん幸せ全開だにゃー。これは禁書の耳に入れたらどうなるか楽しみだにゃー。

349■■■■:2009/12/29(火) 07:54:44 ID:JEcaEMlg
皆様GJですたい!

ん?>>348
そりゃー噛み砕かれるにゃー、「いただきますごちそうさま」で。

350■■■■:2009/12/29(火) 09:28:27 ID:bsOJHt3M
小ネタ投下。


 上条さんがお疲れです。

上条「うあー、だりー、ねみー……ここから寮まであと3kmも歩くなんてだりぃ。ちっと休憩してくかね。はぁどっこいしょっと」
美琴「あれ? アンタこんなところで何してんの?」
上条「あー、御坂か。今日はビリビリは勘弁な。上条さんは日直と小テストと体育の授業でお疲れなんですのよー」
美琴「……それくらいで疲れるなんて、アンタおじさん?」
上条「体育の授業で校庭五〇周マラソンとかやらされてみろ。お前だってそんなこと言えなくなっから。ったく災呉の野郎……」
美琴「ふーん。ねぇ、ちょっとそこ座っていい?」
上条「あ? 公共のベンチなんだから座ったっていいに決まってんだろ」
美琴「いやそういうことじゃなくて……まぁいいわ」
上条「んで? 何か俺に用か御坂?」
美琴「と、特に用事はない……けど。……ねぇ、もうちょっとそっち詰めていい?」
上条「ベンチがこんなに広く余ってんのに何で寄ってくるんだ。まぁいいけどな」
美琴「……ねぇ」
上条「あー?」
美琴「もう全てにおいてやる気なしって感じの返事ね……。あ、アンタの手……ちょっと貸してくれる?」
上条「手? 手相占いでもやるのか? ほらよ」
美琴「そうじゃなくて、えっと……手をつないでもって何か肩に乗ってる!?」
上条「zzzzzzzzz……」
美琴「寝てる!? 私に寄りかかって寝てる?? アンタほらこんなところで寝たら風邪引いちゃう、じゃなくて顔が近い近い近いああだからそうじゃなくて!」
上条「zzzzzzzzz……」
美琴「無防備に寝てる……。まいっか。感謝しなさい、この美琴さんが肩を貸してあげるんだから光栄に思うのね」
上条「zzzzzzzzz……」
美琴「完全に寝てる……い、今なら何言っても聞こえないわよね。えっと、わた、わた、わた、私はその、あ、あ、アンタのことがす……好きだったんだから。ずっと前から」
上条「何が前から好きだって?」
美琴「!”#$%&’=`@#!!!」
上条「ふわぁ、よく寝たぁ……あれ、お前の肩借りちまったのか。悪りぃ、帰れなくて困っただろ。起こしてくれて良かったのに」
美琴「…………もしかして、聞こえた?」
上条「ふわぁぁあぁっ……え? 何が?」
美琴「だから……さっきの、聞こえた?」
上条「御坂? 質問の意味がわからないんだが……」
美琴「きっ、聞こえてないんだったらいいわよ、別に……馬鹿」

終。

351■■■■:2009/12/29(火) 14:34:51 ID:GCj/gCpE
∧_∧
( ´・ω・) みなさん、乙です
( つ旦O 俺もさっさと書かないと
と_)_)

352 ◆tr.t4dJfuU:2009/12/29(火) 15:25:08 ID:UkiUZ8zU
乙です
このスレは職人多いからうれしいです。
あと>>346の続きをもうちょっとしたら投稿します。

353カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/29(火) 16:03:16 ID:MtI8JY.s
やっとこさ新しいのが出来たので投下します。
季節感が一切ないのはご愛嬌。


上条「さっきまであんなに晴れてたのに・・・。はぁ・・・不幸だ・・・」

上条はどす黒い空から降りしきる雨を見上げ、はぁ、と大きな溜息をつく。

上条「・・・つか、この雨止むんだろうな。流石に、何時間も待つわけにはいかねえしな・・・」

上条は再び空を見上げるが、雨は一向に止む気配も、弱まる気配すら見せない。
それどころか、先程よりも雨脚が強くなっているような気さえする。

上条「・・・はぁ。こうなったら、ずぶ濡れ覚悟で帰るしかなさそうだな・・・」
美琴「・・・あれ?アンタ、こんなところで何やってんの?」
上条「・・・なんだ、御坂か。見てわかんねーのか?雨宿りだよ、雨宿り」
美琴「雨宿り、って・・・。アンタ、何言ってんの?この雨、明日まで止まないわよー」

・・・へ?と一瞬フリーズする上条。

美琴「アンタ、今朝の天気予報見てないの?夕方から明日の明け方にかけて、大雨が降るって言ってたじゃない」

上条は今朝、天気予報を見ている余裕などなかった。
小萌先生に出された宿題を終わらせるために徹夜していて、そのせいで大幅に寝坊をした。
よって天気予報を見る時間どころか、ろくに朝飯を食べる時間さえもなかったのである。

上条「・・・あ」

上条は、自分の愚かさに頭を抱える。

上条「・・・不幸だ」
美琴「事情は分からないけど、傘を持ってくるのを忘れたみたいね。アンタも相変わらずドジねー」

ううっ、と上条の心に鋭い言葉の刃が突き刺さる。

美琴(・・・でも、これって逆にチャンスじゃないのかしら。
    私がこいつを傘に入れてあげれば・・・!そ、それってもしかして相合い傘!?)

美琴「・・・あ、あのさ」
上条「・・・ん?何だ?」
美琴「そ、その、よよ良かったらわ、私の傘にアンタをいいい、入れてあげても、いいけど」

美琴は顔を赤らめ、持っていた傘を少しだけ上条の方へ差し出した。

354カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/29(火) 16:03:41 ID:MtI8JY.s
上条「私の傘、って・・・。・・・その少女趣味丸出しの傘に、入れと申しているのでせうか?」

上条はそう言って、美琴が持っているかわいらしい水玉模様の傘を指さした。

美琴「べっ、別にいいじゃない!!そ、そんな事よりほら!は、入るならさっさと入りなさいよ」
上条「・・・あのー、御坂さん?」
美琴「な、何よ」
上条「・・・つ、つまりワタクシめと、相合い傘をして帰ろうと仰っているのでせうか?」

ドキーン!と美琴の心臓が跳ね上がり、顔の赤みが更に増す。

美琴「ば、ばばば馬鹿言うんじゃないわよ!!かかか勘違いしないでよね!!
    わ、私はあまりにもアンタが惨めすぎてかわいそうだから同情してあげようって思っただけで、
    べ、別にアンタと相合い傘して帰りたいなんてこれっぽっちも考えてないんだからねっ!!」
上条「・・・そうですか。・・・で、でも、本当にいいのか?」
美琴「い、いいって言ってんじゃない。ったく、お、女の子に恥かかせんじゃないわよ、この馬鹿」
上条「はいはい・・・。・・・んじゃ、お言葉に甘えさせてもらいますかね」

そう言って上条は美琴の傘に入るが、美琴の傘は元々小さいため、二人分の身体は収まりきらない。
そのため、雨から少しでも身を防ごうと必然的に二人の身体は密着し、寄り添うような感じになってしまう。

美琴(ちっ、近い〜〜〜〜〜ッ!!こ、コイツの息遣いが直に聞こえてくるッ!!?
    わっ、私今すっごいドキドキ言ってる!!こ、コイツに聞こえてないかしら・・・?)
上条(なっ、何なんだこの状況はーッ!!?女の子と相合い傘とか、都市伝説じゃなかったんですか!!?
    つーか近い!!近すぎるッ!!あー、御坂の髪の毛からほんのりとフローラルな香りが・・・はっ!!
    な、何考えてんだ俺!!第一、相手は御坂だぞ!!?俺の好みは寮の管理人のお姉さんであってッ―)

互いに互いを意識しすぎているせいか、どうしても無言になってしまい、周りには雨の降る音しか聞こえない。

美琴「・・・ちょ、ちょっとは遠慮しなさいよ」
上条「そ、そんな事言われても、これ以上寄ったら出ちまうし・・・。だ、大体、入れっつったのはお前じゃねえか」
美琴「そ、それはそうだけど!!だ、だってこれじゃまるで・・・」

恋人達がいちゃいちゃしてるみたいじゃない、と言おうとしたが上手く言葉が出てこない。
それにそんな事を言ってしまったら、恐らく感情の制御が効かなくなり自分でもどうなるか想像がつかなかった。

355カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/29(火) 16:04:00 ID:MtI8JY.s
上条「・・・」
美琴「・・・」

お互い照れているのか、顔を合わせようとせず、一言も発しない。

美琴(あ〜もうどうしたらいいのよーッ!!願ってもないチャンスなのに、何もできないなんてッ!!)
上条(俺の好みのタイプは寮の管理人のお姉さん、俺の好みのタイプは寮の管理人のお姉さん・・・)

互いに色々と思考を巡らせていると、大きな水たまりが見えてきた。
通れない事はないが、人ひとり通るのがやっとと言ったぐらいの道幅しかない。

上条「・・・どうする?一人しか濡れずに通れないみてーだぞ」

美琴はしばらく黙っていたが、何か覚悟を決めたのか、上条の胸に寄り添い、二人は縦に並ぶような形になった。

上条「あっ、あの、み、みみみ御坂さん!!?こ、これは一体―」
美琴「かかか、勘違いしないでよね!!こ、これは二人とも濡れないための最善の策なんだからっ!!」

そう言って美琴は行くわよ!と、水たまりに向かって歩いていく。
傘を持っているのは美琴の方なので、上条は濡れないように美琴に寄り添って歩いていく。

美琴「・・・べ、別にこんな事やりたいとか思ってたわけじゃ、ないんだからね・・・」

美琴はまるで他の誰かにではなく、自分に言い訳するように、小さく呟いた。


上条達が一緒に帰り始めて十数分経つが、未だ雨は止む事を知らず、ざあざあと降りしきっている。

美琴「ひうっ」

突如、美琴が小さく悲鳴をあげる。揺れる傘の先から落ちた雫が、美琴の頭のてっぺんに落ちたのだ。
美琴は背の高い上条に合わせて傘を差しているので、どうしても持ち方が不安定になってしまう。
その事に気づいた上条は、小さく笑って美琴の持つ傘を奪い取り、やや美琴寄りに傘を掲げる。

美琴「あっ・・・」
上条「・・・ったく、世話の焼けるヤツだな。・・・ほ、ほら、もっとこっちに来いよ」

そう言いながら上条は美琴の肩を打き寄せ、美琴が濡れないように、美琴を自分の胸に寄り添わせる。
そんなほんの小さな気遣いが、美琴にとってはとても嬉しく、安心感を抱かせた。

美琴(わっ、わっ・・・!う、嬉しい・・・!!)
上条(べ、別にやましい気持ちなんて一切ないんでございますからねーっ!!?)

美琴が上条の服の裾をきゅっと握り締めると、それと裏腹に上条の緊張のボルテージは上がっていく。
そんな正反対の感情を抱いた二人は、雨の降る学園都市をゆっくりと歩いていくのであった。


おわり。

356■■■■:2009/12/29(火) 16:43:32 ID:thsJtiO.
GJです!

357 ◆tr.t4dJfuU:2009/12/29(火) 16:54:10 ID:UkiUZ8zU
超GJ!ニヤニヤ全快!それに比べて俺のはにやにやしませんぞww
ということで続き>>346投稿

12月29日 -上条家-

美琴「おじゃましますー」
     ・
     ・
美琴「へぇ結構いい部屋じゃないの」

上条「まぁ1人暮らしだと困らないんだけどな」

美琴「某サイトの情報によると独り暮らしの男性は大抵エロ本があるとか、ないとか」
ジィィ…とこっちを見る美琴。
上条「どこの情報だよそれ!偏見じゃねぇか!…御坂さん、上条さんはそんなのないですからそんな目で見ないでくだしあ」

美琴「まぁアンタには縁がないかもね。それであたしは何手伝えばいいわけ?」

上条「そうだなぁ…洗面所拭くとか…。手がしもやけになるか。うーん…」

美琴「掃除機とか物運ぶとかならできるわよ?」

上条「じゃぁちょっと掃除機かけてくれ。俺は…洗面所でも拭いとくか…」

美琴「了解〜」
しばらく掃除タイム…

美琴「流石学園都市の掃除機、音がないわ」

上条「ん?お前普段掃除機とか使わないわけ?」

美琴「一応お嬢様ですから」

上条「お嬢様ねぇ…って俺はそのお嬢様に掃除させてるんだよな…俺って常識知らず?」

美琴「別に今回は私から手伝ってるんだから別にいいわよ」

上条「…(こうみると御坂はただの女の子なんだよな。掃除機かけてるとことか女の子らしいというかなんというか…)」
しばらく固まる上条。
美琴「どうしたの?おーい?もしもし? こうなれば奥の手…それ!」
軽く上条に触れて静電気を流す。
上条「うおッ!!なんだ何だ!?」

美琴「アンタがずっと固まってるから起こしてあげたわけ、目が覚めた?」

上条「むしろ目覚めが悪いです…」

美琴「で、さっきどうしたの?」

上条「別に…掃除してるお前がちょっと女の子らしいなと思っただけですよ…」

美琴「えっ!?(女の子らしい?)」
一瞬で顔が赤くなる美琴。
アピールできてうれしいのもあるがそれ以上に照れて恥ずかしいのだ。

上条「どうしたんだ御坂?顔が赤いけど…まさか風邪ひいたか?しんどいならベットで休んでろ」

美琴「えっ…べ、別に大丈夫大丈夫!…ってうわ!」
足元の袋を踏んで滑ってしまった。
それから上条に向かって倒れる。
上条「うわっ!」
支えきれなくなり倒れてしまう。
ズドーンという音が部屋全体に響いた。

現在の状況…美琴が滑り倒れる。支えようとした上条も倒れる。
上条の上に美琴が倒れている。少しでも体を動かすと唇と唇が触れてしまう。

上条「って…大丈夫か御坂…よいしょ…」
起き上がろうとした時、上条の唇が何か柔らかいものに触れる。

美琴「!!!??!?!?(え!?今アイツの唇が私のほっぺに?え!?キス!?)」
かなりパニックになる美琴。

上条「うわ!?ごめん、御坂。悪気はなかったんだ!」

美琴「べぇ、別にきにしてなんきゃいにゃいわよ…」ブルブル
実際、嫌というよりすごくうれしいのだが、やっぱり恥ずかしいのである。
美琴「にゃんで能力のコントロールができにゃいのよ…」バチバチ
 
上条「なんかやばいバチバチいってる!」

美琴「ふにゃー」
続く

358 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 19:21:59 ID:2Nn6Dkes
>>350,355,357GJ
美琴の服装実際に描いてみたり、佐天パートどうするか悩んでたら一日経ってた…
つか上条さんの冬服姿がpixivにもなくてちょっとショックですよ 前>>323
――――――――
初春さん達がトイレから帰って来た後、また暫くとりとめのない話をして、それから別れた。
けど、昼時に寮に戻っても何もする事がなかった。
とりあえず上着を脱ぎ、ベッドに飛び込む。
一度反発して、身体は埋もれていく。

「はぁぁぁぁぁ………」

思いっ切りの溜め息。どうしていいか、さっぱりだ。

「アイツの方が年上なんだからリードしてくれたら…楽なのに」

ていうか気付け、ばか。
クローゼットに入った私の服を頭の中で思い出しながら、私は眠っていた。

359 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 19:23:36 ID:2Nn6Dkes


――――…… …っ!!
慌てて枕から頭を離し、ケータイを見る。

「う、そ…っ」

『17:57』と表示されている液晶に無駄に訴え、急いで着替えを始めた。
つか、寮監とか見つからないわよねっ?うん、大丈夫!
制服を放り投げるのもまただらしないと言われそうなので、ハンガーに掛けるだけで取り繕う。
適当に選んだ服を着てから鏡で見る。
適当なシャツの上にニットパーカ、それとブーツカットのジーンズ……

「あ゛ー…やっぱりなぁ…」

時間がないのに少し悠長に迷う自分に笑えてくる。
ええいもうっ、これでいいや!
ケータイや財布に…ハンカチ、も持った。
ダッフルコートを着込み、マフラーを巻いて、私は寮を出て行った。

360■■■■:2009/12/29(火) 19:23:53 ID:bsOJHt3M
>.355,357
グッジョブ! と惜しみない賞賛を送りつつ
ミサカは「上条さんと御坂妹のいちゃいちゃスレ」ができるようお祈りします。

……むしろ御坂妹なら自分でスレ立てるかもな。

361 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 19:24:47 ID:2Nn6Dkes

―――――――――
ぜぇっ、ぜぇっ、と呼吸が荒くなる。
冷たい空気が肺に入ってきて尚更辛いっつーの……。
信号待ちの間に一気に体力を回復をして、青になると思いっ切り走り出す。

「…どんだけ必死なのよ、私…」

街中にある時計は長針が『6』、短針が『3』を指していた。
必死なのは、約束の時間に間に合わないだけだからじゃない。
今走ってるのは、早く、アイツに―――
人が多いと走りにくいっ!近道も兼ねて道を曲がる。

「おう、ビリ…じゃなく、御坂」

道に入り込んだ所、アイツがいた。
しかし、遅刻に急いでた私は、アイツの前でブレーキを掛け切れなくなっていた。

「あ、あぶなっ!!」
「は?ってちょっ!」

思わず発したのは、衝突の合図だった。
私は目の前が真っ暗になり、直後ぶつかった感触があった。

362 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 19:25:42 ID:2Nn6Dkes

「っつー…お、おい、大丈夫か御坂」

頑なに目を瞑ってる私はアイツの声で我に返り、目を開ける。
そこには、アイツが体を仰向けに倒してて、…私はその上にいた。

「……え」
「"え"はこっちの台詞だっつーの。…怪我ないか?」

状況が分かってくると、私の頭にはアイツの右手があり、頭を自由に動かせない。
押し倒している状況に身体を起こし、アイツの上から退く。
アイツも身体を起こし、背中をさする。

「ご、ごめん……」
「お前が怪我してなけりゃいいさ。俺は背中を床に打ち付けただけだしな」

もーちょっとでお前大事になってたぞ、と言いつつアイツの指差す壁を見ると、パイプが壁沿いにある。

「…だから、頭に手、置いてたの?」
「ん、まぁそうだな。判断がもうちょい早かったら避けれたんだが…悪かったな御坂」

何事もなく、右手をぷらぷらとさせてるアイツが私に謝る。
私は思わず唇を噛む。

「……でよ」

363 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 19:27:24 ID:2Nn6Dkes
「は?…もしかしてどっか打ったりしたか!?」
「っ!違うわよ!何でよ!私が急いでなかったら怪我したんでしょっ!悪いも何もないでしょうがっ!」
「…御坂、さん?」
「突っ込んできた私が謝らなくちゃ、いけない、のに………」

無理矢理な怒りが私の中を駆け巡る。謝ればいいだけなのに。
あんなに、急いで走って私はこんなのを望んだんじゃない。
私はアイツに一歩近付き、アイツの右手をとる。
手の甲は折れてはいないものの、寒さによるものとの相乗効果でとても赤い。

「――――ごめん」

昨晩から楽しみにしてて、朝から悶々として、昼から寝ちゃって、夕方に慌てて来て。
結局私は、何をしてるんだろうと思えて来た。
もーダメじゃない…、ただでさえ私はコイツに喧嘩ばっか売って、こんな日にさえ――。

「ホント、ごめん………当麻」
「お前…」

私は泣いていた。アイツはきっと困惑して凄い迷惑になってるだろうな。

「お前、怪我してたのか?それが痛む…のか?」

私は首を横に振る。

「もしかして俺に怪我させたのに泣いてんのか?」

頷く。

「……何か、色々とゴメンねっ。こんな私と、クリスマスイヴなんか一緒で」
「なぁ御坂。俺がなんでここを歩いてたのか分かるか?」

364 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 19:28:23 ID:2Nn6Dkes

私は思わず顔をあげる。目に涙を溜め、かつ流れている顔を。
アイツは私の頬に冷たい左手を添えて笑う。

「お前が急いでるのと同様、お前に会いたかったからだ。
   お前の性格上早く来そうだし、まぁたトラブルに巻き込まれたのかとも思ったら心配でさ」

左手は私の頭に移る。優しく撫でられる。

「それに、俺なんか普段から怪我ばっかだし、こんなの大して痛くもねーよ。
   クリスマスイヴって世間的に大事な日にお前に怪我させるのよりよっぽどマシだ。
   あと、誰がお前を嫌うかよ。しかも心配してくれてんだろ?それだけで俺は嬉しいさ。
   だからさ、もう泣くなよ」

何でだろう、アイツの言葉が普段より嬉しかった。
「……うん」とだけ私は頷いて、腕で涙を拭き取った。

「ごめんね」

365 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 19:30:20 ID:2Nn6Dkes
6行目

   お前の性格上早く来そうだし、まぁたトラブルに巻き込まれたのかとも思ったら心配でさ」

   お前の性格上待ち合わせには早く来そうだし、まぁたトラブルに巻き込まれたのかとも思ったら心配でさ」

すまん

366 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 19:31:22 ID:2Nn6Dkes

さっきとは違う、"ごめん"なのは分かってくれてるんだろう。
アイツは歯を見せて笑う。

「気にすんな。あと、お前は謝るより、笑ってお礼を言った方が可愛いと思うぞ」
「なっ……ありがと」
「そうそう」

途端な発言に少々戸惑いつつ従う。

「んじゃ、どうする?飯がいいかプレゼント選ぶか。イルミネーションはその後でいいよな?」
「んー…ちょっとお腹減ったし、ご飯かな。美味しいんでしょうね?」
「…常盤台のお嬢様のお口に合うか分かりませんが、美味しいと、思いますよ」
「それじゃあ楽しみにしてるわ。早くいきましょーよ♪」

「切り替わり早いなっ!」っていうアイツの台詞を無視して、その店に向かった。

367■■■■:2009/12/29(火) 19:32:26 ID:bsOJHt3M
おっと>>359も来てた。GJ!
職人さん達みたいに上条さんとミサカをいちゃいちゃさせたいぜぃ

368 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 19:34:51 ID:2Nn6Dkes
終わりです。お粗末さまでした
上条さんらしくして上条さんじゃなくなってるかも知れないのはご愛嬌

>佐天さんは美琴の背中は叩かないと思う
よく考えたらその通りですね、ごめんなさい

>>367
書けないと思ってるその幻想をry
ていうか書けばいいじゃない、大事なのはその一歩だぜ

369【帰省編B-1】:2009/12/29(火) 19:46:47 ID:ynXh6HdA
>>341続き



上条は美琴の横顔を見つめた。かすかに赤らんでいるが、寒さのせいとも言える程度だ。
(残念…? このままでも別に構わないって事か。なら…)
「いや、このまま止めずに行こう。お前には迷惑かけるかもしんねーけど」
「いいわよ別に。親にはお互い後でなんとでもなるっしょー?」
「そういうこった。じゃあ3日間、これで通すぞ」
「らじゃー♪」
(このノリノリっぷりは一体…)

「なにラブラブ作戦会議してんの?」
美鈴がニヤニヤしながら突っ込んでくる。
「うっさいわね!サプライズ作戦が失敗したからどうしようか相談してただけよ!」
「まあ、うっさいだなんて!未来のお母様が見ていらっしゃるのに!」
「ぐ…」
「あらあら、大覇星祭で美琴さんの元気娘っぷりは知ってるから気にしないでねぇ。むしろ変に飾らないトコがいいわぁ」
「うう…」
ママさんズ攻撃を美琴に引き受けて貰っている間、上条は『初期設定』を考えていた。

(どっちかが告白とかじゃなく、何度も会ってる内に親密になった、という事でいいか)
(下手に物語作っても破綻するしな。よし、スキをみて御坂に伝えて…)
「で、どっちから告白したの?」
上条は思いっきり吹き出した。

「わ、わたし」
(御坂!?)
「ほほう、奥手な美琴ちゃんからとはね…」
「当麻さんったら、女の子から告白させるなんて…やっぱり刀夜さんの子ねぇ」
「あの、大覇星祭で勝負して、その罰ゲームって話になって」
「ああ、美琴ちゃん勝ったのよね。そういえば当麻くんに何やらせたのか気になってた」
「それで、罰ゲームで携帯のペア契約お願いしますって。それでOK貰って」
「ペア契約って…美琴ちゃんスゴイじゃない。いつからそんな積極的になったの!?」
「あらあら、今時の告白の仕方ってこういうパターンもあるのねぇ。さすが学園都市ね〜」

これはどういうことだ。上条は呆然としていた。
美琴は全く嘘を言っていない。肝心な部分を端折ったりもしていない。
なのに、この話で上条と美琴が恋仲であることが保証されつつある?
つまり…
普通、世間一般では、アレは、『告白』で、『交際OK』したことになるのか!?
上条はあの時のシチュエーションを思い出す。
御坂妹やラストオーダーの乱入で、美琴は結局怒って帰ってしまい、
その後は学園自体が無茶苦茶な状態になり、有耶無耶で終わってしまった。

まさか。
俺は美琴の告白に気がつかず、スルーしてたってのか?
ゲコ太ストラップが本命だったなら笑い話だが、
ストラップがダミーなら…あの怒りは…そういう事なのか?
その可能性に、上条は愕然としていた。

370【帰省編B-2】:2009/12/29(火) 19:47:21 ID:ynXh6HdA
美琴はスラスラと説明している自分に驚いていた。
といっても事実なので、無理もしていない。
後ろの上条の気配が、次第に落ち着きがなくなっていくのが分かる。
(ふん、あの馬鹿もちょっとは気がついたかしらね…いつも私ばっかり悩ませやがって)
「そこから、お付き合いが始まったということなの。後はもう言わない!」
「言わないって、例えば当麻くんは言葉や行為でこう返してくれた、とかあるでしょ〜?」
「言わない!」
「まあまあ美鈴さん。初々しくてホント美琴さんかわいいわぁ。じゃあ当麻さんにお聞きしましょうか」
母親からのキラーパスに、上条は我に返った。

「い、いやいや、母親とはいえ言えませんって。自分で悶え死にしちまうわ」
「え〜、当麻さんひどぉい」
「言っちゃえ言っちゃえ当麻くん。惚れ直してくれるかもよ〜」
知らなかったのか。ボスからは逃げられない。
上条の頭にどこかで聞いたようなフレーズがこだまする。
逃げられない、ならば。
「俺は美琴と、その周りの世界を守る、と誓っているんです。それしか言えない。」

親たちの動きが止まった。美琴の動きも。
美鈴が右手で髪をかき上げる。
「あちゃ〜、こりゃ惚れるわ。参ったね。これがまた有言実行君だしね」
「わが子ながら、これは天性のものかしらね…」
どうやら合格点を貰えたらしい。
美琴は真っ赤になっていた。
(あの台詞をここで言うなんてっ!…あの馬鹿ってば)

「ねえ詩菜さん。学園都市に子供を預けてるってのは不安だけど…子供ってきちんと育つのねー」
「ホントねえ。たぶんこの子たちは出来すぎだと思いますけどねぇ」
所変わって美琴の家に向かう車の中。
前が親たち、後ろが子供たちの構図である。
なにやら合同でおせち料理を作っており、午前中も一緒に作っていたらしい。
美琴の帰る時間が両家に伝わってたのは当たり前だったのだ。
「ウチは何もしなくていいのかよ?大掃除とかさ」
「引越したばかりで、まだ綺麗だし。この数カ月の汚れなら刀夜さん一人で十分ですって」
「引越し?実家でしょ?」
「ああ、新居が燃えちまってな。実家に戻ってきたんだよ。」
「当麻ぜんぜんそういう事教えてくんないのね…」
(コ、コイツもう数カ月恋人状態であると錯覚してないか?)
「当麻くんはあんまり自分の事話さないタイプかな〜?」
「はは、まあ…」
記憶がないから下手に話せないのだが、こういう話の流れは過去話に移行しやすいので、
上条は強引に話を変える。

「えと、聞いたらマズイのかな?美琴のお父さんは…?」
「ああ、ウチの人はちゃんと戻ってくる予定だったんだけど…」
「…向こうが悪天候らしくて。こっちはこんなにいい天気なのに。」
ちょっと美琴がムクれて言う。
「海外か。大変だなー」
「そういえば当麻。私をほっといて海外行きまくってるよね?どういう事?」
「あらあら、初耳。当麻さん何しに行ってるの?」
…どう話を振っても追い詰められる上条であった。

371【帰省編B-3】:2009/12/29(火) 19:47:43 ID:ynXh6HdA
駅から10分少々で美琴の家に着いた。
車内の1vs3攻撃ですでにグッタリな上条は、「不幸だ不幸だ」とブツブツつぶやいている。
美琴のお嬢様っぷりを見て、下手すりゃプール付きの大豪邸も有り得ると思っていたのだが、
広さは至ってノーマルで、質重視の西洋風住宅だった。
「んふふ、どういう家をイメージしてたかわかんないけど…」
美鈴が上条に話しかける。
「コレほとんど全部あたしの好みでやってまーす。家も注文住宅。」
「は〜。スゲエ」
「広いとメンテナンス大変だしね、ほとんど一人だから…美琴ちゃん、ママ寂しい」
「はいはい…着替えてくるね」
「なにそのスルースキル。んじゃどうしよっかな。当麻くんはのんびりしてていいけど。」
「あ〜、力仕事ならやりますよ。あとおせち料理もちょっと興味あったり」
「じゃあ台所へ〜、おせち見て見て。力仕事なら…」
そういって美鈴は力こぶを見せる。俺より逞しそうだと上条は首を振る。

詩菜は勝手知ったるという感じで、すでにおせち作りを再開していた。
「お〜、IH調理器に食洗機、広いシステムキッチン…いいなあコレ」
上条は貧素な寮の台所まわりとの差に悄然とする。
20年先は進んでいると言われている学園都市も、寮レベルでは外と変わらない。
「当麻くんは料理できるんだっけ。一人暮らし長いもんね」
「すっげー適当ですよ。味はともかく見た目最悪だし」
「美琴ちゃんと逆ねえ。あの子きっちりしすぎて大さじ2杯とされたらその通りしかやんないし」
「コラー!変な先入観植え付けんなー!」
やたら早く美琴がエプロン姿で戻ってきた。どうやらコートとエプロンが交換されただけのようだ。
美琴の初エプロン姿に、上条はやや動揺する。

美鈴はその動揺を見逃さず、
「あっれ〜、当麻くん。女の子のエプロン姿にムラムラしてない〜?」
「なに言ってんのよこのバカ親!エプロン一つで何でそうなるのよ!」
「…美琴ちゃんはエプロンの破壊力知らないのね…そのまま当麻くん見つめてごらん」
美琴がそのまま上条を見つめてくる。
「………」
上条は5秒でそっぽを向いた。エプロン+見つめる攻撃は正視するのは不可能である。
「ね?」
「…」 (美琴はあきれた目に切り替わっている)
「そういや彼のウチにご飯作りに行ってあげたりしないの?美琴ちゃん」
「いやスミマセン。免疫なくてスミマセン!ウチの寮女子禁制なんですスミマセン!」
上条は早々に降参モードでこの空気からの脱出を図る。

「さあさあ、手が止まってますよ〜。美琴さんには何作って貰おうかな〜」
「あ、手伝います」
美琴がいそいそと詩菜の所へ駆け寄る。
「ん〜と、じゃあ筑前煮作りましょうか。あの子大好きだし、これなら冷えても美味しいからお弁当でも、ね」
「もしかして上条家直伝の味付けとか?」
「あらあら、鋭いわね美琴さん。伝授するから覚えてね♪厳密には龍神家直伝だけど…」
「はい!お願いします。…お母様」
流石に最後の言葉は照れたのか、小さな声になる。
「うふふ。様なんて堅苦しくしなくていいわよー。詩菜さんでもお母さんでも。んもう、ホントかわいいっ」

(何だコレ何だコレ何だコレ)
もはや恋人どころか婚約者モードである。
もうあれは嘘でしたゴメンナサイが通用するレベルではない。
絶望に追い詰められた者を右手一本で救い出してきた上条当麻が、絶望に追い詰められていた。

372【帰省編B-4】:2009/12/29(火) 19:48:11 ID:ynXh6HdA
「んっ、おいしっ♪」
筑前煮は上出来な代物となった。
どうやらみりんの使い方に上条家独特のものがあるらしく、
みりん多めのためテリが強く甘みもやや強くなる、が、特に美琴が嫌な味付けでもなかった。
「これが、あの子が昔ずっと食べていた味。機会があったら作ってあげてねぇ」
「は、はい。ありがとうございます、詩菜さん」
そこへ上条がひょいっと顔を出す。
「おー、出来たみたいだなー。感心感心」
詩菜と美琴が何やらゴショゴショと小声で話している。
「まあ、お約束ってことで。当麻さん?」
「はい?」
「はい、あーん」
頬を真っ赤にして、箸に鶏肉を挟んで手を突き出している美琴の姿が、そこにあった。

(早く食べなさいよ馬鹿)
意外にあっさり、ぱくっ!と上条は食べてくれた。
「うめえ」
味を再現できたかしら?と思ったと同時に「あっ!」と思い出した。
上条当麻には記憶がない。比較する味がないのだ。
「もっとクレ」
「ダメ!明日になったら好きなだけ食べなさい!」
「あらあら、当麻さん的にはお味はど〜う?上条家の味に仕上げて貰ったけど」
「一切れじゃなあ。でも旨かったぞ。これからも向こうで食えるんだよな?」
「き、機会があればね!」
そう言いながらレンコンを箸でつまんで上条に差し出す。
上条はぱくっと食いつき、ニコニコと食べてくれている。
(あー、満たされる〜)
ちょっと違う世界に飛びそうになったので、美琴は慌てて首をふり、
「じゃあ詩菜さん、そろそろ盛り付けしません?」
「そうね〜、美鈴さんが始めてるから、そちらに移りましょ〜」
「はーい」

洗い物でも手伝いたかった上条だが、食洗機に出番を取られている。
女3人の近くにいけばネタにされるし、
寂しくTVの特番でも見ているしかなかった。


各々のお重におせち料理は綺麗に盛り付けられ、無事完了した。
しばらくして上条刀夜が迎えに来て、詩菜と当麻は車に乗って帰っていった。
「ふう…」
ベランダに出て美琴はため息をつく。ずっと気を張り詰めっぱなしだったのだ。
「なんで帰り際にハグしなかったの?」
「するかっ!」
「んふふ…でもほんと…いい子見つけたわよ。」
「///」
「ま、今日は親子水入らずで…馴れ初めから色々と全部話しても・ら・う・からねえ〜〜〜」
「!!!」
(本当は抱えてる悩み…秘密の方を聞きたいトコだけどネ。今日はまあいっか☆)


<結構ネタ尽きてきたので,、後はそんなに長くない予定。>

373■■■■:2009/12/29(火) 20:25:50 ID:2Nn6Dkes
素直な美琴と(少なくとも表面上)恋人ノリノリな上条さん可愛いよGJ

374 ◆tr.t4dJfuU:2009/12/29(火) 20:34:24 ID:UkiUZ8zU
GJです。実際旅掛さんは刀夜のこと覚えてるのかな?一応酔ってたし

こっちもネタが(ry

375■■■■:2009/12/29(火) 20:43:11 ID:bsOJHt3M
職人さんGJ!
何この投稿ラッシュ。夢のような展開。

376とある少女の髪型事情:2009/12/29(火) 21:07:19 ID:M/Sz0HxE
深々と雪が降り積もる十二月の学園都市、天気予報では晴れ…だったはずなのだが、所詮予報である。
そろそろ年の瀬というこの時期、学園都市に住む学生の四割が新年を家族と迎えるために実家に帰省しているというこの都市の中央道を、一人の超能力者(レベル5)が歩いていた。
彼女はその長い髪を後ろで一つに括った茶髪…、もといポニーテールにした髪を揺らしながら白線に沿うように歩いてゆく。
名は御坂美琴、その能力…通称「超電磁砲(レールガン)」を振りかざす学園都市第三位である。
彼女が属する常盤台中学はここから三キロの場所にあり、よってこの辺りは休みの日は基本漫画の立ち読みな彼女の行動範囲から大きく外れている。
別に確固たる目的があって歩いている訳では無いのだが、ただの散歩という訳でもなく。
大まかにいうと…この辺はあのツンツン頭の高校生の学校がある学区だからもしかしたら会えるかな…?みたいな淡い望みが見えたり見えなかったりな散歩なのだ。
「……それで新しく開発された「延毛技術」の成果たるこのポニーテール見てもらえたら嬉しかったり……って何言ってんの私!?ないない、こんなところでバッタリとか今時漫画でも見ない…」
「何がだ?」
「うひゃおうおぉえ!!??」
「斬新なビックリ声だなオイ」
まぁビックリするのも無理はない、何故なら目の前に目的のツンツンがいつの間にか立っていたのだから。
彼の名は上条当麻、その不運な能力(?)…「幻想殺し(イマジンブレイカー)」を振りかざす無能力者(レベル0)である。
「何!?今アンタどっからどこまで聞いてた訳!?」
「…とりあえずそのポニーテールが「延毛技術」っていうやつで作ったっていうのはわかった」
「結構最初からじゃないのよコラァッ!!」
「ヒィッ!?ポニーテールが帯電して逆立ってますけど!?」
その髪もまた彼の右手に触れただけで生気を抜かれたように元に戻ってしまうのだが。
「…はぁ、で?アンタここで何やってる訳!?」
場所的には彼女の方が「何やってる」なのだがそんなことを気にする学園都市第三位ではない。
「補習ですよほしゅー、二学期末のテストで盛大なる大ポカをやらかした上条さん+青いの+サングラスは担任つきっきりで補習ですよーだ」
大ポカの詳細を話すと上条が通う高校の評判を思いっきり落としかねないのでここは割愛させていただく。
「アンタそんなんで進学できる訳?…そもそも卒業できるの?」
「うっ…中学生に卒業の心配された…」
「勉強なんか結局日々の積み重ねなんだから」
「さらに中学生に勉強の事まで諭された!?」
「ねぇ、そんなことより…」
「そんなことッ!?」
「あっ、アンタこのポニーテールどう思うのよ」
ふむ、と。
ここで高校生上条当麻は考え込んでしまう。
好みは寮のお姉さん、と公言する上条にとって認めるのは少し癪なのだが、出会ったとき少し可愛いと思ってしまった。まるで女の子になったように。
………まぁ元から女だけど。
「まぁいいんじゃねぇか?何かいつもより大人っぽく見えると思うぞ……?」
「最後のクエスチョンマークが果てしなく気になるんだけど……えっと…それって褒めてるのよね…?」
「ん?うんまぁ褒めてる」
「(……何か嬉しい…)」
「おーい?何か目が泳いでるぞ?おーーーい?」
「そっ、それならもう何時もこの髪型にしようかしら……」
「うーん…だけどなぁ…」
「何よ?」
「いっつもそれっていうのも…お前らしくないっつーか」
「?結局何が言いたいのよ?」
一人のシスターがいる。
純白の修道女服…上条に言わせればティーカップのような服に身を包んだ彼女が御坂美琴のことを何と呼んでいるか。
日本人では無い、それ故に人をそのイメージで呼ぶような彼女が御坂美琴のことを何と呼んでいるか。
「……短髪、ね」
「はい?」
「俺は……俺はその髪型も良いと思うけど…やっぱりビリビリって言ったら短髪だな。それじゃなきゃお前らしくねぇ…と思う、うん」
「…けっ、結局ハッキリしないわね…」
「まぁいつも通りが一番ってこった、あの髪型似合ってたしな!……と、補習の身な上条さんはここらで急がなくては、じゃあな」
「えっ?えぇ!?ちょっと!今褒めたの!?…ってもういねぇし」
それでも。
それでも彼女は寮を出るときよりほんの少し幸せだった。
ポニーテールを褒められたことより、ショートカットを褒められたことより、彼女にどんな髪型が似合うかあの少年が真剣に考えてくれたことが。
彼が自分を異性として見てくれたことを垣間見れたことが。
「(…よし、今度はどんな髪型にしてみようかな…)」
そんなこんなで学園都市の都市は暮れていった。



長げぇーーーーー

377■■■■:2009/12/29(火) 21:09:28 ID:TmVSBNL6
レス分けて改行してくれ・・・きっつい

378■■■■:2009/12/29(火) 21:18:41 ID:OkQW8XS6
テラおもろいな、このスレは。ここにあるいちゃいちゃSSはかなり高ランクばかりだけど、
個人的に、帰省編書いてる職人に一言。

さ い こ う で す ! !

379■■■■:2009/12/29(火) 21:22:31 ID:M/Sz0HxE
悪いww
それも考えたがめんどくさかったorz
>>377

380■■■■:2009/12/29(火) 21:30:39 ID:thsJtiO.
GJです!
なんかこのスレの量 昔では夢にも思わなかったよ(笑)

みなさんの質も上がってきて毎日が楽しみですよ〜

381 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 23:46:35 ID:2Nn6Dkes
一応章みたいなの区切ってんだけど今回えらく長くなって焦った 前>>366
―――――――――
定食屋と云えば、会社員が往来しているようなイメージがあったのだが、そうでもなかった。
カップルこそはいなかったが、親子連れや女友達がいたので、ちょっと安心した。
当然だけど、向かい合わせに私達は座る。私がソファでアイツが椅子。

「比較的安いからなとは言いつつも御坂とかには破格にしか見えんだろうが」
「一々皮肉言うのやめてよね」

ウェイターがお茶の入った湯呑みを2つ置いて去っていく。
メニューを開くと、私は金額に驚く。………安過ぎる。

「ああ、言っておくけど何でも食べていいぞ」

…とは言われたけども、私は食べた事ないものが…。

「…アンタのオススメは?」
「ん?ここは丼モノが美味いからそれでいいんじゃねぇか?」

ぺらぺらと捲って、『どんぶり』のページを見る。
カツ丼、親子丼、他人丼、マグロ丼、海鮮丼………
ここら辺ならどんなものか、っていうのは分かるから…

382 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 23:47:38 ID:2Nn6Dkes

「じゃあ…親子丼で」
「ん、わかった」

そう言うと、コイツは椅子から身を乗り出す。

「すんませーん、親子丼とカキフライ定食でー!」
「かしこまりましたーっ」

え、そんなぶっきらぼうな頼み方でいいのっ?
こう、伝票を持って慎ましく、というか、そもそもこっち来てないじゃない!
――という不可思議を熱いお茶と共に飲み込んでいく。
ここは学舎の園みたいなお嬢様ばっかな規律に縛られた場所じゃないんだから、うん。
分かんない時はコイツに任せてればいいのよ、そうしよう。

「…おーい、聞いてますかー?」

はっと我に返ると、目の前で手がぷらんぷらんしていた。
どうやら暫くぼーっとしてたらいい。

「えっ、ご、ごめん!何っ!?」
「あーいや、こういう場馴れしてないとこは苦手なんじゃねーかな、と気になって…」
「だ、大丈夫よ。アンタが選んでくれたんだしっ!全然!」

って何言ってんだ私ーっ!!

383 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 23:48:23 ID:2Nn6Dkes

「そうか、なら良かった。そういやさ、イルミネーションのやつ、ちょっと調べてみたんだが」

ポケットから幾つも折られた紙を取り出して、広げる。

「なんかあそこ、有名らしいな。こーいうの疎くてダメなんだが、恋が実るとかあるんだけど」
「―――――っ!!!!」

み、見られたくなかった!こっそり胸に秘めて歩くつもりだったのにっ!
ああもう、下心丸見えじゃないっ!

「おもしれーよな、こういうの。こんなんで叶えば苦労しないって話」

って、ひ、否定っ!?…コイツこういうやつだからなぁ…。
根本的に云えば科学の街で非現実的なモンやってるしね…。

「これでさ、俺達が恋人とかになったらすげーって思わねぇ?」

――――は?

「いいい今なんてっ!?」
「え、いやだからさ、これで本当に恋人にでもなったら俺もこういう迷信的なの信じるって…」
「ア…アンタは私と恋人になりたかったのっ!?」
「いや、恋人レベルにでもなればお前のビリビリも多少でも控えてくれのぐわっ!?」
「あっ、ちょ、ごめん!大丈夫っ!?」

思わず電撃を発してしまった…わ、悪いのはあっちよね!
アイツは電撃の勢いで後ろに倒れていった。

384 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 23:49:32 ID:2Nn6Dkes
私は咄嗟に席を立ち、駆け寄る。

「いつつ…お前、流石に店内では止めろって…」
「……ごめん」
「けど、俺も言い過ぎた。こんなお前に対して失礼な思考で行っても楽しくないよな」

店員も駆けつけてたが、立ち上がって、「すいませんでしたー」と店員・客全員に謝る。
特に問題視されてなかったようなので一安心、か。
私も席に戻った。

「つっても、その前にプレゼントだな。場所的にオススメとかあるか?」
「ええっとー…ある、けど…… …アンタは子供趣味っていう気が…」
「そんな事言うわけないだろ。そもそもお前へのプレゼントなんだし」
「そ、そう…ならいいけど… あ、ちゃんとしたのもあるからあのシスターにも買ってあげるといいんじゃない?」
「んーそうだな。アイツも喜んでくれるだろうし」

他愛もなく話してると、さっきとは違う女の店員さんが器用に2つお盆を持って来た。
私の前に親子丼、アイツの前にはカキフライ定食が置かれ、「ごゆっくり」と言って去って行く。

「ねぇ、あの人曲芸師か何か?こんな重そうなお盆2つもバランスよく…」
「仕事してたらああいうのは出来るみたいだぞ。レストランだと腕に乗せたりしてるのもいるしな」
「う、腕っ!?」
「台車だとスペース取っちまうから、そっちのが効率的なんだろ」

テーブルの壁際にある割り箸の山から1つ私に取ってくれた。

385 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 23:50:04 ID:2Nn6Dkes
手を合わせて「いただきます」と言うので私もつられて「いただきますっ」と言う。
…割り箸なんてここんとこ触った事ないわね…コンビニでも弁当買わないし。

「ん、どした?食わないのか?」

コイツは難無くパキッと綺麗に真ん中の窪みに沿って割っていた。

「た、食べるわよ」

先っちょを摘み、左右に広げる。
ぱきゃっ、と音がして逆の端を見る。
……案の定、バランスよく割れてはいなかった。ていうか片方はささくれ立っている。

「あーあー、こういうのも経験なかったのか」
「っさいわね。誰だって失敗はあんのよ!」

お盆の端っこに失敗した箸を避ける。
割り箸をもう1つ取ろうと思ったら、ソレはアイツの方が近く、私の腕が届かない。

「ん?取れねーのか」

そう言って、お椀に箸を置いて私の分を取ってくれた。
そして再度挑戦する。

386 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 23:52:39 ID:2Nn6Dkes

「ていっ」

小さく言葉を発すると同時に箸をまた二分する。
…今回はちゃんと割れた。ちょっとズレたけど。

「ほら、わ、私にだって出来んのよ。どう?」
「へいへい、御見逸れ致しました」

コイツは…っ。
に、二度で出来たんだからもっと驚きなさいよっ!
何の気もなく、カキフライに噛り付いてるじゃない…。

「…ねぇ」
「ん?」
「カキフライって何?」

一瞬、コイツの表情が固まった――気がするけど、気のせいよね。

「…食った事ないのか?」
「まさか果物を揚げてるんじゃないわよね」
「そのまさか」
「嘘っ!?」
「なんなら食べてみろよ」

ほれ、と言いながら漬物が入ってた皿にカキフライを置いて私に渡してくる。

387 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 23:53:33 ID:2Nn6Dkes

「く、くれるの?」
「食わず嫌いはよくないだろ。気になるなら食べてみるべし」

私は受け取って、恐る恐る箸で掴んで、先端だけ食べた。
さくっと香ばしい音がして、まず口の中にカスの食感がする。

「………柿じゃないわよね」
「ああ」

あっさり言われた。
こっちの『カキ』じゃないって事は。

「水産物のカキ?」
「その通り。ホントに柿なんか揚げるかっての」
「…私のドキドキ返してよ」
「ま、美味しいだろ?」

確かに。美味しかった。
にゅるっとしてたけど、これはこれで…美味しい。

388 ◆tr.t4dJfuU:2009/12/29(火) 23:54:34 ID:UkiUZ8zU
空気を読まないようで悪いけど>>357の続き

美琴「ふにゃー」

上条「うぉ!」

零距離からの電撃をもろに受けるはずだった…のだが
電撃が来る前に右手が美琴の額に触れてどうにか防げたのだ。

上条「ふぅ、間一髪だったぞ…」
ん?と目の前をみると、美琴が気を失って倒れていた。
あれだけの電撃を爆発させたのだから無理もないと言えば無理もないのだが…

上条「やれやれ…」
よいっしょ とお姫様だっこをする。
足元が危ないがなんとかベットまで運ぶことができた。

上条「さて、足元だけでもきれいにするか」
        ・
        ・ 
        ・
上条「だいぶ片づいたな」
頬の汗を拭う。

もう数十分たつが美琴が目覚めることがない。
おかしいな?と様子をみたら、額から異様な汗があふれている。
呼吸も荒い。額に手をあててみるがかなり熱い。
明らかに風邪をひいている。

上条「おい御坂!?大丈夫か?えっと…体温計、体温計…あったあった」
体温計を耳に当てる。1秒くらいで体温が表示される。
上条「38度…結構高熱だな」
タオルを水で濡らし、額に乗っける。
しばらくすると荒い息がだいぶおさまり、顔色も良くなってきた。
上条「えっと…お粥作らないとな…」

続く
なんやこのきりの悪さわ!!

389 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 23:54:42 ID:2Nn6Dkes

「そうだ、御坂」
「? 何よ」

貰ったカキフライを食べ終え、鶏肉を一切れ口に入れる。

「何でお前は未だに俺の名前を呼ばないんだ?」
「――っ げふっ、げほげほっ」
「わ、悪い!ほら、茶!」

思わず鶏肉についていた卵が一気に喉に入っていきむせてしまった。
手渡されたお茶を貰い、一応温いのを確認して多めに飲む。
ふぅー、と一息つくと回復した。

「え、な、なな…名前…?」
「ああ。いつも"アンター"だとか"コイツが"だとか、それしか呼んでくれてねーだろ?」
「名前……」
「後ろからそんな事言われても気付くのは遅くなるし、俺だって"御坂"って呼んでるしさ」

名前か…いや、すっごい今更な事だけど…ていうか何て呼べばいいのよっ!

390 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 23:55:31 ID:2Nn6Dkes

「アンタは何て呼んで欲しいのよ」
「上条様」
「ほう」
「冗談です  上条でも当麻でも、今更敬称は要らんと思うし」
「上条……当麻……」

…いや、どっちで呼べばいいのよ…
私から"当麻"だなんて恥ずかしいし…かと言って"上条"は何か…尚更離れた感が…。
思わず頭を抱えて悩む。

「……そこまで悩む事じゃねーだろ…」

私には死活問題だっつーの…。

「そういやさ、さっきお前が泣いてた時なんだけど。
   お前、俺の事"当麻"って言ってたから"当麻"でいいんじゃないか?」
「………は?」

全く記憶に無い。

391 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 23:56:00 ID:2Nn6Dkes

「"は?"じゃなくて。ちょっと泣き始めた時、申し訳なく"ゴメンね…当麻"って言ってたぞ」
「…い、言ってない言ってない!!」

言ってた…かも知れないけども!記憶に無いっ!ウソ!?

「言ってたんだって。ってそこはどーでもいいんだ」

どーでもよくないっ!!

「だから、"当麻"って呼べばいいじゃんか。そっちのが助かる」
「聞けよ。 って、え……と…当麻……?」
「ああ。それでいいだろ」

と、当麻…って、何で私が赤くなって……。

「ふ、ふにゃー…」
「お、おい大丈夫か?おい、御坂っ!?」

瞬時に私は記憶がトんだ。

392 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/29(火) 23:58:14 ID:2Nn6Dkes
終わり。お粗末さまでした
カキフライは美味しい、異論は当たった事あるヤツ以外許さない
うん、他の人に比べて長くて読みにくいのは謝ります。

>>388乙ー 佐天さん直伝お粥ですねうわなにすr

393■■■■:2009/12/30(水) 00:02:02 ID:KlvOlzFU
>>391
乙!
しかし美琴センセーがここまでお嬢様とは思わなかった………。

394■■■■:2009/12/30(水) 00:12:48 ID:sDTBx0C.
職人の皆さんGJ!
空気読まずに小ネタ投下。

美琴「ねぇ。今日って何の日か知ってる?」
上条「今日? クリスマスはもう終わってるし……。大晦日まであと何日だ、とか?」
美琴「ヒント:今から半年前」
上条「……すまん。俺、記憶がないから半年前の話は……」
美琴「あ、そうだったわね。こっちこそゴメン」
上条「もしかして、半年前の俺はお前と何か約束してたのか? だとしたら謝る」
美琴「ううん、そうじゃないの。そうじゃなくってね」
上条「……もしかして何か大事な日だったのか? うわ! すまん御坂! 記憶がないとはいえ思い出せなくて大変ごめんなさい!(土下座)」
美琴「そんなに頭下げるような事じゃないわよ。えーっとね……今日は、私とアンタが出会ってちょうど半年の記念日」
上条「……はぁ? なんだそういうことか。女ってホント記念日とか好きだよなぁ」
美琴「いいじゃない別に。記念は記念よ……。ということで、これあげる」
上条「何だこれ……。セーター?」
美琴「おっ、お父さんに作ってあげるつもりだったんだけどちょっと失敗しちゃったのよ。だからアンタにあげる」
上条「これのどこが失敗してるんだ? 編み目もきれいに揃ってるし」
美琴「…………」
上条「イニシャルも入ってる。失敗ってここか?」
美琴「違うわよ! お父さんの名前は旅掛って言うの! 別に当麻のTと同じとかそんなことはこれっぽっちも言ってないんだから!」
上条「とりあえず着てみていいか? ……あれ、サイズぴったり」
美琴「へぇ……我ながら良くできてるじゃない」
上条「ホントにな。裾の処理もきちんとできてるし、どこが失敗なのか俺にはわからん。ひょっとしてサイズか?」
美琴「そっ、そうよ! サイズ間違えて編んじゃったのよ! 悪い?」
上条「悪いも何も、俺手編みのセーターなんてもらうの初めてだ。あったかくていいなぁこれ。似合うか?」
美琴「……うん」
上条「御坂、ありがとな。俺の不幸指数がぐんと下がったぞ」
美琴「そ、そう。手編みのセーターくらいで下がるなんて、アンタの不幸指数はいったい何が基準なのかしらね」
上条「しまった。……これのお返しどうすりゃいいんだ」
美琴「はい?」
上条「サイズを間違ったとはいえ、御坂がこれに費やした労力を考えると……うーん」
美琴「べっ、別にセーターを編むのは初めてとかアンタのことを想いながら空き時間に編んだとかそんなことはないから気にしなくていいわよ」
上条「同じ手作り系で俺が飯を作ってやるってのも、お嬢の舌には合わないだろし、だからといって俺は編み物なんざできないしなぁ」
美琴「ねぇアンタ、人の話聞いてる?」
上条「……よし御坂。三択でお礼を用意したから好きなのを選べ。

一、上条さんが御坂の一日専用機
二、上条さんが御坂のシステムスキャンをお手伝い(本気で能力ぶちかますための的になる)
三、上条さんがゲコ太コスプレで学園都市中を練り歩く

どれがいい? 一はすでにやってるから、お勧めは二だな。常盤台の機械でも、お前がセーブしないと能力計れないらしいし」
美琴「……四、アンタが私の彼氏になる」
上条「…………え?」
美琴「なんてね。冗談よ冗談。お礼なんて特にいいわよ。出来映えが確認できただけで十分だし」
上条「いやでもさ、手編みってのは……」
美琴「美琴センセーが良いって言ってんだから、素直に受け取っときなさい、だいたい、アンタが提示したお礼の二番なんて、まともにやったらアンタ死ぬわよ? 私の超電磁砲が八連発で飛んでくるんだから、受け止めきれるとお思い?」
上条「はっ、八発!? 雷撃の槍じゃなくて?」
美琴「そっちもやるけどシステムスキャンのメインは超電磁砲を連続で何発撃てるか、よ。じゃ、私帰るわ。記念日に贈ったセーターなんだから、大切にしてよね?」
上条「ああ、うん。ありがとう、御坂……」


美琴「自分で出した四番は無理でも、せめて一番って答えればよかったなぁ。どうして素直になれないんだろう……」
上条「御坂が冗談ですませたときは決まってろくでもないことが起きる……。電撃も拳も飛んでこないことがこんなに不安だったなんて、俺はマゾだったのか? 手編みセーターもらってハッピーなはずなのに、後のことについてびくびくしなきゃいけないなんて不幸だー!」

395■■■■:2009/12/30(水) 00:18:43 ID:Hc4YolzY
>>388
さすがに他の人が投下中に投下するのはどうかと思うぞ
わかってやったならなおさら

396カミサカ ◆somJVmVTuY:2009/12/30(水) 01:25:00 ID:JVkBWGUE
SSライターの方々乙。毎回楽しく読ませてもらってます。

>>355のおまけです。
上条さんは美琴に寮まで送ってもらいました。


上条「わりぃな。わざわざ送らせちまって」
美琴「別にいいわよー。貸しって事で、また今度付き合ってもらうから」
上条「・・・。あのー、御坂さん?送るって言い出したのは、アナタの方だったんじゃ・・・」
美琴「いっ、いちいち細かい事気にしないのー。それじゃ、私帰るわね」

じゃ、と美琴が帰ろうとしたその時、二人に迫るひとつの影が。
学園都市製の清掃ロボット・・・の上に正座している、土御門舞夏だった。

舞夏「・・・あれ?上条当麻と・・・、御坂じゃないかー。こんなところで何してるんだー?」
美琴「・・・つ、土御門?アンタ、こんなところで何やってんの?」
舞夏「私はメイドさんだし、ここには兄貴も住んでるからなー。別にいてもおかしくはないぞー。
    それより二人はこんなところで一体何をやってたんだー?・・・ひょっとして、逢い引きかー?」

ぶっ!!?と上条と美琴は思わず吹き出してしまう。

美琴「あああアンタ!!いい、一体どこをどう見たら逢い引きしてるように見えんのよ!!」
舞夏「だってー御坂の寮はこっちの方じゃないだろー?わざわざ上条当麻の寮にまで来てー、
    やる事と言ったら逢い引きぐらいしかないじゃないかー」
美琴「だ、だから逢い引きじゃないっつってんでしょうが!!
    わ、私はただ、コイツが傘持ってないから仕方なくここまで送ってあげただけであって・・・ッ!!」
舞夏「なるほどー。相合い傘で帰宅というわけかー。なかなかやるなー御坂ー」

美琴の顔がみるみるうちに赤く。
それを見て意地悪そうに笑った舞夏は、更に二人を茶化す。

舞夏「これはあれだなー。一大ニュースになるなー」
美琴「な、何がよ?」
舞夏「スクープ!!常盤台の超電磁砲、高校生との熱愛が発覚!!?」

再び吹き出した美琴の顔は更に紅潮していき、必死に反論をする。
舞夏はそれを華麗に聞き流し、楽しそうに美琴をからかう。

土御門「・・・にゃー、何か外が騒がしいな・・・って舞夏と・・・カミやんと・・・誰?」
上条「つっ、土御門!?・・・ま、またややこしいのが出てきた・・・」
舞夏「おー兄貴ー。大スクープだぞー、上条当麻が寮の前で逢い引きしてたぞー」
上条「だ、だから逢い引きじゃねえって言ってんだろうが!!・・・ん?土御門・・・?」

土御門は急に打ちひしがれたように黙り込む。
そして一呼吸置いて、

土御門「・・・スクープ!!上条当麻、常盤台のお嬢様との交際が発覚!!?」
上条「・・・あっ、アホかっ!!大体、兄妹揃って同じ事言うんじゃねーっ!!」

抜け駆けはずるいぜよカミやーん!と土御門は上条に飛びかかる。
一方では、美琴が清掃ロボットに座った舞夏を追いかけているがなかなか捕まらない。


この後、それぞれの争いは数時間続いたとか続かなかったとか。

397■■■■:2009/12/30(水) 01:29:34 ID:EL3KnKFI

前略、親愛なる俺、上条当麻を見守って下さる方々へ。
―――彼女にお酒が入りました。

美琴「あのねぇ、聞いてるトーマ?」
上条「へっ?はいはい聞いてますよ!」
美琴「だからさ、黒子のやつ、いーっつも私に飛び込んできてさ。寮監に怒られてさぁー…」

はっきり言っておきますが事故です。
知り合いから貰ったワインで尤もらしく調理してみようと思い、この上条当麻はそれを持ち出しました。
興味があったのも事実、一口飲んでみようとコップに注ぎ、口にするも苦し。
俺は即座に飲むのをやめて、お茶で口を潤し直し、調理に取り掛かっただけでございます。

美琴「くわぁー…眠… ここ泊まっていい?」
上条「いや、お前寮に帰らないとバレたら…」
美琴「んなのお酒入ってる状態でぇ、バレたらアウトに決まってるでしょうがぁ〜」
上条「酒入ってるの自覚してんのかっ!つかインデックスも小萌先生のとっから帰って来るのに」
美琴「いーじゃないのぉ、私は床でも寝れるしぃ〜」
上条「おまっ、だ、抱きついてくんな!!」

結構コップに入ってしまった為、それも調理に使うかと思い台所に置いていました。
そこでやって来たのが言わずもがな、あのビリビリ少女、御坂美琴でした。
「あっつぅーい」とか言いつつ、一方通行を倒したお礼に晩ご飯を作ってくれるイベントが発生したのですが、
「あ、グレープジュース?貰うわね」と俺も止める暇なく彼女はコップのワインを一気飲み。
回らないろれつで「違うじゃない」という内容をふらふらと伝え終わると、倒れて寝込み―――

美琴「んー、トーマちょっと温かいから寝れそう…」
上条「俺からしたら酒による熱で美琴さんの方が熱く感じるんですが」
美琴「おやすみぃ〜」
上条「ちょっ、待て。寝……」
美琴「zzzzz…」
上条「る、な…ってはぁ…」

――こういう状況です。因みにちょっとしたツマミを作らされた時点で難癖がましい輩に見えてしまうのは何故でしょう。
とは言いつつも。

上条「寝てると、多少は可愛いもんだな」

俺は膝の上で小さくいびきをかきながら眠る少女の火照った顔を撫でながら笑うだけでした。
―――この後10分後くらい、身動きの取れない俺が、帰宅したインデックスに噛み付かれたのは簡略に書かせて貰う。
その間もお酒で眠った少女は全く動じず起きなかったのも追記しておこう。
その後を書くと彼女に殺されるのでそれは書かないでおく。

398■■■■:2009/12/30(水) 01:34:40 ID:EL3KnKFI
確認し忘れてた危なかった…>>396
公式に付き合えばいいんだよ、2人とも。

突発的に書いたら長くなってしまった…上条さん口調おかしいぞ、のご意見はお控えいただけると嬉しいです

399【帰省編C-1】:2009/12/30(水) 11:46:07 ID:djXowwQo
>>372続き
※ネタバレを無意識にしている可能性があります。ご容赦ください。


──元旦。
「8時ですよ、起きなさい当麻さん〜」
母親の詩菜に起こされ、上条当麻は目を覚ます。
実家の客間、しかも記憶がないものだから、まるで旅館にいるような気分だ。

「お、明けましておめでとう、当麻」
「明けましておめでとう当麻さん〜」
「おめでとうございむぁふ」
初っ端からだらしない挨拶をして席に着く。
すでにおせち料理が並べられ、お雑煮のいい香りが漂っている。

「今年もいい一年でありますように…っと。じゃあ早速いただくとするか」
「もう刀夜さんったら。ああ、取り箸はそっちの『海山』の…それでお願いしますね」
「おー、お雑煮あったまるな。うまいうまい」
のんびりとした空気の中、食事は進む。
「はい当麻さん。筑前煮よ」
「お、アレか。どれどれ…」
美味い。本当に美味い。ちょっと当麻が感動していると、
「美琴さんホント料理上手よ。これに関しては私横から口出ししてただけなんだけど」
「ふむ、常盤台中って皆にそんな教育してるのか、当麻?」
「どうだかなあ。頭が良いのは分かってるけど、教育内容までは知らねーな」
「教育というより、あの子の素質だと思うわ。すごく器用な感じがしたわぁ」
「ふーむ。美鈴さんに似てグラマラスな美人に育ちそうだし、あの子はいいぞお当麻」
余計なことを言った刀夜に詩菜の台ふきが飛んでいく。

頭も良く顔も良く料理もでき、凄まじい潜在能力を秘めたスーパーお嬢様。
あれで、短気でわがままで自分勝手ですぐビリビリするのを直せば…と、
上条は考えたところで、「あれ?」と違和感を感じる。
なんだこの違和感は?
「──ところで当麻、昨日の話だが」
刀夜の言葉で我に返る。

400【帰省編C-2】:2009/12/30(水) 11:46:38 ID:djXowwQo
「それじゃあ、今日本家に行ってくるが、伝承みたいなものを聞いてくればいいんだな?」
「ああ、ちょっとお願いしたい」
昨日、家に帰ったあと、久々の一家水入らずとあいなったが、過去の思い出話を避ける目的もあり、
上条は一気にこの数カ月の話をしゃべりまくったのだ。
流石にシスターズの話はできず、また美琴の話は向こうで何を話しているか分からないため、
最小限にとどめざるを得なかったが。
インデックスの事、戦争、神の右手関連…このまま行けば自分に何が起こるか分からず、
リスクを承知で両親に知っておいて貰いたかったのだ。

「正直、荒唐無稽と笑い飛ばしたい所だが、お前の目と、体の傷跡を見れば信じざるを得ないな」
「親としては無茶しないでと言いたいですけどね。でも当麻さんは言っても止まらないでしょうし」
「ああ、とりあえず俺は俺の領分でやってるだけだから信用してくれとしか言えない。」
「まあ、そんな無茶を経ても、お前は今目の前にいる。やりたいようにやれ」
「ありがとう、父さん、母さん」

話は上条の右手に移り、
「すべてはその右手が絡んでいるというわけだな?」
「そうなんだ。俺はこの右手の意味を知りたい。隔世遺伝なのか何だか分からないけど」
「上条家、もしくは母さんの龍神家に何かヒントがないか、ということか…うーむ」
「上条の本家には元旦、龍神家は2日に行くから、ちょっと聞いてみるわね」
「インデックス君の『神のご加護すら打ち消してるかも』という台詞、お前の不幸体質の理由に合う」
「だろ?両家に何か言い伝えのようなモノがあるのか、藁にもすがりたい気分なんだ。」

といった会話を昨日のうちに済ませていた。
ここまで来ると記憶喪失を隠しているのもどうかと思っているが、
これだけは踏ん切りがつかない。
「まあ、話して誰が幸せになるわけでなし」
上条は罪悪感を感じながらも、あえて飲み込む。

「今日はどうするの?美琴ちゃんと初詣?」
「ああ、あとで連絡とりあってその予定。昼に出かけると思う」
「あらあら、じゃあこちらが先出ることになるわね〜。戸締りよろしくね。」
「あいよ」

401【帰省編C-3】:2009/12/30(水) 11:47:14 ID:djXowwQo
「当麻くん、何て?」
「うん、今一人で家にいるって。お父さんたち親戚回りに行ったって。」
美鈴の運転する車の中で、御坂美琴は携帯をしまいながら答えた。
「コブ付きで悪いわねミ・コ・トちゃ〜ん」
「いいわよ別に!ただの初詣だし」

大晦日、夜遅くまで母娘は話しまくっていた。
照れながらも、馴れ初めから全部話した美琴はスッキリしていた。
誰かに愚痴も含め話したかったが、学園内では話すわけにいかず、悶々としていたのだ。
ただ、シスターズの件だけは美鈴が怒り狂うのは目にみえているので、
1位とのケンカを上条当麻がおさめてくれた、というマイルドな説明に留めたが。

「しかし…当麻くんはプレイボーイとは違うのは分かるけど…女の敵というか何というか」
「何でもかんでも顔突っ込んで、無理やり解決するのはいいんだけどね」
美琴はブツブツと呟く。
「助けられた方の気持ち放ったらかしだから、もうほんとに…」
(…美琴ちゃんには言えないけど、私も命助けられてるしなあ。結婚してなかったらと思うと…)
「ま、そんな彼を射止めたんだから、シャキっとしなさいな。あっはっはー」
(射止めてない、射止めてない…全部躱されてる…)
口に出しては言えず、美琴は落ち込む。

上条の実家は賃貸マンションだ。
近くまで行くと、すでに外で上条は待っていた。
「明けましておめでとうございますー」
「当麻くん、明けましておめでと〜」
「あ、明けましておめでと」
運転席の後部座席から降りてきた美琴は着物姿だった。
上条は固まる。
美琴は『ナントカ言いなさいよ』オーラを出しながら俯いている。
「に、似合ってるぞ。や、やべえ俺こんなカッコじゃ横に立てねえじゃん」
頬を赤らめた美琴は小さく「ありがと。行こ行こ」と言いながら上条を引っ張る。
「ヒューヒュー♪ じゃあ行きますかねー」

(これはヤバイ)
上条は完全に動揺していた。
普段ナチュラルメイクな美琴が着物に合わせて、美鈴の手によってだろう、バッチリメイクを決めている。
(可愛すぎてシャレならん。一緒に歩いたら俺男どもから視殺されるぞこれ)
バックミラーからは美鈴のニヤニヤした顔が写っている。
「ど〜お、感想は?美鈴様の手にかかればこんなもんよ♪」
美琴が上目遣いに上条を見つめる。
「ちょっと待って美琴!上条さんそんな目で見つめられたら…ぬおおおお」
手を顔に当て、視線から外れようと悶える上条であった。

(よっしゃー!)
美琴は上条の反応に大満足モードだった。
「ちょっとは見直した?」
「完敗です、ハイ」
「んっふふ〜、よろしい」
上条の逆襲!美琴の左肩に手を置き、顔をのぞき込む。
「!?」
「かわいいぞ、美琴」
「なっ!」 ボンッ!
顔が真っ赤になって言葉にならない。
「やるねえ、女の敵だねえ当麻くん」
「なかなかやるでしょ?いつまでも負けてられませんて」
美琴はプルプル震えていたが、最後にはプイッと表情を見せないように窓の外を眺めだした。

402【帰省編C-4】:2009/12/30(水) 11:47:44 ID:djXowwQo
目的の神社は参拝者でごったがえし、車は渋滞にはまっていた。
「んーと、どうしよっかな。」
美鈴はキョロキョロしながら呟いている。
「じゃ、あの赤い塔の下で、待ち合わせってことにしようか」
「?」
「あんたたちはココで降りて。アタシは止めるとこみつけて車置いてくるよ。」
「ああ了解。じゃあ美鈴さんよろしくです。美琴行こうか」
「う、うん」

2人は歩道の参拝ルートに乗り、人混みにまぎれてゆっくり歩きだした。
はぐれるとエライことになりそうなので、最初から手をつないでいる。
美琴は意外に平静になっており、自分でも驚いていた。
周りが家族連れやカップルが多く、自然な溶け込み方ができていたせいもあるかもしれない。
むしろ上条の方がアガっていた。
間が持たないので話しかける。
「美鈴さんとはしっかり話せたか?」
「うん、当麻のこと含めあることないこと一杯」
「…。俺の方もこの数カ月のこと話しまくったなー。記憶に触れられたくなかったし」
「! そうよ!」
「ん?」
「昨日アンタのこと説明しててヤバイと思ったのよ。そういやいつまで記憶ないか私知らない!」

「あー…」
「言いにくいとか?」
「いや、えーと。美琴とは俺の記憶では2千円札飲み込まれたときからだ。妹と会った日だな」
「え? つまり、そーなると」
美琴は考えこむ。
「ちょっと待って。アクセラレータと戦った前日じゃないのそれ?」
「そうなるな」
「アンタ初対面で会って次の日に、私を命がけで止めて、アレと命がけの戦いしたの?」
「そうなるな。お前当麻からアンタに戻ってるぞ」
「…」

美琴は凄まじい衝撃を受けていた。
何度も追いかけっこしたり、グラビトン事件などを経験した記憶がない?
その前提なしに私を助けてくれたのか。
いや、ひとまず今は。
せっかく話してくれた上条を気遣うのが先だ。
さりげなく会話を続けなければ。

403【帰省編C-5】:2009/12/30(水) 11:48:18 ID:djXowwQo
「うーん、なるほど。それまでの話ってした方がいいのかしら?私の主観になっちゃうけど」
「その主観ってのが一番こえーぞ(笑) そだな、概略でいいよ」
「私が当麻と初めて出会ったのは6月半ばくらい。不良に絡まれていた私を助けようとしたの」
「半年前か。ふーん…ん?助けようとした?」
「…あはは、不良もろとも当麻も電撃あびせて全滅狙いました。そうしたら、当麻は全然効いてないの」
「お前な。なるほど、そこでイマジンブレイカーを知ったんか」
「そういうこと。まあ美琴さんはそれまで全戦全勝だったのに、その男に勝てなくて」

話している間、上条は美琴の手を引きながら目的地へ向かって守りながら誘導している。
「で、まあ1ヶ月ほど出会っては電撃砂鉄剣レールガン諸々全力で行ったけど全部封じられ」
「…上条さん的には、その人かわいそうでしょうがないですよ」
「最後に、『本気でやっていいのか?』と言われ、足がすくんで動けず、心が折れて敗北を知ったの…」
「うーん、俺らしいといえば俺らしいハッタリだなあ」
「で、その数日後にその2千円札の話です。あとグラビトン事件を当麻が止めたってぐらいかな」
「おっけー。サンキュな。事件の方は調べたら記事あるよな?」
「うん、現場写真つきのがある。見れば明らかに当麻が止めたって分かるから。」
急に手を強く握られる。
(えっ?)と思ってると。
「ありがとな…わりいな、大事な記憶なくしちまって」
「ッ!! なんで…謝るのよ。誰も悪くないわ」
「…そうだな。よしっ、この話終わり!」
「うんっ!もうすぐ境内だね」

上条は考えていた。
美琴とは幸いにも出会ったばかりと言えるが、それでも明らかに美琴は失った時間に衝撃を受けていた。
これなら両親は?インデックスは?
やはり相当の覚悟が必要だと再認識していた。

美鈴からメールが入り、
『車は止められたが、時間かかりそうだからお祈りおみくじやっときな』
とのことで、2人は先にお祈りを済ますことにした。
上条は賽銭箱に5円玉をぽいっと投げて、お祈りをしている。
(しあわせになりたいです)
美琴は100円玉を投げる。
(こんな素敵な年末年始を迎えさせてくれてありがとうございます。そしてこれからも…)
「…なんで5円なのよ。みみっちくない?」
「いや、ご縁がありますようにと」
「コラーーーー!」

おみくじは、上条は右手で引くか左手で引くか悩んだ挙句、
右手で見事大凶を引き当てる。
「上条さんはね、分かってるんですよ。これで他のひとりの大凶が減ったと思えば。」
「…くじの棒はまた中に入れてやり直すんだから、確率かわんないわよ」

そうして、常に周りをにらみつけていた上条のおかげか、美琴に無粋な男の声もかからず、
平和な初詣の時間が過ぎていくのであった。



<応援してくださった方ありがとうございます!励みになります。SS2押さえたので次回御坂旅掛登場予定>

404■■■■:2009/12/30(水) 12:18:24 ID:kOGs3m5Y
>>403
GJ!!
乙です。続編期待大

405■■■■:2009/12/30(水) 12:47:38 ID:KlvOlzFU
>>403
乙!!
でも詩菜さんの場合、炊飯器を投げそうな気が(笑)

続いてくださいお願いします。

406■■■■:2009/12/30(水) 12:49:05 ID:RgAiJ5yQ
いいねぇ〜

407■■■■:2009/12/30(水) 13:10:24 ID:BvwQrnJo
>>403
GJ 話も面白いしにやにやが止まらん
続きwkwk

408【帰省編D-1】:2009/12/30(水) 16:01:35 ID:djXowwQo
>>403続き


1月2日。朝9:00頃。
美琴は上条には見せられないようなニヤニヤ顔になっていた。
見ているのは昨日の初詣での2ショットが収まった携帯である。
罰ゲームの時と同じく、ぎこちない表情での取り直しを何度も行ったが、
ようやく満足できるものができた。
(黒子に見られたら間違いなく当麻を殺しに行くわねコレ)

その頃、白井黒子はジャッジメント詰所に今年初出動していたのだが、
とんでもない報告を受けていた。
昨日初詣に行ったという同僚が、着物を着た御坂美琴を見かけたというのだ。
みとれるほど可愛らしく、一瞬で分かったという。
そして隣に噂のツンツン頭がおり、手をつないで仲良く回っていたという。
「コロス、ずぇっったいコロス」
黒子の周りにはどす黒い瘴気が渦巻いていた…


上条家ではおせちをつつきながら、ひとまず最後の晩餐である。
「そうか、昼一の電車で帰るのか。ゆっくりしていければいいんだがな」
「まーな、インデックスの奴が帰ってくるから。ま、この距離だしいつでも」
「昨日も言ったが、叔父さんが上条家のルーツ調べてくれるらしいから…また連絡する」
「サンキュ。今日も悪いけど龍神家のほう頼むな」
「ああ、言われてみると『龍神』となると、何か意味を含んでそうではある」
「あらあら、親族みな普通のひとだけどねぇ。誰に聞けばいいかしらねえ」

「んじゃ今日は見送りにいけないが、美鈴さんによろしくな」
「ああ。ひょっとしたら美琴のおやじさん間に合うかもだとさ。今飛行機の中らしい」
「ほう、そうか。男親はこわいぞ〜」
「オイオイ、別に結婚するわけじゃないし、挨拶すりゃいいだけだろ」
「フフン、甘いな…御坂家にとって大事な…ん?」
「何だよ」
「そのおやじさんの名前は?分かるか?」
「変わった名前だったな。たびかけさん、だったかな」
「…そうかそうかそうか。ふっふっふ」

上条刀夜は名刺を取り出し、なにやら書き込んでポイッと渡す。
「空気が悪くなったらそれを出してみろ。好転するかもしれん」
肩書きの左上に『ロンドンの企業戦士』と書かれただけだ。
「何だコレ?知り合いなのか?」
「まー世の中狭いね、ってことだな」
「わけわかんねえ」

409【帰省編D-2】:2009/12/30(水) 16:02:03 ID:djXowwQo
「準備できた美琴ちゃん?」
「うん。まー来た時と同じカッコだし。お父さん何だって?」
「アンタたちの乗る電車の1時間前ぐらいに着きそうだって」
「あー、ギリギリねえ」
「だから駅前のファミレス4人予約しといた」
「…御坂家3人に当麻1人?だ、大丈夫かしら」
「別に取って食うわけじゃないし」
「こ、恋人とか言わず、仲の良い友達紹介とか…で、いいんじゃ…ない?」

「だってもう言っちゃったわよ。美琴ちゃんが恋人連れてきたって」
「ちょっと待って!え、え、おと、おとさん動揺してなかった?」
「電話の最後で、『美琴と、その周りの世界を守る』なんていう恋人を連れてきたので紹介するね、て伝えると」
「つ、伝えると?」
「ほとんど無言で切っちゃった」
「…」
美琴は一気に青ざめた。
「ほとんど、って何かは言ったワケ?」震えながら問いかける。
「んー、『周りの世界だと?』とボソッと言ってたけど、意味わかんないよね」
「えー、えー、どうなっちゃうのよ」
美鈴も今回は展開が読めないようだった。


迎えに来た車に乗り、経緯を聞いた上条は、
「…先帰っちゃダメ?」
「…まあ気持ちは分かるけど。ここで逃げたら一生当麻は…」
「ですよねー…」
「まー大丈夫大丈夫。ウチのダンナはワイルドだけど頭悪くないから話せばきっと」
「美鈴さん、いつもはバックミラーからニヤニヤした顔見せてますが、今視線外してますよね?」
「まー大丈夫大丈夫…」

ファミレスの中は昼前ということもあり、予約は正解といった感じの混み方だった。
旅掛登場予定時間まであと10分ほどとなり、上条はトイレに逃げている。
「うーん、申し訳ないわねえ」
「そーよ、別に、け、結婚とかならまだしも」
「あの人はこういう事で怒る人じゃないはずなんだけどなあ。うーん」
「や、やっぱり複雑なのかしら」
上条が戻ってくる。結構サッパリとした表情になっている。
(ん?)美琴は上条の中に据わったモノを感じ取った。
「んと…大丈夫?」
「ああ、ここ最近根性出さなきゃやってられん事多かったし。大丈夫、切り替えた。」
美鈴は首をすくめた。(これはもう天性の女たらしね。美琴ちゃん落ちちゃった)
美琴は撃沈されていた。

そこに、御坂旅掛が現れた。

410【帰省編D-3】:2009/12/30(水) 16:02:30 ID:djXowwQo
まっすぐテーブルに向かってきた旅掛は、上条を一瞥し、
「ただいま、そして初めまして」と落ち着いた声で挨拶した。
「おかえりなさい」
「お父さん、おかえり」
上条は立ち上がり、
「初めまして。上条当麻と申します。」
「旅掛だ。よろしく」
美鈴が荷物をどかし、旅掛のスペースを作ろうとするが、旅掛はそれを制し、
「上条くん。悪いが外で話をさせてもらっていいかな。ちょっとここでは。」
「…はい、分かりました」
この展開に美琴が青ざめる。
「え、お、お父さん…」
美鈴も流石に腰を浮かすが、深呼吸して、「じゃあ待ってるわね」と答える。

2人は駐車場の奥へ向かっていくようだ。
「ど、どうしよう、どうしよう」
美琴は泣きそうな顔で美鈴に訴えるが、美鈴もどうしようもない。
「とりあえずドリンクのんで落ち着きましょう。きっと大丈夫」

上条は腹は据わっていた。
最悪殴られても、こっちは殴られ慣れているし、一人娘を思う気持ちには逆らえない。
「上条くん」
「はい」
「私にウソをつかないと誓えるかね」
上条は即答した。
「はい。」

「君の言う『美琴とその周辺の世界』だが。その『周辺』とは」
あまりに想定外の切り出しに上条は戸惑う。
「世界50ヵ所以上で目撃された美琴そっくりな少女達、を含んでいるとみなして良いか?」
「!」(なぜシスターズを知っている!)
「答えろ!上条くん!みなして良いかと聞いているんだ!イエスorノーしか求めていない!」
(くっ・・・)
「無言か、なるほど。つまりは存在を知っているわけだな。」
(くそっ、どう答えれば良いんだ。父親にあんなこと全部説明するのか?)

「ちなみに今、私が君をどう思ってるかわかるか?」
「…」
「美琴を色恋に溺れさせ、妻をも騙し、思いの通りにする学園都市の犬、さ」
「違う!絶対に違う!」
「まあ普通はそう言うだろうなあ。潔白を示したいなら全て話せ!」
「分かった!…分かったがそんな脅しによって話すのは気に入らねえ」
「ほう。じゃあ教えてくれと土下座する父親でもやろうか?」

ある程度話す覚悟はできたが、やり方が気に入らない。
次の一手を思案し…そうか、これが空気を変える一手かと、名刺を差し出す。
旅掛は訝しげな表情でそれを受け取る。

411【帰省編D-4】:2009/12/30(水) 16:02:58 ID:djXowwQo
御坂旅掛は名刺を見た瞬間、
「参った。俺が悪かった。バカな父親が血迷ったと思って許してくれ」
「えっ!」
あまりの変わり様に流石に上条も引き気味である。
「あの男の息子か。今のところ、俺に『コイツには勝てんかもしれん』と思わせたのはお前の父親だけだ」
「はあ?」
「まあそちらの話は今はいい。それよりも頼む。知ってることを教えてくれ。」

話しやすい空気にはなったが、それでも上条はためらう。
「頼む。学園都市はその少女達を使って何か企んでいる。間違いない。」
「なに…」
「50ヵ所以上と先刻言ったろう。俺が知っている情報はな、軍事利用されたという情報なんだよ!美琴の顔でな!」
「なんだって!あいつらはメンテナンスのために散らばったと…」
「知ってるんだな。頼む。」

「それは…『シスターズ』と呼ばれる御坂美琴のDNAマップを採取して作られたクローンです」
「やはり…そうか…」旅掛は唸る。
「俺が知る限り、作られた数は20000体。うち、10031体はある実験のため、殺されました…」
「10032回目の実験を俺が邪魔をし、実験は中断…終了したとは聞いています。」
「残った9000体以上のシスターズは、各地に散らばってメンテナンスを行い、寿命を調整するらしいです」
「つまり何か、50ヵ所どころではないのか!」
上条も気づいた。最悪の想像をすれば、学園都市は各地に軍事拠点を作ったことになる。
「くそっ、呪われた奴らめ!…それで…美琴本人はクローンの事を…?」

「はい、知っています。彼女の苦悩は凄まじいものでしたが、今は克服している…はずです」
「なんという試練をあの子に…それなのにああやって真っ直ぐ…くそっ!」
「…」
「…これ以上は心配させてしまうな。分かった。俺は君を全面的に信用する。戻ろう」
「いいんですか?俺はスパイかもしれませんよ?」
「これでも人を見る目はあるんでな。そういう仕事してるんでね。美鈴を通せば君と連絡取れるか?」
「ええ、大丈夫です」

2人は無言で戻り、席につく。
とりあえず殴り合ったとかではないようだが、じゃあなんで無言なのかと美鈴は眉をひそめる。
美琴は不安そうに2人を見比べる。
上条は(まあ旅掛さんが何か言うだろう)とお冷をぐいっと飲む。
「…そうだな」
旅掛は目を瞑ってつぶやいた。美琴は悪い想像ばかりしているような顔をしている。
「お前たち、直ちにキスしなさい。そうしたら認めてやる」

上条は思いっきり水を吹き出した。



<ちょっとネタバレきつすぎかもしれませんスミマセン。次帰りの電車となってラスト予定〜。年内にがんばります>

412■■■■:2009/12/30(水) 16:33:48 ID:kMm7BYDw
乙!!だめだニヤニヤがとまらないwww

413■■■■:2009/12/30(水) 16:40:19 ID:Hc4YolzY
411
GJ!だいぶ風呂敷ひろげてるが大丈夫かw

414■■■■:2009/12/30(水) 16:42:54 ID:BvwQrnJo
>>411
GJです 大きな話になってきたw

415■■■■:2009/12/30(水) 16:50:54 ID:rohlq72.
そもそもここって原作既読者ばっかじゃね?

416■■■■:2009/12/30(水) 17:02:03 ID:KlvOlzFU
>>415
実は意外にまとめて買った人はSSを持っていないことがある。らしい。
ともかくGJ!!

この後どうなるのか気になります。
続き待ってます。

417■■■■:2009/12/30(水) 17:48:18 ID:gMn4dyAg
ってか みんなうますぎねぇ?
普通二期創作って素人が作ってふーんで終わる程度なのに…
レベルが違うな

感想としては 最高です!!!
なんかもうニヤケてしまいます(帰省編を作っている人は特に)

418■■■■:2009/12/30(水) 17:53:02 ID:CwMzkX5o
書き手さん全員に心からのGJを送りたい
自分も何かしたいけど、文章はなかなか難しいね…

419■■■■:2009/12/30(水) 18:03:56 ID:rohlq72.
いちゃSSスレで文章力なんて気にしちゃ負けな気がする!
妄想しまくって、それをどうにか伝えるんだレッツトライ

420■■■■:2009/12/30(水) 18:06:25 ID:G0IgdqNw
激しく同意ww>>419
そろそろ俺も投下すっか…

421■■■■:2009/12/30(水) 18:16:47 ID:ltvd24m6
必要なのは想像力じゃなくて妄想力
実際初心者でも書いているうちになれる

422■■■■:2009/12/30(水) 19:11:43 ID:sDTBx0C.
職人さんがキターキターキター

423■■■■:2009/12/30(水) 19:16:18 ID:rohlq72.
∧_∧
( ´・ω・)  疲れた
( つ旦O  文章力はともかく速さと集中力は欲しいよね
と_)_)  今夜中に頑張って完成させたい

424【帰省編E-1】:2009/12/30(水) 20:14:25 ID:djXowwQo
>>411続き


「ぶはぁ〜、激動の3日間だった!」
帰りの電車もボックスシート仕様で、まだ昼間のせいか、
荷物も人間も隣同士に座ることができた。
「行く前はこんな展開考えもしなかったわねえ…」
顔を見合わせて苦笑する。

ファミレスでの滞在時間は短かったが、
御坂旅掛が当麻の父、上条刀夜とどう知り合ったかといった話で盛り上げ、
「ん?美琴のどこが一番気に入ってるんだ?ん?」と上条当麻の弱い点をつつきまくり、
ファミレスを出た途端に2人の首を両腕でホールドし、無理やりキスさせようとする始末で、
父親なりの娘とスキンシップをとろうとしていたようだった。
美琴も色々ムクれながらも最後には抱き合って別れを惜しんでいた。

(しかしまさかここでシスターズか・・・)
御坂妹たちは重篤状態はクリアし、現在は元気に動き回っている。
ということはもうメンテナンスは最小限でいいはずだ。
魔術との戦いがようやく落ち着きだしたのに、
今度は学園都市内部と何かあるかもしれない。
(やれやれだな。一度御坂妹と話してみっかな)

考え事からふと我に返ると、視線を感じ横を見ると、
美琴がじっと見つめている。
「ん、なんでもない」
目を逸らしたが、何だか寂しそうに見える。
「あー、そうだ言い忘れてた。筑前煮美味かったぞ。全部食っちまったぜ」
「えっホント。えへへ〜、次作る機会あるかなあ〜」
ぱっと表情が明るくなり、喜んでいる。
…きた、デジャヴ!なんだ、この数日間の既視感、違和感は!?


そうか。
『頭も良く顔も良く料理もでき、凄まじい潜在能力を秘めたスーパーお嬢様。
あれで、短気でわがままで自分勝手ですぐビリビリするのを直せば』

短気でもなく、素直でわがままいわず、自分勝手どころか気を使いまくり、
…3日間電撃一度も使ってないんじゃないかコイツ!?
さっきのだって、「フン、煽てたってムダよ」とか変な返しをせずに、素直に喜んでる!
これか、なんか調子狂ってたのは!

425【帰省編E-2】:2009/12/30(水) 20:14:52 ID:djXowwQo
「あの、美琴さん?」
「あによ、改まって」
「今…例えば電撃出せないように封じられてる、とか、ないよね?」
「ん?別に」
親指と人差指の間にビチッと軽く電気を走らせる。
「ね?あ、でもなんか久々に使って新鮮な気分だわ」
美琴は連続して、ビビッビビッと試し撃ちしている。

(この状態は気持ち悪い!芽は潰しておこう!)
「あの、怒らないで聞いてくれます?」
「だから何よー。さっきから変。」
「この3日間、全然電気使わなかったり、えーと、ええい言ってしまえ」
上条は一息に口に出す。
「短気でわがままで自分勝手ですぐビリビリしてた美琴さんはどこに行ってしまったのでせうか?」

(3日分、来るか?)上条は目を瞑る。
「ん〜〜〜〜」
反撃がこない。なにやら唸っている。
「ま、否定できませんけどね。でもね当麻」
「は、はい」
「それらの行為はね」
少し間があく。
「えっと、『アンタ』にしか見せない姿なのよ」
「はい?」
「その行為は他の人には出してないの。黒子にさえ」
「あー…」
「そりゃ黒子の変態的行為には怒ったりするわよ。でもそれは短気とは違うでしょ」
「まーな」

「だから、まあ、その」
「振り向いてくれない人へのアピールというか、何と言うか」
真っ赤になりながらも、言葉を紡ぐ。
「『アンタ』から『当麻』に呼び方が変わって」
「最初から振り向いてくれてるなら、短気でわがままで〜なんてやる必要ないの。電撃もいらない」

426【帰省編E-3】:2009/12/30(水) 20:15:20 ID:djXowwQo
流石の鈍感大王も、これは事実上の告白だと気づく。
というより、今更である。

「この3日間ね。ホントに楽しくて、幸せで。」
「これがあと1時間で、いやもう今にも終わるかも、なんだなあって。」
「でもまあ、たまにあるからいいんであって」
「ずっと続くと、ダメになっちゃうのかしらねえ」
夢見心地のように呟いている。
突然、ガバッと体勢を変え、上条をにらみつける。

「え?」
「電車つくまではこのままでいさせて!着いたら学園都市美琴ちゃんに変身するから!」
「あ、ああ…」
美琴は上条の左腕をガシッと取り、しがみつくような体勢に変わった。
…心なしか震えているような気がする。

「は〜、なっさけねえなあ。傷つくのを恐れてるのは、俺のほうか。」
上条はつぶやく。
「美琴、そのまま掴まっててくれ。きっちり話す。」
「傷つくかもしれんが、生殺しよりは、な」
美琴は頷く。

「大きく3つの理由があり、1つは美琴が中学生だからだ。」
「俺が幼稚園児・小学生に手を出したら、おかしいよな?変態だよ。」
「じゃあ中学生は?これが俺の中ではアウトなんだ。セーフの奴もいるだろうが」
「だから単純に、恋愛対象として見れねえんだ。」
「言い訳に過ぎないけど、お前の思いに気づかなかったのは、このフィルターのせいもあったと思う。」

「でもな」
「ま、これはお互いさえ納得し、…なんなら2年待てばいいじゃんという程度には軟化してる。」
「だからまあこっちの理由は、『今までの理由』とみなしてくれていい」

「問題はつぎの理由」
上条は唾を飲み込む。
「俺は…インデックスと一緒に住んでいる」

美琴が硬化した。

427【帰省編E-4】:2009/12/30(水) 20:15:48 ID:djXowwQo
一気に話すしか無い。美琴の顔を正視できなかった。
「ちょうどお前なら話せるが、俺は知っての通り、記憶喪失だ」
「俺の記憶は7月28日からしかない。目覚めたとき、医者…ああ、美琴もおなじみの先生だ」
「その先生が去ったあと、次に現れたのが、インデックスだ」
「インデックスは『とうまは、わたしを助けてくれたんだよ』と言っていた」
「つまり、俺はインデックスを助け、何があったか分からないが記憶を失った。」
「先生曰く、脳細胞が破壊されているらしい。復旧するにも焼き切れたような状態、だと」
美琴が腕を強く握りなおしているのが感じ取れた。

上条は右手でペットボトルから水を補給した。
「インデックスを助けるために、一緒に手伝った奴が、先生に倒れた経緯や背景を教えていたので」
「俺はその知識だけ頭に入れ、初期設定とし、学生寮に戻った。」
「記憶が無いんだから、何がどこにあるかがわからず悪戦苦闘してるところにインデックスが来たが」
「うまく話をあわせながら、記憶喪失がばれないようにしていたがどう見てもインデックスは帰ろうとしない。」
「というか、泊まって当然の気配が濃厚で、ひょっとして同棲してたのか?と俺は思い始めた」

「ところが、ベッドはあたし使うけどとうまはどこで寝るの?というおかしな状況になってだな」
「過程はともかく、現在、俺は毎日バスルームで鍵をかけて眠り、インデックスはベッドで普通に寝てる」
「つまり家の主人である俺がバスルーム・居候のインデックスがベッドという、同棲というよりただの同居。」
「これを半年続けている。もし…記憶喪失前の俺とインデックスがそれなりの関係だったら」
「もうちょっとインデックスはアプローチしてくると思うが、今のところ皆無。つまり何も無かったんでないかと」

「さて、関係の話は一旦横におき、問題は俺の記憶喪失をインデックスだけには知られちゃいけないってことだ」
「もし自分のせいで記憶を失ったと知ったら?アイツは一生自分を許さず、俺に尽くそうとするだろう。」
「それは絶対にだめだ。俺がなぜ記憶を失ったかわからないが、そんな代償のために助けたんじゃ意味がない。」
「そして、どうやらインデックスを助けるために俺の右手が破壊したもの、それはインデックスを保護すると同時に」
「悪意のプログラムが仕込まれたモノだったらしく、悪意は消えたが保護も消えた。」
「そのため、俺はイギリス清教から保護者を命じられ、壊した保護の代わりを務めている。」
「だからインデックスが海外に呼ばれると、俺も付いていかざるをえない。これが俺の海外行きの理由だ」

「ふう」
「一気に説明したがついてきてるか?」

「次」
「へ?」
「3つめの理由は?」

「これは相当可能性低いけど、記憶喪失前にもし恋人がいt」
「却下。いないでしょそんなの」
美琴がむくりと体を起こした。

428【帰省編E-5】:2009/12/30(水) 20:16:15 ID:djXowwQo
「あーもう何て言うか」
「あの、美琴さん?」
「ンな事ならもっと前から教えてよド馬鹿!」
電車の中だというのに上条は思いっきり怒鳴られる。
「ほんとやきもきしてた、この数カ月を返せって感じよねホント…」
「…ううう」

「うん、あのシスターのことはモヤモヤしてたけど、分かった。同居は気にくわないけど」
そういって、美琴は居住まいを正し、両手を膝の上におき、礼をした。
「これにて恋人ごっこ終了!」
「え?」
…寂しい気がするのは、俺はやはりあの状態を気に入ってたということか。

「で、、、」
美琴が上条の胸に飛び込んできた!
「ちょちょちょ、美琴さん、ななな?」
「じゃああと1年ちょい、名前で呼び合う友達モードでいかが?腕組みも有り。」
顔は見えないが首筋は真っ赤だ。
「御坂美琴の正式なお願いです。断るなら突き放して。OKなら抱きしめて。」
「ちょーっと待ってー」
「待たないわよ。あたしが高校生になるまで限定。さあどうするの?と・う・ま?」

この3日間で事実上骨抜きにされ、まずは友達からと敷居を下げられ…

上条当麻はしっかりと御坂美琴を抱きしめた。



もうすぐ到着と、アナウンスが告げる。
「ああ、インデックスに齧られるのが気が重い」
「あたしも黒子がしばらくしつこいだろうなあ…」
といいつつ、表情は柔らかい。
「学園都市内ではどうする?」
「当麻ってそんなベタベタ好きじゃないでしょ?中学生と噂立てられたくないでしょうし」
「名前で呼び合ってちゃ誤魔化せん」
「あはは」
他愛もない話をしている間に、電車は到着し、学園都市に改めて踏み入れる。

ウイルスチェックなどを行い、上条は20分ほどで改札を出られたが、
美琴は30分ほどかかり、ゲンナリして出てきた。
「あーもう、いつもこれだけは憂鬱」
といいつつ、上条の左腕に腕を絡める。
「お、おい。もう中だぜ」
「ちょっとだけちょっとだけ♪」


「お ね え さ ま」

「く、黒子?」
美琴が言うと同時に、上条はまわりをみわたす。
2人組の制服の違う女生徒がいたと思った瞬間、片方が消えた。
「そう、何度も」
上条は腕を抜き、右斜め後ろにバックステップする。
そこへドロップキック体勢の黒子が現れたが、上条はすでにいない。
「へ?」
「食らうか〜!」
空を切って落ちてきた黒子の胴を腕で捕らえる。
「くっ!なにしますのこの類人猿!」
右腕で捕らえられたため、再テレポートもできず、暴れている。

「んじゃ、美琴、パース。んじゃな!」
黒子を押し付けると上条は走り去る。
いい面の皮にされた黒子が猛り狂う横で、
「当麻〜、まったね〜」
手を振る御坂美琴は、夕日に映えて美しく輝いていた。


そして、初春飾利は今のわずか1分の出来事を、佐天涙子宛にせっせとメールを打ち込んでいるのであった…



fin.

<オチ弱いですがSS初めてでしたのでご容赦のほど。応援ありがとでした〜〜>

429■■■■:2009/12/30(水) 20:26:11 ID:Hc4YolzY
>>428
超乙!また書いてくれ〜

430■■■■:2009/12/30(水) 20:27:37 ID:KlvOlzFU
GJ!!
ご貴殿の次回作に期待しています!!

431■■■■:2009/12/30(水) 20:29:51 ID:l.pOqyWA
とりあえず最高でしたありがとう

432■■■■:2009/12/30(水) 20:37:47 ID:KlvOlzFU
最近の神的な物語をまとめwikiにてまとめることを提案する。

ミックス状態で見つけにくいから。

433■■■■:2009/12/30(水) 20:41:33 ID:BvwQrnJo
グレート乙でした!

434■■■■:2009/12/30(水) 20:50:09 ID:kMm7BYDw
超乙!キスを期待していたが最後までニヤニヤできた

435■■■■:2009/12/30(水) 21:11:31 ID:gMn4dyAg
GREAT!
この一週間程度でしたが随分と楽しませてくれてありがとうございました。
次の作品を首を長くして待っています。
本当にありがとうございました。

436■■■■:2009/12/30(水) 21:11:51 ID:ltvd24m6
>>337-341
>>369-372
>>399-403
>>408-411
>>424-428

437■■■■:2009/12/30(水) 21:13:02 ID:rohlq72.
約1000行
マジお疲れ様です

438■■■■:2009/12/30(水) 21:19:59 ID:sDTBx0C.
おつかれさまでした!

439■■■■:2009/12/30(水) 21:22:32 ID:CwMzkX5o
完結乙!最初から読み直して、改めて2828がとまりません。
次回作とか、期待してもいいのだろうか…
今更ながら家族同士に面識があるっていいね。

>>419
ありがとう、この秘めたる妄想を解き放つべく頑張ってみようと思うw

440■■■■:2009/12/30(水) 21:32:45 ID:sDTBx0C.
長いの一本書けたけど、いちゃいちゃじゃないけど
割り込みしてないかのぅ。
大丈夫そうなら投下する。

441■■■■:2009/12/30(水) 21:38:52 ID:hLncmsXY
>>428
乙&GJでした!!

そして楽しい時間をありがとう!!

442■■■■:2009/12/30(水) 21:44:32 ID:EL3KnKFI
おお、気付いたら帰省編終わってるじゃないか、乙です!

443■■■■:2009/12/30(水) 22:27:25 ID:hLncmsXY
>>440
宜しくお願いします!

444パラレルライン 1/21:2009/12/30(水) 22:28:35 ID:sDTBx0C.
とりあえず割り込んでなさそうなので投下。

 茶色の髪をなびかせる常盤台の中学生は、自分を呼ぶ声に振り向いた。
 そこには、自分に向かって手を振っているツンツン頭の少年がいた。


「おーい、御坂ー!」
「……ああ、アンタか。私忙しいんだけど、何?」

 声をかけられたのはレベル5にして学園都市第三位、『常盤台中学のエース』こと御坂美琴だった。彼女は、とある事件で上条に助けられて以来、何かと上条を意識するようになり、ついには上条に対して恋愛感情を抱いていることを認識したのだが、彼女の口から出たのはそんな想いとは裏腹の、きわめて不機嫌そうに聞こえる台詞だった。

(! ……こんな事言うつもりじゃなかったのに……ッ!)

 美琴は唇を噛む。
 美琴は上条の前では素直になれず、ついついぶっきらぼうな返事をしてしては自己嫌悪に陥るというパターンを繰り返していた。もう少し素直になれれば上条との距離も縮まりそうなものだが、今までのつきあいがつきあいだけに、なかなか態度を変えられない。今日だって、冬休みに入ってお互いが顔を会わせる機会がなくなってしまったので、我慢できずに上条を探しに寮の外へ出たというのに。

「ああ、悪りぃ。五分で良いから、俺に付き合ってくんない?」

 上条は美琴の言葉を受け流し、両手を合わせて美琴を拝むポーズを作る。

「五分ね、まあいいわ。それで私に何か用?」
「そこのスーパーで、抽選会やってるんだよ。歳末福引きの」

 上条はポケットから抽選券を五枚引っ張り出した。

「どうせ俺が引いても外れしか来ないから、俺の代わりに引いて欲しいんだ。当たったら山分けって事でどうだ?」
「ふ、ふーん。まぁいいわそれくらいなら」

 美琴はきわめて興味なさそうに、上条の話を聞く。上条が美琴より先に相手の姿を見つけて声をかけてきただけでも僥倖というのに、どうしても上条の前では、美琴は素直な態度が取れない。美琴の懊悩は続く。

 上条に誘われて抽選会会場に着くと、そこにあったのは手回し式の抽選器だった。

445パラレルライン 2/21:2009/12/30(水) 22:29:27 ID:sDTBx0C.
(あちゃー、こんなアナログだと私の能力の出る場はないわねぇ)

 美琴は上条を振り返る。

「私がアンタの代わりに引くのは良いけど、外れても文句言わないでよね?」
「言わないって。そもそも俺が引いたって外れ確定なんだからさ」

 美琴と上条が列に並ぶと、程なく順番が回ってきた。上条は抽選券を係員に渡すと、『この子が回しますから』と美琴を指さした。
 美琴はおもむろにハンドルをぐっと握り。

 周囲がびっくりするくらいの速さで抽選器を回した。

「ちょ、おま、待て御坂そのスピードじゃ速す……」

 グリングリンと抽選器を回す美琴のスピードに、上条が血相を変える。
 一個、二個、三個、四個と白玉が続けて抽選器から打ち出され、五回転目で黄色の玉がコロンとこぼれ落ちた。

「お、何か当たったぞ御坂」
「そ、そうみたいね。よかったじゃない」
「お客さん、おめでとうございます! 三等のスケートリンクペアチケットが当選しました! いやー良かったねお嬢さん、これで後ろの彼氏とデートに行っておいでよ」

 にこにこ顔で係員が「ペアチケット」と書かれた封筒を美琴に手渡した。

「かっ、かっ、彼氏!?」

 封筒を受け取った美琴の声が裏返る。

「あれ? 違うの? じゃあ顔が似てないけどお兄さんかい? ともかく当選おめでとうございます」

 係員はにこやかな顔を崩さず、上条に『早くその子を連れて行け』と目で促す。上条が振り返ると、そこには順番待ちの客が幾人か並んでいた。美琴は上条に引っ張られるように、列の外へ抜け出した。

「いやー、あそこのくじってちゃんと当たり入ってたんだな。三等とはいえ引き当てるなんて、御坂は幸運の女神様様だ」
「……………彼氏」

 美琴は呆然としたまま、手元の封筒を見つめる。

「んー、それにしてもペアチケットか。山分けってわけにはいかないから……そうだ御坂、それお前にやるよ」
「…………え?」

 『彼氏』という単語のリフレインに意識を奪われていた美琴は、自分がチケットの封筒を握りしめていたことに気がついた。

「いや、忙しいお前に付き合わせちゃったしさ、そのお礼って事で受け取ってくれ。それ、友達とでも行ってこいよ。俺は当たりくじを見られただけで十分だから」
「…………は?」

 上条はにこにこ顔である。当たりを引けたことがよほどうれしかったらしい。

「…………どうしてそこで『一緒に行こう』って台詞が出ないのかしらねアンタは」

 善意一〇〇%の上条の笑顔が、美琴の胸にチクリと刺さった。いらだつ自分を抑えるために、美琴はため息を一つつく。

「ともかく、このチケットはもらって良いのね?」
「ああ。忙しいところ手間取らせちゃって悪かったな」
「じゃあ、行くわよ」
「どこに?」
「私と、アンタで、スケートに」
「へ?」

446パラレルライン 3/21:2009/12/30(水) 22:30:45 ID:sDTBx0C.
 美琴から宣告を受け、上条の顔色がみるみる青ざめる。上条の表情を見て、美琴のイライラが募っていく。どうしてうまくいかないんだろう、どうしてこうなっちゃうんだろうと思いながら、口から出る言葉は美琴の思いと逆の響きを帯びる。

「何よ。私と一緒に行くのがそんなにイヤなの?」
「そうじゃねぇ。そうじゃなくて……」

 上条は顔の前で両手を振る。

「笑うなよ。……俺、スケートできないんだ」

 美琴は拍子抜けした。今時スケートができなくたって、誰も笑うものはいない。

「じゃあ私が教えてあげる。笑いものになるのがイヤなら、ちょうど良い機会だから覚えなさい」

 所在なげに視線をさまよわせる上条を見て、美琴の世話焼きスキルが発動した。

「わ、わかった。それじゃ、いつ行く?」
「明日」
「明日!?」

 ずいぶん急だなおいと言う上条の言葉を聞き流し、美琴は話を続ける。

「そうね、明日の一三時、第六学区のスケートリンク前に集合。アンタの学校も冬休みに入ってるだろうから、その時間なら来れるでしょ?」
「あ、ああ。大丈夫だけど」
「じゃ、明日ね。遅刻するんじゃないわよ」

 美琴は上条に背を向けてその場を立ち去った。

「……あれ? 御坂の奴、忙しいって言ってたけど今来た道を戻っていったぞ? どこ行くんだ?」

 ――上条に小さな疑問を残して。

447パラレルライン 4/21:2009/12/30(水) 22:31:35 ID:sDTBx0C.
 ……誘ってしまった。
 なりゆきとはいえ、行きがかり上とはいえ。

「さ、誘っちゃった……」

 美琴の顔が徐々に赤くなる。

「い、いやこれはスケートができないアイツのために、美琴さんが手ほどきしてあげるだけであって!」

 デートじゃないデートじゃないと美琴は握り拳を作って否定するが、誰もそんな言い訳は聞いていない。とはいえ、美琴も人にスケートを教えるのはこれが初めてだったりする。

「寮に帰ったらコーチングマニュアルでも調べておくか。んーと、スケートで、アイツは全く滑れないから手を……!?」

 美琴が上条と手をつないで滑る場面が頭の中で精密に描写され、次の瞬間美琴の額の前でパチッと青白い火花が飛んだ。能力が軽く暴走を起こしたらしい。

「うわっ! とと、最近ずっとこうなのよね……」

 上条のことを思い浮かべると、何故か美琴の能力は暴走を始める。以前などは気を抜いたとたん派手に電撃を飛ばしてしまい、たまたま隣にいた上条を驚かせたことがあった。
「コーチングマニュアルのほかに、メンタルトレーニングマニュアルも借りてきた方が良いかなぁ……」

 寮備え付けの図書室に、そんな蔵書があったかなと考えつつ、美琴は翌日の算段を立てることにした。

448パラレルライン 5/21:2009/12/30(水) 22:32:36 ID:sDTBx0C.
「おーす御坂。お前が待ち合わせに遅れるなんて珍しいなぁ」
「ちょ、ちょっといろいろあってね……」

 翌日。
 時刻は一三時〇八分。
 待ち合わせ場所に到着した美琴は、肩で息を切らしていた。

「いろいろ?」
「…………うん、いろいろ」

 美琴が珍しく私服で出かけるのを見とがめた黒子が『どこへ行くんですのお姉様?』と追求し、あまつさえついてこようとしたのだ。振り切っても振り切っても黒子の追跡が続くので、やむなく電撃で気絶させたら待ち合わせの時間に遅れそうになったので走ってきた、というのが美琴の『いろいろ』の理由だが、あえてそこは上条には話さなかった。

「あと少し経っても来なかったら電話しようと思ってたんだ。事故とかに巻き込まれたんじゃないよな?」
「うん。遅れてゴメン」
「いいさ。いつもは俺が遅れてるし。それじゃ行こうぜ」

 上条はスケートリンクを指さした。

449パラレルライン 6/21:2009/12/30(水) 22:33:35 ID:sDTBx0C.
 貸しスケート靴を借りて履き替え、美琴はリンクに降りた。振り返ると上条は壁にぴったりと張り付き、そこから微動だにしない。

「アンタ、本当に滑れなかったのね」
「嘘言ってどうすんだよ!」

 美琴は上条のそばへスーッと滑ると、壁に張り付いた上条の手を一つずつ剥がしていく。

「そこで壁とお友達になってても滑れるようにはならないから、まずは私の肩に手を置いて」
「こ、こうか?」

 こわばった表情で、上条が美琴の肩に手を添える。上条の腰は引け、どう見ても転ぶ三秒前の状態だ。

「そんなに腰が引けてると、転ぶつもりがなくても転ぶわよ。いい? まずは基本姿勢。かかとをつけて、つま先を九〇度に開いて背筋を伸ばして」
「こ、こうか?」

 引きつった顔のまま、上条が美琴の指示通りに姿勢を整える。

「そうそう。次に、その足の角度を保ったまま一歩ずつ歩く。右、左、右、左」
「みぎ、ひだり、みぎ、ひだり……」

 美琴につかまったまま、ペンギンのように上条が氷の上を歩く。

「うまいうまい。じゃあ次は滑り出し。右足で氷の面に向かってエッジを立てるように踏ん張って、左足を今開いた角度のままゆっくり滑らせて。ゆっくり、ほんの少しで良いから」
「う。右足を踏ん張って、左足を滑らせる……」

 上条の左足がほんの少しだけ前方に滑る。

「そうそう。そこで今度は左足を真下に押しつけるように踏ん張って、右足をさっきの左足のように滑らせて」
「こ、こうか」

 ぎこちなく上条の右足が滑る。

「で、今の動きを繰り返す。左足、右足、左足、右足……そうそう、うまいじゃない」
「ひ、ひだりあし、みぎあし、ひだりあし、みぎあし……」

 美琴に誘導されて、上条の足がそれっぽく滑り始める。

「アンタ、そこで足元ばかり見てたら人にぶつかるわよ? ほら顔を上げて」
「あ、ああ…………」

 美琴の指示で緊張した面持ちの上条が顔を上げ、真正面にいる美琴と目が合った。

450パラレルライン 7/21:2009/12/30(水) 22:34:24 ID:sDTBx0C.
「…………ちょ、ちょっと、私の顔を凝視するんじゃなくて、私の肩越しに前を見なさい! 私の顔見てどうすんのよ!」

 美琴は瞬時に上条から視線をそらすが、顔はゆでだこのように真っ赤になっている。しかし上条は、美琴の動揺に気づかない。

「ま、前だな。よし。次は?」
「つっ、つぎは、私の肩から手を離して」
「まっ、待て! 今手を離したら俺は転ぶ転ぶ間違いなく転ぶからやめてくれ!」
「落ち着きなさい! ほ、ほら、手を引いてあげるから」

 美琴はおそるおそる上条の手を取った。

「これなら怖くないでしょ?」

 上条に負けず劣らずのこわばった顔で、美琴が微笑む。

「て、手を離すなよ? まだ離すなよ?」
「自転車の練習じゃあるまいし、大丈夫よ。頼まれても離さないから」
「そ、そうか」
「次は、さっきの滑りを少し長くするわよ。最初に教えた『つま先を開いた姿勢』を作って」
「で、できたぞ」
「今度は、右足を踏ん張って、左足で滑り始めたら、右足を離して。勢いが止まるまで、そのまま左足で滑る。ほら、やってみなさい」
「お、おう。滑り始めたら、勢いが止まるまでそのまま……」
「で、勢いが止まったら、左足を踏み込んで、右足を降ろす。降ろした右足は最初と同じ角度を向けて、今度は左足で踏み込んで、右足で滑る」
「左足を踏み込んで、右足で滑って、左足を離す……」
「ほらそこで下を向かない」
「あ、ああ。左足で滑って止まったら右足で滑って、右足で止まったら左足で滑る……」
「そうそう、できてるじゃない」

 美琴の言葉に、ようやく上条が表情を崩した。

「スケーティングの基本はそれ。後は、エッジに乗っかって滑る時間が長くなるだけよ」
「か、簡単に言うけど転びそうで怖い……」
「だからこうして手を引いてあげてるでしょ」
「な、なぁ御坂。後ろ向きのまま滑ってるのに、何でお前は人にぶつからないんだ?」
「ああ、それは私の体から出る電磁波の応用。背後にいる人の動きが見えなくてもわかるのよ」
「お前の能力ってホントに便利だな……」

 上条が改めて感心する。こんなの大したことないわよ、と美琴が返す。
 上条とつないだ手を意識するだけで、美琴は能力が暴走しそうになるが、皮肉にもそのつないだ手のおかげで暴走が抑えられている。アンタの能力の方がよほど便利よ、と美琴は誰聞くともなしにつけ加えた。

451パラレルライン 8/21:2009/12/30(水) 22:35:45 ID:sDTBx0C.
「……う、うわ? うわわわ?」

 美琴が手を引くスピードについて行けなくなった上条が、突然バランスを崩した。

「ちょ、ちょっと落ち着きなさい!」
「だ、だめだうわわ転ぶ……ッ!?」
「きゃあああッ!?」

 よたよたと不安定になった上条が、滑る足下もあって美琴を巻き込み、氷上で派手に転んだ。

「いたたたた……アンタだいじょう………ぶ………!?」

 氷で打ち付けた腰をさすりながら美琴が目を開けるとそこには。
 美琴の足の間につんのめるように転がり、美琴の薄い胸の上で顔面を着地させた上条の姿があった。

「!!!!!!!!」
「う、うわ! ご、ゴメンすまん許してください御坂さん! 決して悪気があったわけでは! 本当なんです信じてください!」

 美琴が上条を払いのけようとするよりも速く、上条が飛び跳ねるように美琴から離れ、氷の上とは思えない挙動できれいな土下座を決める。
 あまりの上条の早業に『馬鹿スケベ変態!』と怒鳴り立てる間を失い、そのおかげで美琴は速くなる胸の鼓動を抑えて冷静さを取り戻した。

「……わざとじゃないのはわかってるから、ほら、立てる?……あいたっ」

 美琴は氷の上で立ち上がろうとして、そのはずみに自分のスケート靴のエッジで手袋の上から指先を切ってしまった。

「御坂!?」

 上条は血相を変えて美琴の手袋を外す。血が流れる傷口を確認すると、上条はためらわず自分の口に美琴の指先を含んだ。

(え? え? え? 何が起こってるの? コイツが私のゆ、指、指先をくわえて……血、ちが……)

 その状況を美琴の脳は処理しきれず、ぷつっと音を立てるように気を失った。

452ss:2009/12/30(水) 22:36:21 ID:IcaocfsU
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453パラレルライン 9/21:2009/12/30(水) 22:37:24 ID:sDTBx0C.
「……あれ? ここは……?」

 美琴が目を覚ますと、視界に見慣れない天井とほっとした上条の顔が広がった。

「大丈夫か? お前血を見て気を失ったんだよ。軽い貧血だろうって」
「……え?」

 美琴はゆっくりと起き上がった。どうやら自分はスケートリンク備え付けの救護室のベッドに寝かされていたらしい、ということをようやく理解する。ついでに、気を失った本当の原因は貧血ではないと言うことも確認した。

「指の怪我は深い切り傷じゃないから、縫うほどでもないってさ」

 美琴は軽い痛みを伴う自分の右手を見た。指先には真新しい包帯が巻かれている。説明によると、皮膚を再生する特殊なジェルで傷口をふさいであるため、二日もすれば傷跡は全くわからなくなると言う。

「……あれ? そうすると私はどうやってここに来たの?」
「気が動転しててよく覚えてないんだけど、たぶん俺が御坂を担いでここまで来た」
「……アンタ滑れるようになったの? あそこリンクのど真ん中だったじゃない」
「よくわかんねぇ。誰かに助け起こしてもらった覚えはないから、多分そうなんだと思う」
「……怪我の功名?」
「馬鹿言うな。お前が気を失って、俺すげぇびっくりしたんだぞ」

 そこまで言って、上条がふっと表情を暗くする。

「どうしたの?」
「いや、そのホントにいろいろと……ゴメン」
「いろいろ?」

 美琴が首をかしげる。

「お前を巻き込んで俺が転んだから、お前が怪我して……貧血まで起こして」

 貧血を起こしたのは上条のせいだと言えばそうだし、そうじゃないと言えばそうじゃないのだが、美琴はそれを口にしなかった。せっかく二人で遊びに来たんだから、今日は楽しい思い出で終わりたい。

「馬鹿ね。アンタはそんなこと気にしなくて良いの。指を切ったのは私の不注意だし」
「……ホントにゴメン」
「それはもういいから。ほら、リンクに戻りましょ。アンタ滑れるようになったんだったら、美琴センセーに成果を見せなさい」

 美琴は上条を促して立ち上がる。

「お、おい? もう起きて平気なのか?」
「大丈夫大丈夫。貧血って言っても、その……大したことないし」

 美琴は、包帯が巻かれた指先をちらっと見た。上条が自分の指を口に含むシーンが即座に再生される。

「………………」
「御坂? お前顔赤いけど本当に大丈夫なのか?」
「だっ、だっ、だいじょうぶよ! ほらいつまでもここ占拠してたらお医者さんが困るでしょ!」

 美琴は上条の背中を押すと、お世話になりましたーと声をかけて、救護室を後にした。

454パラレルライン 10/21:2009/12/30(水) 22:38:13 ID:sDTBx0C.
「……アンタ滑れるようになったんじゃなかったの?」

 美琴がんー、とこめかみに指を当てる。再びリンクに降りた上条は、最初に来たときと同じ姿勢で壁に張り付いていた。

「そ、そう思っていたんだが……だめだ、手を離すと転びそうで怖い」
「はぁーっ……ほら」

 美琴は上条に手を差し出す。上条は自力で壁からゆっくりと手をはがし、美琴の手を取った。

「は、離すなよ? まだ離すんじゃないぞ?」
「大丈夫よ。頼まれても離さないから」
「絶対だからな? 絶対だからな??」
「そんな涙目にならなくても大丈夫だってば。最初の姿勢を思い出して、ほら右、左、右、左」
「みーぎ、ひだり、みーぎ、ひだり……」
「うん。できてるできてる。それじゃ少しスピードを上げてみよっか」

 美琴が上条の手を引いて、バックで滑りながら心持ち滑走の速度を上げる。上条はどうやら何とかついて来れているようだ。

「滑れてるじゃない。大丈夫大丈夫。そろそろ手を離してみる?」
「い、いやそれよりも……これどうやって止まるんだ?」
「へ?」

 あ、そう言えばコイツにブレーキ教えるのまだだったと美琴が思い出した瞬間、滑る勢いを殺せない上条が美琴に体当たりした。

455パラレルライン 11/21:2009/12/30(水) 22:38:58 ID:sDTBx0C.
「う、うわ、ちょ、ちょっとアンタ」

 今度は巻き込まれて転ぶことなく、美琴は上条を抱き止めた。……抱き止めた?

「あ…………」

 美琴は深呼吸して、状況を確認する。
 リンクの端っこの方で、美琴は上条を抱き締めていて。
 上条は自力で満足に立てず、美琴にしがみついていた。
 ……周囲の『このバカップルが』という視線が痛い、ような気がする。

「あ、あ、あ………えっと………」
「み、み、御坂すまん。手、手を離すな。今離されたらこっ、ころぶ」
「ええええええ?」

 美琴が上条から手を離す
 ↓
 上条が転ぶ
 ↓
 美琴は手を離せない
 ↓
 抱き合った状態のまま。

(う、嘘。ずっとこの状態のまんまなの?)

 上条の美琴を抱きしめる力が、否しがみつく力が強くなる。

(ちょっと、この状態でそんなに抱きしめないでよ! ま、まずい、また意識が飛ぶ……!?)

「お、おい? しっかりしろ御坂? 大丈夫か?」

 意識を飛ばさぬよう集中させると、息がかかるほど近くに上条の顔があった。

(うう……顔が近すぎ……そんなじっと見つめられ……たら……)

 能力が暴走する代わりに、美琴の意識が飛んだ。

456■■■■:2009/12/30(水) 22:39:33 ID:ceOwMi5M
当麻:寒いんですけど…。
詩菜:そりゃ山のてっぺんですから…。
当麻:で、なんで山のてっぺんで待ち合わせなわけ?
詩菜:お隣の奥さんったら、一駅まちがえてしまって別のふもとからゴンドラで来るっていうから
当麻:お隣同士なら、一緒に来ればいいでしょうに…。
詩菜:刀夜さんのおみおくりとか、刀夜さんのおみおくりとかありましたんで…。
当麻:さいですか。

当麻:そんなつらそうな顔してたらせっかく連れてきたかいがないじゃないですか…。
当麻:そっちは仲のいい友達と楽しくスキーなんだろうけど、この歳で母親同伴なんて…ナンパすらできやしない。
詩菜:あらあら、そういえば、お隣の奥さん、中学生のお嬢さんをつれてこられるとかいってたわ。お友達になったら…。
当麻:あぁそうだな。中学生って…。はぁ
詩菜:あらあら当麻さんは年上好みでしたっけ…。じゃっこうやって腕を組んだら恋人同士みたいかしら。
当麻:やめてくれよ恥ずかしい。
詩菜:そうですね。命が惜しいですし。あらあら…。(離れる詩菜)

美琴:あんた…こんなとこでなにしてるの…。そのおばさんは誰…。
当麻:ビリビリ…。なんでこんなところに…。
美琴:きっちり説明してもらうわよ
詩菜:当麻さん、もてもてなんですね。
美琴:当麻さんって…。あんたもあんたでデレデレしちゃって。
当麻:美琴…。まさかこんなところでぶっぱなすんじゃないでしょうね。
美琴:ちょうどたまってたところなのよ。
詩菜:でも、おばさんというのはあんまりうれしくないわね。
当麻:母さんいまごろ妙な所につっこむのはやめてください
詩菜:はいっこれ当麻さんにプレゼント
当麻:母さん… なにこの袋。っていうかビリビリ…。
美琴:あんた…。ひとをさんざんもて遊んどいて、結婚してたの、信じらんない
当麻:うわぁやめろ…。

美琴の足元が崩れる。当麻は美琴といっしょに山の下に崩れ落ちる。

詩菜:あらあら、本当に美鈴さんそっくりね。
美鈴:ごめんね、遅くなっちゃった。当麻さんと美琴は?
詩菜:先にいっちゃった。この崖の下に。
美鈴:けっこう大変な状態なんじゃ?
詩菜:一応遭難しても大丈夫なように食糧3日分と寝袋一つわたしといたので大丈夫でしょう。
美鈴:それなら心配ないか…。まあ、あっちのほうには山小屋もあるし、大丈夫でしょう。
詩菜:じゃあ、楽しみますか…。
美鈴:若い2人にまけてられないわね。

457パラレルライン 12/21:2009/12/30(水) 22:39:47 ID:sDTBx0C.
「御坂? 御坂? 目を覚ませ御坂!?」

 ぺちぺちと自分の頬を叩く感触で、美琴は意識を取り戻した。

「大丈夫か?」

 そこには、美琴を気遣う上条の姿があった。

「お前、また貧血起こしたんだよ。本当は体調悪いんじゃないのか?」
「あ……えっと……あれ……?」
「やっぱぼんやりしているな。少し休もう」

 美琴は上条にもたれかかるようにして、リンクそばのベンチに腰掛けていた。

「手すりがすぐそばで良かった。お前気を失っちゃったから、そこまで引っ張り上げてここに座らせたんだけど、救護室行くか?」
「……ううん、いい。少しこのままでいさせて……」

 美琴は体重を預けるように、上条に寄りかかる。抱きつかれたときは気が動転しっぱなしだったが、寄り添っていると心が落ち着いていくのを感じる。

(くやしいけど、やっぱり居心地良いなぁ)

 美琴はこっそり笑う。これこそ怪我の功名かもしれない。

「御坂、ひょっとして眠いのか? 実はお前寝不足だったんじゃないか?」
「んー……そんなことない」
「そうか? まぁ、顔色が落ち着いてきたみたいだから大丈夫かな」

 上条が美琴の前髪をそっと梳く。

「……アンタ、何やってんの?」
「お前の髪、サラサラだなぁと思って。あ、悪りぃ……」

 いつもの美琴の反応を思い出したのか、上条が手を引っ込める。

「…………気になるなら、もう少しそのままで良いわよ」

 美琴は、上条のしたいようにさせておくことにした。どうせ今は体に力が入らないのだから、いつものようにカリカリして邪険にあしらうつもりもなかった。

458パラレルライン 13/21:2009/12/30(水) 22:41:16 ID:sDTBx0C.
 一〇分後。
 元気と正気を取り戻した美琴は、三度リンクに降りた。上条から五mほど離れたところで振り返り、上条に『こっちこいこい』と手招きする。

「ブレーキのかけ方はさっき教えたでしょ? 滑り方はわかってるんだから、『怖い』っていうのを克服すればこれくらいの距離、一人で滑れるわよ」
「わ、わかった。御坂、そこを動くなよ」
「はいはい。転びそうになったら下手に暴れず、こっちに突っ込んできなさい。受け止めてあげるから」
「お、おう。い、い、行くぞ」

 ぎこちない足取りで、上条が滑り出す。ゆっくり、ゆっくりと二人の距離が縮まり、美琴が差し出した手を上条が取った。

「できたじゃない」
「な、何とかだけどな」
「最初に言ったけど、あとはエッジに乗ってる時間が長くなるだけで、基本は何も変わらないの。慣れるとこういうこともできるようになるわよ」

 美琴はそこから、片足を上げた状態で上条の前方一〇mくらいの距離まで滑っていく。

「ほら、ここまでおいで」

 そこで美琴は振り返り、上条に手を振る。

「よ、よし。御坂、いくぞ」
「大丈夫大丈夫、ここにいるから」

 上条はおっかなびっくりで滑り始める。美琴まで後三m、二m、一mのところで美琴の手をつかもうとする動きをかわすと、美琴は後ろに下がり距離を取った。

「動くなって言ったじゃねぇか!」
「いやー、ゴメンゴメン。慣性がついて滑っちゃって」
「く、くそ。絶対にそこを動くなよ」
「うんうん」

 ぷるぷる震える上条を見て、美琴は笑う。上条はぐっと歯を食いしばると、意を決し美琴に向かって足を進めた。

「右、左、右、左……よし、あと少し」

 美琴は自分に差しのばされた手を再度かわし、後ろへつつーっと下がる。

「あ、おい! 動くなっていっただろ!!」
「ほら、もうちょっとだからここまでおいで」

 上条が美琴を追う。美琴が上条から距離を取る。そんなことを繰り返しているうちに、気づけば上条はリンク半周分を、一人で回っていた。

「アンタ一人で滑れたじゃない」
「あ……本当だ」

 感極まって『おおやった、ありがとう御坂』と言う上条の右手を美琴がつかんだ。握りしめられた手の感触に気がついて、上条が美琴の方を見ると、美琴はぷいっと明後日の方向を見ている。上条はそんな美琴を見てぽつりと呟いた。

459■■■■:2009/12/30(水) 22:41:44 ID:ceOwMi5M
パラレルライン 11/21さんの作品に干渉してしまった。すみません。

460パラレルライン 14/21:2009/12/30(水) 22:42:36 ID:sDTBx0C.
「……お前、可愛いところあるよな」
「…………………!」
「うわ、すまん御坂! 今のは俺の脳が何か電波を受信したとか本音がこぼれ落ちたとかそうじゃなくてえーと今のは聞かなかったことにしてごめんなさい!」

 次に条件反射で土下座モードに移行した。そんな上条を見て、美琴はおそるおそる手を差し出した。今の発言にびっくりして上条の顔をうまく見ることができず、そっぽを向いたような体勢のまま、上条に立ち上がるよう促す。

「ほ、ほら、アンタそんなところで土下座してたら体冷えるし周りの人の迷惑じゃない。さっさと立ちなさいよ」
「あ、ああ、うん……」

 上条はおそるおそる美琴の手をつかんで立ち上がった。おかしいな、いつもなら良くてグーパンチかビリビリ付きビンタ、悪けりゃ電撃が飛んでくるはずなんだが、とか何とか言うのが聞こえたが、そこは無視することにした。

461パラレルライン 15/21:2009/12/30(水) 22:44:57 ID:sDTBx0C.
>>459
問題ないっす。GJすよー



「せ、せっかく滑れるようになったんだから最後の授業。この状態で、私とリンクを一周するの」

 美琴は上条の方を見ずに滑り始めた。上条は美琴と手をつないだまま、ペースを合わせて隣に並ぶように滑る。

「ふ、ふん。やればできるじゃない」
「コーチが良かったからな」

 上条をひっぱり起こしたあたりから、どうもうまく話せなくなっている。こんなの私らしくないと思いつつ、じゃあ私らしいって何だろうと美琴は考える。私らしい『体裁』と、自分が願う『本音』の差ってなんだろうと思い悩んでいるうちに

「え、ちょ、ひゃあっ!?」

 美琴は上条にリフトされた。いわゆるウェストホールドリフトだ。

「ちょ、ちょっとアンタ何やってんのよ!」
「え? 何って、今までの練習の成果。よくTVで見るフィギュアスケートのあれが今ならできるんじゃないかと思って」
「ばっ、馬鹿! そんなの一般のスケートリンクじゃ禁止に決まってるでしょ! 降ろしなさいってば!」

 上条がしぶしぶ美琴を降ろした。せっかくリフトがうまく決まったのに、怒られてがっかりしたらしい。
 降ろされた美琴は上条の両肩に手を添えて、美琴をリフトした後の上条の手は美琴の腰に添えられて、二人はしばらくそのまま惰性で滑っていた。あれ、何か変な雰囲気だなと上条が思考を巡らせているうちに、美琴はニヤリと笑って突然上条の両手をガシッ! とつかんだ。

「さて、授業をしっかりこなしたアンタに、美琴センセーから卒業プレゼント」
「はい?」

 美琴はピタリと止まると、上条の両手をつかんだまま、自分を軸にしてその場でスピンを始めた。もちろんスピンも一般のスケートリンクでは禁止だったりする。

「ちょ、ちょ、ちょ、みさ、これ」

 ちょうど円盤投げでもするように、美琴は有無を言わさず上条を振り回すと、

「とんでけー☆」

 まぶしいほどの笑顔とともに、遠心力に任せて上条の手を離した。
 ――上条は、遠く離れたリンクの壁に向かって投げ飛ばされた。

「これのどこがプレゼントだ! ああもう不幸だーーーーっ!!」

 上条の叫びはリンク中に響き渡ったが、誰も救いの手を差し伸べてはくれなかった。

462パラレルライン 16/21:2009/12/30(水) 22:46:40 ID:sDTBx0C.
「御坂! お前なぁ、初心者を投げ飛ばすなんてひでーだろ!」
「でもアンタこけずに戻ってきたじゃない。上出来上出来」

 遠く投げつけられ、壁に叩きつけられた上条がガシンガシンと足音を立てるように美琴の所に戻ると、美琴はしれっと言ってのけた。美琴の態度にかちんと来た上条は、手をわきわきと動かす。

「くっそう……。こうなったら、俺の日頃の学習成果を見せてやる! 必殺、後ろから羽交い締めホールド!」
「きゃっ!? ちょ、ちょっとアンタ何やって…………!」
「ふふふ、どうだ御坂! これでお前は電撃もパンチもキックも出せな……い……」

 上条の途切れた言葉にん? と首をかしげ、美琴は自分たちの状況を整理する。
 男の子が後ろから女の子に抱きついています。
 二人はカップルのようです。
 周囲から二人はどんな風に見えますか。

「わ、わ、ゴメン御坂! ついクラスの馬鹿どもと絡んでるつもりで……」

 上条があたふたと言い訳を始めた。

「い、良いわよ」
「…………はい?」
「アンタが、そうしたいって言うなら……そうしてて良いわよ」

 美琴は上条にされるがままに、上条に抱きしめられていた。正面から抱きすくめられていない分、相手の顔をまじまじと見ることもないからまだ正気を保っていられるだけで、美琴は内心がちがちのドキドキだった。

「何だかんだ言ってもアンタ、どうせ転ぶのが怖いからつかまってるだけでしょ? だったら良いわよ別に。わ、私はアンタに抱きつかれたって何ともないし」
「御坂……」
「な、何ともないもん、私は、本当に」

 この期に及んでまだ強がる自分を、美琴は密かに恨めしく思った。ここで一言言えればもう少し上条と親密になれるのに、流れを変えるたった一言が言い出せない。

(どうしよう)

 どうしよう、と考えても上条からうまい具合に離れる口実が思い浮かばない。しばし後、どこか気まずい沈黙を上条が破った。

463パラレルライン 17/21:2009/12/30(水) 22:49:39 ID:sDTBx0C.
「み、御坂? お前案外軽々と持ち上がるんだな」
「…………」
「体も何か細いし、もう少し飯食った方が良いんじゃないのか?」
「…………」
「ええっと、あはは、何かコメントをお願いしますよ御坂さん」
「…………」

 上条の言葉で美琴の顔はこれ以上ないほどに真っ赤になっていた。しかしそれでも上条は自分から離れようとしない。よく見ると上条の腕が、自分のしでかした事への恐怖のせいか、小刻みに震えている。

(そうか、コイツだって離れたいんだ。……私から離れたいんだ)

 美琴の心に小さなささくれができる。

「い、いつまでアンタはそうしてるわけ?」

 いつもの不機嫌な口調がついて出た。

「いつまでって……お前がイヤだって言うまで?」
「そ、そう。わっ、私はアンタが困ってるだろうと思って背中を貸してるだけだから」
「あ、ああ」
「それだけなんだからね。変に誤解しないでよね」
「うん」

 美琴は上条を背中に張り付かせたまま滑り、もとい氷の上を歩き始めた。

「御坂?」
「なっ、何よ」
「お前いったい何してるんだ?」
「何って、ここはスケートリンクだから滑って……ひゃっ!?」

 美琴の耳に、上条の吐く息が触れた。

(ちょ、ちょっと待ってこれって……)

 上条の吐息が美琴の耳朶を揺らし、くすぐったいような、何ともいえない妙な感覚が美琴の体の中を突き抜けた。

「御坂、何か様子が変だぞ?」
「へんじゃ……ひんっ」

 首筋に自分と違う体温を感じ、美琴はビクン! と体を震わせる。

「なぁ。そろそろ機嫌直せよ」
「ぎげ……ってわたし……は……あっ……やめ……」

 上条が話しかけるたびに、美琴の耳元に上条の息がかかる。イヤならさっさと振り落としてしまえばいいのだが、それができないのが乙女心。

(やだ……なんか……へん……)

 震える体。跳ね上がる鼓動。赤みが取れない頬。
 何かに『自分だけの現実』を浸食されつつある美琴は上条の手が自分のどこに触れているか確認しようとして

(あ……もぅ……ダメ……)

 意識が三度ショートした。薄れ行く意識の中、どこか遠くで上条の声が聞こえたような気がした。

464パラレルライン 18/21:2009/12/30(水) 22:50:55 ID:sDTBx0C.
「……あ、れ? ここ……救護室?」

 美琴が目を覚ますと、そこは先ほど訪れた救護室のベッドの上だった。隣を見ると、自分を心配そうにのぞき込む上条がいた。

「お前な、体調悪いんだったら無理するなよ。もっと早く言えって」
「へ……?」
「また貧血起こしたんだよ。ダイエットでもしてるのか?」
「あれ……私、どうしたんだっけ」
「お前……俺を背中に張り付かせてる状態で気を失ったんだ」
「えっと、……あれ?」

 美琴は上条を背負っていたときに感じた、何とも説明しがたいあの『感覚』を心の中で分析しようとしていた。だがそれは、眠りとともに幻のように消え失せてしまい、今となってはそもそも現実だったのかはっきりしない。

「ともかく、起き上がれるようになったら今日は帰るぞ」
「…………」
「ったく、俺のコーチ役を引き受けたからって、体調を押してくるほどのことでもないだろう」

 上条が美琴の不調を貧血か何かと勘違いしていることは、美琴にも理解できた。だが、誤解されたままで今日を終わるのが、美琴には不本意だった。そうじゃない、そんなんじゃない、せめて何か言い訳を取り繕おうとして

「ちっ、違うわよ! 私は無理なんかしてない! 私、今日がすごく楽しみだったんだから! アンタと二人でスケートに来たかったんだから!」

 自爆した。

「…………はい?」
「…………あ、あはは……」
「御坂さん? あなたはそこで何て事を言いやがりますか?」

 予想外のことを言われて上条が仰天する。

「はは、ははは、はははは……うわーん!!」

 穴があったら入りたかったが、こんな時に限って都合良く失神することもできず、美琴はベッドに突っ伏した。

465パラレルライン 19/21:2009/12/30(水) 22:52:22 ID:sDTBx0C.
 御坂と上条はスケートリンク前のロータリーにいた。美琴の体調を気遣って、今日は帰ろうという上条の主張を渋々ながら受け入れた美琴は、『なんだかふらふらして危なっかしい』と、上条に手を引かれている。

「これじゃさっきとあべこべね。アンタに手を引かれるなんて」
「状態が状態だからな。お前がスケートに来たかったのはわかったけど、だからって無理するなよ。スケートリンクは逃げやしないんだから」
「体調は悪くなかったの! あれはたまたま!」
「本当か? 無理してたんじゃなかったのか?」
「あれはね、アンタが…………!」
「俺が?」
「…………なんでもない」

 自分の失神の原因が、上条のあれやこれやな行動にあると言えず、美琴は口ごもる。

「まぁでもさ」
「?」
「遊びに行きたいなら素直にそう言えよ。俺だって都合が合えば付き合ってやらなくもないんだし」
「だってアンタ、いつも素っ気ないし人のこと無視するじゃない」
「そりゃお前、後ろからスタンガン持った女が問答無用で追いかけてきたら誰だって逃げるだろうが」
「なっ!? スタンガンって何よ!」
「お前の電撃。いつもさ、お前が何かとすぐキレてビリビリしてそれで俺を追い回すんだぞ? 追われる俺はおっかなくってしょうがない」
「…………うー」
「ちゃんと言葉で話してくれればわかるんだからさ、あんまむやみやたらにキレるなよ。あ、タクシー来た」

 上条はタクシーに手を挙げて止めさせると、美琴を後部座席に座らせ、自分は助手席に乗り込んだ。

(ちょっと! 何でそこで私の隣に座らないわけ?)

 上条の態度に、美琴はカチンと来た。しかしここはタクシーの車内。降りるまで我慢だ我慢と、美琴は自分に言い聞かせる。

「常盤台中学寮までお願いします」
「あいよ」

 上条の言葉に頷くと、運転手はなめらかに車を発進させた。タクシーの車内では、席が前後に分かれたせいもあり、上条も美琴も特に会話することはなかった。美琴はバックミラー越しに上条をにらみつけるが当の上条はどこ吹く風で、上条の代わりに運転手が後ろから発せられる殺気に身震いする。

466パラレルライン 20/21:2009/12/30(水) 22:54:04 ID:sDTBx0C.
「ほら、着いたぞ」

 タクシー代を払おうとする美琴の手を遮り、上条はさっさとタクシー代を払うと、後ろに回って美琴に手を差し出した。

「ほら、つかまれ。まだだるいんだろ」
「…………」

 体は本当に何ともないのだが、差し出された上条の手がうれしくて、それでもそっぽを向きながら美琴はその手を取る。
 タクシーが走り去り、後には二人が残された。上条が咳払いをする。

「あー、とにもかくにも、今日はありがとうな。スケート、滑れるようになってすげぇうれしかった」
「…………うん」
「お前が楽しみにしてたって言うのも、まぁうれしい誤算だった」
「うん…………え?」
「だから、俺はお前が電撃落とすのが怖いんであって、そうでなけりゃ別にお前を嫌ってるワケじゃねぇよ。誤解すんな」
「…………うん」
「友達なんだから、もうちょっと正直に言え。今日のこととか」
「…………友達」

 上条が必ずしも美琴のことを嫌っているわけではない、というのがわかってうれしかったが、その後の『友達』で美琴は複雑な気持ちになる。

「アンタは……そういやクラスの友達にああいう事するんだったっけね」
「ああいうこと?」

 血が出た指をくわえたり前から後ろから抱きついてきたり耳に息を吹きかけたりあまつさえ……と美琴の頭の中で副音声が響いているが、それがアウトプットされることはない。

「なんでもない……」
「? まあいいか。次に会うのは来年か? お前も帰省するんだろ?」
「うん。アンタは?」
「俺ももうすぐ帰る。ま、お互いのんびりした正月を送れると良いな」
「そうね」
「来年、またどっかに遊びに行こうぜ。それじゃ良いお年を」
「うん。良いお年を。またね」

467パラレルライン 21/21:2009/12/30(水) 22:55:49 ID:sDTBx0C.
 美琴は手を振って上条を見送った。
 そして、今日一日、上条とつないだ手を見つめる。いつかこの挨拶はより親しい間柄のそれに変わるのだろうか。平行線の二人の距離が交わることはあるのだろうか。

「スタンガン、か。確かにそれじゃ避けられて当然かもね、はは……あーあ」

 美琴はがっくりとうなだれた。美琴の照れ隠しの電撃で上条がおびえてしまうのは、美琴に絶対の非がある。
 美琴は自分に問いかける。それがわかっていても素直になれない自分を、新しい年を迎えるように脱ぎ去ることができる?

「悩んでたって仕方がないよね。こんなの私らしくない」

 美琴は吹っ切れたように笑う。目標は見えたのだ。後はそこへ向かって走るだけ。思い立ったら即実行が御坂美琴の信条だ。

「見てなさい。アンタのこと絶対振り向かせてみせるんだから」


 しおらしく別れたというのに、年が明けて実家の前で二人がばったり出くわし新春早々から追いかけっこをするのは、また別のお話。



終わりです。長々とお邪魔しました。

468■■■■:2009/12/30(水) 23:20:39 ID:ltvd24m6
GJです
長くても面白いから問題ない

リアルタイム宣伝に吹いたww

469■■■■:2009/12/30(水) 23:44:09 ID:qRVusoeY
>>444GJです

>>456の人はあれで終わり?
続きあるなら期待してます

470■■■■:2009/12/30(水) 23:55:36 ID:ceOwMi5M

一方当麻と美琴は…。


当麻:まったくお前は…。
美琴:ごめん。でもあんたがあんなおばさんと夫婦ごっこなんかしてるから。

こつんと美琴の頭をたたく当麻

当麻:まったくお前は人の母親をあんなおばさん呼ばわりか?
美琴:えっ…。お母様…。
当麻:お母様って、お前の母親じゃないんだから…。
美琴:(うつむいて赤くなる)

当麻:それはそうと、けっこう下におちたな。視界もわるい。
美琴:それに、寒くなってきたわね。
当麻:あそこに山小屋があるから、とりあえず、そこに避難しよう。
美琴:私は母さんたちに電話する。


美琴:母さん。
美鈴:美琴ちゃん、そっちは大丈夫?
美琴:とりあえず、山小屋についた。当麻もいっしょ
美鈴:そう。こっちは、今ふもとだけど、捜索をたのんだけど、天候がよくなるまで無理というから心配してた。
美琴:ありがとう。定期的に電話を入れるから。じゃあ。
美鈴:当麻くんによろしく。


美琴:今、天候が悪くなって、救助は無理って。
当麻:最悪の事態だな。
美琴:なによ…。
当麻:…。お前…。
電撃をぶっぱなす美琴
当麻:…。停電...。おい、発電機壊れてしまったじゃないか…。どうやって暖をとるんだ?
美琴:ごめん…。

当麻:どんどん気温が下がってきている。ここに寝袋があるからお前、入れ。
当麻:あんたはどうするの?
当麻:とりあえず、発電機を治す。

1時間後、発電機がなおる。電気ストーブが復活

当麻:ストーブが復活したぞ。風が強くなってきたが、これなら大丈夫
美琴:(つまらなさそうに)ありがとう。じゃあ、あたしも出るわ。

当麻:室温がどんどん下がってる。今室温が0℃、ストーブを入れても全然効かない。
美琴:あんたも入りなさいよ
当麻:いいのか?
美琴:しょうがないでしょ?(真っ赤になる)


その後、当麻と美琴は救助がくるまでの2日間一緒に同じ寝袋でいちゃいちゃしたそうな。

471■■■■:2009/12/30(水) 23:57:31 ID:CzHXRcPg
GJ
見てたらとても……モジモジシテクル

472■■■■:2009/12/31(木) 00:25:08 ID:5ufG8.U2
あれ 
帰省編とは違う作者ですよね?
まさかssのss!?
まぁそれはともかくGJ

473■■■■:2009/12/31(木) 00:38:11 ID:5ufG8.U2
上のレスはパラレルラインの感想です。紛らわしく申し訳ありませんでした。

最後に>>470さんGJ!

474■■■■:2009/12/31(木) 07:10:05 ID:4mFY753o
 >>470さんGJ!わっふるわっふる
こっちも小ネタ投下。



 上条さんと美琴が二人っきりになりました。


上条「本当に良いのか?」
美琴「……良いって言ってんでしょ。この美琴さんに二言はないわよ」
上条「とか何とか言いながら、震えてんじゃねーか。怖いなら怖いって言えよ」
美琴「こっ、怖くないわよ!
上条「…………良いんだな?」
美琴「……痛くしないでね」
上条「…………」
美琴「優しく……して?」
上条「善処する。じゃ、その……触るぞ?」
美琴「う、うん………ひゃっ!? いきなり?」
上条「こら、動くな」
美琴「だ、だって……」
上条「それにしても薄いな。もうちょっと厚みがあった方がいいと俺は思うんだが」
美琴「そんなこと急に言われたって………あっ」




















上条「女の子の爪切りって初めてやるんだけど、ホント爪が薄いな。ちょっと力入れただけで割れそうだし、深爪しそうでおっかねーよ」
美琴「これが終わったら、次は爪磨きよ。手伝ってくれるわよね?」
上条「はいはい。………女の子と二人っきりだというのに、なんか不幸だ……」


>>472
俺は帰省編の作者さんとは別っす。
そもそもいちゃいちゃ度が違う……帰省編さんみたいないちゃいちゃなのが書きたい……

475■■■■:2009/12/31(木) 07:40:04 ID:qcK41ceI
>>474
朝っぱらからけしからん乙

476 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 08:05:29 ID:qcK41ceI
帰省編やパラレルラインの後だと自分のが霞む…それでも投下する。
そういやタイトル考えてなかったと思いつつ 前>>391
―――――――――
「―――ぅ、うん…」
「おっと、気がついたか」

眠っちゃってたのか…、ゆっくりと認識しながらぼやける目を擦る。
眩しい電灯の光に目を細めると、その横には…アイツの顔があった。

「んあ…私…」
「気、失ってたぞ。大丈夫か?」
「うん…もう大丈夫…」

机に手を掛けて身体を起こす。その時額から白いタオル…お絞りがが落ちて来た。

「これは…」
「ああ、店の人に冷やしたのを貰った。冷たかったか?」
「いや…ありがと」

体には私のコートが掛けられている。
どうやら店のソファで寝てたようだ…って、あれ、おかしくない?

「ねぇ、私の頭のあったトコにアンタ、座ってるわよね」
「え、ああ。頭は高くした方がいいからな、手頃なモンなかったから膝枕で……」

477 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 08:08:28 ID:qcK41ceI

…え、何。膝枕?普通逆じゃない、する立場。
ってそれはどうでもいいんだって。私が、コイツに膝枕、されて…た…。

「ちょ、おいおい!また顔赤くなってるって!」

さっき足の上に落としたお絞りを、再度額に当てられて、また寝かされた。
…また?

「ちょっと、や、やめてってば!」
「何言ってんだよ、まだ顔赤いじゃねぇか!ちょっと休んでろって!」
「だ、大丈夫よ!は、は・な・せ!」

店内なのを気にしつつも小声でのやり取り。
流石にじたばた暴れる私に観念したのか、押さえる手を離してくれた。

「…って、ご、ごめん…その、恥ずかしいのよ……」
「いや、気にするな。元気ならそれで良かったんだ。飯、食えるか?」

そういえば、と机を見れば殆ど手のついていない親子丼がある。
持って来た時は湯気が出てたが、もはや無い。
「うん」とだけ答えて、私は親子丼を持つ。
その間、アイツは自分の椅子に戻って、自分の分を食べ始める。

478 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 08:10:10 ID:qcK41ceI

「…食べてなかったの?」
「ん?だってお前が倒れるから。心配だったんだぞ」
「あ…ごめん……」
「じゃあないだろ」

一瞬?状態だったが、今日一日のやり取りを思い出した。
しどろもどろしながら、私は言う。

「ぇと… ありがと…当麻」
「どういたしまして」

んじゃ食うか、と言うので私も冷めた親子丼に手をつけた。
表面は冷たかったが、ご飯はまだ温かくて、美味しかった。

479 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 08:11:07 ID:qcK41ceI
―――――――――
「ご馳走様でした」
「ごっ、ごちそうさまでしたっ」
「「ありがとうございましたー」」

店員に見送られながら私達は店を後にした。
当麻の後ろでレジに表示される金額を見たが、やっぱり安過ぎない?
いや、美味しかったけど。

「ビンボー人にはアレでも少々懐に傷を抱えちゃうんですよ」
「へぇー難儀してんのね」
「まぁこの時の為にお金は溜めてるから普段より幾分も大丈夫だけどな」
「…別に無理してプレゼント買わなくてもいいわよ?今こーしてるだけで私、嬉しいし」
「は?」

……あれ?
…ちょ、私今何言って……っ!!!

「えっとごめん!今のなし!嘘冗談だから!」
「いや、別に俺もお前と今いるのが楽しいから否定されんのは…とは思いますが」
「…それ、ホント?」
「上条さんはそんな人に優しくない嘘はつきませんて。
    お前もこうやって喧嘩売らなかったら可愛いのにな」

480 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 08:12:06 ID:qcK41ceI

っ! ちょ、何、コイツ…いつもより優しくない?
喧嘩売らないから?…こーしてれば…いいの…?

「喧嘩売ってたりしなければ…いいの?」
「…瞬間的にガード体制に入った上条さんはお前の普段との変わり具合に驚いていますが。
   まぁ売って欲しくはないな。そーすれば俺も(もうちょい普通に)付き合えるのによ」
「本当っ!!?」

思いっ切りその話に飛びつく私。
よくよく考えれば恥ずかしい光景だが、今の私には気にも留めてなかった。

「喧嘩吹っ掛けなかったら、横並んだり一緒にお茶して喋ったり出来んのっ!?」
「お、ああ…まぁ少なくとも逃げ回る日々はないだろうな」

「何をしているのですか、お姉様」

481 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 08:12:43 ID:qcK41ceI

突如背後から声がした。機械的な反応をした声だ。

「――と、ミサカは純粋に現状の説明を求めます」

私はびくっとして振り返ると、そこには無機質な瞳の私がいた―――妹、だ。
久々に妹自体に会ったけど、流石に多少の防寒装備はしている。

「おう、御坂妹」
「こんばんは。とミサカは少しだけ頭を下げます」
「…なんでいるのよ?」
「ミサカはクリスマスイヴに外出してはいけないのですか?とミサカは残念そうに問い掛けます」

この子は…何か私には皮肉よね…。

「お前は一人か?」
「いぬも一緒です、とミサカはいぬの存在位置を示します」

するとマフラーの内側からもこもこと現れた…黒猫。

482 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 08:14:14 ID:qcK41ceI

「猫よね?」
「いぬです、とミサカは強調します」

私が意味不明だという表情を浮かべてると、当麻が横から「そーいう名前だ」と言ってくれた。
…私のDNAマップを与えてるという観点からすると、凄い悲しくなるわ。

「どっか行くつもりだったの?」
「はい、近くで電気の不具合があるらしく、所謂野暮用に借り出されました、とミサカは淡々と伝えます」
「そっか、大変だな…っとちょっと待ってろ」

悪いな御坂、と私に告げて足早にどっかに行く。
私は妹と顔を見合わせて、クエスチョンマークを浮かべた。
遅いなぁ、と思いつつ待ってると、妹が口を開いた。

「お姉様は彼と何をしているのですか?とミサカは再度問いかけてみます」
「うえっ?え、えと…いや、その…」

戸惑っていると、妹は素手で私の頬を触って来る。
瞬間的に冷気が肌に伝わり、体を強張らせてしまう。

「ひやっ!?な、何よ…」
「体温が衣服によるモノを除いてでもそれ以上に上昇中。脈拍増加。つまり照れてるのですね、とミサカは判断します」
「ぐっ……」
「私に会い、照れている。彼に対する不可思議な反応。そして彼の去り際のお姉様へのアプローチ。つまり――」

思わず私は、妹の口を両手で塞ぐ。

483 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 08:15:22 ID:qcK41ceI
わ、分かってるけどっ!分かってるけどもっ!!

「わ――っ!!言うな!言わないでっ!!」
「むぐぐ、むご」

妹が私の手を取ろうとするので私は手を離す。

「わかりました、とミサカは言いたかった事を胸に秘めます」
「ほっ…」
「ですが」
「?」
「ツン、デレ…というのでしょうか、こんな日くらいは素直になるべkもごっ」
「黙りなさい」

また口を覆い、少し殺意を見せた目を向けると、妹は無言で頷く。
私は再び手を離し、溜め息を吐く。
…って自分でバラしてるようなもんよね。結局一緒か。

「あー…誰にも言わないだろうけど…言わないでね?」
「はい、しかしネットワークは健在という事を忘れてはいけません、とミサカは少々手遅れな忠告をします」
「げっ……ま、まぁシスターズだけのネットワークだし…いいか」

また深い溜め息。

484 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 08:15:43 ID:qcK41ceI
そんなやり取りの間に、当麻が帰って来た。
手ぶらかと思いきや、私達の許に来るとポケットから缶コーヒーを取り出した。

「ほい。素手だと寒いだろうし、暖取るなり飲むなりすればいいからな」
「ありがとう…ございます、とミサカは素直に感謝します」

お前も、と当麻は私にも渡してくれる。温かかった。
私もありがと、と言う。

「では、私はお邪魔ム…ではなく、やる事があるので、失礼致します、とミサカは頂戴しつつ別れを告げます」
「おう、クリスマスイヴなのに大変だな。頑張れよ」
「はい、お2人も頑張って下さい、とミサカは懇切丁寧に発言します」

妹は私の横を通って行き、一言呟いて去って行った。
ていうか一言一言が迷惑…なのよ。お邪魔虫って言おうとしてたでしょっ!

「頑張って…って言われても、なぁ」
「そっ、そそそうよね。ほら、早く行きましょ!」
「あ、ああ」

485 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 08:16:45 ID:qcK41ceI
終わり。お粗末さまでした
本来の行動スケジュールの1つしかまだ終わってないとか言っちゃダメですよー

486■■■■:2009/12/31(木) 08:45:04 ID:4mFY753o
>>485 自らをお邪魔虫という御坂妹にGJ!

487■■■■:2009/12/31(木) 09:42:00 ID:5ufG8.U2
初めてなのにお疲れさまでした。
次回はパワーアップしたSS待ってます!

帰省編の作者また投稿してくれないのかな・・・

488 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 11:19:59 ID:qcK41ceI
まさかの連続投下。
今年はこれで終わりかな、まだ終わってないけど 前>>484
――――――――――
「ここよ」

妹と別れてから2,3分歩いた先に、私の推す店があった。
木製のアンティーク風なお店。
クリスマス時期ってのも合わせて、いつもより華やかだ。

「ほぉー…俺一人ならこんなトコ絶対入れないな」
「プレゼント買ってくれるんでしょ?ほら入った入ったー」
「ちょ、押さなくても入るって!」

扉を開けると、からんころん、と鈴が鳴るのがレトロっぽい。
中は電飾で適度に眩しくて、カップルも結構いた。
笑いながら商品選び合ったり、ネックレスをつけてあげてたり……って、何見惚れてんのよ!

「ほら、まず一周見ていきましょっ」
「っと、そうだな」

私達は後ろから入って来る客に気付き、まず右回りで歩いて行く事にした。
とりあえずレジは真ん中にあるので迷惑ではない。

489 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 11:21:07 ID:qcK41ceI

「…大変素朴な疑問ですが、やっぱり女性は光物は好きなんでしょうか」
「んー私の学校では好きな子が多いわね。罰せられるからこそこそとしてるけど」
「ふむ、じゃあ別の物の方がいいか」
「そういや、私に買ってくれるって行ってたけど他にも買う人いるの?あのシスター以外に」
「ん?あーお前の友達の、白井黒子だっけ。アイツとかあとは小萌先生か」
「黒子はアンタ好きではないから、ぶっ壊すかもよ…?」
「……ま、まぁ大丈夫だろ…他意はないし。
    交友関係の少ない上条さんのせめてもの繋ぎ止めですよ」

どこが交友関係少ないのかと詰問したいわね…少なかったらこっちは苦労しないっつーのっ!

「インデックスにはやっぱり十字架とかがいいのかなー。
    って逆十字なんか売ってるし!誰が買うんだよ…、っとそうだ御坂」
「ん、何?」
「根本的にだが、イアリングとかネックレスは止めといた方がいいよな。校則あるだろうし」
「んと…そうね。首周りまで襟あるしネックレスは別にバレないと思うけど」
「じゃーやっぱストラップかな。指輪は大袈裟だし…」
「ゆ、指輪!?」
「ん?いや、アクセなら指輪付けてるオンナもいると思ったんだが、御坂には合わないしなと思って」
「…割と本気で考えてるのね」
「当たり前だろ。付き合わせてるわけだし、似合わないプレゼントその場で欲しくはないだろうしなー」
「…ありがと」
「気にすんな。日頃のお礼だしな …っと、ゲコ太がやっぱりいいか?」
「ふぇっ!?」

き、気付けばゲコ太っ!!
―――っと、こほん。今日は冷静に冷静に…。

490 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 11:21:45 ID:qcK41ceI

「とりあえず一周しましょうよ。そっからもっかい選んでいきましょ」
「それもそうだな」

しかし、普段はゲコ太ばっか…じゃなくて、全体見ないけど、ここ以外と物あるわね…。
多過ぎて流石に削っても迷いそう…。

「ねえ、と、当麻は何が欲しいの?」
「そろそろ詰まらなくてもいいんじゃないか?」
「きゅ、急には慣れないわよ…」
「ま、いいけどな。俺?いや、俺は別に要らねーよ」

言うと思った。

「そんなのダメよ。私に買ってくれるって言うんだしお礼よお礼」
「でもさ」
「拒否権なし」
「…わかったよ。ありがとうな、御坂」
「で、さ…その… おそろい、にしない?」
「は?」
「いや、だってさ、一緒にプレゼント選んでるんだし…
    こーなんか…一緒に選んだぞー…みたいな……」

…ダメだ、顔が赤くなっていくのが分かる…ああもう私何言い出すんだ…
ことわ…られるかな、やっぱり…

491 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 11:22:33 ID:qcK41ceI

「それいいな。折角だし、そうするか」
「…えっ」
「いや、だからお揃いで買うのもいいな、って。
     もしかして今さっきの発言は罠か何か壮大な釣りでしょうか」
「「いいいや、何でもないわよ!罠じゃなくて!」
「そっか、んじゃー俺でもお前でも違和感なさそーなアクセサリーはーっと…」

ちょ、コイツ難無くOK!?いいの!?
やだ、す、凄く嬉しいんだけど…ああもう、落ち着け私っ

「おーい、御坂さーん…?」
「え、あ、ごめん。何?」
「ケータイストラップでいいか?って聞いたんだが…それくらいなら安いし手頃だろ」
「ああうん。それでいいわよ、アンタは何か付けてみたいのとかある?」
「と、言われてもなー…俺ケータイにこういうの付けた事ないからさ」
「んじゃあ私が付けてあげるわよ。じゃあ…コレ!」
「………結局ゲコ太かよ、って突っ込みはもはや定番過ぎてスルーしていいんでしょーか…」
「…冗談よ。ビーズアクセはアンタの生活上すぐ壊れそうだし…」
「返す言葉もありません」
「…分かってんの?こうやってお揃いにしてるんだし、あっという間に壊れたら覚悟してなさいよ?」
「大丈夫だよ。上条さんは他人を不幸にする能力は備わってないからな。
    御坂とお揃いならその点もしっかりケータイだけは大丈夫だと俺は踏んでる」

492 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 11:23:43 ID:qcK41ceI

どん、と胸を叩く仕草にそれはどうかと突っ込みたいが、やめておこう。
…そういや、コイツは私の件だけじゃなく色々首突っ込んでんのよね…。

「…ならいいけどさ… …アンタ自身も心配なんだから、大怪我とかしないでよ…?」
「大丈夫だよ。お前に何かあれば、大怪我しても俺はいつでもまたお前を守ってやるよ」
「――っ! じゃ、なくて!怪我してるだけで私はアンタが心配なのっ!」

いつも溜め込んでいた心配の言葉を思いっきり吐き出してしまった。
当麻は私の頭に右手を乗せて撫でて来る。

「大丈夫だって。今こーしていられてるんだ。お前が心配してくれてるだけで嬉しいよ」
「………」
「ほら、早く決めちゃおうぜ。イルミネーション見に行かないとな」
「あっ! …忘れてた」
「おいおい。まだ時間はあるけどさ、どうするか…」
「じゃあ…これ、はダメ?」

と私が指差したのは小さくて透明な勾玉のストラップ。
複数の色があり、それぞれ祈願内容があるものだ。
これならまぁ大丈夫だろう。

493 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 11:24:55 ID:qcK41ceI

「ほー、面白いものもあるな。んじゃ、お互いに色選ぶか?」
「うえっ?お、お互いに?」
「ああ、そっちの方が最終的に選んだ感もあっていいじゃねーか。じゃ、先選んでくれ、見ないから」

当麻はそう言って、私から背を向ける。
え、選べって……どうしよ。
『赤』は"情熱家・外交的性格で強引な人" 『青』は"自制心・真面目で良心的な人"
後は…色々あるから選べない…

「まだかー?」
「煩いわね、ちょっと待っててよ…」

どうしよう、えーっと……こ、これでいいや!
私は1種類取って、当麻に合図する。
「じゃ、俺の番だな」と言って当麻が選び始めた。

「…御坂が悩む理由が分かった…これは悩むわ…多い、実に多い…」
「私急かしてたくらいなんだからちゃっちゃと決めなさいよねー」

私は胸の前で、握った勾玉をこっそり見て、書かれていた事を思い出す。
…うん、自分が頑張って選んだんだから…大丈夫。
そうよ、佐天さんが言ってた"自分なりのお洒落"を歪曲させれば…"自信持て"って事じゃない。

494 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 11:25:27 ID:qcK41ceI

「よし、俺はこれにするか」
「で、い、今見せるの?」
「んーそれも考えたんだけどな…やっぱ買ってからにしよう」

その後、当麻はシスターと先生にはビーズのブレスレット、
黒子に(消耗品がいいだろうと私が言ったので)ボールペンを買って、店を出た。

「んじゃ、はい、メリークリスマス」
「えっ、あ、ああ…メリークリスマス…」

途端な発言に惑いながらも、お互いにお互いへあげる包装されたプレゼントを渡す。
可愛い雪だるまのシールを剥がし、袋から同時に取り出す。
―――――『茶色』、正確には透明なので『クリアブラウン』の勾玉だった。

「「同じっ!?」」

そして、声がハモった。…私も『クリアブラウン』の勾玉を選んで、当麻に渡したから。

495 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 11:26:31 ID:qcK41ceI

「……理由を聞いていい?」
「えっと…まぁなんというか、お前は一人で悩む性質だから…
    それってすっごい心配なんだぜ?だから、正直に言って欲しいなーと…」

そう、『茶色』は"嘘を吐かない正直な人・親身になって答えてくれる"だ。
そして、私も。

「…私は、怪我とか黙って勝手に入院して、後から知って…心配だから…」
「まぁ、お互い心配性なんだな」
「…そうね …ふふっ、あはははは」
「はははははっ」

なんか、おかしかった。10秒も笑ってなかっただろうが、とても笑った。

「ねぇ当麻」
「ん、なんだ?」
「さっきから守る守る言ってくれてるけど、それってさ」
「お前が大事だからだ。それ以外にないぞ」
「…他の、例えばあのシスターよりかは?」
「お前のが大事に決まってるだろ。……そりゃあまあ、どっかでまた危ない事あれば、そっちに行くけど」
「それは、別にいいわよ。ただ、また帰って来る保障はあるの?」
「ま、その辺は俺を信用しろ。人一倍不幸なんだから、大丈夫だ」
「それ、理由なってないわよ」
「そうか?ま、さっきも言ったけど安心しろ。人を不幸にはしない、約束する」
「…じゃあ、指きり、して?」

496 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 11:27:13 ID:qcK41ceI

私が小指を出すと、当麻も小指を出してくれた。

「ゆーびきーりげんまん、うっそついたら、はーりせんぼん、のーます、っとっ!」
「それはお前もだからな?」
「分かってるって。アンタよりかは平穏無事だから心配ご無用っ」

笑顔でそう答える。
すると、低い金の音が街に響く。

「げ、もう8時か!?おい、ちゃっちゃと行くぞ!」
「え、嘘っ!う、うん!」

少し駆け足で、イルミネーション会場に向かう。
どうせバスも混んでるだろうし、走った方が早い。
手の中で握り締めた勾玉の尖った部分が妙に気持ちよかった。

497 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 11:28:58 ID:qcK41ceI
終わり。お粗末さまでした
>>4915行目で始めの鉤括弧がダブっちゃってた…ごめんなさい

498■■■■:2009/12/31(木) 11:35:45 ID:QtBahflE
お疲れ様
次回作を楽しみにしてます!

499 ◆pAn3AKtpUw:2009/12/31(木) 11:38:14 ID:qcK41ceI
あー…終わってないですw今年は終わりなだけで…すいませんw
イルミネーション残ってるしね、そこまで書いちゃいます

500■■■■:2009/12/31(木) 12:07:24 ID:.S/6a0kc
このスレのおかげで幸せな年末だw
みなさん素晴らしいが、中でも帰省編は、上条さんと美琴の心情展開が本編に近くて自然で良かった。
それに加えて、両家ネタを具現化してもらって最高。
次回作も期待して待ってます!

それと・・・・・・
頼みます!誰かまとめてくれい!!

501■■■■:2009/12/31(木) 14:31:46 ID:qcK41ceI
ちょいちょいまとめてーって言ってる人いらっしゃいますが
まとめwikiで確立させたりすればいいのかな…?
@wiki辺りでよろしければ作ってみますけど

502■■■■:2009/12/31(木) 14:37:36 ID:7EIlW/SA
>>501
>とある魔術の禁書目録 Index SS自作スレまとめ@wiki
>禁書板内のSS自作関連スレに投下されたSS(二次創作小説、二次小説)、予告等はこちらへ格納されています。

ってなってるけどここじゃ駄目なの?
ってかここでお願いしたい

503■■■■:2009/12/31(木) 14:39:20 ID:qcK41ceI
>>502
んあ、ああそこでいいのかw
失礼しました。じゃちょっと様子見つつまとめてみます
ただタイトルがアレなんですよねぇ、と呟いてみたり

504■■■■:2009/12/31(木) 14:47:45 ID:qcK41ceI
上条「…………わからんっ!」
御坂「アンタってホント、機械ダメね」
上条「うるへー…御坂わかんのかよ」
御坂「んーんじゃちょっとどいてよねっと」
上条(む、胸がっ!あたってますよ御坂サン!?)
御坂「えーっと、これはー…っと」

見てたけどよくわかりませんでした、ごめんなさい
ていうかややこしくてどうなってんのか…

505■■■■:2009/12/31(木) 15:07:22 ID:TnIkwlQ.
>>392
GJ
無粋だとわかってるけど、つっこみ
カキフライぐらい知ってるんじゃ?
あと、一流ホテルのウエイターなら曲芸師ばりに皿運べる

506【帰省編あふたーA-1】:2009/12/31(木) 15:37:43 ID:.1h5JlY6
>>337-341
>>369-372
>>399-403
>>408-411
>>424-428
「帰省編」その後のちょろっとしたお話。



「『恋人』と『友達』の境目ですか?」
佐天涙子はう〜んと首を捻る。

大変です佐天さん!
御坂さんが男の人とラブラブで帰省してきて、
名前で呼び合ってますよ!
しかもその男の人、あの白井さんの攻撃を難なく
かわして逃げちゃいました!白井さんを手玉に取る人
なんて初めて見ましたよ!ああ、怒り狂ってるので
以上です!

…という速報メールを貰った2日後。
午後2時をまわったあたりのとあるファミレス。
佐天の左には初春飾利、向かいには御坂美琴が座っている。
佐天は美琴とは年が明けてから初めてである。

佐天「しかし御坂さん行動早いですねえ…速攻で彼氏ゲットですか」
美琴「だから彼氏じゃなくて友達だってば。恋人じゃないんだから」
初春「どう見ても彼氏です!」
美琴「いや、だってさ。『俺は中学生に興味ねー。恋人の対象になんねーよ。』ですよ?」
佐天「うーん…」
美琴「傍から見たら、はともかく。んで、冒頭の質問なんだけどね。」
初春「改めて聞かれると、そうですねえ…」

佐天「たぶん、こういう事だと思います」
佐天は初春の左肩を掴んで一気に引き寄せる。
初春「ひえっ!ななな」
佐天「私を彼として見て、初春を新たに現れた恋人候補と思ってください」
美琴「! なるほど。ふんふん」

佐天は右手で初春の顎をあげ、顔を近づけ唇まで2センチ、の所で、
佐天「これはアリですか?」
美琴「ダメ!」
初春「ちょっとっ!さてんさんさてんさん」
佐天「じゃあこれはダメですね。恋人とみなされるワケで、御坂さんもしちゃダメです。」
美琴「…!」

佐天「これは?」
佐天は初春と腕を組む。初春はまだ先程のダメージが抜けていない。
美琴「腹は立つけど、絶対的な否定はできないかな…」
佐天「つまりそういうことです。他の人とのその行為が、浮気と思えるラインが境界線じゃないですかね?」
美琴「なんか分かる気がするけど…」
佐天「彼が『キスなんて挨拶だろ』なんて考えなら厄介ですけどー」
初春「そうかー、御坂さんキス禁止なんですね〜」
美琴「ううう…」
何だかしょげている美琴を見る2人の目は、かかった獲物を見るような目になっている。

507【帰省編あふたーA-2】:2009/12/31(木) 15:38:23 ID:.1h5JlY6
佐天「じゃあそろそろ馴れ初めの話からいきましょうか?」
美琴「へ?」
佐天「へ?じゃないですよぉ。あたしソレ聞きに来たんですからー」
初春「わくわく」
美琴「ちょっ…とそれは。…別に面白くもなんともないし」
佐天「あたしが判定しますから、大丈夫!」
美琴「で、でもねえ…んっ、ちょっと待って」

鳴っている携帯を取り出し、ちょっと顔を赤らめると通話ボタンを押して話しだす。
「うん、いま友達と…そうそう……ああ、なくなっちゃったのね…ふんふん」
ちらっと2人の方を見る。
「じゃあ一度会わせるわ…うん、場所は…ん、じゃーね。」
携帯を閉じて、目を閉じてひと息つく。
美琴「今から、来ます」
佐天「まさか?」
初春「ツンツン登場!?」
美琴「いいよね?ダメなら止めるけど」
佐天「カモ〜ン♪」

美琴「んじゃまあ、手短にだけ話しとくね」
…出会いは不良から助けてくれたこと。
…その時、自分の電撃が効かない事が判明、その後何度も挑戦するが、勝てなかったこと。
…偽デートをやったこと。
…大覇星祭で罰ゲームをかけて勝負したこと。
そして…
美琴「んで、ペア契約結べたのはいいけど、ほんと鈍感でそれも恋人まで至らず。」
初春「御坂さんがかわいそうになってきました」
佐天「そこまでアタックしてるのに気づいてないって…あ、あの人かな」

上条が息急き切って登場した。
上条「ういっす。あー、はじめましてー」
美琴「かみじょう、とうま、ね。ホレこっちに」
初春「ちょっとお会いしましたね。初春飾利ですー」
佐天「はじめまして〜。佐天涙子ですー」
上条「わりい、ちょっとWC」
上条は途中で店員ドリンクを頼みつつ奥へ走っていった。

508【帰省編あふたーA-3】:2009/12/31(木) 15:38:46 ID:.1h5JlY6
上条「なんかこういう席はキンチョーしますなあ」
アイスコーヒーを飲みながら、実際ちょっとドキドキしている上条である。
佐天「あたし達は中1、御坂さんはその上ですけど、やっぱ中学生はダメですか?」
上条「美琴おまえ何を話したっ!」
美琴「ふん。事実よ事実。」
上条「…この話はやめておこう。きっと俺は1vs3の戦いになる。うん。」
美琴「なに終わらせてんのよー…あれ、初春さん?」

初春は、じーっと上条を見つめていた。眉をひそめて。首もかしげたりしている。
初春「ずっと前に、どこかで…?その格好とその頭が記憶の片隅に…」
美琴は上条を見てハッとする。白いシャツに赤いTシャツが見えている。
あの時は半袖で、今は厚手の長袖の差はあるが…グラビトン事件だ、おそらく。
上条も気付いたようで、軽く頷く。
記憶がない上条には初春という子を助けた事も含め、改めて説明してある。

美琴「んー、初春さんゴメン!全て白状します!」
初春「え?…え?」
美琴「初春さんが思い出そうとしてるの、グラビトン事件じゃない?セブンスミスト」
初春「それですっ!そうです!御坂さんと一緒にいましたよね?」
美琴「さすがジャッジメント、よく見てるし、覚えてるわねー…」
美琴は頭をテーブルに置きながら、右手で上条を指す。
美琴「で。あの爆発止めたの、コイツです。私じゃありません。」
初春「ひえっ」
佐天「それマジですか御坂さん」
美琴「マジ…です。当麻の事を言うと関係を話さねばならないので…ごめんなさいっ」
初春「…(驚いた顔で上条を見つめている)」

上条は妙な空気になったぞと思いながら、かといって記憶も無いので目を瞑っていた。
佐天「初春。私は、申し訳ないけど御坂さんに罰を与えるべきだと思うのですよ。」
美琴は佐天を『何を言い出すのっ!』といいたげな顔で見ている。
佐天「命の恩人にハグして貰って、感謝の気持ちを述べたら?初春?」
初春「えっー!」
上条「よし来い」
美琴「えーーーーーーーーーーっ!」
上条、こういう時はノリで生きている男である。

509【帰省編あふたーA-4】:2009/12/31(木) 15:39:12 ID:.1h5JlY6
上条は待ち構えていたが、結局初春が真っ赤になって動かず、ハグとはならなかった。
佐天「男の人に抱かれるチャンスだったのに」
初春「佐天さんっ!!」
佐天「ところで上条さんってどんな能力なんですか?爆発無効レベル4〜みたいな?あ、電撃もか」
上条「俺は無能力者だぞ。レベル0。0の中で全くのゼロというタイプ」
佐天「うっそー。じゃあなんで爆発を?」
上条「…美琴、ちょっと親指と人差し指でビリビリ、やってくれ」
上条が何をしたいか分かっている美琴は、肘をテーブルにおき、指先で電気を走らせる。
細い美琴の手首を、上条は右手で握る。途端に電気は消え、離すとまた電気が走る。
今度は左手で握るが、こちらでは変化なく電気がバチバチ走り続ける。

上条「というわけだ。右手にだけ全てを打ち消す特殊能力がある。でも超能力じゃない。」
佐天「あたしも無能力者なんですけど。超能力という形でなくても、そういうのってうらやましいな…」
上条「これは俺の持論だけどな、持ってるけど気付いてないだけだと思うぞ。」
佐天「え?」
上条「例えば美琴の電撃、佐天さん受けたことあるか?」
美琴「ふーん、なるほど。電撃無効とか、か。」
佐天「え?ああ、私が『電撃無効』を持ってれば防げると。でも試したことないでしょ、と」
美琴がジェスチャーで佐天に指を出させ、指先を合わせて微弱な電気を送り込む。ビリッ
ムコウハナイワネ。ウン。といった小声が交わされる。

上条「そう、無効系なら、俺のがシステムスキャンで引っかからないんだから可能性あるんだよ。」
イマジンブレイカーは特殊だから例外かもしれないが、上条はハッタリで押す。
美琴「当麻でもイロイロ考えてんのね」
上条「でもってナンダ。ともかく、システムスキャンは万能でないし、今は説明しないが『魔術』ってのもあるんだ」
佐天「まじゅつ…?」
上条「ああ、俺も最初信用できなかったが。この前のクーデターも魔術戦争だったなんて信じないだろう?」
初春「え、学園の発表では」
上条「ウソウソ。参加してきた俺が言うんだから間違いない。参加した証明はコレだ。王女3人と映ってるだろ」
上条は携帯を見せる。美琴も初めてみる写真だ。
初春はちゃちゃっと端末で検索し始めている。「うわ、ホントですね。王女様たちですね」

美琴「当麻は王女にまで手だしたの?」
上条「…期待通りの回答アリガトウ。ともかく!能力ってのは超能力だけじゃねえし、学園の言う事全部信じんな!」
佐天「わかりました。学園では分からないような才能の可能性があるかもってことですよね。」
上条「ああ。上条さん的には料理のスペシャリストとか、そういうのの方が世の為人の為だと思いますけど」
初春「上条さんの話って納得できる話でいいですねー。経験からくる話のせいかもしれませんけど。」
上条「8割以上ハッタリだけどな。」
べしっ!美琴は頭をはたきつつ、鞄の中をごそごそあさり出す。

510【帰省編あふたーA-5】:2009/12/31(木) 15:39:42 ID:.1h5JlY6
美琴「ちょっと恥ずかしいけど、見てー」
初春「えっえっ。何コレ。きゃーきゃーすごーい」
佐天「はっ、鼻血出るほどカワイイ!いや、ちょっと、これ…うはー」

初詣の時の写真が出てきた。
初春「ぬっふぇ、こちらお姉さん…お母さんですか!わっかーいし美人ー、うひゃあ」
佐天「これはやばいでしょ、御坂さんメイク決めるとこんなになるんだー、うひょー」
そこで一旦言葉をきって、
佐天「かみじょーさん、ふつー」
上条「…三段オチに使われるのは分かってますから。だから俺も着替えるって言ったんだー!」
初春「服装でどうにかなる問題ですかねえ」
美琴は大絶賛に頬を上気させてニコニコしている。

佐天「御坂さんズルイですよね…」
美琴「え」
佐天「こんなのどんな人も一撃必殺じゃないですか!これで上目遣いで迫ったら撃墜率200%ですよ!」
美琴は上条が車内で一番慌てていたシーンを思い出した。
美琴「なるほど…そういうことか」
上条「いらんこと思い出すなー!」
初春「あ、これこれ。上条さん鼻の下のびてるー」
佐天「どれどれ?うっひゃ」
上条「やめて!やめて!俺死ぬから!それ回収!」


初春が仕事の時間と言うことで、ファミレスを出ることに。
佐天「おつかれさまでしたー。上条さんまたよろしくお願いしますー」
上条「おー。またなー。」
佐天「そうだ!携帯とアドレス教えてもらうのはアリですか?」
初春「わ、私も交換お願いしますー」
上条「ああいいぞ。カミジョーさんは忙しいから相手できないかもですけどね!」
佐天「あっははー、うっそだーw」

美琴(私…3ヶ月かかったのに…この子たちは2時間でゲット…)

佐天は初春にごそごそ耳打ちすると、初春は躊躇った後うなずいた。
佐天「じゃあ上条さんとはお友達ってことで。バンザイしてくださいー」
上条「? あ、ああ?」
その瞬間、初春は上条に正面から抱きつき、
初春「爆弾から守ってくれてありがとうでした!じゃまたです!」
真っ赤になって走り去って言った。

固まってる上条へ、今度は佐天が飛びつき、
佐天「これぐらいなら御坂さんもオッケーかなと思って♪ではまたー。御坂さんもまたー」
舌を出しながら走り去った。

美琴「…」
上条「若いっていいねえ」
美琴「ババア扱いすんなっ!」




<帰省編あふたーA終了。Bは美琴vsインデックス予定>


なんかやたらとご評価していただいてありがとうございます!
ここで調子にのると痛い人になりかねないので、ゆったりと。

ただ今回はいちゃいちゃは少ないです(そもそも帰省中も他の方に比べれば薄すぎるかとw)
また気力が湧いたら、投げますねー。

511■■■■:2009/12/31(木) 16:30:08 ID:DlYMRfkw
GJ
やっぱ初春と佐天を出した時の美琴の照れっぷりがいい
続きまってます

512■■■■:2009/12/31(木) 17:05:42 ID:nyx7aprc
GJ!
>>510
いや、十分イチャイチャですよ。
「イチャイチャ」と「見た目のベタベタ」は違うし。

513寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2009/12/31(木) 17:10:05 ID:76VuflIw
  |
  |ω・)  メリークリスマス(遅
  |⊂ 
  |

>>260の続き書きます
まだ終わってないんですが、とりあえず途中まで

消費:多分3レス
(1レス当たりの量を増やします)

514■■■■:2009/12/31(木) 17:12:38 ID:76VuflIw
━8━

 12月24日 PM6:17 晴れ

 御坂美琴は公園の前の道路に一人立ち、待ち人が未だ来ないことに苛立っていた。
 待ち合わせ時間は午後6時である。

美琴(全く、どうしてあいつはいつもいつも私を待たせるのかしら……)

 その日の美琴はモコモコした白いニットのコートに、赤を基調としたプリーツスカート、ニーソックスに猫の刺繍が入った手袋
といった出で立ちであった。そのコートはボタンが小さな花の形をしていたり、丸いぽんぽんが付いていたり、フードが動物の耳
のような形をしていたりと、相変わらず趣味が全開している。丈は股下あたりまであり、スカートがチラチラ見えている。
 もちろん中は制服でないため校則違反だ。
 その可愛らしい服装とは裏腹に、美琴の眉間は徐々に険しくなっていく。

上条「わりぃ御坂」

 駆けてくる足音と共に横から声を掛けられる。

美琴「あんたねぇっ!……………」

 用意していた文句を放とうと声のする方を向いたが、上条の姿を見た瞬間、出しかけた言葉を飲んでしまった。
 その代わり溜息が漏れる。

美琴「はぁ……であんた、今日はどんな事件に巻き込まれて、どんな女の子を救ってきたわけ?」

 上条はこの寒空の下、学ランだけの格好であった。こんな日にそんな格好なのもツッコミたいところだが、美琴の目は別の物
に引かれる。上条の体には所々擦り傷があり、よくみると顔も一部腫れていたのだ。

上条「い、いや。違う!断じて違います!これは………なんというか、男の友情を確かめ合うために拳を交えたというか何というか」

 それでも美琴は睨み続ける。
 上条はその視線から逃れつつ「さ、さぁ寒いしささっと行こうぜー」と美琴の脇をすり抜けようとする。
 が、美琴はそ上条の制服を掴むことでそれを制した。

美琴「ほんとのこと言いなさいよ」
上条「ほんとです」
美琴「………………………」
上条「………………………わ、分かった分かった。詳しく話す。だからそんな悲しそうな顔すんな」
美琴「別にそんな顔…………ん?」

 上条が目の前に1メートルくらいの大きな紙袋を差し出す。

上条「今日補習があって、その後コレの仕上げを学校でやって、一旦帰って着替えてから来ようと思ったんだけど、途中で
    ダチに捕まっちまったんだよ」
美琴「……で?」
上条「『上条当麻。そのあからさまにプレゼントっぽい物はなんだ?吐け、吐かねぇと絶対帰さねぇ』とか糞真面目な顔で
    言われて……粘ったんだけど、そいつらがあまりにしつこくてさ、仕方なく言ったら……」

 美琴が先を促すと、上条は少し恥ずかしそうに視線を逸らす。

上条「『常盤台のお嬢様とイブにデートだと!?』、『ぎゃー負けた。上やんの不幸がフラグに負けたー!』、『殺す!!』
    とか言われて……」
美琴「…………」
上条「襲ってきたので、殴り合ってました。ごめんなさい」
美琴「…………嘘くさー」

 とりあえず『デート』という単語には触れないでおく。

上条「嘘じゃねぇって!このアザは土御門の馬鹿、こっちの傷は青髪の馬鹿だ!あいつら……今度覚えてやがれ」

 思い出して上条は怒りに震える。

美琴「まぁ、今回は信じてあげるけどさ。あんた、あんま隠し事すると承知しないわよ?」
上条「ん、良いけど。何でお前がそんなに怒るんだ?」
美琴「ッ…………あ、あんたが馬鹿だからよ!」
上条「……わけ分かんねー」
美琴「ほら!」

 美琴は自分の足下に置いていた、上条の物より一回り小さい袋を漁ると、中から白と水色のストライプ柄をした小包を
取り出し、上条の胸めがけ投げつけた。
 上条はそれを危うく取ると、数秒して察したかのような顔をする。

515■■■■:2009/12/31(木) 17:13:17 ID:76VuflIw
━9━

上条「ん、これって、クリスマスプレゼント」
美琴「じゃないわよ」
上条「へ?」
美琴「あんたあてじゃなかったんだけど、たまたま余ったのよ。あんたに貸すわ」

 美琴が開けるように促し、上条が赤いリボンをほどくと、出てきたのは黒っぽい手袋であった。手の甲の部分には猫の
マスコットが刺繍してある。
 上条はその愛らしい(悪く言えば子供っぽい)デザインに少しげんなりする。

上条「気持ちはありがたいけど、受け取れねぇよ、だって」
美琴「あんたが右手の能力を使ったら破けちゃうからって?じゃぁ今日は使わなきゃ良いじゃない」
上条「いやお前」
美琴「それとこれも」

 そう言って今度はオレンジの小包を投げてよこす。
 開けてみるとそれは青緑色のマフラーであった。
 何やら刺繍がしてある。

上条「……TOMAはーと?」
美琴(や、やば!1カ所直し忘れた!?)
美琴「か、勘違いしないでよね。それも同じ理由。親戚の『とうまくん8歳』にあげる予定だったけど、色々あって駄目に
    なったから、今日だけ貸してあげるってだけよ!」
上条「……………」
美琴「返事は?」
上条「いやだからさ、俺が借りるのはまずいって。最近だって、不幸体質のおかげでどんどん防寒具が奪われていくんだぞ。
    預けてたら1時間くらいでボロボロになるのが目に見えてるっての」

 上条の何かを諦めたような表情を見て、美琴は少しイラつく。

美琴「……………………私が良いっつってんだから良いの。それとも柄が嫌なわけ?」
上条「いやそう言う訳じゃ」
美琴「ならありがたく受け取っておきなさいよ。はいはいさっさと付ける、ほら!」

 そう言って無理矢理上条をマフラーでぐるぐる巻きにすると、上条も渋々と言った感じで手に持っていた可愛い手袋を付けた。

美琴「あとこれ、ついでにあげるわ」

 美琴は何やらカード状の物を上条の左手に握らせた。
 どうやらお守りのようだ。

上条「………恋愛成就???」

 形はお守りだが、ピンク色のそれにはケロヨンとピョン子が描かれ、その間には『恋愛成就(はぁと)』と書かれてあった。
―――ように見えた。
 一瞬手袋のような物が目の前をサッ!と超高速で移動したかと思うと、手に握られていたお守りは『幸福守』と四つ葉
のクローバーが描かれたものに変わっていた。

上条(あ、あれ、幻視?俺、疲れてるのかな………)

 美琴の方を見ると、何故か上条を背にしてうずくまっている。

上条(何やってんだこいつ?つか、こいつってこう言うの信じるキャラだったっけ?)
上条「えっと……………さ、サンキュ」

 とりあえず好意は受け取っておく。
 一応右手では触れない方が良いかも、と思い左手でポケットに仕舞う。

美琴「安かったから、ついでに買っただけよ。これもクリスマスプレゼントじゃないから」

 何のついで?とは敢えて聞かないでおく。

美琴「さて!」

 美琴は立ち上がって静かに3回深呼吸すると、上条の方を振り向く。

美琴「左手出しなさい」
上条「?」

 言われるまま左手を差し出すと、美琴がそれを手袋をした右手で掴む。
 上条はふと、美琴のしている手袋の柄が自分のしているものと同じであることに気付いて少し可笑しくなる。

美琴「宣言するわ」
上条「ん?」

 美琴は上条を不敵に見つめる。

516■■■■:2009/12/31(木) 17:14:13 ID:76VuflIw
━10━

美琴「今日は、あんたに能力使わない」
上条「………できればいつも使わないようにしていただけませんでせうか」
美琴「文句あんの」
上条「いや、無ぇけど」
美琴「んで、今日はあんたも右手の能力を使わない」
上条「へ?」
美琴「使ったら手袋が破けるでしょ。だから使っちゃ駄目。今日の私はあんたに幸せを届ける美琴サンタなのよ。だから
    あんたに降りかかる不幸は私が」

 バシャッ。
 話している途中で、昨夜降った霙で出来た大きな水たまりの上を車が猛スピードで走り、二人に大量の冷水を掛けていく。

上条「………」
美琴「………私が振り払うから!」
??「キャー!避けてー!」

 美琴が声に反応して上条の後ろを見ると、公園の隣にあるマンションから茶色い花瓶が放物線を描いて飛んできていた。
 このまま行くと上条の頭にクリーンヒットしそうである。

美琴(どうやったら花瓶がそんな軌道で飛ぶような状況になるのよ!!)

 思うが早いか頭の先から電撃を放とうとする………が、数瞬遅れて上条も気付いたらしく、「あぶねっ!」と言って美琴を
押し倒す。美琴は花瓶の方を見ていたためそれに対応できず、真後ろに倒される。
 カシャンッという妙に小気味良い音が二人の横50cmくらいの所で響いた。

美琴(う……あれ?酷い倒れ方したと思ったのに痛くない)

 美琴の頭や体と地面の間には上条の腕が挟まれていた。
 その事により美琴の真っ白なコートは泥まみれにならずに済んだが、代わりに上条の制服が泥まみれになり、そればかりか
さらに傷が増えることになった。
 美琴は出鼻を挫かれた事と、それを防げなかった自分に腹を立てる。

上条「御坂、大丈夫か?」
美琴「わー!耳元で囁くな馬鹿!」

 美琴は立ち上がりながら上条の制服の泥を手で払う。

美琴「あんた、もうちょっと私の力を信用しろっての」
上条「しょうがないだろ。咄嗟だったんだから」
美琴「今日くらいはこの御坂美琴センセーを頼んなさい。あんたを不幸じゃなくて幸福にするってのが私からのプレゼント
    なんだから」
上条「へ?」
美琴「あーあー。血出てんじゃないのよ。ちょっと待ってなさい。救急セット持ってるから」

 上条は少し面食らう。
 考えてみれば、さっきの状況でビリビリしてこないのは美琴らしくないな、と美琴が消毒液を探すのを眺めながら思う。

美琴「ちょっと何でこのセット、消毒液が入ってないのよ!」
上条「俺に怒るなよ」

 美琴はキッと上条の方を睨んでから、逡巡してガーゼを取り出し、それに口を付ける。
 どうやら唾液で消毒しようとしているらしい。

上条「お、おい、それくらい自分で」
美琴「うっさい何赤くなってんのよ!任せろっつってんでしょうが」
上条「赤くなんかなってねーよ!」

 ギャーギャー文句を言い合いながらも、美琴は手際よく消毒し四角い絆創膏を貼り終える。

美琴「全く、さっさと行くわよ。ほら、左手」
上条「なんつか、気持ちはありがたいけどさ、あんま無理すんなよ」

 実は内心かなり嬉しいのを抑えてそう言う。

美琴「無理なんかしてないわよ。レベル5舐めんな」

 そう言って上条の左手を乱暴に取る。
 敢えて左手なのは上条に能力を使わないという誓いを忘れないためであり、かつ上条の不幸に対抗するためには能力が必要で
あったためだ。恐らくそこは伝わってるだろうと美琴は考える。
 手袋越しとは言え、手を繋ぐという行為に内心ドキドキしつつ、それを抑えるため気付かれないように何度も深呼吸をする。

美琴「行くわよ、ってもうこんな時間じゃん!走らないと」
上条「お、おい、ちょっと待て」

 上条が道路に横たわっていた大きな紙袋を掴むのを確認すると、美琴も自分の袋を持って二人で走り出す。


____


今年中には完成させたい

51716年後 1:2009/12/31(木) 17:19:42 ID:C21DVtOU
30歳の誕生日を迎え、当麻からなかなか気の利いたプレゼント
をもらった美琴は悩んでいた。
「なんてつまらない男と結婚してしまったのだろうか?」

そのつまらない男とは、
10代で世界の混乱を収集させ、20代で学園都市の統括理事になり
学園都市の不条理を全て片づけてしまった上条当麻のことで、
32歳でありながら、国際的にも最も発言力の強い男である。

しかし、基本的に世の中が平和になってしまって、
外交にしても内政にしても、基本は役人たちとミサカネットワーク
に任せておいて、「みんなが幸せになるように」といった抽象論
さえ述べておけばあとは流れるように片付いていく。
昔の武勲を知る人たちからは、恭しく扱われ、
なにか表だって発言すれば、それにもっともらしい解釈がついて
世界中の新聞の一面を埋め尽くす。それとは裏腹に、
家庭内では、いまや小学生の娘にさえ馬鹿にされる始末だ。
この娘も、かなり優秀なので、勝手にどんどん育っていく。
そうなると、上条夫妻はやることがない。ただ外国だ、国内だで
パーティーに出席して、当たり障りのないことをしゃべっていれば
全てがすむのである。


統括理事公邸の近くには、官舎があり、一方通行、打ち止め夫婦等住んでいる。
彼らはついこの前結婚したばかりで、
身重の打ち止めは、旦那の帰りが遅いとぼやくのだが、
自分たちより幸せそうだしか思えない。
一方通行は、一流の悪党から飛び級で一流の外科医に転身して
毎日のように難病者を死のふちから蘇らせる戦いに挑んでいる。
一方通行だって、出産後は、また医大の学生に戻る。
つまり、やることがある。

当の上条さんも悩んでいた。

「俺は年に一億ももらっているが、ここ5年ぐらい
外国旅行にいっては、中身のないおしゃべりばかりをして、
仕事らしい仕事なんかしちゃいない、いっそうのこと、
なにか別の仕事をしたほうが世のためではないだろうか?」

外国の大使の謁見前一席で、こんなことを述べた上条さんの
言葉を聞くや否や、同席した理事の一人浜面は、激しい剣幕で
異論を述べる。「上条統括理事がいるから、世界が安定しているんです。
これがいなくなってしまったら、誰が世の中を丸く収めるんだ」と。
次に、土御門理事が続ける。「上やんは、世界のために充分働いたんだし、
年収は恩給だとおもってたーんと休めばいい」

51816年後 2:2009/12/31(木) 17:20:04 ID:C21DVtOU

さらに、イギリスのステイル=マグヌス大使が何かを言おうとするが、
外交担当の土御門理事に、「内政干渉はこまる」とつきかえされてしまう。
ステイル=マグヌス大使としては、妻(インデックス)を奪い合った
仲の上条さんが、生ける屍になってしまっているのは、どうもつまらない
ので、個人的には土御門理事や、浜面理事とは異なったスタンスではあるのだが、
世の中がおかしくなった場合の恐ろしさを知っているが故、彼らの制止を
基本的に受け入れることにするが、一言
「そういえば、上条さんのお嬢さん、彼氏でもできたんですかね、
男の子と、女の人と一緒にあるいていましたよ」


その一言に、上条さんは、反応する。
「なんだって?、男の子はいいとして、「女の人」というのはいったい何者だ?」
その問に、「男の子は青髪、女性は赤髪でしたねー。それ以外は」
とステイル。わかった。念のため、探してみる。

国内警備担当の浜面は即座に「では、自分の部下に探すよう指示を出します」
と杓子定規に答えるが、これを無視して、上条は、席を立つ。
「どうせ、イギリスと学園都市の友好を確認したでおわりなんだろ?」
とステイル。「今回だけですよ」と土御門。


そのころ、上条さんの娘は…。
さあ、おべべをぬぎぬぎしましょうか…。
「母さんそういうことは…。」
「うるさいわね、の一言で、彼氏は外に飛ばされてしまう」
「さあ、これで誰も邪魔はいなくなった...。」
それにしても、お姉さまそっくりで、なんてかわいらしい。
あられもない姿になった上条さんの娘…。
そのとき…。


「おい…。」
「なんであんたがここに」
「赤い髪の女いっしょにいたと聞いたんで、赤い髪といったらお前ぐらいしか思いつかなくってな」
「そんな、私はお姉さまと添い遂げることができなかったので、せめて男の子をうんで、お姉さまの
娘と結婚させ、遠いところから見守っていようと」
「で、お前の息子は、外で伸びていて、お前はなにやってるんだ?黒子」

「母さん…。みっともないからやめてよ」
「まあ、今回は大目に見てやるけど…。次やったら」
「涙目の黒子」
「次はきちんと守ってやるんだぞ青髪」
ばつがわるそうな青髪。
「母さんは、変態のくせに能力が高いから」
「能力は関係ない。どれだけ守りたいとおもうか、だろ?」

じゃあ、後は任せたから。

あられもない姿を彼氏にみられて真っ赤になる娘…。
「父さんなんか大嫌い」
と叫ぶ瞳には、「少しかっこよかった」という
表情がみられた。

51916年後 3:2009/12/31(木) 18:32:48 ID:C21DVtOU
16年後の世界では、各部門の理事が、学生の代表からなるそれぞれの委員会
に対して説明責任を負う委員会制になっていて、理事は忙しい。
(統括理事は、承認をするだけなので、暇)

仕事がなく、9時5時の生活の統括理事とは違い、基本、
理事は忙しい。比較的暇な法務担当とか、施設担当ですら
激務である。そのなかでも財務を担当し、委員会対応
に追われる上条美琴理事は、特に忙しい。今日も、一方通行の病院の
医療器具が金を使いすぎているという件と、ミサカネットワークの
維持の資金について散々なめにあって帰ってきたところだった。


「そんなことがあったの。」

帰宅後に自分の娘の話を聞く。


そこに、黒子を連れて当麻が帰ってくる。
美琴:「あんた、何やってるの、昨日は委員会の準備で忙しかったから今日あたしの誕生日を祝うっていったでしょ?」
当麻:「だから、美琴の友達をつれてきたんじゃないか」
美琴:「そいつが何をやったか知ってるの」
当麻:「あぁ、こいつは昔から少し変態だからな」
黒子:「でも、うちの初春社長だって、女と同棲してるっていうじゃないですか?」
当麻:「わかったから、話をややこしくするな、お前は素直にあやまって、美琴野誕生日を祝えばいい」

娘:「でも、お父さん少しかっこよかった」
黒子:「なんていうことでしょう。せっかく私の息子と結婚させて私の果たせなかった思いを…」
美琴:「あんたは黙ってなさい」
黒子:「おねぇさま〜っ。でも自分の娘にフラグを立ててしまうなんてあなたも罪な男ね」
美琴:「当麻…。あんたって人は…」
当麻:「お前、もう彼氏いるだろ、お前からもなんかいってやれよ」
美琴:「えっ彼氏がいるの?」
娘:「あんな頼りないの…」


当麻:「男っていうのは普段たよりなくってもだなー」
娘:「普段たよりないお父さんがいっても説得力無い」
美琴:「どんな子なの?」
黒子:「私の息子」
美琴:「いやな予感が」
当麻:「少し頼りなさそうな感じだけど、芯は強そうだった、父親は俺の高校時代の友達だし」
美琴:「あんたの友達なんてろくなのいないでしょう?」
当麻:「それは…」


しばしの歓談のあと、黒子が帰り、娘が寝て、
当麻と美琴が2人きりになる。

52016年後 4:2009/12/31(木) 18:33:23 ID:C21DVtOU
当麻:なあ美琴、俺は普段たよりないけど見せ場もなくなってしまって、いまや生ける屍になってしまった。
美琴:そうね。
当麻:見せ場がないというのは、みんなにとっては幸せで、俺が飾りでいることが何かの役に立っているのはわかる。
美琴:そうね。
当麻:でも、このままだと、駄目になってしまう。俺はどうすればいいんだろう?
美琴:あんたは昔からダメでしょ?だったら、ダメじゃないように頑張るしかないじゃない。
当麻:そりゃそうだと思いますよ。でも、同じダメでも、身動きがとれるダメと取れないダメとでは…。
美琴:じゃあ、聞くけど、もしあんたが死んだらどうなる?
当麻:縁起でもない。
美琴:もっと理路整然と考えて。あんたが死んだら、また混乱が生じる。それに…。
当麻:じゃあ、培養器の中で生きろと?
美琴:そうじゃなくって、あんたがいなくても混乱が起きないようにする方法を考えるの?そりゃ難しいけどさ。
当麻:難しいけど、やりがいはありそうだな。娘も大きくなって、子育てもほっておけばいい、金の心配もない、
可愛い奥さんはいる。でも失っていたやりがい。これを取り戻す価値は、世の中にとってもありそうだな。

美琴:ところで、誕生日プレゼント…。あんな心のこもってないもので許されると思う?
当麻:そうだな。なあ、娘も大きくなったことだしもう一人とかじゃ駄目か?
美琴:なっ何言い出すのよ
当麻:ダメ?
美琴:わかったわよ。今度はあんたに似てできの悪い子供だったらあんたも暇じゃなくなると思うし…。
当麻:なんだよ…。
美琴:で、プレゼントくれるの、くれないの…。

こうして、2人の夜はふけていくのであった。

==完==

52116年後 訂正:2009/12/31(木) 18:36:57 ID:C21DVtOU
1の上条夫妻はやることがない。
⇒上条さんはやることがない

に訂正します。途中で設定がおかしくなってしまいました。すみません。

522■■■■:2009/12/31(木) 19:27:10 ID:4mFY753o
>.518,521
わっふるわっふる

523■■■■:2009/12/31(木) 20:46:53 ID:.9y4efkk
>>521
言っては何だが、リアルの金持ちの知り合いを作って現状を見た方がいい。
やることがない、なんてことはない。高給をもらっている人間ほど、体が二つあっても足りないくらい忙しい。
ヒマに見えてる金持ちは、そう見えてるだけ…というか、それは勝手な思い込み。そういう金持ちもいるらしいけど
上条当麻がそんな大物になったら、様々な財界人にあったり、色々な行事に出席するだけでもロクに休暇が取れないと思う。

524■■■■:2009/12/31(木) 21:25:18 ID:u72bszno
ちょっと最短で落ちて怖いんだがw
ここのスレには過疎はないのか

525■■■■:2009/12/31(木) 21:30:59 ID:VSQxNZxE
東京都顔負けの過密っぷり。

しかしいいんだ!

それがいいんだ。

526■■■■:2010/01/01(金) 00:02:55 ID:Vn1q6Uxc
>>521の続きを待ちながら、小ネタ投下。あけましておめでとうございます。


 上条さんが卒業式を迎えました。おめでとうございます。

 ………あおーげばーとぉーとしー、わーがーしのーぉ、おんー♪………


上条「おい御坂」
美琴「何? せっかくの晴れの日なのに変な顔して何かあったの?」
上条「何で俺がお前の卒業式に出席せにゃならんのだ。しかも昨日の夜にはお前の母さんから『美琴ちゃんの卒業式、代わりに出といてね』とか電話がかかってくるし俺の手元には学舎の園の臨時入場パスが届いてるし! 何だよこの手際の良さは!! 説明しろ!」
美琴「アンタ知らないの? 女子校じゃね、彼氏持ちの子は彼氏を卒業式に呼ぶのが習わしなのよ。アンタもここに来るとき、門の前に男どもがうようよしてたの見たでしょ? 気合いが入った奴なんか大きな花束抱えて迎えに来るんだから」
上条「なぁ、それってまさか……」
美琴「そ。要は彼氏のお披露目なワケ。おおっぴらに『彼氏がいます』なんて話が噂に上ったら先生に目をつけられるもん。だから卒業式はここぞとばかりに見栄張るのよねー。去年はすごかったわ。どこのホストクラブだよってくらい気合い入れたスーツの奴らがたむろしててさ。たった一人に二〇人の取り巻きよ? 信じられる?」
上条「……彼氏って、おい……」
美琴「ああ、アンタにスーツ着て来いとか花束持って来いなんて甲斐性は期待してないから安心して」
上条「っつか、俺を品評会に引きずり出すな!」
美琴「アンタの良さは私だけが知ってればいいの。アンタを誰かに値踏みさせるつもりなんてさらさらないわよ。ただ単に……私はアンタに今日、ここに来て卒業を祝って欲しかっただけ。それだけだから」
上条「…………そうやって俺を丸め込む気か?」
美琴「落とされたのは私のような気がするんだけど?」
上条「…………ぐぬぬ」
美琴「常盤台中学とも今日でお別れか。なんだか感慨深いなぁ。寮も引き払ったし、午後にはそっちに私の荷物が届くから受け取っといて」
上条「感慨深いとか言ってとんでもない事をさらっと混ぜるな! 一緒に住むことは許可してないぞ!」
美琴「冗談よ。今日から高校の寮に引っ越すから手伝いよろしくね。あ、はいこれ。渡しとくからなくさないでよ?」
上条「……鍵?」
美琴「そ。私の部屋の合鍵。一人部屋だから、いつでも来ていいからね」
上条「………………おい」
美琴「今度の部屋は、アンタんとこと違って防音効いてるから」
上条「変な含みを持たせるな! 俺をからかって楽しいか!?」
美琴「…………含みなんて別に持たせてないけど? 変なことを勝手に想像したのは当麻じゃない?」
上条「くっ………ああ、中学生に引っかかるなんてふこ」
美琴「不幸? 本当に不幸? それ、私の目を見て言える?」
上条「いえ…………幸せです」
美琴「よろしい。………ふふっ」


ちなみにこの習わしは、現実のとある女子校に実在する。完。

527■■■■:2010/01/01(金) 00:28:57 ID:F.MVBhzA
>>526
>ちなみにこの習わしは、現実のとある女子校に実在する。

kwsk

528■■■■:2010/01/01(金) 00:35:05 ID:/BN/WKBc
>>526

> ちなみにこの習わしは、現実のとある女子校に実在する。
女子校怖ぇぇぇぇぇぇぇ

5291/4  ◆Oamxnad08k:2010/01/01(金) 00:49:29 ID:rE24MLm2
2年後を妄想してみた あけましておめでとうございます。

「あーちくしょう…今年から大学受験かよ…」

髪がツンツンしていて背が約176cmと割と大きめの少年、上条当麻だ。


今日は高校の始業式で今始業式が終わって帰るところだ。

「まぁカミやん、よく留年しなかったにゃー」
「かみやんは毎回補習やったからなぁ。僕もかみやん見習って小萌先生の補習もっと受けといたほうがよかったわぁ」
「うるせーよ。俺は青髪と違ってロリコンじゃないから補習とかうれしくないんだっつーの」
「去年も一切ラブコメがなかったにゃー。今年こそはラブコメしたいぜい。とくに後輩狙いの」
「僕も今年こそがんばらなあかんなぁ」
「お前らなんでそんなに張り切ってるわけ??」

「今年の1年は常盤台から数名くるんだにゃー」
「お嬢様とか憧れるやろ、カミやん?」
「・・・」
常盤台といえばあのビリビリ…通称美琴がいるエリート中学だ。
前に『お前高校どうするんの?長点上機でも入るのか?』と聞いたら
『秘密よ〜ん♪』と笑顔で言われた。
まさかなとは思うのだが…

「はは…まさかな、流石にそれはない。うん」
「カミやん、何一人でブツブツ言ってるん?」
「え?あ、なんでもない、そろそろ帰るか。」

5302/4  ◆Oamxnad08k:2010/01/01(金) 00:49:45 ID:rE24MLm2
廊下から下駄箱まで歩き、靴に履き替え学校を出た。

「おっ、カミやんあの子かわいくない?」
「ほんとだにゃー。でもあの子どっかで見たことあるような…」
「ん?」
目の前には、肩まである茶色い髪の美少女…御坂美琴が友達と話していた。

「ええええええ!?なんでアイツがこの学校に来てるの!?」
「???カミやんあの子と知り合いなん?」
「あー思い出したにゃー。あれは常盤台のレールガンと呼ばれた御坂美琴だにゃー」
「え!?あのLV5の!?むっちゃかわいいやん!!!」

あまりにも青髪が大きい声をだしてしまい、周りの視線がデルタフォースに集中する。

「ちょッ!馬鹿!声がでけぇよ!」
と一発、青髪にげんこつをぶちかます。
「痛ぁ!カミやん手加減なしやなぁ!」
「うっせぇ!だから大きい声だすな!」

軽い殴りあいが始まる前に声をかけられた。

「ちょっとそこのアンタ等。さっきからうるさいんだけど」

恐る恐る振り向くと、前髪から青白い光をだしてビリビリしている美琴がいた。

5313/4  ◆Oamxnad08k:2010/01/01(金) 00:49:56 ID:rE24MLm2

「おい!土御門、青髪、やばいから逃げるぞ!」
「「わかった(にゃー)」」
「ちょっと!アンタ待ちなさいよ!」

ものすごい勢いで校門から飛び出し3つに分かれた。
これは美琴が追っかけてきたときのための作戦である。
もちろん誰かがずっと追いかけられる運命になるのだが…

「くそ!結局俺が追われるのね…。あー!不幸だぁー!」
と叫ぶのはいいが、気がつけば目の前が行き止まりだ。
「はぁはぁ…ちくしょー!とことんついてねーなオイ!」

「はぁはぁ…行き止まりみたいね。なんでアンタは私を見た瞬間逃げるのよ?」

「それはお前がビリビリだしてるからだろ!」
「なによ!それってアンタ等が騒いでるのがいけないんでしょ!?」
「あーわかった!!もう上条さんは逃げも隠れもしません!煮るなり焼くなり好きにしてください!」
もう自棄になっている上条を見て少し頬が引きずる。
「ええ…じゃぁ、ちょっと付き合いなさい♪」
「え?何処に?っておいッ!」
袖を掴まれ引きずられる。

「何処にって…あれ」
「ん?あれって…昔食ったホットドックのとこか…まだ潰れてないのかよ」

向かっているのは昔、海原をだますために偽デートをしたときに
食べた1つ2000円もするホットドックの店だ。

「ホラ、行き先わかったんだからさっさと歩く」
「はぁ…不幸だ…」

5324/4  ◆Oamxnad08k:2010/01/01(金) 00:50:07 ID:rE24MLm2
「で?なんでお前はこんな高校に来たんだ?あむっ」
「え?えっと…パク」

結局またこのホットドックを食べることになるとは夢にも思わなかった上条である。
もちろんまた美琴のおごりだ。

「???」
「ええと…ね」

なんかすごくモジモジして顔が赤くなっている。
上条からみても素直にかわいいと思うくらいかわいらしい。

「な、なんとなくよ、なんとなく!あはは…」
「なんか無理があるな」
「…」
「はぁ…まぁ言いにくいなら言わなくていいぞ」
「・・・・・・…がよかったのよ」
小さい唇から言葉が漏れたが、声が小さいため聞きとることができなかった。
「ん?」

「アンタと一緒の高校がよかったのよ!」
恥ずかしさあまり、ついキツく叫んでしまった。
しばらく沈黙が訪れる。

「はぁ…なんというか、うれしいんだかうれしくないんだかわかんねぇな」
「…」
「まぁお前が後悔しないんだったら別にかまわねぇよ」

息を吸う。そして自分の気持ちを伝えようと決心する。
「後悔するわけ…ないじゃない、私はアンタと一緒にいたいんだから…」

「…こんな俺でもいいのか?」
「うん、むしろアンタじゃなきゃ嫌よ。それに中学の時『中学生だから駄目だ』っていったじゃない。私ずっと待ってたのよ」

確かに前、そう言って断った気がする。その時、美琴が泣いたのも覚えてる。
その時、とある銀髪の少女を連想した。この子だけは泣かしてはだめだと…
だから『高校になるまで待ってくれ』といった。
それを覚えてくれて、今までずっと待っててくれる1人の少女がいる。
自分を待ってくれた一人の少女がいる。
だから自分は…

「ありがとな、美琴。こんな俺を待ってくれて。」
「…」
「俺…こんなに思ってくれる人がいて幸せだ。美琴、俺と…付き合ってくれるか?」
「…うん、ずっと待ってた…私も、当麻のこと大好き」

2年の時を経て2人は結ばれた。

変な終わり方でごめんね いちゃいちゃじゃないんだ。

533■■■■:2010/01/01(金) 01:00:02 ID:Vn1q6Uxc
>>.532
GJGJ!

534シークレットメッセージ 1-1:2010/01/01(金) 02:37:56 ID:Vn1q6Uxc
 誰も投稿していない……落とすなら今のうち。
長文行きます。


 >>50の続き。後日談。


 一端覧祭を数日後に控えたとある日。
 一端覧祭用の資材をホームセンターで購入し、教室に戻ろうとする上条を、美琴が呼び止めた。門の前にいたところを見ると、わざわざ上条を待っていたらしい。

「ねぇ、ちょっといい?」
「こっちも一端覧祭の準備で忙しいんだが……何だ?」

 この材木やら釘やらを急いで持って帰りたいんだがなぁと思う上条。しかし、どうも美琴の様子が変なので、一応話を聞いてみることにした。

「アンタにね、見てもらいたいものがあるのよ。忌憚なきご意見を承りたい、って奴?」
「……はぁ。忌憚なきご意見、ね。まぁいいけど、それってここでか? 電話じゃダメだったのか?」
「アンタ携帯切りっぱなしだったでしょ。全然つながらないんだもん」

 キタンナキゴイケンってなんだ、それって日本語か? とツッコミたくなるが、藪蛇になりそうなので上条はあえて口をつぐむ。所在なげに視線をさまよわせていた美琴が、意を決したように顔を上げた。

「えーと、ちょっと大がかりなんでここじゃ無理かな。……アンタの部屋を借りたいんだけど、いい?」
「俺の部屋? 何で」
「……つべこべ言わずに貸しなさい」

 上条を含む周囲の気温が、急に二度ほど下がった。

「何で頼まれてる俺がすごまれなくちゃならないんだよ……」
「急ぎの話なんで今日の夜アンタんち行くから、住所教えなさい」
「今夜? ……今日は完全下校時刻まで大道具の組み立てやってるから、その後だったらまあかまわないけど」

 それを聞いて、美琴がぱっと表情を明るくする。キタンナキゴイケンとやらは、そんなにも重要なものなのだろうか。

「ホント? じゃ、だいたいの様子見てアンタんち行くから、それじゃね」

 美琴は上条から寮の住所を聞き出すと、バイバイと手を振り駆けだしていった。

「はぁ、何か嫌な予感がするけど……もう約束しちまったしなぁ。とりあえず大道具作りに専念しますかねぇ」

535■■■■:2010/01/01(金) 02:38:10 ID:7Zsclk3c
VERY GOOD

536シークレットメッセージ 1-2:2010/01/01(金) 02:38:37 ID:Vn1q6Uxc
 上条が寮に帰ると、入り口で美琴が待っていた。

「何だ、部屋の番号教えたんだから部屋の前で待ってりゃ良かったのに」
「そうしようかと思ったんだけどね」

 上条の言葉に、何故か苦笑いを浮かべる美琴。彼女は常盤台中学指定のドラムバッグを肩から提げていた。

「それが例のキタンナキゴイケンか?」
「あ、うん、そう」
「確かにずいぶん大がかりだな。俺の部屋で広げられんのか、それ?」
「着替えるスペースを貸してくれれば大丈夫。たまたまこのバッグに入れてきただけだから」
「は? 着替え?」
「い、いいからさっさと行く!」

 美琴は上条の手をつかみ、エレベータ前まで引っ張っていった。上条は『何だコイツ、照れてんのか?』と思い、即座にその考えを打ち消した。

(コイツに限ってそんなことあるわけねぇだろ)

537シークレットメッセージ 1-3:2010/01/01(金) 02:39:27 ID:Vn1q6Uxc
「んじゃ上がれよ。ちらかってるけど」
「おじゃましまーす……」

 上条は玄関のドアを開け、美琴を迎える。上条の後に続いて部屋に入った美琴は、周囲をきょろきょろ見回した。美琴には、一人暮らしの部屋が物珍しいようだ。

「常盤台の寮より狭いだろ?」
「アンタは一人暮らしで、必要なものが全部部屋に詰まってるんでしょ? じゃあこんなものじゃない?」

 私の所は相部屋だし、キッチンはないしねと美琴が続ける。

「んで? ここで何すんだ?」
「えーとね……さっきも言ったと思うけど、着替えたいんだけど場所貸してくれない?」
「……ロボにでも変形すんのか? 大がかりって言ってたけど」
「んなわけないでしょ!」

 美琴の額から青白い火花が飛ぶ。

「待て! ここで電撃を使うな! また家電が総取っ替えだなんて冗談じゃない!」

 着替えならそっちのユニットバスを使え、と上条が指さす。

「ん、ありがと。……のぞくんじゃないわよ」
「死んでものぞかねぇよ!」

 美琴の睨みを、上条は手を振っていなす。何で部屋に押しかけられてこんな目に遭うんだよと上条は思う。……世の中理不尽だ、と。

538シークレットメッセージ 1-4:2010/01/01(金) 02:40:15 ID:Vn1q6Uxc
「……よし」

 上条がのぞいていないことを確認して、美琴はドラムバッグの口を開けた。

「見てなさい。びっくりさせてやるんだから」

 美琴は中に入っていた服を取り出し、広げてにんまりと笑う。

「……でも似合わないって言われたらどうしよう……」

 直後、がっくりと肩を落とす。浮いたり沈んだり、美琴は美琴で忙しい。

539シークレットメッセージ 1-5:2010/01/01(金) 02:40:57 ID:Vn1q6Uxc
「お待たせ。見てもらいたいのは……これなんだけど」
「あー、着替えとやらが終わったか…………って、ええええええええええ?」

 ドアが開いて着替え終わった美琴が出てきたのを見て、上条は硬直した。

「……これ、どうかな。一端覧祭で着るんだけど」
「ど、ど、ど、どうって…………」

 美琴が身にまとっているのは

「ミニスカエプロンドレスにヘッドドレスにオーバーニーソックス……?」
「あー、えっと、うちのクラスで喫茶室やるって話はしたわよね? その時にこれを着るんだけど……どう? 似合う?」

 上条は、床にへたり込んだ体勢のままベランダのガラス付近まで後ずさる。

「ちょっと……何よその態度は。人が恥ずかしい思いしてこの格好してるんだから、何とか言いなさいよ」
「に、似合う。とても似合うすごく似合う。可愛いかもしんない」

 上条は首を縦に何度も振る。

「本当に?」
「本当に」
「お世辞じゃないわよね?」
「心からそう思ってる。……お前がこう言う服を着るとは思わなかったんで、最初びっくりしたけどな」

 その言葉に、美琴がほっとした表情を浮かべる。次いで、上条の前でくるりと回ってみせた。

「これ自分で縫ったんだけど、どうかな。変じゃない?」
「手縫いかよ。気合い入ってるな。けどよ、似合う似合わないなら、それこそクラスの連中と見せ合えば良かったんじゃねーの?」
「女の子同士だと、わーわーきゃーきゃーであまり指摘してくれないからね。どっちかって言うと自分重視?」
「白井は? アイツ結構シビアな意見くれそうだけど」
「黒子は『お姉様でしたら何を着ても似合いますもの』で参考にならないの。……まぁ、そういうことで、男性の目から見た意見が欲しかったのよ。アンタなら遠慮なく言ってくれそうだしね」

 衣装のせいか、美琴がもじもじしている。多少は気恥ずかしいところがあるのかもしれない。

540シークレットメッセージ 1-6:2010/01/01(金) 02:41:44 ID:Vn1q6Uxc
「……これ着てお前が接客すんのか?」
「そう、喫茶室だしね。といっても、七日間ずっと出ずっぱりってワケじゃないけど」
「ふーん。…………他の男に見せるのは惜しいな」
「え?」
「いや何でもない気にするな俺の脳が電波を受信しただけだから聞かなかったことにしてくれごめんなさい!」

 美琴のパンチが飛ぶ前に、上条は素早く土下座にシフトチェンジした。そのまま平身低頭して嵐が過ぎるのをまだかまだかと身構えていたが、待てど暮らせど雷が落ちる様子はない。上条がおそるおそる頭を上げると、美琴は心ここにあらずといった調子で、そわそわと落ち着きなく自分の指を絡み合わせていた。

「あのー、御坂さん?」
「な、何?」
「怒らないのでせうか?」
「何が?」

 珍しいことに、上条の失言について美琴は腹を立ててはいないらしい。何だか知らないけどラッキーと喜んだ上条は、気になった点を指摘することにした。

「ああそうだ。お前気づいてないと思うけど」
「?」
「その服装であんまりくるくるしない方が良いぞ?」
「何で?」
「……気づいてないのか?」
「何が?」
「お前短パン履いてないだろ。スカートの奥の白いものが丸見えぐぼあぎゃぁっ!?」

 直後、羞恥で頬を真っ赤に染めた美琴のローキックが、過たず上条の側頭部に叩き込まれた。

541シークレットメッセージ 1-7:2010/01/01(金) 02:47:33 ID:Vn1q6Uxc
 美琴は寮への帰路を急いでいた。
 先ほどの上条の一言を思い出すたびに、上条に見られたという恥ずかしさが美琴の頬を怒りとそれ以外の何かを混ぜ合わせ、赤く染め上げていく。

「でも……」

 美琴の足が止まった。

「『似合う』かぁ……」

 美琴の頬が知らず緩む。あの衣装を着るのは少し恥ずかしかったが、どのみち一端覧祭になれば、上条はおろか来客全員に見せるのだ。今日はその予行演習と思えばいい。

「『他の男に見せたくない』とか言ってたわよね、アイツ。……これって期待して良いのかなぁ」

 美琴の歩調がスキップに変わる。気品爆発の常盤台の制服姿でスキップというのも、傍目から見ると少し怖い。

「後はあの馬鹿の予定を押さえて、それからどこへ行こうかな……」

 寮まではまだ遠く、あれこれ作戦を練る時間はたっぷりある。
 思い出し笑いを繰り返す中学生は、数日後に開催される一端覧祭に思いを馳せた。


一応ここまで。
一端覧祭当日と一端覧祭終了後に続きます。

>>527
・20人の取り巻きをのぞき全部実話(5人までは見たことがある)
・男は外車もしくは国産スポーツカーで乗り付ける奴もいる

542■■■■:2010/01/01(金) 02:54:11 ID:7Zsclk3c
お疲れさま
いい作品でしたよ。
次回作に期待してますよ!

543■■■■:2010/01/01(金) 03:03:25 ID:gOhr6T/c
乙ですの

544■■■■:2010/01/01(金) 03:48:39 ID:sADaH2VY
このスレ、読み手に変な人が全然いないのでいいですね^^

もちろん書き手さんも素敵ですけどw 上条×御坂好きなんで気に入りました☆

545シークレットメッセージ 2-1:2010/01/01(金) 11:32:43 ID:Vn1q6Uxc
 誰もいない。落とすなら今のうち。
>>541の続きを投下します。


 一端覧祭当日。
 上条は土御門と青髪ピアスを伴って、常盤台中学を訪れた。これにあたっては、美琴から事前に彼女のシフト時間と招待券、そして『絶対来なさいよ!』というありがたいお言葉をもらっていた。

「にゃー、常盤台常盤台。おにゃのこの秘密の花園だにゃー」
「僕ら今日ほど今日ほどカミやんと友達で良かったと思ったことはないでぇホンマ。招待券くれた女の子にはお礼言わんとなぁ」

 ああそうかい、お前らの目当ては常盤台の女の子だよな、と上条は毒づく。
 招待券がなかったら、上条だってここまで足を運ぼうとは思わなかった。それくらい常盤台中学という所は近寄りがたい、否、凡人高校生としては一端覧祭でも近づきにくい場所だった。

 美琴のクラスはすぐにわかった。他と比べて、圧倒的に行列が長い。喫茶室で行列できてるっていったいどんなだよ、と上条はうんざりする。ともかく、もらったチケットを無駄にしないためにも、さくっと入ってさくっと出てしまおう。

「結構並んでるにゃー」
「でも、それと同じくらいのペースで客がさばかれてないか? ほら、また出てきた」

 ありがとうございましたー、という女の子の声が聞こえてくる。

「しっかしまぁ、見事に男ばっかり並んでるな」
「いかに僕らと同じ発想の奴が多いか、わかるってもんやね」

 青髪ピアスが肩をすくめる。

「で? カミやん、ここで何人の女の子にフラグ立てたん?」
「立ててねぇよ! お前ら俺を何だと思ってんだ!!」

 まぁ奥様、上条さんたらこんな事おっしゃってますわよ、ああら奥様、だって上条さんですもの、と団地妻の昼だべりをジェスチャーで繰り広げる二人を無視して、上条は列の先頭を見る。中に入るまで後何分くらいだろう、美琴のシフトに間に合えばいいがと、携帯の液晶画面を見ながらじりじりする。ついでに、茶を飲んだらさっさと出ようと固く誓う。こいつら二人が何の騒ぎを起こすかわかったもんじゃない。

546シークレットメッセージ 2-2:2010/01/01(金) 11:33:22 ID:Vn1q6Uxc
「お待たせしました、三名様ですね。こちらへどうぞ」

 ポニーテールの女の子が、上条達を空席へ案内する。あ、どもという感じで室内に入り、示された席へ三人は腰を下ろした。

「可愛い制服やねぇ」
「舞夏のメイド服には負けるが、眼福眼福」
「お前ら何しに来たんだよ……」
「ああん? ナンパに決まっておろうが」

 三人のバカ騒ぎに気づいたのか、離れた席で接客していた美琴が振り向いた。

(うげ!)

 美琴の姿を見つけた上条は、グリンと首をあらぬ方へ回す。

「いらっしゃいませ。ご注文は?」

 上条達の来店に気づいた美琴は、にこやかにマニュアル通りの接客を行う。

「うわー、かわええなぁ。お嬢さんお名前は?」
「にゃー、その制服ベリーキュート!」
「おいお前ら、彼女困ってんだろ。さっさと注文しろよ注文!」
「アンタ、何カリカリしてんの?」

 土御門と青髪のちょっかいを無視して、美琴が上条に声をかける。

「い、いや別に何も。俺コーヒー」

 上条はメニューで顔を隠してオーダーする。

「にゃー、この子がカミやんのお知り合いの子かにゃー? カミやん、紹介して欲しいにゃー」
「ダメダメつちみー、この子はもうカミやんのお手つきやて」
「うっせぇ! お前ら喫茶室来たんだからさっさと注文しろよ!」
「つれないなぁカミやん。なぁなぁお嬢さん、どこでカミやんと知り合ったんか僕らにおせーてーな」
「カミやんが紹介してくれないなら、勝手に話すすめちゃうにゃー。お嬢さん、お名前は?」
「…………やかましいんだよお前ら! 店の迷惑だろ!!」

 上条がテーブルを叩いて立ち上がる。その音に驚いた他の客が一斉に振り返る。美琴はびっくりした表情で上条を見つめる。

「……騒いで悪い。御坂、コーヒー三つ」
「あ、うん。コーヒー三つね」

 その声にはじかれるように、美琴が慌ててオーダーを取り、カーテンの奥に消える。

「……カーミやーん、ご機嫌斜めやねぇ」
「にゃー、カミやんあの子『御坂』とか言ってたけど、御坂何て言うのかにゃあ?」
「……知らねぇよ。コーヒー飲んだらさっさと出るぞ。混んでるし、長居してたら店の邪魔だ」

 上条は、最初と同じようにメニューに視線を落とし、微動だにしない。その後美琴がコーヒーを届けても、上条は視線を落としたまま、顔を上げることはなかった。

547シークレットメッセージ 2-3:2010/01/01(金) 11:35:17 ID:Vn1q6Uxc
「アンタ、もしかして機嫌悪い?」

 喫茶室を出た後、上条は土御門達と別れた。今はシフトが終わった美琴と、待ち合わせてあちらこちらの展示を見て回っている。美琴は常盤台の制服に着替えた後だ。

「……ん? 何でそう思う?」
「だって、うちのクラスに寄ったときアンタ怒ってたし、全然こっち見ようとしないし」
「ああいや別に。さっきは騒ぎを起こして悪かったな」
「別に、あれくらいだったら大したことないじゃない」

 美琴は笑ってみせるが、上条の視線は下を向いたままだ。

「……ホントにどうしたのアンタ? どっか変じゃない?」
「別に変じゃねぇよ」
「そう? 私のこと不自然なまでに避けてたじゃない」
「あー、あれか……」

 そこで上条がようやく顔を上げ、頬を掻く。

「……何かお前が別人みたく見えてさ。ちゃんと見られなかったというか」
「何それ?」

 美琴が『?』という顔をする。

「あー、何? 何てぇの? 目を合わせらんなかった」
「…………ふーん」

 美琴が上条を見て、いたずらっぽく笑う。

「アンタ、もしかして照れたの?」
「ちっ、ちっ、違ぇよ! んなわけあるか!」
「でも、こっち向けなかったんでしょ?」

 んふふー、と美琴が笑うのを見て、上条は一つ舌打ちする。

「まじまじと見れっかよ、あんなの」
「ん? アンタの部屋に行ったときはずいぶん詳しく見てたと思うけど?」
「るせぇ。あんなのお前のローキック一つで全部すっ飛んだわ!」

 美琴のウェイトレス姿にどぎまぎしたとは今更言いづらい。ついでに言えば、翻るスカートのことも。

「んー、じゃあアンタは美琴さんが一生懸命働いてる姿を見てないんだ。頭の中からきれいに消えちゃったと」
「……それがどうした」
「んとさ……もう一回あの格好してあげよっか? アンタの部屋で」
「!」

 美琴がちょっと上目遣いで上条を見る。
 まずい、これはまずいと上条の中で警報が鳴る。

「私のお願い聞いてくれたら、もう一回着てあげる。どう?」
「…………………お願いって」

 何だよ、と続く上条の声を美琴が遮る。

548シークレットメッセージ 2-4:2010/01/01(金) 11:37:41 ID:Vn1q6Uxc
「美琴、って呼んで。一回で良いから」
「な!?」

 上条がズバン! という音が聞こえそうな勢いで後ずさりする。

「大したことじゃないでしょ? 名前呼ぶくらい」
「…………………………………………………………美琴」

 上条の声は細い。来客でごった返す廊下では聞き取れないほどだ。

「…………アンタねぇ。私はこっちにいるのに、何でそっち向いて言うのよ」
「何でって言われても」
「ちゃんとこっち向いて呼んでよ」

 上条と美琴の視線が重なる。根負けしたように、上条は美琴の名前を呼んだ。

「み、み、み、み、み、……美琴」
「アンタ……たかが名前一つに何でそんなにどもるワケ?」
「……るせぇ」

 調子が狂う。
 いつもだったら上条が怒鳴って、美琴が叫び返して、そしておっかけっこが二人の日常だったのに。
 上条の頭の中で、ウェイトレス姿の美琴といつもの美琴がごっちゃになる。

「ん、まぁいっか。ご褒美に、美琴さんがあの服着てアンタの部屋でご飯作ってあげる」
「な、な、な、ちょ、おい、そ、そ、それ、おい」
「…………日本語になってないわよ」

 ――何だちょっと待ておいそれはどういう風の吹き回しだ。
 と上条は口をぱくぱくさせるが、実際は途切れ途切れの音しか発声できない。
 何で? 何で? 何でコイツが俺の部屋来て飯作んの?
 しかもあのウェイトレス姿で!?

「私も修行中の身だから、めちゃめちゃすごいものは出せないわよ? あんまり期待しないでよね?」
「………………」
「ねぇちょっと、聞いてるのアンタ?」

 上条は、美琴が『あの』ウェイトレス姿で上条の部屋のキッチンに立つ姿を想像する。

「………………破壊力抜群だろそれは」
「わ・た・し・の作る料理は爆発物かーっ!」

 上条の言葉を勘違いした美琴が、ぎゃあああっ! と叫んで上条の首根っこをつかみガンガン揺らすが、上条はもはやそんな言葉は聞いていなかった。

(も、も、萌え死ぬ……やべぇ、御坂相手で萌え死ぬ……)

 上条は口から半分魂が抜けかけた状態で、美琴にがっくんがっくんと揺さぶられていた。


ここまでです。
残りは一端覧祭後日。10レス消費予定です。

549■■■■:2010/01/01(金) 13:31:11 ID:PEtAp2.6
乙です

何か過疎のせいで 書く人の数>読む人の数 という妙現象が・・・

550■■■■:2010/01/01(金) 13:42:31 ID:CD9dU7mY
乙乙。
たぶん、皆コミケ帰りで疲れてるんだよ

551■■■■:2010/01/01(金) 14:18:46 ID:DXS7svx6
あけおめ

552■■■■:2010/01/01(金) 14:44:51 ID:gOhr6T/c
test

553■■■■:2010/01/01(金) 14:46:03 ID:gOhr6T/c
500キロバイト超えてるので次スレ立てておいたよ

554■■■■:2010/01/01(金) 14:47:26 ID:PEtAp2.6
>>553
とあるSSの禁書目録 PART6

現在容量:717KB

555■■■■:2010/01/01(金) 15:11:14 ID:ozCcAlZg
職人さん、がんばってください!

556■■■■:2010/01/01(金) 15:12:49 ID:vIDn4rg2
>>554
あれれ・・・512キロバイトで落ちるんじゃなかったのか
ごめん・・・

557■■■■:2010/01/01(金) 15:59:14 ID:SVZuMtmo
>>556
おkおk気にすんな

558■■■■:2010/01/01(金) 16:04:59 ID:PEtAp2.6
俺も一回騙されたけどね >>325
スレ立てする時は一度宣言して確認するといいかも

559 ◆Oamxnad08k:2010/01/01(金) 19:11:30 ID:rE24MLm2
みなさんGJです。
僕もネタあるなら何か書きたいけどネタがないですw
このスレは初心者の僕でも気軽に書けるから嬉しいかも

560■■■■:2010/01/01(金) 19:15:47 ID:7WqztBsk
投稿したいが終わらない
いつまでこいつらイチャイチャしてるんだけしからん!

561■■■■:2010/01/01(金) 20:41:33 ID:rE24MLm2
もう次スレ立ってるし今さらだけど
テンプレくらいは決めておいた方がいいと思うんだ

562■■■■:2010/01/01(金) 20:45:17 ID:q3C6h7r2
読んでる人は書き込まないだけだと思う、ちょっと前までの俺みたいに
とにかく書き手さん乙です、顔面2828で崩壊させて餌を待っておりますです

563■■■■:2010/01/01(金) 21:01:42 ID:mOHAboZM
俺も見てるよ
美琴×上条は最高だと思う

564■■■■:2010/01/01(金) 21:11:52 ID:7WqztBsk
反応無しだと書き手は鬱になるんだぜ 多分

565■■■■:2010/01/01(金) 21:21:39 ID:pXxA1..s
ニヤニヤしすぎて何を書いていいかわからない
美琴に感情移入してしまう俺としては「もっとやってください」としか

566■■■■:2010/01/01(金) 21:25:08 ID:rE24MLm2
初心者でも入りやすい、書きやすい がこのスレのうりだと思うけどなぁ
もうちょっとしたらネタ完成・・・

567■■■■:2010/01/01(金) 21:28:04 ID:F.MVBhzA
>>541 thx
これが3次元の話なのか・・・by 527

568■■■■:2010/01/01(金) 21:29:25 ID:7Zsclk3c
少しだけエロ要素を織り込むだけでも完成度高くなるじゃないっすかね

それとかツンデレな美琴さんで前半重い感じにして最後にデレるという
急変化を入れるのも面白いと思いますよ

569■■■■:2010/01/01(金) 21:40:35 ID:yvLZPmFM
>>568
そう思うなら自分で書いたら?
各々が好きなように書くのがいいんじゃないか

あと「っすかね」がうざい

570■■■■:2010/01/01(金) 21:54:11 ID:MWf1duDE
俺は黒子と上条さんと美琴がいちゃいちゃする話が読みたいんだ

571【帰省編あふたーB-1】:2010/01/01(金) 21:55:01 ID:cvHVknf6
>>510続き


嵐のように中学1年コンビが去った後。
「さてと。美琴どうする?4時って半端だな。そっちも門限あるしなー」
「んー、門限はなんとでもなるんだけどね…」
美琴はちょっとうつむきながら、
「えと、当麻の家いくのはダメ?ご飯も作っちゃう」
「え! い、いやいいんだけど、インデックスいるとおもう、ぞ…」
「分かってるわよー。ま、いつまでも避けるわけにいかないし」
最悪修羅場か…と思いつつ、
「おっし。じゃあスーパー寄ってくか」
「うん。何つくろっかなー」

スーパーに着くと、美琴は
「いま料理推測されるとツマンナイから、ひとりでみてくる〜」と先に駆けていった。
上条は、前に五和が来た時の事を思い出し、高級ネコ缶やお菓子、ペットボトルを押さえておいた。
思ったより早く美琴は戻ってきて、上条の持つナイロン袋を覗き込む。
「ん?ネコ缶?」
「ああ、お前ネコにエサあげたいかなーと思ってな」
「ネコ!?ネコいるの!?」
「スフィンクスって名前の三毛猫だ。あんまり人見知りしねーはずだ」
「やったー♪電磁波で抱けないけど、エサやりなら!」
「ん?俺が美琴の…そうだな、背中辺りに右手あてておけば電磁波でねえんじゃねー?抱けるだろ」
「あー…じゅあ抱けるんだ!やったー♪」
美琴は足取りも軽く、上条の家に向かう。

「そうそう、ちょっと携帯貸して。メール設定みたい」
「ん?ああ」
携帯を手渡し、荷物を代わりに持つ。
「あたしのメールがスパムになったりしてるの、突き止めてやる…」
美琴が携帯とにらめっこしている。
「これかな…『mikoを含むアドレス+内容に…をスパムへ』ってあるわね。これがクサイ」
「ああ、何だか『巫女巫女クラブ』だっけか、そこからメールがしつこくて。…俺は行ってないからな?」
「…ほほう。じゃあ『mikomikoを含む…』に変更してっと。これでテストしてみよう」
美琴は携帯を返し、自分の携帯で手早く…一瞬ためらったのち送信した。

すぐに上条の携帯が反応する。成功したようだ。
「一応、返信してね。念のため」
内容を見た上条は、一瞬詰まり、
「上条さんは、中学生になった気分ですよ」と言いながら返信する。
「うっさいわね!」美琴の携帯でメール着信音が鳴る。

お互い内容は一文字、キスマーク絵文字だった。

572【帰省編あふたーB-2】:2010/01/01(金) 21:55:31 ID:cvHVknf6
「ただいま〜」
「あー、おかえりなさい、とう…ま…?」
「あははー…こんちわー」
美琴が小さく手を振りながら、インデックスに挨拶する。
「とうま。これはどういうこと?なんで短髪がいるの?」
「友達を呼んで、何かおかしいか?」
「む〜〜〜〜〜〜!」

(まず、敵対モードか。まあしょうがないわね)
美琴は予想通りとはいえ、相手の縄張りに入ったが故の拒絶を感じ取る。
(この子とは仲良くしなくちゃ、当麻が挟まれて困らせてしまう)
今日は怒らず、ニコニコとかわしながら対処、と心に誓う。
あれ?
奥にまだ人がいる。

巫女服の姫神秋沙が座っていた。

「よお姫神、来てたのか。」
上条は白いシャツをハンガーにかけ、部屋着を羽織った。
「うん。正月旅行の写真できたから。持ってきた」
テーブルの上には、写真が散らばっていた。
「あっはっは。いい写真が取れてるなー。…先生が一番幼く見えるな…」
「あの。そちらは。ひょっとして前にそこでネコのノミ取ってくれた人?」
「え? …あー!」
姫神秋沙は御坂妹と会っていた!
(これはあとで美琴に怒られる…な。これは、誤魔化せん…)
「いや、あいつはコイツの妹。えと、紹介するよ」
「御坂美琴です。常盤台中2年です。よろしく」 
美琴は上条をにらみつつ挨拶する。
「姫神秋沙です。上条くんのクラスメイト。ひょっとして超電磁砲の御坂さん?」
「はい、ご存知なんですか」
姫神は頷いて、
「相変わらず。君は。様々な人脈を構築していくね」
「返す言葉もございません」

(妹が家知ってるってどういうことよ!それに同級生の美人巫女って!)
美琴は不機嫌モードに切り替わっていた。
(留守中に上がるほど仲良くて、同級生?『恋人』の条件満たしてるじゃないの…)
「え、えと姫神さん。貴方もコイツに命を助けられたり、とか?なんて…」
「はい。一度…いえ二度かな。…御坂さんもですか。」
「はあ…」
(ほんっとに、こいつは〜〜!)

とりあえず、最近はおとなしくしているとはいえ、ブチ切れ電撃は避けねばと、
上条をスフィンクスを腕に抱え、蓋を開けたネコ缶を持って美琴に差し出す。
「うひゃは♪」
変な声をあげた美琴はしゃがみこみ、餌やりモードに切り替わり、
スフィンクスと遊び始めた。
上条は美琴の背に右手を当てながら(当然緊張しつつ)、
「今日は美琴がメシ作ってくれるって言ってるんだが、姫神も食ってくか?」
「いいのかな。私も後で買い物に出て、作ろうかなと思ってたけど。」
「インデックスが大食いなのは知ってるから、材料多めのはず。大丈夫だよ。だよな。」
美琴は「うんうん」と頷いてるが、スフィンクスを撫で回してご満悦だ。

573■■■■:2010/01/01(金) 21:55:37 ID:7WqztBsk
未出だが
R-18はNGってことで良いんだよね
R-15くらいはOKか?
線引きってむずいよね

574【帰省編あふたーB-3】:2010/01/01(金) 21:55:56 ID:cvHVknf6
それはそうと、なんでインデックスはおとなしいんだ?
と上条はベッドに座り込んでるスフィンクスを見ると…写真を見てる?
顔を上げてジロリと睨まれる。
「…とうま」
口調がとってもコワイ。
「ハ、ハイ」

「なんで短髪の背中に馴れ馴れしく手をおいてるの?」
「こ、これはやむを得ない事情でして。俺のイマジンブレーカーが必要なんです、ハイ」
「なんで短髪を美琴って呼んでるの。初めて聞いたよ」
「え、これはその。ケンカ停戦条約に基づきまして、その、名字は堅苦しいので名前で呼び合おう、と」
「この写真はどういうことなの?」
写真?
インデックスから受け取った姫神が中継して上条に渡そうとする。姫神が目を光らせる。「ほう。」

1時間前に「鼻の下のびてる」と評された、美琴との2ショット写真だった。

「てめえインデックス。おれのシャツさぐったな!」
「ポケットから見えてたから、抜き取って見ただけだよ!それより何なのその写真!1月1日ってなってるし!」
うかつに回収してしまったツケがここで来た。
美琴は聞いているのかいないのか、スフィンクスを抱いて違う世界へ旅立っている。

「あーたーしーを追い出して、短髪とデートってわけ?…ゆるさない」
「ちがう!落ち着け!偶然だ!」
「なにが誤解?名前で呼び合って体ふれあっても問題なくて。明らかに恋人だよ!」
上条は頭を抱えた。最悪のストーリーになりつつある。


「心配しなくていいわよ、インデックス」
上条が手を離したため、スフィンクスに落ち着きがなくなる。
美琴はスフィンクスを優しく置き、インデックスを見つめる。
「私はコイツにフラれちゃったから。だから恋人じゃないわよ」

「え?」
インデックスは目を見張る。姫神もさすがに驚いているようだ。
「写真では仲いいでしょ?でも次の日フラれちゃった。」
「そ、そんな…」
基本的に心優しいインデックスは完全に動揺している。
「ま、図太い私は、あきらめきれず、引き続き友達として近づかせてもらってるけど」
「ああ、帰省が一緒になったのは偶然。実家が近かったから初詣に誘ったのは私。母親もいたし2人きりでもないわよ」
「名前で呼ぶくらいは許してよね?アンタだって呼んでるんだし」

「美琴!…もういい。ありがとう。」
「…ん。」
美琴は廊下の食材を取り、台所に入った。
上条はうつむいているインデックスに近づき、頭をくしゃっとなでる。
「とうま…」
「インデックスは何も気にすることはねーよ」
「ホントに…振ったの?」
「…んー、まあ形の上ではそうなるか、な。でも俺も美琴も普通にしてるだろ?問題ないって」
「う…」

インデックスは台所に駆け込むと、美琴にしがみつく。
「ごめんなさい…」
「なんであやまんのよ」
「思い出したくもないことを、私が変なこといったせいで、あの」
「大丈夫よ。当麻の抱えてる理由も聞いて理解したから。…でも理由だけはシークレット、ね♪」
美琴は手を差し出し、インデックスも握り返す。
「んじゃちょっと待っててね。美琴さんのデビュー戦お見せするから!」
「うん!」

575【帰省編あふたーB-4】:2010/01/01(金) 21:56:26 ID:cvHVknf6
上条は唖然としていた。
話を無難にまとめたあげく、インデックスが借りを作ったような気分にさせてる?
俺が噛み付かれて終わるパターンだと思ってたのに。
しかし振った振られたって言葉にすると…
あの電車のシチュエーションからするとニュアンス絶対違うよなあ、と首を傾げる。

「ねえインデックス〜」台所から声をかける美琴。
「なーに?」
「あたしのことは美琴って呼んでもらえない?短髪じゃ髪の毛伸ばせないじゃないw」
「うん、わかったミコト〜」
着々とインデックスは美琴に攻略されていた。

「彼女は。料理に慣れてるね」
「そうなのか」
「うん。ハンバーグとシチュー作ってるみたいだけど、動線が滑らか」
なんだか美琴が完璧超人に見えてきた上条である。
しかし何のことはない、その完璧超人を上条は打ち負かしてきたのだ。
美琴がムキになるのも当然なのである、が…。


「できたぞ〜♪」
出てきたのはハンバーグシチュー…いわゆる煮込みハンバーグだった。
いわずもがな、インデックスには大盛りである。
「「「「いっただきまーす」」」」
「うん、うまい!」
「おいしい」
「…」←インデックス食事中
「よかった〜。あと3人分ぐらいあるから。ご飯も炊いてあるから、欲しい人言ってね」
「美琴はどこで修行したんだ?やっぱり常盤台で実習とか?」
「そうね。でも結構寮で作ったりしてるのよ。門限のせいで時間余ったりすること多くて。」
ピンポーン!ドアホンが鳴る。

ドアを開けると土御門舞夏が立っていた。
「この上条家に似つかわしくないニオイはなんだ?というかアタシのニオイだ」
「犬かお前は…って勝手に入るな!」
「あ!みさかー!?」
「土御門?なんでここに?」
なるほどなるほど、と舞夏はニヤリと笑う。
「得意の煮込みハンバーグでオトコ攻略か。みさかもやるねー」
「な、なに言ってんのよ!」
しかし真っ赤になった美琴の声に元気がない。言えば言うほど舞夏に倍の反撃くらうからだ。
「そう、みさかの料理の先生はワタシなのだ!当然、どこに出しても恥ずかしくない腕にしてある!」
「…うぅ〜」
「ま、別に元ネタが分かっただけで、美琴が上手いってことはかわらないし、いいんじゃねえ?」
「当麻と土御門が知り合いだなんて…やりにくくなったじゃない…」
「…美琴と当麻、ね。ネタ提供ありがとう〜」
「ちょっとまって土御門!」
美琴のシナリオは土御門舞夏に全てひっくり返された…。

576【帰省編あふたーB-5】:2010/01/01(金) 21:56:57 ID:cvHVknf6
「うーん、目的は達成したけどなんだかねえ…」
美琴はボヤきながら帰路についている。寮まで、と上条も一緒だ。
「しかしインデックスを手懐けてしまうなんて、お前怖すぎるぞ(汗)」
「んまあ、成せば成るっていうのかしらねー」
美琴は上条の腕に手を回す。
「おいおい、公園に入ったら明るいから見られるぞ」
「まあ今日組むチャンスなかったし。ちょっといいじゃない。」
「なにが恋人じゃない、だ。インデックスに噛まれるぞ」
「えへへ〜」
公園に入り、よく美琴が蹴っ飛ばす自販機のあたりに差し掛かる。


「かみじょう とうま」

白井黒子の声だ。
美琴は組んでいた腕を振りほどく。
最近の黒子は様子がおかしく、今日の初春たちとの誘いにも来ず、
夕方の門限対応の電話でも、なにやら素っ気なかった。

「勝負をお願いしますわ」

「黒子アンタ!」
「いえ、お姉さまがどうこうという話ではございません。単純な勝負ですの」
上条は無言で美琴を制し、一歩前に出る。
「美琴、下がってろ」
「当麻、でも!」
「何かケリつけたがってるんだ。俺は救いを求めてる奴は、救う」

考えろ…白井はテレポーター、俺を倒すのが目的なら不意打ちで終わりだ。
致命傷を与えるような事は…ないと信じたい。あいつの正義を信じる。
逆に言えば、飛び道具はない。至近距離の本体テレポートもない。
俺がうかつな動きをすれば、当たり所では即死だからだ。
つまり、テレポート奇襲から俺を転ばせての関節技…? なら…

上条は拳を握った前傾体勢に入る。
「来い!」
白井黒子が消える。
その瞬間、上条は左斜め後ろに振り向き、下方に意識した構えを取る。
…そこにタックルの形で突っ込んできた黒子を受け止める。
勢いもあって後ろには倒れたが、体の内側に黒子をしっかりとホールドし、動け無くした。
「……なぜわかりましたの?」くぐもった声で黒子は問う。
「まあカンだ。お前の優しさを考えると、消去法であそこになる。」
「…なんで」
白井黒子は泣き始めた。

「どうして、お姉様も、私のプライドも、心も、全部もっていきますの!」
「どうして!どうして!」
黒子の嗚咽が続く。美琴も心配そうに駆けつける。
「…とりあえず今は、全部ぶつけてくれ。俺ができることは、それだけらしい」
上条の胸のあたりがぐっしょりと濡れていくのが分かる。

…おそらくは美琴の心が完全に上条へ移り、また自分の拠り所であるテレポートを破られたこと、
そして上条への微かに秘めたる想いが、綯い交ぜになって混乱をきたしているのであろう。
美琴も推測する事しか出来ないが、黒子を抱きしめてやりたい思いにあふれる。


泣き疲れと、張り詰めていた精神が切れたためか、白井黒子は眠ってしまっていた。
寮前までは上条が背負っていたが、さすがにここからは美琴に任せるしか無い。
「大丈夫か?」
「うん、この子軽いし。…ごめんね、迷惑かけたわね」
「いや、俺の問題だろうしな…」
「ううん。この数日で色んな事が解決できたと思う。非常にスッキリしてる。でも」
「でも?」
「こうやって新たに悩んでる子が出てくる。救いを求めてる奴を、救う。当麻だけの専売特許じゃないわよ♪」
「ああ、…美琴は強いな。」
「うふふ。今日は楽しかった。じゃあね!」
美琴はよいしょっと黒子を背負い、寮に走っていった。


御坂美琴。常盤台中学2年、7人しかいないLV5のひとり。
パーソナルリアリティに「上条への想い」を融合できなかった情緒不安定な時期は過ぎ、
新たなパーソナルリアリティを持って、更なる成長を見せようとしていた。



fin.


<これにて帰省編完了です。>

とりあえず何が当麻×美琴なのかわからん内容です。
思いつきでガンガン書いていってるので、矛盾には目を瞑ってくださいますよう。

ほんとご評価いただいた方には感謝感激です。励みになりました!
完全にネタ付きたので、次回は当分先でしょう…

577■■■■:2010/01/01(金) 21:57:31 ID:7WqztBsk
超被った
すいませんorz

578■■■■:2010/01/01(金) 22:22:06 ID:F.MVBhzA
>>576
GJ!!!
乙でした。次回作とっても期待。

579■■■■:2010/01/01(金) 22:22:13 ID:Vn1q6Uxc
>>576
GJ!
次なる作品のネタ降臨を祈っております

580シークレットメッセージ 3-1:2010/01/01(金) 22:25:10 ID:Vn1q6Uxc
 過疎っている今のうちに>>548の続き投下。10レス使用します。
いちゃいちゃではなくだんだん上条さんがこわれていくだけかもしれません。




「お待たせー」

 美琴がお盆を手に現れる。
 大騒ぎの一端覧祭も終わり、学園都市は静寂を取り戻す。
 美琴は約束通り、上条の部屋に食事を作りに来ていた。
 ……凶悪な『あの』ミニスカエプロンドレスと共に。

「お、おう」

 上条は美琴をちらりと見ると、再び視線をTVに戻す。

「食事の時間までTV見てるんじゃないの」

 美琴は上条の手からリモコンを取り上げると、TVを消す。

「アンタのリクエスト通りに作ったけど、これでいいの?」

 ローテーブルの上には肉じゃが、ほうれん草のおひたし、大根の味噌汁が並ぶ。

「ああ、うん」
「……アンタ何でこっち見ないのよ?」

 上条はうつむき、テーブルの上を見つめている。

「いや、別に特に理由は」
「ないんだったらこっち見なさいよ」

 美琴は、例のウェイトレス姿で上条の向かいに座っていた。

「…………いただきます」
「いただきます」

 二人は手を合わせて、食事を始める。しばらくは二人とも無言で食を進めていた。

「……うまい」
「ホント? よかった」
「うん、うまい。すごくうまい」

 そこで上条は顔を上げ、美琴をちらりと見るとまたうつむいた。

「えーと、何か不満でも?」
「ない。何にもない」
「にしてはアンタ無口じゃない。ホントは口に合わないんじゃないの?」
「んなことない。俺が作るより断然うまいって!」

 上条は力説し、ハッとなってまた顔を下げてしまう。

「アンタこの間から変じゃない? 何か私のこと避けてるみたいだけど」
「んなことねぇよ……」

 一緒に一端覧祭を回ったとき、あんなにひっついてたんだから避けてるも何もねぇだろと、上条は独りごちる。あれから、あの時の二人を思い出すとこっ恥ずかしくて、美琴を見かけても声をかけられず、美琴に見つからないよう逃げ帰る毎日だった。

「ごちそうさま」
「おそまつさまでした」

 美琴は食器を下げ、流しで洗い始めた。

581シークレットメッセージ 3-2:2010/01/01(金) 22:26:00 ID:Vn1q6Uxc
「ねーえー」
「んー?」
「……やっぱアンタどっかおかしいんじゃない? 具合でも悪いの?」

 洗い物を終えた美琴が、上条の隣にぺたんと座る。

「おっ、俺は別にどこも具合悪くなんかないって」
「ほんとーにー?」

 美琴は上条の額に手を差しかける。美琴のひんやりとした手が触れ、上条がビキッと背筋を伸ばした。

「う、うわ、おい……」
「熱はないみたいね」
「そ、そんなに顔を近づけるな!」

 上条が後ずさりする。

「何よ」
「だ、だから……」
「はっきりしなさいよ」

 美琴が睨むが、上条は目を合わせない。

(その格好で近づくな!)

 上条の思考がぐるぐると回る。相手はあの電撃娘、御坂美琴だとわかっていても

(そ、その衣装でこっち向くんじゃねぇ! 変に意識しちまうだろうが!)

 上条は変な動悸を押さえられなかった。
 コイツ、わかっててやってんじゃねぇだろうな?

582シークレットメッセージ 3-3:2010/01/01(金) 22:26:52 ID:Vn1q6Uxc
 上条はビクビクしながら、おそるおそる美琴を見る。美琴は疲れたのか、ローテーブルに突っ伏していた。座り込んだ足の間で何か見えているような気がするが、そちらに意識を向けないよう頭の中で振り払う。

「あー、それにしても一端覧祭疲れたぁ」
「あ、ああそうだな。お疲れさん。客たくさん入ったんだろ?」
「そうなのよ。喫茶室やるのは初めてだったんだけど、集客数はうちのクラスが過去最高だったみたい」
「へ、へぇ。そりゃすごいな」
「でもねー」

 ここで美琴が顔を上げる。頭にはヘッドドレスを装備したままだ。

「うち、女子校じゃない? 男の客ばかり集まってきても来年の受験者数には関係ないのよねー」
「あ、ああ、そうだよな、うん」

 一端覧祭で各校が門扉を広く開くのは、来年の受験者を確保するためだ。もちろんそれは、名門常盤台中学といえど例外ではない。

「クラスでお客さんをチェックしてた子の話じゃ、ほぼ毎日通ってた奴もいたみたい」
「……そりゃそうだろうな」
「はい?」

 上条の返しの意味がわからず、美琴がツッコむ。

「……その服」

 上条が美琴の服を指さすと、美琴は裾をつまんでみせる。

「これがどうかしたの?」
「……わかってないんだったら、いい」
「何がよ?」
「………………あーくそ!」

 上条は叫んで立ち上がり、頭をかきむしる。

「ちょ、ちょっと急にどうしたのよアンタ!?」
「お前、御坂だよな?」
「何言ってんのよアンタ。頭おかしくなっちゃった?」
「学園都市第三位、超電磁砲の御坂美琴だよな?」
「何わかりきったこと言ってんのよ」
「だから、何でそんなに男の客がわんさか来てるのか」
「うん。それが何?」
「その男共は『学園都市第三位の超電磁砲』が可愛いコスプレしてるから見に来てんだって気づかねーのかよ!」
「………は、い?」

 美琴はきょとんとした。

583シークレットメッセージ 3-4:2010/01/01(金) 22:27:26 ID:Vn1q6Uxc
(かわいい…………可愛い?)

 美琴の顔がボン! と音を当てて赤く染まった。そろそろ瞬間沸騰機と名付けて良いかもしれない。

「えっと……だって、この服着てたの私一人だけじゃないし、私より可愛い子なんていくらでもいるでしょ?」
「それでも! お前のクラスじゃ知名度が一番高いのお前だろうが! 気づけ馬鹿!」
「馬鹿とは何よ!」

 美琴が立ち上がり、スカートの裾が揺れる。それを見て、上条がうっとうめき、その場に座り込んだ。

「………だいたいアンタが……どうしたの? 顔真っ赤だけど」
「な、なんでもねぇよ!」

 美琴は上条の隣に女の子座りで腰を下ろす。

「私のことを馬鹿呼ばわりしたのはともかく」
「…………」
「言いたくないんだったら……良いけど」

 歯切れが悪い口調のまま、美琴は上条の顔をのぞき込んだ。よく見れば美琴もほんのり顔が赤らんでいる。

「…………あの、さ」
「…………」
「アンタは……その、この服見て……どう思ったの?」
「どう、って」
「聞かせて欲しいな……アンタは、学園都市第三位の超電磁砲が、コスプレしてるのを見てどう思ったの?」
「さっき『言いたくないなら良い』って言ってただろうが」
「………………やっぱり、聞かせて」
「…………やだね。断固拒否する」
「ふーん、そうなんだ」

 美琴は上条をちらりと見ると、一つ頷いて上条の正面に回り込み

「ちょ、おま、何やって」
「…………と・う・ま?」

 上条の前で小首をかしげて見せた。

584シークレットメッセージ 3-5:2010/01/01(金) 22:28:23 ID:Vn1q6Uxc
(ぎゃぁああああぁぁぁぁぁぁ!!)

 声なき絶叫とともに、上条は全力で壁ぎりぎりまで後ずさる。

「や、やめっ、やめろ、みさかっ」
「何が?」
「だっ、だからっ、そっ、それっ」
「それが何?」
「だから! それやめろ!」
「それって何よ?」
「お前わかっててやってるだろ!」
「何を?」

 美琴はにやにや笑っている。

「くーっ…………」

 上条は頭を抱えてうずくまる。

「あははっ」

 美琴は笑って立ち上がった。

「御坂?」
「ほら」

 美琴は上条の目の前でくるりと一回転してみせる。

「ちょ! おま、ばか、やめ」

 上条はジタバタと顔の前で手を振って目の前の光景を消そうとする。

「大丈夫よ、今日は短パン履いてるから。ざーんねんでした」

 スカートの向こうがこの間と違うことにほっとしつつ、上条は

「し、心臓に悪い……」
「同じ失敗は二度しないわよ。美琴さんの学習能力をなめないで欲しいわね」
「そうしてくれ……」

 上条は左胸のあたりが痛んだような気がした。

585シークレットメッセージ 3-6:2010/01/01(金) 22:29:27 ID:Vn1q6Uxc
「えっと、それでアンタは……私がこの服着て接客してるのを見て、どう……思ったの?」
「もうその話は良いだろ……」
「いいじゃない、聞かせてくれたって」

 美琴はしつこく食い下がる。

「…………中学生ということを差し引いても、その服は反則だ」
「どこが? 何が?」
「……全部」
「……他には、ないの?」
「ほかって、なにが」
「だから…………他に感想」
「…………似合ってる」
「…………それから?」
「…………可愛いと、思う」
「…………あとは?」
「…………破壊力高すぎ」
「…………私は爆弾扱い?」
「いや……これはオトコにしかわからん話です」

 まぁお前は爆弾と変わらんだろ、と上条は息を吐く。

「他の男に見せるのが惜しいってのは、あながち外れじゃねぇよ。俺すっげぇびっくりしたし、ましてやお客がそんなに来てたってんならなおさら」
「………………そ、そう」

 美琴がそわそわし出した。

「だから、御坂さん」
「……………なに?」

 上条はがばっと土下座した。

「お願いだからこれ以上いじめないでください! 服を着替えて元の御坂に戻ってください! 上条さんはこれ以上精神が保ちません!!」
「………………えっと、意味不明なんだ、けど」

 美琴がきょとんとする。

(そこは素か、素なのか!)

 上条は一人悶絶する。
 考えてみよう。目の前で整った顔立ちの女の子が、紺色基調のミニスカエプロンドレス&オーバーニーソックスを身につけて、女の子座りをしているところを。それを身につけているのが、例え上条当麻の天敵・御坂美琴でも、

(か、かわいい……萌え死ぬ……)

 純情少年上条当麻は持って生まれた免疫の低さにより、建前と本音の綱引きで敗北しつつあった。これを世間ではギャップ萌えと言ったり言わなかったりする。

586シークレットメッセージ 3-7:2010/01/01(金) 22:30:16 ID:Vn1q6Uxc
「ちょーっと確認させてね」
「あい?」
「アンタはこの服、気に入らないの?」
「そ、そんなことはにゃい!」

 あ、舌噛んだ。

(お父さんお母さんごめんなさい。あなたたちの息子は中学生に手を出したすごい人になる一歩手前です!)

 上条は心で血の涙を流す。
 彼は思う。これはどんな拷問なんだと。

「アンタ、私に何か隠し事してるでしょ?」
「にゃ、にゃんにもしてませんの事よ? 上条当麻は裏表なきにしの事よ?」

 自分が何を喋っているのか、もう訳がわからない。

「本当に?」
「ふぉんとうですぅ」
「とりあえず、アンタが私に服を着替えて欲しいことはなんとなくわかった。着替えるから、その前に私のお願いを一つ聞いて欲しいんだけど」
「にゃ、にゃんでしょうかー」
「わ、私の名前を…………呼んで? 今のうちに」
「ぴゃあああああぁぁぁぁぁぁあぁッっ!?」

 もうダメかもしんないと、上条は思う。このままだと後戻りできない言葉まで口走ってしまいそうだ。

「ダメ…………かな?」
「……………………み、み、みさかっ!」
「ちょ、ちょっと! アンタいきなりどしたのよ!」

 上条は美琴の肩をつかんでいた。引き返すことのできない断崖絶壁に立たされたような思いで

「おれ、おれ、おれは……み、み、み、みこ、みこ…………その幻想をぶち壊す!」

 最後の意地を振り絞り、幻想殺し(右拳)を自分に向かって発射した。
 岩のごとく固めた上条の右が、その額に突き刺さる。

「! ちょっとアンタ、何やってんのよ!」

 自分を殴って気絶した上条を見て、美琴が仰天した。

587シークレットメッセージ 3-8:2010/01/01(金) 22:31:30 ID:Vn1q6Uxc
「うあ…………いててて」

 上条は目を覚ました。
 直後にふに、という感触が後頭部に触れる。

「アンタ何やってんのよ」

 ジト目でにらみつける美琴が天井にいた。
 違う。
 美琴が上条を見下ろしていた。

「えーと、これどういう構図?」

 この感触どっかで触ったことあるなぁ。ああそうか橋の上で美琴に膝枕を

「………………ええええええええ? 御坂、お前何やって」
「馬鹿、まだ起きちゃダメでしょ」

 起き上がろうとした上条を、美琴が遮った。
 上条の額には美琴が用意してくれたと思しき濡れタオルが乗っている。

「アンタが自分を殴って気絶したくなるくらい、私の名前を呼びたくないってのはよくわかったわよ」
「………………」

 いや、あれはそうじゃないんです一時の気の迷いで危うく犯罪を起こすところだったんですと言いかけて、止めた。
 目の前の美琴が、今にも泣きそうな瞳で上条を見つめていた。

「何か言うことある?」
「…………ゴメン」
「何で謝るのよ」
「…………お前に謝んなくちゃいけないと思ったんだ」
「だから、何で」
「お前を見てくれで判断しようとしたから」
「…………」
「何着てたってお前はお前だよな、美琴」
「!」
「これでいいか?」

 美琴は上条に微笑みかけ、上条の額から濡れタオルを外した。そして

「……今この状態で名前を呼ぶな馬鹿!」

 地球の重力に引かれ加速のついた美琴の左が上条の額を直撃する。

「うぐあっ!?」

 上条は再び意識を失った。

588シークレットメッセージ 3-9:2010/01/01(金) 22:33:02 ID:Vn1q6Uxc
 次に上条が目を覚ましたとき、美琴の姿はなかった。
 頭の下には枕が置かれ、体には上掛け布団がかけられて。
 ローテーブルの上に「帰る」と一言だけ書かれたメモが置かれていた。

 上条は起き上がった。
 美琴がいた気配は、どこにも残っていない。
 自分でぶち壊した幻想は、もうどこにもない。

『アンタ、私に何か隠し事してるでしょ?』

 優しい幻想をぶち壊しても、言葉は上条の胸に残った。隠した言葉はいつか暴かれるかもしれない。それでも

「…………純情少年上条当麻さんは、意地を貫き通しましたよっと」

 テーブルの上のメモを拾い上げ、くしゃくしゃと丸めてゴミ箱に放り投げ。
 上条は制服のポケットにあるプリクラシールを取り出そうとする。
 その直後、背筋を悪寒が走った。

「…………明日が来るのがこんなに怖いとは。…………不幸だ」

589シークレットメッセージ 3-10:2010/01/01(金) 22:34:57 ID:Vn1q6Uxc
 時刻は二二時〇五分。
 美琴はドラムバッグを担ぎ、寮への帰路を急いでいた。

「門限破りどころかこの時間かぁ。黒子助けてくれるかな」

 美琴は携帯電話の電源を入れる。画面を確認すると、美琴の携帯電話は黒子からの悲鳴混じりの留守電メッセージと山のようなメールを受信していた。

「この時間に帰るつもりはなかったからなぁ。あーあ」

 この時間に帰るつもりがなかったのなら、いつ帰るつもりだったのか。それは美琴だけが知っている。

『何着てたってお前はお前だよな、美琴』

 美琴の作戦は、あの瞬間たった一言でぶち壊された。上条は全てを見抜いて、あのタイミングであの言葉を言ったのだろうかと美琴は思う。何にせよ、美琴は上条に『また』負けたのだ。
 美琴の作戦。それは上条の部屋を訪れたときと同様に、ドラムバッグの中に詰め込まれていた。

「とりあえず明日よ明日。あの馬鹿が残り一六枚の招待券を誰に配ったのか吐かせて、それから……殺す!」


 学園都市の夜は明けて、いつもの朝が訪れる。
 そしてとある通学路で少年と少女は出会い、いつもの鬼ごっこが始まる。
 少年が逃げ、少女が追いかける、とてもありふれた、お互いの本音を隠した鬼ごっこが。



終わりです。お邪魔いたしました。
いちゃいちゃはどこだ………。

590■■■■:2010/01/01(金) 22:43:29 ID:q3C6h7r2
>>589
そこはかとなくGJ!と俺は顔面崩壊させながらサムズアップしてみます

591 ◆Oamxnad08k:2010/01/01(金) 22:46:29 ID:rE24MLm2
超GJです。
さすが上条さんマジパネェッス!
うん、ヤンデレの美琴かわいいかも(えっ?)

こっちもあとで小ネタ投稿します 
エロ要素がんばったけど理性が持ちませんでしたw

592 ◆Oamxnad08k:2010/01/01(金) 22:46:50 ID:rE24MLm2
>>568
エロ要素入れる・・・?

「で、御坂はどうするわけ?」

「えっと…制服が乾くまで。あとこの嵐がやむまで…」

「単純にやまない限りウチにいるわけですね…」

「何よ、女の子1人で帰れっていうの?」

(なんで上目遣いなわけ!?ううう…それは反則だろーっ!)

「ど、どーぞ家にいてください!むしろ泊ってもいいぞ!コンチキショー!」

「なんで最後やけくそ気味なワケ? あと泊っていいって本当?」

「ああー流石に女の子止めるのはまずいよな…、まぁばれなきゃいいけど…」

「じゃぁ今日は泊めてよ。不満なら一緒に寝る?」

「ぶうぅッ!!!一緒に寝る!?駄目ですそんなことしたら中学生に手を出したすごい人になっちゃいます!」

「冗談よ。シャワー借りていい?」

「あ?てかお前着替えあるワケ?」

「着替えはいつもカバンの中にあるわよ。
 あっ…別に最初からこれを狙ってるんじゃなくて…もしものためよ!もしものため!勘違いしないでよね!」

「なんだそのツンデレが発するようなセリフは…ん?お前はツンデレというよりビリビリだすからビリデレか?」

「な、ななな、何いってんのアンタ!別に私はツンデレとかビリデレとかじゃないんだから!」

「あーはいはい、わかった、わかりましたー!てか風邪ひくから早く入ってこいよ」

「絶対覗かないでよ」

「のぞく暇があったらお前を寮まで送ってるぞ」

         ・
         ・
         ・
「あー気持ちよかった」

「お、上がったか…ってなんですかその格好は!?なんでタオル一枚でそんなに露出してるわけーッ!?」

「え…? ・ ・ ・ ああああああ!? ちょっとアンタ何こっち見てんのよ!?」

「まさかの逆切れ!?お前の裸なんか見てもしょうがないから早く着替えてきなさい!」

(裸なんか見てもしょうがないっですって!?ほほう…ちょっとからかってやる…)

「何よ!?それって私には魅力がないってこと!?」

「は?誰もそんなこと言ってねぇよ!」

(こうなれば最終手段…)

「うわッ!?」ズルッ

(作戦1 アイツの目の前にワザと倒れる[アイツが支えてくれること前提])

「うおッ!?って大丈夫か御坂…?」

「えっあ、うん、あの…ありがとう」

(作戦2 アイツにワザと抱きつく[私はもちろん大歓迎♪])

「ちょっとのぼせてきてフラフラする…だからずっと支えててくれる?」

「え!?わ、わかった…」
(これはこれで…って何考えてんだ俺!?てかほぼ全裸ですよ!?この状態で理性を保てと!?あー不幸だ…)

(幸せ♪)
上条は気付かないだろうが、美琴すごい笑顔であった。

結論 エロは異常に難しいし、こっちの精神が持ちません(いろんな意味で)

593■■■■:2010/01/01(金) 22:47:10 ID:Eiq413Us
>>589
GJ
これはこれで、すごく萌える

594帰省な人:2010/01/01(金) 22:47:55 ID:cvHVknf6
>>589
GJ! そしてお疲れさまです。

自分は設定に走っちゃって、こういうイチャイチャ書けないんだよなぁ、、、

595■■■■:2010/01/01(金) 22:49:12 ID:7Zsclk3c
GJ皆それを待っているのだよ

596■■■■:2010/01/01(金) 22:51:00 ID:7Zsclk3c
シークレットメッセージの作者さん
色々な視点から上条と美琴を見てくれて書いているから
実に面白かったですよ

597■■■■:2010/01/01(金) 22:56:22 ID:7Zsclk3c
帰省編GJです!
なんか初期の設定と少し変わってたけど
これはこれで萌えます…

次はどのようなイベントが起きるかとても楽しみです

あふたーCを書いてくれる事を願います

598■■■■:2010/01/01(金) 23:30:25 ID:Vn1q6Uxc
>>592
タオル一枚作戦キター
美琴の特攻キター
GJGJ!

599■■■■:2010/01/01(金) 23:45:35 ID:lv4ZG0GE
職人さんGJ!!萌え死にしそうだぁぁあああああ!!

600寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:04:32 ID:zDD4oKyw
皆さんメリークリスマス!!!!!!!!!!!!

途中ですが>>516の続き行きます

消費:多分11(番号11〜21)
開始:大体2分後

601寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:06:58 ID:zDD4oKyw
━11━

12/24 PM6:51 晴れ


美琴(なんつーか、こいつの不幸を舐めてたわ)

 あれからも色々あった。
 車に轢かれそうになること2回、不良に絡まれた女の子を助けること2回、因縁を付けられること1回、財布を落しかける
こと1回、女性にフラグを立てること5回(内2回は美琴に対して)などなど。
 その全てを電撃や深呼吸、さらには素数を数えたりして乗り越えてきた。
 一度上条に本気でビンタしかけて、寸前で止めたのは御愛敬。

上条「そろそろ止めた方が良いんじゃねぇかなー、と上条さんは提案してみるんだけど」
美琴「しつこいわね、辞めないわよ。この程度の逆境むしろ望む所よ。それにそろそろ慣れてきたところだわ……」

 ふふふ。と美琴は不気味に笑う。
 体力というより心労でどうにかなりそうだったが、それでも今まで致命的な不幸は回避できているはずだ、と自分を励ます。
 不意に、上条の手を引く美琴が立ち止まる。

上条「今度は何だ?」
美琴「着いたわよ」

 言われて見上げると、そこには一件のファミレスがあった。大きさはジョナサンと同じくらいだろうか。
 普段は本当に何の変哲もないであろう外観だが、クリスマス仕様なのかツリーやらイルミネーションやらで彩られている。

美琴「予約……6時半なんだけど」

 悪い予感しかしないな……と二人で同じ事を思うが、そこはお互い口にせず黙って入店する。

店員「御坂様ですね……申し訳ございません。御予約されていたお席の方がですね、現在埋まっておりまして。ただいまから
    ですと2時間待ちになってしまうんですよ。別のお席でしたらすぐに御用意できますがいかがいたしましょうか?」

 予感的中。
 いかがいたしましょうかと言われても、二人は頷くしかない。
 二人は中年女性の店員に先導されて間仕切りがあるスペースへ通される。

店員「こちらになります。料理の方はコースになっておりますので、随時ご用意いたします」

 その空間を見て二人は言葉を失った。
 薄暗い2畳程度のスペースはデコレーションリースやチカチカ光るランプなどで飾られ、窓からは外のツリーが見えている。
中央にはテーブルが置かれ、その上には星形のキャンドルやスノーマンの人形が飾られていて、いかにもクリスマスという幻想的
な雰囲気を演出していた。
 そこまでは良かったのだが、問題なのはテーブルの前にあるソファであった。

美琴(……何で一つしかないのよ、これに二人で座れっての?)

 そのソファは二人で座ると少し窮屈と思える程度の幅しかなく、肘掛けも付いているため密着は必至である。

美琴「あのー」
店員「それではごゆっくりどうぞ。ふふっ」

 店員は妙な笑みを残しながら行ってしまった。
 そこでやっと気付く。

美琴(わわっ!私達いつまで手繋いでるのよ。思いっきり勘違いされて変な気回されただけじゃん!)

 二人が通されたのは恋人向けに設えられた席であった。美琴が予約したのは普通の席である。
 慌てて二人は手を離してみたが、それで何かが解決するわけでもない。
 さてどうしようか、と二人は考えたが、考えたところでどうしようもないのは目に見えていた。
 お目当てのグッズは後で渡すと言われていたし、上条にしてもこのまま何も食わずに帰るという選択肢はあり得ない。席を
替えてもらおうにも、店は嘘偽りなく混んでいて望み薄だろう。
 美琴がそっと上条の方を見ると、似たようなことを考えていた上条と目が合う。上条は気まずそうに目を逸らす。
 どちらにとってもかなり気まずい。上条はとりあえず適当なことを言って誤魔化すことにする。

602寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:07:13 ID:zDD4oKyw
━12━


上条「しかし、あちーな」
美琴「そ、そうね」

 学園都市は電力の多くを風力発電から得ているため、基本的にエコなどという感覚は薄い。
 結果的に冬は暖房の設定温度が高くなる。
 美琴はコートと手袋を、上条はマフラーや手袋、ついでに汚れていた制服の上着を脱ぎ、備え付けのハンガーに掛ける。
 ふと上条が美琴の方を見ると、着ているセーターには可愛い犬のキャラクターが描かれていた。
 上条は何気なしにそれを見つめてしまう。

上条(やっぱこういう可愛い系のキャラ物好きだよな、こいつ)
美琴「な、何見てんのよ」

 美琴はその視線に居心地が悪くなり身をくねらせる。

美琴「悪かったわね子供っぽい服で。どうせ見せることないと思ったのよ」
上条「いや、んなこと考えてねーって」
美琴「どうだか」

 などとやってると、間仕切りの戸がノックされる音がした。

定員「お料理お持ちいたしました」
上条「し、仕方ねぇ、座るか」

 ここでオロオロしていてもどうしようもないし、店員に「おやおや(笑)」などと思われるのも癪だったので、上条は
とりあえず座ることにする。

美琴「あ、あんたこっち。私こっち」

 美琴は慌てて上条を引っ張り、ソファの左側に座らせる。
 上条は不審な顔をしたものの、別段拒否する理由も無いのでそのまま座る。
 普通に座ると本当に密着しそうなので、二人はお互いに出来るだけ端に寄ろうとするが、肘掛けがあるので寄るに寄れず
更に真ん中が少し窪んでいるためどうしても両者の距離は空かない。お互いの肩と肩の間は5cmあるかという程度である。

店員「失礼します」

 少しでも動くとくっついてしまいそうなため、二人は姿勢良く固まりつつ料理が並べられるのを見守った。
 やがて店員が出て行く。

美琴「えーっと」
上条「あっ、そうだ!」

 居たたまれなくなったのか、いきなり上条がおどけたような明るい声を出して、美琴はそれに驚きビクッとする。

美琴「なな、何よ」
上条「先にこれ渡しておくべー」

 上条はソファの左側に置いていた大きな紙袋を持ち上げた。
 美琴も実はかなり気になっていたのでそちらを向く。

美琴(わ、顔近っ)

 が、顔を真横に向けると上条の頭がほんの近くにあることに気付き、顔の向きは戻し、目だけそちらを向いた。

上条「卒倒するとか前言ったけどよ、過度な期待はしちゃ駄目ですぞ?」
美琴「分かってるわよ」

 それを確認すると、上条は大きな紙袋からどうにか中身を取り出して美琴の目の前へ差し出す。

美琴(……クマ?)

 大きな、頭からお尻までで70cmはありそうな、お手製のクマのぬいぐるみであった。
 テディベアと言うには少し素人くさいかもしれないが、そこが逆に愛嬌があって可愛い。

美琴「……………」
上条「どした?」

 しかも、クマの顔はどことなく上条にそっくりであった。

美琴「……………」
上条「おーい………もしかして気に入らなかったか?」

 美琴は黙って静かに両手を上げ、そのクマを受け取ると、静かに抱きしめる。

美琴「……………やばい、嬉しくて卒倒しそう」
上条「ほ、ほんとか?やー良かった良かった」
美琴「あんた、よく私の好みが分かったわね。しかも何気に上手いし」
上条「いやお前の好みって、モロバレだろ……。上手いのはアレだ、家の隣の奴に少し手伝ってもらった」
美琴「……………女?」
上条「……………俺が住んでるのは男子寮です」
美琴「ふーん」

603寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:07:26 ID:zDD4oKyw
━13━


 実は美琴の想像したとおり、手伝ってもらった相手は女で、しかも美琴の知り合いである土御門舞夏であった。
 ぬいぐるみの顔が上条似なのは舞夏の仕業である。

上条(俺は嘘は言ってない。言ってないぞ…………って何で俺は言い訳してんだ?)

 実は今回のプレゼントで上条はかなり悩んでいた。
 『常盤台のお嬢様』にプレゼントの金額で見栄を張ってみたところで意味はないし、そもそも張れるわけもない。
 そこで思いついたのが美琴の可愛い物好きであった。初めはゲコ太シリーズだけ好きなのかとも考えたが、色んな言動や
御坂妹の例なども考えて、可愛い物は全体的に好きなのだろうという結論に達し、オーソドックスかつ安上がりであろうクマ
のぬいぐるみにしたのだ。
 
上条(しかし、手作りにしたら安く済むかと思ったけど甘かったな。まぁ喜んでるみたいだから良いか)

 美琴はふかふかしたぬいぐるみをひとしきり堪能して、再びぬいぐるみの顔を見つめる。
 見れば見るほど上条にしか見えない。見つめてる内に何だか体がポカポカしてきて、徐々に居心地が良くなっていく。

上条「ま、お前のには負けるけどな」
美琴「え?」

 その言葉は美琴にとって意外だった。

美琴「なんだ、あんた喜んでたの?てっきり迷惑なのかと思ってたけど」
上条「いや、まぁ、何というか、俺の不幸が誰かを傷つけるのは正直嫌なんだけど。そうやって、俺の不幸体質に一緒に
    立ち向かってくれた人ってのは…………ほとんど居なかったろうからさ。多分」
美琴「………………」

 言い淀み、自分のことを『だろう』で話した理由を察して、美琴は黙る。

上条「だからさ、ありがとな」

 それでもすぐ近くで上条の笑顔を向けられて、美琴は再び居心地が良くなる。

上条「御坂?」
美琴「うん」
上条「御坂さん?」
美琴「な、なによ」

 二人は見つめ合う。

上条「ビリビリを仕舞ってください」
美琴「ふぇっ!?」

 気持ちが高ぶりすぎたのか、電気が少しずつ漏れていってるのを指摘されてようやく気付く。

美琴(マズイ!)
 
 慌てたせいか、頭の先を中心に電撃が飛び散りそうになる。
 咄嗟に、美琴は上条の右手を左手で上から掴んだ。電撃が止まる。

美琴「………………ごめん、ギブ」
上条「左様ですか」

 何がギブアップなのか分からないが上条は適当に答える。最近美琴が漏電体質になっていることは分かっていた。
 美琴はとりあえずそのまま深呼吸を繰り返してみるが、どうにも上手く出来ず、単に息が荒い人みたいになってしまう。
 左手の感触がやけに鮮明に思えて、鼓動は速まるばかりだ。
 徐々に頭が霞がかっていき、まるで上条に酔っているような気分になる。

美琴(にゃゎー。もう駄目。限界)

 美琴は何かを諦めて脱力し、頭をコテッと上条の肩に載せる。
 頭、肩、腕、脚が軽くくっつき、そこから相手の体温が伝わってくる。

上条(ちょ、ちょっと御坂さん!?)

 その感触や、美琴から漂ってくる良い匂いに上条は慌てる。
 美琴はというと、何故か不思議と落ち着いていくのを感じていた。
 今なら普段言えないことでも言えそうな気がする。

604寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:07:37 ID:zDD4oKyw
━14━


美琴「あんたさ」
上条「……な、何ですか」
美琴「もっと私を頼んなさいよ」
上条「むしろ体重は今頼られてるぞ」

 上条は体の重心を美琴と反対側に少しずらしてみるが、もたれ掛かった美琴はそのままくっついてくる。
 仕方なく重心を元に戻すと、より密着状態になる。

上条(何してんだ俺はっ!頑張れ……頑張れ俺の理性)
美琴「私はあんたが記憶喪失だって知ってんだから、辛い時は辛いって言っていいし、知りたいことがあれば聞けばいい。
    愚痴だってこの御坂美琴お姉様が聞いてあげるっつってんのよ」
上条「…………その話か」

 少しシリアスな話に、上条はやや落ち着きを取り戻す。

美琴「それだけじゃない。あんたは私に変な気を使う必要なんかこれっぽちも無いんだからね。隠し事もしなくて良いし、
    何でも正直に話せばいいのよ」
上条「…………そうだな。美琴サンタだもんな」
美琴「そうよ…………で?」
上条「ん?」
美琴「何か聞きたいこととかある?あんたが覚えてないこととか………もっかい言うけど、気兼ねなんかしなくたっていいん
    だからね。つかすんな」
上条「……………そうだなぁ。なんつうか、知りたいってのもあるけどさ、知っても何がどうなるってわけでもないし、短い
    とは言え、今の俺が俺であるのはあの日からの記憶によるものが大きいからな。別にいいよ」
美琴「……………」
上条「ま、気持ちだけ受け取っておくよ」
美琴「……………あんたさ」
上条「ん?」
美琴「まだ私に気を使うつもり?」
上条「……………」

 図星である。
 美琴はまだ上条がどの段階で記憶喪失になったかを明確には知らない。
 上条の美琴に対する態度は、まだ『周りを傷つけないようにする』というスタンスを脱していなかった。

美琴「あーもういいわ。あんたが記憶を無くしたのはいつ?」
上条「……………」

 上条にとってこれは一番されたくない質問だったかもしれない。
 そこさえ知られなければまだ誤魔化しようはあったはずだ。自分のためだとか偽って、周りを壊さないことも出来たはずだ。
 美琴にもそれは分かっている。分かっていて、敢えてその質問をしたのだ。
 長い沈黙。何も動いていないはずなのに、テーブルのキャンドルが揺れて、それに合わせて二人の影もゆらゆらと動く。

上条「言わない」

 その返答に美琴は溜息をつく。

美琴「あんた、まさかその程度で私が傷つくんじゃ……とかくっだらないこと考えちゃってるわけ?」

 わざと小馬鹿にした態度で言う。
 なのに美琴の表情は驚くほど真剣であった。しかしその顔は上条からは見えない。

美琴「見くびってんじゃないわよ」

 今度は重く、上条を殴りつけるように言う。
 二人の間に再び沈黙が流れる。遠くにある厨房の音が妙によく聞こえた。

上条(はぁ。見くびんじゃないって………お前、さっきから手震えてんじゃん)

 触れていないと分からなかっただろうが、美琴の左手は微かに震えていた。本人は気付いていないかもしれない。
 しかし、だからこそ、美琴の気持ちが解かった。
 それならば、上条は拒絶するべきではないと考える。
 どちらも辛いのであれば、せめて本人の望むべき方を取らせた方が良いだろう。
 上条も覚悟を決める。

上条「俺の記憶で、最初にお前に会ったのは、8月10日。自販機前。御坂妹と白井が居た時だ。覚えてるか?」

 瞬間。美琴の脳は上条の記憶の中から、上条が覚えていないであろうものを割り出す。
 予想はしていたが、その抗いようもない事実に胸を刺されたかのような衝撃を受け、体がこわばる。上条の右手を握り直し、
指を絡ませより強く握る。
 それに気づき、上条は静かに歯噛みする。そして、ただ美琴の左手を強く握り返した。

上条「おい、御坂?」

 美琴は顔を伏せてしまって震えている。

上条(まさか、泣いてんのか?)
美琴「ププッ」
上条「は?」

605寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:07:52 ID:zDD4oKyw
━15━


 美琴は突然ニヤニヤした笑顔を上条に向けた。
 上条はかなり面食らう。

美琴「てことはあんた、『アレ』覚えてないんだ。ふーん。こりゃーからかいがいあるわ」
上条「……ちょっと待って下さい御坂さん。そういうのは反則ではないでせうか。死人に鞭打つような酷い行為ではないでせうか」
美琴「いやいや、だって『アレ』覚えてないんでしょ?あの、あんたが、あんな、裸で…………あいや、ごめん!言わない方が
    あんたのためかな」
上条「うわ、なんだそれ気になる!でも知りたくない!っつか嘘だろ?な?嘘だよなぁ御坂。嘘と言って下さいお願いします!!」
美琴「ま、嘘ってことでいんじゃないのー?」
上条「ぐあああああああああああやめろおおおおおおおおおおおおお」

 さすがに上条はちょっと泣きそうにな顔をする。
 いきなり元気を取り戻して、さっきのは一体何だったんだろう―――なんて、さすがの上条でもそんなことは思わない。
 美琴の手は未だ震えているのだ。
 だから、強く握り返しておいて明るく振る舞う。美琴がそれを望むのなら。

上条(何だよ。結局こいつだって俺にいらねぇ気使ってんじゃねぇか)

 しかし今日だけは咎めないでおいてやる、と心の中で独りごちる。
 今日の美琴は幸福を運ぶサンタクロースであるから仕方がない。

美琴「つか私お腹空いたわ。さっさと食べちゃいましょ。後でケーキも来るし」
上条「そうだな…………」

 上条はそう言って、今や恋人繋ぎ状態の右手を持ち上げてぶらぶらさせる。

美琴「あ、それで、あんたの昔のことは食べながらながら話してあげるわよ。まずは『〜出会い編〜』からね」
上条「おい」
美琴「6月頃だったかしら、私が夜」
上条「無視すんな!俺はサウスポーじゃねぇぞ!」
美琴「………ごめん。無理。今離すと多分ビリビリ出ちゃう」
上条「………どうすりゃいいんだよ」

 目の前に御馳走があるのに食べられない。そのうえ、正直この状態は恥ずかしすぎた。
 しかしここで離して、またビリビリされても困るのは確かである。
 仕方がないので右手から出来るだけ意識を逸らし、食べ物の方へ向く。

上条「よし!」

 右手を負傷して左手のみで生活していた時もあったのだ、やれば出来るはずである。
 上条は左手で割り箸を持つと、とりあえず唐揚げを摘み上げてみた。

美琴「お、上手い上手い」
上条「てめ、他人事みたいに……あっ」

 口の近くまでどうにか運んだは良いが、一瞬気が美琴の方に逸れたせいでポロっと落す。
 
美琴「おっと、はい」

 それを下で美琴がキャッチし、そのまま摘んで上条の口元に持って行く。
 悔しそうな顔をする上条。

美琴「ほら、あーんは?あーん……ッ!」

 自分で言っておいて美琴は猛烈に赤面する。

美琴(何馬鹿なことやってんの私。この状態って100%恋人同士じゃないのよ)

 しかし上条としては小馬鹿にされているようで更に悔しい。
 だから、腹いせに思い切って美琴の指まで豪快に咥える。

美琴「うわっ!ば、ばば馬鹿何やってんのよ」

 上条の柔らかな唇の感触に美琴は驚き、素早く右手を引っ込める。

上条「うむ。美味。お前の指含めて」

 意地悪そうに言う。

美琴「…………」
上条「っておい、無言で手ぇ離そうとすんな!」

 そっと離そうとした美琴の左手が、上条の右手に握り返される。
 本気でやる気かどうかは知らないが、この近距離での電撃攻撃はかなりまずい。

美琴「……おしぼりか何か拭くもの無いかしら」

 上条をジト目で見つつ、油が付いた右手の指を中空でワキワキしながら尋ねる。
 ハンカチは持っていたが、コートの中であった。

上条「いや……なんか無いみたいだぞ、ってスプーンあるんじゃねぇか」

 テーブルの上を見回した上条は先割れスプーンを見つけ、それに手を伸ばす。

美琴「そ、そう。無いなら仕方ないか」

 そう小声で言って指を舐める。そして舐めてからまた猛烈に赤面して後悔する。

美琴(だから私は何やってんのよー!!)

606寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:08:03 ID:zDD4oKyw
━16━


 やはりどうにも上条とこの距離で、しかも手を繋いでいるなんて状況だと自分の言動がおかしい。
 幸いにも上条は料理と格闘中で気付いていないようであった。
 一人で赤面していてもしょうがないので美琴も割り箸を手に取り食べ始めるが、こんな状況で美味いのか不味いのかなんて
分かるわけもなかった。仕方がないので箸を休め、元の話に戻る。

美琴「で、さっきの話。あんたは聞きたい?」

 一応念を押してみる。
 上条は一瞬、話すのは辛いんじゃないかと思い躊躇うが、先ほどのやりとりを思いだしてそれを振り払う。

上条「まぁ知りたいですな。いつ頃だって?」
美琴「6月中頃。私が夜、繁華街を歩いてる時に、ナンパに会ったのよ」
上条「…………………へ?」

 まさか、それが俺?と上条は絶句する。
 夜の繁華街で、常盤台の中学生をナンパ。今の自分からは考えられない。それほどの違いがあるのか、と。

美琴「10人くらいの馬鹿な不良に」
上条「…………び、びびった」
美琴「私がナンパされたことが?」
上条「違う違う。俺がナンパしたのかと思って」
美琴「…………ふーん。あんたが私をナンパするってそんな驚くようなことなんだ。ふーん」
上条「ん?した方が良かったのか?」
美琴「し、知らないわよそんなの!勝手にすればいいじゃない馬鹿!!」
上条「わけ分からんキレ方すんな。しかしそいつらつくづく馬鹿だな。よりによってお前に絡むなんて」
美琴「そうね。でも、それより馬鹿な奴が、私を助けようとかアホなこと考えて割って入ってきたのよ」
上条「うーわ、真性の馬鹿ですな。放っといても解決するというのに」
美琴「それがあんた」
上条「……………………………と、とてもナイスなガイですね。10人くらいの不良に掛かっていくなんて惚れちゃいそう」
美琴「不良を倒したのは私だけどね」
上条「か、かっこ悪すぎる。上条さんったら本気で落ち込むぞ」
美琴「それ以前に掛かっていくも何も、あんたは『知り合いのフリして自然にこの場から連れ出す作戦』とか何とか言って
    誤魔化そうとしただけよ。アレはどう考えても無理あったわ」
上条「……………………………ま、まぁ、10人相手ならそうするしかねぇからな」
美琴「その作戦を私がぶち壊して」
上条「…………」
美琴「不良に絡まれたあんたは、何か不良を説得し始めたわ。私をガキだのガサツだの反抗期だの罵って」
上条「ははは。大正解………痛っつ!」

 美琴は上条の足を踏みつけた。
 能力は使わないと言ったが、攻撃しないとは言っていない。

美琴「そんであんたもろとも焼いてやったんだけど、あんたにだけ効かなかったのよ!ムカついたからそれから随分追い回して
    やったわ」
上条「なんだ、やっぱガキでガサツで反抗期なんじゃ………っと」

 再び足を踏もうとするのを上条は避ける。
 避けられて美琴は表情をムッとさせて、プイっとそっぽを向く。

美琴「ま、ちょっと嬉しかったけどね」

 そしてボソっと呟く。

上条「へ?」
美琴「はいはいおしまーい。それが『〜出会い編〜』よ。他に何か聞きたいことは?」
上条「う、うーん。聞いて良かったような悪かったような……あ、そうそう、俺がお前を打ち負かしたってのは何だったんだ?
    まさか俺がお前殴り倒したとか……」
美琴「………………悔しいからあんま言いたくないんだけど」
上条「なら別にいいよ」
美琴「話さないなんて言ってないでしょ!……私の攻撃、本気の一撃も打ち消されて、私があんたにビビって勝手に負けを認めた
    だけよ。あんたは結局私に一回も攻撃してこなかったけどね。ムカツクことに」

 その言葉に上条は少し安堵する。

上条「ほ、本気の一撃って何だよ……雷でも落したのか?」
美琴「そうよ。でっかい奴ね」
上条「……………俺に?」
美琴「あんたに」
上条「……………お、俺よく生きてたな。つかお前それ殺人未遂じゃん」
美琴「びっくりね」
上条「少しは悪びれろよ」

 まぁ今に始まったことじゃないか、と上条は時系列を無視して独りごちながら、再び料理に手を付ける。

607寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:08:15 ID:zDD4oKyw
━17━


上条(しかしそんな一撃を食らわした奴と、今こうして恋人同士のような状況になってるというのはどういうことなんだ)

 と少し考えるも、上条的には『昨日の敵が今日の友』となるのは日常茶飯事であったため、まぁそんなこともあるかと適当に
結論づけてしまった。
 一方、美琴はぼけーっと行儀悪く箸をねぶりながら上条の行動を見つめる。

上条「御坂」
美琴「ふぇ、何?」
上条「そこのパスタみたいなの食いたいんですけど」
美琴「……ああ、はいはい」

 先割れスプーンでパスタは無理である。
 美琴は口から箸を抜き、パスタをそれに絡める。

上条「つか何でパスタがあってフォークが無いんだよ。後で店員に言うか」
美琴「まぁ食べたかったら私が食べさせてあげるわよ。はい」
上条「あん。お、いけるなこれ」
美琴「ほんと?私も食べ…………」
美琴(これ、私の箸じゃん!私ってばまたボケボケなことを………)

 再び赤面して顔が熱くなる。
 しかし薄暗いせいもあって上条は気付かない。

美琴(つか、こいつはもうちょっと間接キスにリアクション取っても良いんじゃないの?)

 だんだん自分だけオロオロしている状況に腹が立ってくる。
 そして上条も動揺させてやるという、妙な対抗心に駆られる。

美琴(負けないわよー!)

 意を決してパスタを口に運ぶ。

美琴「……………」

 味なんて分からない。
 その代わりに顔から火が出そうだ。

上条「な、旨いだろそれ」
美琴「そそそそ、そうね。他には何食べたい?」
上条「え、いや取れるものは自分で取るって」
美琴「遠慮してんじゃないわよ。手がふさがってるのは私のせいなんだから」
上条「………んじゃぁ……それ」
美琴「………はい」
上条「んー、ちょっと味薄すぎだな」

 自分でも食べてみる。
 どっちみち味はよく分からない。
 その代わりに目は回った。
 そんなことを数回繰り返した結果、美琴自身が満身創痍に陥る。

美琴(な、何なのこいつ。鈍感にも、程が、あるでしょ……)

 心の中でどうにか叫んで、上条をトロンとした目で見つめる(本人は睨んでるつもり)

美琴(………ん、あれ?)

 薄暗くて今までよく分からなかったのだが、よくよく見ると上条の顔が赤い。
 試しにパスタを少しだけ箸に絡め、上条の口へ無言で持って行く。

上条「み、御坂?俺はそろそろもういいって。なんつか、その……ケーキもあるんだろ?腹いっぱいになってもアレだしさ」

 上条は目を逸らしそわそわしている。

美琴「んじゃー私が食べるわ。あん」

 そこでチラッと上条を見ると、うわーそれお前そんな舐めちゃうのうわー、とでも言いたそうな間抜け面をしている。
 それを見て美琴は心の中でガッツポーズする。

美琴(やった。ついに勝ったわ、ざまーみやがれっつのこの鈍感野ろ……………あれ?)

 ちょっと待てよと考える、上条が鈍感なのは確かだが、それでもどこかからかは気付いていたらしい。
 それなのに自分は一膳の箸をさも当然の如く使い回していた。
 それが上条からはどう見えただろうか。
 『あんたとの唾液交換くらいどうってことないわよ』などと思われなかっただろうか。
 そこまで考えて突然焦り出す。

美琴「あの、あのさ!違うの、あの、その、勘違い勘違い!!」

 急に狭いソファの上で美琴が意味不明なことを言いながら暴れ出す。声は裏返っている。
 今まで蓄積された上条成分のおかげで美琴の頭はもはや真っ白だった。

上条「おまっ、いきなりなんだ!割り箸振り回すなあぶねぇ!!」

 突然目の前でぶんぶん箸を振り回されたため、慌てて上条は左手で美琴の右手首を掴む。

美琴「えっっ!!??」

 能力を封じられた状態で、両手の自由を奪われるという状態に美琴はさらに混乱する。
 力では上条に勝てるわけがない。

上条「ん?つかお前、顔真っ赤じゃねぇか」
美琴「う、うん」

 思わず甘えた声で肯定してしまう。

608寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:08:28 ID:zDD4oKyw
━18━


美琴(えっと、うんと。こいつが『唾液交換くらいどうってことない』って思ってて、『私が顔真っ赤』と分かってるなら……)

 そして恐ろしく変な方向に勘違いした美琴は、そっと目を閉じる。
 緊張して体が少し震えた。

上条(へ?は??あれ???ちょっと待ってこれどういう状況ですか………いや、慌てるな、上条さんは知っている。俺はこんな
    おあつらえられた状況で素直にホイホイ間違うほど今まで柔な経験してねぇんだぜ!!)

 ここで勘違いによりキスなんかして、また雷を落されるような事態になるのはごめんである。

上条(落ち着け。落ち着いて考えろ上条当麻。まず、御坂は顔が赤い。これは間接キスの影響かもしれないが、よく見てみろ、
    御坂は震えてるじゃねぇか。具合が悪いのかもしれない。そして、俺はさっき顔が赤いことを指摘して、そしたらその後
    御坂が目を閉じたんだ。ここから導き出される答えは何だ!?)

 ハッ!!と気がつき上条は生唾を飲む。
 いくら上条が鈍感だと言っても一応健康な男子である。アレを気軽にするなんて出来ない。
 しかし美琴が本当に具合が悪いなら放っておくことも出来ない。
 意を決して上条は美琴に顔を近づける。
 美琴は僅かな気配でそれを察して、息を止めた。瞼に力が入る。

上条(ち、近い………)

 顔に掛かる髪の毛が一本一本数えられるくらいまで近づく。
 美琴の顔から発せられる熱が感じ取れる。
 そして…………………おでことおでこがくっつけられた。

上条「えっと………………ね、熱は無ぇみたいだぞー。多分」

 ふとした何かの間違いで口と口が触れるのではないかという僅かな距離で話し掛けられ、美琴は意識が飛びそうになり、思わず
前のめりに倒れる。
 頭が上条の肩に落ちた。

上条「うわ、御坂?やっぱ具合悪いのか?」
美琴「………………………………う、うん」

 色んなことが頭の中を巡って、美琴にはそう応じるのが精一杯だった。


―――5分後


上条「落ち着いたか?」
美琴「…………うん。大丈夫」

 美琴は上条が体の上に掛けたコートに顔を埋めて、上条の方を見ずに言った。
 落ち着くにしたがって、さっきまでの自分の行動を振り返って憂鬱になる。正直そこから逃げ出したいくらいだった。
 そんな状態のなか、再びノックがされる。

店員「しつれーしまーす。ケーキお持ちしましたー」
上条「あ、はい」

 店員が入ってくると、美琴は未だ恋人繋ぎ状態の左手をサッとコートの中に隠した。
 上条の右手が美琴の太ももに触れて、上条は内心ドキッとする。

店員「あ、こちらもお先にお渡ししますね」

 若い女性店員は小さめのホールケーキを置くと、ついでトレイから透明な袋に入ったカエルのフィギュアを上条と美琴の前に
置いて出て行った。

美琴「来たっ!」

 それを見て美琴が突然元気になる。
 実はクリスマス仕様の限定フィギュアというのは知っていたが、実際にどういうものか見るのは美琴も初めてだった。
 手が片方塞がってるので、右手で自分の前に置かれた物を見る。

美琴「ふむふむ。限定物にしてはクオリティ高いわね。可愛い!」

 手に取ったのはピョン子がサンタクロースの格好をしているフィギュアだった。
 出来は良かったが、左に妙な凸凹が付いている。
 もしやと思い、上条の方に置かれたものを見ると、サンタクロースの格好をしたケロヨンの右側にも似たような凸凹が
付いていた。

上条「それ、繋がるのか?」

 どうやらその通りらしい。

美琴「ちょっと手伝って」

 手が塞がっているので、美琴の右手と上条の左手でそれらをくっつけてみと、見事に一つのフィギュアが完成する。

美琴(なんだか、ケロヨンとピョン子が恋人っぽく見えるわね)

 男女ペア限定とは書いていなかったが、その実このプレゼント企画は結局ほとんど恋人向けであったのだ。
 美琴は再び外して、ピョン子の方だけをポケットに仕舞う。

609寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:08:44 ID:zDD4oKyw
━19━


美琴「そっち、あんたにあげるわ」
上条「ん?これって両方無いと意味ねぇんじゃねぇの?」
美琴「良いから。今日付き合ってくれたことのお礼よん。こんなレア物、そうそう手に入らないんだから」
上条「つか、俺にはカエル趣味ねぇし……」
美琴「細かいこと言ってんじゃないわよ。私が良いんだから良いの」
上条(……いや、それだと今日の目的がよく分からなくならないか?)
美琴「あ、でも無くしたら殴るからよろしく」
上条「……………何だよそれ」

 上条はその理不尽な発言に脱力したが、面倒なのでとりあえず携帯にでも付けておけば無くさないかな、とか考えつつ
ポケットに仕舞う。

上条「さて、ケーキ食うか。切るぞ?いやその前に味見」
美琴「あ、ずるっ!私も」

 二人は上に付いていた生クリームを指ですくい舐める。

上条「!?」
美琴「!?」

 二人仲良く絶句。

上条「な………何だこれ、美味すぎるだろ。俺こんなケーキ食ったことねぇ!!何この滑らかな舌触り!?」
美琴「何これ、学舎の園にあるケーキ屋さんより美味しいじゃないのよ。何なのよこの絶妙な甘さ!何なのよこのファミレス!?」

 二人してぎゃーとひとしきり叫んだ後、妙な静寂が二人の間に流れた。

上条「と、とりあえず切り分けるぞ」

 上条がナイフを左手に持ち、小さいホールケーキを半分に切ろうとする。
 しかし左手なためか、それとも欲望が顔を出したのか、ナイフは正確に真ん中を捉えず少し右へずれる。

美琴「ちょっと!あんたそりゃ無いでしょう!」

 あまりのケーキの美味しさのせいか、臆面もなく叫ぶ。
 幸いケーキはまだほとんど切られていなかった。

上条「ご、誤解だ誤解!手元が滑ったんだ!」
美琴「いい、私が切る!」
上条「ちょ、ちょっと待て、やっぱずれてないか?」
美琴「どこがよ」
上条「ちょっと貸せ」
美琴「嫌よ」

 仕方がないので上条はナイフを持ったままの美琴の右手を掴んでギリギリと右へ押す。

上条「こうだろ?」
美琴「こうよ!」
上条「ならこうだ!」
美琴「もうちょっとこうよ!」
上条「まぁ、それだな。よし、切るぞ。いいか?まっすぐ切るぞ」
美琴「ちょ、ちょっと待って!!」
上条「あん?」

 ナイフが1cmくらい沈んだところで、初めて美琴は冷静になった。

美琴(ちょっと待ちなさい。え?何これ何?これってアレでしょ?アレよね!?…………結婚式の)

 自分でも馬鹿なことを考えているなと思うが、意識してしまうともう止まらない。
 緊張して手が震える。

上条「おい御坂!そんな緊張するな。大丈夫だ、ケーキは逃げない。最悪切り分けた後で比べればいいことだ、な?」
美琴「う……」

 上条に相づちを打とうとして、上条との距離が物凄く近いことに気付きさらに参ってしまう。
 自分の心臓がバクバク言うのが聞こえ、震えは更に大きくなる。

上条(チィィッ!背に腹は代えられない)

 などと妙なテンションで心の中で叫びつつ、右手を美琴の左手から一瞬離し、美琴の肩に回す。
 それに美琴はビクッと震え、さらにカチコチになる。

上条「御坂、落ち着け、深呼吸だ。深呼吸。はい一緒に、ひっひっふー!!」

 上条も相当ハイになっているためか、意味の分からないことを口走る。

美琴(ちょ、お願い。やめて、息が掛かる。もう、死んじゃうぅぅ)
上条「ええいもうどうにでもなれクソ!」

 むしろ震えが大きくなった美琴を見て、上条はほとんどやけくそ気味に美琴の右手ごとナイフを押し込み、ケーキを両断した。

上条「ふう。完璧に真っ二つだ。意義無いよな御坂」

 美琴は喋らず思い切り縦に首を振る。
 上条が右手を肩から離すと、すかさず手を左手で握り直す。正直今幻想殺しが無ければ上条どころか店がやばい気がする。
 二人は座り直すとケーキを食べ始める。上条は左手だったが、ケーキくらいは食べることができた。
 両者それぞれ色々混乱したものの、そのケーキの美味しさはそれらを帳消しにするくらいの出来映えだった。
 これがデフォルトのメニューなら定期的に通いたいと思える程である。

610寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:09:00 ID:zDD4oKyw
━20━


美琴「はぁ、御馳走様」
上条「御馳走様。これ単品でねぇかな。追加注文したい」
美琴「クリスマス限定って書いてるし無理だと思うわ……ってあんた、口の横に生クリーム付いてる」
上条「ん、どこだ?」

 どれだけむしゃぶりついたのか、上条の口の脇には結構な量の生クリームがベッタリ付いていた。
 本人はどこに付いてるか分かっていないようである。見当外れな場所を左手でペタペタ触っている。

美琴「馬鹿ね、ここよっ」

 美琴は笑いながらそれを人差し指で拭う。
 人差し指に生クリームが付いた。

美琴「えっと………………………」

 上条と顔を見合わせる。

美琴(この後どうすれば良いんだろう?)

 美琴は考え出す。
 案一、どこかに拭う。

美琴(そんなもったいないこと出来ない!気が狂うほどに美味しいのに!!)

 案二、自分でペロリと舐める。

美琴(んな恋人のテンプレみたいな行為できるか馬鹿!!)

 案三、上条に舐めさせる。

美琴(……………………………………一番あり得ないわ)
上条「おい、どうした?固まっちまって、それどうすんだ?」
美琴「う、うっさいわね!考え中………っつか考えるまでもないわ」

 そう言って美琴は脇にあったコートのポケットから小指と親指でハンカチを取り出す。

上条「お、おい!ちょっと待て、それをどうする気だ!?馬鹿な真似はやめなさい!!」

 慌てて叫んで美琴の右腕を掴む。

美琴「な、何すんのよ。他にどうしろって言うのよ!」
上条「どうするって…………………な、舐めたい」
美琴「ちょ、ちょっとあんた、目が血走ってるわよ?」

 上条はもはやそのケーキの虜であった。はぁはぁと息を荒げ、美琴の人差し指の先に付いたクリームをジーッと見つめている。
 今にも食いついてきそうで美琴はややたじろぐ。

上条「嫌なのは分かるが、お願いします。舐めさせて……下さい」
美琴「な、何馬鹿なこと言ってるのよ」
上条「……………………………ダメ?」
美琴「ッ!!??………………だ……………駄目、よ」

 上条の渾身のお願いにやや折れそうになるが、すんでの所で耐える。

上条「はぁ。そうかぁ、不幸だなぁ」
美琴「ッッ!!!???………………わ、分かったわよ。勝手にしなさいよもう」

 さすがにこれは今日の趣旨的に諦めざるを得ない。
 美琴はそう言うと指を突き出しそっぽを向く。

上条「さすが美琴センセー。も、物わかりが良いぜ。はぁ…はぁ………で、ではいただきます」

 そう言って美琴の人差し指をパクリとほおばる。

美琴(うわ、生暖かっ………舌が変な感じ!)

 チュパチュパチュパチュパチュパチュパチュパチュパチュパチュパ。

美琴「ちょっ、いつまで舐めてるのよ。や、やめっ……あっ……ば、馬鹿……」

 1ミリグラムも残すまいという程に細部まで綺麗に舐めとられる。
 肉と爪の間をペロペロしたり、指の横腹をツーと舐められたりして、美琴は初めての感覚に動揺する。

美琴「い、いい加減離せ馬鹿ー!!」
上条「ああああ。まだ味がー」
美琴「残ってないっつのこの変態!!」
上条「ぐぁ!」

 美琴は思いっきり指を引いて、その手で上条の頭に強烈なチョップをする。
 結構効いたようで、上条は頭を抱えてうずくまってしまった。
 かと思った次の瞬間にガバッと起き上がる。

上条「う!!な、何か悪い夢を見ていた気がする」
美琴「あんた、あれだけやっておいてその言い草ってどうなのよ」

 美琴はハンカチで指を拭きながらジト目で睨む。
 さすがに今回は舐めない。舐めたら意識が飛びかねない。

上条「こ、怖ぇーこのケーキ。美味すぎて頭が馬鹿になったかと思った」
美琴「あんた元から馬鹿でしょ。ま、まぁケーキについては同意するわ」

 もしや学園都市で開発された何かヤバイ物が入っているのでは?と思わせるほどの美味しさであった。
 中毒になってもマズイのでもう食べない方が良いかもしれない、と二人は思った。

611寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/02(土) 02:09:46 ID:zDD4oKyw
━21━


 そうこうしてる内に店員が来て、決められた時間が過ぎそうであることを告げらる。
 普段は時間制ではないが、クリスマスは特別仕様であった。
 二人は退出の準備をしようとしたが、問題は繋いだままの手である。
 来た時と同じ鐵は踏みたくない。

上条「さて、どうしたもんですかね」
美琴「ちょっと待ってて」

 美琴はそう言うとソファに深く腰掛け、目を半分閉じて動かなくなった。
 言われたとおり待ってると、2分ほどして目を開き、あっけなく手を離した。

美琴「前に学校で禅を習ったのよ」

 そう言うと立ち上がって伸びをする。

上条(何故それを最初にやらないんだ???)

 甚だ疑問だったが、今更そこを責めてもどうにもならないと思い、すっかり美琴の手の感触が染みついてしまった右手を
ワキワキと解すことにした。

美琴「あ、そう言えば、あんたお金大丈夫なの?何なら私が奢ろうか?」
上条「いやいいよ、さすがに自分の分は自分で払う。最近食費が浮いたからちょっとくらいは大丈夫だ。ほんとは俺が全部奢って
    やるーって言いたいところだけど」
美琴「私の都合で来たんだからそれは遠慮するわ」

 そう言うと思った。という顔をして上条も立ち上がる。

美琴「んで」
上条「あん?」
美琴「次どこ行く?あ、帰るとか言ったら殴るから」
上条「…………………先に言うなよ」

 二人は店を後にする。

______________

初春のお喜び(ry

あともう少し?続きます

クリスマスから何日経ったっけw

612■■■■:2010/01/02(土) 02:24:44 ID:IPJxn.oI
gj

613■■■■:2010/01/02(土) 03:15:00 ID:Pms1xUM2
>>611
GJ!
輸血ー輸血ー血がたんねーぞー

614■■■■:2010/01/02(土) 09:11:07 ID:20kET7z6
>>611
        /≦三三三三三ミト、          .  ―― .
       《 二二二二二フノ/`ヽ       /       \
       | l  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ∨{ミvヘ      /      ,   !l ヽ
       ト==   ==彡 》=《:ヽ     ′ ―‐ァ!l / ̄}
         /≧ァ 7¨7: :ァ.┬‐くミV!ハ    |    (__   _ノ    |
       ′: /: イ: /': :/ |:リ  ヽ }i! : .     |  _j_   ツ    |
      i. /: il7エ:/ }:/ ≦仁ミ ト:.i|: i|   |    d   __ 、、   |
      |:i|: :l爪jカV′´八ツソ Vミ :l|   |   ノ  − ノ    |
      |小f} `   ,    ´  ji }} : .{    {   ┌.  ー ´    }
       }小    _      ,ムイ|: :∧    .    |/   ヨ
       //:込  └`   /| : :i i : :.∧   、  o   ―┐!l /
        /:小:i: :> .    .イ _L__|:| :li {∧   \    __ノ /
.      /′|从 :|l : i :爪/´. - 、 〈ト |ト:ト :'.   /       く
            N V 「{´ /   ヽ{ハ|   `\ /        ヽ
           | }人ノ/   li  V    _.′贈  惜  と  '
       i´ }    //} i′′ ハ 、|   `ヽ.   り   し  ミ   !
       { {     〃ノ {l l!  } :  {     }  ま  み  サ  |
   rー‐'⌒ヽ  ,イ   i{| |   i      |  す  な  カ
   〉一 '   ∨n     ∨   ′  ハ      |      い. は  }
   `r‐‐ ´   V    |       |      !      称     ′
    ‘r‐‐ ´    \   }/i⌒ヽ   {      .      賛    /
      `¨¨` ー .、  ` < ` |    `ト、 }     ヽ     を
         }}\      ̄ `ヽ ト ソ      \     /
         ノi  \        } }         ` ―‐ ´
          //     > .     | ノ

615■■■■:2010/01/02(土) 10:26:02 ID:gLFqwQoU
>>611
新春早々萌え死にました
ぜひ、続きを!

616■■■■:2010/01/02(土) 10:40:19 ID:eeScYzNo
>>611
GJ
美琴可愛すぎ

617■■■■:2010/01/02(土) 11:06:08 ID:HWWRhasU
ケーキ入刀とかニヤニヤが止まらない

618■■■■:2010/01/02(土) 11:07:49 ID:0jAKl.2M
GJ!

続き楽しみに待ってます

619■■■■:2010/01/02(土) 14:54:19 ID:d/20rRNs
GJです!
ネタできたら投稿しようかな・・

620とある少女の初夢1 ◆Oamxnad08k:2010/01/02(土) 17:04:48 ID:d/20rRNs
とある少女の初夢を題名として投稿します。
いちゃいちゃはあまりないです。すみません。

とある少女の初夢

10月ごろアイツから記憶喪失について聞いた。
その時、今までの自分にはなかった感情が芽生えた。
そう、私はアイツのことが好きだ。

またアイツに無視された。いつもどおりに話しかけただけなのに…
なんでここまで空回りするんだろう?少し憂鬱になる。

「はぁ…疲れたし、もう寝る…」
たった数分で深い眠りにつく。
        ・
        ・
        ・
「あっアンタ!」
とある少年…上条当麻がいたので声をかけた。

「ん?御坂かどうした?」
てっきり無視されると思っていて、うまく対応できない。

「ええっと…」

「???」

「あの、一緒に帰らない?」

「なんだそんなことか、いいぞ別に」

「ふぇ?本当にいいの?」

「はぁ?女の子と帰るんだからむしろこっちが歓喜歓迎だぞ」

(え?歓迎?私と帰るの嫌じゃないのね)
そのことがわかったからすごくうれしいし、安堵する。

「じゃぁ…ちょっと寄り道で公園に寄ってもいい?

「ん?別にいいぞ」

621とある少女の初夢2 ◆Oamxnad08k:2010/01/02(土) 17:04:59 ID:d/20rRNs
━━━━━公園

とりあえず上条をベンチに座らせる。
「付き合ってくれたお礼にジュースおごってあげる」

「あぁ、助かる。ちょうどのどが渇いた所だ」

「そうそう御坂、絶対ハイキックとかするなよ?あれいくら短パンはいてるからって
 太ももの付け根まで見えて…なんというかエロいぞ…」

今までアイツの目の前で何回もやっている。
よくよく考えるとすごく恥ずかしいことだと…、気づいたら顔がタコ並みに真っ赤になっていた。

「おーい御坂サーン?」

「…」

「お前…なんというか顔が赤いぞ。すごく真っ赤だけど熱でもあるのか?」

「え?ないない!」

「一応心配だからな…ったく」
と言い、ベンチから起き上がる。
そして、美琴に接近している。

「え?」
「んー?外見から見て特に異常ないし…」
なんというか、あと5cm
で唇が当たるくらい接近している。

「ふぇ…」
つい目をつぶってしまう。しまいには体のバランスがうまくとれない。
目の前の上条に倒れこむ。
チュッ
唇と唇が触れる。単純にキスをしてしまった。
もう頭の中が真っ白になり頬の赤みが増す。
「……ッ……か…」
上条が何か言ってるいるようだが意識が薄れてきてうまく聞き取れない。
そこで美琴の意識が絶った。
       ・
       ・  
気が付いたらベッドの上に寝ていた。
寝てから数時間しか経過していなかった。

「夢…だったのかな。それにしても変な夢だし、あまりにもリアルじゃない…」

夢の中でキスをしたのを思い出す。また頬が赤く染まっていく。
「キス…かぁ。って、今日は1月2日ってえぇッー!?まさか…初夢だったの!?」
「ってことは…今年はなにかあるのよね!うん。きっとそうに違いない!」
割とポジティブに考えてしまうあたりまさに恋する乙女である。

「今年こそアイツに…キスできたらなぁ…って何考えてるの私!?」
その後変な風に考えが働いてしまい、結局寝不足な美琴である。

ちなみに僕の初夢は赤点(ry

622■■■■:2010/01/02(土) 17:47:07 ID:Ml3hUEbk
初夢は残念ですが作品はGJでしたよ

623■■■■:2010/01/02(土) 18:15:34 ID:nN/rDkVI
あけましておめでとうございますを兼ねて小ネタでも
パソコン壊れてたからケータイでやろうと思ったらここ規制かかってるんだなぁ

美琴「当麻ぁ〜」
上条「ん、どうした美琴?」
美琴「あけましておめでとー」
上条「ああ、あけましておめでとう美琴」
美琴「当麻ー、ぎゅってして?」
上条「美琴はきゅっとされるのが好きだなぁ」
美琴「当麻と近くなれるから好きぃ〜」
上条「甘えん坊め、よしこっちおいで」
美琴「うんっ」






美琴「…はぁ、はぁ…………ゆ、夢…?」
黒子「ああん、お姉様もっとぉーzzz」
美琴「……なんつー…夢……」

624■■■■:2010/01/02(土) 18:18:19 ID:nN/rDkVI
佐天「御坂さん白井さんあけおめでーす」
初春「あけましておめでとうございまーす」
黒子「おめでとうですの」
御坂「初春さん佐天さんあけましておめでとー」
佐天「お二人は初夢見ました?私は、窮地に陥った初春を私の秘めたる力が覚醒して守る夢見ましたよー」
黒子「わたくしは当然お姉様との馴れ初ぐえっ」
御坂「黒子の初夢は以下略で」
初春「あはは、相変わらずですねー、私は熟睡してたらしく見ませんでしたよ…」
黒子「初春は夢見る乙女じゃないなぁ。いい男見つかんないよ?」
初春「か、関係ないですよっ!……御坂さんは?」
御坂「私っ!?私は…その、彼氏と…い、一緒に…」
佐天「馴れ初めですかっ!」
黒子「な……お、お姉様!?」
御坂「ち、違っ。一緒に過ごしただけだし、男も誰か分かんな」
黒子「あの殿方と親しくする夢を見るなんて、黒子ショックですの」
初春「あの殿方っ!!?」
佐天「ちょっ、誰ですか御坂さん!」
御坂「えと、私用事が…」
佐天「おーっと逃がしませんよ、それは聞かせて貰わないと…」
黒子「お姉様………」
初春「流石にそれは私も気になりますね…」
御坂「初春さんまで……ふ、不幸だーっ!」

625■■■■:2010/01/02(土) 18:19:52 ID:nN/rDkVI

佐天「―――さて、御坂さんを押さえ込んだとこで」
初春「まずその殿方がどんな方かをっ」
美琴「いや、夢のは誰か分かんなかったから、そいつとは…」
佐天「そんなのは後です、後!」
初春「実際そんな人がいただなんて…是非聞かせて下さいよっ」
黒子「お姉様は毎日毎日あの殿方を見かけては夢中になる毎日ですぅぼっ!?」
美琴「む、夢中とか余計な事言うなぁ!」
佐天「ほぇー、流石御坂さんですね」
美琴「だだ誰があんな女たらしとっ …………あ」
佐天「ほほーぅ?」
初春「御坂さん…」
美琴「ち、違うって!そんなアイツの事が…」
初春「事が?」
黒子「あら噂をすれば、あそこにあの殿方が」
佐天「え!どこどこっ!」
黒子「カミジョーさんと仰いましたっけ」
美琴「黒子っあんたどっちの味方だ!」
黒子「わたくしはお姉様が好きなだけですの。そして新年早々赤面するお姉様…」

626■■■■:2010/01/02(土) 18:20:38 ID:nN/rDkVI
初春「あのツンツン頭の人でしょうか」
佐天「おーい!カミジョーさーん!」
美琴「さ、佐天さん!」
佐天「あ、こっち向いた。おいでおいでで来ないかなー」
初春「来ましたね」
上条「何でしょうか…ってビリビリに白井か」
美琴「…………」
黒子「あけましておめでとうですの」
上条「ああ、おめでとう。…こちらの方は?」
初春「あ、初春飾利です。初めまして」
佐天「佐天涙子でーす。御坂さんの友達です、初めましてっ」
上条「ん、あー俺は上条当麻だ。あけましておめでとう、よろしくな」
佐天「で、ですね。今お忙しいですか?」
上条「いや、まぁ時間はあるが」
美琴(今回に限って!!)

627■■■■:2010/01/02(土) 18:21:17 ID:nN/rDkVI
佐天「じゃ、とりあえずお掛け下さい」
上条「……上条さん今からどういうフルボッコにあうんでせうか…」
初春「違います。御坂さんとの出会いを色々と聞きたいだけで…」
美琴「ちょっ、佐天なんで椅子近付けて…」
佐天「ささっ、ここどうぞ」
上条「ああ……って、いいのかビリビリ」
初春「か、上条さん。ビリビリとか言っちゃダメです、失礼ですよ!」
上条「え」
初春「悪口じゃないですかっ。御坂って呼んであげて下さい!」
上条「あ、ああ…いい、か?ビ…御坂」
美琴「うぇ!?…う、うん…」
黒子(カミジョーさんが一因なのが癪ですがお姉様可愛すぎますわ…)

628■■■■:2010/01/02(土) 18:21:20 ID:Ml3hUEbk
美琴ドンだけ!?
初夢系は結構いいかもしんない

629■■■■:2010/01/02(土) 18:21:43 ID:nN/rDkVI
佐天「で、出会いは?」
上条「出会い?確かコイツが不良に絡まれてるのを助けようと」
初春「お、王子様じゃないですかっ」
美琴「そ、そんなんじゃないって…コイツはそういう性格で…」
佐天「ずばり、御坂さんの魅力は?」
上条「はっ?い、いや…魅力って…」
初春「好きな人の魅力くらい教えて下さいよっ」
上条「す、好きな人ぉ!?」
美琴「さ、佐天さん!!い、言い過ぎだって!」
上条「いや俺は別に御坂を…」
佐天「乙女の純情を弄んでるんですか!」
上条「えと…その…」
初春「御坂さんも言ってやらないとダメですよ!」
美琴「って、だから……うあ……」
佐天初春「さぁ!!」
上条美琴「ふ、不幸だーっ!!」

630■■■■:2010/01/02(土) 18:22:09 ID:nN/rDkVI
終。いちゃいちゃしてないとかつっこみ禁止

631■■■■:2010/01/02(土) 18:39:28 ID:Ml3hUEbk
>>629さん
すいません 作品の途中で感想を書いてしまいました

632■■■■:2010/01/02(土) 18:51:36 ID:nN/rDkVI
お気になさらずwというより言われて気付きましたw

633■■■■:2010/01/02(土) 19:24:10 ID:LIyCFSQ6
佐天初春、であのリョナ同人思い出しちまったぜw

634【妹からのプレゼント1】:2010/01/02(土) 21:00:33 ID:Sp2SCrcE
「お姉さま、お伺したいことがございますの」
「な、何よ」
クリスマスイブが2日後に迫った自室で、白井黒子が御坂美琴に迫る。

「イブの夜、後輩の女の子たちとパーティー…ですわよね?お姉さま」
「そ、そうよ。『行けたら行く』って返事してて、まあ、行くつもりだけど?」
「そうですか、安心しましたの」
「何よ?」
「いえ、今日初春とファミレスでお昼をしておりましたの。そこで会話が耳に入りまして。」
黒子が語り始めた。

『カミやん来ないって?』
『約束があるっちゅーてたな。』
『おのれ上条当麻。あたしが企画したクラスパーティーを袖にするとは…』
『でもあの銀髪シスターちゃんも来るんじゃろ?カミやん誰と約束…』
『やっぱあの常盤台の子じゃにゃー?』

「…といったような会話がありまして。耳がダンボになりましたわ」
黒子は一つ咳払いをして、
「正直におっしゃいお姉様!どういう作戦であの殿方と密会するおつもりですの!?」
「だから知らないってば!あの馬鹿と何で私がイブを過ごすのよ!」
なおも黒子は追求してきたが、美琴も本当に約束していない以上、否定するしか無い。
否定しつつも、「あの馬鹿、誰と…?」と騒ぐ心を押えきれずにいた。


実際のところ、美琴は上条と過ごすクリスマスイブを夢見ていた。
しかし今の今まで予定すら聞き出せず、悶々としていた。
ひょっとしたら上条から言ってきてくれるかも、と期待していたが、
それもあと2日の時点でほぼ終わりだ。
そして、今の黒子の情報からすると、既に予定は埋っており、その相手は自分ではない。
美琴のテンションは最下層まで沈んでしまっていた。

次の日。美琴は暗い気分のまま過ごしていた。
(あーあ。これじゃパーティー行っても気が乗らなくてだめそうだわね)
パーティー参加せずに部屋で三角座りでもしてようかと、かなりブルーなことを考えだす。
その時、携帯が鳴る。
『上条 当麻』
(ええっ!なんでアイツから?えと、えと、どうしよう?)
深呼吸して、覚悟を決めた。

635【妹からのプレゼント2】:2010/01/02(土) 21:00:59 ID:Sp2SCrcE
「もしもし?」
『上条だけど。御坂、今大丈夫か?』
「いいわよ。アンタがわざわざ掛けてくる時は、たいていオオゴトだし」
『明日の夜、あいてるかな、と。ホント突然で悪いし、流石に空いてないと思うけど』
「え!」
まさか、夢の展開?でも前日に、ってでもありえなくね?て、あの情報は?とパニックに陥る。
『いや、迷ったんだが、やっぱりお前には伝えることは最低しとこうと思って』
「え?どういうこと?」
何だか変な風向きだ。

『えーと実はだな、明日御坂妹と過ごすことになってるんだけど』
「! な、なんで?なんでそんなことに?」
『いや、何ていうかさ。アイツって俺たちと違って大っぴらに表に出れないしさ。
 表に出られないなら、せめてクリスマスイブぐらいはさ、思い出を作りたいじゃないかと!
 まあ病院の面会時間もあるから、ケーキ食べてプレゼント渡すことぐらいしかできないけどさ』
美琴は無言で聞いていた。

『そうすっと、妹が「お姉様はこられないのですか?」と。流石にイブは空いてないと思うぞ、とは言ったんだがな』
「あの子が…?」
『まあそもそも無断で御坂妹とプチパーティーもマズイかな、と思って電話したんだわ』
「…アンッタは、ホントに…」
『で、どうだ?』
「ものっすごく言いたいことあるけど!とりあえず分かった!…行くわよ!」
『えらく即答だな。ひょっとしてヒマだった?』
「!!! いーから時間と場所あとでメールしなさい!まったく!」
電話を切り、即後輩に電話を入れ、明日行けないことを告げる。

そうか、上条はシスターズの事を気にかけていたのか。
ただ美琴には複雑な思いがあることを察し、言わなかったのだろう。
しかし、ひとまず上条のクリスマスイブを押さえられたのは事実だ。
(妹のプレゼント考えなくっちゃ!)
美琴は走りだす。上条へのプレゼントは、既に用意してあった。

636【妹からのプレゼント3】:2010/01/02(土) 21:01:23 ID:Sp2SCrcE
「はぁ〜」
「お、おつかれさん…」
「まったくあの子は…」
あの子とは、白井黒子。御坂美琴の密会を疑った黒子は、病院まで付いて来た。
この展開を予想していた美琴は、先に上条に入っていて貰い、中で合流したのである。
「ま、これはダミーだと疑って、外で張ってるかもしんないけど。知ったこっちゃないわ」
実際、黒子は15分ほど外で見張っていたが、動きが無いと分かると去っていった。

御坂妹は入院しているわけではなく、実験棟で普通に暮らしている。普通と言うと語弊があるが。
指定された部屋に向かうと、軽く飾り付けられた部屋の中に、御坂妹がいた。
「いらっしゃいませ、とミサカは歓迎します。」
「久しぶりね。綺麗に飾ってるじゃない」
かわいいクリスマスツリー等ながめながら声を掛ける。
「うぃっす。これ一人でやったのか?」
「いえ、他のシスターズに手伝って貰いました、とミサカは答えます。」
「…ところで、なんでガウンなんて着てるんだ?合わないような…」
「それでは、まずプレゼントの交換をいたしませんか?とミサカは提案します。」

「(スルー?)あ、ああ分かった。じゃあ俺から…」
美琴はドキドキしながら箱を開けると、
赤系の3色のクリスタルが2列に並んだ可愛らしいヘアピンが現れた。
「お姉様は赤ですか?私は青ですね、とミサカは喜びながら尋ねます」
「うん、可愛いなあ。早速つけようっと♪」
上条は評判が良さそうのを見てホッと胸をなでおろす。

「じゃあ私ね。アンタにはこれ」
上条は袋を開けてみると、手編みの黒白ストライプのマフラーだった。
「おい御坂!これ貰っていいのかよ?」
「うん。とりあえず作っていたんだけど、特に上げる人もいなかったし」
顔は決して上条に見せず、早口で言う。
「アンタには、…よいしょっと。まあ見当ついてるだろうけど」
「これはお姉様の趣味ですね、とミサカは喜びながらも皮肉をいいます」
「うっさいわね!」
愛嬌のある大きなクマのヌイグルミに、御坂妹はモフッと顔を埋めたりしている。

「それではミサカからなのですが、お姉様には後ほど、とミサカは頭を下げます」
「ん?そうなの?」
「ではこちらを、とミサカは気合を入れておみせします」
御坂妹が上条の前50センチあたりに立つ。


御坂妹がガウンをストンと落とすと、中身はサンタビキニであった。

637【妹からのプレゼント4】:2010/01/02(土) 21:01:49 ID:Sp2SCrcE
「ちょちょちょちょっと待ちなさいよ!なにやってんのよ!!!」
「なにと言われましても、男性が喜ぶプレゼントですが、とミサカは当然のように答えます」
至近距離から胸の谷間、腰のくびれ、ラインに上条は体が硬直する。視線も外せない。
「ちょっと腰もくねらせてみます、とミサカは雑誌で見たポーズを取ってみます」
絶対に美琴がやらないと思われる悩殺ポーズを取ろうとする。
「あほかーーーっ!アンタも見るなあ!」
美琴は上条と御坂妹の間にようやく割ってはいり、上条の両肩をつかんで視線を遮る。

しかし。
上条はそれによって美琴の制服姿を至近距離から見ることになり…
つまり、常盤台の制服を来ている美琴が、脱げば、御坂妹になるということで…
美琴を見ても、もやもやとさっきのビキニとリンクする。

「アンタなんか想像してない?コラーーー!」
「ということで、こちらの姿を撮影したUSBメモリを差し上げます、
 とミサカはこちらのポケットにメモリをしまいこみます」
「ちょっとーーーー!」
美琴は取り上げようとするが、上条のジーンズポケットに手を入れる勇気はない。
「アンタ、あとで貰うからね!」
「お姉様は人様のプレゼントを奪い取るのですか、とミサカは非難します」
上条は魂が抜けたようになっている。

美琴は御坂妹にガウンを無理やり着せて、ぜーはー言っている。
「アンタ分かってやってるでしょ…」
「ミサカはお姉様よりバストが2センチ大きいので、全く違うものなのですが、とミサカは指摘します」
「嘘つけやーーー!」
「では、ミサカからお姉様へのプレゼントですが、とミサカは改めて語ります」
「…」


「今日の残りのお時間、全てお姉様に差し上げます。こちらを出て、ステキなクリスマスを、とミサカは応援します」

「「は?」」
2人がハモる。
「何いってんだ、お前は。まだケーキも食ってねえし、ほとんど話もしてねえじゃねえか」
「そーよ、せっかく飾り付けもして、何言ってんのよ」

「いえ、ミサカはお気持ちだけで十分です、とミサカは感謝の気持ちを述べます。」
いつも無表情な御坂妹だが、かすかに口元が笑っているのが見て取れる。
「何も言わず、ミサカのお願いを聞いてもらえないでしょうか、とミサカは心の底から願います。」

美琴はじっと御坂妹を見つめていたが、はーっとため息をついて、身支度を始めた。
「お、おい御坂。ホントに?」
「…うん。この子がそうしたいってんなら。聞いてやるわよ」
「さすがお姉様、とミサカは賞賛の意を表します」
「んじゃまたね。アンタ体強くないんだから、無茶しちゃだめよ」
「はいお姉様。またお会いしましょう、とミサカは別れを告げます」

上条は何だかついていけてない間に、病院から出ることになった。

638【妹からのプレゼント5】:2010/01/02(土) 21:02:15 ID:Sp2SCrcE
「さて、御坂どーすんだ?」
美琴はノープランで2人きりとなり、かなり動揺している。
「マ、マフラーはどう?チクチクしたりとか、ない?」
「おお、具合いいぞ。でもほんとに貰っていいのか?」
「い、いいわよ。練習で作ったものだし」
プレゼントも難なく渡せたため、逆に次の手が思い浮かばない。

「えーと御坂…俺の家くる?」
「え…」
美琴が上条を見つめる。
「いや、ちょっと上条さんに説明させてください!
まずこんな時間、どこも店あいてるわけないですよね?カップルの嵐ですよ!
だから俺の家なんですが、コタツとミカンがありますので、それで2〜3時間過ごしませんか、と。
いやご安心ください、3時間もしたらパーティー終わった悪友がカミやん居るかと来襲するのは
分かってるんで、それまでに家出てお送りしますから!
ここでサヨナラは悲しいですよね?その上でのご提案なんですが!」
「…」

考えているフリをしているが、美琴は内心「キターッ!」である。
「ま、まあそうね。選択肢もないし、コタツも魅力だし、い、行きましょうか」
「いいのか?」
「そっか、アンタに襲われたら電撃きかないから私抵抗できないンだ…可哀想な美琴ちゃん!」
「…いや、それは大声出すとか。色々あるだろ。」
「やっぱ襲うのね」
「襲うか!」
「妹のあんなカッコ見て、何か良からぬこと考えたんでしょ。いやらしい」
「へっ、あんなガキの体でどうしろと?カミジョーさんに迫るには、ちょっとお色気が足りませんですことよ?」
「ガキとは何よ!すっごい硬直して見つめまくってたくせに!」
「あれは不意打ちだ!」
ぎゃーぎゃー言いながら上条の家に向かう。
お互い、それなりの緊張感を持ちながら。

(ふーん、こんなとこだったんだ。前に火事か何かで見に来たことがあるよーな)
美琴は部屋の前で待たされている。
上条は10分だけ時間下さい!と中でごそごそやっている。
「隠したって見つけるわよ?」
「探すなっての!」

インデックスと暮らしているため、そういう意味ではあわてて隠すものはない。
隠すのはもちろんインデックスの痕跡だ。特に下着。
ベランダに干したままだとか、洗濯槽にいれっぱとか、そういうつまらないミスを
するわけにはいかない。コップやハブラシなど全部箱にぶちこみ、収納の奥にしまいこむ。
長い髪の毛は、ほんとにインデックスが遊びに来た名残とでも言うしか無い。
準備完了。

「おっけー。またせたな」
「どれどれ…おじゃましまーす。きゃあ♪」

三毛猫スフィンクスがお迎えしていた。

639【妹からのプレゼント6】:2010/01/02(土) 21:02:39 ID:Sp2SCrcE
「いやん、可愛い〜。でも触れない…」
上条は美琴の頭を軽く鷲掴みにする。
「これで触れないか?」
掴まれて抵抗しようとしたが、意図に気付いた美琴はスフィンクスを撫でてみる。
スフィンクスはゴロゴロと満足そうだ。
「〜〜〜!」
「はいはい、感動は分かったから、抱いてコタツへ。俺も腕がつる」
上条は美琴をコタツへ誘導する。ベッドが背になる位置に座らせ、
「腕はなすぞ。さてスフィンクスは…」
途端にスフィンクスはキョロキョロしだす。
あう〜、と美琴は悲しそうな顔をして、スフィンクスを傍らに降ろす。
「…あとで右手貸してね。」
「1000円な」
「なにそれ!」

ミカンの入ったカゴをコタツの上にどんっと置いたあと、
上条は台所でお茶の準備をしている。
美琴はネコの興奮が覚めたあと、急に男の部屋にいることを思い出し、緊張してきた。
(な、なんかすごい展開。落ち着け、落ち着け私)
部屋を吟味してみると、非常にシンプルだ。
部屋焼けも均一なので、ポスターなども貼らない性格らしい。
書棚の上にも小物を置かないらしく、雑然とした感じを受けない。

「な〜にあら探ししてんだ?」
言いながらお茶のセットとお菓子の入った缶を置き、通路側に座る。
「いや逃走ルートをね」
「フッ、逃がさねえよ」
「そういやアンタ、そうやってきっちり右手圏内に私を入れてるのね。」
「偶然だ。お前は背もたれもあってテレビを見やすいお客様席。俺は動けるように通路席」
「ふーん。…ああ可哀想な美琴ちゃん!」
「もうボケ合戦はいいから! そーだな、常盤台中の話とかしてくれよ」
「そーねえ…」

御坂美琴はしゃべりだすと30分はしゃべり続ける。
「で、黒子がね…」「そしたら寮監がさ」「お姉様って言われても」etc.
上条も適度に合わせて楽しい時をすごす。
(コイツも普段つっかかってこなければ、いい女の子なんだよなあ…)
上条も美琴への印象が変わりつつあった。

640【妹からのプレゼント7】:2010/01/02(土) 21:03:09 ID:Sp2SCrcE
美琴はやたらこの環境に馴染んでしまった自分に危機感を抱いていた。
コタツはあったかくて脱力して行くし、ミカンとネコで幸せが増幅されて行く。でも。
(このまま私しゃべり続けて、そのままでイブ終わっちゃうの?)
それはダメだ。せめて少しでも進展が無いと。
(自爆の可能性があるけど…アレでいくか)
「ね?トランプない?」

ん、あるぞ、と上条はごそごそと収納をさぐり、テーブルの上におく。
「何すんだ?」
「ま、ゲームは何でもいいんだけどね。問題は罰ゲーム」
「また罰ゲームかよ!」
「罰は、『勝った人の指定した台詞を、下の名前付きで言う』ね♪」
「ちょっとまて、そうすると…」
「例えば私が勝って『かわいい』を指定したら、アンタは私に『かわいいぞ、美琴』とかいうワケ」
「! お前そりゃきついだろ、おいおい」
「そう、恐怖の悶絶ゲームよ!じゃあ勝負の早くつくポーカーにしよっか」
「ちょっと待てー!」

ゲームはチェンジ1回のみのポーカーと決まった。
[第1ゲーム 美琴2ペア 上条ブタ Winner美琴]
「じゃあ、『俺の胸に飛び込んでこい』で。棒読みは面白くないからね?」
「…『さあ、俺の胸に…飛び込んでこい美琴!』、うあーっ!」
「まだまだ!じゃあ次ね」
演技っぽい台詞なら言いやすいだろうと、美琴はまず軽くいく。
「美琴」と呼んででもらったのには、ちょっとキュンとする。

[第2ゲーム 美琴1ペア 上条2ペア Winner上条]
「このゲームの終了ってなんだ?恥ずかしくて言えなかったら負け?」
「そうね」
「そうか、じゃあガンガン攻めるしかないな。『好きなの、どうして気付いてくれないの』で」
(! こ、こいつ…! コレもろに私の心の声になるじゃない。)
美琴は真っ赤になるが、負けん気も手伝って、「本気」で言う。
『こんなに好きなのに…どうして気付いてくれないの当麻ァ!』

上条は自分で振っておいて、真っ赤になった。
(コレはきつい…言われるのもきつい…悶絶ゲームといわれるだけあるぜ)
美琴は逆にスッキリしていた。

641【妹からのプレゼント8】:2010/01/02(土) 21:03:42 ID:Sp2SCrcE
[第1ゲーム 『さあ、俺の胸に…飛び込んでこい美琴!』]
[第2ゲーム 『こんなに好きなのに…どうして気付いてくれないの当麻ァ!』]
[第3ゲーム 『もう…好きにして当麻…』]
[第4ゲーム 『もう我慢できない、お願い当麻!』]
[第5ゲーム 『さあ、目を瞑って、美琴』]
[第6ゲーム 『見ないで、見ないで当麻…』]

「アンタね、中学生相手に容赦ないわね!どこの変態女よ!」
「だったらギブアップしてくれ!カミジョーさんも色々キツイです!」
また美琴が知識的にはマンガレベルなのだが、そのようなシーンをイメージしてなりきってしまうので、
上条は挙動がおかしくなっていた。
(いかん、下手すると理性が飛ぶ…)

「じ、時間も時間だし、あと2ゲームやって終わりません?」
「(時計をチラッと見て)そ、そうね…じゃああと2回で…ちょっと拡張して」
「オイオイ」
「台詞に加えて、…行為も指定する、とか…」
「…マジですか?」
「で、できなければ負け、それだけよ」
「…」
もはや2人は何も計算できなくなっていた。

[第7ゲーム 美琴フルハウス 上条2ペア Winner美琴]
「2ペアで負けるとは!」
「じゃ、じゃあ…台詞は『愛してるよ』で行為は『抱きしめる』 どう!?」
「ぐぁーーー。えーい、美琴こっち寄れ!」
(え、今名前で読んだ?ま、まあこんな空気だし)
上条はコタツを出て、美琴の横に並ぶようにベッドに背もたれた。
美琴は真っ赤になりながら、上条の胸にしなだれかかる。
上条は抱きしめるが、美琴の髪の毛の香りにクラクラっと来る。
(これは本当にやばい、何この華奢な女の子の手触りと香り。死ぬ!死ねる!2357…)
必死に素数を思い出し、「…愛してるよ、美琴…」
上条はやり遂げた。

美琴はもう噴火しそうな状態で、上条に抱きついたまま動けなかった。
「ゴメン…第8ゲームパス…あたしの負け…腰ぬけた」
「ああ、俺ももうダメだ。色々ともうダメだ」


「カミやーん、戻ってきてたんかい。3次会いく、ぞ…?」
ドアホンも鳴らさずに飛び込んできた土御門が固まる。
「とうまどこにいって…え?」
遅れて駆け込んだインデックスも固まる。

美琴は必死に、なんとか上条から体を引き剥がし、大慌てでコートをひっつかみ、
「あはは〜、それじゃあ失礼しました〜…」
皆が硬直してる間に、他のクラスメイトもかき分けて逃げ出した。
走りながら、携帯の録音を止める。美琴は要所要所では録音していたのだ。
(うまく録れてるかなー♪あー楽しかった)


上条は、、、もはや語る必要もあるまい。




fin


<あいかわらず設定長いです。まー私の作風てことで。>

642■■■■:2010/01/02(土) 21:17:18 ID:mXPx/gLU

美琴かわいすぎ

643■■■■:2010/01/02(土) 21:23:45 ID:z1VsLK22
やっぱり上琴以外ないなと確信した
グッジョブ

644■■■■:2010/01/02(土) 21:23:53 ID:xoVOJJp2
GJ

645■■■■:2010/01/02(土) 21:35:22 ID:HWWRhasU
クラスメイトの反応が気になるなw
GJ

646■■■■:2010/01/02(土) 21:58:44 ID:5dY/pzUc
>>634-641>>629の方とそれ以前の書き手様GJ!!

647■■■■:2010/01/02(土) 22:14:31 ID:Ml3hUEbk
GJです!
やっぱ美琴の秘めた思いを皆がそれぞれ考えてくれてるんですね。
見てて、(クラスメイトが来たときに)ドキッとしてしまいました!(笑)

648■■■■:2010/01/02(土) 22:17:33 ID:Pms1xUM2
職人さん達GJ!

俺の初夢は寮監になって脱走した美琴を追いかける夢だったぜorz

649■■■■:2010/01/02(土) 22:18:46 ID:d/20rRNs
>>647
作者にはわからなくても原作とか読んでる人だけがわかるアレですなww

GJです。その罰ゲームで理性を保てた上条さんまじパネェッス!

650■■■■:2010/01/02(土) 22:21:56 ID:E.zNuMHw
GJ!
ラストが笑えましたw

笑えるいちゃいちゃって最高です!

651■■■■:2010/01/02(土) 22:24:02 ID:Ml3hUEbk
初めての人でも大歓迎ですから、ぜひ投稿してください
皆が温かい目で見守ってますからね〜
数行の小ネタでも大歓迎ですよ。(題名だけはちゃんと付けてね)

652■■■■:2010/01/02(土) 22:31:33 ID:Ib.eI3QI
もうみんなGJ!そこはかとなくGJ!!

653■■■■:2010/01/02(土) 22:46:18 ID:d/20rRNs
書き手さんが5人はいるから安心できる。
初心者でも気軽に書けるのがこのスレのいいところ

654■■■■:2010/01/03(日) 00:58:54 ID:SBd28b4Q
皆さんGJすなぁ・・・

65523:30 1/5:2010/01/03(日) 02:24:08 ID:fUqZX0Ek
 誰もいない。投下するなら今のうち。

「23:30」投下します。5レス消費します。


 上条さんが美琴と罰ゲームを賭けた勝負でまた負けました。嗚呼不幸。


上条「だーっ! たかがオセロで何故勝てない!?」
美琴「はーいこれでアンタの二〇連敗ね。ご感想は?」
上条「不幸だ……。で、二〇連敗分の罰ゲームって、まさか二〇日間やんのか?」
美琴「さすがにアンタにそれをやらせるのはかわいそうだし、美琴さんは心が広いから一回分で許してあげるわ」
上条「なんだと? ぐぬぬぬぬ、上条さんは今カチンと来たぞカチンと!」
美琴「これも勝者の余裕ってやつかしら? 大丈夫よ、美琴さんは優しいから凡人のアンタでもできる罰ゲームを用意してあげる。た・だ・し、ちょっとハードルは高めだけどねー」
上条「くっそぅ……。かかってこい! やってやろうじゃねぇか!」
美琴「……………………………添い寝」
上条「……すまん。今なんて言った? 聞き取れなかったんでもう一度」
美琴「アンタが私に! …………一晩添い寝すんの。アンタの忍耐力とか理性を試してあげる。どう? これなら立派な罰ゲームでしょ?」
上条「ああホントにすごい罰ゲームだなっておい! それって男の部屋にお前が泊まるって事だろ? とんでもねー事言ってんじゃねーぞ! お前嫁入り前のお嬢様だろうが!」
美琴「ああら、アンタは中学生なんて視野外恋愛対象外検索結果〇なんでしょ? だったら一晩くらい余裕じゃない? そ・れ・と・も、アウトオブ眼中の中学生でも手を出しちゃう変態さんですかぁ?」
上条「ぐぐぐ……言ったな! だったら受けてやろうじゃねぇか! 上条さんの鋼の理性を見せてやる!! 後で吠え面かくんじゃねーぞ!!」
美琴「ふ、ふんっだ。アンタこそ後で泣きっ面さらすんじゃないわよ。もし寝てる間に手を出したら……その場で殺すからね。覚悟しなさい!」

65623:30 2/5:2010/01/03(日) 02:25:01 ID:fUqZX0Ek
 夜になりました。


美琴「あのさ、アンタ罰ゲームの趣旨わかってる?」
上条「……別に何の問題もねーだろ」
美琴「これ添い寝なのよ添・い・寝! アンタが不自然なまでに壁にひっついて、二人の間開けてたら意味ないじゃない」
上条「上条さんは成長期のお前を気遣って場所を広く空けてやってんだ! ただでさえ狭いベッドなんだから感謝しろ!」
美琴「とか何とか言って腰が引けてるけど?」
上条「るせぇ!」
美琴「寒いんだからもう少しくっつきなさいよ。ああそうそう、どさくさに紛れて変なところ触りやがったらただじゃ置かないからね」
上条「ただでさえ狭いのになんでひっつくんだよ! むちゃくちゃじゃねーか! 人の胸に抱きつくな!!」
美琴「敗者のくせにつべこべ言わない! もう寝るわよ。おやすみ」

65723:30 3/5:2010/01/03(日) 02:25:41 ID:fUqZX0Ek
 罰ゲーム一回戦開始。


美琴「……寝てる? この状態で寝てるの? しかも即入眠って……」
上条「zzzzzzzzzz」
美琴「うわ、ほっぺたつついても起きないわ。女の子が隣に寝てるってのに信じらんない」
上条「……みさか……zzzzzzzzzz」
美琴「ちょ! 寝返り打ってこっちに被さってきた! 抱きつかないでよ馬鹿!」
上条「zzzzzzzzzz」
美琴「……触ったらただじゃ置かないって言ったけど、寝てるときのこれは仕方ないわよね。……うん、美琴さんは心が広いからノーカウントにしてあげる。感謝しなさい」
上条「zzzzzzzzzz」
美琴「…………コイツの腕の中ってあったかくって心地良い……。あーあ、これが罰ゲームじゃなかったらよかったのに」
上条「zzzzzzzzzz」
美琴「脅されたからってホントに寝るんじゃないわよ。……ちょっとくらい手を出してきたって良いじゃない、この意気地なし」
上条「zzzzzzzzzz」
美琴「はぁ……、意気地なしは私の方か。こんな罰ゲームでも引き合いに出さなきゃ、アンタのそばにいられないなんてね」
上条「zzzzzzzzzz」
美琴「アンタね……す、少しは私の気持ちに気づきなさいよ。いっつもいっつも人のことスルーしてくれちゃってさ。……グスッ」
上条「zzzzzzzzzz」
美琴「……もうこうなったら、コイツの腕をこうして、腕枕で寝てやるんだから。……おやすみ」

65823:30 4/5:2010/01/03(日) 02:26:37 ID:fUqZX0Ek
 二回戦開始。


上条「うう、何か腕がしびれるんですが……って御坂? 俺いつの間に腕枕してんの? マジでいつの間に? つかこれ上条さん死亡フラグですか!?」
美琴「zzzzzzzzzz」
上条「……何で男の隣でこんなに無防備に寝やがりますか。嫁入り前という意識はないのかこの中学生は」
美琴「zzzzzzzzzz」
上条「うお! 馬鹿俺の胸に頬すりよせんな! 何笑顔浮かべて寝てやがる! 起きろ御坂!」
美琴「うーん……当麻……zzzzzzzzzz」
上条「寝言!? つかお前は夢の中だと俺を名前で呼んでんのか?」
美琴「やだ……どこさわってんのよ……馬鹿……zzzzzzzzzz」
上条「寝言で不吉なこと言ってんじゃねぇよ! お前の夢の中だと俺はブチ殺し確定じゃねぇか!」
美琴「zzzzzzzzzz」
上条「……寝顔はかわいいんだよな。何で年がら年中眉間にしわ寄せてケンカを売ってくるんだかね、コイツは」
美琴「zzzzzzzzzz」
上条「……ホント日頃からこれくらいおとなしいとありがたいんですがね、上条さんは」
美琴「……とうま……すき……むにゃむにゃ」
上条「お、おいおい! お前寝言で何言ってんだよ!? お前は俺を嫌ってるんじゃなかったのか?」
美琴「zzzzzzzzzz」
上条「……ああそうだよな、寝言だよな。日頃からやたらツンツンしてる女の子が、実は密かに俺のことを好きでしたなんてそんな幻想あるわけないよな」
美琴「zzzzzzzzzz」
上条「…………腕枕外したらコイツ起きちまうし、ちっと腕が痛いけど我慢して寝るとしますかね」

65923:30 5/5:2010/01/03(日) 02:27:25 ID:fUqZX0Ek
 三回戦開始。


上条「こんな夜中に目が覚めて早速だが……お前の顔が近いのはどういうワケなんだろうな」
美琴「せっ、狭いんだから仕方がないじゃない! そっちこそ、私に覆い被さってるこの腕はどういうことか、説明してもらうわよ?」
上条「……寒かったから布団引っ張ろうとしたんじゃねぇかな。それより、お前の手が俺のパジャマの胸元をつかんでるのはどういうことなんだ」
美琴「この体勢だと手がそこにしか持って行きようがなかったの! 良いでしょ別に。アンタこそ、人の襟元じろじろ見てるんじゃないわよ」
上条「どういうワケかお前に腕枕して頭がこれ以上動かせないんだし、お前の顔がすぐ目の前なんだから視線外したらどうしてもその辺しか向けないんだよ。仕方ねーだろ」
美琴「……ねぇ」
上条「何だよ」
美琴「アンタのそのぶらぶらさせてるその手。不安定だからもっとこっちに回したら? ……うん、私の背中の方に回して私を抱きかかえるようにして」
上条「お前も腕枕にしている位置がそこだと頭の収まりが悪いだろ。もっと腕の付け根の方に頭乗せろよ。……そう、そのへこんだところ」
美琴「……今何時?」
上条「ん? ああ、二三時三〇分だな」
美琴「……夜が明けるまでは結構時間があるのね」
上条「なぁ、今俺がやってるこれは罰ゲームのルール違反にならないのか?」
美琴「……わっ……私がそうしろって言ってるんだから、ノーカウントでいいわよ。何よアンタ。その…………もっとすごいことでもするつもり?」
上条「…………し、」
美琴「し?」
上条「…………して、いいのかよ」
美琴「罰ゲームのルール違反でただじゃ置かないけど、どうする?」
上条「罰ゲームの罰ゲームって言うのは、この場合何になるんだ」
美琴「…………アンタがちゃんとできるまで毎晩添い寝、とか」
上条「お前……そうなったら寮はどうすんだ」
美琴「……抜け出すから平気だもん」
上条「常盤台の寮のベッドの方が質も良いし、寝心地良さそうだが?」
美琴「狭いけどこっちの方が良いわ。あったかいし」
上条「夏は? くっついて寝たら暑いぞ」
美琴「この部屋、エアコンくらいあるんでしょ」
上条「そろそろ寝なくて良いのかよ」
美琴「中途半端に寝たから目がさえちゃって眠れないの。アンタは?」
上条「ルール違反にならないよう気をつけてるので、もう眠れません」
美琴「ルールのことは気にしなくて良いわよ。……これから毎晩こうする、から」
上条「…………え」
美琴「なっ、何よ! ここ(腕の中)は私の居場所って、もう決めたんだから! 文句ある?」
上条「……なぁ御坂」
美琴「…………ななな、何?」
上条「今更こんな話をするのも何だが……『常盤台中学の超電磁砲』が俺の検索範囲に入ったら、お前どうする?」
美琴「ほんっとーに今更だけど……望むところ、ね。検索結果〇って、される方は結構きついんだから。……少しは気づきなさいよ、馬鹿」
上条「そうか、そりゃ悪かったな」
美琴「ねぇ」
上条「ん?」
美琴「アンタの手。さっきから私の背中の上で動いてるんだけど」
上条「わ、悪りぃ。どうも落ち着かなくて」
美琴「そうじゃなくて。……撫でられてるみたいで気持ちいいって言おうとした……だけ……zzzzzzzzzz」
上条「…………ようやく寝たか。俺は……眠れるかなぁ。とりあえずおやすみ…………zzzzzzzzzz」


終わりです。お邪魔しました。

660■■■■:2010/01/03(日) 03:03:00 ID:FWLI3Qkc
>>659
うおお、寝る前にこんな甘々みせやがってえええ
抱き枕でクネクネしちゃうだろうが

661■■■■:2010/01/03(日) 07:50:25 ID:R9xByU86
>>629
乙GJ

気になったところ
>初春「御坂さんも言ってやらないとダメですよ!」
初春は「言わなきゃダメですよ!」
な気がする
つまんないツッコミでスマン

662■■■■:2010/01/03(日) 10:56:45 ID:IgO9zx9c
>>659
GJ、知り合いの家でのたうち回る怪しい人に
なってしまったじゃないですかw

663■■■■:2010/01/03(日) 12:45:35 ID:px7j8JAM
>>659
GJ
上条さんは何日理性を保てるんでしょうかw

664■■■■:2010/01/03(日) 14:45:28 ID:UnlUBXoY
>>659
GJ
上条さんがなんだか可愛い
>>663
既に三回戦途中で陥落してるねw

665■■■■:2010/01/03(日) 14:57:42 ID:uXCxe8mU
最高や

666■■■■:2010/01/03(日) 15:58:21 ID:OFWoejeU
こんな二人のたわいもない日々がいつか来ると信じてる

667とある修羅場騒動前編 ◆Oamxnad08k:2010/01/03(日) 16:08:11 ID:Q4K1wOdE
やはりこの男なら絶対体験する修羅場のまずは前編です。
いちゃいちゃはありませんが、後編の御坂の挽回に期待ください(まだできてないけど)

上条 男子寮

「今年も暇だなー。毎年不幸だから今年くらい…無理か」
ピンポーン インターホンが鳴る。
「ん?誰だ」
とりあえずドアを開ける。
「って五和!?なんでお前がここにいるわけ!?」
ここは学園都市であり外部の五和が勝手に入ってくるわけにはいかないのだが…

「えっとですね…プライベートで遊びに来ただけなんです」

「え?それって魔術師が攻め込んできた訳じゃないのか?」

「そうです。今日は遊びに来ました。あれ?インデックスさんはいないんですか?」

「インデックス?あぁなんか小萌先生のところに行ってるから帰るのは昼ごろじゃねぇの?」

「ホッ…」
と安堵の息を漏らす。
「???どうしたんだ五和? あぁ、そういえば御坂がもうそろそろ来るはずなんだけどな」

「御坂さんですか…(せっかく2人きりになれると思ったのに…)」

「???まぁ寒いから入れよ」

「はい。おじゃまします」


とりあえずコタツでみかんを食べながら雑談している最中にインターホンの音が聞こえる。
 
コタツから出て玄関まで行き、ドアを開ける。

「おっす、御坂寒くねぇか?」

「別に大丈夫よ。 靴があるけど誰かいるの?」

「あぁ、五和が遊びに来てる」

「へぇ…(コイツと2人きりになれると思ったのに…)」
五和とまったく同じことを考えている。
上条を狙うライバルは多いのはうすうす承知したが、やっぱり諦めきれないのが乙女である。

「おじゃまします(五和って誰だろう?靴からみて女性よね…)」
聞こえないようにしてるつもりが少しだけ声が漏れていた。

「ん?どうしたんだ御坂、一人でブツブツと」

「な、なんでもないわよ!」

(とりあえず、落ち着いて挨拶よね…)

「こんにちは…ってえぇ!?アンタって確か…」

「あわわわわわ…」
五和と御坂があたふたしてる中、空気が読めない上条が…

「ん?二人は知り合いだっけ?あぁそういえば俺が御坂に追いかけられてるときに…あぁ」
と勝手に自己納得していく上条。
「ってそれはアンタがコイツの胸を触ってたから裁きを下しただけよ、この変態!」(16巻推奨)
なんだと!?と今度は上条と御坂が言い合いになり、五和がオロオロしてる時、部屋のドアが勝手に開いた。

「とうまただいまー。こもえの作ったおせちがすごくおいしかったんだよ!
 とりあえずおなかがすいたからご飯…ってなんで天草式のいつわと短髪がいるわけ!?」
新たな火種が投下された。
たった1人の少年をめぐる戦いの火ぶたが開幕する(?)。

668■■■■:2010/01/03(日) 16:43:38 ID:OSAxDFm2
うん いいんじゃない?
次回作に期待。

669とある修羅場騒動後編1 ◆Oamxnad08k:2010/01/03(日) 17:18:50 ID:Q4K1wOdE
後編

現在の状況 まずインデックスに噛みつかれる。
御坂に電撃を浴びせられる(手加減) 五和がオロオロしている。
そして男上条土下座中。

「1から全部説明してもらうわよ?」ビリビリ

「ええっとですね…とある事件に巻き込まれインデックスを匿うために同居しています。はい。すみません」
この通りボッコボコの上条である。

「ど、ど、同居ですって!?」
ものすごい勢いで口をパクパクさせる美琴。
好きな男の子がほかの女の子と同居してると聞いて驚かないほうが無理なのかもしれない。
この少女と一緒にいるのは何回も見たことがある。まさかとは思っていたが…


「で、短髪は何しに来たの?」

「わ、私はコイツの家に遊びに来ただけよ」
「いつわは?」
「私も同じです」
何故かインデックスがムスっとしてそっぽを向ける。

「まぁいいわ…アンタもう昼食べた?」
「まだ食べてないけど?」
「じゃぁ私が作ってあげる」
一瞬美琴の言ってることが分からなかった。
このお嬢様が料理を作ると言ってるのだ。
「お前料理できるの?」
「失礼ね!料理くらい簡単よ。カレー作りたいんだけど材料ある?」
「えっと、昨日買ったからあるぞ」
「じゃぁアンタ達は休憩してなさい」
と言って台所に向かう。
「とうまこれってどういう状況?」
「さぁ?お前の腹がいっぱいになるんじゃね?」

670とある修羅場騒動後編2:2010/01/03(日) 17:19:02 ID:Q4K1wOdE
後編2
とりあえずテレビをつける。
年末年始はあまり面白いテレビがやっていない。
「なんにもやってねぇな…で?五和、どうしたんだ?急にうずくまって…」
「いえ…なんでもないです」
実は五和も料理をしようと思ったのだが、美琴に先を越されてしまった。
これでは自分は何のために来てるんだろう?と思ってしまう。

「ん?なんだかすごくいい匂いがするんだよ!」
急に起き上がり台所へダッシュする。
「おい!インデックス!」
上条も起き上がりインデックスを連れ戻しに行く。
「インデックス、邪魔する…」
目の前にはエプロン+制服姿の美琴が立っていた。
(なんですか、この破壊力!?ヤバイ…女の子の料理姿だけでもヤバイのに、これはかわいさのあまり反則です!)
「???どうしたのアンタ」
「いや、似合ってるなぁと思っただけで…ってインデックスちょっとこいやあああああああああ」
強引にインデックスを引っ張る。
「うわ!?とうまどうしたの!?」
「女の子の料理を邪魔すんじゃねえええええええええ!!!」
前にもこんな展開なかった!?とか言ってるインデックスはほっとく。

「ふふ…これは効果アリかな?(似合ってるって言われた…嬉しい)」
遠くからみるとわからないが近くからみると頬が赤く染まっている。


五和空気は仕様です。

671■■■■:2010/01/03(日) 17:50:02 ID:FyS21NCc
ふむふむ

672■■■■:2010/01/03(日) 18:20:39 ID:fUqZX0Ek
つづきを!続きを!

673とある修羅場騒動後編3:2010/01/03(日) 18:26:35 ID:Q4K1wOdE
後編3
「できたわよ」
美琴の声が聞こえる。
「んじゃ皿でも配るか…」
上条と五和が起き上がる。

カレーをテーブルに置きそれぞれイスに座る。
「「「「いただきます」」」」

「むっ!?このカレーはとうまのカレーの100倍以上おいしいんだよ!?」
「すごいです、野菜が味を出し、特に隠し味が…御坂さん料理上手なんですね」
「いやー別にそこまで上手って訳じゃないわよ。でアンタはどうなの?」
「なんというか…うまい以外に表現できねぇ!なにこれ?今まで食ったカレーの中で一番うまいだろこれ!
 御坂、ありがとうな、もう上条さんは感謝感激雨霰ですよ」
「そんなに褒めないでよ…」ビリビリ
「ちょ!!?御坂、照れ隠しにビリビリしないでぇ!」
とりあえず右手で御坂の額に当て、左手でカレーを食べる。
流石のこの行動は周りが凍りついた。
(御坂さんすごくうらやましいです…)
「ふぇ?な、なにやってんのよアンタ!?」
「うっせぇ!お前の電撃さえ封じれば安心して食べれます!」
「とうまは何時になってもとうまなんだね!もうどうでもいいや、みことおかわりー!」
「なんか短髪から名前で呼ばれてるし!?ちょっと今動けないから残ってるやつ自分で好きなだけ入れてきて」
皿からあふれ出すくらいくらいカレーを入れる。
しばらく食卓がにぎやかになった。

「そろそろ離すか、ごちそうさまでした。御坂、美味かったぞ」
「ええっとどういたしまして…(もう離しちゃうの?)」
ちょっとさびしそうな顔をするが上条は気付かない。
「ごちそうさまでした。皿は私が洗います」
 
食事が終わってしばらくすると五和の携帯電話が鳴り急用で五和が帰ることになった。

674とある修羅場騒動後編4:2010/01/03(日) 18:26:48 ID:Q4K1wOdE
後編4(ほぼ修羅場終了)
今は上条、美琴、インデックスの3人だ。
インデックスはコタツで眠っている。
コタツはインデックスと猫のスフィンクスが占領してしまい2人はベッドに座っている。

「いやー今日は世話になったな御坂」
「え、別にいいわよ、それくらい…あと寒いわねー」
「あぁ、コタツは使えないし、せめてお前だけでもあったかくなればなぁ…」
「えっと…じゃぁ…くっついてもいい?」
「はい?それはどういうことなんでしょうか?」
「こういうことよ!」
美琴が一気に距離を詰めて、現在密着中。
「うおっ!?これはまずいです御坂さん!いろんなとこが当たってるッ!」
「寒いんだから仕方ないじゃない、それとも嫌…なの?」
涙腺を操作し、しまいには上目遣いという、究極技を実行する。
「いえめっそうもございません!どうぞご自由に!(上目遣いは反則だろ!)」

「じゃぁ…」
上条の腕に抱きつく。簡単にいえば腕枕だ。
「うう…これは効くかも…(相手は中学生であるから…せめて理性は保たないといけないわけでしてry)
「暖かい…」
「それは良かったですね…(ヤバイ…胸とか当たっていろいろヤバイ…)」
「そういえば五和さんってアンタの彼女?」
「は?なワケねぇだろ」
「へぇ…アンタの好きな女性のタイプは?」
「んー年上のお姉さんあたりがストライクゾーン、まぁ年下でも大して変わらないけど」
「ふむふむ」
「ってなんの参考なんだよ。念のために聞くけど御坂の好きなタイプは?」
「え…ええっと私は…そのぉ…年上で…優しい…人かな?(アンタに決まってるじゃない、この鈍感…)」
だんだん恥ずかしくなって、頬が赤くなる。よく見ると上条も少し赤い。

675とある修羅場騒動後編5:2010/01/03(日) 18:27:09 ID:Q4K1wOdE

後編5(デレ御坂+ラスト)

「ええっと…そのう…あの…当麻って呼んでいい?」
「はいぃ!?ちょっと御坂サン、それは急すぎるというかなんといか…」
「駄目…かな?私のことは美琴って呼んでいいから…駄目?」
「ううううう…(もう無理!)」
流石の上条でもそろそろ限界が来ている。
「あーわかった!もう好きにしてください!」

「ねぇ当麻…」
「なんだ、御坂」
「美琴って呼んでよ」
少し頬を膨らませる。なんというかすごくかわいらしい。
「み、美琴どうした?(なにこの御坂…お前はもっとツンツンしててここまで甘えん坊(デレデレ)じゃないだろ!)」
「ちょっと寝ていい?」
「マジですか?」
「いいじゃない…駄目?」
「別に…どうぞ(この御坂…やばいぞ…)」
しばらくすると美琴が本当に寝てしまった。
これから辛い理性との他他愛が始まる。

「うう…なんというか腕をガッチリつかんで寝ている…」
髪からは甘いにおいが漂う。上条の嗅覚が急激に反応する。
「こっちがこんなに頑張っているのにお昼寝ですか?(てか寝顔が…かわいい。って何考えてるの!?俺!?)」
「上条さんはストライクゾーンが年上、年上…」
念仏みたいにずっと唱えている。
いろいろ柔らかいものが当たったりするので理性が危ない。
「ここで手を出したら中学生に手を出したすごい人に…」
数分後
「あー眠くなってきた…俺も寝るか…」
疲れていたのかすぐ眠りについた。
しばらくすると美琴が目を覚ました。
「あれ当麻は…?寝ているの?」
「幸せそうに寝てる…」
クスッと笑いほっぺにキスをする。
「おやすみ…当麻」
と言いまた眠ってしまう。

この後インデックスが目を覚まし大変なことになるのはまた別のお話 

修羅場なんて別になかったぜ!

676■■■■:2010/01/03(日) 18:29:15 ID:Q4K1wOdE
>>675ミスった 他他愛ってなんだww戦いだわwww

677■■■■:2010/01/03(日) 18:32:12 ID:114n3L8.
>>675
GJ!!
インデックスが起きてからの大変な事態を書いてくれーっ

678■■■■:2010/01/03(日) 18:52:04 ID:r5AY0eYM
皆さんクオリティの高い作品ばかりで大変満足でございますですよ。

俺は原作をそこまで呼んでいる身ではないから(ネタバレとかはあまり気にしないのである)
原作の上条さんがどのように言及してるかしらないんだけど
高校生の彼と中学生の彼女であるなら、年齢差からして普通に妥当なのだから
決してロリコンだのそういうことはないと思うんだが?
不純異性交遊なのはまぁ目をつむるとして。

679■■■■:2010/01/03(日) 19:50:51 ID:vE7f6gz6
原作上条さんの場合、インデックスが好きな自分は記憶喪失前の自分ってブレーキと
他のヒロインからは、恋愛感情で好かれていると気づいていないこと
これがラブコメにならない原因だね

上条さんを少し物分かりよくして、美琴をちょっと素直にさせると理想的

680■■■■:2010/01/03(日) 20:39:02 ID:15b2Y99Y
上条さんの年上好きはギャグだと
かまちー公言したから
ビリビリにもチャンスはあるぜ!

681■■■■:2010/01/03(日) 20:42:49 ID:E9jsoWR6
まあ上条さんってば年下にも欲情してるしね

682■■■■:2010/01/03(日) 20:44:29 ID:OSAxDFm2
お疲れさまでした〜
もうちょっといちゃいちゃしてほしかった気がしますが
とても萌えましたよ〜

683■■■■:2010/01/03(日) 20:47:54 ID:jw/gNOXU
皆さん乙っす

俺の中でクリスマスが終わらない
あんま長くても退屈になるよねぇ

684■■■■:2010/01/03(日) 21:08:55 ID:rxg2RG3E
>>659
>>675
GJです

>>680
正確には
かまちー 「寮のお姉さんがタイプだって言ったのが、ギャグの中であったくらいでしょうか。」

685■■■■:2010/01/03(日) 23:14:24 ID:romKvu4E
面白そうなスレがあるなと覗いたら…
めちゃくちゃ面白かったです
本当にありがとうございましたb

686寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/04(月) 01:19:54 ID:ZByKJAmA
メリークリ(ry
GJありです

>>611の続き書きます

>あともう少し?続きます

これ嘘でした
長い・・・グダグダってたらごめんよ
しかもまだ全然続きそう

消費:8レス(番号22〜29)

687寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/04(月) 01:21:22 ID:ZByKJAmA
━22━


12/24 PM8:55 晴れ


上条「お願い事?」

 美琴の隣を歩く上条が聞き返す。

美琴「そうよ。今日のプレゼントはあんたを幸せにする事っつったでしょ。不幸を防いだだけじゃ幸せじゃないから、何か
    あんた的に幸せになれそうなお願い事を一つだけ聞いてあげるってことよ」
上条「………何だか大盤振る舞いだな」

 既についさっきこの学区のスキルアウトを追い払ってもらったばかりである。

美琴「そんなことないわよ。私が出来ることの範囲内だけだし、私が嫌だったり面倒なら全部拒否するもの」
上条「何だそりゃ?てことは俺が望んで、お前も望む事じゃなきゃ駄目って事か?難問だな」
美琴「そ。だから帰るまでに考えられるように、今言ったわけ。ほんとは最初に言うべきだったかもしれないけど」

 そんな余裕は無かった気がする。

美琴「んで、あんたはどっか行きたいとことかある?無いなら私行きたいところあるんだけど」
上条「うーん。その前にさ」
美琴「ん?」
上条「門限とか良いのか?一応お前お嬢様だろ?」
美琴「一応って何よ……こんな日は寮生が全員で結託するのよ。今日は別の子が何とか誤魔化すし、明日は私が誤魔化す
    ってわけ。まぁ12時超えるとさすがにきついけどね。皆寝ちゃうし」

 寮監との全面戦争は正直骨だが、女子中学生にとってクリスマスというイベントはそれほど価値がある物なのだ。

上条「なるほど………ん?てことはクリスマスにこんな風に出歩くのはこれだけか」
美琴「ッ!?………わ、悪かったわねつまんない人間で!明日は昼間に黒子主催のパーティーがあるだけよ」

 パーティーと言っても女の子が集ってわいわいやるだけなのだが。

上条「いやだから何故そこでキレるんだよ」
美琴「あ、あんただって、よく見るあの小っこいのとか、妙におどおどした紫の子はどうしたのよ」
上条「ん?ああ、あいつらは一応アレでも宗教関係者だからな、クリスマスとか年末年始は猫も手も借りたいほど忙しいんだとさ」

 インデックスや五和が毎年その時期忙しいという訳ではないのだが、恐るべき上条不幸パワーの影響か、知り合いの宗教関係者は
軒並み多忙を極めることになっていた。結果、上条は一人きりとなったのである。

美琴「ふーん。なんか私達一般的な日本人って結構お気楽よね」
上条「んーそーだなー」

 どう考えても一般ではない二人が自覚無しに呟く。

美琴「って、話が逸れたわね。私ゲーセン行きたいんだけど、別にいいわよね?」
上条「ゲーセン〜?やめておいた方が良いと思うぞ」

 上条があまり面白く無さそうにそう言った。

美琴「何でよ」
上条「俺と行くと楽しくないからな。切ない気持ちになって終わり。何も当たらないし、お金は飲まれるし、機械は壊れそう
    になるし……」
美琴「ああ何だ。そんなことか」

 美琴は簡単にその忠告をバッサリと切って捨てた。

上条「そんなことってお前……」
美琴「このゲーセン大好き美琴センセーに任せておけば大丈夫よ。そんな退屈はさせないわ」
上条「いや、俺でなくてお前がつまらなくなるっての。過去の経験からそうなることはもう決まり切ってんだって」
美琴「私は全然これっぽっちも問題ないわよ?」
上条「何ですかーその自信は?何か理由でもあんのか?」
美琴(………あんたと一緒だからに決まってんじゃないのよ。気付け鈍感)

 心の中で叫ぶ。

美琴「要はあんたの変な体質が絡まないもんなら良いんでしょ。当たり外れがない物とか、対戦ゲームとか。最悪私の能力
    ならチート行為とかできちゃうし」

 美琴は悪そうに笑う。

上条「お前………普段からそんな味気ねぇ遊びしてんのか?」
美琴「してないわよ!………………た、たまにしか」
上条(たまにはやるのかよ………)
美琴「つうか何、あんたもしかしてゲームで私にボロ負けするのが怖いんじゃないの?」
上条「そんな安い挑発に上条さんは乗りませんよー。でもまぁ、お兄さんは心が広いから、お前がきちんとお願いするなら
    対戦してやらないでもない」
美琴「………まんまと乗ってんじゃないのよ………つかもう着いちゃったんだけど」
上条「え?」

 美琴が指さした方には大きなデパートらしき建物があった。
 クリスマスイブだけあって、それらしいBGMが掛けられ、厚着をした人々がひっきりなしに出入りしている。

688寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/04(月) 01:21:36 ID:ZByKJAmA
━23━


美琴「ここの15階」
上条「どこへ向かって歩いてるのかと思ったら、目的地はもう決まってたのかよ」
美琴「まぁまぁちょっと寄って見なさいよ。他のゲーセンと違ってヘンテコなのがいっぱいあるから、見てるだけでも面白いわよ」

 上条は渋々といった感じで付いていく。

 美琴が案内したゲームセンターは、学園都市の様々な研究所が共同で運営している実験的なものであった。
 その特徴としては、最新技術がふんだんに使われたゲーム機が多い代わりに純粋な面白さは追求していないことや、能力開発
で使う装置に似た物が置いてあったりすること、料金が異常に安いことなどがある。
 ゲームセンターの名前も『総合能力開発研究グループ第三支部試験場』などという固いものだ。
 しかしそれでも最新のゲームが楽しめるとあって、レベル1以上の学生にはすこぶる人気であった。

上条「確かに混んでるな。って、何でレベル1以上?」
美琴「能力開発に似たものもあるからでしょ。無能力者にとっては学校で能力開発受けてるみたいで嫌だとか何とか」
上条「……胸が痛い」
美琴「ま、今日はそう言う系はやらないわよ」
上条「そっか。……あとさ、何で俺たち見られてるわけ?」

 先程からから妙にチラチラ見られている気がしてならない。

上条(見られているというか、警戒されてる?)

 特にクリスマスデート中のカップルなんかより、そんなことお構いなしのゲーマーっぽい人達がそう言う動きを見せている。

美琴「……私、常連とはいかないまでも、たまにここに来るわけよ」
上条「知り合い?」
美琴「ううん。違うと思う。多分私がゲームで打ち負かした人達と、その噂を知ってる人達………」

 能力開発に近いゲームが置いてあるため、自ずと高位能力者は有利になる場合が多い。
 リアルでもゲームでも強い者を求めていた美琴は、一時期ゲームセンターに入り浸っているゲーマーを片っ端からフルボッコにした
経験があった。
 おかげで一部ゲームセンターでは美琴が伝説として畏怖の対象になっていたのだ。
 上条は自分の過去と重ね、彼らに心から同情をする。

上条「ああ、それは何と可哀想なことだ。さぞ怖かったろうに……」
美琴「…………喧嘩売ってるわけ?」
上条「いやお前、そりゃ雷落すような奴がつっかかってきたら怖くて泣くって!」

 第一位も第三位も打ち負かした奴がそんなことを口にすんな、と普通はツッコミを入れるところだが、美琴はその発言に対して
地味にショックを受けてしまった。
 普段なら『あんたが悪いんでしょ』と理不尽なキレ方をするが、今回はそう言う気が起らない。

美琴「あの……なんて言うか、その件については謝るわ。ごめん」
上条「え?い、いや、別に謝らなくて良いよ。俺覚えてねえし。今日はまだビリビリされてねえし」

 妙に素直な美琴の態度に少し驚く。

上条(そういえば、これだけ一緒にいて電撃を浴びせられないというのは過去新記録かも?)

 美琴は美琴なりに頑張っているのだ。
 二人はとりあえず荷物や手袋などをロッカーに入れ、少し店内を見回ることにした。
 普通のゲームセンターにあるオーソドックスなものから、説明書を読んでもイマイチ何をしたいのか理解できない物。さらに
ミニゲームから安全性を疑いたくなる大規模なものまで、様々なゲームがあり確かに見ているだけで面白いと上条も感じた。

美琴「さてと、そろそろ今回の最重要目的地へ行くわよ」
上条「あー、やっぱ何かあるわけか」

689寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/04(月) 01:21:53 ID:ZByKJAmA
━24━


 上条は美琴に付いていくと、一台のプリント機に行き着いた。
 外観は飾る気が無いのかシンプルで、『AIによる撮影シミュレーション実験筐体No.3』とタイトルだけ飾られている。

上条「写真でも撮りたいのか?」
美琴「この機種のフレームが可愛いんだけどね」
上条「ああ、はいはいなるほど」
美琴「この前黒子と来た時、あらかた撮りまくったわけよ」
上条「あらかた?」
美琴「185枚!」
上条「……………………白井もよく付き合ったな」
美琴「いや、あの子死ぬほど喜んでたけどね」
上条「……………………」
美琴「なんだけどさ、一番重要なのが撮れなくて…………」
上条「重要………ああ、いやいい、言わなくても分かる。もう何度目だよこのパターン。ゲコ太だろ?」
美琴「よく分かったわね」

 美琴は目を丸くして驚く。

上条「そりゃぁクマのぬいぐるみ作るのにお前のこと色々考えたからな。行動パターンはもうお見通しなのですよ」

 上条は少し得意げに言う。
 ちなみにそのうちの半分程度は舞夏から諭されたようなものだ。

美琴(な、何恥ずかしいこと言ってるのよ)

 美琴には上条が『お前のことをずっと考えていた』『お前の事なんてもう何でもお見通しだ』と言っているように聞こえて焦る。
 慌てて手を胸に当て、目を瞑り落ち着こうとする。さすがにそう何度もふにゃふにゃになってはいられない。
 上条はそんな美琴の様子を見て、また具合が悪くなったのではないかと勘違いし、肩に手を掛ける。

上条「御坂?」
美琴「にょわっ!」

 いきなり話し掛けられてビクッ!とする。

美琴「ななな、何?」
上条「また具合悪いのか?」
美琴(や、やめ……て。そんな顔で私の顔を覗き込まないでっ!鼓動が余計速くなるじゃないのよ)

 美琴はプイッと横を向き、「うっさい、大丈夫よ」と何とか言う。

上条「何かよく分かんないけどさ、具合悪かったら言えよ?倒れたら色々やべーだろ?」
美琴「う、うん。確かに」
上条「……んじゃさっさと入るべー」
美琴「あっ、ちょっと待って」

 仕切りになっている垂れ幕を上条がめくったところで美琴はそれを一旦制止する。

美琴「この機種。AIが馬鹿だから覚悟して頂戴」
上条「へ?」
AI 「イラッシャイ。オカネヲ、イレテネ」

 上条がくぐりきると、機体から声優が演じている子供のような声がブツ切りで発せられる。
 後から入ってきた美琴が100円玉を1枚だけ投入する。

AI 「アアッ、マタキテクレテ、アリガトウ」
美琴「…………」
AI 「スキナフレームヲ、エランデネ」

 美琴は画面上に出た幾つかのカテゴリから『恋人』と書かれたハート形のボタンを押し、次にお目当てのフレームを選択する。
 そのフレームはゲコ太のみならず、ケロヨンやピョン子、その他ラブリーミトンのキャラクターが数多く出てくるマニア垂涎
のものだった。
 わざわざ上条をゲームセンターまで引っ張ってくるだけの価値はある。

上条「そういえば何で白井とは撮れなかったんだ?」
美琴「このフレーム、どういうわけか男女ペア向けなのよ。開発者が適当にカテゴリに入れたのかしら?その時はそんなこと無視
    して撮ろうと思ったんだけど、この機体が忌々しいことに顔認識とかしてきやがって、『アレレ?オトコノコジャナイヨ?』
    とかふざけたこと言って拒否されたってわけ」
上条「………また妙なところに凝った仕様だなそりゃ」
美琴「でしょ?作ってるのが研究者だからそこら辺適当すぎるのよ。の割りに金が掛かってるから、外注のフレームとかは
    出来が良いし…………。あん時はぶっ壊してでも撮ろうとしたんだけど、さすがにあの子に止められたわ」

 ジャッジメントとしてギリギリの判断だったのかもしれないな、と上条は少し哀れむ。

上条「キョウハソンナコト、シナイデホシイナ」
美琴「あんたが協力すればすぐ終わるわよ。あとその口調本気でやめて」
上条「へい……」

 必要な入力が全て終わる。

美琴「全部で5回撮るんだけど、たまに変なこと要求してくるかも」
上条「変なこと?」
美琴「ジェスチャー認識の一環でかっこ悪いポーズ撮らされたり」
上条「うぇー……………ま、まぁ壊すのよりはマシじゃねーの。はぁ」
AI 「1マイメ、イキマース。ハイ、チーズ」

690寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/04(月) 01:22:04 ID:ZByKJAmA
━25━


 パシャリとフラッシュが焚かれ、一瞬目が眩む。
 上条と美琴の距離は人一人分の微妙な距離が空けられている。

AI 「アレレー?チョット、フタリノアイダガ、トオスギルネ!モットチカヅイテ!」
美琴「こういうふざけたことを言う訳」
上条「無駄に演技くさいあたりがイラッとくるな」

 仕方なしに二人はほんの少し近づき、普通に直立のまま撮る。
 今度は良かったらしい。

AI 「オネガイガ、アルンダケドー?コウイウポーズ、シテホシイナ!」
美琴「やっぱ来たか」

 画面に何やら人の絵が出てきた。青い方が赤い方の肩を抱いている。
 カテゴリが『恋人』であるからそう言うポーズが要求されるようだ。

上条(これって………)
美琴(あー、何かデジャブ)

 写真でこのポーズと言えば、一度撮りかけたことがあったはずだ。
 二人で同じ事を考えていたが、口にしてもしょうがないのでその件には触れない。

上条「ど、どうする?」
美琴「…………えっと」

 美琴は当時のことを思いだし、あの時はまだ漏電なんかしなかったからなぁ……なんて自分が退化しているように感じて
憂鬱になる。
 二人の距離はあの時から縮んだのだろうか。

美琴「うん。そうね、やっぱ手っ取り早くこいつ殺るか」
上条「…………冗談に聞こえねーぞおい」
美琴「本気だもの。あ、殺るって言ってもソフトウェア的な話よ?」
上条「どちみち駄目だっつの!」

 仕方がないので上条は美琴の左側に回り、右手を肩に回す。
 美琴は徐々に顔が赤くなるが、まぁあんたが止めるなら仕方ないわねやってあげるわ、と言わんばかりの表情でじっと耐える。
 この程度なら以前にもやったし、さっきも無意識にやっていた気がするので両者共に許容範囲だ。

上条(つか、写真を諦めるって考えはないんだな。すげぇ執念………)

 無事2枚目も撮り終える。

AI 「オネガイガ、アルンダケドー?コウイウポーズ、シテホシイナ!」
美琴「………………………」
上条「………………………」

 次の画像は、青い人が赤い人を抱っこし、赤い人が青い人の首に手を回している絵。いわゆるお姫様抱っこ状態だ。

上条(何の冗談ですかこれは)

 上条が美琴の方をチラッと見てみると、美琴はポケーッと子供のようにその画像を眺めていた。数秒すると上条の視線に気づき、
愛想笑いをしてきたので、上条も愛想笑いを返してみる。

上条「やーや−、無理だわ。ギブギブ」
美琴「そ、そうね。私もこれはちょっと………って思ったんだけどさあ、なーんかあんたのその言い方、まるでやりたくない
    ような感じね」
上条「な、何怒ってんだよ。して欲しいのか?」
美琴「ばっ!!?んな分けないでしょ!!じゃなくて、あんたがしたくないんでしょ!!」
上条「んなこと言ってねえだろ!そもそもしたくないも何も、お前のその格好じゃできねーじゃねえか!」

 美琴の短いプリーツスカートを指差さして叫ぶ。

美琴「ざーんねんでした。短パン穿いてるんだわこれが」

 美琴はプリーツスカートの下をほんの少しまくって短パンを見せる。

上条「くっ!!い、いやでも待て!どうせまたお前のビリビリ落ちになるんだろ、そうなんだろ!」
美琴「今日は一回もあんたにビリビリしてないじゃん!」
上条「それはお前が俺の右手を掴んでたからだろ!」
美琴「うっ……わ、忘れかけてたんだから思い出させるんじゃないわよ」
AI 「ミギテヲツカッテ、ダッコシテネ」
上条「…………………」
美琴「…………………」
上条「え、何で反応してるんですか?こいつ」
美琴「あー、たまにボソッと介入してくるのよね。こっちの声は多分聞こえてないと思うんだけど」
上条「ホラーじゃねえか」
AI 「ハヤクー」
上条「…………………」
美琴「…………………」

691寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/04(月) 01:22:23 ID:ZByKJAmA
━26━


 AIが言ったことは確かに正論なので、二人で固まってしまう。

美琴「ま、まぁ、フレームゲットのためには仕方がないわ」

 若干口元が緩みそうなのをどうにか押さえてわざとらしく言う。

上条「………ったく、しゃぁねぇな」

 上条も諦めて頭を掻く。冷静でいられるかかなり怪しいが、やるしかないようだ。

上条「じっとしてろよ?」
美琴「う…うん」

 上条は右腕を美琴の背中に回し、左腕を膝の後ろに回すと、美琴を少し後ろへ倒し一気に抱え上げた。
 抱えた脚と背中や、自分の胸とくっついた部分などから美琴の体温が伝わってきてかなり気恥ずかしい。
 美琴は両手を胸の前で固く握り、カチコチに固まって身を預ける。自然に前を向くとすぐ目の前に上条の顔があり恥ずかしい
ため、カメラの方を向く。

上条(人間って意外と重いんだよな。っとか言ったら絶命しそうだから言わないけど)
上条「…………あれ?撮らねえな」
AI 「ポーズガ、チガウヨ」
上条「ああ、み、御坂、腕だ腕」
美琴「……!……!!……!!!」

 上条に言われて顔を再び見る。言わんとしていることは理解できるのだが、緊張しすぎて声が全く出ない。恐らく表情も
死ぬほど固くなっていることだろう。
 上条の右手が肋骨の当たりを触っている。
 上条の左手が脚を触っている。
 更にここから動くと別の所まで触られそうで、怖くて体が動かない。
 もちろん腕も同様で、赤ちゃんのようなそのポーズを崩せそうにない。
 予想していたものを遥かに超える恥ずかしさで頭がどうにかなりそうだ。
 徐々に後悔の念が沸いてくる。

上条(うわ、無茶苦茶嫌そう。何か一人で恥ずかしがってるのが馬鹿みたいだな)
上条「あー………なんと言いますか、まぁそんな脅えきった顔すんな。今下ろすよ」
美琴「……!!」

 しかし美琴は首をブンブンと横に振ると、涙目になりながら腕をおずおずとゆっくり差しだし、どうにか上条の首へ回す。
 恥ずかしさの限界値を超えるようなこの状況はさすがに美琴にとっても不本意だったが、それが上条自体が嫌だからという
理由だとは絶対に勘違いされたくなかった。

上条(そ、そこまでして写真を撮りたいのか?)

 ただし上条には通じない。

AI 「イイネイイネ。3マイメ、イキマース。ハイ、チーズ」

 二人とも心の準備が出来ないままフラッシュが焚かれる。
 恐らく写った二人の顔は真っ赤に染まり、目が泳いでいるに違いない。
 上条は「終わったぞ」と声を掛けて美琴の足を静かに下ろす。
 しかし美琴は相変わらずカチコチで、腕が離れない。
 立ち上がると抱き付くような形になった。ただし体と体のスペースはかなり空けて、顔は思いっきり俯いている状態なので
恋人っぽくはない。
 上条は予防のため美琴の肩に右手を置きつつ、少しずつ腕を離そうとして……画面を見て再び絶句。

AI 「オネガイガ、アルンダケドー?コウイウポーズ、シテホシイナ!」
上条「……なんつうか、俺もこいつに殺意沸いてきた」

 美琴が恐る恐る振り向くと、青い人が赤い人を肩車している絵が表示されていた。

上条(高さ足りねーだろ)

 と思って上を見上げると、何故か肩車をやる分くらいのスペースは設けられていた。
 開発者は一体何をさせたいのだろうか。

美琴「は、ははは、はは。これは、前もあったわ」

 力なく笑う。
 黒子相手の時は面白がってやったが、上条相手にそんなノリで出来るわけはない。

美琴「ど、どうしよう……」

 美琴が不安そうな声で上条に問う。
 そう言う態度を取られると上条としても弱い。
 とりあえず首に掛かってた腕を外して、子供に話し掛けるように優しく話す。

上条「どうしようって………辛いならやめた方が良いんじゃないか?」
美琴「そ、そんなんじゃない!」

 そこだけは確実に否定する。

692寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/04(月) 01:22:36 ID:ZByKJAmA
━27━


上条「んじゃぁフレームのためだと割り切っちゃうしかないんじゃねえかな?」
美琴「う、うん………そうね。コレクターとして負けてられないわ」

 結局そこに行き着くらしい。
 仕方がないので上条は美琴の後ろへ回り、しゃがむ。
 赤を基調としたプリーツスカートと白のコートに覆われた美琴のお尻と、そこから伸びるすらりとした細い脚が視界を占める。

上条(……………無心だ無心。何も考えるなよ上条当麻)

 上条は頭を振る。

美琴「へ、変なこと考えたら殺すから」
上条「………、おまえなぁ、せっかく今振り払ったのに」
美琴(振り払ったってことは考えてたってこと?)

 とりあえず美琴は脚を肩幅くらいにそっと開く。
 それを確認して、上条は美琴の足首を掴み、脚の間に頭を通していく。視界の横にはニーソックスが見える。

上条(無心無心無心無心無心無心無心無心無心)
美琴(ゲコ太のためゲコ太のためゲコ太のためゲコ太のため)

 上条のツンツンした髪が美琴の脚を撫でていく。
 その感触がかなりむず痒い。

美琴「ちょっ、ちょっと」
上条「ん?」
美琴「わー!!上見るな馬鹿!!」
上条「痛ってー挟むな馬鹿!見ねえよ!っつか短パン穿いてんだろ!」
美琴「それでも嫌なの!」
AI 「ハヤクー」
上琴「うるせー!!」「うるさい!!」

 二人でハモる。

上条「あーもうめんどくせーうらあああああああ!!」
美琴「わっ、わわ」

 一気に頭を押し込み美琴を持ち上げる。
 肩に美琴の柔らかな太ももが感じられるが気合いで無視する。
 美琴はというと左手でスカートを押さえ、右手で上条の頭を押さえている。

上条「おい、重心もっと前にしろあぶねえ」
美琴「む、無理!」
AI 「4マイメ、イキマース。ハイ、チーズ」

 パシャリ。

上条「た、倒れる………っだぁああああ」

 上条が後ろに倒れそうになり、咄嗟に美琴は頭上にあった機体のフレームを掴んでそれにぶら下がる。
 結果上条だけバランスを崩し後ろに仰向けに倒れた。

上条「あ」
美琴「うわー馬鹿、覗くなー!!」
AI 「オネガイガ、アルンダケドー?」

 上条の頭は美琴の真下にあったため、スカートの中が丸見えである。といっても短パンであるが。
 むしろ美琴がもじもじと腰をくねらせるせいで扇情的に思えるのではないか。と上条は手を顎に当てて冷静に分析する。

美琴「ッ!!」

 美琴はついにキレて手を離す。迫り来る美琴の足を上条が寸前で横に避ける。

上条「あっっっぶねぇ!何すんだテメェ!」
美琴「あんたが悪…………………は?」
上条「ん?どした?」

 美琴は画面の方をチラッと見て固まっている。画面は上条からは見えない。
 仕方がないので起き上がろうとする。

美琴「わわっ、あ、あんたは見なくて良いわよ」

 しかし止めるのが遅かった。
 次のお題を見て上条も無言になる。

上条(なんつか、ここまで来たのに終了ですか)

 画面の中では青い人と赤い人の絵が二人で両手を繋ぎ、キスをしていた。
 さすがにこれはギブアップだろうと思い、上条は気楽に話し掛けることにする。

上条「あーあ。残念だったな。まぁ恋人が」
美琴「やるわよ」
上条「……………………………………………………はい?ごめん。もう一回言って」
美琴「やるっつってんの。これのために!」

 美琴が指差した先には5枚目のフレームがあった。
 なんとラブリーミトンの歴代キャラが大集合していて、豪華に写真の周囲を囲っている。
 美琴の中で色々なものが天秤に掛けられた結果、それが勝ったらしい。
 しかしそんな美琴の態度を見て、上条は少しイラッとする。

上条「ふざけんな、いくら好きだからって、テメェはこんな物のために俺とキスしようってのか!?」
美琴「………何怒ってんのよ。するフリに決まってんでしょフリに」
上条「へ?…………あ、あー……………」
美琴「あんたまさか、変なこと想像してたんじゃないでしょうね?」

 美琴が意地悪そうな笑みと共に横目で見る。

上条「…………………で、でもこいつを騙せると思うか?」

 上条はそれを無視する。

693寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/04(月) 01:22:50 ID:ZByKJAmA
━28━


美琴「この絵を見る限り、真横じゃなくても良いんでしょ。なら付いてるかどうかなんてきっと分からないわよ。余裕余裕」

 自分に暗示を掛けるように言い放つ。正直変な汗が出てきているが、この際それは無視する。
 まぁここまで来たんだしやってみるか、という実験的なノリで上条は応じた。
 二人はとりあえず立ち位置を決め、大体45度の角度で上条が画面側に立った。
 次に両手を指を絡めるように握る。触った瞬間に美琴の手がピクッっと動いたが両者緊張しているのでその程度は気にしない。

美琴「と、とりあえずゆっくり、30センチくらいまで顔を近づけるわよ」
上条「30センチー?いくら何でもそりゃばれるだろ」

 そう言うと上条はやや屈み込み、美琴の手前約20cmのあたりに顔を持ってくる。
 突然だったせいか美琴が仰け反る。

上条「………………おい、お前この程度でかよ」
美琴「う、うっさいわね!びっくりしただけよ。ゆっくりって言ったでしょうが」

 そう言って美琴は体をゆっくり戻したが、緊張して肩に力が入っているのが見え見えであった。

上条(そこまで俺を毛嫌いしなくても良いんじゃねえのか)
AI 「ポーズガ、チガウヨ」
上条「………だそうです」
美琴「すこーーーしずつ、近づけるしかないわね。1秒に1ミリくらいの速さで」
上条「凄い遅さだな………けどまぁそれしかねえか」

 言われたとおりにジリ……ジリ……と顔を近づけていく。
 この速度だと距離が無くなるまで大体200秒は掛かるだろう。

上条(ん?)

 上条はジーッと美琴の顔を見つめていて、面白いことに気付く。
 美琴はボーッと上条の顔を数秒眺めているのだが、徐々に頬が赤くなっていき、ハッとして視線をオロオロと右や左に
移動させる。だが、それを気取られたくないのか、2秒くらいしたあとにキッっと上目遣いに睨んでくる。そのままで居ると
その目が少しずつトロンとしてきて、ボーッとしだす。そして最初の状態に戻る。
 上条にはそれが何だか可愛らしく思えて少し笑ってしまう。

美琴「…………何ニヤケてんのよ」
上条「いや別に」
AI 「ポーズガ、チガウヨ」

 60秒以上は経っただろうか、唇と唇の距離はもう10センチとちょっとしかない。
 お互いに息をするのが聞こえる程度になる。

美琴「ま、まだなの……?」

 徐々に美琴は焦り出す。
 もしこのまま最後までチガウヨと言われ続けたらどうなるのだろうか。

美琴(……………………………)

 上条を見る。
 さすがにこの近さだと恥ずかしいのか、たまに目が泳いでいる。

美琴(ま、さっき何か怒ってたし、嫌になったらこいつがやめるか)

 もしやめなかったら?ということは考えないことにする。

AI 「ポーズガ、チガウヨ」
上条「……なんで無駄に精度が良いんだよ」

 もう10センチはとうに切っている。
 喋ると相手に息が掛かる。

美琴「ちょっ、あんま喋んないでよ」
上条「へ?まさか俺の息匂う?」
美琴「そ、そう言うことじゃなくて…………」

 それっきり黙ってしまう。
 美琴の顔は更に赤くなり、呼吸が速まる。正直そろそろ限界が来そうだ。
 それでも上条は近づくのを止めない。

AI 「ポーズガ、チガウヨ」

 上条はボーッと美琴の顔を見つめていた。
 ファミレスでは薄暗くてよく分からなかったが、その空間は写真を撮るために相当明るく、顔の隅々まで見える。
 意外と睫毛が長いことや、瞳の色、眉毛の色が茶色がかっていること、肌が肌理細かいこと、その肌が紅く染まってること、
化粧もしていないのに朱く瑞々しい唇、その唇がやや速いペースで息を吸ってること、たまに唾を飲み込んでるが、緊張のためか
上手くできていないこと………
 見ている内に恥ずかしさはどこかへ消え、徐々にそれが心地よい興奮へと変化していく。

上条(恋人同士のキスなら、この距離で普通は目を瞑るよなぁ)

 しかし両者の目は見開いたままだ。
 寸止めするにあたって目を閉じていてはまずい。

694寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/04(月) 01:23:20 ID:ZByKJAmA
━29━


AI 「ポーズガ、チガウヨ」

 美琴はもう恥ずかしさとか言う次元を超え、とっくに居心地が良くなっていた。恐らく手を繋いでいなければ漏電している
ことだろう。
 上条が見つめている。ただそれだけで幸せを感じていることに気がつく。
 やがて両者の顔の距離は、寄り目をしても相手の顔がぼやけて見えるほどに近くなる。

上条(このまま……してしまいたいな)

 上条は陶酔した頭で思う。
 もししてしまったら美琴はどういう態度を取るだろうか。
 怒り暴れるだろうか。また雷を落すだろうか。軽蔑した目で見るだろうか。
 でも、もしそうだとしてもこのまま距離をゼロにしてしまいたいと感じた。

上条(ビリビリされてないせいで御坂への印象が違うのかな)

 普段はいつ電撃が飛んでくるか分からないため緊張状態にあることが多かった。
 しかし今日は最初の宣言がある。だから美琴を冷静に落ち着いて見ることが出来たのかもしれない。
 ということは、ビリビリしてこない美琴のことを、自分は好きなのだろうか。
 そんなことを思っていると、美琴の瞼がゆっくりと閉じた。

上条「!?」

 上条の動きが止まる。
 そして既視感を感じる。似たようなことが過去に数回あった。
 そういえば、あの時の美琴は結局何を考えていたのだろうか。

上条(もしあのシーンでキスをしていたら?)

 どうなっていたのだろう。
 答えは恐らく目の前にある。
 上条は再び動き出す。少し震えている唇に近づいていく。
 そして……

AI 「5マイメ、イキマース。ハイ、チーズ」
上条「!?」
美琴「!?」

 ビックゥ!!と二人仲良く痙攣して、バッと顔が離れる。
 その瞬間にパシャッとフラッシュが焚かれる。
 数秒で頭のもやが晴れていくと、初めて自分達の心臓がすごい速さでリズムを刻んでいることに気がついた。

上条「……………………………お、おお、俺たちの大勝利だな」
美琴「そそそ、そうね」

 お互い目を合わせずに話す。
 とりあえず上条の右手側は繋いだままで、左手側だけを離した。

AI 「モウスコシ、マッテネ」
上条「………………」
美琴「………………」

 手を繋ぎながら目を合わせず無言で待つ。
 ややあって取り出し口から二人用に切り分けられた写真が出てきた。

美琴「………………」

 フレームは超絶に可愛いのだが、メインである写真の方を見ると黙ってしまう。

上条「あの、さ、これ二人分あるけどどうする?なんつうか………」
美琴「も、持っててよ。私だって今これどうすりゃいいんだろ?って悩んでたところなんだから」

 仕方が無く上条は胸ポケットに、美琴は財布へと仕舞う。

美琴「あ、あんたは気をつけなさいよ?うっかり落して誰かに見られるって状況が簡単に想像できるわ」

 そう言ってようやく上条の方を向く。

上条「俺も余裕で想像できるから言わなくて良い」

 何故か血の雨が降りそうな気がする。誰の血かは自明。

上条「つかお前も白井に見られないようにしろよな?」
美琴「分かってるわよ」

 テレポーターなんかと一戦交えるなんてのはごめんだし、黒子はそれ以上に執念とか怨念とかいう点でも怖い気がする。
 二人は急にどっと疲れが出たような気がして、同時に溜息を吐き、プリント機からトボトボと出ることにした。

AI 「アリガトウ。マタキテネ」
上琴「「来るか馬鹿!!」」

 ガンッ!と蹴りを一発ずつ残して。

__________________


おや?上条ちゃんの様子が・・・・・・

695■■■■:2010/01/04(月) 01:46:07 ID:nTo5ZUFM
>>694
GJ!
上条さんが美琴に陥落されつつあるのがいいですね。
続きを待ってます

696■■■■:2010/01/04(月) 01:55:18 ID:iF/NPerM
GJ
写真、どんな風に写っていたのか気になるね

697■■■■:2010/01/04(月) 01:57:25 ID:xK7PEPjE
グッジョブです、とミサカは(AA略

698■■■■:2010/01/04(月) 02:50:22 ID:U3MidVS6
このAI・・・できる!

699■■■■:2010/01/04(月) 02:58:21 ID:DRiRoTpY
>>694
GJです!
上条さんを攻略するのはホントに大変だなぁw

700■■■■:2010/01/04(月) 03:17:03 ID:xK7PEPjE
もう上条さんが誰を選ぶかと言うより誰が上条さんを攻略するかだからなw

スレチスマソ

701■■■■:2010/01/04(月) 06:33:53 ID:tI86KmwI
>>694
GJ!

しかし何だね、「キスさせたら負け」的な
職人同士の水面下バトルもあるのかしらね、これw

702■■■■:2010/01/04(月) 06:39:32 ID:adGMoysA
>>694
GJ!
このAI、どこのカレル4だwww

703■■■■:2010/01/04(月) 06:41:51 ID:adGMoysA
 目指せ一日一小ネタ投稿。


 上条さんが美琴に襲われました。危うし上条さん。

上条「み、御坂? お前俺の上に馬乗りになって何するつもりだ?」
美琴「うっ、うるさいわね! じっとしてなさいよ!」
上条「御坂? このポジションはすごく危険だと思う! 間違いが起きないうちに降りよう。な? な?」
美琴「おとなしく観念しなさい! も、もう逃げられないんだからね!」
上条「それがお嬢様の言うことか! さりげなく瞳をうるうるさせんじゃねぇ!」
美琴「無能力者のくせにごちゃごちゃうるさい!」
上条「この状態は能力関係ないし! その伸ばした手で何をするんだ! やめろ、俺に触るな御坂!」

















美琴「いやー、前々から気になってしょうがなかったのよね。アンタの前髪のその若白髪。引っこ抜きたくってたまらなかったのよ。あーすっきりした」
上条「こんなオチだとはわかっていたけどそれでも何かを期待した俺はいったい……不幸だ」

704■■■■:2010/01/04(月) 07:27:59 ID:4Iy/M2Vk
オ、オチガーーー!

705■■■■:2010/01/04(月) 15:14:54 ID:Ocy72gOQ
GJです。清純少年上条さんカワイソス
>>701
実際書いてるとわかるんだけど、ガチでやると難しいし
アクシデント(不意な事故)等でキスしたほうが盛り上がるというか
次の展開につなぎやすいというかw(書きやすい)
あくまで僕個人の意見ですけどw

706■■■■:2010/01/04(月) 15:17:09 ID:UjVn5fME
>>703
上条さんに白髪だと・・・

707 ◆pAn3AKtpUw:2010/01/04(月) 15:55:57 ID:hzZuIwWs
色々突っ込みは入るような作品で申し訳ないです、あけおめです
>>496
―――――――――
―――20分、です。
相当な疲労が溜まっている私の脳にある言葉が蘇った。
あれ、20分って何だっけ…誰の…
そんな事を走りつつ夢中に考えてると、当然の如く足がもつれた。

「きゃっ!」
「御坂!!」

少し前を走ってた当麻が素早く反応して、前に倒れていく私を抱き止めてくれた。

「あ、ありがと…」
「気にするな。ていうか大丈夫か?」

そう言うアンタもね。
お互い厚着してるせいで、外気は冷たいが中から発熱していた。
お陰で額に溜まった汗は顎に流れていき、正直鬱陶しい。

「今、何時?」

私が聞くと、当麻は腕時計を見て「8時15分」だ、と言う。
…休みはしたけど結構走ったわね。しんど…

708 ◆pAn3AKtpUw:2010/01/04(月) 15:59:44 ID:hzZuIwWs

「御坂大丈夫か?」
「えっ、ああ…ま、大丈夫よ」

肩で息をしてるんだが、別にそれだけだ。
…ていうか何でバス使わなかったのか…ああ人多からだっけ。

「人ごみ見る限り、もう走る必要も無いな…」
「そう、ね」

大きな溜め息。当麻と同じタイミングで吐いた。
それに気付き、当麻を見ると向こうもこっちを見てて、笑った。
改めて現状を見ると、何かがおかしかった。
場所はあってるのに、何でだろう。
悩んでると、後ろにいたカップルの発言を聞いて理解した。

「あれ、イルミネーションついてないわよね」

そう、電飾が全く点いてなかった。

{イルミネーションのシステム只今調整中です。もうすぐで終わりますので――}

若い女の人のアナウンスが少し遠くにいる私達にも聞こえる。

「こんな時期に調整だなんて。そりゃあ無きにしも非ずだけどさー」
「俺達にとってはいいんじゃねぇか?ほら、点いた瞬間の輝き見れるし」
「…そう、ね」

…………あれ?

709 ◆pAn3AKtpUw:2010/01/04(月) 16:00:17 ID:hzZuIwWs

「ねえ当麻。今何分?」
「またか。 …ええっと、今はー…18分だな」

18分。8時18分。
引っ掛かっていた『20分』が、何となく分かって来た。

「20分まで、あと何秒?」
「はぁ? んーと…45秒か」

計算ずく、ね。
ていうかプレゼント買うのに長引いて間に合わなかったらどうすんのよ…。
頭で愚痴が出てくるのに、笑みが零れる。

「あと何秒?」
「15秒だな」
「ねぇ、魔法、使ってあげるわ」

どうせなら、とことん利用だ。

「10…9…」

人差し指をぐるぐると回しながら、カウントダウンをしていく。
体内時計に関しては、大丈夫。自信ある。

「3…2…1…」

そして私は電飾のある方にステッキを振るかのように指をさす。

「ゼロっ!」

瞬間、イルミネーションは復活した。

710 ◆pAn3AKtpUw:2010/01/04(月) 16:00:49 ID:hzZuIwWs
目映い灯りが私達の前方で発生し、順番にこっちに光が向かって来る。
人ごみのあらゆる場所で感動の声が漏れ、騒ぎ始めた。

{大変お待たせしました。完全に復旧いたしましたので――}

謝罪するアナウンスの声に皮肉でも言ってやりたいところだが、ぶつっと切れた。
今ここにいる人だかりはもはやストレスは一時的にでも払拭されただろう。

「すげぇな」

当麻も伸びて来る灯りを見上げながら言う。

「ホント、綺麗ね」
「…ま、そっちもだけどさ。お前も」
「え?」
「ほら、20分ジャストに点いただろ?まさかお前がいじってたんじゃないだろうし、すげぇよ」
「…あ、あはは…」

…やりきってから、少し恥じて来た。やっちゃったもんは仕方ないけども。
足を止めてた群衆が歩き始めたので私達も歩き始めた。

711 ◆pAn3AKtpUw:2010/01/04(月) 16:01:11 ID:hzZuIwWs
――――――――――
電飾の門を潜り抜けると、更に明るくなった。
城を形に取り付けられたモノや、路肩の木についてるモノがとても綺麗だ。
時折見かけるジャッジメントの腕章を付けた人達もずっと見ている。
…支部が違うから黒子はいない…はず。
上を見上げてると、顎の下にもふっとしたものが当たった。

「あれ?御坂妹」
「どうも。とミサカはいぬの感触を味わわせながら挨拶します」

来たか。やっぱり。

「野暮用はもういいのか?」
「はい。先程は飲み物ありがとうございました。とミサカは感謝の気持ちだけですが感謝を述べます」
「いいっていいって」
「…ちょっとお姉様をお借りして宜しいですか?とミサカは雰囲気壊してるのを感じつつ貴方に尋ねます」
「ん?ああー俺はいいけど…」
「では」

私の目を見つめ、用がある、と告げて来る。まぁ私も用があったけども。
当麻に謝ってから、ちょっと人ごみの少ない端っこに行く。

「間に合ったようで何よりです。とミサカは安心します」
「やーっぱりアンタか。名詞もなしに時間指定だけで分かりきるワケないでしょ」

712 ◆pAn3AKtpUw:2010/01/04(月) 16:02:11 ID:hzZuIwWs

『20分、です』―――ちゃんと思い出すと『8時20分、です、とミサカはお姉様にだけ教えます』だ。
それはこの子が別れ際に私の傍でぽつりと呟いた言葉だ。

「お姉様はきっとココにいらっしゃると思ったので。
   折角なのですから点灯の瞬間は見るべきか、とミサカはちょっとした配慮をしてみました」
「まさかシステム不調もアンタが?」
「いいえ、それは違います。
   ミサカは修理に呼び出されたので復旧時間を8時20分に合わせただけです、とミサカは仕事内容をお教えします」
「…ありがとね。お陰でいいもの見れたわ」
「ミサカもお姉様が魔女っ子になりたいのを初めて知りました、とミサカは無表情で初耳だと言います」
「………はぁ!!?」
「お姉様の事ですから利用するとはお思いでしたが、とミサカは掌握してるかのような発言を取ります」
「…み、見てたのかぁ!!」

思わず声を荒げてしまう。けど、こちらを見るのは周囲の人のみであんまり興味なさげだった。

「ミサカはまたメンテナンスがありますので、とミサカは別れを告げます」
「え、ホントにそれだけなの?」
「はい。では、とミサカはいぬの手を振らせながら去るとします」
「あ、うん。…貸し一つね」
「じゃあいつか、いぬの餌を下さればそれで結構です、とミサカは言い残しておきます」
「はいはい」

一礼して去っていった。
…じゃあ、ああいう事か。嘘はついてないけど、分かり難いっつーの…。
他の人にも貸しがありそうな事を理解しつつ、私は当麻の元へ戻りに行った。

713 ◆pAn3AKtpUw:2010/01/04(月) 16:03:03 ID:hzZuIwWs
以上。お粗末さまでした。
ステイル神裂でも出そうかと思ったけど止めてよかったかな、と思った。
突っ込み、寧ろお待ちしてます

714■■■■:2010/01/04(月) 16:11:14 ID:adGMoysA
>>713
GJ! 続きをお待ちしてまっせー

715■■■■:2010/01/04(月) 20:36:00 ID:Ocy72gOQ
GJです〜続き待ってます。

ネタ切れたorz

716■■■■:2010/01/04(月) 20:57:51 ID:KbfsxA.s
GJです!
見直して気がついたが、美琴が遅刻したところの長針6と短針3って逆?

717【ロシア帽のフラグ男1】:2010/01/04(月) 21:23:57 ID:regAsI0I
「え、今日寮監いないの?」
「ええ、遠縁の方が亡くなったそうですの。明日には戻られるそうですけど」
「ふーん。と、なると。」
「と、なりますわね」

鬼の寮監も人の子。年に数回やむをえず寮を空けるケースがある。
寮長に代理委任されるが、寮長も3年生とはいえ学生であり、
…つまりはたいていの事には目を瞑ってくれる。
とはいえ、突然の事なので計画的な何かをできるわけでなく、
せいぜい軽い門限やぶりや、友達の部屋で夜通しおしゃべりするぐらいで、
男を連れ込んだり、物騒な夜に出歩くような事はほとんどない。…一部超能力者除く。

御坂美琴は夜の街を歩いていた。
(つまんないな…)
後輩からおしゃべり会に誘われたのだが、丁重に断っていた。
大抵の場合、美琴の独壇場になってしまうからである。話すにしろ、聞かれるにしろ。
そのため、理由をでっちあげて夜の街に飛び出したが、目的などない。
(アイツもいないし)
上条当麻とは地下鉄のシャッターがどうのこうの、と数日前に電話で話したきりである。
そこからまったく音信不通である。意を決して掛けてみても、繋がらない。

(コインでも補充しとこうかしら)
思い立って、ゲーセンに向かう。
数あるゲーセンの中でも、ちょっと遠いが金色のコインを採用しているゲーセンに向かう。

「あらあら常盤台のお嬢さんがどったの〜〜?遊びにいきたいのかな〜?」
軽薄そうなイヤな目つきの男が声を掛ける。
(きたっ!)
常盤台の女の子は能力者と分かっているのに、声を掛ける…油断はできない。
美琴は無視してずんずんと歩き続ける。
突然、左からガバッ!と肩に手が回される。

(な、何っ!あつかましいっ!コイツは焼くっ!!!)
一瞬振り向くと、ロシア帽が目に入る。
「何だアンタはっ!…え?」
電撃が効かない。いや、出ない!?
ロシア帽の男が、先刻の男に声を掛けると、あんまり未練もなく引き下がる。
「お前は全く…また不良狩りか?」
「へ?」

ロシア帽の男は、上条当麻だった。

718【ロシア帽のフラグ男2】:2010/01/04(月) 21:24:33 ID:regAsI0I
「な、な、ななな?」
上条は肩に回していた手を離すと、ため息をつく。
「お前な、不良狩りはホントやめとけ。俺みたいな能力の不良がいたら、お前ひん剥かれるぞ」
美琴は口をぱくぱくさせている。
「な、なによ、その頭…」
「ロシア帰りにつきイメチェン。似あうだろ?」
「なにワケわかんないことやってんのよ!なんでここにいんのよ!」
「ワケわかんないとはヒデエな。今朝日本に帰ってきて、んで病院立ち寄っての帰り道だ。」
「今朝…」
「ああ。それで歩いてたらお前がいて、何かガラの悪い方歩いていくから付いていったら案の定…」
「べ、別に不良狩りが目的じゃないわよ!さっきのも無視してたでしょ!」
「ほー。んじゃ目的はなんだったんだ。」
「…ちゃんとあったけど、もう行く気なくしたから、もういいわ…」

「んでアンタはもう今日は帰るだけなの?」
「そーだな。メシ食って帰るだけだ。何なら行くか?」
ドキッ!としたが、さらに美琴は閃き、
「んじゃあさ・・・ウチの寮にこない?簡単なパスタぐらいなら出してあげる」
「はあ?男子禁制だろ?」
「今日は寮監がいないの。あ、もちろん黒子とかもいるから、妙な期待はしないように!」
「期待って…ホントにいいのかよ?禁断の園に踏み入れるような背徳感が…」
「めったに見られないモンだし。じゃあ行きましょー」

「そういや地下鉄のシャッターでは助かったよ。ありがとな」
「アンタほんと何やってんだか…」
「聞いて驚くな、実はあの時、横にイギリス王女がいたんだぜ。お前に感謝してたよ」
「は?」
話せる程度のオミヤゲ話で寮までテクテクと歩いていく。


上条は早くも来たことを後悔し始めていた。好奇の目がものすごい。
二度目の訪問だが、今回は入口で既に数人から見られている。
何故か黒子がおらず、208号室に通すと2人きりとなったが、
「じゃ、じゃあ適当に作ってくるね!家捜ししちゃダメよ!」
と、部屋を飛び出して行く。
あえて扉を締めて行かなかったのか、廊下の声が聞こえる。

『御坂さんが男の方を』『御坂さまの彼氏?彼氏?』
『え、え、どちらにいらっしゃるの?』
丸聞こえである。たまに顔がにゅっと飛び出し、『居ましたわ居ましたわ』等々。
これでは珍獣扱いである。

「何事ですの?」
208号室に群がる人々に、黒子は首をかしげつつ問う。雑用をこなしていたらしい。
「御坂さまが、部屋の中で、男の方と」
「ぬあんですって!!!」
黒子は怒り狂って飛び込む。
「よお」 上条は引きつりながら挨拶する。

「久しぶりだな。もうあん時のケガはいいのか?」
「おかげさまで、ってちがいますの!貴方、いったいぜんたい何してますの!?しかもお姉様のベッドに腰掛けて!」
「いや、なりゆきといいますか、なんといいますか」
「ああ、黒子おかえり。びっくりした?」
美琴が部屋に帰ってきた。

719【ロシア帽のフラグ男3】:2010/01/04(月) 21:25:03 ID:regAsI0I
「はい。ありあわせだけど、どーぞ」
出てきたのはキャベツ入りのツナパスタ。
「お、うまそーだな。んではありがたく、いただきまーす、っと」
「どうぞ〜。お水こっちにおいとくわね」
たまらないのは、黒子と扉の外の観衆である。

『こ、これがラブラブというものなんですね』
『うらやましい…』「御坂さまが甲斐甲斐しい…』
黒子はもはや劇画調の顔になって真っ白である。言葉も出ない様子だ。

上条は不穏な空気を感じながらも、ツナパスタをかっこんでいた。
「うめえな御坂。これなら俺でも作れるかな」
「できるでしょー。キャベツをしっかり炒めるのがコツね。ツナは缶詰だし」

「んーと…そこで見られてても気になるから、気になるなら入ってきなさいな。」
意外にも、美琴は観衆に声をかける。
「え、いいのですか?」
「別にいいわよ。隠すもんじゃなし。」
遠慮がちに5人の女の子が入って来た。
そもそも美琴の部屋に入る事自体が初めてらしく、キョロキョロしている。
そして、やはり間近で男を見る機会がないためか、上条をちらちら見つめている。
ちなみに、女の子たちは美琴と黒子のベッドに分かれて腰掛けている。

とりあえず何も考えないようにして、食べきった上条だが、一気に高まった女の子密度に動揺する。
「えーと、御坂さん…なんでせうかこのハーレムは?」
『キャー!』 女の子たちが笑いさざめく。
(と、とりあえずこういうノリで乗り切るか?)
「まあ、こういうのも新鮮でいいでしょー。どう、中学生のお嬢様に囲まれる気分は?」
「いや、この珍獣扱いは何とかして欲しいんですけど」
また『キャー!』と女の子たちにウケている。
箸が転んでも可笑しい年頃ですかね、と上条はつぶやく。

「はいっ!御坂さま!」
「ん?なあに?」
「お二人はいつからの仲なんですか?」
「仲って、だいたい半年ぐらいだけど…言っとくけど、恋人じゃないからね?勘違いしないように」
「「「「え?」」」」
数人がハモる。そりゃそうだ、ここまでやって「恋人じゃない」はないだろう。
「違うんですか?」
「違うわよ。ホレ、黒子だって頷いてるでしょ」
黒子がブンブンと縦に首を振っている。

「と、おっしゃってますが?」
その女の子は頬を赤らめながら、上条にマイクを差し出すように腕を出す。
「まあ、美琴がそういうんなら、そうじゃないですか?」
「そうなんですかー、って、え?」
(な、何いきなり名前で呼んでんのよ!?)
「あ、つい。むしろ敵だよな?御坂」
「そそそ、そーよ、コイツは敵。敵なのよ!」
「敵…?」
「フフフ、常盤台のエース、御坂美琴は既に完全無敵ではない。俺に敗れてるんですよねー!」
「「「えーーーーっ!?」」」
女の子たちの驚きは尋常では無かった。LV5の凄まじさは能力者である彼女たちが一番よく知っている。
「ったく、ムカつく…」
美琴はさっきの『美琴』の衝撃が抜けておらず、ブツブツ言うのみになっている。

720【ロシア帽のフラグ男4】:2010/01/04(月) 21:25:48 ID:regAsI0I
「ホントなんですか、御坂さま!?」
「…まあ、ほぼギブアップ状態だからね。癪だけど」
「ひええええ」
本人も認めてる以上、疑う余地もなく、どんな能力があるのかとまじまじと上条を見つめている。
「んーと、そうだな」
視線を感じた上条は、乗り出して右手を差し出す。
「この中で、この右手に頭をなでられてもいいって人いるか?ま、ちょっとした遊びだけどな」
ちょっと間をおいて、一人がちょっと頬を染めて、上条の右手の下に潜り込むようにして座る。
「君の能力は?何なら言わなくてもいいけど」
「いえ、白井さんと同じくテレポートです。まだ自分は動かせませんが、モノなら大抵のものは。」
「おっけー、わかりやすい。一度この携帯動かしてみて」
上条の携帯を受け取ったその子は、瞬時に右手から左手へテレポートさせる。
上条はニヤリと笑って、「じゃあナデナデ…っと。ほい、もう一度」
笑っていたその子の顔が強ばって行く。
「え?どうして?え?…できない」
「んじゃ手を離すぞ。どうだ?」
「あ…戻った」
「ということだ。俺の前では、君らはみな普通の女の子になっちまうんだよ」

「ひええええええ」
「これで分かったろ?常盤台中最強の御坂も…」
と、いいつつ上条は美琴の左手をやさしく包むように握る。
美琴がいきなりの上条の行動に固まる。
「こうやって、握るだけで、…能力のない、普通の可愛い女の子になるというわけだ。」
上条はワザと浮いた言葉を入れて美琴を挑発する。
しかし美琴はそれを返せない。ただただ真っ赤になるばかり。
(か、可愛いとか、やめて…手、手も…)

もはや女の子たちには衝撃の展開しかなく、能力・御坂・台詞の何から突っ込んでいいのかも分からない状態だ。
一人、白井黒子だけが面白くなさそうにしている。
ただ、ひとまず上条の人となりを見定められる数少ない機会ということで、とりあえずはおとなしくしていた。
「まあ、これが『敵』という事だ。君らにとっても『敵』だけどさ。でも敵対、ということじゃない」
「すごい能力ですね…私もやってもらっていいですか?」
と、上条の右手でなでられたり、触ったりして、『おわっ本当だ』『なにこれなにこれ』と騒いでいる。

「まあ教訓としてだな。みんな頑張って能力を鍛えるのはいいけど、足元掬われない様にな。美琴みたいに。」
「うっさいわね!」
後輩の女の子をなでたりしている上条を見て、どうにも落ち着かない気分になる。
スキンシップをとったせいか、やたら皆の上条への距離が近い。見つめる目がキラキラしている。
(これが、フラグ体質と言われる所以ね。なるほど…)
ここで命を助けて貰おうもんなら、一気に持っていかれるというワケだ。
(早く一端覧祭キープしないと…これ以上色々増やされちゃかなわないわね)

「でも、どう見ても、お二人は恋人にしか見えないんですけど…」
「へ?」
「たまに名前でお呼びになってますし、なんといいますか、こんな御坂さま初めて見ます…」
「そそ、そんな事ないわよ!私はいつも通り、うん、普通よ?」

「ま、美琴は人前じゃこう言っちゃうんだよなー」
上条は美琴おちょくりモードに突入した。

721【ロシア帽のフラグ男5】:2010/01/04(月) 21:26:19 ID:regAsI0I
「え…?」
上条を除く全員が固まる。
「別に照れなくてもいいじゃん。ここだけの秘密ってことで。なあ美琴?」
「ちょ、ちょっと待ってよアンタ!」
「アンタって…いつも通り当麻でいいのに。いつかボロでるって」
女の子たちは口に手を当てて真っ赤になっている。
黒子は変な震え方をしている。表情はうつむいて見えない。
美琴は。
(な、なに言って…!いやでも反撃しないと、勘違いされ、ああ、でも…)
コイツの言ってること冗談だから、と言いたいのに、言葉が出せない。
(ひとまず、コイツを止めないと!)
美琴は枕をひっぱりあげると、そのまま上条の顔に押し付け、押し込んでベッドに転ばせた。

「こ、こいつ超軽くて、こんなこと言う奴なの!本気にしなくていーから!」
「で、でも御坂さん、この人って…あの、夏休みの最後の日に…あい、びきしてた人じゃ…?」
「!」
一人の女の子の指摘に、他の子たちも反応する。
「ああ、あの伝説の!」「ということは大覇星祭の借り物競争もって話だったよね?」
「あー、あの人なんだ!髪型違うからわかんなかった!」
美琴は、ドツボにハマった事を自覚した。

「ひでえな…」と軽い口調で言いながら上条は起き上がる。
その姿を見た黒子が叫ぶ。
「上条さん、なんですの!?その頭」

押し倒されてロシア帽が外れた上条の頭は、鮮血ににじんだ包帯状態であった。


「あ、いやー参ったな。見られちまったか。」
全員あまりの事態に驚いている。上条はロシア帽をかぶり直しながら、
「えーとこれは気にしなくていいよ。もう1週間もすれば取れるだろ」
美琴は、上条が病院帰りだと言っていたことを思い出す。
「ちょっと海外でケガしちまってな。ま、これぐらいは御坂や白井なら見慣れたモンだ。むしろ入院してないと言える」
上条は、よっ、と立ち上がって。
「場を白けさせちまったし、腹も膨れたし、帰るわ。御坂ありがとな、旨かったぞ」
「う、うん…」
「というわけで、上条当麻は恋人募集中につき、お嬢様方、またいつでもお声がけくださいっ!」
立ち去ろうとしている上条に、
「待って!送るからちょっと待って」
「いいよ。女の子はこんな時間に出歩くな。じゃあ、御坂。白井も騒がせたな。じゃあな」


美琴は呆然としていた。あんなケガで付き合ってくれてたなんて。
「ま、今日の所は許して差し上げますわ。殿方を連れ込むなんて、お姉様」
「…」
女の子の一人がつぶやく。
「御坂さまが惹かれたのが、なんとなく分かる方ですね…」
数人が同意して頷く。
頷かなかった子は…胸に秘めたるものが出来たのかもしれない。
それじゃあ失礼致します、おやすみなさいと女の子たちは去っていく。

人気のなくなった部屋の中、黒子は美琴を見つめてため息をつく。
(これは…さらに重症になるかもですわね…困ったものですわ。)


なお、この女の子たちにより、上条は”どんな能力者もLV0にする男”ということで、
通称『ミスターLV0』と呼ばれるようになり、一端覧祭では「あ、ミスターLV0だ!」と指さされ、
なんで俺がLV0なのをイジめる女子中学生が増えたのかと悩む羽目になる…



fin.




<というわけで、19巻までの情報にて、ロシア編終了直後を想定して。”周りから冷やかされ型いちゃいちゃSS”です。>

722■■■■:2010/01/04(月) 21:41:11 ID:U4IelC0s
いいね
こういう予想近未来系(?)大好物

GJ

723■■■■:2010/01/04(月) 22:01:59 ID:lmD0ADM6
GJ

上条さん凄くかっこ良いです

724■■■■:2010/01/04(月) 22:02:02 ID:PRRXX7S.
GJ!
フラグマン恐るべし

725■■■■:2010/01/04(月) 22:02:02 ID:adGMoysA
>>721
GJ!
カミやんはいったい何人にフラグ立てるつもりなんだかにゃー。

726■■■■:2010/01/04(月) 22:03:14 ID:iPfy.hBc
>>721
GJ
上条さん格好良すぎだ

727■■■■:2010/01/04(月) 22:37:24 ID:gj/4buMg
>>721
GJ!!
上条さんかっこよすぎでしょ!
個人的にはライバルが増えそうだとあわてた美琴のその後とかの続編を期待してます。

728■■■■:2010/01/04(月) 22:42:05 ID:DRiRoTpY
おもすれー 超GJです!
上条さんやばすぎだろ・・・
惚れるわ

729■■■■:2010/01/04(月) 23:00:33 ID:Ocy72gOQ
GJです。流石上条さんぱねぇっす!
続きがないのに気になっちゃうw

1月ネタもうないな…初夢…初詣?
そうだ、巫女美琴ネタ考えよう

730■■■■:2010/01/04(月) 23:02:03 ID:/HJrI60k
巫女と言ったら。もちろん私。

731■■■■:2010/01/04(月) 23:18:34 ID:ZSJwwiyc
1月、クリスマスネタもいいけど普通のいちゃいちゃも大量にみたいな。                   それと、まだ早いかも知んないけど2月ネタはやっぱり……あれっしょww

732■■■■:2010/01/04(月) 23:18:46 ID:ZByKJAmA
ネタ被っちゃっても気にせず書いちゃうべきですの

733■■■■:2010/01/04(月) 23:33:02 ID:0nO5qVGM
>>721
GJです。
女子寮で他の人との会話も新鮮でとても面白かったです。
続編期待しています。

734■■■■:2010/01/04(月) 23:33:18 ID:KbfsxA.s
上やんはみずがめ座だから誕生日ネタというのもあるんだにゃー

735小ネタ1/2:2010/01/04(月) 23:59:57 ID:adGMoysA
 小ネタ投下します。

 大覇星祭四日目。種目『男子騎馬戦』。

美琴(アイツ、今日は男子騎馬戦に出場するんだったわよね。大覇星祭も折り返しでこれだけ点差がついたらもうアイツに勝ち目はないけど、棒倒しみたいな番狂わせも起きるかもしれないし。一応偵察しておかないとね、偵察。間違っても応援じゃないんだから)

美琴(さて、アイツはどこに……ってええええ? 何でアイツが陣羽織と鉢金付けてるの? あの馬鹿の学校はアイツを大将に据えたの? アイツ一年でしょ、何で?)

美琴(……ああ、なるほど。アイツ幻想殺しがあるから避雷針代わりにされたのか。それなら納得ね。でもアイツ、無駄にカリスマあるし大将に選ばれてもおかしくないわよね……って違う! 何で私がアイツをほめてるのよ)

美琴(始まった! え? アイツいきなり一騎駆け……じゃない! 逃げてる! 初っぱなから逃げてる。うわ、その後ろから赤組が総出で追いかけてる!? 何で? どうして? アイツは一人で囮役? あ、違う。これもしかしてウロボロスの陣? 赤組の後ろから白組が総力上げて追いかけてる! 何で騎馬戦ごときでこんなレベルの布陣敷いてるのよ!)

美琴(まずい! アイツの正面から赤組大将が単騎で来た! わ、組み合いになった! 向こうは三年っぽいし体格差もあるしどう考えたって勝てないわよ! 逃げなさいよ馬鹿!)

美琴(とりあえず一対一では勝ったみたいだけど、今度はアイツの両サイドから赤組が仕掛けて来た! 馬鹿避けなさい! ってちょっと、殴られてる? 騎馬戦なんだから騎馬つぶさなくたって鉢巻取ればおしまいでしょ? 何で殴り合いになってんの? あの馬鹿もご丁寧に相手するんじゃないわよ!)

美琴(まずい、団子になった! アイツの騎馬も頑張ってるけどあれじゃ力負けでつぶされちゃう! 逃げて! 逃げなさいよ! ここで逃げたって誰もアンタのこと責めたりしないんだから!)

美琴「頑張れ! あと少し! 後一〇秒耐えて! 五、四、三、二、一……よかった。ようやく終了の笛……。まったく、ドキドキさせんじゃないわよ。赤組がえーと二三、二四、二五騎残ったのね。アイツのほうは……アイツを含めて……二四、二五、二六騎で白の勝ち! やったぁ! ……あ」

美琴(ついうっかりアイツの応援してた……。まったく、偵察しに来たのに私ったら熱くなっちゃって馬鹿みたい。アイツの学校はアイツ以外全滅だから、ポイントは全然入らないし、これでまたうちとの点差は開いたわね。ふ、ふんっだ)

美琴(……アイツ退院したばっかりだったのにまた生傷こさえてたわよね。大丈夫かな……。そ、そうよ、ライバルの負けっぷりを笑いに行くならどうって事ないでしょ。そう、そうよちょっと様子見に行くだけ。別に激励しに行くワケじゃないんだから)

736小ネタ2/2:2010/01/05(火) 00:00:32 ID:WTH98GkA
 騎馬戦終了後。


上条「イテテテ……。病院出たばっかりだってのに四方八方からボコボコにされて、大将なんか引き受けるんじゃなかったぜ。あー痛ぇ、救護テントで手当てしてもらうか……あれ、御坂? 救急箱持って何でこんな所にいるんだ?」
美琴「べ、別に。いちゃ悪い?」
上条「いちゃ悪い、ってことはないが……あ痛! いきなり傷口に消毒液かけんじゃねぇ!」
美琴「ちょっとアンタ、傷だらけじゃない。……見せなさいよ。手当てしてあげる」
上条「手当てって……」
美琴「あ、アンタ頑張ってたみたいだから、ハンデよハンデ。悪い?」
上条「ハンデ、って……。お前、それ持ってわざわざここまで来たのかよ? 常盤台の集合場所はここから三ブロック先じゃなかったか?」
美琴「そそそ、そんなことはないわよ! 偶然よ偶然」
上条「その救急箱思い切り『常盤台中学』って書いてあるじゃねーか。……ありがとな、御坂。救護テント混んでるみたいだから助かった」
美琴「だからたまたまだって言ってるでしょ! ほら、顔をこっちに向けて。絆創膏貼ってあげるから」
上条「しかしお前、良いタイミングで来たな。まるで騎馬戦が終わって解散するのに合わせて……。あれ、もしかしてお前応援に来てくれたのか?」
美琴「お、おおお応援じゃないわよ偵察よ! アンタの学校が点数取れるかどうか威力偵察に来ただけよ」
上条「威力偵察って……お嬢様が使う単語じゃねぇぞそれ。あーいいや、お前が次に出る競技って何だ?」
美琴「障害物競走。……まったく、罰ゲーム相手の出場競技くらい事前にチェックしておきなさいよ。私はアンタの出る競技全部チェックしておいたのに馬鹿みたいじゃない」
上条「え? お前俺の出る競技全部チェックしたの? そんなのうちのクラスじゃ吹寄くらいしか知らねーぞ? よく調べ上げたな」
美琴「べべべ、別にアンタが何の競技に出るのか気になって書庫にアクセスしたり出場登録表調べ上げたりなんかしてないんだから!」
上条「何でそう物騒な例えしか出てこないんだよ……。ま、いっか。お前の応援に行ってやるよ。障害物競走はたしか第七〜第八競技場だっけ? ゴールあたりで見ててやる」
美琴「ず、ずいぶん余裕じゃない? アンタうちの学校との点数差確認したの? とてもじゃないけど挽回できる余地はないわよ?」
上条「俺以外に欠員が結構出てるって初日に言っただろうが。しかも昨日の直接対決でお前んところにボコボコにされて、どのみち勝てっこねーんだから素直に応援するっつってんだよ」
美琴「…………えっと、あの、それって」
上条「何時から始まるか知らねーけど、第七競技場ってのはこっから結構あったよな。行こうぜ。手当てのお礼ってほどじゃないけど、送ってってやる」
美琴「うん。……ありがと」


 大覇星祭四日目終了。
 片思いさんをいちゃいちゃさせんのは難し―。

737■■■■:2010/01/05(火) 00:02:59 ID:EUGXKenc
gj

738 ◆pAn3AKtpUw:2010/01/05(火) 00:17:43 ID:mXE5DYiI
お二方乙です。
>>716
>>361のか…ミスですねごめんなさい…多すぎだ

739■■■■:2010/01/05(火) 00:30:14 ID:8l4xxPFA
新型インフルで昨日は全く寝れなかったけど今日はよく寝れそうだ
それもこれも職人さんのいちゃいちゃSSが読めたからです
本当にありがとうそして全身からGJを送ります

ごめんウソ寝れないかもさみいいいいあちいいいいいいい

740帰省な人:2010/01/05(火) 07:37:22 ID:CXG.q2Fc
「ロシア帽のフラグ男」、多大なご評価ありがとうございます!

自分は場所からストーリーを組み上げますので、
実家:帰省編 上条宅:妹プレゼント編 美琴宅:ロシア帽編
と、次からは外へ出ざるを得なくなっていて、まだネタ浮かんでませんw

前にあったスケートリンクが舞台とか目から鱗でしたね〜
また思いついたら投稿いたしますので、その時はよろしくお願いします!

741■■■■:2010/01/05(火) 08:20:39 ID:lOs0j/Jg
>>731
七草、鏡開き、成人の日がまだある!!

742■■■■:2010/01/05(火) 11:02:51 ID:R4Rt0vOo
>>740
毎回楽しく読まして頂いているので、
次回作も楽しみに待ってます!

743 ◆Oamxnad08k:2010/01/05(火) 15:34:16 ID:l1dsyYRI
みなさんGJです

ネタ完成次第投稿します。

744■■■■:2010/01/05(火) 17:51:00 ID:MBy8PyHY
>>740
待ってるぜよ

745■■■■:2010/01/05(火) 18:47:20 ID:fLaAvKdg
御坂美琴は走っていた
「黒子ー!出てきなさい!」
数分前、彼女の後輩である白井黒子はテレポートで御坂の短パンを外したあげく
『んまぁお姉さま、またこんなものをお召しになって…』
と、美琴の下着センスを全否定し、逃げてしまったのだ。当然怒る御坂美琴。
「ったく…アイツはぁぁぁ!!!」
バチバチと電撃を身にまとうが発射はしない。
たんなる苛立ちからくるものだったらしい。
短パンを奪われてから、全力で白井を追っていた美琴だが
テレポーター相手に普通に追っていては捕まえられるはずもない。
「あっついわねぇ…なんか飲みながらとりあえず落ち着きましょう」
いつものボロボロの自販機のもとへ。
トン、トンと、勢いとリズムをつける。
が、短パンをはいていないことに気づいた。
「危ない危ない…」
公道でパンツを見せびらかすわけにもいかない。
(誰もいないわよ…ね?)
キョロキョロと辺りを見回して、息を整える。
トン、トンとまたリズムをとる。
足を回して、今まさに蹴りが放たれようとしたとき
「ふんふんふんふふんふんふんふ〜ん♪」
と、茂みと木の間から誰かがこちらに近づいてきた。
「ちぇい…えっ!?」
蹴りは中断され、美琴の勢いもなくなる。
「お、ビリビリぃ〜って…へっ?」
美琴は『あの馬鹿』の登場により、混乱し、体勢を崩し、転んでしまった。
「イッタタタタ…」
「あ…ぁの…御坂…さん…?」
「いきなりなんなのよアンタ!…って…!!?」
大股に開いた脚からやや少女的なパンツが顔を覗かせている。
「み、みみみ見てない!なんも見てないから!」
『あの馬鹿』である上条当麻はいかにも【見てしまった】かのように否定する。
「ちょ、アンタ…!」
顔を真っ赤にして脚を閉じた美琴。
「ふ、ふふふ…不幸だぁぁぁ〜!!!」
いつもの展開からして、ビリビリが来ることを恐れたのだろうか。
上条は一目散に逃げ出していた。
「ちょっと待ちなさいよアンタぁ!」
(人のパンツ見ておいて何一目散で逃げてんのよ!追っかけてまずアイツから…)
立ち上がり、あの馬鹿を追おうとしたが、どうやら転んだ際に脚をひねったのかくじいたのか、美琴は転んでしまった。
「キャッ!」
かわいらしい悲鳴に気づいたのか、上条は振り返る。
「…どうしたんだ?ビリビリ…」
転んでいるのを見て放ってはおけないのか、上条は近づいてくる。
「いつつつ…足ケガした…」
「お前って結構ドジだな…」
やれやれ、といった感じで上条は美琴に手を差し出す。
「ホラ、立てるか?」
顔を真っ赤にしながら手を取り立とうとしたが、足に痛みが走る
「ッ!!」
「おいおい大丈夫かよ…」
「う、うるさいっ!アンタが急に出てくるからよ…///」
(まだ怒ってんのかよ!って、どうすりゃいいんだ…?っていうかなんで短パンはいてないんだろ)
適当に考えながら上条はしゃがみこむ。
「立てないんだろ?おぶってやるから、はやく」
「ちょ、ねぇ、待ってって///」
ほぼ強制的におぶられたのだが、どこに向かうのだろうか。と考えていると
「常盤台の寮まででいいか?」
と尋ねられた。しかし寮監に見つかっては、あの馬鹿は助かっても美琴は助からないだろう。
「りょ、寮はダメ!」
「ん〜じゃあ、俺の寮しかないか。病院ってほどのケガじゃないし。」
(インデックスはまだ外をブラブラしている時間だから大丈夫かな)
美琴をおぶった【あの馬鹿】はうだうだしながら自分の寮へと向かっていった。



勢いで書いた。後悔はしていないが反省はしてます。
駄文すいませんした。
ネタかぶったりしたらもっとすいません。
一応感想聞かせてくれると嬉しいです。

746■■■■:2010/01/05(火) 19:02:28 ID:l1dsyYRI
>>745GJです。もっと書いてくだしあw
このスレ職人多いから安定する

もうちょっとしたら完成するんであとでうpします

747■■■■:2010/01/05(火) 19:10:13 ID:WTH98GkA
>>745
GJ!
うっかりパンツを見て御坂妹と間違える展開はないのですか、とミサカは新たな可能性を提示してみます。

……上条さんこんがりコース行きだがな。

748■■■■:2010/01/05(火) 19:14:47 ID:UrcrnODc
>>745
ケガしてるんだから寮監がコワイっていうオチは弱いかなあ。むしろ寮監心配するでしょw
単純に男におぶわれて寮に帰るのは恥ずかしい とかの方が自然かなあ。
導入は問題ないと思いますよー。問題はココからの落し方ですがねw

749■■■■:2010/01/05(火) 19:16:10 ID:UiIVDwmU
>>745
ホテルにいっちまえw

750■■■■:2010/01/05(火) 19:19:09 ID:fLaAvKdg
>>746−749
ありです
寮監が心配するのは考えたんですが、
寮に男と入る時点で身琴終わりなんじゃないかなと思いました
御坂妹フラグは考えてませんでした

751巫女美琴 ◆Oamxnad08k:2010/01/05(火) 19:33:50 ID:l1dsyYRI
レッツ投稿〜飯食べたらつづき投稿します

「初詣なんていってもいいことないからなぁ」
毎年初詣に行ってる上条だが、毎年おみくじでは凶
賽銭箱の中に間違えて500円を入れる等、神様は喜ぶだろうが上条にとって不幸のオンパレードだ。

「てかインデックス何処だ?さっきまでいたのになぁ」
今年は空腹少女と一緒に来ているのだが
『いい匂いがするんだよ!』といい何処かへ行ってしまった。

「結局屋台回るだけでまだお参りすらしてねぇよ…」
青髪と土御門を連れてきても良かったのだが『巫女さんやー』とか騒ぐのでやめておいた。
念のため携帯に電話をかけてみる…がつながらない。また充電し忘れたのだろうと適当に考える。
ちょっとよそ見して歩いていると1人の少女にぶつかる。
「きゃッ!」
「あ、ごめん。大丈夫か?」
手を差し伸べて少女が手を掴み起き上がる。
「って!?御坂?御坂だよな?」
「えっ!?なんでアンタがいるの?」
ぶつかった少女は御坂美琴だった。
普段は常盤台の制服を着ているのだが…
「で?お前はなんで巫女装束なんだ!それは姫神の領分だろうがああああああああ!」
「何よそれ!あと姫神って誰よ!」
ぎゃぁぎゃぁ騒ぐハイテンションな二人。

どうやら美琴は友人の手伝いとしてこのような格好をしているようだ。
「ふ〜ん。なんだかんだでお前も大変なんだな」
「まぁね。でアンタ今一人?」
「あぁ、一人と言えば一人だな」
「私今休憩中だから…一緒に廻らない?」
「はい?本気ですか?」
「そうよ…嫌なの?」
普段見せないような目つきで上条を見つめる。
「わかったわかった。どうぞお願いします姫!ん?巫女だから姫は変だよなぁ…」
勝手にうーんと唸る上条。
美琴は美琴で上条と一緒に廻れることが嬉しかったりする。

「流石に巫女さんと一緒にいると俺目立つよなー…」
「そう?………あと似合ってる…かな?」
「ん、茶髪は気になるけど、まぁ似合ってるというよりかわいい…かな」
「え?もう1回言って」
「ん?かわいいぞ」
「あ、ありがとう…」
頬が赤く染まり、なんかモジモジしている。
もちろん上条は気付いていない。

752巫女美琴 ◆Oamxnad08k:2010/01/05(火) 19:34:01 ID:l1dsyYRI
「で、どうするの?」
「ん?まぁ屋台でも少し廻るか、御坂なんか食いたいものあるか?」
「え?別にないけど…」
「んーじゃぁカステラ焼きでも買ってくるか、じゃぁちょっと御坂待っててくれ」
「えっ、あ、ちょっと!行っちゃった…待ってる私は何すればいいのよ」
数分後
「御坂、寒かったろ?」
「え?べ、別に大丈夫よ」
「はいはい、御坂ちょっと口開けろ」
「え?」
とりあえず言われたとおりに小さな口を開ける。
「ほれ」
美琴の口の中にさっき買ったカステラを投下する。
「はむ…!?」
「うまいか?」
「…うん(えっ…今のって恋人がよくやる『アーン』でしょ…えっ!?)」
一瞬でタコのように顔が赤くなる。
うれし恥ずかし純情乙女の美琴である。
とにかく顔が赤いと悟られたくないのでとりあえず俯く。
そんなことに気づかない上条は…
「どうしたんだ?顔が赤いぞ御坂」
「なんでもない…」
「????まぁいいや、御坂おみくじでも引くか」
「うん…」

結構人が込んでいるので気をつけて進む。
「混んでるから気をつけろよ御坂」
「別に問題ないわよ。ってうわっ!?」
普段慣れてない格好のせいなのか躓いた。
「っと大丈夫か御坂」
「うん(やばい…すごく恥ずかしい)」
再び頬が赤く染まる。

(これは一生に2度あるかないかのチャンスよ!もっと素直に積極的に…)
1回深呼吸をし、小さい唇を動かす。
「あのさ…手握ってくれない?」
「はい?」
「また躓いちゃうから…迷惑?」
「いや、ううう、ならしょうがないよな、うん」
「ありがとう…」
さらに顔が赤くなり、ギュっと上条の手を握る。
流石の上条も恥ずかしいのか顔が赤い。
(ううう…幸せだよな…?でも周りの視線が痛い…普通の御坂ならともかく巫女御坂だぞ…
 なんだよこの破壊力…かわいいって怖いよな…)
(やった…アイツと手をつないでる…ふふふ)
欲望に満ち溢れている美琴であった。
「〜♪」
しまいには鼻歌まで、すごくご機嫌である。
「御坂さんご機嫌ですね。上条さんは周りの視線が痛いです…」
「いいじゃない♪(いいこと思いついた)」
「なんか不吉な予感がしますのよ!?」
「えい、これで美琴さんの安全は保障された。ありがとね〜」
手を離し腕に抱きつく。
「うぉぃ!御坂サンやめて!上条さんもう耐えられない…てか許可とれよ」
「え?じゃぁ駄目?」
「そんな目で尋ねないでください!ううう…」
しばらく理性と視線に打ち勝たないといけない辛い時間が続くのであった。

753巫女美琴 ◆Oamxnad08k:2010/01/05(火) 19:55:04 ID:l1dsyYRI
「あー疲れた…」
「お疲れさま。くじ早く引きましょ。すみません2回分お願いします」
「あぁ…って自分のくらい払うって」
「いいのよ。カステラの借りもあるし」
「そっか、じゃぁ美琴、お前先に引けよ」
「え…あ、うん(今名前で呼ばなかった?)」
ガチャガチャと箱を振りでてきた番号を言う。
「はいどうぞ」
「ありがとうございます。次アンタね」
「あぁ…結果はもう見えてるよ…」
同じく箱を振り番号を言う。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
「アンタどうなの?」
「みたくないです。御坂は?」
「私もまだ見てないの、じゃぁ見てみるわね…」

「おっすげーな、大吉か、上条さんには縁がありませんな」
「…(恋愛、恋愛…)」
「???」
『積極的にアプローチすれば必ずその恋は実るでしょう』
(これって…やった!今年こそいけそう!)
「なかなかいい結果ね。でアンタは?」
「どうせ凶だろ」
「見てみないとわからないわよ?」
「はいはい、じゃぁ見るか…」
「どうだったの?」
「吉…だ。信じられない…」
「よかったじゃない、ちょっと貸して」
「わ、わかった」
(こいつの恋愛もチェック…)
『出会いは多いがちゃんと1人に絞らないと不幸が訪れるだろう』
(コイツらしいわね…)
「???どうしたんだ御坂?」
「なんでもないわよ、返すわ」
「あぁ、そういえば時間大丈夫かお前?」
「え?ああ!あと2分しかない…じゃぁ私行くわね、今日付き合ってくれてありがとね」
普段見せないような笑顔で手を振る。
「じゃぁな、御坂(本当にビリビリなしならかわいい子なんだけどな)」
「さてと帰るか…ん?何か忘れてるような…まぁいいや」
結局帰り、寮についたときにインデックスのことを思い出し走って元に戻るのでした。


754■■■■:2010/01/05(火) 20:05:35 ID:UrcrnODc
>>753
GJ!
ちゃんと茶髪とかフォローするあたり細かいですねー

755■■■■:2010/01/05(火) 20:32:56 ID:F5/NYb4w
GJ!
上条さんはそのあと頭に、かじられた跡が残ってんだろうなぁ

756■■■■:2010/01/05(火) 20:34:03 ID:WTH98GkA
>>753
GJ!
素敵なSSをアリガトウそしてイタダキマス!!(ガブリ)

757■■■■:2010/01/05(火) 23:47:35 ID:Wgn1WB/c
>>753
ニヤニヤさせてもらいましたw
おつです〜

758r:2010/01/06(水) 05:05:46 ID:2FGO0sQM
いま日本の最高権力者は薩長連合(鹿児島県、山口県)たちです。
・坂本龍馬は日本をいまも破壊しているテロリスト薩長連合の工作員だっただけの者です。
・織田信長の時代から戊辰戦争まで、鉄砲隊のガンパウダーはガンパウダー1樽につき、
日本人の若い娘50人を海外に売ることで調達していました。
・自殺者3万人(実際は8万とも)は薩長連合が原因です。日本はいまだに武家社会です。
・明治維新テロは薩長連合が海外の貴族やユダヤから金を借り(年利18%)て起こした国家転覆テロ。
・総理大臣、大蔵大臣、外務大臣や公安、警察、自衛隊の歴代トップは鹿児島県、山口県、
高知県、佐賀県、 長崎県出身者ばかりです。 公務員は薩長連合の使用人です。
公務員は国民を支配する道具。国策捜査は薩長連合やアメリカのための捜査です。
・日本経団連の企業は明治以前からの支配階級の関係者が興したものばかり。
・アメリカを代表する洗脳の専門家アーネスト・ヒルガードは戦後来日して
「戦後日本の教育の非軍事化」のために働き、スタンフォード大学からその功績を讃えられます。
鳩山由紀夫もスタンフォード大学卒業です。洗脳はいまも続いています。
・薩長連合は株式会社ゆうちょ銀行の郵便貯金を海外の貴族やユダヤに差し出そうとしている。
・アメリカ財務省証券購入で日本人は毎年アメリカに30兆円以上差し出している。
・日本人が貯蓄した金が海外にいき、信用創造で1000倍になりそれで日本の土地が買われる。
日本は破産し、IMF管理下でも 薩長連合は安泰で国民はIMFに感謝するように洗脳される。
(参考:洗脳支配  苫米地英人  株式会社ビジネス社)
日本の政治家には朝鮮人の疑いのある人たちがいます。安★部、小★泉、菅★、小★沢。
2ちゃんねるはトウ一きょう会が運営してIP集めや、自作自演して洗脳工作する場です。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/news/2092/1194947143/
薩長連合は戦争やシベリア抑留で日本人の抵抗勢力を殺したのか。戦争は自国民を殺すためにも使われる。
薩長連合のために警察がインターネット規制をする。今年東京では匿名でネットカフェから情報を発信できなくなる。
情報遮断、ネット情報遮断、ネット検閲は戦後の洗脳と同じやり口。薩長連合は日本人ではない。w
ttp://blog.goo.ne.jp/hienkouhou/e/7839377a3613e3d90e1198535ea65ced

759■■■■:2010/01/06(水) 06:51:34 ID:lbhVTKeo
ちょっと止まってるようなので、保留にしてたの投げときますー。

邪道だよなあ、これ…

760【8巻あふたー1】:2010/01/06(水) 06:52:03 ID:lbhVTKeo
《今回は原作8巻のエピローグ、その後を想定しています。未読の方は読み飛ばしていただきますよう。》

───コンコン。
「は〜い、ですの」
御坂美琴は、ほぼそれが誰かは分かっていたので、扉を開けに行く。
そこには、気まずそうな雰囲気を漂わせた上条当麻と、インデックスが立っていた。

「まったく、アンタは…」
「…以後、女性の部屋は気を付けます、はい…」
さっきの電撃入りビンタのせいか、上条は美琴と視線を合わせようとしない。
(うーん、やりすぎたかなあ)
「…ま、いいわ。入って。アンタも」
上条とインデックスに促す。
インデックスが名残惜しそうに見舞い品の黒蜜堂フルーツゼリーを美琴に渡す。

「わざわざお越し頂きまして、ありがとうございます、ですの。お見舞いもいただきまして。」
「あ、いやいや。さっきは着替え中、すみませんでしたっ!」
「お気になさらず。まあ、お姉様に制裁していただきましたし、その件は終わりにしましょう。」
「アンタ今までどこに行ってたの?」
「みさ…いや、知り合いも入院してるんで、そっち寄ってきた。」
白井黒子に御坂妹の存在が知れるとヤバイ。
美琴も気づいたようで、
「ああ、アンタその子に教えて貰って駆けつけたんだっけ、今回。」
黒子が眉をひそめる。
「何ですの、その方…入院しているのに、どんな情報源があるんですの?」
「ま、ちょっとワケ有りの奴でさ。助けて欲しいってんでな。」

黒子がいっそう眉をひそめる。
「…それがわたくしを助ける事と、どんな関係がありますの?」
「うーん、説明はしにくいが、そいつもツリーダイアグラムが復活するとマズイ事情がある奴なんだ。」
上条は黒子にならある程度話しても構わないだろうと判断した。
「…」
黒子は目を瞑っている。何やら考え込んでいるようだ。

「カミジョーさん。8月21日に学園第一位を倒した謎の人物とは貴方ですのね?」

「…そうなるかな。」
黒子はジャッジメントだ。上条は隠しても無駄だと思い、素直に答えた。
美琴は目をそらしている…美琴にとってあまり深入りして欲しくない話題だ。
「ほんと呆れた方ですわね。学園都市が誇るLV5の一位と三位を打ち破るなんて」
「ま、戦い方次第だな。御坂だってもう俺に勝つ方法は分かってるだろうし」
「分かってないわよ。アンタ防御してない心臓にぶち当てても死なないもの」
「は…は…」

「さて」
黒子は”お姉様”を見つめる。
「それでお姉様。カミジョーさんを命の恩人とおっしゃってましたが、それが今の話ですわね?」
「…そうね。」
美琴は、小さく肯定する。
「カミジョーさん、先程のお知り合いという方も,、この件で?」
「…ああ、そうだ。お前どこまで情報つかんでいるんだ?」
「いえ、わたくしには断片ばかり集まっておりますの。今ようやくつながり出した、というところですわ。」

761【8巻あふたー2】:2010/01/06(水) 06:52:30 ID:lbhVTKeo
「まあ、ひとまずはこれで。お姉様もこれ以上のお話はお辛そうですし。」
「ごめんね黒子。ちょっと色々あってさ。」
「いえいえ。ところで、まあカミジョーさんを命の恩人としている人が集まっているわけですが」
黒子は、無言を貫き通し、ベッドの足元でぐでっと顔だけ乗せているインデックスを見つめる。
「貴方が助けられたのはいつですの?」
「あたし?」
黒子が頷く。
「7月28日だよ」
絶対記憶能力のインデックスは即答だ。

「7月28日!?」
「ツリーダイアグラムが応答しなくなった日じゃない!」
黒子と美琴は顔を見合わせる。上条は「そうなのか?」みたいな顔をしている。
上条としても記憶はそこからであり、できれば避けたい話題である。
「関係あるのかしら?」
「少なくとも俺は知らねーぞ」
流石に、話を繋げるのは無理がある。
しかし、美琴の件も今回の黒子の件も、普通には解決しない事を、上条の右手は解決に導いている。
3人が命を助けられ、全て日付上ツリーダイアグラムが何かしら絡んでいる。

何かある──と黒子は直感的に感じ取った。


「ところでさ、俺は今回なにを打ち消したんだ?なんかデカイもやもやしたものだったけど」
上条が話題を変える様に言う。
「ん…と。そうですわね。お姉様、そのバナナの房をテーブルの上において下さりません?」
移動式テーブルをベッドの上に設置し、バナナを置く。
「ミカンをわたくしの指に触れるように…はい、それで。ありがとうございます。」
興味なさそうにしていたインデックスも何が起こるのかと、バナナを見つめている。
「では参ります。バナナをご覧くださりませ。」

瞬間、ミカンはバナナの房の真ん中やや上あたりにテレポートされた。非常にシュールな構図である。

「バナナをビルに見立てますと、このミカンこそ今回カミジョーさんがぶっ潰したものです。」
「はー…」
上条は目をパチクリとしている。
「で、ミカンではなく何が飛んできたかはわかりませんが、結標淡希は重量4520キログラムのモノと言ってましたわ」
「よ、4520!?」
「それを、早すぎもせず、遅すぎもせず、完璧なタイミングで実体化する前に潰しましたの」

「…俺、すげー幸運?」
「私が言いたいのはそこですの。早すぎては転移に飲み込まれていたでしょうし、遅すぎたら潰されてましたわね」
今さらながら、上条は相当やばい橋を渡っていたことを知る。
「今日のやたら続く不幸フィーバーは、そこでの幸運のツケか…なるほど」
上条はつぶやく。

「ですので」
黒子は上条に頭を下げる。
「お命を救っていただきましたこと、非常に感謝しておりますわ。ありがとうございました、ですの。」
そして横を向いて続けた。
「ただし、お姉様については全く別件ですわよ?」

762【8巻あふたー3】:2010/01/06(水) 06:52:57 ID:lbhVTKeo
上条は学校に戻らないといけないということで、去って行った。
インデックスはどうやら見張りに来てただけらしい。
「じゃあね、黒子。また来るわね」
「お姉様、おまちしておりますわぁ〜ん」
「…さっきまでのキャラでいなさいよ!」
軽口を叩きつつ、美琴も去る。

美琴は直接帰らず、御坂妹の病棟へ向かった。
(お礼言っとかなきゃね…アイツ来なかったら私もヤバかった)
それにしても、と美琴は考える。
(アイツ今日変だったわね。私と視線合わせようとしなかったし)
電撃ビンタを後悔し始めた美琴である。
(あれはさすがにヒドイと怒ってたのかも…どうしよう)

ちょっと意気消沈しつつも、御坂妹の病室の前に立つ。
訪問者カードを見ると、
『上条 当麻』
『Index Librorum Prohibitorum』
(へえ〜、あの子こんな名前なんだ…)
興味を持って、携帯にメモり、自分もその下に記入する。『御坂 美琴』
ドアを叩いたが、応答が無いので、そっと部屋に入った。

コポ、コポと音のする何やら丸っぽい水槽のようなものがある…
美琴はその中を覗いた途端、腰から崩れ落ちた。
「え?な、なんで…ちょっと待って、なによこれ!」

水中に浮かんだ御坂妹が美琴にペコリと頭を下げ、会釈する。

全 裸 で。


素っ裸の自分が目の前にいる。
テープのようなものは張っているが、何の妨害にもなっていない。
胸も、股も、何もかも──さらけだして。

御坂妹が美琴に何か?と言った様子で首をかしげている。
「ふ、ふふ、あ、あいつコレを見て…」
上条当麻が美琴から視線を外していたのは──

終わった。
何もかも。
「あ、あはは…」
御坂妹に弱々しく手を振り、病室を出る。

殺る。
頭を挟んで脳細胞を焼き切る。記憶を抹殺する。
カエル顔の医者に言わせれば、「これ以上焼く気かい?」といったところだろう。
御坂美琴は羞恥と怒りに真っ赤になりながら、帰途につく。


上条当麻の不幸フィーバーは、最高潮を迎える。



fin.




<いちゃいちゃなしですが、こういう毛色のモノはどうかなあ、と。まあ生で見せて上書きすれば(略>

763■■■■:2010/01/06(水) 08:16:13 ID:Rs96k4GE
>>762
GJ!
面白かったです!
オチで禿げワロタw

764Danse_avec_moi. 1/3:2010/01/06(水) 08:18:29 ID:Rs96k4GE
 投稿します。
「Danse_avec_moi.」3レス消費。
美琴が卒業式を控えたある日のお話。



「……プロム?」
上条は聞き慣れない単語を耳にして、首をひねる。
「そ。アンタ招待するから来てよね。スーツくらい持ってるでしょ?」
 上条の向かいでお茶を出しているのは美琴だ。お茶を啜りつつ、コイツがもうすっかり部屋の風景に溶け込んでいるあたりなんだかなー、と上条はつい思ってしまう。
 上条も美琴も進級し、美琴に至ってはもうすぐ卒業式を迎える。窓の外にはぽつりぽつりと桜が咲き、ああもうそんな季節だよな、と上条は一人感慨にふける。ところで、
「……プロムって何だ? 常盤台の掟か?」
「そっから説明しなきゃダメだったのね……」
 美琴がおでこに手をやる。
「プロムってのはね、卒業記念のフォーマルなダンスパーティのこと。共学の高校だったら当たり前に知ってると思ってたけど。もともとはハイスクールの行事みたいなもんだし」
「……意味がわからん。ともかくうちの学校にそんな行事はないな」
 上条当麻は記憶喪失だ。
 だからプロムについても『知らない』。一年余の学園生活を経て一通りの学校行事はこなし知識と思い出を蓄えたつもりだが、奇怪な単語にはとんと聞き覚えがなかった。
「で……、ダンスパーティが何だって?」
「この日はごく一部だけどうちの学校も外部に門戸を開くの。何て言うのかな? 常盤台の教育の一環というか、社交界で通用するかどうか卒業生は品定めされるのよ」
 ようはお嬢様学校のしきたりみたいなもんか、と上条は納得する。
「けどさ、それと俺が結びつかないんだが」
「……あのね、ダンスパーティなんだから相手を連れて行かなくちゃダメなの。で、アンタにその、エスコートを頼みたい……んだけど」
 美琴が口ごもる。
「ちょっと待て。常盤台は女子校だから、普通この場合招待されるのは生徒のお父さんじゃないのか?」
「まぁその……本当はそうなんだけどね。うちのお父さんは世界を飛び回ってるから忙しくて無理みたいなの。ほかに男の人の知り合いもいないし」
 美琴が本気で困っている、というのは何となく理解した。
 美琴にはこれまでさんざんいろんな面倒(と思っているのは上条だけだが)を持ち込まれた経験もあって、上条はそれを思い出すたびに胃が痛くなる。しかし、父親が参加できないという理由があったのでは断る気にもなれない。父兄参観日に親が来なくて寂しい思いをするのと同じか、と思う。
「そういうことならやむを得ないからいいけど、俺踊れないぞ?」
「やむを得ない、か……」
 美琴がどことなく残念そうな声で呟く。直後、ぱっと表情を切り替えて
「まぁいいわ。ダンスは私が教えてあげるから大丈夫よ」
「ところでそのプロムってのはあとどれくらいで開かれるんだ? ダンス覚えるほど時間あんのか?」
「二週間後。正式な招待状は後で届けるけど、遅れるんじゃないわよ?」
「……へいへい」
 面倒くさいことになりそうだな、と思いつつ上条は頷くことにした。ここで美琴の機嫌を損ねるとろくなことがない、というのが上条の経験則だった。

765Danse_avec_moi. 2/3:2010/01/06(水) 08:19:14 ID:Rs96k4GE
 三月某日。
 夕暮れに染められていく常盤台中学のダンスホールで、美琴と上条は腕を組んでフロアを眺めていた。そこには紳士淑女、というよりはタキシードを着込んだ妙齢の男性と色とりどりのドレスを身にまとったお嬢様が視界を埋め尽くしていた。
「御坂? お前何でさっきから震えてるんだ? ずいぶん薄いドレスだけど寒いのか?」
 先ほどから無言の美琴を見やり、上条が尋ねる。
 日頃の言動がアレだからつい忘れがちだけどそういやコイツもお嬢様だったっけな、というのがドレス姿の美琴を見た上条の感想だ。無論、それを口にした直後盛大にヒールで足を踏んづけられたが。
「……そうじゃないわよ」
「じゃあ何だ」
「アンタに、一つ言ってなかったことがあんのよ」
「言ってなかったこと?」
「えーっとね……うちは女子校で、卒業生の招待客はそのほとんどが家族。まぁ父親だったり兄弟だったりね。でも、ごくわずかだけど彼氏を呼んでる子もいるのは見てわかるでしょ?」
「たしかに、兄妹と呼ぶには無理がある組み合わせもちらほらいるな。それがどうした?」
 美琴が何やらもごもごと口を動かす
「うちのプロムで親兄弟以外をパートナーに呼ぶ場合……えっと、そのね? その相手はステディって相場が決まってんのよ」
「ステディ……? おいおいステディってのは」
 ステディというのは一対一で親しく付き合っている相手のことを指すが、常盤台中学の場合はもっと踏み込んでいてニュアンス的に『婚約レベル』の一対一を示す。
「そ、そうよ! 学校側にそう言ってアンタのことを招待したの! 悪い?」
 美琴が恥ずかしさと自分への怒りで肩を震わせて叫ぶ。
「お前さ、それってここの連中に俺を『恋人です』って紹介するようなもんじゃねぇか。いいのかよ、お嬢様の隣に立ってるのが驢馬で。後で『あれがお姉様の彼氏?』とか冷やかされんのお前だぞ? せめてもっと見栄えの良い奴を選ぶとかだな……」
 美琴がぷい、と視線をそらせる。
「だってそれしか方法がなかったんだもん。……、そもそもアンタしか誘うつもりなかったんだから……」
 半分涙目の美琴を見て上条はふぅーっ、と大げさにため息を吐いた。それは悪いとか何とか言う話ではないだろう。そう言う事は前もって教えて欲しいところだが、教えたら上条が確実に逃げ出すと美琴が思うのも、また無理からぬ話だ。
「だって兄弟親戚ってごまかしたって、書庫のデータでバレるじゃない」
 上条はポリポリと頭をかいた。フォーマルな場には合わないしぐさだが、今のところそれに気づいた来客はいない。
「まぁいいさ。今日はお前のその、ステディとやらのふりをすれば良いんだろ? 海原相手の恋人ごっこよりは簡単だ。お前と踊ってりゃ良いんだから」
 金星の光を浴びたレーザー攻撃も来なけりゃ変な弓でぶち抜かれたりもしない。あの頃よりはよっぽど気楽だと上条は思う。だが美琴は、そのあたりの背景を知らない。
「……そうよ! 今夜は私に付き合いなさい! あ、アンタは私のこっ、恋人役なんだからね!!」
 美琴がぎゃああっ! と吼える。肩むき出しのドレス姿で叫ぶなよお嬢様、と上条は美琴をなだめつつ、
「何カリカリしてんだ? カルシウム足りてるか? 牛乳もらってこようか?」
「足りてるわよ! だいたいパーティに牛乳なんかあるわけないでしょ!! 馬鹿にすんなあっ!!」
「そうやってふくれるところは一年前と大して変わらないんだな」
 上条は美琴の前で居住まいを正し、軽く一礼する。
「……、お嬢さん、ダンスの相手をお願いできますか?」
 美琴が引きつった顔でズバン!! と後ろに下がる。
「ちょ、あああアンタ何マジモード入ってんのよ?」
「この一年お前にいろいろ付き合わされたから作法なんかも詳しくなった。だからお前の相手として、礼儀正しくダンスの相手に誘ってんだよ」
 上条は美琴に恭しく手を差し出す。
「ほらステディ、手を出せ手を。それっぽくしないとまずいんだろ?」
「――――」
「どうした? 踊らないのか? 曲が始まったぞ」
「……、踊るわよ。足踏んだら承知しないんだから」
「はいはい」

766Danse_avec_moi. 3/3:2010/01/06(水) 08:20:57 ID:Rs96k4GE
 二人は手を取り合い、輪の中に入る。ボストン・ワルツではなくウィンナ・ワルツを選ぶあたりお嬢様学校の格式は伊達ではないなと即座にわかるのが、上条の二週間の特訓成果を物語っている。
「…………本当は」
「ん?」
 うつむいたまま美琴が口を開く。
 美琴の首筋から軽く香水が漂うのを嗅ぎ取り、『何か高そうな匂いだな』と上条は苦笑いを浮かべる。
「この二週間でアンタと正式な……ステディって言うか、恋人になれれば良かったんだけどね。そうしたら何の問題もなかったんだけどさ」
 問題はそこなのか? と上条は思いつつ、右足をかかとから踏み出す。美琴がそれに合わせて足を引き、ナチュラルターンが始まる。
 何も言わない上条を、瞳を上げた美琴が不安そうに問いかける。
「――何とか言ったらどうなのよ」
「逆に俺は今年が来るのを待ってた、かな」
「何よそれ」
 今年に何か意味あんの? と美琴が首をかしげる。上条が右足を引き、美琴の踵が回ってターンが終わる。
「お前今年で一六だろ?」
「……それが何? わかりきったこと言ってんじゃないわよ」
「何でもねぇよ。お前が一六歳になったら教えてやる」
 いち、にい、さん、いち、にい、さんとリズムに合わせて教えられたとおりのステップを刻む。おお、俺結構うまくできてるじゃんと上条は内心でガッツポーズを作る。
「意味がわかんないけど、その言葉は忘れるんじゃないわよ」
「わかんねぇからお前はお子様中学生なんだよ」
 直後、美琴のヒールが上条のつま先に突き刺さった。
「痛たたたたた!? 馬鹿てめぇ、パートナーの足を踏むんじゃねぇ! そこのステップ違うだろが!」
 激痛に顔をしかめながら、上条は律儀に次のステップを繰り出す。
「まあいいわ……。もう一つ言うことあったの思い出した」
「まだ何かあったのか?」
 何度やってもホールドは肩がこる。
 手を添える位置が決まらず美琴の背中をペタペタ触っては『馬鹿変態触んじゃない!』と蹴りをもらったのも今はいい思い出、じゃねぇよと上条は一人でツッコむ。
「パートナーチェンジには応じるんじゃないわよ。応じたらその場で電撃だかんね」
 対面の赤い顔をした少女が、上目遣いで睨んできた。
 ああこれ怒ってんじゃなくて照れてるんですね、と上条は美琴の表情を読み取った。つくづく、慣れというのは恐ろしい。
「……おいおい、パーティの場で電撃は止めろって。それにあれだ、俺が覚えたのは付け焼き刃のワルツとチャチャチャだけなんだから、パートナーチェンジに応じても俺が恥かくだけだろが。心配すんな」
「べっ、別に心配なんて、アンタが他の誰かに取られるとか心配なんてしてないわよ! ダンスを教えたのは私なんだから、アンタのへっぴり腰で他の人と踊られたら私まで良い迷惑ってことだから誤解しないでよね! それに、アンタは私だけのエスコートをするんだから! ……わかってんでしょうね」
 常盤台の最強電撃姫こと今宵のクイーンは、喋るにつれ言葉が気弱に先細っていく。
 対する上条は美琴の腰に回した手に少しだけ力を込めた。そして美琴に気づかれないように薄く笑みを浮かべ、
「ダンスパーティでもこれかよ。……あーあ、不幸だ」


ワルツのシーンが怪しいんでツッコミお待ちしています。完。

767■■■■:2010/01/06(水) 08:48:37 ID:/HSu0Cts
GJ!

16歳?
まさか、結婚するつもりか旗男め!

















........おめでとう

768■■■■:2010/01/06(水) 08:50:16 ID:5o3Lz5hY
この上条ちゃん結婚考えてやがる…
もっと!

769■■■■:2010/01/06(水) 09:08:00 ID:pNu4xIh.
>>766
GJ
おいおい、妻16夫18で結婚とかこのカミやん腹据わってんな

770■■■■:2010/01/06(水) 12:31:56 ID:SXUwhuto
>>751
>>760
>>764

GJである

771■■■■:2010/01/06(水) 13:05:36 ID:YmATn12g
GJですの

772■■■■:2010/01/06(水) 13:09:42 ID:ddNU.SAA
超GJって感じですね。

773 ◆Oamxnad08k:2010/01/06(水) 15:46:32 ID:R.2CZToU
みなさんGJです。

冬休み終わると学校生活始まっちゃうから書く時間が極端に減る…
ついでにネタもなくなる\(^o^)/ どうしようww

774■■■■:2010/01/06(水) 15:50:29 ID:Rs96k4GE
>>773
ネタはある!
むしろ学生さんのほうがいちゃいちゃシチュエーションは思いつきやすいはずだ!
投下お待ちしてます。

775■■■■:2010/01/06(水) 16:02:48 ID:b2Ts8QSc
そういやあの単発屋は元気にしてるだろうか

776■■■■:2010/01/06(水) 16:11:03 ID:qBBx2upE
皆さんGJのGJです
>>775
パー速の人?

777■■■■:2010/01/06(水) 16:23:48 ID:b2Ts8QSc
>>776
それ

778■■■■:2010/01/06(水) 19:54:53 ID:Dgfdu2Fo
バリバリスレの人か
年越しネタだったことしかおぼえてないな

779■■■■:2010/01/06(水) 20:44:54 ID:sG4kRMBQ
>>766
その後のプロポーズ、結婚式まで是非書いて欲しいところ

780■■■■:2010/01/06(水) 23:35:51 ID:dBSEEyBg
婚后:あら白井さんこんなところでお会いするとはお珍しい。
白井:あらどうも(できればあいたくなかったですけども。)
婚后:そういえば、あの御坂さん、少し悪い噂がたっていましてよ。それにあなたも。
白井:はっ、下らない。いわせておけばいいんですよ。
婚后:それが笑っちゃうんですよ。レベル0のふりをしているけども学園都市の暗部にかかわっている高校生とつきあっているとか…。白井:ぶっハ
婚后:そんな荒唐無稽な話、ありえませんですわよね、って白井さん、顔色がわるいようで。
白井:いや、私の愛しいお姉さまにそんな男がいるなんて…。
婚后:愛しい?
白井:えぇお姉さまは私だけの…って聞いてますの?
婚后:それでね、その高校生っていうのが、あらゆる力を打ち消す能力者で、学園都市の第一位は平気で倒すは、御坂さんのクローンを従えているわ、魔術師は従えているは、果ては外国のVIPにや統括理事会シンパがいるわと…。おかしいでしょ?
白井:(いろんなところが微妙に間違っていますけど、なんでこんなに広がっているのか)おほほほほ、そんなバカな話があるわけないでしょ?それで、どんな方ですの、お姉さまの彼氏とやらは。
婚后:だからさっきから申してますようにとんでもない方で、あっそうそう、学園都市の統括理事から最も恐れられているという…。
白井:それはすごいお方ですのね。
婚后:さらに酷いのが、強力な能力者からなるハーレムを持っていて、あの御坂美琴が、外国人のシスターと2人で第一夫人を争っているとか…。あと、白井さんも、ジャッジメントで名前が売れているせいか、ハーレムの一員になってましてよ。
白井:なんですって…。
婚后:そんなムキにならなくっても、あくまで下らない噂ですから。あっ、でもそういえば御坂さん、男の方といちゃついるところとか、他の女とその男がいちゃついている所に御坂さんが割り込んできてなんていうシーンとか、何度か目撃しましたわ。
白井:えぇ、悪い虫がお姉さまにカマをかけているのは事実ですの。そんなのがお姉さまの彼氏にふさわしいとは到底思えませんし、お姉さまだってお姉さまだって…。
婚后:ですわよね。でも、あの御坂さんが男と歩いているだけでここまで話が膨らむのですから、うわさというのは怖いですわね。お互いきおつけませんと。
白井:えぇ本当におほほほほ。
婚后:では、ごきげんよう。

781■■■■:2010/01/07(木) 00:18:53 ID:keponFMg

とあるファミレスの中で

湾内:あっ、御坂さんだ…。
泡浮:あっほんとだ。
御坂:あぁあんたたちもきてたんだ。
泡浮:そこのひと、ひょっとして御坂さんの彼氏
湾内:きゃーどこまでいったんですか…。
上条:こいつらお前の後輩か?
御坂:そうよ、あんたは黙ってて…。ほら、私たち、なんでもないからあっちにいったいった。
湾内:やっぱりお邪魔でしたか…。
御坂:そうじゃなくって(顔を赤らめる)。ただの知り合いと世間話をしてただけよ。
泡浮:そうなんですか?
上条:あぁ。
湾内:残念。なら、ご一緒させてもらっても構いませんか?
上条:俺はいいぜ、どうせたいした話なんかしちゃいなかったんだから。
御坂:ちょっちょっとー。
湾内:ひょっとして、嫉妬ですか?
御坂:ちょっと、ひやかしにきただけならさっさと帰りなさい。
上条:まあいいじゃないか、そんなこと。


しばらくして…。御坂がドリンクをとってきている間に…。

泡浮:そっ、そういえば…。わたし変な噂きいちゃったんです。その、御坂さんの魂を骨抜きにした男がいるとか、いないとか?
湾内:あっ、私も知ってる、その男って高校生なのに女の子が大好きで、まわりにはハーレムができているとか。
泡浮:あとは、その高校生、海外のVIPとか学園都市の理事会にもシンパがいるとかいう話でしたよね。

 噴き出す上条

湾内:そういえば、ここの彼氏さんって、髪型とか、噂の人の特徴に似ていらっしゃいません?
泡浮:どっどうなんですか、彼氏さん?
上条:どうっていわれても?
湾内:あっやっぱり彼氏なんですね。
上条:俺はあいつの彼氏じゃなくって上条当麻。
湾内:じゃあ、まあやちゃんをもらってやってくれませんか?
泡浮:ちょっ、ちょっと?
上条:おぃおぃ…。レベル4だか5だかしらないけど、そんなトンデモ中学生はビリビリだけで十分だぜ
湾内:ってことは他にも女の人が…。
上条:だから、いないってばそんなの。
泡浮:それじゃあ、影の学園都市NO1の超能力者っていうのは?
上条:俺はただのレベル0
湾内:そうなんですか?
上条:そうだって…。

782■■■■:2010/01/07(木) 00:19:19 ID:keponFMg

御坂が帰ってくる。

御坂:ちょっとあんた、まさか私の後輩にチョッカイ出しちゃいないでしょうね?
上条:めっそうもない。
御坂:あんた…。またそんなこといってごまかしてない?
上条:上条さんはどちらかというと年上ごのみで…。
御坂:(ムカッ)あんたって人は、またそうやって…。

電撃を出し始める御坂

上条:わかったから美琴、街中で電撃を出さない。

そういって上条当麻は美琴の髪を右手でなでる。
御坂美琴のほうは、顔をあからめてうつむく。

湾内:今、上条さん、御坂さんの電撃を吸収しなかった?
泡浮:ってことはやっぱり…。伝説のイマジンブレイカー?

上条:だから違うってば。御坂さんと俺とはほら…こういう仲だから、頭をなでてもらって落ち着いただけだよ。

美琴はますます顔を赤らめる。


上条:まっ、そういうことだから…。あはははは。
じゃあ、こいつ、ちょっと機嫌悪いから、勘定は俺がはらっとくんで…。

ファミレスを出る当麻と美琴

御坂:ちょっとあんた、いい加減なこといわないでよ。
上条:あの場はそうでもいわないと…。
御坂:それがいい加減っていうのよ。
上条:だってあいつらよー
御坂:鼻の下のばしちゃって。
上条:じゃなくってさ、あいつら、幻想殺しについて噂で聞きかじってたみたいで…。
御坂:だったら何なのよ。
上条:幻想殺しについて深くしってしまうってことは、あまりよくないような気がしたんだ。
御坂:優しいわね。
上条:まあ、上条さんは優しいのが取り柄ですから。
御坂:でっ、あたしとあんたがこういう仲っていうのは、どうなのよ?(うつむきながら顔を赤らめる美琴)
上条:…。

見つめあう二人…。

上条:これが答えだ

いきなり唇を奪う当麻、真っ赤担って立ち尽くす美琴。

「じゃーな」といって走り去る当麻を、美琴一晩中追い回すのであった…。

END

783■■■■:2010/01/07(木) 00:27:34 ID:1siNqm1o
>>782
GJ
婚后も上条さんに会ったら旗立てられるだろうなぁ

784■■■■:2010/01/07(木) 00:43:43 ID:JoCAuNoc
GJ!
でもできればセリフ部分は「」にしてくれると助かる

785■■■■:2010/01/07(木) 01:00:45 ID:g.CLPSf6
>>782
GJ!
新展開だにゃー。水泳部コンビもお持ち帰りとはやるなカミやん。

786Rendezvous. 1/9:2010/01/07(木) 01:32:24 ID:g.CLPSf6
 誰もいないみたいなので投下します。
「Rendezvous.」9レス消費予定です。


「じゃん!」
「……電気は大切にね?」
 美琴の言葉に上条がツッコむ。
「違うわよ! これを見なさい!」
「お前が今広げてるのって……浴衣?」
「そ。家庭科の授業で縫ったのよ」
 上条当麻はいつもの自販機の前で御坂美琴に呼び止められた。
 何の用だろうと思って話を聞いてみたら突然浴衣が飛び出した。
「へぇ、お嬢様学校はすごいんだな」
 上条は素直に感心した。
「で、御坂? 一つ質問なんだが」
「何?」
「何故ゲコ太柄じゃないんだ? お前が白地に朝顔の柄なんてありきたりいえとてもよくお似合いですねホントですよだから青筋立ててこっち来んなごめんなさい!」
 美琴の怒りを感じ取った上条がすかさず土下座に移行する。
 美琴はふん、と鼻を一つ鳴らしムッとした表情を作る。
「……本当は私もゲコ太柄にしたかったんだけど、まぁ、何? クラスの子の目とかいろいろあってね?」
「恥ずかしくて選べなかったということか。確かに常盤台中学のエース様がゲコ太柄の浴衣ってのもなぁ」
「う、うるさいわね。……で、もうすぐ花火大会があんのよ」
「花火大会? ああ、学園都市に新規の業者が入ったとか何とか聞いたことがあるけどそれのことか」
 学園都市は学生ばかりが何十万人と暮らす街だ。ゆえに、学生を目当てにした企業の参入も多い。人気や需要のあるなしで淘汰され、月ごとに同種の企業が同じテナント内で入れ替わる場合もある。
「学園都市はイベントやテーマパークを持ち込めば学生を相手取ったいいマーケットになるから。って違うわよ、そう言う話をしてるんじゃないんだけど」
 話の論点がずれたわね、と美琴が本筋に戻そうとする。
「花火大会ねぇ。人混みがすごそうだな。いつだっつったっけ? その日は食料買い込んで寝て過ごすことにしよう」
 自分には何の縁もない話と、上条がひらひら掌を振る。
「……あのね。私が浴衣持ってきて花火大会の話をして、アンタは他に言うことがないの?」
「だから浴衣きれいだなってほめたじゃねぇか」
「あれのどこがほめたうちに入るのよ? そもそもきれいだなんて一度も言ってないじゃない! だいたいアンタ、私がこれ着たとこ見たことないでしょ?」
「今年作ったばかりでろくに袖を通してない浴衣なのに、お前が着たとこなんか知ってるわけないだろが? 俺は予知能力者か?」
 上条の疑問はごく当たり前のことだ。
 上条はシステムスキャンの結果レベル0と言う評価を受けている。予知能力はおろか読心能力も透視能力もない。美琴が何を言いたいのかわかるはずもなかった。
「もしかしてお前、花火大会行きたいの?」
 美琴がううっ、と唇を噛む。
「……、もしかして、一緒に行く友達いないのか?」
「いっ、いるわよそれくらい!」
「じゃあ行って来りゃいいじゃねぇか」
 変な奴、と上条は思った通りの言葉を口にする。
 そもそもこんな往来で浴衣を広げて美琴は何をしたかったんだ?
「あーはいはい、御坂たんの浴衣自慢はわかったから。俺忙しいんで、じゃあな」
 ううう、と変な唸り声を上げる美琴を後に残して、上条はすたすたと帰って行った。

787Rendezvous. 2/9:2010/01/07(木) 01:33:13 ID:g.CLPSf6
「ねぇ黒子、この浴衣どうかな?」
「お姉様……」
 ここは常盤台中学『学外』学生寮の二〇八号室。
 御坂美琴は同室の白井黒子に、自分が縫った浴衣を広げて見せていた。
「その質問は今日でもう七回目ですのよ?」
 黒子が苦笑する。お姉様は浴衣の出来映えがよほど気に入ったんですのね、と微笑んでみせた。
「お姉様の珠のような白い肌にとてもよくお似合いですの。生地を見立てにご一緒させていただいたときは、ゲコ太柄を選ぶのではないかと内心ひやひやしましたの」
「さすがにそれは……ねぇ?」
「お姉様なら間違いなくあの柄に食いつくと思ってましたのに」
 ニヤリと笑う黒子に対し、美琴がやれやれと言った顔を作る。
「どうせアンタが止めるんでしょ?」
「ええ、もちろんですの。常盤台中学のエースがゲコ太柄の浴衣では周囲に示しがつきませんの」
 何の示しだろうと美琴は思う。
 常盤台中学のエースと呼ばれているレベル5は人に何かを誇示するような性格ではなかったので、黒子の言葉は流すことにした。
「ねぇ黒子、花火大会があるんだけど一緒に行かない?」
「お姉様のお誘いですの? ええもちろんですの! ……といいたいところですけれど、当日は風紀委員のお仕事がありますの。大きなイベントですから、浮かれる馬鹿も増えますしね」
 黒子は済まなそうな表情を美琴に向ける。
「でも、現場にべったり張り付きというわけでもありませんし、時間が空きましたらぜひご一緒させていただきますの」
「うん。都合がついたら連絡ちょうだいね」
 美琴は『仕事頑張ってね』と黒子に笑って見せた。

788Rendezvous. 3/9:2010/01/07(木) 01:34:03 ID:g.CLPSf6
 九月第一週のとある夜、美琴は花火大会の会場に一人で来ていた。足下で黒つや消しの下駄がカラコロと鳴る。
(うーん、こうやって来てはみたけど一人ってのは味気ないわねぇ)
 せっかく仕立てた浴衣を着ないのはもったいないと帯や小物を揃えてみたものの、評価してくれる人がいないのではその楽しみも半減する。
 仕方なく美琴は屋台をひやかすことにした。
「あーあ。黒子や初春さんは風紀委員の仕事、佐天さんは友達と回ってるって言うし」
 改めて自分の交友範囲の狭さを認識し、美琴は少し落ちこむ。
 そもそも、周囲は『御坂さん』『御坂様』と呼んで美琴を一歩引いた立場で見ている。それは美琴がレベル5という孤高の存在であり、並々ならぬ努力でそれを成し遂げたという評価故に取っつきづらいイメージを持たれているというのもあるが、黒子が表するように美琴は元々『お姉様は輪の中心にいても輪に入ることはできない』性質を持つ。そんなわけで、美琴が仲の良い友達づきあいをする相手は極少数に限られていた。
「こんな事なら無理にでもあの馬鹿を捕まえておけば良かったかなぁ」
 いやいや、別にあの馬鹿に浴衣姿を見て欲しかったわけじゃないんだから、と美琴はブンブンと頭を振った。
 だから、背後からポンと肩を叩かれ
「こんなところで何やってんだビリビリ?」
「ひゃあっ!?」
 振り向くとそこには『あの馬鹿』こと上条が立っていた。


「こんな人混みの中だというのにお前を見つけちまうとは……。不幸だ」
「人の顔見て第一声がそれかっ! それから私の名前はビリビリじゃなくて御坂美琴。 いい加減覚えなさいよ馬鹿!」
 美琴の額に青白い火花が舞う。
「あーはいはい。んで? 御坂はここで何やってんだ? やっぱり一緒に来る友達が誰もいなくて一人さびしくロンリーかましてんの?」
「うっさいわね! ロンリーとか言うな!」
「ああ、あれか。お前はぐれたのか。……ぴんぽんぱんぽーん、ビリビリ中学生のお連れ様、迷子のレベル5をお預かりしておりますので大至急」
「変なアナウンス流すな!」
 次の瞬間、美琴の額から電撃が飛んだ。
 上条はおうわっ! と叫びながら右手で弾き飛ばすと
「……、図星?」
 ズバチィッ!! ともう一度電撃が飛んだ。
 上条はそれを右手ではねのけると
「お前なぁ! 時と場所をわきまえてビリビリしやがれ!」
「アンタがムカつくのが悪いんでしょ!」
「何だよそれ!」
 どんな逆ギレだよ、と上条は思う。
 美琴の姿を見かけたとき、上条は不吉な予感に導かれ知らんぷりして通り過ぎようとした。だが美琴の電磁波センサーの存在を思い出し、こそこそして捕まるよりは良いと声をかけたのが仇になったかとちょっとだけ後悔した。
「で? アンタはたしか今日は部屋にこもってるんじゃなかったっけ? こんなところで何してんのよ」
「ああ。友達と来てたんだけどな。連れが食い物屋の屋台の前から動かなくなったんで置いてきた」
 姫神もいるし魔術師が進入したって話も聞かないから大丈夫だろ、と上条は続ける。
 美琴は上条の話が全くピンと来なかったが、
「要するに、アンタ今一人なの?」
「一人っつーか、まぁそうだな」
「だったら暇でしょ。付き合ってよ」
「え? 心の底からご遠慮させていただきます」
 上条が嫌そうな顔をしたのを見て、美琴はカチンと来た。
「良いから来なさい!」
 美琴は上条の襟をガシッ! とつかむ。
「え? ちょっと待て、俺をどこに連れて行くんだ! おい御坂? やめろってば!」
 抵抗むなしく、上条は美琴に連行された。

789Rendezvous. 4/9:2010/01/07(木) 01:35:11 ID:g.CLPSf6
「わぁい、うふふっ」
「……ゲコ太お面にゲコ太綿菓子にゲコ太笛。どう見ても花火よりこっちが目的じゃねぇかこのお嬢様は」
 気がつけば、上条は美琴の荷物持ちをさせられていた。両手に山ほどのゲコ太グッズを持たされている。
「屋台で大人買いなんて見たことねぇぞ」
「こう言うところに来るとゲコ太グッズの掘り出し物に会えるから楽しいわね」
 ゲコ太グッズに囲まれて、美琴はご満悦だ。
「俺はちっとも楽しくねぇよ」
「綿菓子は黒子へのお土産よ。アンタも食べる?」
「いらねぇよ! ガキじゃあるまいし」
「アンタ何カリカリしてんの?」
「いきなり連れてこられて荷物持ちさせられたら誰だって怒るだろ!」
「んじゃ、はいお駄賃」
 上条の目の前ににゅっと焼きイカが差し出された。
 銀髪のシスターに財布の大半を食い尽くされ、自分は何一つ口にしていないことを思い出した上条は、美琴の顔と焼きイカの間で視線を往復させた後、無言で焼きイカにかじりついた。
 美琴は上条がイカをもぐもぐしている間上条をぼうっと見つめていたが、手元の棒からイカがなくなったのに気づき、近くのゴミ箱に捨てる。
「……ごっそさん」
「ん、よろしい」
 たとえ理不尽な状況に置かれても、食べ物を出されたらきちんと食べてお礼を言うのが上条だ。
 美琴は上条を見てにこっと笑った。
「何で笑ってんだよ」
「? 良い食べっぷりだなと思って。あ! ねぇねぇ、こっちこっちー」
 美琴が上条を手招きする。
「はいはい今度は何ですかー。って射的かよ」
「あのゲコ太のぬいぐるみを取るから、アンタちょっとここにいて」
 美琴は射的屋の親父に金を払い、コルク弾と銃を受け取ると、狙いを定め、引き金を引いた。
「…………あれ?」
 撃ち出されたコルク弾はぬいぐるみにかすりもしなかった。
 続けて二発、三発、四発と撃つが、全く当たらない。
 六発、七発、八発、九発、一〇発まで撃って、美琴が銃を下ろした。
「かするどころか全弾狙いが外れてっけど。お前ひょっとして射的下手?」
「……………」
「おいちょっと待て巾着から無言でコインを出すなこんなところで超電磁砲を使うなそもそも浴衣にコインっておかしいだろ!」
 ゲコ太グッズを持ったまま、上条が美琴の前に立ちはだかる。美琴はふーふーと荒い息を吐き、目が血走っている。
「そんな髪を逆立たせて怒るなよ。ほら、俺がやってみるからちょっと替われ」
 上条は手にしたゲコ太グッズを美琴に押しつけると、美琴の手から銃を奪った。
 射的屋の親父に金を払い、コルク弾を受け取る。
「……アンタ得意なの?」
「任せろ、とまではいかないけどな……。よっ、……当たれ!」
 一発、二発、と空振りし三発目でぬいぐるみに当たったが、倒れるまでは行かない。
 コルク弾が当たった位置に銃を固定させると、上条は続けざまに撃ち、弾を込める。
 四発、五発、六発と弾がぬいぐるみを後ろに押しやり、九発目でゲコ太のぬいぐるみはコロリと台座から落ちた。
「ほれ、取れたぞ?」
 上条は親父からぬいぐるみを受け取り、美琴に押しつけた。代わりに空いた手で美琴からゲコ太グッズを引き受ける。
「……くれるの?」
「ああ。もう暴れるんじゃねぇぞ」
「うん。……ありがと」
 美琴はぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ、とてもうれしそうに微笑んだ。

790Rendezvous. 5/9:2010/01/07(木) 01:36:05 ID:g.CLPSf6
 上条は射的屋の親父に頼んで大きな袋をもらい、そこにグッズを押し込んだ。
 少し重めの袋をぶら下げ、美琴に声をかける。
「お前さ、花火見に来たんじゃねぇの?」
「うん。そうだけど」
「んじゃ行くぞ」
 すたすたと歩き出した。
「え? え? 何で?」
「何でってお前、花火見に来たんじゃねぇのかよ?」
「……、そうだけど」
「じゃあ行くぞ。もたもたすんな」
「アンタ……付き合ってくれんの?」
「人に荷物持ちさせといて、お前はそのままバックレか? こんな屋台だらけの場所じゃ落ち着いて見てられないから移動しようぜ」
「あ、うん。って、ちょっと待ってよ。先に行かないでよ」
 美琴は下駄を鳴らして上条の後を追いかけた。
「ちょっと待って、待ってってば」
 美琴は上条のシャツの裾をつかんだ。
「おい、シャツをつかむなよ。伸びるだろうが」
「だって私下駄履いてるのよ? 少しは歩く速度合わせてよ」
「あ?」
 上条は足元を見る。
 美琴は淡い桜柄の鼻緒を施した下駄を履いていた。
「……あー、悪りぃ悪りぃ。お前下駄だったのか」
「何よ、今頃気づいたの?」
 美琴が頬をふくらませる。
「いやまぁ、気にしてなかったから」
「むー。その様子だと浴衣にも気づいていないでしょ」
 美琴は上条の前で肘を軽く曲げ、袖を広げてみせる。
「あ、いや。そっちは気づいた。こないだ見せてくれた奴だろ?」
「うん。……似合う?」
 美琴は一瞬だけ視線を下に向け、それからやや上目遣いで上条を見る。
「あー……良いんじゃねぇの?」
「……、そ、そう」
 美琴は何故か視線をそらすと、上条のシャツの裾をきゅっとつまんだ。
「だからつかむなって」
「アンタが迷子にならないようにしてんの。そ、そうよ! ゲコ太グッズ持ったままどっか行かれちゃ困るもの」
「じゃあ今ここで渡してやろうか?」
「……持っててよ。女の子に重い荷物持たせる気?」
「これはてめぇの買い物だろうが! ……ったく」
 裾を伸ばすんじゃねぇぞ、と美琴に釘を刺し、上条は美琴を連れて広場を目指す。美琴は少しうつむいたまま、シャツの裾をつまんで後に続いた。

791Rendezvous. 6/9:2010/01/07(木) 01:36:51 ID:g.CLPSf6
「うへぇ、やっぱ混んでるな。どっかのベンチに腰掛けたかったところだが」
 上条は周囲を見渡すが、どこもかしこも人、人、人で埋め尽くされている。
「場所取りするなら早い時間から来てないと無理ね。私は花火が見えればどこでも良いわ」
「だったら学校の屋上でも良かったんじゃねぇの?」
「それじゃ風情がないでしょ」
「風情ねぇ」
 んなもんわかんねぇよ、という上条の二の句は大きな歓声によってかき消された。空を見上げると、大輪の花が輝いている。
「…………」
「…………きれい」
 美琴は天を見上げてため息を吐く。
 花火は次々と打ち上げられ、晩夏の夜空をまぶしく彩る。
 数々の光に照らされる美琴の横顔を、上条はぼんやりと見つめていた。
「…………きれいだな」
 次の瞬間、しまったと上条は自分の口を押さえた。
「え?」
「は、花火がきれいだって言ったんだよ」
 上条は慌てて上を向く。
「うん、そうね。私、花火を見ると日本人に生まれて良かったって思うんだ。科学が進化した学園都市に住んでるのに変な話だけどね」
「…………」
「他の国にも花火の文化はあるけど、やっぱりこの美しさは日本独特のものだと思うわけ。古来より続く伝統美っていうのは、心惹かれるものがあるわね」
「…………そうだな」
 二人黙って空を見上げていると、突然美琴の体がよろけた。美琴は人波に押され、後ろ向きに傾いでいく。
「わっ!」
「おっと」
 上条は美琴の背後に回り、美琴の体を受け止める。美琴の頭が上条の胸にストンと収まった。
「……セーフ」
「……あ、ありがと」
「せっかくの浴衣が汚れちゃつまんねぇからな」
 美琴は上条に寄りかかったまま、上を見る。
「……、いつまでそうしてんだよ。重い」
「重くないわよ!」
 美琴は少し思案した後、背中から上条の胸にもたれかかると、荷物を持ってない方の上条の手を自分に抱きつかせるように回した。
「! ちょ、お前、何やって」
「……、アンタは私とはぐれちゃ困るし、私は突き飛ばされて転びたくないし」
 美琴は自分の体に回した上条の手の上に自分の手を添え、上条を仰ぎ見る。
「……持ちつ持たれつじゃない?」
「――どこがだよ」
 それでも上条は、美琴の手を振り払おうとはしなかった。
 空に描かれた光の華はやがて小さな光の雨へと姿を変え、消えていく。
 二人はそれぞれに何かを思いながら、黙って空を見上げていた。

792Rendezvous. 7/9:2010/01/07(木) 01:38:04 ID:g.CLPSf6
「悪いわね、荷物持ちさせちゃって」
「……その台詞はもっと早くに言うべきじゃないのか?」
 上条はゲコ太グッズが入った袋をぶら下げ、顔に疲れを張り付かせる。
 一方美琴は、花火大会からずっと上条のシャツの裾をつまんで歩いている。
「だからいつまでそうやって人のシャツを引っ張ってるんだよ」
「寮に着くまでだけど?」
「そこでキョトンとかすんじゃねぇよ!」
「だって私下駄だから早く歩けないし」
 美琴の下駄の音が、人通りの少ない歩道にカラコロと響く。
「つまりそれはあれか。お前の寮まで荷物を持っていけってことか?」
「よくわかったわね」
「よくわかったわね、じゃねぇ!……あーくそ」
 花火大会も終わり、二人は家路を辿る。
 時折行き交う人々が皆どこか楽しげに見えて、美琴は微笑んだ。
 上条はそんな美琴を見てぷい、と顔を背ける。
「そう言えばアンタ、友達は? 私が言うのも何だけど放置して大丈夫なの?」
「さっきメールが入った。屋台で食い過ぎたんで、食い放題の店に連れて行くって」
「はい?」
 上条のとんちんかんな答えに、美琴が目を丸くする。
「アンタのお友達は食い倒れ系なの?」
「アイツが食い倒れるなんてまず想像できねぇな。先に俺の財布が倒れんだろ」
 ――上条の交友関係がますます理解できなくなる。
「何でアンタの財布が空になるわけ?」
「……、いろいろと事情があんだよ」
 上条が視線をそらし、言葉を濁した。美琴はそれに気づかず
「ま、いいわ。美琴さんは大満足! ゲコ太グッズはゲットできたし、花火も見れたし」
「……ホントに花火はおまけだったんだな」
「そんなことないわよ。楽しかった」
 美琴は空を見上げる。
 二人で見た花火をそこに思い浮かべて、
「……うん、楽しかった」
 何かを確認するように頷いた。
「そういやお前、連れはいなかったのか?」
「黒子は今日、風紀委員で駆り出されてるから」
「黒子? ……ああ、あのツインテールの空間移動か」
 上条はややあってから『アイツか』と理解する。
「アイツがいれば俺は荷物持ちしなくて良かったんじゃないだろうか……?」
「私の都合であの子を呼び出すわけには行かないわよ」
「俺なら良いのかよ!」
「あそこでたまたま出会ったのが運命の分かれ道だったわね」
 美琴が意地の悪そうな笑みを浮かべる。
「……声かけなけりゃ良かった。……不幸だ」
「いいじゃない。アンタだって楽しかったでしょ?」
 そこで上条は美琴の顔を凝視する。
「……何? 私の顔に何か付いてる?」
「……い、いや? そうだな。楽しかったことは否定しねぇよ」
 上条は美琴から視線を外すと、何やらぶつぶつと呟いた。

793Rendezvous. 8/9:2010/01/07(木) 01:38:53 ID:g.CLPSf6
 常盤台中学には、『外出時も常に制服を着用すること』という規則がある。
 つまり、美琴が浴衣を着ているのは立派な規則違反である。
 しかも、現在の時刻は寮の門限を大幅にオーバーしている。
 よって、美琴は上条と別れた後こっそりと寮内に侵入した。
 自室に戻るのに侵入という表現はあまりにも不穏かつ不適切だが、寮監が怖い美琴としては下駄を脱ぎ素足で足音を殺し、見つかりませんようにと祈りながら階段を登っていく。
 二階にたどり着くとなるべく音を立てないように自室のドアを開け、息を殺して室内に入り、ドアを閉めた。
「ふう、危なかったぁ……」
 大きく息を吐き、美琴は姿見に映った自分を見つめる。
「……うん。やっぱり良くできてるじゃないこの浴衣。あいつも良いって言って…………!?」
 美琴はブンブンブンブン!! と激しく頭を振った。
「アイツは別に関係ないじゃない! そ、そうよ。これは美琴さんの裁縫の腕が良かったんであって別にあいつの評価なんかどうでも良い……」
 美琴は、腕の中に抱きしめたゲコ太のぬいぐるみを自分の目の前に掲げると、
「ねぇ、この浴衣、……似合ってる?」
 ゲコ太の髭がかすかに揺れたような気がした。


 上条が部屋に戻ると、お怒りモードのインデックスが正座していた。
「ただいまー。あれ? インデックス、お前食い放題の店に行ってきたんじゃないの?」
 上条は『おなかいっぱいなのに何でお前はそんなに不機嫌なわけ?』と聞こうとしてインデックスの顎がガバァ! と開く音におののく。
「とーうーまー? 私を置いてどこに行ってたの?」
「え? どこって花火……と、荷物持ちが……」
 清貧を謳うはずのシスターからあふれ出す殺気に気圧されて、上条が一歩下がる。
 しかし、逃げ場はどこにもない。
「私もあいさもひょうかも、とうまと一緒に遊びたかったのに! 置いてけぼりなんて許さないかも!! 三人分合わせてカミクダク!!」
「インデックス違うんだこれは置いてけぼりとかじゃなくて御坂の奴に引きずり回されてそりゃちょっとは楽しかったかもしれないけれどこちらにも負けず劣らずの苦行が用意されてですねつまりこれはお前のそばを離れた俺が悪かったから許して神様ごめんなさい!」
 どれだけ罪を嘆いても、逃れようのない罰が上条の後頭部に電光石火の如く深く深く突き刺さる。
「ヤバいこれ痛い俺の許容範囲外! やめてお願いインデックスさん死ぬ死ぬ死んじゃう! 俺の命が花火のように燃え尽きて!? 荷物持ちさせられた上に噛みつきだなんてあーもー、不幸だぁぁぁぁあぁぁぁぁっ!!」

794Rendezvous. 9/9:2010/01/07(木) 01:40:23 ID:g.CLPSf6
「はぁぁぁ、ただいま帰りましたですの……」
「黒子、お仕事お疲れ様」
 ぐったりとした表情で黒子が部屋のドアを開けると、妙に機嫌の良い美琴が黒子を出迎えた。
 この時間ならいつも美琴は先に寝ているが、めずらしく愛しのお姉様が起きていて自分を出迎えてくれたという現実に黒子の疲れは吹っ飛んだ。
「お、おね、お姉様からの慰労のお言葉! 黒子は、黒子はもうそれだけで元気一〇〇倍ファイト一発ですの!」
 黒子が両手を組み合わせてくねくねと踊る。
「でも、お姉様今日は本当に申し訳ございませんでしたの。花火大会に合流できなくて……」
 黒子は心から申し訳なさそうに表情を曇らせた。
「気にしないでよ。アンタは風紀委員の仕事だったんでしょ?」
「ですが、お姉様をお一人にしてしまって……」
「ああ、それなら大丈夫。途中であの馬鹿に会って」
「ナンデスト!?」
 美琴の発言に、黒子が衝撃のあまり目を剥く。
「そのあとゲコ太グッズを買い漁って、ああもちろんあの馬鹿は荷物持ちでこき使ったわよ? 射的でゲコ太のぬいぐるみが取れなかったんだけど、代わりにあの馬鹿が取ってくれてね。これがそうなんだ、かわいいでしょ? そのあとあの馬鹿と花火を見に行ってさ。私が下駄を履いてたからあの馬鹿がずっと私の手を引いてくれて、私が転びそうになったらあの馬鹿が必死になって助けてくれて、最後にここまで送ってくれたの。そうそう浴衣も何かほめてくれたっぽくて。ねぇ黒子聞いてる?」
 美琴がにこにこ顔でゲコ太のぬいぐるみを黒子に見せ、あまつさえ頬ずりしてみせる。
 一方黒子は、何をどう聞いてものろけにしか思えない美琴の無自覚な言葉に、残った体力と精神力をガリガリと削られていく。
「…………………」
「あれ? 黒子? どしたのアンタ? 疲れてるなら早くシャワー浴びた方が良いんじゃない?」
「…………………」
「黒子? 黒子?」
 美琴が呼びかけても、黒子は反応を示さない。
 黒子は自分の内部がふつふつと黒い怒りで煮えたぎっていくのを感じて、
「お姉様があの馬鹿と…………お姉様があの馬鹿……………ぅおおおおおおおのれあの若造がァぁぁぁあぁぁぁぁぁぁっ!!」
「黒子? アンタ額に青筋立てて金属矢を構えてどこに行くつもり!? 黒子? ねぇ黒子? 正気に戻ってよ黒子ぉぉぉっ!?」
 ここは常盤台中学『学外』学生寮の二〇八号室。
 今夜もかしましい叫びが敷地を埋め尽くしていくのであった。


 完。
お目汚し失礼しました。

>>779
ID変わったけど>>766です。
思いついたら書いてみます。

795帰省な人:2010/01/07(木) 01:44:10 ID:o7LDrmWI
>>794
超GJ!
キャラの使い方と構成カンペキですなー

796■■■■:2010/01/07(木) 01:46:39 ID:CvFEVXEU
2828が止まらない
グッジョブ!

797■■■■:2010/01/07(木) 01:49:03 ID:y8umu0wY
GJじゃん」

798■■■■:2010/01/07(木) 02:14:46 ID:usyLGFk.
超GJ
あぁ自分に文才があれば…

799■■■■:2010/01/07(木) 03:37:59 ID:c2fccpKU
>>798
長いのじゃなくてもスレの最初の方のノリで良いと思うんだぜ
俺もたまたま今超長文になってますが・・・・・・

800■■■■:2010/01/07(木) 11:45:06 ID:w7VxmLlo
うまい!

GJだぜ!

801 ◆Oamxnad08k:2010/01/07(木) 16:25:44 ID:3jPEHd8c
GJです。その才能ウラヤマw

>>798 問題ない 国語赤点取りかけた僕でも書けるからww
ネタの3分の1完了 今日の夜くらいに投稿します。

802 ◆Oamxnad08k:2010/01/07(木) 19:19:40 ID:3jPEHd8c
ネタがないので思いついたやつを…


冬休み。今日は学園都市では珍しく雪が5cm程積もった。
一応学園都市には人工雪という方法で雪を降らし、スキーなどができる施設がある。

外を見れば子供が雪合戦をしたり、楽しく遊んでいる。
そんな中上条は…

「あー雪降るとか聞いてねぇぞ!食べ物はインデックスが食べてそこが尽きるし!」
インデックスが全部食べてしまい買いだめが必要な状況なのだ。

そんなわけでスーパーに行き買い物を済ましてきた。
「あとは帰るだけ…てか歩きにくいし…子供は楽しそうでいいよなぁ…」
と公園をチラッと見て視線を戻す。
しばらくすると上条の右のこめかみに向かって雪玉が飛んできた。
「痛ッ!誰だ…」
とまわりを見たら小さい子が『ごめんなさい』と頭を下げてきた。
正直に、真剣に謝られると叱れないのが上条だ。
「いいって、気をつけろよ」
と言って歩いていく。
第2の不幸が訪れるとも知らずに…

「また雪降ってるし…あぁ不幸だ…」
樹形図の設計者が破壊されて以来天気予報がたまに外れる。
その『たまに』が危ないのだ。

よそ見して歩いていたら、曲がり角で少女とぶつかった。
「痛ぁ…ちょっと!気をつけなさいよ!」
目の前には尻もちをついた少女…御坂美琴がいた。
「あぁ、ごめん…って御坂!?あぁ…これは…不幸だー!」
「ちょっと!人とぶつかっておいて不幸ってなによ!?」
「ううう、雪玉飛んでくるし…しまいにはビリビリお嬢様…」
勝手にぶつぶつ呟く上条は無視して美琴が言う。
「そうよ!せっかくだからアンタ私と勝負しなさい!新年初勝利するのはどっちか勝負よ!」
なにいってんだこのお嬢様は…と上条は思う。
「わかったよ…どうせお前は言うこと聞かないだろうし…いくらでも相手になってやるよ」
「じゃぁいつもの河原に集合ね、遅れるんじゃないわよ!」
と言い走り去った。転ばないのか?と少々心配な上条だが、何故か美琴表情には笑みがあることに気づいた。

803■■■■:2010/01/07(木) 19:19:51 ID:3jPEHd8c
数時間後 河原

昼になり、だいぶ辺りが冷え込んできた。
そんな中一人の少女がいた。
今は常盤台の制服、マフラー、手袋と防寒は一応バッチリだ。
「時間過ぎてるのになんであの馬鹿こないのよ!」
実は待ち合わせ30分前から来て一人でそわそわしていた。
(電話…掛けてみるか、なんか癪だし恥ずかしい…)
緊張で手が震えてるせいかボタン操作を誤る。苦戦するもどうにか電話をかける。
プルルル…ガチャ

「もしもし?アンタ何処にいるわけ?」
「はぁはぁ…御坂か、ちょっと面倒なことに、追いかけられてるんだが…」
「はぁ?アンタまた誰か助けたわけ?」
「ん、まぁそんな感じ…って気付けば河原のすぐ近くだし!ちょっとそっち通るけどアイツ等撒くまで待ってくれ」
プープー…切られた。
「ええっちょっと!?」
一応携帯電話をポケットにしまう。するとものすごい足音が聞こえる。
階段を駆け上がり待機する。

「くそ!お前らしつこいぞ!」
「とっと諦めてボコボコにされろや!」
と金属バットや鉄パイプを握って走る武装無能力集団(スキルアウト)の男が数人。

「ったく…アンタは人様と約束しておいて変な問題持ち込むんじゃないわよ!」
目の前の美琴が上条に向かって電撃の槍を連射する。
「うおっ!?」
反射で右手を防ぐ。もちろん武装無能力集団はひとたまりもなく地面に倒れる。

「はぁはぁ…危なかった…御坂サンキュー」
「いいわよ別に…あのままアンタも倒れてくれると私の勝ちだったんだけどね」
 
とりあえず階段を下り休憩する。
「はぁ…走ったせいかだいぶ温まってきた」
「アンタが遅れたせいで私は1時間も待ってたんだけど、それに対して特に言うことないわけ?」
「ん?1時間前?俺が30分遅れて…ってお前約束の30分前から待ってたのか?」
なっ…と固まる。よく見ると少し頬が赤くなっている。
これ以上悟られたくないので言い訳を考えるが頭の中が真っ白になり思いつかない。
しまいには俯いて何も言わなくなる。
その様子を見て不思議そうな顔をする。
「お前はどこの彼氏とのデートを待つ彼女なんだよ…」
浅くため息をつく。
流石の美琴も反論したいが何故か言葉が出ない。
(私ったらずっと言われっぱなしじゃない…)
悔しさのあまり唇を噛む。
「で?どうする御坂?力尽きるまで勝負するか、ここで解散するか…」
それを聞いて美琴の小さな唇が動く。
「……るに、決まってるじゃない…」
声が小さくてうまく聞き取れない。
「勝負するに決まってるでしょ…!」
ため息をし、下手くそな笑みを作る。
「―――よし、かかってこい御坂」

804 ◆Oamxnad08k:2010/01/07(木) 19:20:02 ID:3jPEHd8c
その後、日が暮れるまで勝負したが、結局美琴は勝てなかった。

敗因は電池切れ。
電撃の槍、砂鉄の剣、自分の力を最大限に活かし、応用して様々な攻撃をしたがまったく通じなかった。
上条本人は相当ビビってたようだが…

「はぁはぁ…死ぬかと思った…てか御坂大丈夫か?」
能力が使えなくなりそのまま地面に倒れたままだ。
(どうして…アイツ、そんな心配そうな顔するのよ…)
アイツは勝者だ。それなのにアイツがそんな顔をすること自体許せないのだ。
上条がこっちに駆け寄る。
「大丈夫か御坂?急に倒れて動かなくなるし」
立てるか?と言い手を差し伸べる。
手を掴み、立ち上がるがバランスが崩れてまた倒れる。
「ったくしょうがねぇな…」
ため息をししゃがむ。
「おぶってやるから乗れ」
言ってる意味がよくわからない。
何故自分のためにそこまでするのかも―――
「どうしてアンタは私にそこまでするの?アンタは勝者なのよ?どうして…」
気付けば小さな雫が地面に落ちる。
「はぁ?勝者だろうが敗者だろうがお前を放っておけるワケないだろ」
そう、ただそれだけのためにこの少年は動く。
気付けば上条におんぶされていた。

「やれやれ…泣き虫の御坂さん、もう帰るぞ」
「うるさい……嬉しいのよ」
最後は小声でよく聞き取れなかった。
「御坂サン?ちゃんと掴まってください?」
なんか背中に抱きついてるみたいなんですがと言ってるが美琴は無視した。
何故ならその通り、抱きついてるのだ。
「私をこんなんにしたんだから責任とってしっかりおぶりなさい♪」
「えー、まさか寮まで送れと?そういうのですか?」
「そうよ?何?さっき私を放っておかないって言ったのは誰よ?」
「確かにわたくし上条当麻は言いましたけど…」
「じゃぁよろしく」
「ったく、わかったよ」
美琴には聞こえないように言う『この甘えん坊が』
そして、深呼吸をしスピードを上げる。
「うわっ!?ちょっといきなりスピードあげないでよ!」
「うっせぇ!振り落ちないようにちゃんと掴まっとけ!文句言うなら途中で降りて歩いてもらいます!どっちがいい!?」
こういえば素直に従ってくれると思った上条はまだ甘かった。
等の美琴は深く考えている。
(このままおぶられるほうがいいわよね?いや…降りて一緒に歩いて帰るってのも…いや、うーん)
「じゃぁ…降りる」
「えっ?」
降ろしなさいって言って勝手に降りる。
「じゃぁ手繋いでよ」
「はい?アナタナニイッテルンデスカ?てかお前手袋あるだろ!」
「さっき破けちゃった、てことでよろしく♪」
ギュッ!と力強く握られる。
「うおっ!?なんかいろいろヤバイ!なんかムズムズする!」
「はいはい、帰るわよ」
「なんというか、不幸だな…」
 完
シリアス(笑)いちゃいちゃ全然ない!
原作読み直してやっぱこの2人はこんな感じかなと思いました。
その辺が伝われば幸い?です。

805■■■■:2010/01/07(木) 20:17:45 ID:g.CLPSf6
>>804
GJ!
常盤台の制服姿でおんぶしてやると、いかに短パン装備でも……。

806■■■■:2010/01/07(木) 20:47:48 ID:4nBX/TB6
>>804乙です!

807■■■■:2010/01/07(木) 21:53:08 ID:4Z2loSlM
>>804
GJ!
雪合戦で決着つけるのかと思ってたw

上条さんは美琴が好きだって自覚して無くてスルーしてもいいから
美琴のふとももが世間の目に晒されるような状況になったら
なんだかよく分からないモヤモヤした気持ちになるぐらいには
美琴のこと気にして欲しい

808■■■■:2010/01/07(木) 22:43:36 ID:92Woxer6
>>804
GJ

>>807
同じく雪合戦すると思ったw

809■■■■:2010/01/07(木) 22:45:43 ID:HQ1G9wWg
>>804
いいよーいいよー

810■■■■:2010/01/07(木) 22:46:11 ID:aBFUwc66
>>804
いーねー、GJ
この絵思い出した
ttp://iup.2ch-library.com/i/i0044225-1262871892.jpg

811こたつ〜 ◆yCXoE.oqws:2010/01/07(木) 22:59:38 ID:okB9UcmI
誰も投下してないようなので投下します
台本SSしか書いた事ないので文章はアレかもしれませんが

812 ◆Oamxnad08k:2010/01/07(木) 23:04:23 ID:3jPEHd8c
>>807 雪合戦やろうとしたけど書いているうちに
  そんな感じじゃなくなったみたいなw

正直おんぶってエロイです、はい。

813特売デート?(前)1/3 ◆yCXoE.oqws:2010/01/07(木) 23:05:02 ID:okB9UcmI

「……あ〜〜、暇だわ〜」
 御坂美琴はいつもの自動販売機の横にあるベンチにもたれかかっていた。
 いつもの自動販売機というのは、美琴に日常的にハイキックされている哀れなソレのことである。
 暇と言いながらも本音では「アイツに会えるかも」と期待しつつ待っているわけだが、今日はまだお目当ての人物には会えていなかった。
「今日はもう帰るか」
 別に待ち合わせしたわけではなかったのだが、待ち人に会えなかったせいか、美琴は心なしか落ち込み気味で帰路に着こうとしたが
 その時、トンガリ頭の少年がこちらに向かって走っているのが視界に映った。
「あっ!ぐ、偶然ね〜」
 全く偶然ではないのだが会話の導入の常套句で話しかけた美琴の横をその待ち人『上条当麻』は……
 全速力で駆け抜けた。

「……人が話しかけてんのに無視すんなゴルァ!」
 高圧電流の槍が上条に向かって放たれた。
「どわあ!っておいビリビリ、挨拶代わりに電撃飛ばすのやめろって言ってるだろ」
「うっさいわね!アンタが人の事シカトするからでしょうが。あと私はビリビリじゃなくて御坂美琴って言うちゃんとした名前が」
「おっとこんなことしてる場合じゃなかった。じゃあな御坂」
「人の話を聞けーーーっ!!」
 バリバリと再度上条に向けて電撃が放たれた。

814特売デート?(前)2/3 ◆yCXoE.oqws:2010/01/07(木) 23:06:53 ID:okB9UcmI

「スーパーの特売日?」
「ああ、現在上条家の冷蔵庫はスッカラカンだからな。今日の特売で買いだめして飢えをしのごうと思ってたんだが…」
 上条は美琴にジト目を向けながらぼやく。
「うっ!で、でももとはと言えば最初にアタシがアンタに声かけた時にスルーするのが悪いんじゃない!」
「あ〜そのことは謝るが、……不幸だ」
 上条はがっくりと肩を落とした。その姿を見た美琴はさすがにいたたまれなくなり
「……ゴメン」
「いや気にすんなって。急いでて気付かなかったとはいえお前をスルーした俺も悪かったしな」
「その特売って今からじゃもう間に合わないの?」
 特売と言う単語に漠然としたイメージしかできない美琴はどんなものか聞いてみたが
「う〜ん今からいっても目的のものは少しは手に入るだろうけど予定してた分は無理だろうな。まあ行かないよりはマシだから行くか」
 
「ちょっと待ちなさいよ」
「まだ何かあるのでせうか?」
 上条は疲れた表情を見せながら振り返る。

815特売デート?(前)3/3 ◆yCXoE.oqws:2010/01/07(木) 23:08:20 ID:okB9UcmI
「アタシも一緒に行くわよ」
「ハイ?」
「一人で行くより二人の方が効率いいでしょ、アンタの予定の分に届くかはわからないけど手伝うわよ」
「いや悪いからいいって」
「別にいいわよ、どうせ暇だったし」
「いやそうじゃなくてさ、お前スーパーの特売とか行ったことあるのか?」
「……」
 普段の振る舞いのせいかそう見られないことが多いが、御坂美琴はれっきとしたお嬢様である。
 幼い頃から学園都市の食事付き学生寮に住んでいるため食事の買出しとは無縁の生活を送っている。
 そんな少女がスーパーの特売と言うむさ苦しいイベントに参加したことなどあるわけがないのだが
「まあなんとかなるでしょ」
「いやいやいや!なんとかならないって、今後の展開想像したらカミジョーさんとても不安なんですがーっ」
「いいから行くわよ」
「(さっきまで怒ってたのになんで急に機嫌よくなってんだ?)」
「なにしてんのよ、早く行くわよ」
「へいへい」
 最初は乗り気じゃなかった上条も、機嫌の良い美琴を見ているとどうでもよくなったらしく結局一緒に行くことに


 そして二人は戦場へ・・・

816特売デート?(前)3/3 ◆yCXoE.oqws:2010/01/07(木) 23:10:15 ID:okB9UcmI
とりあえずここまでです
誤字脱字あれば指摘お願いします
構成はできてるのでそのうち続き投下します

817■■■■:2010/01/07(木) 23:11:27 ID:4nBX/TB6
>>816超GJ

818■■■■:2010/01/07(木) 23:13:23 ID:QKjmaRp2
>>804
GJです!
>>816
こちらもGJです!
今隠したのなによの人ですね
続き期待してます

819■■■■:2010/01/07(木) 23:14:52 ID:4nBX/TB6
なんとなく作ってみた、理系の自分にはいいSS書けないのでこういう形で支援

ttp://iup.2ch-library.com/i/i0044244-1262873278.png

820■■■■:2010/01/07(木) 23:18:22 ID:PTtQhzjs
>>819
頑張れ、同じ理系の俺だって18禁もの書いてるんだから

821■■■■:2010/01/07(木) 23:20:52 ID:CwkY7vFg
>>819
理系の俺も稚拙ながら書いてたりしてるから大丈夫だ
昔の別所でのss見てると死にたくなるけどな

822■■■■:2010/01/07(木) 23:31:17 ID:g.CLPSf6
>>815
GJ!
どんな戦場(キリングフィールド)が待ち受けてるのかwktk

823■■■■:2010/01/07(木) 23:51:08 ID:y8umu0wY
>>815
ーーーフッ、まったく…最低のGJだ……

824Will. 1/6:2010/01/08(金) 00:09:45 ID:MgShjv.Q
>>766の続きを投下します。
「Will.」6レス消費予定です。



「さて」
 美琴はガラステーブルの向こうであぐらをかく上条を見る。
「さて?」
 上条はガラステーブルの向こうで正座する美琴を見る。
 二人の間には小さなバースデーケーキが置かれ、ろうそくが一六本用意されている。
 今日は美琴の誕生日。
『御坂の部屋で友達呼んでやればいいじゃねぇか』という主張を無視して、上条の部屋でささやかな誕生パーティが強行された。主賓一名来客一名という、とても小規模なパーティだ。しかも来客に至っては自室を提供しているので、むしろ『人身御供』の称号を贈った方がよいかもしれない。
 それはともかく。
「御坂美琴さん、一六歳のお誕生日おめでとう!」
「……自分で言うなよ」
 上条はぼそっとツッコむ。
「良いじゃない別に。アンタは祝ってくれないの?」
「はいはい、御坂美琴さんお誕生日おめでとうございます。ほら、ろうそく吹き消せ」
 上条はろうそくに火をつける。
 美琴は上条を一睨みすると、息を大きく吸い込みろうそくの炎を一気に吹き消した。
「おーすごいすごい」
 上条はパチパチと大仰に手を叩く。
「……私が一六になってもあいかわらず子供扱いすんのね」
「でもほらお前、ゲコ太も短パンも卒業したじゃないか。いやぁ大人になったなぁ」
「人をそう言うところで評価すんなっ!」
 美琴は電気をまとった握り拳を作る。上条はすかさずその手に自分の右手を重ねて電気を打ち消す。
「今日はお前の誕生日なんだから、そう言うのはなしなし。さて、ケーキ食おうぜケーキ」
 ナイフを取ろうとする上条の手を、美琴が制する。
「……確かアンタは私に話があるんじゃなかったっけ? プロムの時の話、まさか忘れたとは言わせないわよ?」
「話はあるしちゃんと覚えてるぞ。でもそれはケーキを食ってからな」
「先じゃダメなの?」
「お前がケーキを投げつけないって約束するなら先でも良いが」
「アンタの頭の中で私はどういう人間になってんのよ?」
 まぁまぁそれは置いといて、と上条は美琴をなだめつつ
「イライラしたときには甘いものを摂ると落ち着くって吹寄が言ってたぞ? それとも大豆イソフラボンの方が良いか?」
「別に私はイライラしてないってば! そもそも吹寄って誰!? ……まぁいいわ。それで?」
「とりあえずケーキ食え。話はそれからな」

825Will. 2/6:2010/01/08(金) 00:10:26 ID:MgShjv.Q
 上条はケーキを切り分けると、皿に乗せて美琴に渡す。
 美琴はそれを受け取ると、フォークでケーキをざくざく刺しながら口に運んだ。ケーキが誰の身代わりなのかはこの際考えないでおこう。ご愁傷様、と上条は小さく祈る。
「お前が指定した店で買ってきたけど、結構うまいなこれ」
「でしょ? うちのクラスでも評判なんだ、このお店」
「道理で女ばっかだと思ったぜ……。何の罰ゲームかと思ったじゃねぇか」
「罰ゲームって言えばアンタは三連敗してたわね。私が中二、中三の大覇星祭と中三の夏休みの時」
「……嫌なことを思い出させるなよ。そもそも五本指に普通の高校が勝てるわけないって知ったの去年の大覇星祭の後だぞ?」
「それでも勝負を挑んで負けるアンタが悪いんじゃない?」
 上条は美琴をちらりと見ると、手元に残ったケーキを一気に口の中に押し込んだ。
「そうやって負け犬の口をふさいだつもり?」
 美琴がクスッと笑い、上条のカップにおかわりの紅茶を注ぐ。
 上条は目を白黒させてケーキを何とか飲み込むと、紅茶を一口飲みこんで舌打ちをする。
「あーそうだ。誕生日プレゼントだけどな」
 上条は学ランのポケットから、金属でできた細い棒のような物を取り出し、美琴の掌に乗せた。それには小さな穴が空いていて、ご丁寧に赤いリボンがかけられている。
「これでいいか?」
「あれ? ……これって」
「お前欲しがってただろ? この部屋の合鍵。違ったか?」
「う、うん。そうだけど。……ありがとう」
 美琴は確かに、上条の部屋の合鍵をねだっていた。
 だがそれは上条と恋人同士になってこそ意味がある物で、二人の関係が出会ってからほとんど変わっていないこの状況で受け取るのはとても微妙に思えた。
「あんまりうれしくなさそうだな。別の物にすっか? 巨大ゲコ太のぬいぐるみとか」
 何だったら今から買いに行くかと腰を浮かせかける上条を引き留めて、
「う、ううん! そんなことない!」
 美琴は墓まで持って行くつもりの鉄壁の構えで、合鍵を両手に包み込む。
「えっと……話って、もしかしてこれのこと?」
「いや、それじゃない」
「じゃないなら、何?」
 美琴が? という表情を浮かべる。
 上条は真顔になると
「御坂。……俺とつきあってくれないか?」
「…………………………………はい?」
「結婚前提で」
「…………………………………………………はい??」
 思いもかけない一言に、美琴の目が点になる。

826Will. 3/6:2010/01/08(金) 00:11:08 ID:MgShjv.Q
「あの。今、何、て?」
「結婚を前提としてつきあってくれないかって言ったんだ」
 上条はまじめくさった顔を崩さない。
「――ははは、すでに脈なしだったか。うわー自爆したぞ俺」
 上条はその場に大の字で寝転がる。ちょーかっこ悪りぃと独りごちて
「……悪りぃ悪りぃ。今の話は忘れろ、うん」
 バネのように起き上がり、まだ熱い紅茶をぐびぐびと飲む。
「…………アンタねぇ」
「ん? ってちょ! 何でお前ビリビリしてんだよ! っつか久しぶりだなそれ!」
 美琴の額に、まるで細い糸のように青白い火花が揺らめく。
「そう言う大事な話をさらっと出すなっ! こっちにだって心の準備ってモンがあるんだから! しかも忘れろですって? ……冗談じゃないわよ!!」
「待て! 良いから落ち着け! せめて電撃はしまえ!」
 上条が座ったまま後ずさる。
 美琴が立ち上がり、上条に詰め寄る。
「大体ねぇ、今まで私がさんざんさんざんアタックしたのにスルーしてきたのはどこの誰? クリスマスも! アンタの誕生日も! 夏休みも! 大覇星祭も一端覧祭もバレンタインデーの時まで全部全部スルーしてきたじゃない!! プロムの時だって崖から飛び降りる思いでアンタのことステディって紹介したのに! おかげさまで美琴さんはすっかりスルー耐性がついたわよっ!!」
「いやお前スルー耐性ついてないだろそれ! そもそもバレンタインデーの時は力一杯『義理だ』って言ってチョコ寄こしただろうが!!」
「今更そんな話するなんて! ……、ずるいじゃない……」
 美琴は振り上げた拳を下げ、ぺたんと上条の対面に座り込む。

827Will. 4/6:2010/01/08(金) 00:12:02 ID:MgShjv.Q
「あー、えっとだな。何というかそれは……ゴメン」
「何で謝るのよ?」
「確信はなかったんだけどな。……えーと、お前の気持ち」
「……いつ頃私の気持ちに気づいたわけ?」
「お前が中二のクリスマスの時、かな」
「……、そんな前からわかってたってのにアンタって奴は……」
 美琴が目を伏せギリッ、と歯ぎしりする。
「あの頃はお前中学生だったからな」
 上条は苦笑いを浮かべる。
「それが何か関係あんの?」
「中学生に手を出すのはまずいと思ったんだよ。お前の受験もあったしな。言っただろ? 今年が来るのを待ってたって」
「……一つ聞くけど。アンタはいつ頃から私のことをそう思うようになったの?」
「お前のことを意識したのはお前が中二のクリスマスの時」
「!?」
「お前が気づかなかったんなら上条さんのステキ演技力の勝利だな。はっはっは」
「……そ・ん・な、ところで無駄に勝ち誇るなこのド馬鹿!」
 美琴の大音声に、上条がとっさに耳をふさぐ。
「痛ぅ…………耳元で大声出すなよ! 鼓膜破れんだろが!!」
「アンタは……、この二年間私がどんな気持ちでいたかわかってんの? 人の思いを二年間もほったらかしにして……」
 美琴の声が詰まった
 勝ち気な瞳から拭っても拭ってもぽろぽろと大粒の涙がこぼれ落ちていく。
 そういやコイツが泣いたのいつ以来だっけ?
 上条は美琴の頭をあーよしよしと撫でると
「この二年でお前にいい男ができるかと思ってたんだけどな」
「できなかったわよ。――作らなかったわよ! 私はとっくにこの人って決めてたんだから! アンタ私がこの二年で何人の男に告白されたか知ってんの?」
 美琴が再び噴火した。両の拳を小さく握りしめて上条の胸をポカポカと叩く。
「痛てててて! 五人、いやえーと海原入れて六人? あれは俺も焦った。断りたいから彼氏のふりしてくれって言われて、そのたびにお前ともめたっけ」
「人をさんざん待たせておいてよくもしれっと言えたわね……」
「お前が俺に待たされたと思ってるなら、まだ脈はあるってことか?」
 上条が水を向ける。
「……、さぁ、どうかしら」
 美琴はぷいと横を向く。

828Will. 5/6:2010/01/08(金) 00:12:57 ID:MgShjv.Q
「――待たされた分の言い訳を聞かせてもらおうじゃない」
「そうだな。……お前は本当の俺を『知ってる』。意味はわかるよな?」
「……うん。アンタの記憶喪失のことよね」
「今までいろんなことがあった。妹達の件もそうだけど、世界のあっちこっちに引きずり出されて、いろんな人に会った。何度も死にそうな目にあった。その中で『俺の代わりに戦う』って言ってくれたのは後にも先にもお前だけだ。記憶のことを抜きにしてもな」
「……うん」
「お前はちっとばっかがさつだけど、頭も器量も良くて俺のことをわかっていて嘘を吐かずにつきあえる。客観的に見てもこんないい女はそうそういないんじゃないか?」
「うん……え?」
「だからそのいい女が育つまで待ってたんだよ。もしもお前が一六歳になって、その時お前の隣に誰もいなかったら青田買いしようと思ってさ。……これでいいか?」
「あ、あああアンタねぇ……」
 上条が美琴の顔をのぞき込むと、美琴はこれ以上ないくらいに顔を真っ赤にしていた。
 耳を寄せると青田買いって、と何やらぶつぶつ言っているのが聞こえる。
「んで御坂? 返事を聞きたいんだが……?」
「……、そ、そんな、その程度の言い訳で私が許すと思う? 今の今まで利子つけないで待ってたんだから返事が欲しけりゃ私が喜ぶような台詞の一つでも言ってみなさいよ!」
 ……罰ゲームの時にも思ったけどそれってやっぱり利子あるじゃん。
 でも言うだけ言ってみようと上条は思った。
 言うだけならタダだ。
「――なぁ御坂、俺と一緒に地獄の底までついて来てくれるか?」
「良いわよ、アンタと一緒なら。……と言いたいところだけどお断りね」
「…………え?」
「私ならアンタを地獄の底から引きずり上げてやるわ」
 美琴が上条の手をつかみ、まだ涙の跡が残る頬でニコッと笑う。
 もう思い出すこともできない、とても懐かしい言葉に上条は笑みを浮かべて
「ははは、御坂ならそう言うと思った」
「むー、何よそれ」
「ま、そういうことでこれからもよろしくな、御坂」
 上条は美琴の手を握り返す。
 美琴はその手を離すと、頭からストンと倒れ込むように上条の胸元に落ちて、
「――つかまえた」
 両腕を上条の胴に回し、ぎゅっと抱きついた。
「やっとつかまえた……私の勝利条件。追いかけて、追いかけて、ずっと追いかけて、つかまえた。もう絶対離さないんだから。アンタが嫌だって言っても離さないから」
 何度やってもホールドは肩がこる。
 ダンスの特訓で、パートナーの姿勢を保持するため右手で肩胛骨のあたりを支える『ホールド』を教わったとき、『大木を抱きかかえるように』とアドバイスされた。
 自分より細い女の子を、まるで大木相手のように腕に隙間を空けて支えるのだから肩がこってしょうがない。けれど今は、ダンスパーティの時ではない。
 上条は右手を美琴の背中にぴったりと回した。
「このプレゼントが一番嬉しい」
「んじゃ鍵返せ」
「い・や。こっちも嬉しいけどもちろん鍵は返さないわよ」
 どっかで聞いたことのある話だなおい、と上条は記憶を辿る。

829Will. 6/6:2010/01/08(金) 00:14:00 ID:MgShjv.Q
 美琴はふぅ、と小さくため息を吐くと
「……予定を前倒ししなきゃね」
「予定?」
 はて、何か約束あったっけ? と上条が首をひねる。
「花嫁修業の予定よ。……アンタにその気がないなら、いっそこのまま押しかけ女房になってやろうと思ってたんだけど。まさか、その……結婚前提まで言われるなんて思ってなかったから、ね」
「いやお前は今でも十分押しかけ女房っていえ御坂さんの家事スキルには日々助けられておりますご飯とか超おいしいですよって馬鹿よせビリビリすんなお前は高校入学時に電撃をめったやたらに使うの止めて大人の女性の階段を一歩登ったはずでは!?」
「アンタのために特別に封印解いてあげたほうが良さそうね?」
「俺のためってそもそも俺にしか雷撃落としてねぇだろが!」
 上条は美琴の両手首に組み付き、必死に電撃を避ける。
 美琴がそれを振りほどこうとし、二人はジタバタとその場で取っ組み合いを始めた。
「……御坂、今日はお前の誕生日なんだからこう言うのは止めよう」
「……そうね。こんな事で体力消耗すんのも馬鹿らしいわ」
 お互いが肩で息を吐き、即時休戦協定が結ばれた。
「あー御坂。ちょっと手を出せ、手」
「はい? 手?」
 美琴は右手を上条の前に差し出す。
「いや、そうじゃなくて左手の方」
「左?」
 言っとくけど私の電撃に左右は関係ないわよいざとなればと美琴がわめくのを聞き流し、上条は美琴の左手を取る。
 次に上条はポケットから小さな箱を取り出し、中から銀色の指輪を引き抜くと美琴の薬指にはめた。
「ほれ」
「……………………!」
「安物のおもちゃだけどな。ちゃんとした奴はもう少し先まで待っててくれ」
「や、あ、あの、えっと、これは、つまり……アンタいったいどうしちゃったの?」
 美琴はあたふたと身振り手振りで何かを伝えようとするが、意味をなさない。
「どうしたのって、俺はちゃんと『結婚前提』でつきあいを申し込んだんだぞ? もう忘れたのか?」
 美琴は自分の左手を凝視して、
「忘れてないけどこれって、ねぇこれって……?」
「だから婚約指輪のつもりなんだが、気に入らなかったか?」
「……、こんなのアンタのキャラじゃないわよ、まったく」
 美琴は指輪を見つめ、嬉しいと小さく呟く。
「そこは俺のステキ演技力の賜物だな。これで嘘のステディが本物になったわけだ」
「じゃあ私はこの二年間アンタにだまされてたってわけね。……ねぇ、どうして私の指輪のサイズを知ってるの?」
「ああそれなら、御坂妹に協力してもらった」
 ビキィ!! と美琴のこめかみから変な音が聞こえる。
「ほらお前達遺伝子レベルで同じだから成長しても……って、あれ? 何で急に機嫌が悪くなってんの?」
 次にブチリ!! という小さな音が聞こえた、ような気がした。
 美琴の堪忍袋の緒が切れた音だった。
「アーンーターはー……。やっぱり二年経っても全然変わってないのがよくわかったわよ! 今すぐ表に出ろ! その性根を叩き直してやるわ!! 私のこの胸のときめきを返せえっ!!」
「何で? 何で?? 俺の何が悪かったの? これじゃ今までと何にも変わらないってあーもー、不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁっ!」


お邪魔いたしました。

830■■■■:2010/01/08(金) 00:21:51 ID:78/cwxzs
乙です
ニヤニヤしながら音読しときました

831■■■■:2010/01/08(金) 00:22:17 ID:Ts79SMKM
これは素晴らしいハッピーエンド

832■■■■:2010/01/08(金) 00:22:53 ID:6iYUYpew
GJ
お幸せに

833■■■■:2010/01/08(金) 00:41:34 ID:Gy.1SeKs
>>829
GJすぎる!
おれはこれを待っていた!!

834■■■■:2010/01/08(金) 01:07:58 ID:qdMZMKIk
>>829
GJ
上条さんのプロポーズ(?)に撃沈しました
猫に「何こいつ?」という目で、見られてしまいました

835■■■■:2010/01/08(金) 03:14:24 ID:Y2QeTdSQ
ちょっと遅かったけど

>>829激しくGJ!!!

836■■■■:2010/01/08(金) 04:08:29 ID:F6NmRZj.
>>829
GJすぎて全俺が泣いた

837■■■■:2010/01/08(金) 05:45:26 ID:VpsZ4Yvc

いま日本の最高権力者は薩長連合(鹿児島県、山口県)の田舎者侍です。いまだに日本は武家社会です。

・坂本龍馬は日本をいまも破壊しているテロリスト薩長連合の工作員だっただけの者です。
・織田信長の時代から戊辰戦争まで、鉄砲隊のガンパウダーはガンパウダー1樽につき、
日本人の若い娘50人を海外に売ることで調達していました。
・自殺者3万人(実際は8万とも)は薩長連合が原因です。
・明治維新テロは薩長連合が海外の貴族やユダヤから金を借り(年利18%)て起こした国家転覆テロ。
・総理大臣、大蔵大臣、外務大臣や公安、警察、自衛隊の歴代トップは鹿児島県、山口県、
高知県、佐賀県、 長崎県出身者ばかりです。 公務員は薩長連合の使用人です。
公務員は国民を支配する道具。国策捜査は薩長連合やアメリカのための捜査です。
・日本経団連の企業は明治以前からの支配階級の関係者が興したものばかり。
・アメリカを代表する洗脳の専門家アーネスト・ヒルガードは戦後来日して
「戦後日本の教育の非軍事化」のために働き、スタンフォード大学からその功績を讃えられます。
鳩山由紀夫もスタンフォード大学卒業です。洗脳はいまも続いています。
・薩長連合は株式会社ゆうちょ銀行の郵便貯金を海外の貴族やユダヤに差し出そうとしている。
・アメリカ財務省証券購入で日本人は毎年アメリカに30兆円以上差し出している。
・日本人が貯蓄した金が海外にいき、信用創造で1000倍になりそれで日本の土地が買われる。
日本は破産し、IMF管理下でも 薩長連合は安泰で国民はIMFに感謝するように洗脳される。
(参考:洗脳支配  苫米地英人  株式会社ビジネス社)
日本の政治家には朝鮮人の疑いのある人たちがいます。安★部、小★泉、菅★、小★沢。
2ちゃんねるはトウ一きょう会が運営してIP集めや、自作自演して洗脳工作する場です。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/news/2092/1194947143/
薩長連合は戦争やシベリア抑留で日本人の抵抗勢力を殺したのか。戦争は自国民を殺すためにも使われる。
薩長連合のために警察がインターネット規制をする。東京では今年の春から匿名でネットカフェから情報を発信できなくなる。
情報遮断、ネット情報遮断、ネット検閲は戦後の洗脳と同じやり口。薩長連合は日本人ではない。w
ttp://blog.goo.ne.jp/hienkouhou/e/7839377a3613e3d90e1198535ea65ced

838■■■■:2010/01/08(金) 07:41:28 ID:ky2nvQrA
>>829
GJです。
合鍵にはゲコ太キーホルダーですね。
しかし、上条さん合鍵渡してから告白とかスゲーなw
そして、相変わらずの空気読まなさでこれからも美琴をヤキモキさせそうで安心した。w

そういや、美琴の誕生日っていつなんだろ?

839 ◆Oamxnad08k:2010/01/08(金) 18:35:46 ID:noNbTlv6
GJです。 2年後インデックスはどうなるんだろうw

今頃だけどいちゃいちゃ系を書くのって難しいんだね(´・ω・`)

840■■■■:2010/01/08(金) 19:09:56 ID:4gPW982Y
俺は上条さんと美琴がやり取りしてるだけでニヤニヤするけどな

841■■■■:2010/01/08(金) 19:22:53 ID:QOT5esYM
シリアル混じってもよかとですか?

842■■■■:2010/01/08(金) 19:58:02 ID:fKl/szTg
おk

843■■■■:2010/01/08(金) 20:52:53 ID:eOU7erF6
GJ
美琴は成長してもお子様センスでいて欲しいなっと

844■■■■:2010/01/08(金) 22:39:38 ID:r0XOeNkI
ばっかお前、数年後誕生するわが子にゲコ太グッズ装備させまくるに決まってるだろ?

845ネタ1/2:2010/01/08(金) 22:45:29 ID:i2PDMscQ
もしも16巻のあのシーンがこんな内容だったらってことで
ただの俺得妄想ですが書かせていただきます。

第二二学区で思わぬ足止めをくっていた美琴。
とりあえず、近くのホテルでも入ろうとしたところ、見覚えのある人影を発見する
上条当麻だ。
しかし、いつもの彼ではない。
服装は手術衣、包帯と電極を付けられた姿
どこに向かうのか、おぼつかない足取りで歩いている
彼を知らない者がそれをみれば、不気味に感じるだろう
美琴自身も上条を見て、動揺を隠しきれない
また例の記憶喪失について関係があるのだろうか?
気がつけば上条のもとへ走っていた。
「ちょっとアンタ、その怪我どうしたのよ…」
腕をつかまれてやっと気づいたのか、上条が美琴に振り返る。
「…、みさ、か…?」
「どうしたって言ってんのよ。 何に巻き込まれたかわかんないけど、
 これから戦いに行くつもりだってくらいわかるわ…」
美琴の言葉は耳に入っているが、上条は答えずに歩き始める
「ちょっと待ちなさいってば!」
「行かなきゃ…なんねぇんだ…」
そこにあるのは上条の信念だろうか
体はふらふらなのに美琴の知らない『誰か』を助けるために心には一本の芯があるようだ

「…なんでよ」
「…?」
「なんで…こんなになるまで…なんで…」
告げるべきか、美琴は考えた
彼が隠しておきたいことを自分は知ってしまったことを。

「わかってんのよ…」
心の中で彼に詫びつつ、美琴は告げる。
「アンタが記憶喪失だってことは…」

「ッ!!」

846ネタ2/2:2010/01/08(金) 22:48:05 ID:i2PDMscQ
上条のまぶたがピクリと動き、体は硬直する。
「そう…か…ばれち、まった、…のか…」
俯けた顔をさらに下げる美琴。
彼のあんな顔はみたくないのだろうか。
「「…」」
2人分の沈黙。そして上条は歩き出す。
「…つっ!」
「駄目よ!安静にしなきゃ…」
「でも、いかなきゃ…皆、が…俺のために闘って…」
「今のアンタが行ってどうなるって言うのよ!
 下手すりゃ足手まといどころか死ぬかもしれないじゃない!」
「…」
「覚えてる?確か夏休みの終わりの日よ。
 アンタは、海原に入れ替わった奴と、約束したわよね…
 私と…私の周りの世界を守るって…」
「…」
「私にとっては…アンタも『私の世界』の1部なのよ!?
 アンタが死んだら、誰があの約束を守るの?
 アンタが死んだら…!あの約束は破られんのよっ!
 アンタが死んだら……私は…」
美琴はほとんど泣いていた。

「御坂…」
彼は語った。己の信念を。
彼は示した。己の決意を。


(あそこまで言われて…)
止められるわけが無かった
暗闇に消えていく姿
「…必ず帰ってきてよね…」
「帰ってこないと、…」

彼女の中で膨らむ一つの感情
それは今まで彼女が否定してきた感情だった


なんか駄文ですんません
ほとんど勢いで書いたので、見栄えは悪いかと
一応続き考えてるんだけど…
需要があるなら書こうと思ってます

847■■■■:2010/01/08(金) 22:48:59 ID:MgShjv.Q
>>846
wktk

848■■■■:2010/01/08(金) 22:50:22 ID:i2PDMscQ
はやっ!
続き考えてはいますが、
まだ書き溜めておりません
今日は無理かな…
スミマセン

849■■■■:2010/01/08(金) 23:15:54 ID:nwlIczV2
>>516-848

850■■■■:2010/01/08(金) 23:22:53 ID:i2PDMscQ
>>849
??
どういうことでせう
俺の理解力が低いのだろうか

851■■■■:2010/01/08(金) 23:25:42 ID:eOU7erF6
>>846
GJ
需要なんて細かいことは気にしないでど〜んと行っちゃいましょう!

…はい、ど〜ん

852■■■■:2010/01/08(金) 23:31:11 ID:i2PDMscQ
>>851
どー…zzz
明日の夕方には…

853■■■■:2010/01/08(金) 23:31:13 ID:noNbTlv6
あとどのくらいでスレ落ちるのかな?

あとGJです

854■■■■:2010/01/08(金) 23:56:26 ID:CtVKBvsw
>>853
1000件書き込まれるまで落ちない
それがしたらば
埋もれまくって探しにくいってことはあるかもだが

855■■■■:2010/01/09(土) 00:02:29 ID:z42KHt.A
そうだった2chと仕様違ったな
さて今日のテスト終わらせて投稿するか…

856■■■■:2010/01/09(土) 03:20:52 ID:6rgOLlkg
清々しいほど下げないやつ多いんだな

857■■■■:2010/01/09(土) 03:25:51 ID:NufU8JLc
禁書板で上げようが下げようが変わらないだろう
業者レスうざいから下げるに越した事ないけど

858twenty_five 1/11:2010/01/09(土) 12:56:01 ID:u5ZimSMc
>>855氏が投稿される前に、長文ですが投下しておきます。
「twenty_five」11レス消費予定です。


(??.??_AM08:00)
「ふあぁぁぁぁ……よく寝たなぁ……」
 上条当麻は久々に訪れた熟睡感と共に起床した。
 ゆっくりと起き上がり、んーと両手両足を伸ばす。
「……あれ?」
 ――なんだかやけに寝床が温かい。しかもユニットバスの中なのに手足を伸ばせる。
 上条は目をこすって辺りを見回した。
 見上げた天井はユニットバスのそれではなく、隣にはYシャツ一枚の御坂美琴が
「………いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?」
 上条は全力で壁際まで飛び退る。
「ちょ、おま、おま、おま、おま…………」
 上条はごしごしと何度も目をこするが幻覚は消えない。それどころかうぅんなどと可愛いらしい寝息が聞こえる。
 上条はもう一度目をこすった。
 ……夢じゃない。
 そこには、Yシャツ一枚だけをまとった美琴が寝ていた。
(な、何が起こった!? ひょっとしてあれか、もしかして俺は欲求不満のあまり常盤台の寮に強襲をかけちまったのか? まさか俺は中学生に手を出し…………!)
「……う、……ん……、ふあぁ、もう朝か……」
 隣で寝ていた美琴が起き上がる。
「あ、もう起きちゃったんだ。起こしてあげようと思ったのに」
「……え?」
 はだけた胸元からチラリと何かが見えたような気して、上条はズバアッ!! と全力で首ごと視線をそらす。美琴は? と言う顔をするとニコッと笑って
「おはようと・う・ま」
 ふにゅっと何かが上条の頬に触れた。
「! な、な、な、な…………?」
「どしたのアンタ? まだ寝ぼけてるの?」
「ね、ね、寝ぼけてるのはお前だろビリビリ!? い、いいい今何しやがった!」
「何って……」
 美琴は隣で女の子座りのまま頬をぽっと赤らめる。
「……おはようのキスじゃない。もう、当麻ったら」
「……が、ぁ、ぇ、ぃ?」
 上条は勢い余って立ち上がりベッドから転げ落ちると頭をしたたかに打った。
「い、痛い……この痛みは……」
 夢ではなく、質量を持った現実の物体として。
 ――ベッドの上で上条のYシャツを羽織った美琴がまだ眠そうに微笑んでいた。

859twenty_five 2/11:2010/01/09(土) 12:56:45 ID:u5ZimSMc
(May.25_AM08:40)
「いっただっきまーす」
「……いただきます」
 上条はガラステーブルを挟んで美琴と朝食を摂っていた。
 何で美琴が同じベッドに寝てるんだとかどうしてインデックスの歯ブラシがなくなって代わりにゲコ太歯ブラシが並んでるんだとかそもそもインデックスはどこへ行ったんだとかそう言う疑問は味噌汁と共にまとめて飲み込んだ。
 今日は三月二五日。
 上条が知っている日付から丸三ヶ月が経過していた。
「……味、どう?」
 テーブルの向こうから、おずおずといった調子の声がかかる。
「……うまい」
 上条は焼き魚にかじりつく。
 おかしい。なんだろう、この新婚夫婦みたいな会話は。
 そもそも美琴がまるでいつものことのように上条の部屋の台所に立って朝食を作ってるところからしてもうおかしい。
「よかった」
 美琴がほっと息を吐く。
「ところでさ」
「?」
「その……何でお前ここにいんの?」
「はい?」
「いやだから、何でお前が俺の部屋にいんのかなぁって」
「……当麻、頭でも打った?」
 美琴は頭上に?マークを浮かべる。
「私夕べからここにいるじゃない。当麻が駅まで迎えに来てくれて」
「……え?」
「え? じゃないわよ。帰省の予定を繰り上げて彼女が帰ってきたってのに、一夜明けたらその態度はないんじゃない?」
「……、え?」
 上条はますます訳がわからなくなった。
 彼女? 彼女って誰?
「……いや、えっと」
 上条は残りの味噌汁をずるずると飲み込んで
「…………あー、そうだったそうだった。悪りぃ悪りぃ」
 とりあえず話を合わせることにした。
(……御坂の様子がおかしい。しかも時間がずれてやがる。まさか、もしかしてこれ大規模魔術がらみなんじゃねぇか? インデックスもいないし。けど御坂を御坂として認識できるって事は二度目の御使堕しじゃなさそうだが)
 昨夜はインデックスと二人で隣の土御門からもらった大量のチキンを食べた。何でも舞夏がクリスマス用に作ったが『出来が気に入らない。油の温度があと三度足りない』ということでお裾分けしてもらった物だが、どこの出来が気に入らないのかわからないほどジューシーなチキンだった。
 ついつい調子に乗ってシャンメリーも三本空けた。クラッカーもバンバン鳴らして二人でどんちゃん騒ぎをした。それで目が冷めたら常盤台中学のお嬢様が隣にYシャツ一枚で寝てるってどんなクリスマスプレゼントだ、と上条は考える。しかも彼女とか言ってるし。
「――彼女? 夕べ?」
 上条は自分の予想が恐ろしくなって向かいの美琴に声をかける。
「あの、御坂さん? 俺達夕べっていったい何があったんでしょうか?」
「……………………当麻のケダモノ」
 美琴の顔が見る間に赤く染まっていく。
(何これ? 何コレ?? 何のドッキリだコンチクショー!! それとも俺はまさか中学生に手を出したすごい人デビュー??)
「……、う、う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
 上条は茶碗を放り出し、その場でヘッドドラムを始めた。
 これが悪い夢であって欲しいと願いながら。

860twenty_five 2/11:2010/01/09(土) 12:57:42 ID:u5ZimSMc
(May.25_AM09:05)
 美琴が食器を洗うために立ち上がったのを見計らい、上条は隣の土御門に電話をかけた。
 この状況が魔術がらみなら奴に聞くのが一番早い。
 五コールで土御門は電話に出た。
「……にゃー。カミやん朝っぱらから何の用かにゃー。ついでに言えば夕べはお楽しみだったみたいで音がこっちまで筒抜けだにゃー。おかげさまで舞夏がエキサイト」
 上条は戯言しか吐き出さない電話を無言で切った。
 そして、肩越しに様子をうかがう。
 美琴は鼻歌交じりで台所に立っていた。
(そうだ。もし魔術で御坂が操られているのなら、俺の幻想殺しで触れれば術式を破壊できる)
 かつてクラスメートの吹寄がオリアナ=トムソンの速記原典に触れて体調を著しく崩した時のように。
 アニェーゼ=サンクティスが刻限のロザリオのために氷の球体にすがりついていた時のように。
 上条はおもむろに立ち上がり、美琴の背後に立つとその背中に右手で触れた。
「ん? どうしたの? ……ま、まさかアンタ朝からこんなところで……? で、でもアンタがそうしたいって言うなら私は、その……」
「………………」
 上条はその場に崩れ落ちた。
 美琴がおかしいのはどうやら魔術のせいではないらしい。
「と、とりあえずTVでも見ますかね……はは、はははは」
 涙に濡れて部屋に戻るとリモコンを操作し、チャンネルをニュースに合わせる。時刻は午前九時〇五分、日付は三月二五日を表示していた。
(土御門はいつも通りだし、御坂に術式がかけられてるわけでもない。ニュースで流れている内容も普通で情報統制されてるわけじゃない。……と言うことは俺がまた記憶喪失になってるのか?)
 当時の状況は知らないが、上条は七月の終わりに記憶を失っている。
 一度あることは二度あるのかもしれないと、周囲を見回す。
 もしそうなら、何かこの部屋に手がかりが残っているかもしれない。
 ……あった。
 TVの横に置いた小さな写真立ての中に、Vサイン&カメラ目線で上条と美琴が並んで写っている写真ががあった。しかも二人はべったりとくっついてまるでバカップルのように
「ぐ、ぐ、ぐおおおぉぉぉぉぉぉっ……。な、何ですかこの写真は……」
「ねぇアンタ。どっか具合でも悪いの?」
 奇妙なうめき声を上げて写真立てを握りしめる上条に気がついて、美琴が声をかける。美琴は上条の隣にしゃがみ込むと、上条の額に手を添えた。
「熱はないみたいね」
「なぁ御坂」
「……、当麻? さっきから私のこと御坂御坂って呼んでるけど、ホントにどうしたの? 昔を懐かしんでるの?」
「……へ?」
「まぁ昔って言ってもその……まだ三ヶ月しか経ってないけどね」
 美琴はもじもじと自分の指を絡め合わせている。
「はは、はははは、ははははははは…………」
 上条は半開きの口で乾いた笑いを刻み始めた。

861twenty_five 4/11:2010/01/09(土) 12:58:42 ID:u5ZimSMc
#スマン上のは2/11じゃなく3/11だった。

(May.25_AM10:03)
「だからね、そこはこっちの式を持ってきて先にAの値を出すの。それから……」
 上条は美琴に春休みの課題を手伝ってもらっていた。しかし、この春休みの課題なるプリントの束も上条は見覚えがない。
 窓の外から、うららかな春の陽気が部屋に降り注ぐ。上条はその風景を見つめながら
(夕べはホワイトクリスマスだったってのに、いったい何がどうなってるんだ)
「こーら、よそ見しないの」
 丸めた教科書で美琴に頭をはたかれた。
「まったく。電話で『課題が終わらないー』って泣きついて来たのはどこの誰?」
「えーっと……」
 上条はそんなことを頼んだ覚えはない。大体いつだって頼んでもいないのに美琴が『じゃあ手伝ってあげてもいいわよ』と押しかけてくるのだから。
「午前中には課題を終わらせて、午後からデートって言ったでしょ。あと二時間で終わらせるわよ?」
「…………はい」
 上条は半泣きでシャープペンシルを握りしめる。ここで上条は違和感の正体に気がついた。
「……、なぁ、そういやお前制服はどうしたんだ?」
「制服?」
「いやほら、常盤台中学って確か休日も制服着用が規則じゃなかったっけ?」
「……昨日の話忘れちゃったの?」
 上条が顔を上げると美琴があきれ顔で見つめていた。
「私は帰省の予定を繰り上げて戻って来てるから、ぎりぎりまでここに泊まるわよって。寮にいないことになってるんだから制服なんか着るわけないじゃない」
 目の前の美琴は淡いピンクのタイトワンピースに白のニーソックス、そしてお嬢様っぽくカーディガンを羽織っている。
「はぁ、覚えてなくても無理ないか。この部屋に入った瞬間アンタ私に襲いかかってきたもんね。……当麻のえっち」
「へ?」
 ――オソイカカッテキタッテナンデスカ。エッチッテドウイウイミデスカ。
「……うわあああああっ!? わ、わたくしめは全く身に覚えがありませんがあなた様に何やら不埒な行いをしたと言うことですかっ!? こ、この責任は万死を持って償わせていただきますのでどうか平に平にご容赦をっ!」
 上条は条件反射で美しい土下座を決める。
「……せっ、責任の話は後で良いから、とりあえず課題進めなさいよ課題を」
 美琴は赤い頬のまま、手元の教科書を丸めて上条の頭を軽くはたいた。

862twenty_five 5/11:2010/01/09(土) 12:59:23 ID:u5ZimSMc
(May.25_PM12:21)
(何がいけなかったんだろうなぁ。三本で五〇〇円のシャンメリーか? それとも大量に食い過ぎたチキンの見せる幻覚なのかこれは)
 上条は自分の右腕にぶら下がる美琴を見ながら思う。
 断片的に集まった情報から、今が春休みの三月二五日であること、美琴が三ヶ月前から自分の彼女であること、そして現状は魔術とは関係ないらしいということがわかった。逆に言えばそれだけしかわからないのだが
(何が信じられないって、俺がビリビリとつきあってるってのが一番信じられねーよ)
 隣にいる美琴は終始ご機嫌で、時折上条の腕をぎゅっと抱きしめている。その姿はこめかみに青筋立てて雷撃を放つ『あの』少女と同一人物とはとても思えない。
 その美琴は上条の青いスタジアムジャンパーをカーディガンの上から羽織っている。そんなにぶかぶかなのに良いのか、ピンクのワンピースとじゃコーディネートがおかしいんじゃないのかと聞いたところ『これが良いの』と言い返されて言葉に詰まったのを思い出す。
「みさ……美琴、デートって言ってたけどこんなんで楽しいのか?」
「当麻と出かけられるなら、私はどこだって良いわ」
 出かける前に、美琴からさんざん『ちゃんと美琴って呼んでよ』と言われて口調を改めたが、それでも違和感は残る。
 ――当麻。
 美琴は上条のことを親しげに『当麻』と呼んでいる。もう何かの聞き間違いであって欲しいと思うが、上条の鼓膜は正確に音声を捉えている。
「お姉様? こちらにお戻りになってましたの?」
 そう、白井黒子の声をしっかりと
「……しっ、白井? これはあのその、違うんだ! 誤解しないでくれこれは」
「あ、うん。黒子ただいま。寮に事前提出したとおり二九日までは戻らないから、寮監には黙ってて」
 上条の慌てふためきを無視して、美琴は上条と腕を組んだまま『お願い』のポーズを作っている。
「わかりましたの。お姉様はデート中ですの?」
「うん。そう言う黒子はパトロール中?」
「ええ、そんなところですの。たまたまお姉様の姿をお見かけしたので追いかけましたの」
「……あれ?」
 上条は激しい違和感を覚えた。
 上条の知る黒子はちょっと変態な美琴LOVEの少女である。
 以前たまたま美琴と一緒にいたところを黒子に見られて、たったそれだけの事で金属矢でブチ抜かれそうになった。腕なんぞ組んでたら空間移動ドロップキック一〇〇連発が飛んできてもおかしくない。
「カミジョーさん? 以前も申し上げましたけれどお姉様を泣かせたりしたらタダでは済みませんからそのおつもりで。まったく、お姉様があなたを選んだからわたくしが寛大にも目をつぶっていることを肝に銘じて欲しいですの」
 黒子は蛇のように上条を睨むが、それ以上のことはしてこなかった。
「は、は……はいぃ」
 一方、蛙の上条は頬を引きつらせながらカクカクと頷く。
「それではお姉様ごきげんよう。週末に寮でお会いしましょう」
 黒子はスカートの裾をつまんで軽く一礼すると、瞬く間に姿を消した。
「なぁ……白井って俺達のこと知ってんの?」
 美琴は上条を見上げるとはぁ、とため息を吐いた。
「何言ってんのよ。クリスマスの夜に無断外泊したんだから、同室のあの子が真っ先に気づくに決まってんじゃない」
 上条は誰がどこに無断外泊したのか問いただす気にはなれなかった。

863twenty_five 6/11:2010/01/09(土) 13:00:04 ID:u5ZimSMc
(May.25_PM12:30)
「あ」
 美琴が突然足を止めた。
「ん? 何だ」
 美琴はショーウィンドウの一点をじっと見つめている。視線の先には、ゲコ太のプリントが施された眼鏡ケースがあった。
「……見ていくか?」
 どうしようかと逡巡している美琴が気の毒に思えて、上条は声をかける。
「……良いの?」
「特にどこへ行くって決めてないしさ。良いも悪いもないだろ」
「……ありがと!」
 花が咲いたように、美琴が満面の笑みを浮かべる。
「い、いやこれくらいで礼なんか言うなよ。ほら行こうぜ」
 なんだか照れくさい。
 上条は頭をポリポリとかくと美琴を伴って店内に入った。


(May.25_PM13:08)
(気まずい)
 上条は美琴と目が合う。
 美琴がそれを見てニコッと笑う。
 上条はそれに引きつった笑いを返す。
 こんな事を先ほど入った眼鏡店からずっと繰り返している。
(すっげー気まずい)
「当麻、あーんして」
 対面に座る美琴がフライドポテトをつまんで上条に差し出す。
「……えええええ? おま、それはちょっとここでは」
 上条はわたわたと掌を振る。
 昼食に選んだのはオープンカフェスタイルのハンバーガーショップ。上条には目の前を通る全ての人々が自分たちを注目しているように思えた。
「食べないの? いつもは当麻がやれって言うくせに」
「ちょっと待てやこのビリビリ中学生! 俺が何月何日何時何分そんなことを言ったってんだよええっ!?」
 ガタン! と上条が席を立つ。美琴は動ぜず
「ビリビリ中学生、か。それも懐かしいわね」
 つまんだポテトをタクトのように軽く振ると、薄く笑って上条に座るよう促す。
「あれ? お前怒んねーの?」
「何が? ああ、ビリビリ中学生の事? ……アンタの言うとおり、前は確かにアンタに雷撃の槍をバンバンぶつけてたからアンタにそう言われても仕方ないもん。あの頃は私、素直じゃなかったからなぁ」
 美琴は肘をついて遠い目をする。
 視線を戻して
「……何? 電撃ぶつけて欲しいの?」
「いえ滅相もございませんそのようなことは決して」
「? 変な当麻。ふふっ」
 美琴は上条の前にポテトをつまんで差し出す。
 上条は苦渋の決断と共に、ポテトにかじりついた。

864twenty_five 7/11:2010/01/09(土) 13:01:22 ID:u5ZimSMc
(May.25_PM15:47)
 上条当麻は右手に御坂美琴、左手に買い物カゴをぶら下げてスーパーの中を歩いていた。
「お夕飯何がいい?」
「あ、ああ……お前が作ってくれるなら何だって良いぞ」
 会話だけ聞くならバカップルのできあがりである。
 上条は豆腐のショーケースに視線を向けながら思考を巡らせる。
(今日一日街を回ってみたが特に異変も起きてないみたいだし、いつもなら真っ先に現れそうなステイルも天草式の姿も見かけない。科学的に大規模な何かかと思ったけれど風斬が現れた様子もない。つまり今日のことは魔術でも科学でもなさそうだがインデックスの姿が見あたらないってのが気になる。そもそもインデックスの私物類が一切合切部屋から消えてたのはどういうわけだ?)
 そして上条は美琴に視線を向けた。
 考えてもわからないなら知ってそうな人に聞くしかない。
「なぁ御坂、じゃなかった美琴。お前、インデックスがどこに行ってるか知らないか?」
「インデックス? ……ああ、あのちっこいシスターの事? あの子なら一月の終わりにイギリスに帰ったって当麻から聞いてるけど? どしたの? ……まさかアンタ、また記憶喪失?」
 美琴の表情がどんどん暗くなる。上条はその反応に焦って
「ああいや、そう言えばそうだったな。悪りぃ悪りぃ、変なこと聞いて」
「当麻。今日一日様子が変だけど、何か私に隠し事してない?」
「しっ、してねぇっ! してねーよ何も俺は」
「ほんとーに?」
「ほんとーです。上条さんは何も隠し事なんかしてません!」
「……まったく。だったら彼女の前で他の女の子の話なんかしないでよね。そう言うところは全然治ってないんだから」
 美琴がほっぺたを膨らませてちょっと拗ねたような顔を作る。この多彩な表情を見る限り、御坂妹が美琴に化けた盛大なドッキリ、と言うこともなさそうだ。
(するってーと何だ? やっぱりコイツは俺の彼女で、アレがそれな事もとっくに済ませちゃってるのか?)
 上条は思い返す。
 土御門との会話。
 美琴の言葉。
 そして状況証拠。
 ――考えたくない。
 上条はブンブンブンブン!! と頭を振る。
 しかしこれが現実なら、上条が記憶を無くしているだけでこの状態が日常(あたりまえ)ならば記憶を無くしていることは隠さなければならない。一度美琴にバレただけであんな事になるのだ。二度目は避けたい。
「ねーえ?」
「……あん?」
「さっきから話しかけてるのにスルーしないでよね。ホント、今朝といい今といい昔に戻ったみたい」
 美琴はぷぅとほっぺたを膨らませる。
「昔? なんだそりゃ」
「アンタと私がつきあう前のことよ。確かに、たった三ヶ月前だけどね。私にはなんだかすごく昔のことのように思えるの」
「……そっか。そりゃ悪かったな」
「ううん、いいの。今はこうして当麻の隣にいられるし」
 美琴が上条の腕を少し強めに抱きしめた。
 隣にいる美琴は一日中こんな調子で、携帯を取り出そうものならどこにかけるのか問い詰められて誰にも連絡が取れない。
 事態がつかめない。味方は己一人のみ。
「それで、お夕飯のリクエストはないの?」
 上条はある作戦を決行した。
「………………お、お前とか」
(これでどうだ! この親父ギャグなら美琴、じゃない御坂は引く! そして電撃を飛ばしてくる! 魔術じゃないならこれで壮大なドッキリなのかそれとも何か仕掛けがあるのかはっきりするぜ!)
「…………そ、それはその……お夕飯が終わってから、ね?」
 美琴はうつむいて頬を染め、何やらもじもじしている。
(だはーっ!? 何このマジ反応? もうダメだ誰か助けてくれ……)
 上条はこの日、生まれて初めて見えない誰かに助けを冀う。
 しかしあいにくと、その願いに応える救いの手はどこからも差し伸べられることはなかった。

865twenty_five 8/11:2010/01/09(土) 13:02:19 ID:u5ZimSMc
(May.25_PM21:32)
 上条はベッドに腰掛けてTVを見ていた。チャンネルを切り替えるが、面白い番組が見つからない。そもそも隣にいる存在が気になって番組の内容に集中できない。
 美琴はシャワーを浴びた後、上条にもたれかかるようにしてベッドに腰掛けている。今朝と違って、今は大きめの青いパジャマを身につけていた。それが誰のパジャマかだなんて聞いてはいけない。
「あー、平日だってのに面白い番組やってねーのな」
「…………」
「お前さ、何か見たい番組ないの? 寮じゃあまりTV見れねぇんだろ?」
「…………特にない、かな」
「そ、そうか。お、日本海沿岸で津波警報発令だってさ。大事にならなきゃ良いんだけどな」
「…………うん、そうだね」
「…………」
「…………」
 太陽が西に沈んで星が夜空を満たしても、使徒十字のように何かの術式が発動することはなかった。これで今日一日の異変が魔術的な何かではないことは確定した。
 街の片隅でスキルアウトが騒いでいたが、警備員にすぐ鎮圧された。いつぞやのように黒ずくめの男達が襲ってくることも最大で四五二〇kgの何かが降ってくることもどこかのレベル5と死闘を繰り広げることもなかった。今日一日の異変は科学的な何かではないと見て良いだろう。
 上条の隣にいるのは元ビリビリで今は『彼女』の超電磁砲、御坂美琴だ。美琴が何も言わない以上、やはり何らかの理由で上条の記憶が三ヶ月分欠落している、というのが妥当な線だ。
(だからってどうすりゃいいんだよ)
 上条は美琴を見る。
 美琴はどこかぼんやりとしたまま、上条にもたれかかって動かない。触れれば淡雪のように消えてしまいそうな、そんな儚げな表情を浮かべている。
 ベッドは部屋に一つしかなく、枕が二つ並べられている以上この先何が起こるのかは上条にだって予想がつく。
(記憶がないですゴメンなさいって素直に白状するか?)
 上条は右拳を握りしめる。記憶喪失は上条の幻想殺しでもぶち壊せない。握った拳を何度も開いては閉じて、意を決すると美琴の肩に手を回す。
「!」
 美琴の肩がビクッ! と震えた。
「な、何か当麻、夕べと今とで別人みたいね」
(気づかれた!?)
 上条は動揺を隠し、美琴に尋ねる。
「い、いつもの俺って、どんなだよ」
「んー。ちょっと強引で止まってっていっても止まってくれない、かな。今の当麻は……なんだか初めての時みたい」
「そ、そっか」
 上条は美琴の肩に回した手に力を込める。
(これで記憶がない、何て言ったらコイツどうなるんだろう)
 上条は第二二学区で美琴に叩きつけられた言葉を思い出す。
 あの時のことはおぼろげにしか思い出せないけれど、もうあの時のように美琴に心配かけるわけにはいかない。巻き込めない。
 この腕の中の存在を守りたい。
(ああなんだ、そっか)
 上条はこのとき気づく。
(俺が笑わねーと、コイツも笑わねーじゃねぇか)
 守ることと傷つけることが同義なら、せめて美琴が望むようにしようと上条は思う。
 ――笑えないのは、自分一人だけで良い。
「美琴。電気消すぞ」
「…………うん」
 上条は立ち上がって部屋の灯りを消し、もう一度美琴の隣に腰を下ろす。
 上条は美琴の細い体に腕を回し、一度抱きしめるとそのままベッドに押し倒した。
 暗がりの中、美琴の姿を良く確認しようと目を開くとそこにはいつもの天井が広がっていた。

866twenty_five 9/11:2010/01/09(土) 13:03:19 ID:u5ZimSMc
(??.??_AM08:01)
「……あれ?」
 例えようのない疲労感と共に、上条は目を覚ました。変な格好で寝ていたせいか、体のあちこちが痛い。
 上条はとりあえず起き上がった。ここはユニットバスの中で、上条一人しかいない。鼻をひくつかせると、かすかに油っぽい鶏の匂いがした。
「……今の夢か?」
「…………………………ォ」
 部屋の奥でかすかに女の子の声が聞こえる。
 上条はユニットバスを飛び出し、部屋のドアを開けた。
 そこには、ベッドの上で上条のYシャツをパジャマ代わりに着たインデックスが空腹のあまり朽ち果てようとしていた。
「おなかへった……とうま……もうだめかも……」
「い……インデックス? インデックス! しっかりしろ! ちょっと待ってろ!」
 上条は台所に駆け込むと炊飯器のコードを抜いて小脇に抱え、そばに置いてあったふりかけの瓶をつかんでダッシュで戻るとインデックスに恭しく差し出した。
「インデックス! 気を強く持てインデックス! ほら、ここに炊いておいたご飯があるからふりかけかけて食え! 今コンビニ行っておかずとかお菓子とか買ってくるからそれまでこれで耐えてくれ!」
 お腹を空かせたときのインデックスは怖い。その恐怖を知っているからこそ、上条はインデックスの機嫌が悪くならないうちにここを離脱しようと計算する。
「う、うん。とうま、ありがとう……あれ? どうしたのとうま? なんだか顔が赤いよ? 熱でもあるの?」
「! な、なぁに大したことないってこれくらい。じゃちょっくら行ってくるから、待ってろよ」
 上条は着替えもそこそこに、財布をつかむと部屋を飛び出した。

867twenty_five 10/11:2010/01/09(土) 13:04:08 ID:u5ZimSMc
(Dec.25_AM08:25)
 上条当麻はコンビニへの道を歩いていた。ちなみに最寄りのコンビニはめぼしい食べ物がごっそりと売り切れていて、今は少し離れたところにある別のコンビニを目指している。
「……不幸だ。朝のコンビニで食い物がほぼ全滅だなんて」
 上条はポケットに入れっぱなしの携帯を引き抜き、液晶画面で日時を確かめる。今日は一二月二五日、午前八時二五分。
 昨夜降った雪は夜半には雨に変わったらしく、わずかに道路の隅に残った白い固まりがそのなごりを漂わせる。これでごっそり残ってたら固まった雪をうっかり踏んで滑って転んでまた不幸だなと考えていると、少し先に
「あれ……アイツって」
 何かを探してキョロキョロとしている御坂美琴の姿を見かけた。
「おーい、美琴!」
 上条は大きく手を振ると、遠くから見ても顔を真っ赤にしている美琴に向かって駆けだした。
「おっす。おはよーさん。朝からこんなところで何やってんだ? 何かキョロキョロしてるけど捜し物か?」
「ちょ、ちょっとアンタ! い、いいいいきなり人のことを名前で呼ばないでよ! あ、えっと、おはよう……」
 常盤台中学の制服を着た美琴は、拳を震わせて何かに耐えている。もしかすると電撃を落としたいのを堪えているのかもしれない。
「あれ? だってお前名前で呼べって……」
 しまった、あれは夢の中の話だったかと上条は頭の中で冷や汗をかく。
「い、いいいいいや別に良いのよアンタが名前で呼んでくれるならその方が私は」
「そっか? んで、お前何か捜し物でもしてたんじゃないのか? 困ってるなら手伝うけど」
「!」
 美琴の肩がビクッ! と跳ねた。
「違ったか?」
「あ、うん、えっと、捜し物は見つかったのよ、うん」
 美琴は所在なげに視線をさまよわせる。
「あの、えっとね? ちょっと聞きたいんだけど……」
「何だ?」
「アンタその……今日空いてる? 夕方くらいとか」
 上条が見かけたときからの真っ赤な顔のままで、美琴が問いかける。
「今日? ……うーんそうだな。晩飯の支度をした後だったら空けられるけど。何か用か?」
 上条は頭の中で今日一日の予定を確かめる。
 部屋を空けることでインデックスは怒るかもしれないけど、その分ご飯をたくさん用意しておけば少しくらいは許してくれるだろう。ちょっとくらいはこのビリビリ中学生につきあってやっても良いかなと上条は考える。何しろ今朝見た夢のおかげで少しだけ気分が良い。あれは恋人のいない上条に神様がくれた、一夜のハプニングな夢だったのだろう。……相手が今目の前にいる美琴というのがやや難ありだが。
「う、うん。渡したい物っていうか、あげたい物があるの」
「俺に?」
「ほ、ほらアンタクリスマスプレゼントとか縁遠そうだしさ。昨日渡せなかったから……」
「そっか? わざわざ悪いな。それってあれか? クリスマスだけに食い物か? だったらすげぇ嬉しい」
「たたた食べっ!? ……そそそそうね、考えようによっては食べられるものかも」
 美琴がぷるぷると肩を震わせる。

868twenty_five 11/11:2010/01/09(土) 13:05:38 ID:u5ZimSMc
「んー、つまりそれって準備するのに時間がかかるから夕方って事か?」
「そ、そそそそうなの、そういうこと。それでえっと、アンタん家知らないから外に出てきてもらうことになるけど……いい?」
「そうだな。うちまで持ってきてもらうのも大変だろうし、いいぞそれで」
 うちに来たら来たでインデックスと衝突しそうだし、その方が安全でいいと上条は思う。おまけに食べ物をくれるっていうなら一人分の食費が浮く。赤字財政で火の車の上条家家主として、純粋にこれはありがたい。
「じゃ、じゃあそういうことだから。後で電話とメールするから、ちゃんと確認してよね? そ、それじゃ私はこれで!」
 美琴は踵を返すと、一目散に走り去った。
「お、おう。またなー」
 慌ただしい奴だなと、上条は小さくなる背中を見送った。そこで携帯の画面をチェックして……
「げぇっ!? もう八時四〇分? やばい、インデックスが怒ってる! 急いでなんか買って帰らないと!!」
 美琴とは別の方角へ駆け出す。でも食い物かー、時間がかかるって言ってたしクリスマスだけにやっぱチキンかな昨日チキン食ったよなでもチキンでも良いよなインデックスの邪魔が入らずにお腹一杯食べられるならもう何だって良いです神様仏様御坂様ありがとう! と上条は心の中で手を合わせる。何だかんだ言って、世界は愛で満ちているじゃないか。
 ところで、一二月二四日をクリスマスと勘違いする方も多いが、二四日はあくまでイブ、つまり生誕前夜で二五日が生誕日『当日』だ。そして二四日に豪華な食事を食べ、二五日は質素に暮らす。インデックスに教わった豆知識を頭の中で反芻しながら、上条はあることを思い出す。

『何言ってんのよ。クリスマスの夜に無断外泊したんだから、同室のあの子が真っ先に気づくに決まってんじゃない』

「…………あれ?」
 ――上条当麻の業火に満ちた不幸は、まだ始まっていない。


長文失礼いたしました。

869■■■■:2010/01/09(土) 14:07:13 ID:/LZfYC/Y
>>868
GJ!

とても楽しめました!

続き待ってます

870■■■■:2010/01/09(土) 14:54:12 ID:UbSaQjFQ
>>868
超GJです

871■■■■:2010/01/09(土) 14:59:14 ID:lqLUPcH6
>>868
GJ
ループモノ?
上条の旦那は不幸じゃないだろjk

872■■■■:2010/01/09(土) 15:16:38 ID:RCrr.8aY
>>868
GJ!
御坂さん、一体ナニをあげるつもりなんですか?

873■■■■:2010/01/09(土) 15:19:07 ID:LAnaEG9E
Mayって何月だっけ……?

874■■■■:2010/01/09(土) 15:24:18 ID:fj3jBdf6
>>868
GJです!

続きぜひ読みたいです!

875■■■■:2010/01/09(土) 15:48:24 ID:u5ZimSMc
>>873
5月です>May
March(3月)と間違えました。ツッコミ感謝

ちなみにこれは>>871さんの言うとおりループなんで続かないです。

876■■■■:2010/01/09(土) 16:09:26 ID:EHAAxodw
>>868
GJすぎです
美琴さんやりますねw

877■■■■:2010/01/09(土) 17:11:01 ID:t7GZB7/.
>>868
上手いわぁ

上条ちゃん予知能力に目覚めちゃったのかw

878■■■■:2010/01/09(土) 18:45:23 ID:z42KHt.A
>>858 GJです。上条さんついに草食から肉食に・・・

テスト終わったのがさっきだから今から書くというw迷惑(?)かけてすみませんw
テストしたので勉強関連というネタでがんばってみますw

879■■■■:2010/01/09(土) 18:57:44 ID:RKRgJfts
>>868
GJです
プロムの人かな?

誰も作る気配がないので、禁書Wikiにまとめ作ったよ

上条さんと美琴のいちゃいちゃSS
ttp://www12.atwiki.jp/index-index/pages/2100.html

それで、>>169氏、>>180氏、>>299氏の作品のタイトルをどうしようかと思ってます
一応、全部読んで適当につけてみましたが……センスが;;

880■■■■:2010/01/09(土) 18:58:49 ID:.TDYd31g
>>879
すごく乙です

881■■■■:2010/01/09(土) 19:05:27 ID:t7GZB7/.
>>879
超乙
自分のは勝手に編集しちゃって良いんですか?(やりかた分からないけど)

ミスとか、ミスとか、あとミスとか・・・・・・

あとタイトルは付けた方がいいぽいですね

882■■■■:2010/01/09(土) 19:15:03 ID:ReXFYCrc
>>879
乙じゃんよ 文才ないけど今度書いてみようかな?

883■■■■:2010/01/09(土) 19:23:05 ID:NufU8JLc
>>879
乙ですの

ここにVip投稿の奴とか入れていいの?
イチャイチャの奴

884■■■■:2010/01/09(土) 19:34:40 ID:TQuI5j6U
>>846の続きです。



次の日、美琴は上条の病室へと向かった


彼の病室から3人の女が出てきた
なまいきシスターに、スタイルのいい女性、そして彼の顔を胸でうけとめた女
(また女…)
ちょっとがっくりしたがそんなことは気にしない。
「あ!」
シスターが美琴に気づく。
「とうまになんかよう?悪いけど今とうまは安静にしなきゃ駄目なんだよ」
「私もアイツに用事があるのよ。」
「すっごく怪しいんだよ…とうまに何するつもり?」
「べ、別になんにもしないわよ!!」
「顔が赤いのが気になるんだよ」
へっ…と、美琴が間の抜けた驚きかたをする
「まぁまぁ、行きましょう。…早く…」
とスタイルのいい女性が言葉をかける。
よくみると汗びっしょりである。何かあったのだろうか。
横にいる女はカタカタと震えながら笑っていた。
「…とにかく、とうまに乱暴しちゃだめなんだよ?」
「わ、わかってるわよ!」

そして3人はロビーへ向かっていく。
美琴は病室へと。

上条は窓の方を見てつぶやいた
「…はぁ…トラウマになりそうだ…神裂のあの姿は…」
「いつもいつも…アンタは女としか縁が無いの?」
「へっ…御坂?」
「起き上がっちゃだめよ。安静にしなきゃ…」
「…あぁ…」
「また無茶して…ホントに馬鹿なんだから…」
目尻に涙がたまる
「死にそうになるまで力振り絞って…
 私がどれだけ心配したかわかる…?
 私がどれだけアンタの無事を祈ってたかわかる…?
 ねぇ……」
「…」
「アンタの記憶喪失については何も聞かされないし
 ボロボロのアンタを止めても聞かないし…」
気がつけば両手で上条の右手を握っていた
「…御坂…その、悪い」
「…許さない…泣いて謝ったって許してあげない…!
 …もう私をおいていかないでよ…私だって闘える。
 アンタの力になりたいのよ…私は…アンタが…」
握っていた手を離す。そしてそのまま肩へとまわす。
「みさ…っ」
唇が重なり、2人は動かない。
彼は、ようやく理解する。
彼女の思いと自分の思いを。
彼女にもうこんな顔などしてほしくない
たとえ自分のためでも、涙など流してほしくはない。
「私…は…アンタが…」
「わかってる。言わなくてもいいよ。
 俺も…御坂が好きだ。やっと自分の気持ちを理解できた」
そして彼は尋ねる。

   「一緒にいてくれるか?」

美琴の時間が止まる。
以前から持っていた感情。否定し続け、やっと昨日受け入れた感情。
その感情はしっかりと彼の胸へと届いたのだ。
彼女の目尻は、さっきとは違う涙をためている。
そして彼女は言う
「…馬鹿ね…いてあげるに…決まってんでしょ…」
顔をこれでもかというほど赤く染めた彼女はもう一度彼にキスをした。


なかなかうまくまとまりませんでした。
時間がかかったのもそのせいです、すみません
とりあえず、終わりです

885889:2010/01/09(土) 19:51:30 ID:RKRgJfts
>>881
投下ログ以外の作成済のページなら、自由に修正していいですよ
未作成のページは投下ログが埋まって、タイトルが決まるまでお待ちください

>>884
GJです

作品タイトルに関して>>254氏も追加

886879:2010/01/09(土) 19:52:56 ID:RKRgJfts
>>885
名前欄間違え>>879です

887 ◆Oamxnad08k:2010/01/09(土) 19:58:35 ID:z42KHt.A
勉強ネタ

11月下旬―――常盤台学生寮 (夕方)

とある事情により中間テストがなく期末で成績が決まってしまう。
その中…

「そういえばアイツの電話番号手に入れたのにあまり電話しないわね…」
といっても電話の内容が『シャッター開け方』など普通の会話ではない。
「どうしよう…たかが電話だけで緊張する…」
あれこれ30分も悩んでいる訳だがなかなか決断できない。
「落ち着け…まず深呼吸…よし!」
決断し電話をかける。

プルル…
『もしもし?』
『もしもし、御坂か?どうしたんだ?』
『ひゃ…えっと』
声を聞いただけで鼓動が速くなる。
『???特に用がないなら切るぞ―――』
『まって!えっと…今時間ある?できれば一緒に何処か行こうかなと…別に冬休みでもいいんだけど』
『あぁ、そんなことか。―――ごめん、御坂無理だわ』
『え、なんで?まさか他の人と…何処か行くの…?』
『え?いや、別にそういうことじゃないんだけどさ。今度テストあるだろ?
 あれで点数悪かったら冬休みのほとんどが補習になるんだわ。だから勉強しないといけないワケ』
赤点さえ回避できれば問題ないんだけど。と付け加える。
それを聞いて少し安堵する。
『ふぅん…要するに赤点さえ取らなければいいと?なんだ簡単じゃない』
『はぁ?お前にとっては簡単だけど上条さんにとっては地獄ですけど?』
『じゃぁ…今度勉強教えてあげる。それで文句ない?』
後でちゃんと付き合ってもらうからね。と条件を付ける。
中学生に教えてもらって大丈夫なのか?と思ったが夏休みの宿題もスラスラ解けるから問題ないかと考える。
だが中学生に教えてもらうこと自体に抵抗がある。
『え、じゃぁ…お願いします?』
『なんで疑問形なのよ。私がアンタの所に行ったほうが効率いいわね、住所教えなさいよ』
『わかった―――じゃぁ都合いいときに電話くれ』
うん、じゃぁねと言い電話を切る。

「やった!アイツの住所ゲット、これずっと気になってたのよね」
あまりの嬉しさにベッドの上で転がる。
今は同居人がいないので何をしても問題ないと言えば問題ない。
「早く明日にならないかなー」
と言い寝ることにする。
   
数時間後
「ただいまですの」
同居人の白井黒子が帰ってきた。
「お姉さま?…寝てますの?」
「……むにゃ」
思いっきり枕を抱きしめている。心情に何か変化があったのだろうかと考える。
「その枕は誰の変わりですの…まさかあの殿方ですの!?」
うふふと黒い笑みを浮かべる。
しばらく白井の苦悩も続く。
続く
30分で書いたからクオリティ低いです。
書く時間が減ってきたので時間があるときにちょくちょく更新していきます。

888 ◆Oamxnad08k:2010/01/09(土) 20:00:04 ID:z42KHt.A
>>884 GJです〜続き期待してます

>>887②連続sage忘れてました。すみません。

889■■■■:2010/01/09(土) 21:42:51 ID:RCrr.8aY
>>884
GJ!

>>888
連続でsage忘れるとはふてぇ野郎だ
罰として続きを書きなさいさあ早く

890■■■■:2010/01/09(土) 23:48:47 ID:6n8/C1bo
昨日このスレを発見してずっと2828しながら読んだ。
受験勉強しなきゃならないのにどうしてくれる。

もっとやr、やってくださいお願いします。

891■■■■:2010/01/10(日) 01:08:59 ID:z6P112v6
>>884,887
GJGJ!
さあ続きを(ry

892■■■■:2010/01/10(日) 01:52:36 ID:/RsPrK4s
初投稿です。

冬が近い日、曇り空の下をツンツン頭の少年がぼーっと道を歩いていた。
彼に陰りが見えるのは日があたっていないだけではない。

理由は禁書目録と呼ばれていた少女のことだ。
彼女はもう日本にいない。
ロシアでの決戦の際、上条の手により今度こそ本当にヨハネのペンは砕かれたが、
そのとき、彼女は魔術によって失われていた昔の記憶を取り戻した。
そして変わりにこの1年の記憶を失っていた。
もちろん上条のことも覚えていなかった。
上条はインデックスに向かって出来る限りの笑みを浮かべ、別れを告げると
逃げるように日本に帰ってきた。

その上条を後ろから呼ぶ。
「ちょっと!アンタ!最近一体何してたのよ!」
名門、常盤台の冬服を着た少女、御坂美琴は
そのツンツン頭に向かって背後から声をかけた。
だが、少年は答えない。
いつもの通りの無視かと思い、電撃を放つ準備を始める。
が、そこで気づく。少年は本当に上の空だった。

少し考えてから美琴は少年の前に立ちふさがるように移動した。
そこで少年はやっと美琴に気づいたようだった。
「ああ、御坂か、どうした?」
どことなく元気のない声でツンツン頭の少年、上条当麻は彼女に声をかけた。
元気のない上条を見たことがあまりない美琴は少したじろいだ、がすぐに気を取り直し声をかけた。
「アンタ最近見なかったけど、どこで何してたの?この間ロンドンとか言ってたけど」
腕を組み、少しふてくされたような顔をして聞いた。顔は少しだけ赤い気がした。
しかし、上条は元気のない声で答えただけだった。
「ああ、ロンドンの後野暮用でロシアに行ってな…昨日帰ってきたところなんだ。」
あまりに突拍子のない話に美琴はさすがに驚いた。
「あんたそんなところに何しに行ったの?」
「いやちょっとインデックスの里帰りを手伝っただけだよ……」
顔は笑っていたが、さびしげな表情で上条は答えた。
本当に何か、大事なものを失ったような顔だった。

893■■■■:2010/01/10(日) 01:54:10 ID:/RsPrK4s
その顔を見て御坂美琴はうつむいて肩を震わした。
寒さに耐えるのに似たような形で。
自分にとって上条の近くは陽だまりのような暖かさがあった。
しかし今は、とても寒い。
自分よりも彼のそばに人がいたことがとても寒い。
きっと彼女のいた陽だまりに自分は入れないのだろう。
その思いが唐突に美琴自身にも思ってもいなかった言葉を吐き出させた。

「私は彼女の代わりにはなれないの?」

自分で言って驚いてしまった。きっと顔上げれば上条も驚いた顔をしているだろう。
そして自分の浅ましさに後悔する。
自分の場所がなかったから、人がいなくなった場所を奪い取ろうなんて。

「あいつの代わりはいない。」

予想通りの答えが返ってくる。後悔で瞳が潤む。下を向いていてよかった。泣き顔は見られない。

その後、御坂の頭がなでられる。
「そして、俺にとってお前の代わりもいないんだよ。だから代わりなんていわないでくれ」
御坂の動きが止まる。
「インデックスは泣かせたくない女の子だった。いなくなって寂しいよ。でもお前は俺にとって大切な女の子なんだ」
ゆっくりと、やさしく美琴の頭をなでながら上条はつづける。
「代わりってことは、今のお前はいなくなるってことだろ?俺の近くから御坂美琴がいなくなる。そんなこと、俺は絶対にごめんだ。」
顔をゆっくりと上げると上条の顔が見えた。彼は微笑んでいた。今度は彼女の知っている顔で。
美琴の目が再び潤む。後悔ではなく、喜びで。
肩が震える。寒さではなく心の温かさで。
自分の場所はちゃんとあった。

「?どうかしたか?震えてるぞ?寒いのか?」
心配そうな声がかかる。ほんとにこいつは鈍感だ。私の前で別の女のことをしゃべるくらいだから当然か。
そんなやつには意地悪してやりたくなる。
美琴は意地悪な笑顔をつくりこういった。
「うん。寒いからちょっと抱きしめてよ。」
上条がぶふぉっ噴出す。
「えっと!?御坂さん!?唐突に何をおっしゃってますのか上条さんにはわかりかねます!」
ちょっとあとずさりする上条。顔を上げる美琴。
美琴はまだ潤んでいる瞳で上条を上目遣いで見つめる。
(ちょっ!なんかその顔反則なんですけど!)
上条が心の中で取り乱す。
全力疾走した時よりも心臓の鼓動が早い。
(ま、まつんだ上条当麻!相手は中学生!中学生に手を出したすごい人になるつもりですか!?俺に負けるな上条さん!)
美琴がゆっくりとこちらへ歩いてくる。
目は潤んでるのにちょっと意地悪な笑みを浮かべてゆっくりと近づく。
上条は負けた。美琴を抱きしめる。

雲が切れて陽だまりが出来る。
二人は確かに同じ陽だまりの中にいた。

894■■■■:2010/01/10(日) 01:55:46 ID:/RsPrK4s
お目汚し失礼しました。
カルマを上条さんが歌うMAD見て思いついた。反省はしていない
ついでにあまりいちゃいちゃしていない。この点はとても反省している

後日談

「そういえばアンタ一端覧祭でなにかやるの?」
美琴のその問いかけに上条はまえに自販機に二千円を飲み込まれたときと同じような首の動作をした
「なに?その動きは。ちゃっちゃと答えなさいよ!」
放電を開始する美琴に向かって上条はぼそっとつぶやいた
「……執事喫茶……そして私めは執事の役です……」
とある学校のとある出し物で波乱が起こる?
とある学園の執事喫茶!

……ごめん。酔っ払ってるわ

895あるお話1:2010/01/10(日) 02:00:07 ID:dzutE0I2
これは上琴が正当だよね、と信じてる妄想野郎が考えたお話です。

11月に入ったばかり、上条当麻は今、街をぶらついていた。
禁書目録は小萌先生達とバイキングに行くということで、
禁書目録の昼代が浮いたため、久しぶりに外食に出ていた。
「さあて、何を食べようかな。ハンバーグ、いやラーメンか?…」
そう熟考していると、視界の端に見覚えのある人物が映った。
「ん?お、ビリビリじゃねーか。何やってんだ?」
近づいてみると男と話している。
(ん?あいつが男といる所を見るのは初めてな気がする…まあいいや、
また電撃撃ってこられても困るしなあ)
とそっと通りすぎようとすると、

「御坂さん!付き合ってくれませんか!」

「ぶっ」
(ななな、なんだなんだ?!告白の真っ最中なのですかあ?!!しかも、
あいつに告白ぅ?!!人が一発死する電撃を何十発も撃ってくるようだぞ!)
これは当麻特有の行動なのだが、彼が気づくはずもない。
(ん?しかも、相手のほう、ものすごい世の中でいうイケメソじゃねえか!)
しかも、雰囲気も優しそうで見ただけで女の子は落ちそうな男だった。
対する美琴は顔を赤くしている。やはりレベル5といっても女の子なのだ。
(まあ、ビリビリも外見はかわいいからな…ってやばい!何を言っているんだ!
俺は!!!)
とノリツッコミをしていると、

「ごめんなさい」

(え?)

「気持ちは分かりました…。でも、どうして!僕じゃだめなんですか!」
「それは…その…ごめんなさい…」
「!!ッ …理由はなんですか…納得できる理由がほしいです…」
(なんだ、あいつはなんで断ってんだ?女だったら一目惚れしそうな奴じゃないか)
「あ、え、えと、私には他に…す、好きな人がいるから…たぶん、そいつは
気づいてないと思うけど、私はそいつのことが好きなの… だから、
ごめんなさい…」
(!!!あいつ!好きな奴いるのか!あいつが好きになる奴か…どんな奴なんだ?)
「!! …そうですか…分かりました…では、また…」
と言って去っていった。
(なんかすごい場面に会っちまったな…あいつに立ち聞きなんてばれたらやばいな。
昼飯を食べに行くか。)
と立ち去ろうとすると、不幸なことにバナナの皮が飛んできた。
(はあ??!! ふっざけんな!!なんで飛んでくるんだよ!!
ここはジャングルじゃねえぞ!!)
しかし、踏み出した足は止まることなく皮を踏み、こけてしまった。
「あだっ!!」
上を見上げると美琴が立っていた。
「…あんた、何してんの…」
「!!いや、御坂、これはだな立ち聞きをしていたのではなくて…」
その瞬間、電撃が飛んできた。
「あ、あんた!!聞いてたの!!?どこから?!!」
「あー…あなた様が告白されているところからです」
「もう一回記憶を失くしてやるわ…って!!逃げんなあああ!!!」
「すいません、すいません、すいません!!でも普通この状況になったら
誰でも逃げますよねええええええ!!」

あー 長々と申し訳ありません。 続きはあると思います。よろしければ
みてやってください。長くなりそうですww ありがとうございました。

896■■■■:2010/01/10(日) 02:11:22 ID:z6P112v6
>>894,895
GJGJ!
早く続きを書いてください、とミサカは心から投稿を待ち望んでいます。

897■■■■:2010/01/10(日) 02:13:30 ID:CF5VZbyY
>>895
美琴もえー
そして上条さんいっぺん逝って見ようか
ってなにするんだうわやめlfdsonahp\aloふじこisd

898■■■■:2010/01/10(日) 02:21:28 ID:0LUCy602
>>894-895
共にGJです!
続きwkwk

899■■■■:2010/01/10(日) 02:44:23 ID:zr9YfXZo
>>879
超お疲れ様です

900あるお話2:2010/01/10(日) 04:07:19 ID:dzutE0I2
>>895の続きです 

「この!!待てって言ってんでしょうがあああ!!」
「おわあ!!」
電撃を右手で受け止める。最初は先制して走って逃げたものの電撃を飛ばしてくる度に
後ろを振り返らないといけないので徐々に追いつかれ、最終的には美琴が常に電撃を飛ばし、
当麻が常に受け止める構図が出来た。

数十分後…

美琴は顔を赤く染め、肩で息をしながら、
「あー腹立つ!立ち聞きするようなやつなんか前言ったようにさっさと私の
電撃喰らってそこら辺に転がっとけばいいのよ!!!」
当麻は美琴が電撃を止めたのを確認してその場にへたれこんだ。
「だから、その要望にお答えしたら私上条当麻は死にますけどね!!!」
(はあ、しっかし、昼飯食べようとしてただけなんですけどねえ。余計腹が減ってきたよ、って)
「ん?御坂。顔が赤くなってんぞ。大丈夫か。てかさあ、電撃がいつもより多く
撃ってこられた気がするのは上条さんの気のせいですかね?まあ、立ち聞きしたのは
悪かったよ」
「あ、あんたは…私が告白されて…どう思ってんのよ…」
「なんか言ったかー。御坂」
ズバチィ!!!
「うお!!ナ、ナンデスカ!!!ミコトサン!いつもよりご機嫌斜めでせうか!!?
しかし、いきなり飛ばしてくるのはやめてください!お願いします!!」
美琴は顔を真っ赤に染め、
「なんでもないわよ!!!元はといえばあんたのせいなんだからね!!!はあ…
もういいわよ…あーおなか減ったわ」
「おれも腹減ったなー」
「あんたも食べてないの?」
「ああ。行く途中にあの場面に出くわしたからな」
「へ、へえー。そうなんだ」
(こいつも食べてないんだ。もしかしたら一緒に食べにいけるかも…でもこいつ
から誘ってくるわけないわよね)
御坂が勇気をふりしぼって誘おうとすると
「どうせなら一緒に食べないか?いまさっきのお詫びといっちゃなんだが、おごるからさ」
(今借りを返しとかないと何言われるか分かったモンじゃないし)
「え、いいの?」
(あれ?)
当麻は一瞬今のリアクションに違和感を感じた。
(今まで思わなかったが、なんでいっつも俺に対して態度がきついのに、こういう時は普通に来るんだ?
嫌ってたら、あんな言葉が出るか?いやでも電撃を何回もぶつけてくるし…
なんか態度が極端じゃねえか?んー、あーもうわけが分からん!!)
「どうしたの?」
「い、いやあ、なんでもございませんのことよ?」
「? まあいいわ。いきましょ」
(やったー!! まさかあっちからくるとは… まあなんであれよしとしましょう!)
「お、おういこうぜ。さてどこにいこっかなあ」
当麻は少し違和感を感じながら美琴と歩いていった。

ありがとうございましたー >>894さん GJですよー 続きとかわがままですが
書いてほしいと思っています。

901■■■■:2010/01/10(日) 04:12:00 ID:c6LQAbeo
>>894-895
とても面白いです!GJ!
続きとてもきになりますw
長くても読みます。むしろ長くして下さいw

902■■■■:2010/01/10(日) 04:23:04 ID:dzutE0I2
思ったんですがそろそろ次の作らないとやばいですかね?>>879お疲れ様です

903■■■■:2010/01/10(日) 06:46:54 ID:7OXu5keY
次スレならもうある
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part2
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1262324574/

904■■■■:2010/01/10(日) 08:56:32 ID:nKDY96Io
次のレスに飛びません!!後此処の奴を纏めたレス(?)にも。
此処は萌え死にさせられました。

905■■■■:2010/01/10(日) 10:34:40 ID:Oh45as4M
もうみんなGJ!!!GJ!!!

906■■■■:2010/01/10(日) 10:37:40 ID:vcPinQ4.
職人さん達みんなGJ!

受験生の皆!!
このスレと受験どっちが大事なんだ!?
俺と一緒に浪人しようぜ!!

907■■■■:2010/01/10(日) 11:35:12 ID:Oh45as4M
そう言われると迷う…

908■■■■:2010/01/10(日) 12:06:05 ID:L3mh6F5g
>>895
ハァ(*´Д`*)

909 ◆Oamxnad08k:2010/01/10(日) 13:42:26 ID:43SQ.u/I
みなさんGJです。

>>906浪人は流石に(ry 
ということで今から続きます。

910 ◆Oamxnad08k:2010/01/10(日) 16:16:05 ID:43SQ.u/I
>>887続き

常盤台学生寮―――朝 Saturday

「うーんよく寝た」
「そうだ、アイツに電話しなきゃ…」
嬉しすぎて昨日の緊張がもうない。

プルルル…
『もしもし』
『ふぁ…もしもし…何ですか御坂さん』
『アンタ寝むそうね…』
『何言ってるですか、今6時半ですよ。特に用がないんですねお休みなさ―――』
『ちょっと待ちなさいって!モ、モーニングコールに決まってるでしょ、この馬鹿!』
大声で言われたので耳が痛い。
『ああそうですか、じゃぁ30分後起こしてくだしゃい…』
プープープー
「あの馬鹿…なんで切るのよ」
冷静に考えれば朝早く電話されるのも迷惑だろう。
そこまで自分は浮かれてたのかと思う。
「まぁ落ち着いて7時に電話しよう…」

―AM7時

とりあえず7時になったので電話をする。
『もしもし…モ、モーニングコールよ、この馬鹿、早く起きなさいってば』
『ああ、ツンデレ風ありがとうございます(棒)』
『何よその反応…私だって好きでやってるんじゃないのよ!』
はいはいと軽く受け流す。
『で?本題だが、朝早くなんの用なんだ御坂』
『えっとアンタ今日時間空いてる?それなら晩今日教えてあげるけど―――』
それだけのことで朝早く起こされたのかと少し呆れる。
『はぁ…まぁいいか…じゃぁ11時ごろ来てくれ』
『うん、わかった。じゃぁね』

「なんだアイツ…まぁ勉強できる環境作るために掃除でもするか…」
とりあえずインデックスを起こす。
「とうま、なんでこんな時間から掃除するの?」
眠たそうに左目を擦る。
「それはお前が部屋を散らかすだろうがぁ!」
ちゃぶ台返しみたいな勢いでインデックスを放りだす。
今日のとうまはドライかもと言ってるが気にしない。
「朝食はもうできてるから適当に食べとけ」
「とうま、今日はシャキシャキしてるね、なにかあったの?」
「ん?勉強教えてもらう。あと御坂来るから、しまいに掃除手伝いたくないなら外出することをオススメする」
「そうじはめんどくさいかも…」

―――常盤台学生寮

「さて、早いけど準備しようかな」
「お姉さま…」
背後からなにやらオーラみたいな気が漂う。
「黒子…どうしたの?」
「お姉さま、そんな朝早くから何方と電話してますの?」
的確に芯を突いてくる。
「何方って…友達よ!友達!」
「その方は男ですのね?しかもお姉さまのツンデレ風モーニングコール…ああ羨ましい…」
枕をギッタンギッタンにしたりベッドの上に暴れまわったりしている。
流石のお姉さまの美琴でもこれには顔が引きつる。
「ちょ、ちょっと黒子落ち着きなさいって―――」
騒がしい日常が再び始まる。
続く
夜ごろ続き書きます

911mari:2010/01/10(日) 17:23:10 ID:PvmQUDxE
私の感じやすい極上ボディを見てください…
ttp://stella.fc2rs.com/m7m

912:2010/01/10(日) 17:26:27 ID:vdNrk8iQ
>>910
GJ!!

それと荒らし対策にsage。

夜に期待してますぞ〜。

913:2010/01/10(日) 18:46:35 ID:Oh45as4M
GJです!

そして荒らし対策にsage!!!

914φ:2010/01/10(日) 19:01:10 ID:3lX8hxfI
GJ!

そして荒らし対策にFais!

915mari:2010/01/10(日) 19:18:31 ID:ugksFxK6
私の感じやすい極上ボディを見てください…
ttp://stella.fc2rs.com/m7m

916■■■■:2010/01/10(日) 19:20:43 ID:JWMnaKM.
GJ!

期待sage

917 ◆Oamxnad08k:2010/01/10(日) 19:42:41 ID:43SQ.u/I
>>910の続き

「はぁ疲れた…やっと外出できる…」
あれから長い闘いが続いた。
『お姉さまの貞操を!』『あの腐れ猿がああぁぁぁ!!!』
などもうきりがないので電撃で気絶させた。
「時間遅れたけど…別に問題ない…かな、いや一応電話しなきゃ…」
ただ遅れただけなのだが
美琴にとってはデートに遅れるのと同じくらい重要らしい。
※デートではなくあくまで勉強です。
一応電話をかける。

『もしもし』
『もしもし御坂どうした?急用でも出来たか?』
『えっ、いや別にそうじゃないんだけど…』
『???』
『ちょっと黒子に捕まってね…振り切るだけで時間過ぎちゃったのよ。だから少し遅れるわね』
『ん?そんなことかよ。別に問題ないから、あと焦って怪我すんなよ』
『え(心配してくれてる…?)』
『お前はなんと言うかそそっかしい所があるから―――』
『余計なお世話よ、この馬鹿!』

「あー…やばい、いつもの調子できつく切っちゃった…」
軽くため息をする。
アイツ相手だとなんで素直になれないんだろうと思う。

一方上条は…
「なんでアイツ怒ってんだ???」
乙女心が全然わからない鈍感上条だった。

しばらくして美琴は上条の学生寮前まで来た。
「ええっとここよね…」
一応寮の名前を確認する。
「おーい」
誰かに声をかけられた。
振り返るとメイド服を着た少女が清掃型ロボットの上に正座している。
「な、なんでアンタがここに?」
流石の美琴でもこの展開は予想できなかった。
土御門舞夏は何かあると義兄の寮に泊まりに来る。
「おー御坂、ちょっと用がな、で御坂はどうしたんだ?」
「え、私はえっと…」
(アイツに会いに来たって言えば済むけど…そのあと何言われるかわかったもんじゃないし…)
ニヤリと変な笑みを浮かべる舞夏。
「まさか上条か?」
ビクッと肩が大きく揺れる。
「ち、ち、違うわよ!」
必死に反論するも目が泳ぎ、顔が赤くなったのでまる分かりだ。
「なんだそーなんだ、じゃぁ友達として一言。建戦を祈る。」
「な、何よそれ!べ、別にそういう意味じゃないんだから!」
がんばれ御坂ーと言い何処かへ行ってしまった。
「何よまったく…」

エレベーターに乗り、上条の所まで行きインターフォン前で立ち止まる。
「ここがアイツの…」
続く
続きは明日ごろに書きます。多分

918■■■■:2010/01/10(日) 19:58:16 ID:A.FxZNQg
>>917
乙です。続きwktk

今vipのssに単発屋さんがいてビックリw

919■■■■:2010/01/10(日) 20:41:32 ID:v6iPeAx6
>>892
>>895
>>910
言語は英語 用途は称賛 字数は二文字で十二分!

GJ

920■■■■:2010/01/10(日) 20:51:05 ID:HD7mo7o6
>>918
kwsk

921■■■■:2010/01/10(日) 21:25:29 ID:silVLfAc
>>920
上条「御坂の妹じゃねーか、何してんだ?」美琴「えっ?」
tp://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1262836023/l50
620で発見

922:2010/01/10(日) 21:43:00 ID:Oh45as4M
続きをヨロシク!

てか最近禁書板の荒らしが多い…
例えば>>911とか

923■■■■:2010/01/10(日) 21:59:28 ID:01amtfHI
GJです、いつも楽しませてもらってます(_ _)

924■■■■:2010/01/10(日) 22:01:25 ID:01amtfHI
ttp://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1262879796/l50
 ↑↑
美琴「ちょっとアンタ!!なんで無視すんのよ!!」 上条「・・・」

 中盤くらいまでシリアスだが上条さんの説教告白みて笑ったw

925■■■■:2010/01/10(日) 22:21:16 ID:.93NlCJs
そろそろ本気出す(`・ω・´)

926■■■■:2010/01/10(日) 22:37:36 ID:0c9kVDNI
ちょっと捻ったネタです。よろしくおねがいします。

病院…。

上条当麻はとある病院のベッドに寝ていた。
たしか、不良に絡まれていたお嬢様学校の娘を助けようとして、
そのお嬢様から水鉄砲のようなもので撃たれたと思ったら、
感電して…。

「起きたかね」医者が俺に呼びかける。
「はい」俺はその医者に返事する。この医者、カエルみたいな顔だな
と思うぐらいには余裕があるみたいだ。

「俺は、確か、不良に絡まれた女の子を助けようとして…。」
「護身用の水スタンガンで撃たれたんだよ。
まあ、殺傷能力はないものだし、あまり、
大した怪我はしていないし、心電図も異常ないから、このまま何もなければ様子見を含めて明後日には退院できると思うよ。」
とカエル顔の医者。

あと、警察の人が、簡単に質問したいらしいけども、
大筋は女の子が説明してて、君は「助けようとして巻き込まれた」
とのことだったので…。大したことにはならないだろう。

「警察官…。」

「まあ、できればお世話にならないに越したことはないな」
とカエル顔の医者がいう。

「御坂美琴…。」

「あぁ、あのお嬢さんの名前か。知り合いか?」
と医者が聞く。

「あのお嬢さんって、不良に絡まれてた短髪のことか?」と俺は返す。

「あぁ、確かそんな名前だったような」と医者。

「いや、全然他人だけども…。なんとなく、頭に引っかかる名前で。
、そういや妙な夢をみましたよ。」

「どんな夢」とカエル顔の医者が聞く。

「その、御坂とやらの、クローン人間がたくさん出てきて超能力者と闘ったりする夢」

「そりゃまたすごい夢を見たね。よっぽど電撃がショックだったんだろう?、あとは、
直近にやったゲームとかの記憶も交じってるかもね。」と医者

「あぁ、なんか、アンチスキルとかいう変な警備隊みたいなのに追い回されたりもしたし、
。俺も右手を使えばあらゆる超能力を防げるわけのわからない能力を持っていたり…。
あとは荒唐無稽な話だよ。自分でもよく説明ができないぐらい。」

淡々とカルテに夢の内容を書き込む医者。
「こういう夢って、やっぱり脳がダメージをうけたとか?」と俺は心配になって聞く。

「まぁ、よくある話さ。混乱した状態で眠ると、頭が記憶を合理化しようとして変な夢を
見る。まあ、トラウマの類が出るかもしれないし、そういう時には、証拠になるから書いておいただけだ」と医者。


「そうか。で、その御坂とやらは…。無事なのか?」

「あぁ、そいつも一応診たけども、特に異常はなかったし、
今、警察で調べられているだろうけども…。刑事さんの話では
たいしたことにならなそうだし、明日、お見舞いに来るそうだ。」

「まあ、面倒ごとは、こりごりだから、お見舞いはいいよ。別に
怒ってもいないし…。」

「で、不良どもは?」と俺がきく。

「そっちも体にはたいしたことはなかったが、まあ、いろいろとやらかしてるみたいだから、しばらく
出てこれないかもな」と医者

「ふーん」


「御坂美琴か…。もう、会うこともないだろう。」医者が出て行ったあと、
俺はつぶやく。ふつうは交差しないだろう路、それがなにかのタイミングで
交差し、そしてまた別れる。
そう思うと、少し楽しいような、少しさみしい気がした。

END

927■■■■:2010/01/10(日) 22:58:38 ID:43SQ.u/I
いいよいいよ!小ネタ募集〜

なんか職人さんのレベルが上がってきて
投稿しにくい空気になってるみたい
へたうまい関係ないです愛があればいいんです。
ということでじゃんじゃん投稿おねがいします。

928あるお話3:2010/01/10(日) 23:04:57 ID:dzutE0I2
>>895から始めて>>900の続きです

それから2人は街の中を並んで歩いていた。
(あいつと2人で並んでる!もしかしたら恋人同士に見えるかも)
美琴は当麻と一緒にいることもあり、結構舞い上がっていた。
「ねえ、いつも一緒にいる子は?」
「ああ、禁書目録か。あいつは今、先生や友達とバイキングだ」
「なんだ?なんか用事でもあったのか?」
「そ、そんなんじゃないわよ。ただ、気になっただけよ」
(いつも、一緒だからその…ああ!!なんで気づいてくれないのよ!この馬鹿!!)
心でそんなことを思いながら、
「で、どこで食べる?」
「そうだな…まあ、あそこでいいかな。お前はどうなんだ?」
と、当麻はファミレスに指を向けた。
「別にいいわよ。どこでも」
「お前、なんか心なしかテンション高くないか?」
美琴は、ビクッ!、として、顔を赤くしながら、
「そ、そんなことないわよ?ほ、ほら、さっさと中にはいりましょ!!」
と、当麻の手を掴んでファミレスに入っていった。
「うおわっ!! わ、分かった!分かったから!!そんなに引っ張るな!!」
(いきなり、どうしたぁ!!いつも…いつもと同じはずなんだよな…なんで、
こんなに違和感があるんだよ!!あの態度にはなんかあるのか!!)
当麻は、う〜ん、とその違和感の原因に振り回されながら、ファミレスに入っていった。

ファミレスの中は特に多くもなかった。時間も少し遅かったのでところどころ
空いていた。2人は奥のほうに座り、メニューを眺めていた。
当麻は真剣に眺め、悩んでいた。
「ハンバーグ、スパゲッティ…オムライスか…どうする当麻!」
美琴は呆れ顔で、
「あんた、もうちょっと気楽にいきなさいよ…なんでもいいじゃない」
「む!食事は大事なのですよ!てか、お前は決まったのか?今日は俺のおごりだからな。
なんでもいいぞ。ファミレスぐらいならまあ払えるからな。」
(禁書目録の食費代に比べれば…はあ、俺の生活圧迫させてんのもあの食費が一因だよな…たぶん
なんとかならないものか…)
美琴はちょっと目をそらして、
「別に私は…あ、あんたと同じでいいわよ…決めるのも面倒だし」
(なぜ、そこで目をそらす…)
「そ、そうか?まあ、それなら別にいいが…」
「だから、早く決めなさいよ!じゃないと食べれないじゃない!!」
「御坂さん!それはちょっとひどいですよ!!なんか不条理ですよ!なら自分で
決めてくださいよ!」
「う、うるさい!あんたがさっさと決めればいいのよ!」
「…はいはい…分かりましたよ。じゃあハンバーグでいいですか?」
「別にいいわよ。ったく!さっさと決めれば…ゴニョゴニョ」
(なんか、ものすごくやりきれない感があるのですが…)
「じゃあ、押しますよっと」
店員を呼ぶためのボタンを押すとすぐ横に女の店員が立っていた。
「あのーもう少しお静かにお願いします。お客様」
周りはちらちらこちらを見ている。
2人は顔を見合わせると、
「「す、すいませんでした…」」
と、謝った。

ありがとうございました。 続きはまた書くと思います。

929■■■■:2010/01/10(日) 23:18:32 ID:43SQ.u/I
GJです〜続き期待してます。
上条さんは一人称上条なので
「どうする当麻」より『どうする上条』のほうがいいですね

僕も書かないとなぁ

930あるお話3のひと:2010/01/10(日) 23:23:51 ID:dzutE0I2
おお!!そうですね!いやあ〜やっちゃいましたww
ご指摘ありがとうございます。見てくださってありがとうございます。

931■■■■:2010/01/10(日) 23:30:16 ID:L3mh6F5g
           /ヽ  ,. . .-‐…‐- . .
        {_/)'⌒ヽ: : : : : : : : : 〉`: 、
        {>:´∧;;;;;/. : : : : : : : : : : : : :ヽ
      /: : : /;;;;;;Y: : : : : : : : : : : : : : : : : : .___
.   /: : : :/丁⌒: : :∧ : : /: /` }: : : : : :ハ;;;;;;}
   /: : : :/: : :{: : 八: :{:>x/| /   |:i : : :}: : : };;;∧
.  /: : :/} : : :八Y⌒jY´んハ从  从-‐ノ: : :/Y: : :.
 /: : / /: :/: : : V(.  弋ツ    心Yイ : ∧ノ: : ハ
 !: : :!//i: : : : : 个i ''''     , {ツ /彡く: ハ: : : :i
 }: : :ヽ  / : : : i: :´{入   _     /: : : ∧: i i: : : |    GJですの!
〃. : : : ∨: : : :/l: :/⌒ヽ、  `  イ: : : :/ }: リ: : :ノ
: : :/\: : V : /ノ:/     VT爪_八: : : { 彡. : イ{
: :( /: \:} /: :/{     rv\j  { >‐=ミー=彡ヘ: ヽ
`)' ){: (  ): : :{八   /ヘJ ̄ ̄ {_/ /   \j: : 八: :}
 (  ー=ミ  彡'  ト、 / / 〔o〕     `トしヘ. _ \{ j ノ
   r=彡' ー=ァ |\{.      . -‐、‐=ァ′  ヽ  \(
   `フ   (   |   \_/  x个彳)   ∧   \
             ヽ   | _/  ∨ {\  /、ヽ     ヽ
            ヽ  ー-ヘ.    ∨j   ヽ{__>  . _}
            〉    \   \
               /       \   \
           /           \   \
            〈               j\   \
          / ー--==ニニ=く  \

932■■■■:2010/01/10(日) 23:44:05 ID:YGXvFJ02
GJです
黒子ちゃんも遂に2人を応援するようになったのか・・・

933■■■■:2010/01/10(日) 23:45:43 ID:yvcJvtRc
皆さん超GJです!

934■■■■:2010/01/11(月) 00:00:59 ID:z71DHz72
>>926
の続きです。


「おい…。単髪ビリビリ中学生お前、なにやってるんだ?」
と、俺は御坂美琴にといかける。

「なんだっていいじゃない」と御坂

「よくないだろ。自動販売機にけりとかいれるな?」

こうやって、交わるはずのない道は、もう一度交わった。

「いいじゃない。てゆうか、この前はありがとう。あんた、大丈夫だったの?見舞
も謝絶なんて」と御坂

「あぁ、別にたいしたことはないさ、変な夢をみたぐらいで、
何もない。見舞いを断ったのは、こっちも気をつかうし、面倒だからで他意はない。」
と俺は言う。

「何よそれ。あたしが加害者みたいじゃない」

「そんなことはないさ。お前だって、正当防衛だし、俺が勝手に割り込んだだけ」

「ふーん。かっこつけちゃって。ところで、変な夢ってどんな夢みたの?」

「あぁ滅茶苦茶な夢さ。お前が電撃を放つ超能力者で、お前のクローン人間と
イカレタ超能力者が戦ってて、俺の右手はあらゆる超能力を防いでと…。」

「すごい夢ね。」

「そうでもないさ。混乱した状態で意識を失ったりすると、こういうわけのわからない
夢を見るらしい、そういえば、アンチスキルなんていうのも出てきてたし」

「何よアンチスキルって」

「あぁ、最近やってたゲームで出てくる戦闘員だよ。これに追い回され得たりするあたり、
まあ、ゲームだとかなんだかとかの記憶と、突然スタンガンで撃たれた混乱が混ざって
わけのわからない状態になった。少なくとも医者はそういってた。」

「ごめん…。」

「謝ることはないさ。あぁ、お前、御坂美琴っていうんだってな?」

「何で知ってるの?」

「医者から聞いた。あと、夢にも名前が出てきて、名前が一致してたからびっくりしたよ。」

「ふーん」

「そういえばね、私も似たような夢をみたわ。」

「ふーん。」

「私のクローン2万人と、超能力者が闘ったり…。あんたの右手があらゆる超能力を消したり」

「なんだよ、俺が言ったことそのままじゃないか?復唱するなよ」

「ウソなんて言ってないわよ。」

「とってもなー。そんな偶然ありえねーだろう。じゃあ、お前、妹みたいなのがいるだろう」

「白井黒子のこと?っていうか何であんたが…」

「そいつも俺の夢に出てきたんだよ。おかしなことに風紀委員だとかいって警察の真似ごとみたいなことやってたんだぜ。」


「この娘?」

「そう。まぁ、どっかで何かを注意してるのを見たってところだろうけど。」


「テレポテーションが使えて、結標という似たような能力者と闘って、あんたが助けた」


「なんで、お前そんなこと知ってるんだ?ハハン。お前、俺が倒れたとき、寝言を聞いてたか?」

「そんなことするわけないでしょ?」

「お前、本当に学園都市三位の超能力者様だったりしてな。」

「なによ、確かに私はWAIS-R式の知能検査で知能指数130だし、まあ、全国3位の成績だし…って…。
あんたなんで、夢の中のあたしの設定知ってるの…。」

「なんだかよくわかんないな。ちなみに俺は140だが…。」

「あんたって人は夢のなかでも現実でもいちいちムカつくわね。」


「なんだかよくわかんねーけど、おんなじ夢を見るなんて…。
うへぇ気持悪い」

「何よ…。」

「案外、夢の中の世界が本当の世界で、今俺たちが夢をみているとか…。」

「だったら面白いわね。」

「また、どっかであったらよろしくな」

「あぁ。」

END

935:2010/01/11(月) 00:04:18 ID:DtEbw.EE
つーかそんなもんどうやって作ってんだ?
不思議でたまらん!!!
次は美琴ヨロシク(リクエスト)

936■■■■:2010/01/11(月) 00:43:24 ID:ih2GeJXo
書き手さん全員GJ
ほんとすごいわ、自分も書いてみたらどんどん長くなるwww短くできないwww

937■■■■:2010/01/11(月) 00:43:36 ID:Xw/AeN5.
職人さん大量にキター
GJGJ!

938■■■■:2010/01/11(月) 01:13:04 ID:d9wzjdmQ
クリスマスくらいからの伸びが凄いですよねw1000で読めなくなるのが勿体無い・・

939■■■■:2010/01/11(月) 01:31:46 ID:TSeWl8yM
1ヶ月前の12月11日はまだ100レスもいってないもんね
賑わってきて本当に嬉しい

940■■■■:2010/01/11(月) 01:50:34 ID:mCAywF7o
結局まとめってどうなったの?
それにしてもみんなGJ

9411-879 ◆NwQ/2Pw0Fw:2010/01/11(月) 02:09:15 ID:NjQPZHcs
まとめ、やってますよ〜
「ページが多すぎる!」って怒られちゃいましたけど…orz
ダイエットする予定です

上条さんと美琴のいちゃいちゃSS
ttp://www12.atwiki.jp/index-index/pages/2100.html

942■■■■:2010/01/11(月) 05:03:37 ID:hkzuP6oI
>>941

そしてありがとう

943ぐちゅ玉:2010/01/11(月) 05:26:31 ID:vE5F4Zlk
>>941
グレート乙です。
「帰省編」書いた者ですが、ちょっと「1-337」では味気ないので新コテ「ぐちゅ玉」で
今後投稿しようと想います。

まとめwikiの方で、そのあたりの修正と、ほんの一部の加筆を、
自分にやらせて貰ってもいいですかねえ?

944■■■■:2010/01/11(月) 07:14:28 ID:WenOHZvw
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm9286476

こ、これは2828してしまう…

945×寝てた人○寝てない人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/11(月) 08:35:33 ID:yUuzr55g
徹夜イクナイ

・・・今夜投下します

9461-879 ◆NwQ/2Pw0Fw:2010/01/11(月) 10:07:55 ID:NjQPZHcs
>>943
> まとめwikiの方で、そのあたりの修正と、ほんの一部の加筆を、
> 自分にやらせて貰ってもいいですかねえ?
いいですよ
作者様なら、何してもいいですw

947♯1192:2010/01/11(月) 12:24:22 ID:RTPK86Bg
PSPから
wiki見ましたが、文章まる写しで、文の途中に続く  
などがあるのでそこは編集したほうがいいとおもいます。   
夕方には本気出す・・はず

948ぐちゅ玉:2010/01/11(月) 13:11:05 ID:vE5F4Zlk
>>946
ありがとうございますー。
まとめ大変ですが、頑張ってください〜

949■■■■:2010/01/11(月) 14:27:49 ID:RTPK86Bg
しまった!禁書MAD見てたら続き書くの忘れてたw
今から頑張りますw

テンプレはもうそろそろ考えた方がいいのかな

950■■■■:2010/01/11(月) 14:36:27 ID:UyzuPtwE
part2である程度テンプレ案出てますよ
既出以外の案があればpart2の方で提案お願いします

951■■■■:2010/01/11(月) 14:42:26 ID:yPc92eI2
重複防止のため、念のためもっかい貼っておきますね

上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part2
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1262324574/

952 ◆Oamxnad08k:2010/01/11(月) 15:48:16 ID:RTPK86Bg
>>917続き

「なんだろう、異常に緊張してきた…」
まずは深呼吸をする。そしてインターフォンへ手を伸ばす。
だが手が震えて上手く押せない。
どうにか押すことができた。数秒後ドアが開く。

「よぉ、御坂。遅かったな。まぁ入れよ」
「うん、おじゃまします…」

部屋は1人暮らしにはちょうどいいくらいで中はそれなりに片づいていた。

「へぇ結構いい部屋じゃない」
「そうか?常盤台の寮よりましだろ」
「まぁ寝るだけの寮だからこういうのは新鮮なのよ」
「へぇ、まぁそこらへん寛いでくれ」
取り合えずベッドの上に座る。
「御坂お茶飲むかー?」
キッチンから声が聞こえる。
「あ、うん」

(やばい…アイツと2人きり…2人きり…。そのあと発展して…って何考えてるの私///)
思考が変な風に働くので断ち切るために首をブンブン横に振る。
「はい、お茶…。お前何してんだ…?」
呆れた目で美琴を見る。
「え、あ、べ、別になんでもない、なんでもない!」
コップを上条から奪い一気に飲み干す。
そんなにのど渇いてるのか?と適当に考える。
「お前顔赤いけど熱でもあるのか?のど渇いてるなら俺のお茶やるけど」
自分のコップを美琴に渡す。
「あ、ありがとう…」
一口だけ飲む。

(え、これってアイツがさっき飲んだお茶よね?ってことは…か、か、間接キス!?)
「ふぇ…」
「どうしたんだ、御坂?ってなんかお前バリバリいってるぞ!?」
要するに能力が制御できなくて漏電している。
「ふにゃー」
「ちくしょおおおおおおおおおおおおお!!!」
電撃が炸裂する前に美琴の頭に右手が触れる。
電撃はおさまったが美琴が気絶しているようだ。
「まったく面倒かかる姫だな…」
続く

953■■■■:2010/01/11(月) 19:45:43 ID:/7arzW72
今晩、割り切りで会える男性いません?。お金には困ってません。ただSEXがしたいだけです。ホテル代等も全部こちらで負担するんで、プロフ見てメールください。
↓私のプロフィールです。
ttp://stella.fc2rs.com/anan/

954■■■■:2010/01/11(月) 20:07:31 ID:8jArdu6c
>>952
GJです

955■■■■:2010/01/11(月) 20:18:37 ID:Xw/AeN5.
>>952
続きを心よりお待ち申し上げます。

956ぐちゅ玉:2010/01/11(月) 20:27:24 ID:vE5F4Zlk
>>952
今までの流れを含めGJ!

ただちょっとご要望をば。
1つずつ投稿されると、こちらも投稿が被るのを避けたいため、タイミングが掴めません。
話を仕上げてから投稿していただくと助かるのですが。

957:2010/01/11(月) 20:28:59 ID:DtEbw.EE
>>952さんGJ
美琴さんカワゆす!

958■■■■:2010/01/11(月) 21:03:42 ID:RcmSxehw
>>956
確かに、それは全体的に気をつけたほうがよさそうですね
俺も気をつけるようにします

あ、あと>>952さんGJです
続きwktk

9591-879 ◆NwQ/2Pw0Fw:2010/01/11(月) 21:24:11 ID:NjQPZHcs
まとめの人です

禁書目録index @wikiスレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1147855825/
↑最近のレスを見てもらえばわかると思いますが、SSまとめを移転しようと議論中です

その為、まとめページの編集を中断します
各SS作者様も、自分の作品のページ編集はご遠慮ください

このスレへの作品の投稿はOKですので、ジャンジャン投稿してください

960■■■■:2010/01/11(月) 22:19:49 ID:WQkNeMCo
初ですが、何かもう完成まで時間かかりそうなので最初だけ投下します。

 秋。食欲の秋。人々が素晴らしい秋の味覚にうなり、とあるシスターの胃袋が(季節とは関係ないが)うなり、
 とある高校生が(これも季節とは関係ないが)財政難にうなる秋。
 上条当麻は、2000円札も無慈悲に呑み込むあの自販機脇に立っていた。
 勿論、何か呑み物を買おうと思ったわけではない。御坂美琴に呼び出されたのである。
上条「…不幸だ…」
美琴「何よ、そんなに私に会いたくないっての?」
 どぅわっ!!と振り向いた上条が見たものは、バッチンバッチンと体から盛大に放電している御坂美琴であった。
 振り向きざまにとっさに右手をかざしてしまったのは、もはや習性の域であろう。
上条「…で、美琴サマはどうしてお怒りになられているわけで…?」
美琴「あ、アンタが私に会うことを『不幸だ』とか言うからじゃない!」
上条「あー、ソレな……」そう言って上条は、クイッと魔の自販機を指差した。
美琴「? それがどうし……あ、アンタひょっとして…」
上条「…そうですよ、また金を呑み込まれましたよわたくしは!!あーもう笑いたきゃ笑えよチクショー!」
 これは上条の策略でもあった。きっと笑いで怒りは引っ込む。それでいい、さぁ乗ってこいビリビリ。
 ここで、上条は2つの誤算に直面した。1つは、美琴が全く笑わなかったこと。もう1つは、ビリビリが全く収まらないことである。
上条「あー……御坂サン?」もしかしたら今日は一日追いかけっこの日になるかもなー、と上条は考えた。
 しかし、帰ってきた言葉は小さく。か細く。
美琴「どうして、……こんな事になっちゃったのかな」
 そして、最も予想外の言葉であった。
美琴「たすけて……」
上条「……御坂。何があったのか、詳しく説明しろ」
 それは学園都市でも7人の超能力者とか、常盤台のレールガンとかではなく、ただ一人で震える女の子に見えた。
 一陣の風が、二人の間を駆け抜ける。

 二人の負けられない闘いが、始まろうとしていた。



 へくちっ。

美琴「…新種の風邪ひいちゃったのよ、今流行ってるやつ」ズビッ
上条「なんだ、そんなことかよ…」
美琴「そんなこととは何よそんなこととは!!」
 まさかレベル6シフト計画か魔術サイドの攻撃か、と思っていた上条が安堵のあまり本音を漏らすと、バチィッ!と電撃が飛んだ。
 しかしその電撃は、見当違いの位置へと着弾する。
 新種の風邪。『自分だけの現実』の観測に干渉し、能力を制御不能に、ひどい場合は暴発させるという特殊な風邪である。
 それでも大した騒ぎにもなっていないのは、その干渉度合がレベル4の上位以上でなければさほど気にならない程度であるからだ。
 逆に言えば、レベル5である美琴に対する影響は大きい、ということである。常に漏電してしまうほど。
上条「病院には行ったのか?」
美琴「行ったわよ。そしたらあのゲコ…じゃなかった医者、コレ呑んで頑張れって」
 美琴は、ゴム製の袋に入った薬を投げた。そうでもしなければ薬がビリビリ、である。
 受け取った薬を見ると、「葛根湯」と書いてあった。この学園都市でも風邪には葛根湯なのか、とそのギャップに笑いそうになる。
上条「で、何で風邪ごときで俺を呼んだんだ?」
美琴「あー…ほら、アンタの右手って【幻想殺し】じゃない?」
上条「?ああ、それがどうした?」
美琴「ホラ、こんな状態じゃ自分の部屋にすら入れないじゃない?だから…」

  「治るまで、あ、アンタと手でも繋いでれば大丈夫かなぁ…と」

上条の負けられない闘いが、始まろうとしていた。

961■■■■:2010/01/11(月) 22:27:39 ID:Fgev12mI
何をしている
早く続きを書く作業に戻るんだ

9621-868:2010/01/11(月) 22:28:26 ID:Xw/AeN5.
このスレの住民の皆さんにお伺いしたいのですが
SSはどのくらい長くても許容されるもんなんでしょうか?
>>50の頃からスタートして、どんどん長くなってきてるんで
いい加減やばいな、と思いまして。
テンプレにはなかったですが、目処があったらご教授ください。

963■■■■:2010/01/11(月) 22:30:51 ID:Fgev12mI
マジレスすると、内容が薄くなければ数スレ使ってもいいと思うよ。
ぐだぐだと適当に書くなら長くしちゃ駄目。

964■■■■:2010/01/11(月) 22:35:56 ID:bBe4bjAw
>>960
ジャンプの某漫画思い出した

続き期待してます

9651-868:2010/01/11(月) 22:51:27 ID:Xw/AeN5.
>>963
thxです。
できれば少レスでまとめたいので、ちっとでもシンプルになるよう頑張ってみます。

>>960
続きを(ry

では名無しに戻ります。

966■■■■:2010/01/11(月) 22:59:47 ID:wUhB9gJI
まさか…ジャンプみたいにあんなことをするというのか!!!
続き期待

967■■■■:2010/01/11(月) 23:02:04 ID:WQkNeMCo
【緊急速報】俺ジャンプ読んでない
この後丸被りしたらごめん

さぁ、残り40を切った
職人さん達のラストスパートに期待

968:2010/01/11(月) 23:10:27 ID:DtEbw.EE
>>960
早く続きを書きなさい

さもなくばみんなから呼び出し喰らうぞ

969■■■■:2010/01/11(月) 23:40:41 ID:WQkNeMCo
1000 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/11(月) 23:39:51.73 ID:hHnF4W590
1000なら上条美琴になる

 *     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   イヤッッホォォォオオォオウ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f
      / ュヘ    | *     +    。     +   。 +
     〈_} )   |
        /    ! +    。     +    +     *
       ./  ,ヘ  |
 ガタン ||| j  / |  | |||
――――――――――――

970寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/12(火) 00:16:19 ID:oySY5oFA
>>694の続き行きます

そろそろかなり長くなってきたので、どれだけの人が読んでるか分かりませんがw
ああ、あとメリクリ!

消費:11レス
番号:30〜40

上条ちゃん覚醒させるのに丸一週間かかった(´・ω・`)

971■■■■:2010/01/12(火) 00:16:27 ID:pag1KDrU
>>969
なん・・・だと・・・?

972■■■■:2010/01/12(火) 00:18:58 ID:oySY5oFA
━30━


12/24 PM9:36 薄曇り


 その後どうにか手を離した二人は、ベンチに座りだらだらとしていた。
 しかしどうにもさっきの一連のことが頭をちらついてしまい、二人の会話も妙にぎこちない。
 ついにその空気に耐えられなくなった美琴が立ち上がり「ゲームで勝負よん」と上条に不敵な笑みを投げかけた。
 同じく空気に耐えられなかった上条もそれに乗ることにする。


―――レースゲーム

 ゲームセンター慣れしてる美琴に上条が勝てるわけもなく、僅差であったが美琴の勝利。
 これで美琴はかなり元気になる。
 ちなみに僅差であったのは一生懸命運転する上条の方をチラチラ見ていたせいだ。

美琴(写真、撮っておきたいわね……)

 というところまで考えて、思考パターンが黒子っぽいことに気づき一人で絶句。


―――コインゲーム

 ビデオポーカー、不正行為無しなのに美琴が一発目にロイヤルストレートフラッシュを出す。美琴の勝利。
 スロット、不正行為無しなのに美琴が一発目に大当たりを出す。美琴の勝利。
 その他諸々、同様。
 いつも通り上条は不幸である。
 さすがに美琴は上条が不憫になり、少しだけ慰める。
 とはいっても上条の方はいつものことなのでさほど気にしていない。むしろそういう風に気を使われることが嫌なようだった。
 ちなみにコインは数枚だけ抜き取り、他は専用機で電子カードに蓄えた。

上条「お前……まさかそれは一体何に使うものなんでせうか」
美琴「レールガン用」

 その中の何枚かが自分に向けられることになるのだろうか、と考え上条は憂鬱になる。

美琴「アンタと一緒にいると何も当たらないって訳でもないのね」
上条「まーな。運絡みのゲームで知り合いと対戦すると、俺以外が大勝ちして嫌な空気になるんだよ。対戦じゃないと何も
    当たらなくて嫌な空気になるんだけどな。あ、でも俺と対戦すれば大勝ちするからっつって俺を連れてきた奴は
    大負けしてたな。結局嫌な空気になるってわけだ。ははははは……………はぁ」
美琴「………じゃぁ、それに対抗できるのは、アンタと居るだけで楽しいって人くらいってことか」
上条「んー?あー、確かにそうかぁ。結局俺とゲーセン来る奴って、単に話してるだけで面白いような輩だけだな」
美琴「………………」
上条「御坂センセー的には今の楽しさ評価はいかほどで?」
美琴「………………し、知らないわよそんなの自分で考えろ!」

 頭をグリッと無理矢理回してそっぽを向く。

上条(はぁ…………やっぱ俺ってまだ嫌われてんのか?まさか生理的に受け付けないとか??全く分かんねえ)

973■■■■:2010/01/12(火) 00:19:11 ID:oySY5oFA
━31━


―――格闘ゲーム

 美琴が得意なゲームでは美琴が速攻で勝利。
 上条が得意なゲームでは上条が姑息なハメ技で辛勝。
 結果一勝一敗。
 先程のことがあるので美琴はハメ技について責めることができず、若干イライラする。
 しかも上条の使用したのが巨乳キャラだったのでさらにイライラする。

美琴(はぁ…………やっぱこいつってこういう属性好きなのかしら)


―――音感ゲームその1:ボタンを叩くオーソドックスなタイプ

 そもそも勝負にすらならず、美琴が上条に教えることになった。
 要領が掴めない上条にイライラし、ついには上条の手首を持ってバタバタ動かし始める。

上条「だーもう分っかんねー!!つか、音楽経験者に勝てる気がしねえよ」
美琴「難易度上がるとそんなの関係無くなるわよ。ただの反射ゲームみたいなもんじゃんこんなの」
上条「反射神経には自信あるんだけどなぁ」
美琴「うーん……あ、命が掛かってないからじゃない?」
上条「……………………納得しかけた自分を殴りたい」


―――音感ゲームその2:ジェスチャーを読み取るダンスタイプ

 途中までは美琴が圧勝していたが、途中から上条が巻き返し勝利。
 理由はレースゲームの時同様、美琴が上条の方をチラチラみていたせいだ。
 その後上条に無理矢理一人でやらせてみる。
 最初は爆笑しながら上条が踊るのを見ていたが、やがて静かになり、最後にはぽーっと見蕩れてしまっていた。

美琴「ま、まぁ初めてにしては上出来じゃない」
上条「ホントか?何でだろうな、もしかして才能あるのか俺」
美琴「うーん……あ、体を自由自在に動かせないと命が幾つあっても足りないからじゃない?」
上条「……………………さっきも思ったが、それをテメェが言うな」

 ちなみに上条がプレイ中美琴はこっそり携帯でそれを撮りまくった。
 しかしゲームセンター自体それほど明るくないため、全て思い切りブレていた。

美琴(………デジカメ買おうかしら)

 頭の中で何かと何かが葛藤を始める。


―――エアーホッケー

 好勝負だったが、上条の勝利。

上条「やっと真っ当に勝負して真っ当に勝った気がする。伊達にお前の電撃を何度も防いでねえよ」
美琴「考えてみたら恐ろしい反応速度よね。もう意識を介さないで脊髄反射してるんじゃないの?」
上条「そうかもしんねえけど、全然素直に喜べないのは何故なんだろう」

974■■■■:2010/01/12(火) 00:19:22 ID:oySY5oFA
━32━


 その他最新すぎてよく分からないゲームなど数種で対戦した。
 さすがの二人も徐々に疲れてきたので、徐々に対戦という名目からずれていく。


―――おみくじ勝負

上条「最新技術を使った超高精度おみくじシステム………って、色んな方面に喧嘩売ってねえかこれ。何がどう最新で技術なんだよ」
美琴「アンタってやっぱこういうのはやらないわけ?」
上条「やらねえな。例え引いて大吉が出たところで何かが変わるわけでもないし」
美琴「気分ってのもあるんじゃないの?それに色々細かいとこまで書いてるのとかあるじゃん?」
上条「そう言うお前は信じてんのか?」
美琴「んー、科学技術の結晶たる私が信じるってのも変でしょ」
上条「まーな。って、じゃぁ俺にくれたお守りは何なんだよ」
美琴「だから気分よ。あ、でも、私一回大凶ってのを見てみたいのよね。ねえねえ引いてみてよ」
上条「…………………お前さらっと酷い事言ってません?」
美琴「信じてないんなら良いでしょ。ほらさっさと引く」
上条「………ったく、はいはい」

 上条は仕方なしに神社の形をした小さめの機械に20円を投入する。
 ややあって、何のギミックも無しにポロッと巻物状の小さい紙が神社の扉から出てくる。
 上条はそれを取ると中を開いた。

上条「あれ?」
美琴「なになに?」

 美琴は上条の手元を覗き込む。

美琴「何これ、真っ白?」
上条「あーはいはい、バグだろ。20円飲み込まれて終わり。一番萎える展開だよなぁ」

 上条は天に『お前の運勢なんか知らねえよ』と言われたように感じて少し悲しくなる。

上条「試しにお前も引いてみれば?」

 美琴は言われたとおり引いてみる。
 中を見ると中吉と書かれて、詳細が読みやすいように現代語で書かれている。

上条「何だこりゃ、分かりやすい代わりにありがたみゼロだな。占いっつうより予報」

 美琴は真っ先に恋愛運のところを見た。

 恋愛運………○ 7日以内に変化がある可能性が高く、32%である。その時できるだけ勇気を持って行動しましょう。
         良い方向に進む確率が12%上昇すると思われます。今年全体の恋愛運については、不確定要素が強く
         判断が付きません。ただし、待つより積極的に行動した方が相対的に9%良い結果が得られると思われます。

美琴(積極的とか勇気とか、できるならやってるっつうの)
美琴「あんたももう一回引いてみれば?」
上条「いや、多分またバグる気がするからいいよ」
美琴「んじゃ私が引いてあげるわよ」
上条「それ、おみくじ的に良いのか?」

 美琴は再び引いて、それを上条に渡す。
 今度はきちんと書いていて、大吉であった。

美琴「あれ、意外」
上条「いやそうでもないみたいだぞ。詳細のところがボロクソ。何でこれで大吉なんだよ」

 詳細にある基本運、金運、仕事運などがあらかた×になっている。唯一恋愛運が◎になっているだけだった。
 自然とそこに目が行く。

 恋愛運………◎ 7日以内に変化がある可能性は不明。その時どうなるかは不明。良い方向に進むか、悪い方向に進むかは不明。
         今年全体の恋愛運については、不確定要素が強く判断が付きません。ただし、今一番近くにいる知り合いの
         女性を大切にすること。

美琴「何て書いてあるの?」

 美琴が再び覗き込もうとしてきたので、上条は慌ててそれをクシャクシャにし、ポケットにしまってしまった。

美琴「ちょっ!見せてくれたって良いじゃない!」
上条「………………くっだらねえことばっか書いてたから見なくていい」

 慌てたのを気取られないようにだるそうに言った。

975■■■■:2010/01/12(火) 00:19:33 ID:oySY5oFA
━33━


―――景品GET勝負

上条「もはや勝負でも何でもなくないかそれ」
美琴「まあそうなんだけどね。ものは試しにと思って」

 美琴はとあるゲーム機の中にある猫のキーホルダーを取ろうとした。
 そのゲーム機はボタンを押すと回転している矢印が止まり、矢印が差す部分の点数が加算され、それが5点溜まると景品が
貰えるというシステムであった。
 美琴は100円を投入し、チラッと上条の方を見る。

美琴「アンタ、これが取れたら一緒に喜んでくれる?」
上条「へ?まあ、うん。何だ藪から棒に」

 それを確認すると美琴は上条の方を向いたままボタンを押す。
 結果、矢印はマイナス5を差しハズレ。
 もう一度100円を投入する。

美琴「もし次に当たったら、アンタに美人のお姉さん紹介してあげる」
上条「はい??」

 ボタンを押す。はずれ。100円を投入。

美琴「もし次に当たったら、アンタに何でも好きな物買ってあげる」
上条「あー」

 ボタンを押す。はずれ。100円を投入。

美琴「まぁ予想通りね。次に当たったら、アンタを思い切り殴るわ」
上条「そう言うことか」

 ボタンを押す。はずれ。

美琴「あ、あれ?…………何だ、アンタの不幸もこんなもんか」
上条「本気じゃないからじゃねえの?前に同じ事やった奴が居たんだけど、その時は当たったぞ。しかもその後その馬鹿は
    本当で殴ってきやがった。返り討ちにしたけどな」
美琴「………………………」

 無言で100円を投入。

美琴「もし次に当たったら……うーん……今日はもう帰りましょう」
上条「………」

 ボタンを押…………せない。

美琴「ちょっとたんま!今の無し!」
上条「一人で何やってんだ」

 どうやら美琴的にはまだ帰りたくないらしい。

美琴「もし次に当たったら………………えーと、あ、アンタに抱き付く」
上条「へ?」

 ボタンを押す。大当たり。
 テッテレーと軽快な音楽と共に景品が落ちてきた。美琴はそれを拾いあげる。

美琴「ふーーーん」
上条「ちょっと待て何で俺を睨む!こんなのただのランダムだろ!!っつか、どうせ本気じゃねえんだろそれも!?」
美琴「ええそーよ。本気じゃないわよ。………ま、いいけどねー。別に私は!」
上条「何怒ってんだよ。抱き付きたいのか?」
美琴「ち、違うわよ!!そうしたらアンタは不幸なんでしょ!!」
上条「だからんなことねえって!」
美琴「それじゃ幸せなわけ?」
上条「え?……………………………………さ、さあ。ドウデショウ」
上条(マズイ、またこの流れか)
美琴「………………………………」
??「みーさっかちゃん!」

 後ろから肩を叩かれて、美琴は振り向く。

美琴「え?ああ、店長じゃん、久しぶり」

 店長と呼ばれたその女性は20代後半に見えた。
 セミロングの黒髪は後ろに束ねていて、何故かこの場に似つかわしくない白衣をまとっている。
 ほんわかした優しそうな雰囲気なのに、眼鏡の奥に光る瞳だけは妙に鋭い印象があった。

店長「店長じゃなくて管理責任者だっての。まぁ実質的には店長だけど。御坂ちゃんは今日デート?」
美琴「ふぇっ!?あの、ち、違います!全然、違います!!」
店長「あら、そんな思いっきり否定しなくても良いじゃないの。彼氏もそんなこと言われたら悲しいわよねぇ」

 唐突に話を振られて二人の会話をぼーっと見ていた上条が焦る。

上条「えっ!?お、俺は、彼氏とかそんなんじゃなくて……なんつーか……今日は頼まれ事されただけでしてはい」
美琴「そ、そうそう」
店長「ゲーセンで頼み事?」
美琴「別の場所でそれはもう済んでしまって、ゲーセンはそのついでに…………」
店長「なら今はデートでしょう?」
上条「…………………」
美琴「…………………」

976■■■■:2010/01/12(火) 00:19:44 ID:oySY5oFA
━34━


 言い返せないで二人は黙ってしまう。
 確かにこれまでの流れは誰がどう見たってデート以外の何物でもないだろう。

店長「あ、ごめんごめん。そんなつもりじゃなかったの。ちょっと御坂ちゃんに新作機種をやって欲しくて声を掛けたんだけど」
美琴「えーまたぁ?」

 実験的なゲームセンターであるため、必ずしも全てが面白いというわけでもなく、人気にかなりばらつきが出る。
 そうなると不人気機種は必要なデータが取れず、研究としてはかなり問題となるのだ。
 そのため、店長や店員が美琴にテストプレイをお願いすることは過去にも数回あった。

美琴(大抵面白くなかったり、意味不明だったり、危なかったりするから遠慮したいんだけど)
店長「そうなの。皆やるのを躊躇っちゃって。でもゲーセンマスターの御坂ちゃんならきっとできるって思って。丁度二人用だしさ、
    もう御坂ちゃんしか頼れないのよー」

 店長は手を合わせて拝むようにお願いする。
 上条と美琴は二人で顔を見合わせたが、お互い気まずくてすぐに顔を戻した。

上条「そもそも俺、そんなゲーム強くないっすよ?」
店長「あ、そう言う系じゃないのよ。難しくもなんともないわ。何て言うかお願いできるような二人組ってのが中々居ないの。
    もうすぐ閉店だし、今月中に何とかあと数件はデータ取らないと学会まで間に合わないって上司から言われるし………
    あ、タダとは言わないわ。最上階の展望台の入場券二人分あげるからさ!ほんとお願い!!」

 やや涙目になりつつお願いされ、そこまで断る理由も無い二人は仕方なく了承した。
 店長は喜んで二人を案内する。
 その先には飾り気のない白黒模様の小さな部屋があった。入り口は暗幕のようなものが床まで垂れていて中の様子は見えない。
 それをくぐって中に入ると、3人くらいは余裕では入れそうな薄暗い空間に、一つの台、二つの椅子、二つのヘッドセットの
ような物があった。台には幾つかのボタンがついている。
 また、壁には何やら土色をした大きな顔のモニュメントが飾られていて、その両脇にディスプレイが掛けられている。

美琴(ん?何だっけこれ、どっかで見たことある気が………)

 ヘッドセットのようなものは頭の部分で脳波を測定するらしく、店長が二人の頭に載せてくれた。
 上条の頭に載せる際に、屈んだ店長の胸が思い切り見えてしまい、上条は思わずそれに釘付けになる。

上条(で、でかい……)

 数秒固まった後、ハッと我に返り他の方向を向いてやり過ごした。
 その動きを終始見ていた美琴は若干不機嫌になる。

店長「それじゃ、後はお願いね」

 そう言うと壁のコイン投入口に100円玉を一枚入れて簡単に入力を行うと、そのまま出て行こうとした。

美琴「って、これって何のゲームなのよ?」
店長「あれ、言わなかったっけ?まぁすぐに分かるわ」

 そう言って出て行ってしまう。
 次の瞬間、壁の大きな顔から「ハッハッハ」という老人のような声が鳴り出し、目が光った。

美琴「あ、思い出した!」
上条「?」
美琴「これ、真実の口じゃん」
上条「あー、ほんとだ」

 その顔のモニュメントは、ローマにある『真実の口』の形をしていた。

真実「わしは真実の口、最新型嘘発見器じゃ。君たちの嘘は全て見抜くぞ。今からは全て真実のみ話すのじゃ!!」
上条「…………………」
美琴「…………………」

 まずい!と二人は心の中で同時に叫んだ。

977■■■■:2010/01/12(火) 00:19:56 ID:oySY5oFA
━35━


―――嘘発見器勝負

 真実の口が話した内容は次の通りであった。
 このゲームは、最新型の嘘発見器を利用した対戦ゲームであり、各々7個の質問に答えなければならない。
 その答えはヘッドセットのマイク部分から嘘発見器に入力され、真実度を測定される。
 最も真実であることを言った場合プラス100ポイント、最も嘘であることを言った場合マイナス100ポイントが加算
され、その合計得点を争う。
 マイナス40点からプラス40点はグレーと判断され、どちらでもないか、或いは真実も嘘も言っていないだけと判断される。
 質問は相手からするか、真実の口がするかを選択できる。
 質問する場合はボタンを押してから言う。
 持ち時間は質問するまでが60秒、ボタンを押してからが20秒、回答時間が30秒である。
 回答時間が0になったり、0ポイントを2回以上出したりすると、ペナルティーとして脳波から得られた現在の感情、真実を
言おうとしているか嘘を言おうとしているか、相手に隠していること、などなど知られたくないことを洗いざらい真実の口が
喋ってしまうので、なるべく無いようにとのこと(しかもこれは精度が悪いため間違ったことも結構言うらしい)

真実「さて君たち、準備は良いかな?」
上条「良くねえよ!!出ようぜ御坂……御坂?」
美琴「えっ、え、何?」

 美琴はボーッと何かを考えていたようだった。

上条「何だ、また具合でも悪いのか?出ようっつったんだけど」
美琴「うーん。でも頼まれちゃったし、仕方がないんじゃないっかなー」

 やや引きつった笑みを浮かべて返答する。

真実「それでは次は御坂さんの質問だ」

 真ん中にある真実の口に質問させる用のボタンと、美琴の側にあるボタンが点滅しだした。
 しかし上条はそれをチラッと見るだけで無視し、美琴の表情だけよく観察する。

上条「………………………………………」

 ガシッ!と唐突に上条は右手で美琴の左手首を掴んだ。

美琴「ちょっ!何してんのよ。離っ、離せこの馬鹿!!」

 掴まれた左手首をブンブン振り回すが、上条は離さない。

上条「御坂、お前さっき言ってたよな。ずるなんて簡単にできるって」
美琴「うっ………さ、さあ、言ったっけ?」
上条「……………まぁどっちでもいいけど、やるならどうでも良い質問でお茶を濁そうぜ。な?ここはお互い協力し合うところ
    ですよゲーセンマスター!」
美琴「その呼び方恥ずかしいからやめて。…………んー、ま、まぁそうね。わかったわ。適当に終わらせましょ。だから、とりあえず
    手を離してもらえる?」
上条「それは断る」
美琴「……………」

 幻想殺しで触られていたらチート行為は出来ない。
 それにこの状態で普通に質問をするのはさすがに無謀と思われた。
 もし仮に上条が「俺のこと好きか?」なんて聞いてきたら色んな意味でやばすぎる。

美琴(ちぇー。せっかく色々聞き出そうと思ったのに)

 美琴はボタンを押す。

美琴「うーんと、アンタはカレーライスって食べる方?」

 若干つまらなさそうにどうでも良いことを尋ねる。

上条「お、良い質問ですな。カレーか、普通に好きだぞ」
美琴「ッ!?」
真実「真実〜!!!プラス100ポイント」

 かなり適当に質問したため、あまり想定していなかった上条の台詞を聞いて背筋にゾクゾクと電気が走るのを感じた。

美琴(ず、ずっとこのパターンで行こうかしら)
上条「次は俺か……うーん、ま、何でも良いか。お前ってもしかして苺味が好きなのか?」
美琴「ストロベリー?うん。す………………う、うん」
真実「真実〜!!!プラス98ポイント」
美琴(やっぱ駄目!こいつの顔まっすぐ見ながら好きとか言えるわけないじゃないのよ!!)

 恐らく美琴が同じような質問ばかりすれば、上条の方も同じような質問をするだろう。
 仕方ないので質問の流れを変えるべくあれこれ考える。

978■■■■:2010/01/12(火) 00:20:06 ID:oySY5oFA
━36━


美琴「あ、そう言えば質問内容のおまかせも出来るのよね。やってみない?」
上条「うーん。何か嫌な予感がしないでもないけど、まぁいいんじゃねーの?」

 美琴は真ん中にあったボタンを押してみる。

真実「ハッハッハ。ではわしから質問しよう」

 壁にあるやや気味が悪い老人の顔が口も動かさずに喋り出す。

真実「君たちは今日、楽しんでるかね?では上条さん答えてくれたまえ」
上条「えっと、色々トラブルばっかではあるけど………まぁ楽しいかな」

 チラッと一瞬だけ美琴の方を見て答える。

真実「真実〜!!!プラス92ポイント……では御坂さん答えてくれたまえ」
美琴「私も大体同じ、そこそこは………楽しい、かも」

 美琴はそっぽを向きつつ答える。

真実「真実〜!!!プラス75ポイント」

 この質問内容に二人は色んな意味で安堵する。

上条「何だ何だ、こいつにやらせた方がいいんじゃねえか」

 上条は気軽に真ん中のボタンを押した。

真実「ハッハッハ。ではわしから質問しよう。君たちはお互い、異性として好みのタイプかね?では上条さん答えてくれたまえ」
上条「……………………………」
美琴「……………………………」

 恐れていた事が起きてしまった、と二人仲良く固まる。

上条(ちょ、ちょっと待て、気まずい。恋人同士でもない男女のにそういう質問はタブーではないでせうか)

 上条は美琴に『弱っちまったな』といった風の視線を投げかけてみる。
 しかし美琴はそれに気付かないようで、上条の方をチラチラ見たり、興味なさそうにそっぽを向いてみたりと、かなり
忙しそうにしていた。

上条(えーと……………どう答えれば良いんだ?)

 ここでYESと答えて、嘘と判定されると美琴は怒るだろう。
 逆にNOと答えて、嘘と判定されるのは正直かっこ悪すぎる。
 結局正直に答えるしかないのだが……

上条(御坂がタイプかどうかなんてわかんねぇよ。っつうかそう言う対象じゃねえだろ、ねえってことでお願いしますよ。あー
    まずい、意識すると変な気分になりそう。まずい)

 仕方ないので考えるのをやめてその胸中を正直に答えてみる。

上条「えっと、分かりませんです」
真実「嘘ー!!!マイナス45ポイント……では御坂さん答えてくれたまえ」
上条「えっ、アレ??」

 上条は混乱して慌てる。機械がバグったんじゃないだろうか。
 これおかしいぞ!と訴えるように美琴の方を見ると、美琴は汚い大人を見るかのような目で上条を見ていた。

上条「あ、やめ、やめて下さい。そんな軽蔑した目で見ないで。心が痛い」
美琴「アンタってそう言う奴なんだ。ふーん。まぁアンタの好みはあの店長みたいなのなんでしょ」
上条「へ?い、いやちげーよ!」
美琴「はいはい私はどうせガキでお子様でゲコ太好きよ。悪かったわね。あ、私も『分からない』わ。ていうかアンタがタイプ
    かどうかなんて正直どうでも良いっての」
真実「嘘ー!!!マイナス100ポイント」
美琴「……………………………………」
上条「……………………………………」

 美琴の顔が徐々に赤くなり、顔を思い切り横へ逸らす。
 しかし上条は上条でそれどころではなく、心の中で(え、どっち?どっち??)と苦悩し始めた。
 長い沈黙。

真実「残り20秒」
美琴「えっ!?えーっと」

 美琴はとりあえず自分の側のボタンを押す。おまかせ質問は危なすぎる。

美琴「そ、そーうそう。アンタがくれたあのぬいぐるみ。あれ作るのを手伝ってくれたのは隣の男の人だったわよね。何て人?
    もし出来たらお礼言いたいし」
上条「……………………………」

979■■■■:2010/01/12(火) 00:20:18 ID:oySY5oFA
━37━


 上条はいきなり意識を現実に戻され、休む間もなく窮地に立たされる。顔からタラタラと汗が流れてきた。
 目線をギギギギと美琴から外し、心の防御姿勢をとる。

上条「…………………お前の知り合い。土御門舞夏」
真実「真実〜!!!プラス100ポイント」
美琴「…………………ほほう」

 上条が恐る恐る美琴の方をチラッと見ると、あからさまに目が座っていた。かなり怖い。
 右手を離して物理的防御態勢を取りたい衝動に駆られるが、離したら離したで色々やばそうなのでどうにかギリギリ耐える。

美琴「アンタ、男って言ったわよねぇ」
上条「……………」

 『厳密には言ってません〜』なんて茶化すような雰囲気ではない。

美琴「ていうかそもそも何で土御門がアンタの隣に住んでるのよ…………まさか!アンタあの子にも手を」
上条「ち、違う違う多分何か盛大に誤解してるぞお前!アイツの兄貴が隣に住んでるだけだ。おかずのお裾分けに来た時に、
    作りかけのぬいぐるみを見てもらって、出来があんまりだったからコツを教えてもらったんだよ!」

 そう言えば上条との会話で土御門という単語は何回か出てきたな、と美琴は思い出す。
 しかし重要なのはそこではない。

美琴「で、何でさっき本当のことを言わかなったわけ?」
上条「それは…………」

 何故だろうか。自分でも首をかしげる。
 別に恋人同士でもないのだから、クリスマスプレゼントの作成を女の子に手伝ってもらうくらいどうってこと無いはずだ。美琴が
そこで怒る理由も無いし、きっと今怒っているのも本当のことを言わなかったからだろう。
 それでも自分は言い訳じみた態度を取ったのだ。

上条「なんて言うか、悪かったな。嘘付いて」

 分からないことだらけだったが、分かる部分については謝っておく。

美琴「はぁ。アンタ、結局何も分かってないわけね」

 しかし美琴はお気に召さないようだった。
 上条は更に混乱して、苛立ちをあらわにする。

上条「だから正直に言わなかったのは謝るって」
美琴「…………………」
上条「んで、何でまだ怒ってるんだよ」
美琴「誰が怒ってるってのよ」
上条「お前」
美琴「怒ってないわよ」

 上条はボタンを押す。

上条「怒ってるだろ」
美琴「うっさい、怒ってないっつってんの!!」
真実「嘘ー!!!マイナス92ポイント」
美琴「ッ!?」
上条「…………………………」
美琴「アンタが馬鹿なことになら怒ってる」
上条「はあ?」

 美琴がボタンを押す。

美琴「アンタさ……………た、例えば、私が……もし、誰か知らない男と………町で遊んでたら、どう思うわけ?」
上条「何だそれ?」

 そういえば美琴が他の男性と居る状況に出くわしたことはほとんど無いな、と上条は回想する。

上条(常盤台のお嬢様なら当たり前か)

 試しに想像してみる。
 美琴の隣に男性が居て、二人は笑いあっている。

上条(美琴の電撃ツッコミを防げる奴なんか居るのか?………って、あんなことするのは俺にだけか)

 二人でショッピングしたり、喫茶店でおしゃべりしたり、ゲームセンターで遊んだり、映画を見たり、カラオケしたり……

上条(………やめた)

 そこら辺で考えるのをブツリと止めてしまう。
 一瞬、胸の底から何やらドス黒いものが顔を覗かせた気がする。それが少し怖かった。
 しかし上条にはそれが一体何なのか分からない。
 とは言っても初めて体験する感情なんてよくあることだからさして気にすることでもない。上条は記憶喪失なのだ。
 そうだ。考えてみれば美琴が訳が分からないのは毎度のことである。
 ならいつも通り、軽口で適当に答えれば良い。

上条「別に何とも思わねえよ。あーでも、そいつの身の安全が心の底から心配ですなー」
真実「真実〜!!!プラス42ポイント」
美琴「…………………へぇ。そっか」

980■■■■:2010/01/12(火) 00:20:29 ID:oySY5oFA
━38━


 目線を下に落し、俯き気味に答える。
 ある程度予測はしていたものの、その返答と結果は美琴の気持ちを重く沈めていった。

美琴(……………そうよね)

 口の中で自嘲気味に笑う。
 いつもは自分から逃げてばかり居る上条だって、今日は楽しいと言ってくれた。
 そりゃぁそうだ。上条が嫌がると思ってビリビリを封印し、上条が素直に楽しめるように不幸を取り払い、罰ゲームでもない
のにこの自分がお願いだって聞くというのだ。
 でも、それでも、多分そこまでなのだった。
 空想上の第三者にすら嫉妬してくれない。せいぜいよく喧嘩する友達か腐れ縁くらいにしか思われてないのだろう。

美琴(……………何だ、馬鹿みたいだ。私)

 お願いを聞くと言えば、ひょっとしたら『付き合ってくれ』なんて言ってくれるんじゃないかという打算もあった。
 昨夜バスタブの中でニヤニヤしながらそんなことを考えていた自分を呪いたくなってくる。

美琴(当たり前か。私、素直じゃないし、ビリビリ攻撃するし………)

 上条は美琴が一人で暗くなっている様子が気になったが、理由を考えたところでどうせ答えは分からないだろうと予想する。
 だからまた軽口でも言って、言い合いにでもなれば元気になるだろうと踏んでボタンを押した。

上条「なんだー?好きな奴でもできたのかい?相談に乗ってあげるから当麻お父さんに言ってみなさい。つっても記憶無いうえ
    に俺はそういうの専門外だから全然役に立たねえだろうけどなー。あっはは」
美琴「…………………………別に居ないわよ」
真実「嘘ー!!!マイナス98ポイント」
上条(……………………え?)

 上条は虚を突かれたように呆然とする。

上条(ってことは本当に好きな奴が居るってことで良いのか?)

 美琴としては上条が『好きな人が居る』を『自分かもしれない』のだと薄々気付き、その事を意識してくれるのではないかと
少し期待したが、上条はそんな都合の良い幻想を抱こうとは決してしない。

上条(一体どこのどいつに?どんな奴に?)

 美琴が好きな男………強くて、優しくて、ハンサムで、常盤台のお嬢様に似合うような上流貴族の如き完璧超人を上条は
思い浮かべた。
 更につっこんだことを尋ねたみたくなるが、美琴が否定しているならば言いたくないのであろうと思い踏みとどまる。

上条「へ、へぇ…………そっか」

 気付くと、自分の表情が砂を噛んだような苦いものになっている。
 胸周辺が熱くギリギリと痛むのだ。その上気持ちの悪い汗も出てきた気がする。
 しかしやっぱり上条にはそれらが何を意味するのか解からない。
 チッ、と上条は心の中で舌打ちをした。

上条(どうせ体調不良か何かだ。やっぱあのケーキ、ヤバイもの入ってたんじゃねえだろうな………)

 そんなことを思っているうちに、美琴の右手がボタンに伸びた。その手には勢いがない。

美琴「アンタこそ、あのちっこいシスターと一緒に住んでるんじゃないの?」

 鎌かけ。
 今まで色んな女の子が上条と一緒にいるのを見たが、一番多かったのはあの銀髪のシスターだ。その他の色んな言動も加味
して二人が同棲していることは十分予想できたし、それを何度も案じてきた。そんな日は決まって眠れなかった。
 若干自暴自棄になってそれを質問したのだが、時間が経つにつれ徐々に後悔の念でいっぱいになってしまう。現在進行形で
仲良く同棲しているだなんて言われたら自分の心がどう反応するかなんて分かりそうなものなのに。
 思考がボロボロだ。こんなにも近くに居るのに息が苦しい。

上条「いいえ」

 上条はそれに臆さずに答える。

真実「どちらでもないようじゃ。プラス33ポイント」
上条「あれ!?これってどんだけずば抜けた精度してるんだよ。深層心理まで読み取ってるとしか思えねえ」
美琴「……………………………」

 そこまで言ってから上条はしまった!という顔をする。
 美琴は顔を俯けたままで責めるように上条を見つめた。
 その無言の上目遣い攻撃に上条は居心地が悪くなる。

981■■■■:2010/01/12(火) 00:20:40 ID:oySY5oFA
━39━


上条「い、いや。正直に申上げますと、最近までアイツが居候してたわけです。でも色々あって今は別のところに住んでいるの
    ですよ。だから多分『どちらでもない』にされたんじゃないかと…………」
美琴「……………………………」
上条「あ、もちろん変なことは一度も無かったぞ。この上条さんの鋼の精神の前ではどうってこと無い!夜はわざわざ一人で
    バスタブに寝てたくらいだしな!!」
美琴「……………………………」
上条(って、だから何で俺は言い訳ばっかしてるんだ??)

 その言い訳を一通り聞いて、美琴は半分安堵、半分怒りを覚えた。
 危うく心が砕けそうになるのを回避したことで思わず笑いが漏れる。

美琴「プッ、ハハ……なんだ、アンタ捨てられたんだ」

 意地悪そうに言うその表情はぎこちないものだったが、慌てる上条は気付かない。

上条「なんつうひでぇ表現だ。俺は平和的にアイツを送り出しただけだ。心情的には母親みたいなもんですな」
美琴「母親ねぇ……………アンタって無意識に結構酷いこと言うわよね」
上条「え?何かおかしいか?」

 美琴は上条が誰に対しても鈍感であることに呆れ溜息を付く。

美琴(同棲までしてそれって、さすがにちょっとあの子に同情するわね。その後どうなったかは知らないけどさ)

 上条は未だよく分からないと言う表情をしている。

美琴「おかしいのはここだド馬鹿!!」

 上条がよく分からないと言う表情で美琴の顔を見つめてきたので、美琴は心中を気取られないために無理矢理テンション
を上げて頭にチョップを食らわす。
 上条はその痛みを気にする余裕もなく、更に混乱する。全くテンションがコロコロ切り替わる中学生だ。

上条(毎度のことながら意味分からねえ。それとも本当に俺の頭が変なのか?)

 記憶喪失だからか、そこら辺の感覚がよく分からない。
 最大の謎は美琴が自分に対してどう思っているかだった。最初の頃はビリビリ攻撃ばかりしてくるから相当嫌われてるのだと
思っていた。しかしあの夏から色々なことがあって、何度かは自分の代わりに戦ってやるなんて言われた。嫌われてはいないの
だろうと思う。でも好かれている訳でもなく、きっと記憶喪失であることを同情しているんだと勝手に決めつけていた。
 それが今日一日で崩れかかった。

上条(サンタになって俺を幸せにしたい。なんて、普通同情で言うもんじゃねえしな)

 柄にもなく、ひょっとしたら美琴は自分に好意を持っているのではないかというのが頭をちらついた。

上条(でも……)

 先程の質問の回答で膝から崩れ落ちるような感覚を味わった。美琴に誰か好きな人が居るなんて今まで考えもしなかった。
 思い起こしてみれば、夏に頼まれた恋人ごっこなんかもそれが原因だったのかもしれない。
 上条は再びその事を考えてイライラし始める。半ば無意識にボタンを押していた。

上条「テメェにド馬鹿とか言われたくねえっつの。お節介なことかも知れないけどな、想い人が居るならクリスマスイブに
    何で俺なんかとこんなことやってんだよ、そいつと過ごすべきだろばっかやろうが!」

 そんなことを言わなきゃいけない自分が情けない。美琴の目は見ない。
 しかし数秒後にそれを反芻して、普段の自分では言わなさそうなその内容に今度は戸惑い出す。

上条(御坂は今日色々頑張ってるじゃねえか。何で俺はそれを拒絶してるんだよ??)

 美琴のことを想って優しさでそんなことを言った、なんて絶対に違う。ただ胸の中にある黒い物が怖いからと自分勝手に美琴へ
ぶつけただけだ。

上条「わ、悪い」

 何か先に言われるのが怖くて、慌てて謝る。

美琴「………………」

 場が静まりかえる。
 美琴は、上条がどうやら自分自身が好かれているということを一切想定していないらしい、というのに気付いた。だがもはや
その誤解を解く気力も起きないし、それを上手く解く方法も見あたらない。
 結局上条が自分と一緒にいることを優先にするほど、二人の距離は近くないと言うことだろう。もしかしたら、一緒にいること
が苦痛にすら思われていて、仕方がなく付き合ってやってるだけなのかもしれない。今日までの二人の関係と、上条の性格を
考えればそれも自然の道理だろう。

美琴(さっきから考えれば考えるほど悪い方向へ進んでる気がする……)

982■■■■:2010/01/12(火) 00:21:56 ID:oySY5oFA
━40━


 やや沈黙。壁のディスプレイの数字が徐々に少なくなっていく。

美琴「ま、そうかもね。私もそう思うわ」
真実「真実〜!!!プラス100ポイント」

 今実際にそうしているんだからそうなるだろう。
 しかし上条は自分で聞いたくせに、その返答に心をざわつかせた。
 上条は美琴と別の想定をしているため、上条にとってそれは今日の全否定に繋がる。
 美琴の手がボタンに伸びる。

美琴「でもさ」
上条「?」

 美琴は完全に俯く。顔を見られたくないし、上条を見るのも怖い。

美琴「アンタは…………………それで良いの?」

 美琴も、上条が勘違いをしていることは分かっている。
 だからこの質問の意味は『今日の出来事を別の誰かと過ごしても良かったの?』だ。

上条「良くねえよ!!!」
真実「真実〜!!!プラス100ポイント」

 考えるより先に言葉が出た。
 遅れてそれを理解する。
 美琴が自分以外の男と手を繋いで町を歩くのも、手を繋ぎながらケーキを食べるのも、ヘンテコなプリント機であんな写真を
撮るのも、こんな言い合いするのも、そばに居て幸せにするなんて言うのも嫌なのだ。
 それらは全て自分へ向けられて欲しい。

上条(ああ、そっか…………)

 上条は自分の中の何かをやっと理解した気がした。
 何故かなんて理由は分からない。ただ、その衝撃に手で口を覆う。
 気付くと美琴が顔を上げてポカーンとしていた。
 上条は慌てて先を繋げる。

上条「だから最初にも言ったけどさ、俺は嬉しいんだって。今日は一人の予定だったからな。俺の不幸を案じてくれるってのも
    助かるし…………あ、お前がサンタのコスプレしてきたら完璧だったけどな」
美琴「………あ、アンタは相変わらず私にどんなキャラ期待してんのよ」
上条「いや冗談冗談……………でもさ、俺を幸せにしておいて、お前が不幸になってちゃ意味ないだろ?」
美琴「私は、…………………………」
上条「一つだけ聞いて良いか?」
美琴「何よ」

 上条は最後のボタンを押す。

上条「何だって、今日はこんなの良くしてくれんだよ。変な勘違いされても知らねーぞ、ホント」
美琴「別に………そんな意識無いわよ。ただ、アンタが不幸だ不幸だ言ってるのが気にくわないだけ。私を打ち負かしておいて
    不幸とか、ふざけんなってことよ」
真実「真実〜!!!プラス78ポイント」
上条「そっか」
美琴「そうよ」

 二人はそれ以上何も言わず。小部屋を後にする。


 勝負結果:422ポイント対61ポイントで、上条の勝ち。


_________________


この後もまだまだ続くよ ← (もう少しで終わるフラグ)

分量がラノベ1/2巻分くらいになってるーw

983■■■■:2010/01/12(火) 00:33:51 ID:DvbkX8e2
>>982 超GJはわわわわわわ上条ちゃんが覚醒したですよ大変なのです一大事なのです!
これは…俺がVIPで1000取ったからか…(違います)

984■■■■:2010/01/12(火) 00:36:06 ID:qb32v.nE
>>982
GJ!
ずっと続きを待ってました!
萌え死にそうです!
最後のラストスパート、がんばってください!

985■■■■:2010/01/12(火) 00:37:15 ID:1e70PvFQ
>>982
2828が止まらない
はやく続きをぉぉぉぉぉ

986■■■■:2010/01/12(火) 00:49:24 ID:Hn70Ve1s
>>982
す、すばらしい
はやく…はやく続き読ませてくれぇぇぇっぇぇぇっぇ

987■■■■:2010/01/12(火) 01:18:58 ID:Gv0TwgEc
>>982
グッジョォォォブ!
つ、ついに上条さんが…続き楽しみにしてます!

988■■■■:2010/01/12(火) 01:24:38 ID:rMaVTWyE
>>982
GJとかそンなこたァどォでもいンだよ!!
さっさと続きを書けっつってンだ…そこントコ理解してるか?

989寝てた人 ◆msxLT4LFwc:2010/01/12(火) 01:32:03 ID:oySY5oFA
GJありです
モチベーション上がるわー

今は後日談書いて、あと推敲してるとこ
そんな時間は掛からなさそう

って、何か次スレになりそうな予感だなー
分量的に

他の方も、そろそろ次スレ使い始めて良いと思いますよ

つかまたトリ付け忘れてるし
トリで抽出してる人居たらごめん

990■■■■:2010/01/12(火) 01:41:19 ID:ZPGVyy6Y
>>982
GJ!と惜しみない賞賛を送ります!

991■■■■:2010/01/12(火) 01:49:54 ID:FDHJPHgI
>>982
やべーーーーー!!
続きが気になりすぎて眠れん・・・

992■■■■:2010/01/12(火) 01:57:56 ID:ZPGVyy6Y
>>894です
私は筆遅いです。すみません。
スレ埋めように2レスほどでプロローグ部分だけ投下しておきます。
……いちゃいちゃは本編で!

「カミやーん。執事決定にゃー」
土御門が唐突に部屋にきたと思ったら
最初に言われたセリフがこれである。
「……は?」
さすがに意味がわからないといった感じで聞き返す。
「だから執事だぜい。メイドさんの男バージョンだにゃー」
妹の舞夏が聞いたら軍隊仕込みっぽい本気拳が飛んできそうなセリフだ。
だが、今はそれを気にするどころではない。
「いや、だから何で俺が執事なんだよ!しかも誰にお仕えするんでしょうかご主人様!?」
「……カミやん、ご主人様といっていいのは女の子だけだにゃー」
げんなりした顔で土御門はこたえる。しかしその返事は求めていない。
「そこじゃねー!なんで俺が執事なのかの答えを言えよ!」
土御門はカラカラと笑うと答えた。
「もちろん一端覧祭のうちらのクラスの出し物が執事喫茶だからだぜい。カミやんいなかったから勝手にきめたにゃー」
「……執事喫茶になったのはまだいい。なんでこの私めが執事なのでしょう。」
と、うんざりとした感じで聞き返したところ、土御門の目がサングラスの奥でギラリと光った感じがした。
「……カミやん、しっとるか?一端覧祭は一応学校の宣伝をし、生徒を集めるという目的もあるにゃ」
それは知っている。それゆえあの常盤台中学ですら一部の開放をするくらいなのだ。
「それと俺が執事になることに何のつながりが?」
上条がなおもうんざりと質問すると土御門はサングラスの中心を中指で押し上げながら言った。
「もちろん、カミやんの能力をフル活用するためだぜい。」
「……幻想殺しと何の関係があるのかさっぱりわからないんですが?」
「幻想殺しじゃない。」
土御門は真剣な口調になって答えた。その威圧感に少しひるむ。
しかし、そっちじゃないとはどういう意味だろうか。
上条も真剣になった。なんせ相手が土御門だ。
自分が知らないうちに魔術に関係することにまた関わっているのかも知れない。
「幻想殺しじゃないとすると何だ?」
そんな上条に向かって土御門は答えた。
「もちろん……カミやん病にきまってるにゃー!」
上条は無言で右拳を握り締め土御門を殴り飛ばした。
本当に右手は便利だ。目の前の馬鹿野郎を殴り飛ばすのには。

993■■■■:2010/01/12(火) 01:59:15 ID:ZPGVyy6Y
「つまり俺が執事をやれば来年女の子が大量に入ってきてうっはうは!薔薇色の学園生活!が目的!?あほだろうちのクラス!」
上条が絶叫する。殴り飛ばされた割りには元気な土御門が相変わらず軽い感じで答える。
「にゃー。ついでにフラグ立てて放置されてる子がくるだろうから、そのおこぼれゲットだぜい。」
上条は両手をわなわなと震わている。
「そんな都合よくいくか!てか硬派上条さんにフラグなんてありませんよ!」
「にゃー……自覚なしか。まあ、冗談だにゃー。半分は。」
「半分かよ!?残り半分は何だよ!」
「執事みたいな仕事をするときに起こる不幸見学だぜい。さらに迷惑かけられた女の子に優しくすることでフラグをゲット!」
「いっぺん死ねー!」
夜はふける。馬鹿達の絶叫で。デルタフォースは一人足りなくてもその戦力に申し分はないようだ。

クラスでの決定にはさすがに逆らえず。
土御門元春プロデュースで上条当麻は執事としての振る舞いを土御門舞夏に叩き込まれていた。
とてもスパルタだった。
(まあ、あれだな。せーの。不幸だー)
彼は知らない。本当に大変なのはこれからだということを。

そして一端覧祭当日。とあるお嬢はとある学校の前にいた。
「ここがアイツの学校……」
彼女のバックの中には小型ながら超高性能の最新のデジタルカメラが入っていた。
まだ撮られた写真の数は0。

長い一日が始まる。

994■■■■:2010/01/12(火) 02:04:00 ID:5eN4w50E
>>982
どうせなら1巻分目指そうぜ
期待しまくる

995■■■■:2010/01/12(火) 02:16:00 ID:qb32v.nE
>>993
GJ!
本編楽しみにしています!

996■■■■:2010/01/12(火) 02:30:20 ID:M2yE6Ij6
>>982
いいよいいよー続きを(ry

997■■■■:2010/01/12(火) 02:35:06 ID:5eN4w50E
次スレ
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS part2
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1262324574/

998■■■■:2010/01/12(火) 03:11:13 ID:1e70PvFQ
>>993
GJ!!
本編待ってます
美琴のカメラが1日たてばどうなってるのか楽しみです

999■■■■:2010/01/12(火) 04:11:19 ID:oySY5oFA
.......φ(..)ああああああああ!!お前らいちゃいちゃしすぎだろおおおおおお!!!

1000■■■■:2010/01/12(火) 04:11:36 ID:oySY5oFA
              1000
             (⌒Y⌒ )
              \ /
                Y
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         御   |   上
         坂   |   条
         美   |   当
         琴   |   麻
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