死んだえりちの真っ白な体が、棺桶の中に納まっている。
うちは、そんなえりちを見ても不思議と涙がでてこなかった。
にこっちと真姫ちゃんは、声をたてないように、ハンカチで口を押さえながら泣いてる。
穂乃果ちゃんと凛ちゃんは、思いきり声をたてて泣いてる。
ことりちゃんと花陽ちゃんは、声をたてて泣いてるふたりを宥めようとしてるけどボロボロ泣いてる。
亜里沙ちゃんは、気丈に振る舞っているけれど赤いまぶたをファンデーションで隠してる。
みんながみんな、思い思いに悲しんで泣いている中で、うちだけは涙がでてこなかった。
えりちは死んだ。
うちには、どうしても実感がわかんかった。きっと、あんまりにも衝撃的すぎて現実に見えないんやろうね。うちには、えりちが今にも起きてくるんじゃないかとしか思えなかった。
そのまま、お坊さんが来て読経が始まる。
読経の間、えりちはキリスト教の方がしっくり来るんやないかなぁなんて、ぼーっと考えとった。
読経の後、出棺になって火葬場にえりちは向かっていった。亜里沙ちゃんが特別にと取りはからってくれて、火葬に立ち会うのは、えりちの家族の他にうちもいれてもらえた。
えりちが焼ける。
えりちが入った棺桶が、炉に入っていく。えりちは焼けたらおいしそうやなぁって思ったら、お腹がなった。炉が点火して、ごおごおと音をたてて、えりちを焼いてく。
真っ白なえりちが、真っ黒になってく。
えりちを焼くんじゃなくて、剥製にしていつまでもきれいなままでいさせてあげればええのに。
えりちが焼けた。
えりちが炉から出てくると、真っ白な骨だけになっとった。
よかったねえりち、真っ白なままやんか。
うちは、えりちの骨を骨壺に納めるのを手伝った。手伝うついでに、えりちのきれいな指の骨と、えりちの少し大きな背骨をこっそりもらった。
家に帰って、清めの塩もまかずにうちはベットに倒れこんだ。
目が覚めたら、真夜中になってた。
うちは、バックの中からえりちの骨を包んだハンカチを取り出して、それを開いてえりちの骨を見てた。
えりちのまっしろなきれいなほね。
気づいたら、ぱきりぱきりとえりちの骨を食べていた。一口かじるたびに、うちの目から涙がぼろぼろこぼれてきた。えりちの骨をかじると、えりちが死んだことがようやっと感じられるように思えた。
その日、不思議な夢を見たんよ。
えりちとうちが、お花畑でお喋りしてる夢やった。えりちは夢の中で、「これからは希の中に私がいるから、寂しいなんて思わないで」って言っとった。
目が覚めて、うちは心にきめたんよ。
μ'sをもう一度、結成しなきゃって。
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