珍しいよねぇ、海未ちゃんが風邪なんて。
最近急に冷えたからかなぁ。
作ったお粥はちゃんと食べた？
ちゃんと食べて体力つけないとね。
そうだ。海未ちゃんが寝てる間にゼリーを作ったの。
ことり特製いちごゼリー。
今回のは自信作なんだぁ。
あっ、だめだよ海未ちゃん。
病人はおとなしくしてないといけません。
だからね、あーん。
ふふっ、今日は素直に食べてくれるんだ。
風邪で弱ってるからかな？
だったら、たまにはこれもアリ…っていけないいけない。
こほん…海未ちゃん。
食べ終わったらまたおやすみしようね？
…おーい、海未ちゃん。
…寝ちゃった、かな？
やっぱり、最近頑張り過ぎだったんだよ。
だって海未ちゃんっていろいろやってるでしょ？
弓道部と掛け持ちだし、お家では舞踊のお稽古。
スクールアイドルの練習に、最近は生徒会の事務だって増えた。
そんな生活、ことりだったら三日も持たないよ。
明らかにオーバーワークだって、ちょっと考えればわかるもん。
なのに海未ちゃん、顔に出さないようにして。
弱音なんて吐かないし、逃げ出すことも絶対しない。
弱いところを必死に隠すの。
そういうところが、ことりは嫌い。
もっとことりに見せて欲しい。
もっとことりに頼って欲しい。
もっとことりに…甘えて欲しい。
…ふふっ、でももう大丈夫。
これからは頑張らなくてもいいんだよ。
だって、ことりがいるんだから。
これからずーっと、いっしょなんだから。
だから海未ちゃん、ことりと約束。
ことりから離れないでね？
隠し事なんて許さないから。
…おやすみ、海未ちゃん。
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