東京堂さんもお洒落になったなぁとか、いもやのとんかつ定食もええなぁなんて思いながら
それで、二郎の行列に並んだらな、後ろからいきなり声かけられたんよ！
「大豚トルネードさんとお見受けいたしました。ロットバトル※を受けて頂きたく」
（※ロットとは、一度に茹でることが出来る麺の数のこと。ロットバトルとは、２ロット間に、練達のロティスト達が競い合う早食いに似た何か）
振り返ると銀髪にサングラスの、ウチと同じ年格好の少女がおった。あ、大豚トルネードっていうんはウチのロットネームな
バトルなんて久しぶりやったんやが、相手の立ちのぼるような気迫に、思わず受けてしまってん
コールは誘い合わせるように、もちろん大豚ダブル全マシ。券売機にお金入れようとしたらスメル増田※さんで、ちょっとびっくりしたわ
（※スメル増田とは、長年の二郎通いの結果体臭が二郎スープと同じになったというジロリアンの生ける伝説である）
10席しかない狭いカウンターについてしばらく、ウチらの前に二郎が並ぶ
ここでウチの鮮やかな天地返し※。（※素早く麺と野菜などをひっくり返すこと。麺がスープを吸って肥大化せずに済むとかなんとか）
決まった！と思ってライバルを見ると、なんと！野菜、豚、麺、スープ、すべてをまるで逆流する滝のように、凄まじい勢いで吸引する姿が！
しまった！「さかのぼり銀月」とはコイツのことやったんか！しかし、ウチも負けられへん。異名でもある必殺技「大豚トルネード」を出すまでや！
大豚トルネードいうんは、左手の箸で丼の中を高速で回転させつつ、遠心力を利用して絶妙に混ざり合った次郎を右手の箸で竜巻のようにすすり込むって技や
マキちゃんがメジャー至上最速奪三振記録達成を見て感動したっていう野茂英雄投手にインスパイアされたんよ
（※グッデンの記録を更新した野茂の偉業を目撃して感動するのには最低17年必要である）
ウチも全力。最後のスープを飲み干して丼をカウンターに置いた時、ほぼ同時にライバルも丼を置いたようやった
店主に軽く会釈して店を出る。相討ちやったか･･･軽い疲労感と充実感
と、静かにライバルも近くに寄ってきて、サングラスを外して会釈する
あ！この人、有名アイドルの四条貴音やんか！？
「お見事で御座いました。また、ご縁がございましたらお会いいたしましょう、東條希さん」
艶やかな笑みを残してしめやかに去っていく四条貴音。あの人、ウチの名前知っとった･･･
呆然とするウチの目の前に差し出された黒烏龍茶。見ると、アルカイックな微笑を浮かべたスメル増田さん
黒烏龍茶を飲みながら、靖国通りへと消えるスメル増田さんの券売機のような後ろ姿を見送り、もう二郎食べるの止めようと決意した
（※二郎の大豚ダブルは約3000キロカロリー）
豚が餌
しぶりんじゃなくてμ'sの方ね
スリーサイズが等しいんでしょ