それは池田と福路
池田は福路をを腕にかかえ
時折声をかけて正気を確かめている
キャプテン、何に手を伸ばしてるんです？
華菜には上埜さんが見えないの？
私と手を繋いだ上埜さんが
キャプテン、それはただの霧です
うえのさん：「可愛い美穂子、私と一緒においで
楽しく遊びましょう
キレイな花も咲いて
情事の道具もたくさんあるわ」
華菜、華菜！
上埜さんの甘いささやきが聞こえないの？
気を確かに保ってください、キャプテン
枯葉が風で揺れているだけです
うえのさん：「素敵な美穂子、私と一緒においで
私と貴女の子の面倒を見ましょう
歌や踊りも教えてあげましょう」
華菜、華菜！
あれが見えないの？
暗がりにいる上埜さんと私とその娘たちが！
じゃあ華菜ちゃんが抱えてるのは誰だし！
あれは灰色の古い柳ですよ！
うえのさん：「貴女が大好きよ。可愛いその姿が。
いやがるのなら、無理には迫らないわ」
華菜、華菜！
上埜さんが行ってしまうわ！
放して、追いかけなきゃ！
池田は恐ろしくなり 馬を急がせた
暴れる福路を腕に抱いて
疲労困憊で辿り着いた時には
腕の中の福路は「うえのさん」としか言わなくなっていた
なつかC