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怖い話 1 :名無しさん :2008/05/01(木) 14:16:47 霊的な怖い話を集めてみましょう
3 :名無しさん :2008/05/02(金) 13:48:02 ID:.KMWL1GEC ありがちな話で恐縮ですが、黒い影のような靄のような人の形をしたものについて。 5、6才の頃に祖母の家に泊まった夜、夜中に目が覚めて辺りを見回したときにテレビの画面スレスレまで顔を近付けて座布団に正座しているまっ黒い影を見つけました。 そのときは何故か怖くなく、私がもっと小さい頃に他界してしまったおじいちゃんだと勝手に決め付けてそのまま眠りにつきました。 夢ではないと思います、仏壇の前にいつもある特別な座布団がテレビの前に置いてありましたから。 それから黒い影をちょくちょく見るようになりました。 病気といわれればそうかもしれんが、見えるもんは信じてしまう罠 で、どの影にも共通しているのは、私を無視しているような行動をすること。 今では少し怖く感じますがなんだか黒い影を見かけると寂しいような悲しいような変な気持ちになってしまいます。 根拠はありませんがあの方たちは私たちとは違う次元で生きているような気がしてなりません。
5 :名無しさん :2008/05/02(金) 22:47:36 ID:ZItIDppc0 5年くらい前の話です。 家族でドライブを楽しんだ帰り、もう日はすっかり暮れて夜になっていました。 帰り道、長く暗いトンネルがありました。 父は安全運転をするほうで、スピードをあまり上げたりしない方なのですが、 何故かそのトンネルに差し掛かったとき、スピードが上がりました。 トンネルを抜けたときに父にどうしたのか、と聞くと、父は「お前には見え なかったか?」と聞いてくるので、「何が?」と再び聞きました。 すると父は「トンネルの入り口に女の人が立っていた。」と言うのです。 そんなところに女の人が立てる場所はありませんでした。 父はそんな冗談を言う人ではありません。 父の見た人は幽霊だったんでしょうか・・・。
6 :名無しさん :2008/05/03(土) 09:33:46 ID:By954t4oC 火事で死者が出た札幌すすきの風俗「江戸城」を写真取ったら、1枚は多数のオーブが、もう1枚は城のまわりに真っ赤なモヤモヤがかかってしまいました。 ヤバいと思ってすぐに消してしまいましたが、鳥肌が止まりませんでしたよ…
7 :名無しさん :2008/05/03(土) 13:46:27 ID:nzRWiDUQ0 昨日、友達にストーカー行為をしていた女がようやく警察に捕まった。 主なストーカー行為の内容は、お守りの中に自分の髪の毛を入れて自宅のポストや 玄関のノブに吊り下げるなどの行為だったらしい。 俺は、「これで一安心やなw」と言うと、友達も「あぁ〜、これで久しぶりに何も 考えずにゆっくり寝れそうやわ。」と気の抜けた顔で安堵の表情をもらしていた。 ふと俺が友達に「そや、まだ気味の悪いお守り残ってんの?」と聞いたら、 「あぁ、明日警察に持って行く分のやつが一個だけあるわ。気色悪いから早く 処分したいんやけどなw」と言って俺の方に放り投げて貸してくれたのを見て、 俺は「ん?」と思ったんだわ。 「これ、安全祈願のお守りなんやなぁ。なんでやろ?」と俺が呟くと友達が、 「それが?なんかおかしい所あるか?」と言うので、「普通こうい時使うのって 恋愛成就のやつじゃね?」それを聞いた友達も「それもそうか,,,まぁ、ストーカー する奴の心理なんか俺らには解らんやろw」とその時は一笑してた友達だったけど、 その事が結構気になってたのが後になって良く解った。
8 :名無しさん :2008/05/03(土) 14:14:01 ID:nzRWiDUQ0 続き。 今日、友達と二人で警察に細かい事の経由とお守りを 持って行くために行ってきたのだが、友達が警察の人に 「どうしてこんな事をしたのか?何で安全祈願のお守り なのか?」と言うのを直接本人から聞きたいとお願いし たらしく、俺は半時間ほど署内の玄関付近で待ちぼうけ をくらっていました。 そこへ右手にお守りを硬く握り締めながら不安げな表情 の友達が帰ってきたので、「どうしたん?」と聞くと 「あの女にそのお守り持ってないと右足持って行かれる。 って言われた,,,,」と俯きながら言うので、「なんでまた そんな事言ってきたんだ?てか、なんで言われてた事信じ てるん?」と聞くと、「あの女俺しか知らないような事、 耳打ちで言いやがったんだわ,,,」と言い残し、友達は俺を 警察署に残したままさっさと何処かに消えてしまったんで すわ。 まぁ俺もアノ右足でちゃんとブレーキ踏めるか気がかりな のですが。 、
9 :名無しさん :2008/05/04(日) 14:51:00 ID:Jf66C9ZIC 私が小さい頃の話。母から聞きました。 まだ着替えさせてもらってる頃。父は出張中、母と二人お風呂あがりの夜、パジャマを着せてもらっていた私が母の肩越しに何もない空間へ、「あなたどなた?」と言ったそうです。 母にしてみればかなり恐怖だったかも。
10 :名無しさん :2008/05/06(火) 04:15:08 ID:dmFKpr/6O 私がまだ赤ん坊の頃 高輪のアパートだかマンションだかに住んでいて そこではたくさんの怪奇現象が起きたらしいです 私でない子供の声が聴こえたとか(すぐ近くで聴こえ、近所の子供のではないそうです) コンセントが抜けたテレビで砂嵐が起きるとか その家で撮った写真のほとんどが心霊写真になったとか 中でも凄かったというのが ベランダで写真を撮ったら犬が写ったらしいのです 犬など飼っていないので、いるはずがないんですが そこにははっきりと写ってたそうです その写真を 母の親友の旦那さんが嫌いな同僚のディスクに入たところ 数日後にその同僚宅が崩壊したそうです (雷が落ちたとか火事になったとかだった気がする) 犬やその他に撮れた心霊写真は霊能者に見てもらったところ「持っててはいけない!」と言われたらしく残念ながら一枚も手元に残ってません (犬好きなんで幽霊でもたぶん怖くない むしろ萌えると思うから見たかった…) まあ そんな感じで以上です 母は霊感持ちなんで またなんか話が聞けたら書き込んでみたいと思います
11 :(´・ω・`|T|) :2008/05/08(木) 02:09:58 ID:???O 携帯から失礼 今日、つっても昨日だけど、PCに入ってる曲をWindowsメディアプレーヤーで流したまま、昼間寝ちゃったんだ。 でね、夕方目を覚まして、PC切って外出て用事済まして夜帰ったらまた流してたんだ。 何曲か流してたらさ、PCに入れてたエロ動画が流れてきたんだ。 びっくりしてすぐ飛ばしたんだけど……… 昼間も寝てる間にあれが流れてたのかもしれないと思うと…………orz しかも窓開けっぱなしだった…壁薄いし……orzorzorzorzorz 怖くなかったね。 まぁ今回はこれで(笑) ちゃんと心霊系の話あるから、それは今度載せますね^^
12 :名無しさん :2008/05/08(木) 21:07:42 ID:HGK8FYS60 携帯画普及し始めた高校時代のころ。 まだ携帯を持ってなかった私は普通の目覚まし時計を愛用していた。 ある朝、目覚ましを止めようと半寝かけで枕元を探ると・・・。 ??? 萎びたりんごのようなひんやりした感触。 平たい何かに細い枝みたいなのが伸びてる。 何だろう?と思って何度か触ってみる。 枕元には普段からぬいぐるみや本は置いてるがそのどれにも当てはまらない。 寝ぼけた頭では『それ』が思い当たらず、うつぶせの顔を上げて目を開く。 ベットの柵に4本の指を引っ掛けてる血色悪い手。 ぎょっとして飛び起き、一瞬だけ視界から『それ』が消える。 恐る恐る確認しようとするが、もう『それ』らしいものは見えない。 あんなもんだってわかってりゃ、ベタベタ触らなかったよ・・・・・・orz
13 :名無しさん :2008/05/09(金) 14:53:12 ID:???0 小学校2〜3年生の頃、転校生がやってきた。 やや大人しい男の子だったが、特に変わった所もなく、 時々家に遊びに行ったりと、子供らしくすぐ皆になじんでいった。 彼が転向してきてから2〜3ヶ月くらいだったか、 ある日突然来なくなった。 教師からも転向のアナウンスもなく、家(割と大きい一軒家)に行ってみたらもぬけの殻だった。 きっと事業に失敗したか何かで夜逃げ同然でいなくなったのだろうな…と思う。 幽霊でもなんでもない、どこにでもあることなのかもしれないが いつどう転がるか分からない怖さを、年をとった今は感じる。
14 :名無しさん :2008/05/09(金) 14:58:14 ID:TLFRI/ss0 10年前、叔父が亡くなった。 葬式の日、家族で叔父の住んでいた公団の一室に泊まった。 その夜、夢に叔父が現れた。 部屋にあるタンスを、何やらごそごそとさぐっているようだった。 目覚めた後、こんな夢をみたよ、と家族に話した。 すると、母も姉も父も、皆同じ夢を見ていた。 特に仲の良かった姉、霊感家系の母は、 タンスの下から3段目を開けていたという事まで分かっており、 それは二人とも一致していた。 そこには普段、叔父のパンツが入っており、 「きっとあの世に行くのに裸で恥ずかしかったんだね」とその時は笑っていた。 …だが後日、叔父の姉によりタンスの3段目の底の方から株券が発見された。 叔父家と一番親しくしていた我が家に、それを知らせにきたのかもな。 パンツなんて笑っちゃってごめんな。
15 :名無しさん :2008/05/09(金) 16:30:01 ID:ScktvckM0 小学校の時。 とある野外学習センターでの話。 野外学習ってのはみんなも経験あると思うんだけど 自然いっぱいの山の中で飯盒で米を炊いて、カレーを作って食べたり オリエンテーションという名の山歩きをさせられたり 大人数で入る風呂なんかは騒がしくも新鮮で 夜も更けてくると学級ごとの大部屋で盛り上がっちゃったりするんだよね だけど、やっぱ小学生なんてまだまだガキんちょで、夕方遊びまくったり知らない環境で過ごしたもんだから早々と寝始めちゃってた。 「寝てる間にムカデとか蜘蛛が出るぞ」 なんて脅し文句をセンターのおっちゃんが言ってた気もしたんだけど 自分も10時半頃にはもう意識が飛んでた。 で、大体3時頃だったかな トイレに行きたくなって目が覚めたんだよ。 部屋から抜き足差し足で廊下に出ると、緑色の非常灯(?)が灯っていて、なんとも言えない色合いの通路が不気味な雰囲気をかもしてた。 見回りの先生たちも3時までは流石に出ばってなくて、無茶苦茶シンとして人気が全然なかった 自分は怖がりな方なんで今思えば友達を無理矢理にでも起こしてから行けばよかったんだけど。 当時の判断がいまだに不思議でならない あ、説明しとくと長い廊下の床は木造で歩くとキィキィ音がしてた 自分は当時ポッチャリしてて多少大きな音がするのは、まぁ仕方ないかと割り切ってた。 トイレの近くまで床をキィキィいわせながら歩いてきた所で、 (あれ?廊下こんなに長かったっけ?) と、ふいに気がついて 途中からキィキィ言う音が自分の足の分以上に鳴っていることにも気づいた。 内心すんげぇびびりながら何とか振り返ってみたんだけど誰もいない。 でも今にも漏れそうだったんで、早く済ませようと気のせいにしてトイレを急いだんだよ。 ※トイレの見取り図(うろ覚え) /=壁、 @=小便器 □=個室 |=鏡 明=電気スイッチ 入=入り口 //////////// / @ @ @ | / | □ / | □ / | □ / 明/ /////////入// トイレの入り口に扉は無くって、入ってすぐの壁に電気のスイッチがあった 電気をつけても薄暗いし、デカイ蛾とか得体の知れない虫がいっぱいいて気味が悪かった そんで一番右で用を足したんだけど、すぐ横にはボロっちぃ鏡があった。 怖いなぁ…なんて思ってなるべく見ないよーにしてた。 そろそろ出し終わるであろう時、何を思ったか、小便器の中を見ると黒くて長い髪の毛?がうじゃうじゃ大量に入ってた。 うえっ気持ちわりぃって思うしかなかった もう怖さで頭がいっぱいで足早にトイレから部屋まで逃げ帰った この部屋までダッシュする前のちょっとした間が一番ヤバかった あのボロっちぃ汚い鏡に、青白くて、頭髪の無いマネキンみたいな女が映ってた びちゃびちゃに濡れた髪の毛を便器からすくって、生気の無い死人の目でじっと見てきたんだわ 気がついたらちゃんと部屋で朝を迎えてたけど、友達に「夜中トイレいくなら声かけてよ」って言われたからトイレにいったことは確かなんだよ 何だったんだろ
16 :名無しさん :2008/05/11(日) 02:23:32 ID:R8t5hyrMC すすきのの江戸城で 火事があったとニュースで やっていたので 自転車で自宅に帰る途中 ちらっと見に行こうかな? と思い行ってみたら 花束がブァーってあって それを見た途端 鳥肌がとまんないの 本気で焦った チャリに荷台がついているんだが 後ろになにも乗ってないよな? と何回も確認したよw 結局なにもなかったんだが あーいうとこは おもしろ半分で行くべきではないことを 思いましたよ
17 :トラトラトラ :2008/05/12(月) 01:16:48 ID:???O さっき 突然...下記内容のメールが届きました。 蘇る∽確実に∽死者∽ 病が∽欲望に∽犠牲∽ 心理∽悪夢に∽魂に宿る∽薬物∽狂気∽精神に降る∽破棄する生命∽悩む∽事件∽事故∽科医∽悔やむ∽呪い∽謝罪∽病∽∈∽∈∽∽∈∽∈∽∽∈ 訪れる時は覚悟を… §§§§§§§§§§§|6 6 6 |6 6 6 |6 間違えメールだったそ〜です。 (-.-;)ムカッ!
18 :名無しさん :2008/05/15(木) 19:23:02 ID:2zgZ98P2O お店に入ったらお人形があった。 お人形の胸にハート型の扉がついていた。 鍵が落ちていたから、それで開けてみた。 中に紙があって、『私は再び生まれ変わりますが、その時にはここにはいません』と書いてあった。 店員がいきなり倒れた。 こわいよね。
19 :名無しさん :2008/05/23(金) 13:42:51 ID:UUpUKOUc0 あまり怖くないですが。 小さい頃のこと。 電源を消したTV画面って、鏡のように部屋が写りますよね。 その画面の中、部屋では私たちしか遊んでないのに、フスマの前で男の子が、ちょこんと体操座りをしていました。 部屋を見渡してみても居ません。しかし、画面の中にはいる。 どう遊びに誘っていいのか分からず放置しました。 学校を終えて家に帰ると、「お水入れて」と聞こえたので浴槽に水を張りました。 親から奇異な目で見られました。 しばらくすると、深夜に子供が走るような足音がしだしました。 少し違和感があったので、音を誤魔化そうと猫を飼いました。 音は止みませんでしたが、成長するにつれて段々と聞こえなくなりました。 今思うと、子供が居たのかもしれません。 私が気づいていないだけで、今もいるのかもしれません。 猫と遊んで楽しめていたらいいなと思う今日この頃。
20 :かるみん :2008/05/24(土) 21:54:47 ID:WUoluaO.0 偶然このようなサイトを発見したので、私の体験した怖い話を 書き込みさせていただきます。 あれは、私が中学のときの話で、雪が降っている寒い日のことでした。 私は当時通っていた塾の宿題をしようと思って、リビングに 行ったのですが、お母さんのお客が来ていて宿題が出来そうも ありませんでした。 自分の部屋はなかったので、気分転換に普段まったく出入りすることのない 二階の和室ですることにしました。 そこは暗くて寂しくて、誰かがいるような気配がする部屋でした。 そして、たくさんの古い人形が置かれていました。 家族はみんなその部屋を「人形の部屋」とよんでいました。 部屋に入ると、人形たちが私を見ているような気がして怖くなりました。 なので部屋のふすまをすべて閉め、人形が見えないようにしました。 安心してしばらく宿題を進めていくと、どこからか 「がたがたがたがた・・・」という音が聞こえてきました。 私はふすまをあけ、人形に以上がないことを確かめてから 宿題を続けました。するとまた、 「がたがたがたがたがた・・・がちゃん!!」という大きく奇妙な音が聞こえてきました。 私ははっとして後ろを振り返り、ふすまを開けました。 すると人形の中で一番古い人形が、ガラスケースの中から 転がり出ていました。 私は恐る恐る人形をケースの中にしまい、宿題はやめにして 部屋から出ようとしました。 人形に背を向けて宿題を片付けていると、ガラスケースが 「キィ・・・」と音を立てて開きました。 私はびっくりして後ろを振り返りました。・・・そして息を呑みました。 なんとそこには、人形を大事そうに抱えた黒く、長い髪の 女の子がたっていました・・・。
21 :名無しさん :2008/06/02(月) 12:39:14 ID:5DzFcz9k0 多分聞いた人は怖くないと思うけど、私は現在進行形で怖いんす。 長文ですんません。 彼氏は昔から霊感強かったらしく、子供の頃程じゃないけど今でも見える事があるらしい。 特に疲れてる時は見えやすくなるって言ってた。 以前は社内恋愛だった(私が転職した)んだけど、その会社にも子供がいるんだって。 ちなみにその子を見たのは彼氏だけじゃない。 薄暗い中で作業してると何をするでもなくじぃ〜っと見てるらしい。 思わず呪怨系を想像した私だけど、ごく普通の子なんだとさ。 彼氏は大して気にせず「あぁ、おるんやな」って感じで仕事してるらしい・・・。アンビリーバブル。 その会社は事務所で一人で仕事してたら無人の筈の玄関のドアが開いたり 子供らしき気配や足音がしたりと、体験談が尽きない。 私は一切体験してないけど、みんな真顔だし、まず間違いなく実話。 なので私は事務所で一人での残業は極力避けて、午前様になる前に意地でも帰ってた(--; その彼氏と初めて○知にドライブに行った時。 どこかの(名前分かんない)トンネルに差し掛かった瞬間、 突然彼氏が「うわっ!!」と叫んだ。 めっちゃビビって、何っ!?って聞いてもだんまりで答えてくれない。 トンネルを抜けて数分後、長い息を吐いて 「あ〜・・・気持ち悪かった〜」と一言。 幽霊は全く見えないが信じてる私は、怖くて当時は詳細なんか聞けなかった。 それが約五年前の話。最近になってようやく、あれ何だったん?と聞いたら 「そんなんしょっちゅうやから、もう覚えてないわ」と言われました。 「でも、そういう時はバックミラーは見ん方がええでー」って。 私がマジでビビリなので、普段は何か感じても出さないようにしてるとのこと。 って事は私が感じてないだけですぐ隣では色々あるんだろうか・・・と思うと超怖かった。 そして霊感の強い人と一緒にいると自分まで霊感が強くなってくるとか、見える事があるとか、 そんな話を洒落怖で沢山読んで、彼氏と結婚の話が進んでる今、最近ホントにビビってます。 彼氏の可愛がってる姪っ子(お姉さんは更に霊感強かったらしい)も、小さい頃は知らない (生きた人間じゃない)おばちゃんに「おいでおいで」されてたらしいし・・・。 将来生まれてくるであろう我が子が本気で心配です。
22 :名無しさん :2008/06/08(日) 04:49:09 ID:IA/q/lugC 日光の方に自殺の名所と呼ばれている有名な橋があります そこの橋にはたくさんの人が 下をのぞいたりしていて 観光地みたくなっていたので 私も車をおりてみてみることに 橋の下をみると霧がすごいのですでもなぜか下との距離感が分からなくなるのです。橋の下は私がたっている位置から距離がすごくちかくかんじるのです。飛び降りたらすぐ足がつくかんじなんですよね。とりあえずいったん車にのり帰りまたくることにしました 帰りまた橋の下をのぞいてみると霧がなくて霧があったときとは別で落ちたら即死だべってゆう高さだったのです。その瞬間鳥肌たちました。 この話しを友達にゆったところ友達もいってみたらしんですが 靴がきれいに橋の前に並んでおかれていたそうです あと地元の人がゆうには霧がでているときに橋の下をみると多久さんの人の顔に見えるらしいです
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24 :名無しさん :2008/06/10(火) 20:59:57 ID:clbfypBE0 高校の時にあった怖い体験談。 お化けとかじゃなくて、しかも本人しか怖くないかもなんですけど。 某湘○新○ラインが出来たばっかりの頃。 高校に行くのに非常に便利で、毎日同じ時間の電車の同じ車両に乗っていた。 その時間だと、ちょうどいい時刻に高校に着く。 しかし、あるときから私はその電車を変えざるを余儀なくされた。 ある朝、いつもと同じように電車を待っていると ガツン!!後ろからの衝撃が私を襲う。 びっくりして振り向くと、透明なビニール傘を持った50くらいの白髪のおじさんが後ろを通り過ぎていった。 もしかして、あの人?? そう思ったが、まぁ、血が出たわけでもないしいっか。と思いその日は過ぎた。 次の日。 ガツン! またあの衝撃が私を襲う。 振り向くとあのおじさんが通り過ぎていく。 次の日もまた次の日も。 さすがに1週間近くも毎日続くと怖くなり、電車がちょうど駅に来たタイミングでホームに降りるようにした。 もちろんおじさんは現れない。 ほっとしながら、電車に乗り込むと急に強く体当たりをされた。 驚いて衝撃の原因を知ろうと振り返ると、そこにはあのおじさんがorz びびって、でもたまたまかもしれないとかのんきな事も考えてて(当時痴漢に会いまくっててそんな程度じゃびびらなかった) 次の日も同じように時刻をぎりぎりにホームに降りて電車に乗り込む。 しかし、またあのおじさんの攻撃を受ける。 おじさんの顔は変ににやりとした顔で、でも目が完全に据わっててさすがに恐怖を覚えた。 車両を変えても、どこからか現れ、傘をぶつけてくる。 電車に乗り込めば、体当たりしてくる。 あまりの怖さに流石に親に相談。 親のアドバイスは時間をずらす、という非常に単純明快なものだった。 助言にしたがい、20分くらい電車の時間をずらすとおじさんと会うこともなくなった。 たかだか1ヶ月くらいの話だったが、他人からの理不尽な悪意を受けた恐怖は今でも忘れない。
25 :名無しさん :2008/06/13(金) 22:46:54 ID:vX8powD60 友達Kから聞いた話。 仙台には八木山橋という有名なつり橋がある。 昔は自殺の名所だったが、今は金網が張り巡らされていて、飛び降りができないようになっている。 夏になると肝試しなんかによく使われている。 ある時、Kが友達と4人(男2女2)で夏の夜中に肝試しに出かけた。 八木山側からつり橋を渡ったが何もなかったので、たもとに車を止め、降りて散策することにした。 やっぱり何もない。 つまらないので引き返そうという話になったが、同行した女の子が絶対に引き返すのは嫌だと言い張った。 理由を聞いても言いたくない、というので仕方なく遠回りして帰ることになった。 車から降りるときになってはじめてその子は理由を教えてくれた。 「橋の下を見下ろしたら、真っ暗だったんだけど何かが動いていた。 なんだろうと思ってよく見たら手だった。 たくさんの手が、手だけがものすごい勢いで上に這い上がってきたんだよ。 すごく怖かった」
26 :やー :2008/06/16(月) 22:29:22 ID:tcW5j89oC さっきまで遠恋中の彼女と電話してたんだが…やばかったです急遽、神奈川から東京に住む母親の所へ避難多分今、22:06発新宿行きに乗ってるかな?? なにかというと、都会だとよくいる黒いダイヤ(ゴキ)が彼女の部屋で大量出現ゴキでたから母親の部屋にから出勤してるらしき、2、3日はバルサンして放置してたみたいで今日いざ入ったら…電話越しに聞く様子だと、たっぷりいるらしく、2秒で母親のアパートまで行く決意をしたそうな まぁ、あのツンデレ彼女が泣きそうになってる希少価値の高い姿が見れて内心嬉しかったが… 『来るな来るなってひっ不意打ちすんなハゲ家ごと焼くぞ』(泣きそうになりながら大声で) 君の発言も怖かったワラ ある意味洒落怖でした
27 :名無しさん :2008/06/21(土) 16:07:28 ID:edC7dMxUO 携帯からだから読みにくかったらごめん たまにある事なんだけどさ うち猫は夜、絶対俺の部屋で寝ないのね。なんでかっつーと風通しが悪くて暑いから。 んでこっからが本題。夜寝ようとして目つぶってるとドアの開く音がしてカツッカツッ(猫の爪の音ね)がするから「おっ、猫きたのか」ってドアの方見るとドアしまってる。もちろん猫もいない。うとうとしてた訳じゃないから幻聴じゃないと思うんだよなあ あと、たまに俺の部屋だけ肌寒くなる。夏とかは特に廊下と部屋の空気の差が分かる。妹も俺の部屋くると肌寒いっ言うんだよ。やっぱこれのせいで猫、部屋に来ないのかな´`
28 :774 :2008/06/25(水) 17:11:21 ID:RQZeU49w0 僕が高校3年の時の話です。 文才ないので読みにくかったらスミマセン。あまり怖くないかもしれないです。 あれは3年前のセンター試験前日でした。 当時僕は全国的にも結構有名な進学校に通っていてのですが、 実家はかなり離れていたので下宿で暮らしていました。 そこの下宿は僕が入る直前に新築された新館と旧館があり、 僕が住んでたのは新館の3階でした。他にも同じ高校の生徒が住んでいて 部屋自体は後々一般の人向けに使えるようにしているのか、普通のアパート のような作りでした。食事の時だけ一階の食堂に下りてみんなで食べる、 といった具合です。 前置きが長くなりましたね、本題に入ります。センター前日ということ もあり、僕たちは朝から試験会場の下見にいったんです。帰りは下宿の4人で 割り勘してタクシーで帰りました。それで結構早く帰りついた僕は、 前日遅くまで起きていたこともあり、仮眠を取ることににしたんです。 目覚ましを30分後にセットし、僕はベッドに仰向けになりました。ですが、 10分程たってふと目が覚めたんです。顔の真横に時計を置いてたので すぐに確認できました。不思議に思って体を起こそうとすると、 金縛りしあっており、全く動かない。日ごろから寝不足気味の僕 は結構金縛りにあうことが多く、科学的にも解明されているものだとわかって いたので、「なんだ、またか」程度にしか思っていなかったんです。 しかしこの時はいつもと様子が違うようでした。突然足元右のほうからものすごい 異様な雰囲気が漂い、まるで他の世界とつながったように感じたんです。 そして何かがベッドの上で僕の足をまたぐように歩き、「ドン!」という音と 共にベッド脇に下りる感じがしたのです。突然、(ありがちな話ですが) 誰かがぼくの上に乗っているように胸が圧迫され、段々と力が強くなっていきました。 そして耳元で女性の「助けて、助けて」という声と、どこか遠くで赤ん坊 が泣いている声が聞こえました。パニックに陥った僕は必死に心の中で 「すいません、僕にはどうすることもできません。お願いですから他をあたって ください!」と叫んだんです。すると押さえていた力がすうっと抜けて 来たのと逆方向に消えていく感じがしました。金縛りもぱっと解けた僕は、 すぐに2階の友人の部屋に逃げ込みました。時計も確認したので、さっき までのは夢ではないと確信していました。そして昼飯の時間まで彼の部屋で 過ごしたんです。昼飯の時はこの話で持ちきりで、みんなで話しあっていた ところに、もう一人僕と廊下を挟んで反対側の部屋の友人が、「今寝てたん だけど、金縛りにあったよw」等と言いながら食堂に入ってきたんです。 後からわかったんですが、違和感を感じた方角はちょうど鬼門だったんですね。 その下宿は道を挟んで反対側に精神病院があるし、下宿の前の民家では おじいさんが窓を壊す事件があったり、隣のアパートからは暴行のような音や、 一時間ほど鳴り止まない電話、夜中には大量の猫の鳴き声が聞こえたりと いろいろおかしいことは多かったんですけど、霊が何らかの関係があったと思えて なりません。 これで話は終わりです、長文、駄文、申し訳ないです。
30 :奈々氏 :2008/07/12(土) 16:04:10 ID:???0 個人的には怖くないけど。人に言うと怖がられたので。 私の地元は、お盆が近づくと墓掃除からお迎えまできちんとしている地域だった。 今はやらないらしいが、迎え火を炊く日の夕方にお墓までご先祖を迎えに行き 墓前で提灯を灯して、ご先祖さんたちを家まで連れて帰る風習がある。 迎え火もあるんだけど、迎え火+墓前まで行くのが正しいようだった。 子供の頃は遅くまで外にでることもないから、ある意味子供には一大イベント。 ワクワクしながら暗くなった山の墓地まで「お迎え」に行く。 皆どの墓も同じように迎えに来ていて人手もあるから、真っ暗な墓地でも 怖くはなかった。 ただ、墓から家までの道のりで肩が重くなったり、自分たちの周囲に何か違う気配が たくさんあるのは感じた。東京のイトコたちは重さを怖がってたけど、アレは多分 ご先祖様たち。 当時には珍しくペット用の墓も祖母があつらえていたから、墓前から帰る時は たまに獣臭も感じてた。仏壇のある祖母宅に着くと、重さも獣臭も消えた。 父方の祖父宅では墓前まで迎えに行く習慣はなかったけど、代わりに「盆踊り」を 寺社で開いてた。 墓地へ続く真っ暗な山道に誰もいないのに、人の気配をたくさん感じてた。 当時まだ「土葬」もあって、早朝の墓地でうっかりやわらかい土を踏んでしまい、 祖母に叱られた思い出がある。 ずぶずぶと沈むようなやわらかい土の感触は30年以上経っても忘れられない。
31 :奈々氏 :2008/07/12(土) 18:10:34 ID:???0 30に追記:墓掃除の時に隣接した墓に供物をおすそ分けする事もあったけど 「お迎え」の日には、他所の墓前で提灯に火を灯してはいけなかった。 そう言ってた祖母が、年を取って何を思ったのか・・・ 無縁仏を数人分、先祖の墓に入れてしまって、その位牌を仏壇に一緒に 置いた事がある。親族が誰も知らないうちの出来事だった。 あるお盆の時に伯母とイトコ4人と私・弟で祖母の2階に泊まった。 祖母の家の前には街灯があり、すりガラスだったとはいえカーテンのない 2階は夜中でも明るい。私や弟は暗くないと寝付けないのだが、 その日は疲れて皆寝てしまっていた。 夜中に誰かが階段を上がってくる気配がした。 私は弟が夜中にトイレに起きたのかと思いながら目を閉じていた。 ふと、顔を何かで照らされたような気がした。 目を開けると街灯の明かりだけが見えたので、気のせいだと思って目を閉じた。 畳の上を歩く音がして、布団の周りを誰かが動き回っている気配がする。 目を開けても、開けた先には眠っているイトコたちや伯母しか見えない。 ヨコを向いて寝ていたので、背後の弟は見えない。でも弟の寝息は聞こえた。 誰かの気配は足元にあるようだが、とても眠くて頭を動かす気にもなれなかった。 祖母が様子でも見に来たのか、珍しいなあとそのまま眠ってしまった。 朝、私はすっかり忘れていたのだがイトコの1人が祖母に文句を言った。 「ばあちゃん昨日寝ている時、懐中電灯で俺を照らしたでしょう!まぶしかったよ」 「俺もー」と弟。 ところが祖母はそんな事をしていないと言う。 伯母とほかのイトコと私が「え?おばあちゃんじゃないの?って、皆まぶしかったの?」 その後1人暮らしだった祖母にも何かあったらしく、墓も仏壇も身内だけに戻った。 先祖が怒ったと祖母は言っていたが、無縁仏さんが他所の家でいたたまれなくて 訴えたんだろうと、私の母はつぶやいてた。
32 :山(1) :2008/07/13(日) 15:48:24 ID:???0 昔洒落怖にあった話なんだけど、無くなってたので。 ----------------------------------------------------------------- この話は現在24才の僕が14年前の10才の夏に体験した出来事。そしてつい最近の出来事。 あまりおもしろい話しではありません。 場所は山形の田舎、夏休みに入り、近所の友達5人と遊んでいた。 夏休みということもあって無駄に体力が有り余っており、その日はチャリンコで遠出することにした。 みんなで山へむかってチャリンコ競争。 道端に生えてる長めの草を取り、何故かドラ○ンボールごっこ。 他愛もない無駄なテンションのまま、友達の一人、Yが 「河原いくべ!!」 と 提案した。 とりあえず、ずいぶん遠いがYの自宅まで戻り、河原っぽいもの…釣竿や銛、ムシトリ網やらバケツやらを各自持ち、、みんなの第六感を頼りに山(河原)へ向かった。 チャリンコをこいでおよそ4〜50分、地元の人は【赤土山】アカツチヤマと呼んでいる場所に到着。 文字通り赤土山は山肌に赤土の粘土が露出しているのでそう呼んでいる。 山道を進むと川の流れを発見。しかし騒いで遊ぶには狭すぎる為、更に上流へ、流石にチャリンコに乗って進むことが出来なくなってきたので、押しながら河原を探した。 30分も進めばグズッてくる友達もいた、、 「もう戻った方いぐない??」 「絶対大丈夫だって!!この先に絶っっ対あっから!!」 どこからこの自信がやってくるのかわからないがそれが小学生。 そして更に30分程進むと、、300?ぐらい向こうに… 「あ!!!見ろ見ろ見ろ!!!」 まさに河原、イイ感じ。 これは……騒ぐための場所だ。 未開の地だ!! 俺達の場所だ!! みんな狂喜乱舞。。。 今考えれば それほど遠くないのだが、当時の僕等にとってはとんでもない快挙だった。 早速、みんな河原に降り、定番の水切り。 そしてパンツ一丁になって ドボーーンバシャバシャ大会。 餌のない釣竿で、釣り。 もう何をやっても楽しかったのを記憶している。 しかし、昼も過ぎてしばらくすると雲行きが随分怪しくなってきた。 それに気付いたのは自分とK。 しかし、他の三人はそんなことはお構いなしに、とゆーよりも気付くことなく 川に入って騒いでいる。 僕等は、みんなが楽しければそれでイイか!! と考え、更にテンションを上げた。 そして始まったのがまたしても、ドラ○ンボールごっこ。 みんな悪役やら善人に別れ、棒切れや石を持ち騒ぎに騒ぐ。 しかし。 やってはいけないことをしてしまうのが小学生。 友人の一人、Kが持っていた武器が銛【モリ】だったのだ。 そしてKは、勢い余って持っていた銛を友人Rの腹に突き刺してしまったのだ。 余りの出来事に言葉を失う全員。 Rも腹に突き刺さった銛 を見つめて、、ようやく状況を理解し、 「う゛あ゛あ゛あ゛ーー!!!」 と泣き叫けんだ。だが叫んだ途端に突き刺さった腹から多量の血がドバッと溢れ出た。 それを見たKは突然号泣し始め、 「ごめんな!!!?ごめんな!!ごめんな!!」 と叫び出した。 Rは叫びながら自分の腹に刺さった銛を抜こうとしたが、動くたび、叫ぶたびに血が流れている。更に、力が入らないようでフラフラし始め、地面に倒れ込んだ。 僕たち三人は気が動転していて何も出来ないでいた。息をするのも困難なくらいに… そして ハッ!!!としたようにYが 「家の人呼んでくっから!!!」 と、急いで脱いでいた服を着て、チャリンコに乗って家の人を呼びにいった。 すると逃げるかのように 「俺も行く!!待って!!」 となんとKがYの後を追った。 Yの行動で僕等も ハッ!!としたようにRの元に駆け寄り、 「大丈夫だからな!!今人呼びに行ったから我慢しろな!!」 と、必死に励まし続けた。 Rの腹部から下は全部赤黒く、Rは 「ウ゛ェェ〜〜」 と 血混じりの嘔吐を繰り返した。 僕等は一切、Rに手を触れることができなかった。正直、気持ち悪かったのだ。 血の気の引いた顔で目に一杯の涙を浮かべ、 「ぉヵぁさん…」 と血混じりの声で弱々しく発した。 僕等は一歩も二歩も距離を置いて弱って行くRを見ていることしかできなかった。
33 :山(2) :2008/07/13(日) 15:49:08 ID:???0 40分…… 50分… YとKがここを出てからどれぐらい経ったか全く分からない。。随分、経った。それだけは分かる。 ただ、いつの間にか弱い雨が降り始めていた。 僕等はただ、Rの方を向いて 「悪いのは俺達ぢゃないから」 と 一切関係ないんだ、と繰り返していた。 しかしそんなことは全くRの耳には入っておらず、声にならない声でボソッと呟いた。 「……ぃ……ぃ…」 離れていては分からなかったので、Rに近付き尋ねた。 「どうしたの??大丈夫?」 無論 大丈夫なはずがない 「…さむい…」 もぅ息でしかしゃべれなくなっている。 近付いて分かったのだがRの顔色が真っ青に豹変している。 両手で突き刺さった銛を押さえ、出血を防ごうとしているようだ。 降っている雨で赤黒く染まった腹部が見えてくる。 銛は先の刃が見えないほど深く刺さっており、大きく腫れ上がっている。 は 全身に寒気を覚えながら、RとNと自分の上着をRに被せた。 膝を立てた足だけが見えている。 あれではまるで遺体に被せる布のようだ。 しかし、Rのことを見れない僕等はそのままにした。 僕たち二人はRから10?ほど距離を置き、川を見ていた。 雨のせいで流れが速くなっている。水嵩も少し上がっているようだ。 僕はそれを見ていたら次第に恐怖感に見舞われ立ち上がり、移動しようとRの方に目をやった。 僕は思わず声を上げた。 「うわっ!!!!!!!」 それにつられてNも息をのんだ。 「ーーーっ!!!!!!」 …Rが…僕たちの側にいた。 被せた上着はそのままだ。 「R!!!お前大丈夫なんか!!?」 「…………………」 返事が、ない。 「R!?R!?」 「……………」 返事がない。 その時、 『ビグンッ!!ビグンッ!!ビグンッ!!』 と三回 Rの体が大きく波打った。 そしてその拍子で掛けていた上着がずり落ちた。 「わぁぁぁっ!!!!!」 二人同時に叫び上がった。 それはもう僕等の知るRの顔ではなかった。 真っ青とゆーより紫に近い肌、とてつもなく大きく見開いた目、顔の半分まで開いた口、そのせいで口の周りの皮膚が裂け、耳まで達している。 ーーー死んだ!!ーー 真っ先にそう思った。 僕等は半ば腰を抜かし、チャリンコを置いているところまで駆け上がった。
34 :山(2) :2008/07/13(日) 15:49:44 ID:???0 息を切らせ、涙を流しながら駆け上がった橋の上から、ついさっきまで居た河原を見た。 全身が紫色になって横になったRがいた。 僕等はそれを見て更に恐ろしくなり声を上げ、抱き合って泣きわめいた。 それに合わせるかのように雨足が強くなった。 上半身裸の僕等は雨で体温が下がり、合わせて恐怖心とでガクガクと震えていた。 「もう下は見んな!!」 ガクガク震えながら僕がそう叫んだ。 震えながら首を上下に振るN。 僕等は橋の上でYとKが人を呼んでくれるのを待つことにした。 僕等は歌を口づさんだ。 恐怖心を少しでも和らげるために、、 しばらくすると、ほんの少し、恐怖心が和らぎ、 僕は下のことが気になった。 Rのことを見ないように川の流れを見てみた。 いつかまでの穏やかな流れはまるでなかった。 川幅は二倍ぐらいに広がり、上から見ただけでも水嵩がとんでもなく上がっているのが分かった、そして、見たくなくても視野に入ってきた。 ソレを見て僕は驚愕した。 Rが立ってじっとコチラを見上げている。あの表情のままで。 「っっっ!!!!!」 僕はドンッと尻餅をつき、Nに見るな!! と叫び放ち、Nの手を引いて 駆け出した。 そして僕等は逃げ込んだ山中で、恐ろしい体験をすることになる。
35 :山(4) :2008/07/13(日) 15:50:15 ID:???0 山の天候は荒い、山に雲がかかってきた…ーなんて時はもう既に山には雨が降っている。 この年は梅雨明けしても台風が接近しており、かなり不安定な天候が続いた。 僕等は必死の思いで駆け抜けた。 少しでもRから距離を離す為に。 我を忘れて、ただ脳裏に焼き付いてる。 Rの形相や姿、さっきのその瞬間の映像が何度も何度も頭の中に現れる。 とにかく僕等は走った。 雨の降る中、上半身は裸、裸足で、、、本能的に山を下っていた。 怖い。 怖い。 そう何度も思いながら。 およそ一時間以上かけて上った距離、走って下るには相当な距離があった。 恐怖感に合わせて初めて足を踏み入れた場所ということもあり 帰り道が分からない。 バシャーーッ!!! 後ろを振り返ると足をもつらせたNが顔面から転倒していた。 「Nっ!!!!」 「うぐっ……ぐっ…ぅ…ぅ…」 Nは地面に伏せながら痛さと恐怖とで 声を詰まらせながら泣いている。 ほら…とNを起き上がらせると頬から酷く擦り剥け、血が滲み出していた。 見るとNの足が擦りむけて血だらけではないか、、 それは僕も同じことだった。 立ち止まったことにより足先まで脈が伝わる、その度に、激痛を覚えた。 痛々しい顔をあらわに泣き叫ぶNを必死になだめ、足に走る激痛に耐えながら僕等は更に走った。 息も絶え、全力疾走がおよそ徒歩と変わらない速さになった時 Nが僕を呼び止めた 「S君…!アレ…」 Nの指差す方には、工事現場などで使われるプレハブ小屋が一つあった。 …恐らく、工事が完工しても取り残されたのだろうか。 「あそこ行こう!」 Nはそう言ったが、僕はためらった…… 万が一…… もし仮に……… そうなった時は……… 逃げ場がなくなる。 怖くて想像もしたくない…… しかし、上半身裸だった僕は、何か守られるような空間を欲して、Nに言われるがままプレハブに駆け込んだ。。
36 :山(5)-1 :2008/07/13(日) 15:55:45 ID:???0 土臭い、なんとも言い難いズンッとした異様な空間、、 プレハブの天井からは雨の打ち付ける不規則な音が聞こえる。 『ドバババババババー』 僕等は周りを見渡す余裕もなく、 ほんの少しの安堵を感じ、二人寄り合って片隅に身を潜めた。 二人の肩がガクガク震えながら大きく上下に動いている。。 「俺達何もしてないのに……」 ウワ〜〜〜と泣き叫ぶN を必死でなだめる。 「しーーっ!!!N!!少し静かにして、Rに見つかる!」 グッ…!ゥグッ…と声を殺しながら両手で口をふさぎながらNは泣き騒いだ。 脈打つ旅に足からの出血がひどい…Nの頬の傷も皮膚がズリ剥けて痛そうにしている。 せめて靴がわりになるような物を…とプレハブの中を見渡した…… 「!!鍵!!」 僕は慌ててドアの鍵、窓の鍵を閉めた。 ふと窓のところにある机を見てみると、古いボイスレコーダーのようなものが目に入った。 おかしなことに周りにあるヘルメットや書類やタオル等は酷くホコリや砂をかぶっているのに、レコーダーだけが、ついさっきまで誰かが使っていたかのように全くホコリをかぶっていない。 すごく違和感がある。 僕はそれを不思議に思い、レコーダーを手にした。 「N.N!聞く??」 「え〜、やめ」 僕はNの やめときな を聞く前に再生ボタンを押した。 カチッ…… 『に入…るアセトン88ミリリッ…粘…をかしな溶液に合…』 レコーダーは途中から再生され、声はおよそ40才代の現場監督と思われる中年男性。おそらく、工事、調査の内容を録音したのだろ。 何度も再生したのだろか、内容がノイズに混じっていて聞き取りずらい。 僕は更に巻き戻して再生した。 カチッ キュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュル… カチッ ブッブッブッ…ザーーー…とノイズに混じって再生された 『ザーーー5月じゅ…ー粘土…査ーー…飽和溶…き液…採取し…粘土は基準…含有量ーはるー…しており25ミリ…石灰せ……又は…以上を踏ま…次の注…』 ノイズと専門用語とでまるで僕等には分からない。 分かるのは一日ずつ工事の進み具合を録音しているということだけである。 しかし、しばらく再生していると ある 調査報告の日におかしなことが起こっていた。 『ーで粘土調査に…るー…作業…混合して…それ…ーあと…6にんほ…埋めて処理はか…問題な…は腐敗…ゅうは防…るば…』 6人?? 埋めて…?? 処理?? 腐敗?? かなり奇妙な内容だ、どうゆうことだろうか…… 気味が悪い、 そして更に聞きつづけるとおかしなことが起こった。
37 :山(5)-2 :2008/07/13(日) 15:56:29 ID:???0 報告してる現場監督の声の向こうから恐らく労働者達の騒ぎ立てる声が聞こえてきた。 『た…調査記…くを更に…ーんという粘土質……(ーぁ!!ザーー…ょう!!!気持…わりぃ!ザーー…そっちそっち!!ぅわー!!…)…』 そして、 ガシャン!ガッガッドッ…とレコーダーを落下させたような音が聞こえた。 ノイズとに混じってみんなが騒いで…というよりも何かから逃げているような喚き声がレコーダーの向こうから聞こえる。 しばらくすると周りの音声は完全になくなり、ノイズのザーーーッという音だけになった。 『…… … …』 ほんの一瞬ノイズの音が途切れてレコーダーに口いっぱいに近付けたような感じで 誰かのささやく声が聞こえた…。 何と言ったか分からないがまたすぐノイズに変わった。 そして今度はノイズの向こうから プーーーーーという感じの電話の受話器のような音が聞こえてきた。 僕は気味が悪くなりレコーダーを止めた。 しかし… 「!?」 レコーダー自体は止まったがプーーーーッという連続音は何故か聞こえ続けている。 「え?アレ??」 僕は何度も停止を押してスピーカーに耳を当てるがスピーカーからはなにも音がしない… プーーーーッという音は僕の耳に直接聞こえている。 Nが両手で耳を塞いでいる。同じだ…… 恐怖で目に涙が溜まったがそれどころではない… 耳を塞ごうが、叩こうが連続音はやまない。 それどころか次第に音が大きくなっている。 僕は うわーー っと声を荒げたが自分の声も聞こえないほどになっている。 Nは頭を抱えて倒れ込んでいる。 狂ったように発狂した。 連続音の他には一切なにも聞こえない。 口一杯に叫んでいるがそんな声も聞こえない。
38 :山(6) :2008/07/13(日) 15:57:12 ID:???0 ……と、窓の外にスーッ と人影が通ったのが見えた。 窓は曇りガラスで雨が打ち付けており人影だったかは定かではないが、、 何かが通った。 まさか!!と思い、鍵をかけたドアに更に机や椅子、プレハブにあるものを押し当てた。 鳴り止まない連続音、窓に見えた人影、周囲の音が全く聞こえない状況にパニックを起こしながらも僕は両手で耳を塞ぎながら机や椅子を押し当てたドアを体中に力を入れ、睨みつけながらながら立っていた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「……………」 ーーーーーーーーーー 耳がちぎれそうに痛い。 しばらくドアを睨みつけたが何の反応もみられない…… もしドアを叩いてるとしても僕には何も聞こえない。 そう考えると全身に鳥肌が立ち恐ろしくなった。 僕は振り返ってNの様子を見た。 ーーーーーー「っ!!!!!!!!!」ーーーーーーー Nには特に変化はない。先程と同じようにうずくまって両手で耳を塞いで恐怖に怯えている。 だがそれは問題ではない。 睨みつけついたドアから目を離し、Nの方を振り返る途中 ほんの一瞬ではあるが視界に入った。 僕は…… Rを見た くもりガラスの外にいた紫色に変色したRは、窓にベタッと張り付きながらドンドンと窓を叩きつけていた。 あの時の形相のまま、、 僕は後ろの窓にRがいると思うと振り返ることが出来なかった。 というよりも固まって動けなかった。 背筋に戦慄が走る。。 考えれば考えるほど背後に気配を感じる。 ーーーーーーーー「…!!…!!!…!!!」ーーーーー 僕はNを何度も呼んだが連続音のせいでNには届いていない。 見るとNの両手で塞いでいる耳から血が出ているのが見えた。 僕の耳からもジワッと生暖かい液体が出てくるのが分かった。 ーーーー「ーーー!!!!!!!!!」ーーーーーーーーー わーーっ!!!力の限りと叫んだが自分の耳にはなにも聞こえてこない。 だが次の瞬間…… 『ドバババババババババババババーー』 天井に打ち付ける激しい雨音。 連続音が突然途絶えたのだ。 周囲の雨音が曇ったように聞こえる。 Nも変化に気が付いたようだ。耳から手を離し、顔を上げた。 しかし顔を上げて見えるのは二人だ。 そう、僕と後ろの窓の外にいるR…… 僕は目をギュッとつぶりNの悲鳴を覚悟した。。 「……S君、耳…大丈夫??」 聞こえたのは僕のことを案ずるNの弱々しい声… 僕は えっ!? と思いパッと目を開いた。 「…大丈夫……N…窓んとこに誰かいない??」 「え??……」とNが恐る恐る首を傾け窓に目をやる。 「…!!もぅ〜〜なにあれ〜…」 と半ば泣きながら再び頭を抱え込んだ。 僕は思い切って振り向くと、窓の外……さっきまでRがへばり付いていたには血がべっとりついており、少しづつ雨に流されついる。 「……多分さっきまで…」 と言いかけてやめた。 Nをこれ以上恐怖心を与えたらここから一人で飛び出しかねない… 僕等は呆然としていた…次第に薄暗くなってゆく窓の外をみながら… 恐怖でボロボロになった体と心を寄せ合いながら………… 続
39 :山(7)-1 :2008/07/13(日) 15:58:41 ID:???0 気が付くと遠くの方で雷が鳴っている。 外はまだかろうじて明るいが雨雲で薄暗い。 夏の夕暮れは一気に暗くなる。 空はその時を刻々と待っているようだった。 (ずぶ濡れになりながら僕たちは、家路に着き、母親に怒られ、逃げるように風呂に入り、嫌々ながら夏休みの宿題をして…うたた寝をして………) ボーっとそんなことを考えていたら目に涙が浮かんだ…… 「ぉかあさん…ぃたぃょ…」 1番会いたい人…… 安心する人…… 暖かい人…… 足から流れ出る血をみながら、こんなの見られたら気が動転しちゃうんだろうな。 そんなことを考えていた。 耳にはプーーッという連続音の残聴のようなものがわずかに残っている。 耳からの出血はすでに固まって、周囲の音がこもって聞こえる。 それよりもNの頬が痛々しい…砂利に転倒した為に石によって深くえぐれている場所が何箇所もある。左目は真っ赤に充血し、血混じりの涙がランダムに削られた赤黒い朱色の頬肉を伝う… カッ!!! と光る雷に怯えながら二人同時に顔をうずくめ、次の雷鳴に備える。 ドシャーーーッ!!!! 横でNの啜り泣く声が聞こえる…… 僕ももらい泣きしそうだ… もうこうしてどれぐらい経過したろうか…… 30分… 40分… 僕は座りながらも目が眩んでゆくのに気が付いた Nにズズ…っと寄り掛かる… Nは僕を励まそうとしてくれたのだろうか 「腹減ったね……宿題やった?」 とにかく弱々しい声だったが 僕に微笑みかけてくれた。 僕もニヤつき、 「宿題って何?」 微笑み返した。 友達の力はすごい… こんなに暖かくなるだ… Nがいてくれてよかった… 「N痛そーー」 「ホントだよー…マジで痛い…」 そんなことを言いながらいつの間にか安堵感が二人の周りを包んでいた。 そして気分の悪かった僕は、安心したこともあり…僕は…… 眠り込んでしまった。 何か人の気配を感じた…… 僕の顔のすぐ近くに… 目をつぶった状態で手の平を顔いっぱいに近付けた時に感じる、気配とゆうか、温もり、感覚。 覗きこまれてる…… ちょうどそんな感じだ。 僕はすっかり目を覚ましているが、恐怖で目が開けれない。 僕は手探りでNの方をトントンと叩いた。 しかし。 叩いたのは床… 「え!?」 と思い、体ごと起こすかのようにカバッ!!と起き上がった。
40 :山(7)-2 :2008/07/13(日) 15:59:14 ID:???0 ………………。 誰もいない…… いるはずのNの姿さえどこも見当たらない… 僕はパニックを起こし、 「N!!……」 と叫んだが、何かに、誰かに見つかるのを恐れて小声で叫んだ。 「N…Nー??…」 窓を見ると外は暗くなっている…… 足がズキン…ズキン…と痛む… もともと気味の悪いプレハブ小屋も暗闇に更けてさらに恐ろしさを増している。 僕はどれぐらい眠っていたのか?? 辺りを見回してもほとんどが暗闇…… 天井に打ち付ける雨音が叫けんでいるように聞こえる…… 僕は逃げるよに窓の方に向かった。 そして鍵を開け、窓から出ようとした時… 窓際の床に異様に目を引く広告大程のメモ用紙が落ちているのが見えた。 オイルか何かで何箇所か赤黒く汚れている… 僕は窓を出ようとするのをやめ、その紙を確認するためしゃがみこんだ。 そこには子供が書いたような汚い殴り書きでこう書かれていた 『アトワヲマエダケ…』 …あとは……お前だけ…? これは……僕のことだ!! 直感的にそう思いガバッと顔を上げた… ッ!!!! 僕はギョッとし立ち上がるのをやめ息を殺した… 窓の冊子の所……… 真紫の二つの手がギュッと握っていた…… 僕は叫び出すのをこらえ、とっさに片手を口に入れ血が出るほど深く噛み締めた。 『…R!!!!』 僕は肩を大きく震わせ大粒の涙を流しながらそう思った。 真上に気配を感じる…… ……いる…… 頭にポタポタと何か液体が垂れてきた… 僕は ヒッ!! となって窓際から離れた…
41 :山(8)-1 :2008/07/13(日) 15:59:51 ID:???0 そして思い切って窓の方を振り返った… 僕の目と鼻の先、ほんの数センチのところにRは立っていた… 紫色に変色したRは顎を大きく反らせ、カッと見開いた目は僕を見ている。体は傷口から水を含んだらしくブクブクに膨張していた… 大きく開いた口は耳元まで裂け、声にならない声で 「ガッ…ガッ…ガッ…」 と息を引き込むように発している… これはもはや人の姿ではない… 「ヒッ…ヒッ…」 と呼吸することもままならない僕は、声を振り絞った… 「…N…をどこにやったんですか!!」 「ガッ…ガッガッ…ガッ…」 Rは僕に何か伝えようとしている! 「グガッ…ウ゛…ギィ…」 必死に何か伝えようとしているがまるでわからない… 苦しそうだ… 僕は無惨なRの姿を見て少し同情した… その時、 プレハブの外の方から雨音に混じって人の声がした… 「……!!…!!…だよ!!」 「…!…って!!…!」 そしてプレハブの窓付近まで近付いてきた。 「ここ!ここ!!ここにSがいるんだって!!」 Nの声だ!! 「マジで!?つーかRは!!??ホントに生きてんの!?」 Kだ!! 「知らない…でも河原から逃げてくる時R立ってたの見たんだって!!この小屋の窓にも血ぃついてたの見たも!!!」 Nが叫んでいる… 「うわ〜〜マジで??つーかお前のその傷もヤバイけどね」 そして ザッ…ザッ…ザッ…と二人の足音が近付いてきた… 窓な外にビショビショに濡れているKが顔を覗かせた。 僕は叫んだ! 「K!!!!」 だがKは僕のことなど見ていなかった。 「うわ気持ちワリィ!!!!!!なんだこいつ!!!!マジ生きてるわ!!!ヤベー!!!」 Kは身を震わせRを見て驚いて叫んだ… 「えっ??…いるの??」 傷だらけのNがヒョッと顔を出した… 「ぅわ…うわーー!!!!!!!!!!」 Nは腰を抜かし、走って逃げ出した。 「ヤベーって!!ヤベーッて!!ゼッテーヤベーよこれ!!マジマジマジマジマジマジ!!!」 Kの様子がおかしい…… するとKは窓に手をかけ、中に入ってきた。 ずぶ濡れのKの手には、スコップが握られていた… 僕がKを覗き込むように聞く 「…K??」 Kはピクッと反応したが 次の瞬間…!! 「…ん!!」 と 持ってたいたスコップを振りかざし、Rの頭を目掛けて振り下ろした!! 「Kっ!!!!」 僕が叫んだ時には ゴッ という鈍い音と共にRは床に倒れ込んていた… 「ハッ…ガガガァ!!ガッ!!…ガッ!」 Rは側頭部から血を流し、苦しみもだえている… Kは息つく間もなくスコップを振りかざしていた ゴンッ!! ドシャッ!! バギィッ!! ゴリッ!! ベシャッ!! めちゃくちゃだ…… Rの顔面から足先まで容赦なくスコップが叩きつけられる… Rはその度に ゴバッ と口から腹から血を流し、 手足が跳ね上がる…
42 :山(8)-2 :2008/07/13(日) 16:00:51 ID:???0 僕はKとRが恐ろしくて完全固まって微動だに出来なかった… ドボッ!! 「ガッ………ゴォガゲゲ…ガ…」 Rが ヒュー ヒュー と弱々しい息をしながら目から血を流し言葉を発した… 『…もうやめて…』 僕にはそう聞こえた…… 二段階に折れ曲がった腕で弱々しく顔を覆い、ピクピクと痙攣を起こしている… 「こいつマジ気味ワリィ…早く死ねよ!!」 そう言ってKは更にスコップを振りかざした… ズチャッ!! 僕は拳を握りしめ力いっぱい叫んだ!! 「…Kもうやめてー!!!!!!」 Kの体は僕の方にグルリと向いた… 「…S〜…お前こいつのことかばうのかよ〜」 Kが頭を傾げ血走った目を見開きそう言った… 明らかにいつものKの様子と違う… 僕はKの感情を逆なでしないよう言った。 「R……ほ ほっといても死んじゃうって…だから…もうやめてあげてよ…」 僕はギュッと目をつぶりKの方を見れなかった… 「…クスッ」 Kの笑う声が一瞬聞こえた… 「…ほっといても死んじゃうね〜〜…そうだね〜死んじゃうかもねぇ〜……でもあん時刺してしまってもまだ生きてんだからわかんねぇよ〜」 Kは間違って刺してしまったRの腹をグリグリしながら言った… 「もうあの後Yの後追っかけたのはいいけど実際自分自身スゲーショックでさ〜…そうすっとやっぱ学校行って後ろ指さされたり無視とか喰らうじゃん??だからいっそのこと殺してこの辺に埋めちゃえばわかんないしさ!!…ーて、そう考えてたらちょうどNが血だらけで下りてくっからさ〜ビックリだよ!!」 Kはヘラヘラ笑いながらどこかフッ切れたように言い放った… こんなこと誰にも理解できない…… まるでRは生きることを許されないように聞こえた… 僕は泣きながら… 「そんなの無理だよ!!…もうかわいそうだからこれ以上しないで!!」 と叫んだ。 「フゥーー……せっかく協力してもらおうと思ったのに……」 Kが チッ と口を鳴らした。 「…しょうがねー」 「え??」 「じゃお前も死んどケッ!!」 Kがそう言った瞬間、頭の中で ゴーン と響く音と共に僕は床に倒れていた… 頭が熱い…温かい血がジワ〜っと流れ出るのがわかる……痛い… そして… 「ウゼッ!!」 ドンッ!! 「まじウゼッ!!」 ベシャッ!! ドボッ!! 僕は…叫ぶことができなかった……痙攣する手足を確認しながら… 「ヒッ……ヒッ……ヒッ」 としゃっくりのように発することしか…でき…ない… 次第に周囲の音がずいぶん遠くに聞こえてきた… 薄れゆく意識の中で、、、、、 僕は、スコップを振りかざすKの背後に無表情でコチラを見ている男の人の姿がボヤーッと見えた… 『…ぉかぁさん……』 ピッ……ピッ……ピッ……ピッ…… 目覚めると……僕は病院のベットにいた…… 続 ------------------------------------------------------------------- 誰か続きをUPしてくれ・・・
43 :カーテン :2008/07/15(火) 10:39:43 ID:???0 1人暮らしの妹を訪ねていったAさんの話。 妹さんのアパートの部屋は1階にあり、ベランダの向かいは駐車場。 外国暮らしでカーテンのない地域に住んでいたので、習慣で妹さんは カーテンを閉じる事もなく暮らしていた。 電気をつけた明るい部屋で着替えだす妹に、日本暮らしの長いAさんは せめて電気を消すかレースのカーテンは閉じたほうがいいと忠告して、 自分はバスルームで着替えた。 2人で食事をして眠ろうかと言う話になったとき、妹が網戸を開けっ放しで 寝ている事も知り、危ないからクーラーを使うようにも忠告した。 今日は2人だから網戸でいいよと妹さんに強く言われ、自分の部屋でもないので Aさんは主張をあきらめてベッドの脇に布団を敷いて眠る事にした。 夜明け近い時間、ふと目が覚めるとレースのカーテンが大きく揺れていた。 何だか変な気配に部屋を見渡すと、Aさんのすぐ傍に人間の足がみえた。 恐る恐る目線をあげると、見知らぬ男が手に靴を持って立ってAさんを 唖然とした表情で見下ろしている。 慌てて飛び起きたAさんの第一声「どちらさまですか?」に 男もびっくりした様子で「すみません893に追われてて」と答えた。 騒ぎに妹も目を覚ましたものの、ぼーっとAさんと男のやりとりを眺めている。 「どこから入ってきたんですか?!」とベランダの下をみればビールケースが 積み重なっていた。 「す、すぐに出て行きますから。」と男が玄関先に行きそうになったので 「こっから出てって!」とベランダに誘導。 男は謝りながらベランダを乗り越え、姿を消した。残されたビールケースを 近所の酒屋に戻し、後で妹をみっちり叱りましたとさ。 Aさんがいなかったら、妹さんはどうなっていたことか・・・ で、妹さんはまだそこに住んでいるそうです。カーテンを閉めるようにしたから 大丈夫だそうです。大丈夫なのか・・・?
44 :名無しさん :2008/07/16(水) 20:36:18 ID:???C 怖くないかもしれませんが… たまに道端の壁とか電柱の根元とかに書いてある鳥居みたいなマーク、あれって何だか知ってる人います? もう十何年も昔の話ですが、当時祖父と散歩してた時に、お決まりの散歩コース各所で見つけたその鳥居のマークが気になり、祖父にそれが何なのかを尋ねたことがありました。 ところが祖父は曖昧な返事でお茶を濁すばかりでなかなか教えてもらえませんでした。そのおかしな態度から私は幼心にも祖父は何か知ってて隠してるなと感づきました。 そうなると更に気になったので、何度も問い掛けている内に祖父が急に凄い剣幕で私を叱り付けました。 何と言われたかは忘れましたが、普段は超が付くほど温厚で怒ることとは無縁に思えた祖父の激怒した顔は今でも忘れられません。 後々になって立ちション禁止のマークだと教えられ以後あまり気にしなくていいと言われた記憶がありますが、あの激怒振りには別の何かあると思いつつもそれ以後その話題に触れることはなくなりました。 その祖父も去年亡くなり、結局あの急な激怒が何だったのか分からず終いになりましたが、最近越して来た近所に例のマークを久しく見つけ、当時のあのやりとりを思い出しました。 今は訳も無くちょっと怖がっています。
45 :手首1 :2008/07/22(火) 13:38:01 ID:WUGDem8M0 わたしが中2の時に体験した話です。 本人たちはものすごく怖くて死にかけたのですが、読むほうにすればそうでもないかも。 わたしは中学校の頃吹奏楽部に所属していて、毎年合宿を同じ合宿所で行っていました。 詳しい場所は覚えていないのですが、東京からバスで行けたのでさほど遠くはないところだったと思います。 その合宿所はそばに川が流れていました。さほど大きくはない、小川といってもいいような川です。 合宿所の近くに木の茂ったような空間があり、その木に覆われるように下の河原へと続く長い階段がありました。 樹が茂って一種の森のようになっているので、石段は薄暗く、昼間でも足元を見て歩かないといけませんでした。 わたしの部では合宿の時に、パートごとに「リネン係」、「風呂清掃」、「食事係」など、合宿中に係を受け持つことになっていました。 わたしのパートは毎年花火係でした。花火係の主な仕事は花火を事前に準備をすることと、当日、花火を行う河原の清掃をすること。 他のパートに比べ煩わしい準備や長い時間拘束されることもなく、割と楽な係だったと思います。 私自身も他のパートの子が忙しく歩き回っているのを見ると、楽な係でよかったなぁと思っていました。 夕方ごろ練習にちょっと間が出来たので、先輩がわたしを含めた同じパートの子たちにゴミ拾いに行こうと言いました。 その時、一緒にゴミ拾いに出かけたのは先輩と、わたしの友人のAちゃん、Bちゃん、それにわたしでした。 (パート内にはもっと人数がいるのですが、他は一年生とかだったので部屋で練習を続けていました) ゴミ、といってもそうそう沢山あるわけではないだろうと思っていたので、わたしたちはゴミ袋を持つこともなく、そのまま石段を下りて行きました。 夕方、辺りが暗くなってきたなかで、樹に覆われた石段は一層暗く、わたしたちはごく狭い石段を一列になって下って行きました。 やはり河原につくと大したゴミもなく、ペットボトルや何かのビニールなどが多少落ちているくらい。 「早く終わらせて帰ろう」という先輩の声もあり、全員適当に両手にめぼしいゴミを拾うと、引き揚げることになりました。 先ほども言いましたが石段はとても狭く、一列にならなければ歩けませんでした。 確かその時の並びは先輩、わたし、Aちゃん(わたしとAちゃんが逆だったかもしれないですが)、最後がBちゃんという並びでした。 しばらく行ったころ。わたしは両手首に、何か言葉に出来ないような気持ちの悪さを感じました。 (なに、これ・・・) 何か、極細のものが両手首にふわふわとまとわりついているような感じ。 ものすごく細い細い指先か、無数の髪の毛。 それが、わたしの手首を撫でている。そんなイメージが頭に浮かびました。そのとたんに心臓が恐ろしいほどの速さで鳴りはじめました。
46 :手首2 :2008/07/22(火) 13:40:22 ID:WUGDem8M0 「何?何これっ?」その時、戸惑ったようなAちゃんの声が後ろから聞こえました。 わたしはAちゃんが何かを異変を感じていることがすぐわかりました。 気づくと、すぐ前の先輩も何かを感じているらしく、「やだ、やだっ!」としきりに声を上げていました。 自分の心臓の音がうるさく、けれど立ち止まってはいけない、立ち止まったら絶対にいけない、と思い、先を行く先輩にわたしは「とりあえず行こう!進もう、進もう!」と声をかけ続けました。 もし眼をやったら何かこの世ならないものを見てしまいそうで怖くて、わたしは手首を見ることはできずにただ先輩の背中だけを見ながら階段を上がっていきました。 わたしがその時一番怖かったのは最後尾を歩くBちゃんだけが何も感じておらず、「ねぇ、なに?!なんなの?!」と困惑した声をあげていたことです。 三人には異変が起こっているのに、最後の一人だけ何もわからない、それが余計にリアルで、涙が出るほど怖かったです。 階段を上り終わったところで、いきなり手首の異変は消えました。本当に、何事もなかったかのようにさっぱりと。 そのあと話を聞くと、Aちゃんは手首に細かい無数の虫がまとわりついているのだと思い、手でしきりにはらったけれどその感覚はなくならなかったそうです。 先輩も何かはわからないけれど、手首に気持ち悪さを感じ続けていたそうでした。 Bちゃんだけは本当に何も起こらなかったらしく、わたしたちの話を聞いてもわけがわからない、というように首を傾げていました。 あまりに怖かったせいか、三人とも呆然としてしまいその話はそこで終わりになりました。 しかし、その日の夜、わたしが合宿所の部屋の中で片付けをしていると、いきなりパチッと電気が消されました。 戸口に立っていたのはAちゃんでした。わたしはAちゃんがいたずらに消したのかと思い、「やめてよ!」と少し怒って言いました。 しかし、Aちゃんは「えっ」と驚いた顔をしてスイッチを見ました。確かにスイッチは、オフになっていました。 わたしが「Aちゃんが消したんでしょ?」というと、Aちゃんは「消してないよ!勝手に電源のスイッチが切れたんだよ!」と言いました。 わたしは昼間あんなことがあったからわたしを驚かそうとしているのだと思い、特に本気にもせずにその話を流しました。 Aちゃんはその後ずっと一人で不思議がっていましたが、わたしはあまり気にしてもいませんでした。 そして、つい最近のことですが、バイト先で霊感のあるという人に知り合いました。 その人に面白半分というか、体験談のような感じで、その時の話をしました。 後付けのようになってしまう気がして、(自分自身あまり信じてはいなかったので)電気の話は省いて。 先輩ははじめ普通にその話を聞いていたのですが次第に神妙な顔になり、話し終わるとぽつりと言いました。 「・・・そのあと、電気に異常とかなかった?突然消えたりとか、つかなくなったとか」 先輩の話によると電気に異常が起きるときは、そばにいることがあるそうです。 ついてきちゃったのかも、とわたしはかなりぞっとしました。 Aちゃんにその話をすると「やっぱり!」と怖がりながらも嬉しがっていました。
47 :テスト ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 03:55:19 ID:???0 書き込めるかテスト
48 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:00:57 ID:???0 オカ板はスレが乱立していて、何処に書き込めば良いのか判らないので、こちらに書かせていただきます。 日本国内には、いたる所に神社や祠がある。 その中には人に忘れ去られ、放置されているものも少なくない。 普通の日本人ならば、その様な神社や祠であっても、敢えて犯す者はいない。 日本人特有の宗教観から来る「畏れ」が、ある意味DNAレベルで禁忌とするからだ。 かかる「畏れ」は、異民族、異教徒の宗教施設に対しても向けられる。 また、このような「畏れ」や「敬虔さ」は、多くの民族に程度の差はあれ、共通するものである。 しかし、そういったものに畏れを感じずに暴いたり、安置されている祭具などを盗み出す者たちがいる。 その多くは、日本での生活暦の浅いニューカマーの韓国人達だ。 詳しい事は判らないが、朝鮮民族は単一民族でありながら「民族の神」を持たない稀有な存在だという。 神を持たないが故に、時として絶対に犯してはならない神域を犯してしまう。 「神」の加護を持たない身で神罰を受け自滅して行く者が後を絶たないということだ。 この事件もそんな事件の一つだと思っていた。 最初のうちは・・・
49 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:01:51 ID:???0 ある寒い冬の日だった。 俺は、キムさんの運転手兼ボディーガードとして、久しぶりにシンさんの元を訪れていた。 「本職」の権さん達ではなく、俺が随伴したのは、シンさんの指名だったからだ。 シンさんの顔は明らかに青褪めていた。 キムさんもかなり深刻な様子だった。 やがて、マサさんもやって来るという。 重苦しい空気の中、2・3時間待っていると、マサさんが一人の男を伴ってやって来た。 マサさんの連れてきた男は、木島という日本人だった。 上背は無いが鍛え抜かれた体をしており、眼光や雰囲気で相当な「修行」をした人物と感じられた。 これから何が起こるかは判らないが、ただならぬ事態なのは俺にも理解できた。
50 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:02:46 ID:???0 木島は手にしていたアタッシュケースから古ぼけた白黒写真と黄ばんでボロボロになった古いノートを出した。 シンさんも、テーブルの上にファイルを広げ、数枚の四つ切のカラー写真を出した。 両方の写真の被写体は、どうやら同じ物のようだ。 それは、三本の足と蓋のある「金属製の壷」だった。 その壷は朝鮮のものらしく、かなり古そうだった。 形は丸っこい、オンギ(甕器)と呼ばれる家庭用のキムチ壷に似ている。 ただ、金属製である事と底の部分に3本の足があること、表面に何かの文様がレリーフされているのが特殊だった。 表面の文様と形状に、呪術に造詣の深いシンさんやキムさんは思い当たるところがあったようだ。 それは、一種の「蟲毒」に用いられた物だった。 壷の文様は「蟲毒」の術に長けたある呪術師の一族に特徴的な文様なのだという。 しかし、通常、「蟲毒」に使われるのは陶器製の壷であり金属器は使われない。 ましてや、この壷は「鉄器」であり、「蟲毒」の器としては恐ろしく特殊な存在だという事だ。
51 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:03:45 ID:???0 韓国では金属製の器が好んで使用されるが、伝統的な物の殆どがユギ(鍮器)と呼ばれる真鍮製品なのだという。 李氏朝鮮では、初期から金属器の使用が奨励され、食器や祭具、楽器や農具に至るまであらゆる金属製品が作り出されたそうだ。 だが、その素材の殆どが青銅或いは真鍮だった。 高い製鉄・金属加工技術を持ちながら、朝鮮半島では鉄は希少で広く一般に普及する事は無かったらしい。 温帯気候で樹木の生育の早い日本と異なり、大陸性の寒冷な気候の朝鮮半島では樹木の生育が遅い。 それ故、製鉄に大量に必要とされる燃料の木炭が不足していたのだ。 昔の中国や朝鮮は、刀剣などを鉄製品の原料・素材として日本から輸入しており、それは非常に高価だった。 その様な貴重な鉄器を破壊して使い捨てるのが原則の蟲毒の器に用いる事は、呪術上の意味合いからもあり得ない事なのだと言う。
52 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:04:33 ID:???0 この壷は、柳という古物商から在日ネットワークを通じて照会されて来た物だった。 柳は、盗品売買の噂が絶えず、在日社会でも非常に評判の悪い人物だった。 本来なら、シンさんはこのような男は絶対に相手にしない。 しかし、流れて来た写真を見てシンさんは驚愕した。 それは、日韓併合以前の韓国で隠然たる力を持っていた、ある呪術師一族が「呪術」で用いた文様だったからだ。 なぜ、そんなものが日本にあるのか? その呪術師一族は、韓国の「光復」のかなり前に滅んでしまっていた。 朝鮮総督府は「公衆衛生」のため、朝鮮半島に根深く浸透していたシャーマン治療を禁止し、近代医学を普及させた。 その影で、多くの呪術師や祈祷師達は恭順して伝来の呪術を捨てるか、弾圧されるかの二者択一を迫られた。 多くの呪術師が地下に潜ったのに対し、敢然と叛旗を翻した者も少数ながらいた。 この呪術師一族もその少数者の1つだった。
53 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:05:16 ID:???0 シンさんの調べによると、柳の照会の背景は以下のようなものだった。 日本全国で、高齢の資産家宅や旧家の蔵、寺や神社を荒らし回っていた韓国人の窃盗団がいた。 この窃盗団は「流し」の犯行の他に、「顧客」の「注文」に応じた仕事もしていたらしい。 日本の美術品、特に仏像や刀剣の類は韓国内や欧米諸国で熱心なコレクターがいるのだという。 山道や街道沿いに建てられた、ありふれた旧い地蔵などにもかなりの値が付くという事だ。 どうやら問題の鉄壷は、ある人物の「注文」により盗み出されたものだったらしい。 だが、「仕事」を終えてすぐにその窃盗団に異変が起こった。 窃盗団のメンバーが、僅か数日間で次々と怪死を遂げたのだ。
54 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:06:02 ID:???0 柳の元に鉄壷を持ち込んだのは、窃盗団の最後の生き残りである朴という男だった。 朴は日本国内で逮捕暦があり、他の仕事で下手を打った為に身を隠しており、詳しい事情を知らなかった。 朴は盗品の隠し場所から、他の数点の美術品と共に鉄壷を持ち出し、伝のあった柳の元に持ち込んだ。 相次ぐ仲間の死と、自分の身辺に迫る気配に恐怖を覚え、高飛びしようと考えたのだ。 盗品ブローカーである柳は、朴の持ち込んだ美術品を買い入れた。 朴の持ち込んだ盗品の中で、問題の鉄壷は最初「ガラクタ」扱いだった。 しかし、朴が盗品を持ち込んですぐに鉄壷を買いたいという人物が現われた。 その男の提示した金額はかなり破格のものだった。 だが、柳は「商売の鉄則」として、仕入れた盗品を特定の業者以外の第三者に直接転売する事は無かった。 何処で柳が盗品を扱っている事や鉄壷の存在を知ったのか謎であったし、金を持ったまま首を吊った朴の死が柳を慎重にさせた。 柳は鉄壷について同業者に照会し、購入希望者の背後を探った。
55 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:06:52 ID:???0 柳の照会はシンさんの元に届き、とんでもない代物である事が判明した。 それは、人の触れてはならない「呪いの器」だったのだ。 シンさんは、壷が朝鮮の呪物であったことから、詳細を知るために、ある人物に壷について問い合わせた。 その結果、鉄壷が、シンさんやキムさんの当初の予想をはるかに越える危険な物であることが明らかになった。 この鉄壷の用途は、「蟲毒」などという生易しいものでは無かったのだ。 鉄壷が安置されていたのは「***神社」という、人に忘れ去られた、無名の小さな神社だった。 忘れ去られたと言うのは正確ではない。 触れ得ざる物を人界から隔離する為に、人目から隠して建立された神社だったのだ。 其処までして封じようとした鉄壷の正体は何だったのか?
56 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:07:46 ID:???0 鉄壷の正体は「炉」だった。 蓋を開け、中に「あるもの」を封じてから蓋を閉じ、燃え盛る炎の中に入れるのだという。 その為に壷は鉄で作られ、底に足が付けられていたのだ。 鉄壷の中に入れられた「あるもの」とは何か? それは人間の「胎児」だった! 妊婦を凌遅刑に掛け、その子宮から取り出した胎児を鉄壷に入れて焼いたと言うのだ。 その数、実に12人! 年に一人、12年の時を掛けた大掛かりな呪法だった。 鉄壷の丸い形は女の子宮を表していたのだ! 11人の女は、さらわれたり、売られたりして来た哀れな女達だった。 呪術師に慰み者にされ、子を孕んで時が満ちると切り刻まれ、我が子を「鉄壷」で焼かれたのだ。 その、恨み、怨念は如何ばかりのものだっただろうか?
57 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:13:04 ID:???0 だが、12人目の最後の儀式は更に恐ろしくおぞましかった。 12人目の女は、12年間呪術を行ってきた呪術師の実の娘だった。 犯された娘の妊娠が判ると、呪術師は彼の息子によって凌遅刑に掛けられた。 時間を掛けて切り刻まれた呪術師が息絶えると、父を殺した息子の呪術師は儀式を行った。 それは「反魂」の儀式。 殺された呪術師を娘の腹の中にいる胎児に「転生」させる儀式だった。 所定の時が満ちると、娘は11人の女達と同様に凌遅刑に掛けられ、呪術師の転生児である胎児は子宮ごと鉄壷に封じられた。 蓋は二度と開かないように封印され、更に10年近く呪術師の家に安置されたのだと言う。 醜悪で余りにおぞましい行いだが、「この手の」呪いは、やり口が醜悪で無残であるほど効力が高まるものらしい。 鉄壷が安置されていた間、呪術師の一族の人間や村人達は一人また一人と死んで行った。 村が殆ど死に絶えたとき、術を仕上げた呪術師は鉄壷を持ち出して日本に渡った。
58 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:14:01 ID:???0 日本に渡った呪術師には姉がいた。 妹と同様に父親に犯されたが妊娠せず、その後も生き残っていたのだ。 彼女は弟を追って日本に渡った。 彼女の弟である呪術師は、鉄壷を持ったまま身分を隠して日本各地の朝鮮部落を渡り歩いた。 本国から身一つで渡ってきた同胞を朝鮮部落の人々は匿い助けたが、呪術師の行く先々で多くの朝鮮人が死んだ。 弟を追い切れなかった姉は、ある朝鮮部落の顔役であった宗教家に呪いの事、弟の事を相談した。 自分の手に余ると考えた宗教家は、ある日本人祈祷師の元に彼女を連れて行った。 彼女は韓国で行われていた儀式やそれまでの事、一族の呪術や、鉄壷について知っていることの全てを祈祷師に話した。 彼女の話した言葉を日本語に翻訳したものの写し、それが木島が持ってきた古いノートだった。
59 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:15:08 ID:???0 鉄壷、それは「呪いの胎児」を育てる為の「子宮」だった。 そして、胎児を育てる「養分」となるのは「生贄の命」だった。 「生贄」とは? それは、呪術師の同胞であるはずの朝鮮人だった。 儀式を完成して10年近くも壷が韓国に置かれ、壷を持った呪術師が日本国内の朝鮮部落を渡り歩いたのはなぜか? それは、生贄の命を子宮たる鉄壷に吸い上げる為の、言わば「根」を張り巡らせる作業だったのだ! ・・・鉄壷の中の「呪いの胎児」が、標的を呪い殺せる強さへと育つまで、生贄の民であり、同胞である朝鮮人の命を吸い上げようと言うのだ。 その数は何万、何10万。 あるいは、更に多く・・・。 そこまでしなければ呪いを成就できない「標的」とは何だ?
60 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:16:00 ID:???0 木島は淡々とした口調で語った。 この呪いは特定の個人ではなく「皇室」を標的とし、124代に渡って継続してきた皇統を絶つことによって日本と言う国を滅ぼそうとしたものだと。 俺は木島に言った。 「蟲毒や生贄を使って、一族や血統を滅ぼす呪法があるのは知っている。 しかし、この呪法のやり口はいくらなんでも無茶苦茶だ。 大体、無差別・無制限に生贄を必要とするなんて、そこまでする必要があるのか? 仮に皇室が滅んだからと言って、それは日本滅亡とは直結はしないだろう?」 シンさんとキムさんが呆れ顔で俺の顔を見て、マサさんは深いため息を吐いた。 そして、キムさんは「お前、本当に何も解ってないんだな。まあ、日本人だから無理も無いのかもしれないな」 そう言うと、この呪法が皇室・皇統を絶とうとしたことの意味を語り始めた。
61 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:16:43 ID:???0 キムさんの話によると、この世界は、他文化・異民族、異教徒を飲み込んで支配しようとする「支配者」と、「被支配者」に分かれるのだという。 支配者とは、大まかに言ってユダヤ・キリスト教徒、被支配者は土着宗教やローカルな文化がこれに相当する。 アジア地域における支配者は中華文明であり、日本やインド、朝鮮などを除く多くのアジア諸国・地域の支配層はその多くが中華の流れを汲むということだ。 他者を支配しようとする宗教や文化、王朝は、長く続けば続く程に、その「影」の部分として呪術的側面が育って行くそうだ。 支配を続ける事は即ち「業」を積み重ねて行くことに他ならないからだ。 「支配」の本質とは「悪」なのだ。 それ故に、王朝や文明は蓄積された「悪業」が臨界点に達すると必然的に崩壊へと向かう。 被支配者や民間の呪術は、支配者や自らを併呑しようとする者に対する抵抗の手段だが、支配者や権力者側の呪術は破滅へと積み重なる「業」への抵抗なのだそうだ。 ある時は疫病を祓い、災害を祓う。反乱者や簒奪者に呪殺を仕掛ける事もある。 支配する事によって積み重なった「悪業」が招く「災厄」を祓うのが権力による呪術であり、それは徐々に大きくなり、顕在化してくる。 それ故に、本来「影」であるべき呪術が表面に出て来るようになった文明や国家は末期的で、滅びが近いと言うことだ。 王朝や宗派等は、代を重ねる毎に「悪業}だけではなく、逆に「霊力」や「呪力」も強めて行く。 だが皮肉な事に、積み重なって強まった「霊力」「呪力」は、臨界点に達した「悪業」と共に破滅への原動力となってしまうのだ。 霊力や呪力は浄化への力だからだ。
62 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:20:22 ID:???0 日本は明らかにユダヤ・キリスト教圏や中華文明といった「エスタブリッシュメント」には属さない存在である。 しかし、中華文明圏を脱してからというもの、中華文明による再併呑もユダヤ・キリスト教圏による併呑も完全支配も叶わなかった。 それには、様々な要因があった。 だが、呪術的側面から見ると、それは「皇室」という極めて特殊な存在によるものだという。 日本の皇室は通常、王朝の「影」である呪術的部分がその存在の根幹であって、その他の部分は「支配」や「権威」すら枝葉に過ぎないということだ。 日本皇室は唯一最古の帝室である前に、最古・最強の呪術の系譜なのだ。 エスタブリッシュメントに属さない存在でありながら、強い力を持つ日本皇室は、本来ユダヤ・キリスト教圏にとっても中華文明圏にとっても消し去りたい存在らしい。 しかし、最高の霊力・徳を持つ日本皇室と正面から対立する事を彼らは避けるようになった。 天安門事件に端を発する国家存亡の危機に瀕した「中華人民共和国」が、「七顧の礼」を以て天皇訪中を招請し、国難を凌いだのはその好例だそうだ。 殲滅ではなく共存を選んだのは、日本皇室及び日本人が、異民族を併呑して「帝国」を運営する力量を持たない民族であることが明らかになったからだ。 直接利害が衝突しない「触れ得ざるもの」に自ら敵対して、再び火傷する事を怖れたのだ。
63 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:21:13 ID:???0 「日本国」とは日本皇室の誕生から続く一つの王朝に過ぎない。 それ故に皇室の否定は日本と言う国の存在自体を否定する事に等しい。 本質的に、強大な「力」を持つ日本皇室や、中華文明に併呑されない「日本」を敵視する「中国」は、長期的視点で日本を内側から崩しに掛かっている。 所謂、売国メディアや自虐史観がそれだ。 自らの王室や、国家・民族に殉じた人々を誹謗する事は、国の「運気」を非常に損なう、天に唾する愚行なのだと言う。 「死人に鞭を打たない」という日本人の文化は弊害もあるが、国家の「運気」を保つ上で重要な意味を持つのだ。 現在行われている工作は、「皇室の呪力」と直接衝突せずに、日本国の「運気」や「霊力」を殺ぐ手段としては、呪術的にも理に適っているそうだ。 「呪力」「霊力」の最高位にある日本皇室に呪術を仕掛ける・・・それは、強力であればあるほど自殺行為に等しくなる。 少しでもまともな呪術的視点を持つ者なら絶対に避ける愚行である。 しかし、敢えてそれを行う者は後を絶たない。 一部日本人と朝鮮民族である。
64 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:21:58 ID:???0 朝鮮民族は自らを「小中華」と称し、甚だしくは中華文明の正当継承者であると自認している。 しかし、その実態は、大陸の袋小路である朝鮮半島に封じ込められた「生贄」の民族である。 彼らの特性は、如何なる外敵の支配にも抵抗しないが、併呑・同化はされないという点にある。 宿主たる征服者の体内に潜み、その内部を食い荒らし、滅びを加速させる。 そして、次の宿主たる支配者・征服者に取り入り、再び食い荒らすのだ。 支配者に同化されない為、彼らが独特の民族心理として培ってきたものが「恨」である。 支配者に対する潜在的敵意である「恨」という民族意識によって、彼らは確固たる独自文化、独自宗教を持たずして民族としての生存を図ってきたのだった。
65 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:22:54 ID:???0 自らをエスタブリッシュメントである「中華文明の担い手」とする民族的錯誤、更に「生贄」であることに気付かずに反日感情を煽られて自殺的行為に走る朝鮮人呪術師は多い。 しかし、根本的理由は朝鮮民族の潜在的な生存本能に負うところが大きいらしい。 強力な民族や国家に囲まれた弱小の朝鮮民族が、民族として生き残ってこれたのは、「恨」の精神によって頑なに異民族との同化を拒んできたからだった。 しかし、最も関係の深い隣国である日本は、外来の技術・技芸、文化・宗教、そして人間までもその内部に取り込み、強力に同化してしまう恐るべき特性を持っていた。 日本に渡った同胞は短期間で日本と言うブラックホールに飲み込まれ、日本人と化してしまった。 古来、日本に渡った者は「エリート」が多かった。 だが、そういった者ほど日本への同化、日本人化は早かった。 故郷を離れ、異国で世代を重ねながらも「朝鮮民族」である事にこだわりを見せるのは、むしろ低い身分の出身者が多いようだ。 日本人の目からは誇張に見える事も少なくないが、日韓併合は朝鮮民族にとって民族存亡の危機だったのだ。 シンさんは言った。 例え、世代が5世・6世と進み、制度的に不利な身分に置かれようとも、朝鮮民族の日本への帰化は一定以上には増えないだろうと。 朝鮮民族には他民族に併呑され同化されることへの本能的な恐怖がある。 そして、同化力の強い日本と言う国家・社会において朝鮮民族としてのアイデンティティの拠り所となるものは「国籍」位しかないのだと・・・
66 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:24:26 ID:???0 この特異な性質を持った日本と言う国を滅ぼす事、日本と言う国家の起源とも言える皇室を打倒することは、朝鮮民族の民族的命題とも言えるのだ。 もっとも、最近は日本皇室の「権威」を自らに引き寄せようとする動きもあるようだが・・・ ともかく、狂気とも言える「鉄壷の呪法」を行った呪術師は、自らの命を掛けるほどに強烈な覚悟を持って皇室・・・日本と言う国を呪った。 しかし、呪いの対象は、ある意味無限に近い、全世界を敵に回してもなお平然と存続してしまうほどの霊力を持った存在だった。 鉄壷は際限なく「生贄」の命を吸い取る、少なくとも日本国内にいる朝鮮民族にとって非常に危険な呪物となった。 いや、呪術師がこのような陰湿でおぞましい呪法を組み立てたのは、むしろ、それが目的だったのかもしれない。 日本への同化を嬉々として受け容れようとした、反民族的な「親日朝鮮人」を根絶やしにする為の呪法と考えた方が筋が通る。 実際、鉄壷を持ち込んだ呪術師の行く先々で多くの人々が命を落とし、謎の病に倒れた。 どのような経緯で確保されたかは謎だが、鉄壷は回収され、多くの朝鮮民族の命を守る為に日本人の手によって「***神社」に安置される事になった。 封印は功を奏し、半世紀以上の時間が経過した。 当時の関係者はいなくなり、呪いの鉄壷の存在を知る者は居ないはずだった・・・ しかし、***神社は暴かれ、鉄壷は持ち出された。 俺達は、再封印できるか***神社の確認と、柳の元にあるであろう鉄壷を確認しなければならなかった。 俺は木島と共に***神社へと向かった。
67 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:25:36 ID:???0 ***神社は雪深い山奥にあった。 車で行けるところまで行き、後は地図とGPSを頼りに徒歩で進んだ。 6時間以上掛かっただろうか? 俺達は岩だらけの川原に出た。 川に沿って上流に向かうと対岸に黒い鳥居が見えた。 川幅は15m程だが、流れはかなり速い。 だが、窃盗団は川を渡っているはずだ。 上流に向かって10分ほど進むと、岩伝いに歩いて渡れそうな場所があった。 俺達は対岸に渡り、鳥居の前まで戻った。
68 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:26:29 ID:???0 鳥居は高さ2m程の小さな物だった。 鳥居には太い鎖で出来た輪が内側いっぱいに広げて吊るされていた。 鳥居から奥に10mほど進むと焼け落ちた祠があった。 火を放たれてそれ程時間は経っていないのだろう。 焼け跡の生々しさがまだった。 祠の裏は奥行き5m程の人工のものらしい岩の洞穴があり、最奥部には鉄壷が収められていたのだろうか、直径40cm、深さ60cm程の縦穴が掘られていた。 洞穴の中にも火が放たれたのだろう、黒い煤や油の臭いが微かに感じられた。 俺は木島に「どうですか?使えそうですか?」と声を掛けた。 暫く木島は目を瞑ったまま黙っていたが、やがて口を開いた。 「ダメだな、道が付いてしまっている。ここはもう使えない。他の手を考えないとな・・・」
69 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:27:13 ID:???0 日本各地には俗に「パワースポット」と呼ばれる地脈の集結点や、大地の「気」の湧出点がある。 それとは逆に、地脈から切り離され、大地からの「気」が極端に希薄なポイントもある。 仮に「ゼロスポット」と呼ぼう。 このゼロスポットは呪物や不浄な存在を地脈・気脈から断ち切って封印するのに適した場所なのだと言う。 ゼロスポットはパワースポットよりも数が少なく貴重なものらしい。 発見されたゼロスポットは祈祷師や神社などが把握し、監視しているということだ。 この神社も、ある祈祷師のグループが見つけて管理していたポイントの提供を受けて建立されたものだと言う。 朝鮮人の「命」を生贄として吸い取る鉄壷は日本人の神官によって封じられた。 今回、木島が呼び寄せられ、マサさんやキムさんではなく、俺が***神社に赴いたのも「道」が付くのを怖れたからだ。 生贄である朝鮮人が足を踏み入れれば、壷に「命」を吸い取られ、吸い取られる筋道が外界への「道」となる。 窃盗団の韓国人が足を踏み入れた事で、このスポットは聖域ではなくなってしまったのだ。
70 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:28:05 ID:???0 日が落ち始めていたので、俺達は***神社の洞穴で夜を明かすことにした。 洞穴の奥で寝袋に潜り込んでいると、やがて睡魔が襲ってきた。 浅い眠りに入りかけたところで不意に意識がハッキリした。 だが、体は動かない。 いわゆる金縛りだ。 やがて、ヒソヒソ話す複数の声、赤ん坊の泣き声、女の悲鳴が絶え間なく聞こえてきた。 俺はもう、金縛りや「声」くらいでオタ付くほどウブではなかったが、場所が場所だけに気持ちの良いものではなかった。 俺は徐々に金縛りを解き、立ち上がった。 俗にいう「幽体離脱」と呼ばれる状態だ。 「幽体離脱」は、コントロールされた夢の一形態だ。 俺は洞穴の外を見た。
71 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:28:43 ID:???0 洞穴の外にはX字に組まれた木に手足を縛られた血まみれの女が磔にされていた。 手に刃物を持った血まみれの男が、女の耳や鼻、乳房を刃物でそぎ落として行く。 女が表皮の全てを削ぎ落とされて、人の形をした赤い塊になると、男は女の膨らんだ腹に刃物を突き立てた。 凄まじい女の悲鳴。 目蓋の無い女の目が俺を睨み付ける。 男が女の腹から何かを掴み出し、こちらを振り返った。 男が掴んでいたものは臍の緒の繋がったままの胎児だった。 抉り取られて眼球の無い男の顔が俺の方を向くと、男と女、そして胎児が口々に呪文のように「滅ぶべし」と唱え続けた・・・ 余りに酸鼻な光景に俺は凍りつき、やがて意識が遠のいた。
72 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:29:21 ID:???0 俺は木島の「おい」と言う声で目を覚ました。 洞穴の中の気温はかなり低かったが、俺はびっしょりと嫌な汗をかいていた。 ランタンの黄色い光に照らされた木島の顔にも脂汗が浮いていた。 どうやら木島も同じものを見ていたらしい。 俺が木島に「あれは・・・」と問うと、木島は「夢だ・・・だが、現実でもある・・・」と答えた。 夜明けまでは、まだ時間があったが、俺達は眠らずに太陽が顔を出すのを待った。 山を下りた俺と木島はマサさんと合流した。
73 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:29:57 ID:???0 マサさんと合流すると、俺達は鉄壷を買い取った盗品ブローカー、柳の元へと向かった。 俺達は柳の指定したスナックを訪れた。 店は古く、掛かっている曲も昭和の古い演歌ばかりだった。 事前情報によると、柳は50代前半の年齢のはずだった。 しかし、目の前にいる男の顔は明らかに老人のそれだった。 時折激しく咳き込みながらジンロを呷る柳の顔には、誰が見てもハッキリと判る「死相」が浮いていた・・・ マサさんが柳に「鉄壷は何処にある?」と聞くと、柳は「西川と言う男が持って行った」と答えた。 俺は「西川?在日か?」と尋ねた。 すると柳は「いや、アンタと同じ日本人だ。ただね、バックがやばい。ヤツは@@@会の幹部だ」 柳が口にしたのは韓国発祥の巨大教団の名前だった。 確かにヤバイ。 その教団は政界や財界、裏社会とも関係が深い危険な団体だった。 日本を「サタンの国」、天皇や皇室を「サタンの化身」とし、日本民族を朝鮮民族の奴隷とすることを教義とするカルト教団だ。 外法を以て皇室に呪いを掛けたとしても全く不思議ではない狂信者の群れ・・・それが、その教団だった。
74 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:30:58 ID:???0 柳は「俺も色々と訳ありのブツを捌いて来たが、あの壷は極め付きだ。引き取ってくれるなら金を払っても良いくらいだ・・・」 更に、ククッと笑うと、「いきなり大人数で押しかけて、持って行かれちゃったんで、代金を貰ってないんだ」 顔に傷や痣は無かったが、Yシャツのはだけた柳の胸には内出血の痕があった。 いつまでも鉄壷を渡さない柳に業を煮やした西川達は、柳を痛めつけて鉄壷を奪って行ったのだろう。 「あんなものはいらないけれど、只で持って行かれるのは面白くない。欲しかったらアンタ達にやるから取り返してくれ」 マサさんが「判った。そうさせてもらうよ」と言うと、俺達は席を立ち店を後にした。 帰りの車中、後部座席で木島がマサさんに「どうする?」と声を掛けた。 マサさんは「俺は荒っぽいのはキライなんだ。監視をつけて1週間ほど泳がそう。 そうすれば、向こうから壷を渡したくなっているだろう」
75 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:31:39 ID:???0 キムさんの手配で、権さん達が西川家やその取り巻きを監視している間に、西川とその周辺の者達に次々と「不幸」が訪れた。 普通ではありえない短期間に、事故や急病による死が相次いだ。 西川自身も飲酒運転の車に突っ込まれて重傷を負っていた。 「頃合だ」と言って木島は西川の元を訪れ、問題の鉄壷を手にして戻って来た。 木島が戻ってくると、マサさんは俺に紙包みを渡して「柳の所に届けてくれ」と言った。 持った感じ、100万と言ったところか? 俺は、前のスナックを訪れ柳の居所を聞いた。 柳は既に死んでいた。 俺たちが去った後、連日、目が覚めると酔い潰れるまで飲み続け、再び目が覚めると飲み続けると言う生活を続けていたらしい。 柳には家族はいなかったが、別れた女がいた。 俺は女の下に金を届けた。 女は「そう、あの人が死んだの」と、感情の無い声で金を受け取った・・・
76 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:32:13 ID:???0 戻った俺はマサさんに「壷はどう処理します?***神社はもう使えませんよ?」と尋ねた。 すると木島が「お前、今夜、壷と一緒に夜を明かせ。心を空っぽにして壷を『観続ける』んだ。 お前の思い付いた方法で処理しよう」と言った。 俺は「待ってくれ、西川達は日本人だけど、死人が出ていたぞ?大丈夫なのか?」 鉄壷の周辺で相次ぐ人の死に、俺はかなりビビッていた。 ***神社から盗み出されて以来、この鉄壷の周辺で死んだ者は、神社から盗み出した窃盗団が5名。 鉄壷を持ち出した朴と、買い取った柳。 西川と共に自動車事故に遭って死亡した西川の妻。 心筋梗塞で死亡した西川の父親、冬の寒空の下で大量に飲酒して凍死した西川の部下など10名に達していた。 しかも、西川の周辺の死者は皆、日本人だったのだ。 神社の洞穴で見た生々しい「夢」の事もあって、俺はこの鉄壷については、かなりナーバスになっていた。
77 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:33:09 ID:???0 マサさんは「大丈夫だ。お前は日本の神々の加護を受けている真っ当な日本人だ。 壷の中身も、お前に危害を加える事は出来ない。 よしんば出来たとしても、今のお前なら自分の身を守るくらいの力は十分にある。 西川達は日本と言う国や日本民族を害そうとする『邪教』に魂を売り渡して、霊的に日本人ではなくなっていたのさ。 加護を失っただけではなく、裏切りによって日本の神々を敵に回していたんだ。 あの教団の教義を見ろ。あんなものに帰依する輩をお前は同じ日本人と認められるか? まあ、あの鉄壷を放置したら、今の日本じゃ命を落とす日本人も少なくはなさそうだけどな。 大丈夫だからやってみろ」 俺はマサさんや木島の言葉に従って鉄壷と夜明かしする事になった。
78 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:33:40 ID:???0 急遽、マサさんがレクチャーしてくれた瞑想法に従って、俺は心を空っぽにして壷を「観」続けた。 やがて、洞穴の中で見た地獄のようなイメージが脳裏に浮かんできた。 真っ赤な灼熱の荒野で磔にされた血塗れの女達とその足元に転がされた赤ん坊。 まず、俺は明るい日差しの真っ白な雪原をイメージした。 次に、雪解け後の春の草原のイメージ。 瞑想によって「スクリーン」に浮かぶ景色は、俺のイメージに従って変化した。 俺は、きれいな女の裸体をイメージしながら女の縄を切り、足元の赤ん坊を女に抱かせた。 すると血塗れの母子は美しい姿に戻った。俺はイメージの中で同じ作業を繰り返し続けた
79 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:34:29 ID:???0 気が付くと、俺と11組の母子の前に、洞穴で観た眼球の無い血塗れの男が立っていた。 血塗れの女が男を見つめる。 我が子の胎児に転生し、自ら封じられたと言う呪術師だったのだろうか? 俺は女達の怯えを感じた。 俺は男に「見ろ、ここはもう地獄じゃないぞ」と語りかけた。 すると、男の顔には目が戻ったが、「・・・滅ぶべし」「・・・を呪う」という男の声が聞こえてきた。 俺は「アンタは日本人に転生しても、日本を呪うのかい?」と問いかけた。 男の意思の揺らぎを俺は感じた。 俺は、先ほどまでの赤い灼熱の地獄を思い浮かべて、「皆、あそこに戻る気は無いってさ。アンタ、あそこに一人で留まるかい?」と問いかけた。 俺の脳裏に「いやだ!」と言う、強い言葉が響いた。 男の姿は消え、目の前に血塗れの女と赤ん坊がいた。 俺は先ほどまで繰り返した「治療」のイメージ操作を行って、男だった赤ん坊を女に抱かせた。 すると、女達は一人また一人と消えて行き、最後の母子が消えて行った。 その瞬間に俺は俺は脳裏で問いを発した。「お前達、何処へ行きたい?」
80 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:35:20 ID:???0 やがて、景色のイメージが消えて脳裏の「スクリーン」は暗くなり、俺は瞑想から醒めた。 最後に問いを発したときに浮かんだイメージ。 それは陸の見えない、果てしない「海」のイメージだった。 俺はその事をマサさんたちに伝えた。 マサさんは「そうか、判った」と答えた。 俺がマサさんのレクチャーに従ってイメージを操作した瞑想法は、供養法の一種なのだそうだ。 俺には呪術や祈祷の儀式についての知識が無く、「調伏」のイメージが無かった事が成功の鍵だったようだ。 また、長い間神社に封じられて浄化が進んでいた、鉄壷の呪力がまだ余り戻っていなかったことも幸いしたようだ。
81 :呪いの器 ◆cmuuOjbHnQ :2008/07/23(水) 04:36:13 ID:???0 春分を待って、鉄壷の本格的な供養が行われた。 花や酒、果物や菓子を供えた祭壇に僧侶の読経の声が響き渡る。 俺は手を合わせて、瞑想で観た壷の中の人々に、「どうか成仏して、あの世で幸せに暮らして下さい」と祈った。 日を改めて俺達はキムさんのチャーターした漁船に乗って海上に出た。 やがて、船は停船した。 空はよく晴れ、波も穏やかだった。 マサさんが「これで終わりだ。最後はお前の仕事だ」と言って鉄壷を俺に渡した。 ズシッと来る鉄壷を俺は両手で持ち、できるだけ遠くへと海に放り投げた。 大して飛ばなかった鉄壷は、あっという間に海の底へと沈んで行った。 鉄壷を沈めた海に俺達は花束を投げ、酒を注いだ。 手を合わせ、しばし黙祷をすると、再び船のエンジンが始動した。 俺たちを乗せた船は、港へ戻る航路を疾走し始めた。 おわり
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90 :名無しさん :2008/08/09(土) 15:44:49 ID:LUZ4e6oM0 作者の作品に水を差してしまうかもしれませんが、 朝鮮系の人間は皇室にかなり接近しております。 このままでは内側から壊されてしまう日が現実になってしまうかもしれません。 恐ろしい話です。
94 :名無しさん :2008/08/20(水) 15:06:49 ID:5DzFcz9k0 これは先日父方の祖母から初めて聞いてびっくりした話。 私の母は私が22の時心不全で急死したのだが、その後半年以内に親戚が 立て続けに4、5人亡くなったらしい。 父方も母方も関わりなく。 私はその内1件しか行っていないし他の事は知らなかったのだが、 葬式続きで大変だったとの事。 若い人はいなかったらしいので、寿命は寿命だと思うのだが。 祖母が何気なく「○○子さん(母)もよぅけ連れて行ったなぁ・・・」と 言ったのがほんのり(?)怖かった。 心配性の世話焼きで、皆に愛され、とても惜しまれた人なのだが。 一人で寂しかったのかなぁ・・・?orz ちなみに母が死ぬ1ヶ月程前に買ってくれたお守りを車につけて以来、 半年に一度は事故っていた私が、その車ではもう6年間事故ってない。 というか、事故る寸前で気付いたりでギリギリ助かっている。 特に交通安全に特化したお守りではないのだが。 そんな理由でいい加減ボロボロなんだけど替えるに替えられない。 どんだけ強力なんだ、MY母。
96 :ゆ :2008/08/24(日) 11:06:58 ID:BHTjVL/MC 今日ってか7時間程前にあった話。 夜中の3時くらいに 自分の部屋のドアが 思いっきり バンッ!!! って開いたんだ。 それで目が覚めた。 ドアが開いたと同時に 小さい女の子も 勢いよくはいってきたわけ。 その女の子は 私のベットの周りを 無言で走り続けてたのね。 不覚にも私はその女の子を 妹だと思ったんだ 「何してんの?」 って聞こうとしたら声が 「う‥あ‥」 しかでないの。 そこで自分の体の 異変に気づいた。 体が動かないんだよね。 けど目だけはその子を 勝手に追ってた。 少したつとその女の子は 私が飼ってる ハムスターの前で しゃがみこんだの。 まだ声が「う‥あ‥」 しかでない。 そしたらその女の子 急に立ち上がった ウチに背を向けてね。 背を向けて立ってた はずなんだけど 顔だけこっち向いてる。 首が180度回転した状態。 冷や汗が一気に出たよ。 だってその女の子 私が大事にしてた 人形だったんだもん。 フランス人形みたいな 白目がなく目は全部真っ赤 日傘持って綺麗な金髪の髪。 今日の朝ハムスターは死んでた
97 :名無しさん :2008/08/26(火) 16:04:30 ID:SgAlD1h.0 :名無しさん:2008/08/09(土) 15:44:49 ID:LUZ4e6oM0 作者の作品に水を差してしまうかもしれませんが、 朝鮮系の人間は皇室にかなり接近しております。 このままでは内側から壊されてしまう日が現実になってしまうかもしれません。 恐ろしい話です。 >雅子さんのこと? 韓国人ってウワサありますよね。
100 :名無しさん :2008/09/09(火) 19:48:13 ID:.QzRssZA0 あんま怖くないけど。 深夜、ゲームしてたら家電にメッセージが入っていることに気付いた。 再生してみると、「ピー・・(間違えてファックス番号に電話したときのあれ)」 が10秒ほど流れて「○月○日 午前×時×分 メッセージは以上です。」 家にファックスは無い。 「番号間違えたのか?」と思ったが、その日付と時刻ってついさっきで、 そのとき、電話は何の反応もしてなかったんだよね。 何だったんだろうね。
103 :名無しさん :2008/09/15(月) 22:01:19 ID:/uyzbKmE0 鹿児島県に住んでいる者です。 ちょうど1年前の今頃、体験した事で怖い事がありました。 私の住んでいる所の近くにある運動公園があります。 2方を山で囲まれ、テニスコートや体育館、競技用トラックなどがある普通の運動公園です。 そのころ私は太り気味で、真剣に「痩せなくては…」と思っていて、ダイエットのため一ヶ月ほど前から夜中の11時頃からトラックの外周を走っていました。 その日もいつもの様にジャージに着替えて運動公園までジョギングし、トラックの前で準備体操をしていました。 しかし、トラックの様子がいつもと違います。 「なんか変だな…?」そう思いつつも体操を終えてスタート地点に立ちました。 そして何時ものようにトラックの外周を走り出し、最初のカーブを曲がった時、 違和感の正体に気づきました。 「ん?証明が一つしかついていない…」 そう、昨日も同じ時間に走っていたので分かりますが、トラックの直線上にいくつか点灯しているべき照明が手前の一つ以外消えていたのです。 「故障かな?」疑問に思いつつ、取り合えず一周走りました。しかし、どの照明も点灯しておらず、トラックは暗闇で染まっていました。 そらは曇っていて、月は出ていません。唯一の光源は入り口近くにある自動販売機の光くらいでした。 おかしなこともあるもんだ…。霊や超常現象など信じていない私は気にせず走り続けました。 5〜6周走った位でしょうか?ふと背中に視線を感じて立ち止まって振り返りました。 しかし、あたりは暗闇。多少は目がなれてきたとは言え遠くまでは見えません。 「気のせいかな?」とりあえず、いつも10周がノルマだった私はまた走り出しました。 すると今度は、 (パカッ、パカッ、パカッ…) 背後から不規則な「パカッ」と言う音が聞こえてきました。 この運動公園はトラックを走るときは必ず右回りをするように距離の数値が書かれていて、スタートラインから走ると、必ず右回りになります。 「私と同じようにこんな時間に走る人がいるんだなぁ…」と背後から聞こえてくる足音を気にもせず走っていましたが、それにしても不規則な足音です。 まるで、馬の足音のような… しかしここは運動公園で夜中の12時を過ぎています。馬なんかいるわけありません。 おそらく二人組みで走っているのだろうと思ってとりあえず6周目を終えて7周目に入りました。 その時、それまで聞こえていた足音が急に早くなりました。 (パカラッ、パカラッ、パカラッ) 恐らくゴールが近いのでスパートでもかけたのだろう。そう思って、私はマイペースで走っていました。 でも、足音はゴールを過ぎ、カーブを曲がっても早いままです。トラックの直線を走っている私の後ろから どんどん、どんどん足音が聞こえてきます。 その時になって私は恐怖を感じ始めました。とても靴でトラックを走っている音ではありません。 だって、トラックはゴム製のものです。こんな足音はしない……。 そう思った瞬間、私は全力で走り出しました。しかし、直線を過ぎてもカーブを曲がってもあの音はどんどん近づいてきます。 ―最後の直線。自動販売機の人工の光源目指してわき目も振らず全力疾走しました。 到達したとき、ふいに右肩を黒いもやもやしたものが通りぬけて行きました。 「うわっ!?」 右肩が自分の意思とは無関係に前に引かれ、片足でよろけつつ前を見ると、―真っ黒な馬の尻が見えました…。 その上には真っ赤な鎧をつけ背中に無数の矢が刺さり、首から上が無い状態の侍がのっていた。 ほんの一瞬コンマ何秒だと思う。侍を乗せた馬はそのまま目の前のコンクリの壁に突進し、吸い込まれていった。 今でも思い出す事が出来る。あの右肩を何かがすり抜けていく感覚…。 ただの幻覚だと思いたいが、自分ひとりでは右肩を引かれてよろけるなんて出来ない。 やはり何かが居たのだろうか… その日から運動公園へは行っていない。
104 :仕事人 :2008/09/15(月) 23:29:04 ID:PpmaTnIIC 今さっき起こったことですが、洒落怖の携帯サイトを居間で見たあと自分の部屋に行って明かりをつけようとスイッチを押したら電球が切れました。 偶然かもしれないけどタイミング良すぎて怖いし、こんなこと初めてなんで動揺してます。
105 :夜薙 :2008/09/16(火) 05:49:18 ID:oBRahKXs0 俺がまだ小学生の時、毎年夏になると九州にある母方の実家に帰っていた。 そこでは父と弟と3人(母は既に他界)で布団を敷いて寝ていたのだが、隣の部屋が仏間になっていた。 普段は寝る部屋と仏間の間の襖は閉まっているのだけど、その日に限って襖が全開の状態だった。 俺はもともと寝つきが良くなくて、父と弟が寝息をたてはじめてからしばらく仰向けの状態でぼーっとしていた。 でもそのうちに凄い悪寒が襲ってきた。俺は一瞬、自分はもう死ぬんじゃないかくらいに思っていたが、何の気無しに仏間の方を見たときに悪寒の理由を察した。 仏間にある仏壇の扉が開いていて、そこから黒い煙のような、靄のようなものが溢れ出ていた。 それはまだこちらの部屋には入ってきてはいないものの、それも時間の問題で俺は自分は連れて行かれると確信していた。 そのとき自分が金縛りの状態にあったのかどうかは覚えていない。ただ恐怖で動けなかったように思う。 もうそろそろこちらの部屋に黒いのが来るという時に、ふいに父が布団から這い出して仏間との間の襖を勢い良く閉めた。 助かったという安堵感で俺はその後すぐに寝てしまった。 起きたのは一番最後で、弟に訊いても何も知らないようで、父には「何の話や?」の一言で終わらされてしまった。 母方の爺さんとはあまり仲が良くなかったので訊くに訊けなかった。というかあっちの方言が怖くて常に引いてた。 今となってはあの母方の爺さんも婆さんも死んで、家も廃墟になってしまってるらしいし、確かめることは出来ない。 奉られてるのは先祖なんだろうけど、大人しく寝てろよなと今にして思う。
106 :夜薙 :2008/09/16(火) 06:04:04 ID:oBRahKXs0 1人で街を歩いているときに気になる声が聞こえてきた。 「おかーさーん、おかーさーん」 迷子がいるのか。そう思って歩き出すと交差点の中で幼稚園くらいの男の子が大人たちを見上げながら必死で叫んでいた。 大人って冷たいよな。俺はそう思ってその子に話しかけることにした。 「ねぇ僕、どうしたの?」 するとその子はキョロキョロと辺りを見てから俺に向かってこう言った。 「お前には俺が見えるんだな」 明らかに先ほどまでの声とは違う、異様に低い声で男の子はそう言い薄く消えていった。 トラックのクラクションで気を取り戻した俺は急いで横断歩道を渡り切って、交差点の端に置かれた枯れてしまった花に気が付いて手を合わせた。
107 :名無しさん :2008/09/18(木) 00:57:43 ID:???0 マサさんの人へ マサさんシリーズ、自分が全く読んだことのないタイプの お話で、興味深くて面白怖くて好きです。 続きがあったらどうか投下してください。(マサさんが何故祟られ屋になったのか、 とか)ずっと気になっているのでお願いします。
110 :ドキュ :2008/09/29(月) 11:17:47 ID:usLztWaI0 俺はDQNだった。 母親も父親も16歳になった俺を学校の寮にやった。(学校名は伏せる) 俺は寮にはいって大麻に溺れて、寮内で大麻を栽培しようとしてた。 相当バカだったんだな、これで大麻売りさばきまくって金持ち!とか思ってた。 寮の後ろにさ、ちょうどいい穴をみつけたんよ。 防空壕だったんだけどね。 俺は網を倒して、中に入っていった。 そしたらさ、丁度太陽光が入り込むような穴が上にあいてて ここしかねーーー!て思ってさ、先輩にもらった大麻の苗を植えたのよ。 それから1週間くらいか、 大麻は順調に育ってたぜ。俺は毎日朝に様子を見るだけにしてたんだが、 ある夜に妙に気になってさ、こっそり様子を見に行ったんだよ。 そしたらさ、穴んなかに入ってく小さい女の子(4つんばいになって)を見たんだよね。 そんときは怖いとかっていうより、「俺の大麻さわるんじゃねーぞ!」 っていう感じで俺も続いて入ったらさ、 女の子いないんだよね。 俺、それで怖くなっちゃってさ、走って逃げたよ。 先輩にさ「どこで大麻育ててんだ、お前」って。 俺がとまどってたら「まさか裏の防空壕じゃねえだろうな」って真面目顔で言うんだ。 俺が「まさか違いますよ」って言ったら、安心したみたいに 「だよな、あんなとこはいるもんじゃねえぜ」 今も順調に大麻育ってるとしたら、あの穴だけで1千万円くらいの価値にはなってる。
112 :ノブ :2008/10/05(日) 11:36:14 ID:???0 初めましてノブと申します。 今から五年前当時付き合ってた彼女と竹下通りに買い物に出掛けました。 祭日だったと記憶しています。どこを見ても若者だらけで人を避けながら快晴の空の下マクド○ルドのコーラ片手に買い物を楽しんでいました。 午後1時頃だと思います、僕は急にトイレに行きたくなり店内を見回しましたがトイレは無く(裏に有るのに客には貸さない方針の店だったかも知れない)そこで店を出て他で探そうと思い彼女に「トイレ行ってくるから買い物済んでもこの店から離れないでねっ」と言い残しトイレを探しました。 ところがなかなかトイレが見つからなかったので原宿駅まで行こうと歩いていると、建物と建物間の壁に、車のナンバープレート位の大きさに切ったダンボールに赤いマジックで【トイレ→】と書いて壁に貼ってありました。 その路地は幅が60cm位で薄暗く先を見ると10m位先は空地のようでした、路地を進む途 中後を振り向くと晴天の竹下通りを行き交う若者の姿が見えました。 空地に着くとトタンで建てたトイレその横には木の長椅子に座ってメンコをしている小学生低学年位の男の子二人、髪型も服装も昭和四十年代のスタイル、不思議に思いながらもトイレに駆け込みトイレ内を見回すと昔ながらの上部にタンクがあって細く長い鎖を引いて流すタイプのトイレとりあえず用を済ましトイレから出ました。 すると、先程まで長椅子に座ってメンコ遊びしていた少年二人の姿は無く空地は静寂していました。 時間にして【トイレ→】の看板を発見してから十五分位だったと思います、不思議に思いながらも早く彼女の待つ店へと路地を抜け急ぎました。 店に着いて店内を見回わしましたが彼女は何処にもいません。僕は携帯で彼女の携帯に連絡しました、するといきなり凄いけんまくで怒っていました「あんたふざけないでよ!人を二時間以上待たせて!連絡もしないで…!」一方的に携帯切られました。 彼女は怒って自宅マンションに帰ってしまってたのです、僕は意味が解らずパニクりました。二時間以上??店内の時計を見ると午後3時41分確かに彼女言う通り二時間以上経っています。 しかし僕の腕時計と携帯の時計は午後1時28分僕は全身に寒気と冷や汗で気分が悪くなり店の前のベンチで10分程休みこの状況を整理(路地に入ってつまずいて転び頭を打って二時間気絶したかもとか彼女と買い物に出掛けた時から全て夢だったとか)しようとしてましたが混乱するばかりでとりあえず彼女のマンションに急ぎました。 マンションに着くと彼女は渋々と玄関の扉を開けてくれました、中に入って彼女に一部始終出来事を話しました、最初ムッとしてた彼女も真剣に話しを聞いてくれるようになり、結果都内の某大学病院の精神科に行く事にしました。 僕自信もその方が少しは気が楽になると思ったからです。しかし精神科の先生に話しても…この出来事、僕も第三者的に考えればおかしな話しです。 結果、病名もハッキリせず精神安定剤と先生の安心させる言葉を頂いて帰宅しました。 今では精神状態も落ち着き彼女と結婚し平和に暮らしております。精神科の先生に後で聞いた話しですが今まで世界に僕と似たような経験をした人が6名程いるみたいです。 珍しいので大学病院ではこの症状を研究材料としてデジタル化しデータ保存して密かに研究を続けているみたいです。 思い起こすとあの空地の風景と少年が着ていた服の色、白黒に少しだけ色を着けた感じで少年の顔色も白に近いグレー色、それに快晴のはずの空が空地では曇り空…本当に不思議な一日でした。 この投稿を最後にこの事は忘れたいと思います。
113 :テスト ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 05:56:46 ID:???0 書き込めるかテスト
114 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 05:59:23 ID:???0 そこはキムさんの持ちビルの一室だった。 照明は落とされ、明かりは蝋燭の炎だけだった。 ガラス製のテーブルの上には注射器とアンプル、アルミホイルを巻かれたスプーンが置かれていた。 キムさんが「大丈夫か?注射にするか?それとも、もう一度鼻から行くか?」と声を掛けてきた。 俺は、朦朧とする意識で「注射で」と答えた。 塩酸ケタラール・・・2005年12月に麻薬指定が決定され、2007年1月1日より施行されたが、この時点では合法な麻酔薬の一つに過ぎなかった。 時間感覚が消失していたが、その30分ほど前、俺はアンプルの液体を蝋燭の炎で炙って得られた薄黄色の針状結晶を鼻から吸引していた。 テーブルの上でテレカで砕いた結晶を半分に切ったストローを介して一気に吸い込むと鼻の奥に強烈な刺激が走り、やがて俺の意識はブラックアウトした。 朦朧としながらも意識を取り戻した俺に、キムさんはアンプルから吸い上げた薬液を注射した。 シリンダーが押し込まれると、ゴォーッという大音響と共に俺は深くて暗い穴の奥に吸い込まれて行った・・・ 俺がケタミンという、マイナーなサイケデリック系のドラッグを試したのは「仕事上」の必要から、擬似的な臨死体験とも形容される幻覚体験を得るためだった。 薬物による幻覚体験の中で意識を鮮明に保つ必要があったのだ。 事の発端は、キムさんが知り合いの女霊能者から請けた仕事だった。
115 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:00:11 ID:???0 俺はキムさんに伴われて、ある女霊能者の元を訪れた。 日を改めて書きたいと思うが、キムさんと女霊能者との間には只ならぬ関係がある様子だった。 女霊能者は俺たちを奥の部屋に通した。 部屋には「治療中」だという一人の男がいた。 男は、狂気を湛えた獣のような眼光を俺たちに向けていたが、骨と皮ばかりに痩せ衰え、カサ付いた皮膚からは精気と言うものが一切感じられなかった。 何か質の悪い「憑物」に取り付かれているのは明らかだったが、憑物の正体に付いては俺には伺い知れなかった。 それよりも気になったのは、枯れ果ててしまったかのような男の精気のなさだった。 この男の精気のなさに俺は思い当たる事があった。 これは、「房中術」によって精気を抜き取られた成れの果てなのではないか? 「房中術」について、俺には苦い記憶があった。 初めてマサさんの下で修行した折に、娑婆に戻ったばかりの俺は、聞き覚えた「房中術」を知り合いの風俗嬢で試した事があるのだ。 マサさんの警告を無視して1週間ほど彼女と交わり続けた俺は、荒淫の果てに彼女を「壊して」しまった。 「房中術」により許容限度を越えて「精気」を奪われた人間は、肉体に回復不能の重大なダメージを負ってしまうのだ。 この、松原と言う美大生は20歳を少し過ぎたばかりの年齢だったが、痩せ衰えたその姿からはとても信じられるものではなかった。 「憑物」の方は何とかなったとしても、精気を奪い尽くされた身体の方は元通りに回復する事は絶望的に見えた・・・
116 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:00:55 ID:???0 応接室に通された俺たちの前に、女霊能者が一人の女を連れてきた。 山佳 京子・・・崔 京子(チェ キョンジャ)は、松原とは美大の同級生と言うことだった。 松原とは少し異なる類のものだったが、京子にも相当質の悪い「憑物」が憑いている事が俺にも判った。 京子や松原に纏わりついている独特の「悪い空気」は、霊感の類などなくても殆どの人が「感じる」ことが出来たであろう。 松原は女霊能者の師匠である、先代の頃からの信者の子息だった。 幼少の頃から感受性や霊感が強く、先代の霊能者には「これだけ霊感が強いと普通の生活は難しいだろうから、修行の道に入った方が良い」と言われていたそうだ。 だが彼は、人並み外れた霊感や感受性という才能を霊能ではなく、絵画と言う芸術の道に生かす人生を選んだ。 強い霊能を持つ松原は、同級生の山佳 京子に纏わり憑く、非常に強力で悪性の「憑物」に気付いた。 この時点で、松原は女霊能者の元を訪れて相談するべきだった。 松原の家族が息子の異変に気付いた時には既に手遅れの状態であり、松原は回復不能な廃人状態に陥ってしまっていた。 そして、京子の話によれば、松原をこのような哀れで無残な状態にしてしまったのは、他ならぬ京子の母親と言う事だった。
117 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:01:43 ID:???0 京子の母親、山佳 京香こと朴 京玉(パク キョンオク)は、スタジオ数3軒程のヨガ・スクールの経営者だった。 キムさんの調査によると、朴 京玉は変わった経歴の持ち主だった。 とにかく、異常な数の宗教団体を渡り歩いていた。 名の知れた教団に所属していた事もあったが、その殆どが地方の小規模な教団だった。 神道系、仏教系、キリスト教系・・・教団の教義等には共通性はなかったが、何れも「生き神的」教祖が一代で築いた新興宗教が殆どだった。 山佳 京香が入信した多くの宗教団体は教祖や教団幹部の「女性問題」が元で解散や分裂の末路を辿っていた。 夫であり京子の父親である山佳 秀一こと崔 秀一(チェ スイル)は、京玉の宗教遍歴で入信した教団の一信者だった。 老齢の資産家だった崔 秀一と娘・京子との間には、京子の東アジア人離れした容姿が示すように血の繋がりはないようだ。 朴 京玉と結婚し、京子が生まれた直後に崔 秀一は病死している。 朴 京玉の宗教遍歴の中には「A神仙の会」という後に宗教団体に改変されたヨガ道場もあった。 宗教団体化したA神仙の会が後に未曾有の事件を起こした頃まで朴 京玉の宗教遍歴は続いた。 宗教遍歴を止めた山佳 京香は夫の遺産を使ってヨガ・スクールを開講した。 事件後の「ヨガ不況」の中、スクールは順調に展開し、数年の間に常設のスタジオ3軒を構えるまでに成長していた。
118 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:02:38 ID:???0 キムさんは更に朴 京玉の過去を洗った。 朴 京玉は日本人の母と在日朝鮮人の父との間に生まれた元・在日朝鮮人2世だった。 父母共に、家系的には宗教や呪術とは関わりのない、ごく普通の家庭だった。 京玉が小学6年生のとき、交通事故で母が死亡した。 長距離トラックの運転手として生計を営んでいた父親は、京玉を自分の両親に預けた。 京玉を預かる条件として、祖父母は彼女を地元の民族学校に通わせた。 しかし、帰化家庭に育ち、木下 京香という日本名のみを名乗り、朝鮮語も学んだ事のなかった京玉は学校に馴染む事が出来なかった。 中学1年の夏休み前に京玉は不登校となり、自室に引き篭もるようになった。 元々占いや呪い、心霊写真や怪談の好きな少女だった京玉は、引き篭もった自室でオカルト雑誌や超能力関係の書籍を読み耽るようになって行った。 やがて、オカルト雑誌の読者欄を通じて同好の士と文通するようにもなった。 部屋に引き篭もり切りとなった孫娘を祖父母は心配し、その原因を作ったことに強く責任を感じていたようだ。 そんな京玉が、祖父母に初めて頼み事をした。 ヨガを習わせて欲しいと言うのだ。 ヨガがどういったものなのか祖父母には良く判らなかったが、部屋から出て身体を動かして、孫が少しでも健康になってくれればと、京玉の願いを聞き入れた。
119 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:03:28 ID:???0 京玉はヨガにのめり込んだ。 祖父母は、電車で片道1時間のスタジオ通いがそう長く続くとは思ってはいなかったらしい。 しかし、安くはないレッスン料を払い続ける祖父母を十分に満足させる真剣さで京玉はレッスンを重ねた。 真剣な受講姿勢や京玉自身の才能もあったのだろう、2年目からは特待生としてレッスン料は免除された。 3年目からは「内弟子」として寮に入ることになったが、最早、父や祖父母も京玉を止める気はなかった。 京玉の通ったヨガスタジオの主催者は旭 桐子という女性だった。 入会から5年後、スタジオが閉鎖される頃には京玉は旭のアシスタント的な存在になっていた。 旭 桐子は年に数度インドに渡航して修行を重ねるといった本格派だったが、ヨガ業界では無名の存在だった。 むしろ、そういった方面とは一線を画していたようだ。 だが、彼女の名は一部の宗教関係者、特に「法力」や「超能力」を売り物にする怪しい連中の間では知られていたようだ。 朴 京玉も旭 桐子に伴われて何度もインドに渡航していた。 スタジオ閉鎖後の旭 桐子の消息は不明であるが、朴 京玉はヨガを続け、日本で滞在費を稼いではインドに修行の為に渡航すると言う生活を続けていたようだ。 そして、長期間・・・2年ほどのインド滞在の後に、朴 京玉の宗教遍歴が始まった。
120 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:04:13 ID:???0 柔軟体操の一種のように見られがちなヨガであるが、その本質は「悟り」の獲得を目的とした霊的進化の技法らしい。 アーサナと呼ばれる数々の複雑なポーズは、長時間の座禅瞑想を行っても新陳代謝や血流の阻害を起こさない柔軟で強靭な肉体を養成するためのものらしい。 また、少し前に「火の呼吸」で有名になったヨガの呼吸法は全身を走る「気道」を浄化すると共に、悟りに必要な生命エネルギーを養う物だと言う事だ。 瞑想法も複雑多岐に渉り、呼吸法と気や生命エネルギーの操作、瞑想によるイメージ操作を組み合わせて行うそうだ。 このような「行」を重ねることによって得られる「現」や「果」をシッディ、日本語では「悉地」と言うらしい。 この「悉地」を獲得し、保持した状態を「通」と呼ぶ。 「悉地」に「通じる」事によって発現する力をアビンニャー、日本語では「神通力」と呼ぶらしい。 「神通力」には主要なものとして神足通・天眼通・天耳通・他心通・宿命通・漏尽通の6種があり、この6種を六神通と呼ぶそうだ。 ヨーガ瞑想が深まると生命活動が極端に低下する。 アーサナで強靭な肉体を養い、プラーナヤーマと呼ばれる呼吸法で気道を阻害する「業(カルマ)」を浄化し、生命エネルギーを蓄えて掛からないと容易に命を落とすそうだ。 生命活動が低下し、仮死状態に至る程に深い瞑想の究極状態をサマディ、日本語で「三昧」と呼ぶらしい。 この「三昧」に至る過程で人は生理的な反応として様々な神秘体験をするらしい。 「三昧」が人為的に仮死状態に至るものだとすれば、人為的な臨死体験とでも呼ぶべきものなのだろうか? 「三昧」に没入した状態とは、「異世界」に魂や精神が踏み込んだ状態なのだそうだ。 この三昧によって踏み込んだ「異世界」で活動する為に必要な力が「六神通」だと言う事だ。 聞きかじりの話から俺が得た理解はかなり不正確なのだろうが、取り敢えずはこう言った所らしい。
121 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:04:53 ID:???0 ヨーガには様々な手法や技法が存在するらしいが、その目的は「三昧」に至り、その中で「悟り」を得ることのようだ。 それ故に、ヨーガの行者は、気道を阻害する「業」を避け、生命エネルギーを損なわないように、持戒して禁欲的な生活を送る。 だが、裏道を行く「外道者」はどんな世界にも現われる。 数あるヨーガの教派?の中には神通力や三昧へ至る過程で得られる神秘体験を修行目的とする教派が少なからず存在すると言う事だ。 性交によって異性から生命エネルギーを奪い取る「房中術」。 自己の「業(カルマ)」を他人の体内に転移させる事で自己の気道浄化を図る「シャクティーパット」。 視覚的な神秘体験を得るためにダチュラやバッカク、その他様々な植物アルカロイド、生物毒や金属を調合した幻覚剤、「秘薬」。 「悟り」と言う目的から逸脱した、本来、長く困難な修行と持戒の上に得られる「副産物」を手早く獲得しようとした様々な手法が開発された。 ただ、こういった外法は厳しく排斥されるものらしく、特に「秘薬」のレシピは秘伝とされ、偽物を掴まされて命を落とす者が少なくないようだ。 修行用の伝統的な「秘薬」の代用として、様々な「現代薬」が用いられた。 こういった薬物の中ではLSDとケタミンは双璧であり、特に規制の甘いケタミンは、インドからヨーガ愛好家の多い欧州に大量に持ち出されているそうだ。 旭 桐子の修めた、そして、朴 京玉が彼女から学んだヨーガはこういった「外法」を行う一派だったようだ。
122 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:05:37 ID:???0 山佳 京香ヨガスクールはダイエットなどで評判が高いらしく繁盛していた。 だが、山佳 京香には良からぬ噂もあった。 男性会員との不倫や、未成年者との援助交際の噂が流されていた。 もっとも、スクールの会員や周囲の者に言わせれば「同業者の嫌がらせのデマ」と言う事らしかったが・・・ キムさんに示されたヨガスクールのパンフレットと山佳 京香の写真は実年齢と比べてかなり若そうに見えた。 見た目で30代半ばから40歳前くらい。パンフレット上では年齢は40歳代と言う事になっていた。 何れにしても、50代後半と言う山佳 京香の実年齢からはかなり懸け離れていた。 いくら鍛え続けてきたと言っても、ありえない若さと美貌だった。 俺はキムさんに「何年前の写真ですか?」と聞いた。 だが、キムさんは首を横に振って「2ヶ月ほど前のものだ」と答えた。 キムさんの調査では、山佳 京香の不倫や援助交際は実際に行われていると言う事だった。 そして、山佳 京香と一夜を共にしたとされる男達は皆一様に体調を崩し、様々な不幸に襲われていた。 関係者を襲う不幸は本人だけではなく、その家族にも及んでいた。 霊能者の女には大凡の見当はついているようだった。 俺は偽名を使って、山佳 京香ヨガスクールに入校した。
123 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:06:23 ID:???0 やってみて初めて知ったのだが、ヨガと言うものはかなりハードなエクササイズだった。 俺はマサさんの指導による修行法の他に、キムさんのボディガードの連中の空手道場にも顔を出していたが、キツさの質が異なり、かなり堪えた。 入校前、料金の割りに短いと思った週1回60分という初心者クラスの時間も、運動経験のない初心者には十分すぎる長さだっただろう。 基本レクチャーの初心者クラス5回を終えた俺は、一般コースへ上がった。 慣れさえすれば体力的に問題はなかった。 一番の難関らしい呼吸法に付いても、細かいポイントは違っても同様のものをマサさんの下で「命がけ」で学んだ俺には問題なく進める事が出来た。 週2回のレッスンが通常の所、ほぼ毎日通ったせいもあるだろうが、俺は早くても1年半、人によっては3年かかると言う上級コースに3ヶ月で到達した。 上級コースに上がって暫くすると俺はインストラクターによる個人教授を勧められた。 この個人教授でどうやら「選別」を行っているのだろう。 俺は、学院長による特別コースの受講を勧められた。 インストラクター達はすばらしい事だと褒め上げ、上級コースの面々は羨望の眼差しを俺に向けた。 特別コース・・・詳しい内容は判らないが、ヨガの奥儀によって「神秘体験」をした会員が多くいるということだった。 特別コースはワンレッスン2名限定で、宿泊費別で一回3万円の連続12回の講座だった。 一般コースから上級コースまでは1レッスン90分で3.000円ほどだが、特別コースを受ける前提要件のインストラクターの指名による個人授業といい、2名限定の特別コースといい、 人の虚栄心や競争心を突いた実に上手い商売だと俺は感心した。
124 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:07:10 ID:???0 誓約書にサインをすると、泊り込みで12回の特別コースのレッスンが始まった。 レッスンを担当した山佳 京香は写真で見たよりも更に若々しく、妙にそそられる美女だった。 俺とペアで受講した女は、中級クラスでアシスタントをしていたインストラクター候補の特別会員の女だった。 気力や霊力もかなり高そうな様子だった。 どうやら、特別コース受講の可否は、受講生の「金回り」だけが基準ではないようだ。 コースの内容は新しい呼吸法と瞑想が中心だった。 呼吸法のあと、瞑想に入る前に俺達は妙な飲み物を飲まされた。 甘い花の香りとミントの清涼感のあるこの飲み物を飲むと汗が一気に引き、頭がスカッとした。 コースの回数が進むに連れて、丹田や会陰、尾底に「気」の熱が溜まって行くのが判った。 この「熱」を表現するとすれば、正に「性欲」の塊と言ったものだった。 5回目のレッスンに入る頃には、呼吸法に入って暫くの段階で俺は激しく勃起していた。 一緒にレッスンしていた女はレオタードの股間に汗とは明らかに違う液体で大きな染みを作っていた。 さほど広くはない部屋の中に女の発する雌の臭いが充満した。 タマラナイ・・・ 間違いなく、これは呼吸法と瞑想によって掘り起こされた情欲だった。
125 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:07:54 ID:???0 困った事に、この掘り起こされた情欲は一発「抜いて」も収まる事はなかった。 別室で寝ているペアの女もタマラナイ状態になっていた事だろう。 俺は尾底や会陰部に溜まった気を少しづつ抜き出して全身に循環させ、丹田に落として圧縮する作業を繰り返した。 丹田に気を集める事で俺は冷静さを取り戻していた。 それでも、高まった気によって全身は火照りっぱなしだった。 翌日のレッスンでは、レッスンが始まる前から女の顔は上気して足元も定まらない様子だった。 呼吸法が終わった時点で京香の指示で俺達は全裸となってそのまま瞑想を行った。 次の日からは最初から全裸でレッスンは行われた。 レッスン終了後、気を抜き出して丹田に集める作業を行っていた俺は紙一重で理性を保っていたが、女の方は理性の限界だったのだろう。 瞑想が終わった段階で遂に女が俺にしな垂れかかってきた。 俺もそのまま女を押し倒して激しく交わった。 女は正に狂った獣のようだった。俺も獣になっていたが、頭の一点だけは冷静だった。 激しく交わる女と俺の狂態を山佳 京香は、さも当然と言うように冷めた目で見つめていた。 女は何度も達し、俺も幾度となく放ったが、気の昂りは一向に衰えなかった。
126 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:08:34 ID:???0 最終日、女は最早、呼吸法も瞑想もままならない状態だったようだ。 瞑想の途中で覆い被さってきた女に俺は応じた。 女と交わっていると、突然、今までに感じたこともないような快感に襲われた。 快楽から引き離してあった俺の理性が、女に房中術の「導引」を仕掛けられたことに気づいた。 俺は快楽に逆らって女の体から自分の身体を引き剥がした。 そして、再び女に乗り掛かると、体力が限界に達するまで「導引」を仕掛け続けた。 やがて体力の限界に達し、女の中に大量に放出した俺は女から離れると床の上に大の字に横たわった。 失神していたのか、女は死んだように動かなかった。 体力が回復すると俺の体は驚くほど軽く、力が漲っていた。 あれ程俺を苛んでいた情欲の炎も冷めていたが、気力や霊力は充実し切っていた。 横たわる女を置いたまま、俺は当てがわれていた自室へと戻った。
127 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:09:20 ID:???0 俺は全裸でベッドに横たわったまま気を整えていた。 暫くするとドアをノックする音がして、部屋に女が入ってきた。 山佳 京香だった。 京香は着ていたガウンを脱ぐと無言で俺の身体に唇と舌を這わせ始めた。 京香の口技は風俗嬢顔負けのテクニックだった。 やがて、俺の上に跨り身体を沈めてきた。 ゆっくりと腰をくねらせながら深く身体を沈め、強く締め付けながら吸引力を強め、亀頭の位置まで引き抜く腰使いは堪らなかった。 「導引」を掛けながらの京香の腰使いに、素の状態の俺ならば耐え切ることは出来なかっただろう。 だが、俺の気力は先ほどの女から奪った精気によって充実していた。 更に「気」を整えて、精神的に極めて冷静な状態にあった。 情欲や快感に溺れて頭がピンクに染まった状態でなければ「房中術」は成功しない。 京香が「息」をつき、「導引」が途絶えた瞬間に俺は攻勢に転じた。 俺は京香を攻め立て頃合を見て「導引」を仕掛けた。 京香は抵抗したが、不発に終わった「導引」の疲労や、元々の体力差からやがて俺の軍門に下った。 どんなに修行を重ね、若々しい容姿や肉体を保っていたとしても、所詮は還暦目前の初老の女に過ぎないのだ。
128 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:10:10 ID:???0 俺は体力の限界を超えて導引を仕掛け続けた。 性エネルギーを根こそぎ引き抜かれた京香の快感は凄まじいものだっただろう。 俺は「導引」を止め、京香の中に大量に放った。 ピクリとも動かない京香を見下ろしながら俺は思わず独り言を呟いた。 「若作りしていても、ババアはババアだな・・・」 大量の精気を抜かれた為だろう、京香の肌からは先ほどまでは溢れていた瑞々しさが失われていた。 やがて、俺の体の下で京香が目を覚ました。 俺は京香の中で硬さを取り戻したモノを再び動かそうとした。 京香は「もう止めて!」と叫んだ。 俺が京香の中から引き抜くと、彼女は俺に言った。 「アンタ、何者なの?」
129 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:10:47 ID:???0 俺は答えた。 「アンタが壊した松原 正志の縁者と崔 京子に雇われた拝み屋・・・見習いだ」 更に続けた。 「アンタ達はお互いに房中術を掛け合って、時には気力や霊力の強い人間から精気を奪い取って瞑想を行っていたんだろ? 他人の精気を奪って、怪しい薬物を使って得た神秘体験とやらはそんなに素晴しいものなのかい?」 京香は答えた。 「ええ、何者にも代え難いほどにね。頭の固いグルは持戒だ功徳だ、薬物に頼らなくても神秘体験は得られるだのって言うけどね・・・ 辛気臭い生活を一生続けても、シャンバラを覗ける機会は一生に一度有るか無いかじゃない? 房中術に秘薬・・・確かに反則かもしれないけれど、到達点が同じなら合理的にやったほうが良いとは思わない? それに、房中術で精気を貰った人も、普通では感じられない物凄い快楽を得た訳じゃない? まあ、快楽に溺れて破滅しちゃう人が殆どだけどね。 快楽に溺れるのは本人の勝手。松原君もいいモノを持っていたんだけどね・・・アンタと違って修行が足りなかったようね」
130 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:11:33 ID:???0 京香は更に続けた。「それに、そう言うアンタも余り偉そうなことは言えないんじゃない?大分ご乱交を重ねてきたみたいだけど。 アンタのそんな所が気に入って『特別コース』にお誘いしたんだけどねw」 「他心通・・・いや、宿命通かい?」 「あとは天眼通もね。天耳通は・・・あんた、いっつもインストラクターや女の子達の胸やお尻を見て助平な事ばかり考えていたから、聞くに堪えなかったわw」 俺は頭を掻きながら京香に言った。 「なあ、アンタにぶっ壊された松原 正志にアンタの娘、アンタらが食い散らかした元会員や援交のガキ共は皆、質の悪い憑物に纏わり付かれているんだ。 だから、俺たちみたいな拝み屋が出張って来る事になったんだが、何故だと思う?」 京香は「そんな事、知らないわよ」とぶっきらぼうに答えた。 俺は「それじゃあさ、お得意のクスリをキめてぶっ飛ぶインチキ瞑想で、いつものようにシャンバラとやらを覗いてきてくれよ。 精力が落ちて難儀しそうだが、アンタはそこに繋がっているんだろ? ヤバそうだったら、ええっと胸から気を入れればいいんだっけ?しっかりフォローしてやるからさ。 首尾よくシャンバラに行けたら、俺の負けだ。 さっきの続きを楽しもうぜ。好きなだけ気を抜かせてやるから。 俺も嫌いじゃないしね」 京香は全裸のまま呼吸法を始め、気が満ちて来るとピンク色の怪しい錠剤を飲み下した。 やがて彼女の呼吸は浅くなり、体温や心拍は下がって行った。
131 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:12:27 ID:???0 俺がキムさんの下でケタミン注射を受けて「神秘体験」の予行練習をしたのは「特別コース」の3日ほど前のことだった。 「特別コース」を薬物を用いて幻覚を見せる、カルト宗教にありがちなインチキ「儀式」と踏んでいたからだ。 薬物らしいものも用いられたが、「特別コース」は目的は兎も角、比較的まともな「行」を行う本格的なものだった。 高まった気を全身に循環させて浄化して、丹田なり、ヨガ行者が重視する尾底に導いて溜め込めば文句の付け所はなかったのだろう。 ケタミンを静脈注射された俺は臨死体験とも形容される独特な幻覚に襲われた。 暗く深いトンネルに大轟音と共に吸い込まれた俺は、途切れそうな意識を何とか繋ぎ止めながら、幻覚を見続けた。 トンネルの向こうから突き刺す強烈な光、緑色の雲のカーテン、真っ赤な光の迷路。 この世の全てを理解したかのような形容し難い全能感。 言葉では表現不可能な異様な幻覚に襲われ続けていた。 トンネルに吸い込まれて数分後か数千年後かは判らなかったが、俺は元居た部屋に戻ってきていた。 身体には「実在感」があり、部屋の空気も感じられた。 誰か人の気配を感じて後ろを振り向くと、ソファーに深く身体を沈めた俺が居た。 俺は自分の身体に触れてみようとしたが、どうしても触る事が出来なかった。 更に俺は、テーブルの上の蝋燭の炎に手をかざしてみた。 手に熱さを感じることは出来なかった。
132 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:13:23 ID:???0 熱くないと思った瞬間、あれほどリアルだった自分の体や部屋の存在感は揺らいだ。 おれは、蝋燭から意識をそらし、部屋の出口を探した。 俺はビルの階段を下り、建物の外に出た。 普段と変わらない通りの雑踏。 現実感はあるものの、通行人は俺を避けず、俺も避けようしなかったが、俺が通行人にぶつかる事はなかった。 女霊能者の話では、瞑想修行中の霊能者は、この状態になると自分の知っている道をひたすら歩いて進むのだという。 道を進むと、やがて、これ以上先は知らないというポイントに至るそうだ。 これより先の、知らない道を進むには強い霊力や気力が必要だという事だ。 道が何処に続いているかは、術者の精神レベルや状態、煩悩や功徳、背負っている業などによってまちまちなのだという。 術者は六神通を駆使して「異世界」に分け入って行くそうだ。 この状態を指すのか、この道を辿る瞑想技法を指すのかは判らないが、チベットやインドでは、この「道」にまつわる瞑想を「リンガ・シャリラ」と呼ぶそうだ。 俺は「リンガ・シャリラ」によって道を辿る前に、聞いたことのない誰かの声に呼び戻され、シュワーという泡のような音と共に、元居た部屋の現実世界に引き戻された。 ケタミンによる臨死体験。魅惑的な幻覚世界だったが俺には非常に危ういものに思われた。 女霊能者の話では、見知らぬ道を突き進み、到達した世界が何処なのかを判断するには「漏尽通」の神通力が必要なのだという。 だが、漏尽通は非常に脆い神通力で、功徳を積み全ての煩悩を「止滅」させなければ発揮できないが、発揮できても自己の僅かな煩悩や願望、先入観によって容易に歪められてしまうそうだ。 六神通の他の神通力によっても歪められ、甚だしくは、他の五神通が得てもいない漏尽通を得たものと誤解させる。 それまでの修行で得た成果、現や果、「悉地」への執着を捨て、全ての神通力を放棄した先でしか漏尽通は得られないらしい。 神秘体験や神通力にのみ執着し、功徳を捨て、手段を選ばない京香たち「外道者」では、到底及びそうにない境地なのだ。
133 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:14:24 ID:???0 京香の気の雰囲気が変わり、俺はもしもの場合に備えて「気」を高めた。 深い瞑想状態にあるはずの京香の顔は、苦悶とも恐怖ともつかない表情で醜く歪んでいた。 やがて京香はガクガクと激しく震え始めた。 俺は、以前マサさんやキムさんに施された方法を真似て、京香の胸から気を一気に注入した。 電気ショックに打たれたかのように、京香はバチッと目を開いた。 どうやら「シャンバラ」には行けなかったらしい。 憔悴し切った表情は、京香を実年齢よりも10歳は老けて見せた。 松原や崔 京子に纏わり憑いていたものより、何十倍も濃密な「嫌な空気」が京香を取り巻いていた。 無理も無い。松原達に纏わり憑いていた「憑物」も、「嫌な空気」も、元はと言えば、京香が覗き込み、足を踏み込んで「繋がった」世界から溢れ出たモノなのだ。 俺には見えず聞こえず、何も知る事は出来ないが、京香は「修行」によって得た「神通力」によって、現世に戻っても尚、恐ろしいモノから逃れられずに居た。 多くの人から奪った生命エネルギーが枯渇して、強い光に隠されていただけの魑魅魍魎が見えるようになっただけなのだろう。 こんな短時間の間に、恐怖で人はここまで衰えるのかと驚きを隠せないほどに、妖艶で美しかった京香は老いさらばえていた。 俺はキムさんを呼び京香を女霊能者の元へと連れて行った。 女霊能者は京香の「気道」を断ち切り、京香の体内を通じて現世に繋がった、異世界への「通路」を断ち切った。 「業(カルマ)」が浄化されておらず、功徳の蓄積も全く無かった京香は薬物に「酔って」正常な判断力を持っていなかった。 恐らく、最下層の地獄に繋がった京香たちは、地獄の住民に騙されて、地獄を天界・シャンバラと思い込まされてしまったのだ。 自分のいる世界を正確に判断する為に必要な「漏尽通」を持ち得なかった京香たちには無理も無い事だったのだが。
134 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:15:21 ID:???0 女霊能者が松原や京子を祓わなかったのは、「憑物」の源泉である京香がいる限り祓っても無駄であるし、京香の「気道」を絶てば全ては片付くからだった。 「気道」を絶たれた事により、京香の40年以上に及ぶ「修行」の成果は永久に喪われた。 今生の「悪業(カルマ)」を浄化しない限り、気道は永久に繋がることはない。 それは即ち、来世の「無間地獄」への転生を意味すると言う事だ。 俺は肌を重ね合った縁と言う事で、以前、女友達のアリサの郷里を訪ねた際にお世話になった住職を京香たちに紹介した。 中途半端な「行」を齧った末に「魔境」に堕ちた若者を数多く救ったと言うあの住職ならば、今、正に「魔境」の底に沈み行く京香たちを救えるかもしれない・・・
135 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:16:24 ID:???0 飯を食いながら俺からそれまでの経緯を聞いていたマサさんが俺に言った。 「薬物と言うのは思った以上に危ない代物なんだ。 薬物によって人が見る幻覚は、酔っ払った脳味噌が見せる只のマボロシではないんだな。 ラリって幻覚を見ている間、人は『異次元の風』を確実に受けているんだよ。 その人の功徳や気力、霊力によって、薬物の見せる幻覚は楽しくも恐ろしくもなる。 ただ、確実に言えることは、薬物は身体を傷付け、霊的な、生命エネルギーの循環路である『気道』を傷付け、気の流れを滞らせる。 悪業が『業(カルマ)』となって気道を詰まらせ、気や生命エネルギー、魂の浄化を滞らせるのと仕組みは殆ど同じだ。 気の流れが滞って浄化されない人の見る幻覚は、確実に苦しくて恐ろしいものになって行くだろうね。 クスリに酔い、幻覚と共に『地獄』と繋がる度に、地獄との『縁』を深めて行く。 現世で深めた地獄との『縁』によって、次の来世に地獄に転生する確率は高くなるだろうね」
136 :シャンバラ ◆cmuuOjbHnQ :2008/10/18(土) 06:18:15 ID:???0 ところで、と、マサさんは言葉を続けた。 「お前、女難の相が出ているなw」 「?」 「アリサちゃんだっけ?彼女の霊感や霊力は相当なものだ。天眼通や天耳通、他心通くらいは持ってるかもしれないぞw」 「・・・マサさん、アリサに何か言いました?」 「『俺は』何も言ってないよ。彼女はお前を探していたみたいだけどねw 俺のは、敢えて言うなら宿命通ってヤツかなw まあ、がんばれやw」 俺は花とアリサの好物のケーキを買って、アリサの部屋へ向った・・・。 おわり
137 :名無しさん :2008/10/18(土) 21:52:14 ID:2tOkCj2M0 乙です。これからも楽しみにしています。>マサさん
138 :名無しさん :2008/10/18(土) 22:05:42 ID:???O マサさんのファンです。 今回も面白かったw また待ってます。
141 :名無しさん :2008/11/03(月) 08:48:03 ID:qWQUNNcA0 おもしろす
142 :名無しさん :2008/11/09(日) 16:25:31 ID:JXJ6P5yU0 ha
144 :名無しさん :2008/11/13(木) 12:24:00 ID:LqvlwjgYC 楽しかった!
146 :名無しさん :2008/11/17(月) 23:27:22 ID:???0 読み応えあって良いね
147 :名無し :2008/11/26(水) 11:35:04 ID:zFR090SkO 一気に読みました。すっげ面白かったす。また投下して下さい。<祟られ屋
148 :テスト ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:41:11 ID:???0 書き込めるかテスト
149 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:42:22 ID:???0 どれくらい眠っていたのか、その時の俺には判らなかった。 だが、「ねえ、そろそろ起きない?私、もう行かなきゃいけないんだけど」と言う声で俺は眠りから覚まされた。 声の主は多分、アリサだったと思う。 頬に手を触れられる感覚で、朦朧としながらも俺は目を開いた。 眩しい白い光が俺の網膜を突き刺す。 徐々に明るさに慣れてきた俺の目は見知らぬ天井を見上げていた。 目が回り、吐き気が襲ってくる。 体が異常に重く、全身の筋肉が軋んで痛む。 状況が飲み込めずに呆然としていると、ベッドの横のカーテンが開き、見覚えのある女が俺の顔を覗き込んだ。 2・3年ぶりに見た顔だったが、姉に間違いなかった。 霧のかかった俺のアタマでは姉が何を言っていたのか判らなかったが、慌しい人の気配を感じ、俺は再び眠りに落ちて行った。
150 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:43:03 ID:???0 ヨガスクールの事件が終わり、マサさんと飯を食った後、俺はその足でアリサのマンションを訪れた。 インタホンを鳴らし、エントランスを通ってアリサの部屋まで上がると、アリサは俺を歓待した。 手土産の花とケーキの箱で両手が塞がった俺にアリサは抱き付いた。 「お仕事は終わったの?」 「ああ」 「う〜、女の人の臭いがする・・・」 「えっ?!」 「・・・嘘よw」 リビングのソファーに腰を下ろす俺に紅茶とケーキを出すと、アリサは寝室へと引っ込んだ。 寝室から戻ったアリサはラッピングされた箱を俺に渡すと「ハッピーバースデー」と言った。 すっかり忘れていたのだが、俺が山佳京香ヨガスクールに潜入している4ヶ月弱の間に、俺の誕生日は過ぎていた。 箱の中身は、俺がその時使っていたものと同じカスタムペイントの施されたバイク用のヘルメットだった。 このペイント・・・マサさんが、俺の行き付けのショップを紹介したのだろうな・・・ 俺はアリサに「ありがとう。大事に使わせてもらうよ」と礼を述べた。
151 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:43:50 ID:???0 俺の言葉に「うん」と答えたアリサの表情は浮かなかった。 こういう時は殆どの場合、彼女は厄介事を俺に隠していた。 そして、彼女の厄介事とは、まず間違えなくストーカー関係のトラブルだった。 俺が彼女と知り合う切っ掛けとなったのも、彼女の知人経由で悪質なストーカーからのガードを依頼されたことからだった。 アリサには強い霊感と共に、人を惹きつける不思議な吸引力があった。 それがある種の男達を繰り返し惹き付けた。 アリサに惹き付けられた男達は、一様に彼女に対し強い嗜虐心を煽り立てられるようだ。 だが、アリサがストーカー被害を相談できる相手は、ごく少数の者に限られていた。 警察に相談すれば?と言う疑問もあるとは思うが、ニューハーフだった彼女はストーカー被害を警察に相談して余程屈辱的な扱いを受けたのだろう。 彼女は警察を全く信用しておらず、相談の相手は俺や、以前働いていた店のママなどに限られていた。 俺は、ママに言われたからではなく、アリサを守ることは俺の仕事・・・そう心得ていた。 だが、俺のストーカーに対する「制裁」が苛烈すぎたのだろう。 アリサはギリギリまで俺に隠して自己解決を図ろうとした。 自己解決・・・ストーカーが諦めるのを待って、ただ耐えるのが「解決」と言えればの話だが。 そもそも、ストーカー被害を第3者の力を借りずして解決するなど、まず不可能な事なのだ。 俺はアリサを問い詰めた。 アリサが俺に語った話は意外なものだった。
152 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:44:31 ID:???0 俺の不在中、案の定アリサはストーカーに付き纏われていた。 アリサはキムさんの「表」の仕事関連の事務を請け負っており、その関連で彼女のストーカー被害がキムさんの耳に入った。 自宅と事務所の往復は事務員の男性の申し出で、彼の通勤の車に便乗していたようだ。 だが、それだけでは心許なく、キムさんはかつて行動を共にしたことのある権さんをアリサのガードに付けた。 以前、「裏」の仕事に協力してくれたということで、キムさんの計らいによるノーギャラでの警護だった。 ストーカーの正体は意外な形で明らかになった。 犯人は北見という男だった。 北見は以前にもアリサに対してストーカー行為を働き、俺の手による「朝鮮式」のヤキで一度目は「電球」を、二度目は尿道でポッキーを喰わされた男だった。 北見のアリサに対する異常な執念は恐ろしいものだったが、そんな北見がアリサのマンション近くの路上で刺されたのだ。 北見の怪我自体は重傷ではあるが、命に関わるものではなかった。 警察は治療が終わり北見の意識が回復すれば、本人から犯人に付いての供述を得られると考えていたようだ。 しかし、麻酔から覚め、意識を取り戻した彼は心神喪失の状態にあり、何かに激しく怯えるばかりで供述を得られる状態では無かったようだ。 捜査は難航し、犯人は捕まらなかった。 だが、北見が再起不能になって、アリサへの嫌がらせはピタリと止んだ。
153 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:45:22 ID:???0 北見を刺した犯人は捕まらなかったが、アリサへのストーカー被害が止んだ以上、そこから出来る事は殆ど無かった。 しかし、依然アリサは自分に向けられる「監視の視線」と尋常ではない「悪意」を感じていた。 アリサの様子に権さんも何か感じる所が有ったのだろう、キムさんに「普通」の事案ではないかもしれないと報告した。 キムさんから話を聞いたマサさんは、俺が不在の間、アリサの相談を聞いていたようだ。 北見を刺した犯人は依然逮捕されておらず、アリサは不安に怯えていた。 キムさんの「有給休暇扱いにしてやるから彼女に付いていてやれ」との言葉で、俺はアリサの警護に付く事になった。 俺は、アリサの自宅と事務所の往復に付き添うと共に、事務所に詰めることにした。 アリサの事務所には先代所長の頃からの事務員の女性と、国家試験受験生だと言う根本と言うアルバイト事務員の男がいた。 この根本が、北見によるストーカー被害が始まって以来、アリサの送迎をしていた男だった。 俺は根本と机を並べて事務所の雑用をこなしつつ、自宅にいる時間以外はアリサと行動を共にしていた。 根本はアリサに対して恋慕の感情を抱いていたようだ。 決して悪い男ではなかったが、アリサの送り迎えは彼にとって貴重な時間だったのだろう。 「受験勉強の邪魔になっては悪いから」というアリサの言葉によってだったが、彼の貴重な時間を奪った俺の存在は面白くなかったようだ。
154 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:45:58 ID:???0 俺がアリサのガードに付いて2・3週間、特に変わったことは無かった。 アリサは怯えていたが、俺にはアリサの言う「悪意」とやらは感じることが出来なかった。 キムさんやマサの元でそれなりに場数を積んだ俺には、危険に対する嗅覚が備わっていた。 力のない俺が何とか無事にやってこれたのは、危険な空気や自分の手に余る危険を嗅ぎ分ける「嗅覚」のお陰だった。 だが、ある月曜日の朝、状況は一変した。 事務所に到着した俺は、一見いつもと変わらない事務所の空気の中に「殺気」を感じていた。 「殺気」はアリサではなく、俺に向けられたものだった。 普段と変わらぬ態度で必死に隠してはいたが、殺気の主は根本に間違えなかった。 俺がアリサの送り迎えをするようになってからも、根本がアリサのマンション近辺に遠回りして通勤している事に俺は気付いていた。 それでも俺の中で根本はストーカーとしてはノーマークだったが、この敵意は彼のストーカー行為を如実に表していた。 堅い商売であるアリサの体面も考慮して、俺は以前のような泊まり込みの警護はしていなかった。 北見のこともあって、アリサを監視するストーカーは、ターゲット本人ではなく、近付く異性に敵意を向けるタイプと俺は踏んでいた。 厄介なタイプだが、俺はアリサから離れたタイミングを狙ってストーカーが俺に向けてアクションを起す事を期待していた。 だが、俺は大きな読み違え、計算間違いをしていたらしい。
155 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:46:38 ID:???0 その前の週末、いつも通りにアリサを部屋に送った俺は、そのまま帰ろうとしていた。 そんな俺にアリサが『たまには寄って行きなさいよ』と声を掛けた。 結局俺は部屋に上がり込み、久しぶりのアリサの手料理に舌鼓を打った。 久々に口にしたアルコールも手伝ってか、そのまま俺達はベッドに雪崩れ込んだ。 寝物語の中でアリサは盛んに『いっそこの部屋に住んじゃいなさい』とか『危ない仕事は辞めて、このまま事務所に勤めてよ』といった言葉を繰り返した。 結局、俺は日曜の夕方までアリサの部屋で過ごしたのだが、そんな俺の行動やアリサとの会話を「聞かれていた」のなら根本の俺への敵意にも納得が行く。 後日、俺はキムさんのボディガードの文の伝で簡易検出器を借りて、勤務時間中に事務所を抜け出してアリサの部屋を調べ上げた。 案の定、アリサの部屋から3個の盗聴器が発見された。 俺は根本を挑発する為に、盗聴器をそのままにして、アリサの部屋に泊まり込んでの警護に方針を変えた。 目論見通り、根本の俺に対する敵意や殺意は日毎に強まっていった。
156 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:47:24 ID:???0 そんなある週末の事だった。 深夜、俺は異様な気配に目が覚めた。誰かに見られているような気配、強烈な「悪意」。 根本が来ていると悟った俺は、アリサを起さないようにベッドから抜け出て服を着るとマンションの外に出た。 人通りはなかったが「気配」を感じる。 盗聴電波の受信範囲から考えて、そう遠くない場所にいるはずだ。 俺は根本を探して付近を歩き回った。 少し先の公園前の路上に見覚えのある青のプジョーが止まっていた。根本の車だ。 エンジンキーは挿しっ放しで、助手席には受信機だろう、大き目のトランシーバーのような形状の機器が無造作に置かれていた。 そう遠くには行ってないはずだ。 俺は携帯でアリサに電話をすると、俺が戻るまで誰が来てもドアを開けないこと、コンポに入っているCDを掛けてくれと頼んだ。 助手席の受信機から伸びるイヤホンを耳に刺し、電源をいれ周波数調節のツマミを回した。 直ぐに受信機が音を拾った。アリサが好んで聞いていたクラナド、いや、モイヤ・ブレナンの曲が聞こえる。 盗聴器を仕掛けた犯人は根本に間違いないようだ。
157 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:48:37 ID:???0 俺は暗い公園の中に入って行った。 テニスコートの先の遊戯場のベンチのそばに人が倒れている。根本だった。 切創などは無かったがダメージは深そうだった。 見た所、「柔らかい鈍器」、ブラックジャックやサップグローブを嵌めた拳で執拗に打ちのめされた感じだった。 俺は救急車を呼び、アリサに連絡を入れた。 根本が病院に搬送されて2時間程して根本の両親とアリサが姿を現した。 アリサのストーカー被害の話は根本の両親も知っていたようだ。 根本の両親はアリサや俺に食って掛かった。 俺は根本の車の中にあった受信機を示して、アリサの部屋に盗聴器が仕掛けられていたこと、状況から犯人が根本である事を説明した。 根本の両親は衝撃を受けた様子だったが、それ以上にアリサのショックは大きかったようだ。 アリサは病院の待合室の床に力なくヘタリ込んだ。 北見の事件のこともあり、根本の回復が待たれたが、意識を回復した根本もまた、何かに怯えるばかりでまともに言葉を交わすことは不可能だった。
158 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:49:34 ID:???0 北見と根本、アリサに付き纏った二人のストーカーは何者かの手によって完全にぶっ壊された。 その意図や目的は判らないが、相手が只者でない事は確かだろう。 アリサの落込みや怯えは只事ではなかった。 アリサは「何で私ばっかり・・・もう嫌・・・」と嘆いた。 俺の発した「全くだ。次から次へと、何度も何度も。俺もいい加減うんざりだ」という言葉にアリサは更に俯いた。 「大体、何度も頭のおかしい連中に付き纏われてるくせに、懲りずに一人暮らしをしているのが良くない。 問題があるのはお前の方かもしれないな。お前、一人暮らしはもう止めた方がいいよ」 「・・・」 「また変なヤツに付き纏われても面倒だから、俺がお前を監視する。俺の部屋には大して荷物もないし、明日にでも早速な」 アリサは「えっ?」と、一瞬呆けたような顔で俺を見て、それから首を縦に振った。 こうして、俺とアリサの同棲生活が始まった。 新生活は暫くの間、平穏に続いた。 ある休日、俺達は近くのショッピングセンターに買出しに出かけた。 女の買い物ってヤツは無駄に長い。 連れ回されて少々うんざりした俺は「ここで待ってるから」と言って、ベンチに座って書店で買った雑誌を読んでいた。 そんな俺に声を掛けてきた女がいた。
159 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:50:06 ID:???0 一瞬、『誰だ、この女』と思ったが、直ぐに思い出した。 高校生の頃に付き合っていた「ノリコ」だった。 久しぶり、どうしてた?といった取り留めのない話で俺とノリコは盛り上がった。 ノリコと暫く話をしていると、アリサがカートを押しながらこちらに向ってきた。 アリサは俺たちの前に来るとノリコを一瞥して、俺に「どなた?」と聞いた。 いつも人当たりが柔らかく、おっとりした雰囲気のアリサには珍しく、その視線や声には険があった。 女の勘ってヤツは怖いな、と思いながら俺はアリサに「彼女はノリコ。高校の同級生。偶然にあって声掛けられちゃってさ」 ノリコには「彼女はアリサ。俺たち、今一緒に暮らしてるんだ」と紹介した。 俺はノリコに「俺達、これから飯を食いに行くんだけど、一緒にどうよ」と儀礼的に誘ってみた。 ノリコは「今日は遠慮しておくわ。また今度ね」と言って、俺達の前から去って行った。 帰りの車の中でアリサは無言だった。 俺が「どうしたの」と聞くと、アリサは「なんでもない」と答えたが、その声は硬かった。 ノリコの事を気にして機嫌が悪いのかなと思って、俺はアリサの手を握った。 握り返してきたアリサの手はビックリするくらいに冷たい汗でべったりと濡れていた。
160 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:50:43 ID:???0 その晩から、アリサは毎晩悪夢にうなされるようになった。 大量の寝汗をかきながら、苦しそうに呻くアリサを揺り起した事もあった。 どんな悪夢を見ているのか、アリサは語ろうとしなかった。 だが、ぎゅっと抱きしめて「ずっとそばにいるから、安心して寝な」と言うと安心するのか、やがて寝息を立てた。 アリサが毎晩悪夢にうなされている以外は、ストーカーの影も無く、生活は平穏そのものだった。 俺はキムさんの仕事に復帰した。 そんなある日、俺の携帯に見知らぬ番号から着信が入った。 電話に出ると、女の声がした。ノリコだった。 再会を祝して飲みに行かないか?という誘いだったが、アリサの調子が良くないからと言って俺はノリコの誘いを断った。 電話を切って、アリサの待つマンションへ向けて車を走らせていて、俺はふと思った。 『あれ?俺、ノリコに携帯の番号教えたっけ?名刺も番号交換もなかったよな・・・?』
161 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:53:34 ID:???0 帰宅して玄関のドアを開けると、部屋の中は真っ暗だった。 いつも夕食を用意して待っているアリサの姿がリビングにもダイニングにも見えない。 俺は寝室に向った。 寝室のドアを開けると、ベッドの上で毛布を被ったアリサが膝を抱えて震えていた。 只ならぬ様子に俺はアリサに駆け寄って聞いた。「どうした?何があった?」 アリサは俺に抱きついて、震えながら「判らない。でも、誰かに見られてる、強い悪意を感じるの。怖い」と言った。 俺は部屋中の明かりを点け、ダイニングの席にアリサを座らせて夕食を作り始めた。 作りながら俺は考えた。 絶対におかしい。 アリサの怯え方は普通じゃない。 だけど、アリサがあれ程までに怯える「視線」や「悪意」なら、俺にも何か感じられるはずだ。 アリサの恐怖は本物だ。だとすれば、俺の勘や感覚がどこかで狂ってる。 不味いな・・・
162 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:54:25 ID:???0 俺は自分の「嗅覚」に確信が持てなくなった。 アリサを、いや、自分自身の身さえ守れる確信のなくなった俺は極度にイラ付いていた。 そんな俺にノリコから誘いの電話が頻繁に入るようになった。 怯えるアリサを放置する事は出来ないし、俺自身が北見や根本を襲った襲撃者の影に怯えてピリピリしていて、そんな気分ではなかった。 そんな俺の神経を逆撫でするように、ノリコの電話の頻度は上がり、誘い言葉も際どくなって行った。 我慢できなくなった俺は「いい加減にしろ!」と一喝して、ノリコの番号を着信拒否にした。 ノリコの電話を着信拒否にして、俺のイラ付きの原因は1つ取り除かれた。 しかし、アリサのうなされ方は夜毎に酷くなっていった。 その晩もアリサは酷くうなされていた。 神経過敏になっていた俺は眠れずにいた。 だが、悪夢にうなされていたアリサが突然目を開け、上体を起き上がらせた。 アリサが起き上がったのとほぼ同時だった。 バイブレーターにしてホルダーに刺してあった俺の携帯が鳴った。 俺の背中にゾクッと悪寒が走った。 この悪寒は危険を知らせる俺の「嗅覚」そのものだった。
163 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:56:12 ID:???0 俺は携帯の方を見た。 有り得ない事に、着信拒否にしたはずのノリコからだった。 あれほどしつこかったノリコの電話もアリサと一緒の時には掛かって来た事は無かった。 まずい、この電話に出てはいけない・・・そう思った瞬間、アリサがホルダーから俺の携帯を取り上げ、電話に出た。 電話に出たアリサは真夜中にも関わらず大声で叫んだ「アンタなんかに彼は渡さない、この人は私が守る!」 そう言うと携帯を投げ捨てて、俺に抱きついて子供のように声を上げて泣いた。 俺はアリサを宥めると、表示されたノリコの携帯の番号に電話をかけた。 しかし、帰ってきたのは「この電話番号は使われておりません・・・」というアナウンスだけだった。 俺の背中に冷たいものが走った・・・ 俺はアリサを伴ってマサさんの許を訪れた。 だが、マサさんやキムさんにも、俺やアリサに向けられた呪詛や念、祟りといったものは感じられないと言う事だった。 キムさんが「私の方で調べてみる。何かあったら直ぐに知らせろ。いつでも人を行かせられるように手配しておく」と言って、俺達は別れた。 北見や根本は「物理的」に暴行を受け傷を負っている。しかし、その後の魂を抜かれたような精神状態は霊的・呪術的なものを感じさせた。 俺にはもう、訳が判らなくなっていた・・・
164 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:57:18 ID:???0 アリサは悪夢の中で何を見たのか、電話でノリコに何を言われたのかを俺に話そうとはしなかった。 問い詰めた所でアリサは話さないだろうし、話さないのには彼女なりの理由があったのだろう。 聞いた所で、こちらからノリコに接触する術がない以上、俺にはどうしようもなかった。 ただ、キムさんの知り合いの「女霊能者」が作ってくれたと言う護符のお陰か、アリサの悪夢はどうやら収まった様子だった。 俺は、俺とアリサのために動いてくれている、キムさんの結果を待つしか成す術が無かった。 キムさんの連絡を待ち続けて何日経っただろうか。 恐ろしいほど静かな晩だった。 暗闇の中で俺は何者かの視線を感じて目を覚ました。誰かが俺を呼んでいる? 激しい敵意、殺気が俺を押しつぶさんばかりに部屋に満ちていた。 濃密で強烈な「害意」だったが、アリサは全く反応していなかった。 俺はベッドから抜け出し服を着替えた。 ジャケットの下には、権さんに渡されたイスラエル製の防弾・防刃チョッキを着込んだ。 スーツの下に着ても目立たないほど薄手だが、38口径の拳銃弾も貫通させないと言う優れものだ。 手には愛用のサップグローブを嵌め、鉄板入りの「安全靴」を履いた。 俺は部屋を出た。 ドアが閉まり、施錠の音が止むとマンションの廊下は空気が凍りついたかのように静かだった。
165 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 07:58:38 ID:???0 エレベーターで1階まで下り、エントランスを出た。 冷たい空気が肌を突き刺す。 俺は辺りを見回し、駐車場へと足を運んだ。 誰もいない、そう思った瞬間、背後から人の気配と足音が聞こえた。 振り返った瞬間、どんっと激しい衝撃を受けた。 男がナイフを腰だめして体当たりしてきたらしい。 ナイフの先端がチョッキを僅かに突き破り、腹の皮膚を裂いたようだ。 鈍い痛みと流れ出る血の感触を俺は感じた。 防弾・防刃チョッキを着込んでなければ一撃で終わっていただろう。 刺された瞬間に放った右フックが男の顎を捕らえたようだ。 サップグローブの重い打撃に男も吹っ飛んだ。 だが、男の手にはまだナイフが握られていた。 脳震盪でも起していたのだろう、フラフラと立ち上がろうとした男の右手首を俺は安全靴の爪先で狙い澄まして蹴り抜いた。 男の手からナイフが吹っ飛んだ。手首の骨は完全に折れていただろう。 俺は畳み掛けるように男の顎を蹴り上げ、男の腹に踵を踏み下ろした。 男は海老のように丸まって悶絶した。
166 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:06:12 ID:???0 俺は蹴り飛ばされたナイフを拾って男に近付いた。 ナイフはダガーナイフ。ガーバーのマークⅡという、名前だけは聞いたことのあるものだった。 右前腕の手首に近い部分が僅かに曲がっており、骨折は明らかだった。 右腕の骨折と腹部のダメージに俺は油断していた。 男の顔を見ようと近付いた瞬間、ヤツの左手が横に動いた。 俺は咄嗟に避けたが額に引っ掻かれたような『ガリッ』という衝撃を感じ、流れ出る血に俺の左目の視界は完全に塞がれた。 逆上した俺は今度は顔面を踵で無茶苦茶に蹴り付けた。 コンクリートに頭のぶつかる鈍い音が聞こえた。男はピクリとも動かない。 殺してしまったかもしれない・・・ 俺は血でヌルヌルとした手で携帯電話を取り出し、キムさんの事務所に電話を掛けた。 駆けつけた車で俺と男はキムさんの事務所へと運ばれた。 俺の腹の傷は深さ1cm程だったが、切られた左額の傷は骨まで達していた。 カランビットと呼ばれる特殊な形状のナイフだった為に、思いのほか深く食い込んだようだ。 男のダメージは激しかったが、命に別状はないようだった。 呼びつけられた医者が俺の傷を縫い終わると、殺気立った徐と文が男にバケツで水をぶっ掛けた。
167 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:06:55 ID:???0 水で血が流されると、鼻は潰れ、前歯の殆どが折れて痣だらけだったが、それでも男がかなり整った容姿をしているのがわかった。 「鬼相」とでも言うのか、怒りとも憎しみとも言えない険しい表情がなければ、人の目を引く「美形」と言えるだろう。 色白で特徴のある女顔・・・似ている。。。 「・・・いいナイフを持ってるじゃないか。辻斬りの真似事か? 俺の仲間は運良く助かったが、殺る気満々だったようだな。お前、コイツに何の恨みがある? お前のやり口には躊躇いってものが無い。何故この男を殺そうとした?」 文がそう言うと、横にいた徐が男の腹に蹴りを入れた。 男は背中を丸め呻いたが、その目には怯みや恐れは無かった。 むしろ、狂った眼光にその場にいた者は圧倒された。 「北見と根本を襲ったのもお前だな?・・・お前、星野 慶だな?」 俺が男にそう問うと、男は血の塊と言った感じの唾を吐き捨てた。肯定ということだろう。 文と徐は『?』な顔をしていた。 「こいつはアリサの、いや、星野 優の実の兄貴だ。実の『弟』に虐待を加えていた鬼畜の変態野郎だよ」 「何故今更姿を現した?逆恨みか何かか?」 すると、慶は気でも狂ったかのように馬鹿笑いを始めた。 「今更だと?俺はお前がアイツと知り合う前から、そう、女になる前からアイツの事を見ていたんだよ。何故だか判るか?」
168 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:07:42 ID:???0 「・・・まさか、守ってたとでも言うのか?」 無言で答える慶に徐が口を挟んだ。 「待て、待て、待て!それじゃ話の筋が通らねえだろ? 俺が言うのも何だが、あのネエちゃんを手前がぶっ殺されそうになっても体張って、ここまで守ろうってヤツはコイツしかいねえぞ? お前が、あの女をクソ共から守りたいと言うなら何でコイツをぶっ殺さなきゃならねえんだ?」 慶は苦笑しながら答えた。 「お前らには判らないだろうなぁ。それはな、この男のせいでアイツが死ぬからだよ」 「ふざけるな!」と食って掛かる徐を制して俺は慶に尋ねた。 「それは、ノリコの事か?」 「その女が誰かは知らないが、アイツを手に掛けるのはお前自身だよ。俺達兄弟には判るんだ。 『勘』と言うよりはもう少しハッキリした感覚だ。アンタにも有るんだろう? そうでなければ、俺はアンタを確実にブッ殺せていたはずだ。 アンタ自身、信じられないかも知れないが、アイツを殺すのはアンタだよ。 アイツは生まれた時からどうしようもないクズ共や、色んな不幸を呼び込んで来た。いや、生まれてきた事自体が不幸といえる疫病神だ。 酷い目や危険な目に嫌になるくらい遭って来て、そういうものに対する勘は俺やアンタより数段鋭いはずだ。 判ってるはずだよ。アンタが自分にとってどれだけ危険な存在か。アイツはこっちに向ってる。本人に聞いてみるがいい」
169 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:08:37 ID:???0 文と徐は顔を見合わせた。 事務所に詰めていた二人は俺に呼び出され、俺達を事務所に運んで医者を呼んだが、アリサに連絡はしていなかった。 しかし、5分ほどするとインターホンが鳴り、権さんがアリサを伴って現われた。 室内に入ってきたアリサは慶の姿を見て凍りついた。 かつてアリサは、兄である慶の手により、かなり酷い虐待を日常的に加えられており、兄の存在はトラウマとなっていた。 以前、俺に伴われて郷里に戻った折には、実家に近付いただけでパニック障害と言うのだろうか?過呼吸の発作を起していた。 それ程までに慶の存在は恐怖の対象であり、その実物が目の前に現われ、アリサはショックを受けていた様子だった。 今にもへたり込みそうな身体を権さんに支えられたアリサに俺は「大丈夫か?」と声を掛けた。 声に反応して俺の方を見たアリサは、血塗れの俺の姿を見て一瞬、貧血でも起したのか膝がガクッと折れた。 また過呼吸の発作でも起していたのか、小刻みで苦しそうな息をしながら、権さんの腕を払ってフラフラと俺の方に歩いて来た。 アリサは膝を着き、涙を流しながら俺の両頬に触れると「酷い・・・兄さんが、やったの?私のせい?」と言って、俯いたまま黙り込んだ。 重い空気の室内に聞こえるのはアリサの苦しそうな呼吸だけで、誰も口を開こうとはしなかった。 やがて、アリサの呼吸は落ち着いてきた。 アリサが俺の頬から手を離したので『大丈夫か?』と声を掛けようとした瞬間、彼女はボソッと何かを呟いてフラフラと立ち上がった。 立ち上がり、テーブルの上に並べられた慶の所持していたナイフの一本を取り上げると、般若の形相で「殺してやる!」と叫んで慶に襲い掛かった。
170 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:11:09 ID:???0 徐と文が慌ててアリサを取り押さえた。 ナイフを取り上げられてもアリサの興奮は収まらず、履いてたパンプスを慶に投げつけた。 傷のせいか、医者に注射された薬のせいかはわからないが、熱に浮かされたような状態になっていた俺は重い身体を引き摺るように、座っていたパイプ椅子から立ち上がった。 俺は、徐に後ろから捕まえられ、慶から引き離されたアリサの頬に平手打ちを入れた。 「俺は大丈夫だから、落ち着け!」、そう言うと、アリサは子供のようにわんわん声を上げて泣き始めた。 アリサが泣き止んだ所で、「10年振り?いや、もっとか?久々の再会だろ?言いたい事があったら言ってやりな。コイツもお前に言いたい事があるらしい」 熱が上がってきたらしく、緊張が抜けて立っていられなくなった俺は床に座り込み、壁に寄りかかった。 慶とアリサの会話は暫く続いたが、意識が朦朧としていた俺には話の内容は届いてこなかった。 暖房を入れ、権さんが毛布を掛けてくれていたが、それでもひたすら寒かった事だけを覚えている。 やがて、話が終わったのだろう、権さんが俺の肩を揺すって「おい、大丈夫か?」と声を掛けてきた。 文が俺に「コイツはどうする?」と聞いてきた。 俺はアリサと慶を見た。 慶は「煮るなり焼くなり好きにするがいい。覚悟は出来てる」と言った。 俺は権さんの顔を見てから「二度と俺達の前に現われるな。警察に出頭するなり、逃げるなり勝手にしろ。次は無い」と言った。 徐が慶の手足を縛めていたタイラップを外すと、慶はヨロヨロと立ち上がった。
171 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:12:01 ID:???0 アリサと慶が何を話したのかは判らなかったが、アリサはもう怯えてはいなかった。 慶のアリサを見る目も穏やかだった。 去り際に慶が言った。 「優・・・いや、アリサ。お前は、自分に降りかかる悪意に抵抗する事も無く、ただ流されてきた。 さっき、俺にナイフを向けたのが自分でした初めての反撃だろ? お前が、自分自身の力で立ち向かわなければ、お前自身だけじゃなく、その男も死ぬぞ」 そう言うと、何処にどうやって隠していたのか、一本のナイフを取り出し、『餞別だ』と言ってアリサに投げ渡した。 ナイフに詳しい文の話では、ラブレスの「ドロップハンター」、ブレードの両面に裸の女が表裏刻印された「ダブルヌード」と呼ばれるナイフマニア垂涎の珍品らしい。 骨まで達した顔面の傷が膿み始めていた俺は高熱を発し、キムさんの知り合いの病院の個室に1週間ほど入院する羽目になった。 顔面の傷はケロイド状に盛り上がり、そのまま残った。 退院した俺は、権さんに「今は彼女の為にならない」と言われ、アリサの部屋ではなく、元いたアパートの部屋に戻った。 入院中、アリサ達は見舞いに訪れたが、微妙な空気が流れていて、退院の連絡はしたが、その後アリサとは連絡を取れずにいた。 アリサたち兄妹が何を話していたのかは、権さんも、文や徐も話そうとはせず、聞くなと言う態度がはっきりしていたので、俺に知る術は無かった。 アリサと連絡を取らなくては・・・そう思いながらもズルズルと時間が経って行った。 そんなある雨の日の夜、アリサから俺の携帯に着信が入った。
172 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:13:13 ID:???0 着信が入る瞬間、俺の背筋には危険を知らせる『悪寒』が走っていた。 電話越しのアリサの声は、電波のせいか、喉の調子でも悪いのか・・・いつもと少し違っていたと思う。 俺はアリサの「今すぐ会いたい。出てこれる?」と言う言葉に「判った」と答えてアパートを出た。 アパートから細い路地を抜けて大通りに出た。 歩行者信号が青に変わり横断歩道を渡り始めた瞬間、俺は眩しい光に照らされた。 ワンボックスカーが猛烈なスピードで突っ込んでくる。 俺は、はっきりと見た。 運転席で女が・・・ノリコが笑っていた。 俺の身体は金縛りにあったかのように硬直した。 その瞬間、俺は強い力で背中を押された。 続いて、激しい衝撃に弾き飛ばされる感覚。 硬くて冷たい、濡れたアスファルトの感触と、ドクッ、ドクッという熱い感覚を頬に感じながら、俺は闇の底に沈んで行った。
173 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:17:19 ID:???0 俺が目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。 病院に搬入された時、俺は生きているのが不思議な状態だったらしい。 骨盤と脛骨、肩と鎖骨の骨折。頭蓋骨の陥没と顔面の骨折。 頚椎や脊椎にもダメージを負っていた。 出血多量でショック症状を起し、病院に搬送中、救急車の中で心停止も起していたらしい。 俺は1ヶ月以上意識不明の状態で生死を彷徨っていたそうだ。 そんな俺に姉が泊りがけで付き添ってくれていた。 意識が戻った俺は、ドクターが「前例が無い」と言うスピードで回復して行った。 個室から大部屋に移ると、友人達が入れ替わりで見舞いに訪れた。 意識が戻って暫くの間、俺は事故の前後の記憶を完全に失っていた。 だが、キムさんと権さん、そして友人のPが見舞いに来た時に、俺は何の気なしにキムさんに尋ねた。 「一度、来てくれていたような気もするけど・・・アリサが顔を見せてくれないんですよね。今、忙しいんですか?」 姉も、キムさんも権さんも俺と目を合わせようとしない。 だが、『アリサ』の名を口にした瞬間、あの晩のことを俺は思い出した。
174 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:19:04 ID:???0 俺はアリサと待ち合わせをして、待ち合わせ場所に向っていたんだ・・・アリサはどうしたんだ? そして、俺はPに言った「俺を車で撥ねたのはノリコだ。俺は撥ねられる瞬間、確かに見た」 Pが言った。 「ノリコ?誰だそれは?それに、雨の夜じゃヘッドライトの逆光で運転席の人の顔なんて見えるわけ無いだろ」 俺は「何言ってんだよ。ノリコだよ!俺が高校の頃付き合ってた子だよ。お前も一緒に良く遊んだじゃないか!」 Pは「お前が付き合ってたのは、李先輩の妹の由花(ユファ)だ。お前と友人関係はかなり被ってるいるけどノリコなんて女は知らないよ」 「待ってくれ。そんなはずは・・・アリサに聞いてもらえば判る。アイツもノリコに会ってるから!間違いねえよ!」 興奮する俺の肩に姉が手を置いて言った。 「その、アリサさんはね、あなたと一緒に事故に遭って亡くなったのよ・・・」 「・・・嘘だろ?」 権さんが「本当だ。お前たちの事故を最初に発見して通報したのは朴だ。 お前に付き纏ってる女の話があったから、社長の指示で彼女とお前を引き離したんだが、それが裏目に出た。 彼女には俺の独断で朴を付けていたんだが、彼女は毎晩、お前のアパートの近くまで様子を見に行っていたんだよ。 あの晩、お前は慌てた様子でアパートを出て行き、彼女もお前を追っていった。 彼女に気付かれないように朴も付いて行ったんだが、突然の事にどうしようもなかったんだ」 俺達を撥ねた車は、飲酒運転で検問を無視して追跡されていた若い男の車だったらしい。アリサは即死だったそうだ。
175 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:19:56 ID:???0 アタマが真っ白になった俺にキムさんが続けた。 「お前の言ってたノリコと言う女性に付いて調べたよ。幼稚園から小中学校、高校の同窓生まで調べたが該当する女性はいなかった」 俺の頭は混乱の極みにあった。そんな、馬鹿な・・・ノリコが存在しないなんて。。。 だが次の瞬間、俺は愕然とした。 Pの言う由花の顔は彼女とのエピソードも含めてはっきりと思い出せるのだが、ノリコの顔も彼女とのエピソードの一つも思い出せないのだ。 俺は震えながら拳を握り締めた。 そんな俺に姉が言い難そうに言った。 「ねえ、あなた、子供の頃に川で溺れた事覚えてる?」 「ああ」と俺は答えたが、俺の記憶は曖昧だった。 俺が小学校低学年の頃に川で溺れて死に掛けた事は事実だったが、俺には、その事故の詳細やそれ以前の幼少の頃の記憶は全く無いのだ。 姉は続けた。 「あなたは覚えていないのかもしれないけど、あなたは周りに『ノリコちゃんに突き落とされた』と言っていたのよ」 俺にそんな記憶は無かった。姉は更に続けた。 「あなたが小学校に上がる前、P君たちとよく遊ぶようになる前、あなたは一人遊びが多い子だったの。 お父さんがあなたを出来るだけ外に出さないようにしていたからね。 あなたは時々家から姿を消して家族を慌てさせた。そんな時、いつも言ってたわ。『ノリコちゃんと遊んでた』ってね」 更に話は続いた。
176 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:20:46 ID:???0 どういう理由でかは判らないが、幼稚園に上がるまで、俺は髪を長く伸ばし、下着に至るまで女の子用の服装を身に付けて育てられたらしい。 親父が生まれるまで、俺の実家では何代にも渉って女の子しか生まれなかったそうだ。 祖父は長女だった祖母の婿養子だった。 跡取りにと、男の子を養子にした事もあったようだが、皆、幼いうちに事故や病気で死んでしまったそうだ。 女達も嫁ぎ先で男の子を産んだ者は居なかったようだ。 俺が女の子の格好で育てられたのは、どうやら、そういった事情による「厄除け・魔除け」的なものらしかった。 姉や、近所の年上の女の子たちは俺に自分の服やお下がりを着せたりして、「女の子」、いや、半ば着せ替え人形として遊んでいたようだ。 姉の記憶が正しければ、その時、女の子、或いは「人形」として俺を呼ぶ名前が、誰が言い出したのか「ノリコ」だったそうだ。 俺が川で溺れ死に掛けた時、親父は俺の写真をプリントからネガに至るまで全て焼却してしまっていた。 姉や妹の写真は残っているのに・・・ 川での事故以降の写真は、姉や妹の物よりもむしろ多い位だったし、俺自身が写真を残したりアルバムを見返す嗜好が希薄な為、全く気にしてはいなかったのだが。 姉の話を聞く中で、俺の中でゴチャゴチャに絡まっていた糸が解け、一本に繋がっていくような感覚があった。 だが、俺は自分の脳裏に浮かんだモノを見たくなかった。 気づかない振りをして、封じ込めてしまいたかった。 だが、アリサを喪った現実と悲しみがそれを許さなかった。 俺の怪我の回復とリハビリは順調に進み、ドクターや理学療法士達の予想を大幅に短縮して退院の日を迎えた。 退院の日、担当医が言った。 「殺しても死なない人間って言うのは、君みたいな人を言うんだろうね。僕にとっては驚きの連続だったよ。 でも、過信はいけない。亡くなった彼女さんの分まで命を大切にね」
177 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:21:56 ID:???0 俺はアリサの納骨の為に、星野家の菩提寺を訪れた。 アリサの唯一の肉親である慶は行方不明で連絡の仕様が無かった。 アリサの供養が終わって、俺は以前にも世話になった住職に呼ばれて、鉄壷やヨガスクールの事件も含めて、それまでの事を話した。 アリサの事を話し終えると、住職が言った「不憫だ・・・」と 俺は「はい」と答えた。 住職は言った「・・・お前さんの事だよ」 「お前さんの会ったノリコと言う女は、お前さんも判っているんだろう?お前さん自身が作り出した物の怪と見て間違いは無い。 ある資質を備えた幼い子供は目の前に幻影を実体化させて遊び相手にすることがある。 中には実体化した幻影に連れ去られて、姿を消してしまう子供もいる。『神隠し』の一種だな。 この資質は、行者や修行者、霊能者などにとって重要なものなんだよ。 イメージを幻影として視覚化する力・・・仏像や仏画、曼荼羅などはこの力を補助する為のものでもあるんだ。 私は、この力こそが『神仏』を人間が生み出した力だと思うんだ。 お前さんは、この力が特に強いみたいだね。 他者による強力な干渉があったにせよ、行の進み方は早いし、験の現われ方も強い。 鉄壷を供養したという技法も確かに初歩ではあるかもしれないが、資質が無い者には不可能な業だよ」
178 :幻の女 ◆cmuuOjbHnQ :2008/11/30(日) 08:23:30 ID:???0 しばし沈黙してから住職は続けた。 「自ら生み出した幻影に殺される・・・お前さんも、お前さんの家系も相当な因果を持っているんだろうね。 お前さんには確かに強い死の影が纏わり付いている。『魔境』とは違った、根深い影だ。 昔から星野の家の者は霊能の力が強い。長男坊の慶も、お前さんに纏わり付く、『妹』の命を刈り取りかねない程に強い死の影を見たのだろうな。 けれども、お前さんの運や生命力はそれ以上に強いようだ。まだ、生きて遣らねばならない事があるのだろう。 生きている間に、お前さんは自分自身の因果と向かい合わなければならない時がきっと来る。それまで、怠らず、十分に備えることだ」 それにしても、と住職は続けた。 「お前さんの生み出した幻影を一緒に見た彼女・・・お前さんと、魂の深い所で繋がっていたのだろうな。 そんな相手は幾度六道を輪廻して転生を重ねても、そう出会えるものではないだろう。 いや、輪廻転生とはそういう相手を求める魂の彷徨なのかもしれない。 そんな相手に今生で巡りあえたお前さんが羨ましくも、不憫でならないよ・・・」 俺はヨガスクールの事件で関わった山佳 京香たちの事を住職にお願いして寺を後にした。 山門を出て振り返り、一礼してから俺はサングラスを掛けた。 あの日から季節が一巡しようとしていた。 サングラス越しに冷たい風が目に沁みる。 駐車場へと向う俺の視界はジワリと歪んでいた。
179 :名無しさん :2008/11/30(日) 16:23:48 ID:IePyiQFs0 新作乙です。いつもながら面白かった。 アリサ……
180 :名無しさん :2008/11/30(日) 19:55:27 ID:???O 幻の女、乙でした。 けど、今回は腹が立ってしょうがない 苦笑
181 :名無しさん :2008/12/01(月) 19:53:11 ID:???0 新作乙です。 しかし・・・アリサ・・・ なぜにこんなにもショックなのか・・・orz
182 :名無しさん :2008/12/03(水) 02:26:59 ID:???0 全く実話ではなく創作なんだろうけど面白。 これから傾向が変わっていくのかな・・・?
183 :名無しさん :2008/12/03(水) 23:33:32 ID:ZSCBnBv.0 いつも長文だけど読んでいくとすぐ引き込まれる。 そして終わりそうになると寂しくなってゆっくり読んでみたりしてしまう。 年末スペシャル(2話)とか期待してます!
184 :名無しさん :2008/12/08(月) 12:57:35 ID:lDCJoijIo 私はある地方のファッションヘルスで働く風俗嬢です。 2ちゃんねるの方が規制で書き込めなかったので、こちらに投稿します。 私が在籍している店は、個室のドアに外から覗くためのドアスコープが付いていて、 セキュリティの為と本番行為がないかのチェックや、 新人がきちんと接客出来ているかを男性スタッフがチェックする事があります。 ドアの下には1cm程の隙間があり、廊下の方が個室より明るいので 誰かが前に立っていれば少し見えるので、タイミング良くそこを見ていればすぐわかります。 その日はもう5年も毎週私を指名して下さっているお客様の予約をいただいていました。 そのお客様は大変気さくな良い方で、ケーキなどの差し入れを下さったり プレイの後は反対に肩を揉んだりして下さいます。 いつもと同じようにドアの方を向いて肩を揉んでいただきながら楽しくおしゃべりしていると、 廊下でコツコツと足音がし、私達のいる個室の前で止まりました。 ドアの下の隙間からはこちらに爪先を向けて並ぶ黒い革靴が見えたので、 『あぁ、今日はお客様が相当酔っていらっしゃるから、心配してくれたんだ』と思っていました。 やがて90分のプレイ時間が終わり、お客様をお見送りしてから個室をセットしていました。 使用済みのバスタオルや灰皿を片付けていると、すぐ横を子供が通り過ぎたように感じましたが、 当然こんなところに子供などいるはずがありません。 疲れているんだと思って個室から『次の予約まで仮眠を取ります』と男性スタッフにコールし、 個室の照明をギリギリまで落としてベッドに横になっていました。 すると、廊下からヒタヒタと足音が聞こえました。軽い、裸足のような…… あの足音の軽さは男性スタッフではない事は明らかだし、 店の女の子ならミュールのヒールがコツコツ鳴るのですぐわかります。 ごく稀に忙しい時に裸足でバタバタと個室の片付けをしている女の子もいますが、 それなら走ったりするのでそれも違います。 そして、その時はちょうど平日のお昼間で、女の子の出勤が大変少なく、 このフロアを利用しているのは私だけだと言う事を思い出しました。 ドア一枚隔てた廊下で、ヒタヒタという足音はずっと続いています。 私は物音を立てないように、気付かれないように息を潜めていましたが やがて足音が私のいる個室の前で止まりました。 私はついドアの下を見てしまいました。 そこには、焼けただれて血だらけの子供の両足がこちらを向いていました。 私はそのまま気を失ってしまったらしく、ご予約のお客様が到着したとのコールでやっと体を起こす事が出来ました。 その日はそのご予約のお客様が帰られてから私も早退し、 次の出勤予定を伝えないまま今に至ります。
185 :名無しさん :2008/12/08(月) 12:59:17 ID:lDCJoijIo あ、改行は反映されないんですね。 読みにくくなってしまい、申し訳ありません。
186 :名無しさん :2008/12/08(月) 16:13:56 ID:???O >>159 場所が場所だけに、不可解さに拍車がかかって面白かったです。 乙。
188 :名無しさん :2008/12/09(火) 01:00:12 ID:???0 マサさんの方、いつも本当にありがとうございます。 貴方のお話をいつも楽しみにさせていただいてます。 アリサさんの死に愕然としました。 この悲しみと因果を、どうか乗り越えられますように。 祈るばかりです。 次回も心待ちにいたしております。
189 :<削除> :<削除> <削除>
190 :名無しさん :2008/12/14(日) 01:03:21 ID:hb2/4Oy.O マサさん話の作者さん、 無事で良かった
191 :名無しさん :2008/12/16(火) 12:13:43 ID:nzq9.GdA0 PART189の嫌な一言の嫌が少し変です
192 :名無しさん :2008/12/17(水) 22:14:39 ID:H9UbmTXoO 以前「炎と氷」でマサさんが井戸の呪法にこだわるわけを書きたいと言っておられましたが、心待ちにしております。m(__)m
193 :ななし :2008/12/18(木) 02:08:10 ID:GziVgMEsO 「山」の続きが見たいよ〜
194 :こー :2008/12/20(土) 17:42:53 ID:VMVXQO4.O よくありますよね、 『くねくね』 についての話 でも書かれてる内容を見ると実際に体験したっていうカンジのは半分もない、そんな気がします これはオレが体験した話です。 まぁでもぶっちゃけ『くねくね』かどうか分からないし、今まで書かれたのとは違う少しカンジの『くねくね』なので、 ばーちゃんちに遊びに行ったトキの話です すっげぇ田舎で見渡せば田んぼor林or畑って感じなんです 夏のある日 オレは近くの川(ばあちゃんちから徒歩20分くらい)でザリガニだのを捕って遊んでいたんですが、 すると遠くの田んぼの中に人らしきものが両手を広げ立っているのが見え、まぁ特に気にもせず遊び、次に見てみるとちょっとだけ動いていて(同じポーズで)いきなりくねりだした ただの気違いかと思い、ザリガニ取りを再開、しばらくして、帰ろうと思い、ヤツを見ると、くねりながら、ゆっくりと近くの家の陰に入って見えなくなってしまった ここまでは何もなく、普通にばあちゃんちに帰宅 次の日、クワガタ取りに朝6時前じいちゃんと森に向かった 森(チャリで15分くらい)に着き、クワガタ取りを開始、木に登り辺りを見ると、またもや、50Mくらい先の田んぼに『くねくね』が! じいちゃんに 『あのくねってるヤツ、誰?』と聞くと 『あぁ〜アイツは気にすんなや、変なヤツだけど、悪さはしねぇから』とのこと ぶっちゃけメッチャ気になった ヤツはゆっくりとゆっくりと田んぼを動き、近くの川に徐々に入っていった そして出てこなかった そして後で気づいた その川の水深は20cm、ヤツの身長は約1.5mぐらい 歩きながら沈みきるハズがない!! オレはさらに気になった そして、何日か後、 再び川でザリガニを捕っていると、 すごく近くにヤツはあらわれた 距離にして約15〜20M オレは近付いた 距離にして約5mくらいまで近付いた 良く見ると、ヤツは変なヤツだった 普通の人のような体つきだが、体はほとんど真っ白で、手の形は普通だが、足は草と同化していた(つまり足は緑)しかし動くにつれ、土と同化、コンクリと同化していった ち〇こはなく、平ら 顔は…真っ白+平ら ただ腕と首をくねらせ、ちょっとずつ、動く なのに、何かを感じた 目はない なのにオレを見つめていると分かった 気味悪いので、即帰った しかし次の日、また家から外に出て、オレは唖然とした ヤツがいた 家の前に そして分かった ヤツはオレに怒っている なぜ怒っているかは知らん くねりが徐々に激しくなり、やがて銅もくねりだした 明らかに関節を無視してくねっていた そして、なぜかヤツは近くの虫あみに近づき、持った そして、虫あみを持ったまま家からのそのそ離れていった 実はオレはヤツが怒っていると気付いた時点で玄関に入りドアを半開きにしてヤツの様子を見ていた それ以来、ヤツを見ていない そして、現在、ばあちゃんちについて母に聞くと、 オレがヤツを見た川や森は自殺の名所らしい 事実、オレがくねくねを自宅前で見た5日後に1人、その川で首を吊った 結構頻繁にその川では起こりらしい 森はそうでもないらしいが まぁ色々不明で そんなに怖くもない話だが つまり 『くねくね』は自殺のあった所と虫あみが好きらしい いとこも見たことあるらしく、その時、ヤツはその川から見える田んぼに麦わら帽子を被りくねっていたらしい つくづく謎の多いヤツである
195 :名無しさん :2008/12/20(土) 19:22:29 ID:???0 奄美大島には、昔からカッパに似たけむくじゃらの妖怪・ケンムンがいると言い伝えられております。 子供のような小さな背丈で体はけむくじゃら、山羊の臭いをもち、頭にはさらがありよく山や海で人を化かすと伝えられています。 10年前、家族でめずらしく怪談話で盛り上がっていると、ふと思い出したように、次兄が興奮した口調で話しはじめました。 この前、夕方頃、友達に借りた双眼鏡で裏山をみてたんだ。それでなんとなく遠くの山を見てたら、木のてっぺんの枝に、真っ黒な人が座ってるのが見えた!あれ、絶対幽霊だぞ!なんか、体育座りしてたけど、膝が頭より高くて…… そこで私と母が同時にいいました。 「それ、霊じゃなくてケンムン!」 ①ケンムンは山の木の上で休むことが多い ②ケンムンはよく体育座りをしている(だから昔は膝を抱えた座り方をケンムン座りといって嫌っていた) ③ケンムンは異様に足が長く、体育座りをしている時に膝が頭より高い それを次兄に伝えると、「あれがケンムンなんだ、本当にいたんだ……」と青い顔をしていました。 肉眼ではまずめったに目撃されないケンムンですが、まさか双眼鏡で目撃できたとは、兄ちゃん、おそるべし!(笑) すると、ウチの母が、長年きこりをしていた祖父から生前教えられたという話をしてくれました。 もしも山で迷ったりしてどうしても一晩を暗い山の中で過ごさなければならなくなったら、 木の枝か何かで自分の周りの地面に、自分を囲むようにして少し広めの円を書きなさい。 そして山の神様に声にだしてお祈りしなさい。 「山の神様。私はかくかくしかじかな事情から一晩こちらの山に泊まらせていただくことになりました。 どうか今夜一晩、私が何事もなくいられますよう、私にこの土地を一晩だけお貸しください。 この土地の中にいる間、私を一切の災いからお守りください。」 そうしたら、一晩、ケンムンや獣たちが円の周りをぐるぐる回るが、決して円の中には入ってこれない。 それが山の神様との約束だからだ。 だから、山にのぼる時と下る時は、山の神様への挨拶とお礼を忘れてはいけない。山の神様は、よく見てるからね。 ケンムンでも、山の神様には逆らえないということなのでしょうか。
196 :名無しさん :2008/12/28(日) 16:42:52 ID:DuLHRGrg0 心霊的なお話ではありませんが聞いてください 中一の頃の話です。毎朝7時に僕の家に来る部活友達のk君、u君、t君と学校に登校してました。 あるとき僕はリアルゴー○ドとゆう炭酸飲料にハマり毎朝飲んでたんですよ そしたらある朝、寝坊をしてしまい、時間ギリギリでそっこーで着替えてギリギリ友達が来るまでには 間にあったのですが、どーしてもその飲み物が飲みたかったので友達の前で飲んでたんです そしたらt君が急にリアル!?とか言ったのでみんなで爆笑してました 何を思ったのか僕は急にt君にリアルtって変なあだ名をつけました。そしたらまた爆笑 んで、そのあだ名が面白かったのかあっとゆうまに部活動にも広まり、やがて学校中に広った tを呼ぶときはいつもリアルとかリアルtと呼んでいた まぁそれがイジメっぽくなっていったんですよ 調子に乗った僕は外周中にその子を後ろから本気で押しました そしたらすげーハデに転び「ごめんリアル」と言い、その子を抜かしました 僕は週番の仕事があったので急いで走り、配達物をとりにいき時間ギリギリに配り終えた 5時間目あたり、廊下あたりが妙に騒がしかった んで授業が終わり普通に部活やってました
197 :名無しさん :2008/12/28(日) 16:46:16 ID:DuLHRGrg0 ↑つづいてます
198 :名無しさん :2008/12/28(日) 18:00:11 ID:DuLHRGrg0 uとtだけ部活にいなかったので休憩時間にu君と同じクラスの部員、s君に来なかった理由を聞いた なかなか教えてくれないのでしつこく聞いたらすごく嫌そうな顔でこう言ってきた 「5時間目移動教室なんだけどさ、俺とuがtにリアルリアルって言ってたんだ、そしたらさ、そいつが制服の内ポケから20センチくらいのサバイバルナイフ?wみたいなのを出して泣きじゃくれたような声を出してuに襲いかかってさ、 tが「てめえが最初に俺にリアルってあだ名をつけたんだろ!いい加減にしろよ!」みたいな感じなこと を言っててさ、相手はナイフ持ってるからやばいと思って担任呼んで来たんだ、その時にはもう遅かった。 救急車が来てよ、先生に事情を聞かれた、俺もuの仲間だったって事を知られたらマズイ、と思ってなんとかごまかせた」と言ってました。 tはuがあだ名を作ったと勘違いをしていたそうです 次の日、tは転校しました 安心感がハンパなかったww t君について僕から言うと性格は内気で、キレた後にいつも僕とか友達に、「殺してやろうかと思った」とか言ってくる子です 文章力なさすぎてごめん
199 :名無しさん :2008/12/30(火) 16:10:35 ID:kUgv8z2wO 霊的な話ではないけど 曾祖父は白内障だか緑内障でほとんど目が見えなかったらしい。 ある日、箪笥の角に顔を思いきりぶつけてしまい、目ん玉が飛び出してしまった。 ぼろん、と落ちた目ん玉を曾祖父が床に這いつくばってわたわたと探していると、やって来た曾祖母がその目ん玉を踏ん付けてしまった。 そして顔色ひとつ変えずそれをティッシュで包んで捨てた。 という話を、一部始終を見ていた母が笑い話として聞かせてくれた。
200 :名無しさん :2008/12/31(水) 22:16:27 ID:4Xp5iVd.O 霊的かどうかわからないんですが…
201 :名無しさん :2008/12/31(水) 22:22:51 ID:4Xp5iVd.O 間違って途切れちゃいました、すみません。 霊的かどうかわからんのですが今、洒落コワのまとめサイト暇つぶしに見てたら、文章全く関係ない中に“死んで詫びろ”って… ほんと、文脈とか無視してあって、怖くてスルーしたから詳しくは覚えてないんですが、あれ、わざとであってほしい… てか大晦日に暇人すぎですね(汗)
202 :名無しさん :2008/12/31(水) 23:17:46 ID:Icux.sGw0 >201 それどの話ですか? 見てみたい。
203 :名無しさん :2009/01/04(日) 10:48:20 ID:4Xp5iVd.O >202 遅くなってすみませんm(__)m 久しぶりに覗きにきたもので… その話がどれだったか、今さがしてみたんですが、見つからなくて(;_;) 内容はたしか、幼い頃に何か黒い毛のかたまりに関わった方のお話で、同じく関わった友人の方がどうかされてしまう話だったように思います。 パート100から200(たしか180台だったのですが今タイトルを見たかぎりでは該当する話がなく…)で、思い当たる話がある方、逆に教えてほしいかもです(>_<) ただ自分自身はその文字があってもなくてもこわいので、最後までは読めないです…(文字は話のラストあたりに出てました、←例えば左の文の「た」と「り」の間みたいな文脈を無視した場所に入ってました)
204 :名無し :2009/01/04(日) 15:03:29 ID:BhXVgJ3s0 目の錯覚かもしれませんが聞いてください。 最初見えたのは 小学校6年生の頃でした。 私には弟が1人いるのですが、自分の部屋に行くときに その弟の部屋を通ります。 その弟の部屋の中から「誰か」がこっちを覗いてるんです。 見た感じは5〜6歳の女の子で、 Tシャツにスカートをはいています。 最初の2〜3年はその子だけだったし、 だんだん見えなくなっていたので気にも止めませんでした。 でも最近また見えるようになったのです。 しかも今度は男の子も一緒です。 やはり5〜6歳の子です。 一緒になってにたにた笑ってるんです。 私はどうしたらいいんでしょうか? 誰か教えてください。
205 :名無し :2009/01/05(月) 09:46:54 ID:BhXVgJ3s0 204の後日談です。 あの二人が昨日、弟の部屋を抜け出して私の部屋に来ました。 徹夜で勉強してたら後ろに来たんです。 しかも声まで聞こえました!! 「クスクス・・・。」と笑っていました。 でもどうやらなにかをする気はないらしいのです。 その子達が去ってから後ろを見ると、後ろにたたんであった布団がぐしゃぐしゃになってました。 それから私が寝るまでずっといたずらをしてきました。 あ、この子達は私と遊びたいのかなーってずっと思ってました。 とにかく怖い霊じゃなくてよかったです。
206 :名無しさん :2009/01/06(火) 00:47:16 ID:vcMp/R7sO >>203 それパート173の下から二番目の毛糸の塊じゃね? べつに書いてなかったよ?
207 :名無しさん :2009/01/06(火) 01:17:01 ID:nTPvoRgQO Part.173[毛糸の塊] >お供え物の横に明らかに異様なものがあ死んで詫びろったです あったよ。
208 :名無しさん :2009/01/06(火) 21:25:10 ID:4Xp5iVd.O >206 >207 見つけてくださったんですねー! ありがとうございます…と言いつつやっぱりこわいですね(>_<,) 改めて、不自然だし、話し手の方がわざといれたのでもない気がしますし…(主観ですが…) でも自分だけに見えたとかじゃなくて心の底からほっとしました(笑)
210 :名無しさん :2009/01/18(日) 00:35:17 ID:uDsCGVdkO 恐い話ではないのですが、オススメ作品4の『コトリ』『異界への扉』はすでに先のオススメ作品に含まれてますよね?
211 :ひっそり無名 :2009/01/24(土) 09:59:12 ID:y4FFtsZkO 怖い話ってここでいいんでしょうか?間違えていたら板汚しすみません。 失踪した兄の話をさせて下さい。兄は私の異母兄で、父の連れ子。 大学院卒業後連絡が取れなくなりました。その数ヵ月後、家の郵便受けに宛名のない緑の封筒があり、 「ぜんぶおわつたいつてくる」 という十枚とも同じ内容の緑の便箋が入っていました。書かれていた文字も緑でした。何でこんなに緑揃えなんだろう、兄は緑が嫌いでした。「面白い事がなくなる色だから」と。 前置きが長くなりました。気になる事があります。兄失踪して数年?になりますが、居間を掃除していると、必ず兄の髪(母・私が赤毛、父総白髪なので兄の髪はすぐ分かります)が落ちている事です。 有り得るんでしょうか?? 私は有り得ないと考え、原因を調査するために兄の部屋に踏み込みました。 部屋で妙なものを見ました。
212 :ひっそり無名 :2009/01/24(土) 10:27:04 ID:y4FFtsZkO ・・・間違えてカキコムを押してしまいましたすみません。 兄の部屋で妙なものを見ました。 一般的に、壁と床って組み合わさってますよね?・・・・・・壁┃_←こんな感じに・・・壁と床の間にカード一枚くらい入る隙間ありますよね。兄の部屋のフローリングもそんな感じです。 週一できれいに掃除している兄の部屋。その隙間に、ひょろんと兄の髪が数本出ていたんです。私は掃除狂なもので、掃除したのにと悔しくなり指でその髪を引っ張ったんです。 まるで頭皮から引き抜いたようにプチンと手応えが。そして、また髪が一本増えました。 プチン、増える、プチン、増える、プチン、増える を繰り返し、傍らには髪の山。 ・・・・・・山が動いていた。 見たくない、視線が動かせずまさに釘付け、もぞもぞ、中に芋虫でもいるのかと思うような、動き。洒落コワを読んでいた私は凍り付きながらも「指か手がくるなーよくあるよくある」と考える冷静な部分がありました。 その時、肩をポン。 おお、振り返ったら生首か?・・・だれが振り返るか。とシカトしようと思ったらまた、肩をポン。 「○○、見ないほう良いよ」 兄の声。え?兄さん帰ってきたの?異母兄大好きな私は、習性で振り返ろうとしたその時、髪の山から飛び出た視界いっぱい顔、顔、顔、顔、顔、顔、恨み顔、怨み顔、泣き顔、顔、顔、顔、顔、死人顔、顔、顔、皆、真ん中しか赤くない白い舌を顎より下に垂らしていた。 「見るなっていただろう。」 背後から兄の声。視界が覆われた兄の手だ。いつもより冷たい。 「・ぉ・・・・・ぃ・・・ゅ・・・」 兄の声が何か呟いている。 「もう大丈夫だ」 あけた視界は兄の部屋、兄の姿はなく、髪の山もなかった。家が騒がしい。 居間に降りると親戚やらご近所やらが集まっている。何故か母にひっぱた
213 :ひっそり無名 :2009/01/24(土) 10:38:11 ID:y4FFtsZkO 携帯なんか嫌いだ。すみません。 何故か母にひっぱたかれました。 「今までどこに行ってたの!」 私は六日間行方不明だったらしい。 六日間行方不明? バカを言わないで、私は兄の部屋にいたと言いったが信じてもらえなかった。兄の部屋には六日間誰もいなかったと言う母。 六日間というのも有り得ない気がする。 兄の部屋にいたのは一時間に満たない感覚だった。 ・・・兄は、兄さんはこの世にいないんでしょうか。 プチ・オカルト好きな兄と、一緒に行った心霊スポットの話をお許しがあればカキコみます。
214 :名無しさん :2009/01/26(月) 20:33:23 ID:???0 ひっそり名無しさん、お話щ(`Д ´щ)カマァァァン!!
215 :ひっそり無名 :2009/01/29(木) 12:57:44 ID:y4FFtsZkO お許しを頂いたので、(多分)長文になりますが書き込みさせて頂きます。 私の行方不明の異母兄について書き込みさせて下さい。 この話は、兄が謎の手紙を残して失踪する数年前の話です。 心霊スポット巡りには半端な紅葉美しい秋。 「幽霊って兄さんは信じる?」 そんな半端な季節に心霊スポットに行く事になったのは、私が兄にそんな事を聞いてみたせいだったのでしょうか。 「兄さんどう思う?」 兄のプチ・オカルト好きを知っていた私は答えを半ば確信を持っていたように思います。 しかし、 「信じないね。」 と兄が言ったため、私の予想は裏切られました。 「なんで!?」 当時の私はベッドに寝転ぶ兄の近くまで詰め寄りました。兄の部屋は、その趣味に相応しく怪しげな紋様の入った所々茶色に染まった白い布(二万八千円)をベッド近くにカーペットのように敷いていて、壁には短剣(三万円×五)が飾られていました。 明らかにオカルトな物を好みお金を使っています。そんな兄が、幽霊を信じない? 「幽霊ってのは、妄想だ、妄想。怖いと思うから見えるんだアポ(※アホという意味)実際にいるのは、」 「妖怪?悪魔?」 「違うアポ。それらを作り出した人間と、それらによく似た生物だ。」 「怖いから信じないの?」「んなわけあるか。大体、幽霊とか妖怪とかは人間が作り出したものなんだ。だから怖いとかはない。・・・あえて怖いっていうならそれらを作り出した人間だ、犯罪者とかのほうが怖いだろうが。・・・よし、連れて行ってやる。」 どこに?と私が聞くと兄はただ、手振りで車に乗れと示すだけでした。 助手席は母(兄にとっては生母ではない)しか乗せないという半端なマザコンを発揮する兄の車。 後部座席に座った私は、すぐ前にいる兄にしつこくどこに?どこに?と聞いていましたが、まさしく問答無用で発進してしまい。おまけに 「目的地に着いたら起こすから、うるさくするな。寝てろ」 と言われ、後部座席で丸くなりました。 「着いたぞ、起きろ」 すぐ目を覚ました私でしたがあたりは薄暗く、ぽかんとしてしまいました。 「兄さん今何時?」 「あー・・・6時くらい」 当時の私は、少し良い自転車が欲しいため家の手伝いをしていました。6時という事は夕飯の手伝い分のお駄賃(!)はなしという事になります。 「姉や(兄にとっては異母妹)と母(兄の生母ではない)さん、親父には言っといたから大丈夫だ。」 行くぞ、と青暗い外と暖色の車内灯、懐中電灯片手に兄は私を促しました。 車から足を降ろした地面はアスファルトではなく、山のゴツゴツした岩でした。どこかの山中と思われる傾斜もよく変わる岩の上を岩から岩へ移りながら、ここどこ?と聞けば、しつこいと言われを繰り返しました。 「ほら、ここだ。」 目の前には細く高く山に切り込みを入れる洞窟が。 「洞窟?」 「そうだ、洞窟。しょーにゅーどーとか、洞窟に湧く温泉なら一儲けなんだが、残念ながらただの洞窟だ。」 色々欲張る兄の懐中電灯か洞窟の入り口を照らします。 「昔、この洞窟の奥で大学生カップルが心中した洞窟だ。幽霊とやらがいるならバッチリだろう。行くぞ」
216 :ひっそり無名 :2009/01/29(木) 17:43:54 ID:y4FFtsZkO 10000バイトまで大丈夫なのでしょうか? 兄は暗いというのに、さっさと先に進みます。 ほんの七、八歩で洞窟の静かで暗い世界を懐中電灯で照らすという状態になりました。当時の私は、ライトアップされた鍾乳洞には入った事がありますが、本物に真っ暗な洞窟に足を踏み入れたのははじめてでした。 洞窟の闇とは、音を吸い取ってしまうのでしょうか。足音は大きく響くことなく、進むごとに消えていくような感じでした。 兄はしばらく無言でしたが「オイオイ、雰囲気ぶち壊しだな。他にも来てやがる。」 と私を振り返りました。私は驚きました。洞窟は暗く私たちの足音以外は静かだったためです。 「何、人、いるの?」 「何だ?チビ、聞こえないのか。もしかして眠いか。・・・五、六人はいるな。みんな履いてる靴のタイプが違うみたいだな、足音が全然違うし、よく響いている。しっかし、ヒール高い靴履いて洞窟にくるアポな女っているのな。しかも何か香水くさいな。」 鼻のよくない兄(夏場腐っためんつゆを臭いがわからないために使用→病院)が決して狭くない洞窟が香水くさい・・・ 「あぁ、七人だ。下駄とは粋だな。」 全く私には聞こえない七人分の足音・・・ 「もう少しで目的の洞窟奥だ。足音からして、そこに七人もいるのか・・・少し興醒めだな。」 つまらなそうに言う兄に、その七人って幽霊じゃないの?と聞くことは出来ませんでした。 やがて兄の懐中電灯が照らす洞窟内を見るのが怖くなり、闇ばかりを見つめていた私は兄が誰かと話だしたのに気付くのが遅れました。 「秋に肝試しですか?・・・まぁ俺らもですけど、七人で肝試しとは大所帯じゃ、あぁ、七人・・・奇数だからなんですか」 兄は、闇に向かって話をしている。何より奇妙懐中電灯で相手を照らそうとはしない事。確かに礼儀として懐中電灯を向けるのは失礼ですが、相手も懐中電灯を持っていないのです、足元を照らしても失礼にはなりません。当時の私は、兄が懐中電灯で話している相手を照らすのが怖かった、光が怖いと感じたのはあの時が最初で最後だったかもしれません。 「洞窟にハイヒールじゃ危なくないですか?」 洞窟が仮に音を吸い取ってしまうとして、相手の話し声まで吸い取ってしまうのでしょうか。一切私には聞こえません。 「え?連れですか?一人いますけど、・・・あと五人何とかならないかって・・・無理ですね。家から遠いんで呼べないですって、あ、帰るんですか」 暗闇のなか私のそばを三人分の気配が通り過ぎます。暗闇に目が慣れているため、そばを通り過ぎたら相手の服の色ぐらいはわかるはずですが、わかったのは気配だけ。気配が通り過ぎたという事は、兄の自作自演ではないのです。私はぞっとしました。 「やれやれ、勝手な連中だな。自分らが七人だからってこっちまで七人になる必要皆無だろ。」 「何か、さっきの人達そんな事言うなんて変じゃない?もしかして幽霊だったんじゃないの、洞窟の」 「この洞窟は幽霊二人だけだろ。七人ってなんだ、七人って。何角関係だ、アポ」 「幽霊なんていないってわかったか? あー興醒めだ、帰るぞ。途中の店で好きなもの食べさせてやる。」 《幽霊はいたのよ。でも、先こされちゃった。ごめんなさいね》 背の低いほうの私の肩あたりから、はっきり女性の声がし、全力疾走で入り口を目指しました。 こちらは兄には聞こえなかったらしく、アポ、走るなと兄が追いかけてきました。 車が発進した時の安堵は何とも言えないものでした。また眠くなり、次起こされたのが自宅近くのファミレスでした。 あの洞窟はどこにあるのか、兄の手がかりを求めている今でも探していますが、わかりません。小さな神社二つと橋を渡った記憶があるのですが、記憶と一致する風景を見る事は出来ませんでした。 もしかしたら、兄は七人いた、という「それら」とまだ一緒にいるような気がしてならないのです。 兄の話を終わります。 長い上に面白くない話すみません。リベンジ出来ればと思います。 ちなみに、兄はそれからも幽霊を信じませんでした。ただ洞窟から帰ってすぐ文献を漁っていた事が懐かしいです。
217 :名無しさん :2009/01/31(土) 10:30:02 ID:s2ajmVs20 去年の末、体験した話なんだが 【】が夢の話。 ()が区別の付いていない、曖昧な記憶 【俺の家に、友人と、その姉(以下 友姉とする)が住みに来た。俺が気付いた頃には荷物運びやらは終わってて、 その友姉には会ったことが無かったみたいなので、挨拶に行った。 俺の姉貴の部屋は、友姉の部屋になっていて、部屋の模様替えは済んでいたが、 友姉の趣味はオカルト系ぽかった。←俺は入った瞬間絶叫してた。 んで、俺のカーチャンが 「これ、友姉ちゃんから貰ったのよ」 と、やたら目の大きい日本人形をダイニングのテーブルの上に置いていた。 ちょっと時が飛んで、もう寝るって感じだった。 そしたら俺の部屋にあの日本人形があって、特別気にしなかったんだけど、目の大きさが 癪に障って、 「目ぇ、閉じろよ!」 と、人形に怒鳴ってた。 で、指で人形のまぶたを下ろして、そのまま寝たんだ。】 (俺の部屋に「何か」が入ってきた。というか気配を感じた。 で、その「何か」が喋っている。 「それはこんな声? それともこんな声?」 なんだか腹が立ってきて、やめろ! 言おうとしたんだが声が出ない。
218 :名無しさん :2009/01/31(土) 10:40:45 ID:s2ajmVs20 その瞬間、「何か」がバッと俺の上に圧し掛かってきた。(布団は頭までかぶってる状態) すると、夢とは思えない様な声と「何か」の重みがリアルに伝わってきた。 耳元で 「寂しいよぉ、辛いよぉ」 と女とも男とも言い難い声で言ってきた。 「何か」の体重は自分の頭にどんどん動いて来ている。 金縛りの様な状態で、声が出ないし、体も動かない。 その後、気絶して、意識が遠のいた。) 【俺は、朝起きて、ありのままを家族に説明した。 その後の家族の反応は覚えて無いけど、今日、神社に行ってお祓いをして貰う。 ということになったのは覚えている。】 夢から覚めると、金縛りになっていた時の体勢になっていて、汗でびっしょりだった。 という話だが、文才が無くてすまない。 ()の部分がリアルすぎて、現実にしか思えないのだが、ちょっと怪しい部分もあるので、 霊的な怖い話なのかは曖昧なところ。
219 :アルマ :2009/02/03(火) 12:33:31 ID:nVFfsy..O 本当に体験した怖い話なんて、その次の日くらいに色々な人に話したくなりませんか。大分月日は経っていますが、またこの話をしたくなりました。国語力ない中学生なので、文法的に可笑しな部分があったり、誤字があったりしたら見逃してください。 俺と幼なじみのFがまだ小学生の頃。ジュンくんという学校で毎日いじめられている男の子がいた。彼はメガネをかけ、身体もひょろひょろで、非常に気持ち悪い顔をしていた。 彼とFと俺は偶然的にも団地住まいで、プラス三人とも同じ棟だった。更に俺たちは同じクラスメイトでもあった。 「じゅ〜んく〜ん、あっそびっましょ!!」 俺たちはよく、家に引きこもってるジュンくんを表に出し、Fと一緒に暴力したり、いじめたりしていた。 ジュンくんの両親の帰宅は夜遅く、昼間は居ない。 それを知っていたこともあり、基本どんな時でもジュンくんに対してはやりたい放題であった。 外で呼ぶ俺たちの声を無視すると、学校で更にひどくいじめられる事を知っていたジュンくんはいつも素直に出てきた。
220 :アルマ :2009/02/03(火) 12:38:59 ID:nVFfsy..O 外ではよく「ジュンくんごっこ」をしていた。 内容は俺たちの指示どおりに動いて、任務を達成させるという単純なものだった。失敗すると顔面パンチの刑であった。 指示内容の大体が「ズボン脱いで商店街一周」とか「知らない人に説得してジュースをおごってもらう」とか、普通じゃ出来ない事だった。しかし、ジュンくんは俺たちが出した任務を時々成功させた。それもあり、この遊びは非常に楽しく、盛り上がった。 雨の日は勝手に土足で家に上がり込み、冷蔵庫の中にあるアイスを食ったり、戸棚にしまってあるお菓子を食ったりしていた。「お母さんとお父さんには全部俺がやったって言えよ」とジュンくんに言い聞かせ、俺たちは完全やりたい放題だった。 当然の様にジュンくんはいつも泣きそうな顔をしていた。俺はそんなジュンくんの表情を見ると嬉しくなり、更にいじめたくなった。本当にこの頃の俺はひどく腐っていると思う。
221 :アルマ :2009/02/03(火) 12:39:57 ID:nVFfsy..O ある日、超健康で風邪をひかなかった俺は39度を越える高熱を出した。熱はなかなか下がらずに、学校も5日間は休んでいた。その頃、Fも俺と同じくらいの高熱を出し、寝込んでいた。 そして、何とか熱は下がり元気になった俺たちはテンションあげあげで久しぶりに登校していた。 登校中、偶然にも俺たちの目の前にジュンくんがいた。 「よう、ジュンくん久しぶり」 そう言い、俺はジュンくんの髪の毛を力一杯後ろへ引っ張った。ジュンくんは勿論背中ごと地面に落ちた。 「おい!放課後久々のジュンくんごっこやっからな!きゃはは!」 そう言い、俺たちは地面に倒れこんだジュンくんを置き、笑いながら道路を突っ走った。 すると、当然足を誰かに引っ掛けられた感じになり、俺とFはほぼ同時に顔面から地面に転んだ。 顔をあげた時に、生暖かいものが顔に付いている事に気が付いた。手で触り確認すると、血がべっとり付いていた。俺たちが転んだ地面には粉々になった鋭いガラスの破片があっちこっちに散乱していた。それまでは痛みはなかったが、ガラスで顔が切れてると分かると、顔全体に衝撃的な激痛が走った。俺は叫びながら横にいるFを見ると、Fは死んでるようにぐったりしていた。 俺もあまりの痛さに意識が遠ざかっていくのを感じていた。 破片塗れの地面に座っている俺の横をジュンくんが何も知らないかのように通っていった。 「おい!助けろよ!」 ジュンくんはやや俺に振り向き、今までに見たことのない笑顔を見せた。 俺はその瞬間気絶した。
222 :アルマ :2009/02/03(火) 12:41:00 ID:nVFfsy..O 次に気が付くとそこは病院のベットの上だった。 俺の顔には包帯が巻かれていた。 俺の顔はもうやばくなってるんだろうな…という確信と共に、Fの容態も心配していた。また学校に行けない悔しさと悲しさ、そして、ジュンくんのあの時の笑顔に壮絶な怒りを感じていた。「退院したら、あいつフルボッコだ!」 …。 俺は早いか遅いか分からないが、10日間くらいでもう自宅に帰された。 俺の顔にはまだ少量の包帯が巻かれていた。 「そんな顔じゃ、学校行きにくいでしょ?まだ休みましょ」 母親がそう言い、俺はまだ学校に行けなかった。 たしかに、この顔じゃぁ外にも出たくないと思っていた俺だったが、ジュンくんをぶん殴りたい気分で染まっていた。俺は母親の目を盗み、3つ下の階にあるジュンくんの家へ向かった。 この日は日曜日。時刻も午前11時程の時間だった。階段から顔を覗くと駐車場があるのだが、そこにはジュンくんの家の車は無かった。もしかすると家にはジュンくんが一人でいる可能性があると思い、俺は手を鳴らしながら勝手にジュンくんの家に上がり込んだ。 あけた瞬間に分かったが、人のいる気配がなかった。案の定、中に人はいなかった。 俺は土足で居間へ行き、そのままジュンくんの部屋へ向かった。 ゲームでも盗んで帰るかと思い、ジュンくんの机をめちゃめちゃに漁った。 いくつか楽しそうな漫画とゲームボーイカセットがあったので、それを手に取り帰ろうとした。すると、ジュンくんの机の椅子に日記帳みたいなものがあった。
223 :アルマ :2009/02/03(火) 12:41:56 ID:nVFfsy..O ジュンくんの日記帳だ!これは学校でネタになるぞ。と思い、それも持ち帰った。 家に帰り、母親に見つからないように盗んだ品々を押し入れに隠し、日記帳だけをこっそり持ち出し、そのままトイレに行き、読むことにした。 日記帳を開いた瞬間、思わず悲鳴を上げた。 1ページ1ページに良く分からないが、お経のような…。凄く気味悪い漢字がぎっしりと書いてあった。「呪」とか「憎」という字が多かったのを覚えている。 ページの書き始めには俺とFの名前が共通して書かれていた。 ページを捲りまくり、40ページ目くらいに「藤○ ○○(Fの本名)」と血色で真ん中に大きく書かれ、その名前を囲むように不気味な漢字がぎっしり書かれていた。 次のページにはそれと同じように、今度は俺の名前が書かれていた。が、まだ書き途中な感じで、名前の周りには、Fと比較して半分ほどしか漢字は書かれていなかった。 俺はその日記帳を捨てずに記念品として今でも持ってます。 痛々しい傷跡は残ったが、顔も大分良くなり、学校へ登校した。 久しぶりに再会したクラスメイトのみんなは温かく俺を迎えてくれて、俺も内心ホッとしていた。 そこにはジュンくんとFの姿はなかった。 話を聞くとジュンくんは、俺があの日記帳を盗った次の日に引っ越していた事が分かった。 そして、Fの机には菊の花が添えられていた。 あの事故で、ガラスの長細い破片がFの喉に突き刺さったらしい。勿論、Fは助からなかった。 家に帰ると、学校で堪えていた涙を大量に流した。 …もしかして、ジュンくんは何か知っていたのか?これは日記帳と何か関係あるのか…?と思い、しまっておいたジュンくんの日記帳を思わず取り出した。 ページを捲りまくり、そういえば最後のページを見ていなかったなと思い、最後のページを捲ってみた。 そこには、「藤○ ○○(Fの本名)」と書かれ、その名前のすぐ下に、棒人間が血塗れになって死んでいる絵と、その横で泣いている棒人間の絵があった。 泣いている棒人間の横には、俺のフルネームが書かれいた。
224 :名無しさん :2009/02/05(木) 10:20:08 ID:royMgtRYO 馬鹿な中坊が自業自得まで読んだ。
225 :名無しさん :2009/02/05(木) 15:35:40 ID:???0 自分が痛い人間だと吹聴したい気持ちはわからん。
226 :名無しさん :2009/02/05(木) 21:03:42 ID:x0N/RI.MO (´・ω・)うわぁ……
227 :名無しさん :2009/02/06(金) 04:23:28 ID:9CjGf4qU0 読後さわやかですねw
228 :名無しさん :2009/02/12(木) 17:45:33 ID:xcANNxhEO >>126 って七人岬(?)っていう七人組の幽霊だったのかも。それに会っちゃうとその七人の中の誰かと入れ代わって、次に誰かと入れ代わるまでは成仏出来ないとかそんなのだったような。 うろ覚えで曖昧だからあまり宛てにはならないけどそんなん。 成仏したいがためにあと五人必要だったのかもしれないですね。
229 :名無しさん :2009/02/12(木) 17:47:57 ID:xcANNxhEO >>228 間違えたorz>>216 でした
234 :名無しさん :2009/03/04(水) 12:34:57 ID:3CjZxnjkO リアルに… 抱き合わせの話って家の話っぽいんだが…
235 :名無しさん :2009/03/14(土) 02:25:16 ID:V5O.j1Tg0 死ぬほど駄洒落にならない話ですかな?
236 :名無しさん1/3 :2009/03/14(土) 14:50:06 ID:vHFKKiys0 この話を時系列に沿って、その全てを語った事は一度しか無いです。 抜粋と形でも、記憶にある限りでは二回だけ。 どうしても長文になってしまうので、分割で書き込みします。 文章とかおかしかったら、済みません。 始まりは夢でした。 私が小学校一年生の時です。 通っていた小学校には、木造の古い体育館がありました。 誰が言い出したのかは知りませんが、床板の節穴から下を見れば 首の無いお地蔵さんや、人骨が見えると噂されていました。 体育館と接するようにお寺さんがあり、フェンスを越えればそこはお墓。 そう言う状況から出来た噂だと思います。 休み時間のたびに体育館の床下を覗き、○○が見えた、××が落ちてた! そう騒ぐのが一年生間で流行ってました。 友達に誘われて、私も見に出掛けた口です。 ある日夢を見ました。 白い着物に、色あせたピンク系の帯を締めた女の人に手を引かれ、歩いています。 背後から母の声が聞こえました。 「その人は人間じゃないから、付いていっちゃ駄目だ。戻っておいで」 その言葉に驚いて、私はその人を見上げました。 見えたのは長い前髪の間からのぞく、形の良い鼻と色味の悪い唇。 妙にざらついた印象の、血色の悪い肌。 「人間じゃないんだ」 そう思った所で目が覚めました。怖いもの見たさの体育館通いは止めました。 私が小学三年生の、冬の事です。 外は雪でした。昼間でも暗かった事を覚えています。 私は窓に向かい合わせる位置で、コタツにあたって本を読んでました。 父親も居たと記憶していますので、日曜日だったと思います。 何の気なしに本から顔をあげ、窓の外へ目をやりました。 窓の外、見上げる位置で我が家の庭を横切る人が見えました。 雪の中白い着物をきて、ピンク色の帯を締めた女の人でした。 俯き加減のため見えるのは、長い前髪の間からのぞく鼻と唇。 今なら「見上げる形でその人を見た」と言う、状況の不自然さもわかるのですが 当時は疑問にも思いませんでした。失礼な人がいるな、程度の認識でした。 続きます。
237 :名無しさん2/3 :2009/03/14(土) 14:51:14 ID:vHFKKiys0 続きです。 小学六年生の話です。 何月かは忘れてしまいましたが、その日は土曜日だったと思います。 居間にはコタツ+でもストーブを焚くほどでも無かったと記憶していますので、 多分十月頃のことだと思います。 姉は部活で学校から帰っておらず、祖母は買い物へ。共働きの両親もいません。 (当時は週休五日制は導入されていない企業が多かったんです) 家には私一人で、お留守番をしていました。 コタツにあたりながら本を読んでいました。本の題名も覚えています。 「日本妖怪大図鑑」、保育園の頃からの愛読書でした。 何気なく本から目をあげた時です。 目の前、一メートル程の位置に女の人がいました。 白い着物も、色あせたピンクの帯も。俯いた横顔も見覚えがあります。 彼女だ、そう思いました。 彼女は目の前を流れるような動きで横切りました。 私は目の動きだけで、ソレを見てました。消えた瞬間は覚えていません。 気がついた時には消えていました。 見てはいけないものを見てしまった、そう思いました。 中学三年の夏、もしくは初秋頃だと思います。 その夜、夢を見ました。 家の居間で、私は彼女に馬乗りになられ、首を絞められていると言う夢です。 人間じゃないから普通に抵抗しても駄目だ、私は必死にお経を唱えました。 夢の中の自分の声に驚いて、目が覚めました。 部屋の中が変でした。妙に静かで、空気が冷たいんです。 右側を下にした横向きで布団にいたのですが、何故か背後の気配がわかりました。 彼女がいます。俯いて、私を見ている。両の手は正座した膝の上。 気配が動きました。おそらくは彼女の右手、それが掛け布団に置かれました。 布団越しなのに、掌どころか指の感触まで腰に伝わってきました。 何をする気だ、と思う間もありませんでした。凄い力で身体を引かれました。 実際私の身体は「く」の字に曲がりました。 腰に食い込む指は痛いし、振り払おうにも身体は動かないし。 怖いと思うよりも、どうすんの!と言う焦りのほうが大きかったです。 何かの弾みで指先が動くと同時に、部屋の空気も含めて異様さは無くなりました。 彼女の気配もありません。慌てて布団から起き出し、部屋の電気を点けました。 時刻は午前二時半、少し前だったと思います。 パジャマを捲り上げ確認したところ、右の横腹に手形がうっすらと見えました。 なんかマズイかも、そう思いつつ二度寝しました。 (しっかり熟睡しました。恐怖心に持久力は無いです) 次でラストです。
238 :名無しさん3/3 :2009/03/14(土) 14:52:12 ID:vHFKKiys0 ラストです。 高校三年の、夏休み真っ最中の日でした。 休日の昼寝は私の習慣で、その日も自室のベッドで寝てました。 因みに中三の時とは別の部屋です。 確かに眠っているのに、部屋の中が見えていました。夢なのかな、と思いました。 ありえない位に部屋の中は明るくて、不自然だったからです。 右手側の、頭を向けている方の天井の角辺りから声がしました。 「いらっしゃい、いらっしゃい。こっちへいらっしゃい」 女の人の声です。妙に私の機嫌をとる様な猫なで声です。 言葉の合間に含み笑いが聞こえました。 言葉につられる様に、私の中から何かが抜け出る感覚がありました。 ベッドに横になっている私と、その私から僅かにズレて重なっている私がいる。 うまく言えないのですが、そんな感じです。 もしかしてコレ、幽体離脱?と思いました。 抜けて出る事に興味はありましたが、この状況ではマズイだろうとも思いました。 おいでおいでと言われる度に、私と私(?)間のズレは大きくなっていきます。 咄嗟にパイプベッドの端に掴まりました。 シーツやタオルケットに触れている感触は両手にあるのに、 同時に鉄を掴んでいる感触も、確かに覚えています。 念仏のように「いやだいやだ、絶対いやだ」と繰り返しました。 耳で自分の声を聞いたと言う覚えが無いので、 頭の中で思っただけか、ズレている私が言った物だと思います。 考え込んでいるかのように、女の人が黙りました。 暫くしてから「チッ」と舌打ちの音。気が付くと私は天井を見上げていました。 あの舌打ちは、今でも鮮明に覚えています。 あれ程憎々しげな舌打ちは、そうそう聞ける物では無いでしょう。 この日以降、彼女の姿は見ていません。気配も無くなりました。 小学一年生の時の、ちょっとしたお遊びが縁を結んじゃったのかな、と思います。 「絶対いや」と言い切ることで、縁が切れたのだと思います。 この体験のおかげで「私メリーさん、今貴方の〜」系は苦手になりました。 怖い、と言うより本当に苦手です。 長文の上に、読みにくい文章でごめんなさい。
239 :名無しさん :2009/03/15(日) 09:53:36 ID:jApcmeIc0 チラシの裏 mixiの洒落怖コミュで読んだ話が怖かった。 あの人このスレに書いてくれないかな。 下北沢の古いアパートを借りたら幽霊の集団に追いかけられたってやつ。
240 :ななし :2009/03/16(月) 13:21:59 ID:QUVSl4SYO 師匠シリーズの田舎後編って無い?気になってしょうがない
241 :た :2009/03/17(火) 07:46:52 ID:yeh.Qqr.O 昔、ウチの叔母さんから聞いた話です。僕の住んでいるマンションに遥ちゃんという当時5歳の女の子がいました。 ある日遥ちゃんはお母さんと買い物に出かけました。 帰り道遥ちゃんのお母さんは偶然友達と合い世間話をしていました。 遥ちゃんはヒマだったので一人で先に帰ると言い出して、お母さんもその場所が家から近い事もあって遥ちゃんを一人で帰しました。 帰り道、お母さんは道路に何か見つけました。 始めはゴミだと思ったらしいのですがよくみると、それには足がついていました。それは遥ちゃんでした。 そこでは轢き逃げ事件があり、頭部は元の顔が確認できない程損傷していたそうです。犯人はその日の内に捕まりましたが遥ちゃんのお母さんはその日から少しおかしくなってしまいました。
242 :た :2009/03/17(火) 08:05:14 ID:yeh.Qqr.O その日から遥ちゃんのお母さんは、外出もせずにベランダから事故のあった場所を一日中ずーと眺めるようになりました。 前からおしゃべりで優しかったお母さんの変わり用が余りにも気味が悪くお母さんは「幽霊」「妖怪」など、近所の子供達から呼ばれ、気味悪がられ、夜中もずーっとその場所を見ているので、 初めてそこを通る人等だけでなく、近所からも「遥ちゃんのお母さんは頭がおかしくなった。」と、噂されるようになりました。 ウチの叔母さんも当時を振り返り「貞子がずーっとこっちを見てるようだった」と言っていました。 そのお母さんには遥ちゃん以外にもう一人子供がいました。当時はその子お母さんに遥の話をしただけで癇癪をおこし、泣き出し、発狂する事もありました。 実際、母からも「貴方がいなかったら自殺していたかもしれない」という半分笑い話を聞かされました。 今、私は二十歳の大学生になりました。今では田舎の一軒家に祖母と祖父と父と弟と母の5人で暮らしています。 遥は私の姉でした。 これは実話で怖い話かどうか分かりませんが吐き出したかったので投稿させて頂きました。
243 :顔 :2009/03/22(日) 20:57:45 ID:FiCeZBC.O 話ブチ切りでうちの姉の話を。 直接本人の口から聞いたわけじゃないんだけど、どうやら霊感があるらしい。 俺が中学生の時の話。 その日学校終わった後、友達のA、Bが家に遊びに来てて、まあ普通の話してました。俺の部屋は二階。 日が沈んだ頃に、そろそろ帰るか〜て二人が話始めた時、バァンと物凄い勢いで部屋の扉が開いた。ひぇええ!?て固まってたら、そこに立っているのは俺の姉。 姉はBを静かに睨みつけて(背もでかくて目つききついから結構迫力がある)、 「…猫13匹。クソガキ、お前どうすんだそいつら。もう体出来始めてるぞ。」 て一言。 瞬間、部屋の中が電気はそのままなのに薄暗くなって、生乾きの犬からするような、生臭い臭いが充満した。 おええって口押さえて屈み込んだら、Bの足元に見えた。もう内臓とか全部ぶちまけたような、三毛だの黒だの茶色だのの血にまみれたグッチャグッチャの死体。本当にグロテスク。血の泡まで浮いてるし。 「おい、お前二度とうちに来るなよ。」 姉が言い捨てて扉を閉めていなくなると、不思議な事にもとの俺の部屋に戻った。 顔面蒼白のAと顔を見合わせていたら、Bが床にへたり込んで言った。 「良いストレス解消法だったんだ…。なんか、甘えてくる猫を残酷な方法で殺せば殺すほどスッキリして…。」 立ってる俺からはBの表情は見えなかったけど、その背中は震えてた。 Bは真面目君を絵に描いたような奴で、普段優しいしとてもそんな事をするような奴には見えなくて、心の底からゾッとしたのを覚えてる。 その後はBと何となく疎遠になった。 それから徐々にBの様子もおかしくなりだして、独り言をブツブツ言ったりとか壁に向かって謝ったりとか。顔つきも憔悴しきっておっさんみたくなってたし。 中2の春にやつは転校してしまったんでその後は知らない。 最近になって、姉にあれは何とか出来なかったのかって聞いた。 「何とでもなったけど、面倒くさいだろ。」 とシラッと言われて、俺はBや猫の怨念(?)よりも、自分の姉の方が怖いと思った。 長文ですみません。 姉の話は色々もっとヤバげなのがあるんですが、基本びびりな俺が直接関わったのはこれだけなのです(汗)
244 :名無しさん :2009/03/23(月) 07:53:15 ID:SDf7pnr.0 私の体験談です。 数年前の春先のこと。3月の下旬になっても内定が決まらず途方に暮れていたときだった。 最終面接まで行ったものの不採用となっていた広告代理店から連絡があり、「急な話なんだけど新卒採用に空きが出たから4月1日から来れるかな?」と言われ未だ就職先が見つかっていなかった私は二つ返事で承諾し晴れて4月から新社会人となる事が決まった。 しかし、今住んでいる場所から職場までは2時間以上も掛かるため、職場近辺で賃貸物件を探そうと、大手の不動産屋をいくつかあたってみたのだが既に新生活の引越シーズンの直後とあって優良な物件は既に借り手がついており物件探しは難航した。 そんなとき職場近くの駅前で格安賃貸物件の張り紙を見つけ気は進まなかったが、新生活が安定したらまた引っ越せばいいさと思い張り紙の不動産屋に当たってみる事にした。 やはり、この時期はなかなか優良な物件は少ないという事だったが、築年数がやや古いもののこの近辺の相場としては専有面積も広くてかなり安い物件を紹介された。 現在、ハウスクリーニングを行っているため室内の見学は出来ないとの事だったがこれ以上、物件探しに時間を割く余裕もなく外装は古くともいい味を出していたので契約する事にした。 始業日まであと5日。今住んでる家の引き払いや引越などを急いで進めなんとか始業1日前の3月31日に新居に入れる事になった。 3月31日夕方、いくら築年数が古いといってもこの地域の相場ではかなり安かったため中はそうとうボロいんだろうと心配しながら新居に到着。 内装は意外と奇麗で塗装を繰り返したコンクリの壁や経年で磨かれたフローリングにもむしろ味があり、不安は吹き飛んだ。むしろここなら長く住んでもいいなと思った。 始業前ギリギリの引越とあって家財道具は翌週の週末に届く事になっており、その日は持参した寝袋で何もない部屋で寝る事にした。 翌日は始業という事でこの1週間の慌ただしい準備の疲れを取ろうとすぐに寝る事にした。 >>>続く
245 :名無しさん :2009/03/23(月) 07:54:44 ID:SDf7pnr.0 >244の続き その夜、ひどい耳鳴りと寝苦しさに目が覚めた。金縛りで体が動かない。しかし私は極度に疲れているときにしばしば金縛りに掛かる体質なので驚く事もなく真っ暗で何もない部屋をぼーっと眺めていた。 次第に目が闇に慣れ部屋の壁や床がはっきりと見えて来た。 丁度私が硬直している視線の先に引き戸のクローゼットがあり、その引き戸が微妙に開いているのが目に留まった。 その引き戸の隙間をただじっと眺めていた。すると微かに、ゆっくりと引き戸が開いて行くように見えるのだ! 私は目の錯覚だろうと思いながら凝視するがやはり僅かずつ引き戸が開いていくように見える。 そして開かれた引き戸の奥の暗闇が永遠と続く闇のように深く見え私は恐怖を感じた。 床で寝ていた私の視線はその僅かに開かれたクローゼットの闇の下部に焦点が合わされたまま硬直していたがその視線の端ではクローゼットの引き戸の上部の闇の中に微かに白いモヤのような物が蠢いているように見えた。 耳鳴りが次第に強くなり、顔に冷たい汗が伝うのが分かった。いよいよ恐怖が極限に近づいたそのとき、私の指先が痙攣するように動いた。 金縛りが解けた!そう感じた瞬間私は急いで寝袋のジッパーを下し立ち上がって電気のスイッチを押した。 しかし電気は点かない。半分パニックになりながら何度もスイッチを押すが反応が無い。 私はそのままの格好で部屋のドアを開け廊下に出た。廊下の電気は点いていて私は何とか冷静さを取り戻した。 廊下の明かりが入るように部屋のドアを開けたまま玄関の電気のスイッチを押してみるが反応はやはりない。 どうやら私の部屋だけが停電のようだ。次に電力会社に電話をしようと考えたのだが部屋の中に携帯を置きっぱなしなことに気付いた。 財布も部屋の中だ、これでは外で時間を潰す事もできない。 私は玄関のドアの下に靴を固定してドアを開いたままにし、廊下の明かりを頼りに部屋の中にあるバッグに向かってダッシュした。 バッグに辿り着くと私はそれを肩に掛け他に目をやらずに玄関にダッシュした。その瞬間、靴がドアの重みに引きずられてドアが閉じ始めた、私はこのドアが閉じたらもうこの部屋から出れなくなるような錯覚に陥り、玄関に辿り着くと慌てて閉じかけたドアを押さえ外に飛び出した。 >>>続く
246 :名無しさん :2009/03/23(月) 07:55:44 ID:SDf7pnr.0 >255の続き その日は駅前の漫喫で朝まで避難する事にした。この事で完全に眼が醒め、眠れなくなった私は朝まで漫画を読み時間を潰した。 朝になると街は騒がしくなり、私もすっかり余裕を取り戻して昨晩の自分の行動を思い出しては思ってた以上に自分がビビリだと気付き苦笑した。 別に「何か」をハッキリ見たわけでもないんだし、たまたまクローゼットが少し開いていた事と停電にパニックになるなんてと。 家に着くとブレーカーを確認。ブレーカーが上がっていた、何て事は無い、エアコンを点けっぱなしで寝ていたんだしそんな事もあるだろうと。 クローゼットは確かに半開きだったが開いて確認をしても問題はない。直ぐにシャワーを浴び着替え職場に向かった。 今気にすべき事は新居のクローゼットなどではなく職場の事だろうと気持ちを切り替えて。 私は自分の行動を自嘲したもののその日以降、夜帰宅すると玄関のドアを開けたまま電気が点くかを確認し、 クローゼットをきっちり閉じてガムテープを外から貼って電気を点けたまま寝袋に顔まで隠して眠るようになった。 やはり、あの日の体験が怖かったのだと思う。 週末、家財が届く予定なのだが急遽仕事が入り彼女に搬入を頼む事になった。 仕事中、彼女から連絡があり「なんで押し入れガムテープで塞いでるわけ?意味わかんないんだけど開けても良いの?」と聞かれ 初日にゴキブリがクローゼットにいたからと適当な理由を言って誤摩化した。 夜、職場を出ると再度彼女から電話が来た。電話の声は昼間の落ち着いた様子とは変って興奮した様子だった。 「今日、あんたのとこに泊まるのやめるわ。ねぇ、あんたさぁ押し入れのあれ何かあったんでしょ?」と再度聞かれた。 だからゴキブリが。。。と説明するが絶対うそ!と彼女は聞き入れない。 「何かあったのか?」と俺が聞くと彼女いわく、シャワーを浴びてる間、シャワールームの磨りガラスの向こうに誰かがいたのだと言う。 寒気が走った。気のせいだろ?と言うが彼女は何度も人影が通り過ぎたと言って聞かない。終いには「あんた幽霊出るの知っててアタシ呼んだんでしょ。」などと怒りだした。 俺も「そんな事言われたら今日帰れないじゃんかよ!ふざけんなよ。」と言い合いになるが一方的に電話を切られてしまった。 その日、家に着くと家財は奇麗に並べられていて夕食も丁寧にラップされテーブルにおかれていた。彼女に申し訳なく思い謝りの電話を入れようとするが繋がらない。電気とテレビが点いているととても恐怖感を感じるような部屋ではなく怖い話の体験談に出てくるような視線を感じるだとか違和感を感じるだとか言う事もないのだがさすがにそんな話を聞くとシャワーを浴びる気にはならず、食事を済ませベッドに入りながらテレビを見ていると初仕事の1週間の疲れがどっときて いつの間にか寝てしまった。 >>>続く
247 :名無しさん :2009/03/23(月) 07:57:03 ID:SDf7pnr.0 >246の続き その夜、再び耳鳴りで眼が醒めた、金縛りだ。しかも点けていた筈の電気は消えている! やはり視線はクローゼットで固定。。。見えるのはクローゼットから垂れたガムテープ。迂闊だった彼女が剥がしたのを忘れて、止め忘れた。 目を閉じる事も出来ない恐怖。徐々に目は闇に慣れて行く。そしてゆっくりとゆっくりとクローゼットの引き戸が開かれて行く。。。 今度はベッドの上なので固定された俺の視線が高い。クローゼットの上部がはっきりと見える。 もの凄くゆっくりと引き戸は開かれて行く。15センチくらいまで開いただろうか、もうこれは錯覚ではない。確かに最初は閉じていたのだから。 開かれるクローゼットの隙間からぼんやりと白い物が見える。それはクローゼットの内側から引き戸に掛かったもの。 指、それは確かに人の指だ。。。指先の第1関節当たりまでしか見えないが4本の指が引き戸に掛けられゆっくりと戸を開いている。。。 声を出そうにも出ない。発狂寸前の恐怖。やがて戸の開きが25センチくらいに達すると今度は真っ黒な何かが見え始めた。 人の頭、髪の毛だ。「それ」はクローゼットの上段に横向きになっているらしい。。。 遂に「それ」の額までが見えた時、ひとつの恐怖がよぎった「こいつと目を合わせてはいけない!」そう感じた瞬間、指が痙攣し、金縛りが解けた。 直ぐに布団を頭まで被った。多分電気はまた点かないだろう。直感的にそう感じ布団の中で丸まって震えていた。 どれくらい時間が経ったのか、必死に布団の中で朝を待った。しかし、しばらくするとベッドのマットレスが沈み込んだ。。。 私以外にこのベッドの上に誰かいる! 勘弁してくれ!消えてくれ!と必死に念じたとき布団が引っ張られるのを感じた。布団の隙間から白いつま先と髪の毛が見える。 私は遂に恐怖の頂点になり気が狂れた。布団を力一杯引き戻し「しつけぇぞコラ!!ぶっ殺すぞてめぇ!」と叫ぶと布団を被ったままベッドをおり、絶叫しながら玄関に走った途中、ソファのオットマンにつまずき転倒すると後ろに布団を投げつけテーブルを蹴倒し振り返る事なくドアを開け廊下に出た自分でもパニックで意味が分からない行動だった。 廊下では照明が点滅し女性のアナウンスが廊下に響き渡る不気味な状況だった。混乱し状況を飲み込めないままエレベーターに向かうがボタンを押しても反応はない。女性のアナウンスはエレベーターの扉の向こうから聞こえてくる。 「エレベーターが故障しました、中にいる方はエレベーターの受話器でメンテナンスに連絡して下さい」というようなアナウンスが流れている。 何がどうなっているかもわからずに階段に向かおうとしたとき、ガチャン!!もの凄い音とともにエレベーターの扉が開くが振り返らずに階段を走り下りた。 外に出ると通りには街灯が点き車が走る日常の光景が見えて安心した。裸足のまま外に出たがもうそんな事はどうでも良かった。 さすがにもう財布も携帯も取りに戻る勇気はなくかといって見知らぬ人に助けを求めようにもこんな話をしたら相手に自分の思考回路を疑われるのは目に見えていたので裸足のまま近くの公園のベンチの上で朝を待った。 朝になるとだんだん「それ」の事を思い出し腹が立って来た、例え霊がいようと人様をビビらすような真似をしやがってふざけるなと、例え何か困ってて俺や彼女にコンタクト取ろうと思ったんだとしてもそのやりかたはどうなのよ?と。 街の人たちからも裸足で薄着の俺を蔑んだ目で見られるし、だんだんと怒りが湧いて来た。 マンションに戻り部屋のドアを開けると私は壁を拳で叩き「まだいるんか!?今度邪魔したらマジで許さねぇぞ!」などと独り宣言し、最低限必要な荷物をまとめ ネットカフェに行った。それから1週間ネットカフェ生活を送り、新たな物件を探し引越を手配し、引っ越した。 やはりあの日の恐怖が脳裏に刻み込まれたのか引っ越してからも未だに独りでは電気を消して眠れない。。。
248 :名無しさん :2009/03/29(日) 16:54:55 ID:???0 小学生の頃の臨海学校のことです。 毎年同じ施設を利用して臨海学校を行なっていました。 なので該当学年になると必ずと言っていいほど上級生から「あの施設の○○号室には幽霊が出るんだよ」という脅しを受けます。 まぁお約束事ですよねw 本気で信じてしまう子もいたけれど、私は複数名から話を聞けば聞くほど部屋番号が違っていたりするので信じてはいませんでした。 私たちグループの部屋は怪談話に出てくる部屋番号のうちのひとつでした。 特に何事もなく日々は過ぎ、帰宅前夜にキャンプファイヤーを行ないました。 部屋から庭に移動して玄関に着いたとき、友人が「しおりを忘れてきちゃった」と言いました。 キャンプファイヤーで歌う歌詞が載っているので持ってくるようにと言われてたんです。 彼女1人が部屋に戻り、私たちは先に庭へ出て行きました。 部屋の窓を見上げると友人の姿が映りました(部屋の電気はつけたままでした)。 私たちは「あぁ、今部屋についたんだねー」と言いながらその姿を眺めていました。 点呼を取りに来た先生が友人の不在に気付いたので「忘れ物を取りに戻ってます」と部屋の人影を指差した。 しかしその先生の背後にはしおりを手に走ってくる友人の姿が…。 驚いて先生と私たちが振り返ると窓の人影はなくなっていました。 部屋は3階だったのでちょっと目を話した隙に庭に移動できるような距離ではありませんし、 友人は部屋を出た直後に立ち寄ったトイレにしおりを置き忘れていたので部屋には行っていない。 その場が悲鳴の渦になったことは言うまでもありません。 私たちはその晩、先生たちにお願いして他のグループの部屋に分散して泊まらせてもらうことになりました。
249 :名無しさん :2009/03/31(火) 00:51:46 ID:a0wlSOKkO 高校生の時の実体験。 21時くらいから雀荘で麻雀打って、夜中の2時前くらいに自転車で自宅に向かってた。 そのときにパトカーが減速しながら路肩に寄ってきた。 僕は『あ〜、夜中だし、制服だし、煙草持ってるし、自転車はどっかから持って来たやつだし、最悪だ…』とか思ってたんだけど、 警察が『はい、そこの2人乗り止まりなさい』 僕は自分の事じゃないと思ったんだけど、周りには自転車いなかったし一応止まった。 んで、パトカーからポリスが降りて来てキョトンとしながら ポ『あ、あれ?さっき2人乗りして…?』 僕『いや、してないっす』ポ『・・・あぁ、気を付けてね。自転車のライトは点けてね。』 って気まずそうに去って行った。 僕の後ろにいったい何が見えていたんだ?
250 :ゆうたろす :2009/04/02(木) 02:14:09 ID:gsa2cQ/UO 師匠シリーズの鋏様ってあるじゃんよ? あれを超怖がりな友達を怖がらせようと思って 自分の町風に改変して話してやったんだよ したらきちゃったんだ。 雰囲気でるかと思って 鋏持ちながら深夜2時頃から電話で話してたんだけど、部屋のドアの隙間から 人影がみえるんだよね ずーっと。 廊下の電気付けっぱなしだったから部屋の前に 人が立つとドアの隙間の一部が影になるからわかるんだよ。 「あぁ。俺んとこにも来たみたい。」 これで友達半狂乱ね。 そこでびっくりしたのが鋏が一切開かなくなったんだ。 おかしいなって思って鋏がちゃがちゃいじってたんだけど全然駄目なの。 友達も電話きっちゃうし今度は俺が半狂乱。 それからずっと耳元から鋏の開いたり閉じたりする音がなりやまない。 誰か俺の代わりに呪われてくれない?
251 :名無しさん :2009/04/07(火) 11:23:40 ID:3VhqB9QI0 「夢の男性」 昨日見た夢を。 実家に帰ってのんびりしていると、外から「人類ばんざーい!」「チベット人虐殺ばんざーい!」とかいう声が聞こえてきた。 またドキュンな奴がいるな、と思っていたら、だんだん声が近くなってくる。 どんな奴だろう、と思い顔を見てやるつもりで外へ出た。 通りの向こうから、原チャリを低速でころがしながら、そいつはやってきた。 20歳前後の男で、手に左手でなにかを振りかざしてながら、叫んでいる。 よく見ると、スプーンを振りかざして、ノロノロと原チャリを転がしてくるのだ。 「あほな奴」と笑いながら見ていると目が合った。 少しイッチャッた目でニヤリと笑ってくる。 そして周りをキョロキョロと見回し、 俺の側でバイクを止め、 すばやくスプーンをポケットにしまい、 代わりにナイフを取り出して俺を刺した。 その間、奴はニヤけたままだった。 自分の笑い顔が歪んだのを感じた。
252 :名無し :2009/04/13(月) 01:15:13 ID:PXh025MkC 中学校三年の夏に起こった出来事。 部活が終わり、くたくたで帰ると夕飯と風呂を済まして直ぐに寝た。 何時もなら三秒くらいしか経ってないんじゃないかと思うくらいの爆睡をするんだが、この日は2時くらいだと思うんだが目を覚ました。 驚くほど目が冴えてたので珍しいなと思いながら瞬きをした瞬間にすごい金縛りに襲われた。 例えるなら深海に沈められて全身を圧迫された感じ。 生まれて初めての金縛りにパニックになってしまった。 なりふり構わずに親を呼ぼうとしましたが全く声が出なくてただただ早く終わってくれと願い続けた。 なんとか終わって暫くは生きた心地がしなかった。 朝起きて気分は最悪。ふと何か違和感を感じたが、時間がなかったのであまり気にしなかった。 その日も遅くまでの部活の疲れから金縛りのことなどすっかり忘れて眠りに就いた。 おそらく2時頃、再び金縛りに襲われた。 流石に二回目なので最初に比べたら落ち着いていた。 しかし今回は全身ではなく体の前半分に圧力を感じた。特に目に強い圧力を受けた。 翌朝、流石に二日続けてはマズイと感じ部屋に漂う違和感を探した。 しかし結局見つけられず眠りに就いた。 正直眠りたくなんてなかったが翌日の部活に響くので正直仕方なかった。 案の定朝を迎えることなく目を覚ました。 起きた瞬間に二日間との違いに気づいた。 ヤバイヤバイヤバイ。 精神的に極限状態に陥ってしまった。 絶望となる金縛り状態になりました。 今回はハッキリと体の上に人ならざる者が股がってる事が解った。 そして首を締め付けられる感覚・・・ もう終わりだと思った。 ゆっくりと意識が遠退きだしたその時にガチャっと扉が開く音がした。 たまたま家族がトイレに起きたために助った。 正直もう眠るのが怖くなって全てに絶望していた時に、ふといつもはあまり気にしない飾り程度の時計に目を向けると、針が止まっていることに気が着いた。 正直驚いた。 ちょうど4時44分44秒で止まってた。 しかしなぜか違和感を感じた。 唖然としてしまった。 なぜなら全ての針がちょうど4を指していたのだ。 普通なら短針は44分の時に4を指すはずがないのだから。 気味が悪くなり直ぐに捨ててしまおうとした。 しかし、なぜか捨ててはいけないと誰かに言われた気がした。 もしこれが原因で金縛りが起きているのだとしたら、もしこの針が止まってしまったために人ならざる者がこの空間に閉じ込められているのだとしたら・・・ 直ぐに時計の針を正しい時間に直した。 すると十秒ほどすると自然と針が動き出した。 それと共に部屋に立ち込めていた違和感を感じなくなった。 翌日からは何事もなく朝を迎えることが出来るようになった。 もしあのまま気が着かずにもう一晩過ごしていたら、謎の声に時計を捨てるのを止められなかったら、今頃この世にはいなかったのかもしれない。 あの声は何だったのか、その時は全く解らなかった。 もうこれ以上の経験をすることは無いだろうとその時は思っていた。 byリアタ
253 :^^おいで :2009/04/15(水) 13:26:51 ID:PUHCFT4g0 すごく好評のブログw ちょっとHでどんどん読んじゃうよ。 更新もしてるからきてみてね^^ ttp://angeltime21th.web.fc2.com/has/
254 :ひっそり無名@ :2009/04/22(水) 18:56:40 ID:y4FFtsZkO ある日のメール。 今日は失踪した兄さんが失踪した(※と思われる)日。もう×年かになるね。気持ちの整理もついたし、兄の日記を見たの。 正直(※失踪時に警○が兄の日記などを見てはいた)、兄とはいえ日記などを見てしまって良いものなのかと思っていた。 今思えば、そう思ってやめていたら良かったのだと思うよ。 兄さんは、もう怪談や都市伝説の類いになってしまったかもしれない。 もっと恐ろしい事を・・・兄さんはしていたかも。 日記は、ある日を境に緑色のペンを使いはじめていた。 「細かくして。埋めた。山だから見付からない。」 「助手席の下に置いた。マットに染みが出来た」等が書かれていた。 兄さんと一緒に車も行方不明 兄さんは車に何を乗せたの??? 「2月23日。後ろにいた埋めたのにおかしい。」 ○察も指摘していた、表紙裏の赤い指紋が気になる。兄さんにしては小さい指紋。 兄さんを探すのがもう怖い。 一番怖いのが今は兄さんです。でも迎えに来るって言っているのでさようならかもしれないの。 ただ発狂なら良かった。 姉さん、私は家出した事にして忘れて、ごめんなさい ・・・妹はそんなメールを私に寄越し、 しました。 (※は、私の補足です) 妹ひっそり無名の書き込みを読んでくれた皆様、ありがとうございました。 まさか書き込み二回で本人も する事になるとは思わなかったようです。 携帯メモに色々まとめていたので、ここに書き込みしました。スレ違いですが、許して下さいね。 ひっそり無名の書き込んだ内容は忘れて下さい。
255 :隣のタブーとアンタッチャブル :2009/04/24(金) 16:53:54 ID:???0 たぶんもう既に幾星霜の歳月が経過しており、この事を話しても構わないと 思うので話そうと思います。日本で人気の某女性歌手のDuty(ドゥーティ) と言うCDアルバムには、オカルトの黒魔術とBGMに聴覚サブリミナルが仕掛け られています。私はその歌を聞いていてその仕掛けに引っ掛かってしまい、 オカルトの壮絶な怪奇体験をしました。そのCDを聞いていて重く固く口を 閉ざしているだけで、私と同様の体験をした人達が水面下で氷山の下で必ず たくさんいるはずです。闇の中の真相を明らかにすべきです。私は明らかに 霊感が鋭かったです。恐らくサイコメトリック能力を持っている可能性が 高いです。皆さん、これは私の創作や妄想ではなく私自身の身の上に起きた 本当の話です。全て実話です。さようなら。
256 :隣のタブーとアンタッチャブル :2009/04/27(月) 07:18:01 ID:???0 すみません。先に書いた文章加筆訂正します。これは私が過去に体験した空 前絶後の衝撃的な恐怖体験話について、自分に自責の念と良心の呵責があり こちらに書きこみをしました。また、以前に自分の気持ちを整理する為に裏 社会(アンダーワールド)からオカルト、都市伝説等まで取り上げる男性向 けの某ネオ実話誌の編集部に、自分の恐怖体験話をなるべく公平な客観的な 視点で冷静に長い手紙を書いて送ったら、そちらの編集部の方々は自分の手 紙を読んで滅茶苦茶驚愕してびびっていたみたいでした。
257 :名無しさん :2009/04/27(月) 20:55:14 ID:???0 どこに書けばいいかわからなかったからここに書くけど part209の上から二番目と三番目の「熊退治」と「処置室」の内容が同じになってる
258 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:18:36 ID:???0 アパートの部屋に戻って一服していると、ドアをノックする音がする。 ・・・もう、こんな時間か。 ドアを開けると大家のオバサンが若い女を伴って立っていた。 「金子さん、悪いけど、また、なっちゃんをお風呂に連れて行ってくれる?」 「いいっすよ。それじゃあ、なっちゃん、俺と一緒に風呂に行こうか?」 築40年以上のそのアパートには風呂がなかった。 最寄の銭湯まで歩いて10分ほど。 鼻歌を歌いながら歩いていた奈津子が俺の手を握ってくる。 手を握り返して顔を向けると、奈津子は童女のような笑顔を見せて握った手を振る。 半田 奈津子・・・彼女が今回の俺の仕事のターゲットだった。 『仕事』とは、要するに奈津子の拉致だった。 乗り気のしない俺は、一度はこの仕事をキャンセルした。 しかし、結局、シンさんの強い要請でこの仕事を請けることになったのだ。
259 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:19:30 ID:???0 半田 奈津子は20代女性。 家族構成は母親の半田 千津子と母一人、子一人。 彼女の戸籍に父親の名はない。 半田親子は奈津子の幼少の頃から、生活保護を受けながら、このボロアパートに住んでいた。 顔写真の奈津子は愛らしい顔立ちをしていたが、何処となく違和感を感じさせた。 資料によれば、奈津子は知能に少々問題があり、療育手帳も受けていた。 母親の千津子は日常生活に問題はないと言う話だったが、読み書きが殆ど出来ないと言う事だった。 病弱で寝たり起きたりの母親と知能障害を抱えた娘の世話をしていたのは、アパートの大家でもある某教団信者の女性だった。 半田親子も、母親が元気だった頃からその教団の信者だった。 娘の奈津子には、教団斡旋による韓国での結婚式の話が持ち上がっていた。 その地区を取り仕切る教団幹部の強い勧めと言うことだった。 確かに、問題の多い教団ではあった。 教団の布教方法や霊感商法、人身売買の疑いも囁かれる『合同結婚式』で韓国に渡った多数の日本人女性の失踪・・・ 半田親子の入信の経緯も自由意志によるものだったのかは怪しい。 だが、社会の片隅に放置されていた親子に救いの手を伸ばす者は、その教団・信者だけだったのも事実だ。 家族の依頼による奪還ならまだしも、余りに理のない行為に思えた。 頭の弱い女一人を拉致するなど、半日もあれば済む仕事だろう。 誰の、どんな目的による依頼だかは知らないが、そこらのチンピラに金を握らせれば簡単に片が付く。 少なくともキムさんや、ましてやシンさんが手を下すべき類の仕事にはどうしても思えなかった。
260 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:21:10 ID:???0 再度、この仕事を要請してきたシンさんに、俺は「何故、俺なんですか?」と尋ねた。 「訳あって、任せられる者がいないんだ・・・何とかなりそうなのは君くらいしか思いつかなかった。 キムやマサには、この仕事は無理なんだよ・・・それに、色々と問題があってね」 シンさんは半田親子に付いての別のレポートを俺に渡した。 レポートによれば、シンさんたちは半田親子を20年以上に渉って監視し続けていたことになる。 レポートを読み進めるに従って、俺の背筋には冷たいものが走った。 レポートの内容が正確ならば、一見、人畜無害に見えるこの親子は恐るべき存在だった。 果たして、俺に勤まるのか? キムさんがシンさんに促されて「どうしても無理なとき、少しでも危険を感じたら躊躇なく使うんだ」と言って、黒いヒップバッグを渡した。 中には油紙と新聞紙で厳重に梱包されたオートマチック拳銃と予備弾倉が入っていた。 ・・・ありえねえ!・・・正直、俺は目の前に現われた物と、これを「使え」と言うキムさん達にドン引きしていた。 戸惑う俺に、銃の説明と一緒に、キムさんは半田親子が監視されるようになった経緯を話し始めた。 話はキムさんとマサさんの修行時代、呪術師として駆け出しだった頃に遡る。
261 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:21:59 ID:???0 ある時、シンさんの属する組織にある依頼が舞い込んだ。 それは、ある呪術師の抹殺だった。 その頃、複数の有力者に雇われた数グループの呪術師が、呪詛と呪詛返しを仕掛け合う『呪術戦』を繰り広げていた。 実際には、高い地位に上り詰め、権力の座に座るような強運の人物に対する『呪詛』を成功させるのは、ある一定の条件を満たさないと非常に困難だと言う事だ。 宿業や運気が下降局面に入った所で、マイナスの流れを加速させる形で行わないと呪詛の効果は現われないらしい。 呪詛によって滅ぼされる者は、ある意味、『運』や『功徳』を使い切って、滅びるべくして滅ぼされて行くのだ。 それ故に、天運を味方に付けている者、宿業や運気の上昇局面、絶頂期にある人物に呪詛を仕掛けて成功させることは難しい。 だが、その『呪術戦』は、権力闘争に勝利して絶頂期にあった、ある男の死によって一旦終息した。 古くからの日本の呪術師グループには、いくつかの不文律が存在するということだ。 例えば、国を導く重要人物を、権力闘争の為に『呪殺』することは基本的にしないらしい。 そこが、呪術師が『呪殺』を用いて権力闘争に積極的に加担し、国と民族を導く資質を持った『指導者』を根絶やしにして亡国を加速させた朝鮮との決定的な違いらしい。 いわば、呪術師間での暗黙の馴れ合いなのだが、その男の死は『不文律』に反するものだった。 また、その男を守護していた、『業界』でそれなりに名の通った呪術師も命を落としたということだ。 更に、他の有力者に付いた呪術師にも、呪詛によると思われる変死・事故が相次いだ。 無差別に呪詛を撒き散らし始めた強力で危険なその呪術師を、呪術界、少なくとも関与した呪術集団は放置できなくなった。 そして、『仕事』以外では、呪術師相互で呪詛は仕掛け合わないという、『不文律』に従わない危険人物を消す仕事が、シンさん達の属するグループに回ってきたのだ。
262 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:23:52 ID:???0 かなり古い成り立ちを持つシンさん達のグループは、『呪殺』も受け持つ専門の呪術師を抱えていた。 榊という日本人呪術師だ。 国内の呪術集団には横の繋がりがあり、この国を亡国に導く『危険人物』に協力して呪殺を仕掛けることも、ごく稀にだがあるらしい。 また、呪術師や呪術集団が、他の呪術集団に属する呪術師を雇ったり、大掛かりな呪法への協力を依頼することも、そう珍しい事ではないようだ。 シンさん達のグループの『呪殺師』だった榊は、キムさんとマサさんの『師匠』の一人でもあった。 榊は、シンさんの属する呪術グループに何代も属し続けた強力な呪術師家系の出身者だった。 困難ではあったが、榊は確実にこの仕事を遂行する力を持っていた。 しかし、榊は自らが所属する呪術師グループと日本の呪術界を裏切った。 消すべき相手の『呪術師』を連れて逃亡したのだ。 榊が連れて逃げた『呪術師』、それが半田 千津子だった。 関係した呪術師グループや裏社会の人間に追い詰められた榊は最悪の行動を取る。 依頼者や関係呪術師グループの秘密をネタに彼らを脅迫したのだ。 依頼者のプライバシーや秘密に深く関わる呪術師・祈祷師としては最悪の、そして命取りの行動だった。 更に、榊はシンさん達のグループが保有していた呪術や呪物のデータを手土産に某教団の下に走った。 どうやら、日本国内の『呪術・呪物』の情報と引き換えに、政・官・財界に深く食い込んだ、韓国発祥の某教団に千津子の安全の保障を求めたらしいのだ。 その話を聞いて、俺はあることに思い当たり、キムさんに尋ねた。 「もしかして、例の『鉄壷』の情報も、榊から件の教団に渡ったものなのですか?」 以前、俺が関わった、朝鮮民族の生命を生贄に、日本皇室を滅ぼさんとした呪詛の呪物である『呪いの器』 封印場所から、何者かの依頼を受けた韓国人窃盗団の手により盗み出された『鉄壷』は、盗品屋の柳から問題の教団の幹部だった西川達の手によって奪われた。 状況から、韓国人窃盗団に『鉄壷』の盗み出しを依頼したのも西川達だったのだ。 「その可能性は否定できないな。まあ、他のルートからの情報に基づいたものかもしれないが。 奴らは、あらゆる方面から、呪術や呪物、『能力者』の情報を収集しているからね」
263 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:24:49 ID:???0 その教団に対する俺の評価は、宗教を隠れ蓑にしたマルチ商法の集団という程度のものだった。 政・官・財界に深く食い込んでいるのも、結局の所、世俗的・経済的利益追求の為と思っていたのだ。 だが、俺がキムさんに雇われるテストケースとなった事件で、信者から運気を奪い取る邪法を仕掛けていたカルト教団と同様、この教団の闇も深かった。 問題のS教団の最高権力者である名誉会長は色欲と名誉欲、金銭欲にまみれた下種な俗物でしかない。 今回のT教団の韓国人教祖夫妻もまた、それなりのカリスマ性はあるのかも知れないが、色欲会長と同等以下の俗物にしか見えなかった。 しかし、T教団はS教団と比較にならない位に、危険で根深い団体なのだということだった。 T教団は成立当初から、単なる宗教団体の枠を超えた存在だった。 戦後、アメリカはソ連・中国・北朝鮮・ベトナムといった社会主義国を包囲する為に、全アジア地域に対する反共軍事同盟を結んだ。 更にアメリカは公然たる軍事的、外交的活動の陰で、CIAという巨大な諜報・謀略機関を使い、各国の財界、政界、軍隊、警察から右翼やヤクザに至る反共勢力を集めた。 世界各地で露骨な反共運動、密かな謀略活動を行わせ、気に入らない政府を流血のクーデターで転覆させ、指導者を暗殺した。 この、アメリカの国策による反共産・社会主義の流れの中で誕生したのが韓国・P政権であった。 T教団は、宗教団体であると同時に、韓国における反共活動組織として、韓米両政府の力をバックに急成長したのだ。 その頃の日本政府も、国鉄労組による左翼活動や安保闘争などに手を焼いていた。 米CIAにとっても、安保闘争におびえた日本の支配層にとっても、共産活動に対抗する、既成右翼勢力ではない新しいタイプの反共団体が必要であった。 特に献身的・無条件に、疑いを抱かず、盲目的に反共活動だけに専念する若いエネルギーが求められた。 そこで目を付けられたのが、韓国においてキリスト教原理主義のもと、数多くの若者が献身的に活動しているT教団だった。 日本に上陸したT教団は、政界・財界・警察を中心とした官界に根深く浸透していった。 国家による暗黙の下、T教団はキリスト教の外皮と呪術的手法により、日本社会を広く深く浸食していった。
264 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:26:44 ID:???0 当初から、日本の宗教界・呪術界はT教団を危険視していた。 韓国政府とキリスト教系宗教団体であるT教団が、ユダヤ・キリスト教『汎世界エスタブリッシュメント』と深く結び付いていたからだ。 T教団の使命は反共工作活動と同時に、宗教と言う『麻薬』により、彼らの支配の障害となる、各国の愛国者を骨抜きにする事にあったのだ。 そして、『皇室』を頂点として強力な霊力・呪力を有し、壊滅的敗戦によっても彼らに併呑されない日本と言う『特異国家』に於いては、更にもう一つの使命が与えられていた。 それは、日本の宗教界・呪術界に浸透し、日本民族の精神世界を破壊・荒廃させ、日本国の霊力・呪力を破壊することだった。 そもそも、T教団の『日本は悪魔の国、天皇・皇室はサタンの化身、日本民族は朝鮮民族に奉仕する奴隷・・・』等といった教義は、それ自体が日本と言う民族国家に対する呪詛そのものと言える。 『子』である日本人自身に日本の神々を誹謗させ、日本民族が受け継いできた精神世界を否定させる・・・T教団の教義に多くの日本人を帰依させることは、何よりも強烈な呪詛なのだ。 敗戦後の神道指令や新憲法下の宗教制度などにより、世俗的な力を奪われた日本の伝統宗教界に、T教団のような『侵略的カルト』に対する抵抗力は残されていなかった。 政界・財界・警察などの力をバックに持ったT教団とその信徒、彼らの走狗である在日韓国人たちが日本の宗教界に浸透し、跋扈するようになった。 彼らの浸透した教団の殆どが、下劣な世俗的欲望に支配されたカルト教団へと成り下がっていった。 程度の差こそあるが、日本の宗教団体・・・信徒数1000人を越える規模の教団で、T教団の浸透を受けていない教団はほぼ皆無と言う事らしい。 前述のS教団もT教団の浸透を受け、乗っ取られてカルト教団へと堕落した数多の教団の一つに過ぎないのだ。 T教団は、多種多様な下部組織やダミー団体を使って、大学のキャンパスや企業、官公庁などで形振り構わない信者獲得を図った。 社会的軋轢や批判を敢えて受けながら広範囲の人材を漁ったのには、もちろん、資金源や世俗的な影響力確保の意味合いもあった。 だが、それと同時に、霊力の平均値が高い日本人にあって、特に霊力・呪力の強い人物を探し出す事も重要な目的だったのだ。 T教団は、日本の宗教・呪術組織の何処よりも、広範囲に『能力者』の情報を収集・保有している組織だということだ。 霊感商法と並んでT教団を有名にした社会問題に、信徒女性を韓国に渡航させての『合同結婚式』がある。 この人身売買も疑われる『結婚式』に参加して、韓国で行方不明になった日本人女性は7000人に及ぶという。
265 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:28:27 ID:???0 なぜ、女性が狙われるのか? それは、遺伝的に霊能力を集積・定着し、次の血脈に伝えるのは女性に他ならないからだ。 強い霊力を持つ日本女性の血に、朝鮮の呪術の血を注ぎ、より強力な呪術の血を作り出す事が目的だと言うのだ。 理由は定かではないが、日韓(朝)の『能力者』同士の混血は、同民族同士の場合よりも、非常に強力な『能力者』を生み出すらしい。 古くからの呪術や霊能の家に生まれた『能力者』は保護されており、各々の家や所属する組織によって能力をコントロールする術を学んでいるので左程問題はない。 だが、突然変異的に強い霊能力や呪術的な力を持って生まれてしまった者は、その力が強ければ強いほど、通常の日常生活や社会生活が困難になる。 そのような人物を力を削ぎ落とされた日本の呪術・宗教組織が逸早く発見して把握・保護する事は、都市化や地縁社会の解体された現在では非常に困難となっている。 かかる状況下で放置された能力者が、救いを装うカルトに絡め取られる事例は少なくない。 自らの能力に苦しめられた能力者が、居場所と庇護を与えられ、自己の存在価値を認められることによって教祖と教団に依存し、帰依してしまうのだ。 如何わしいカルト教団の中に強力な能力者が散見されるのは、このような事情によるらしい。 韓国で行方不明になった日本女性の中には、こうした『突然変異的能力者』が数多く含まれていると見られている。 また、日本国内の呪術・宗教組織が『能力者』或いは『潜在的能力者』として把握、監視していた人物も含まれていると言う事だ。 T教団には、韓国内の数多くの呪術師や霊能者が幹部、或いは協力者として加わっている。 むしろ、呪術団体としてのT教団の運営者は、『汎世界エスタブリッシュメント』の走狗である彼らだと言った方が正確なようだ。 同胞である韓国人を犠牲にすることも厭わない彼らに反抗して消された韓国人呪術師は多く、日本やその他の外国に逃れた者も少なくない。 日本の呪術団体に所属し、日本の為に働いている韓国人呪術師は多い。 韓国の呪術界から『チンイルバ』として指弾される彼らには、『エスタブリッシュメント』の走狗となって同胞を生贄にする事を厭わない者達に反抗し、祖国を追われた者も少なくないのだ。
266 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:29:39 ID:???0 追われる立場となった榊がT教団の下に走ったのはある意味、必然だったのだろう。 いや、経緯を監視していたT教団の方から榊に接触した可能性もあった。 シンさん達の呪術グループは、裏切り者であり、強力な『呪殺』の術と力を持った榊を放置する事は出来なかった。 キムさんとマサさんは、ある呪法に加わって、師匠である榊に呪詛を仕掛けた。 強力な呪術の血を引き、卓越した呪術の力を持つ榊も、強力な呪力の『源泉』を持つマサさん達には勝てず命を落とした。 榊が死んで直ぐに、T教団とシンさん達の間で手打ちが行われた。 詳細は判らないが、T教団は千津子の呪力を封印し今後一切、呪詛を行わせない事。 シンさん達のグループは、千津子やT教団の幹部に呪詛を仕掛けない事が取り決められたらしい。 千津子はT教団の手により保護された。 だが、直ぐにとんでもない事実が明らかになった。 千津子が妊娠している事が判ったのだ。 千津子はある強力な呪術の血を受け継ぐ女だった。 そこに榊の強力な呪術の血が加わったのだ。 千津子の呪術の血は、ある特殊な由来を持つ血脈に属していた。 この上なく危険な呪術の『血』が、最も危険な団体の手に落ちたのだ。 シンさん達は、千津子と彼女の娘を監視し続ける事になった。
267 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:31:00 ID:???0 奈津子は小学校に上がるまでは、多少の知恵遅れはあったものの、普通の子供だった。 だが、彼女の『能力』の萌芽は凄まじかった。 知能の遅れや動作の遅さ、貧しい身なり等の為か、奈津子は悪童達のいじめのターゲットにされていたようだ。 だが、奈津子は悪童達のいじめや、級友たちの無視にあっても泣かず、いつもニコニコしているような子だったらしい。 ある時、奈津子の通っていた小学校で学芸会が行われた。 クラス全員が体育館のステージに上がって合唱を行う予定だったらしい。 この日の為に、千津子はアパートの大家に手伝って貰いながら、奈津子の為に白いワンピースを縫い上げたそうだ。 奈津子はこのワンピースを着る日を楽しみにしていたようだ。 学芸会の当日、奈津子は千津子に手を引かれて学校へ向った。 親子が学校の正門に続く坂道を上っているときに事件は起きた。 石垣の上に待ち伏せていた悪童達が、親子にバケツで泥水を掛けたそうだ。 奈津子の白いワンピースは悪臭を放つドブの汚水に染まった。 この時ばかりは奈津子も大泣きし、そんな娘の姿を見た千津子も泣いたということだ。 アパートの大家は千津子を連れて学校に猛抗議した。 だが、校長と担任教師は悪童の味方をし、悪童の親の一人はかなり侮辱的な言葉を千津子と大家に吐いたようだ。 大家と千津子の涙を見た奈津子は、唖のように黙り込んで外界に反応を示さなくなり、2週間ほど学校を休んだ。 奈津子が自閉していた2週間の間、悲劇が連続して起こった。
268 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:33:12 ID:???0 奈津子の通っていた小学校では、普段、『登校班』を組んで持ち回りで保護者が子供達を校門まで引率していた。 そんな『登校班』の列に暴走した乗用車が突っ込んだ。 事故は、当時頻発していたAT車の操作ミスによる暴走事故の一例として、報道もされたようだ。 車が大破するほどの事故だったのにも拘らず、突っ込まれた登校班で死亡したのは3人だけだった。 奈津子に泥水を掛けた男子児童2人と、暴言を吐いた母親だった。 更に、奈津子のクラスの児童が次々と謎の高熱を発して倒れ、一人の児童が死んだ。 いつも奈津子に意地悪をする中心となっていた女子児童だった。 事故のためか、『何か』に脅かされた為かは判らないが、女児が死んで直ぐに校長が奈津子のアパートを訪れ、千津子に謝罪した。 だが、翌日から校長は学校を欠勤し、2日後自宅で首を攣っているのを家族に発見された。 校長が死んで直ぐに奈津子のクラスメイトの高熱は下がった。 後遺症の残った児童もいたようだ。 自閉から回復し、再び登校し始めた奈津子を見る周囲の目は一転した。 奈津子は恐怖の対象となっていった。 いつもニコニコして、感情の起伏のない奈津子だったが、一度感情に火がつくと彼女の周囲では死が相次いだ。 千津子が『力』のコントロールを教えたのか、中学の特殊学級を卒業すると奈津子の身辺での変死は起こらなくなった。 だが、レポートに並ぶ数々の変死の実例から、拉致の強行は余りに危険で不可能に思えた。 俺は偽名を名乗って、奈津子の住むアパートに入居した。
269 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:34:55 ID:???0 アパートに入居した俺は、住人による監視の目に晒されていた。 彼らの視線に気付かない振りをしながら、俺はまず、住民の中に溶け込む事に集中した。 やがて、俺に注がれる警戒の視線は弱まり、半田親子との接触も増えていった。 住民と半田親子を観察していて気付いた事があった。 大家を始め、このアパートの住人は、一癖も二癖もある連中ばかりだった。 半田親子が彼らの監視・保護下にあるのは間違いなかった。 しかし、そんな住民達の奈津子へ向ける視線は監視と言うには少々違和感のあるものだった。 教団の指令?や奈津子の『力』への恐怖ではなく、彼女は住民に愛されていたのだ。 奈津子は、立振舞いが少々幼く、言葉も上手くはなかったが、澄んだ目をした女だった。 ありがちな容貌上の『歪み』もなく、見た目は魅力的で健康な普通の女であり、一目見ただけは精神の遅滞など感じられなかった。 人懐っこい無邪気な彼女の笑顔は、人の気持ちを安らがせる不思議な魅力があった。 母親の千津子もそうだったが、この親子の柔らかい雰囲気は人を癒す不思議な力があった。 溶け込んでみると、このアパートには奈津子を中心に居心地の良い幸せな空間が形作られていたのがわかった。 半田親子には、『呪殺』を生業にした恐るべき呪術者の血筋である事、多くの人を死に至らしめた『能力者』の片鱗も見られなかった。 俺自身が奈津子に癒され、当初の目的を忘れかけていた。
270 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:35:57 ID:???0 入居して直ぐに、俺は、サポート役との接触の足として、中古のGB250を手に入れた。 ある日、アパートの前でバイクの整備をしていると、いつの間にか奈津子が近くにしゃがみ込んで、興味深そうに俺の作業を見守っていた。 工具を操る俺の手の動きを目をくりくりさせながら追う様子が愛らしい。 整備が終わった所でキーを挿し、セルを回してエンジンを始動させると、奈津子は「おおっ」と言って手を叩いて喜んだ。 俺は奈津子に「乗ってみるかい?」と声を掛けた。 奈津子は、首を傾げてちょっと考え込むと「うん!」と答えた。 俺は「ちょっと待ってな」と言って、部屋から紫のサテンに鳳凰の刺繍が縫い込まれたスカジャンとヘルメットを持ってきた。 痩せて小柄な奈津子には両方とも大きすぎたようだ。 奈津子の細い肩から上着がずり落ちそうだ。 ヘルメットはどうしようもないので、頭にタオルを巻かせ、アパートの廊下に転がっていたドカヘルを被せて俺達は出発した。 バイクに乗せてから、奈津子は急速に俺に懐いていった。 時々奈津子を後ろに乗せて、走りに出るのが俺にとっても楽しい時間になっていた。 俺は奈津子用のヘルメットを買い与え、紫のサテンの色が気に入ったらしい奈津子にスカジャンも与えた。 奈津子はバイクに乗るとき以外も、サイズの合わないだぶだぶの上着を着て歩くようになった。 こうして、俺は、半田親子の中に入り込むことに成功した。
271 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:37:41 ID:???0 奈津子が俺に懐くようになって、他の住民たちとの関係も急速に好転した。 だが、同時に異変も起き始めていた。 深夜、時々『怪現象』が起こるようになってきたのだ。 電化製品の誤作動や停電、人が近づくまで鳴り止まないピンク電話・・・ 金縛りにあった俺は、女のすすり泣く声を聞いた。頭の中に響いてきたその声は、奈津子の声だった。 どうやら、他の住民達も、形や程度は様々だが、各々『怪現象』に見舞われていたようだ。 耐えられずにアパートを出て行った者もいた。 だが、古株の住人達は慣れていたらしく、慌てる者は居なかった。 深夜の怪現象にも拘らず、昼間の奈津子は、いつもと変わらずニコニコと笑顔を振りまいていた。 やがて、怪現象の原因が判ってきた。 現象が起こるのは、決まって、ある男が半田家に立ち寄った日だった。 この男こそが、奈津子に韓国での結婚話をしきりに勧めていた飯山という教団幹部だった。 飯山は強い調子で半田親子に奈津子の結婚を迫っていたようだ。 大家が間に入って親子を庇っていたようだが、教団に庇護されて生活する身で、これ以上の抵抗は不可能だった。 飯山の訪問の頻度が上がるにつれて、半田親子は心労のためか暗い表情を見せるようになった。 俺は奈津子をバイクに乗せて、近くの川まで花見に連れ出した。 同じアパートの住民の男が開いている露店でタコヤキを買って、露店のベンチで食べながら俺は奈津子に言った。 「なあ、なっちゃん。嫌な事は嫌だと言わないと判って貰えないよ? 俺もアパートのみんなも、大家のおばさんだって、皆なっちゃんの味方だよ」 露店の親父もうなづいている。 「自分の気持ち、正直にあのオッサンに言ってみなよ。そうしないと、いつまでも終わらないよ?」
272 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:38:36 ID:???0 数日後、飯山が半田家を訪れた。 俺は室内の様子を伺いながら、踏み込むチャンスを待った。 やがて、飯山の怒声と奈津子の泣声が聞こえて来た。 俺は、部屋に踏み込んだ。 「何だ、君は!」 「その親子の友人だ。アンタいい加減にしろよ?この親子がアンタの持ち込んだ結婚話を嫌がって拒否してるのが判らないのか?」 「信仰上の問題だ。我々には信教の自由が保障されている。部外者の口出しは遠慮してもらいたい」 「憲法20条1項ってやつだな」 「判ってるじゃないか」 「だが、憲法は24条1項でこうも言っている。婚姻は両性の合意のみに基づいて成立するってな」 「・・・」 「この親子はアンタの持ち込んだ結婚話を嫌がっている。アンタ達の合同結婚式は社会問題にもなっているよな? 知的障害を抱えた親子を、その意思に反して引き裂こうと言うアンタ達の行いは、被害対策弁護団やマスコミのいいネタだろうな」 「・・・」 「この親子から手を引けよ。それがアンタの地位と教団の名誉を守る最善の道だ。これ以上無茶を言うなら出る所に出るぞ?」 しばしのやり取りの後、飯山は怒りに煮え滾った視線を俺に向け、親子に「悪いようにはしないから、もう一度よく考えなさい。また来る」と言って出て行った。 部屋の片隅で、涙や鼻水で顔をぐしゃぐしゃにした奈津子が肩を震わせていた。 俺が奈津子の頭を撫でながら、「あのオッサンに嫌だと言ったんだな?よく言えたな、偉いぞ!」と声を掛けると、奈津子は俺の胸に抱きついてきて、声を上げて泣き出した。
273 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:40:33 ID:???0 それから数日間は、飯山も姿を見せず、平穏な日々が続いた。 だが、このまま平穏無事に事態が終息するとは思えない。 俺は警戒を強め、計画の実行の機会を探っていた。 そんな時に、サポート役の男から『緊急事態が発生した。早急に接触したい』連絡が入った。 バイクを引っ張り出してエンジンを掛けようとすると奈津子が玄関から出てきてきた。 俺が「悪いな、これから用事があるんだ。また今度な?」と言うと、 奈津子は首を振りながら「お姉ちゃんが、行っちゃダメだって言ってる。行かないで」と言う。 だが、俺は「ごめんな」と答えて出発した。 奈津子の言葉が気にならないではなかった。 だが、奈津子の言う「お姉ちゃんを」アパート住民の水商売の女性と誤解し、彼女が飯山の再訪を警戒して言ったのだと俺は思い込んでいた。 俺の留守中の守りは、タコヤキ屋の男に任せてあった。この男は教団信者でもなく、信用できる男だった。 少なくとも、サポート役として派遣されてきている男よりは信用していた。 俺は指定された場所へとバイクを飛ばした。 サポート役として派遣されてきていた男は佐久間と言う日本人だった。 シンさんの配下ではなく、木島の関係者だった。 話をしていて、この男が、韓国人でありながら組織で重要な地位を占めるシンさん達に良い感情を持っていないことが判った。 また、呪術や霊能といった『能力者家系』ではなく、一般家庭の出身である俺を見下していることも肌で感じられた。 俺は、佐久間を信用できず、最悪、フォローなしの単独での計画実行を覚悟していた。 だが、強攻策に出れば半田親子がどんな反応を示すかわからず、シンさんに渡された拳銃を使用するような事態は絶対に避けたかったので、正直、手詰まりの状態でもあった。 40分ほどバイクを走らせると、俺は指定場所に到着した。
274 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:41:34 ID:???0 デイマースイッチでライトを点滅させると、前方のセダンから3人の男が出てきた。 一人は佐久間、後の二人は知らない顔だった。 一人はガタイも良く、荒事にも慣れていそうな雰囲気だった。 もう一人は初老の男性で、体躯は貧弱だが、狡賢そうな油断できない雰囲気を漂わせていた。 俺は佐久間に「緊急事態とは何だ?この二人は何者だ?」と語尾を強めて尋ねた。 すると、初老の男が口を開いた。 「金子さん・・・いや、・・・さんでしたね。あなた方の計画は佐久間さんから聞いて、貴方があのアパートに入居する前から知っていました」 「佐久間、テメェ・・・」 「お怒りはごもっとも。しかしですね、佐久間さんも、あなたも、あの韓国人たちに『拉致』なんて汚い仕事を押し付けられた訳ですしね。 韓国人の手先となって、日本人のあなた方が同じ日本人である半田奈津子さんの拉致に手を染める事に良心の呵責はありませんか?」 「・・・」正直、痛い所を突かれて俺は沈黙した。 「我々は半田さん親子をこれまでもお世話して来ましたし、これからもお世話し続けるつもりです。 奈津子さんの結婚話も、先方は奈津子さんを大変気に入っておりまして、お母様の千津子さんも韓国に呼び寄せて面倒を見たいとおっしゃっています。 このまま日本にいて、あなた方の下に行ったからといって、あの親子が幸せになれる保障は、失礼ながら無いと思いますが? 配偶者を得て子供を生む・・・女性なら誰でも望む当たり前の幸せを、私どもの許を離れた奈津子さんが得られる可能性は低いのではないでしょうか?」 この男の言葉は、俺がこの仕事を請ける以前から葛藤してきた事、そのものだった。 俺の心は揺れた。
275 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:42:29 ID:???0 そんな俺の迷いを突く様に男は言葉を続けた。 「任務を放棄すれば彼らの事だ、奈津子さんのお父様の榊氏のように、あなた方の組織は貴方や佐久間さんを消しに掛かるでしょう。 しかし、ご心配ありません。 我々も強力な呪術師や霊能者を多数抱えておりますし、あなた方の組織と交渉して半田千津子さんの時と同様に『不可侵条約』を結ぶ事も可能です」 俺は黙って男の言葉を聞いた。 反論しない俺の様子に満足したのか、更に男は言葉を続けた。 「佐久間さんは何代も続く立派な祈祷師の家系のご出身です。 あなたも、これまでの仕事振りから、相当な素質の持ち主だと思われます。 しかし、あなた方の組織は、あの韓国人たちに牛耳られて、日本人のあなた方は不当に軽んじられているのではないですか? 佐久間さんは立派な血筋なのに正式な祈祷師・呪術師の地位を認められてはいませんし、貴方はキム氏の会社の従業員扱い。 危ない仕事に数多く関わられているのに、『組織』の正式メンバーですらないですよね? 失礼ながら、正当な評価とは思えません。 もし我々に力添えしていただけるのであれば、正当な地位と報酬を約束させていただきます。 貴方の才能を伸ばすべく、『修行』のお手伝いもさせていただけると思います。 佐久間さんからは快諾を頂いております。貴方も是非に!」
276 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:43:14 ID:???0 男の言葉には納得できなかったが、反論の言葉も見つからなかった。 そんな俺の脳裏に『行ってはダメ』と言う奈津子の言葉と、何故かアリサの顔が浮かんだ。 俺は迷いを払って言った。 「俺は別に拝み屋になりたいとも、組織で地位を築きたいとも思っていないんでね。 まあ、給料やギャラは、タンマリ貰えれば文句は無いが、見境無く餌に飛びつく犬は毒を喰らって早死にしかねないからな。 俺は彼らに対して恩義がある。これは俺の信義の問題だ。 例え飢えたからといって、信義に反して他人から餌を貰うつもりは無い。 他人を裏切って自分の下に来た人間を俺は信用しないし、信用されるとも思えないしな。 あんたの言葉はもっともらしく聞こえるが、日本人の俺には、日本を悪魔の国、日本人を韓国人に奉仕する奴隷と看做すアンタ達の教義には帰依も賛同も出来ない。 日本人でありながら、あの教義に賛同し帰依できるアンタ達も理解できない。 俺はこの仕事で、あの親子と縁を持った。 韓国へ渡って行方不明になった日本人女性がどうなったか判らない以上、あの親子を韓国に行かせるつもりは無い。交渉は決裂だ」 「残念ですね。でも、あの親子は飯山さん達がもう連れ出しているでしょうから、あなたには手遅れだと思いますよ」 俺はジャケットをめくり、ウエストバッグから拳銃を取り出して言った。 「お前ら、フェンスを乗り越えて向こうの倉庫のステージまで行け。おかしな真似をしたらコイツをぶっ放す。 佐久間、車のキーをこっちに投げろ。さあ、早くするんだ」 佐久間がセダンからキーを抜いて俺の方に投げると、3人は2mほどの高さのフェンスをよじ登って向こう側に下りた。 俺は、3人が十分に離れたのを見計らってセダンに乗り込み、アパートへ向った。
277 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:45:13 ID:???0 アパートに着くと、白いミニバンと見覚えのある四駆が停まっていた。 俺は車を降りてアパートの中に入った。 アパートの中は騒然としていた。 靴も脱がずに上がり込んで、2階にある半田家の部屋に向った。 部屋の前に見覚えの無い若い男が、魂を抜かれたように呆然と立っていた。 部屋からは異様な空気が漂っていた。 中に入ると台所の流しを背にして誰かいた。 マサさんだった。 脂汗をびっしょりとかいて、立っているのがやっとといった様子だった。 極度の集中状態で俺にまるで気付いていない様子だった。 奥の部屋には飯山と奈津子が倒れていて、マサさんの視線の先には千津子が仁王立ちしていた。 トランス状態とでも言うのだろうか? 異様な殺気を双眸から発して、千津子はマサさんを睨み付けていた。 だが、俺が部屋に入ったことで二人の均衡状態が破れたらしい。 マサさんが胸を抑えて苦しみだした。 「チズさん、いけない!」そう言って、俺は慌てて千津子に駆け寄って肩を揺すった。 千津子の目が肩を掴む俺にギロリと向いた。その視線に俺の背筋は凍りついた。 そして、千津子は白目を剥いて倒れた。
278 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:47:32 ID:???0 千津子が意識を失うと、台所でマサさんがズルズルと崩れ落ちた。 クソッ、どうなっていやがるんだ! 奈津子と共に室内に倒れている飯山は、赤黒い顔色で泡を吹いて意識がない状態だった。 奈津子と千津子の何れかは判らないが、親子を無理やり連れ出そうとして、彼女達の『力』で殺られたのか? 混乱する俺に、マサさんが肩で息をしながら言った。 「おい、シンさんから預かった拳銃を持っているな?もう、俺の手には負えない。 その子が目を覚ます前に撃て!」 「ば、馬鹿言ってんじゃねえよ!そんな事、出来るわけねえだろ!」 「いいから、さっさとやれウスノロが!説明している暇はないんだよ!どけ!」 マサさんはフラフラと立ち上がった。 マサさんの右手には俺のと同じ型の拳銃が握られていた。マサさんの銃口が奈津子に向く。 俺はマサさんと奈津子の間に立って拳銃を抜いた。 マサさんに銃口を向けて「アンタらしくないな・・・何故なんだ?」と問いかけた。 「バカヤロウ・・・甘いんだよお前は!クソッ、もう、手遅れだ・・・」そう言うとマサさんの膝がカクッと折れた。 マサさんが崩れ落ちるのと同時に、背後からゾワゾワッと悪寒が走った。 倒れていた奈津子が上体を起してマサさんを睨み付けていた。 俺は慌てて、奈津子の肩を掴んで激しく揺すった。 「ダメだ、なっちゃん!止すんだ!」そう言った瞬間、奈津子の目が俺を睨み付けた。 奈津子に睨み付けられた瞬間、俺の全身に電撃のような痛みが走った。
279 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:49:05 ID:???0 俺の胸は心臓を握り潰されたような激しい痛みに襲われ、全身の血が沸騰したかのようだった。 これが奈津子の力なのか? 呪殺者の血脈、多くの人間を死に至らしめてきた力か? シンさんやキムさん、そしてマサさんが恐れるのは無理も無い。。。 あんなに優しくていい娘なのに、こんな力を持ったばかりに・・・不憫な・・・ ブラックアウトしかけた俺の視界に、奈津子の色の薄い柔らかそうな唇が映った。 何を考えてそうしたのかは覚えていないが、俺は最後の力を振り絞って奈津子と唇を合わせ、強く抱きしめた。 クソッタレ・・・目の前が真っ暗になって、意識が途絶えた。 女の泣き声と、男の「もう大丈夫だ」と言う声で俺は目を覚ました。 心配顔の千津子と涙でベソベソになった奈津子が俺の顔を覗き込んでいた。 「まだ動くな。調息して気を一回ししろ。それから、末端からゆっくりと『縛り』を解くんだ。できるだけゆっくりとな」 声の主は木島だった。 1時間ほど掛けて、俺はようやく起き上がることが出来た。 マサさんの処置は見知らぬ老人が行っていた。 ・・・助かったのか・・・何故? 応援がやってきて、俺達はアパートを後にした。
280 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:50:57 ID:???0 木島の運転するマサさんの車に俺は揺られていた。 助手席にマサさん、後部座席に千津子と奈津子、そして俺。 二人は『力』を放出し切ったせいか、泥のように眠り込んでいた。 眠り込んではいたが、奈津子は俺の手を離そうとしなかった。 俺は目を閉じて、調息と滞った気の循環を行っていた。 そんな俺に、マサさんが、いかにもダルそうな声で話しかけて来た。 「お前、あの時、本気で撃つ気だっただろう?酷い奴だ・・・」 「二人はこれからどうなるんですか?事と次第によっては、今度は迷わず撃ちますよ?」 木島が口を挟んだ。 「そうカッカするなよ。二人は『力』を封じた上でマサの『祓い』を施して、ある人物の元で丁重に保護する」 「ある人物?」 「榊さんだ。この娘の祖父に当たる人だ。さっき、マサに処置を施していた爺さんだよ」 俺は絶句した。
281 :天使 ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:52:26 ID:???0 「しかし、よくもまあ、二人とも助かったものだ」木島の言葉にマサさんが続けた。 「まったくだ。良く、あんな状況であんな手を思いつくものだ。あんなことはしないだろう、普通?」 「・・・」 「あれで、その娘の毒気はすっかり抜け落ちてしまったからな。 木島が駆け付けた時、この娘、お前にすがり付いて、わんわん泣いていたらしいぞ」 「いい泣きっぷりだったよ。しかし、まあ、後が大変だな」 「なにが?」 「乙女の唇wを奪ったんだ、高くつくぞ?この娘にとっては初めてだったろうしな。 純粋で真っ白な娘だ。面倒な事になりそうだなw」 「自業自得だ。自分のやったことの責任は自分で取るんだな。俺は知らねぇw」 マサさんがそう言うと、奈津子が寝返りを打って、俺の方に身体を委ねてきた。 穏やかな寝息を立てる奈津子の寝顔は天使そのものだった。 おわり
282 : ◆cmuuOjbHnQ :2009/04/30(木) 04:55:01 ID:???0 長文失礼 続きは週末にでも
283 :名無しさん :2009/04/30(木) 14:12:40 ID:hb2/4Oy.O 今回も一気に読んだよ 待つ甲斐があるよ
284 :名無しさん :2009/04/30(木) 23:14:22 ID:kNvSmetE0 いつもながら面白い! またお願いします。
285 :名無しさん :2009/05/01(金) 14:09:38 ID:???O 『俺』が立ち直っててよかった 続き、切望してます。
286 :名無しさん :2009/05/01(金) 14:19:24 ID:5V7s0BQk0 天使を読もうか読むまいか迷ってる。。>>282 を見ると、続きあるんだよね?週末ってことは今日か明日か明後日でしょ。 あとちょっと我慢して2倍の楽しみにして読むか、我慢できないから今日読んでしまうか・・ どうしよう?? 投稿されるのずっと楽しみにしてたけど、あと何日か我慢していっきに読もうかなぁ。 読んだ人どうですか?続き気になっちゃいますか?いっきに読んだ方がストレスなさそう?
287 :名無しさん :2009/05/01(金) 15:45:44 ID:???0 >>286 天使は天使で完結してるみたいだから、大丈夫だよ。 他の話にも明かされていない秘密や伏線が結構あるから、 続きが何なのかは分からないね。
288 :名無しさん :2009/05/02(土) 18:09:42 ID:???0 続き今日くるかな?wkwk
289 :名無しさん :2009/05/03(日) 23:24:30 ID:???0 天使も良かった!! ほんとこの人のは面白い。他の作者はアンチも多く叩かれるけど、この人はそんな事ないよな。 続きおねがい
290 :名無しさん :2009/05/04(月) 18:25:46 ID:rEkF74D6O 待遠しいのぅ
291 :名無しさん :2009/05/05(火) 00:57:27 ID:???0 週末ってゴールデンウイーク末かいな? あれだけの文章書くのは大変だろな・・・
292 :名無しさん :2009/05/05(火) 02:54:19 ID:stTU65.2O シリーズの大ファンで新作を待ち焦がれてました。 『天使』楽しませてもらいました!作者さん、ありがとうございます。 これからも期待してますのでよろしくお願いします。
293 :名無しさん :2009/05/05(火) 17:59:29 ID:???0 いつの週末かなぁ〜〜〜〜 待ち遠しいよぉぉぉ
294 :名無しさん :2009/05/05(火) 20:53:23 ID:hb2/4Oy.O アツシさん…? なわけないか
295 : ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:10:52 ID:???0 書き込めるかテスト。 先週の土曜日から試してるけれど、弾かれっ放し・・・orz
296 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:13:14 ID:???0 半田親子が榊家に保護されてから3ヵ月後、マサさんの回復を待って、千津子と奈津子に対する『処置』が行われた。 処置を行ったのは木島とマサさん、そして、以前、ヨガスクールの事件を持ち込んできたキムさんの知り合いの女霊能者だった。 彼女は以前にも『能力』を悪用していたヨガスクール関係者の『力』を封印していた。 そういった力なり技の持ち主なのだろう。 二人の『処置』は成功裡に終わったらしい。 俺は、シンさんの許を訪れる、木島の迎えに出ていた。 駅を出てきた木島は、迎えの車に乗り込むと、俺宛の紙包みを車中で渡した。 中には藍の絞り染めのバンダナが数枚と、2通の手紙が入っていた。 バンダナは、奈津子が祖母の榊夫人と共に染めたものらしい。 額の刃物傷や頭の手術痕、アスファルトで削られた頭皮の傷痕を隠す為に、俺が頭にバンダナを巻いていたのを覚えていたようだ。 手紙は千津子と奈津子からだった。 たどたどしい文字だったが、読み書きが殆ど出来なかった親子の知能は『処置』後、急速に伸びているようだ。 もともと、二人はアパートの大家の熱心な教育?の効果もあってか、日常生活をほぼ支障なく送れるレベルにはあったのだ。 俺は木島に「二人は元気にしているのか?」と尋ねた。 「ああ。榊夫妻が猫可愛がりしてるよ。榊の爺さんは、もう、目に入れても痛くないって感じだな。 偶には会いに行ってやってくれ。お前が行けば二人が、それに榊夫妻も喜ぶ」 「なあ、あの仕事、シンさんは何故俺を選んだんだ?」
297 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:14:05 ID:???0 やや間を置いて木島が答えた。 「シン先生は、組織内で微妙な立場に在るんだ。韓国人でありながら強い影響力を持っていて、組織でも高い地位にいるからな。 キムやマサは、シン先生の指示にしか従わないしな。 能力第一で、血筋や家柄なんて二の次、三の次の俺達の業界でも、逆恨みや、やっかみは跡を絶たないのさ。 特に、毛並みだけは良いが力のない、佐久間のような連中にとっては、シン先生達は目障りな存在なんだ。 奴らにとっての拠り所でもある、毛並みも力も備えた『名門』、榊家の次期当主を消した韓国人のシン先生達への恨みは実に根深いものがあるんだよ。 それに、組織の当初の方針に反して千津子を消さなかったのは、シン先生の強力な働き掛けがあったからだしな。 頭の古い連中に角を立てずに処理するには、非メンバーで日本人のお前が何かと好都合だったのさ。 お陰で、以前から怪しい動きをしていた佐久間や他の鼠を駆除できた。助かったよ」 「全て仕組まれていたって訳か・・・本当にそれだけか?」 「・・・否。 ・・・お前は、死んだ榊先生に良く似ているんだ。顔や雰囲気、どうしようもない甘さ加減までな。 あの親子の『力』はちょっと厄介でね。一旦発動すると歯止めが利かないし、彼女達自身がコントロールできる類のものでもないんだ。 ・・・死んだ旦那や、会ったことはないが父親にそっくりなお前なら、少しでも成功の可能性が高くなると踏んだのだろう。 実際、あの親子は、お前には心を開いていたからな。かなり際どかったけどな」 「T教団や飯山達は?」 「T教団とは手打ちをした。奴らがあの親子に手を出す事は今後一切ない。 奈津子にやられた飯山は、榊の爺さんの処置で何とか命だけは取り留めたが、寝たきりでアーとかウーとしか言えなくなっちまったよ。 奴らも、あの親子の『力』の恐ろしさが骨身に沁みたらしい。とても飼い慣らせるものじゃないと悟ったのだろうさ」 やがて、俺達の車はシンさんの自宅に到着した。
298 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:15:06 ID:???0 木島とシンさんたちの打ち合わせが終わると俺は応接室に呼ばれた。 俺と入れ違いに木島が部屋を出て行った。 「近い内に遊びに来い。榊さんやあの親子以外にも、お前に逢いたがっている人がいるんだ。一席設けるから一杯やろう」 俺の肩を叩きながら、そう言って、木島はシンさん宅を後にした。 木島が出て行くと、シンさんが「掛けなさい」と俺に席を勧めた。 テーブルを挟んでキムさんの正面の席に俺は座った。 席に着くとシンさんが口を開いた。 「汚くて危険な仕事を押し付けてしまって、君には本当に済まない事をしたと思っている。 しかし、君がいなければ恐らくあの親子を救う事は出来なかっただろうし、手の付けられない重大な事態が起っていただろう。 マサも、その後に到着した木島君や榊さんも、あの親子の力を止める事は出来なかっただろうからね」 「そうなんですか?」 「ああ。あの親子の恐ろしい力は、身を以って体験しただろう? あのマサですら、千津子一人の力を受けきれずに命を落としかけたんだ。 お前の機転で奈津子が止まらなければ、あの場にいた者は全員命を落としていただろう」とキムさんが答えた。 「私は、あの親子をどうしても救いたかった。キムやマサ、木島君もね。 しかし、あの親子の力は危険すぎた。7割、いや8割くらいの確率で、最悪の方法を採らざる得ないだろうと覚悟していた」
299 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:15:50 ID:???0 「それほどにまでに・・・」 「ああ」 「あの親子の力って何なんですか? あの親子は人に呪詛を仕掛けるタマではないし、あの力の発現は一種の『自己防衛』だったように思えるのですが? それに、あんな危ない橋を渡ってまで、あなたやキムさん、マサさんや木島さんがあの親子に固執した理由も知りたい」 シンさんは俺を制して言った。 長い話になる。一杯やりながら話そう。そう言うと、若い者に酒を運ばせた。酒は自家製のマッコリだった。 大した強さでもないその酒を2・3杯飲んだシンさんは、 「すっかり酔っ払ってしまった」と言い、「これから話す事は年寄りの世迷言だと思って聞き流して欲しい」と言って昔話を始めた。 シンさんの昔話・・・それは、心ならずも呪術の世界に足を踏み入れて、人生を狂わせた男の話だった。 30数年前、宋 昌成(ソン チャンソン)と宋 昌浩(ソン チャンホ)と言う在日朝鮮人の親子がいた。 息子の昌浩は優秀な男で、周囲から将来を嘱望されていたらしい。 父・昌成は息子をC大学校に進学させ民族学校の教員、或いは民族団体の活動家にしようと考えていたようだ。 実際、その方面からの勧誘も盛んだったらしい。 だが、昌浩は日本の大学に進学する事を希望しており、進路を巡って父親と激しく衝突した。 昌浩は勘当状態となり、単身上京。 兄の友人が経営する会社で働きながら、勤労学生として大学に通っていたと言う事だ。 ある時、昌浩は、取引先で、ある女と偶然に出会った。 郷里にいた頃、学校の近辺の図書館や学習室でよく見かけた女だった。 その女、『美鈴』にとって昌浩は見覚えのある顔に過ぎなかったようだ。 だが、昌浩にとって美鈴は密かに憧れた『忘れられない女』だった。 始め、『美鈴』は同郷の昌浩を警戒し、彼を避けていた。 美鈴は郷里のある被差別部落の出身者だった。 また、詳しい事は話さなかったが、人の手を借りて家族の元から出奔してきていたらしい。 美鈴は自分の出自だけではなく、同郷の昌浩を通じて郷里の家族に自分の居所を知られる事を極度に恐れていたのだ。 昌浩は自分の在日朝鮮人の出自を明かして「くだらない」と一笑した。 また、自身も父親と衝突して勘当の身であり、郷里には戻れない立場である事を明かした。 二人は交際するようになり、やがて同棲を始めた。 そして、美鈴が懐妊し、その腹が目立ち始めた頃に事件は起こった。
300 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:16:28 ID:???0 美鈴が懐妊して直ぐに、二人はある男に付き纏われるようになった。 男は美鈴の兄だった。 家族に居所を知られると言う、美鈴の恐れていた事態に陥ったのだ。 だが、昌浩は、美鈴の懐妊と言う『既成事実』から事態を楽観視していた。 美鈴の兄の付き纏いは執拗だったが、同じアパートに住む職場の仲間の協力で美鈴に兄の手が及ぶ事はなかった。 しかし、そんなある日、事件は起こった。 その日は、地元の祭りで昌浩やアパート住民の男達は出払っていた。 女達も食事の世話などで出ていたが、身重で朝から体調のすぐれなかった美鈴は部屋で寝ていたらしい。 このような機会を狙っていたのであろう。美鈴の兄がアパートに侵入し、美鈴を連れ出そうとした。 兄は抵抗する美鈴に激しい暴行を加えた。その現場に祭りを抜け出して美鈴の様子を見に戻った昌浩が出くわしたのだ。 美鈴の兄と昌浩は激しく争い、騒ぎに気付いた他の住民が駆けつけた。 昌浩と争い、揉み合いの中でアイロンで頭を殴打された美鈴の兄は、住民が部屋に踏み込むと鮮血を滴らせたまま、アパート2階の窓から道路へ飛び降り、そのまま走って逃げ去った。 身重の身体に激しい暴行を受けた美鈴は住民達の手によって直ぐに病院に搬送された。 美鈴は流産しており、意識が戻らないまま生死の境を彷徨い続けた。 数日後、病院に泊り込んで、意識の戻らない美鈴の看病を続ける昌浩の下に刑事が現われた。 美鈴の兄が死亡したのだ。 凶器を用いた事、相手を死亡させたことにより、昌浩側の情状は考慮されず、結局、昌浩は3年の実刑を受けた。 昌浩は接見に訪れた弁護士に美鈴の安否を尋ねた。 昌浩の逮捕・拘留中に美鈴は意識を取り戻し、ひとまず命を取り留めた。 やがて裁判が始まり、昌浩は実刑判決を受け収監された。 昌浩は美鈴の身を案じ続けていた。 弁護士の話では、暫くの間は社長夫妻が自宅で美鈴の面倒を見て居た。 だが、結局、姉が美鈴を引き取り、美鈴は郷里に戻ったと言う事だった。 あれ程、家族に見つかって実家に連れ戻される事を怖れていた美鈴が、郷里に戻るとは・・・ 美鈴の身を案じつつも、獄中に在って何もできない昌浩は己の無力を呪った。
301 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:17:13 ID:???0 刑期も半分以上が消化された頃、昌浩は毎晩のように悪夢にうなされるようになった。 鬼の形相の美鈴が炎の中に立ち、狂気に見開かれた目で昌浩を睨み付けていたそうだ。 昌浩の身体は日に日に痩せ細っていき、その顔には「死相」が浮かんでいたということだ。 美鈴は家族の元に連れ戻される事を極度に恐れていた。何か只ならぬ事態が美鈴に、そして自分に起こっていることを昌浩は直感した。 そんな昌浩の様子を見て、長年、娑婆と刑務所を出たり入ったりの生活をしていた同房者の男が彼に言ったそうだ。 「兄ちゃん、アンタ、誰かに祟られてるね。 俺は、ムショの中で兄ちゃんみたいなのを何人も見てきたが、みんな年季が明ける前に狂って死んじまった。 人を殺したヤツ、強姦や詐欺、乗っ取り・・・娑婆で他人を地獄に落とした悪党どもが被害者に祟られて死ぬなんてのはよくある話さ。 兄ちゃんが何をしたかは知らないが、お勤めが終われば全てチャラなんて、甘い甘い。 人の裁きと、お天道様の裁きは別物なのさ。 覚悟しておくんだな。 俺たちみたいなのは、碌な死に方は出来ないし、死んでも碌な所には行けないだろうさ」 何故か、昌浩に死の恐怖は無かった。 ただ、一刻も早く出所して、美鈴に会いたい、それだけだった。 美鈴の事で思い悩む彼の出所までの日々は地獄のように長かった。 やがて昌浩は出所の日を迎えた。 昌浩が獄に繋がれている間、塀の外の状況は激変していた。 昌浩の勤めていた会社は倒産し、社長夫婦や同じアパートに住んでいた同僚達もバラバラになって行方が判らなくなっていた。 昌浩は美鈴を探す為に郷里に戻った。 郷里に戻った昌浩は激しい衝撃に襲われた。 昌浩の実家の在った一帯は更地となっていた。 不審火による火事で焼失したと言うことだった。その火事で昌浩の母が亡くなっていた。 近所の住民は更に追い討ちを掛ける事実を昌浩に告げた。 火事が起こる前、昌浩と父・昌成との間に立って昌浩をかばい、何かと力を貸し続けてくれた兄が亡くなっていたのだ。 自動車事故で大破した車の中に閉じ込められた兄は、生きたまま炎に飲み込まれ焼死していた。 そして、父・昌成の行方も判らなくなっていた。 昌浩が服役していた僅か3年足らずの間に、宋家は破滅してしまっていたのだ。 余りの事に打ちのめされた昌浩だったが、当初の目的を果たすため、地元の友人・知人の伝を頼って美鈴の捜索を開始した。
302 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:18:05 ID:???0 高校の同級生や地元の友人を頼って美鈴の過去を探ると、美鈴が話さなかった数々の事実が判った。 美鈴は、出身校の学区から離れた、**部落と呼ばれる被差別部落の出身者だった。 美鈴は実家を離れ、元教師の老夫婦の家に下宿し、そこから学校に通っていた。 美鈴や進学した高校、下宿先には連日嫌がらせが繰り返されたそうだ。 昌浩は美鈴のかつての下宿先を訪れたが、そこは老夫婦が亡くなり空き家となっていた。 昌浩は美鈴の実家があるという**部落を当たってみる事にした。 だが、**部落の名が出た時点で地元の友人達は昌浩の前から皆去って行った。 近辺の同和地区の住民達からさえも**部落は決して近付いてはならないとされる「危険地帯」だったのだ。 宋家は昌浩が中学校に上がる前に逃げてきた朝鮮人の「余所者」に過ぎなかった。 地元での**部落という存在の意味を理解していなかったのだ。 そんな昌浩の前に同和団体の活動家だと言う、日本人の男が現われた。 男は駒井と名乗った。 駒井は「**部落に首を突っ込んでる馬鹿はお前か? 余所者の朝鮮人が・・・他人の土地で勝手な真似をしていると死ぬぞ?」と言って、昌浩をある人物の元に連れて行った。
303 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:18:47 ID:???0 駒井は、活動家時代の宋 昌成の同志だった。 かつて、宋 昌成は住環境が特に劣悪だった同和・在日混住地区における「公営住宅獲得闘争」に身を投じ、多額の資金援助を行った過去をもっていた。 彼は家族や家業を犠牲にして、在日活動家の仲間と共に、某政党の言う所の『日本社会の底辺で苦しむ人民の為の闘争』に身を投じた。 その結果、その地区の公営住宅建設計画が認可され、彼らの説得により戦前からその地区に住み続けていた在日は立ち退きに応じた。 やがて、更地となった土地に真新しい公営住宅が建設された。 だが、地域住民で入居を許されたのは「同和」の日本人だけだった。 「日本人ではない」という理由だけで、共に闘い、立ち退きに応じた在日住民たちは入居を許されなかったのだ。 真新しい公営住宅を目の前に、元の住居を失った在日朝鮮人たちは成す術もなく、そこに入居したかつての隣人である同和の日本人と、立ち退きを勧めて回った昌成達活動家に怨念を向けた。 宋 昌成は、彼に活動資金の拠出を何度も要請してきた某政党や、共に戦った同和団体の活動家に行政側の措置の不当性を強く訴えた。 行政に対する抗議闘争、その地区に住んでいた在日住民の公営住宅入居を認めさせる活動への協力を求めたのだ。 しかし、彼らの答えはNOだった。 昌成は絶望に沈んだ。 立ち退きの説得に回った責任感から、彼は持てる私財を全てつぎ込んで、住家を失った同胞の次の住居の手配に奔走した。 だが、朝鮮人に部屋を貸す家主は同胞の中ですら中々見つからなかった。 度重なる心労や苦労は、平等社会や日韓両民族の和合を信じる理想主義者だった彼を変えた。 日本社会で疎外された在日を守るのは経済力、そして、それを背景とした権力に連なる人脈しかないという考えの持ち主へと変貌した。 彼や在日の仲間を利用するだけ利用して切り捨てた「ペルゲンイ」や「ペクチョン」共、そして、日本社会や日本人に憎悪を燃やすようになって行った。 家業が潰れ破産した宋家は、この地に夜逃げ同然で流れてきたのだ。 家業や家庭を顧みずに昌浩や家族を苦境に陥れたが、理想主義者だった「活動家時代」の父を昌浩は深く尊敬していた。 昌浩の出奔の背景には、変貌した父への反発が大きく作用していたようだ。
304 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:20:08 ID:???0 先の「公営住宅獲得闘争」の折、分断工作に遭って共に戦ってきた在日朝鮮人達が切り捨てられた事に、末端活動家だった駒井達は心を痛めていた。 そんな駒井が、かつての同士であり友人でもあった宋 昌成が「**部落」を探っている事を聞き付けた。 始め「**部落」の事を良く知らなかった駒井は、その危険性を仲間に聞いて、昌成を止めるために、彼の許を訪れた。 宋 昌成は美鈴と美鈴の実家に付いて調べていた。 発端は「お前の息子は、質の悪い女とデキて同棲までしている。面倒が起こる前に別れさせた方が良い」と言うタレコミだった。 宋 昌成は昌浩の兄を通じて、昌浩と美鈴が同棲していることを知っていた。 さらに、昌浩の勤務先の社長から、昌浩の身辺を嗅ぎ回っている連中が居る事も聞き付けていた。 やがてタレコミは「昌浩と美鈴を早く別れさせろ。さもなくば、二人だけではなく、お前の家族にも累が及ぶ事になる」と言う脅迫に変わった。 ここで、昌成は調査会社に依頼して、美鈴と美鈴の背後の調査を開始した。 美鈴が「**部落」という被差別部落出身者であることが直ぐに判った。 だが、被差別部落出身者だからといって、昌成には、昌浩と美鈴の仲を引き裂くつもりは全くなかった。 昌成は、美鈴の妊娠が明らかになると、昌浩には内密に、昌浩の兄を通じて美鈴に当面の生活費まで渡していたのだ。 昌成には某政党と同和団体との遺恨、日本社会や日本人に対する怒りや憎しみがあった。 だが、他方で、そういった『恨』を息子の代まで継続する事は不毛と考えていたようだ。 若い二人には平穏な暮らしを送って欲しい・・・そう願って、**部落に関わってしまったらしい。 調べてみると、美鈴の過去は異様な闇に彩られていた。 美鈴には5歳年上の姉がいた。姉の『美冬』はある種の『虐待』を受けていた。 美冬の中学の担任教師と、同和団体の関係者は彼女を救おうと奔走したが、美冬が中学を卒業すると救いの手を差し伸べる手立てを失った。 やがて美鈴が中学に上がり、美冬の担任だった教師は、妹の美鈴の担任となった。 担任教師と件の同和団体関係者は、姉の美冬の強い訴えもあって、中学在学中、家庭訪問を密に行うなど美鈴を監視し続けた。 美鈴は担任教師と同和団体関係者の強い働き掛けにより、中学卒業後、実家から離れた学区の高校に越境入学し、担任教師の学生時代の恩師の下に下宿することになった。 美鈴や下宿先には嫌がらせや脅迫が続いたが、美鈴はこれに耐えて高校を卒業した。 美鈴は実家に連れ戻されることを避けるために、卒業式の前に下宿先の老夫婦の知人を頼って郷里を後にした。 姉の美冬は、少しづつ貯めてきた金を全て美鈴に渡し「二度と帰ってきてはいけない」と言って妹を送り出したと言うことだ。 だが、美鈴が郷里を後にして直ぐ、下宿先の老夫婦が亡くなった。 更に、美鈴の進学に尽力した担任教師と同和団体の女性も時を同じくして急死していた。 関係者の死は、事故や急病など一見普通の死因によるものだった。 だが、周囲の者は皆一様に「**部落の者に関わった報いだ」と言っていたという事だった。
305 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:22:03 ID:???0 「**部落」・・・川沿いにあったその部落は、他の地区とは大きな道路に隔たれていて、正に陸の孤島だったということだ。 50世帯程の小規模の部落で、その成り立ちは調査会社が調査しても良く判らなかった。 その地域の被差別部落は、地元の伝統産業との関わりから、それぞれの部落の成り立ちが比較的明らかだそうだ。 その地域で歴史的に地場産業の最底辺を支えていた被差別部落に、出稼ぎや密入国でやって来た朝鮮人が入り込み混住し始めたそうだ。 部落に入り込んだ朝鮮人労働者は、従来の最下層労働者であった日本人住民の更に下層に当たる最下層労働階層を形成した。 新顔の最下層労働者である朝鮮人労働者に「歴史的雇用」を奪われた部落の日本人住民の生活は困窮を極め、部落は荒れ、住環境は末期的に悪化した。 昭和期に入って技能や職能を身に付けた、或いは戦後の混乱期に経済力を付けた一部の朝鮮人移民は、劣悪な環境だった従来の部落を出た。 彼らは、元いた被差別部落周辺に、新たに朝鮮部落を形成した。 戦後、特に朝鮮動乱で祖国を捨てて流入したニューカマーの朝鮮人は、朝鮮部落内で最下層労働階層を形成して生活圏を確保した。 宋 昌成が「公営住宅獲得闘争」を行ったのは、最初に朝鮮人が流入し、労働環境や住環境が崩壊したまま放置され取り残された日韓混住部落だったのだ。 だが、**部落はその何れにも該当しない特異な部落だった。 周辺との交流が極めて薄く、いつからあったのかも、元々何を生業にして成立したのかも明らかではなかったのだ。 どの部落よりも劣悪な環境にありながら、自治体の対策事業で訪れた県や市の調査員を激しい投石などで排除し続けていた。 非常に排他性が強く、同和団体関係者を含めて、部外者が足を踏み入れるには危険を伴う地域と言う事だった。
306 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:22:55 ID:???0 宋 昌成は**部落の闇に引き寄せられて行った。 **部落に関わって不審死を遂げた者は多い。そんな危険な闇に踏み込もうとする、かつての友を駒井は必死に止めようとした。 だが、そうしている内に昌浩の事件が起こってしまった。 理由はどうであれ、道義上、親である自分が被害者の家族に謝罪しなければならない・・・宋 昌成は駒井の制止を聞かずに**部落へ向った。 駒井は宋 昌成に付いて**部落に足を踏み入れた。 **部落は異様な雰囲気だったそうだ。 駒井は、**部落で、それまで感じたことのないような、言い知れぬ不安感に襲われた。 二人は美鈴の実家に着いた。中から出てきた若い女に宋 昌成は身分と事情を明かした。 若い女『美冬』は、声を潜めて「お帰り下さい」と言ったが、中から現われた男が昌成と駒井を迎え入れた。 兄が亡くなった時点で、美鈴の家族は父と叔父、姉の美冬だけだった。 何故か、仏壇神棚の類は一切なく、美鈴の兄に線香を上げようにも、位牌・遺影もなく遣り様がなかった。 宋 昌成は美鈴の家族に昌浩の行いを詫びた。 昌成も駒井も激しい怒りの言葉を予想していたが、美鈴の父と叔父の言葉は穏やかだった。 だが、二人の眼は異様な眼光を湛えて駒井を凍り付かせた。 駒井に言わせれば『人間の目付きではなかった』と言うことらしい。 美鈴の父親は、あれは不幸な事故だったとか、司直の裁き以上のことは求めるつもりはないと言った言葉を口にした。 叔父の方も、若くして犯罪者の汚名を着ることになってしまった昌浩を心配し、父親である昌成の心労をねぎらう言葉を掛け続けた。 だが、そんな言葉の裏で駒井は耳には聞こえない不思議な『声』を聞き続けていた。 二人に言葉を掛けられている昌成は、魂を抜かれたような、呆けた顔をして頷きながら二人の言葉を聴いていた。 だが、駒井の脳裏に響く不思議な『声』の語る言葉は、恐ろしい呪いの言葉だった。 宋一族は滅ぼされる・・・これに関わってしまった駒井一族も! 駒井は恐怖に震えた。 やがて、宋家の長男が事故死し、火事で昌成の妻も焼死した。
307 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:23:33 ID:???0 駒井は、ある寺の住職に相談して、某部落の古老を紹介された。 この老人は、苦しい、未来の見えない生活に嫌気が差して故郷を後にし、ある霊能者に拾われて修行した経験の持ち主だった。 駒井を見た老人は、駒井に宋 昌成を連れて来るように言った。 駒井は宋 昌成を古老の前に引きずって連れて行った。 どこか、意識に膜が張った状態で、ボーっとした様子だった宋 昌成は、老人の裂帛の気合と共に繰り出された平手打ちの一撃で混濁した意識から呼び起こされたそうだ。 だが、意識を呼び覚まされた宋 昌成の脳裏には、駒井が**部落の美鈴の実家で聞いたのと同じ声が響き始めていた。 この、呪いの『声』は、宋 昌成が発狂するまで消えることは無かったらしい。 いや、発狂してもなお消えていなかったの見る方が正しいだろう・・・ 老人は、ある朝鮮人『呪術研究家』への紹介状を書き、駒井は宋 昌成をその研究家の元へ連れて行った。 老人の紹介状と宋 昌成が調査会社に調べさせたレポート、駒井と昌成が話したそれまでの事情を聞いた『呪術研究家』は、独自のルートで**部落に付いて照会し、調査した。 **部落に付いて調査した上で、この呪術研究家が紹介した男が、駒井が宋 昌浩を連れて会いに行かせた男だった。 男は「拝み屋」金 英和(キム ヨンファ)と名乗った。 **部落は、ある『宗教団体』の信者の末裔によって形成された特殊な成り立ちの部落だった。 信仰の詳細、教団や信仰が現在も存在しているのかは判らなかった。 ただ、**部落の人間は外部の者とは交わらず、部落内だけで婚姻を続けていたようだ。 どうやら、**部落は、採石や危険な土木工事の人足のといった仕事の影で、「まじない」や「呪詛」を生業とした一族の集団だったらしい。 そのような部落に於いて、美鈴の実家は何らかの役割を担っていたようだ。 『呪術研究家』にはある程度予想は付いていたそうだが、**部落は日本全国に散らばる、敢えて言うなら『生贄の部落』の一つだった。 生贄の部落・・・ 彼らは『澱み』・・・漂流する呪いや災厄、人々の欲望や怨念から生じる『穢れ』が流れ着いて溜まる、或いは溜まるように細工された土地に封じ込められた人々だった。 『澱み』に封じられた人々は外部からの「血」を入れることも、外部に「血」を広げる事も許されなかった。 彼らが『澱み』に封じ込められたのは、その血が非常に強い霊力を持っていた為だと言う事だ。 その『力』故に、民族?の名も、言語も、神話や伝承も徹底的に奪われた。 彼らの血脈が直接に絶たれなかったのは、彼らを滅ぼすことによって生じる『祟り』を祓う事が極めて困難だからと言う事らしい。 彼らは、並の霊力の血統なら3代と続かずに絶えてしまう穢れの地である『澱み』に、霊力を吸い尽くされて滅ぶまで封じられ続けているのだ。 **部落のあった場所は、地理的に『穢れ』や『瘴気』が流れ込み易いその地域にあって、それらが流れ着く『澱み』に位置していた。
308 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:24:50 ID:???0 宋 昌浩は駒井に連れられて寺に逗留していた金 英和に引き合わされた。 昌浩は、駒井と金 英和にこれまでの経緯を聞かされると、宋家に起こった不幸や服役中に見た悪夢に付いて尋ねた。 金 英和は昌浩に言った。 「宋一族には強力な呪詛が仕掛けられている。 私は君の父上から祓いを請け負ったが、残念な事に呪詛と術者の力が強すぎて祓い切る事は出来ない。 呪詛を仕掛けた人間が明らかになれば、交渉するなり、呪詛返しで凌げる可能性もあるのだが・・・」 昌浩は「呪詛とやらを仕掛けたのは、美鈴の実家の人間じゃないのですか?」と尋ねた。 「呪詛の大元は美鈴さんの実家ではない・・・いや、**部落の人間ですらない。 部落や美鈴さんの実家からの呪詛も掛かってはいるが、相手が判っている以上、こちらは大した問題ではない」 「それじゃ、誰が?」 「問題の宗教団体なのか、他の誰かなのかは判らないが、基本的に**部落の人間は、ある種の『依り代』の役目を負わされているだけだ。 あの部落では、部落を構成する『家』の間で『依り代』役を持ち回りして、当番の家を他の家が監視しているのだ。 今は、美鈴さんの実家が当番らしい。 依り代役の家の中で最も霊力の強い人間が呪詛の『依り代』役を引き受けるのが決まりということだ。 一番霊力の強かった美鈴さんのお母さんは『依り代』役をやっていて衰弱死したらしい。 次に力の強い美鈴さんが『依り代』をやるはずだったのだが、子供を作れない者・・・初潮や精通を迎えていない者は『依り代』は出来ない。 美鈴さんの次に霊力の強かった姉の美冬さんが妹の代理をしていたが、彼女は外部の人間を頼って妹を逃がした。 だが、美冬さんは部落の掟と自分達の『血』を甘く見ていた。 美鈴さんを部落の外に逃した事も問題だったが、最も不味かったのは美鈴さんが君の子を孕んだ事だったようだ」 「どういうことですか?」 「どうやら『依り代』が部落以外の、外部の胤で孕むと呪詛が滞って持ち回りの『家』や部落全体に降りかかるらしい。 それ故に、美鈴さんの兄は彼女を取り戻そうとするだけではなく、彼女のお腹の子を潰そうとし、父親である君を殺そうとした」
309 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:26:16 ID:???0 昌浩は尋ねた「それじゃあ、兄とは母は・・・。父はどうなったんですか?美鈴は?」 金 英和は答えた。 「お兄さんとお母さんは、君達の子供が亡くなったことで再び流れ出した『呪詛』によって亡くなったと見るべきだろう。 君と君の父上は相当強い霊力や生命力を持っているようだ。お父上は’まだ’生きている。 君が見たという美鈴さんの悪夢は、彼女を依り代にした呪詛の現われだろうね」 「美鈴は?」 「君が今無事でいられるのは、生まれてこなかった君達の子供の霊と、美鈴さん自身が君への『呪詛の流れ』を止めていたからだ。 一目だけでも彼女を君に逢わせてあげたかったのだが・・・遅かった。残念だ」 昌浩は泣き崩れた。 金 英和は続けた。 「泣いている場合ではない。宋一族に向けられた呪詛は今、君の父上に集中的に向いていて、君には大した影響は出ていない。 しかし、君の父上はもう長くはない。私の知り合いの霊能者が結界を張って守っているが、彼の命は風前の灯だ。 父上が亡くなれば、次は君の番だ。宋家の血脈が滅び去るまで呪詛の流れは止まらないだろう」 「・・・そうですか」 「君は死ぬのが怖くないのか?」 「家族を失い、美鈴や子供も失って、この世に何の未練があります?もう、どうでもいいですよ」 「それでは、君の父上が浮かばれないな」 「?」 「君の父上は、君を助ける為に敢えてその身に呪詛を受けていると言うのに、君がこれではどうしようもない」
310 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:26:56 ID:???0 「助かる方法があるのですか?」 「ある。だが、それには条件がある」 「条件?」 「私や、私の友人の力では君を助ける事は出来ない。 普通の加持や祈祷では、君に降りかかる呪詛は払えないだろう。 他人の力ではなく、君自身が修行して霊力や生命力を大幅に引き上げる必要がある。 その上で、君達の一族に向けられた呪詛を『引き受ける』術を持つ、ある呪術師の親子の力を借りれば君は助かるだろう。 しかし、君が呪詛に耐えるに必要な霊力を身に付けるための、修行を行う時間はない・・・」 「ならば、どうやって?」 「まもなく、韓国から問題の呪術師の親子がやって来る。 私は『契約』により、呪術師の息子が一族の業の後継者となる子を作り、次の代に引き継ぐまで、息子を監視し助ける義務を負っている。 しかし、残念な事に、私は適性を欠いていたようだ。 修行の過程で体を蝕まれ、呪術師として呪詛に触れる過程で命脈を使い果たしてしまったようだ。義務を果たす事は最早出来ない。 私は、自分が蝕まれている事を知ったときから、自分の代わりとなり得る『適格者』を探し続けてきた。 君には適性がある。 強い霊力の『血』を持つ女は、並の霊力の胤では決して孕まない。 まして、**部落の、美鈴さんの霊力の『血』は何代にも渡って濃縮された極めて強い血だ。 **部落以外の者の胤で孕むことは、極めて稀だろう。しかし、美鈴さんは君の子を宿した。 これは、君に極めて強い霊力や生命力が備わっている証拠だ。 君は私の代わりに、『監視者』たる『金』の姓を名乗って、然る時が来るまで、呪術師の息子を助けて欲しい。 私は、君の一族に降りかかる呪詛を身代わりとなって引き受けよう」 昌浩は金 英和の申し出を受け入れた。
311 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:27:45 ID:???0 昌浩は金 英和に連れられて、霊能者・天見琉奇の元に赴いた。 昌浩が着いた時には、宋 昌成は既に発狂し、衰弱し切った状態にあった。 やがて、韓国から『祟られ屋』の呪術師の親子が来日した。 昌浩は金 英和に成り代わって親子と契約の儀式を行い、父親の呪術師に息子と共に師事した。 昌浩は韓国から来た『祟られ屋』だけではなく、霊能者の『天見琉奇』、呪術師『榊』など、数多くの呪術師・祈祷師・霊能者を師に仰いで修行を重ねた。 宋 昌成や駒井の手によって保護された『美冬』は、天見琉奇に師事し、その卓越した霊力から『天見』の名と彼の教団を継ぎ、後に霊能者・天見琉華となった。 やがて、『祟られ屋』の息子は父親から一族の呪法を受け継ぎ、昌浩と共に呪術師として本格的に活動を開始した。 そんな時に舞い込んだのが、呪術師『半田千津子』の抹殺だった。 『千津子』は『美冬』とは出身部落を異にしていたが、同様の『封じられた』血脈に属する女であることが天見琉奇の霊視によって明らかになった。 『千津子』は何者かによって、その強力無比な霊力を利用され『依り代』として、呪殺の道具にされているだけだったのだ。 彼女の一族は、美冬の一族や**部落とはまた違った、巧妙な方法で呪詛の主に支配されていた。 ある種の呪詛により、思考能力を抑えられて、力の抑制や善悪の判断が出来ない『人形』にされていたのだ。 半田親子の知能障害、一旦発動すると歯止めが利かない強力な『力』は、そこに原因があったと言うことだ。 類稀な才能を認められて危険な術を託され、組織において『呪殺』を受け持ってはいたが、榊は性格に問題のある男だった。 非情になれない、特に女子供に甘い男だったようだ。 彼には、正体の明らかでない何者かに呪詛の道具として利用されているだけの哀れな女を消す事は出来なかった。 だが、彼に背後の術者を探し出す力はなく、組織にもその力を持つ者は居らず・・・天見琉奇を以ってしても特定は不可能だった。 榊は死を覚悟して、父の友人であり、弟子の昌浩や韓国から来た『祟られ屋』の息子を統括する幹部でもあった『呪術研究家』の男に後の処理を依頼して組織を出奔した。 ・・・『半田 千津子』の助命を嘆願して。 榊にとって、韓国発祥の教団であり、日本の神々や呪術・霊力とは敵対する『T教団』に千津子を委ねたのは、彼女を『支配者』である術者から切り離す上での窮余の策であったのだ。 やがて、組織の命により榊は抹殺されたが、呪術研究家の「下手に千津子に手を出せば、『支配者』を失った彼女の『能力』の暴走を招き、更なる死者が出る。 下手に抹殺を図って犠牲を出すよりは、彼女を保護しているT教団と協定を結び、彼女の力を封印した方が得策だ」と言う主張が採用され、組織とT教団との間で協定が結ばれた。
312 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:28:27 ID:???0 宋 昌成・昌浩親子に『拝み屋』金 英和を紹介した在日朝鮮人実業家で呪術研究家の男・・・シンさん。 韓国から来た『祟られ屋』の息子・・・マサさん。 その父親と契約を結び、名を変えてマサさんを監視し、補佐する呪術師の宋 昌浩=キムさん。 彼らは、マサさんの一族に伝わる特異な『朝鮮の呪法』を以って、彼らの属する呪術団体の中で地歩を固めて行った。 マサさんの一族と組織の関わりはかなり古いものらしい。 以前から不思議に思っていた・・・実業家であり、呪術師や祈祷師でもないシンさんが、組織や呪術の世界、マサさん達に何故関わるのか? 俺はシンさんに疑問をぶつけた。 シンさんは答えた。 「拝み屋だった金 英和は私の息子なのだよ。 申家は、ある無茶な仕事で酷い祟りに遭ってね、一族が滅びかけた事があるんだ。いや、滅んでいるはずだった。 申一族はマサの祖父に救われたが、事業が頓挫した我々には、約束の報酬を支払う事が出来なかった。 だから、『適格者』だった私は、多額の謝礼の代わりにマサの祖父と契約を結んだのさ。 だが、私が修行に入る前に、息子が出来てしまった。 不測の事態で仕方なく、私の代わりに弟が『監視者』として修行の道に入ったが、適性を欠いていたらしく、使命を全うする事無く死んだ。 私と弟に成り代わって、申家のマサの家に対する義務を果たすべく、息子はマサの父親と契約を結んだが、彼も適性を欠いていて命を落とした。 申家の生き残りは私だけだ。 老い先短い私には、命の続く限りマサやキムを補佐する義務がある。 申家の宿命を代わりに背負った宋家・・・いや、キムにはシン家が築いて来たもの全てを託す。 その為に、私はキムを表の仕事の右腕として鍛え続けて来たんだ。事業家としても彼は優秀で、私の期待に応えてくれているよ」
313 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:30:40 ID:???0 シンさんの言葉の後、俺はキムさんに聞いた。 「適格と言うのは、例の『導通』の儀式に耐えられる能力と言うことですか?」 「マサ達が適格者を選ぶ基準は私にも良く判らないが・・・恐らくそうだろうね。 私も、マサが父親から呪法を受け継ぐ少し前に、師匠から君と同じ儀式を受けている。 金 英和は、儀式を受けた後、急速に体調を崩して寿命を縮めた。 あの儀式は相当な下準備と、生まれ持っての適性がないと致命的なダメージを肉体に及ぼすと見るべきだろうな」 「俺はマサさんと契約なんてしていない。それに、マサさんは子供どころか結婚も、女もいないですよね?」 「そうだな。君が適格者だとは思えない。君は日本人だからな。 日本人として日本の神々の加護を受けている君には、あの『井戸の呪法』関わる適性は無いと思うんだ。 肉体的特性は兎も角、霊的特性として、朝鮮民族に限られるんじゃないかと私も思う」 「何でマサさんはPではなく、俺にあの儀式を施したんだろう?」 「それは私にも判らない。ただ、確実に言えるのはP君は間違いなく候補者だったはずだ。 彼ではなく、君に儀式を施したと聞いて、我々も驚いたよ。 肉体的条件に適合しなかったようだが、P君の潜在的な霊能力は素晴らしいものがあったからね。 ・・・正直、碌に準備もしなかった君があの儀式に耐えて、今も無事で生きていること自体、私には驚きだよ」 「俺、『導通』の儀式の実験台だったんだろうか?」 「さあな。だが、アイツも相当に甘い性格をしているからな・・・そこまで、非情な行動に出られるか? 君を儀式の実験台に出来るような奴なら、多分、君があのアパートに着く前に、踏み込むと同時に千津子と奈津子を射殺していただろう。 命を落としかけてまで、あんな危ない橋を渡る事はなかったはずだ」
314 :契約 ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:31:30 ID:???0 茶碗に残った酒をグイッと一気に呷ると、シンさんは俺に言った。 「マサが何を考えているかは判らないが、いずれにしても、君は良くやってくれているよ。 君は身体の傷からも、アリサ君を喪った心の傷からも、痛みを忘れているだけで癒え切ってはいない。 本来、あんな危険な仕事を任せられる状態ではなかった。 緊張が解けて、そのうちに後遺症が出てくるだろう。 暫く暇をあげるから、今はゆっくり休みなさい。君の傷が癒えて戻ってくるのを我々は待っているよ。 好きなバイクでツーリングにでも行くと良い。思い切り羽根を伸ばしてきなさい」 俺が部屋を出ようとすると、キムさんが「ちょっと待て」と声を掛けてきた。 「木島の所に顔を出すのは良いが、奴には気をつけろ。アイツは、私やマサのように甘い人間ではない。 何を企んでるかは判らないが、目的の為には何処までも非情になれる人間だ。そこのところを忘れるな。 まあ、たっぷり休む事だ。 戻ってきたら、せいぜい扱き使ってやるよw」 俺は一礼して、シンさんのお宅を後にした。 おわり
315 : ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/06(水) 01:34:47 ID:???0 続きは、半分くらい書けているので、近い内に。 それでは、また!
316 :名無しさん :2009/05/06(水) 03:56:10 ID:???0 段々と関係もわかってきましたね! 続きがこんなに早く読めるとは嬉しいです! 首を長くして待ってます。
317 :名無しさん :2009/05/06(水) 04:19:22 ID:stTU65.2O 嬉しい〜、また新作読める〜。作者さん、お疲れさまです! …でも、続きあんまり焦らさないでくださいね(ハァト
318 :名無しさん :2009/05/06(水) 05:25:15 ID:06PM/PqMO 井戸の呪法についての詳細がまだだよね。 早く明らかにして欲しい。
319 :名無しさん :2009/05/06(水) 09:53:38 ID:hb2/4Oy.O >マサさんの作者さん 「憑き護」http://090ver.jp/~usoriro/osusume/osusume2/59-1.html これの詳細情報なにかありますか? もし差し支えなければ、ご回答お願いします。
320 : ◆cmuuOjbHnQ :2009/05/08(金) 02:04:31 ID:???0 書き込めるかな? >319 その土地の事情や細かい背景が判らないと何とも言い様がありませんね。 私が話せるのは、あくまでも『一般論』や、こう言うパターンもあると言う事で、参考までに。 『憑き護』が寺や国に管理されているという話は、江戸時代・幕藩体制下の「寺請制度」と「宗旨人別帳」のことではないかと思います。 この制度の下で、全ての人が何れかの寺の檀家に入る事とされました。 宗旨人別帳は、今で言う「戸籍謄本・抄本」に当たるもので、寺の証明する「寺請文」がなければ、人は旅も出来ませんでした。 更に時代が進み、明治時代に編纂された『壬申戸籍』にも、旧身分や職業、壇那寺、犯罪歴や病歴などのほか、家柄を示す族称欄が設けられました。 「寺請け制度」や「宗旨人別帳」には隠れキリシタンを取り締まる目的もあったのですが、それと同時に特異な霊的能力を持った『能力者』を把握し、封じ込める目的がありました。 権力者達は、群雄割拠の不安定な時代には『能力者』を積極的に利用していたのですが、天下統一され社会が安定すると彼らを恐れ、徹底した管理下に置こうとしました。 『皇室』のような圧倒的な霊力を持たない彼らは、『能力者』の、或いは『能力者』を利用した反逆・反乱を恐れたようです。 『反乱』の例には、キリシタン一揆や一向一揆などが当たるでしょうか。 また、島原の乱の天草四郎などが、江戸幕府が警戒した、民衆を扇動する『能力者』の例として挙げられるでしょう。 このような『能力者』の管理は、「壬申戸籍」にも受け継がれました。 壬申戸籍は1968年に封印され、表向き閲覧できない事になっていますが、裏で入手して悪用する者は後を絶たないようで、某カルト教団の『能力者』狩りにも利用されていると思われます。 「寺請け制度」の下で、各寺は管内の『能力者』の処分に責任を負わされていました。 『処分』の方法として、先に私の書いた『澱み』のような、「腐った土地」に住まわせて封じたり、村や町に振り掛る祟りや災厄を住民の身代わりとして引き受ける役目を負わせました。 従わない『能力者』には、追放、或いは死が待っていたようです(管理責任を負わされた寺が、ただ「追放」したとは考え難いので、殺されたと見るべきでしょう)。 災厄や飢饉の時の生贄、或いは土木工事等で捧げられる人柱などは、管理者の手に余る「能力者」を消す『処分』の口実として行われたものが少なからずあると思われます。 この、災厄・祟りを引受ける役目を負わされた『能力者』の家系を表す呼び名の一つが『憑き護』だと思われます。 このような家系は、元々は『役目』を押し付けられた、いわばスケープゴートでした。 しかし、何代も役目を果たして行くうちに、一族の誇りや存在意義を『役目』に求めるようになった例が数多くあるようです。 『能力者』の管理責任を負う寺や檀家衆も、憑き護等の能力者の逃亡を防ぐ為に彼らを丁重に扱ったようです。 「身代わり」や「祟られ役」の能力者の一族が、その地域有数の資産家だったり、名士だったりと言うことは、割と良くある事例のようです。 以上、参考まで。
321 :319 :2009/05/08(金) 02:59:56 ID:hb2/4Oy.O >>320 すみません、ありがとうございます。 ここまで丁寧に答えて頂けるとは、 恐縮です。 さすがお詳しいですね… 聞いて良かった。 新作いつも楽しみにしています。 作者さんの身が心配になることもありますが…(^^;)
322 :名無しさん :2009/05/10(日) 12:19:37 ID:???0 きたあああああああああああああ!!! 毎回めっちゃめっちゃ楽しみにしてます!! 応援しています!!
323 :名無しさん :2009/05/11(月) 03:15:08 ID:G8ucgzVA0 >マサさんの作者さん いつも楽しく読んでます さて、作品「赤と青の炎」を読んで… 「気合」の事に触れていましたが、ある逸話を思い出したのです 時は明治時代。北海道での老人と孫の話。 孫はどういう理由か定かではないが、地元のヤクザ数人に絡まれていたらしい 町の人間は見て見ぬ振り。 老人はヤクザ等に、孫の「不手際?」を謝罪したらしいが、事は大きくなっていく 刃物をちらつかせ、ヤクザ等が孫に手をかけようとした瞬間、ヤクザ等は老人の猛烈な「気合」で腰を抜かしたそう その老人こそ、かの有名な「新撰組」の隊員の一人だったという…(史実かどうかはさておき) まんざら「気合」という存在は嘘ではないようですね ちなみに新撰組の流派である「天然理心流」は敵に反撃を許さず「先」「先」「先」とたたみかけてゆく連続業であるという。 示現流が登場したので、また一つ。 当時?(おそらく生類憐みの令以降かと)薩摩藩の武士にこういう風習があったという それは「犬鍋」 さらって来た犬の内臓を取り出し、そのまま鍋に入れ食うという(調理方法、味付けは不明) この風習は薩摩の武士達、乱暴者(ぼっけもん)の「肝」を試す行為であったようだ 食べない連中は、いわゆる「肝っ玉無し」と蔑んでいたようです (なんか現在の「肝試し」に加われない「ヘタレ」との関係と似るようで…w) 幕末時代の薩摩藩の連中の行動やらはもしや、その辺りからの流れかもですね ちなみにキャワイイ犬種「チワワ」は日本でもペットとして愛好家が多いようですが、 源流は南米「マヤ文明」発祥で「食用」として生み出された犬種のようです では、作者さんくれぐれもお体を大事になさって下さいね 新作、期待!楽しみです! ps、これはあくまで、見聞きした情報ですので呪わないでね…(´・ω・`)
324 :名無しさん :2009/05/20(水) 14:53:26 ID:VDiUjDFAO >>323 その老人、もしかして永倉新八では? 新撰組では三番隊組長だった斎藤一と並ぶくらい長生きした人です。 確かそんな逸話があったはず。
325 :名無しさん :2009/05/21(木) 16:48:52 ID:???0 友人の親戚に「人の死を予見できる」女性がいます。 年をとった今では何とか折り合いをつけて生活してるようですが 若い頃は自身の能力に悩んでいたそうです。 その友人の家系的に能力が強いようです。 こういった情報まで把握し、管理されているとしたら… ちょっと空恐ろしいです。
326 :白菜 :2009/05/29(金) 13:33:47 ID:nVFfsy..O 俺はバスの中で、声をかけられた。 相手はひどく太った気持ち悪い女性だった。 「○○(俺)!久しぶり!」 俺は奴に見覚えはない 「え〜っと…すみません、だ、誰ですか?」 「俺だよ!兼山!」 俺はコトバが出なかった。 奴は中学校の時の同級生だった。 奴は男なのに女になっていた しかも、デブってwwwwwwwwww 俺は笑いを必死に我慢した。 堪えすぎて眉毛がピクピク動いた。 「か、かわったね」 込み上げる笑いが落ち着いて、ようやく言い換えた。 「じゃあ、俺ここで降りるわ」 「またね」 奴はバスから降りていった。 ぶ ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!! 人目を気にせず笑いに笑った これはネタになるぞ〜と、テンションが上がり、一刻も早く複数の友人(全員中学校同じ)にこの事を報告したかった。 バスを降り 片っ端から電話をかけた 「さっき○○にあったんだけどよ〜!」 バスの中の事を大袈裟に話しまくった 「は?○○って元々女じゃん」 怖すぎて全身鳥肌が立った。
327 :名無しさん :2009/05/29(金) 23:25:03 ID:???0 ええぇっとぉ ○○は俺で、相手が兼山? 最後の○○は兼山の事? 「俺だよ!兼山」って台詞は女の子が言った台詞じゃないの?でも俺? なんだかわけわかんない
328 :名無しさん :2009/05/30(土) 01:45:01 ID:nTPvoRgQO 確かに一度兼山って名前出してるのに○○にするのは混乱しそう。 というか兼山が中学時代は男装少女で、>>326 だけが気づいていなかった(知らされなかった)ってオチか。
329 :名無しさん :2009/05/30(土) 21:09:07 ID:jk85YCb60 ん? 単なる俺女じゃね? 自分のクラスにも角刈りの俺女がいたよ
330 :ベニー :2009/06/07(日) 12:45:01 ID:N3ECA7fsO つい四日前のフレッシュな怖い体験です。 僕は高校生で、クラブをやってまして陸上部なんですが、その日は練習がかなり遅くまであって、しかも練習後も友人と遊んだりしてしまい、家に帰る頃には夜の10時になってました。 僕の家はみんなとくらべて少しとおいので、帰り道は一人です。でもまぁ、10時といってもそこそこ明るいので別に怖くもなくいつもどおりへらへらしながら川沿い(淀川っす)を歩いて家に帰っていました。 で〜、途中に小さい公園があるんです。動物の形をした、子供が上に乗って遊ぶようなんとかがある小さい公園が。 そこに、親子がいたんです。母親と、七歳くらいの子です。夜の10時なのに。遊具に乗せて遊ばしてるんです。しかも子供の足が片方んないです。まぁ単に障害なんでしょうが。もうすでにそれだけでちょい怖いじゃないですか? 怖いんで、鼻歌歌いながら走って通り過ぎました。(笑) 公園を通り過ぎてからも100メートルくらい全力疾走しました。後ろを見ると、もう公園も親子もみえないくらいになっていて安心しました。 あと家までは200メートルくらいでした。かなり長い石の階段をおりてしばらくすればもう家です。階段を四段ほど下りました。 そこで、下の方からさっきの母親が子供を抱えてすごい勢いで走ってのぼってくるのが見えました。表情はわかりませんでした。 僕は恐怖でものすごく大きな声を出し、もときた道を逆走しました。公園の方へいくのは怖かったですが、明らかに後ろから母親(そもそも人間か?)が追いかけてきているのがわかったので仕方がありませんでした。でも公園はなにもなく通過できました。そして通過した瞬間、後ろで、追いかける音がしなくなりました。振り返ると母親(ほんとに人か?)がいなくなっていました。 その後、学校まで引き返し、人通りの多めの明るい道をつかって遠回りして帰りました。 次の日、友人とその公園に行ってみると、一体の、片足なしウルトラマンセブンのソフビ人形が落ちていました。あと、腕に剣みたいなんがついた髪の毛金色の宇宙人が19体も落ちていました(笑)(あとで調べたらマグマ星人っていうのでした) う〜ん。ほんま謎です。でもまぁマジ怖かった。 って思っていたら、今日、ネットでマグマ星人の回のレオの話を知りました。あの人形、あの子の足になんか関係あったのかなぁ?いじめでけがさせられたとか?深読みかな?
331 :ミミコピッツ :2009/06/07(日) 13:40:57 ID:7gDvaAPwO 昔、職場の工場で経験した話 深夜2時、機械の稼動を止めて椅子に座り製品を包装する作業に集中していた 不意に肩をポンポン叩かれた 先輩がからかいに来たと思った どうしたんですか先輩? そう言いながら後ろを振り返る …誰もいねぇ/(^0^)\ 逃げ出す訳にもいかずに作業を続けました 悪い雰囲気もなかったので 工場建設場所には昔井戸があったそうな 水脈があるとかそういう関係があるのかも知れませんね 工場の奥に製品運搬用のエレベーターがあるのですが、誰も何も乗らずに2階から1階に無人で降りてきたのを見ました トイレに来ただけで周りは無人…深夜…ダッシュで持ち場に戻りました イジメを受けて亡くなった女性社員の仕業…との噂もあります
332 :名無しさん :2009/06/10(水) 01:11:15 ID:.XPgKqro0 今はこういう風に改善されてるよhttp://a-draw.com/contents/uploader2/src/up4447.jpg
333 :うま :2009/06/10(水) 01:41:37 ID:2LlgUvWM0 タイタニック号爆破は大統領暗殺に合わせたhttp://akiba.geocities.jp/pxzuwp/0203/33/214.html この爆破計画は、大統領暗殺の日時に合わせて行われた。
334 :きよぴー :2009/06/10(水) 13:05:27 ID:17HFdndk0 はじめまして。 高校生の時に体験したお話をさせてください。 あれはちょうどインターハイが近づいて夜遅くまで学校の道場で弓道の練習をしていた頃でした。 学校は太平洋を見渡せる高台の頂上にあり周囲は森で囲まれていて夜は大変薄暗く不気味でした。 いつもの如く自転車で通学路の坂を勢いよく下っていると、突然目の前を白いものが横切りました。 あわててブレーキをかけて止まりましたが周囲に人影はなく動物の気配も感じられません。 ビニール袋でも風で飛んできたのかとおもいそのときはあまり気にせずに また自転車をこぎだしました。 家につき、食事と風呂をすませその日は何事もなく寝床につきました。 しかし、ベッドに入ってから数時間たったでしょうかあまりの寝苦しさに 突如として目がさえてしまいました。水を飲みに起き上がろうとしましたが なぜか体を動かすことができません。金縛り…!! なんとか、首を動かしてあたりを見回すといつもの自分の部屋の中に、ひとつだけ 奇妙な一角をみつけました。瞬間、僕は凍りついてしまいました。 部屋の北隅に髪の短い女が白いワンピースを着てうつろな姿で立っていたのです。 その女は少しずつ、少しずつ、僕が寝ているベッドに近づいてきて ついに、顔と顔がくっつきそうなところまで接近してきました。 あまりの事態に声をあげようとしたのですが、口からはひゅーひゅーと息が もれる音だけしかでず、その間に女は僕の耳元に口を近づけると ぼそぼそと話しはじめました。 それは、ある男への呪詛の言葉でした。(言葉は自分にむけられていましたが、 自分はみにおぼえがないので人違いだろうと思います。) 次第に女は興奮してきたのか、声を荒げ怒りの表情で顔は醜くゆがみ まるで鬼のようでした。女はふところに手を入れると大きな包丁を取り出し 大きく振りかぶりました。 このままではやられてしまう(>_<) そう思った僕は、必至で声をだそうともがきました。 女の刃が自分の胸を貫こうと振り下ろされた瞬間! うちで飼っていてとても大切に面倒をみていた犬のラムがドアに取り付けてあった犬用の通用口から 踊りだして、女に飛びかかりました。 あわてた女はその場で霧散し、同時に僕の金縛りもとけました。 その後に学校の先生から聞いた話でわかったのですが、 その昔、通学路の脇で死体遺棄事件があったそうなのです。 被害者は20代の若い女で、当時付き合っていた男に殺されて捨てられたそうなのです。 その加害者の男は、今も服役中で今は県外の刑務所にいるそうです。 当時新聞になった記事に加害者の男の写真が載っており それを見た時にはまた氷ついてしまいました。 その男の当時の顔は高校生のころの僕にソックリ瓜二つだったのです・・・。 その後、僕はお祓いを受けて、女の幽霊に会うことは現在までありませんでした。 人違いで殺されそうになるとは・・・皆さんもお気をつけて・・・。
335 :名無し :2009/06/12(金) 18:03:10 ID:BhXVgJ3s0 これは実際にあった話だけど、岡山県岡山市の住宅街に 「口裂け女」が出るって話題になった。んで、友達と一緒に行こうかって話しになって 行った。そしたら赤い服にマスク姿の女の人が本当にいた。 そんで、よせばいいのに声掛けた。そしたら「私きれい?」って本当に聞いてきたのよ。 あわてて帰ろうとして後ろ向いたら私と友達の手をガッと掴んで 「ワタシキレイワタシキレイワタシキレイワタシキレイ・・・・」 連呼してた。 もうパニックになって無我夢中で逃げた。 その数日後にテレビ見たら、その人逮捕されたんだって。 精神異常者で、まだ治療中らしい。 あの時逃げなかったらどうなってたんだろう・・・。 忘れられないあの日の光景。
336 :名無しさん :2009/06/14(日) 23:21:26 ID:RoQ2GELo0 あげ
337 :名無しさん :2009/06/23(火) 18:29:26 ID:14TEt1bg0 底辺高校に通っていた頃。友人に兄貴の車を無免で乗り回してるKがいた。 Kの運転する車に乗り、Kと俺とあと2人(IとN)の計4人でよくつるんで夜遊びに出かけていた。 高2の夏休み中の夜。その日の昼間に女友達から噂を聞いた。 県内の某国道沿いにある廃ホテルが「出る」というのだ。 その場所はよく知っていたが、国道沿いで車通りも多いため、 気味悪いという印象は特になかった。 しかし暇つぶしにはもってこいなので、早速向かうことにした。 22時過ぎ、いつもの4人で集まり、ファミレスで腹ごしらえ。 4人の中に特に霊感が強いという奴はおらず、 何の危機感もないままはしゃぎまくっていた。 Nが懐中電灯を持ってきた以外は特別な準備もしていない。 そして0時すぎ、廃ホテル前についた。昼間と違いその場所は車通りも少なく、 5階建ての建物が異様に大きく見える。見上げると、割られたのか ガラスがはまっていない窓がほとんどで、暗い内部をのぞかせている。 1Fの入り口ドアもガラス張りだが割られていて、中には容易に侵入できそうだった。 Kがハンドルを握ったまま上階を見上げながら生唾を飲む。 その様子に「何お前ビビってんの?」と3人でからかいを入れつつ 俺らは相変わらずはしゃいでいた。 ふと、ホテルの駐車場だった場所に何かあるのに気付いた。 申し訳程度に張られた侵入防止用のロープの奥の暗闇に、 幅3mくらいの白っぽい物体が、国道の街灯の光をわずかに反射している。 国道脇に停めた車からはよく見えない。しかし昼間にあんな物体があるのは見た記憶がなかった。 俺「なあ、あれなんや?」K「なんやろな」 I「N、お前懐中電灯持ってるんやから見てこい」I「ええ〜・・・」 3人の視線に負けたNが1人で物体に向かう。俺らもおのおの車から降りてNと白い物体の様子をうかがう。 Nはロープの手前まで行って物体を懐中電灯で照らしたりしていたが、やがて引き返してきた。 N「テントみたいやな」I「テント?中に誰かおるんか?」 N「いや、入り口がこっちから裏側にあるらしゅうてようわからん」 俺「なんでこないなとこでテント張っとんねん」N「わしに聞くなwww」 I「確かめてみるか」K「マジ?誰かおったらやばいんちゃう?」 俺「ホテルの中よりおもろそうやなw」K「おいww」 Kは本当に少々ビビりが入っているようだが、結局4人で確かめることになった。 4人で物体を囲むように近づく。Nは、中にいる奴に接近を知られるとまずいと言って、懐中電灯を消した。 ロープをまたぐと、それがテントであることが俺の目にもはっきりわかった。 風でテントの布がかすかに揺れているが、それ以外に動きはない。 中に誰かいるようには見えなかった。 あと一歩でテントに手が届く位置まで近づいたとき、テントに異変が起きた。 中が突然明るくなったのだ。「うわああっ!」事態の急変に驚いて声を上げたのはKだ。 それに釣られて俺を含む3人も恐怖にかられ、来た道を戻って走り出した。 しかし俺はまだ冷静さが残っていた。「ビビるのは早い、どうせ浮浪者かなんかやろ」 足を止めて振り向くと、テントがガサガサと大きく揺れている。 続いて入り口のジッパーを開く音がして中の奴が出てきた。 懐中電灯を向けられたため逆光で顔はよく見えないが、全身真っ黒で背が低く 手足が異様に長い。人間離れしたその姿に改めてパニックになった俺は 「わああああ!」と悲鳴を上げて仲間の後を追った。 背後から「べた・・・べた・・・」という足音が追ってくる。 「くるなああああ!」俺はもう振り向くことができない。 「俺!早よ乗れえ!」Nが車のドアを開けて待っている。 全速力で走っているのに「べた・・・べた・・・」という足音は離れない。 やっとのことで車に飛び込み、ドアを閉める前にKは車を出した。 ドアは急発進の勢いで勝手に閉まった。 後部窓から様子をうかがうと、奴はこちらを照らしながら追ってきたが、すぐに見えなくなった。 その後10kmほど先のコンビニに向かった。ホテルの近くにもコンビニはあったが、ホテルから離れるべきと思ったのだ。 少し落ち着いたころ、Iが「なんやったんやあれは・・・なあ俺、お前近くで見たんやろ」と聞いてきた。 俺は奴の特徴をしゃべったが、奴が何なのかは俺にもわかるはずはない。 会話が切れると、Kが「もう二度と夜にあそこへは行かんわ。前も通りたくない」。 みんな同じ気持ちだった。 その後4人で夜遊びすることはなくなり、この話は禁句となった。
338 :名無しさん :2009/06/23(火) 18:31:32 ID:14TEt1bg0 荷台にテントと寝袋をくくりつけ、野宿しながら自転車日本一周中のこと。 その日は和歌山方面から大阪に入り奈良へ抜けるルート。 夕方、四条畷から国道を東へ走行中、左手の道路沿いに廃ホテルを見つけ、 そこの駐車場をその晩のテント地に決めました。 夕食をとり日記をつけて、22時ごろには就寝。 0時ごろ、人の話し声と車のドアを開け閉めする音で目が覚めました。 若い男数人がどうやらこの廃ホテルに肝試しにでも来たようです。 しかも奴らの車はドロドロボボボボと重低音が香ばしいDQN仕様。 野宿中の自転車旅行者が暴走族の目に留まりボコられ身包み剥がされたという 逸話を聞いていたため、自分もそうなるのか・・・と生きた心地がしません。 奴らがとうとう自分のテント気づいたらしく、声を潜めて近づいてくる気配がテントの布越しにしてきました。 自分が中にいるのを悟られては危険な気がして身動きが取れません。 テント内に視線をめぐらすと、手元に懐中電灯。よし。 奴らの声がすぐ傍3mくらいから聞こえた瞬間、懐中電灯をON! テントが目の前で突然明るくなりパニクった連中が、悲鳴を上げて引き返していきます。勝った! しかしまた戻ってこられても困るので、追撃に出ることにしました。 テントを出ると連中が慌てて車に乗り込むところが見えます。 懐中電灯を連中の車に向け(逆光で自分の顔を隠すため)、 姿勢を低くして肩をいからせ、大股でのっしのっしと奴らを追うと、開いた車の窓からさらにパニクる声。 やがてかすかなスキール音を残し、連中は逃げ去ったのでした。 その後連中の再来襲はありませんでしたが、夜明けまでろくに眠れませんでした。
339 :名無しさん :2009/06/23(火) 18:34:42 ID:14TEt1bg0 >>337-338 です>>338 は実話です。この話を連中側から書いたら、 完全にオカルトになるんだろうなぁと思って創作したのが>>337 。>>338 は16年ほど前の自分の実体験です。確か国道163号沿いにあった廃ホテル、 今でもあるんでしょうか。
340 :やま :2009/06/24(水) 16:11:15 ID:2LlgUvWM0 麻生首相はオリンピック選手だった。http://pwvx.hp.infoseek.co.jp/0203/33/217.html だが、本当に記録保持者だったのか。
341 :名無しさん :2009/06/25(木) 01:50:51 ID:ut4JE5zI0 上の記事、いくら何でも下劣杉。 麻生氏本人に対するよりも、クレー射撃協会や射撃競技関係者に対する重大な侮辱・名誉毀損だよ・・・ 筆者の品性を疑う。
342 :公園に潜む者 :2009/06/25(木) 03:00:19 ID:fR/sSPnIO 俺が中学二年の時の話 週末になると仲のいい友人達で集まり馬鹿騒ぎをしていた。 そんな夏のある日の事… 仮に友人H、S、Yとする。 みんなで公園で花火をしようという話になり、みんなで金を出し合って花火を沢山買い集めた 花火は集まった。後は場所だ、どこがいい? 『まだ俺らが言った事のない場所に行こう』 と友人Sは言った。 その公園とは、俺らが住んでる場所から線路の向こう側にある人気のないところだった。 早速俺らはチャリで向かった。 15分くらいで公園に着いた。 街頭は要所ずつに設置されてるのだが、広場の部分だけ光が届いていないように見えた。背筋がぞっとした。 ふいにYが 『やべっ、俺ら何も菓子とか買ってねーわ』 いつもは適当に遊んでから菓子やらを買い込んで騒いでいたからいつものように H『じゃあ俺ファンタグレープ』 俺『俺はショッポなW』 という感じで二手に別れた。 何と無くベンチに座りながら好きな人の事、ゲームの事とかだべりながら時間を潰してた。 ずっと気を紛らわしていた俺は、おもむろにジッポを取り出し、タバコに火を点けた。 その瞬間
343 :公園に潜む者 :2009/06/25(木) 03:01:14 ID:fR/sSPnIO 〜続き〜 そいつは現れた 『顔』である。とにかく馬鹿でかい顔。 当時の俺は身長が170近くあったが、おおよそ縦ニメートルは あった 火花が散った瞬間にしか見えなかったがはっきり見えた。髪がダラッと垂れ、まるで落ち武者のようだった。 そして、首だけしかないのだ。 凄くびっくりしたが、見慣れていたため、なんとか正気を保てた。汗がびっしょりだった。 俺の異変に気付いたHは H『なに、また出たんか?』 と言い、顔色を窺った。 俺『あーうん、また出た。まあ大人しくしとけば多分ついてこないだろ』 ちなみにHは若干霊感があり、俺と二人の時は必ずと言っていいほど出てた。 俺は少し深呼吸をし、少しだけ唱えた 『たかまのはらにかんずまりまするかむろうぎかむろうぎのみことをもって(略)かしこみかしこみまもうす』 ものの5分程度唱えた後に調度二人が帰ってきた。 びびりのYに気を遣い、何事も無かったかのように 『よっしゃやるか!』 と無理に騒いだ。今思えば、合流した時点で帰った方が良かったのかもしれない。
344 :公園に潜む者 :2009/06/25(木) 03:03:19 ID:fR/sSPnIO 〜続き〜 俺らが公園まで行く道は、店に寄りながら来たから線路沿いを行くのだが、帰り道は公園の傍に流れる川沿いを歩く。 Hの状態はただ事じゃないと感じていたが、未熟な俺にはどうしたらいいか解らなかった。とりあえずは俺の家に運ぶことにした。 家まであと5分程度に差し掛かるところ、橋を渡りきった瞬間に背中が重く冷たくなった。 俺『H、聞こえるか?絶対に、振り向くなよ。S、Y、おまえらは見えないだろうけどできるだけ後ろは見るな。』 ゆっくり、ゆっくりと歩を進め、少しずつ歩いていった。 あともう少しで左折…!もう少しで帰れる! そう思った瞬間 カリカリカリ 最初は風で動く葉の音か何かかと思った カリカリカリカリカリカリ 二度目で気付いた、後ろにナニカいる… SとYには気付いていない様子だった。 カリ、カリカリカリカリ やばいやばいやばいやばい! かなり焦った。多分一生であるかないかくらい焦ったと思う。 ようやく左折できたところで左目の視界の隅に数メートル後ろのソイツを捉えた 暗かったからかもしれないけど、深い緑の作業着を着てたソイツは 右手が無く 左足が無く 左手にマトックをひきずっていた。 頭が…やはり無かった やっぱアイツか そう思った瞬間 リカリ…カリカリカリカリカリカカカカカカカカカ!!!! ソイツはいきなり追いかけてきた!友人達は全く気付かず、動けない状態でいた (追い付かれた!?) と急に音が止み、俺の肩にずしんと重みがあった。そしてふぅ〜…と、だるそうな息を吐いた後にこう一言。 戻 せ よ 俺は気を失った。
345 :公園に潜む者 :2009/06/25(木) 03:07:50 ID:fR/sSPnIO 質問があったので、真相と後日談を書きます。 えっとね、Hが方向を変えたじゃん?暗くて気付かなかったけど、そこに祠?らしきものがあったんだよ。明るくなって来てみたら花とか水とか供えてあったんだ。そこに当たってしまってぐちゃにしちゃったの。 ちゃんと元に戻して奉ったよ。半年金縛りになったけどね
346 :公園に潜む者 :2009/06/25(木) 03:39:27 ID:fR/sSPnIO すいません、更に詳しく書きます。 俺が気を失ってから、SとYは必死に俺の家に運び込んだらしい。 気を失ってる間に見た夢。 それは洞窟の中だった。そこには一所懸命に穴を掘っている人がいた。その人には足が無かった、左足が… ふと、俺に気づき振り向いた。 ゆっくりと歩み近寄り、俺の顔をなめ回すように観察し、残った手でピタピタと感触を確かめるように、いやらしくニヤッと笑った、 奴はこう言った。 あともう少しだったのに、なんで邪魔した?アレは戻したのか?戻せよ、戻せよよぉぉぉぉぉぉ!! 絶叫を聞いた瞬間、口が馬鹿みたいに開いて俺の頭から食おうとした。 『エイッ!』 神主の声。ここで目が覚めた。隣の目が覚めたHと、何が何だか解らずのYが半泣き状態だった。 昨夜まであった事を全て話し、見たものも全てを話しました。 とりあえず、俺を含めたH、S、Yにお祓いをしてもらい、後日、あの公園に行ってみた。 入った時には気付かなかったが、入口の横あたりに祠らしきものがあった。そこには花と水を供える入れ物があった。あの花火のせいか、見事に命中したのか目茶苦茶になっていた。 俺と友人は四人で掃除し、綺麗にした後で買ってきた花を添えて手を合わせた。 『ごめんなさい』と。 帰り道、アイツと遭遇した場所である。 あれ?これ、なんだ? 今まで気付かなかったが川沿いにある花壇?付近にある土があって、そこにはアイスの棒くらいの大きさの卒塔婆?らしきものがあって、よくわからない言葉が記されていた。 俺は感覚的に ああ、あそこ(公園)とここ(川沿い)は通じてるんだなぁ… と感じました。何故かは分かりませんが。 個人的には、あの霊は、空襲から逃れるために掘られたんだろうなぁ…あの深緑っぽい作業着は、もしかしたら軍服かもなぁ… と思いました。 俺の話は以上です。 今でも友人達は元気に暮らしています。 長い分に付き合っていただき、ありがとうございました。
347 :名無しさん :2009/06/30(火) 14:42:20 ID:k30oWxv.O 初書き込みな為、空気読めてなかったらすまん。 父親の体験談。 若い時、貧乏だったから、もうボロボロの風呂も無いトイレも共同のアパートを借りたらしい。 ボロかったドアがしょっちゅう空いたのが一番困ったらしくて、ホームセンターで簡単なフックみたいな鍵を買ってきて固定してたんだって。 最初は普通に閉まってたらしいけど、付けて一週間くらいしたら、いつの間にか空いてるっていうことがあった。 気のせいだと思ってたんだけど、しょっちゅうで、気持ち悪いなぁと思って、同じアパートに住んでた友達に相談したんだって。 その日は、その友達の家に泊まることになって、外から鍵はかけられないから、そのままにして友達の家へ。 次の日、家に入ろうとしたら、鍵がかかってて入れない。 財布とかは幸い友達の家に持ってきていたから、そのまま仕事に行って夜帰ったら友達が青い顔をしてたから、 「どうしたっ?」 って聞いたら、友達がずっと隣から、鍵をかちゃかちゃ空けたり閉じたりする音が聞こえたらしい。 友達とすぐにアパート引き払ったらしいけど、鍵はつけたままにしたんだと。 全然怖くないな。 父親はしょっちゅう体験してるから、また書きにくるかも。
348 :名無しさん :2009/07/01(水) 00:48:43 ID:Ku3g30FoC 第二次世界大戦の日本敗戦直後、日本はアメリカ軍の支配下に置かれ各都市では多くの米兵が行き交う時代でした。 ある夜、地元で有名な美女(23歳の方)が一人、加古川駅付近を歩いていた時、不幸にも数人の米兵にジープに押し込まれ拉致され、郊外の人気のない場所でレイプされ。 苦しみながら死んでいくのを米兵が楽しむため、体の両腕・両足の付け根の部分に銃弾を叩き込み道路上に放置したまま立ち去りました。 女はジープに連れ込まれるとき、必死に抵抗して助けを求めたのですが。 米兵を恐れて皆見て見ぬ振りをしました。 その後、瀕死の状態でさまよっていた時、運良くその場を通りがかった地元でも有名な医師に発見され。 腐敗していた両腕、両足を切り落とすことを代償に一命を取りとめました。 しかし、自分の美しさにプライドを持っていた女は、生きることに希望が持てず国鉄(当時)加古川線の鉄橋上へ車椅子で散歩中に介助者のスキをみて車椅子を倒し、両腕、両足のない体で体をよじらせ鉄橋の上から走行中の列車へ身を踊らせた。 警察、国鉄から多くの職員が線路中で肉片の収集をしましたが、首から上の部分の肉片は全く見つかりませんでした。 しかし時代が時代だったので数日経過すると、その事件を覚えている者はほとんど居なくなりました。 事件が起こったのは、数ヶ月後のある日です。 朝は元気だった者がなぜか変死を遂げるような事件が起きました。 それも一軒の家庭で起こるとその近所で立て続けに起こるといった具合です。 警察も本格的に動き出し、事件が起こった家庭への聞き込みの成果にはなぜか共通点がありました。 それは死亡者は必ず、死亡日の朝に 「昨日、夜におかしな光を見た」 というのです。 実際に当時の新聞にも記載された事件であり加古川市では皆がパニックになりました。 加古川署では事件対策本部がおかれ事件解決に本腰が入りました。 そこである警察官が事件が起こった家庭を地図上で結んでみると、あることに気がつきました。 なんとその曲線は手足のない、しかも首もない胴体の形になりつつあったのです。 こうなると当然 次はどのあたりの者が事件に遭うか予測がつきます。 そこで前例にあった「光」を見た者は警察に届け出るように住民に知らせました。 やはり、曲線上の家庭で「光」を見た者は死んでいきました。 しかし、実は「光」ではなかったのです。 死者の死亡日の朝の証言はこうでした 「夜、なぜか突然目が覚めました。するとかすかな光が見え、見ているとそれはますます大きな光となります。 目を凝らしてみると何かが光の中で動いているのが見えます。 物体はだんだん大きくなりこちらへ近づいてきました。 その物体とはなんと、首もない両腕・両足のない血塗れの胴体が肩を左右に動かしながら這ってくる肉の塊だった。 ますます近づいてくるので怖くて目を閉じました」 というのです。 次からも、その同じ肉の塊を見た者は必ず死にました。 そこで次は自分だと予想した者が恐ろしさのあまり加古川市と高砂市(隣の市)の間にある鹿島神社(地元では受験前など多くの人が参拝する)でお払いをしてもらいました。 すると 「暗闇のむこうに恐ろしい恨みがあなたを狙っているのが見えます。 お払いで拭いきれない恨みです。 どうしようもありません。 唯一貴方を守る手段があるとするならば、夜、肉の塊が這ってきても絶対目を閉じずに口で鹿島さん、鹿島さん、鹿島さんと3回叫んでこの神社の神を呼びなさい」 といわれました。 その夜、やはり肉の塊は這ってきましたが恐怖に耐え必死に目を開いて「鹿島さん」を3回唱えました。 すると肉の塊はその男の周りをぐるぐる這った後、消えてしまいました。 通常、話はこれで終わりますが、やはり恨みは非常に強く、その男が旅へ出ても肉の塊はその先々にまで現れました。 その後、その方がどうなったかは知りません。 ただ非常にやっかいなことにこの話は、もし知ってしまうと肉の塊がいつかはその話を知ってしまった人のところにも現れるということです。 私(兵庫県出身)が知ったのは、高校時代ですが私の高校ではこの話は人に恐怖を与えるため口に出すことが校則で禁止されました。 あなたが鹿島さん(地元では幽霊の肉の塊を鹿島さんと呼ぶ)を見ないことを願います。 もし現れたら必ず目を閉じず「鹿島さん」を3回唱えてください・・・・ 自分だけで恐怖を抱え込むことができず。 あなたを巻き込んでしまった私をお許し下さい。
349 :名無しさん :2009/07/13(月) 17:36:37 ID:???0 >>348 の話はたまに聞くけど、理不尽極まりないな。 恨むなら米兵だろ、常識で考えて。。。
350 :名無しさん :2009/07/13(月) 20:19:48 ID:p7h5sKZcO ① 20歳のお盆休みに帰郷したときの話めったに会えない幼なじみの先輩も名古屋から帰郷してて、夜中にドライブに行くことになった そのとき自分は初めて車(中古)を購入したばかりで、嬉しさもあり 無理やり先輩を誘い出かけたのだ。 目的も何もなく、ただ道の悪い田舎道を流すだけ!時間は夜中の一時頃だったと思うヘッドライトの先にフラフラと揺れる 白い物体が見えたおれは夏だし「蛾」が光に向かって来たのかと思った。段々と近づいてくるそれは、蛾なんかじゃなく 火の玉だった!しかも人間の頭くらいの大きさで、先輩も「あれ?なんだヤバくないか?」と声が震えて言った
351 :名無しさん :2009/07/13(月) 20:30:38 ID:p7h5sKZcO ② あれ?先輩もなんかヤバいもんに見えるかいと思った瞬間ハッキリ見えた 首だ!と言っても生々しいリアルな首じゃなくて白い火の玉の中に真っ白な顔がある感じそいつが笑顔で突っ込んで来た 先輩は「ウヒッ」と軽い悲鳴をあげたオレは、かわすことも出来ずそのまま直進した。そいつはなんの衝撃もなくボンネットぶつかり消えた。
352 :名無しさん :2009/07/13(月) 20:45:27 ID:p7h5sKZcO ③ 「先輩いまの……」オレは思わずつぶやいた。先輩も、「ああ…首?…火の玉か……」とポツリと言った。 なんにせよ気持ち悪いしハザード出して、車を路肩に寄せて止めオレは降りて、車の正面にまわった。 キズも何もついてないし、ふっと右上ね方を向いたらお墓が沢山あってびっくりした。 うはっ流石に気味が悪いんで、すぐに車を動かして出発したが、オレも先輩も
353 :名無しさん :2009/07/13(月) 21:00:01 ID:p7h5sKZcO ④ あまり気にせず、意外に冷静に会話してたのが、いま思えば怖い(笑) オレ「何なんすかねー?」 先輩「うーん首」 オレ「やっぱ首に見えたすか?」 先輩「……うん」 オレ「お盆だからすかねー」 先輩「どこぞのご先祖様が帰って来たんじゃね」 オレ「いい笑顔でしたねー」 先輩「だなぁ田舎の人が道訪ねて来るような笑顔だったな」 こんな感じの会話をしながら、ドライブしてました(笑)もしかしたらあのとき乗ってたのかもね
354 :名無しさん :2009/07/14(火) 14:30:45 ID:L0y1oF1IO 本当にあった話です。 自分が小学2年のとき、ふと自宅の診療所にある「女性自身」?を見ていたらカラーグラビアのページに自分と瓜二つの男の子が載っていました。その時は「あれ?いつ俺の写真撮ったんだ?」ぐらいにしか思いませんでした(自分はただの一般人)。 それから数日後、車に跳ねられました。車の陰から走って飛び出したので運良く巻き込まれず、跳ねられた格好になりました。 洒落コワで「ドッペルゲンガー」をみたとき思い出しました。
355 :名無しさん :2009/07/17(金) 01:53:59 ID:AqR0bU8MO 348 ふざけんな、読んじまったじゃね−か(泣) うぅ・・・・
356 :名無しさん :2009/07/18(土) 00:18:15 ID:???0 >>355 http://syarecowa.moo.jp/124/10.html
357 :コウケン :2009/07/21(火) 03:36:04 ID:QtWiwrdgO 俺が7、8歳くらいのときの話だ。時期は梅雨が明けて本格的に夏に入り始めた、暑いとある日。ちょうど今くらい。 俺の近所には「がけ山」と呼ばれる遊び場があった。小さな道路沿いに、岩肌が露になった山壁があるのだ。うまく言葉で説明できなかいんだが、横50m、高さ20〜25mほどの面積としてはそんなに広くない、ごつごつとした岩肌がそこだけ露な山壁である。通称、「がけ山」。頂上は雑木林が茂っていて平らにはなっている。恐らくどこかの道路か敷地につながっているのだと思う。俺を含む近所の小学生の恰好の遊び場であった。 今考えると我ながら恐ろしいが、当時はそのがけ山に平気でひょいひょい登っていたのだ。山としていくらか傾きがあるとは言え、切り立った崖、足を踏み外したら一たまりもない。しかし、所々にある出っ張りから出っ張りに跳んで移り、排水用のパイプ(用途がよくわからないが、岩肌の所々にあった)に足をかけ、俺たちはがけ山を遊び場に鬼ごっこや陣取りゲームを行っていた。
358 :コウケン :2009/07/21(火) 03:37:38 ID:QtWiwrdgO ② 頂上の雑木林だが、そこもミステリーの多い場所だった。光りが余り入ってこない暗がりの森、実は殺人鬼が逃げ込んで住み着いてる、イノシシがでる、死体が埋められているなど人が立ち入らない場所はそんな噂が絶えない。当時の俺らはがけ山を遊びの本拠地の様にしていたので何度も雑木林には立ち入ったことがある。人に会ったことはないが変わったものがよく落ちていたのは覚えてる。まず定番ではあるが雨でぐしょぐしょのエロ本、靴下とか手袋。1番怖かったのはどこかの中学校の女子制服、どこか痛んだかばん、中から覗くまだ中身のある弁当箱だ。どう考えても誰か襲われたのだ。そして連れられて今はもう…。当時の俺らはそんな妄想で大盛り上がりするのであった。 メンバーは俺Oと肉屋の息子、雄大とリーダー格のきょうすけ、春から新たに加わった一つ下の潤くんだ。 きょうすけは大将肌の暴れん坊、雄大はボーッとした奴で、潤くんは年下なので大人しい子だ。俺はというと仕切たがりではあったが実行力がないので、きょうすけにリーダー役はいつも取られていた。 そしてその日もリーダーのきょうすけの一声でみんな集まり、がけ山で遊んでいた。その日の目的は各自が遠足でてにいれた綺麗な石――一応お宝だ――を隠して埋めることだ。ちなみに潤くんは同じ遠足に参加していないので別のものを持ってきていた。それは新聞紙にくるんでもってきていて中身は見せてもらえなかったが、魔殺しの武器だとかなんとか言ってた気がする。要は戦隊モノの武器だ。当時の小学生なんてみんな邪気眼使いなのである。
359 :コウケン :2009/07/21(火) 03:38:58 ID:QtWiwrdgO ③ 慣れた足取りでがけ山を昇り、雑木林の端までたどり着く。足元は急な崖が地上に伸びていて見ると足がすくむのだが、遠くの町並みは見てて気持ちがいい。俺らはミッションを遂行すべく林の中に進んでいった。 予定通りお宝を菓子箱に詰めて、自分らで掘った穴の中に埋めたのち、鬼ごっこやお宝探しをして遊んでいた。そろそろ帰ろうかという時刻になり俺らは来た道を引き返し始めた。がけ山の前で解散、俺は潤くんと家に向かった。潤くんは住んでるアパートのお向かいさんなのだ。潤くんのお母さんは潤くんを怒っているときに一回みたことある。でもあのお母さんも俺のこと認めてるし、引っ越して来たばかりの彼にとって俺が最初の友達。あわせて年下だったので俺は少し優越感もあり、潤くんには偉ぶった対応をしていたと思う。 「……からあの雑木林にはクワガタ虫もきっといてさ〜」 「へ〜、すごいね」 「潤くんもまた連れていってやるよ」 「…あ、うん」 「……。潤くんなんか暗いね。遅くなったら家怒られるか?」 「ううん、そうじゃないんだ。ただ…」 「ただ…?」 「もう、あそこは遊びたくない」 「はー?なんでー?」 「あそこ暗いし嫌や」 「大丈夫だよ!あそこら辺僕らしか遊んでないし」 「…、なぁOくん」 潤くんは少し泣きそうな顔で言った。 「今日の箱、もう開けないようにできないかな?」 「ええ!?なんで?」 理由を聞いたけど潤くんは黙ってしまった。 「きょうすけくんもダメっていうかな…」 きょうすけはリーダーだ。たぶん1番文句言ってくるだろうなぁ。 「…くせないかなぁ」 「潤くん!俺が言ってみるよ」 俺は潤くんが可哀相に思えたのと、きょうすけに対する対抗心からつい安請負いしてしまった。それでも潤くんは嬉しそうな顔はしなかったが、お願い…とだけ呟いた。明日きょうすけに話してみよう。今日はそれで別れた。
360 :コウケン :2009/07/21(火) 03:40:52 ID:QtWiwrdgO ④ 翌日、学校できょうすけに話をした。きょうすけは特に考えもせず、じゃあ卒業するまでは隠しとけばいいんじゃねーかと答えた。あいつは理由も別に気にしないらしい。俺はきょうすけに進言できるチャンスでもあってもう少し強い立場で言いたかったのだが、軽く流されたことが不満だった。まぁいい、このことをうまく伝えれば潤くんの俺へのポイントもあがるだろう。随分だが当時の俺はそういう気持ちもあった。 潤くんにしばらく開けなくて済むよと伝えたら彼はどこか安心したようだ。潤くんは週末も遊びたいと言ってきた。俺もつい気分が良くなったので二つ返事でOKし、潤くん家でゲームしようとなった。そういや行くのは初めてだ。親二人に挨拶しとくかな、なんて。 ほどなくして気がついた。結局潤くんがお宝を隠したい理由は聞けていない。 ――いや、そもそも「彼がなにをカクしたのか」すらわからない。 彼のお願いを聞き入れたのだ、それが何かを確認するぐらいいいだろう。 「ねぇ潤くん、何を入れたの」 僕は潤くんに尋ねた。 潤くんは目をそらして 「…魔殺しの武器、だよ」 とだけ答えた。
361 :コウケン :2009/07/21(火) 03:42:18 ID:QtWiwrdgO ⑤ 隠されたことは暴かなければつまらない。俺はあの箱を開けに、中身を確認しにもう一度あの場所に行かなくてはならない。 その日の午後、俺は雄大を連れあのがけ山に向かった。とにかく潤くんが仕舞っているものを見るのだ。雄大も話を聞いて興味が湧いたようだった。夕刻、がけ山を登り、雑木林の中を進んでいく。埋めた場所は覚えている。根元が×に広がった木の側だ、そろそろだな…、その時――。 ザックザック 目的地には先客がいた。人影は俺たちの宝箱を掘り返している。 そいつは… 「きょうすけ…じゃねーか」 そう、きょうすけがいた。リーダー格でこの計画を提案。俺の進言をのんで卒業まで開けないと話したきょうすけである。 「なんであいつが掘り返しているんだ」 「わかんね」 だが俺は苛立っていた。あいつの狙いは俺らと同じだ。潤くんの秘密のお宝を暴きにきたのだ。口では興味ないフリしつつも…クソッ、俺より先に出し抜こうとするなんて何様なんだ。 きょうすけが箱のフタを開けようと手を添えたとき、 「おい、きょうすけ!」 俺は声をあげた。きょうすけは心底ビビった様子で箱を投げ出してしまってた。「なんしてんだよ!」 「うえっ!?なんでいんの!」 「だから何してんだよ!?」「見に来た!見に来たんだ。ちゃんとあるか」 怪しい…あれは嘘をついてる。やはり俺らと同じか。俺らはその場で口論になったが、雄大が俺側についたのできょうすけは黙ってしまった。俺は勝ちを確信した。これでこのグループのリーダーも…。 その時、 雄大が悲鳴をあげた。 「ヴアァァァ!!!!!!」 二人ともビクッとして雄大を見た。雄大はまだなにか叫んでいる。 「ヤベェよ!血だよ!血がついてるよ!」 雄大の目先にあるのは、あの箱だ。俺らの宝箱。きょうすけが投げ出して中身が出てしまっている。新聞紙が開いて出てきたのは大きな――包丁だ。異様なのは真っ赤だ。あんな包丁、見たことない。
362 :コウケン :2009/07/21(火) 03:46:32 ID:QtWiwrdgO ⑥ 「ワアァァァァァァ!!!!」 俺ら三人とも逃げ出した。もう訳がわからない、ただ、怖い!!とにかく怖い!林入口につき、雄大が壁に這いつつ降りていく。次は俺だ。心臓はバクバク鳴り響いている。それでも足は踏み外さないように慎重に降りようとするもんだから不思議なものだ。 でも怖い。足を踏み外すよりあの赤い刃物がコワい。なんだったっけ。あの箱は。あの新聞紙の包みを持ってきたのは―。上を見上げたらきょうすけが真っ青で足を踏み場に架けようとしていた。ゆっくりと、ゆっくりと、でも足が奮えて、あれ?きょうすけが岩壁に立っている??いや、違う、背中を向けて、これは、おちてきた。きょうすけの体が俺たちに向かって真っ逆さまに落ちてきたのだ。 そして俺は見てしまった。 がけ山頂上の淵、大きな人の手が雑木林からニュッと出ているのを。 そのまま体全体に激痛を感じつつ俺達は落ちていった。
363 :コウケン :2009/07/21(火) 04:02:48 ID:QtWiwrdgO ⑦ ・ ・ ・ 目が覚めたのは病室だった。目の前にはお母さんとお父さん、お姉ちゃんだ。俺は体の痛みと口が上手く開けず困った顔をした。なんだか無償に悪いことをした気分になってただ、泣いた。周りのみんなも泣いていた。 怪我は対したことなかった。転がるように落ちたことが攻を成したらしい。きょうすけと雄大も無事だった。二人の親も来ていて、俺の親も交えてお互い頭を下げまくっていた。心の中では、きょうすけが落ちてきたから…なんて考えてた。 でもきょうすけを落としたやつがいる。 あの手だ。あの大きな手。あの手、爪の間が真っ赤だった。やはりあの雑木林には殺人鬼が住んでいたのだ。そこを荒らしたから襲われたのだろう。そんなことを考えたら益々恐ろしくなってよく眠れなくなった。 数日後、退院したのち、きょうすけの方から謝ってきた。落ちるときみんなに当たってゴメンよ(どうしようもなかったんだが(笑))と。 そして、あの時実は俺の石を盗ろうとしてたこと。きょうすけが遠足で得た石まとめて隠そうとしたのも、あの場で掘り返していたのもそのためだったのだ。とかく、少年時代は欲しいものをなんとしてでも手に入れるため、悪いことをしたものだ。きょうすけもそうだったのだろう。 俺たちはすぐに仲直りをした。 幾日かして、潤くんが俺を誘って来た。家でゲームをしようと。そうだ、約束をしてたじゃないか。しかしあの出来事はどうしよう。 あの日見てしまった恐怖のお宝のことは忘れていなかったが潤くんに聞く勇気もない。なにしろ俺は彼の兄貴分なのだ、黙って覗いたなんて知れたら… 向かいの潤くんの家の扉を開ける。通路沿いのバスルームから男の声、たぶんお父さんだ。「いらっしゃい、奥にどうぞー」という。大きな腕がバスルームからでてきて奥間を指差しているので、「おじゃましまーす」と俺もすすんでいく。潤くんは居間のテレビの前に座っていてすでにゲームを始めていた。お母さんは…いないようだ。潤くんの隣に座り込む。 そういえば、俺が彼の家を尋ねるのは初めてだ。お父さんに会ったこと、なかったな。さっきの大きな腕のおじさん、本当に、潤くんの、お父さん、なのかな、爪の間が、赤いの、、なんでだろ。 俺も潤くんの隣でコントローラーを持つ。背中に人の存在を感じる。潤くんは笑っていた。なんて、愉しそう。 「お宝箱、どうするの?」 「……。ずっと開けないことになったよ。きょうすけも俺の言うこと、素直に聞いたんだ」 「フフッ、そう?」 「うん」 潤くんは目を細めて笑っていた。こんなに笑うんだな。 「でもね」 「うん?」 潤くんがにぎりしめた腕を俺に突き出す。 開いた手の平には、綺麗な石があった。 あぁ、俺のじゃないか。俺が拾った世界で1番綺麗な石だ。 でも、なんで、ココに… 「僕、持って帰ってきたんだよ」 潤くんは本当 に嬉しそ うだ 潤くん 「ぜんぶ」
364 :コウケン :2009/07/21(火) 04:05:25 ID:QtWiwrdgO ⑧ 初投稿でした。コウケンです。文章まわりくどくてゴメンなさい。 このサイト、マジでこえぇー作品多くてビビったです。 ちょっとでもゾッとしていただければ幸いです。
365 :みんく :2009/07/23(木) 00:51:06 ID:.IUn9mfo0 「立ち入り禁止」 少し前の話です。 私の家は、もともと山を切り崩した土地の住宅街で 一戸建ての家々が建ち並ぶ中にありますが、すこし団地を外れると 途端に人気のない田んぼや、砂利道が現れるような場所にあります。 いつものように仕事を終え、電車を乗り継ぎ 最後の電車である田舎道をゆく○○電鉄に乗りました。 休日出勤で、終電間際の時間帯ということもあり人はほとんどおらず 電車の心地よい揺れに、ついうとうとしてはっと気がつくと 降りるはず駅を通り越して、終点の一つ手前の駅に着いてしまっており、 仕方なくいったん、その駅で降りました。 私以外に二人、スーツ姿の女性が一緒に降りて改札に向かいました。 真夜中で人気のない無人駅なので、ほかに降りる人を見てなぜかほっとしました。 ひとりの女性は駅のロータリーにすでに迎えの車が来ていた様子で もう一人の女性は、歩きながら携帯で何やら話し込んでいました。 すぐに前の駅に引き返そうかとも考えたのですが この駅からでも団地と団地の間にある 山道を抜ければ、少し距離はありますが家には辿り着けるので その抜け道に向かいました。 その抜け道は以前にも何度か使っており、一応フェンスがあるのですが 人が通れるほどに切り裂かれ、電灯がない空地に囲まれた坂道を ほんの2分ほど歩けばすぐに目の前に民家が現れます。 夜は暗くて少し怖いですが、歩きなれた道なので気にせずに向かいました。 団地を抜けて、フェンスが目に入ったとき いつもと違う感じがありました。 近づいてみると、以前穴のあったフェンス部分に 工事現場に置かれるような黄色い「立ち入り禁止」の柵が貼り付けられていたのです。 高さは私の背ぐらいですので、その気になればよじ登れる気がしたので しばらくどうしようか、立ち止まって考えていました。 その時、柵の向こうで何かカラカラというような金属音が聞こえたのです。 風に柵が揺れたのかな?とおもい目を凝らすと 何とも言えない、妙な悪寒が背中に走りました。 疲れているし、足場も悪いし今日はやめておこうと思い、終電に乗り遅れないように 小走りに駅に引き返しました。 駅に引き返す途中、向こうからひょっと人影が現れました。 びっくりして見つめると、先ほど同じ駅で降りた女性でした。 そのまま小走りですれ違いながら、ひょっとしてあの人も抜け道を・・ と思いましたが、特に気にせず駅に向かい無事電車に辿り着き、家路につきました。 次の日は休みだったのでぐっすりと眠っていたのですが 朝、母が大きな声で部屋に飛び込んできたのです。 「ちょっと、あんた!ニュースみてニュース」 と言いながら、寝ぼけている私の手を取り、リビングのテレビの前につれてきました。 何事かと思ってテレビを見ると、見慣れた風景にリポーターが立ち 何かを説明していました。 少しずつ理解しました。 私はぞっとしました。 そうです。 昨日のあの抜け道で今朝若い女性の惨殺死体が見つかったのです。 おののような刃物で首を切りとられていたそうです。 あまりの恐怖に私はその場に座り込んで泣き出してしまいました。 その女性が、あの時すれ違った女性かどうかは、わかりません。 それ以上そのニュースを見れなかったし、母も深くは話しませんでした。 しかし、今でもあの抜け道には近寄れません。 もしあの時、私が柵を乗り越えてあの坂道を下って行っていたらと思うと。 あの時の金属音が何だったのかと考えると。 恐ろしくて眠れない日があります。 あの黄色い「立ち入り禁止」の看板の後ろに・・・「何が」いたのかと思うと。
366 :ミミ :2009/07/26(日) 01:19:29 ID:7gDvaAPwO 私は中学入学後、ある女子とのいさかいの末、学年女子の9割に嫌われる目に遭いました それから卒業まで地味に名誉挽回をしていき、私を嫌う女子は減っていたのですが、私の何が嫌いなのか解らぬままに罵倒される事もありました 3年の時、3人の女子が来て死ねとか言われたりしました、2回くらい でもクラス一緒になったことも無いし嫌われる原因も覚えが無いし、困ることも無いので空気の様に無視していました そんなある日、階段を降りていると上から私の横に何かが落ちて来ました それはカッターナイフでした。落ちた時に刃が折れた様です 私はカッターと折れた刃を拾いました 持ち主に渡そうと上を見たと同時に先生が降りてきたので先生に渡した 持ち主は先生ではなかったですが 洒落にならない怖い体験でしたが、実害を受けることは後にも先にもこれしかありませんでした、幸いにも この事件は振り返ると怖いですが、私に死ねと罵倒する彼女達を空気の如く無視した私自身もある意味怖いですね
367 :名無しさん :2009/07/26(日) 06:02:36 ID:L0y1oF1IO 全員がそうでないとしても女性っていうのは、つくづく嫌な人種ですね
368 :バイク翁 :2009/07/26(日) 12:05:07 ID:QtWiwrdgO >>366 怪奇より人間のほうが怖えって話ですね 私は>>366 さんの対応がこわいとは思わないですが、むしろ真っ当でしょう。 反応を示さないのが1番やり過ごすのに有効ですよ
369 :ミミ :2009/07/27(月) 15:01:32 ID:7gDvaAPwO >>367 ・368 コメントありがとうございます これだけでは何なので中学の体育館の不思議な話しをしましょう 昔、学校が建つ前はお墓だったらしいですが… 体育館が、異様な雰囲気を出しています 人と一緒だと感じないのですが、一人になると、恐怖さえ感じる空間です 何より気になるのは音 何かがきしむ音や、何かが跳ねる音がどこからか聞こえてくるのです 夜、部活動で帰りが遅くなった者には、バレーボールの跳ねる音が聞こえた等、音に関する噂の絶えない場所でした 隣接する剣道場では何も感じません 体育館…謎です 昼間でも怖いのに夜は…頼まれても行きたくないです 掃除の時間になり、一人体育館に行ったら、床にバレーボールが1個置いてあるのを見た途端に、全身鳥肌が立ち、あまりの恐怖に跳びはねた後、ダッシュで逃げて同じ掃除の班の人が来るまで外で待った事がありました
370 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:21:15 ID:???0 死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?219 ttp://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/occult/1248761856/ ■原文 ttp://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/occult/1248761856/138 138 名前:本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/07/29(水) 14:46:06 ID:35JtZbT/0 何となく書いてみたら糞長くなってしまったのでうpロダに投稿します ttp://kissho.xii.jp/1/src/1jyou85880.txt.html これが最初で最後の投稿です。長文駄文で申し訳ありません ■txt化ダウンロード 斧うpろだ :ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/22616 ■追記 これよりコピペさせて頂きますが、個人的に誤字脱字を修正させて頂きました。 しかしながら、『加筆修正等は一切行っておりません』ので、悪しからず御了承下さい。 また、改行も原文そのままの長さで投稿させて頂きます。 また、この板の管理人さんの判断で削除、移動等して下さっても構いません。 私、個人は作者様とは何の関係もないこと、また、コピペや修正等の許可は 本スレ ttp://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/occult/1248761856/291 にて確認。判断しました。 また、作者様からのなんらかの抗議等が御座いましたら、速やかに削除等よろしくお願いします。 作品に関する話題・雑談等は同掲示板のこちらへ ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9405/1241191299/
371 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:21:51 ID:???0 ■半生を振り返ってみた 小学生の頃に出会ったそいつは本当に普通のヤツだった 髪の毛は毎日ツインテールで、文章にすると可愛いイメージがあるかもしれないが 実際のツインテールなんて漫画やアニメほどボリュームはない 今でこそウィッグなんてモンもあるが、当時はそんな物はなく、三つ編みよりマシか・・・なんて程度だった 目立つわけでもなく、虐められるわけでもない 丁度バランスが良い立ち位置の彼女は、小学校5年2組の新学期。俺の席と隣になった 俺の小学校では当時は男女の席がくっつき合うタイプで、隣になればソコソコ話し合う機会もある物で・・・ 一ヶ月よろしくー。みたいなことで割と気楽だったのだが、後から思えば毎月ある席替えイベントで、こいつと席が一緒になる確率は異常だった ブサイクじゃないだけでラッキーだ。そんなことを思っていたのは最初の一月目と三ヶ月目だった 雨の日ってのは運動場に出ることもなく、トイレに行ったりしてクラスの中心人物達の輪に入ったりするもので 俺もどちらかと言えば取り入るタイプだったと思う 雨の日は特別に本を持ってきたり、トランプやカードゲーム・・・ウノだったかな?そんなもんは認められていた 漫画と携帯ゲームは禁止だったが、隠れて持ってくるヤツは持ってくる 当然見つかって説教喰らったり、チクったりチクられたりとか思い出すと割と笑える で、その俺の隣の席に座る彼女は本を持ってきて読むタイプで、友達も休み時間には寄ってきたりするもんで、遠慮がちに席を離れたりもした よくある男子vs女子という構図は俺達のクラスにはあんまりなかった。仲が良いというワケでもないのだが先生が異常に怖かったというせいだろう ムカツクがとりあえず女子はビンタ。男子は殴る蹴るというのがその先生の基本だった 俺も忘れ物した時はビンタと蹴りで半泣きとか今なら確実に問題になりそうな教師だったと言わざるを得ない しかし、その暴力とはまた正反対の優しさもある人で、慕われてるといえばそんな感じのおばちゃんタイプだった で、そんな先生に良く殴られてたのは俺を含むいつもの六人で、なんでか切れ無い縁というべきか、雨の日ということもあり、 校庭に出られないからという理由なだけで、その仲間と悪ふざけにスカートめくりに付き合ってシバかれた 二度としませんとか誓約書とういうか反省文みたいなことも作文用紙に書かされたが、終わった後にクッキーくれたりと・・・ あ、書いてる最中に思ったんだが、懐柔されていたのかもしれん
372 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:23:05 ID:???0 んで、隣に座る彼女。名字は佐藤。下の名前なんて知る機会はなく、後から知る事になったのは随分後だ 佐藤はその先生と仲が良く、スカートめくったのは佐藤を含むある程度許されるであろう女子に対称を絞っていたわけだが・・・ 別に怒った風もなく、「告げ口したのは○○ちゃんだよ」なんてボソボソ教えてくれたりと、わりと平気なようだった 先生にシバかれた後は教室の最前面に整列させられて、正にさらし者状態で・・・下見るか天井見るかのどちらか一つという感じで できれば記憶から消去したいが・・・全員ズボンを下ろされた! 「パンツを見られる恥ずかしさを味わいなさい!」 俺の記憶から消したいフレーズでもあるが、これを機会にパンツマンとか言われたのもきっついトラウマでもある・・・ああ、死にたい 当時はそう思った。訴えたら勝てるかもしれないと真剣に考えたりもしたが、それは関係ないので省くことにする めくられた女子達も満足した様子で・・・俺もとりあえずみんなに頭を下げて回ったし、佐藤にももちろん頭を下げた 隣の席で気まずそうに座る俺に佐藤は「怒ってないよ」なんて言ってくれたが、「水谷のパンツも見れたし」と止めの一撃もしっかりとくれた はい、本当にすいませんでした。その直後くらいからは女子は全員ブルマ着用状態で、これならスカートめくっても大丈夫! という馬鹿な友人とまたシバかれることになるのだが、それも省略する 佐藤と割と仲よくなったのは恐らくその一件があってからだと思う 新学期初めということで、なかなか馴染めないクラス替えではあったが結構良い雰囲気だった まあ、そう思ったのはスカートめくり事件後の事で、それまでは手探り状態という感じだったが 二年で一回クラス替えがある学校で、5年生ってことで今まで付き合うこともなかったような連中も混ざり、上下関係と言えば言い方が悪いが そんなものが出来上がりつつある時期でもあった。で、俺も佐藤も虐めという対称からは難なく逃れられるなぁなんて思っていた どのクラスにも変なのはいて、虐めのターゲットってのは順番に回ってくるもので、嫌なヤツとか強いヤツとかには適当に合わせていたし、一緒に虐めもした ただ、女子をターゲットにした物はなく、見た目で虐めてたのが二人ほどいた。高橋というアトピー持ちのヤツと倉田という見た目がキモイというだけの可愛そうな二人だった 俺も虐めたこともあるし、毎日のように蹴りを入れられている姿は可愛そうな物だったが、それ以上でもそれ以下でもなく 助けようなんて微塵も思わなかったし、近寄っても来なかった 女子の方の虐めってのは俺達のようにあからさまに目に見えるものじゃなく、持ち物を隠されたりだとか(教科書とか。ついでに絶対に出てこない) ガン無視が基本で、佐藤から聞かなければ分からないような虐めで、教室で孤立するという感じだった まあ、見た目ブスだしどうでもいいというのが本音だった。女子の中でもキモイのは居るだろ?あと奇声発して急に泣き出すヤツも前の学年で同じクラスに居たが、 そいつは学校に来なくなったので更にどうでも良かった
373 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:24:04 ID:???0 3回目の席替えを終えて「また一緒だなぁ」なんて言うと「水谷なら気が楽だよ」なんて言われて、俺もそうだなぁなんて言い返したっけか 梅雨入りになると更に教室で過ごす時間が増えて、廊下で卓球モドキなんてものよくした ラケットはなく、ピンポン球じゃなくて手で持つゴムボールで負けたら交代というシンプルなもので、人数が多いと回ってこないまま休み時間が終わる 俺は弱い方だったから教室でゲームの話するほうが楽しかった。当時何が流行っていたのか書くとバレるので書かない で、その日は朝は快晴だったのだが、昼頃から降り出した。給食が終わると佐藤は本を読み出して、なんとなく何読んでるのかな? と思って軽く覗き込んだ。文字ばっかりで何考えてるんだコイツは・・・正直そう思った 「挿絵もない本とかありえねぇ・・・」 「これは絵があったら怖いと思うけど?」 確かそんなやり取りだった。佐藤が読んでいる本の内容は恐怖小説というか都市伝説だとか、心霊現象だとかのオカルトチックな本だったらしい 「そんな本読んで怖くならないのか?」 「絵があったら怖いかも」 ま、そりゃそうだ。俺が知ってる心霊関係の本と言えば心霊写真解説書みたなのとか、稲川淳二の怖い話シリーズとかそんなんだったから 「絵とか写真付きじゃないのって、本当の話じゃないんだろ?」 当時の俺は創作だとか実話、空想、物語なんていう言葉を知らないレベルでお子様だった 「違う違う。コッチは本当の事が書いてあるっていうことだから面白いかなって思って」 「ふーん・・・俺は写真とか絵がなかったら無理だな・・・漫画の方がいい」 「おもしろいんだけどなぁ・・・」 と、また本に視線を戻した。邪魔するつもりもない俺は、心霊写真とかUFO写真とかの方が面白いよなぁと思いつつ、いつものゲーム話仲間の方へと向かった 「で、佐藤と何話してたんだ?」 「ああ、何の本読んでるのかと思って」 「ああ、あいつ何時も気持ち悪い本読んでるよな」 「知ってたのか・・・でも絵がないからパス」 そんな感じの会話がなんとなく頭に残っている 帰り際に佐藤がなんとなく暗い顔してるなと思ったのは傘立ての前だった 教室の外に傘立てがあるんだが、当然梅雨ということもあって、みんな置き傘したり余分にビニール傘を置いてたりとするわけだが 俺が自分の傘を取ろうと思った時、佐藤が突っ立っていたままだった。 ま、理解した。傘がないんだろうと思った俺はコンビニかどこかでパクった青い半透明のビニール傘を渡して、 「これ俺のだから持っていけよ」と、周りに誰も居ないのを確認してから手渡した 女子と仲良くというのはからかわれるとか以前に恥ずかしい行為と当時は思っていたもので、佐藤がどんな顔してたとか全く記憶にない っつーか見なかったと思う。でも「ありがとう」って声は聞いた。 で、俺は濡れたまま帰ったというわけじゃなく、同じクラスの同じ方向のやつ捕まえて相合い傘して帰った。ちなみに男だが気持ち悪いテンションだったと思う 何故かしょーもない記憶の方が鮮明に残ってたりで申し訳ない
374 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:25:43 ID:???0 次の日もやっぱり雨で、俺は大量にあるビニール傘のウチ、見た目が綺麗なのを二本持って家を出た 名前は書かずに、学校に着いてから先生の机の引き出しにあった青いビニールテープを目印に貼った。もちろん先生に言ってからだ シバかれたトラウマはそうそう拭えるもんじゃなく、外面だけでもよくしようと心がけていたと思う んで、二本持ってきたというのは佐藤用というかそんなんで、昨日の傘立ての前で別れた時にフト思い返してたことがあった 今回は佐藤が虐めのターゲットになっているようだった。いつもなら本を読んでても近寄ってくるはずの友達も来てなかったし・・・ 虐めが始まってからどれくらい経ったとかは正直分からなかった ただ、その時は佐藤が虐められるという事がそんなに長く続くとは思っていなかったし、辛そうな顔をしてたわけじゃなかったからだ ついでに傘もあるし、盗られる事前提というのは如何なものかと思うが、小学生的考えで言えば賢い方だったと思う で、持ってきたはいいが、その日、佐藤は学校に来なかった 隣りの席に誰も居ないってのは変な気分で、妙な空間がぽっかりと空いてある 終わりの会も終わって今日は誰と遊ぶだとかの話で少しだけ居残った んで、なんとなく佐藤の机の中を覗く俺が居た。虐めで基本はゴミ入れたりとかするんだろうか?そんな事を思ったからだ 実際、高橋や倉田は当たり前のように入れられていたし、女子でもするんじゃないかと考えたわけで 妙な期待をしつつ見た物の、何にもなかった。ただ、何故か俺の持ってる消しゴムが入っていた 貸したこともなんどかあったかな?とか思い、既に新品を持ってる俺はそのまま放置して帰った。どうせ切り刻んで練り消しだの飛ばし合いだので消えていく物だ 次の日も佐藤は学校には来ないようで、まあ虐められてたら来たくもないかなとか思っていた でも、一週間も来なくなると気持ちが悪い物で、入院とかしてんのかなぁなんて思い始めていたんだが、終わりの会が終わった後に先生に呼び止められた 教室に人が残っているウチは、先生の話というのは最近何のゲームが流行っているのだとか、アニメや漫画は何が面白いのかとか、早く帰らせろと言うような話ばかりしていた でも、引き止めたいってのは何となく分かってしまい、俺の方もズルズルと付き合った。教室に誰も居なくなるとやっとこさ本題に入るようだった 「佐藤さんは虐められてるの?誰に虐められてるか知らない?」 そんな感じのことを聞かれて「さあ?」としか答えられなかった 先生からすると俺と佐藤は仲が良いように見えていたらしく、俺なら何か知ってるのかもしれないという感じの話だった 女子グループの上下関係は上から種類分けするとAグループ、Bグループ、Cグループ、その他と分けられ、休み時間になると当たり前のように集まる 佐藤はBグループのはずで、そういう対称にはならないはずなんだけど・・・みたいな感じの事は言ったと思う 「男子が虐めてるわけじゃいのよね?」 とも聞かれ、それは無いと言い切れた。実際いなかったし んで俺はよかったら電話して上げてくれないか?なんて事を言われて、人生で初めて女子の家に電話をするというイベントが起こった ただ、好きな子の家に電話を架けるという事じゃ無いのが残念なところだが、それでも緊張はしたと思う そして、電話から聞こえる佐藤の親に先生から架けてみてくれと言われたことを説明して、本人が出るのをしばらく待った 聞く内容は確か3つくらいで、学校に来いよみたいなことと、誰に虐められてるのか?と、先生が心配してるぞ?みたいなことを言ってくれということだった 先生が電話しても絶対に出ないそうで、何で俺が・・・みたいな感じでうっとうしいなぁと思っていた
375 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:26:43 ID:???0 「もしもし・・・」 と、電話越しで聞く佐藤の声は別人と喋ってるとしか思えないくらいトーンが違うというか、本人か?というのが第一印象だった 「えっと、先生に頼まれたんだけど・・・お前虐められてたりするのか?」 小学生の頭ってのはストレートに出来ている物だなと、思い返すと頭悪すぎな質問だったはずだ 返事はなかったが、虐めは本当なんだろうなと思った 「じゃあ,、お前虐めてる奴は誰?」 更にお馬鹿な質問だったと思う。でも当時の俺はそれが一番良いと思っていた で、何も言わない佐藤にイライラしてきた俺はさっさと電話を切りたくなって 「先生が心配してるっぽいから電話ぐらい出ろよ。んじゃ切るわ」 「待って!」 じゃあな。という単語でしめるつもりだったが、一際デカイ声にビビった 「な、なに?」 妙な間があったと思うが、ボソボソとなんか傘のことがどうのこうのという話で 「あ、返さなくていいから。また盗られてももう一本置き傘してるから大丈夫」 みたいなことを言ったら、なんか泣き出して俺があたふたしていたと思う んで、ありがとうみたいなことを言われ、電話を切った後もなんか妙な恥ずかしさで一杯になったが、結局誰が虐めてるのだとか、学校に来るのか来ないかも聞いてなかった 佐藤が来たのは席替えの日で、二週間近く休んでたんだが、周りの女子はガン無視だった ただ、俺もヘタレであることには変わりなく、無視とかしてんじゃねーよ的なことを大声で叫ぶわけでもなく。 授業中もただ前の黒板を眺めてた。俺はその日の佐藤の顔をまともに見ていない 終わりの会で席替えのクジが入った缶カンを楽しそうに振る委員長を眺めつつ、佐藤と離ればなれということで、俺も安心だ 妙に気を使わなくて済むからと、当時の俺はそんなだった で、回ってきた空き缶に入れられたブツを一つ取ると、後ろの席に回す。男子と女子は別の空き缶に入れられているからだ 開いたクジの番号を持って、黒板に書かれた番号と照らし合わせてワイワイと机を移動するんだが・・・ 俺の隣はまた佐藤だった。この時は偶然でも気持ち悪い偶然だと思った。時期が悪いというか虐められてるというのが分かっている対称と一緒の席ってのはキツイ物がある 気を使うとか以前の問題で、この4ヶ月目の席は俺にとって夏休みまでのキツイ一ヶ月の始まりを告げてくれた しかも壁際で、前は高橋で後ろは倉田だ・・・左側が壁で、前後右側虐めターゲットに囲まれたわけだ もの凄く嫌そうな俺を友達は笑うわ。佐藤はお前の彼女だと嫁だとか夫婦とか言われるわで散々だった でも、本当に嫌だった。俺も虐められそうになるんじゃないかと不安だった。目の前で蹴り倒される高橋にも見慣れる頃に、隣は何時も空席だった 後ろは後ろで物が飛んできたり、俺に当たるとなんだか俺が対称なんじゃないかと思ったりもしたが、振り返って軽く投げ返すと思いっきり倉田に当てていた それを見ると俺も一安心という感じで、ああ悪いなぁとは思いつつも助けはしなかった それから二週間目だったかで夏休みが近いなぁなんて思ってた。そして終わりの会が終了し先生が近づいてくると、メモみたいな手紙というかそんなのを渡された 「これ、帰ったら読みなさい」 と、結構丁寧に折られた便箋かルーズリーフだったかそんなのを渡されて、スタスタと教室を出て行った 俺はというと何が書いてあるのかなんとなーくわかったので、友達に聞かれる前にランドセルに仕舞い込んだ。 当然何て書いてあったんだ?みたいなことを聞かれて、親になんか渡してくれってさ。なんてことを言いつつ、さっさと帰った 家に着くとさっそくというか読みたくないけど読むしかないなぁと貰った便箋モドキを広げると、予想通りの内容が書かれていた
376 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:28:07 ID:???0 「終業式は来るのか?」 「いかない」 あっそ・・・としか思わない 「じゃあ夏休み終わったら学校来いよ。それでもいいって先生言ってたぞ?」 でも返事はなかった。なんで電話せにゃならんのだという感情が強かったが、架けてないことがバレるとシバかれるしなぁと思っていた 先生はというと、週に一度は佐藤の家に行っているらしかったんだが、親の方がなんか怒っているらしく、佐藤にはずっと会ってないと書いてあった また、それをクラスの終わりの会でどうのこうの言えば、佐藤が更に虐められると考えていたらしく、今思うと先生の判断は正しかったんじゃないかなと思う んで、女子が中心になっている事は明らかで、せめて友達はちゃんといるんだってことを伝えたいらしく、その対称が俺だったと 正直ウザかったし、女友達とかありえないとかガキの頃は本気で思ってた で、受け取った便箋モドキには、俺に友達になってあげて下さいってのが長々と悠長な言い回しで書いてあった しかも条件付きで。毎日電話しろとか。し終わったら先生に電話しろとかで、友達役を無理矢理やらされることになったわけだ ただ、俺も断れない事情もあった。第三回スカートめくり主犯格としてシバかれた後だったからだ。もちろん俺は主犯じゃないんだが、何故か俺でシバかれた 親に言いつけられても屁とも思わないが、親呼び出して各被害者宅に一緒に謝りに行くのとどっちがいいかと言われると、電話で済む方を選んだだけだった ちなみにパンツマンは結構有名で、他のクラスではパンツ戦隊とか言われてたらしい。6人いるんだけどそれは関係ないようだった で、第三回を機に、やっと俺達も学習したというかソレ以来スカートをめくるということはなかったのだが、次に流行ったのがパイタッチだったのだが、そこは割愛したいと思う 「んじゃ明日も電話するわ。家にずっと居るんだろ?」 返事はウンとかウウンのどちらかで、一方的に会話するってのが辛いものなんだなと思いつつ、電話を切る時には「また明日」と言い合って切るのが日課になりつつあった で、先生の方へは毎回電話するものの、出たりでなかったり留守電だったりと、佐藤だけに構ってるわけじゃないんだなと、後から知ることになる 高橋と倉田の件だ。クラス内虐めというだけでなく、他のクラスの連中からも登校中だの下校中だのでも被害を受けているようだった その件に関しても俺に聞いてくるようになり、いいかげんにしてくれみたいなことを言った後、電話の向こうで泣いていたのを今は申し訳なく思う 俺も虐められたくないから虐めてるんだと。素直に言った。参加しなければそうなるんだと必死こいて言ったが、言い訳に過ぎないんだろうな でも先生はそのことはちゃんと理解してくれていたようで、せめて佐藤だけでも構ってやって欲しいと頼まれることになった もちろん高橋や倉田のことも考えてやって欲しいとは言われたが、俺にとっては友達じゃないからその二人にとっての友達に言ってくれ。みたいなことでソッチは終わった しかし、女子の相手ってなにすればいいんだろうか?幼なじみは男連中しかおらず、年下のヤツならいるがたまたま近くにいたからままごとに付き合った程度で仲がいい訳じゃない で、結局なにも解決しないまま夏休みになる 親と旅行の時は電話なんかしなくなって、帰ってきてからもしばらくは忘れていた あいつから初めて掛かってきたのは糞熱い午前中、兄貴と俺が居間でアニメ特集とかそんなのをやっているのを見てる時だった 母親に電話だと言われて、誰?と聞いて女の子。と言われた後思い出す。気まずかった
377 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:28:59 ID:???0 「あ、もしもし?」 「もしもし?水谷?どうして電話してくれないの?」 半泣きというかなんだかそんな声で・・・気味が悪かった 「いや、忘れてたっつーか旅行行った後だったし・・・」 という言い訳を一生懸命してたが、何で言い訳してんだろうと思い。言わなくて良いことを言った 「お前に毎日電話しろって先生から言われたからしてただけで、電話終わったら先生にもしないといけないからダルかったんだよ」 そう言った後、佐藤は更に泣き出してそのまま電話を切られた この時はあーうっとーしい!と思ったが、罪悪感はあるもので、この感覚から解放されたいと思って、すぐに架け直した 半分出ないんじゃないかなぁと思っていたが、電話は取り上げてくれたようだった。親かな?とか思ったが、もしもし?と言って帰ってきた音は泣き声だけだった 「え、えっとだな。急に切るなよ!心配するだろうが」 なんて言う感じの言葉をもっとドモりまくって焦りながらしたと思う で、相変わらずの会話のなさで、俺の方の会話は段々辛くなってくる。旅行の話が終わった時点で十分も持たずに終わった 「えーっと、佐藤は旅行とか連れてって貰わないのか?」 「私は行かない」 はい、終了。俺はもう話すコトなど無く、何か無いかと電話の側でぐでーっと寝転んでいた。 で、思いついた 「お前の話はないのか?俺ばっかり喋ってて面白くも何ともないだろ?」 っつーか俺が面白くない 「私・・・私・・・ない・・・」 全ては終わった。小学生の会話で、しかも当時の俺の思考回路で上手いこと言えるワケもなく、また明日なってことで電話を切った その後先生に電話をしてみたが、留守電だったので佐藤に電話した〜終わり。と、だけ入れてその日は終わった 「水谷君」 「はい。なんです・・・か?」 家に来たのは変な感じのおっさんで、スーツ着てたと思う。佐藤の親父さんだった 俺の親も居て、応接間でなんだか初めて妙な席に着いたなと思わされた 「めぐみを虐めてる子を知らないかな?」 佐藤の名前は「愛」と書いてめぐみと読むらしく、初めて名前を知ることとなった 「いや、わからないですし、俺より佐藤さんの女友達の方が知ってるんじゃないですか?」 みたいなことを言った その親は友達だった子にも聞きに行ったと言い、低学年の時のクラスの女子にも聞きに回ったそうで、ある意味これが原因じゃないかなとも当時の俺でも思った 溺愛しているその素振りは、俺から見ても普通に正しいことなんだとは思った。異常性は見られない。ただ普通になんとかしてあげたいという感じで必死だったんだろう で、うちの親もそういう話なら協力して上げたいとか余計なことをするタイプで、巻き込まれる俺が勘弁して貰いたかった そして出た結論が、俺が遊びに行って上げるということだった・・・女子と何して遊べと? とりあえず思いついたのが携帯ゲーム機で、俺と兄貴と一台づつあったわけで、兄貴の方は既に携帯ゲームはどうでもいいらしく、遊びに持っていっても良いと了解を親ととる 持っていくものは他にお菓子とかだったが、用意したのは佐藤の親だった。夏休みって言っても男友達と遊ぶ機会はあんまりなく、だらだらするのが俺の過ごし方でもあったためか そんなに抵抗なく行こうと思った。お菓子と小遣いがセットなら断る方がおかしい そう、佐藤の親からも五千円くれた。俺の親には内緒でだ。これも懐柔だったんだろうなぁ・・・ で、一応やるきはないが「夏休みの友」という、今もあるかどうかは知らないが、夏休みの宿題の問題集も持っていった 佐藤の家は割と大きく、俺の家より綺麗で庭にも芝生みたいなのがあって、普通にいい家と言えばおかしいんだが、そんな記憶だ もちろん道なんて知らなくて、佐藤の親父さんと一緒に行ったわけだが、歩きながら気を使ってくれる親父さんは優しい人に思えた。実際優しかったし今でもたまに電話が来る 初めて女子の家に踏み入れるというイベントではあったが、相手が佐藤なら特になんともない。むしろ悲しかったかもしれない。その時は 二階の佐藤の部屋前まで連れてこられると、親父さんが俺が来たと、扉越しに言うと、中でバタバタという音が聞こえた。 部屋の前で随分待たされたような気もするが、親父さんは佐藤が部屋から出てくる前に一階へ戻っていった 「まだか−?」とか、「もうちょっと!」とか、変な単語だけでやり取りが終わると、そろーっと扉が開いた いつものツインテールじゃなく、フワッとしたロングヘアーというか・・・そんなのが居た
378 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:29:51 ID:???0 髪の毛が降りるとこうなるのか・・・と妙に見蕩れていたと思う 実際ちょい太めだったはずなのに、良い感じに痩せて、まあ・・・可愛かった クラスの中で三、四番手という微妙な位置だったと付け加えなければならないが、俺も人のこと言えないしなぁってのがあった 初めて女の子の部屋に入った俺は、ぬいぐるみとか置いてあるだけで不思議な空間だった。テレビもベッドもあるし俺と兄貴なんか同じ部屋だし・・・ そんな部屋の話から始まって、携帯ゲームを初めてやる佐藤を後目に、俺は少女漫画という未知の読み物に一生懸命だった 読んでた漫画はリボン系と花とゆめ系のもので、コレも詳しくは書かない。ただ、糞笑えたのは間違いなかった。あの作者は頭がおかしいと思う。何がバスケットだ 午前中はそんなことをして、お昼に一階に下りると親父さんと母親と、佐藤と俺の四人で飯を食った。何を食べたのか覚えてない ただ、覚えてるのは、ああ、三人家族なんだな。ということだった 気まずい飯であることには変わりなく、おかわりもしにくいこの状況を部屋に戻った後、佐藤と笑いながら話し、お菓子で追加することにした 宿題も一緒にやることになり、俺は写させて貰うからやっといてというと、久しぶりに軽く頭を叩かれた。「夏休みの友」を丸めたもので そんな感じがいつものBグループにいるはずの佐藤で、電話越しの佐藤は別人だった。返事するかすすり泣くかのどっちかだったからだ で、やらなくてもいいのに真面目に宿題を進めると、そろそろ帰る時間になった。流石にあの距離を歩くのは大変だろうと、親父さんが車を出してくれるということになった 夕方近くもなると気になるテレビもあって、さっさと帰りたいなぁとも思いつつ、佐藤と初めて遊んだというのもあってか変な気分だった 遊んだというより宿題やったという感じだが んで、帰る前に佐藤が何か言いたそうだったが、電話で言うと言われて車に乗った 親父さんには何回もありがとうと言われ、それがなんのありがとうなのか知る事もなく、ただ、居心地の悪い助手席から見慣れた景色をぼーっと眺めた
379 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:30:22 ID:???0 佐藤からの電話の内容は予想通りというかそんな感じで、また来て欲しいという物だった 俺からすれば一回でいいんじゃないかなぁとか、クラスの男子にバレたらどうなるのか?とか、そんなレベルだったのだが 数時間後に掛かってきた電話は深く考えさせられる物だった 掛かってきたのは佐藤の母親の方で、久しぶりに家族揃って食事が出来たという物だった 部屋から全く出ようとしない佐藤は俺が帰った後は何時ものように出てこなくなったということで・・・ じゃあ電話はどうやって?と、思ったが、あいつの部屋にも電話はあって、俺の当時の家では電話が各部屋にあるなんてことは知らない家庭だった で、親父さんからの何度もありがとうと言われた意味を知る。あいつは全く喋らないのだそうで、電話も聞いてるみたいな感じのことを言っていた つまり、俺と佐藤の会話は佐藤の親も聞いているらしかった 気持ち悪い事するなぁと思った俺は、このことを聞いてから電話の内容ってのは気を使うことになる。俺と佐藤の他に別の息遣いがたまに混じることに気が付いたからだ 今の電話ならそういう機能はないと思うんだが、当時の電話は他の部屋で喋っていても、別の受話器を取ると話してる内容が聞こえるものだった それは佐藤の家にあった電話に限られるんだろうけど んで、次の日も佐藤の家に行くことになったのだが、半分は宿題と例の漫画だった。わりと面白かったし、続きも気になるし。なんて感じで軽い気持ちだったと思う チャリを漕ぎながら、ひょっとしたらまた小遣いが貰えるかもしれないという考えも無かったワケじゃない。実際貰えたけど 昼飯は食い終わった後で、今日は夕飯を一緒にということだった。うちの親にも連絡を入れてくれるような、一見世間体のいい母親だったんじゃないだろうか 部屋に入るとクッキーとかコーヒーとか準備してあって、ポットまで置いてあった 昨日とはちょっと違う感じの服で、また印象が違うもんだなと思った。俺は服とか考えたことはなく、いつものジーパンに適当なTシャツだけで なんだかガキなのにガキだなと最認識させられた気分だった お菓子を喰いながら、持ってる漫画の話とかして、ガキのクセにいい夏休みを送ったもんだと今でも思う 今日はここまで〜な感じで宿題を終えて、夕飯は外食だと言われてビビった。 普通の乗用車の後ろの席に、佐藤と並んで座るのだが、これほど他人の家族というものを間近で見た事は無い。 そして異常だ。会話がない。ないものなのか?これから一緒に食べに行く雰囲気が無い。無性に気まずい俺は、佐藤と一緒に携帯ゲームの対戦をしたかった 残念ながら今日はなかった。兄貴に速攻で返したのは間違いだったなと思いつつ、コレって俺がいるから喋らないんだろうなぁ・・・とも考えていた ついた先は外食でもなんでもなく、隣町というかそれぐらい遠い距離にある神社のお祭りだった で、親父さんが、今日は遊びながら食べ歩こうなんて言って、俺も少し喜んでいたかもしれない うちの親はこういうのには連れてきてはくれるものの、屋台はダメ!という奇特な方々だったのだ。今でも怨んでる そうなると佐藤の親父は俺の中で神格化し、初めてやる射的で対決したり、佐藤も一緒にワイワイできて、車の中の雰囲気は何処行ったんだ?なんて感じになった 屋台で食べるものは定番の物から歩き持って食べたりとか、佐藤も随分喜んでいる様で、俺はそれ以上に遊ばせて貰ったと思う 何しろ小遣いが減らないからだ。遠慮しろよっていう考えもあったが、あれをやろう、これをやろうというのは佐藤の親父さんだった。断れなかったが、それ以上にやりたかった 下らないプラモデルなんかもいくつか貰ったし、女物が当たれば佐藤にあげた。たぶん小学校時代で一番輝いていた時間かもしれない。 帰りの車はあれがどうとか、これがどうとか言う話で、かなり明るい雰囲気だった 佐藤も髪飾りみたいな丸っこいプラ製の髪結をいくつも腕に巻いてブラブラさせて笑っていたし、俺も抵抗なく手を繋いで歩き回ってたことを思いだし、一人で恥ずかしがってた 家まで送ってもらった後、佐藤も一緒に降りてきて、たわいのない話をして別れた。車に再び乗り込む佐藤の顔はお祭りの時と変わりない物だった
380 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:30:54 ID:???0 三日目は佐藤の母親と佐藤と俺の三人で、親父さんは仕事に出ていた ただ、母親も二階に上がってくることはなく、何度か焼いたクッキーやホットケーキとか、食い終わった皿なんかを取りに来ていた程度だったかな 宿題を真面目にやる風景は小学生だった俺にはこの夏休みだけで、他は適当にやって怒られもした。ただ、六年生の夏では同じ先生だがシバかれはしなかった ある程度片付けると、佐藤は今日はここまでだね。なんて区切りをつけてインスタントコーヒーを入れてくれた 缶コーヒーぐらいの甘さで丁度良かった記憶がある。今でこそ何のためらいもなく自販機の缶コーヒーを買うが、当時の俺は缶コーヒー買うなんて馬鹿だ 小さい缶で量が少ないのにもったいない!そういうガキだった んで、俺としては、誰に虐められているのかが知りたくなったわけで、なんとか聞けないものかと思ったが、上手い言い方が見つからず。出てきた言葉は単純な物だった 「夏休みが終わったら学校は来るんだろ?」 「うん・・・行くと思う」 実際はもっとややこしい感じだったとは思うが、そんなに印象に残っていない ただ、来るならイイコトじゃないかと思って、なら良かった。と、素直に思っていた んで、俺も毎日佐藤の家にお邪魔するのはあれだから・・・みたいなことを言うと俯いて喋らなくなった 本音はクラスの連中に見つかりたくないからということと、兄貴にからかわれるのが嫌だったことだ 俺の周りは本当にガキだったし、俺自身もガキだった。本当に短絡的な思考で女子と居ればもうからかわざるを得ないというような環境だった 男子連中がな。女子に見つかっても特に問題はないと思ってた。 んで、喋らなくなったと思ったら泣きそうな感じになるので・・・やばい。何がヤバイのか分からないがとにかくヤバイ。そう思った。母親が居るわけだから聞かれると不味いわけで しょうがないので 「ほら、俺の友達とかに見つかったら俺が・・・ほら、あれで・・・お前もアレだろ?」 訳の分からない事を伝えようとすると、訳が分からない言葉で出てくるもので、コレより酷かったはずだ でも、そういうのは佐藤も理解してくれているようで、本当はそういう風に言ってくれた方が良かったと後から言われた お邪魔だからとか、先生に言われたからとか言われると悲しくなるとか言われ、ああ、そうだよなぁ・・・と、言われてから気が付いた たぶん此処でちょっと考えるようになったんだと思う。言葉をちゃんと選ぶようになったのは佐藤のおかげかもしれないし、佐藤のせいとも言える そして俺は正直に説明して、佐藤が嫌いじゃないということと、ちゃんと友達だと思ってるということを伝えたが、佐藤の方から言われたのは別次元の言葉で、また現実だった 「友達は嫌」 「じゃ、じゃあ親友と言うことで」 本気でコレは覚えている。そして 「それも嫌」 「じゃあ義理の兄弟と言うことで」 「本気で言ってる?」 「いや、突っ込み待ちで・・・」 と、妙な間があったがあ、ああ、これは伝説のアレかと思ったし、雰囲気でこいつの言いたいことは分かってた。だから変なこと言ったんだが、結局は 「好き・・・だから、友達は嫌」 と、言われ・・・ああ、なんて言えばいいのか本当に顔真っ赤っかの馬鹿なお子様がそこで正座していて・・・てか、俺だ 「じゃ、じゃあソ、ソレで・・・」 何がソレだボケ。と今なら突っ込めるが、まったくアホな返事だったと思うし、もっとドモって居たのは間違いなく、人生初の告白を受けて。しかも、まあまあ可愛いと来たもんだ まあまあってのは余計なんだけど、化粧してない状態でまあまあってのは凄い事だったなとは思う で、俺の返事で吹き出して、佐藤は泣き笑いな感じで、俺はもう下向いて一人でえーっと・・・えーっと・・・みたいな初々しい物だった んで結局「俺も好きだ」みたいなことを言ったのか言わされたのかどうかは微妙なところだが、言ったのは間違いなく、また佐藤も再び言い返してくれた で、結局残りの夏休みの間、毎日佐藤の家に行くことになった
381 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:31:37 ID:???0 小学生って言っても、性の知識はある物で、早いのか遅いのかと言われれば、間違いなく早い部類だろう 初めて同士でキスをしたのも覚えてるし、一緒に引っ付いたりとか抱き合ったりとかテレビで見るカップルの気持ちも分かるような気がした 正直、佐藤の家の中だけの出来事だったが楽しかったし、嬉しかったし、コンドームを知らずに・・・いや、知ってたけど付けずに初めても経験した ただ、血が出たのと痛がってたのは間違いなかったが、お互いもっと勉強しようね的なもので、弄り方とかイロイロ・・・って、ここは書かなくていいや 夏休みも終わりを告げる頃、俺と佐藤は付き合ってるというのは学校にも誰にも秘密にしようということになった ただ、あいつから言われたことは 「私と付き合ってるってなったら、きっと水谷も虐められる。そんなのは絶対に嫌。助けて欲しいとかそうじゃない。関わっちゃダメなの」 そう何度も言われたのが印象に残ってる 俺も佐藤にだけは嘘というか見栄とかはりたいとかはなく正直に話したし、いつの間にかちゃんと話せる様になった。自分は弱い人間なんだってっことを。しかも卑怯だなと 先生の方には俺はちゃんと友達として仲良くしてます的なことを言っていたが、ちょっとは言いたいなぁなんて思ったのも本当のことだった ただ、エッチしてるとかバレるともう大問題にでもなりそうな感じで・・・おっぱいには勝てなかったんだよ しかしながら佐藤だけに辛い思いってのはさせたくないし、どうにかならないものかとも考える。でも関わっちゃいけないってのは何となく思う 女子Aグループというのは本当に力があるというか、クラスもそうだが学年も締めてるような連中で、男子でも平気で攻撃するタイプだった そう。倉田がその犠牲者第1号と言っても良い。高橋はアトピーということもあったが、女子連中からは可愛そうにと思われる感じで、見た目は悪くなかったと思う 全身アトピーみたいなヤツが他のクラスにいたが、ソイツよりは軽いというかそんな感じだったからだ。男子連中はそのアトピーのついでに見た目も気に入らなかったという話 ソレとは逆に倉田の方だ。コイツは俺が見ても気持ち悪いというか、目がギョロっとでかくて出っ歯気味で友達は他のクラスにしか居ないという感じだったのだが Aグループの女子の一人は、そんな倉田の隣りに座ることとなった9月中旬。そのキモイ奴はリンチにあった。理由は分からないし聞きたいとも思わない ただ、両足骨折と他の方も打撲やなんやかんやと酷い物だったらしい。やった連中は誰が中心なのかも分からないが、倉田はリンチを受けた後、そのまま道路で車にはねられた そんな話は噂として学校中に知れ渡ることとなり、また倉田本人はというと事故の後入院。そして帰ってきたのは中学に入る頃だ。 つまり、彼の小学校人生はこのリンチで終幕となった んで、俺達男子連中はというと、そんな女子共に関わりたくないというのが一番にあった。理由は簡単だ。バックに六年生と中学生女子グループが居るからだ 全部繋がってるわけで、先生達も悩んでいることの一つだった。これだけの事件にも拘わらずに、警察沙汰にならないのが不思議で、 女子グループにお偉いさんかなんか居るんじゃないかってのが俺達の中では噂になっていた。 反対に男子グループで一番力を持っていたのは1組の連中なのだが、俺達2組の事には関わりたく無さそうなことを言っていた 高校生とかも絡んでるとかそんな話を聞いたら誰も突っかかれないって。そんな感じの話だったかな で、実際の真相は倉田がリンチされそうになって逃げたところ、運悪く跳ねられた・・・ということなのだが、たぶん散々殴られたり蹴られたりした後だろう それを知ったのは中学になってからだったが、その話はまだ先になる
382 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:32:07 ID:???0 夏休みが明けて始業式に佐藤は来た。俺は毎日見てたようなもんだったから違和感はなかったが、他のクラスメイトからすると随分印象が変わってたようだった そして、暗い。ずっと俯いていた。俺の方をみても嬉しそうといった顔はなく、家で居る佐藤とは異質の雰囲気だった 普通付き合ってるとなると会うだけでもこう・・・嬉しさというか楽しさというものが湧いてくるもんだと思っていたが、全く思わない上に俺の方が近づけなかった 校長の長い話が終わり、教室に戻って席に着くと席替えだった これで佐藤ともお別れだなぁと思いつつも、この最悪な三角形に囲まれた先月の居心地の悪さとおさらばできるのは嬉しかった ただ、佐藤の暗さってのは心配を通り越して不気味だったのがアレなんだが・・・ 何時ものように缶が回ってくると端の俺は残り三つのウチどれが良いとか考えるわけでもなく、適当の取ると直ぐさま後ろに回した 黒板に書かれている数字を見て、ああ、今度は真ん中の一番後ろか!と、ちょっと嬉しかった 机の移動が始まると、ワイワイ言い合ってる中、俺は運ぼうとした先に居る佐藤にビビった また隣が佐藤だった 此処まで来るとなんだか変な話で、周りの連中も呪いじゃないかとか変なことを言い出して じゃあもう一回席替えするか?とかいう騒ぎにまでなりかけたが、先生としてはそれは嬉しいことのようで、後から今月もお願い。みたいなことを言われた 俺の方もなんだか他の女子にも同情されたり、男子にもからかわれたりと・・・まあいいけど・・・と多少恥ずかしかったが我慢できた 席に着いた時の佐藤は下を向いていたが、なんとなくまた一緒で良かったな。なんて言ってみたら気持ち悪さではなくて、間違いなく可愛い笑顔でチラッと俺を見てくれたからだ ただ、その時だけだったが 帰り際にはいつものメンバーと久しぶりに集まって遊ぼうなんて話になったが、佐藤をどうしようかなと思っていた 会う約束はしてないし、夏休みでもないし電話だけでもいいかな?と思ってた 久々に外でドッジモドキなんかして帰ったのは夕方前で、半日近く男友達と遊んだ で、佐藤に電話すると学校とは全く違う明るい口調で軽い感じで怒られた 「彼女をほったらかしにするとはどういうことですか?」 「はい、すみませんでした。以後気をつけます」 「よろしい」 とか、変な敬語でやり取りしてたと思う。晩飯を済ますと俺が向かったのは佐藤の家で、ちょっとだけということで来たわけだが、結局家の中に上がらされた 親父さんが帰って来て、佐藤家の夕飯が始まるころ、俺はコーヒーだけということで同席する事になった。 ただ、俺の家より豪華だなと言うと笑ったり、学校でまた席が一緒になったとか話すと親父さんは嬉しそうだった 佐藤の方も一緒で良かったと、学校とは全く違う明るさで、ああ、やっぱAグループはキツイんだなぁと軽く考えていた 食事も終わり、俺は佐藤の部屋でちょっと寛ぐ感じで、遅くならないようにとは言われたが歯を磨いて部屋から戻ってきた途端キスしてくる佐藤と一緒にいたいってのはあるもので エッチは流石にしなかったものの、それなりにいちゃついてたかもしれない んで、今日はなんか別人みたいだったなぁみたいなことを言うと、別人にならないと耐えられないからと。変なことを言われたと思う その時は無視ぐらいで・・・なんて思ってたが、経験してみないとコレはわからないんじゃないだろうか?事実、俺もされることになるがそれも先の話だ
383 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:32:43 ID:???0 そして、始業式が明けて、初の授業が始まるのだが、隣の席に佐藤の姿はなかった これはどうなってんだろうなぁ・・・とか思いながら授業を受けることになるが、先生の方も何も言ってこないし、今日は風邪でお休みですとか、そんなのもない 当たり前の状況というか変な気分だった。友達もあいつまた休み始めたなぁとか。逆に良かったなぁとか言ってくるのも居て、内心複雑だったが、うまく躱すのに必死だった で、昨日のこともあってか、男連中とは約束をせずに、佐藤の家に電話する 「お前何で来ないんだよ」 「うん・・・」 「いや、うんじゃなくてだな・・・」 「ウチには来る?来てくれる?」 「ああ、うん、今から行くから」 というと、口調は変わって明るくなる この時は好きだったし、一緒にいたいというのも間違いなかったし・・・いや、今でも好きなんだろう 家に着くと母親が迎え入れてくれて、そのまま勝手に上がるようになっていた 後から一緒に降りてらっしゃいということで、終始笑顔だった んで、ベッドの上に座ると一緒に座り思いっきり引っ付いてくる佐藤は嬉しそうで、俺も嬉しくて。小学生とは思えない付き合い方だったと思う 下の名前で呼び合うというのは未だに恥ずかしく、がんばろうねっ。なんて言われて、どう頑張れば良いんだと・・・ でも、一度言い始めるとすんなり受け入れられる物で、違和感は一日二日もすれば無くなった 俺は元々名字の呼び捨てだったし、めぐみって名前も抵抗なく言えた ドキュンネームじゃないってのはありがたいよな 「あ、あつや?」 「な、なに?」 もうソレだけでパニック状態というアホな子だった 名前で呼び合うだけで新鮮で、また異常にテンション上がっていた気もする そろそろ夕飯だなぁってことで帰ろうかな?なんて思ってたら部屋の電話が鳴る。内線で愛が取ると 「ご飯食べて帰るでしょ?」 強制らしい。が、一応悪いからなぁなんていうと、ちょっとまってね。といって、母親に何か言ってた しばらくするとまた内線が架かってきて 「孝也のお母さんに電話したから大丈夫!」 と、まあ嬉しそうに言ってきた 俺はというと、こっちの夕飯のが豪華だし!なんて思ったりで 「ごはんできるまで・・・何する?」 と、ワザとくっついてくるのにも、喜ぶ馬鹿だった そんな関係を知ってか知らずか相変わらず優しくしてくれるおばさんと一緒に飯を食うのは不思議なもんで、慣れすぎたのもアレかな・・・ 帰った後で親父さんから電話があり、またありがとう的なことを言われ、電話を切られる 俺が居ない佐藤家というのはなにかが違うんじゃないかなと疑問に思い始める頃、隣の空席にも慣れた九月中旬に事件が起こった 5年2組の虐められ筆頭候補の倉田が事故で入院したということだった
384 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:33:16 ID:???0 終わりの会が始まろうとしたが、教壇に立っているのは校長と教頭だった なぜか全員机に突っ伏すように促され、そのまま話を聞かされた 話してる内容は覚えてはいないが、倉田の事件に関わった人は見えないように手を挙げなさいとかなんとかで・・・ そんなもん誰も上げるわけ無いだろうと思いつつ聞き流していた んで、全員に作文用紙みたいなのを配られて、知ってるコト、また最近どんなことがあったのか書いて持ってこいと言うようなことだった 担任の先生はというと、終始下を向いたままで、何とも疲れ切った顔をしてたのを覚えている 校長と教頭と共に先生も出て行くと、俺達は作文用紙を紙飛行機にしてイロイロ話した やったのはあいつ等かその上の人等じゃないか?とか、当然のような憶測が飛び交うが、所詮頭の悪い俺達のグループだ 結局飛ばし合いして帰っただけで終わった 実際には女子連中が呼び出されてなんか一悶着あったらしいが、俺自身が関わっていないということで心底一安心してた そんな事件があったということを俺は愛にも話した。学校であったこととかが唯一の話題で、またあいつにとっても楽しみだったらしい 「うん。だから関わっちゃダメなんだよ。孝也がそういう目にあったらたぶん私・・・」 とか、なんとか言ってくれて、大丈夫大丈夫。なんて軽く返事していた 女子から虐められても男子から虐められなければなんて事は無い。それが俺にとっての認識だった で、そんな話をどこからか聞きつけていた愛の親は、俺にもイロイロと聞いてきたりと大変だったが、俺が全く関わってないということに安心しているようだった ただ、誰が主犯なのかということと、5年2組に存在する女子全員が目の敵にされているんじゃないだろうかと思わせるほど怒っていた。 目の前で本気で怒る大人というものを見るとビビるもので・・・うちの親父も怒ったらこんなだったかな?とか思い返すが、いつも帰ってくるのは十二時前後だったので会話がない まあ、ウチの親父はどうでもいい。 「本気で心配してくれてるんだなぁ・・・お前の親父」 なんていうと、黙り込む愛だった 実際言われるまでは親父さんは良い人と思っていたのだが、愛からするとそうではなく、 「あの人のせいで友達が居なくなった」 と、俺に抱きついて泣き出した えーっと・・・あ、そう言えば・・・と、親父さんが家に来た時に女子全員の家に行ったとかなんとかって話を聞いたのを思い出した ただ、愛が言うには家に行ったというより怒鳴り込みに行ったということだ。しかも全部の家にだ 度胸があると言えばそうなんだが、異常といえば異常だ・・・実際に見たわけじゃないから不思議だった 俺には優しいおっさんというかそんなんで、暴力的な人には見えず、ちゃんとした会社に就職もしてるとかうちの親も言ってたしヤクザ系じゃないってのは随分前に知っていたことだ ただ、娘のことになると周りが見えなくなるんじゃないかな?と、少ししてから自分の親から聞いた 何でそんな事知ってんだろ?なんて思ってたが、うちの親と愛の母親はわりと連絡を取り合ってたらしい ただし、小遣いの件は黙っててくれたようだった
385 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:33:53 ID:???0 季節は変わり初めの十月初旬。全く学校に来ない愛との相席は終わりを告げて、今度はまたやっかいなAグループ番長クラスの女が隣になった 正直苦手なこの女は、顔で言えば二番手だが性格が異常に怖いっつーか恐らくは倉田を入院に追いやった人物・・・というのが俺の印象にあった 愛の席はというと、教室の一番後ろの窓際で、倉田の席と並んで隅に追いやられていた 隣に悠々と座る女は、先月倉田の隣りだったわけで・・・ 「水谷よろしくー」 「おう。村上も前と後ろが仲良い奴でよかったなぁ」 「やっと普通にくじ運回ってきた感じ〜」 とか、気楽な感じだった。なんだ。意外と普通だったんだな・・・ 低学年時代ではクラスも一緒になった事は一度もなく、それは愛も同じことだった 仲が良い女子といえば別のクラスに行ってしまい、少々寂しさもあったもんだが、高学年からの大人への交友関係ってのはこの時代から成り立つ物じゃないだろうか? クラスが別れると本当に疎遠になるし、幼なじみであるはずの男子二名とも全く遊ばないようになる 俺も前後ろに座るクラスメイトはパンツ戦隊隊員4号5号で俺が3号だ・・・何で番号なんだと言いたいが、勝手に番号化されていたのでそのまま流用する 4号と5号、そして6号は仲が良く、俺もコッチと良く連んでいた。1号2号は悪ふざけ筆頭でクラスのボス的存在。いや実際にボスだったのは女子の村上ともう一人なんだが そこは突っ込まずに居よう んで村上という女はとにかくその他クラスの女子には酷かった パシリは当然カツアゲみたいなことも平気でするし、忘れ物があればそいつ等から拝借する 隣で見てるとこんなヤツがモテるなんてアレだよなぁとか思ってた。口には出さないが嫌な女だった でも顔がいいってのは本当に得なもんで、周りの女子もチヤホヤとする。怖いからなんだろうけど 俺はというと、そんな村上にも別に普通にしているつもりだった。そしてなるべく関わりたく無いとも思っていた 愛の家に行くと、そんな俺に同情してか、学校行けなくてごめんなさいだとか、暗い話になるのがなんか欝だった 別にお前のせいじゃないし・・・なんていうと気持ち悪いことを言いやがった 「何時も席替えは私の思い通りになるの」 確かこんな事だった。いや冗談だろ?と、半ば半笑いだった・・・でも、思い当たる節はあった ただ、他の席にまで目を配った覚えはないが、高橋と倉田の隣りに座らされていたのは全部Aグループの女子だったのを思い出す で、村上は倉田と高橋を交互にという記憶が何となくあった んで少し怖くなったものの、超能力かなんかか?とか思って半信半疑で聞いたところ、帰ってきたのは更に斜め上を行く物だった 「魔法なの。悪魔と契約した魔法なの」 この時点でコイツは頭がおかしくなったのかなと思った 「いや、そういうのキモイって・・・」 というと、凄い勢いでごめんなさい!とか、もう言わないから!とか言われて、その後はそんな話をしなくなった ただ、こういう事言われると気持ち悪いなということも本気で思った。なにしろ実際思い返すと、席替えのパートナーって結構おかしな状態だった気がした しかし、席替えの記録とかあるはずもなく、記憶を頼りに思い返すことぐらいで・・・愛の家からの帰りは本当に妙な寒気がした
386 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:34:25 ID:???0 十月は特に何事もなく、十一月は村上とおさらばし、平穏無事な二月目となった 愛は相変わらず来なかった 俺がこの5年2組の席替えをかなり正確に覚えているのは結構すごいことなんじゃないかと書いてる最中に思ってしまう 六年生の頃とか中学高校に至るまで、ほぼ全て吹っ飛んでる。記憶に残りすぎているという感じで、何しろ愛という存在が居たからだし、毎日話しに行ってたからだろう 今はもう更地で、十数年前とは随分景色も違い。学校は新しく建て替えられているし、あんまりいい街でもないなぁとか思ってしまう それでも何処かの遠い場所ってのには行きたいとかも思わないし、このままダラダラ過ごしていくだけだろうと思ってる 話を戻そう。この村上の後の隣の席に座った相手がどうにも思い出せない。でもそんなに嫌いな奴でもなかったのは確かだ ただ、卒業アルバムにそいつの姿はない。十一月の席替え直後に転校することになったからだ 前々から話は聞いていた物で、別に驚くほどのことでもなく、愛の言った気持ち悪い魔法だとかのせいじゃないのは明らかだと思ってた お別れ会っぽいものをして元気でな〜みたいな心にもないことを寄せ書きに書いた。そう愛に言うと怒られたが、まあ気持ちがこもってなかったのは確かだった そいつが転校してから俺の横ってのはいつもの状態といっても過言ではなかった 「なんかお前の横って何時も誰も居ないよなぁ」 そうまともに言われると気味が悪かったが、実際俺もそう思ってた でも愛じゃないから今回は偶然だし、愛からもそんな変な話は全く無かった。というか魔法がどうのってのはアレ以来なくなっていたからだ 先生の方は相変わらずな感じだが、一学期の初めの頃とは随分違った態度だった。正直、余り熱心ではない印象だった ビンタもなくなったし、蹴りもなくなった。そして俺の電話にたまに出るのだが、元気が無さそうだった 責任とか取らされるのかなぁ?とかガキのクセに妙な心配もした。ただ、愛に関しては安心してるとか何とか言われて、それは喧嘩でもしない限り大丈夫だろうと俺も思ってた
387 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:35:06 ID:???0 十一月最終日に席替えは行われた。一つの席が無くなり、空席が教室の隅に二つあり、男子は一名余ることになる つまり、一人だけパートナー無しということだ・・・ってか俺だった 男子連中からは羨ましがられると同時に、お前呪われてるんじゃね?なんて言われて焦ったり、女子からも気味悪がられだしたものの意外な人物が庇ってくれた 危険人物村上だ。じゃあ私も呪われてんのか!とか言って一気に沈静化した。ああ、実は良い奴?とか思ったし、後から災難だったなぁ水谷っ!とか軽く叩かれた 考えてみれば愛と他に一緒になったのって転校した奴と村上と・・・後一人誰だっけ?この時には二ヶ月目の席が誰だったのか思い出してたはずなんだが、今は忘れた んでも、学校の中ではそこそこ付き合いのある男子も、外では全く遊ばなくなった。愛の家に行くのは日課で、日曜日も親とどっか行く以外はほぼ一緒だった でも全く嫌じゃないわけで、またそれはそれで俺にとっては普通になりつつあった 十二月ってことで寒さも強烈で、チャリで行き来するのが正直辛かった 愛の部屋には炬燵があって、暖房っつーか温風器?蒸気も出るような電気式のが置いてあり・・・ 「居心地良すぎる・・・泊まりたい・・・」 学校の宿題をやりつつそんなことばかりボヤいていた 俺の母親からもお菓子を手土産に持っていくように言われたりと、なんだか親公認のお付き合いのような物になりつつあった 兄貴の方は兄貴の方で彼女が出来たらしく、自慢されたりしたが、はいはいワロスワロスという感じであしらったら写真まで見せつけてきて心底嬉しそうだった 俺も写真ならかなりあるんだが・・・愛と写ってる写真はお祭りの時以外は全て部屋の中だった 改めて考えてみるとデートらしいデートという物は全く無く、連れて行ってやるべきなのかどうかわからず、まあ普通に聞いたら、外は嫌だという 完全引きこもり型になっていた。でも映画ぐらいは体験しとこうぜ?みたいなことも思ったんだが、近場でそんなところはなく、冬の糞寒い時期に今更感は否めなかった しかしクリスマスってものがあって、愛の親父さんとおばさんもよかったらウチで過ごさないかと言われ、俺は全然オッケーだったので快く返事した ついでに愛が喜びそうな物でも買ってやろうとも考えていた。少女漫画の影響力というのは強い物で、読んでいてよかったなと思ったりした たぶん読んでなかったらそんな事は一切考えていなかっただろう 大体初めて女の子にプレゼントとか考えたわけで、ああ、丁度良い相談相手が居たなと、兄貴に聞いた 兄貴の方はと言うと浮かれつつもネックレスを買うのだとかと調子よく自慢していた あ、じゃあ俺もそうしようと言ったところで何処で買うんだ?って話になって 高校生だった兄貴と一緒に近所のデパートに向かった デパートが目的じゃなくて、当時は結構居たパチ物外人露天商で買うことにした。安いから シルバーアクセサリーだと言い張る外人とのやりとりは笑えるもので、兄貴は兄貴で値切るのを面白がって喋りまくっていた 俺はこう言う物はサッパリだったが、選ぶなら銀色でかわいい系のがいいはずだと言い切る兄貴を信じた・・・何時もパシらされていたがたぶん騙されたことはないと思っていたから 選んだのは細いチェーンタイプで黒い革紐のチョーカータイプのも選んだ。二つ買えばどっちか気に入った方付けるだろうという考えだった ぶら下がってるアクセは取り外しも効くようで、三つぐらい選んで好きなの付けてくれ〜みたいなのにした 形はハートに星形に十字架だったかそんなだと思う。値段は確か五千円くらいで、兄貴も同じ値段だったと思う。ついでに財布まで買ってたけど 近くの100均に入れ物というか梱包みたいなのを選んで家で工作状態だった 100均でもアクセサリーっぽいのはぶら下がっていたが、パチモン露天商の方がよっぽど本物らしく見えたし、結構いいんじゃないかとも思ってた で、二学期終業式にも愛は学校に来なかった
388 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:35:37 ID:???0 学校ではクリスマス会なるものがあり、終業式前にみんなでプレゼント交換というものがあった。手作りでなんか作って持ってこいとかで、俺は100均で余った梱包を利用し 中身も100均で適当にアクセサリー類の入った物を入れるだけという粗末な物で終わらせた 男子は女子の物を受け取る。んで女子は男子の物を受け取るイベントで、あれは誰のものだとか、あいつはアレだとかコソコソ教え合ったりと・・・ 楽しいんだか楽しくないんだか妙な気分だった。本命に本命を渡せればそれで良いし。なんて冷めた目で見てた 俺のプレゼントという物はショボイにも拘わらずCグループの子がくじで引き当て、適当に詰めたアクセサリーで喜んでいた記憶がある 確かそんなどうでも良い思い出だ。ただ、愛に来て欲しかったなぁなんて家に行ってから言ったが、両手を出されて「私には?」と聞かれ「無い」と答えると泣き真似をされた 後でちゃんとフォローを入れておいたのは言うまでもないが、この日はこの日でクリスマス会らしくと二人で何かやったような気がする イブ当日にはなんだか妙に着飾った愛が居て、糞寒い道のりから暖かい炬燵に潜り込んでとりあえず休んだ んで、何時ものようにベタベタ引っ付くと愛の母親から電話で呼ばれるまでの間、まあイロイロとしてた んでもって今日は泊まっていく事にもなっていて、まず喜んだのが俺だった。帰りが糞寒い!でも帰らなくていい!それが一番だった ついでに親父さんは俺と風呂に入りたがったが、お断りした。普通入りませんというと、お父さんと入ったことは?と聞かれ、ないと答えた ってか入りたがらないだろ で、愛と入りたいかと聞かれ。それも嫌だと答えるとつまらなそうにしていたが、流石に言えないもんだった 風呂から上がってクリスマスの食事というのは変な感じだったが、サッパリスッキリで意外といいもんだと思った 愛は俺が来るまでに入っていたのでそのまま母親と準備してたみたいだった。十二時近くに飯という不思議な経験をさせて貰った んで何がお祝いなのか未だに考えさせられるクリスマスではあるものの、写真を撮ったりテレビ見て笑ったりと、家以外で味わうクリスマスにかなり戸惑った 飯も終わって俺は何処で寝かされるのだろうと思ったが、どうやら愛と一緒の部屋らしかった。いいのかそれ?と今なら思うが・・・ 当時の親父さんも母親も全然気にしてなかったらしい。というか、そんな事してようとしてまいと一緒に居てやって欲しいみたいな感じだった 小学生ならまだアリなのかな?と思いつつも、愛は本当に嬉しそうで、ベッドの下に敷かれた布団の上であぐらを掻くと何か緊張するなぁみたいな話で 「今更言われると恥ずかしいんですけど〜」 とかそんな感じだった。んで、兄貴のお下がりのハーフコートからプレゼントと言って渡すとかなり喜んでくれた 好きな子に初めて選んで初めてプレゼントするんだ的なこと言うと更に喜んでくれたもんで 愛の方はというと俺にGショックみたいな腕時計と革っぽい手袋をくれた なんかお互いに恥ずかしさもあり嬉しさもあり、かなり喋って・・・やって寝た
389 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:36:12 ID:???0 明日は冬休みの宿題を持ってくるということで家に帰ったのは夕方飯時前だった お帰りと言われつつ、親父からなんかもらったらしい母親は変に浮かれてた・・・そんなモン自慢すんなと思いつつ、二階の部屋に荷物を置く 兄貴がどうだった?とか五月蠅かったが、渡せたし喜んでたよなんて言って、殴られた その後のことを聞きたかったらしかったが、からかわれるのが分かってたし、なんか豪華な飯で凄かった。それだけ。というと、お子様だなとかイロイロ言われ続けることになった じゃあ兄貴はなにしたんだ?というと、キスして舌まで入れたと・・・そこで終わりらしかった お互い頑張ろう的なそんな悲しい会話だったんじゃないだろうか?今だからそう思えるのかもしれないが 年末年始は何してたかというと今まで通りという感じで、愛には一月一日に電話で挨拶をしあってその日は寝た。明けて初詣は親と行く事になり、愛とは二日目に行った 二回も行くモンじゃないよなぁとか言いつつ、以前来たことのある割とでかい神社で参拝する 終わった後に写真撮ったり親父さんとまた出店合戦したりと、なんとなくこのまま来年も一緒に居て、このままずっと居るんじゃないかな?なんてことを思わせてくれた そんな話を愛にすると、私もそう思うとかなんとかで・・・ガキなりの恋愛観でもあったのだが、明らかに高校生レベルを超えた会話だったと今は思う で、何をお願いしたとかで帰りの車で話したりしたが、俺の家に着くまで愛は言わなかった 俺の方はお願いと言うより願望で、今年も愛と一緒に過ごせますようにとかなんとか言った ただ、愛の方は、俺と結婚出来ますようにと偉い先の話だなぁとかで、俺も笑ってそっちのがよかったなと言うと車の前でキスされて逃げられた 親父さんもおばさんも見てたが、怒った感じはなく、恥ずかしさが上回る俺は車を見送らずにすぐさま家に入った んで、結婚ねぇとかぼんやり思っていたが、正直嫌じゃなかった
390 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:36:43 ID:???0 冬休み中も先生から電話があったりして、何時も通りですなんて話してたが、流石に先生も俺と愛のことは知っているらしく キス以上はダメとか結構言われてた。遅いっつーの・・・なんて思いつつも躱し方は随分上手くなっていたんじゃないだろうか? 誰にも言わずに長い事付き合えたのは、愛が学校に来なかったからでもあった 三学期が始まる始業式に愛は来た。でも以前感じた異質な方の愛で・・・席に着くと隅に追いやられていた机は自然と俺の横に付けられた まあ先生の指示で、空いてるんだから俺の隣りってのは自然な流れでもあったはずだった でも、横に座る愛は妙な感じで、何時も通りと言えば変なんだが俯いて暗い雰囲気を纏っていた 校長の話も終わり、再び教室に戻り恒例の席替えイベントで頭を抱えることになる 俺の隣は愛だった 流石にこの時は寒気もしたし気持ち悪かった上に、こいつが怖いと思った。存在も雰囲気もだ しかし、ざわつくもののもう一回席替えということは無く、終わりの会が終わると愛はさっさと帰ろうとしていた 俺もとりあえず帰りたかったのだが、先生に呼ばれてそのまま教壇横の先生の事務机の前に移動した その間に愛は帰ってしまったらしく、教室に姿はなかった 居残るクラスメイトの数人が俺の側に寄ってきて、何か気持ち悪くない?とか、あいつ変だよな?とかそんな会話が先生の前で繰り広げられた 俺もたぶん変な顔してたと思うし、気味が悪かった とりあえずみんなちゃんとクジは引いたわけで、俺と愛は最後列で、のこった紙切れは1個だったのは間違いなく、俺達が選んだわけじゃないことも明らかだった 「水谷は気持ち悪くない?」 なんて女子連中から言われると言い返せなかったし、そのまま黙ってた。すると 「ああ、やっぱきもいよね。ごめんごめん」 とかイロイロ言われたと思うが、教室に人が居なくなるまでそんな事ばかり言われてボーッとしてたと思う そりゃ先生の前でクラスの奴らが堂々と愛の悪口を言うもんだから俺だって気分は悪い。でもフォローしてくれる奴は誰一人としてない 俺も先生も含めて、本当に変な気持ちで垂れ流される「気持ち悪い」という単語を聞いてただけだった 愛が変なヤツということになりつつある状況でどうすればいいんだろう?そう先生に尋ねた後、先生は溜息を吐いた後喋り始めた 愛の家には毎週行っているということ。電話をしても母親がぶち切れていて相手にしてもらえない 父親が出るとこれも同様に恐ろしく、最近は電話も控えようと思い始めてること、とにかく先生の視点の話からは俺の知っている佐藤家の姿は何処にもなかった
391 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:37:16 ID:???0 その日はなんだか愛の家に行くのは躊躇した 先生の話を聞かなければ、まだ普通に付き合えたんだろうけど 精神的に幼かったのは間違いなかったし、当時の俺の周りでまともに相談出来そうな友達は居なかった そんな悩みとか言い合って励まし合うとかは無かった 親が言う佐藤家は特に変なワケじゃない。電話も掛かってくるし、母親同士は割と楽しそうに喋ってるし・・・ で、とりあえず愛の家には行く事にした。かなりの違和感を持って 何時ものように母親の方が優しく迎え入れてくれると、本当に不思議で 二階に上がる前に聞いてみた 「おばさんってウチのクラスの先生のこと嫌いだったり?」 そんな事を軽く聞いた 「そんなことはないんだけど、お父さんが嫌いだから悪いけど追い返すしかないのよね」 なんてことを溜息混じりというかそんな感じで言われた まあ、嫌われてるのは大体わかってたけど・・・この家から見る先生の姿ってのも何処か歪んでる気がしたし、先生から見る佐藤家も変だった 何処かが変で、何かが噛み合わないと、今なら表現出来るんだが、当時の俺はなんか気持ち悪い。そう思うことしかできなかった 愛の部屋へ行くと、やっぱり変で、学校に来る雰囲気と全く違う 何時も通り引っ付いてくるけど、普通にするのも苦労する 「なんか今日変だよ?」 ソックリそのまま台詞をお返ししたかった 「いや、お前の方が変だろ?その・・・家にいる時と全然違うぞ?」 もっと酷く、もっと柔らかく言ったかもしれないけど、手は繋いでたし離れようともしなかった 「学校行くとね、どうしていいかわからなくなって・・・」 そんな感じの返事だったと思う 「孝也は私に学校行って欲しい?」 この返事に俺は随分迷ったと思う。来て欲しいけど俺が来て欲しいのは普通の愛でアレじゃない あんな状態で教室にいられたら気持ち悪いというか不気味だ。しかも付き合ってるとなるのがバレでもしたら終わりだろう いや、付き合ってたというだけでもおかしな話になる。 で、なるべく愛を傷つけないような、そんな言葉を選んで学校には来ない方が良いんじゃないか?みたいなことを言った
392 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:37:46 ID:???0 教室で淡々と授業を進める先生も、休み時間で周りがどれだけ騒がしくとも、俺が机に突っ伏して過ごすだけの三学期が始まった 空いてる席はまた一ヶ月空きっぱなしなんだろうと考えつつ 昨日は愛にいろいろ酷いこと言ったんじゃないかとか考えたり、時間は無駄に潰せるなぁとか思ったり 休み時間も給食も誰一人として話しかけてこなくなるのに時間は掛からなかった ああ、これが無視か。と思うと同時にゲーム話で盛り上がってたはずの連中も逃げるし 「向こういけよ」とか短い単語で終わらされるのは半泣きになりそうで、いや、家帰ってから泣いたと思う。 で、愛の家には行かなくなっていた。ただ、電話はしてたけど、本気で何喋ってたかも覚えていない そういうのになれる頃、先生の方は知ってか知らずか電話が掛かってくる ってか、この先生も元気だそうとかそういうことを言ってくるわけでもなく、学校でシカト喰らってる俺を心配するわけでもなく 何喋ってたのかは忘れたが、頭に残らないようなしょうもないことだったと思う。ただ電話が掛かって来ていたという事実だけが残ってる 二月の席替えが終わり、後側の席で隣はその他クラスの誰だったかな? 学校には行きたくないし、ああ、こんな気分だったから、あいつはああなったのかぁとか、よく考えてたと思う ただ、暴力的な虐めってのは既に無くなっていたが・・・その他クラスの女にもシカトされるという・・・いや気持ち悪がられてたのかな? ああ、このクラスのやつ全員死ねばいいのに。って素で思ってた時期だった 帰りに蹴りでも飛んでくればまだ笑えたのかもしれない 何もないってのがこんなに苦痛なのかと。そして不安定にさせてくれる最高の虐めだなと思った いつ殴られてもおかしくないだとか、考えるようになる。精神的に不安定になるし被害妄想とか異常に湧いてくる ただ、当時の俺はそんな難しいことを思っていたんじゃなくて、学校休みたいと親に言うしかなかった 親の方はというと真剣に考えはするものの男ならどうのこうのって言うタイプだったが、そのうち休んでも良いと言うようになった 先生とも電話してたらしく、この辺はあんまり覚えていない そして、一度休み出すと学校へ行くということが本当に辛い物になっていく 一週間ほど休んで行った学校はもう別世界だった。学校の授業ってそんな大した物でもないはずなのにもうついて行けなくなってた たった一日居続ける事が苦痛でしかなくなっていた 走って帰るとただ寝るだけで、テレビを見つめる生活になるのに慣れる頃、愛にも電話しなくなってた 架かってきても受け取らず、ただ寝転んでダラダラ過ごしてた。兄貴が部屋に来ると居づらくて応接間の方でボーッとする時間が増えた 愛からの電話が鬱陶しい物から徐々に怒りすら湧いてくるようになり 電話の線を抜いたりしていたのを覚えてる
393 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:38:17 ID:???0 俺が学校に行くようになったのは6年の新学期からだ 同じクラスメイトで同じ先生で、5年2組はそのまま6年2組になった 始業式から帰ってくると新しいとは言えないが、机にあいうえお順で座る 空いてる席は一つもなく。俺は相変わらずのシカトをされるんだろうなと思ってたが、そうでもなかった ポンと肩を叩いて行く奴だとか、悪かったなぁとかボソっと言われて、それだけで。たったそれだけで泣いたと思う 同情されてるというのもわかってたけど、心から何か安堵感というか、他人の言葉を久しぶりに聞いた気がした 教室で泣くという気持ちが悪い行動。ボロボロ出てくる涙も声も全部が気持ち悪くて、恥ずかしくて、情けなくて・・・最低な一日だったと思う ただ、このクラスの連中と仲良く喋るというのはもう俺にはなかったし、先生も授業以外は何も言わなくなった 笑顔のないクラスという感じで、他のクラスが羨ましく見えて、幼なじみ連中と帰る方が何倍も楽しかった いや、無理矢理楽しく頑張ってたのかもしれない 春休みの葬式以来、俺は楽しい学校とかそんなのがどうでもよくなって、仲が良かったはずの友達とも疎遠になっていく事を望んだ 死因は自殺 詳しい状況は葬式前にいろいろ聞かされたし、親父さんが俺に泣きつくと同時に俺にも結構きついこと言ってきてたと思う ただ、周りに大人も居て親父さんを必死に押さえ込んでたのを見てたと思う。泣き崩れる親父さんやおばさん。もう何の表情もない先生 クラスメイトは誰も病院へは来なかった で、俺はシカトされ続けた一ヶ月に味わった以上の喪失感とどうしてこんなトコに連れてこられたんだろうという考えと 悲しいようなそうでもないような・・・いや、悲しいフリをしなくてはいけないんだ。と思ってたはずだ 大量に薬を飲んでいたこと。睡眠薬か頭痛薬だったか忘れたが、二箱以上飲んだ後、ビニールの縄跳びで首をくくっていたらしい どういう現場だったのかは当時の俺はそこまで聞いてなかったはずで、ベッドの上にあった大量の俺との写真と大事そうにチョコレートを抱えて死んでいたそうだ 首にはビニール紐の跡が残ってたらしいが、俺の渡したネックレスもチョーカーもしていたそうだ。 ただ、その時も、葬式も、灰になる直前も、顔を見せて貰えなかったし、見る気もなかった。 親父さんの「どうして家に来てくれなかったんだ!」って叫ぶような罵倒というかそんなんでビビリ上がった後のことは、泣くとかそんなんじゃなくて ただ座ってしゃがみ込んで目を閉じてた。涙はでなかった。もの凄く悲しいはずなのに
394 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:38:51 ID:???0 三月下旬に集まったのは5年生全員で 公園前にある葬式会場は黒かった。天気は雨じゃなかったことぐらいで、集まってる連中とも喋った記憶はない ただ、あいつと俺が仲が良く、付き合っていたというのは知れ渡っていた後だった。 もう恥ずかしいとかじゃなくて、お前等も死ねば?と素で考えていた 淡々と進行する葬式はこれが初めてで、順番に回ってくる焼香もどうすればいいのか分からない 真似して拝む・・・拝んで良いのか?俺が 確かそんな感じで、愛のおばさんとウチの母親が俺を挟んで座ってて、終始無言だった 親父さんの方はなんだか忙しそうで、でも大人は人数が少ないなぁとも思ってた 集まった5年生の親が来ていたのはウチとほんの少しだった記憶だ で、俺が渡したのはチョコレートとお菓子。ついでになんかイロイロ入れた鞄を一緒に燃やして貰ったという記憶で終わってる 後は抜け殻みたいな生活で、親ともまともに会話しなかった ゲームして、寝て、起きての繰り返しが始まって 明けて四月の始業式まで何してたのか何がしたかったのかサッパリだ 席替えが終わると目の前は高橋で、横は誰だったか忘れた 確か前から二番目の席で端側で左は窓だった 六年生の教室は講堂の上にあって、他の校舎とは一風変わった感じで、横にある窓からは校庭が見渡せた 休み時間に全く外に出なくなった俺は、目の前の席に同じように座る高橋の背中を覚えてる 何となく自分と重ねてたかもしれない。ただ、こいつの場合は暴力も酷かった でもそれは5年生の時の話で、6年で蹴られてたとかは無くなっていた ぼーっとしてると高橋が振り向いて大丈夫か?とか声かけてきてくれて、またそれでボロボロ涙が出てきてビックリした 声はそれほど出なかったと思うが、6年の一学期は本当に暗いクラスだった 夏休みになっても楽しい事なんて何もなく、ウチの家も旅行とか行こうなんて誰も言わなくて、親父も仕事が忙しく、今年から家族旅行という行事はなくなった クーラーの効いた部屋でゴロゴロして、新しくなった電話からかかってくるのは兄貴の友達とか彼女で それでも電話の音が聞こえるとビクつく俺で・・・二学期が始まるまで外に出た記憶はあんまり無い
395 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:39:26 ID:???0 卒業式で普通の日で、普通に終わった 居るはずのない倉田と佐藤の名前も読み上げられた。気まずい空気がそこにはあって それは卒業式の練習みたいな時にもあった 卒業アルバムを受け取って、みんながいろいろ書き合ってたりするが、俺はそのまま帰った 真っ白な最後のページに先生が一言書いていくということで並んでたりしたんだが、俺は並ばずに帰った 最後のページが真っ白な卒業アルバムに愛の姿は一枚もなく、また俺も集合写真以外は写っていない これが小学校卒業式の思い出で、先生も俺と一緒に学校を卒業した。あの先生は今ではどうしてるのか全く知らないし、責任を取って辞めたのだと言うことくらいだった 中学にあがってまた知らない連中が一気に増えて、元6年2組の連中で一緒のクラスになれたのは十人くらいだったと思う んで、高橋も居て、なんとなく一緒に居て、なんとなく飯喰ったり。楽しい話題ってのもあんまりなかったが、俺達に近づいてくる連中は居なかった 「虐められるんじゃないかと思ってた」 「もうないんじゃないかなぁ・・・お前のが身体でかいし」 そんなやりとり。クラスの中で虐められていたのは高橋より酷い全身アトピーの奴だった 「かわいそうだねぇ」 「助けなくていい。ただ、俺に回ってきたらお前も助けなくていいよ」 本当にそう言った。ただ、俺も身体の方は周りよか良い感じで、背も割と高かったと思う そのおかげかどうかはわからないが、これ以降虐めを受けた覚えはない。いや、俺の場合は虐めとかじゃなくてただのシカトだったと思う 本当に酷い目には遭わされたことがないからだ 2年か3年だか忘れたが、久しぶりに遠出というかそんなんで、何か買いに行った帰りだ 見覚えのある道は真っ直ぐ行けばあの家で、葬式以来墓にも行ってない。というか墓の場所すら知らない 聞いたのは確かだし、行こうと思えば何時だっていける。ただどんな顔していけばいいのかわからなくて、そのままズルズルといった感じだ もうすぐだなぁと思ったあと、何もない空き地が見え始める 無かった。部屋があったはずの空間を眺めて、なんとなくチャリを漕ぎだして・・・初めて缶コーヒーを買って戻ってきた 空き地のフェンスを上って、確か此処が玄関で・・・ 二階に上がるとこの辺で・・・そしてここが部屋で・・・ 見上げたけど何もなく、缶コーヒー二本の蓋を開けて一本はドバドバと地面に流した 中学生のクセに煙草吸いながら空き地でコーヒー飲んでたのを誰かが見ていたらしく、後日先生に呼び出されるが何とも思わなかった 何がしたかったのか良くわからなくて、あの時以降よく吸うようになってた 学校の勉強もアホらしいというかそんなんで、宿題も適当、勉強も適当。偏差値なんか40前後だったんじゃないだろうか? 通知表もオール2というダメっぷりで、1年から3年まで全て同じという偉業を達成する 親はなにも言わなかった
396 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:39:59 ID:???0 中学の林間学校も修学旅行も行ったけど、一緒に居たのは高橋ぐらいで、後は覚えていない 俺らってなんか楽しくないよなぁとかそんな事を言い合うくらいだった。 高校に入ると更につまらなく、ああ勉強してれば良かったなと、見た目がおかしい学生服にも見慣れる頃に電話が鳴る 「久しぶりだね・・・」 親父さんだった。なんかいろいろ話して会えないかなぁみたいな話になって 家まで車で来てくれた。見慣れた車ではなくて、ワンボックスカーみたいなのに変わってた 適当に話ながらでかい神社に来ると懐かしい感じがして変な気持ちになった お祭りの時と年明けの初詣。この二回だけの思い出だけでずいぶん話したと思う 缶コーヒー飲みながら、悪いけど煙草も吸った 親父さんは怒るどころか一緒に吸ってて、早死にするぞ。とか何とか言われたが、ソレはそれでいいかなぁとか普通に言った 返事は無かった 高校時代に付き合ったのは二人ほどいたが、半年ずつで別れた 友達らしい友達も作らなかったし、電車で通学というのも苦痛で何してんだろうなぁとか思ってた 部活にも入らず、夢とかなくて、自殺できれば良いんだろうけど。と何時も考えていた ただ、痛いのが怖くて、死ぬことも怖いのに、楽に死にたいなと思っていた事は確かだった。ついでに今もそうかもしれない 大学へ行くつもりもなく、卒業式も一人で帰った。楽しい思い出がない学生生活をやっと終えた気がした 働き出したのは喫茶店で、2年働いて調理師免許の試験を受けて通った。ぶっちゃけ一夜漬けで通ったようなもんで 勉強らしい勉強は調理師免許の試験を専属で扱ってる講習会でもらった教科書と問題集をざーっとやった程度で受かった で、賞状のような免許証を受け取ったものの、店を持ちたいだとか思わずにその喫茶店を辞めた後しばらくパチンコで遊んでいた 成人式で電話が掛かってきたのは昼頃で、愛の親父さんだった 成人式ぐらい出たらどうだ?とか言われたが、一人で成人しても意味無いですよねぇみたいな感じで暗い感じだった 渡されたのは結構良い腕時計で、おめでとうなんて言われて向かったのは愛のお墓だった 花とか添えて、線香も上げて・・・親父さんが少し二人っきりで頼むとか何とか言われて・・・ 缶コーヒー開けて煙草吸いながらダラダラと気持ちの悪い独り言を並べた気がする 親父さんは車でずっと寝ていたらしく、窓を叩くと驚いていたようだった 随分時間が経ってた。俺も何かずっとあそこにいても良いんじゃないだろうかとか・・・そんな風なことを思ってた おばさんにも久しぶりにあって、住んでるマンションは愛の家から結構離れた場所で、此処ならお墓が近いのかな?というような場所だった 食事が並べられて、俺の横にも並べられて・・・四人分の皿がテーブルの上にあって、おばさんが泣き出して・・・心底不味い食事だった 親父さんも泣いていて、俺はどうだったかな? 椅子の上には成人式用の服なんだろう。綺麗に垂れ下がっていた
397 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:40:42 ID:???0 仕事を辞めてから結構経って、愛の親父さんにはなんかすまない気持ちしか湧いてこなくて、気持ち悪いという気持ちもなかったわけじゃない けど、他の女と付き合っても、愛としか比べられなくなっていて、まともに女と付き合うのももう無理っぽいなと思ってた そして今度は夜の仕事でバーの面接に行ったが、行った先はバーじゃなくてホストだった でも、別にいいかなぁなんて軽い気持ちで働き出した 女相手の仕事と思っていたが、内情は結構厳しい物で、キャッチと呼ばれる客引きができなければヘルプで飲みまくりおもちゃとして遊ばれてネタにされるとかそんなとこだった ナンパに近いけどこれが大変で、でも周りは結構楽しい雰囲気の人等で、オーナーの「ブサイク引っかけろブサイク!」と酷い台詞の応酬にはウケたものだ でも、こういう仕事で絡んでくる女は気持ちが悪い奴が多く、また仕事仲間も気持ち悪い考えのが多かった 水商売の女友達もできたり、風俗の奴とも仲よくなってしまったりと、普通の子をそういう世界に引っ張り込んでどうのこうのって話も結構聞いた 俺の客はセクキャバの女の子が三人いて、なんとか毎月の保証金を上回っていた こんな仕事しててもスナックすら行ったことがなかった俺は、そういう話でも面白いなと思っていた ただ、他の先輩のヘルプに行った時に気持ちが悪いことを言われた 「君の後ろに双子の女の子が居るんだけど・・・心当たり無い?」 全く無い。双子ってなんだろうか? そんな話をし始めると、店長も他のホストもその席に集まってきて、先輩のそのお客は霊感とかそんなのがあるのだとかで 前々から俺が気になっていたそうだ 話を全部聞いた後、俺はどうすればいいのかな・・・と、その人に聞いてみた 見えるけど、俺がどうこうできるものじゃないし、それほど周りに害をあたえようとかって類じゃないと思う ただ、その子達はずっと側に居て、ずっと待ってる。誰かを不幸にしたいとかじゃなくて、ただ待ってるの。それだけしか言えない そんな事言われてもなぁ・・・と、思いつつ、当時付き合ってた彼女とソコソコ仲よくなってたものの、結局別れることになった 原因は特に思い当たる節が無く、ホストも飛んで辞めたわけじゃなく、ちゃんと引退パーティーで綺麗に辞めれた後だったんだが
398 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:41:20 ID:???0 当時聞いた話の内容は気持ちが悪い物で、数ヶ月に一度は今でも夢に出る 双子の女の子というのは見た目はロングヘアーで全く同じ顔で、二人とも俺にべったりくっついているのだそうだ 見えたこともないし、感じたことも無かった。霊感とかいう物がゼロな俺が、この話を聞いてからは妙に落ち着かなくなってしまった そして二人ともネックレスをしているということ、綺麗な服を着ているということ。片方は何時も俺の顔を見ていて、もう片方は周りを睨んでいるということだった それが交互に変わるらしく、また奇妙だとも言っていた 話を面白可笑しくするのが此処のホストクラブの趣向で、言ってみればお笑い系になるんだけど、この時はもう怪談話化していて、俺の話をするその人は真剣その物だった そして、執拗に俺の左手の薬指と自分の薬指を触ったり握ったり、頬ずりしたりとかしていると言われると、気分が悪くて堪らなくなった いや、泣きそうになったのかな?トイレに行って吐いてしまった。毎日吐くまで飲んだし、飲まされてたし、それほど苦しいモンじゃなくなってたけど 戻ってくるとまた妙な話は続いて、君以外は敵視してる。だから守られてるといってもいいんだけど、ちょっと心配かもしれない その双子の女の子の容姿は中学生ぐらいなんだけど・・・本当に知らない?と言われ 俺は知らない。と答えた 本当に霊感があるのなら、俺の嘘なんて分かるはずだと思ってた。それでも双子ってのは無いはずで・・・でも心当たりはないわけじゃなかった 知らないと答えた後のその人の顔は怪訝な顔をしていた いや、絶対あるよ?何か約束してない?お願いとかしてない? 質問攻めに合うのは俺の方で、もう怖くて堪らなくなった ずっと一緒に居たのかと思うと余計に怖いというのもあったし、何より他の女とも付き合ってたし、申し訳ないのもあったけどこういうことあるのか? 気が動転してたし酒も入ってたのもあったんだろうけど、とりあえずまたトイレに行って今度は顔を洗った。洗いまくったと思う。 洗いながら、愛ともう一人誰が居るんだ!?と鏡を見た時に双子が居た。 間違いなく両方見たことがある愛で、片方は明るい愛で、もう一人は暗い異質な愛だった この絵が頭にハッキリ焼き付いて洗面器にゲロ吐いてしまった後、一人でガタガタ震えていたと思う それ以来は何も見てないが、今でも鏡に映った姿がフッと浮かんでしまう いや、もう既に怖くなくて、ただ「待っている」という言葉だけがずっと引っかかっている
399 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:41:54 ID:???0 未だに良くわからない二人の愛の事を考えるし、この先はもう楽しい人生とか全く無いんだなと思う 死んだらどうなるんだろうという気持ちがあるものの、やっぱり死ぬのは怖いよなぁなんて思いつつ、当然のようにズルズル生活している ただ、俺の薬指には未だに何も填めたことはなく、フリーのままだ。 一人で暮らし始めて親とも疎遠で・・・何故か愛の両親とはたまに連絡を取り合うような感じで・・・ テレビなんか見てると幸せそうなカップルとか、夫婦だとかが映ってる。そういうのを見ると思いだして変な気持ちになって後ろや横が気になって仕方がない せめて楽しく生きて行ければ良いんだけど・・・それも難しそうで、最近はなんだか別のことを夢見るようになった いろいろ悪いような事してきた俺がそんな事を望むのはどうかとも思うけど、元々弱い人間だったと思うから、思うだけなら良いんじゃないかと、そんな感じだ どうか、普通に死ねますようにって *人物の名前は全てもじってあります。またこの下らない駄文を最後までお読み下さりありがとう御座いました。 では乱筆乱文では御座いますが、これにて失礼いたします 2009/07/29 名無し
400 :名無しさん :2009/07/31(金) 14:44:06 ID:???0 以上で『半生を振り返ってみた』の原文コピペそ終了させて頂きます 作品に関する話題・雑談等は同掲示板のこちらへ ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9405/1241191299/
401 :Y :2009/08/05(水) 20:18:14 ID:7ccGRSC60 本当に泣いた・・・。
402 :名無しさん :2009/08/05(水) 20:18:52 ID:7ccGRSC60 本当に泣いた・・・。
403 :名無しさん :2009/08/06(木) 15:03:35 ID:/iu8mk/g0 妖怪毛なしマンコの話 主な特徴として、人間で言うところの頭部に、毛のないマンコがある。 首から下は、目撃者によって男、女と様々な風体をしているようだ。 しかしどちらにも共通して、股間の部分に顔が存在する。 そしてその顔は顔見知りや友人、想い人等、これもまた様々なバリエーションが存在するが、ごく少数の間では自分の顔だとも語られている。 怪談ではほぼ当然だが、民間伝承であるが故に地域によってはこうやって語られ方というものが少しずつ変化したりもしている。 ただ現在関西では、顔面にマンコ、男か女どちらかランダムの体で、股間に友人の顔といういでたちで現れるという説が最もメジャーとされている。 とはいえ、マンコも十人十色。 一体どのような毛なしマンコがあなたの元に現れるのか。 これは大抵どの地域でも変わりなく、想い人の毛なしマンコの姿で現れるという。 無論見たことが無い人間でも例外ではないそうだが、そもそも、それを確認する術は無いわけで、これまた、民間伝承であるが故のさだめなのだろう、語り手によっては少し現実味のない尾ひれが付いたりする。 そして決まってどの話にも登場する場所は深夜の枕元。 「何か生臭いチーズ臭が〜」の件(くだり)はどの地域でも必ず語られているようである。 しかしそこは別として話のエンディングは分岐する。 例として挙げると、基本的には失恋なのだが時に恋愛成就などのケースもあるようだ。 これは「口裂け女にべっこう飴」のような「〜だから安心」といった安心感を与えるための「対抗神話」として考えられていて、ルーツは失恋からきているようだ。 そして怪談として必要である「死の恐怖」を与えるものとして、一説では「毛なしマンコが現れた時、自分の顔が毛なしマンコの股間にあったら3日以内に死んでしまう。」といったものもある。 現在この話について分かっていることはこれだけであるが、この話をここまで読んだ皆様に注意と謝罪をしたい。この話を読んだあなたは3日以内に5人以上にこの話を聞かせない限り3日目の夜、あなたの元へ毛なしマンコが現れるかもしれないからだ。 君たちは犠牲者だ、しかし、私も犠牲者だ。 せめてもの償いとして、 彼女(彼?)への対抗法を教授しておこう。 極太のディルドーをローションに浸して、枕元に置いて眠るのである。 もしかしたら、あなたは救われるかもしれない。 しかしこれで安心はできない、最後に、これは警告だ。 仮に夜中、どんな物音がしても、どんな声がしても、生臭いチーズ臭がしても、 決して目を開けないこと。
404 :名無しさん :2009/08/07(金) 06:11:21 ID:R8684Q5gO 404 NOT FOUND
405 :HAGE :2009/08/08(土) 19:55:27 ID:ftT3rJto0 あ
406 :ミミ :2009/08/16(日) 21:59:17 ID:7gDvaAPwO 今日、友人宅で亡くなったと思われる白い猫を見ました 聞いてみると10年位前に飼って居たそうな その事実を私は知る由もなく… 自分の自宅でも、たまに昔飼ってた猫が足元に絡まってはスゥっと消える事があり、切なくなる時があります
407 :HM :2009/08/18(火) 01:48:44 ID:gpriKm3w0 こんばんわ。昔体験した怖い話とういか不思議な話を綴らせて頂きます。 あれは確か私が中学か高校の頃、その日は夜なかなか寝付く事が出来ませんでした。 布団に入って2〜3時間ぐらいは経ったと思います。(確か夜中の2時頃)私は寝付けないので、 ゲームでもして目を疲れさせたら眠れるかもと思い、ゲームをする事にしました。 私の家は2階建てで、玄関を入ると廊下があり、すぐに右にリビング兼両親の寝室 廊下を突き当たって左が台所、右が両親の部屋という名の物置になっており、物置とリビング の間に2階にあがる階段があり、2階の右が私の部屋でした。 私は自分の部屋にプレステがあったのですが、ふと、久々にスーファミ(以下、SF)がしたくなり。 SFをすることにしました。 SFは物置に置いてあり、物置には昔使っていたTVもあるのでたまにSFがしたくなったらちょくちょく物置で SFをやっていました。
408 :HM :2009/08/18(火) 01:49:27 ID:gpriKm3w0 続き① ということで私はSFをする為、1階の物置に行きました。 1階の物置の電気を点け、TVを点け、SFをセットし、ゲームをしていました。 2時間ぐらいはゲームをしていたと思います。 そろそろ眠くなってきたな〜と思っていた頃、家の前の路地の突き当たり辺りでボールをつく音が聞こえるのに気がつきました。 私は昔バスケをやっていましたので、それがバスケットボールの音だとすぐに気づきました。 私の家の隣には2歳上の兄ちゃんがいて、バスケをやっていましたし、その兄ちゃんはよく夜遊びしてましたw その時は、あれ?隣の家の兄ちゃんが帰って来たのかな?そう思ってあまり気にしませんでした。 しかし、何度かバスケットボールを付く音が聞こえ、その音に違和感を感じました。 その音はつくリズムが一定で、必ず4回ドリブルするとドリブル音が止み、 10秒ぐらいするとまた4回ドリブルするという一連のリズムに気づきました。 (本当にメトロノームでも持ってるのかと思うぐらいボールが地面をついてまた地面に落ちるまでの感覚、4回つき終わってから 次のドリブルまでの10秒ぐらいの感覚が正確でした。) 2〜3回家の前の路地の突き当たりで一連のリズムが聞こえたと思ったら、 路地突き当たりから路地を入った辺りでまたドリブル音が聞こえたので、 「やっぱり隣の兄ちゃんか」と、ドリブル音を聞きつつ私はゲームを続けました。
409 :HM :2009/08/18(火) 01:49:59 ID:gpriKm3w0 続き② そのドリブル音が家の入り口の前に来た時に私は異変に気づきました。 私の家の入り口は隣の家(兄ちゃん家)と隣接していて、途中で右に曲がる階段を上がったら玄関になっているのですが、 そのドリブル音が私の家の入り口の前でなっているのです。 私は「あれ?と思いながらも、そのまま隣の入り口に入るだろう」と思った次の瞬間、 ドリブル音が私の家の入り口の階段の1段目辺りから聞こえました。 私はとっさに「!!?」と感じ、怖くなりました。 次のドリブルが来るまでの10秒くらいに私は、「まさか泥棒か?とか変質者か?」 とか「まあ流石に階段は上がって来ないだろう」とか 「もしかしたら隣の兄ちゃん酒飲んで酔っ払ってるのか」などいろいろ考えていました。 しかし、次のドリブルの音は階段の丁度曲がるところで鳴り始めました。 いよいよ、隣の兄ちゃんではないと感じ、物置にあった物差しを手に取りました。 そうこうしてる間に次のドリブルが玄関の階段を上りきったところでなりました。 その一定の間隔といい、一定の進む距離といい、私は次にドリブルするのは玄関前だと感じました。 家の玄関にはマットが敷いてあり、次のドリブルはくぐもったドリブル音が聞こえ始めました。 本当にやばいと感じた私は物置にあった毛布をかぶり、気を紛らわせる為にゲームに集中することを 考えながら、頭の片隅で「さすがに変質者でも家にまでは入れまい」と高をくくっていました。
410 :HM :2009/08/18(火) 01:51:00 ID:gpriKm3w0 続き③ しかし、私の考えは甘かったのです… 次のドリブル音は玄関の芝マットの音と共に聞こえてきました。 「これは本当にまずい。この世の者じゃない」とその時やっと気づいたのです。 私は臨戦態勢に入る為、TVの音量を下げ、毛布に包まり、物差しを構えていました。 その10秒後には玄関を上がった玄関マットの音と共にドリブル音が聞こえます。 私の家には前の路地を人が通るだけでワンワン吠える番犬がいるし、廊下のすぐ横は両親の寝室なのに、 誰一人としてその音で起きて来る気配もなく、ドリブル音4回と10秒の空き時間と微かな虫の声しか聞こえません。 「まずい。非常にまずい。」そう思っていると次は2階へ上がる階段の前でドリブル音がなり始めました。 「こいつは俺のところに来ている」と感じましたが、何なのかはさっぱりわかりません。 そしてついに私のいる物置の前でドリブル音が鳴りはじめました。 「やばい、やばい、やばい」私はもう怖さでそれしか考えられませんでした。そして10秒の空き時間が終わり、 次のドリブルが聞こえる瞬間、物置の部屋の扉が思いっきり誰かに叩かれた音がしてガタガタと揺れ始めました。 私は毛布に包まり「頼むからやめてくれ、と何度も祈りました」 祈りが通じたのか何なのか分かりませんが、次第に揺れは小さくなって行き、揺れが止みました。 それからはもう朝まで物置から出る事が出来ずに、ずっとTVの音量を上げてニュースを見て夜を明かしました。 朝日が出て、恐る恐る扉を開けましたが、誰もいませんでした。 親を起こしてその話をすると、「寝ボケてたんだろ」と一言… 確かに私以外の誰も音を聞いてないし、犬も反応してませんでした。 本当に私が寝ボケてただけなんでしょうか? ただ、一つだけ気になったのは、玄関のマットにボールをついた様な跡があったことです。
411 :HM :2009/08/18(火) 01:51:44 ID:gpriKm3w0 続き④ この不思議な体験をするまでは、幽霊を見たこともなかったですし、信じておりませんでした。 この体験のあとから私は本当に強い霊気?は感じる様になりました。 まあ感じるだけで、実際目に見えた事はないですが、頭の中にその姿が映し出される時が極稀にあります。 この話を人にしたりしていると必ずと言っていい程、耳鳴りがします。 本日も話しを綴っている途中に強い耳鳴り(耳の奥が痛くなるくらい)がして、 怖かったので「ワクワクルール キングゴローリの船」を見て気を紛らわせました。 最後に 文才がなく、読みづらい部分も多々あったかと思いますが、ご容赦ください。 以上で、私の話は終わりです。
412 :MRC :2009/08/21(金) 12:58:35 ID:I5bnrBh.0 この話は以前友人から聞いたものです。 なのでところどころ記憶が曖昧なので不自然なとこもあるかと思いますのでご了承ください。 眼帯の女 一人のタクシー運転手がいつものように街を走っていた。 時間は十二時を回った頃だろうか。 ふと、手を上げている女が目に入った。 「今日最後の客だな・・・。」 そんな風に思いながら運転手は女を乗せた。 二十代くらいだろうが、その割にはかなり地味な服装だ。 そんなことを思いながら行き先を聞き、運転手は車を発進させた。 会話も無く、車は夜の街を進んでいく。 ふと運転手は女に目をやった。 さっきからずっと俯いたままで顔は良く見えないのだが、大きな眼帯をしている事に気付いた。 「怪我でもしたのかな・・・?」 そんな風に運転手が思っていると。 「ここでいいです・・・。」 と女が言った。気が付けばそこは古びたアパートの前だった。 早々に会計も済ませ女はさっさと自分の家に帰ってしまった。 運転手も早くそこから立ち去りたかった。 何せ時間が時間だ。真夜中に不気味なアパートの前にいつまでも居たいとは思わないだろう。 運転手は車を発進させようとしたとき、背後に違和感を感じた。 「ん?・・・何だこれ?」
413 :MRC :2009/08/21(金) 13:16:47 ID:I5bnrBh.0 「ん?・・・何だこれ?」 良く見るとそれは眼帯だった。さっきの女の物だ。 「しょうがない・・・。」 運転手はそれを女の所まで届けに行く事にした。 さっき会計の時に女が帰った所を見ていたので、女の部屋がどこかは覚えていた。 面倒に思いながら、運転手は重い腰をあげた。 「ここだな・・・」 運転手は部屋をノックしようとした。そのとき、不吉な視線を感じた。 だが、周りを見渡しても誰も居ない。 「気のせいか・・・。」 男は気を取り直し、ドアをノックした。 「すいません。先ほどの運転手のものですが、忘れ物をしたようなので届けに参りました。」 ・・・返事は無い。不思議に思った運転手はドアの覗き穴から部屋を覗いてみた。 「うわっ!何だこれ・・・。気味が悪いな・・・。」 部屋の中は一面真っ赤だった。
414 :MRC :2009/08/21(金) 13:30:26 ID:I5bnrBh.0 仕方が無いので、運転手はその眼帯を大家に届けてもらう事にした。 運転手は大家の部屋をノックした。しばらくしても出てこないので、居ないのかと思っていたが、やがてだるそうに大家が出てきた。 「・・・はい、何でしょうか?」 運転手は事情を説明し、大家もその眼帯を届ける事を了承した。 「それにしても気味の悪い女でしたね。部屋の中も真っ赤だったし・・・。」 それを言った瞬間、大家は目を見開き、やがてこう言った。 「ああ・・・。あの赤い目の女ね・・・。」 一瞬意味がわからなかったが、直後、運転手は背筋が凍るような気がした。 あの時、運転手が見たのは部屋の中じゃない。 女の目だ。
415 :みそじじ :2009/08/22(土) 17:16:05 ID:85sH3Bz.0 知人に坊さん(破戒僧)がいるんだが そいつと仲間Aと三人で呑んだ時の話 居酒屋で「幽霊とか妖怪とかって本当にいるのか」を話してた 俺は「幽霊はいるか」と問われれば「いらない」派 Aは完全に信じない派で 坊さんに絡み酒っぽく「お前は見えるのか」とか問いただす 坊さんはそんなAに「そんなん見えん見えんw」とテキトーに応えてた ベロンベロンのAをタクシーに乗せて見送り 俺と坊さん二人になった 「お前は見たことあるん?」 と 坊さん 「ちょっとだけ でも 怖いのは嫌だなあ」 と 俺 正直 以前見たのが 本当に幽霊だったのかも分からないし たまに逢う金縛りも 霊体験かどうか 分からない 「怖くないやつ 見してやろか」 と 坊さん 「マジで? 見して見して」 と 俺 そうすると坊さんが地面を見ながら歩き始めた 一分もしないうちに何か見つけたらしく「これ これ」と指さす 街路樹の根元から黒いビニール紐 の ようなものが伸びていた ただのゴミにしか見えない 「見ててみ」 と 坊さんが それに ペッ と ツバを吐きかけると ヂュワッ みたいな音を出して それが くるくる縮まって 樹の影に引っ込んだ 驚いて木陰を覗いてみると もう何も無かった 怖くはなかったが それ以来 道端に落ちてるゴミが気になる
416 :みそじじ :2009/08/22(土) 17:33:25 ID:85sH3Bz.0 小学校の通学路に歩道橋があった 二年生の夏だったと思う いつもは歩道橋なんて渡らずにダッシュで道を横切っていたんだが 歩道橋の上からネコの鳴き声が聞こえた 俺はネコが好きだが ネコは俺を嫌うので ばれないように こっそりと階段を上がっていった 向こう側の階段からも ネコが逃げていく姿は無い 上までもうすぐのところで また 鳴き声が聞こえた ネコが気付いて逃げようが もう我慢できなかった 「ネコーーーww」 と 階段をかけ上がり その姿を確認する ぶんぶんとキンバエがたかる 黒猫の死骸があった 歩道橋の下に落ちていたベニヤ板に乗せて下ろしてやり 近くの田んぼわきの柿の木の下に埋めた あんな暑いところにいたくなかったのかな と思う
417 :あやん・。・ :2009/08/23(日) 19:21:49 ID:???0 友達からきいたんですっ これ、霊体験かよく分らないのですが紹介します。 「いっつも、毎朝起きるたんびに違和感があるの」 って相談させられたんです。仮にNとしておきます。 「何があったの?」と聞くとこう答えたんです。 「・・・落ちる・・・」 「ベッドから?」そう聞きました。 深刻そうだったのできちんと最後まで聞きました。 「あたし、昨日の夜お布団で寝てたよ・・・」 「そう・・・」 「夢見た。学校の屋上。真っ青な空・・・ そっから飛び降りた・・・目の前は真っ暗。 そしたら目が覚めたの。」 「・・・で・・・?」 「なんかこう・・・目が覚めたとたん落っこちたの っていうか突き落とされた・・・30センチぐらいの高さから 布団に。」 「その後なんかあったの?」って聞いたら いきなり背中見させられました。 すると、しみっぽく彼女の背中に手形があったのです。 N、あの時逃げてごめん・・・
418 :バドゥル :2009/08/26(水) 16:51:37 ID:???0 >>371 神(;A;+)
419 :名無しさん :2009/08/31(月) 00:47:07 ID:XpKXj9Vs0 私の学校はカトリックの学校で 特別教室棟には教会の聖堂のような部屋があります。 だからなのか、学校では様々な場所で幽霊を見たという話をよく聞きます。 その、私が聞いた中で、一番怖いと思った話をします。 私は、演劇部に所属しています。 演劇部が普段練習場所として使用する場所として Sホール(小劇場のような場所)があります。 そこは、歴代の先輩方も多く霊を見ている場所で 私自信もハッキリとしたものは見たことが無いですが、影のようなものは何回か見ていました。 Sホールは、普段文化祭や学校行事で使われるホールで その為、グランドピアノも置いてあります。 学校で生徒が自由に弾けるグランドピアノはそこぐらいしかないため 私の後輩のAちゃんとその友達のTちゃんはピアノで遊ぼうと、昼休みにSホールに行きました。 行事などで使用される以外は電気も消されていてひっそりとしているSホールの上手側の狭い部屋にピアノは置かれていて ホール側の扉からは入ることができなかったAちゃんとTちゃんは舞台側の扉から入りました。 狭い部屋にぴったりと押し込まれたピアノは、年に数える程しか使われていないにもかかわらずきっちりと調律してあります。 Tちゃんがピアノを弾いていると、Aちゃんはいきなり 「え」 といいました。 「どうしたの?」 とTちゃんが聞くと、 ピアノと壁の間に女の子が立っていました。 いつの間にここに入ってきたんだろう、と二人は不思議に思いましたが、ふと、思い返してみました。 狭い部屋にはピアノがぴったりと入っていて、壁とピアノの間に人が立つスペースなど、無いのです。 でも、確かに女の子はピアノと壁の間に立って、こちらを見ている。 二人は怖くなって 「きゃー!!」 と言って、すぐにピアノの蓋を閉じ、舞台の裏にある狭い通路を通って、階段へと向かいました。 その通路は狭いながらも大きな窓があってSホール内で一番明るい場所です。 その明るさに安堵したのか、AちゃんとTちゃんは「ここまでくれば、大丈夫」と、狭い通路から階段へと続く扉を開けました。 すると。 ガバッッ!! 二人の目の前に先ほどの女の子が逆さまになって二人の前に立ちはだかりました。 「おねぇちゃん、遊ぼう?」 そこから、二人はどうやって教室に戻ってきたのか覚えていないそうです。
420 :ゆず :2009/08/31(月) 21:40:31 ID:84nW7Ius0 ◆赤い手◆ 私は、あれ以来夜中にベランダに出ることができません……。 そう。あれは、夜中のベランダで起きた恐怖の話――。 「ここがあたし達が泊まるトコ?」 「そう!ケッコーいいトコでしょ?」 「うん!裏には湖もあるんでしょ?」 「しかも、あたし達の部屋、1階で湖が目の前なの!」 「スゴーい!!」 私は、友達と2人で旅行に来ていた。 今日 泊まるのは、ちょっと田舎の旅館だけど、とてもいい旅館に思える。 早く、湖が見たい――。 「おぉ〜!!キレイな部屋じゃん!」 「あっ、見て!キレーな湖!」 「スッゴーい……」 「おやすみー」 「おやすみ」 パチッ――。 電気を消す。 もう夜。 消灯の時間――。 「スゥー、スゥー……」 「――んっ……」 夜中。突然、目が覚めた。 「スゥー、スゥー」 友達は、相変らず寝息を立てている。 完全に目が覚めてしまった。 風にあたりに行こうかな――……。 ――ガラッ―― 私はベランダに出た。 部屋から出るのもどうかなー、と思ったので、ベランダ。 「はぁー、気持ちぃー……!」 外は、夏とは思えないぐらい涼しい。 ……にしても、湖キレイだなぁ……。 私は、ベランダの柵(?)に手をかけ、「はぁー……」とため息をつく。 ……あれ? 湖の真ん中に、赤い点がある。 「えっ……えっ!?」 その赤い点が私の方に向かってくる。 ……その赤い点は、手のようだった。 ――血? 「――っ……きゃぁっ!!!」 その手は――私の首に――……。 「ぅ……ぐっ……」 ものすごい力で首を絞められる。 「……うっ……はぁっ……」 苦しい。 息ができない。 「……だっ……れ、か……」 声にならない声を上げる。 でも、誰も気付かない――。 その手は、私を湖の方へ引っ張る。 「……やっ……いやっ……!!」 ――すると、首から手が離れる。 「……は……あっ……」 私は、その場に倒れた。 「――ず?」 遠くから声が聞こえる。 「ゆずっ?」 「……あれっ……」 ――もう朝……? 「どうしたの?こんな所で寝て!」 「ゴメンっ、夜中に風にあたってたら、寝ちゃったみたい」 「ったくもうー……」 私達は、部屋に入る。 布団をしまい、服を着替える。 「よしっ、行こうか」 「あれっ、どうしたの?」 友達が、私の首を指して訊いてくる。 「何が?」 「その首――」 友達に手渡された鏡を見る。 「――っ!!」 私の首には、赤い手形がくっきりと残っていた。 ※この話はフィクションです。
421 :侑☆涼 :2009/09/01(火) 15:53:48 ID:84nW7Ius0 皆さん、「占いを作ろう!」というサイトをご存知ですか? そこの「優波」さんの、怖い話は本当に怖くていいですよ。 あと、個人的には 「パステル」さん、「花火」さん、「♪ゆず♪」さんの占いが好きです。 おすすめです♪ これを読んだ方は、ぜひそのサイトを見に行ってください! 「占いを作ろう!」で検索すれば出てきます。 アドレスは、↓です。http://uranai.am/
422 :ゆず :2009/09/01(火) 16:05:17 ID:84nW7Ius0 私の書いた話、どうでしたか? ぜひ、感想を聞きたいです。
423 :侑☆涼 :2009/09/01(火) 16:24:54 ID:84nW7Ius0 >>422 ゆずさん いいと思いますよ♪ 夏っぽくてよかったです。>>421 のコメですが、 見た方はぜひ、その占い&ここにコメントをしていただきたいです。
424 :名無しさん :2009/09/01(火) 16:31:37 ID:JpsB6ztM0 >420 >421 >422 感想云々よりも複数名前使う方がきになるので解説よろ まぁこれだけではアレなので マヂレスすると、 フィクションとわざわざ入れるならばもっと捻った物を読ませてね 「――っ……きゃぁっ!!!」 「ぅ……ぐっ……」 「……うっ……はぁっ……」 「……だっ……れ、か……」 「……やっ……いやっ……!!」 「……は……あっ……」 ↑のように会話未満の「」や…を多用しすぎると、頭の弱い文章に見えるから注意
425 :凛華 :2009/09/01(火) 19:52:49 ID:???0 >>421 >>423 見ましたよ♪ 面白かったです。 占いっていうか、小説ですね。 夢小説のサイトなのかな??
426 :ゆず :2009/09/01(火) 19:55:09 ID:84nW7Ius0 >>424 さん すいません。家族で使ってるパソコンなので、 妹も使ったみたいで・・・。 変な誤解をさせてすいません。
427 :侑☆涼 :2009/09/01(火) 20:01:05 ID:84nW7Ius0 まさかお姉ちゃんもここに来てたなんて思わなかった・・・。 聞いてビックリした!
428 :ゆず :2009/09/01(火) 20:32:02 ID:???0 >>427 偶然ってスゴいね……! この話書いちゃおうかな??(笑)
429 :名無しさん :2009/09/02(水) 10:45:43 ID:qboYp9og0 http://www17.plala.or.jp/suigin/kama.html 怖いので張ります
430 :侑☆涼 :2009/09/02(水) 18:53:37 ID:84nW7Ius0 >>428 これも一種の怖い話だね!(笑) あと、>>421 の おすすめの、 ↑と、「choko★゜*」さん、「流風☆」さん、「深雪」さんも おすすめです♪
431 :名無しさん :2009/09/04(金) 00:40:10 ID:JpsB6ztM0 糞つまんねーもんばっか書きやがって 氏ね
432 :名無しさん :2009/09/04(金) 01:17:10 ID:xE/.657A0 2ちゃんのノリで書き込むなよ・・・
433 :名無しさん :2009/09/04(金) 07:28:31 ID:aptdg1pM0 何が怖いって上の84nW7Ius0と???0が同一人物でさらに姉妹がじゃないってことが 一番怖い
434 :名無しさん :2009/09/04(金) 10:35:02 ID:AVskFSecO おじさんそれ順番逆
435 :名無しさん :2009/09/07(月) 19:50:37 ID:G2wnjEXsO やばい420台の自演が面白すぎる…! 電車内で噴いてしまった。 釣りかなぁ、素かなぁ?
436 :コイン :2009/09/07(月) 23:52:58 ID:/UHNgpAoO ガチの実体験です。今でも気持ち悪い意味不明な体験でした。初カキコの為また記憶がおぼろげな部分もありで読みにくかったらスイマセン。 コレは私が18才の大学生の夏過ぎ、大体8年くらい前のことです。 当時私は京都にある某仏教系アホ大学にいっており、周りには坊主の子息がたくさんおり、その中には霊感が強い人もいたりしました。 その中に仲の良い先輩Hさんという人がいました。 この人とは本当に色んな霊体験をしましたが一番イヤだった話。 当時アホみたいに遊び回ってた私。毎晩飲みに行ってました。 ある晩飲んでいるとH先輩の携帯にメールが。 H先輩の女友だち、Aさんからでした。Aさんの携帯に何やら変なメールがきてコレは何なんだろう?ってH先輩に相談?のためにメールしてきていたようです。 H先輩もわからず、私にわかる〜?とたずねてきました。 宛先はナシ(携帯には<>って表示されてたらしい。) 内容は意味のわからない文字の羅列でした。 私はパッと見て解読しました。漢字をひらがなにして、逆さから読むと読めそうだったので読んでみました。 細かいディティールは忘れましたが、文章はこんな感じ。 『おときくあしたのばんにみちをゆくものとわにねむる』 解読して背筋ゾワッとしてH先輩と気持ち悪がっていました。 そして同時にH先輩が『見られてる』と… 確かにやな気配を感じました。 気分を変えてカラオケに行くことにして、先輩や友だちとそのままカラオケに行きました。 そこではさっきとは違うやな気配がしましたが、先輩とアイコンタクトで気付かないフリしてやり過ごすことにして楽しみました。 そして友人宅に帰宅してその日はそのまま寝ました。 3日後、H先輩が顔色を変えて私のところに来ました。 『お前には何か変なこと起きてないか!?』と。 聞いてみるとH先輩の友だちAさんもその日別のところで飲んでいて、問題のメールがきて、H先輩にメールをしてから近くにいたBさんにメールを見せたらBさんもあっさりと解読したそうです。 そしてAさん達はあまり気にすることなくカラオケに行ったそうです。 そして楽しんだ後、Aさん達は解散し、その帰路でBさんは事故に遭い昏睡状態になり、翌日の夜に亡くなったそうです。 『音聞く明日の晩に道を往く者永久に眠る』 文字数足りないのでもう少しですが次に続きます。
437 :コイン :2009/09/08(火) 00:20:25 ID:/UHNgpAoO コインです。続きの話なので一つ前の私の投稿から見てください。 私はゾッとすると同時に色々なことが頭をめぐりました。 一番に解読した人が予言通りになる?そんなことがありえるのか? ありえないし、そんなこと考えたくない。 そう思っていると、H先輩から『それで話はおわりじゃない』と… 亡くなったBさん、最後まで一緒にいたAさんは病院に行き、見守っていたそうです。そして遺留品となったものを見せてもらうと、そこにあったのは…携帯… 新着メールマーク…開くと宛先<>から…事故をしたと思われる時間とほぼ同時刻にきていました… 解読パターンも同じ。 解読してみる。 『かみのるすにくらいこみちをゆくものやみにきえゆく』 といった内容。 …私を狙っている。と思いました。その頃私は宅配ピザのバイトをしていましたので。。。 それから10月が終わるまで私は本当に死を近くに感じながら過ごしました。 幸い私には何も起こらず今も元気にいます。 しかし誰かがそのメールの被害にあっているのではないかということと、まだ終わらずにメールが流れていたりしないかということが気になっています。 あと後日談ですが私がカラオケに行った時の写真をH先輩が現像してみると、普通に三人で胸から上くらいのカットで撮ったはずの写真にわたしの左足がにゅ〜っと伸びて頭の上まできていました。 私の話はこれで終わりです。長い文章失礼しました。 よければ感想お願いします。 この体験があって映画の『予言』を観た時はみんなと違う意味で恐怖でした。
438 :名無しさん :2009/09/10(木) 11:52:14 ID:Csz/DWr6O >>コインさん 感想とは違いますが、私も<>からメール来た事ありますよ。 私の時は本文はありませんでしたけど。
439 :3900 :2009/09/10(木) 21:53:34 ID:E3YzEHEwO 『村田さん』 高一の夏の話 その頃煙草を覚えたわたくすは夜になると海辺の防波堤に行っていた そこは街灯も無い真っ暗な所で田舎な事もあり夜は人気が無く隠れて吸うにはうってつけ その夜も一人で煙草を吸っていたら誰かが近付いてくる気配が 『ヤベ、逃げるか』と思った矢先 『オレにも一本貰えるか?』と話しかけてきた 暗くて見え辛いが若い男らしい その男はわたくすの隣に座り煙草を吸いながら色々話し出した 『オレらが中学ん時はバンカラで…』とか 『隣町の中学の卒業式に乗り込んで暴れたり…』とか なんかよくわからなかったが楽しそうに話すので相槌をうちながら聞いていた 途中で 『村田っていえばこの辺じゃ有名だった…』 って言ってたんで 『あぁこの人は村田さんかぁ…』 って思った しばらく話をしてたら 『じゃあそろそろ行くわ、煙草ありがとう』と言って帰って行った わたくすはあと一本吸おうとして火をつけた時にふと気付いた …けっこう長いこと話してたけど…村田さんの煙草…減ってなかった… ダッシュで家に帰りました 朝になって母に 『村田さんって家ある?』って聞いてみた (小さな町なので母は全戸知ってる) 答えは 『あぁあのおばあさんの独り暮らしの』 『…独り?家族は?』 『20年位前に旦那さんと息子さんが漁に出て船が転覆してね…見つかってないのよ』 わたくすの唯一不思議な体験 長々と失礼
440 :名無しさん :2009/09/11(金) 07:40:25 ID:rL9ZFZ6IO わたくすってなに?私っていみ?田舎って自分のことそうよぶんだ?
441 :名無しさん :2009/09/11(金) 19:01:51 ID:???0 ちょっとした話を聞きました。いずれも母の友人夫婦(70代)の話です。 ① 子供の服を買いに市内でも有名な店に、車で向かったが、なぜか、その店が見つからない。 同じ所をグルグルグルグル走り回り、結局、見つからないまま帰宅した。 すると、帰宅したと同時に電話が鳴り、それは、親戚の不幸の知らせだった。 「早く知らせたかったのかな?」と思ったそうです。 もちろん30年以上昔の話なので、家電しかありません。 ② 車で帰宅途中、それは慣れた道なので間違えようがないのに、なぜか国道をそれて、 いつの間にか新道に入ってしまう。それを何回か繰り返したそうです。 「絶対キツネに化かされたと思った」そうです。 ③ 知り合いが入院しているので、お見舞いに行ったそうです。その人は、大部屋に入院して いたそうですが、変なことを言うのです。 「昨日、廊下を挟んで向かいの大部屋で人が亡くなった。そしたら、昨夜一晩中、枕勤めの お経が聞こえてきてさ。イヤな感じだった」と。 母の友人の旦那さんが、「まさか」と言ったが、「いや、ずっとお経が聞こえていた」と 言うそうです。この話は、つい先日の話なのですが、今時、病院の大部屋で人が亡くなった からと言って、その部屋で坊さんがお経を読むわけもなく、しかも、他にも入院患者がいる 部屋なのです。この知り合いは、間もなく終末ケアの病院に転院する予定で(本人は知らな い)、そのことと関係あるのかな?という話でした。
442 :名無しさん :2009/09/14(月) 13:51:53 ID:IgoOnzyUO かさ
443 :名無しさん :2009/09/14(月) 23:38:11 ID:Hx8Nw1IIO 実話です。 去年の夏、友人と三重県にある某有名心霊スポットに行った。 何事もなく帰宅し、後日そこに行った事を先輩に話すと、 『その奥にある診療所がヤバい』 みたいな事を言われたので、早速後輩の幽霊信じませんT、ノリ気ではないS、霊感上等Yと向かう事にした。 自宅から車で30分弱。 先日訪れたスポットを通過し、先輩の言っていた診療所を探していた。 車内は自分と助手席に乗っていたTの会話が殆どで、後部座席は重たい雰囲気だった。 診療所を探し林道を走らせていたのですが、次第に道も悪くなり最終的に行き止まりで(左手には車が通るのは厳しいが道はあった)神社にぶち当たった。 そこでTと『どうする(神社行く)?』と話しているとSが突然奇声をあげた。 俺やTが『どした?』とたずねても、『ごめん、、』と呟くだけで何も言ってくれない。 気味が悪いので神社には行かずに来た道を戻った。 暫く走ると左手に大きな有刺鉄線の張られたフェンスが見えた。 来る時も見た筈だけど、印象にない。 『もしかすると、この奥が診療所?』 俺とTは車を降りて様子を見に行った。が、とても入れる環境ではない事を確認した後、車に戻った。 車に戻りとりあえず一服。 沈黙の中、煙草の煙を目で追う。 すると後部座席からボソボソとS(ずっと無言だった)の呟く声がしたので、俺とTが振り返る。 その瞬間、Yが『○○(俺)さん!早く車出して!』『ヤバい!』と言いながら酷く怯えている。 何がなんだかわからんが煙草を灰皿に押し付け、俺は車を走らせ現場を後にした。 それからコンビニに行き、とりあえずコーヒーを人数分買った。Yは小さく震えており、Sは気分が悪いと外の風に当たりに言った。。 暫くの沈黙の後、Tが言った。 T『Y、お前がビビるて珍しいやん…何があったん?』 Y『煙草吸ってる時さ…Sが何か言うて、それで○○さんとT振り返ったやんか』 Y『あんとき、何て言ったか聞こえた?』 T『ボソボソとしか』 Y『あの時な…俺の袖引っ張って『お兄ちゃんは?』って。女の子の声で…』 T『んなアホな(笑)』 暫くしてSが戻ってきた。 さっきの話をしてみたが、Sは何も言っていない。むしろ覚えていないとの事。 T『そういえば神社のとこでの奇声は何やったん?』 S『○○さんが『どうする?』って言った時に、女の子の声で『こっち』って神社の方から』 『それからずっと着いてきていた。』 『だから怖くて無言だった』 なかなか怖かったです。 乱文すいません。
444 :怖いの好き :2009/09/15(火) 08:30:15 ID:???O なんでわたくす……?私や僕でいいじゃない……しつこいようだけどなんか気になって……
445 :名無しさん :2009/09/15(火) 12:17:59 ID:8y9U2uvc0 性格悪いな。 こういうところでは、誤字,脱字,方言の類は脳内変換してスルーしてやれよ。
446 :名無しさん :2009/09/15(火) 15:59:33 ID:PK1cAJm.0 すごく好評のブログw ちょっとHでどんどん読んじゃうよ。 更新もしてるからきてみてね^^ ttp://stay23meet.web.fc2.com/has/
447 :名無しさん :2009/09/15(火) 21:21:41 ID:???0 意味分かんねぇのばっかだな。 話のもそうだけど、 その感想(?)書いてるヤツのも意味不明。 “名無しさん”が特にそうだな。 <<431〜<<435が、全部 同一人物に思えるのはあたしだけ? IDは違うけど、何か同一人物な気がする。。。 IDなんか 違うのを使えばいいことだし。 ネットカフェ(?)とかでやればそんなの簡単なことだよねー。 まっ、どうでもいっか♪ さよなら意味不明な人達。
448 :怖いの好き :2009/09/16(水) 07:05:10 ID:???O いままでROMってたんだが言わせて貰うイミフなのはいきなりでてきてKY発言するお前だと思うけど
449 :名無しさん :2009/09/16(水) 23:27:07 ID:???0 こんな事は2chでやれ ここは個人の掲示板だと言うことを忘れるな
450 :3900 :2009/09/17(木) 19:23:46 ID:E3YzEHEwO はいはいすいませんでしたね わたくす→私 ですね もう一生わたくすって使いませんよ これでいいんでしょ? では次のお話をどうぞ
451 :名無しさん :2009/09/20(日) 03:06:15 ID:???0 祟られ屋さんまだ?
452 :よゐこパンダ :2009/09/21(月) 02:58:24 ID:vzBFtxcEO 僕の友達でバスケ部にはいってた人から聞いた話です。 まっそのこが1年のときの話。 そのバスケ部、結構インターハイとかの前、1年も3年も練習がむちゃくちゃハードになることで有名でその子もへとへとになるまでがんばってたんですよね。 で、練習終えて部室入ったら隅の方にボロボロのバスケシューズがおいてあったそうです。 いままで気付かなくてなんか不思議になり名前がかいてある場所みたんですよ。 「佐藤」 そうかいてるんです。 「あれ佐藤って人私たちのバスケ部にはいないぞーOBのかな?」 とおもった瞬間、そのシューズの紐がピンとたち、ドタドタと歩いたそうです。 後でひとつ上の先輩きいた話ですが、どうやら先輩達が1年のときバスケ部にいてインターハイ前の練習にやられて、死んだ娘がいるらしんですね。 いきなり吐血してやばかったそうです。 そしてその日が彼女の命日だったそうです。 その死んだ人の名前 「山澤」 だったそうですよ…
453 :名無しさん :2009/09/23(水) 00:52:51 ID:9CjGf4qU0 姓が佐藤で名が山澤…?
454 :名無しさん :2009/09/23(水) 00:53:36 ID:9CjGf4qU0 マサさんの作者さん大丈夫なの? 生きてるの?
455 :名無しさん :2009/09/23(水) 06:33:06 ID:nTPvoRgQO >>453 無関係じゃねーか! ってツッコミ待ちなボケだろうさ 怖い話の合間に挟むネタ話
456 :名無しさん :2009/09/25(金) 06:57:43 ID:???0 祟られ屋作者は現在も危ない仕事をしてると思って待つことにする
457 :名無しさん :2009/09/25(金) 22:04:09 ID:???0 次作は半分書いてあるからすぐうpできると言って早数ヶ月・・・
458 :よゐこパンダ :2009/09/30(水) 18:34:17 ID:vzBFtxcEO 「闇夜鏡」 みなさん夜中鏡をみるときは十分注意してほしい。 鏡は時に霊道となってしまうときがある。会わせ鏡なんかいい例だ。 では会わせ鏡をしなければいいのでは? そう思った方々は本当に危ない。 なぜならそこになんらかの光がさしこんだり、窓があったりすると霊道ができ結局霊はやってくるのだ。 そんな話をきいたとき、僕の友人Aは青ざめた。 そう、そいつんちの部屋は鏡の前に窓があるとか以前に半ぶんガラスばりで、もう霊道ができてしまってるのだ。 本人事態もなっとくした。 なぜなら夜中、そのみちを転げ回る火傷のおじさんや首のない霊があるいたのをみたことあるのだというのだ。 そしてその日から、鏡を壊す作業がはじまった。 業者をよびだし、やがてAの部屋から鏡半分がきえ、あわせ鏡ではなくなったのだ。 安心したAはその夜あわせ鏡の中をのぞいてみた。 その瞬間Aは吐き気をもよおしたという。 鏡には道を通ろうとする霊がべったり何人も張り付いていたのだ。 どうやらそこは霊の通り道だったらしい。 しばらくしてその鏡もとり、壁をぬりかえる作業をしていたら、壁の中にお札がみえるではないか。 そのお札「樋上曼陀羅神幽」とかいてありこれが原因だったと。 それから友人は霊をみなくなったという。 ただし今でもたまに壁のなかから音がしてくるというのだ。
459 :名無しクン1 :2009/10/01(木) 22:01:30 ID:JIhqDeGU0 おれの住んでいる地区には結構でっかい祭りがあって さびれた地区なのにその時だけはほかの地区、県からも かなりの人が来るんだ。 出店を出す人、買い物をする人、デート、観光、 目的は様々だけれどもとにかく人がいっぱい来る。 おれのおばさんとおじさんも出店を出すために毎年来るんだ。 金魚とかその辺のもの売ってる。 おれは小さい時から亀とか金魚とかもらって喜んでた。 さて、本題だが2,3年前の話。 いつもどおりの場所におばさんたちが店を出していた。 普通ならおれは飛んで店に行くのだが なぜかその時はもっと遊んでから行こう… と思って顔を出さなかった。 おばさんたちは普通に店の中にいて、 お客さんも普通にいた。いや、お客さんはいなかったのかも…。 そこの記憶だけが曖昧で霧がかかったように思いだせない。 祭りが終わった日おばさんのうちに俺は電話をかけた 「かおだせなくってごめんねぇ」 (結局忘れていた…) というためだ。 しかし、電話をかけた僕はおばさんが一昨日亡くなっていたことを知った。 おじさんは手続きをしている最中だったそうだ。 「まぁ、だいぶ前から寝たきりだったんだけどもよ…。」 もちろん出店は出してないそうだ。 おれは返す言葉もなくただ立ち尽くした。 以上がおれの体験談です これからもいろいろ書きますが 良かったら読んで感想お願いします
460 :435 :2009/10/02(金) 21:40:47 ID:G2wnjEXsO 459 面白かったよ。 まぁ、すごくレベルの高い話ではないけど、親族の死と祭りって題材に少しジンと来た。 書き込んでくれるだけでありがたいしね。 447 俺435だけど、誓って言おう。 他は知らんが俺は個人だ。 そしてあのレスに害意はない。 純粋に面白かったんだ。
461 :まい :2009/10/04(日) 13:30:26 ID:fBHwyItkO 兄から聞いた高校時代の話です。友人のKさんは,その日,同じ部活の後輩と一緒に帰っていました。時刻は10時前,田舎なので近くに家はなく,外灯の明かりしかない海岸線を,後輩の自転車の荷台をKさんが後ろから足で押す形で,長い坂を登っていました(Kさんは原付バイク)。それに気付いたのはバイクの後ろに重みを感じ,まるで誰かを乗せているような錯覚を感じたからです。ミラーを覗くと,Kさんのバイクの荷台に,長い髪の女がうつむいて座っていました。洋服はところどころに血がにじんでおり,全体的に髪や洋服は乱れていたそうです。女が今にも顔を上げそうな気がしたので,Kさんはミラーからあわてて視線を外しました。「自分がアイツに気づいてることを悟られてはいけない。目を合せちゃいけない」と思い,前だけを見て運転をしました。しかし,後ろから女がジッとこちらを見ているのが分かります。しばらくはそのまま,ミラーを絶対に見ないよう気をつけて走っていました。ふと荷台から重みをが消え失せたので,Kさんは恐る恐るミラーを確認しました。すると,後ろの女はいなくなっており,一気に緊張がとけたKさんは,後輩に声をかけようと前をみた瞬間,氷つきました。後輩の自転車の荷台に,あの女が前を向いて座っているのです。後輩とは,女が現れてから会話しておらず,何も気づいてない後輩を怖がらせてはいけないと思い,Kさんは女のことを黙っていました。そして,自分の足(自転車の荷台を押している方の)を女から,なるべく遠ざけ,後は,前の自転車を見ないように走りつづけました。途中,女が振り返り,自分をジッと見ているのは分かりましたが,決して女を視界に入れませんでした。女は坂を登りきったところで消えたそうです。 そのまま,無言で後輩を送り届け,その日は終わりました。 〈後日談がありますが,長くなったのできります。長文失礼しました。〉
462 :まい :2009/10/04(日) 14:02:56 ID:fBHwyItkO 〈後日談〉 次の日,Kさんは昨日のこと全て後輩に打ち明けました。怖がるかと思えば,後輩は納得したように頷くと,実は…と語りだしたそうです。実は後輩は,女の存在に気づいてるいたそうです。途中,急に黙った先輩を不思議に思い振り返ると,先輩の後ろに髪の長い女が座っており,あわてて前を向きました。しかし,気になったので,何度か後ろを振り返っていると,先輩の後ろに座っていたはずの女が,先輩の横顔を顔と顔が付きそうな近さで,凄い形相で見ていて,怖くなって,それ以降は後ろを振り返らず,前だけを向いて走っていると,急に荷台が重くなり微かに血の匂いがしたので,あの女が来たのは分かったそうです。しかし,女は後ろでブツブツ何か言っているようでしたが聞き取れず,しばらくすると,急に重みが消えたそうです。Kさんは,後輩の話を聞き,女が自分に執着してい気がして怖かったそうですが,何の心当たりもなく,以来,1人では帰らないよう気をつけていたそうです。 その海岸線では,何年か前に女性の身元不明のご遺体が上がっており,この話を聞いて,彼女がまださ迷っているのかなと哀しくなりました。
463 :名無しクン1 :2009/10/04(日) 14:52:31 ID:JIhqDeGU0 感想ありがとうございました。 ホントの話ですよ。
464 :名無しクン1 :2009/10/04(日) 21:41:10 ID:JIhqDeGU0 今度の話はこの前のような話ではありません。祭りが終わってから こんな体験をよくしました…。 おれは、小学校のころから野球をしていて、まぁいわゆるスポ小に入っていたんだ。 んで午後の6時から9時まで野球の練習をして、みんな家路につくんだ。 んで、両親共働きのおれの家は誰も迎えには来れないので自転車で行き来している。 通いなれた道、薄汚れた電柱、どぶのような川、 すべてが見慣れたこの道で、まさかあんなものを見るとはね… 踏切だった。電車が通るあの ずっと見渡せる踏切の先に青白いものが見える… 逃げなきゃ…逃げなきゃ…逃げなきゃ…!!!!! 本能で感じた。でも動けない、足が震える。 どんどん近づく青白い「何か」 それは俺のまえを、踏切の上を電車のように通り過ぎた… タクシーだった。音もなく、ただ不気味に青白いタクシーだ。 おれは全身に戦慄が走って、体中の毛穴が開いて汗が噴き出た… それからどうやって家に帰ったかは覚えていないんです 感想お願いします。
465 :本スレ208の128 :2009/10/05(月) 22:53:59 ID:XpTpgJW.0 スレ208の128です。 誘導されたんで、ここに。 洒落コワ本スレで書いた女友達Bの件について、一応もう一度説明を書きます。 ・「みえるひと」な女友達Aの言では、Bの身体を出入りしている何か 普通の霊と違うものがいる(寄生虫?居候?みたいな状態らしい)。 ・B本人は気づいてないが、霊的なものは大抵それを避けるから、Bは心霊体験できない。 ・とりあえず当時のAが知る限り、ソレはBを守っていた。 ・でもAが感じる気配では、とても善意の守護ではない。っていうか悪い感じらしい。 ・強力な霊とBのナニかが戦うときにはB当人は爆睡するっぽい←Aの推測 ……8月に物凄いことがあったんで、纏めました。 以下、フェイク込みなんで辻褄が怪しいところもありますが、どうぞ。 最初の井戸の話のときに書いた大学時代の仲間内の男子C、こいつから連絡があった。 Bが最近、時間が出来たのか懐かしくなったのか知らんが、 昔の友人にちょこちょこ連絡しててCも電話で話したそうだった。 ……んで。 Bと話して昔の井戸の一件を思い出して、職場でネタにして喋ったそうです。 そしたら職場の女の子に呼び出され、その子の知人の男(20代後半、俺らと同年代)に 会ったと。そいつの用件を纏めると、 「ヤバいものに憑かれてる知人が居る、坊さんも神主も霊能者もダメだった、 そのBさんの力を借りたい。連絡を取って欲しい、詳しく教えて欲しい」 Cは井戸の一件しか知らない、つまりBの「ソレ」に守られた記憶しかないので、 気軽に受けあい、ついでに他にも良く知ってる奴が居ると俺とAを推薦したそうです。 俺とAは話し合って、二人つれだってCとその男(Hとします)に会った。 指輪の件、白い着物の件、B宅の件を一通り説明し、BについてるものはB当人にも 他の人間にも制御できず、また悪霊や呪いの類は「跳ね返す」だけで祓ってくれない、 周囲に被害が出るからやめておけと告げた。 どうやらHも「みえるひと」らしく、AがB(幼少時 with白い着物)の写真を見せたら、 即座にハッキリと表情が固まった。 「………凄いね、これ。この子マジ生きてるの?今も?こっちのナニ、山神様とか? こんなんに狙われても大丈夫なワケ?これなら、本気でいけるかも」 Hは本気になったようで、俺らがやめろと言うのにはとりあわず、 しきりにBについてる「アレ」について尋ねてきました。 Aは躊躇いつつも、他の「みえるひと」の意見を聞いてみたかったようで、 さらにざっと説明をしていた。 みえない俺には良く判らん感覚的な言葉が多く、 「硬さは?こう、バキンていきそうな」 「そうじゃないし、寒いとかスレてる(?ずれてる?)とかもなくて。 ただこう、ぞわっとするだけで、そこにあるのに何で?みたいな変な印象の」 「え、本当に?じゃあザリザリ擦ってるみたいな感じはある?」 「それもないです。するんとして、侵食もしないしできないし」 こんな感じの意味不明なやり取りの末に、Hは 「……俺も全く見当がつかない」と首を捻っていました。 その後はもう一度、「本当に止めた方がいい」と俺とAから念押ししてお開きにしました。
466 :本スレ208の128 :2009/10/05(月) 22:55:22 ID:XpTpgJW.0 ……数日後の土曜日に、Aから電話が来ました。 BがこれからCと会うから来ないか、と言って来たそうです。 『出る』家があるから、良かったらAと俺にも声をかけて来いとCに言われて Aに電話をよこしたと。 たまげて家を出、Aと合流してBに指定された待ち合わせ場所に行くと、 そこにはHが車で待っていました。 Hはニヤニヤしながら、 「悪いね。BとCは後から来るから、乗ってくれよ」 といい、車中で説明をしました。 ……こいつ、Cに頼んでBに連絡とって約束したそうです。 「知り合いの家が“出る”から来ない?って行ったら2つ返事だった。いいご主人だね、 『昔の友達と肝試し?いいよ、羽を伸ばして来い』って子供の面倒見てくれてるって。 あんまり時間ないから急がないと」 Hの目的地は、高級住宅街の塀に囲まれたでかい豪邸でしたが、車が止まった時には 俺の横のAは硬直して真っ青でした。 「悪いね。大丈夫だよ、俺ら部外者だし、出入りしても手ェ出さなければね」 Hに促されてしぶしぶ降りたAは、その豪邸を見上げて、引きつった顔でHを みました。 「……本気で?」 「まあね。……ここんちの奥さんが、俺の母親の幼馴染。息子が完全に イカれちゃってんだよ」 「何いってんの?その人が助かったって、周り中に散って広がるだけじゃ」 「俺も考えたし。……出られないところに押し込めてやりあってもらえばいいんだろ? 勝敗つくまで、徹底的にさ」 2人が言い合ってる間にドアが開き、中から中年のおばさんが出てきて、 俺らを招き入れました。 ……どうぞ、と通された部屋に居る男を見て、思わず硬直しました。 壁向いて立った横顔は白目むいて天井見上げて、唇の端が少しだけ上がって ニヤついてるみたいで、どっか壊れたような形相でブツブツブツブツ何か呟き続けてて、 上手く言えないけど、その目つきが本気で怖い。 実はコレがウチに出る悪霊です、って言われたら信じたと思う。 俺もドン引きしたけど、Aはもう真っ青でした。 「……もとはどこに?」 Aが聞くと、Hは少し疲れたような余裕のない顔で笑って、 「そこが一番まずいんだよね。……解んないんだよ、気がついたら拾っちゃってて」 後で二人に聞いたら、そこんちの息子(Iとします)についてたのは、 何だか複数の人霊が怨念をツナギにして融合したようなものだそうでした。 様子から言って、長いこと生き物でなくモノに憑いていたと解る状態で、 本体と言うか依りしろと言うか、それがIに憑く前に居たものがあるはず。 それが除霊するときに手がかりと言うか土台になるらしいです。 なのに、どこで取り付かれたのか解らないために除霊の手がかりがなく、 霊能者に無理だと言われたそうでした。 Hの答えを聞いたAは、さらに怯えたような顔をしていました。 「……この人、大丈夫なの?何かヤっちゃったとかないの?」 「……あー。寸前まで行ったことはある、かな。今はとりあえず、ちょい前に 来てくれた人が体にヨケ(?)つけて抑えてるから」 そんな感じの怖い会話の途中で、外から車の音がしました。 CがBを乗せて来たのですが、案の定と言うか怖いことにと言うか、 Bは車中で既に熟睡していました。 HがCからBを引き取り、抱えて奥の部屋へ連れ込み、床に寝かせて毛布をかけました。 後からIをそこんちの奥さんが連れてきて、熟睡中のBと空ろな目のIを 残して、俺らは部屋を出ました。 ……考えてみりゃ、眠ってる既婚女性とおかしな男を1つ部屋に入れたりして とんでもない話です。 何故かその時は、Hの全く躊躇いのないテキパキした態度と Bは何があっても無事、と言う考えが当然のこととして頭の中にあったため、 唯々諾々と従ってしまいました。 ドアを閉めると、Hがドアに背をつけて廊下に胡坐をかいて座りました。 Aが俺にしがみつき、奥さんが足早に廊下を戻って引っ込んで少しして。 部屋の中から、凄まじい破壊音が響き渡りました。 壁か柱がぶっ壊されてるんじゃないかってくらいの轟音に混ざって、 ガシャン、パリンとガラスか茶碗が割れるような音。 俺はギョッとしましたし、Hは揺れるドアに背中を押し付けて座り込んだまま 動きませんでした。 Cも、何かHから聞かされていたのか、落ち着かない様子ながら、あまり慌てた様子も なく。
467 :本スレ208の128 :2009/10/05(月) 22:56:17 ID:XpTpgJW.0 どれだけ時間が経ったのか、誰も動かずに待ち続けて、ようやく中の音が小さく まばらになってきたとき。 直ぐ内側から誰かがゆすってるようにドアががたがたっと揺れ、 鋭い、あせりまくった切迫した男の声が聞こえました。 「おい、助けてくれ!!お願いだ、助けて!開けてくれ、早く!早く!! ここを開けてくれえええっ!!」 Aが顔をあげてHに向き直り、 「ねえ、もういいんじゃない?開けて出してあげようよ」 ここで俺もはっとして、「おい、さっきの人(I)、正気に返ったんじゃないか?」と 言葉を添えましたが、Hはぎっと俺たちを睨みつけて「まだ」と言いました。 それからさらに時間が過ぎ、中から全く音がしなくなって、やっとHは 立ち上がりドアを開けました。 ……中は、HがBを寝かせIを入れて出たときと全く変わりありませんでした。 壊れたものも動かされたものもなく、ただBが部屋の真ん中で大の字になって寝てるだけ。 あの破壊音を立てたと推測できるものの痕跡1つなく。 そして部屋の隅にうずくまって震えていたIに、Hが駆け寄りました。 「おい、I。俺、わかるか」 「あ……H?H!!」 目が焦点を結ぶと、Iは取り乱した様子で、しかし初対面の時より遥かにまともな様子で Hに掴みかかりました。 「H、化け物がいたんだ!本当だ、俺に化け物が、襲い掛かってきて俺を殺して」 「……ほいほい」 幾らか安心した様子でHがポンポンとIの肩を叩いて宥めた。 その時、俺の横に居たAがふらりと傾いたのが視界に映った。 慌てて受け止めた俺に、Hが 「あ、ごめん。リビングに連れてったげて。ココは辛いでしょ」 と言った。Cと一緒にAを運んで廊下を戻りながら、やっと気がついた。 さっきHと喋ってたIの声。 破壊音が止む前に部屋の中から聞こえた声とは、全然違う声でした。
468 :本スレ208の128 :2009/10/05(月) 22:57:17 ID:XpTpgJW.0 ……その後、Aが目を覚まして動けるようになり、眠り込んでるBをA宅へ移した上で B夫を呼び、AがBを引き渡しました。 変に疑われると嫌なので、俺もHもCも、男は全員席を外しました。 B夫は怪しむ様子もなく爆睡してる妻を引き取っていきました。 「あ、またですか?すみません。ひょっとしたら知ってるかもしれませんけど、 睡眠障害とか言うんですかね。突然パタンと寝ちゃって目がさめないことがあって。 これの母親から、小さい頃はよくあったって聞きましたけど、 結婚してからは年に一回もないし、病院で検査しても異常ないし、 本人覚えてないけどガスだの何だの危ないものは必ず寝る前に止めてるし、 子供と居る間は起きないし、倒れるとかじゃないから問題ないんで 俺は気にしてないんです。 面倒をかけてすみません。連絡ありがとうございました」 A曰く。 「……ガスとか火とかは絶対に大丈夫だと思う。Bが止めなくても、 必ずアレが何とかするから。赤ちゃん居るとないってのは意外。 Bが子供できてから、危ない場所に行ったり危ないもの買ったり しなくなってきたのかな」 H曰く。 「さすがに赤んぼ放置して熟睡は、Bさんの潜在意識が拒むんじゃね? アレ、Bさんの意識とカンペキ無関係って訳じゃないと思うよ。 無意識の部分とかに食い込んでないと、寝かすのはないと思うし。 Bさんでなきゃいけない理由があるんだろーねー。 赤んぼ預けるとか家族が一緒とかでないとフルで戦えないなんて不便な状況、 ただの間借りならショバ替えしてるよ」 あのとき部屋の中から聞こえた声についても、「みえるひと」な2人に聞いてみた。 こちらは2人とも完全一致。 『融合してた人霊のウチの一体が、消滅の危機に瀕して自我を取り戻した』 だそーです。 あの部屋、事前にHが、使える伝もコネも知識も全部使って、頼めるだけの人に頼んで、 何重にも霊的に閉鎖してたんだとか。 で。 その檻の中で、Bについてるアレと、Iについてたモノとが。 互いに在るだけで互いを削りあう至近距離に置かれることになり、 形容し難い激烈なバトルが繰り広げられたようです。 結果は、またしても、Bのアレの勝ちでした。 ……助けてくれ、開けてくれ、と叫んでいたのは。 逃げ場のない檻の中で、Bのアレと戦いながら2度目の死の恐怖を、 味わっていた誰かの霊だったと。 衝撃でした。 生身でない、声帯を持たないとは信じられないほど、声はリアルでした。 そしてAが倒れたのは、霊的に比喩的に「血染めの惨殺現場」を見たためでした。 その霊たちがどうなったのか、と言う質問には2人とも答えてくれなかったし 俺も考えたくありません。Bのアレはお払いだの浄霊だのしてくれる存在ではないと 既に知っているので。 話は概ねこれで終わりです。 Bは次の日の朝に目を覚まし、鼻歌と共に朝食と夫の弁当を作ったそうです。 Iは精神科へ通院しているそうですが、以前と違って会話ができて 治療効果がきちんと出ることにI母は大変喜んでたそうでした。 ついでにCは、Hから何を聞かされたか知りませんが、もうあまりBとは 連絡を取りたくないようなことを言っていました。 最後に、その「融合した複数の人霊」これが一番、この話の嫌なところですが。 「恐らく半世紀以上は前、だけど100年は経ってない」で、 「全員、両手の爪が剥がされてた」そうでした。 それ以上はAもHも説明してくれませんでしたし、 俺も聞きたくないと思っています。 どこでどんな目にあった誰だとしても、判れば気分悪くなるだけでしょうから。 以上です。
469 :名無しさん :2009/10/06(火) 03:35:08 ID:C7SCZoCI0 >>465-468 乙。あの話以降はどうなったのか凄く気になってた。 読むほどに怖くて面白い。 Bさんでなきゃいけない理由ってなんだろう。 また何かあったらよろしくです。
470 :名無しさん :2009/10/11(日) 12:39:00 ID:???0 おお!まさか「巣くうモノ」シリーズ(?)の続きがここで読めるとは・・・ 本スレが酷い状況なので、もっとここに投下する人が増えることを望む
471 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/10/18(日) 21:25:38 ID:qvRhDUPg0 [襖の中] 皆様お疲れ様です。 都市伝説でベッドの下に男が…とかの話が良くありますよね。これのユルい版の話をお口汚しに… 大阪はN成区で数年前に建売りを販売しました。まぁ、ひどい地域で建築中に大工道具が盗まれ近くの泥棒市場で売られるわ、大工の弁当は盗まれるわ(笑)日本か?みたいなね。 ハイ、なんとか完成した、ある日に私がお客様を案内しましてね「リビングです広いでしょ?」とかストロベリートークしてまして「和室の収納は自慢です」と襖を開けると男が寝て煙草をスパーって… 「うわぁ〜!」叫びましたよ。恥ずかしながら、襖開けてオッサンが寝てたのは初体験でしたから(笑) 「何しとんじゃ!ワレ!」と私。同時に「兄ちゃん手を出したらアカン」とお客様が…何故?って私(笑)お客様は「買うから!押入の中やり直してくれたらエエから」って地元のお客様も太っ腹です。 結局オッサンはノロノロと起きて出て行きました。契約した後にお客様が「無くす物ない人間はお化けより怖いんや刺されてもおかしくない、だから止めたんだ」と…ホームレスはお化けより怖いって話でした。
472 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/10/18(日) 21:28:15 ID:qvRhDUPg0 [人形の首] 皆様お疲れ様です。 香港在住の親類が帰国しましてね。家を訪ねたんですよ。 彼は骨董マニアで、集めた中国の陶器、磁器が現在のの中国の陶器&石バブル(らしいです笑)で一気に軽く一千万を越えたって話をしてましてね。 話途中に「あら?あれがない?」と探しだしまして弟に場所を聞き持って来て見せてくれました。 見た途端にゾクッとしました。陶器の首だけの人形2体「それ、アカン!」って云うと「お前もそっち系か?」と笑いながら「昔の墓に一緒に埋めた副葬品なんや、多分盗掘やな」って話でした。 中国の骨董のほとんどは盗掘らしいですね。最近はレプリカが大半ですが、親類のは間違いなく本物ですね。迫力が凄かったです。 首だけなのは、多分神仏廃止の共産党政権に破壊されたか…悲しいような、死者と離された無念みたいな気持ち…なお、現在の価格はかなり凄いらしいですが、これを白熱売買する国って…私は未来が暗い気がします。
473 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/10/18(日) 21:30:40 ID:qvRhDUPg0 [淡々と事実を…] 皆様お疲れ様です。今夜は、ある方の話です。 この方は霊なんか全く信じない方なんですよね。信じなくても起きる時は起きるって話です。 昨日ね、知り合いのアスレチッククラブに掃除のバイトに行ったんですよね。夜中に出来るから不規則な仕事の彼には、好都合なバイトなんですよハイ。 元々嫌な気配する場所なんだと言ってましてね。その夜はいつもなら、いないはずの店員がまだ、跡片付けしてたりして、いきなり蹴躓いたり(笑) で、いきなりセキュリティアラームが鳴り響く、店員が人が居るのにセキュリティしちゃったんですね。 何かがおかしい、彼等が帰った後に電話がありセキュリティ会社かと思って出たら話したが後で考えたら何か変な電話だった… それでも、せっせと掃除してたら、設備のあちこちの金属部分触ると片っ端からビリッ!と静電気が起きる。汗まみれなのに… 普通汗かいたら静電気って起きないからね。後は閉まってる棚の扉が次々と目の前で開いて行く。 さぁ、引き上げだ!って時に責任者が来たが鍵を間違えて往復一時間半の道程を取りに戻る事に…その間は一人で留守番を(笑) 暫くすると場所によっては蛍光灯が瞬き出し、入り口一番遠い場所で物が落ちる音がドーンとする。 嫌だから何時でも逃げられるように入口の近くで本を読んでたと云います。 しばらくすると子供のはしゃぎ声が聞こえる…夜中の3時に… 彼は云います。「なぁ、色々な物も重なると気持ち悪いもんだよね」いやいや、私なら失神してますがね(苦笑) いや、今回も怖くないなぁ。すいません。
474 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/10/18(日) 21:37:34 ID:qvRhDUPg0 [作られたお化け屋敷★] 皆様お疲れ様です。さて、今回の投稿も「また家絡みの話」です。 時は、平成4年…ある若者が有名なM山の心霊スポットに行き帰宅したら、母親がお茶を四つ出してきた。よく聞く怖い話のプロローグでしょ?そう!お持ち帰りです。しかも居着いた。 「誰か居る」と暫くして母親は半狂乱になり入院し父親も…本人もサウナを泊まり歩き、疲れ果てたある日私に電話してきて 「うちの家売りたいねん」 「えっ!ハウスメーカーで建てたばっかりやんか!」 「かまへんねん実は…」 と上記の理由を話し出した。 JR駅歩3分東南角家28坪有名ハウスメーカー建築後2年の最高の家だ!奴はノイローゼだろ。そんな話を私は全く信じず知り合いの不動産屋社長の所に行き、そこの売れ残りの建売住宅を4000万に値切りその一家を即引っ越しさせ下取りを8000万円にして4000万円差額を渡した。 両親も健康になったし奴も元気を取り戻した。物件は法律上も自殺も何もないきれいな物件だ。両者大喜びだ。売りと下取りでWの手数料貰い私も大喜びだ。下取りした住宅は掃除しただけでチラシ一発で9980万円ですぐ売れた。 だが、1ヶ月後買主が「引き取ってくれ」社長は「じゃあ8000万円なら」とまたまた、買い取りしてまたチラシで販売した即売れた。 で…3ヶ月後また、再度買い取り要求されまた…繰り返し行っては引くノコギリビジネスで原価以上を儲け私にもポンって小遣いを百万くれたりした。 しかし4度の買い取りの時に私に「立ち会って欲しい」と云う。風呂場のシャワーから血が出ると云うのだ。嫌だが、稼がして貰ったから、立ち会った。湿っぽい…東南角家なのに? 風呂場を覗いて私は引いた。あちこちに血が飛び散ったように見える。いや、そうとしか見えない。殺人現場みたいだ。洗剤をかけシャワーで汚れを流すとすぐきれいになった。 社長は「秋介君ここは何かおかしいよ…」 私「近所聞き込みしても何もなかったでしょ?」 社長「うん」 私「儲けましたやんか」 社長「せやな」 その時二階からドタドタドタドタ!走り廻る凄い音がした。怖い!しかし買わせた立場上逃げられない!私は階段を駆け上がった。何もない…ベランダに出たら社長は表に逃げ出して居て私を手招きした。そして 「秋介君何か判らないが何かあるこの家解体するわ。もう、かなり儲けたし原価はタダやから」 現在はそこは月極ガレージになっている。 ウダウダ書き連ねたが、お化け屋敷は自殺物件だけじゃない。後からなる事もあるんですよ。 あれから、私は二度と霊系の物件は触らなくなった。あの生々しい風呂場を思い出すからだ。 さて、心霊スポットに貴方はまだ行きますか?(笑)
475 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/10/18(日) 21:40:12 ID:qvRhDUPg0 [晴明神社の黒い霧] 皆様、お疲れ様です。今回は神社のお話を少々聞いて下さい。 近くに住みながら初めて、安倍晴明神社を訪れました。少し判りづらい場所で…今までは、私は阿倍野神社と混同してましてね。知らなかったんですよ。ハイ。 小さなこじんまりした作りの神社でしたが、違いますよぉ!ビンビン来ます。私は霊感なく、何がとは云えないんですが、空気ですかね? 例えたら伊勢神宮の内宮みたいなピンって張り詰めた感じ…ここは、間違いなく神様がいらっしゃるのが判りました。 それが安倍晴明かどうかは無学な私は判らないですが、神域ですね。全く他の神社と空気が違います「何だ?」と云う位の気と云うか、パワーに戸惑いました。 でも、その日は気持ち良い初夏の日でね。まぁ、よく考えたらこの辺りは地名が晴明ヶ丘なんですね。縁の地なんですよ。いや、鈍いなぁ私…(笑) でもね、一つ間違えたらキツいバチも当てる厳しい神様だともイメージが湧きました。 私が微睡んでると…中学生が数人煙草を吸いながら入って来ました。しゃがみ込んで飲んだ缶ジュースは置きっぱなしで、吸い殻は地面に投げ捨て…まぁ、行儀が悪い… 見かねて「コラッ」と私が叱ると逃げ出しましましてね、その時黒っぽい霧が中学生の後ろ姿に絡みついてるんですよ(見えないけど頭に浮かんだイメージ) そして、晴れてた空から雨粒もポツポツと降り出して、私は車に乗り帰りましたが…あの中学生果たして無事なんでしょうかね?(笑) 今回も尻切れ話で失礼しました。
476 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/10/18(日) 21:41:50 ID:qvRhDUPg0 [叔母さんの最後の仕事] 皆さんお疲れ様です。4月ショックと云われる刻々と迫る不景気の前いかがお過ごしですか?(笑) ちょいと不思議な話なんですがね。先週、親戚の叔母さんが亡くなりましてね。 几帳面な段取りの良い方でしたよ。ハイ病院で急逝した時には実は香港在住の長男は飛行機で日本に向かってたんです。 偶然にも会議でね。うちの嫁も祖父(叔母の兄)を迎えに行き病院に見舞いに向かってた途中でした。 急に平日に亡くなり30分後に親類が集まるなんて普通は有り得ないでしょ?遅れて会議ついでに見舞いに来た長男が着きました。やたらにスムースでした。 長男は間違いなく導かれたのは判るんですが…うちの嫁も後の段取りの為呼ばれたみたいですね…本人は検査入院ですから死ぬとか全く考えてなかったみたいなんで、呼ばれたってのもおかしい話なんですが… 偶然ですかね?で、役割ない私は時間潰しでパチンコしたら、やたら出て…出玉箱を積み上げる始末です。 このお金で夜食とか買いましたけど…これも導かれたんですかね? 全て計算されたみたいな数日間でした。 お通夜に香港から中国人の嫁と3歳の娘が来日して…ハッとしました。 叔母さんはこの二人を親戚に見せたかったんだと…そう、長男は二度目の嫁を十数年も、親戚に紹介してなかったんですよ。 仲良くしてやってくれって事なんだと理解しました。 叔母さんの最後の仕事だったんですね。怖くなくてすいませんね。でも数年以内に香港には長男に会いに行きたいですね。 新たな親戚付き合いをあの日の我々は確かに引き継ぎましたから…全て叔母さんの段取り通りになりました。
477 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/10/18(日) 21:42:44 ID:qvRhDUPg0 [空き地] 皆様お疲れ様です。 今日は空き地の話を少々致したいと思います。 昔って、あちこちに空き地ってありましたよね?そこで野球したりね。ハイ、しましたよね? 最近ってないでしょ?コイン駐車場になったり建物が建ったりしますよね? でも、何故こんなところに?って場所に空き地がたまにありますよね?「ワケ有り」って奴ですよ。 大阪で云う「日にち薬」って奴です。ワケ有りや悪い記憶を日にちを置いて人々の記憶から消す為なんです。 火事、自殺、とか事件の起きた家を解体して更地にして時を待つ。 因縁を消す作業途中なのが「空き地」ってケースが多いんですよ。 お祓いしても何しても駄目だったって土地ですね。 何気ない空き地が実はいわく付きの心霊スポットかも知れないのですよ。 都会ならば、わざわざ〇〇って心霊スポットに行くよりも、何気ない通勤路に潜んでる空き地が凄い…かも知れません。 空き地って意外に怖いもんですよ皆様…(微笑)では失礼!
478 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/10/18(日) 21:44:07 ID:qvRhDUPg0 [井戸] 皆様お疲れ様です。さて、前にも、投稿しましたが、井戸って怖いんですよね。 これは去年神戸の山手の土地を見に行き、なかなかの別嬪さんの土地なんですが、敷地内に井戸があるんですよね。 大体は敷地内の古井戸ってのは死んでるですよね。ところが蓋を取り覗くと生きてる井戸だったんです。 清水がコンコンと湧き出し渦巻いてるです。まぁ有名な六甲の美味しい水の支脈ですよね。何か凄く神々しいのですよ。 何か良い神社の境内みたいな雰囲気です。「埋めましょうよ」と業者は云いますが私「無理やわ…この井戸は怖い位に生き生きしてるもん」と云いましたよ。 ハイもう一度見ても下の砂が小さく渦巻きに翻弄されるの見たらやはり無理でした。畏怖って云うのかな?理由なく怖かったんです。 何百年も人を潤し続けた井戸…その息の根を止めたら「私は死ぬかも知れない」って気持ちになりました。 結局土地は買いませんでした。今もあの井戸はコンコンと清水を湧き出させてあそこにあるんでしょう。 結局は金儲けも何も出来なかったですね。井戸に感動してるようじゃ業者としては私は失格ですね。 つまらない話最後まで有難う御座います。
479 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/10/18(日) 21:45:15 ID:qvRhDUPg0 [祈りの神秘] 皆さんお疲れ様です。 昨夜ね、久々に友達に会いましてね。 エエ、私を余計な物が見えないようにしてくれた友人なんです。(したのは彼の師匠)彼がね、糖尿病になりましてね… 昨年会った時はガリガリでね。眼底出血から失明寸前で、2級の障害で腎臓が駄目で、2日に一回の人工透析してるんですよ。 エエ、私は父も叔父も糖尿病で亡くしてますからね。 判るんですよ、人工透析して、もう長くない事はね…2人共半年持たなかったからね。 で、彼が来た。新車に乗って、えっ!新車?運転?う・ん・て・ん?彼はニコニコ笑ってる。 顔はツヤツヤでふくよか… 私「お前透析は?」 彼「2日に一回や今日もやってから飯食ってて、来るの遅れたんや」 私「目は?」 彼「右はシルエットしか無理やが左は見えるようになった」 普通はね、透析後はダルくて仕事も食事も普通絶対に無理なんですが… 彼は「神事(かみごと)」をしてからだと云います。 私は絶句しました。 他に考えられない…信仰心か御加護か…とにかく透析しだして太った彼が、昨夜私の家に来ました(笑) 不思議な事って身の回りにあるんだな…と思いましたよ、エエ…でも、これは特定の宗教を勧める話じゃないですよ。 日々精進して神を信じる日々ってのを奴は見せに来たのです。 長々と駄文失礼しましたm(_ _)m
480 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/10/18(日) 21:46:38 ID:qvRhDUPg0 [旅立ちの微笑み★] 皆さんお疲れ様です。 怖いか?って考えたら怖くない話なんですよ。ハイ、まぁ、私の家系は糖尿病持ちでね。父親も糖尿病で亡くし母親も現在治療中なんです。 叔父さん(母の兄)がね、糖尿病で入退院を繰り返してたんですがね。人工透析を受けるようになったんですよ。 人工透析ってのはそりゃツラいらしくてね。それを受ける患者は一つ上の階に病室を移るんですが「嫌だ、移りたくない!あそこに行くと死ぬんだ」とダダをこねて、困りました。 暫くして、やはり叔父さんは亡くなりまして、菩提寺で通夜する為運び込んだんですよ。 顔が苦痛に歪んでてね、目を開け口は開き、その顔が苦しい最後を物語ってんですよ。 葬儀屋あれこれしても、直らない…その日の深夜に線香を代えに私が本堂に行きお柩を覗いたんですよ。えぇ、興味半分か何気なくですよ。 叔父さんが目を閉じて口元に笑みを安らかに浮かべるんですよ。微笑んでる! 私は泣けて泣けて…「おっちゃん良かったなぁ」ってね。 住職や身内に云いに行ったら、「顔の筋肉が緩んだんや」とか云われてね(笑) 住職は「そうかぁ、よろしおましたなぁ」って…苦しい顔は葬儀の時も苦しい顔のままって俺は知ってるが、阿弥陀さんが連れに来てくれたんですかね? そう思いたいやないですか?身内はロマンがないんやとつくづく悲しなりました。 私もね、お通夜は菩提寺でして欲しいんですよ。あの微笑みの旅立ちが、忘れられんのです。 阿弥陀様か観音様か親鸞聖人か判らないけど、神様って間違いなく居ますよね。 グダグダ長話すいませんでしたねm(u_u)m
481 :名無しさん :2009/10/18(日) 22:48:14 ID:???0 代筆者乙 なんか新鮮な語り口で楽しめたよ またあったら書いてください。
482 : ◆rxgDDSyDjk :2009/10/28(水) 22:22:52 ID:h2BIWqF60 本スレでこっちで書いたらって言ってくれてる人いたんで、 しばらくはこっちに投下します。俺の相棒の話です。聞いて下さい。
483 : ◆rxgDDSyDjk :2009/10/28(水) 22:25:13 ID:h2BIWqF60 相棒が、パワーストーンにはまった。 相棒というのは、一緒にオカルトを究めよう!と誓い合った親友のことで、そいつはとても 単純な性格をしていた。決めたことは即実行なタイプで、俺にはない行動力を持っている。 パワーストーンにハマってるんだ、と聞かされたときも、すでに相棒は数種類もの石を持っていた。 「何でパワーストーンなんかにハマったんだ?」 「石はな、奥が深いんだ。それぞれ、力を持ってる」 「……またなんか読んだのか」 「…雑誌に載ってたんだ。運気を呼ぶって」 相棒はどうやら、雑誌のパワーストーン特集とやらを見たらしい。なんでも、石には 誕生石とか属性とかあるらしくて、相棒の場合はトルコ石・ラピスラズリという石らしい。 相棒は青っぽい石をいくつか出してその効果を説明した。 「この石が呼んでくれる運は、成功運なんだってよ。成功の象徴…俺に合ってるよな」 「へー。じゃあ俺は?」 「隊長は9月生まれだっけ?だったら…」 相棒は携帯でググッて、俺の誕生石を調べる。 「サファイヤだ。象徴は、慈愛・誠実…」 「慈愛?誠実?紳士な俺にふさわしーじゃねえか」 「うぜー。でも、サファイヤったら宝石じゃん。手に入らねーだろ」 「俺は別に要らないけど。ってか、そういやお前その石どうしたの」 「通販で買った」 「……あそ、」
484 : ◆rxgDDSyDjk :2009/10/28(水) 22:31:49 ID:h2BIWqF60 相棒は、ムードとか雰囲気は一切関係なしのやつだった。俺は、通販で買えるような石が 運気を呼ぶ力を持っているとは到底思えなかった。まぁ、本物の石ならどこで入手しようが 効果は問題ないんだろうけど。(最近ではガチャガチャでも売ってるよね) そんな会話をしたあとからも、相棒のパワーストーン愛好ぶりは、日に日に増していった。 誕生石から、勉強ができるようになる石、恋が成就する石、相棒の持つパワーストーンの数は 十数個にまでなっていた。パワーストーンは結構高値で、お小遣いで必死にやりくりしている 俺には、平気でボンボン買っていく相棒が信じられない。(言い忘れてたけど相棒は金持ち) そんなある日、相棒は今までの石とは違った感じの石を俺に見せてくれた。 「これ見ろよ」 「なんだ、この石。そのへんに落ちてそうな感じだな」 相棒が見せてくれた石は、パワーストーンというよりはただの砂利に埋もれてそうな石ころだった。 今まで以上にうらやましくないその石に、俺は首をかしげる。 「これもパワーストーンなのか?」 すると、相棒はとても嬉しそうに、その石の詳細を語った。 「これはなぁ。沖縄のある城跡から持ってきた石なんだよ」 「沖縄?ってか、やっぱりただの石かよ。それどうしたんだよ」 「姉ちゃんの彼氏がもともと沖縄の人でさ。二人で先週沖縄に行ってたみたいなんだよ。 それで、最近石にハマり気味の俺に姉ちゃんがお土産にーって。沖縄の城跡って、写真で見たけど なんか石を積んで作った遺跡みたいなところなんだ。その城跡の一部だぜ?すげーじゃん」 「確かに、そういうところの石は特別な力を持ってそうだけど」 俺は改めてその石を見直す。やっぱり、ただの小さな石だった。 「なんか俺、この石に惹かれる。ご利益がありそうじゃね?」 相棒はその石がとても気に入っているようだったから俺は何も言わなかったけど、 本当は、その石から嫌な気配がしてならなかった。説明できない、まがまがしさがある。 ご利益どころか、悪いことが起きそうな…そんな感じ。 そしてその会話交わしたその日の夕方、まさにその予感が的中してしまった。 相棒が、バイクにひかれたのだ。
485 : ◆rxgDDSyDjk :2009/10/28(水) 22:36:08 ID:h2BIWqF60 その連絡はその日のうちに相棒自身からきて、命に問題はないらしく「足骨折しただけですんだ」と 電話で教えてくれた。俺はその連絡後すぐに原付で病院に向かった。 病院では、松葉杖の相棒と相棒のお姉ちゃんがいた。 「お前大丈夫かよ」 「おお。大丈夫なんだけど、痛すぎる」 「バイクにひかれたって、お前どんなドジ、」 「違うって、ドジはあっち!バイクの方!いきなり急カーブで俺にぶつかってきたの」 自分を弁護しつつ、事故の様子を語る相棒。完全にバイク側が悪いらしい。 「おかしいなー。こんだけパワーストーン持ってんのに事故るなんて」 「バッカじゃないの。パワーストーンなんかで身を守れたら警察は要らないんだよ!」 ポケットからパワーストーンを取り出して不思議そうにしている相棒の頭を、相棒のお姉ちゃんが殴る。 相棒のお姉ちゃんと会うのは二度目くらいだった。ちょっと柄が悪そうだけど、とても美人な人だ。 「あたし、そういう石とか信じてないんだよね」 「いってー!怪我人なのに何するんだよ!彼氏と同棲してること父さんに言うぞ!」 「うるさい。あたしは仕事中なのにわざわざ迎えにきてあげたんだから感謝しなさい」 「だいたい信じてないって言いつつ、姉ちゃんだって俺にご利益の石持ってきてくれたじゃねーか」 「ご利益?」 相棒の言葉に、お姉ちゃんはキョトンとした。 「違う違う。あれは記念だよ。悲劇の最期をとげた将軍の城の一部。 祟りがあるって噂で、せっかくだからって持ってきたの。アンタこういう話好きじゃない」 「悲劇の最期?」 「祟り?」 相棒と俺はお姉ちゃんの言葉に食いつく。 「何、その城ってなんか因縁でもあるの?」 「因縁っていうか。たしか、その城のある地域一帯をしきっていた将軍が、別の地域を仕切っていた 将軍一派に責められて命を落としたんだったかなぁ。その責めてきた将軍は、殺された将軍の 身内だったって話。それ以来、その城の将軍の祟りがあるらしいよ」 俺たちは息をのんだ。何でその祟りがある城跡の一部を弟に持って帰ってくるんだこの人は。 「じゃあ、この石ってなんかご利益があるとかじゃないのかよ…」 相棒は、例の石を取り出しながらつぶやいた。お姉ちゃんは、ケロリと言う。 「どっちかって言うと、縁起悪いんじゃない。現にアンタ事故ったし。やっぱ祟りだよ」 その日から相棒は、パワーストーンを集めることをやめた。パワーストーンへの興味を 失ったわけじゃないらしいが、今ある石だけを大切にして身を守ってもらうらしい。 でも、石を集めなくなった代わりに相棒はパワーストーンの力を高まる方法などを調べるようになった。 たまに、月が出てる夜にベランダに石を出して光を浴びせてるところを見ることがある。 それと、例のあの「祟り城跡の石」は、相棒のお姉ちゃんが彼氏に相談して、神社に捨てたらしい。 お姉ちゃんは、城跡の石を持って帰ったことを彼氏にも黙っていたらしく、相談したとき とても怒られたらしい。地元では、その城跡の石を持って帰ることは絶対の禁忌らしい。 それを聞いた相棒は、ものすごく真面目な顔で 「そんな気がしたんだよ。最初から、なんか恐ろしい気配を感じてたって言うか…」 なんて言っていた。俺は敢えて何もツッこまないで、お城の祟りについて考えていた。 十数個のパワーストーンの力にも打ち勝つ将軍の祟りは恐ろしいな、と思う。 「やっぱり、この世は不思議なことばっかだな」 「だから俺達が解明するんだろ」 「被害に合ってるだけだけどな」 俺たちはそう言い合って、笑った。 この話に出てくる城跡ってのは、ウィキペディアにも詳しく載ってる城跡と将軍だから 心当たりがある人がいるかもしれない。 沖縄県K城跡と、その祟り?にあった相棒の話、おしまい。 パワーストーン/完 俺と相棒と、それから宮田。この三人が、相棒姉の彼氏の実家、 沖縄県に行って沖縄独特の恐怖体験をすることになるのは、また別の話。
486 :名無しさん :2009/10/29(木) 21:03:42 ID:gnmeFM7o0 乙! ここに投下下のは正解だと思う。 これからも頼むよ
487 :名無しさん :2009/10/29(木) 23:34:44 ID:wt48g26s0 また相棒シリーズにまみえる事ができて幸いです。 沖縄編も楽しみに待っていますよ。
488 :名無しさん :2009/10/31(土) 14:37:21 ID:v22XGBmk0 楽しみにしてますので、またお願いします。 ネタ確保とかのためにあまり無茶しないでね。
490 :名無しさん :2009/11/01(日) 18:34:37 ID:t27axZvM0 祟られ屋さん生きてますか
491 :代筆者 :2009/11/05(木) 18:03:25 ID:NNqGMZ3s0 [空き地] 皆様お疲れ様です。 今日は空き地の話を少々致したいと思います。 昔って、あちこちに空き地ってありましたよね?そこで野球したりね。ハイ、しましたよね? 最近ってないでしょ?コイン駐車場になったり建物が建ったりしますよね? でも、何故こんなところに?って場所に空き地がたまにありますよね?「ワケ有り」って奴ですよ。 大阪で云う「日にち薬」って奴です。ワケ有りや悪い記憶を日にちを置いて人々の記憶から消す為なんです。 火事、自殺、とか事件の起きた家を解体して更地にして時を待つ。 因縁を消す作業途中なのが「空き地」ってケースが多いんですよ。 お祓いしても何しても駄目だったって土地ですね。 何気ない空き地が実はいわく付きの心霊スポットかも知れないのですよ。 都会ならば、わざわざ〇〇って心霊スポットに行くよりも、何気ない通勤路に潜んでる空き地が凄い…かも知れません。 空き地って意外に怖いもんですよ皆様…(微笑)では失礼!
492 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/11/05(木) 18:05:56 ID:NNqGMZ3s0 [祈りの神秘] 皆さんお疲れ様です。 昨夜ね、久々に友達に会いましてね。 エエ、私を余計な物が見えないようにしてくれた友人なんです。(したのは彼の師匠)彼がね、糖尿病になりましてね… 昨年会った時はガリガリでね。眼底出血から失明寸前で、2級の障害で腎臓が駄目で、2日に一回の人工透析してるんですよ。 エエ、私は父も叔父も糖尿病で亡くしてますからね。 判るんですよ、人工透析して、もう長くない事はね…2人共半年持たなかったからね。 で、彼が来た。新車に乗って、えっ!新車?運転?う・ん・て・ん?彼はニコニコ笑ってる。 顔はツヤツヤでふくよか… 私「お前透析は?」 彼「2日に一回や今日もやってから飯食ってて、来るの遅れたんや」 私「目は?」 彼「右はシルエットしか無理やが左は見えるようになった」 普通はね、透析後はダルくて仕事も食事も普通絶対に無理なんですが… 彼は「神事(かみごと)」をしてからだと云います。 私は絶句しました。 他に考えられない…信仰心か御加護か…とにかく透析しだして太った彼が、昨夜私の家に来ました(笑) 不思議な事って身の回りにあるんだな…と思いましたよ、エエ…でも、これは特定の宗教を勧める話じゃないですよ。 日々精進して神を信じる日々ってのを奴は見せに来たのです。 長々と駄文失礼しましたm(_ _)m
493 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/11/05(木) 18:07:28 ID:NNqGMZ3s0 [厄年?神様のプレゼント?] 皆様お疲れ様です。怖い話ではなく今回は偶然の話かもしれません。 Rさんは大阪在住の33歳主婦。 女の厄年です。 仕事でお会いして、家の検査をしましたら見えない場所で雨漏りをしておりまして、私が補修を請け負いましてね。 全面改装したんですよ。もう新築と見間違うレベルです。「これで厄落とし出来たね」って話をしてたら、いきなり、昨夕の事ですよ。 日本橋で火事があり旦那の車がその隣のガレージに駐車していて貰い火で炎上をしましてね。 普通なら踏んだり蹴ったりなんですが、その車は来月車検だったのが、車両保険で何と新車に! しかも、隣地とガレージから慰謝料が出て、それが雨漏りの修理代ピッタリと不思議さ!これは厄年なのか?神様のプレゼントなのか?メチャクチャ不思議でした。 でも、若いのに、リビングに神棚があり榊を供え毎日綺麗にしているお家なんですよ。 きっと神様が見ているんでしょうね。いや、今回は余りに不思議だったので…こんな事ってあるんですね〜 怖くなくてすいませんねm(_ _)m
494 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/11/05(木) 18:08:35 ID:NNqGMZ3s0 [旅立ちの微笑み★] 皆さんいつも有難う御座います。 怖いか?って考えたら怖くない話なんですよ。ハイ、まぁ、私の家系は糖尿病持ちでね。父親も糖尿病で亡くし母親も現在治療中なんです。 叔父さん(母の兄)がね、糖尿病で入退院を繰り返してたんですがね。人工透析を受けるようになったんですよ。 人工透析ってのはそりゃツラいらしくてね。それを受ける患者は一つ上の階に病室を移るんですが「嫌だ、移りたくない!あそこに行くと死ぬんだ」とダダをこねて、困りました。 暫くして、やはり叔父さんは亡くなりまして、菩提寺で通夜する為運び込んだんですよ。 顔が苦痛に歪んでてね、目を開け口は開き、その顔が苦しい最後を物語ってんですよ。 葬儀屋あれこれしても、直らない…その日の深夜に線香を代えに私が本堂に行きお柩を覗いたんですよ。えぇ、興味半分か何気なくですよ。 叔父さんが目を閉じて口元に笑みを安らかに浮かべるんですよ。微笑んでる! 私は泣けて泣けて…「おっちゃん良かったなぁ」ってね。 住職や身内に云いに行ったら、「顔の筋肉が緩んだんや」とか云われてね(笑) 住職は「そうかぁ、よろしおましたなぁ」って…苦しい顔は葬儀の時も苦しい顔のままって俺は知ってるが、阿弥陀さんが連れに来てくれたんですかね? そう思いたいやないですか?身内はロマンがないんやとつくづく悲しなりました。 私もね、お通夜は菩提寺でして欲しいんですよ。あの微笑みの旅立ちが、忘れられんのです。 阿弥陀様か観音様か親鸞聖人か判らないけど、神様って間違いなく居ますよね。 グダグダ長話すいませんでしたねm(u_u)m
495 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/11/05(木) 18:09:16 ID:NNqGMZ3s0 [旅立ちの微笑み(検証)] 皆さんご無沙汰しとります。 昨日知人の父親が亡くなり葬儀に東京まで行きましてね。その時の話なんですが聞いて下さい。 一段落して外の喫煙所で葬儀屋さんと話していて、こちらの新作投稿147の話を何気に葬儀屋さんにしたんですよ。 要は、苦しんで歪み亡くなった顔が夜中見たら安らか微笑んでたって話です。私は良くある話と聞かされてましたからね。 すると「有り得ないですよ不思議な話ですね」と葬儀屋さんが云うんです。 曰わく「今はドライアイス入れて固めるから筋肉は緩まないんです」と……… 私「えっ!」 葬儀屋「私は経験ありませんね」 私「じゃあ…」 葬儀屋「本当に不思議な話ですよ」 じゃあ、叔父さんのあれって…改めて少しびびってしまいました。 それだけの話なんです。 どうもすいません。 十年経って知ってビックリしたんですよ。では失礼!
496 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/11/05(木) 18:10:25 ID:NNqGMZ3s0 [戒めの時計★] 皆様残暑お見舞い申し上げます。今回は高校入学時にね、貰ったお祝いの話を… お爺ちゃんの海外土産を入学祝いに貰いましてね。 ラドーってメーカーのロイヤルエレガンスって時計です。 そりゃ、大事にしてましたね。30年前はブランド小僧でしたから。 お爺ちゃんは喉頭癌で声帯をなくしてから、独自に人工声帯作って声を無くした人に声を与えるのが第2の人生として人に尽くし、陛下より勲三等頂いた位の立派な人でした。 そのお爺ちゃんが亡くなった時の葬儀は、そりゃ立派なものでした。 その時お坊さんが付けた戒名が「青松」でした。松之助だからかな? 当時私はDQNだったんですが(笑)お坊さんの付けた戒名にキレましてね。 「戒名を付け直せ!おそ松みたいな名前つけやがって!」と喚き散らしたんですよ。 お坊さんも付けてから列席者見て平凡でヤバいと思ったみたいだけど、後に引けないから私を「シカト」しましてね。 私を諌める身内にも「今なら間に合うやろ!皆も云えや!青松やぞ!エエんかい!」とか「天皇陛下から勲章貰った人間が青松か!」とか傍若無人に… で、まぁ式も終わり何気に腕時計見たら、私が喚き散らした時間で止まってるんですよ。 「もうエエがな」ってお爺ちゃんが知らせてたんですかね? 今でも修理はしてません。ラドーはあの時から止まったままで手元にあります。 今でもぶちキレそうな時とか、家帰ってから、止まったラドー見るんですよ。 時間をお爺ちゃんが持って行った時計を見る。 戒めの時計なんですよ。「判ってるな?お前」と腕時計が問うんです。 まぁ偶然かも知れませんが…直せないんですよ。 延々つまらない話失礼しました。
497 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/11/05(木) 18:11:22 ID:NNqGMZ3s0 [心霊スポットであるサイン] 秋介さんからの投稿 皆さんもお疲れ様です。さて、余り怖くもない話ですが、お付き合い下さい。 心霊スポットってね、私は余り好きじゃないんです。空気が違うってのかな?悪意ある場所にわざわざ行きたくないんですよ。 これは、結構前の話なんですがね…旧生駒トンネルが怖いから行こうって話になり、昼間なら付き合うよと晩秋のある日、私と友人が奈良に向かいました。 生駒山渓は霊山ですからね。その土手っ腹に穴あけたトンネルなんて嫌ですよ。 結構早く着きましてね。秋草茂る中を歩きトンネルに近付くと鉄板で蓋がしてある。 知人が「開かないのか?」と鉄板を触ろうとした時私は気付き「待って!」と制止した。 「何?」と知人。私は鉄板を差し「鉄板が結露してる」と云った。 知人「だから?」 私「今11月だぞ?結露は内部より外が暑い時起きるんだ」 知人「知ってるよ」 私「考えてみろ!お前はダウン着てるだろ?トンネル内部が晩秋の山中より冷たいって、絶対におかしいだろ?」 トンネルが塞がれてる鉄板は一面に結露で汗かいてるんですよ。 私「真夏じゃないんだぞ!おかしいと気付かないか?」 知人一同「…」 私「日が暮れる前に帰ろう」 と帰宅したんですよ。幸いに、何もなかったですよ。でも、冬前の山中で塞がれた鉄板が結露してる風景…怖かったですよ。 馬鹿は開けようとしてましたからね。ヤバい場所って絶対に何か知らせてくれてるサインありますよね?サインが生きる者と死者の境界線だと思うんですよね。つまらない話すいませんでした。
498 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/11/05(木) 18:12:48 ID:NNqGMZ3s0 [スイカ割り] 皆様お疲れ様です。 海水浴の話を少し… お盆に丹後半島に数家族で海水浴に14日15日と二泊で行くのが私達の毎年の予定でしてね。 日本海だから、海が凄く澄んでキレイなんですよ。潜るとサザエが取れたりね。 それと近くに畑があるのかスイカや桃や流れ着いて来るんですよ。 ある年に余りにキレイなスイカが流れて来てね。 スイカ割りをしましてワイワイやりましてね、その年は帰りに車が故障したり、仕事が上手く行かなかったり…嫌な年でね。 翌年は、カレンダーの都合で12日〜13日と日程を繰り上げて行ったんです。 民宿で晩飯を食ってるとご主人と奥さんが「海に行きます」って…聞くとこの辺りのお盆の風習をすると云う。 退屈だったから私達も御一緒したんですね。 すると浜辺に果物や色々供物を置くですよ。「こうして海に流し御先祖様に召し上がって貰うんですよ」って話に、真っ青になりました。 私達は罰当たりにも仏様の供物をスイカ割りして食べてたんですよ。 一家みんなで海に向かって手を合わせました。 知らないとは、言え…それからは、おかしな事は起きませんでしたが、御先祖様が風習を教える為にあの翌年に日程を変えたのかな?って私は思ってます。 全く怖くなくてすいませんね。
499 :名無しさん :2009/11/07(土) 16:56:26 ID:piHrPKmI0 代筆者さん、大量の投下お疲れ様です なかなか楽しめました ただ、気になるのは「秋介さんからの投稿 」とかいう書き出しなんだけど、 他メディアからの転載なんでしょうか? だったらまずいと思います それも込みでの構成なら問題ないですけど
500 :名無しさん :2009/11/08(日) 19:01:00 ID:aRhctcBA0 なにやってんの?
501 :名無しさん :2009/11/08(日) 20:33:22 ID:onww6RdI0 マサさんシリーズ作者さん、 本当に生きてます? また弾かれてるのかしら…
502 :名無しさん :2009/11/09(月) 21:06:01 ID:Fsd80ImM0 また?以前も弾かれてたとか?
503 :名無しさん :2009/11/10(火) 00:38:13 ID:rYkKUajw0 この板でも弾かれることあるの?
504 :名無しさん :2009/11/10(火) 04:34:24 ID:HtSmcFl60 単に、システムの不具合かも知れないけど… 295 : ◆cmuuOjbHnQ:2009/05/06(水) 01:10:52 ID:???0 書き込めるかテスト。 先週の土曜日から試してるけれど、弾かれっ放し・・・orz
505 :名無しさん :2009/11/10(火) 20:26:05 ID:XoSdHhxI0 もし弾かれてここに書き込めないなら、投票所の「祟られ屋」シリーズでコメントして欲しい
506 :名無しさん :2009/11/10(火) 23:31:56 ID:tB75FdwY0 そうかそういうこともあるのか でも掲示板の不具合はそんな長引かないよね 「次はすぐ書けます」みたいなこと言って半年近く経ってるから… マジで生きてる?
507 :名無しさん :2009/11/16(月) 14:47:19 ID:RgWXLiRc0 へんじがない・・・ただのしかb
508 :ごめんなさい橋 ◆rxgDDSyDjk :2009/11/18(水) 21:00:46 ID:W3xG8Jag0 こんばんは。久しぶりに投下。長いから気をつけてくださいね。 ---- ある時、相棒がオカルト活動に誘ってこなくなった。普段から毎日恐怖スポットを探したり 怖い話を人に聞いたりしているような熱狂的なオカルトマニアが、急にそれを口にしなくなるのは 奇妙な何かがあった。俺は、一応オカルト道の相棒として、そのやる気のなさに注意をしてみた。 「おい相棒、お前最近どうしたんだ」 「なにが、」 「わかってるだろ。オカルト活動だよ。お前が目標を決めて、俺が評価して、一緒に責める。 そうやってオカルト活動成り立ってるのに、お前今月に入ってからそういう話一切しないじゃんか」 「あー。そっちか。ごめん、俺ちょっと今まいっててさ」 俺が文句を言っても、相棒はやる気を一切ださなかった。こういう風に相棒がダラダラすることは 実は普段からよくあることだった。でも、そういう時相棒は小銭を4枚手の甲で振って見せて、 「ダメ。ツケが悪い」 とかぬかし言い訳をするくらいのやる気はあった。だが今回はそういうやる気すらない。 なんだかいつもボーっとして、自分の顔を叩いたり、ためいきをついたりで気持ち悪かった。 俺はおかしいなと思った思ったけど、相棒にも相棒の事情があるんだろうとしばらくは相棒を そっとしておくことにした。相棒がいなくても、オカルト活動はできるのだから。 そうして、俺は初めて相棒抜きで心霊スポットに突撃してみることにした。 相棒抜きでと言っても、別に一人で行動を起こすわけじゃなかった。実は俺達には、 オカルトマニアの仲間(相棒はライバルと言ってるが)グループが、複数いた。意外なことに、 そういう活動をしてみると、そういう人たちにめぐりあう確率があがる。類は友を呼ぶ、とは よく言ったものだとしみじみ思う。
509 :ごめんなさい橋 ◆rxgDDSyDjk :2009/11/18(水) 21:01:24 ID:W3xG8Jag0 そんなオカルト仲間グループのうち、最も年が近く仲がよかったのは俺達の通っている高校の すぐ近くにある男子校に通うひとつ上の人たちだった。彼らは主に3人で活動をしていて、 名前(というかあだ名?)が「松田さん」「美少年さん」「ダブ兄さん」と言った。 松田さんはそのまんま苗字で、美少年さんはびっくりするくらい美形(ただし背も低く中学生に見える) なことからそういう呼ばれ方で、ダブ兄さんは高校を一回ダブってることからの呼び名らしい。 彼らとはよく心霊スポットでばったり会ったりするうちに仲良くなった。(よく俺達のオカルトグッズを褒められる) 俺は相棒に何も言わないのは悪いと思ったが、ああいう状態だから仕方ないだろうと彼には秘密で 松田さんたちと心霊スポットに行ってみることにした。松田さんの連絡先は教えられて知っていたので、 コンタクトを取るのは簡単だった。 電話をして松田さんに「今度どっか行く予定があったら、俺も連れていってください」と頼む。 電話口の松田さんは、顔は見えないけどとても驚いているのが声の調子でわかった。 「いいけど、お前ひとり?シンデレラは?(シンデレラとは相棒のこと。怖くなると灰塩をかぶることからの異名)」 「はい。相棒は今不調みたいで」 「ふーん。喧嘩とかじゃなく?」 「そういうんじゃないです。そういえば、次の予定はいつ、どこに行くんです?」 「ならいいけど。次は来週の水曜日。次の日祝日で学校休みだからな。お前『ごめんなさい橋』ってわかるか?」 「知ってますよ。人柱を祀ることで立てることができた橋で、通るときはその人柱にごめんなさいって 言わないと呪いにかかるっていう」 「そうそれ。その橋に行く」 「え、でもそれって。確かこの県じゃないですよね」 「んー。なんかそんなような橋は全国各地にあるらしくて、それがこの県にもたまたまあるって感じなんだ。 高速だったら1時間くらいでつけるから」 俺と相棒の場合、心霊スポットに行く時の交通手段は徒歩か電車、原付だったりであまり遠くには行けないが、 松田さんたちの場合はダブ兄さんが車の免許を持っているので遠くのスポットまで行ったりしていた。 「そうなんですか。楽しみにしときます」 「じゃあ、水曜日の夜8時にお前の高校まで迎えに行くよ」 「ありがとうございます。また来週」 俺は珍しく遠くに、しかも松田さんたちと心霊スポットに行けるということにわくわくしていた。 すごい体験をしてきて、相棒に聞かせてやろう。そしたらあいつも元に戻るだろう…と気合を入れる。
510 :ごめんなさい橋 ◆rxgDDSyDjk :2009/11/18(水) 21:02:11 ID:W3xG8Jag0 そして、水曜日になった。 「こんばんは」 俺は学校の前まできてくれた松田さんたちに挨拶をした。運転席のダブ兄さんは前に会ったときよりも さらに老けてる気がする。 「今日は美少年の彼女もいるんだよ」 「え、彼女!?」 俺はあわてて乗用車の中を覗き込む。そこには美少年さんにお似合いなすごい美女がニコニコして座っていた。 「はじめまして。よろしく、G商くん」 「よろしくです」 G商というのは、俺の通っている高校の名前だ。もともとが女子高だったので、9割を女子がしめた商業高校。 そのせいか、G商通う男子は無条件に他校から『G商くん」と呼ばれることが多い。彼女さんもそれらしかった。 「よし、そろったし。出発するか」 ダブ兄さんはそう言って、車を走らせた。車内では彼女さんの自己紹介がはじまる。 「スズキって名前なの。苗字じゃないわよ。名前がスズキ。ベルの鈴に季節のキを書くんだ」 「へー、かわいい名前ですね」 美少年さんは普段から無口だけど、スズキさんがいても変わらなかった。運転中のダブ兄さんと助手席の松田さんは 二人だけでなにやら盛り上がっていて、後ろの席に座る三人で美少年さんがあまりにもしゃべらないので、 スズキさんと俺ばかりが話をしていた。 「G商くんは怖いとこ好きなの?」 「はい。怖いとこの雰囲気が好きです。怖い雰囲気が好きだけど怖いのはやっぱ怖いからあとで後悔するタイプ」 「あーダブ兄と一緒だね。でも懲りずに何度もスポット行っちゃうんでしょ」 「そうなんですよ。俺の相棒も、そういうタイプで」 「あー、噂のシンデレラ君ね。じゃあ二人して怖がってるんだ」 スズキさんはケラケラとよく笑った。美少年さんとは対照的にとてもおしゃべりな人で、自分のことをよく話す。 何でも、美少年さんよりも3つ上で、地元の大学に通っているらしい。美少年さんとは幼なじみとのこと。 怖いものが無いらしく、オカルト活動をしていても、怖いと思ったことは一度もないらしい。 「美少年さんと一緒ですね」 俺は敢えて無口な美少年さんに話を振ってみた。美少年さんは松田さんやダブ兄さんよりもオカルトが好きで、 中学の時からひとりであちこち(他県でも)見に行ってると聞いたことがある。
511 :ごめんなさい橋 ◆rxgDDSyDjk :2009/11/18(水) 21:02:45 ID:W3xG8Jag0 「あー。でも、スズキと俺じゃちげーんだわ」 俺に話をふられた美少年さんは、顔の割に低い声でだるそうに言った。 何がどうちげーのかはわからなかった俺はきょとんとしてしまった。 「それって、どういう意味です?」 「G商くん、気にしないで。フジ(美少年さんの苗字は藤原)の発言は説明されても意味不明だから」 俺が詳細を訊ねると、美少年さんの隣からスズキさんがそれを止めた。なんか変な空気になって、しばらくの間 シーンとしてしまったけど、前から松田さんが「そろそろ着くぞ」と言ったのでその沈黙はなくなった。 「おお、いよいよか」 俺は窓の外を見てみた。暗くてよく見えないけど、山の奥に来ているということはわかった。 道がちゃんとしている山で、車で入っていける。 「ここは、T滝(所在地がバレちゃうのでぼかします)の近くなんだ」 窓の外を見る俺に、美少年さんは言った。T滝という場所は、県内に複数ある滝の中でもひときわ小さい滝で、 すごい山奥にあるので地元の人しか知らないような滝だった。俺は子供の頃親と来たことがあって知っているけど。 「じゃあ、ごめんなさい橋ってのはT滝にかかってるやつですか」 「橋が2本あるじゃん。大きい方じゃなくて、小さい方。そっちがごめんなさい橋」 口ぶりからして、美少年さんはそのごめんなさい橋に行ったことがあるようだった。でも、俺の記憶には 遠い昔だからかもしれないけど、滝の川に架かる橋は大きい橋一本しかなかった。(大きいか小さいかだったら大きい) 「ついたらわかるよ」 松田さんがそういうので、俺達一行はとりあえず車を降りて橋に向かってみることにした。 夜だからか山だからか、それとも心霊スポットが近いからか…なんだかとても肌寒かった。
512 :ごめんなさい橋 ◆rxgDDSyDjk :2009/11/18(水) 21:03:20 ID:W3xG8Jag0 滝の川や山は、昼間に見るよりものすごく怖い雰囲気を漂わせていた。なんか、心霊スポットじゃなくても 幽霊とかバンバン出そうな感じ。5人の中で、俺とダブ兄さんだけがビクビクしながら歩いていた。 「そんなに怖がらなくても、何かでてもこんなに人がいたら大丈夫じゃん」 情けないが、俺はスズキさんにそんな感じで励まされてしまっていた。そんなこと言っても、何人いよーと その場所の雰囲気は半端なく怖かった。 「ここだよ。この橋」 いつの間にか先頭を美少年さんが歩いていて、美少年さんは川のない場所で立ち止まって言った。 「え、ここって…川なんてないじゃないですか」 俺はオカルトグッズの内の一つ、ペンダント式ライトで辺りを見回した。すっかり山奥って感じで、崖はあれど 川なんてどこにもなく、ましてや橋なんてどこにも見当たらなかった。その崖さえも策でふさがれてる。 俺が川や橋をキョロキョロ探していると、松田さんはでっかい懐中電灯で前を照らして言った。 「川にかかる橋じゃない。崖と崖をつなぐ橋だ」 すると、今までは見えなかったが策の向こうの崖には、木でできた古い橋が架かっていた。 「これがっ…ごめんなさい橋」 俺は絶句してしまった。小さい頃に見た記憶がないはずだ。T滝の川にかかってるのではなく、その山奥の 崖と崖のかけ橋だったんだから。しかも、T滝に架かっていた橋よりずっと古く、脆そうだ。 しかも道幅が狭く、手すりがない。橋というより、板が架かっているという感じだ。 「この橋に出るという女の霊は、他のごめんなさい橋の話のように、人柱で死んだ女の霊じゃない」 普段は超無口なくせに、こういうところに来ると水を得た魚のように口を開きだす美少年さん。 何もこんな場所で言わなくてもいいのに、美少年さんはその橋を目の前にしてこの橋にまつわる怖い話をした。
513 :ごめんなさい橋 ◆rxgDDSyDjk :2009/11/18(水) 21:04:32 ID:W3xG8Jag0 「この橋はとても古い。昔この崖の向こう側に住んでいた人たちがT滝に来やすいように作った橋だから。 でも、今から話す女の話は、ここ10年の間に起こった比較的新しい話になる。それがごめんなさい橋の真実」 ごくり、と生唾を飲む俺。美少年さん以外はもう誰も口を開いていなかった。 「昔、一人の女がナンパしてきた男たちと酒を飲んだ。いい感じの青年たちだったから気を許したのか、 その女はべろべろに酔っ払った後も男たちの車に乗ってついてきてしまった。でも、彼女が気を許したその男達は いい感じの青年でも何でもなくて、ただのタチの悪いチンピラ達だった。男達は酔っ払った女をこの山奥まで 連れてきて、彼女の携帯電話を奪った。そして携帯電話を崖の下に捨て、この山に女を置き去りにしてしまった」 何故か、サーっと全身に鳥肌が立った。心霊チックな場所でされる人間的怖い話はなんとも不気味で仕方ない。 「酔っていてここがどこなのかわからない女でも、この山の暗闇にはパニックになった。 男達は車で立ち去ってしまい、携帯電話も捨てられてしまった彼女には、目の前の闇が恐怖でしかなかった。 今でこそ崖の前に策があるから、暗くても崖の存在に気づくけど、少し前までこの崖はむき出しだった。 とにかく明るいところに行きたい、と、酔った状態…しかもパニック状態でこの細い橋をズンズン進んだ女は、 そのまま…」 美少年さんはそこで話をやめた。その代わり、親指を立てて、その指ゆっくり下に向けた。 きっと、「落ちた」という描写だ。 「それ以来、この橋には女の幽霊が出るんだよ」 完全に恐怖で縮こまっている俺に、松田さんが電灯を当てて言った。こんな場所でこんな話をしていても、 松田さんはいつもと変わらず呑気に微笑んでいた。その隣では一番年長のダブ兄さんが俺なみにビビっている。 「どんな幽霊が、出るんですか」 「…顔がグチャグチャの女が、この橋をゆらゆら渡っているらしいよ」 「グチャグチャ…?」 「この崖から落ちたんだ。そりゃ、グチャグチャも納得だね」 俺はもう、その橋が見れなかった。もし、女が橋を渡っていたらどうしよう…。そんな想像が頭から離れない。 「じゃあ何でこの橋、ごめんなさい橋なの」 不意に、スズキさんが言った。そう言えばそうだ。何故、この橋がごめんなさい橋なんだろう。 よくあるごめんなさい橋の話では、人柱になってくれた人にごめんなさいと言わなければいけないから、 その名前で呼ばれる。だけど、この橋は違う。俺とスズキさんが首をかしげていると、また美少年さんが口を開いた。
514 :ごめんなさい橋 ◆rxgDDSyDjk :2009/11/18(水) 21:05:09 ID:W3xG8Jag0 「女をこの橋に置いて行った男たちはその後…。彼女がこの崖で死んだことを知ったあとかな、 みんな精神的に発狂しちゃったんだ。一人の男をのぞいて。その一人の男ってのが、この橋の名づけ親。 そいつは女が死んだことを知ると、自分たちの悪戯がとんでもないことになった…って怖くなってこの橋にきた。 そして、死んだ女に花を供え、手を合わせた。そして橋にごめんなさいとペンで書いていった。ほら、見ろ」 美少年さんは電灯を橋に当てた。光のさす先には、確かにマジックで「ごめんナさい(何故かナだけカタカナ)」 と書かれていた。雨とかのせいだろうけど、字はとても薄くなっていて古びていた。その文字を見て、俺とダブ兄さんは 手をつないで震えた。 「ちゃんと手を合わせに来たのはその男だけらしく、だからその男だけは発狂しなかったんじゃないかと言われてる。 発狂した男たちはみんな一様に『女が』と言っていたらしい。そのことから、この橋を渡るとき、またはこの橋に 来たときは心の中で『ごめんなさい』と言わなければいけない。そこまでがこの橋にまつわる怖い話」 「その女の人、かわいそう…」 美少年さんが話をしめると、スズキさんは小さく呟いた。ちっとも怖がっている様子は見せないで、ただただ 話の女の人に同情しているようだ。俺は怖いと思ってしまうなんて不謹慎だったかな…なんて思ってしまう。 「スズキさん…「だから…」 俺は「優しいですね、」と声をかけるつもりでスズキさんの名前を呼んだ。だけど、その声は同時に喋ったスズキさんの 声によってかき消された。 「だから、そんな悲しそうにこっちを見てるんだ」 「!?」 「!」 今 な ん て ・ ・ ・
515 :ごめんなさい橋 ◆rxgDDSyDjk :2009/11/18(水) 21:06:02 ID:W3xG8Jag0 俺は心臓がキュッとなるのを感じた。どう言ったらいいのかわからないけど、バスを降りたときとかに誰かから 「あれ?カバンは?」と言われたときのような、ヒヤっとした感じ。そんな風に、心臓がトクトクした。 「スズキ、見えるのか」 唯一、スズキさんの発言に表情を変えなかった美少年さんがスズキさんに聞いた。スズキさんはコクンと頷き声色を 変えないで淡々と答えた。 「だって、こっち側にゆっくり渡って来てるもん」 その一言で、俺とダブ兄さん、さすがの松田さんも、もう無理だった。 来た道を無我夢中で走り、車へと戻った。松田さんの照らす懐中電灯の光に向かって走り、俺とダブ兄さんは 気持ち悪いことに手をつないだまま走った。 やっとこさ車についたとき、ダブ兄さんは慌てて車のエンジンをつけて音楽を流した。 3人とも、何もしゃべらずに、あのカップルが戻ってくるのを待った。その間俺の頭の中ではずっと、 顔がグチャグチャな女の人がさっき見た超雰囲気のある橋を渡ってきてる映像がリアルに流れていた。 しばらくすると、二人が戻ってきた。結構時間がかかっていたから、二人は俺達みたいに走ったりせず、冷静に 歩いて戻ってきたんだろう。 「いきなり走るなよな」 戻ってくるなり美少年さんは松田さんに文句を言った。大きい懐中電灯を持った松田さんが走り去ってしまった為、 二人は携帯のライトだけを頼りに戻ってきたのだという。俺は本当にこの二人は心臓に毛が生えてるんじゃないかと 疑った。
516 :ごめんなさい橋 ◆rxgDDSyDjk :2009/11/18(水) 21:06:49 ID:W3xG8Jag0 美少年さんたちも戻ってきたので、ダブ兄さんはすぐに車を発進させた。 しばらく走って高速に出たとき、やっと俺達ビビリ組はしゃべれるようになっていた。 「なあスズキ。お前本当に見たのか」 松田さんは助手席から後ろの席を振り返って言った。スズキさんは相変わらず綺麗な顔でニコニコ笑い、頷く。 「フジが女の人の話しだした時ぐらいからかな〜。橋を見てたらね、いつの間にか女の人の形をした光が見えたの。 で、私そういうの結構見るから、ああ。彼女だ…って思ってずっと見てたわけ。そしたらその女のひとの顔とかが 鮮明に見えてきて、彼女と目が合ったの。そしたらその女のひと、ゆっくりゆっくり私たちの方に歩いてきたんだ」 俺は再び例の想像をしてしまい、怖くなった。きっと、暗闇の中人間を見つけて、助けを求めて歩いてきてたんだろう。 怖いけど、やっぱり可哀想だとも思った。 俺はそのあと、その女のひとが無事渡って来れたのかが気になって、スズキさんに訊いてみた。 「結局、その人はこっち側に渡ってこれたんですか」 すると、スズキさんは俺に顔を向けて、大きい目を俺と合わせた。そして悲しそうな顔で首を横にふる。 「んーん。あとちょっとってところで… 落ちた」 俺は、この世にはやっぱり不思議なことがあるんだと悟った。それはハリーポッターみたいなワクワクするような 魔法の物語とかじゃなくて、この世のあの世の境目の、悲しい物語。漫画やテレビの世界だけじゃなくて、現実に。 その後無事家まで送ってもらった俺は、その日怖くてリビングで寝た。 リビングならテレビがあったので、つけっぱなしでネタ。時刻はもう、日付が変わっちゃっていた。
517 :ごめんなさい橋 ◆rxgDDSyDjk :2009/11/18(水) 21:07:29 ID:W3xG8Jag0 次の日俺は、このすごい体験を(自分は見たわけじゃないけど)相棒に聞かせるために相棒の家に行った。 電話で「家にいるよ」と聞いていたので、相棒の家に合鍵で入り、相棒の部屋に行く。 相棒は相変わらずボーっとしていて、俺が昨日の体験を語っても、「すげーな、オカルトだ」と棒読み気味に言うだけで 期待していたリアクションを得ることはできなかった。 本当にどうしちゃったんだよ、と俺は心配になり、相棒に問い詰めてみた。 「なんだよ、お前どうしちゃったの。何で最近、ぼーっとしてるんだよ」 「いや、今のボーっは、お前が俺に内緒で他のやつとオカルト活動してたことに対するボーっだから」 「…それはお前がボーっとしてたせいだろ」 「会話にボーッが多すぎてよくわかんなくなってきた」 相棒はそう言ってちょっと笑うと、ちょっとやる気のある顔つきになり、昨日の話の詳細を聞いてきた。 「その美少年の彼女すげーな。本当の霊能力者か」 「そうそう。しかも、全然怖がんねーの。顔は超美人なんだけどよ。名前も変わってるし。苗字じゃなくて、 名前がスズキって言うんだぜ」 俺はまだ会ったことがないであろうスズキさんについて、相棒に語った。すると、相棒は心底驚いたような顔で 俺の肩をつかんできた。 「おい、すずきって、高田スズキか」 「は。いや…苗字は知らねーけど」 「年は、20か21だろ」 「え。あー確かそうだな。美少年さんの3つ上」 「…O大学(ぼかします)に、通ってるだろ」 「そうそう!…何で知ってんの」 「マジかよ〜」 俺は本気で意味がわからず、混乱した。相棒だけが一人「あー!」と暴れる。 「もー、何でこーなるんだよ」 「何、説明しろよ」 「高田スズキ。スズキさんな、姉ちゃんの友達なんだよ」 「は!?マジ!?」 俺は驚いて食べていたじゃがりこを硬いまま飲み込んでしまった。世界は狭いな、と思う。
518 :ごめんなさい橋 ◆rxgDDSyDjk :2009/11/18(水) 21:09:20 ID:W3xG8Jag0 「マジ。こないだ、姉ちゃんが家に帰ってきたとき、一緒にいたんだ。おしゃべりな人で、 俺に色々話しかけてくれてさ…。あー、マジかよ。彼氏いたのかよ。しかも美少年…」 おしゃべりな人…というあたり、確かにあのスズキさんだろう。でも、何でこんなに落ち込むんだ。 「お前まさか、スズキさんのこと」 「タイプだったんだよ〜!」 相棒は、思いがけない失恋にその後も暴れた。なるほど、だから最近ボーっとしていたのか。 「好きな女ができたからってオカルト活動がおろそかになるなんて、相棒失格だボケ」 「うるせーよ。お前にはわからねーよ。一目ぼれした女に彼氏がいて、しかもその彼氏がチビで、 しかもしかもオカルト好きという共通の趣味があったという真実を知ってしまった俺の気持ちなんて」 相棒は、しばらくそんな感じだった。俺はチビにチビといわれた美少年さんのことを哀れにおもった。 それから、クールな美少年さんと真逆の相棒にも哀れむ。 それからしばらくして、相棒はまたいつもの調子に戻った。前みたいに心霊スポットを探したりするのに 熱心になった。 俺はほっとして、松田さんたちともいいけどやっぱ一緒に行動するのはコイツがいいな、と思ってしまった。 俺の(正確には同行した人の)すごい体験と、相棒の失恋話終わり。 −−−− 相棒シリーズなのに相棒が出てこなくてスマソ。 失礼します。
519 :名無しさん :2009/11/18(水) 22:20:01 ID:rPC.SIuc0 相棒乙!宮田の話も頼むよ
520 :ば :2009/11/24(火) 04:10:32 ID:LOS1kEakO 皆さん知ってますか? この前のニュースで、17歳女子殺害事件。 この女子は私の友達です。彼女はどうやら私の家に 来る途中で何者かに殺されたようです。 彼女のカバンの中には、1冊のノートが入っていて、 ノートには「殺される。逃げよう。」と書いてありました。 彼女はこれを見せるために私の家に来ようとしていました。 彼女はパソコンの掲示板が好きでした。 掲示板にはチェンメが多くありますが、彼女はそれを 信じずに過ごして来て無事でした。 しかし、いつもように掲示板のチェンメを無視していたら、 そのチェンメのいう通りに死にました。 そう、その彼女が無視して死んだのはこれなのです。 ここまで読んでしまったあなたは、死にます。 いつかは分かりません。でも近いうちに必ず死にます。 いつかは分かりません。でも近いうちに必ず死にます。 殺されます。でも心配する事はありません。 これを、違う掲示板に3箇所に貼り付けてください。 彼女はこの行動さえすれば、殺されなかったのです。 私だって、怖いです。だから、貼り付けました。 管理人さん、すみませんでした。 でも、彼女のようになりたくなかったのです。 あなたも、やってください。
521 :代筆者 ◆8g1tHBebCs :2009/11/24(火) 16:12:50 ID:5c9XA8OE0 >>499 さん すみません。秋介さんという方の許可をいただき、ここに代筆してます。(それで代筆者ですww)
522 :つまんね :2009/11/24(火) 23:57:18 ID:TI8iRmcUO >>520 つまんね つーか不謹慎だし 削除しろよこれw
523 :来てね♪ :2009/11/25(水) 12:40:36 ID:ubfJwHLk0 とってもおもしろいブログだよ♪ たまに更新もしてるから見に来てください☆ミ ちょっとエッチなプライベートブログです(*^^*) ttp://stay23meet.web.fc2.com/has/
524 :名無しさん :2009/11/26(木) 17:56:21 ID:z3iP7tyoO >>520 バロス
525 :名無しさん :2009/11/26(木) 22:35:09 ID:w3dQJA9.O >>520 帰れ小学生
526 :ガンジス ◆NUHAMZ6VTQ :2009/11/27(金) 21:17:02 ID:skpjXiMEo オレが高2の夏頃、5歳離れた妹が肝試ししたいとグズりはじめた。 ノらなくていいのに親父まで「いっちゃおうか」なんてはしゃぐ始末。 オレはいわゆる"見える"体質で物心ついた頃からそうだった訳でもなく、若気の至りで色々バチ当たりな事をしてそうなった感じ。 ンで、その頃にはばっちり見えちゃうようになり怪奇現象にも悩まされあまりそっち系には関わりたくなかった、なかったが仕方なく行く事になり 場所は都内某有名巨大霊園 出ネエヨソンナトコ… そう思いながらもマンションを出て通りでタクシーを拾った。 道中、妹は当時オカルトに興味津々でデジカメを持って 「あーでもだんだん怖くなってきたーw」 親父は 「む、瞑想にふけよう」 などとはしゃいでいた。 このような好奇心旺盛ブッ込みタイプが一線を越えた時、七転八倒する事を身を持って知ってた俺は 「あんま調子のんないようにね」 浮かない顔で呟いた。 現地に着くと1メーターちょっとの料金を払い敷地の真ん中辺りから入り肝試しはスタートした。
527 :ガンジス ◆NUHAMZ6VTQ :2009/11/27(金) 21:17:57 ID:skpjXiMEo にしてもここ、敷地がバカに広い、俺と妹は動けるとしても親父は足が悪いので敷地の4/1を2周ほどした。 墓石のないスペースで親父が長ったらしい般若心経を覚者ぶって唱えた以外は、案の定何も起こらず妹は不満気味でそこらじゅうを デジカメでカシャカシャ 「家の裏の墓場知ってる?」 最悪なことを親父は妹に聞いてしまった。 家の裏、正確にはリビングと親父の部屋の裏には寺が焼かれ墓場だけ残った敷地が人目につかず ポツン とある。 ポツンとあるだけなら構わないのだが、実家で飼っている柴犬をリビングで遊ばせていると時々そこから フラフラと来る。 なんつーか輪郭だけで濃くなったり薄くなったり 別になにするわけでもなくリビングを通り抜けるのだった。 時々振り向いて立ち止まる(留まるのがただしいか)やつもいて、そうなると犬ッコロがそいつに吠えたりしていた。 そんな場所を何も知らない親父は愛娘に提案しやがった。俺はさすがにヤバいと思い、親父に今日はもう疲れたから帰ろうと半ば強制して帰路についた。
528 :ガンジス ◆NUHAMZ6VTQ :2009/11/27(金) 21:19:32 ID:skpjXiMEo 家に戻り、撮ったデジカメをお袋に見せてる妹と親父を傍目に俺はシャワーを浴びて、再び支度をした。 裏から呼ばれていたのだ。 おーい、こいよ なんて呼ばれた訳じゃないが、裏の墓場がイメージだけの状態で脳裏にフラッシュしている。こういった時「あぁ呼んでやがる」 と直感で思うのだ。 小さめの懐中電灯とタバコをポケットにいれ、スニーカーを履いた。 「ちょっとコンビニ行ってくるわ」 誰に言うでもなく一言放った瞬間、ツンッと頭痛がした。 「呼んでやがる、間違いなく呼んでやがる。」 マンションを出て左に曲がり、2軒隣の敷地を入った。入って右手にプレハブが建っているが人の住んでいる様子がない。 寺がないから坊さんもいないのか? そのプレハブを背に前を見ると墓地があった、予想以上に荒れていた。そこら中雑草が生い茂り、名の入った墓石が棒倒しに積まれていて墓地中央に古い大木が腰を据えている。漆黒の夜がその雰囲気を醸し出していた。 ツンッツンッツンッと こめかみを突き抜けていく頭痛がする。予兆だ。 ポケットから懐中電灯を取りだし、足元を照らしながら手前にある申し訳程度の階段をおりた。 プレハブ前からも見てとれたが木の看板が傾いて大木の前に突き刺さっていた。土ガエルとかもいて踏まないように、 いや転ばないように注意深く看板に近づいた。
529 :ガンジス ◆NUHAMZ6VTQ :2009/11/27(金) 21:20:29 ID:skpjXiMEo 「苦しまず 悶えず 息もせず 待ちくたびれた場所」長方形の寂れた看板に縦に筆で殴り書きされていたソレを見たしゅうかん ヤバッと声にならない声が出た。足が重い鉛のように重く両肩の裏がアツい。 単発の頭痛に合わせて耳鳴りもしてきた。 ヤバいヤバいヤバい 涙が勝手に頬を流れ、大木に白い湯気(煙?)のようなものが絡まりまくってる。 悲しい、無性に悲しく腹立たしさまで感じてきた。 「チリリリリリリリン…」 黒電話の着信音に設定された携帯の音で我にかえり 急いで踵を返し、ダッシュで階段を上がりプレハブを通過し敷地を出て家に帰った。 自分の部屋にはいりしばらくしても夏なのに寒くて 布団にくるまってタバコをひたすら吸っていた。 その後は大した災いもなく一瞬感情がヤられただけで済んだのだが、それと関係なしに後日そこに眠る彼らに追悼の意も込めて花束を添えておいた。 しかしなんにせよ、やっぱり親父と妹がいかなくて良かった! 俺がいるだけで巻き込んでた可能性が高い。 この墓地は今もあの状態のまま実家の裏にある。
530 :名無しさん :2009/12/02(水) 16:27:11 ID:pR3YCv0k0 代筆者の語り口が良いな。ちょうど良い長さだし、もっと読みたいわ
531 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/03(木) 21:46:55 ID:3RdLatZk0 先日、コトリバコ系の話を聞きました。 蠱毒にも近いかも。呪いの酒のお話。 宜しければ。 【カクシュ】 1/3 友人が以前、日本酒の酒蔵に見学に行ったとき、そこの杜氏さんが教えてくれたという話。 見学の後、旅館で宴会をし、そのまま二次会に入って、部屋で呑み続けるのが普通の流れ だという。いつもは杜氏さんは一次会でお帰りになってしまうのが常だった。 あの仕事は朝早いから。 だが、今回出席された、そのかなりお歳を召した杜氏さんは帰られない。 聞くと、今年の仕込みも終わり、これで引退を考えているので、明日は休みを取ったとの こと。杜氏さんと夜更けまで酒が飲めるなんて中々出来ることではない。 仲間は皆めちゃくちゃ喜んだという。 酔った勢いか、「ココにゃー、恐ろしい酒がある」と、杜氏さんが口を滑らせた。 皆即座に食いついた。 その酒蔵はT県にあり、純米吟醸としては、結構な石高を出しているところだが、そこの 蔵の奥の古蔵には、見るのも呑むのも禁止された、禁断の酒があると言うのだ。 「カクシュ」と杜氏さんは呼んでいた。 杜氏さんいわく、自分も飲んだ事はない。しかし若い頃、箱の封印を解いてその酒瓶を 見た事があるという。 杜氏さんの言ったことを要約すると以下の如し。 口の広い、白い陶器製のカメに入り、同じ陶器製の蓋がはまっていた。 それは大きな骨壷の様にも見えて、気味が悪かった。 凡字のようなものが書かれた細い帯で、何重にも厳重に封印されていた。 かなり古いもののようだった 振るとジャボジャボンと音がした。ゴツっという音も時折する。 蓋を開けると、何か骨のようなものが漬けられていた。 原酒のような、かなり高いアルコール濃度の酒のようだった。 匂いを少し嗅いでみると、気が遠くなった。 何かヤバい気がして、口をつけることが、どうしても出来なかった。 「そこまでしながら、どうして呑まなかったのですか?」と聞くと、畏れ多くて呑めた ものでは無かったという。 杜氏さんはその後、当時の杜氏長に、めちゃくちゃ怒られたそうだ。 もう少し匂いを嗅いでいたら、呪いと毒で本当に死んでいたぞと怒鳴られた。 長は、若い杜氏さんに泣きながら説教したそうだ。
532 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/03(木) 21:47:47 ID:3RdLatZk0 「なんだったんですか?結局?」皆は興味深深。 「変な動物の骨と角を漬けてあった」と、杜氏さんは答えた。 以下はその杜氏さんが杜氏長から内々で教えて貰った、その骨と角の話。 聞いた後、全て忘れろと言われたという。 1800年代。当時T県の山奥の村では飢饉に喘いでいた。時は天保の大飢饉の頃。 平地では食えるものは全て採り尽くしたあと、食用になるものを求めて、ある樵が山中を さ迷っていたとき、山道の向こうから、牛と猿の合いの子のような動物がこちらにトコトコ 歩いてきているのを見た。 樵は思った。 丸々と太ったその動物を仕留めて持って帰れば、村全体が暫くは凌げる。 それともウチの家族だけで独り占めしようか。肉を塩漬けにすれば数ヶ月は持つだろう。 どうやって連れて帰ろうか?ここで殺すか?俺に卸せるのか? 樵の思案を読んだように、その動物は言葉を喋ったという。 「俺を喰っても美味くはないぞ」 「おまえの村に残っている小豆を、少し喰わせてくれたら、おまえの村を救ってやる」と。 樵は考えあぐねた挙句、取り敢えず村まで連れて行くことにした。自分独りでは、 この言葉を話す動物は、手に負えないと思ったから。 そいつは、お気楽な感じで素直にトコトコついて来たそうだ。 既に小豆など、とうの昔に食い尽くし、もう何人も食いぶちを間引いていた村人は、 樵の話などに耳を貸さず、早速にこの動物を殺して卸そうと殺到した。 十数人がかりで打ち据えた。 でも、その動物は鎚や鍬で頭を何回叩かれても死ななかったという。 腹を裂かれ、体をバラバラにされながら、その動物はずっと静かに呪いの言葉を唱えて いたそうだ。 結局、その動物の肉を喰った村人は、じきにその全員が血と自分の臓物を吐いて死んだ。 その肉にありつけなかった女子供や、力の弱い村人だけが逆に生き残ったのだと。 その後、その動物の屍骸はどうなったか? 杜氏長の話はここまでだったという。 何故、忘れなければならない話を俺にしたのかと杜氏さんが問うと、アレを見た者はその 謂れを知る必要があるからだ。と杜氏長は言った。
533 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/03(木) 21:51:09 ID:3RdLatZk0 3/3 酒蔵というものは、本来年貢として徴収されてしまうはずの米の、少しずつの上澄みを 小作から集め、酒にして売り、その金を小作に還元することが出来た数少ない庄屋さんが 前身の場合が多い。村人にとっては当時の現金収入は、何物にも変え難い。 それが本当の意味での「庄屋さま」だ。 故に、そういった酒蔵や醤油蔵は、今でもその地域の盟主であることがが多いのだと。 この酒蔵も例に洩れず、現在は政界財界に口が聞く、その道では知られた存在だという。 ワシはもう辞める。もう、あのカクシュがあるこの蔵に来ることは無い。 アレがあの古蔵にあることは、今の若当主も知らないかも知れない。 この話もあんたたちには関係がない。忘れてくれ。 あんたたちが騒いだところで、何の影響も及ぼすことは無いし、出来ない。 まあ、そもそもあんたたちはアレを見ていないからな。及ぼされる事は無い。 そう杜氏は哄ったという。 酒には呑む以外にも、幾つか用途がある。ひとつは消毒、ひとつは漬けた状態にしての 保存だ。昔は首級も実見に持って行く際には酒樽に漬けていた。 杜氏さんは杜氏長にこう言われたそうだ。 あのカクシュは呑むモノじゃない。あの骨と角を末永く保存するために、清く酒漬けに してあるのだと。 いつか誰かが、何かの目的のために、それを使うことがあるかもしれないから。 終
534 :名無しさん :2009/12/03(木) 23:15:46 ID:A5IOhRzs0 お、おいらさんこちらに移動しましたか。懸命な判断だと思いますよ これからガンガン投下してくれ
535 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/03(木) 23:36:07 ID:AoRIF7pI0 >>534 どもです。こちらはシリーズ物とあんまり怖くない系で。 本スレで叩かれるのも、結構ゾクゾクしますんで、投下は続けるつもりです。
536 :名無しさん :2009/12/04(金) 04:09:17 ID:tRBV9TaU0 おいらさん乙です。 こういう話、好きだなー。十分怖い上に凄く興味深い話ですね。 んでゾクゾクするってあんた、マゾかいw
537 :豚骨Jr :2009/12/06(日) 18:26:23 ID:00826phkO 「父親はアイスがお好き」 初投稿です。 長文駄文ですがよろしければみてください。 今までいくつか霊的体験をしたけど、 これは私がが高校生の頃体験した私の中で一番怖かった話です。 そうですね、あれは高校の夏休みのときでした。 私の父親が突然アイスクリームにはまりましてね、 結構いかつい顔してて、はたからみたらそんな物だべるような人間には見えないんですけど、なぜか毎日大量に(父と私の二人暮らしで4ほんくらい)アイスを買ってくるようになったんですよ。 まあ私もそのおこぼれにありつけるわけですから、全然気にはしていませんでした(笑) でもまあ年もいっているので 私「あんま甘いもんばっか食べよると病気なるよ」 父「そうやなあ、少し控えないかんかもしれん」 私「てか糖尿病とかにもうなっとっちゃない?まあ保険金あるけんはよしんでもらっても構わんけど笑」 父「アホか、まだ死なんわい。まあ近いうち検査はしてこないかんな」 とか何とか話してた日の夜。 私の家は全部の部屋が襖でつながっているタイプのアパートで、 TVは親の部屋にしかなかったので、いつものごとく親とそんなやりとりしながらTV見てて眠くなったのでそこでそのまま寝にはいりました。 「ガサゴソ。ガサゴソ。」 もう部屋も真っ暗の中その物音で目が覚めました。 ものすごい悪寒とともに「泥棒か!?」と思い起きようとすると動けません。金縛りでした。 まあこの頃になると自己流金縛り解除方なんかもあったのであんまり慌てず金縛りとかくとうしていました。 「ガサゴソ。ガサゴソ。」そのおとは激しさを増していきます。 そこで異変に気付きました。何故かその音が冷蔵庫のほうからするのです。 先程もいったとうり私の家は全部屋襖でつながっておりなおかつ年中開けっ放しなので、私の寝ているところから冷蔵庫は確認できました。 そこでわたしは「てかもしかして親父がアイスあさってんじゃない?だったらたすけてもらおう!」という考えにいたり。 恐る恐る薄目を開けると、、、 やっぱり父親が冷蔵庫をあさっています。 「よかったー。」と安心し声が出ないながらも必死に助けをもとめていると、変な事に気付きました。 物凄い、、笑ってるんですよね、顔が。 普段笑わない父親が口を頬までつりあげて。 目は視点が定まってないく、狂気に包まれたその姿に全身の血が引きました。 「1/2」
538 :豚骨Jr :2009/12/06(日) 19:04:52 ID:00826phkO 「父親はアイスがお好き」 もうパニックになり、早くこの状況から逃れたい一心でした。 それでもその姿に目を離せずにいると、私の視界の隅にもう一つ有り得ないものがうつりました。 もう私がその光景に絶えきれず目線をしたに落としたら。 普通に、、親父が、寝てるんですよね。 絶句でした。 親父が二人いるんですよ。全身に鳥肌がたち吐き気がし、恥ずかしながら涙が溢れました。 そして最期の確認のためもう一度父親の姿をしたソレに目を戻すと。 合っちゃいました。目と目が。 その手にはしっかりとアイスが握られていて、先程にもまして狂気を増していました。 そしてそいつは体をこちらに向き直し、一瞬、ほんと一瞬で鼻と鼻がくっつきました。「死んだな。」と思い私気絶しました。 その後10分位で目を覚ましたと思います。最初は夢かと思いましたが、父親の寝ている位置、私の寝ている位置、そして開けっ放しの冷蔵庫をみて、私は半ば狂乱しながら走って家を出ました。 これが私の一番怖かった体験です。 後日親父にこのはなしをすると、「ああ、やっぱりか。すまんかったなあ」と心当たりがあるようでしたが、この件以来父親に不信感を覚えていたので深くは聞きませんでした。 そしてこの件以来私は父親がアイスを食べたとこをみたことがありません。 では、長文しつれいしました。
539 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/06(日) 21:26:03 ID:2oTupN9A0 おいらが何人か知っている、「訳アリ」な女の子の話を。 宜しければ。 【踏切】 1/5 遮断機が降りている。 赤い点滅が辺りの闇を染め、のんのんのんのんと渇いた電鐘の音が鳴り響いている。 列車進行方向指示器の矢印が、「←」で光っている。K崎行きの上り電車が来る。 横に女性が並んだ。見たところ学生?大学の帰りか。急いでいるようだ。 チラ見すると、チェックのスカートから伸びる脚が、暗がりに赤く点滅して、眩しい。 独り身になってしばらく経つよな…。ああ、彼女がホスィ。 催眠効果でぼーっとした車が入り込まないように、点滅と鐘の音のタイミングは微妙に ずらしてあると聞いたことがあったな。…まあいいか。 おいらとその女子大生は、そのまま待ち続けた。 その時から、少しぼーっとしていたのかも知れない。 …。 …。 おかしい。一向に電車の来る気配が無い。何分待たせるんだこの踏切? 右手にヘッドライトの明かりが二つ見えた。やっと来たか。 轟音をあげて、目前を通り過ぎるN武線上り電車。 乗客の数は多くない。夜の電車は車輌の照明で中の様子が良く解るが、妙だったのは、 乗っていた客がみんな、こちらを向いていたことだ。
540 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/06(日) 21:27:08 ID:2oTupN9A0 2/5 おいら達を見ていた。 全ての車輌の全員が、こっちを見つめていた。 その何人かと、はっきりと目が合った。口を開け、何か言いたそうな顔をしていた。 ただ一人、最後尾の車掌さんだけ、後ろの方を指差していた。 「あれを見ろ」とでも、言いたげな顔をしていた。 赤い点滅と電鐘の音、電車通過の轟音の中、ぼーっとそれを見送った。 …何だったんだ今のは?…だめだ、イマイチ解釈出来ない。 点滅と鐘の音はまだ止まらない。また「←」の矢印が赤く光っている。 また上り電車かよ。この赤い点滅と音で思考に蓋をされた中、いい加減イライラしてきた。 横の女子大生が何かブツブツ言っているのに気付いた。彼女も結構イラついているらしい。 そりゃそうかも。 右手を見ると、今度は赤い光が二つ、近づいてきていた。 この時一瞬、思考が回った。おかしい。赤は尾燈の色だろ?遠ざかるはずだぞ? しかし、その赤い光は確かにこちらに向かって来ている。 …あの光は電車じゃない。別の何かだと直感した。耳がキーンとしてきた。 すると突然、横の女子大生が遮断機を押し上げて、踏切の中に入り始めた。 「あ…危ないっすよ!」 流石においらも危険を感じて、腕を掴んで引き戻そうとした。だが、できなかった。 彼女はブツブツ言いながら、無理やり中に入ろうとしている。引き寄せられない。 女性とは思えない、すごい力だ。 右を見ると、二つの赤い光はもうそこまで来ていた。それは電車ではなかった。
541 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/06(日) 21:28:34 ID:2oTupN9A0 3/5 大きな、黒い口だった。 赤く光る双眸が、おいら達を見下ろしていた。何だコイツは? なんだかワニの口のように見えた。確かに爬虫類の感覚があった。何故かは判らないが。 ヤバい。彼女の腕を掴んだ両手に、渾身の力をこめて、こっちに引き戻す。 ビリリと彼女のブラウスが肩口から裂ける音がした。ブラウスの袖が抜けた。 彼女の腕はおいらの両手からすっぽりと抜けて…そのまま彼女は線路の上に踊り出た。 風を切り裂く音が耳をつんざく。バキバキグモバキ!骨肉が砕ける音がした。 その黒い口は、目の前で彼女を頭から飲み込み、そのまま走り抜けていく。 チェックのスカートと、そこから伸びた白い脚が、瞬間目に焼き付いた。 おいらはちぎれたブラウスの袖をもったまま、そいつが闇に消えて行くのを、茫然と 見送るだけだった。 訳がわからない。ただ目の前で女性が一人、線路をやって来た大きな黒い口に喰われた。 くそ、こんな事があったのに、まだ頭がぼーっとしている。動け頭。 電鐘の音が止む。遮断機が上がり始めた。 線路を越えた向こうに誰か居る。暗がりに目を凝らすと、ブラウスの片袖が無い。 さっき喰われた彼女だった。ポカーンとしている。 よかった…無事だった。思わず駆け寄った。 「大丈夫ですか?怪我とかしてませんか?」 「あ…あの、すみません、私…どうかしましたか?」と彼女。 自分が何をしようとしていたか、どうなったか覚えてないらしい。 こっちもまだ心臓がまだバクバクしていたが、息を整えながら、鈍くなった頭で経緯を 思い出せる限り説明してやった。
542 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/06(日) 21:29:33 ID:2oTupN9A0 4/5 説明している間じゅう、不思議な気分だった。ばあちゃんや女の子の霊、ワケの判らない モノは見たこともあるが、あんな怪獣のような具体的な化け物はこれまで見たことが無い。 それも、結果的に見ず知らずの女子大生を助けてしまうとは…。 一種、運命的なものを…感じちゃっていいのかしら?おいらw 「またやっちゃった…気をつけていたのに…」 彼女は胸の真ん中をギューっと握りしめた。…お守りか何かなのか? またやっちゃったって?何なんだこの女子大生? 今の独り言を聞く限り…この子は「訳アリ」の部類に入る。曰く付きの…という意味だ。 「ブラウス、破いてしまってすみません」というと、「あ…」 今更、引き裂かれたブラウスに気付いて、恥ずかしそうに肩口を引き合わす。色っぽい。 取り敢えず近くの交番まで送り、名刺だけ交換して別れた。 思った通り女子大生だった。ミカドさんていうのか。大学のゼミの名刺だった。 「S大学民俗学フィールドワーク」もしかすると、ここも色々と訳アリなゼミなのかも 知れない。大変興味深い。 ただ、おいらはここで致命的な間違いを犯した。何と言うことをしてしまったのか…。 いまさら、どうしようもない。あの時、頭が冴えてさえいれば…と後悔した。 ヘコんだ。流石にその後、何日間か寝込んだ。
543 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/06(日) 21:30:35 ID:2oTupN9A0 +++++ 5/5 彼女の携帯の番号とメアドを交換するのを忘れた。 悔やんでも悔やみきれない。 終
544 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/09(水) 01:36:47 ID:iYJ4qfoc0 知人の友達の「スズキさん」に直接会ったときの話。 宜しければ。 【推理】 1/4 「…彼、アシに入ったのは久しぶりですね」 大学時代にアシスタントのバイトをしていた漫画家先生の家で、同じアシ仲間の モリヤマくんの話題になった。 彼は今、資料のコピーを撮りにコンビニに行っている。もうすぐ戻るだろう。 「なんか、別の仕事で忙しくなっちゃったみたいよ。色々飛び回っているみたい」 先生が、原稿とにらめっこしたままの格好で答えた。 「またしばらく来れなくなるって言ってたな」と別のアシさんが言う。 モリヤマくんが帰ってきた。あれ以来、彼は心霊写真を持って来ていない。 それ故かその週の原稿も無事完成し、その帰り際モリヤマくんはおいらにだけ、そっと 耳打ちをした。 「今度、スズキに会わせてやるよ」
545 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/09(水) 01:37:26 ID:iYJ4qfoc0 2/4 「どうも。スズキです」 この人物がそうか。先日のモリヤマくんの心霊写真に写っていた、スズキさんだ。 心霊スポットで撮ったという彼の写真。その影は、まさに悪魔そのものだった。 それを先生が不用意に口走ったために、白いものが部屋に飛び込んで来て大騒ぎに なったのだ。 ちょっと小太りの、失礼ながらサエない風体の、おじさんタイプのこの人。 年はいくつだろう?モリヤマくんと中学で同級だったということは、まだ大学生だ。 悪いが、これがまた信じられない。こんな疲れた大学生がこの世に居るのか? モリヤマくんが以前言っていた「魂が半分」という表現。確かにそんな感じだ。 彼の肩から、何かが出たり引っ込んだりしているのが見えた。何だあれ? その後、二人がよく使うという喫茶店に入り、奥の席に陣取った。定位置らしい。 店のウエイトレスさんとも知り合いのようだ。 先日とは違う大量の心霊写真を見せて貰いながら、どこら辺のスポットがいいか、 どのポイントを狙えばいいか…そんな話をしているのを横で聞いていた。面白い。 彼らはいつも二人連れだって、心霊スポットを巡っている。スズキさんとは必ず二人 だけで出掛けるらしい。 率先してスケジュールを立て、機材の準備をし、精力的に現地に行こうとするのは、 決まってモリヤマくんの方なのだという。それもかなり頻繁に。 そして、現地で暫く写真など撮ったあと、こういってモリヤマくんが帰宅を促す。 「なかなか会えないな…。今日はこれで終わり」といった感じ。 スズキさんは彼に只々、付いていくだけだそうだ。 そのうち、ウエイトレスのお姉さんが近付いてきて、モリヤマくん宛てに電話がかかって きたことを告げた。仕事が追っかけて来ているのだろうか? 「ごめん、電話だって。ちょっと行ってくる。適当にやってて。この写真もあるからさ」 モリヤマくんは別の写真の束を取り出し、テーブルに置いて行ってしまった。 スズキさんとおいらは二人きり、向い合わせに残された。
546 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/09(水) 01:38:20 ID:iYJ4qfoc0 3/4 適当にやってろと言われても、いま一つ場が持たない。気まずい。 モリヤマくんが置いていった束の中に、以前見た「例の写真」もあることに気付いた。 仕方がない。それを指さしながら、あの夜の話をする。 「いやー、実はこの前、バイト先でこの写真を見てたとき、凄い目に逢いましたよ」 「彼に禁止されていたのに、これを見た先生がまるで悪魔だ!って言いそうにーー」 はっとした。今、おいら自分で何て言った? …ヤバい!この写真の話をしてしまった。ウッカリしていた…。 あいつがまた来る…。白く冷たいやつが…。身を硬くして待った。 …だがあいつは来なかった。 スズキさんが、ははと笑った。 「…はは、そうですよね〜。よくこの写真を見た人に言われてしまいます」 「それも僕が一人の時に、直接言ってくるんですよ。僕だって怖いし、ひどいですよね〜」 え…?いま、この人なんて言った?言われる?スズキさんが、直接? 「あの…ちょっと聞いていいですか?」 「はあ…」 「そういう風にあなたに言った人に、何か起こったりしてます?」 「いえ」 「その時…なにも起こらない?本当に?」 「後からよく言われるんですよ。あの写真は凄かった。まるで悪魔だったって」 「でもその後、その人に何かあったとかいう話は聞かないです」 スズキさんはキョトンとした顔だ。 おかしい。何か変だ。
547 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2009/12/09(水) 01:39:46 ID:iYJ4qfoc0 4/4 おいら達はあの夜、「悪魔」と言いかけただけで、あいつに襲われた。 一方で、この写真をどうのこうの言っても、あいつには遭わない人がいる。 この二つの違いは何だ?頭の中で整理してみた。 状況は3パターンある。 1・先生の家では、居たのは先生とおいらとモリヤマ。居なかったのはスズキ。襲われた。 2・スズキさんが直接言われたときは、居たのはスズキとそれを言った人。居なかったのは モリヤマとおいら。その人は襲われていない。 3・今さっきおいらが口走ってしまったとき、居たのは言ってしまったおいらとスズキ。 居なかったのはモリヤマ。今、彼は電話のために外にいる。で、これも襲われなかった。 スズキさんが原因とは考えられない。「2」と「3」の通り、彼に直接それを言っても、 あいつは来ないのだから。つまり、スズキさんが怒って呼び出している訳ではない。 …ということは、あいつはスズキさんに憑いているモノではない。ということか。 …。 あいつが来るとき、そこにいる人物が一人居る。 その人物が居ないとき、あいつは現れない。 モリヤマくんだ。 彼はあいつが来るのを止められないんじゃない。 彼があいつを呼んだのだ。 終
548 :へ? :2009/12/10(木) 08:34:09 ID:V3u2QSo2O ここで終わり? もう少し実験してみるとかあると思ったら
549 :名無しさん :2009/12/10(木) 20:30:38 ID:kEfJ05gc0 おいら、頼むからここでのみ投下してくれ 本スレで投下すると自治厨の餌食になるだけだよ
550 :スキマ :2009/12/11(金) 12:19:03 ID:Hp3Mm9ew0 初投稿ですがよろしくお願いします。コノ話有名らしいので、もう投稿されていたら すみません。結構短編です。 ある友達からきいたぞっとした話。 ある会社に二人の男性が就職した。仮にAとBとしよう。二人は同期同士なのですぐ仲良くなり、 住所や電話番号、メールアドレスも交換しあった。 就職してから半年程のある日、二人は残業で残り、なんとか仕事をこなして帰ろうとした時のことだった。 「B、これから飲み行かねぇ?今日はおごるからさ。」 「わりぃ、今日は帰るわ。女が待ってるからな。」 「えぇ!?女!?お前いつの間に彼女できたんだよ!いつからつきあってんだ?」 「いや別に彼女とかじゃなくて・・・。部屋にいたんだ。先週から。最初はびっくりしたけどいい人でさ。 いっつも家にいて、留守番してくれてるんだ。あんまり待たせちゃ、悪いだろ。」 「部屋にいたって、お前・・・。その人危ねえんじゃねえの?合鍵もってたって事だろ?ストーカーとか じゃねえの?」 「失礼だなお前。あの人はそんな人じゃ無いよ。さっきも言ったろ。いい人だって。」 「ふ〜ん・・・。」 その時AはBが困っている素振りを全く見せなかったので、気にも留めなかった。 しかし、それから一ヶ月後、いきなりBが会社にこなくなった。メールを打っても返信なし。 電話をかけてもコールするだけで出ない。心配になったAはBの住んでいるアパートに行ってみることにした。 Bの部屋はアパートの二階で、アパート自体は階段の段が一つ外れているくらい古い。家賃がとても安いから 仕方ないとBは言っていた。AはBの部屋の前まで来ると、インターホンを押してみた。 ピンポーン … … … …でない。何かが動く気配すらしない。 もしかしたらなかで倒れたりしているんじゃないか。Aの想像は悪い方へ、悪い方へ進んでいく。 まさかと思い、ドアノブを回してみると……開いた。そっとドアをあけ、中を確認してみる。 玄関の先には居間があって、小さな机があって、そしてBがそこにいた。 周りにはカップラーメンの残骸が散らばっている。とてもどこか具合が悪そうには見えない。 「おいB!なにやってんだ!会社もこないで!」 「・・・いや、しょうがないんだよ、A。悪いとは思ってんだけどさあ・・・。」 BはAのほうは見ずに一点を見つめて話した。 「女が寂しがるんだよ。俺が会社いくと。」 「・・・? 何言ってんだよお前。部屋にはお前しかいないだろ!?」 「お前こそ何言ってんだよ。居るじゃねえかそこに。」 Bがある場所を指差す。そこには、たんすと棚があり、そして 間に 女がいた。 ぺっしゃんこになっているが、 口をひん曲げて笑っている、女がそこにいた。 「あいつ恥ずかしがり屋なんだよ。」 Bが言った。 女と同じような笑い顔をして。 これで終わりです。乱文失礼しました。
551 :名無しさん :2009/12/19(土) 18:34:32 ID:3bKfGr9Y0 こんにちは 初投稿ですがよろしくです 文章力ないのは勘弁してください。あんま怖くないかもしれません これは私が小4の授業参観のときの話です 私は当時、一番前の席に座ってました。 一番前ということで指されやすく案の定その日も私が指されてしまいました 何で私ばかり。と思い答えてると教卓の下に着物姿の女の子がうずくまって泣いているのです 誰かの妹かなぁとのんきに見ていましたが、今思うと現代に着物の女の子なんかいないですよね ているはずないですよね(汗 んで、その子はなぜかずっと泣いてるんですよ 顔を両手で蔽い隠してうわーんうわーんって泣いてるんです なんか、後ろにいる親たちは無関心っていうか気づいてないみたいで (女の子がかわいそうじゃん) とかなんとか思ってるといきなり、私がかわいそうって思ったあたりに女の子の首がゴトンって落ちたんです すっごく怖くて失神寸前でした すると、女の子の首がこっちに寄ってきて、男みたいな声で 「私は可哀想なんかじゃない」 とか言うんですよ その瞬間気絶してしまいました これで話は終わりなのですが、私と同じものをみて気絶した子が何人かいたらしいです 霊感がある子に聞くと、「ああいうのは無視がいいよ」と言われました 結構長くなってしまった・・長文スマソ
552 :名無しさん :2009/12/27(日) 17:44:43 ID:AxzyHlXk0 乙
553 :つぼ :2009/12/27(日) 23:33:14 ID:wgH19HpI0 はじめまして、怖い話すきなので入ってもいいですか?? 手土産にひとつ・・ ある噂を聞いた。近くにある山はでるらしい。いわゆる心霊スポットだ。 オカルトには興味があるのでいってみようと思った。 でも一人じゃ怖いので友人3人誘って4人でいった。 そして山に行ったのだが今のところなにもない。 やっぱ心霊スポットといえば写真。私たちはそこで写真を撮った。 その写真には4人写っていた。
554 :名無しさん :2009/12/28(月) 21:41:03 ID:5Dm6sWkQ0 うおっ怖っ;
555 :ドッペルゲンガー ◆3KWbMxuEzo :2009/12/29(火) 07:19:32 ID:VdvszYuI0 あ・・あれ?4人で行ったなら4人写るはず・・・・・ 謎解きか・・頑張ろうか・・・ まず1人では怖いから、友人3人を連れて、山に行った。 その時点で4人だ、そして写真を撮った。 4人なので4人写るが、4人写るのが何か変なのか? ・・・・・・・・・・・・・・・・ そうか!写真を取る人で、4−1=3になるのか!それで4人写ってるって。 怖いですね^^;
556 :名無しさん :2009/12/30(水) 10:23:02 ID:RM/oaIqAO ワロタw
557 :名無しさん :2009/12/30(水) 19:44:37 ID:8/GawV9I0 タイマー・・・
558 :ドッペルゲンガー ◆3KWbMxuEzo :2010/01/03(日) 21:24:54 ID:JkzWclRg0 それがあったか!!
559 :名無しさん :2010/01/08(金) 00:20:33 ID:8.67NxxM0 2chで書き込み規制かかったからここに書く。 もしよかったら、誰か下のスレに投下して欲しい。 【朝敵】小沢一郎の天罰を強く祈るスレ3 【売国】http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/occult/1260998162/ 小沢には邪神が憑いてるんじゃないかと思って、この間チラッと その道の専門家に相談してみた。 最近の小沢には霊的に嫌なモノを感じたのでね。 専門家曰く、ダキニ神じゃないかとのこと。 信仰しさえすれば如何なる者の願いをも叶える現世利益の神。 かつて邪教・立川流も奉っていたあのダキニだ。 だとしたらマジでリアル朝敵だな。 しかし歴史を振り返るに、邪神を奉じて天皇に弓を引いた者の末路は……。 小沢、ほんと反省するなら早いうちがいいぜ。
560 :名無しさん :2010/01/10(日) 12:14:24 ID:tIdqHQ7s0 >>559 転載しておきました それより、その専門家って信用できるの?
561 :名無しさん :2010/01/10(日) 20:28:01 ID:SLdksz3MO 複数の霊能者に聞いたら、小沢に憑いてるのはまんま『田中角栄の荒霊』と『鬼神アテルイ』だとよ。 安直すぎじゃね? でも、この二人だと小沢の言動が理解できるんだよな…
562 :559 :2010/01/10(日) 23:28:20 ID:BOhnRDK.0 >>560 ありがとうございます。 ご本人に迷惑がかかるといけないからはっきりとは 言えないけれど、その人は霊能力者とかではなく、 皇室関連の歴史を研究している歴史学者です。 小沢とダキニの話は、オカルトというよりはむしろ 論理的かつアカデミックな説明をされましたので、 俺自身は結構納得していますw
563 :不明さn。 :2010/01/11(月) 03:32:49 ID:3VM77f8.0 初めましてー、いつもは見るだけの私。 ですが…何故か入って見たくなったのでお話しを一つ。 文章力…?食べられるんですかソレ。(失礼 怖い、怖くないは置いといて、私の体験談。 当時、私は小学1、2年生でした。 ある時、子供によくある興味、というか探検心で物置に入ってみたのです。 そこで私は、刃毀れし錆び付いた短刀を発見しました。(ヤクザもので出てきそうなアレ…ドス?) 幼き私は、「良い物見っけ!」と喜び、玩具にする事にし、振り回して遊んでいました。 幸い、錆びつきが酷く、紙一枚すら切れない代物だったので、 安全とは言えなくとも危険では無い、と判断したのでしょうか。。 親に見つかれば取上げられる、と知っていた私は誰にも言わず、秘密にしていました。 そして、たまに物置から引っ張り出しては遊んでいたのですが、 ある日、ふと刀身を見てみると黒だか赤だか判らない色の液体が。 その頃の私は結構細かい事は気にしない性格だったので洗い流し、遊びを続行… 遊びを終え、元の場所に置いて物置の扉を閉めました。 次の日も物置から短刀を出そうと入ってみると、置いたはずの場所には在りませんでした。 数時間ほど探しては見たものの、どこにも無い。 諦めて自室へ戻ってTVゲームでもしようと思った時、左手に違和感を感じ、見てみると 手首に薄っすらと残った、刃物を押し当てた様な傷跡と前日の刀身についていた赤黒い液体がべったりと… 以上ですよ。 その後、短刀は幾ら探しても見つかりませんでした。 今も傷跡は残っていますが…まぁ、生活に支障は無いし、 他人に見られても「自殺未遂者?」と勘違いされる程度なので傷跡の事は気にしてはいませんが。 不可解なので、あの出来事自体は気にはなっているのです。。。
564 :名無しさん :2010/01/12(火) 11:35:02 ID:BIkegKQ60 投稿乙
565 :名無しさん :2010/01/12(火) 19:01:48 ID:qtw5hviUO マサさん、まだ?
566 :名無しさん :2010/01/12(火) 20:36:05 ID:enHyqCkg0 清田ゆうじ殺す! 清田ゆうじ殺す! 清田ゆうじ殺す! 清田ゆうじ殺す! 清田ゆうじ殺す!
567 :なまあし :2010/01/13(水) 13:40:15 ID:QiBcKHNIO >>566 ここはストレス書き込む板じゃないぞクソガキ
568 :名無しさん :2010/01/13(水) 18:14:26 ID:7WEIxmgQO マサさん…
569 :名無しさん :2010/01/13(水) 22:02:37 ID:xn46hScM0 >550 それは桜金造さんの話。 元の話のほうが怖いよ。 ようつべとかで見られる。
570 :名無しさん :2010/01/14(木) 12:13:44 ID:9bqCDOlM0 マサさんシリーズの人、心配だな
571 :名無しさん :2010/01/15(金) 20:25:16 ID:wx1pIaw20 >>566 もしかして、2chじゃないから通報されないとでも思ってるのだろうか・・・
572 :名無しさん :2010/01/16(土) 23:31:27 ID:9ilS60420 >>570 だよね。 生存だけでも知らせて貰えないかな…
573 :名無しさん :2010/01/17(日) 01:19:16 ID:ZtB0JhQI0 1 ただ忙しいだけ 2 オカルト事件に巻き込まれてる 3 どっかの宗教団体に消された どれだ
574 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2010/01/17(日) 18:27:05 ID:fJ3UDovY0 【勧誘】 1/5 S大学前駅でO急線の電車を降りた。 駅名にもなっている大学へと足を向ける。今日はそこの学園祭。露店からウィンナーを焼く 匂いがしてきた。どこの大学も学園祭と言えば、それほど変わらないものだ。 別棟の三階に登る。右手の廊下の奥、暗がりにエスニック風な手書きの看板が見えてきた。 「民俗学研究室」。お目当ての場所だ。 部屋に入ると、アジアっぽいお香の匂いが立ち込めている。微かにガムランの音色。 ゼミの研究展示と、その時のお土産だろうか、ちょっとした喫茶と雑貨の販売をしている ようだ。まだ午前中のためか、客はあまり入っていないように見えた。 民俗学というと、柳田國男に代表される日本ぽいイメージだが、ここは少し様子が違う。 どちらかというと世界各地を回って、エスニカルな見識を集めているのだろう。全体に 色彩豊かな工芸品の展示で固められている。 こう見ていると、やっぱり東南アジア方面は人気があるなぁ。 教授に付いていくとは言え、学生身分で毎度海外へ渡航するとなると、結構金がかかる だろうに。逆に、家が金持ちでなければ無理かもしれない。高いかもな…ここの学費。 案内の学生に声をかけられた。髪はサラリとしたショートに薄い眼鏡。朱いサリーを着て いる。彼女はインド系がお好みか。見回すとスタッフは殆どが女性で、しかも思い思いの 民族衣装を着ている。 なるほど、室内を見るとタイかバリ風のヒーリングサロンのような雰囲気だ。ここまで 固められてしまうと、一見の男性は逆に気恥ずかしくて入り難いだろう。
575 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2010/01/17(日) 18:28:03 ID:fJ3UDovY0 2/5 …と、そんなことは言ってられない。名刺入れから一枚の名刺を出した。 「民俗学フィールドワークゼミのミカドさんて、いらっしゃいますか?」 自分の名前を名乗りながら、ミカドさんを訪ねた。 「今日、エリって来てるっけ?知り合いの方だって」 彼女は笑顔で取り次いでくれた。 「あのー、ミカドですけど…あ!どうも、この前はありがとうございました」 最初、聞き慣れない名前に不審そうな顔をして、控えから出てきた女性。 ミカドさんだ。おいらの顔は忘れてなかったようだ。感激した。 彼女は先日、N部線の怪しい踏切で、大きな黒い口に喰われそうになった女子大生。 偶然にも、おいらが助けた格好になってしまった。 あの夜、携帯の番号を交換し損なって、ずっと気になっていた。彼女の美貌もそうだが、 あの大きな黒い口のことが、気に掛かっていた。あれから同じような目に遭っていない だろうか。 あの赤いチェックのスカートと白い脚が、アンなことやコンなことになってやしないか。 他人ごとながら心配していた。 それから一回だけ、おいらの勤務先に彼女からメールが来たことがある。今度、学園祭で 研究室の展示をするので、良かったら一回見にきて欲しいと。 当然、小躍りして喜んだ。その日以来、楽しみにしてきたのが、本日この学園祭だという 訳だ。
576 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2010/01/17(日) 18:28:39 ID:fJ3UDovY0 3/5 「どうも。ご招待頂いたので、来てみました。いい雰囲気の展示ですね」 「わざわざお越し頂いちゃって、すみません。とりあえず座ってください」 ミカドさん、今日は白いスカートに薄いサーモンのジャケット。今日は非番なのか、他の 学生と違って私服だった。 しつらえられた喫茶席に通される。学園祭らしく普通のパイプ椅子にアフガンストールを 掛けただけの簡素なものだ。先程のショート髪のサリーの子が、注文を聞いてきた。 しっかりしてる。 実のところコーヒーが欲しかったが、ここは場に合わせてチャイを二つ頼んだ。 「どうです?あれからまた変な目に遭ったりしてませんか?こっちも気になって…」 「あれからは…特に変わったことはないです」 そこに、チャイを持ってきたショートのサリーちゃんが、横から口を挟んだ。 「うそ…また遭ったの?エリの『スタンド』、黒くて大きいもんね」 「トモちゃん、ダメだって…」 「だって大丈夫じゃん。あんたの彼氏、霊能力者だし。エリも怪我なんてしないし」 「ね、彼も実は『スタンド』持ってるんでしょ。羨ましーわー」 黒くて大きい『スタンド』?霊能力者?何言ってるんだ、このメガネっ子? …って今、この子『彼氏』って言ったか?言ったよな? …まー、そういうもんだよな…普通。これだけの美人だし、そら居るわな、彼氏くらい。 心底ガックリきたのも束の間で、おいらは『黒くて大きなスタンド』という言葉に、見事 釣り上げられた。どういうことだ?あの時の、大きいワニの口のことか? 熱いチャイを少しすすった。シナモンは香り高いが、ちょっと甘すぎる。
577 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2010/01/17(日) 18:29:10 ID:fJ3UDovY0 4/5 『スタンド』か…。確かに上手い喩えだと思った。おいらもジョジョは好きだ。 ということは、ミカドさんがあのワニの化け物を「出す」ということなのか? もしそうだとして、なぜ彼女がそれに襲われる? 「その『スタンド』って、この前、踏切で遭ったのと同じものですか?」 「…」 「いや、いいです。すみません、込み入ったこと聞いて」 「いえ、…あの夜と同じものだと思います。みんなは『スタンド』って呼んでますが」 ちょっと待て。みんなって…そんなに有名なの?そんなに頻繁に出てくるものなの? 「中学校の時に海外旅行に行ってから、時々出てくるようになりました。一緒に居た みんなも同時に見ることがあります。このトモちゃんも、去年の夏に伊豆の合宿で−」 「そうそう!あの時もエリの彼氏がすっぱり鎮めちゃったんだよね。カッコ良かったー」 はぁ…そうですか。開いた口が塞がらない。気付くと、他のスタッフの学生も会話の輪に 入ってきていた。みんな口々にミカドさんのスタンドとやらの凄さと、その彼氏の能力を 誉めそやしている。あの…ここは、ああいうのが当たり前のゼミなのでしょうか? 彼氏の職業は各地の「地脈」を鎮めるため、日本中を飛び回る「ナントカ心霊研究所」の 行動員(アクティベート・スタッフ)なのだという。 終いには、おいらの体験談をいろいろ根掘り葉掘り聞かれ、それに適当な解釈を付けられ、 その「ナントカ心霊研究所」の連絡先メモを握らされ、挙句には紹介されるところだった。 大学の頃、しつこく折伏し勧誘してきた、学会の学生構成員の連中のことを思い出した。 あの時、幾重にもおいらを囲んで、執拗に説得してきたやつらの目とそっくりだった。 おいらはぞっとして何回も頭を下げ、丁重に辞退した。 そして逃げるようにS大学を後にした。
578 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2010/01/17(日) 18:29:40 ID:fJ3UDovY0 5/5 あちゃー。あいつらはモノホンかも。おいらも個人的な霊体験はあるが、霊媒や祈祷師、 その類だけは願い下げだ。今まで相談しに行ったことは無いし、これから行くことも無い だろう。正直そういった連中は、どこかイカれていると、今でも思ってる。 あのS大民俗学フィールドワークゼミの連中も、基本的には同じなのだろうか? 世界各国の風俗に伝わる神秘とロマンと伝説に、現地を回ってどっぷり浸かっているうちに、 向こう側の仄暗い深みに、ズブズブと嵌り込んでいくのだ。 そして最後、もうこちら側には戻れない。 折角の気品と美貌を兼ね備えたミカドさん。ああミカドさん…。 周りがあんな真性オカルトだらけでは心配だ。このままでは後戻りできなくなってしまう。 きっと、愛する人をカルトに持っていかれる焦燥感と似たような感覚なのかもしれない。 これはかなりハードでタフな問題だと実感した。 一つ名案が閃いた。 彼女の『スタンド』とやらについても、別な解釈が与えられるかもしれない。 きっと面白いことになるに違いない。いつか彼女を連れて行ってやろう。 おいらの恩人、広島弁三船敏郎声のヒッピージジイが良く来る、上野の飲み屋に。 「ナントカ心霊研究所」とかと違って、あのジジイは知る限り、きっとロンリーだ。 法外な金を取られることもないだろう。一二杯おごってやればいいしな。 終
579 :名無しさん :2010/01/18(月) 03:01:14 ID:T/t9Lhp60 >>573 4 スランプで続きがまだ書けていない 5 関連する掲示板全てに書き込めない てか、生きてるよね…
580 :名無しさん :2010/01/25(月) 12:57:18 ID:kZOkkxKY0 おいら乙!
581 :名無しさん :2010/01/25(月) 12:58:49 ID:kZOkkxKY0 >5 関連する掲示板全てに書き込めない 投稿する前に何度も書き込みテストしてたから可能性あるんだよな それなら、投票所の「祟られ屋シリーズ」のコメント欄になんか一言欲しい
582 :名無しさん :2010/01/27(水) 00:45:07 ID:VTVMaOmM0 祟られ屋の作者さん、 入院中ではないだろうね? カルトを敵に回すと怪我が絶えないよ。
583 :名無しさん :2010/01/28(木) 22:51:58 ID:.c51xxOI0 6 マサさん達のモデルとなった実在の人物から、ダメ出し食らって謹慎中
584 :名無しさん :2010/02/04(木) 19:34:17 ID:Xd.QpWXI0 もうここに投下する人もめっきり減ったなあ
585 :初コメスナイパー :2010/02/07(日) 16:30:29 ID:vfN6pTz20 こわいよ〜 昨日見た夢こわいよ〜
586 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2010/02/08(月) 17:18:26 ID:hdrgXARs0 【空に叫ぶ】 1/3 仕事に就いたころ、彼女と一軒家に賃貸で住んだことがある。三角屋根の一棟を左右に 半分にした二世帯住宅だ。隣には別の夫婦が住んでいた。丁度子供さんが大学に入って、 子育てに一段落ついたくらいのお年のようだ。二人でお暮らしだった。半年くらい経って、 夏の休日の昼間に二階の机に向かっていたところ、隣の下のベランダから、隣の奥さんが 誰かと口論しているのが聞こえてきた。結構な大声だ。 喧嘩でもしているのだろうか?…だが、相手の声は聞こえなかった。 「お父さんの体だけ狙ってる泥棒猫!」 「子供すら作れない癖に!」 「お父さんに何て言ったのよ!」 「嗚呼、イヤラシイ」 「殺してやりたい!きっと殺す!私は負けない!」 聞くに耐えない。普通なら大声で叫ぶなんて、いくら何でも憚られる内容だった。 誰と話をしているんだろうか?こんな際どい内容だし、たぶん身内だろう。おいらは首を 延ばして、開いた窓から声の聞こえる方を覗き込んだ。ベランダに出ている彼女が見えた。 彼女はこちらには気づいていない様だ。 「また来てる!このウチは私のものよ!何で来てるのよ!」 家の中に誰かいるのか。親戚でも来ているのか? だが違っていた。彼女は物干し台の横に仁王立ちになって、ベランダの向こうの木立の方を 睨みつけ、空に向かって叫んでいた。 「イヤラシイ!あんたのせいだ!」 あーぁ。と思った。いわゆる統合失調症、略して「統失」というヤツだ。
587 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2010/02/08(月) 17:19:16 ID:hdrgXARs0 2/3 おいらはこの日が初めてだったのだが、彼女に言わせると、旦那さんが居ない昼間、 決まった時間にあれが始まるのだという。会話の内容は、ほぼ決まってあんな感じ。 何か、不倫の恋仇相手に戦いを挑んでいるようだ。これが始まると、流石においらの彼女も 外で干し物が出来なくなる。外に出られないのだ。 その年の年末、お隣り宛にお歳暮が届いたらしい。そしてその日の午後、また始まった。 「こんなお歳暮で騙されると思ってるの?」 「何とか言ったらどうなのよ!」 「こんなものお返しするわ。イヤラシイ。もう二度と送って来ないで!」 今度は部屋に置かれたお歳暮の包み相手に戦っているらしい。いつものパターンだ。 しかし、いつ聞いても猥雑で一方的な叫び。気分が悪くなる。 ビビったのは、その夜、そのお歳暮がおいらたちの家の玄関先に置かれていたことだ。 手紙が添えてあった。『今度、こんな事をしたら、本当に殺します』と赤いボールペンで 殴り書きがしてあった。再度、隣に返す訳にもいかないので、まんま捨てた。 包丁でメッタ刺しにしたのか、包みがズタズタに切り裂かれていた。詰め折のハムにまで 達する程だった。よほど力任せに刺したのだろう。ぞっとした。 これは彼女の頭の中で、隣の住人であるおいらたちが、視界に入って来たということを 意味する。しかも、彼女にとって友好的なキャラでは決してなさそうだ。 流石に、おいら達も身の危険を感じて、この件は大屋に相談した。だが、直接被害を受けて いない状況ではどうすることも出来ない。いつもは普通に会話出来るのだ。暴力沙汰を 起こしているわけでもないので、警察にも相談出来ない。 しかし、一旦スイッチが入ってしまうと、何をするか皆目検討がつかない。 大屋さんから、旦那さんにそれとなく言ってくれないかとも頼んだが、家庭内の事情だし、 そもそも旦那の居るところでは発症しないので、旦那には実感が伴わないのだという。 故に病院で診察を受けさせることも叶わない。
588 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2010/02/08(月) 17:20:19 ID:hdrgXARs0 3/3 「だって、旦那の不倫も原因の一つではないの?」と喉まで出かかったが、その証拠もない。おいらも意を決して、一回隣の旦那に会いに行ったことがある。 「まあ、ウチの問題ですからね。済みませんが、おひきとり下さい」 面倒臭そうに旦那に言われ、ここで成す術が無くなった。完全に八方塞がりだ。 その時には、こっちの彼女のストレスも、もう限界に来ていた。 …潮時だ。おいらたちがこの家を出る事にした。これ以上ここには居られない。 引っ越しのトラックに積み込みが終わったところで、当人夫婦が出てきて見送りに来た。 今日はまともだ。旦那が横に居るからか。 「まあ、折角お隣りになったのに、もう越されてしまうの?淋しいわ」 よくもヌケヌケと。しかし、今の状態の彼女には全く悪気は無い。これが始末に悪い。 誰のせいでこうなったか、今この場で言ってやろうか!とも思ったが、横に居た彼女の 一言に毒気を抜かれてしまった。 「奥さん、…死ぬまでずっとあのままなのかな…」 彼女にとって何が敵なのか?多分全てだ。彼女を気遣いもせず、治療させようともしない 旦那、ことなかれで傍観する大屋、今こうやって逃げ出すおいら達、そして彼女自身の頭。 …彼女の身近を取り巻く全てと、彼女自身が、彼女の敵なのだ。 車に乗り、運転しながらそう考えていると、少しばかり奥さんが気の毒になった。 終わり
589 :はかた :2010/02/09(火) 16:15:32 ID:oMdsvcl.O 五年前くらいの話なんやけど地元に何棟か並んで建ってあるラブホがあって、その前の道を彼女と車で走ってたら、おれが「一番左のホテルいきなり改装工事しよるやん」て話たらめちゃ霊感強い彼女が「あんまり見ないで!!」て言うからどした?て聞いたら「窓と壁の間に女の人がういてる」で彼女曰わく目が合ってずっと見てたからヤバい!何て言うから、「おいおい勘弁してくださいよ〜」何て話してたら彼女がバックミラー見て「着いてきてる!」て言うから見えない俺は「どんな感じの奴や?」て言うと「歩く動きでスーーと着いてきてる!」そのラブホの裏は工場ばかりで暗くて民家が少ないからびびった俺はアクセルを踏み込んだ時に「キャー!!」て彼女が叫んだ。「どうした!?」て聞くと異常に怖がってる彼女が「さっき女の人が車を抜いて前に飛び出した…」そして俺が「どんな奴やった?」て聞くと「前に飛び出して俺の方見ながら気持ち悪いくらい笑ってた…しかも左手から血がダラダラ流れてた」何て言うから俺関係ないやん!何やそれ!とか言ってると彼女が後ろ首を抑えて「痛い痛い痛いやめて!」て言うからパニクった俺が助手席に体ごと向けて「何言よるとお前?どした?!」て言うと 「さっき女の人が後ろから私の首を手で刺してきてる!!」 完全にパニクってる彼女、でも倍に俺がパニクってた。どんな感じでしよると?て聞くと彼女が手を平泳ぎみたいに動かした。どういう事?て聞くと 「首から私の中に入ってこようとしてる!!!」 完全にびびった俺はとりあえず彼女に落ち着かせながら大通りまで出た。かなり明るいとこまで行ったら女の人が消えてた。彼女曰わくラブホの改装工事と女の人は多分関係あるらしい。こういうの書くの初めてなんで下手ですんません。皆さんエッチをする時は場所を選びましょう。
590 :名無しさん :2010/02/09(火) 23:04:10 ID:8o/HNpVc0 koeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!
591 :名無しさん :2010/02/13(土) 01:35:48 ID:uaW.wAcwO 基本ロム専なんですが、勇気を持ってカキコさせてもらいます。 自分は5年前とか昔の怖い話とか「なにを今更…」と怖さが半減してしまい、好きな洒落怖は最近の話や現在進行形の類いです。 そんな自分が、つい先日(2月4日)経験したホットな話。 その日、浮気相手とラブホに行きました。そのラブホっていうのが、昨年女性がベランダで首を吊って亡くなったラブホ(友人が第一発見者)であまり行きたくはなかったんですが、部屋は綺麗で広く行き慣れてるし、地元だと彼女や彼女の友人に目撃される恐れがあるため、そこへ泊まることにした。まぁどこの部屋で自殺したのかも判らないし、30部屋あるんで運悪く自殺した部屋を選ばないかと…… それでひとしきり行為も終わり、2時くらいだったかな、浅い眠りに入ったぐらいに足元(ベッド)を思いっきりバンバンバンと3回ぐらい叩く音と振動がした。勿論、浮気相手は横で寝ている。すっかり自殺の件も忘れていた俺は気のせいかな?と思い、すぐ眠りにつこうとした。すると今度は自分が寝ている側のベッドの横で物が床に叩きつけられるような音がした。なんか落としたか?と思い、床をみると枕が落ちていた。ちなみにココのラブホは枕が二種類あり、1つは低反発でもう1つは羽根枕。 続き なんだ枕か……ちょっと待てよ。。。俺、枕2つを重ねて寝てたのになんで片方の枕が床に落ちんのよ(汗)。その瞬間、最悪なことにあの件を思いだしてしまった。 だが、あぁ〜オカルト板に書けるなぁって若干余裕があったのか、軽く笑みというかフッと吹いた瞬間、気が遠退くものを見てしまった。はっきり言って思い出したくもないし、カキコしたらまた出そうで。 でも勇気を出して書きます。フッと吹いた時カーテンの隙間から女の人の顔だけが目を真っ赤にして睨んでいました。(今寒気がしました) もうそこから記憶がないんですが、気を失ったのかすべてが夢だったのか今でも判りかねます。ただ今まではっきり見たことがなかったのでその絶望感たるや…… 自分の憶測ですが、自殺した女性は浮気や不倫の縺れだったんじゃないかと……そこで浮気している自分を見て、怒り怨念から出てきたのかなと…… 今は早く成仏していただきたい、それだけです。 長文駄文失礼。
592 :名無しさん :2010/02/13(土) 13:51:56 ID:/TWVAKx20 ここに書き込んだやつ死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
593 :名無しさん :2010/02/13(土) 13:55:48 ID:/TWVAKx20 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死値死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
594 :名無しさん :2010/02/13(土) 17:54:37 ID:zuUZulOI0 >>592-593 なにゆえ? もちろん君自身も含めてだよね?
595 :名無しさん :2010/02/16(火) 23:31:22 ID:tuud0yI20 そっとしといてやれ
596 :名無しさん :2010/02/19(金) 16:08:38 ID:yu9AjNfk0 私の友達にカズ君と言う方がいます。カズ君は私の中学校からの友人で俗に言うDQNなのですが 誰にでも優しくゲーマーでアニメ好き、喧嘩がとても強いのですが、先輩の理不尽なカンパで マジ切れした時の1回だけしか暴力を見た事がありません。 そんなカズ君と仲が良かった為、中学の時は私や私のヲタク友達はいじめられずに過ごす事ができ ヲタク仲間の間では【神】と言うあだ名が付くほどでした。 カズ君とは高校が別になってしまい会う機会も減りときどきメールをする程度になりました。 高校を卒業した頃にはメールもしなくなっていました。 私は就職をし忙しい日々を送ってカズ君の事など忘れていたそんなある日、仕事を終えて家に帰る途中 高校生ぐらいのDQNに絡まれて、金を取られていました・・・ そこにたまたま、あのカズ君が通りかかりました。 カズ君は私に気が付くとツカツカつ近づいてきて、『なに?w今時カツアゲなんかされてんのwww』っと 私に聞きました。私が『うん・・・』っと言うと同時にDQN3人組みが地面にうずくまっていました。 カズ君はDQN3人を路上に正座させると、『お前らみたいなカスに俺の同士が結構、被害に会っててさ もうお前らこの国にイラネw』と言うと、携帯を取り出し何処かに電話をしはじめました。 電話に聞き耳を立てていると、カズ君は『3人行ける?おk。明日ね!時間はいつも通り^^』っと言うと 今度は『ジャイかアドいる?』っと言うと(メキシコと言う単語が聞き取れたので多分、南米の方)外国語で 喋り出しました。2,3分ほど話をした後、カズ君は私に後で頼みたい事があるから 携帯教えてよ。っと言い私の番号を登録した後3人を連れて何処かに行ってしまいました・・・ 次の日、カズ君から電話が来て地元の喫茶店で会う事になりました。 会うなり私は昨日の奴らどうしたの?っと聞くとカズ君は『島流しww』っと言って笑った後 真面目な顔で『じゃ、本題ね。』っと言いカバンから封筒を2つ取り出すと 『これは昨日のお礼、好きに使ってよ。っと私に封筒を一つ置いていきました』 そして『こっちはのはお願いなんだけどさ、俺今月さ日本に居ないんだ。だからWF(ワンダーフェスタ)で これ買っといてww』っと封筒と商品のメモをもらいました。 すると『じゃ、お願いね。予定あるからもういくわ』っと言いすぐに帰ってしまいました。 家に帰り私は預かった封筒を見ると新札の100万円の束が出てきました。 私の方には50万入っていました。(怖くていまだに使ってません。) ちょっと急いで書くので誤字、脱字、失言ごめんなさい。 そんで、WFに買いに行ったのはいんだけど、俺やっちまったんだよ・・・ いつもみたいにさ、やっちまったんだよ。 並びながらメモ見てたらさ、※最悪他の買えなかったとしても、これだけは買っておけ!って 2個だけでかく名前書いてたった。 その下に(もしこの2個すら買えなかったら、お前も島流しwww)って書いてあった。 でもさ、俺やちまったよ。 そうなんだ 俺、毎年さ徹夜組なんだよ・・・・ 書いてる今もどうしたらいいかわかんない めっちゃ電話かかって来るもう時間ないぽい怖い厳寒だれかいるしまじこわいおれたぶんしn
597 :777 :2010/02/21(日) 09:50:53 ID:Ny6ECpdA0 ghjdgほうえふおえtひょ@えよえ
598 :名無しさん :2010/02/21(日) 10:10:57 ID:/256Y6KEo その金があればワンフェスで 買いそびれあっても手に入れられるじゃん。 問題無いわ。 逆オクすればいいだけよ。
599 : ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:22:04 ID:6qXL85WU0 おひさしぶりです。 急な事情で、半年以上ネットのない環境に居たもので、ご無沙汰しました。 たくさんの方にご心配頂いたようで、恐縮至極でございます。 話は、ほぼ書き上がっていたのですが、非常に膨大になったことと、内容上の問題から削除・書き換えの必要が生じて投稿できませんでした。 以前書き上げた物の一部となりますが、投稿させていただきます。
600 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:25:38 ID:6qXL85WU0 シンさん、そしてキムさんに暇を貰った俺は、久々に愛車を引っ張り出してロングツーリングに出ることになった。 ただ、暇を貰ったと言っても、全くの自由行動と言う訳ではなかった。 シンさんが指定した幾つかのポイント・・・所謂『パワースポット』を廻って来いという指示が含まれていた。 俺は、キムさんから念入りに『気』を取り込む行法をレクチャーされた。 旅の目的は、その時はまだ自覚症状が無かったものの、自律的回復が困難な段階になっていた『心身のダメージ』を抜く事に有った。 以前、世話になった住職の言葉を借りれば『魔境』の一歩手前の段階にあったのだと思う。 その頃の俺は、俺の身を案じてくれるシンさんやキムさんの気持ちをありがたく思いながらも、一つの目論見を持っていた。 この旅を奇貨として、失踪を図るつもりだったのだ。 自分自身の変調に自覚症状が無かった事もあるが、想定外に長くなった異常な生活に心底嫌気が差していたのだ。 嫌気が差したと言っても、辞表を出して「はいそうですか」と言って辞めさせて貰えるはずもない事は俺にも判っていた。 キムさんから貰っていた『表』の仕事のサラリーは悪くない額だった。 『裏』の仕事のギャラは不定期だったが、元の職場で10年勤めても得られない額が殆ど手付かずで残っていた。 特に使い道も無く貯まった預金通帳の残高は、5年や10年なら潜伏するに十分な額があった。 逃亡資金が尽きて、最悪、ダンボール生活に堕ちても、それはそれで構わない。 消されるリスクを冒してでも、俺は異常な世界から逃げ出したかった。 さいわい、その頃の俺に失ったり捨てたりして惜しいものなど何もなかったのだ。
601 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:26:22 ID:6qXL85WU0 そんな考えに至る事自体が『魔境』に嵌り掛けていた『症状』そのものだったのかもしれない。 俺の計画を見透かすかのように、俺の旅には同行者が付けられることになった。 同行者の名は安東 勇・・・俺の出入りしていた空手道場の練習生だった。 少年部上がりのイサムは、キャリアは長いが万年茶帯の幽霊会員だった。 顔を合わせたのも2・3度で、見覚えは有るが特に印象の無い男だった。 だが、イサムと俺には意外な共通点があった。 イサム・・・安 勇(アン ヨン)は、かつてマサさんのクライアントとして、彼の姉と共に例の『井戸』のある『結界の地』に滞在した事があったのだ。 イサムに引き合わされる数日前に、それとは知らずに姉の方とは会っていた。 マサさんに連れられて、ツーリングの道中に身に付ける『お守り』を作るために引き合わされた女がイサムの姉だった。 イサムからは『能力者』の雰囲気は感じられなかったが、姉の方はゾクゾク来る『雰囲気』があった。 彼女が発する独特の雰囲気は、そう、かつて俺がこの世界に入るきっかけとなった事件で『生霊』を飛ばしてきた女に非常に似ていた。 違っていたのは、マサさんに向ける視線が艶を含んだ『オンナ』のそれだったことだった事か? マサさんと女の微妙な間に、『このオッサンにも春が来たかw』と思ってニヤリとしたが、あえて突っ込む事はしなかった。 詳しい事情は判らないが、マサさんにとって安東姉弟が信頼の置ける人物なのは確かだった。
602 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:27:18 ID:6qXL85WU0 幾つかの行法の指導を受け、イサムの姉にパワーストーンの『お守り』を作ってもらいながら、俺は旅の準備を進めた。 放電し切って液も蒸発し、サルフェーションを起したバッテリーを交換。 オイルやフィルターも交換して、タイヤも前後新品にした。 久々に火を入れた147馬力のエンジンは10数年落ちの車齢が嘘のように快調な吹け上がりだ。 少々煩いノイズはご愛嬌。 リアシートに荷物を括り付け、タンクバッグにはマップ。 久々に腕を通したジャケットの革が硬い。 170サイズのリアタイヤが埃っぽいアスファルトを蹴り出して、俺とイサムの旅が始まった。 基本的にテントと寝袋で野宿しながら、時には倉庫の片隅などに寝泊りしながら、俺達はシンさんに指定された『ポイント』の半分ほどを回り終えていた。 移動の便宜を考慮してくれたのか、シンさんの指定したポイントはバイク移動に支障のある場所は殆ど無かった。 だが、その場所は少々勝手が違っていた。 詳しい位置が指定されておらず『管理人』の連絡先だけが指示されていた。 俺は、シンさんに渡されたメモを頼りに管理人の熊倉氏に連絡を入れ、指定の場所を訪れた。 促されてバイクを待ち合わせ場所のガレージに入れると、熊倉氏は表に停まっていたジムニーを『乗れ』と指差した。
603 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:28:09 ID:6qXL85WU0 長身のイサムは後ろで荷物に押しやられながら「狭い!」と呻いていた。 熊倉氏は、淡々と車を走らせ、やがて山に入っていった。 かなり舗装の傷んだ道路を暫く上ると、やがて林道だろうか、車一台がやっとと言った未舗装道路に入った。 オフ車ならそれなりに楽しそうだが、オンロードバイクにはちょっと厳しい道程だ。 雨でも降れば普通の乗用車はスタックしそうだし、ランクルのような図体のデカイ四輪駆動車ではストレスが貯まりそうな道だった。 暫く進むと開けた場所に出て、山小屋が現われた。 車を降りると濃密な空気が肺を満たした。 聞こえるのは沢を流れる水音だけで、ひんやりとした空気が心地よい。 意外なことに、この山小屋は・・・いや、この山自体が榊氏の持ち物らしい。 荷物を下して山小屋に入ると、事前に熊倉氏が運び込んだのだろう、一週間分くらいの食料品が運び込まれていた。 俺とイサムが腰を下すと、熊倉氏はそのまま厨房に立ち、食事の用意を始めた。 殆ど口を開かず、神経質な雰囲気の熊倉氏は取っ付きにくい印象だった。 イサムは俺以上に居心地が悪そうだった。
604 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:29:10 ID:6qXL85WU0 囲炉裏に火を起こし、鍋を吊るした。 釜から飯をよそって食事を始めると、やっと熊倉氏が口を開いた。 「どうだ?」 イサムが「美味いです」と答えると、ニヤッと笑って「そうじゃないよ」と言って俺の方に鋭い視線を向けた。 「この山のことですか?」 「そうだ」 「自分らは、あちこち廻って来たんですが・・・この山ほど濃厚で強い『気』が満ちている場所はありませんでしたね」 「俺に『気』だ、何だといった話を振られても答えようが無いんだが、まあ、アンタが言うならそうなんだろうな」 熊倉氏は俺の顔をじっと見つめながら言った。 「シンさんから聞いてはいたんだが・・・似てるな」 「?」 「榊さんの息子は、私の学生時代の友人でね・・・シンさんも言っていたが、アンタは友人に良く似てるよ」 「そうですか・・・」
605 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:30:08 ID:6qXL85WU0 翌朝、俺達は熊倉氏に連れられて森の奥へと入って行った。 20分ほど進むと、樹齢何年になればこれほどになるのかと言う大木が現われた。 間違いなく、この山の『ヌシ』だろう。 俺は、この大木の下を修行のポイントに決めた。 3日間、朝昼晩の1日3回90分づつ、この大木の下でキムさんにレクチャーされた『気』を取り込む行法を行った。 4日目の朝、俺が『行』を行っている間、暇つぶしに付近を散策していたイサムが、慌てて俺の許にやってきた。 『行』を中断されて憮然とする俺に「先輩、こっちへ来てください!」と言って、森の更に奥へと腕を引っ張って行った。 しぶしぶとイサムに付いて行くと、熊笹に半ば埋もれた状態の『妙なもの』が現われた。 平べったい石を幾層にも重ねてコンクリートで固めた円筒は井戸だろうか? 直径1mほどの『井戸』は板状に加工された黒い自然石3枚で蓋がされていた。 更に、井戸の周囲には黒錆に覆われた鉄杭が8本。 ・・・似ている。 少し形は違うがマサさんの『井戸』に良く似ている! 精神的な動揺が大きく、『行』は不可能なので、朝の行を取りやめにして山小屋に戻ることにした。 『ヌシ』の前を通過して少し進んだ辺りで、俺は突然、吐き気に襲われた。 鉄臭いニオイの後、大量の鼻血も流れ出てきた。 どうやら、そのまま俺はそこで意識を失ったらしい。 次に気が付いたとき、俺は山小屋の床に横たわっており、外は日が落ちて暗くなっていた。
606 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:30:55 ID:6qXL85WU0 「先輩、大丈夫ですか」 俺が目を覚ましたことに気が付いたイサムが声を掛けてきた。 「ああ、大丈夫だ」そうイサムに答えた後、俺は熊倉氏にかなり強い調子で尋ねた。 「あの、森の奥の井戸のようなものは何なんですか?」 「そう慌てないで、まずは飯を食ってからだ。 朝から何も喰ってないだろ?」 確かに、異常に腹は減っていた。 普段、俺は食が太い方ではないが、その時は自分でも呆れるくらいに食いまくった。 俺の食いっぷりにイサムは呆れ顔だった。 それを見越したかのように熊倉氏は普段よりかなり多めに用意したようだが、用意された食事の半分以上を俺一人で平らげていた。 食事が済んだ所で、俺は熊倉氏に再度尋ねた。 「あの井戸のようなものは何なんですか?」 熊倉氏は、暫し考えてから言った。 「アンタ達はあの『樹』の所からも帰ってきたし、『井戸』を見付けられたんだから、話しても良いのだろうな」 そう前置きして、熊倉氏は興味深い話をし始めた。
607 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:31:42 ID:6qXL85WU0 「君達、この日本と言う国の特殊性をどう考える? 呪術的と言うか、精神文化的な側面から見た特殊性という意味で」 「前に聞いたのですが・・・、建国以来途絶える事無く続く、制度的・精神的『中心軸』としての『皇室』の存在ですか?」 「そう、確かにそれもある。 じゃあ、その『皇室』を中心とした『日本国』或いは『日本民族』を存続させてきた『力』の根源は何だと思う? 王朝や帝国は地中海沿岸や中国大陸、エジプトやメソポアミアにもあった。 日本の皇室以上に呪術的な王朝は数限りなく存在したが、なぜ、日本の皇室や日本国だけが存続できたと思う?」 俺も、イサムも答えに困った。 熊倉氏の説明によれば、それは日本列島を覆う豊かな森林に負う所が大きいと言う事だった。 日本は先進国中ではトップクラスの、世界的に見ても特に森林の豊かな国と言う事だ。 乱開発による伐採によりかなり減少したとは言え、日本の国土の68%が森林であり、バブル期の乱開発の前は実に75%の森林面積を誇っていたのだ。 68%の森林率は、森林国として有名なフィンランドの73%強に続き、同じく森林国のスウェーデンの67%弱よりも大きい。 因みに世界の陸地の森林率は30%を割っていると言うから、日本が如何に森林に恵まれた国かが伺われる。 この日本の森林の際立った特徴は、森林蓄積の割合で、自然林は意外に少なく、実にその6割以上が植樹による人工林と言う事らしい。
608 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:32:35 ID:6qXL85WU0 日本列島には、太平洋の海流エネルギーが集中し、日本の海域には世界でも最も流線密度の高い暖流が流れている。 流線密度の高い海流が集中する地域は、穏やかな気候に恵まれ雨量も豊富となる。 気候が良く雨量に恵まれれば、その地域に人口が集中し、大都市が形成されやすく、文化・文明が発達する可能性が高い。 海流流線密度が低い地域は乾燥した気候が多く、その分遠隔地から真水を引いてこなければならない。 砂漠が広大となれば大都市が発達する可能性は低く、発達しても都市を支える後背地の自然環境が悪ければ居住環境も劣悪となる。 人口が集中しても文化・文明を発達させる余力に乏しく、貧困やスラムを産むだけだ。 日本列島は元々有利な自然・地理的環境にあったが、そこに住む日本民族自身が、良質な真水を得るために大変なエネルギーを自然に加え続けてきた。 真水を生み出すのは豊富な森林である。 過去、世界で森林を失った国は忽ち砂漠化し、文化・文明から大きく取り残される事になった。 現代においても、産業や先端技術を支えるのは教育の普及などの人的側面も大きいが、物的側面として良質な真水の存在が欠かせない。 産業の基礎となる鉱物資源等を入手する事以上に良質の真水を得ることは難しい。 だが、ただ豊かな森林があるだけでは、例えば広大な熱帯雨林があるだけでは高度な文明や文化は発達しない。 自然環境と人的エネルギーの融合が無ければ、人間の文化・文明を支える良質な背景的自然環境に成り得ないのだ。 日本人は、この自然環境との共生が民族的深層心理のレベルで最も進んだ民族と言うことだ。 日本の神社には必ず森があり、神木がある。 日本民族古来の自然・宗教的な無意識領域では、森が無ければ神は天降ってこない事になっているからだ。 日本民族は、この日本列島と言う自然環境に気の遠くなるようなエネルギーを注ぎ込んできた。 そして、民族的深層心理のレベルで『一体化』を図ってきたのだ。
609 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:33:32 ID:6qXL85WU0 高麗時代、朝鮮半島にも豊かな森があり、白磁・青磁に代表されるような高度な文化・文明があった。 森を切り開いても、その跡には植林が施されていたらしい。 蒙古の侵略を受け、軍船の建造や製鉄の為にかなりの森林が失われたが、それでも植林は行われ森は残った。 高麗の宗教が儒教ではなく、仏教だった事が大きく作用していたようだ。 しかし、500年前、李朝になった途端に朝鮮半島の森林は荒廃し始め、植林も全く行われなくなった。 李朝は、過激なまでに儒教を奨励し、仏教を始め従来の宗教を徹底的に弾圧した。 儒教の教えは人間関係の道徳だけである。 森が無ければ神は降りてこないといった、日本の神道に見られるような、自らの生存基盤である自然環境と調和しようとする民族的深層心理の醸成に全くと言って良いほどに寄与しない。 画して、李朝時代の朝鮮半島では材木や燃料として木を切り出しても植林される事は無く、山々から緑は失われた。 やがて、『森を失った李朝』は衰退し、朝鮮民族は文化・文明的な死に瀕することになる・・・ 熊倉氏の説明に俺は疑問を感じた。 森の生み出す『真水』の重要性は理解できるが、朝鮮半島には漢江のような流量の豊かな河川が数多く流れているではないか? 熊倉氏に疑問をぶつけると、彼はニヤリと笑って答えた。
610 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:34:24 ID:6qXL85WU0 そう、豊かな水が有るだけでは、多くの人口が集まるだけでは豊穣な文化も高度な文明も生まれない。 そう言ったものが生まれるには、人間のエネルギー、『気』や『念』と言ったものが集積され昇華されることが必要なのだ。 その源泉となるのが、太陽や大気からの『気』、或いは土や岩石などの大地からの『気』なのだ。 だが、人間を始めとした動物は、そう言った天地の『気』を自らの力として直接に使うことは殆ど出来ない。 風水などを用いて『気』の流れに手を加えるのが良い所であり、肉体や精神に自然界の『気』を取り込むには特殊な技術を要する。 太陽や大気、大地と言った『無生物の気』『環境の気』を直接使える『生きた気』に変換出来るのは植物・・・つまりは森だけなのだ。 自然環境を破壊して森を失った民族は、エネルギーの源泉を失い、やがては衰退して行く。 風や太陽、大地などの『無生物の気』は非常に強く、それに抗う人間という生物の持つ『気』は余りに微弱なのだ。 疑問もあったが熊倉氏の話には納得できる点も多々あった。 確かに大気中の二酸化炭素を光合成によって酸素と炭水化物に、或いは土中から各種の無機物を取り入れ栄養素と出来るのは植物だけである。 これ程までに科学の発展した現代においても、光合成の完全人工化には未だ成功してはいないのだ。 無生物から生物への気の流れの話は、『森が無ければ神は降りてこない』という話とも辻褄が合う。 納得仕切る事は出来なかったが、面白い物の見方だと俺は思った。
611 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:35:18 ID:6qXL85WU0 朝鮮総督府は、朝鮮半島全域で大規模な植林事業を展開した。 禿山に少しでも早く緑をと、生育が早く寒冷な朝鮮半島の気候にも耐えられるアカシアの木が多く植林された。 だが、日本の支配が終わると、朝鮮民族は後先を考えない無軌道な乱伐で、再度自国の山々を不毛の禿山にしてしまった。 彼らは、乱伐の責任を商品価値の低いアカシアを植林した朝鮮総督府に転嫁しつつ、自ら植林しようとはしなかった。 だが、禿山だった韓国の山々に30年ほど前から緑が復活し始めた。 政府主導で植林事業が強力に推し進められたからだ。 だが、植林の初期には、ある程度育った若木がオンドルの燃料などとして無断で伐採される事も少なくなかったそうだ。 韓国政府は国有林の無断伐採に懲役刑も含めた重刑を科すことで森林の育成を推し進めた。 森の復活と共に、やがて韓国はエネルギッシュな経済国として目覚しい発展を遂げた。 同じ民族の国家である北朝鮮とは好対照である。 政治経済が破綻し、国民に餓死者を出す有様の北朝鮮の山々は、今なお岩肌をむき出した禿山が殆どである。 だが、先進国の一角を占めるようになった韓国の国土面積に占める森林率は実に63%強。 主要国ではスウェーデンに次ぐ森林大国となっている。 批判的に見る向きも多いのだろうが、数百年ぶりに森の戻った韓国の体質は北朝鮮やその他の国々に比べ極めて有利なものと言えるのではないだろうか? 恐らく、朝鮮民族始まって以来最大の繁栄を謳歌している現代の韓国人の姿を見たとき、俺は熊倉氏に聞いた『森の話』を思い起こさずにはいられないのだ。
612 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:36:11 ID:6qXL85WU0 熊倉氏の話は興味深かったが、俺とイサムの疑問、あの『井戸』が何なのかには全く答えていなかった。 俺は熊倉氏に詰め寄った。 熊倉氏は数枚の地図を持ち出してきた。 「日本にはナントカ三山と呼ばれる場所が何箇所もあるが何故だか判るかな?」 「いいえ」 「ピラミッド等もそうだが、三角形と言うのは、『気』や大地のエネルギーを集めるのに適した形なんだ」 「へえ」 「エネルギーを集める効果を強める為に三角を上下に重ねて、集めた気を外に逃がさないようにした図形があるんだが知っているかな?」 イサムが答えた。 「ダビデの星って奴ですか?」 「そう。 イスラエル国旗の意匠にもなってるね。 日本では籠目紋と言って、伊勢神宮や鞍馬寺でも用いられていて、しばしば日ユ同祖論の論拠にもされている」 熊倉氏によると、この籠目紋は、比較的狭い空間で『気』やエネルギーを集積する効果を狙った図形らしい。 等辺六芒星の中心点、二つの正三角形の中心にエネルギーを集中する図形だそうだ。
613 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:37:11 ID:6qXL85WU0 熊倉氏は、持ち出した5枚の地図に赤いマジックで点を打った。 赤い点に定規を当て、黒のマジックで線を引くと、それぞれバラバラな形をした三角形になった。 5枚の地図には番号が振ってあって、何やら鉛筆で補助線を引いて三角形の中に点を打った。 点の一つが三角形の重心なのは俺にも判った。 熊倉氏は三角形内の点を通る青い直線を三角形を貫くように引いた。 5枚の地図に同じような図形を描くと熊倉氏は俺達に「何だと思う?」と質問をぶつけてきた。 暫く地図と睨めていると、「あっ」と言ってイサムは地図に書き込みを始めた。 イサムの作業を見て俺も直ぐに気付いた。 この青いラインはオイラー線か! 三角形内に打たれた点は、垂心・重心・外心だったのだ。 熊倉氏は縮尺の異なる別の地図に緑の点を5つ打ち、点に番号を振った。 緑の点の位置はバラバラで規則性は無かった。 熊倉氏はイサムに先ほどの地図と同じ角度で緑の点を通る青いラインを引かせた。 5本の青いラインは、ほぼ一点で交差した。 熊倉氏は青いラインの交点を指差して言った。 「君らが先ほど見た『井戸』はここにある。 この山にも井戸の蓋と同じ材質の岩が正三角形に配置してあって、井戸はその重心に位置している。 何故だかわかるかな?」 「正三角形は垂心・外心が重心に一致してオイラー線を定義できないから?」 「正解だ。 三角陣はオイラー線に乗せて、集積した『気』やエネルギーを外心から重心を通して垂心方向に飛ばす性質があるのさ。 井戸は集積した『気』を溜め込む仕掛けだな。 ピラミッドやストーンサークルでも組んだ方が雰囲気も出るが、使用目的から井戸と言う形になっている。 5枚の地図の赤い点の場所には祠があったり、同じ材質の岩が置いてあったり、お地蔵さんが立ってる」
614 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:38:17 ID:6qXL85WU0 「へえ」 「この仕掛けは、あまり知られてはいないけれど結構ありふれたものなんだよ。 古墳や遺跡で石室が見つかる事があるだろ? 全部がそうだとは言わないが、引き込んだ『気』を溜め込む仕掛けとして作られたものも少なくないと思うよ。 作った人間や関係者じゃないと『気』を持ってくる先の三角陣を見つけて特定するのは不可能に近いけどね」 「面白いですね」 「この仕掛けは、朝鮮半島から渡来人が持ち込んだ物とされているが、逆に日本人が百済に持ち込んだという見解もある。 出所は不明だが、似たような仕掛けは韓国にもあるんだ。 まあ、任那日本府とか、天智天皇が済州島の耽羅という国と連合して百済救援の為に新羅と戦ったりしているから関係は相当に深かったのだろう。 白村江の戦いに敗れた日本は、朝鮮半島から全面撤退したが、その時、滅亡した百済の民を数多く日本に連れ帰ったという言い伝えもあるしね。 日本の皇室と百済の王室は縁戚関係にあったようだし、百済人と古代日本人はかなり共通した精神文化やメンタリティーを持っていたのだろう。 両者に共通した祭祀や呪術が有っても不思議は無いだろうさ」 「熊倉さん、『気』だの何だの話を振られても困ると言ってる割に随分詳しいんだね」 「友人の榊の受け売りと、自分でも随分研究したからね」 「へえ。 それで、あの井戸の使用目的って何なんですか?」 「あの中に入るのさ。 榊家の人々は、代々、成人すると一度はあの井戸に篭るらしい。 友人の榊も大学2年生の時、あの井戸に一昼夜篭っている」 「なんで、アンタがそれを知っているんだい?」 「アイツの付き添いで私も立ち会ったからな」 「・・・・・・そうなんだ」
615 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:39:11 ID:6qXL85WU0 ややあって、熊倉氏が俺に言った。 「どうだ、試しにあの井戸に入ってみないか?」 「おいおい、勝手にそんな真似して良いのかよ?」 「私は、榊氏からこの山の管理を一任されている。 榊家の次期当主は既にこの世にはいないし、榊家の血縁者も榊氏以外いないから、問題があっても無くても同じ事だろう。 大木に同化して、山の木々から根を通じて『気』を取り込むより効率的なんじゃないか? 井戸に溜め込まれているのは、森から集めた『生きた気』だから、『消化』の為の『循環の行』も必要ないだろうしな。 怖いと言うなら、無理に勧めないがね」 「それって、挑発されてるんですかね? ・・・・・・面白い、その挑発に乗りましょう」 俺は、問題の『井戸』に潜る事になった。 熊倉氏によると、『呪術師』榊は一昼夜、井戸に篭ったらしい。 翌朝、準備を整えると、俺達は問題の井戸へと向った。 持って行った鎌で井戸の周り、鉄杭の内側の熊笹を刈り取ると井戸の蓋の石板を外しに掛かった。 石板は1枚80kg程か? バーベル等のウエイトとしてなら左程重いとも言えない重量だが、相手はただの石の板。 大人二人でなければ扱えない重量だった。 まして、井戸の中から1人で押し上げて外すのは不可能に近い。 刈り取った熊笹を束ねたものに火をつけて井戸に放り込んでみた。 井戸の底で火は消えずに燃えている。 枯れ井戸で水は無いようだ。 心配した酸欠も大丈夫なようだ。 俺は井戸の壁面の石を足掛かりに井戸を降りていった。 真っ暗闇の中、手足の感覚とイサムと熊倉氏が手繰るロープだけが頼りだ。 俺は井戸の底に到達した。 かなり深い。 見上げる空は500円玉ほどの大きさしかない。 やがて正午となったのだろう、イサムが「閉めま〜す」と声を掛け、井戸に石板で蓋がされた。
616 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:40:26 ID:6qXL85WU0 全く光の無い漆黒の闇。 壁面に吸収されるのか、全ての音が反響する事無く篭ってしまい、空気をより一層重苦しいものにしていた。 深い深い海の底に沈められたかのように、闇の静寂が圧力となって、やがて俺の精神を押し潰して行った。 井戸の傍には熊倉とイサムが待機しているはずだが、二人の気配は感じられない。 もし、二人がこの場から立ち去れば、俺はこの重苦しい闇の中で朽ちて行くしかない。 熊倉の挑発に乗って・・・いや、好奇心からこの井戸に入ったが、俺はとんでもない判断ミスを犯したのではないか? 昨日、俺が気を失ってる間に熊倉とイサムが通謀して、俺をこの穴の中に遺棄する計略だったのではないか? そもそも、イサムが旅の随伴者となったのは、色々と知り過ぎて用済みとなった俺を消す為だったのではないか? 俺の脳裏は、恐怖心と猜疑心に埋め尽くされて行った。 心拍と呼吸が乱れ息苦しさは耐え難いものになって行った。 とても『気』を感じるどころではなかった。 ・・・・・・不味い、信じ難いことだが、予定の24時間を待つ事無く俺の精神は破綻する! 余りやりたくは無いが、『アレ』をやってみるか・・・・・・ 「GyaaaaaWawoogyふじこlp;@:『湖jhンbhbhvgcgcxdzsdftdrgftrsrdty!!!!!!!」 俺は狭い空間でのた打ち回りながら、有らん限りの奇声を発した。 もし、俺の姿を見る者がいたら、発狂したとしか思えなかっただろう。 精神を圧殺する恐怖感を忘れ、人間の恐怖心を足掛かりに憑依しようとする悪霊や魑魅魍魎から身を守る『技法』。 朝鮮式精神均衡法・・・『泣き女』或いは『火病』の術を俺は行った。 『発狂』を演じる事で、逆説的だが恐怖や怒りといった強烈な感情の支配から精神を解放し、冷静な精神状態に戻ることができるのだ。 『感情のエネルギー』が過多で、精神の均衡を失い易い朝鮮人に適した方法だ。 『禅』や『瞑想』と言った日本人好みの『静』的な手法で、既に潰れかかった精神を正常な状態に引き戻すのは非常に難しい。 狂い疲れてきた所で、どうにか俺は精神の均衡を取り戻すことが出来た。
617 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:43:13 ID:6qXL85WU0 冷静さを取り戻してきた所で、妙な事に気付いた。 井戸の中の『気』が恐ろしく希薄なのだ。 不思議だ・・・そう思った瞬間、俺の脳裏に閃くものが有った。 上手い喩えではないが、これまで意識していなかった自分の頭を覆っていた『袋』が急に取り払われたような感覚だった。 頭の霧が晴れた俺は直感的に理解した。 井戸の周りの鉄杭・・・あれは、この山全体が放出する濃厚な『気』からこの井戸を遮断する為のものだったのだ! 「大木に同化して、山の木々から根を通じて『気』を取り込むより効率的なんじゃないか?」という熊倉の言葉が脳裏に浮かんだ。 これは、俺が出発する前にキムさんからレクチャーされた技法の核心だった。 『鉄壷』の時の供養法を更に進めたものだ。 俺は、『井戸』の中に全体に意識を広げ、同化を図った。 瞑想状態が今までの俺の限界を超えて深くなって行くのが判った。 井戸に同化することで、俺は昨晩地図で示された5箇所を含めて8箇所のパワースポットとこの井戸が『繋がっている』ことを『発見』した。 意識を『解放』すると予想通り、俺の中に大量の『気』が流れ込んできた。 この施設は、各地の『パワースポット』から『気』を溜め込むのが目的ではなく、また、溜め込まれた『気』を浴びるのが目的でもなかった。 各スポットからの『気』を集める『道』の集結点である事に意味があったのだ。 そして、俺はマサさんの事を思い出していた。 マサさんと『井戸』は『繋がって』いて、マサさんは井戸のある『結界の地』に祓いの対象者を連れて行かなくても、悪霊や魑魅魍魎を井戸に送り込む事ができるのだ。 榊家の人々が成人後一度はこの井戸に潜るというのは、『一度潜れば』十分ということなのだ。 一度『同化』すれば『繋がる』・・・恐らく、そういうことなのだろう。 以前、榊老人が、老体にも拘らず奈津子の力で仮死状態に陥った飯山とマサさんの処置を同時に行えたのも頷ける。 恐らく、榊老人は、この井戸と『繋がって』いて、この井戸から『気』を引き込んでいたのだ。
618 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:44:09 ID:6qXL85WU0 やがて、予定の24時間が過ぎ去った。 ザイルに引かれながら、俺は壁面の突起を頼りに井戸を上った。 24時間ぶりの外の空気は実に美味かった。 俺は、眩しい太陽の光に目を細めながら、山の木々が発する『気』を目一杯に吸い込んだ。 その晩、熊倉氏の最後の手料理に俺達は舌鼓を打った。 俺は熊倉氏に聞いた。 「熊倉さん、俺が井戸に入る前、あなたが言った『大木に同化して、山の木々から根を通じて『気』を取り込む』と言うのは一種の奥義って奴なんだ。 なんで、呪術師や修行者でもないアンタが知ってるんだ?」 「そんなこと、言ったかな?」 「それともう一つ。 俺はあの井戸に近付いて、ゲロを吐いて気を失ったが、あれは『結界』の効果なんじゃないですか? あなたは俺達に『見つけられた』と言ってましたよね? 昨日はなんとも無かったけれど、あれは、あなたが結界を解いたからじゃないですか?」 「おいおい、私はただの管理人だよ? 知る訳ないじゃないないか」 「井戸の中でも不思議な事が有った・・・色々な事に気付いたり、思いついたりしたんだが・・・本当に自分で『気付いた』り『思いついた』りしたのか確信が無いんですよ。 流れ込んできたと言うか、誰かに植え付けられたような気がしてならないんだ・・・率直に聞きますが、俺が気を失ってる間に何をしました?」 「私には、君が何を言ってるのか全く理解できない。 『結界』云々と言うのならイサム君に何も起らなかった事の説明がつかないし、君に何かしたらイサム君がキミに言うはずだろ? 暗闇で精神を押し潰されて発狂寸前まで追い込まれて、被害妄想が強くなってるんじゃないかな?」
619 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:46:55 ID:6qXL85WU0 暫く無言の時間が過ぎ、熊倉氏が口を開いた。 「木々の根が絡み合って地下で繋がっているように、人間も意識の底で、時間や空間を越えて潜在意識とか集合的無意識で繋がっているそうだよ。 木々の根のように、・・・蜘蛛の巣のように、絡み合いながらね。 ここは、代々呪術の世界に囚われ生きてきた榊家所縁の地だ。 君のインスピレーションは、案外、深い瞑想を行い、井戸と同化する事によって、『榊家の意識』と繋がって得られたものなのかも知れないね」 ・・・・・・俺は熊倉氏に『発狂寸前まで追い込まれた』ことも、『井戸と同化』したことも話してはいなかった。 だが、これ以上、熊倉氏を追及する気はなくなっていた。 「榊家も次期当主だった榊は既に亡く、現当主の榊氏もかなりのご高齢だ。 1000年以上続いた呪術の血統も途絶えて、間もなくこの地上から消え去る。 恐らく、君はあの井戸に潜った最後の人間になるだろうな」 熊倉氏は寂しそうに言った。 翌朝、俺達は熊倉氏のジムニーに乗って山を降りた。 別れ際、俺は榊氏と握手を交わしながら言った。 「呪術のことは判りませんが、榊家の血統は残り続けますよ。 追われる身だった榊氏には、籍は入っていませんが奥さんがいたんです。 榊氏が亡くなった後に発覚したのですが、奥さんは妊娠していました。 奥さんは無事女の子を出産されましたよ。 榊氏のお弟子さんだったキム氏、マサ氏、それと木島氏の手によって先日、親子は保護されました。 奥さんの千津子さんと娘の奈津子さんは、今は榊氏の許で元気に暮らしています」 「・・・へえ、・・・榊が聞いたら喜ぶだろうな」 俺はタンクバッグを開けて中から1枚のバンダナを出して熊倉氏に渡した。 「これは?」 「奈津子さんが、祖母の榊婦人と染めたバンダナです。 良かったら使ってください。 お世話になりました、ありがとうございます」
620 :オイラーの森 ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:51:48 ID:6qXL85WU0 後日、榊氏にお会いした際に熊倉氏と井戸の事を聞いてみた。 榊氏の答えは、「知らない」の一言だった。 『井戸の山』の存在も、管理人の『熊倉氏』も知らないと言う事だった。 シンさんまでもが否定した。 確かに、俺のツーリングマップにも、あの山は記入されていない。 俺が気を失っている間、或いは井戸に潜っている間にでも処分されたのか、熊倉氏の連絡先のメモも、携帯電話の記録も残っていなかった。 イサムまでもが熊倉氏と『井戸の山』を「知らない」と言うのだ。 そして、俺自身が、『山』へも、待ち合わせの場所にも、大凡の位置がわかっていながら2度と辿り付く事はなかった。 だが、奈津子のバンダナが1枚無くなり、俺の中に残ったものがあった。 俺のキャパシティーの問題から量は少ないが、俺は一度『同化』を果たしたあの井戸から『気』を導く事ができるのだ。 『井戸』の隠された大木の森と、オイラー線で結ばれた8つの『三角の森』。 深い緑の森を思い浮かべれば『気』は流れ込んでくる。 そして、これは特別な事ではない。 民族的深層心理のレベルで日本列島を覆う緑の森と結び付いた我々日本人は、誰でも森の『気』をその身に受けることができる。 豊かな森を思い浮かべ、強く感情を・・・『愛』を向ければ、森から流れ込む『気』を感じる事ができるだろう。 多くの人が気付いていないだけで、我々は祖先が幾世代も掛けて守り育ててきた森の木々に愛され守られているのだ。 熊倉氏の許を去り、俺とイサムの旅は続いた。 おわり
621 : ◆cmuuOjbHnQ :2010/02/28(日) 05:52:48 ID:6qXL85WU0 続きは近い内に。 それでは、また。
622 :名無しさん :2010/02/28(日) 08:50:14 ID:.GP3W2LE0 >>599-621 ワーイ、おかえりなさーい(^ω^)!! 作者さん、生きてて良かったw 半年以上ってまさかマグロ漁ry
623 :名無しさん :2010/02/28(日) 14:15:13 ID:7M2f8GmQ0 >>619 で榊氏と突然握手してるけど熊倉氏でいいのかな?
624 :名無しさん :2010/02/28(日) 20:50:15 ID:7BiUnKFo0 名前欄見て「おいら」と間違えたのは俺だけじゃないはず
625 :名無しさん :2010/02/28(日) 21:00:11 ID:7BiUnKFo0 ものすごい大作乙! いやあ、無事でよかったわ これからも作品楽しみにお待ちします
626 :名無しさん :2010/03/01(月) 14:07:03 ID:SiK6salYO >>624 ノシ
627 :名無しさん :2010/03/03(水) 13:57:31 ID:BdUgWWHE0 外国の人が日本に来て、緑の豊かさに驚いたと言う話を思い出した。 日本は、世界でもトップの木材輸入国だからだ。 何故自国にこんなに木があるのに、よその国から木を買うの?と。 某掲示板にも木を植えろと騒いでる人達がいたけど、 そもそも何に使うつもりなんだろうね?
628 :名無しさん :2010/03/03(水) 14:05:26 ID:BdUgWWHE0 自然と共生していた頃の心が忘れ去られたのに、 形だけが残った。 修復を試みては生態系を破壊し、 アレルギー患者を増やし、 塩害を誘発し…
629 :名無しさん :2010/03/03(水) 18:09:57 ID:oDVJkS/E0 祟られ屋さん来てたのか よかった 続きも楽しみにしてます
630 :名無しさん :2010/03/05(金) 08:48:09 ID:qHe.ahLYO 誰か 媚人、死人、死国という話をしらないか? あとオカルト体験談貯めてるやつ投稿したいのだが、ここでもおk? 本スレ荒れてるし…
631 :名無しさん :2010/03/05(金) 13:08:10 ID:JFszYzsM0 >>630 おk。 そもそも本スレからの避難民が主に投稿してるようだから。
632 :名無しさん :2010/03/05(金) 18:06:16 ID:7U3dEBe60 祟られ屋さん、ホントによかった〜!!!!! 。・゚・(ノД`)・゚・。 これからも投稿たのしみにしております! お体大事になさってください!
633 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/05(金) 19:41:16 ID:qHe.ahLYO まずは軽い話から。これは師匠に弟子入りする遙か前。 幼い頃から私は見える方だった。母方の女性(つまり祖母、母、私、妹)は心霊体験に事欠かなかった。 生まれて間もない日。母が私を写真にとろうとカメラを構えた。 だがシャッターが下りない。カメラの故障かと他にシャッターを向ければ撮れる。またカメラを向ければ、今度はシャッターは下りるが私が写らない。 逆光かとカーテンを締め切っても撮れない。何度か試行錯誤した末、ようやく一枚撮れた。 だがその写真を見て母は寒気がした。 私を取り囲むように赤い光が写っている。 母はこれはいかんと写真を神社にもっていったそうだ。 神主によれば、赤は警告の色。注意しなされとのこと。 どうすればよいか母には分からなかったが、後日注意しなされの理由が分かった。 撮影後三日もたたぬ内に私は肺炎になった。最初は只の風邪かなにかと思っていたが、神主さんの言葉がよぎり、病院に連れていったら後一歩で重篤な肺炎だったそうだ。 写真は見たことあったが今は紛失してどこにあるかは分からない。 だが、劣化したその写真は確かに奇妙な光に包まれた私が写っていた。 まぁちょこちょこ投下します
634 :名無しさん :2010/03/05(金) 19:50:00 ID:R6PTmys60 どうも。 本スレから誘導されて来ました。 今後はこちらに投下したいと思います。諸先輩方よろしくですmm 天狗男の名前で書いていきます。以後よしなに。
635 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/05(金) 20:35:05 ID:qHe.ahLYO ① さてこれは師匠に弟子入りして間もない話。 彼はタロットの師匠であり、気功や御払いの師匠でもあった。 彼は色んな県を徒歩で旅し(!)、天国も地獄(色んな意味で)も見てきた人だ。 私はその頃大学生(今も)で、怪現象や変なものを見たり取り憑かれたりと散々だった。 例えば。実家では元気なのに下宿先のアパートに帰ると体調が悪化したり、近くの住宅公社のビルの電話ボックス(今はそれはないが)から、電話ボックスをすり抜ける黒い人を見たり、隣の無人の部屋から話し声が聞こえたり、道を歩いていたら肩が痛くなったりと散々だった。金縛りも何度かあった。 幼稚園の卒業記念(苦笑)のマリア像や塩をもっても意味なし。 そんなときに師匠に出会った。はっきり言って最初は胡散臭い人だったが、友人の紹介で部屋を見て貰った。ただ怪現象が起きる、とだけ告げて。 開口一番。『マリア像と塩の位置が違う。こっち(隣の無人部屋側)に置くべき。』 私唖然。隣部屋の怪現象の事は言ってない。 『あとこの部屋霊道になってるぞ。』 …だから金縛りにあうのか… 師匠によれば、このマンションと何かの建物(忘れた)を結んだら、隣の無人部屋が鬼門になっているそうな。 で、住宅公社のビルを指差し、あそこらへんはわんさかいる、このマンションや近くのパチンコ屋も、近くの神社もヤバいとのこと。 全くここら一体の怪現象は言っていない。 後で分かったが、近くの神社は水子供養の神社、パチンコ屋ではトイレにて焼身自殺や屋上で飛び降り自殺。私のアパートでは目の前で私の通う大学生が焼身自殺や飛び降り自殺が絶えない、とんでもない地帯だった。つまり私が住んでいる土地一体が心霊スポット。 どないすればええねん!よく取り憑かれて困っている、と師匠に仰ぐと、お前の体質変えなきゃどうにもならん、まあこの部屋の浄化は出来ると。
636 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/05(金) 20:56:35 ID:qHe.ahLYO ② まず彼がしたのは像と塩の位置替え、後ベランダと玄関に特殊な印を施した塩をおいた。(皿の真ん中に塩を盛り、周りにケチャップで五芒星の点の様に印を付けたもの) あとはひたすら毎日御払いと気の修行。 簡単に言えば、手から赤いオーラ?や熱を出したりだ。 私はどうやら取り憑かれやすい体質らしい。で、霊感にムラがある。霊感が高い時は師匠をも超えるが、極端に少ない時もあると。その体質はどうにもならんと。 だから防衛術や気を高めるしかないらしい。 印を施した塩をおいた翌日。 雨も降ってないのに塩が溶けていた。しかも次に取り替えた塩は今度はカピカピになり、師匠が火を近づけると燃えた。どちらも普通あり得ないことだ。 また、師匠といるといらんもん(霊とかオーラとか)が当たり前に見える様になった。まあ霊の見える見えないはラジオの電源やチューニングと思って頂ければいい。 結局私は御払い方法や気のコントロール方法、気の飛ばし方から吸い方、入れ方を身につけれた。元々素質はあったらしい。 そして、私は八番目の弟子になり、いつしか師匠でもあり友人という奇妙な関係のまま一緒に住む(この時性的関係全くなし、ある意味奇跡だ)ようになった。 また、この八番目の弟子という意味は厄介な意味があることを、師匠の師匠から後々知ることになる。
637 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/05(金) 21:08:22 ID:qHe.ahLYO ちなみに。 師匠とはいつしか恋人兼友人となり、恋人になった後、私の霊感は物凄く上がりました。 いまでもあそこに〜がいるよ。というと叱られたり、逆にいると所に師匠が肝だめし(!)でいったりとまあ楽しい関係でした 過去形なのはある事件が今年起きたからなんですが。 ちなみに彼の占い(と人を見抜く眼)はすごい。かなりの確率(まあ彼が弱った時以外)はめちゃくちゃ当たるから不気味です… また後日色々話しますね。
638 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/05(金) 22:21:26 ID:qHe.ahLYO 暇だからまあ蛇足な話を 芸人さんや俳優さんの演技を見ていて、別人に見えることはないだろうか。 ネット上で有名なラー○ンズの伊達メガネさんや最近結婚したなんとかひとりさんが有名所か。 彼等は実は憑依型芸人だったりする。 具体的にいうと、演者には役を演じる者と、役の人そのものになって(憑依されて)しまう者がいる。 ちなみに私は後者みたいだ。(大学では演劇部で役者でした) 具体的にいえば、彼等はその役に取り込む、または飲み込まれてしまう。そしてそのものになってしまう。 簡単に言えば、芸人さんがその人物を作り(または演じ)、その人そのもの、つまり別の人格になる。 また、彼等のDVDジャケットや映像を見ると、顔がイッてたり、別人の顔付きになってたりする事もしばしばある。 現代版のシャーマンや、いたこといった所か。 余談として。 先ほど述べた伊達めがねさんのコントに、ひとりは全く反応せず、片方のみがひたすら動く、喋るコントがある。(〜と父さんとか、〜部など) 実はこのコント、片方が練習中に金縛りにあい、周りに人(というか幽霊)がはしゃぎ回っているという状況を体験して、それを面白いから、とコントにしたものだったりする。 あと、二人とも霊感は強いそうな。ちなみに、もじゃもじゃさんは役を演じる型、伊達めがねさんは役になってしまう(憑依)型だそうだ。
639 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/06(土) 03:49:49 ID:gVvn6InEO 夜中に電話で起こされたorz 何かの縁だ、その電話の主関連の話をしよう。肩が重い… これは師匠と出会って1ヶ月位。まあ去年の秋頃の話。 師匠とはまだ師匠と弟子の関係で、気の修行や憑いたモノを払って貰っていた。 じつは師匠と出会う前から(夏頃、3ヶ月前から)、変な現象に悩まされていた。 お守りや腕時計が、突然弾け飛ぶという現象と歩いていたら車道に引き寄せられるという現象。 まぁ最初の内は不良品や偶然と思っていたが、時計が3つ、お守りの数珠のブレスレットが3つ、計6つが壊れ、車に引かれそうになり、師匠に助けて貰った事が頻繁にあった。 車はともかく(?)、いくらなんでも3ヶ月の内に6つも壊れるのはおかしい。しかも買って3ヶ月も経ってなかった。 困り果て、師匠に相談した所。 『お前の時を止めたがっているやつがいる。男が憑いてるぞ。』 どんな容姿か聞いた所、愕然とした。 師匠があった事もない、元彼の容姿そのもの。勿論、元彼がどんな人だったかもその時は教えてない。 前々から師匠は、教えてもない祖父や友人などの容姿や雰囲気を言い当て、私を驚かせていましたが。 師匠があった事もない、元彼の容姿そのもの。勿論、元彼がどんな人だったかもその時は教えてない。 では何故元彼が私に取り憑いてるのか? 思い出したのは彼の口癖。 『今の容姿のお前が好きだ。時間が止まって欲しい位だ』 初めは一目惚れで付き合いましたが、ナルシシズムの強さと性格があまりよろしくなかったので、殆ど連絡をとっていなかった。だが彼はまだ未練があるのだろう。 どうすればいいか師匠に泣きついた所、 『彼にはっきり別れを告げろ。』 元彼に私は怯えていたが、師匠の手伝いもあり、別れを告げてからは怪現象は無くなった。 だが、今でも元彼から連絡があったりすると、お守りが壊れたり、肩やお守りが重くなる事はよくありますが。 長文失礼しました。おやすみです。…肩が重い(苦笑)
640 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/06(土) 04:19:41 ID:arBuB0Pc0 1/6 どうも。 今回からこちらに書きます。コテも天狗男にしました。 あれは俺が中学生になったばかりだから、もう15年も前になるかな。 前回の鎧武者の亡霊事件の半年くらい前の話だ。 その日、俺は親父の運転する車で山道を走っていた。お袋も一緒だ。 後にもう2台、母方の婆さん一家(以前書いた蚕屋敷の家族)と叔母 さんの一家が一緒だ。目的地は叔母の旦那さんの実家で呆れるほど 山奥にある村だ。季節は真夏でちょうどお盆の直前だった。 その村へ行くのはこれで2回目。以前訪れた時は幼少の頃で、道は 舗装もされておらず、長時間ガタガタと砂利道を進んだ記憶がある。 「いつの間にか舗装されてたんだな・・・」 とは言え市街地からすでに3時間は山道を走っている。俺は退屈で 時折、あくびをしながら外の風景を眺めていた。と、1台の対向車 とすれ違った。自衛隊のトラックだった。ん?こんな山奥になんで 自衛隊がいるんだ?俺は不審に思ったが、そんなことはすぐに忘れ 早く着かないかなと考えていた。 時計を見ると午後4時半。すでに日は傾き、山に影を落としている。 ふと窓の外を見ると山の向こうに飛行機が見えた。へぇ〜こんな山 奥の上を飛んでる飛行機があるんだなとあまり深く考えずにボーッ と見ていた。ほどなくして親父は車を止めた。そこは寂れた定食屋 のようだった。後の2台も続いて止まった。
641 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/06(土) 04:21:09 ID:arBuB0Pc0 2/6 「ちょっと休憩でもすんべか」 それぞれトイレや自販機でお茶などを買っていた。店の中には愛想 の悪い店主がいた。小腹が空いた俺は、こぶし程もある味噌田楽に かぶり付きながら外をブラブラしていた。と、またもや自衛隊の車 が通り過ぎてゆく。何か演習でもあるのか?不審に思いながらも食 べ終わる頃には忘れていた。 少し休憩後、村に向けて出発した。ここからは小1時間程で着くら しい。いい加減早く着いてくれよ・・・さすがに飽きた俺は少しイライラ していた。と、窓の外を見るとまたもや飛行機が飛んでいる。ん? また飛行機か?さっき見たばかりじゃん。変なの。確かにこんな山 奥で何度も見るのはちょっとおかしいなと思った。 時計を見ると5時半だ。山は夕焼けで真っ赤に染まっていた。 そろそろ着くかなと思った矢先、いきなり車がガタガタと揺れだし た。え?ここからは舗装されてないの?不審に思った俺は親父に声 をかけた。しかし反応がない。何か変だなと思い助手席のお袋にも 声をかけたが同じく反応がない。二人とも真正面を向いて無言だ。 おかしいな、耳が遠くなったのか? 俺はふと後を振り返った。さっきまですぐ後をついてきてたはずの 2台がいない。あれ?どこいったんだ?確かにさっきまでいたのに。 この時俺は何か嫌な予感がした。と、親父が急ブレーキを踏んだ。 俺は思わず前のめりになったが、次の瞬間ギョッとした。
642 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/06(土) 04:22:22 ID:arBuB0Pc0 3/6 え・・・ 車の目の前をボロボロの服を着た大人が数人、真横を向いて立ち止 まっていたのだ。それを見た瞬間、俺は猛烈な悪寒に襲われた。そ れは間違いなく「まともじゃない」ものだった。両親はかわらず正面 を見て微動だにしていない。俺は真っ青になりながら固まっていた。 どれくらい時間が経ったのかわからないが、彼らは山の方向に向か ってゆっくりと歩き始め、そして見えなくなった。すると車が動き 始めた。親父もお袋も無言だ。ヤバイ・・・二人とも何かに取り憑かれ てるのか?俺はどうしていいかわからず目だけをキョロキョロさせていた。 バタバタバタバタ! 頭上をものすごい爆音を響かせながらヘリが飛んで行った。自衛隊 のヘリのようだった。どこから現れたのかもわからない。さすがに これはヤバイと思い、後部座席から運転席の親父を揺さぶった。と、 消してあるラジオから何かが聞こえてきた。 ザザッ・・・摩訶般若波羅・・蜜多・・・ガー・・・ピー・・・
643 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/06(土) 04:23:23 ID:arBuB0Pc0 4/6 般若心経だ・・・俺は恐怖で声も出なくなっていた。と、バックミラー から親父の目が見えた。真っ赤だった。黒目がなかった。俺は腰が 抜け、後部シートで丸く屈み、一心に「助けてくれ!助けてくれ!」 と念じた。 と、物凄い耳鳴りがしたかと思うと地面が揺れるほどの爆発音がし、 その瞬間、車が止まった。俺はガタガタと振るえながら恐る恐る目を 開けた。。。 何だ・・・あれは・・・ 見ると目の前の山が燃えていた。 山の至る所から煙が立ち昇り木々は倒れ、何かの残骸が散らばって いる。しかも俺は近眼なのに、あれだけ距離が離れているにも関わ らずその様がハッキリと見える。。。そして、そして更に怖ろしい ことに無数の手が空に向かって伸びている。。。 まさに地獄絵図だった。 俺は頭が真っ白になり、クチを開けてその様子を見ていた。そして あまりの光景に意識がなくなるのが分かった。俺は聞いた。薄れゆ く意識の中でハッキリと。。。 ザザッ・・・不明の・・・ガガッ・・・JAL123便・・・ピー・・・
644 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/06(土) 04:24:24 ID:arBuB0Pc0 5/6 「おい、着いたぞ起きろ」 俺は親父の声でハッと起き上がった。 親父とお袋がトランクから荷物を降ろしている。後の2台もすでに 到着して皆、荷物を降ろしていた。俺はボーッとしながら、さっき の出来事が何なのか整理がつかないでいた。 「何やってんだ?寝ぼけてないで早く降りろ」 俺は夢だったのかな、と思いつつドアを開け車から降りようとして ふとラジオを見て凍りついた。 ラジオの周波数は123を・・・そして時計は午後6時56分を指していた。 そうか・・・今日は8月12日だったか・・・ 俺の到着した所、そこは上野村。今から25年ほど前(1985年8月12日 午後6時56分)日航ジャンボ機が墜落した御巣鷹山の麓の村だ。 俺の叔母の旦那さんの実家はそこで駄菓子屋をやっていた(当時)。 俺は親父に「暗くなる前に先に慰霊碑に行ってくる」と言った。親父 は何かを感じたのか「・・・そうか」と言い一緒に行ってくれた。二人で 慰霊碑に向かい黙祷を捧げた。そして親父がこう言った。
645 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/06(土) 04:25:17 ID:arBuB0Pc0 6/6 「おまえはこれから先、何があってもあの山には入るなよ。あの山は 地獄への門がぽっかりと開いてやがる。怖ろしいほど大きいのがな。 入ったらまず生きて帰ってこれねぇ」 俺はそれ以来、その村へは行っていない。 おしまい。
646 :名無しさん :2010/03/06(土) 06:35:28 ID:4uhQVyuo0 >>640 洒落怖からの移転先はここだったか。乙さんです。 ずっとコテ付けて欲しかったが、洒落怖じゃ付けない方がいいから、とう呼んだらよいものかと思っていたよ。 天狗男さん、晴れてコテトリ命名おめでとう。 異次元を垣間見てしまった話が多いので、途中から御巣鷹山だと感付いたよ。 子供のころからのことで親父さんも、もう何見えても納得づくなんだね。 子供のころの田舎遊びの話やお蚕の話で信州なのか、三陸なのかと思っていたが群馬だったんだね。 また、懐かしい日本の田舎風景を背景にした話を待っています。
647 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/06(土) 07:17:46 ID:gVvn6InEO >>640 怖い話ありがとうございますm(__)m 所でメモに体験談書き連ねたら、ざっと20あるのですが…大丈夫ですか? 洒落こわスレと一部被りますが… よろしくお願いしますm(__)m
648 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/06(土) 15:53:47 ID:arBuB0Pc0 どうも。 確かに本スレは荒れ気味で残念です。こっちはまったりしてて落ち着きます。 親父もお袋も色々見える人なのでウチではそういうことが当たり前なんです。 よく考えると異常なのでしょうね。そのせいなのか親父は俺が高校の頃、 得度して坊さんになっちまいました。 体質なのか、霊を見るというよりは周波数がズレて隣の世界が見える、という 感じです。自分の場合はいわゆる霊的に強い場所や何かの結界に近づくと勝手 に切り替わってしまうので非常に困っています。。。 師匠と八番目の弟子さん、こんにちは。 俺には師匠がいないので羨ましいです。怖い話は是非。今後ともよろです。
649 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/06(土) 18:38:07 ID:gVvn6InEO 天狗男さん 怖い話ありがとうございます。 私も場所や時間、近くにいる人などにより、見えたり見えなかったりするタイプです。 パッと写真や映像見たいに頭に情景がうかぶんです。もちろんそのまま見える場合もあります。 まあラジオみたいに電源がついているか、チューニング(波長)があっているか否かなんです。 師匠は只今体力的にも精神的にも弱っとります…体力は仕事のし過ぎですが、占いや御払いは精神を結構使うので… 師匠に出会ったのは本当に偶然。彼がこんな田舎な県にきたのも、普段路上(師匠は当初路上で占いをしてました)にいる人に私が声かけたのも。私は路上で何かしたり売っていたりするのは嫌うので… また後で話を投下します。よろしくお願いしますm(__)m
650 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/06(土) 20:37:30 ID:gVvn6InEO では洒落コワらしい話を一つ ① 幼い頃、両親が離婚するまで、私は所謂ブルジョワジーな家庭であった。 だが私の幼い頃の記憶はモノクロであり、むしろ思い出せない物が多い。何故なら家族全員、実父から虐待を受けていたからだ。 そのせいで感受性が高められたのか、または母方の家系か…普通人には見えないナニカが、頻繁に見えていた。 一軒家に住んでいたが、裏になんと墓があった。 そのせいか、二階へ通じる階段に見知らぬ子供が座っていたり、部屋で寝ていたら、窓に巨大な凄まじい形相の女が私を睨みつけていたり。誰もいないのに二階から走り回る足音が聞こえたり。 怪奇現象には事かかなかった。 そんな中での話。 実母と実父が別居し、離婚話が続くなか、私はたまに実父と母にこっそり会っていたりした。 実父は暴力と可愛がる差が激しく、小学生の私に、お小遣いも破格な値段くれた。 だがそれと平行して、ストーカーから嫌がらせも受けていた。その嫌がらせは大抵、私が父と会った日の前後。 だから母も私が父とこっそり会ったら、大概バレていた。 ストーカーの正体は母は分かっていた。 それは結婚する前から父と付き合っていた、父の患者。 その人から母や親族は嫌がらせを度々受けていた。 父が愛人がいながら、母と結婚したのは、母方の家庭が地元では有名な資産家で、その金目当てであったのだ。 また、父は女の子供(私や生後間もない妹)より男の子供(兄)を溺愛していた。何故なら女は嫁ぐから自分の老後の面倒は見ないが、男(長男である兄)は老後の面倒を見る、という歪んだ考えにあった。 だから母や私は度々父に殺されかけた事があった。 そんな中。別居して兄が父に引き取られる前。母と私、妹、兄と暮らしていた時。 私は風呂に入ろうと脱衣所で服を脱ごうとしていた、その時。 廊下に黒い人が立っていた。 体型は兄にも母にも似つかない、背の高い、中肉中背の男性であった。 私はヒッ、という声を上げ、風呂をほっぽり出し、家族のいるリビングに行った。 『黒い人がいた!』 その時は誰も相手にせず、見間違いという事になった。
651 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/06(土) 21:00:07 ID:gVvn6InEO ② 時間を遡り、小学三年の時。 私は頻繁に右足ばかり怪我をしていた。 そんな中、私は塾に行く途中、車との衝突事故にあった。 普段は母が送ってくれていた。だが偶然その人は用事が入り、母が迎えに来れなくなり、さらに雨の日で見通しが悪く、道路を友人と横断した中で、私だけが車にはねられた。派手な傘を差していたのだが。 その後は友人によれば、10m飛ばされた後、偶然事故を目撃した近くの店の方や通行人の方が、道路の真ん中にいた私を道路の端まで移動させ、救急車にて運ばれたらしい。 母はいつもなら迎えに行ったのに…と悔やんでいた。ちなみに一歩間違えれば植物人間でもおかしくない事故だったらしい。 その後、父の勤める病院に転院し、寝たきりで暇な日々を過ごしていたある日。 私は顔にガーゼを被せるという、不謹慎にも程がある遊びを行った。 顔にガーゼを被せ、辺りを見回し、窓をみたその時。 窓の外に女性が立っていた。 私は慌ててガーゼを取り、布団の中でガタガタ震えていた。 ここは四階だ、しかもベランダなんてなく、人が立てるスペースなどない! そんな中、父が私の部屋に来た。 私は父にその事を話したが、気のせいだとなだめた。その時は。 翌日、父が部屋に来た。そしてその霊がどんな容姿か尋ねた。 どうやら隣室の老人も同じモノを見たというのだ。 だがその時は何か分からなかった。
652 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/06(土) 21:19:58 ID:gVvn6InEO ③ そして月日は流れ、離婚の調停の日。 母がある事を語り出した。 私が最初話した脱衣所での男性を、母も妹もみたこと。 ストーカー被害に困り果て、疲れていた事。 あの一軒家で、母も妹も霊をしばしば見ていた事。 初耳だった。私を怖がらせないよう配慮していたのだ。 だが、離婚調停時、父の浮気調査のビデオを見て、私と母は愕然とした。 あの黒い服の男と、病院と実家の窓でみた女性が写っていたのだ! 話によれば、黒い服の男は父の浮気相手の婚約者で、母にどうにかしてほしいと連絡がきた事もあったらしい。 一方その浮気相手の女は、私が父に会う度、父や母の車に釘を差してパンクさせたり、家の敷地内に藁人形(しかも私や母の顔写真を付け釘を刺したもの)を投げ込んだりしたらしい。 つまり、今まで見たのは父の浮気相手とその婚約者の生き霊だったのだ。 その後、離婚は成立、一軒家から引越し、大学に通うまで、ぱったりと霊は見えなくなった。私と妹は母方についた。 現在、兄は父に引き取られ、何年も医師浪人生となっている。 兄が頭が悪い訳ではない。私立や国立の地方医学部に何度も合格している。 だが行かない理由はただ一つ。 『父の目の届く場所に大学がないから』 あくまで、私達家族は、父にとっての『操り人形』でしかなかったのだ。
653 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/06(土) 21:30:28 ID:gVvn6InEO 今、化粧ポーチを見たら、新品の『鳩』と刻まれた画鋲が出てきた… 最近師匠は体調壊すしメールの文章も変だし、私も肩が痛くなったし、なにかヤバい話したかな… まじで怖い
654 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/06(土) 21:40:00 ID:gVvn6InEO 余談だから暇な人は読み飛ばしてくれ。 小学生の時の事故。私は事故にあった時、周りに散らばった教材を必死に集めていたそうだ。あと、事故にあった瞬間、ガードのポーズをとっていたから足の骨折だけで済んだらしい。勿論記憶にない。 あと、事故にあった後、視力が0.01から1.0になるという奇跡が行った。だが今は右足に軽い、生活に支障のない後遺症があるが。 その後も主に足ばかり事故や怪我にあう。上半身は全く無事。 まぁ一度だけ例外があったが。
655 :名無しさん :2010/03/07(日) 19:30:52 ID:Y1Pw3FDw0 師匠と八番目の弟子さん、天狗男さん大量の投下乙です これから楽しみです
656 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/07(日) 22:05:28 ID:soTS8H3UO >>655 さん ありがとうございます。まだ体験わんさか(苦笑)あるので、思い出しながらかきます。 ① さて、師匠ととある神社に行った話をします。 そこは護国神社と歴史ある、有名な神社(二つとも後に詳しく書きます)、そしてなぜか小さな稲荷神社が併設されている。 その稲荷神社に師匠と友人と私の三人で行った時の話。 その当時、精神的にも気も弱っていたので、師匠と霊感ある友人と有名な神社に出掛けた時の事。 そこは有名なパワースポットで、そこで気力、精神力を取り戻し、憑いてるものを祓う目的で行ったのだが… 師匠と友人の目を離した隙に、私は帰りに稲荷神社に行ってしまったのだ。 その稲荷神社は普通の神社ではない。 連続鳥居があるのだ。 師匠によれば、連続鳥居の、特に稲荷神社はあまり近付かない、下手にお参りしない方がいいらしく、くぐるのも避けた方がいいらしい。 理由はまず、連続鳥居は呪術に使われやすい。詳しくは書けないが、ある事(呪術の一種)をすると呪いがふりかかるらしい。あまり縁起も良くないようだ。 二つめは小さな神社は道祖神や動物霊を奉じているのが多いらしく、下手にお参りしない方がいいらしい。稲荷神社は特に厄介みたいだ。 そんな神社に、私はなんと、とおりゃんせを歌いながら、スキップで連続鳥居をくぐったらしいのだ。しかも稲荷神社にお参り付き。 師匠と友人が見つけた頃には時の既に遅し。その時の私は子供帰りか、子供などが取り憑いてたらしく、言動が子供そのものだったらしい。 勿論、普段の私ならそんな不謹慎な事は絶対しない。
657 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/07(日) 22:25:39 ID:soTS8H3UO ② 師匠と友人がその姿を見た時…必死に謝ったらしい。そして後悔。 だが私は自覚なし。というかもう子供帰りしているので、悪いという自覚がない。 とりあえず憑いてたものは祓えたが、もっと厄介なものが憑いてきた… 帰宅後。夕食を作るべく、師匠は買い出しに、友人は私の見張りについた。 ちなみに師匠は元屋台料理人で料理は美味い。片付けは下手だが(苦笑) そんな中、事件は行った。 まず、私が枕を噛み始めたらしい。友人、その時点でガクブル状態。 そして生肉(鶏肉や鴨肉だったらしい)を喰いたい、喰わせろと言い始め、暴れ出したらしい。 完璧に狐が憑いてる… 友人パニクりながら、慌てて師匠に電話。師匠は直ぐ帰ると電話を切った。 師匠が帰るまでの間、取り押さえるのが大変だったようだ。数分後、師匠帰宅。 すぐさま御払いにかかる。 呪文を唱えながら、塩舐めさせたり、清酒飲ませて、背中をばんばん叩く。そして、私の方に口を近づけ、狐を抜いたらしい。 気が付いたら私の前に師匠と友人。そして二人に叱られる私。 その後、師匠はトイレでげぇげぇ言っていたが、無事に夕食にありつけた。 皆さん、絶対真似しないで下さい。どうなっても保証しません。連続鳥居の小さな神社にはあまり近付かない方が良いかと…
658 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/07(日) 22:57:32 ID:soTS8H3UO ちなみに。 師匠と友人は連続鳥居の神社には近寄りもしません。なにがあるか分からないので。 ついでに師匠からきいた話を思い出したので話します。 師匠が有名な神社の息子と霊感無しな女の子とパワースポットに行った時のこと。 師匠がとある術をして、自分の守護霊を頭上に出したそうな。ちなみに師匠の守護霊というか守護神は仁王か覇王らしい。 その神社の息子びっくり。どうやってするの?と師匠にやり方をきき、そして自分も試したそうな。 そして出てきた守護神は…狐。 コンッて感じで、可愛いらしく出てきたらしい。 師匠大爆笑。その有名な神社の息子の奉じている神は、狐だったからだ。 神社の息子は、『なんで狐なんだよ〜(苦笑)』と師匠を羨んだそうです。師匠の強そうだし(笑) ちなみに霊感無しの女の子には全く見えず、ひたすら?が浮かんでいる様子だったようだ。 余談。 まぁ私に取り憑いた狐と有名な神社の狐は格が違うし、有名な神社は代々狐を丁重に奉っているので、守り神になっているようです。 パワースポットなど、霊厳新たかな所でその術をすれば、守護神を出しやすいそうですが、その術は一日三回が限度で、元は結界をはる術だそうです。
659 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/08(月) 21:29:05 ID:iBzBsDiAO 師匠から今日話を二つ聞いたので投下。 上にある印の意味について。 師匠が今日きたから印の意味(上記の守護神の時の印というか結界について)と、ある話について聞いた。 印のやり方は簡単。 仏教や神社の土地なら、キリスト教のシンボルにマルを組み合わせた物を、キリスト教ならある漢字にマルを組み合わせた物を、足で描き利き足でふむ。 私は何故ソレが結界で、一日三回までか知らなかった。が、今日意味を聞いて納得した。 神社や寺などは古来、戦で亡くなった魂や憎しみを残し亡くなった魂などを、鎮める為に建立された物だ。 その為、有名な神社や寺といっても、荒らぶれる魂の溜まり場であり、鎮魂されていない魂もかなりいる所なのだ。 その為、その魂に敵意がない事を示す為に、踏み絵的な意味で印を踏む。だが、余りにすると、本当に敵意があるのか?と霊魂に疑われるので、三回までが限度だそうだ。 仏の顔も〜と同じ意味。 師匠曰く、『三度目を踏むときは覚悟しろ』とのこと。 そして、その印を踏む事で、自分の場所の確保、つまり結界となるのだ。
660 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/08(月) 22:00:55 ID:iBzBsDiAO 二つ目は、師匠の地元のお話。 前書いた、 媚人、死人、死国について。 ① 今は昔、香川の讃岐の山奥に、村があった。 その村は、老人ばかり住み、若者と言えば急米という若者位しかいなかった。 その若者は祖母と住んでおり、また、その若者は左手が無いものの、右手だけでたくましく仕事をこなし、老いた村人からは頼られる存在だった。 そんなある日、町からお侍が訪ねてきて、我が城で侍にならないかと持ち掛けてきた。 急米は悩んだ。何故なら町に行けば、老いた村人の世話をする人がいなくなる。老いた村人は苦労するのは目に見えていた。 だが祖母が一言、都に行き、華やかな暮らしを見てみたいとせがんで来たため、急米は渋々その町の城、香川城に行き、侍になることとなった。 急米は左手は無いものの、持ち前の勤勉さ、努力で剣の達人となり、殿様の右腕にまで上り詰めた。 だが、急米の居ぬ間にある悲劇が村を襲った。 城の者達により、急米と祖母が住んでいた村は焼き払われ、一人残らず殺されたのだ。あるものを除いて。 それは急米が村で飼っていた犬。 ある日、急米の元にその犬が訪ねてきた。そしてなんと喋ったのだ。 その急米の犬には殺された村人の怨念、魂が移っていたのだ。 そしてその犬は急米を廃村と化した村へと導き、急米に死んだ村人達と引き合わせ、事の経緯を伝えた。 急米は村人達の死に顔をみて、泣き崩れたという。 そして急米は城へと戻り、なぜそのような事をしたのかと詰問した。 殿様の答えは理不尽極まりない物だった。
661 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/08(月) 22:14:54 ID:iBzBsDiAO ② その村は松茸がとれやすく、また、村ごと焼き払う事で、村人や村を灰にし、松茸をとりやすい環境にしたのだ。 だが、村人の怨念か、松茸は一本しか採れなかった。 そして、それを手ぐすねしたのは、他ならぬ急米の祖母だったのだ。 つまり、祖母は金に眩み、村を売り、たかが一本の松茸の為だけに村人達は殺されてしまったのだ。 その話を聞いた急米は怒り狂い、殿様を刀で切り殺した。 そして、金の亡者と化した祖母や、村人達を殺した、城にいた者を一人残らず殺した。まるで何かに取り憑かれた如く。 その時、急米を見た人はこう言ったと言う。 その時の急米は笑いながら人を殺したと。まるで鬼の如し…笑鬼だと… そして香川城はお家断絶、崩壊した。 たった一つの松茸の為に。 そして急米の子孫はいま、香川市のどこかでうどん屋をしている。今はもう名前を変えたが、名を変える前の名は…笑鬼。 今日はこの位にしましょう
662 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/08(月) 22:30:03 ID:iBzBsDiAO 蛇足 今日師匠が来たので祟られ屋マサさんの気功(熱い気や冷たい気を出す話)をしたら理屈を教えてくれたので、やってみた。 …師匠曰く。 『お前なんで出来んだよ…』 どうやら成功したらしい。師匠に勝ったかな? が、明日師匠が面白い事をしてくれるらしい。楽しみだ
663 :名無しさん :2010/03/08(月) 23:43:22 ID:8p1tc7rUO 師匠と八番目の弟子さん乙です。 なんだか大変なようですが、師匠さんのご快癒をお祈りします。
664 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/09(火) 09:14:46 ID:jkJiSOh2O >>663 さん ありがとうございます。まあ多分師匠は休めば治ると思います。過労と風邪らしいので… さて、暇なので、八番目の弟子の意味と、前話した有名な神社を話します。 まず八番目の弟子の意味。 私が八番目の弟子になった後、師匠の師匠(名はある歴史上の高僧と同じ、Kとします)から、電話がかかってきたそうな。 そのKさんが厄介というか、すごい。 師匠曰く、水上に文字が書ける。あと、有名心霊番組のレギュラーだった、ある方(一時期、その人を待受にするまじないが流行りました)の師匠でもあるそうな。 で、師匠が私を弟子になった後、直ぐ様Kさんから電話が来た。 『お前、厄介なものを弟子にしたのう』 師匠唖然。何故ならまだKさんには、弟子入りの事は伝えてない。 まあKさんはそういう千里眼みたいな能力があるらしく、この様な事がしばしばあるらしい。 余談だが、Kさんの奥さんも凄いらしい。美人で若く(Kさんがもう還暦を過ぎているのに、二十代!)、ブリーチという漫画の夜一さんみたいな(服装含め)人。最強の夫婦だ… さて話を戻すと、なぜ厄介なのか聞いたらしい。 曰く。 『8の字を横にしてみい』 師匠があっ、と叫んだ。 8の字を横にするとある記号になる。 『∞』 師匠はカラカラと笑いながら、『まぁ注意しなされ、お前さんの手におえる者かは保証せん』とか言われたそうな。 師匠は電話を切った後、深く項垂れていた。 そのKさんの言葉の意味を、二人共、身を持って知ることになるが。
665 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/09(火) 09:46:48 ID:jkJiSOh2O ① さて、有名な神社について。 その県は神話の県として知られている。 そして、私が大学に受験する直前、全国的にブームになった県だ。 また、その肥沃な土地から、牛や鳥、果物や野菜、海産物や酒が有名である。 私は最初は田舎だと、あまり好きではなかったが、食べ物の旨さ、県民性、自然の美しさに惚れ込み、またショッピングモールやお店が大学入学前後に出来、住みやすくなったので、地元の地方都市より好きになった。 話が逸れたが、その県には有名な神社がある。 前に話したように護国神社と小さな稲荷神社、そして、この国の最も頂点にあらせられる御方の先祖方々の御霊を奉った神社。 私の県には学問の神を奉った、有名な天満宮があるが、その御方よりも、歴史深い御方の御霊を奉っている。 その神社と護国神社に、師匠に弟子入り後、行った時について。 師匠とまずは有名な神社に行った。 が、師匠が進もうとする私を制止し、前述の印を描く術を、鳥居の入口や橋の前などで行ってから進まなければならなかった。計三回。 何故そんな事するのか、初めは分からなかったが、神社に入ってから氷解した。 要所要所に、武者の御霊が膝まづいているのだ。まるでその神社を護衛しているかのように。 そして本殿に入った時、身震いした。 神社の通りから本殿中を埋め尽くす、無数の武者の御霊。 普通の人には見えないだろう。だが、弟子入りした今、はっきり見える。
666 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/09(火) 10:27:15 ID:jkJiSOh2O ② 師匠にこの異様な様子について聞いた。 すると、師匠曰く、 『ここに奉られている御方は、古来から神聖な御方として、現在までこの国を守護なされていた。その御方を御守りしてきた、武者の方々だ』 ちなみに、その境内で不審な事や無礼な事をしようとすると、その武者の方々の御霊が、立ち上がり咎められます。怖いです… ちなみに、護国神社にも行こうと誘いましたが、『今日は疲れたから嫌だ』の一点張り。 先ほどの印を使うのは気力を使い、疲れるらしく、今日は無理、あと行きたくないとの事。 師匠は神社の外で待ってもらい、一人で行きました。 …先ほどの有名な神社の武者の御霊が、特攻隊の方々の御霊に変わっているバージョン。 道の両方を特攻隊の方々の御霊が並んでいらっしゃり、通ると敬礼なされます。 神社の境内も特攻隊の方々の御霊がずらりと並んでいらっしゃいました。勿論、お参りすると御敬礼なされます。 …もっと怖かったです(泣) 師匠にその話をすると、それみたことか、だから嫌だったんだと言わんばかりでした。 分かってらっしゃったのね…
667 :名無しさん :2010/03/09(火) 16:07:26 ID:gxa2H9IkO 八番目の弟子さんも天狗男さんも面白いですヾ(・ω・)ノ ジャンジャン投下しちゃって下さいm(__)m
668 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/09(火) 18:32:44 ID:jkJiSOh2O >>667 さん ありがとうございますm(__)m ① では前住んでいたアパートのお話。 私が前住んでいたアパートは、それはもう幽霊の溜まり場。日常茶飯事的に見えました。 まず、雨の日は最悪。 ベランダに霊が張り付いて、開けてくれ、と窓を叩く仕草をします。そして幽霊が部屋をぞろぞろ通ります。そして隣の空き部屋からは壁を通して、手が無数に伸びてきます。 その壁にもたれる、幽霊が通る道に立つ様なら、たちまち身体が重くなったり、痛くます。 また、各階に何かしらいらっしゃいます。勿論幽霊。 なので、師匠はドアに背を向け乗ります。で、私は何階に何がいるか、当てます。師匠はめっちゃ嫌がりますw反応が楽しかったです。 まさにリアルバイオハザード。 そんな中での話。 まず師匠は必ず玄関通じる、廊下から部屋(1Kでした)への扉の開け閉めを徹底してました。 最初はうるさいなぁと思っていましたが、ある日理由がわかりました。 しばしば、玄関に立たれていらっしゃるのです。勿論幽霊。 …開け閉め徹底になりました。閉めないと霊も通るし(苦笑) あと、あるぬいぐるみをどうにかしてと言われました。 それは滅多に出入りがない、演劇部の部室から出てきて、もらいうけたパンダのパペット。 師匠曰く、『それ、怨念の塊。』 理由は直ぐに思い当たりました。 まだ演劇部の部室が使用され、部員が多かった頃。部員内での派閥が凄まじかったそうです。今はそんなものありませんが。 その憎しみ、恨みがぬいぐるみに入ったのでしょう。 ですが、一時期あるCMで流行ったそのパンダさんは捨てれず、師匠が御払いしました。ですがあまり近付かなかったです。 たまに師匠にそのぬいぐるみを近付けて、反応を楽しんだりwしました。 ですが。二人が共通で嫌がる物が一つありました。 一階のある軽自動車。 雨の日は必ず見えるんです。オレンジ色に発光するおじさんが、不気味な笑みを浮かべ、乗っているのが。 師匠曰く、 『あれは自殺者だから見るな。』 言われなくても、不気味で見れませんでした。鳥肌物でした。
669 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/09(火) 18:43:06 ID:jkJiSOh2O だから、雨の日は駐車場を見ず、エレベーターまでダッシュ。そして乗る時はドアは見ず、部屋に入ったら戸締まり徹底が、暗黙の了解になりました。 あと、アパート前は焼身自殺した霊や、飛び降り自殺した霊が、助けてを求めてきたり、最上階に住んでいたのに、天井(上は屋上。ですが頑丈な鍵がされて行けません)から足跡が聞こえたり。 近くのアパートも、飛び降り自殺した霊がいるし、近くの神社は水子供養の所なんで、下手に通ると水子に取り憑かれます。 近くの住宅公社近くもしばしば生きていないモノを見ました。近くの通りもしばしば霊がワンサカでした。 とにかく、師匠が家に住んでからはお互いを祓い合う日々でした。 …よく三年間住んだなぁ… ちなみに。雨の日はタロットが繁盛します。まぁ師匠が行なってるのは半分御払いも兼ねてるから、取り憑かれた人は引き寄せられるんでしょう。
670 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/09(火) 19:17:00 ID:jkJiSOh2O ① あと師匠と師匠の友人と私で、夜の海に行った話。 今思えば、師匠と私、馬鹿し放題です。 まず、夜の海なんて、霊感がある方は避けましょう。 海を始め、水場を霊は好むようです。まして夜は霊が活発に動くので、自殺行為です。 そんな夜の海に、酒とつまみと念のため清酒を持って、遊びに行きました。 提案者は霊感?なにそれな、師匠の友人。 道中。既に車内に乗ってました。その時私は後部座席、師匠は前に、師匠の友人が運転。 肩がまず重くなり、痛みに変わり、首、腕、顔と徐々に侵食していきました… もうギブアップ!と思い、師匠に相談。 『分かってる』 じゃあ後ろに乗せるなよ…(泣) 限界だったので、車を止めてもらい、師匠と位置交替。師匠すみません… 変わった後、師匠はしきりに煙草を吸ってました。 ちなみに煙草やお香は浄化作用があるんです。 私は両方兼ねて、ブラックデビルという煙草をたまに吸います。 海に着いて。 既に若者がドンチャン騒ぎしていましたが、きっちり憑いていました。女の子達に。 海には霊がワンサカなんで、私はあまり外に出ず、車内で酒を飲み、つまみを食べて寝ました。ヤバいと思ったら清酒に口を付けて。 ちなみに私は酒弱いし、カクテルや缶チューハイなどしか飲めません… 師匠の友人と師匠は海へ。今思えば、師匠、海へ行ったんでしょう…(泣) 帰り道。勿論幽霊お持ち帰り(泣)師匠がそっちはなんとかしてくれました。 が、師匠の友人に変化がありました。 とにかく喋る。恨み不満をノンストップで。寝かせようとしても、話を逸らしても、喋る。 どうやら師匠の友人は見えないだけで、私のように取り憑かれやすい体質だったのです。 私は最初は聞き手になってましたが、段々身体が重く、気分が悪くなり、耐えきれずトイレへ避難。ガタガタ震え、しんどくて倒れました。 今考えれば、呪詛をはかれているのと同じ状態だった様です。
671 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/09(火) 19:30:36 ID:jkJiSOh2O ② 師匠に交替してもらいました。 師匠はよく頑張った、しんどいだろう、すまないと言ってました。 師匠も部屋に帰り、途中から、師匠の友人の異変に気が付いたようです。 師匠は私をトイレに移動させ、何故かナポリタンを作り始めました。 何故?始めは意味が分かりませんでしたが、師匠が理由を教えてくれました。 赤には浄化か鎮魂?(忘れました…)の意味があり、食事を与えることで、供物とし、鎮魂させる目的があったのです。あと味付けに塩使いますし。 初めて部屋を御払いした時、塩を盛った周りに五角形の点上に赤いケチャップを使ってましたしね。 とりあえず師匠の友人にナポリタンを食べさせ、清酒を飲ませて、弱らせてから御払いしたようです。 祓った後、師匠はげぇげぇ言ってました。 翌日。師匠の友人は記憶がなかったそうです。
672 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/09(火) 20:02:06 ID:jkJiSOh2O >>671 書き洩らし。師匠の友人に変化があったのは、私の部屋に帰ってからです。 すみません…orz
673 :名無しさん :2010/03/09(火) 23:26:47 ID:pBpe2fsc0 盛り上がってまいりました!
674 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/10(水) 06:06:16 ID:.y8DnQxs0 1/8 あれは俺が専門学校生の頃だったからもう10年近く前になるかな。 その頃にインターネットを通じて巻き込まれた恐怖体験を書いてみる。 当時俺は「チャット」にハマッていた。PCで文字を打ち会話するあれだ。 俺はゲームが好きなのでFF好きが集まるチャット部屋に入り浸っていた。 部屋主の名前は「マサ」。気さくで面倒見がよく皆に慕われていた。俺は 学校が終わり、用を済ますと毎日そこで色々な会話を楽しんでいた。 常連は10人程度。オフ会も何度もやっており俺もよく参加していた。ある 日、俺はいつものようにチャットに入室すると皆の様子がおかしい。俺は 不審に思いながらも挨拶をすると参加者名を見た。すると1人の新規さん がいるようだ。ハンドル名は「魚女」。 変な名前だなと思いつつ「はつよろ〜」と入力していたら「寒い」と言い その魚女は落ちていった。何が寒いんだ?俺の挨拶か?と思っていると皆 がその魚女について話し始めた。皆の会話を読んでいると、どうもすごく ネガティブな感じの女らしい。 メンバーがFFの話を振っても「友達がいない」とか「人は信用できない」等 の発言を繰り返していたらしい。常連は皆、大人なので気を使って色々と 話しかけていたようだ。俺はフ〜ンと軽く聞き流すとFFの話題で彼女の ことなどすぐに忘れた。 翌日、夜になりいつものようにFF部屋に入ると例の魚女がいた。
675 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/10(水) 06:07:23 ID:.y8DnQxs0 2/8 俺は「こんちゃ〜」と入れると「こわい・・・」と言っている。「え、俺?^^;」と 入れても「怖くて眠れない・・・」と言う。俺は何が怖いの?と聞くと夜になる と何かが襲ってくるそうだ。。。明らかに場違いな発言に、俺はどうしよ うかと思っていると、部屋主のマサが「電気つけて寝れば?」と言ったが 彼女は「鈴の音が聞こえる・・・」と言い落ちていった。 その後しばらく魚女は来なかった。俺は彼女の事などすっかり忘れていた。 と、ある日マサがおかしな事を言い出した。 「そういえばさ、最近寝るとき鈴の音が聞こえるんだよね・・・」 俺はギョッとし咄嗟に魚女のセリフを思い出した。しかし気のせいだろう と思い深く考えないでいた。 それから一週間くらい経った頃、俺がいつものようにFF部屋に入ると例 の魚女がいた。と、皆が凍りついている。俺は不振に思い常連のひとりに ささやきをしてみると、どうやら魚女がリスカをしたと言ったらしい。。。 俺はうつ病なのかな?と思いどうしようか思案してると魚女からささやき が来た。。。 「一緒に死んで・・・」 俺は、ヒィイィィ!と背筋が寒くなりすぐに部屋から落ちた。何で俺が顔 も知らないやつと死ななきゃならないんだ・・・俺はしばらく部屋に行くこと が出来なかったが、心配だったのでメールで常連に聞いてみた。すると他 の常連達も同じように言われたらしい。その他、助けて・・・呪ってやる・・・ 等をしばらく言い落ちたらしい。
676 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/10(水) 06:09:46 ID:.y8DnQxs0 3/8 さすがにこんな女がいたのでは、チャットを楽しむことは出来ない。俺は、 しばらく部屋にいくのをやめようと思った。その夜、夢を見た。 俺は深く暗い森の中を歩いていた。 空は曇り日差しも届かない。うっそうとした森の中を彷徨い歩いていた。 と、遠くで宴のような祭りのような賑やかな声が聞こえてくる。俺は凄く 楽しそうだなと思いそっちに向かって歩き出すのだが、なかなか辿り着か ない。疲れたので大きな木の根元で休むことにした。と、チリーンと音がする。 俺はなぜか咄嗟に魚女のことを思い出した。辺りをキョロキョロ見ると、大木に 鈴が巻きつけられているではないか。よく見ると、鈴はこの大木だけでは なくそこら中の木に巻きつけられている。 結界だ・・・ 俺は夢の中でこれは夢だと悟った。以前の人形夢事件を思い出し冷や汗が 流れてきた。恐らくこれも結界の外に出ないと夢から抜けられないのだろ うという事を感じていた。俺は身構えて精神統一をすると念じて刀を出現 させた。じつは人形事件の後、夢の中で武器となるものを出せる訓練をし ていたのだ。ドクン・・・ドクン・・・鼓動が早くなる。 うぎゃぁぁぁぁぁ・・・
677 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/10(水) 06:11:16 ID:.y8DnQxs0 4/8 遠くで悲鳴が聞こえた。聞いたことのあるような声だったが俺は恐ろしさ で身動きが出来なかった。何かがいる・・・遠くに何か邪悪なものを感じた。 宴の声はいつの間にかヒソヒソ話のようになっている。ヤバイ、とにかくここ から出なければ・・・と走り始めた途端、目が覚めた。 ハァハァ・・・ハァハァ・・・ ベッドの上で汗だくになりながら起き上がると、嫌な予感がした俺はすぐ にPCを立ち上げた。と、1通のメールが来ていた。 そんな・・・そんなまさか・・・ マサの訃報を知らせるメールだった。近くに住む常連の一人が連絡がつかな いことを不審に思い、マサ宅を訪ねると部屋で死亡していたらしい。死因は 急性心不全。明日、密葬を行うから出席できる人は来てくれと書いてあった。 当然、俺は出席した。密葬には親族とFF部屋の常連数人がいた。 俺は変わり果てたマサの姿を真にあたりにして言葉が出なかった。相当苦し かったのか下唇を噛んだ痕がクッキリと残っていた。恋人は泣き崩れていた。 今年結婚する予定で、先日式場まで一緒に見に行ったらしい。俺は悲しさで 胸が一杯だった。 俺はしばらくの間、ショックで呆けていた。
678 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/10(水) 06:12:37 ID:.y8DnQxs0 5/8 信頼できる友を亡くしたショックは大きく、若かった当時の俺にとっては相当 な痛手だった。学校も休み、FF部屋にも行かなかった。そんな俺を見て親父 がこんなことを言った。「おまえ、何か黒いものに憑かれてるな。引き込まれ ないように注意したほうがいい」と言い、足で結ぶ密印を教えてくれた。 通常、印とは手で結ぶものでこれは特別なのだと言う。 俺はフーンと軽く聞いていたが「黒いもの」と聞いて魚女のことを思い出した。 その後、彼女はどうしただろう。気になった俺は久しぶりにFF部屋に言った。 人数は減ったが常連が数人おり、久々に会話できて俺は少し安心した。そこに はマサの彼女もおり、マサの追悼の話もしばらくしていた。と、彼女からささ やきが来た。 「俺クン、この電話番号の人って知ってる?」 「え、何番ですか?」 「080-xxxx-xxxx」 「(調べたが)ん〜ちょっと知らないですね」 「そっか・・・」 「その番号がどうかしたんですか?」 マサが亡くなった時、部屋の受話器が外れていたと言う。どうやらマサはこの 番号の人と電話中に亡くなったらしい。しかし誰に聞いてもその番号の相手が 誰なのかわからないという事だった。警察も死因が急性心不全なのでその番号 にはノータッチだったらしい。
679 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/10(水) 06:15:04 ID:.y8DnQxs0 6/8 そして彼女さんが試しにその番号にかけても電源が入っておらずつながらない という。俺は誰あろうと思いながらも、その日はそれで部屋から落ちた。その 晩、またあの夢を見た。 俺はまたあの森の中を彷徨っていた。 遠くから賑やかな声が聞こえる。しかし今度は真っ暗な夜だ。3m先もよく見 えない。と、遠くから鈴の音が聞こえた。 チリーン・・・ チリーン・・・ 俺は身構えて刀を出すと、音のする方向を見据えた。どす黒い何かの意思のよ うなものが近づいてくるのが分かる。と、どうしたことか体が動かない。刀を 構えたまま身動きが取れなくなっている。ヤバイ、逃げるにも逃げられない・・・ 黒いものが近づくにつれ、何やらうめき声が聞こえてくる。 コロシテェ・・・シニタィ・・・ 1人や2人ではなく、おびただしい数の声だ。それが黒い塊となって徐々に近 づいているらしい。メキメキと木々をなぎ倒しまっすぐこちらに近づいてくる。い くら夢でも、この闇の集合体に勝てるわけがないと悟った俺は目をつむって起 きようと念じたが、やはり無理だった。そいつは闇よりも深い闇で無数の手が 伸びギラギラとした目がいたるところについていた。 う"お"お"お"お"お"・・・
680 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/10(水) 06:18:12 ID:.y8DnQxs0 7/8 すでに目の前まで迫ってきたが体が動かない。もうダメだと思った瞬間、俺は そいつに飲み込まれた。そして理解した。こいつは物凄いネガティブな意思の 塊だ・・・こいつの中にいるだけで俺も死にたくなってきた。ダメだ思考がまと まらない。悲しさが止まらない。生きているのがつらい・・・ もうこのまま眠ってしまおう・・・と思った瞬間、声が聞こえた。 「おまえはまだ生きろ」 その瞬間、俺を飲み込んだ真っ黒い塊が2つに裂け、俺は放り出された。 き"え"え"え"ぇ"ぇ"・・・ 何が起こったのか分からなかったが、俺は咄嗟に親父に教えてもらった密印を 足で結んだ。その瞬間、まばゆいばかりの光がその塊の中から溢れ森をも包み 込み辺りを飲み込んでいった。。。 夢の中は俺以外、無になっていた。 しばらくして俺はゆっくりと目覚めた。ふと時計代わりにしているケータイを 見て固まった。時刻は夜中の2時。しかも着信があったのだ。例の番号から・・・ もしあのまま闇に包まれていたら、きっと無意識に電話を取っていたのだろう。 そして電話を取ってしまったらきっと・・・そう考えると恐ろしくなった。
681 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/10(水) 06:19:33 ID:.y8DnQxs0 8/8 しかし最後に聞こえたあの声。 あれは間違いなくマサのものだった。闇に包まれて命を落としたにも関わらず 俺を助けてくれた。。。俺は声を出して泣いた。 週末、マサの墓参りに行くと彼女さんが来ていたのでそのことを話した。彼女 さんは泣き崩れた。そしてマサの分まで強く生きてください、と俺に言った。 俺も泣きながら頷き、何が何でも生き抜いてみせます、とマサの墓前で誓った。 近年、うつ病の患者が急増しているという。俺が出会ったネガティブの塊は、 そういった生きてる人たちの負の思念が大きなうねりとなって、俺達生きてる 人たちに影響を与えているんだなと、この事件を通して理解した。少なくとも 自分だけはポジティブに生きねばと考えさせられる事件だった。 おしまい。
682 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/10(水) 06:43:44 ID:S/Cz1WQEO >>681 乙です!お話ありがとうございましたm(__)m 天狗男さん… その密印って○にキリスト教の象徴か、ある漢字(通信簿の評価でも使われる)を組み合わせた物ですか?
683 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/10(水) 20:11:21 ID:S/Cz1WQEO 師匠と出会う前の話をしよう 幼稚園の頃の話。 私が幼稚園の頃、食後に昼休みがあって、私は当時活発な子供だった。ちなみにカトリック系だったかな 昼休みはよく滑車のついた滑り台やジャングルジムなどで遊んだものだ。 そんな時の話。 ある時、昼休み終わりのベルがなったのに、遠くの滑車の滑り台の上に、つっ立っていた男の子がいたんだ。 勿論、みんな教室に帰ってる。なのに一人ぽつんとそこにいた。 当時正義感だけはいっちょ前な私は、滑車の滑り台側を登りながら(なぜ階段から上に登らなかったんだろう)、その子に教室に帰る事を促してたんだ。 だが、滑車の滑り台から登ったもんだから、手と足を滑らして、顎を強打。 私は大泣きし、私が一向に戻って来ないから、探していたシスター(保母さんみたいなもん)達により、タクシーで病院に直行。 顎を8針縫う怪我をした。 後日シスターから何故戻って来なかったのか、滑車の滑り台を登っていたのか、聞かれたんだ。 私は滑り台の上に男の子がいて、その子と一緒に帰ろうと、滑り台を登りながら男の子に帰るよう、促していた事を伝えたんだ。 が、シスターは首をかしげる。 滑車の滑り台には、貴方しかいなかったと。 思えば何故あの男の子はベルがなっても、滑り台の上につっ立ってたんだろう? なんで男の子って思ったんだろう? その時の私はメガネをかけて視力0.3、そして制服はみんな青い服で統一されていた。 なんで視力の悪い私が遠くの子供を見て、男の子だと分かった? その時は気のせいで片付けられたが、子供の頃は色んなモノが見えていたし、生傷が絶えなかった。 私は小学生から読書少女となり、運動の機会はあまりなかったのに、頻繁に右足ばかりを怪我していた。 そして、小学三年の時、右足骨折する事故にあう。一歩間違えば植物人間だった、忘れもしない、大事故だった。
684 :名無しさん :2010/03/10(水) 20:25:09 ID:15nX.9mU0 イイヨイイヨ
685 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/10(水) 20:59:01 ID:S/Cz1WQEO ① これは大学一年の時。これも師匠と会う前。 当時私は友達と呑んだり、部活ばっかりしていた。 その当時、市内に台風が来ていて、何もすることないから、友人が呑みに来ていた。その当時から怪奇現象は起こっていたし、一人でアパートにいるのは嫌だったからだ。 そんな時に友人がドライブ行こうとか言い出した。台風直撃中だ… まあ現地の人だから、台風なんか慣れっこだったんだろう。 暇だし、アパートには居たくないし、ドライブに行った。 着いたのは公園の駐車場。で、酒呑みながら喋ってた。 だが、友人がある異変に気が付いた。 ちょっと遠くに止めてある車から、おっさんがこっち見ているのだ。しかも心なしかおっさんの顔がオレンジ色に見える… 気味悪いね、と友人に話したら、友人はいきなり車を発進させた。 いくら気味悪いからって、そんな慌てなくても…というと、友人が一言。 『なんで人間の顔があんなにはっきりとオレンジ色に発光してるの!しかも運転手寝てたよ!サラリーマンの男の人!なんであんな車に男性が二人乗ってんだよ!あのオッサンは生きてる人じゃない!』 確かに車内のテレビが着いていた位で人の顔がオレンジ色に発光する訳がない。しかもそういえば運動席は倒されていた… 突然、肩が痛くなり、耳鳴りと頭痛がする。 『ごめん、車に何体か乗ってきやがった』 友人も頭が痛むらしい。とりあえず有名な神社(前に述べた神社)前に車を止める。 友人は霊感があるうえ、ちょっとしたことなら祓える人だった。 神社で何人か祓えたようだが、どうしてもあのオッサンだけは祓えない。 『仕方ない、あんたの自宅に戻るよ!』 うちの部屋で祓うのか… もうまな板の上の鯉だ。言う事を聞くしかない。 自宅につくと、身体中に塩をすりこみ、冷水を浴びるよう指示された。 ガタガタ震えながら出、服に着替えて部屋に戻ると、友人が背中をばんばん叩きながら読経している。 身体が軽くなる。が、友人はきつそうだ。友人曰く、 『このオッサンは家に持って帰って祓うよ』
686 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/10(水) 20:59:38 ID:S/Cz1WQEO ② その後、友人は帰路に着いた。 その後、翌日の朝刊で私は戦慄した。 その駐車場から、白骨体が発見されたのだ。 その後、友人とは連絡はとってない。というか、つかなくなった。 友人は無事かは、今も分からない。
687 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/10(水) 22:21:57 ID:S/Cz1WQEO これから書く3つの話は下世話な話です。 嫌な方は読み飛ばして下さい。 一つ目。師匠と恋人になった時の話。 師匠に弟子入りして1ヶ月後、師匠と恋人になった。 まぁ師匠と出会って1ヶ月間は同居はしたものの、前の彼とごたついていたし、師匠にも彼女がいた。師匠は私に全く手は出さなかった。(師匠曰く、奇跡だ、だそうな) だが、師匠は会う内に私に惹かれたようだ。 師匠は彼女とは別れ、弟子入りして1ヶ月後、私の元彼問題も整理がつき、恋人になった。 ちなみに師匠とは十歳位、年が離れている。 元々私は同年代とは話が合わない。若さがないらしい(苦笑)。 バイト先でも、よく二十代中盤から後半に間違われる。落ち着いているとよく言われるが…ショックだorz 話は逸れたが、その日の話。 まあ初めて事に及んだのだが…気の抜きあいになった。しかも毎日、何回も。 祟られ屋マサさんの話に(傷の最後らへんとかシャンバラとか)、色情狂だとか、房中術だとか書かれてあったが、そんな感じ。 詳しく書けば、気の交換のしあいになっていた。これが一週間は続いたが、二人とも気を高めあう修行をしていたから、むしろ、二人の気が高くなってしまった。特に私の方が。 ちなみに師匠の師匠(Kさん)から、初めての日の直後、電話があったそう。 『彼女と交わったろう?まあ彼女の気を高めるには手っ取り早い手段だがの。』 師匠はKさんに余計なお世話じゃ、なまぐさじじいとか、言ったとか言ってないとか… かくして、この後から、しばしば師匠より霊感などが高くなったり、強くなったりしました。 よく取り憑かれやすかった体質も、私が弱った時以外は改善されました…
688 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/10(水) 22:38:44 ID:S/Cz1WQEO 二つ目はまだ師匠と弟子の関係で、元彼と話がこじれていた時。 私はその当時、師匠から気を高めたり、色々術を習ってました。 そんな時に、祟られ屋マサさんの話(傷やシャンバラなど)を読みました。 …私にも出来るとのでは?という下心が出てきました。 とはいえ、師匠とするのは嫌(失礼…)だし…と思っていたら、そうだ、彼がいるじゃないか。 その時、話がこじれていた、元彼。 今考えれば愚かでした。色んな意味で。 まあ最後の話し合いの日、事に及びました。 結果。彼は女のように喘ぎ、二度事に及んだ後はぐったりとしていました。こんなに気持ちいいのは初めてだ、と言っていました。 その後、別れを告げたのですが…あの快感に取りつかれたのか、何度も連絡がありました… 自分が蒔いた種ですが… その後、師匠の一喝電話により、なりを潜めましたが、油断した隙に連絡がきます。 今でも悩みの種です…むやみやたらに術を使うな、と実感した出来事でした。 余談。 師匠はスーツを着て、オールバックにしたら、その筋の方に見えます。声もドスが効いてるときが… 町中でいきなりその筋の若い人に挨拶されたり、友人にわざと挨拶されて、周りが信じてドン引き、はちょくちょくありますw師匠はその度にへこみますw ですが、怒らせると、その筋の方より怖いです…色んな意味で。
689 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/10(水) 22:59:35 ID:S/Cz1WQEO 三つ目は、師匠と恋人になり、私の地元のラブホに泊まった時。 師匠は久しぶりに(前いた事があるそうです)私の地元を満喫し、その土地では有名なラーメン店のラーメンを食べさせ感動し、その地方の郷土料理に舌鼓をうち、どんな味付けか予測していました(元創作料理人の血が騒いだそうな。) 料理でお金が飛んだので、休めのラブホに泊まった時。 風呂に入り、疲れを流し、適当につまみや酒を買い込み、呑んだりしていたら、体が火照ってきました。 なので、窓を開けて、夜風に当たりながら、外を見渡すと、隣のラブホが目につきました。 そのラブホは一つだけ、ぽつんと窓がありました。しかも紫色。 師匠を呼び、あのラブホの窓、変だね〜と師匠と話し、その時は話は終わりました。 翌日。朝食を摂りながら、窓を開けたんです。涼もうと。 しかし何か変なんです。昨日と何が違う… その時気付きました。 隣のラブホに窓なんて無かったんです。 私はパニックになり、師匠を呼びました。隣のラブホの窓が無くなった!と。 師匠はそんなあほな、と見に来た所、絶句。 二人で、昨日あのラブホ窓あったよな、と確認のしあいになりました。 後日師匠が、その地元の友人に、その問題のラブホについて話した所、そんな話や幽霊がでると有名なラブホと分かったそうです。 もう二度とあそこら辺には泊まりたくないです…
690 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/10(水) 23:02:06 ID:S/Cz1WQEO 下世話な話すみません…ですがどれもオカルト関係なんで載せました。 嫌な方は読み飛ばして下さいm(__)m
691 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/11(木) 00:01:25 ID:FcAY7opE0 どうも。 八番目の弟子さんの話はいつも多岐に渡ってますな。 怖いんですがニヨニヨしながら読んでます。 俺の彼女も多少霊感ありますが、いつも寝ぼけて寝言でお題目唱えたり 大声で唸ったりしてます。こっちがビックリして起きたりとかもうね。 密印についてはその名の通りなので書けません。悪しからず。 但し真言とセットでかなりの効果を発揮します、とだけ書いときます。 確かにラブホは出るとこ多いですよねぇ・・・やはり気の交換が頻繁に 行われるしあっちの色情地獄につながってしまうんですかね。コワイコワイ。
692 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/11(木) 01:11:07 ID:D5khJH/kO 訂正。 以前投稿したラー○ンズのネタについて。 たかしと〜というコント。 最初らへん、もじゃがどうしたーたかしー、という場面。30秒位の間がある。 あの時はメガネは金縛りにあって取り憑かれた状態で動けなかったらしい。確かにメガネの顔が強ばっていた… その後、メガネがニヤリとするのは金縛りが解けたから。 〜部というコントでも似たような状態がおきたらしい …もっとガクブルだよ…
693 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/11(木) 02:32:28 ID:D5khJH/kO 天狗男さん 昔から色々体験しすぎてもうね…(泣) タントラ使うなら違うかな。だが師匠は三回までしかするな、ときつく言われました。 ラブホは色々体験ありますよ。思い出した、書き洩らしがあるので書きます。
694 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/11(木) 02:52:38 ID:D5khJH/kO また下世話な話です。すみません。 ラブホに師匠と何度か行ったことがありますが…三分の一の確率で、どちらかがナニかに取りつかれます(泣) その中の二度の経験をあげます。 まずは師匠と特殊な部屋に入った時。まずいました。別室に。女性の霊でした。 まぁ無視きめこめば良いだろう、と思っていた私が馬鹿でした。 彼によると、事に及んている最中、私に異変がおき、なんと師匠の首をしめたらしいのです。 師匠が祓ってくれましたが、どうやら後ほどきいたら、その部屋で女性が殺される事件があったそうです… 二つめ。師匠と窓事件のラブホ行ったとき。 事に及んでいる最中、師匠に異変が。 『ねぇ、お姉ちゃん、なにしてるの?』 どうやら師匠に子供の霊が取りついたようです。 いきなりなので、どっきりか?とも思い、すこし動いてみる私。 『ねぇお姉ちゃん、なんか変な感じ、やめて』 声色も違うしモノホンだ… その後、私が祓い、師匠も自力で押さえ込んだ様子。 その後…その少年はしばしば出てきました。しかも事に及んでいる時ばかり。いまはなんとかなりました。 その話を師匠にすると、真っ赤な顔して、 やめてくれ(泣) と懇願しますw面白いですw
695 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/11(木) 21:59:48 ID:D5khJH/kO 小話。 師匠の名前と師匠の師匠の因果について。 師匠の師匠さん(Kさん)は法名として、歴史上のお方の名前を名乗っています。 一方、私と師匠はKさんから一字もらい、法名を頂きました。 私は〜香(〜がKさんの法名の一部)という名前です。法名を調べてみると、結構興味深い意味が出てきます。 さて、Kさんと師匠の名前、そして生まれた土地の因果について。 師匠はKさんに放浪の旅の途中、偶然出会って弟子入りしました。 しばらくして師匠がKさんに言われた言葉があります。 『お主がわしと出会ったのは必然かもしれぬ』 最初は師匠は分かりませんでしたが、理由をきいてびっくりしたのです。 師匠の出身地と名前、とKさんの法名の歴史上のお方はほぼ同じなんです。 師匠の出身地は四国でイニシャルはS(名前は伏せます)・M。 一方Kさんの出身地も四国、法名のお方の俗名もS・M S・Mとかきましたが、名字と名前の平仮名一文字までは全く同じ。 例えていうならKさん…木村タクと、師匠…木村タエコくらいのちがい。(例えが分かりにくいけど) ちなみに誕生日も近いし、日にちは一緒。(師匠は〜月15日、歴史上のお方は〜×二倍月15日) 偶然にしては気持ち悪いくらいです…
697 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/11(木) 22:20:50 ID:D5khJH/kO さて今日は私と師匠がイタコ(交霊)した時の話を。 一つめは師匠と出会ってすぐ、元彼と話がこじれて元彼が気になっていた時。 師匠がなんと、その彼の生き霊を俺の身体に入れて、聞いてみろというのです。 師匠の家系はイタコだったらしいので出来ると言われました。 まあ危険性は強いので、滅多にしないらしいのですが。 で、やってみました。日頃すこしどんな彼か教えていたのでハッタリかと思っていたのですが。 仕草、言葉、性格、癖まで全て同じ。私はそこまで師匠に教えてません。 私絶句。外見以外は元彼そのままなんです。 私はその後話や悩みを伝え、元彼は去っていきました。 師匠によれば記憶はないが、断片的なものは残していったとのこと。 その断片的な部分(元彼の悩みや思い)を聞いて泣き崩れました。 その後…厄介な事に、一週間は元彼の生き霊が、師匠に憑いたり離れたりして、色々大変でした。(生き霊曰くこの身体面白いとのこと)二重人格みたいな感じ。全く違うから大変でした… 勿論、生き霊だから元彼には記憶はないようでしたが。 なぜ教えていない情報まで、師匠が交霊した時、師匠が真似できたかは謎です。
698 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/11(木) 22:36:40 ID:D5khJH/kO さて今日は私と師匠がイタコ(交霊)した時の話を。 二つめは私がイタコした時。ご先祖様というか、前世?のお方をイタコした時の話。 私も同じく記憶の断片しかありませんが、師匠の話と、記憶の断片から統合して話します。 私は先祖か前世?花魁らしく、まあ幕末の歴史上の人物を相手にした位のトップの地位に上り詰めた方らしい。 名前をおゆう? たまにおりゅうとかおりょうとか口走っていたかも。 服装はさくらんの土屋アンナみたいな感じ。ハイカラな人で、煙草(キセル)をたしなみ、ワインが好きな方。(私はワイン飲めません。煙草も滅多に吸いません) しきいに坂本はんとか言っていたらしいです? で、調べました。 居たんです。おゆうでしらべたら、幕末の歴史上の人物の妻に同じ生い立ち、名前の方が。 で、今大河ドラマの主人公とつながりのあるお方の妻。 ついでに私の誕生日は大河ドラマの主人公と同じ生年月日です。 偶然にしては気持ち悪いくらいです…
699 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/11(木) 22:48:11 ID:D5khJH/kO 確かにチープで嘘みたいですよね。ですが、本当なんですよ… むしろ私が気持ち悪いくらいです。嘘だと思いたい位。 小さな頃から色々有りすぎて、もう何がなんだか。 師匠に肩が痛いというと、痛い方の肩を触り、何が憑いてるかまで当てるし… 今いる所も他の方が見えると噂のものが見えるので、他の方と私で驚いています。 ちょくちょく肩が痛くなるし。 だれか変わって下さい… ちなみに明日で何とか話を書き終わらせます。 理由は最後に述べます。
700 :名無しさん :2010/03/12(金) 08:57:09 ID:nXbcEuDoo >>695 訂正orz 例えがまちがえていた…もう本名スレスレでいいます。 歴史上の人物…佐伯まお 師匠…佐伯ま〜 これで歴史上の人物が誰か分かるかと思います。 ちなみに私の誕生日は11月15日。 おゆうの旦那は大久保利通です
701 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/12(金) 09:32:00 ID:1bk4myGcO 上にコテハンつけ忘れた…orz ① 私の今は亡き祖父と師匠について 師匠は始めの頃、見てもいない、家族しか写真のないような、祖父の体格、人柄、顔が誰に似てるか、など当ててみせました。 何故分かるのか、と聞いてみれば、あれ(棚の上の大きなぬいぐるみを指し)に憑いてるぞ、見てみろというのです。 私が言われた通りに見ていると、おじいちゃん、いました… ぬいぐるみの中の祖父は、あぐらかいて悠々と座ってました。 その後、ちょくちょく祖父は出てきて、一喝したり、私達を守ってくれました。 そんなとき、ある日師匠が不思議な事をいうのです。 『お前のじいさんって、十年前、お前の住んでいる県一番の繁華街(その時は地名をいいました。〜神という所)にちょくちょく呑みに来てたろ』 絶句しました。十年前、祖母や叔父さん達が、祖父をその繁華街までしばしば呑みにいき、捜索しに行く事がしばしばあったので… ちなみに祖父は呑みに行きますが、キャバクラなどで女に入れあげたり、浮気するような人間でなく、仕事一徹で呑む時は仲間と盛り上げるために使うような方でした。 あと、この地方ではそこそこ有名、というかマニア的な人気を持つ食品会社の創立者です。 『お前のじいさん、お前の事心配してるからいるみたいだ』 そういえば晩年は私と母の心配ばかりしていました。 まだ心配しているのか…と思うと、胸が熱くなりました。
702 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/12(金) 10:01:01 ID:1bk4myGcO なぜ繁華街に呑みに行っていた事を知っているのか、師匠に聞きました。不思議で仕方なかったのです。 師匠曰く、 『十年前、俺はその繁華街で屋台をやっていた。そこにお前のじいさんがきて、仲間でわいわい呑みにきていたのよ、で、じいさんが私は〜という食品を作っていて、社長なんだとか言ってたし、ものすごく良い言葉を言われたから、その言葉が心に響いて印象に残った。』 祖父の知らない一面を知りました。祖父は滅多に怒らない人で、寛大な人だとは思っていたけど… で、師匠が私の知らない事を語り始めました。 『お前のじいさんが〜という食品を作れたのは、横浜のあるお店に作り方のヒントを聞きに来たからだとも言ってたな』 また、 『嘘だと思えば調べてみろ、中国にその食品のルーツがあるから』とも言われました。 調べました。確かに中国にその食品のルーツがありました。 祖父はこの地方で有名な、ある独特な食品を開発し、作り方をライバル会社にも教え、広めた人です。 まぁライバル会社の方が売り上げも知名度も、この地方ではトップになってしまいましたが… 祖父は自分の利益より、みんなにその食品を食べてもらいたかったのでしょう。例えライバル会社にシェアを抜かれるとしても。 祖父は自分の利益より人の幸せを願う方でした。 師匠により、私は祖父の知らない一面を知りました。 祖父がまだ生きていたら…と思う事はあります。 ですが、まだ祖父が見守っているのか、と思うと、胸が熱くなりました。早く祖父を安心させなければ、とも思います。
703 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/12(金) 10:21:04 ID:1bk4myGcO ① これは3ヶ月前。リアルバイオハザードな部屋に住んでいた時の事。 ある日、師匠の様子がおかしくなりました。 『ここはどこ?早く大学行かなきゃ』 どうやら師匠の身体に、私の通う大学生の霊が乗り移ったようです。 私の住むアパートは私の通う大学生御用達のアパートなんで… ですが、まだ分からないので、大学の先生の顔写真付き科目表を見せ、顔写真に指差し聞いてみることに。 『この先生は知らない、この先生は話が長い、この先生?授業退屈。…』 全部当たり。 ですが、ある先生を指差すと、苦しい、苦しいというのです。 恐らく年代は私より二つ上。その先生となにかあって自殺したみたいです。しばらく聞くと思い出してきたらしく、部屋は隣の空き部屋で首吊り自殺したそうです。 …ならば私の一年の時の先輩を知ってるかも…? 〜先輩って知ってる?ときくと、 『あいつは背が小さいから、入学時はよくからかってた。で、取り巻きの××先輩とも、ちょくちょく入学時は話していた。あいつ変な奴で面白かったし。しばらくして疎遠になったけど。』 …当たり。勿論、師匠は先輩達はおろか、先生の事も知りません…
704 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/12(金) 10:53:25 ID:1bk4myGcO ② で、その幽霊先輩はしきりにある事を気にしていらっしゃいました。 『〜は?〜は元気?』 その人は一つ上の先輩で、隣のこの部屋よりも、リアルバイオハザードな空き部屋に住んでいた女性の大学の先輩。 前々からその先輩は不思議でした。 その先輩以外は、3ヶ月と経たずにその部屋から出ていくのに、一年間もその部屋に住めたのですから。 話を聞くと、その先輩は幽霊先輩の恋人で、私が入学する前に幽霊先輩が首吊り自殺したから、その先輩が今も元気か不安とのこと。 幽霊先輩にその先輩は隣の部屋に住んでいて、私が二年のとき全国的に有名会社に就職きまりましたよ、と伝えました。 幽霊先輩曰く 『彼女は俺の(首吊った)姿を見て泣き崩れたんだ。彼女が第一発見者だった。で、いつの間にか彼女が俺の部屋にいたんだ。何度か彼女に話しかけようとしたけどダメだった。』 私は話をきいて、ある事に気が付きました。 もしや、あの女性の先輩は、幽霊先輩が首吊りした後、わざと卒業するまで隣の部屋に住んだのでは? 普通、首吊り自殺があった部屋なんか住みたくない。 だが、恋人がそこで死んだから、亡くなった恋人を身近に感じたくて、わざとその部屋を借りたのでは? 恐らく自殺があった部屋だ、しかも恋人の自殺。 彼女の両親は反対されたはずだ。勿論彼女のご両親は恋人の自殺は知っているはず。彼女が第一発見者なのだから。 そんな事があった部屋に住ませる親なんか、いないだろう。だが、彼女は恋人が自殺した部屋だからこそ、身近に感じたくて両親の反対を押し切って住んだのでは… そういえば、あの先輩、彼氏がいる気配なんかなかった。男の人が出入りしていた所なんかみたことなかった。 あの先輩に彼氏がいなかったのは、幽霊先輩が自殺したから、だけど自殺されてもなお、幽霊先輩の事が好きで、身近に感じていたからではないか? あくまでも推測だが、私が一年の頃はどことなく影のある先輩だった。卒業する頃にはなんとか落ち着いたみたいだが…
705 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/12(金) 11:24:24 ID:1bk4myGcO ③ 幽霊先輩にその事を(推測だが)伝えたら、 『そうか、ありがとう…彼女は元気なんだね。』 と告げ、師匠の体から抜けた。 その後、面白がり、私や師匠に取りついた。彼も寂しかったのかもしれない。 彼は晩年、彼女以外との人との交流はないようだったから。 そんなある日。 ひどい雨の日で、私が近所のたち悪い幽霊お持ち帰り、私の部屋に幽霊ワンサカ、どうにかベッド(隣のリアルバイオハザード空き部屋側にあります)に結界張れたけど、多すぎて師匠も私も大変な日がありました。 私に取りついたのは祓えたけど、壁に寄りかかろうものなら、壁から無数の手がうようよというピンチになったのです。 そんな時。 あの幽霊先輩が壁から出てくる無数の手を全身を使い、私に手がとりつかないように庇ってくれたのです。 私はもういいよ、危ないよ!と話しかけましたが、幽霊先輩は、 『彼女は部屋では彼氏も作らず寂しそうだった。だが君たちのお陰で彼女が幸せになれた事を知った。すこしの間だったけど相手をしてくれた。』 というのです。 彼は頑張ってくれていましたが、いち幽霊が無数の手を押さえ込むのは無理があります。 私は大丈夫、もう無理しないでといいましたが、最後彼は、 『ごめん、もう体が持たない。押さえきれないけど…ありがとう』と言って消えたようでした。 涙が止まりませんでした。ちょくちょく取りつかれたけど、私と師匠にとっては、短い間だったけども、友人のような存在だったから。 その後、師匠が頑張って、部屋はどうにかなりました。 涙目の私に師匠は、 『彼は、無数の手が押さえ込むのは無理だと分かっていて、お前を助けた。お前が彼の彼女が幸せになった事を知らせてくれたから。多分、彼女の所に行って守護霊にでもなったさ』 と告げました。 今でもふと彼の事を思い出します。 彼の風貌はフードをかぶって人を拒絶しているようでした。まるで昔の私みたいに。だけど彼はいい奴だったなぁ、元気かなぁ、と思います。 彼はもう会えないだろうけど、私にとっては大切な友人でした。
706 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/12(金) 11:31:43 ID:1bk4myGcO 閑話休題。 師匠は物の浄化を道具を使わずできます。またその逆も。 ちなみに理屈きいたら…出来ましたw 『なんでお前はそう簡単に出来んだよ…orz』 師匠はまた悔しそうでしたw
707 :名無しさん :2010/03/12(金) 12:50:29 ID:wRydetdEO 中二ぷりがすごくて痛いw 人生の汚点だな
708 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/12(金) 19:46:20 ID:1bk4myGcO 最後の四つの話をします。 私は今入院して大部屋にいます。 今夜はその入院にからんだ話を致します。 ① 一つめ。病院での出来事。 この病院の私がいるフロアでは、しばしば患者さんから看護士まで、消灯終えた夜中、子供がはしゃいでいるのが目撃されます。 このフロアは整形外科のみで、何かしら骨折してる方ばかりなんで、元気に子供がはしゃげる訳がないのですが。あと、はしゃいだら必ず看護士に見つかるはず。 ですが、しばしば目撃されます。必ず共通するのは、黒と白の幼い子供。私もしばしば目撃しました。 看護士さんは 『よくある事。気にするな』 と言われましたが、一度だけ異形のモノを目撃しました。 この病棟の半分以上は認知症の方々ばかりで、夜中独り言をつぶやいたり、お経を唱えたり、暴れたりは日常茶飯事です。 余りに酷いと、個室や観察室に移動させられます。 そんな中、夜中になると、 『痛みを取り除いて下さい、××大明神さま〜』と、お経を唱えるお方がいらっしゃいました。 昼は痛い、痛いと四六時中おっしゃっります。 隣の軽度の認知症の方も不眠症が悪化するし、私も眠れなくなるし、看護士さんに相談して、その老婆は別室移動になりました。 ある日の夜の事。 その老婆がなんと歩いているのです。凄まじい形相で。 確かその老婆は歩けないはずなのですが…痛い痛いと繰り返していたし。 私は怖いので、そのまま無理矢理寝ました 。なかなか眠れませんでしたが… その数日後、師匠が見舞いにきました。 その話を師匠にしたのですが、師匠はそれはおかしい、というのです。
709 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/12(金) 19:47:11 ID:1bk4myGcO ② ちなみに、師匠もその老婆を見た事はありますが、あまり見ようとしませんでした。 この婆さんしんどい、とも言っていました。 話を戻すと、私は何故?と質問しました。もしかしたらリハビリで歩けるようになったのかな、と思っていたし。でもそれにしては早すぎるけど… 師匠が一言、ぽつりともらしました。 『その老婆とさっきすれ違ったよ。ストレッチャーにのせられて、顔にはガーゼかけられてな』 意味は分かりました。言われなくても。 では、前日見た、あの老婆はなんだったのでしょうか。 それ以降は前述の子供の霊しか見ませんでした。 ですが、これも子供の霊も含め、ここでは『よくある事』なんだと思います。
710 :名無しさん :2010/03/12(金) 20:11:45 ID:RZehrkKwO 続きは?
711 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/12(金) 20:39:52 ID:1bk4myGcO 二つ目。 この病院は救急病院なので入れ替わり立ち代わりで患者さんが変わります。 私は普段カーテンを締め切っています。 そして師匠は毎日お見舞いに来てくれました。 ある日、あるお婆さんが入院してきました。穏やかな方で、近日退院とのこと。 その祝いに、そのお婆さんに御守りを渡す事にしました。それがいけなかった。 そのお婆さんは拒否されました。まあ御守りだし嫌だったのかな、と思い反省しました。 その後、お婆さんは退院しました。 ですが、何故か私の身体が重い。何かおぶさったかのように。 その後、師匠が来ました。 師匠は私を怪訝な顔で見ます。というか私の後ろ… 『お前、取り憑かれてるぞ、あの退院した婆さんな』 何故?何故?思いつくのは…御守り。 私が御守りをお婆さんにあげようとしたから? 師匠にその事を告げると、あちゃー、という顔をしています。そして一言。 『あの人の宗教、エ○バ。』 つまり、私は一神教の方に、決してあげてはいけない他の神の物をあげようとしたのです。 そして相手の怒りを買って、そのお婆さん生き霊に取り憑かれたと。 師匠はお祓いしてくれましたが、簡単に人に宗教的な物をあげてはいけない、触らぬ神に〜、を実感しました。
712 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/12(金) 21:25:46 ID:1bk4myGcO 三つ目。 私は入院前、うつになってしまい、自殺未遂をおかした時。 バイトにも学校にも行けず、将来が絶望的に思え、近くの住宅公社の屋上に行きました。 最上階に行くと、空気が変わりました。その屋上だけ、空気が重く息苦しいのです。ですが私は屋上への入口に行きました。 その入口にあったのは…無数の御札。びっしりと… ここで自殺したら取り込まれる!ここに留まり続けるのはいやだ! 私は近くの自殺の名所と化したパチンコ屋の屋上の隅に行き、歌を聞いていました。この歌を聞いたら飛び降りようと思っていました。 子供がボールで遊んでいる。親は何処に居るんだろう。だけど、そんなのはもうどうでもいい… ですが、音楽が終わる寸前、師匠が私の腕を掴みました。 『帰るぞ!』 その後、私は師匠に怒られ、師匠や友人に自殺しないよう、随時見張られました。 一つ疑問が残ります。何故私の居場所が分かったのか。私はパチンコ屋の隅という分かりにくい所にいたのに… 師匠は教えてくれました。 『あの時、パチンコ屋の屋上から子供が手招いていた。で、屋上に行ったらその子が手招く所に行ったらお前がいた。』 子供はそんな素振り見せたっけ?と思いましたが、師匠が一言。 『あの子供は生きているモノをではない。あの子供にお前は助けられたんだよ』 その後、師匠と買い物に行った時のこと。 ふと空を見上げたら、パチンコ屋の屋上から、その子供が私達に手を振ってくれました。
713 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU :2010/03/12(金) 22:06:31 ID:1bk4myGcO 最後です。 私が入院しているのは、自殺未遂でこの救急病院に来たからだ。アパートの三階から飛び降りて。 私はパチンコ屋騒動の後も、うつで気分は晴れませんでした。 もう限界だった。師匠と友人が作業をしている隙に、私は部屋からそっと飛び出しました。さようなら、とだけ小声で呟いて。 私は六階から飛び降りそうとしましたが、滑稽ですが、高すぎて、三階から飛び降りることにしました。下は入りくんで分かりにくい場所です。 飛び降りた瞬間、一瞬のうちに落ち、気を失いました。 何か、着地した瞬間、何か押さえ込まれた感情が溢れ出た感じがしたのを覚えています。 気が付いた時、左足の激しい痛みに襲われました。 滑稽ですが、必死に助けてと叫びました。ですが、遠くのサラリーマンは見向きもしません。 私は這いつくばって、エレベーターで自室まで助けを求めに行きました。 最初師匠と友人は嘘だと思っていましたが、足の異常な腫れを見て、救急車で今の病院に運ばれました。 その時、救急車内で、『やっぱりか…』と師匠が呟いたのが印象的でした。 私が入院し、しばらくして、師匠が来ました。 私は師匠に自殺未遂日の『やっぱりか…』について聞きました。気になって仕方がなかったのです。 師匠はこう言いました。 『あの時(私が飛び降りた時)、頭を二回、殴られた痛みが走った。しばらくしてお前が這いつくばってきたから驚いたんだよ』 ですが何故二回?疑問に思い、二回の意味は?と聞きました。 師匠曰く 『実はさ…あの時はそれ所じゃなかったから、お前には言えなかったけどさ…俺も分かんなかったさ。その時は。だけど、病院に着いた直後、親父が危篤、っていう連絡がお袋から来たんだ。』 『一度目の痛みはお前が飛び降りたから。二度目は親父が危篤になったからじゃないのかな。なにやってんだって、誰かに殴られたんじゃないかな』 その後、2ヶ月間ここで入院し、今に至ります。 私は明日退院です。三年間住んだこの地とも、しばらくお別れです。師匠とも。 今は休学し、親族から色々言われます。因みに地元では、何故か心霊関係とは無縁です。 暫くここに投稿することはないでしょう。何かあれば投稿するかも知れません。 今から大変ですが、いつの日か、師匠と心霊ライフwを楽しめるよう、頑張ろうと思います。 ありがとうございました。
727 :名無しさん :2010/03/13(土) 15:58:59 ID:VuPz6IIg0 >>724 自分は霊が見える人を否定はしないけど、 まともな人は自分からは言わないんだよね。 聞けば答えてくれることもある、みたいな感じで。 妄想との区別を周囲に理解して貰うには、 結局は目に見える証を示すしかないんだろうけど。 身内だけで当てっこしても、 波長が合う奴が集まってるだけかも知れないし。 一緒に暮らしたり交わったりすると、特にね。 双子にテレパシーやシンクロが多発するのと同じ状態になってしまう。
736 :破壊神 :2010/03/13(土) 22:58:31 ID:.WSQwm2wO ついにここも本スレ並みに荒れてきた…。 自分の怖かった話を投稿します。 ずっと前の事なんですけど、その日は、 かなりの雨が降っていたんです。 何気なく自宅の前の道路を見ていたら、 道路の中央線を背広を着た人が歩いていました。 でも、おかしいんです。その人全身濡れていません。 そして、その人を見た翌日の夜中から、 「おぅ〜。」と言う声が聞こえて、毎日震えていて、なんとなく近くの神社(自宅の真正面)を散歩したら声が聞こえなくなったんです。 なんとなく怖かった話です。
737 :名無しさん :2010/03/14(日) 00:07:40 ID:Llly04060 ニコニコのホラー系動画のリンクから飛んできました。 小さい頃から霊感のあった母親から聞いた話ですが、一つ投稿させていただきたいと思います。 二択、三択の中から物を選ぶ時、最初に選んだものから気紛れに別の選択をしたりしますよね? で、結果的にそれが当りクジだったり、欲しいものだったりする、なんてことはたまにあることです。 皆さんも、そんなことを経験したことがあるでしょう。 いつぐらいだったか、母も覚えていない。 私を含め三人兄弟で、三人ともがプールなどで遊べるぐらいの年でした。 三つ離れた弟が小学校の低学年、私が四、五年生で、年子の兄が一つ上です。 あれは、夏休みにも入ってしばらくしたころの話。 父親が休日の家族サービスで、私たち三人を少し離れた川へ遊びに連れて行ってくれるという話しになったのです。 夏の暑い日に、川遊びなど好きだった私たちは喜びました。 しかし、何を思ったのか、気分が優れず留守番するつもりだった母が、 「川は止めてプールにしたほうが良い」 と言い出し、父も何気なく従いました。 その日は、車で一、二時間程離れた市民プールで遊び、何事もなく楽しいひと時を過ごしました。 翌日、テレビでニュースが流れます。 ニュースの内容は、私たちが行くはずだった川で子供が溺れ死んだというものです。 もしあの時、母がプールへ行くことを進言していなければ、父が従わなければ、どうなっていたのでしょうね?
738 :名無しさん :2010/03/14(日) 00:30:49 ID:IlTCq2EMO >>737 さん 恐い話乙です!また何かあればよろしくお願いしますm(__)m
739 :名無しさん :2010/03/14(日) 12:59:09 ID:.9ul7nCU0 私が小学校3年生の時の事です。 今振りかえっても思い出せないようなささいな理由から、母と口論となり大ゲンカをしました。 母は私を叱りつけ、しかし私はまともに聞く気など微塵もなく、憮然と仏壇にもたれかかっていました。 母は「仏壇にもたれるな!」と言うのですがその言葉も無視していると、それからいくらかもしないうちの事でした。小さな動作から体のバランスを崩した私は思わず前のめりに転んでしまい、その勢いで「バターン!」仏壇を倒してしまったのです。 「ご先祖さまに謝りなさい!!今すぐ!早く!」顔を蒼白にして取り乱す母に私は内心えらいことをしたとあわてましたが、ケンカの手前「誰が謝るか!」とつぶやいて眠ってしまいました。(今思い出しても私って最低…。) その夜の深夜、私はちくちくした痛みと心地よい冷たさで目を覚ましました。 うっすら目を開けて見ると、暗やみの中、母が真剣な眼差しで私をのぞきこんでいます。何をしてるんだろう…まぁ、いいか……。私は再び眠りに落ちました。 翌朝、焼け付くような顔の痛みで目を覚ました私は鏡を見てかたまりました。自分の顔の左半分が、まるでただれたように腫れてとけていたのです。すこし転んだだけでは、決してありえない姿でした。うろたえていると、目の下にクマをつくった母が言いました。「あんたがちゃんとあの時謝らなかったからだよ」 昨夜、母は私の代わりに謝ったのですがそれでもいい知れぬ不安を拭えず、夜中私の寝床をのぞいてみたのだそうです。 すると私の顔の変わり様に驚愕し、これはご先祖さまの怒りだと、一晩中寝ずに私の顔を氷水のタオルで冷やしながらご先祖さまに謝ってくれていたのだそうです。 「冷やす前は、もっとひどかったんだからね。」そして、あれをあんたが見ないでよかったと。 私はもちろんその後母と一緒に仏壇に土下座して謝罪しましたら、ひどい腫れとただれも一日で完治しました。 幼いながらにご先祖さまの厳しさと、母の深い愛を実感した出来事です。
742 :名無しさん :2010/03/15(月) 12:16:08 ID:QJDS0bGc0 お、早速管理人仕事したようだがなんで俺のレスまで消すかねえ?
743 :名無しさん :2010/03/15(月) 12:18:27 ID:QJDS0bGc0 まさか某スレを荒らしまわる粘着って管理人様本人な訳ェ?
744 :あ :2010/03/15(月) 15:17:11 ID:t8xnAQZkO あ
745 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/16(火) 00:10:13 ID:pA5vTJvk0 1/9 あれは俺が事故で入院した頃だからもう10年も前の話だ。 今日はその時入院した病院での恐怖体験を書いてみる。 俺は病院が嫌いだ。今思い出しても鳥肌が立つ、忌々しい体験だ。 高校を卒業した俺は地元の専門学校に入った。しかし入学式から 1ヵ月くらいした頃、俺は車に撥ねられ右足を骨折。全治3ヵ月 で事故現場近くの病院に入院することになった。そこはいわゆる 「出る」 ことで地元では有名な病院だった。 「なんでよりにもよってこの病院なんだよ・・・」 俺は全力で落ち込んだ。俺を撥ねた会社員さんが毎日仕事帰りに お見舞いに寄ってくれたが、元気のない俺を見てさぞかし心を痛 めたことだろう。いや違うんだ、骨折で落ちこんだんじゃあない。 この病院に入院しちまったことが悲しいんだ。 病院は後は山、前は川という立地だ。裏山には古びた墓地があり、 周りは鬱蒼とした森に囲まれていた。病院に入るには細い石橋を 渡ってこなければならず、その橋の手前には、センターラインの 消えかかった暗いトンネルがある。そのトンネルも出ると噂され ている。 事故直後、救急車で運ばれた俺は入口から入る時、たくさんの窓 から青白いの顔が覗いているのが見えた。もちろん生きてない人 の顔だ。台車に寝かされカラカラと手術室に向かう途中、ぼんやり見 ている天井から、数本の足がブラブラとぶら下がっている。
746 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/16(火) 00:12:17 ID:pA5vTJvk0 2/9 手術室の隅には過去にここで亡くなった人が壁に向かって立って ブツブツと何かをつぶやいている。医者が骨折した足を仮処置して くれたが痛さで「ぐおおおおお!」と叫ぶと、そいつらはしばらく 見えなくなる。しかし少しするとまた現れる。 生きてここから出られるかな・・・ 事故のショックからか普段よりも鮮明に見えている。なるべく気 にしないようにしているが、明らかにこの病院があっち寄りに存 在していることをビンビン感じていた。そんな俺を見かねてか、 昼間は学校の友達がひっきりなしに見舞いに来てくれた。 そんな中、数日も経った頃の深夜、寝ていると救急車が入って来 た。誰か事故ったか?俺は大して気にもせずに再び眠った。翌日、 同じ病室の山田さんに昨日の救急車について聞いてみた。俺の病 室は6人部屋で入院してるのは3人だ。しかし山田さんと、もう 一人の加藤さんは昨夜の救急車など知らないと言う。 二人とも老人だ。耳が遠くて気づかなかったのか・・・? 俺はたいして気にもしなかった。が、その翌日の深夜にも救急車 が入ってきた。俺のベッドは窓際だ。外を見ると赤いサイレンの ライトが回転している。俺は「またか・・・」と思ったがそのまま寝 てしまった。
747 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/16(火) 00:13:36 ID:pA5vTJvk0 3/9 翌朝、寝ていると定時の採血で目が覚めた。看護婦さんに昨夜の 救急車について聞いてみると、昨夜は急患はなかったと言う。俺 は何言ってんだ?一昨日も来ただろうと聞くと逆に変な顔をされ てしまった。 おかしいな、幻覚だったのかな・・・ そういえばここ数日、あっち側の人達を見ていない事に気がつい た。試しに夜、院内を車椅子で散策してみる。おかしい・・・俺が担 ぎ込まれた時は、これでもかという位見えたのに・・・外にも出てみ たが何も見えない。 俺は事故の後遺症で霊感がなくなったのか?と思ったが、それな らそれで別にいいか、と妙な安心感に襲われ病室に戻った。病室 に戻ると同室の2人はすでに寝ているのかカーテンが閉まってい た。俺は自分のベッドに戻るとそのままうとうとと寝てしまった。 どれくらい時間が過ぎただろう。目の前に何か赤いものが動いて いる事に気がつき目が覚めた。救急車のライトだった。 何だ今夜も急患かよ・・・ 俺は起き上がると窓越しにその救急車を見た。ちょうど担架から台 車に患者が移されるところだった。しかしおかしい、妙に静かだ。 病室は2階だから台車の音や救急隊員がしゃべる声など、充分聞こ える距離だ。そしてふと台車に乗せられた患者を見て愕然とした。 ぇ・・・なんで・・・俺が・・・
748 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/16(火) 00:14:47 ID:pA5vTJvk0 4/9 台車に乗せられていた急患は俺だった。俺が俺を見ている。頭が混 乱していた。急激に鼓動が早くなり俺は震えながらその「俺」を見 ていた。おかしなことに救急隊員や出迎えている看護婦・医者の顔 がよく見えない。しかもその「俺」 は台車に乗せられると、ベルト のようなものを締められ動けなくされている。 ガラガラガラ・・・!! そして更におかしなことに台車は院内に入らず、逆の橋の方向に押 されて行くではないか。台車の俺が必死にもがいてこっちを見てい るのに気がついた。何かを叫んでいる。が、まったく聞こえない。 これはヤバイ・・・俺は咄嗟に松葉杖で階下を目指した。 院内は消灯され、ひっそりと静まり返っていた。俺はエレベータに 乗るとで1Fを押した。が、どうした訳か下降を始めたエレベータ はそのまま下降を続けている。どう考えてもすでに10F分くらいは 下降をしている感じだ・・・病院の地下はB1のみであるにも関わらず だ。 ど、どこまで降りるんだ・・・ と、ガコンという衝撃とともに止まった。ボタンを見るとB1が点 灯していた。おかしい、確かに1Fを押したのに・・・俺はわけがわか らずにいたが、とりあえず戻ろうと1Fを押した。しかしいくら押 しても反応がない。ボタンはB1点灯のままだ。と、開いたドアの 奥に何かが見えた。 カツーン・・・カツーン・・・カラカラカラ・・・
749 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/16(火) 00:16:23 ID:pA5vTJvk0 5/9 誰かがこちらに向かってゆっくりと歩いてきている・・・しかも台車? を押しながらのようだ・・・俺は恐怖で尻餅を着いてしまうとガタガタと 震え出した。そして目線を壁際に向けてハッとした。そこには「霊安 室→」と書かれているではないか。俺はヤバイと思い、必死で1Fの ボタンを連打した。 カツーン・・・カツーン・・・カラカラカラ・・・ B1の廊下は消灯されていて暗闇だ。しかも得体の知れない何かが 俺に向かって迫って来ている・・・さっきの救急車といいコレといい、 尋常でない状況は明らかだ。恐怖で泣きながら1Fボタンを連打し ているとやっと点灯した。すかさず閉ボタンを押すとドアが閉まり 始めた。 ガラガラガラ・・・!! と、さっきまでゆっくり向かってきていた何かが突然すごい勢いでこ ちらに迫ってくるではないか。俺は恐ろしさで、ヒイィィィ!と目を 瞑るとバコンという音とともにドアが閉まった。 いや、正確には閉まっていなかった・・・ エレベータのドアは10cmほど開いていた。何かが・・・挟まっている・・・ 俺は恐る恐る目を足元へ向けると、白い手がドアの向こうから俺の脚 をしっかりと握っているではないか。 ヒィィぁィcblggw@dふじこ!!
750 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/16(火) 00:18:06 ID:pA5vTJvk0 6/9 俺は恐怖で真っ青になりながら夢中でその白い手を蹴りまくっていた。 しかしその手はビクともしない・・・と、ドアが開いてしまった・・・そして へたり込んでいる俺の上にゆっくりと何かが覆いかぶさった。真っ白な 顔の長い黒髪の女だった・・・ ・・・俺はそのまま気を失った・・・ ガチャガチャ・・・シュッシュッ ・・・ん・・・何の音だ・・・? 目が覚めた。暗い夜空が見える。むせ返るような湿気を含んだ森の匂い が鼻腔に飛び込んできた。体が動かない・・・俺はどこにいるんだ・・・? 目線を足元に向けると、何かが俺の体を縛っている。よく見えない・・・ どうやら台車の上に寝かされているようだ。 ガラガラガラ・・・ 台車が動き始めた。その衝撃で目の前に建物が飛び込んできた。病院だ。 そして俺は自分の病室から誰かがこっちを見ているのがハッキリと見え た。 あの女だ・・・
751 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/16(火) 00:19:30 ID:pA5vTJvk0 7/9 それはあの女だった・・・さっきB1で俺の脚をつかんだ女だ・・・俺はこの ままでは死ぬ、と感じて叫んだ。声にならない声で助けてくれと必死に 叫び、もがいた。台車は病院から遠ざかり橋の上をガラガラと走っている。 おかしなことに誰が押しているのかわからない。よく見えない。 ガラガラガラ!! 俺は恐怖で引きつりながら足掻いたが縛られていて手足が動かない。と、 視界にコンクリートの天井が映った。例のトンネルだ・・・そして俺はこの トンネルの先が行き止まりで、断崖になっていることを思い出してした。 ヤバイ・・・このままでは落とされる・・・しかし動けない・・・そしてふと目線 を川の対岸の病院に向けた。 なんだ・・・あれは・・・ 川からおびただしい数の人が病院に向かって這い上がって行くではないか。 それを見た瞬間、俺は思い出した。かつてあの病院が建っていた場所には 飛行機工場があり、戦時中に強制連行で連れてこられた北朝鮮の人達がB 29の爆撃を受けてたくさん亡くなったことを・・・ ガラガラガラ!! 俺は恐怖と絶望で頭が真っ白になった。断崖はすぐそこまで迫っている。 もうダメだと思い全身の力が抜けた。その瞬間、まぶしい光に俺は照らさ れ目を閉じた。
752 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/16(火) 00:21:25 ID:pA5vTJvk0 8/9 キキィィィ!! バタン! バタン! おい、誰かいるぞ!? 大丈夫か!しっかりしろ! 聞き覚えのある声だった。俺は安心するとそのまま意識を失った。 翌朝、俺は病室で目が覚めた。しかしそこはあそこの病院ではなかった。 傍らにはお袋がいた。俺は事の経緯を聞いた。それによると昨夜、あの 病院は火事になったらしい。まさに俺が何者かに病院から台車で運ばれ た直後、地下のボイラー室から出火しあっという間に病院全体が炎に包 まれたのだという。逃げ遅れて亡くなった方もいると言う。 俺はそれを聞いて愕然とした。
753 :天狗男 ◆JP.Ba21tS. :2010/03/16(火) 00:22:46 ID:pA5vTJvk0 9/9 俺をこの病院まで運んでくれたのは同じ学校の友達だった。あのトンネ ルで肝試しをやろうという事になり、仲間達とちょうど来ていたのだと いう。しかし彼らが来た時、あそこにいたのは台車に乗った俺だけだっ たとのことだ。俺を助けている最中、ボンッという音とともに目の前の 病院が火事になって大騒ぎだったということを聞いた。 俺は退院後、友達とあの病院まで行き橋の手前に花を供えた。病院は見 るも無残な状態になっていた。あのとき見た女。彼女は俺を引き込もう としたのか、それとも逆に俺を助けようとしたのか、俺にはわからない。 しかし結果的に俺は助かった。 俺達はしばらく黙祷すると病院を後にした。 その後、俺は病院が益々嫌いになった。 おしまい。
754 :名無しさん :2010/03/17(水) 16:15:48 ID:vzSPWhRsO >>739 ほんとに冷やしてくれてたの? てっきり母親は夜中>>739 に塩酸のようなクスリを塗ってたのかと
755 :名無しさん :2010/03/18(木) 22:19:21 ID:B3q.vZiko 幼い頃、父は冷淡だった。 父は些細なことで殴ったり、冬場に寝間着のみの姿で一時間追い出したり…とにかく冷淡だった。 風呂に入っていると、いきなり風呂に顔を沈め、溺れさせようとしたり、生まれる前、お腹の子供が望まぬ子だと知ると、階段から妊娠中の母を突き落とし、流産するよう仕掛けた。 地元の有名中学に入れようと、椅子に縛り付け、12時間勉強させ、トイレ食事風呂と夜の睡眠以外の事をすれば、必ず殴った。その中学に行くのも、家族の縁を切ると脅され、家族の目の前で蹴られながら土下座させた。 それらの行為は自分が悪いからと刷り込ませた。 父は外では人格者で通り、それで何人もの人間を操った。ヒトラーのように。 しかし家庭内では暴力の絶えない家庭だった。 職場ではありがたられた。だが裏ではお客さんの悪口ばかり(老人は死ね、ガキはうるさい)で、薬物依存だった。 一番怖かったのは、彼がベテランの医者だったことだった。 そんな人物が、医者をしているのだ、今でも何処かで。 かれは度々こういった。 『跡継ぎにならない奴や女子供、老いた俺の介護をしない奴は役に立たない、クズだ』 今でもトラウマと戦っている。だが母が父に性格が似ていた。 負の連鎖はまだ続くようだ。
756 :名無しさん :2010/03/22(月) 03:29:56 ID:d1uttrHgo 初めて書きます。 一年ほど前の深夜、友人がアポ無しでやってきました。 故郷から離れて友人も少なく、その来訪は嬉しくありました。 ドアを開け放つと、彼女はズブ濡れで、唇は紫色になり、凍えており 直ぐに上がってもらおうと
757 :名無しさん :2010/04/24(土) 16:58:32 ID:LKx87pRo0 マサさんに天狗男はもう来ないのか?
758 :名無しさん :2010/04/25(日) 08:15:37 ID:FrEIKEG2O マサさんの作者さんは来てくれると思うよ。 だってこう書いてたから… 621: ◆cmuuOjbHnQ 10/02/28(日) 05:52:48 ID:6qXL85WU0 続きは近い内に。 それでは、また。
759 :名無しさん :2010/04/25(日) 15:15:07 ID:CGtLQ8fA0 最近は半島関係できな臭いウワサも多いし、今はバリバリ仕事中じゃない かな?>マサさん 当て推量だけど、早ければ今年度の後半ぐらいには投下してくれるんじゃ…
760 :名無しさん :2010/04/28(水) 07:26:45 ID:GPUWIAJYO 怖くはないかもだけど書かせてもらいます。 私が中学生の時、先生に陸上部に強制的に入らされ、夏休みの朝練が終わった後に友達2人と計3人で地元のスーパーに隣接する喫茶店にジュースを飲みに入った時の事。 トイレに行きたくなったんだけど場所が分からないので友達に聞いたら『あっち』と指差した先にドアが見えて向かいました。友達同士は何やらカッコイィ先輩の話でもちきり。 一人でカウンターの奥にあるドアに向かって行き、ドアを開けると半畳ほどのスペースにモップなどが置いてあって、どうやら物置の様子。ふと下を見ると女の人がいる。。。ガリガリに痩せてて、ピンクの汚れたTシャツに白いパンツ(下着)はいてて、髪は工作ハサミで適当に切ったみたいなザンバラショート。これまたボロボロに汚れた白いクマちゃんのぬいぐるみを抱えてヨダレ垂れまくって中を見つめて『ウー‥』ってゆってた。
761 :名無しさん :2010/04/28(水) 07:43:56 ID:GPUWIAJYO ビックリして声が出なくて友達の方に振り返ると何も気付かずにまだ喋ってる。『どうしよう‥』と思ってたらお店の女の人に『何してるんですかっ!?』って怒られて、泣きそうな声で『トイレ‥』って言うと、『そっち!そっち!』と左側を指差してたので見てみると女の人がいた物置の左にも一つドアがあって、トイレのマークが貼ってあったので『すいません』とお店の女の人に告げてトイレに入ったけど、正直トイレから出るのが怖かった(ノ_・。) 頑張ってトイレから出て友達の所に戻り、ジュースを早飲みしてお店を先に出たけどしばらくずっと『どうしょう‥どうしょう‥』って怯えてた。 それから3年ほど経って私が高校生の頃、そのスーパーは大手スーパーに吸収合併される事になって改築工事が行われる事に。喫茶店にも現場所を退去してスーパー内の一角にスペースを設けてるからそこに移動して欲しいと何度もスーパー側が交渉したらしいけど、絶対に立ち退きしなくてスーパー側も困ってたら、喫茶店の人がいきなり夜逃げ。連絡がつかなくなったから、スーパー側は喫茶店を取り壊して改築工事を続けようとしてたら、白骨死体が出て来て地元民はフィーバー。もちろん女性の白骨死体。 それからすぐ後に白骨死体が見付かった辺りで改築工事中に天井が崩れて作業員2人死亡。その後も、その辺りで露店出してたやきとり屋さんが営業終わってからボヤを出したりして『たたりじゃ!たたりじゃ!』とさらに地元民大フィーバー。
762 :名無しさん :2010/04/28(水) 07:50:34 ID:GPUWIAJYO ちなみに、私は高校生の頃そのスーパーでバイトしててやきとり屋のオッチャンと仲良かったから火事の後なぐさめるために電話したら『絶対に火の元は確認した』って言って泣いてた。あやうく体でもなぐさめなきゃいけない事態に陥りそうだったけど、何とか逃げた。 関係があるのかどうなのか分かんないけど、その白骨死体も身元が分かんないみたい。 その後私は高校を卒業して専門学校に進学してその町を出たから分かんないけど、結局吸収合併したスーパーも潰れちゃって、また別のスーパーが入ってる。 そのスーパーでは今は何も起きてないみたい。
763 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2010/05/02(日) 16:42:56 ID:EgsXsJKE0 【出土品】 1/3 「お兄ちゃんの知り合いのあの子なあ、アレとはイマイチ合わん」 上野の飲み屋で、味噌鍋を二人でつつきながらヒレ酒を呑んでいたとき、急に広島弁の ジイさんに言われた。最初、何を言っているのか判らなかった。 どうやら、最近ここに飲みに来るミカドさんのことを言ってるらしい。 この広島弁のジイさんは三船敏郎声のヒッピー崩れ。 「ごめんねバアさん」の時、空襲で死んだ女の子の憑き物を抜いて貰った恩人だ。 だが、ふざけているのかヒネくれているのか、自分の名前を絶対に明かさない。 店の大将も教えてもらえてないそうだ。そのくせ、お爺さんと呼ぶと怒る。始末に悪い。 一方ミカドさんは、変な踏切で助けた訳アリ女子大生だ。ここを彼女に紹介してから、 このジイさんとも何回か顔を合わせていたが、当の店の大将がそういった話をあまり 好まないので、お互いにオカルトな話題は振らせない様にしている。 彼女の『スタンド』と呼ばれる、大きな黒い口のワニの化け物の話題にも、今ひとつ振り 切れていない。そこのところは残念だ。 「あの子って、ミカドさんの事ですか?」 「帝?大仰な名前じゃのう」 「違いますよ。三門と書いてミカド。大仰でも何でもないでしょ」 「変わらん。空門、無相門、無願門で三門。三解脱門じゃ。知らんのか?」 …このジジイ、こういったことは変に詳しい。実際、何をしていた人だろう? というか、その前にいい加減あんたの名前を教えろよ。話し難くて仕方ない。
764 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2010/05/02(日) 16:43:45 ID:EgsXsJKE0 2/3 「何か理由でも?彼女、気に障るようなコト言ってましたっけ?」 「いんや。よう解らんが、コレが妙にイガイガしよる。それと爪先が痛い」 「それも、決まってあの子が来ているときだけよ。気味が悪い」 あの…その爪先が痛いってのは、痛風です。きっと。オカルトとは関係ありませんから。 と思っていると、ジジイがGジャンの上着のポケットから、何か取り出すのが見えた ポケットから出されたソレ。ヒッピー崩れのジジイが持つには、不釣り合いなアクセサリ だった。おい、いつも言ってる割には、ピースマークじゃないのかよ。ガッカリだ。 ブローチくらいの大きさか、象牙で出来ている様にも見えたソレは、何と言うか… 何かの爪が2つ、三日月のように連なって「C」の字を成していた。 ブーメラン?いや、何かの刃物を模している様にも見えるが…多分日本のものではない。 どことなくアジア系の意匠の浮き彫りには、全面に赤黒くスミ入れが成されている。 結構古いものかもしれない。 で、ミカドさんが近くにいるとイガイガ反応するわけですか、これが? 彼女の『スタンド』と関係があるのか?判らない。取り敢えず今は話題を戻そう。 どこで見つけたのかしつこく尋ねても「それは話したくない」と言って、ジジイはどこか 苦しそうに笑った。 これはジイさんの個人的なお守りなのだという。詳しい入手の経緯を聞きたかったが、 上手くはぐらかされる。 「ほんなら、少しだけ教えたる。コレは越南の土産じゃ」 「骨と一緒に出て来た。大勢の人の骨だ。その中にあった。ワシが掘った」 「この黒いのは人の血だ。洗っても取れん」 「…」 店の大将が、露骨に嫌な顔をしたのが横目に入ってきた。
765 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2010/05/02(日) 16:44:21 ID:EgsXsJKE0 3/3 かの国で大勢の人が一時に死んだとなると、その原因はだいたい察しがつく。 ヒッピージジイでPieceと言えば…、 「ベトナム戦争ですね?その時の遺骨と一緒に出た…?」 ジイさんは眉を片方上げて、少しニヤリとした。ビンゴだ。 でも当時、その戦争に反対していたヒッピーが、何故現地に行っているのだろう? その後、ジジイから引き出せたネタは、結局一つだけだった。 それもくだらないクイズ付き。しかもおいらが正解した訳ではない。 「教えてくださいよ。ベトナムの何処で出たんです?」 「ワシの口からは言えん。呪われとる、嫌な場所じゃ」 「その変わり、クイズを出しちゃる。当ててみい」 そう言って、横に置いていた店の味噌の容器を逆さにして、ドンとカウンターの上に 置いた。 「ほれ、読んでみ」 「はぁ…味噌の反対…醤油じゃなくて、塩でもなくて…、トンコツでもないよな」 「ばかもん。そのまんま読まんかい」 「味噌、噌味、ソミねぇ…ソミ…ソミ…うーむ」 ジイさんはマジにイラついていたのだろう。そこまで言っておいて、思わずその呪われて いるという、嫌な場所の名前を、自ら言ってしまった。 あの有名な、虐殺のあった村の名前だった。 終
766 :名無しさん :2010/05/04(火) 12:15:40 ID:pwND5fxw0 おいら乙!
767 :名無しさん :2010/05/06(木) 17:00:14 ID:a6dhU/4c0 お邪魔させてもらいます。 俺は大雑把な性格で、子供の頃からよく無くし物をした。 消しゴムとか、ペンのキャップとか、そういった物。 どれも高価な物じゃないし、然程気にしていなかった。 この間、PCの前で爪を切ってたんだけど、視界の端に青い色がチラッと見えた。 それで、フラッシュメモリの蓋を、座卓の隅に置いてたことを思い出して。 俺、フラッシュメモリのキャップを、今までに5個は紛失してるんだよね。 こういう関係ない所に無造作に置くから無くすんだよな…と思って、 後で回収しないとな、なんて考えながら、爪を切り続けていたら。 視界の端で、白い物が動いた。 それが見えなくなった途端、座卓の上から青い色が消えた。 はっとしたが、俺は気付かなかったように爪を切り続けた。 キャップのことなんか、すっかり忘れている風に振る舞った。 俺みたいによく物を無くす人、居ないかな。 それって本当に、自分が無くしているのかな。 しょうもない物を盗んでいく、あの白い小さな手を、見た人は居ないのかな。
768 :名無しさん :2010/05/09(日) 13:21:28 ID:czt9GUEY0 私も小さい頃から無くすよ。 最近は服が無くなる・・。意味わかんない。あんなもん無くならないのに。 何ヶ月か経って、探したタンスの中に普通に入ってたりね。 小物はすぐ消えるからもう慣れっこ。。
769 :名無しさん :2010/05/13(木) 00:59:20 ID:tKhAzXTwO これはゾクッときた
770 :attack :2010/05/24(月) 13:32:38 ID:vZZP/fAM0 誤字脱字許して。 とある田舎村にA君という中学生がいた。 A君には、特によく遊ぶ、B君、C君という同級生がいた。三人は好奇心旺盛な三人組だ。 ある年の夏休み、A君は、B君、C君と一緒に山を越えてS街へ行き、一日泊まって、色々遊ぶという、自転車旅行を提案した。B君もC君も賛成し、村の集会所に集まることにした。 当日、三人は集まった。 A「忘れもんないか〜。」 B「ないよ。」 C「俺も。」 B「行こか〜。」 S街までは20㎞くらいある。出発して山を越えているとき、暑いんで休憩をとっていたりして、山のふもとについて、後2、3㎞くらいだろうか。 三人はあまりの暑さに木の下で休んでいた。 しばらくすると、お婆さんが話しかけてきた。 お婆「こんな暑い日にどこに行くんだい。」 A「S街です。」 お婆「こんな暑いのに…、休んでくかい?」 三人「良いんですか?」 ここは関西なので、気前がいいわけだ。 遠慮なく三人はお婆さんについて行った。 お婆「これ食べや。」 三人「ありがとうございます。」 お婆さんにフルーツ杏仁をもらった。(渋っ) お婆さんの家の付近には、他に家が4件しかない。 三人はお婆さんにお礼を言うと、S街へと向かった。 三人は色々遊んで一日泊まって、お世話になったお婆さんにお土産を買うことにした。 帰り道、お婆さんの家に立ち寄ると、 ピンポーン ガラガラ 出てきたのはもちろんお婆さん。 お婆「おやおや昨日の…」 三人「お世話になりました。これどうぞ」 お婆「まあお上がり。」 少しだけと言って三人は上がらしてもらった。茶の間に案内された三人、お婆さんは奥へ行ってしまった。
771 :attack :2010/05/24(月) 13:37:40 ID:vZZP/fAM0 A「疲れた〜。」 C「なんか気持ちわりぃ。」 B「何が?」 C「いや、昨日来た時と、何だか雰囲気が違うんだよな。あのお婆さん。さっきから怪しい笑みを浮かべて…」 A「お婆さんが来たぞ。」 ススー 襖が開いて、お婆さんが顔を出した。 お婆「これお食べ。」 三人「ありがとうございます。」 C「あの〜そろそろお邪魔なんでぇ…」 お婆「いや良いの良いの。もう少し休んでお行き…」 妙な笑みでできる細目が少し気味が悪い。 お婆さんはまた奥へ行った。 C「俺たちを帰らさない気だな。」 B「確かに昨日とは雰囲気が妙に違うよな。」 A「失礼なこと言うなよ。」 B「お前も気持ち悪いんじゃねーかぁ?」 A「まぁ、確かに…。」 C「もう出ようぜ。」 三人は立ち上がった。 廊下を歩く……。 おかしい…。 いくら歩けど玄関にたどり着かない。 それどころかこんなに距離があるはずがない。 とうとう三人は迷ってしまった。 そしてある襖の前に立ち止まった。 B「どうする?」 C「あのお婆さん人間じゃなさそうだ…なぁ。」 A「そうだなぁ。」 C「この中入ってみる?」 A、B「うん。」
772 :attack :2010/05/24(月) 13:40:17 ID:vZZP/fAM0 Cは目の前にあるふすまを開けた。 ………さっきの部屋だ。 B「どういうことだよ!」 A「このまま出れないのかよ。」 三人はどれだけ歩き続けたか。 ふと見慣れない扉があった。 台所だ…。 お婆さんはいない。 妙な寒さに三人は身震いする。 B「Aがお土産買うなんて言うからこうなってん!」 A「こうなるとは思ってないやろが。」 C「静かにしろ!!うわっ、誰か来た。…隠れろっ!!」 三人は台所の奥にある、襖を開けて中に入って隠れた。 お婆さんが入ってきた。 お婆「あいつら、逃げやがって・・・。まあどうせ、ここから出れんやろう。それにしてもあいつら、リンゴパイなんか買って来よって…、めまいがするわ…。」 そうして、お婆さんはどこかへ行ってしまった。
773 :attack :2010/05/24(月) 13:41:45 ID:vZZP/fAM0 三人が部屋から出ると、お土産のリンゴパイがゴミ箱に捨ててあった。 A「リンゴパイで目眩がするって言ってたなぁ。」 C「うわっ!!」 B「どうした??」 C「れ・・冷蔵庫の中…。」 B「おぇっ。」 A「何これ…。」 冷蔵庫の中には、人の頭が入っていた。骨がところどころ見えている。体の部分が他に入ってたけど、三人は見るまでも無く扉を閉めた。 A「俺らを食う気やったんや…。」 B「マジでそうや。」 C「アイツはリンゴが嫌いなんかなぁ。」 B「そうや!」 三人はヤツにリンゴをぶつけることにした。 それしか方法が浮かばなかった。 リンゴパイのリンゴは比較的、特大サイズだったので、台所にあるおろし金ですりつぶした。 そっちの方が効果が強いと思ったからだ。 まだリンゴに弱いと決まったわけではないが……。 三人が探せど奴は現れない。 むしろそっちの方がいいが、何より、相手を倒すのが先だ。
774 :attack :2010/05/24(月) 13:44:10 ID:vZZP/fAM0 A「まだかな。」 B「こういう時に限ってなんで出てこんねん。」 C「止まって!」 三人が止まる。 所が足音が続く…。 三人は一か八か物陰に隠れた。 ズィ ズィ ズィ 三人(来たっ!!) 三人は各自持っていたリンゴおろしを僅かだが、投げつけた。 ギャーーーーーーーーァ!!!!! 凄まじいうめき声と一緒に奴の動きは止まったが、逆に巨大化してしまった。 その姿に人間の面影はない。 化け物が正体を現したようだ。 A「何なんだよ!逆にパワーアップしたじゃねぇかよ。」 B「おい、逃げるぞ!!」 C「…。」 B「C!早く!!」 三人は無我夢中で逃げた。 そしてある部屋に入った。 B「Cのせいで逃げ遅れるとこやったやんか。」 C「アイツの後ろに玄関があったんや。」 A「なんで言わへんかったんや!!」 C「ごめん…。恐ろしさで声が出んかった。」 B「もう一回行ってみよう…。」 C「あれ?」 A「どうした?」 C「リンゴや……。」 テーブルの上にボールがある。中には、果物が入っている。リンゴも…。 おろし金は台所に置きっぱなしだ。 仕方なく、手で押しつぶした。リンゴを全部使った。
775 :attack :2010/05/24(月) 13:45:27 ID:vZZP/fAM0 A「これをかけるぞ。」 B、C「おう。」 何分か、歩いてると、案の定、声が聞こえてきた。 ?「ウギャー…ギャゥ… 段々声がでかくなってきた。 三人(よし!!) 覚悟を決め物陰に隠れた。 ?「グア… B「今だっ!」 Aはリンゴをかけた。 ?「ウギャーーーーーァ!!」 三人「今だっ。」 後ろに玄関が見えたので、三人はヤツを追い越して飛び出した。 光が洩れてきた。 A「ふー。」 B「やっと出れた。」 C「おい、逃げるぞ。」 三人は一目散に逃げた。
776 :attack :2010/05/24(月) 13:46:43 ID:vZZP/fAM0 三人とも帰ってきたときは、高熱で一週間くらい寝込んだそうだ。 その数日後、気になった三人はその家に行ってみると、何も変わりなかったんで、 怖かったが、インターホンを押した。 ピンポーン 誰も出ない。 ピンポーン ピンポーン すると、隣の家からお爺さんが出てきた。 お爺「僕ら、何しに来たん?その家空き家やで。」 三人はあれはなんだったんだろうと思った。 三人はあの化け物はリンゴによって化け物の魔力が弱まって、玄関が出てきたんだろうなと思った。実際は巨大化したんだが…。 帰ろうとして三人が後ろを向いたとき、窓からお婆さんが怪しい笑みを浮かべてこっちを見ていた。 三人は一目散に村に戻った。以来三人はそこに寄っていない。
777 :名無しさん :2010/06/05(土) 00:11:09 ID:Jt3XAjMgO 職場のショッピングセンターのトイレに閉店後入って閉じ込められた…閉店後でもう誰も来ない…警備の最後の見回りも終わっている…そして間もなく電気が消えて真っ暗…誰もいないから助けを求めても無駄…すぐに諦めました…朝掃除のおばちゃんに発見され設備の人が出勤してやっと出られました…設備の人が来るまでおばちゃんと雑談…夜ちゃんと寝られた?今日これから仕事?設備の人が来たらまたおばちゃん雑談…新しいトイレなのに鍵壊れるの?鍵がしっかり穴にはまり込んでつまみ回せなくなってしまうんです…お客さんが閉じ込められた事があって広げたんですけど…それより早く出して〜〜!!トイレに朝まで閉じ込められたら怖いかと思ったらそれほどでもないですね!新しいからかもしれませんが居心地も悪くない!!これから疲れたら帰らないでトイレに泊まるのもありかな(笑)
778 : ◆rxgDDSyDjk :2010/06/05(土) 14:30:04 ID:pIhJX0vA0 お久しぶりです。今回の話は全然怖い話じゃないんですが、一応相棒シリーズということで。 今回の話で年齢がバレてしまうことを恐れ、年号は少しずらしてあります。 ---- 馬鹿は風邪ひかない。のに、相棒が風邪をひいた。 相棒というのは俺のオカルト道の相棒のこと。 制服が衣替えしたばっかの季節で、少し肌寒い日だった。正直、学校が終わったら すぐにでも帰宅して部屋でゴロゴロしていたい心境だったけど、俺は電話にて 「ごはんも食べてなくて、辛い。お見舞いにヨーグルト買ってきて」と、相棒に呼び出されてしまった。 「何で俺が」と、俺はそれを無視して帰宅しようと思ってたけど、一人暮らしのあいつには 看病をしてくれるやつがいないんだよなぁ、と思いなおす。 しばらく考えたが、優しい俺は仕方なく家に寄ってやることにした。 相棒の家のマンションは、オートロック式で入口の自動ドアに鍵を差し込む形になっている。 出会い当初、鍵が無いと家に来るのも不便だろ!と相棒は俺にマンションの合鍵を作ってくれた。 別に鍵を持っていなくても、電話で部屋の住人に「開けて」と頼む方法や、 マンションの一階にいる管理人さんの信用を買って開けてもらうという方法があるので、 合鍵なんて別に要らないと思っていたけど、あればあるで本当に便利だ。 俺は10階建てマンションの4階にある相棒の家につくと、インターホンも押さず合鍵で中に入る。 中に入ると「辛い」と言って俺にヨーグルトまで買わせたくせに、思いのほかピンピンした 相棒がリビングのソファで何かを見ていた。 「よお、遅かったな」 「なんだよ。お前元気じゃんか。来て損した」 俺は一気に疲れて買ってきたヨーグルトを冷蔵庫にしまった。 相棒はさっきから、何やら手帳のようなものを読んでいる。その目の前のテーブルには、 食べかけのポテトチップスがあった。
779 : ◆rxgDDSyDjk :2010/06/05(土) 14:30:45 ID:pIhJX0vA0 「お前なんなの。ごはん食ってないんじゃなかったっけ?」 「ごはんはね。それより隊長。これちょっと見ろよ」 屁理屈ヤローめ。俺はちょっとイラっとしたけど、相棒が意味ありげな顔で手に持っていた 手帳を俺に渡してきたので、とりあえずそれを読んでみた。 「なんだこれ、日記帳?でもないな。どっちかっていうとスケジュール帳か?」 「それ、十年分のスケジュール帳なんだ。俺のおばあちゃんの」 「なんでそんなものお前が持ってるんだよ。てゆうか、これが何」 「おばあちゃんの遺品なんだよ。仏壇にあった。 その一番最初のページ、年間タイトルってとこ見てみろ。」 相棒が指すページは、平成10年から20年までの10個の数字と、白い枠があるだけのページだった。 どうやら、10年間の1年1年ににそれぞれタイトルや目標をつけよう!というページらしかった。 だけど、相棒のおばあちゃんはそこに、年間のタイトル、目標ではなく… 「年齢?」 「そう、その年のおばあちゃんの年齢」 そこには、平成10年[74歳]平成11年[75歳]というように、おばあちゃんの年齢が書かれていたのだ。 だけど、その年齢も平成14年で一度途絶え、平成15年から[1年][2年]と今度は年が プラスカウントされていくようになっていた。 「どーういう意味だ?」 俺はさっぱりちんぷんかんぷんだけど、相棒は「わかれよ〜」と苛立ってるようだった。
780 : ◆rxgDDSyDjk :2010/06/05(土) 14:31:31 ID:pIhJX0vA0 「俺のおばあちゃん、平成14年に亡くなったんだ。享年78歳で。その年に丁度空白になってるだろ。 で、その次からの1年、2年ってのは回忌のことなんだよ」 「あ〜、なるほど。そういうことか」 「それだけか?」 「何が、」 「気付かねーの?これ、書いたのはおばあちゃん自身なんだぜ?」 その言葉に、俺はちょっとゾクリとする。 そうか、これは、本人が書いたとなるとかなり妙な話だ。 「お前のおばあちゃん、自分の余命知ってたのか」 「そこに俺も驚いてるんだよ。おばあちゃんはこの年間タイトル欄を、買った年…平成9年に一気に 書いてるから、死ぬ5年近く前に自分の死ぬ年を知っていたってことになるんだ」 「何で平成9年に書いたって、わかるんだよ」 「このメモを書くのに使ってるペン、これ実は姉ちゃんのペンなんだ。紫のラメ入りペン」 相棒に言われてよく見てみると、それは確かにヤングな感じのキラキラした色のインクだった。 「俺、今でも覚えてるんだけどさ。昔、おばあちゃんに手帳書くからインクペンを貸してって言われたんだ。でも俺まだ鉛筆しか持ってない年齢だったから、代わりにお姉ちゃんのペンを借りてきて渡したんだ。それがこの紫色のラメペン。おばあちゃんは可愛いペンだねって言いながら自分の部屋に持っていって、で、その日のうちに、これありがとうね。ってこのペンを返された。俺はめんどいから姉ちゃんに返さないで自分の机に転がしといたけど。それが、今思えば平成9年だ。小学1年生だから、鉛筆しか持ってない。」 「つまり、このペンはずっとお前が持っていたから、違う年に同じペンで書くことは不可能ってことか」 「そういうことだ」 俺はまたゾクゾクした。5年も前に自分の死ぬ年齢をわかって、 それをスケジュール帳に残すなんて、これはなんかの能力としか思えない。 「これ見つけたとき、俺おばあちゃんのことすげーって思ったんだ。 自分の死ぬ年がわかるなんてすげーじゃん。けどさ、これは自分の死を予知したんじゃなくて、 もしかしてこのスケジュール帳にネガティブな書き込みをしたせいで、言霊ってやつが おばあちゃんの生命力を奪ったんじゃねーかな…とも思っちゃってさ」 相棒はスケジュール帳をペラペラとめくりながら言う。俺はちょっとしんみりとしてしまった。 何故、相棒のおばあちゃんが自分の寿命を当て、それを書き残したのかはわからない。 だけど、もしも相棒の言うとおりこのスケジュール帳にこんなことを書いたせいで、 おばあちゃんの寿命等が記した通りの運命に変わってしまったとしたら…。 「ま、結局どっちかなんてわかんねーけど。どっちにしろ、オカルトだ」 変な空気での沈黙状態の中、相棒が言った。 確かに、相棒のおばあちゃんがすごいのか、言霊なる力が働いたのか、どっちかはわからない。 だけど、どっちにしたってこれは不思議なことだと思う。
781 : ◆rxgDDSyDjk :2010/06/05(土) 14:32:05 ID:pIhJX0vA0 「そうだな!」 それから俺達は、買ってきたヨーグルトを食べた。 相棒は絶対仮病だと思ったのに、その日の夜高熱を出した。 すぐに帰るつもりでいた俺は、結局泊りで相棒の看病をするはめになる。 予断だが、熱にうなされながら、「俺は治る、俺は治る。熱なんてない」とぶつぶつ呟く相棒の姿は かなり気持ち悪かった。あとで聞くと、言霊の力を借りようとしたらしい。 そのおかげか知らないが、相棒の風邪はその日で完治していた。 「やっぱ言霊ってあるよな!」 「知らねーよ」 元気になった相棒は得意になって言う。俺はそっけなくしたけど、確実に言霊の存在を信じていた。 以前、超当たるという有名な占い使にが言っていたことを思い出した。 『どんなにすごい占い師も、その力で自分を占うことはしない。 世の中は、知りたくない未来のほうが、ずっとずっと多いからね』 予知と言霊/完
782 :名無しさん :2010/06/06(日) 15:43:43 ID:jdAHEamU0 >>778 すいません、どのシリーズ物を書いてる方なんですか? ここのまとめサイトにあります?できればコテを(鳥だけじゃなく)付けてくれればありがたいんですが
783 :永倉隊長 ◆rxgDDSyDjk :2010/06/10(木) 04:30:55 ID:bjjWcpDMO >>782 ごめん。一応相棒シリーズってことで投下してる者です。
784 :拓海 :2010/06/10(木) 16:50:29 ID:tEvlqojg0 昨日あの有名な村の共通夢みました コワカッターーー ちなみに竹馬に乗らされました
785 :零感 :2010/06/12(土) 11:53:54 ID:SV5SsrV2O >>784 有名?どんな夢なの?よかったらきかせて(^ω^)
786 :零感 :2010/06/12(土) 11:59:52 ID:SV5SsrV2O みんないつもありがとう(^ω^)
787 :五十嵐 :2010/06/13(日) 00:39:00 ID:yQaxJQ760 すみません、俺も参加して良いですか?
788 :規制に引っ掛かったので ◆cSwlNuvk2o :2010/06/13(日) 01:29:20 ID:KN5KO99o0 河童神は数センチ宙に浮きながら、グラウンド端の苔むした一角に、 その長いひとさし指を、静かに指した。 そして驚くことに、とても楽しそうに「ケタケタケタ」と笑い、 そのまま消えた。 「………」 「…あそこに何か作れって言ってるみたいですね」 「…わかりやしーなー…どうせ神社とかが欲しいんだろう…。 …クソッ…無駄に脅かしやがって、あのストーカーハゲ河童は全部分かった上で、 俺たちで遊んでいたんだろうな!!」 憤懣やるかたない師匠が蹴り上げたグラウンドの砂が、満月の夜空に舞った。 鍵は俺が帰り際にこっそり用務員室に返してきた。用務員のおっちゃんはまだ深く眠り込んでいたが もしかしたら、最初から河童神に寝かされていたのかもしれない。 家に帰って、連絡を聞き仕事を早めに切り上げてきたおかんに平謝りしつつ、今回の事情を詳しく話したら、 なぜか一切説教は無かった。逆に気持ち悪いほどニコニコして、師匠の"アレ"をすぐに封じてくれた。 師匠は便所スリッパで叩かれまくられ、結局涙目だったが。 その後、おかん率いる町内会と、おかんの魔の手によって洗脳された西○小PTAが 「○○地区の土地神様の復権と地域振興を願って」とか謎の理由で グラウンドの隅に鳥居と小さな神社を作った。というか市議会に無理矢理作らせた。 河童神は、神社と校舎三階を気まぐれに行ったり来たりしているようだ。 前述の弟くんによると、相変わらず頬杖をついたままニヤニヤしているが 最近何か、とても幸せそうらしい。 それと神社を作ることによってご加護が広がったらしく、 ここ数ヶ月小学校とグラウンド周辺の町内では交通事故が一軒も無い。 「あんた、あの神様に気に入られたみたいだよ、良かったわねぇ」 とおかんにこないだ言われた。気に入ってくれるのは嬉しいが、 たまにニヤニヤしながら、人の夢に出てくるのはやめて欲しい。 っていうかこっち見んな。時にはなんか喋れ。いいから早く帰れ。了。
789 :規制に引っ掛かったので ◆cSwlNuvk2o :2010/06/13(日) 01:32:16 ID:KN5KO99o0 見つけたら、誘導お願い致します。 ほとぼりが冷めたら、また帰ってこようと思います。
790 :名無しさん :2010/06/13(日) 12:29:30 ID:pDb4rz8.0 ____人形______ ある女の子Nちゃんは人形が大好きだった。 しかし、人形が大好きなだけで人形自体は持っていない。 親が 「不気味だ」 といって買ってくれないのだ。 ある日。 Nちゃんはいとこの家に行った。 家の中に入ってみると とっても可愛らしいフランス人形がおいてあった。 しかし・・・。 これは人形といっていいのかどうか分からないほど汚かった。 服は破れてボロボロに。 キレイな金髪の毛は汚れておうど色に。 さらにくつは穴だらけ。顔もとても汚かった。 それでも人形好きでももらえなかった人形を目の前にしたNちゃんは欲しくてたまらなかった。 「おばさん!!このフランス人形わたしにくれない!?」 おばさんは 「そんなに汚いフランス人形ならどうぞ。」 しかし親たちは・・・・ 「ね!!お母さん!!お父さんいいでしょ!!」 やはり親だけは反対したが、 あまりにも娘がうるさいので 特別にいいことにした。 家に帰ったNちゃんはよく、優しく人形を洗った。 すると、なんとも美しいフランス人形が出てきた。しかし目の上には茶色い傷のようなものがあった。 そんな事おかまいなしに Nちゃんは毎日フランス人形に 「おはよ」とか「お休み」など挨拶したらり一緒に出掛けたりした。 しばらくたちNちゃんはだんだんいつまでも美しすぎるフランス人形がうらやましくなってきた。 Nちゃんは頭が狂ったかのように人形そっくりになっていった。 髪の色は金髪に。 肌の色は真っ白くした。 服も髪形も同じにし、きれいな青い瞳はコンタクトレンズで・・・・。 真っ赤に染まった唇も口紅で赤く染めた。 そして、Nちゃんは人形そっくりになった。 大きさが同じになれば区別もできないくらい。 2人は本物の双子かのようにも見えるようになる。 しかし・・・ Nちゃんがフランス人形のまねできないところがあった。 それはいつまでもいつまでも永遠にキレイなままでいること。 Nちゃんは必死に考えた。 そうだ!!動かず・・・ただジッとしていれば・・・。 そして親たちは心配したり怒鳴りつけてもNちゃんはむししづつけた。 1晩過ぎた。 身体が小さくなり動けなくなった。 そして・・・。 「おはよー!!」 誰かがわたしにおはよって言っている。 その子は・・・。 まるでフランス人形のように 真っ白な肌。 キレイな金色の髪。 そして青くきれいな瞳・・・。 そのキレイな瞳の上には 茶色く変形した傷があった・・・・。
791 :名無しさん :2010/06/15(火) 12:53:12 ID:9w4.X4tQ0 >>788-789 何これ?なんでこんな中途半端な投稿してるの?誤爆?
792 :名無しさん :2010/06/15(火) 21:43:57 ID:jtc5rjgE0 それには顔があった。 腕も二本ついていた。 足も生えていた。 両足で立っていたのも間違いない。 そして服を着ていた。 友人Aはスポーツインストラクターをしていた。 彼の結婚後、やっと子供が生まれたといった。 わたしは友人に話していなかったが、心を病んで引きこもりが長かった 自分には、子供も、作る相手も望めそうにない だからこそ、親友に子供が出来たと知ると、とても嬉しかった。 俺たちの子供も仲良くしてほしいな。 小さい頃にかわした言葉が果たせない寂しさが少しだけ目元を潤ませた。 Aはとてもハンサムである。 小顔で目がぱっちりとしていて、女装すれば似合うほどの美形だった。 あかちゃんもその顔の特徴をよく受け継いでいた。 将来は美少女になるだろう。 壊れ物に触れるようにさわった。 するとあちらからもぽにゃぽにゃの手が伸びてきた。 はしっと私の指が掴まれる。 すぐにその指は赤子の口元に引かれていった。 「だーめ。お手々は汚いんでちゅよー」 私がこういうと、Aの奥さんが噴出した。 実は私も黙って立っているとクールに見える美形なのである。 奥さん曰く、その涼やかな顔がだらしなく笑み崩れていたそうだ。
793 :名無しさん :2010/06/15(火) 21:44:40 ID:jtc5rjgE0 彼の家に行く回数は増えた。 そしてその一回一回ごとに、私の置かれた立場は改善していた。 心を病んでいなかった頃、彼と過ごした思い出が 私が心を病むに至った頃の悪い思い出を耐えられるものに変えてくれた。 よみがえってくる良い思い出に私の心は救われた。 仕事が見つかり、そして数ヶ月で転職し、給料も三十万もらえるようになった。 わたしは、女性とつきあったこともない。 アプローチをかけてくれた女性にもどう接していいか分からない。 真っ赤になってうつむくような阿呆である。 職場でアプローチしてきた女性の同僚は大抵呆れてしまっていた。 そんなだから、ますます、自分には子供がもてないと思っていた。 行くたびにプレゼントをした。 面倒見のよい親友という立場は、二人にとっても嬉しかったようだ。 十年ほどたったある日、一日だけ、子供をみててくれないかと頼まれた。 その十年の間に、彼は職を失い、かなりきつい状況になっていた。 地方で夫婦で経営するホテルの支配人の募集があったので 二人してそれにいかなければならないという話だった。 それは平日であったが、OKしない理由はなかった。 そして上司に土下座してなんとか調整をつけた。
794 :名無しさん :2010/06/15(火) 21:45:16 ID:jtc5rjgE0 「おじちゃん。きてくれてありがとう」 心細そうにしていたお嬢さんが出迎えてくれた。 少し様子がおかしかった。 玄関から飛び出すように出てきて、ひしっと抱きついてきた。 そして、家の中をおそるおそる覗き込むのだ。 ともかく、わたしは二人でなかへと入ろうとした。 「映画みたい!白雪姫!」 途端におねだりをされた。 それも声量がはんぱなく大きい。 私の顔を見上げ、扉の中と交互に見比べている。 「白雪姫は、今は映画館ではやってないよ。 そうだ、おじちゃんがビデオを借りてあげよう」 暗かった彼女の顔に笑顔が浮かんだ。 ビデオを借りて部屋に戻ると、また入りたくなさそうにしていた。 しかしビデオはビデオデッキなしにはみれない。 勝手に私の家につれていくのもダメだろう。 そう諭すとしぶしぶといった調子で中へと入ってくれた。
795 :名無しさん :2010/06/15(火) 21:45:49 ID:jtc5rjgE0 夫婦がいないというだけで空気が違った。 苦しい時でも明るく朗らかな二人がいない たったそれだけで、冷たい部屋になりはてていた。 妙な寒気がする。 わたしはビデオに近づいていった。 すると、彼女は廊下の奥をじっと凝視していた。 ちかづいていって肩を叩くと「ひっ」と声をあげた。 なんだろうとおもって彼女の視線の先をみた。 それは、確かに人間のようにみえた。 にちゃりと音がした。 それは、確かに服をきていた。 にちゅと音がした。 瞼が溶けたようになっていた。 瞼と眼球の隙間には、白いものがうぞうぞとうごめいていた。 「Can you speak Japanese?」 一瞬で硬直したが、逃がさなければならない娘がいる。 精一杯の勇気を振り絞って、おどけたようにこういった。 わらっていた膝がおさまる。即座に娘を抱きあげて部屋の外に出た。
796 :名無しさん :2010/06/15(火) 21:46:49 ID:jtc5rjgE0 それから、私の家に彼女を連れて行った。 クスンクスン泣く彼女からあらましはきいた。 あれは小さい頃から家にいたと。 決まって、両親がいないときに出てくるのだと。 二人がいないときには出てこないから、うそつきと叱られてしまったのだと。 私に言っても、やっぱり叱られると思って、言い出せなかったのだと。 Aが奥さんと帰ってきたらわかるように、その家の扉には張り紙をしておいた。 帰ってきた二人はすぐにうちにきてくれた。 そして、何が起こったのかを説明した。 自分が見たものを、さっき描写させてもらったように言った。 Aはしばらく唖然としていた。 奥さんはブワっと泣き出し、ごめんねといいながら娘さんを抱きしめていた。 実は、二人とも、何かいることまでは気付いていたらしい。 でも、Aはスポーツインストラクターといっても、成績がふるわなかったのだ。 「何人の生徒がつくかで給料が決まるから」 とても悲しそうな表情で言った。つまり引越そうにも金がなかったのだ。
797 :名無しさん :2010/06/15(火) 21:48:14 ID:jtc5rjgE0 この頃のわたしは、商品開発部長補佐なる役職についていて 今でも年間二千万個は売れるヒット商品の開発を成功させていた。 当時はまだヒット商品開発の直後であった為、私の発言力は大きかった。 そこで、わたしは会社にかけあった。 私も入居している社員寮に空きがあったので 親友夫婦の為に安く貸してやってくれないかと嘆願したのだ。 会社からは意外にもすんなりと許可をもらえた。 あれから十三年経過した。 今ではAと私は上司と部下だ。 結局、Aを冷遇していたスポーツジムは潰れたのだ。 そのあと、わたしは彼を私の部下につけてくれといった。 A本人は頭もよくなかったのだが、彼の父親は日本有数の企業の 創業者の次男に当たる人で、実家は相当数の株をもつ資産家だったのだ。 そこを強調して、きっと役に立つと推しに推した。 入社当初は、ズル入社だとか、陰口をたたかれる立場にしてしまったが。 資産家の一族にうまれていたがゆえに、彼はとてもグルメだった。 彼の舌を唸らせた商品はどれもなかなか稼げた。 やがて、彼の入社にまつわる噂も消えた。 奥さんは教会の児童部の手伝いをしながら、悠々自適な生活をおくっている。
798 :名無しさん :2010/06/15(火) 21:50:11 ID:jtc5rjgE0 そして娘さんはというと。 実はこれが大変こまったことになっている。 これまでに三度告白されている。 一度目は彼女が高校生の頃だ。 「好き」といわれていきなりキスされた。 それもA夫婦の目の前でだ。 わたしは当然真っ赤になった。 椅子から転げ落ちる醜態を晒した。 そのときはA夫婦に娘とはしばらく距離をおいてほしいといわれた。 そしていわれたとおりお宅に御邪魔することを控えた。 幸い、わたしは寮を出ていたので、顔を合わせることもなくなった。 次に告白されたのは我が社の新卒採用の時だ。 私も商品開発部部長として末席を汚していたのだ。 その時に美しく成長した彼女が目に入った。 集団面接の最中、志望動機をきいていく。 どれも会社概要をよく下調べしたもっともらしい理由だった。 その中で彼女はこういった。 「好きだからです」 実にシンプル、ぞっとするくらいに直球。 「何が?」 ああ、社長よ。笑いながらきいてくれるな。 「そこの商品開発部長さんです」 ぜんっぜん冷めていないじゃないか。 ムードをわきまえない直球の告白。しかも入社面接でである。 居並ぶ他の人事権持ちの幹部は笑う。 もちろん、他の面接に来た者達もだ。 わたしは真っ赤になった。
799 :名無しさん :2010/06/15(火) 21:54:22 ID:jtc5rjgE0 その夜にAに電話した。 彼女のことは二人の間でタブーになっていたのだが。 面接に来たとなると、さすがに相談せずにはいられなかった。 彼女は、どうやら、相談すらせずにいたらしい。 だが、Aは少々苦笑する程度で、怒ったような声のふるえもない。 「あいつのことは、もう諦めているんだ。 大学時代も何人かの男と交際はしてみたようなんだが。 最短でその日のうちに、最長でも三日と持たなかったといってる」 「それはつまり、どういうことだ?」 「おまえしかだめみたいだ」 「・・・」 「きいてるか?」 「はへ?」 「こんなやつをなあ。 上司ってだけじゃなく息子ともおもわなきゃいけないらしい」 「おちつけ、俺は」 「好きだろう」 「・・・」 「おまえはあいつより先に逝くだろうし。 そう言う意味で寂しい生活を送ることになりそうだ。 だから、できれば心変わりしてもらいたかったんだが。 まあ、ろくでなしに捕まるよりはいい。 少々としがいっている義理の息子でも、俺はいいよ」 「い、意識してないわけじゃないが」 「それはそうと採用結果はどうなんだ?」 「ああ。それなんだがな。 大衆とおなじ味覚音痴はいらない。 Sさんがやめてから開発室の舌の利きがおちた。 今年は雑誌などにまどわされる俄かグルメじゃないのが欲しい」 「じゃ、採用か」 「ああ」 「寿退社も近いのに、よく採る気になったな」 「誰が誰と結婚するんだ」 「おまえとうちの娘がだよ」 「ほんとうにそれでいいのか」 「もらってくれなきゃなぐる」 「・・・」 「これまでいわなかったが。 上司と部下ってなっただけでも、結構つらかった。 そのうえ、同年代の義理の息子となったら、な。 でもな。おまえのことはよく知ってる。 真剣に考えた上での結論だ。 その気がないのならもちろん諦めるさ。 だけど、その気なのに断ったら絶交だ」 「わかった。本人と真剣に話してから結論を出す」 とんでもない話になってきた。
800 :名無しさん :2010/06/15(火) 21:56:59 ID:jtc5rjgE0 その年の九月から彼女はアルバイトとしてやってきた。 社員としての採用は翌年の春からなのだが。 若者に人気のイベントを控えた時期は、若者の感性こそが欲しいのだ。 他にも二人、営業と製造部門の内定者がバイトとしてきていた。 両方の職種と開発部とは蜜月の関係だ。だからこそ送り込まれてくる。 さてこの三人の初勤務日。 わたしは、先代開発部長のありがたくない訓辞を思い出しながら 開発部というものがどういうものかくどくどと説明した。 しめくくりに三人に豊富を述べさせた。いやな予感はしていた。 「わたしは!ここでの開発を手伝うことで!うっていく自信にしたいです!」 営業課からの新人君はこんなことをいった。うむ、熱くて結構。 「俺はうまいとおもってもらえるレシピでつくりたいです。 開発を監視するような気分でいますね」 うむ。不遜で結構。 「ここで料理の腕を磨いて、良い奥さんになりたいです!」 不純、過ぎる。 熱血君は学生気分がまだぬけていないようだった。 そして伝説級の告白の噂を耳にしていた。 「ねえねえ。誰の?」 不遜訓はやくも腹をかかえてヒィヒィいいだす。 「そこのおじさん」 ああ、なんたる、可愛さだ。
801 :名無しさん :2010/06/15(火) 22:01:41 ID:jtc5rjgE0 彼女と二人で深夜に開発していると 時折、あの、にちゅりとした音が聞こえることがある。 引っ越しただけでは、どうにもならなかったそうだ。 お払いなどを試してみたものの、まったく意味をなさなかったのだ。 両親を心配させたくないから、なおったと嘘をついていたらしい。 「ひょっとして、大学時代に交際した相手とすぐに別れたというのも」 「うん。皆、腰抜かすの。へたりこんじゃったりして」 「道理で。俺がいいおとこに見えていたのはそこか」 「うん。すごくかっこいい」 近い将来、ほんとうに寿退社させてしまいそうだ。 それはともかく、この、気持ちの悪い怪異。 慣れてみるとあまり害がない。 大抵、じっと立っているだけなのだ。 さらに研究を続けていると面白いことがわかった。 試作品をつくっていると大抵よってきてそれをみる。 首をゆすった時の試作品は、大抵出来が悪い。 唇がかけて歯茎がむきだしになった口を開く時はかなり出来が良い。 手をのばしたときは、傑作ができたときだ。 大抵その商品は売れる。 これは見てくれこそ悪いが、福の神なのではないかと思う。 いや、実際には、飢え死にした霊魂とかいうのだろう。 だが、美味しいものに飢えていればこそ、食物にはよくよく関心があるといったところか。 すくなくとも彼の目利きは確かだ。 私の会社にいるひとは、商品開発室の入り口に 鳥居のような文様が描かれるのをみているはずだ。 ここには神様がいる。 かの亡霊はすっかり開発室に定住してしまった。 私か彼女、あるいはこの二人だけしか姿を現さないが。 かくれたヒットメーカーである。 唯一の難点は彼を見た日は食事が喉を通らなくなることだ。 あの姿形に慣れることはたぶんない。
802 :名無しさん :2010/06/15(火) 22:29:45 ID:jtc5rjgE0 あるいはこの二人の前でだけしか姿を現さないが。 終わりから四行目をこれに読み替えて欲しい。 では、さよなら。
803 :名無しさん :2010/06/17(木) 10:07:19 ID:WRfmAM4QO ↑怖いトコ教えて? ロリコンなトコ?
804 :ぐるぐる :2010/06/20(日) 15:31:49 ID:/vrRed8sO もし同じ体験をした人がいたらと思い、書き込んでみました。 長文の上、特にオチらしいオチも、文才もなければ、書き込みも初めての人間の文になりますので苦手な方はスルーお願いします。 私には年子の姉がいまして、しょっちゅう喧嘩しますが実際はとても仲が良い姉妹だと思います。 そんな姉と私ですが、私は姉といると毎回変な体験をするのでお互いに二人キリの時は少し警戒しあっています。 先に言うと、お互い霊感なんてものはもちろんないです。 痛いオタクと言う意味さえ除けば、純粋に一般人です(笑) まず最初に起きた怖い話しとして【馬女】の話しをしておきます。 【馬女(うまおんな)】と、表記してますが実際は耳で聞いただけなので【馬】なのか【午】なのか、はたまた平仮名なのかも分かりませんが、 ソレ は、【うまおんな】と言います。 私は小さい頃から、家族との折り合いが悪かったので 高校卒業後、お金が貯まったらすぐに家を出ました。 姉以外には連絡先も教えず、若い人にありがちな極貧生活を送っていたのです。 極貧生活も2年目、そんなある日のことでした。 恐ろしい夢を見たんです。 夢の中の私は中学生の頃の姿をしていて、町並みは地元のショボい住宅街なのですが 看板なんかの文字が昭和初期みたく右始まりで、空は夕方なのに黒と赤が濃密に交わった様な嫌な色をしていました。 しかし往来には買い物帰りの人などもいるので、安心し夢から醒める為に戻る切っ掛けを物色してました。 (少し説明をすると、私は夢を夢だと理解するタイプで 夢から出る時に切っ掛け‥と言うか、出来事があるとその夢から出れるのです) 私がそこらをウロついていると、商店街の看板の向こうから恐ろしいものが近づくのが分かりました。 暗闇に赤みがかった霧の靄のせいでよく見えませんが、肌で理解します。 『今から来る【アレ】に捕まったら、死ぬ』 気がついたら私はメチャクチャに近所を走り、とにかく家へ家へと走りました。 振り向く暇も無いくらい必死に走っているのに、何故かわかるんです。 近づいてくる【アレ】が、どの位置にいるのか、どんな姿をしているのか。 怖くてしょうがないくせに、変な好奇心に突き動かされた私はつい振り返ってしまいました。 そしてそこで気づいたのです。 【アレ】の名前が【うまおんな】だと
805 :幽霊トンネル ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/03(土) 00:38:45 ID:yk2rbvQ60 俺は霊感家系ではないけど、たまに幽霊を見る事があった。 中学時代に仲良くなった友人Aは強い霊感家系で、俺の中では幽霊専門の人。 俺とAは高校時代は別の学校に通っていたけど、大学はまた同じ学校に通うことになった。 学部は違ったから、そんなに頻繁に会うってわけじゃなかったけど、高校時代よりは会ってたかな。 自分達の進学した大学は地元組と他県組の半々くらい。 俺の周りの地元組は高校と違って自由な大学生活にのんびりしている様子だった。 他県組はやたら活発といった印象だった。 大学入ってすぐに仲良くなった女友達のCも他県組だった。 自分の地元よりももっと田舎に住んでいたCは、 それなりに遊ぶところがある大学生活が楽しくてしかたなかったみたいだ。 Cはサークルにも入り、大学生活をエンジョイしていた。 夜遊びも結構していて自分はそれだけはちょっと心配してたけど、 授業にはちゃんと出て単位は取っていたので口出しするようなことはしなかった。
806 :幽霊トンネル ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/03(土) 00:39:51 ID:yk2rbvQ60 そんなある日の深夜、Cから電話が掛かってきた。 俺は昔から夜行性なのでその日も日付は余裕で変わっていたけど、普通に起きて本読んでた。 Cは酒が弱いくせに酒が入っているらしくハイテンションだった。 Cが言うにはサークルの先輩二人と同級生一人とドライブに来ているらしい。 自分ははいはい良かったねとCの話を聞いていた。 Cがドライブに来ているところは風が強いらしく「ォォォオオオオオ」という風の音がずっと聞こえてきていて、 Cがいくらハイテンションだっていってもちょっと声が聞き取りにくくはあった。 俺がCに「今お前どこにいるの?有名なデートスポットとか?」と訊くと、 Cは「いや。××トンネルってとこだよ」と答えた。 ××トンネルは地元では知らぬもののいない幽霊トンネルだ。 地元のやつは結構痛い目にあっていて、 色々噂も絶えなかったので、地元のやつはよっぽど馬鹿なやつしか行かない場所。 自分はその場で頭を抱えた。 「楽しいんだろうけど、悪いことは言わないから帰ったほうがいいよ?」 と俺が心配して言うと、 「えー?○○も怖いのとか駄目なのか?私が免許取ったら連れてきてあげるよ」と笑っていた。
807 :幽霊トンネル ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/03(土) 00:41:03 ID:yk2rbvQ60 その間にも「ォォォオオオオ……お゛ぉおぉお゛おおおお……」という音は聞こえてくる。 かなり風が強いようだ。 俺は自分の部屋の窓を開けて、風が吹いているか確認する。 無風だった。 ××トンネルが山の中にあるからといって、そんなに気象条件ってのは違うもんだろうか? 一応Cに確認を取ってみる。 「なあ、C。そっち風強い?」 「いや?風なんて吹いてないよ?」 依然として「おぉおお゛おお……お゛おおおお゛おおおぉぉ……」という音は聞こえてくる。 Cはサークルの先輩と話をしながらも俺と話し続けた。 俺はCの声と一緒に謎の音も聞き続けた。 しばらくすると「ああ゛ああ゛ああッ!あ゛あぁああ゛あぁぁあ゛あ゛あッ!」という もがき苦しむような声も入りだしたけど、通話を切ってしまいのたいのを我慢して、Cの話を聞き続けた。 二つの声はCが通話を切るまでずっと聞こえ続けた。
808 :幽霊トンネル終 ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/03(土) 00:42:18 ID:yk2rbvQ60 その日の講義にCは寝不足気味だったようだが、ちゃんと出席していた。 それとなく××トンネルのことを聞いても、特に異変のようなものはなかったようだ。 誰も幽霊の類も見なかったらしい。 そのことを後日Aと飯を食べに行った時に話す機会があった。 Aは遊びで心霊スポットに行くような人間が嫌いなので、 俺の話を聞きながら、まずそうにカレーを食べていた。 「お前が入学してすぐに教えてやらないから」とAには俺が悪いというように言われたが、 大学生活に慣れた心霊スポットの噂を知っている先輩も一緒なのだから、俺が教えててもCは面白がって行ったと思う。 それにはAも同意してくれた。 俺はCのことが気がかりだったので、Aに会ってくれないかと聞いてみたけど、嫌だと断られた。 Aは「自分のことで精一杯」だそうだ。 自分もAも昔から面倒見は良くないし、自ら危ないことに首を突っ込まないので、結局その件はそれでおしまい。 その後自分が知る限りCの身に不幸などはなかった。 でもCのサークルのやつらがどうなったか、何もなかったかまでは俺は知らない。
809 : ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/03(土) 00:43:40 ID:yk2rbvQ60 もう一つ投稿します。 連投・長文すみません。
810 :おばけ屋敷 ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/03(土) 00:45:30 ID:yk2rbvQ60 中二に上がる前の春休み、部活のメンバーと遊園地に遊びに行った。 恥ずかしい話だけど俺は高所恐怖症で絶叫マシーンは全くダメだった。 部活のメンバーが絶叫マシーンに行っている間は俺は待ち時間が多かったけど、 家族で娯楽施設に行ったりなどしなかったので、普通に楽しかった。 あと待っている間は俺と同じように絶叫マシーンがダメだという先輩がいたので退屈はしなかった。 俺の部活は生徒会で、一年の俺は生活委員会のアシスタントの仕事をしていた。 そしてその先輩は生活委員会の副委員長で、いわば俺の直属の上司というような人だった。 彼女は大人しくて優しい人だったが、物凄く腹黒くて、表情の変化に乏しい人でもあった。 仮にその先輩を桜井先輩とする。 メンバーが待ち時間の長い絶叫マシーンのところで並んでいる時、桜井先輩は俺をおばけ屋敷に誘った。 俺は幽霊を見ることはあったけど、基本的に幽霊を怖いと思ってる怖がりな人間なので断った。 が、桜井先輩は立ち上がり、「おばけ屋敷で私が痴漢にあったら、○○君のせいね」と 一人でおばけ屋敷の方に向かって歩き出してしまった。 桜井先輩は外見大人しそうでモロに痴漢にあいそうなタイプだった。 なので俺は仕方なく桜井先輩と一緒におばけ屋敷に行くことになった。
811 :おばけ屋敷 ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/03(土) 00:47:16 ID:yk2rbvQ60 おばけ屋敷はよく見かける和風なものではなく、洋風な内装で結構大きい施設だった。 桜井先輩とおばけ屋敷の中に入り、しばらく進むと、変なBGMがかかり始めた。 ひたひたと人間が裸足で歩き回る音。 その音がいつまでもついて来る。 俺は本格的だなと思い背筋が冷たくなった。 客を怖がらせてきたりする仕掛けが随所に見られ、それはもう怖かった。 でも桜井先輩は自分がおばけ屋敷に行きたいと行って俺を誘った割に平然としていた。 順路の後半にさしかかったところで、桜井先輩は立ち止まった。 本当は施設内で長いこと立ち止まったりしてはいけなかったんだけど俺も立ち止まる。 桜井先輩は「四月に生活委員長に就任することになった」と突然部活の話を始めた。 俺は普通に嬉しかったので「おめでとうございます」と桜井先輩に言った。 すると桜井先輩は顔を顰めつつ、 「君は部活を辞めるつもりみたいだけど、私は君を副委員長に任命するつもり。 後に委員長にも指名する。君は私の後継者だから」 と俺が驚くべきことを話し始めた。勿論そんなことは初耳だ。 それに部活を辞めるつもりだったことは友人Aにすら話してはいなかった。
812 :おばけ屋敷 ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/03(土) 00:48:19 ID:yk2rbvQ60 俺は一年の間では悪名高く、副委員長なんかになったら桜井先輩の評判が下がると言って、 後継者はAにするように頼んだけど、桜井先輩はAのことは嫌いだといって、 俺を何が何でも後継者にする気だった。 さらに桜井先輩はお得意のマシンガントークで、校長が地域の権力者であること、 桜井先輩の後継者になり部活動を三年間続けたら推薦がもらえて、 俺の成績ならば100%推薦で高校に通ると、 何故桜井先輩が校長や俺の成績を知っていたのかは今でもわからないのだが、 桜井先輩の腹黒さの前にその場で俺は桜井先輩の後継者になると頷かざるをえなかった。 話がまとまった後も、俺は「先輩は腹黒い」と言ったり、桜井先輩は「あと一年君を鍛えてあげる」 というようなことを話して、立ち止まっていた。 その間にも不気味なBGMは流れ続けて、立ち止まって向かい合う俺達の周りをぐるぐるぐるぐる、 ひたひたひたひたと歩き回るような音がずっとしていた。 俺は苦笑いしながら「こうゆうおばけ屋敷のBGMって嫌ですね。特にこの足音はよくできている。超怖いです」 というような情けない弱音のようなことを桜井先輩に言った。 桜井先輩は首を傾げた。 「BGMはするけど足音なんてしないよ?」 桜井先輩は腹黒いことは言うけど、嘘をつく人ではなかった。 瞬時にそれが幽霊なのだと気づいた俺は「走りましょう」と桜井先輩の背中を押した。 桜井先輩は俺が幽霊見えたりする人だとは知らなかったけど、何かを察してくれて、 出口まで一緒に走ってくれた。
813 :おばけ屋敷終 ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/03(土) 00:49:27 ID:yk2rbvQ60 俺達は息を切らしながらおばけ屋敷から出た。 喉が渇いていたので二人でジュースを買い、近くのテーブルに座った。 桜井先輩が「足音聞こえたの?」と訊くので、「俺はずっとついて来ていた」と答えた。 すると桜井先輩は「あのおばけ屋敷は出ることで有名」と言うので、俺はまた先輩に驚かされた。 俺は怖い話が苦手なので知らなかったけど、そのおばけ屋敷は出ることで有名らしく、 桜井先輩は行ってみたかったけどさすがに一人で行くのは怖かったらしく、俺を誘ったようだ。 でも桜井先輩には何も見えなかったし何も聞こえなかった。 だからせっかく二人きりになったので、桜井先輩がずっと考えていたことを俺に伝えた。 でも連れの俺が聞いていたので、桜井先輩も驚いたし、怖くなったようだった。 「帰りのバスの話のネタにしよう」と桜井先輩は張り切っていた。 俺はというと、幽霊がついて来たりなんてしてたら嫌だなと思っていたけど、 桜井先輩が「ごめんね」と謝ってくれて、実は逃げる時に手繋いだりなんかしちゃってて、 桜井先輩の私服は可愛いし、そこまで先輩に信頼されていたことがわかって嬉しかったので、 一瞬で桜井先輩のことを許した。吊り橋効果で先輩のことを好きになりかけた。 その後、みんなのところに戻り、強い霊感持ちのAに会ったけど、Aに「桜井先輩と二人きりでどこ行ってたんだよ?」 みたいなことは言われたけど、幽霊のことは何も言われなかったので、その後ついて来たりはしてなかったんだと思う。
814 :名無しさん :2010/07/07(水) 13:48:12 ID:wRSDw.fc0 福徳直明の巨額の冨の裏側には、恨みが重く重なっているが、福徳家の力には及ばない。 福徳直明氏を怒らすと死を持って償うハメになると噂されている福徳家は祟られた家系である。
815 :名無しさん :2010/07/08(木) 23:10:47 ID:KStyROksO ↑どちら様ですか?
816 :名無しさん :2010/07/10(土) 15:07:05 ID:H6wwiUJc0 http://kowaclip.cjb.net/
817 :名無しさん :2010/07/15(木) 10:42:51 ID:KQ3TrSFs0 祟られ屋さんはどこへ・・・
818 :名無しさん :2010/07/15(木) 22:52:43 ID:Qmmm.Djg0 またネットの無い場所にいるのかな?
819 :名無しさん :2010/07/18(日) 01:01:08 ID:BO9TkQ/2O 昨日変なの見ました。 それから理解できないことがあったので、 書き込みです。 霊感は全く無しの自分ですが、心霊現象ってやつかな?それを見ました。 ちなみに自分高校生なんですが、学校にはバスを利用して通学してます。 で、学校帰りに、複数の友人とバスに乗って帰宅してました。 友達は住む地域が違うので途中終点になる駅からバスを乗り換えなければなりません。 なので、バスが終点へ到着すると皆とはバラバラに自分達が目指す町行きのバス停へと解散。 自分も、目的のバス停に着いたのでバスが来るのを待っていると、真正面の道路の向こう側を友人が乗るバスが信号待ちのため止まっていました。 そのバスの中にはもちろん前の方の席に友人の姿があり窓からコチラを見ていました。 友人に向かって手を振ると友人もコチラに手を振ってきました。 とその時、気づきました。 友人の居る席の真下。バスのタイヤがある所らへん。 手がありました。 手といっても大きな手の平。 バスのタイヤの横幅よりも大きな手です。 腕は見えませんでした。 バスの腹部からその手は生えています。 心霊現象か否かはわかりませんが、恐怖や鳥肌よりも 「キモッ!」 といち早くに思いました。 よくよく見ると、どうやら手の平は右手(?)だけの模様。何故かはわかりませんが両手ではなく片手だけしかありません。 目を凝らして手の平全体を観察して見ようと試みたその時、バスが走行を始めてしまいいつの間にかその大きな手は無くなっていました。 その直後、今までにない冷や汗がいきなりどっと体からふきでてきました。 でも気分は悪くはなく、かえって軽くかんじました。 以上が変な体験談。 以降は誰かオレに解説してください。 家へ帰ると携帯電話に複数のメールが着ていたことに気がついた。 送り主はあの手が生えていたバスに乗っていた友人からのもの。 着信があったのは自分があの大きな手を見ていた頃の時刻でメールの本文は以下の通り。 一件目 「どした?表情キモいぞ」 二件目 「大丈夫か!」 三件目 「おいマジで大丈夫か!?」 四件目 「死ね」 どれも意味がわかりませんでした。 ちなみに一〜三件目のメールはほとんど同時刻に送られてきたもので、四件目のはそれから10分くらい後から送られてきたメール。 大きな手が消えた後の時間のものです。 読みづらい長文すみません。
820 :零感 :2010/07/18(日) 19:05:53 ID:3sKTq.ykO 父の話。 母は昔から金縛りに遭う人で、父と結婚してから、それは頻繁に起こるようになっていた。 私がまだ赤ちゃんだったころ、母はいつもと同じように金縛りに遭っていた。 苦しそうな息をする母に気づいた父は、母を起こそうと思った。 起き上がり、母の両腕を掴もうと触れたその時‥ ブワッ!! すごい勢いで『中身だけ』天井に吹き飛ばされた。 自分のすぐ横には電気の傘。 『しまった!!』 と思ったが、気が付いたら朝になっていた。 父いわく 『あれは、母さんだ』 だそうだ。父の母‥私の祖母は父と母の結婚に大反対していた。反対があまりに強かったが、母が身ごもっていた(私だ)こともあり、父と母は無理やり結婚したらしい。 結婚してから毎日、祖母から電話がかかってきて 『帰ってこい、年老いた親を捨てる気か』 と言われ続けたらしい。 結婚してから母が頻繁に金縛りに遭うようになったのも『祖母の生き霊のせいだ』と言っていた。 祖母の祖父はいわゆる『見る人』だったらしく祖母にもその能力が受け継がれているようで、念の力が強いようだ。
821 :短い :2010/07/19(月) 14:08:12 ID:OUsofROs0 俺が小5ぐらいのとき 家族と一緒にテレビを見ていた そしたら、外から ザッ、ザッ、ザッ、と 兵隊が行進している足音が聞こえた 『そういえば近くにそんな感じの墓があったっけ』と思い出し 家族も気にする素振りをしなかったので またテレビに集中した オチはない
822 :短い :2010/07/19(月) 14:54:08 ID:OUsofROs0 俺が経験した霊現象 小3・家で鏡越しから男の真っ白い顔 ・数日後、キッチンから「帰る」と男の声 ・半年後、女の人の首吊りの夢 小5・上の話通り 中1・開かずの暗室を開けてあまり宜しくない冷気(霊気)にあたる 中2・体育祭の時、忘れ物を取りにいったら「早く帰れ」と言われて 振り向いたら誰も居なかった 中3・授業中、後ろから理解できない言葉?を発する男の声(振り向いても居なかった) 高1・休み時間、清掃ロッカーの近くで「あぁ・・」と吐息に近い声を聞く 見渡しても誰も居ない。友達に言ったら授業中に聞いたとのこと 幽霊を信じない人が羨ましいよ。 俺は信じる、信じない以前の問題だから
823 :真下家 ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/20(火) 01:24:21 ID:NNu4Laeg0 いつもの友人Aとの話なんだけど、Aだと書きづらいんで、今回はこいつの名前を真下アキヒロ、お兄さんの名前をリュウイチとする。 うちの母方の親戚に県だか市だか忘れたけど議員と仲良い人がいて、 その議員さんから親戚は夏になるとプール(温泉もついてる大型施設)のタダ券を大量にもらっていた。 中二の夏もその親戚からうちにも大量にタダ券が送られて来た。 そのプールは車がないと行きにくい場所にあった。 うちはその時妹も小6で家族で一緒に行くには微妙な年頃だったので、 タダ券は学校や塾の友達にやることにした。 で、夏休みに突入し、7月も終わりの平日に真下のおじさんに休みが入ったんで、 おじさんがタダ券のお礼に真下三兄弟と共にそのプールに連れていってくれることになった。 真下家のワゴンに乗り込んだ時からおじさんは上半身裸でズボンの下に水着を穿いているというはしゃぎぶりだった。 松田聖子のアルバムを大音量でかけながら、おじさんはプールで逆ナンされたらどうしようと心配をしていたが、 実際その日に美人女子大生に逆ナンされたのはリュウイチお兄さんただ一人だった。 おじさんが運転中からすでにそんな感じだったので、保護者役は自然とお兄さんに回ってきた。 しかし、お兄さんは自分で「俺はダメ長男だから」と言い張るゆるい人で、その日も 「アキヒロと末弟の面倒見るのダルいから黒瀬君(←俺ね)と遊んでるよ」 という具合だった。 しかし弟君はアキさんを普段からアキヒロと呼び捨てにし、アキさんのことを完全になめていて、 リュウイチお兄さんの言うことしか聞かないことはお兄さんも重々承知していたので、 「じゃあ俺が末弟見るから、黒瀬君がアキヒロのお守りしてね」ということになった。 別に俺はアキさんのお守りに来たわけじゃないし、どちらかというと学校では俺のがボケだったんで、 プールについてからもお兄さんからお守りを念押しされて、その『お守り』の意味がよくわからなかった。
824 :真下家 ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/20(火) 01:26:39 ID:NNu4Laeg0 おじさんはスライダー系と施設全制覇に乗り出してしまい自分達は自分達でプールを楽しむことになった。 事件が起こったのは、波が出るプールでのことだ。 平日だったけど大波が出る時間は人で混雑していた。 それで、途中でお兄さんと弟君とはぐれて、アキさんと二人になった。 大波が終わって、浅瀬のとこで待ってたらお兄さん達と会うだろうと思い、俺達は歩いて浅瀬の方に向かっていた。 プールの水位が自分達の腰か太ももくらいのところに来て、急にアキさんが消えた。 どこいったんだと思って探していると、近くにプールの中に潜っているアキさんを見つけた。 プールの中に何か落としたのかと思って待っていたんだけどなかなか上がってこなかった。 俺もアキさんも泳げたので、溺れているのも考えにくく、 俺をからかっているのかと思って、俺はアキさんの腕を掴んで引き上げようとした。 するとめちゃくちゃ重くて、俺も転びそうになったんだけど、体勢を立て直して、 両手でアキさんの腕を掴んで引っ張ったら、今度はあっけなくアキさんを引き上げられた。 でもその後が大変で、水中から顔を上げたアキさんがその場で腹抱えてむせだして、 顔色も真っ青だったし慌てて浅瀬の方に連れてった。 アキさんの背中擦ったりしていると、お兄さんと弟君が俺らに気づいて、駆け寄ってきた。 やっと喋れるようになったアキさんは自分の足指して言った。 「足引っ張られて溺れた」 アキさんの足首を見ると、手の痕がくっきりと残っていた。 アキさんの話だと、足引っ張られた上にその上から押えつけられていて、 俺にはもがいている様には見えなかったけど、アキさんは必死でもがいていたらしい。 それで俺が気づいて引っ張ったときは、アキさんを掴む手と俺の引っ張り合い状態で、引っ張った感じが重かったんだそうだ。 幽霊嫌いの俺はその話聞いた時は顔引き攣りまくっていたと思う。 お兄さんはそんな俺の肩を叩いた。 「ちゃんとお守りしてくれてるじゃん。帰りまでお守りよろしくね」 そこでようやく気がついた。 お兄さんのいう『お守り』はそっち系の意味らしいということに。
825 :真下家終 ◆txdQ6Z2C6o :2010/07/20(火) 01:28:02 ID:NNu4Laeg0 その後プールでは何事もなく、俺達は閉園時間までその施設で過ごした。 ここで話は終わらない。 普段お店の経営者で休みなく働いているおじさんは一日中遊べたためか夜もハイテンションだった。 帰りの車の中、時刻は深夜を回ろうとしていた。 おじさんは車を山の方に走らせ、 「幽霊トンネルに突入しようぜ!大丈夫。なぜなら、俺らにはリュウイチがいるから!」と言い始めた。 全員霊感持ちの真下一家と心霊スポットなんていって、何も起こらないわけがない。 俺は半泣きで止めたが、俺の横でアキさんが、お兄さんの横で弟君も寝ていたので、反対勢力が足りなかった。 おじさんは快調に車を走らせた。 真下一家といるせいで、すでに山道に俺が普段見えないようなものがバンバンと見えまくった。 トンネルに入る前に、アキさんも弟君もヤバイ何かを感じとったのか起きあがって、 本気でおじさんに怒り出したけど、すぐに車はトンネルに入った。 松田聖子の曲にノイズと奇怪な音が入り始め、ラップ音が車内に断続的に響いた。 アキさんが物凄い力で俺の腕を掴んで、隣で念仏を唱え始めて、俺は本気で泣きたかったけど、 弟君がすでにマジ泣きして叫びまくってたんで、泣けなかった。 「リュウイチ。俺の足掴まれてる。すごいぞ」 「親父。後つけられてる。あと手形いっぱいつけられてるから帰ったら洗車しないとヤバイ」 おじさんとお兄さんだけが緊張感のない会話を繰り広げていた。 車揺らされたり、窓のところに幽霊張りついてたりしたけど、トンネルを抜けて、山を下りて、無事真下家に帰り着いた。 その時点でぐったりしていたんだけど、それでもまだこの話は終わらない。 おばさんは俺達見た瞬間、色々わかったらしく、おばさんに全員外で大量の塩をぶつけられた。 勿論おじさんはおばさんにお説教され、俺はそのまま帰って何かあったらいけないということで、その夜は真下家に泊まることになった。 その夜俺には何も起こらなかったけれど、眠るとアキさんは金縛りにあい、 アキさんのうめき声で起こされるので、疲れていたけど二人してゲームをして朝まで起きていた。 翌朝、おじさんとお兄さんだけが熟睡して、すっきりした顔をして起きてきて、 親子喧嘩やら、兄弟喧嘩やら、夫婦喧嘩まで始まりそうになり、本当に大変だった。 その日俺は絶対にもう二度と心霊スポットには行かないと心に決めた。 が、これ以降も不本意ながらオカルト関係のことには間接的、時には直接的に関わることになる。
826 :名無しさん :2010/07/20(火) 01:30:50 ID:CDLcZtKg0 祟られ屋作者さんは生きてるの?
828 :名無しさん :2010/07/22(木) 14:33:43 ID:WOuq5D8MO あいつがむこうにいた であったしゅんかんまた怒りがこみあげる 殺したいほどに 腕を契った 腕を契った 殺してやろうと首を契ろうとした だめだった ぼくにはもう・・・ 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い イタイ
829 :名無しさん :2010/07/22(木) 16:07:21 ID:xXnuedco0 >>828 ×契る ○千切る
830 :名無し :2010/07/23(金) 13:55:01 ID:ICCiAvxAO 私は大阪に住んでます。 5.6年前に友達4人と滝畑ダムに深夜に遊びに行きました。 着いて特に何も起きなったでつまんなくて帰りました。 僕は車の後ろの席で2人で座ってました。トンネル出たとこ辺りかな? 「おい.絶対横見んな」 みんなで騒いでたのにいきなり友達が言いました。僕の横の友達が言ったので僕は見てしまいました… 小学4年ぐらいの女の子が車の横で走っていました。しかもこっちを見ていました。僕は運転してる友達にもっとスピード出せ!と叫び.そこからは大きい道に出てくるまであまり覚えてません。 そのあと僕らは解散しましたがこの後に本当の恐怖が待ってました。 当時大学生で電車通学してて駅に行方不明の貼り紙がありました。 それはあのとき見た女の子にそっくりでした… ネットで大阪の行方不明で調べたら.当時小学3年生でまだ見つかってない子の名前が見つかると思います。 興味ある人は調べて下さい。最初の文字は「吉」です。
831 :名無し :2010/07/28(水) 22:01:23 ID:sayE0XKoO 830の者ですが書き忘れてました。 吉川○りちゃんは犬鳴山でも目撃されてます。 温泉帰りの老夫婦が小学生が一人で歩いていたので声をかけたところ「お父さんの知り合いに殺された」と話したそうです。お父さんは教師だそうで.誰かに恨まれてたのかなぁ。
832 :名無しさん :2010/07/29(木) 01:11:42 ID:EB.JyWYI0 >>830-831 胸糞悪い
833 :名無しさん :2010/07/29(木) 10:00:27 ID:IZWWJFDwO 彼女はいつも見ている 屋根の上 彼女はいつも見ている 貴方の後ろ姿を 彼女はいつも見ている 貴方の行動を 彼女はいつも見ている 貴方の悪事を 彼女はいつも見ている 貴方の家の屋根の上 貴方の悪事を見ています 彼女の声を良く聞きな 早死にしたくないならば 祖父母の住んでいる地域に昔から伝わるものだそうです。しょうけら(?)という妖怪を書いたものらしいのですが、「彼女」という部分が気になって仕方ありません。 本当にしょうけらなのでしょうか?
834 :本スレ208の128 :2010/08/05(木) 01:29:57 ID:O03Tu5yY0 ……すみません。 投稿しようとして、間違えてスレ立てしてしまいました……可能ならば 管理人様に削除して頂きたいのですが、どうしたらいいでしょうか? ご教示いただければ従います。 で、以下に改めて投下します。 本スレ208の128です。 “巣くうものシリーズ”で纏めてもらったので、説明は省略。 仕事が多忙で2ちゃんから遠ざかってたが、時間できたんで投下。 今年初めのことだから、もう結構前のことです。 前回書いた怨霊のカタマリ憑き男Iの件で知り合った、 俺の人生2人目の「おそらく本当にみえるひと」Hがらみの事件だ。 BがAに連絡して、会おうと言ったそうで。 思えば、学生時代からAはBを(というかBについてるモノを) 避け気味だったが、BはAを気に入ってたようだった。 去年から何だかんだでAがBと関わってるから、このまま友達付き合いを 復活したい(現在進行形)んじゃないかと思う。 Aは断る理由もなく、先の件で引け目があったのでOKしたものの、 Bと2人きりはどうしても気が進まず、俺を呼び出した次第だ。 引け目とは、怨霊塊憑男Iの家に熟睡中のBが連れ込まれた段階で 反対しなかったことだそうだ。 A曰く、前回は本当にとんでもなかったらしい。 「井戸の時は逃げたら済んだけど、あの時はHさんが逃げ道を塞いでたから…… ドアが揺れ始めてからずっと、止めなきゃいけなかったんじゃないかって 思って、もしBのアレが負けたらBはどうなるの?って凄く怖かった」と。 当日、Bと待ち合わせ場所で会った時、すでにAが微妙な顔してた。 ファミレスに入ると、Bが「コレ見て♪」と鞄から何か出した。 コンパクト?ってのか?丸い平たい2つ折りで、内側は両面が鏡の奴。 何か古そうな奴。金属っぽい質感で、凄く古っぽい感じ。 横のAは、また表情が固まってる。 「アンティークなんだよー。この前ほら、肝試しなのに現地到着前に私が 寝ちゃったでしょ?Aと俺君が旦那に連絡してくれて」 Bは、あの後Cの呼び出しで“肝試しスポットを教えてくれた人”として、 Hに会ったそうだった。 「Hさん、おかしな場所に行かせたせいで倒れたんじゃないかって 謝ってくれてね、お詫びにってコレくれたの♪ 結構よくて気に入ってるんだけど、安いものじゃないみたいなんだよね。 お返しにお菓子でも送ろうかと思ってさー」
835 :本スレ208の128 :2010/08/05(木) 01:30:53 ID:O03Tu5yY0 適当に喋ってBを返した後、Aが即効でHに連絡して、数日後に会った。 現れたHは、俺らがBに会ったと聞いた段階で何やら察してたようだった。 Aが「何考えてんですか!」と怒鳴ると、Hはフフンと鼻で笑って言った。 「いいアイディアだと思わない?散らばらないよ、あれ」 ……呪いの部屋と同じように呪いのグッズも現実に存在することを、 改めて知らされました。 いや、指輪の一件で既に判っていたようにも思うが、古物やリサイクル品に 稀にでもその類のものがあると思うとやはり怖い。 件のコンパクト、確かにモノは良いがHは一銭も払ってないそうです。 むしろ金をやるから黙って引き取ってくれと泣かれた代物だと。 前回の話の怨霊塊憑き男IのためにHが情報収集してる間、 Hが「みえるひと」だという情報も、広く垂れ流しだったそうで、 お払いしてくれと妙なものを持ち込んでくる奴は割りと居たと。 Hは、何も憑いてない場合はそう教えてやり、たまに出てくるホンモノに ついては小遣い稼ぎのネタにしていたと言ってました。 金目の物で自力で片付くものは引き取り(そして片付けて売り)、 奉納で済むものは処理方法を助言したりして、ポツポツ稼いでたのだそうな。 「もちろん命は惜しいから、手に負えないのはムリだっつって断ったよ。 あの鏡はね、間違えた。鏡から離れないんだから最悪本体ごとおっぽり出せば 済むわけで、リスクも小さいと思ったんだけどね。甘かったねー。 だからBさんに頼んじゃった」 Hは、からからと笑って言った。 Hに聞いたところでは、そのコンパクト?は持ち主の不在を許さないのだとか。 捨てようとすると邪魔が入って、どうしても捨てられなかったそうです。 憑いてるモノはHの手に余るから長く持ってたくないし、かと言って他人に 譲るのも良心が痛むので、持て余してた一品だと。 「本体から他所にはいけない奴だし、Bさんのアレと勝負できるレベルじゃない から問題なし。Bさん、寝なかったっしょ?」 Bが例のコンパクトをしばらく愛用してくれたら擦り切れて掠れて 消え去ってくれるだろう、と言うのがHの言い分でした。 で、実はここまでが前フリです。
836 :本スレ208の128 :2010/08/05(木) 01:32:07 ID:O03Tu5yY0 再度俺にAから連絡が来たのが、確か5月下旬。 ……B、コンパクトを手放してしまったと。 Hにも連絡したら、あの飄々としたHがあわくってたそうです。 俺も巻き込まれで付き合い、3人で次の所有者を訪ねました。 AがBに聞いたところだと、友人(学生時代のではない、俺達とは面識なし)に 見せたら、凄く良い品だと言われ羨ましがられ、ちょっとだけ貸して欲しいと 言うから貸したら返してくれない、と。 「携帯に連絡してもメールしても返事がないの」 と言った時のAの表情を誤解したようで 「貰い物なのに申し訳ない」とBは凹んでいたそうです。 ……Aが苦労してBから聞きだした名前その他の情報を頼りに 俺達がB友人宅を探し当てた時、B友人は離婚前提の別居だとかで、 家には居ませんでした。 ご主人だけいて、俺達の目的が奥さんに貸したコンパクトだと言うと、 出てきて暗い顔で言葉少なくモノを渡してくれました。 そのとき、両足首に包帯を巻いていた彼の右袖口からちらりと、 手首より少しだけ上辺りに何か見えました。 モノを引き取りB友人宅を辞して、俺はAとHに確認しました。 …見間違いじゃなかったです。ヒトの歯型だった、と2人とも言いました。 その後の2人の会話は、以下の通り。 「奥さんの歯型だよね、アレ」 「だろうね。……やっちゃったねえ」 さすがのHが、真っ青に青ざめていました。 「Hさんのせいだよ」 「うん、俺のせい。……呪いのコンパクトだよって言っといたから、 Bさん離さないと思ってた」 「勝手なこと言わないで下さい。大体、高価なものなら泥棒にあうこと だって考えられるでしょ。何でそんないい加減なことするんですか」 Aが物凄く刺々しい口調で言ってHが黙り込み、気まずい気分で 俺らはHと別れました。
837 :本スレ208の128 :2010/08/05(木) 01:33:22 ID:O03Tu5yY0 例のコンパクトは、Hが持ち帰りました。 もっともA曰く、もうコンパクトには何もないそうでした。 Bが愛用していた数ヶ月で削り取られ磨り減り続けたモノの、 最後っ屁と言うか断末魔と言うか、そういうものをB友人は 受けてしまったのだと思う、と。 その後、俺が6月にHと飲んだとき(Iの件以降、何となく付き合いしてる)に 聞いたところでは、まっさらになった例のコンパクトを売り払った金に 色をつけて、例のB友人である女性に送金したそうです。 送金先は自腹で調べたそうで、いつも能天気に見えるコイツでもあの一件は こたえたんだな、と思いました。 また最後になりますが、そのコンパクトに憑いてたものの正体について。 Bのコンパクト紛失以前、AがHを呼び出した際に少し聞きました。 ……俺にはよく判らなかった話ですが、Hが“みた”ところでは、 『4つ足の哺乳類に昆虫の羽根がある』生き物がしがみ付いてたとか。 Aには姿は見えなかったが(能力の差か、Bが居たことによる影響かは 解らないと)、ぶんぶんと背筋の寒い羽音が絡まりついてたと。 その中では1人だけみえない俺が、 「哺乳類に虫の羽って何?異次元の生き物とか?」 と聞いたら、AとHがまるで狙ったようなタイミングでバッと 目をそらしたのが印象的でした。 Aは黙ってましたが、Hはハハハとわざとらしく笑い、 「……人間が、恨みとか呪いだけで精神のカタチまで捻じ曲げて あんなモノになれるってのが怖いよね。本当に」と言いました。 正直、俺はグロいものを見る力が無くてよかったです。 曖昧な部分が多いですが、以上です。
838 :オカルトファン :2010/08/05(木) 10:20:15 ID:IrikKUvcO ↑乙 今回Bサンのアレが活躍しなかったけど、 なかなか興味深い話しだね。 コンパクトに憑いてるのも、Bサン家で慌てふためいて 友人来た時に逃げ出した感じだよね。 Bサンのアレの強さが、改めて分かる内容おそるべし…。 Aサン、H君がクリリン、ヤムチャクラス コンパクトがフリーザクラス、 Bサンのアレがスーパーサイヤ人3 ぐらいのパワー差かな?
839 :名無しさん :2010/08/05(木) 17:10:30 ID:V81P8CCMO お盆に、みんなで客間に集まって雑談していたら、一瞬、静まり返った後、トイレからガチャ(ドア)ジャー(水流す音)って音が聞こえた。 客間以外には誰も居なかったからゾゾーっとした。
840 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:12:37 ID:ZE6qxRBU0 すみません本スレで苦情多くてこっちを紹介してもらったんですけど 本スレの続きこちらで投稿してもいいですか? 結構長い話ですけど
841 :名無しさん :2010/08/08(日) 20:14:10 ID:sDD.pG2s0 >>840 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
842 :名無しさん :2010/08/08(日) 20:14:58 ID:8v7fmcgk0 >>840 待ってました!
843 :名無しさん :2010/08/08(日) 20:16:01 ID:RPz6f/i20 八宝斉さーん! 探したよ〜〜〜(涙) カモン♪
844 :名無しさん :2010/08/08(日) 20:19:33 ID:AuItJ6OM0 >>840 待ってました 本スレの方はあまり気になさらないように
845 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:20:30 ID:ZE6qxRBU0 http://toki.2ch.net/test/read.cgi/occult/1280200761/l50 スレの続きです それでは書かせてもらいます<m(__)m>
846 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:22:43 ID:ZE6qxRBU0 「あの時は、そこまで確認する余裕はなかったよ それに神山龍次の遺体回収される時にアームレットは はめてなかったってあのおばさん言ってなかった?」 「そうか・・・俺の見間違えだったかもしれないな」 と言いながら、とんかつ定食を注文する高森 「お前、ほどほどにしとかないとまた腹壊すぞ」 「うるさいー、腹減ってるだからしゃーねだろ」 などと、くだらない会話をしてると時間が来た 「高森行くぞ」 レジで会計を済まし店を出る 歩いて5分くらいで水神さんの神社に着いた 鳥居をくぐり抜け、参道を渡る。 周りには立派な御神木が注連縄に結ばれていた 参道を進んでいると手水舎が見え、拝殿が見えた。
847 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:24:33 ID:ZE6qxRBU0 拝殿に神主の姿をした眼鏡を掛けてる男性と 巫女の姿をした女性の姿が見えた どちらも年齢は50代くらいでおそらく夫婦だと思われる。 2人で何か話していたがこちらの足跡に気づいたらしく 近づいてきた。そして神主が話し掛けてきた 「電話をくださった進藤さんですか?」 「はい、そうです。このたびは無理を言ってすみません」 「いえいえ、いろいろご事情があるみたいで 除霊はお父さんが昔よくやってました 今は体調を崩し、私がここの神主を引き継いだのですよ 私はあまり徐霊の経験はないのですが 頑張ってお役に立てればいいなと思います」
848 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:25:28 ID:ZE6qxRBU0 「さあ、こちらへ」と本殿へ案内される 本殿の中に入ると祭壇には蝋燭で火が灯されており いくつかお札が用意してあった、除霊とは人生始めての経験だが 陰陽師の除霊方法ってお札を使うのか〜どうやるんだろ?て 考えてると神主さんが「それでは始めますね」と お札を右手の人指し指と中指の間で摘まみながら 右手を上げてこれから始めようとした時 本殿のドアが急に開き 「馬鹿ものがーーーーーーー!!!」 と大声で叫び声が聞こえた
849 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:27:12 ID:ZE6qxRBU0 本殿のドアを見ると痩せ細った御老人が立っていた 「お父さん!」と神主さんと巫女の女性が同時に叫ぶ 「馬鹿ものが!わしの来るのがもう少し遅かったら お前死んでおったぞ。怨霊の見極めも出来ないやつが いっちょまえに除霊をするなんて考えるな!」 「死ぬとかお父さんこそ何言ってるんですか? お身体悪いのに寝てなくて良いのですか?」 と、神主さんが言い返す。 「これほど強い霊感を感じたら休むに休まれないわ馬鹿もの」 と言った瞬間、膝をつき、苦しみ出す
850 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:28:13 ID:ZE6qxRBU0 「お父さん」と巫女の女性は叫んでそばに寄り両手で支える 「無理を為さらないでください、戻って静養してください」 と神主さんが言うと 「なら、そこの客人に帰ってもらいなさい」 続けて俺達に向かって話始める 「おたくさん達には申し訳ないですが、わしらではおたくさんに 取り付いているのを除霊するのは無理なんですわ。お引き取りください」 「ちょっと待ってください」 と俺が言うと続けて高森も 「そんなん無責任ちゃうの?除霊してくれるって言ったのそっちじゃん」
851 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:30:33 ID:ZE6qxRBU0 床板に膝がついてた体を巫女の女性に支えられながら立ち上がると 「いくら言われても除霊はできません おたくらに取り付いてる霊はわしらではどうする こともできないのじゃ。お引き取りください」 すると高森が泣き声を出しいて 「じゃあ、このまま諦めて呪い殺されろって言うのかよ? 頼みます。助けてください、助けてください」 高森を見て俺も声を上げる 「俺はどうなってもいいけど、こいつと加藤という後輩には 何とか、助かってもらいたいです。俺だけに呪いを移すとか 何か方法ないですか?お願いします」
852 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:31:41 ID:ZE6qxRBU0 その後、何度も頭を下げて「お願いします」を言い続けた 神主さんと巫女の女性は頭を下げたまま無言のままで 元神主と思われる御老人は腕を組んだ状態で考え込んでいた そして、俺も高森も絶望感に捕われた状態になり しばらく、沈黙が続いた 「光恵ならもしかすると・・・」と、御老人は急に声を出す。 「やめてください、あの子は巻き込まないください」 と、巫女の女性が咄嗟に大声を出す おそらく娘?の名前を出されて母親としての感情が出たのだろう 「やっぱり無理じゃな、諦めてこのままお引き取りください」 俺達は一言「ご迷惑かけてすみませんでした」と会釈したあと
853 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:34:02 ID:ZE6qxRBU0 本殿から出て、そのまま車に向かった 俺も高森も無言だった 高森も俺と同じで覚悟を決めてる最中だと思った いままで霊とかまったく信じていなかった しかし、開かずの間で見たのは明らかに人間ではなかった あの中に入ってる人間は必ず死ぬと聞かされた現実 そして、陰陽師と呼ばれる方にも除霊は無理と 断られた現実、まあ自業自得なんだろと思う 結局、加藤は見つからず、本来関係のない高森も巻き込んで しまった俺の罪、ただ今はとんでもなくを後悔している 車の置いてある駐車場に着いた俺達は車に乗り込もうとすると 向こうから「待って」と男性の声が聞こえる。
854 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:35:16 ID:ZE6qxRBU0 声の聞こえる方向に目を向けると神主さんこっち に向かって走って来た 「よかったー、間に合って」 息を切らしながら、メモの書いてある紙を俺に差し出す 「娘の住所です。今はそこに住んでいます」 紙を見ると水神光恵(仮名)という名前と住所が書いてあった」 住所を見て俺と高森は「あ」と声を出す 同じ都市で俺のアパートからそんな遠くない場所だった 「いいんですか?娘さんですよね?」 俺が尋ねると
855 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:36:55 ID:ZE6qxRBU0 「ええ、光恵は天性の素質の持ち主なのです。 陰陽師としての才能は私の父親以上でした 父が除霊できない怨霊も光恵なら除霊できたんです しかし、妻の反対で光恵は中学2年になった頃から まったく除霊をしなくなりました。 光恵は男っぽい性格ですが根は優しい子です あなた方のお役に立てると思います」 「すみませんわざわざありがとうございます」 「いえいえ、ただ娘が除霊を無理と断った場合 その無理には・・・・」 「心配しないでください無理に頼む事はしませんので」 「そうですか、それ聞いて安心しました。 大切な娘なんでお願いします」
856 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:37:51 ID:ZE6qxRBU0 「はい!でも奥さん反対してるのになんで俺達のために・・?」 「あなたの姿が昔の自分に見えたんですよ 自分を犠牲にしてでも大切な人を守りたい気持ち でも、時間が経つにつれてその気持ち失いつつ あったかもしれません。あなたに出会えて もう一度自分を見つめ直すチャンスができたと思います あ!そろそろ戻ります。それではお気をつけて」 「はい、いろいろありがとうございました」 と俺達は車に乗り込んだ。
857 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:39:07 ID:ZE6qxRBU0 「とりあえず時間も遅くなったし、どこか泊るとこでも探すか で、明日朝一で帰れば昼頃には戻れるだろ」 「戻るっておいら達の住まいか?」 「うん、水神光恵には明日会いに行こう」 「なあ進藤、その子何歳だと思う」 「変なことを聞く奴だな、会ってもいないのに歳なんて わかるわけないだろ?それに歳なんてどうでもいいことだろ」 「君はほんとわかっちゃいない!女性だぞ?歳は重要だろう 俺の予想だと20前後?姫みたいなかわいい子がいいなー」 「まったくお前って奴は・・・まあ、高森らしさが出ていいか!」 「何だよ進藤、気持ち悪いな」 俺は嬉しかった。さっきまで暗い表情だった 高森が高森らしさを見せてくれたことに対して。
858 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:40:04 ID:ZE6qxRBU0 その後、俺達は携帯で近くの宿泊場所を探し、民宿で泊ることになった その民宿は神山一家と同じで家族経営で運営していた 民宿に入るとまだ若い夫婦が出迎えてくれた 小学生?くらいの兄弟(兄妹)が「こんばんは」と笑顔で挨拶してくれた 神山龍次と神山涼子もこんな仲の良い兄弟だったんだろうなーと思う 神山一家で起きた事件を思い出すと悲しくやるせない気持ちになった 食堂にて食事を頂いたあと、部屋に案内された そして入浴を済ました俺達は布団を用意し 早々に休むことにした。 「なあ、進藤起きてるか?」 なかなか眠れずに考え事してると高森が話し掛けてきた
859 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:41:42 ID:ZE6qxRBU0 「ああ起きてるよ、どうかしたか?」 「神山龍次が、路上でアームレットを買ってからおかしくなったって おばちゃん話してけど、俺も中学の頃、物に関する怖い経験してる だよなー。まあ黙って聞いてくれよ」 「俺が中2の10月?ぐらいの頃、クラスに転校生が来たんだよ 髪を結んでいるとてもかわいい女の子で俺はすぐその子に 一目惚れしたんだよなー、しかし、デブで不細工な顔の俺では 当然相手にされないだろうと諦めてたんだけどさー しかし、以外にも向こうから話掛けてきたんだよ 彼女は若瀬るい(仮名)と名乗ってた。最初は休み時間教室で 話してる程度だったんだけど、どんどん仲良くって休みの日に デートすることになったんだ。俺はマジ自分にモテ期が来たの ではないかと喜んでた。最初のデートの時に彼女は俺に小説みたいな本を 渡してきたんだよ、その本が気味が悪くてさー表紙が見た事のないような 動物の布で作ってあり、本の中の文字は支離滅裂で何が書いてあるのか さっぱりわからなかった。彼女は毎晩電話で0時から30分の間 声を出して聞かせてほしいって言うんだよ。
860 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:42:58 ID:ZE6qxRBU0 俺は意味わからなかったし、気味が悪かったんで嫌だったんだけど 彼女がかわいい顔で「お願い」って言われるとどうしても断れなくてね その夜から毎晩0時に彼女の自宅に電話してその本を声に出して読むように なったんだよ。読み終わるといつも「ありがとう」って喜んでいた その頃はまだ携帯がなかったんで自宅の電話使うしかなかったから 親に見つからないように毎日こそこそ電話してた。 ただ、彼女の自宅に電話すると必ず彼女が電話に出たんだよねー そして、学校終わって今日ですべて本を読み終わるとルンルン気分で 本を持ちながら家へ帰ろうと歩いていると20歳くらいの若い女性が いきなり本を取り上げてライターで火をつけて燃やした 「俺は何するんだー」怒り狂ってその女性に向かっていくと 平手打ちを食らわされて地面に倒れ込んだ
861 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:44:05 ID:ZE6qxRBU0 「この本はね、呪いの本よ。もし全部読んでたらこの世の終焉が始まってたわ」 と言い放つそのまま歩き去って行った。 俺は彼女に謝ろうとすぐ彼女の自宅に電話したけど 「このお電話は現在使われおりません」と彼女の自宅に繋がらなかった 次の日、彼女は学校に来てなくクラスの子に彼女のことを聞いても そんな子知らないと言うだけだった。 これが俺が昔体験した怖い話だ。ぞっとする話だっただろ?進藤」 「はいはいはいはい、SFホラー妄想乙。明日は早いから早く寝ろ」 「むっきーーーーー!お前に話した俺が馬鹿だったよ このまま一生寝てろバ〜カ」 以後、俺と高森は会話することなく入眠する そして・・・・夢を見る
862 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:44:52 ID:ZE6qxRBU0 ここどこだろ?どこかの部屋にいるみたいだ しかし、見覚えがあった 二度と行きたくない場所・・・ 子供頃、歯医者に行きたくなくて何度も泣いたことがある あの時の感覚・・・しかし、ここはそれ以上行きたくない場所 文字が見える「呪死」が書かれてある ここは開かずの間だ!しかも壁や床に腐朽が見られない そして真ん中に置いてある椅子には男が座っていた 神山龍次だ!やつは果物ナイフを片手で持ちながら こちらを睨んでいた。そして急に不気味な笑みを見せながら 自分の腹を切りだした。飛び出る血、内臓を鷲掴みしながら やつは笑っていた
863 :八宝斉ファン :2010/08/08(日) 20:46:49 ID:RPz6f/i20 子供とシャワー。 後でじっくり読もうっと♪
864 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:47:04 ID:ZE6qxRBU0 俺は堪らず「わあー!」と叫ぶと、ここは泊ってた民宿の部屋で布団から起き上がっていた。 「進藤お前も見たのか?」 と高森も起き上がっていた 「あの夢はなんだったんだ?神山龍次が笑いながら自分の内臓を抉り取りながら 笑っていたぞ。てか、進藤も見たんだろ?」 「ああ、俺も同じ夢を見た」 「2人一緒に同じ夢を見るなんて俺らマジやばいかもな」 高森がしゃべり終わったあと、唸り声が聞こえてくる 開かずの間で聞いた唸り声と同じだ そして、あの時と同じ声がはっきり聞こえ出す 「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」 俺はおそるおそる部屋の周りを見るが何もいないと 安心すると、高森は顔から沢山の汗を流しながら 一箇所を見つめたままフリーズしたかのように止まってた 俺は高森の視線の先に目をやると驚愕した。
865 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:48:41 ID:ZE6qxRBU0 部屋の押入れが少し開いてあり、その隙間から 神山龍次の生首がこっちを睨んでいた 俺は高森の手を掴み「逃げるぞ」と叫んだ! 俺と高森は我を忘れて全力疾走で民宿の外へ出た 「キャー、変態体!!!」 と外の出た先にたまたま出くわした女性が 俺達を見て逃げ出した 女性が逃げた理由は高森を見ればすぐ分かった 高森は寝る前に暑いから寝巻をせずパンツ一兆で 寝てたのである。そしてパンツ一兆まま外に出たのである 「お客さんどうされたんですか?というか何て格好してるんですか?」 オーナーの若い男性がびっくりした様子で尋ねてきた 俺が事情を説明しようとすると「みゆき」と一緒に来てた て奥さんを呼び、寝巻を持ってくるように伝えた その後、高森が寝巻を着たあと説明をした。
866 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:50:40 ID:ZE6qxRBU0 信じてもらえないことは覚悟していたが案の定、呆れた顔で 「お客さん夢でも見たんでしょ?うちは出ると噂はありませんよ」 「出たからパンツ一兆で出てきたんだよ」 と高森が拗ねた顔で話す 「わかりました。ちょっと確認してきますんで待っててください」 と中に入って行った。そして5分くらいして戻ってきた 「大丈夫ですよ。安心して休んでください」 俺と高森はその言葉を信じて部屋に戻った 部屋に戻るとやついなかった 時計を見ると22時30分だった ふたたび布団に入るがさっきの恐怖が消えずに 枕で顔を隠しながら寝た。 やつは俺達を弄んでいるか? さっきでも本当は俺達を殺せたのではないか? それとも次に会う時に俺達を殺す気なのか? いいだろう後悔させてやろう!
867 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:51:32 ID:ZE6qxRBU0 俺達には最後の希望、水神光恵がいるから・・・・ やつさえいなくなれば加藤もきっと・・・・ 俺は「なんとかなる」「なんとかなる」自分に言い聞かせて 眠りについた。 そして次の日、朝7時に携帯の目覚ましコールがなる 俺は高森を起こし、昨日早めに用意をお願いした朝食食べて 宿泊料金を支払ったあと、車に乗り込み出発した 今からだと高速で使っても到着予定は15時くらいだ 着いたら水神光恵に会いに行こう 彼女は今何をやってる人なんだろう?
868 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:52:37 ID:ZE6qxRBU0 社会人か?そもそも遠くへ出張や旅行へ行ってたら どうしよう?いや、こっちから会いに行けばいい もし海外だったら?それにやつは、いつまで俺達を 生かしておいてくれるんだ? 運転しながらひたすらマイナスのことばかり考えてしまう。 とにかく今は彼女に会いたい・・・それだけだ 車の中では高森は何もせずだたぼーっと窓から空の 景色を眺めていた。高森も同じことを考えている のだと思った。 車を走らすこと8時間ようやく俺達の地元に到着した 時刻は15時過ぎたぐらいだった 神主さんから教えてもらった住所を頼りに、水神光恵の現在の自宅を探した 近くに進学高と有名な公立高校があった とりあえず車をパーキング料金所に止めて 歩きながら探すことにした
869 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:53:27 ID:ZE6qxRBU0 優しそうな感じの婦人がいたので尋ねてみると 「ああ、そこの住所は新井さん宅ね。あそこの曲がり角、 右に曲がってまっすぐ行ったらすぐ見つかりますよ」 「ご親切にありがとうございます」 「いえいえ」と笑顔で答えてくれた そして、新井さん宅を見つけた。「立派な家だなー」と高森は感心をしてた 早速、チャイムを鳴らすと40くらいの女性が玄関のドアを開けて現れた 「どちら様ですか?」 見知らぬ人から突然の訪問に驚いているようだ 早速、神主さんにここを紹介してもらったことを話すと 「ああ、お兄さん知り合いでしたか、光恵ちゃんなら学校ですけど もうすぐ帰ってくると思いますよ」 「え?学生さん何ですか?」
870 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:54:32 ID:ZE6qxRBU0 「はい、高校生ですよ」 てっきり社会人と思い込んでいたので高校生と云うのは少し驚いた 「どうしましょう?帰ってくまで中で待ってますか?」 「いえ、そこまでご迷惑掛けられませんので高校で帰り待ちます ちなみにどこの高校ですか? 「すぐ近くにある・・・」 「わかりました、近くっていったらあの進学高以外ないですもんね」 礼を言った後、俺達は水神光恵の在学中の高校へ向かった 「なあ進藤、俺の目を見てみ」 歩きながら高森が急に喋り出した 「何だよ?急に」 「俺の目は今!究極に輝いている」 「はあ?」
871 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:55:04 ID:ZE6qxRBU0 「JKの楽園に行くんだぞ?これほど感動があるか! しかも光恵ちゃんもJKとはこれはまさに感動の奇跡」 俺はため息をついた後 「お前なーどうでもいいけど、変質者として警察に 通報されることだけはすんなよ?お前を高校連れて行くの怖いわ」 「大丈夫だってwそれより見知らぬ男性2人が高校で待ち合わせ して光恵ちゃんのことを聞きまくるの怪しまれて通報されないか?」 「ああ、俺もそう思ってな、いろいろ考えてたのよ そこで思いついたのが俺の職業を利用するのさ」 「職業?」
872 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:56:55 ID:ZE6qxRBU0 「まず名刺を見せて出版業界で働いていることを説明した上で 当雑誌の今話題のJKコーナーで水神光恵さんの 名前が多かったのでぜひ取材したいんです。みたいに言えば 別に怪しまれないだろ?」 「おいおいwむちゃくちゃな嘘だなw進藤とは思えない発想だ」 「嘘も方便だろ。とにかく俺達には余裕はないんだからな」 高校の校門前に着くと丁度チャイムの鳴る音が耳に響く そして、少し待つと学校から出て下校する高校生達 まず、最初に校門を通った男子高校生にさっきの方法で 水神光恵のことを聞いて見た。しかし、学年が違うので知らない と期待できる答えではなく、その後も男性、女性の下校する学生に 話を聞いたが「わかりません」と答える学生さんがほとんどで 中には「ストーカーですか?」と言ってくる学生もいた。
873 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:57:32 ID:ZE6qxRBU0 「なあ、進藤お前の作戦やっぱり無理があるんじゃないか? 相手は有名進学高の学生さんだし、そのうち本当に 通報されるかもしれないぞ。いったん引き返して 光恵ちゃんが自宅に戻りそうな時間に新井さん宅に伺った方が いいんじゃないか? それに部活で高校にまだ残る可能性だってあるしな」 「高森の言うとおりだな、わかったそうするよ。最後のあそこの 学生に聞いてみるよ」とこちらに向かった歩いて来る女子高生に尋ねてみた 「光恵ちゃんなら知ってるよ。だって同じクラスだし、でもおじさん達 話題の女子高生で光恵ちゃんの名前が多かったって嘘でしょw? あの子確かにかわいいけど、あの性格では彼氏なんて絶対できないし 言ってる側から光恵ちゃん来たよ。ほら、あの子」
874 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:58:47 ID:ZE6qxRBU0 その子の指を指す方向を見ると、髪長の美少女の姿が見えた 見た目は清純派女子高生って感じで新垣結衣似た少女が 友達と楽しいそうに会話しながら歩いていた 「進藤・・・・・」 高森の声が震えていた 「どうした?高森?」 「俺もう限界」と言うと「うおおおお」と叫び声を上げて 「光恵ちゃーーーん俺と付き合ってくれーー!」と 光恵に向かって突進していった 「おい、高森」と俺は高森を止めようと必死で高森を追いかけた すると、目を疑う出来事が起こった 光恵は地面にカバンを置くと高森の顔面に回し蹴りを食らわした 「ぐはぁ」と地面に横たわる高森、光恵はこう言い放った
875 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 20:59:32 ID:ZE6qxRBU0 「テメぇー昼間からこの俺を襲うなんていい根性してるな ここで死にたいのか?あん?」 外見のイメージとの違いに俺は愕然した とりあえず水神光恵本人か確認してみた 「水神光恵ちゃんだよね?」 「ああそうだが、おっさん達何の用だ?援交の誘いか?」 「実は君のお父さんに君が除」と言ったところで光恵が いきなり「ああああ」と大声を出し俺の声をかき消した 「おっさん達は俺に用があるんだろ?くわしいことは喫茶で聞くわ」 「光恵ちゃん」と隣りいる友達が心配そうな声を出す 「大丈夫だって!ちょっと話すだけだから」
876 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:01:52 ID:ZE6qxRBU0 と光恵は友達に説明し俺達は近くの喫茶に向かうことにした 喫茶に着き、テーブル席に座ると 「あのなー俺の実家がお祓い、除霊してるとか 学校では秘密にしてるんだよ。まったく勘弁してくれよ」 「ごめん」と謝る俺。 「で!俺に用って何だよ?まあ言わなくても見当はついてるけどな」 「短刀突入に言うと君に除霊をお願いしたい」 しばらく俺達をじっと見詰めたあと、 「「残念だけど無理だな。確かに糞じじいが除霊できないやつは 俺が除霊してたけど、おっさん達の取り付いているのは 怨霊ではなく悪魔だ!。俺でもどうこうできる相手ではない」 「あ、悪魔?」俺は驚いてもう一度聞きなすと高森が笑いだした。
877 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:02:44 ID:ZE6qxRBU0 「ぎゃはははははは!!!、光恵ちゃんデビルマンオタクでしょ?w」 光恵は高森を睨んだ後、右ストレートを高森の顔面に入れる 「いてぇー」と顔を押えて痛がる高森。 「テメぇー、こっちは真面目に話してるのにちゃかすんじゃねーよ」 「でも、悪魔なんて本当にいるの?」 「悪魔はいるよ、俺は子供の頃から見えてた そしておっさん達に付いてる悪魔はおそらく悪魔に取り付かれた人間が 死んだことで完全に悪魔化したパターンだ思う。怨霊相手なら まだ人間でもなんとかなる。しかし相手が悪魔では人間はどうすることもできない」 光恵の話が終わったあと、俺は考え込んだ。 神山龍次は確か、事件一カ月前からおかしくなったと言ってた 路上で買ったアームレットが原因で悪魔に取り付かれたのか?
878 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:04:42 ID:ZE6qxRBU0 考えるとわけわからなくなってきた。ただ、はっきりしたことは これで完全に俺達は終わったということだった・・・ 「何か期待を裏切る結果でわりーな、俺そろそろ行くわ。 おっさん達も気を落とさず頑張れや」 と席を立つと、そのまま店から出ようとした。 その時、高森がいきなり「うおおおおお」と大声で奇声を上げると 「どうせ死ぬなら光恵ちゃんのスカートの中で死にたい」と叫んで 光恵のスカートの中に頭から潜り込んだ! 光恵は「キャー」と叫んだあと、「テメぇー変態野郎何しやがる」と怒鳴り まず高森の顔面に膝蹴りを食らわしたあと、続いて腹部に右ストレート入れて 脇腹を蹴り上げて苦しむ高森に対して止めは高森の大事なところを踏みつけた! 「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!」 あまりの光景に呆然と眺める店員と客
879 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:05:44 ID:ZE6qxRBU0 「ざけんじゃねーぞ、この野郎!!そのまま死ね」と言い放ち 光恵は店を出た。 高森の馬鹿はしばらく苦しんでいた。自業自得だと思った その後、店を出た俺と高森は車の置いてある駐車場まで歩いた 「いててて、光恵ちゃん顔のわりに手加減しないなー」 「お前なー分かってるのか?今のは立派な犯罪行為だぞ? 光恵ちゃんが警察に被害届出したらお前捕まるんだぞ?」 「どうせ死ぬんだし、死ぬ前にあれぐらいのこと神様だって許してくれるさ それよりショートカットの姫もいいけど長髪の光恵ちゃんも捨て難いなー」 呆れてため息しかでなかった。仮にこいつは相手が霊だとしても 女性だったら、逆に襲いかかるんじゃないかって思った。
880 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:08:04 ID:ZE6qxRBU0 車に乗り込んで出発した俺達は自宅に帰る事にした。 車の中では、特に高森と交わす会話もなかった。 おそらく、俺も高森も完全に諦めがついたのだと思う だから、死へ恐怖はその時はそれほど感じていなかった。 高森の自宅に付くと、今日は家に泊まって行くか?と高森が言ったので 今日は一人でいたいと断った。 「そうか!今日はこれでお別れかだな、明日はどうする? 「うーん光恵ちゃんの話だと悪魔が原因とか言ってたし 気休め程度に近くの教会でも行ってみるか?」 「ハハハ、教会かwまあ気休め程度にはいいかもな」 「んじゃあまた昼頃に連絡するわ」 「OK!わかった!」 「なあ、高森」 「ん?どうした進藤?」 「俺さー、まだどこかに小さな希望はあると思うんだー
881 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:11:36 ID:ZE6qxRBU0 だからさ、お互いまだ絶望的にはならず希望を持とうぜ!」 「そうだな!俺も姫に一度会いたいしな、明日連絡待ってるわ あと、いろいろあった短い旅だったけど結構楽しかったぜ!」 そう言ったあと、高森は家の中へ消えて行った。 その後、俺は自分のアパートに帰った 実際は少しの期間戻らなかっただけだが1年ぶりに戻った感覚だった アパートに戻るなりずっとTVの画面だけ集中していた もし、神山龍次の生首がこちらを見ていたらと想像すると 恐ろしくなり他の箇所を見る勇気は俺にはなかった ポケットに入れてあった携帯を見ると新着メールが一件あることに気づく 高森からだった。どうやら高森の両親は遠くに住んでる親戚の通夜で 今日は戻れず今日は高森1人で家にいるらしいとのことだった 2時間前に送られてきたメールだと気づく。 それから30分後、携帯が鳴ってることに気づく高森からだ!
882 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:13:07 ID:ZE6qxRBU0 「し、進藤」 「どうした高森?」 「へへ、どうやら俺が最初のようだ」 「え?」 「い、いるんだよ、や、やつがこっち見て、わ、笑ってやがる」 高森の声はどもり気味で震えてた 「やつって神山龍次か?おい高森大丈夫か」 「なあ進藤、お前に礼が言いたくってさ、お前が生まれて初めての友達だったんだよ 俺さ大学に入るまで友達なんていなくてさ、オタクとかデブとかいつもキモがられて、 いじめられて、大学でも他の奴にはキモがられていたけど進藤だけは 俺にまともに会話してくれたよね?本当にうれしかった。ただそれだけ 言いたくって・・・・ありがとう」 高森が話し終わると「ぎゃああ」と高森の絶叫する声が聞こえた 「おい高森、高森返事しろ、おいどうしたんだ?答えろよ」 私は何度も叫んでも高森は電話に出ることなかった・・・ 「ちくしょー」と叫んだあと、俺は急いで高森の自宅に向かった
883 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:14:30 ID:ZE6qxRBU0 全力疾走で車を走らせた。高森が無事であることを信じながら・・ そして高森の自宅に着くと2Fの高森以外の部屋は電気が消えていた 俺は全速力で高森の部屋に向かった。 すると、高森は部屋に倒れ込んでた 「おい、高森大丈夫か?」と高森に呼び掛ける 高森は白目の全身発汗で体がものすごく熱かった 意識はないが呼吸はしていた 俺は急いで携帯で救急車を呼んだ 応急処置はできるか?と聞かれたが経験ないと答えると 救急車が来る間、少しでも熱を下がるように言われたので 高森、頼むから元気になってくれと祈りながら ビニール袋に氷と水を詰め込んで高森の熱を下げることに努めた そして、救急車が到着して俺は付添人として一緒に救急車に乗り込んだ 人工呼吸器を付けられる高森、かなり危険の状態らしい
884 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:16:53 ID:ZE6qxRBU0 そして、搬送された病院は、俺が小学1年の時に両親と行った、旅行の帰りに 交通事故に遭い運ばれた場所だった。 あの時、俺は大した外傷もなく医者から奇跡だと言われた記憶がある 高森はすぐ集中治療室に運ばれた。 頭を抱えながら椅子に座り医師の報告を待った 途中、看護婦さんが高森の両親の居場所を聞いたので 説明すると病院側から高森の両親へ連絡してくれるとのことだ しばらくすると、医者が俺にところへやってきて 「うーん、原因がまったくわかりません今はかろうじて 息をしてますが、覚悟はしておいた方がいいですね」 「覚悟って何ですか?先生お願いします。あいつを 助けてください。あいつは俺にとって大切な友達なんです」
885 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:17:52 ID:ZE6qxRBU0 俺は医者の両手を掴んで何度も何度も頼み込んだ 側にいた看護婦さんが掴んでいた手を外した そして、俺はふたたび頭を抱えながら椅子に座った すべて俺のせいだ・・・・ 加藤も失踪したまま未だに連絡はない 結局あの旅は何だったんだ・・・・ 高森を誘った自分をすごく呪った 考えている内に涙が出てきた 何度も「くそーくそーくそー」と呪文のように心で言い続けた しばらくすると「康之」と叫ぶ声が聞こえた 高森の母親の声だった。高森の両親が走って向かってきた。 俺が高森の今の状況を説明すると、母親は泣き崩れた。
886 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:19:15 ID:ZE6qxRBU0 「すみません、全部俺が悪いんです。俺が康之君を誘わなければ 彼は今でも元気だったはずなんです・・」 俺はまた泣き出した。すると高森の母親はやさしい声で 「何言ってるの、進藤さんには感謝してるわ だって、康之の初めて友達になってくれた方ですもん 康之もきっとあなたに感謝してると思うわ」。 「ありがとうございます」 俺は涙が止まらなかった。するとハンカチを俺にくれて 「進藤さんは帰ってください。あとは私達に任せて 大丈夫!康之は必ず元気になるって信じてるから 元気になったら進藤さんに連絡入れるから」 俺は「はい」と言ったあと自分のアパートに帰った
887 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:22:02 ID:ZE6qxRBU0 高森の自宅に車を置いて来てたから結構な時間歩いた。 歩きながら何度も星空に願った。「加藤と高森の元気な姿がもう一度見れますように」と アパートに着いた俺に脱力感が襲った。 何もすることなく、だたボーと部屋に座りこんでた 嫌なことを忘れようと冷蔵庫に入ってあったビールをがば飲みした しかし、悪夢なような現実は消えることはなく いつしか、眠りについていた 夢の中で俺の両親がこちらを見て微笑んでいた 俺の両親は俺が小学1年の時に交通事故で亡くなっていた 一人っ子で身寄りのない俺は養護施設で育てられた。 両親のいる加藤や高森が、たまに羨ましくなる時もあった
888 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:24:06 ID:ZE6qxRBU0 目の前にいる両親に俺は叫んだ。 「親父、お袋ずっと会いたかった。なんであの時、俺も一緒に連れて行って くれなかったんだよ?俺だけ助かったって父さん、母さんのいない人生なんて 悲しいだけだったよ。それに俺が生きてたせいで大切な友達にも 迷惑をかけてしまったし・・・何でだよ答えくれよ、ちくちょーー!」 気がつくと俺は目覚めていた。 携帯で時計を見ると16時過ぎたぐらいの時間だ 頭痛がする。寝すぎたようだ、高森が気になるので 病院に電話すると依然危険な状態は続いてるようだ このまま部屋にいても仕方ないと思い、部屋を出て 散歩することにした。特に行く目的のない散歩を 高森の次は俺だろう。でも、死んだらずっと会いたかった 両親に会えると思うと、不思議と恐怖を感じなかった ただ、俺は死んでもいいけど加藤と高森だけは助かって欲しかった。
889 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:26:15 ID:ZE6qxRBU0 俺が死んでも、悲しむ人なんてどこにもいない、しかし加藤や高森には 両親がいる。俺はいつしか、新井さん宅の前まで来ていた 水神光恵の現在の住まい、俺は何を期待してんだろ 彼女本人が除霊できる相手ではないと言っていた。 それに彼女の父親である神主さんに無理にはお願いしないと 約束していた。彼女に無理に頼んで除霊してもらっても 彼女にもしものことがあった場合、彼女の両親が悲しむ 俺は新井さん宅を後にした。 しばらく歩くと小さな神社を見つけた 無駄なのはわかっていたけど、鳥居を通り弊殿まで向かった。 そして100円玉を投げてお祈りした。奇跡を信じて そして戻ろうした時に唸り声が聞こえ始めた 「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ね」 そして、やつは目の前にいた。
890 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:27:31 ID:ZE6qxRBU0 目は白目、口と腹から血を流れだしている。腹には内臓も何も入っていないようにも 見える。こいつを見るのは三度目だ!間違いなく神山龍次である やつは不気味な笑みを見せながらこちらを見ていた しかし、意外にも恐怖は感じなかった 諦めてるから?それも一理ある。しかし、恐怖以上に湧き出る感情があった それは怒りである。加藤と高森を苦しめてるこいつだけは絶対許せなかった 「この糞野郎、俺の大切な友達を苦しめやがって!絶対許せねー!」 と、俺はやつに飛びかかろうとした。しかし、体が動けなかった やつは笑いながらこっちへ近づいてきた。 「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」この言葉が脳裏に響く やつは瞬間移動してるみたいな感じでこっちに少しずつ近づいてきた。 そして、目の前まで来ると両手で俺の首をすごい力で締めあげた 抵抗するにも体が動かない苦しい・・・・ だんだん意識がなくなってきた。 これが死ってやつか?26年間の記憶が走馬灯のようによみがえる
891 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:29:06 ID:ZE6qxRBU0 そして、完全に意識が飛ぼうとした瞬間 やつは急に手を離し苦しみ出した。そして消えた。 「まったく世話の焼けるおっさんだ」 地面に手をついて咳をしながら苦しんでた俺は苦しみながら 顔を上げると、そこにはセーラー服姿の水神光恵が立っていた。 「まだ終わっていないぜ!」 と光恵の指を指す方向に目をやるとやつはさっきと同じく笑みでこっちを見ていた そしてものすごい速さで光恵に突進してきた 「キャー」と突き飛ばされる光恵。 そして姿を消して、光恵の目の前に現れて光恵の首を両手で締めあげた 苦しむ光恵、俺はやばいと思い光恵を助けようとした。しかし、体が動かない・・・。 さっきと同じだ、必死で体を動かそうとするもピクリとも動いてくれない 苦しむ声を出す光恵、このままだとこの子が・・・この子だけは絶対助けないと 俺は神に向かって何度も願った「助けてください、助けてください」と すると俺の脳裏にやつが語りかけてきた。
892 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:30:29 ID:ZE6qxRBU0 「無駄だ、この女はもうすぐ死ぬそしてお前もなヶヶヶヶ」 「その子は中に入ってないし関係ないだろ?頼むその子だけは助けてくれ」 「中?貴様は自分達だけ死んで終わりだと思ってんのか?めでたい奴だヶヶヶ 貴様らの家族もいままで知り合った奴すべて殺してやるよヶヶヶ」 「ふざけるなー」と頭の中で叫んだ。そして俺はふたたび動こうと頑張る しかし、まったく体は動かない。何もできない自分が悔しくて涙が出てきた その時だ! いままで苦しんだ表情をしていたはずの光恵の表情が笑みを変っていた そして、「その程度かよ」と言い放つと胸ポケットから札らしき紙を取り出し やつの背中に張り付けた。 「ぐあああ」と今まで不気味な笑みを見せてたやつが急に光恵の首から手を離し、 苦しみながら後ろへ後退していった。
893 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:31:14 ID:ZE6qxRBU0 「テメぇーあんまり調子こいてんじゃねーぞ」と叫ぶと やつに回し蹴りを食らわす 「調子に乗りすぎた報いを受けな」と言い放ったあと 胸ポケットから新しい札を取り出し右手の人指し指と中指の間で摘まみ 「ジ・エンドだ」と言うと摘まんだ札で☆の文字を書きながら呪文?を唱え始めた 「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」そして唱え終わるとその札をやつに張り付けた 「ぐあああああああああああああ」と苦しみならがやつの姿は変わっていった。 今、目の前にいるのは人の姿だった。おそらく人間だった頃の神山龍次だと俺は思った そして神山龍次はこっちに向かって軽くお辞儀をしたあと消えていった。 すべて終わったあと私は腰を抜かしてしまい、目から涙が溢れた 「いい歳こいたおっさんがめそめそ泣いてんじゃねーよ」 と光恵はカバンからハンカチを取り出し渡してくれた。
894 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:33:41 ID:ZE6qxRBU0 「さ、帰ろうぜ」と歩き出した光恵に対して俺は 「光恵ちゃんどうしてここに?」と尋ねると 「何言ってるんだよおっさん、人の家の前でうろうろしやがって ストーカーみたいだったぞ、観たいドラマがあるんだよ。さっさと行くぞ」 その後、特に会話もせず歩く光恵と俺、本当はもっと光恵にいろいろ聞きたい ことがあるのに結局、口に出して言えることは出来かった しかし、悪魔?に取り付かれた神山龍次の怨霊を見たのはさっきで三回目だったが アームレットらしき物は、はめてはいなかった。 そういえば神山龍次の遺体にもはめてた形跡はなかったという話だ いったんどこにいったのだろうか・・?そもそも呪いの根源は あのアームレットだったんだろうか? いろいろ考えごとをしながら歩いていると 「おっさんここでお別れだな」と言うと俺の肩を軽き叩き 「いつまでも、くよくよしてんじゃねーよ。心配するなもうすべて終わったよ」 「光恵ちゃんありがとう」言うと光恵はやさしい笑顔を見せたあと歩き去ろうとした。
895 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:34:18 ID:ZE6qxRBU0 「ちょっと待って」と光恵に向かって呼んだ後、俺は光恵に自分の 携帯番号の書いてある名刺を渡した。 「このハンカチ洗濯して返したいし、あと何かお礼がしたい」と俺が言うと 「うまいこと言って俺とデートしたいだけだろ?wまあいいか、んじゃあまた電話するわ」 と言い歩き去っていった。 俺は自分のアパートに戻ろうと歩いてる最中、携帯が鳴った 見知らぬ番号だが電話に出ると高森の母親からだった。興奮した口調で 「進藤さん康之の意識が回復したの!熱も下がって奇跡が起きたの」 「本当ですか!よかった・・・本当によかった・・・」 再び俺は泣き出した。泣き声を聞いた高森の母親も 「ありがとう、ありがとう」と泣いていた 人生でここまで泣いた日はあの事故の時以来だ あの時、頭から血を流して死んでる両親の姿を見て お父さん、お母さんと何度も呼んで泣いてた記憶がある その時のことを思い出すとまた余計に涙が出てきた。
896 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:36:12 ID:ZE6qxRBU0 泣くに泣いた俺は、今日もう一度泣く瞬間が来ることに期待をした。 加藤が無事見つかったという連絡だ! アパートに帰ると俺は、携帯をテーブル前に置いて着信音が鳴る瞬間をずっと待った しかし、何時間待っても着信音が鳴ることはなかった どうしてなんだ?光恵のおかげで呪いは消えたはずなに もしかして加藤はすでに・・・・いや!やめて擱こう 明日から仕事に復帰だ、もしかしたら何もなかった素振りで 明日仕事に来るかもしれない。希望を持とう 次の日、俺は久しぶりに仕事に行った しかし、加藤の姿はどこにもなかった・・・ 会社の同僚達にいままで休んだことを謝罪すると みんな笑顔で歓迎してくれた。1人を除いては いままで通り普通に仕事をこなしていると奴は楽しそうにこう言い放った。 「しかし、加藤はどこ行ったんだろうなー、どうせ男と駆け落ちしてるんだろ?w」 こいつは清水と言うやつで前に加藤に告白するが男性に興味のない加藤に振られてから 必要以上に加藤に嫌がらせするようになった。社内いじめというやつだ。
897 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:37:30 ID:ZE6qxRBU0 「お前、言葉に気をつけろ。加藤はそんな子じゃない!」 「じゃあどんな子だ?あんな女ほど顔に似合わずヤリマンだったりするんだよなw」 「テメぇーいい加減にしろ!」俺は清水に近づき胸ぐらを掴んだ 「なんだお前、やっぱりお前らできてたのか?そりゃ会社休んで M嬢を探す旅してるんだもんなw」 「この野郎」と俺は思いっきり清水の顔を殴った それを見てた同僚は必至で俺を抑えた そして、俺は編集長に呼ばれて個人面接室に連れられた 「進藤、気持ちは分かるが暴力はいかんだろ」 「すみません、きちんと責任は取ります」 「責任?ふざけるな!お前は大事な部下だぞ、そして加藤も大事な部下だ! 加藤に今回の取材させたことは後悔してる。加藤にもしも事があったら 上司として責任はきとんと取るつもりだ。だが俺もお前と一緒でまた此処に 加藤が戻って来ると信じてる」。
898 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:38:49 ID:ZE6qxRBU0 「編集長・・・」 「今回の怪奇特集は中止にしよう。本当にも申し訳なかった」 と、編集長は頭を下げて謝罪した 俺は編集長のことを勘違いしてたようだ。自分が恥ずかしく思える 編集長の気持ちに考慮して清水に謝罪してこの騒動は収まった 仕事が終わり居酒屋で1人で飲んでいると携帯の着信音が鳴った 「OOO警察署の安岡と申しますが・・・・・」 ついに加藤が見つかった!警察の話だと加藤は山の山中で衰弱した 状態で倒れているところを狩猟に来てた人が見つけてたとのこと 衰弱してたが命には別状なく現在は病院で治療中との話だった 俺は嬉しさのあまり酒をとことん飲んで1人で祝杯をあげた しかし、意外にも涙は出なかった。 それから4日後、休日に俺は高森に見舞いに行くことにした 高森はあと一週間で退院するとの話だ 昔、俺も入院したことのある病院、高森は病衣の姿でベット上で ライトノベルを読んでいた。
899 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:39:43 ID:ZE6qxRBU0 「よう!調子どうだ?」と俺が声をかけると 「進藤か、また会えて嬉しいよ。ところで俺とお前が生きてるってことは 神山龍次の呪いは消えたってことだよな?何が起きたか説明しろよ」 俺は高森にあの神社での出来事を話した 「なるほど、美少女戦士水神光恵ちゃんが助けてくれたわけか 今度光恵ちゃんにお礼のキッスをプレゼントしないとなへへへ」 「お前はほんと懲りない奴だな。いい加減にしないと 今度は光恵ちゃんに病院送りにされるぞ」 「その凶暴性も萌えるんだけどなwそれより知りたくないか?」 「ん?何を?」 「光恵ちゃんのパンティの色と柄(^O^)/ スカートの中に潜った時に見ちゃったんだw 男っぽい喋り方するけど結構かわいいパンティしてるんだぜw」 俺は大きなため息をついたあと
900 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:41:23 ID:ZE6qxRBU0 お前なー相手は高校生だぞ?俺はお前みたいな変態じゃないよ」 「ちぇ、相変わらずつまんない奴だな。それよりさ、俺退院したら働くわ」 「お!高森どうしたんだ?急に」 「意識戻った後ずっと、かあちゃん俺の看病してくれたんだよなー 朝から晩まで、その時改めて母親のありがたみってやつ?肌で感じたわ それにこれは呪いとは関係ないと思うけど、見舞いに来てた親父が最近体調が あまり良くないのでついでに健康診断受けたらレントゲン写真に黒い影が 映ってたらしくて親父も入院することになったんだわ。まあ医者の話だと 良性か悪性かまだわからんらしいけど、何にせよ両親を支えられるの 俺しかいないしな」 「高森お前・・・・・・」 「ところで姫はどうしたんだよ?」 「ああ、加藤は無事だったよ。お前と一緒で現在入院中だ」 「そうか、よかったな。それより今度姫に会わせろよ」 「お前が襲わないって約束するならいいよ」 「人を獣扱いするな!ヴォケ」
901 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:42:01 ID:ZE6qxRBU0 それから一週間過ぎたが加藤からの連絡はなかった。 俺から何度か加藤の携帯に電話やメールを送ったが、返事は返って来なかった。 加藤いったいどうしたんだ?意識がまだ戻ってないのか?それとも避けられてるのか? そして更に一週間過ぎたが相変わらず加藤からの連絡はなく この日、いつもどうり会社に出勤したら編集長に呼ばれた 「加藤が仕事辞めたぞ」 「え?どういうことですか?」 「退職届け郵送で送られてきたんだよ」 「編集長まさか受理したんですか?」 「俺も最初は納得できなかった。しかし直接では郵送で送ると云うことは 加藤はよっぽどあそこ行ったことを忘れたんじゃないか? それに加藤には加藤の人生がある。それを止める権利は誰にもないよ」 編集長はそう言ったが俺は納得できずその夜、酒をかば飲みした そしてまた更に一週間が過ぎた。
902 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:43:53 ID:ZE6qxRBU0 俺は完全に加藤のことは忘れようとしてた。 編集長が言ってた通り、加藤はあの民宿に入った記憶を完全に消したいんだろう 無理もないと思う。実際に体験した俺なら分かる、あの民宿の恐怖が あの開かずの間のことを思い出すと今でもずっとする 俺達が体験したような怪奇現象を加藤もおそらく体験したのだろう それに加藤には加藤の人生がある!今回のことを忘れて加藤が新しい人生を 歩んでくれればそれが一番いいと思う。逆に俺と関わると また嫌な記憶を呼び起こすだけだろうし。 その日仕事が休みだった俺はアパートに引き籠りずっとゲームをしていた。 [風来のシレン]俺はこのゲームが一番好きだった 加藤と仲良くなったのもこのゲームがきっかけだった 加藤が入社仕立ての頃、大人しく仕事以外の話はほとんどしない子だった
903 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:44:48 ID:ZE6qxRBU0 ある日の昼休みに、俺は外の空気を吸おうと会社の屋上へ行ったら 加藤が風来のシレンの攻略本を読みながら座ってた 「君このゲームやるの?」と話題が盛り上がり そして加藤と友達になったのだった。 俺は我を忘れてゲームに集中してると携帯から着信音が鳴った 携帯を見ると「おお!」と思わず声を出してしまった。 発信人は加藤だった! 「もしもし、先輩お久しぶりです」 「加藤その・・もう大丈夫なのか?体調は」 「はい、大丈夫です。先輩ずっと連絡できなくて すみませんでした。でもやっと決心が付きました」 「そんなこと気にしなくていいよ。それより決心って?」
904 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:45:58 ID:ZE6qxRBU0 「すべてを話す決心です。先輩に聞いてもらいたくって・・」 「いや加藤、話さなくていいよ。何があったか知らないけどもう忘れようぜ」 「いえ、聞いて欲しいんです。私の過去を」 加藤が私って言ったような・・自分のことを僕としか呼んだことのない加藤・・ 聞き間違え?と思いながら加藤はしゃべり続ける 「あの時、私は自分の本命を思い出しました 私は加藤久美代(仮名)ではなく本命は・・・神山早苗です。 「ええええええ?でも神山早苗は死んだって聞いたけど?」 「先輩どこかでいろいろ調べられたようですね。なら話しやすいです 神山早苗が死んだことにされてるのは誰かが私のことを 調べてそして私が過去の記憶を取り戻すことを恐れた今の両親の配慮だと思います 私はあの民宿に入った時に失った記憶をすべて取り戻しました そして民宿から出た私はしばらく放心状態で目的もないまま歩き続けました 気づいたら山林の中にいました。そして先輩に電話した後にうめき声が聞こえたんです。 とても恐ろしい声で何度「死ね死ね」と聞こえてきました しかし、その声は見覚えありました。彼だ!と思った瞬間から記憶がないんです。
905 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:47:03 ID:ZE6qxRBU0 次に目覚めた時は病院のベットでした」 「加藤でいいかな?」 「はい、加藤のままでいいです」 「加藤がさっき言った彼とは君のお兄さんつまり神山龍次のことだよね?」 「違います」 「え?」 「確かに体は兄のものですけど、兄に取り付いたもう一つの兄の姿、 彼は自分のことを[ダスク]って名乗ってました」 「ダスク?確か君のお兄さんは事件の一カ月前に路上でアームレットを 購入してからおかしくなったんだよね?」 「違います。兄はもっと前から[ダスク]という、もう一つの人格を持ってました 父や母は気付いていませんでしたが私の目の前には何度か[ダスク]は現れました [ダスク]になってる兄は別人で、ものすごく怖かったです。 声も兄とは別人の声を出してました。」
906 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:48:45 ID:ZE6qxRBU0 「私は何度か[ダスク]となった兄に殺されそうになりました。 しかし、そのつど兄は自分の人格を取り戻し私を守ってくれました [ダスク]は何度か私に「明日お前の両親を殺してやるヶヶヶ」とか 「お前の友達の内臓を抉り取ってやるヶヶヶ」とか恐ろしいことを 私に言ってきました。しかし、兄はそのつど[ダスク]の人格を抑えました でも、先輩は知ってると思いますがあの事件の一か月前ある事件が起きました 近所の男子高校が内臓を抉り取られて殺される事件が発生しました 私は[ダスク]の仕業と直感しました。 その事件が起きた夜、兄は私の部屋に来て泣いていました そして兄は私にこう言ったんです。
907 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:49:22 ID:ZE6qxRBU0 「早苗、あいつを抑えるのもそろそろ限界かもしれない 俺が完全にあいつになるのも時間の問題かもしれない だから、早苗にお願いしたい。俺は殺してくれ。自分では あいつが邪魔してできない。俺がお前の兄でいられる間に頼む 俺を殺してくれ」と。 「そんなことできないよ。お兄ちゃんの馬鹿」 私は何度も軽く兄を叩き泣いていました そして次の日、兄は完全に別人になってました ねぇ先輩、私あの時、兄を殺すべきだったんでしょうか?」 電話の向こうで加藤が泣いてる声が聞こえた 「何言ってるんだよ。加藤は間違っていない絶対に」 何を根拠に俺は絶対と言ってるのか、自分でも分からなかった でも、もし同じ状況なら俺も加藤と同じ行動を取ったと思う。 しかし、男子高校生が殺された話は初耳だった。
908 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:50:33 ID:ZE6qxRBU0 なあ加藤、お前のお兄さんの[ダスク]と云うもう一つの人格は小さい頃からあった 人格なのかな?あとアームレットはまったく関係ないんだよね?」 「はい、先輩のいうアームレットはまったく関係ないです。 母もそのアームレットのせいで兄がおかしくなったと思い込んでたみたいで 兄が部屋に置き忘れた時に処分したみたいですけど、まったく変わらない兄の姿を 見て落胆した様子でした。あと兄がおかしくなったのは兄が中3の頃だったと思います。 あの時から[ダスク]という人格を持ち始めたと思います」 「なるほど、そういう事だったのか」と俺が言うと加藤は続けて話し出した 「完全に[ダスク]の人格となった兄は私や母に暴力振るうようになり 私にいつも「お前らはまだ生かしといてやるよヶヶヶ、生け贄が揃うまではな」 と言って来ました。私は毎日が怖くて怖くて・・・・・ そして、[ダスク]となった兄は完全に部屋に籠るようになり、そしてあの事件が起きたのです」 「加藤もうやめておこう。もう充分だ」 「先輩、御気遣いありがとうございます。でも話させてください」
909 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:51:29 ID:ZE6qxRBU0 あの日の夜、私の部屋のベットで寝てたら顔を蹴られました あまりの痛さに泣きだした。私の目の前に血の付いた文化包丁を持った 兄が姿がありました。そして私にこう言いました 「おい、儀式の始まりだ。心配するなお前は最後殺してやるよヶヶヶ それまでここで大人しく待ってろ」と言い放ったあと 兄は部屋を出ました。私は恐怖のあまり体を動かせませんでした。 そして下から母の悲鳴が聞こえました。 私は我慢が出来ず下へ向かって走りました 途中、客室の部屋から宿泊に来ていた若い男女が血塗れの状態で倒れてました 私はそれを見て腰を抜かしました でも、私は怖いのを我慢して両親のいる下へ向かいました そして私が目にした光景は父が血を流し倒れていました そして兄がこれから母を襲うとしていた瞬間でした 母は私を見るなり「早苗」と叫ぶと同時に兄はしゃがみ込んでる母の喉元を刺しました」 「加藤もいいからやめろ」と思わず俺は叫んだしかし、加藤は話し続けた。
910 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:52:41 ID:ZE6qxRBU0 「返り血浴びた兄はこっちを不気味な顔で微笑んでいました. 私は怖くなりその場から逃げ出そうとしました。そして非常口まで急いで走りました そしてあと少しって時に私は転んでしまいました。 血の付いた文化包丁を持ちながら近づく兄、私は恐怖のあまり体が硬直してしまい 動けなくなりました。そして私の目の前に来た兄は、文化包丁を振り上げ私を切り つけようとした時、私はもう駄目だと思い目をつぶると「早苗」と声が聞こえました 目を開けると兄が涙を流してこちらを見てました 「早苗、こいつは今、全力で俺が抑えてる。だから今のうちに逃げろ」 「お兄ちゃん?お兄ちゃんなの?」 「早苗ごめんな、お前のことずっと守るって約束したのにな。 お前の漫画観たかったよ。ほんとごめんな、そしてありがとう」 「お兄ちゃん嫌だよ。このまま一緒に行こうよ」
911 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:53:14 ID:ZE6qxRBU0 「早く行け、頼むから俺が俺でいられるうちに早く」 と言うと兄は中へ消えて行った。 私は泣きながら何度も叫んだ。行かないで行かないでって でも、結局兄はそのまま中に消えて行った。 私は兄を追うことを考えた。でも、兄の気持ちを無駄にできないと 思いそのまま泣きながら外に走った」 そこまで話した加藤は泣いていた。俺も堪らず涙が溢れてきた そしてしばらく泣き続けてた加藤は 「先輩すみません。私に話を聞いてくれてありがとうございます 誰かに話せて気持ちがすっきりしました。」 「加藤お前・・・・・・」
912 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:53:53 ID:ZE6qxRBU0 「それから私は記憶を失い、いままで加藤久美代として生きてきました その頃からだったと思います。男性になりたいと思ったの 今思うと記憶は失われていましたが心のどこかで兄と一緒にいたい。 そう願った自分が男性の人格を作り出したと思います。 そう、兄である神山龍次の人格を」 「加藤お前、仕事辞めてこれからどうする気だよ」 「私、兄と約束したんです。いつか漫画家になって私の家の民宿を モデルにした話が書きたいって。そして主人公は兄にするって だから私、専門学校行ってプロの漫画家目指そうと思います そして、いつか漫画の世界で私の両親と兄を甦らせたいと思います」 「漫画家かー、いい夢見つけたな加藤。俺もお前をずっと応援してるからな」 「先輩ありがとうございます!先輩に言ったら馬鹿にされそうですが 私、天国は絶対あると思うんです。だから天国でいつか両親や兄と一緒に 暮らせる日が来るって信じてます。
913 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:54:52 ID:ZE6qxRBU0 だから それまでは私の記憶の中でずっと生き続けてくれます」 「俺も信じてるよ。天国は絶対あるって!」 俺も加藤と同じでずっと信じてた。いつか天国で両親に会えることを 「なあ、加藤約束覚えてるよな?」 「約束ですか?」 「なんだ忘れたのかよ。飲みに行くって約束だよ」 「そうでしたね!また行きましょうね先輩」 「ああ!絶対だぞ加藤」 加藤との電話が終わったあと、しばらく放心状態が続いた 今までずっと子供の時に両親を亡くした俺が一番不幸者だと 思ってた。しかし、加藤は俺以上に辛い過去を持っていた 加藤が信じていた天国とは悲しみのない楽園なのだろうか? 俺は翼をくださいを熱唱した 悲しみのない、自由な空へ、飛ばさはためかせ、行きたい 歌い終わった俺は泣いてた。 いつからそんな泣き虫になったんだ俺は・・・・
914 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:55:56 ID:ZE6qxRBU0 次の日、会社に出勤した俺は編集長に加藤の過去の話は伏せたまま 連絡があったことと、漫画家目指すことを話したら 編集長は涙目をしながら「夢を見つけたんだ」と喜んでいた。 そして仕事が終わりアパートでコンビニの弁当食べてたら 携帯が鳴ってることに気づく、見知らぬ番号からの着信だった が電話に出ることにした。 「よう!おっさん久しぶりだな」その声は光恵だった 「光恵ちゃん久しぶりだね。で、どうしたの?」 「おいおい、それはないだろ。おっさんが言ったんだぜ お礼がしたいからまた電話くれって」 「そうだったね。あ!それとハンカチ返さないと」 「ハンカチみたいなもんどうでもいいけど、明日暇か?」 「大丈夫だと思う」 「なら16時に商店街にハラルン薬局(仮名)の前に待ち合わせでよろしくな」 「わかった」
915 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:56:29 ID:ZE6qxRBU0 「あ!それとあの変態デブと連れて来ないでね。もし連れて来たら一緒に 三途の川に送ってやるからな」 変態デブとは高森のことだとすぐわかったが光恵の最後に言ったことは 冗談聞こえなくて怖かった( ̄△ ̄;) 本当は明日仕事があったがしかし、加藤や高森そして俺を救ってくれた 彼女にはものすごく感謝してた。明日仮病使っても早退しようと思った そして次の日、会社を体調不良を理由に昼から早退した俺は 10分早めで待ち合わせのハラルン薬局の前で待つことにした。 通りすぎて行く人達をぼーっと見つめていると 学生服を着てる少年と赤いランドセルを背負った少女が手をつなで歩いていた その光景を見ると加藤のことを思い出して悲しくなってきた 神山龍次も神山早苗もただ、ごく普通幸せが欲しかっただけなのに この世には幸せになる人間と不幸になる人間がいる もし、本当に神がいるならなぜすべての人間を幸せにしないのだろうか?
916 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:57:28 ID:ZE6qxRBU0 本当は神なんて存在していないんだろ?そう思ったが、それを云うと天国の存在も 否定しかねないので止めておいた。死んでも天国でいつか会えるそう信じたい 「おいおい、いい歳したおっさんが何ぼーっとたそがれてるいるんだ?」 目の前には夏物のセーラー服姿の光恵がいた 「さあ、おっさん今日はたっぷり奢ってくれよ」と 少し歩いたところにある大手デパートの中に入った バック、アクセサリー、服、化粧品、CDなどなど・・・・ 現金では対応しきれないためすべてカード支払いをするが あとで25万の請求がくるとはその時は想像もしてなかった・・・ 洒落になってねーーーーーーーーーーーーー!!!。 2時間くらいたっぷり買い込んだあと 「ちょっと荷物多いからおじさん呼ぶわ」と 携帯で連絡したあとデパートの外で待つことにした 荷持ちを全部俺が持ったが洒落にならない重さで デパートから外に移動するのが一苦労だった(;一_一) 外で待ってる間、俺は光恵にある疑問を聞いてみた。
917 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:58:02 ID:ZE6qxRBU0 「光恵ちゃんって性同一性障害なの?」 すると光恵はにっこと笑顔を見せたあと右ストレートが俺の腹部に入れた 「ぐはぁ」と苦しむ俺に対して 「いいか?俺は正真正銘女だ!確かに言葉使いは男って言われるけどな 俺はいつかキムタクのようなイケメンの王子様に抱かれるのが夢だ 確かにいままで彼氏はできたことはないが・・・・・orz」 しかし、この子と付き合う彼は逆DVを受けるんじゃないかと考えてると 「おっさん、今俺がめちゃくちゃ腹が立つこと考えてないか?」 と顔近付けて言ってきた。俺はドキッとして 「まさかそんなこと考えるわけないじゃないハハハハハ」と答えた それから10分くらいして 「光恵ちゃーん」と車から男の人の声が聞こえた 「おじさん、わざわざありがとね」と車に荷物を載せた。
918 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:59:27 ID:ZE6qxRBU0 「光恵ちゃんそんな買い込んでお金大丈夫だったの?」と車の男性が心配そうに聞くと 「大丈夫!大丈夫!このおっさんが全部支払ってくれたから(*^^)」 「そうでしたか、私からも礼を言います」 「いえいえ、こちらもこの子には恩があるので」 「んじゃあ、光恵ちゃんまた後でね。楽しいデートになるといいね」 と言うと車を走らせ去って行った。光恵は咄嗟に車に向かって 「こいつと俺はそんな関係じゃないぞー」と大声で叫んだ 「んじゃあ、おっさん行こうか!」 「え?次はどこに?」 まだ買い物するかと思ってビビったが 「最後に飯ぐらい奢れよな」 「ご飯ねOKOK」と心の中でほっとした。 そして商店街にある中華料理に入った俺と光恵。 テーブル席に座り料理を注文する光恵。
919 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 21:59:58 ID:ZE6qxRBU0 「味噌ラーメン、チャーハン、餃子、からあげ、シュウマイ、春巻き 天津飯、酢豚、レバニラ炒め、マーボー飯・・・・・」 どんどん注文する光恵に俺は思わず 「ちょちょっと、そんなに注文して誰が食べるの?」 「あん?俺に決まってんだろ?腹減ってるんだよ」 俺は驚愕した。高森も大食いだがこの注文した量を食べるとしたら 高森を遥かに上回る大食だ!しかも高森は大食いの分結構太ってる しかし、この子はぜんぜん痩せてる。痩せの大食いって奴か? 彼氏ができない理由がなんとなく理解できたような気がする そして、注文した料理をどんどん食べる光恵 まだ足りないらしく追加注文をする。 いったいこの子の胃袋はどうなってるんだ・・」 やっと満足したらしく 「ふうー食った食った」と満足した顔をしていた 俺はこの前、聞けなかった質問を光恵にぶつけてみた
920 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 22:01:21 ID:ZE6qxRBU0 「光恵ちゃんがこの前見せた除霊方法って陰陽師の技とか?」 「ふふ、おっさん気になる?でもなーそれは企業秘密だ まあ、生まれつき持ってる才能ってやつかな? と答えてくれなかった。続いて俺は別の質問をぶつけてみた。 「光恵ちゃん以前俺らは悪魔に取り付かれてると言ったよね? この前のやつは悪魔だったの?」 「ああ、おっさん達に取り付いてたのは間違えなく悪魔だったよ 前も言ったけど悪魔に取り付いた奴が死んで完全に悪魔になったパターンだな」 「今でも信じられないけど悪魔って実在するんだね」 「実在するも何も最近、悪魔の数が異様に増えてる。 そして悪魔に支配された人間も異常な数ほど増えてる それが意味すること分かるかな?」 「意味って言われても・・・・」 「終末が近いってことだよ。世界の」 「しゅ、終末?」
921 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 22:01:58 ID:ZE6qxRBU0 「俺が以前、除霊した弱い悪魔が言ってたんだよ。 俺達悪魔は何百年も前から人間消滅計画を実行中だって そしてそれはもうすでに最終段階まで来てるって」 「光恵ちゃん冗談でしょ?」 「冗談なら言えるなら嬉しいんだけどな。これがマジだから やばいんだよ。最近の政府とかおかしいと思った事ないか? それに最近大人しかった人間が急に犯罪事件起こす事が多いだろ? 自分の両親や子供すら殺してしまう事件、関係のない人を大量に殺す事件 悪魔はどんどん人間に取り付き人を支配し続けてる そして意味もなく無駄に殺された人の怨みが新しい悪魔を呼びだし、そして悪魔に 支配された人が死ねば完全な悪魔として甦る 人間だけではない、家畜の牛や豚は人間に食べられて本当に納得してると思うか? 針で顎を刺されたあげく食べられる魚には怨みがないと思うか? 人間が当たり前に行なってることも怨みに繋がりそして悪魔を増やす原因となってる 政府すら支配してる悪魔はいずれ恐ろしいことをしかけてくると思う
922 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 22:02:58 ID:ZE6qxRBU0 「でも光恵ちゃん、それだともっと前から国会議員に取り付いて 恐ろしいことができたんじゃないの?なんでそんなに時間が掛るの? やっぱり光恵ちゃんの考えすぎなんじゃないの?」 「いままでは悪魔を抑えてた存在がいた。よく言う神と云う存在だ! 神のおかげでずっと平和は保たれていた。しかし、最近はその神ですら 抑えられないほど悪魔の数は増え、また強くなってる はっきり言えることはもうすぐ日本は終わるってこと。 日本だけじゃない、他の国も悪魔による支配は始めってる すでに悪魔に支配されてしまった国すらある。 いずれは世界中の人間同士で殺し合いをさせ、そして すべての人間を消滅させる。それが悪魔の考えて人間消滅計画の全容」
923 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 22:04:06 ID:ZE6qxRBU0 一か月以上前の俺なら、こんな話しSFホラーの馬鹿の妄想だと思ったであろう しかし、あり得ない体験をしてきた今の俺は光恵の話が冗談に聞こえなく鳥肌が立った 「んじゃあ、そろそろ行くか!おっさん」と席を立ち店のレジの前で待機する光恵 俺はさっきの話のせいで完全に生気を失ってた。 レジで会計を済まし、外に出ると 「おっさんじゃあなー」っと歩き去ろうとした光恵を見て俺は逆方向に歩き出した。すると 「おっさん」と光恵が俺を呼び止めた。 「そんなに落ち込んだ顔をするなよおっさん! あの時、おっさんに取り付いた悪魔を除霊するのは無理と言っただろ? あれは本当だったんだよ。おっさんがあの悪魔に襲われようとした時は 実は俺、怖くて動けなかったんだよ。でも、おっさんがあの悪魔に言った一言で 俺、不思議と勝てる!ってそんな気がしたんだよ。あの時のおっさん、結構かっこよかったぜ!」
924 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 22:05:21 ID:ZE6qxRBU0 「それにあの首絞めらてる時はもう駄目かと思ったけど、おっさんの俺を助けたいって 気持ちが俺に伝わったんだよな。その時、俺は自分では信じられない力を引き出せて 奴を除霊することができた。 その時に気づいたんだよ、人には無限の可能性があるってことに!」 「無限の可能性?」 「そう!俺はずっと人間は弱い生き物で悪魔には絶対勝てないと思ってた けど、誰か大切な人を守りたいって強く思った時に人は どんな悪霊だろうが、悪魔にも負けない力を引き出せるんじゃないかって だからそう、大丈夫だって未来はきっと明るいって。 あー俺に似合わないセリフ言っちゃった恥ずかしい・・・・」 と恥ずかしがるしぐさを見せる光恵は1分くらい時間を置いた後 「それよ!人間様に迷惑を掛けるような悪霊や悪魔は俺が全部除霊やりゃ」 と満面の笑みで言った。そして最後に 「おっさん、友達大切しろよ」と言ったあと、指で銃を形作ると「バーン」と 俺に放ちそのまま歩き去って行った。
925 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 22:06:32 ID:ZE6qxRBU0 俺は、歩き去って行く彼女の後ろ姿をずっと眺めていた。 それから一か月が過ぎた今、加藤と高森とは時々連絡を取りあっている 高森は退院した後、介護現場のディサービスに就職を決めた 入院中の時、母親からの看病を受けた高森は人の役に立つ仕事したいと 思ったらしく介護の仕事を選んだみたいだ。 しかし、父親が末期の癌で保険以外に掛るお金や生活費を稼ぐために ディサービス以外にも夜にバイトをしてるらしい あの入院以来、高森は別人に生まれ変わってるみたいだった しかし、相変わらず高森らしくは残ってるみたいでだいぶ前にコスプレ用に買った メイドを服を光恵に着させたいと「光恵ちゃんメイド化計画」と云う馬鹿な計画を 立てていた。 加藤は漫画家を目指して来年の春から専門学校に行くらしい その間は義理の両親のところでバイトしながら暮らすと言っていた 記憶が甦ったことは内緒にしてるらしく神山早苗という名前は完全に封印して 加藤久美代として今の両親を大切にしたいって話していた。
926 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 22:07:53 ID:ZE6qxRBU0 水神光恵とはあれからまったく会っていない。 しかし、その内またどこかで会いそうな不思議な気がした。 その夜、俺はビールを飲みながら星空を眺めていた 光恵の言った無限の可能性っていったい何なんだろう? あの時、[ダスク]という悪魔に完全に支配されながらも 妹を守るために悪魔を押えこんで妹を守り抜いた神山龍次の 奇跡もまた、人が持つ無限の可能性だったのか? いくら考えても馬鹿な俺にはわからなかった この先、どういう未来が待ってるのか見当もつかない ただ、明るい未来が待ってると俺は信じてる。 だからこそ俺が今できることは・・・・・ 俺は星に向かって言った 「今を一生懸命生きていきたい」と その声はきっとあっちの世界にいる俺の 親父とお袋に届いただろう。 終
927 :名無しさん :2010/08/08(日) 22:09:10 ID:bLcHXje6O 面白かったです乙
928 :名無しさん :2010/08/08(日) 22:09:11 ID:8v7fmcgk0 おもしろかったよ。 八宝斉!お疲れ様でした!ありがとう。
929 :名無しさん :2010/08/08(日) 22:12:42 ID:M4Err396O 最後にはきっとなにかが起きてくれる そう信じて今まで読んできたのに・・・
930 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 22:14:40 ID:ZE6qxRBU0 すみません以上です。 文才のないつまらない話をこの場を借りて 最後まで投稿させてもらって本当にありがとうございました。 本スレで叩かれたのはいい経験と思い これから勉強していこうと思います。 あと、職場の知り合いというのは、この話に登場する高森さんです 同じディサービスに勤務してます。 最後に御迷惑をかけて本当にすみませんでした<m(__)m>
931 :名無しさん :2010/08/08(日) 22:15:02 ID:rEhEzXg60 >八宝斉の方 向こうの板から追ってきました。 乙でした!
932 :名無しさん :2010/08/08(日) 22:17:15 ID:wChiKr9I0 八宝菜さん 面白かったです。 ありがとう。
933 :名無しさん :2010/08/08(日) 22:38:01 ID:t8h8tEbU0 面白かったですよ つまらない煽りに負けないでくださいね またもし書くことあるのならば、楽しみにしてます
934 :八宝斉ファン :2010/08/08(日) 22:39:15 ID:RPz6f/i20 週末3日間楽しませてもらったよー♪ タダで短編小説読ませてもらって得した感じ。 前の板で叩かれた事は気にしない気にしない♪ 折れずに最後まで投稿してくれてありがとうね。 お疲れ様でした♪
935 :名無しさん :2010/08/08(日) 22:43:30 ID:zfrHpGnE0 八宝斉ありがとう! 高橋克彦系の小説みたいで読みごたえあったよ
936 :名無しさん :2010/08/08(日) 22:49:59 ID:tZR4hKRgO 八宝斉さん 投稿お疲れさま そしてありがとう 面白かったよ 本スレのアラシは気にしないで! また楽しみにしてるよ
937 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/08(日) 23:07:13 ID:ZE6qxRBU0 皆さんありがとうございます<m(__)m> 皆さんのコメント見ると涙が出てきました(>_<) 最後まで投稿してほんとよかったと思います。 すみませんあと、 「それよ!人間様に迷惑を掛けるような悪霊や悪魔は俺が全部除霊やりゃ」 これは 「それによ!人間様に迷惑を掛けるような悪霊や悪魔は俺が全部除霊やりゃ」 単純なミスを見つけてしまいました<m(__)m>
938 :名無しさん :2010/08/08(日) 23:09:40 ID:8v7fmcgk0 わかってたよ〜 また面白い話あったらヨロ。 とにかく最後まで書いてくれてありがとうな!
939 :名無しさん :2010/08/08(日) 23:19:29 ID:wrFnX23Q0 さすがに洒落怖でこの創作入りまくり 厨2ライトノベルは叩かれるだろうなw
940 :名無しさん :2010/08/08(日) 23:30:15 ID:W5Fx7/YkO ここまで長い話なら最初からテキストファイルのまま上げるべきだった
941 :名無しさん :2010/08/08(日) 23:56:34 ID:TEf7xggAO う〜ん…これほどまで無駄が多いと叩かれてもしょうがないような… 別に登場人物(特に高森さん)の趣味嗜好なんて知る必要ないし。 途中で急に顔文字出てきた所で完全に萎えました。
942 :名無しさん :2010/08/09(月) 00:20:45 ID:gJ2mrehI0 うん 悪いけど、文才ゼロだな、リズム悪くて読みづらい。 余計な創作加えないで普通に書いて欲しかったよ。
943 :ロザリー ◆PiGJDrhfQc :2010/08/09(月) 02:24:28 ID:.uL8/h5wO 八宝斉乙かれなのです☆ 感動しましたなのです☆
944 :名無しさん :2010/08/09(月) 02:42:01 ID:nSO.Fgao0 うーむ、序盤はそこそこ気になってたんだが… スーパーナチュラルでもパクったような話に、往年の少年漫画のようなベタベタの展開には閉口したな。 実話を元にしたとか、そりゃないぜ。 期待をこめて、もっと修行しろと言いたい。
945 :名無しさん :2010/08/09(月) 02:52:02 ID:3lYlsuJwO オタクが好きそうな創作小説でしたな
946 :名無しさん :2010/08/09(月) 02:56:16 ID:fGosQ.A60 可笑しすぎて笑いまくったわ!思い出し笑いがまだ止まらないwwwそういう意味ではありがとう
947 :名無しさん :2010/08/09(月) 03:21:13 ID:CPJxzMXsO 内容はともかく、誤字脱字ある時点でダメだわぁ 1、2箇所ならいいけど多すぎる まぁ長文お疲れでした
948 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/09(月) 03:46:58 ID:YF1zoa6g0 皆さんいろいろな御意見ありがとうございます。 今回、生まれて初めて小説風な話書いたので 叩かれるのは仕方ないです。 そもそも洒落にならない話のスレで書くのは多少叩かれるって自分でも覚悟はしてました だからできれば、ここを改善しろとか、どこのテンポが悪るかったとか いろいろアドバイスもらえると今後のために助かります<m(__)m> 怒られるかもしれないけどできればまたリベンジしたいです<m(__)m>
949 :名無しさん :2010/08/09(月) 03:47:38 ID:oHUWNjlMO >八宝斉さん 日本をあきらめるな、ってことですね。めげずに頑張ります。ありがとう!
950 :名無しさん :2010/08/09(月) 04:19:34 ID:X.I8DZvQ0 悪魔が出てきた時点で創作臭プンプンだったけどおもしろかったよ(*^_^*)
951 :名無しさん :2010/08/09(月) 05:52:00 ID:wr8bprus0 個人的にブログか何かで公開する分には面白い創作小説って感じでいいと思うけど 長さといい雰囲気といい、洒落怖に登校するようなものじゃないね 実話にしろ創作にしろ、ある程度リアリティがあって 「もしかしたら、本当にあった話なのかも・・・」という恐怖を感じられる話が歓迎される場所だと思う 話の本筋に関係ない細かい部分に及ぶ描写とか 少年漫画でありがちなバトル展開とか 自分の身の周りで全てが完結してた上手い話(今回だと、知り合いが実は事件に関わってたとか)とかだと あからさまな創作短編小説の雰囲気出しすぎてて敬遠される
952 :名無しさん :2010/08/09(月) 07:19:53 ID:Gi.krOAA0 メインキャラの痛さは狙ってやってる? もしそうじゃないとしたらキャラクターメインで進むような話を作るのにはあんま向いてないと思う
953 :名無しさん :2010/08/09(月) 08:01:28 ID:cNa.nan6O 読み終わった うん、いらない描写多かったかな 高森の過去の怖い話や加藤との出会いは伏線にはなったけど もっと早くに出してもよかったかも 高森の変態っぷりはもっと減らしてくれると読みやすかったかな 痛すぎる とりあえず最後まで書いてくれてありがとう! 次は叩き煽りにめげないでね
954 :名無しさん :2010/08/09(月) 09:26:22 ID:qX2Q3Mi60 オカ板から見てたがお疲れ。 散々言われてるラノベ臭ってのは確かにそうだが俺は嫌いじゃなかったよ。 こういうのばっかりだと流石にどうかと思うが
955 :名無しさん :2010/08/09(月) 09:44:01 ID:znorEdacO ↑全部読んでないけど、ホントに怖い話しなの? ただ長いだけなら、削除して下さいな。
956 :名無しさん :2010/08/09(月) 12:12:28 ID:wr8bprus0 >>955 怖くないよ ホラー風ラノベって感じ
957 :名無しさん :2010/08/09(月) 13:09:38 ID:fkRmoh1w0 >八宝斉 とても人に読んでもらうレベルではありません。 ラノベ大好き小学生が夏休みの課題に書いたような印象を受けました。 実際あなたが何歳なのかは知りませんが、あなたの周りに話を読んでくれる人はいないのでしょうか。 ここでアドバイスを聞くより有意義と思いますが。
958 :名無しさん :2010/08/09(月) 13:13:41 ID:eqS.KU/A0 というかここも洒落怖スレも投稿場所間違ってるよ 小説板とかラノベ板とかでしょ そこの怖い話系の板に行かないと リベンジじゃないでしょ。それぐらい学習しなよ
959 :名無しさん :2010/08/09(月) 13:58:31 ID:aaUM5yaM0 >>958 八宝斉より糞批判ばかりで話しを投下しないおまえらのほうがよっぽどいらない件
960 :名無しさん :2010/08/09(月) 13:58:58 ID:A0NQQTMYO 面白かった。 乙
961 :名無しさん :2010/08/09(月) 15:12:54 ID:eqS.KU/A0 他にも好意的じゃないレスなんて沢山あるでしょーに なんでわざわざ俺にアンカー付けんの? ほめ殺しのレスばっかりでもないと気がすまないの?
962 :名無しさん :2010/08/09(月) 16:08:12 ID:FAGvDvtQ0 面白く読めたぜ。
963 :名無しさん :2010/08/09(月) 16:26:02 ID:D0OeREF60 八宝斉さん 面白かったよ! 誤字脱字もあまり気にならなかったよ 誤字や顔文字程度で萎えちゃうくらい 集中力無い方々は気にせずにね!
964 :名無しさん :2010/08/09(月) 16:36:42 ID:FpIGqcNkO 誤字脱字が気になる人のほうが集中して読んでるような気もするが
965 :名無しさん :2010/08/09(月) 16:48:57 ID:AT3r3NEE0 >>958 ところがぎっちょん、間違ってないんだなこれが。 >ここでは「死ぬ程洒落にならない話」という縛りは取っ払いと思います。
966 :名無しさん :2010/08/09(月) 16:56:14 ID:UbQSZ3sM0 厨二病丸出し 二度と本スレくんなよkr 何が友人の実体験に脚色だボケ
967 :名無しさん :2010/08/09(月) 17:10:13 ID:wr8bprus0 擁護してる信者もまとめてオカルト板から出てってくれよwww 「面白かったよ!」って笑い誘ってるの? 面白い話じゃなくて怖い話投稿するスレだっつのwww 創作小説のスレならまだ評価のしようもあるけど
968 :名無しさん :2010/08/09(月) 17:30:47 ID:A95Jqrr60 >>965 うん。論点が初めから違うね これだけの量小説板の方が向いてるでしょ 今までの例でこれだけレス数消費した話なんてそうはない でもよかったね八宝斉さん。これだけファンが居て だから今度書く時はまずここで誘導してからそれなりの量書ける雰囲気の板でやってね それならもう次回作書けないなんてことなないね これならいいの?>>959 さん
969 :名無しさん :2010/08/09(月) 17:32:21 ID:A95Jqrr60 あー、何かID変わってるな
970 :名無しさん :2010/08/09(月) 18:30:28 ID:WPXWjveI0 この人妻の部屋、生中継でおっぱい出してるぞw→ http://1huji.com/m/mmvo
971 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/09(月) 18:56:16 ID:DQulweBU0 すみません最後にわがままなんですが この話の本当のラストを書かせてください 叩かれるのは承知の上で言ってます。 そのあと、この話を書いた理由を書かせてもらいます。 そうしないと、やっぱ自分的には納得できないので 近いうちにうpしようと思います。 これで最後にします。本当にすみません
972 :名無しさん :2010/08/09(月) 19:01:19 ID:cNa.nan6O 生物ですのでお早めにお願いします
973 :名無しさん :2010/08/09(月) 19:08:31 ID:gJ2mrehI0 なんかどうでもいい・・・
974 :名無しさん :2010/08/09(月) 19:18:33 ID:V37t9AE60 俺の時間と無駄に埋まった記憶領域を返してくれ
975 :名無しさん :2010/08/09(月) 19:19:51 ID:V37t9AE60 >>971 どこか他所でやっていただけませんか?
976 :名無しさん :2010/08/09(月) 19:59:15 ID:KI/qol.c0 >>971 叩かれるのを承知と本気で言ってるなら 先に理由書いてから本文書いたら?それが筋ってもんでしょ それに納得しない人が多いなら誘導してから書けば? 読みたい人はついて行くよ ここにどうしても書かなきゃいけない理由って普通ないけどなw
977 :名無しさん :2010/08/09(月) 20:12:24 ID:TCGsY8y.0 >>971 http://toki.2ch.net/test/read.cgi/occult/1280200761/819 を読んで出直せ
978 :名無しさん :2010/08/09(月) 20:22:27 ID:V37t9AE60 どうしてもやりたいなら、まとめたtxtファイルをアップすればいい。 見たい人だけ落とせばいいし、1レスで済む。
979 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/09(月) 21:52:09 ID:ZcUl0upI0 >976 理由だけ書いてここへは書かないようにします<m(__)m> この話を作ろうと思った、きっかけになったのは高森さんから聞いた怖い話から でした。ここの話では、進藤という主人公が後輩の加藤を探して廃墟の民宿に行く話でしたが、実際、高森さんから聞いた話は違った話でした。 実際に聞いた話は進藤という出版会社に勤務する友達と心霊スポットに遊びに行って 怖い体験をした話で、念のためにお祓いをしてもらったという普段ありがちな怖い体験談 でした。それを創作小説みたいに俺が作り変えたのが事実です。 だから、加藤や水神光恵みたいなキャラは実在しません。 それに高森さんは普段からメイド喫茶が好きだったり、女子高生大好きって人前で言う人なんであんなキャラを設定したんですけど、今日、高森さんに殴られましたorz なんで、あのような作り変えた話にしたかと申しますと 去年死んだ「レオ」という飼い犬の思いがあったからです。 レオは20年飼ってた柴犬で俺にとっては一番の親友でした。 レオは老衰しながらも一生懸命ご飯だけは食べてました。 自分ではろくに動く事もできず、排泄もできずにオムツしながら ただ、ご飯だけは精いっぱい食べていました。
980 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/09(月) 21:52:53 ID:ZcUl0upI0 その時にレオはまだ生きたい、俺ら家族の側にずっといたいって身にしみて感じました 俺もレオは大切な家族でしたし、ずっと側にいたかった・・・。 去年の7月は熱かった・・。レオの体力ではこの暑さに耐えれないと思い俺は親父に 頼みました。冷房のある家の中に入れてくれって でも、親父は「何、馬鹿なことを言ってんだ」みたいな感じで部屋に入れてくれなかった 結局、レオは俺に最後の姿を見せずに会社に帰って来た時に犬小屋で死んでました。 俺は泣いて泣いて泣きまくりました。そして俺はレオにに約束しました いつかきっと会おうと・・・・。 死んだら土に帰ると聞きますが、俺はそんなの信じたくないです。 人や動物は死んだらいつか出会える場所それが「あの世」だと信じてます。 だから、あの話を書きたかったんです。 俺以外にも大切な人(ペット)を失った悲しみを知ってる人はいると思います。 だからそんな人に観て欲しかった・・・。大切な人(ペット)を失っても いつか会える場所があるそれは「天国」だと。だから今はしばしの別れだと。
981 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/09(月) 21:53:31 ID:ZcUl0upI0 あの話に登場する進藤や加藤は俺自身だったと思います。 本当は小説ついてもっと勉強してから投稿するべきだったと 思います。でも、すみません自分の感情が抑えれなくて書いてしまいました。 しかし、皆さんの求める話しではなかったし、進藤さんをお笑いキャラに して観てる人に笑える場面も加えようと思いました。 怖いとか悲しい話だけでは面白くないと思って。でも、逆に冷めてしまった人もいて 後悔してます。それに洒落怖スレに書くことも場違いだったと思いました。 だから、苦情が来たらやめますって最初に書いたんです。 でも、霊とか信じてる方がいるならもしかして、あの世も信じている人もいて この話を理解してくれる人がいるんじゃないかって。 それに最近、民主党政権に変わり日本が危ないとか暗い話が多かったんで 人にはどんな逆境でも乗り越えられる無限の可能性がある。 だから、未来はきっと明るいってこの話で訴えたかったんです。 すみません、こんな馬鹿な俺がいうのはおかしかったです。自惚れでした。
982 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/09(月) 21:54:09 ID:ZcUl0upI0 本当のラストというのは、1年後加藤がもう一度あの廃墟の民宿に行って 家族にお別れをいう話です。お別れなしで終わるのも抵抗あったんで・・・ でも、ここでは書くのは控えておきますね。別の小説サイトで書こうと思います もし、書けたらサイトのアドレスだけうpさせてもらいます<m(__)m> アンチの方にそんな必要ないよって怒られそうですが(笑) この話を書いてて自分の登場させたキャラになぜか愛着を持ちました。 別の小説サイトでまた、この話で出てきたキャラを登場させて小説書けたらいいなーって 思ったりもします。 すみません、ぐだぐだと長い話をして。 最後に応援してくれた方、アンチの方、いろいろご迷惑をかけてすみませんでした そして、くだらない話しを最後まで書かせてもらい本当にすみませんでした<m(__)m> 心よりお詫び申し上げます。
983 :名無しさん :2010/08/09(月) 22:09:32 ID:VvtXDNEE0 はい、次のかた~
984 :名無しさん :2010/08/09(月) 22:17:15 ID:76fcQeIU0 ん
985 :名無しさん :2010/08/09(月) 22:18:02 ID:mEX5Gwe6O へい
986 :名無しさん :2010/08/09(月) 22:26:05 ID:3k9rKudo0 もうこのスレ落とせよ
987 :名無しさん :2010/08/09(月) 22:46:12 ID:G9EVQjmM0 ここまでわざわざ追ってきてアンチするやつって 何なんだ。
988 :名無しさん :2010/08/09(月) 23:12:01 ID:TCGsY8y.0 >>987 アンチなんて大層なもんじゃないよ 徹頭徹尾面白くないだけで
989 :名無しさん :2010/08/09(月) 23:17:44 ID:3k9rKudo0 アンチつーか純粋に感想言っただけだと思うが それが結果的に「つまんなかったです」って感想になったってことだろ 俺も読んでて書いてる自分に酔ってる八宝菜の顔が浮かんできてムカついたりしたが 純粋につまらなかった 途中まではギリギリ事実だということを受け入れられたが悪魔との格闘シーンでJKが呪文言い出した所でもう無理。Tさんのコピペを思い出した 最終的に創作だけど元ネタを作り変えただけです~ポチの想いが云々とか言い出して 言い訳がましいというかあさましいというか
990 :名無しさん :2010/08/09(月) 23:39:52 ID:wr8bprus0 アンチに対してカリカリしてる奴はなつやすみをいいことに最近2chデビューしたような奴なの? 色々と思いがあってあの小説を作ったんだなってことは伝わったよ ただ、書く場所を間違えたねってだけ
991 :名無しさん :2010/08/09(月) 23:40:21 ID:Id2lPuNcO 面白かったけどなあ。 言い回しがクサイのと、文章が長かったので、 確かに洒落怖ではムリだけどさ。
992 :名無しさん :2010/08/10(火) 00:12:06 ID:O1IDZvt60 後書き付きとはどこまでも笑わせてくれますねえw 怖い話を書く場所じゃなければあなたみたいなの嫌いじゃないんですけどね。 基本的にこの掲示板は作者様を最優先しますので、自分用に専用スレ立ててやっても良いんじゃないでしょうか。 否定的なレスは管理人さんが消してくれますしね。
993 :名無しさん :2010/08/10(火) 00:21:22 ID:4wP.0kWQO 自分も叩かれるの覚悟で言うけど、 事前に読ませてもらった物語があれだけ装飾されてると、レオくん(ちゃん?)の話もどこか胡散臭く聞こえる。 つか、それだけ熱い気持ちがあるのなら、民主党政権がどうこうなんてわざわざ言う必要もない。その辺なのよ、どこか浮わついて見えるのは。 お耳汚し失礼しました。取り敢えずは梅レスとして。
994 :名無しさん :2010/08/10(火) 01:49:31 ID:KOqR64wM0 八宝斉さん、楽しく読ませてもらいました。 この話、ディテールを膨らませて、もっと 推敲すれば道尾秀介くらいのレベルのものが できそうです。 安易に発表せずに習作を重ねて行くといいと 思います。 頑張って下さい。
995 :名無しさん :2010/08/10(火) 02:08:22 ID:ZZ5nQnGMO 本スレの文を読んでオチが見当ついてた 八宝菜くんセンスないよ
996 :名無しさん :2010/08/10(火) 03:13:15 ID:ZW/GOkho0 >>八宝菜 ペットとの死に別れは確かにつらいね でもこういう話もあるんだよ ttp://www5.ocn.ne.jp/~select/Rainbow.html
997 :名無しさん :2010/08/10(火) 03:16:14 ID:VYfs9wLU0 本スレで読んでたけど長すぎ 誰か1レスにまとめてくれよ
998 :ロザリー ◆PiGJDrhfQc :2010/08/10(火) 06:06:55 ID:TPW7Fg9UO 八宝斉元気だすのです☆ ぼくは楽しめたのです☆ ペットの死でこんなに創作出来るなんて感受性豊かなのです☆ にぱー☆
999 :名無しさん :2010/08/10(火) 08:41:02 ID:ThaRBcwI0 999
1000 :名無しさん :2010/08/10(火) 08:43:36 ID:ThaRBcwI0 俺も八宝斉の面白かったぞ 文章も書けば書くほど上達するだろうし、がんがれ 1000
1001 :名無しさん :2010/08/10(火) 08:44:57 ID:ThaRBcwI0 てs
1002 :ムリポ :2010/08/10(火) 08:47:47 ID:X1.IMkQAO 八宝菜さんみたいな長文レベルで書ける人は、批判してる人の中にもそんなにいないと思う、原稿用紙5枚書くだけでも大変なのに。
1003 :名無しさん :2010/08/10(火) 10:15:53 ID:JbBWYAsI0 批判が全て悪で、生産的活動は全て善だと思い込んでるお子ちゃまは宿題やっててくれ
1004 :名無しさん :2010/08/10(火) 13:29:28 ID:Q3WuyGE.0 趣味で文章を書き始めたばかり。だとしたら、上手いと思うよ。 3年書いても最底辺。なネット小説書きなんて、ゴロゴロ居るからね。 ただ、次回作を投稿する場所は選んだ方が良い。 小説投稿サイトとか、2ちゃんねるでも創作系の板とかさ。 今のレベルじゃ、きっと別の場所でも色々と言われると思う。 けど、耳に痛い忠告も真摯に受けとめて、前向きに創作を続ければ化ける書き手だと俺は思う。 体言止め、句読点の位置、直喩や暗喩、こーゆーのの効果的な使い方。 レイアウトの工夫、繰り返しの効果、複線の隠し方、台詞の粋な使い回し。 小説投稿サイトなら、そーゆーの教えてくれる人も居るぜ。 まぁ、がんばれ。
1005 :名無しさん :2010/08/10(火) 13:39:26 ID:nofqv.KA0 こーゆーの(笑)複線(笑)台詞を使いまわすなw
1006 :名無しさん :2010/08/10(火) 15:08:55 ID:FtXcri7k0 八宝菜はウニのなり損ねにしかならないと思う。 悪魔との戦いの描写は漫画だし、ウニの師匠の師匠のオマージュぽい けど劣化版にすらならない。 ここにも書き込んでくれるマサさんの人と比べたら月とスッポンなのは 皆認める所だろうwww
1007 :名無しさん :2010/08/10(火) 17:04:51 ID:UaB/xVV2O しかし、ここまでレス引っ張れる八宝菜はある意味すげーな。
1008 :名無しさん :2010/08/10(火) 17:38:59 ID:op0rCoGQ0 珍宝臭い
1009 :名無しさん :2010/08/10(火) 18:08:16 ID:iaOuTYi.0 >>1004 句読点の位置以前に、打ったり打たなかったりだったし、 改行も、携帯でもないのに一行辺りが短過ぎてなー ネットで読ませるならその辺のことも考えないといかんと思う
1010 :名無しさん :2010/08/10(火) 19:52:16 ID:Q3WuyGE.0 んだからこそ、小説投稿サイトをすすめてるのさね。 三点リーダーとかにまで突っ込んで「一般的」な書き方指摘してくれる奴居るぜw ただまぁ、読みやすくなるからこその一般的だかんね。 まずそこからでしょ。読みにくい文章は、それだけでスルー対象だ。
1011 :1/4 :2010/08/10(火) 22:35:09 ID:TmwCwPtg0 こちらに投下させてください。 個人的にすごく怖かった経験です。 ウチの大学の図書館には、地下があって割と自由に入れるんです。 古い書物が保管されていて閲覧席もある。しかも普段空いていてちょっと涼しい。 だから混雑する試験期間も重宝するお気に入りの場所でした。 6月の初めに講義の中間テストがあった。 他の授業も中間やらレポートやらある時期だから混んでいました。 ある日の午前、授業がなかったから地下で勉強していたとき。 もうすぐお昼という時に、ふと足音が耳に。 ペタペタと右の本棚からこっちへ来るようだった。 机の右の席に座るのかな、とカバンをずらそうと右側に目をやったら 誰もいない。 なのに、足音はペタペタとこちらへ向かってくる。 足音はそのまま目の前の机を通過して左の廊下へと消えていきました。 その時は無性に怖くなってその場を去って学科の控室に逃げた。 友達にも話したけど、「疲れてるんだよ」と結論が出た。 そのうち私も寝不足で幻聴が聞こえたと思うようになりました。
1012 :2/4 :2010/08/10(火) 22:36:16 ID:TmwCwPtg0 7月になって試験期間が近づくと、一層図書館が混むように。 試験も近いというある日の午後、私は地下で机に向かっていた。 その日は夕飯を一緒に食べようと彼氏と約束していた。 気づいたら約束まで後10分という時間で、「早く終わらせなきゃ」と焦った。 後3分くらいで終わらせようと思って気合を入れた時、またあの足音が聞こえた。 右側からペタペタと来て、目の前を通り過ぎて左へ向かう。 ところが今度はまた左から右へとやってくる。 ずっと目の前をペタペタ歩かれて、正直うっとおしかったんです。 ちょっとイライラして「うるさいなあ」とつぶやいた。 …そしたら足音が一旦止んだ。 ヤレヤレと思ったけど、違った。 今度は私の周りを回るように足音がし出したんです…。 ペタペタペタペタ…と。
1013 :3/4 :2010/08/10(火) 22:36:55 ID:TmwCwPtg0 もう、ノートから顔をあげるのも怖くなり、しばらく顔を下に向けて ごめんなさい、ごめんなさい!とずっと心で謝っていた。 それでも足音は止まらなくって、どうしたらいいのかわからなくて泣きそうになった時、 「○○(私)、どうしたんだ?」 と彼氏の声が聞こえた。 約束の時間を過ぎても来ないから地下に探しに来てくれたようでした。 すると、足音がピタリと止まって聞こえなくなりました。
1014 :4/4 :2010/08/10(火) 22:37:56 ID:TmwCwPtg0 ホッとして「ごめんね!早く行こう!!」と荷物をまとめて階段へ向かった時、背後から ハハハハハッハハハ と笑い声が聞こえました。振り返っても誰もいないし。 二人とも死ぬほど怖くなって図書館を飛び出したのは言うまでもないです。 つい先週、学科の人と飲み会をして、その話をネタとして話したんですが、ある先輩が 「あー、あの図書館、足音は結構するみたいね。 人影見たって人も何人かいるわあ」 とか話してくれました。 なんで出るのかはわからないみたいなんですけどね。 いずれにせよ、もう図書館の地下は使わないだろうと思います。
1015 :名無しさん :2010/08/10(火) 23:19:16 ID:bfva2fUU0 おまんこ
1016 :名無しさん :2010/08/11(水) 06:23:25 ID:Novq8PLs0 そんなこんなで、ひたすらマサさんシリーズを待っている。 作者さん、生きてるかなあ…
1017 :ロザリー ◆PiGJDrhfQc :2010/08/11(水) 11:11:15 ID:Twa7Gc9AO >>1011-1014 怖い話書き込みありがとうなのです☆ 原因が分からないって怖いですね。 幽霊が出てきて視覚を刺激するお話よりこういう聴覚を刺激するお話の方が怖い気がするのです☆
1018 :名無しさん :2010/08/11(水) 12:48:53 ID:9e3Ac98U0 最近全く同じ話を見た
1019 :名無しさん :2010/08/11(水) 23:37:43 ID:tr02QY7g0 つーか、ここは本スレと違いほんのり程度でもラノベ程度でもなんでもいいスレなんだよ 本スレの雰囲気持ち込むなよ
1020 :名無しさん :2010/08/11(水) 23:51:54 ID:7UOv9sJY0 >>1019 お前が決めるなよ
1021 :名無しさん :2010/08/11(水) 23:53:41 ID:qsJGg0/60 セックス
1022 :名無しさん :2010/08/12(木) 06:36:46 ID:moniWsMM0 マサさん、カムバック…
1023 :名無しさん :2010/08/12(木) 15:32:34 ID:g7J9cq6wO >>961 あなたの話し方好き。 なんかわかんないけどすごい惚れたわ
1024 :名無しさん :2010/08/12(木) 19:08:24 ID:JICSbYBk0 マサさんをひたすら待ってる。今さらだけどマサさん書いてる人の文章力すげぇ。
1025 :しげやま親方 :2010/08/13(金) 00:27:37 ID:AL6drCqI0 昔(高校時代)あった私の実体験。1/6 霊というのは、自己顕示欲が強いのか『来た!居る!』とコチラに認識させるまで行為を続けるものなのでしょうかね? これはそんな事を考えさせられた出来事です。 当時の我が家は3階建てのレンガとコンクリートで作られたビルの様なゴツイ家で、2階には家族が住み私だけが3階に住むという独特な環境でした。 なので、居間を通らず直接部屋に遊びに来れるし、騒いでも大丈夫だったので(私的にはw)、よく友達が遊びに来ていました。 高2の夏休みのある夜の事、友人が泊りがけで私にギターを教えている時でした。 教え方は、先ず彼が弾き 弾き終えてから私が真似をしてみて出来ないところを繰り返し練習。 そんな感じで、いつもの様に私の部屋で3時間程練習を終え、一休みしようと私がギターをスタンドに掛けジュースを飲み始めた時です ギタースタンドからギターが倒れて来たのです。ヘッドから前のめりに。しかも倒れ方がスローモーション。ゆっくりだったので弦の音も鳴らずトン。とだけ… 買ったばかりのギターだったので私と彼は、椅子から慌てて身を乗り出しギターを掴もうとしたのですが 1mも離れていないギターに触れる事も出来ず倒してしまいました。 二人で顔を見合わせ、彼:『何で倒れた?』私:「Tシャツだし弦に引っ掛かる訳ないよね…」 彼:『何で掴まえれなかった?』 私:「ん〜なんか全てが水中みたいにスローモーションっぽくて、思うように動けなかった…」 彼『うん…だよな…』 私:「あのさ!床に倒れたのに弦の音が鳴らないのは、やっぱりウチラだけじゃなくギターもゆっくりって事?」 彼:『あっ!床やばくね!?』 幸い床には然程キズもありませんでした。これはやはりギターもゆっくりだったから?と私が云おうとした時 彼が 『やっぱりなんで前に倒れてくるょぉっっ!』と言って頭を抱えてしまいました。
1026 :しげやま親方 :2010/08/13(金) 00:32:22 ID:AL6drCqI0 2/6 この頃、私の家でこの様な事は日常茶飯事でしたので、「まぁまぁ^^;)」となだめ「指も疲れたし〜気分転換に近所の【青い海公園】にでも行こうよ!」っと云って 部屋の入り口のカーテンを左右にシャーーッシャーーと開けたり閉めたりして、急かしてみました。 盆時期で暑かったので、自室と隣の広間を仕切る戸は開けっ放しにし、 カーテンだけで仕切っていたのです。 カーテンを開け閉めする度に、僅かにぬるい風が流れる。 俯いたまま彼も『あぁ〜…』と煮え切らない返事をし、顔を上げ重い腰をようやく持ち上げ始めた時 彼の血色が悪くなり鯉の様に口を開けたまま 椅子に座り直し、まるでスローモーションの再生・逆再生の様に綺麗に元に戻る、また俯く… でも先程よりも深刻そうな感じ… 「どしたん?」としゃがみ顔を覗き込んだら、頭を抱えて真面目な顔で眼だけでコチラを見 『外には行かない。行かないからカーテン閉じて座れ!』私はなんで命令形?と思いましたが、余りにも真剣だったので言う通りに。 その後暫く彼は、受験に失敗した時の私の様に、頭を抱え俯き微動だにせず〜ただ暇な時間が流れ、落ち着きのない私はとりあえずギターでも! っと思い、ギターを弾くと彼は途端にビクっと顔を上げ怒っているのか、泣いているのか分からない表情でコチラを向き 『ギターの練習は今日は終了…漫画読もう…』といって歯も磨かず寝る準備に入り、夏だと言うのに布団に潜り漫画を読み始めました。 まぁその様子から霊的なものが見えたのか?と案じていましたが 私は分からなかったので、隣の広間で歯磨き等の身支度をし、部屋に戻りベッドに寝転びラジオを着け漫画を読んでいました。 2時間位経った頃でしょうか、 彼が布団の中から唐突に『さっきなぁ…出かけなくて悪りぃな…』と謝ってきたので 「別に海に行ったら潮風でベトベトになるしねぇ、またシャワー浴びなきゃ駄目だし〜いんじゃない〜」と返したら 床の布団からガバァ!っと起き上がり、ちょっと笑みを浮かべた興奮気味な表情で 『実はさー』と先程の豹変した原因を打明けてくれました。
1027 :しげやま親方 :2010/08/13(金) 00:32:53 ID:AL6drCqI0 3/6 やはり私がカーテンを開け閉めしている時に起きていたのです。 彼は俯いたまま、『よく気味の悪い思いをしたのに出掛ける気になれるなー(怒)』と思って頭を抱えたまま 何気なく私の足元を見ていたそうです、しかし視界に入っている私の足の傍にもう一組… んんっ??カーテンの残像?と思ってよく見ると足の向きが違う… なんだろうと思い顔を上げると、 私の後、カーテンの裏に、髪を伸ばしっ放しの白装束のおじさんっぽい人が立っており それが開け閉めに合わせググゥググゥっとコチラに向き直して来る! このままでは顔を見てしまう!!彼はもぅどうしていいか分からなくなり、 とりあえず自分の気配を消し(息を殺していたらしい)、眼を合わせない様に下を向き座り直したみたいです。 その後はずっと下を見ていたのでいつ居なくなったか分からなかったそうですが 私はどぉなってもいいのかf^^;と思いましたがw まぁこの程度の事ですw でもこの人(白装束)、毎晩3階に来ては気付いて欲しいらしくて何かしらやっていってました。
1028 :しげやま親方 :2010/08/13(金) 00:33:23 ID:AL6drCqI0 4/6 その後の2学期末試験中の事です。 愁傷に私は現国(現代国語?)の勉強をしている時でした、前に書いた通り私の部屋は友達が勝手に上がって来れるので それを阻止するべく、3階のドア(1枚が横1.5mx高さ2.5mの鉄製オーダー物の頑丈な物)2枚を閉め。 これでゆっくり勉強ができる♪というか、ゆっくりしてられないんですが… まぁじっくりと集中して勉強していた時の事です。 突然『ドガバァァァァーーン!!』と豪快に鉄のドアが開け放たれる音。 鍵を掛けたからって其処まで反抗的に入ってくるかー!と思い 苛立ちながら、そういう事をやりそうな友人の顔を思い浮かべ、2人まで絞り込みながら玄関に行くと誰も居ない… というか、鉄のドアは閉まっているし鍵も掛かっている… 『気のせい??』と気にもせず悩ませられていた問題に思考を切り替え 部屋に戻り再び机に向かう、期末試験で範囲が広く記憶力の悪い私はテンパり気味で悩んでいると、 またもや『パァァーン!』と 今度はトイレが在る方向から豪快にトイレの木の戸が開けられた音が… テンパっている時にイラつくなぁ〜(怒)と思いながらスリッパに足を突っ掛け 自室のドアを開け広間からトイレの方を見ると、トイレの戸は閉まっている。 !?何で?? 今、景気良く豪快に開いた筈… 辺りを見回すと広間の壁三面が大きいガラス窓なんですが、1枚も開いていない。当たり前です冬なんですから。 ん!?もしやトイレにある斜めにしか開かない窓が開いてたんじゃ〜と思い、トイレの戸を開けるとその窓もちゃんと閉まっている。 何?訳分からん!面倒くさい!!と、とりあえず無視して勉強する事に
1029 :しげやま親方 :2010/08/13(金) 00:34:06 ID:AL6drCqI0 5/6 トイレのカラクリと現国の問題でかなり苛々しながら形だけの勉強をしていましたが、その苛々に更に追い討ちを掛けるが如く 押入れの一番上の段に上げている小物(カセットテープや漫画本)を入れたダンボール箱がグワシャガシャと押入れの中で 崩れ散乱する音が… っこのイラついてる時に!よりによってカセットテープの整理をしなきゃならんの!!思ってヴァーっと 押入れの戸を開くと(仏壇開きなのです)何もない。正確には何も散らかってはいない。ん?ん?ん? 落ち着け!なんか変だぞ!あんだけカセットテープのプラスチックのカチャカチャした耳障りな音がしていたじゃない! なんで無い?っていうかーーーーー!トイレもだ!!トイレもだし玄関もだょ!!!窓も鍵も閉まってたじゃん! 今更ながら… ……あーーーまた来たのか〜 というか押入れにまで来られると、 寝てる時に見ちゃいそうで怖いからこの部屋では寝ない方が… という事で試験を諦めた私は、2階に移動し母に『明日寝過ごすと駄目だから今日はコッチで寝る〜』と言って 仏間で先祖と寝ることにしました。 まぁこれもこれだけなのですが、この人は相手に『ここに来てる』というのを分からせるまでやる人でした。
1030 :しげやま親方 :2010/08/13(金) 00:34:59 ID:AL6drCqI0 6/6 この他、引越し先にも着いて来て1階で腹筋とかをしてると 『プルルルル プルルルル』と内線が鳴り 区切りのいい回数で、よしゃ出るか〜と受話器を取ると『プーーー』と誰も出ない それもその筈、内線の先は2階の私の部屋のみ… 2階でバタバタやると母親に怒られるので1階で運動してるので… でもこの人だけではなく、4ヶ月位ほぼ毎日現象を見せつけて劇的に(私的にw)幕を閉じた人も居りました。 そういう人が多いのかしら? 長すぎるので、そのうち挙げさせて頂きます。 初投稿で大変長くなった割りに怖くなくてすみません。 ここまで読んで頂きありがとう御座います。長文・駄文で失礼しました。<(_ _)>
1031 :空缶 :2010/08/13(金) 02:31:03 ID:UQrruqnI0 妖怪じみた、妙なものを見た事がある。 小学4.5年の頃、田舎の親戚宅にお泊まりした時。 夜、家屋の裏手、庭に設置された流し台で俺は歯を磨いていた。 なんで屋内でやらなかったのかちょっと覚えてない。 窓から漏れてくる明かりだけが照明代わり。 流し台の向こうはブドウ畑で、ブドウ棚が夜の闇に消えていた。 歯ブラシをシャコシャコしながら、ふと視線を上げた途端 目の前50センチくらいのところにそいつがいた。 横長の水滴型で、先端は握りこぶし位の大きさ。 そこに、目鼻口、禿げた頭に両サイドのざんばら髪。 早い話、ひとだまの形をした、ミニサイズの落ち武者の頭だった。 顔を斜めにこちらに向けて、目をむいて俺を睨んでいる。 変な話だが、怒った泉谷しげるにそっくりだった。 そんな奴が、いつの間にかブドウ棚の木組みにひっかかっていたのだ。 恐らく、2秒くらい視線が絡み合っていたが・・・ 「うわーーーーーーーっ!」 歯ブラシを放り出して俺は家に逃げ込んだ。 「おばけ!おばけ出たっ!」 宵もたけなわ、笑い出す親達。 伯父が「よ〜しよし、俺も確かめてやる」と俺を引っ張って流し場に。 だけどもういなくなってた。 今でもはっきり覚えているけど、奴のしっぽ側は小刻みに震えるように たなびいていたし、目はギョロギョロ動いていたし、絶対作り物ではなかった。 では何だと言われれば何なんですかねホント。 実話です。
1032 :空缶 :2010/08/13(金) 02:37:08 ID:UQrruqnI0 追記: 妙に小さいサイズといい、これでもかという恐ろしげな形相といい、 正体は不明ながら今思うと 「都会のガキを、いっちょビビらせてやるか」みたいな なんか不真面目な意図を感じる存在に思えます。 見たときは本気で怖かったんだけど。
1033 :空缶 :2010/08/13(金) 03:28:09 ID:UQrruqnI0 もひとつ。 母が幼い頃に体験した話。オチはないです。 母は、両親に連れられてある呉服屋に行ったんだそうだ。 その呉服屋はかなり大きな木造で、 店舗一階から二階まで、幅のある大きな階段が通じていた。 五社英男映画に出てくる、巨大遊廓みたいな作りなんだろうか。 で、店内は客や店員で混雑していたそうなんだが ふと階段越しに二階を見ると、なぜかほの暗くて人の気配がない。 「二階はどうなっているんだろう?」 興味を持った母は階段を登り始めた。 と、その瞬間、人のざわめきが消えた。 あれ? と周囲を見回すと、客も店員もいなくなっている。 店に所狭しと陳列されていた反物や服もない。電気も消えている。 空き家のようになった店内に、母一人残されていた。 何が起きたんだろう・・・ 突然の事に怯えながらも、突き動かされるように母は二階に上がっていった。 二階は「体育館くらいある、何十畳もある部屋」だったそうだ。 明かりはなく、壁際に幾つも並ぶ小さい窓からの光だけが ほの暗く室内を照らしていた。 そしてその、だだっ広い空間のまん中に一枚の布団が敷かれ、 若い女が一人寝ていた。 「こっちにいらっしゃい」 彼女の声にひかれて母は近づいていった。 明らかに病身と思われる、やつれた風情の女性が上体を起こす。 やつれてはいたが、とても優しい声で 「どこから来たの」 「お名前は」 などと母に尋ね、彼女は愛おしげに母の頭を撫でたという。 「お父さんとお母さんが心配するから、そろそろ帰りなさい」 そう促された母は、名残り惜しげに彼女を後にし、一階に戻る事にした。 階段の上から階下を見下ろすとやはり人がいない。 母は、子供がよくやるように、手すりを触ったままで階段を降り始めた。 ところがこの時 「手すりからちょっとでも手を離したら、二度と元に戻れなくなる」 という強い感覚に捕われ、母は手すりに手を押し付けたまま 恐る恐る階段を下っていったそうだ。更に 「前を見ちゃいけない。顔を上げたらパっと元に戻っているように」 とも思い、一身に足下を見ていたらしい。 そしてようやく一階について顔を上げたら、人々のざわめきが戻っていたそうだ。 その後母は、何度もその呉服屋に行ったそうだが、二階は反物売り場で 病身の女などおらず、人々が消える事も二度となかったという。 母に訊ねるたびに、この同じ話をしてくれるので 作り話じゃないと思うんですが・・・何なのでしょう。 子供の幻想みたいなものなのかな。
1034 :空缶 :2010/08/13(金) 03:49:35 ID:UQrruqnI0 連投失礼。これで今夜は最後にします。 父から聞いた話。 父は幼い頃、口蹄疫で有名になった宮崎某所にいた。 お盆になると夏祭りがあり、陽が沈む頃、みな提灯を持って集まっては 盆踊りの会場まで向かったそうだ。 ところが、父の住んでいた集落から会場までは一本道で、 集落の者全員で一団となって歩いているというのに 道の先頭には別な集団がいて、彼らの提灯の灯がチラチラしているという。 「ありゃーご先祖さんだな」 大人は事もなげに言うが、父は怖くて仕方なかったという。 更に、お盆の時期は夜ごと、近くの山の上空に、 おとしだま袋に書いてある「のし」(ノとシがつながってるやつ)のような 妙な形態の謎の光が現れたという。 ネオンのようなジリジリしたその輝きを、大人は 「きつねのよだれ」と呼んでいたそうだ。 前者はまぁありがちとして、きつねのよだれが何なのかサッパリ。 ググってもそれらしい文献に当たらないけど、何だろ。
1035 :名無しさん :2010/08/13(金) 16:34:36 ID:45VxFEpE0 ※これからお話するのは、みかこさんが体験した実話です。 ※怖い話無理な人はやめた方がいいかも!? みかこはある日の夜、一人で留守番をしていた お母さんもお父さんもお姉ちゃんもどこかに出かけてた とうとう夜中まで帰ってこなかったんだ・・・ でもね、みかこは待ち続けたんだよ ずっと、ずぅっと待っていた やっと2日目の夜、みんなそろって帰ってきた お父さんがいったの※※の所だからみかこはきちゃ行けないところだったんだよ。ごめんね。 ※※って言うのは忘れてしまった それから数日たって 家族ですごしてた でもねお母さんとお父さんとお姉ちゃんは、まったく外に出ようとしなかった・・・ その夜ね、電話がかかってきた でも誰もでない・・・なんでだろう だから私が電話をとったんだ するとお父さんの兄弟の弟がこんな事を言いだした 「みかこちゃん、落ち着いて聞いてね・・・ 実は・・・・・・ みかこちゃんのお父さんとお母さんとおねえちゃんが行 方不明になってしまったんだよ・・・警察にも捜索してもらってる・・・悪いけど、これからはおじさんの所で住むこと になるよ。」 え? だって・・・お父さんとお母さんとお姉ちゃんはここにいるのに・・・おじさんはおかしなことを言う。 そのまま私はうなずいて、電話を切った。 みかこは 後ろを見るのが怖かった みんなのうすら笑いが聞こえる いやだ うしろを見たくない いやだ・・・ いやだ・・・ みかこは思いきって後ろをむいた ・・・誰もいない 少しほっとした。 でもみんなどこに行ってしまったのだろう。 不思議で不思議でたまらなかった。 ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・ ・・・? なんだろうこの音は 水の音?? みかこは気持ち悪くなったので早くおじさんのむかえを願っていた。 ピンポーン おじさんがむかえにきた・・・! みかこはかけ足で玄関まで走った ガチャ あれ?誰もいない・・・ みかこはいたずらだと思い後ろをふりかえった・・・ すると 水びたしのあの3人がうめきながら廊下にいて、私に近づいてくる。 いやあああああああああああああああ 私は叫び ドアを開けようとした でも開かない 鍵なんかかかっていないのに みかこはパニックになってもう夢中でドアをガチャガチャガチャガチャと鳴らした そして開いた その外にはおじさんがいた 私は泣きついた 「お、おじさん、今、お母さん達の霊が・・・・!!」 おじさんは何も言わない。 みかこがこんなに叫んでいるのに 真顔だ おじさんは笑った ・・・濡れている??? やだ・・・怖い・・・ 私は逃げようとした だけどおじさんに手をつかまれた 痛い・・・痛い・・・ 車にのせられて おじさんの家とは反対の方向へむかっている。 車も濡れている!!変だ・・・ その後ろに・・・なんとお母さんとお父さんとお姉ちゃんがいる! みんな笑っている・・・ そしてたどりついたのは・・・そこなしの沼と言われている所だ その4人は私をつかんで 池に沈めようとした・・ がぼッごぼッ ごぼぼぼ・・・ 私は死んだ 死んでしまった。 死ぬ前に思った あの4人は出かけていて車ごとあの池につっこんで事故にあってしまったのだろう どうしてこんな事に・・・ でもどうしてみかこをおいて出かけてしまったかは 未だにわからぬままである。 このブログを見た人は、1時間以内にこれを張り付けましょう。 張り付けないと、亡くなった5人が夜中にあなたの部屋にきて・・・そこなし沼に沈めに車でつれていかれます 電話にかかってくる
1036 :名無しさん :2010/08/13(金) 17:19:58 ID:4iiSi0HU0 無駄な改行を修正してくれると嬉しかった
1037 :名無しさん :2010/08/13(金) 17:42:36 ID:JYdiNXRU0 >>1035 みかこなのか「私」なのか みかこは死んだのに、何故体験談が語れるのか 無駄な改行多すぎ ラスト一行はコピペミス?
1038 :名無しさん :2010/08/13(金) 17:50:33 ID:vFZ/VP8A0 >>1035 これが怖い文章として通用するコミュニティがあるのかと思うと少し和む
1039 :空缶 :2010/08/13(金) 22:49:38 ID:UQrruqnI0 こんばんわ。 非オカルトだけど、数年前の事を思い出したので書きますね。 実家に里帰りした時の事。 実家に着いたものの、連絡ミスで親達は外出中だった。 仕方なく親の携帯にメッセを入れて、親が戻るまでそのへんを散歩する事にした。 けっこうな山の中に団地はあり、居住地を少し離れると深い緑の山道だ。 あてもなくブラブラ歩いていると、向こうから大人と子供の二人連れが歩いてくる。 近づくに連れて様子がおかしい事に気付いた。 老人と小さな男の子が雑談しながら歩いているんだが 老人の方がただごとじゃない。顔中血まみれで服も汚れてズタズタ。 裂けた服の下から、ひっかいたり切れたりして血の滲んだ素肌が見えている。 右手で左手をかばうように押さえているんだが、左手首が関節の反対側に曲がっていた。 「どうしたんですか・・・!」 数メートルまで近づいて、そのあまりの惨状に俺は息を飲んだ。 「あのね、おじいちゃん転んじゃったの」 男の子があどけない口調で言った。老人もうなずきながら 「いや落ちちゃったんですわ、沢に。山菜取りに行ったらズルーって、ははは」 「でもねあのね、おじいちゃんの傷はかすり傷だからだいじょぶだよ!」 「あー平気平気♪」 「いやいやいやマズいですよそれ。ご家族・・・いや救急車を・・・」 俺が慌てて携帯をとり出すと、老人は助かります、と礼を言った。 自前の携帯は沢で壊れてしまったのだそうだ。 救急車が来るまでの数分、俺と老人で少し話をしたんだが、 俺の実家がある団地、もしくは町の病院まで歩いて行こうとしていたとの事。 「だけど、その沢って●●沢でしょ? ずいぶん奥ですよね」 「ええ、5.6キロありますかね。ハイキングを兼ねて」 「よくここまで我慢しましたねー!」 「いや痛いんですけど、孫が怖がって泣くと面倒でしょ。それに私が倒れたら この子じゃ何も出来ないし」 「そうですね・・・」 「それに、こういう事は案外慣れっこですから」 「え? と言うと?」 「あたしゃー、これでも若い頃は体力自慢でね。町のチンピラと喧嘩になるでしょこう」 「はぁ」 「そうするとね連中、ドスで私の腹を狙うわけだ。短刀ね。そこをすかさず」 「あははは・・・」 そんなこんなで救急車が来て、いきがかり上俺も同乗する事に。 担架に乗せられ車に収容された途端、老人はカクっと意識不明。 救急隊員が酸素マスクをつけて慌ただしく動いている。 「おじいちゃん疲れて寝ちゃったよ」とか、俺は動転しながらも 孫をあやすのに必死だった。 後で親に聞いた話では、老人は全身数箇所を骨折していたものの助かったらしい。 そして、実家のある町は元炭鉱町なのだが、炭坑全盛時代、その老人は 刺されること数回、不具にした相手は数知れずという有名なマッドドッグだったとも。 老人は退院してから実家を訪れ、玄関で土下座して礼を述べたらしい。 と同時に 「いやー、息子さんに気絶したとこ見られちゃった、あー恥ずかしいw」 と笑っていたとか。 次にどこかであの老人に会うのが怖い。 おわり。
1040 :名無しさん :2010/08/13(金) 23:03:23 ID:RfewhYscO マサさんシリーズ待望するレスがあると、 大量投下が始まるのは気のせい?
1041 :空缶 :2010/08/13(金) 23:18:52 ID:UQrruqnI0 >>1040 リロードして見てました。 見てもらえば分かるけど俺なら昨日初登場で、そのへんよく分かりませんが おジャマなら消えますが。
1042 :しげやま親方 :2010/08/14(土) 00:50:46 ID:ewwuZVYI0 >>1040 さん 私も【洒落怖】の朗読前部見終えたタイミングで 書き込みさせて頂いたので偶然です。 『マサさんシリーズ』というのも気になるので読んでみますが、でゎ
1043 :1040 :2010/08/14(土) 08:28:51 ID:6Ec6zSgsO >>1041-1042 ごめん、ごめん。 普段は過疎が続いてるから、 不自然に思ってしまった。 マサさんシリーズは実在の団体をモデルにしてるみたいだから、 良く思わない人も多いと思う。
1044 :アリとキリギリス :2010/08/14(土) 09:14:53 ID:Cs0AUyVkO >>1035 ひでぇ出来だな その話し100%パチじゃんwww 目撃者が誰もいないし、その話しを誰かに話すにも それを伝える人がいないんじゃ 作り話としか言えないっしょwww ちゃんとした話しをのせましょうね♪ バカゲテルww
1045 :名無しさん :2010/08/14(土) 12:54:31 ID:nu2VeeFI0 作り物にしても、怖ければ全く構わないんだが 読み終わって「怖い」という感想が出てこないというのが悲劇的
1046 :しげやま親方 :2010/08/14(土) 17:01:47 ID:ewwuZVYI0 >1040さん 普段は過疎だったんですね〜 丁寧にありがとうございます^^
1047 :生徒A :2010/08/16(月) 01:46:21 ID:Nhst.jjs0 読み専門でしたが、ひとつ書き込みます。 半分実話です。 中学の担任の話です。ここではN先生とします。 普段温厚なのに、キレるとものすごく怖い人でした。 林間学校に行ったときのこと。 宿泊施設には10部屋あり、私たちの部屋は108号室でした。 ありがちな話ですが、消灯時間が過ぎても、部屋のみんなでおしゃべりしていました。 だんだんテンションが上がり、他の部屋にも遊びに行こうという話になりました。
1048 :生徒A :2010/08/16(月) 01:47:50 ID:Nhst.jjs0 ところが扉を開けたら、薄暗い廊下にN先生が立っています。 「もうすぐ12時だぞ。明日はハイキングだろが、もう寝ろよ。」と言われ、 扉を閉められてしまいました。 でも、もう少ししたら先生寝るかな〜と思い、扉を少しだけ開けて廊下の様子を確認しました。 みんな考えることは同じで、他の部屋の子も同じようにのぞいてました。 それが面白くて、くすくす笑っていたら、気付いたN先生にまた扉を閉められてしまいました。 逆に闘志の燃えあがった私たち。 絶対に他の部屋に行ってやろうと、またまたこっそり扉を開け、 N先生の様子を観察してスキを見てました。 しかし、N先生が廊下のど真ん中に居座っているため、他の部屋には行けそうにありません。 N先生の方も、みんながふざけて扉を開けるので、かなり警戒してます。
1049 :生徒A :2010/08/16(月) 01:48:34 ID:Nhst.jjs0 そんなこんなでN先生と私たちとの攻防は午前3時をまわり、 同室の友達は軒並み夢の世界に旅立ちました。他の部屋の同士も次々に撃沈し、 沈黙する部屋も増えてきました。N先生の方も疲労が溜まり、大分イライラしてきてました。 N先生が乱暴に扉を閉めてまわる音がこちらにも聞こえてきます。 そんなときのことです。私はあることに気付きました。 私たちの隣の109号室は空き部屋なのに、N先生はさっきから何度も扉を閉めているのです。 誰もいない空き部屋。なぜ何度も扉が開くの? ひょっとして109号室に「ナニカ」がいる? ゾッとしました。
1050 :生徒A :2010/08/16(月) 01:49:20 ID:Nhst.jjs0 おそるおそる扉を開け、109号室の方を見ようと廊下に顔を出した瞬間、 私は襟首をつかまれ、廊下に引きずり出されました。 N先生でした。 相当キレモードのN先生に廊下に立たされ、説教されながらも、 どうしても気になって109号室の方を見ると、うっすらと開いた扉の隙間から、 見覚えのない女性がコッチをじっと見ていました。 女性は私と目が合うとニィッと笑い、私は恐怖で固まってしまいました。 その私の視線に気付いたのか、N先生も109号室の方を振り返ります。 109号室を見た先生は、躊躇無く扉へ向かい、バシッとかなり強く扉を閉めました。 そしてドスのきいた声で「寝ろ」と一言。 その後、硬直している私も自分の部屋に放り込まれ、 「おまえらしつこいんだよ。」と言われました。 私は隣の部屋の「ナニカ」と、廊下のマジ切れN先生と両方が恐ろしくて、 もう半泣きで布団をかぶって目をつむってました。 その後も隣の109号室からは何度も扉の閉まる音が聞こえてました。
1051 :生徒A :2010/08/16(月) 01:50:01 ID:Nhst.jjs0 翌朝、N先生は寝不足で不機嫌そうでしたが、とりあえずとり殺されてはいませんでした。 私は夜の出来事をみんなに話しましたが、信じてもらえませんでした。 そこでN先生も女の人を見ているはずだと思い、N先生のところへ行きました。 ちょうどN先生は年配のO先生と話しており、会話の内容が聞こえてきました。 N「昨日は、みんな全然寝なかったから、ハイキング大丈夫ですかね?」 O「まあ、中学生は体力有るし、大丈夫だろ。」 N「そうですかねえ。でも、一番遅い子は4時半まで起きてましたよ。大丈夫かな? あと、気付いたことですが、109号室は扉の立て付けが悪いんですか?」 O「何で?」 N「夜中に何度も扉が微妙に開いてたんですよ。他の部屋と同様に中の生徒が のぞいてるのかと思って閉めてたんですが、朝になって冷静になってみたら 空き部屋ですよね。朝に確認したけどやっぱり誰もいなかったし。」 O「あそこはでるからねぇ。有名だよ?知らなかったの?」 N「え?」
1052 :生徒A :2010/08/16(月) 01:50:41 ID:Nhst.jjs0 なんでも、109号室は窓の外に人魂が出たり、部屋の真ん中に女の幽霊がでたりするそうです。 その後N先生は私たちみんなにその話を披露してくれましたが、ほとんどの子が信じませんでした。 私は信じましたよ。だってそんな話をするN先生の頭の上には昨日見た女性が、 満足そうににやにや笑いながらぺったりと張り付いていたんですから。
1053 :生徒A :2010/08/16(月) 01:51:13 ID:Nhst.jjs0 あとがき(ネタばらし) 結局N先生には女性は見えてませんでした。 扉が何度も開くのと、クスクス笑っている声が聞こえるのがむかついて、 バッシンバッシン閉めてたそうです。 あの時、部屋に踏み込んでれば、幽霊にあえたのに〜と悔しがってました。 女の子の部屋に、教師とはいえ男性が踏み込むのはまずいので遠慮していたそうです。 その後、私たちは卒業し、N先生も別の学校に転勤しました。 それでも去年の成人式にわざわざ来てくれて、お話をしました。 結婚されたそうです。長男も生まれるそうで、幸せそうでした。 呪われてないようで何よりでした。 ちなみに文章の最後の方でN先生に女性がとりついてる部分は私の創作です。 女性は、部屋の中以外では目撃できないそうで、私も夜に扉の中にいるのを見ただけです。
1054 :名無しさん :2010/08/21(土) 11:00:04 ID:SegW37twO >>751 >かつてあの病院が建っていた場所には飛行機工場があり、 >戦時中に強制連行で連れてこられた >北朝鮮の人達がB29の爆撃を受けてたくさん亡くなったことを・・・ 太平洋戦争時に北朝鮮なんてあったの。w 200人の徴用を、多くの強制連行に脳内変換する屑民族の末裔だったのか、天狗男は…。 ガッカリだ。
1055 :watatwin :2010/08/21(土) 13:47:25 ID:ML3P9S.o0 ナショナルジオグラフィック/メーデー!:航空機事故の真実と真相 シーズン5/第9話(出典wikipedia)より イースタン航空401便墜落事故(Eastern Air Lines Flight 401)は、 1972年12月29日、イースタン航空のニューヨーク・ジョン・F・ケネディ国際空港発 マイアミ国際空港行401便、ロッキード L-1011 トライスター(機体番号N310EA)が マイアミ国際空港付近の湿地帯・エバーグレーズ国立公園に墜落した航空事故である。 全176名(乗客163名、乗員13名)中103名が死亡した。史上初のワイドボディ機の 全損事故であり、ヒューマンエラーによる事故の代表例として挙げられることもある事故である。 (中略)トライスターは導入されて間もない新鋭機でスペアの部品が不足していたこともあり、 事故機の部品のうち、使えるものは同社の別のトライスターに取り付けられた。 しかし、それ以降その部品がついたトライスターで、客室乗務員や乗客が 「401便に搭乗し死亡した乗務員の幽霊を見た」という話が出るようになり (なお「幽霊」を目撃した客室乗務員や乗客は部品の流用の事実は知らなかった)、 目撃談が地元の新聞に掲載されるまでになったことを気にしたイースタン航空が部品を外した結果、 この様な話は聞かれなくなったという。なお、この話を元に「The Ghost of Flight 401」という 小説が書かれた。
1056 :先輩に怒られた後輩 :2010/08/22(日) 03:16:07 ID:v6SR6ubY0 先輩が高校生の時の話。 先輩とAのお兄さんは同じ高校の先輩と後輩になった。 お兄さんは当時からよく入院していたらしい。 無事退院して登校できるようになったので退院祝いに放課後何か食べに行こうということになった。 放課後外に出たはいいがA兄は先輩とは別次元で見える人。 だから先輩まで普段は見ないでいいものがガンガン見えていた。聞こえていた。 そんな中人通りの多い場所に出た二人の耳に変な声が聞こえてきた。 「影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない 影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない 影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない影がない」 不気味だったがそこで挙動不審になる方がやばいので、気にせずA兄と話しながら目的地に向けて歩いていた。 できるだけ影を見ないようにしながら。 今度はこんなのが聞こえてきたそうだ。 「下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ 下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ 下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ下を見ろ」 これはもう完璧に目つけられたなと思った。 そして二人は下を見た。 「何が見えたんですか?」 髪の長い女だろうか。 顔のぐちゃぐちゃな人間の原型を留めていないものだろうか。 かなり期待を込めて質問をしたが先輩から返ってきた言葉は「何も見えなかったよ」。 「それって先輩達が幽霊にからかわれたってことですか?」 「多分意味はあったよ。俺達が騙されなかっただけで」 先輩は一度溜息をついて言った。 「声は上から聞こえてきてたんだよ」
1057 :名無しさん :2010/08/22(日) 04:15:11 ID:FQuLBiWY0 http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1104819.wmv
1058 :先輩に怒られた後輩 :2010/08/22(日) 23:44:19 ID:v6SR6ubY0 先輩の妹に最近聞いた話。 深夜の1〜2時くらいに先輩がかなり思いつめた顔をしていたらしい。 先輩の妹は心配になり、どうしたことかと兄に尋ねた。 「最近そこの公園で夜中子供遊ばせてるけど」 先輩の家のマンションのすぐ下には公園がある。 ここ最近夜中になると子どもの笑う声、滑り台を上る音がうるさい。 「やっぱり夜中に公園で子供を遊ばせるのはどうかと思うんだ。 住宅街の真ん中だろ?近所迷惑じゃないか。 注意すべきかどうかとも思うんだけど子供もいない俺が他人の家の子育てに口を出すのもどうかと思って。 それに共働きで昼間は働いてて、子供と遊ぶ時間が取れない親とかいるじゃん。 だから夜中に公園で子供と遊ぶ時間も今そこの公園にいる親子には貴重であって……」 先輩はかなり悩んでいるらしかったが、先輩の妹は笑顔でこう言った。 「大丈夫。私もお母さんも、多分近所の人も、夜中に子供の笑い声も滑り台を上る音も聞いてないから。 だから兄ちゃんは音楽でもかけながら安心して寝てください」
1059 :八宝斉 ◆V25sNaEY56 :2010/08/23(月) 06:49:14 ID:HelIDakE0 すみません皆さんお久しぶりです。 本スレでは書き込めないのでこちらで書かせてもらいます。 完全版が完成しました。http://ip.tosp.co.jp/BK/TosBK100.asp?I=ogikubo117&BookId=1 一部修正した箇所と 追加した話もあります。 一応指摘された誤字、脱語も修正したつもりですが まだまだ指摘受けそうです。 すみません失礼しました<m(__)m>
1060 :ロザリー ◆PiGJDrhfQc :2010/08/23(月) 09:51:30 ID:J4vbzSaYO 八宝斉さんお疲れ様なのです☆
1061 :名無しさん :2010/08/24(火) 22:25:52 ID:glPC13dM0 >>1060 にぱー☆
1062 :名無しさん :2010/08/27(金) 12:11:34 ID:i4pB5bFM0 自分も、マサさんしか待ってない・・・ 早く戻ってきてほしい。
1063 :名無しさん :2010/08/27(金) 12:27:42 ID:6RMjJyAoO マサさんシリーズ、 面白いけど、ネタがヤバ過ぎるわ。 作者さん、マジで生きてるか心配なんだけど… せめて生存報告だけでも お願いしますよ。
1064 :名無しさん :2010/08/27(金) 20:45:08 ID:bgWcpKPI0 同意 近いうちに投稿できるとか言ってたのに
1065 :名無しさん :2010/08/29(日) 10:29:02 ID:UgqP0f6w0 マサさんシリーズ 投稿して欲しいです。 このサイトにアクセスしたら、なぜか マサさんシリーズの和解が表示された。 履歴やキャッシュにないのに・・・ 近いうちに投稿ありの吉兆か。
1066 :名無しさん :2010/08/29(日) 11:52:59 ID:m42WN3swO もしまた弾かれてるのなら、 本スレにでも…
1067 :名無しさん :2010/08/29(日) 19:53:22 ID:6.I7BW4g0 >>1065 こえーよw
1068 :肩からサナギ :2010/09/02(木) 02:03:21 ID:uRaq9UE6O ジョナサンって怖い話しってる?
1069 :名無しさん :2010/09/07(火) 05:23:56 ID:64fxCZ/cO ひたすらマサさんを待ち続ける
1070 :名無しさん :2010/09/07(火) 16:10:19 ID:Bdv/eeZo0 久々に見に来たがマサさんの人は2月以来来てないのか 前もネットのない環境にいたと書いてたし怖い仕事でもしてるんだろうか 期待して待ってるよ
1071 :名無しさん :2010/09/08(水) 21:07:40 ID:IvrafC860 PC使えない環境って、一体どんなんか気になるわ
1072 :名無しさん :2010/09/08(水) 21:08:32 ID:IvrafC860 いや、間違えた ネットだけ使えないのか
1073 :名無しさん :2010/09/11(土) 11:41:22 ID:QmGR3.yI0 >>1070 で書かれている話をマサさんの人は言っていましたね。 仕事が終わり、OFFになるとその仕事を 振り返る為に書いて、仕事が何だったのかを 確認する感じがしますね
1074 :といれ :2010/09/11(土) 22:26:44 ID:HqWEGtOw0 こんばんは、はじめて投稿させていただきます。 (書く場所が違っていたらごめんなさい) 文章が苦手なので読みにくい・わかりにくい部分があるかと思いますが読んでいただけたら嬉しいです。 もう10年ほど前の話ですが、3人で肝試しに行くことになりました。 地元の、とある橋に出るという話を聞いたので早速そちらへ向かってみました。 情けないですが私は「行きたがりだけど怖がり」なので、いざ着いてみると怖くなってきてしまい、車で待つことにしました。 残りの二人は車から降りて、橋の真ん中のほうへ歩いて行き、私は車内からそれを見ている感じでした。 最初は二人じゃれあいながら楽しそうに歩いて行ったのですが、 橋の真ん中あたりに来て体を乗り出して川を見下ろした途端、2人は急に真顔になりダッシュで車のほうへ戻ってきました。 戻るなり助手席の子が「早く!早く出せって!」とあわてており運転手も「わかってるって!」と言い急発進させました。 むりやり縁石から降りたので、車のしたをこすってしまい、ガリっ!!とすごい音がしましたが2人は気にもならないほど慌てているようでした。 「どうしたの?!何かあった?!」と聞いても無視。 気が動転しているようだったのでそれ以上話かけずに2人を見ていました。 「大丈夫?!追っかけてきてない!?」 「・・・うん・・大丈夫」 「やばい、こっち通行止めだった間違えた!」 「早くUターンしろって!」 「わかってるって!!」 こんな感じの会話を私は黙って聞いていました。 やっと明るい道路に出たところで、コンビニを見つけたので車を止めました。 2人はやっとホっとしたようで「急にごめんね」と言ってきました。 話を聞くと、 「俺らさ、橋の真ん中まで行って川を見下ろしてたでしょ?そしたら、川の横に人が三人立ってて!三人ともこっち見てた!」 のだそうです。 街灯があったとはいえ夜だったので「暗かったし川の流れがそういう風に見えたんじゃない?」 と返すと、「いや、絶対人だった、お前も見たよね?」「見た!!」 と2人はかなり興奮して話してました。 実際に私が見たわけじゃないので、本当かなぁ??という感じでした。 それから運転手の子が「そういえば車こすってたよね?!やべぇwちょっと見てくるわ」 といって車から降り、もう一人も降りて行きました。 私はそのまま車で待っていました。 外では、「うわ〜けっこうやばいかもしれん!」とか「びびったよなw」みたいな会話が聞こえてきます。 ここで、私の携帯電話が鳴りました。 「公衆電話」と表示されています。
1075 :といれ :2010/09/11(土) 22:44:47 ID:HqWEGtOw0 続きです。 こんな夜遅くに誰かな?と思いましたが友人かもしれないのでとりあえず電話に出ました。 「はい」 『みたらいさんですか?(30代後半くらいの男性の声)』 「え?違いますけど。」 『では、僕がこれから、みたらいさんですか?と聞きますので、はい。と答えていただけませんか?』 「は?どうしてですか?」 『夜の12時までに、○人の人にみたらいさんですか?と聞いてはい。と答えてもらわないと、僕は○○○になってしまうんです(○の部分は忘れてしまいました。)なのでお願いできませんでしょうか?』 「・・・無理です」 『本当にだめですか?お願いします』 「その前に、なぜ私の番号を知ってるんですか?知人や友人に頼んだらどうです?」 『知ってる人だと意味がないので、適当な番号にかけているんです。』 「はぁ」 『お願いできませんか?』 「・・・・すみません、私はちょっと無理なんでごめんなさい」 『・・・・そうですか・・・わかりました』 ここで電話を切る 電話中、私を脅かそうと他の2人がイタズラしたのかと思い外を見ましたが そのまま2人は笑いながらおしゃべりしている。。 え?なんだろ・・・。 ついさっきオバケが出ただの騒いだ後だったので、すごく怖くなってきて2人を呼び戻しました。 電話の話をすると、ホっとしてた2人もまた恐怖をぶりかえして、3人無言になってしまいましたw あとあと考えると、 ていうかみたらいさんて誰だよwww12時にお前さんはどうなるんですかww とバカバカしく思えて、「サっちゃんの話(この話を聞くと、〜〜をしないとサっちゃんが来ます」的な、そういう話を使ったイタズラ電話かな? と思ってました。 大した怖い話でもなかったですね・・・イタズラかもしれませんしw 久しぶりに思い出して眠れなくなったので、投稿させて頂きました。 読んでくださった方、どうもありがとうございました。 文才なさすぎて本当にごめんなさい; ちなみに、「みたらいさん」「御手洗さん」で怖い話を検索しても何も出てきませんでしたw 創作?w でもそうじゃなかったら謎すぎて怖い・・
1076 :といれ :2010/09/11(土) 22:49:27 ID:HqWEGtOw0 改めて読み返すと文章が下手すぎですね・・わかりにくいw スレ汚し失礼致しました。
1077 :名無しさん :2010/09/16(木) 00:02:14 ID:x0JBHFzMO ついさっきの話 自室でゴロゴロしてたら 「ピンポンピンポーン」って近くの家のチャイムをリズムよく鳴らす音がした なんだ?と思って窓から ちょっと見たら 私道の入口の家の玄関(自分の家は私道の一番奥にある) に腰くらいまで髪のある女がいた 「気味悪いなぁ」とか思いつつゴロゴロ再開したらまたチャイムが聞こえてくる また見ると今度はその隣の家のチャイムを間の抜けるようなリズムでならしてるのよ 「さすがにあいつやばいな・・・どうしよう」 みたいな感じで焦っててそろそろ自分の家の番になったんだけど暫くたっても音が聞こえない 帰ったかなと思って恐る恐る窓から覗いてみたら すんごい形相で女がこっちみてんの カーテンのほんの隙間からだから外からじゃ絶対見えないはずなのに 流石にびびって布団の中で震えてたらいつの間にか寝てて今起きた そんで今気づいたんだけど自分ん家のチャイム壊れてて鳴らないんだよね 音が鳴らないもんだからあんな怒っていたのか? とりあえず今みたらいなかったです 落ちなし、スレ汚しすいません
1078 :名無しさん :2010/09/16(木) 02:28:02 ID:x0JBHFzMO ついさっきの話 自室でゴロゴロしてたら 「ピンポンピンポーン」って近くの家のチャイムをリズムよく鳴らす音がした なんだ?と思って窓から ちょっと見たら 私道の入口の家の玄関(自分の家は私道の一番奥にある) に腰くらいまで髪のある女がいた 「気味悪いなぁ」とか思いつつゴロゴロ再開したらまたチャイムが聞こえてくる また見ると今度はその隣の家のチャイムを間の抜けるようなリズムでならしてるのよ 「さすがにあいつやばいな・・・どうしよう」 みたいな感じで焦っててそろそろ自分の家の番になったんだけど暫くたっても音が聞こえない 帰ったかなと思って恐る恐る窓から覗いてみたら すんごい形相でこっちみてんの カーテンの隙間からだから外からは絶対見えないはずなのに 流石にびびって布団の中で震えてたらいつの間にか寝てて今起きた そんで今気づいたんだけど自分ん家のチャイム壊れてて鳴らないんだよね 音が鳴らないもんだからあんな怒っていたのか? とりあえず今みたらいなかったです 落ちなし、スレ汚しすいません
1079 :あ−ちゃ :2010/09/20(月) 14:25:42 ID:BP7YfcycO 怖い話とか教えて下さい
1080 :恵介 :2010/09/21(火) 10:36:34 ID:6VNEQgjg0 別スレで連投中の「江戸っ子怪異録」を一昨日に書き込んでから、何故かPCのフリーズが相次ぎました。 昨日は1日全く起動できませんでした。 技術的な問題を調べる為にPCの中を覗く前に、「試しに…」と思って真言を唱えながら部屋に塩を撒き、そのまま真言を唱えながらPCの電源を入れましたところ、何食わぬ顔で起動しやがりましたコイツ…。 やっぱり寄って来るんでしょうかね…? まぁ始めてしまった以上、とりあえず主要な話だけでも全部上げるまでは懲りずに続き書きますけどね^^;
1081 :名無しさん :2010/09/21(火) 13:46:41 ID:sXuvD2CMO ここに初めて書き込みする物だけどちょっとやばくなったから書き込む 自分は霊感はないけど霊を引き付ける体質で心霊スポットで写真撮ったら絶対寒気するし写るタイプなんだよ ブログにも心霊写真うpしてる そんな事どうでもいいんだけどさ 俺は暇潰しでこのサイト見てたし、そのマサさんの話しなんか読んだ事ないのに、いきなりマサさんの名前見た瞬間今までにない寒気感じてる マジでヤバイよ…こんな事初めてだしマジで後悔してる… かなり強烈なの寄ってきてるし…呼んでしまったかも… そのマサさんって人ヤバイんちゃう?
1082 :名無しさん :2010/09/21(火) 17:11:57 ID:sXuvD2CMO 絶対ヤバイ…
1083 :名無しさん :2010/09/21(火) 19:50:39 ID:jTEW1nBA0 こわいですねーおそろしいですねー それでは次週までさよなら、さよなら、さよならっ
1084 :名無しさん :2010/09/21(火) 20:05:12 ID:QLwi4F.gO >>1065 自分も時々マサさんシリーズに入り込む。 ちょっとだけマウス位置ずらしたらちゃんと入れたりする。 更新時にコピペ元のタグが一部残ってるだけだったりしてなw
1085 :名無しさん :2010/09/22(水) 14:30:26 ID:/QHdLO.Q0 >>1081 マサさんシリーズは、 ヤバイからこそ支持されてるわけ。 ここは怖い話を投稿するところでしょ? 本当にヤバイのは、 そんなものを引き寄せる(と言い張ってる)君自身だと思うけどw
1086 :名無しさん :2010/09/30(木) 22:29:15 ID:JHnWTFGsO 今日も明日もマサさんを待つ
1087 :名無しさん :2010/10/01(金) 08:20:31 ID:Yh3rfLyQO 携帯から初投稿。 俺の怖かった話なんてこれくらいしか無いんだが、まあ聞いてくれ。 随分前に、中学の同級生が自殺した。 どうやら飛び降りらしい。 ほとんど関わりはなかったが、同じ中学を卒業したやつが自殺なんて。と思ってショックだった。 葬式にはカメラも来ていて「実際来るんだな」と思って見ていた。 葬式で聞いた話だと、そいつはホームで人を突き落としてムショに入っていたらしい。それが原因で自殺したんだろうと。 殺人やら自殺やら、俺とは全く関係ないものだと思っていたので、聞いた時は気分が悪かった。 それから数年たって中学の同窓会(あんまり人集まらなかったけど)があった時もそいつの話が出た。話の流れだったか、そいつと親しかったらしい友人がぽつぽつと話し始めた。 そいつは仕事が深夜で終わり終電で帰るような仕事をしていたらしい。 その日もそいつは終電を待ってホームに立っていた。すると後ろから 「尻尾の生えた姉妹の合い言葉なーんだ」 と聞かれた。後ろを振り返ると小学生くらいの可愛らしい子どもが立っていた。 こんな時間に子ども?と思ってまわりを見渡したけど親らしき人もいない。すると子どもが 「尻尾の生えた姉妹の合い言葉なーんだ」 とまた聞いてくる。謎なぞだと思って考えてはみたものの、全く答えが分からない。 「分からないなあ」 とそいつが言うと、少女は少し笑い 「それはね」 その瞬間子どもがそいつを押した。 大した力がなくても不意におされたらしっかり立ってはいられない。 そいつはよろめき、前に並んでいた人に倒れこんだ。 前の人はホームに押し出され、ホームに突っ込んできた列車に引かれ死亡 そいつはムショに入った。 話が終わった頃には誰もしゃべらなくなり、シーンとしていた。 「そんなん誰かが作った作り話だろ。死んだやつに失礼だぞ」 誰かが言った。確かに人を殺したという過ちがあるやつでも、死んだやつのことをこういう話に使うのはどうかと思う。 その日はすっかり冷めてしまい、俺は一次会でそそくさと帰った。 んで、昨日家に甥っ子が遊びに来た。一緒にテレビを見ていたら甥っ子が謎なぞをしようと言ってきた。 「尻尾の生えた姉妹の合い言葉なーんだ」 それを聞いた瞬間、あの同窓会の話を思い出して背筋がぞっとした。 答えても、答えを聞くのも嫌になり、部屋ににげた。 最近の中学では、この謎なぞ流行ってんの?
1088 :名無しさん :2010/10/01(金) 08:22:53 ID:Yh3rfLyQO んあ、追記。 多分あの謎なぞの答え 「おしまい」 だと思うわ。多分
1089 :名無しさん :2010/10/02(土) 00:43:18 ID:wmYagy4M0 「一回限りの怪」とか書いた人です 家は二階建て(本当は4階だが、説明が面倒だから割愛) の二階に俺の部屋がある 寝てるのは二段ベッドの2段目で、 ベットに付いてるカーテンを閉めて寝てるんだ (一段目は居ない) 夜中の2時頃、寝られなくて暇だったから布団の中で一人でニャンニャン してたら「カラカラ・・・」とカーテンを開ける音がした。 その時は気にもしなかったけど、一通りニャンニャンが済んだあと見てみたら、 寝る前にキッチリ閉めた筈のカーテンに顔一つ分入るくらいの隙間が空いてた。 その時は何も考えずに閉め直して寝た。 3時になってそろそろ眠くなってきた頃、下の階が騒がしい事に気づいた。
1090 :名無しさん :2010/10/02(土) 01:06:33 ID:wmYagy4M0 続きです 下の階から誰かがずっと俺を呼んでいる声がする 「Aちゃん〜(←俺)ご飯だから下に降りてきなさぁ〜〜い」 「Aちゃん、一緒にお風呂入りましょぉ〜〜〜〜〜」 「Aちゃん買い物行くから一緒に・・・・」 声は、ばあちゃん(まだ生きてるし元気)の声だが、 あきらかにおかしい こんな深夜に・・・ しばらくベットの中で耳を澄ましていると、声だけがどんどん階段を登ってこっちに向かってくる そしてドアノブをひねることなく、俺の部屋に入ってきた 「Aちゃぁぁぁ〜〜〜んどこにいるのぉぉおぉ〜?」 「返事をしなさぁぁあぁい」 声は俺の真下、二段ベットの下の段まできた 何かが居る感じがする 声の主は俺の名前を呼びながらベットの中を何か探すように這いずり回っている この時俺は「うわ、やべぇ・・」と頭の中でつぶやいてしまった
1091 :名無しさん :2010/10/02(土) 01:26:44 ID:wmYagy4M0 最後です 一瞬、声の主のの動きが止まる 次の瞬間下から猛烈にマットが突き上げられ始めた 尋常じゃないくらい体が吹っ飛ぶ俺 「そこに居るのぉぉおぉお〜〜」 「どこぉぉおおぉお?」 ガラガラっとカーテンから隙間が空き、ニヤついたマネキンみたいな顔が出てきた キョロキョロ目を動かし、俺を捜している 足下からは人差し指ほどの小さな腕が大量に迫ってきていた 「終わった・・・・」と思った瞬間、 パッと夢から覚めた様に静かな部屋に戻っていた 顔も手もない、声もしない、カーテンも閉まってる その後何事も無く朝を迎え、そのあとも特に何もなく、今に至る けど多分また起こるかもしれないので、その時は 気が向いたらまた書きます 終わりです
1092 :ぬん :2010/10/02(土) 10:00:50 ID:WcOcxVsYO 初めて携帯から投下します。文才なし、記憶曖昧なので読みにくかったらごめんなさい。 高校3年のときの話です。 生徒会に所属していた私は夏休みの間生徒会のみんな(同級生7人)で文化祭の準備をしていました。 途中で買い出しに行くことになり学校から自転車で15分ほどのスーパーに行きました。 買い出しメンバーは私とKとMの3人です。 買い出しの帰り、学校は目の前でしたが、私は生徒会室にいるRの携帯に電話しました。近くに残りの3人もいるようで話し声や笑い声が聞こえます。 ある瞬間、私と電話の向こうにいる全員が笑ったときに男の人の笑い声が聞こえました。その日にいた生徒会の子達はみんな女でしたが、顧問の先生が男だったので「先生いるの?」と聞いたら 「いないよ」と。 電話の向こうにいた人達には聞こえてなかったみたいで、聞いたのは私だけみたいです。 当時の私にはとても怖い体験でした。 スレチだったらすみません。
1093 :名無しさん :2010/10/03(日) 16:21:55 ID:rWFBrkP20 乙
1094 :名無し :2010/10/04(月) 02:59:57 ID:H3VqBMaA0 霊感持ちの従兄弟の話。 (普段はNSの白いほうみたいな感じなのに体験談になるとものすごい真顔で、 ギャップがもうすでに怖い) 私の家が本家で、土地とか墓とかが結構昔からある地域で、その本家の墓周辺がなんかヤバイらしい。 墓の裏に無縁仏があるんだが、昔はそこが処刑場だったそうで、雑誌にも紹介されて・・・ 私は霊感全く無くて、幼少の頃から墓参りの度その無縁さんも一周する習慣だったんだけど、 その従兄弟だけは毎回気分悪くなったり泣いたりで近づけなかったそうだ。 そんな従兄弟が子供の頃の体験談。 夜寝てたら、従兄弟の家の周りを、足音と錫杖鳴らす音とがぐるぐるぐるぐるずーっと回ってたんだと。 最初一つだった音が最終的に八つにまで増えて、従兄弟は只管布団の中で震えてたんだと。 で、その話を朝、母親にしたら、従兄弟の家系の墓のほうはあんまりちゃんと供養されてなくって、 そこに入ってるご先祖様(お骨)の数が確かに8人だ、と。 勿論当時幼い従兄弟がそんなん知ってる訳なくて、ぞっとしたのは親のほうだったと思う。 そんな彼は未だにちょくちょくなんか見たり感じたり呼んじゃったりしちゃうらしくて、 職場で頻繁に転勤しています・・・。
1095 :名無しさん :2010/10/11(月) 23:32:46 ID:eP8uPAbE0 age
1096 :名無しさん :2010/10/18(月) 03:22:08 ID:RMU5F5WUO マサさん降臨切望
1097 :名無しさん :2010/10/28(木) 00:09:44 ID:LV8Gvy5o0 マサさん、今年が終わるまでには一度 投稿してほしい!! すげー面白いよ、あの人の話は。
1098 :名無しさん :2010/10/28(木) 02:13:09 ID:sMFCCJsw0 霊的じゃなくてごめん。でもスレたてるような話じゃないからここに置かせて。 俺のついこのあいだ体験した怖い話…オカルトとかじゃないんだけど。 あんまり詳しく書きたくないから地名とかはごまかすね。 都内の区内での話。 俺は学生でバンドをやってるんだけど、その日はライブハウスでライブをやって、 知り合いの企画ライブだったから打ち上げにも出て、帰りは早朝だった。 始発の次くらいの電車に乗ったの。 利用者は多いけど古い駅で、上りと下りが同じホームに止まるタイプの駅。 俺とベースは同じ方面だから、一緒に下りに乗った。 調度上りもくるみたいで、標識がくるくる回って「電車がきます」に変わってた。 その時、ドア際の女の子が友達らしい女の子の腕を持ちながら(年は若い。たぶん向こうも大学生かな) 「ほんとに大丈夫?送るー?」って聞いてたのを聞いた。ベースはうとうとして乗車側と反対のドアに持たれ掛かってた。 聞かれた子は「大丈夫ー…近いからー…楽しかったねぇ〜、またねーっ…」って、 たぶんだいぶ酔っ払ってたんだろうけど、かなりふらつきながら電車を降りてった。 ドアはすぐしまった。 関係ないけどベースが頭をドアにぶつける音がゴンゴンうるさかった。 で俺はなんとなく降りた子を見てた。 そしたらその子は…服装まではっきり覚えてるんだけど、とにかくブーツを履いてた。 その子がふらっふらしながらホームを歩いてる。送った子は元元自分が座った席に戻った。 俺の乗ってる電車はゆっくりごとん、って音を立てて動き出してた。
1099 :名無しさん :2010/10/28(木) 02:13:45 ID:sMFCCJsw0 わかると思うけど、その子はもう階段を通り過ぎて、まだ真っ直ぐに進んでた。 最初は「大丈夫かな?」と思ってた程度なんだけど、 女の子は心配通り、ふらついて前のめりに進んでく。 もう心臓が張り裂けそうになって、みんな伏し目がちな電車で乗車側のしまったドアまで駆け寄って、 「待って、駄目!駄目だ!嘘!誰か!」みたいなことを叫んでしまった。 落ちちゃう。待って。そっちじゃない。電車が来てる!何で誰も気付かない? 誰か支えてやれよ! このときは俺の声に気付いてベース(いい忘れてたけど女)が拠ってきて、「なに?だいじょうぶ?…あっ…!」みたいな感じだった。 女の子は行列の間を縫って進んでホームから落ちた。ふってね。ほんとにあっけなく、あると思ってた足場がなかった、っていう感じで。 脇にいた電車まちの人が何人か駆け寄った。向かいから電車が走ってくる。もう二つの車体は平行くらい。 のっている電車は段々速度を上げて進んで、ホームからはみ出るくらいまできた 次の瞬間。 ギギャー!みたいな凄い音がドアの向こうから聞こえて、反対側の電車が速度を下げてった。 「キキーッ!!!!」 自分の乗ってる電車の急停車の音。 ピローン、ぴローンみたいな電子音。 俺の行動もあったのか、車両の人はほとんど立ち上がって、ホームの方を覗き込んでる。 「えーっ…只今…只今緊急停車スイッチが押されましたのでしばらくお待ちください…」 車掌の声。 この時には見送った子も起き上がってて、 でも端の席の後ろには窓がないから見えなかったのか? 凄い蒼い顔で窓から向こうを見ようとしてる。
1100 :名無しさん :2010/10/28(木) 02:14:34 ID:sMFCCJsw0 座ってた子が「嘘?嘘?●●?違うよね?え?違いますよね?私の友達ですか?」 って錯乱気味に俺の手をもって聞いてきた。 でも気のきいたことを言うには、俺もかなりショックを受けてた。嫌な汗がだらだら垂れてきてさ。もう鳥肌が全身に立ってて。 俺は気付いてたのに、何も出来なかった。 凄い無力感だけがあってさ。「え…わかんないですけど、俺も…誰か今落ちた… ベースも凄い顔して、俺の事を見てて、「ぶつかってないですよね?気付いてましたよね?」とか聞いてくる。 「違うっていってよ!!」とかいいながら、電話を掛けてる。 俺も固まったみたいになってたんだけど、しばらくしたら、 「…お待たせいたしました、発車致します。」 っていって電車は動いた。 俺は思った。良かった!こんなにすぐ動くなら大ジョブだったんだ!そういえば向こうも停車寸前だったしな、と思った。 ベースとその子と、「大丈夫ですよ、うん」って言いあってた。 怖いことにさ、他の客もやれやれみたいな感じで席に戻った。 朝だから電車は各駅で止まって、次の駅で女の子は泣きながら走って降りてった。 俺たちはそのいくつか先で乗り換える為に降りた。 でもね、なんかわかっちゃうよね、そういうの。 駅についたら大きく書いてあったよ。 「○●線 停止中 ●●駅で●時頃人身事故発生の為、再開のめどは今のところたっておりません。他社線に振り替え輸送を依頼しております。」 すごい瞬間をみちゃったな、と思ってそのあと駅で吐いた。 それ以来駅では人の動きを気にしちゃってしょうがない。 皆さんも沢山飲むのはいいけど、油断しないで帰ってね。ほんとに。お願いします。駄文長文スレ違いほんとにごめんなさい。誰かに話し
1101 :名無しさん :2010/10/28(木) 16:20:42 ID:3OeqRSeQ0 電車止めちゃったらその後にくる賠償請求が一番怖い罠
1102 :名無しさん :2010/11/17(水) 20:49:37 ID:EWMdC5yI0 うーん、最近話しの投下自体無くなったなあ・・・・ 本スレが嫌ならここに投下してくれよ
1103 :R ◆RRRRaNp7JY :2010/11/30(火) 22:13:01 ID:VAAZPboc0 丁度2年前の今の時期だ。 放課後。授業が終わって帰宅する生徒や部活に行く生徒を尻目に俺は仲の良いやんちゃグループの面々とストーブの前で屯っていた そのうち騒がしかった教室も静かになって、気が付くと自分達を除いて数人の生徒しか残っていなかった。 俺は毎日のように放課後こうして残っていたので、その数人の生徒の顔はよく覚えている、だからこその違和感だった。 窓側の後ろから二番目の席、普段は授業が終わったら足早に帰宅するような真面目な生徒…そんな男が珍しくも未だ椅子に腰かけていたのだ。 この男、ここではRとしておく。Rは椅子に座ったままジッと窓の外を見つめていた。 何か面白いものでもあるのだろうか?と自分も同じ方向を見たが大して変わったものは見当たらなかった。 精々遠くの公園で老人達が集まってゲートボールをしているのが見えるくらいだ。 「寒ぃーしコーヒーでも買いに行かね?」 誰かがそう言ったらしく、他の奴等もそれに賛成して一階にある自販機まで行くことになった。 俺はストーブから離れるのが嫌だったので適当に金だけ渡して教室に残ることにした(今考えると嫌な奴だ) 連中が居なくなったことで一層静かになった教室の端、俺はなんとなく未だ窓の外を見つめるRの様子を見ていた。 入学式からかなり経つが俺はRと話したことが無かった。Rはどちらかと言うと大人しい印象で、自分からは目立とうとしない男だった 目立ちたがり屋で大人しくもない自分とは合わないタイプだと勝手に決めつけて今の今まで交流を避けてきたのだ。 「な、R君、さっきから何見てるわけ?」 俺は内心緊張しながら話しかけた。傍から見れば茶髪のチャラ男がヘラヘラと絡んでいるようにしか見えなかっただろうが。 Rは首だけをこちらに向けたが数秒置いてまた窓の方に顔を背けてしまった。 シカトすんじゃねーよ、と言おうと口を開けた時、「……公園」と蚊のなくようなRの声が聞こえた。 「公園?ああ、なんかゲードボールやってるよね。こんな寒い日にマジで元気だよなアイツらw」 「いやぁ、違う。」 今度はハッキリした声。だが、違うと言われても何が違うのか分からない。 「あ、何?ゲードボール見てたんじゃないの?」 「よく見てみろよ、雨が降ってるんだぞ」 「あぁ?」 思わず俺は窓を開けて身を乗り出した。手先に水の感触…確かに雨が降っている。それもかなり激しい。 「マジだー…」と呟く俺にRは「知らなかったのか」と呆れたように言った。 「いや〜、普段はコンタクトしてるんだけど、今日は朝寝坊して付けてくるの忘れたんだよね…」 だから全然気付かなかったwと照れ笑いする俺にRはふーんと興味なさ気に呟くとポケットから携帯を取り出して操作し始めた。
1104 :R ◆RRRRaNp7JY :2010/11/30(火) 22:16:40 ID:VAAZPboc0 「変だとは思わないのか?」 そう言うとRは徐に腰を上げて開け放ったままの窓の前に立った。 俺はその言葉の意味が分からず苦笑した。「なにが変なんだよ」そう言おうとした時だ カシャッ Rがシャッターを切った。「最近の携帯はズームしても綺麗に撮れる」なんて嬉しそうに笑いながら。 そしてこうも言った 「こんな酷い雨に気付かないほど視力悪いのに、遠くにいる"アイツら"は見えるんだ?」 何を撮った?なんて聞かなかった、いや聞けなかった。Rの言う通り、何かがおかしいことに気付いてしまったからだ。 もしかして、自分達はなにか見てはいけないものを見てしまったのでは…? そんな考えが頭をよぎると背中から頭にかけてゾゾッと悪寒が走った。 「ねぇ君、まだアイツらが見えるか?俺には見える。…ハハ、ボールもないのに何が楽しいんだろう」 フハハと笑うRに俺も思わず公園を見た。しかし、 「…な、…」 何も見えなかった。老人どころか公園がある場所さえ霞んで見えない。当たり前だ、コンタクトをしていないのだから。 ザーザーと雨の音がやけに大きく聞こえた。 あまりの事に呆然と突っ立っていると、いつの間にか背後に移動したRが「写真。」と携帯画面を見せてきた。 そして次の瞬間、俺は今まで生きてきた中で一番情けない悲鳴を上げることになる Rの携帯画面いっぱいに、無表情の老人達が一斉にこちらを見上げている画像が映し出されていた。 俺の記憶が正しければその老人達は全員薄着で妙に目が大きいというか、黒目の部分が多かったと思う。 「うぁぁ〜…」 変な声を出して座り込む俺を見てRはニヤニヤと笑ったかと思うと、ステップでも踏みそうなくらい上機嫌に教室から出て行った 直後、入れ替わるように教室に入ってきた友人達に顔色が悪いと心配されたが、たった今起こった非日常に酷く動揺していた俺は、 せっかく買ってきて貰ったコーヒーも受け取らずそのまま教室を飛び出した。 あれは何だったんだといくら考えても答えなど出るはずがなく、その日は家に帰ってすぐに布団に潜り込んだ。 そういえば、と思う。Rはよく携帯で建物や景色を撮っていた。 写真ブログが流行った頃だったのでRもそうなんだろうとあまり気に止めていなかったが… あれはもしかして……。 この日を境にRへの印象は大人しく目立たない男から「ヤバい奴」に変わった 心の中で「もうRには関わらない」と何度も誓った俺だったが、どういうわけか現在も彼との交流は続いている。 というのもその後、Rに頼らざるを得ないような状況が続いたからなのだが…これはまた別の話だ。
1105 :名無しさん :2010/11/30(火) 22:28:52 ID:TwS1ra9A0 なんで途中「ゲードボール」になってるんだろう
1106 :名無しさん :2010/12/02(木) 02:20:53 ID:byhTzTWQ0 規制されてるしここに書くよ。 俺は廃墟が大好きで、暇を見つけては探索しに行くんだ。 連休で廃墟に泊まってみようということで、キャンプ用品とか酒とか用意して廃病院まで行った。 着いたのは昼の三時くらいで、陽もまだ高かった。暫く病院を散策していると子供の笑い声と共に、何かを壊すような音が聴こえた。 近所の悪餓鬼共が廃墟であるのをいいことに暴れ回っていると俺は判断した。廃墟が壊れるのは時の経過による風化だけではなく、子供やチンピラが暴れることにも起因するんだなと俺はしみじみと思った。 俺は餓鬼共の騒ぎ声から遠ざかって、病室の一つに入ると酒盛りを始めた。陽が落ちた頃には餓鬼共も帰って、俺はランタン片手に廃墟をくまなく歩き回った。 数時間歩いて腹が減った俺は先程の病室に帰って、コンビニの握り飯を食べて、焼酎をかっくらって、酔いで眠くなって寝袋で寝た。 夜も更けた頃、俺は寒さに目を覚ました。酔いもすっかり醒めていて、体も冷えきっていた。催してしまった俺は病院から出て用を足した。 病院に戻る途中、笑い声が聴こえた。子供の声だ。同時に何かを壊す音が鳴り響く。昼間聴いたのと同じ音だ。寒いのに嫌な汗をかいた俺は急いで病室に帰った。 笑い声と破壊音は絶え間なく響き、それは俺のいる病室に近づいてくるような気がした。荷物を纏めた俺は眠気もすっかり覚めて、息を潜めながら音を耳で追っていた。やがて隣の病室でけたたましい音が鳴り始めた。 子供達の狂ったような笑い声は絶叫に変わっていた。普通の人間ならすぐに喉が潰れてしまいそうな、拷問でも受けているかのようなそのおぞましい叫び声に俺は震えた。 コンクリートの壁に何かが打ちつけられる度、振動が伝わってきた。逃げ出すタイミングを計っていた俺も余裕がなくなって、ランタンだけ持って脇目も振らず駆け出した。 病院から少し離れた所で俺は一度振り返った。病室の窓から俺の荷物らしき物が放り出されているのが見えた。一切の明かりも見えなかったが、あの病室に何かが来たのは確かだ。 以後、夜の廃墟には近寄らなくなった。
1107 :名無しさん :2010/12/04(土) 02:48:24 ID:VOzzp.hI0 http://image.blog.livedoor.jp/snakech/imgs/a/a/aa0c3f6c.jpg
1108 :天 :2010/12/21(火) 22:12:11 ID:M8WoueBA0 けて
1109 :名無しさん :2010/12/29(水) 05:03:59 ID:M6ytWB2U0 マサさんはまだか
1110 :ボム山 :2011/01/03(月) 17:35:43 ID:.Q85mvMoO すいません、本スレに書き込めないのでここに投稿させてもらいます。 一ヶ月程前の話です。 バイトが休みだったので平日の昼間から自室で眠りこけていたら、金縛りにあいました。 僕は一年に一回金縛りに会うか会わないか系の人間なので、 (やべぇ!怖ぇ!) と恐怖を感じていました。 その数十秒後、今度は背後の扉から僕の名前を呼ぶ声が聞こえました。 女の人の声です。 そういえばそろそろ妹が学校から帰ってくる時間のはず。 (やった!助かった!) と安堵したその瞬間、僕はとんでもないことに気が付きました。 パソコンのディスプレイに表示されている萌えエロアニメの存在に。 あれを見られたら絶対軽蔑され、兄としての威厳が失墜すると確信した僕は、普段ではありえないほど気合いを入れて無理矢理金縛りを解きました。 そしてジャンプで布団から飛び起き、パソコンとの間に入るようにして立ち 「おー!お帰りー!」 と言いましたが、 そこには誰もいませんでした。 玄関に行って確認してみましたが、誰も帰ってきている様子はありませんでした。 正直怖いというよりも、深夜アニメを見られなくて本当によかったとホッとしました。 ショボイ話ですいません。
1111 :ボム山 :2011/01/03(月) 23:00:22 ID:.Q85mvMoO すいません、もう一つ投稿させてもらいます。 僕が小学四年生の頃の話です。 当時僕の村では忘年会行事があり、年末になると村の人間総出でホテルに泊まりに行ってました。 (十世帯程しかない小さな集落なんで) その年は海沿いにある小さなホテルに泊まることになりました。 夜、大宴会場で食事を終えた僕はバカ騒ぎしている大人を尻目に、まだ五歳の妹の手を取り部屋に戻ろうとしました。 そして来た道をまっすぐ引き返したのですが、僕がバカなのか、それともフロア全体に響くカラオケ声が僕の三半規管に作用したのか、まったく知らないところに出てしまいました。 従業員通路のように簡素な廊下。 そして目の前にはエレベーター。 これは乗るしかないだろ。 そう思った僕は、妹の手を引っ張って乗り込みました。 そして目的の階に到着し扉が開いた瞬間、僕は自分の目を疑いました。 すいません続きます。
1112 :ボム山 :2011/01/03(月) 23:04:46 ID:.Q85mvMoO すいません続きです。 そして目的の階に到着し扉が開いた瞬間、僕は自分の目を疑いました。 そこには、ただ闇が広がるばかり。 明かりの一つも無い空間があったのです。 (な、なんだこりゃあ・・・) とガクガク震えながら一寸呆然としていましたが、 しばらくして目が馴れると、それが明かりの消えたホテルの廊下だと分かりました。 月明かりにうっすら照らされた廊下を眺めると、その状況の異常さに背筋がゾっとしました。 作りからして客室のあるホテルの階なのですが、通路には机や座椅子などが山ほど積まれていました。 それこそ人の通れる隙間が無いくらい、端から端までビッシリと。 そしてなにより不気味に思ったのが、その家具の隙間からこちらをジっと見つめる少年の存在でした。 おそらく僕と同じぐらいの歳の少年は、まばたきもせずにこちらを見つめているのです。 状況から考えるにどう見てもホラーなのですが、当時の僕はまったく彼を疑わず、あろうことか迷子仲間と認識し (あの、乗ります?) というようなテンションで会釈しました。 しかしまったく反応を示さない少年に痺れを切らした僕は、彼の手を取ろうとフロアに足を踏み出そうとしました。 しかしその瞬間、先程まで後ろで押し黙っていた妹がすごい力で僕の服を引っ張ったのです。 その時初めて僕は (あ、これなんかヤバイかも・・・) と思い、ばつが悪そうな顔で (すいません、僕たち先に行きますんで・・・) と少年に会釈してエレベーターの閉ボタンを押しました。 帰りはすんなり部屋まで戻れました。 今考えると、あそこはたぶんホテルの旧館なのではないかなぁと思います。 最近妹にこの出来事を覚えているか聞いてみたところ、まったく知らないとの答えが返ってきました。 あんまり怖くなくてすいません。 終わりです。
1113 :ボム山 :2011/01/04(火) 17:52:04 ID:soKJCciwO すいません、また投稿させてもらいます。 僕が中学二年生の夏休みの時の話です。 午前中に部活を終えた僕が家に帰ると、妹が深刻そうな様子で 「倉の二階から変な音するから調べてほしい」 と言ってきました。 僕の住んでいる村はかやぶき屋根が現存していたり、牧ストーブが当たり前だったり、ネット回線がダイヤルアップだったり、村全体の外観が忍びの隠れ里のようだったりと、かなりアレな地域なので大きい倉も多数点在していました。 妹の話を聞くと、昨晩からガタガタ音がしたり人の歩く音が聞こえるそうです。 しかし僕にはまったく聞こえませんでした。 妹の気のせいかと思いましたが、それにしても足音というのは変です。 そういえば。 と僕は思い出しました。 その頃村では野良猫が住み着き、家に入っては荒らしたり仏壇の物を食い散らかしたりとやりたい放題でした。 きっとそのバカ猫に違いないと思った僕は、妹と一緒に見に行くことにしました。 重い扉を開け倉に入ると、埃っぽい臭いと機械油の臭いが充満していて、なんともいえない嫌な気分になります。 とりあえず一階から探そうと考えた僕は、妹を入口に待たせて奥へと進みました。 農器具の間を沿うように探しましたが、特に異常は見受けられません。 次に僕は、問題の二階に上がりました。 階段を登る途中、後ろから「気をつけてね」と妹の声が聞こえました。」 すいません続きます。
1114 :ボム山 :2011/01/04(火) 17:55:30 ID:soKJCciwO すいません続きです。 僕は幼い頃から父に「倉の二階には絶対上がるな」と言われていたので入るのは初めてだったんですが、 中は相当古いであろう家具やよく分からない物で溢れていました。 近くにあったタンスに手を置くと、尋常じゃないホコリが手に付きます。 (うわっなんだよこれ気持ち悪いなぁ・・・。変な虫とかいねーよな) そんなことを思いながら慎重に足を運ぶと、おかしなことに気付きました。 床にホコリが無いのです。 端の方にはそれなりに積もっていますが、人が移動するスペースにはまったくホコリがありませんでした。 まるで、ついさっきまでここを誰かが歩いていたかのような、そんな風に。 気味が悪くなり引き返そうかと思いましたが、好奇心というか、原因を突き止めたいという欲求に駆られ二階の探索を始めました。 あらかた探し終え、残るは足跡が続く先の引き戸だけです。 二階に上がった時から嫌な予感はしていたのですが、戸の前に立つとそれは確信に変わりました。 ここには絶対ヤバイのがあると。 引き戸に手をかけると、下腹部が重くなるような、後頭部がチリチリとするような感覚に襲われました。 (開けちゃダメだ!開けちゃダメだ!) とシンジ君の逃げちゃダメだ並に心の中で連呼しましたが、覚悟を決めて一気に引きました。 中には、甲冑と日本刀のような物が立て掛けられていました。 (なんだよ日本刀とかガチじゃねーかよ・・・) と絶句しつつも、それをまじまじ観察しました。 甲冑も日本刀も、原型を留めているのがやっとなくらいボロボロだったと記憶しています。 刀の刀身を見たいと思った僕は、腫れ物を触るかのような手つきで柄を持ち、引っ張ります。 ギギ・・・と引っ掛かるような感触の後、刀身が見えました。 赤茶色のものがこびりついています。 おそらく錆びだと思いますが、その時の僕にはどうしても血のように思えてしょうがありませんでした。 そしてそろそろ絶望的に気分が悪くなってきたので、刀を放り投げるように置いて退散しました。 一階に戻ると、妹が心配そうな様子で「どうだった?」と聞いてきました。 正直に言おうか迷いましたが、余計な心配をさせるのもなんだなと思い、「窓が少し空いてたから風でも入ったんだろ」とか適当に言ってごまかしました。 すいません、もう少し続きます。
1115 :ボム山 :2011/01/04(火) 17:58:31 ID:soKJCciwO 最後です。 倉に入った次の日。 図書館から神道の本を借りて、見よう見真似で自作したお札(筆ペンでそれっぽく)を持ってあの引き戸に貼付けました。 数日後、妹に 「まだ倉から変な音聞こえる?」 と聞いたところ、もう聞こえないと返事が返ってきました。 (アレが効いたの・・・?嘘だろ・・・?) と驚きましたが、まぁ収まったのならそれでいいか。と納得しました。 高校生の時、父に倉にあったブツの件をそれとなく聞きました。 怒られるのを覚悟で聞いたのですが、全然怒った様子はなく 「あぁ、あれな。俺が子供の時からあったな。なんなんだろうな」 と言ってました。 「○○(僕の名字)って元々関西の方にしかない名字だし、県内じゃこの村にしかないもんな。大方あの刀で人殺しでもやって、ここまで逃げてきたのかもw」 と笑っていました。 僕は正直笑えませんでした。 すいません終わりです。
1116 :ボム山 :2011/01/05(水) 17:34:20 ID:aRyEzzWQO すいません、暇なんでまた投稿させてもらいます。 去年バイト先のコンビニ社員さんから聞いた話です。 社員の舘岡さん(仮名)は仙台出身の人なんですが、無類のオカルト好きで、 大学生の頃によく友人と一緒に心霊スポット巡りをしていたそうです。 その日も友人の洋介さん、ガチムチ先輩と一緒に近場の廃寺に行くことにしていました。 舘岡さんも洋介さんも霊感はありませんが、ガチムチ先輩はかなり霊感があるそうで これまでにも何度かそういう体験をしていたそうです。 今回行く廃寺は地元でもかなり有名な心霊スポットらしく、ガチで出ると評判のところ。 夜、ガチムチ先輩の車に乗り三人で現場に向かいました。 廃寺は山のふもとにあり、石段を上った先にあります。 先輩は石段の手前で車を止め、そこからは歩いて行くことになりました。 「うわ怖っ。雰囲気あるわ」 「お前ビビってんのかよw」 「いや普通ビビるだろw怨霊地図にも紹介されてっからw」 「先輩、出たら頼みますよ」 「まかせとけ。お前ら置いて逃げっから」 「ちょw」 そんな会話をしながら石段を上りました。 ガチムチ先輩の持つ電灯の明かりを頼りに石段を上り切ると、目的地の廃寺が見えてきました。 もう何十年も手入れされていないだろう雑木林に囲まれ、寺は不気味に佇んでいます。 「意外と大きいな」 「そっすね」 「俺の地元にある寺の方が大きいですよ」 「いや聞いてねーから。お前の地元の寺とか」 「サーセンw」 しばらくバカ話した後、ガチムチ先輩を先頭に中に入りました。 地元の不良連中の溜まり場なのか、所々にスプレーで落書きなどがされていてかなり荒らされています。 今にも抜けそうな床には、ゴミが大量に散乱していました。 「おい、こっちにエロ本あったぞw」 「マジかよ!w心霊スポットで何やってんだよ!w」 舘岡さんは洋介さんと一緒にしばらく散策して遊んでいましたが、しばらくして先輩の声が聞こえないのに気付きました。 おかしいな、さっきまでそこにいたのに。 と辺りを見渡しながら歩くと、先輩は少し通路を進んだところに立っていました。 「先輩?」 舘岡さんが先輩の背中に向かって声を掛けますが、反応がありません。 「どうしたんですか先輩」 前に回り込んで声を掛けた瞬間、舘岡さんはギョッとしました。 先輩は声も出さずに泣いているのです。 しかもその涙の量が尋常じゃありません。お前は昔のマンガかとツッコミたくなるような量の涙だったそうです。 普段は強面で涙なんか絶対に見せない先輩だったので、舘岡さんは驚きました。 「なんで泣いてるんですか?なんかあったんですか?」 先輩の肩を掴んで揺さぶると、生気が抜けたような表情でボソボソと呟きました。 「舘岡、あれ見えるか?正面にある、あれ・・・」 「なんですか正面のあれって。なんも見えないですよ」 「あれだよ、あれ見てると・・・涙が止まらないんだ・・・。お前はあれ、見えないのか・・・?」 舘岡さんは今までとは明らかに違う先輩の反応を見てヤバイと思い、 先輩を後ろから抱きかかえるようにして入り口へと引っ張りました。 「おいどうしたんだよ」 洋介さんが入り口の方から走ってきます。 「お前も手伝え!ここヤバイから出るぞ!」 舘岡さんの必死の形相を見てことの重大さを理解したのか、洋介さんも一緒に先輩を引っ張りました。 先輩は寺から出ると正気に戻ったのか、それでもまだフラフラとした足取りで歩き始めました。 嫌な空気が流れ、三人とも無言で車を目指し石段を降り始めます。 石段の中腹まで来たところで、舘岡さんは何かに足を撫でられるような奇妙な気配に襲われたそうです。 全身に鳥肌が立ち、背筋がゾクゾクしました。 ふと横を見ると、洋介さんも同じように感じたのか、驚いた表情でこちらを見ています。 先輩もこちらを見ていました。 「・・・・今の感じた?」 「なんか、足元にいたよな・・・」 「・・・・・・・早く降りよう」 そんな会話をかわした後、また無言で石段を降り始めました。 なんとか車までたどり着き、今の先輩に運転させるのは危険だと判断した舘岡さんは 自分で車を運転して街へ戻りました。 すいません続きます。
1117 :ボム山 :2011/01/05(水) 17:43:05 ID:aRyEzzWQO すいません続きです。 一週間後。 舘岡さんは大学構内でガチムチ先輩と会いました。 先輩とはあの夜別れて以降、なんとなく気まずくなったので連絡を取っていなかったのですが、 もういつも通りピンピンしている先輩を見て安心しました。 「先輩もう正気に戻ったんですか?」 「なんだよ正気ってw俺がいつ混乱したんだよw」 「だって寺に行った時ヤバかったじゃないすか。大泣きして」 「おまw泣いてねーよ!w」 しばらく二人であの夜のことを話した後、先輩はふっと真面目なトーンでこう言いました。 「そういえばお前、洋介とあれ以降会った?」 「洋介?あぁー、そういえば最近会ってないですね」 「なんかずっと休んでるみたいなんだよ」 「へぇー、あいつ休むなんて珍しいですね」 「だろ?携帯にも出ねーんだよ」 洋介さんは健康優良児で、これまで大学を休んだことはほとんどありませんでした。 講義も真面目に出席していたので、一日二日ならまだしもこんなに長い間サボるのなんて考えにくい話です。 少し心配になった二人は、その日の夕方、一緒に洋介さんのアパートに行くことにしました。 古い木造アパートの扉をノックしますが返事がありません。 舘岡さんの携帯からも電話を掛けましたが、留守番メッセージが流れるだけ。 イライラした様子で先輩が扉を蹴り、 「おいコラ洋介!いるのはわかってんだよ出てこいやボケェ!」 とヤクザ顔負けの迫力で叫びました。 数秒後、薄い扉の向こうから声がしました。 「・・・先輩?あ、すいません。今カギ開けますね」 洋介さんの声を聞いて安心しましたが、それと同時に少し腹が立ちました。 携帯の電源も切って一週間アパートに籠るなんて、心配してくれと言っているようなもんじゃないか。と。 「紛らわしいんだよコイツ」 先輩もイライラした様子で言いました。 少し間があった後、カチャンというカギの音がして洋介さんが扉から顔を覗かせました。 久しぶりに会った洋介さんは、かなり憔悴しているようです。 「お前なんで電話出ないんだよ。ってかなんだよその顔、メシ食ってんのか?」 「なんか見た目ヤバいよお前。ちょ、マジで大丈夫?」 二人が心配すると、洋介さんは 「まぁとりあえず、中に入って」 と二人を部屋に招き入れました。 先輩の後に続き舘岡さんが入り、後ろ手に扉を閉めたその時。 全身に嫌な気配がまとわりつくのを感じました。 じっとりと濡れた何かが身体に張り付くような、そんな気配です。 「いやぁ最近体調悪くて・・・」 テーブルの前に座った洋介さんが言いました。 「なんか体が重いっていうか、ダルくて。あんまメシ食う気もしないんですよね」 洋介さんは今まで見たことないくらい憔悴していました。 「お前なんで携帯の電源切ってんだよ」 「なんとなく」 「なんだよそれ。あれから連絡付かないからすげー心配しただろ」 「わりぃわりぃw」 見た目ほど弱っていないと思い舘岡さんが安心したその時。 部屋に入ってから一言も言葉を発していなかった先輩が、部屋の隅に顔を向けてこう言いました。 「ところで、あれどこから拾ってきた・・・?」 視線の先に目をやると、そこには黒いスリッパがポツンと置かれていました。 そしてそれは、館山さんが意図的に見ないようにしていた物でした。 この部屋に充満している嫌な気配は、あきらかにあのスリッパから漂っていたそうです。 「あー、あれですか?前に行ったあの廃寺から持ってきたんですよ」 「はあ!?お前なんでそういうの持って来てんだよ!」 「だって戦利品みたいなの欲しいじゃん?せっかく行ったんだから」 「バカ!今すぐ捨ててこい!あれ絶対ヤバイって!」 「あぁ、あれはマズイな。悪いこと言わないから今すぐ捨ててこい」 二人で説得すると、洋介さんが渋々納得したそうです。 「わかった。今日の夜ゴミと一緒に出すよ」という洋介さんの言葉を信じた二人は、 それを信じてアパートから出ました。 すいません続きます。
1118 :ボム山 :2011/01/05(水) 17:50:56 ID:aRyEzzWQO すいません続きです。 次の日。 あのスリッパの行方が気になった二人は、昨日と同じようにまた洋介さんのアパートに向かいました。 部屋のドアノブを握るとカギが掛けられていないらしく、すんなりと開きます。 そして部屋に足を踏み入れた時、またあの感覚に全身を襲われました。 「あのバカ・・・・」 先輩が吐き捨てるようにそう言うと、部屋の中にズカズカと踏み込んでいきます。 そして敷布団に寝転がっていた洋介さんの胸倉を掴み、こう叫びました。 「お前あれほど言ったろ!!なんで捨てないんだ!!」 先輩の後に続いて部屋に入ると、隅にまたあのスリッパが置かれています。 洋介さんは先輩に掴まれたまま消え入りそうな声で呟きました。 「捨てました・・・昨日の夜ちゃんと捨てました・・・・。けど、起きたら部屋にあったんです・・・・」 チッ。っと舌打ちをして先輩が手を離しました。 「わかった、あれは俺が処分する」 先輩がそう言うと、洋介さんは顔を床に伏せたまま「・・・お願いします」と言いました。 そして舘岡さんと先輩は部屋を出た後、一緒にゴミ捨て場に行きスリッパを投げ捨てました。 さらに次の日。 洋介さんはまた大学を休みました。 電話にも出ません。 あれから洋介さんの容体がどうなったのか気になった二人がアパートに向かうと、 その日はカギが掛けられていて中に入れませんでした。 二人でいくら呼んでも返事がないので、大家さんに事情を説明して合鍵を貸してもらいました。 そして先輩が鍵を開けて扉を開いた瞬間。 またあの感覚です。 昨日よりさらに濃度を増したような、強烈な気配を感じました。 まるで何十、何百という視線が身体を突き刺すような感覚だったそうです。 前にいる先輩の肩がガクガクと震えていました。 これ以上耐えられないと判断した二人は、扉を閉めてそこから逃げ帰りました。 それから洋介さんとは完全に連絡が付かなくなり、消息が不明になったそうです。 コンビニの事務所でこの話を終えた舘岡さんは、ふぅと溜息をつきました。 いやぁー実際こんな体験する人も居るもんだなぁ。と思いながら、僕は一つ気になっていることを聞きました。 「廃寺に行った時、そのガチムチ先輩はなにを見たんでですか?あれ見えるか?ってやつ」 そう尋ねると、舘岡さんが苦笑いしながら 「・・・生首だって。通路の向こう側から無数の生首が無表情でこっちを見てたんだってさ。洋介の部屋にいたやつと同じだって言ってたよ」 そう呟きました。 すいません終わりです。
1119 :名無しさん :2011/01/05(水) 21:35:08 ID:Kjd7v7fs0 乙! 話が投下されるのは久しぶりだな
1120 :名無しさん :2011/01/06(木) 01:08:02 ID:JD1Q.Lwg0 おつ! 最後の話がよかったです
1121 :ボム山 :2011/01/06(木) 09:51:19 ID:firY8qmcO おぉ、レスありがとうございます。 携帯だとオカ板(2ちゃんねる全体?)が規制されてるみたいなんですよね。 なので時間あったらまたここに投稿させてもらいます。 連投してすいませんでした。
1122 :ボム山 :2011/01/07(金) 21:37:52 ID:ypFffkQEO すいません、投稿させてもらいます。 僕の妹から聞いた話です。 去年の春頃。 妹が休日に家でダラダラしていたら、穀潰しでフリーターの兄(僕)が昼頃急に 「俺ちょっと山に行ってくっから!」 と言って山に出かけたそうです。 また変なことに興味もったんだろうなぁ程度に思っていたら、夕方帰ってきました。 後ろに変な女を連れて。 その女は異常に身長が高く、人間をタテに無理矢理伸ばしたようなうすっぺらい形をしていたそうです。 そして顔ですが、何故かモザイクが掛かったようにしっかり見えなかったと言います。 そんな女連れの兄を見て妹は (あぁ、憑かれてるなぁ・・・) と思いましたが、見えたところでどうすることも出来ないので見えないふりをしたそうです。 それからは家でも女を目撃するようになりました。 居間にいる時、廊下を歩いている時など、視界の端にいるのが分かったと言います。 そんなある日のこと。 夜中、便所に起きた妹が気になって僕の部屋に行ってみました。 引き戸をスッと開けて部屋を覗き見したら、あの女がいました。 寝ている僕に覆いかぶさって、顔と顔が付くぐらいの至近距離で僕を凝視していたそうです。 それを見て初めてヤバイと思った妹は、僕の部屋にこっそり塩と自分用のお守りを仕込んだと言います。 それから女の見える頻度が減り、数日後には完全に見えなくなりました。 そういえば一時期、妹からシカトされてたというか、目を合わせてもらえなかった時期がありました。 この話を聞いた時は洒落にならないくらい怖かったんでけど、僕が文章にすると全然怖くないですね。 すいません。 終わりです。
1123 :名無しさん :2011/01/08(土) 04:52:29 ID:l2gbOmzEO 最近猫が死んだ うちの猫は短命で2歳まで生きない 友達とファミレスで話してるうちに、亡くなったうちの父は猫が嫌いだったからかねって話して、家に帰ったのが一時間前なんだけど車を降りてからずっと耳元で「俺じゃない」って聞こえる。 疑ってごめん悪かった だからもうやめて
1124 :名無しさん :2011/01/09(日) 00:57:55 ID:CLCG14nw0 猫嫌いだったらわざわざ死なせたりしない。 犯人は猫好きの誰かだな。自分の手元に置いておきたいんだろう。 もしくはアナタにふりかかる良くない事を猫が被ってるのか…
1125 :ボム山 :2011/01/09(日) 21:01:52 ID:JpaU./bwO すいません、また投稿させてもらいます。 今から三年ほど前、高校を卒業した僕が看板屋で働いていた時の話です。 当時僕は県内にある某大型デパートで、屋上看板の張替え作業をしていました。 足場屋、塗装屋、僕のところの社員総出で作業していたので、結構な大人数だったと記憶しています。 そしてその大型デパートこそ、知る人ぞ知るオカルトスポットだったのです。 中でも特に三階が出るらしく、数多くの噂がありました。 朝になるとマネキンの位置が動いている。 誰もいないのに棚から商品が落ちる。(何度も) やたらと身体が欠損した人を目撃する。 などなど。 僕はオカルト好きなのでもちろんその噂も知っていましたが、 作業現場は屋上だし、そんな真昼間から幽霊なんて出ねぇべ。と割り切って作業していました。 そんなある日のこと、現場責任者がこんなことを言いました。 「今までは四階のトイレを使ってたけど、あそこ食品を取り扱う店舗があるから俺達みたいなのウロウロしたら駄目だって。今度から三階のトイレを使用するように。以上」 まさかの三階使用命令でした。 しかもそのトイレまでの道のりがまた厄介で、人気の無い薄暗い従業員通路を通らなければいけません。 (三階かぁ・・・嫌だなぁ・・・) と思いましたが、まさか幽霊が怖いという理由で命令違反するわけにはいきません。 そんなわけで僕は渋々三階トイレを使用していました。 現場作業を始めてから数日後。 僕がトイレに行くと、個室から塗装工の鼻ピアスさんが出てきました。 そして僕に詰め寄り、こんなことを言うのです。 「今のお前か?」 なんのことだか分からず「はぁ?」と聞き返しました。 「今そこ入ってたらすげーノックっていうか、扉ガンガン叩かれたんだけど。お前じゃねーの?」 「違いますよ」 「じゃあ他に誰か居た?」 「いや、僕以外には誰も居なかったですけど」 「・・・・じゃあ誰が叩いたんだよ」 「・・・・さぁ」 鼻ピアスさんは僕の答えに納得出来ない様子で、小首を傾げながらトイレから出て行きました。 僕は幽霊の噂を知っているので (ヤベェ・・・絶対心霊現象だよ・・・) と思い、速攻で小便を終わらせて現場に逃げ帰りました。 すいません続きます。
1126 :ボム山 :2011/01/09(日) 21:05:11 ID:JpaU./bwO すいません続きです。 次の日。 昼休憩の時に僕はトイレの個室に入りました。 昨日あんなことがあったばかりで正直かなり怖かったんですが、我慢するわけにもいきません。 今まさに目の前の扉がノックされるんじゃないかとガクブルしていましたが、 無事に最後まで用を足すことが出来ました。 (ふっ、ちょろいぜ・・・) ズボンのベルトを締め、個室の鍵に手を伸ばした瞬間。 ギャハハハハハハハハハハ!! ドンドンドンドンドンドンドンドン!! 突然けたたましい笑い声と扉を叩く音が響きました。 壊さんばかりに叩かれる扉の前で僕は驚き、呼吸をするのも忘れて硬直しました。 おそらくそれは一瞬のことだったと思います。 僕が全身にびっしょり汗をかいて我に返った時には、もうすでに辺りはシンと静まり返っていました。 僕の心臓の鼓動だけがうるさく響いています。 それからトイレの個室を抜け出せたのは、三十分も経った後でした。 命からがら逃げ帰ると現場責任者から 「遅いよ君!もうとっくに休憩終わってるから!」 と注意されましたが、僕が軽くパニクりながら 「すいませんっ!で、でも、ト、ト、トイレで・・・!」 と言うと、(お前もか・・・。分かった、もう何も言うな・・・) という顔をされて、結局お咎め無しになりました。 そして僕はそれ以降、このデパートには絶対行かなくなりました。 すいません終わりです。
1127 :ボム山 :2011/01/11(火) 18:52:45 ID:pbFce3ZcO すいません、投稿させてもらいます。 高二の頃の話です。 僕は家で勉強する時、録画していた深夜バラエティをBGM代わりに再生していました。 その日もいつものように勉強していました。 やっと一段落出来そうになり、シャーペンを置いて問題集から顔を上げると、 テレビからは先週録画した深夜バラエティが流れていました。 番組司会者がお題を説明している何気ない場面です。 僕は椅子に座ったままボーっと見ていました。 さて、そろそろ風呂に入って寝るべ。 と立ち上がり、電源を落とそうとした時、奇妙な音声が流れてきました。 「ァァァアアアアアァァ・・・ギャギャギャ」 ビクっとして思わず手を引っ込めました。 (今の音なんだ・・・番組の演出か・・・?) と思いましたが、番組は何事もなく進行しています。 僕は確認のためビデオを巻き戻しして、同じ場面から再生しました。 やっぱり音声は入っています。 野太い声の男が赤ちゃんっぽく笑う、なんとも気味が悪い声です。 もう一度再生しました。 音量を大きくしてスピーカーに耳を近づけて聞くと、あることに気付きました。 男の笑い声だけだと思っていましたが、それに隠れるように別の男の声も入っているのです。 (んん?なんて喋ってんだ・・・?) もう一度再生します。 低い声の男が陰気にボソボソと喋る声が聞こえます。 ほとんど聞き取れなかったんですが、かろうじていくつかの単語が聞こえました。 ・・・をもって・・・から・・・ると・・・ 肝心な部分が聞こえなくてイライラしていたら、次の単語で背筋が凍りました。 その男が、僕の名前を喋ったからです。 ビックリして思わず後ずさりました。 なんで?どうして俺の名前を?っていうかこの男誰? いろんなことが頭を過ぎりました。 そして怖くなった僕はビデオを処分しようと考えましたが、こういうのを不用意に処分すると祟られたりするのが心霊話の常。 色々悩んだ結果、僕はシカトすることにしました。 それから数日後。 夕食を終えた僕が部屋に戻ると、妹が布団の上で漫画を読んでいました。 ゲームの邪魔だ!出ていけオラッ! とケツでも蹴り上げて追い出そうとしましたが、例のビデオの件を思い出しました。 僕の妹は自分では言いませんが、霊感があるタイプの人間です。 あのビデオも心霊絡みならなにか分かるかもと思った僕は、 「おい、ちょっとおもしろいの見せてやるよ」 と言ってビデオを再生しました。 妹は最初、 (なにもうメンドクサイなぁ・・・) というようなオーラを出しながらボーっと見ていましたが、例の音声が流れると真面目な顔になり、画面を凝視し始めました。 「な。気持ちわりぃだろ。これ音大きくすると別の声も聞こえるんだぜ」 僕がそう言って巻き戻しボタンを押そうとした瞬間、それをさえぎるようにして妹が取り出しボタンを押しました。 そしてビデオを取り出すと、窓を開け、そこから思い切り投げ捨てました。 その一連の行動に驚いて声も出せませんでしたが、ビデオがカッシャーンと地面に落ちる音に我に帰り 「お、おまっ!なにやってんだよ!」 と言いました。 すると、妹からその倍のトーンで 「こんなの聞いてると頭おかしくなるよ!」 と怒られました。 そんなに恐ろしい物だったのか・・・ゾゾゾッ と思う前に、普段滅多に怒らない妹から怒られたことに驚き、 「すいませんでした」 と謝りました。 終わり。
1128 :名無しさん :2011/01/12(水) 23:03:32 ID:bxFR7DL20 「すみませんでした」な
1129 :名無しさん :2011/01/16(日) 15:22:46 ID:2cP2a8HoO >>1128 すみませんでした・・・・
1130 :ボム山 :2011/01/16(日) 15:28:12 ID:2cP2a8HoO すみません、また投稿させてもらいます。 僕にはオカルト好きの友人がいました。 仮に名前を佐藤にします。 佐藤は中学時代のクラスメイトで、明るくお調子者な奴でした。 そして僕と同じくオカルト好きで、よく一緒に放課後の教室で心霊話に花を咲かせていました。 そんな彼とは高校で別々になり一緒に遊ぶことは無くなりましたが、毎年お盆の時期になると電話で心霊スポット巡りに誘われていました。 彼曰く、一年で一番幽霊と出会える日だから一緒に行こう!とのこと。 ですが幽霊に積極的な彼のスタンスとは違い、僕はなるべくなら幽霊と出会いたくないタイプの人間なので毎回彼の誘いを断っていました。 二年前の夏。 その年は彼から電話が掛かって来ませんでした。 毎年しつこく誘って来たのにおかしいなぁとは思いましたが、とうとう諦めたと思いこちらからは連絡しませんでした。 その年の秋頃の話です。 僕は高校の友人三人と一緒に市内に遊びに行きました。 帰りの道中、すでに時刻は夜十時を回っています。 車内で無駄話をしながら車を飛ばしていると、一人の友人がこんなことを言いました。 「なぁ、この辺で有名な心霊スポットってどこある?」 唐突な質問です。 「ここらだと・・・・○○と○○かなぁ」 「そこあれだろ、インチキだろ」 「んだ。地元出身の奴らが幽霊なんて出ねーって言ってたや」 「まぁただの肝試しスポットだしね」 「そんなんじゃなくて、もっとガチでヤバイとこ知らねーのかよ」 そう言われると一つだけ心当たりがあります。 山間にある潰れた某旅館です。 あまり有名ではありませんが、地元のオカルトコミュニティの中では危険過ぎると噂されているスポットでした。 そのことを話すと彼らは俄然興奮し、運転していた友人が 「よっしゃー!今から行こうぜ!」 なんてことを言いやがりました。 周りもそれに賛成して「行こう行こう!」と盛り上がっています。 僕としては冗談じゃないので、一人後部座席から 「お前らマジでやめろって!ちょ、洒落になんねーから!話聞けやボォケ!全員ぶっ殺すぞ!」 と喚きましたが車は止まらず、しばらく山道を走り、とうとう目的地の旅館に着いてしまいました。 続きます。
1131 :ボム山 :2011/01/16(日) 15:33:35 ID:2cP2a8HoO すみません続きです。 しばらく山道を走りとうとう目的地の旅館に着いてしまいました。 周辺を森に囲まれてポツンと建っているそれは、かなり不気味な雰囲気が漂っています。 小さい旅館だと想像していましたが実際は結構大きく、小さい体育館ぐらいの大きさはありそうです。 車のエンジンを止めて友人達三人が外に降りました。 「やべーめっちゃ怖いじゃん」 「ォウフwww」 「おい、お前も車降りろよ」 友人達が僕を無理矢理外に連れ出そうとしましたが、僕はそれを断固拒否しました。 「空気を読めない奴と思われても構わない。僕は絶対行かないから」 座席の上に体育座りしながらそう呟くと、友人達は説得を諦め 「あんな奴ほっといて行こう行こう」 と非情な言葉を残して行ってしまいました。 携帯のライトを光らせながら、彼らの背中が闇に消えて行きます。 真夜中の山中とは恐ろしく、本当に自分の手元すら見えない完全な暗闇です。 まるで海上遭難したような錯覚に陥りながら、僕はただ車の中でジッと時間が過ぎるのを待ちました。 (こうなったのも全部あいつらのせいだ・・・・。あんな奴ら、呪い殺されてしまえばいいのに・・・・) そんなことを考えていたら突然、ポケットの中の携帯が鳴りました。 ビックリして取り出すと、液晶画面には中学の同級生、佐藤の名前が表示されています。 (珍しいな・・・・お盆でもないのに・・・・) しかもこんな夜中に何の用だと思い、僕は電話に出ました。 「もしもし」 「 」 「あれ?おーい。もしもーし」 声を掛けますが返事が返って来ません。 まったくの無音状態です。 回線がトラブってると思い電話を切ろうてしたその瞬間 ドン!ガタン!ガタガタガタ!ドンドン! と激しい物音が聞こえました。 何か重い物が落ちるような音です。 そしてその直後、電話は切れてしまいました。 (何なんだよ・・・・) 意味が分からなかったのでこちらからリダイヤルしようとしたその時。 今度は旅館の玄関から友人三人がギャーギャー騒ぎながら出て来ました。 「エンジンかけろ!逃げるぞ!」 「ヤバイヤバイヤバイ!」 「なにやってんだ早く来いって!」 なにかあったんだと思い、僕は後部座席から手を伸ばしてエンジンをかけました。 友人達は車に乗り込むやいなや、慌ててアクセル全開で走り出します。 車中、彼らになにがあったのか聞きましたが話してもらえませんでした。 というか、とても話せる状態じゃありませんでした。 山を下りた先にあるコンビニで車を止めると、やっと彼らがポツリポツリと話し始めました。 要約するとこうです。 三人で屋内を歩いていると、二階から足音がしたと言います。 最初は気のせいだと思いましたが、その音はどんどん大きくなり、仕舞いには沢山の人が歩き回る音になったそうです。 三人が恐怖で動けないでいると、今度は廊下の先にある階段からバタバタバタ!と駆け降りてくる人影が見えて、それからは蜘蛛の子を散らすようにして逃げたそうです。 友人達がそのことを話し終えると、一人がハァとため息をついて言いました。 「やっぱお前の言う通りだよ・・・・あそこヤベェよ・・・・」 続きます。
1132 :ボム山 :2011/01/16(日) 15:37:48 ID:2cP2a8HoO すみません続きです。 さらにその年の年末。 僕は地元に帰省している中学時代の友人と一緒に、居酒屋で酒を飲みました。 しばらくぶりだなぁ。なんて話をしている時、僕はふと佐藤のことを思い出して聞きました。 「そういえばもう二年くらい佐藤と会ってないけど、あいつ元気?」 「え・・・・」 友人のグラスを持つ手がピタリと止まりました。 「お前、知らなかったっけ・・・・?」 「ん?なにが?」 「あいつ、去年の夏から行方不明なんだ・・・・」 「・・・・え?」 信じられない話でした。 まさか佐藤が行方不明だなんて。 「ちょ、それマジかよ!」 「あぁ」 「まだ見つかってねーの?」 「あぁ。捜索届け?っての出してるけど見つかってないって」 「いや、二ヶ月前に俺の携帯にあいつから電話あったぞ!」 友人が驚いて僕を見ましたが、すぐに冷静さを取り戻し手元のグラスに目線を落としました。 「いや、それはないな・・・・。たぶんお前の勘違いだよ」 「なんで!本当に掛かってきたって!」 「ありえねーよ。だってあいつの携帯、とっくに解約されてんだぞ」 嘘だ。と僕は思いました。 じゃああの時の電話はなんだったんだ。 僕はポケットから携帯を取り出し、履歴画面を確認しました。 ですが、なにぶん二ヶ月も前のことなので履歴が消去されています。 僕はどうしても信用出来ず、今度は直接電話を掛けてみました。 (解約されてるわけない。出ろ) しかしその祈りもむなしく、聞こえて来たのは番号は使われていないという無機質な音声でした。 「ほらな。だからお前勘違いだって言ったろ」 「・・・・」 僕は言葉が見つかりませんでした。 ありえない。だってあの時、確かに電話が掛かってきたのに。 勘違いなんかじゃないはず。 そんな僕の様子を見兼たのか、友人がポツリとこんなことを言いました。 「あいつが失踪したのを、祟りのせいだって言ってる奴らも居るんだけどな」 「・・・・祟り?」 「あぁ。ほらあいつ、よく心霊スポットに行ってたろ」 「うん。でも、それだけで祟りだなんて・・・・」 僕がそう言うと、友人は少し間を空けてこう言いました。 「あいつ、心霊スポットに行って来るって言い残して行方不明になったんだ。お前も場所知ってると思うよ。○○旅館ってとこなんだけど」 僕の心臓がドクンと跳ね上がりました。 佐藤が最後に行方不明になった場所こそ、あの日僕達が行った旅館だったのです。 そして、佐藤から電話が掛かって来た場所でもあります。 まさか。こんな偶然がありえるのだろうか。 僕はこの事実に驚愕し、友人に話しました。 友人も驚いていました。 「お前が佐藤から電話がきたって言った時、イタズラだと思ったんだよ」 「イタズラ?」 「うん。誰かがお前の携帯に登録してる別の奴を、佐藤の名前に上書きして」 「・・・・あ、あぁーなるほど!」 「でもその電話、イタズラなんかじゃなくて、本当に佐藤から掛かって来たのかもな」 「なんで?」 「いやだって、ほら。あんな山の中で携帯の電波入るわけねーじゃん」 佐藤は今でも行方不明扱いになっています。 もしかすると、どこかで生きているのかも知れません。 ですが僕は、彼は今でもあの旅館にいると思っています。 終わり。
1133 :ボム山 :2011/01/23(日) 11:13:52 ID:wFmhJMAQO すみません、また投稿させてもらいます。 去年の春頃の話です。 当時、僕は洒落怖で見た夢日記なるものを実践していました。 寝て起きてすぐに夢の内容をメモすると頭がおかしくなるというものです。 もう一つ、鏡に向かって「お前は誰だ」というのもありましたが、なんとなく夢日記の方が効果ありそうだと思いそちらを選びました。 それからというもの、僕は毎朝必ず夢の内容をノートに書き込む日々が続きました。 荒唐無稽な夢から些細な内容の夢まで、すべて記録しました。 実践してから二週間後。 徐々に夢の内容が現実世界と混同してくる感覚に襲われてきました。 誰となにを喋ったのか。 あの日はなにをしていたか。 そんなことが頭の中でこんがらがるようになってきました。 母親から詰め替え用シャンプーを頼まれていたので買うと、「そんなの頼んでいない」と言われたり、妹に何気なく 「そういえばAKBのメンバーで誰か死んだよな」 と言うと、「え?いや、死んでないでしょ・・・・」と言われたり。 その時僕は怖いというよりも、本当に記憶が錯乱してきたことに対して少し楽しいというか、ワクワクしていたと思います。 すみません続きます。
1134 :ボム山 :2011/01/23(日) 11:17:13 ID:wFmhJMAQO すみません続きです。 ある日のこと。 朝起きて居間に行くと、飼い犬の鳴き声がしないことに気が付きました。 いつもなら僕が廊下を歩いただけで外から鳴き声が聞こえるのに。 居間の窓ガラス越しに外を眺めましたが、どこにも見当たりません。 あれ、おかしいなぁ・・・・。 そう思った僕は、台所に立っていた母親の背に向かって尋ねました。 「あのさぁ、犬知らない?さっきから全然姿見えないんだけど。勝手にどっか行ったのかな・・・・?」 母親は作業していた手をピタリと止めると、僕を心配そうに見つめながらこう言いました。 「あんたなに言ってるの?犬なんか飼ってないでしょ。ちょっと、大丈夫・・・・?」 僕はその言葉を聞いた瞬間、ハッとしました。 犬を飼っていない? まさかこれも夢記憶? いや、でも確かに飼っていたはず。 窓の外を見つめながら考えていると、頭がズキズキしてきました。 その時、僕は夢ノートの存在を思い出しました。 あのノートに全て書き込んでいるはず もしかしたらあれに犬の件が書かれているのでは? そう思った僕は急いで部屋に行き、ノートを確認しました。 そこには、犬を飼いはじめたという内容の日記が書かれていました。 今までのような些細な夢ならいざ知らず、こんな内容を現実と混同していたなんて。 僕はその時初めて恐怖しました。 そしてこの件以降、夢日記を止めました。 しばらく記憶の混乱は続きましたが、一ヶ月もすると元に戻りました。 いやー、大変な目に会ったなぁ。と思った僕はこの体験を2ちゃんねるのオカ板に書き込もうとしましたが、案の定アクセス規制中。 せっかく体験したんだし、誰かに言いたいと思った僕は妹にこの件を話すことにしました。 夜、部屋で漫画を読んでいた妹に「おい、ちょっとこっち来てお兄さんの話を聞きなさい」とウザい感じに話し掛け、僕が体験した一部始終を話しました。 妹は黙って聞いていましたが、僕が話し終えると、これ以上無いというくらいの飽きれ顔で 「なにやってんの・・・・」 と言いました。 「最近言ってることおかしいから若年性痴呆症かと思ってたけど、まさかそんなバカなことやってたなんて思わなかったよ」 溜息をつきながら妹が言います。 ごもっともな言葉です。 こればっかりは言われてもしょうがありません。 五歳年下の妹から本気で説教され、僕はなんて軽率な行動をしたんだと反省しました。 すみませんもう少し続きます。
1135 :ボム山 :2011/01/23(日) 11:22:33 ID:wFmhJMAQO すみません続きです。 後日談的な話になります。 夢日記の件から数日後。 夜、風呂から上がった僕が部屋に戻ると、妹が布団の上に寝転がりながら僕の夢が書き込まれたノート、通称夢ノートを見ていました。 それには僕が今まで見た夢の内容が事細かに書かれています。 友人と酒を飲んだ夢。 スーパーで買い物をしていたら宇宙人と戦うことになった夢。 好きな女性タレントのおっぱいを揉めそうになるが揉めない夢。 俳優の高橋克典とパンのナイススティクで殴り合う夢。 そんなことばかり書かれているので僕は恥ずかしくなり、 「やーめーろーよー!」 と妹の手から奪い取ろうとしました。 すると妹は、とあるページを指差しながら真面目な顔で 「これも夢?」 と聞いてきました。 そこにはこんなことが書かれていました。 ○月○日 家に帰ると玄関にネジネジがいた。 ネジネジは人間を雑巾絞りにしたような形をしている。 ネジネジの顔はニヤニヤ笑っているが、心では泣いている。 部屋に入るとネジネジがいた。 押し入れにもネジネジがいた。 僕を見てニヤニヤ笑っている。 僕は気持ち悪くなり外に逃げた。 外にはネジネジがいないので安心。 大体こんなことが書かれていました。 その日の夢は今でも覚えています。 なにかに追い詰められるような、酷く気持ちの悪い夢だったと思います。 僕は何故妹がこの夢を聞いてきたのか気になりました。 「おう、ネジネジな。この夢がどうかしたのか?」 僕がそう言うと、妹は少し考え込んだ様子で言いました。 「このネジネジって男でしょ」 「あ?あぁー、そういえば男だったような・・・・」 「モヤっとした黒い奴じゃなかった?」 「んー・・・・、言われてみるとそんな感じだったかも。・・・・って、なんで知ってるんだお前?」 「私も見たことあるから」 妹は事もなげに言いました。 え!?見たことあるってなにそれ!?夢で!?現実で!? 僕は驚いて聞き返しましたが、妹は 「どっちだっていいじゃん。忘れた」 と言い、それ以上詳しく話してくれませんでした。 結局ネジネジ君の正体は今でも分かりません。 僕が見た夢なのか、現実にいるのか。 妹が僕をからかっただけなのかも知れません。 ただ僕は、この件を通して一つ分かったことがあります。 それは、夢日記なんてやるもんじゃねーな。ということでした。 終わり。
1136 :名無しさん :2011/01/23(日) 20:16:40 ID:G8S5HEQE0 おつ!
1137 :名無しさん :2011/01/23(日) 20:47:41 ID:IUiKxq0E0 おつかれ〜 毎回読んでますよww
1138 :名無しさん :2011/01/23(日) 22:57:05 ID:LTJ7ahc60 本スレは規制で書き込めないのでこちらに投稿させてください。 実際に幽霊とかこの世のものじゃない何かを見たってわけじゃあないんだけど、俺にとっては洒落にならないくらいのトラウマ体験なので。 もう三十年近く経つんだけど、父方の爺ちゃんの法事に行った時の話。 俺が2歳くらいの時に爺ちゃんは死んじゃった(父親が40越えてから俺が生まれたから爺ちゃんもかなり年行ってたんよ)からもちろん顔なんて知らないんだけど、命日以外にもお盆とかに帰省してたから田舎の風景は結構覚えてる。(一番古いので3歳の時の記憶かな。さすがに鮮明じゃないけど) うちは貧乏だったから車なんか持ってなくてさ、長時間電車に揺られて(しかも鈍行で)の帰省だったから強く印象に残ってるんだろうな。 古い記憶だから多少の誇張はあるかもしれないが、父方の実家はとにかく田舎だった。 駅からバスに揺られて数十分。見渡す限りの田んぼや畑。さすがに家は茅葺じゃなかった(と思う)けど、広い庭に離れと風呂(大人だと湯船に一人しか入れないくらい狭かったw)があって。 親戚一同三十人以上が普通に入れる居間とか、やたら暗くて長い廊下だとか。 結構立派な天井裏とかもあった。 これと言ってホラーな物(コトリバコとか)は置いてなかったと思うけど、親戚の子供達で良くかくれんぼとかしてたっけね。 古き良き農村ってこともあるかもしれないが、とにかく「これぞ田舎」って感じの広い家だった。 そんな家の近くの田んぼでは蛍が沢山飛んでて、もちろん星もきれいでね。 街灯も少なくて夜は真っ暗だったからすごく怖かった印象があるけど、横浜では見ることができない自然の風景は本当に幻想的だったと思う。
1139 :名無しさん :2011/01/23(日) 22:59:44 ID:LTJ7ahc60 続きです。適宜改行入れた方がいいみたいですね…。 で、幼稚園の夏休みに入ってすぐに爺ちゃんの家に来たわけです。 法事の何日か前に俺と母ちゃんと姉ちゃん達で先に帰省したんだ。 父親は仕事の関係上、法事当日に来ることになってて。 まあ、田舎に来たところでファミコンもまだメジャーじゃなかった様な時代ですから、 家に居たって子供はやることなくてね。 同じように先に帰省してきてた親戚の従兄弟やら近所の子供達と毎日外で遊んでた。 ベーゴマ、おはじき、かくれんぼ。六虫、メンコに花一匁。 昭和の古き良き遊びのほとんどをやってたと言っても過言じゃないかな。 特に好きだったのはほおずき笛。 親戚のおばさんにほおずき笛のやり方を教えてもらったんだけど全然音が鳴らなくて。 庭の花壇に沢山実ってたし、何より他の子供たちが出来てたのが悔しくてずっと練習してた。 中身の抜き方が甘くてやたら苦い汁が口の中に広がったり、袋が破けて音が鳴らなかったり。 そんな過程を踏みつつも音が鳴った時の嬉しさというか達成感はすごかった。 やたら前置きが長くなってごめん。こっからがトラウマ体験。 そんな感じで法事までの数日間を過ごしてたんだけど、ある時従兄のやす君(当時十歳)が すごく面白いところがあるからみんなで行こうって誘ってきたんだ。 近くの山(丘の上の林っぽい感じのところ)に寂れた神社があるらしいと近所の子供に聞いたそうだ。 要は肝試しに誘われたわけ。 俺は生まれながらのビビりだもんで断りました。当時子供でしたからお化けの存在をもろに信じてましたし。 「そんなんで怖がってたら男じゃねえ」みたいなこと言われたけど怖いものは怖いわけで。 でも、男は強くなきゃだめだみたいな葛藤もあって悩んでたんですが、 そんな僕らのやり取りを耳にした婆ちゃんが急に怒り出したんだ。 「あそこは行っちゃいかん!オガメ様(って聞こえた)の祟りがあるぞ!!!」 普段温厚な婆ちゃんの突然の怒声にやんちゃで通ってるやす君も黙ってしまって。 とにかく近寄ってはいけないみたいなことを言いながら婆ちゃんは去って行きました。
1140 :名無しさん :2011/01/23(日) 23:00:55 ID:LTJ7ahc60 ちょっと乗り気だった俺の姉ちゃん達も婆ちゃんの剣幕に圧されて行く気を無くし、いつも通りゴム飛びを始めてた。 だけど、やす君はそれでも諦めきれなかった様子で「おい、行くぞ」と囁きながら俺の手を引っ張り始めた。 お化けがいたら怖い、いやだ、と泣きべそで言った俺に対して「黙ってりゃわかんないから。 そんなんで怖がってたら男じゃねえ。弱虫って言いふらすぞ」と半ば拉致に近い感じで俺は連れてかれた。 昼間とはいえ、舗装された道が無い林の中。 お化けは夜に出るって言う暗黙の了解があったとしても、 生活音が全くしない田舎のけもの道は俺にとっては異界への入り口みたいに思えた。 泣きべそを掻く俺を尻目にやす君はどんどん進んでいく。 取り残されてしまう恐怖の方が強くて一生懸命後をついてった。 しばらく進むと林の中に大半が土に埋もれ苔むした石段の様な物が見えた。 そしてその奥には色あせて朽ちかけた小さい鳥居があった。 俺はやす君の腕に必死にすがりながら一段一段石段を登っていく。 鳥居をくぐると少し整地された(もちろん草も木も生い茂ってたけど)場所があり、 所々石が欠けた狛犬と今にも崩れそうなお社がさみしげに佇んでいた。
1141 :名無しさん :2011/01/23(日) 23:02:21 ID:LTJ7ahc60 お社はすごく小さくて、街中にあるお稲荷さんみたいに小さい感じのもの。 狛犬は自分が知っているものじゃなくて、どちらかというとお稲荷さんのようにすごくやせた感じのものだった。 (お稲荷さん特有の赤い前掛けは無かったから詳細は不明) やす君は怯える俺を置いてお社の方へ歩いて行った。そして、お社の中を覗き込む。 婆ちゃんのあの怒声と、林の中の神社、そして不気味な狛犬。言い知れぬ恐怖で俺はその場から動けずに震えてた。 しばらくするとやす君が戻ってきて「おい、面白いのがあるぞ」と俺の手を掴み、無理やりお社の前に来させた。 朽ちかけているとはいえ、立派な造りをした社。その格子戸の中をのぞいてみろとやす君は俺を持ち上げた。 格子戸の中には黒とも茶色とも言えない色の物体があった。 拳大の動物の頭骨らしきものが。 実際に動物の骨を見たことはなかったけど、幼稚園に入る前から動物図鑑や恐竜図鑑を眺めるのが好きだった俺は、 小さくとも牙のある黒い物体が動物の骨であることはすぐに理解できた。 と言うよりも、見てはいけないもの――怪異的な物体を見てしまったような気がしてならなかったんだろうね。 「うわあぁああああぁ!!」 あまりの恐怖でパニックになった俺はやす君の手を振りほどいてその場から逃げ出した。 後ろからやす君が俺を名前を呼びながら走ってくる。 だけど、恐怖の臨界を突破してた俺はやす君の制止の声も聞かずそのまま一目散に林を抜けて家まで戻った。 多少なりともけもの道みたいになっていたとは言え、自分でも驚くほどの帰巣本能だったなと思う。
1142 :名無しさん :2011/01/23(日) 23:03:27 ID:LTJ7ahc60 泣きながら家に帰って来た俺に親戚一同が何事かと出てきた。 といっても恐怖でパニくってた俺じゃとてもうまく伝えられなくて、みんな要領を得ない感じ。 しばらくしてやす君が戻ってきて事情を話してくれた。裏山の神社行ったこと。中を覗き込んだ途端に俺が逃げ出したこと。 それまで俺のことを心配して慰めてくれてた婆ちゃんは、その話を聞いた刹那すごい形相になり、やす君の顔をひっぱたいた。 「あそこには行っちゃなんねえと言っただろう!この罰あたりが!!」 今思えば後にも先にもあんな顔をした婆ちゃんは見たことがなかった。 婆ちゃんはひとしきり怒鳴った後、「鬼灯摘んで来い!風呂の水あたらしく入れ替えろ!」と叔母さん達に指示し始めた。 俺とやす君は鬼の形相の婆ちゃんに素っ裸にされ、叔母さん達に縁台に押さえつけられた。 婆ちゃんはお経みたいのを唱えながら叔母さんが摘んできたほおずきの実を俺達の口に詰め込む。 「噛め!噛んで飲み込め!オガメ様に喰われるぞ!」 そう言って咀嚼を促す。口の中にあの嫌な苦みが広がる。 飲み込んでは口に詰め込まれ、吐き出しそうになるのを無理やり手で塞がれた。 俺とやす君は泣き叫びながら抵抗するが、婆ちゃんの必死の形相に抵抗の余地はなかった。
1143 :名無しさん :2011/01/23(日) 23:04:21 ID:LTJ7ahc60 それが終わると無理やり水を飲まされ、口の中に手を突っ込む。 「吐け!全部吐け!!悪いの全部吐け!!!」 大量に吐き出される鬼灯。何度も水を飲まされ、胃液が出るまで吐かされた。 涙と鼻水と嘔吐物でぐしゃぐしゃになった俺らを今度は水風呂に放り込む。 頭の先まで風呂に沈められ、それは何度も繰り返された。 「謝れ!謝らんと祟られるぞ!!!謝れ!」 どれくらい時間が経ったかわからない。婆ちゃんはお経を唱えながら風呂の入り口から山の方を見つめていた。 それを見ながら恐怖と嗚咽で声にならない声で俺達はずっとごめんなさいと唱え続けてた。 風呂から出され、服を着させられた俺達は居間の神棚の前で婆ちゃんにオガメ様についての話を聞かされた。(さすがにうろ覚えだけど) 今では廃れてしまったけど、この地方では無病息災を願ってオガメ様を祀ってたらしい。 (あの骨みたいなのが御神体らしい) あの神社はその名残で、婆ちゃんの世代の人はお盆やお彼岸の時期に訪れてお供え物をしているそうだ。 (だからけもの道があったのかもしれない) オガメ様のお社を荒らすと、オガメ様に祟られて不幸な死に方をするということ。 そして、この土地の守り神が住む場所だから、子供たちが気軽に遊んではいけないということ。 そんなことを俺らの目をまっすぐ見ながら話してくれた。
1144 :名無しさん :2011/01/23(日) 23:06:33 ID:LTJ7ahc60 それから数年後、婆ちゃんも亡くなって本家の方でもあの家を引き払ってしまったから、 あの辺りが今どんな風になっているかはさっぱりわからない。 最近親戚で集まる機会があったんだけど、オガメ様についての詳しい話は誰も知らなかった。 現代の日本で祟りとか呪いとかそんなに信憑性はないと思う。 俺も実際に幽霊を見たことが無いから手放しで信じるわけもない。 だけど、こういう土着信仰は日本各地にあるし、それにまつわる怪談も良く耳にする。 だから、婆ちゃんの言ってたことが絶対に嘘とも言い切れないんだよね。 ただ、オガメ様が何者かわからない(狛犬がお稲荷さんぽかったけどお稲荷さんだったらお稲荷さんって言うと思う)し、 ほおずきを食わされたことに意味があるのかも分からない。 おそらくだけど、子供達にそういう目に見えないものへの畏怖とかを刷り込ませる為の婆ちゃんの狂言だったんじゃないかな、とも思ったりする。 悪いことをしたら罰が当たる、ってのを身をもって体感させられたというか。 あの苦い鬼灯を無理やり食べさせられて吐かされて、水責め。 さすがのやす君もあの一件以来すごくまじめな子になったし、俺も神罰が下るような愚かな行為はやってない。(むしろ怖くてできないわ) 一応、現在まで無事に生きてこれているのでオガメ様に祟り殺されたりはしてないのは確実だけど、 少なくとも鬼灯を見るたびに今でもあの日の出来事が頭をよぎります。 あと、今でも泳げないのはあの日の水風呂の恐怖があるからじゃないかとも思っていますw というわけで思い出せる範囲で書いた俺にとって死ぬほど洒落にならない怖い話でした。 長文失礼。
1145 :名無しさん :2011/01/25(火) 22:53:07 ID:q85mFN4IO おつ。おもしろかったですよ こういう神様みたいな話好きだなぁ
1146 :ボム山 :2011/01/27(木) 10:50:29 ID:NHd.2SJAO すみません、また投稿させてもらいます。 僕には高校生の妹が居ます。 市内まで電車通学をしているのですが、その最寄り駅がまた不便な所にあり、家から徒歩一時間。 しかも街灯の一つも無い薄暗い山道を歩かなければなりません。 さらにその最寄り駅が田んぼに囲まれた無人駅という、超が付くほどのド田舎っぷりでした。 夏場はともかく冬場は雪が降るので、通学するのも一苦労。 そんなわけで僕は、バイトが休みの日や午後からのシフトの日はなるべく車で妹を送り迎えしていました。 去年の十二月頃の話です。 その日も僕は妹の迎えのため、駅まで車を走らせていました。 ドカ雪が降るとても寒い日でした。 駅に着き時刻を確認すると、電車が到着する五分前。 ちょっと早く着いたなぁ。と僕は駐車場に車を止め、座席を倒して寝転がりました。 駐車場には僕一人だけです。 冬場は日が暮れるのが早く、午後六時を回ったばかりなのに辺りは既に真っ暗闇。 改札口も無い簡素な駅のホームにも申し訳程度の電灯は付いていますが、それがより辺りの暗闇を増長させるように心もとなく点滅していました。 相変わらず雪が降り続き、すでに膝下辺りまで雪が積もっています。 明日雪掻きしなきゃなんねーな。めんどくせー・・・・。 そんなことを考えながら駅の方を見つめボーっとしていたら、僕はあることに気が付きました。 駅の反対側。 線路を挟んだ向こう側に自動販売機があるのですが、そこに一人の女性が佇んでいました。 黒髪のロングヘアーにコートを着た女性です。 しんしんと雪が降り積もる中、傘もささずに自動販売機を見つめていました。 この駅に人が居るなんて珍しいなぁ。 と思いながら僕が見ていると、その視界を遮るように電車がホームに到着しました。 それから二日後。 いつもと同じように駅まで迎えに来た僕が車を止めると、携帯に着信がありました。 見ると妹からのメール。 雪の影響で電車が三十分程遅れるそうです。 しょうがないな。と僕は携帯を助手席に放り投げ、座席を倒してリラックス空間を演出しました。 しばらく車の天井を見つめてボーっとしていましたが、僕は急にあの女性のことを思い出し身体を起こしました。 今日も居たりして。 そんな何気ない気持ちで自販機に目線を移すと、 居ました。 一昨日と同じ場所に立ち、自販機を見つめています。 あの日とまったく同じ格好に、寸分違わぬ立ち位置。 まるであの日の続きを見ているかのような光景に、僕は薄気味悪さを覚えました。 なんだ? なんであんなところに立ってるんだ? 人を待ってるんだったら普通待合室に居るよな。 もしかして頭のおかしい人? なんて失礼なことも考えましたが、 いやいや、同じ場所にずっと立っているだけで頭のおかしい人は考え過ぎだな。もしかしたら自販機のジュースをすげー迷っている人なのかもしれない。うん、きっとそうだ。 と自分の思慮の浅さを反省しました。 それから僕は電車が来るまで彼女のことを見続けました。 あまりにも動かないのでアフレコをしたりもしました。 「あー今日は何を飲もうかしらねぇー。コンポタは昨日も飲んだしー」 そんなことをしばらく続けていたら、電車が来ました。 すみません続きます。
1147 :ボム山 :2011/01/27(木) 10:53:58 ID:NHd.2SJAO 続きです。 電車が来ました。 キキィー!と金属の摩擦音をたてながらホームに止まります。 電車の陰になってホームの向こう側は見えなくなったが、彼女はまだ居るのだろうか。 それとも僕と同じように誰かの迎えに来ていたのだろうか。 僕がそんなことを考えていると車の助手席のドアが開いて 「いやー、遅くなってごめんね」 と妹が乗り込んできました。 「あぁ、おかえり・・・・」 と僕は生返事をしながらホームを見続けました。 ピーという車掌の笛が鳴り、電車がのっそりと動き出します。 ガタンガタン。ガタンガタン。 と電車が走り去った後。 僕はホームを見て思わず「んん?」と声を上げてしまいました。 そこには、誰一人居ない無人の駅があったからです。 自販機の前に居た女性の姿が忽然と消えていました。 電車が停車しているわずかな時間に、こんな見通しの良い場所から居なくなるなんて・・・・ 僕は釈然としない気持ちでホームを眺めました。 いや、でも・・・・ 僕が見落としただけで、物陰に移動したり電車に乗り込んだりしたのだろうか? でもそれ以外考えられないよな。 うん、やっぱりそうだ。 自分の見間違いだろ。 僕は自分をそう納得させ、車を発進させました。 帰りの車中。 僕は何気なく妹にこの件を尋ねました。 「あのさぁ、駅の自販機前でずっと立ってる変な女の人居たんだけど、お前知らない?」 「んー・・・・、知らない」 「そうか」 「どんな人?」 「三、四十代くらいでさ、髪が肩ぐらいまである、グレーっぽいロングコート来た人」 僕が車を運転しながら説明すると、妹はなにかに気付いた様子で顔を上げ、こちらを振り向きました。 「そういう女の人居たの?」 「んだ。なんかずっと同じ場所に立ってるから気味悪くてさ。なんなんだろうな」 僕がそう言うと妹はヘヘッと笑い、前に向き直りました。 そして僕に聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、こう呟きました。 「よかったね、見えるようになって。こういうの好きだったもんね」 僕は妹の言葉の意味が分からず「はぁ?」と聞き返しましたが、直後、その意味を理解しました。 嘘だろ? あんなにはっきり見えてたじゃないか。 あれが人間じゃないって言うのか? 心臓の鼓動が早くなり、ハンドルを握る手にうっすら汗が滲み出て来ました。 じゃあ僕は長時間、人じゃないものを見続けていたのか? 嘘だ。 妹が僕をからかっているだけだ。 僕はそう信じ、妹に 「ハ、ハハハ・・・・冗談キツイぜお前。んなわけないじゃないか」 と反論しました。 すると妹は、少し考えた後こんなことを言いました。 「じゃあ今度もう一回見てみな。雪に足跡無いから」 僕はこの件以降、妹の送り迎えを渋るようになりました。 その度に妹から 「なんであんなのにビビってんの!兄さんはもっとスゴイのに憑かれてたことあるから大丈夫だって!」 とまったくフォローになっていないことを言われたりして、今でも送り迎えは続けています。 ちなみに車を止める時は、絶対自販機が見えないところに車を置いています。 ヘタレですみません。 終わりです。
1148 :まだ :2011/01/29(土) 07:24:15 ID:T5Ztn65MO >>122 大丈夫です
1149 :名無しさん :2011/01/29(土) 07:26:18 ID:T5Ztn65MO >>122
1150 :名無しさん :2011/01/29(土) 13:49:23 ID:RCfyQQGo0 こう言っちゃなんだけど 夢日記をやっていても別に記憶が混乱するような事は普通、ない。 夢日記のせいでおかしくなったみたいな話を読むと無意識的におかしな効果を自身にもたらしてしまったりはあるけどね。 せいぜい明晰夢が見やすくなる程度だよ、夢日記なんてのは。現に小さい頃からやってる私にゃ何ら変な事は起きてないしな。
1151 :名無しさん :2011/01/31(月) 17:34:40 ID:mLxCrxNc0 >>1150 「自分はこうだから、これが普通」って言い切っちゃう人って、普通じゃないと思う
1152 :初心者です。 1/4 :2011/02/01(火) 19:33:28 ID:cFjvz02E0 自分が中学生のころの話。登場人物の名前は全部あだ名です。 自分は3年間同じ部活に入っていて、その顧問が「川セン」って呼ばれている変な教師だった。 自分で作った電動のヒコーキのおもちゃを蛍光管から糸でつるそうとして電灯を粉々にしたり、 打ち捨てられたバイクやら三輪車やらをばらして組み立ててゴーカートもどきを作って校庭を走り回ったり、 50歳過ぎた教師とは思えない子供みたいな人だった。 そしてその人は幽霊とか全く信じない人だった。 雑誌の心霊写真特集を見て騒いでる自分たちに「こんな写真いくらでも撮ってやるよ」 と言ってきた時もあった。 (で、実際になぜか近所の公園の池からネッシーが顔を出している合成写真を作って持ってきたw)
1153 :初心者です。 2/4 :2011/02/01(火) 19:34:40 ID:cFjvz02E0 で、1年生の7月ごろ、学校主催で肝試し大会をやることになった。 うちの学校では、ユキちゃんっていう子が玄関近くの階段から落ちてなくなってて、 (自分が入学する前だけど、昔からの先生は皆知ってた) 夜になるとその子の幽霊が階段で当時のはやり歌を歌ってる、とかそんな怪談があって、 生徒はみんな夜の学校を気味悪がっていた。 先生たちはそうでもなかったみたいだけど、やっぱり気味が悪いのか、 肝試しをはじめる前に余興で流すビデオ (夜の校舎の映像を先生がそれっぽいナレーションつけて流す、て内容) を撮る仕事は幽霊否定主義の川センがやることになった。 それを知った同じ部活のN男は、 「先生を学校で待ち伏せて、びっくりさせようぜ」 って言い出して、 特に部内でもアホだった自分、N男、つーやん、ぴーちゃんの4人が作戦を練ることにした。
1154 :初心者です。 3/4 :2011/02/01(火) 19:35:34 ID:cFjvz02E0 作戦当日、夕方頃に学校近くにある農機具をしまう小屋の陰に自分、N男、ぴーちゃんが集まった。 手には安っぽいロン毛のかつらだの、ゴリラのマスクだの、段ボール製のジェイソンの仮面だの、 N男に関しては本物の鉈まで持ってきていた。(今思うと本当に危険であるw) だが、もう一人のつーやんが来ない。 そいつはいわゆる孤児院で暮らしていて、なかなか抜け出せないのかもなあ、 と話している内にすっかりあたりは暗くなり、川センがビデオカメラをが玄関に入っていくのも見えた。 作戦失敗だ!全員がそう思い、それから十数分後、おもちゃのマシンガンを抱えて(なぜ?) 自分達の前に現れたつーやんを攻めまくった。 するとN男があることを思いついた。 「じゃあ、帰ろうとする川センを脅かすのはどうだ?」 それいいな!!と満場一致で決まり、自分達は玄関先に植えてある木の陰で待ち伏せをした。 近くの道路からの車の音なんかが聞こえて、夜でも不思議と怖くなかった。
1155 :初心者です。 4/4 :2011/02/01(火) 19:36:15 ID:cFjvz02E0 9時ごろ、川センの足音が聞こえてきた。二階から下りてくる音だ。 来た!!と全員が息を殺す。一段一段、ゆっくりと撮影しながら下りているようだ。 自分はジェイソンの仮面を付けて、その時に備えた。 すると、突然足音がとまった。気付かれたか?と思いそーっと玄関を覗くと、 川センが階段を見上げて立ち止まっているのが何とか見えた。 何してるんだ?と自分達が思っていたら、 いつも生徒に話しかける時のトーンで、川センが楽しそうにしゃべった。 「おやすみ、ユキちゃん。バイバイ。」 自分は黙ったままその場から走って逃げた。 他の3人も同じように逃げた。 なぜか逃げたかは自分でもよくわからない。 ただ、ものすごく気味の悪い何かをその一言に感じた。 そのまま家に帰った自分達は、誰ひとり欠けることなく次の日学校で合流した。 ただ、あの時の話は誰もしようとしなかった。 川センもいつもの調子で部活に現れた。 後日開催された肝試しそのものは全然怖くなくて、余興のビデオもただ淡々と夜の学校の人体模型や美術室の絵画を映すだけのしょぼい内容だった。 そして、みんなが噂していて、確実に怖がるであろう例の階段、そこの映像は一つも流されず、 肝試しのコースからも外されていた。(学校に入る時も体育館集合、体育館解散だった。) 一体あそこには何が?
1156 :ボム山 :2011/02/01(火) 21:47:03 ID:MwnRskrIO すみません、僕も投稿させてもらいます。 僕がバイトしているコンビニの社員、舘岡さんから聞いた話です。 大学一年生の夏。 舘岡さんは友人の洋介さんから、アパートの引っ越しの手伝いを頼まれたそうです。 今のところに住んでからまだ半年も経ってねーだろ。なんで引っ越すんだよ と舘岡さんが言うと、洋介さんが不敵な笑みを浮かべました。 「それがな、いい物件見つけたんだよ」 「よし、詳しく話せ」 「おう」 洋介さんが見つけた物件とは、大学のすぐ近くにある木造二階建てのアパートでした。 当時洋介さんが住んでいたアパートより若干グレードは劣りますが、それでも学生が一人暮らしするには十分な部屋です。 そして一番の魅力が、家賃の安さでした。 市内の中心地にも関わらず、なんと月二万円ちょいという破格の値段。 洋介さんはこの条件に魅かれて早速契約したそうです。 「二万はスゲーな」 「だろ?もう部屋は埋まったからお前は引っ越し無理だぜ」 「しねーよwつかそんな部屋、明らかにいわく付きじゃねーかw」 「ちょw」 そう、好条件にはやっぱりそれなりの理由があります。 なんとその部屋、前の入居者が自殺していたそうです。 「異常に安いっすね。やっぱ死人が出たとか?」 と洋介さんが不動産屋に聞くと、あっさり白状したと言います。 「まあ条件が条件なんで・・・・」と。 自殺したのは当時市内で働いていた若いOLさん。 ノイローゼだったそうです。 さすがに自殺方法までは教えてくれませんでしたが、担当した不動産屋がかなりのお喋りで色々情報を聞き出したと言っていました。 やっぱり地方物件の場合、死人が出ると噂が流れて中々部屋が埋まらないそうです。 しかも昔と違い今は通知義務?なんかがあるそうで、ますます入居者は見つからず、どんどん家賃が下がり今に至ると。 普通の神経をしているならそんな部屋を借りるわけありませんが、そこは大のオカルト好きの洋介さん。 安いうえに心霊物件なんて素敵やん!と一も二もなく承諾したそうです。 すみません続きます。
1157 :ボム山 :2011/02/01(火) 21:50:38 ID:MwnRskrIO 続きです。 引っ越し当日。 舘岡さんが洋介さんのアパートに向かうと、二人の共通の知り合いであるガチムチ先輩がいました。 ダンボールが積まれた部屋の中央であぐらをかき、不機嫌そうにタバコを吹かしています。 「あれー先輩も来たんですか?」 「あぁ、足に使われてね。まったく良い御身分だよ」 「人聞きの悪いこと言わないでくださいよwバイト代出すって言ったじゃないですかw」 ダンボールにガムテープを張りながら洋介さんが言います。 「五千円じゃ割に合わねーよ。今日の引っ越し祝いの飲みは全部お前持ちな」 「つかお前俺にもバイト代出せよコラ」 「うぇw」 そんな話をしながら適当に引っ越し準備を終え、ガチムチ先輩の車に荷物を全部詰め込んだ頃にはもう昼過ぎだったそうです。 このままアパートに荷物運ぶか。と舘岡さんと先輩の二人が先に車で向かいました。(洋介さんは自転車) アパートに着きます。 住宅地の一角にある、どこにでもありそうなごく普通の木造アパートでした。 ここで自殺があったなんて言われなければ想像だにしないような平和物件です。 舘岡さん達は駐車場に車を止め、洋介さんが来るのを待ちました。 その車中、舘岡さんとガチムチ先輩はこんな会話をしたそうです。 「先輩聞きました?このアパートの話」 「話?あー、前の住居人が自殺したんだっけ?」 「そうそう、どうなんですかねそういうのって。やっぱり出るんですかね」 ガチムチ先輩は結構霊感があるタイプの人間で、今までにも何度かそういう体験をしていたそうです。 もしかしたら自殺した人の霊魂みたいなのも感じられるのかなと思い、舘岡さんが尋ねました。 先輩曰く。 有名な心霊物件ならまだしも、前の住人が死んだくらいなんでもないだろ。 っていうか、築何十年も経ってるんなら一人や二人死んでて当たり前じゃないの? だそうです。 そうこうしているうちに洋介さんが到着したので、三人で車から荷物を降ろしました。 部屋の前まで荷物を運び終えると、洋介さんが先輩に部屋の鍵を渡し、どうぞと先に促します。 「なんで俺が先頭なんだよ」 「いや、だってほら・・・・色々あるじゃないですか」 「このヘタレが!」 先輩は鍵を開けると、なんの躊躇も無く部屋に入りました。 そして荷物を部屋の中央に置くと、キョロキョロと辺りを見渡します。 洋介さんが部屋の外から「なんか感じますかー」と声を掛けると、先輩が振り返りこう言いました。 「残念だけど、なんも感じねーわ」 その日の夜。 三人で引っ越し祝いの飲みをしました。 もちろん洋介さんのおごりで。 三人でバカ話しながら盛り上がっている最中、ふと先輩が洋介さんこんなことを言いました。 「お前、もし俺がなにか見えるって言ったらどうするつもりだった?」 「どうするって・・・・、その時はその時ですよ」 「お前スゲーな。幽霊見えても平気なんだ」 「当たり前よwむしろ出てきてほしいくらいだっつーのw」 洋介さんがそう言うと、ガチムチ先輩が「へぇー」と意味深な笑みを浮かべたそうです。 そしてその会話の直後、先輩が突然 「酒少なくなってきたからお前ら買いに行って来いよ」 と言いました。 「だってよ。舘岡行って来い」 「なんで俺なんだよ。お前が行けよ」 「えー。っていうか先輩行ってくださいよ。俺達未成年なんスから」 「うるせー!いいから二人で行って来い!」 先輩は何故か二人で行くことにこだわっていました。 そして先輩の命令を後輩が断れるわけもなく、渋々二人で買いに行ったそうです。 すみません続きます。
1158 :ボム山 :2011/02/01(火) 21:55:12 ID:MwnRskrIO 続きです。 引っ越しから数日後。 舘岡さんは大学構内で洋介さんに近況を聞きました。 あの部屋どう?と。 洋介さんは気にも留めていなかった様子で 「なんともねーよw」と笑っていました。 「ただ、隣の部屋の奴がうるさい」と付け加えて。 毎日深夜になると隣の部屋からボソボソと女の話し声が聞こえてくるそうです。 舘岡さんはその話が少し気になりましたが、本人が 「まあそれぐらいどこの部屋でもあるけどな」 と気にしていない様子なので、あえて口には出さなかったそうです。 次の日。 舘岡さんが家でゴロゴロしていると、洋介さんから電話が掛ってきました。 「話があるから俺のアパートまで来てくれ」と。 そんなん電話口で話せばいいだろと思いながらアパートに向かうと、洋介さんがこんなことを言いました。 「やっぱりこの部屋、ちょっとおかしいかも・・・・」 昨日とは打って変わり、深刻そうな口振りです。 舘岡さんはその言葉を聞いて 「お!ついに来たか心霊現象!」とワクワクしながら話を聞きました。 昨日の夕方頃の話です。 洋介さんが大学から帰ると、アパートの廊下で隣の部屋の住人と鉢合わせしました。 どこか垢抜けない、暗い感じの若い男だったそうです。 俺に彼女が居ないのに、なんでこいつが毎晩女を部屋にたらしこんでいるんだ。 と思うとムカムカしてきた洋介さんは、つい注意してしまったそうです。 「女の声が聞こえてうるさいんだ。夜中はもう少し静かにしてくれ」と。 すると男は、まったく要領の得ない様子で「はあ?」と言いました。 「なんか勘違いしてるんじゃないんですか?部屋に女入れたことないし、俺、夜勤やってるんでその時間は家に居ませんよ」 男はそう言ってその場を立ち去りました。 残された洋介さんは部屋に入る気になれず、しばらく廊下に立って考えたそうです。 隣の部屋じゃないのか。 でも確かに隣から女の声が聞こえたはず。 さっきの男も嘘をついているようには見えなかったし。 どういうこっちゃ・・・・? いくら考えても答えは出ません。 というか、考えれば考えるほど幽霊の仕業というほかありません。 でも幽霊の存在はガチムチ先輩がきっぱり否定してくれたはず。 もしかして俺にしか聞こえない声なのか・・・・? 洋介さんはそう思い、舘岡さんを部屋に呼んだそうです。。 「というわけで、今日俺と一緒にここに泊まってくれ」 舘岡さんは内心かなりビビり断ろうとかと思ったそうですが、 それでもオカルト的興味の方が勝り、結局泊まることにしました。 その日の夜。 二人は眠らずに、黙々と格闘ゲームをしていました。 すでに時刻は午前一時を回っています。 今日はなにも起こんないんじゃねーの? 舘岡さんがそう思いコントローラーを置こうとした時。 「シっ!」 と洋介さんが人差し指を口に当てました。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 嫌な沈黙が流れます。 洋介さんが手元にあったリモコンでテレビを消しました。 室内はほぼ無音状態になり、唯一聞こえるのは蛍光灯のジジジという音だけです。 舘岡さんが目だけをキョロキョロ動かして辺りを探りますが、特に異常はありません。 声も聞こえません。 その間もずっと洋介さんは口に手を当てて黙っていました。 もしかして洋介にしか聞こえないのか? 舘岡さんがそう思った瞬間、 背後から女の声が聞こえました。 すみません続きます。
1159 :ボム山 :2011/02/01(火) 21:58:13 ID:MwnRskrIO 続きです。 背後から女の声が聞こえました。 二人はほぼ同時に振り向いたそうです。 声は上でも下でもなく、明らかに背後の壁から聞こえて来ます。 ボソボソと話す女の声が。 「・・・・聞こえる?」 「・・・・あぁ」 二人で確認し合い、中腰姿勢になりソロソロと壁に近付きました。 なにを喋っているか知りたくて耳をすませますが、音がこもってよく聞こえません。 壁際で男同士が見つめ合いながらヤキモキすること数分。 舘岡さんは痺れを切らして壁に耳を付けたそうです。 その時、舘岡さんはある疑問を感じました。 「これ・・・・隣の部屋じゃないぞ・・・・」 「・・・・え?」 「・・・・押し入れだ。これ、押し入れの中から聞こえるぞ・・・・」 そう言うと、洋介さんの顔色がサーっと青くなりました。 その壁の入り口側。そこには押し入れがありますが、そこから声が聞こえたそうです。 それを知った時、二人で固まりました。 隣の部屋じゃなかった。 あの声は、この部屋の押し入れから聞こえて来てたんだ。 二人はその場からしばらく動けなかったそうです。 すぐ目の前にある押し入れ。 戸一枚隔てた向こう側で、女がボソボソと一心不乱になにかを喋っている。 そんな光景が頭にこびり付いて離れません。 そしてそれを考えている最中も、女の声が聞こえます。 すでに口の中はカラカラになり、全身汗だくです。 舘岡さんはそんな状況の中呆然としていましたが、このままでは埒が明かないと思い、勇気を振り絞って押し入れを開けたそうです。 「セイヤッ!」 と裂帛の気合で引き戸を引くと。 そこにはなにもありませんでした。 女も居ません。 不思議と声も止んでいます。 ふぅ。と舘岡さんが息を吐き、まぁこんなもんだろと思ったその時。 背後から押し入れを覗き込んでいた洋介さんが言いました。 「その壁、おかしくないか・・・・」 「壁?」 「ほら、上の段の方。下の段に比べてなんか狭いだろ・・・・」 そう言われてみるとそうです。 上の段の方が明らかにスペースが狭いのです。 まるで二重構造のような。 (・・・・二重構造?) 舘岡さんがその言葉を思い浮かべた瞬間、全身に悪寒が走りました。 二重構造・・・・まさか・・・・ 舘岡さんは震える手で押し入れの壁を軽く叩きました。 すると、向こう側に空間がある感触があったそうです。 「やっぱり・・・・この押し入れ、二重構造になっているぞ」 舘岡さんがそう言うと、後ろで洋介さんが「ヒェェエエエエエ!」と悲鳴を上げました。 壁はどうやら合板ベニヤで出来ているので、剥がそうと思えば簡単に剥がせます。 二人はその場で剥がす剥がさないと口論しましたが、結局剥がさなかったそうです。 そしてその夜、二人はアパートから逃げ出して舘岡さんの部屋で夜を明かしました。 すみません続きます。
1160 :ボム山 :2011/02/01(火) 22:02:43 ID:MwnRskrIO 続きです。 アパートから逃げ出した次の日。 二人は大学でガチムチ先輩を捕まえ、部屋の件を説明しました。 「先輩の霊感なんて全然当てになんないじゃないですかー!」 と怒りながら事情を話すと、先輩は 「やっぱり押し入れに原因あったかw」 と笑ったそうです。 二人共事情が分からず「え?は?」と混乱していると、先輩はこんなことを言いました。 「最初部屋に入った時、押し入れの方から嫌な気配あったんだよ。言わなかったけどね」 「え?」 「いや、言ってくださいよ」 「まあいいだろ。そんで夜にお前らを酒買いに行かせたじゃん。その時に押し入れの方探ってみたんだよ。 そしたら案の定、天板とこに札があったから。ビリっと剥がしといたwでもまさかお前らが押し入れのアレに気付くとは思わんかったなw」 先輩の告白を聞き、目が点になる二人。 え?なんで剥がすの?という当然の思いを先に口に出したのは洋介さんでした。 「アホですか!なにやってんすか!頭おかしいんじゃねーの!」 とキレながら当然の抗議をすると、先輩はその倍のトーンで 「お前が幽霊見たいっていうからわざわざ剥がしてやったんだろ!!」 と逆切れしたそうです。 洋介さんは結局その後すぐにアパートを出て、他の部屋に移り住んだと聞きました。 そしてこれは後から聞いた話だそうですが、ガチムチ先輩はこんなことを言っていたそうです。 あの札はかなり古かったから相当昔からあったんだろう。 でもいくら札を張ったからって抑えられないのは当然あるわけで、 その自殺したOLっていうのも押し入れのあれが原因だったりして。 まあともかく、その押し入れの壁は剥がさなくてよかったよ。あれはマジで洒落にならんかったから。 それにあの部屋、さっさと出た方が良いよ。下手に長く住むと色々マズイと思うから。 ということでした。 ちなみにそのアパート、今も普通にあるそうです。 長くなってすみませんでした。 終わりです。
1161 :名無しさん :2011/02/05(土) 03:17:41 ID:xyUPW6Gg0 >>1151 催眠系のスレにいってみなよ。多くの人が自分の技術を上げるツールとして夢日記を取り入れてるよ。>>1150 の最後の文はついでに自分のことも書いとくか程度で書いたんだよん 自分だけの結果でオカルトが語れるわけないしね。
1162 :名無しさん :2011/02/11(金) 22:07:38 ID:96yPWYKA0 マサさんの人はオイラー以来来てないよね? どうしたんだろう
1163 :名無しさん :2011/02/12(土) 23:02:02 ID:IdT0QZwk0 >>1162 もうすぐ1年だよね。 心配だなあ…
1164 : ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:00:07 ID:3PDqro4M0 酉テス
1165 :名無しさん :2011/02/20(日) 11:02:37 ID:0yKrnEbg0 む?
1166 : ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:11:53 ID:3PDqro4M0 お久しぶりです。 まずは言い訳。 7月の末・・・10月末ごろまで非常に忙しかったのです。 それと、何話か書き溜めた物があったのですが、内容的に投稿できなくなりました。 まあ、メモやノート、PCごと燃えちゃったんで投稿は無理なのですが。 それは、折を見て書き直したいと思います。 前回の話からズレますが、1年ぶりの駄文にお付き合い下さい。
1167 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:13:45 ID:3PDqro4M0 季節が冬に変わろうとしていた頃だった。 俺は、オカマのきょうこママに呼び出された。 「ちょっと、相談したい事がある」と言うことだった。 久々に会ったきょうこママは巨大化していた・・・ま、マツコ・デラックス? 「久しぶり。相談って、何よ?ダイエットの話なら無理だぜ・・・・・・もう、手遅れだよwww」 「そんなんじゃないわよ、失礼な!真面目な話だから、ちゃんと聞きなさい」 ママの目は真剣だった。 「アンタ、ほのかちゃんの事、覚えてる?」 「ああ、覚えてるよ。大分前に店を辞めたはずだけど、元気にしてるの?」 ほのかとは、アリサと出会う前、店の子のガードを請負った折に知り合った。 初めて会った頃の彼女は、ホルモン注射を開始したばかりの段階だった。 元々華奢な体格で、顔の造りも女性的だったためか、女装すると普通の女にしか見えなかった。 ママやガードしていた子の話では「あの子は続かないかもね」という事だったが、勤めは長く続いた。 アリサと共に何度か遊びに行った事もあった。 あまり、自分の事は話したがらない子だったが、『神様のミステイク』に苦しんだ者同志だったからだろうか、アリサに良く懐いていた。 アリサが亡くなってから会った事は無かったが、恋人が出来て店を辞めたと聞き及んでいた。
1168 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:14:49 ID:3PDqro4M0 「あの子がどうかしたのかい?」 「この間ね、偶然会った店の子がほのかちゃんを連れてきたんだけどね・・・・・・あの子、危ないのよ・・・・・・放って置くと多分自殺しちゃう。 アタシはね、何人もそんな子を見てきたから判るのよ」 「そいつは穏やかじゃねえな。それで、俺にどうしろと?」 「あの子の所に顔を出してやって欲しいのよ。アタシや店の子達じゃ会ってくれないから」 「ママ達に会わないのに、俺が行ったからって駄目だろ?」 「そうかもね。・・・・・・でも、あの子にとって、アンタ達は特別だから」 「え?俺達?」 「アンタとアリサちゃんよ。あの子だけじゃなく、店の子達にとって、アンタ達はある意味理想だったのよ・・・・・・ それが、あんな事になって、みんな悲しんでいるわ・・・・・・アンタが思っている以上にね」 「そうかい・・・・・・役には立てないかもしれないけど、行くだけは行ってみるよ」 俺は、ほのかの部屋を何度か訪れたが、彼女がドアを開けることは無かった。 郵便受けにメッセージだけを残して帰る事が何度か続いた。
1169 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:16:06 ID:3PDqro4M0 その日も、メモだけ残して帰ろうとしていた。 だが、郵便受けに封筒を投函すると、部屋の中から物音がした。 彼女は部屋に居るようだ。 俺は、インターホンを連打しながらデカイ声で言った。 「おい、ほのか居るんだろ? 早くドアを開けろ!開けないとウンコするぞ!」 鉄製のドアに何かが当たる音がしたが、扉は開かない。 スコープからこちらを見ている事を確信した俺は、壁際まで下がってベルトを外し、後ろを向いてしゃがみ込んだ。 「ちょ、ちょっと、止めてよ!」と言う声と共にドアが開いた。 「よお、久しぶり!」 「・・・・・・アンタ、馬鹿?恥ずかしいから中に入ってよ!」
1170 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:17:54 ID:3PDqro4M0 俺が部屋に入ると、ほのかはドアを強く閉めた。 ふぅ〜っとため息をつくと、呆れた様子で言った。 「兄さん馬鹿でしょう?もう、恥ずかしくって外を歩けないわ!何考えてるのよ?」 「いや、居留守を使うお前が悪いでしょ?俺はちゃんと、次に来る時間も残して帰っていたんだしwww」 「それで、何よ?」 「いや、手紙にも書いたけどさ、ママや店のみんなも心配してるし、俺だって心配だったからさ」 「そう?」 「とりあえず、お前の顔も見たし、今日は帰るよ」 そう言って、ドアを開けようとした俺の腕を彼女が引っ張った。 「久しぶりに会ったんだから、夕食ぐらい食べて行きなさいよ」 俺の訪問に合わせて作っていたのだろうか、テーブルの上には結構な品数の料理が並べられた。
1171 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:18:56 ID:3PDqro4M0 俺達は、無言で食事を続けた。 「美味かったよ。やっぱ、独り者に女の子の手料理はグッと来るものがあるね。やべぇ、惚れちまいそうだよ」 「アリサ姉さんの直伝だからね」 「・・・・・・今日は遅いから、また来るわ。 今度はこんなに凝らなくても良いぞ。・・・・・・そうだな、カレーでいいや!」 「ばか」 とりあえず、ほのかが笑みを見せたのを由として、俺は彼女の部屋を後にした。 沈んだ様子だったが、ほのかからママの言っていた『死相』は見て取れなかった。 だが、形容し難い、妙な空気は確かにあった。 俺は、暫くほのかの部屋に通って、彼女の様子を見る事にした。
1172 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:20:39 ID:3PDqro4M0 何度も足を運んでいるうちに、ほのかの表情は明るくなって行った。 外に連れ出す事にも成功し、ママの店にも連れて行った。 そんな彼女の様子に、油断していたのだろう。 俺は、口を滑らして、店の子たちが話していた『彼氏』の話題に触れてしまった。 とんでもない地雷を踏んでしまったようだ。 ほのかは喚き散らしながら暴れた。 「出て行け!もう顔も見たくない。二度と来るな!」 そう言われて、俺は何も言わずに玄関に向った。 靴を履き、立ち上がると、背中を何発も拳で叩かれた。 「帰れと言われて本当に帰るような奴は二度と来るな!」 振り返ると、涙でベソベソになったほのかが抱き付いてきた。
1173 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:22:10 ID:3PDqro4M0 暫くそうしていると、やがてほのかは泣き止んだ。 「せっかくの美人が台無しじゃないか」 そう言ってハンカチを渡すと、ようやくほのかは落ち着きを取り戻した。 俺は靴を脱いで部屋に上がると、爆撃後のような惨状の室内を片付け始めた。 とりあえず片付けが終わり、腰を降ろして休んでいると、俯いて黙り込んでいたほのかが立ち上がった。 「?」 「ねえ、見て」 見上げる俺にそう言うと、彼女は服を脱ぎ出した。 俺は、黙って彼女を見ていた。 震えながら服を脱ぎ、全裸になった彼女は胸や股間を隠していた手を外して、もう一度言った。 「見て」 「・・・・・・」 「私、女になったのよ。・・・・・・今はね、結婚だって出来るの。・・・・・・私、キレイ?」 「ああ、キレイだよ」 「でもね、彼は私を抱いてはくれなかった・・・・・・彼の為に、彼に喜んで欲しかったのに・・・・・・ あの人は・・・・・・女になった私を捨てて逃げたのよ!」
1174 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:23:09 ID:3PDqro4M0 出会った時、ほのかの彼氏は大学生だったそうだ。 飲み屋でコンパの二次会をしていた彼らと、仕事帰りに飲みに繰り出したほのか達は意気投合して、そのまま三次会に繰り出したそうだ。 ほのかがメアドの交換をした事も忘れかけた頃に、大学生の男から誘いのメールが入った。 暇潰しのつもりで誘いに応じたほのかを男はその後も誘い続けた。 何度も逢瀬を重ねて、ほのかの中で男の存在が大きくなってきて、あぶない、そろそろ『潮時』だと思っていた頃に告白されたそうだ。 告白されたその場で、ほのかはカミングアウトした。 だが、男は驚いたものの、引かなかった。 『一度関係を持てば彼の目も覚めるだろう。最後に一度だけなら』そう思ってホテルに行ったそうだ。 『・・・・・・これで終わった』と思ったが、彼はほのかから去らなかった。 やがて、彼は卒業し、社会人となった。 仕事に慣れ、社員寮から出た彼はほのかに言った。 「一生傍にいて欲しい。一緒に暮らそう」と。
1175 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:24:16 ID:3PDqro4M0 彼の家族は、一人息子がニューハーフと同居する事に激しく反対した。一緒になるなど論外だった。 家族の激しい反対に遭ったが、彼は家族よりもほのかを選んだ。 そんな彼の行動に、ほのかは長年悩んできた性転換手術を受ける覚悟を決めた。 女性の身体になることは彼女にとって長年の夢だったが、手術への恐怖心が大きく、それまで踏み切る事が出来なかったのだ。 何度もカウンセリングを受け、面倒な手続きを経て彼女は決死の覚悟で手術を受けた。 術後、患部が安定するには半年程度の時間が掛かるそうだ。 だが、医師の許可が出て1年以上経っても、彼はほのかの身体に触れようとしなかった。 そして、何か悩んだ様子で、外泊も多くなっていた。 ある日、『一生分の勇気』を振り絞って、彼女は彼に言った。 「抱いて」 服を脱いだ彼女の身体を見て彼は言った。 「・・・・・・すまない」 そのまま彼は部屋を出て行き、二度と戻る事は無かった。
1176 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:25:32 ID:3PDqro4M0 「酷い話だな・・・」 「でしょ?だから、アイツの荷物は全部捨ててやったし、写真も全部燃やしたわ。 彼の事は吹っ切れてるのよ・・・・・・ただ、女としての自信というか、プライドがね・・・・・・」 見え見えの嘘だったが、俺は頷くしかなかった。 「ねえ、良かったら、兄さんが私を『オンナ』にしてくれる?・・・兄さんなら、いいかな・・・」 「悪いな、それは出来ない」 「何で?やっぱり、私って魅力ないのかな?」 「いや、そんな事は無いよ」 「それなら何で?・・・・・・まだ、姉さんのことが?」 「・・・・・・」 「ごめん、変な事を言って・・・・・・忘れて!」
1177 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:26:59 ID:3PDqro4M0 俺は、ほのかの相手の男の事を調べた。 男の居所は、あっさりと割れた。 男は勤務先を退職し、実家に戻っていた。 俺は、男の実家に向かった。 ほのかの男・・・・・・宗一郎の父親は、彼とほのかの同棲中に癌で亡くなっていた。 息子に取り次いで欲しいと彼の母親に頼んだが、俺がほのかの縁者だと聞くと、彼女は頑なにそれを拒んだ。 連絡先だけ残してその場を立ち去ると、後日、宗一郎本人から俺の携帯に連絡が入った。 待ち合わせの場所に行くと、従妹だという若い女が待っていた。 事と次第によっては、1・2発ぶん殴ってやりたいと思っていたが、それは出来なかった。 ベッドに横たわる、余り先の長そうではない病人・・・・・・それが、宗一郎だった。 事情がありそうだ・・・・・・ 俺は、宗一郎にほのかの許を去った理由を尋ねた。
1178 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:28:20 ID:3PDqro4M0 ほのかの治療中、宗一郎は微妙な体調の変化を感じていた。 妙に体がだるく、首や肩に常に鈍痛を感じていた。 世話女房タイプのほのかは店に出ていた頃から、家事の一切を行っていて、宗一郎には何もさせようとはしなかったらしい。 慣れない家事や、ほのかの見舞い、忙しくなってきた仕事・・・・・・それらの無理が溜まって疲れている、その程度に考えていたらしい。 ほのかの術後の痛みは相当酷かったらしく、宗一郎はほのかの身の回りの世話に精一杯で、自らの体調を気にする余裕は無かった。 だが、宗一郎の体調は確実に悪化した。 はじめは、指先の痺れや頻発する『こむら返り』といった症状だった。 やがて、不意に膝から力が抜けて転倒したり、軽い『寝小便』をするようになった。 『医者に見てもらわなければ』と思ったらしいが、日常生活が忙しく、ズルズルと時間が過ぎた。 そして、会社の定期健診で異常が見つかった。 再検査の結果、肺と胃、頚椎に腫瘍が見つかったらしい。
1179 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:29:44 ID:3PDqro4M0 若い宗一郎の病気の進行は早く、検査で発見された時点で既に手遅れだった。 持って1年と言う宣告に、宗一郎は打ちのめされた。 ほのかに何て話せば良いのだろう? そう悩んでいた時に、あの夜が訪れた。 「何故逃げた?」と言う俺の問いに、宗一郎はこう答えた。 「もうすぐ居なくなる自分のせいで、ほのかに取り返しの付かない事をさせてしまった。 そう考えたら、怖くなって逃げ出してしまった」 「アンタに去られたほのかは、今は何とか落ち着いてるけど、一時は自殺の心配をされる位に落ち込んでいたんだぜ? そうなる事くらい、アンタにだって判っただろう?」 「俺は、どうすれば良かったんですか?」 「俺にも経験があるから言うけど、あの手の女は特別に情が深いんだ。並のダメ男じゃ見捨ててはくれないよ。 望み通りに抱いてやれば良かったんだよ。 抱きながら、死にたくねえってアンタが涙の一つも見せれば、こんな面倒な事にはならなかったんだ。 大事な時間を無駄にしやがって・・・。アンタ、ほのかに会いたいんだろ?」
1180 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:34:18 ID:3PDqro4M0 宗一郎は頷いた。 「アンタが会いたいと言っても、ほのかがウンと言うかは判らないぞ? それに、そこの彼女の許しも貰わないとな」 「姐さん、ほのかが彼に逢うことを許してやってくれないかな?アンタには酷な話かもしれないけど。頼むよ」 女の顔は強張っていた。だが、彼女はこう答えた。 「宗ちゃんが会いたいと言うなら・・・・・・」 「そうか、ありがとう」 今週中に連絡すると言って俺は病室を後にした。 駐車場で俺は肩を叩かれた。 宗一郎の母親だった。 「お話があります」 深刻な表情の母親を乗せて、俺は車を出した。
1181 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:35:29 ID:3PDqro4M0 スタンドに車を入れ、併設されていたドトールに俺達は入った。 「それで、話って?」 硬い表情のままだった彼女は、しばしの沈黙の後、重い口を開いた。 「お願いです・・・ほのかさんを息子に会わせるのは止めて貰えませんか?」 「何故?」 「私達親子はあの人に恨まれています。 私、あの人にとても酷い事を言ったの・・・・・・私なら絶対に、一生許せないような酷い事を・・・・・・ 許して欲しいなんて言えないし、私の事だったらどんなに恨んでもらっても構わない。 でも多分、ほのかさんは、あの人を捨てた息子を恨んでる・・・・・・」 「何故、そんな風に思うのですか?」 「こんな事、言った所で信じては貰えないでしょうけど・・・・・・私は見たの!何度も、何度も!」 「何を?」 「あの人の・・・・・・何て言うの?怨霊?亡霊? それが、息子に取り憑いているのよ!」
1182 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:36:56 ID:3PDqro4M0 母親の言葉を聞いて、俺はようやく納得した。 ほのかの部屋に漂う異様な気配はそう言うことかと。 「お母さん、人を呪わば穴二つって言葉は知ってますよね? 貴女は多分、ほのかに初めて会ったときから、そして、宗一郎君が病気になってからも、ずっと思っていたんじゃないですか? 『あの女さえ居なければ』と・・・・・・ それに、こうも思っていた。宗一郎君の病気の発見が遅れて手遅れになったのは、ほのかの所為だと・・・」 彼女は俯いたまま涙を流した。 「貴女が病室で見たほのかの『生霊』を怨霊だと思ってしまったのは、貴女が彼女に抱いている感情がそう見せているだけですよ。 あの娘と知り合って長いし、俺にもあの娘と同じような境遇の彼女がいたから判るんです。 ほのかは貴女に言われた事で傷付きもしたし、悔しさや悲しさに涙も流しただろうけど、多分、貴女に対する恨みなんて忘れてしまってますよ。 それより、総一郎君に会いたいって気持ちで一杯のはずです。それこそ、生霊を飛ばしてしまうほどにね」 「・・・・・・」 「ほのかは今、精神的に危ない状態なんです。何とかバランスを取っているけれど、ちょっとしたショックでどう転ぶか判らない。 嫌われて捨てられたと誤解したまま、宗一郎君が亡くなったら、後を追いかねない・・・・・・あの娘には宗一郎君しか居ないんです。 ・・・・・・彼との思い出があれば、多分、あの娘は生きて行けます。だから、彼女が彼に会う事を許してやって下さい」
1183 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:38:23 ID:3PDqro4M0 俺は、ほのかに宗一郎の病気の事を話した。 始めは駄々を捏ねたが、病院まで無理やり連れて行くと後は流れに任せるだけだった。 宗一郎は余命1年の宣告を受けてから、3年間近く生き続けた。 宗一郎の通夜の日。 焼香を済ませて立ち去ろうとする俺に声を掛けてきた女が居た。 「私の事、覚えてます?」 「ああ、病院で会った・・・。その節はどうも」母親と交代で宗一郎の看病をしていた従妹だった。 「ほのかに会っていかないんですか?呼んできましょうか?」 「いいよ」 「それじゃ、ちょっと私に付き合って下さい」
1184 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 11:40:27 ID:3PDqro4M0 俺達は、葬儀場の直ぐ近くの喫茶店に入った。 ショートケーキを頬張り、飲み物を啜りながら彼女は言った。 「私、貴方を恨んでます」 「・・・・・・そうか」 「そうです!貴方が来なければ、最期まで宗ちゃんを独占できたのに!」 「悪かったな」 「それに、ほのかなんて大嫌いでした」 「・・・・・・」 「私、ずっと宗ちゃんが大好きで、やっと気持ちを伝えたのに、好きな人が居るからって・・・・・・ 会った事無かったけど、ほのかも宗ちゃんも居なくなっちゃえって思ってました」 「伯母様に、ほのかの事は聞いていたから、どんなキモイのを連れてくるかと思ってたけど・・・・・・ ほのか・・・・・・悔しいくらいキレイで・・・・・・いい子だったんですよ。 嫌な奴だったら良かったのに・・・・・・私にまで優しくて・・・・・・私が男だったら放って置きません」 「それで、俺にどうしろと?」 「ほのかとの友情に免じて、ここの支払いで許してあげます」 涙を拭きながら、彼女は店員を呼んだ。 「すみません、シフォンケーキを一つ。コーヒーのお代わりもお願いします!」 俺は、ぬるくなった珈琲を飲み干した。 おわり
1185 :名無しさん :2011/02/20(日) 11:47:18 ID:nbq4JjTo0 ごちそうさまでした。
1186 : ◆cmuuOjbHnQ :2011/02/20(日) 12:07:16 ID:3PDqro4M0 おそまつさまでした。 では、また!
1187 :名無しさん :2011/02/20(日) 14:02:39 ID:GmQTXJR20 祟られ屋さん、乙でした! 内容的に投下できないものが非っ常ーに!気になりますがw 無事に投下していただけただけで嬉しいっす。 またぼちぼちでいいいのでお願いしますね。
1188 :名無しさん :2011/02/20(日) 18:22:06 ID:jDJXfOrU0 新作キター
1189 :名無しさん :2011/02/20(日) 23:00:14 ID:EcJx1nl60 いいかげん創作文芸板でやればいいのに
1190 :名無しさん :2011/02/20(日) 23:27:15 ID:QsRyWkoc0 ああ、作者さん無事だったんだ。よかった。
1191 :名無しさん :2011/02/23(水) 01:13:42 ID:og./ZSQA0 マサさんだー! よかった生きてたのね
1192 :名無しさん :2011/02/24(木) 01:01:26 ID:DS15808E0 マサさんの方、新作の投稿おつでした!! メモやらPCやらが燃えてしまったとのことですが、 ご無事でなによりです。 次の作品も楽しみにしています。
1193 :名無しさん :2011/02/26(土) 01:36:27 ID:vN38GkFc0 ホンモノ?
1194 :名無しさん :2011/02/26(土) 20:27:48 ID:oYbIijOs0 オイラーや、他作品があまりにディープな話であっただけに、 今回はちょっと肩透かしをくらったような気になりました。 本物のマサさん?と疑ってしまう位・・・ なにか事情があって、あまり込み入った話を投稿することが できないのかもしれませんが・・・ 兎に角、ご無事で何よりです!
1195 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 12:29:03 ID:wMDdLBsg0 俺が18歳の時、父親に耐え切れなくなって家を飛び出した。 昔から酒癖が悪かったが、俺が13歳の時母親が脳梗塞で他界してからというもの、更にそれは激しくなった。 毎日暴力を振るう、怒鳴り散らす、仕事から帰ってきては酒に溺れていた。 そしてとうとう父親は1年前に仕事を辞め、残った金をパチンコやら競馬やらで使い、それに勝った金で酒などを買い生活してた。 ただ、それでも俺の学校の学費だけは出してくれてたかな。 その部分と、いままで育ててくれた部分には父親に感謝したい。 出て行った理由としては、毎日の理不尽な暴力と罵声、そして最後のこのセリフ。 「もうお前なんて息子でもなんでもねえ!縁切るからとっとと出てけ!」 普通に家で勉強してただけなのにこんな事言われたら、たまったもんじゃない。 ここで何かがふっ切れたのかもしれない。 高校卒業して数日たったら荷物まとめて家出たよ。 祖父は俺が2歳、祖母は俺が5歳の時に既に亡くなっている。 だから実質、俺は18歳にして家族という存在を全て失った。 当然、一人っ子だから兄弟もいない。 高校卒業という「最低限」の学歴はあったけどね。 それに元々俺はアルバイトはしていたから、月7、8万という収入があった。 しかし家を出たは良いものの、住む場所が無い。 その日の内に不動産屋に相談しに行ったよ。 とにかく安い家賃のアパートにこだわってたから、一番安いところはないか聞いた。 「それなら・・・」 と見せられたのが「家賃3万2000円!」と書かれた比較的キレイなアパートの写真だった。 でも月の収入が7、8万しかない俺にはなかなか痛い出費だ。
1196 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 12:30:20 ID:wMDdLBsg0 無理を言って、もっと激安な物件はないんですかと問い詰めた。 すると不動産屋は少し顔を曇らせながら、ウチで紹介できる最も安い物件は・・・。 と言って、今まで俺に見せていた新品同様のキレイなカタログをしまうと、本棚?の隅からくたびれた一枚の茶色い紙を取り出した。 「ここになります」 そう言って俺が見せられた紙の表には「家賃7000円、敷金、礼金0」と書かれた文字とアパートの写真。 家賃にも驚いたがそのアパートにも驚いた。 アパート全体が何だか分からない緑色の植物に覆われている。 玄関もベランダも窓も、その「ツル状」の植物に覆われ、2階建てのそれは「緑の館」と化していた。 「すごいっすね・・・」 俺がその写真を見た時最初にでた言葉がそれ。 「最も安いのがここで、これより上となりますと先程紹介した物件になりますが・・・」 迷ったが背に腹は変えられない。 「ここに決めます」 俺は渋々承諾するしかなかった。 このアパートはその日の内に住むことが可能とのこと。 ざっと書類に記入やらサインやらをして、不動産屋にそこへ案内してもらった。 そのアパートは写真で見たとおり、得体の知れない植物に覆われていたが、実際に見ると更に迫力があった。 今から住むものを拒もうとする、そんな迫力というかオーラみたいなもの。 植物を掻き分けて何とか2階の俺の部屋となる入り口の扉にたどり着いた。 不動産屋が伐採用の大バサミでツルやら葉っぱやらを切り裂いて扉を開けた。 むわっと湿気とも臭気とも熱気とも似つかないものが一気に漏れ出した。 だが中を見た俺は拍子抜けした。 そのアパートの見た目とは裏腹に、部屋の中は悪くないのだ。
1197 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 12:31:34 ID:wMDdLBsg0 もっと言えば、少しホコリっぽいがごく普通のアパートの部屋といっていい。 呆気にとられている俺を見て察したのか、不動産屋が口を開いた。 「かなり前に住人が出て行って清掃されてから、もう誰も住んでいないんです。それにしてもここまでキレイとは、私も驚きました。」 キッチンなどは勿論、トイレと共同だが風呂もついている。 それに加えて八畳半の広さ。 部屋の中の設備も悪くない。 なのに家賃7000円とはどう考えても納得がいかなかった。 不動産屋に別れを告げると、俺のその部屋での生活がスタートした。 ちなみに、アパートへ向かう途中このアパートの大家さんにはすでに会っている。 夏だったせいもあるが、白いランニングシャツにトランクス1枚で、うちわを扇ぐメタボリックな中年男だった。 「ああ、住むの?そうか ・・・まあがんばって」 それだけ言って、その男は欠伸をしながら奥へ下がっていった。 アパートの大家以外にもちゃんと仕事はしているらしく、ごく普通の家に住んでいた。 腹が肥えているのが何よりの証拠だ。 (こんなヤツが大家とは・・・あんなアパートだということも頷ける。ていうか頑張れってなんだよ!) 俺は心の中でそう思った。 出来る限り安いもので家具やら何やらを揃え、何とかそのアパートの部屋に自分の生活空間を作りあげた。
1198 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 12:32:26 ID:wMDdLBsg0 バイト先からそう遠くないという事もあり、外観は最悪だが内心良い所に住めたとその時は思っていた。 住み始めて数日たったある日、冷蔵庫の中の異変に気づいた。 昨日買ったばかりの牛乳パックの中身が、妙にドロドロになっているのだ。 まるで、日光の下で何日か放置させたかのように。 冷蔵庫は別段壊れている様子は全くなかった。 その証拠に、他の食材は新鮮そのものだった。 首を傾げながらも、もうその牛乳は飲めないため捨てるしかなかった。 それからまた数日後、バイトから帰ってきた俺は飲み物を飲もうと冷蔵庫を開けると驚愕した。 冷蔵庫の中の食材が、腐って白とも紫とも赤とも似つかないような得体の知れないカビに覆われていたのだ。 肉はパックの中に入ったまま白いサンゴ礁のようになっていた。 それらは昨日買ってきた食材ばかりだった。 これは一体・・・。 しかし冷蔵庫が壊れているという事はなく、開けると冷気が体を包んだ。 仕方が無いので、その日はコンビニで弁当や飲み物を買って食事とした。 冷蔵庫の中の物は腐りきっていたため、全て処分した。 その翌日はバイトが休みだった。 快晴だったこともあり、ベランダを掃除して敷布団を干そうと持ち上げた俺は、強い吐き気を覚えた。 まるで何年も敷布団をそこから動かさずに放置していたかのように、裏面にはビッシリとカビが生えていた。 黄色いシミのようなカビ、黒いカビ、赤いカビ、緑のカビ・・・。 それが敷布団の裏面全体を覆っていた。 思わず俺はその敷布団をベランダから外へ放り出してしまった。 そしてライターで火を点け燃やした。 もう泣きそうだった。 その日は新しい敷布団を買いに行くため出かけた。
1199 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 12:34:30 ID:wMDdLBsg0 もうあまり金の無い俺は一番安い煎餅布団を買う以外なかった。 そして部屋に帰り着き扉を開けた瞬間、あまりの腐臭に軽い目眩を覚えた。 部屋全体を覆う、カビ、カビ、カビ。 冷蔵庫の中からは薄く黄色がかった透明な液体が滴っていた。 余りの異様な光景に、俺は放心状態になっていた。 その時、黒色とも緑色とも思えるカビ部屋と化したその空間に、1箇所だけキレイな場所がある事に気づいた。 部屋の隅にある目立たない押入れだ。 その押入れの戸だけが妙にキレイなままなのだ。 越してきてから一度も開けた事のなかったその押入れが、この凄まじい腐臭の原因の様に思えた。 俺は靴を履いたまま部屋に入ると、その押入れを躊躇なく開けた。 だが、そこには何もなかった。 床の中心部分が紫色に変色している以外は。 床板の中心部分だけが楕円形に変色している。 俺は意を決してその板を接がした。 板は腐っていたため簡単に接がれた。 凄まじい腐臭が鼻を突く。 そこにあったものは、大量の動物の骨。 とにかく、沢山の動物の骨が床下にしきつめられていた。 何故骨がここまでの腐臭を放つのか分からなかったが、俺にはそれが死んだ動物達の怨念のように思えた。 冷静になって考えて確かな事は、俺はもうここには住めないという事。 そして前の住人の動物虐待、虐殺。 このアパートの家賃が安いのも納得だが、理由がこんな事だと知っていたら1000円でも御免だった。 何とかまだ生きている荷物をまとめ、俺はこのアパートを後にした。 しかしこのアパートについて何も知らないまま去るのも何となく嫌だったため、大家さんの家へ行き直接、部屋であった事を詳しく話した。 すると別段驚く様子も無く、「そうか・・・」と言って大家さんは語り始めた。
1200 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 12:35:35 ID:wMDdLBsg0 以下、大家さんの話。 今から6年前は、このアパートも新築同様で、住民も沢山いたんだ。 家賃も他の普通のアパートとほとんど同じだった。 俺もアパートの大家っていう仕事に生き甲斐を感じていたし、自分なりに色々頑張っていたよ。 ある日、一人住民が引っ越して別のアパートに住む事になったもんで、部屋に一つ空きが出来た。 空きが出来てから数週間後に、その空き部屋に女が越してきた。 その女は異常なまでの動物愛好家で、アパートの部屋で猫やら犬は勿論、どこから拾ってきたのか、兎やタヌキなんかも飼ってた。 分かってたら最初から住まわせなかったけど、ある日突然急に飼い始めてな。 俺も大家として最初のうちは注意したよ。 「ここで動物を飼ってもらっては困ります」 「どうしても飼うというなら出て行ってもらいますよ。」ってね。 でもその女、俺が注意する度に「じゃあこの子達をどうすればいいんですか!捨てるんですか!?そんな事するくらいなら死んでやる!!」って怒鳴り散らしてね。 手に負えない訳よ。 当時の俺は甘かったせいもあって、隣の住民から苦情が出たら強制的に出て行ってもらおうとか考えてた。 まあ案の定、その女が越してきてから三週間と経たないうちに苦情が出てな。
1201 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 12:36:30 ID:wMDdLBsg0 あんだけ動物飼ってりゃ、まあ当たり前だ。 約三週間ももったのが逆にすごいよ。 で、すぐに出て行くよう説得に行ったよ。 今度はかなり厳しくな。 「出て行かない場合は法的手段を取らせてもらう」って。 そしたらその女、発狂してのた打ち回ってね。 しばらくしたら静かになって「分かりました」って言ったんだ。 「3日経っても出て行かない場合は、分かってるね」って念を押してその日は女の部屋を後にした。 でも3日経っても、女が出て行く様子が全く無い。 んで、また部屋に押しかけた。 でも鍵が掛かっててドアが開かないから、合鍵で無理矢理開けた。 そしたらどうなってたと思う? その女、部屋で首吊ってやがった。 あんだけ沢山いた動物も逃がしたのかしらないけど、キレイさっぱりいなくなっててね。 女の死体の足元に遺書みたいなのがあって、俺に対しての悪口やら、隣の住民の悪口やら色々書いてあった。 まあすぐに警察に通報したよ。 大家として結構事情聴取されたけど、まあ死体を見れば自殺だって一目瞭然だわな。 女のこれまでの行動とかも細かく話して、警察も隣の住民や俺に同情してたな。 まあ特に大層な事も無く、キチ○イ女の自殺ってことで終わった。
1202 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 12:37:25 ID:wMDdLBsg0 大量の動物の行方については警察もちょっと調べたらしいけど、結局分からんままでな。 君の話を聞いてようやく分かったよ。 まさか押し入れの床下だったとはね。 警察もまさか床下に大量の動物がうまってるなんて思わなかったのかな。 まあ実際、動物についてはどうでも良い感じだったし。 板張り替え前と後で全く同じ様にするなんて、あの女も手の込んだ事するなー。 んで、女が死んでから一週間後くらいに、アパートの住民全体から不思議な苦情があってな。 何でも、冷蔵庫の中の食材なんかが、買って来たばかりのものまですぐに腐っちまうらしいんだ。 原因不明。 まさにこの言葉がお似合いだった。 そんな事が何度も続くもんだから、住民がどんどん出て行ってね。 最終的には住むもんがいなくなった。 住むもんがいないって事は、アパートの経営が難しいって事。 家賃を相場よりも馬鹿みてえに安くして、何とか経営を続けさせようとしたんだがな。 家賃に目がくらんで来る奴は沢山いたが、みんな二週間と経たないうちに出て行きやがる。 皆がみんな出て行く前に言うセリフは「腐る」「カビが・・・」これがほとんどだったね。 そう、今の君みたいにな。
1203 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 12:38:37 ID:wMDdLBsg0 ちなみに余談だが、君が住んでたのは、その女が自殺した部屋な。 まあそれで、いくら安くしても出て行かれる。 そのうち本気で生活が苦しくなって、アパートの大家以外に仕事を探さないといけなくなった。 何とか職探しして、今はパチンコ屋の正社員さ。 給料もそこそこ良い。 現役で大家してた頃よりは少ないけど、充分に暮らしていける。 ま、そんな感じだな。 ただアパートに人が全然住まなくなってから、変な植物が沢山生えやがって、今じゃ全体を覆い尽くしてる。 これもあの女や動物達の怨念かも知れん。 それにしてもやっぱり、人の死体ってのは恐ろしいもんでな。 あの女の死に顔、忘れられんのよ。 舌だらっと突き出して、目が完全に白目剥いててな。 トラウマもんだぜありゃぁ。 まあ、結局自業自得だけどな。 そう言い終えて、大家さんは笑った。
1204 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 12:40:04 ID:wMDdLBsg0 俺は大家さんに「まだアパートの大家続けるんですか?」と聞いた。 「たぶんもう君が最後の住民だろうし、辞めようと思う。何より、儲からんしな。」 そう言って大家さんはまた笑った。 そして最初会った時と同じ様に、うちわを扇ぎながら奥へ下がっていった。 俺はその後、少し苦しかったが初めに紹介された家賃3万2000円のアパートに住む事になった。 20歳になる頃には、ある会社の正社員にもなり、安定した収入が得られるようになった。 現在24歳。 まだ家族はいないが、頑張って生きている。 仕事の帰り、通勤電車に揺られながら、時折大家さんの事が頭をよぎる。 あの出来事から6年たった今でも、喉に刺さった骨のように、折に触れてあの記憶がよみがえる。
1205 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 12:52:20 ID:wMDdLBsg0 笑いながら奥へ下がっていった大家さんの後ろ姿。 その背中に寄り添うようにして、しがみついている女。 大家さんが後ろを向く時、確かに目が合った。 その目は冷たく、無機質に笑っていた。
1206 :名無しさん :2011/02/27(日) 13:38:26 ID:nbwbJfNs0 行間隔はcss等で見る側が調節するものだという概念を理解して欲しい
1207 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 14:30:54 ID:wMDdLBsg0 申し訳ない
1208 :名無しさん :2011/02/27(日) 16:50:06 ID:NTXPe5iU0 改行多すぎで、話まで無駄に間延びした印象
1209 :名無しさん :2011/02/27(日) 18:09:25 ID:m4Wb5LYA0 >>1207 無駄な改行はともかく話は面白かったよ
1210 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/02/27(日) 21:38:41 ID:wMDdLBsg0 >>1208 >>1209 本当にすまない。改行があった方が読みやすいと思ったんだが、無駄な配慮だった。 これから投稿する事があれば気をつけようと思う。
1211 :名無しさん :2011/02/28(月) 18:38:51 ID:xwwuspJw0 >>1210 投稿してみて、自分で読みやすいと思ったん?
1212 :名無しさん :2011/02/28(月) 22:41:25 ID:jdS2C8oQ0 粘着しすぎ
1213 :達人 ◆vC9PjXgScw :2011/03/01(火) 13:03:47 ID:4xVJ9wnQ0 >>1211 正直2レス目くらいから、失敗したと思ったけど、急に改行消してもなぁ。。 と思ってそのままいってしまった。申し訳ないm(_)m
1214 :名無しさん :2011/03/01(火) 19:59:38 ID:zEBvYU3o0 いやいや、これにめげずに他にも話あったら投下よろ
1215 :名無しさん :2011/03/02(水) 22:01:31 ID:u6EfYTLs0 もう地元でもほとぼりが冷めてる頃だと思うのでカキコ 半分くらいが聞いた話なのでわかりにくかったら勘弁 6〜7年前、高校の頃の話 俺の友人(とりあえずAとしておく)がガールフレンド(B)とその友人カップル(C・D)の4人で肝試しに出かけたらしい 行ったのはAの自宅近くの小さな山で、地元では血塗れの坊さんが出るとかって噂だった それでもって麓には神社があって、そこの私有地だって話もあったから不法侵入で二重のスリルをって感じだったのかもしれん ともかく4人は山の中にある祠までいって帰ってくる計画で自宅を出発した Aが言うには坊さんは祠周辺をうろついてるって話なんで、目的地には最適だと思ったそうだ で、祠までの道中は何もなかったそうなんだけど、祠が見えたとたん皆立ち止まってしまった なんでも祠の周りを赤っぽいなにかがものすごい勢いでぐるぐる走り回ってたらしい それでみんな怖くなって一目散に逃げてきた 遠めで暗かったからよくわからんかったけど、たぶん坊さんの霊が出たんだろうって話だった とまあ、ここまではよくある話といえばよくある話なんだが それから一週間ぐらいして、AとBが突然学校を休んだ 違うクラスだったんですぐには気付かなかったんだがCとDも休んでた まあ四日後には普通に登校してきたんだが、そのとき聞いた話がまた変な話だった
1216 :名無しさん :2011/03/02(水) 22:03:03 ID:u6EfYTLs0 肝試しから一週間ぐらいして、Aの家に客が来たらしい その客っていうのが例の麓の神社の神主だったそうだ どこをどうめぐったのか肝試しの話が神主の耳まで届いてて、Aは神主と両親にこっぴどく怒られたそうだ でも神主の怒った理由ってのが私有地云々て事じゃなかったらしく、神域に勝手に入ったんで怒ってたらしい それで神主曰く、 『君達が悪い事をしたので神様が怒ってしまった』 『ちゃんとしたお祓いと儀式をすれば、神様はきっと許してくれる』 『もし君達が神様を信じてなくても、しきたりに従うという意味でお祓いを受けて欲しい』 で、A達の両親もそのしきたりを知ってたらしく、A達4人は3日間、お祓いの儀式とやらをやってきたんだと (正確には夜の間だけで、昼は家にこもってたとか言ってた) 儀式の話も聞けば聞くほど意味わからん内容で、 何時間かかけて石を積ませたり、刃物で体中をさすられたり、 あと壁にかけられた掛け軸に頭を下げさせたり、苦味のあるお茶?みたいなのを飲まされたりしたらしい それで最後に神主が変な呪文(たぶん祝詞だと思う)を唱えて終了、儀式の事は他言無用だと約束して帰宅したそう Aが言うには、ほんとは秘密だけど、お前にだけは話してやるとの事だった 実際、血まみれ坊主の話は広まってたが儀式の噂は少なくとも俺の耳には入ってこなかったから、 ほんとに俺以外には誰にも話さなかったのかもしれない まあともかく、俺はこの話はこれで終わったと思ってた けど一ヵ月後、AとBはバイク事故で亡くなった まあ、無免許の上、整備不良、スピードも相当だしてたらしいから自業自得だって言われたらそれまでだけど 隣町に遊びに行った帰りだったらしく、カーブを曲がりきれんかったみたい で、それからまたしばらくして今度はCとDが行方不明になった たぶん二人で家出(大人達は駆け落ちってニュアンスで話してた)したんだろうってのが大方の見解
1217 :名無しさん :2011/03/02(水) 22:04:52 ID:u6EfYTLs0 話はもう少し続く CとDが失踪してから何ヶ月かして、後輩にAの事を聞かれた そいつには以前血まみれ坊主の話をしたんだが、 そのときに異様に食いついてきてたから、もしかしたらと思ってたんだけど、 詳しく聞いたら案の定、祠に肝試し行ったらしい そいつは霊とかは見なかったらしいが、行った夜に坊さんの夢を見たとか言ってた 俺は単なる考えすぎだと思ったけど、しつこく聞かれたんでAの話をしてやったんだよ 一応、バイク事故の話と家出の話だけで儀式の事は伏せてた 神主の耳にでも入ったら厄介事になりそうだったから で、それでその話は終わったんだけどさ それから数日して、今度はその後輩が例の山で事故死したらしい 崖かどっかから転落死って話 学校や近所の奴らは祟りだろうって噂してた これ以降、俺が知ってる限りでは祠に関係して死人はでてない
1218 :名無しさん :2011/03/02(水) 23:08:15 ID:4NyWRYiw0 ID:u6EfYTLs0 A両親はしきたりを知ってたって事だけど、 1、「神域に近づいてはいけない」というしきたり 2、「神域に近づいたら御祓いを受ける」というしきたり どっちなんだろうね? あなたの世代は「山に行くな」とか言い聞かせられたりはしなかった? 「あそこへ行くと下手したら祟られて死ぬ」という信仰ならタブー中のタブーだよね それとも死者が出たのは異例中の異例なんだろうか?
1219 :1215 :2011/03/02(水) 23:23:53 ID:u6EfYTLs0 しきたりについては2だと思う Aの両親に確かめたわけではないけど、Aにお祓い受けさせてるから理解はあるはず 山については年寄りたちからは入るなときつく言われていた ただ親くらいの世代は危ないからとか私有地だからってニュアンス 少なくともうちの親はそうだった
1220 :名無しさん :2011/03/03(木) 00:01:23 ID:7eIbVtUc0 赤っぽいなにかが血塗れの坊さんとして伝わってるし、儀式という方法論が確立してるんだから 歴史上それなりの数の人が目撃して、助かってるんだろう事は予想できるね 柵とか掟とか作って厳重管理って訳でもなさそうだし、形骸化しても平気な程度には安全だったのかもね その時までは
1221 :天狗男 ◆3d.QRuQQg. :2011/03/06(日) 04:18:12 ID:uu6L.kwY0 ご無沙汰してます・・・ えっと・・・ここ俺が昔投稿してたとこですかね・・・? トリ合ってるかな・・・うろ覚えなので間違ってたら申し訳ないです。 スミマセン、ここ半年くらい突然色んなところに例の移動をしてまして・・・ 以前のような忘れた頃に、ではなく2〜3日おきにそれがやってきまして・・・ 最近になってようなく安定してきたようなので、試しに書き込んでみました。 まともな所にずれこんだのなら良いのですが、人間の文明のほぼ無いような所も あったりで、ほんとに生きた心地がしませんでした・・・というか、まだ完全に 安定してないので非常に怖いです・・・確か数ヶ月前に、ここに近い場所に出た ので助けてもらいたくて投稿したのですが、なぜかうまく投稿できず・・・突然 いなくなることが多かったので当然、会社もクビになりました、アハハ・・ もうしばらく待って完全に安定したらその間の出来事を投稿しようかと思ってます。
1222 :名無しさん :2011/03/07(月) 11:55:53 ID:dj2Tg2zM0 >えっと・・・ここ俺が昔投稿してたとこですかね・・・? トリ合ってるかな・・・うろ覚えなので間違ってたら申し訳ないです。 あってるよ。シリーズ・関連カテゴリの「同一作者」にも「天狗男」でまとめられてます
1223 :名無しさん :2011/03/07(月) 14:47:20 ID:QeId8bw.0 >>1221 >>640 トリ合ってない
1224 :ボム吉 :2011/03/24(木) 13:00:17 ID:kbL2OigsO すみません、投稿させてもらいます。 僕はコンビニでバイトしているんですが、これまで何度か不思議な体験をしたことがあります。 一つ目。 夜の十時頃、お客さんが一人も居ないので棚の掃除をしていました。 一番下の段を掃除するためにしゃがんで作業していたら、視界の端にふっと誰かの足が。 やべっ客来てたのかよ。 と思い、しゃがんだまま「いらっしゃいませー」と言ったら、近くで品出ししていた主婦子さんから 「○○君いま誰に挨拶したの?」と言われました。 誰にってお客さんしかおらへんやろ。と思った僕が振り返ると、そこには誰もいませんでした。 僕の店は入り口にピンポンが付いているんで、お客さんが入ってきたら分かるはずなんですけどね。 二つ目。 毎日夜の九時頃に来る常連客がいます。 作業着を着たおっさんで、毎回同じ銘柄のビールと弁当を買っていきます。 ある日のこと、そのおっさんが八時頃に来ました。 今日は早いなーと思いながら会計を済ませると、その一時間後にまた来ました。 さっきとまったく同じ格好で、同じビールと弁当。 なんだかリプレイ映像を見てるようで気持ちが悪いです。 っていうか何で同じ物買うんだ?おかしいだろ。 と思いましたが、僕の頭の方がおかしくなったのかなと思い深く考えないことにしました。 それから数週間後。 またおっさんが八時頃に来ました。 普通に買い物を済ませて帰ったんですが、また一時間後に来るんじゃないかとドキドキしていると、その予感が的中しました。 おっさんはまるでさっきの自分をなぞるかのように、同じ商品を選んでレジに来ます。 僕は常連客にもドライな感じで接するタイプの店員だったんですが、どうしても気になっておっさんに聞いてみました。 「あの・・・・八時頃にも来てましたよね?」 僕がそう問いただすと、おっさんはキョトンとした様子で 「いや、来てないですけど」と言いました。 えっ、マジで? いやいや、それはありえないですよ。 だって僕のポケットには「夜八時 おっさん来店」というメモ書きがあるんだから。 もう本格的に気味が悪くなった僕は、とりあえずおっさんに 「すみません勘違いしてました」と謝り、その場を取繕いました。 結局僕が見たのは何だったんでしょうか。 よく死期が近い人間の元にドッペルゲンガーが現れると言いますが、もしかしてそんな類の現象なんでしょうか? おっさんはある日をさかいにパッタリと店に来なくなりました。 ただ単に別の理由でコンビニに来なくなったんだと思うけど、もし亡くなってたりしてたら嫌だなぁ。 と、そんなことを思いながら今もコンビニでバイトしています。 すみません終わりです。
1225 :名無しさん :2011/03/28(月) 16:01:33 ID:oaMJgzhM0 ボム吉さん、もっとあったら投稿お願いします。面白いわ
1226 :名無しさん :2011/03/28(月) 18:52:58 ID:jm7eVQAAO マサもネタ切れか
1227 :名無しさん :2011/03/30(水) 12:59:26 ID:phMw7tyo0 ボム吉ってボム山とは違う人?
1228 :ボム吉 :2011/03/30(水) 13:55:56 ID:VcpSWwLQO >>1225 レスどうもありがとうございます。 つまらない話しか投稿出来ませんが、時間があったらまた書き込みます。>>1227 すみません、同じです。 ボム山ボム吉というのが本名だと思って頂ければ。 ややこしくて本当すみません。
1229 :ボム吉 :2011/04/01(金) 01:52:39 ID:UVY9RJ4sO すみません投稿させてもらいます。 僕が中学生だった頃の話です。 その年のお盆、僕たち家族は親戚の家に遊びに行きました。 関東のとある地方なんですが、山と田んぼで囲まれたどこにでもあるような田舎町です。 家に着くとじいさんばあさんが出迎えてくれて、 「よく来てけだなぁ。なんもないけどゆっくりしてってけれ」 と言いました。 しかし僕の実家はそれ以上のド田舎です。 なんにもないとか嫌味か? 商店街や自動販売機なんてある時点で十分都会だろ!と妬んだ僕は、小学生の妹と二人で 「ケッ!田舎的見どころはねえな! 「そうだね兄さん!」 と暴言を吐いたりしました。 それから他の親戚も来て、昼過ぎにはかなりの人数が集まりました。 ざっと四家族ぐらいいたと思います。 オヤジ連中は居間に集まってガハハ〜と騒ぎ、オバンたちは台所で夕飯の準備を始めました。 子供たちの中で一番年上だった僕は、みんなの世話を見るように言われたので、軟弱な都会っ子に弓の作り方を教えたりしました。 夜。 親戚一同、和室のふすまを三部屋ぶちぬいた大部屋で寝ることになりました。 廊下側から親戚A、親戚B、親戚C、そして僕たち家族です。 酔っぱらったオヤジ連中はさっさと寝てしまい、夜更かしして遊んでいた僕たちも睡魔に勝てず、一人、また一人と寝てしまいました。 すみません続きます。
1230 :ボム吉 :2011/04/01(金) 02:02:35 ID:UVY9RJ4sO すみません続きです。 その日の深夜。 なぜかパッチリ目が冴えてしまった僕はなかなか寝付けずにいました。 壁掛けの時計を見ると、すでに午前一時を過ぎています。 明日は早く起きなきゃなんねーのに全然眠れねーよ。 っていうかみんなイビキうるせーなー。 そんなことを考えながら十分、二十分と過ぎた頃。 それは突然やってきました。 ビシッ!と乾いた木が割れるような音と共に、部屋の空気が一瞬にして変わりました。 ピーンと張りつめたような、物音を立てるのすら恐ろしくなるような、そんな空気です。 これには霊感ゼロの僕もさすがに驚きました。 なんだこれ!?なんだかよくわからんけどこれヤバイ! 本能的に危険を感じた僕はタオルケットを頭からかぶり、さっさと寝てしまおうと思ったその時。 シュッ シュッ 誰かの足音が聞こえます。 畳の上を滑り歩く音です。 布団をかぶっている僕の耳にもはっきり聞こえました。 この部屋にいる連中はみんな眠っている。 それはさっきまで起きていた僕が一番よく知っている。 じゃあこの足音は誰だ? 誰が歩いているんだ? シュッ シュッ 足音は廊下側からだんだん部屋の奥へと移動しています。 親戚A、親戚Bを通り過ぎ、親戚Cへ。 シュッ シュッ そして僕たちの元へ。 一人一人を値踏みしているかのように、ゆっくりと足音が近づいてきます。 誰?誰だよ! 心臓が狂ったように鼓動している。 蒸し暑い夏だというにも関わらず、全身が冷や汗でビッショリです。 これはもうアカン!はよ目を閉じな! と僕がそう思った瞬間、初めて自分が金縛りにあっていることに気が付きました。 今まで何度か金縛りの経験はありましたが、それとは比べ物にならないような強烈なものです。 本当に指一本すら動かない。 目も瞑れない絶望的な状況の中、足音が近づいてきます。 もうすぐそこです。 僕は心の中で強く念じました。 やめろ!来るな!来るな! 来るな! シュッ シュッ それからどうなったかよく覚えてません。 怖くて失神しちゃったのか、それともそのまま寝ちゃったのか。 朝起きると夜中の出来事が嘘のように、何事もない普通の朝でした。 母親から「布団片づけるから早く起きなさい!」と無理矢理起こされるくらい普通の朝です。 あれはなんだったんだ?夢か? いやいや、あんなリアルな夢はありえねーだろ。 と周りの大人たちに夜中のことを聞こうとしましたが、全員眠っていたし、言ったところでどうせ 「お盆だから死んだ○○が帰って来たんだよ!ガハハハハ!」 と笑われるのがオチなので誰にも話しませんでした。 ただそれから数年後。 なんとなく妹に「いやーこんなことがあったんだよー」と話すと、妹は少し驚いた様子で 「私も見た」と言いました。 なんとあの日の夜、妹も起きていて、その出来事に気付いていたというのです。 でもあの日、妹は横になって廊下側に背を向けて寝ていました。 それはよく覚えています。 じゃあ見たというのはどういうことなのか。 足音を聞いたんじゃなくて見たんだよな。 もしかして姿を見たのは夜中じゃないのかな? なんだかいろいろ気になるところはありますが、昔のことなんでまぁいいや。 とそれ以上詳しく聞きませんでした。 すみません終わりです。
1231 :ボム吉 :2011/04/02(土) 19:36:49 ID:WMpt5ZYkO すみません投稿させてもらいます。 バイト先のコンビニ社員、舘岡さんから聞いた話です。 以前新入社員のAさんという方がいました。 Aさんはある日、県北にある会社直営のコンビニに回されました。 そのコンビニ、実は社員達のあいだで有名ないわく付きの物件です。 心霊関係の噂が堪えず、バイトが入ってもすぐ逃げ出すというのです。 事情を知っていた社員たちはAさんに向かって 「あーあ終わったな」 「まぁ精々頑張れよ」 「ざまぁw」 等々の言葉を投げかけました。 しかしAさんは根っからのオカルト否定派。 いい大人が幽霊だなんてなにを馬鹿な!くだらない! と意気揚々を向かったそうです。 それから数日後の深夜。 事務所でレポートを書いていたAさんがふと顔を上げると、店内モニターに若い女性客の姿が映っていました。 スーツ姿の女性がレジの前にボーっと立っています。 すぐ後ろに店員がいるにも関わらず、まったく気にする様子がありません。 店員も店員で、すぐ近くにいる彼女に気付かず商品の陳列をしていました。 (なんであの距離で気付かないんだ?) Aさんは不思議に思いましたが、これ以上待たせるのはマズイと思い急いで売り場に出ました。 「すみません大変お待たせしました」 フライング気味に謝罪してレジに出ると、そこには誰もいません。 あれー・・・・とAさんは戸惑いました。 さっきまでいた女性客の姿がどこにも見当たらない・・・・。 帰ったのかなと思いましたが、事務所から売り場に出てくるまでに三秒と掛っていません。 いくらなんでも早すぎる。 これはおかしいと思ったAさんは、近くにいた店員に聞きました。 「さっき若い女のお客さんがレジにいたんだけど気付かなかった?」 「えっ?今ですか?」 「うん、今」 「えー、ずっとここで作業してましたけどお客さん来てないですよ」 「いやいや、いたんだよ。レジのところに」 「いませんって。いたらなんぼなんでも気付きますよ」 「・・・・・・」 店員の様子から、とても嘘を言っているようには思えません。 じゃあさっき俺が見たのはなんだったんだよ。 まさか本当に幽霊だっていうのか? 不服に思いながらAさんは事務所に戻りました。 すぐに今の出来事を忘れようと思いましたが、どうしても気になります。 そこでAさんは、録画していた店内映像を見て確認することにしました。 あれには確かに映っていたはず。 急いでAさんは映像を確認すると、そこには信じられない映像が映っていました。 女がレジに立っている。 十秒以上経過したところで、自分がレジに走って行く映像。 女はまだ立っている。 周りをキョロキョロと見渡す自分。 女は立っている。 店員に話し掛ける自分。 そこで女は顔を上げ、カメラを見た。 とても生きている人間とは思えない白い顔で女は笑った。 口の両端を吊り上げ、ニィーっと笑い、そして消えた。 Aさんはそれからノイローゼのようになり、そのまま会社を辞めたそうです。 以上が舘岡さんから聞いた話です。 この話、実は社員たちのあいだで有名な話だそうで、僕が「えー本当っすかー」と舘岡さんに言うと、 なんと今現在東北を統括している偉い人(僕も会ったことある人)が実際にAさんから聞いたというのです。 というか、Aさんに実際忠告した先輩社員の一人だそうです。 そのコンビニ、今もあります。 去年舘岡さんがある用事で行くと、事務所にお札。 そして売り場の四隅、コピー機の裏やショーケースの上など、お客さんの見えないところに盛り塩があったと言っていました。 すみません終わりです。
1232 :庄七堂 :2011/04/06(水) 01:42:28 ID:isFRqYkA0 はじめまして、こんばんは。今回初めて投稿させていただきます。 以前別サイトに投稿したものですが、、、 転職の為、実家を離れ一人暮らしを始めた頃の話。 自家用車は持っていたが僕は地図を読むのが苦手な上に馴染みのない土地に引っ越してきたということもあり。 これを機会にカーナビを買おうと思いたった。 「使えればいいや」ぐらいの感覚だったので近所のカーショップで中古を探した。 割と新しめのものが安く売られていたので深く考えずに購入した。 取り付けてからしばらくは問題も無く作動していたし中古だからといって何の不具合も無かった。 でも、ある日の休日。 最近出来たという大型ショッピングモールへ行った時のこと。 買い物をして、映画を見て、レストランで食事をし帰路についたのは22時くらいだったと思う。 目的地を自宅にセットし◯◯道を走っていると、、、 「300メートル、先、右折デス」 おや?と思った。 来た時も(30分ぐらいかかったが)この大きめの道沿いを走ってきた。 こんなところで曲がった記憶は無い。 でも目的地は自宅を差している。 渋滞情報に合わせて裏道を案内しているのかとも思い(それほど混雑しているように見えなかったが....)、少々不信に思ったが指示通りに走行する。 するとどんどんと住宅街のほうに走っていく。 どうもわざわざ迂回しているようにしか思えない。 だんだん交通量も少なくなり、対向車とすれ違う回数も減って来る。 その時、出し抜けにカーナビが、、、 「目的地マデ、600メートル」 えっ!!と思った。 まだ自宅にはほど遠い、見当違いのところだ。 でも、目的地は自宅を指している。 「カーナビのミスかな...」 と思った。 「目的地マデ、300メートル」 「目的地マデ、100メートル」 だんだん近付いてきてはいるみたいだ。 周囲を見回すと団地が立ち並ぶ普通の住宅街でありなにかの施設があるわけでもない。 「目的地ニ、到着シマシタ」 そうカーナビが告げる。 そこは、、何の変哲も無い交差点だった。 丁度赤信号だったので車を止め、カーナビの設定を変更しようと思って手を伸ばした時、、、
1233 :庄七堂 :2011/04/06(水) 01:43:46 ID:isFRqYkA0 「ココデ」 えっ? カーナビが唐突に喋り出す。 「ココデ、ココデ、ココデ」 繰り返す。 段々言葉と言葉の間隔が短くなっていき。 「ココデココデココデココデココデココデココデココデココデココデココデ・・・」 とループしだした。 此所で? 不意に背筋がゾッとして辺りを見回す。 その間もカーナビは喚き続ける。 「ココデココデココデココデココデココデココデココデココデココデココデ・・・」 その時、目に留まった。 横断歩道、ガードレール脇に花が供えられているのを。 すると不意にカーナビの音声が途切れ、、 しばらくすると抑揚の無い声でこう喋り出した、、、、 「ココデ、死ニマシタ」 カーナビの音声にもある程度の愛嬌はあるものだがこの時の声は、、全く無機質としかいいようがない、、なんと言ったらいいか「この世のものではない声」に聞こえた。 「ココデ、死ニマシタ」 「ココデ、死ニマシタ」 「ココデ、死ニマシタ」 「ココデ、死ニマシタ」 僕は声を出すことも出来ず、身体中から血の気が引いていくのを実感していた。 いつのまにか青信号になっている。 急いで車を出す。 カーナビの”声”はまたループに戻っていた。 「ココデココデココデココデココデココデココデココデココデココデココデ・・・」 延々とループする”声”。 「これ以上聞いていたら自分は発狂するかもしれない...」 そう思い、夢中でカーナビの電源を切った。 「ココデココデコ....」 それから歯の根も合わない程の恐怖に苛まれ(電源を切ったはずのカーナビがいつ喋りだすかという恐怖に)どこをどう走ったのか定かではないがなんとか自宅に辿り着いた。 翌日、そのカーナビを取り外し配線を切断し、水に浸けてから(なぜかそこまでしないと「また喋り出しそうな」気がしたから)廃棄した。 いま、これを書きながら幾分冷静になって考えてみる。 自分は霊的な現象を積極的に肯定するほうではないがやはりあれはあの「交差点に供えられていた花」が原因ではないだろうか? あそこで衝突事故を起こして亡くなられたかたの霊がカーナビを触媒として僕に語りかけてきたのではないのか? しかし霊感が強いわけでもなくむしろ全く無い僕に聞こえるものなのか? もしくはそのかたが生前使っていたカーナビだったのではないか? いや、まさか。 事故車のカー用品など出回るものだろうか。 そもそも衝突事故を起こした車のカーナビ等使用出来る状態にあるわけがない。 ふと、残酷な仮説を思いつく。 あの「交差点に供えられていた花」は”事故”で生命を落とされたものとは限らない。 ひょっとしたら”事件”だったのかもしれない。 僕は”声”の途中でカーナビの電源を切った。 「ココデココデココデ、コ.......」 切る直前ループする声のイントネーションが若干変わりかけていた気がする。 「ココデココデ、ココデ、コ.......」 あの後に続く言葉は、、、 「ココデ、殺サレタ」 だったのではないだろうか? 僕はそれを確かに聞いたが無意識がそれを聞かなかったことにしてしまったのかもしれない。 だとするとあのカーナビの持ち主は..............
1234 :名無しさん :2011/04/06(水) 03:25:11 ID:zJ1D3KEs0 自ブログとホラーテラーで発表済みの話か。 別に本人のマルチでも他人の転載でもいいけど、ホラーテラーに載ってる話ならあそこの利用規約には従えよ。
1235 :名無しさん :2011/04/07(木) 14:09:49 ID:.s36OXh60 ホラーテラーって、毎日なんであんなに話が集まるのかすごい不思議なんだけど 普通の話収集サイトってどんなにメジャーでもあんだけ集まらないよな 開設数年で洒落怖を上回る数の話が集まるってかなり不自然な気がするが・・・
1236 :名無しさん :2011/04/07(木) 16:33:14 ID:6v6DzscAO ホラーテラーに大量の話が集まること自体ホラー。 なんつって!w
1237 :名無しさん :2011/04/07(木) 16:35:58 ID:bSpu5q5I0 「2chの1スレに投下された話を雑談を取り除いてまとめる」のと、 「雑談なしにダイレクトに投稿された話を掲載」じゃ早さが違うし、 ダイレクトな分、煽られたり叩かれたりしないってのもあって、 「早く人目に付くところに載せたいけどスレに書いて叩かれたら嫌」とか、 単純に2ch嫌いって人とかはあそこ選ぶんじゃないかな? 体験談なら叩かれても「いやホントだし」でいいけど、作家さんはヘコむでしょ どっちも有名だとすると、オカ板全体ならともかく洒落怖スレ1つに集まる話と、 専門サイトに集まる話の数には差が付くだろうしね。 例えばここの掲示板と違って、本スレでは怖くない話はいらないと言ってる訳で、 まともな書き手なら「ほんのり」とか「エニグマ」に投下先を変えるんだから。 あとここのまとめ、携帯だと読めないとかたまに聞くから、 携帯の人は自分で読めるサイトに書きたいんじゃないかと。 ただまぁ数ばっかり多くてもね。 「金縛りにあいました。目を開いたらなんかいました」とかが今後2万話増えてもさ。 「やっぱ洒落コワに載ってる話は怖いよな」の方がいい。
1238 :ボム吉 :2011/04/10(日) 00:32:00 ID:z6F4IcmMO すみません投稿させてもらいます。 今年の三月、東北地震があった日の話です。 僕の住んでいるところは結構震源に近いので、それなりの被害を受けました。 ちょうど地震が起きたその時間、僕はコンビニでバイトをしていました。 ニュースであったようにコンビニに長蛇の列が出来て、手元が見えなくなるまで必死に電卓で精算しました。 店を締め切った頃にはすでに午後七時を回っていました。 停電しているので店内は真っ暗です。 月明かりでもあればだいぶ違いますが、その日に限って外は猛吹雪。 店の中はすっかり冷え込み、強風で窓ガラスはガタガタと揺れています。 でもこれで帰れる・・・・やった・・・・。と僕がホッとしたのもつかの間、店長がこんなことを言いました。 「じゃあ○○君と主婦子さん、店はお願いね」 えっ?帰れないの? 僕は驚いて店長に聞くと、荷物が来るかもしれないから夜の十時まで店にいてね。と言います。 正直早く帰りたかったんですが、店長に逆らうわけにもいかないので僕は渋々承諾しました。 その日の夜。 僕たちは真っ暗な事務所の中でじっと時間が過ぎるのを待ちました。 隣にはバイト仲間の主婦子さん。 自分の手元すら見えない暗闇の中、沈黙が続きます。 これが仲の良い奴となら会話も弾みますが、普段彼女とはほとんど話さないのでなんとも居心地の悪い空が流れました。 主婦子さんも同じように感じているのか、時折携帯を確認しては心配そうにため息をついています。 僕はこの空気を打破しようと、彼女に話し掛けました。 すみません続きます。
1239 :ボム吉 :2011/04/10(日) 00:39:38 ID:z6F4IcmMO すみません続きです。 僕はこの空気を打破しようと、彼女に話し掛けました。 「暗いですね」 「そうね」 「暗いコンビニってなんか怖いですよね」 「そう?」 「夜の校舎とか怖くなかったですか?小学校とか中学校の時」 「あぁー、怖かったね」 「・・・・・・」 「なんか怖い話ないですか?」 「えっ?」 「怖い話」 「好きなの?」 「えぇ、まあ・・・・。フヒヒッ」 「そういえば君、社員の舘岡さんとよくそんな話してたよね」 「そうなんですよ」 「怖い話かぁ・・・・」 「そんなに怖くなくてもいいですよ」 「・・・・それなら少しあるかな。私が小さい頃の話なんだけどね、」 というような流れで怖い話を聞きました。 そんなに怖くないって前置きだったんですけど僕にとっては結構怖くて、 それ以上に主婦子さんの豊富な霊体験に驚きました。 そして二つ目の話が終わり三つ目の話の途中の時、不思議なことが起こりました。 突然、売り場の方から コンコン という音が聞こえました。 ガラスをノックした時のような音です。 誰か来たのかなと思い僕がイスから立ちあがると、主婦子さんが 「行かなくていいよ」 と僕を制止しました。 誰か来たかもしれないのにどうしてそんなことを言うんだろう。 僕は不思議に思いましたが、音を無視するわけにもいきません。 僕は「ちょっと行ってきます」と売り場に出ました。 携帯のライトを照らしながら店内を見渡しますが、誰もいません。 音の原因も探りましたが特に異常は見当たりませんでした。 まぁ、風で飛んできた物がガラスに当たったのかなぁーぐらいに思って僕は事務所に戻りました。 「なんもなかったっす」 僕が言うと、主婦子さんは「そう」と一言だけ言いました。 すみませんもうちょっと続きます。
1240 :ボム吉 :2011/04/10(日) 00:42:47 ID:z6F4IcmMO すみません続きです。 「なんもなかったっす」 僕が言うと、主婦子さんは「そう」と一言だけ言いました。 それから怖い話を再開して数分後、また売り場の方から カッシャーン パコーン という音が。 今度はなんだと思い向かうと、お菓子の箱が床に落ちていました。 さっきまで落ちていなかったのに。 余震でもあったのかな? 僕はお菓子を棚に戻して事務所に戻りました。 「なにかあったの?」 「なんもなかったっす」 さっきと同じような会話をして話を戻すと、またすぐに ガラガラガラガラ という音が聞こえました。 クソッ!なんだよもう!と再度売り場に出ると、今度はアイスを収納してあるボックスが開いています。 僕は震える手で取っ手を掴んで閉めました。 ノック音とお菓子が落ちたことはなんとか説明出来ます。 しかしこれはどう考えても無理です。 アイスの収納ボックスは常に閉まってあるので、誰かが触らない限り開きません。 勝手に開くなんてありえないんです。 (ないないない!これはないわ!) 僕は軽くパニックになりながらダッシュで事務所に戻りました。 ハァハァと荒い息遣いの僕を気にする様子もなく、主婦子さんはしれっと「今度はなに?」と言います。 「え、えーっと・・・・アイスのゴンドラが開いてました・・・・」 「そう」 「はい・・・・へへへ」 僕が笑って誤魔化そうとすると、彼女はこんなことを言いました。 「幽霊がやったんじゃない?」 「えっ?」 「だってほら、怖い話していると幽霊が集まってくるって言うじゃない」 「・・・・まさかぁ」 「いやいや、本当に」 「・・・・・・」 ありえない。 そう頭では思いましたが、言葉にすることは出来ませんでした。 店内は相変わらず真っ暗です。 僕は主婦子さんの声を聞くだけでどんな表情をしているのか分かりませんが、 何故か笑って喋っているということはだけ分かりました。 こんな状況なのになんで彼女は笑っているんだろう。 僕は正直、ポルターガイスト現象よりも主婦子さんの方が怖かったです。 なんか、「いつもの彼女じゃない!」みたいな。 僕はあの時すごい怖かったんですけど、文章にするとあまり怖くないですね。 すみません、終わりです。
1241 :名無しさん :2011/04/15(金) 17:59:49 ID:jxtKX2PI0 俺が高校生だった頃の話。両親が旅行に出かけて、俺は一人でお婆ちゃんのとこにいったんだ。 婆ちゃんはよく近所の孤児院でボランティアをしてて、俺もこっちでよく介護のボランティアとか してたから手伝いにいったんだ。孤児院っつっても田舎だからそんな大それたものじゃなくて、 小さな学童保育所みたいな場所だったんだ。そこには親がいなくても元気な子供たちがたくさんいて 年が近いおかげかすぐに打ち解けることができた。 で、昼休み。俺とみんなでサッカーをしようって話になって、みんなで外に出たんだ。 そん時に点呼を取ったんだけど、どうも一人足りないんだ。で、院内を見て周ったら子供が一人 別の部屋で蹲ってるんだ。「どうしたの?」って声をかけてもなかなか返事をしない。 それでよく耳をすませたら何かを削るような音が聞こえたんだ。手元を見てみたら何か描いてるんだ。 「何描いてるの?」 「・・・・」 「ねぇ?」 「・・・」 「みんなサッカーやるよ?来ないの?」 「・・・・ぇ」 「?」 小さい声でなんか言ってるんだ。 「ねぇ、赤い橋って知ってる?」 「赤い橋?」 そんなもの世界にはいくつもあるが・・・ 「赤い橋って…知ってる?」 「うん、赤い橋ねぇ・・・?まあいくつかなr・・・」 ネェ、アカイハシッテシッテル? ネェアカイハシッテシッテル? ネェアカイハシッテシッテル? ネェアカイハシッテシッテル? その子の手元には、赤のクレヨンがなくなるほど隅々まで書きなぐられた赤い画用紙と、 その中に黒でうっすらと見える橋のようなもの。 彼は、少し、壊れている。 その時後ろから小さな声で呼ばれて、振り返ったら先生がいたんだ。 先生が小さく手招きしてて、彼はずっと何かぶつぶつつぶやいてるから収集に負えなくなってる。 きっとこれのことだろうと思って聞いてみると案の定彼のことだった。 彼は先天的にこうだったわけじゃないらしい。彼が孤児院に連れられた理由は分からないが、 警察に連れられてここへ来たらしい。警察がらみということはつまりそういうことかなと、なんとなく 考えたんだ。 その時は。 結構長くなりましたが、まだあといくつかに分けるかもしれません。続きあります。
1242 :名無しさん :2011/04/15(金) 18:07:17 ID:jxtKX2PI0 続きです。 それから、職員の人たちは彼を腫物扱いするみたいに扱ったらしいんだ。決して 彼を傷つけないように。傷つけるとすぐにあれだから。ここに来る子供はみんな しばらくすると治るらしいんだけど、彼は1か月その状態が続いているらしい。 で、その日の夜。俺はやたらめったら仕事を受け続けてたからこのあたりが早めに暗くなる 事に気が付かなかったんだ。田舎に帰るのも久しぶりだし、暗くなるとリアルに右も左もわからない 状態になるんだ。街灯もなくて、入り口についたときはもうなんか暗闇に吸い込まれるんじゃないか って思うぐらい暗かった。 下駄箱の中になんかくしゃくしゃにまとまったものが入ってるんだ。 ちょっと時間北。また続き書き込む
1243 :名無しさん :2011/04/15(金) 19:05:18 ID:jxtKX2PI0 続き。 なんだかわからないけどとりあえず引っ張り出してみたら、それは紙だった。なんか 嫌な予感はしてたけどそれを広げてみたんだ。 そしたら、昼間見たあの絵が俺の下駄箱に入ってたんだ。 ネェアカイハシッテシッテル? それだけで俺は暗闇に逃げた。後ろから声がしたんだ。彼がいたんだ。 それからしばらく走ってどれくらい過ぎたか分からない頃、俺の目の前に明るい ものが見えたんだ。このあたりはコンビニとかもないから遠くからでもひときわ 明るく見えた。 近くによって見てみたら、それは街灯のついた橋だった。田んぼをまたいでかかってた橋は 最近できたのかなと思うくらい綺麗だった。ここに来るにはこの田んぼを越えなければ こっちには来れなくて不便だからつけたのかな、来るときは車だったから気づかなかったけど それでここを通れば見慣れた道が向こうに見えるから通ればいいやと思って通ったんだ。 それが間違いだった。 ちょっとお年寄りにはきついんじゃないかってくらい長い階段があったからその階段の手すり に手をかけたんだ。 そしたら上からポタッって冷たいものが落ちてきた。何かなと思って手をぬぐってみて後悔した。 なんか赤いのよ。 よせばいいのに上を向いたら。 顔やら手やら足やらを無造作にくっつけたみたいな肉片が、ぶら下がってた。 俺はその階段を全速力で登ろうとした。そしたら急に力が抜けてずっこけた。 ビシャッ・・・ 階段の頂上から赤いペンキみたいなのが垂れてきてる。 下からは肉片みたいなのが来てる。 俺は這うようにしてやっとこさ頂上に出た。一番明るいところに出て、おそるおそる振り返ったらもうあの 肉片は見えなくなっていた。いや、追わなかっただけで暗闇で見てたかもしれないけど。 俺は安心して手すりによりかかったんだ。そしたら急にエンジン音が聞こえてきたんだ。 やっとまともなものに出会えると思ったんだ。橋の向こうがわから聞こえてくるエンジン音なら。 それは一般的な大型トラックだった。これで助けを呼べる。そう思った。 その運転席に人が乗ってれば。 よく考えたらおかしいんだ。こんな真っ赤な橋の上で、しかも階段がある橋で、トラックがくるはずがないんだ。 トラックは、真っ直ぐ進んでいるように見えた。でもよく見たら徐々にこっちに向かって進んできていた。 俺は必死で逃げようとした。でも、忘れていた。足が動かないことを。ここまで来た時のことを。 「−−−−−−!!−−−−!!」 もうなんかパニックになってわけのわからないこと叫んでた。何叫んでたかは覚えてない。 徐々にトラックがこっちにくる。俺はもうだめだとあきらめた。 その時、手をかけていた手すりからずるっと落ちた。落ちる瞬間最後に見たのは、明りの消えた橋だった。 しばらくして目を覚ましたら、俺は田んぼの中心で寝そべっていたんだ。驚いてあたりを見回してもそんな橋なんてどこにもない。だから 今日一日張り切りすぎたのかなと思ったんだ。 でも、俺の着ていたTシャツからはものすごい鉄の匂いを感じたんだ。 それだけで、俺は疲れていた訳ではないと悟ったんだ。 次の日の夜、案の定部屋の隅であの絵をかいていた彼に声をかけたんだ。 「ねぇ、赤い橋って何?」 「・・・・」 何も、答えてくれはしない。 俺は大体わかってた。その日、孤児院に警察の人が来た。先生が連絡したらしい。 「ねぇ。」 そして、彼がなぜああなったのかを知った。 「・・・・」 彼は、ここに来る前に家族全員で事故にあった。 「・・・・」 そして、そこで彼は生き残ったんだ。 「・・・」 で、見てしまった。 「・・・・」 そのショックで、こうなってしまったらしい。 「あ、」 彼が、何かに反応を示した。 それが、俺の後ろだった。 「おかあさんだ!」 「え?」 まさか、と思いながら振り返ったら、あの、肉片みたいなのggggggg これで終わりです。結構俺は怖かったんですけどねー。どうでしょう?
1244 :名無しさん :2011/04/15(金) 19:46:33 ID:jxtKX2PI0 上の名無しです。新しい話。都市伝説的なものなんですが。 「白ヤギさんからお手紙着いた〜♪」 そこで電話は切れる。手元には、見たこともない黒電話。そして、次の日には空っぽに なって死んでいるらしい。文字通り、体が空っぽで死んでいる。肉をきれいさっぱり取り除いて 骨と皮だけになって、玄関で倒れている。しかも、その骨格を残したまま。 そういった事件がうわさになっていたらしい。俺も聞いたことはあった。でもあまり広がらない 。おかしなことにこのあたりでしか広がっていない。被害はいろんなところで起きているのに。 そういう都市伝説。 ある日、小学校の頃の友達から電話がかかってきて、こう言った。 「こないだ、友達が死んだ。」 空っぽで。 「次は、俺かもしれない。」 俺は、信じることができなかった。 でも、 「いま、廊下で聞こえるんだ。毎晩毎晩。受話器を取らないと次の日までずっとなってんだ。もう 耐えられないよ・・・」 必死に訴えてた。 「待ってろ!今行くから!」 そう言い聞かせながら俺は家から自転車を漕いだ。 しばらくして、友達の家についた。 引き戸に手をかけたら、鍵がかかってなかった。 俺は、思いっきり引き戸を開けたんだ。そしたら真っ先に友達が見えた。 それ以外は何も。友達は俺に気が付いたのか、こっちを見た。 泣きながら。 「ごめん。無理だった・・・・」 そこで俺の意識は急に切れた。それ以降の記憶はない。 気が付いたら朝だった。自分のベッドの上にいた。それ以外その時のことは思い出せなかった。 次の日、そいつの家に行ったら。墓が立っていた。小さな墓が。それで悟った。ありえない。昨日まで生きていたのに。 何日もたったみたいに。友達の母親も、泣きはらしたような、すべてが抜け落ちたみたいな顔をしていた。 そんな顔のままみんな手を合わせていた。その中には、俺の知り合いもいた。 みんな、どこを向いているか分からなかった。何も知らない人が見たら一種の宗教みたいに見えたかもしれない。 そいつの母親に 「警察へは連絡しました?」 でも母親はどこも見ずに家へと入っていた。 それからしばらく考えて、俺は気が付いた。 この事件の真相に。 黒電話から流れる歌「白ヤギさんからお手紙着いた〜」 あの続きは何だった? これで終わりです。怖かったでしょうか。気づけば怖いかも、しれません。ヒントは、次に書き込みます。
1245 :名無しさん :2011/04/15(金) 20:00:07 ID:jxtKX2PI0 この歌には続きがあります。 それは、調べてみてください。そこに、答えが隠れています。 ちなみに黒ヤギさんというパターンもあります。 子供のころあの歌の結末がなくて無限ループだったのがトラウマでしたねーw あと、その後の顛末として。 その後、友達の家にも電話がきたそうで。そいつは、これの答えを知っていたのでその 黒電話を置いてこういいました。 「〜〜〜(適当なこと)っていうのが届きましたよ。○○さん」 そしたら、その事件は収束しました。 さて、分かりますか?
1246 :名無しさん :2011/04/15(金) 21:22:54 ID:jxtKX2PI0 「シギリギ」 この言葉を聞いたら振り返ってはいけません。 それは、あなたに 俺がまだ、小学校の頃。この話を聞きました。先生が話しているのを思い出したので カキコします。 俺も実際体験しているのでそっちを書かせてもらいます。 俺は、学校行事で肝試しに行くことになった。 俺はその当時から変わっていたから、友達がいなかった訳だけども。別に昔からそういうこと には慣れていたから一人でもよかった。 結局、最後に一人で学校内を探索することになった。 学校のチェックポイントの一部一部に先生を配置しているから、大丈夫だと安心していたんだ。 その時は。 30人もいるから時間がかかる。 皆がぞろぞろと入っていく。チェックポイントを通過すると先生がトランシーバーを持っていて、 「大丈夫です」 という。チェックポイントは5つあって、みんな「大丈夫です」といった。 でも、いつまでたっても出てこない。 「大丈夫です」 「大丈夫です」 「大丈夫です」 「大丈夫です」 「大丈夫です」 最初は、迷っているものなんだろうと思った。だってまだキャーとかギャーとか 叫んでいるから。聞こえるところもばらばらで、体育館、保健室、2階廊下、男子トイレ、その他etc・・・ でも、一番最後の俺の番が来るまで誰一人として出てこなかった。 先生は心配して一緒についてきてくれた。 俺は、学校を一周して外にでた。 誰とも合わずに。 「やっぱり・・・おかしい。」 先生はまた学校に戻った。俺にトランシーバーを押し付けて。 「そこで待ってな。もしどこかの先生から連絡があったら俺が出てきたとき教えてくれ。」 「先生は?」 「持ってないんだ。頼むぞ。」 そういって学校内へ走って行った。 それからしばらくして、先生は出てきた。 「何のことはない。みんな階段のところで怖がっていたよ。一人の先生が追いかけすぎたようでね。 みんな怖がって逃げたんだよ。そしたら一か所で震えちゃったみたいでさぁ。君もちょっと行ってみてきな?なんかあったらトランシーバーで連絡しな。」 そういわれた。俺は安心して、入っていったんだ。 チェックポイントに到着した。まだ、だれも見ていない。 「大丈夫か?」 「はい特に問題ありません。」 二つ目に到着した。誰も見ていない。 「大丈夫か?」 「別に変化はないです。」 三つ目、ここは階段のところ。先生が言っていた。階段のところ。 「 」 よく聞こえなかった。 「シfdsj」 よく聞こえなかった。 「シギリギ」 今度はよく聞こえた。誰の声でもない。少なくとも俺の知っている声ではなかった。 俺は後ろを振り向かず走った。危ないと、なんとなく感じた。 後ろから追ってくるのがわかる。背中で寒気がした。 ゴンッ! 鈍い音とともに俺は気を失った。 目を覚ましたら、真っ暗な空間にいた。手元にあったペンライトで周りを照らした。 そしたら、周りに顔があったんだ。一瞬驚いたけど、よく見たら出てこなかった皆だった。 その中には先生たちもいて、トランシーバーが5つ纏めて置いてあった。 恐らく、これで俺たちのトランシーバーに通信していたのだと思った。 みんな怯えたような顔をしていた。俺は立ち上がって周りをよく確認した。そしたら 皆毛布みたいなのを掛けているんだ。そのことに気が付いた友達がそれを確認しようとして。 絶叫した。 叫んだのは、そいつの前にいた女の子だった。俺も確認して血の気が引いた。 その毛布だと思っていたのは、横に開いた人の皮のようなものだった。 いや、明るいところで見たらもっと分かりやすかったかもしれない。髪や服まで着て 本物のようだった。 そいつの後ろに僅かな明りが見えた。ペンライトを向けたら取っ手が見えた。横に引くと、簡単に外に出れた。 そこは体育館の倉庫だった。今は使われておらず、段ボールでドアの光を遮断した密室だった。 先生も絶叫で目を覚ましたらしく頭を押さえたり目頭を抑えたりして起きた。 トランシーバーも全部回収して、その日はお開きになった。 その日から、あの見に行った先生は学校に来なくなった。体育倉庫の人の皮も消えていた。 そして誰も、このことを覚えていなかった。 それでお話は終わりです。いかがでしたか?このスレを見て久々に思い出しましたよ。 んーでもですねぇ、まさかそのあと違う学校で同じことを聞くとは思いませんでした。 「死切り着」っちゃぁ恐ろしいもんですね。あの後気づきましたよ。 俺トランシーバーで誰と話してたんですかね。トランシーバーっていk
1247 :名無しさん :2011/04/15(金) 22:38:29 ID:v1PwoggA0 ツマンネ
1248 :名無しさん :2011/04/18(月) 11:26:53 ID:T3EAdQIgO 日本語でおk
1249 :ボム山 :2011/04/20(水) 00:52:55 ID:9st4kqi6O すみません投稿させてもらいます。 バイト仲間の主婦子さん(仮名)から聞いた話です。 今から二十数年前。 彼女がまだ小学生でロリ子さんだった頃。 その日もいつものように家族全員で夕食を食べていると、一本の電話が入りました。 その電話に父親が出て一言二言会話を交わすと、父親の顔色がサッと変わったのが分かったそうです。 父親は静かに電話の受話器を置くと、家族に伝えました。 「親戚の○○さんが交通事故で病院に運ばれた。もしかすると死ぬかもしれないから、今から病院行ってくる。」 それは彼女もよく知っている人でした。 四十歳過ぎのおじさんで、たまに家に遊びに来ていたそうです。 父親と祖父はすぐに仕度を始めました。 「ばあさんとロリ子は留守番しててくれ。ほれ、お前も行くから準備しろ。」 父親が母親に向かって言うと、母親はそれをやんわりと拒否しました。 私は家のことをやらなきゃならないし、明日の朝は早出だから病院には行かない。と。 馬鹿野郎!○○さんが死ぬかもしれないんだぞ! と二人で激しい口論になりました。 ロリ子さんも心の中では「行けよ」と思ったそうですが、結局父親が折れて、母親も家に残ることになったそうです。 その日の夜中、ロリ子さんはふと目を覚ましました。 なんでこんな時間に起きたんだろ。 ロリ子さんはそんなことを考えながら、布団の中でボーっとしていたそうです。 隣に寝ている母親の寝息と、時計の秒針の音だけが部屋に響きます。 しばらく空中を見詰めていると、やっとウトウトしてきました。 そして意識が深い闇に落ちる寸前。 バンッ!! 部屋のふすまが開きました。 そりゃもう、これでもかってくらい激しい勢いで開いたそうです。 それを見たロリ子さんは心臓が止まるくらい驚きました。 バクバクと心臓が高鳴る中、布団から顔だけ出して音の方へ目だけ動かします。 しかしそこには誰もいません。 泥棒でも入ったのかと思いましたが、玄関には鍵が掛っています。 祖母がやったとは考えられませんし、母親は隣で寝ています。 じゃあ誰!?っていうかなに!? ロリ子さんはしばらく布団の中でガタガタ震えていたそうです。 そしてしばらくすると、なにか音が聞こえ始めました。 ウー・・・・ウー・・・・ 低い唸り声のような音です。 近くで聞こえる。どこだろう。とロリ子さんは辺りを見渡しました。 その音の正体は、隣で寝ている母親の呻き声でした。 蛍光灯の小さい明かりでうっすら母親の顔が伺えますが、ひたいに玉の汗を浮かべ、眉間にシワを寄せながらうなされていました。 ぶつぶつと寝言のようなものを呟いています。 その尋常じゃない様子にロリ子さんは動転し、慌てて母親を起こしました。 お母さん!お母さん!と叩き起こすと、母親はやっと目を覚ましました。 「お母さん大丈夫!?なんかうなされてたけど!」 と聞きますが、母親はなにも知らないと答えました。 なにか怖い夢を見ていたようだがよく覚えていない。あなたも寝なさい。いまはゆっくりとね。 そんなことをロリ子さんに言うと、母親はまた眠ったそうです。 その日の夜はそれ以降、何事もありませんでした。 すみません続きます。
1250 :ボム山 :2011/04/20(水) 00:57:29 ID:9st4kqi6O すみません続きです。 それから数日後。 交通事故を起こした親戚のおじさんは無事に一命を取りとめたようで、しばらくすると話せるまでに回復したそうです。 そしてそのおじさんが、不思議な体験をしたとみんなに話しました。 おじさん曰く。 事故を起こした直前までは覚えてて、次に気付いた時には病院の廊下にいた。 どうしてこんなところにいるんだろうと不思議に思い廊下を歩いていると、ある一角が妙にざわついている。 近付いてみると、そこには自分の親戚達がいた。 おーみんなで集まってなにしてるんだ。と声を掛けても無反応。 全員沈んだ顔をしていて、泣き腫らしている奴も数人いた。 その時、おじさんは理解したそうです。 自分が事故に遭ったこと。そしてこの廊下の先にある手術室に自分がいることを。 この話を聞いた時親戚の反応は様々だったようです。 素直に信じる人もいれば、それは作り話だろと笑う人もいます。 そしておじさんは、自分が嘘を言ってない証拠としてあの場にいた人を全員当ててみせました。 お前はあそこにいたな。 お前もいた。椅子に座ってた。 あいつは来てなかった。 誰々と誰々は泣いてたなwみっともなかったぞw。 という風に、全員ドンピシャで当てたそうです。 これには親戚達も驚き、ほんまもんの幽体離脱や!と湧いたそうです。 そしてロリ子さんと母親が見舞いに行った日のことです。 母親が病室から席を外して二人きりになると、おじさんがこんなことを言いました。 「ロリ子ちゃん、俺が事故があった日に驚かせてごめんな。」 最初はなにを言っているのか分からなかったそうです。 あぁそうか、事故の知らせで驚かせたってことなのか。と言うと、おじさんは首を横に振りました。 「あの日の夜なんだけど、部屋のふすまが急に開いただろ?あれ俺がやったんだよ。」 おじさんは笑いながらそう言ったそうです。 あの夜のことは誰にも喋ってないはず!どうして知っているの! おじさん病院にいたんでしょ! とロリ子さんは驚いて聞き返すと、おじさんはこんなことを言いました。 病院にお父さんはいたけどお母さんの姿が見当たらなかったんだ。 俺が死にそうになってるっていうのに薄情な奴だ。 とそんなことを考えていると、気が付いたらロリ子ちゃんの家の前にいたんだよ。 こりゃ好都合だと思った俺は、いっちょ驚かせてやろうと思って部屋のふすまを思い切り開けてやってな。 そしたら肝心のお母さんは寝ていて、ロリ子ちゃんだけを驚かせたみたいだな。 あの時は申し訳ないことをしたなぁ。ごめんな。 とおじさんは愉快そうに笑ったそうです。 他に思いつく限りの家に行って驚かせたったわw みんなには内緒なwお母さんにもw と付け加えて。 以上がバイト仲間の主婦子さんから聞いた話です。 すみません終わりです。
1251 :名無しさん :2011/04/20(水) 16:47:23 ID:YZRydK.wO ボム山さん、いつもありがとう(^ω^)
1252 :名無しさん :2011/04/23(土) 23:29:05 ID:x6bEkLqs0 乙、文章自体も面白かった。また書いてくれ。
1253 :名無しさん :2011/04/24(日) 21:10:05 ID:0Ji8ZogA0 みんな文才あるなー。 自分も1、2個実体験あるけど文才なさすぎて書けない; 面白かった乙。
1254 :ボム山 :2011/04/26(火) 14:58:03 ID:aJztKsf.O すみません投稿させてもらいます。 僕が高校三年生の時の話です。 めっきり寒くなり年の瀬もいよいよ押し詰まった十二月頃、僕は毎日グータラと過ごしていました。 本来ならば大学入試で自分を追い込む時期なのですが、夢も希望もないうえに勉強嫌いだった僕はなんとなく就職組に参加して、すでに内定を貰っています。 僕は今の状況を社会に出るまでの執行猶予期間だとばかりに、全力で怠惰な生活をしていました。 そんなある日の夜こと。 僕が自室で一人ポケモン交換に興じていると、布団の上で漫画を読んでいた妹が急に 「最近変なところに行った?」 と聞いてきました。 「変なところってなによ」 「ほら、心霊スポット的な場所で。」 「行ってないよ」 「本当に?右肩重くない?」 「重くないよ」 「そう。それならいいけど」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「おいちょっと待て!どういう意味だ!」 「冗談だって冗談w」 妹はどうやら霊感があるようで、たびたびおかしな発言をして僕をビビらせていました。 僕も小さい頃は信じていなかったので 「おまwいまどき霊感少女は流行んねーよw」 とスルーしていましたが、高校生活を終える頃にはすっかり信用していました。 だって、知る由もないことをピッタリ当てたりするんですもん。 そんな妹に肩が重くないなんて言われては一大事です。 僕は真相を教えてもらおうと懇願しましたが、さっきのは嘘だから気にするなと最後まで教えてくれませんでした。 その会話の内容も忘れた数日後。 自分の机で何気なく萌イラストを描いていると、ふいに後方から誰かの視線を感じました。 「誰だ!」 恐怖心を抑えるためにわざとコントっぽく叫んで振り返りますが、誰もいません。 ふぅ・・・・妖精の仕業か・・・・。 と思い込み机に向き直ったその瞬間、あの日の会話を思い出しました。 肩が重くない? まさか・・・・・。 いやいやいやありえない。それは本人が否定したはず。 これはあれだ。気のせいだ。もしくはプラシーボ効果ってやつだ。 僕は必死に否定して作業を続行しました。 その日は結局、視線を感じたのはその一回だけでした。 すみません続きます。
1255 :ボム山 :2011/04/26(火) 15:01:57 ID:aJztKsf.O すみません続きです。 次の日。 昨日と同じように絵を描いていると、また視線を感じました。 今度は誰かに見られているなんて程度じゃありません。 誰かの顔が右肩に乗っているんじゃねーの?ってぐらい濃厚な気配です。 ちょうど、背後から肩越しに手元を覗きこまれるような、そんな感じでした。 右肩と首筋の右部分がピリピリとしてきて、生温かい体温を感じます。 「勝手に人のプライベートを邪魔するなんていい度胸じゃねーか!このクソッタレ!」 と僕はその日以降、机に上に小さな鏡を置くことにしました。 どんな面してるか拝んでやろうと思ったからです。 普段の僕ならそんな行動絶対にしないのですが、高校時代に色々あってヤケになっていたと思います。 鏡は僕の座っている位置からちょうど右肩越しを見えるように設置しました。 それから少し気になる度に鏡にチラチラ視線を向けるようになりました。 家族に見られると誤解されそうなんで、普段は引きだしに閉まっておいて。 それから数日経った昼過ぎのこと。 また以前のように強烈な気配に襲われました。 前回と同じように、首筋と右肩がピリピリしてきます。 全身に鳥肌を立てながらも (これは絶対捉えただろ!) と思い顔を上げて鏡を見ました。 その瞬間、 ヒュッ と逃げるように、ソイツは僕の後ろに移動しました。 見えた!ついに見えた! 顔まで確認出来ませんでしたが、人の輪郭部分が確かに見えたんです。 なんだかピントがずれてるような、モヤッとした感じでした。 ざまあみろ!と調子に乗る僕。 しかしその直後、自分のしでかした行為の甘さを痛感しました。 見えたからってどうするんだ? 俺は別にお祓い出来ような人間じゃない。 もしかして、イタズラに刺激して野郎を怒らせてしまったんじゃないか? そう考えるともう居ても経っても居られないぐらい恐怖を感じ、もう一度振り向く勇気も無い僕は 「南無三ッ!!」 と叫びながらイスから転げ落ち、部屋から逃走しました。 幸い背中の気配はすぐに消えましたが、どうにもこうにも居心地が悪いです。 もう少しで妹が家に帰ってくるので、その時に相談しようと思い僕は居間で待つことにしました。 それから数時間後、母親と妹が帰ってきました。 買い物袋を両手に持った妹は僕を見るなり「うわっ」と呻き、 「なんでよ!冗談だって言ったじゃん!」 と言いました。 なぜかすごく怒っています。 僕はさっきの出来事を詳しく話しました。 話し終えると妹は 「鏡は駄目だってば・・・・」 と呟きました。 妹が言うに、最初は本当に冗談だったけど日常的に鏡を見ることで変なのが寄って来たそうです。 なるほど。完全に俺の勇み足やないか!頼む!なんとかしてくれ! 僕は妹に泣きつきました。 でもそれほど厄介な奴じゃないので、よっぽど気にしない限り大丈夫とのこと。 実際、それ以降なにもありませんでした。 でも鏡を見る時、今でもたまにビクッとしたりします。 あとこの件で一番ビビッたのは背後の奴じゃなくて、妹から言われた 「兄さんは私以上に霊感体質だから。自分で見えなくてもあっちから寄ってくるよ。」 という言葉でした。 まあ、冗談だと思いますけど。 すみません終わりです。
1256 :名無しさん :2011/04/29(金) 15:49:43 ID:D0DSHrQ.0 なんか文章がこなれてきてるなw
1257 :はむ :2011/05/04(水) 06:02:20 ID:OlFFL.n60 書き込めるのかな?
1258 :ボム山 :2011/05/08(日) 02:35:32 ID:ciSTPZOQO すみません投稿させてもらいます。 バイト先の橋本さん(仮名)から聞いた話です。 橋本さんはバカがつくほどの釣り好きの男性で、これまで何度か不思議な体験をしたことがあるそうです。 数年前の夏。 その日は海岸沿いからすぐの川で夜釣りをしていました。 川と言っても元々埋め立て地で、人工的に作られた長い水路のような場所だったそうです。 その日の狙いはスズキ。 腰まで水に浸かりながらウキをプカプカ浮かべていました。 夜釣りなので当然辺りは真っ暗。 明かりといったらはるか遠くに見える街灯ぐらいです。 釣り始めてからしばらく経った頃。 ふと顔を上げると、二百メートルぐらい離れたところに薄ぼんやりとした青白い光が見えました。 自分と同じように川に腰まで浸かっているように見えます。 橋本さんはそれを見て、彼も同じ釣り人だと思ったそうです。 夜釣りの時は光が反射するジャケットを着ることもあるそうで、それが光っているのだろうと。 特に気にすることはありませんでした。 そして釣りを再開してから数分後。 橋本さんは何気なくさっきの青白い人を見ると、自分から百メートルぐらいのところまで近付いていました。 それを見た橋本さんは、初めて違和感を感じたそうです。 いくらなんでも移動が速すぎる。と。 さっき見てから数分でここまで近付けるか? それに腰まで水に浸かっている状態で。 そういえば水を掻く音も聞いてないぞ。 考えれば考えるほど違和感が強くなります。 橋本さんはなんだかそれ以上見てはいけないような気配を感じて、青白い人から目をそむけました。 自分の釣りに集中しようと試みますがどうしてもうまくいきません。 橋本さんは自分のウキをじっと見つめながら考えたそうです。 そもそもあの青白い光はなんだ? 服の一部が光るなら分かるが、なんであれは人間の輪郭に沿って光ってるんだ? 全身タイツでも着てるんじゃあるまいし。 そうだ。絶対おかしい。 人間の形でそのまま光るなんてありえない。 なんで俺はアレを見て釣り人なんて思ったんだ? 疑問がどんどんと溢れてきます。 その頃には釣竿を持つ手にじんわりと汗が滲み、夏だというのに全身が悪寒に包まれていたそうです。 そして橋本さんは気付きました。 アレは近付いてきている。 もしかするとさらに接近してきてるんじゃないかと思い、橋本さんはふっと顔を上げました。 なんの警戒心も抱かず、当たり前のようにふっと。 すぐ目の前にいました。 五メートルも離れていない位置で青白い光が揺れています。 水面に腰まで浸かり、そこから人間の上半身の形をした青白い光がゆらゆらと揺らめいています。 そして橋本さんはソイツの顔を見てしまったそうです。 目と口のある部分にはポッカリと黒い穴が開いていて、無表情に揺らめいていました。 そこからはもう無我夢中。 必死に水面をもがくように移動し、車まで猛ダッシュ。 途中で釣竿を落としましたが戻るわけにもいかず、車をフルスロットルで発進させました。 それからは別に何事もなく、事故にあったり呪われたりなんてことはなく無事に過ごしたそうです。 ただ橋本さんはこの事件以降、二度とあの川に行くまいと決めたそうです。 すみません終わりです。
1259 :裕 :2011/05/08(日) 19:22:01 ID:fMBBsyxU0 この掲示板を見つけたのも何かの縁なので投稿させてもらいます。 これは、2年前のGWの話です。 私は、バイクにのるのですが、この日バイク仲間と3人でY県のT村にいった帰りです。 私は、S県在住ですのでY県から帰るのにF五湖の一つS湖を通って帰るのですが、S湖に続く国道3○8号線を通っていたときのことです。 帰り道の3○8号にトンネルがいくつかあるのはご存知の方は多いと思います。私は、308を祖母の家に行くのにこの道をよく使うので勘違いではないと思うのですが、夜の10時ごろだったと思います。 バイク仲間と適当に各々流して、Aの道の駅で待ち合わせにしようということで、私が先陣で道を流していきました。 とあるトンネルにさしかかろうとしたときふとトンネルの入り口に黄色い人影が見えたように見えました。GWだから夜の山で星でも見てるのかなと思いトンネルに入りました。 そのトンネルは地面が白く塗装されているのですが、出口が見えてきたときです、何か気になり横をみると道の途中に黄色の人影がたっていました。 私はバイクで移動しているのですから、その人影は、私より早く移動していたことになります。 そんなことを考えていたら、出口から出ました、出た瞬間あたり一面さっきまでと打って変わって、一面霧で5M先も見えないほどです。 トンネルをでてすぐ、左カーブのハズなのにガードレールが右に曲がっていました!! 「おかしいな!?」と思いながらも、勘違いだったかなと思い右にカーブしていくと急に正面から車のライトが見え、 私は急ブレーキで停車しました。 そのときです。音楽を聴いていたイヤホンから「っち!あと・・・」もうすこし」 と声が聞こえました。 急停車した私のところに残りの2名のバイクが追いついてきて「どうした?」っときいてきました。 私は、出来事を話しました。 もしあの時 対向車がこなかったら・・・後日、車でY県に親と行くときこの間の場所を通って「っぞっとしました」 カーブはもちろん左だし 私の止まった位置から10M先くらいがガードレールのないがけ(事故でこわれていた) みなさんも 夜間のY県A樹海付近の走行には注意してください!
1260 :裕 :2011/05/08(日) 19:22:50 ID:fMBBsyxU0 この掲示板を見つけたのも何かの縁なので投稿させてもらいます。 これは、2年前のGWの話です。 私は、バイクにのるのですが、この日バイク仲間と3人でY県のT村にいった帰りです。 私は、S県在住ですのでY県から帰るのにF五湖の一つS湖を通って帰るのですが、S湖に続く国道3○8号線を通っていたときのことです。 帰り道の3○8号にトンネルがいくつかあるのはご存知の方は多いと思います。私は、308を祖母の家に行くのにこの道をよく使うので勘違いではないと思うのですが、夜の10時ごろだったと思います。 バイク仲間と適当に各々流して、Aの道の駅で待ち合わせにしようということで、私が先陣で道を流していきました。 とあるトンネルにさしかかろうとしたときふとトンネルの入り口に黄色い人影が見えたように見えました。GWだから夜の山で星でも見てるのかなと思いトンネルに入りました。 そのトンネルは地面が白く塗装されているのですが、出口が見えてきたときです、何か気になり横をみると道の途中に黄色の人影がたっていました。 私はバイクで移動しているのですから、その人影は、私より早く移動していたことになります。 そんなことを考えていたら、出口から出ました、出た瞬間あたり一面さっきまでと打って変わって、一面霧で5M先も見えないほどです。 トンネルをでてすぐ、左カーブのハズなのにガードレールが右に曲がっていました!! 「おかしいな!?」と思いながらも、勘違いだったかなと思い右にカーブしていくと急に正面から車のライトが見え、 私は急ブレーキで停車しました。 そのときです。音楽を聴いていたイヤホンから「っち!あと・・・」もうすこし」 と声が聞こえました。 急停車した私のところに残りの2名のバイクが追いついてきて「どうした?」っときいてきました。 私は、出来事を話しました。 もしあの時 対向車がこなかったら・・・後日、車でY県に親と行くときこの間の場所を通って「っぞっとしました」 カーブはもちろん左だし 私の止まった位置から10M先くらいがガードレールのないがけ(事故でこわれていた) みなさんも 夜間のY県A樹海付近の走行には注意してください!
1261 :名無しさん :2011/05/09(月) 17:01:15 ID:TcKWMSeU0 乙。
1262 :ボム山 :2011/05/10(火) 01:46:57 ID:gFpaiyU6O すみません投稿させてもらいます。 釣り好きの橋本さんから聞いたもう一つの話です。 その日、橋本さんは釣り仲間のAさんと一緒に沖釣りに出かけたそうです。 船で夜中に出発して朝方帰ってくるスケジュールだったため、漁村に着いた時にはまだ深夜の三時前。 草木も眠る丑三つ時という言葉があるように、辺りは静寂に包まれていました。 しかもその漁村が総人口二百人にも満たない海岸の小さな村で、それがまた寂しさに拍車をかけます。 二人は船の準備が終わるまで車の中で待機することにしました。 「まだもう少しかかりそうだな。」 「そうかー。じゃあオレ便所行ってくるかなー。」 Aさんはそう言うと車を降りて近くの公衆便所まで歩いて行きました。 数歩歩くだけで後ろ姿が暗闇に溶け込み、あっという間に姿が見えなくなります。 一人残された橋本さんは運転席から海の方を眺めていました。 水面にキラキラ反射する月明かりを見ていたその時。 ふと後方から子供の声が聞こえました。 年の頃は幼稚園児ぐらいの、男の子の声だったそうです。 あれ?と思って振り向きますがどこにも見当たりません。 そりゃそうだよな。こんな時間に子供が出歩いてるわけないよな。 空耳だと思った橋本さんが前に向き直ると、また後方から子供の声が。 ケラケラと楽しげに笑う声が暗闇に響き渡ります。 しかも今度は一人じゃありません。 二人。いや三人? 声を把握しようと耳を澄ませている間にもどんどん人数は増え続け、気付いた頃には車の四方八方から声が聞こえていました。 橋本さんは頭を抱えるようにして耳をふさぎましたが、それでも直接頭の中に響くようにして聞こえたそうです。 その状態のまましばらく耐えていると、次第に声は止み始め波が引いていくように静かになりました。 以上が橋本さんから聞いた話です。 便所から戻ってきたAさんにこの出来事を説明したそうですが、そんな声これっぽっちも聞いてねーよと一蹴されたそうです。 この話を聞いた時に僕が 「なるほどなー。やっぱり噂はあながち間違いじゃないんですね」 と言うと、橋本さんはキョトンとした顔をしてました。 橋本さんは知らなかったようですが、その海岸、二十年以上前に起きた日本海中部地震で小学生が多数亡くなった場所だったんです。 その日遠足に来ていた小学生三十人近くが地震による津波に飲み込まれ、十人以上が亡くなりました。 それからは度々子供の泣き叫ぶ声が聞こえたり、水中で目撃したというような噂を耳にしたことがあります。 僕も実際そこに遊びに行ったことがあります。 遠浅のとても綺麗な海岸なんですけどね。 僕がこの話を橋本さんに伝えると、彼は納得したように頷いてこんなことを言ってました。 「どうりで船のおっさんの態度がおかしいと思ったんだよ。子供の声が聞こえたっておっさんに話したんだけどな、なんていうか。 怖い話を聞いた時のようなリアクションじゃなくて、なんか悲しそうにして黙ってたんだよ。そうか。子供が亡くなってたのか。それは悪いことしたな。 でもこれで納得したよ。あの時聞いた声な、噂にあるような声じゃなかったよ。みんなが楽しそうに笑ってた。 あれは遠足に来てはしゃいでた子供の声だったんだな。」 と、橋本さんは言ってました。 すみません終わりです。
1263 :名無しさん :2011/05/12(木) 15:22:19 ID:4j1baRmk0 毎回楽しみにしてます
1264 :ボム山 :2011/05/19(木) 20:19:10 ID:vYOIueZoO すみません投稿させてもらいます。 怖い話というより、少し不思議系な話で恐縮ですが。 一つ目。 小学六年生の夏頃。 当時少年野球クラブに入っていた僕はその日、海岸沿いにある小学校と練習試合をしました。 昼過ぎに試合は終わりみんなで昼食を食べた後、友達の一人が「近くに砂浜あるから遊びに行こうぜー」と言いだし、それに着いていくことに。 そこは普通の砂浜とちょっと違っていて、国道脇にある草むらをしばらく降りて行った先にある小さな入り江のような場所でした。 両脇を高い岩に囲まれていて、常に日陰になっています。 靴を脱ぐと、足に当たる砂のひんやりとした冷たさが超気持ち良かったのを今でも覚えています。 それから僕は友達と一緒に遊びました。 砂を掘ったり綺麗な石を集めたり。 そろそろ集合時間かなーという頃、友達がなにか手に持ってこちらに走って来ました。 「おもしれーもん見付けた!」 そう言って僕に見せてくれたのは、藁人形でした。 みんなが想像するような人型のものです。 「こんなんどこで拾ったんだよ。」 「そこに落ちてたw」 どうやら砂浜に打ち上げられた漂流物に混ざっていたようです。 当時からオカルト好きだった僕はそれに興味を持ち、 「よし、よくやった。あとは俺が預かろう。」 と友達から強奪して、誰にも見つからないようにコッソリ持ち帰りました。 次の日の朝。 起きると何故か両耳がほとんど聞こえなくなっていました。 かろうじて喋っている内容は理解出来ますが、高音がまったく聞こえず、常に水中にいるようなモゴモゴした風にしか聞こえません。 さっそく病院に行って検査すると、耳奥のグルグルしたカタツムリ的な部分が物理的に傷付いているとのこと。 でも鼓膜は破れていないという不思議な現象に。 なにか心当たりあるかと医者に聞かれましたがまったく思い当たらず、とりあえず出された水薬(激マズ)を飲み続けたら治りました。 完治まで一ヶ月ぐらい掛りました。 藁人形とこの件が関係あるかどうかは分かりませんが、タイミングがピッタリ合っていたのでちょっと怖かったです。 あと藁人形ですが、机の引き出しに保管してたら妹から勝手に捨てられてました。 「気持ち悪いのあったから捨てといたよお兄ちゃん!」 と何故か嬉しそうに報告されました。
1265 :ボム山 :2011/05/19(木) 20:22:18 ID:vYOIueZoO 二つ目。 高校三年生の秋頃。 部活も引退して毎日ヒマだった僕は、学校帰りによく友人の陣内君(仮名)の家で遊んでいました。 その日もいつも通り部屋に上がり込み、二人きりでゲームをしていた時の事。 突然、天井からガリガリガリ・・・・という物音が聞こえました。 「なんか音するんだけど何これ。」 「あぁ、これネズミだよ。屋根裏にいるんだ。」 「へぇー」 そうか。ネズミが天井を引っ掻く音か。なるほどなー。 僕は納得してゲームのコントローラーを握り直すと、今度はズズズ・・・・という音が聞こえました。 ズズ・・・・ ズズズズ・・・・ 重い物を引きずるような、それでいて何か柔らかいような質感が想像出来るような音です。 僕はにわかに恐怖を感じて陣内君に聞きました。 「あのさぁ、また音するんだけど・・・・」 「これ多分ヘビだよ。」 「ヘビ?」 「あぁ。お前ん家だって山奥なんだからヘビぐらい侵入するだろ?」 「ん?ま、まぁな・・・・」 確かに僕の家でもたまにヘビが屋根裏に入り込みます。 でもそれは山奥だからであって、お前ん家は「市」じゃん・・・・。 しかも駅前なのに。ヘビとか侵入すんの? そんなことを思いつつゲームを再開しようとしたら、今度は陣内君がトイレに行くと言って部屋を出て行きました。 しょうがないな。と僕が寝転がりうず高く積まれたマンガに手を伸ばしたその時。 ドン! 「!?」 ドンドン! ドンドンドンドンッ! 「う、うわぁあああああああああああ!」 ガチャッ。 「おっつー。お待たせー」 「おい陣内!なんだ今の!なんかすげー音聞こえたぞ!」 「はあ?なんだよそれ。」 「天井をドンドンって叩く音がしたんだよ!お前も聞こえただろ!?」 「んなの聞こえねーよ。っていうかなんだよそれ。ビビらせんなよw」 「本当だって!」 「ハイハイw」 僕は陣内君に必死に訴えましたが信じてくれず、結局うやむやにされてその話題は終わりました。 それから何度も彼の家で遊びましたが音が聞こえたのはその日だけで、それ以降ネズミの引っ掻く音すら聞こえませんでした。 なんだったんでしょうか。 あと最近になって気付いたんですが。 ネズミが屋根裏にいる場合、トトトトトッて走る音が聞こえるんですよね。 実際自分の家でヘビが動く音も聞いたけど、あの日聞いた音よりもずっと軽かったです。 あの時の音はもっとこう、人間くらいの大きさがあるような、そんな重みのある音でした。 すみません終わりです。
1266 :名無しさん :2011/05/19(木) 20:34:22 ID:GI9mYbkk0 ネズミの足音は大きさにもよる ドドドドってすごい音させるのもいるよ
1267 :ボム山 :2011/05/19(木) 21:44:59 ID:vYOIueZoO >>1266 マジっすか。 僕の家のはテトテトテトって可愛らしい足音させてますよ。 やっぱ環境が違うとネズミも違うんですかね? 南国のゴキブリも超巨大って言うし。
1268 :裕 :2011/05/20(金) 19:56:39 ID:qzl//bv60 また、投稿させていただきます。 これは、私が車の免許を取り立てのころの話です。 友人3人とドライブをした帰りにふとY県の下○温泉に続く道を通っていた時 丁度時間は午後2時ごろで、天気もよく4人で話ながら走っていました。 当時まだ免許を取り立てで道も自分で運転するのは初めて(その道)で、ナビ(当時の新型) を見ながら走行していました。正確に言うと助手席の友人に見てもらいながらです。 最初、到着目的地まで約45分とでていてたのですが・・・ その後どんなにナビに従おうとしても道がなかったり行き止まり・・・ そのたびにナビがルート補正をしていました。 友人も最初は、「まぁ・・・いいじゃん楽しくて」ってな感じで楽しんでいました。 その後3時間くらい経過し山間のため日が暮れてきました。 流石に、友人たちも「おかしくね?45分(30キロ程度)なのに3時間って・・・」 女の子もいたのですが「気味悪くない?」「いくら免許取立てでも、横でナビしてくれてるのに・・・」といいはじめました。 私も気味が悪いので、いったん路側帯に車をとめナビを確認してみました。 そしたらさっきまで目的地まで結構距離があったのに「残り1k」になっていました。 とりあえず道なりに進んでいくと・・・・ 「パン・・目的地周辺です!実際の交通規制に従い走行してください。」 「えw?なんもないじゃん」友人の一人が言うと、もう一人が 「だねぇ〜!左に沢右に山w」 女の子は、「このナビ故障じゃない?私携帯のナビ機能で見てあげる」といい しばらく現在地検索をしていると・・・ 「嘘っ!ここ下○道の駅になってるよ!!」 「そんな馬鹿な・・・・」残りの友人と私がシンクロしてしまいました。 「ここは沢と山しかないよ?」「携帯みせてみな」と友人が確認すると確かに道の駅になっていました。 私はふとフロントガラスの前方をみると、人が沢の方から上がってきたので、車から降りて 道を聞きにいきました。 「あの〜すいません。道が分からなくて・・・ナビも使えなくて、ここはどこですかね?」 そうしたらおばあさんだったのですが・・(どこにでもいる畑のおばあちゃん) 「ここはね・・Y県の下○温泉ですよ」 「はい・・ナビでもそうでているのですが、周りに何もなくて携帯にもそうでてるのですが」 「じゃぁ携帯をみせてごらん」と老婆がいう 「R子携帯かして」と私が言う 携帯を老婆に見せようとしたとき・・・・老婆が背負っていたリュックから草刈鎌をだして私に振ってきた・・・ 「あぶない・・・」友人が私を引っ張ってくれた。 「おばあさん何するんですか(怒)」私が言うと 「ククククククック」と笑いながら猛スピードで山の斜面に走り出し斜面を登っていった・・・ 友人らと怖くなり・・無我夢中に車で走り・・気がつくと 山を抜けていました。 後日、ネットで調べたところ結構有名な場所らしいです。
1269 :アキ :2011/05/22(日) 04:43:19 ID:AApWj3go0 初めてで不慣れですが、投稿させて頂きたいと思います。 自身では霊感などないと思っていた中高時代。 今では霊感がないなんてとてもじゃないがいえそうにないですが…… それを説明するのは酷く億劫というより、自分でもどう説明したらいいのか分からないのでここでは割愛させてもらいます。 先に言っておくと、僕自身は霊というものが恒常的に見えているわけではないです。 というか、むしろ全くと言っていいほど見えないからこそ、自分に霊感がないなと信じて疑わなかったわけなんですが…… そんな中での思い出……というか、重いエピソードを紹介しようと思います。 当時僕は、県内でも有名な仏教系の高校に入学して、緊張しながらもなんとか学校生活を送っていた。 霊感とかがあるという自覚はなかったのだが、その学校に入ってからは、ある程度はあるのだと自覚した。 それというのも、霊感があり、多少のモノなら“掃う”事ができるC君と知り合ってからだった。 高校は歴史ある仏教校で、なんでも、さる宗派のお偉いさんが創設に噛んでいるとかいないとか。 入学当時、そんな話を生徒手帳に書いてあったのか、または校長のありがたいお話とやらで聞かされたのかで、今でも頭に残っている。 そんな仏教校では、毎朝HRの前にお経を読むのが決まりになっていた。 僕らもそれが校則なのだと、適当に読み流して読んでいたのだが、入学してから数週間で、僕はちょくちょく気分が悪くなる事があった。 しばらくして、それには一定の場所が係わっている事に気づいた。 まず、この学校は少々特殊な立地をしていることを説明しなければならない。 “歴史ある”学校特有なのか、この学校が特殊だったのかはさておくが、旧校舎に新校舎の増築を重ね、学校全体が大きな円形を作るような形で建てられていた。 そして、僕が決まって気分が悪くなる場所というのは、校舎に囲まれた中庭。 本当に文字通りの意味で中にある庭だったのだが、そこの中央に植えられていた松の木周辺だった。 今でもなんと言い表したらいいのか微妙なところだけど、とにかくその松の木周辺は、「嫌な場所」であり、「できる限り早く離れたい場所」であった。 長いようなので分割させていただきます。
1270 :アキ :2011/05/22(日) 04:45:41 ID:AApWj3go0 続けて失礼します。 そんな事をふと、部活に入って間もないころに、同じ部活だったC君に言った時だった。 C君「普段全く気づかないなら気づかないで、最初から相手にしていなければ向こうだって手は出さなかったはずなんだけどな」 僕「何々?もしかして霊的な何かがいるっての?僕、少しだけならそういう経験らしきことはあるけど、ここ、仏教校だよ?」 C君「だからだろ。知識もないヤツがお経読んだって、道端でメガホンもって叫んでるようなもんだぜ?」 お経は本来、向こうで言うチャイムの様な感じの物で、押す家も決めずにごめんくださいと言っても関係ないものが集まってくるに決まってるとC君は言っていた。 C君「そもそもこの構造が呼び込んで逃がさないための檻に見えて仕方ないんだよなぁ」 僕「……でも僕は見えてないし、ただキモいと思っただけだから全然平気だよね?」 段々怖くなってきた僕はC君に恐る恐る聞いてみるが、 C君「僕君は一歩遅いんだよな。危険域に突っ込んでから危険を感知するって言うか……」 C君「普通、見えるやつはどこまで近づいたらいけないのか位は経験則として知ってるもんなんだけど……」 そんな事を言いながら、C君は制服の内ポケットから一枚のお札を僕に差し出した。 C君「とりあえずそれを持ってろ。破れる様ならすぐに言えよ」 お札というモノには、少なからず縁があった僕は、目が据わっているC君の表情にも押されて、ただ頷くしかなかった。 数日して、そんな事があったにも拘わらず、すっかり忘れてしまった僕は霊感のない友人に誘われて、中庭をバックに記念撮影をした。 現像された写真を見た瞬間に後悔し、C君との会話を思い出した。 友人はピンボケしただの、逆光で上手く撮れなかっただの言っていたが…… あれは、間違いなく黒い手だった。一本や二本ではなく、中庭全体が黒く変色していて、そこから無数の手が、僕の体に巻きついていた。 しかもご丁寧に、C君から貰った札の入っていた右胸部分だけを避けて。 その写真を見た後、ふと思い出したように制服に入れっぱなしだったお札を見ようと思って取り出した時。 ……声が出なかった。 もらった時はあれだけきれいだったお札が、いつの間にか黒く煤けて、まるで火であぶったみたいに焦げ付いて穴が開いてしまっていた。 制服に入れっぱなしで、火に近づけたこともない。 札を見た瞬間に、可能性というか。嫌な確信というか、予感が僕の中に芽生えていた。 慌てて部活に顔を出し、C君にこの事を伝えると、C君はわかっていたというように、前と全く同じ札を僕に差し出した。 C君「俺は多少のモノだったら自衛って意味で除けることは可能なんだけどさ。さすがにアレはむり。精々狙われないように身を守るのが精一杯」 この学校には、それほどヤバいモノが住み着いていたのだろうか。 僕は興味本位というより、もはや怖くていてもたってもいられずに、C君にどんなモノがいるのか尋ねた。 すると、C君は歯切れ悪く、物凄く渋い顔をしながら答えてくれた。 C君「モノっていうか、ヤツラっていうか。なんかもう、随分昔からお経に集まってきてはこの籠の中に溜まって、溜まってる内に溶け合ってひとつのモノになった感じなんだよなぁ」 C君「しかも、良いも悪いもない交ぜにしてるから、強い怨念とか、殺意とか憎しみとか。そんなものを抱え込んだのまで混ざってて、もう全体が黒過ぎて区別つけられない」 僕が無事なのは、血縁で先祖の強い加護を受けてる存在がいるからだと、 C君はいつの間にか取り出していた塩を僕の肩にふりかけながら続けて教えてくれた。 写真はC君に渡し、今は手元にないが、二度と見たいとは思わなかった。
1271 :名無しさん :2011/06/09(木) 06:53:32 ID:Zvh0yJIU0 俺は怖くないけど周りが怖がった話。 今は東京に住んでるが、二年前地元ののN県T町に住んでたときのこと。 当時俺は釣りにハマッてて、 家のすぐ近くの小学校の裏手にある野池にブラックバスを釣りに行くのが、 休日の過ごし方だった。 その日は珍しく他の釣り人はいなくて、俺は気兼ねなく何度か場所を変えながら釣りをしていた。 家が近いから、池の土手でうちのばーちゃん(80)が山菜だったか花だったかを摘んでいた。 しばらく釣ってると、ばーちゃんが話しかけてきた。 「さっきの赤い服の女の子知り合いかい?」 「え? そんな子いた?」 「いたにぃ? 走り回ったり笑ったりして遊んでた」 「いや、いなかっただろ。俺けっこう周り見るし、釣り場を走り回られたら怒るよ」 俺は少し気味が悪くなったから、道具をまとめて家に帰った。 ばーちゃんも家に帰ってきて、さっきの話になった。 俺たちの見たものは完全に食い違っていて、ばーちゃんは頑固に女の子はいたと言い張った。 俺はもう面倒になったから、 「精霊か妖怪かなんかじゃないの?」 と言ったけど、ばーちゃんはそんなものがあるわけはない、釣りに夢中で気づかなかったんだ、 と言い続けていた。 俺は、それは断じてありえないと言うしかない。 釣りをするのに、周りの環境に鈍感でいられるわけがない。 周囲の音や自分の立ち位置、周りの木の生え方にまで気を遣るのに、 子どもが走り回って気づかないはずはない。 ばーちゃんは古い考え方を持つ人だが、目に見えないものを全く信じない。 逆に、俺はべつにそういう存在がいてもいいと思うから、とくに怖くない。 それより小学校時分から毎日決まった時間に実家にかかってくる無言電話のほうが、 よほど不気味だと思えるが、みなさんはどうだろう? 家族は無言電話の主を「むごんちゃん」と呼んでいる。
1272 :本スレ208の128 :2011/06/16(木) 10:20:39 ID:8MunFEDQ0 本スレ208の128です。 “巣くうものシリーズ”で纏めてもらってるので、 前と同じく説明は省略。 また時間ができて、少し前にあった話をまとめたんで、気晴らしに投下。 去年の秋の話です。 H、コンパクトの件で懲りたのかと思ったら、懲りてない。 相変わらず『みえる』のを利用してちょいちょい稼いでるようで、 その奴の『小遣い稼ぎ』に関わる話。 いつもHはいらんことする、と奴の絡む話には常に不愉快 (でも他に“みえるひと”の知人がいないため縁切り困難) のAが、文句より興味で根掘り葉掘り聞いてた、怖いよりは 珍しい(らしい)事例です。 コンパクトの件を投稿してから、何ヶ月かしたころ。 Hから連絡がきて、飲みに行くことになった。 んで呼び出された先が、変な場所だった。 少し距離のある市で、街外れに森っぽい林があって、その中。 おいおい、と思いつつ指示された通り砂利を敷いた道に入ったら、 何か寂れた石碑みたいなもんが奥にあった。 石碑の横で待ってたHに「おいこら」と言うと、奴は 「大丈夫、大丈夫。居るけど、しょぼい奴だから♪」 とかほざいて、カッカッカと笑った。
1273 :本スレ208の128 :2011/06/16(木) 10:21:47 ID:8MunFEDQ0 「そーか。んじゃ、とっとと出て飲みに行こうぜ」 と俺が言ったとこで、Hの携帯が鳴って奴が出た。 「はーい♪J(俺。以後、俺の略称はJとします)来たよ。あ、ここ」 Hが携帯を切り、砂利道を歩いてきたBに手を上げた。 「やっほー♪Jくーん」 手を上げ返しながら歩いてくるBの姿。手にはコンビニ袋。 「お疲れー。Bさん、コンビニ行くとき迷わなかった?」 「少しだけ。横道間違えちゃったみたいでした、ここ戻るときも」 答えたBが、コンビニ袋の中身――雑誌とかお茶ペットとかガムとか、 何か細々したものを、下げてたバッグに詰め替え始める。 その隙に俺がHを見ると、小声でコソコソ説明してくれた。 「頼まれごとで、話の段階じゃよくみえなくてさあ。最悪のケース想定して Bさん呼んどいた。勇み足だったけどねー」 そう言や、会う日時と場所を指定したのはHだった。 何も知らない既婚女性のBを一対一で呼び出せる仲じゃないから、 俺を口実に使いやがったらしい(Cは嫌がったんだろう。怨霊塊憑男Iの 件以来、Bの話はしたくないっぽい様子だから)。 呆れた俺に構わず、Hは続けました。 「JとBさん、仲悪くはないんだよね?今日は一緒に飲みでオッケー? 一軒目でBさん帰して次行ってもいーよ。一軒目、俺おごるよ」 「や、B一緒で全然構わないし。3人でいんじゃね?」 で、そのまま飲む店の相談してたら、またHの携帯が鳴った。 携帯を見たHは、俺とBに向かって言った。 「悪い。ちょい待ってて。少しかかるかもしんないけど」 Bは「J君いるし、大丈夫〜。お喋りしてます〜」と能天気に答え、 Hは俺だけにこそっと、 「この辺、Bさんいたら寄っても来れない連中ばっかだからさあ。 全く心配しなくていーよ♪」 と言い、夕日の射し始めた木立の間に消えてった。
1274 :本スレ208の128 :2011/06/16(木) 10:22:35 ID:8MunFEDQ0 そいでBとダラダラ学生時代のこととか喋ってたら、ものの数分で、 「おい、J(俺)!!」ってHの声がした。 何か妙にあせった声だった。 「……?おう。何だ、早いじゃん」 「あー。ちょい、こっちきて!」 ややあって、道じゃなく横の林の中から現れたHは、頭に蜘蛛の巣を 引っ掛けて肩に葉っぱつけて、変に青ざめていた。 「………?H、何かあったのか」 俺が尋ね、Bも「Hさん〜?」と不思議そうに聞いたが、 Hは答えもせずに凄まじい勢いで近づいてきた。 そして俺の腕をがっしり掴んで、結構な力で引っ張りつつ 「来いよ」と言った。 何か変だ、と思って、俺は何となく腕を引く力に抵抗して、 引っ張り合うようになったところへBが割って入るように 近寄って「Hさん、何したんですか?」と言った。 そしたら。ぶったまげたことに、凄い勢いで向き直ったHが ぱっと俺を放したかと思うと、Bの胸倉を掴んで、ぶん殴った。 バキッと、グーで、女の顔面を。 悲鳴を上げて倒れるB。 俺は仰天して、動くことも出来ずにただHの形相を見ていた。 さらにBを引き起こして2発目を入れようとするHを、 やっと動いた俺が引き止めて手を放させた。 Bは、よろけながら立ち上がり、止める間もなく 「キャ―――――!助けて――――――――!」 みたいに叫びながら、林の中に走りこんで逃げだした。 慌てて追おうとした俺の肩を掴んだHを見て、表情に正直びびった。 これマジでHか?と思った俺の耳に、Aの声が刺さった。 『J君?Hさん?大丈夫――――――?』 「あ―――――――大丈夫!今、撃退したから!」 Hが張り詰めたような大声で返す。 「……ほい、J」 やっと少し表情の和らいだHは、携帯を俺の耳に突きつけた。 『J君?もう居ない?Bのニセモノ』 「……え?」 思わず聞き返した俺に、Aはざらっと説明してくれた。 ……さっきまで俺と居て、Hを待ちながら俺と大学時代の話とかしてて、 Hに殴られて走って逃げたBは、Bじゃない、と。
1275 :本スレ208の128 :2011/06/16(木) 10:23:31 ID:8MunFEDQ0 完全に思考の停止した俺をHが引っ張って、林から普通の道路に出て しばらく歩いて、コンビニを見つけて近づいた。 もう薄暗くなった駐車場に、Bが居て。携帯をいじってました。 「あ、J君!Hさん!」 元気よく声を上げたBの顔には、殴られた痕など全くなく。 「待ち合せ場所に戻ろうとして道に迷って、コンビニ戻っちゃってー。 メール出しても返事ないから、電波悪いのかなって焦ってたんですよ」 「……うん、電波悪かったしJ来たし、動いちゃった。メールは来てないなあ」 辛うじて笑ってみせたHと、まだ思考停止してた俺の携帯が、一緒に鳴った。 『Bです。すみません!コンビニには着いたけど、そこ戻る道が解らなく なっちゃいました。コンビニで待ってるので、J君着いたらコンビニ来て くれませんか?』 着信したメールを読んでやっと頭が動き始め、混乱の渦に巻き込まれた 俺をよそに、HとBはまた飲みの店を相談してた。 決めるとさっさと電話して予約した2人に引きずられ、 とりあえず飲んで喋り、一段落したら早めに店を出て 『主婦だしお子さん居るから、そろそろお開きで』 とHがBを言いくるめて解散し、俺は半ば混乱したまま帰宅しました。
1276 :本スレ208の128 :2011/06/16(木) 10:24:29 ID:8MunFEDQ0 数日後。Hと連絡を取りA交えて3人で会って、やっと俺は事情説明を 受けることが出来ました。 『分身というか、自分の姿を見る人が出る場所。祟り等がないか 調べてくれ』 との依頼を受け、見た人と直接会ったHが、敵の気配や強さが何故か 読めないことに心配になり保険にBを呼ぶことを考え、口実に俺との 飲みをセッティングしたのは、前述の通りです。 とりあえず気配を探りに1人で現地入りしたHは、相手の気配が 予想以上にしょぼくて貧相なことに拍子抜けしたそうです。 確かに霊的なものが居る、だけど年代物の割りに本当にしょぼい。 相談者に会っても読めなかったのは、しょぼすぎて気配が弱かった からだ、と納得したほどで。 分身とかを“みせる”以上のことができそうには全く思えないから 気にする必要なし。それが当初のHの結論でした。 「いやね、本っ当に貧相だったのよ。来て損したと思うくらい」と。 で、Bが待ち合わせ場所の石碑に来て、二人でJ(俺)を待ったが、 最悪の事態を想定して(ヤバいモノが居たら、うまいことBのアレを 使ってB当人には気づかせずに片付けよう、と算段してたらしい。 Hのこういうとこが、Aの神経に障るようですが……)、待ち合せ時間を ずらしてあったので、暇すぎて間が持たない。 Bがガムを欲しいと言ったので、コンビニへの道を教えて行かせた。 1人残って、漂えども姿はない貧相な気配をお遊び程度に探ってるうち、 俺到着。つづいてB帰還。 「その時はね、本当に変だとは思わなかったんだよ。アレもいたし」
1277 :本スレ208の128 :2011/06/16(木) 10:25:15 ID:8MunFEDQ0 HもAも、みえるひとは皆、人をみるときには外見だけじゃなく 自然に気配や憑いてるモノもみるのだそうです。 Bは全く普通に間違いなくBの気配を持っていて、“アレ”も居た。 何も疑う要素はなかった。 ただ一つ違和感があったのは、ちゃんとみえる“アレ”の気配が 変に弱いというか薄いこと。 気配の質は同じだから、Bの中に引っ込むと気配が弱まるのか、と解釈して スルーしたのだが、仕事電話で石碑を離れてからもやはり気になる。 何だろう、あの、みえるのに弱いってか、薄いってかペラいってか、 と考え続けててふっと頭に浮かんだ言葉。 『ハリボテみたいな気配なんだ』 いや、引っ込むと外側が抜け殻っぽく残るのかも、と考えても 違和感が打ち消せない。 形だけ残して中身が引っ込むとか、何か凄く不自然だ。 そういう偽装とかハッタリとかと一番無縁な、生の力がむき出しで いるような存在が、Bのアレなのに。 どんどん不審が増してきたので電話を中断して引き返し、 こそっとBの写メを撮って、Aに送って聞いてみたそうです。 すぐにAから返信があり『Bのアレじゃない。絶対違う』と断言。 アレは引っ込むと形がみえなくなる。その時も気配は残り香みたいに Bを包んでいる。弱くなんかならない、と。 その返事を受け取ったHは、瞬時に結論に到達したそうです。 アレが偽物で背負ってるBが本物ってのは、絶対に、ない。 有り得ない。どんなにそっくりでも、Bごと偽物なんだ、と。 ……その辺の理屈は、正直俺の理解できない点もありましたが。 とにかく“偽物のアレを背負った普段通りのB”は、みえるひと 視点では有り得ないようです。
1278 :本スレ208の128 :2011/06/16(木) 10:26:28 ID:8MunFEDQ0 なお、Hを焦らせAにも驚きだと言われた事実。 それは、石碑に居たモノが気配や憑き物を模写したことでした。 2人の言では、他人の声や姿を真似るモノはワリといる。 そして人間の姿を模した程度のものは、本人の気配とか憑依してる 霊とかを写さないので、幻覚でも化けてても、みえるひとには 疑問の余地なく解るのだそうです。 なのに今回のモノは、本人の気配やオーラ(的なもの)どころか、 背後の霊の気配まで含めてコピーしようとしたわけです。 これは本当に、みるのも聞くのも2人とも初のケースだそうな。 「Bさんのアレも特殊レアものだし、さすがにコピりきれなかったん だろーけど。それでも、あの精度だよ?ふつーの人なら、守護霊まで 完全にコピーできる可能性が高いよ」 「Hさんが騙されたくらいだもんね…何だろ?ソレ、弱いってのも フリじゃかったんですか?」 Aの質問にHが身振り手振り交えて説明した限りでは、Aの見解も 「それは確かに。取るに足らないレベルですよね」 とのことだった。 そのしょぼい貧相な気配がBを模して何をしたかったのかも、謎です。 あの時Hは俺が狙われたのかと慌てたそうですが、冷静に返ってみると、 生身の人間1人をどうこうできる程の力はなかったようだと。 そして今となっては、調査もできない状態だったりする……と言うのは、 あの日、Hに全力でぶん殴られたモノに何があったのか、あれ以降、 その貧相な気配の持ち主は居なくなってしまったからです。
1279 :本スレ208の128 :2011/06/16(木) 10:27:43 ID:8MunFEDQ0 後日、石碑を訪れたH(with 俺とA)は「居なくなっちゃった」と 苦笑しながら言いました。 Aも同意したし、その頼まれ事は、どうやらこれで解決ってことに なるらしい。 パニックでフルスロットル状態のHに殴られて、消えたか逃げたか したんじゃないか、とはAの言です。 また、Hの突然の暴行に仰天した以外は特に体感がなかったと 思った俺だが、後で思い出すと、ひとつだけ確かに変なことがあった。 石碑の横でB(だと思ってた何か)とひとしきり喋った記憶があるのに、 何を話したか全く思い出せないんだ。 『大学の頃の話をした』と言うような曖昧な記憶だけ残ってて、 何年生の時のこと、とかどのイベントの話、とかが全く解らない。 飲み屋で本物のBが喋ってたことは、俺が上の空気味だったにも 関わらず、しっかり覚えてるのに。 HとAに話すと、さらに難しい顔で「ってことは、幻覚系じゃないよな」 「変身で、Hさん騙すほどそっくり?うーん……」と、 二人して首を傾げていました。 長いわりに結局オチなしですが、以上です。
1280 :名無しさん :2011/06/25(土) 15:44:03 ID:KKxjBaTgO http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/study/9405/1288795641/16
1281 :名無しさん :2011/06/25(土) 23:31:20 ID:EQbQ1WBkO 心理ゲーム(どや!)
1282 :名無しさん :2011/06/26(日) 12:25:56 ID:ANdik8Cw0 何がしたいんだよ
1283 :名無しさん :2011/06/26(日) 21:06:39 ID:PJ3mDbS20 oおいおい、「巣くうものシリーズ」の新作が来てるってのになんだよお前ら!
1284 :名無しさん :2011/06/27(月) 18:31:08 ID:E42UoWlo0 巣食うものシリーズの新作キタ━━━( ゚∀゚ )━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━( ゚∀゚ )━━━!!!!
1285 :名無しさん :2011/06/28(火) 03:39:25 ID:DNKFyeEE0 もうまとめに入った
1286 :名無しさん :2011/07/01(金) 12:38:45 ID:xYugsLXI0 お、どのスレッドにきてた?
1287 :名無しさん :2011/07/01(金) 14:06:38 ID:xYugsLXI0 て、ここかー
1288 :名無しさん :2011/07/03(日) 04:30:56 ID:yOWFdEOc0 紛らわしいのがあるからage
1289 :名無しさん :2011/07/06(水) 16:01:01 ID:9OT7saIc0 怖い体験したんだけど誰かに聞いて欲しいと思って書かせてもらいます。 あまり書いたこと無いので文章おかしいかもしれないけどご容赦ください。 2〜3年前、山の方へ2人でドライブに行ったときのこと その辺は森ばっかだけど、有名な観光地がいくつかあり、日曜日で一本道のせいか渋滞でした。 ショートカットできたらいいなと気分転換も兼ねて適当に道を曲がってみました。 その道は結構新しい道でコンクリートの舗装が綺麗でした。 まったく車が通らないので不安になったけど、道の綺麗さからそのまま行ってみたくなった。 5分くらい軽快に走って、あれれ? 行き止まり・・突然コンクリートの道が切れていて先は狭くなった獣道。 道路わきに止めて地図を確認した 運転していた友人Aは外に出て体を伸ばしたりして森の空気を吸っていた 地図を見てこの辺りはいわゆる樹海と知った 森はあまりにも深い 濃い緑に薄い霧が静かな凛とした空気を作っていてる やはり普通の森とは違う。樹々の奥が見えない 森の地面は所々隆起していたり穴が出来ていて そこが黒く見える 森を見ていると何かを見てしまいそうで怖くなる 道の先に視線を移してこの道の先には何があるんだろうとぼんやりと考えた そのとき、獣道の先に人影があるのに驚いた 「お婆さんじゃね」 「なんでこんなところに?」 50m以上先だと思うがお婆さんがゆっくり道の奥へ向かってと歩いている 奇妙な光景だった 薄い霧のせいでおばあさんがとても怖く見え 鳥肌がたった 「なぁ後をつけてみようぜ」 「あほか 怖えーよ」 「いやバレても普通に道の先に行くふりすればいいじゃん。」 私達はおばあさんが見えなくなるくらい待ってから車を獣道へ発進させた
1290 :名無しさん :2011/07/06(水) 16:03:19 ID:9OT7saIc0 お婆さんとの距離は50mくらいになった エンジン音は聞こえていると思うがこっちを向かない。 ということは度々通る車に慣れているのかなと思った その後すぐお婆さんは獣道から森の中へ入っていった 俺達はとても好奇心が沸いた。こんなとこに家とかあるのかなぁ お婆さん森へ入ったところへ車を停めて森を見た。 細い獣道がある。その奥におばあさんの服が見えた気がしたがすぐ見えなくなってしまった。この森は奥が見えない。 何があるんだろう。行ってみたいと思ったがさすがに樹海でこの道はやばいと思った。 するとAが車の前方を指差して小さな声で言った「おいあれ見えるか」 なぜか寒気が走った。道の先にまた別のお婆さんがいた。私達の来た道の先を奥へ向かって歩いている 「なんでまたお婆さんがいるんだよ」 「村でもあるんじゃない」 そのときAが震えた声で言った「やべー目が合った」 「えっ何。お婆さん?」と聞くと Aは指差して「あそこ」 今度は本当にやばいものを見てしまったと感じた。 森の中に中年の白いシャツを着た白い肌の男性がいる そしてこっちを見ている。恐らく人間じゃないと直感で分かった。たぶん自殺者だと思った。 生まれて初めてそういうのを見てしまったのでマジでびびった。 今まで感じたことがないほどの足元から上がってくる寒気を感じた。 とにかく視線を外して、消えてくれることを祈った。 Aはエンジンをかけて逃げようとした。 ところがアクセルを踏んでバックしようとした瞬間に車体がガクッ! となりエンジンが止まってしまった。 助手席の私は驚いて「やばいだろ」といいながらから運転席のAを見た。 その時、視界の端、後部座席に何かいるのに気づいた。 中年男性だ!Aもバックミラーで彼に気づいているようだった。 外に出るしかなかった。
1291 :名無しさん :2011/07/06(水) 16:04:22 ID:9OT7saIc0 2人は外に出てお婆さんに助けを求めに走った。 お婆さんもかなり怪しいが実体がある感じがしたので、幽霊よりはマシだと思った。 とにかくお婆さんまでダッシュした。 しかしその考えは甘かった。お婆さんに近ずくにつれて、お婆さんに対する不信感が高まった 服装はボロボロでシミと泥だらけ、後髪は白髪混じりでボロボロに伸び、黒い素足だった。 お婆さんまであと10mくらいのところで私は止まろうとし、Bも止めるため服を掴んだ 全力で走っていたので勢いでお婆さんまであと5メートルくらいまで近ずいていた。 お婆さんは気ずいているはずだ。しかしお婆さんは振り返らず歩いていた。 いやな臭いがした。腐ったような臭い。何か危険だと思った。 幽霊の方を確認するため後ろを見た。 追ってきてはいない。 どうするか判断ができなかった。 車には幽霊、目の前のお婆さんは何かおかしい。 2人はしばらく考えた。というより何も出来なかった。 幽霊がこないことを祈りつつ、お婆さんが振り向かないことを願った。 その時、周りから見られている強い視線を感じた。鳥肌とともに見渡した。 冷たい汗がたれた。森に無数のお婆さんがいた。そしてしっかりとこちらを見ている。 その顔を見て核心した。普通の人じゃない。 黒く滲みだらけの汚い肌。目はまっくろで白眼が見えない。人というより獣という感じだった。 そしてその視線はこちらに超集中していていわゆる殺気と感じた。 お婆さんの一人がこちらへ一歩踏み寄ったとき手にナタのような刃物を持っているのが見えた。 うわー超やばいと思ってAに「戻るぞ」といった。Aもやばいと感じているようだ「うん」とだけ言った。 私達は中年の幽霊よりお婆さんを危険と考えた。 いこう!といって 2人とにかく車にダッシュした。 後部座席に中年男性がみえたが、気にせず乗り込んだ。 エンジンをかけバックで走らせようとした。 「たのむ」さっきのように止まらないでくれ!超真剣に願った
1292 :名無しさん :2011/07/06(水) 16:06:46 ID:9OT7saIc0 お婆さんは10人くらいいたと思う。木の棒など武器を持っていて、車に近ずいてきている。 まるで原始人が獲物を捕らえる狩りのように感じだ。 車は止まらず走ってくれた。 舗装された道までバックで走り、広くなったところで車を反転させ、そのまま渋滞していた道まで走った。 私はずっと後ろからおばあさん達がこないかサイドミラーを見ていた。 そして次に後部座席の幽霊をどうするか考えていた。お祓いにいけばなんとかなるかな。 渋滞の道が見えて少し安心したとき、後部座席を見た。 そして幽霊がいないことに気づいた 渋滞入ってAとお祓いにいくか相談したが、まったく悪い感じがしなかったし結局行かないことにした そして家まで無事に帰ることができた。 今になって考えたが中年の幽霊はお婆さん達に捕まってしまった人だったんじゃないかと推測してる あそこから逃げる為に誰か来るのを待っていたのかもしれない おばあさん達は一体なんだったのかさっぱりわかりません でもかなり危険だったと思います。
1293 :名無しさん :2011/07/06(水) 16:21:39 ID:1j0X/PdQ0 ×近ずく ○近づく ×気ずく ○気づく
1294 :名無しさん :2011/07/07(木) 00:09:38 ID:PcZCRgzk0 途中までU亭の話っぽいなと思ってたが おばあさん増えてびびった
1295 :天狗男 ◆3d.QRuQQg. :2011/07/13(水) 19:48:55 ID:vKB22wVk0 1/3 えぇと・・・ご無沙汰してます。 ようやく落ち着いてきたので久しぶりに書かせていただきます。 トリは完全に忘れてしまったので今回からこれでいきます。 かれこれ一年近く前になります。 ようやく仕事で連休が取れたので某マンガの聖地に行ってきました。 それが間違いでした・・・ そこは世界遺産に指定されている古い家屋が立ち並ぶ街。 そこで「あるモノ」に出会ってしまった為に、その後約半年間スベリまくる日々が続きました。 今書いてるココも昔俺がいた世界なのかどうか、ハッキリとはわかりません・・・ まともに書くと長くなります。今回は要約のみ書こうと思います。 旅行で出会ったあるモノとは、そこの土地の道祖神の一種で西洋的には妖精といった風貌でした。 なぜ俺に憑いてしまったのか分かりません。しかしこいつは今まで出会った物の怪などとは違い、 非常に強力な存在で何としても俺から離れませんでした・・・ こいつは直接攻撃をしてくることはありません。 しかしお札や呪詛でこいつを祓おうとすると「違う時空」へ飛ばされてしまうのです。 かなりの回数、隣の世界や違う時代、地球かどうかもわからない場所に飛ばされました。 飛ばされた時に共通する事項としては以下の通りです。 ・時間の流れが一定ではない(自分以外がスローモーションになったりする) ・視界がボヤけることが多い(ブラーをかけた感じになる) ・呼吸は普通にできる ・飛ばされる瞬間は空間が歪む感じになる ・何回かに一度は元世界に近い所に帰ってこれる(気がする) ・なぜか自分の存在を気づかれないことが多い(見えないのか?) ・ケータイや電話がつながらない(PCは操作できる場合がある) ・食事や睡眠はどの世界でも取れる
1296 :天狗男 ◆3d.QRuQQg. :2011/07/13(水) 19:49:54 ID:vKB22wVk0 2/3 明らかに同じ時代の日本なのに、そこにいる人間達が馬のような風貌の世界もありました。 あるいは、もうひとりの自分がいる世界に出たときは二人でどうやったらこの妖精を祓えるのか 話し合ったりもしました(その後すぐに飛ばされたので再び自分に合うことはできなかった)。 昔からよく言う神隠しに遭遇した人達はこんな感じで飛ばされ続けたのでしょうか・・・ 江戸時代のような所に飛ばされたこともあるけれど、そこでは人間と妖怪が一緒に暮らしていた・・・ ほとんどは同時代か過去でしたが、一度だけ未来?のような場所に飛ばされたこともあります。 そこは原生林のような自然が広がる中に、SF映画に登場するような都市が一定の距離を置いて 点在しており、それぞれの都市は半透明なドーム?で覆われていました。空には無数の小型機が 飛び交いなぜか月が2つ見えました。 俺が飛ばされ続けている間、背後のこいつは楽しそうにケケケケと笑うのみ・・・ 直接の暴力は受けないものの、これではまともに生きていけない・・・ そして約半年間、こいつと様々な時空を行き来していたお陰で会社はクビになり家族は心配して 何度もマンションに来たらしいけど、親父でさえどうすることも出来ず・・・ (置手紙でどういう状況かはお互い伝わっていたようだ) もはやこのまま飛ばされ続け死ぬのか・・・と思っていたその矢先、今年の春。 俺は飛ばされる周期が長くなっていることに気がついた。 似たような世界に飛ばされた俺は、その時ここに書き込んだ(前回の書き込み)。 その直後、俺は真っ暗な世界に飛ばされた。明らかに同時代の俺の部屋なのだが電気も月明かりも ない真っ暗な闇の中にいた。街には人の気配すらしない。体もかなり弱ってきており、もはやこの まま元の世界に戻れないのだろうと諦めていた。 その刹那、今までにないほどの大きな時空の歪みとともにこの世界に戻ってきた。 いや、ここが元の世界だという証拠はなにもない。が、違うという証拠もない。 しばらくポカーンとしていたが、ハッと我に返り実家に電話をするも電話口に出たおふくろの口から こんな言葉が聞こえてきた。
1297 :天狗男 ◆3d.QRuQQg. :2011/07/13(水) 19:50:24 ID:vKB22wVk0 3/3 「あ〜そっちは地震は揺れたかい?こっちは瓦が落ちてきたよ〜でも誰もケガしなかったよ〜」 え?地震? TVをつけると地震速報とともに津波による被害を放送している・・・どのチャンネルもだ。 唖然としている俺に電話口のおふくろはこんなことを言った。 「今どこにいるんだい?会社は大丈夫なんだろ〜?今日は早く帰るんだよぉ〜」 あれ?俺は飛ばされ続けて会社はクビになったはず・・・それにおふくろはずっと行方不明だった俺を全然 気にしてないようだ・・・気になった俺は聞いてみた。 「あのさ、俺がいない間、心配かけちゃってごめん」 おふくろは不思議そうにこう言った。 「何言ってるんだい?先週末遊びにきてくれたがね」 え? 俺はふと部屋にある鏡を見た。 半年間、俺の背後から離れなかったアイツの姿がなかった。 そして気がついた。 淹れた記憶のない熱々のコーヒーがテーブルの上に置いてあるのを。 あの地震から4ヶ月・・・ あれ以来、俺はアイツの姿を見ていない。 そして飛ばされることもなくなった。 クビになったはずの会社も何事もなく通勤できている。 もしかしたらココは俺のいた世界ではないのかも知れない・・・ アイツはココにいた「もうひとりの俺」を俺の代わりに連れて行ってしまったのかも知れない・・・ 今ではあの半年間の出来事は・・・夢だったのではと思い込むようにしている・・・ そして二度とあの聖地には行かないようにしようと思う。 以上です。 飛ばされてた間の詳細はまた機会があったら書きます。ではでは。
1298 :名無しさん :2011/07/14(木) 18:03:46 ID:.BArHCeo0 >>1215 超遅レスだけど、血塗れの坊さんって子供の怖い話の定番なのかな? もう30年以上前、近所の女の子に見に血塗れの坊さん見に行こうって誘われたことがある。 まだほんのガキだった私は親に告げ口して置いてけぼり。 行った兄に聞いたら、祠があるだけだったって言っていた。 幼い頃の記憶なんてぼんやりしているのに、その日のことだけは妙に覚えている。 北関東某県だけど、同じ場所かも?探検に行った子供は、兄含めみんなピンピンしている(多分)
1299 :名無しさん :2011/07/16(土) 07:58:10 ID:d6VK6Zd.0 >>1296 似たような世界に飛ばされた俺は、その時ここに書き込んだ(前回の書き込み)。>>1221 天狗男さん、おかえり。
1300 :白 :2011/07/17(日) 21:12:58 ID:6fj5WZms0 初投稿です。 友達から聞いた話を書き込もうと思います。 Aさん(男)とBさん(女)のカップルが、バーベキューをするために 川原に行きました。 すると、川の向こう側に同じようにバーベキューをするカップルが いたので、一緒にしようと合流しました。 Bさんが普通にそのカップルと話していると、Aさんは小声で 「いいか、俺が逃げろって言ったら逃げるんだ」 と言いました。 Bさんは何故?と思ったのですが、Aさんの気迫に押され 「分かった」と言いました。 そうして少し話すと、Aさんは 「逃げろ!!!」と叫び、AさんとBさんは一目散に逃げました。 カップルの姿が見えなくなるまで走った後、2人は止まりました。 「どうして逃げろって言ったの?」とBさんが聞くと、 Aさんは、 「あの人たち、全部左右逆に持ってただろ」と言い、説明を始めました。 Aさんによると、亡くなった方はすることが左右逆になってしまうそうです。 それを聞いたBさんは、「すごーい」と言いながら、 『手の甲』を合わせて叩いたそうです。
1301 :よっさん :2011/07/17(日) 22:56:04 ID:8l3ikF3U0 はじめてこのスレに書き込ませてもらいます。 新しくできた友人に遊ぼうぜと誘われたので一緒に遊んだ。 まず一緒にチャリでカラオケにいって,散々歌った後その友人の家に行って,遊ぶなり雑談したりする, というスケジュール。 当日,予定どうり俺と友人はカラオケにいって3時間ほど熱唱し, 店をでて,さあ友人の家にいこうぜ!ってなった時に友人が言った。 「・・・何あれ」 え?と思い友人が見ている方を見ると,店の前に止まっているチャリの一台の荷台に・・・ 手が。手がつかまっていた。 左の腕。肘からちょっと先くらいまでの。 気持ちわりいんで,気になって仕方がなさそうな友人に 「きっと悪趣味な飾りだろ」とか言って, 出発させた。 その後,友人の家でしばらくだべり,帰る時間になった。 友人の家は団地の7階。友人と別れてエレベーターに乗って1階に下りた。 扉が開くとそこにはその棟の住人(&その他諸々)の,チャリやバイクが置いてある場所に出るが, 扉が開いたとき,俺は思わず 「えっ・・・」 と言って固まってしまった。 今日の昼間。カラオケ店でみた手。あの手にそっくりなものが, いやもうそれそのものが置いてあるチャリの中の1台の荷台につかまっていた。 俺のチャリは不運にもそのチャリの隣。とても行く勇気は湧かなかった。 どうしよう・・と迷っていたまさにその時。 手が,荷台から離れた。宙に浮いたその手は,俺の方に向きを変えてゆっくりと飛んできた! 「まずい!」と直感した俺は,急いでエレベーターを閉めて7階のボタンを押した。 が,閉まりきる直前にその手の先が入ってきて扉に挟まれた。 そのままエレベーターは上昇し始めたが,その手は肘の部分を扉に挟まれたまま, 何かを(たぶん俺)探すように暴れていた。 俺は絶対につかまってたまるかと,エレベーターの壁にぴたりと背を付けていた。 今にも心臓が止まりそうなくらい怖い。生きた心地がしなかった。 7階に着くとチンと音がして,手は扉に吸いこまれるように消えた。 急いで友人の部屋まで行き,その日は泊めてもらった。 もうあのカラオケ店には絶対行かないと決めた。 またあの手に出会ったら,次は逃げられないと思うからだ。
1302 :ボム山 1/2 :2011/07/22(金) 18:00:10 ID:Eov80dC.O すみません投稿させてもらいます。 先週体験した出来事です。 フリーターから契約社員に転職した俺は、先月から市内のとある会社で働いていた。 恐怖体験をしたその日。 その日はたまたまやらなければいけない仕事が重なり、全部片付けた頃には夜の十時を回っていた。 気が付くと会社に残っているのは俺一人だけ。 新人だけ残して、何かトラブルがあった場合どうするんだ? そんなことを考えながら戸締りをして会社を出た。 すでに夜の街は静まり返り、街灯が心もとなく照らしている。 さすが田舎。夜の九時過ぎると誰もいないぜ。 こんな時間に出歩いているなんて俺かレイプ魔ぐらいだな。 疲れた頭に冷たい空気を取り込みながら、俺は駐車場に向かって歩き出した。 そして駐車場まであと少しという所で、それに気付いた。 誰かいる。 駐車場の入り口の所に誰かがうずくまっている。 道路に背を向けるようにして、手をしきりに動かしていた。 レイプ魔か? にわかに恐怖を感じた俺は、そいつにジリジリとにじり寄ってみた。 坊主頭で小太りの男で、背後からだと若いんだか老けてるんだかよくわからない。 あと歌?のようなものを口ずさんでいた。 見た目からは想像出来ない高音のソプラノだ。 っていうか裏声? 時折カチャカチャと金属音も聞こえる。 やだ、何この人・・・・。 俺は十メートルほど離れたところで立ち止まり、その異様な光景を見ていた。 時折咳払いをしてみるがこちらに気付く素振りは見せない。 正直関わり合いたくなかったが、退けてくれないと車を出せないので俺は思い切って声を掛けた。 すみません続きます。
1303 :ボム山 2/2 :2011/07/22(金) 18:02:50 ID:Eov80dC.O 正直関わり合いたくなかったが、退けてくれないと車を出せないので俺は思い切って声を掛けた。 「もし、そこのお方」 そいつはしゃがんだまま、ゆっくりとこちらを振り向いた。 目が死んでいる。ように見えた。 無表情で生気が感じられない顔でこちらを凝視してくる。 しかしこちらも退くわけにはいかない。 なぜなら退いてくれないと車が出せないからだ。 「あの、ちょっとそこ通らしてもらっていいですかね?ヘヘヘ・・・・」 と言ったところで俺は気付いてしまった。 奴の手にはハサミが握られていた。 しかも濡れているようで、街灯の光がヌラヌラと反射している。 黒いぞ。まさか血? 一気に心臓の鼓動が早くなった。 思わず一歩後ずさる。 するとその動きに合わせるかのように、奴が立ち上がった。 足元に黒い塊があった。 おそらく犬か猫ぐらいの動物だろう。 血溜まりが出来ている。 こいつはマジもんだぜぇ・・・・。 早いとこ退散するとしますかぁ・・・・。 と思ったその瞬間、 「キャーーーーーーーーーーーーー!!!!」 奴が叫んだ。 女なの?と思うほど甲高い叫び声だった。 だがその時の俺には、そんなことを考えている余裕が無かった。 奴が弾かれるようにこちらに駆けて来たからだ。 「ギャーーーーーーーー!!!」 奴に負けず劣らずの叫び声を上げて、俺は逃げた。 夜の街を全力疾走した。 どこか逃げ込めるところを探して走ったが見つからない。 後ろを振り返ると、五十メートル程離れて奴が追ってきていた。 ニタニタ笑いながら、ひょっとこのお面のような口をしている。 ヒュー、ヒューという呼吸音も聞こえる。 俺は人生最大級の恐怖を味わいつつ、変に冷静な部分もあった。 追われている最中なのに「あいつ足遅ぇ」とか「変な走り方」とか思っていた。 そして近くにあったラーメン屋に駆け込んだ。 それから警察呼んでもらって事情聴取されたり色々あったけど、無事に助かった。 やっぱりあの黒い塊は動物だった。 でもほとんど切り刻まれていたというか、グチャグチャで原型留めていなかったらしい。 それ以来音沙汰ないから、まだ捕まってないんだと思う。 捕まったとしても動物殺しただけだし、キ違いだし、罪になるのかな? とりあえず皆さんも気を付けてください。 僕は死ぬかと思いました。
1304 :名無しさん :2011/07/22(金) 18:28:07 ID:SDQKvdYE0 動物愛護法違反にはなるかと
1305 :名無しさん :2011/07/22(金) 20:50:03 ID:6g.fg0xI0 いくら何でも「もし、そこのお方」はちょっとないわ。 『どこぞのご隠居さんかと思いきや…』と続くかと思ったわ。
1306 :名無しさん :2011/07/22(金) 23:24:27 ID:eskQoj66O 最近、こんなチェーンメールが出回ってるみたいです。↓ こっこさんという儀式を知っていますか? 呪いをかけた相手を自分の願うままに操ることができます。 相手が身近な人間であれば誰でも呪うことは可能でしょう。 用意するもの ・鞠 ・紙と筆記具 ・油揚げ 方法 ・まずは穴を掘り、呪う対象の名を書いた紙を埋める。 ・紙を埋めた上へ「こっこさん」と言いながら鞠を99回つくとこっこさんの視線を感じることができる。 たったこれだけで、呪いは完了です。 鞠がなければただのボールでも代用出来ると思いますが、保証はできません。 注意事項 ・くしゃみをしてはいけない ・何があっても「こっこさん」以外の言葉を絶対に声を出してはいけない 呼び出したこっこさんを儀式終了後に帰す方法 ・こっこさんに油揚げをやり、 「ありがとやんした」とお礼を言った後に、もう一度「こっこさん」と言いながら鞠を99回つく 間違えて百回つくと大変なことになります。 ご注意を。
1307 :ボム山 :2011/07/23(土) 18:40:01 ID:XUo5uYygO >>1305 いやだって、めっちゃ怖かったんですよ。 そりゃ僕だって 「すいませーん横通りまーす」 って通り抜けたかったですよ。
1308 :ごめんなさい :2011/07/28(木) 10:01:23 ID:AFxbMQFA0 サッチャンハネ、コウツウジコデ、ハネラレタ、ダカラ、カオガトレテ、 ドッカトオクヘ、トンデチャッタ♪悲しいね、さっちゃん♪ さっちゃんは即死で死んじゃったの。このレスを見た人は… さっちゃんが0時に行ってあなたの首をかまで切り取っちゃうよ♪ いやなら、さっちゃんが行くまでに、9回違うスレにレスを送ってね♪ あ、さちゃんの顔は、こんな顔だから、 探してくれるのもイイよ♪オネガイネ…。 http://www.operaou.com/image/cmail/rei0204.gif これマジだよ!!信じなかった私の友達は首を狩られて死んじゃったし
1309 :名無しさん :2011/07/30(土) 10:41:40 ID:4r8SlMYA0 1308はマルチ
1310 :名無しさん :2011/07/30(土) 16:25:59 ID:J6TzqJz20 あげ
1311 :ボム山 1/2 :2011/08/02(火) 01:34:13 ID:kSBi4pIIO すみません投稿させてもらいます。 つい最近妹から聞いた話です。 僕の妹には霊感があるらしく、小さい頃からよく奇妙なものを目撃していたそうです。 しかしそれを自分から口にすることは無く、僕みたいなオカルト好きがしつこく聞き出さない限り滅多に喋りません。 理由は、僕が「そーゆうこと人前で喋るな」と小さい頃から言い続けたせいなんですけど。 そんな妹が中2の夏に体験した話です。 当時バスケ部に入っていた妹は、友達の巻波ちゃん(仮名・女子)と一緒に帰りのスクールバスを待っていました。 校門前にある石段に座り世間話をする二人。 山奥の学校なので周りからカナカナとひぐらしの鳴き声が聞こえ、空は夕焼け色に染まっていました。 そんな何気ない日常のひとコマですが、妹はずっとあることが気がかりだったそうです。 それは、巻波の右足が見えないことでした。 その日の朝までは薄ぼんやりと見えていた巻波の右足でしたが、放課後には完全に見えなくなっていたそうです。 見えないと言っても普通に歩くし、触れられます。 しかし妹の目には完全に映らないというのです。 普通の考えたらありえない現象ですが、これまで何度か同じような体験をしていた妹は (また悪い病気が始まった・・・・)くらいにしか思わなかったと言います。 そんなことを頭の片隅で考えながらバスを待っていると、同じ学年で吹奏楽部の忌野さん(仮名・女子)がやって来ました。 忌野さんは長身ショートカットの眼鏡女子で、その歯に衣着せぬ物言いで周りからウザキャラとして扱われていました。 中でもひと際目立っていたのが自称霊感持ちという設定で、それは時と場所を選ばずに 「階段の上で落ち武者の霊がこちらを睨んでいる!」 「溺死した青年があそこの川で泳いでいるわ!」 「校長に殺された前教頭の亡霊が見えるっ!」 などと滅茶苦茶なことを言っていました。 それを聞いた周囲は呆れたり腫れものを触るかのような反応というよりも、ギャグや持ちネタとして受け流していたそうです。 そんな忌野さんが二人の前で自転車を止め、話し掛けてきました。 「たまには私もバスで帰ろうかなwwwwうぇwwww」 「家近いんだからチャリでいいでしょ」 「はよ帰りな」 「これは厳しいお言葉ですなwwwww」(マジでこんな喋り方。俺も会った時ある) そんな具合に立ち話した後のことです。 去り際に忌野がこう言いました。
1312 :ボム山 2/2 :2011/08/02(火) 01:36:42 ID:kSBi4pIIO そんな具合に立ち話した後のことです。 去り際に忌野がこう言いました。 「巻波ちゃん、足の怪我に気を付けた方がいいよ」 妹は驚きました。 自分と同じように、巻波の足の不調を見抜いているのです。 でも今までのデタラメ言動から、忌野に霊感があるとはとても思えません。 なにこれ。フェイク? と妹は混乱しました。 「足?」 「うん。特に右足ね」 「えぇーなにそれwそれもいつもの霊感?」 「そうそうwwwww用心した方がいいですよwwwww」 「わかったわかったw」 驚く妹をよそに、二人でそんな会話をして忌野さんは帰りました。 それから数日後、忌野の忠告通り巻波がケガをしました。 右の足首を骨折。 原因は、バスケの部活中に相手ボールをカットしようとして転倒したからです。 これには巻波も驚き 「忌野スゴイ!本当に霊感あるよ!」 と病室でギブスをはめながら褒め称えました。 しかし当の忌野本人は自慢するでもなく、終始話題にしてほしくなさそうな感じにしていたそうです。 目立ちたがり屋なのに。 この事件を境に、妹は忌野の言動を思い返したそうです。 確かに痛い発言ばかりでしたが、要所要所で妙に鋭いことを言っていたような気がする。 中でも一年生の時に言われた 「妹ちゃんってすっごい霊感強そう」 という言葉が忘れられないそうです。 それ以外にも引っ掛かる言葉がたくさんあったそうですが、なにしろ他の言動のインパクトが大きすぎて忘れてしまったそうです。 「もしかしたら私より霊感強かったかも」 と妹が言っていました。 すみません終わりです。
1313 :名無しさん :2011/08/02(火) 18:21:55 ID:YLdPk3pE0 その人、少しの本当を隠すために多数の嘘をついていたか、 勘が鋭いゆえの嘘から出たまことなのかもしれない。 厨房の頃、占いをしてたが 悪い出来事がよく当たったため呪われると言う噂が立ったことがある。 それまできゃっきゃと群がってた人達がザーッと引いていくのが現金で却って笑えた。 結局昔ながらの友人だけが傍にいてくれたので無問題だった。 その後いろんな噂のせいでよく分からない相談とかあったので目立つリスクというものを思い知らされた。
1314 :名無しさん :2011/08/03(水) 18:20:36 ID:yfZ12Lfo0 サッチャンハネ、コウツウジコデ、ハネラレタ、ダカラ、カオガトレテ、 ドッカトオクヘ、トンデチャッタ♪悲しいね、さっちゃん♪ さっちゃんは即死で死んじゃったの。このレスを見た人は… さっちゃんが0時に行ってあなたの首をかまで切り取っちゃうよ♪ いやなら、さっちゃんが行くまでに、9回違うスレにレスを送ってね♪ あ、さちゃんの顔は、こんな顔だから、 探してくれるのもイイよ♪オネガイネ…。 http://www.operaou.com/image/cmail/rei0204.gif これマジだよ!!信じなかった私の友達は首を狩られて死んじゃったし
1315 :名無しさん :2011/08/08(月) 14:46:07 ID:JNFEycx20 数ヶ月前の話。文章が下手だしノンフィクションだから怖くないと思うけど。 某モ○ゲーのサイトで知り合った人と会うことになった。 私は女で相手(以下A)も女。 Aはかなり拘ってアバターを設定してるようで、数日おきにコーデが変わってた。 姫系というのかフリフリきゃわいい☆乙女☆って感じのコーデが多かった。 私はアバターにあんまり興味がなかったので無料で買えるものとか、 プレゼントでもらえるやつとかとにかく課金もせずまあ無難な感じに設定してた。 で、実際会ったときのことなんだけど。 アバターが来た。 なんか見たことある・・・と思う人が近づいてきたと思って よく考えると数日前に変わったAのアバターまんまの人だった。 ・・・と言っても、そのアバターは少々…結構…ふくよか…だるだる…で 顔も…お察しの通りでして。 アバターを模した服は手作りと思われる、よく見ると雑な作りをしてました。 もう声かけられた瞬間、1秒くらいの間に知らんふりしようかとか これはやばいとか一緒にいるの恥ずかしいぞこれとか色々過ぎった。 が、チキンな自分は顔を引きつらせながら約2時間カフェでお茶。 話した内容はといえば、失礼だけど全部妄想だと思った。 男にストーカーされた話だとかイケメンで素敵な彼氏の話だとか 某有名タレントと友達だとかそれのどれもがまるで漫画のような非リアルなお話で。 その後、幸いメルアドも携番も教えてなかったので、サイトの日記には 仕事が忙しい忙しいと書き続け1ヶ月ほどで退会のお知らせをして無事退会。 Aとは3駅しか変わらない場所に住んでるから、偶然会ったらと思うとマジで怖い。 そしてこのレスが見つかる可能性もあるというのが怖い。だ、大丈夫だよ…ね?
1316 :名無しさん :2011/08/08(月) 23:00:35 ID:FxPa8eZ.O >>1315 ちょっと妄想癖のあるコスプレイヤーだと思えば怖くないんじゃない?
1317 :名無しさん :2011/08/09(火) 08:01:58 ID:ZJaPZz820 >>1316 友達だと思われるのが怖いよ。 カフェで視線が痛かったのは気のせいじゃない。 jkにマジキモープークスクスされた。 そういえば、待ち合わせ場所でこれからどこ行くか話してるとき ちょっとチャラそうな若い男2人に早速チラ見プギャーされたんだけど、 その視線に気付いたAが耳打ちするように近づいて 「あれ、絶対ナンパくるよー!ウザ!目、あわせないようにしなきゃね><」 と言った瞬間に全身の鳥肌が立ったのを思い出した。 恐怖体験過ぎて記憶が消去されてたみたいだけど唐突に思い出してまた寒気がした…うおおおお! 私も容姿が凄くいいわけじゃないけど、あれと同類とは思われたくない。 でもやっぱり他人には怖くないよね。ごめんした。
1318 :一般人 :2011/08/09(火) 16:27:30 ID:eIL6dmtA0 数週間前の休日の月曜日に俺自身が体験した話。 その日は休みで学校もなかったため、俺は10時半ころに起床した。 父親は数年前に亡くなっていて、母親は仕事。祖父はどこかに出かけていて、祖母は1階の部屋にいる。 とりあえず、受験生なので勉強をしていた。といってもPSPで音楽を聞きながらだが。 1時間ほどやり、勉強を中断して音楽を聞くのに専念しているとき、隣の部屋の引き戸を見た。 頭の中が「????」となった。隣の部屋の引き戸の左側の戸に人影が映っていた。 しかし、自分のいる部屋から自分の影がそこに映るのはおかしい。 ベランダのカーテンが風に吹かれて・・・という考えもあった。しかしカーテンで人影はおかしい。 第一、カーテンが吹かれて・・・という考えだと、カーテンが見えるはずなのだ。 しかし、カーテンが吹かれるのは見えなかった。人影が映っている時にカーテンは動いていないはずだ。 そんな考えをしているうちに、階段の方へ移動して消えてしまった。そのままの高さで。 おかしい。引き戸の左側に映った場合、階段の方へ行くとすぐ階段があって、 降りることになるために、人影の高さが低くなるはずだ。 祖母は普通は2階に上がってこない。階段の下を歩いているときに映るということも考えた。 だが、映るはずがない。 一応、何処にいたら影がそこに映るのかを実証してみた。 勉強している部屋の引き戸(左側に全部引いている)に立ってみた。 一発で当たった。そこに立つと映るのである。 ということは?俺のことを、引き戸のところに隠れて見ていた? それとも人影自体が霊で、俺の事を見ていたのか? それで気付かれたから逃げた? そんな考えが浮かび、ゾッとした。 また出るんじゃねえかと思ったのだが、それっきり謎の人影は見なくなった。 だが、あの人影が何だったのかは分からない。いまだに謎である。 「戸に映る人影」を見たのは無論俺だけ。他の人に話しても信じてもらえない。 そういうのに興味があるヤツだけは信じてくれたが。
1319 :となな :2011/08/09(火) 19:41:22 ID:IyS4R5zM0 現在進行形で起こっている事なので、助けてください。 私の部屋はサンルームへの扉があります。 なんでか、一昨日からサンルームの扉を叩く音が聞こえるんです。 母に話してから、盛り塩作って置いていますが不安です。 何か良い対策あったら教えてください。 一昨日 扉を2回叩いた後、隣の食卓を歩いていき、ベランダにまた行くの繰り返しでした。 昨日 盛り塩のお陰か、扉から離れて窓を軽く連続で叩いてくる。隣の部屋にも入ってきませんでした。 今日 これから起きるので、何かあったら報告します。
1320 :名無しさん :2011/08/09(火) 20:29:58 ID:h3UJUoFQ0 >>1319 身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ188http://toki.2ch.net/test/read.cgi/occult/1312474885/
1321 :となな :2011/08/09(火) 21:37:19 ID:IyS4R5zM0 >>1320 名無しさん、本当にありがとうございます。 盛り塩が効いたのは、結果的に枕の方向に置いていたからですね……。 もしあの時に扉を開けていたら、私どうなっていたんでしょう? 盛り塩は白い紙に置いて枕元に移動させてました。 今、サンルームに言って見ましたが、左腕に鳥肌が酷く出てきました。 これも、警告なんでしょうか? 追加情報入れておきます。 ・23〜02時の間に、必ず起きています。 ・必ず電気を消したら起きます。 ・お経は、一時的に撤退させてくれました。 南無妙法蓮華経って言う、母が祖母から聞いた経です。
1322 :名無しさん :2011/08/09(火) 22:22:33 ID:jcyCAQLc0 まずは誘導先に腰を落ち着けて あちこちでレスしてたら、ただのかまってマルチと思われて荒らし認定されるよ ただでさえ向こうは騙りが常駐してて住人の親切心を踏みにじってるんだから それから実況以外は別館で報告するスレだから 向こうの1をよく読んで正しく使ってね
1323 :となな :2011/08/10(水) 21:24:04 ID:e51Qg8aQ0 >>1322 名無しさん、ご指摘ありがとうございます。 そして、突発的な行動すみませんでした……。 つい怖くて、すぐに書き込みしてしまいました。今後はこのような行為は慎むようにします。 本当は実況したかったのですが、父にパソコンを持っていかれたので実況ができなかったので、報告をしようと思います。 昨日 ・二日間の中で一番音が小さくなっていました。 ・けど、量は増えていて小さな音が連続で、サンルームの窓がカタカタカタカタってなっていました。 ・今日も引き続き、盛り塩を置いておこう思います。
1324 :名無しさん :2011/08/10(水) 22:39:35 ID:Xuvp8/n20 >>1323 うん、だからね、ここの>>1 読んでくれる? ここは怖い話を書き込むスレで実況するスレじゃないの ここで私に説明するより向こうで心配してる人達にレスしてあげて それからここは個人の板で2chじゃないよ あと、向こうに行くならちゃんとトリ付けて メール欄にsageって入れなきゃ駄目だよ ここで練習してもいいと思うけど、マナー無視してると 誘導した人にまで迷惑かかるからね? わかったね? ID見る限り今はパソコンから打ってるね 1323の文は向こうに転載しとくからまた始まったら向こうで実況するといいよ
1325 :となな :2011/08/11(木) 00:02:44 ID:I7mfc5dw0 あ、本当にすみません。 あちらで実況使用と思います。 ……さっそくsage書き忘れていますが、今後から気お付けていきます。 ありがとうございました。
1326 :あ :2011/08/14(日) 00:26:30 ID:.nm7OtLYO 最近見た怖い夢 私と従業員で地下貯水槽を歩いてました。トンネル内で不具合がないかを確認していました。従業員が「昔ここで溺れて亡くなった人がいるんだよね」私は「へぇ〜そうなんですか」と言った。そしたら急に目の前が真っ白になった。目を開けて見る目の前の男がナイフを持って私を見ている。場所は地下貯水槽…実は溺れて亡くなったのではなく殺されたのだ。男に殺された瞬間に目がさめた。目が覚めた時は汗だくだった。しかしおかしなことに体が動かない…ふと目をあけると知らない女性が私の首を絞めていた。 うわぁああ!!と叫んだら目がさめて親がびっくりしてた 終わり
1327 :あ :2011/08/14(日) 00:55:10 ID:.nm7OtLYO あともう一個 これも夢です 家で携帯をいじってたら知らない人からメールがきた。メールを見ると文字は無く写真だけ送られてきた。写真を見てみると私の写真だった。ただ顔がものすごく歪んでいた。とても気持ち悪くすぐ削除した。そしたらメールがまたきて今度は文字で「あなたを愛してます今から殺しにいくので待っててください」と…私は意味が分からなかったがとてもやな予感がした。逃げようとしたが遅かった…なぜならもう玄関に立っていた。ここで目が覚めた。
1328 :名無しさん :2011/08/14(日) 05:06:20 ID:xfopB2aA0 夢は本人以外怖くないからスレ違い
1329 :名無しさん :2011/08/17(水) 17:39:03 ID:Y3uy8khAO マサさんの人はもう来ないのかな 無事かな?
1330 :名無しさん :2011/08/17(水) 21:23:28 ID:wGj0EnfkO 自分も、マサさんずっと待ってる。 パソコン燃えちゃったとか言ってたっけ? 何があったんだろ…
1331 :名無しさん :2011/08/18(木) 00:02:21 ID:1iyQYokw0 自分もだ。毎日ここ覗くのは日課。 マサさん、待ってるからね。
1332 :名無しさん :2011/08/18(木) 22:55:55 ID:3yFzwsOk0 数年前、僕が大学生だったときのことです。 聞いた話なので信憑性に欠けるのですが、つい書き込みたくなったので投稿します。 その年の夏、サークルの合宿で伊東の方に行きました。 さて、民宿に着いてみんなで海に行きました。 2人ほど先輩Aと後輩Bが、疲れたらしく部屋に残って寝ていたそうです。 後輩Bが横になっているうちに、うとうとと夢見心地のなか襖が開く音がして誰かが部屋に入ってきたみたいでした。 「あぁ、○○(後輩C)が忘れ物を取りに来たんだろう」と気にもせずそっちを見るわけでもなく「おぉ、何か忘れ物か?」と声だけかけたそうです。 ○○(後輩C)は、部屋を2周ほどうろうろして、出て行きました。 「変だな?」と思いはしたそうなのですが、気にも留めることなく本格的に昼寝をしはじめたそうです。 夕方になって、全員集まったときに、BはCに「昼間帰ってきただろ、何探していたんだ?」 と聞いたところ、Cは「ん?いいやずっと浜辺でみんなと遊んでたぞ」 Bは「おや?」と思い先輩Aに「誰かは言ってきましたよね?」と訪ました。 そしたら、先輩Aが言うには「俺も、Cが帰ってきたと思ってたよ、ただあのとき金縛りにあってた」 という、対して怖くもない話ですた。 こんな話で申し訳ない
1333 :名無しさん :2011/08/19(金) 00:17:29 ID:QyXwF73s0 あのマサってのあんまり好きじゃないんだ あまりに創作って感じで…怖くないんだよ
1334 :名無しさん :2011/08/19(金) 03:19:50 ID:cac5R9Y20 投下時にタイトルも酉も付いてるんだし読み飛ばすなりすればいい 自分の好みでないからと言って排除する権利も方法もなし
1335 :名無しさん :2011/08/19(金) 18:28:34 ID:nu9.m4qo0 いや色々意見があっていいと思う。 俺もあまり好きではない派。 マサの話ね。
1336 :名無しさん :2011/08/19(金) 21:08:16 ID:cac5R9Y20 誤解無いように言うけど俺も別に好きじゃない ただ、それを表明したところで何も起こらないだろって事 相手に書く気が有れば止める手だてはないんだから ここは本スレと違って「怖くないからスレ違い」も通用しないしさ 黙って読み飛ばせば、わざわざ1レス使って書き込んだときよりも労力の節約になるじゃないか 好きなものに「応援してます」なり労力を使うのはわかるけど、好きでもないものに労力を使うのは損だよ
1337 :名無しさん :2011/08/19(金) 21:40:19 ID:Y290ptFU0 >>1336 あなた矛盾だらけのこと言ってるよ 私のも無駄レスですから読み飛ばしてよ マサさんはどうでもいいかな これ個人的な感想
1340 :名無しさん :2011/08/20(土) 18:29:54 ID:KtXKF8OU0 >>1338-1339 マルチうざ
1341 :名無しさん :2011/08/20(土) 21:53:04 ID:NK0nhr..0 去年の夏、飯が出来たからって母親に呼ばれて下に行こうとしたんだ。そしたら寝室のほうから なんか光りがもれてたんだ。ちかちかしてたから誰かテレビみてんのかなと思って寝室に行った。 そこでその日は弟と俺と母親の3人しか家にいない事を思い出したんだ。だから多分弟だと思って気軽に 開けたんだ。 そしたら、真っ暗な寝室で案の定弟がテレビを見てた。なんかどっかのバライティ番組だった気がする。 「何でそんな暗い場所で見てんだ?」 って聞いても返事がない。俺は部屋の電気をつけてやった。 集中してんのかなと思ってそのときは「飯が出来たってよ。早く降りて来いよ。」って行ってドアを閉めたんだ そしたら、驚くくらい近くで 「うん。」 って聞こえたんだ。多分耳元くらい。 驚いて振り返っても誰もいなかった。横に轢くドアとその横に鏡があるだけだった。 俺は怖くなって急いで階段の電気をつけた。もちろん誰もいなかった。 そしたら突然携帯が鳴った。めちゃくちゃビビリになってた俺は飛びのいて頭を壁にぶつけたんだけどその話はいい。 液晶を見たら知り合いだった。それを見たとたんかなりほっとした。これ以上なんかあったらショックで出そうになってたくらい。 それからしばらく知り合いと話した。5分位かな。通話をきって、おかしい事に気がついた。 全然弟がその部屋から出てくる気配がない。そんなに面白い番組だったかな?と思い返してみてもう一つ変化に気がついた。
1342 :名無しさん :2011/08/20(土) 21:53:52 ID:NK0nhr..0 続き さっきまでやってたバライティ番組の音が異様な音に変化してた。でもその音は聞き覚えがあった。 もう一度ドアを開けてみて、その音はなんだったかを思い出した。テレビでよくある砂嵐の音だった。 弟はさっきよりも近くでテレビを見ていて、凝視するその先には砂嵐の画面が映ってた。 俺は背筋がぞっとして声が出なかった。よく見たら部屋の電気も消えて薄暗くなってた。 でもその後姿は完璧に弟だったから、勇気を振り絞って言った。 「・・・そろそろ降りて来い。あと暗い部屋でテレビ見てると目悪くすんぞ」 また弟は答えない。俺は怖くなってドア閉めて部屋から出た。そしたらまた耳元で 「わかった」 って声がする。もう何がなんだか訳が分からなくなって急いで自分の部屋に飛び込んだ。 そしたら階段をドスンドスン上がってくる音がした。何かと思ったら急にドアが開いて 「早く降りて来い!」 って母親に怒鳴られた。めっちゃ(´・ω・`)しながらも、助かったと思った。怖さとかいろいろ なくなったし、弟にもなんかあったんだろう、相談に乗ってやろうかって冷静になれた。よく考えたら、距離も近いし耳元で聞こえたのも錯覚だろう って思ってた。 それからもう一回、弟を呼ぶためにドアを開けた。 テレビの画面が、放送終了の画面になってた。 弟はその画面を直視したまま動かなかった。そのとき俺の寒気がピークに達した。 「早く降りて来いよ・・」 ボソッと言って逃げるようにして部屋を出ようとした、そしたら 「わかった。すぐ行くよ」 って返事が返ってきた。その瞬間すごいほっとしたんだ。心に余裕が出来てたそのときの俺は 「悩み事があったら相談しろよ。」 とまで言ってやった。返事はなかったけどたぶん嬉しいんだろうと思ってた。 それからドアを閉めて下に行こうと一歩踏み出した。そのときに、 「ほんとうに?」 って声が背中からした。間違いなく。ドアを閉めても開けても同じ距離で声が聞こえた。 俺はそんとき背中の後ろに誰かいるって思ってた。 その時不意に、鏡と目が合ったんだ。その鏡が映してたのは、 ドアの隙間から俺の首をつかもうとする真っ白で血の気のない腕だった。しかも一本じゃなくて三本。 俺は逃げようとしたんだけど遅かった。ものすごい力で首を絞められたまま寝室に引きずり込まれた。 引きずられたまま俺は寝室の中を見た。真っ暗な部屋でテレビも何もついてない。外の風景も雨戸がしまってるみたいで何も映ってなかった。 その中で、弟はいなかった。どこにも。 俺はそんとき死に物狂いで木の柱をつかんで自分の体っ張り起こしてそのままドアを連打した。 「助けて!助けて!」って叫びながら。ドアはあかなくて、壊れてしまえ!と思ったけどまったく壊れる気配がなかった。 正直終わったと思った。だけどそんとき突然ドアが開いて 「うるさい!近所迷惑でしょ!」 って母親が怒鳴り込んできた。そのとたん俺を引っ張ってた何かは消えて、視界が開けたんだ。 そしたら母親が変なこと言い始めた。 「あんたさっきから気持ち悪いわよ!暗い部屋で一人でテレビ見てるし!かと思ったら自分の部屋にいたりするし!こんどはどうやったか知らないけど 外から鍵かけて一人で遊んでるし!」 「え?」 他二つは聞き覚えあったんだけど、最初のが分からなかった。俺は暗い部屋でテレビなんか見てない。 そしたら下でバタン!って音がした。俺は恐る恐る 「K(弟の仮名)は?」 「Kならもうとっくに下で待ってるよ!」 って言った。なんか突然腹痛を起こしたそうだ。それが関係あるかどうかは分からないけど。 部屋から出る前に、もう一回鏡を見たんだ。 そしたら鏡の端、手が出てきたところだけ亀裂が
1343 :名無しさん :2011/08/22(月) 21:30:30 ID:wqEaPCh20 昨日あったことを書かせてもらいます。 タイムシフトした呪怨を見てたときの話。肴が欲しくなってマックへと旅立とうとしたんだ そしたら急に階段のとこの押入れが開いた。またかよ・・・って思ったけどその時はスルーしてたんだ。 そこの扉は物詰め込みすぎてよく小さな振動で開くし、稀にだけど屋内で足音とかするからその類だと思ってた 去年に比べてそういうのにも耐性ついたし、ほとんどああいうホラー映画的な実害を及ぼすタイプじゃないって思ってたから。 そしたら階段からものすごい音がした。見に行ってみたらしまっておいた扇風機が落ちてた。 羽も飛んでたし、あからさまに壊れたたから下に持って行こうとしたんだ。 トンって誰かに背中を押された。階段をよろめいて前の壁に手をついた。そしたらその先はカーテンの向こう側の本来窓がある部分で、 その日に限って窓が開いてた。 俺は手を突き損ねて人差し指と中指を骨折した。付け根に変な痣も出来た。あからさまに横から見た人の指の形をした青痣が出来てた。 皮膚が捲れてていま酷い状態。薬指と親指フル稼働なう
1344 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2011/08/24(水) 20:43:49 ID:jFI.Ff4w0 【祟り社】 1/5 上野の飲み屋で知り合ったメグは、西の方の生まれだ。今は常磐線沿いに住んでいるそうで、飲むと笑い上戸になる彼女は、文字通りチャキチャキだ。 どこの飲み屋でも、常連になると自分の生まれのお国自慢大会になることがよくあるが、彼女はあまり自分の田舎のことを話したがらなかった。 その彼女が先日、実家のことをしんみりと話し出したことがある。 「ねえ、知ってる?祟り社って」声を潜めて言われた。 「知らない…聞いたことない」 「あのな…うちには弟が居たんよ」 関西弁はよく知らない。過去形に聞こえたのが気になったが、おいらは先を促した。 彼女、実は「訳アリ」だった。
1345 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2011/08/24(水) 20:44:52 ID:jFI.Ff4w0 2/5 メグの実家は写真屋を営んでいた。明治から続いた写真館で、戦中戦後の古い写真も残っていたそうだ。写真館の隣には、一風変わった神社があり、メグと弟はその境内でよく遊んでいたという。 その神社に、ちゃんとした神主さんがいたかどうかは、わからない。写真館よりも後、終戦直前くらいに慌ただしく建立されたため、それ程伝統がある訳でもなし、何の神様を祭っているのかすら、宗派もよく解らなかった。 ただ、浮浪者のような格好をした、住み込みだかのおじさんが、ときどき境内を掃き掃除していたという。メグの両親や祖父は、あまりその神社のことを良く言わなかったといい、行事やお参りには、敢えて別の神社に行っていたそうだ。 ある年の正月明け、その神社の神殿が開けられ、大掃除というか、虫干しがあった。 手伝う人もおらず、そのおじさんが一人で掃き出しをしていたそうだ。 それをメグとその弟が見ていた。冬の寒空に野積にされた、宝物というには余りに貧相な、一見ガラクタの山。 そのうち、ちょっとした隙に、弟がそのガラクタの山の横から妙なモノを物色して、さっと持ってきて、自慢げにメグに見せた。 朱塗りの円筒だったという。丁度、ちょっと大きめの茶筒のような。それほど古い感じはしなかったが、蓋は白く粉を吹いた蝋のようなもので、どろどろに、がっちりと封がしてあった。 重さもそれほどではなく、むしろ軽い。振ってみると、紙か乾いた布か、枯草のようなモノなのか、中でカサカサ・ワサワサ、時折コトッ・コツッと音がしたそうだ。
1346 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2011/08/24(水) 20:47:12 ID:jFI.Ff4w0 3/5 それを聞いたおいらは、取り敢えず口を噤んでいた。 箱の中の様子は、おいらなりの妄想で容易に想像できた。 いわゆる、「コトリバコ」系の逸品だ。 だが、カサカサ、ワサワサという音というのがよく判らなかった。 あの箱、そんな音するって言われてたっけ? 「オ○○サマに、何しとるんか!」 (○○の部分は良く聞き取れなかったらしい。あるいはツノと言っていたかも…とメグは言っている) 顔を真赤にしたおじさんが、すごい剣幕で追いかけてきた。メグと弟は逃げ回ったあげく、その茶筒を賽銭箱の横に放り出し、アカンベしたそうだ。 「このばかもんがー!何が起こっても知らんぞ!」 参道を走って逃げ、鳥居の下をくぐったとき、その柱がピシィッ!と音を発てたような気がしたという。 偶然と思いたいが、その翌日の早朝。 メグが住んでいた町一帯は大きく揺れた。 早朝だった。
1347 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2011/08/24(水) 20:48:08 ID:jFI.Ff4w0 4/5 「アレでうちの家も燃えてん」 火災で写真館が焼けてしまったため、写真屋はその後廃業してしまったそうだ。 …それと… 「あのとき、その隣の神社の鳥居が、うちの家の方に倒れてきたんよ」 「鳥居の笠木が、一階の屋根をぶち破って、うちらの子供部屋の半分を潰してん」 「そして一緒に寝ていた弟が、その下敷きになって死んだ」 「青い縞々のパジャマを着た足だけが瓦礫の中から見えてた」 「うちのオトンが、うぉーって叫びながら、瓦礫を避けようとしたんやけど、弟の上に乗っかった笠木がすごく重くて、全然動かへんかった…」 周りの隣家もみんな同じ状況で混乱し、手伝ってもらえるような状況ではなかった。 そうこうしているうちに、辺りで失火した火災の勢いに押され、一家は泣く泣くそこから避難した。 逃げるとき、隣の神社も火に包まれているのが見えた。 社守りのおじさんは、凄い奇声を上げながら、燃え上がる社殿に飛び込み、それっきり行方は判らなかったという。 おいらは言葉が継げなかった。 メグが続ける。 「今までこの話はしたことないんやけど…うちら、弟の遺骨、上げられへんかったんよ」
1348 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2011/08/24(水) 20:48:51 ID:jFI.Ff4w0 5/5 余震と火災が収まって戻ってみると、実家の写真館は見事に焼け落ちていた。 信じられないことに、瓦礫の何処を探しても、弟の遺体が見つからなかったという。 消防も来てくれて、一緒に捜索したが、結局、骨の欠片すら見つけられなかった。 潰れた弟の上に覆いかぶさっていた、鳥居の朱い笠木も無くなっていた。 跡形もなく。 メグの家族は、仕方なく空の棺で弟の葬式を出した。 いまでも弟がここに居るからと、写真館の跡地を整地して、もう一度家を新築した。 一方、神社のあった隣の土地は、そのまま更地になった。当の神社は別の場所に移されたらしい。移転した先の場所は解らなかった。メグの家族は、神社のその後を知ろうとはしなかった。 しかしメグは一時期、弟を殺した鳥居の朱い笠木を捜そうとして、復興中の街を自転車で走り回ったそうだ。 「焦げた朱い笠木を戴いた鳥居が、きっと何処かにあると思ってた」 「それで、見つけたの?焦げた笠木の鳥居?」 「いや、うちのオトンに言われた。止めろって。知り合いのおじさんから忠告されたって」 「あの神社は普通じゃないって。これ以上追っかけるとヤバい。祟り社だって」 「あの頃はまだ厨房だったから、怖くなって…それで…諦めた」 ただ、メグは今でも忘れられないという。 妙な隣の神社。祟り社。弟を潰した朱い鳥居。弟が見せた朱塗りの円筒。 神社のおじさんが、それのことを多分、「オツノサマ」と呼んでいたこと。 -終-
1349 :名無しさん :2011/08/28(日) 01:48:28 ID:4sWiiHCA0 おいら久しぶりだな また来てくれ
1350 :名無しさん :2011/08/28(日) 10:29:45 ID:Tfkt/saA0 おいらさん、いつもどおり今回も面白かったよ
1351 :yuri :2011/08/28(日) 12:51:34 ID:Z78hdAec0 >>楽に稼げるアルバイトの件。情報載せておきます(;・ω・)!! http://tinyurl.k2i.me/Afjh
1352 :いちご :2011/08/28(日) 21:38:14 ID:OSQbg.Lo0 ○このレスを見た人はめっちゃ②幸運です○ えっと、このレスを、違う掲示板3つに貼り付けてください! そうすると下記のよぅなことが起きますヨ♪ ◆好きな人に告られる!! ◆告ったらOKもらえる!! ◆彼カノがいるコゎめっちゃLOVE②になれる!! ◆勉強、学年トップ!! ◆男女にモテる!! ◆5キロ痩せる!! ◆お小遣いが上がる!! 上記のことが起きます。 あたしの友達Mが、これをやったら、上記全て起きて、今は彼氏とめっちゃラブ×2です♡ 先生からも好かれ、男子に8人から告られました。 女子も友達がたっくさんいます!! この魔法のようなパヮーを信じて、貼り付けてください!! コレを信じなくて、貼り付けなかったKは、3日後に彼氏にフられて、5日後に告ったらフられて、一週間後に家族が死にました。 そして一ヵ月後にはKが死んで、クラス全員でお葬式に出ています。 さぁ、あなたはMかKかどちらになりたいですか? 信じるか、信じないかは、あなた次第です。
1353 :kokoro :2011/08/29(月) 12:33:01 ID:5QKfB8qI0 >>楽に稼げるアルバイトの件。情報載せておきます(;・ω・)!! http://tinyurl.k2i.me/Xxso
1354 :ともかね :2011/08/30(火) 01:58:53 ID:gokIW0A60 まくら1/4 少し長いです。 文才もないので、判らなかったらごめんなさい。 10年前に体験した話です。 ファミリーレストランでバイトしていたとき、二人の女性に出会いました。 髪の長い、なかなかの巨乳のTさんと癖のあるセミロングで小柄な、ふとましいHさん。 自慢なんですが、私は仕事の覚えは人一倍早く、一週間でホールとキッチンを覚えました。 その分、飽きが早いのが短所であるが。 仕事場にも慣れてきたとき、Hさんから相談を受けた。 男関係だった。 なぜ私なのか? 自分で言うのもなんですが、女性に頼りにされるような性格も外見でもないし、どちらかといえばマイナス思考。 たぶん仕事覚えが早い=何でもできる。みたいに思われたのでしょうが、とんだお門違い。 何度も断ったし、回りからも「あいつ面倒臭ぇから関わらないほうが良い」 といわれていた。 しかし、当時お人よし過ぎた私は、話だけでもと、聞いてしまった。 内容は、要はクズ男と別れたいのに、相手がしつこい。 とのことだった。 どうでもよかった。 さっさと分かれれば良いじゃん。 ストーカーなら警察行けよ。 それくらいしか言えない。 本来、相談というのは受けた側はアドバイスするだけで、解決するのはあくまでもする側だと想う。 しかし、一向に解決しようという気が見られない。 何度も同じような悩みを持ちかけてくるのが、あまりにイライラして、 「仕事以外で話しかけないでくれる?」 と、とうとう自分でも信じられないくらい冷たくあしらった。 暫くは相談事で話しかけられたけど、無視した。 それからは、全く相談されることもなくなった。 シフトも、わざと外してたし。 そんな面倒ごとを背負いつつも、私はTさんに恋をした。 仕事が出来て、年下ながら姉後肌の女性に弱い私の、ドストライクだった。 1回はふられたものの、数ヶ月のアプローチの末、何とか付き合えるようになった。 付き合っていることは内緒でしたが、周りにはそれとなくばれていたらしい。 程なくして、Hさんは辞めていった。 やっと平穏なバイト生活を迎え、Tさんとの付き合いは順調で、デートや朝帰りの回数も増えた。 幸せなはずのリア充の期間ですが、程なくして、私は悪夢を見るようになった。
1355 :ともかね :2011/08/30(火) 02:01:58 ID:gokIW0A60 まくら2/4 面識のない、真っ白な男が猛烈な勢いで走ってくる夢だった。 年齢は20歳くらい。 格好はダメージパンツに、陰陽マーク?をあしらったデザインのTシャツ。 髪は長めで、いかにも遊び人な感じだったが、子供のように泣きじゃくって、まるで私に助けを求めているようだった。 勢いはすごいものの、ルームランナーの上にでもいるかのように、一向に近づくことはない。 それでも、あの形相と真っ白な無音の世界は、たまに見る悪夢とは全く別の恐怖があった。 悪夢の回数が増えていき、私は次第に寝不足になっていった。 そんな私に、さすがに気づいたTさんに、悪夢のことを話した。 と、Tさんはなにか納得したような顔になった。 聞くと、バイト先のYさん(35)も、同じ夢を見て、病院に通うようになり辞めていったという。 大学時代、格闘技で鍛え抜かれていたうえに、健康オタクだっただけに、誰もが驚愕したという。 その後、Yさんがどうなったかは判らないが、ひどく疲れ果てた末に、職場で倒れかけたこともあるという。 真っ先に、Hさんのことが頭に浮かんだ。 もともと私は霊感が全くない分、ファンタジーやオカルト関係が大好きで、変に感が良い。 危険なところは無意識に避けるし、危険に近づけばなんか空気を感じて引き返す。 傍から見ればただのビビリだが、そのおかげで今まで大病も何もないのだ。 バイト先の先輩に聞けば、やはりYさんも相談を受けていたとのこと。 が、私のときとはちょっと違った。 Yさんは、実際にHさんの自称彼氏Nと、会っていたらしい。 そのN、要は美人局をYさんに仕掛け、金を取ろうとしていたらしく、 「自分はヤクザ関係だ」とか、小物臭丸出しのセリフを吐いて、Yさんにボコボコにされたとか。 以来、Nはバイト先に関わらなくなったというが、相変わらずHさんの「相談」は続いていて、周りから疎まれていたのだ。 それから一ヶ月ほど経って、Yさんは辞めていった。
1356 :ともかね :2011/08/30(火) 02:06:13 ID:gokIW0A60 まくら3/4 相変わらず、私は悪夢を見続けていた。 疲れも限界で、バイトを休みがちになった。 Tさんが何度かお見舞いに来てくれたが、何もする気になれず、イライラも募るばかりで、私は彼女に当たるようになっていった。 そんな自分が嫌で、逃げるように彼女に別れを告げ、引き篭もりがちになった。 当然、バイトもやめた。 このままじゃダメだ。 そう思い、私は思い切ってHさんと連絡取ることに決めた。 先輩から、仕事場に張られていた緊急連絡先から、Hさんの番号を聞き、電話をかけると繋がった。 夕方、近場の公園に呼び出し、最近の自分の状態について話をしたが、今思えばあほな行動だ。 「呪いか何かやったのか!?」 大真面目な顔でそんなことを言っていたのだから。 当然、Hさんは「?顔」。 シラを切っているだけなのかもしれないが、判断できない。 ただ決め付けて、私は胸ぐらつかむ勢いでHさんを攻め、パニック状態のまま帰宅した。 誰かのせいにしないと、気が狂いそうだったのだ。 信じられないのが、帰宅したその日の晩だ。 電話番号を使って、Hさんからメールが届いていた。 件名:相談があるんですが・・・。 それを見たとき、ぶち切れた。 怒りではない。呆れ?恐怖?何かわからない、初めての感情が噴出したのだ。 あのときの感情は、たぶんHさんに殺意を抱いた自分への恐怖だと思う。 私は、自分でも信じられないくらいの罵詈雑言を書いたメールを返信した。 人として言ってはいけない事を、この時ばかりは書きなぐり、何通も送った。 私は泣きながら布団の中に包まり、必死に念仏を唱えていた。 気がつけば朝で、私は股の間にまくらを挟んだ形で、縮まっていた。 悪夢は見なかった。
1357 :ともかね :2011/08/30(火) 02:08:10 ID:gokIW0A60 まくら4/4 Hさんからのメールが何通も来ていたが、すぐに消し、拒否設定し、まだくらくらする頭を休めようと、枕を引き寄せて顔をうずめた。 「・・・?」 まくらの感触がおかしかった。 普段のそば殻の、シャクシャクとした感じの中に、変な塊があった。 背筋が粟立ち、気味の悪い寒気と同時に、異様なほどの「危険」を感じたけど、自分の部屋で、逃げようにも動けない。 私はまくらの感触の原因を調べようと、カバーのファスナーを開けた。 汗染みの跡がある、見慣れたまくらが現れ、変わりなく縫い合わされている。 しかし、何かが入っている。 わずかにほつれた部分につめを引っ掛け、糸をぶちぶちと切って、小指を突っ込み・・・と、徐々に穴を広げた。 「っぅ!!」 悲鳴が出なかった代わりに、わずかに胃液を戻した。 たまらずトイレに駆け込み、空の胃袋を痙攣させる。 そば殻に混じって入っていたのは、長い髪の毛だった。 いえ、正しく表現すると、長い髪の毛と、何年も切り貯めておいたであろう爪と共に、そば殻が混ざっていた。と言ったほうが良いでしょう。 その髪の毛は真っ黒で、ぐねぐねと波打った癖毛でした。 Hのものなのか、だとしたらいつの間に? この爪は? ただ、私は親と同居していて、ここ数年友達も部屋に入れていない。 唯一、親が出かけたときに、Tさんを入れた。 ゴミ袋にそれらを詰め込んだ後、私は神社にそれをもって行き、これまでの経緯を話したが、力を持っていないのか、困惑してどうしたら良い変わらないといった顔の神主に、警察に通報することを薦められた。 一応お払いをしてもらい、お守りを買い、いまも肌身離さず持っています。 あれからは何事もなく、人並みに平穏な人生を歩んでいます。 判らないことだらけで、特に気になるのが、真っ白な男は誰なのかということ。 あくまで想像だけど、Hの彼氏なんじゃないかと。 ただ、半年ほど経ったとき、街でTさんを見かけた。 彼女の髪は短かった。
1359 :名無しさん :2011/08/30(火) 11:31:10 ID:/wgfCeGc0 >>1354 ありがとう、面白かったよ 彼氏と上手くいってるのに呪詛って矛盾が不可解であり、リアルだった
1360 :名無しさん :2011/08/31(水) 11:32:02 ID:f5awnbOs0 怖くなかったらごめんね こないだ深夜2時位に自宅の三階でゲームやってたときに なんか鈴っぽい音が近づいてきた。 深夜だからって自転車の鈴鳴らしまくるなよ!とか思ってたら なんか体の左側だけ誰かにつかまれたみたいな感覚がある訳よ その間にも鈴っぽい音は近づいてきてるし すごく怖いのでとりあえず咄嗟に脳裏にでてきた主の祈りを歌ったら 鈴はピタッと止んだ、と。怖くなくてごめんね
1361 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2011/09/02(金) 01:18:49 ID:rpLBEX5Q0 >>1349 ・1350 ども。 色々ありましたが、少しずつ書いていけそうです。 ブランクあるので話が繋がるか微妙ですが…。
1366 :瑠 :2011/09/04(日) 20:23:01 ID:L9dlmCLo0 家の中で、落ちてた500円玉ひろって以外に綺麗だったから、製造された年を見たら2010年って書いてあって 自分的には嬉しくて 「おぉ!去年のじゃん!!」 って言ったら、誰も座ってない勉強机から 女の子の声で 「ヨカッタネ」って言われて…… 隣に座ってた姉は聞こえなかったらしいです。 自分的には怖い話でした。
1367 :天狗男 ◆3d.QRuQQg. :2011/09/09(金) 19:14:12 ID:M0ASbFRA0 /5 ご無沙汰してます。 だいぶ落ち着いてきたので、ズレまくってた期間中の出来事を1つまとめました。 全部まとめるのは時間がかかると思うので、印象に残っているものだけUPしていきます。 ズレてた期間の出来事というのは一応、覚えてます。 しかし何というかフィルターのようなものがかかっており、時系列的に思い出せません。 恐らくズレた出来事はまっすぐな時間軸上には無いのかも知れません。 これは何度目かズレた時(だと思う)の話です。 ズレる前は空間が歪むというか、複数の空間が現れて渦のように重なるようになります。 例の観光地から憑いてきたヤツから呪文のような声が聞こえると渦が現れます。 当然、俺がヤツの呪文を止めようとしても無駄な抵抗になります。。 「あぁ、またか・・・」 ―――気が付くと夜の森の中にいた。
1368 :天狗男 ◆3d.QRuQQg. :2011/09/09(金) 19:15:02 ID:M0ASbFRA0 2/5 ここがどこかも分からない。周辺には真っ暗な森があるだけで電灯もなく真の闇があるだけ・・・ とりあえずここにいても始まらないなとザクザクと歩いて周辺を散策、ほどなく1本の砂利道に出ました。 「よかった、道がある・・・とりあえず近くの集落まで行けるかな・・・」 ズレた時に共通する事柄に、目の焦点が定まらない点があります。 ヨロヨロとあぶなっかしく歩きながら進むと数十メートル先に白い物体を発見・・・ 「何だろう、あれ・・・」 目を凝らしながら近づくと徐々にそれが自動車だと分かりました。 傍まできて車内を見てみたが人影がない・・・触ってみるとちゃんと車体の感覚がある。 ズレる際は、たまに物に触れない場合があるので少し安心しました。 試しにドアを開けるとロックしておらず容易に開いた・・・しかもよく見ると鍵が付いている。 「何でこんな山奥に鍵を付けたまま停めてあるんだ・・・?」 不審に思いはしたが、基本的にズレた時はその世界の人達に自分は見えないようなので、 それ以上は気にもせず車に乗り込んだ。そして鍵を回してエンジンをかけようとしたら・・・勝手にかかった。 その瞬間、何とも言えない獣の臭いがしてきて思わずウェッとなった・・・ 「な、何だこの臭い・・・動物の死体でも乗せてあるのか??」
1369 :天狗男 ◆3d.QRuQQg. :2011/09/09(金) 19:15:39 ID:M0ASbFRA0 3/5 キョロキョロと車内を見渡すがそれらしきものが無い・・・ おかしいなと思っていると今度は車が勝手に動き始めた。 基本的にズレた世界は何度も行ったが、機械や車が勝手に走り出したのは初めてだったので焦りました・・・ 「何だよこれ・・・どこに向かってんだよ・・・」 そしてこの車、普通に走るのではなく急停車したり、バウンドしたり、まるで生きているようだ。 心拍数が上がっていくのが分かる・・・ このままじゃヤバイと思い、ブレーキを踏んだりハンドルを切ったりしたがまるで反応なし・・・ 大量に噴出す汗・・・かなりの危険を感じた俺は、何とか車外に出ようと必死にドアを開けようとした。 すると突然、視界に何か眩しいものが飛び込んできた。 ウッと目を覆ったが、少ししてからよく見ると自動車のヘッドライトのようだった・・・ 俺の乗ってる車の後を凄い勢いで追いかけてくる車のヘッドライトが、バックミラーから見えたのだ。 後の車は何か理由があるのか、必死でこの車を追いかけてきている・・・ この車の進行方向からは間違いなく嫌な空気を感じる・・・ 後から追いかけてくる車もまったく得体が知れない・・・ 状況がまったく理解できない俺は、ガクガクしながら震えていた。 すると急なカーブを曲がった所で何の前触れも無くドアが開き、俺は外へ放り出された・・・
1370 :天狗男 ◆3d.QRuQQg. :2011/09/09(金) 19:16:11 ID:M0ASbFRA0 4/5 ―――気が付くと俺の乗ってた車も、追いかけてきた車もいなくなっていた・・・ 体が重い・・・とりあえず俺は砂利道を再び歩き始めた。 どれくらい歩いたか分からない。感覚的には2〜3時間は歩いたのではないか・・・ 集落などはまったく見つからない。足を止め少し休もうかと思った時にそれは起きた。 ガラガラガラガラ・・・・ズシーーーン 地響きと共に目の前に巨大な石が落ちてきた。 あと数メートルも進んでいたら間違いなく下敷きになっていただろう・・・ 驚きと恐怖で俺はもと来た道を必死に戻り始めた。 しかし数十メートルも行かないうちに、視界の悪さから足を踏み外しそのまま道路下へと転落した。 落ちた際、全身を強く打ったが意識はある・・・ 何でこんな目に・・・悔しさと情けなさで涙目になっていた・・・ 傷だらけの体を引きずり何とか道まで登った俺の視界が突然真っ白になった。 ものすごい土煙を上げながら1台の車がこちらへ向かってくる・・・ もしかして助かるかも知れない・・・俺は一も二も無く、その車を止めようと無我夢中で車の前を横切った。 キキキキィィィィーーー 車は急停止した。
1371 :天狗男 ◆3d.QRuQQg. :2011/09/09(金) 19:16:48 ID:M0ASbFRA0 5/5 「や、やった・・・停まった、停まったということは俺の姿が見えているんだ・・・た、助けてくれ・・・」 俺は体を引きずりながら、その車へと向かった。 ところがその車は急なUターンをすると、もの凄い勢いで再び遠ざかって行ってしまった・・・ 唖然とする俺の脳裏に今の車のことが蘇った・・・ 「・・・あ、あれ・・・? あの車・・・あの車は俺の・・・」 ―――そう。 今、もの凄い勢いでUターンして行った車は俺の愛車だったのだ・・・ 視界がぼやけてはいたがナンバーも確かに合っている・・・ ということは乗ってるのは・・・ ここで俺は初めて、以前、伊豆に彼女と旅行した時のことを思い出した。 ということはここは過去であり、あの時遭遇した物の怪の正体は・・・ そしてここでヤツの例の呪文が聞こえてきた・・・じきに空間が歪み始めた・・・ 全身傷だらけでヘトヘトになりながらも、昔の疑問の1つが解決したことで俺は半笑いだった・・・ あの時はUターンした直後、予約していた宿に着いた。 その原因がこの時空の歪みだったのかも知れない・・・ しかし俺が乗って勝手に走った車・・・あれはいったい何だったのだろう・・・ おしまい。
1372 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2011/09/10(土) 17:10:39 ID:gbXjIMrY0 【霊視】 1/2 以前、変なことが多くなってきたと思って、そこら辺の情報を仕入れられればと、怪しい話題を扱う掲示板(非2ch)のコミュに参加した。 いくつか投下していると、おいらのカキコによくレスしてくれる人物が現れた。 彼のハンドルは"居崩"。自分のことを「俺」と呼ぶので、多分男性だろうと思う。 最初に相談したのは、自転車事故で肋骨を折った時。 広島弁のジイさんに、上野で女の子の霊を抜いて貰った直後のことだ。 そのジイさんは、あれからその飲み屋にはちょくちょく顔を出すようになっていて、何度か話したことがあるが、困ったことに自分の名前を教えてくれない。 おいらも、彼をどう呼んでいいか困り果てていた。ま、一応、恩人でもある訳だし…。 名前も知らない常連など考えられない。話し難いこと、この上ない。 そこで、居崩さんに彼のことについて、相談のメッセを送ってみた。 『とりあえず、相手のことが知りたいのです』 『どうやって接すればいいでしょうか?』 しばらくしてレスが返って来た。ただ、返答の方法が一風変わっていた。 『皺が見える。年齢は七〇過ぎ』 …ジジイの歳のことか?アタリ 『西の方の生まれ』 …広島弁なので、たぶんアタリ 『奥さんは居ない』 …不明 『その人物の頭が白い。多分白髪』 …アタリ 『光って見える。霊感はあるほう』 …アタリ 『左利き?』 …ハズレ 『優しい感じ』 …ハズレw 『トイレが近い』 …アタリww 奥さんの件を除けば、的中率七割超えだ。この人、霊視もできるのか? 妙に霊感存在感のあるジジイなので、オーラみたいなものを過剰に発散しているのだろうか?それにしても、この的中率の高さに舌を巻いた。凄い。 試しに、もう一回霊視してもらおうか。次で名前が判るとラッキーかも。
1373 :おいら ◆9rnB.qT3rc :2011/09/10(土) 17:11:43 ID:gbXjIMrY0 2/2 次の日、もう一度居崩さんにメッセを送った。できれば名前を視て欲しい旨で。 それに対するレスは… 『重要;本件詳細はメールで送ります。捨アドよろしく』 と来た。 掲示板上ではレスできないということか? おいらは捨アドを送り、待った。 数日後、送られてきた「差出人・居崩」のメールには、こう書かれていた。 いつもは霊視などしないのですが、「おいら」さんのしつこさに負けて 前回はふざけて視てしまいました。ごめんなさい。 改めて新しく霊視してみました。毎度イメージばかりですみません。 今回も八つほど視えました。どれくらい当たるか楽しみですw 『名前は、タン…なんとか…かな』 …ここまでか、残念 『中国近畿方面に居たことがある』 …なんか具体的になってきたな 『何か、小さい古いものを持ってる』 …多分、あの血染めのブローチのことだ 『大谷』 …ここから全くワケがわからない 『コ』 『生き残り。秘密がばれる…?よくわからない』 『憎んでいる』 『何かを掘っている。それはあなたにとっては良くないもののようだ』 -終-
1374 :pipi :2011/09/29(木) 10:37:14 ID:0wJNL.7I0 働きたくないでごじゃるヾ(*′∀`*)ノ! http://nn7.biz/oppai/top.html
1375 :名無しさん :2011/09/29(木) 15:50:31 ID:sEHbLpF2O 裏返しってしってる? 体が完全に裏返って死ぬらしい
1376 :名無しさん :2011/09/30(金) 19:40:31 ID:zMeJIXCM0 一人で住み始めて2年目の春。マンションの5階だったんだけど、その日は大分遅くなって 帰ってきた。そしたら部屋の中がじんわりとした感じで生ぬるかった。変なにおいもするし、 なんかおかしいなと思ってそのにおいの元を辿っていったら、台所からだった。なんだろうと思って ひとしきり見たけどいまいち分からなかった。ただ異様なにおいがした。魚というかなんというかそういったものが 腐ったようなにおいだった。建ててからそこそこ経つしねずみの屍骸でも湧いたのかなとか 考えてたら、突然家の電気が落ちた。 ブレーカーは洗面所にあって、そこまで遠くなかったから壁伝いにいったんだ。で、 やっとこさ洗面所について、ブレーカーに手を伸ばした。暗い中で手探りに主電源を探した。そしたらブレーカーは落ちてなかった。 俺は怖くなって風呂場の窓を開けて他の部屋を見た。そしたら、案の定他の部屋の電気はついてて、うちの部屋だけが他よりも浮いてたんだ。 全身に怖気が走った。足元から冷えてくる感じが分かった。人間が暗いところを恐怖するってこういうことなんだろうってのが肌で伝わった。 それからしばらく頭を抱えて動けなかった。出来るだけ外の世界を見ないようにして。そしたら遠くで明かりがつく『パチン』って音が聞こえて パッと見たらリビングの電気が回復してた。それから順に台所、トイレ、部屋、玄関と電気が回復して明るくなった。俺はなんかすごいほっとして、 同時に自分でも驚くくらい情けなかった事に対する恥ずかしさが湧いてきた。で、リビングに帰ろうとして気がついた。風呂場は回復しているのだろうか。 俺は恐る恐る電源を入れた。でも、そこだけはまだ回復していなかった。 他の部屋が回復しているのが後押しして何度も何度もスイッチをつけたり消したりしてた。でも、つく気配がない。電球が切れたんだと思った。 最初は。でも、俺が思ったより酷い末路だった。 俺も疲れてきて、ここの修理はまた今度頼もうと思って素直にリビングに戻ろうとした。その瞬間、背中に抉るような悪寒を感じた。後ろには洗面所の鏡がある。 振り返っちゃいけない。体に直に伝わってきた。でも、指をスイッチに押したまま動かないこの恐怖から逃げ出したいって気持ちが勝って振り返らずにスイッチから指を 離した。そしたらなんとなく背中から気配が消えた。安心して電気をつけようとして反対のスイッチの方へ眼を向けたとき、鏡と向き合う形になった。 そこに、首へと伸びる長い腕があった。
1377 :名無しさん :2011/09/30(金) 19:41:18 ID:zMeJIXCM0 続き 右手中指と薬指、左手親指と小指がない手は真っ直ぐに俺の首筋へと伸びてた。やばい、と思ったときにはもう遅くて、ものすごい力で首を絞められた。 すこしの間地面から足が浮いてた気がする。頭が真っ白になる感じがし始めて腕にも力が入らなくなりかけてた。 その時ふと洗面所のスイッチに眼が行った。俺は最後の力で洗面所のスイッチを押したんだ。そしたら電気がついて、首に巻きついてた腕がスッと消えた。 しばらくは恐怖で息が出来なかった。その日は部屋じゃなくてネカフェで寝た。 次の日、家に帰ったら大変な事になってた。俺の部屋の一つ上の部屋が全焼してた。住人はまだ帰ってないというか昨日から音信不通だとか。 幸いその部屋以外はたいした被害もなかった。じゃあ昨日のも俺の部屋の臭いじゃなかったんだなとか思ってた。 それから3日後くらいに部屋に入れた。部屋は前と何も変わらない感じで少し安心した。久々の自宅で疲れが一気にきて、そのままベッドに直行 した。ふかふかで、そのまま眠りこけそうになってた。 そしたら、台所のドアが「キィィ・・・」って音をたてて突然開いた。その瞬間、急に鼻につく嫌な臭いがあふれ出てきた。前と同じ、魚というか なんというかそういったものが、腐ったような臭いが。 俺は勇気を出して台所に入った。上の階が焼けてるのに、ガスの元栓が開いてるんじゃないかと思った。そんな事は普通ありえないんだけど、 確認するまでは落ち着かなかった。思い切ってキッチンシンクの下の観音開きのドアを開けた。 本当に強い腐臭がして、吐き気を催した。ここが根源だと一瞬で分かる程度にくさかった。俺はTシャツで口と鼻を覆って中を調べた。そしたら、 見つけてしまった。ガスの元栓のふたがとれ、何か詰まっているのを。 ねずみかと思った。でも違う。複数居る。しかもでかい蛭・・・・?カブトムシの幼虫くらいの大きさ。認めたくはなかった。でも、ライトで 当ててしまった。それがくっきり見えた。 人の手、だった。 俺は本当に泣きそうになった。幽霊とかそんなんじゃなく、人の手だった。 俺は涙目のまままだ観察に来ていた警察の関係者に話して見に行ってもらった。それから数日は家に入れなくて、警察でいろいろ聞かれた。 部屋に帰ったらもう異様な臭いはしてなくて、ガスの元栓も新しいものに変わってた。 詰まっていた手の事に関してはあまり詳しくは話してくれなかったが、両手が詰まっていたらしい。指が数本なくて、中指と薬指、それから親指と 小指だったらしい。 それから、もう一つ。上の階の住人が見つかったかどうか聞いたとき、「ああ、見つかりましたよ。」 あなたの部屋からもね。 とだけ。未だに意味はわからない。
1378 :名無しさん :2011/10/14(金) 23:49:56 ID:mviy6q7A0 最近よく見るようになったから、疲れたのかなと思って久々に精神病院へ行った。 まぁ見るっつっても火の玉とかそういったはっきりした類じゃなく、車走らせてるときに 視界の端に「人影が映ったかな?」程度のことが数回あっただけで、車止めて振り返っても もちろん何も居ない。でも車運転する以上は疲れてたりすると危ないからって理由で 電話で母親に言われたお勧めの病院へ行く事にしたんだ。意外と近所で、あることがあってから お世話になった警察のすぐ近くの病院だった。まあそれもそのはずで、警察が管理する精神を病んだ 犯罪者とかもそこで統括されてるようなとこだったんだ。無論一般でも入れるけど。 意外と人が多くて、一般の客も疲れた警官とかも来てたりした。カウンセリングも兼ねてる らしいから当たり前だろうけど。で、案の定俺も待たされた。次々疲れきった顔の人たちが入っていく 中、俺だけ無駄にイキイキとしてたからすごい違和感だった。 で、俺の番が来る一つ前。俺は自分が呼ばれる番号の部屋の前のベンチに座って待機してた。 久々にこのことを自由に話せるからことのほかわくわくしてた。見えることが異常だとはっきり言ってもらって 自らシャットダウンする事が出来ればいいとか思ってた。そのベンチは2つのベンチが向かい合った状態で置かれてる代物で、 後ろに人がいると必然背中合わせになるんだ。俺が座ったとこは端っこで、その後ろに座ってたおじさんと背中合わせになった。 誰もそんな事望んでないが、順番はすぐだと思って我慢した。そのおじさんも、陰が出来るほど下を向いてた。 それからすぐ一つ前の人の名前が呼ばれた。それからすぐ、俺の前の人が呼ばれた。年は中学生になったかならないか位の少年で
1379 :名無しさん :2011/10/15(土) 00:22:35 ID:UmgkJewg0 続き 頬は痩せこけてて、明らかに異常だって分かる。ドアが閉まってからしばらく、ぼそぼそと 話し声が聞こえたけど、何を言ってるかは分からなかった。 しばらくして、「Aさん(仮名)」と呼ばれて、後ろのおじさんが立ち上がった。PSPに集中しつつ、 内心「GJ!」を連呼し続けてた。そんな時、さっきまでぼそぼそとしか聞こえなかった少年と先生の 会話が聞こえた。 「その人は人間ですか?」 「はい。確かに人間です。でも人間ではないです」 「なぜですか?」 「その人はとても力が強いです。彼には敵いません。」 「どんな人ですか?」 「jdfsじゃlkじぇいあじょ(よく聞き取れなかった)」 「彼とは会話を?」 「しました。でもしていません。僕は会話をできませんでした」 「じゃあその彼は何をしたの?」 「誰かを しにいきました」 ああ、本格的にやばい子だ・・・って思った。実際そういうのってテレビでもあまり やらないから現実性がなかった。でも実際目の当たりにすると単に「戯言だ」とかでは済ませられない 位のリアル実を帯びてくるものだった。俺はとてもPSPに集中できなくなって、とりあえず考える人みたいなポーズで 目頭を押さえた。そのときに次の質問が聞こえた。 「彼は今どこにいますか?」 それを聞いた瞬間に、ドアが開いた。そこにさっきの少年が立ってて、しっかりと俺を見据えた。 「ここにいるよ」 俺を指差して答えた。その言葉に俺は少し切れそうになった。俺は確かに大柄だし力もあるが、なんで見ず知らずの 少年に指差されて、その「彼」にならんといかんのかと。でもここは精神病院だからそういう子も居るよなと 考え直して冷静になったんだ。 医者があわてて出てきて「すいません・・・」っていうから「別にいいですよ。」っていってやった。 それから医者が少年を連れて部屋に戻るとき、ちらっと医者の手元にあったモンタージュ写真が見えたんだ。 そこには、最近よく見る人影によく似た人物がかかれてた。全体的に色が暗くて、背が高い 顔の表情というか顔自体あるのかよく分からないぼやけた感じ、腕があらぬ方向に曲がってる、 指の長さがバラバラ。俺はゾッとした。確かに特徴を捉えてる。 少年が振り返って 「何でおじさんは居るのに、居ないの?」 っていった。 そのとき、後ろでドアが閉まる音がした。さっきおじさんが入ってった所だった。 でも、出てきた人は違った。俺は驚いて、受付に 「すいません、ここにAさんが入っていきませんでした!?」 って聞いたら受付の人が驚いた感じで 「え・・・ええ、先ほどのあちらの方が・・・」 っていって手で指したのは、さっき出て行った人だった。
1380 :名無しさん :2011/10/15(土) 01:04:30 ID:UmgkJewg0 話にまとめると多い・・・続き 「じゃあその前の人の特徴は?服装とかでも何でもいいんで!」 って聞いたら、さっき見たおじさんとはまるで違う服装だった。他に入ろうにもここは俺が行こうとしてた 精神科と脳神経外科の部屋の2つしかない。他の治療は違う階だ。何かの見間違いだろうと思った。確かにおじさんは 脳神経外科に入っていった。でもそんな人は居なかった。なら、俺の後ろに居たのは誰? とか考えてたら、少年が出てきた。少年はまた俺を見て 「おじさん、なんで笑ってるの?」 って言った。俺はもうなんだか訳が分からなくなって、 「俺は笑ってなんかない。ふざけるなよ」 って若干キレた。そしたら少年は笑って 「違うよ。おじさんだよ。」 って言って俺を指差した。その時、ふっと背中に人の気配を感じた。俺から4、5歩は離れてる だろうか程度の距離に、確かに人の気配があった。なんか夜道で、足音が聞こえないのに人が居る感じがする のと同じ感じがした。 動かなかった。一歩も俺のほうへ近づかない。だからこそ怖かった。何もしないことで恐怖が抑えられそうもない ほどだった。少年は俺をみて笑ってた。でも俺の方を見ては笑っていなかった。眼球は左を向いたまま、俺のほうを むいて笑ってた。 耐えられなくなって、俺は部屋に駆け込んだ。あまりに必死に駆け込んできた俺を見て先生は動揺してた。 「・・・どうしました?」 「自分の番が来ると思うとつい嬉しくて駆け込んでしまいました」 へへへって笑ったけど、多分大体分かってたんじゃないかな。俺を腫れ物でも扱うような眼で見てきたし。 俺は一回深呼吸して冷静になってから、自分の疲れが最近ピークに達したのではないか、そのせいでなにか変なもの を見るのではないか?等々を話した。先生は「鬱ではないが、前頭葉に問題があるかもしれない。」といってさらに大きな 大学病院を勧められた。 それから最後に、 「本人に差し支えなければなんですけど、先ほどは何を・・・?」 ってきいたら、 「先ほど指を指されたときのことでしょうか。それなら『誰かを探しにいきました』と」 「誰なんでしょうか。その『彼』って人の事もおじさんって人の事も」 「先ほど彼の話を基につくってみたのですが・・・」 そこにはさっきよりも出来上がったモンタージュ写真が出来てた。さっきと違うのは、 その顔が黒く塗りつぶされてるにもかかわらず笑ってるのが分かった事。 そして、ここ最近見えていたものとまったく同じ人相であること。 俺は「失礼します」といって部屋を出て、真っ直ぐ家に帰った。 数ヶ月前、妙な事があって以来部屋に帰るのが怖くなった。 俺は布団をかぶって寝ようとした。でも、どうしてもあの少年の言葉が離れなかった。 「ここにいるよ」 多分、疲れてたんだと思う。でも、確かに部屋の中で聞こえた気がしたんだ。それで、布団から頭を出したら、 天井からつる下がった『おじさん』があった。 おじさんはロープで首をつりながら下を向いてずっと「ここにいるよ」って呟いてた。 それからしばらくの記憶がない。気がついたら家の外に出てて、ドアの前に立ってた。 大家さんが心配そうな顔で俺を見てた。 大家さんから聞いたんだけど、たまたま大家さんが買い物から帰ってきたらドアが開いてて 部屋に帰ってマスターキーで閉めようとしたら俺がドア前に立っててずっと「ここにいるよ。」 って呟いていたらしいんだ。 疲れてたんだか憑かれてたんだか分からないけど、あれ以降一切何もない。とりあえずオリジナルの お清めでもかけとこうかな。長くなって申し訳ないです。 「ここにいるよ」
1381 :名無しさん :2011/10/15(土) 01:11:58 ID:UmgkJewg0 あーIDが違うわ。1376〜1377と同一人物ですはい。多分話のなかで分からなくなる ことがあると思うので、一応。
1383 :名無しさん :2011/11/21(月) 09:43:27 ID:tYGvs99s0 te
1384 :名無しさん :2011/11/27(日) 21:17:45 ID:dRi81PgE0 最近投稿ないなあ
1385 :1/4 :2011/12/01(木) 22:41:19 ID:HtD7TCR60 そいじゃあ投稿。 特に怖くもなく無駄に長いです。 本当にあった、ちょっと?怖い話。 十年近く前になるんだけど、実家でおかしなことが起きるようになった。 その当時は僕はまだ学生で実家暮らしをしていたので、その「おかしなこと」の当事者の一人。 僕以外で実家に住んでいたのは父、母、弟、妹の四人。 この中で幽霊を見たことがあるのは父だけ。 だけど別に霊感はない。ホラ吹きなので酔った拍子で作り話をしたのかもしれない。 母は勘は鋭いが特にそういうものはなく、弟、妹は何もない上にホラー映画も見れないという位の怖がりだった。 どれくらい怖がりかというと、目を閉じたままシャンプーができないw (目を開けたとき鏡に何か映ってたらいやだから) 隙間があったら必ず閉める、閉じる。 (なんか覗いたり出てきたりしそうだから) 後ろ手にドアを閉めるときは勢いよく! (閉めるときに腕を掴まれる、っていうイメージがあって怖いから) ベッドに乗るときは走ってジャンプ! (ベッドの下に何かいて足掴まれたら嫌だから) 二人とも一人のときは必ずこれをしてるらしいwww
1386 :2/4 :2011/12/01(木) 22:42:35 ID:HtD7TCR60 で、本題。 おかしなことっていうのは、所謂ポルターガイスト現象てやつ。 僕のうちにはロフトベッドっていうのかな?二段ベッドの二段目しかないようなやつ。それが二つあったんだ。 ドアより高い位置にあるから身を乗り出さないと天井以外見えないようなやつだった。 昼間、僕がそのベッドに寝ながら本を読んでいると「ガチャッ」とドアを開ける音がする。 誰か部屋に入ってきたのか?と思って身を乗り出してドアを見ると誰もいない・・・。 また、朝寝ているとき。 扉が開く音がして部屋の中で何かを探しているような気配がする。ちょっとすると諦めたのかまた扉を開けて出て行く。 弟が服でも借りに着たのか?と思って後になって聞いてみると入っていないと言われた。 あとは寝ているとベッドが揺れる。体感震度1か2くらいかな。 地震かな?と思って家族に聞くと「揺れてないよ?」 まあ、ロフトベッドなので些細な振動(近くの道をトラックが通るとか)でも結構揺れるからそれのせいだと思った。 そんな感じで色々あったけど昼間起こったことだし、家族も沢山いて常に生活音とかしてたから何かの勘違いだろうと思ってた。 体験してたのは僕だけじゃなくて弟、妹も体験してた。 で、家族団欒の時になんかそんな話になった。 二人はチキンだから結構怯えていて、そんな二人を煽る様に僕は「ポルターガイストだ!幽霊とか憑いているのかも?!」なんて言ってた。 ただ、どれくらいだろう?数ヶ月経つとそんな現象はなりを潜めた。 個人的には幽霊さんが脅かそうと頑張ってたのに僕らが「はいはいワロスワロスwww」程度の反応しかしないからショゲて帰ったんだと思ってたwww
1387 :3/4 :2011/12/01(木) 22:44:07 ID:HtD7TCR60 それから十何年か経って、この間実家に帰る機会があった。 夕食が終わって団欒する機会があったので僕はなんとなく当時の話題を振ってみたら、 やっぱり相当怖かったのか下の二人は覚えていた。 ただ、当時僕が認識していたそれとは大分違った。 僕が体験したのは上で書いたような些細な、勘違いとも取れる現象しか起きてなかった。 でも二人が体験したのは桁が違った。 目の前で扉が狂ったようにバッタンバッタンと開いたり閉じたり。 地震でもないのに家具がガタガタ揺れたり。 部屋のPCのキーボードがダカダカダカッ!と高速タイピング始めたりと、けして「気のせい」では済まない現象ばかり。 ぶっちゃけ、その時点で「マジかよ…」と涙目だった僕だが、更に妹はこんなことを言っていた。 「仏間で寝ていたらいきなり足を掴まれて引き摺られるような感覚がして飛び起きた。足に手形の痣でも付いているんじゃないか…と見てみたけど何もなかったので怖くて寝た」 「仏間で寝ていて時、ふっと目が覚めた。寝返りをうったら入り口の襖が開いていて、坊主頭の子供が"上から"顔だけ出して覗いていた。怖かったので寝た」 「寝ていたら後ろで寝ているような気配がする。振り返ったら何かいそうだからそのまま寝た」 …なんだそれ、ガチで心霊現象じゃねえか。やべぇ…。 しかしそんな体験してたら怖がりにもなるわなぁ。 と、思ったと同時に怖がりで"チキン"と思っていた妹が逆に神経図太く思えてきた。 なぜその状況で寝れるし。
1388 :4/4 :2011/12/01(木) 22:46:00 ID:HtD7TCR60 子供たちでそんな話をしていると、どうやら父も仏間で足を引っ張られたことがある、とか金縛りにあったということを言っていた。 なんでそんな心霊現象オンパレードの中で僕と母だけ何もなかったのか。 「なに?お前と母ちゃんだけ心霊体験ないの?え?霊感ゼロ??m9(^Д^)プギャー」 とか言われてぐぬぬしたのは言うまでもない。 僕も大概チキンだから霊感なんていらないと思うけれど、そういわれるとなんか悔しい。 …で、その会話中、母が何も言わず話題に入って来なかったのがちょっと気になっている。 最初に書いた通り、勘が鋭い人なので「何もなかった」はずはないと思うのだけど。 単純にテレビでやってたサスペンスが気になって見入っていた、んだと思いたい。 そして僕は自他共に認める零感ということが判明した?ので、怖くてあんまり読めなかった洒落コワを存分に楽しんでいますwww でも見えないってわかってもやっぱり怖いwww
1389 :名無しさん :2011/12/04(日) 10:39:18 ID:ld31wXpM0 初めまして。投稿するべ。 友達から聞いた話。 正確に言えば俺の友達の友達が体験した話。 マンションに住んで居るらしい。 10階にいるんだけど最近人の視線を感じるようになったんだってさ。 いつものように仕事から帰ってきて電気つけて、コンビニで買った弁当を温めて、晩飯を食ってたんだ。 そしたら、ベランダの方からトントンって聞こえるんだとよ。 「風かな?」って思ってそのまま飯食ってたら今度はドンドンってだんだん音が強くなっているんだってよ。 そりゃあビックリしてカーテン開けて見たら石があるんだってよ。 おかしいって思った。10階なのにどうして石があるんだ?って思ったらしくてコンビニの弁当を口に詰め込んで外へ出たんだって。 そしたら窓からガンガンッて音がして。 見てみたら石が何個も落ちてるんだって。 そのまま友人は逃げようとしたら窓が割れたんだってさ。ビックリして後ろを振り向くと、 石がいっぱい落ちているんだって。 とうとう友人も怖くなって逃げ出したんだって。 翌日、霊能力者にきてもらうと、 霊能力者はこう言ったんだって。 「この部屋から一刻も早く出た方がいいですよ…」 その後引っ越したらしい。 このとき友人は動揺して話していたのか知らないけど 部屋の中に 石が落ちて居ると言ったらしい。 霊能力者が来たときも 「部屋の中の石が窓を割った」って言ってたらしい。 けど実際ベランダにあったらしい。 もし友人の言っていることが本当かと思うと怖くなってくる。 おわり。
1390 :裏返しの話 :2011/12/05(月) 21:58:33 ID:kYvnTjaEO 先月、高校時代の友人がポックリ病で逝ってしまい、通夜の席で十数年ぶりに集まった同級生の、誰からともなく「そのうち皆で呑もうなんていってるうちに、もう3人も死んじまった。本気で来月あたり集まって呑もうよ」という話になった。 言い出しっぺのAという男が幹事になって話しは進行中だが、なかなか全員(男5、女3)のスケジュール調整がつかない。今年の夏はくそ暑いし、9月に入ってからにしようかと、幹事のAと今昼飯をいっしょに食べながら話し合った。 そのときビールなんか呑んだのが、間違いだった。 Aが、ふと言わなくてもいいことをつい口に出し、おれは酔った勢いで、それに突っ込んだ。 それは先月死んだ友人に先立つこと十年、学生時代に死んだBとCのカップルのことだった。十年前AはB(男)の家(一人暮らしのアパート)で、Cと三人で酒を呑んだ。 直後、BCは交通事故で死亡。Bの酔っ払い運転による事故という惨事だった。Aはその事故の第一発見者でもある。 おれは、2ちゃんねるのことをAに説明し、事故の第一発見者のスレッドに書き込めと、悪趣味な提案をしたのだ。 すると、Aはたちまちにして顔面蒼白となり「冗談じゃない!」と本気で怒り出した。 おれは、いささか鼻白み「むきになんなよ」と言い返したが、Aの怒りは収まらず「じゃあ、あのときの話を聞かせてやるが、後悔するなよ」と言って、恐ろしい早口で話し出したのだ。 Aのはなし。 おれ(A)がBCと呑んでいたとき、D先輩がいきなりBのアパートを訪ねてきた。 顔面真っ青で、突然「おまえ等、裏返しの話を知ってるか」と話し出した。 そのときおれは、酒を買い足しにいこうとしたときだった。Dさんが止める様子もないので、缶酎ハイを買いに出て、十五分ばかり中座した。 部屋に戻ると、Dさんは大分くつろいだ様子で、おれが買ってきた酎ハイを喉を鳴らして一気に呑んだ。 「なんの話だったんですか?」 「だから裏返しだよ」 「裏返し?」「裏返しになって死んだ死体見たことあるか?」 「…いいえ。なんですか、それ?」 「靴下みたいに、一瞬にして裏返しになって死ぬんだよ」 「まさか。なんで、そんなことになるんですか?」 先輩は、くっくと喉を鳴らして笑った。 「この話を聞いて、二時間以内に、他の人間にこの話をしないと、そういう目にあうんだ」
1391 :裏返しの話 :2011/12/05(月) 22:02:56 ID:kYvnTjaEO 続き 「不幸の手紙ですか?」おれは本気にしたわけではないが、聞き返した。今なら「リング」ですか? と言うところか。 「なんとでも言え。とにかく、おれはもう大丈夫だ。もさもさしてないで、おまえ等も話しにいった方がいいぞ」 なにか白けた感じになったが、買い足してきた分の酎ハイを呑み干して、宴会はお開きになった。 先輩はバイクで去り、BCはBのサニーに乗った。スタートした直後、サニーは電柱に衝突した。 呑み過ぎたのかと思い、すぐに駆け寄ってみると、BCは血まみれになっていた。 そんな大事故には見えなかったので、おれは少なからず驚いた。 いや、もっと驚いたのは二人がマッパだったってことだ。 カーセックスなんて言葉も浮かんだが、そうでないことはすぐに分った。 二人は、完全に裏返しになっていたのだ。おれは大声で叫んだ。 「裏返しだ!裏返しで死んでる!」すぐに人が集まってきて、現場を覗き込んで、おれと同じ言葉を繰り返した。だから、皆助かったのだろう。
1392 :裏返しの話 :2011/12/05(月) 22:05:53 ID:kYvnTjaEO 続き Aは逃げるように帰って言った。おれはこんな話むろん信じないが、一応このスレッドを立てて、予防しておく。 後は、24:00までに誰かが読んでくれればいいのだ。 肝心な部分を読んでいないとカウントできない。読んだ方。一応後何時間あるか、時計でご確認を・・・
1393 :名無しさん :2011/12/05(月) 22:13:04 ID:Xm0bso7E0 どっから転載したんだよw 裏返しの話http://syarecowa.moo.jp/12/642.htm もう10年近く前か
1394 :しんざん :2011/12/10(土) 00:08:12 ID:xNcpOnjs0 2週間前に琵琶湖の民宿に旅行に行きました そして友人と近くの神社に肝試しに行きました 神社の鐘の下で女がよつんばいでこっちを見てました 部屋に戻り寝ようとすると天井でよつんばいになってました 家に帰りエレベーターのドアが開くとまたよつんばいになってました 昨日は浴槽でよつんばいになってなにか言ってました もう声が聞こえるようになりました
1395 :名無しさん :2011/12/10(土) 11:10:39 ID:i0wDeQ860 特別な理由が無いならもう本スレに投稿して欲しい
1396 :名無しさん :2011/12/13(火) 22:14:12 ID:MAoIYgo6O マサ話いらねーよ 邪魔くさい 他で書き込めやカス
1397 :名無しさん :2011/12/13(火) 22:31:17 ID:3mkHufx6O どれが書き込み禁止だなんて、 管理人が決めることじゃないの?
1398 :ほちゃん :2011/12/15(木) 01:53:47 ID:IfW3ZI6.0 今から20年ほど前。僕が小学1年生のころの話。 小学校に入学した僕は引込み思案でなかなか友達ができませんでした。 ある日。休み時間にグランドに一人で座っていたら、 一才年上の二年生のカマタくん(下の名前は覚えていません)という男の子が話しかけて きました。 「どうしたの?遊ぼー?」 と男の子は言ってきました。私は 「うん」 と言い、二人で竹馬やらキャッチボールやらをして遊びました。 それから私は頻繁に彼と遊ぶようになり、学校の登下校も一緒でした。 小学校で初めて出来た友達だったので、とても喜んで両親に話た記憶があります。 下校途中の時のことです。 カマタ君がいつものように、車通りの多い立橋で 「ほちゃん!したっけ、また明日ね!友達たっくさん作るんだよ!」 と言い 僕が 「わかった!いっぱいつくるよ!バイバイ〜カマタくーん!」 と、言って それぞれ帰路に着きました。 次の日
1399 :ほちゃん :2011/12/15(木) 02:15:02 ID:IfW3ZI6.0 彼はいつも私の家に迎えに来て、学校にいくのですが今日は来ませんでした。 「今日はカマタくんやすみなんだ!」 といい渋々一人で学校に行きました。 いつもは、本当の弟のように優しく相手してくれる彼が居るから学校で退屈しませんが その日は、彼のいないとてもつまらない一日でした。そして下校。 カマタくんといつも別れる立橋につきました。 立橋の階段が終わり歩いていると、後ろから誰かが歩いている気配を感じました。 同じ小学校の人かなと思い振り返り足元に視線を置くと 水色のスニーカーに白いハイソックスを履いたカマタ君でした。 「あ!カマタ君!なんで今日学校来なかったの?寂しかったよ?」 と僕が聞いても彼はうなずくだけで返事がありません。 とりあえず立橋の終わりに差し掛かったので カマタ君に別れを告げました。 「バイバイ!また明日ね!カマタ君!」 そう言って私は再び歩き出しました。 少しして、なぜかはわかりませんが立橋のほうを振り返ってみると 立橋の階段の上でカマタ君はまだ僕のことを見ていました。 僕はすかさず手を振り、カマタ君も手を振り返してくれました。 それから10分ほど歩いて、家に着きました。 「ただいま!」 「おかえりなさい、友和」 すると母が急に悲しそうな表情になり 「今日、カマタ君休んだでしょう?」 「うん!」 「友和。これからはカマタ君に迎えに来てもらわなくても、 ちゃんと一人で学校行けるようにするのよ?わかった?」 僕はよく状況が理解できない。ましてや小1ならむりもないが。 「なんで??明日になったらカマタ君またくるよ!!」 少しの沈黙のあと母が 「あのね、」
1400 :ほちゃん :2011/12/15(木) 02:52:56 ID:IfW3ZI6.0 「今日、カマタ君のお母さんからうちに、電話が来てね・・・ 昨日の夕方にカマタ君が立橋でトラックの交通事故に巻き込まれて亡くなったの・・・。」 ??? 「トラックに轢かれちゃったの?」 「そうよ・・・。」 ??? 「え??だって今日、立橋でカマタ君に会って見送って貰ったんだよ!!」 たしかにその日、僕は彼と互いに手を振って別れたはずなんだ。 「そうなの・・・カマタ君。自分がひかれた場所で友和が同じような事故に遭わないように 守ってくれたのかもね!友和、ぼーっとしてるからカマタ君は心配して見送ってくれたんだよ!」 と、母が涙ぐみながら、大泣きしてる僕を抱きしめた。 「ちゃんと、ありがとうって言わないとね!」 「うん・・・!」 2週間後、彼の両親に呼ばれカマタ君の家にお邪魔することになった。 そこで僕は、初めてお線香をあげた。 このとき心のなかで『ありがとう!』と何回も叫んだ。 彼の両親の話で、彼は僕のことを幼いながらも心配してくれていた旨の話を 聞いた。 「ほちゃん、おとなしい静かな子だから、いじめられてるんだ!だから、俺が ほちゃんのお兄になって守ってあげないとダメなんだ!」 と毎日張り切って俺を迎えに行っていたようだ。 それから彼の昔のアルバムを見たり、ビデオを見たりした。 そして夜ごはんをごちそうになった後 「ありがとうござい"ましまし"た!」 と言って。彼の家を後にした。 それから20年たった現在、私は建築現場仕事をし、家庭をもち、守られる立場から 守る立場に 貧弱だった体も筋トレを欠かさず行い。ごっつい体になり三十路手前にして仕事場の人に 「お前貫禄あるなぁ!」 と言われるほどに 事故があった、あの立橋では以前から小学生が交通事故に巻き込まれることが 何回かあったが、あの事故以来一度も交通事故が起きていないそうです。 ・・ きっとあれから20年間毎日『弟達』を守っているんだなぁ! と思うと不思議と寂しくありません。 これで話は終わりです、これは完全なノンフィクションです。事故につきましても 検索エンジンで検索すればおそらく、出てくるはずです。 駄文。この一言につきる。 4時から現場にいかないといけんので、失礼します。 と思う三十路手前のオヤジでした。
1401 : ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:21:20 ID:MrlAqaA.0 酉テス
1402 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:33:36 ID:MrlAqaA.0 お久しぶりです。 日記や資料、原稿などの入ったパソコンが、留守中に隣の部屋の爺さんが出した火事で丸焼けになりまして。 スマホを買ってからパソコンに触れる機会もガクッと減り、ご無沙汰していた次第です。 長い文章を書くのは久々なので、お見苦しい点など多いと思いますが。 ご容赦を。 では、投下させていただきます。
1403 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:35:32 ID:MrlAqaA.0 俺は、金融業を営むオム氏から、大学生の娘さんのガードを依頼された。 最近、オム家の庭に猫の生首が放り込まれたり、家の壁に『ひとごろし』と落書きがされていると言う事だった。 商売柄、オム氏は人の恨みを買い易い。 以前、悪質なストーカー被害に遭った事の有る長女は怯え切っており、家から足を踏み出せない状態に陥っていた。 それだけなら、まあ、よくある話だし、俺にお鉢の廻ってくる話でもなかった。 オム夫人は、最初に猫の首が放り込まれる数ヶ月前から、毎晩のように悪夢に魘されていた。 見知らぬ男に娘が刃物でバラバラに切り刻まれる夢だったらしい。 なんとか娘を助けようとするのだが、夫人は全く身動きが取れず、成す術も無く愛娘がバラバラに解体されて行く様子を見せつけられるのだ。 『・・・・・・ただの夢だ』、そう思ってオム夫人は夫にも『夢』の話はしていなかった。 だが、ストレスからだろう、体重が7kgほど落ち、貧血で倒れたりするようになった。 悪夢は続き、そのまま新年を迎えた。
1404 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:37:56 ID:MrlAqaA.0 オム夫人は新年のバスツアーに参加して、初詣で訪れた関東のある寺で気になることを言われた。 参拝客を相手に赤い着物を着た占い師が占いをしていたらしい。 娘が占って欲しいと言い、オム氏が金を出して占いが始まった。 占いは15分ほどで終わり、3人はその場を立ち去ろうとした。 去り際に占い師が声を潜めて夫人にだけ聞こえるように言った。 「奥さん、長い間水子の供養をしていませんね。 山門の前でお守りを売っているから、売り子の中で一番若い男性からお守りを買いなさい。 買ったお守りは身に付けて、1年間、絶対に手放さないように」 オム夫人は、『水子』と言う言葉に一瞬ドキッとした。 まあ、中年の女性に『水子』という言葉を投げかければ、結構な確率で思い当たる人はいるだろう。 こういう場所だから、的屋や露天商同士で客の融通でもしているのだろう・・・・・・そんな風にあまり気にはしていなかったそうだ。 境内は物凄い人だかりで規制が行われていた。 観光バスの集合時間もあるので、護摩を郵送で頼み、本堂で賽銭を投げると、そのまま階段を下った。 本堂を出て階段を下りると後戻りできない。 山門の手前で夫人はオム氏に「お父さん、お守りを買って行こう」と言って、大きな人だかりの出来た露店に足を向けた。
1405 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:39:39 ID:MrlAqaA.0 露店には8人ほどの売り子がいた。 どの店員も中年以上で、半分は老人といって良い年代だった。 一番端の男だけ20代後半から30代半ばといった年恰好だった。 先ほどの占い師と同じくらいか・・・女占い師のオトコか何かか? 「お守りを頂けるかしら」 「持つ方の干支は?判らなければ何年生まれかでも結構です」 男がゾッとするような、射すくめるような鋭い視線を向けた。 『何なの、この人?』 3人分の干支を伝えると、男は黒い札を3枚選び出し、目の前に置かれた守り袋の中に入れた。 色とりどりの袋があり、他の客は好きな物を選んでいたが、男はどれにするかも聞かず赤い袋を選んだ。 お守りを入れた包装用?の紙袋には、中身の干支がペンでそれぞれに書き込まれていた。 オム夫人は完全に気分を害していた。 『ふざけた店員ね、頭にくるわ!』 娘と夫が買ったものと一緒に会計を済ませると、3人は山門を出た。 仲見世で土産の葛餅を買うと、駐車場に向った。 次の目的地の中華街へ向うバスの中で、先ほど買った御守りを検めると、一つ余分なものが入っていた。 袋には、同じペンの似た筆跡で『昭和XX年・Y年』と書いてある。 他の客の物が混ざったのだろうか? 払った代金には過不足は無かったので『後で処分すれば良いわ』と、余分な御守りの事は忘れる事にした。
1406 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:41:06 ID:MrlAqaA.0 ツアーが終わり、オム一家は逗留していた親戚宅を後にした。 地元に戻って暫くは平穏な日々が続いた。 お参りの効果があったのか、あれほど悩まされた悪夢もピタリと見なくなった。 やれやれと思って部屋を掃除していると、初詣の時、『間違って入っていた』御守りが出てきた。 紙袋の中を見ると『悪趣味な』黒い御守り袋が出てきた。 御守りを見ると、あの『頭にくる店員』のことが思い出された。 『他人のお守りを持っていても仕方がないわ』そう思って、オム夫人は黒い御守り袋をゴミと一緒に捨てた。 やがて2月に入った。 節分が過ぎた週だった。 オム夫人は再び『悪夢』に襲われ始めた。 以前より鮮明な悪夢だった。 娘を助けようとするのだが、何かに足を固定されていて動けない。 そして、風呂に入っていて気付いた。 足に覚えのない痣が出来ている。 痣は日に日に濃くなって行った。 不安になったオム夫人は、痣と夢の事をオム氏に話した。 オム氏は「痣はどこかにぶつけたんだろ?後になって青くなる事もあるし・・・お互い若くはないからな。 夢は夢だよ、気にするな。気にするから何度も同じ夢を見るんだよ」そう言って、あまり真剣には取り合わなかった。 だが、猫の生首が庭に放り込まれるとオム氏の態度は一変した。
1407 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:42:29 ID:MrlAqaA.0 自営業者には、『縁起を担ぐ』者が多く、人の恨みを買っている自覚からか、祟りや呪いと言った話に敏感な人がかなりいる。 キムさんは、そう言った自営業者の中では知られた存在だ。 オム氏は人を介して、キムさんに面会した。 キムさんは「どんなに都合の悪い話でも、思い当たる事は全て、包み隠さずに話して欲しい」とオム夫妻に言った。 オム夫人は占いや御守りの話も含めて、全てを話した。 オム夫人は、若い頃、堕胎の経験があった。 オム氏と出会う以前の話で、オム氏の知らなかった事実だった。 「捨てた『黒い御守り』がポイントだったな・・・・・・その占い師と店員、只者ではないだろう。 まずはその二人に当たってみよう」 キムさんは問題の寺を訪れた。 寺は閑散としていて、予想はしていたが問題の占い師も店員も・・・・・・御守りを売っていたという露店さえも無かった。 キムさんは、受付の人に聞いてみた。 当然、判らないという返事が返ってきた。 ただ、正月の露天商の仕切りは、檀家総代もしている人物がやっているらしい。 娘婿が寺の職員をしているから呼んでみようと言ってくれたそうだ。
1408 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:43:55 ID:MrlAqaA.0 キムさんは総代という人物に会って、問題の店員の事を聞いてみた。 個人のプライバシーに関わる事なので教える事は出来ない・・・・・・と言う答えだった。 売り子の店員は、近所の老人と地方からの出稼ぎの人達で、年末から2月半ばまで働いているということだった。 問題の『若い店員』の名前などは教えて貰えなかったが、3月の震災で津波に襲われた地域から来ている人らしい。 安否の確認は取れていないという事だった。 占い師の女性は『管轄外』という事だったが、占いの元締めに金を払って店を開いているか、元締めの元で修行中の占い師の卵だろうという事だった。 占い師の元締めに、それらしき女占い師を尋ねたが、やはり、連絡先や消息は判らないという事だった。 そうなると、猫の生首を放り込んでいる人物を直接捕まえるしかない。 もちろん、その人物が呪詛を仕掛けているとは限らないが、思い当たる要素を潰して行くしかなかった。 キムさんはオム夫人を水子供養で実績の有る霊能者に紹介した。 その霊能者は、気になる事を言った。 オム夫人に水子の霊は憑いていない。が、強烈な恨みの念が纏わり憑いてる。 物凄く強い念らしいが、肝心の念の主が見えない。 ただ、悪霊の類ではなく、生きた人間のものである事は間違いないだろう、という事だった。
1409 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:45:44 ID:MrlAqaA.0 俺は、キムさんの命を請け、オム氏との間で、娘さんを24時間体制でガードする契約を結んだ。 猫の生首を放り込んでいた犯人は予想よりも早く捕まった。 驚いた事に、犯人は男子小学生だった。 小学生がそんな残虐な真似をした事実に驚きはしたが、正直、拍子抜けした。 『ひとごろし』の落書きの犯人も彼だった。 また振り出しか・・・・・・。 とりあえず、保護者に連絡して、今後このような事をさせないように注意させる必要があった。 俺達は、オム氏宅に少年の両親を呼び出した。 少年の両親は菓子折りを持って姿を現した。 だが、少年の父親とオム夫人の目が合った瞬間、二人は凍りついた。 俺は『・・・何だ?』と怪訝におもった。 どうやら、二人には面識が有るらしい。 とりあえず、少年の両親は、我が子の待つ居間へと通された。 オム氏が両親に息子が行った事を話して聞かせた。 オム氏の長女は俺の腕を掴みながら、恐怖の視線を少年に送っていた。 恐縮する少年の母親。 そして、激昂した父親が少年を張り飛ばした「何て真似をしてくれたんだ!」
1410 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:47:34 ID:MrlAqaA.0 「子供相手に、止しなさい!」オム氏が慌てて少年に駆け寄った。 オム夫人が青褪めた顔で少年に問いかけた。 「ボクは、なぜ、あんなことをしたの?」 ニヤリと嫌な笑みを見せながら少年は答えた。 「おばさんが・・・ううん『おかあさん』が人殺しだからだよ」 オム氏も少年の母親も狐につままれたような顔をしていた。 オム氏の娘は、得体の知れないものを見る目で少年を凝視している。 オム夫人と少年の父親の顔は青褪めていた。 「僕はバラバラに切り刻まれて殺されたんだ。おかあさんにね。 怖くて、痛くて、寒くて・・・・・・バラバラにされた僕はゴミバケツに捨てられたんだ。 他の僕みたいな子達と一緒にね。そこのお姉さん、いや『妹』は可愛がって凄く大事にしているのにね」 オム氏が「どういう事だ」と語気を荒げた。 キムさんがオム夫人に言った。 「辛いかもしれないが、全てを話した方がいい。でなければ、何も解決しない」
1411 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:49:05 ID:MrlAqaA.0 オム夫人は話し始めた。 少年の父親は、オム夫人が中学生の頃、家庭教師に来ていた大学生だったらしい。 高校受験が終わり卒業式後、入学式前の春休みの事だった。 オム夫人は少年の父親に誘われて、彼の部屋を訪れた。 そこで、大学生だった彼は15歳のオム夫人に襲い掛かった。 信頼していた相手に犯されて、茫然自失の彼女の裸身を彼はポラロイドカメラで撮影した。 写真をネタに彼は何度も彼女を呼び出し、その身体を玩具にした。 やがて、彼女は妊娠した。 誰にも相談できず隠していたが、母親に露見した。 堕胎できるギリギリの日数だったらしい。 オム夫人の父親は激怒した。 だが、教師をしていた大学生の彼の父親は、組合の幹部で某政党に顔も効いた。 半ば、娘を人質に取る形で脅しを掛けてきた。 最低な連中だが、そんな過去を持つ男が今、教師として教壇に立っていると聞いて、俺は反吐の出る思いがした。 彼の親が幾許かの慰謝料を払い、二度と彼を彼女に近付けない事、写真を全て破棄する事が取り決められた。 代わりに、彼女の方は、今後一切の民事・刑事の法的措置を採らない事、事件を口外しない事を約束させられた。
1412 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:50:41 ID:MrlAqaA.0 オム氏は妻の肩を抱きながら、怒りに充ちた視線を少年の父親に向けた。 少年の母親は、何か汚い物を見るような冷たい視線を夫に向けていた。 少年は、子供のものとは思えない冷たい視線を送りながら言った。 「お父さんはね、僕を殺した頃の『おかあさん』と同じくらいのお姉さんたちに、 お金を渡していやらしい事をしているんだ。今でもね」 父親に比べるとかなり若く見える、少年の母親の表情は凍り付いた。 思い当たる事があるのだろう。 あくまでも勘だが、彼女自身、この男の被害者だったのかもしれない。 少年は冷たい声で言った。 「『おかあさん』はね、もう長くは生きられない。 切り刻まれて死ぬんだ、僕がされたみたいにね」 オム氏の娘が少年に土下座して絶叫した。 「お願い、お母さんを助けてあげて」 「無理だよ」 「お前の『力』なんだろ?」オム氏が歪んだ表情で言った。 「『僕たちの力』だ。もう、手遅れだよ」 ・・・・・・例の『黒い御守り』か・・・袋に書かれていた昭和XX年という年号は恐らく、オム夫人が堕胎した年なのだろう。
1413 :黒い御守り ◆cmuuOjbHnQ :2011/12/23(金) 11:53:15 ID:MrlAqaA.0 俺は、少年に声を掛けた。 「『お前達』は、生まれる前の記憶を持っているのか?」 「まあね」 「お前も、他の子供達と『繋がっている』のか?」 「さあ、どうだろうね?でも、オジサンには判ってるんでしょ? オジサン、僕を『怖いおばさん』の所に連れて行こうと思っているでしょ? でもね、無理だよ。 オジサン達、古い大人たちには、僕らのことは判らない。 僕らには全て見えているけどね。 見えているから、見えない振りも、わからない振りも出来るんだ」 キムさんが「何のことだ?お前達は何を言っている?」と語気を荒げた。 次の瞬間だった。 キムさんの声を合図にしたかのように、少年は突然、火が付いたように泣き出した。 周りの大人は、成す術も無く、おろおろとするだけだった。 小一時間も泣き続け、やがて少年は泣き止んだ。 泣き止んだ少年は、憑物が落ちたように普通の子供に戻っていた。 そして、俺達に話したこと、猫を刻んだ事も全て無かった事のように、綺麗さっぱりと忘れ去っていた。 後日、少年の言っていた『怖いおばさん』・・・女霊能者・天見 琉華の許に少年を連れて行ったが、 予想通り、彼女の霊視を以ってしても何も得る事は出来なかった。 おわり
1414 :名無しさん :2011/12/23(金) 13:03:25 ID:f.HiVAxU0 お〜、マサさん久しぶりだ
1415 :GAME-T :2011/12/23(金) 19:07:56 ID:aIOz8lLI0 初めまして、GAME-Tです。 今回は俺の体験した怖い話を投稿します。 これは俺が体験した話です。 ある日、俺はおかしな夢を見た。 祭りのダーツゲームのような場所にいる。 上のテントにはミッ○ーのようなキャラが描かれていた。 店には小人とドロドロした物体がいた。 なぜか俺は強制的にダーツをする。 しかし、ずっとミスるのだ。 ミスるたびに小人の指示のもと、ドロドロした物体が俺を喰おうとした。 こんな夢を毎日、見るようになった。 しかし、ある日。この夢の続きが現れた。 ドロドロの物体が俺を喰い、俺は黒い所をさまようようになる。 目が覚めて、学校へ。 しかし。体が動かない! 金縛りだ。 ふとドアのほうを見るとドロドロの物体が現れ、俺を見て、ニヤリと笑った。 金縛りがとけた。 助かった。 しかし、枕元には黒いシミがあった。 ありがとうございました。
1416 :名無しさん :2011/12/25(日) 05:09:15 ID:fXlZIGJMO マサさんの作者さん、 来てくれて嬉しい。 でもなんかすっきりしない話だな。 続きあるのかな。
1417 :ナゴ :2011/12/25(日) 22:56:46 ID:NPGUkcQY0 初めまして、ナゴです 自分のアパートで起こった体験を投稿します ある晩、湯船に浸かりたかったので風呂に湯を沸かしました いつもなら湯が冷める前に風呂に入ろうと思うのですが、何故かそんな気分にはなれず、 浴槽の蓋をして部屋でテレビを見ていました すると、浴室から「バンッ」と浴室の扉を叩く音がして、 何事かと見てみると下のほうに手のあとが… さすがにビビッて近くの友人のアパートに転がり込んで一夜を明かしました 朝、自宅に戻って見ても浴室の扉はくもっていないので、 手の跡なんてあったかどうかもわからなくなっていました しかし、その晩、昨日の湯を捨てようと思って浴槽の栓を抜いたところ、 水が流れません 業者を呼んで見てもらうと、大量の髪の毛がパイプに詰まっていました
1418 :名無しさん :2011/12/29(木) 12:03:23 ID:gVAqK/eYO マサさんの方、待ってました! オイラーの森の後の話とかは燃えちゃったんですかね…残念ですが、今年もご無事でなにより。 続きがありそうなので気長に待ちます。
1419 :名無しさん :2011/12/31(土) 12:23:27 ID:4eipXjOI0 おおおお!何気なく覗いたらマサさんきてるじゃん! ラッキー なんかまた災難にあったようで・・・めげずに投稿お願いします
1420 :名無しさん :2012/01/13(金) 14:38:47 ID:HKaYdxlEO マササンおかえり! 相変わらず忙しいみたいですね。 ご無事で何よりです。 ほちゃんの話がスゲェ良かった。 カマタクンも、ほちゃんもイイヤツなんだろうな。
1422 :名無しさん :2012/02/12(日) 11:26:03 ID:0W6UT2Rk0 丸々一ヶ月投稿無しか・・
1423 :かい :2012/02/12(日) 13:42:35 ID:LMc.dKT20 皆さん、あわせ鏡ってありますよね。保育園のトイレがあわせ鏡なんですが小さい頃にそこで何故か、鏡に向かってジャンケンして、よくみたら遠くの方にグー出したのにパーになってたんですねその時は鏡が遊んでくれる♪と思ったんですけど一回ごとにその相手の手が段々ちかずいて来てやっと会えると思って見てみたら後ろの鏡に知らない人がうつっていて怖くて先生に泣きながら抱きついたことがあらました。
1424 :名無しさん :2012/02/12(日) 18:21:11 ID:p/R8MS8.0 ×ちかずいて ○ちかづいて
1425 :カイ :2012/02/12(日) 18:55:31 ID:LMc.dKT20 あらましたって(笑)
1426 :名無しさん :2012/02/13(月) 11:52:04 ID:VjwwDjgU0 あるスレから誘導されて来ました。 数年前、風俗嬢をしていた若い母親が、育児放棄で2人の子供を死なせるという事件があった。 まだ、記憶にある人も多いと思う。 不謹慎な事かもしれないので、嫌な人はスルーでよろしくお願いします。 友人(以後A)がそのマンションの、1室に住んでいた。 私も何度かお邪魔した事がある。泊まることさえあったぐらい。 Aは、昔から勘が鋭く所謂霊感が強い人。 A宅では、飲みながらオカルト話をする事も少なくなかった。 ある日(事件発覚前)、「ちょっと家に来てくれへん?」と沈んだ声で連絡がきた。 行ってみると、Aが泣いてる姿があった。 失恋でもしたのかな?と、励ますつもりで事情を聞いた。 すると「なんや分らんけど悲しいねん。涙が止まらないんよ。」 私はそんなAになんて言っていいか分からないし、理由がないものに諭しようがない。 続けて「自殺かな・・・でも、生きたい気持ちが伝わってくるねん」 そこでやっと、Aの言ってる意味がどういう事なのか理解できた。 Aは何か感じとってる。いつもの霊的勘が働いてるって。 私は「思いが伝わるって事は近いんか?まさか隣??」と聞いた。 続きます
1427 :名無しさん :2012/02/13(月) 11:53:41 ID:VjwwDjgU0 続きです。 以下はAが言った事です。 「隣ではないと思うんよ。でも近いなぁ。孤独死なような・・・。とにかく、悲しくて泣きたい気持ちで一杯な感じなんよ。 それに、ここにおったらすごい事になりそやねん。今日は泊まってくれへん?また何か感じたら私が記憶飛ぶかもしれんから。」 Aのあまりに深刻そうな状態に、何事もない事を祈って承諾した。 その日の晩、お酒でも飲んだから気分が変わるかと思い深酒をした。 2人共、結構テンションが高くなって、昼間の深刻な状態が嘘のような感じで笑った。 Aが「今日は抱っこして寝てなぁ〜♪」と甘えだした。 お互い酔ってる手前「ヨシヨシしたるわぁ^^」と言って布団に着いた。 もうすぐ4時になろうかという朝方、鼻がグズグズ言ってる音で目が覚めた。 Aが起きて鼻を啜ってる。「風邪引いたん?」と声を掛けるも返答なし。 電気を付けて、再び「大丈夫?何かあったん?」と聞いた。 すると「子供かもしれん。なぁ・・・あたしここ居れんわ」と。 無言で夜明けを待った。 Aはその間、クローゼットの荷物を整理し始めた。 1週間もせず、Aは違う場所へ引越しをした。 そしてしばらくすると、例の事件が報道された。 確かA引っ越して1ヶ月も経たないうちだったと思う。 続きます
1428 :名無しさん :2012/02/13(月) 12:05:01 ID:VjwwDjgU0 しばらくはA自身もショックが大きく、この事件に関する事を離さなかった。 先日、ようやくその時にあった事を話してくれました。 「あの夜な、夢に子供が出てきて泣きじゃくっててん。足にしがみ付いて来てなぁ・・・。お酒飲んでる時に甘えたやろ? アレも多分ソレの前兆やったのかもしれん。」 私も酔ってたし、当時の状況がハッキリ思い出せる訳じゃないがAは酒も強くて、あんな甘え方をするのは珍しかった。 「あの夢で、大人が発してる思いじゃない!って勘が働いてなぁ。コレは大事になるやろうって思った」 と話してくれた。 長い話、失礼致しました。
1429 :カイ :2012/02/15(水) 21:16:06 ID:TbMHHVfk0 トンネル歩いてて上を向いたら人の顔があった。横には手形があった。夢に出てきそうだ。
1430 :トイレマン :2012/02/15(水) 22:12:29 ID:La4EEjZ.0 17年前の話 阪神大震災で友達が亡くなりました 亡くなった友人の合同葬儀に参加するため自転車で葬儀場まで来たところで、 友人に偶然出会い、一緒に参列する事にしました 亡くなった友人は体がほとんど焼けてしまい 棺桶には、お尻のお肉が少し残ってるだけでした 遺影もない棺桶の前で手を合わせ、 焼香だけして帰りました 遺影がなかったのと、震災という未曽有の大災害 のせいで頭が混乱してたのもあったかもしれません、 後になって、はっと気付いたのですが 葬儀場所へ行く途中でばったり会った友人が 亡くなった友人本人でした よく思い出したら、葬儀場に着いたあたりから 彼の姿がありませんでした
1431 :トイレマン :2012/02/15(水) 23:07:23 ID:La4EEjZ.0 17年前の話 阪神大震災で友達が亡くなりました 亡くなった友人の合同葬儀に参加するため自転車で葬儀場まで来たところで、 友人に偶然出会い、一緒に参列する事にしました 亡くなった友人は体がほとんど焼けてしまい 棺桶には、お尻のお肉が少し残ってるだけでした 遺影もない棺桶の前で手を合わせ、 焼香だけして帰りました 遺影がなかったのと、震災という未曽有の大災害 のせいで頭が混乱してたのもあったかもしれません、 後になって、はっと気付いたのですが 葬儀場所へ行く途中でばったり会った友人が 亡くなった友人本人でした よく思い出したら、葬儀場に着いたあたりから 彼の姿がありませんでした
1432 :カイ :2012/02/16(木) 17:06:34 ID:veRsXFow0 本当に夢出てきた、手形から、手がのびてきて引き込まれそうになった。しかも顔は笑ってた、そこで目さめたら、また、同じ繰り返しだった。正夢だったら怖いのでトンネルは避けるようにしている。
1433 :名無しさん :2012/02/17(金) 12:52:35 ID:RLDB6XiA0 >>1428 すげー話だな
1434 :名無しさん :2012/02/17(金) 13:10:02 ID:XBuBwG1s0 昔精肉所で働いてた時、ミスって人差し指を飛ばしてしまった事があったw 流石に一回切断されちゃったんでいまいち上手く動かなかったり繋げた部分から先だけちょっと色が違うとかはあるけどその程度の問題しかないんで、今じゃ笑い事で済んでるww ミンチ作ってる最中の機械に巻き込まれたもんだから危うく俺の指も合挽き肉に仲間入り!と思ったけれど、流石にそんな漫画みたいにはならんわなw 多分骨が当たって弾き飛んだのか、きれいに切断された状態で下に落ちてたらしい。 俺がパニクってる間に同僚が冷静に探して見つけてくれて、ハイ。みたいに渡してくれたんだけどシュールすぎるわww やっぱこういう所だとそういう事故も多いのかね。 工場の皆もあーまたかみたく微妙に何か慣れてる感じで、俺的にはそっちの方が洒落にならないくらい怖かったw その時作ってたミンチがどうなったとかも聞いてないけど、あのノリだと「指とか血が入ったわけじゃないしいいや☆」みたく機械だけ洗って作った奴普通に使ってそうwwwコワイwww
1435 :名無しさん :2012/02/18(土) 09:17:18 ID:1CrmVXN.0 言うなと友人に言われたが、言うのが普通。と考えたんでここに投稿します 中学3年の時と高校2年の時にあった変な話。まず俺ん家からそう遠くない神社があったんね 祭りやらそこでやっていたが、ある事件でそこはだめになるんだね。ちなみに事件の容疑者は仮にR氏とします 何の事件かと言うと『11歳の少女を刃物で殺害』って言うありがちな事件だがね、犯人はそれを否定したらしい しかも事件の凶器は見つかってないらしく、警察は神社の死体発見場所を見たが死体は無くなっていて、血だけが大量にあったそうだ 霊感の強い友人、仮にこの友人をBとします。といっしょにテレビを見ていた。 Bも俺と同じく神社の近くに住む少年で俺より3つ年下なんだ。 俺はやることが試験勉強と言うくだらない鎖から開放されたくも神社にBといっしょに向かった 神社に着いた。しかしBは「頭が痛い・・・。」など言って、家を出るときも何回も倒れたりしていた。俺は「また今度にするか?」と言うがBは「いや・・・今行ったほうがいい・・・。」 と言ったので少しフラフラしているBを支えながらも神社に着いた。警察のパトカーらしき物はなく、調査は終わったのか?と一定時間思ったが、Bは指を指していた。 喋る事もできなくなっていたんだろうか、口をパクパクして何か伝えたがっている。指の方向をそっと見た。見なければよかった。 死体の所には、『大量の血と女の子の死体』があった。しかも死体の眼はギンギンに赤く染まっていて、こちらをじーと見ていた。 俺はBを片手に抱えた。すごい力でだったんだろうか?片手でBを抱えたまま家に向かった。 翌日Bは入院した。凄くだるそうな顔で見舞いにきた俺に言った。「あの話は誰にもするな・・・。」 高校2年生になっていた。あの時の思い出は消えていなく、Bはまだ入院している。 祖父の物置掃除に俺は参加した。父は仕事で母は保育園で妹のお遊戯会を見に行った。婆も言った。 暇だった俺は掃除している時に小さな箱が気になった。「爺、この箱開けていいか〜?」と言うと祖父は、 「それは家らの前の写真だ。お姉ちゃんはもう死んじまったがな〜」。そして箱を開けた。写真が一枚とチェーンが13cmほどあった そして写真を見た瞬間俺は愕然とした。その写真の中に『神社で死んだ女の子』が写っていたからだ。 祖父に聞くと祖父の姉で神社で切り刻まれた死体が発見されたらしい。死体は埋めたが、まだ魂が生きているとの事だった。 Bは知的障害者になっていて、まだ退院できてない。
1436 :名無しさん :2012/02/18(土) 21:37:49 ID:4DbuSzbM0 文集見てみるとまだ書いてない事があったんで書きます。正直びっくりしました 死んだ女の子を仮にCさんとします。 Cさんは神社の巫女だったらしいんです。まぁ何でかって言うとですね、 俺の爺ちゃんの婆ちゃん、つまり、Cさんと爺の祖父になるわけです。その婆さんがですね、神社の巫女で Cさんをかわいがっていて3ヶ月巫女やってみないか?とか言われたらしいんですね。爺から聞きました。(爺涙目w) Cさんはよろこんでやったらしく、でも聞いての通り3ヶ月も続きませんでした 婆さんは死んだCさんの元に近寄るとCさんは目を見開いたまま、『笑っていた』そうです その何日後かに婆さんは亡くなったそうです。しかし亡くなる直前に側に居た爺さんにこういったそうです Cちゃん、戻ってきたら絶対に家には入れないであげてね これはあとから聞いた話なんですが婆さんがCさんを巫女にしていた時にチェーンを首に巻いていた そうなのでそのチェーンが紅色に染まった理由はCさんの血で・・・らしんですが、 Bが知的になる前にいってた事も照らし合わせました。 Cさんは生死不明の魂らしく今もあの神社をさまよっていて自分を見つけてくれる人を探しているらしいです。 しかしA(犯人)、B、俺がすでにCさんを見ています。これは異常です。
1437 :名無しさん :2012/02/19(日) 06:46:52 ID:5pmsaDLc0 物凄く分かりにくく読み返しました。 投稿前に自分で一度でも読み直してみるといいかもですね。
1438 :名無しさん :2012/02/19(日) 18:33:50 ID:f.xZFFCM0 マーガリンにはトランス脂肪酸が含まれており 多量に摂取すると LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させ 心臓疾患のリスクを高めるといわれ、2003年以降、 を含む製品の使用を規制する国が増えている。
1439 :名無しさん :2012/02/19(日) 21:33:49 ID:Wrogqnzw0 わけわかめですね 読み返しても判りません
1440 :カイ :2012/02/19(日) 23:16:00 ID:U3VeN0sc0 風呂から出る時かってに扉が開いた
1442 :理由からして :2012/02/22(水) 19:29:26 ID:rCpXHKvg0 皆は嘘を何回ついた事がある?その嘘が多い俺からの話です。 友達ができない理由で一回本気で自殺を考えた事がありました。ちょうど五年前ぐらいですかね 神社にいつもいた俺は理由なしに学校にはいかず、神社にいます。 初日 午後2時30分 クラスメイトの何人かが俺を虐めに神社に来る 別に待ってたわけじゃないがそこには逃げずに居た 「おい!ここにいたぜえ?」1人のにぶい声が近くで言った。俺は5人ぐらいに囲まれて1人に「言葉」を言った 「何しに来た?」すると返答が数秒で帰ってきた。「何だってよ?学校いかずのお前を学校に行かせるために来たんだよ」一見いい奴そうに見えるがそうではない あれは虐めだすサインの様な物、行った所で何されるかわからない俺は黙っていた。 「おい。何か言えよ」言えって言われて言う奴がいるのかな。こいつ馬鹿か。と心の中で思った すると言いかけてきた奴らに雪玉が当たった。もちろん俺が投げたわけではない。じゃあ誰が? 兄が笑いながら6〜7人の友達といっしょにこっちに向かって雪玉を投げている。ちなみに俺には当たってない 兄は俺が虐められているのを知っていた様だ そしてずらかるぞっ!!と言わんばかりにあいつらは逃げてった。兄から俺に一言 「喧嘩でもやれよ 殴り合え むかつく事を言ったらな」兄は世間から見たら馬鹿でひどい奴とされている。しかし俺にとってはいい兄 という存在だった その6〜7人の友達は皆昔から兄の友達であった 俺も顔見知りばかりだったんだ。家に帰った 親からは冷たい眼で「おかえり・・・。」と言われた。当然だろう 学校に行かない俺を明るくあいさつする親はいない その日は何も言わず寝た 問題は二日後だった
1443 :名無しさん :2012/02/24(金) 23:15:00 ID:5Mc7xT4M0 ここはもういい 本スレに書き込め
1444 :二日目 :2012/02/25(土) 19:00:21 ID:6N1Y2xyQ0 すぐ終わるんで書き込ませてください 二日午前1時 「・・・。」なぜだが変な時間帯に目が覚めた。もう一度寝ようとしたがなかなか寝付けない。 部屋にいても暇。ゲームもやり飽きた。「神社・・・行くか・・・。」何を思ったかは知らないが神社に行く気になった 神社に着いた。さすがに真っ暗なので何も見えない。眠たくもないしとりあえず持っていた小銭を賽銭箱に放り込んだ。願いの内容は「俺を虐めた奴らにさばきを〜」とか、よく覚えてない・・・。 特にやることもなかったんで帰って二度寝する事にした。何故かよく眠れた 夢は最悪だった 内容は虐めた奴らいたじゃん?あいつらが1人の女に殺されまくってんだ しかも俺の部屋でw 全員殺し終わった後女は俺に「***(俺の名前)〜は〜にするからな」などと言って眼が覚めた 兄は既に居なく時間は9時を越えていた 1階で何やらでかい物音がする「なんだろう・・・?」下に行った 親は仕事に行ったらしく俺一人しかいなかった あいつらだ・・・あいつらがいた・・・・。昨日虐めてきた奴ら全員がいる 石などを投げていて何やら叫んでいた。ちょっとした恐怖が俺を襲った・・・。 そしてなぜだか学校に行く気になった俺 ランドセルがどこにあるのかわからずそれまで音は鳴り続けていた しかし俺はここで気づくべきだった。9時にもなっているのになぜあいつらは学校にいってないのか・・・を・・。
1445 :カイ :2012/02/25(土) 23:21:32 ID:T3EOwwP20 好きな子に、告白した。答えは、「無理、つきあえない」なんでって聞いてみたら、「だって貴方もう、つきあってる人居るじゃん」「はぁ?俺って初めて告白したのに居るわけないし」って言ったら「じゃあ、ずっと貴方と手つないでるは誰!」「俺の隣?」誰も居ない、彼女と二人きりになれる、チャンスを狙ったんだから居るわけがない、彼女は「貴方すぐにおはらいしなさい!」って怒鳴られた「お、おはらい何で」「貴方、取り付かれってるよ」その言葉を聞いてすぐに、おはらいに行った。後で彼女の友達に聞いたんだけど、彼女は見える人らしい。
1446 :カイ :2012/02/26(日) 08:27:57 ID:i.f2XtYY0 ↑訂正 てつないでるは× 手つないでいるのは○ 彼女は× 彼女に○
1447 :カイ :2012/02/26(日) 16:06:43 ID:i.f2XtYY0 感想がこない
1448 :名無しさん :2012/02/26(日) 16:16:20 ID:dfhJQGYw0 改行しようぜ! 以上。
1449 :カイ :2012/02/26(日) 18:05:10 ID:i.f2XtYY0 改行ですか・・・
1450 :二日目(午前) :2012/02/27(月) 23:29:51 ID:xSb7mtIo0 学校に着いた。校門まで来ていたが、やっぱり帰ろうと思って振り向いた。今なら母はいるだろう・・・。 しかし懐かしいせいか誰かわからない変なおじさんが、「おお、やっと来てくれた。みんな心配してたんだよ?」と言う 身に着けていたものからして恐らく先生なのだろう。「先生・・・ですか・・・?」俺はゆっくりと聞く。「なんだ、覚えてないのか。とにかく入ってくれ」 そう言われて教室に入れられた。はっきり言って虐めてた奴ら以外は知らない顔ばかりだった。ある男子生徒からは、「誰だお前。転校生か??」とか聞かれたからいきなりで失礼だと思ったが 「お前しねよw」と言ってやった。そして朝学活になって先生から悲しい連絡があった。それは朝学活と共に集会でもあった 先生からの悲しい連絡・・・とやらを省略すると・・・『4〜6人の生徒が神社で遺体で見つかった。」とかいう話だ。まぁ誰かは知った。まさかの虐めてた奴らです。「あれ?でも朝会ったんだが・・・。」 と言うと隣の女子、仮に彼女をRさんとします。R「君さ、何で休んでたんだ?」中性的な喋り方だ。「まぁ・・・屑ばかりだっから」と意味不明な理由を立てた 「ひきこもりだろ?」朝気安く喋りかけてきた奴=K君としよう。俺「お前朝からつっかかってくんなw気味悪ぃぜお前w俺に気でもあんのか?」すると意外な返答 K「・・・あのさ、俺以外とお前のこと気に入ってたんだw」・・・うわ・・・ホモだ・・・。新手のホモだ・・・。しかし先生の話が続けられていたため無視はしなかった その後も何度かRさんやKは話しかけてきたがほとんどは嘘みたいな対応だった。やっと先生が話し終わり教室へと戻った。 仲が良くなった2人に俺の今朝の話をした。R「それって・・・幽霊・・・なのか・・・?」K「んなわけあるわけがないw」俺「じゃあ俺が見たのは・・・。」R「その前に何かそれに『繋がる』物はなかったのか?」 繋がる・・・繫がる・・・ツナガル・・・つながる・・・? あ 夢だ
1451 :二日目(午後) :2012/02/27(月) 23:46:50 ID:xSb7mtIo0 その後は2人にその話をした後、俺ん家に通じる神社に向かった。無論3人でだ 警察はいなかったため「さすがにここじゃねぇか・・・」と思ったが「しゃりしゃり 」と何かあさるような音がした。俺達は音の鳴るほうへと足を進めた 血に 塗れた 巫女服を着ている 女の子が 人の山の 中に顔をうずめていた。Kはまだ精神が安定していたが、Rは涙がでていて動かない K「いいか・・・?音・・・絶対出すな・・・。」声が震えていた 俺「・・・ああ」 Rをおぶって静かに立ち去る俺達。その間も音は続いた。しかし頭に巡った。あいつは敵じゃない・・・・と 俺「お い 」 俺はでかい声でその巫女姿の女の子に言った。振り向く女の子。口をあけたまま倒れたK 俺「お前はなんだ?俺の味方か??それとも敵か??」厨二っぽい事言ったが返事は ???『 う ん 』
1452 :名無しさん :2012/02/28(火) 20:56:52 ID:/HN4eqNw0 先輩、ココのサイト…まじヤバイっス(^O^) 年明けから自分書けないぐらい美味しい思いしたっス 登録無料みたいなんで試してGet!しっちゃてくださいよ☆ ttp://bit.ly/AqpRi6
1453 :最終日(午前) :2012/03/01(木) 20:05:57 ID:vvaNIURY0 ? 俺はどこかで気がついた 「ここは・・・?」・・・病院のようだ 歩こうとしたが体が重いように動かない。金縛りかな・・・。そんな事思ってると誰か入ってきた 爺ちゃん(祖父)と誰か知らない爺さん。気がついた俺に爺ちゃんは語ってきた 「君が見たのは君自身の悪魔だ。君が生み出し君の命令で彼らを襲ったのだろう」急にわけのわからない事を言う しばらく黙って爺ちゃんの話に耳を傾けていた 俺はあの後失神していてKはRをおぶって俺1人残したまま帰ったらしい。俺がどうなったのかと聞くと「家の前で倒れていた」と言う 俺は爺ちゃんに何か関係あるのか夢にでてきた話をそっくり聞かせた すると爺ちゃん「・・・。」と固まっていて変わりに横の爺さんが話してくれた 「お前が見たそれはお前が生み出した物。その者は意識感情を持たない。人の心に一人はいる お前が毎日行っていた神社、それはその者を引き出すような力があったのではないか?」 はっきりいって言うと俺があいつら殺したようなもんじゃねえか。と思うんだが、爺さんは続けた 「この札を持っていなさい。これはあの者との再会を禁ずる、かつて私や××(祖父の名前)がなりかけた様にならなくなる」 なぜ俺はあいつに味方か?なんか聞いたかは気が狂っていたからだろう 一時的な病院入院みたいな事なのであと何日いればいいんだろうか しかしその夜に夢があった
1454 :カイ :2012/03/03(土) 11:24:54 ID:2LGh7PnY0 ここで自分が書いた話を別のところに書いたら無断転載?(無断転載の意味がらないので)
1455 :名無しさん :2012/03/03(土) 12:14:39 ID:ThFPbU.I0 すごい今更だがマサさんの人来てたんだな。頻繁に覗かないから気づかなかった。 なんかえらい目にあってるみたいだけど・・・ 続き楽しみにしてます。洒落怖長編の中で一番おもしろい。
1456 :最終日(後日)〜黒翌日〜 :2012/03/03(土) 23:22:28 ID:K6cfwGNQ0 夢に出てきたのは巫女姿の女の子。そして視線から見た先には 小さい頃の俺がいた 2人仲良くあそんでいるような感じだった。しかし俺の黒眼はまだあった 小さいときに受けた痛みがトラウマになり眼の瞳が真っ黒に染まる変な事があった 夢の中でも小さい頃の俺は黒眼だった。なお今も俺は黒眼である 見えないわけではないから別に問題はない しかしやはり何処かで会ったのだろうか・・・?その瞬間女の子の目がこちらに向いた そして悲しそうな顔で一言。『 ぁ り が と 』 眼が覚めた。4時・・・。翌日になっていたようだ。そして隣にいたはずの祖父がいなくなっていた 俺は小さい頃に神社に行き、事故にあい黒眼となった。そのせいか学校にはなかなかいかず家にいても家族がうるさい なので神社に2度目に行った。すると悲しそうな顔をした女の子がぽつんと立ってた 俺は見かけたときに気にかかり、「遊ばない・・・?」と言った。最初はきょとんとした顔だったが、 それが笑顔になっていくのを見た。人間とはほど遠い優しい笑顔だった 時が経つにつれてそろそろ学校に行こうかな・・・と言う気持ちに彼女が背中を押してくれた しかしあいつらに虐められて神社にもいかなかった。そして何日も神社に行かないせいで彼女の存在を忘れかけ しかし何故か神社には行っていた。脳では自覚してなくてもちゃんと行く。という事が頭の中に残っていた 事件以来、神社には行かなくなった。嫌だからではない。また俺のあの要望があったら彼女はまた俺に従うであろう 札を破り、明日から学校に行く 彼女に二度と辛い思いはさせたくなかったしね 彼女の名前は「空瀬」確かそうだった ネットでは何も出てなかったけど これで話は終了だが、事件日の今の三人K、R、俺は今でも友達だ。 あの神社は願いをかなえる神社なのかもしれない
1457 :え?私は?(前編) :2012/03/12(月) 20:42:11 ID:427imV/60 これは僕が体験した不思議な話です。怖かったので記載します 自分の名前は祐徒(仮)そしてもう1人でてくる友人。もうこの世にはいません。名前は三樹と言う女の友達です 彼女と初めて知り合ったのは小学三年生でした。彼女は隣にいて僕の事はほとんど無視・・・と言うか、何か話しかけても答えてくれませんでした 給食になったら班の人達で固まって食べることがあったんです。その時によく話しかけてはいたんですが、「うん」とか「へぇ」とか無関心な事しか言ってくれませんでした 僕は「ムッ」ときたのか「何でそんなに無関心なんだ?僕が嫌いなのか?」と聞くと、今の僕には十分と言える言葉が返ってきました 「子供は全員嫌い」え?僕は彼女から見て子供なのか?疑問に思いながら時間は終わった次の日もその次の日も好きではないんだが彼女には1日一回は話しかけていた。今から思えば僕は彼女が好きだったんだろう ある時に「どうして君は無視している私に話しかけてくるの?」と三樹が聞いてきた。 僕はかっこいい事言おうかな・・・とか思っていたが、自分の本心の言葉を言った 「何でだろうね?」と。これがいわゆるフラグなのかも知れない。彼女は僕の言う事には必ず返してくれる様になった その姿を見た友達何人かは自分もっと言わんばかりに三樹に話しかけた。その後すぐ聞いた話だが三樹は結構男子の間で評判だった。 しかし三樹は男子に話しかけられても「・・・。」の一点張り。「おい祐徒。お前どんな魔法使ったんだよw」「さぁ?w」そんな会話が続いた 三学期になると彼女から話しかけていた。しかし男子の眼が痛いw しばらく時が過ぎた。大体3年ぐらい。彼女とは同じクラスだった。 ある日。「ねぇ祐徒。私の家来てくれない?」そう言われたのは初めてだった。今までお互いの家に行き行きしてないからだ 「ああ、わかったよ」そう言ってランドセルを家に置いて学校に行った。三樹の家は知らない為、三樹を学校で待っててと言っていた。
1458 :名無しさん :2012/03/12(月) 22:52:10 ID:TyA3YekE0 >>1457 少しは推敲しろよ
1459 :え?私は?(後編) :2012/03/13(火) 18:56:19 ID:KY2mgIzI0 彼女の家に行った。凄く大きい家で、「今家族の人たちは?」と三樹に聞くが、「いないよ」と言われた。何故かこの時の声が悲しそうな声だった 家に入ると真正面に何やら龍?の絵らしき物が飾られていて、部屋まで招待してくれた。しかし入った時、体の底から寒気と懐かしい感じが込み上げた その部屋は窓がなくボール、人形、そして木の机が置いてあった。「何して遊ぶ?」と聞かれたが、「あの・・・トイレ・・・行っていい?」と言ってしまった。 「トイレならリビングの横の緑色の戸だよ」と言ってくれた。しかし僕はトイレには行かずに、二階に上がる時に見た白い部屋に行った。 白い部屋には一枚だけ写真が飾られていた。 3歳ぐらいの男の子と30〜40ぐらいの男性、そして5歳ぐらいの女の子。 「あ・・・これね・・・。」後ろから声がした。ビクッと驚いて見た人物は三樹だった。「これ、だいぶ前にお父さんがまだ居た時に撮った写真なんだ この部屋も最近入ってない。」? 僕は「ごめん・・・いつか僕の家にも来てね」とだけ言って帰った。彼女の言葉を考えるためだ。今はいない・・・これはどうゆう意味だろうか そして母親は何故いないのか。離婚でもしたのかな?と思っていた。 そして時はどんどん過ぎていった。中学2年生の時だ。この時間は僕と三樹が自分達について語り合った季節であり、それと同時に彼女の消失を意味する時間でした
1460 :名無しさん :2012/03/13(火) 19:14:38 ID:atitqSQI0 ・句読点を使うなら使う、使わないなら使わない、どっちかに統一する ・「ですます」「である」どっちかに統一する ・×とゆう ○という ・適度に改行する
1461 :名無しさん :2012/03/14(水) 20:33:43 ID:S5AO4Rh60 >>1460 すいません。文章には時々間違いがあるんです 今度からはちゃんと読み直して上げます
1462 :え?私は?(中学) :2012/03/18(日) 10:03:50 ID:TNbsW1Ok0 夏・・・まぁ暑い季節ですよね 三樹も俺もその時はまだ仲がよかったです 2年生の時同じクラスになったんですよ。三樹と。宿題とかは三樹家でやったりしてました 相変わらず友達いないみたいです。そして7月のある日に三樹から「家に泊まりに来る?」と聞かれたので俺は「いいけど 思春期って言葉忘れてないか?」と彼女に言い放ちました。三樹は男性女性を区別しないタイプみたいです いっしょに風呂に入らない?とか同じ部屋で寝ない?とか言いそうな奴でした。 泊まる日に午前中は2人共用事があったから午後に行くとなりました。そして午後に。三樹の家は相変わらず綺麗で誰もいません 質問とか色々してましたが、その時間のほとんどは一階のテレビでゲームしてました。なので質問は答えてもらえませんでした 今から思えば三樹は知った上で答えなかったんだと思います。その日の最後の時間(就寝)に俺はまた一階に行き あの白い部屋に入ったんですね。もう一回確認する為に。写真は二つになっていました。片方はずっと前に見たあの写真でもう片方は・・・どこかで見たことのある 男性が写っていました。中2で・・・制服が俺らと同じ中学です。名前を見てみると「金井祐徒」。俺の名前です。そしてその写真の裏側には手紙が貼り付けられていました。
1463 :え?私は?(中学) :2012/03/18(日) 10:34:09 ID:TNbsW1Ok0 その手紙の文章は 「2006年9月3日 私は失望した 父親と言うものは何故私を殺そうとする 何故私を憎む 何が気に入らない・・・?弟が居なかったら私は首を締め上げられていた 9月6日 母さんがいない理由がわかった気がした 屋根裏から時々ガタガタゴトゴトと言う音は母さんが 私と弟を助けに来てくれているんだろう しかしその音が鳴るたびに父が片手に斧を持って屋根裏に行く しばらくしたら「ぎャああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあ」と言う奇声が鳴る 母さん、悲しいよ。 9月9日 目の前に何か倒れている 人だ 弟だ・・・。 父が殺したのだとわかった 私を殺すために もういやだ 助かりたい 嫌だ 助けて 助けて タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ ・・・!屋根から音がした!母さんだ!母さんが来てくれた 2009年3月20日 ここに手紙を置きます 読む人がいるとしたらたった1人の男性でしょう 私はあなたをここに呼びました そしてその日に私は死にます 私は父を殺しました 母さん修也(弟の名前)を殺したあの人を許すわけにはいかなかったからです 私は自分の心が憎いです。同年代とは距離を置いて話します。私が写ったら困るから また あの時に戻りたいな 」 ここで手紙が途切れていました。ナイフか何かで切り落とされた様な感じです。俺は三樹の、三樹の居る部屋に走り出しました。 ドアを叩き割ったその先に寝ているはずの三樹がいません。すると、その部屋の窓が開いて屋根に通じる梯子を見つけました。風が強い外、登った先には 三樹が立っていました。彼女は俺に気がついたのか、すぐにこう言いました。 「私さ、小学3年生の時に祐徒にあったよね。必死になって話しかけてくれるのが嬉しかったんだよ。 死ぬ決心ができたのも祐徒のおかげだから感謝したいんだよ。」そう言うとそこから飛び降りました。屋根からです 止められなく声しか上げられませんでした。俺はそこで失神してしまったみたいです 気がつくと三樹の家のベッドの中にいました。三樹はいません。しかし枕元には手紙が。 そこにはこう書いてあったんで記載します 「祐徒はいつ死ぬかな?え?私は?あれもういないの?嫌だ暗い暗い暗い前が見えない助けて助けて助けて助け」 その手紙を読み終わった瞬間「 死んでよ 寂しい」と言うドス黒い声が耳に入りました」 今はもうあの家には行ってませんし高校になって新しく友達ができました。三樹にそっくりな友達が。
1464 :名無しさん :2012/03/21(水) 23:21:11 ID:qKMFT2EU0 相棒シリーズのk城址って世界遺産でしょ?地元じゃ有名な話だよ。 庭石にちょうどいいって、結構、デカイ石持ち帰って一家病死したって 話もあるし、よく生きてたね?
1465 :名無しさん :2012/03/26(月) 12:40:16 ID:SX4kq7fA0 相棒シリーズって何?
1466 :名無しさん :2012/03/26(月) 21:45:14 ID:1pe8SKUk0 めちゃ短いけど、きいてください。 中学生のとき、学校の帰り道、 犬の足が落ちてて、そのあたり、真っ赤… といっても部活がえりで暗かったから赤かはわからない。 でもどう考えても血です。 吐きそうになって家族に報告したら、 確認して警察に報告しようってことになったけど、 戻ったら跡形もない 血みたいな液体もないし、足もないし、 砂利道だけどきれーいにもと通り… 家族も見間違いだよーってなってたけど、 あの血はとにかく気持ち悪かったです…
1467 :こわいこわい :2012/03/28(水) 13:42:04 ID:dPmWbr0w0 これはアメリカのゲームです。1度やってみてください。 これは、たった3分でできるゲームです。試してみてください。 驚く結果をご覧いただけます。 このゲームを考えた本人は、メールを読んでからたった10分で願い事がかなったそうです。このゲームは、おもしろく、かつ、あっと驚く結果を貴方にもたらすでしょう。 約束してください。絶対に先を読まず、1行ずつ進む事。 たった3分ですから、ためす価値ありです。 まず、ペンと、紙をご用意下さい。 先を読むと、願い事が叶わなくなります。 1,まず、1番から、11番まで、縦に数字を書いてください。 2,1番と2番の横に好きな3〜7の数字をそれぞれお書き下さい。 3,3番と7番の横に知っている人の名前をお書き下さい。(必ず、興味のある性別名前を書く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら同姓の名前をかく) 必ず、1行ずつ進んでください。先を読むと、なにもかもなくなります。 4,4,5,6番の横それぞれに、自分の知っている人の名前をお書き下さい。これは、家族の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。 まだ、先を見てはいけませんよ!!5,8、9、10、11番の横に、歌のタイトルをお書き下さい。6,最後にお願い事をして下さい。 さて、ゲームの解説です。 1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人に伝えて下さい。 2)3番に書いた人は貴方の愛する人です。 3)7番に書いた人は、好きだけれど叶わぬ恋の相手です。 4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思う人です。5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く理解してくれる相手です。 6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらしてくれる人です。 7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す歌。 8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す歌。 9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す歌。 10)そして、11番に書いた歌は、貴方の人生を表す歌です。この書き込みを読んでから、1時間以内に10個の掲示板にこの書き込みをコピーして貼って下さい。 そうすれば、あなたの願い事は叶うでしょう。もし、貼らなければ、願い事を逆のことが起こるでしょう。とても奇妙ですが当たってませんか?
1468 :ほんとにあった怖い名無し :2012/03/29(木) 00:45:17 ID:X.vubKNs0 よく某巨大掲示板に書き込みしてる者ですが、久しぶりに体験したことを書かせて頂きたいと思います。 つい先日の20日の火曜日、祝日だったその日、僕は仕事が休みだったので友達(以下H君)の車でパチンコに行っていました。 久しぶりに朝から夜まで打って、お互い勝てたので笑顔で帰路についていたときでした。 友達の携帯に着信が入り、車をコンビニに止めて電話に出ました。 電話の相手は僕とも繋がりのあるN君で、今から遊ぼうとのことでした。 深夜手前からでも普通に遊ぶことのある友達だったので、N君の自宅付近まで迎えにいきました。 家の前でタバコを吸いながら待ってたN君を車に乗せ、カラオケでも行こうとの話になり、騒ぎながら某有名カラオケ店に向かって車を走らせました。 時間は深夜1時前です。 僕たちの住んでいるところは、その県でも都会のところで、深夜と言っても多少明るい所でした。 ですが、N君の家は山のほうにあり、峠を2度ほど越えなければ市内のほうにいけません。 明りの無い山道を車で走っていると、N君の携帯に非通知設定の番号から電話がかかってきました。 テンションの高かったN君は迷うことなく電話に出て、「だれ〜?」とのんきに聞いていました。 さすがに電話に出ているので、僕とH君は黙っていました。 静寂の中、N君と電話の主の話し声だけが聞こえます。 数分後、いきなり「ぎゃぁぁあああああああああ」と電話から聞こえてきました。 僕とH君はビクッとなり、N君のほうをみると顔面蒼白です。 電話はそのまま切れてしまい、全員忘れようと言い聞かせていた時に、N君が一言ボソッと呟きました。 「今の電話の奴、俺の友達やった」 N君は電話の内容を話始めました。 「久しぶり、元気してるか?俺さ〜ちょっと事故ったねん。………すっごい痛い…めっちゃ痛い……死にたいわ………」 N君「え?大丈夫なん?見舞い行くぞ?場所何処やねん?」 「…………………」 N君「ん?どしたん?」 「………いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいぃぃいっぃいいぃいぃいぃぃぃいぃいぃいいいいぃい」 N君「おい!?大丈夫か!?なぁ!」 「ぎゃぁぁぁああああああああああああああああああああ」 話終えたN君は青い顔で、最後にこう言いました。 「そいつが、お前らも死ね」って… その瞬間、車がガクンッと揺れ、窓にはハッキリと手形が付いていました。 すると突然N君が白目を剥いて泡を吹き始めました。 焦る僕とH君、僕はずっと半泣き状態でH君は誰が見てもテンパってました。 N君が横に倒れ、失神した瞬間にH君にも異変が出ました。 足が動かないのです。 ずっとアクセルを踏んだまま離れないのです。 スピードが速くなるにつれ、H君と僕は死を覚悟しました。 するといきなり後ろからお経が聞こえてきました。 N君です。 全然お経のおの字すら知らないであろうN君がお経を唱えているのです。 もう訳がわからない僕は必死に目をつむって助かりたいことだけを願っていました。 N君が大きな声で「消えろぉぉぉぉおおおお」と叫んだ瞬間にH君の金縛りも解け、すぐさまブレーキをかけました。 崖付近のガードレールに少し擦れた程度で止まり、なんとか助かりました。 結局カラオケにもいかず、僕の家に2人が泊まりました。 N君は叫んだ後、また気を失っていました。 朝になり気が付いた時に経緯を話したところ、まったく覚えていなかったのです。 H君は足にアザが出来ていました。 その日、N君の友達が2週間ほど前に峠で亡くなっていたことがわかりました。 やはり、僕たちを引っ張りたかったのでしょうか…… とても怖かったです…
1469 :無m :2012/03/29(木) 09:27:12 ID:fm68J/pU0 ↑まじで怖ええw
1470 :ほんとにあった怖い名無し(前編) :2012/03/30(金) 01:26:09 ID:BcPWwehY0 どうも、1468の名無しです。 怖いと言っていただき、ありがとうございます(主旨が変わってる) 昨日、9日にN君が原付で事故にあいました。 前回の峠とは全く違う場所の見晴らしのいい道路で… 僕にはどうも電話の主が気になってます。 僕とH君は今のところ大丈夫ですが、とても怖いです とりあえず、また違う話をひとつ…… 長いので前編と後編で… 今から約10年ほど前、僕が高校生だった頃のお話です。 僕の通っていた高校は山の上にあり、自転車で坂をあがるか、階段で山の上まで行くような学校でした。 もちろん周りは山で、外灯も少ない場所です。 当時、部活の部長をしていた僕は、部活の後輩の女の子(以下Yちゃん)と話が盛り上がり、色々なことを話していました。 聞けば、Yちゃんは霊感があるそうで、よく見たりするんだそうです。 僕も初めて言いますが、実はちょっと霊感があったりします。 見えたりはしないのですが、何かがそこにいるとか、嫌な感じを察知出来る程度です。 そういった話をしているとYちゃんが、「この学校いっぱいいますよねー。 屋上とかたまり場ですよー」と笑顔で言ってくるんですよ。 なにを言ってるんだこの子は…とか思いました。 全然自分には感じることが少なかったからです。 ですが、それからが恐怖の始まりでした。 それは体育の授業中でした。 トラックを抜けて、ちょうど山に面した薙刀道場前に差し掛かった時です。 誰かに見られてる? そんな感じでした。 ですが、周りにはクラスメイトが走ってますから、誰かの視線を感じただけだろうと、その時は思いました。 ですが、その後も同じことがありました。 それも決まって薙刀道場前で… おかしいと思いYちゃんに話したんです。 するとYちゃんが、「あー、先輩もですか? 私もよく見られるんですw 気に入られたみたいですねww」 ( Д)゚ ゚ 意味がわかりませんでした。 出来れば可愛い女の子に気に入られたかったですorz 冗談でなんとか紛らわせようとするチキンな僕。 そんな僕に追い打ちをかけるYちゃん Yちゃん「先輩、気を付けてくださいね。何してくるかわかりませんから」 え? 助けてくれないの? Yちゃん「嫌ですよww 私だって自分が大事ですもんwww あ、でも私に何かあったら助けて下さいね?」 僕を助けてくれないのに、自分を助けろとは… 絶対助けてやんねーと心の中で呟きました。 Yちゃん「先輩のカッコイイ姿みたら惚れちゃうかもしれませんよ?」 僕「助けさせて頂きます!!」 僕も男ということで……、わかってくれますよね? とまぁ色々あり、気を付けようとしていた矢先、事が起きてしまいました。
1471 :ほんとにあった怖い名無し(後編) :2012/03/30(金) 01:26:53 ID:BcPWwehY0 部活で、いつものコースを走っているときでした。 Yちゃんが急に倒れたのです。 気分が悪くなったとのことですが、あきらかに様子がおかしいです。 目の焦点があわず、意味のわからない言葉を発し、軽い錯乱状態かとも思いましたが、その場所が薙刀道場前ということもあり、確実に奴の仕業だと確信しました。 ここでYちゃんを助けたら、彼女に…とか思いながら下心MAXで助けました。 僕の友人で、お寺の息子というO君に電話をかけた瞬間に、向こうから言葉が飛んできました。 O君「T(僕の名前)、お前の周りに変なんおるやろ。電話越しに色々言ってるぞ。」 さすがO君、僕が何も言わずに察してくれる。 O君「とりあえず、あのー…、あれだ。電話の音大きくするやつ…、なんかほら、大きくなるやん。あれにして」 えーと……ハンズフリーのことでしょうか? 機械にまったく詳しくないO君に萌えながらも、すぐさまハンズフリーにし、O君のお経とお話が始まりました。 数分ほどお経を言ったあとに、O君が「自分の居場所に帰れ」などと言うと、その場の重い雰囲気が一気に軽くなり、Yちゃんも落ち着いてきました。 Yちゃんを保健室まで運び(←お姫様抱っこで)少し休んでから帰宅しました。 Yちゃんは家の方が迎えにきました。 その翌日、O君と一緒に登校した僕は昨日のことを聞きました。 O君「あちらさん女性でさ、お前のこと好きになったみたいやな。んで、憑きやすいYちゃんに入ったと…。」 「ホント勘弁してほしいわ。人間の可愛い子がいいって…」 O君「まぁそんなん言うなって、早めに対処出来てよかったわ」 ホントいい奴O君 マジでずっと友達でいてください そんなことを思いながら学校に着いたら、Yちゃんが靴箱のところにいまして、もしやと… もしかしたら的なことがあるのかと思いました。 そうです。「先輩のカッコイイ姿みたら惚れちゃうかもしれませんよ?」ですよ。 あの時、焦らず対処したんです。 それはもう格好良かったのでゎなかろうかと、勝手に思っていたらYちゃんが… Yちゃん「O先輩、助けてくれてありがとうございました。もしよかったら、これからも傍にいてほしいです」 ( Д) ゚ ゚ O君「ん?俺でよけりゃ」 ( Д) ゚ ゚ Yちゃん「あ、先輩、助け呼んでくれてありがとうございます」 本当に怖いのは人間、それも女の子でゎないでしょうか…… O君なんて知らねー 友達じゃないし… とか言いながら、未だに仲良くしています
1472 :ほんとにあった怖い名無し :2012/03/30(金) 01:30:26 ID:BcPWwehY0 前編の9日は29日です。間違いました。
1473 :名無しさん :2012/03/30(金) 15:30:40 ID:xko0HB2w0 ゎは萎える
1474 :赤い手 :2012/03/31(土) 13:41:29 ID:sxSis8v60 最近祖父が亡くなって叔父と二人暮らしになってしまった 父は3歳の時に他界し母は7歳の時に交通事故で亡くなった 母の弟の叔父と祖父の三人で今まで暮らしていた(祖母はだいぶ前に他界したそうだ) 葬式が終わって家に戻ると祖父の姿があった。しかしもう居ない。いや、居なくなってる。確かに俺の目の前で死んだんだ、と自分に言って 「爺ちゃん?あんたは死んだんだ。もういないんだ。」と訳わからなくなった俺が言う。しばらく時間が経ち叔父が帰ってきた。そして叔父に祖父が居る事を伝えると、 叔父は顔面蒼白で俺に車に乗る様に言って家から離れた。やってきたのはかつて俺達(俺と母と叔父)が住んでいた家に着いた。叔父はしばらくここにいろ。訳はあとで話すと言い残し家から何かを取ってきて祖父?の居る家に向かった 俺はとても面白い事が起こっているに違いないと思い友人2人に今俺が居る家に来てもらった。しかしやる事も特になかったからお墓(祖父の)にチャリで行った。3人でだ そして新品の様な墓を見つけそこが祖父の墓で間違いないと確認した。するとだ 友達の1人G(友達の名前)が「アァァァァアァァァァアア」と奇声を上げた。俺達はびっくりし、Gに近寄って大丈夫か?と声を掛けると「い、逃げ、アァアアアアアア逃げアアアアアア」とまた奇声を上げ始めた。しかし今度は頭を押さえながら指を指している その方向に目をやる俺とH(もう1人の名前)。その方向には祖父の墓だったが、何も言えないくらい赤い手が墓からはみ出していた。 『ウワァアアアアアアア』と叫びながらGを2人で運び自転車のかごにGを入れた。そして自分の水分がなくなるくらいに漕ぎ、 俺の家に向かった。2人とも汗だくで家の中には叔父がいた。 叔父の話によると『親父は墓に戻るのが嫌で俺に助けを求めてきた。俺が持っていったのはアルバムだ。あれで記憶がはっきりとしたんだろう そこからどうしたのかは不明だが、親父は扉をぶち破ると消えていった。』と話してくれた。 Gが気がつき俺と叔父、Hに話してくれた。Gは祖父の墓の前で白い服着た女に出会ったらしい。 その後女がこちらをぐりんッと首がありえない方向に傾きその後小声で何か話したらしいがその時に墓に手がはみ出ている事に気がつき 女がGに向かって「まりいづるむわわわ」と話したらしい。しかしその後に話した言葉でGは奇声を上げた 「で、何って言ったんだ?」G「そいつが」その時インターホンが鳴り叔父がでた。しかし玄関で「バジィィィン」と言う音がし俺達も見に行った。 叔父が凄い力?でドアを閉めている。「チェーン掛けてくれ!!」と大声で言う叔父。Hは急いで掛けた。 その時の状況はまだ前の家に居たからチェーンが付いてた。しばらくして叔父がドアから手を離す。何も起こらなかった そして俺達は部屋に戻り、叔父が祖父を帰す為に持って行ったアルバムを見ていた。母と叔父と祖父が写っている写真があった。その瞬間Gが「うわぁぁぁ!!」と叫んだ 「どうしたんだ?うるせぇぞ」と俺とH。「お、俺が見た白い服の女・・・!!」と言った その日全員が愕然とし次の日にはGが入院する、叔父が足の骨を折る。Hがロリコンになる(いや目覚める)、俺のPSPがぶっ壊れるなどの現象が起こった。 それから今まで俺はあの2人と会ってないし、叔父ともあまり喋っていない。つい最近の事
1475 :名無しさん :2012/03/31(土) 17:15:44 ID:tlnj96Ps0 私が小学3年生の時に実際に体験した話です。 あまり怖くはないですが。 友人SとYと私の3人で放課後遊んでいました。 その頃の私達は色んな公園に行って遊ぶのが大好きでした。 ある日Sが割と近くにすごく長い滑り台がある公園があるらしい、と言うのでその公園を探してみました。 いつもは行かない閑静な住宅街の方へ入っていくとその公園はありました。 それなりに広い公園で、いくつかの遊具とSの情報通りのとても長い滑り台がありました。 その公園には小さな神社が併設されていました。 3本の鳥居の先に進むと左右にお稲荷様がいて、さらにその先にお賽銭箱がありました。 お賽銭箱の先にはちょっと寂れた感じの普通の平屋がありましたが、人の気配はありませんでした。 私達は神社のことなど全く気にせず公園で遊びました。 私達以外に人はおらず、貸し切り状態でした。 静かな住宅街の中の公園、周辺では車も通らず、人もいない。はしゃぐ私達の声はよく響きました。 日が暮れ始めそろそろ帰ろうか、となった時にSとYが神社に興味を持ちました。 そして、お賽銭箱の先にある平屋の家の玄関の郵便受けから中を覗いてみる、と言いだしたのです。 その玄関は引き戸で、戸に郵便受けがついているもので、確かに中を覗けるだろうとは思いました。 私は2人をとめました。人の家だし勝手に覗いちゃいけない、と。 私の忠告を無視して、2人は玄関前まで行きました。私はちょうどお稲荷様の前でオロオロしていました。 そして、2人が郵便受けを覗いた瞬間。 今まで静かだった周辺でたくさんの音がなりました。 車のクラクション。 鳥の羽ばたく音。 犬の鳴き声。 他の音もあったかもしれませんが、私がハッキリと記憶しているのはこの音だけです。 本当に静かな公園だったので、突然なったたくさんの音に友人2人はとんでもなく驚き、走ってその場から逃げて行きました。私もその後を追いました。 帰り道、2人はとても疲れた顔でのろのろと歩いていました。私は平気でしたが、2人があまりにも憔悴しているので心配で声をかけました。 すると2人は「キツネの鳴き声がした」と言うのです。それは気のせいだ、色んな音がしてビックリしただけだ、と私は伝えましたが、それでも2人はあれはキツネの鳴き声だったと言い張りました。 結局郵便受けから家の中は覗けなかったそうです。 その後は特に何事もなく家につき、解散となりました。 次の日です。 もともと絵を描くのが好きだった私は、いつも白紙の自由帳をもっていました。 いつもは犬や猫、女の子の絵を描いていた私が、この日からキツネの絵を描き始めました。 何を思っていたのかはわかりませんが、ノートいっぱいにキツネを描いていました。 リアルな絵ではなく子どもが描く稚拙な絵でしたが。 当時は何も思っていませんでしたが、18歳の時に何気なく知り合いにこの話をしたら、それはキツネにとりつかれていたんじゃないのか?と言われました。 でも、当時1年ぐらいはキツネの絵を描き続けましたが、その後はまた女の子の絵を描きだしましたし、友人2人にも何かあったということはありません。 あの時私は本当にキツネにとりつかれていたのでしょうか。
1476 :人形の中から(1) :2012/04/02(月) 20:12:19 ID:12DOyn/g0 今よりずっと前の話です。当時俺は中学2年生で姉と爺ちゃんで暮らしてました。 父も母も他界してて姉と爺ちゃんのおかげで何とか生活してました。ちなみにその頃(中2)は反抗期で あまり言う事を聞かなく、友達とばかりつるんでました。ある日に転校生が来ました、男子達は眼見(笑)女で俺から見てもかわいいと思うぐらい の子が転校してきました。そして空いてる席に着けと言われたのか、俺の隣に来ました。友達の視線が気になります 給食時間に、彼女は1つの人形を渡してくれました。眼が赤い茶色の髪の人形です。せっかく渡されたのに断るのは何かもったいない気がして貰いました。 食べ終わってから友達と昼休みにグラウンドでサッカー。足を痛めてたから参加はせず見てました。すると友達が4人やって来ました。仮にそいつらをZXCVとします。 Zは「ね〜こうちゃ〜ん(俺の名前)あの子から何貰ったんだよ〜」と言ってその後Xが「俺達友達だろ〜?教えろよ〜」と言ったので4人に見せることに。 Z「人形か〜いいね〜くれよw」俺「嫌だよw」V「でも何かこの人形怖くね?」X「確かに何か睨みつけられてる気がするな。」C「・・・・。」 その日の放課後、自宅に帰ろうと校門から俺含めて5人の生徒が出てきました。Z「どうする〜?どっか行く〜?」C「なぁこうと俺でちょい用事あるんだよ。悪ぃけど先帰ってくれねえ?」 V「何だ?2人でなんかすんのか?w」Cが俺に何か話があるみたいです。(Vがん無視)俺「おいC!さっきから黙って何処行くんだよ!」C「・・・・。」Cは黙り込んだままでした。その時のCの顔は何かに追いかけられてる 様な顔でした。「ピタリッ」Cが歩くのを止めます。C「なあ、こうさ・・・その人形の・・・中身確認したか?」ハ?何が何だかわからない。Cはそれでも俺の顔を見たまま言いました 俺「いや普通確認してねぇだろ。つか中に何か入ってんのか?」と俺が聞こうとするとCは再び歩き始めました。後を追う様に俺も歩き出しました。 着いたのはある家。そこでインターホン鳴らすC。出てきたのは髪が真っ白い女性。C「あれが、あの人形が見つかりました。」女性「見せてください。」Cは俺に出す事を耳元で言いました。 何も知らないまま俺は人形を女性に渡しました。女性は凄い顔をして俺達にその中身を見せてくれました。見てしまった。目が、人の目玉がいくつも入ってました・・・。 女性は帰る様にと俺達に話すとCは黙って俺の腕を引っ張りました。その家からだいぶ離れてCが C「あれさ、人の怨念があるんだよ。幼い頃にさ、俺あれのせいで弟無くしたんだ。」俺「・・・・。」 その日からCは学校に来なくなりました。 続きは時間がある日に出したいと思います
1477 :名無しさん :2012/04/02(月) 22:30:50 ID:388W4vOo0 改行どうにかしろよ 読む気にもならん
1478 :人形の中から(2) :2012/04/04(水) 08:32:06 ID:9KomsjE20 Cが来なくなって3日後、学校に子供が何人かうろつく様になりました。性別もわからない 全員髪の毛が同じ形。俺も3回見かけた事ありますが、何故か一般生徒のみ逃げようとせず睨みつけてきます。 先生が来たら分散し隠れて見つからない様にしてる模様。ちなみに子供は4人です。 たまに授業時間とか来てるんですが、捕まった姿が見たことないんですよね。大の大人が揃いも揃って捕まえられないなんて・・・ ある帰りに転校した女子(=Lさんとします)に頼まれたノートを貸す事になってましたが、それまで抱いてた不信感を彼女に言いました。まぁ大体はあの人形のせい しかし何も言わずノートを取り上げダッシュで帰った。しかしその時の顔が・・・・。まぁ人間ができる顔じゃないってことだけですかね? 色々な事がある中、貸す時にちらっと横見たんですね すると子供が4人「ゲラケラ」と笑ってました。そして真正面から初めてみてわかった事、それは 子供達は片目しかなかったのです。今までは両目あるかの様な行為だったのでわかりませんでした
1479 :ジョン・ドゥ :2012/04/04(水) 14:21:08 ID:4i/yqgZgO 裏返しの話 俺(A)がB、Cと呑んでいたとき、D先輩がいきなり、Bのアパートを訪ねてきた。 顔面真っ青で、突然「おまえ等、裏返しの話を知ってるか」と話し出した。 その時俺は、酒を買い足しにいこうとしたときだった。Dさんが止める様子もないので、缶酎ハイを買いに出て、十五分ばかり中座した。 「まさか。なんで、そんなことになるんですか?」先輩は、くっくと喉を鳴らして笑った。 「この話を聞いて、二時間以内に、他の人間にこの話をしないと、そういう目に遭うんだ」 「不幸の手紙ですか?」 俺は本気にしたわけではないが、聞き返した。今なら「リング」ですか? と言うところか。 「なんとでも言え。とにかく、俺はもう大丈夫だ。もたもたしてないで、お前等も話しにいった方がいいぞ」 なにか白けた感じになったが、買い足してきた分の酎ハイを呑み干して、宴会はお開きになった。 先輩はバイクで去り、BCはBのサニーに乗った。スタートした直後、サニーは電柱に衝突した。 呑み過ぎたのかと思い、すぐに駆け寄ってみると、BとCは血まみれになっていた。 そんな大事故には見えなかったので、俺は少なからず驚いた。 いや、もっと驚いたのは二人がマッパだったってことだ。 カー○ックスなんて言葉も浮かんだが、そうでないことはすぐに分かった。 二人は、完全に裏返しになっていたのだ。おれは大声で叫んだ。 「裏返しだ!裏返しで死んでる!」すぐに人が集まってきて、現場を覗き込んで、俺と同じ言葉を繰り返した。だから、皆助かったのだろう。 Aは、逃げるように帰って言った。 俺はこんな話、無論信じないが、一応この話を書いて、予防しておく。 後は、19:30までに誰かが読んでくれればいいのだ。 肝心な部分を読んでいないと、カウントできない。
1480 :名無しさん :2012/04/07(土) 19:20:44 ID:wBn3/.tw0 まだ少年だった時の話。 祖父に桜が降り注ぐ道をいっしょに散歩した。その時の人数は4人。兄と姉と俺と祖父 兄と姉は今は別居なので歳はわからなかったが、その時の俺の歳は4歳。何で覚えてるかと言うと 衝撃的な事だったからだ。兄は音楽聴いてて姉は桜を見ていた。俺は祖父に手を繋がれて歩いていた。 わずか4秒の間に起こった事だ。祖父が俺の手を離し、何かと思って祖父の視線先を見ると 着物姿の黒い人形があった。って言うより大岩の上に立ってた。俺は「爺ちゃんあれなにー?」と幼げな言葉を話した、が無視された。 いや、あれは聞こえなかったのかもしれない。その2秒後に「ヒギャアァアアァアアアア」と大岩の方向から聞こえた。 俺・兄・姉は同時に視線をそちらにやった。人形の顔は真っ赤になっており、腰にあった刀が腹に突き刺さってた。 兄は「うおおおおおおおおおお」と声を上げた。俺は失神した。記憶はそこからない
1481 :名無しさん :2012/04/07(土) 19:28:38 ID:wBn3/.tw0 ↑の兄の話 まだ小3の頃。何故かクラスに1人だけイヤホンを耳につけている奴がいた 授業中もそいつはイヤホンを耳にしたままだった。先生にちくる奴がいたが、先生は「ああ、あの子はいいんだよ」と言って 教室を出て行った。あるいじめっこ(自称)がイヤホンをあいつから取り上げたそして耳に装着(いじめっこが) その瞬間にいじめっこが「うわああああああああああああああああああああああ」と叫んだ。あいつはイヤホンを取り上げ 自分の耳にはめた。その時の顔がニタァとしてた。保健室に運ばれたいじめっこは、後にこう言った 「イヤホンから・・・たくさんの悲鳴が聞こえた。」そして俺が気づいてた事。それはイヤホンだけあいつは耳にはめてた。 つまり音楽は聴いてなくイヤホンのみを耳にはめてた。という事だ。
1482 :ほんとにあった怖い名無し :2012/04/09(月) 13:47:20 ID:2Paxmpfk0 どうも、お久しぶりです、名無しです。 この前H君と事故にあいました。 お互い怪我もなく、後ろからかまを掘られただけで済みました。 さて、またある意味怖い話をひとつ… あれは僕が20歳の頃でした。 僕と友人KとY君、そして3人の彼女である、M (僕の彼女)とUちゃん(Kの彼女)とSちゃん(Y君の彼女)の合計6人で3泊4日の予定で某温泉街に行きました。 Kが予定を組み立て、Y君が3泊分の宿を予約し、僕が運転する、といった分担です。 そして、Y君が予約した旅館は2か所とも露天風呂は混浴でした。 ここで補足、Y君はとてつもなく変態である 初日に色々と観光した僕達は、1泊目の宿に入り、食事を堪能していました。 食事も終わり、お風呂にも入ろうという話になったので入りに行ったんです。 そこでは何もなく、普通に部屋に戻ってきまして、部屋は3組別に取ってあったので、2人ずつになります。 もちろん夜はあっちのほうに燃えるわけなんですが、その行動も数回終わったのち二人で露天風呂に行ったんです。 そしたら、全員勢揃いしていまして、また6人で入ってたんです。 10分ほどで僕とY君が先にお風呂から出て部屋に戻りました。 そして僕の部屋でY君と猥談をしていました。 それから30分経っても4人は帰ってきません。 Y君と長風呂だなーと話していたんです。 それから更に30分経っても帰ってこないので、不審に思った僕とY君は露天風呂まで見に行ったんです。 そしたら…… K達が4Pしてました… 僕とY君は泣きながら部屋に戻り、何事もなく過ごし、翌日意味不明な理由で先に帰りました。 K達は3泊4日全てを堪能して帰ってきましたが、その4日間で何回ヤったんだという事しか、僕とYの頭にはありませんでした。 もちろんY君とSちゃんは別れました。 僕もMと別れました。 しかし、それから長い間、K達は4人で関係があり続けました… こんなんされたら信用出来なくなりますよね〜
1483 :名無しさん :2012/04/09(月) 16:04:06 ID:Ylro4vVw0 >>1482 >>1
1484 :ほんとにあった怖い名無し :2012/04/09(月) 17:31:07 ID:960MY9lU0 冷静にツッコまれた あ、載せるとこ間違ったorz
1485 :零感 :2012/04/13(金) 14:00:32 ID:wYQWIbYAO 現在進行形の話。 我が家は貧乏だ。 冬は隙間風が入りまくって顔が凍るくらい寒い。 ちょっとずつ暖かくなって来た最近だが、夜はやっぱり寒い。 まだまだ寒い時期なのに、ここ2、3日大量の寝汗をかく。 寝る前まではガタガタ震えてるのにだ。 毎回、朝4時ちょっと前に汗びっちょりで目が覚める。 パジャマだけじゃなく毛布までビチョビチョ。 『もしかして寝てる間に体温が上がるからかな?』 と思い、寒いのをガマンして毛布1枚で寝てみたが、やっぱりビチョビチョ。 どうしたもんかと昨日は、Tシャツ1枚だけ着て、掛け布団は夏用の薄い毛布にしてみた。 夜中、2時45分に目が覚めた。 まだ汗はかいてない。 トイレに行って、もうひと寝入りしようと布団に入った。 ウトウトし始めたころ、いきなり嫌な雰囲気に包まれた。 言葉じゃ説明できない、得体の知れない『恐怖感』。 いつも寝る時は水晶のブレスレットを頭もとに置いてあるんだが、思わずそれに手を伸ばし手首に装着。 無視してりゃそのうち変な雰囲気も消えるだろうと、寝る事に専念しようとした。 でも雰囲気はなかなか消えない。 5分か10分か経ったころ、頭の上の方から 『‥っつ‥‥‥ぁっつ‥‥』 と男の声っぽいのが聞こえた。 自分の声か?と思ったが自分は女だwそれに目は覚めていたから寝言でもない。 『あー‥寝汗はコイツのせいかぁ‥』 と何でかそう思った瞬間、体が熱くなりだし汗がジワジワと出て来た。 『ウゼェなぁ‥死んでまで人様に迷惑かけんじゃねぇよ‥こっちは熱くもねぇし汗なんかかきたくねぇんだよ‥どっか行けよメンドくせぇ』 と本気でイラついていると、知らない間に寝てた。 汗はかいて無かった。 変わりに喉が痛い。 薄すぎる格好で寝たせいで風邪をひいたらしい。 どっちにしろウザすぎるアイツめ。 今日も来たらどうしてやろうかと思っているが、とりあえず寝る時に薄着にするかどうしようか迷う。 ウゼェからもう来んなやクソ野郎が(怒)
1486 :死角100個 ◆wzL.vivC3w :2012/04/28(土) 14:56:10 ID:6wJmnrvo0 昨日の修学旅行での話。帰りのバス。 俺は左隣にT。そして右隣にM、Dが座っていて、後ろには S、Y。そして学校につく10分程前。俺は残りシャッタ―数が 1だったので最後に何処を撮ろうかと発言。 T「心霊写真。」M「そう簡単に撮れねーぞw」 S「だったら俺の家こい。」俺「何で?」 S「俺の家の近くが墓だ。」俺「墓撮るかー。」 そしてしばらく談笑。 しばらくして… M、D、T「墓だ!」俺はMにカメラを渡した。 Mは笑っていたがヤバい…と思ったらしく「呪われるぞ?」とか なんとか言って撮ろうしない。仕方がないのでMからカメラを返してもらい シャッターを押しフラッシュ撮影。フラッシュで墓が光る。 その時。笑う皆をよそに…俺は見た。墓の横に立つ何か…を。 その後Yに聞いた話だが安物カメラは暗闇をフラッシュ撮影すると 逆光で真っ白になっちまうんだと。写真を現像したが何もない。 白い写真。でもビビったぜ。
1487 :ホラー好き :2012/04/28(土) 21:41:16 ID:j0I8nw8Q0 これは俺が前にいた職場で体験した話 2年ほど前、千葉の田舎の方でオペレータをやっていたんだ 夜勤になると数名しか残っていないんだが、ある階にオフィスがあって皆そこに集まって仕事していた だが、俺のチームは他の階に行って機械の調子を見る作業があって、ある日俺はその作業をしていた そしたら、俺の横を一人のおっさんが歩いて通って行った 作業が一段落して暇になった俺は、その人と話でもしようとその人の行った方向へ向かった 二つほど機械を挟んだ奥にそのおっさんがいて、何やら作業をしていた 不思議な事に俺はそのおっさんに見覚えが無かった でもまぁ、自分と同じ作業着を着ていたので、「最近新しく入った人だろう」くらいに思って気にも留めなかった 感覚で5〜10分(時計を見てないから定かではないが)話して「さぁ戻ろう」と俺は部屋を後にした、その時だ 各部屋の照明は点ける時は手動なのだが、消す時は最後の人が部屋を出ると自動的に消える設定になっている 俺はついさっきまでおっさんと話していた、おっさんはまだ作業をしていて、俺が先に部屋を出たはずだ だが照明は、俺が部屋を出た瞬間に消えたのだ 「やべ、電気消えちった!まだ人が残ってるのに」と思い、急いで戻って照明を点け、おっさんに謝りに行った しかし、おっさんはそこにはいなかった 部屋の中を隅々まで探したが、おっさんの姿はどこにもなかった オフィスに帰ってから仕事仲間にその事を話した おっさんの特徴も話したのだが、皆して「そんなおっさんここにはいないぞ・・・」と言うのだ 俺は誰と話していたんだろう・・・
1488 :ホラー好き :2012/04/29(日) 21:45:27 ID:XiXS5BIc0 これも>>1487 と同じ職場であった事なんだが 社内のドアはセキュリティーロックがかかっていて、虹彩認証や社員カードで開くようになっている もちろん、ドアの前に立っただけでは開く事はない ある階は、虹彩認証のドアと社員カードのドアがあり、その先にエレベータがあった 俺が虹彩認証のドアに近づくと、ドアの近辺に誰もいないのに自動的にドアが開いた それだけならドアが誤作動しただけだと考えられるが、その先の社員カードのドアも開いた その先のエレベータのドアも開いた・・・ もうこれは誤作動では説明がつかない あの時、そこには誰がいたのだろうか・・・
1489 :死角100個 ◆wzL.vivC3w :2012/04/30(月) 06:27:11 ID:v5zDqCxY0 俺が定職に付けずバイトをしていた時の話。ローソンで働いていた。 毎日来る客がいた。俺より前からバイトしてる川口と仲がいい。 店長の従兄だそうだ。毎日ソーダ水を買っていく。 そして店長の誕生日が来て。みんなでお祝いをした。酒も頼んだ。 店長の従兄もいた。酒を飲んだ俺らはふらふらになった。 そして店長の従兄が俺に酒を注いだ。碗からあふれ出ている。 俺「ちょっと。」店長の従兄「…」俺が碗を酒瓶から離そうとすると 腕を掴まれた。力がかなり強い。俺「おい!」店長の従兄「フフフフ…」 俺「やめろ。やめろ。やめろ。」店長の従兄「アハハハ!」 店長の従兄は狂ったように笑い続ける。店長「こら、やめろ!俊也!」 店長の従兄(以下俊也)「馬鹿め…が。」店長「あん?」 騒ぎで川口。吉村。村上。副店長が休憩室から飛び出て来た。
1490 :死角100個 ◆wzL.vivC3w :2012/04/30(月) 06:38:31 ID:v5zDqCxY0 俊也「許さん。許さん。許さん。許さん。許さん。」 店長「おい。どうした。正気か!?」 俊也の声はジジィの声になっている。 救急車呼んだ。 救急車を待ってる間店内をめちゃめちゃにしやがった。 そして精神病院行き。だが、精神病院を抜け出て、また来た。 そして殴られた。歯が抜けた。あいつはジャイアンよりオソロシイ。 強暴すぎる。俺からすれば人生で一番怖い目にあった次の日。 休みだったので貯まった金でパチンコをやりにいった。場所取りもした。 トイレに行って戻ってくると、俊也が座っていた。俺は「ひぃ!」 と言ってしまった。すると俊也が立って「ブッ殺す。」と言った。 俺は全力で逃げた。タクシーに飛び乗り、運転手に「隣町まで!」 そしてその日の夜ににまた帰り。荷物をまとめ町を出ようと決心した。 夜中2時ごろ…軽トラをはしらせ隣町へ…だが、バックミラーをふとみて ションベンちびった。俊也が高速道路を薙刀を持ち走っている。 俺「うわっしゃーーーーーーーーーー!」と意味不明な雄叫びをあげ アクセル全開で逃げた。怖かった…ションベンびちょびちょだよ。
1491 :名無し :2012/05/02(水) 13:09:41 ID:STwktbRg0 ↑国語の授業サボりがちだったんですね。
1492 :ホラー好き :2012/05/03(木) 02:10:23 ID:C3jpAFDs0 >>1489 >>1490 どんだけ俊也に恨まれてるんだよ!wwwwwwww 俊也になにをしたんだwwwwwwwww
1493 :カイ :2012/05/03(木) 23:45:34 ID:MgllQdmw0 俺が風呂はいてった時、窓がガタガタと揺れて、風吹いてのか?とか思って窓を見たら人がいて、もう一回見たら、いなくなっていた。(コッ○リさんやったのがまずかったか?)
1494 :名無しさん :2012/05/04(金) 11:04:15 ID:pz1BQnDM0 http://xvideos697.blog.fc2.com/
1495 :外と内 :2012/05/04(金) 12:32:45 ID:dCBefS7g0 まぁずっと前にあった話で心底恐怖感じている。今も思い出すだけで肩が震える これから先少なくとも俺は寿命で死ぬと思うんで書いておきます。 家をリフォームした。前から古い家だったから台風が来る前に祖父と父が話をした結果 リフォームになった。アパートはどれも俺が通っている高校より遠い為、俺は昔にお世話になった部の 先輩の家にリフォームするまでの期間住む事となった。先輩はその事に了承した(ちなみに先輩は1人暮らしだった) 家に入ってからか、何か普通とは違う感じがした。例えるなら家にいるはずなのに何か外にいる感じ。すまん例えになってない F「先輩なんか変な感じがします」とはさすがに言えなかったので、F「先輩、いい家ですね!」とお世辞を使った。しかし先輩は ずっとニコニコしたまま何も言わなかった。でも何故先輩は俺が住む事に了承したんだろうか?先輩一応女・・。まぁ それ言ったら俺の方が怪しくなるか。そして初日の出来事は終わった、と俺自身思っていた。 F「ん?」 目を開けるとそこは家の部屋ではなく、真っ白い世界。そこには目を開けた俺とベンチが1つあった。F「何だここ・・・。つーか何故ベンチw」 など思っていて最初は夢かと思っていた。しかし時間が過ぎている?のかはわからないがその白い世界から目を覚ます事ができない。F「嫌に長い夢だな・・・。」と心の中で呟いていた あれからどれぐらい時間が過ぎたのか・・・目覚める事は無い。たぶん一週間は過ぎた。時間の経過は俺をそれぐらいまで長く感じさせた F「腹・・・・減った・・・。」このままでは栄養失調で死んでしまう。しかし何もできない。 そして俺は 1度死んだ。 気がついた。そこは先輩の家だ。部屋だ。そして先輩が俺を見ていた。すごくニヤニヤしながら。
1496 :外と内 :2012/05/04(金) 13:04:49 ID:dCBefS7g0 俺が目覚めた時に一番初めに思ったのは時間だった。F「先輩今日何日ですか?」と聞く 死んだはずなのに生きてるとか白い世界はなんだったとかは言わなかった。すると先輩は L「今〜?昨日から1日後だよ〜?」とニヤニヤしながら言う先輩。L「そんな事より早く学校行った方がいいんじゃない?」 そう言われて俺は学校に行った。その間1人でブツブツ言いながら歩いている俺。まぁいろいろ疑問があったから仕方ない M「よっ!」F「(´−A)!」そいつは俺に向かってかばんをぶつけた。F「痛ぇ・・・。」M「何ぼさっと突っ立ってんだよそんなんじゃ事故るぜ・・・て・・・F・・・さん?」 F「ァハハハハ・・・・覚悟・・・できてる・・・よな・・・?」俺は得意の南斗聖拳で奴を切り裂いた。 〜学校〜 I「F〜次体育だぜ〜ってか元気無ぇな〜」R「私としてはM君が南斗聖拳喰らった様子から見ると相当むかついてますね・・・。」J「早く着替えようぜ。また山猿(先生のあだ名)から 無想転生喰らう前にさ。」そう言って俺らは第二体育館へと向かった。しかし時間は速く、俺達全員は山猿の無想転生をうけた。(すごく痛い) そして授業時間後半の時に隣クラスのAが話かけてきた。A「F?今日は俺ん家来るか?」F「は?何で?」A「だってお前ひt)山猿「おいお前ら話を聞け!また無想転生喰らいたいか?」 会話は途中で途切れたがAが何を言おうとしてたのか気になった。そして給食時間にも気になる会話がある。 S「ねぇあんた。今日何かあったの?」F「なんで俺の周りには予知できる奴が多いんだろうか・・・。」S「よかったら今日家に来る?」F「Aにもさっき誘われたけど何で?」S「あんた気付いてない?鏡見てみなさいよ」 そう言って手鏡を渡すS。受け取る俺。見た時俺は凄い衝撃を受けた。額に・・・何かいる
1497 :外と内 :2012/05/04(金) 13:29:24 ID:dCBefS7g0 何だ・・・これ 額に虫?か訳がわからない生き物の跡があった。S「これ私もなった事あるの」F「いつだよ?」S「姉の友達の家に泊まった時」 気味が悪い。そしてショックのあまりか、給食食べてる時にリバースし、保健室へ連行された。しかしいっしょに来た奴がSと何故か隣クラスのA AとSは保健室で俺をベットに寝かせた後(先生はいなかった)Aが言った。A「俺さ、兄貴の誘いでさ、Lって言う人と兄貴と俺3人でLさんの家で寝た事があるんだよ でもさ・・・あそこで寝たら何でか真っ白い空間に行ったんだよな・・・。しかも何故か一回死んだ。その後額に変な跡ついてたんだ」S「えっ??」F「Aお前もかよ!」とっさに声を出してしまった F「今だから話すけどさ、俺そのL先輩に泊めさせてもらっているんだよ。てかS!俺をそんな目で見るな!家リフォームしているからだよ。L先輩も了承してくれてるんだよ」 S「私も全く同じ・・・・。」A「なぁF。今日俺達も泊めさせてくれねぇか聞いてくれ」S・F「はぁ?なんで?」A「お前ら全員が体験してんだ。あの家で。何かあるぜ・・・。」 下校し2人は準備してきて俺は公園で待っていた。L「あれ〜Fじゃん。何で公園なんかにいるの〜?」噂のL先輩が帰ってきたのか公園に座っていた俺に話しかけてきた。 F「先輩ちょっと頼みがあるんすけど・・・」L「え?まさか〜童貞の卒業手伝ってほしいとk)F「俺の友達今日家に泊めてもいいですか?」先輩が危ない発言する前に俺は用件を言った L「何だ〜そんな事か〜それなら別にいいよ」と先輩は何故か残念そうに言った
1498 :外と内 :2012/05/04(金) 19:03:14 ID:vXbpGwjA0 先輩と公園で待ってると、A・Sが来た。 F「で、何でお前らも来んだよ?」I「何良い体験しようとしてんだよ?見逃す訳ないだろ?」 M「うむ(`・ω・´)」 F「わかったからそのうぜぇ顔やめろ」L「あら?また増えるの?」F「はい・・・すいません。」 L「多いのは嫌いじゃないから別にいいよ」そう言って先輩は家に向かった。俺達も続いて歩いた。 家に着いた時にはAとSの顔の変わり様がわかりやすかった。そして先輩の家に入った。またアレが始まるのかな?そんな事を思いながら 夜(目的)になるまで何とか先輩のタンスに近づくIとMを飛翔白麗で止めながら。そしてやかましいぐらいの夕食を済ませた後自分達が寝る部屋にA・S・F(俺)で行った MやIは先輩と話し続けてくれててリビングに縛り続けたため、俺達はある計画を実行した。それは先輩の家に何があるのかを探る計画だ。 手分けして結局わかった事は、畳式の部屋しかないという事だけだ。そして俺が昨日寝た部屋に、F(俺)・M・I・A・Sという感じで寝た。 今更なんだがSは女だ。しかもかなりかわいい。思春期と言う物を完全に無視している空間だった。そして俺の記憶がまた途切れた またアソコだ。あの真っ白い空間だった。しかし絶望感なんて物はそこには存在しなかった。 I「おい!F!Fだよな??」F「・・・・あれ?お前もか・・・てかMもいるし!」そこには俺だけではなく、MやIが居た M「夢じゃないみたいだな・・・。なんだここ」F「俺も昨日ここに閉じ込められて死んだんだ。」I「は?じゃあ何で今いるんだよ」 F「俺気が付いたら先輩の部屋に戻ってたんだ。」I「もう何がなんだか・・・つーかあれ何?」Iが指を向けた方向には昨日あったベンチがあった。 F「昨日もあったな・・・。何だあれ。ベンチだよな?」M「俺見に言ってくる」I「あ、待てよ!」F「おいお前ら!」 そんなこんなで俺達は真っ白な世界を走り続けた。ベンチはまだまだ向こうにあった。そして何分走ったか覚えてないが、やっとベンチに着いた。 しかし愕然とした。ベンチには ゛先輩の死体゛があった。I「ぎゃああああああああ」Iは発狂した。俺は1回死んでいる為あまり衝撃は受けなかった。 しかしMの様子が変な事に気付いた。M「・・・。」Mは何も言わずIは怖さのせいか泣いていた。そしてしばらくしてMが M「なぁF。ここ来て死んだ。と言ったな。」F「あ、ああ」M「じゃああれはなんだ?」Mは顔を向けた方向を見た そこには A と S の 死体があった
1499 :ホラー好き :2012/05/04(金) 20:14:41 ID:qBhri8oM0 俺が卒業した専門学校では、毎年スキー旅行があった 俺はスキーを滑れなかったが、仲のいい友達の誘いで一緒に行った 友達は初日だけ初心者コースで付き合ってくれていたが、俺がコツをつかんで滑れるようになると 皆上級者コースへ行ってしまい、俺は一人で滑っていた 辺りには他の客も誰もいない初心者コースで、俺は何回も何回も滑っていた 疲れがしだいに足に来ていたが、夢中になっていた俺はそんなことには気づいていなかった 何十回と滑ってる内に足の疲れがピークに達し、足に力が入らず曲がれなくなっていた 目の前にはカーブ、その下は崖・・・ 曲がろうと足に力を入れても上手いこと曲がれず、吸い込まれるように崖の方へ一直線 「もう駄目だ!」と思ったところで転ぶことができ、崖の直前で止まる事ができた 後もうちょっと転ぶのが遅かったら、崖の下に落ちていたかも知れない・・・
1500 :カイ :2012/05/04(金) 20:48:19 ID:CcXRNbrM0 崖から落ちかけるって さすがに経験ありません。そうゆう怖い時どんな感じしますか
1501 :ホラー好き :2012/05/04(金) 20:57:28 ID:qBhri8oM0 カイさん 1回や2回なら「危なかった〜」って思うだけだけど 何回もこんな事あると、何かに守られてる気がしてくるよ 実際なら死んでるところを、見えない何かが助けてくれてるとか 俺の守護霊なのかなぁ?
1502 :外と内 :2012/05/05(土) 18:59:41 ID:OvW49P5A0 ここまでの流れ、いや脳を加速させて考えるとL先輩はこの家でいや、この場所で死んでいる。 それと同じくSやAもここで死んでいた。しかしAもSも寝た時間は俺達と同じ、仮に前ここで死んだ人間が現在もこの世界では死んでいる という設定は俺が生きている限りありえない事になった。それらは俺達3人の頭で考えられる事であった。よって3人供意見は同じ しかし自然に起きるという行為は無くただ時間が過ぎていった。そんな時間の流れにMがとてつもなく大切な一言を口に出した。 M「この部屋さ、壁ってあるのかな?」頭が大変悪い俺はそんな事は考えなかった。そうだった壁があるんじゃないか?しかし先程と同じ様に この世界には真っ白い空間が広がっているだけでベンチまで走っただけでかなり距離があったと思う。しかし昨日みたく死ぬのは嫌だ。なので 最後の抵抗といった所か俺達は3人供全力で走った。 あれだけ走ったが何も見つからない。壁なんてなかった。I「俺達まさか死ぬ?」M「何か腹も減ってきたし・・・マジで死ぬかもよ?」 その時だった。『ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ』 謎のサイレンがなった。昨日はなかったのに!と俺は思いつつ、なんだよあれとかうるせえとかの突っ込み(IとかMの)を待っていたが、2人はしばらく黙ったまま、 独り言を言い始めた。大体の内容は「〜〜〜で〜〜いの〜〜ですか?」とか「〜〜〜たす〜〜〜な〜〜なんで〜〜か?」など言いあってた。俺はお前ら等々頭いかれたかと思ったが、 またしばらく独り言を言い続けた彼らは俺の方向を向き、M「また明日な」I「学校に来いよ」など言っていた。 そして目が覚めた。死なずにあそこを出られた事に自分を褒めた。しかしAとSの姿はあるものの、MやIがいない。しかし荷物も無くなっているし、靴も無くなっていたので 先に帰ったとアホの俺は思い込んでいた。
1503 :外と内 :2012/05/06(日) 19:15:20 ID:kSebrzss0 あれから3日が過ぎた。学校には休まず行っているがあれからMとIの姿を見なくなった。最後に会話した俺は あの2人の最後の会話者として行方を知る必要?がある為先生にも行方は聞いたが、答えは同じ「ひきこもり」の一言で済ませられる よくよく考えてみれば不思議な空間にいるのにまた明日な、とかの会話はまじでありえないと思った。時間は一向に過ぎてゆき、ある問題が起きている。 AとS、あの二人の存在だ。今までは俺達と会話しているだけと言う友達だったのだが、Aのクラス、Sのクラスでの出席簿の事だ。前に給食時間と思って同じクラスだと 思う人も多いと思うが、Sとは全くの別のクラスであり、大食管を取りに行った時にたまたま出くわしただけ。そして今まで出席簿の確認などやらなかった俺が何故やる様になったかと 言われれば昨日見たA、Sの死体。俺は確かに前の日に死んでいたが次の日(昨日)は生きていた。なのに彼らは同じ時間に寝たはずなのに死んでいる。これらから考えられる事は、2人はもう死んでいるのではないか? そしてL先輩ももう・・・。など考えながら、俺は放課後に確認に行った。 思った通りだった。2人はこの学校にはいなかった。いや、生きている・・・のかもしれない。担任(AとSの)に聞いた所、2人は転校と理由になっていた。 しかし思わぬ所で恐怖した。F「その転校する前の家ってどこですか?教えてください。」担任0.1「○○市○○区002だったな」担任0.0「偶然ですね。Aもですよ。」そこの場所の家に行く俺。しかしそこに着いて俺は目を窺った。そこは L先輩の家であった。
1504 :名無しさん :2012/05/07(月) 12:16:19 ID:mVcvXw.M0 >>1502-1503 少しも面白くない。文章を整えろ
1505 :ホラー好き :2012/05/07(月) 12:38:48 ID:yQaDMMtE0 外と内さん 無駄が多い、いらない所は省いけ それと、登場人物の説明がねぇ いきなりAとかFとか言われても「そいつら誰だよ!」ってなるだろ 担任にいたっては担任0.0、担任0.1って・・・ 担任1、担任2でいいだろ! 突っ込みどころ満載である意味面白いけど、怖くは無い スレ違い・・つかサイト違いだと思うから、他行って
1506 :名無しさん :2012/05/07(月) 15:53:23 ID:4Wo4lwB60 >>1502 の文章も糞だと思うが、ホラー好きとか言う奴がスレにことごとく現れてんだよね 同一人物だとしたらそんなに運よく怖い体験ができるのか聞きたいね。ほとんど創作か?
1507 :ホラー好き :2012/05/07(月) 16:38:00 ID:yQaDMMtE0 >>1506 全て、同一人物の体験談だよ 何度も怖い思いすることが「運が良い」とは思えないけど
1508 :名無しさん :2012/05/07(月) 18:49:21 ID:4Wo4lwB60 それって単に不幸なだけか?死なん事を祈る
1509 :ホラー好き :2012/05/07(月) 19:04:33 ID:yQaDMMtE0 >>1508 事故に巻き込まれる不幸と、事故から生還する強運を併せ持ってる 幸せではないかも知れないけど、たまにはこういうスリルを味わうのも悪くない 退屈しないで済むよwwww
1510 :ホラー好き :2012/05/07(月) 19:18:47 ID:yQaDMMtE0 ここに書いても面白くない事だけど 死にかけた経験はまだあるぞ 俺が高校生の頃、レストランで安いステーキを食べてた時 なかなか肉が噛み切れず、あごも疲れてきたんでそのまま飲み込んだら喉に詰まった 手元に飲み物が無く、助けも呼べずしばらく苦しんでた なんとか吐き出す事ができたが、あの時間はマジで恐怖だった
1511 :戻す :2012/05/08(火) 17:08:39 ID:FdDmJqLM0 「僕は時間を戻す事ができるもんね!」と言っていた友人が交通事故で死んだ。俺ら小学生だった為 衝撃を与えられた。しかし友人を悪く思う奴らは、『悔しかったら時間戻してみろw」などと友人の墓の前で言う始末。 しかしそれから間も無くして友人が学校に来た。そしてそいつら(友人を馬鹿にした御一行)を肉が真っ赤に染まるぐらいに殴りつけていて、 先生に友人が来て△△達(友人馬鹿にした御一行)が殴られてると伝えたが、先生は「え?○○(友人の名前)君?何言ってるのあなた達。」と小馬鹿にしたかは知らないが先生はそう言った 仮にも暴力が振られてる事に遅かれ気付いた先生は、駆け出してゆく。しかし教室には○○はいなかった。しかしあの△△達が自分等を殴りあってる。しかもニタニタしながら・・・気味悪いと当時の俺に 恐怖を与えた。今思えばその日に似た日がずっと前、まだ○○が生きていた時にあった。もしかしてほんとに時間を戻したのかもしれない。 でもその場合あいつ自分が死ぬ前の時間に戻せばいいのに何で戻さなかったんだろうか? で、△△等は今も生きている
1512 :後書き :2012/05/08(火) 17:18:12 ID:FdDmJqLM0 すまん言い忘れてた事がある。その友人の墓にあったはずの遺骨が△△達の部屋に何個か 何個かあったらしい。後は全て友人の自宅だそうだ。あとその喧嘩の日の午後、 △△達に何故殴りあったか聞いた先生、口にから出た言葉が、「こいつが殴ってきた」しかも△達全員がそう言っていた これは時間を戻す、とは違って幽霊として出てたのかもしれない。でも何故笑いながら?そして俺には友人が見えていた。
1513 :死角100個 ◆wzL.vivC3w :2012/05/08(火) 18:35:59 ID:wxcrpkxo0 kからの話「武士への挑戦<敗北編>」 kは登山をしていて山の頂上付近の苔石にガムを捨てた。 そして無事に帰宅。部屋に誰かいる。武士だった。 kはヤクザだった時もあるので恐れることなくぶん殴る。 でも無理だろう。そして武士は消えた。その日の夜金縛り 目をあけると武士ちゃんではありませんか。槍を持っていた。 こえーこえーと思ってたら声が出ることに気付いて。 k「何やっとんじゃゴラァー!!」 武士「お主汚れし物…」あとわかんなかったらしい。 k「知らんわゴラァー!」金縛りを無理矢理解いて 回し蹴り。だけど向こうは刀。k「え?」 足から出血。そのまま倒れ込み朝。痣が付いてた。 部屋中の物がブッ壊されていた。大惨敗。
1514 :後書き2 :2012/05/08(火) 18:39:39 ID:FdDmJqLM0 疑問に思ったことなど書かれる前に書いておきます。 遺骨がなぜ友人のだとわかったかと言うと、友人は事故にあって電柱に頭をぶつけたため 頭蓋骨が割れ、手足の骨が砕けております。友人の両親はそれらが自宅にあったのに気付き、さらに 新聞に△等の家にばらばらに砕けた人間の骨、と出ていたのを父(友人の)が確認。よって友人の墓を調べると 骨が無かった為友人の骨と確定。それらを何処で聞いたのかは、全て友人の母からです。個人の話ですが、友人母と 俺の母は昔から仲がいいので情報をこちら側に偶然言った。そして母が俺に食卓後に話す。と言った具合になってます 文章下手で申し訳ありません
1515 :死角100個 ◆wzL.vivC3w :2012/05/08(火) 18:44:33 ID:wxcrpkxo0 「武士への挑戦<撃退編>」 kはネットで調べると霊の弱点は塩。 ポケモンみたいな考えで 塩タイプ vs 幽霊君 ↑攻撃。効果は抜群だ! そんな感じで次出たらぶちかましてやろうと思ったらしい。 そして出たー!!キタ――!と言わんばかりに塩をふりかぶって。 投げました! ぱさぁー… 消えた。やったぜと喜んでいたのも つかの間、金縛りだ。でも塩があるさ。それ!バサァ〜ン。パサぁ〜ん。 でも瞬間移動。そうだ!kはひらめいた。便所に逃げ込んだ。 そして武士がかかってきたところを奇跡的に回避。 便所に閉じ込めた。武士モンGETだぜ!! そして中から。ドン!ドン!バン! 塩を戸の隙間から投入。音がなくなった。撃退。
1516 :死角100個 ◆wzL.vivC3w :2012/05/08(火) 18:53:25 ID:wxcrpkxo0 「武士への挑戦<勝利編>」 kはあの苔石の元に向かった。 金属バット片手に…夜中にバイクで。 そして到着。苔石を真っ二つに割った。 すると出た。塩付きバットを取り出しブン! カキ〜ン! k「野球部補欠なめんなよ!」 武士「おもしろい。儂を倒したら成仏しよう。」 そしてチャンバラ。真剣勝負。ソラが明るくなってくる。 そして塩付きバットで頭をやった!勝った! 武士「儂の負けじゃ。」すぅーと消えた。 ソラに赤き魂が登る。絶景だ。kはボロボロ涙を流し。 二つに割れた苔石を立て直し、もっていたじゃごりこを御供え。 手を合わせた。勝利した。
1517 :名前が消滅した奴 :2012/05/12(土) 18:12:49 ID:W51Ri2UE0 自動販売機があったんだ。喉が渇いたから小銭を入れた。 チャリ〜ン。 ウーロン茶ボタンを押す。 ピポパピ。ちろろろり〜ん。 「アハ。」 がったん! 何だ今の声? もう一回やる。 ちろろり〜ん。「アヒャアハァ。」 うわー… もう金ない。 気になって仕方なかった。 俺は馬鹿なもんでハンマー持って来て 販売機を叩く。「痛ッ!」 仲間を呼んで皆で蹴る。 自動販売機が倒れる。 「 おまえらぁ〜。▽▲×※ー! 」 みんなで絶叫して逃げる。 声だけならあんまり怖くない。 仰向けに倒れた自動販売機の当たりとか でるメ―タ―に 人間の目がうつっていた。 もう自動販売機は嫌いです
1518 :ホラー好き :2012/05/12(土) 18:43:35 ID:AebhrSvk0 >>1517 君の脳内がカオス過ぎて怖いwwww
1519 :名前が消滅した奴 :2012/05/13(日) 06:48:49 ID:D4uyeU/g0 >>1518 chaosではありません。馬鹿なだけです。 義務教育は一応受けましたよww
1522 :ホラー好き :2012/05/23(水) 00:04:38 ID:Zdqjmn5o0 >>1520 見たまんま出会い系だなwww>>1521 何に自信があったらメールしたらいいんだろうなw(字間違えてるし) ストリートファイトとか?wwwww 美沙「あたしに勝てる自信のある奴、メールで挑戦状送ってきな!」みたいな?
1529 :ホラー好き :2012/05/23(水) 18:53:15 ID:Zdqjmn5o0 アンドレイさん 十分怖いじゃないですか! 今時の素人娘とヤリまくったら、どんな病気もらうかわかんないよ? 避妊しないくせにエロい事ばっか覚えて、大勢とヤリまくってんだからwwww
1532 :アンドレイ :2012/05/24(木) 20:31:24 ID:ovLHzcxs0 『お前はなにをいっているんだ(笑)』 意味考えたら怖いかもしれないけどね、僕はそっちの怖いじゃなくあっちの怖いを覚えたよw
1533 :ホラー好き :2012/05/25(金) 16:01:42 ID:sAIwwXds0 ビッチどものレス消したなら>>1522 と>>1529 も消してほしかったなぁwwwww
1534 :アンドレイ :2012/05/25(金) 18:12:36 ID:.LTNq4PQ0 何故僕のコメまで消されたんでしょうかね?www
1535 :名無しさん :2012/05/25(金) 18:17:53 ID:lIsV5o6c0 晒しageってやつだろ
1536 :ホラー好き :2012/05/25(金) 18:32:06 ID:sAIwwXds0 >>1535 管理人が、俺がドMなのを見抜いて俺を晒したのか!?wwwww
1537 :怖くはないが・・・。 :2012/05/27(日) 07:58:36 ID:pATwYpFU0 黒歴史を書く。 中学2年にもなってお面(小面)が死んだ爺っちゃんの部屋にあったから それ着けて学校へ行く。先生に何か言われたが、黙っていれば怖くなるため ずっと黙っていた。すると恐怖が限界までに達したのか先生がお面を外しに来る。 外した先生の顔が異常なまでに青ざめていき、最終的には全力疾走された。 お面を着けトイレの鏡で顔を見るがなにもない。いったい先生には何が見えたんだろうか?
1538 :ホラー好き :2012/05/27(日) 21:15:23 ID:PIijE5Gg0 >>1537 文章がイミフで怖いwwwww 先生が見て青ざめたのは、仮面を外した生身のお前の顔だろ? んで、お前がトイレの鏡で確認したのは仮面の顔 つまり、お前の顔の方に問題があったんじゃね? ひっでぇブサイクだったとか、顔中に無数の巨大ムカデが這っていたとか リングの呪いのビデオを見た人みたいになってたとか
1539 :ホラー好き :2012/05/28(月) 00:40:03 ID:IaRdwPKI0 ちょっと前のことなんだが 学生時代の友人(♂)が久しぶりに連絡してきて 「一人暮らし始めたんだ、遊び来ないか?」と誘ってきた その日は暇だったんでOKして行った 最寄の駅で待ち合わせして、コンビニで適当に食い物買って向かった 超ふる〜いアパートだった 「まぁ、男の一人暮らしならこんなもんか」と思っていたんだ 友人が玄関のドアを開けるまでは・・・ 友人がドアを開けると、そこは魔界へと通じていましたwwww 中は、足の踏み場も無いくらいのゴミ&洗濯物の山 鼻が曲がりそうな臭気と、一気にだるくなるような熱気 そしてミストサウナも真っ青な湿気 中を見た瞬間、俺「へぇ、こんなところに住んでるんだぁ・・じゃ、帰るね(棒読み)」 友人「ちょwwwおまっwwwwwなんで帰ろうとするんだよ?(^_^;)」 俺「えぇ〜、だって俺勇者じゃないから魔王倒せないしぃ」 友人「意味わかんない事言ってないで上がってけよw」 とまぁ、玄関前で5分くらいそんなやり取りをしていたが その内俺も「せっかくここまで来たんだから」とか思っちゃって しかもなんか、中にどんなモンスターが生息してるのか見たくなっちゃって しかたないから上がらせてもらった (続く)
1540 :ホラー好き :2012/05/28(月) 01:03:11 ID:IaRdwPKI0 (続き) 玄関から見える範囲も相当酷かったが、奥は更に酷かった テーブルの上には弁当やカップめんの容器が散らばり テーブルの下にも溢れ落ちたゴミの山 その他の場所には、洗濯もされず脱ぎ散らかされた衣類 「好きなところ座って」という友人 だが、唯一座れそうなところを見て 俺「客を洗濯物(ブリーフ)の下に座らせるのはどうなのよ?(T0T)」 友人「あ、下ろしていいよ♪」 俺「お前が下ろしてくれよ!orz」 洗濯物をどかしてもらってようやく座る事のできた俺だが、 もちろん床に尻は着けません(終始ヤンキー座り) さぁ、買って来た飯を食おうってなったけど 買って来たばかりなのに・・ 腐ってるはずないのに・・ 毒も入ってないのに・・ なんか、ここでこれを食っちゃいけない気がしてきたorz でも、もう座っちゃったし、食い物の袋開けちゃったし 意を決して食事ターイム! ・・・と、その時 「待ってました」と言わんばかりのナイスタイミングで G様がテーブルの上を疾走して行った 俺は持っていた物を放り投げ 「うぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜っっっ!!!!!」と友人宅を飛び出し 「ごめんなさい!×3」「○○なんて友人は俺にはいなかったんだ〜〜〜」と叫びながら 走って帰ってきたよ
1541 :ホラー好き :2012/05/28(月) 01:06:48 ID:IaRdwPKI0 >>1539 、>>1540 台詞部分は多少面白おかしく書いてるけど その他は実話です(^_^;) 本当に友人宅は魔界と化していたし 本当に俺は食い物を放り投げて、なにかしらを叫んで走ってた あれは、体験した俺じゃないと怖さがわからんかも知れん
1542 :名無しさん :2012/05/28(月) 18:20:05 ID:PKRFMNv20 >>1541 前からお前人の事罵倒しすぎ
1543 :ホラー好き :2012/05/29(火) 16:25:02 ID:5lN4gvG.0 >>1542 >>1538 の事を言ってるのか? 不特定多数の人に読ませる文章なら、読みやすくする配慮が必要だと思うんだが 面白おかしく書くのはいいんだが、読んでる人に意味が伝わらなきゃ意味が無い 「書き込む」を押す前に、一度書いた文章を読み返して、誤字脱字が無いかとか 日本語としておかしい部分は無いか確認するくらいはした方がいいんじゃないか? > ひっでぇブサイクだったとか、顔中に無数の巨大ムカデが這っていたとか > リングの呪いのビデオを見た人みたいになってたとか ↑については、先生が青ざめた理由について可能性を述べただけだw
1544 :ライスカレー :2012/05/29(火) 17:23:44 ID:7qyNGEqk0 もういいから黙れよお前等 喧嘩はよそでやれ
1545 :ライスカレー :2012/05/29(火) 17:27:08 ID:7qyNGEqk0 特にホラー好きはもう喧嘩売ってきてるとしか思えないコメント残すんじゃねぇよ つかもうお前のコメントで埋め尽くされてるから。
1546 :名無しさん :2012/05/29(火) 18:22:33 ID:qklJ7Jqs0 NGに突っ込め
1547 :名無しさん :2012/05/29(火) 23:43:48 ID:OtibhZ4I0 センター s君は京都にある大変生徒の多い小学校に通っていた。そのためなのだろうか、ある種のモデル校に 指定されていたようで、頻繁に知能テストが行われた。 そして時より4時間目終了後、校内放送で成績優秀者と思われる特定の生徒が黒い車に乗せられセンターと呼ばれる 施設へ連れていかれた。「授業サボれてうらやましいな」と、s君はいつも呼び出し放送を聞いてはそう思い、ある 時、車を追跡しようと試みたが、ものの見事に黒煙とともに車は消え去った 「ひょっとして、S君?」 近所のスーパーの中にある書店で女性店員に声をかけられた。よく見ると小学校の時のクラスメイトのA子だ。その後何度が書店に通ううちに、A子から飲みにいかないかと誘い を受けた。 下心とともに約束の店につくと、そこには懐かしい顔がちらほら・・・・なんてことはない、同窓会のお誘いだったのだ。 あまりこの手の集まりが好きではないS君だったが、これも成り行きと思い、旧友達と語らい始めた。 「あのテストほんまウザかった。最低週一はあったで。そういやオレらのクラスにもセンター行って奴おったよな?B君とC君。あいつら今日来てへんの?」 S君がそう言うと、周りがら笑顔が消えた。 「S君卒業と同時にちょっと離れた所に引っ越ししはったから知らんやろけどな、B君卒業式のあとビルから飛び降りてな・・・C君は中学までは一緒やった けど、卒業式の後、電車に飛び込んでもうたんや・・・。」 旧友がそう言うと、S君は幼き日の記憶が蘇ってきた。 B君C君ともに会話はできるのだが、どこか障害のある子供の雰囲気を持っていた事。 図工の時間、皆色鮮やかな絵を描くのに、彼らは鉛筆で意味不明の記号を点描画方式で 一心不乱に描いていた事。 「センター」のことを訊ねると、あまり言えないといいながらも、なにやら不可思議な 授業を受けていたという話をしてくれた事。 そして彼らが決め台詞のようにいつも口にしていた言葉があったこと。 「ピカっと光る。」
1548 :名無しさん :2012/05/30(水) 00:15:59 ID:0Don6g4g0 随分妙なところで改行するね
1549 :スレ :2012/05/30(水) 13:06:44 ID:CvORR8eU0 >>1546 あなたみたいな人がこのサイトにいてよかった
1550 :名無しさん :2012/05/30(水) 19:35:00 ID:b9EIXP6E0 なあ、サイト内検索が機能してないみたいだけど俺だけ?
1551 :ライスカレー :2012/05/30(水) 19:36:32 ID:UTUv03e20 いや、俺もだ kk
1552 :S.M :2012/06/07(木) 14:15:45 ID:qJ/X64ls0 10年前の話です。妹と私しか家にいなかった時の事。玄関はいって右手奥にある和室で当時PCが無線で繋がらなくなったのでその和室でしていました。時間にすると夕方頃です。その和室の上は両親の寝室なのですが、そこからとんとんとんと足音がするのです。妹がとなりのリビングにいたので「今、足音が聞こえた気がするんだけど聞こえた?」と聞いたら妹にも聞こえたようでした。なので、「2人で見に行こう」ということになり見に行ったのです。ドアを開けたのですが、入るとすぐ目の前にダブルベッドがあり、ドアの左手側にはテレビ、ドアの右手↘にクローゼットがありそこまで確認したのですが どこにも人の気配はなし。あとで家の鍵も確認したのですが、鍵はちゃんと閉まっていました。あの足音はなんだったのでしょうか?
1553 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:09:13 ID:QiF//DJM0 俺の体験談。 俺は小中学生の頃ド田舎に住んでいたんだ。田舎だからもちろん畑もあり、森もあり、自然が広がるまさに「緑の町」だ。 当時14歳だった俺はその森の中でよく友達と遊んでいた。 森とは言ってもそこまで深い森でもなく、生い茂る木々の隙間から日差しがさしているためとても明るく幻想的な森だった。 空気も綺麗で子供の頃の俺らにとってはいい遊び場だった。 そんな森にでも一つだけ不思議なことがあった。 立ち入り禁止区域があることだ。なぜそこが立ち入り禁止なのか、小さいころの俺らにはよくわからなかった。 親には「あそこには絶対に入るな」と小さいころから言われていたため、入ろうとは思わなかった。あのころは特に気になりもしなかったしな。 何より大人でさえ入ることを拒む区域だったから、小学生の俺から見たら恐怖その物だったんだ。 学校でも幽霊が出るっていう噂もあったし、あの時はこの先。あの区域に入ることはないだろうと思っていた それは突然やってきた。俺たちの最高の遊び場だった森で遊べなくなったのだ。俺たちは激怒した。 「なんで森で遊べないのさ!?」 「意味わかんねー」「俺たちどこで遊べばいいの?」 俺の近くに住む友達ほとんどがこういうことを言っていた。結局森で遊べなくなり、俺らは毎日ゴロゴロして過ごすしかなくなった。 家で遊ぶのもなぜかダメだった。なぜかはわからないけど。 森で遊べなくなって2週間位立った時だったと思う。 A(友達)が「俺らで森に行ってみようぜ?」って言ってきた。俺は森で遊べなくなったのが気に入らなかったし、 なんで森で遊べなくなったのか知りたかったからというのもある。だが一番好奇心に押されて「ОK!」と返事をした。 そのあとにBとCも誘い計4人で森に行ってみることにした。 次の日に俺の家の前に集まって作戦会議(?)をした。 勿論ただ入るだけなのだが、子供の頃はそういう組織的な物に憧れていたため作戦会議を開いたんだと思う。 A「まず何を持っていく?」 俺「サッカーボール!」 A「遊びに行くんじゃないんだぞ!」 俺「えーーーー」 C「じゃあ虫網!」 A「おK」 B「じゃあサッカーボー(ry」 A「うるさい黙れ」 結局こんな会話になってしまった。 ちなみに森の中は広場みたいになってある所があり、 そこは結構広くてサッカーなどができるようになっている。立ち入り禁止区域はそこから右に500メートルくらい進んだとこにある。 看板みたいのが立っていて 「この先入るものを拒む」って書いていた。
1554 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:10:31 ID:QiF//DJM0 森に入るのは次の日の午前11時になった。会議を開いたのは土曜日だったから森に入るのは日曜日。 夜は怖いし、昼なら明るくていいだろうということになった。そして今日が日曜日。ワキワキウキウキが止められなくなっていた。 「おいーっす」 A達が来る。 A〜Cは固まって集合場所の俺の家の前にきた。 俺「じゃあ行くか!」 俺らは森に向かって歩き出した 俺の家と森は案外近く、徒歩10分で着く。俺の家を集合場所にしたのもそれが理由だ。 森の前につくと。見慣れた看板があった 「この先入るもの拒む」 禁止区域と同じ看板だった。だが禁止区域にある看板とは違ってまだ錆びてもいなく、ここ最近に作られたっぽいものだった。 一瞬戸惑ったが決して禁止区域ではない、2週間前まで俺たちが遊んでいた森だ。 そんな気持ちが強く結局全員中に入っていった。 中はいつもと同じ普通の森だった。 A「久しぶりだ、、、」 C「超感激ww」 俺「つかなんでここって遊べなくなったの?」 A「いつもと変わんない森なのにな、、、、なんでだろ?」 B「もしかして、、、俺たちの親がやったのかも!」 B以外「「「なんで!?」」」 B「俺らが遊んでばっかいるから、、、」 俺「でもそこまでする必要ないだろ?」 C「確かに」 なんかこんな感じで討論?みたいになった。 でもCが「せっかく森に来たんだから遊ぼう」っていうことで結局サッカーして遊んだ。(サッカーボールは会議の時に持ってきてもいいということになった) 時間は多分6時を超えている。真夏だったため日が落ちるのが遅く、まだ明るかった。 森に来たのも久しぶりで、時間も忘れて楽しく遊んでいた。 C「楽しかったなww」 俺「やっぱ森で遊ぶの最高だわ」 A、B「「確かに」」 こんな会話をしながら休憩してたんだ。 A「じゃあ帰るか」 Aがそう言った瞬間。とっさにこの言葉が口から出た。 俺「まだ遊ぼうよ」 いくら真夏で日が落ちてないとはいえ。親が心配するのもわかっていた。 だけどまだ森にいたいという気持ちが強かった。それはCもBも同じだったらしく 「まだいいじゃん!」 などと俺と一緒になって言っていた。 仕方がなさそうな顔をしてAも「わかったわかった」と言ってくれた
1555 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:11:02 ID:QiF//DJM0 森でまだ遊ぶとは言えサッカーも飽きたし、ほかに道具も持ってきてない。あるのは虫網みくらいだが、今はそういう気分ではない。 俺らは何をするか考えた。10分ほど考えて何も思いつかなく。やっぱり帰るかという話になってきたところで 「禁止区域いってみない??」 Bがそう呟いた。最初はビックリしたが、そのあと 俺「怖いし行きたくない」 と返した。だが A、C「「行こうぜ!!!」 と押してきた、「いやだよ、、、」と返すが皆の気迫に押されてしまいOKしてしまった。 ここで禁止区域の詳細を教えておく。 まず禁止区域は先ほども言ったがサッカーができる広場の右に500メートル進んだところにある。 禁止区域だけ大人も入る事が出来ないため、草木がボーボーに生えていて、そこから先は結構暗く、ひんやりとしている場所である。 当時の噂では 「ずっと奥に進んだところにお墓がある」 「誰かが集団リンチに会って殺された」などがあった。 だが誰も入れなかったため詳しいことはよくわからないところであった。つか全然詳しくねぇwww 危険区域の前についた。多分着いたときは6時20分とかその辺。 森とは違う何か変な威圧感があった。まるで看板の先は別世界のような、そんな感じだ。 それに構わずAがズンズンと奥に入っていく。それに続いて俺らも入っていく。 A「何があるかな?」 C「しらねぇよ、噂通り墓とかあるんじゃないか???」 俺「、、、、」 B「おい、〇〇(俺の名前)なんか暗いぞwそんなに怖くないだろwww」 その時に沸いているのは「怖い」という感情ではなかった。 何物から見られている。そんな威圧感を感じ「不安」を感じていた。 そんな時だ C「オイちょっとお前等止まれ」 いきなりCが少し怒り口調でいったのだ。 B「どうした??蛇でもいたか??」 そう聞き返した。 だがCの口から出た言葉は俺たちの予想を超えた言葉だった 「「誰かに見られている」」 一瞬その場が静まり返った。 空気が重い。誰も口を開かない中。俺は言った 俺「俺もさっきから誰かからの視線を感じる」 実際俺も先ほど書いたように何物からか見られている威圧感を感じていた。 だがここでAが反論する。 A「でも俺気づかなかったぞ?お前等の勘違いじゃないか?」 B「そうだってwまったくCはビビリだなwww」 C「「絶対に見られている!!」」 Cがいきなり怒鳴った。 俺はこの会話に完全についていけなくなっていた。 AもBもCが初めて怒鳴ったところを見て、少し怖気着いたようだ。 普通だったらここで走って全員で森を抜けるだろう。 しかし見られてるという恐怖で後ろを振り返ることができなかった。
1556 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:11:35 ID:QiF//DJM0 A「、、、どうする?」 B「わかんねぇよ、、、」 俺「、、、」 B「C、俺らはどうしたらいい? C「わかんない、、、、」 Cは昔から頭がキれたが、今回ばかりはどうしようもない。 何故か俺たちはさらに奥へと進んだ。今でもなぜなのかはわからない。 もはや先ほどまでの冒険心はなくなり、残っているのは「恐怖」だけであった。 どれだけ歩いたかわからない。今は何時だろ。 みんながそう考えていた。あの後一言も会話がなく、俺らはただ歩いていた。 少し日が沈み始めている。所々の隙間から見える真っ赤な夕日が森を不気味に光らせていた。 C「、、、どうしてこんなことになったんだろう」 ボソッとつぶやいた。 「お前のせいだよ!!!!」 BがAに向かって言い放った、 「なんだと!!!」 AがBに殴りかかる。 俺「やめろって!!やめろよ!!」 C「今はそんな場合じゃない!!!」 二人係でAとBを止めた。 二人とも冷静を取戻し仲直りもした。だが問題は山積みだ。 さらに奥へと進んだ。先ほどまでの「森」ではなく違う他の「森」のようだった。 この森がこんなに深いということを初めて知った。それとは関係なくあの視線と威圧感はまだ消えていない。寧ろ強く感じるようになっていた。 ーーとうとうついてしまった。 恐れていたことが起きた。最深部についてしまったのだ。 森を抜けたその先には大きな湖があった。透き通るような水が流れており。これもまた神秘的だった。 だがその場にいた俺らはそんなことを考えている暇はなかった。 最深部についたということはもう逃げる先がない。ここで見られてるやつに襲われたら間違いなくやられる。 あたまの中は「恐怖」でいっぱいだった。戻るにも暗くて戻れない状況、どうしたらいいかわからなかった。 湖について1時間はたっただろう。もう日はほぼ完全に沈んでいて、たまたま持ってきていた懐中電灯が命綱だった。 いつ襲われるかわからない。どうすれば助かる、考えに考えいた末に「助けを待つ」結果になった。 この時点であくまで視線を感じているだけであり、決して危害を加えられたワケではない。 またもしかしたらCと俺の勘違いという可能性もあったため、それが賢明だという結果になった。 次の日になったら森を抜けようということだった。 当時C以外はバカだったからこのような結論に至ったのだろう。 湖について3時間は経過した頃、腹も減り色々とボロボロだった。 9時ごろにはもう寝てる俺にとってはかなりつらいものだった。眠いが寝てる間に襲われたら、、、 そう考えて俺は起きていた。A、Bはもう疲れ切って寝てしまい、Cは起きていた。 寝るにはちょうどいい岩があった。AとBはそこで寝ていた。 Cはうつらうつらしているが無理をして起きている、俺と同じような状態だった。 だがその耐え作業も長く続かず、俺らは寝てしまった。
1557 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:12:09 ID:QiF//DJM0 ーーー今何時だ。 恐らく夜中であろう。俺たちは全員同じ時刻に目を覚ました。 それには理由があった 「歌」 意味のわからない歌が聞こえる。 民謡かなのか何なのかわからないが、その歌を聴くだけで何もかもが嫌になる。そんな歌だ。 俺たちは全員放心状態になっていた。 何もできない。ただ歌を聴いていて死にたくなる。それだけであった。 「ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ」」 何かが歩く音が聞こえた。その正体はすぐにわかった。 水面の上を誰がが這っている。あれはなんだ?人間か?人間は水面を歩く事はもちろん這うことなんてできない。 ではなんだあれは? 頭がパニックになった。その歌はそいつが歌っているようだ。 そして気づいた。アイツは何かを探している。目が見えないのか?まるで匂いで何かで察知しようとしているようだ。 俺たちはその化け物に恐怖を感じた。 A「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ」 Aが叫んでしまった。そいつは首を180度回転させこちらを見た。 顏は白髪で目が黒く、皮膚が剥がれ落ちまるで鱗のようなものが出ていた。 手は5本あり、上半身は百足のようで下半身は尻尾。まるで絵に描いた「化け物」のようだった。 いや、化け物だった。 そいつがこちらを見るなり 「ミイツケタァ」 そう呟きこちらへと向かってくる。5本の手をうまく使いすごい速さでこちらに迫ってくる。 「「「「うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」」」」 俺らはも今までにないとてつもない恐怖を感じた。 そして全員で逃げた。どう逃げたかはわからないが、それぞれ最善の方法でバラバラに逃げたのだと思う。 気が付いたら俺らは森を抜けていた。バラバラに走ったが4人とも全員無事だったのだ。 「A!!!!」 Aの母さんが駆け寄ってくる。 「おーいいたぞ!!!!!こっちだ!!!!!!」 近くの店のおじさんもこっちに駆け寄ってくる。 俺らは戻ってきたんだ。そう安心した瞬間泣き崩れてしまった。ほかの三人も全員泣き崩れていた。 全員の親が集まった後に重大の事があった時などにだけ使う会議場らしきところに連れて行かれた。 そこは普段はほとんど人が立ち寄らず、本当に重大なことがあった時だけに使われる場所だった。その時はもう夜中の1時を超えていた 「何があった。すべて話してみろ」 なんかお坊さんみたいな人がそう訊いてきた。 その時には俺ら全員冷静さを取戻し、ちゃんと話すことができた。 そして俺らはすべてを話した。
1558 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:12:57 ID:QiF//DJM0 森に入ったこと。 禁止区域にはいったこと。 誰かの視線と威圧感を感じたこと。 最深部の湖についたこと。 湖で見た化け物の事 すべてを話した 「、、、、、、、、、、、、、」 お坊さんが固まる。 この後に出た言葉は衝撃的だった。 「お前等、欲魔羅を見たんだ」 欲魔羅ってなんだ?? 一瞬パニックになったが、 「どんな姿だった?」 お坊さんのこの言葉でハッとなり。 「顔はまるでうろこの生えた老婆で!!!胴体は百足みたいな感じで下半身は尻尾になっていた!!!!!」 少し興奮気味で泣きながらAと俺が説明する。 BもCもまた泣いていた。俺はなぜか泣けなかった。 坊「歌は聞いたか?」 B「ききました」 坊「そうか、、、どんな感情になった?」 C「とにかく何もしたくなくなり、死にたくなりました」 坊「、、、、」 お坊さんは固まってしまった。 そして少し時間が流れ。すべてを話してくれた。 あの「化け物」は「欲魔羅」というらしい。 あいつは怨念の塊で、すごく強い力を持っているそうだ。 奴が歌っていた歌は昔、人を殺すために歌われた「呪いの歌」 聴いただけで死にたくなったのはその影響らしい。 欲魔羅は基本的に湖にしか現れないらしい。地縛霊というわけだ。 でも「禁止区域」から「視線」を使い湖まで来させることができるそうだ。 俺たちが感じた視線もその視線だろう。 顏にある「鱗」は取り込んだ怨念の数を表しており、5本の手は「欲」を表しており。下半身の尻尾は「魔」を表しているらしい。 これが名前の由来だろう。 昔は魔羅螺ン馬とも呼ばれていたが、今は欲魔羅と呼び人がほとんどだそうだ。 欲魔羅は目が見えず、鼻もあまりよくないらしい。ただ聴力だけがすごいそうだ。 Aが叫ぶまで見つからなかったのはそれまで音を立てていなかったからであろう。 欲魔羅が生まれた理由は一つの裏切り。 俺の村に昔誰かが火をつけていき、大火事が起きたそうだ。 村人の半数が死に壊滅状態。もうボロボロだった。 そんな中、半数死んだ村人のすべての恨みが合体し、産まれたのが「欲魔羅」 大火事で死んだからかわからないが、必ず欲魔羅は湖にしか現れない。 昔の欲魔羅は人を殺さなかったらしい。とはいっても村人だけだ。だが村人とは妖魔羅を激しく嫌った。 ある日、村人はある霊能力者に欲魔羅を倒すようにと依頼を出したのだ。 欲魔羅は強すぎるため、その霊能力者にも倒せなかったらしい。 だがそこが問題ではなかった。欲魔羅は「村人」に裏切られた。その悲しみと憎しみにより「欲」が生まれ五本の手が生えたらしい。 それから欲魔羅は人を次々に殺していく、その怨念や恨みを取り込んだ。それが顔の鱗となって表れているらしい。 そして現在に至るそうだ。 その場でみんな固まってしまった。まるで神話のような話だ。 しばらくたってから 坊「さあ、お祓いをして帰ろうか」と声をかけられ、 こうして僕たちはお祓いをされ、「二度と森にはいかない」ということを約束して帰った。 おわり
1559 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:13:44 ID:QiF//DJM0 ↑個人的に今洒落怖に投下されたこれ面白かったんだけども
1560 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:21:21 ID:QiF//DJM0 ↑っていうのはウソでこれ俺の体験談です。 規制かけられちってあっちで書け切れなかったのここに貼らせていただきました。
1561 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:28:09 ID:43IAxdQE0 別館にも貼ったのお前か?
1562 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:30:04 ID:7CS.lbJo0 ID変えるのに失敗したんだね
1563 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:37:17 ID:5g8.ba360 自演失敗ってオチかよwww
1564 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:52:04 ID:QiF//DJM0 >>1561 え、貼ってないけどつかどこそこ>>1562 ID変える方法しらねぇよwwww>>1563 やはり天才かお前
1565 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:53:22 ID:QiF//DJM0 つかさ、何もしてないのに規制かけられることってあんの?? 俺なんかさっきレス投下してたらいきなり規制されたんだけど
1566 :名無しさん :2012/06/17(日) 13:59:47 ID:43IAxdQE0 >>1564 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9405/1329012449/ 29 名前:名無しさん[] 投稿日:2012/06/17(日) 12:58:15 ID:QiF//DJM0 [1/10] 俺の体験談。 俺は小中学生の頃ド田舎に住んでいたんだ。田舎だからもちろん畑もあり、森もあり、自然が広がるまさに「緑の町」だ。 IDお前じゃねーか
1567 :名無しさん :2012/06/17(日) 14:10:32 ID:7CS.lbJo0 >>1565 2chの本スレについてなら、連続投稿でスレを埋める荒らしを防ぐための仕組みがあるんでそれに引っかかったんだよ 詳しくはここ見ろ 書き込めない時の早見表http://info.2ch.net/wiki/index.php?%BD%F1%A4%AD%B9%FE%A4%E1%A4%CA%A4%A4%BB%FE%A4%CE%C1%E1%B8%AB%C9%BD
1568 :名無しさん :2012/06/17(日) 15:16:35 ID:5wvqompc0 時折連続制限の値切り替わってるな こないだ俺も10レス連続ってもうて一時間食らったわ
1569 :名無しさん :2012/06/18(月) 02:28:07 ID:yTxTap9s0 霊的なものかは分からないけど今だに気持ちが悪いので、 誰か解決できる人がいたら是非解決してほしい。 数年くらい前、花屋で葬儀用の花の注文を受ける仕事をしていた時の話。 亡くなった方の情報をFAXで受け取って、それをもとに花の手配を するんだけど、ある時、真っ黒なFAXが届いた事があった。 印字出来ない四隅のみ白くて、あとは真っ黒。 その時はどうせ裏表を間違えて送ってきたか、 FAXの故障が原因だろうと思った。 (時々、表裏逆が原因の、真っ白なFAXが来る事はあった) このままでは仕事ができないので、なんとか送った人に 再送をお願いしたいと思い、送られてきたFAX用紙を見ると、 送ってきた先のFAX番号と送り人の名前が余白にあり、 どうやらコンビニなどではなく個人宅のFAX機から送ってきたようだった。 だいたい個人宅のFAX機は電話も兼ねていて 番号も同じである事が多いので、そのFAX番号に電話で 問い合わせてみることにした。 すると、奥さんが出られて印字されていた名前と同じ名字を名乗ったので、 簡単な事情と、FAXが裏表に送られてきたようですが、 とお話しするが、どうも要領を得ない。 間違いなくその家かと確認するために、記載されていた フルネームの方はお見えですか?と聞くと、うちの高校生の息子だという。 番号を確認しても確かにそこの家。 でもよく話を聞いてみると、今は自分しか家にいないので 誰もFAXは送っていない、そもそも今電話を受けているこの電話機には FAX機能はついていない。FAX機もあるが、壊れていて全く使っていないし、 息子の名前で登録していない。その亡くなったは方は全く知らない人。 ということだった。 相手の方もかなり気味悪がられていたので、イタズラではないと思う。 違う方法でも調べたんだが、結局最後まで 誰が送ってきたのかという事は分からずじまいだった。 ちなみにこちらのFAX機には問題はなかったし、受注専用の番号なので、 受注以外のFAXがくることはまずない筈。 それにネットなどで広く公開していない、一部の人しか知らない番号だった。 FAXって混線のような事はあるんだろうか?それともただの故障?偶然? こういう事ってよくあるんだろうか?
1570 :名無しさん :2012/06/18(月) 02:32:27 ID:yTxTap9s0 1569の追記 >その亡くなったは方は全く知らない人。 というのは、自分たち家族の周りで亡くなった人はいない という意味です。紛らわしくてすみません。
1571 :八 :2012/06/20(水) 07:36:53 ID:PjYHoOb20 >>1570 言わない方が怖くなるのでは?
1572 : ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 05:43:32 ID:kgX5MNas0 テスト
1573 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 05:47:12 ID:kgX5MNas0 お久しぶりです。 中途半端になっていた前回の話の続きを。 纏り無く拙い文章ですがお付き合い下さい。 少年の両親の許可を得て、俺達は彼を霊能者・天見琉華の許へと連れて行った。 詳しい事情の判らないキムさんは憮然としていた。 「まさか、お前が琉華と接触しているとは思わなかったよ・・・」 「いや、俺も好き好んであの人と関わっている訳では・・・俺だって、出来れば関わりは持ちたくないですよ」 「だろうな」 琉華の弟子の40代くらいの女性の仕切りによる儀式と琉華による少年の『霊視』が行われた。 霊視は3時間を予定していたが、40分ほどで琉華は瞑想から覚め、霊視を切り上げた。 事前に予想していた事だったが、少年からは何も得る事は出来なかった。 宿命通や他心通、天眼通といった『力』が全く通用しないらしい。 霊視が失敗に終わり、何も得る事が出来なかった・・・・・・が、それ自体が、収穫と言えた。 「・・・・・・どうでしたか?」 「そうね、この子は『新しい子供』で間違いなさそうね。封じられて切り離されてしまっているみたいだけど」 満を持してキムさんが尋ねた。 「その、『新しい子供』とは、何の事なんだ?」 俺は、琉華の方を見て訊ねた。 「話しても良いのですよね?」 「ええ、いいわ。彼にも聞く権利はあるからね」 俺は、呼吸を落ち着けてから話し始めた。 「キムさん、これはマサさんにも関わりの有る話なんです」
1574 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 05:48:40 ID:kgX5MNas0 俺が琉華から聞いた『新しい子供たち』の話は大凡、以下のようなものだ。 『新しい子供たち』とは、一部の霊能者や宗教家、占術家などの間でかなり以前から出現が予想されていた特別な子供だ。 『子供たち』の出現は『旧世代の偉大な霊力』の消滅を期に3段階を辿るとされているそうだ。 第一段階は1989年、第二段階は2005年だったらしい。 その翌年をピークに『新しい子供達』は世界中で出生していると予想されている。 出生前から確実視された極少数の例外もあったが、霊能者集団や宗教団体の探索にも関わらず、その発見は困難を極めた。 『例外』についても、霊的にだけではなく現実的な強固な護りの中にあり、霊能者や宗教家が手出しする事は不可能だった。 何人かの霊能者が遠隔での霊視を試みたようだが、結果は悉く失敗に終わった。 しかも、事態は霊視の失敗だけでは済まなかった。 その子供の霊視を試みた霊能者たちは、霊視の失敗と同時にその『霊力』を失ったのだ。 天見琉華も『子供たち』の探索を行っていた。 そして、ある特殊な事例を通じて『新しい子供たち』の謎の一端に触れる事に成功していた。 俺とマサさんは、偶然、その事案に関わっていたのだ。
1575 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 05:49:49 ID:kgX5MNas0 その日、俺とマサさんは、俺の旧い知人の店で一杯やっていた。 マスターを交えて取り留めの無い話をしていると、メールを受信した俺の携帯が鳴った。 メールの発信者は住職だった。 住職の呼び出し自体は、そう珍しい事でもなかった。 時々「たまにはアリサの墓参りに来い」だとか、「珍しい酒が手に入ったから飲みに来い」と言って俺を寺に呼びつけた。 俺自身、住職の事は好きだったので、呼び出されては寺を訪れていた。 住職はカルトに嵌ったり、誤った『行』の世界に足を踏み入れ『魔境』に陥った者に対する救済活動を行っていた。 考えてみると、俺自身が住職にとっては『救済対象』なのかもしれない。 だが、そのメールはいつもとは趣を異にしていた。 「是非、頼みたい事がある。出来ればマサさんも連れてきて欲しい」 住職が俺に頼み事をするのは初めてのことだった。 まして、面識の無いマサさんを連れてきて欲しいと言うのは只事ではなかった。 どうしたものかと悩んでいると、マサさんが「どうした?」と声を掛けてきた。 俺はマサさんにメールを見せた。 「お前の恩人なんだろ?まあ、俺もこの住職には興味があるしな・・・・・・いいよ。付き合うよ」 俺達は、指定された日に寺を訪れた。
1576 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 05:52:08 ID:kgX5MNas0 寺に到着すると意外な人物が俺達を迎えた。 山佳京香・・・かつて、俺が『仕事』で関わった女だ。 元ヨガ行者だった彼女は、所謂『超能力』に魅せられ、薬物や『房中術』を濫用し、『能力』を悪用していた。 深い『魔境』に堕ちていた彼女は、天見琉華の手により『気道』を絶たれ『能力』を封じられた。 そんな彼女を俺は住職に紹介したのだ。 『能力』を封じられたはずの彼女は以前とは質の異なる強い『気』を発していた。 住職に引き合わせた頃・・・・・・琉華の手による『処置』と『行の反動』で憔悴し切っていた様子からは信じられない回復ぶりだった。 既に還暦に達しているはずだったが、見掛けは四十代くらいにしか見えない。 「なぜ、アンタがここに居るんだ?」 「住職にはお世話になっているからね。そちらが貴方の『先生』ね。 早速で悪いのだけど、一緒に来ていただけるかしら?住職が待っているわ」 京香の運転する車に15分ほど揺られていると旧い作りの民家に到着した。
1577 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 05:53:23 ID:kgX5MNas0 寺で京香に出迎えられた時点で、俺は嫌な予感がしていた。 そして、その予感は的中した。 京香に続いて門を潜るとマサさんが言った。 「結界だ・・・この感じは、多分、琉華だな・・・・・・」 俺にとっても、マサさんにとっても天見琉華は、余り接触したい相手ではない。 「どうする?・・・・・・戻るなら、今のうちだぞ?」 「ここまで来て、そうもいかないでしょ。住職に挨拶だけでもしないと・・・・・・」 「・・・・・・そうだな」 門を潜ると妙な臭気が鼻を突いた。 何の臭いだろう? 玄関を開けると家主だという若い男性が俺達を迎えた。 強烈な臭いが屋内を満たしていた。 獣臭とも屍臭ともつかない、吐き気を催す類の臭いだ。 家主はこの臭気に全く気付いていない様子だった。 俺達は奥の部屋へと通された。
1578 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 05:54:26 ID:kgX5MNas0 居間では、品の良さそうな老夫婦と住職が俺達を待ち構えていた。 老夫婦に挨拶してから俺はマサさんを住職に紹介した。 「彼が、何度かお話した事のある『マサさん』です」 「そうか、この方が・・・・・・無理なお願いを聞いて頂いて、かたじけない。よく来て下さった」 暫くマサさんと話をした後、住職は襖を開け隣の部屋に俺達を通した。 12畳ほどの和室の中央に一人の男が横たわっていた。 住職は俺に尋ねた。 「お前さん、彼をどう見るかね?」 「生きているのが不思議な程に精気が抜け切っていますね。 ・・・・・・これに似た状態の人間を以前に見た事がありますよ。 その人物は、質の悪い行者に房中術で精気を抜かれていたんですけどね。 ・・・・・・そう、アンタの被害者の松原にそっくりだよ。何でこうなった?」 俺は、住職の傍らに座っていた山佳京香に向って言った。 一目見て判った。 質の悪い『世界』に繋がっている・・・・・・そして、彼を『通路』にして『魍魎』が湧き出していた。 「判る?・・・・・・彼はね、以前の私と同じなのよ。それが、私が送り込まれた理由。経験者ってことね」 何となくだが、事情は理解した。 だが、彼は既に手遅れに見えた。 虚ろな目は開いているだけで何も見てはおらず、精気の抜け切った身体は死体のようだった。 俺達の前に横たわる男、それが、寺尾昌弘だった。
1579 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 05:56:43 ID:kgX5MNas0 寺尾昌弘は30代後半の日本人男性だった。 彼は、特殊な経歴の持ち主だ。 中学生の頃から『行』の世界に興味を持ち始め、没頭してきたのだ。 彼が多くの『修行者』と異なっていたのは、敢えて『師』を持とうとはせず、自らの手で『行法』を組み立てたことだった。 中学生ではあったが、『宗教的師弟関係』や『教祖的個人信仰』の欺瞞や危険性に気付いていたのだ。 だが、自己流の『行』に邁進した結果、彼を待っていたのは深い『魔境』だった。 寺尾の両親の話では、彼が『修行』にのめり込む切っ掛けが何だったのかは良く判らないようだ。 だが、中学生だった彼は急にオカルトやスピリチュアル系の書物を読み耽り、収集するようになった。 寺尾の両親は多忙を極めており、寺尾の学業成績はトップクラスをキープしていたので『変なものに興味を持ったな』と思ったくらいで特に干渉はしなかったようだ。 しかし、高校生になると、寺尾の『修行』は奇行と呼べるレベルに達した。 部屋に引篭り、日によっては10時間以上も『修行』に没頭した。 学校も欠席しがちとなり、出席日数は進級・卒業に必要なギリギリの日数だったようだ。 だが、目覚めている時間の殆どを『修行』に費やしている感のあった彼は、第一志望の難関大学に現役で合格した。 周囲は彼の『快挙』を喜ぶよりも、何故?と薄気味悪く思ったそうだ。 大学生となった彼は益々『修行』にのめり込んだ。 さらに、アルバイトで資金を貯めては、一回数10万円もする海外のセミナーにも参加するようになった。 寺尾は留年を重ね、両親は彼の将来を半ば諦めていた。 だが、大学6年生の時、寺尾は何か憑物が落ちたように『修行』をキッパリと止め、今までの遅れを取り戻すかのように勉学に励んだ。 放校寸前の8年生でどうにか卒業し、大学のブランドも効いたのだろう、大手企業への就職も決めた。 やがて同じ職場の女性と結婚し、海外赴任中に長女にも恵まれた。 曲折はあったが寺尾の人生は順調そのものに見えた。 だが、海外赴任から戻った息子と再会した時、寺尾の両親は戦慄した。 一時帰国時には気付かなかったのだが、寺尾は以前の彼に戻っていたのだ。
1580 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 05:58:34 ID:kgX5MNas0 案の定、寺尾は『修行』を再開していた。 寝る時間も惜しんで『修行』に没頭し、無断欠勤を重ねて会社を解雇された。 失業後、暫くすると寺尾は失踪した。 寺尾の失踪後、妻は娘を連れて実家に戻った。 だが、実家に戻って暫くすると、寺尾の妻は幼い娘を残して自殺した。 更に、娘が事故死し、孫娘を引き取っていた寺尾の妻の両親も死亡している。 事故とは言え、孫娘を死なせた事を苦にしての覚悟の心中では?と噂されたようだ。 妻の実家が死に絶えた数ヵ月後の事だった。 寺尾夫妻に警察から連絡が入った。 失踪していた息子が保護されたというのだ。 入管が不法滞在の外国人女性宅に踏み込んだ際、その女性の部屋に心神喪失状態の寺尾がいたらしい。 財布に入っていた、期限切れの運転免許証から身元が判明したようだ。 複数の医師に掛かったが、寺尾は心神喪失状態から回復しなかった。 やがて、自宅療養する寺尾の周りで、妙な現象が多発するようになった。 『怪現象』だけではなく、夫妻は連日悪夢に襲われるようにもなった。 寺尾が大学生の頃、夫妻の相談に乗っていた人物がいた。 その人物を介して紹介されたのが、誤った『行』に嵌り込んで『魔境』に堕ちた若者を数多く救ってきた住職だった。 住職を尋ねてから、寺尾夫妻は息子の修行遍歴・・・・・・参加したセミナーや接触した組織について調査した。 調査を進めると次々と意外な事実が明らかになっていった。
1581 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 05:59:35 ID:kgX5MNas0 職場結婚の筈だった寺尾と妻の出会いは、学生時代に参加したとある海外セミナーでの事だったようだ。 寺尾の妻は帰国子女だ。 驚いた事に、妻の実家の両親はセミナーの主催団体の有力幹部だった。 セミナー参加の為に渡航する度に寺尾は妻とその両親の家に滞在していたらしい。 そんな事実は息子からも、妻の両親からも聞かされていなかった。 寺尾の妻の両親はその団体の幹部であり、妻も会員だったが、寺尾自身は団体に加入していなかった。 妻の団体だけでなく、彼は『行』の情報を収集する為に各種のセミナーに参加し、様々な団体と接触していたが、特定の団体に所属する事は無かった。 あくまでも、自分で組み立てた『行』を補完し、改良する為であり、特定の人物に師事したり宗派に帰依する気は無かったらしい。 寺尾の両親は息子夫婦の海外赴任中の様子を元同僚などに当たって調査した。 海外赴任中の寺尾夫妻の評判は芳しくなかった。 特に、妻が駐在員の家族や現地人の同僚などを熱心にとある団体の無料セミナーなどに勧誘していた。 その勧誘は執拗で、苦情が入り寺尾は直属の上司から叱責も受けていたらしい。 「息子さん夫婦が参加していたのは、どういった団体だったんですか?」 「ヨガを元にした『人間を超越する瞑想修行』という触れ込みのセミナーだったようです。 セミナーの主催者は宗教団体ではなく、韓国系のフィットネス事業を展開する企業だったみたいですね。 『韓国発祥のヨガ』をベースにした『脳力』と『丹力』を開発すると言う触れ込みの『行』だったようです」 「韓国発祥のヨガって・・・・・・まあ、ヨガに似た『行』は無い事もないのですけどね・・・臭ぇ・・・詐欺の臭いしかしないな」 「ローンを組ませて法外な料金を請求したり、講師が受講者に性的暴行を加えたりして、向こうでは訴訟も起されているみたいですね。 息子夫婦が参加していたのは、その分派の団体だったようですが・・・・・・」
1582 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:01:04 ID:kgX5MNas0 京香が言った。 「オウム事件の前、まだ日本経済が元気だった頃ね。 日本の大手企業が瞑想行や断片的な『行』を社員研修に積極的に取り入れていたことがあるのよ。 それに倣って、欧米の大企業でも瞑想セミナーが流行ったみたいね。 日本での『流行』が下火になると、向こうでも廃れていったみたいだけど・・・・・・最近、また流行り出しているらしいわ。 その団体も勤め先の企業に浸透する目的で息子さん夫婦に近付いたのかもね」 「私も、そう思います。 ただ、息子の場合、更にそこからいかがわしい連中と付き合うようになったみたいです」 住職が俺の前にi-podを差し出して言った。 「お前さん、これをどう思う?」 俺は、i-podの中身を聞いてみた。 日本人の男性の声・・・・・・寺尾本人の声か? 自律訓練法に似た手法で肉体の緊張を取り去った上で、瞑想上の指示を与えているようだ。 自己催眠とも言えるか? 自分の音声を利用して、一定の瞑想手順を反復して、一種の『条件反射』を形成させる目的のモノのようだ。 条件反射化されるものには瞑想中の生理的反応、『丹光』のようなビジョンも含まれていた。
1583 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:02:03 ID:kgX5MNas0 「面白いだろ? 元々は日本人の瞑想家が開発した手法らしいが、これはその応用だな。 色々と工夫が凝らされているようだ」 京香が続けた。 「言葉じゃなくて、バックグラウンドの音声を注意して聞いてみて。 ・・・・・・多分、貴方には判るはずよ?」 バックグラウンドには脈動するような独特な金属音が流れていた。 ・・・・・・深い瞑想状態に入ったときに聞こえてくる『音』 マサさんから『導通』の儀式を受けた時に聞いた『音』にも良く似ている。 「聖音か?」 「そう。・・・・・・呼び名は色々有るけれど、これを作った人たちはアストラル・サウンドと呼ぶらしいわ。 個人の脳波や心拍をサンプリングしてシンセサイザーで作った音のようね。 機械的な反復による瞑想の条件反射化に加えて、外部から強制的に深い階層まで瞑想をコントロールする目的のようね・・・・・・ 自力の瞑想では、薬物を使っても同じ瞑想状態を再現する事は難しいから・・・・・・これは、良く出来ているわ」 「しかし、どうなんだろう?そんなことで瞑想をコントロール出来るのかね? 仮に出来たとしても、肉体的なコンディションを無視して無理やり深い瞑想に入るの危険なのでは? 例えば、間違って『三昧』に入り込むと戻って来れなくなるんじゃないかな?」 「そうね。・・・・・・その、成れの果てが今の彼ね」
1584 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:03:35 ID:kgX5MNas0 寺尾の部屋からは、『瞑想指示』を吹き込んだ大量のカセットテープが見つかっている。 どうやら、似たような手法の『行』を行う団体と接触して、寺尾は再び『行』の世界に引き込まれたようだ。 住職は言った。 「彼の陥っている魔境は深い。 一度『行』の世界にのめり込むと、逃れても逃れても『行』が人を引き戻しに掛かってくる。 彼はその典型例と言えるだろう。 全てを奪い尽くしながら人を捕らえ、場合によっては命までも喰らい尽くす・・・・・・ 一度堕ちた魔境から逃れることは、一生を掛けた大事業なのだよ」 救済活動に勤しむ住職や寺尾の両親を前に口にこそ出さなかったが、俺には寺尾の『救済』は不可能に思えた。 見たところ、既に彼は『向こうの世界』から戻って来れなくなっており、戻ってくる生命力も残っては無さそうだった。 そして、マサさんに続いてi-podの音声を文章に書き起こした物を読んだ時、俺の背中に嫌なものが走った 俺もマサさんも敢えて口に出す事はしなかったが、寺尾の『行』には非常に危険な、一種の『奥義』に属するものが含まれていたのだ。 「マサさん、あれは・・・・・・」 「ああ、『移入の行』だ。自己流であそこまで到達したのなら大したものだ。とんでもない天才だよ。 ・・・・・・だが、全くの自己流だったとしたら不味いな。行の『禁則』は知らないだろうからな」 『移入の行』は、俺がイサムとパワースポット巡りのツーリングに出た際、『治療』の最終段階として行ったものだ。 『行』の内容を簡単に言えば、イメージの力によって『もう一つの体=幻体』を作り出し、『幻体』に意識を移入するというものだ。 『幻体』とは、瞑想により没入した精神世界における肉体といった存在だ。 この幻体を使って『行』を行うのだ。 俺は、この『幻体』を用いた行で、厳しく禁じられていた『丹田から尾底に気を送り込む行』を行い、『二次覚醒』を起こす事に成功した。 要するに、これまで起こらないように必死に抑え続けてきた『二次覚醒』に伴う肉体的損傷を『幻体』に肩代わりさせたのだ。 マサさんやキムさんの元で続けてきた修行や、シンさんに指定されたパワースポットを巡っての『気の取り込み』はその為の準備と言えた。 この『移入の行』によって、ようやく俺は修行を辞めても大丈夫な状態に戻る事が出来たのだ。
1585 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:05:02 ID:kgX5MNas0 『移入の行』により没入する世界は、現実世界と殆ど見分けの付かない非常にリアルな世界だ。 視覚や聴覚だけでなく、味覚や触覚・・・肉体に備わった全ての感覚があるのだ。 むしろ、その感覚は現実世界のそれよりも冴えてクリアでさえある。 現実世界と異なるのは、精神世界に属する世界であるが故に時間感覚が存在しないこと。 そして、望みさえすれば何でも叶うと言う事だ。 宗教的修行者は、この精神世界で『師』を得る事が出来る。 そして、この精神世界における『師』を得る上で、宗教的な信仰が大きな力となる。 祈りを捧げ続けた『神』の存在が『師』を生み出すのに必要なイメージの核となるからだ。 他方で、精神世界であるが故に、その人の持つ欲望がダイレクトに反映される。 いや、欲望の反映された世界が『移入の行』により『幻体』が活動する世界と言えるだろう。 それ故に、宗教的修行者たちは持戒し、厳しい行や宗教的修行によって欲望を昇華し、止滅させなければならないのだ。 俺の場合は、宗教的な『行』としてではなく、肉体の代用、或いは身代わりとして『幻体』を利用したかっただけなので、持戒や欲望の昇華は問題ではなかった。 繋がった『世界』が地獄であろうが餓鬼であろうが問題はなかったからだ。 唯一つ厳重に注意されたのは『移入の行で没入した世界で肉体的な欲望を果たしてはならない』と言うものだった。 『幻体』を用いて没入した『世界』は精神世界に属することから、欲望を果たす事による『快楽』は肉体次元とはまるで比較にならないのだ。 その強烈な『快楽』ゆえに、食欲や肉欲といった肉体的欲望を果たすと『幻体』に移入した意識・・・魂が幻体に定着し、現実世界に戻って来れなくなるのだ。 マサさんの言う『禁則』とは、この事を指す。 そして、心神喪失状態のまま意識の戻らない寺尾は、『禁則』を知らないまま瞑想世界の『快楽』に囚われてしまっている可能性が高かったのだ。
1586 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:06:49 ID:kgX5MNas0 大凡の事情が説明された後、山佳京香に俺は言った。 「それで、俺にどうしろと?俺に出来る事は無さそうだけどな」 京香が答えた。 「琉華『先生』の指示を伝えるわ。 先生が準備を整えて此処に来るまで、貴方には『それ』を使って瞑想を行っていて欲しいと言う事よ。 私はそのフォローの為に此処に送り込まれてきたの」 「?」 怪訝な顔をする俺にマサさんは言った。 「鉄壷の供養を覚えているか?以前お前に遣らせた『同化の行』の初歩だ。 琉華がお前に遣らせようとしているのは、恐らく、その応用・・・『移入の行』との合わせ技だな。 彼と同じ瞑想行を行って『慣らし』てから、彼に対する『同化の行』をやらせようとしてるのさ」 「そんなことできるんですか?」 「そう難しい事じゃない。霊能者や霊媒師にとっては初歩的な『技術』だ。 ・・・・・・だが、これは俺が遣らせて貰う。 ダメだと言うなら、この話はご破算だ。俺は、コイツを連れてこの場を立ち去る」 「私の一存では決められないわ。琉華先生に聞いてみる」 京香は天見琉華に電話を掛けた。
1587 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:07:52 ID:kgX5MNas0 どうやら、天見琉華は、マサさんの申し出を飲んだらしい。 マサさんは寺尾のi-podを使って瞑想を開始した。 この瞑想法の原型は、今では余り見かけなくなったテープレコーダーを利用して行うものだった。 瞑想状態に誘導する基本的なシナリオから、個人の瞑想段階に応じて編集を重ねる。 テープの編集を繰り返して『育てる』ものらしい。 寺尾のそれは、かなりの段階まで『育った』完成形に近いものだったようだ。 一回の瞑想に要する時間は2時間弱。 他人のリズムや音声によるものだった為か、マサさんをしてもかなり消耗が激しかった。 俺と京香による気の注入を行いながらでも朝晩1回づつ、1日2回が限界だった。 だが、10日ほど繰り返すと慣れてきたのか、1日3回をそれほど消耗する事無くこなす事が出来るようになった。 半月が経過した、天見琉華が来る前日の事だった。 マサさんが言った。 「琉華がお前に、本当は何をさせようとしていたか判るか?」 「いいえ」
1588 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:09:01 ID:kgX5MNas0 「お前にも判っているんだろ? 彼の両親には悪いが、寺尾はもう助からない。俺達が此処に来た時点で手遅れだった」 「でしょうね・・・・・・。 で、琉華のオバサンは俺に何をさせようとしていたんですか?」 「文字通り『同化』だよ。同化と言うよりは『入れ替わり』だな。 思考や精神を持った『人間』に対する『同化の行』は、お前が思っている以上に危険なんだよ。 狂人と接触している人間の精神が徐々に狂って行くって話を聞いたことはないか? 自我の弱い普通の人間の精神が、強烈な『狂人の精神』に侵食されて起こる現象だ。 深い瞑想状態・・・・・・潜在意識の階層では人間の自我の境界、防壁は曖昧になる。 寺尾の瞑想法は・・・・・・多くの瞑想行がそうなんだが、あの手法は自我の境界が消失するような深い瞑想状態でも自我を保つ為の訓練だ。 顕在意識での思考を潜在意識、或いは集合的無意識の階層まで送り込む手法でもある。 寺尾は長年『瞑想行』を続けていて潜在意識下で『意識』を保つ力が強いんだよ。 そんな奴に、精神的に丸裸のお前が『同化』したらどうなると思う?」 「さあ・・・・・・寺尾の性格に近くなるとか?」 「そんなに甘くは無い。 奴に精神を『乗っ取られる』ぞ?並みの憑依なんて生易しいものじゃない。 『あっち側』から戻って来れなくなってる奴には渡りに船だ。逆に、お前が奴の繋がっている世界から戻って来れなくなるだろうな」
1589 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:10:26 ID:kgX5MNas0 俺の背中にゾクッと冷たいものが走った。 「何のためにそんな?」 「さあな。実際遣ってみなければ判らない。 ただ確かなのは、琉華はお前を寺尾から何かを得る為の道具に仕立て上げようとしていた。・・・・・・使い捨てのな。 俺を呼びつけたり、お前と『気の交流』のある山佳京香を寄越している時点で薄々感付いてはいたんだが・・・・・・」 マサさんは深刻な表情で言った。 「恐らく、俺の力だけでは寺尾の繋がっている世界からは戻って来れないだろう。 そこで、お前に頼みたい。寺尾の中から俺を引き上げて欲しい。 やり方は簡単だ。俺に対して『移入の行』を行って、俺とお前が共有する強烈なイメージを利用して俺を引き上げてくれれば良いのだ。 イメージは・・・・・・あの『井戸』を使え」 更にマサさんは続けた。 「もし、俺が戻って来れなかったら・・・・・・目覚めなかった時は、俺を置いて、お前は直ぐにこの場から立ち去れ。 逃げるんだ。出来れば、この国から立ち去って二度と戻ってくるな。 もしもの時の事は、『ヤスさん』に頼んである。 琉華はお前を使い捨てにしようとした。つまり、組織はもうお前に利用価値はないと判断しているという事だ。 組織にとって無価値なだけではなく『邪魔』と判断されたら、場合によっては消されるぞ?」 翌日の夕方、天見琉華はやってきた。
1590 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:11:28 ID:kgX5MNas0 深夜0時に向けて、儀式の準備が着々と進められた。 寺尾を囲むように四体の仏像が置かれた。 住職によると「四天王だな」と言うことだった。 東の持国天、南の増長天、西の広目天、北の多聞天・・・四方を護る守護神の視線が寺尾に集中していた。 琉華がマサさんに技法の説明をしている。 寺尾にi-podのイヤホンを嵌め、マサさんも同様に装着した。 マサさんが琉華を挟んで寺尾の横に横たわった。 琉華が中央で二人の胸に手を置いて座る。 深夜0時、同時に2台のi-podのスイッチを入れ、琉華が『マントラ』を唱え始める事によって『儀式』は開始された。 儀式開始2時間が経過しようとした頃、『瞑想終了』の指示が流れる前にi-podは停止された。 此処からが本番だ。 午前3時を過ぎた頃、琉華のマントラ詠唱は止まった。 やがて、部屋の中に異変が起きた。 この民家の玄関を潜った時に感じた臭気・・・・・・獣臭とも死臭とも知れない悪臭が漂い出したのだ。 この悪臭には、家主や寺尾の両親も気付いたようだ。
1591 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:12:25 ID:kgX5MNas0 寺尾の母親が不意に「ひぃっ!」と悲鳴を上げた。 壁際の本箱のガラス戸に人影が写っていた。 真っ青な顔をした血塗れの女の姿だった。 家主の男性が「うわっ」と声を上げた。部屋のあらゆる物陰から、気味の悪い顔をした沢山の男女がこちらを睨んでいた。 こんなあからさまな『霊現象』は俺も初めてだった。 俺の頭は混乱の極みだった。 悲鳴を上げたり失禁しなかったのは我ながら上出来だ。 もし、一人でいるときにこの状況に遭遇したら正気を保っていられる自信はない。 俺は琉華達の方を見た。 寺尾の体から、目では捉えきれない『何か』が湧き出していた。 これは見覚えがある・・・『魍魎』・・・以前、山佳京香の体から湧き出してきたものと同質の物の怪だ。 寺尾の体から湧き出した『魍魎』は床と壁を伝って天井に集まった。 そして、家主も寺尾夫妻も、京香も俺も天井に目を奪われた。 天井一杯に巨大な人の顔が浮き出していた。 俺達はパニック寸前だった。 その瞬間、『ぱぁん!』と大きな拍手の音が室内に響いた。 住職だった。 拍手の音が響いた瞬間、部屋からは臭気も『顔』も、魍魎も消え去っていた。 寺尾を中心に漂っていた嫌な空気の全てが霧散していた。 ガラッと変った部屋の空気に俺達は困惑した。 住職によると『場の空気』に飲まれて、俺達は同じ幻覚を見ていたらしい。 住職の拍手によって『夢見』の状態から目覚めさせられた、と言うことのようだ。
1592 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:13:37 ID:kgX5MNas0 俺は住職と京香に寺尾と琉華の処置を頼んで、マサさん対する『移入の行』を行った。 『移入の行』自体は事前にシミュレーションしていた事もあってすんなり進んだ。 『リンガ・シャリラ』の瞑想状態に入って道を辿った。 だが、井戸が見つからない。 そう、俺は『井戸の地』への道筋を知らないのだ。 焦った。 だが、心が乱れれば『移入の行』は解けてしまう。 俺は「落ち着け、落ち着け!」と自分に言い聞かせた。 道を辿っていると、いつの間にか見覚えの有る砂利だらけの道を歩いていた。 何処からか複数の子供の笑い声が聞こえる。 声のする方に向って歩いていると、不意に背後から、耳許に『アッパ』という生々しい男児の声が聞こえた。 驚いて振り返ると、其処には、あの井戸があった。 俺は井戸に蓋をしている黒い石を抱えた。 恐ろしく重かったが何とかどける事が出来た。 恐る恐る井戸の中を覗いた。 井戸の中には、真っ黒なドロドロとした『闇』が詰まっていた。 俺はマサさんの名を有らん限りの大声で呼んだ。
1593 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:15:20 ID:kgX5MNas0 井戸の闇の中から白い人間の腕が出てきた。 俺は、その腕を有らん限りの力で引き上げた。 だが逆に、俺は井戸の中に引きずりこまれた。 無数の手が俺を井戸の底へと引き込む。 目の前が真っ暗になって、俺は意識を失った・・・・・・。 どれくらいの時間が経ったのか、俺はマサさんの胸に手を置いた状態でマサさんの横に座っていた。 何時間も経った気がしたが、俺がマサさんに対する『移入の行』を始めてから1時間も経ってはいなかった。 マサさんは、未だ目覚めてはいない。 『ダメだったか・・・・・・』そう思った瞬間、マサさんが目を見開いた。 琉華がマサさんに声を掛けた。 「どうだった?」 マサさんが頭を抑えながら言った。 「沢山の子供達が・・・・・・何だったんだ、あれは?寺尾はどうなった?」 俺とマサさん、住職は琉華に促されて部屋を出た。
1594 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:16:28 ID:kgX5MNas0 マサさんは青い顔をしてまだグロッキー状態だった。 再度、琉華がマサさんに何を見たか尋ねた。 マサさんは暫し考え込んでから答えた。 マサさんが見たもの・・・それは、数十人の子供達だった。 寺尾=マサさんは気付かれないように子供達を観察していた。 子供達は何かを話していたが、何を話しているのかは判らなかったようだ。 『瞑想世界』で見聞きした事を顕在意識下に持ち帰る・・・・・・覚醒後も覚えているには一定の精神操作が必要だ。 マサさんは『精神操作』を行った。 その瞬間、子供達の視線がマサさんに集中した。 『しまった!』と思ったのと同時に突然『何か』が現れ、マサさん=寺尾を喰った。 喰われた瞬間、マサさんは意識を失ったと言う事だ。 マサさんは琉華に尋ねた。 「あれは、何だ?」 「はっきりした事はまだ言えない・・・・・・敢えて言うなら『新人類』・・・私達とは違う新しい人間。 肉体的・物質的には判らないけれど、霊的・精神的にはホモ・サピエンスとは別種の人類かも知れない、そう言う存在よ」
1595 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:17:32 ID:kgX5MNas0 琉華は、事のあらましを話し始めた。 天見琉華は、知り合いの霊能者からある老夫婦の紹介を受けた。 面会した時、その老夫婦は何かに酷く怯えていた。 老夫婦の『恐怖』の対象は、まだ幼い孫娘だった。 孫娘の父親は失踪していた。 夫の失踪後、娘が子供を連れて実家に戻ってきたが、間もなく自殺している。 実家に戻ってきた頃からノイローゼ気味で、孫娘に酷く怯えていた様子だった。 そして、老夫婦もまた、娘の自殺後、孫娘の『異常さ』に気付いた。 ある宗教団体の祈祷師に孫娘に取り憑いた『悪霊』を祓う為の祈祷を依頼した。 だが、孫娘の異常さは『憑依』によるものではなかった。 祈祷師に紹介された霊能者を通じて天見琉華が紹介された。 孫娘を視た霊能者が、この娘が琉華達の探している『新しい子供』ではないかと疑いを持ったからだ。 老夫婦と面談した琉華は、知り得る限りの情報を老夫婦から聞き出した。 そして、孫娘との面談の日を取り決めた。 老夫婦は一刻も早く、出来ればその日のうちにでも孫娘を琉華に引き渡したい様子だったらしい。 だが、『霊視』を行う約束の日の直前、孫娘が事故死した。 マンションのベランダから転落死したらしい。 琉華たちは老夫婦と接触しようとしたが、警察の取調べが続き、なかなか接触できなかった。 ようやく面談のアポを取ったが、老夫婦は台風で増水した川に乗っていた車ごと転落し、死亡してしまった。 周囲では、孫娘を死なせた事を苦にしての心中ではないかとも噂されたようだ。
1596 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:19:20 ID:kgX5MNas0 『新しい子供たち』を知る為の糸口は失われた・・・と思われたが、意外な所から切れた糸が繋がった。 山佳京香から、住職の許を訪れた寺尾夫妻の話がもたらされたのだ。 彼らの息子こそが、問題の孫娘の失踪した父親、寺尾昌弘だったのだ。 「俺にはいまひとつピンと来ない話だが、要するにアンタが寺尾から娘について・・・・・・『新しい子供達』の情報を得ようとしていた事は判った。 だが、何で俺とマサさんが呼び出されたんだ? 俺では明らかに力不足だし、マサさんには関わりの無い話だろ? 其処の所の納得のいく説明をして貰いたい」 「それには、まず、彼に目を覚まして貰わないとね。 とりあえず、彼を現実世界に引き戻す為の道筋は付いたわ。 京香にマサ、それにアナタにも手伝って貰うわよ。 彼は『旧世代』の大人で、『新しい子供達』と精神世界で接触した、私の知る範囲では唯一の人間だからね」
1597 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:20:50 ID:kgX5MNas0 マサさんの『術』によって『道筋』を付けられた寺尾は、琉華の術によって意識を取り戻した。 だが、衰弱が激しく、話の出来る状態に回復するには俺とマサさん、京香による三交代で三日三晩『気』の注入を行い続けなければならなかった。 大量の『気』の注入によって一時的に回復した寺尾は琉華の質問に答える形でこれまでの経緯に付いて話し始めた。 寺尾家は厳格な教育一家だったようだ。 物心付いた頃から勉強ばかりで、同年代の子供たちと遊んだ記憶は殆ど無かった。 多忙な両親は寺尾を同居していた父方の叔母に任せ切りで、彼の記憶では父に褒められた事も、母に甘えたことも無かった。 更に、寺尾の叔母には家族も知らなかった『特殊な性癖』があった。 頼るべき両親には勉強勉強と責め立てられ、叔母からは異常な欲望の捌け口にされた寺尾にとって、安らぎの場所であるべき家は牢獄だった。 いつの頃からか、そんな『牢獄に閉じ込められた』昌弘少年の許を毎晩のように訪れる女性が現れるようになった。 彼女は話し疲れるまで彼の話を聞き、父の代わりに褒めてくれた。 彼は母の代わりに彼女に甘え、話し疲れると彼女の胸に抱かれながら眠りに就いた。 少し考えてみれば、その女性が実在しない『幻影』であることは子供だった彼にも判った。 だが、彼女の『存在』が昌弘の救いとなっていたのは確かだった。 寺尾は言った。 「彼女の存在が無ければ、僕は生きてはいられなかっただろう」と。 長ずるに従って『彼女』の出現頻度は少なくなっていき、中学受験が終わるとピタリと現れなくなったそうだ。 難関を突破して、厳格な父親が彼をはじめて褒め、母親が彼を抱きしめた夜だった。
1598 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:22:42 ID:kgX5MNas0 『幻の女』が消えてから、寺尾は『魂の渇き』に苛まれた。 自分を追い込めば再び彼女が現れるかもしれない、そう思って猛勉強に励んだ。 全国的な秀才揃いのその学校でもトップクラスの成績を維持し続けたが、『彼女』が姿を現すことは無かった。 そんな彼が、偶然一冊の本を目にした。 クラスメイトが持ち込んだオカルト系の雑誌だったようだ。 普段の彼なら「くだらない」と言って、直ぐに読むのを止めただろう。 だが、その中に印象的なストーリーが書かれていた。 山で一人暮らしする孤独な男が、寂しさの余り女の『幻影』を生み出し、やがて『幻影』に魂が宿った。 男は魂の宿った『幻影』を妻として幸せに暮らしていたが、ある日突然に妻は姿を消した。 悲しみに打ちひしがれた男は人里に下り、悟りを開く為に仏門に入った。 やがて、修行を重ねた男は妻の魂と再会を果たした・・・・・・と言った話だったらしい。 他愛の無い話だが、寺尾には強烈なインパクトを与えたようだ。 『彼女』が自分の精神が生み出した『幻影』であるなら、自己の『精神』の探求によって再会を果たせるのではないか? 彼女の『幻影』に宿っていた『魂』と接触する方法が有るのではないか? 寺尾は心霊や瞑想、超能力開発関連の書籍を読み漁った。 『方法』を模索する中で興味深い手法に行き当たった。 例のテープレコーダーを利用した瞑想法だった。 本に従って瞑想を行ったが、中々上手くは行かなかった。 試行錯誤の上、瞑想中に様々な光やビジョンを目にするようになったが、それと同時に強烈な恐怖心が沸き起こった。 瞑想を行う事に底知れない恐怖を感じるのだが、瞑想を辞められない。 『恐怖心』は瞑想を行っていない時にも沸き起こった。 やがて、彼は自殺未遂事件を起した。 得体の知れない何かに追われ、近所のマンションの廊下から飛び降りたのだ。 再三の両親の説得と『瞑想』に対する恐怖心から、瞑想行を辞めようと思い立った翌日の事だった。
1599 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:23:57 ID:kgX5MNas0 寺尾は『瞑想』を止められなくなった。 恐怖から逃れる為に恐怖の対象である『瞑想』を続ける・・・・・・理解し難い、まさに『魔境』に嵌った状態と言えるだろう。 寺尾は『瞑想法』の効果自体には確信があった。 この『瞑想法』は透視能力・・・・・・所謂『天眼通』を得る事を目的とした手法として紹介されていたが、『願望達成法』としても効力があった。 寺尾の手法は、所期の目的は得られていなかったが、『願望達成法』としては目覚しい効果があったからだ。 彼は手法自体ではなく、中身・・・・・・『シナリオ』に改善の余地ありと考えた。 彼は、自分の『瞑想法』をカスタマイズする為に更に様々な書籍、様々な団体の修行メソッドを研究した。 その過程で後に妻となる女性とその家族にも出会った。 やがて、幾つかの能力が開花し、宗教団体や修行団体の勧誘を受けるようになった。 だが、寺尾は特定の宗教団体に所属したり、特定の人物に師事しようとは思わなかった。 特定の宗派や教義、『指導者』と結び付いた『瞑想』は強烈な『洗脳』に成り得ること・・・・・・特に、自分の行ってきた手法が強烈な洗脳手法であることに気付いていたからだった。 やがて、寺尾は自らの『瞑想法』を完成させた。 『瞑想世界』で懐かしい『彼女』と再会したのだ。 寺尾は『瞑想世界』に耽溺した。 やがて、瞑想世界が彼の『生活の場』となった。 だが、ある日を境に寺尾は瞑想行を止め、現実世界に生きるようになった。
1600 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:25:05 ID:kgX5MNas0 何故、瞑想行を止め『瞑想世界』から戻ってきたのかについて、寺尾は中々話そうとはしなかった。 だが、やがて寺尾は重い口を開いた。 先に述べたように、修行者の『瞑想世界』における禁則事項が幾つか有る。 その中で特に重要なものとして、根源的な生物的欲求・・・・・・食欲や性欲を『瞑想世界』で満たしてはならないというものがある。 精神世界に属する『瞑想世界』での快楽は、肉体と言うフィルターを通さない分ダイレクトで強烈な快感となり依存性が高いのだ。 いや、依存性などと言う生易しいものではない・・・・・・垣間見た『世界』に魂のレベルで結び付いてしまうのだ。 この性質を逆用しようと言う宗派も存在する。 『神』と交歓して神界と繋がろうという邪宗だ。 だが、『行』のみで『持戒』や『功徳』の無い者が繋がる世界は、殆どの場合『地獄』や『餓鬼』といった低い世界となる。 寺尾は『瞑想世界』で、再会した『女』と夫婦になった。 現実世界で女性経験の無かった寺尾は瞑想世界での『妻』との行為に耽溺した。 だが、かつての山佳京香がそうだったように、やがて寺尾も自分の繋がっている『世界』の本当の姿を思い知る事になる。
1601 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:26:05 ID:kgX5MNas0 瞑想世界で寺尾は子を設けた。 『行』により瞑想世界と現実世界を行き来するたびに、『娘』は驚くほどの速さで成長した。 そして、娘が12・3歳の姿まで成長した時にそれは起こった。 『娘』が『妻』を殺して喰ったと言うのだ。 それだけではなく「お父さんも食べて」という娘の言葉に逆らえずに、娘と一緒に妻の『肉』を貪ったというのだ。 血の滴る妻の『肉』は恐ろしく美味で、一度口にすると止まらなかったそうだ。 更には、妻の肉を貪りながら寺尾は娘とも交わった。 妻の時とは比べ物にならない快楽が寺尾を捕らえた。 妻の肉を喰らい尽くし、娘の中に精を放ちつくした瞬間に、恐ろしいほどの渇きと共に寺尾は『正気』に戻った。 自分の居る『世界』の本当の姿を目の当たりにしたのだ。 マサさんが静かに言った。 「餓鬼道だな」 寺尾は瞑想行を止め、現実世界に戻った。 放棄していた学業を再開し、遅れ馳せながら就職活動を行い、就職後は仕事に邁進した。 寝る間も惜しんで・・・・・・いや、眠りから逃げるように。 瞑想を止めても寺尾は悪夢に襲われ続けた。 毎晩のように『娘』が現れ、寺尾と娘は交わりながらお互いの肉を貪り合っていたのだ。
1602 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:27:12 ID:kgX5MNas0 そんなある日、寺尾は数名の派遣社員の中に知った顔を見出した。 海外のセミナーに参加した折に世話になった日本人家族の娘だった。 再会は偶然ではなかった。 寺尾の能力に目を付けた『団体』がこの女性を送り込んできたのだ。 寺尾の勤め先の会社は、この女性の所属している団体の背後にいる宗教団体の信者が多数潜り込んでいた。 女は、寺尾の置かれている状況を有る意味寺尾本人以上に把握していた。 女を通じて、女とその家族の所属する団体の幹部に寺尾は面会した。 幹部の女性は寺尾に言った。 寺尾が繋がった『世界』と、向こうの世界で設けた『娘』との縁を切る方法を教えようと。 その対価として、寺尾が完成させた『修行法』の全てを提供し団体に協力しろ・・・・・・それが、『団体』と寺尾の契約だった。 契約に従い寺尾は『修行法』を提供し、団体の指示に従って結婚した。 結婚して初夜を迎えると、それまでのことが嘘のように悪夢を見なくなり、夢の中に『娘』も現れなくなった。 やがて寺尾は妻を伴って海外に赴任した。
1603 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:28:20 ID:kgX5MNas0 「赴任中、何があったの?」天見琉華の質問に寺尾は答えた。 寺尾はある人物に引き合わされた。 初老の日系人男性だったが、寺尾夫妻が所属する団体の『親団体』でかなりの地位に在る人物だったようだ。 団体の幹部は興奮気味に「直接面会できるだけで、非常に名誉な事だ」と言ったそうだ。 寺尾夫妻は、その人物に命じられて日にちと場所を変えて3人の霊能者・・・西洋風に言うなら『魔道師』或いは『魔女』といった類の人物と面談させられた。 そして、再び日系人紳士に呼び出されて命じられたそうだ。 『儀式と手順に従って子を設けろ』と。 団体の指示に従って結婚した寺尾夫妻だったが、夫婦仲自体は悪くなかった。 自由意志ではなく他人の命令で結婚した事に後ろめたさを感じていた夫婦にとって『子を設けろ』と言う命令は、口実としてむしろ望む所だった。 複雑な儀式を繰り返しながら、一定の手順による子作りに励んだ寺尾夫妻は念願の子を授かった。 娘は儀式を行った『魔女』の予想した日に、月足らずだったが自然分娩により誕生した。 喜びに包まれながら寺尾は保育器の中の生まれたばかりの娘に会いに行った。 だが、寺尾の喜びは次の瞬間、恐怖と絶望に変った。 寺尾が近付くと眠っているはずの娘が目を開き、頭の中に直接響く『不思議な声』でこう言ったというのだ。 「見つけたわよパパ。今度は逃がさないわ」 恐怖に慄いた寺尾は『魔女』に相談した。
1604 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:29:15 ID:kgX5MNas0 『魔女』は寺尾に言った。 寺尾の娘は、『特別な子供』だと。 この『特別な子供』は同じような子供たちと精神の深奥で繋がっていて、相互にコミュニケーションを取っている。 この子供たちから『情報』を引き出せば、解決の糸口が掴めるかも知れない。 『瞑想行』を行い、子供たちが『精神の深奥』で何を話し合っているのか探りなさい・・・と。 寺尾は、再び瞑想行を開始した。 瞑想世界で寺尾は17・8歳くらいに育った『娘』と交わり続けた。 悪夢のような『苦行』だった。 だが、『夢』ではなかった。 まだ言葉も覚束ない幼い娘が頭の中に響く『不思議な声』で言ったそうだ。 「昨夜は良かったわ、パパ。今夜も抱いて・・・」 寺尾は、幼い我が子に対する恐怖と殺意を徐々に蓄積させて行った。 そして、遂に限界に達した寺尾は娘の首に手を掛けた。 間一髪のところで妻に見咎められた寺尾は、そのまま妻子を捨てて出奔した。 出奔と同時に寺尾は瞑想行を止めた。 だが、長年の『行』の成果、いや後遺症の為、最早、『行』を行わなくてもちょっとした切っ掛けで寺尾は深い瞑想状態に落ち込むようになっていた。 ナルコレプシーのように瞑想状態に落ち込む寺尾は、偶然知り合った外国人ホステスの部屋に潜り込んだ。 やがて、寺尾は落ち込んだ『瞑想世界』で『魔女』の言っていた『話し合う子供たち』を見つけた。 だが、同時に『瞑想世界』から戻ってくる事が出来なくなった。 心神喪失状態の寺尾は、外国人ホステスが入管に摘発されるまで彼女の介護を受けながら『肉体の死』を待つだけの存在に成り果てていたのだ。
1605 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:31:00 ID:kgX5MNas0 「瞑想世界であなたは何を観たの?子供たちはどんな事を話していた?」 琉華の質問に首を僅かに振りながら寺尾は弱々しく答えた。 「思い出せない・・・・・・だけど、あの子供たちは僕たち大人に対して敵意を持っている。 そんな気がする。 恐ろしい。あの世界には戻りたくない!助けてくれ!」 寺尾は何度か『瞑想世界』と『現実世界』を行き来した後に昏睡状態に陥った。 その後、2週間ほど収容先の病院で生き続けたが遂に目を覚ます事無く息を引き取った。 極度に死を恐れていた寺尾の魂の行き先は誰にも判らない・・・・・・。 琉華と俺の話を聞き終わるとキムさんが言った。 「そうか・・・・・・ マサの奴が姿を消したのはその後だな?マサの行き先に心当たりはないのか?」 「ありません。『ヤスさん』にも問い質しましたが、マサさんの行方は判らないそうです」 キムさんの視線に琉華が答えた。 「私が知る訳ないでしょう?」 「だろうな・・・アイツは、アンタ達から逃げたかったのだろうからな」
1606 :チルドレン ◆cmuuOjbHnQ :2012/06/21(木) 06:31:59 ID:kgX5MNas0 暫しの沈黙の後、キムさんが琉華に尋ねた。 「どうにも判らない・・・アンタ達の言う『新しい子供達』って何なんだ? 俺達みたいな『大人』に敵意を持っているって、どういう訳なんだ?」 「私にも判らないわ。 でもね、精神構造・・・『魂の基本構造』が私たちと根本的に違うような気がする。 私たち旧世代の『能力者』の力が全く通用しないからね。 でも、判ってきた事もあるわ」 「彼らが前世の記憶を持って生まれてきている事、現実世界と深い階層の精神世界の境界がない事。 個人としての意思のほかに、彼ら全体として一つの意思を持っていること・・・・・・ 彼らには、私たち大人の意思や思考の全てが、潜在意識の段階から全て見えていること。 ・・・・・・彼らにとって、私たちの意思や行動をコントロールする事など、造作もない事かもね。 それと、人為的に彼らのような子供を作ろうとしている集団があること」 「厄介だな・・・・・・そんな連中が俺達『大人』に敵意を持っていると言うのか? そもそも、なんで現れたんだ?」 俺は、思いつきで言ってみた。 「進化だとしたら、『新しい種』だとしたら、『古い種』である俺達を淘汰する為じゃないかな? アウストラロピテクスやネアンデルタール、新人類の登場と共に旧人類は滅んできたわけだし・・・・・・ ホモサピエンスだって・・・・・・取って代わろうとする『新しい者』が、『古い者』に敵意を持つのは当然なんじゃないかな?」 キムさんは黙り込んでしまった。 天見琉華と弟子の女性が俺の顔を見ていた。 寺尾昌弘の葬儀に出席して別れた後、マサさんは突然に姿を消した。 木島氏や組織の人間が血眼になってマサさんの探索を続けたが、マサさんの行方は未だに判らない。 おわり
1607 :名無しさん :2012/06/21(木) 10:58:10 ID:G3w6w1OY0 お久しぶりまで読んだ
1608 :名無しさん :2012/06/21(木) 12:38:40 ID:gsJO9slYO お! マサさんの方おかえりなさいませ。 またまたご無事でなにより。
1609 :名無しさん :2012/06/22(金) 06:01:06 ID:h9Nw/gNg0 マサさんの人、続編お疲れ様です。 で、この続きは…気長にいつまでも待ちますので お身体大事にして無理しないペースで続けてくださいね。
1610 :名無しさん :2012/06/22(金) 14:18:29 ID:fcTv/ktc0 ちょうど2年前の夕方辺りの時間です 俺はアパートの1人暮らしで友達とも無縁の関係にあり、孤独のまま中学を卒業。 高校に入ってからは1人暮らしを始め勉強に集中しやすい環境を作る為いらないものは全て 実家に置いてきました 俺が体験した話は確か高校3年生の頭です 入学式から3日、俺は家にきた一通の手紙に目を通していました 差出人は叔父からでした 『家の倉庫で見つかった物だ 君の名前が刻まれていたから君の物なんじゃないのか?』 手紙の文はそこで途切れていました。まだ何か手紙の中に入っているというのが叔父の文からわかりました 中を確認。すると一枚の写真ともう一通手紙が入っていました。すぐに俺は写真を手に取り目を通します 写っていたのは日本人形でした。どこに俺の名前が刻まれているかはわかりませんでしたが、昔遊んでいた物なのか、それとも 爺ちゃんの部屋にも同じような感じの物が飾られていたので爺ちゃんが俺に死ぬ前に倉庫に入れたのかと思っていました。
1611 :dak :2012/06/22(金) 14:34:09 ID:fcTv/ktc0 続けて書きます 休みの日にでも叔父に会って人形を見たいと手紙にそれっぽい内容を書き、学校に 行く際に手紙を送りました。 土曜日に叔父がアパートに来ました それで持ってきた人形を見せてもらうと確かに人形 の背に俺の名前が小さい字で刻まれていました。叔父はその人形を俺に渡すと彼女との約束があると言って 出て行きました。しばらくその日本人形を見ていると昔クラスで噂になった髪の毛が伸びる呪いの人形を思い出してしまい 頭に何か仕掛けがあるのかと思って人形を手に取り、頭を調べましたが特に何もなかったです。しかしその人形を貰ってから5日程ですかね 学校のある不良グループにカツアゲされました。その際に最後まで一銭も払わないと言って頬をおもいっきり殴られました。運良く先生が直ぐに 来てくれましたが、俺は奥歯がどこかに刺さって口から吐血してしまいました。普通、ありえないです それから直ぐにアパートに帰り、消毒できなかったのでうがいを数回してからまたあの人形を確認しに行きました。髪が伸びてないか確認するためです しかし何故か人形の周りには髪の毛が数本落ちており、紅い液体?が人形の口部から出てました。
1612 :dak :2012/06/22(金) 15:04:24 ID:fcTv/ktc0 それからなにかしら事故に巻き込まれる度に人形に変化がありました。俺は心底気持ちが悪い人形としてどうすればいいか 思っていましたが、その場合は人形を寺に持っていけばいい と聞かされたことがあったのでアパートから近く、わりと有名な 寺に持って行くことになりました。しかし寺に行くなり言われたことは『それはうちの寺では無理です。なので□□地区の寺まで 行って下さい 今から電話しときますんで行ってて下さい 寄り道とかはしないで下さいね』と女性の人に言われて、ここ(寺)から東に五キロほど の場所に寺(結構でかい)があり、中に入ると『話は聞きました 上がってよろしいですよ』と坊さんに言われ俺は静かに靴を脱ぎ、寺の右側に進み、 ある部屋に入るように指示を受けたので恐らくそれらしい部屋に入りしばらく待ちました。 しばらくして坊さんと2人のおじさんが入ってきたのを覚えています。ちょっとびびってしまったので唐突に質問をしました。 「あの〜なんか霊でも人形に憑いていたんでしょうか?」の質問に対し「霊は憑いてませんが厄介な人形になっています」と返答されました。厄介とは一体何が? そして何から話せばいいのかとか言うと思ってたんですが、坊さんは部屋にある棚から小刀?みたいな感じの鋭い刃を持って俺の前に座りました。 え?なにされんだ?怖いんすけどと思っていると坊さんが口を開き俺に語りました。 「これからなにが起っているのか説明します。説明しても貴方はきっと否定するでしょう この刃は貴方が信じてもらえなかった時のために使います。」 と言われ、【説明】が行われました。 「この日本人形は今からだいぶ前の物ですね 恐らくその頃の所持者は・・・貴方の祖父母じゃないでしょうか?」 たぶんですけどと言って爺ちゃんの部屋に飾られていた事をお坊さんに告げ、 「やはり・・・貴方のことが大好きだったのですね。でも処理はしないといけませんね・・・この種類の人形は背の方に人の名前を書き込む事によって その書かれた人の肉体を同化できます。あわよくばその力で書かれた人を殺せます それらを含めてこの種類の人形は江戸時代に全て焼くことで人形の呪いを 断ち切ることができたんですが、長い年月をかけている人形は焼いた後に書かれた人間が全身火傷などで死者が増えることがありました」
1613 :名無しさん :2012/06/22(金) 16:48:52 ID:W9kvyDGs0 それからどした
1614 :妖怪人間チェリー :2012/06/22(金) 19:47:16 ID:nMW9lVKAO 早く続き読みたいにゃん♪ ワクワクドキドキしちゃいます♪
1615 :dak :2012/06/23(土) 08:30:40 ID:yFaoljJo0 続きを書きます 坊さんはそう言うと俺が渡した人形に目をやり、 「しかし悪いことばかりではないんです。名前が刻まれている人はこの人形が安全な場所にあれば 事故などの傷害から身を守ることができる。元々はそのために作られた人形じゃないかと私は思っています。」 しかしどうも納得がいかない俺はある程度質問を坊さんにぶつけました。 「そんな人形があったら殺人兵器じゃないですか。俺は信じられません 俺が事故に遭い、自分で失敗を作ったん ですから」まず普通の人から見てありえる話じゃなかったから俺は真っ直ぐな意見で坊さんに言いました が、おじさん2人のうち、 1人が口を開きました。「兄ちゃん、俺らもその日本人形を持ってるんだ。別にお前のために来た訳じゃねぇが、ほら。見ろよ」 そう言っておじさん2人はレジ袋か何かの袋からその人形を取り出し、坊さんが話しを続けます。「やはり信じられませんか?」と 言ったので俺はすぐに「はい、信じられません その人形(おじさんの1人の方)だって顔に傷がついててもおじさんの顔に何もついてない し、」と話続けましたが坊さんは何か決心したような顔で小刀を取り、「これから貴方の人形の頬に傷を入れます。これでわかると思います 本来ならもっと別の方法があると思いますがこの方法なら誰でもわかりますからね しかし注意してください」そういって持っていた小刀で坊さんは俺の日本人形の頬にグッと力を 入れ刺す、俺は目に力を入れ凝視してました。坊さんの顔からは汗が出ています 人形の刺した部分から血らしき赤い物質が出てきました。それと同時に自分の頬が急激に熱くなり、頬を手で 押さえ、見てみると血が出ています。痛み、熱さ、そして今目の前の光景。全てが繋がり唖然としていた時です。 『ぎゃああゃアアアアアアあゃアアギアアアアア』と坊さんの近くで叫ぶ誰かの声が聞こえました。坊さんは「大変なことがわかりました、○○さん(たぶんおじさんの内1人の名前) すぐにYさんの所に電話を掛けてください!!」その間も人形は叫び続けています。○○さんでないおっさんが俺の腕を掴んで、「こっちに来い!!」と言われてドアを勢い良く開け「バシッィン」と音が廊下に 響き渡りました。「今日は俺ん家で泊まれ!お前ん家はもうばれているかもしれん」と言われ寺の前に停まっていた車の中に無理やり入れられ、そのままおじさんの家に着きました。玄関前で「ちょっと待ってろ」と言われ、 しばらくしてからおじさんが出てきて、「入っていいぞ」と。なんかおじさんは和風な家に住んでいてなんかこのタイプの家は初めてだな・・・とか心の中で思っていました。畳がある部屋に連れて行かれおじさんが座り、話出しました 「今からだいぶ前なんだが俺もこの人形が原因で何度も死にかけたことがある。しかし俺達だけじゃない この日本中に知らない間に名前を書かれて死ぬことがあったんだ。お前の人形はなんで叫んだのかは知らねぇがお前さっき俺の人形には傷が無いと言ったな?よく見ろよ俺の顔を そう言われたのでおじさんの顔を見ると針で縫った跡がありました。それから話を飛ばしますがおじさんの家で一晩泊まったあとにおじさんに礼を言いアパートに帰りますが、 人形が戻っていました あまりの光景に唖然としていると着信ランプが点いている携帯電話に目を通しました。
1616 :dak :2012/06/23(土) 08:42:45 ID:yFaoljJo0 あれ?俺携帯忘れてったんだ・・・と思って携帯を取り、確認したところ非通知でした。その番号に掛けてみますが応答がありません。 それから何の連絡もなしに3日が過ぎた頃です。あの坊さんらしき人の名前で手紙が送られて来ました。次に内容を見たときに絶望が増大しました。 『ごめんなさい 手遅れです 』 俺は人形に目をやりました。以前とは違う光景が目に入りました。この人形、俺のことを見てます。 あれからしばらく経ちますがその後坊さんがどうなったとかの話は近い内にしたいです。あといつ会いに来るかわかりませんが誰か俺のアパートに来るそうです 今は人形は棚の上にあります 俺のことを今ここで書き込んでいる時も 後ろで見てます。
1617 :名無しさん :2012/06/23(土) 11:07:56 ID:uV31yJiQ0 >>1615 の「俺の人形には傷が無い」は、「俺の顔には傷が無い」だよね
1618 :名無しさん :2012/06/23(土) 19:35:25 ID:yFaoljJo0 >>1617 msぐらい見逃してやろうぜ 誰にでもある
1619 :名無しさん :2012/06/23(土) 19:41:22 ID:yFaoljJo0 いや訂正。怖い話書くんなら確かめて投稿してくれ そうすりゃ完璧 みんな読んでて間違いに気付いてくれるから
1620 :dak :2012/06/24(日) 15:20:52 ID:ZFhA51Mw0 あ、本当だ 間違ってる すいません書くときは文章見直してるんですが急いでしまったせいか間違ってました 書くときは慎重に書きます
1621 :ホラー好き :2012/06/25(月) 16:39:27 ID:SDjYmWoo0 「たかが遊びや暇つぶしで投稿している物」と思って、駄文をそのまま載せられちゃ、読んでる方は白けちまう 事実がどんなに怖い内容でも、下手糞な文章で書かれていると怖さも皆無で、逆に笑える物になってしまうから 文章は大事だよ
1622 :ホラー好き :2012/06/25(月) 16:41:18 ID:SDjYmWoo0 あと、個人的には似非関西弁で書かれた文章も白ける 見つけただけで、続きを読む気失せるわ
1623 :名前が消滅した奴 :2012/06/25(月) 18:18:43 ID:Y4Pt945s0 久々に来たな…どれやるかい、 桃太郎という人が居ました。桃太郎さんは今日はお墓参りです。 桃太郎さんの親戚一同が集まり、寺にあつまりました。 桃太郎さんの3つ年上の従兄、金太郎さんは桃太郎さんと一緒に 親戚の中で一番遠い墓地に言って挨拶しなけらばならなくなり、 桃太郎さんは渋々出向きました。車の中では… 「なぁ、金太郎。」「ん?」「幽霊って居ると思うか?」「いや、信じない」 「だ、だよなぁ〜」桃太郎さんは幽霊を信じていました。そして… 「ついたー。」桃太郎さん一行が到着した頃には午後6時をまわっていました。 桃太郎さん、金太郎さんは住職の浦島さんに挨拶をしました。浦島さんは 挨拶を返し、今夜は泊れと言いました。桃太郎さん、金太郎さんは ここまで来るのに3時間かかったし、眠いし、居睡り運転なんかしたら洒落に ならん、と考えここに泊ることにしました… 夕食が運ばれ、食べ終わった後に桃太郎さんが「実は俺、幽霊信じてるんだ」 金太郎さんは思わずコーラを吹いてしまいました。「馬鹿か、お前は 仏教信者?きもいよ、」するとイキナリ襖がドーン!! 浦島さんは「居るんじゃァーボケェー!!」と似合わぬパジャマ姿で 部屋に入り、我を忘れていたかのように…「これは、失礼。」と言った後 咳払いをして、「来なさい。」とお堂から外にだしました。 浦島さんが木魚を持って来てお経を唱えると嫌な感じがあたりを包み込み ました…金太郎さんは「やべぇな…」桃太郎さんはビビりまくりで声の 一つ出ません。嫌な感じが通り過ぎ今度は圧迫感が…例えるなら 1畳の部屋で窓が無く天井が頭すれすれのところにある。 そんな空間のなか…足音が聞こえました…ドスン、ドスン、ドドド、ダダ。 桃太郎さん、金太郎さんは見てしましました。墓の後ろに発行する物体を、 桃太郎さん達が気付くとお堂の中で、朝でした。外に出ると浦島さんが にっこりとほほ笑み、「おはよう。」桃太郎さんは「あの、昨日の夜、」 と言うと、浦島さんは笑顔を消し睨みつけ、小声で「わかったろ?」 金太郎さんが「居るんですね、」浦島さんは「見たには信じるだろう?」 金太郎さんは「はい。」その後、二人の甥、叔父、父などで無事にお墓 参りを終え、帰宅しました。
1624 :ホラー好き :2012/06/25(月) 20:21:34 ID:SDjYmWoo0 最近、怖い話書いてくれる人減ったなぁ ここ、なんのサイトだったっけ?雑談掲示板だっけ?
1625 :名無しさん :2012/06/28(木) 14:19:35 ID:NAt92Q7.0 初書き込み。 私、昔っから〝縁起の悪いもの〟が好きみたいで…… 秋になると彼岸花摘んで部屋に飾ったり、散歩に行くと言って近所の「慰霊碑」に座ってボーっとしてたり…… とにかく、変わった子やったみたいです。(両親曰く) あと、ツレとか知人に〝見える子〟が多く、そういう人たちにやたらとかまわれる……。 その人たち曰く「1人やったら無理な場所でも、あんたおったらいけんねん」とのこと。 ちょうど、2〜3年前の話ですか。 相変わらず変子やった私は、短大の休みを利用して1人で散歩に出かけました。 何を思ったのか「ローカル線を乗り継いで、●●山(※小さい頃、よく祖父母に連れてってもらった思い出の場所)に行こう!」と……。 半ば鬱やったんですかね。 片道、電車1時間、徒歩2時間掛けて、目的も無くその山まで行ったわけです。 ただ、過去車で行ってた場所に歩いていくというのは無理があって、迷いに迷いました。 途中、人気の無い集落とか地蔵の並んでる参道とかを1人で歩いて…… 真夏なのにやたら寒ィなwwと、ビビってた記憶があります。 で、やっとこさ辿り着いた例の●●山なんですが…… 記憶の限りでは、脇道に売店があって、その近くにシイノミ(炒って食えるやつ)がたくさん落ちてて…… デカい寺の中にある井戸の周りに、ぬいぐるみやらお菓子やらが大量にぶら下がってるって感じのトコだったんです。 もちろん、記憶のまんまのものが、●●山にはありました。 しかし、昔とは違い、この時の私は字が読めた。 ……〝水子寺〟っていう。 ちなみにこの●●山、地元では有名な心霊スポットらしく。(家帰って調べた) ぶらぶら徘徊してたら、聞こえるわ聞こえるは、山の方から赤子のギャン泣き声…… 「ギャアアアア」って悲鳴みたいなのも、ちらほら。 まぁちょっと怖かったけど、どっちかと言うと「鋭気充電」って感じで寺の鐘鳴らして、霧の中同じ道を歩いて帰りましたが。 以降。 ふとした時に「あ、ここいるわ」っていう感覚が、湧くようになりました。 ただし、全然怖くない。 背筋がぞわぁ〜っとして、薄気味悪いなぁと思うくらい。 実際、実家の和室にもいるんですが(見える人公認)、ラップ音と蝋燭ボボボが鬱陶しいくらい。 見える友人曰く、あんたに対して悪させんから大丈夫なんちゃう?とのこと。 ついで、現状管理してる建物(不動産屋です)にも、殆どいます。 競売・任売・格安物件は、ほぼ100%の割合で…… 写真にも良く映るんですよね、得体のしれないもの。(修正が大変) 掃除してたら上の階で人の足音とかもするんですが、「前住人は優しいおばあちゃんやった」との近所情報を元に、良い霊だと認識して終わらせてます。 実際、入居した人には悪さもしないし、感じたり見えたりもせんそうなので、えぇかなぁと。 ただ。 一時期一緒に働いてたお姉さん(感じる人)に「●●ちゃん、あんま長生きできひんよ」的なことを言われました。 あと「私にはどうにもできん」とも。 実際、自分も35くらいで死ぬんちゃうかなぁと思ってます。 なんたって、この変子体質は遺伝。 我が家は代々、先代のお骨を仏壇に置きっぱなしにするのがしきたりです。 (こないだなんて、十数年前の誰のかわからん骨出てきたからな……www) ちなみ、私は本家の末裔なんですが。 親父が「もしわしが死んで、お前がまだ●●の性でこの土地におるなら、骨は家に置いとけ」とゆーてます。 どうやら、私の家系は短命なのに加え〝良くない土地〟に縛られることが多い様子。 ……良くないものに、引き寄せられるの方が正しい? 前にTVで「納骨せな悪いもんが寄ってくる!!」てのを見たことあるんですが…… 今のところ、我が家にいるおじいちゃんは安全な様子。 和室好きなんで良く犬と一緒に寝てるんですが、意外と落ち着きます。
1626 :名無しさん :2012/06/28(木) 15:00:10 ID:NAt92Q7.0 1625です。 追加で怖い話(というか情報求む?) 自分、兵庫県のヤカラ多発地帯に住んでるんですが…… こないだ、未開の心霊スポット(?)に足を踏み入れちゃいました。 基本変子なので、大概のところ大丈夫なんですが……そこだけは唯一、本能的に「あかん」と思いました。 そして、色々調べてはみたけど、どこにも情報が載ってない……。 経緯としては…… その日は、男のツレと2人でドライブしてました。 T市〜H市近辺の海辺で(相手の車で行ったので詳しい場所はわからんのですが、浜国沿い……?)適当に車泊めて喋ってたわけですが。 ツレが突然「散歩しようぜ★」と言いだしたので、近くの山を散策することに。 (図解的には、南側が海・堤防・停船所、北側に山があって、この中腹に鉄塔が立ってる感じ。階段付き。) で、下心あってかなくてか、途中までは下ネタ満載でノリノリ山登りしてたツレなんですが…… 鉄塔を越えたあたりから「引き返そう」の一点張りでおかしくなった。 よくわからんながらも、ヘタレ・ビビリと罵り、無理やり登らせ続けたら…… 終着点には、KEEPOUTのテープが張り巡らされた、ふっるいお寺が。 流石にヤバイと思って振り返ってみたら、後ろにいたツレが猛ダッシュで逃げていく。 あわてて後を追ったら「やばい、マジやばい」と呟いてる。 右手は崖やったんやけど、周り晴れてる癖に、寺の方だけ靄出てるし。 鉄塔越えたあたりでヘタレ野郎は待っててくれたわけやけど、とにかくヤバイ、しか言わんかったわけです。 下ついた後、とりあえず車乗れと言われて乗り込んでみたものの「ヤバイ」一徹。 数十分そのまま待機して、その日は解散。 結局あの場所が何やったんかはわからんのですが…… 後から聞いた話「鉄塔越えた辺りからめっちゃ呼ばれてたし、寺ついたらついたで、めっちゃ睨まれててん」とのこと。 要するに、ツレは怖いもの知らずの〝見える人〟やったわけで。 ちょっくらビビらせてやろうと私を連れて山登りしたらしいんですが、想像以上にヤバくて逃げたらしい。 実際、あれは私も無理やった。(たぶん、昼でも厳しいww) が、見えてはいないので、何がいたのかは未だ不明…… この場所、知ってる方いらっしゃるんやろうか? (※鹿島さん・法華さん・六甲山ではありません)
1627 :名無しさん :2012/06/29(金) 19:37:24 ID:Gd6ruBf20 初めて投稿します。 読み難い点があるかもしれませんが、ご勘弁を。 数年前学生だった頃の夏のある日。 幼馴染でもある遊び仲間4人で友人Aの一軒家に遊びに行きました。 周囲は特に何も無い某県のド田舎のこと、夕方からお菓子とジュースや缶ビールを持ち寄りダラダラと過ごし、 日もとっぷりと暮れた頃、何の気なしに自然と怪談話をしていました。 ここで簡単に各人の部屋での位置を説明しますと、一軒家の二階の六畳程の部屋で、私は東側の壁と北側の窓にくっつけるように設置したベッドの上に友人のBと並んで座り、 真向かいにはCがベッドの反対側の勉強机の椅子をこちらに向けて座り、残りのA・Dは南側のスペースの床に胡座をかいて座っていました。 窓からは隣家の白い壁とその向こうに青々とした水田にその間を縫うようにして奥へ細く真っ直ぐに伸びた二車線の道路が見えました。 禄に外灯も無い田舎の集落、日が暮れると辺りは真っ暗になりました。 時折、道路を往来する車のブレーキランプやヘッドライトがチラチラと瞬き、道路の一部とガードレールの影を浮かび上がらせる程度。 それも深夜と言える時刻にはすっかり往来も途絶え、虫の鳴き声が耳に心地良く聞こえてきました。 二階の網戸以外全開にした窓際といえど風はあまり入ってこず、涼めるのは小さな古い扇風機だけ。 話の流れは忘れましたが、高校に上がる前に水の事故で亡くなった同級生の話をしていた時です。 人懐っこく、誰からも好かれていた好人物の懐かしい思い出話しに花を咲かせながら、「もうすぐ命日だね。出来ればお線香上げに行きたいね。」などと話しをしていました。 窓辺で頬杖を付きつつそんな話しをしていると、扇風機とは別に窓から冷たい風が一陣吹いて来ました。 (あー、ようやく涼しくなったか……)と何気に外を見ようと首を巡らそうとして固まりました。 網戸を挟んで顔のすぐ真横に異様な気配。 視界の隅に映る窓の外は真っ暗です。 しかし、まるで自分の真横で何者かが顔を触れそうな程に寄せてジット見つめているような、視線というか、今迄感じたことも無い圧力のようなモノが顔の右側にズーーンと伸し掛かり、 反射的に目だけでその“何か”を確認しようとした途端、頭の中で(見てはいけない、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ)という強烈な警報が鳴りました。 少しでも動けば窓のすぐ外に居る“何か”が襲い掛かってくると直感し、背筋が一気に寒くなりました。 目の前には友人が4人も居て室内は煌々と明るいというのに、突然襲ってきた未知の感覚に完全に混乱し萎縮してしまい、口を開くことはおろか、蛇に睨まれたカエルの如く微動だにできませんでした。 周囲の友人達もいきなり無口になった私を不思議に思ったようで、私の様子を伺うのが気配で分かります。 汗とは別に脂汗が背中から滲んでくるのが何となく分かりました。 恐らく数分程度でしょうが、どうにかして動こうと意を決して上半身を横に倒し、隣の友人Bの膝の上に倒れ込みました。 その程度の動きすらその時はそれが精一杯でした。 動いたと同時に窓からの気配は消えました。 全員私の可笑しな行動に呆気に取られていたようでしたが、喋る気になれず、その場では冗談でしたと誤魔化しました。 直ぐに窓の外を覗きましたが何も見えませんし、あの不可思議な恐怖感も襲ってきません。 ふと時計を見ると午前二時を少し回っていました。 朝になってから、友人達に深夜の事を伝えましたが、皆半信半疑でした。 その一年後、事故にあい怪我が元で顔面の右半分が麻痺してしまいました。(事故直後の北○たけし氏と似た状態) 恐らく偶然なのでしょうが、今も顔面麻痺の後遺症は少し残ったままです。 スレ汚し失礼しました。
1628 :名無しさん :2012/06/30(土) 21:05:49 ID:rXy.HFrY0 >>1626 南部ってこと? 北部なら地元なんだが
1629 :ふみこ :2012/07/08(日) 16:04:23 ID:/1YoOdTQO わたしは、学校からの帰り道、薄暗い淋しい夕方の道をあるいていたの、一番狭い場所にさしかかると、前から自転車がきて、すれちがいざま、私はめがねをはずされました!きやあ!私は顔を手で覆い泣きながらかえった!めがねはでてきた、こわれてないけど、よごされていた。
1630 :名無しさん :2012/07/10(火) 02:53:15 ID:XtZB4JAk0 長くなりますが、今年起こったこと。分けて投稿します。 ある日、婚約中の彼女ゆか(以下、人名は仮名です)とオープンカフェで軽い食事をしていたら、 偶然ゆかの友人・ハルさんがやってきた。初対面だったんだが、ハルさんは少し難しい表情で俺を見ていた。 もしかしてあんまり印象よく思われてない・・? 俺は努めて明るく自己紹介をした。ハルさんも好意的に自己紹介をしてくれたものの、 やっぱり表情は固い。 ハルさんは誰かと待ち合わせしてるらしく、 それまで俺たちと話しをすることになった。そのうちゆかもハルさんの固い表情に気付いたのか、 俺君は意外と面白いんだよ!とか色々困るフォローをしてくれたんだが 「ちょっと気になる事があるんです」とハルさんは申し訳なさそうに言った。 ただその後の言葉を言うか言わないか迷ったようだが、俺もゆかも大丈夫だよと後押しするとようやく その「気になる事」を話してくれた。 「俺さん、何か困ってる事ありませんか?たとえば 家で変な事が起きるとか・・体調があまりよくない状態が続くとか」 「?いや、特に何もないですね」 ただ少し気になる事があった。ゆかだ。け おっとりしてるせいなのか否か ゆかはよく怪我をする。明らかに何もないところで転んだり、本人も気付かないうちに身体に青アザが出来ていたり 普段ゆかが乗る自転車はしょっちゅう故障する。 たまに利用する電車やバスも遅れたり何らかのアクシデントがあったり・・
1631 :名無しさん :2012/07/10(火) 02:58:11 ID:HJdYMYFU0 大事故や大きな不幸はないものの、俺と付き合い始めた頃からゆかはそんな「小さな不幸」に付きまとわれている。 本人は全く気にしてはないが、 俺にとってはこれから妻になる大切な人。その事をハルさんに告げた。 ハルさんはどこか悲しそうな表情をした。 「信じるか信じないかは任せます・・・でも信じてほしいです。 俺さんに、悪いものが憑いてます」 実は今まで何回か同じ事を言われたけれど俺自身、怖い体験をしたことがないし気にしてこなかった。 怪談話しや不思議な話しは好きだけど・・ ハルさんには申し訳ないが、 正直この時も半信半疑だった。 「多分、生きてる人、かもしれないです。 そうだ、実は今日は妹のナツと待ち合わせしてるんです、妹の方が私より見えますから」 ハルさんの妹、ナツさんが来るまで二人は、 ハルさんとナツさんの周りで起きた不思議な体験とか色々話してくれた(長くなるため割愛) ハルさん曰く、私はうっすら感じ取るだけ 妹は第六感が働き、そして五感全てで感じ取る人。 つまり霊感が強いらしい。 数十分後ナツさんがやってきた。 ハルさんが声をかけ、ナツさんが俺たちの方を見た瞬間 すぐギョッとした表情をした。 その表情を見て俺は確信せざるを得なかった。 もし三人が口裏をあわせるにしても、ゆかもハルさんも全く携帯をいじってなかったし、 ましてやこの日のデートは俺がその日に誘い、その時いたオープンカフェもたまたま通り掛かり、お腹が空いていたから入ったんだ。
1632 :名無しさん :2012/07/10(火) 03:02:45 ID:WnF2OTTY0 間もなくナツさんが席につき、ハルさんがナツさんに事情を説明。 俺が落ち込んでると思ったのか、ゆかはずっと手を握っていていくれて 思わぬ行動だったけど内心嬉しかったし心強かった。 「俺さんにいます。顔のすぐ横で私たちを警戒してる。 その霊、というか生き霊。俺さん、今まで本当に何も・・?」 「何もないよ、むしろ元気すぎて困ってるくらいだし・・俺よりゆかが心配で」 「俺さんの生き霊は、俺さんに親しい人に対して悪い事をするみたい。 ゆかさんにこれまで大きな不幸がなかったのはゆかさん自身、心が強いおかげもあるけど 強いご先祖さんが守護してくれてる。不思議な人だよ、 ゆかさんだけじゃなくゆかさんの家族も守ってるみたい。 多分、生前人を守ることに力を入れてたのかも」 「ねぇナツちゃん、俺くんにはどんな人が憑いてるの? 俺くんは恨まれるようなことする人じゃないよ」 「生き霊って悪いイメージが強いけど、良い生き霊もたまにいて。 例えば純粋な愛情で相手を思ってたりとか・・ だけど、俺さんには、その」 ナツさんは暫く黙った後、重い口を開いた。どうやらハルさんも自分が感じ取ったモノに確信を得たみたいだ。 「俺さんには、俺さん自身が憑いてます。 憎しみとか怒り・・ずっと怖い顔をしてる。目の前にいる俺さんからは想像できないくらい」 それを言われた瞬間すぐ納得した。 確かに俺は俺自身を憎んでいる。 幼少の時に母は病死、10代になった頃、父は訳あって自殺。 何もできない自分が許せないと思ったのはこの時からだ。 間違いなくそれがきっかけだった。
1633 :名無しさん :2012/07/10(火) 03:09:01 ID:UboHf8Q60 中学生に上がる前、父方の祖父母に引き取られたものの 祖父母や親戚は性格が汚い人達で、何かにつけて父と母の保険金を要求するくせに 俺に対しては冷たかった。今思えば虐待的な事もされた。 「お前が悪いんだよ、お前が」こんな言葉を毎日言われた。 もちろん親族に対しても強い怨みはあったが、 何より自分自身に劣等感というか 自身を許せない気持ちの方が上回った。 母さんが早く病院に行かなかったのは俺がいたから。 母さんがいなくなってから、父さんにはたくさん苦労をかけてしまった。 俺がもっと世渡り上手で頭が良かったら、親族が俺を見る目も違ったかもしれない。 今思えば、親しい友人にも不幸が多かった・・ 友人達の環境が心底、羨ましく思ったせいかもしれない。 家族がいること、帰る家があること、俺みたいな経験をしてない事、汚い感情を知らない事、 おそらくこの先も健やかなままだろう、未来の友人達さえも。 理不尽なのはもちろん理解してる・・だけど憎い。 理不尽な自分自身が一番憎い。 自分の身の上話しは決して明るいものではないし、反応にも困るだろうから これまで誰にも、ゆかにさえ詳しく話した事がなかった。 正直に話した。 三人とも泣きながら黙って聞いてくれて、本音を言うと少しだけ救われた気がした。
1634 :名無しさん :2012/07/10(火) 03:21:19 ID:fNWqY3Ms0 「ねぇ、私の守護霊に俺くんも家族だから守ってほしいってお願いしちゃだめかな? お祓いも、でも俺くん自身だから難しいかな」 「正直、ゆかさんを守っている人からすれば俺さんを好意的には・・難しいと思う。 お祓いも・・どうかな。状況を良くするアドバイスは出来ても、 私とハルにはお祓いする力はないんだ・・ごめんなさい」 「私からも・・辛い思いをさせてしまってごめんなさい。お祓いしてくれるところ、急いで探します。 関わったからには私達に責任がありますから」 二人共、今日が初対面なのに本当に親身になって俺に接してくれた。 「俺さん、生き霊は気が済んだら身体に戻る場合も、そのまま消える場合もあるんです。 生き霊も『生きてる』からエネルギーが必要で、特に思いが強ければ強いほど・・ お祓いしてくる人が見付かるまで、何か良い改善策がないか考えます。 俺さん自身は優しい人なの分かります。 難しいかもしれないけど思い詰めないで」 その日はその場で解散することにした。ゆかとは半同棲だったけど、 危ないから暫くは自分の家にいてほしいとお願いし、自分の家に帰ってもらった。 それから俺はゆかと接するのは避け、早急にアパートを引き払い 現在のアパートに引っ越した。 ゆかや友人達、勿論ナツさんやハルさんとも連絡してない。 離れなきゃいけないと言う気持ちがあった。 それが俺自身の考えか、もう一人の自分の考えなのかは分からないが。 なるべく人と親しくならないようにしてる。 Twitterやブログも、誰かに影響しそうでやったことはない。 だから2chもROMか、どうでも良いことレスするだけ。 とにかく親しくしなければ大丈夫・・だと思う。多分。 俺自身に積もり積もった俺自身の怒り、怨み、憎しみは今もある。 本当は誰かと親しくしたい。救われたい。 けどどうすればいい分からない。 本当に自分が憎くて仕方ない
1635 :名無しさん :2012/07/10(火) 17:01:55 ID:DY2L8KCs0 >>1630-1634 自己への憐憫に浸るくらいなら、積極的な解決に向かえばいいのに 他人の純粋な好意を蔑ろにして良いことがあるとも思えないのだけど 結局生霊の思うが儘にしてるだけじゃん
1636 :1/2 :2012/07/15(日) 12:31:33 ID:xumMWXsk0 三連休あまりにも暇なので実体験を書いてみる。 オカルトではあるけど暇つぶしで書くから山なし落ちなしの上に一部宗教の話とかあるから苦手は人はスルーで。 いきなり宗教の話だけど俺は所謂、草加の三代目なのよ。 母方のばぁちゃんは広義で云うところの「仏様」扱いで信仰心はあるんだけど、○作万歳!みたいなのは無い。 でも子供達はそうでもなくて、結構○作すごい!って感じなのさ。 で、話は飛ぶけどよく「洒落コワあるある」で事件があると都合よく親戚の知り合いに霊能力者がいる、なんてのがあるじゃん。 村長がいつも事情に詳しかったり、出てくる坊さんがみんな霊能力あったりで「そんな都合いい話あるか!」なんて突っ込まれてるあれ。 ここまで話すとわかるだろうけど、叔父の草加繋がりの知り合いに自称霊能力者がいるんだわ。 小学生によくある「自分は超能力者なのよ!!」みたいな主張をする人じゃなくて、寧ろ隠しているような人とか。(叔父談) 隠しはするし話題とかもスルーするけど、ヤバげな事を相談すると助けてくれるらしい。 あとは自身の武勇伝を語ってくれるとか。 やれ昨夜は狐の霊が周りをグルグル回ってて眠れなかったとか、昨日の心霊番組の能力者偽者だよ、本物は別のところいたし etc... 「隠してるのに何で叔父さん知ってるんだ」という突っ込みはできなかったよ・・・。 一時期流行ってたスピリチュアル(笑)な番組とかも大好きな母と叔父はもうファンになっちゃって、何かあれば霊の仕業か!と相談に行くほど。 心霊写真っぽいのをみせては「これは落ち武者の亡霊だ」とか御言葉を授かってはありがたがってる。
1637 :2/2 :2012/07/15(日) 12:32:41 ID:xumMWXsk0 あるとき兄の友達の彼女が立て続けに変な怪我をして、例の如く霊の仕業だと相談にいったときの話。 写メを叔父に送って、彼に相談してみてもらったらこんなことを言われたらしい。 「この彼氏は霊を呼び寄せやすい体質みたい。で、彼女すごく優しいでしょ?寄ってきた霊が彼女のほうが優しいからってそっちにいっちゃってる」 兄は「うぉ〜!超合ってる!!」とか言っちゃって大興奮。 除霊するには「肩とかに塩かけて、毎日少しでいいからお経をあげなさい。経典と数珠はあげるから。」とのこと。 彼女に渡して言うとおりにしたら怪我も無くなった!一件落着で兄も友達も彼女もみんな彼のファンになりましたとさ。 正直、オカルトは好きだけど自称霊能力者や草加が大嫌いな俺としてはあんまりいい気しないわけよ。 (子供時代の貴重な休日に変なとこに連れてかれ、正座を強いられ、おっさんが醜く他人の悪口ぎゃーぎゃーいうのを聞かされて好きになるはず無いだろ) 話を聞いた限りだと、どれもこれも決定的じゃないし、胡散臭いったらない。 自称能力者が適当言って草加を布教しているようにしか見えない。 ・・・これは単にスピリチュアル()が流行っているからなのか。 それとも単純に草加の人間はこういうの信じやすいのか? もしくは俺の知らないところでもっと決定的な何かをしてるとか。 どれにしろあまり関わりあいたくない事には間違いない。 ちなみに家族は皆会ったことあるけど、俺は会ったこと無いので一部の武勇伝と性別しか知らない。 オカルトとか怖い話なんてのは人から聞くくらいが丁度いい。 自分が巻き込まれるだとか、ましてやカルト宗教がらみなんてのは真っ平御免だ。 ということで飽きてきたし、ネトゲのメンテも終わったし、これにて終了。 ああ、そういえば「洒落コワあるある」にこんなのもあったよね。 ”生きている人間のほうが怖い!落ち” お後がよろしいようで・・・
1638 :廃棄物 :2012/07/23(月) 16:42:39 ID:8PZ7gh2I0 中学3年生。性別男。趣味 物拾い。性格「一般人」の俺からの体験した話 部活を引退して最近1人で帰る時が多くなっていく。そんな毎日を送っているのだが珍しい事ならあった。 隣のクラスに転校生が来た ということだったのだがその転校生は俺のアパートの部屋の真横。しかも女。 そいつは明るくすぐに俺と友達になれると思っているのだろうか?毎日朝に俺が出る時間を考えて行動している。つまりだ 俺が110号室(俺の住んでる部屋)から出るとあいつがいて、「おはよう元気ー?」の一言をぶつけてくる。正直言って迷惑だ。 しかも俺が平日に歩く道はあいつがいっしょに歩いている。そして笑顔で俺に話しかけてくる。俺は適当なことを言ってあいつを無視 しかし あいつは学校に着いても俺のクラスに入ってくる。(警察にでも通報するかな・・・。)それが俺の毎日になっていった。 ある日に俺はあいつが玄関前にいないことに気がついた。(いつもなら俺が出てくる時間見計らってくるんだがな・・・嫌われたかな?) しかし道路を歩いているとあいつに遭遇した。しかもこんなに暑いのにジャンパーらしき物を羽織っている。珍しく俺から声をかけた。 俺「何してんだ?学校遅れるz」A(女)「ごめん今日は先言っててくんない?」別にお前を待っている訳ではない。 そういって彼女は走りながらアパートの階段を駆け上がっていく音がした。俺は久しぶりに1人で登校できるなどと考えながら歩いていると廃棄物場というのか その場所に黒いゴミ袋が置いてあった。(でかいな・・・何詰め込んであんだ?)など不信に思いゴミ袋に手を伸ばした時だったかな 近くのマンションの部屋でAではない別の女の声がした。
1639 :廃棄物 :2012/07/23(月) 18:34:28 ID:8PZ7gh2I0 すぐ間近で女性の声がした。いや奇声と言ってもなんら変わりは無く、その声は俺にしか聞こえてなかったのだ。 その理由として登校している道路には小学生、中年男性、老人等がいたにも奇声を聞き、その鳴る方向を見たのは俺だけだった。 しかも数秒間女性の奇声は鳴り続けているのにもかかわらず、道路にいた俺他6名は振り向きもしなかった。奇妙な気分になり、 その場から逃げるように俺は学校に急いだ。どのぐらいの時間走ったんだろうか?俺は横腹を痛め8:30分だと言うのにその辺の民家の 段路に腰を掛けた。もう既に遅刻という言葉よりさっきの自分にしか聞こえてこなかった奇声に俺は恐怖している。それもそのはずだ。 自分にしか聞こえなかった奇声なんだから。しかしこの場所はいつも通っている道のはずだが初めてここに来た様な不思議な気分だった 「見方によってはいい場所になるんだな・・・」そう自分でも言葉に発せられるぐらい綺麗な世界にいた。すると遅れてきたAが身嗜みを整えた 状態で俺に声を掛けた。
1640 :名無しさん :2012/07/23(月) 20:06:11 ID:5LCMSfMU0 >>1638-1639 要推敲
1641 :名無しさん :2012/07/24(火) 14:20:47 ID:lToUj3YY0 >>1640 申し訳なく思う 文章を見直してから書き込む
1642 :韓国人窃盗団 :2012/07/31(火) 19:42:46 ID:SKnXR0oU0 【一寸】仕事スレ 第153休憩所【一服】より転載http://logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/korea/1308421284/ 262:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 14:23:46.19 ID:g92KS6Km OK、同級生が巫女さんやってる神社でこないだ聞いた話。 前に事件があったんです。 蔵が荒らされていくつか物が盗られたんですが、なんかその倉庫って あまりよろしくないものを入れてる、いわゆるお祓い待ち物品倉庫らしいんです。 それでじいさん(住職)に聞いたところだと、盗られたものは ・供養待ちの人形の一部(アンティークドールとか日本人形とか数体) ・小鳥の箱(呪いの箱) ・藁人形(境内で見つかった物のうちほんとに呪いが成立しているもの) ・水晶や琥珀(呪い物) といったもので、盗んだのは韓国人窃盗団だったと。 というのが、泥棒に入られた3日後、同じ窃盗団がまたもや泥棒に入ってきたら、 全員が蔵の中で錯乱状態になって、外でのたうちまわってたところをとっ捕まった のだということ。 中には自分の目玉に指を突き込むほど錯乱してたやつもいたとか。 263:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 14:30:07.27 ID:g92KS6Km なんでも、前に盗みに入った時に結界の中心になっていたご神体の鏡を、罰あたり にも価値が無いと判断して割っっていったらしく、そうなると呪いを抑える結界は 住職には作れないので、呪いが漏れださないように周りに結界を貼っただけで、 倉庫の中は残ったモノの呪いで渦巻いていたそうです。 住職曰く「呪いの渦中に足を踏み入れたんだ、当然だろう。何を見たんだか。」 なお、盗まれたものはすでに窃盗団の一部とともに韓国に帰っているそうで、住職 さんは「おら知らね」とばかりに盗難物の返還を断ったんだそうな。 (それは事件そのものの取り下げになるのかな?) なんでも、特に厄介だったものを持っていかれたらしく、でもその呪いはそこに 残ってなかったということで、完全に呪いごと持って行ってしまったんだとか。 呪いが残っているならなんとしても原因体を取り戻さないといけないらしいですが、 呪いが残ってないなら追うこともできないので、状況に任せるしかないと。
1643 :韓国人窃盗団 :2012/07/31(火) 19:45:24 ID:SKnXR0oU0 264:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 14:35:02.20 ID:4CsArRWd>>263 IBN5100だったりしないよね? 265:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 14:36:32.36 ID:X6murusH 蔵に貴重品と書いておけば、入れ食い状態になりそうだねw 266:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 14:36:57.45 ID:g92KS6Km ただ、普通は長く置かれた地には呪いの糸(痕跡)が残っていて、後日その場所に戻って くるか、弱いながらもその糸に沿って影響があるのが普通だそうな。 それが無いというのは、「呪術的に関係を断って持って行ったか、その地との繋 がりと比較にならないほど強いつながりを持つ物、または人物がその場にいたか」 ということ。 いわゆる「呪われやすい、加護が無い、生きながら地獄の住人となっている者、 自らが呪いを生んでいる者(人を呪わば穴二つ)」らしい。 そういう物がある(奴がいる)と、呪いはそれに完全に取りつく形になるので 痕跡は残らなくなるそうだ。 ・・・まあ韓国人だし。 267:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 14:38:09.03 ID:g92KS6Km ちなみに、やばくない物は基本的にその場で簡単に供養してしまったり、普通にばらして まとめて供養っぽく燃やしたり捨てたりしてしまうんだそうだ。 力の無いわら人形とか魂の無い人形とか何にも呪われてない呪いっぽいアイテムとか。 逆にいえば、どこの神社でもほんとにやばいものは頑丈な倉庫に厳重にしまってる。 近年、それを宝物庫と勘違いして中国や韓国人の窃盗団が横行してるんだとか。 ただ、中国人は本堂の仏像とかの価値はあるけど呪い的なものはないものを主に盗って いき、韓国人は凶悪な呪いアイテムをずんどこもってくという狙い目の違いがあると。 住職は「もしかして韓国で、国を巻き込むような強力な呪術でも行おうとしてるんじゃ なかろうか?」と心配してたけど・・・多分何も考えてないだけだろうと。
1644 :韓国人窃盗団 :2012/07/31(火) 19:47:22 ID:SKnXR0oU0 269:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 14:40:20.74 ID:g92KS6Km 以上。 韓国が呪われるのは一向に構わんが、その呪いをこっちには向けてほしくない物ですな。 そして一度見てみたい。 呪われた韓国人の行動が普段のファビョンとどう違うのか。 270:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 14:43:20.09 ID:E+wEzvfg そのうちソウルあたりが奈落落ちしそうだな 271:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 14:44:51.21 ID:rXLM6zwh ケイオズヘキサはかの半島にあるのか。 272:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 14:48:40.17 ID:8PiXojOD 巫女さんのジイサンが住職? 284:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 18:18:59.02 ID:g92KS6Km>>272 そう、、、と書こうとして気がついた。 すまん、住職じゃなくて神主ダ。 285:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 18:23:44.62 ID:rXLM6zwh>>284 なんか判りませんけど止めておいた方が良いですよ。 オカルトは関わろうとする人間ほど厄介ごとが寄ってくると言いますし。 あなたに何らかの直截な被害がないならこれで止めておいた方が良いですよ。
1645 :韓国人窃盗団 :2012/07/31(火) 19:48:50 ID:SKnXR0oU0 373:マンセー名無しさん:2011/07/06(水) 22:23:51.81 ID:W782tRxY>>284 あたりに書いてあることでウリが思い浮かべた 韓国で3-5月にあった妊婦が肺炎→肺線維症→死亡が相次いだやつ しかもnot感染症で原因不明という http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2011051261748 274:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 15:37:04.92 ID:UKgCAXSp オカルト板の何だったか、ものすごいモノを身の内に飼ってるBさんに 韓国朝鮮中国に旅行に行ってみてもらいたい。 326:マンセー名無しさん:2011/07/05(火) 01:26:28.50 ID:+7YQsOCG>>274 ゴルゴまたぎも一緒にw 277:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 15:53:11.75 ID:OK2NAf1i 旅行者とかが半島行って変なの連れ帰ってくる話もあんのかな。 278:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 16:03:49.07 ID:17KJeu17>>277 その手の話があったよ。 半島に旅行に行って、帰ってきたら体調不良か不幸続きでお祓いにいったら 最近、半島に行かれたか聞かれたそうだ。 坊さん曰わく、上記の内容を説明されたと
1646 :韓国人窃盗団 :2012/07/31(火) 19:50:49 ID:SKnXR0oU0 279:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 16:03:52.04 ID:jRFD6pQX 巣くうものシリーズか。 この話自体似たようなものがあるね、洒落コワの無知。 一つの国に何の措置もしないまま、無秩序に『いわく付き』の品物が集められたら、 一体何が起きるのか想像も出来ない。 「普通、そんな何の利益にもならない、バカな事をする人はいないだろう」と和尚さんは言っていた。 おかしな話だが、呪いの類にも、人間関係のような相性があって、 人で喩えるなら、意気投合するものもあれば、性質が合わずに反目しあうものもあるらしい。 そういったものが何の規則性も無く、制限無く集められていっているとしたら、 「恐らくとんでもない事になる。何が起きるのかは分からないが…」とも言っていた。 54 :本当にあった怖い名無し:2009/05/24(日) 04:18:14 ID:B3+fEFe10 そこで俺は、こう和尚さんに言ってみた。 「でも、外国に持ち出されたなら、俺達は安心じゃん。その国にいかなければ害も無いでしょ?」と。 しかし和尚さんは、 「そうではない。 仮に行かなくとも、これだけ大きく無秩序な呪物の集合の場合、『縁』を持っただけでも危ない。 『縁』が軽い場合や一時的なものだったとしても、一体どういう影響があるのか全く予想も出来ない。 もしお前達が『縁』を持ちそうになったら、何があってもそこから逃げろ」と言われた。 http://khmb.blog92.fc2.com/blog-entry-1050.html 282:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 16:35:06.57 ID:aKJTQ+LX>>279 これが法則の正体なのかな すると逆法則って何なんだろう 308:sage:2011/07/04(月) 21:48:20.55 ID:CGrt6/VG>>282 逆法則 これのことかい? http://syarecowa.moo.jp/108/32.html
1647 :韓国人窃盗団 :2012/07/31(火) 19:51:51 ID:SKnXR0oU0 312:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 22:40:28.19 ID:aKJTQ+LX>>308 サンクス 法則逆法則は、神様が敵味方どっちについたかの違いだったのか… しかし連中に祟りという概念はないのか? 280:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 16:09:30.79 ID:sCL0dGHu >262、ちょっとまて、小鳥の箱ってコトリバコのことだよな?あんなん持ち出したのか! 281:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 16:11:57.03 ID:UKgCAXSp>>280 その部分、眼がスルーしてたのにぃ……。 284:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 18:18:59.02 ID:g92KS6Km>>280 連投規制中にいくつか見てみたら、コトリバコがあったから見てみた。 ・・・なんだこの洒落にならない呪いは!? 聞いてた時の会話を再現すると 神主さん「盗られたのはあれとそれと、あと小鳥・・・まあ呪いの小箱だ」 俺「小鳥の小箱? なんか可愛い呪いですね」 神「いや、これがなかなかえげつない呪いでな。まあわしも直接は知らんのだがな。」 週末にもう一度聞いてくる。 288:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 19:43:52.67 ID:PV91RYuX 個人的には悪霊が存在するなら精霊や神やスーパーマンやドラえもんだって存在するわけで、 多くの人が悪い方の存在は強力に信じるのに良い方はスルーというのは、実に滑稽でアホらしく、 まさに呪いだの悪魔だのと言うのは絵空事の典型だという思いが強くなる
1648 :韓国人窃盗団 :2012/07/31(火) 19:53:10 ID:SKnXR0oU0 291:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 20:03:15.19 ID:hl5++5is>>288 それはな、力ある者と仲良くなるから逆に守ってもらってるだけ。 菅原道真公をみろ。 祟り神が学問の神様、はては雷よけもしてもらってる。 だから、神仏を疎かに扱ってはいけない、と言うこと。 守護してもらえば心強いが、祟られると怖い怖い。 無神論で違う世界に住むのは勝手だが、くれぐれも馬鹿にはするなよ。 それじゃ半島人と同じだ。 292:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 20:07:41.15 ID:nLVwY50z>>288 ???? 精霊は日本文化に合わないからともかく。神様を信じてるから呪われた品を神社に預けるんじゃないの? あと、スーパーマンだのドラえもんだのはたかだかここ50年ぐらいの創作物 それを1500年信じられてきたもんと一緒には出来んでしょ 故人曰く、深い信心は功徳を生む 298:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 20:52:50.41 ID:PV91RYuX>>292 それはつまり、スーパーマンやドラえもんも1450年後には信じるに足るものになると言ってるようなものだな 20世紀のシーゲル&シャスターや藤子・F・不二雄の創作物は信じられなくても、紀元前の名無しさん による創作物は信じられるってか? まぁ権威に弱いのは日本人のサガだから責める気はないが 300:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 20:56:14.35 ID:nLVwY50z>>298 お前さんが読解力無いのはわかった そりゃ、その辺が1450年「実在すると信じられてきた」なら、それだけで信じる人には救いになるだろーよwww
1649 :韓国人窃盗団 :2012/07/31(火) 19:54:08 ID:SKnXR0oU0 302:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 21:16:32.53 ID:hl5++5is>>298 馬鹿だなぁ。 1450年も続く事自体がただものではない証なのだよ。 仮にドラえもんが1000年の時を経たら そこにはきっと何かが宿っていることだろう。 ありがとうウルトラマンと言う話を読め。 290:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 19:57:26.99 ID:iBL1AmAu >多くの人が悪い方の存在は強力に信じるのに良い方はスルーというのは、 多くの人は良い方も信じていると思いますよ。 日々、仏壇に手を合わせたり、神社仏閣にお参りに行ったりしてるでしょ。 最近は特にパワースポットがブームになってましたし。 話題として悪い方の力が多く取り上げられるのはそれが「非日常」の非常事態だからですよ。 そろそろスレチですね。 295:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 20:39:48.59 ID:x7RBsMf+ もう20年ぐらい前の話。 ウチの町内に呪いの仏像を所有してる有名な呪われた一家がいて、さすが呪われた一家で 借金漬けだったんだけど、ヤーさん絡みで事情を知らない半島の人が乗り込んでその仏像を 非公的に差し押さえしたんだw 半年に1回ぐらいのペースでウチにも無心に来てたんだけど、それ以来運が向上したらしくて 今はしゃっきり働いて暮らしてます。 その半島の人は直後に事故にあって片足無くしたところまでは話に聞いてますが、なんか やらかしたのかすぐに行方不明になりました。 仏像が原因ではなく元々そういう素養だったかも知れませんが。 296:マンセー名無しさん:2011/07/04(月) 20:40:00.06 ID:Q2ugaru+ コトリバコ知らなかったんで、ググってみた。 何かやばい気がしたんで、検索結果の表題部だけ読んでみた。 マジでやばいと思ったので、そこで終わりにした。
1650 :韓国人窃盗団 ラスト :2012/07/31(火) 19:55:09 ID:SKnXR0oU0 344:マンセー名無しさん:2011/07/05(火) 17:34:27.14 ID:ya3BOAnZ>>296 とりあえず当分昔に読んだがなにもなかったけどオカルト関係とは明るい方向としか関わらないことにしてる。 怖い話は見ないって事ね。
1651 :名無しさん :2012/08/13(月) 05:29:03 ID:6FIpuQUA0 10年前の夏休みに高速道路でワゴン車を相手に死亡事故を起こした人と 同姓同名の別人が今年の夏休みに高速道路でワゴン車を相手に死亡事故。 同じ誕生日には同じ漢字を使った名前が結構あったり、 名前って不思議。
1652 :あひゃ :2012/08/15(水) 01:48:34 ID:oxQTXkMw0 金髪の女 つい最近母から聞いた話だ。 母の行き付けの床屋の常連客のおっさんが体験した怪談話なんだが、それをおっさんから店主へ、店主から母へと伝言された形なので一部内容が抜け落ちたりしてる可能性もあるけどあらかじめご容赦を・・・。 常連のおっさんは車が好きで、特に外車が好きだったらしい。 おっさんがある日ネットを見ていたら、昔から探していた米国産の中古車を見つけたらしい。 しかも結構安くかったらしく即購入、即手続、即査定を決意したという。
1653 :あひゃ :2012/08/15(水) 01:50:16 ID:oxQTXkMw0 後日。件の外車が家に届いた。 上機嫌になったおっさんは車をバックに家族写真を撮ったらしい。 だけど、写真には妙なモノが写ってた。 車の助手席に見知らぬ金髪の若い女の人らしき人影が写ってて、おっさんも家族も驚いたそうだ。 これは怪しいと見た家族の人は、この車を手放すようにおっさんに言ったが、おっさんは単なる偶然だろうと言って聞き入れなかった。 長年憧れていた外車だったので仕方ないのかもしれんが、車に全く興味のない自分からすれば理解できない執着だな。
1654 :名無しさん :2012/08/15(水) 01:51:53 ID:oxQTXkMw0 そして、ある日、外車が事故を起こした。 一人での運転中に、いきなり操作ができなくなって塀に衝突したらしい。 特におっさんが飲酒していたわけでも、寝不足だったわけでもなかったらしい。 幸い、おっさんに怪我は無かった。車も損傷は少なかったらしい。 近所の誰かが連絡したのだろう。すぐに救急車と警察がやってきて、事故の原因調査や乗員の安否を確かめにきたという。 そして、警察の人がおっさんに向かってこう言ったらしい。 「怪我がなくて良かったですね。助手席の人も無事でなによりですよ」 おっさんは戦慄したという。
1655 :あひゃ :2012/08/15(水) 01:54:18 ID:oxQTXkMw0 車は一応修理に出したものの、流石におっさんもこの車は駄目だと思ったようで処分を決意したという。 だが、その外車は大層な有名ブランドであったらしく(母は名前忘れたって言ってたけど)、修理先の人が要らないなら譲ってくれと申し出た。 おっさんはその車は女の幽霊が憑いてるかもしれないから、と引き止めたが、修理先の人はそれでもいいと言って聞かなかった。 後日。案の定、車は事故にあった。 またもや操作がきかなくなって塀に激突したのだという。(どんだけ塀が好きなんだろうねアメリカ女の幽霊w)ただ、乗員の怪我は大したことなかったそうだけど。
1656 :あひゃ :2012/08/15(水) 01:57:32 ID:oxQTXkMw0 この車はやはり危険だと感じたおっさんと修理先の人は寺に車を持ち込んで見てもらったそうだ。 坊主曰く、金髪の女の幽霊が憑いてる、とのこと。彼に廃棄を勧められたらしい。 後におっさん達は車を処分工場へ持って行った。 おっさん達は好きな車への義理立てと女幽霊の供養のために花束を捧げた上でスクラップに出したそうな。 そして、スクラップにされる瞬間を見届けていた・・・次の瞬間――― 「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」 と、女の張り裂けるような断末魔が工場内に響き渡った。 おっさん達も作業員も人が巻き込まれたのではないかと驚いて作業を止めたが誰もいない。そのまま作業は続けられたらしい。
1657 :名無しさん :2012/08/15(水) 01:59:51 ID:oxQTXkMw0 特にその後、おっさん達に霊障が起きたとか不幸があったって話は無い。 ・・・だけど、自分は思うんだ。 当事者達からすれば、後に不幸が特に起きなかったからめでたしめでたしで済むんだろうけど、スクラップにされたアルミニウムとかの廃金属って再利用されるだろう? それがもし運悪く自分たちが日常で使うことになったらって考えたら寒気がするよね。 ちなみに青森県弘前市の話だ。青森県内、特に弘前の人は気を付けてほしい。
1658 :名無しさん :2012/08/15(水) 13:47:16 ID:48BCrrH60 一年くらい前におこった話。 決まったメンバー四人でいつも遊んだりしてるんですが、その日は大阪の某カラオケ店で昼間からカラオケをしてました。 以下、私、A、B、Cとします。 部屋は廊下の一番突き当たりでした。 Aが曲を歌っているときです。 電話が鳴りだした、とBが言い始めました。Aも歌うのをやめて、私に 「フロントからじゃない?一番近いから出て」と促しました。 私がその備え付けの電話の真横に座ってましたが、全く電話の音が聴こえません。Cも聴こえないようでしたが、AとBが急かすので電話を取りました。でしたがやはり店員の方も注文だと思って出ただけで、掛けてないと言われました。私はどうせ曲から聴こえたんでしょ、と言ってその場は終わりました。 曲が何曲か終わった後、私とAはトイレに立ちました。 二人で部屋に戻ったとき、ちょうど曲が終わってて静かになっていたときです。 Aが扉を閉めたすぐ後に、 コンコン とノックする音がしました。Aと目があって、 「きこえた?」と言われましたが、扉は下の部分が普通のガラスなので人が居たらわかるしありえないと思い、ただの物音としてその場も収まりました。 その二つの出来事も忘れかかっていたとき、ガラスの下の部分から人が通るのが見えました。 店員だと思いましたが、この部屋は突き当たりで先に部屋はありません。向かいの部屋は空室で半分扉が空いてる状態なはずです。 しかし、また扉の前を誰が通る様子はなかったので私は、興味本位で直ぐに「トイレにいく」と言って部屋をでました。 正直に言うとこのとき恐怖心など は全くありません。 廊下を見渡しましたが、人は歩いていませんでした。 向かいの部屋を確認しました。 人が入っていなかったので、半開きの扉を開けて覗きこみました。 やはりそれらしき人は居なかったし、すぐ部屋に戻りました。 ちょっと変に感じたので、私は扉に近い席に座るのをやめてかわってもらいました。 その日のカラオケはその後何事もなく終わりました。 また違う日に四人が集まる機会があり、その時のカラオケでの話を私はしました。 人が通ったのをみて、確認したけれどなんにもなかった。 Cが「だからトイレ戻ってくるの早かったんだねぇ」と笑いながら話しましたががBが、 「私もみた」と言いだしました。 「私も人が通るの見たけど、気のせいかなって思ってた。」 と半泣きで言われました。 Cは電話もノックも気づかなかったそうです。 人それぞれだなぁ、と思いましたがこれが始めて体験したちょっと心霊っぽい話。 怖くなくてすみません
1659 :名無しさん :2012/08/15(水) 22:44:32 ID:RQF4HK0E0 すみません 一つ実体験を投下します 霊的なものではないと思いたいですが 不気味な話を一つ 私は毎日 バスで通勤していて 朝早くに家を出て ちょっとバスターミナルの待合室でゆったりできる 時間を設けられるようにしてました で その日もいつものようにバスターミナル待合室のベンチで缶コーヒーを飲んでいたら 隣に50~60代 くらいのおじさんが座ってきて こちらを見て何かボソボソと話している様子 あまりにもじっと見つめ続けてくるのでちょっとムッときて「何ですか?」と尋ねてみました するとおじさんは 「(聞き取れない部分)・・・にぃちゃん お金貸してくれやぁぁ 500えんぉぉぉ」 と手を出してきます 当然 見ず知らずの人にお金を貸すことなんてできないので 「えぇと ちょっと・・・それは うっふふふふ」 とお茶を濁してみたのですが 通じているのかいないのか 「500円 500円 明日には返すからぁぁ 500ええん」 と 引き下がろうとしません 強気な態度を取ることも考えましたが 相手が突然「あんだとこの野郎おおおお!」と逆上してポケットの中のヒカリモノを・・・(サスペンスの見すぎですが) なんて展開を考えてしまい どうしたものかと悩む始末 そうして悩んでいる間にもおじさんは500円と 貸せをいい続けるばかり こうなったら嘘でもついてここを去ろうと思いとっさに思いついた嘘が 「いや あれですわ なかなかこの財布にもお金が入らないものでねぇ 財布を開ければ木枯らしが吹くんですわ はっはっは」 と適当に思いついた嘘を話してみると おじさんの500円コールが止まり きょとんとした表情に 今だと思い 勢いよく立ち上がり 待合室を出ました 時計を見ると バスが来るまで15分ほど 残りをどこで過ごそうかと考えていると 後ろから 「にいいいいちゅあああん お金ぇ 500ええええん」 おじさんが追ってきていました 背中に冷たいものが走り 考える前に体がおじさんと逆方向に歩く 早足になる 走る とにかく逃げなくてはと思い おじさんをまびくために隣接する地下街へ 階段をかけおり ちょっと上を見ると おじさんが私を探しているようでした このまま500円を渡そうか・・・とも考えましたがこれをきっかけに毎日現れると厄介 しかし バスに乗るには元の場所に戻らなければならない と考えてるうちに おじさんの姿が近づいてくるではありませんか! ここは一か八か 地下街を大回りしてサッと戻りバス待ちの列に並んでしまおうという作戦を考え 考える間もなく実行に ひたすら角を曲がり 角を曲がり 後ろからくる気配に耐えながら ひたすら早足で歩き続けました 地下街はそう大きな場所ではないので1周するのはそう時間のかかることではないのですが 人間 不思議なもので こういう想定外の事態に巻き込まれたときは妙に体感時間が長くなるもの この場合も 例に漏れず 1分が長い まるで時間が遅く流れているかのような感覚 それともう一つ 普段 この場所は街中だけあってサラリーマンや学生の往来がそれなりに多い場所なのですが どういうわけか 人を見ない 辺りは無人 おじさんの気配とかすかに聞こえる声以外は何も聞こえない とても「現実」とは思えない風景・・・怖いです 怖いけど 仕事には行かなきゃならない やがて バスステーションに戻る階段を見つけ おじさんがいないことを祈りつつ 階段を上がる 上がった瞬間 それまでの静寂が嘘だったかのように辺りが騒がしく いかにも「朝の通勤・通学時間帯」独特の喧騒が いつもの風景を見た瞬間 体の力が抜け そのまま倒れそうになりましたが踏ん張り バスの列に並び 間もなくバスが来て 乗ろうとしたその瞬間 後ろからあのおじさんの声で 「にいいちゃあん おったあ 金〜 500えええん」 声が聞こえたものの バスに乗ればこちらのもの 無事に職場につくことができました その後はおじさんの姿を見かけることはありません 一体 あれは何だったのか・・・ 文だけ見るとたいして怖くないかもしれませんが 私としては怖い体験でした 乱文失礼しました
1660 : ◆cmuuOjbHnQ :2012/08/23(木) 11:06:40 ID:GbxTGrZM0 テスト
1661 :黒猫 ◆cmuuOjbHnQ :2012/08/23(木) 11:23:54 ID:GbxTGrZM0 お久しぶりです。 俺の住んでいたアパートは、築50年ほどの古い建物で、1階は元店舗、2階は4部屋で風呂なしトイレ共同の昭和の遺物のような物件だった。 1階のスペースを自由に使って良いのと、家賃が月2万8000円と激安の『昭和価格』だったことが決め手となって、結構長い間借り続けていた。 週に1度か2度、寝に帰るくらいの俺にとっては格安の物置兼屋根付きバイクガレージとして好都合だったのだ。 アパートには、耳の悪い爺さんとネパール人の若い男が住んでいて、トイレ前の部屋が1部屋空いていた。 猫好きの爺さんは、そろそろ尻尾が二つに裂けそうなヨボヨボの三毛猫と、どこからか拾ってきた黒白の毛足の長い洋猫を飼っていた。 爺さんが拾ってきたときは今にも死にそうな小さな子猫だったその猫は、数年後、体重10kg近くの巨体に成長していた。 特に肥満と言うわけではなく、ノルウェーなんとかキャットという元々デカくなる品種だったようだ。 この猫は俺にも良く懐いていて、俺が部屋にいる時には窓をガリガリとやって中に入ってきた。 体重10kgの『猫マフラー』は夏場には勘弁して欲しかったが、たまにアパートに帰るときはカリカリやお気に入りの『黒缶』を土産に買っていった。 そのお返しだろう、生保暮らしの爺さんは毎日のように出かける釣りで大漁だったときは、魚を良くくれた。 ネパール人の男、アナンドに言わせれば『猫のお下がり』らしかったが。 そんな爺さんがアパートで火事を出した。 俺の携帯にアナンドから、アパートが火事で全焼し、爺さんが病院に運ばれたと連絡が入った。 アナンドは夜勤に出ていて無事だったらしい。 火事の原因は、爺さんが消し忘れた仏壇の蝋燭が倒れて燃え移ったようだ。 耳が悪いうえに寝ていて出火に気付かなかった爺さんを洋猫の『ヤマト』が廊下まで引きずって助けたらしい。 長い付き合いの『ミケ』の方は素早く逃げ出し、火事のあと近所の『別宅』で見つかった。 爺さんは足と背中に火傷を負って一時危なかったらしいが、どうにか命は取り留めた。 アナンドと共に爺さんを見舞ったとき、爺さんは燃えてしまった俺のバイクのことをしきりに気にしていた。 実際のところは、部屋にあったパソコンや資料の方が痛かったのだが、金額的な損失はさほどではなかった。
1662 :黒猫 ◆cmuuOjbHnQ :2012/08/23(木) 11:26:10 ID:GbxTGrZM0 俺のバイクは92年型のカワサキの1100ccだった。 モデルチェンジ直前に値下がりしたところを初めて新車購入した大型だ。 当時は世界最速。 その後、ホンダやスズキから同じカテゴリーのもっと早いバイクが出たが、いまひとつ気に入らず、結局20年近く乗り続けていたのだ。 爺さんは買って返すと言ったが、価格はともかく、中古市場にコンディションの良い車両など殆ど残っていないだろう。 よしんば有っても、生保暮らしの老人にそんな出費はさせられない。 俺とアナンドは爺さんに「気にするな」と言って、病院を後にした。 病院を出るとき、爺さんは『ヤマト』のことをしきりに気にしていた。 火事のあと『ミケ』は直ぐに見つかったのだが、爺さんを助けた『ヤマト』は行方不明のままだったのだ。 『ヤマト』はアパート前の道路を通学路にする小学生たちのアイドルだった。 「近所の家に保護されているんじゃないかな?見かけたら連絡するよ」と言ったが、『ヤマト』の行方は結局判らないままだった。 親や学校に隠れて16歳で中免を取って以来、事故って入院していた期間を除いて、俺のバイクなしの生活は最長になっていた。 ある日、俺は仕事帰りに、ぼちぼち次のバイクでも、と馴染みのバイク屋に立ち寄った。
1663 :黒猫 ◆cmuuOjbHnQ :2012/08/23(木) 11:27:19 ID:GbxTGrZM0 「久しぶり、ダブジー燃えちゃったんだって?」 「ああ。だから、そろそろ次を探そうかなと思って」 「どんなの探してるのよ?」 「あんまりピピッと来るのがないんだよな。 俺もいい年だし、実用的で楽な奴が良いな。S1000RRとかZX10R辺り?」 「お前、サーキットや峠なんかもう殆ど行かないだろ? 街乗りやツーリングじゃ持て余すだけで良いこと無いぞ・・・それに、同じバイクに長く乗るタイプにSSは余り薦められないな」 「じゃあ、1400か?新ブサはイマイチ好みじゃないんだよな」 「いい加減、世界最速とか最高馬力は辞めとけよ。いい年なんだしさ。 もう少し大人しくて、まったり乗れる奴にしておきな」 「それもそうか・・・何か良いのある?」 「あるよ!お前好みの奴が。そろそろ来る頃だと思ってキープしてあったんだ」 バイク屋の店長はガレージから問題のバイクを引っ張り出してきた。 初期型のZX12R・・・最高速規制前の350km/hフルスケールメーターの付いたA1型と言う奴だ。 「ちょっと待て、コレのどこが大人しくてまったりと乗れるバイクなんだよwww」 「年式は古いし、少々距離は走っているがナラシは完璧で、しっかり回された極上物だよ。 出物の中古はコケてフレームが怪しいのや、碌に回さないでエンジンが腐ってるのが多いんだけどな。 Dタイプも駄目、ブラバやブサも気に入らなかった偏屈野郎には丁度良いと思うぞw」 「あんまり良い評判は聞かないけどね」 「乗れば判るよ。どうせ暇なんだろ?1週間ほど貸してやるから試しに乗ってみなって。 レンタル料3万。購入の場合は車両価格から引くからさ」 「OK。借りてくよ」
1664 :黒猫 ◆cmuuOjbHnQ :2012/08/23(木) 11:28:39 ID:GbxTGrZM0 ZX12R・・・発売当時は同じカワサキから出ていた9Rの方に興味があったので試乗経験は無かった。 ZZRに比べると車重は軽いが、かなり腰高で重心が高い。 違和感を感じるほどにスクリーンも近い。 だが、ぱっと見とは違って意外にハンドルは近くて高く、操作はし易かった。 直線番長で曲がらないと聞いていたが、開けさえすればしっかり曲がった。 ただ、開けないとどうにも言う事を聞いてくれないので、万人向けではなさそうだ。 直ぐに手放すオーナーと乗り潰すまで長く乗り続けるオーナーの両極端だと言うのもうなづけた。 得意とされる高速走行は圧巻だった。 以前、出たばかりの初期型ブラックバードに試乗したとき、200km/h以上の速度でのレーンチェンジの軽さに感動したものだった。 ブレーキの違和感さえなければ乗り換えていただろう。 ZZRのD型やハヤブサは、加速力はともかく、この速度域での動きはブラックバードに比べると鈍重だ。 車列を縫ってのレーンチェンジはちょっと遠慮したい鈍さだ。 だが、この初期型ZX12Rは250km/h以上の速度域で200km/hでのブラックバードよりも更に軽快にレーンチェンジが決まった。 硬すぎるとも言われるモノコックフレームの剛性の高さもあるのだろうか、速度が上がるほどに車体の安定性が増して行くようだ。 店長が言ったように、まさに俺好みのバイクだった。 俺は連日、高速に上がって上機嫌でバイクを飛ばし続けた。 そして土曜日、バイクを返しに行く前日の夜がやってきた。
1665 :黒猫 ◆cmuuOjbHnQ :2012/08/23(木) 11:30:48 ID:GbxTGrZM0 その日は道場に寄った所為もあったのだろうか、肩や首が妙に重たかった。 今夜は走りに行くのを辞めて、コイツに決めてしまおうかな・・・とも思ったが、スピードの誘惑には勝てず深夜の高速に上がった。 土曜の晩だというのに嘘のように他の車両を見かけなかった。 覆面もいない。 最高速アタック、行っちゃいますか! 1速落として『カチッ』と当たるまでアクセルON。 5速からだが凄い勢いでメーターの針が上がる。 全開から『チョン』と一瞬スロットルを戻して6速にシフトアップ。 もたつく事無くレッドまで一気に回り切る。 すっげ〜楽しい! 上り線を降りてUターン。下り線に乗ってしばらく140km/hほどで巡航。 気持ちよく真ん中の車線を流していると、バックミラーが黄色い強烈な光を反射した。 大型トラックか何かにハイビームで煽られたか? うぜえ・・・追い越し車線に入ってさっさと抜いてけよ、と思ったが、光の主は一向に追い越し車線に入ろうとしない。 一向に煽りを止めない光に『ハイハイ、開けてやるからさっさと行けよ』と左の車線に移ったが、光は俺を追尾し続けた。 ・・・なんだこいつ? 光を振り切るべく、俺はシフトダウンして一気に加速した。 一瞬でスピードメーターの針は真上を超し200km/hの速度に達した。 だが、背後からの光を一向に振り切れない。 馬鹿な?! 背中に嫌な汗が流れ出した。 俺は更にスロットルを捻った。 メーターの針は250km/hを超えていただろう。
1666 :黒猫 :2012/08/23(木) 11:32:23 ID:GbxTGrZM0 前方の闇に赤いテールランプが見える。 まずい、そう思ってスロットルを戻そうとした瞬間だった。 ゾクリと俺の背中に悪寒が走った。 前方から伸びた二本の手が俺の両手首を掴んだのだ! 思わず俺はスクリーンに伏せていた上体を起こした。 強烈な風圧に上体を持っていかれそうになった。 そして、スクリーンの向こう側を見た俺は凍りついた。 確かに見た。 顔面が半分石榴のように潰れた男の顔を! 男の残った片目と視線の合った俺は金縛り状態だった。 赤いテールランプは物凄い勢いで接近してくる。 『終わった・・・』 そう思った瞬間、首筋にふわふわした感触を感じ、耳元で『にゃあ』と猫の声を聞いた。 見覚えのある、フサフサの黒い長毛に覆われた、先の白い猫の前足が男の顔面を引っ掻いた。 その瞬間、フッと男と手が消え、俺の金縛りが解けた。 だが、恐らくミラーを見ていなかったのだろう、左車線を走っていた車がウインカーを点けて俺の走っていた中央車線に車線変更してきた。 俺は咄嗟に左レーンにレーンチェンジした。 ぶつかった!と思って、俺の体は硬直したが、間一髪、俺は衝突を免れた。 恐怖に震える手足で減速操作をして、俺は路肩にバイクを止めた。 足が震えてサイドスタンドが中々出せない。 難儀してやっとサイドスタンドを出してバイクを降りた俺は、腰が抜けたようにその場にへたり込んだ。
1667 :黒猫 ◆cmuuOjbHnQ :2012/08/23(木) 11:34:12 ID:GbxTGrZM0 どれくらいの時間がたったのだろう、東の空が明るくなり出していた。 俺は、バイク屋の店長の携帯に電話を掛けた。 留守電に現在位置を吹き込むと、5分も待てずに再び電話を掛け直した。 そんなことを5・6回も繰り返すと眠そうな声の店長が電話に出た。 「何だよ、こんな時間に!」 イラッとした店長の声を聴いた瞬間、なぜか俺は激しい笑いの衝動に襲われた。 ゲラゲラ馬鹿笑いしながら「XX高速下り線の**辺りの路肩にいるからバイクを引き取りに来てくれ!」 「おい、何があった?事故ったのか?」 「いいから早く来いよ!大至急な!」 かなり急いできたのだろう、1時間ほどしてバイク屋のトラックが到着した。 店長の顔見ると先ほどまでの異様なテンションが水が引くように冷めていった。 そして、ガタガタと俺は震えだした。 「大丈夫かよ?」そう言って店長はお茶のペットボトルを渡した。 俺はうなづいて受け取った飲み物を飲み始めた。 その間、店長がトラックにバイクを載せる準備を始める。 「なんだよ、動くじゃねえかよ。足回りにも問題はないし、何があった?」
1668 :黒猫 ◆cmuuOjbHnQ :2012/08/23(木) 11:35:37 ID:GbxTGrZM0 無言のまま、俺は店長の積み込み作業を横目にトラックの助手席に座った。 リフトを操作してバイクを積み込み、固定作業を終えた店長が運転席に乗り込んできた。 お互い無言のまま高速を降り、一般道に入った所で俺は店長に話しかけた。 「あのバイクさ、何か曰く付きのシロモノなんだろ?」 「・・・いや、そんな事はないよ・・・あのバイクにはな・・・」 俺はついさっき起こったことを店長に話した。 「まあ、こんな話、信じられないかもしれないけれどな」 「まあ、普通ならばな。でも、信じるよ・・・」 店長はタバコに火を点けた。 やがて、トラックは店の前に到着した。 バイクを下ろすと店長は俺を店の奥に誘った。 事務所の壁に額に入った何枚かの写真が飾られていた。 ショップ主催のツーリングやサーキット走行会の集合写真が飾られていた。 草レースの記念写真らしき写真も何枚かあった。 その中の少し古い1枚を指して言った。 「その写真の左側の男があのバイクのオーナーだよ」
1669 :黒猫 ◆cmuuOjbHnQ :2012/08/23(木) 11:37:38 ID:GbxTGrZM0 写真の男がスクリーンの向こう側から俺の腕を掴んだ男かは判らなかった。 答えは判っていたが聞いてみた。 「この男はどうなったんだ?」 「死んだよ」 「あのバイクで?」 「いや、別のバイクだ・・・ホンダの250、VTだよ。古いバイクだ」 「事故で?」 「ああ、自損事故で・・・お前が停まっていた、あの辺りだ」 「本当に自損だったのか?」 「判らないよ・・・昔はむちゃくちゃに飛ばす人だったけどね。 結婚してからは大人しく走っていたし、子供が生まれてからは更に慎重に運転するようになっていたよ。 お気に入りだった、あの12Rだって手放そうとしていたからね。 でもさ、箱の付いた緑ナンバーで最高速アタックする奴はいないだろ?」 「・・・」 「警察に言われても、カミさんは信じちゃいなかったけどね。まあ、直線区間のあの場所で単独事故は普通に考えたら有り得ないよな。 でも、他の車両が絡んだ証拠もないしな。死人に口なしだよ」 「・・・」 「奥さんはダンナのバイクを処分せずに残してあったんだけど、今度再婚することになったんだ。 それで、もう一台と一緒にね。 もう一台のガンマは古くてパーツもないし、外装もぼろぼろだったから廃車にしたんだけどさ」
1670 :黒猫 ◆cmuuOjbHnQ :2012/08/23(木) 11:42:55 ID:GbxTGrZM0 あの晩の男が彼だったのか、それとも他の何かだったのかは俺には判らない。 だが、あの12Rに二度と乗る気は起こらなかった。 男の幽霊?云々ではなく、乗り手を異常な速度域に引っ張り込む魔力のようなものを感じて怖くなったのだ。 連日連夜、あのバイクで飛ばしていた自分の行動の異常さに、今更ながら気が付いたのだ。 バイク屋の店長には「タンデムの楽しいバイクがいいな。女の子のおっぱいが良く当たるヤツ」と言っておいた。 だが、俺の中では、バイクそのものに対する欲求は萎んでいた。 ところで、あの晩、潰れた男の顔を引っ掻いて俺を救った主は、行方の判らなくなった爺さんの猫『ヤマト』だと思っていた。 一宿一飯の恩義と言う奴なのか? 猫の恩返し、そんなこともあるのか・・・あの猫、やっぱり、あの火事で死んじまったのかなと、少し寂しい気分になっていた。 だが、火事から大分時間の経った、オム氏の娘のガードの仕事が終わった後のことだった。 意外な所で『ヤマト』は見つかった。 火事の直後、『ヤマト』は大家に保護されていたらしいのだが、遊びに来た孫が気に入って連れて帰ってしまったらしい。 まだ、爺さんが入院中で意識が戻っていなかった頃だ。 一応ペット禁止のアパートだったが、住人のペットを勝手に連れ去る形だったので口を噤んでいたらしい。 色々と悶着も有ったらしいが、爺さんが飼い続けることは不可能になったので、治療費は大家持ちという事で、大家の孫に譲られることになったのだ。 礼という訳ではないが、俺は無事の確認された『ヤマト』に、大家を通じて黒缶プレミアムまぐろを贈った。 おわり
1671 :名無しさん :2012/08/23(木) 15:23:37 ID:8TAQJ6oU0 ノルウェージャンフォレストキャットかー、いいなあ
1672 :名無しさん :2012/08/24(金) 02:07:02 ID:5Ti20fcE0 マサさん乙です。ヤマト生きててよかった。 ノルウェイジャンは威厳のある風貌をした賢い猫だよね。 それで大きくてフサフサなんて、猫好きにはたまらないw
1673 :名無しさん :2012/08/25(土) 12:29:34 ID:acXy00DoO >>1660-1670 にゃあ… にゃ!
1674 :名無しさん :2012/08/25(土) 19:51:07 ID:.lGCOZ9Y0 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:BlackNorwegianForestCatWinter.jpg
1675 :名無しさん :2012/08/27(月) 21:05:01 ID:BWfR57bE0 ネタくさいし、 怖くはないかもしれませんけど、 暇つぶし程度にはなるかもしれません。 これは僕がつい最近に体験した話であって、 現在も進行中の話でもあります。 もう相談できるところには相談し尽くしたし、 とにかく中に溜まった鬱憤のようなものを吐き出したいというのもあるので、 よろしければ…。
1676 :名無しさん :2012/08/27(月) 21:08:38 ID:BWfR57bE0 キッカケは大学時代の先輩と飲んでいた時の事です。 先輩がおもしろい物を見せてやると、、 ある物を酒の席に持ってきたんです。 ガラスでできたビンに入った水と、 何かが書かれた紙きれ、 それと赤いビニールテープでした。
1677 :名無しさん :2012/08/27(月) 21:16:07 ID:BWfR57bE0 水が妙な感じに濁っていたのが印象的で、 紙切れの内容は、ある行事を説明するようにペンで殴り書きされていました。 赤いビニールテープと、 ビンに入った水は、 それを行うのに必要な物らしいです。 先輩は紙に書かれた事を、一緒に試してみようと、 僕と、数名の友人を酒の席に誘った、ということでした。
1678 :名無しさん :2012/08/27(月) 21:27:27 ID:BWfR57bE0 やり方は合っているどうかは知りませんが、簡単でした。 一室を確保し、 玄関前に鳥居の形になるように赤いガムテープを張る。 で、その水をある方角に置き、 後は丑の刻と言われる時間まで、その部屋に待機する。 これだけでした。 あ、関係あるかはどうか知りませんが、 先輩が雰囲気を盛り上げようと、 試す場所を地元の廃墟を選んでいました。 これを試した時には、皆良い感じに酔っ払っていたし、 何か起こらなくても別にいいやって。 その時は怖いもクソもありませんでした。 こっちは5人だし、 いざとなれば幽霊とっ捕まえてネタにすんべ、 ってできもしない事で笑い合ってて…。
1679 :名無しさん :2012/08/27(月) 21:36:06 ID:BWfR57bE0 で、時間忘れて喋ってると、 部屋のあちこちで物音がしだしたんです。 壁が軋む音とか、 物が擦れたりするような音じゃなくて、 うまく表現できませんが、 地面の中で足を踏むような、鈍い音でした。 それが数回。 聞こえたと思えば止み、 気のせいだと思うとまた聞こえる。 今考えれば気味が悪くて仕方ないんですけど、 もうその場のテンションは最高潮。 『音録れ!音録れ!』 って皆が皆携帯取り出してました。 よく幽霊とかオカルト的な存在を証明するのに、 録画しようとしたり、カメラ撮ろうとしたりして、 急に使えなくなるって話を耳にしますが… 僕らの場合は少し違って、 携帯を取り出し身構えると音が消えて、 電池もったいない、と携帯しまうと音がする。 なんかおもしろくなってきちゃって、 音は僕達をからかうように、 僕達は音をからかうように遊んでました。 先輩が「できすぎだわー。」って。 本当に僕も思いましたよ。 誰かが仕込んだんじゃないかってくらい、 すごかったですから。
1680 :名無しさん :2012/08/27(月) 21:44:55 ID:BWfR57bE0 時計見たら、2時になってて、 「丑の刻ってこの時間帯じゃない?後30分だっけ?」 って、 どうでもいい話で議論になってて、 「幽霊でもいいからこいよ!」って、 先輩誰に言ってるのか叫んだりしちゃって…。 変な音なってるんだし、 もう十分だろって今でこそ思えるんですが… 場酔いとか、酒の力もあってか、 皆まだ足りないという状態でした。 なんか起こんねーかなーって、 真っ暗な室内に視線泳がせてたら、 ある物に違和感を感じたんです。
1681 :名無しさん :2012/08/27(月) 22:03:31 ID:BWfR57bE0 濁った水が入ったビンでした。 携帯で明かり照らして、 近づいてビンを覗くように様子を伺うと、 ビンの中の水が、 小さくではありますが水面に波紋を作っていたんです。 あれ?地震? ビンと地面を同時に触ってみると、 何も感じない。 でもビンの中の水は揺れている。 不思議でした。 その瞬間、この話を持ってきた先輩が 「うお!すげー!!めっちゃうるせー!!」 って一人で興奮しだして、 地面をバンバン踏み出したんです。 そりゃあんたがジャンプしてるからだろ、 そう言って皆笑ってたんですが、 先輩は「え?ほら?聞こえないの!?ほら!」って。 気でも狂ったように、 笑いながら何度も何度もジャンプして。 先輩につられ、最初は皆笑ってたんですが、 いつまでも止めない先輩が段々気味悪くなって、 先輩と特に仲が良い友人が、「おい、もうやめろ」と静止しようとしたんですが、 やめないんです。 一人で笑って一人ではしゃいで一人で興奮しててとtw
1682 :屍姫 :2012/08/28(火) 15:51:47 ID:D3ZNwxYI0 44歳の男が深夜、恐怖の館の中にある赤い部屋完全版を見てせせら笑った。その後、男は奥多摩湖に愛車でドライブに出かけたまま帰ってこなかった。家族は捜索願いを出した。行方不明から4日後、奥多摩湖に浮かんでいる男の死体が見つかった。死体を解剖すると胃袋から大量の赤い水が噴出した。死因は水死だった。水死。すいしとキーボードで打つとred(赤)となる。赤い部屋のたたりは都市伝説ではなく本当だった。 信じられなければ恐怖の館で試して・・・ 恐怖の館は「恐怖の館 fc2」でググれはすぐ見つかり・・・
1683 :名無しさん :2012/08/29(水) 15:19:15 ID:cSVCNj6s0 怖いかどうかは分からないが、当時怖かった体験をここに一つ。 俺がまだガキだった頃、友人に誘われソイツの家に行った。俺の家の近くですぐに着いたが、なんか家が煩い。 不思議に思いながら、チャイムを鳴らすと…包丁持った友人の姉ちゃんが玄関のドアを思い切りバーンて開けた。 しかも涙でグシャグシャで顔には叩かれた跡がくっきり。しかも悪魔の形相。流石に怖くて、俺泣いた。 なのにその姉ちゃんは俺に「弟どこ行った!!」と怒鳴るんだよ。更に泣く俺。 姉ちゃんは更に俺の胸倉掴んで「言わないとマジで刺すよ!!」とまた怒鳴る。 ちょうどその時、友人の母親が登場。悲鳴上げながら「(姉ちゃんの名前)!!何やってるの!!」とにかく俺は助かった。 姉ちゃんは言うまでもなく母親に物凄く叱られ、俺は土下座で謝られた。俺の家にまで土下座で謝りに来たくらいだ。 当然と言えば、当然だけど…。 あと、友人は無事だった。単なる姉弟喧嘩だったらしい。今思えばどんな姉弟喧嘩だよ?!とツッコミ入れたい… あれから既に15年…ソイツの姉ちゃんはもう嫁に行ったらしいが…夫婦喧嘩を想像するだに恐ろしいのは俺だけじゃない筈だ、きっと。
1684 :名無しさん :2012/08/30(木) 11:25:04 ID:cvnoNzPs0 >>1681 おい、どうした?(汗)
1685 :名無しさん :2012/08/30(木) 18:10:47 ID:d/niYqyc0 2ch等掲示板には初めて投下します ルール等わきまえておりませんごめんなさい 夏休みの部活中のことです 私は弱小の某ボードゲーム部の部長です 部室は六畳もなく、長方形の三面に黒板があり、 残りの一面は廊下に接しています 廊下側には二枚のガラス窓付きの扉があって、 うち片方の扉の横(教室の外、つまり廊下ですね)には掃除用具入れがあります その日もほかの部員より早く登校して準備などしていました フッと寒気を感じ、掃除用具入れのある方の扉を見ますと 掃除用具入れの上に首が載っていました あたかも武将の晒し首のような格好で、 見間違いかと思って瞬きをすると、ソレは消えていました オチも何もありませんが、個人的には洒落にならない体験だったので投稿しました
1686 :名無しさん :2012/08/30(木) 18:11:44 ID:d/niYqyc0 2ch等掲示板には初めて投下します ルール等わきまえておりませんごめんなさい 夏休みの部活中のことです 私は弱小の某ボードゲーム部の部長です 部室は六畳もなく、長方形の三面に黒板があり、 残りの一面は廊下に接しています 廊下側には二枚のガラス窓付きの扉があって、 うち片方の扉の横(教室の外、つまり廊下ですね)には掃除用具入れがあります その日もほかの部員より早く登校して準備などしていました フッと寒気を感じ、掃除用具入れのある方の扉を見ますと 掃除用具入れの上に首が載っていました あたかも武将の晒し首のような格好で、 見間違いかと思って瞬きをすると、ソレは消えていました オチも何もありませんが、個人的には洒落にならない体験だったので投稿しました
1687 :名無しさん :2012/08/30(木) 23:41:44 ID:Tojicrc60 >>1660-1670 ニャー…
1688 :彗星 ◆SUISEI..MI :2012/09/01(土) 17:06:24 ID:p4CJdkX.0 これは俺と友人A、B、Cと深夜のドライブに行ったときの話 当時霊体験など全くなかった俺は普通に深夜にドライブ行こうと言うことになってもためらわなかった 場所は適当に選ぼうと思ったがAが 「どうせなら山奥にしようぜ」 とか言い出してみんな 「賛成賛成」 と言い出したのでそこに行くことにした それがあの体験の始まりだとも思わず
1689 :彗星 ◆SUISEI..MI :2012/09/01(土) 17:13:51 ID:p4CJdkX.0 いざ出発 一番近い山奥を選んだのだが距離は50kmくらいあった 夜中とはいえ車は通っていたものの山に近づくにつれて車は俺たちの車だけになった 景色もダンダンと森の景色に変わっていく ヘッドライトが不気味に山を照らしていた 運転している俺からしてはめちゃくちゃ怖い それでもCは寝ているしBはPSPでゲームをしていた 言い出しっぺのAは助手席で前の景色を見つめていた そろそろ山奥まで来ただろうか? 一時停車してナビを確認するとあと120mの表示 結構奥まで来たな 再び車を出発させた
1690 :彗星 ◆SUISEI..MI :2012/09/01(土) 17:22:38 ID:p4CJdkX.0 ー目的地周辺です 音声案内を終了しますー 車内に不気味にナビの声が響く その瞬間B、C共に起きた B「着いたか・・?随分すごいとこだな」 C「ふぅ・・・・ん・?あれお寺じゃね?」 目の前には朽ち果てたお寺がポツンとあった いやはっきり言ってこれやばいだろ と感じて俺はB、Cに 俺「おいこれやばいだろ」 B「何言ってんだよ!超スリル満点じゃねーか」 C「だよな!?Aもそう思うだろ?」 A「・・・」 B「ど・・・どうしたんだよ」 A「俺さ霊感なんてないんだけど何かすごい嫌な感じがする」 車内に沈黙がはしる はっきり言ってもう俺は限界だ こんなとこ早く立ち去りたい だが C「気のせいだよ!さっさ行こうぜ!」 その声におされて俺たちはその朽ち果てたお寺に入っていた
1691 :彗星 ◆SUISEI..MI :2012/09/01(土) 17:32:04 ID:p4CJdkX.0 入っていくとクモの巣が張り、色が剥がれている鳥居がある そんな場所をBとCが難なく通ってしまったそれが異常に怖かった その後俺は何も起こらないことを願いながらいろいろな場所を回る しかし何も起こらずすんなり賽銭箱のところまで来た BとCは拍子抜けしている様子だ そういえばAはどうしたんだろう? Aが見当たらない そのことにBとCも気づいたようで三人で探したがどうしてもAは見つからなかった しょうがないから一度車に戻ろうということになり車に戻ってビックリした Aがいたのだ しかしAはガタガタ震えている 俺「おい!どうしたんだよ!」 というと・・・ A「俺見たんだよ」 俺とB「何を!?」 A[・・・」 A「Bの背中に血まみれの女がくっついて歩いてるの」 B「ま・・・まさか冗談だろ?お前霊感ないだろ?」 A「今寺から俺たちの車に向かってる」 外を見るとお堂からこちらに少しずつ近づく影がある 俺「おい!みんなドアの鍵を閉めろ!」
1692 :彗星 ◆SUISEI..MI :2012/09/01(土) 17:38:23 ID:p4CJdkX.0 その影は近づくに連れて姿がはっきりしてくる どうやらAの言ってたのはこいつのことか BとC「おい!早く**(俺の名前)車発進させろよ!」 A「これはやばいぞ」 俺はハッとして車を発進させた B「何なんだよあれ」 C「あれはやばいよな」 A「普通じゃなかった・・」 ーフッフッフー 俺たちは凍りついたそしてトランクから・・・ ーアッハハハハハハハー その後はどうなったか覚えていない ただ夢中で車を走らせた そして後で知ったのだが そんな寺はないらしい それから俺たちはBと会っていない 噂によれば寺で御払いを続けているらしい でもなぜBなんだろ? 未だに疑問に思っている 【完】
1693 :名無しさん :2012/09/01(土) 23:43:08 ID:RG1SNxCo0 鳥居があるならお寺じゃなくて神社だよね?
1694 :名無しさん :2012/09/02(日) 04:18:24 ID:6e6FpKpU0 そうとは限らんよ
1695 :名無しさん :2012/09/02(日) 15:07:47 ID:QKBGLPM60 ゴミの不法投棄が絶えない所に鳥居建てたら不法投棄がなくなったという話もあるからなw
1696 :徘徊する伝染病患者 :2012/09/02(日) 22:32:37 ID:2gqZbgMAO ある病院に伝染病にかかった患者がいた 沢山の医者が調べたがなんの病気なのかわからない精神病のような感染病のような病気だが病名すらわからなかった年月が経過するごとにその患者の容態は酷くなり暴れたりするので仕方なく山奥の隔離病棟に移されたらしいそれからしばらくして病院から伝染病患者が脱走した…村で崖から転落して死んだとか警察に捕まったとか口々に話していたがみんなすぐ忘れてしまった…あれから数年の月日がたって村ではこんな噂が囁かれるようになった夜寝ていると庭を歩き回る足音が聞こえると…
1697 :名無しさん :2012/09/03(月) 19:27:03 ID:/loBpR4Y0 >>1696 せめて改行しろよ
1698 :彗星 ◆SUISEI..MI :2012/09/03(月) 21:03:15 ID:wkA89dyc0 改行しないと読み手は読む気失せてくるからねw
1699 :名無しさん :2012/09/03(月) 23:42:21 ID:GBVBFdpA0 改行以前に句読点が一つもないとか
1700 :フライドチキン :2012/09/05(水) 23:16:53 ID:pNJ8IqK60 (((; ゚Д゚)))ガクガクブルブル 「恐怖の館 fc2」で検索すると・・・
1701 :彗星 ◆SUISEI..MI :2012/09/08(土) 23:04:24 ID:htD2pyUI0 >>1700 これは面白いwwww 戦慄の隔離部屋のリンクもあるじゃないか! 下のジェイソンの顔クリックで入れたww
1702 :1/2 :2012/09/17(月) 13:53:01 ID:nR8/ZCBI0 誰かに話したいけどそこまで怖い話でもないし…と迷った挙句にコッソリ書かせて下さい。 長文スマソ。 地元の商店街に、夏限定でお化け屋敷ができたんだ。 で、友達と二人でそこに入ったんだよ。 田舎のお化け屋敷なんか大して怖くないだろwって、 ナメてかかってたんだが、わりと怖かった。 前半は仕掛けが動いてビビらせてくるような感じで(壁の穴から作り物の手が出てきたり、 カーテンレールらしきものに吊り下げられた人形が人に向かってくるとか)、 子供だましだったんだが、後半がヤバかった。 後半は、死体や人形のフリをした人が急に動いたり、 幽霊の格好した人が暗がりから現れて追いかけてきたり、 中の人が身体をはってビビらせてくるような感じだった。 この後半が、俺からしたら一番怖かった記憶なんだけど、 「ほんのりと怖い話」的には、この後日談が重要なんだ。 お化け屋敷自体は、涙目になったとかを除けば、何事もなく完走した。 お化け屋敷に入った日から、俺は周囲にお化け屋敷に入ったことを報告しまくっていた。 ビビりだけに、お化け屋敷完走は武勇伝だった。 で、そんな時に「私、あのお化け屋敷のスタッフしてましたよ!」って言う人が居た。 俺はその人に、「この演出が怖かった」とか色々感想を言ったんだ。 その人も「そんなに怖がってくれたなら私たちも本望です」って嬉しそうに聞いてくれた。 でも、終盤の方の感想を言ったあたりで、その人が「え?」って顔したんだ。
1703 :2/2 :2012/09/17(月) 13:54:10 ID:nR8/ZCBI0 終盤の感想って言うのは、出口に繋がってる廊下あたりの話。 俺(と一緒に入った友達)は、そこで幽霊に扮したスタッフに追いかけられたんだ。 一本道だから引き返したりやり過ごしたりできないし、「んうおおお」って凄い声を あげて追いかけてくるから、反射的に走って逃げた。 だから「最後まで容赦ないっすねw」って感想を言ったわけ。 そしたらその人は「最後の通路はただの通路ですよ。スタッフは配置してないです」って言うの。 「一本道で追いかけたら、出口から出るわけにもいかないし、 後ろから来るお客さんと鉢合わせしちゃうから引き返すこともできないじゃないですか」 って言われてしまった。 でも、その人が知らないだけで、そういう風に怖がらせるスタッフが居たんだろうって解釈しといた。 ついでにその話を、一緒にお化け屋敷に入った友達にも話したんだ。 友達は「あーあの時な」って頷いてた。 「あれさー、お前が急に悲鳴あげて走り出すから俺もびっくりして追いかけただけなんだけど、 何が追いかけてきてたの?」とか言われた。 「後ろから声が聞こえてくるのに気付いて、近づいてくるのがわかったからビビって走り出したんだよ」 って説明しら、 「あの屋敷の中、大音量でお経が流れてたのにそんなん聞こえるか?よっぽど耳元じゃないとわからんだろ」 とか言われたけど、 そういう風に怖がらせるスタッフが居たんだろうって思うようにしてる。 本当にスタッフだったのかも知れないし、仮装幽霊に紛れた本物だったのかも知れない。 恐くて振り返ってなかったので、振り返っておけば良かったかなとも思っている。
1704 :名無しさん :2012/09/24(月) 02:35:57 ID:V2VrrmZg0 色々霊感がついてきた私の、まだ拙かった時の話です 幽体離脱ができるようになって、うかれてそこいら中を飛び回っていたある日、 地獄がどうなっているのか気になり霊体を地獄(と自分が認識する場所)に 飛ばしてみた事があります。 本来の地獄なのかどうかは定かではありませんが、赤い空と荒野のような場所だったり、真っ暗な場所だったりしました。 その中の赤い地獄には、餓鬼のようなものが沢山いてとてもひどい目に合わされ、 排泄物を食べさせようとしたり、唾を吐き掛けられたり体をかじられました。 あまりのおぞましさに私は現実の意識に戻ったのですが、そこからが本当地獄でした。 飛ばした霊体がそのままであるからなのか、チャンネルが合致したからなのかわかりませんが、日に日に意識を地獄に引っ張られ 現実まで頭痛や体の痛みが生じ始めました。 その中で一番最悪でおぞましかった者が、生前(?)なんらかの術者だったようで 私の体とその者の体を繋げて呪いを肩代わりさせて、自分だけ救われようとしたようなのです。 倫理的にとても酷い方法なので、あまり言葉にはできませんが、肉体的にも精神的にも苦しいものでした……。 幸い色々な方に助けて頂いて、今は回復していますが、 それでも時々頭を貪られる感覚に苛まれます 皆さんは興味本位で危ない場所に行かないように、お勧めします。
1705 :名無しさん :2012/09/27(木) 23:57:24 ID:sl.yQa22O >>1661-1670 乙 久しぶりですね。 待ってました
1706 :名無しさん :2012/09/30(日) 19:25:13 ID:LjcEP/ZU0 怖い話かー 俺の学校の帰り道には公園が2つある 1つは新しい遊具(アヒルとかリスの乗り物とか)が毎年設置されている人気の公園 もう一つは、人が全く遊ばず、滑り台とブランコしかない小さな公園。(よくカップルがセックルとかをしている) つい先週、部活が終わり、帰る途中に足が痛くなったため、公園のベンチで休もうと思った。 一番近いのはブランコと滑り台しかない旧公園だった。 公園が見えてくるところまで来ると、珍しく小さな女の子が滑り台で遊んでいた。 やっとの思いで公園のベンチに腰掛け、携帯を開く。 ちょうど夕暮れどき。 携帯でモ●ゲーをしていると、人の気配がしなくなり、一度画面から目を離し、周りを確認するとさっきまで遊んでいた女の子がいなくなっていた・・・ 長くなりそうなので一回区切ります○┓
1707 :名無しさん :2012/09/30(日) 19:50:14 ID:LjcEP/ZU0 ↑の続き ひとりで公園(しかも旧公園)にいるのもアレだから、さっさと帰ろうと思い、鞄を背負う。 家に帰る途中に、ふと思った。 旧公園から人気のある公園までは、歩いて5分くらいしかかからない、なのになぜあの女の子は旧公園で遊んでいたのだろうか? 思い入れでもあるのだろうか、などと考えているうちに家に到着。 俺:ただいまー 姉:おかえり、顔色悪いよ? 俺:ちょっと部活で足を痛めただけだよ 姉:そっかーあまり無理しちゃだめだよ? 俺:Da Da (ロシア語) 晩飯を食べて、風呂に入り、明日の用意をして寝床についた。 あの女の子のことが頭から離れないが、考えても無駄だろうとおもい、眠りについた。 〜翌日〜 何の変哲もない一日だった。 帰り道以外は・・・ 帰り道、携帯でモバ●ーをしながら歩いていると、人の気配がした。 左を見ると旧公園があり、前日の女の子がいた。 今度は明るいため、女の子の外見がハッキリとわかった。 小学2〜3年生、髪はおかっぱ(ワ●メちゃんっぽいやつ) 今時の子供って感じがしなかった 何よりも親がいないのが不思議に思えた。 もしかしたら何かあったのかと思い、声をかけてみることにした(ロリ●ンじゃねーぞ) 俺:やぁ 女の子:・・・ 俺:お母さんは?お父さんは? 女の子:あっち・・・ 女の子が指差す方向には、大きな木。 俺:(まじかよ・・・・) 女の子:お父さんもお母さんも、他の人も、みんな あっちにいるの 俺:そ、そうか・・・ ここで完全にビビってしまった俺は、逃げるようにその場を離れて足早に家へと帰った。 逃げる途中 女の子ではない「何か」の視線を感じたが・・・ 家に飛び込むように帰ったら、姉が目を大きく開いて 姉:どうしたの!? 俺:あ・・・いや・・・ ここで 女の子にビビって帰ってきた なんて言えるわけがなく、 俺:犬に追いかけられた・・・ 姉:ぷっwwwwwww などとくだらない言い訳をした。 そしていつも通り晩飯を食べ、風呂に入り、寝床についた。
1708 :名無しさん :2012/09/30(日) 20:02:40 ID:LjcEP/ZU0 ↑の続き 本当に恐ろしいのはこの日だった。 学校で昨日の出来事を友人に話した。 俺:・・・てわけ 友人:お前チキンだなwwwwww 俺:うるせぇよ・・・お前だって逃げるだろ? 友人:まぁな! ところで、それは何時くらいだ? 俺:あ? ・・・・ ちょうど夕暮れどき・・・か? 友人:夕暮れか 逢魔ヶ刻って知ってるか? 俺:なんだって? 友人:だから逢魔ヶ刻だよ。・・・ 友人:まさに魔物に遭遇しそうな時だ。しかし、この魔物はまだ本領を発揮していない。薄暗闇ではまだ早すぎる。ただ、何気なく俺たちの世界をうっすらと彷徨い、佇んでいるだけ。「逢魔ヶ刻」ってーのは、そんな魔物に逢う時刻だよ。 俺:・・・魔物ねぇ・・・ 友人:その女の子が魔物なんじゃねーの? 俺:やめろよ 洒落にならねぇよ 友人:・・・ でも木だろ?その木って幽霊とかいるのかもな 俺:は? 友人:もしだよ? もし その女の子が亡くなっていて、自分がそれに気づいてなくて、その木?に取り付いてる何かがその女の子を招いてる・・・みたいな? 俺:・・・俺帰る じゃあな 友人:おーい!なんだよ・・・・ 冗談だってーの! 俺の学校の帰り道には公園が2つある 1つは新しい遊具(アヒルとかリスの乗り物とか)が毎年設置されている人気の公園 もう一つは、人が全く遊ばず、遊具が滑り台とブランコしかなく小さな公園。 いつからかその公園には、幽霊公園だの、お化け公園だとか子供がそう呼ぶようになった。 俺は幽霊なんか信じてないわけじゃない。霊感があるわけでもない。 じゃあ あの日、あの場所で起きた出来事は一体何なのか?
1709 :名無しさん :2012/09/30(日) 20:52:42 ID:LjcEP/ZU0 友人と別れたあと、俺は旧公園へ向かって急いでいた。 今日こそあの女の子に聞いてやる。 そして旧公園に着いた時、いつもとは違う 何かを感じた。 夜中、一人でトンネルを通るみたいな そんな感じ。 女の子は滑り台で遊んでおらず、木の前に座り込んでいた 俺は無意識に近づき、声をかけた 俺:どうしたの? 女の子:・・・ 俺:・・・君は生きてるの? 女の子:・・・・ 俺:・・・・(話しても無駄だろうな) 女の子:お父さんとお母さん、私のこと怒ってる 一人でいちゃ危ないって怒ってる。知らない人と話しちゃダメって怒ってる。 女の子:お父さんとお母さん、あなたのこと怒ってる 娘に近づくな 話しかけるな 殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロス・・・ 女の子の言葉は、耳からではなく 直接脳に響き渡ってるように思えた。 俺は逃げ出した。 その間も、頭の中に「殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロス・・・」 女の子の声、両親の声、そして男女の声・・・全てが入り混じったような声。 薄れていく意識・・・ 家までは走っても10分もしない・・・もう少しで・・・ 「コロス」 気がつくと俺は家の中にいた。 体中が痛む。 姉が横で泣いていた。 俺は 姉にどうしたの?と聞いた 〜ここからは姉貴目線〜 弟(俺)の帰りが遅いから、学校に連絡を入れようとすると、電話がかかってくる。 弟と思い、電話に出ると「殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロス・・・」 だがその声は、受話器からではなく、玄関から聞こえてきた。 恐る恐る玄関を開けると・・・ 狂ったように笑いながら、自分の腕 足 お腹にボールペンを突き刺していた。 姉は戸惑ったが、俺を家の中に入れ、ボールペンを取り上げ、必死にビンタをしていたらしい。 俺が大人しくなった途端、俺ではない誰かの声で「呪ッテヤル」 今では俺は普通に過ごしている。 だが俺の住んでる家に姉はいない。 姉は3日前、急に精神が不安定になり、精神科で診てもらっている。 だが姉には会わせてもらえない。 いや、俺には会う勇気がない。 なぜなら 姉がいる部屋の前に立つと「殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロス・・・」 そう聞こえてくるのだから
1710 :怜 :2012/10/10(水) 00:22:11 ID:nHinHj9w0 密かにあたためているフェチ心を私たちと一緒に楽しみましょう(*´ω`)→ http://www.e29.mobi
1711 :名無しさん :2012/10/10(水) 09:57:50 ID:MBoiXFDE0 ごめんここでいいのか とにかくどうすればいいのかわけわからなくて 誰か聞いてくれとにかくぶちまけたい 他で言ってもどうせ幻覚だって言われるんだ 俺の家には市松人形が二つ倉庫の中に置いてあって たいして古くもないしオカルトな歴史だってきっとない 叔母が俺と弟に似てるからってセットで買って送ってくれただけだ 飾る場所もないからそこに放置してある 心霊現象とかは信じたことないけど、そのことに対しては申し訳ないと度々思っていて いつも何か取りに行くたびにチラ見してるんだ 特に夜だと不気味で そんで昨日の夜(夜って言っても12時は過ぎてた)トイレットペーパーがきれたから取りにいったんだ でもいつもどおり人形をチラ見したら普段は笑顔なのにものすごい悪意のこもった、鬼の形相ってああいうんだみたいな顔してた 全身に鳥肌がたって一気に体温さがって汗がいろんなとこからだらだら出た 怖くてそのままトイレ行くこともわすれて布団かぶってガタガタ震えながら寝た なあこういうのってどういう事なんだ?なんで怒ってるんだ???まったく意味がわからない どうして昨日?俺何かしたか?? 怖いんだ、倉庫に入れない 誰にも言えない
1712 :名無しさん :2012/10/10(水) 18:59:12 ID:THvs.6Mk0 >>1711 人形供養にでも出したら
1713 :加奈 :2012/10/11(木) 22:33:20 ID:E4tIptNw0 これはアメリカのゲームです。1度やってみてください。 これは、たった3分でできるゲームです。試してみてください。 驚く結果をご覧いただけます。 このゲームを考えた本人は、メールを読んでからたった10分で願い事が かなったそうです。このゲームは、おもしろく、かつ、あっと驚く結果を 貴方にもたらすでしょう。 約束してください。絶対に先を読まず、1行ずつ進む事。 たった3分ですから、ためす価値ありです。 まず、ペンと、紙をご用意下さい。 先を読むと、願い事が叶わなくなります。 �まず、1番から、11番まで、縦に数字を書いてください。 �1番と2番の横に好きな3〜7の数字をそれぞれお書き下さい。 �3番と7番の横に知っている人の名前をお書き下さい。(必ず、興味の ある性別名前を書く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら同姓の名 前をかく) 必ず、1行ずつ進んでください。先を読むと、なにもかもなくなります。 �4,5,6番の横それぞれに、自分の知っている人の名前をお書き下さ い。これは、家族の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。 まだ、先を見てはいけませんよ!! �8、9、10、11番の横に、歌のタイトルをお書き下さい。 �最後にお願い事をして下さい。さて、ゲームの解説です。 1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人に伝えて下さい。 2)3番に書いた人は貴方の愛する人です。 3)7番に書いた人は、好きだけれど叶わぬ恋の相手です。 4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思う人です。 5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く理解してくれる相手です。 6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらしてくれる人です。 7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す歌。 8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す歌。 9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す歌。 10)そして、11番に書いた歌は、貴方の人生を表す歌です。この書き 込みを読んでから、1時間以内に10個の掲示板にこの書き込みをコピー して貼って下さい。そうすれば、あなたの願い事は叶うでしょう。もし、 貼らなければ、願い事を逆のことが起こるでしょう。とても奇妙ですが当 たってませんか?
1714 :加奈 :2012/10/11(木) 22:33:52 ID:E4tIptNw0 これはアメリカのゲームです。1度やってみてください。 これは、たった3分でできるゲームです。試してみてください。 驚く結果をご覧いただけます。 このゲームを考えた本人は、メールを読んでからたった10分で願い事が かなったそうです。このゲームは、おもしろく、かつ、あっと驚く結果を 貴方にもたらすでしょう。 約束してください。絶対に先を読まず、1行ずつ進む事。 たった3分ですから、ためす価値ありです。 まず、ペンと、紙をご用意下さい。 先を読むと、願い事が叶わなくなります。 �まず、1番から、11番まで、縦に数字を書いてください。 �1番と2番の横に好きな3〜7の数字をそれぞれお書き下さい。 �3番と7番の横に知っている人の名前をお書き下さい。(必ず、興味の ある性別名前を書く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら同姓の名 前をかく) 必ず、1行ずつ進んでください。先を読むと、なにもかもなくなります。 �4,5,6番の横それぞれに、自分の知っている人の名前をお書き下さ い。これは、家族の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。 まだ、先を見てはいけませんよ!! �8、9、10、11番の横に、歌のタイトルをお書き下さい。 �最後にお願い事をして下さい。さて、ゲームの解説です。 1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人に伝えて下さい。 2)3番に書いた人は貴方の愛する人です。 3)7番に書いた人は、好きだけれど叶わぬ恋の相手です。 4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思う人です。 5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く理解してくれる相手です。 6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらしてくれる人です。 7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す歌。 8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す歌。 9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す歌。 10)そして、11番に書いた歌は、貴方の人生を表す歌です。この書き 込みを読んでから、1時間以内に10個の掲示板にこの書き込みをコピー して貼って下さい。そうすれば、あなたの願い事は叶うでしょう。もし、 貼らなければ、願い事を逆のことが起こるでしょう。とても奇妙ですが当 たってませんか?
1715 :名無しさん :2012/10/13(土) 11:30:15 ID:oq0gcddA0 >>1712 レスありがと。1711です。 この間はちょっと錯乱気味だったけど落ち着いた。 あのあとまた恐る恐る見に行ったけど、とりあえずはなにもないみたいだ。 本当に幻覚だったんじゃないのか?って思いはじめてる。 でも、言われたとおり一応人形供養には出してみるよ。ありがとう。 ところで、人形供養って教会でもできるのかな? 俺、海外在住でまわりに寺とか神社?とかないんだわ・・・
1716 :名無しさん :2012/10/13(土) 13:44:03 ID:h.8VguSc0 長文失礼。 大学ではじめて一人暮らしをした時に借りたアパートの話。 俺は最初大学の寮に入ってたんだけど、共同生活がきつくなってきたので 親に許可貰って、寮を出ることにした。 ただ親から出された条件が 「家賃は寮の時と同じ金額しか出さない、それ以上は自分で出せ」 だった。今思えば、一人暮らしを諦めさせようとしてたんだろうな。 でも俺はどうしても寮から出たかったんで、講義とバイトの合間に 不動産巡りをして、理想的な物件を見つけた。 築年数は20年と少々古いものの、2DKに風呂とトイレもついてて、 家賃は諸々込みでなんと3万2千円。 この値段でユニットバスじゃない風呂トイレつきというところに惹かれ、 バイト増やさなくてもなんとかいける!と思い、即契約した。 あんまり安い物件だったから、友人からは曰くつきじゃね?と言われたが、 不動産業者から特に説明はなし。 入居の際に大家さんとも会って話したが、こっちからも何も言われなかった。 何よりこの頃の俺は「幽霊とかいるんだったらマジ見てみたいわwwwww」という 奴だったので、むしろwktkしながら入居した。
1717 :名無しさん :2012/10/13(土) 13:45:29 ID:h.8VguSc0 んで入居して1ヶ月近く経ってから、夜になるとやたらと猫の鳴き声が 耳につくのに気がついた。 繁殖期ってわけでもないのに、だいたい真夜中をすぎたあたりから、 窓の外でニャーニャーうるさい。 そのうち壁の向こうからも聞こえるようになって、こりゃ隣の部屋の住人が こっそり飼ってんなと思った。 ペット不可の物件だったけど、俺も動物は嫌いじゃなかったんで、まあ黙認 した。むしろ実家の猫懐かしいモフりてえwwとか和んでた。 んで時々、風呂場周辺がえっらい水浸しになったりしてたけど、 俺酔って身体拭かずに風呂からあがったっけ?とか、洗濯機のホース外れたっけ? てな具合で、特に疑問も持たずに暮らしてた。 ただこぼれてる水はなんか臭くて、しかも錆が混じってるような濁った赤色で、 拭き掃除のたびにタオルやぞうきんを捨てないといけないのがちょっと憂鬱だった。 大家さんに水漏れしてるみたいですけど?と言ったこともあるんだが、 俺の上下の部屋に異常はなく、洗濯機の排水ホースを取り換えてみたりしたけど、 やっぱり時々水浸しになった。 そのうち友人が泊まりにくるようになったんだけど、不思議なことに 猫の鳴き声に反応する奴と、全く気にしない奴がいることがわかった。 しかも鳴き声に反応した奴は皆、次から泊まりに来なくなった。 理由聞いてもはっきり言わないし、それで付き合いが悪くなったわけでもないので、 これまたあんまり気にしなかった。
1718 :名無しさん :2012/10/13(土) 13:46:35 ID:h.8VguSc0 ある日仲のいい従姉から「部屋に泊めてほしい」という連絡がきた。 俺の住んでる地域で好きなバンドのコンサートがあって、チケットはなんとか取れたけど 日帰りは難しく、なのに泊まる場所を確保できなかったそうだ。 従姉が泊まる日は俺が友人の家に転がり込めばいいと思ったんで、宿泊OKした。 んでコンサートが終わってから、従姉が俺の部屋に来た。 結構遅い時間だったんで、俺も友人の家に行くのが面倒になって、結局そのまま 部屋にいた。まあ子供の頃から互いに知ってる相手だし、別に問題はない。 でも部屋に入った瞬間、従姉が「……ゴミ溜めてる?なんか臭いよ」とか言ったので、 さすがに恥ずかしいというか、微妙な気持ちになった。 そして真夜中を過ぎた頃、いつものように猫が鳴き始めた。 従姉は猫大好きで、従姉の実家にも常に数匹の猫がいる。 だから喜ぶかと思ったんだが、鳴き声を聞いているうちに従姉の顔色が少しずつ 変わってきた。 「え……なんで赤ちゃんが泣いてるの?」 俺が住んでるのは単身者専用アパートで、学生が多い。赤ん坊なんているわけない。 従姉に言われて、それまで猫だと思ってた声が、急に赤ん坊の泣き声に聞こえてきた。 近所の赤ん坊じゃね?と言ったんだけど、従姉は納得しなかった。 それどころか壁に耳をつけて泣き声がどこから聞こえるのか、確認しはじめた。 その結果「両隣じゃない……」だと。 「ねえこれ、どう考えてもこの部屋から聞こえてくるんだけど」 ……え?
1719 :名無しさん :2012/10/13(土) 13:48:15 ID:h.8VguSc0 やだなー何言ってんだよーつって笑ったけど、正直ひきつった。 マジでなんで今まで気がつかなかったのかわからない。 猫みたいだけど猫じゃない声は確かに、よくよく気をつければこの部屋の中から 聞こえてた。赤ん坊なんて思いもしなかったし、猫が鳴いているという思いこみが、 今まで状況を不自然に思わせなかったわけだ。 泣き声は正確には、部屋というよりは風呂場のあたりから聞こえてくるような気がする。 気は進まなかったけど、従姉が怖くて風呂に入れないっていうので、見に行った。 するとやっぱりというか、風呂の脱衣所が水浸しになってた。 しかも水が濁ってる。赤い。おまけに生臭い。 思わず「ひえっ」なんて声が出て、俺のその声に、従姉が様子を見にやってきた。 「何これ……錆?血?」 床に広がる赤い水溜まりを見た従姉が呟いた。泣き声はいつの間にか止んでる。 従姉が「床拭かないと。要らないタオルとかある?」とか言いながら、 脱衣所に入ってきた。 そしたら閉めてたはずの、風呂場のガラス戸がほんの少しだけ開いた。 俺も従姉も、ガラス戸からは離れてたのにな。 風呂場の窓でも開いてて、風で開いたのかと思ったけど違ってた。 細く開いた隙間から、白い小さい赤ん坊みたいな指が見えた。 小さい爪に血の塊がこびりついて、床をカリカリやってる。怖かった。 でもここで騒いだら従姉が余計に怖がる、俺一人で片付けるからあっちでテレビでも 見ててくれと言おうとしたら、途端にガラス戸がすっごい音をたてて勢いよく開いた。
1720 :名無しさん :2012/10/13(土) 13:50:30 ID:h.8VguSc0 『マ゛マ゛ア゛ア゛アアアアアアアアアアアアアア!』 って、猫の鳴き声が混じったような、子供の声が響いた。 風呂場の中にすごいのがいた。赤ん坊の皮を被った、ぶよぶよした白い芋虫みたいなの。 それがタイルに広がった赤い水溜りにつかって泣いてた。 こっちに来ようとしてたんだけど、風呂場の敷居が乗り越えられなくてじたばたしてた。 従姉と俺、脱衣所から飛び出した。 部屋に戻ったら声は聞こえなくなってたんだけど、従姉が泣きだして 「もうやだ帰る!」状態になった。 俺もさすがにこれはないわ……となったんで、サークルの女友達に連絡とって、 従姉をそっちに泊めてもらう手配をした。 俺も、元々転がり込む予定だった友人のアパートに逃げ込んだ。 従姉はもう一泊して近場の観光する予定だったけど、次の日速効で帰っていった。 従姉を送りだしてから、俺は自分のアパートに戻った。 一人で戻るのは怖かったんで、事情を話して泊めてくれた友人に付き添って貰った。 そしたら今度は、別のものが見えた。 玄関開けた左手が風呂場になるんだけど、風呂場から這い出す半透明の女が廊下を 横切っていった。女が這った後に、あの濁った赤い水溜りが残ってた。 這いずる女の姿が消えてから、俺は半泣きになりながら床を拭いた。 友人が手伝ってくれたんで助かった。 まあ俺は結局、大学卒業するまでそこに住んだけど。 最初は部屋探ししたんだけど、なかなかいいのが見つからなくて、もうしょうがなく。 でもあの日以降、猫みたいな鳴き声も赤い水溜り現象も起こらなかった。 さすがにもう一度経験したら、どんなに無理してでも引っ越してたと思う。
1721 :名無しさん :2012/10/13(土) 13:52:38 ID:h.8VguSc0 従姉が来た夜はそんな経緯もあってばたばたしたんで、俺は片付けを済ませてから、 両隣と上下の部屋に謝りに行った。 そしたらどの部屋の住人も「ああ…」みたいな反応するんだよな…… 本当ならこのアパート、一部屋六万位以上するらしい。 そりゃこんなのが出るんなら、半額にもなるだろうと思った。 俺はこの頃コンビニでバイトしてたんだけど、そこの常連のお客の一人が、 このアパートのことを知っていた。 俺が問題の部屋に住んでることは言わずに、それとなく話を聞いてみた。 すると、あのアパートは元々独身女性用のものだったが、できたばかりの頃に 問題の部屋で未婚の女性が出産し、生まれたばかりの赤ん坊を風呂場に置き去りにして 逃亡するということがあったらしい。 でも赤ん坊は生まれて半日後ぐらいに無事保護されたらしく、死人は出てないそうだ。 しかしその後、その部屋では色々あったらしい。自殺未遂とか夜逃げとか。 夜逃げした住人の荷物を業者が片付けてると、押し入れの中から赤ん坊の骨を 入れた骨壷が出たこともあるそうだ。ほんとかどうかわからんけど。 まずは死人が出ないんだけどトラブルが続出する部屋、ということで有名になったらしい。 だったら俺が見たものはなんだろうな?という疑問が残るわけだが。 幽霊じゃなくても、悲惨な記憶みたいなものが残るってことはあるんだろうか。 俺が大学卒業した後でこのアパートは取り壊されたんで、今はもう残ってないけどな。
1722 :JJ :2012/10/14(日) 21:17:07 ID:UBqa2TNM0 くねくねの話知ってる人、教えて!
1723 :名無しさん :2012/10/18(木) 18:35:15 ID:4WFYOXg20 >>1716-1721 心温まる不思議なぬこ話かと思って 全部読んでしまったじゃないかw
1724 :名無しさん :2012/10/25(木) 20:37:03 ID:kfYv0r5E0 雨の夜野田さんは暗い夜道を一人歩いていた ふと気づくと目の前に自分と格好が似ている女性が歩いていた 気味が悪くなりこちらが足を止めるとむこうも足を止める さーっという雨音だけになった こちらが歩き始めるとむこうも歩き始める どうしよう・・・ 怖かったが気にせず部屋に向かう 女が自分のアパートの階段をのぼっていく 自分もあとをついて階段を上がる 女の姿は廊下で消えた あまりそのことは考えずに玄関を開けて部屋に行くと おかえりぃぃぃぃぃぃぃ 突如物陰から自分が現れて抱きついてきた 後は覚えていない
1725 :うーちゃん :2012/11/01(木) 17:12:56 ID:wFmdhf0U0 初めまして。さっそく書いていきます。 5年生でなくなった友人から聞いた本当にあった話です。 その子の名前は准といいます。その子の父はその子が生まれる直前に 亡くなったと聞いています…。 准はクラスでもすごく人気者でした。この日准は日直で 放課後一人で教室に残っていました。そのときどこかから 静かな足音が聞こえてきました。誰か忘れ物でもしたのかな。 そう思っていました。そのとき突然苦しそうな、気持ち悪い 声が聞こえてきました。 「あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ…」 って。なんだろう。気持ち悪いから早くかえろ。 「じゅ....ん、じゅ....ん。ど..こ..に いる..だ...。へん...じして..くれよぉお。」 え。何か怖い。そう考えてる内に足音は近づいてくる。 こんなスピードで走ったことなんてないってくらいがんばって走った。 次の日准は学校を休んだ。放課後お見舞いに行ったんだ。 そのときにこの話を聞いたんだ。 最後、私は、明日は絶対学校来るんだよって言ってきたんだ。 准はうん!!って元気に返してくれた。 明日は今日の分もたくさん准と遊ぶんだってそう思っていたんだ。 でもそれはできなかった。准とたくさん遊びたかったなぁ。 まぁ何か嫌な予感はしてたんだけどね。 准は一生戻らない。学校には来れないんだ。 だって准は 死んだから 母親と一緒に家の玄関で。 まるで眠っているかの様に。
1726 :名無しさん :2012/11/01(木) 18:27:59 ID:Uj6jc7rM0 稲川淳二の有名な話 知り合いの霊能者から聞いた話なんですけどね,サッカー選手の仮にK選手としておきましょうかね 私今でもこの選手好きでね、人を惹きつける華があるじゃない 15年ほど前盛り上がりましたよね 日本がフランスワールドカップ初出場で、 そのワールドカップ開催の直前のスイスで、日本代表合宿してましたよね でもこのメンバーから3名落選することになってましてね、監督が外れる3名読み上げたんだ 「外れるのはカズ、ミウラカズ、キタザワ、イチカワ」 あれ?おかしいなあ、どう数えても4人なんだ。何か寒気がしましてね 嫌な予感て言うんですかね、そうこうしているうちに何気なくテレビをつけると、カズ、キタザワ帰国会見ってやってましてね あれ?何で4人外れたのに2人しか帰って来なかったのかな?怖いな〜、背筋がゾクッとしましたよ。どう見ても人数が合わないんだ その会見でなんとK選手、髪が真っ白なんですよ!ううぅっ、もしかしたらこの世の者じゃないかもしれない 脂汗が出てきましたよ。そしてそのK選手が青ざめた顔でこう言ったんですよ 「魂は向こうにおいてきた」って、その瞬間意識がスゥ〜っと遠のいていった。不思議な事ってあるものですね 結局4人外れたのに帰国出来たのは1人だけなんだ のちに、この話をしてくれた霊能者の方がこう言いましたよ、 「淳ちゃん!やっぱりあの髪の毛真っ白な選手この世の者じゃなかったよ、あの選手、会見のすぐ後所属クラブの練習場で走ってるの 何人もの人が目撃したんだから」 そんな不思議な話聞かせてもらいましたよ。
1727 :名無しさん :2012/11/01(木) 20:40:30 ID:dZtGj/t20 うちの会社、遅くとも21時には退社しなきゃいけないルールがあるんだが、 急な障害対応が入って、俺と上司の二人だけで21時以降も残業したことがあった。 なんとか終電までに作業が完了したから、客先への連絡は上司に任せて休憩がてらトイレに行ったんだ。 トイレの入り口脇にある電気スイッチをONにして、中へ。暗い。 うちの会社のビル、新しいくせに電気点くのが遅いんだよな。パチパチ……パチって明るくなる。 正面に手洗い場、仕切りがあってその隣に小便器。奥に個室。 自分の労をねぎらいながら用を足して、手を洗って、出る。で、電気消す。 ……ふと奥の個室の扉が閉まってたような気がしたんだ。 あーしまったー、中に人が居るのに電気消しちゃったよーって思って、急いでまた電気のスイッチON。 中の人に一言謝ろうと思ってもう一度トイレ入って、まだ暗いトイレの中で、アレ? って。 俺、最初にトイレ入ったとき電気点けて入ったよな? って。中、暗かったよな? って。 ていうか今日、俺と上司だけしか会社に残ってなくない? って。 パチパチ……パチって明るくなる。 扉が開いた個室の中に、髪の長い女が背を向けて立ってるのが見えた瞬間、自分の机まで飛んで帰った。 あれが何だったのか、今でも分からない。
1728 :あみりたどばんべ :2012/11/08(木) 01:03:30 ID:IwWN0/Ss0 タイトル:「死神」 私には霊感がある。 なんて言う人を「胡散臭い」と 思う人が多いんではないでしょうか? だから、私は人にはあまり言いません。 でも顔も見えない、私のことが分からない人になら 話しても大丈夫かなぁなんて思ったんで投稿します。 まぁ暇つぶしにでもどうぞ。 私は子供の時から霊の存在を感じていたと 思います。 いつしかそれが当たり前になっていて 普段見えても無視します。 そうしていれば生きてる人間と そう変わり映えしないですし。 あんまり怖いとも思いません。 それでも ちょっとぞっとした時の話。 2011年11月 この日はちょうど病院の夜勤でした。 人工骨頭のOP+肩のOP後の患者がいて。 その患者はOP後、腎機能が悪化して状態が かなり悪かったのを覚えています。 イノバンって言う血圧を上げる薬も モニターも付いてる状態で、一応 急変時はDNR(なにもしない)になってた患者です。 その時私は巡視中で ごろごろと痰が溜まってる音がしたので 吸引をしようと使い捨て手袋をした所でふと ベッドの足もとに「何かいる」気配がしました。 目の端にその何かが映る。 白い着物、帯も白くて真っ黒の髪の毛を 腰までたらしていて。 顔は見えなかったけれど、瞬間的に 女の人だって思いました。 そして、私にはその人物に見覚えがありました。 同じくその患者のバイタルを取りに行った時に 病室の入り口でこちらを見ていたのと同じだったから。 また別の日には 確か口腔ケアの最中にカーテンの隙間から こちらを見ていました。 そして今回は...... お察しの通り 段々近づいてきてるんです。 入口、カーテン、ベッドの足もと... それでも、ただ気持ち悪いなぁって感覚を 除けば、その女の人もいつもの霊と変わらない。 そう思っていたんです。 夜勤が明けて家路につき 私は次の日遅番だったので 昼ごろ、病棟へ上がりました。 階段を登りきってすぐの部屋が その状態の悪い患者のいる病室だったのだけれど その部屋から補助婦さんがモップと雑巾をもって出てきました。 「お疲れ様です」 私がすれ違う補助婦さんに挨拶すると 「連れていかれたよ、出勤遅番でよかったね」 と返答されたのです。 しばらくして 今度は心不全で状態の悪い患者が入院してきました。 その患者は詰め所に一番近い部屋(リカバリー)で モニター管理されていました。 夜... その日は遅番だったから 多分19:30頃、私はその患者の口腔ケアを するために患者の体位を整えていると その時も入口の前にその女の人が立っていました。 次の日 私は日勤でその患者の受け持ちになり 午後に患者の点滴の滴下を調節しに リカバリーに行くと今度は、ベッドの足もとにいました。 それから3日後... その患者は亡くなります。 そんなことが何度かあり 年末、忘年会でお酒を飲んだ時 酔っていたせいもあり、私はその話を 先輩に話してみることにしました。 以下、その時に先輩に言われたことば 「死神...だと思う。うちの病院と 同じ系列の病院でも同じ事があったらしいよ。 以前2人だけ見える人がいてその2人が いそいそエンゼルケア(死後処置) の準備を始めるとその何時間後かに患者が亡くなるっていう話。」 どこにでもありそうな話だけれど 一番ゾクっとしたのは次の言葉 「その2人が言うには入口に立っていると 近い...部屋の中に入ってきたら1週間以内だって。それで 耳鳴りがすごくするらしい」 私にもするんです。 出くわすと必ず 頭がくらくらするくらい大きな 耳鳴りが... ということは 同系列の病院だけにいるのか この病院だけなのか、どこにでもいるのかは 分からないけれど 私は「死神」と一緒にいたんだ... そう思った瞬間ゾクっと背筋に鳥肌が立つのを感じました。 このままもっと年をとって 私がこの世からいなくなる時... 見えるんでしょうか? その死神がすぐ近くに...... 以上「死神」という お話でした〜。 ありがとうござました。 実話なんで、落ちがいまいちだったかなぁ...
1729 :あみりたどばんべ :2012/11/10(土) 19:17:28 ID:sVzThN060 休みなんで、また投稿します。 これは、私がまだ学生の時の話。 友人、Aちゃんと研修に行った時の話。 場所は岡山。 確か7月後半くらいでしたかね。 1日目の日中は研修。夕方ホテルに到着し そこから夕食までは自由行動ということで、同室の Aちゃんと共に部屋に行きました。 「確か、806号室だったよね」 私がAちゃんに確認するとAちゃんはキーを見ながら うなづいた。 「うん。ここ、ここ」 部屋の前で止まるとAちゃんは鍵を開けて 先に私を通してくれる。 部屋に入った瞬間、私は何か違和感を感じた。 何と言うか、空気が異様に思かった。 「どうかした?」 Aちゃんは私の後に、大きな荷物をもって入ってきて 立ち止まったままの私に声をかけてきた。 今から1晩過ごすと言うのに、初っ端から「なんか変な感じがする。 空気が重い気がする」 なんて言ったら、怖がらせてしまうし あんたの方が変な感じだよ、と思われるかも... と思ったので 「なんでもないよ」 と言って作り笑いをしておいた。 Aちゃんは特に気にする風でもなく 壁際に荷物を下ろしたので、私は窓側に荷物を下ろした。 しばらくして、ピンポーン... と部屋のインターホンが鳴る。 開けてみると隣の部屋の友人、Kちゃんだった。 「どうぞ〜」 私はKちゃんを部屋に招き入れた。 「おじゃましまーす」 と言ってKちゃんは部屋に入る。 ...とちょうど壁側のベッドの所まで入った時 Kちゃんの足が止まる。 Kちゃんは部屋をぐるりと見回したあと 一度天井を見てからこう言った。 「ここ、変な感じがする...この部屋じゃなくて 良かった。こんな所じゃ寝られないもん。やっぱり帰りまーす」 Kちゃんは自称見える人、でよく霊体験の話をする。 Kちゃんでもやっぱり嫌なんだ。 帰ろうとするKちゃんを玄関出口まで送りに行くと Kちゃんは「H(私)、分かってるでしょう?でも言わないんだ...」 クスクスと笑いながらKちゃんは言う。 私はここも作り笑いでかわして部屋に戻った。 言わないよ... 言えるわけないじゃん。 Aちゃんいるし、普通に聞いてたら頭おかしいと 思われてもしょうがないことなんだし... なんて、人ごとだと思って楽しんでるKちゃんに少し 心の中で抗議していたが、Aちゃんは気にしている風でもなかったので 忘れてしまうことにした。 夕食後、私とAちゃんは806号室へ戻る。 「明日は、どこに研修だっけ?」 私が聞くとAちゃんはパラパラと予定表を めくりながら答えてくれた。 「明日は少し早めに起きな、遅刻してしまうね」 Aちゃんは携帯のアラームをセットしながら 寝る準備をしていた。 「今日は疲れた?」 私が聞くとAちゃんは何度もうなづいて見せた。 「私も今日はかなりしんどかったから 早めに寝ようか〜」 「うん。寝よう」 Aちゃんは着替えを済ませて もう寝る準備万端だった。 「あ、カーテン閉め忘れてた...」 私はベッドから降りてカーテンを右側、左側と閉めた。 ベッドに戻ろうとして振り返った時、背後でシャーっと 言う音がした。 Aちゃんは私の後ろをじっと見ていた。 振り返ると、左側のカーテンが... 開いていた。 「え...あ、何か閉めるの失敗したみたい」 私は慌てて戻りカーテンを閉めて、ベッドへ戻った。 「何だたんだろうね」 私がAちゃんに言うと 「自動のカーテンなんかもしれへんよね。 だから、何故か勝手に開いたとか...」 「うん、そうやんね」 言った瞬間に、またシャーっと 音がする。 振り返ると、また左側だけ カーテンが開いていた。 「自動...何かなぁ?」 私はそこらを探してみたけれど スイッチらしきものはなし。 リモコンみたいな感じのもなし。 「まぁ、とりあえずもう一回閉めるわ〜」 私は努めて冷静にAちゃんに言った。 カーテンの裾を持ち今度は小声でこう言った。 「今度開いても、私はもうカーテンを閉めません...」 シャッとカーテンを閉めて ベッドに戻る。 その後はカーテンは開かなかった。 しばらくして Aちゃんはボーっと天井をにある、エアコンの ブラウン管をずっと見ている。 「どうしたん?」 私が聞くとAちゃんは「なんでもないよ」 と言って、布団にもぐってしまった。 私も、すぐに布団にもぐる。 長い夜になるとも知らずに...
1730 :あみりたどばんべ :2012/11/11(日) 00:31:21 ID:Jel6YSYA0 >>1729 続き... この日はかなり寝苦しかった。 布団が異様に重い... Aちゃんは寝ているのか、スースーと 寝息を立てている。 私は眠れなくて、何度も寝がえりをしていた。 眠れないまましばらく横になっていて ナイトスタンドの時計を確認するとAM2:15を示していた。 しばらくしてウトウトし始めた時、やっぱり、体が重い... ふと足元に気配がする。 私がかばんを置いているすぐ横に。 そこには 白い着物を着た、中年のおばさんが立っていた。 痛んだ髪の毛がちょうど胸の下あたりまである。 右手には、包丁(出刃包丁...というやつだろうか)を 持っている。 でも、足もとにずっと立ったままだった。 何をするでもなく、ただ立っていた。 気持ち悪いなぁ...と思いつつも 私は実は普段からこんなことが多かったので 叫ぶでもなく、眠くなるまで待っていた。 いつ眠ったのかは、分からないけれど、起きたら AM6:10だった。 うわ、ちょっと寝坊した! 私は慌てて準備をしてホテルを後にした。 2日目も無事に研修は修了し この日は旅館に宿泊した。 4人部屋だったので Aちゃんの他にBさん、Lさんも部屋にいた。 Aちゃんと皆はワイワイ雑談していた。 夜も更けて、私は寝る前、昔から肌身離さず身に 付けていた、お守りをかばんから取り出した。 お守り袋から弘法大師の姿が彫られた お守りを取り出した。 そのお守りは堅くて、どれだけ落としても傷一つつかなかった ものなのにその時は...... 端々にヒビが入っていた。 その瞬間背筋にゾクッと鳥肌が立つ。 このお守にヒビが入るなんて相当強い力がないと 無理なはず。 元来浮遊霊は近づくことすらできないと 言われてる位の代物なのに... さすがにこれはちょっとやばいな。 今になってから身の危険を感じてもしょうがないけれど 危なかったなぁ。
1731 :あみりたどばんべ :2012/11/11(日) 00:33:22 ID:Jel6YSYA0 >>1729 >>1730 続き... そんなこんなでぞっとしながらも研修は終わり 帰ってから、お守りをくれたお寺へお土産の菓子折を持って 挨拶に行った。 「あんた、どこに行ってきた?」 着くなり、言われたのがこの一言。 「岡山...」 私がお守りを手渡すと、触るのも嫌とばかりに 線香を焚き始めて、お守りを清めてから話し始めた。 「岡山か...岡山はね、多いんだよ。戦争もそうだけど 閉じ込められた人がたくさんいた地域だからね」 と言った。 私が研修で行ったのはまさに ハンセン病で、一か所に閉じ込められていた人たちが 当時住んでいたところだったのでこのときにまた鳥肌が立った。 「このお守りはね、憑かれやすいあんたのために 祈祷してあるの。これがヒビ割れるってことは 悪霊になってるんだろうね」 そう言って新しいお守りをくれた。 「無事に戻ってこれて良かったね」 最後にそう言っていた。 かばんの中にお守りを入れていたから 確かに、かばんからこちらへはこなかったなぁ... 久しぶりにぞっとする体験をしてしまった。 以下、ちょっとした後日談... これは2年後のお話なんですけど。 私は卒業して以来、そんなことも忘れていたのだけれど ついこの間、Aちゃんに会ったとき、この研修の話になった。 「H(私)ちゃん、覚えてる?2年前の研修の時のこと」 「覚えてるよ」 私が答えると、Aちゃんは何か思い出すように 目を伏せながら話始めた。 「あの時ね、寝る前なんだけど ずっと、どこかから足音が聞こえてたよ。パタパタパタパタ 部屋中を歩いてる足音が...」 私は背中にあの時のようにゾワリと鳥肌が立つのを感じた... Aちゃん、実はそれは女の人で、私たちが寝てるのを 夜中じゅうずっと見てたんだよ... なんて私には言えないから、これは私だけの秘密にしておくね。 ちなみに、ほかには テレビの音量が勝手にMAXまであがった部屋とか 勝手にテレビがついた部屋、ドアを乱暴に叩く音がして 出てみると誰もいなかった...て言う部屋があったらしい。 あと、帰る前にスタッフに確認したら カーテンは自動ではないので 勝手に開いたりは......しないそうです。
1732 :あみりたどばんべ :2012/11/11(日) 14:22:07 ID:Jel6YSYA0 今日は、仕事は休みなんだけど、今からバイトで 少し始まるまで時間があるので 今回は「公衆電話」のお話をしたいと思います。 N県の竹○内峠と言うところには山奥なのに 1つだけぽつんと電話ボックスがある。 その峠は、100回以上通ったけれど いつも下を向いた若い女の人(ノースリーブのワンピースをきてる) が受話器を持って立っている。 だいたい亡くなった人って皆、白い服着てるよなぁ... 私はその電話ボックスを通り過ぎる時いつも、そんなことを 考えていた。 自殺者...だと思う。 死ぬ前に誰かに電話しようと思ったんだろう。 本当は死にたくなかったのに... 最後の電話の相手は電話に 出てくれないまま死んじゃったものだから 電話ボックスから離れられずにいる。 ここまではなんとなく見えるんだけど 未練が深すぎて、悪霊になっている様子だった。 触らぬ神に祟りなし。 私はいつも見えないふりをしていた。 先日のこと。 この日は帰るのが遅くなってしまって 近道である竹○内峠を通ることにした。 電話ボックスに通りかかった時 その時まではその女の人のことなんて忘れていたんだけど たまたま、姿が目に入ったんだよね。 「まだ、いるんだ」 私は小さくつぶやいた。 するとその女の人はこちらに振り返った。 長い前髪から目と口が弧を描いていた。 ニヤリ... と笑っているのだ。 瞬間的に理解した... あぁ、連れていく相手が見つかったんだ...... それ以来峠を通りかかっても その女の人は見ていない...
1733 :Who :2012/11/12(月) 17:26:05 ID:PFqCaG0cO すみません、場違いですが長い独り言と思ってください。 湿気に満たされた古い墓場。 腐り、変色し、もはやそこに書かれた字も読めず、緑の蔦が巻き付いた塔婆。 数年、いや数十年は放置されていたであろう苔むした墓碑。 そこは彼が人生の最期を迎えるに適した場所だった… 『今までお世話になりました。 私は、明日死にます。』 昨日、この短いメールの文面を彼は少ない友人に飛ばしてきた。 家族には言えない… でも、もしかしたら、 メールを受けた誰かが、泣きながら私に電話してきて死を思い止めさせてくれるかも知れない。 メールの内容があちこちに行き渡って、好きなあの娘が私に会いに来てくれるかも知れない。 しかし、彼のそんな妄想が叶うことは、結局無かった。 そして、彼はこの自殺旅行の道中、ずっと携帯のメール受信Boxを気にしながら、ついには最期を決意したこの荒れた墓場に辿り着いてしまった。 自殺の為にと用意してきたのは、ビニール紐と、大量の睡眠薬だった。 首を吊るか?薬で眠るか? 彼の死に際にはその二択が用意されている。 墓場の中の一番大きな墓石の石段に、彼は腰を下ろすと己の最期を決める死に方に悩み始めた… 首を吊れば目を充血させ、糞尿を辺りに撒き散らしながらの汚く、見るに耐えない死に様を晒す事になるだろう。 仮に、己が死体が発見されたとしたら、そんな姿を皆の前に晒すのは嫌だ。 彼は睡眠薬による死を選んだ。 そして、大量の睡眠薬を道中買ってきた水と共に一気に飲み、墓石の石段に横になりゆっくりと目を閉じ、醒めることの無い眠りについた。 ………… 『ねぇ。』 その声に彼は飛び起きた。 誰も知らない様な、山奥の廃村の小さな墓場。 辿り着くには泥だらけの山道を2時間以上も歩く必要がある。 こんな場所に人など来ないと思っていた… しかし、今、目を開けた彼の瞳は小さな子供を捉えていた。 驚きの余りに声も出せずに居る彼にその子供は語りかける。 『お兄さん、死ぬの? ねえ、死ぬの?』 「え、あ、あぁ…」 彼はやっと声を振り絞った。 『そうなんだ〜。 でも、何で死ぬの? 友達が少ないから? 好きな娘に振り向いてもらえないから?』 『死ぬのってさ、無駄じゃないかな? 僕ならそんな事する前に一生懸命やれる事するけどなぁ。』 「…………」 『あ!そうだ。 見せてあげるよ、今皆がどうしているかを。 知りたいでしょ?お兄さんが居なくなった後に皆がどうしているか?』 子供がそう言うと、彼の視界が霞み、彼の数少ない友人と想いを寄せていた彼女が見えてきた。 しかし、その光景は彼が想像していたそれとは全く別の物だった。 友人達は彼が飛ばした無題のメールを開封すらしておらず、いつもの日常を楽しんでいる。 想いを寄せていた彼女には既に彼氏が居る。 誰も、彼の事を気にしていない。 誰も、彼に興味を持っていない。 誰も、彼の命に執着しない。 自然と彼の呼吸が荒くなる… 時期に訪れるであろう死の瞬間と、突き付けられた現実に興奮し、落胆し、肩を大きく上下させる様な正に死に際の呼吸を、彼はしている。 『どう?分かった? 無駄なんだよ、死ぬなんてさ。 それよりも、死ぬ気で自分を変えて、頑張るべきだったって、思ってるでしょ?』 「悔しい… ………死にたくない…」 『ははっ。お兄さん、もう駄目だよ。遅いよ。 でも………、』 『安心しなよ。 お兄さんの"身体"は、僕が変わりに使ってあげるから。』 「……………!!」 『それにしてもよ、あのメール。もう前の話になってるけど、あれはマジでヤバイと思ったわ。』 『ホント、質悪いわ、お前は。』 古い友人達がビールグラス片手に彼に言った。 「いやぁ、悪い、悪い。 でも、あの時はマジだったんだよ。 けど、今考えてもやっぱおかしい話だよな〜。 それに何より、お前等がメール開封すらしてないってね…(笑)」 彼はテーブルに用意された彼女の手料理を皿に取りながら、友人達に言葉を返す。 『へぇ〜。そんな事があったんだ。 なんか、実は変な人だった?(笑)』 念願の想いを寄せていた彼女が笑顔で冗談混じりに彼を茶化した。 『あ、そうそう。 私達の結婚式だけど、3ヶ月後の今日になりました〜』 彼女は満面の笑みで、集まった皆の前で嬉しそうに言った。 彼は、変わった。 あの日を境に…
1734 :あみりたどばんべ :2012/11/15(木) 02:36:52 ID:9BG/8N/M0 こんばんは^^ 誰が読んでるわけでもないけど 懲りずにまた投稿したいと思います。 今回は「飛び降り自殺」って話にしようかな。 2011.5 この日は、確か仕事が早番で 駅に到着したのがAM6:10頃 横断歩道をわたり、スーパーを通ってすぐ左の 小道に入り、坂を上る。 橋にさしかかると、桜の木が植えてあるんだけど もう、桜は散っていて葉っぱが茂っていた。 坂を下り始めると、病院が見えてくる。 顔をあげて一番最初に目につくのは 4階西病棟の窓。 更に歩いて行くと 段々人影が見えてくる。 女の人がその窓の所に立っていた。 でも、何か違和感がして 一瞬立ち止まる。 その女の人は微動だにしない。 目を凝らすと その女の人は左側の顔半分がなかった... 頭も半分かけている。 「人じゃなかったか...」 私は朝からえらいものを見てしまった、と思ったけれど 見えても、私が助けてあげることなんてできない。 私は、見えなかったことにした。 更衣室へ入ると時刻は 6:15だったので、着替えを済ませて エレベーターの横の自販機に、ポカリを買いに 行った。 私の朝ご飯はいつもポカリを3口なので 病棟に着いてから、休憩室の冷蔵庫の前で ボトルのキャップを開けて、少し飲んでから それを冷蔵庫に入れた。 日勤の準備を済ませて さっそく仕事に取り掛かる。 15:10 申し送りを済ませて 私は病院を出た。 帰り際、振り返るとそこには まだ、女の人がいた。 けれど、バイトがあったので 踵を返した。 バイト先にて... 休憩中に先輩が話かけてきた。 「Hちゃん(私)、今あそこにいる人見える?」 先輩の指さす方を見ると、男の人が歩いていた。 私が頷くと、先輩は話を続ける。 「あの人のお母さんね、あんたの働いてる病院の 屋上から飛び降りたんだって。気づいた人がすぐに 病院の中に運んだけど、その人、頭がつぶれてて 助からなかったらしいよ」 ぞくり、と背筋に寒気が走る。 ちょうど今日、見た様な気がする。 そして、その息子を見ることになるなんて... あぁ、やっぱり、供養してほしいんだ。 お経が欲しいんだ。 自殺した人は成仏できない人が 多いもんね。 こんな偶然はあり得ない。 でも遺族になんて言えばいいの? 自殺して成仏できていないので供養して あげてください? そんなこと言ったら霊感商法とでも 思われるんじゃないだろうか。 だいたい、見ず知らずの人間のこんな話 信用するはずがない。 頭おかしいと思われて終わり。 なんで自殺しちゃったんだろう... その先輩はもともと私の霊感について 知っている人だったので、思い切って この話をしてみた。 先輩は 「やっぱり、自殺したことの罰って受けるものなんだね。 自殺すると、罰を受けるんだね。 しょうがない。知り合いが、あそこの家族と仲が良いから 1回話してみてあげる」 先輩はそう言ってくれた。 それからあの女の人がどうなったかは知らない。 そのあと、ちょっと色々あって 病院やめちゃったから。 以上「飛び降り自殺」と言うお話でした。
1735 : ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:24:27 ID:Jx756Ba60 てすと
1736 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:26:47 ID:Jx756Ba60 こっそりと投下させて頂きます。 イサムと出かけたロングツーリングの終盤の話だ。 俺たちは、関東の某県に住むマサさんの古い知人を訪ねていた。 ヤスさん……忍足 靖氏は、個人タクシーを生業としており、呪術や霊能の世界とは基本的に関わりを持たない人物だ。 年齢は70歳を過ぎているはずだが、その身から発散される『肉の圧力』は老人のものではない。 服を脱ぐと顔だけ老人で、首から下のパーツの全てが厚くて太い。 何かの冗談のような取合せだ。 70歳を過ぎた現在でもベンチプレスで100kg以上を挙げ、スクワットやデッドリフトはフルで150kg以上を扱うという妖怪ぶりだ。 並のタクシー強盗など返り討ちにされるだろう。 以前、マサさんは、夜間は都内の某大学に通いながら、ある霊能者の元で修行していたらしいのだが、その時、ヤスさん宅に下宿していたそうだ。 マサさんの説明では、ヤスさんはマサさんの『空手の先生』だという事だった。 マサさんの母校のすぐ近くには同系の流派の高名な先生の道場があるらしいのだが、マサさんはヤスさんの指導に拘った。 その気持ちは判らなくはない。 俺自身、70歳を過ぎたヤスさんとまともに渡り合って勝てる自信はないからだ。 俺とイサムはマサさんが使っていたという部屋をあてがわれた。 10畳ほどの室内には何百冊あるのか判らないが、大量の古い書籍が平積みされていた。 全てマサさんの物らしい。 マサさんが出て行くときに「全て『覚えた』から捨てて良い」と言ったらしいが、そのまま残しておいたそうだ。
1737 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:27:31 ID:Jx756Ba60 「マサの奴から、兄さんの『治療』のことは聞いている。 多分、明日の晩あたりに来ると思うから、その時に診てもらうと良いよ」 「……?……来るって、誰が?」 そう聞くと、ヤスさんは小指を立てながら言った。 「ああ、俺の『コレ』だよ」 「?」 翌日の夕方、居間でイサムとヤスさんの飼い猫を構いながらゴロゴロしていると、玄関の扉が開く音が聞こえ、女が一人入ってきた。 30代半ば位の女で、食材でも入っているのだろうか、大きな買い物袋を持っていた。 固まっている俺とイサムに向かって女は言った。 「あの人は?」 「……明けなので、まだ2階で寝ています」 そうイサムが答えると、女は袋を台所に置いて2階に上がっていった。 「先輩、今の人、何なんでしょうね?」 「さあ……。ヤスさんの娘さん……かな?」 「……ですよね〜。服装はちょっとアレだけど……でも、ヤスさんの娘さんにしては、綺麗な人でしたね」 そうは言ったものの、スキンヘッドの千葉真一といった風貌のヤスさんと女は似ても似つかない感じで、血縁関係は無さそうだった。
1738 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:28:41 ID:Jx756Ba60 10分ほどすると、ヤスさんと女が2階から降りてきた。 俺はヤスさんに「その女性(ひと)は?」と尋ねた。 女が答えた。 「ワタシは、陳 千恵(チェン チェンフィ)と言います」 「え……っと、チェンフィさんは、ヤスさんとどういった関係で?」 チェンフィは少し照れた様子で言った。 「ん〜、ヤスさんのカノジョ……かなw」 俺とイサムは顔を見合わせた。 お互いに言いたいことは判っていた。 『嘘だろ!』 まあ、熟女ブームとやらで、老女に欲情する若い男もいるのだ。 逆のパターンもあっても良いのだろう。 だが改めて思った。 男女関係ってディープだ……。 意外なことに、チェンフィは治療家としてはかなりの人物らしい。 後に木島氏を訪ねた折に聞いたところでは、俺のような有象無象が彼女の治療を受けることは殆ど不可能なことのようだ。 治療家としての彼女もだが、彼女の祖父がかなりの人物らしい。 小顔に不釣合いな大きな眼鏡。 しま○ら辺で売っていそうなジャージ姿に便所下駄?を引っ掛け、買い物袋をぶら下げた小柄な女が、そんな人物だとはとても信じられなかったが……。
1739 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:29:27 ID:Jx756Ba60 俺はチェンフィから『移入の法』を含めた数種類の治療を受けた。 今でも定期的にヤスさんの元を訪れ、チェンフィの診察を受けなければならないが、彼女の治療により、俺は長年苦しんできた諸々の症状から解放されたのだ。 逗留中、俺はヤスさんとマサさんの関係を尋ねた。 軽い気持ちで尋ねたのだが、俺とイサムはヤスさんの口から意外な話を聞くことになった。 ヤスさんは、マサさんの『井戸』を作った関係者だったのだ。 詳しい事情は判らないが、ヤスさんは郷里から東京に『逃げて来た』ということだ。 簡易宿泊所をねぐらに日雇い仕事で食つないでいたヤスさんは、恋人も友人もなく、孤独を紛らわすために休日は上野の公園で時間を潰していたそうだ。 そんなヤスさんは、一人の男と出会った。 隻腕で足を引き摺って歩く当時50代くらいのその男は、台湾人の傷痍軍人だった。 戦いに傷付いた身体を通行人に晒して小銭を得ていたその男と顔見知りになったヤスさんは、やがて男の分の握り飯を持って公園を訪れるようになった。 台湾に妻子がいるという彼が、なぜ日本に留まり続けているのかは判らなかった。 それを尋ねる気も無かった。 ヤスさんも郷里を捨てた理由は話せないのだ。 尋ねられたところで、結局は嘘を吐かなければならない。 ならば、お互いに聞かない方が良い。 そう思っていたそうだ。
1740 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:29:57 ID:Jx756Ba60 あるとき、ヤスさんは現場での作業中、足に酷い怪我をしたそうだ。 歩くだけでも相当痛んだらしいが、日雇い仕事でその日暮らしだったヤスさんは仕事を休むわけにはいかない。 無理を重ねた結果、さらに腰まで痛めて動けなくなってしまったそうだ。 仕事に出れなくなって2週間ほどで蓄えも底を尽き、ねぐらの簡易宿泊所を追い出されホームレスになった。 だが、上野の公園近辺で野宿をしていたヤスさんに救いの主が現れた。 例の台湾人の傷痍軍人、陳さんだった。 陳さんは、ヤスさんを自分のねぐらへと連れて行き、ヤスさんに飯を食わせ、治療を施した。 まだ若く、しっかりと休養を取れたおかげでもあったのだろうが、ヤスさんは身動きが全く取れないような激痛から1週間ほどで回復し、元の体に戻ることができた。 ヤスさんが転がり込んだ陳さんのねぐらは、とある工務店の社員寮だった。 隻腕で歩行にも障害のある陳さんが建築作業や土木作業に従事できるとはとても思えない。 だが、陳さんは『先生』と呼ばれ、丁重に扱われていたそうだ。 ヤスさんは、そのまま日払いの人夫としてその工務店に雇われ、寮に住み込みながら働き始めた。 この工務店で職長をしていた喜屋武という沖縄出身の男がヤスさんに空手を仕込んだらしい。 だが、喜屋武を始め古株の職人や社員たちは、ヤスさんやその他の日払い契約の寮住まいの連中とは仕事上必要な最低限以上の関係を持とうとはしなかった。 ヤスさんは『感じの悪い連中だ』と思いながらも、黙々と日々の仕事をこなし続けた。
1741 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:30:59 ID:Jx756Ba60 ある時、喜屋武と社員の男が、ヤスさんの後から入ってきた男たちを3人ほど連れて、夜の街に繰り出していった。 男達によると、いい店で高い酒を飲ませてもらった上に、女まで抱かせてもらったということだった。 その話を聞いて「なんであいつらばっかり!」と連れて行ってもらえなかった他の2人が不満を漏らした。 ヤスさんは『どうでもいい』と、特に不満を漏らすこともなく、我関せずの態度をとっていた。 そんなヤスさんに古株の職人の一人が話しかけてきた。 「まあ、腐るなよ。あいつらは『あれ』だからな……」 「あれ?」 「ん、まあ、そのうち判るさ……」 次の週、ヤスさん達はある病院の建築現場に派遣された。 その現場は、労災事故が続き、工事が何度も中断して工期が大きく遅れていたそうだ。 そして、ヤスさん達が現場に入って3日目に大きな事故が起こった。 クレーンで揚重中に玉掛けのロープが外れて資材が落下。 3名の死者が出たのだ。 死んだのは喜屋武が飲みに連れ出した例の3人組だった。 だが、その事故を境に頻発した労災事故はピタリと止み、工程が順調に進むようになったそうだ。
1742 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:31:58 ID:Jx756Ba60 その後も喜屋武や他の社員が寮の人夫を飲みに連れ出し、その人夫が事故死すると言った出来事が何度も続いた。 勘の働く奴もいるようで、飲みに連れて行かれたあと寮から逃げ出した者もいたらしい。 ヤスさんも何度か喜屋武たちに飲みに連れ出されたが、ヤスさん自身は特に怪我をすることもなく無事に過ごし、いつの間にか日雇い寮で一番の古株になっていた。 そんなヤスさんが、ある日社長に呼び出された。 日雇いではなく正社員にならないかと言うことだった。 ヤスさんが申し出を受けて社員になると、それまでの態度が嘘のように職人やほかの社員たちはヤスさんに親しく接するようになった。 陳さんの勧めでヤスさんが喜屋武から空手を習い始めたのも、正社員になってからだ。 そして、以前『腐るな』とヤスさん話しかけてきた男がこう言ったそうだ。 「日雇いの連中とは出来るだけ関わるな。情が移ると良くないからな。 ……お前も、もう、何となく判っているんだろ?」 社員となって初めて、ヤスさんは、喜屋武を始めとした古株の職人や社員の多くがヤスさんと同じような寮住まいの日雇い人夫あがりの『生き残り』であることを知った。 やがて、ヤスさんは『この現場は危ないな』とか、『この現場は何人持っていかれるな』という事が直感で判るようになって行った。 そして、陳さんと喜屋武と飲みに行った折に聞かされたそうだ。 「『ウチ』は普通の工務店じゃないんだ……」 曰く付きの土地での工事で、その土地に捧げる『生贄』や『人柱』となる人間を集めて派遣することが、ヤスさん達の工務店の『裏の本業』だった。 陳さんは土地に生贄を捧げる『儀式』を執り行うと共に、『護り』のない人間……家族や友人、先祖やその他諸々との『縁』の無い人間を見つけ出して集める役目を負っていたのだ。 ヤスさんや喜屋武、ほかの社員たちは『護り』が無いにも拘わらず生き残った、異常にしぶとく生命力の強い『個体』ということらしい。 そして、その中でもヤスさんと喜屋武は、殊、生存ということに関しては一種の『異能者』と呼べるだろう。 何故ならば、あのマサさんの井戸に関わって生き残ったのだから。
1743 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:32:54 ID:Jx756Ba60 マサさんの父親が韓国から持ち込んだ『呪いの井戸』の起源は明らかではないそうだ。 『家伝』によれば、百済滅亡の折に朝鮮半島に残留した貴族が、彼の一族を虐殺し、国を滅ぼした唐と新羅を呪うために作らせたもの……と、されている。 この井戸は、半島本土からマサさんの先祖が住んでいた済州島に移設された。 三別抄の乱の折、耽羅に落ち延びた三別抄に同行した呪術師によって持ち込まれた……らしい。 『元』を呪うために井戸を持ち込んだ呪術師は、三別抄の乱鎮圧後、耽羅総管府により捕らえられ処刑された。 だが、『井戸』とそれに関わる呪法は、済州島三姓神話の『神人』の直系子孫を自認し、神話になぞらえて代々日本の呪術師の集団と縁戚関係を結び続けてきたマサさんの一族に託された。 どうやら、この『井戸の呪法』を作り上げ、伝えてきた呪術師一族も日本と深い関係があり、代々マサさんの一族とも接触があったようだ。 マサさんによれば、その『効果』は兎も角、井戸の呪法の縁起自体は恐らくハッタリを含んだこじつけだろうという事だった。 だが、マサさんの祖母と母親が日本人なのは確かだということだ。
1744 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:33:41 ID:Jx756Ba60 マサさんの父親が『井戸』を日本に持ち込む切っ掛けとなったのは、8万人にも及ぶ住民虐殺事件である『済州島4・3事件』だったらしい。 マサさんの父親は、同じ韓国人でありながら、同胞である済州島民の虐殺と島の焦土化を命じた大統領の呪殺を試みたが失敗した。 以前にも少し触れたかと思うが『天運の上昇期』にある人物の呪殺は非常に困難なのだ。 彼の大統領は狂人であったが、同時に巨大な『精神的質量』あるいは『恨』の持ち主だった。 やがて彼は、韓国を追われハワイに亡命した。 そして、真偽は不明だが、そこで『呪詛』を仕掛けた。 建国の父であり『王』たるべき自分を4・19学生革命で追い落とした韓国の民衆と、彼の積年の『恨』の対象である日本に対する呪詛だ。 実際に『呪詛』が仕掛けられたのか、その呪詛が功を奏したのかについては、俺に判断することはできない。 だが、『呪詛』が本当ならば、韓国民の意識ないし精神の『流れ』が、異様な程に強烈な『反日』へと流れ、固定化される切っ掛けのひとつには成り得たと思う。 一個人の強烈な精神が民衆を煽動し、破滅まで突き進んだ例は他にもあるからだ。 朝鮮人がその精神の深奥に抱き続けた日本への漠然とした『恨』は、今や巨大なうねりとなって民族全体の『呪詛』に育っている。
1745 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:36:27 ID:Jx756Ba60 人を呪わば穴二つの言葉通り、呪詛は必ず仕掛けた者に返る。 仕掛けた相手を『護る』力と共に。 朝鮮民族、特に韓国民が日本や日本人に向けた呪詛は、やがて彼ら自身に強烈な『呪詛返し』となって返る。 強大な日本の『護りの呪力』と共に。 強大な日本の呪力は、呪詛返しとして一旦発動すれば、もはや誰にも止められず、朝鮮民族を滅ぼすだろう。 日本人の精神の深奥に蓄積し続けた『呪詛返し』の内圧もまた、彼らの向けた『呪詛』に呼応して上昇を続けているのだ。 朝鮮民族に呪詛返しとして返る呪詛のエネルギーは朝鮮人自身のものでなければならない。 日本国内に危険な『呪いの井戸』と『井戸の呪法』を持ち込むことが許され、マサさん親子が『井戸の呪法』にこだわった理由だ。 日本に移ったマサさんは、朝鮮人と朝鮮人に関わる呪詛やその他諸々の『悪しきモノ』をその身に受け、『井戸』に送り込み続けた。 ヤスさん達は、とある土地に送り込まれた。 この土地は、木島氏たちが所属する呪術団体が管理する地脈の空白地帯『ゼロ・スポット』の一つだった。 工事は、韓国から来た呪術師と台湾人呪術師……マサさんの父親と隻腕の傷痍軍人・陳さんの手による儀式と並行して行われた。 工事現場には一人の少年がいた。 韓国人呪術師の息子だ。 まだ、日本語に難のあった暗い目をしたこの少年に、ヤスさんと喜屋武は、彼の気が紛れれば良いと思って彼らの空手を仕込んだ。 既に心得のあった少年は、ヤスさん達の教えを驚くべき速さで吸収していった。 この少年がマサさんだった。
1746 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:37:19 ID:Jx756Ba60 やがて、工事は完成した。 だが、ヤスさんの周りで次々と怪死事件が起こった。 『呪いの井戸』建設関わった工務店の社員、……皆、曰く付きの危険な現場に『人柱』として送り込まれても尚、生き残ってきたしぶとい連中だったが…… 陳氏と喜屋武氏、そしてヤスさんの3人を除く、社長をはじめとした社員24名が井戸の完成後3年間で死に絶えたそうだ。 陳氏は、井戸の工事の完了後、故国の台湾へと帰っていった。 会社が潰れてしばらくの間、喜屋武氏は知人の沖縄料理店を手伝っていたらしいが、やがて同郷の人間に誘われて南米へと移住した。 何処にも行く当てのないヤスさんは、タクシー会社に就職し、定年後、個人タクシーを始めた。 陳氏とは、彼の帰国後も連絡を取り続け、ヤスさんを頼って孫娘のチェンフィが来日。 独り者のヤスさんの身の回りの世話をしているうちに現在のような関係になったそうだ。 俺は、ヤスさん、そして儀式を行った呪術師の孫であるチェンフィに井戸について他に知っていることはないか訊ねた。 『井戸の地』で俺やイサム自身が見聞きしたことを全て話した上で……。 ヤスさんによると、井戸を掘り終わったあと、井戸に『黒い石』で蓋をするまでは、『井戸』や井戸のある土地に打たれていた鉄杭はまだ無かったそうだ。 チェンフィによれば、井戸を『黒い石』で塞ぎ、鉄杭を打ったのは、恐らく、チェンフィの祖父だろうということだった。 どうやら、台湾にも『悪いモノ』を『井戸』に封じ込める呪術があるようだ。 マサさんの父親がどんな儀式を行っていたのかはわからないが、彼が毎晩儀式をしている間は、一般人でも判る程に『空気』が重くなり、あの地にいた者はみな一様に激しい頭痛と耳鳴りに襲われたそうだ。 そして、チェンフィの説明によると『地光』と言うらしいのだが、井戸の周りの木々の葉や、岩が赤く薄ぼんやりと発光していたらしい。 俺には、確認したわけではないが確信があった。 恐らく、マサさんの父親は『三角陣』を用いた儀式を行っていたのだろう。 韓国、恐らく済州島にあった『井戸』から、三角陣を用いてオイラー線に乗せて日本に新たに作った『井戸』に井戸の中身を送り込んだのではないだろうか?
1747 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:38:13 ID:Jx756Ba60 ヤスさんによると、井戸に『黒い石』で蓋がされる前に、ヤスさん達は井戸の中に『何か』を入れた。 鉄枠で補強された各辺20cm位の立方体の頑丈そうな木の箱だったそうだ。 中身は何か判らないが、20kg位の鉄か何かの塊が入っていたようだ。 現場に派遣されていた社員たちは、マサさんの父親に木箱を井戸まで運ぶように指示された。 だが、誰も木箱を持ち上げることができない。 何とか持ち上げることが出来たのはヤスさんと喜屋武氏だけだったらしい。 ヤスさんと喜屋武氏は井戸まで箱を運び、二人で箱を井戸の底まで下ろしたそうだ。 箱を持ち上げることのできたヤスさんと喜屋武氏の身に特に変わった事はなかったらしいが、工事と儀式の完了・撤収後、その『箱』に触れた者たちが次々と命を落としていった。 そして、謎の死は現場に派遣されなかったほかの社員たちにも広がり、結局、工務店の社員は社長を含め、ヤスさんと喜屋武、そして儀式の終了後、すぐに台湾に帰国した陳さんを除いた全員が相次いで命を落としていった。
1748 :呪いの井戸 ◆cmuuOjbHnQ :2012/11/16(金) 04:38:59 ID:Jx756Ba60 ヤスさん宅に俺とイサムは3週間ほど逗留し、俺はチェンフィの治療を受けた。 「半年に1回は診察させてもらわなければならないけれど、肉体的な問題はもう大丈夫。 精神的な問題はあなた次第だけれども、肉体的不調からくるものは徐々に消えるでしょう」 ヤスさん宅を出た後、俺とイサムは地元に戻った。 シンさんやキムさん、空手道場の師範などに挨拶して回った。 イサムとマサさんの許を訪れ、イサムの姉に旅立ちの前に渡された石のお守りを返して、俺はイサムと別れた。 挨拶回りが終わり2・3日休んでいると、木島氏から連絡が入った。 俺は以前交した約束に従って、木島氏の許に向かった。 おわり
1749 :名無しさん :2012/11/16(金) 20:10:19 ID:sU3/AOX.0 マサさんの人、乙でした。 夜中にひっそりと投下されていたので気が付くのが遅かったわ。 自分のペースでよいのでまたの投下をお待ちしてます。
1750 :名無しさん :2012/11/18(日) 00:03:15 ID:EGfcKXZ6O マサさんの方! お早いご帰還うれしいです。 次回作、いつまででも楽しみに待っています。
1751 :名無しさん :2012/11/20(火) 03:59:15 ID:LnkvFW5E0 また面白くなってきた
1752 :名無しさん :2012/11/20(火) 23:19:48 ID:0NIBBhss0 マサさんの作者さん、おかえり〜
1753 :名無しさん :2012/11/22(木) 21:22:42 ID:DZhSAGDw0 あまり怖くないかも知れないですが、投下。 私が一人暮らしをしていたときのことです。そのマンションはこれから売り出しの賃貸タイプでした。 まだ住人は入っておらず、古いので整備したばかりだからと言われました。 私の条件とぴったりだったため、部屋の見学へ。 部屋は整備したと聞いていたわりに、前住人のものが残されていました。しかもかなり放置されていたと見えました。 最近のものではない子供のおもちゃ、テーブル、全てに埃というより砂に近い汚れがついていました。 何かいわくはありませんか?ときいてもないと言われ、自分の家族は所謂見えるひと達だったので どこにいっても何かしらはいるもんだといわれていたのでそこまできにしませんでした (私はあまり見えず感じる程度) 結局そこの契約を決めました。帰宅後に親にいうと、確かにその考えは間違っていない。 それでもあそこはやめた方がいい。今からでも契約を破棄出来ないか、といわれましたが、 不動産の方にも悪いし取り敢えず住んでみるよといい呑気な私に呆れられていました。
1754 :名無しさん :2012/11/22(木) 21:38:01 ID:5bZfBJFM0 12月から住む予定だったのですが、水道管の不備で延期となり翌年の1月なかばから住み始めました。 このときに整備したんじゃなかったのか?という疑問もありましたが、 予期せぬこともあるだろうと思って敢えて深く考えませんでした。 鍵の受け渡しの日にまず不思議に思いました。本鍵がやたらと古い。 気になって鍵交換していただけましたよね?と聞くと勿論ですと返ってきました。 腑に落ちないものの、新居に入るとルームクリーニングがされて綺麗になっていました。 色々なところを細かくチェックしていると押し入れから前住人の使っていたカーテンが出てきました。 気味が悪くなり、取り敢えず袋にまとめて台所の隅に置きました。 近くのコンビニまで飲み物を買いにいこうと玄関をでて階段と階段の間に隙間があるのですが、 そこに箱に詰まって何かが置いてある。気になって少し触って掻き分けると、 それは前住人の置いていったものでした。 また気味が悪くなったものの手抜きだろうか?生活に支障が出るわけでもない、そのうち片付けられるだろうと気にしないことにしました。 とにかく深く考えることに恐怖を感じたのです。
1755 :名無しさん :2012/11/22(木) 21:57:59 ID:QTRFVXvk0 一人暮らしを初めて1ヶ月がたちました。 何も問題なく、初めての一人暮らしを満喫していました。ある日夕方18時頃インターホンがなりました。 部屋と廊下(ダイニングキッチン)のちょうどど真ん中にいた私は玄関まで大股で3歩ほどしかないこともありこっそり覗いて知り合いや宅配員さんだったら出ようと思いました。 しかし今日は宅配が来る予定も誰かが来る予定もなかったので恐る恐る返事をせずにドアスコープを覗きました。 誰もいませんでした。申し上げた通りここにはまだ私しか住んでいません。隣の部屋に入ろうにもドアの音が聞こえるはず。上の階に行くにも下の階に行くにも音をたてないというのは考えられませんでした。 さすがにドアを開けて確かめる気にもなれずとりあえず少し扉の前にたっていても 外から人の動く音すら聞こえず、出たんだろうとおもいました。そこまで恐怖はかんじませんでした。 しかし例のインターホンは3ヶ月ほど続きました。いつも夕方でした。 夜寝る前はラップ音が聞こえ始めます。 それでもまだよかったんです。
1756 :名無しさん :2012/11/22(木) 22:41:49 ID:Ftizgdho0 ある日友達が遊びに来てくれたのですが、夜から用事が入ってしまい泊まってってもいいけど帰るの深夜かもと言ったところ待ってるよ!と言ってくれました。 用事も済み、鍵を開けて帰宅すると友人は起きて待っていてくれました。 寝ててもよかったのにと言うと、訝しげな顔で今帰って来るまで帰って来なかったか?と聞かれました。 まるで意味がわからず、帰ってきてないと言いました。 イタズラした?とも聞かれたのでしてないと言いました。事実そんなことはしていないわけですから。 一体どうしたのと強く聞くと、足音が登って来ると言い出しました。 友人によると、私の帰宅を本を読んだりゲームをしたり音楽を聞いたりしながら待っていた。 すると階段を登ってくる音が聞こえた (登って踊り場が狭いので階段のほぼ真正面が私の部屋) ビックリさせてやろうとなるべく物音をたてずに物陰(部屋の中の)に隠れた。 全然入ってこないしインターホンも押さないので不思議に思いドアスコープを覗いたら誰もいなかった。 気のせいだと思って部屋に戻って10分程たってまた足音が聞こえたのでさっきと同じようにしてみるがやはり入ってこない。 勿論ドアの外には誰もいない。 さすがに気味が悪くなった。外をドア開けて確認したかったけど開けちゃいけない気がした。 それが2時間程続きやっと私が帰ってきたということだった。 前レスにも書いた通り上がったなら降りる音、更に登るならその音がするはず。なのにそのどちらもしなかった。 本当に怖くなりました。翌日友人は帰って行きましたが、私一人の時もそれが起きるようになりました。 他にも友人が遊びに来た際、喉元を抑えられてるような圧迫感を覚えると言っていました。 他にも電気が突然ついたり消えたり部屋の扉の脇には常に何かしらの気配がしました。 結局このマンションは更新の時に引っ越してしまいました。実害が特別ないとは言えど、やはり気味はわるかったですから。 それと、これから売り出しというわりにテナントの募集も誰かが部屋見学に来ているところも気配すらなかったからです。 もしかしたらいわく消しのモルモットにされたのかもしれませんね。 引っ越しから少し経ってそのマンションの前を通りかかったらお札が張られていました。 やはり何かしらあったんですかね。 ちなみにうちの親曰く、死というものが関係していなくても環境が悪い気のあるところには集まりやすいんじゃないか、だそうです。 長文失礼いたしました。
1757 :名無しさん :2012/11/25(日) 22:26:24 ID:Eu1u/A/w0 乙
1758 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 05:45:27 ID:mw9.mfDo0 誰でも一生に一度は、その後の人生を左右する事件に遭遇するだろう。 俺は大学生の時、ある事件に巻き込まれたのがきっかけで3人の女性に出会い、 それが俺の人生の進路をそれまでと全く違う方向に変えるきっかけになった。 その事件の大切な記憶の数々は、今でも俺の心の底できらめいている。 ただ、どんなに大切な記憶でも、時間が経つにつれて少しずつ色褪せてゆくものだ。 全ての記憶が色褪せてしまう前に、俺の人生の真の出発点とも言うべき事件について 大切な記憶の断片を幾つか、備忘録替わりに、ここに書き残して置こうと思う。 改めて思い返すと、もう7年も前の事になる。 当時俺は大学2年生で、定期で某外食チェーンのバイト(週3・深夜・主に皿洗い)と 不定期でいわゆる「何でも屋」のバイトを掛け持ちしていた。掛け持ちといっても 「何でも屋」の方は大学入学直後に学部の先輩の伝で登録してただけなんで、 月に2・3回仕事受けてちょっとした臨時収入があればラッキーって程度。 プチ人材派遣みたいな形態で、時々ヤバイ仕事やデカイ仕事もあったみたいだが、 もちろんそんな仕事の依頼が無資格の大学生に廻ってくる事はない。 年寄りの家の草刈りとか、小学生の宿題とか、テレビとビデオの設置・配線とか。 当地区事務所のボスで配置係のNさん(男性・40代?)から電話があった時に 自分の予定と相談して仕事を受けるかどうか決める。 時給換算で大体1000円前後のショボイ仕事ばっかりだし Nさんが気さくで話しやすい人だったんで、気が向かない時は 「済みません、大学のレポートの締め切りが近くて。」とか言い訳して断ったりしてた。 ただ、受けた仕事は全身全霊でやってたから、Nさんに「おまえ評判良いぞ。」って 食事奢ってもらうこともあったし、少し特別扱いされてる?とか思ってたが、それにしたって 今考えると、かなり縛りがゆるかった。案外人材豊富で優良経営だったのかもしれない。
1759 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 05:47:24 ID:mw9.mfDo0 さて、前置きが長くなった。 変な出来事が始まったのは、大学2年の夏。学期末が近づいてきた頃だ。 一応は真面目な苦学生だったんで、安アパートの部屋で夜遅くまで テスト勉強やらレポート作成に頑張ってた訳だが、決まって1時過ぎた頃から 部屋の外に妙な気配を感じる事が多くなった。俺の部屋は3階で エアコンなんて無いし、部屋にいる時は毎日窓開けっ放しで生活してた。 もともと霊感なんて全く無く、怖い体験なんかした事が無かっただけに 窓の外に妙な気配を感じると怖くて勉強は滞るし、窓閉めたら暑くて寝られないし テストが終わる頃にはすっかり寝不足と夏バテで、体調はもう最悪。 で、夏休みも目前に迫ったある日、大学サボって寝てたらNさんから電話が来た。 夏バテでかったるかったから、またいつもの言い訳で断ろうとしたら様子が違う。 「...R、今回は下手な言い訳は聞かないぞ。」←まあこれは想定内。 「それに今回はおまえを名指しで依頼が来てるんだよ。」←これは全くの想定外。 「話聞いてから断るにしても、事務所に来てくれんと困るんだ。」←で完全に???モード。 ヤバイ仕事か?ってビビったが、Nさんは「事務所で話す。」の一点張り。 いつに無く凄みのあるNさんに日時を指定され、渋々了承。 全く気は進まなかったが仕方ない。指定された日曜日の午後、 俺は卒業した先輩から譲り受けたボロい軽自動車で郊外の事務所に出かけた。
1760 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 05:48:42 ID:mw9.mfDo0 ノックして事務室に入ったら、Nさんが渋い顔して一人でソファに座っていた。 挨拶して「依頼人はまだなんですか。」と聞いたら 「もうおいでだ。奥の応接室(防音・エアコン完備=通称VIP室)でお待ち頂いているが、 約束の時間まで間がある。依頼の内容を説明してからの方が良いだろう。」と言う。 散々ビビらせておいて「バーカ、ガキの自由研究だよ。」って展開を期待していたが これはどうも本当にヤバイらしい。恐る恐る「断れないんですか?」って聞いてみた。 「言い難いが、断るのはかなり難しいんだ。お前、○◇会は知ってるな。」 もちろん知ってる。この地域の住民なら誰だって知ってる怖い団体の名前だ。 「その○◇会の偉い人の口利きで依頼が来た。こういう商売してると、どうしても ああいう団体とのトラブルが起きるもんだが、○◇会側はこの依頼を受けてくれたら 過去のトラブルは水に流すし、今後はうちの商売に一切干渉しないと言ってる。 依頼者は○◇会に随分大きな貸しがあるらしいな。」 これ、一体何のフラグだよ? 頭の中がグルグル廻り、右の瞼がピクピク震える。 それでも必死に考えて食い下がってみた。 「いや、おかしいですよ。自分、今まで○◇会に関わる仕事なんか...」 そこでNさんが口の前に人差し指を持ってきて「R、声がでかい。」と遮った。 「あたりまえだ、大学生にそんな仕事廻すわけないだろ。5月の仕事だよ。 Sさんって依頼人、憶えてるか。」そう言うと、ソファから立ち上がり 書類の保管庫から依頼カルテを取り出して来てテーブルの上に置いた。 電話で受けた依頼の内容を 記録しておくA4の様式。 Nさんは眼鏡を額の上にずらし、目を細めてページをめくる。「ほら、これ。」 走り書きされた依頼人の住所と仕事の内容、それで一気に全部思い出した。 山の中の大きなお屋敷、自転車の修理、美形の依頼人。
1761 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 05:50:07 ID:mw9.mfDo0 その年のゴールデンウィーク、土曜日の午後に俺は自転車修理の依頼を受けた。 Nさんから「おまえ自転車詳しいだろ。修理もできるか?」って電話があった。 「フレームが逝ってたらさすがに無理ですけど、それ以外なら何とか。」って答えたら 「できるだけ早く事務所に来てくれ。」と言うので、午後一番で事務所に行った。 Nさんが事務所の電話で依頼人のSさんに取り次いでくれて、直接話してみると Sさんは女性、自転車には詳しくない。とりあえず自転車のメーカーと型番、 トラブルの内容を聞いたら、大した修理じゃなさそう。部品も手持ちでОKっぽい。 ただ、Sさんの家の近くに自転車が無く、事情が有って長く家を空けられないので 電話帳で探した自転車屋に出張修理を頼んだけど断られたって話だった。 声と話し方が何か良い感じ。翌日の日曜に少しウキウキしながら仕事にでかけた。 約束の時間は午後2時、近くのコンビニで時間調整してピッタリに到着した。 指定の住所にはえらく大きな別荘、というよりお屋敷みたいなデカイ家。 玄関脇のウッドデッキに、女性向きのクロスバイクが立て掛けてある。 インターホンのボタンを押すと、「はーい、ただいま。」って聞き覚えのある声がして 20台半ば位の女性が出てきた。長い髪を首の後ろで軽く束ねている。 Sさんは、隙が無くキリッとした、文字通りの美人。微かに良い匂いがした。 内心「こりゃラッキーな日曜じゃん。」とか思いながらクロスバイクの状態を確認。 トラブってるのは変速関係だと聞いていた。自転車自体の状態は悪くないんだけど 何故か変速ワイヤの端がほどけて止め具から外れ、変速ができない状態。 しばらく使ってなかった自転車を、最近倉庫から出してきたのかなって感じ。 「変速ワイヤの交換と調整、ブレーキのワイヤも変えたほうが良いですね。」と言うと 「どのくらいかかりそうですか?」と聞かれたので「1時間もあれば。」と答えた。 そしたらSさんは「いいえ、あの、部品代です。」と言ってくすっと笑った。 あのね、ふわっと花が咲いたような笑顔。もう俺すっかり骨抜き。 咄嗟に「あ、聞いてませんか?うちは一件いくらで仕事受けますから。 基本、ワイヤみたいな消耗品は無料なんですよ。」と胸張って答えた。 ←馬鹿。 正直な所、Sさんが自転車関係で常連になってくれたらという下心満々だった。 「じゃ、普通の自転車屋さんに頼むよりお得なのね。」と言うSさんの笑顔を 思い出しながら、気合入りまくりで作業に取り掛かった。
1762 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 05:53:11 ID:mw9.mfDo0 クロスバイクの変速ワイヤ交換・調整なんて難易度は★☆☆☆☆、楽勝の作業。 まあ、でも事情が事情なんでそれはもう丁寧に作業を進める、それこそ没頭。 そろそろ作業も山場って所で、ふと背後にヒンヤリした気配を感じて振り返った。 麦藁帽子を目深にかぶって俯いた白いワンピースの女の子が立ってる。 一瞬ビビったが、麦茶のグラスとお菓子が乗ったお盆を持ってたので一安心。 細身でSさんより背が高い。顔は良く見えないがショートカット、中学生くらい? Sさんの娘さんにしては明らかに年齢が近すぎるような気がするし 妹さんにしては年齢が遠すぎる?まあそれはさておき、関係者なのは間違いない。 なら愛想良くしてたほうが良いに決まってる。明るく声を掛けてみた。 「え〜と、君はこの家のお嬢さん?」 → 黙って頷く。 → オレ? 「それ、もしかして僕に持ってきてくれたの?」 → 黙って頷く。 → オレ?? 「今手汚れてるからデッキに置いといてくれる?」 → 黙ってお盆を置く。 →オレ??? 「ありがとね。」 → 黙って頷く。 → オレ???? 女の子は腰の後ろで手を組み、俯いたまま黙って立っている。 かなり微妙な空気になったが、「自転車好きなの?」とか言いながら作業を続けた。 背後から見つめられたまま作業するのは慣れてない。結構照れくさくて参った。 「ずっと立ってたら疲れるでしょ?座ったほうが良いんじゃない?」 女の子は頷いて、さっき置いたお盆の隣、デッキに腰掛けた。こ、これは長期戦か? 「僕も自転車乗るんだよ。ロードバイク。」 「ほら、ハンドルがこんな感じに曲がってる奴。」 「でも街中だと、こういうクロスバイクとかマウンテンバイクのほうが使い易いんだよね。」 女の子が黙ったままなので、もうほとんど独演会状態。でも、もしドン引きされてるなら 自分から家に戻るだろうし、喋ってると不思議に気分が良かったんで、喋り続けた。 作業は順調に進む、あとは変速の微妙な調整が済めば作業終了。 女の子はやっぱり俯いて、黙ったままデッキに座っている。 しばらくして、ふと気が付いた。振り向いて聞いてみる。 「あのさ、もしかしてこの自転車、君が使うのかな?」 → 黙って頷く。 「それだと、ちょっと乗りにくくない?」 → 黙って頷く。 この女の子が乗るとしたらサドルが低すぎるし、明らかにポジションが合ってない。 「身長とかに合わせて少し調整しても良いかな?」 → 黙って頷く。 思春期の難しい時期だろう。直接体に触れたりするような無神経な真似はできない。 それに何より、あのSさんの関係者だ。失礼の無いように質問主体で調整する。 「君の身長って155センチくらい?」 → 黙って首を振る。 「じゃあ、160センチに近い?」 → 黙って頷く。 「ちょっと両手を横に広げてみて?」 → 口元が少し笑って手を広げる。 大まかだけと、ポジション調整が終わって「これで完了!」 → 口元がまた少し笑う。 そうこうしてるとSさんが出てきた。女の子が駆け寄ってSさんの耳元に何か囁く。 女の子の横顔が思っていたよりずっと美形だったので驚いていると Sさんが「オプションの作業もして下さったのね。」と声を掛けてくれた。 「あ、これも無料です。」 「一件いくらで仕事を受けてくれるから?」 「今後も何でも屋○○○を宜しくお願いしま〜す。」 Sさんの笑顔を見ながら、凄く充実した気分で俺は幸せだった。 今になって思えば、これが、フラグの予兆だったのかもしれない。
1763 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 05:54:57 ID:mw9.mfDo0 しかし今は感慨に浸っている場合じゃ無い。必死で食い下がる。 「でも、Sさんが依頼者なら、うちに直接依頼すれば済む事じゃないですか。」 Nさんはますます暗い顔になって呟くように言った。 「絶対断れないように圧力を掛けたんだよ。あの人は、なぁ、怖いぞ。」 「断るにしても、それなりの理由が要るし、今回は代役を立てる訳にもいかん。 そういう事情だ。済まんが、これは事故だと思ってあきらめてくれ。」 軽い眩暈と耳鳴りがして、気分が悪くなった。何もこんなに入念にフラグ立てなくても。 「これが今回の依頼の内容だ。」テーブルの上に新しい依頼カルテが置いてある。 依頼内容の欄に目を移した時、信じられない文字が飛び込んできた。 苛立ったような無数の斜線の後に続いて書かれた、小さく乱雑な文字。 『模擬恋愛の相手(期間は半年毎に更新)』 公平に見て、俺はイケメンの部類じゃない。むしろ地味で目立たない風貌だ。 自慢じゃないが、物心ついてから現在まで、女運には全く恵まれていなかった。 なのに『模擬恋愛の相手』ってのは一体どういう事だ。幾ら何でも不自然すぎる。 そりゃあの時は下心満々だったし、たとえ模擬でも相手がSさんなら本望、そんな気もする。 しかし今までの人生に付きまとってきた沢山の惨めな記憶から学んだ事もある。 Sさんみたいな美人から指名されたって聞いて、ホイホイ有頂天になる程馬鹿じゃない。 「何で俺がSさんの相手に指名されるんですか、不倫だから後腐れの無いように...。 いや、それでもやっぱり変です。ホントの目的は絶対別ですよね?何か犯罪関係、とか?」 Nさんは眼鏡を外して俯き、左手の親指と中指でこめかみを押さえながら言った。 「正確に言うと不倫でも犯罪でもない。それは顧問弁護士のA先生にも確認済みだ。 うちとしては全力でお前を支援する。あとは依頼主と直接話してくれ。」 もう滅茶苦茶だ、混乱したままの俺を先導して、Nさんは応接室のドアをノックした。 上座のソファから、見違えるようなスーツ姿のSさんが立ち上がって軽く会釈をした。 Sさんの右隣にもう一人、洋服姿の女性がいるが見覚えは無く、確かめる余裕も無い。 俺とNさんも会釈をしてSさんたちの正面に腰を下ろした。 「単刀直入に聞きます。引き受けて頂けますか?」Sさんの凛とした声が響く。 「返答は本人から直接お聞き下さい。」Nさんの声は微かに震えていた。 Sさんはもう一度尋ねる。「Rさん、如何ですか?」これはもう、覚悟を決めるしかない。
1764 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 05:56:20 ID:mw9.mfDo0 「あの、俺、Sさんはすごく綺麗な人だと思います。最初にお会いした時、 正直俺は浮かれてましたし、常連になってくれないかなって下心もありました。」 「今日もこの話を聞いた時、結果がどうなっても、これはラッキーじゃないかって 思ったくらいです。でも、絶対そんな筈ありません。どうして俺なんですか? 貴方みたいな人が、こんな地味な男を不倫の相手に選ぶなんておかしいです。 教えてください。本当の目的は一体何なんです?」 何度かNさんが息を呑む気配があったが、そんな事に構っている余裕は無かった。 少しの沈黙の後、Sさんは困ったような笑顔を浮かべて小さく溜息をついた。 「早とちりはRさんらしいけど、説明を聞いていないんですか?」ちらりとNさんを見る。 「まず、これは不倫相手の依頼じゃないし、相手も私じゃありません。」 え、じゃあ一体?俺もNさんを見たが、腕を組んだまま目を閉じて微動だにしない。 「依頼した模擬恋愛の相手はこの娘です。」 Sさんの隣に座っている女性。 俺はその時、それが誰だか気付いた。あの時の、麦藁帽子の女の子。 「この娘の名はLといいます。私はLの後見人、つまり法的には私がLの保護者です。」 「今、全てを詳しく話す事は出来ませんが、この娘は特殊な環境で育てられました。 身近に年の近い男性が全くおらず、もちろん恋愛感情も知らないままでした。 もし、このまま16歳の誕生日を迎えてしまえば、取り返しのつかない事情があります。 そんな時、たまたま転居したこの土地で、この娘の前にRさんが現れたんです。」 「この娘を普通の娘に戻すために、どうか協力して下さい。お願いします。」 俺は改めてSさんの隣に座っている少女を見た。今日は麦藁帽子をかぶっていない。 良く見れば、Sさんとはタイプが違うが、見た事も無いような美少女だ。 大きく、深く澄んだ双眸が、まっすぐに俺を見つめている。 模擬とはいえ、バイト代貰ってこんな女の子とつきあえるなら、それはそれで... 俺は眼を閉じて頭を振った。いや、これではダメだ。相手が替わっただけで 全く意味が分からない状況は何ひとつ変わってはいない。 「済みませんが、どうして相手が俺なのか、やっぱり全然判らないし、 本当は別の目的があるんじゃないかって思えて仕方ありません。 それに、さっきもお話したように、俺は下心アリアリの、ただの下品な男です。 こんな綺麗な女の子と一緒にいて、間違いを起こさないって自信もありません。」
1765 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 05:57:38 ID:mw9.mfDo0 その時、細く涼しい声が響いた。あの少女が頬を紅潮させている。 「この話をお願いしたのは私です。それにRさんは下品な人じゃありません。」 そう言ったきり、少女はSさんの右肩に顔を埋めて泣き出してしまった。 少女の背中を撫でながらSさんが話を続けた。 「さっきもお話しましたが、今、全ての事情を説明する事はできません。 でもRさん、あなたを選んだのは、紛れも無くこのL自身なんです。それに。」 小さく深呼吸して、Sさんはまたもや信じられない事を言った。 「それに、これが模擬恋愛でなくなるなら、それこそ私達の望む所です。」 「つまり、二人の同意の下であれば、間違いが起きてもそちらの責任は問いません。」 この人は一体何を言ってるんだろう?絶句する俺の隣でNさんが口を開いた。 「二人の同意の下であればと仰いますが、コイツを選んだのはそのお嬢さんなんですよね。」 「そうです。」Sさんが淡々と応じる。「ですから、同意でないという事態は事実上有り得ません。」 「この模擬恋愛の結果、例えばお嬢さんが妊娠しても、コイツを犯罪者にはしない、と?」 今度は俺が息を呑む番だった。 「そうです。」Sさんがまた淡々と応じる。「それも全て二人の同意の下という事になります。」 「好意を寄せる男性と模擬恋愛の関わりを持ち続けるだけで十分な効果があるはずですが、 もし本当の恋愛に発展すれば効果が永続し、Lを普通の娘に戻せる可能性が高くなります。」 ますます混乱する俺を尻目に、この後はSさんとNさんの間で条件確認が続いた。 二人の連絡用にSさん側が携帯を用意して俺に貸与する。料金はSさん側が全額負担。 月極めの基本給に加え、デートは別計算で一回毎に臨時給を計上する。 この場合の飲食費やガソリン代等はやはりSさん側が全額負担。 契約期間は半年、経過を見て随時更新。更新の判断は依頼主の意向を元にSさんが行う。 如何なる事態が生じても両者同意の下とし、一切の責任を問わない旨の念書を作成・保管。 あれよあれよという間に相談は進み、気が付けば、真新しい携帯がテーブルの上に置かれ 顧問弁護士のA先生が作成したという念書と契約書に署名していた。 そこまで来て、初めて俺は何かがおかしいと感じた。ちょっと待て、何か変だ。 ここにこの携帯があるって事は、事前に手配が済んでいたって事だよな。 何でこんなに手際が良いんだ?もしかして俺はハメられたのか? あまりに非現実的な事態に呆然としていると、Nさんがニコニコ笑いながら言う。 「こっちの相談もあるから、後は若い者同士で、な。」SさんとNさんが応接室を出た。 くそ、これじゃまるで見合いじゃないか...え、見合い? そう、応接室には俺と少女、二人だけが取り残されていた。
1766 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 05:59:39 ID:mw9.mfDo0 再び応接室に細く涼しい声が響く。少女はもう泣き止んでいた。 「いきなりこんな面倒な話を持ち込んでしまって、ホントにごめんなさい。」 そしておずおずと続けた。「でも、引き受けてくれて、嬉しいです。」 ほんのり頬を染めた綺麗な女の子が俺の目の前で一生懸命喋ってる。 この事態に萌えずして、一体何に萌えるというのか。 まずい、もう間違いを起こしそうだ。だから俺は駄目だと言ったのに。 しかし、次の言葉で俺は現実に引き戻された。 「あの、今日は私からRさんに連絡をした方が良いですか? それともRさんからの連絡を待っていた方が良いですか?」 ああ、そうなのだ。同年代の男性と接触した事が無いというこの少女は 事もあろうに、この俺に理想の男性像を重ねて見ている。 俺の部屋、PCの傍に積まれたアダルトDVDの山なんか知らないだろう。 もし、PCのあの画像・動画フォルダの中を見たらどう反応するだろうか。 幻想の恋愛しか知らない少女が「妊娠」なんて言葉に実感を持ってる筈もない。 それに、一緒に街を歩けば、もっとマシな男がぞろぞろいるのがイヤでも判る。 そしたら彼女の幻想は一瞬で...また、数々の惨めな記憶が甦ってきた。 これから半年間、どうやって彼女の幻想を守れば良いというのか。 それにもし、失敗したら俺はどうなる?Nさんは?この何でも屋は? 耐え難い重圧が、ずしりと肩にのしかかって来るのを感じた。 「今日はこれからバイトなので、終わってから連絡します。多分10時頃です。」 とりあえず時間を稼いで、今後の方針を考えなきゃならない。 「はい。私、待っています。」無邪気な、嬉しそうな笑顔。 「では、これで失礼します。」 貸与された携帯をポケットにしまい 応接室のドアを閉めながら、重圧に押しつぶされそうな自分を感じていた。 事務室のソファでは、SさんとNさんがまだ何事か話をしている。 会釈するとSさんは笑顔で応えてくれたが、笑い返すことはできなかった。 「あの人は、なぁ、怖いぞ。」帰り道、軽自動車を運転しながら 耳の中でNさんの台詞が何時までも響いていた。
1767 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 06:01:25 ID:mw9.mfDo0 送信日時 6/19 22:05:18 Lさんへ Rより こんばんは、Rです。少し遅くなってご免なさい。 電話にしようかとも思いましたが、緊張して話ができないと困るのでメールにしました。 実は、僕は今まで女性ときちんとお付き合いしたことがないのでかなり戸惑っています。 もう少し落ち着くまで、メールでの連絡という形にさせてください。 それから、一日一個で良いので、Lさんの事を知るために質問に答えて欲しいんです。 ОKもらえたら最初の質問を送信します。それでは。 R いきなり電話して想定外の話題に飛んだら対応できず、馬脚を現しかねない。 話題を限定し、返信までに時間を稼げるメールでの連絡は最善の策だろう。 そしてしばらくの間はメールでの質問であの娘についての情報を得る。 それが3時間あまり考えて捻り出した、俺なりの戦略だった。 着信日時 6/19 22:25:51 Rさんへ Lより こんばんは、Lです。メールありがとうございます。すごく嬉しいです。 待っている間、電話でちゃんと話せるか心配で私もドキドキしていたので しばらくメールで連絡を取り合うのは良い考えだと思います。 もちろんRさんからの質問には出来るだけお答えします。 それでは失礼します。 L 送信日時 6/19 22:34:03 Lさんへ Rより こんばんは、Rです。返信ありがとうございます。 じゃ、早速最初の質問いきますね。→質問 Lさんは僕のどこが気に入ったのですか? 何故僕が選ばれたのか今でも判らなくて、半信半疑。夢でも見てる気分です。 質問の回答は明日でも構いません。もう遅いので今日はこれで最後のメールにしますね。 明日は今夜より少し早く、9時頃にはメールできると思います。それでは。 R 着信日時 6/19 22:55:12 Rさんへ Lより こんばんは、Lです。ご質問にお答えします。 私はRさんの魂が好きです。心、と言った方が良いかもしれません。 私は他者の心を感じ取れます。 自転車の修理をしてもらったとき、Rさんの温かくて穏やかな心を感じました。 だから私がRさんのことを好きなのは現実です。夢なんかじゃありません。 Rさんの心遣いに感謝して、私ももう寝ます。私、実は寝呆助なんです。 明日のメール待ってます。今日は本当にありがとうございました。 それではおやすみなさい。 L
1768 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 06:02:54 ID:mw9.mfDo0 『私はRさんの魂が好きです。』 『私は他者の心を感じ取れます。』 俺はベッドに腰掛けたまま、しばらくフリーズしていた。 って、これ、一体どう反応すれば良いんだ?薮蛇になっちまったぞ。 そうは見えなかったが、電波ちゃんなのか?うーん、そう言えば確かにそんな感じも。 いや、でもこれは外見の優先順位は高くないって言ってる訳だから 上手く立ち回れば半年くらいは何とか、いやいやいや、やっぱ無理だろ、どう考えても。 ふと、窓の外に気配を感じた。時計を見ると1時15分。 もう勘弁してくれよ。慌てて窓を閉め電気を消して布団に潜り込んだ。 気疲れしたせいか、すぐに眠気が襲ってきた。よし、考えるのはまた明日だ。 暑い、あ〜、窓閉めてたんだっけ。少し開けて...ありゃ、体が、動か。 その時、窓の外で何かの気配が動いた。窓に視線を移すと、窓が少しずつ開いてる。 窓の隙間に見える白い毛の塊のようなもの。隙間は次第に大きくなっていく。 何だよ、ここ3階だぞ。家主金縛りにして侵入するのは反則だろ。怖いよー。 10cm位に開いた窓の隙間から白いフェレットみたいなのがそろそろと入ってきた。 大きさは30センチくらい、律儀に窓を元通りに閉めて、突然こっちを振り向いた。 視線を外すことが出来ず、睨み合いになる。相変わらず金縛りで体は動かない。 「見えるのか。」って声が聞こえた瞬間、意識が飛んだ。 翌朝、朝陽が眩しくて目が覚めると、夢で見たとおりに窓は閉まってた。 あのフェレットみたいなのは一体何だ。夢にしては妙にリアルだったが。 そんな覚えはないのに、窓に鍵が掛かっているのも不思議だ。 だが、そんな事をいつまでも気にしてはいられない。 昨夜のメール。上手い返信を考えておく必要がある。 大学はサボれば良いし、バイトの予定もない。出来れば今日の内に 3〜4日分位はメールの下書きを用意しておきたい。 何を聞けば一番役に立つ?好きな食べ物か、好きな音楽か。それとも 行ってみたい場所か、いや馬鹿、そんな事聞いたらデートの相談になっちまう。 あの娘と会う前に、できるだけ沢山の情報を手に入れておこう。
1769 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 06:04:16 ID:mw9.mfDo0 送信日時 6/20 20:58:31 Lさんへ Rより こんばんは、Rです。 今日は大学での用事とバイトで忙しい一日でした。 7月からは待ちかねた夏休みなので、もう一頑張りってところです。 バイト先の店も先週から「夏本番」って感じで、入り口と店内の窓際とかに 貝殻とか浮き輪とかを飾ってます。なかなか良い雰囲気ですよ。 あ、写真撮ってくれば良かったですね。今度撮ってみます。 それから昨日の質問の答、嬉しかったです。 僕は自分の容姿に少しコンプレックスがあるんですが、 Lさんが僕の心を好きでいてくれるなら、容姿はあんまり関係ないような気がして。 それじゃ、今日の質問です。→質問 Lさんの好きな花は何ですか。 僕は白い百合の花とか昼咲月見草の花が好きです。 昼咲月見草の花はとても綺麗で可愛いですよ。 何となくLさんの雰囲気に似ています。 回答は明日でもかまいません。明日の連絡も今日くらいだと思います。 それでは。 R 着信日時 6/20 21:20:19 Rさんへ Lより こんばんは、Lです。ご質問にお答えします。私は桜と藤の花が好きです。 何回かSさんにお花見に連れて行ってもらって、それがすごく綺麗な景色で いっぺんに好きになりました。でも他の花の事はあまり知りません。 昼咲月見草の花も知りませんでしたが、メールを読んだら花が見えました。 (メールに織り込まれていたRさんの記憶から、花の映像が見えるんです。 Rさんの心を覗いたんじゃないので気を悪くしないで下さいね。) ピンク色の可愛い花。私の雰囲気がこんな素敵な花に似てるって、本当ですか? 私は嬉しいけど、花の方が気を悪くしないかと、少し心配になりました。 誰かに褒めてもらうのって、とても嬉しいですね。ありがとうございます。 明日のメールも楽しみに待っています。 それでは。 L
1770 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 06:05:48 ID:mw9.mfDo0 『メールを読んだら花が見えました』 『メールに織り込まれていたRさんの記憶から、花の映像が見えるんです』 『ピンク色の可愛い花』 またもや俺はベッドに腰掛けたまま、しばらくフリーズする事になった。 まさか、また藪蛇か?本当にピンクの花が見えたとしたら、これは電波じゃなくて 本物のテレパシー、いや、俺が零感なんだからこの場合は透視とか読心術か。 そしたらメール書きながら俺が考えた事はあの娘に...いや、待て。 彼女がもともと昼咲月見草の花を知っていれば簡単なトリックだ。 ググるって手もあるよな。でも一体何のために? それにメールの文章は嘘ついてるような感じじゃないぞ、全然。 どう対応すれば良いのか、俺はかなり混乱していたが、同時にメールの 飾らない率直な文章を読む度に、あの娘に惹かれていく自分を感じていた。 叢生する昼咲月見草に囲まれて微笑む白いワンピースと麦藁帽子のお姫様、 俺の中のあの娘のイメージが次第にくっきりと形になっていった。 送信日時 6/21 19:59:11 Lさんへ Rより こんばんは、Rです。 昨日のメール、とても驚きました。 前に「他者の心を感じ取れます。」って書いてくれましたが どんな感じか全然想像できなくて。でも昨日のメールで、どんな感じなのか 何となく分かりました。でも、これって例えば僕が他の女の人の事を考えながら Lさんにメール書いたら、その女の人の事も見えちゃうって事ですよね。 あ、その心配をする必要が全然ないって事も、既に伝わってるのかな? 少し混乱してますが、そのうち慣れると思います。これからもLさんの感じた事を そのまま書いて下さいね。その方がお互いの事を早く理解できると思いますから。 それじゃ、今日の質問です。→質問 Lさんは犬と猫、どっちが好きですか。 実家では犬を飼っているので、僕は犬が好きです。 毎度の事ですが、回答は明日でもかまいません。 明日も今日くらいにメール書きます。 それでは。 R 着信日時 6/21 20:35:33 Rさんへ Lより こんばんは、Lです。ご質問にお答えします。と言いたいところですが 私は犬も猫も飼った事が無いので、今回の質問にははっきり答えられません。 でも、Rさんの実家で飼っている白い大きな犬が見えて、とても可愛かったので どちらかというと今は犬の方が好きかも知れません。 それから私が他者の心を感じ取れるといっても、普段はその人が強く思っている事や、 私に対して思っていることが何となくわかる位です。 昼咲月見草や白い犬(名前は判らないのでごめんなさい)はRさんの記憶が鮮明で 私に対して『伝えたい』って気持ちがあったから見えたんだと思います。 Sさんは「誰にでも『他者の心を感じ取れる』とか言っちゃ駄目よ。」と教えてくれましたが Rさんにお話しするのは『誰にでも』じゃないから良いですよね。 でも、もしあんまり変な事書いてたら教えて下さい。頑張って直します。 毎日、メール書いて貰ってとても嬉しいです。 明日のメールも楽しみに待っています。 それでは。 L
1771 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 06:09:44 ID:mw9.mfDo0 『Rさんの実家で飼っている白い大きな犬が見えて』 実家で飼っている犬は白い秋田犬の雌。あの娘、L姫様は、本物だった。 心底驚いたし、どう対応すれば良いのか迷ったが、その後すぐに気持ちが楽になった。 俺がL姫様に伝えたいと強く思っている事が伝わるのなら、言葉での誤解や行き違いは まず生じないだろう。疚しい事がなければ、俺はただ素直な気持ちでメールを書けば良い。 まあ、大学2年にもなって全く疚しい事が無いってのは、悲しむべき事なのかも知れないが。 読心・透視能力を持つお姫様とさえない大学生、奇妙な組み合わせのメール交換は 翌日も、またその翌日も続いた。そして週末、金曜日の夜。 送信日時 6/24 20:48:19 Lさんへ Rより こんばんは、Rです。 今日も暑かったですね。大学へは自転車で通ってるので暑さは強敵です。 Lさんも暑さで体調崩さないように気を付けて下さいね。 ところでLさんって高校生なんですか、もしかして中学生だったりして。 どっちにしてもうちの大学よりも夏休みに入るのは遅いですよね。 あ、これは今日の質問じゃないですよ。今日の質問は最後に書きます。 夏休みになったら僕はどこか涼しい所に行ってみたいです。万年雪のある山とか。 そういえば実家で飼っている白い犬の名前は「雪」です。 雪の降る寒い日に貰われてきたのと、色が真っ白だから。気立ての良い、可愛い犬です。 それじゃ、今日の質問です。→質問 Lさんの好きな本は何ですか。 ちなみに僕は日本の近代小説が好きです。図書館にも良く行きます(夏は涼しいですしね)。 明日は休日でバイトの予定も無いので、今夜はもう一通くらいメール書きたいです。 それでは。 R 着信日時 6/24 21:20:46 Rさんへ Lより こんばんは、Lです。ご質問にお答えします。私、普通の本はあまり読んでいません。 小さい頃から学校には行った事がないし、本を読む機会もほとんどありませんでした。 今は家でSさんと一緒に勉強していて、Sさんに薦められた普通の本も少しずつ読んでます。 不思議の国のアリスとか、セロ弾きのゴーシュとか、他にも少し。 書いた人の心がとても素敵だなぁって感じる本は好きです。 でも、こんなんじゃRさんに笑われちゃうんじゃないかなって、少し心配になりました。 それから、もし、今夜もう少しメール書いてもらえるなら、 私の質問にも答えてもらえますか?ОKをもらえたら質問を送信します。 それでは。 L 送信日時 6/24 21:38:10 Lさんへ Rより こんばんは、Rです。 Lさんの事情も知らずに失礼な質問をしちゃったかな?って心配してます。 共通の話題を 探したかっただけなので、どうか気を悪くしないで下さい。 もちろんLさんの質問にもお答えしますよ。明日は特に予定がないので 今夜は遅くまで起きてます。沢山の質問お待ちしてます。 R
1772 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 06:11:20 ID:mw9.mfDo0 着信日時 6/24 22:05:53 Rさんへ Lより こんばんは、Lです。 Rさんからメールもらえるのはとても嬉しいので気を悪くしたりしないです。 ОKをもらえたので、ひとつだけ質問を送信します。私も起きてお返事待ってます。 →質問 会えなくて寂しいです。今度、いつRさんに会えますか。 変な質問でごめんなさい。 L 送信日時 6/24 22:23:32 Lさんへ Rより こんばんは、Rです。 Lさんに嫌われないように工夫したつもりが、逆に寂しくさせてしまいましたね。 寂しさがじーんと伝わってきて、ちょっと涙が出そうになりました。本当にごめんなさい。 Lさんが正直に書いてくれたので、僕も自分に正直になろうと思います。 明日は休日で、バイトの予定もないので、Lさんと一緒にいたいです。 (実際に会って、色々話して、それでホントの僕に幻滅しても責任は持てませんよ。) 都合がつくようでしたら、ご指定の時間に車で迎えに行きます。何時でもОKです。 それじゃ今日の質問②です。→質問 明日、何色の服を着て迎えに行けば良いですか。 お返事、お待ちしてます。 R 着信日時 6/24 22:51:41 Rさんへ Lより こんばんは、Lです。 わがまま言って本当にごめんなさい。でも、とっても嬉しいです。 できるだけ長く一緒にいたいので、9時半に迎えに来て下さい。 Sさんにも話して、朝ご飯食べたらお出掛けできるように準備して待ってます。 それから私は水色の服を着るので、青系か緑系の服を着てくれると嬉しいです。 Rさんが迎えに来てくれた時に眼が腫れてると恥ずかしいのでもう寝ます。 おやすみなさい。 L あまりに寒くて目が覚めた。 寒っ、何でこんな寒いんだよ。窓開けてたか、いや、今真夏だろ。ありゃ、体が。 眼は動かせるけどあとは指一本動かない。金縛りは昨夜と同じだが今夜は気配がヤバい。 窓の辺りに何かいるのを感じる。目だけ動かして窓に視線を移すと...これは夢か? 窓の外に赤い目玉が2つ浮かんでボンヤリ光ってる。何あれ?怖いよ〜。やっぱ夢? で、窓の内側にはあの小さいフェレットみたいな白い奴の後姿。 窓の外側に向かって威勢よく唸ってる。窓の外の眼と睨み合ってるらしい。 俺は相変わらず金縛りで体が動かない。一体何なんだよ、このシリーズものの夢は。 「夢じゃねーよ、こっちは任せて寝てろ。」って声が聞こえた瞬間、意識が飛んだ。
1773 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 06:12:35 ID:mw9.mfDo0 アラームが鳴ったので眼が覚めたが、体が冷え切ってて動きが鈍い。 窓を開けるとムッとした熱気が流れ込んでくる。エアコンも無いのに、どうなってんだ? トーストと卵、ハムを焼きながら、クローゼットから青のポロシャツを探し出した。 昨夜洗濯しておいた紺のジーンズ、スニーカーは白地に青と緑のライン。 まあ、これならL姫様ご指定の「青系」の範疇だろう。 朝食を食べ終え、シャワーから出て時計を見る。8時30分過ぎ、良い時間だ。 部屋を出てドアの鍵を閉めたら少し吐き気がした。きっとあの冷気と夢のせいだ。 ただでも体調悪いのに、毎晩あんなだとそのうち本当に体壊すな。 お屋敷までの移動中、車のエアコンはつけないほうが良いかもしれない。 思ったより早く着きそうだったのでコンビニで時間調整、9時27分にお屋敷到着。 L姫様が玄関先から手を振っている。ずっと外で待っててくれたのだろうか。 車を止めて外に出るとL姫様がすぐ傍に立っていて、その後ろにはSさんがいた。 「R君、今日はLを宜しくね。それで、頼みがあるんだけど。」ちょっとビビる。 「事情があって、今日はうちの車を使って欲しいの。」 「後でちゃんと事情は説明するから。」いや、その位なら説明無しでも全然ОKっす。 「分かりました。あの車ですか?」庭のガレージに白いスポーツカーが停まっている。 外車だ。デカイ、俺の軽の2倍位の大きさに見える。それに滅茶苦茶カッコ良い。 「あんな良い車には乗った事が無いのでラッキーな感じですが、本当に良いんですか?」 「ええ、じゃ、これが鍵。君のと交換ね。」車の鍵を交換したあと、Sさんは真面目な顔で言った。 「話したい事も色々あるから、今夜はうちで夕食を食べていって。準備しておくから。」 え〜っと、多分これは、断るとマズいんですよね。 「了解です。」 「うん、良い返事。じゃL、楽しんで来てね。」 Sさんは踵を返して玄関の方へ歩き出した。 今日はここに帰ってきてからが...いや、今それを考えるのは止めよう。 「出掛けましょうか。」 「はい。」 一点の曇りもない、輝くような笑顔だ。 そう、この笑顔を受け止めるために、今日はこの女の子と本気で向き合わなきゃならない。
1774 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 06:14:05 ID:mw9.mfDo0 「どこに行くとか、全然考えて来なかったんです。Lさんの希望を聞いてからと思って。」 「え〜っと、海、海が良いです。出来るだけ遠くの海に連れて行って下さい。」 「出来るだけ遠くって、ここからだと一番近い海でも片道3時間くらいかかりますよ。」 「それでも良いです。海に着くまでRさんといっぱいお話できますから。」 白いスポーツカーは意外な程に運転しやすく、とても快適なドライブになった。 海に着くまで、二人で色々な事を話した。他愛の無い話ばかりだったと思う。 何を話したかはほとんど思い出せないが、L姫様は良く笑い、俺も笑った。 二人が出会うまでに過ぎてしまった時間を、取り戻そうとしていたのかもしれない。 窓から吹き込む風に潮の香りが混じるようになった頃には、 自分の中で彼女がとても大きな、大切な存在になっているのを感じていた。 もう模擬じゃない。笑顔、声、話し方、仕草、俺は彼女の全てに恋をしている。 しばらく海沿いの道を走り、海岸を見下ろす崖の上の小さな駐車場に車を止めた。 L姫様はもう5分近く、駐車場の手摺りにもたれたまま眼を閉じ、黙って波の音を聞いている。 俺はL姫様の傍で、強い潮風に飛ばされないよう、預かった麦藁帽を捧げ持っていた。 「あんまり長い間外にいると日焼けしますよ。」 「平気です。」 「心配なので、もう車に戻って下さい。」 「なぜ心配するのですか?」 「好きな人の事を心配するのは当たり前です。」 「私の事が好きですか?」 「前から好きでしたが、今日、大好きになりました。車に戻って下さい。」 「はい。」 車のドアを開けて待っていると、L姫様が戻ってきた。 しかし、彼女は車には乗らず俺の胸に身を預けた。 細い体をそっと抱きしめると、何故か涙が出た。 帰り道、海岸近くのコンビニでおにぎりとペットボトルのお茶を買い、L姫様は上機嫌だった。 「前の家の周りにはコンビニが全然無かったんです、本当に一軒も。」 「今の家の近くにはコンビニがありますけど、買い物はあんまりしないんです。」 「Sさんは料理が上手だから、コンビニのお惣菜とか買わなくても良いみたいで。」 「そういえばRさんはSさんの事、好きなんですよね。」 ...突然雲行きが変わった。 「Sさんは私よりずっと綺麗だし、それに大人だし。」 いきなりの大ピンチ?何で?
1775 :出会い(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 06:15:57 ID:mw9.mfDo0 「麦藁帽子で顔を隠していなかったら きっとあの日、貴方に一目惚れしていたと断言できますが。」 「本当に?」 「僕の心が感じ取れると書いてくれましたよね。あれは嘘ですか?」 「嘘ではないです。でも、Sさんが『好きな人の心を覗いてはいけない』って。」 「心を覗くというのがどんな感じなのか僕にはまだ良く解りません。」 「はい。」 「感覚の違いを承知の上で聞いてもらえますか?」 「はい。」 「『好き』には、色々な種類と大きさがあると思うんです。」 「それは解ります。」 「例えばある女性の心の中で一番大きな『好き』の相手が彼女の子供だとしても、 それを知った彼女の夫が落胆するとは思えません。」 「それも解ります。」 「それなら、今ここで僕の心を覗いても、貴方が悲しむ事はありません。」 「...Rさんの心の中で、一番大きな『好き』の相手が、私、だからですか?」 「そうです。今は、間違いなく貴方が一番好きです。」 L姫様は小さく息を吐き、ハンカチで目頭を押さえた。「今、解りました。」 「こうして直接『好き』と言ってもらう方が、きっと何倍も嬉しいから Sさんは『好きな人の心を覗いてはいけない』と教えてくれたんですね。」 「確かめないと、人の言葉が本当かどうかは判りませんよ。騙されてるかも。」 「Rさんに好きと言ってもらえるなら、私、騙されていても構いません。」 車を路肩に停めて、もう一度細い体を抱きしめた。 「嘘じゃありません。」 「はい、信じます。」 そろそろ街に帰り着くという頃、L姫様の携帯にメールの着信があった。 「『予定変更。宿泊の用意をしてから帰るように伝言して。』と書いてあります。」 「夕食をご馳走してもらった上に泊めてもらうなんて、ちょっと気が引けますね。」 「今の家にはお部屋が沢山があるから大丈夫。それに私も嬉しいです。」 4時前には街に到着、「一緒にウィンドウショッピングがしたい。」というL姫様に付き添って 郊外の大きなショッピングモールに出掛けた。さすがに週末だから駐車場が混んでいて 駐車するのにかなり気を遣った。店内に入ると、フロアでもエスカレーターでも それこそ遠近から、L姫様の後をざわめきと感嘆の声がさざめく波のように追いかけて来る。 そんな声が聞こえているのかいないのか、L姫様は時折俺の腕に両手を絡ませる。 そして気後れする俺に「何だか失礼な人が沢山。私、あんな人達キライです。」と囁いた。 「貴方が綺麗なので仕方ありません、税金みたいなものです。我慢して下さい。」 それにしても、当然予想していた俺に対する嘲笑や嫉妬の空気を、何故か全く感じない。 「じゃあ、今度から二人で出掛ける時はドライブだけにしましょう。」L姫様が得意そうに言う。 「それは嬉しいですが、一緒に買い物が出来ないのでは、そのうち困ると思いますよ。」 「でも買い物はSさんに頼んで...」 「はい?」 頬を膨らませてL姫様はツンと横を向いた。 「必用な時だけ、我慢します。」 人目を憚らず抱きしめたくなる衝動を、俺は必死で抑えた。 アパートの鍵は車の鍵と同じキーホルダーに付けてあり、Sさんに渡していたから アパートに寄って着替えを準備する事は出来ない。宿泊用の着替え等を速攻で買い、 Sさんからの追加メールで頼まれたイタリアンドレッシングとアンチョビの缶詰も買って 別荘に帰り着いたのは7時前になっていた。 出会い(上)了
1776 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 21:42:27 ID:mw9.mfDo0 訳あって、知人から預かった話を投稿しています。 投稿先を探していましたら、ある方からこの場所を照会して頂きました。 長文申し訳ありませんが、この場を借りて知人との約束を果たさせて下さい。 拙い長文を苦々しく思っていらっしゃる方々には申し訳ありません。
1777 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:11:08 ID:mw9.mfDo0 姫の後にシャワーを使わせてもらい、買った服に着替えて出て来ると ダイニングルームのテーブルに豪華な夕食が並んでいた。 「ね、Sさんは料理が上手でしょ。」 「はい、レストランのフルコースみたいです。」 本当は料理のあまりの見事さに死ぬほど驚いたのだが、料理の出来を褒め過ぎて 昼間のような災難(?)の種になると困るので、極力控えめな表現にしておいた。 でも、最近続いている妙な出来事のせいで体力を消耗している俺にとって Sさん手作りの美味しい夕食はまさに天の恵みで、本当に有り難かった。 食事が終わり、姫と2人でワイワイ言いながら食器を洗って片付けている間に Sさんがリビングルームに食後のコーヒーとデザートを用意してくれていた。 ソファに姫と並んで座り、デザートのケーキを姫に半分進呈してコーヒーを飲んでいると 向かいのソファに座ったSさんが少し言い難そうに切り出した。 「さて、じゃあ一通り事情を説明しようかな、ダイジェストで。」 「是非宜しくお願いします。」 「色々と、信じ難い事もあると思うけど。」 う〜ん、信じ難いといえば、既に今この事態がかなり信じ難いのですが。 「まず、車を交換してもらった事だけど。」 「はい。」 「君とLがデートしている間に、君の車に結界を張らせて貰いました。」 これ、どんな顔で聞けばいいんだ? 「結界って、あの、吸血鬼撃退用とかの、あれですか?」 「昨夜、君が窓の外で見たものと関係があると言ったら、少しは信じてもらえるかな?」 いきなり心臓を冷たい手で鷲掴みされたように体全体がゾクッとして、思わず立ち上がった。 「ちょっと待って下さい。何故あなたがそれを、あれは一体!」 姫が俺のTシャツの裾を掴んで、心配そうに俺を見上げている。 「少し落ち着いて。順番に説明するから。」 「...はい。」仕方なく腰を下ろした。 「実は、Lが君を好きだと分かった時から、式を飛ばしてずっと君の部屋を監視してたの。」 「そして無事に契約が成立したから、まず式を使って君の部屋に結界を張らせて貰いました。」 「遅かれ早かれ、アイツ等が君の存在に感づくのは分かってたから。」 この人は何を言ってるんだろう? 「あの、式って、アイツ等って、一体何ですか?」 「君、見えたんでしょ?君の部屋に飛ばした式はあれ。」 Sさんの視線の先、ソファの端に、一瞬だけ白い毛の塊が見えた気がした。 「フェレットじゃなくて管(くだ)っていうんです、管狐。可愛いでしょ?」姫が微笑む。 以前あれをフェレットみたいだと思ったのが、既に姫には伝わっていたようだ。 「アイツ等っていうのは、Lの体を手に入れようとしている人々と、その式達。」 とても信じられないが、俺が一言も喋っていないのにSさんは既に俺が見たものを知ってる。 窓を開けて入ってきた白くて小さいフェレットみたいなもの。そして窓の外に浮かぶ目玉。
1778 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:12:39 ID:mw9.mfDo0 「そして予想してたよりずっと早く、アイツ等は君の存在に気付いて部屋を突き止めた。 君がLを大事に思う気持ちが強かったから、メールの電波を辿られたのかもしれない。」 「じゃあ昨夜、窓の外に浮かんでた目玉は?あれがアイツ等の式なんですか?」 「あれは朽縄(くちなわ)、簡単にいうと蛇の化け物。かなり厄介な部類の式ね。 結界があるから部屋には入れないけど、あなたが部屋から出たらかなり危ない。 特に車で移動している時には狙われやすいの。注意力が運転に向いてるから。」 「だから僕の車に結界を ...今日の車には前もって結界が張ってあったんですね?」 「今日は今朝から管を護衛に着けたけど、毎度毎度それじゃ管の力が活かせない。」 「決まった『場所』を護る方が得意なんですか?」 「君、中々勘が良いわね。」 「寝不足が続くと体調を崩しやすいし、結界越しでも妖気は身体に悪いそうですよ。」 姫は俺の右肩にもたれて眼をぱちぱちしながら喋っているが、かなり眠そうだ。 「君が此処で暮らしてくれれば楽なんだけど、いきなりそれは抵抗あるでしょ? 明日の夜までにはできるだけの手を打っておくつもりだから一応は大丈夫。 でも、いよいよって時には此処で暮らしてもらう事になるわ。覚悟はしておいて。」 姫の頭が俺の右肩からかくっとズレた。もう意識が朦朧としているようだ。 「L、もう寝なさい。久し振りに遠出したし、人ごみも歩いたから疲れてるんでしょ。」 「は〜い。Rさん、おやすみなさい。」 俺の頬に軽くキスして立ち上がると 危なげな足取りで姫はリビングを出て行く。その後ろを小さな白い影が追いかけていった。 Sさんは姫を見送ると優しく笑い、テーブルの上にお酒と氷、 炭酸水の瓶、そしてグラスを2つ並べた。そして小さな溜息をつく。 「ふう、たまに沢山喋ると喉が渇くわ。お酒、付き合ってくれるでしょ、もう大人の時間。」 Sさんは慣れた手つきでグラスに氷を入れ、ウイスキーを注いだ。 「あ、俺がやります。」 「変な気を使わないで座ってなさい。」 「はい。」 炭酸水でグラスを満たして軽くステアする。プレーンなハイボールだ。 マニキュアをしていない細い指先が美しい。思わず見惚れてしまう。 「ますます、訳が分からないと思うけど、説明を続けます。」 「お願いします。」 「私とLは、古い陰陽道の家系に生まれたの。陰陽師、知ってる?」 「一応映画とかで。」 「自分達で言うのもなんだけど、結構力がある家系です。え〜っと、術の方面だけじゃなく なんていうか、社会的な影響力という面でも。」 はい、それは先日身を以って知りました。 グラスのハイボールを一口、ぐっと飲んでSさんは話を続けた。俺にもグラスを勧める。 「Lの母親は特に強い力を持っていたけれど、Lを産んで暫くして亡くなったの。 もともと体が弱くて、強すぎる力とLの出産に耐えられなかったから。Lが成長して 母親の力の一部を受け継いでいる事が判ると、アイツ等がLを狙って動き出した。 アイツ等はうちとは分家筋にあたる一族だけど、外法に手を染めてから交流は絶えてた。 それは、もう何十年も前の事だったから、皆、油断してたのね。 でも、Lの父親が殺されてLが奪われた時、それがアイツ等の仕業だと判った。」 「陰陽師はそんな簡単に人を殺す、というか、人を殺せるんですか?」 「あら、もしLを弄んで泣かせるような男がいたら、私も躊躇なくソイツを殺すけど。」 ハイボールをもう一口飲んでSさんは微笑んだ。 あの、眼が笑ってませんよ。やっぱりそれって、俺への警告なんですよね。 「冗談よ、今日はLを大事にしてくれたし。」 「もちろん、これからもLさんを大切にします。」 俺もハイボールを一口飲んだ。
1779 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:17:33 ID:mw9.mfDo0 「何とかLを取り戻したけれど、あの娘には既に厄介な術が仕込まれていた。 16歳になるまでに術を無効にしないと、Lはアイツ等の傀儡として代にされてしまう。」 「あの、それは...」 「16歳になった瞬間からLの心は術に喰い尽くされていって、 空っぽになったLの体が、凶悪な鬼神をこの世に呼び出すための媒体に使われるって事。」 また思わず立ち上がった。「ちょっと待って下さい。その術はどうしたら!」 「だから落ち着いて。ちゃんと説明するから。」 「...はい。」今度も仕方なく腰を下ろした。 「16歳までにLを普通の女性に戻せば良いの。そのために君達と契約した。」 「あの、Sさんの力でLさんの術を解いてあげられないんですか? それにLさんの相手は僕でなくても良かったのでは?」 「そんなに簡単なら、こんな苦労はしません。」 Sさんはグラスを揺らしながら溜息をついた。氷がカラカラと音を立てる。 「効力が長期間持続するような術を使う時には、あるものを代に使うの。 人型だったり水晶だったり、ね。術の元になる『力』を代に封じて術の効力を持続させる。 人の体内に仕込むような10年単位の術では特に代が重要。 それを壊すか燃やすかした後でないと術を解く事は出来ない。 でもLの体に仕込まれた術の代は回収されていないし、回収の見込みも無い。」 「だからあの子が誰かに恋愛感情を持ってくれる以外に術を抑える方法が無かった。 それで色々と手を尽くしたけれど、全然駄目。あの子は異性に全く反応しなかったから。」 「仕込まれた術の影響でLの体は女性的な機能の発達が抑えられてるし、精神的にも 異性に関する感受性とか、性的な事に関する興味は、ほとんど欠落してた。」 「皮肉な話だけど、あの娘が反応したのは君が初めてだったの。それが何故かは判らない。」 「でもLが君を好きでいる間その術は無力だし、妊娠経験者を代に使うことは出来ないから もしあの娘が母になれたら、その場で術は解ける。今のLの体では妊娠は無理だけど 君を好きでいる間に時間を稼げれば、Lの体も心も普通の女性に近づいていくはず。」 「術が完全に解けるまでは、16才になった後でも安心は出来ない、という事ですか?」 「本当に勘が良いのね。君、素質あるかも。」
1780 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:18:57 ID:mw9.mfDo0 「君をこんな事に巻き込むのは心苦しいけど、例えばアイツ等が今君を殺したら Lが君を慕う気持ちが、より強固な状態で、おそらく何年間かは固定されてしまう。 だから、多分アイツ等は君に直接的な危害を加える事は無いと思う。 せめて、これからの半年間、術の最初の期限が過ぎるまでは、契約通り あの娘の模擬恋愛の相手を続けてもらって、その間に次の手を考えたいの。 君とLが自然に再会して恋愛に発展って筋書きに出来れば良かったけれど、 それじゃどれだけ時間がかかるか分からないし上手くいく保証もない。 だから『模擬恋愛の相手』なんて、少し、ううん、かなり強引なやり方しか無かった。」 「一緒に過ごしたのは1日だけですが、僕は今、Lさんが好きだし、とても大切に思っています。 だから僕の中では、もうこれを『模擬恋愛』だとは思っていません。」 「もし、このまま2人の関係が進展してくれたら、とても有難いと思ってるわ。」 「だからこそ、一応聞いて置きたいんですが。」 「この際だから何でも聞いて頂戴。」 「アイツ等が、僕に直接の危害を加えないだろうという事は解りました。 でもSさん達にとって、確実に目的を達成したいのなら、むしろ僕を」 「やめなさい!」 突然Sさんが俺の言葉を遮った。 「何て事を...」 それから力無くソファの背もたれに体を沈め、深呼吸をしてから静かに呟いた。 「君は、Lに似てる。」 「正直、一族の中には、そういう考え方の者もいる。それは否定しない。 でも、私はそれが根本的な解決方法だとは思っていないし、第一、そんな事したくない。 それに、Lが君の事を好きなままで君を放置すれば、遅かれ早かれアイツ等が君に辿り着く。 そうなれば間違いなく君にも悪影響があるから、そのまま放置する訳にもいかなかった。」 Sさんはもう一度グラスを揺らした後、少しだけハイボールを飲んだ。 「Lはこれまで、あまりに理不尽な不幸を背負わされてきた。だから私は、出来れば 将来あの娘が幸せな女性として暮らせるようにしてやりたいと思ってるの。」 「どんな形であっても、これ以上Lさんに辛い思いはさせたくないという事ですね。」 「そう、だから私は全力で君を守る。信じてくれる?」 Sさんの弱さを見たのは初めてだった。 「もちろん信じます。」
1781 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:20:37 ID:mw9.mfDo0 「今できる説明はこれでお終い。他に質問は?」 「いいえ、ありません。」 グラスに少し残っていたハイボールを一気に飲み干してSさんは立ち上がった。 「じゃ、5分後に此処で。寝室に案内するわ。洗面所の場所は分かるでしょ。」 「はい。」 頭の中を整理しながら顔を洗い、念入りに歯を磨く。鏡を見た、「酷い顔だな。」 窓の外にあの目玉が現れないとしても、やっぱり今夜は眠れない。そんな気がした。 リビングに戻ると、紺色のパジャマに着替えたSさんが待っていてくれた。 「こっちよ。」 階段を上る。それにしても大きな家、オカルト映画に出てくる貴族のお屋敷みたいだ。 明日の朝、案内無しで歩いたら迷子になってしまうかも。何だか可笑しくなった。 「はい、どうぞ。」Sさんがドアを開けてくれる。「失礼します。」と言って中に入った。 綺麗に片付いた部屋の壁にカレンダー、その横に女物のコート、えっ!? 慌てて振り向いた。「あの、此処は?」 「私の寝室、さっき言ったでしょ。」 「今夜は私と此処で寝て貰います。もちろん朝まで。」 「いや、だってそれは。」 Sさんは左手の薬指を舐め、何か小声で呟きながらその指で俺の額に触れた。 途端に体が硬くなる。 体が金縛りのようになって自由に動かない。 「あの日、私の事を『綺麗だ』って言ってくれたでしょ。『下心もあります』って。」 「そりゃ言いましたけど。」 俺はゆっくりとベッドに引き倒された。 Sさんもベッドに潜り込み、俺を見つめて艶やかに微笑んだ。 「君、『妹(いも)の力』って知ってる?」 「知りません。」 やっとの思いで答えると、Sさんはまた微笑んだ。 「こうして一晩、一緒に過ごす事で、私の力の一部を君に分ける事が出来るの。」 「いくら強力な式を使っても、場所を特定しなければ効力が弱まるし、 だからと言って君の活動範囲全体に結界を張るのは現実的じゃない。」 「それなら君の体そのものに結界を張るしかない。つまりこれが、最善の方法。 さっき、全力で君を守るって約束したでしょ。」 「でも、だからって好きでもない男と、一晩過ごす、なんて。」 「あら、私も君が好きよ。あんなに大切にされて、正直あの娘が羨ましいもの。」 「でも、こんな事。Lさんに知られたら。」 姫の笑顔が脳裏に浮かんだ。 「今夜一緒に寝る事はあの娘にも話してあります。」 「何をするか詳しく話した訳じゃないけど。それに。」 Sさんは悪戯っぽくウィンクした。 「私への『好き』より、あの娘への『好き』の方が大きいなら、何も問題無いでしょ?」 一気に顔に血が上る。 「何故それを。」 それでもやっぱり体が動かない。 Sさんは問いには答えず、俺の耳元で囁いた。「だから余計に羨ましいの。」
1782 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:22:51 ID:mw9.mfDo0 暗闇の中で全身にSさんの体温を感じている。 Sさんの肌はしっとりと滑らかで、百合の花に似た良い香りがした。 「ね、朝よ。もうすぐLが起きるわ。」 そして右の肩を優しく揺する感触。 飛び起きると、既に着替えてぱりっと身支度を整えたSさんが枕元で微笑んでいた。 「良く眠れた?」 「はい、とても。」 「そう、良かった。じゃ朝食を食べる支度して。」 「あの、昨夜は。」 Sさんは唇に人差し指を当てて片目を閉じた。 「私が良いというまで、その話は禁止。ОK?」 「はい。」 「うん、良い返事。」 本当に温かくて、優しくて、少女のように華やかな笑顔を見送りながら 俺は心の奥に溜まっていた大学入学以来の疲れやストレスが、 すっかり解けて流れていくのを感じていた。 リビングで待っていると、暫くして姫が起きてきた。 立ち上がって姫を迎え、そっと抱きしめておでこにキスをした。 「おはよう。」 「おはようございます。夢じゃ無くて良かった。」 姫も俺の頬にキスしてくれた。 「昨日の事が、夢だと思ったんですか?」 「夢だったら寂しい、と思いました。」 もう一度、今度は少し強く姫を抱きしめた。「ほら、夢じゃないです。」 「...はい。」 疚しさや後ろめたさは無く、真っ直ぐ姫の眼を見て話すことが出来る。 そうだ。姫も、Sさんも、既に俺の中でかけがえの無い存在になっている。 それだけで良い。他に望むものなど、ある筈も無かった。 皆で朝食を食べ、後片付けが終わって暫くすると Sさんは「はい、勉強の時間。」と言って姫と一緒に図書室(?)に入っていった。 駄々をこねそうな姫の背中を押し、「頑張って下さい。」と見送ってから 俺は不足している睡眠時間を取り戻すため、リビングのソファで仮眠を取った。
1783 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:24:31 ID:mw9.mfDo0 「おい、若いの。」 いきなり誰かに声を掛けられた。 体を起こすと、ソファの背もたれの上に白いフェレット、じゃなくて管狐が丸くなっている。 「管狐さん、で良いんですか?」 「管さん、の方が良いかな。どちらかと言うと。」 「じゃ、管さん。これまで僕を守って下さってたみたいで、ありがとうございます。」 「お前に義理はないが、これが俺の仕事だからな。」 「ずっとSさんに仕えておられるのですか?」 「敬語とは、何かこそばゆいが。○△姫にお仕えして、もう12年目になる。 ○△姫が13歳になられた年だった。」 「それで管さんは、私に何か大事な話があるのでしょうか?」 「確かにお前、勘の良い奴だな。」 「実は折り入って頼みがある。○△姫は、そのお力ゆえ常に重い荷を背負ってこられた。」 「感情を押し殺し、ひたすら役目を果たされる御姿をして『氷の姫君』と揶揄する者も多い。」 「しかしこの件ではその清き御心を露にし、まるで少女の如くであられる。」 「その鍵はおそらくお前だろう。だからこの件が済んだ後も、あのお方を支えて貰いたい。」 「僕はSさんが好きですから異存はありませんよ。この件が無事に済んだら、の話ですが。」 「心配無用。わし等も力の限りお前を守る。おそらく良き理の御加護もあるだろう。」 「しかし、忘れるな。恐れ多くも○△姫の寵愛を受けておきながら 万が一にも裏切るような事があれば、絶対に許さん。 その身八つ裂きにして、魂ごと灰も残さず焼き尽くしてくれる。」 「憶えておきます。それはそうと、僕も管さんに質問があるのですが。」 「何だ?」 「昨夜の事を知っているのは当然として、」 管さんの姿が急速に薄れ始めた。 「Lさんと僕の会話がSさんに筒抜けなのは、あ、ちょっと」 消えた、跡形も無く。 「それも仕事の内だ。許せ。」 あのタヌキ野郎、逃げたな。 「狐、だ。」 妙に律儀な声だけが、あたりにふわふわと漂っていた。 仮眠から醒めた後も、「○△姫」という名前を覚えていたが、俺みたいな者が 軽々しく口にしてはいけない名前だという気がして、聞いてみるのはやめた。 「Rさん、お昼ご飯です。今日は私が作ったんですよ。」 姫が嬉しそうに呼びに来てくれたので、一緒にダイニングに移動した。 パスタとサラダにスープが添えてある。「うわ、Lさんも料理が上手なんですね。」 「ふふふ、Sさんに教えて貰っているのです。先生が良いのですよ。」 「何言ってんの、R君に食べて欲しいから久し振りにやる気になったんでしょ。」 Sさんが入ってきて、元気良く宣言した。 「さっさと食べて今後の作戦会議!」 姫がそっと囁いた。「これからは一杯やる気出しますから。」 「期待しています。」
1784 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:26:22 ID:mw9.mfDo0 作戦会議はリビングで開かれた。 「L、まずはアレを持ってきて。」 「はい、ただいま。」 クッキーの空き缶に白い紙で作られた人形が沢山入っている。 姫が神妙な顔で言う。「今日の勉強の時間に私が作りました。24体あります。」 Sさんが指示を出す。「これはR君の『身代わり』、これを色々な所に配置して貰います。」 「アパート、バイト先、大学、車の中、その他君が立ち回る所に数体ずつ。」 「見付かり難い所に配置しておけば、アイツ等の式達を撹乱できるから。」 「これ、髪の毛とかを入れて作るヤツですか、藁人形みたいに?」 「髪の毛じゃないけど、君の一部を使わないと効果が弱いし。」 何を使ったのか聞こうかと思ったが、イヤな予感がしたので止めておいた。 アイツ等からの接触・攻撃方法とその対応策に話題が移った。 Sさんの指示が淡々と続く。「氷の姫君」という言葉が脳裏をよぎる。 「Lの場合、絶対に殺されることは無いし、薬物の使用や式の憑依は 代としての器を損なう。だから、この家にいる間はまず安全。 外出した時に拉致して、私たちの手の届かないところに監禁しても、 Lの気持ちが変わらなければ何の意味もない。考えられるのは 意識に干渉してLの気持ちを変えようとする事くらい。」 姫は平然としていた。鈴を振るような声に身が引き締まる。 「たとえ何をされても、私の気持ちは変わりません。絶対に。」 「そうね。Lは強いから、きっと大丈夫。でも、気を緩めちゃ駄目よ。」 姫が頷く。 「R君の場合はかなり難しい。まず、君と関わる沢山の人々のうち、どのルートから アイツ等が接触してくるのか予想できない。大学の同期生経由かもしれないし、 バイト先の同僚経由かもしれない。それよりもっと判り難いルートかもしれない。」 チラリと俺の顔を見て、Sさんは話を続けた。 「ただし、逆にLの気持ちを強固にしてしまう可能性もある訳だから、 R君を殺そうとするとは思えない。何とかして誘惑しようとするでしょうね。」 「僕に浮気させて、Lさんの気持ちを僕から離すのが一番簡単な方法なんですね?」 「そう、その為には君に薬を盛ったり式を憑依させたり、何でもやると思う。」 姫が心配そうに俺を見つめている。「大丈夫、何とか頑張りますよ。」 そう、大切な姫のために、自分の気持ちをしっかり持っていなければ。
1785 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:30:04 ID:mw9.mfDo0 姫の誕生日が今日からほぼ五ヶ月後の11月26日である事、 「やり直し」の機会を無くすため、誕生日に近くなる程接触や攻撃の可能性が 高くなる事など、詳しい説明が続いた。説明に納得できない点は無かったが 一通り説明を聞いた後で、ふと、一つの疑問が湧いた。本当に軽率だった。 「もし、失敗してLさんがアイツ等の手に落ちたら、 アイツ等はLさんを使って一体何をするつもりなんですか?」 Sさんと姫は顔を見合わせた後少し黙っていたが、やがてSさんが口を開いた。 「それは私も予想できない。でも、ひとつだけ確かなのは、 『もし失敗しても絶対にLをアイツ等に渡してはならない』と言うこと。」 まずい、これはまずい。 とてつもなく嫌な予感と猛烈な寒気が、ザワザワと背中から首に這いあがって来た。 耳の奥がキーンと痛くなり、部屋がぐるりと回転するような感覚に囚われる。 聞くんじゃなかった。何故、これを聞いてしまったんだ。答えは判っていた筈なのに。 「失敗が確実になったら、この手でLを殺す。それが、『上』から私への指示。」 やめてくれ。眼を閉じ、両手で両耳を覆ったままで、もう何も分からなくなっていた。 そうだ。俺はどこかで舐めていた。敢えて眼を閉じ、見ないふりをしていたのだ。 Sさんと姫の鮮烈な言動や立ち居振る舞い、そして命を燃やし尽くすような愛し方は 二人が共に立つ、その極寒の地平を静かに受け入れる覚悟に裏打ちされている。 俺には、この戦いに参加する資格も、覚悟もありはしない。俺は弱い、弱すぎる。 「おい、若いの。」 誰かにいきなり声を掛けられた。 「生意気に狐をタヌキ呼ばわりしておいてそのザマは何だ。裏切りどころか敵前逃亡か、え?」 眼を開くと、闇の中に緑色の燐光が浮かんでいた。そして隣に渦巻く小さな紅い光の渦。 「裏切りは許さんと言った時、『憶えておく。』と、そう言ったな。」 「管さんか。見ての通り俺は駄目だ、どんな報いでも受ける。いっそひと思いに始末してくれ。」 「お前は既に一度、自分が死ねばこの件が解決するのではないかと考えた。」 「その時、○△姫は何と仰せか。忘れたとは言わせん。」 「...俺が、Lさんに似ていると。」 「では何故、その『Lさん』は、お前を愛しつつ今後も生きていこうと考えているのだ?」 「何故○△姫は、『失敗が確実になったら、この手で』と仰せなのだ?」 「おい管。」 「言うな。それ以上、一言も言うなよ。」 全身から湧き上がる激しい怒りが紅蓮の炎となって俺の体を包んでいた。 鼻の奥で火薬の匂いがする。「一言でも言えば。」 「人間風情が生意気な。『一言でも言えば』どうする?おまえの恐れるその言葉。」 「今、此処で聞かせてやろう。お前の大切な『Lさん』を、」 「貴様ぁああああああああああああああああああああああああ」 灼熱の業火が爆発して俺の体を焼き尽くし、意識が急激に薄れていく。 「命が、生きようとして戦うは、それが命であればこそ。限りある人の身なら尚更。」 「ならば何故、お前は戦わぬ?直向で一途な命が、哀しくはないか。」 律儀な声が、いつまでも暗い虚空を漂っている。
1786 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:32:19 ID:mw9.mfDo0 気が付くと、俺はリビングのソファで横になっていた。 傍の床に横座りした姫が俺の右手を握り、真っ赤に泣き腫らした眼で覗き込んでいる。 「良かった。もし、あのまま...」見る見るうちにその眼から大粒の涙が溢れた。 左手で姫の髪と頬を撫でた。「ゴメンなさい、もう大丈夫、心配ありません。」 そう、心配ない。体を起こし、姫を抱き寄せた。姫も俺を強く抱きしめてくれた。 「顔を洗って来ます。Sさんを呼んで来て下さい。」 「はい。」 リビングに戻ると、Sさんが俺を待っていてくれた。 「心配をかけました。」 「気が付いたのね。良かった。」Sさんの声はほんの微かに震えている。 「話があります。聞いて下さい。」 「熱いお茶を淹れて来ます。」姫はそう言って席を外した。 「弱虫でごめんなさい。」と言うと、Sさんは立ち上がって俺を抱きしめた。 頬を伝う一筋の涙を中指で拭って呟く。「戻ってきてくれて、ありがとう。」 俺は彼女の耳元で囁いた。「貴方のお陰です。○△姫様。」 「どうしてその名を?」 「僕は、どうも白いお狐様とは腐れ縁があるようなので。」 彼女は驚いた顔をしたが、やがて優しく微笑んだ。「覚悟を決めてくれたのね。」 俺はその日からお屋敷で暮らす事を決めた。 翌日の日曜日まではたっぷり食事と睡眠を取って体調を整える。日曜の夜はバイト。 そして月曜日は朝から夕方遅くまであちこちを飛び回り、とても忙しい一日になった。 実家に電話し、大学を休学して半年程外国を旅行するから今年中は帰れないと伝えた。 俺の性格を熟知している母は、特に不審がる事も無く「じゃ父さんにもそう言っとくから、 戻ったら直ぐに知らせなさいよ。」と言ってあっさり電話を切った。相変わらずだ。 大学には後期始めからの休学届けを出し、親しい友人には「人生について考えたいから 田舎へ帰る。当分戻らないと思うが心配無用。」とメールを出しておいた。 何でも屋のNさんには、事務所で「何か失敗するとマジでヤバイみたいなので、 半年間はこの仕事に専念します。」と伝えた。Nさんは「済まんな、俺達は何も出来んが これは半年間の資金だ。取っとけ。」と俺の尻ポケットに厚い紙封筒をねじ込んだ。 丁寧に礼を言い、後で開けてみると30万入っていた。これは正直とても助かった。 バイト先には「一度田舎に帰って見合いするんです。」と言い、近々バイトを辞めると伝えた。 店主は「そうか、見合いがまとまらなかったらいつでも戻って来いよ。」と言ってくれた。 荷物を整理しながら、バイト先の更衣室やトイレ、大学の教室や食堂やトイレなど 思いつくあらゆる場所に俺の身代わりを隠した。物好きな誰かが見つけて処分するまで アイツ等の式を撹乱して俺の居場所を判り難くしてくれるだろう。
1787 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:33:46 ID:mw9.mfDo0 そして最後に、当座の荷物をまとめてアパートを出た。賃貸契約自体は残しておくが 少なくとも半年間は、あのお屋敷に居候だ。もちろんあらゆる場所に身代わりを隠してきた。 Sさんは毎晩式を飛ばすと言っていたが、管さんが毎晩俺の身代わりを守るのだろうか。 しかも半年間。ちょっと可哀想になったが、同時に少しだけ「良い気味だ。」とも思った。 その夜、遅い夕食を済ませてからコーヒーを飲んでいると、姫がポツリと言った。 「Rさんに、ここまでして貰って、何だか悪い事をしている気がします。」 「最初は、Rさんが私のために色々頑張ってくれて、嬉しいと思ってたんですけど。」 「ご両親や、大学まで...」 そこまで言うと、涙が溢れて止まらなくなった。 Sさんは、そんな姫の姿を見て優しい笑顔を浮かべている。でも、声は掛けない。 俺はSさんの顔を見た。Sさんは眼を閉じ、黙って小さく頷いた。 「Lさん、昨日、僕は貴方が一番好きだと言いましたよね。」 「はい。」 涙を拭きながら、姫は小さい声で答えた。 「好きな人のために僕にも出来る事がある、そう思うと今日はすごく幸せでした。」 「でも、もうひとつ、出来る事があるのかなぁと思ってます。聞いてくれますか?」 「はい。」 姫はまた、小さい声で答えた。Sさんは黙って眼を閉じたままだ。 「もし、術を無効に出来なくて貴方が空っぽになっても、僕は一生貴方を守ります。」 「それが駄目ならSさんに頼んで、僕をLさんと一緒に殺してもらいます。」 「絶対に、僕がいない所で貴方を死なせたくないんです。」 「Rさんの腕の中で死ねるのなら、それはとても幸せだと思います。でも。」 まだ眼は赤かったけれど、姫はもう泣いていなかった。俺を真っ直ぐ見つめている。 「Rさんの腕の中で私が死ぬような事態は、絶対に起こらないと思います。」 「Rさんが空っぽの私を守らないといけないとしたら、私の心が死んでしまった時だけど、 Rさんを好きでいる間、私の心は死なない。だから、Rさんが私の抜け殻を守る必要は無い。 Rさんの心が私から離れてしまったら、私の心は死ぬかもしれないけれど、 その時はRさんが私の抜け殻を守る理由がありません。」 「あ〜あ。」Sさんの声だ。 「貴方たち、本当に良く似てるわね。羨ましくて、ちょっと嫉妬しちゃう位。」 「え?」姫は眼を丸くしている。 「RさんはSさんが好きなのに、なぜ嫉妬するんですか?」 Sさんは暫く唖然としていたが、やがて笑い出した。本当に楽しそうだった。 つられて俺も笑ってしまった。「そう言えば、確かに僕はSさんが好きですね!」 「何で笑ってるんですか? 私、何か変なこと言いましたか? もう、2人とも!!」
1788 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:34:49 ID:mw9.mfDo0 バイトを辞めてからは街へ出掛ける事も無く、お屋敷の図書室にある本を読んだり、 姫と2人でお屋敷の周りをサイクリングしたりして過ごした。 お屋敷の周りの土地は、その土地自体に特別な力があるから、 巨大な結界となってアイツ等の式から俺たちを守ってくれるとSさんは言った。 「でも、アイツ等がこの場所を突き止めたら、物理的な強行突破でLやR君を 拉致しようとするかもしれない。もしこの場所が突き止められたら外出は禁止。」 それは当然の処置だし、第一そうなれば俺自身外出する気にはならないだろう。 お屋敷の1階、姫の部屋の斜め向かいに俺の部屋は割り当てられていたが 2人で夜を過ごす時は、俺が姫の部屋を訪ねた。2人で夜を過ごすといっても 姫の体の事を考えて、2人並んで寝るだけだったが、2人とも、それで十分幸せだった。 姫が寝付くまで、手を繋いで話し合う事もあった。2人の事、将来の事。 姫の誕生日を無事に乗り越えたら、その先に広がっているはずの明るい未来。 そして月に一度か二度は、Sさんが「妹の力」で結界を張り直してくれた。 静かに、本当に不思議なほど静かに、日々は過ぎて行った。 時が経つにつれ、姫は益々美しくなった。10月の終わり頃になると、 胸や腰も少しふっくらとして、体のラインが少しずつ女性らしくなってきていた。 Sさんは「そろそろ初潮が来るかな、楽しみだね。」と喜んだ。 しかし、それは同時に『その日』が近づいている事を意味していた。 姫を守れるかどうか、つまり俺の気持ちが本物かどうか、それを試される日が。
1789 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/06(木) 22:36:51 ID:mw9.mfDo0 出会い(中)了
1790 :出会い(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 05:55:18 ID:VFwjnbSM0 「何か変。」買い出しから帰ってきて車を降りるなり、Sさんが言った。 「見慣れない車、ですか?」 後部トランク一杯の買い物袋を両手に下げ、運びながら尋ねる。 10月の終わり頃から、この辺りの交差点など要所要所を何台かの車が巡回している。 昼間はあまり見かけないが、夜間は頻繁に巡回して他の車の出入りを監視しているらしい。 Sさんが「あれは『上』に頼んだの。強行突破の可能性もゼロじゃないし。」と言っていたので、 いよいよ不審な車の報告があったのかと思ったのだ。 「ううん、そうじゃない、ただ。」 「このあたり一帯の土地で『地脈』が乱れてるの。そのせいで結界の力が弱まってる。」 「アイツ等の仕業ですか?」 「それはまだ判らない。だけど、用心しておいた方が良さそう。」 「アイツ等の式が此処に来る事もありますか?」 俺はあの不気味な目玉を思い出していた。 「式なら此処には近づけない筈だけど...変わったことがあったら何でも知らせて。」 「あと、この話、Lには暫く黙っててね、心配すると思うから。」 「了解です。」 後で考えると、これがアイツ等からの接触と干渉の始まりだったのかも知れない。 窓際の椅子に座り、暇潰しにアパートから持ってきた文庫本を読んでいた。 カチ、と音がして電子カレンダーの日付が切り替わった。11月11日0時0分。 「あと2週間か。」 カーテンを閉めてベッドに潜り込む。 姫はとうに部屋で寝ている時間だ。 前から良く眠る娘だと思っていたが、最近は更に良く眠るようになった。 女の子から女性へと体を作り変えていくには、たっぷりの睡眠が必要なのか。 そんな事を考えながら電気を消し、眠りについた。 微かに話し声が聞こえる。これは夢か、あれは誰だ。あの女の子は一体?
1791 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 05:57:21 ID:VFwjnbSM0 小さなテーブルを挟み、初老の男と若い男が向かい合って椅子に座っている。 初老の男の背後には若い女が立っていた。そして部屋の隅、フローリングの床の上で 小さな女の子が遊んでいる。その手には小さな茶色のクマのぬいぐるみ。 若い男の顔には、額から右の頬にかけて目立つ大きな傷跡があった。 初老の男が若い男に話しかけた。感情を押し殺したような低い声。 「この子は『あの力』を受け継いでいる。力が発現してからでは手遅れだ。」 「出来るだけ早く、始末しなければならん。できるだけ早く、な。」 「Lの力を封じる事は、出来ませんか?」若い男の声は震えていた。 「封じることはできん。抑えておけるのも15歳までだ。16歳になれば必ず発現する。」 「...判りました。せめてLは私の手で...お願いします。」 15歳? 16歳? L? これは何だ。俺は何を見ている?嫌な予感がした。 突然、初老の男が小さく呻いて胸を押さえ、床に倒れた。若い男は驚いて立ち上がったが やはり呻いて床に倒れた。2人とも、もう動かない。女の子はボンヤリと2人を見ている。 「おじいちゃんとおとうさん、どうしたの?」無邪気な笑顔を浮かべて女の子が尋ねる。 「寝ちゃったみたいね。Lちゃんも、もう寝なきゃ。お姉さんと一緒にお部屋に行こうね。」 知ってる。この声は、確かに聞いた事がある。誰の声だったか。 「うん。」女の子が返事をすると、若い女が女の子を抱き上げた。 「良いお返事。」 その時、若い女の顔が見えた。 Sさんだ。かなり若いが、間違いない。 「折角持って生まれた力なのに、勿体ないわよね。力は、使うためにあるんだから。」 「ふふふ、ふふふふふ。」笑い始めた。心底楽しそうな、ゾッとする笑顔。 「ははははは。あははははははははははははは。」 変だ。これは本当にSさんなのか。 突然、女の子がこちらを向いた。整った目鼻立ちに姫の面影が重なる。 「おにいさんも、いっしょにいこう、ね。」 「あら、良い考えね。」 全身が総毛立つ。 「おにいさんも、いっしょにいこう。 わたし、おにいさんのこと、すきよ。」 意識が途切れた。
1792 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 05:59:27 ID:VFwjnbSM0 気が付くと、時計は5時半を指している。ひどい寝汗をかいていた。 ベッドから出て服を着替えていると、小さなノックの音がする。 「起きてる?」Sさんの声だ。 「はい。」ドアを開けると、 パジャマに厚手のカーディガンを羽織ったSさんが立っていた。 「話があるの。良い?」 俺は黙って頷いた。 11月中旬、朝方の空気はもうかなり冷たい。 Sさんはダイニングで熱いコーヒーを淹れ、両手をカップで温めながら話し出した。 「さっき、嫌な感じがして目が覚めたら、この家の中に入り込んでた。」 「式じゃなくて、本体が。」 カップを持っていても、寒気がして手が震える。 「君が動揺してるのを感じたから、君の意識に干渉してるのが判った。」 一度言葉を切って、真っ直ぐ俺を見つめる。 手の震えが止まった。 「さっき、何を感じた?」 Sさんの微笑。体がゆっくり温まるのを感じていた。 「感じた、って言うか。変な夢を見ました。」 「どんな夢?」 俺は夢の内容を出来るだけ詳しく話した。初老の男、顔に大きな傷跡のある若い男。 笑われるかもしれないと思ったが、若いSさんや姫の面影がある女の子の事も全部話した。 そして、彼女たちの最後の言葉も。 Sさんはずっと俺の眼を見ながら、黙って話を聞いてくれていたが、 俺が話し終えると、一つだけ質問をした。「その男性2人に見覚えはある?」 「いえ、全然見覚えはありません。知らない人達でした。」 Sさんは暫く黙った後で呟いた。「う〜ん、思ってたより、ずっと難しいな。」 溜息をつく。 アイツ等がここまで侵入したとすれば、当然それは。「悪い兆候って事ですか。」 「悪い兆候もあるけど、良い兆候もある。」 「式は此処に侵入できない。当然、君に干渉することもできない。だからアイツ等の1人が 直接此処に侵入してきた。力のある相手なら、結界を抜けて直接君に干渉できるから。」 「でも『本体』なら、こちらも侵入経路の痕跡を辿ってアイツ等の居場所を特定できる。 そのリスクを冒して侵入してきたって事は、私たちの方針と作戦は間違っていないし、 相応の効果を挙げているって証拠。これは良い兆候。」
1793 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:01:09 ID:VFwjnbSM0 「じゃ、悪い兆候は?」 「君は、さっきの夢を見てどう思った?正直に聞かせて。」 「...もしあれが真実なら、Lさんを守るのは正しい事なのか、そう思いました。」 「君、本当に優しいのね。『Sさんに騙されているんじゃないか?』って思ったんでしょ?」 「正直、騙されているのかも知れない、とは思いました。済みません。」 「謝る必要は無いわ。細かい事まで全部説明していなかったのは私の方だもの。 でも、結局は君が何を信じるかって所に行き着く。それを承知の上で聞いてね。」 俺は黙って頷いた。 「君の心がLから離れれば、Lは直ぐにそれを感じ取る。そしてLの心は君に出会う以前、 いや、それよりも悪い状態に戻ってしまうし回復の時間も無い。それがアイツ等の狙い。」 「じゃ、その為にはどうすれば良い?」 また、背中にそろそろと悪寒が這い上がってくる。 「1つ、君を誘惑して君の心をLから引き離す。これは予想が簡単、レベルⅠ。」 「2つ、Lを守ることが正しいのかどうか、君の心に疑問を忍び込ませる。これはレベルⅡ。」 「それじゃ、あれは。あの夢は。」 「意識に干渉されて幻視を見せられた。その内容は... 同じテーマで無数のシナリオが書ける、それこそ無数に。だからいちいち否定はしない。」 「でも、直接相手に手を下せない時には、相手の意識に干渉して心のあり方を変えていく。 それがアイツ等の常套手段。相手の記憶も、嗜好も、隠されているトラウマも、それこそ 利用できるものは全て利用する。今後、初恋の相手が夢に出てきたら、用心してね。」
1794 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:03:40 ID:VFwjnbSM0 「それから、始めに『難しい』といったのは...君と、アイツの意識の共振が強過ぎるから。」 Sさんが「アイツ等」でなく、「アイツ」と単数形で呼ぶのを初めて聞いた。 「侵入したのが誰なのか、判ってるんですか?」 「相変わらず冴えてるわね。」 「そう、99%間違いない。アイツ等の中でも飛び抜けた力の持ち主。 普通の結界ではまず止められないし、意識への干渉力も桁違い。恐ろしい相手。」 「でもね、どんな術師でも、初めての接触で、さっき聴かせて貰った夢みたいに 細部に到るまではっきりしたイメージを相手の意識に送り込むのは無理なの。 最初の接触の段階では、まだ『通い路』が確立できていないから。」 「さっきの話みたいなイメージの場合、登場人物の顔や声は相手の記憶に任せる事が多い。」 「でも、君が見て声を聞いた男性2人は君が知ってる人じゃなかった。私とLだって、恐らく 何年も前の姿だから、君の記憶の中の映像や声じゃない。とくに幼い頃のLについてはね。 いくら有力な術師だとしても、いきなりこんな大掛かりなイメージを共有するなんて、 意識がよほど強く共振して通い路が確立されていなければ不可能だわ。」 「意識の共振というのは?」 「多分、君とアイツには何か共通点があるのね。」 「何故、僕の何処が。」 「具体的にはまだ判らない。でも、Lとアイツには血縁がある。」 「Lが君に強く反応したように、恐らくアイツも君に強く反応している。そして。」 「気を悪くしないでね。」 ちょっとだけためらってからSさんは続けた。 「そして君もアイツに強く反応したから、2つの意識が信じられない程強く共振した。」 「僕は『その人』の姿を見ていないし、声も聞いていません。それなのに。」 「意識は人の内面のエネルギーだから、意識同士の共振に姿や声は関係ないわ。 文字通り、『波長が合う』としか言いようがない。それから、憶えておいて。」 「君はもう、感じているようだけど、アイツは女性。名前はK、年齢は多分21。」 「どんな術でも、そしてそれが強い術であればある程、術には術師の個性が滲み出る。 相手が女性だと判っていれば、術に対応する方法を選択する手がかりになるかも知れない。」 「あの、今後はああいうのが何度も起こるんですか?」 想像するだけで気が滅入る。 「度々『本体』を侵入させたら確実に居場所を特定されるから、 そんなに何度も起こるとは思えない。でも、対応策は必要ね。」
1795 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:04:47 ID:VFwjnbSM0 その日の午後、姫の勉強の時間に俺も図書室に呼ばれた。Sさんが教えてくれたのは 常に意識の一部をコントロールし、不用意に他人の意識と共振するのを防ぐ方法だった。 「意識の中で、他人との共感、例えば思いやりとか空気を読むとか、そういう事に関わる部分を コントロールして『鍵』を掛けてしまえば相手との共振は起こらない。」と、Sさんは言った。 姫と2人で、全く会話として成り立たない言葉をやり取りをする実習を何度も繰り返す内に 何とかコツが掴めてきた。相手の話を全く聞かない人同士の噛み合わない会話のイメージ。 しかし、本来は相手との接点を探し、共感を基盤にして会話するのが普通なのに 相手との共感を封印して会話を続けるのは、えらく骨の折れる作業だ。 「君、本当に素質あるのね。今回の件が片付いたら本気で術を勉強してみたら? きっとそこらの占い師なんかより、沢山お金を稼げるわ。」 Sさんが褒めてくれたので、「考えておきます。」と返事はしたものの これではとても割りに合わないというのが正直な感想だった。 そしてこの方法は、当たり前だが、俺が寝ている間は効果が無い。 姫の誕生日まで、俺と姫はSさんの部屋で寝ることになった。 当然Sさんと姫は2人でベッドに、俺はソファで寝ることになる。 「ベッドは広いんだから、3人で寝ましょうよ。」と姫は無邪気に言ったが、 こちらの体の都合も有る事なので、さすがにそれは遠慮した。 慌てて断る俺を見て、Sさんは必死で笑いを噛み殺していた。 「特別な結界を張るので、私の傍にいればアイツ等があなた達の意識に直接干渉する事は 出来ない。」とSさんは説明していたが、俺は最初の夜に自分が眠れなかったので、 本当はSさんが夜通し起きていて、アイツ等の干渉から俺たちを守っている事に気付いた。 実際、その翌々日辺りからSさんは目に見えてやつれてきたので、俺はSさんに 昼過ぎから夕方までの間に睡眠を取り、体を休めて貰うように頼んだ。 夕食の準備は俺と姫でやれば良いのだし、長丁場になるなら、最後は体力勝負だろうから。
1796 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:05:56 ID:VFwjnbSM0 その週末、背の高い男がSさんを訪ねてきた。季節外れの大きなサングラスをかけていて 表情は読み取れないが、身のこなしや雰囲気からして只者でないのは明らかだった。 男はリビングルームで一時間程Sさんと話してから帰ったが、帰り際に玄関先で 一緒に自転車の手入れをしていた姫と俺を見て立ち止まり、「確かに。」と呟いた。 どこか人を見下したような、珍しい物でもみるような視線を感じる。それに、血の匂い。 バイト先の厨房で大量の魚を捌いた時のような、血と内蔵の匂いがする。不吉だ。 姫は俺のシャツの裾を掴んでしばらく俯いていたが、男の車が遠ざかると 「あの男の人、嫌い。」と呟いて俺の背中に抱きついてきた。俺も嫌いだ、あんな奴。 その日の夕食の後、男の事を尋ねると、Sさんは「あれは『上』との連絡係、大きな作戦だし。 それに、この間の侵入経路を辿ってアイツ等の居場所が特定できそうだから。」と言った。 「居場所が特定できたら、どうなるんですか?」 何か不吉な予感がしていた。 「外法を使う者達は放置できない。 ...今回は『上』が対策班を送り込むでしょうね。 それに、対策班がアイツ等を完全に始末してくれたら、こっちの仕事量も半分以下になる。」 さっきの男から感じた血の匂いの記憶が、ゆっくりと、しかし確かに蘇ってきた。 「あの、始末って...?」 あるいはこれも、軽率な質問だったかもしれない。 「術師も人間だから。居場所さえ判れば、刃物でも銃でも、方法は幾らでもあるって事。」 そう言ったSさんの横顔には、悲しげな翳りが貼り付いていた。 それから数日間は特に変わった事も無く、無事に過ごす事が出来たが、 姫の誕生日まで一週間を切った11月20日、俺は再び干渉による幻視に巻き込まれた。 その日も朝から特に変わったことは無く、ずっと集中して意識をコントロールしていたためか、 夕方になっても異変は無いまま、いつも通りの夜を迎えるのだと思っていた。しかし。 夕食の前に、俺はシャワーの着替えを取りに1人で部屋へ戻った。それがまずかった。 着替えを持って振り返った時、PCデスクの脚に躓いて一瞬意識のコントロールが途切れた。 その刹那、『鍵』が外れて通い路が開き、膨大なイメージが一気に流れ込んできた。
1797 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:07:01 ID:VFwjnbSM0 俺は、暗い大きな部屋の中にいる。両手をロープで後ろ手に縛られ床に転がされていた。 部屋の中央のテーブルには燭台が2つあって、大きな蝋燭が3本ずつ燈っている。 さらにその奥のソファには女性が寝かされていた。何とか体を起こして息を呑んだ。 姫だ。間違いなくソファに寝かされているのは姫だ、どうやら意識がないらしい。 ここは何処だ? 俺は気を失っていたのか? 何故こんな事に? 混乱していると、不意に足音がした。部屋に入ってきたのはセーラー服の少女だ。 21才には見えなかったが、何故か俺には判った、この少女がKだ。 「気が付いたようね。思ったより手間がかかって、本当にイライラさせられたわ。」 何時の間にか、少女の傍らに大きな黒い蛇がとぐろを巻いていた。 大きく、燃えるように赤い目玉。あの日、俺の部屋の窓の外にいた奴に間違いない。 少女が近づいてきた。姫に良く似ている。あるいは姫が成長するとこうなるのか、 そう思わせるような美貌だ。しかも年上の分だけ、女性的な魅力は姫を上回っている。 「君がKか?」 「...そうだけど、何故判ったの?」 「相手が若い女性だというのは聞いていたし、それに。」 「それに?」 「この前、干渉された時と同じ感じがする。 とても冷たくて、寂しい感じ。」 少女の右頬が微かに動いた。 「あなた『気紋』が識別出来るの?不思議ね。」 「君に頼み、いや、お願いがある。」 「敵に頼み事って、一体どういうつもり?」 「君はとても強い力を持っていると聞いた。その力でLさんの術を解いて欲しい。」 「あなた、馬鹿なの? 術を解いたら、その場で私たちの計画はお終いじゃないの。」 「そんな計画が実現しなくても、君は自分の好きなように生きられる筈だ。」 「ますます何が言いたいのか解らないわね。」 「君ほど美しく、しかも強い力を持っている女性なら、誰かを不幸にしなくても 生きていけるし、誰にも頼らずに自分の幸福を実現できる。そうだろう?」 「...仲間を裏切れって言うの? 馬鹿馬鹿しい。これは私が生まれる前から 進められてきた計画なのよ。今更私一人の考えで、どうこう出来るものじゃ無いわ。」 「計画したのが君でなくても、術を掛けたのが君なら、解く事も出来るんじゃないのか?」 「解けないなんて言ってない。それに、あんな悪趣味な術、私は使わない。」 「やっぱり、そうか。」 心が乾涸らびて行くような哀しみが、俺の胸を貫いていく。
1798 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:09:41 ID:VFwjnbSM0 彼女は怪訝そうに眉をひそめた。 「何が『やっぱり』なの?」 「前に干渉された時の幻視で、幼い女の子を俺は見た。『L』と呼ばれていたが、違う。 確かにあの子にはLさんの面影があった。でも、あの子はLさんじゃない。」 「それで?」 彼女の顔色が蒼白く変わり、眼には刺すような光が宿っていた。 「あれは、あの女の子は、君だ。幼い頃、Lさんと同じように肉親を殺され、君は拉致された。」 彼女が左手を握りしめた、その手が小さく震えている。 「同じ哀しみを経験した君なら、Lさんの辛さが判るはずだ。頼む、彼女の術を解いてくれ。 術を解いてくれるなら、俺はどうなっても」 「...黙りなさい。」 少女の全身から、青い炎がユラユラと立ち上るのが見えた。 熱い。まるであたりの空気が燃えているようだ。チリチリと俺の髪と服が焦げる匂い。 「不愉快ね。」 「あなたの欲望に細工をすれば簡単だと思ってたけれど、それじゃ気が済まない。」 少女は俺を見下ろして微笑んだ。 「あなたの気持ちを変えるより、彼女の気持ちを変える方が面白そうだわ。 あなたの目の前で散々慰み物にされても、彼女は気持ちを変えずにいられるかしら。 どのみち妊娠の心配は無いし、楽しみね。」 腹の底から怒りが湧き上がってきた。 「やめろ!やめてくれ。そんな事をして何になる。不幸と憎しみの連鎖を生むだけだぞ。」 「『力』が手に入るわ。長い間、虐げられてきた私達の望みを叶える『力』が。」 「それは君達の組織の望みであって、決して君自身の望みではない筈だ。 他人の心や命を犠牲にしてまで叶える望みなんて、哀しすぎる。間違ってるよ。」 「あら、あなたはあの娘を救うためなら、私たちを犠牲にしても良いとは思わないの?」 「まあ、今はそんな事どうでも良いわ。そろそろお楽しみの時間よ。ほら。」 2人の男が部屋に入ってきた。ゆっくりと部屋の奥に歩いていく。 その時、俺の背後、手首の上で何かが動いた。 ふわふわの毛と、ロープを齧るような感触。管さん? ロープが解けた。 俺は跳ね起きて走り、男たちに飛び掛った。管さんはシェパードほどの大きさになって 大蛇と睨み合っている。俺は何発か殴られたが、怒りのためか痛みは感じなかった。 1人を殴り倒し、もう1人に飛び掛った。倒れる男になぎ倒されるように少女も倒れた。 馬乗りになって殴り続けると、やがて男は動かなくなった。 菅さんは大蛇を部屋の外に追い出したのか、双方とも姿が見えなくなっている。
1799 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:11:24 ID:VFwjnbSM0 管さんのお陰で形勢は一気に逆転していた。 床に倒れた少女は上半身を起こしているが、男たちはぴくりとも動かない。 少女が悔しそうな表情でこちらを睨む。倒れた拍子にスカートが捲れたのか 白い太腿が露になっている。少女を見下ろしていると、激しい怒りに眼が眩む。 「Lさんにしようとしてた事、君にしてあげようか。どんな気持ちかな、自業自得だね。」 少女は俺の視線を辿り、あわててスカートを整えた。怯えた眼で俺から距離を取ろうとする。 俺は少女を押さえつけ、馬乗りになってセーラー服を引き裂いた。 下着をずらすと形の良い乳房が露わになる。少女は小さく悲鳴を上げた。 白く美しい裸体が目の前で震えている。激しい怒りが、暗く歪んだ欲望に変わっていた。 少女の乳房に手をかける。 「お願い、止めて。許して。」 一筋の涙が少女の頬を伝った。 その時、俺の心の中で何かが崩れた。俺は、一体何をするつもりだった? それこそ、不幸と憎しみの連鎖を生むだけだ。狂った欲望は、既に哀しく醒めていた。 俺は少女から離れてのろのろと立ち上がり、上着を脱いで少女の体に掛けた。 「嫌な思いをさせて悪かった。あの娘を助けられれば、俺はそれで良いんだ。 君を酷い目に合わせるつもりなんて、全然無かった。本当に済まない。」 俺は部屋の奥に向かって歩き出した。姫が寝かされているソファへ。早く姫を。 「ふふふ。」背後で笑い声が響いた。 少女が、俺の上着を肩から羽織って立ち上がっていた。 「もう少しだったのに。あなた、面白いわね。」 激しい眩暈がして床に手をついた。 そこは俺の部屋で、目の前に着替えが散らばっていた。 壁の時計を見ると、どうやら「それ」は僅か1〜2分間の出来事だったようだ。 幻視から醒めても、眩暈は一向に治まらなかった。
1800 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:12:32 ID:VFwjnbSM0 廊下を走る足音が近づいてきて、Sさんが俺の肩に手を掛けた。 「大丈夫?今、アイツの気配を感じたから。」 「...今回のはキツかったです。」 遅れて駆けつけてきた姫に俺を任せて、Sさんはホットウイスキーを作ってきてくれた。 それを飲むと眩暈が少し治まったので、リビングに移動してソファで横になった。 俺の顔色が相当に悪かったのか、あるいは夕食のためにダイニングへ移動しようとして 再びよろけて転んだのが悪かったのか、涙目の姫を説得することができず、夕食は リビングのソファに横になったまま、姫に一匙ずつ食べさせて貰う羽目になった。 Sさんは姫と一緒に「はい、アーンして。」とか言って面白がっていたが、そのうち 先に1人で部屋に戻ってしまい、今回は俺の幻視の内容を聞かれる事はなかった。 俺は自分で食べられる事を何とか姫にアピールしたかったのだが、一生懸命で必死な 姫の顔を目の前にすると、先ほど判明した自分のセーラー服嗜好が後ろめたくて、 結局「スプーン食」を完食した(させて頂いた)。照れくさくて、辛い罰ゲームだった。 翌日、朝食後のコーヒーを飲みながら、Sさんが言った。 「昨夜の侵入経路を辿って、アイツ等の居場所を特定したわ。 既に『上』にも報告済みだし、今日中に対策班が踏み込むでしょうね。」 「アイツ等の計画は挫折して、Lさんを守りきれる、という事ですか?」 「対策班がアイツ等を完全に始末できれば良いんだけど、アイツ等だって 何とか逃げ延びて計画を完成させようとする筈だわ。だからおそらく今夜までが 山場になる。もう侵入の痕跡を残すのを怖れる必要も無いし、 一か八かで、R君に最大の干渉を仕掛けてくる筈。」
1801 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:14:21 ID:VFwjnbSM0 「だから罠を掛ける。」とSさんは言った。 「夕方から夜にかけて敢えて意識のコントロールを外す時間を作り、 アイツからの干渉を待って反撃する。」と。 「怪しまれませんか?第一、最大の干渉に僕の意識が耐えられるかどうか。」 前回の干渉を受けた時のダメージを考えると、正直全く自信が無かった。 「コントロールを外す時間をランダムにすれば怪しまれないし、 今度は私が付いてる。君の意識に私の意識を繋げておいて、 干渉があった瞬間に全力で反撃する。一気に決着を付けるわ。」 「干渉があるまでは、待っていなければいけないのでしょう?」 姫が問い掛ける。 「当然、そうなるわね。」 「じゃ、私の意識も繋げてお手伝いします。 そういうのは得意だし、2人より3人の方が、お互いの負担は小さくなりますよね。」 「あの、SさんとLさんの意識を僕の意識に繋げたとしたら、干渉を受けた時の、え〜と その、幻視は2人にも見えるんですか?」 もしそれだと俺のセーラー服嗜好が2人に。 「見えるけど、君が見ているものと全く同じかどうかは...」 Sさんが口ごもる。 「全く同じように見えた方が好都合ですよね。その方が反応し易いし。」 姫が微笑む。 これはもう覚悟するしかないんだな、と心を決めた。そう、色々な意味で。 昼食を済ませた後、俺は部屋で本を読んでいた。ふと、時計を見る。 2時40分だ、俺は読みかけの本を置いて部屋を出た。いつも3時頃には 皆でお茶かコーヒーを飲むことになっていて、その日は俺が当番だった。 リビングでカップやポットの準備をしていると、Sさんが駆け込んできた。 「あれ?」 「え?」 「君、何ともないの?」 「はい。」 Sさんは戸惑った顔だ。 「何かあったんですか?」 「確かにアイツの気配を感じたんだけど、おかしいわね。」 「僕は何も」と言いかけてハッとした。いつもなら俺の当番を手伝ってくれる姫がいない。 「あああ、あの、姫、いやLさんが。」 Sさんがものすごい勢いで走り出した。 俺も慌てて後を追う、姫の部屋へ。何故俺ではなく姫が... Sさんがドアをノックして「L!L!」と呼び掛ける。返事がないと見るや Sさんはドアを開けて中へ飛び込んだ。俺も続いて部屋の中に入る。
1802 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:15:55 ID:VFwjnbSM0 姫はベッドに横たわっていた。顔がいつにも増して蒼白く見える。 俺は姫のベッドに駆け寄った。寝ているだけか、息はしているか。 俺の頬に姫の吐息を感じた、息をしてる。大丈夫、なのか? 「息をしてます。」 「そうね、良かった。」 姫が身じろぎをして眼を開けた。 「あれ、Rさん。Sさんも。私、寝過ごしちゃいましたか?」 「L、あなた何ともない?」 Sさんの顔はまだ緊張したままだ。 「本を読んでいたら急に眠くなって、いつの間にか寝ちゃいました。 でも、何だかすごく良い気分です。」 姫は小さく伸びをして体を起こした。 「とってもお腹がすきました。昨日のケーキ、残ってましたよね。」 俺とSさんは顔を見合わせた。Sさんは一言だけ「どういう事?」と呟いた。 俺とSさんはホットコーヒー、姫はミルクティーと大きく切り分けたケーキ。 お茶の時間を終えて暫くすると、いよいよ俺たちはリビングで臨戦態勢に入った。 姫は未だ眠気が完全に覚めていないのか、時々小さく欠伸をしていたが、 Sさんの指揮の下、皆で「気配」が侵入してくるのを待ち続ける。 意識をコントロールする時間、コントロールを外す時間。ランダムに繰り返す。 ひたすら繰り返し、そしてKが干渉してくるのを待つ。只、じっと待つ。 何度それを繰り返したのか、不意に姫がSさんを人差し指でそっと突付いた。 「さっきから微かに気配を感じます。それに、段々気配が濃くなってる気がします。」 「多分、間違いない。...R君、あと2分経ったらコントロールを外して。」 「了解。」 Sさんが眼を閉じて深呼吸をする。意識を集中し、『力』を貯めているのが分かる。 じりじりと時間が過ぎていく。あと1分30秒、1分、30秒、20秒、10秒。 時計の秒針が直立した瞬間、俺は辺りに漂う気配に注意を向ける。『鍵』を外した。 通い路が開き、イメージが一気に流れ込んで来る。 その時、Sさんが叫んだ。「駄目、『鍵』を掛けて!アイツはもう」 しかし、遅かった。
1803 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:17:33 ID:VFwjnbSM0 そこは暗い部屋の中ではなく、草原の中の小さな公園だった。青い空が眩しい。 目の前に彼女、Kが立っていた。白いワンピースに麦藁帽子、 両手を腰の後ろで組んで、黙って俯いている。 「そうしていると、区別がつかない。君はあの娘と、どんな関係なんだ?」 麦藁帽子を取り、彼女はゆっくりと顔を上げた。真っ直ぐに俺を見つめている。 前回の少女の姿ではなく、成人した大人の女性の姿だ。言葉を失うほど美しい。 「今日も私を、『君』と呼ぶのね?」 「年下の女性は皆、『君』と呼ぶ事にしてる。今日は年上みたいだけど。」 「年上でも年下でも、私はあなたの敵なのよ。」 「この前は済まなかった。つい、逆上した。 でも、それぞれの生まれを選べない以上、敵対するしか無かった。」 「生まれが違っていたら、敵対する事は無かったと言うの?」 「絶対無かったなんて言えない、でも、出来れば君とは敵対したくない。 この前、君の肌に触れ、涙を見た時に、俺はそう思った。君は?」 彼女は傍らのブランコに乗り、もう一度俯いた。ブランコが静かに揺れる。 「何故、私はこんな風に生まれたのかしら?」 「何故、あの娘はあんな風に、生まれたのかしら?」 「何故、あの娘だけが、あなたに守られて、幸せに、なるの、かしら?」 「今の、あの娘の状態は、君が一番良く知っている筈じゃないのか? あの娘だって、長い長い不幸な時間を過ごして」 「止めて!」 「あの娘は、あなたに会えたし、あなたに愛された。 私は、会えなかった。」 「私は、愛され、なかった。 誰にも。」 彼女の激情がチリチリと空気を焼く。しかし、それはあっけなく、弱まっていく。 ああ、そうだったのか。君は。涙が溢れてきた。 「もう、無理しなくて良いよ。今の君に、俺が出来るだけの事をさせてくれ。」
1804 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:19:24 ID:VFwjnbSM0 暗い小さな部屋で、体の半分を血に染めて、彼女は冷たい床の上に横たわっていた。 眼を閉じたまま、もう、呼吸音は途切れ途切れで、左胸から出血が続いている。 これではもう、助かるはずがない。静かに、彼女の傍らに膝をつく。 「こんな状態で、何故、無理をしたんだ?俺たちが罠を仕掛けている事くらい、 君なら予想できた筈なのに。どうして?」 涙が止まらない。 震える右手で彼女の頭を支え、左腕をゆっくり背中に廻して上半身を抱き起こした。 左掌で彼女の胸の傷を押さえ、小さな肩をそっと抱き締める。 彼女は目を開いた。「どうせ、死ぬのなら、あなたに、もう一度だけ、会いたかった。」 「お願いが、あるの。」 「何だ?何でも言ってくれ。」 「寂しい、の。私と、一緒に来て。あの娘の術は、もう、解いた、から。」 「私の事、愛してくれなくても、良い。一緒に来て頂戴、お願い。」
1805 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:21:42 ID:VFwjnbSM0 小さく咳き込んで、彼女は真っ赤な血を少し吐いた。 俺はシャツの袖口で彼女の口元を拭った。おそらくは、深く傷ついた肺からの喀血。 幼くして肉親を殺され、自分は拉致され、自分の生き方を選ぶことも出来ず 術師として生きてきて、年頃の女性らしい楽しみや幸せを感じる事も出来ないまま それでも、凛として「悪趣味な術は使わない」と言い切った、誇り高く美しい人。 そんな人が、俺みたいなさえない男に、こんな事を... 何故、この人は、最後までこんな辛い思いをしなければいけないのか? 分からなかった。どんなに考えても、俺には分からなかった。でも、もう時間が無い。 恐らく、彼女に残された時間はもう極く僅かだ。俺は涙を拭った。 自分の顔に微笑が浮かぶのを感じる。 「分かった。行くよ、一緒に。」 息を呑んで彼女は俺の眼を見詰めた。沈黙の中、静かに時間が過ぎていく。 「馬鹿、ね。本気でそんな事、言うなんて。ちゃんと、あの娘を守って、愛して、あげて。」 彼女が僅かに左手を持ち上げた。その手をしっかりと握る。 ぎゅ、と俺の手を握る彼女の左手に力がこもった。 次の瞬間、景色が元に戻っていた。眩しい青空、草原の中の小さな公園。 彼女は微笑んでいる。「綺麗ね。 こんな場所で、あなたに、出会いたかった。」 俺は彼女の耳に囁いた。「.. ..... ......」 彼女だけのための、言葉。 彼女はゆっくり目を閉じた。目尻から一筋の涙が流れて、 ふっ と左手の力が抜けた。 何時の間にか、俺はリビングのソファに座り、じっと両手を見つめている。 べっとりと俺の両手と左胸を染める真っ赤な血。彼女の血。 「やっぱり、幻視じゃ無かった。」 俺は呆然と呟いた。 「こんな事って。」遠くでSさんの声が聞こえた後、 俺の意識は深い闇に吸い込まれた。
1806 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:24:17 ID:VFwjnbSM0 出会い(下) 了
1807 :出会い(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:25:19 ID:VFwjnbSM0 夢を見ていた。 暗闇の中、誰かが俺の耳元で囁いている。 女性の声だ。 ああ、俺は知っている。 これは、誰の声だったろう。 「ごめんなさい。2人の意識を同調させたままだったから、 あの時、あなたも引き摺られてしまったのね。でも、もう、戻って。 ここはあなたのいるべき所じゃない。あなたを待っている人の所へ、戻って。」 俺を待っている人? ふと、瞼の裏に姫の顔が浮かんだ。 泣き虫のあの娘は、俺を待っていてくれるのだろうか。 いや、待て。 一体、今日は何日だ? 姫の誕生日は? 姫は無事か?
1808 :出会い(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:27:05 ID:VFwjnbSM0 慌てて体を起こすと、俺はベッドの上にいた。 左腕の点滴、真っ白いシーツ。 そして消毒薬の匂い。「病院?」 その時、ドアが開いて何かが落ちた音がした。 床のレジ袋、ペットボトルが回転しながら転がって来る。 「R君!」 病室の入り口にSさんが立っていた。 ベッドの横の椅子に腰を下ろし、Sさんは俺の両手を握った。「良かった。ずっと、待ってた。」 そうだ、思い出した。 Sさんなら、きっと知ってる。 「あの、今日は? Lさんは?」 「大丈夫。確かにKは術を解いてくれていたし、誕生日も無事に過ぎたわ。 とても強い術だから後の手当てが必要だったけど。でも、きっと、もう直ぐ戻れる。」 「それ位ならSさんが。」 Sさんは寂しそうに首を横に振った。「私は、失格だもの。」 「失格?」 「私、あなたを死なせる所だった。あの時、Kが最後にあなたの意識に干渉した時 もう既にKは瀕死の状態で、ただ一途にあなたに会いに来ていたの。 あの干渉にはひとかけらの邪気も無くて、だから私には反撃の方法が無かった。 もし、Kが本当にあなたを連れて行く気だったら、私には止められなかった。 あの時、あなたが連れて行かれていたら、私は。」 一気にそこまで喋るとSさんは黙った。そして俺の両手を握ったまま俯いている。 いつも背筋を伸ばして「うん、良い返事。」と言うSさんらしくないのが、とても哀しかった。 「軍師の作戦を信じたのに、僕は犬死にの、死に損ないですか?」 「え?犬死にって。」 「Sさんを信じて、自分を信じて、僕は必死でした。ただ、Lさんを助けるために。 その為なら死んでも良いと思って頑張ったのに、軍師が自分の作戦を間違ってたと言ったら 作戦を信じて、戦って死んだ兵士はそれこそ犬死にです。 それでもあの作戦が間違っていたと言うんですか。あれが最善の策では無かったと?」 「...あの時の事で、あれ以上の結果は望めなかった。でも、それはあなたが。」 「結果が良かったのなら、作戦が正しかったという事です。作戦が正しかったからこそ 僕は、今ここで生きてます。Sさんのお陰です。失格だなんて、言わないで下さい。」 「ありがとう。でも、『上』に頼んで、暫く休むことにしたの。もう、哀しいだけの戦いは嫌。」 Sさんは何だかとても疲れているように見えた。 俺が昏睡から覚めたのは12月1日だった。月が替わっていて、何か損した気分になった。 担当医からは、俺があの日からずっと昏睡状態で体力はかなり消耗しているが、 意識さえ戻れば特に問題は無いという診断が出ていたそうで、直ぐに退院の許可が下りた。
1809 :出会い(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:28:30 ID:VFwjnbSM0 翌日俺は退院して、Sさんの車でお屋敷に帰った。木々の中にそびえる大きな建物は、 初めて此処に来た時と全く変わっていなかった。それが何だかとても、懐かしかった。 あの白いスポーツカーで俺を迎えに来てくれたSさんは幾らか元気になっていて、 消耗した俺に気を使い、入浴や食事、色々と世話を焼いてくれて有難かった。 その夜、Sさんはベッドの中で一晩中俺に寄り添っていてくれたが 何かの拍子に小さくすすり泣く声が聞こえて、あの時に受けたSさんの心の傷が 癒えるのには、まだまだ長い時間が必要なんだろうなと思った。 きっと『あの人』の最後の姿が、Sさんの考え方を変えつつあるのだろう。 でも、俺にはそれが悪い変化だとは思えなかった。 明け方、Sさんが眠ったままで涙を流した時、 昔、母が歌ってくれた子守唄を口ずさみながら、俺はSさんの髪を撫でた。 この優しい人が、せめて暫くの間でもゆっくり休めると良い。そう思いながら。 翌朝、遅い朝食を食べていると、Sさんが「Lは明日帰れるって。」と教えてくれた。 俺の意識が戻って直ぐに知らせたけれど、誕生日から一週間は様子を見てからでないと 帰れないらしい。「『直接話すと帰りたくなるから電話は繋がないで』って言ってたわ。」 「あの娘らしくて、可愛いわね。」とSさんは笑った。 また少し元気になっていた。 姫がお屋敷に帰ってきたのは、12月3日の午後だった。 車の音に気付いて玄関まで迎えに出ると、 脱いだ靴を揃えて立ち上がり、振り向いた姫と眼が合った。 わずか10日余りの間に見違える程大人っぽくなり、 既に大人の女性としての魅力を漂わせ始めていた。そして、 その姿は否応なく『あの人』の記憶を呼び覚まし、俺の胸は痛んだ。
1810 :出会い(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:29:54 ID:VFwjnbSM0 Sさんが姫の荷物を持ってさっさと奥へ引っ込んでしまったので、 何となく気まずい雰囲気の中、2人、玄関先で見つめ合っていた。 黙っているのに耐えられなくなって、俺が先に声を掛けた。 「お帰りなさい。」 「...ただいま。」 ぎこちない会話だが、それは仕方無い。 「無事に帰って来てくれたんですから、あの時の事で言い訳する必要は無さそうですね。」 「馬鹿っ!」 平手が飛んで来た。左頬が派手な音を立てる。 「痛。」 「『あの人』を、あんなに優しく抱き締めて。」 「私を、置いて行こうとして。」 「『あの人』に、最後はあんな言葉を囁いて。」 「誕生日も、一緒にお祝いしてくれなくて。」 「こんなに長く、私を独りぼっちにして。」 「こんなに、心配させて。」 「ちゃんと...言い訳して下さい。」 姫の大きな目に、涙がいっぱい溜まっていた。 俺は姫を抱き寄せた。姫は俺の首に両腕を廻し、声を殺して泣いている。 小さくしゃくりあげる泣き声が、愛しくて愛しくて堪らなかった。
1811 :出会い(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:31:37 ID:VFwjnbSM0 「あの時、僕に出来た全ての事を誇りに思っています。後悔はありません。 最初から、『あの人』が貴方の術を解いてくれるなら、何でもすると決めていました。 『あの人』の姿と言葉に心が動きましたが、それを疚しい事だとは少しも思いません。 僕はそうするべきだったし、心からそうしたいと思っていましたから。 そして、貴方が『一番好き』だからこそ、あの時、僕にそれが出来たと思っています。」 姫は両腕を離して真っ直ぐに俺を見つめた。涙に濡れた、澄み切った綺麗な瞳。 その瞳は今、俺の心の中を見ている。じぃん、と、俺と姫の心の一部が重なる。 「本当に私が『一番好き』ですか?」 「はい、貴方が一番好きです。」 「私を置いて行きませんか?」 「はい、何処にも行きません。」 「ごめんなさい、私、Rさんの...信じるって...」 また、姫の目から大粒の涙が溢れてきた。 「謝る必要なんてありません。」俺はもう一度姫をしっかり抱きしめた。 「僕の心を覗いても、貴方が悲しむ事は無いと言った筈です。言ったとおりでしょ?」 姫は俺の左肩に顔を埋めたまま何度も何度も頷いた。 温かく、柔らかな感触。もうこの人と離れる事は無い、そんな予感がした。
1812 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/07(金) 06:36:03 ID:VFwjnbSM0 出会い 完 長文の投稿は初めてで細かいミスもありましたが 知人との約束を果たせて良かったです。失礼いたしました。
1813 :名無しさん :2012/12/08(土) 00:46:42 ID:Qg5CNUUI0 >>1812 初めての投稿らしいのに長文乙。 読みごたえあったよ。 出来ればその後の彼らの事をまた投下してほしいな。 知人によろしく。
1814 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 03:45:17 ID:mWThYEu20 >>1813 ありがとうございます。 「その後」の話も預かっているので また此所で投稿出来れば良いなと思っています。
1815 :旅路(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 15:01:37 ID:mWThYEu20 「あの、次の週末位にはアパートに戻ろうと思っているんですけど。」 金曜日の夜。姫が寝た後、リビングでSさんとハイボールを飲みながら俺は切り出した。 姫の誕生日を無事に乗り越え、平穏な日々が戻ってきたのだし、 いつまでもお屋敷に居候させて貰う訳にもいかない。 昏睡している間に減った体重もほとんど元に戻って、体調も充分に回復している。 Lさん、Sさんと離れるのは正直寂しいが、もうそろそろ、と思ったのだ。 軽で飛ばせば一時間もかからない距離、そう、自分に言い聞かせる。 「Lが寂しがるわよ?あの娘、最近君がいつここを出るって言い出すか心配で 少し情緒不安定になってる。君にも分かるでしょ?」 「それは分かりますが、いつまでもここに居候させて貰う訳にもいかないので。」 Sさんが俯いてグラスを揺らした。細い綺麗な指、リビングに澄んだ音が響く。 「ねえR君、君、此所に住まない?私もLも、君を居候じゃなくて家族だと思ってる。 君がずっと此所に住んでくれる方が絶対Lには良いし、私も嬉しいわ。」 「でも、僕は今家賃も食費も」 「だ・か・ら、そんな事気にしないで!家族なら家賃も食費も要らないでしょ。 第一、Lの事ではどれだけお礼をしても足りないくらいなのに 家賃や食費なんて貰ったらそれこそ天罰が下るわよ。ね、そうして頂戴。」 「あの、じゃ取り敢えず新しいバイトが見つかるまではここに置いて貰うと言う事で。」 Sさんは悪戯っぽく笑った。「実はね、君のアパート、11月末で解約済みなの。 『Rの姉ですけど、Rは体調崩して暫く入院するから』って言ったら簡単だったわよ。 別に嘘ついた訳じゃないし、君の印鑑や委任状持って行ったせいもあるとは思うけど。 アパートに残ってた荷物も全部倉庫に運んであるわ。」 「...じゃ、僕は今、ここ以外に住む場所が無いって事ですか?」 「君の実家には住めるでしょうけど、かなり遠いでしょ?」 「ちょっと強引な気がしますが。」 「もう、ごちゃごちゃ言わないの。それとも何、此所の暮らしに不満でもあるの?」 「いえ、是非此所に住ませて下さい。お願いします。」 「うん、良い返事。」 Sさんはにっこり笑って俺の頭を撫でた。
1816 :旅路(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 15:03:15 ID:mWThYEu20 そんな訳で俺は正式にお屋敷の一員としての生活を始めた。 今から大学へ戻っても留年は決まっているので大学へは戻らず、 街で新しいバイトを探したり、Sさんから術の基本を教えてもらって修行したり、 もちろん姫と2人で出かける事もあって、とても楽しく充実した日々を過ごしていた。 充実した日々が過ぎるのは速い。あっというまに年の瀬となり、大晦日を迎えた。 皆で夕食後のコーヒーを飲んでいると、姫が『初詣に行ってみたい』と言い出した。 TVのニュースで初詣や出店を取り上げているコーナーを見て興味を持ったらしい。 俺は陰陽道と神社がどう関わるのか判らないので黙っていたが、Sさんは乗り気だった。 「少し遠いけど○▲神社なら特に障りも無いし、結構賑やかだから良いんじゃない?」 「そこが良いです。みんなで行きましょう、ね。」姫は遠足前日の子供のようだ。 「明日は元旦の祀りがあるけど、その後でならOK。R君、運転お願いね。 それから、元旦の祀りに君も参加してもらいたいの。時間は朝6時、正装で。」 「はい。」 Sさんの言葉で明日の予定がぴしりと決まった。 翌日の夜明け前、俺は荷物の中から大学の入学式に着たスーツを引っ張り出した。 欠伸をしながらネクタイを締め終わり、身なりを確認していると姫が呼びにきてくれた。 目が覚めるような真白の着物と袴姿で、髪を結い上げた姿はまるで巫女さんのようだ。 いつものふわっとした感じとは全然違って、きりっと凛々しい。思わず見惚れてしまう。 「あの、似合いませんか?」 「いや、あんまり似合ってるのでビックリしちゃって。」 慌てて言い訳した後、姫に確認した。「僕の方こそ、このスーツで大丈夫ですか?」 「大丈夫です。じゃ、行きましょう。」案内されたのはお屋敷の図書室だった。 図書室の奥には扉があり、いつ見ても閉じていたが、今日は開いている。 姫はためらわずにその扉の中へ入っていく。俺も後に続いた。
1817 :旅路(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 15:04:47 ID:mWThYEu20 扉の中へ入って驚いた。 そこはお屋敷の雰囲気とは似ても似つかぬ畳貼りの広大な和室で 部屋の奥には一段高くなった板張りの部分があり、竹(笹?)と注連縄(?)で 小さな祭壇が組み上げられていた。祭壇の真ん中には小さな炎が見える。 祭壇の横にはSさんが座っていた。Sさんも姫と同じ白い着物と袴姿だ。 ただでも隙のない人だが、今日は更に厳粛な雰囲気で、巫女さんというより女神様のようだ。 姫に促され、祭壇の前に姫と並んで正座する。脚が持つといいんだけど。 Sさんが立ち上がり、祭壇と俺たちに一礼した後、祝詞を奏上(?)した。 意味は分からないが、澄んだ声を聴いているうちに心が洗われ身が引き締まる気がする。 祝詞が終わり、Sさんはもう一度祭壇に一礼して膝を付き三方を捧げ持った。 膝立ちで俺たちの前に進み、まず姫に三方を差し出す。 「私と同じように、人型は私の取るものとは別のものを。」姫が小声で教えてくれる。 三方の上には白い紙人形が2体載っている。『身代わり』と同じ形だ。 姫は手をついて一礼し、そのうちの一体を取ってある動作をして三方に戻した。さらに一礼。 俺も見よう見まねで姫のとは別の人型をとって同じ動作をした。人型を三方に戻して一礼。 Sさんが祭壇に向き直り、小さな声で呪文のような言葉を唱えながら人型を炎の中へ入れる。 二枚目の人型を入れた時、思いの外炎が大きく燃え上がって部屋の壁が赤く染まった。 次の瞬間、火のついた小さな紙片が舞い上がり、俺のすぐ前に落ちて燃え尽きた。 Sさんは舞い上がった紙片に一瞬鋭い視線を向けたが、その後は まるで何事も無かったように袱紗で灰を拭き取って俺たちに一礼した。 「退出します。」また姫が小声で教えてくれる。 どうやら脚はもってくれたようだ。手をついて祭壇に一礼し、部屋を出た。 「あとは私たちだけの仕事です。部屋に戻って待っていて下さい。」 図書室から出る時、和室に戻る姫の横顔が緊張していたのが気になった。
1818 :旅路(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 15:05:44 ID:mWThYEu20 部屋に戻って待っていると一時間程で姫が呼びに来てくれた。 「朝食です。」もう既に洋服に着替えていて特に変わった様子もない。 ダイニングのテーブルにはお雑煮の椀が並んでいた。それと立派な重箱のお節料理。 「今年は3人分だし、男の人もいるから大きい重箱を使ってみたの。」Sさんが笑う。 「Sさんのお節、美味しいんですよ。」 「お節料理も作れるんですか?」 「ちょっと手抜きしてるけど、一応はね。手作りの方が美味しいし。」 一体何時作ったのか? 年末、そんな様子は見えなかったが、本当に底の知れない人だ。 「初詣、朝はかなり混むと思うから少し落ち着いた頃、 そうね、昼ご飯が済んだら出かけましょうか。あ、そうだ。これ、お年玉。」 「ありがとうございます。」 「え、僕も貰って良いんですか?」 「Rさんはまだ社会人じゃないから貰えるんですよ。一緒に買い物出来ますね。」 姫は本当に楽しそうだった。
1819 :旅路(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 15:06:54 ID:mWThYEu20 2時間ほど車を走らせて○▲神社に着いた。やはりかなりの人出で、 俺たちは案内の人の指示に従い、神社から少し離れた空き地の臨時駐車場に車を止めた。 2人がお洒落をしていたので、窮屈だが俺もスーツを着ている。 車を降り、神社への道を3人並んで歩いているとSさんが言った。 「私たち、家族に見えるかしらね。」 「ふふ、じゃ私は末の妹ってことで。」 「私は長女、R君は真ん中ね。」 「何か、出来の悪いのが一人混じってて申し訳ないです。」 『そんなことはない』と2人は笑って否定してくれたが、俺みたいにさえない男が モデルもまっ青の美人と一緒に歩くのは正直気が引ける。しかも今日は美人が2人だ。 公平に見て、とても3人が家族には見えないだろう。 芸能人2人とさえないマネージャーならありそうかも、考えているうちに神社に着いた。 列に並んで初詣の順番を待つ。案の定、彼方此方から2人に視線が集まる。 中には彼女連れなのに呆然と2人に見とれ、彼女に肘打ちをくらった青年もいた。 『無理もないよな』と青年に内心で同情していると、ふと、嫌な視線を感じた。 それとなく視線の方向を窺うと、明らかにソッチ系の若い男が下卑た笑いを浮かべている。 Sさんに話した方が良いか考えながら、もう一度様子を窺うと男の姿は無かった。 順番が来たので3人で賽銭を投げ、初詣をした。初詣の後は境内の出店を見てまわる。 姫はとにかく食べ物を買いたがり、Sさんが止めるのも聞かずに焼きそばや焼き鳥、 お団子や今川焼きなどを大量に買い込み、仕上げに豚汁まで注文して 嬉しそうに出店の横のテーブルについた。「早く食べましょう。」 昼食からそれ程間が無い。食べきれない分が回ってくるのは目に見えていたので 俺がホットコーヒーだけを買おうとすると、Sさんが「帰りは私が運転するから。」と言って 生ビール(大)を買ってくれた。姫が気前よく買い物をしたので店のおばさんも機嫌が良い。 姫の前に豚汁を置きながら「姉弟仲が良くて結構ですね。」などとお世辞を言う。 結局焼きそばと豚汁の半分以上は俺が食べ、お団子と今川焼きはSさんが手伝って 何とか完食した。「もうお腹が一杯で動けません。」姫はぐったりしている。 「初めてだからはしゃぐのも分かるけど、これに懲りて買い物はほどほどにしてよ。」 姫は「は〜い。」と返事はしたものの、特にしょげた様子はなかった。
1820 :旅路(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 15:08:12 ID:mWThYEu20 これから能が奉納されるという話だったが、それを見てからでは帰りが遅くなるので 大きな風船や何かを欲しがる姫をたしなめながら、来た道を逆に辿って駐車場に戻った。 駐車場の出入り口には大きく『満車』の表示が出してあり、案内の人もいなくなっている。 もう日暮れが近く、仮設の照明だけの臨時駐車場は既にかなり薄暗い。 車を停めた場所に向かおうとした時、背後から声をかけられた。 「よお、仲が良くてうらやましいな。綺麗なおねーちゃん2人、俺たちにも貸してくれよ。なあ。」 振り向くと若い男が2人立っていた。その後ろにスーッと黒い車が停まり、もう1人降りてくる。 参拝の列に並んでいた時に見た男だ。迂闊だった。消えたのではなく仲間を呼んできたのか。 2人に目をつけてずっとチャンスを待っていたのだろう。Sさんに話しておくべきだった。 3人相手じゃまず勝ち目はない。能の時間が近いせいか、あいにく周りには人影も無い。 「見ての通り、これから帰る所なんだ。悪いな。」言いながらそれとなく相手の様子を窺う。 「このまま帰れる訳無いだろ。舐めてんのか、え?」最初に声を掛けた男が凄む。 最後に車から降りた男は運転手だから一番下っ端だろう。 だとすれば、最初からずっと黙っているもう一人が多分コイツ等の頭だ。 まずこの男を狙い、相手が混乱してくれたらSさんが姫を誘導して逃げられるかも。 「舐めてなんかいないよ。ヒビってるんだ。」言いながら一歩前に出ようとすると Sさんが俺の左手を掴んで止めた。小声で囁く。「待って。」
1821 :旅路(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 15:09:23 ID:mWThYEu20 俺の右側からすうっと前に出たのは姫だった。後ろ姿に違和感がある、何か変だ。 女の子の方から無造作に近寄ってきたので3人は呆気にとられている。 そこに姫がちょこんと頭を下げて声を掛けた。「こんにちは。良いお正月ですね。」 驚いた。確かに姫の声だが、その声に川のせせらぎのような、 木々の葉が風にざわめくような、そんな不思議な響きが重なって聞こえてくる。 こんな声は生身の人間には出せない。全身がザワザワと総毛立った。 姫は男達の車を指さして続けた。「あの車のそばに蝶々が飛んでますよ、見えますか?」 男達が一斉に振り返る。「ほら、金色に光る蝶々、綺麗でしょ。」 姫の言葉が空気を震わせる。軽い目眩の後、俺にも蝶が見えた。 掌ほどもある金色の蝶が数匹、男達の車の運転席の辺りを飛んでいる。 正月に蝶?いったい何処から現れたのか、まるで手品のようだ。 「これ以上は駄目、耳を塞いでて。」Sさんが俺の正面にまわり 両手で俺の耳を覆ってくれた。Sさんの手にギュッと力が入る。 すぐ後に姫が何か言ったのは聞こえたが、何を言ったかは聞き取れない。 その途端、3人の男が次々に膝をついたかと思うと、そのまま地面に横になってしまった。 一番手前の男は呆けた顔で開いた口から涎を流している。
1822 :旅路(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 15:10:55 ID:mWThYEu20 「早く、誰かに見られたらまずいから。」Sさんが囁き、姫が足早に戻ってくる。 素早く車に戻り、姫と俺が後部座席に乗り込むと、Sさんが直ぐに車を発進させた。 男達の車とは反対方向の出入り口から駐車場を出て一般道に戻る。 「折角の初詣なのに、最後でとんだ邪魔が入ったわね。」Sさんはくすくす笑っている。 「あの、あれも『術』なんですか?」 「そう、とても古い術よ。元々は神懸かりした依代が神託を告げる時に稀に見られる現象で、 それを基にして開発された術だって聞いてるわ。でも体質依存が特に強い術だから、 あれほどの完成度で使いこなせるのはL以外に3人もいないはず。私も得意じゃないし。」 「Sさんに任せると絶対に度を過ぎてRさんには刺激が強いと思ったので 今日は私が担当しました。お目出度いお正月ですから、お仕置きはごく軽めで。」 いやあれでも十分刺激は強いです。Sさんならあれ以上って一体どんだけ? 「アイツ等、私たちが此所に着いて参道を歩いてる時から嫌らしい目付きでこっち見てたの。 お正月だから大目に見ようかと思ったけど、実際に手を出してきたら、 やっぱりお灸を据えてやらないとね。多分30分もすれば眼が覚めるでしょ。」 俺は姫にそっと尋ねた。「最後に何て言ったんですか?」 姫が俺の右耳に囁いた。 「『お花畑の中で、蝶々見ながら寝てなさい』って、それなら皆、怖くないですよね。」 大の男が3人、女の子一人相手に何も出来ずに昏倒したという点こそが 今後あの男達のトラウマになるのはまず間違いないだろう。それならば 幻視の内容が怖いかどうかは関係ないのではないかと思ったが、反論は止めた。 姫やSさんではなく、悪意を持った男達のほうに非があるのは間違いない。 姫はただ、相応の反撃をしたというだけだ。しかも姫なりに手加減までして。 それにしても、ただその声だけで、自在に幻視を見せるなんて。 あまりに怖ろしい能力だ。 それは当然何の道具も使わず、声の届く範囲の相手全てに たった一人の術者で対応できることを意味している。 もし、放送機器を使ってあの声を流しても効力が同じだとしたら... その能力ごと姫の体を欲しがる者共が現れるのも仕方ない。 そして、姫のあの能力ですら俺の常識の遙か彼方だというのに、 あれを直接聞いて何故Sさんは何ともないのか? そして姫の力ですら「その一部」でしかない力を持っていた姫の母親とは一体? この眼で見たとはいえ、あまりに想像外の出来事。 俺は混乱して気持ちを整理出来ずにいた。
1823 :旅路(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 15:12:47 ID:mWThYEu20 その後Sさんは運転しながら何か考え込んでいる様子でほとんど喋らなかった。 姫は俺の右肩に寄りかかり、すやすやと穏やかな寝息を立てている。可愛い寝顔だ。 窓の外を流れる光の河を見ている内に、俺もいつの間にか寝てしまっていた。 旅路(上) 了
1824 :名無しさん :2012/12/09(日) 17:18:39 ID:iVUeBz9k0 久しぶりに読み応えのある投下だった。お疲れ様 ここに投稿するように助言してくれた知人に感謝。またお願いします
1825 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 21:38:00 ID:mWThYEu20 >>1824 ありがとうございます。 次を期待していただくと気合いが入ります。 引き続き「旅路(中)」を投稿させて頂きます。 楽しんでもらえたら良いのですが。
1826 :旅路(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 21:40:29 ID:mWThYEu20 1月3日の夜。夕食の後片付けを終え、いつものようにリビングに移動した。 まだお節料理が中心なので後片付けは楽だ。第一、少し前まで皿洗いは本職だったし。 夕食後のお茶の時間、いつもより豪華なケーキが出てきたので不思議に思っていると 姫が教えてくれた。「ふふふ、実はね、今日はSさんの誕生日なんですよ。」 「え、おめでとうございます。」 「ありがと、26才にもなってって気もするけどね。」 「前もって知っていたらプレゼントを御用意致しましたのに。」 「あら、プレゼントは後でも受け取るわよ。」 Sさんはいたずらっぽい笑顔で俺を見た。 「じゃ、何が良いか考えておきます。」 横から姫が俺をつつくので振り向くと、少し不満そうな顔をして俺を見ている。 「分かりました。Lさんの分も考えます。もう一月以上遅れちゃいましたけど。」 姫は満足そうに頷いた。可愛い娘だ。 「でも、今こうして3人でお正月を一緒に過ごしてるのが何だか不思議な感じね。 あの時は年末年始の事なんて考える余裕も無かったのに。Lが無事で本当に良かった。」 「一番良い思いをさせてもらってるのは僕ですよ。まるで夢のような生活です。」 「Rさんは4月から大学に戻るんですか?」 「10月から戻るつもりです。それまではバイトして、大学は一応卒業しておこうかと。」 「Lも4月から高校、行きたいんでしょ?」 え、姫が高校へ?思わず姫を見る。 「行きたいっていうより、集団生活も経験しておかないと将来少し困るかな?と思って。 それでSさんに頼んだんです。Rさんが大学に戻ったら一日中一緒にはいられないし、 丁度良い機会だから。でもRさんが10月からなら、私も10月からにしようかな。」 俺はSさんに確認した。「あの、Lさんは中学校には行ってないんですよね。」 また、Sさんはいたずらっぽい笑顔になった。「『中学を卒業して高校に入学したけれど 家庭の事情で転校』って事にするの。一族の中には学校を経営してる人もいるし 大して難しくないと思う。」 そうだ、この一族の「社会的な影響力」をすっかり忘れていた。 「でもL、折角自分で考えて決めたんだから、ちゃんと4月から高校に行きなさいよ。」 「は〜い。」 でも姫は少し不満そうだ。 「Lさんが4月で僕が10月なら、半年間は僕がLさんを毎日送り迎えできますよ。」 「あ、それが良いです。4月からにします。」 本当に可愛い娘だ。
1827 :旅路(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 21:43:15 ID:mWThYEu20 ふっ、と会話がとぎれたあと、コーヒーを一気に飲み干してSさんが言った。 「私も今日で26才になったし、色々考えて決めた事があるの。」 姫は無言のまま優しい笑顔でSさんを見ている。何の話か知っているんだろうか。 だとすれば、ここは俺の役割かと思ったのでSさんに尋ねた。「あの、どんな事ですか?」 「子供をね、産もうと思って。」 「え?」 一瞬、何が何だか判らなくなった。 思わず聞き返す。「ええと、だ、誰の...」 Sさんは少し眉をひそめて答えた。「R君に決まってるでしょ。何言ってるの。」 その言葉を聞いて俺の頭の中は完全に真っ白になった。「あの、何で。何で僕の?」 「『何で?』って...R君、君ね、良い加減にしないと怒るわよ。」 Sさんの眉間に小さな皺が浮かんでいた。もう既に怒ってる。待って、少し時間を。 「あのう、RさんはSさんが好きで、SさんもRさんが好きで、それで2人は 同じ屋根の下で暮らしてるんですよ。子供が出来ても何の不思議も無いです。 Rさんは何故そんなに慌ててるんですか?変なの。」 姫、GJ!ナイスフォロー。 「ああ、いや、Sさんがあまりにも綺麗な人で、器も大きくて。強い力も持ってるし。 いや、確かに僕は凄く大事にして貰ってましたけど、まさか『子供が欲しい』と言われるような そんな感情からではないんだろうなと、そう思ってて。そう、誤解です、誤解してたんです。 だってSさんみたいに素敵な女性なら、凄い許嫁とか居そうですよ。一族の人に。」 「ふうん、私、許嫁がいるのに別の男と一晩過ごすような女だと思われてたのかしら?」 「いや、だから、それはLさんの事があって仕方なく、と。あ。」...しまった自爆したか? 「あの時、『君が好きよ』って言った筈だけど。まあ、良いわ。で、誤解は解けたんでしょ? それじゃこの件に関して、改めて君の意見を聞かせて頂戴。」 「Sさんに、そんな風に想ってもらってたと判って嬉しいし、その、とても光栄だと思います。」 「うん、良い返事。最初からそういう返事が聞きたかったわね、女としては。」 「済みません。」俺はそれとなく額の汗を拭った。
1828 :旅路(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 21:45:57 ID:mWThYEu20 「一件落着ですね。私も二人の事、応援します。」 !!姫、それは一体どういう? 「この件を決める前に、Lにも相談したの。Lが嫌だと言うならあきらめるつもりだった。 一応説明しておくけど、私達のしきたりには千年前と変わってないことも沢山あるの。 だから結婚の形式も一夫一婦制とは限らない。もちろん今の日本の法律に則って 婚姻届けを出す場合もあるけど、通い婚の方が多い。一夫多妻も時々ある。」 「私もRさんが大好きだから、大人になったらRさんの子供を産みたいと思う筈です。 だからSさんの気持ちは凄く良く分かるし、応援したい気持ちで一杯です。それにRさんが Sさんの事も私の事も、真剣な気持ちで凄く大事にしてくれているのが分かりますから。」 「L、ありがと。」 Sさんは右手の中指で目尻の涙を拭った。 「R君、そういう訳だから。私が妊娠するまでは、当分の間、私の部屋で寝て貰います。」 あの、それは一体いつから?と尋ねようとしたら、姫がいきなり手を叩いた。 「そうだ、それを誕生日のプレゼントにしたら良いんじゃないですか?」眼が輝いている。 「さすがL、良い考えだわ。最高のプレゼントね。」 今夜から、と、それで決定した。
1829 :旅路(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 21:48:59 ID:mWThYEu20 Sさんの部屋のドアをノックする。「どうぞ。」 Sさんはベッドで本を読んでいた。 俺はベッドの向かい側にあるソファに座った。「2つ、質問があります。」 「Lの前では出来ない質問ね?」 「そうです。」 「できるだけ真剣に答えます。」 「もしSさんが妊娠して子供が生まれたら、その子は、その、一族の一員として術師に?」 「...やっぱりね。君は優しいから、絶対その質問をすると思ってた。」Sさんは本を閉じた。 「一族の中でも術師になるのは少数、術師になるかどうかは持って生まれた能力次第。 でも君が聞きたいのはそんな一般論じゃないんでしょ?」 「それは、何しろSさん、いや○△姫様の子供ですから。」 「そうね。でも考慮すべき要因は私だけじゃない。」 「え、それはどういう?」 「まだ自分じゃ全然自覚してないけど、あなたは相当な資質を持ってる。 私が今まで何度も言ったでしょ?今、調べてもらってるけど、多分君のお母様は 私達の一族と血縁があると思う。」 「え、でも、俺は全くの零感で。その方面は全く。」 「あなた、自分の事をさえない男だと思ってるみたいだけど、それ、多分違うから。 私ね、Lの件で君の行動や言動を見ていて思ったの。 君はLを救うために、そして私やKのために、ある存在から遣わされたんだと。 それは、あまねく魂を悪しき縁から解き放ち、良き縁を結ぼうとする力。」 「その力が、『良き理』なんですか?」 「あなた、何故?」 Sさんは息を呑み、次いで溜息をついた「それも管から?」 「はい、とても大事な言葉だろうと思ったので覚えていました。」 「心臓が止まるかと思った。でも今後は、直接その言葉を遣うのはなるべく避けてね。 それは仮の名だけど、それですら生身の人間には言霊が強過ぎるから。」 「判りました。肝に銘じます。」 「多分あなたはLを救う任務を帯びていて、その時が来るまで『隠されていた』んだと思う。 去年の5月、君がLに出会った時点で君に彼女が居たら、 間違いなくLはあなたに模擬恋愛の相手を頼まずに自分の気持ちを殺した筈。 結果、術は完成していたかも。つまり、今のLはいなかったかも知れない。」
1830 :旅路(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 21:52:28 ID:mWThYEu20 「あなたのお母様が私たちと血縁があって、あなたの資質が私の予想通りだとしたら あなたと私の子が能力を持って生まれる可能性は高い。そして、もし女の子なら、 その可能性は更に高まる。」 Sさんは一度眼を伏せた後、真っ直ぐに俺を見つめた。 「これが正直な答。どう?やっぱり断る?今ならまだ間に合うけど。」 「いいえ、僕にとって大事なのはSさんが正直に答えてくれるかどうかだけでしたから。 どんな人間も、持って生まれたものと向き合う人生以外あり得ない。なら、幸せになる方法を 僕とSさんがその子に教えてあげれば良いんです。僕は少し頼りないかも知れないけど Sさんが母親だから絶対に大丈夫。保証付きです。断る理由なんか有りません。」 俺はベッドに潜り込んでSさんを抱きしめた。 Sさんも俺を抱きしめて温かいキスをしてくれた後、いたずらっぽく微笑んだ。 「面倒くさいから、もう一つの質問にも答えます。今の日本の法律上、生まれてくる子の 立場は非嫡出子、いわゆる私生児ね。そして私はシングルマザーの仲間入り。」 俺は思わず体を起こした。「『私生児』って、『シングルマザー』って、そんな...」 「あら、じゃ私を『内縁の妻』にして子供を認知してくれる? それなら法律的にはほとんど不利な事は無くなるんだけど。私にも、子供にもね。 「Sさんは、それで良いんですか?『内縁の妻』で。他にもっと良い方法が。」 「今の日本では重婚は禁止されてるし、『法律上の妻』の座はLの予約席でしょ。 私は『内縁の妻』で満足。もともと法律上の立場なんて私には全然関係ないんだし。」 そうなのだ。この人は法の保護など必要としていない。自分で自分を守る力を持っている。 だから誰にも頼る必要は無い。つまり、真の自由だ。 その人が俺をこんなに想ってくれている。胸の奥が熱くなった 「分かりました。『内縁の妻』になって下さい。」 「変なプロポーズね。でも、謹んでお受け致します。」 「ありがとうございます。」 Sさんはもう一度俺を優しく、でもしっかりと抱きしめた。 「じゃ、私も妻の義務を果たさなきゃね。」 「え?」 「夫を支えて家庭を守るのは妻の義務でしょ。だから、もうバイト探すのは止めて。 お金の心配はいらないから、しっかり大学で勉強して早く卒業して。ね、お願い。」 「ええと、それは普通『内縁の夫』じゃなくて『ヒモ』って言いませんか?」 「馬鹿ね。人聞きの悪い事言わないの。」
1831 :旅路(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 21:54:52 ID:mWThYEu20 翌日、俺は姫を誘ってドライブに出かけた。いつもより姫の口数は少なかったが それ以外に変わった様子は何もなく、特に機嫌が悪いようではなかった。 初めて2人で出かけたあの海岸近くの駐車場で、並んで波を見ながら姫が口を開いた。 「私、本当にSさんには感謝してるんです。」 「え?」 「私、Sさんにずっと育ててもらって、勉強も術の事も、それに人間として 女の子として生きていくのに必要な事も、沢山教えて貰いました。 それにね、今もSさんのお陰で私は幸せです。だって、Sさんと一緒に過ごした分だけ、 Rさんは私を大事にしてくれますから。」 姫は俺を見て微笑んだ。 「今日もそうですよね?昨夜Sさんと一緒だったから気を遣って。」 図、図星です。 「私、『家族』って良く判らないんです。いいえ、良く判りませんでした。」 姫は以前俺に話した事がある。『父の顔も母の顔も憶えていない』と。 「でもSさんに会って、Rさんに会って。一緒に暮らしている内に、これが『家族』なのかなって とても暖かい気持ちになりました。だから私、今の『家族』を守りたいと思っています。」 「だけど、とても悲しいけれど、もし私が大人になって、Rさんの子供を産んだ時に、 私がその子を可愛いと思えるかどうか、正直自信がありません。だから怖いんです。」 そうだったのか。確かにあの時、Sさんは言った。『色々考えて決めた』と。 Sさんは、自分自身が妊娠・出産して、その子を育てる過程を姫に見せる事で、 親になる、家族を守る、その行動の意味を姫に教えるつもりなのだ。 「大丈夫。怖い事なんかありません。Lさんはきっと良いお嫁さんになれます。」 「そうでしょうか?」 「そう、そしてもちろん、とても良いお母さんになれます。」 「何故ですか?」 「だって、僕にとっての『良いお嫁さん』も、いつか生まれる僕たちの子供にとっての 『良いお母さん』も、今のLさんそのものだから。Lさんは今と何も変わらなくて良いんです。」 姫は俺の右肩に頭を預けて、小さな声で言った。 「まだ生まれていない子供と意志の疎通が出来るんですか? 私にもそれが出来たら何も怖くないのに。」 俺はそっと姫を抱きしめた。いや、出来れば姫の心を抱きしめて安心させたかった。 「30秒位前には確かに出来たと思ったんですが、もしかしたら錯覚かもしれません。」 姫は声を立てて笑い、俺も笑った。 ただ、Sさんへの質問が1つ増えた。
1832 :旅路(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 21:56:16 ID:mWThYEu20 ドライブから帰ると、お屋敷の庭のガレージに赤い車が止まっていた。 雑誌で見覚えがある。確かイギリスのメーカーの2人乗りスポーツカーだ。 そうだ、ロータスエリーゼ。Sさんの知人が尋ねて来たのかと思ったが、来客の気配はない。 夕食時にその話題が出ると、Sさんは嬉しそうに言った。 「ああ、あれ格好良いでしょ。前から欲しかったし、今日みたいな時は必要だから。」 「買ったんですか?そんな、マセラティがあるのに。それに僕の軽も。」そこで気が付いた。 僕が先輩から譲って貰った軽が庭に無い。いや、無かった。 「そういえば、僕の軽が。」 「あれ、来月車検切れだったでしょ。 あの状態でもう一度車検通すなんて考えられないから廃車にしたの。」 「...スポーツカー2台揃えてどうするんです。もし子供が生まれたら 2人乗りより大きな車の方が必要になりませんか?5人乗りのワゴンとか。」 「それも考えてるけど、そっちは今すぐ必要って訳じゃないでしょ。」 「私もあの車に乗ってみたいな。きれいな色ですよね。」 「じゃ、明日乗せてあげる。あ、でもそれじゃR君はおいてけぼりね。」 この2人があんなスボーツカーでドライブしたら、さぞかしあの車が引き立つだろう。 このお屋敷をバックに写真を撮ったら、きっと車専門誌のグラビアみたいだ。 それならSさんは車内でハンドルを握り、姫は車の傍に立ってもらう。 もちろん姫はあの白いワンピースと麦藁帽子で。うん、萌える。むしろ萌え全開だ。 『じゃ、出掛ける前に写真を撮らせて下さい』そう言おうとした途端、Sさんが言った。 「それとね。みんなで旅行に行こうと思ってるの。ケアンズに。」 「じゃえ?」不意をつかれて変な声が出てしまった。姫がくすくす笑っている。
1833 :旅路(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/09(日) 22:05:35 ID:mWThYEu20 「あの、ケアンズってオーストラリアですよね。海外旅行ですか?」 「そう、向こうは今夏の真っ盛り。マリンスポーツとか楽しそうでしょ?」 「私、綺麗な海で泳いでみたいな。あ、水着買わなきゃいけませんね。」 Sさんの場合、『こう思ってる』=『こう決めた』だから、旅行自体はおそらく決定事項だ。 でも、一応理由を聞いてみた。「何故、急に旅行に行く事にしたんですか?」 「Lが高校に通うようになってあなたが大学に戻ったら、しばらく旅行なんかできないでしょ。」 「夏休みでも良かったのでは?」 「それまでには妊娠の予定ですから。」 成る程、確かに。 「それにきっと良い記念になりますよ、新婚旅行みたいで。」言ってから姫が顔を曇らせた。 「あ、私、一緒に行って良いんですか。邪魔になるんじゃ。」 「そんな事気にしないで良いの。新婚旅行だなんて。」とは言うものの Sさんは満更でも無さそうだ。Sさんは機嫌が良い時、口数が多くなる。 「向こうに私の知人が勤めてるホテルがあるの。すごく良い所よ。 綺麗なビーチがすぐ近くにあるし、レストランの料理も美味しいし。 その人にちょっと頼まれてる事もあるから、丁度良いと思って。」 「ビーチが近いって最高ですよね。水着、今でも買えますか?」 そう、今日は1月4日だ。 「水着は向こうのお店でも買えるけど。それよりR君はパスポート持ってる?」 「持ってません。」 「Lも持ってないからすぐに手続きしなきゃね。」 「あのう。」 「何?」 「『頼まれてる事』っていうのが何となく気になるんですが。」 「ああ、そのホテル、『出る』みたいなの。それで変な噂が広まって客足が減ると困るから 調べて欲しいって頼まれた訳。それで出来ればどうにかして欲しいって。」 「『出る』って、心霊系の何かが、ですか?」 「そうよ。」 「それで、わざわざその何かが『出る』ホテルに泊まるんですか?」 Sさんは真面目な顔になった。「わざわざって、この方面が私の本業だもの。」 そうだった。すっかり忘れていた。この人は陰陽師なのだ。 古来から常人の理解を超えた現象が実在し、それらに対処してきたのが陰陽師だとしたら、 これは確かに陰陽師の仕事だ。姫が動じないのはこの手の依頼に慣れているからだろう。 「僕にも何か手伝える事がありますか?」 「そうね、力仕事もあるかもしれないし、そう言ってもらえると心強いわ。ありがと。」 Sさんは優しく微笑んで俺の頭を撫でてくれた。 そして一週間後の1月11日、俺たちは機上の人となった。 旅路(中) 了
1834 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 18:48:50 ID:U6CtdlpE0 成田空港から夜9時過ぎの便に乗り、所要時間は約8時間。 夜間のフライトなのでさっさと寝てしまう客も多い。 姫もCAさんからもらったタオルケットにくるまって早々に寝てしまった。 俺はワインを飲みながらSさんと小声で話したりしていたが いつの間にか寝てしまい、目が覚めた時には既にケアンズ空港に到着していた。 オーストラリアとの時差が約一時間あるので到着は現地時間の6時過ぎになる。 腕時計の針を空港ロビー内のデジタル表示に合わせた。6時32分だ。 最近良く見かける電波時計ならこんな手間は無いのだろうか。変な事が気になる。 窓の外は薄暗く、大雨が降っていた。この時期ケアンズは雨季だという。 高温多湿の気候らしいが、到着ロビーは空調が効いていて涼しい。 既に機内で上着を脱いでいたので少し寒く感じる位だ。 預けていた荷物を受け取って到着ロビーを出ると、Sさんの知人で 今回の件の依頼主であるNさんがホテルのリムジンで迎えに来てくれていた。 お陰で俺たちは雨に濡れる事無くホテルまで移動出来た。 Nさんは50才位で物腰の柔らかい紳士だ。俺たちを『Sさま』、『Lさま』、『Rさま』と呼ぶ。 何だか照れくさかったが、Sさんが特に反応しなかったので俺も気にしないことにした。 Nさんから見たら俺たちも客なので、『さま付け』が当然なのかもしれない。
1835 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 18:50:09 ID:U6CtdlpE0 空港から1時間程走ってホテルに着いた。 車の中で今回の件について何か話が聞けるかと思っていたが Nさんは車を運転し、運転席と客席は壁で仕切られていて直接話す事は出来ない。 そんな状態で話すような内容ではないからだろう、Sさんもその話を切り出さなかった。 ホテルに着いた時には既に雨は上がっていたが、むっとする湿気が凄い。 「すぐお部屋に朝食をお持ちいたします。」Nさんに見送られ、俺たちはホテルスタッフの 後について部屋に向かった。案内されたのはベッドルームが3つもある大きな部屋。 あらかじめスイッチを入れてあったのだろう。空調が効いていて快適だ。 それにとにかく広くて綺麗、姫はあちこち覗いて回っている。キッチンもある。 食材を買ってくれば自分たちで料理が出来る訳だ。長く滞在するなら便利かも。 そうこうしているうちにルームサービスで朝食が運ばれてきた。 朝食にしてはしっかり分量があり、そしてSさんの言ったとおり、とても美味しい。 朝食を食べ終えて食後のコーヒーを飲んでいるとSさんが言った。 「L、このホテル、何か感じた?」 「いいえ、特に何も。」 「そうよね。もし何かが『出る』のなら、それらしい気配を感じても良い筈なのに。 もちろん人の集まる場所だからいろいろな気配は残ってるけど、 『出る』といわれる程濃い気配はどこにも感じない。拍子抜けする位。 本当に『出る』場所なら、大抵は現場を見れば依頼主の説明なんて要らないのに。」 「じゃ、その噂はガセネタって事ですか?」 『嫌がらせ』そんな言葉が頭に浮かんだ。 「でもNさんは根も葉もない噂の対応を私に依頼して来るような人じゃ無い。 どちらにしろ10時にはNさんと会う約束になってるから、 直接聞けば何か手がかりが有るはず。」
1836 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 18:56:13 ID:U6CtdlpE0 10時にホテルスタッフが迎えに来て、Sさんと俺はNさんの部屋に案内された。 (姫は朝食を食べた後ベッドで熟睡してしまったので無理には起こさなかった。) どうやらNさんは結構偉い人らしい。応接用の大きくて豪華なソファに腰掛けて 俺たちを待っていた。Nさんが立ち上がって俺たちに一礼する。 俺とSさんも一礼してNさんの向かいに並んで座る。 「こんな所で申し訳ありません。ラウンジやバーでお話しすべきかもしれませんが、 その、他人の目がありますもので。」額の汗を拭った。 「このような話なら当然の事です、どうかお気になさらず。それよりもご依頼の件を 詳しくお聞きしたいのですが。妙なものを見た人が何人かいるという話でしたね。」 「はい、最初に『それ』を見たのはお客様でした。今から二ヶ月程前です。 『部屋の壁から女性の手が生えているのを見た』とフロントに苦情がありました。」 「『それ』は一瞬見えたのでしょうか?それともある程度長い時間?」 「一瞬、ということはないと思います。苦情に対応したフロントのスタッフによると、お客様は 『写真を撮ろうとしたが携帯電話のカメラには写らなかった』とお話されていたそうですので。 その時はすぐに部屋を移って頂き、それ以上の異変は起こりませんでした。」 「その次に『それ』を見たという人は?」 「同じ頃、やはりお客様の中に天井から生える足を見たという方がおられたようですが、 これは苦情として私供に伝わった訳ではありませんので詳細は判りかねます。 それから半月程して、私供の従業員が『それ』を見ました。掃除を担当していた者ですが 早朝、床から生える沢山の、5本か6本の手を見たと申しまして、取り乱しており そのまま帰宅して二度と出勤せず、そのまま退職いたしました。 その後も同じように退職する者が出ておりまして、ホテルの運営にも支障が出て参りました。」 「商売上の競争相手がデマを流して妨害工作をしているという可能性はありませんか?」 「それはありません。」 「何故そのように?」
1837 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 18:57:54 ID:U6CtdlpE0 Nさんはもう一度ハンカチで汗を拭った。空調は十分効いているのに。 「私も、私も先日『それ』を見たからです。」 俺の隣でSさんの集中力が一気に高まるのがわかった。 「あなた自身が『それ』を?」 「はい、夜勤に備えて早めの夕食をとったあと、この部屋に戻る途中でした。 妙な気配を感じて振り返ったら、廊下の壁から、その、女性の下半身が生えておりました。」 「何故それが女性だと判ったんですか?」 「黒のスカートでしたので。あ、黒いハイヒールも。」 「それでこれはただ事ではないとお考えになって、私達に依頼をされたということですね。」 「その通りでございます。兎に角このような事例はSさまでなければと思いましたから。」 「念の為にお聞きしますが、この異変に関係がありそうな事柄に心当たりはありませんか? 宿泊客に関わるトラブルや、それに類するもので。どんな些細な事でも良いのですが。」 「有り体に申し上げます。ここ数年、当ホテルでお客様がお亡くなりになるような事例は ありませんでしたし、周辺で死人が出るような事件も起きておりません。 このあたりはオーストラリアでも比較的治安の良い土地ですので。 ですから、あのような怪異の原因には皆目見当がつきません。」 その後Sさんはメモを取りながら、Nさんに目撃証言の日付や時間帯などについて 幾つか質問をしてから言った。「分かりました。明日から調査を始めます。もし進展があれば 直ぐにお知らせします。」 「宜しくお願い致します。」
1838 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 18:59:52 ID:U6CtdlpE0 部屋に戻った後、かなり長い間Sさんは黙って売店で買った新聞を読んでいた。 暫くすると姫が起きてきたので三人でレストランに昼食を食べに行き、部屋に戻って 午後のコーヒーを飲んだ。コーヒーとケーキはルームサービスにした。 「L、まだ変わった気配は感じない?」 「はい。特に濃い気配は感じません。」 「やっぱり単純に何かが『出る』って話じゃ無いみたいね。R君、あなたはどう思う?」 「見当もつきません。でも似たような話を昔古文の教科書で読んだ気がします。 柱に小さな手が生えてどうこうとか、そんな感じの。」 「今昔物語ね。夜毎柱の穴から稚児の手が現れ手招きをするって話。」 「そう、それです。ずっと引っかかってて、何かすっきりしました。 あの話では柱の穴を矢尻でふさいだら怪異が止んだんですよね。」 姫は目を閉じてうつらうつらしている。変な気配を感じないからリラックスしているようだ。 「そう。でも、今回の件では壁や天井に穴が開いていた訳じゃない。私だけじゃなく Lも感じていないとすると、やはり最近大きな事件が有ったとも思えない。 まあ、壁から体の一部、特に手や腕が生えるって話は今昔物語だけじゃなくて 現代の都市伝説みたいな怪談でもたまに見られるモチーフだから それ自体はそんなに珍しい現象では無いんだけれど。」 俺はついでにもう一つ、気になっていた事を口にした。 「それと、何て言ったら良いのか、増えてますよね。見えるものが。数も、部分も。」 Sさんが微笑んだ。「良い所に気が付いたわね。この件で珍しいのは其処。 目撃される度に増えてる。『それ』の数も、部分も。何故かしら。 でも、今の所情報不足。色々調べてみないと結論は出そうにないわね。」 翌日から俺たちは観光がてら情報収集に力を注いだが、特に目立った成果は無く、 新たな目撃情報も無いまま膠着状態が続いた。
1839 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 19:02:51 ID:U6CtdlpE0 変化が生じたのはそれから一週間程過ぎた日だった。 その日の午後遅く、俺は姫と一緒にホテルのプライベートビーチにある小さな桟橋に出かけた。 海岸沿いの通りで釣具屋を見つけ、ルアー釣り用の安い釣りセットを買ったからだ。 いくらレストランの料理が美味しくても、一週間もすればさすがに飽きてくる。 何か魚が釣れたら自分達で料理してみようと思っていた。 満潮に向かって潮が動いていたし、天気などの条件も良かったのだろう。 昔取った杵柄で、一投目から当たりがあり、30分程の間に小さなカマスが5尾釣れた。 「すご〜い!Rさん、すごいです。魚釣りが上手なんですね。」 姫は大はしゃぎだ。 「小さい頃、良く釣ってましたから。やってみますか?」 「はい、やってみたいです。」 姫にキャストの仕方を教えていると、3度目のキャストでルアーが結構遠くに飛んだ。 「じゃ、リールを巻いて。」 「...あの、巻けません。あっ。」姫がよろめいた。 姫の体を支えてリールを見ると、ドラグが効いて糸が出ている。 「釣れてますよ。結構大きいのが。」 「ホントですか?」 「糸が出てる時は巻いちゃ駄目。止まったらこうやって竿をあおって、戻しながら巻きます。」 「はい、...でも重いです。」 「頑張って、だんだん寄って来てますよ。」 ローカルなのか観光客なのか、数人の白人の男女が近づいて来て見物している。 照れくさいが、姫はそれどころでは無いようだ。頬を紅潮させてリールを巻いている。 やがて、魚の姿が見えてきた。ハマフエフキだ。でかい、少なくとも50cmはある。 そこで気が付いた。しまった、リーダーシステムを組んでない。 釣れても小物だと高を括っていたので、リールの道糸を通しで使っていたのだ。 抜き上げようとした時、魚がエラ洗いをしたら多分道糸が切れる。 どうする?水深は1mちょい。桟橋から降りて砂浜に誘導するか? 考えているうちに魚がヒラを打って水面に浮いた。止める間もなく姫が思いきり竿をあおる。 案の定道糸が切れた。コントロールを失った魚が水面をゆらゆらと漂っている。 俺はポケットから財布と携帯を取り出して姫に渡すと桟橋から海に飛び降りた。 すかさず魚を両腕で抱き上げて桟橋に放り上げる。 ギャラリーから大きな歓声が上がった。 姫は握手攻めに合い、俺は白人の女性から差し出されたバスタオルで軽く体を拭いた。 その女性に礼を言い、持参したレジ袋に魚をまとめて入れる。袋はずっしりと重い。 姫はホテルへ帰る途中の食料品店で調味料を買い揃えた。 小さな紙袋を抱えて歩く、姫の軽やかな足取り。その横顔はとても楽しそうだった。
1840 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 19:04:38 ID:U6CtdlpE0 部屋に戻るとSさんは目を丸くした。「ホントにこれ、2人で釣ったの?」 「一番大きいのはLさんが釣ったんですよ。」 「魚が大き過ぎて糸が切れて、それでRさんが飛び込んだんです。」 「飛び込んだ?海に?」 「はい、ギャラリーは大歓声でした。」 「ギャラリー?」 3人でワイワイ話しながら俺が魚を捌き、Sさんと姫が料理を作った。 ハマフエフキの刺身、ムニエル。カマスのグリル焼き。良い香りが漂ってくる。 その間に、俺はホテルの売店でパンと白ワインを買って来た。ちょっとしたパーティーだ。 姫が料理と食器をテーブルに並べている。調理器具を洗い、残った魚の身を小分けにして 冷蔵庫に入れる。俺が良い気分で作業に没頭していると、頭の中で女性の声がした。 「危ない!」 え? その直後、津波のように流れ込んで来た得体の知れない気配が部屋中を満たした。 振り返ると姫が緊張した顔で部屋の天井を見つめている。俺も姫の視線を辿った。 ...天井からたくさんの腕が生えている。10本以上、いや20本近くはあるだろう。 俺は姫に駆け寄りながら叫んだ。「Sさん、早く!」 その時Sさんは別室で海水に濡れた俺の服を水洗いしてくれていた。 姫の肩を抱き寄せた所でSさんが駆け寄って来た。Sさんが息を呑む気配。 その時、俺たちが見ている前で天井から男の上半身が生えてきた。後ろ姿だ。 頭、肩、背中。そして気が付いた。『それ』は次第に向きを変え、こちらを向こうとしている。 「L!」 Sさんが俺の両耳を押さえ、姫が男の上半身に歩み寄った。 姫の声が微かに聞こえる。あの声だ、遠い古から伝えられた術。 「現世の者は現世に、異界の者は異界に。」 部屋の空気が震え、視界が歪んだ。思わず眼を閉じる。酷い吐き気をこらえて眼を開けると、 たくさんの腕も、男の上半身も、部屋を満たしていた気配も、既に跡形もなく消えていた。 「あれは?」 「まさかよりにもよって、この部屋になんて、ね。」 Sさんは微笑んだ。
1841 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 19:44:57 ID:U6CtdlpE0 思わぬハプニングだったが、Sさんと姫は淡々と準備を終え、パーティーが始まった。 「自分で釣った魚って、すごく美味しいです。旅行って、楽しいですね。」 「ホントに美味しい。L、ありがとう。R君もお疲れさま。また、宜しくお願いしますね。」 「あ、いや、僕は別に。きっとLさんに釣りの才能が有るんですよ。」 そう応じたものの、俺は呆れていた。何でこの人たちは、こんなに平然として居られるんだ? パーティーが終わり、俺と姫が後片付けをしている間にSさんは買い物に出かけた。 戻ってきた時、Sさんはデザートのクッキーとフィッシングガイドの小冊子を持っていた。 コーヒーを飲みながら、Sさんは言った。「じゃ、私の仮説を聞いて貰えるかな?」 「是非、聞きたいです。」俺が言うと、姫がSさんに向かって右手を挙げた。 「異界のモノは満ち潮に乗って、ですか?」 「ご名答。良く出来ました。」 「あの、何の事だか全然わからないんですが。」 Sさんが微笑んだ。「そうね。」 細く、白い指が丁寧に小冊子のページをめくる。 「『それ』が現れるのは決まって大潮の満潮に近い時間帯なの。」 そうか、そういえば俺はそれで今日釣りに行こうと思ったのだ。 「半月ほど間隔が空くのもそうだし、ほら。」小冊子の潮見表とメモを並べた。 「Nさんが『それ』を見たのも、この前の大潮の期間だわ。他の証言もほぼ一致してる。 細かい記憶違いは誰にでもあるから、完全に一致してると考えてほぼ間違い無い。」 「何故、大潮の満潮と『それ』が関係するんですか?」 「すべての生命の源は太古の海で生まれた。知ってるでしょ? だから現世への執着が強くて、中有(ちゅうう)、死者の魂が一時的に留まる場所ね。 そこへ行けない死者の魂は現世を彼方此方さまよって、やがて海にたどり着く。 そして海面をいつまでも漂う。漂ううちに、いわゆる『悪霊』に変化するモノもいる。 だから海面には、そういうモノたちが吹き溜まる場所が出来やすい。 吹き溜まったモノたちは満ち潮に乗って海岸にやって来る。そして潮位が大きく上昇する 大潮の時には、いつもの海岸線を越えて陸地側に侵入する事があるの。」 「でも、何で今『それ』がこの場所に?以前は何も無かったのに。」
1842 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 19:46:31 ID:U6CtdlpE0 「海流の向きの関係で、海岸の決まった場所にだけ砂が流れついて砂浜が出来るでしょ?」 「はい。」 確かに、その通りだ。 「そんな風に、そういうモノたちが流れつく海岸は古代から大抵場所が決まってる。 そういう海岸ではこういう怪異が起こりやすいから、何かしら対策がされるのが普通だわ。 でも、対策されて長い時間が経つと、後世の人が知らずに対策を壊してしまう事がある。」 「じゃ、今になって『それ』が現れたのは誰かがその対策を壊したから?」 「まず間違いないと思う、堤防と同じ。いったん何処かが壊れるとそこから海水が入り込む。 その海水が海に戻る時、堤防を内側から更に大きく壊す。堤防は内側からの力に弱いから。」 「だから、『それ』はだんだん増えていったんですね。」 「そう、それでさっきはとうとう上半身が現れて、それにこっちを向こうとしてた。」 「あれ、気持ち悪かったですよね。私もう少しで顔を見ちゃう所でした。」姫が呟く。眠そうだ。 「こっちを向くって事は『それ』が私達、つまり現世の人間に気が付いたって事だから 運良くギリギリ間に合ったって所ね。思い切って旅行を決めて良かったわ。 今回の旅行を決めたお陰でこの件が手遅れにならずに済んだんだから。」 「あの、もし手遅れになってたとしたら?」 「ん、少し対応が面倒になったかな。それと、『被害者』がかなり出たと思う。」 「『被害者』って、今までに『それ』を見た人たちとは何か違うんですか?」 「ただでさえ現世への執着が強すぎるモノたちでしょ。『それ』の顔を見たら、 普通の人はまず正気ではいられないと思う。」 ぞくり、と背筋が寒くなった。 「それなら一刻も早く堤防を直さなければならないって事ですよね。 直すにはどうすれば良いんですか?」 『それ』の顔を見るのは御免だ。 「明日、海岸の辺りを探索しなきゃね。 L、もう寝るわよ。」
1843 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 19:48:25 ID:U6CtdlpE0 翌日、朝食の後でSさんはNさんに短い電話をかけた。 「大体見当が付いたわ。みんなで散歩しましょうか。」 ビーチの西側にあるテニスコートの脇を抜け、カート用の細い舗装路を歩く。しばらく歩くと 造成工事が中断されたような、開けた場所に出た。その向こうは海岸。小さな崖になっている。 「パークゴルフ場を作るつもりだったけど、『それ』の騒ぎで責任者が退職したから 工事が中断してるんだって。間違いなく、この辺りね。」Sさんは崖に向かって歩を進める。 俺と姫もSさんの後を追った。崖の下には白波が砕けている。海鳥の姿が見えた。 「L、判る?」 「はい、多分。」 姫は暫く辺りを歩き回って、やがて地面を指さした。 「ありました。これですね。」 一抱えほどもある平たい石が真っ二つに割れていた。 故意かどうかは分からないが、造成工事の際、重機が割ったのだろう。大きな傷が残っている。 Sさんは石を撫でるようにして何かを探した。「R君、これ、ひっくり返せるかな?」 「やってみます。」 大汗をかいてその石の一つをひっくり返すと、Sさんが満足そうに言った。 「やっぱりあった。ここ見て。」 その石の表面には何かの文様の痕跡が微かに残っている。 「多分先住民、アボリジニのシャーマンが結界を張った時に置いた守石だわ。 そしてその結界が、長い間この海岸を越えて『それ』が侵入してくるのを防いできた。 そう、何百年か、もしかしたら何千年も前からね。結界を維持するために、 土着の神から借りた力をこの石に封じてあった痕跡が、まだしっかり残ってる。 「これを壊したから『それ』の侵入を防ぐ結界が破れたんですね。」 「そう、当然の結果。」
1844 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 19:49:13 ID:U6CtdlpE0 Sさんは辺りを見回して掌ほどの小さな石を拾い上げた。「これ、これが良い。」 「じゃあ、古代のシャーマンに敬意を表して、新しい結界も彼らの流儀で。」 その石を、崖のすぐ近くの岩の上に置くと、Sさんは優しく微笑んだ。 「最後もLに任せようと思ってるんだけど、大丈夫かな?」 「やってみます。」姫は凛とした声で答えた。元旦の朝に見た、あのきりりとした表情の姫だ。 「じゃ、R君は少し離れてて。そうね、テニスコートの辺りまで。」 「分かりました。」 俺が十分に離れたのを確認して、Sさんと姫は地面に膝をついた。 微かに、ほんの微かに姫の声が聞こえる。言葉は聞き取れない。 歌うような声だけが届く。空気が静かに、厳かに震えている。 直後、俺はSさんと姫の頭上に浮かぶ大きな蛇の姿を見た。 龍に似た、翼を持つ蛇が空から舞い降りたのだ。その蛇の全身は虹色に輝いていた。 『虹の蛇』。子供の頃、そんな伝承を何かの本で読んだ記憶が蘇る。 そして虹色の蛇は、Sさんが岩の上に置いた石に吸い込まれるように消えた。 直ぐにSさんが立ち上がって手を振り、俺を差し招く。急いで走り寄った。 「R君、もう少し難儀してくれる?ここに出来るだけ深い穴を掘って欲しいの。」 「了解です。」俺は近くに落ちていた金属片を拾って一心に穴を掘った。 「それくらいで良いと思う。ありがと。」 直径20cm、深さ40cm程の穴の底に、姫はその石を置いた。「埋めて下さい。」 地面を掘り返した時の土を戻し、俺は入念に表面の土を押し固めた。 「はい、お終い。これにて一件落着。戻りましょ。」 Sさんは膝の土埃を払った。 「日本に戻るんですか?」 「え〜、もう少し此所に居たいです。もっとお魚釣りたいし。」 「宿泊費はホテル持ちだけど、完成確認って事で次の大潮まで滞在しても 罰は当たらないでしょうね。特に急ぎの用事も無いし。」Sさんが笑った。 「やった〜。」 姫の笑顔の向こうで、朝の太陽が眩しく光っていた。
1845 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 19:51:43 ID:U6CtdlpE0 俺たちは、それから更に2週間余り、ケアンズに滞在した。 泳いだり、釣りをしたり、皆で楽しく過ごした日々はまるで季節はずれ(?)の夏休みだった。 Nさんに連れて行ってもらった船釣りで俺が釣り上げた約40kgのロウニンアジと 3人で出かけたトローリングツアーで代わるがわるファイトして釣り上げた 約130kgのクロカワカジキは一生の思い出になるだろう。 もちろんSさんと姫の水着姿も素晴らしく美しかったのだが、 これは俺だけの宝物として胸の奥に仕舞っておきたい。 次の大潮になっても異変が起きないのを確認してから、俺たちは帰国した。 Nさんは相変わらず丁寧に見送ってくれた。 「Sさま、Rさま、Lさま。また何時でもいらして下さいませ。心からお待ちしております。」 羽田空港に到着後、機内の表示に併せて腕時計の時間を戻しながら 日本は未だ真冬なんだと思うと、少し鬱な気分になった。
1846 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 19:53:23 ID:U6CtdlpE0 日本に戻ってからは、姫の転校の手続き等で忙しい日々が待っていた。 姫が在学していた(?)高校が発行した指導要録の写しや転校照会の文書を見ると 改めてSさんの一族の力を思い知らされた気がして、思わず笑ってしまった。 そんなある日、勉強の時間が終わっても姫の姿が見えず、 昼食もSさんと2人で食べる事になった。1人欠けるだけで食卓はとても寂しい。 「L、朝から何だか体調が悪いみたいなの。風邪かしらね。」Sさんは心配そうだった。 「旅行の疲れとか、気温の急変とか、影響が有ったんでしょうか?」 「そうかもね。私、Lと一緒にいてやりたいから、代わりに転校の書類を届けてくれる? それから少し買い物もお願いしたいの。」 「もちろんです。」 転入予定の高校に書類を届け、買い物を終えて戻っても姫の姿は見えなかった。 Sさんは夕食の準備中だ。 「あの、Lさんは?」 「うん、もう大丈夫。」 少し安心した。 夕食の時間になりダイニングに移動すると、姫は先に来ていて、Sさんが食器を並べていた。 『あの、体調は?』そう言いかけて気付いた。この香り、テーブルの上のお椀にお赤飯。 昔ながらの、小豆を使って炊いた茶色っぽいお赤飯だ。何て香ばしい、そこではっとした。 「これ、もしかして。」 「はい。」姫が少し恥ずかしそうに俯いた。 「ご名答、Lの初潮のお祝い。これからはもっともっとLを大事にしてあげてね。」 「はい、もちろんです。」 俺は悲しくもないのに溢れる涙と、後から後から湧き上がる様々な感情を持て余していて、 そのあと食べたお赤飯の味も、良く分からなかった。
1847 :旅路(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 19:54:23 ID:U6CtdlpE0 その晩、ベッドの中でSさんは言った。 「お陰様でLも一人前の女性に近付いた訳だけど、改めてあなたにお願いがあるの。」 「何でしょう?僕に出来る事なら何でも。」 「生理が始まって暫くの間は体調が安定しないし、Lはあの状態だったから 体全体が一様に成熟してるかどうか心配なの。」 「はい。きっとこれからも色々デリケートな問題が有るでしょうね。」 「そう、それでね。君がLと、その、そういう事になったとしても。」 「そういう事にって、つまり。」 「そう、婚約者なんだからきっと何時かはそうなるし、それが駄目だって言うんじゃないの。 ただ、もしそういう事になったら、避妊だけは絶対にきちんとしてあげて。 体調が安定せず、成熟もしきっていない体でもし妊娠したら、負担が余りに大き過ぎるから。」 俺はSさんを強く抱きしめてから聞いてみた。 「もしかして。」 「え、何?」 思わず笑みが浮かぶ。 「こうして毎晩Sさんと過ごすようにすれば、僕がLさんには紳士的に対応できると思って それで、Sさんは僕の子供を産む話を?」 「違う、それは違うわ。お願い、信じて。」 珍しくSさんが慌てていた。 「結果的にそうなったら良いとは思うけど、それが目的じゃない。子供が欲しいと思ったのは。」 Sさんは言い淀み、横を向いて少し黙った。いつもながら美しい横顔だ 俺はSさんをぎゅっと抱きしめてから重ねて聞いた。「子供が欲しいと思ったのは?」 「あなた、分かってて。意地悪ね。」 「たまにはちゃんと聞きたい時もあります。」 「...あなたが大好きだから、あなたの子供が欲しいの。これで良い?」 「はい。」 照れた笑顔はとても可愛くて、普段のSさんからは全く想像できない。 それはSさんが俺の腕の中にいる時にだけ見せてくれる、素敵な笑顔。 でも、俺はこの時、Sさんの本当の優しさを、未だ知らずにいたのだった。 旅路(下) 了
1848 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 20:01:01 ID:U6CtdlpE0 少し疲れてきたのでミスが多くなるかも知れませんが もう一息、頑張ります。
1849 :旅路(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 20:02:54 ID:U6CtdlpE0 「R、Rさん。」 耳許で名前を呼ばれたような気がして、目が覚めた。時計の表示は4時45分。 窓の外は未だ真っ暗だ。Sさんは隣でぐっすり眠っている。Sさんの寝顔を見ながら もう一度寝直すか、それともこのままベッドから出て起きてしまった方が良いのか、 ボンヤリと考えている内にウトウトして、浅い夢を見た。 俺は暗い部屋のソファに座っている。 そして俺の向かいの席には、『あの人』が、Kが座っていた。 真っ直ぐに俺を見つめて微笑んでいる。純白のワンピースに血の染みはない。 『君は』俺がそう言いかけた時、Kが口を開いた。 「もう であってる はなれないで」 それは、あの日俺が彼女に囁いた最後の言葉。彼女だけのための、言葉。 Kがもう一度、一語一語確かめるように、ゆっくりと言った。 「もう、出会ってる。離れないで。」 そこで目が覚めた。何故か両目から涙が流れていた。 そんな夢を見た後も特に何事も無く、夢を見た事も忘れかけていたある日。 術の修行を終え、夕食のためにダイニングへ移動した。今夜の当番はSさんだ。 ダイニングに入ると既に姫がニコニコして座っていて、Sさんが食器を並べていた。 テーブルの上を見て、一気に心臓の鼓動が高鳴った。お赤飯が置かれている。 姫の初潮のお祝いの日にも炊かれていた、昔ながらの小豆のお赤飯。 「あの、それ。もしかして。」 「ご名答。二ヶ月目に入ってるって。ほら。」 Sさんは得意そうな顔でエプロンのポケットから小さな手帳を取り出した。母子手帳だ。 俺は思わず駆け寄ってSさんを抱きしめた。「おめでとうごさいます。」 「ありがとう。でも、この夏の水着はちょっと無理になっちゃったね。」 「水着なんて、来年着れば良いんですよ。本当に良かった。」 姫の前でSさんを抱きしめたのは初めてだったが、姫はパチパチと手を叩いて喜んでくれた。 「2人とも本当に良かったですね。私、とても嬉しいです。」姫の眼が赤く潤んでいる。 ああ、Sさんの体内に俺とSさんの子供が宿っている。新しい小さな命。 俺の心は不思議な高揚感に満たされ、お赤飯の味も、2人との会話も どこか夢を見ているような、とても非現実的なもののように思えた。
1850 :旅路(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 20:03:55 ID:U6CtdlpE0 Sさんの部屋のドアをノックする。 「どうぞ。」 Sさんはベッドの中で本を読んでいた。 「今夜はここへ来て良いのか迷ったんですが。」 Sさんは本を閉じた。 「『妊娠するまで』って言ったのを気にしてるの?馬鹿ね。あれはあなたが私に プロポーズしてくれる前の話でしょ。もう『内縁の夫婦』なんだから、 これからもあなたはここに来てくれて良いのよ。いつだって大歓迎してあげる。」 俺はベッドに潜り込んでSさんをそっと抱きしめた。「本当におめでとうございます。」 Sさんは俺の左手を取り、そっとお腹を触らせてくれた。 「二ヶ月目に入ってるってことは、もう、ちゃんと心臓が動いてるのよ。」 ふと、思い出した。『女の子なら能力を持つ確率は高い』というSさんの言葉。 「まだ、男の子か女の子かは判りませんよね?」 Sさんは少し小さな声で、でもハッキリと言った。 「女の子よ。」 「え? 二ヶ月目ではエコーでもまだ性別は。」 エコーで胎児の性別が判るのは三ヶ月目以降の筈だ。 それも胎児が男の子で、たまたま『あれ』が写った時だけに。 「エコーじゃない、妊娠する前から判ってた。」 妊娠する前から?「...何故?」 Sさんは暫く黙った後、小さく深呼吸してから言った。 「ここにいる子に宿っているのは、Kの魂だから。」 「そんな...」 俺は呆然として言葉を失った。
1851 :旅路(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 20:04:56 ID:U6CtdlpE0 Sさんは時々俺の髪を撫でながら事の顛末を話してくれた。 「負の感情、特に憎しみの感情は魂が悪しき縁に囚われる原因になりやすいの。 もしKがあなたに出合わずに死んでいたなら、Kはその憎しみの感情ゆえに 悪しき縁に囚われ、不幸の輪廻に取り込まれていた筈。でもKはあなたに出会えた。」 「Kはあなたへの気持ちで憎しみの感情を克服しようとしていたの。 死の際で、Kは許そうとした。自分の不幸を、自分を不幸にした人々を、全部をね。 Kは悪しき縁を自分で断ち切りたかった。不幸の輪廻に取り込まれるのを怖れたから。」 そこまで話すと、Sさんは俺をしっかり抱きしめてキスをした。熱く、長いキスだった。 「ここからは話すかどうか、凄く迷ったの。本当は今も迷ってる。 話したらあなたが気に病む事になるかも知れないから。でも、きっと全ては必然で 何一つあなたのせいじゃない。それにあなたは凄く勘が良いから、私が黙っていても いつかは真実に気が付く。だから今、全部話すわ。しっかり聴いて。」 俺は黙って頷いた。 「Kは死の際であなたの囁きを聴いた。『もう、出会ってる。離れないで。』という言葉。 その言葉を聞いて、Kは全てを許した。Kの憎しみは完全に解けたの。 だから死の直後、悪しき縁に囚われるのは取り敢えず避けられた。 でも、Kはあなたへの想いから、最後にひとつ、無意識に術を使った。 自分の思念をあなたの体にそっと忍び込ませてから、自分の魂を中有に封じたの。」 「ううん、とても強い願いが、結果的に術と同じ力を持ったと言った方が良いかもしれない。 きっとKはただ『この人と離れたくない、一緒にいたい』と、強く強く願っただけ。 あなたへの敵意が全く無い純粋な思念だから、はじめは私も気づかなかった。 でも憶えてる?元旦の祀りの時の事。あの時、祀りの途中であなたとLの祓いをした。」 そうだ。思い出した。 白い紙の人型、一瞬激しく燃え上がった炎、そして舞い上がった燃える小さな紙片。 あれは、あの紙片は、俺の眼の前に落ちて燃え尽きたのだ。 和室に戻る姫の顔が緊張していたのは、その異変の意味を察知していたからだろう。
1852 :旅路(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 20:05:44 ID:U6CtdlpE0 「あの時、祓いの効果でKの思念はあなたの体を離れて人型に移ってた。 でも人型を焚き上げようとした時、術の力でKの思念は人型を離れ 再びあなたの体の中に戻った。あなたの前で燃え尽きた人型の一部を見た時 Kの思念があなたの中に入り込んでいるのが分かったの。 術の力でKの思念をあなたから引き離す事は難しいし、もし出来たとしても ただ単純に引き離すだけで、Kの魂が中有に封じられたままになるのは辛かった。」 「死者の魂が生前の想いにすがって現世に留まるのは珍しい事じゃない。 でも、遅かれ早かれその想いは薄れ、死者の魂は中有を経て現世から離れていく。 ただKの場合、あれだけの力を持っていたから、あなたが生きている限り その思念はあなたを離れない。そして問題はあなたが死んだあと。 Kの魂はすがるものを失い、深い悲しみを抱えて中有をさまよう事になる。 そして、その悲しみ故に、やがて不幸の輪廻に取り込まれてしまう。」 俺が昏睡から覚める前に夢の中で聞いたあの声。 そしてケアンズのホテルの部屋で異変が起こる前に警告してくれたあの声。 Kの思念は何時も俺の中にいて、俺を見守っていてくれたのだ。 自らの魂を、この世とあの世の狭間に封じたままで。 そして結果的に、俺はあの言葉でKにそれを強いた事になる。 俺は何という事を...涙が溢れて止まらなかった。
1853 :旅路(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 20:06:47 ID:U6CtdlpE0 Sさんはもう一度俺を強く抱きしめてくれた。 「私はKを助けたかった。だから術を使ってKの魂に呼びかけたの。 『私が妊娠する子に宿り、私たちの子として生きるように』って、 Kの魂もそれを望めば、Kの魂の封印は自然に解けるから。 上手く行くかどうか自信がなかったけど、この子の妊娠に気付いた後に Kの思念があなたの中から消えていたから、上手くいったのが分かった。」 「Sさんは、初めからその為に僕の子を産もうと。」 「違う。」 「でも。」 「言ったでしょ、子供が欲しいのはあなたが大好きだからよ。」 「そしてもし同時にKを助けられたら一石二鳥。でしょ?Kの記憶は完全に封印されるけど あんなに綺麗で強い人だったんだもの、きっと賢くて可愛い女の子が生まれる。」 「Lさんはこの事を?」 Sさんは微笑んだ。 「実はね、元旦の祀りの後でLに相談したの。『この方法でKの魂を助けたい』って。 そしたらあの娘も同じ事考えてた。可笑しいでしょ?あなたの事が大好きだから あなたを真剣に愛したKを、何とかしてあげたいという気持ちになるのね。」 「でも、Kの因縁を断つのは私の役目だと思った。私、Kをあんな風に...」 Sさんは少し黙って、涙を拭った。 「それに、Lには何の因縁とも関わりなく、あなたと結ばれて欲しかった。」 「僕のした事は正しかったんでしょうか?何だか良く判らなくなりました。」 「正しいとか正しくないとか、私には言えない。絶対に正しいものなんて多分存在しない。 でもあなたは、Lを救い、Kの憎しみを解き、私を妻に、そして母にしてくれた。 私もLも、きっとKも、心から感謝してる。あなたがあの時、瀕死のKを抱きしめて 『行くよ、一緒に』と言ったのを感じた時、私、本当に驚いたわ。 でも同時に、あなたを好きになって良かったと心から思った。 そして、前よりもずっとあなたが好きになったの。 それは多分、Lも同じだと思う。だから私はあなたのした事を、正しいと信じたい。」 「この子が生まれたら『K』という名を?」 「それは禁忌、絶対に駄目。名前を同じにしたら前世の因縁との繋がりが出来て 悪しき縁の入り込む隙が生じてしまう。あなたが何か新しい、良い名前を考えてあげて。」
1854 :旅路(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 20:07:45 ID:U6CtdlpE0 少しだけ開けた窓から吹き込む風が、微かに雨の匂いを運んで来る。 季節は巡り、輝く夏を先導する梅雨が、今年もやって来た事を知らせる匂い。 もう一度Sさんのお腹にそっと触れ、どんな名前が良いのか考えた時 明るい青空の下で緑の草原に立つ、Kの笑顔が見えた気がした。 「旅路」 完
1855 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 20:17:43 ID:U6CtdlpE0 「出会い」、「旅路」、ようやく2話を投稿できました。 預かった話はまだあるのですが、知人の手書き原稿を一太郎に起こすのが 私の能力の問題もありまして滞りまくりです。。 ご迷惑かもしれませんが、作業が済みましたら、そのうち投稿したいと思います。 次の話が、私的には一番気に入っている話なのですが... 投稿は何時になりますことやら。それでは、失礼いたしました。
1856 :名無しさん :2012/12/10(月) 20:31:06 ID:2MPi28tM0 待ってるから、必ず書いてくれよ。
1857 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/10(月) 21:12:03 ID:U6CtdlpE0 >>1856 ありがとうございます。 そう言って頂けると本当に有り難く、涙が出そうです。 ワープロ、頑張ります。必ず、次を書きます。
1858 :名無しさん :2012/12/11(火) 02:24:11 ID:g62MUpB.0 >>1857 乙でした。 何か事情があるっぽいけど、 風邪も流行ってるから無理しないで頑張ってね。
1859 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 05:48:12 ID:xuU7AKqM0 >>1858 ありがとうございます。 「事実に基づく創作」と知人は言いました。 「これらの話はみんなに読んで貰った方が良い」と私は思いました。 細かい地名や人名を伏せながらワープロに起こすのは結構面倒です。 でも、これらの話を投稿する事を相談した時に約束しましたから 知人の指定した順番で、あと2話だけ、投稿させて下さい。 題名は「入学式と卒業式」と「新しい命」。 それが終わったら、他の話を読ませて貰えるかも知れないので。 さて、出勤まで、ワープロ頑張ります。
1860 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 19:45:51 ID:xuU7AKqM0 今朝は思いの外作業が捗ったので、「入学式と卒業式(上)」を投稿します。 時系列的には、旅路(下)と旅路(結)の間に位置する話ですので すこし描写が前後する印象を受ける部分があります。
1861 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 19:47:56 ID:xuU7AKqM0 少しだけ開けた窓から吹き込む風が、微かな花の香りを運んで来る。 季節は巡り、皆が待ち望んだ春が、もうすぐ其処までやって来ていた。 「似合ってますか。」 高校の制服を着て、壁の大きな鏡の前で矯めつ眇めつ自分の姿を眺めていた姫が ようやく俺の前でも制服姿を見せてくれた。正面、くるりと回って後ろ姿。 白いシャツにチェックのスカート、臙脂のネクタイ、紺のブレザーだ。よく似合う。 「とても良く似合ってますよ。」姫は嬉しそうに壁の大きな鏡の前に戻っていく。 「セーラー服じゃなくて残念ね。あの高校の制服、前はセーラー服だったのよ。」 Sさんが小声で言い、イタズラっぽく笑った。 俺も小声で応じる。 「いや、むしろセーラー服じゃなくて良かったですよ。」 「何故?」 「Lさんがセーラー服なんか着てたら、僕は正気じゃいられません。 多分、いや間違いなく萌え死にします。」 「馬鹿みたい。」 「何とでも言って下さい。誰に迷惑を掛けている訳でもないし この、ささやかな嗜好に関しては譲れません。」 「そんなにセーラー服が好きなら、今度着て見せて差し上げましょうか? 私の昔の制服、どこかにあったはずだし。」 「え、それは... ...いや遠慮します。」 「その『間』は一体どういう意味?」 「Sさんのセーラー服姿を想像しかけただけで、危うく萌え死にするところでした。」 「中身を全部知ってるくせに、外側の服に萌えるとか。ホント意味不明!」 「返す言葉もありませんし、言い訳する気もございません。」 鏡の前で自分の制服姿を眺めるのに飽きた姫が着替えの為に戻って来たので その話はそこで沙汰止みになった。
1862 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 19:50:18 ID:xuU7AKqM0 その日の夜中、泣いている女の子の夢を見て目が覚めた。 ただの夢ではなかった。隣で寝ていたSさんが俺に背を向け、声を殺して泣いている。 何故?そういえばその日の夕方からSさんは少しおかしかった。 姫が寝た後、いつもなら1杯しか飲まないお酒を3杯飲んで、 寝室でも「ごめん、今日からダメな日なの。」と言ったきり、さっさと寝てしまった。 何かに怒っているような様子では無かったし、Sさんが泣いているのを見るのは 去年、俺が昏睡から覚めてお屋敷に戻った日の夜以来だ。 きっと何か大きな心配事があるのだろう。 「どうしたんですか?」俺は声を掛けて背後からSさんの肩を抱いた。 「何でもない。」Sさんは枕に顔を押しつけてくぐもった声で答える。 「何でもないはず無いでしょう。『内縁の夫婦』でも隠し事は良くないですよ。」 「隠し事じゃないもん。」まだ酔いが残っているのか、口調が変だ。 「隠し事じゃないなら話して下さい。ほら、こっち向いて。」 Sさんの顔をこちらに向けさせ枕を取り上げた。眼と鼻が赤い。か、可愛い。 「だって、来ちゃったのよ。今月も。」 「生理が、ですか?」 「そう、子供産むって決めてもう三ヶ月目なのに。もしこのまま子供産めなかったら私...」 Sさんの目にまた涙が溢れてきた。顔を枕に押しつける。 「Sさん、もしかして世界征服を計画してませんか?」 「え?」 Sさんはきょとんとした顔で俺の顔を見つめる。よし、泣き止んでくれた 「Lさん以上の能力者を産んで世界征服。それが挫折しそうなので焦ってる、そうでしょ?」 「そんな事考えてないし。」頬をふくらませた顔も可愛い。 「じゃ、何でそんなに急ぐんですか?」 「急いでる訳じゃないけど。」
1863 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 19:52:22 ID:xuU7AKqM0 俺はSさんを抱きしめておでこにキスをした。 「自分で十分に分かってると思ってたから、これまで取り立てては言いませんでしたが、 Sさんは凄く、もの凄く綺麗ですよ。それにプロポーションも良いし、肌もすべすべだし それこそ最高の女性です。Sさんみたいに綺麗な人、僕は見た事ありません。」 姫も同じくらい綺麗だが、年上の分だけ女性としての魅力はSさんの方が上だから 別に嘘を言ってる事にはならないだろう。 「...ありがと。」Sさんは少しはにかんだ笑顔になった。 「その人が僕の子供を産みたいって言ってくれて、望めば毎晩のように『したい放題』。」 「そんな言い方。」 「それが男にとってどんなに幸せな状態かわかりますか?」 「ん。」 Sさんは小さく頷いた。 「正直僕は、Sさんが妊娠するのは少し先になった方が良いなって思ってます。もう暫く この幸せな夜が続いて欲しいから。妊娠したら色々気を遣わなきゃいけないんですよね?」 「安定期に入るまでは『しない』方が良いって言われてる。」 「じゃ、やっぱりもう少し先の方が良いな。秋とか。」 「そんなに待つのヤダ。何で秋なのよ。」 「だって夏になったらもう一度Sさんの水着姿が見られるんですよ?もう、激萌えですよ? それで興奮して毎晩...え〜、で結果的に秋頃妊娠発覚と。」 「馬鹿。」二の腕を優しくつねられた。 Sさんは俺にキスをしてから両手で俺の顔をはさみ、間近でじっと俺の顔を見つめた。 「私がどれだけあなたのこと好きか、ちゃんと分かってる?」 少しお酒臭い。 「はい、それは先程も申し上げたように十分理解しております。」 「じゃ、この部屋で制服でも水着でも着て見せてあげるからいっぱい『して』。ね、お願い。」 「Sさんがコスプレなんて無茶な。いくら萌えても萌え死にしたら元も子もないですよ。」 Sさんは声をあげて笑った。涙はすっかり乾いていた。Sさんにはやはり笑顔の方が似合う。 ふと、Sさんが真面目な顔になった。 「あのね。」 「何ですか?」 「出来れば毎晩、聞かせて欲しいの。」 恥ずかしそうな小さい声。 「え、何をですか?」 もしかして俺の自虐ネタを毎晩? Sさんは俺を抱きしめて右耳に囁いた。 「『綺麗だよ』って。」 この人は何て... 「分かりました。約束します。」
1864 :入学式と卒業式 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 19:54:36 ID:xuU7AKqM0 入学式の日は快晴だった。時折強い南風が吹き抜ける。春一番。 姫は新入生では無く転入生だが、新入生と一緒に入学許可をもらうために 入学式には参加するという。言われてみれば成る程、道理だ。 雨なら体育館2階のアリーナに集合だったが、晴れなので新入生は中庭に集まっている。 姫は新入生の列から少し離れた場所に並び、係の先生の話を聞いていた。 姫を入れて列に並んでいるのは5人、あれが転入生の列なのだろう。 中庭のスピーカーから保護者の入場を促すアナウンスが流れたので、 俺たちは入学式の会場になっている体育館の入り口に向かって歩き出した。 Sさんは白いブラウスに黒いスーツ、タイトスカート。胸元に真珠のコサージュを飾っている。 ぴいんと伸びた背筋に結い上げた黒髪が映える。改めて見ると、本当に美しい人だ。 端正な横顔に見惚れていると、Sさんが肘で俺の背中を小突く。 「ね、こうして歩いてると私たち夫婦に見えるかしら?」 「夫婦も何も、26才の女性に16才の娘がいる訳な、痛!」 思い切り二の腕をつねられた。 「『親子に見える?』なんて聞いてませんけど。」 まずい、怒らせた。 「あ、多分、夫婦に見えますよ。いや、絶対夫婦に見えます。 新入生の、え〜と、姉夫婦が式に出席するんだなって感じに。絶対見えます。」 「へえ〜、やっぱり勘が良いのね。これ見て。」 取り敢えず危機は脱したようだ。
1865 :入学式と卒業式(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 19:55:50 ID:xuU7AKqM0 Sさんは入学式の後に提出する書類の入った大きな封筒の中から1枚の紙を取り出した。 『家庭環境調査票』という書類だ。姫の名前、住所、生年月日、お屋敷への簡単な地図。 貼り付けられた写真の姫は、少し緊張した顔でとても可愛い。そして家族構成の欄。 姫(16才)・本人、姫の姉(23才)・自営業、姉の夫(21才)・自営業。 「...何で3つも鯖読んでるんですか。おまけに僕は1つ水増しですよ。それに夫婦って。 住民票も提出するのに、住民票と違ってたらまずいんじゃ、あっ!」 Sさんはニコニコしながらもう一枚の紙をつまんでヒラヒラさせている。住民票抄本だ。 急いで受け取ると、思った通り家庭環境調査票と同じ内容が記入されている。 「こういうの、有印公文書偽造って言うんですよね?」 「人聞きの悪いこと言わないで。ちゃんと役所で発行してもらった『本物』よ。」 「だって事実と全然違ってるじゃないですか。一体何処から手を回したんです。」 まさか役所の内部にまで影響力があるとは想像もしていなかった。 「だから人聞きの悪い言い方はやめてよ。家族が『後見人』と『後見人の内縁の夫』じゃ 担任の先生がどんな家庭だか色々詮索してくるに決まってるでしょ。夫婦にしたって 26才と20才より23才と21才の方が自然だし。これから2年間、Lの高校関係では あなたは『Sさんの名字』+『R』、私の夫よ。今21才、忘れないでね。」 書類を封筒に戻しながら、Sさんは何だかとても嬉しそうだった。
1866 :入学式と卒業式(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 19:56:51 ID:xuU7AKqM0 体育館で入学式が始まった。教頭先生の『開式の言葉』に続き 厳粛な雰囲気の中で、起立した新入生と転入生が校長先生から『入学許可』を受ける。 生徒達が揃って一礼すると会場は大きな拍手に包まれ、俺とSさんも一生懸命拍手した。 地域では名門の1つに数えられている高校だからなのか、 新入生にも保護者にも、感極まって目頭を押さえる姿が彼方此方に見える。 転校生の列の2番目に並ぶ姫の後ろ姿も、何となく嬉しそうに見えた。 『入学許可』のあとは校長先生の『式辞』、PTA会長の『祝辞』と続く。 これは正直退屈で、俺は欠伸をかみ殺すのに難儀していた。 Sさんは何か興味深そうに会場をあちこち見回している。 姫が転入した高校は女子校なので男子の姿は当然見えない。 女子校の式典に参加したのは初めてだが、むさ苦しくなくて大変結構だ。 突然、Sさんが俺の耳に小声で囁いた。 「こんなに沢山の女子高生がセーラー服着てたらさぞかし壮観でしょうね。」 「何もこんな所で。誰かに聞かれたらどうするんです。」 周りを気にしながら言い返したところで、 眼を輝かせたSさんの視線が、ある一点に注がれているのに気付いた。 そろそろとSさんの視線を辿る、その先に異様なものを見た。 着席して話を聞いている新入生達の向こう側、職員席から少し離れた壁際に セーラー服を着た女生徒が1人でポツンと立っているのだ。 新入生の列を見つめている。所在なげに、そして羨ましそうに。 式の参列者なら家族か職員に注意されるだろう。それどころか会場の誰も あの女生徒に気付いている様子が無い。俺にははっきりと見えているのに。 おそらくあれは生身の人間ではない。全身の毛が逆立つのが判る。 「あの、あれ。」声が掠れる。 「今は駄目よ。『鍵』を掛けておいて。」 Sさんの指示を守り、その少女に注意を向けないようにして入学式が終わるのを待つ。 入学式が終わり新入生と転校生が退場すると、短いPTA入会式が行われ それが終わると全ての日程が終了。俺たちは他の保護者に混じって体育館を出た。 それとなくさっきの壁際を見たが、既にセーラー服の少女の姿は無かった。
1867 :入学式と卒業式(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 19:58:06 ID:xuU7AKqM0 新入生はこの後各クラスの教室に集合し、クラス開きなどがあるのだが、 転入生は皆同じ教室で簡単な注意事項を聞いてから帰宅することになっている。 式に出席していた生徒会役員以外、基本的に2・3年生は登校していないからだ。 俺たちは持参した書類を事務室の窓口に提出してから校舎に向かった。 一階の教室が見渡せる中庭の一角にSさんと並んで立ち、姫が出て来るのを待つ。 俺たちの正面に校舎の窓の列が見える。連なる窓越しに教室の様子が垣間見えた。 一階の窓の列を右側に辿り、列がとぎれた所に正面玄関がある。 おそらく姫はそこから出てくるはずだ。 姫を待つ間、さっきのセーラー服の女生徒についてSさんに尋ねようと思ったところで 一瞬強い風が吹いた。俺は不意をつかれてよろめき、校舎の窓から視線を外した。 「凄い風でしたね。」 Sさんの顔を見ると、Sさんは眼を輝かせて校舎を見つめている。 「ほら、あれ。まだ『鍵』は掛けたままで。」 恐る恐る視線を移すと、一階の窓の列、その中程にセーラー服の少女の後ろ姿が見えた。 ポニーテール。窓にもたれて教室の中を見つめている。どこか羨ましそうに。 その時、列の左端に近い窓に女生徒2人の姿が見えた。転入生たちだ。 2人並んで右側に向かって歩いて行く。セーラー服の女生徒との距離が詰まる。近い。 『ぶつかる!』と思った瞬間、2人はセーラー服の女生徒と重なって、すり抜けた。 窓側を歩いていた女生徒は一瞬立ち止まって振り返ったが すぐにもう1人の女生徒の後を追った。
1868 :入学式と卒業式(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 19:59:08 ID:xuU7AKqM0 また1人、列の左端に近い窓に女生徒の姿が見えた。姫だ。 どきん、と心臓が高鳴る。姫にはきっとセーラー服の少女が見えるだろう。 「あの、Lさんが。」 「大丈夫、このままで。」Sさんが呟く。 姫は歩く、窓の列の向こうを左から右へ。セーラー服の女生徒との距離が詰まる。 と、姫はセーラー服の女生徒のすぐ手前で立ち止まった。距離は1mも無い。 姫は窓に向かって立ち、鞄を窓枠に置く。鞄の中に視線を落とし、右手で鞄の中を探る。 そのすぐ隣にセーラー服の少女、異様な光景だ。ぞわぞわと寒気がする 姫の後ろから歩いてきた女生徒が姫をよけるように歩いていく。続いてもう1人。 彼女たちは姫をよける事で、結果的にセーラー服の少女をよけたことになる。 姫は鞄の中の何かを探す様子で立ったままだ。何を探しているのだろうか。 セーラー服の少女がゆっくりと姫の方を向いた。色白の横顔、また心臓が高鳴る。 姫は鞄の中に視線を落としたままだ。口を小さく動かしているように見える。 何を言っているのか、まさか『あの声』で? そして。 突然、セーラー服の少女の姿が消えた。まるで、最初からそこには誰もいなかったかのように。 姫は鞄を持ち、向きを変えて再び歩き出した。まるで、探し物を見つけて安心したかのように。 「Lさんは『あの声』を?」 あの術の名前は教えて貰っていたが 出先で術の名前を口に出すのは禁じられていた。当然の禁忌だ。 「まさか。こんなところで『あれ』を使ったらとんでもないパニックが起こる。 Lが集団生活を通して学ばなければならないのは、強い術を使わずに怪異に対処する方法。 それから、大多数の『力を持たない人々』とのつきあい方。 今回はどちらも及第点、合格ね。」 Sさんは満足そうに微笑んだ。
1869 :入学式と卒業式(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 20:00:11 ID:xuU7AKqM0 姫が玄関から出て来た。俺たちの姿を見つけて嬉しそうに走り寄って来る。 Sさんが優しく話しかけた。「最初のお友達が出来たみたいね。」 『友達』って、あれが?どういう意味だ。 「はい、今日は無理でしたけど、その内分かってくれると思います。」 「え、消えたんじゃないんですか?」 「はい、『拡散』しただけです。入学式という場の力や、参加した人々の想いに反応して あの人の心が『凝集』したんですね。学校ではあまり強引なことは出来ませんから、 少し時間がかかるかもしれません。それに、結構新しい方みたいでしたし。」 「新しい?」 セーラー服の女生徒が亡くなった時期が、ということか。 「この学校の制服が替わったのが5年前だから、9年前から6年前の間ね。」 「今度聞いてみます。」姫とSさんが駐車場に向けて歩き出したので俺も後を追う。 5年前に制服が替わったなら、9年前ってのは一体?10年前でも良いんじゃないのか? 聞きたいことは沢山有ったが、既に姫とSさんの話題は昼食の事に移っていた。 「緊張したせいかお腹がすきました。もう、ペコペコです。」 「そうね、もうすぐ1時だし。どこかで食べて帰ろっか。」 「賛成です。」 ぴた、と、Sさんが立ち止まった。姫もSさんの横で立ち止まる。 俺はようやく2人に追いついた。
1870 :入学式と卒業式(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 20:02:15 ID:xuU7AKqM0 Sさんの正面に身長190cm近くありそうな長身で細身の老人が立っていた。 黒いスーツに白いネクタイ。柔和な眼が眼鏡越しにSさんを見下ろしている。 老人はSさんに向かって深く深く最敬礼をした後、口を開いた。 「これはこれは、随分とお久し振りにお目にかかります。 あなたさまが御出とは露知らず、大変失礼を致しました。 一言事前にお知らせ下されば。」 「いいえ、お構いなく。」 心なしかSさんの声は冷ややかだ。 「それで本日はどのようなご用件でこちらへ?」 「妹がこの高校に転入したので入学式に参りました。」 「ほう。妹君が。」 老人はしげしげと姫を見つめた。 姫が軽く会釈をする。 「これはこれは美しい姫君。私どもは皆、心から妹君を歓迎いたします。」 「2年間、妹を宜しくお願いします。」 「勿体ないお言葉。万事私どもにお任せ下さいませ。」 老人は眼を細めて微笑み、もう一度深々と頭を下げた。 つい、と、Sさんは老人の横をすり抜けて歩き出した。姫が続く。俺も後を追う。 すれ違いざま、老人の呟く声が聞こえた。「何故、あのお方が...」 「あの、どなただったんですか?」歩きながら姫がSさんに尋ねた。 「この高校を運営する学校法人の理事長、この高校の創立者で初代の校長だった。」 「何故、この高校にSさんの知り合いがいるんですか?」俺も尋ねた。 Sさんは、遠い時の彼方の懐かしいものを見るような眼をしていた。 「ここが、私の母校だからよ。」 『入学式と卒業式(上)』 了
1871 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 20:06:15 ID:xuU7AKqM0 全部が上手く行く日は無いんですね〜。 題名の付け方がグダグダになってしまいました。 次の投稿の時に間違わないように 入学式と卒業式(中)の最初の部分だけ投稿しておきます。 残りを明日投稿できるように頑張ります。
1872 :入学式と卒業式(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 20:07:58 ID:xuU7AKqM0 姫が高校に通い始めて2週間程が過ぎた頃、確か4月下旬の金曜日だったと思う。 その日は昼過ぎからSさんが仕事でマセラティを使って外出していたので、 俺はロータスで姫を迎えに出た。ロータスはマセラティよりかなり車高が低く、 乗り心地も硬い。姫は『周りの車のタイヤがすごく近くにみえて息苦しい』と言い、 通学でロータスに乗るのはあまり好きでは無いのだが、今日は仕方無い。 姫の高校は裏門も比較的大きな通りに面している。 最寄りの駅に接続するバスの停留所が表門側にあり、部活動が盛んな事もあって、 4時の終業のチャイム直後に裏門を出てくる生徒はまばらだ。 広い路肩に車を停め、裏門から出てくる姫を待つのが俺の日課だった。 いつも同じように生徒の下校を待つ車が他にも何台か停まっている。 終業のチャイムが鳴り、暫くして姫が裏門から出てきた。珍しく2人連れだ。 裏門を出たところで、姫はもう1人の女生徒に向かって小さく左手を挙げた。 姫は裏門を出ると右に向かい、歩道を車まで歩いてくる。 もう1人の女生徒は裏門のすぐ近くに立ち止まって姫を見送っていた。 「友達かな?」と思ったところで全身に鳥肌が立った。何故気付かなかった? あれは、セーラー服だ。
1873 :入学式と卒業式(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 23:03:56 ID:xuU7AKqM0 何故、あの女生徒が姫と。俺はセーラー服の女生徒から眼が離せなくなった。 「Rさん、Rさん。」 姫の声で我に返る。ほとんど反射的にバックミラーを確認して 車を降り、助手席側のドアを開けて姫の鞄を受け取る。 「ありがとうございます。」 姫は軽く会釈をして車に乗り込んだ。 あまりに車高が低いのでロータスに乗る時は姫の左手を支えて補助をする。 姫の体が助手席に収まり、助手席側のドアを閉めた所で思い出した。 恐る恐る裏門を見る。セーラー服の女生徒の姿は既に無かった。 運転席に座り車を発進させた後、いきなり左腕をつねられた。 「痛!どうして。」 姫はいたずらっぽい笑顔を浮かべていた。 「いくら美人だからって、私以外の女の子を見つめてちゃ駄目ですよ。」 「でも、あの子は...あ、ごめんなさい。」 「冗談です。でも、これからは迎えに来たら、いつも『鍵』を掛けておいて下さい。 あの人、この頃良く姿を見せるんです。Rさんにもあの人が見えている訳だから 意識が共振するかもしれません。注意しておいた方が良いです。」 「共振するとどうなるんですか?」 姫は少し考えてから言った。 「知らない方が良いと思いますけど、どうしても知りたいですか?」 「いえ、結構です。質問は取り消します。」 姫はにっこり笑って頷いた。 危ない危ない、どうも軽率な質問をする癖が直らない。 「ええと、じゃ別の質問なんですが、もしまずかったらさっきのように教えて下さいね。」 「はい。私に答えられる質問なら。」 「さっきの女の子はこの頃良く姿を現すって言ってましたけど、 これまでも、その、2人並んで一緒に歩いたりしたことがあるんですか?」 姫は指を折りながら少し考えている様子だ。 「あの人とお話したのは、入学式から数えて今日で6回目、だと思います。 そのうち、今週だけで4回。やっぱり増えてますね。」
1874 :入学式と卒業式(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 23:05:06 ID:xuU7AKqM0 新学期になって2週間と言っても実際に登校したのは10日程度。 10日で6回となれば2日に1回を越えるペースだ。 「そんなにしょっちゅう現れたら他の生徒にも気付かれませんか?」 虚空を見つめて1人で何事か呟いている所を見られたら、どう考えてもまずいだろう。 「いつもはお昼休みに現れるんです。私、雨の日以外は毎日図書館の裏手のベンチで 1人でお弁当を食べるので、大抵はそのベンチで隣に。 それにお話しするって言っても、声を出す訳じゃないから他の人には気付かれません。 誰かが見てる時にはさっきみたいな挨拶もしないし。」 「あの女生徒が現れるのが分かってて、何故1人でお弁当を?」 「私、待ってるんです、あの人を。何とか学校から出してあげたいと思って。」 「他に人がいない時なら『あの声』が使えませんか?」 「あの人は悪意を持った異界のモノとは違います。出来れば自分で納得して貰って それから然るべき場所へ行ってもらいたいんです。色々お話ししている内に 今の自分の状態は分かって貰えたみたいなんですけど。」 「それは、自分が既に死んでいるってこと、ですか?」 「はい、ただあの人にはあのセーラー服と小物以外の記憶が全くないんです。 自分の名前も、いつ死んだのかも、何故死んだのかも覚えていない。 だから原因が分からなくて納得出来ない。それに『帰れない』って言うんです。 『だから学校にいるしかない』って。」 「何故、何処に『帰れない』のかも記憶がない?」 「はい、全然。」 「それなのに現れる回数が増えているのは あの子自身もこのままではいけないと思っているということなんですか?」 「恐らく、そうだと思います。だから私、Sさんに頼んでみようと思って。」 「何を頼むんですか?」 「ええと、学校法人の、あの理事長さんなら何か手がかりを知ってるんじゃないかと。 Sさんは『あの人とは知り合い』だって言ってましたよね?」 「確かに、あの人なら何か知ってるかも知れませんね。」 俺はあの長身の老人の、柔和な眼を思い出していた。
1875 :入学式と卒業式(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 23:05:51 ID:xuU7AKqM0 「L、1人でよく頑張って偉かったわね。でも今度からはもう少し早目に相談して頂戴。」 次の日の朝、朝食後に姫の話を聞いたSさんは優しく姫の髪を撫でてから言った。 「記憶を無くしている場合のほとんどは、とても辛い思いをした人よ。 記憶も、自分自身も全部、この世から消してしまいたくなるくらい、辛く悲しい思いをね。」 「じゃ、やっぱりあの人は自殺を?」 姫の表情は硬く緊張している。 「多分間違いない。もし不用意にそんな人の記憶を戻したら、 無意識に封印していた激しい感情が爆発して、悪しき縁に囚われてしまう。 そうなるといわゆる悪霊や地縛霊といわれる存在になって他の人にも影響が及ぶ。 多分あの子の魂は無意識にそれを恐れて記憶を封印したんだと思う。」 「分かりました。これからは気を付けます。」 姫が力なく眼を伏せた。 「もう少し勉強したら1人でも対応できるようになるし、 Lがあの子を何とかしてあげたいと思ったのはとても良いことよ。 私はLのそういう優しい所、すごく好き。」 「...ありがとうございます。」 姫はうっすらと涙を浮かべていたが、もう俯いてはいなかった。 「でも、今はまだこの件に関してはL1人では荷が重い。私のやり方をよく見ててね。」 「はい。」 姫の眼に力が戻っていた。 Sさんはその後短い電話をかけた。恐らくあの老人への電話だ。 「今日の午後、2時に校長先生に会わせてくれるって。R君も一緒に来てくれる?」 「僕が行って役に立つなら喜んで。」 「うん、良い返事。Lもその方が心強いでしょ?」 「はい。」
1876 :入学式と卒業式(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 23:07:16 ID:xuU7AKqM0 学校に着くとあの長身の老人が駐車場で俺たちを待っていた。 老人は俺たちに深々と最敬礼したあと、無言で俺たちを先導し、校長室に案内した。 俺たちが一礼してソファに腰掛けると、老人と校長先生も一礼して向かいに座った。 「この御方々は特別だから、御質問には包み隠さず御答えするように。」 「はい。」 校長先生は緊張した様子で落ち着かない。まあ、それがあたりまえの状況ではある。 「お話しする前に、この部屋に結界を張ります。」 「全てあなたさまの御心のままに。」 長身の老人が深く頭を下げる。 Sさんは立ち上がり、部屋の四方の壁に手を触れたあと戻ってきて再びソファに座った。 この部屋で彼女のことについて話せば、おそらく彼女がこの部屋に引きつけられる。 そして彼女の自殺の真相が明かされればこの部屋で彼女の感情が爆発する。 それを避けるための処置だと言うことは容易に想像できた。 「じゃ、L、あなたの聞きたいことを質問して。」 姫が頷く。 「この高校で、卒業できずに亡くなった生徒の中に『○本』という名字の生徒がいたら、 何故その生徒が亡くなったのか知りたいんです。9年前から6年前の間に。」 校長先生の顔が真っ赤になり、次いで真っ青になった。 「その期間で、卒業前に亡くなった生徒は1人だけです。先代の校長の時に。失礼します。」 校長先生は席を立ち、黒い表紙のノートを持って戻ってきた。震える手でページをめくる。 「ありました、○本明美。7年前、3年生に在籍していました。」 ○本という名字の女生徒が本当に在籍していた、しかも7年前に亡くなっている。 姫とSさんの言った通りだ。姫とSさんを信じてはいたが、全身に鳥肌が立って寒気がする。 「何故、亡くなったんでしょう?」 「自殺とありますがそれ以上は。」 「そこからは私がお答えいたします。」 長身の老人が話を引き継いだ。 「その生徒は校舎の屋上から身を投げて自殺しました。 本校では開学以来そのようなことは初めてでしたから、当時は大騒ぎになりました。
1877 :入学式と卒業式(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 23:08:13 ID:xuU7AKqM0 その後、家族からの要請で死亡による除籍ではなく 自殺する以前の日付で依願退学の手続きが取られ、受理されたと記憶しております。」 そこからは姫に代わってSさんが質問を続けた。 「進路やイジメに悩んでの自殺だとしたら、そんな処理の仕方にはなりませんね。」 「はい。家族から『学校に申し訳ないので是非』と要望があったと聞いております。」 「何故『申し訳ない』と?」 辺りの空気がぴいんと張りつめた。 「それは...その生徒が妊娠していたからです。それで家族は学校の名を汚したくない、と。」 しばらくの間、校長室は沈黙に包まれた。 沈黙を破ったのはSさんだ。 「その場所に案内してください。彼女が飛び降りた場所に。」 老人は鎖で幾重にも厳重に封鎖された扉の鍵を開けた。屋上へ通じる扉。 「ここからは私だけで行く。R君、Lをお願いね。」 「はい。」 突然老人が正座をした。額を床に付けてピクリとも動かない。 Sさんが右手で上着のポケットから人型を取り出すのが見えた。扉を抜けて歩いていく。 迷うことなく左側奥の手すりに向かい、手すりの前で膝をついて床に左手を触れた。 静かに時間が過ぎていく。俺も姫も息を詰めてSさんを見詰める。 突然空気が裂けて、耳がきーんとなるような悲鳴が聞こえたような気がした。 「許せない!」姫が屋上に向かって走り出そうとする。俺は必死で姫を抱き止めた。 「離して!離してっ、殺してやる!!」 今まで見たことのない姫の顔だ。 「駄目です。離しません。あの子の意識に共振し過ぎてます。」 「お願い...離して。」姫の体からぐったりと力が抜ける。 姫の体を支えながらSさんの方を見る。Sさんは右手で人型を掲げていた。 やがてSさんは人型をポケットにしまい、ゆっくりと戻ってきた。
1878 :入学式と卒業式(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 23:09:14 ID:xuU7AKqM0 数分後、俺たちは再び校長室のソファに座っていた。 やはり沈黙を破ったのはSさんだ。 「校長先生にお願いがあります。」 「何でしょうか?」 「件の生徒、○本明美さんの御家族の住所を教えて下さい。 それから、彼女は何ら学校の名を汚すことはしていません。彼女は被害者です。 この件についての調査が終わり、御家族から名誉回復の訴えがあった場合、 依願退学の処置を取り消し、御家族の参列の下、彼女の卒業式を挙行して下さい。」 「それは...」 校長先生が老人の顔を見る。 老人が代わって答えた 「分かりました。謹んでお約束いたします。お任せ下さい。」
1879 :入学式と卒業式(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 23:10:19 ID:xuU7AKqM0 「あの子のことは、もう忘れました。」 ○本広明、あの女生徒の父親は冷たい表情で言った。 ○本氏の住むマンションの部屋は綺麗に片付いていたが、生活感がほとんど無く どこか空虚な雰囲気が漂っていた。娘を亡くした事が原因なのは明らかだ。 「妻を亡くしてからは男手一つであの子を育てて、必死で良い学校に通わせて、 それなのにあんな、あんなふしだらな。時々帰りが遅くなって、それを娘は放課後の講座だと 嘘を言って私を騙していたんです。本当はこそこそ男と会って、妊娠まで... もう二度と思い出すまいと思っていました。お願いですから放っておいてください。」 Sさんは溜息をついた後、穏やかに、しかし厳しく彼に告げた。 「あなたには、私達の話を聞く義務があります。」 「何故ですか?」 「彼女は被害者で、あなたがそれを知らないからです。」 「被害者?」 「そうです。」 「それで、あなた方はどうやってそれを知ったのですか?あの娘はもう死んでいるのに。」 父親は疑わしそうな、皮肉な笑みを浮かべて問いかける。まあ無理もない。 姫が静かに口を開いた。 「私、彼女と同じ高校に転入しました。そして、入学式の日に彼女に会ってお話ししたんです。」 「降霊術とか何とかいう奴ですか。馬鹿馬鹿しい。何が目当てなんです? 見ての通り、うちには金なんてありませんよ。」 「彼女は記憶を無くしています。自分の名前すら憶えていません。 私、あの人がいつも持っているハンカチの刺繍で『○本』という名字を知りました。 それを手がかりに、彼女が私と同じ高校に在学していた事を突き止めたんです。」 父親の顔色が変わった。 「ハンカチに名字の刺繍が?」 「はい、花柄のハンカチです。その端に。」 父親は席を立ち、別室から2枚のハンカチを持って戻ってきた。ハンカチをテーブルに置く。 水色とピンク、綺麗にたたまれた花柄のハンカチの端に『○本』という名字の刺繍。
1880 :入学式と卒業式(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 23:11:36 ID:xuU7AKqM0 父親の声は少し震えている。 「娘が使っていたハンカチです。娘が小学校に入学する時、妻が名字を刺繍しました。 娘はこれをとても大事にしていました。それで、あなたが見たのはどちらですか?」 「どちらでもありません。花柄と刺繍は同じですが、彼女が持っているのは白いハンカチです。」 「そんな馬鹿な。」 父親は両手で顔を覆い、背もたれにぐったりと体を預けた。 「白いハンカチは...白いハンカチは娘が自殺した時に持っていたんです。 遺体と一緒に焼きました、私がこの手で...血で真っ赤に。」 父親は突然体を起こして姫の手を両手で掴んだ。 「教えて下さい。娘が被害者ってどういう事ですか?何故娘は今でもあの高校に?」 同時に腰を浮かせた俺を見て、父親は手を離した。 「すみません。つい。」 「彼女を心から愛していたあなたにとっては、どちらにしても辛い話だと思います。」 湧き上がってくる激情を押さえ込むような、姫の静かな口調が胸に突き刺さる。 「彼女はある日下校途中に拉致され、乱暴されました。そしてそれをもとに脅迫され その後も継続的に肉体関係を強要されていたんです。あなたを心から敬愛していた彼女は あなたに相談する事も出来ないまま、やがて妊娠しました。妊娠している事を知った日の夜 彼女は家に帰ることが出来ず、衝動的に屋上から飛び降りたんです。」 「娘はふしだらではなかった、娘は悪くなかったんですね?」 「彼女は何ひとつ悪くありません。ただ。」 姫が言いにくそうに続けた。 「彼女は『帰れないから学校にいる』と言っていました。」 「何故帰れないんですか?」 「あなたが彼女をふしだらな娘だと思い、彼女の全てを忘れようとしていたからです。」 「...明美...」 父親は俯き、大粒の涙を流した。 暫くして涙を拭った父親の眼に、憎悪の火が灯っていた。 「娘を乱暴した男は今何処にいるんですか?」
1881 :入学式と卒業式(中) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/11(火) 23:12:28 ID:xuU7AKqM0 「いけません。あなたが憎しみに囚われれば、彼女は不幸の輪廻に取り込まれてしまいます。 非道な行いをする者には必ず相応の報いがありますから、今はその男を憎むより あなたは彼女の事だけを考えてあげるべきです。」 Sさんが穏やかに父親を諭した。 「あなたが以前のように彼女を受け入れることができれば、彼女も以前の彼女に戻れます。 死者は自ら望む姿でいられますから、乱暴もされず、自殺もしていない元通りの彼女にね。 だからどうか、あなたは彼女を受け入れてあげて下さい。彼女は本当に素敵な女性です。」 「本当に、元通りのあの子に戻れるんですか?」 「戻れます。だからあなたからも彼女に伝えて下さい。いつも彼女を思い出して、 彼女がどんなに可愛くて素敵な女性だったか、あなたがどんなに彼女を愛しているかを。」 「判りました。」 「今、彼女の退学を取り消して正式な卒業生として認定するように高校側と交渉しています。 もし許可が下りたら、式に参列して彼女の代わりに卒業証書を受け取って頂けますね?」 「願ってもないことです。どうか宜しくお願いします。」 『入学式と卒業式(中)』 了
1882 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 07:09:00 ID:7DI0Dhxw0 リビングで夕食後のコーヒーを飲んだ後、テーブルを綺麗に拭き清めてから Sさんは白い布で作られた小さな袋をテーブルの上に置いた。 光沢のある白い糸で美しい模様が刺繍されていて、袋の口は赤い糸で縛られている。 「彼女の魂は、今この中に封印してあるの。一時的にね。 記憶を取り戻して、当然だけど彼女の怒りと哀しみの感情が爆発したから、 彼女の魂が悪しき縁に取り込まれないようにするにはこれしかなかった。」 袋の中には、あの日Sさんが校舎の屋上で掲げていた人型が納められているのだろう。 「犯人達の末路と父親の愛情を彼女に伝え、憎しみと哀しみの感情を鎮めてから 彼女の魂の封印を解く。それで彼女にも道が開く、中有への道が。」 父親ですら彼女が被害者である事を知らなかったのだから警察が動いた筈は無い。 「犯人達って、複数犯なんですね。ソイツ等はもう既に報いを受けていて その末路がどうだったのかを彼女に伝えるって事ですか?」 「報いを受けさせるのはこれからよ。犯人達にふさわしい報いをね。」 「私にやらせて下さい。」 姫が何時になく強い調子で言った。 「L、気持ちは分かるけど未成年の女の子に手を汚させることは出来ないわ。 特に、あなたがR君と結ばれる前は絶対にそんなことさせられない。 その代わり、報いの前にはこの袋をあなたに託す。彼女の意識と同調して 犯人達の末路を彼女に伝えて欲しいの。やって貰える?」 「はい、分かりました。」 姫は大きく頷いた。 「でも、どうやってソイツ等を探し出すんです。何か手がかりがあるんですか?」 「校舎の屋上、あの場所には、飛び降りる前の彼女の記憶が焼き付いてた。 衝動的に自殺を決めた瞬間、燃え上がった心の熱が記憶をそこに焼き付けたのね。 その記憶を解放したから、彼女に何があったのか全部分かったわ。 犯人たちの名前も電話番号も。犯人の1人は今も当時と同じ電話番号を使ってる。 油断してる証拠。事件の真相を知ってる者がいる筈は無いって、甘く見てるのね。 式を飛ばして住所も突き止めたし、後は報いを受けさせるだけ。 そうね、彼女の卒業式は5月3日だから、その前夜祭にふさわしいイベントじゃない?」 Sさんの頬に微かな笑みが浮かんでいた。 鬼畜どもに苛烈な報いを与え、破滅をもたらす絶対零度の微笑。
1883 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:06:11 ID:7DI0Dhxw0 5月2日の午後、俺はSさんに指示された番号に電話を掛けた。 犯人2人のうち当時と同じ電話番号を使っている男、ソイツの名は『ノブ』。 発信音の後に続く呼び出し音。数秒の後、電話が繋がった。 「もしもし、あんたノブだな?」 「知らない番号だな。お前誰だ?俺がノブなら何だってんだ。用でもあるのか?」 「お前、馬鹿だろ。用があるから電話してるんだよ。」軽く挑発する。 「うるせえ、俺は忙しいんだ。」 電話を耳元から離す気配。 俺は大きな声で彼女の名前を告げた。 「○本明美。」 ノブが電話を耳元に戻した。声を潜めて聞き返してくる。 「お前、何でその女の名前を知ってるんだ?用ってのはその女の事か?」 「俺は何でも知ってるよ。お前が兄貴分の『ヒデ』とつるんで彼女に何をしてたか、 彼女は何故自殺したのか、他にも色々と、な。」 ひゅっ、と息を呑む音が聞こえた。数秒間の沈黙。 「それでお前、警察に話すつもりなのか?」 「警察に話すかどうかはお前達の態度次第さ。お前と『ヒデ』に会いたいって そう言ってる人達がいるんだ。今夜、8時きっかりに俺はその人達と『ヒデ』の部屋に行く。 お前も『ヒデ』の部屋に行って2人で待ってろ。それからこちらは俺をいれて3人だ。 大事なお客様が座れるようにしとけよ。立ち話は御免だからな。」 「おい、ヒデさんの部屋に簡単に行ける訳無いだろ。しかも今日すぐになんて無理だ。 それにヒデさんの部屋って、お前ヒデさんの部屋知ってるのかよ?」 「無理かどうかはお前等の都合だろ。そんなの俺には関係ないんだよ。 それに彼女を弄んでた時、お前等はいつでも2人一緒だった。 彼女についての話なのに無理だと言うほど『ヒデ』が馬鹿だとは思えんがな。 まあ、どっちにしろ今夜8時、『ヒデ』の部屋にお前等2人がいなければ警察に行くだけさ。 それにな、俺は『ヒデ』の部屋もお前の部屋も知ってる。お前の部屋は狭いから 『ヒデ』の部屋にしたんだ。部屋だけじゃない。お前等の本名も知ってる。 見張りもいるぞ、今夜の内に高飛びしようとしたら即警察に通報、一巻の終わりだ。」 「おい」 「じゃ、今夜な。8時きっかりだ。」 俺は電話を切った。 「こんな感じで良かったですか?」 「うん、上出来。R君、中々の役者ね。」 Sさんは、あの冷たい微笑を浮かべた。
1884 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:07:33 ID:7DI0Dhxw0 午後7時50分、俺は『ヒデ』の住むマンションの近くにある有料駐車場に車を停めた。 並んで歩きながら、Sさんがハンドバッグからあの白い袋を取り出して姫に手渡す。 「L、お願いね。くれぐれも気をつけて。」 「はい、任せて下さい。」 8時きっかりに俺は『ヒデ』の部屋の呼び鈴を押した。 すぐにドアが開き、男が顔を出す。髪を赤く染めた薄汚い男だ。 「本当に来やがった。」 「電話でもそう言ったろ。俺は全部知ってるって。ヒデも中にいるんだろうな?」 「いるよ...あと2人ってのはその女たちか?」 Sさんと姫を見て、ノブは目を細めた。下卑た薄笑い。救いようの無い下衆だ。 思い切りぶん殴ってやりたい衝動を俺は必死で抑えた。 「おい。大事なお客様をいつまで立たせてるんだ。さっさと案内しろよ。」 「入れ、こっちだ。」 ノブに続いて俺たちはヒデの部屋に入った。 部屋中に染み付いた煙草の臭いが鼻につく。パチンコ屋の前を通った時のような 変に甘ったるい臭い。吐き気がする。姫も顔をしかめていた。 趣味の悪いリビングルームのソファに男が座っている。 「ヒデさん、コイツ等です。」 「本当に来たのか。」 俺の後について部屋に入ったSさんと姫を見て、ヒデの表情が変わった。コイツも同類だ。 彼女は自殺したのに、こんな腐れ外道どもがのうのうと...怒りに眼が眩む。 俺たちはヒデの向かいのソファに並んで座った。ノブがヒデの右隣に座る。
1885 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:17:46 ID:7DI0Dhxw0 「初めに言っておくが、妙な気を起こすなよ。前にも言ったがこの部屋には見張りをつけてる。 1時間経っても俺たちが出てこなかったら、仲間が警察に通報する。」もちろんハッタリだ。 「お前、ヒデさんがどんな人か分かってそんな口聞いてるのか?え? ヒデさんは組の若頭なんだぞ。その気になればお前等なんか。」 ノブが必死で凄んで見せるが、脅えは隠せない。微かに声が震えている。 「大体お前等何者なんだよ。俺とヒデさんがあの女に」 ヒデが右手の甲でノブの顔を殴った。空手でいう裏拳だ。 ノブが両手で顔を覆って俯く。押さえた手から赤黒い血がポタポタと滴った。 「余計な事喋るな、馬鹿が。録音されてたらどうするんだ。黙ってろ。」 成る程、コイツは多少頭が切れる。間違いなくあの娘の他にも被害者はいるだろうが コイツの卑劣な脅しや小細工で被害者達は泣き寝入りさせられる訳だ。 「それで、お前等の目的は何だ?金か?お前等の持ってる証拠によっては それなりの値で買い取っても良い。話が折り合えばな。口止め料って奴だ。」 「証拠なんて必要無い。私たちは彼女から直接聞いたんだから。」 初めてSさんが口を開いた。静かな口調だが、去年出会って以来 これ程の怒りを秘めた表情のSさんは初めて見る。 「何度か彼女をこの部屋にも連れてきて...お前達、本当に最低ね。人でなし。」 「何とでも言えよ、死んだ人間から話を聞いたなんて、誰が信じるんだ? それに証拠が無ければ警察も手は出せんぞ。」ヒデの表情に安堵が混じる。
1886 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:18:46 ID:7DI0Dhxw0 「警察に任せるつもりなら、初めからそうしてる。」 「じゃ、目的は何だ。証拠が無いならこっちも考えがあるぞ。」 「報いを受けてもらう。お前達にふさわしい報いをね。」 「綺麗なお姉さんのお仕置きかい?楽しみだね。」 ヒデの顔にあからさまな好色の表情が浮かんだ。つくづく哀れな男だ。 それがますますSさんと姫を怒らせるとも知らず、卑しい想像に浸っている。 隣に座ったSさんから、ぞっとするような冷気を感じた。 始まる。 「本当は地獄に送ってやりたいけど、生身の人間は地獄には行けない。 だからって直ぐに殺すと私たちの気が済まない。死ぬまでたっぷり苦しんでもらわないとね。」 ヒデが警戒の表情で俺を見る。 「殺す?お前ら、銃でも持ってるのか?」 「銃なんて要らない。これで充分。」 Sさんが上着のポケットに右手を入れた。 腰を浮かし掛けたヒデは、Sさんが取り出したものを見て呆れたように再び腰を下ろした。 「何だよ。そんな紙っ切れでどうしようってんだ。」 「こうするの。」 Sさんは小声で何事か呟いた後、掌に乗せた紙片に強く息を吹きかけた。 紙片は2枚、何の形かはわからない。ヒデとノブに向かってひらひらと飛んで行く。 突然、ヒデとノブは目を見開いたまま動かなくなった。完全に硬直している。 2枚の紙片がそれぞれ2人の眉間に貼り付いた。 そして、まるで男達の顔に吸い込まれるように、消えた。跡形もなく。
1887 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:20:58 ID:7DI0Dhxw0 「終わらない悪夢、地獄の夢。コイツ等の心の中の『悪意』、 今まで他人に向けられていた憎悪と侮蔑のエネルギーを悪夢に換え、 コイツ等の魂をその夢の中に封じた。自分たちの悪意が作り出した地獄の中で、 他人に与えてきた肉体の痛み、心の痛み、そして恐怖を味わってもらう。 魂がこの夢の中に囚われている限り、コイツ等にとって『最も怖ろしい事』、『最も辛い事』が いつまでも続く。本当の地獄へ行く前に、この世の地獄を体験してもらうの。 水も食べ物も口にできず、衰弱した肉体が滅びるまで、ずっとね。そろそろかしら。」 硬直した男達の表情が恐怖に歪んでいた。 「よせ、俺は裏切ってない。俺は悪くないんだ。」 ヒデは何度も呟いたあと、弱々しい悲鳴を上げた。 「痛ぇ、痛ぇよ。止めてくれ。」 ノブは血にまみれた顔に涙をボロボロ流しながら呟いている。 「やめろ。来るな。」 突然笑い出す、また泣き出す。 「来るな、来るなよ。」 「あの紙はこの術の、代だったんですね。」 「今夜も冴えてるわね。じゃ、代を使った術を解く前に必要な事は?」 「この場合は、代を破るか、燃やすこと、ですか?」 「ご名答。でも、この術の代はコイツ等自身の体内に封じた。 だからこの術は、コイツ等が死んでその肉体が焼かれるまで絶対に解けない。絶対にね。」 「このままの状態で食事も水も口にできないのでは、3日保てば良い方ですね。」 「運良くこのままだとしたら、2日も保たない。」 運良くこのまま?どういう事だ。 「でも、もっと派手に悲鳴を上げるようになったら、マンションの住人が通報するでしょうね。 そしたら肉体は病院で拘束され、点滴や人工栄養のチューブを繋がれて生かされたまま、 魂はずっと地獄の夢の中をさまよう事になる。コイツ等にふさわしい報いだわ。 最悪の恐怖は体に相当な負担を掛けるから、それでも保って一ヶ月かそこらだと思うけど。 それ位なら15年とか刑務所に入れるより税金の無駄遣いも少なくて済むし。」 そういう事か。確かに通報されるのはむしろコイツ等に取っては運が悪い。最悪だ。 「もし、通報が、されなかったら。」 「もちろん私が通報するわ。警察にも知り合いはいるし。」 もうコイツ等に『幸運』が訪れることはない。これまでの非道に対する、当然の、報い。
1888 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:22:18 ID:7DI0Dhxw0 「ふふ、ふふふふふ。」 突然、笑い声がした。 姫だ。いつの間にか立ち上がっている。 「良い気味ね。本当にいい気味だわ。」 頬をつたう一筋の涙。 「私、嫌で嫌で堪らなかった。痛くて、辛くて、恥ずかしくて。憎んで、気が狂うほど憎んだ。 この手でこの男達を殺してやりたかった。でも、出来なくて、この男達の思うままに...」 Sさんも立ち上がり、姫の肩をしっかり抱きしめた。 「ごめんね、明美。守ってあげられなくて、助けてあげられなくて、本当にごめんね。」 違う、これはSさんの声じゃない。 「でも見えるでしょ? 今、この男達もあなたと同じく、死ぬより辛い目にあってるの。 だからあなたを酷い目に遭わせたり脅したりする男はもういない、分かる?」 SさんはSさんのではない声で、一言一言言い聞かせるように話す。姫が小さく頷いた。 「それとね、明美がとても辛い思いをしたって聞いて、お父さんがすごく心配してるの。」 「お父さん...」 姫が顔を上げた。懐かしい記憶を思い出そうとするように。 その瞬間、Sさんは小声で何事か呟いた後、姫の頭を抱き寄せた。 姫の体がぐったりと崩れ落ちる。 「R君、お願い!」 俺は姫の体を支えて抱き上げ、ソファに横たえた。 姫の手から白い袋が落ちる。Sさんはそれを拾ってハンドバッグにしまった。 「さて、戦利品を持って帰らないと。」 Sさんはリビングの飾り棚の戸を開けて中を探った。 「やっぱり有った。」 重そうに取り出したのは大型の手提げ金庫だ。メモが貼ってある。 「こんな奴らはやましい方法で手に入れた現金や貴金属を大抵自宅で保管してる。 開け方のメモもあるし、簡単だろうとは思ってたけど、予想通り過ぎてちょっと拍子抜け。」 Sさんがメモを見ながら手早くダイヤルを廻すと、あっけなく金庫の蓋が開いた。 中には沢山の札束、指輪やブレスレットなどの貴金属類、それに大きな封筒が幾つか。 Sさんはハンドバッグの中から折りたたまれた某デパートの紙袋を取り出した。 広げた紙袋に金庫の中身を手際よく放り込んでいく。 「お葬式をやり直す事になるかも知れないし、○本氏にはお金が必要だわ。遅くなったけど れっきとした慰謝料ね。これで良し。すごい事になってきたから、さっさと引き揚げましょ。」 確かに、男達が失禁したせいで部屋中に耐え難い悪臭が満ちてきていた。
1889 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:24:35 ID:7DI0Dhxw0 姫を抱いたままマンションの出口に向かう途中で、マンションの住人と鉢合わせになった。 心配そうに声を掛けてくる。「あの、その人大丈夫ですか?」 くっそ、余計なお世話だ。 「ああ、大丈夫です。知人の部屋でパーティーしてたんですけど、妹が間違って 僕のお酒飲んで酔っぱらっちゃって。心配なんで早目に連れて帰る所なんですよ。」 「そうなんですか。気を付けて下さいね。」 「どうも。」 何とかやり過ごした。 「全く、役者なんだから。」 Sさんの微笑に温もりが戻っていた。 「そういえばさっきのSさんの声って。」 「ああ、私、声色(こわいろ)は結構得意なの。」 「声色?物真似って事ですか?」 「そう、彼女の母親の声。」 「彼女は飛び降りる瞬間、母親の事を思い出してた。怪我をして泣いている時、 手当てしながら慰めてくれた母親の優しい顔と温かい声をね。」 この人は...本当に、底の知れない人だ。
1890 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:25:18 ID:7DI0Dhxw0 翌日、5月3日の午前10時、○本明美さんの卒業式が高校の体育館で挙行された。 生徒席には彼女の父親と姫、来賓席には高校を運営する法人の理事など12人。 もちろん1列目にはあの老人も座っている。 俺とSさんは少し離れた場所で、小さな机に設えた祭壇を守っていた。 祭壇には、あの小さな白い袋と、大きな二枚貝の貝殻が安置されている。 卒業式は司会を兼ねる教頭先生の開式の言葉で始まった。 「本日、○本明美さんの名誉を回復し、彼女の卒業を認定できますことは、 彼女の御家族だけでなく本校にとっても、誠に喜ばしい事であります。 それでは、卒業式の開式を宣言致します。」 続いて校長先生が登壇し、卒業認定が行われる。教頭先生の声に続いて父親が起立した。 「本日この場で、○本明美さんが本校の全課程を修了した事を確認し、卒業を認定します。」 参列者全員が大きな拍手を贈る。俺とSさんも一生懸命拍手した。 「続いて卒業証書授与、卒業生代理の方は壇上にお上がり下さい。」 父親が立ち上がり、舞台に向かって歩き出す。 「もう良いわね。」 Sさんは祭壇に安置された袋の中から人型を取り出し、 大きな貝殻の中に入れた。右手を貝殻の上にかざすと人型が燃え上がる。 『御焚き上げ』だ。 「これで良し。」Sさんは満足そうに呟いた。 舞台に視線を戻すと、父親が校長先生の前に立った所だった。そして。 父親と並んで、女生徒が1人、舞台に立っている。 その後ろ姿はセーラー服ではなく、白いシャツにチェックのスカート、紺のブレザー。 姫と同じ、この高校の現在の制服だ。新しい制服にポニーテールが良く似合っている。 「○本明美、右の者が本校の普通科を卒業した事を認め、証書を授与してこれを証する。 平成△年5月3日、卒業台帳番号第×038×号。おめでとうございます。」 父親は一礼して卒業証書を受け取り、とうとう堪えきれず舞台の床に両膝をついた。
1891 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:26:24 ID:7DI0Dhxw0 「...明美、済まない。私は、私はお前を...」 会場は静まりかえり、父親のすすり泣く声だけが響く。もらい泣きをする参列者も多かった。 泣き続ける父親の傍らで、あの子が気遣うように父親の肩に手を添えている。 俺自身も涙が溢れるのを我慢できなかった。 「セーラー服じゃなくて残念だったわね。」 「いや、むしろセーラー服じゃなくて良かったですよ。」 「何故?」 Sさんの目も赤く潤んでいた。 「だって、新しい制服は、彼女が旅立つ覚悟を決めた事の証ですよね?」 「...あなたを好きになって、本当に良かった。」 Sさんは俺の涙をハンカチでそっと拭いてくれた。 もう一度舞台に視線を戻した時、既に彼女の姿は無かった。 短い卒業式は無事に終了した。○本氏は既に落ち着いていて、 俺達が生徒席で彼にお祝いの言葉をかけると、彼も俺達に礼を言った。 「本当に何とお礼を言って良いか分かりません。こんな立派な式を開いて頂いて、 その上娘を正式な卒業生として認定して頂けるなんて、今でも信じられません。 本当にありがとうございました。」 「さっき、お父さんが卒業証書を受け取られた時、明美さんも一緒でしたよ。」 にっこり笑う姫の言葉に○本氏は大きく頷いた。 「やはりそうでしたか。何だかそんな気がしていたんです。泣いている途中で何故か とても暖かい気持ちになりましたから。娘は、娘は笑っていましたか?」 「はい、笑っていました。明美さんはもう旅立ちましたが、 最後までお父さんを心配していました。そして『宜しく伝えて欲しい』と。」 「そうですか。」 ○本氏は静かに涙を拭った。
1892 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:27:34 ID:7DI0Dhxw0 Sさんが○本氏の前に進み出て一礼した。 「どうしても気になると思いますのでお話ししておきます。」 「はい。」 「私たちの調査で、犯人は既に判明しています。ある団体の構成員でした。 『でした』と言ったのは、犯人が既に死亡している事を確認したからです。 法で裁かれた結果ではありませんが、犯人は自分の非道な行いの報いを受けた訳です。 事件の性質上、お父さんとしても事実を今更表沙汰にする事は避けたいでしょうし、 この件の調査はこれで終了して、敢えて刑事事件とはしない方向で如何でしょうか?」 「本当に犯人は死んだのですね。」 「はい、信頼できる確実な情報です。」 正確には『死んだも同然』で『死ぬより辛い状態』だが、 直接手を下した本人が言うのだから、確かにこれ以上確実な情報は無い。 『犯人達』ではなく『犯人』と言ったのもSさんの心遣いだろう。本当に優しい人だ。 「それなら結構です。死人を恨むより、娘の冥福を祈りたいと思います。」 Sさんの眼が一瞬鋭く光ったが、すぐに穏やかな表情に戻った。 「立派な心掛けです。それでこそ明美さんも安心できると思います。そして。」 Sさんは祭壇の下に置いてあった布袋の中から、分厚い紙包みを取り出した。 「犯人が所属していた、ある団体からこれを預かってきました。 この件を刑事事件にはしないと確認が取れましたからお渡しします。 示談金、または慰謝料にあたるものです。どうぞお受け取り下さい。」 ○本氏は暫く考えて首を振った。 「もし、明美が私に相談してくれていたとしても、私はあの娘を慰めるだけで 結局は泣き寝入りするしかなかったと思います。だからそれを私が受け取る道理は ありません。むしろこの件に関わる調査には大変なご苦労がお有りだった筈です。 しかし私はそれに見合うお礼を用意することができません。 今回のあなた方のご苦労へのお礼として、どうかそれはあなた方がお納め下さい。」 「明美さんの為に役立てた方が良いのではありませんか?」 「いいえ。今更どれだけお金を使っても、明美は喜ばないでしょう。」
1893 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:29:18 ID:7DI0Dhxw0 ○本氏は少しためらってから、意を決したように言った。 「実は私、この式が終わったら娘の所へ行くつもりでした。」 「娘さんを守ってあげられなかった、信じてあげられなかった。 あなたはそう考えて、その責めを負う気だったんですね。」 「はい、でも先程、式の途中で娘の温かい気配を感じて、考え直しました。 少しは蓄えもありますし、娘の事を想いながら、余生を過ごすつもりです。」 Sさんは深く息を吸った後、ゆっくりと眼を閉じた。 「広(ひろ)さん、明美は私に任せて頂戴、もう大丈夫よ。 そして私達のためにも、広さんは頑張って生きて。お願い。」 「裕美...」 ○本氏の目に涙が溢れた。 Sさんが眼を開ける。 「奥様の声、聞こえましたか?」 「はい、確かに。確かに裕美、妻の声でした。私に『生きて』と。」 「生きている者には、亡くなった家族を供養する義務があります。忘れないで下さい。」 「肝に、命じます。」 泣き止むのに少し時間がかかったが、○本氏は晴れ晴れとした顔で高校を後にした。 結局、彼は『示談金』を受け取らなかった。 「あれも、声色なんですか?」 声色だとしたら、何故Sさんは『広さん』という呼び方を知っていたのだ? 「我ながら良い出来だった、神懸かりって言っても良い位。」 「本当に良く似ていたのでびっくりしました。」 姫が微笑む。 ああ、そうだったのか。Sさんは○本氏の意識を。 「そう、式の間中、彼はずっと奥さんと娘さんの記憶に浸ってた。 きっと娘さんも奥さんも、彼にとってかけがえの無い素敵な女性だったのね。」 え、今、俺喋ってない。 「彼が自殺を考えている事も分かってた。こういう事例では良くある事。 そんな人は一度思い直しても、何かのきっかけで再び自殺願望に囚われる。」 「だから娘さんだけでなく、奥さんも彼が生きる事を望んでいると。」 「これくらいの方便を咎める神様はいない。少なくとも陰陽道にはね。」 「じゃ、あとは最後に残った大切なお仕事ですね。」 姫が歩き出した。 『最後に残った大切なお仕事』って、これで全て終了では無いのか? 「どんな事情があったとしても、一度宿った命を軽んじてはいけない。 あの子の記憶を封じ、あの子の魂をこの学校に縛り付けていたもうひとつの理由。」 Sさんの言葉が俺の胸を貫く。そうだ、この事件の犠牲者は2人。
1894 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:31:32 ID:7DI0Dhxw0 Sさんからの要請に応じ、この日高校は式の関係者以外立ち入り禁止になっていた。 高校側からあらかじめ通達されていたため、他の生徒の姿を含めて校内に人影はない。 姫とSさんが歩みを止めたのは中庭の端、花壇の前だった。 そこは、屋上のあの場所の真下。おそらく彼女の遺体が発見された場所。 Sさんは花壇の端にあの貝殻を置き、ハンドバッグから白い小さな袋を取り出した。 綺麗な模様の刺繍と口を縛る赤い糸、あの袋と同じだ。 Sさんは赤い糸を解き、中から取り出した小さめの人型を貝殻の中に置いた。 そうか、あの時、Sさんが屋上で取り出した人型は大小2枚あったのだ。 でも何故Sさんは校長室で話を聞く前に2枚の人型を準備していたのか? 「女子高生が『自宅じゃなく高校で』自殺した。こういう事例で家に帰れない理由って たいていの場合望まない妊娠だもの。真面目な女の子ほど、そうだわ。」 また喋る前に。 Sさんが左手を胸に当てて眼を閉じる。深く息を吸い、ゆっくりと右掌を地面に向けた。 澄んだ声で、歌うように、古い言葉を紡いでいく。意味はよく分からない。でも、それは おそらく、生まれる事のできなかった小さな命を慰め、その怒りを鎮めようとする言葉。 姫が人型に向かって一礼し、ブレザーの内ポケットから水色のハンカチを取り出した。 両手でハンカチを額の高さに捧げ持ち、目を閉じて何事か呟く。Sさんの言葉が続いている。 姫はハンカチを広げ、貝殻の中の人型をふわりと覆った。ハンカチの端の『○本』の刺繍。 彼女のハンカチで胎内を、小さな命を守るゆりかごを模しているのだろう。 また涙で視界が歪む。もう一度、今度は幸せに生まれてきて欲しい、心からそう思う。
1895 :入学式と卒業式(下) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:32:45 ID:7DI0Dhxw0 やがて、Sさんが眼を開け、左手を胸に当てたまま右手を貝殻の上にかざした。 ハンカチと人型が燃え上がり、信じられない程大きな炎が上がる。 俺は思わずSさんに駆け寄り、その体を抱き寄せて庇った。 「ありがと、私は大丈夫よ。」 辺りに漂う微かな煙の匂い。 姫が微笑む。「もう、これで、本当に全部済みましたね。」 「こんな哀しい事件、世の中から全部無くなれば良いのに。」 そう言ってからSさんは大きく伸びをした。 「ん〜。ねぇL、お腹空いたんじゃない?」 「はい、もうペコペコです。」 「じゃ帰りに何処かで美味しいもの食べて、それから荷物持って出かけましょ。」 「あの、何処に出かけるんですか?」 姫もぽかんとしてSさんを見ている。 「あれ、言ってなかったっけ?山奥のね、温泉宿を予約してあるの。良い所よ。 あ、確か近くに釣り場も有ったわ。『ヤマゴ』が釣れるんだって。」 え〜っと、それは多分『ヤマメ』か『アマゴ』ですね。 「結構な臨時収入もあったし、少し疲れたから皆で温泉、良いでしょ?」 「あのお金、貰っちゃって良いんですか?」 姫は心配そうだ。 「『お納め下さい』って言ってたし...でも、まあ半分くらいは 後で彼の口座に振り込んで置けば夢見が良いかもね。振込人名義は『○本明美』にして。 それで本当にこの件は全部終了。それでどう?」 「賛成です。」 「僕も賛成です。」 「ならこれで一件落着。昼ご飯は何が良い?」 『入学式と卒業式(下)』 了
1896 :入学式と卒業式(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:35:34 ID:7DI0Dhxw0 ひゅっ! しゅるるるるる。 小さなルアーがキラキラと光りながら彼方へ飛んでいく。 続いて遠くに微かな水音。 リールを巻く手の動きに合わせて聞こえる衣擦れの音。 時折彼方此方で魚が跳ねる。ゆっくりと、穏やかに時間が過ぎていく。静かな休日の午後。 俺と姫は並んでルアーを投げていた。 Sさんの提案で、温泉で有名な某県の秘湯、古い温泉旅館に小旅行に来ている。 5連休となるゴールデンウィークは、この温泉でのんびり過ごす予定だった。 ここは旅館に併設された管理釣り場。平たく言えば高級な釣り堀だ。 近くの清流を引き込んでニジマスやヤマメ、イワナやアマゴを養殖している。 スチールだのブラウンだの、やたらに外国産の魚を導入していないのも俺には好印象。 各種の釣り具もレンタルしていてとても便利、俺と姫はルアーのタックルを選んだ。 ただし、ルアーはエサと同じ扱いでレンタルではなく購入しなければならない。 20cm〜30cmの魚がほとんどの釣りだから本当は1〜2gくらいのルアーの方が 良く釣れるのだろうが、軽過ぎるルアーは姫には投げにくいと思ったので 柔らかい竿に5gのルアーを使っていた。姫のキャスティングも中々さまになっている。 2人で既に10尾余りを釣り上げ、夕食は十分確保出来ていた。 Sさんは岸壁に座り、水面に向かって両の素足を投げ出したまま遠くを見つめている。 そして時折魚が釣れると大喜びで拍手してくれた。 華やかな笑顔を照らす柔らかな日差し。時折吹き抜ける風がSさんの長い髪を揺らす。 静かな休日に、ゆっくりと夕暮れが迫っていた。
1897 :入学式と卒業式(結) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:36:48 ID:7DI0Dhxw0 不意に、姫が口を開いた。 「明美さんって、本当に素敵な人でしたね。まるでお姫様みたいに。」 「何故、お姫様みたいだと思ったんですか?」 「彼女、最後は私に『ごきげんよう』って挨拶してくれたんです。 『ごきげんよう』って、お姫様が『さようなら』の代わりに使う言葉ですよね? だから私も挨拶したんです。『ごきげんよう』って。」 ...姫が微笑んで『ごきげんよう』。 萌え、むしろ萌え全開。頭がくらくらする。 「え、Lさんは何て言ったんですか?さっきはちょっと聞いて無くて。」 「だから、『ごきげんよう』って、私もそう言ったんです。心の中で。」 「あの、もう一度だけ、あ痛っ!!」 Sさんに思いっきり左腿をつねられた。 「変態!!」 「変態って何ですか?」 「女の子にセーラー服着せたり、『ごきげんよう』って言わせたりして はあはあ興奮する馬鹿な男の事よ。」 「え、じゃあRさんって変態なんですか?」 「違います。誤解です、本当に聞き逃しただけなんです。」 「嘘つき。」 もう一度左腿をつねられた。 「だから痛いですって、反省してます。ごめんなさい。」 Sさんと姫の軽やかな笑い声が、静かな水面に響いていた。 『入学式と卒業式』 完
1898 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/12(水) 18:40:47 ID:7DI0Dhxw0 3話目、思っていたより早く投稿できて良かったです。 知人から預かった話も残り1話になりましたが、 仕事の都合などもあり、今週末までに投稿できるかどうか分かりません。 なるべく早く投稿したいと思います。
1899 :名無しさん :2012/12/15(土) 03:22:33 ID:KJTa185c0 乙です。楽しみにゆったり待ってますよ。
1900 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:34:00 ID:yzbTiwCk0 >>1899 こんばんは。準備ができましたので、最後のお話を投稿させて頂きます。 今までのように、上・中・下・結に分かれていない、少し短めのお話です。 これまでとは少し毛色が違い、「後日譚」としての位置付けかと思います。 楽しんで頂きたいのですが、気に入って頂けない場合は申し訳ありません。
1901 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:36:08 ID:yzbTiwCk0 「仲○様ー。」 看護師さんが待合室に呼びかけ、女性が1人診察室に入っていく。 4週に一回、Sさんの定期検診で産婦人科の病院に来ていた。 混んで長く待つとSさんの体に負担が掛かると思い、姫を送ってそのまま来たのだが 既に数人の女性が待っている。大抵待合室に男性は俺1人だけで、何となく落ち着かない。 暫くして先程の女性が診察室から出てきたと思ったら、直ぐに白衣の女性が出てきた。 「あらSさん、今日検診だったわね。もう少し待ってて下さい。」 眼鏡に軽く触れた後、ちらっと俺を見る。「この方が、その、彼氏?」 「はい。 Rさん、こちらが私の担当の○川先生。」 Sさんが微笑む。 「どうも、初めまして。宜しくお願いします。」 一応立ち上がって一礼する。 「直ぐに戻ります。」 Sさんの担当医というその女性はもう一度俺を見てそう言うと 廊下を奥の方に向かって歩いていった。 検診の結果は異常無し、子供の発育は順調だった。その日の夜。 Sさんは病院でもらったエコーの写真をベッドの上で飽きもせず眺めている。 「そう言えば担当のお医者さん、女性なんですね。」 「そうよ。だってわざわざ障りの無い方位で評判の良い女医さんを探したんだから。」 成る程、それで車で片道40分もかかるような病院を。 「やっぱり女医さんの方が、何かと気が楽なんですか?」 「気が楽っていうか、いくら産婦人科の検診でも、あなた以外の男の人に あちこち触られるなんて絶対嫌。そんなの考えただけで気持ち悪いもの。」 まあ検診の内容が内容だけに、Sさんのような美人を診察する時にはお医者さんといえど 少しだけ変な事を考えてしまう事もあるだろう。Sさんにはそれが伝わってしまう訳で 俺以外に触られたくないって言いたくなるのも無理は...え、俺以外?
1902 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:37:08 ID:yzbTiwCk0 「R君、今まで口に出して聞かれた事は無かったし、 そんなの自慢するのもおかしいから黙ってたけど。私、男性経験はあなた1人だけよ。」 「え、ええと、そう聞くと何だか嬉しいですね。」 Sさんは小さく溜め息をついた。 「全然信じて無いわね。あなたに妹の力を使った時、あなたも『初めて』だったけど、 私もあの夜が『初めて』だったの。でも、あなたは私の事『経験豊富』だと思ってる。 もし、口に出して言われたり聞かれたりしたら思い切りひっぱたいてやるつもりだったけど。」 実は何度か聞こうと思った事があったので肝を冷やした。危ね〜、取り敢えずセーフ。 「いや、それはSさんがとても上手で、その。」 「あなたがどうしたいか、どうされたいか、それがどんどん伝わって来るんだから その中で私も気持ち良い事を選んでるだけで良いんだもの。当然でしょ。」 そして、いたずらっぽい笑顔を浮かべた。 「あなたのお気に入りの女優さんの顔も伝わって来るわよ。 もう何人かは顔を憶えちゃった。今度ネットで名前調べてみようかしら。」 「や、止めて下さい、そんな。昔の事を持ち出すなんてSさんらしく無いですよ。」 「冗談よ。私への『好き』と彼女たちへの『好き』が違う事、ちゃんと分かってるから。」 Sさんはベッドから出て俺の隣に座った。俺の首に両手を絡める。 「ね、もう分かったと思うけど、私には一生あなただけよ。あなたはそうでなくても、ね。」 心の底の方から、何か温かいものがじわじわと湧き上がってきた。 「ありがとうございます。何だか、とても感動してます。」 俺はSさんを抱き上げてベッドに運んだ後、部屋の灯りを消した。 「まだ安定期に入ってないんだから、盛り上げてもダメよ?」 「わ・かっ・て・ます!」
1903 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:37:57 ID:yzbTiwCk0 「いつか聞こうと思っていたんですが。」 「なあに?」 妊娠六ヶ月を過ぎて、Sさんのお腹もやや大きく目立つようになっていた。 就寝前のひととき、寝室のソファに並んで座り、Sさんは俺の右肩に頭を預けている。 「あ、もう安定期に入ってるから、『しても』大丈夫よ。前にも言ったでしょ?」 「...心が読めるくせに、何で変な方向に話を持っていくんですか?」 「ごめん、ちょっとした出来心。それに。」 Sさんは声を潜めた。「今夜は私も久し振りに『したい』気分なの。」 そして俺に熱く長いキスをした。「じゃ、質問を続けて。」 「そんな事されたら、質問どころじゃ無くなりますよ。」 「そう?」 普段の隙のない行動様式や、抑制の効いた感情表現に比べて、2人きりでいる時の この人の『性』に関する態度はとても積極的で、本当に驚かされる事が多い。 「魔術とか呪術の類では、術者にとって『性』は禁忌という話が多い気がするんですが。」 「私が『性』を禁忌にしていないから不思議に思ったって事ね?」 「そうです。」 『性』が禁忌どころか、以前Sさんは「一夫多妻」でも「一妻多夫」でも、 それに「未婚の母」でも構わないと言った。 実際、あと4ヶ月もすれば、日本の法律上はSさん自身が「未婚の母」だ。 「特別な祀りをする時や、ある系統の術を使う時は『性』に関わる事を 一定の期間避ける事はあるわよ。『斎戒』って言うんだけど。」 「そう『斎戒』、それです。ある期間異性との関係を断つ、みたいな。」 「でも、それは『殺生をしない』とか『生臭ものを食べない』とか、 いくつかある忌み事の1つであって『性』だけが特別な訳じゃない。」 「じゃあ何故術者に『性』は禁忌のような話が広まってるんでしょうね? 処女崇拝なんかもその類だし、あと僧侶の妻帯禁止とか。」 「現代の仏教では女性を穢れたものと考えるから、 表向きだけは妻帯禁止という戒律があるんでしょ。 大元の教祖様が妻帯者だったのはどう説明してるのか知らないけど。 それに、全ての男が解脱して穢れを避けたら100年以内に人類滅亡ね。」 Sさんは皮肉っぽい笑みを浮かべた。
1904 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:38:29 ID:yzbTiwCk0 「陰陽道では女性を穢れたものとは考えないんですね。」 「新しい命を宿す、と言う点ではむしろ男性より女性の方が『根源』に近い存在とされてる。 『力』を持って産まれてくる子に女の子が多いのも、その関係らしいし。」 「だから『性』は特別な禁忌にはならない、と。」 「禁忌どころか、さっき言ったような限られた場合を除けば、 『性』は術者の能力を高めてくれる事の方がずっと多いわ。あなたへの恋愛感情で Lに仕込まれていた術を抑えられたのは、恋愛が象徴的な『性』の形の1つだから。 あなたへの恋愛感情が、術に対するLの抵抗力を高めていたの。 いつかあなたと結ばれたら、Lは今よりもっと強い力を使えるようになるはずよ。 「もしかして、妊娠したら妊娠前より能力が高まるんですか?」 「勿論。私の力も自己記録絶賛更新中。術の系統や種類によって どの位能力が高まるかはまちまちだから、当社比何%UPって細かくは言えないけど。」 「...妊娠中より出産後は更に?」 「そう、『母は強し』っていうでしょ?妊娠した時と違って出産後は 能力全体が底上げされるみたいだから、今からちょっと楽しみにしてるの。」 「向上した能力に体がついていけなくなるって事はありませんか?」 姫の母親の『強過ぎる力』が胸をよぎり、心に不安が湧き上がってくる。 「心配してくれてありがと。でも大丈夫。これは私の器自体が成長した分だから平気。」 「なら良いんですけど。」 本当に大丈夫なんだろうか。
1905 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:39:19 ID:yzbTiwCk0 「今夜は気分が良いから、ちょっと面白いもの見せてあげる。」 きっと俺の不安を感じ取って、気を紛らわせてくれる気なんだろう。 「面白いものって何ですか?」 「最初は蝶々なんてどう?金色の。」 金色の蝶といえば、お正月に姫の術で見た幻視だ。 「いや、『あの声』はちょっと。」 「あれ、私は得意じゃないって言ったでしょ。」 Sさんはソファから立ち上がり、机の引き出しから白紙と鋏を取り出してきた。 「私の得意な術も、一度見て欲しかったし。」 言いながら両手を動かす。 「ほら、綺麗でしょ?」 右手の掌に紙の蝶が3片、重なって載っている。 「手先が器用なのは知ってますけど。」 「不満そうね。でも、これならどう?」 Sさんは小声で何か呟きながら紙の蝶を天井に向かって投げ上げた。 まさか、これは。 金色に輝く蝶が3片、細かな金粉をまき散らしながら天井近くを飛び回っている。 微かに鈴を鳴らすような音が聞こえる、蝶の羽音なのか。幻想的な美しさだ。 「手を伸ばして。掌を上に向けて。」 「こう、ですか?」 「そう。」 3片の蝶が俺の掌に相次いで舞い降りた。 そして俺の掌に舞い降りた途端、目の前で切り紙細工の蝶に戻る。信じられない。 「これは、幻視なんですか?」 「違う。幻視じゃない。」 「じゃ金色の蝶は、俺は何を見たんですか?」 「見た通りよ。金色の蝶々。」 「あれが現実だって言うんですか?」 「その目で見たものが現実じゃないの?」 「そんな。」 「Lの術を再現した後だから、次はKが得意だった術を再現してあげる。」 「Kって、『あの人』の得意な術を、ですか?」 「そう、見えるだけじゃなくて、触れる。」
1906 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:40:02 ID:yzbTiwCk0 Sさんは体を起こし、前屈みになってテーブルの上で両手を向かい合わせた。 「手品でも幻視でもないから、何が見えるかは前もって教えないわよ。」 Sさんがゆっくりと深呼吸を繰り返し、机の上で両掌を向かい合わせた。 両掌の間隔は30cm位。既にその間にうっすらと光の固まりが見える。 Sさんの集中力が高まる。今にもチリチリと火花が散りそうだ、その直後。 Sさんの両掌の間、テーブルの上に、白い小さな龍がいた。 丸まって寝ているが、大きさは30cm位だろう。本当に小さい。 「何が見える?あ、待って。手品じゃないから聞き直し。小さな龍が見える?白い龍。」 これが幻視じゃないというのか?「見えます。白い小さな龍。」 「幻視だと思う?」 「判りません。」 「じゃ触ってみて、背中を、そっとね。」 右手を龍に向かってそろそろと伸ばす。!?中指が、龍の背中に触れた。 細かい鱗の感触、乾いた手触り。その時、龍が目を覚まして頭をもたげた。 小さく欠伸をして俺の顔を見つめる。首を伸ばして俺の指に鼻先をこすりつけた。 また欠伸をして丸くなる。寝てしまったようだ。 「やっぱり懐いちゃったわね。」 Sさんが掌をゆっくりと合わせるにつれ、龍の姿は薄れて消えた。跡形も無く。
1907 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:40:35 ID:yzbTiwCk0 「あれは式なんですか?」 「違う、術者でなければ式には触れない。」 「じゃ、あれは何です?」 「だから、見たものそのままよ。龍。どんな感触だった?」 「乾いた、さらさらした鱗の手触りでした。あれも、現実なんですか?」 「見えるもの、触れるもの、それが現実かどうかはあなたが決める事、そうでしょ? それじゃ、最後に大サービス。気に入ってもらえると良いんだけど。」 Sさんは三面鏡の引き出しから手鏡を取り出してきて俺に手渡した。 「鏡を見て。何が見える?」 Sさんの眼はきらきらと輝いている。ドキドキしながら手鏡を覗いた。 長円形の鏡には俺の顔が映っている。凡庸な、さえない顔。いつも通りだ。 あたりまえなのに、何となくがっかりする。「俺の顔です。いつもの。」 手鏡をSさんに返す。Sさんは手鏡を胸にあてて両手を添えた。 「そうよね。私とL以外の、世界中の皆が見てるあなたの顔だわ。」 どういう意味だ? Sさんと姫が見ている俺の顔は、あれじゃないというのか? 「そうよ。じゃ、もう一度鏡を見て。」 だから喋る前に答えるのは止めて下さいって。 Sさんは唇に人差し指を当てて、俺に手鏡を差し出した。 指示通り、黙って受け取る。 息を止めたまま、もう一度鏡を覗く。思わず声が漏れる。「そんな、これって?」 そこには、どこかしらKの面影のある端正な顔が映っていた。しかし髪は短く、男の顔だ。 「悪い冗談は止めてください。何を考えてるんですか。」 「冗談なんかじゃない。私とLが見てるあなたの顔、真実の顔はそれ。美形でしょ?」 これが俺の顔?もう一度鏡を覗くと、やはりKに似た端正な顔が鏡の中から俺を見つめる。 俺が左目を閉じると鏡の中の顔は右目を閉じる。 両目を閉じて、もう一度開いても鏡の中の顔は変わらない。
1908 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:42:04 ID:yzbTiwCk0 「あ、間違ってた。さっきは私とLだけと言ったけど、あなたのお母様と、 おそらくあなたのお父様も見ているあなたの顔がそれよ。ご感想は?」 「信じられない。こんな、まさか。」見る人によって俺の顔が違うなんてあり得ない。 「じゃあ写真は?Sさんは僕の写真を見てもこの顔に見えるんですか?」 「そうよ、当たり前じゃない。そうじゃなかったらおかしいでしょ。」 「見る人によって同じ写真が違う顔に見える方がよっぽどおかしいですよ。」 「R君、君、自分の写真に『本当は』どんな顔が写ってるか確認できるの?」 「『本当は』って...」自分の常識が崩れていくようで妙に不安になる。 「人は自分の顔を鏡で見る方がずっと多いでしょ?写真で見るよりも。 鏡で見る顔と写真の顔は左右が完全に反転してる。なのにほとんどの人は 写真の顔を全く不自然に思わず、鏡の顔と同じ自分の顔だと認識する。 違うものを見てるのに、それらが同じに見える事があるのなら、 同じものを見ているのに、それらが違うものに見える事があっても全然おかしくない。」 「そんな、じゃあ、あの蝶は、龍は。 僕は一体何を...」 Sさんは俺の手から手鏡を取り上げて、耳許で囁いた。 「さて、私、あなたを楽しませる為にいっぱい頑張ったんだから、 今度はあなたが私を気持ち良くさせてくれる番よね?分かってる?」
1909 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:42:44 ID:yzbTiwCk0 夢を見ていた。 草原の中の小さな公園、Sさんと並んで俺はベンチに腰掛けている。 雲ひとつ無い青空、太陽がまぶしい。Sさんは白い日傘をさしていた。 「名前を考えたんです。子供の名前を。」 「どんな名前?」 Sさんは優しい笑顔で俺を見つめた。 「『みどり』ってどうですか?翡翠の『翠』って漢字を考えてるんですが。」 「みどり、素敵ね。良い名前。漢字は少し難しいかもしれないけれど。 緑の草原のみどり、『あの人』があなたと出会った、この綺麗な草原のみどり。」 Sさんの声の調子は、まるで短歌や俳句を詠唱しているようだ 「この場所に因んだ名前だとして、何か障りはありますか?」 「それは大丈夫、障りがあるのは名前の読みや漢字が同じ時だけ。」 数日前、寝室のソファでSさんと話した記憶が変形して夢に出てきている。 俺は自分が夢を見ている事を自覚しながらSさんとの会話を楽しんでいた。
1910 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:43:35 ID:yzbTiwCk0 「R君。あなた、起きて頂戴。お腹が、少し変なの。」Sさんの声だ。 俺は飛び起きた。「どうしたんです。」 「お腹、いつもと違う。いよいよかも。」 時計を見る、6時12分。出掛ける支度に30分、病院まで車で40分。 診療開始は9時だがそれより早くても対応はしてくれるだろう。「痛みはありますか?」 「痛いっていうより、いつもより張りが強い感じ。まだ充分余裕はあると思うけど。」 「Lさんの学校はどうしましょう。」 「Lに判断させて。学校に行くならLを送ってからでも多分大丈夫。」 「分かりました。」 俺は一階の姫の部屋へ向かった。ドアをノックする。 「Lさん、起きて下さい。Sさんがいよいよみたいなんです。」 すぐに姫がドアを開けた。「本当に?直ぐに着替えて行きます。」 「今日、学校はどうしますか?」 「お休みします。7時半になったら学校に電話して下さい。」 「了解です。」 俺と姫はかねてからの打ち合わせ通り準備にかかった。 姫はSさんと相談しながら当座の荷物を手際よくまとめていく。 俺はマセラティの助手席をぎりぎりまで後ろに寄せ、背もたれを倒してタオルケットを敷き ヘッドレストに小さなクッションをタオルで縛り付けて簡易ベッドを作った。 姫には運転席側から後部座席に乗ってもらえば良い。 荷物を車に載せ、出発の準備が出来たのは6時40分だった。 家の中に戻るとSさんはダイニングの椅子に座り、姫が朝食の支度をしていた。 「あの、直ぐに病院に行かなくて良いんですか?」 「急がせて御免なさい。Lが学校を休んでくれるなら朝食の後で大丈夫。」 Sさんが涼しい顔をしているので俺も安心した。途端にお腹が鳴って空腹を自覚する。 「そういえばいつもの朝ご飯の時間ですね。」 姫が料理の皿を並べていく。 3人でお喋りしながら朝食を食べ、朝食の後のコーヒーまでしっかり飲み、 出発したのは7時50分だった。その頃には陣痛が始まったらしく Sさんは『少し痛くなってきたかも』と言っていたが、まだ表情には余裕があった。
1911 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:44:31 ID:yzbTiwCk0 病院に着いたのは8時40分過ぎで、まだ診療開始時間では無かったが 先に看護師さんが入院の手続きをしてくれた。俺と姫はSさんを待合室に残して 部屋に荷物を運んだ。Sさんの希望通りの個室で、家族も宿泊できるようになっている。 待合室に戻ると既にSさんの姿は無かった。診察室の中で診察を受けているのだろう。 10分程するとSさんと担当医の○川先生が出てきた。 Sさんは心なしかげんなりした表情に見える。 「陣痛は始まってますが、もう少し待った方が良いと思います。 お部屋で待ってもらって陣痛が強くなったら看護師に連絡して下さい。」 「今もこんなに痛いのに、もっと痛くなるんですって。そしたら私、絶対歩けない。」 Sさんの声に力が無い。こんなSさんは初めて見た。 「Sさんらしくないですよ。頑張って下さい。車椅子をお貸ししまょうか?」 「お願いします。」 Sさんは借りた車椅子にぐったりと座り、俺の手を握った。 姫が車椅子を押し、俺がSさんを励ましながら部屋へ戻った。 部屋のベッドに横になっても、Sさんは周期的に強くなる痛みに耐えながら唸っていた。 「痛い。本当に、もっと痛くなってきた。」眼を赤くして涙ぐんでいる。 陣痛が強くなる度、俺と姫が交代でSさんの手を握っていたが、見ている方も辛い位だ。
1912 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:46:18 ID:yzbTiwCk0 「術で痛みを消すとか、無理なんですか?」取り敢えず聞いてみた。 「...出来るけど、痛みを消したらタイミングが分からない、きっと。」 確かに、それはそうだ。だからといって俺にはどうすることも出来ない。 ただSさんの手を握り、背中や腰をさすってあげるしかなかった。 ちっとも進まない時計の針にじりじりしながら3時間程が経った。 陣痛の間隔は短くなり、痛みはさらに強くなっているようだ。 「もうお昼ご飯の時間ですね。私、ちょっと行って買ってきます。 Sさん、何か食べたいものはないですか?」 姫が心配そうに尋ねた。 「いらない、何も食べたくない。」 Sさんは消え入りそうな声で答える。 「こんな時だからこそ食べておかないと、最後はきっと体力勝負ですよ。」 俺はSさんの眼を見つめながら精一杯励ました。 「...じゃあ、何か甘いもの、ケーキとか。」 「分かりました。」 姫が部屋を出て暫くすると、Sさんの唸り声が聞こえなくなった。 陣痛が弱まり、疲れて寝てしまったらしい。このまま寝ていられたら楽だろうに。 俺も朝から気を張っていて疲れていたのだろう。 Sさんの右手を両手で握ったまま、ついうとうとと居眠りをしてしまった。
1913 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:48:17 ID:yzbTiwCk0 どのくらい寝ていたのか、部屋に満ちる濃密な気配を感じて眼が覚めた。 Sさんはベッドで上体を起こし、緊張した顔で前を見ている。 そろそろとSさんの視線を辿り、俺は凍り付いた。 Sさんの顔から50cmくらい離れたところ、俺の真正面に手が浮いていた。 白く細い指、おそらく女性の右手だ。Sさんが左手を伸ばして、そっとその手を取る。 すると次第に腕が、そして肩が、胴体と頭がはっきりと見えてきた。 一糸まとわぬ裸体の若い女性が、ベッドの上、Sさんの膝の辺りに立っている。 眩しいほどに白い肌、形の良い乳房、そして端正な横顔。俺はその女性を知っていた。 そう、K、『あの人』が穏やかな表情でSさんを見下ろしている。 その右手はSさんの左手をしっかりと握っていた。 思わず声を掛けようとした時、Sさんの右手が俺の手を強く握ったので すんでの所で俺は声を飲み込んだ。 KはしばらくSさんを見下ろしていたが、やがて静かに眼を閉じた。すると。 ゆっくりとKの体が小さくなっていく。高校生から中学生、そして小学生と 成長の過程を逆に辿るように。もう身長は1mもない、眼を閉じたままの幼児の姿だ。 赤子の大きさに近づくにつれ、その姿はボンヤリと薄れ、微かな光に包まれている。 やがて、その姿は完全に、消えた。
1914 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:49:01 ID:yzbTiwCk0 Sさんはゆっくりと左手を開き、優しい笑顔で俺に声を掛ける。 「破水したみたい。看護師さんに電話して頂戴。」 声に力が戻っていた。 「あの、痛みは、痛みは無いんですか?」 俺はベッドの脇の電話を取りながら聞いた。 「さっきより、もっと、ずっと痛いわ。でも、私、もう大丈夫。心配しないで。 母親になるんだから、しっかりしないと。早く、少しでも早く、この子に会いたい。」 看護師さんがストレッチャーにSさんを乗せ、部屋から運び出した直後に姫が帰ってきた。 看護師さんについて俺と姫も一階の分娩室に向かう。○川先生が待っていてくれた。 「出産に家族の付き添いを希望しますか?」 「いいえ、1人で大丈夫です。」 「Rさんについていてもらった方が良くありませんか?」姫は心配そうだ。 「僕でも、Lさんでも、2人一緒でも、付き添い出来ますよ。」 Sさんは俺の手を握って優しく笑った。 「そんなに沢山いたら部屋が満員になっちゃうわ。大丈夫だからLと一緒に待ってて。」 俺はSさんの額にキスをした。「じゃ、2人で待ってます。頑張って下さい。」 Sさんは小さく手を振って分娩室に入っていった。
1915 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:52:32 ID:yzbTiwCk0 元気な産声が聞こえたのは、Sさんが分娩室に入ってから40分程した時だった。 暫くして俺たちは看護師さんに呼ばれて分娩室の中に入った。 Sさんは小さな赤子を胸に抱いて微笑んでいる。部屋を満たす血の匂い。 21世紀の現代でも、出産は昔と同じく本当に命がけ。今更にそれを思い知らされる。 「おめでとうございます。元気な女の子、母子共に健康です。○川先生は満面の笑みだ。 朝の様子ではどうなる事かと心配しましたが、初産にしては思いの外に安産でした。」 その時、Sさんが澄んだ声で歌い出した。短い歌で、古い言葉だったが 無事に産まれてきた子に感謝し、これから大切に育てる事を誓う歌詞が聞き取れた。 Sさんはその歌を3度繰り返して歌い、3度目は姫も声を合わせた。 厳かな、でも優しくて何故か懐かしい調べ。 その歌を聴いているうちに涙が溢れてきて止まらなくなった。 ○川先生も、看護師さん達も涙を拭っている。 「ねえ、とても可愛い子よ。あなたに良く似てる。抱いてあげて。」 姫に背中を押され、俺は涙を拭いてSさんから赤子を受け取った。 これがSさんと俺の子、俺たちの娘なのか。可愛いかどうかなんて分からない。 俺の腕の中で安らかな寝息を立てる赤子は、思っていたよりずっと軽かった。 「あの、私にも、抱かせて下さい。」 姫がおずおずと言った。 タオルでくるまれた赤子を姫にそっと渡す。 赤子を胸に抱いて、その髪を撫でた姫の両眼から、大粒の涙が溢れた。 「赤ちゃんて、新しい命って、こんなに、こんなに可愛いんですね。私が...」 「そう。Lが生まれた時も、Lのお母さんはそうやってLを抱いて、 さっきの歌を歌ったの。私たちはみんなあなたを祝福したわ。」 「...お母さん...」
1916 :新しい命 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 20:58:35 ID:yzbTiwCk0 Sさんの回復は順調で、予定通り出産から5日後に退院してお屋敷に戻ってきた。 「ねえ、L。そろそろミルクの時間なんだけど。」 「あ、ごめんなさい。翠ちゃん、ミルクだって。また後でね。」 『子供を可愛いと思えるか自信が無い』という言葉とは正反対に、 姫は翠を文字通り溺愛していた。 高校へ行く前、高校から帰った後、時間さえあればずっと翠を抱いている。 休日ともなれば一日中翠の傍を離れず、翠を抱いている時間は俺やSさんより長かった。 「平日の昼間はあなた、平日の朝夕、休日は一日中L。 2人がずっと翠を抱いていてくれるから、私、子育て疲れとは縁が無さそう。 でも、このままだと翠が私の事を母親だと思ってくれないような気がして心配だわ。」 「大丈夫ですよ。Sさんは毎晩ずっと翠ちゃんと一緒にいられるじゃないですか。 できれば私も毎晩翠ちゃんと一緒に寝たいのに。 あ、だから旅行とかどんどん行って下さいね。翠ちゃんは私に任せて。」 「そんな事したら、私、本当に忘れられちゃうじゃないの。」 「そ・こ・で、私、良い考えがあるんです。」 「何?」 「出来るだけ早く、もう1人赤ちゃんを産んで下さい。そしたらSさんと私で 1人ずつ抱いて寝られるじゃないですか、ね。」 「L、あなた、そんな簡単に...でも、確かに良い考えね。男の子も欲しいし。」 「あのう、済みません。僕の立場は?」 暫く顔を見合わせた後、2人の口から出たのは同じ言葉だった。 「それじゃ、3人目も。」 『新しい命』 完
1917 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/15(土) 21:06:49 ID:yzbTiwCk0 やっと、預かった話を全部投稿できました。 知人は「あんまり評判が悪かったら中止して。」と言っていたので 投稿を待っているという書き込みが有った事を喜んでくれると思います。 これから知人に此所のアドレスを知らせて約束の最後の仕上げをします。 「題名が...」とか「あちこち行が飛んでる。」って言われそうですが。 それでは長文、重ね重ね失礼いたしました。 最後にこの掲示板を紹介して下さった方にお礼を申し上げます。 お陰様で約束を果たすことが出来ます。本当にありがとうございました。
1918 :名無しさん :2012/12/15(土) 22:48:31 ID:KJTa185c0 仕事忙しそうなのに投下ありがとう。 できればその知人さんの書いたものがまだあったら、 若しくはこれから書いたものができたらここに投下してくれると嬉しいな。 今回投下した分で預かった原稿は終わって話も一区切りついたようだけど、 彼女達一族の力の事とか主人公との血の繋がりとか 気になることはまだ一杯。 出来たら、でいいからまた読みたいよ。
1919 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/16(日) 16:48:29 ID:LXnx0Oh20 >>1918 ありがとうございます。 オカルトに興味があり、「怖い話」を良く話題にする私に、 前の職場の同僚だった知人が読ませてくれたのが投稿した4つの話です。 私が「これ、絶対みんなに読んで貰った方が良いよ。」というと、知人は 「宝物だから、怖いんだよね。他人に読んでもらうのは。 つまらないって言われたら辛いし。」と渋っていましたが。 「きっとみんなも楽しんでくれると思う。」と説得して投稿の許可を貰いました。 他の話も読ませてくれるように、私も知人に頼んでいるところです。 もし読ませてくれて、投稿の許可を貰えたら、此所に投稿させて頂きます。 度々の温かいレス本当にありがとうございました。 お陰様で今回の投稿を完了できたと思っています。 いつかまた投稿できる事を、私自身とても楽しみにしております。
1920 :名無しさん :2012/12/16(日) 23:20:27 ID:UtJCl0PUO >>1919 お疲れさま 面白かったv
1921 :名無しさん :2012/12/17(月) 15:14:57 ID:8uWQFQUU0 >>1919 いやー なかなか読み応えあって 面白かったよ
1922 :父の遺した言葉 :2012/12/17(月) 15:35:38 ID:5arDSjJc0 面白くないですが、実話を投稿します。○┓ 俺がまだ中学1年の夏。 父親が脳梗塞になった。 父親はとある会社の課長を務めていた。 そのおかげか、母親が働かなくても、それに裕福な時を過ごせた。 しかし、中学一年の夏に、その裕福な生活は終わりを告げた。 中1で夏休みの課題を終わらせようと、朝一で起きた俺がリビングへ行くと 父はいつもどおり出勤していた。 そして適当な物を食べ、部屋に戻り課題をしていた。 課題に取り組んでいる時、母が一階から大きな声で俺を呼んだ。 俺「うるせぇな、何だよ。こっちは課題をしてい・・・」 母「あの人(父親)が駅で倒れて、○○病院に今いるみたいなの。お母さん行ってくるから お留守番お願いね。」 と言い、俺にワンコイン(500円)を渡して出て行った。 母が出かけた後、課題を終わらせ、母から渡された500円を持って昼食を買おうと着替えてる時 家の電話が鳴った。 母からだった。 父親は脳梗塞になった。体が自由に動かせないらしい、今日は遅くなるから、戸締りしっかりしときなさい。とのことで 中学卒業までの二年間、俺と母は必死に父の介護をした。 父は感情の制御(?)がうまくできないらしく、時には母に罵声、俺に対しての暴言が飛んできた。 今まではどんな事があっても、家族に対してそんな事を言わなかった父親の口から出る言葉は「(母に対して)俺の金を取っただろ。」 俺に対しては、「お前が俺の息子だと思うと死にたくなる。」など、かつての父親とは思えない豹変ぷりだった。 挙げ句の果てには、介護用品を父の預金で買った母に対して「泥棒、泥棒」と叫んでいた事もあった。 母は毎日泣いていた。 俺は父に殺意を抱いていた。
1923 :父の遺した言葉 :2012/12/17(月) 15:48:18 ID:5arDSjJc0 高校に入ってからは、バイトを始めた為、家に帰っても父とは顔を合わせない日が続いた。 俺がバイトをしている間に、デイケアを始めたらしい。そのおかげか、父は機嫌が良くなっていた。 母にも笑顔が戻ってきた。 しかし、俺が高校に入って初めての期末テストをしている最中、担任に呼び出された。 担任曰く、(担任は父が脳梗塞になったのを知っている)お前のお父さんの容態が悪化したらしい。 不幸中の幸いか、先ほどのテストが最後のテストだった為、俺はHRに参加せず、真っ先に○○病院へ行った。 病院に着くと、わけのわからない機械?と酸素マスクをつけている父と、その横でどうしたらいいかわからない という様子で立っている母がいた。 母にどうしたのか聞いたところ、俺が学校へ行った直後、父が「頭が痛い、割れそうだ」と言うので、救急車を呼んだらしい。 医者が慌ただしく動き回る中、父が俺を手招きした(ように見えただけかもしれない)。 俺「大丈夫。医者が何とかしてくれるから・・・」 父「・・・く・・・な・・・っ・・・な・・・」 俺「・・・え?」 俺は聞き取れなかった。続きを聞こうとしたが、父は手術室へ運ばれて行ってしまった。
1924 :父の遺した言葉 :2012/12/17(月) 16:02:18 ID:5arDSjJc0 手術室の前で母と一緒に手術が終わるのを待っていると眠くなってきた。 それを察したのか、母が「あなたは家で待っていなさい。」といい、家の鍵を渡してくれた。 俺はその言葉に甘えて、帰宅した。 翌日、手術が終わった。と聞いて病院へ行った。 病院へ着き、母が教えてくれた病室へ行く。 そこには医者と母、そして意識のない父親がいた。 医者は俺と母に「最善は尽くしましたが・・・最悪の場合を考えなくてはいけません。」と言った。 父の容態は「最悪」のようで、助かる見込みは全くありませんでした。 母もそのことを理解したのか、意識のない父に呼びかけていました。 今でもその光景が脳裏に焼きついています。 数日後、父が意識を取り戻した と、母が嬉しそうに部屋で寝ている俺を起こした。 そして二人で父の病室へ行った。 医者が俺と母が来たことを確認すると 「○○(父)さん、奥さんと息子さんが来ましたよ」と呼びかけた。 父はその呼びかけに応じて、振り向いた。 しかし、父は何も言わなかった。 どうやら、言葉がうまく話せないらしい。 しかし、父の目からは涙が流れていた。 それを見た母は泣き崩れ「よかった・・・よかった・・・」と泣いていた。 医者が空気を読んだのか、「では、失礼します」といって病室から出ていき、俺ら3人だけとなった。 母と俺は父親に話しかけ、父も小さくだが頷いたりしていた。 幸せの時だった。 優しい父親が戻ってきた。俺はそう思いながら高校生活について話していた。 だが、その幸せは長続きしなかった。
1925 :父の遺した言葉 :2012/12/17(月) 16:15:20 ID:5arDSjJc0 父の容態がまた悪化した。 父が声にならない呻き声をあげ始め、母親がナースコールをした。 ナースが部屋へ入ってくるのを確認した俺は「医者を呼んでくれ!早く!」と叫び、ナースもそれに応じた。 1,2分後に医者がきた。心臓マッサージなどを施すが、一向に良くならない。 部屋の中は混乱しており、医者の大声、母の泣き声が混ざり、阿鼻叫喚だった。 そしてその混乱が静まり返った。 「ピー」という音が鳴り響いた。 父は帰らぬ人となってしまった。 あれから2年後、高校を卒業した俺は今は普通に働いている。 でも、俺は今でも父が遺した言葉を覚えている。 父の心臓が止まったあと、医者が必死に心臓マッサージを施したおかげか、 父の心臓は臓の拍動を再開した。 そのとき、父は弱々しく、俺に手招きをした。 部屋は静まり返り、誰もが父の言葉を聞こうとしていた。 父は俺に「大きくなったな」と言い、力尽きた。 そういえば俺、中学へ入学したときも、父に言われた一言が「大きくなったな」だった。 でも、父が脳梗塞になった為、高校へ入学したときは言われなかった。 これは自分の勝手な推測だが、父がもし、一度は亡くなったが、何か未練があり、何らかの方法でごく僅かな時間だけ 人間として生きることができたとし、俺に一言伝えたのだとしたら・・・ そう思うと俺は涙が止まらなくなっていた。奇跡は続けて起きることはなく あの一言が父の遺した言葉となってしまった。
1926 :父の遺した言葉 :2012/12/17(月) 16:16:17 ID:5arDSjJc0 長文、誤字脱字失礼しました○┓
1927 :名無しさん :2012/12/18(火) 12:40:33 ID:18kMjgNk0 ごめんなさい、なんて言ったら良いか分からないけど、 怖い話じゃない。
1928 :名無しさん :2012/12/18(火) 18:02:32 ID:P7oRNjyk0 怖くはないけど、人間の不思議と言うか 思いの強さと言うか面白かったと思うよ。
1929 : ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 05:59:21 ID:cFFR5zTA0 test
1930 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:01:31 ID:cFFR5zTA0 イサムと出かけたロングツーリングから戻った俺は、以前からの約束通り、木島氏の許を訪れていた。 呪術師としての木島氏しか知らなかった俺は、木島氏の意外な一面を知ることになった。 木島氏は婿養子らしい。 5歳ほど年上だという奥さんの紫(ゆかり)さんは、少しきつい印象だが女優の萬田久子に似た美人だった。 紫さんの父親に関わる『仕事』で気に入られ、木島家に婿入りしたようだ。 木島家が何を生業にしているのかは判らない。 見るからに高そうなマンションのワンフロアを借り切り、そのマンションには目付きの悪い男たちが頻繁に出入りしていた。 招かれたのでもなければ、あまり近寄りたい雰囲気ではない。 木島氏には20代後半で『家事手伝い』の長女・碧(みどり)と女子大生の次女・藍(あい)、中学生の3女・瑠璃(るり)の3人の娘がいた。 木島家に滞在して、俺がそれまで木島氏に抱いていたクールで冷徹なイメージは脆くも崩れ去っていた。 家庭人としての木島氏は、女房に頭が上がらず、娘に大甘なマイホームパパだった。 少し引き篭もり気味だが、碧は家庭的な女で家事一般が得意、料理は絶品だった。 藍は、頭の回転が早く、話し相手として飽きない楽しい女だった。 人懐っこい性格の瑠璃は、テニスに夢中……。 色々と驚かされることもあったが、家族仲の良い木島家は見ていて微笑ましかった。 思いのほか居心地の良い木島家で俺は寛いだ時間を過ごした。 だが、リラックスした時間はやがて終わり、『本題』が訪れた。 どんな目的があるのかは分からないが、かねてより俺に会いたがっていると言う人達の許に俺は向かった。
1931 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:02:32 ID:cFFR5zTA0 木島氏に連れられて俺が訪れたのは古い邸宅だった。 表札には『一木』と書かれていた。 木島氏と共に奥の部屋に通され30分ほど待たされたか。 少々イラ付きもしたが、神妙な木島氏の様子に、態度や表情には出さずにいた。 やがて、家主らしい初老の男性と榊夫妻、和装の老女が部屋に入ってきた。 「お待たせして申し訳ない……」 この男性は、相当な地位にある人物のようだ。 榊夫妻や木島氏の様子、何よりもその身に纏う『威厳』がそれを物語っていた。 この初老の男性が一木貴章氏だった。 挨拶もそこそこに一木氏が「本題に入ろう」と切り出した。 一木氏は、何かの報告書らしいレポートに目を落としながら話し始めた。 「XXXXX君、昭和XX年X月XX日、A県B市出身。父親は……母親は……。兄弟は姉と妹が一人づつ……」 一木氏は、俺や俺の一族の背景、その他諸々を徹底して洗ったようだ。 一木氏の話す内容は俺が自ら調べて知っていたことだけでなく、調べても判らなかったことも数多く含んでいた。
1932 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:03:48 ID:cFFR5zTA0 俺の父親は、70数年前、今の北朝鮮・平壌で生を受けた。 警察関係の役人だったという祖父と祖母は、まだ幼かった次女を連れて朝鮮半島に移住した。 二度と帰国するつもりはなく『日系朝鮮人』として朝鮮の土になる……覚悟の出国だったようだ。 父の実家は、地元では一応『名士』とされていたようだ。 婿養子で軍人だった曽祖父が、東京である『特別な部隊』に所属し、その後も軍人として出世したかららしい。 その部隊に所属することは大変な栄誉とされていたらしい。 地元選出の国会議員や市長クラスの宴席に呼ばれることも度々だったそうだ。 曽祖父が出世して『名士』扱いされてはいたが、父の実家のあった地域は一種の『被差別部落』であり、父の一族はその中でも特に差別された一族だったようだ。 俺の一族が『田舎』で差別された存在だったことを俺が知ったのは、祖父の葬儀のために、父の『実家』を訪れた時のことだ。 祖父の葬儀は異様な雰囲気だった。 参列者は俺たち親族と、祖父の『お弟子さん』だけで、近所からの参列は古くから付き合いのある『坂下家』だけだった。 俺たちの様子を伺う近所の住人達の視線を俺は生涯、忘れることはないだろう。 差別とやらの内容は知ることは出来なかったが、憎悪や恐怖、その他諸々の悪意の込められた視線……『呪詛』の視線だ。 96歳で台湾で客死した祖父は、韓国や台湾、中国本土を頻繁に行き来する生活を送っており、弔電は国内よりも国外からの物の方が多かった。 国内の弔電も『引揚者』やその家族からのものが殆どだったようだ。 父達の引揚げは『地獄』だったそうだ。 父は、昭和24年に引き揚げたらしいが、引揚時に負った傷が元で右目の眼球と右耳の聴力を失っている。 だが、父が話すことはないが、帰国後の日本で父が見た『地獄』は、引揚時に朝鮮半島で見た地獄よりも苛烈だったようだ。 父にとっての故郷は、生まれ育った『朝鮮』であり、ルーツである日本の『田舎』は記憶から消去したい、呪われた場所らしい。 祖父の葬儀が終わったあと、父は姉と妹、そして俺に言った。 「これで、我々の一族とこの土地の縁は完全に切れた。私がここに来ることは、もう二度とないだろう。 私たちは、もう他の土地の人間なんだ。お前たちも、二度とここに来てはならない。全て忘れるんだ」
1933 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:05:54 ID:cFFR5zTA0 祖父は、苦学しながら高等文官試験?を目指す学生だったそうだ。 翻訳や家庭教師といったアルバイトをしていて、東京で女学生をしていた祖母に見初められたらしい。 祖父は、高等文官試験には通らなかったようだが、特殊な才能をもっていたそうだ。 全く知らない外国語でも1日あれば凡そ理解することができ、1・2週間ほどで読み書きは別にして、自由に話すことができたそうだ。 事の真偽はわからないが、祖父が日本語のほか、英語・フランス語・ドイツ語・朝鮮語・中国語・ロシア語・スペイン語・ポルトガル語の会話と読み書きが出来たのは確かだ。 祖父は婿養子として祖母と結婚し、内地でキャリアを積んだあと警察関係の役人として朝鮮に渡った。 日本の敗戦により、朝鮮の土になるつもりでいた祖父たち一家は、やむを得ず、多数の引揚者を連れて帰国した。 本来ならば、差別の残る祖母方の実家ではなく、祖父方の実家のあった地に戻るところだったのだろうう。 だが、祖父の実家は、終戦直前に家族親戚とともに一瞬でこの地上から消滅してしまっていた。 父は高校卒業まで田舎にいたが、大学進学を期にそこを離れ、祖父の葬儀まで二度と戻ることはなかった。 大学に進学した父は知人宅に身を寄せた。 父が下宿していた知人宅、それが俺の友人Pの父親の実家だった。 詳しいことは分からないが、朝鮮半島で俺の祖父とPの祖父は何らかの関係があったらしく、俺の祖父の手配でPの祖父一家は日本に移住してきたらしい。 俺の一族にPの一族は返しきれない恩があるとかで、『俺の一族に何かあった時には、何を差し置いても助けろ』と言うのがPの父親の遺言だそうだ。 俺にとっては、Pは友人であり、恩や遺言は関係ないのだが、彼にとってはそうではないようだ……。
1934 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:07:51 ID:cFFR5zTA0 カトリックだった祖父の実家は同じくカトリックだった母方の祖母の実家と家族ぐるみの付き合いがあったそうだ。 父と母の結婚は母方の祖母の強い要望によるお見合い結婚だった。 日本に帰国後、公職追放されていた祖父は処分が解けた後も公職に復帰することはなかった。 金になっているのか、成っていないのかよく判らない芸事で身を立て、祖母が亡くなったあとは、一年の半分位は外国を回る生活を送っていた。 母方の祖母の話では、祖父の上京前、父方の祖母と出会う前、母方の祖母と祖父は恋仲だったらしい。 母方の祖父も早くに亡くなっているので、子供の単純な発想で「なら、おじいちゃんと再婚しちゃえば良かったのに」と言った覚えがある。 祖母は、「そういう事はできないんだよ……。それに、あの人には大事な仕事があるから……」 祖父の『大事な仕事』が何なのかは、結局、知ることは叶わなかった。 ただ、祖父の結婚も、朝鮮への移住も、曽祖父の強い意向が働いていたのは確かだ。 日本国内での厳しい差別から逃れるため……だけではなかったようだ。 一木氏は、俺たちの一族が受けてきた『差別』の実態について語り始めた。 父の『実家』があったのは、とある漁村の一角だった。 だが、その集落は、元々は山二つほど内陸にあった『村』が『移転』してきたものらしい。
1935 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:09:19 ID:cFFR5zTA0 この『村』は、ある特殊な信仰を持っていた。 教義や儀式、念仏や礼拝など信仰の実体に関わるものは全て口伝で伝えられ、元々文書等は一切残されていない。 一向宗の一派とも隠れキリシタンの一種とも言われるが、口伝が失われて久しく実態はもはや知ることはできないそうだ。 移転して来る前にあった『村』が大きな災害によって全滅してしまったかららしい。 この村の宗教は、仏壇や仏像、十字架など形のあるものではなく、家の中の決まった部屋の白壁に向かって『瞑想』を行い、『神』の姿を思い浮かべて、それに対して礼拝する形を取っていた。 さらに、特殊な礼拝法の他に、この村には『人柱』の風習があったようだ。 ある特定の家から10年に一度とか、20年に一度といった感じで『人柱』を立てていたのだ。 代々、その『人柱』を出していた家が『坂下家』らしい。隣近所で祖父の葬儀に唯一参列した家だ。 坂下家は3年ほど前に最後の生き残りだった坂下 寅之助氏…『寅爺』が亡くなって絶えてしまったが、代々父の実家との付き合いが続いていた。 祖父達が日本を離れるとき、長女はまだ10代で、結婚したばかりだった。 坂下家は、まだ若い伯母夫婦の後見をしていたようだ。 深い関わりを持っていた両家だったが、証言者によると、父の実家は坂下家の世話をしつつ、その逃亡を防ぐために監視する役目を負った家だったらしい。 以前、読者の方に『憑き護』に付いて質問を受け、回答したことがあった(自分の身元がばれたかと一瞬焦りもしたのだが)。 俺が10代の頃、『寅爺』に連れられて坂下家の娘さんが遊びに来たことがあった。 耳が悪く、言葉も話せなかったが、とても綺麗な女性だった。 彼女は絵が上手く、不思議な力を持っていた。 こちらが考えていることや、前の晩に見た夢の内容を恐ろしく正確に、いつも肌身離さずに持っていたスケッチブックに描いたのだ。 坂下家には、代々、何らかの障害と共に、こういった不思議な力を持った娘が生まれるそうだ。 この女性は数年後、20代の若さで亡くなってしまったのだが…… 姉の結婚式の時、不思議な力を持った坂下家の娘が『人柱』にされていた話を俺は最後の生き残りとなっていた『寅爺』に聞かされていた。 一木氏の話は俺の記憶に合致し、それを補強するものだった。 坂下家は、いわゆる一種の『憑き護』の家系だったのだ。
1936 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:10:49 ID:cFFR5zTA0 父たちの帰国時、伯母夫婦は既に亡くなっていた。 米軍機による機銃掃射に巻き込まれて死んだと言う説明だった。 だが、一木氏の話によるとそうではなかったらしい。 伯母夫婦は、集落の若衆……証言者の父親達によって惨殺されたらしい。 帰国後、暫くして亡くなったという次女も、病死ということになっているが、そうではなかったようだ。 昔から『実家』にいた頃の話をしたがらない父に尋ねても真相は聞けまい。 何故、父の実家はそれほどまでに恨みを買っていたのだろうか? 一木氏による証言者の話では、集落の元いた『村』が滅びる『原因』を作ったのが、俺の先祖だった……らしいのだ。 証言者の話によると、『人柱』は村を見下ろす『御山の御神木』に磔の形で捧げられていたらしい。 代々、坂下家の世話をしながら監視を続けていた俺の家の長男が、人柱を捧げる役目を負っていたようだ。 だが、何代前だかは知らないが、人柱を捧げるべき俺の家の男が、『人柱』の娘を連れて村から逃亡したらしい。 男は追手を何人も斬り殺し、娘を連れたまま逃げ果せたそうだ。 逃げた二人がどうなったのかは判らない。 娘を連れて逃げた男の父親は『御神木』を切り倒し、『御山』に火を放ち焼き払った。 御神木を切り倒した男は、逃亡を図ろうとしたのか、追手を食い止めようとしたのかは判らないが、激しく抵抗した上で、片目を矢で射抜かれて死んだそうだ。 村の『名主』の子孫だという証言者の先祖が逃亡した男に斬り殺され、その父親が御神木を切り倒した男を射殺したと伝えられているそうだ。
1937 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:12:05 ID:cFFR5zTA0 一木氏の話を聞いて、俺の背中にゾクリと冷たいものが走った。 隠していた悪事をいきなり暴露されたかのような、異様な、そして経験したことのないような衝撃を俺は感じていた。 坂下家と俺の先祖の生き残りは、村を追放された。 両家の者は、山二つを越えた漁村に落ち延びた。 俺の先祖は医術だか薬草学の知識があったらしく、流行病で住民が次々と死んでいた村を救い、村での居住を許されたようだ。 先祖が元いた村は、『御神木』が失われた以降、井戸や川が枯れ、飢饉や疫病が続き、多くの村人が近隣の村へと逃亡したそうだ。 そして、ある年、嵐による大雨が続いた村は神木のあった山の『山津波』によって全滅したらしい。 生き残りの者たちは村の全滅を『御神木』の祟りとして、俺の先祖や一族を深く恨んだようだ。 滅んだ村の生き残りは、俺の先祖や坂下家を受け入れた村に次々と入り込み、いつの間にか村を乗っ取っていた。 俺の一族と坂下家は生贄や人柱を捧げさせられることこそ無くなったが、元のように監視され、集落内での差別と呪詛を一身に受け続けた。 それから何年、何世代経ったのかは判らない。 俺の一族には男の子が産まれなくなり、養子に貰った男の子も育たなくなった。 一族の女の嫁ぎ先でも似たような状況になったらしく、断絶した家もあって『XX家の地獄腹』と言われていたそうだ。 証言者は、今でも俺たち一族を恨み呪っているらしい。 『恨み』が語り継がれ『呪詛』と『差別』が残った。 だが、正直なところ、何世代、何百年も前のことで人を差別し、恨みを持続できる心情を俺は理解できなかった。 彼らの論法で言えば、一度も会ったことはないが、二人の伯母を殺されている俺の方が恨みや呪いを抱く『適格』があるだろう。 だが、俺は、証言者や祖父の葬儀と調査の為に二度しか行ったことのない田舎の人間を恨んだり呪ったりする程の生々しい感情は持ち得ないというのが正直なところだった。 俺は、正直な感想を一木氏に伝えた。
1938 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:13:43 ID:cFFR5zTA0 一木氏は俺の言葉を肯定するように頷いたあと、さらに言葉を続けた。 「彼らが、君の一族に世代を超えて呪詛を向け続ける理由は確かにあるのだよ。切実な形でね」 問題の集落は近くに鉄道の駅ができ、国道が整備され、過剰なほどの県道や市道が整備され、元いた住民よりもここ2・30年ほどで流入した人口のほうが多いらしい。 最早、外見上は『被差別部落』の残滓を探すことも難しい現状のようだ。 だが、『部落』の子孫、俺たち一族と坂下家を追放した連中の子孫には深刻な『祟り』が残っているそうだ。 『部落』の子孫たちには生まれつき外貌や知能に障害を負った者や、常軌を逸して凶暴だったり乱脈だったりといった精神や性格に問題のある者、難病を患う者が絶えないらしい。 家族にそう言った問題を抱えていない家庭はないと言えるくらいの頻度だそうだ。 それが何世代も続いて、俺たち一族への恨みや呪詛は今でも語り継がれているらしい。 そして、何よりも彼らにとって重大だったのは、神木が切り倒され山が焼払われて以降、彼らの信仰の対象だった『白壁の神』の姿を見ることが出来なくなった事だった。 一木氏は更に言葉を続けた。 一木氏や他の霊能者の見立てでは、父と俺は、本来は生まれてこないはずの人間だったらしい。 これは、坂下家と俺の一族の背負った『業』のようだ。 両家の命数は既に尽きている……という事だった。 一木氏の言葉を俺は受け容れざるを得なかった。 認めたくはないが、坂下家は既に断絶し、俺の一族も恐らく、俺たちの代で絶えるであろうことは俺も予感しているからだ。 嫁に行った姉は不妊持ちで既に治療を諦めているし、俺と妹は結婚の予定もない。 俺はこれまで碌に避妊などしたことはないが女を孕ませたことはなく、アリサを喪った事故以来、性的には不能状態なのだ。
1939 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:15:48 ID:cFFR5zTA0 既に滅んでいたはずの俺たちの一族を今日まで存続させてきた理由があるとすれば、それは、祖父母による朝鮮への『移住』だった。 『日系朝鮮人』として朝鮮の土になる、その覚悟が一時的にではあったかも知れないが、俺たち一族の『滅びの業』を食い止めたのだろうか? そんな俺の思いを一木氏の言葉は打ち砕いた。 「君たちの一族の『ガフの部屋』には、本来、次なる魂は用意されていなかったのだ。 もう君も気づいているのではないか? 君の父親は、生贄の女と息子を逃した男の生まれ変わりだ。 そして、君は生贄の女を連れて逃げた男の生まれ変わり……いや、そうではないな。 生贄の女と逃げた男の生まれ変わりだ」 俺は、ぞわっと全身の毛が逆立つのを感じた。 『何を言っていやがる、このジジイ!ぶっ殺してやる!』何故か俺は、激しい憎悪と殺意に囚われた。 そんな俺の激情を受け流すように一木氏は静かに言った。 「君には、断絶した記憶が有るはずだ。その断絶した時点の記憶を思い出すのだ」 俺は、激高を抑えるように、記憶の断絶点、子供の頃、川で溺れて死にかけた時のことを思い出した。 すると、妙な記憶?……映像が浮かび上がってきた。 俺は、水の底から子供の足を掴み、その子供を水中に引き摺り込んだのだ。 子供の顔は見えなかったが、俺は子供の首を絞めていた。 何なのだ、このイメージは!
1940 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:17:06 ID:cFFR5zTA0 一木氏は言った。 「それが君だ。君は女の魂を宿した子供を殺そうとした、言わば『悪霊』…… だが、君自身も女の魂……『悪霊』に殺されそうになったことがあるはずだ」 俺に瀕死の重傷を負わせ、アリサの命を奪った『ノリコ』のことか? 俺の体には異様な悪寒が走っていた。 アリサやほのか、その他の性同一性障害を持ったニューハーフの女性たちに抱いていた不思議なシンパシー…… 俺自身が妙だと感じていた感情の理由を俺は突き付けられた気がした。 一木氏は、更に追い討ちをかけるように言った。 「君は、朝鮮時代に君の祖父母たち一家に雇われていた『お手伝い』の女性の話は聞いたことがあるかな?」 「あります。父が話すとき『オモニ』と呼んでいる女性ですね。引き揚げの直前まで実の子のように可愛がってもらっていたそうです」 「その女性が、方 聖海(パン ソンヘ……Pの父親)氏の伯母に当たる人物だ。 君達は知らないかもしれないが、非常に高名な呪術師だった。 様々な呪術を用いたが、朝鮮でも今ではもう絶えて居ない『反魂の法』の数少ない実践者だった。 君の祖父は、『反魂の法』の対価として、その権力を用いて、彼女の弟一家を日本に……」 こみ上げてくる吐き気を押さえ込むように、俺は言った。 「もういい。十分だ。もう止めてくれ」 一木氏は、静かに言った。 「そうだな……私の話したいこと、話せることは殆ど話した。ここまでにしよう」
1941 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:18:29 ID:cFFR5zTA0 俺の両目からは涙が流れ、止まらなくなっていた。 木島氏の顔は青ざめ、何も言おうとはしない。 一木氏が部屋を出たあと、榊氏が俺の前に跪き、涙を流しながら言った。 「済まない……本当に、余計な……済まないことをしてしまった。 私は、そして家内も夢を見ていたんだ……。 榊家など継いでくれなくても良いから、君が孫の……奈津子の夫になって欲しいと。 あの子が君のことを話さない日はないんだ……私も家内も君のことは本当に気に入っている。 そして、あの子の願うことなら全て叶えてやりたい……だが、それは出来ない。 あの子は私たちの全てだ。 あの子を失うようなことは絶対にできない。 勝手なことを言ってすまない、もう二度と奈津子にもチヅさんにも関わらないでくれ」 榊夫妻は木島氏に伴われて部屋を出ていった。
1942 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:19:37 ID:cFFR5zTA0 呆然とする俺に、和装の老女が語りかけた。 「私たちもね、まさかこんな結果になるとは思っていなかったのよ。本当に。 貴方の一族が対峙している『神』の正体は私達には判らないの。ごめんなさいね。 榊さんが是非あなたを奈津子さんの婿に迎えたいから、調べて欲しいという事だったのだけどね。 あなたには特殊な『才能』があったから、それを把握するためにもね……。 私たちも、あなたに榊さんの家に伝わる『術』を受け継いで欲しかったのよ。 でも、調べれば調べるほどに……あなた方の一族は……」 俺は何も言えなかった。 そんな俺に、老女は言葉を続けた。 「……あなた、本当に人を好きになったこと、ある?」 「ありますよ。もちろん」 「貴方が人を愛することをこの『神』は許さない。 あなたが愛した人は、その意思に関わりなくあなたから引き離されて行く。それが運命なの。 それに抵抗してあなたと一緒に、側に居ようとする人は命を奪われるでしょう。この『神』にね」 「それが『呪い』なのか? ……呪いなら、マサさんのあの『井戸』で……」 「それは、無理でしょうね……あなたに降りかかっているものは『呪い』の類ではないから。 むしろ『愛』に近いのかも……」 「そんな……馬鹿な」
1943 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:20:54 ID:cFFR5zTA0 「いいえ。本当よ。 あなたはこの国にいる限り、『定められた日』までは、どんな災厄に巻き込まれようとも生き残り続けるでしょう。 周りの人が死に絶えるような事態に陥っても……物凄く強力な『神』の加護があるから。 でもね、あなたの周りの人は、あなたの『加護』には耐えられない。 あなたに愛されたら、一緒にいれば命を落としかねない。 奈津子さんは、とても強い力を持った娘だから、命を奪われるまで抵抗してあなたの側に居ようとするでしょうから…… でも、それは、榊さんご夫婦には耐えられないことなのよ。 判ってあげて欲しい。 ……そうでなくても、あなた自身が奈津子さんの側に居てあげられる時間はそう長くはないから……」 「あんたの言う『定められた日』とやらは近いのかい?」 「ええ。近いわね。 ……ところで、あなたに夢はある?どんな望みを持っている?」
1944 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:22:02 ID:cFFR5zTA0 女の言葉に、俺の家族や木島一家の顔が浮かんだ。 「大した望みはないよ。 とびっきりの美人でなくてもいいから、よく笑う可愛い嫁さんを貰うんだ。 尻に敷かれたっていい。 安月給でもいいから、昼間の普通の仕事に就いて、毎朝ケツを叩かれて満員電車に揺られて…… 朝から晩までこき使われて、疲れて家に帰るとカミさんと子供が『お帰りっ』て、迎えてくれて…… 子供は勉強なんて出来なくて良いから、ひたすら元気で、休みの日にはクタクタになるまで遊ぶんだ…… 月曜日の朝には、またケツを叩かれて……そんな生活がずっと続くんだよ。 そのうち、俺もカミさんも爺さん婆さんになって、孫と遊んだり小遣いをせびられたりして……ああ……」 そう言いながら俺は自分の声が震えているのに気づいた。 「素敵な夢ね」 「だが、もう叶うことはない……そうなんだろ?」 「いいえ、夢は叶うわよ? いつもその夢を思い続ければ……寝ても覚めても想い続けて、祈り続ければ……。 人間の精神の力は、人の『想い』は、翼のない人間に空を飛ばさせ、神界だった星の世界に生きた人間を送り込んだでしょう? 人の心は、あらゆる不可能を可能にしてきたじゃない! どんな邪な願いであっても、願い続ければ必ず叶う……道元禅師も言っているわ。 それが例え『神の意思』に反したとしても、生きて祈り続ければ必ず叶うわよ」
1945 :日系朝鮮人 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:23:19 ID:cFFR5zTA0 「随分とプラス思考なんだな。あんた、何者なんだい?」 「一木 燿子、さっきまで貴方と話していた一木貴章の姉よ。 私の姉の祥子は、あなたの師匠、『マサ』の母親なのよ。 長いあいだ患っていて、最近亡くなってしまったのだけどね。 姉は、あなたにも逢いたがっていたわ。さっき言った事は姉の受け売り。 姉は、あなたがさっき言っていたような人生をいつかは息子が送れますようにって、生前、ずっと祈っていた。 マサも、多分あなたのような夢を抱きながら、これまでの人生を耐えてきたのだと思う。 私は、姉の祈りを引き継いで甥の為に祈り続けるわ。 貴方のことも祈ってあげる……それしかしてあげられないから。 だから、あなたにも夢をあきらめずに祈り続けて……生き続けて欲しい」 「ありがとう。……お返しと言っては何だけど、俺に何か出来ることはあるかな?」 一木燿子は、俺に一枚のメモを渡した。 「これをマサに渡してあげて。 生前、姉はマサに会うことを許されなかった……そういう『契約』だったからね。 姉の、マサの母親のお墓の住所なの……必ず、お願いね」 俺は、木島家を出るとそのまま駅へと向かった。 ホームでマサさんやイサム達の待つ地元に向かう列車を待ちながら、ふと思った。 『随分、遠い所まで来たしまったんだな』 地元に戻ったら両親に電話して、久しぶりに実家に帰ろう……そう思った。 おわり
1946 : ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:33:10 ID:cFFR5zTA0 連投させて頂きます
1947 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:35:33 ID:cFFR5zTA0 木島氏の元から戻った俺はしばらく悩んでいた。 悩みの原因は、マサさんの『叔母』、一木燿子の霊視だった。 燿子の言うところの『定められた日』……俺の死期はそう遠いものではないらしい。 そのこと自体は、少し前の俺にとっては大した問題ではなかった。 そう、アリサを失ってからの俺にとっては、どうでも良いことだったのだ。 失って惜しいモノは何もないと、イサムと出かけたロングツーリングを利用して、失踪しようとまで考えていた。 だが、今はそうもいかない。 俺には、どうしても片付けなければならない問題があったのだ。 俺は、実家に電話を入れると、イサムを誘ってバイクで実家に戻った。 実家に戻ると、両親と妹、下宿して定時制高校に通う真実(マミ)が俺たちを迎えた。 「この馬鹿息子!マミちゃんを預かる条件として約束したわよね? どんなに忙しくても、月に一度は帰ってきなさいって! 片道3時間の所に住んでいるくせに、何ヶ月帰ってこなかったの?約束が違うでしょ!」 「ごめんなさい……」マミが母に謝った。 「何で?マミちゃんが謝る必要はないでしょう? あなたはウチの娘なんだから、嫌だと言っても、お嫁に行くまで家に居てもらうわよ」 「悪かったよ。理由はコイツに聞いてくれよ」 俺は、家族にイサムを紹介し、イサムは俺とロングツーリングに出かけていたことを話した。
1948 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:37:22 ID:cFFR5zTA0 「先輩の妹さんって、美人ですよね。スタイルも良いし」 「そうか?でも、アイツは止めておいた方が良いぞ」 「なんで?」 「……性格が無茶苦茶キツイからな。軽い口喧嘩でも、情け容赦なしに人の心を折りに来るぞ? それに、腐り切って三次元の男に興味がない上に、ガチ百合だ。結婚とかするタマじゃねえ。 お陰で、完全に、パーフェクトな嫁き遅れだ。あんなの貰ったら人生の不良債権化間違えなしだ」 「……そこまで言います?」 「ああ。お前も今頃、受けだの攻めだのって、くだらない妄想のダシにされているかもな」 「……」 「それより、マミちゃんはどうよ?あんな腐った年増の不良債権女より、お前にはピッタリな子だと思うけどな」 「ああ、確かに可愛い子ですよね。ただ、影があるというか……訳ありっぽいな、と」 「やっぱり、判るか……」 「ええ。……姉さんと、似た雰囲気があるから。何となくね」 「でも、すごく良い子なんだ。仲良くしてやってくれ」 そんなことを話していると、妹が夕食の準備が出来たと呼びに来た。 「黙って聞いていれば人のことを悪し様に言いたい放題。私は腐女子でもレズでも何でもないって言うの! 私だってね、炊事洗濯、家事一般が完璧でいつも家にいてくれる可愛い子が居れば、いつでも結婚してやるよ? 別に稼いでこなくても、しっかり喰わせてやるし。忙しくて出会いがないだけだって!」 「お前なぁ、そう言うのを世間一般では『嫁』って言うんだ。……こんなオヤジ化した年増女じゃ誰も相手にしないよ」 「イサム君、こんなクソ兄貴を相手にすると馬鹿が移るよ?せっかくイケてるのに、もったいない」 「お兄ちゃん、晩御飯食べたらお父さんの部屋に来てね。話があるそうだから」 マミは、俺と妹の久子が両親に頼み込んで実家で預かって貰っていた。 今でこそ、家事一般を積極的にこなし、定時制ではあるが高校に通うなど外出もできるようになったが、ここまで道のりは平坦ではなかった。 俺たちの実家に来た頃のマミは心身ともにボロボロに傷付いて、自殺の可能性すらあったのだ。 マミを実の娘……或いは、抱く事の叶わなかった孫のように可愛がってくれた俺の両親と、主治医としての久子のケアのお陰だろう。 俺とマミの出会いは、奈津子と出会った事件の後、マサさんが静養中だった頃に遡る。
1949 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:40:13 ID:cFFR5zTA0 俺は、中学時代の友人の葬儀に出席していた。 ヒロコは3年生のときのクラスメイト、リョウタは水泳部で一緒だった。 中学時代のヒロコは、かなりぽっちゃりしていたが明るい性格で、友人的な意味で男子からも女子からも人気のある子だった。 リョウタは少々お調子者だったが、イケメンでスポーツ万能なヤツだったので、密かに思いを寄せていた女子は多かった。 同学年や後輩の女子にリョウタのことを相談されたことは2度や3度では無かったので間違いない。 ヒロコもそんな中の一人だった。 ヒロコがリョウタの事を好きだったのは公然の秘密だった。 だが、多くの女子に思いを寄せられていたリョウタは、1学年上の先輩一筋だった。 全く相手にされていなかったのだが、リョウタは周りに自分の思いを公言していた。 基本的にアホだったリョウタが、先輩の進学した学区で2番目の高校に猛勉強して進学したのは恋のパワー成せる業だったのだろう。 高校進学後、先輩に告白してフラれた話は、度々本人がネタにしていたので、仲間内では笑い話になっていた。 そんなリョウタとヒロコが大学生の頃に学生結婚したのには驚かされたものだ。 俺は、結婚式には身内の不幸があったので参加できなかったが、祝電を送ったのを覚えている。
1950 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:42:14 ID:cFFR5zTA0 中学の同級生で葬儀に来ていたのは、ヒロコと小学校から大学まで一緒で仲の良かったマサミと、リョウタと仲が良く同じ高校に進学した吉田。 卒業から20年も経つと、仲が良かったとしても中学時代の友人の参列者はこんなものだろう。 明日、俺が死んだとしても、葬儀に出席しそうなのはPとその他数名といった所だろう。 それだって、多い方に違いない。 ヒロコとリョウタの死因を結婚後も付き合いのあったマサミに聞いてみた。 暖房器具の不完全燃焼による一酸化炭素中毒だったらしい。 ……今時、そんなのありかよ。 だが、年代物のボロアパートに住んでいた俺も注意することにした。 俺にヒロコとリョウタの葬儀の連絡をしてきたのは藤田という男だった。 3年生の時のクラスメイトと言っていたが、俺に藤田の記憶は全く無かった。 手元に卒業アルバムもなかったので確認の仕様も無かったが、担任の先生の名前と他のクラスメイトの名前は合っていた。 失礼な話だが、俺の方が忘れていただけだろう。 俺は吉田に尋ねた。 「藤田って来てないよね? 俺は、藤田から連絡を貰って葬儀の事を知ったんだけどさ」 「藤田?ああ、確か、そんなヤツがいたな。 でも、お前、藤田と同じクラスだったことってあったっけ?」 「実は、覚えが無いんだよな。どんなヤツだっけ?」 「俺も、お前に名前を聞いて思い出したくらいで、殆ど覚えが無いんだよな」 「そうか」
1951 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:43:36 ID:cFFR5zTA0 俺は、マサミと吉田と暫く話した後、少々距離はあったがタクシーを待つのも面倒なので、歩いて駅へ向かっていた。 駅に向かって歩いていると後方から声を掛けられた。 「おい、XXだろ?俺だよ、藤田だよ!」 顔に見覚えは無かったが、声には聞き覚えがある。 俺の携帯に電話を掛けてきた声の主だ。 メタボって禿げ始めていた吉田も初めは誰か判らなかったので特に疑問は持たなかった。 「おう!遅かったんだな」 「ああ。先に用事があってな。一足違いだったみたいだな」 俺と藤田は、どうでも良い話題を話しながら駅へ向かって歩いていた。 駅が近付いてくると藤田が急に話題を変えた。 「Pに聞いたんだけどさ、お前、拝み屋って言うの?『そっち系』の仕事をしているんだって?」 俺は答えに困った。 クライアントや仕事の関係者以外に俺の『裏の仕事』の事は知られたくないからだ。 俺の家族さえ俺の『裏の仕事』の事は知らないのだ。 俺の家族とキムさんや権さん達との間には、俺の入院中の見舞いなどで面識はあったが、姉を除いて只の勤務先の上司としか思っていなかった。 Pもそのことは知っている。Pは口の軽い男ではない。 「どうしても、相談に乗ってもらいたいことがあるんだ。話だけでも聞いてくれないか?」 渋々だったが、俺は藤田と近くのファミレスに入った。
1952 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:44:37 ID:cFFR5zTA0 「お前さ、『エンジェル様』事件って覚えている?」 「ああ」 『エンジェル様』とは、降霊術の一種として有名な『コックリさん』の数あるヴァージョンの一つだ。 俺が中学2年生だった頃、この『エンジェル様』が俺の通っていた中学校と近隣の小学校で大流行したのだ。 俺は余り興味が無かったので参加しなかったのだが、休み時間になると教室の何箇所かでエンジェル様に興じる連中がいたことを覚えている。 藤田の話を聞いていて思い出したのだが、この『エンジェル様』の流行は妙な方向へと流れて行った。 『自分専用』のエンジェル様を『呼び出す』連中が現れたのだ。 上手く説明し難いのだが、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の『スタンド』みたいなものか? 異常に盛り上がったオカルト熱と、所謂『中二病』の複合感染みたいなものだったのだろう。 だが、この自分専用のエンジェル様を『降ろせる』と称する連中を中心に、クラスの中に『派閥』のようなものが形成されていった。 派閥同士が対立して、教室内の雰囲気が妙に殺伐としていたのを覚えている。 そんな中で『事件』が起こった。 授業中に隣のクラスの女生徒が錯乱状態に陥って暴れたのだ。 隣の教室から他の女生徒の悲鳴と騒ぎが聞こえてきた。 確か、俺達のクラスは『保健』の授業をしていたと思う。 ごついガタイをした男性体育教師が廊下に出て行った。 恐らく、その体育教師は女性徒を取り押さえようとしたのだろう。 だが、体育教師が女性徒に殴られ騒ぎは更に大きくなった。 怪我の内容は知らないが、殴られた体育教師は重傷だったらしく事件のあと1ヶ月ほど休職した。 取り押さえようとした教師を振り切った女生徒は俺達の教室にやってきて、鉄製のドアに嵌め込まれたガラス窓を素手で叩き割った。 割れたガラスは厚さが1cm近くあって、成人男性が力いっぱい殴ったとしても素手で割るのはかなり難しそうだった。 それを細身の女生徒が叩き割ったのだ。
1953 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:46:42 ID:cFFR5zTA0 俺や他の傍観組は、初めは女生徒の『芝居』だと思っていた。 『エンジェル様』はエスカレートして、トランス状態に陥った『振り』をするヤツや、『口寄せ』の真似事までするヤツが現れていたからだ。 だが、錯乱した女生徒の起こした事件は、傍観組も騒然とさせた。 俺達の教室のあった校舎の階は大混乱となり、その日の授業はその時間で中止となり、2年生は全員下校となったのを覚えている。 学校側は事態を重く見てエンジェル様は禁止された。 当然の措置と言えるだろう。 その後も、隠れてエンジェル様を行っているところを見つかって反省文を書かされた連中もいた。 だが、学年が変わるころにはエンジェル様の流行は完全に終息していた。 問題の女生徒は、確か卒業アルバムに名前があったので転校などはしていないはずだが、その後、学校で姿を見ることはなかった。 「あれって、殆ど自作自演だっただろ?今となっては、恥ずかしい青春の1ページってやつ。お前も、やってたクチ?」 「ああ、確かに。皆で握っていた鉛筆を動かしたりしてさ。でも……」 「でも?」 「俺、ヒロコ達とエンジェル様をやったことがあるんだ」 「ああ、アイツ、そう言うの好きそうだったからな」 「その時、みんなで握っていた鉛筆を動かしたんだ。ヒロコはリョウタと結婚するって。 ほら、ヒロコがリョウタのことを好きだったのはみんな知ってたからさ」 「それで?」 「ヒロコのヤツが『子供は何人?』って聞いたから、オチを付ける位の軽い気持ちで動かしたんだ。 子供が生まれる前に2人とも死ぬって。……知ってる?ヒロコってお目出度だったんだぜ!」 「ただの偶然だろ?」 「それじゃ、青木のことは知ってる?」 「確か、ブラバンやっていたヤツだよな? クラスも一緒になったことないし……しらない」 「高校生の時、海で溺れて死んだんだ」 「へえ……」 「やっぱり、その時動かしたんだ、『3年後に溺死』って」 「それで?」 「その時のエンジェル様で出たんだよ」 「何が?」 「俺が死ぬって……首を吊って自殺するって!」
1954 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:48:16 ID:cFFR5zTA0 「それって、お前が動かしたの」 「俺じゃない!」 「それじゃあ、お前と同じように他の誰かが動かしたんだろ? お前自身に首を括る予定は無いんだろ?考え過ぎだって」 「でもさ、あの時の『エンジェル様』を仕切っていたのは川村だったんだよ!」 川村とは、錯乱して事件を起こした、問題の女性徒だ。 「そう言えば、川村ってどうなったの? 確か、卒業アルバムに名前は有ったはずだけど、あの後、学校に来ていなかっただろう?」 「川村は、何軒か医者に掛かったり、あちこちで御祓いを受けたみたいだけど、結局、元には戻らなかったんだ。 両親が離婚して、今も母親の実家にいるよ」 「詳しいんだな」 「幼稚園の頃からの幼馴染だからな」 「その時、他に『エンジェル様』をやっていたヤツっているの?」 「川村と青木、ヒロコと菅田、それと川上だ」 川上は、俺が高校時代に付き合っていた彼女『由花(ユファ)』が中学卒業まで使っていた通名だ。 ユファの事は別れ方が最悪だったので、聞きたくなかった。 「ふうん。……そう言えば、菅田ってヒロコ達と仲良かったよな? 今日は来てなかったけど、今、どうしているか知ってる?」 「知らない」 菅田は、幼稚園入園前からのユファの幼馴染で、いつもユファと一緒にいた子だ。 大人しいが、非常に頭の良い子だった。 成績は、学年で常にトップクラスだった。 気が強く口煩い姉と妹に挟まれた中学時代の俺は、活発なタイプのユファよりも、物静かで大人びた雰囲気の菅田に惹かれていた。
1955 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:50:32 ID:cFFR5zTA0 「とにかく、気にしすぎだと思うぜ? どうしてもと言うなら御祓いの紹介くらいはするけど。 気になって眠れないとかなら、心療内科でカウンセリングでも受けた方が良いよ。 御祓いなんて、所詮、気休めでしかないからな」 そう言って、俺は藤田と別れた。 後日、Pに会ったとき、多少の抗議を込めて藤田と彼に聞いた事を話した。 睨む様な目付きでPは俺に向かって言った。 「お前は、その時、何も気付かなかったのか?」 「何のことだ?」 「俺は藤田にお前のことを話したりはしていない。 それは無理な相談だからな。 藤田は、ずいぶん前に死んでいるよ」 「……本当か?」 「本当だ。俺達が高校に進学して直ぐだよ。首吊り自殺だ。 藤田のお袋さんは、ウチの店でずっとパートで働いていたからな。通夜にも行ったよ」
1956 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:53:02 ID:cFFR5zTA0 俺は言葉を失った。 Pは、彼の知っている事情を話し始めた。 藤田と川村、青木は幼稚園の頃からの幼馴染だったらしい。 俺に藤田についての記憶が無いのは無理の無いことだった。 藤田は1年生の3学期から不登校となり、その後、1度も登校していないからだ。 藤田の不登校の原因は、川村、青木を中心とするグループによる『いじめ』だった。 いじめグループにはユファも居たそうだ。 クラス内で求心力のあった川村たちの行動に異を唱える者はいなかった。 藤田へのクラスメイトのいじめはエスカレートして行った。 そんなクラスメイト達の行動を諌めた者が一人だけいた。 ユファの幼馴染、菅田ミユキだった。 だが、菅田の諌言は、いじめグループの行動の火に油を注ぐ結果となった。 藤田は、菅田の目の前で下半身を裸にされて、射精するまでセンズリを扱かされたらしい。 耐え難い、惨い虐めだ。 菅田の前で藤田にセンズリを扱かせようと提案したのはヒロコだったそうだ。 翌日から、藤田が登校することは二度と無かった。 藤田が不登校になると『いじめ』のターゲットは菅田に変わったようだ。 1学年11クラスあった中での他のクラスの事でもあったし、当時の俺は全く気付かず、今、Pに聞いて初めて知った事実だった。
1957 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:55:09 ID:cFFR5zTA0 「待てよ、それじゃ、藤田が『エンジェル様』に参加するのは……」 「まあ、常識的に考えて無理だろうな。でも、お前の話は大筋で合っているよ。 ところで、お前さ、『エンジェル様』のルールって知ってる?」 「知らない。やったこと無いからな」 「他ではどうだか知らないけれど、俺達の学校で流行った『エンジェル様』は、必ず5人でやるんだよ。 それ以上でも、それ以下の人数でも駄目なんだ」 「えっ?……川村、青木、ヒロコ、菅田、ユファで5人だぞ?」 「……或いは、エンジェル様の鉛筆を藤田が動かしたと言う話は、本当なのかもしれないな」 俺は気になって、Pに疑問をぶつけた。 「お前、随分と事情に詳しいんだな?」 Pは、これまでの長い付き合いで始めて見せるような、苦い表情で言った。 「いま、俺が関わっている案件のクライアントに関わることだからな……。 中学時代の同級生を当たって調べたんだよ。 お前の為にも、クライアントの為にも、お前だけには知られたくは無かったんだ。 だが、こんな形でお前に知れるのは、何かの縁なんだろうな」 思いもしなかった形で、過去の黒い影が俺を捉えた瞬間だった。
1958 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:57:00 ID:cFFR5zTA0 後日、俺はPのクライアントに引き合わされた。 高校時代、俺の彼女だったユファの幼馴染で、中学時代の同級生だった菅田ミユキだった。 ミユキが現れたことも驚きだったが、俺を見た彼女の反応は更に俺を驚かせた。 「P君、なんでXX君を連れてきたの!」 物凄い剣幕だった。……女のヒステリーは苦手だ。 俺は彼女に嫌われるようなことをしていたかな? 少々怯み気味に俺はミユキに言葉を掛けた。 「久しぶり……その、なんだ、俺がここに来ちゃ不味かったのかな?」 Pはミユキを宥めながら、俺がここに来た理由、藤田と『エンジェル様』に関わる話を説明した。 Pの説明の後、俺はミユキに尋ねた。 「何があった?」 Pは一通のミユキ宛の封書を取り出した。 中には紙が一枚。 『エンジェル様』の文字盤だ。 文字盤には赤いペンで、このような文句が書かれていた。 「呪。****」 ミユキによると、****とは、川村が呼び出したと言う、彼女専用の『天使』の名前だそうだ。
1959 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 06:58:48 ID:cFFR5zTA0 「私、藤田君に恨まれているのかな?」 「藤田の不登校の原因になった『あれ』か? お前は、他のクラスメイト達を諌めて止めようとしたんだ。 『あれ』は、その結果に過ぎない。恨むならもっと恨むべき人間がいるはずだ。 それとも、他に何かあるのか?」 「うん。あのことがある少し前、私、藤田君に告白されたんだ。 嬉しかった。……でも、断ったの。私、他に好きな人がいたから」 「……そうか、でも、それは仕方の無いことだろ?」 「でもね、その事で藤田君、クラスの皆にからかわれていたから。 私が原因なのに、私が余計な口出しをしたから、あんな酷いことをされて……」 「でも、それで藤田がお前の事を恨むとかは無いと思うぞ?」 「そうかな?……そうだと良いのだけど。 ……藤田君、死んじゃったんだね。わたし、全然知らなかった」 ミユキはボロボロと涙を流しながら嗚咽を漏らした。
1960 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:00:06 ID:cFFR5zTA0 俺は、ミユキが泣き止むのを待って質問した。 「封書の差出人に心当たりはあるの?」 ミユキは中々答えようとしない。 答えないミユキに代わってPが口を開いた。 「お前には知られたくなかったが……由花(ユファ)だよ」 「ユファが何故?お前たち、仲が良かったんじゃないのかよ?」 ミユキは興奮気味に言った。 「私たちが仲が良かったって?本気で言ってる? XX君って、素直って言うか、本当に昔から鈍いよね。 だから、ユファに裏切られていたことにも気付かなかったんだよね」 ミユキの言葉は俺の胸にチクリと突き刺さった。 「……ごめん。でもね、ユファと私は仲良しなんかじゃない。 私は、小さい頃からユファの奴隷だったわ。 昔からユファは私の持っているものを何でも欲しがって、全て奪って行ったわ」 そう言えば、ミユキは藤田が不登校になった後、ユファ達からいじめを受けていたのだ。 俺やPと同じ高校に進学するはずだったミユキは、県外の私立に進学していた。 いじめが原因……いや、ユファから逃げるためだったのか?
1961 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:01:22 ID:cFFR5zTA0 「ねえ、XX君、覚えているかな? わたし、中3の2学期に入院したことがあったでしょう?」 「ああ、盲腸だったっけ? 内申書の成績が出る一番大事な時期だったからな。 その所為で、県外の私立を受けることになったんだと思っていた。 ほら、お前もH高を受けるとばかり思っていたからさ」 「……私の初体験の相手はトイレのモップの柄だったわ。 力任せに突っ込まれたから、お陰で一生子供の産めない体にされちゃったけどね」 無表情に酷く冷たい目をしながらミユキは語った。 思いがけず聞かされた、余りにエグイ話に俺は言葉を失った。 「ユファに……なのか?」 「ええ……。それと、ヒロコたちね」 俺の中で、楽しかったはずの中学時代の思い出がドロドロとした真っ黒なものに変色していった。 「でもね、それは耐えられた。やっと、ユファから逃げられると思ったから」 「まだ、……何かあったのか?」 「XX君って、残酷だよね。それを私に話させる?」 「……何のことだ?」 「卒業式のあと、美術準備室であったこと、覚えているよね?」
1962 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:02:26 ID:cFFR5zTA0 中学の卒業式が始まる前、俺はヒロコに呼ばれてこう言われた。 「式が終わったら美術準備室に行って。 待っている子が居るから。判っているわね?女の子に恥をかかせるんじゃないわよ」 リョウタみたいにモテるタイプではなかった俺はドキドキしながら式が終わるのを待った。 式が終了し、最後のHRが終わった。 クラスメート達と写真を撮り、部活の後輩達から花を貰ったあと、ヒロコの『早く行け!』というアイコンタクトに従って、俺は美術準備室へ向かった。 美術室に入り扉を閉め、準備室のドアを開くと奥の机にユファが座っていた。 「ええっと、ヒロコに聞いて来たんだけどさ、俺を呼んだのってユファ?」 「うん。来てくれないかと思った。 ほら、XXと私って、高校別々になっちゃうじゃない?だから言っておきたいことがあって」 俺はドキドキしながら答えた。 「言っておきたいことって?」 「XX……君って、好きな子とか、付き合っている子って居る?」 「いないよ」 「……私のこと嫌い?」 「いや、そんな事はない」 「じゃあ、高校に行っても、私と付き合ってくれる?」 「うん、いいよ」 「うれしい!」
1963 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:05:00 ID:cFFR5zTA0 こんなやり取りをした後、俺とユファはあんな事をしたい、こんな所へ行ってみたいなどと取り留めのない話をしていた。 そのあと、確かユファが髪留を外して、掌の上に乗せて言ったのだ。 「ねえ、見て」 俺は少し腰をかがめて髪留を見た。 「目をつぶって」 目をつぶるとユファは、俺の唇に唇を重ねてきた。 唇を重ねると、そのまま柔らかく抱きついてきた。 ユファのやわらかい唇の感触に童貞街道まっしぐらだった俺はフル勃起していた。 耳まで真っ赤に染めたユファが言った。 「これで、私とXXって、恋人同士だよね?」 「……ああ!」 「じゃあ、これからもよろしくね!」 ミユキが話し始めた。 「卒業式のあと、私、美術準備室へ行ったんだよ。手紙を持ってね。 ヒロコが、私に酷いことをしてきた罪滅ぼしに協力するって……わたしって、馬鹿だよね。 そんな言葉を信じて、徹夜で手紙を書いて、二度と行きたくなかった学校に行って。 それで、XX君が待ってるからと言われて、一生分の勇気を振り絞って美術準備室に行ったら……」 「行ったら?」 「中に……XX君とユファが居た。ユファと目が合って、思わずドアの影に隠れたわ。 それで、もう一度、準備室の中を覗いたら……。あなたとユファがキスしてた。もういいでしょ!」
1964 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:06:43 ID:cFFR5zTA0 俺は、心底オンナが、いや、人間の悪意を怖いと思った。 ユファとの思い出は、最後に彼女の裏切りにあって苦いものとなっていた。 何も、被害者面をするつもりはない。 男女間での事だ。 俺の方にも大いに非はある。 だが、ミユキの話を聞いて、俺の知らなかった、いや、薄々は気付いていたユファの黒い一面を知って、俺の背中に冷たいものが走った。 一時は何も見えなくなるくらいに好きだった女が、得体の知れない怪物だった、そんな恐怖心だった。 俺は、ミユキに「お前は『エンジェル様』に何て言われたんだ?」と尋ねた。 ミユキは震えながら言った。 「大勢の目の前でレイプされた上で、首を絞められて殺されるって」 ミユキは怯え切っていた。 ミユキが帰った後、Pは俺に話した。 藤田がミユキの前で自慰行為をさせられた件には、もっと酷い前置きがあったのだ。 問題の虐めがあった日、首謀者の川村はユファや他の連中に藤田とミユキを取り押さえさせて、ミユキの下着も剥ぎ取って言ったそうだ。 「藤田ぁ〜、菅田に振られて、笑いものにされて、お気の毒。 さすがに可哀想だから、協力してあげる。ここで菅田とSEXしなよ。みんなで見届けてあげるから。 菅田も、お前にイかしてもらったら、惚れ直して告白を受け入れてくれるかもよ?」
1965 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:08:32 ID:cFFR5zTA0 ミユキは泣き叫び、藤田は必死に抵抗したらしい。 その場にいた男子生徒にボコボコにされ、周りから「早くやれ!」と囃し立てられたそうだ。 藤田は泣きながら「それだけは勘弁してくれ」と哀願した。 そして、ヒロコが提案した。 ミユキをオカズにセンズリを扱いて、射精したら勘弁してやると。 恐らく、エンジェル様の『お告げ』は、この前置きがあった上での川村たちの嫌がらせと脅迫だったのだろう。 その後もミユキへの『いじめ』は続きエスカレートして、彼女は複数の女生徒たち(男子生徒もいた可能性がある)にトイレで暴行を受け、回復不能な深い傷を負わされたのだ。 俺の胸の底に吐き気がこみ上げてきた。 心神喪失のままの川村にこの脅迫状は出せまい。 他にエンジェル様の『お告げ』を知っていて、脅迫状を出せるのはユファしかいない。 俺は、Pに「協力させてくれ」と頼んだ。 俺は、これまで知らなかった過去の闇の中に足を踏み出した。
1966 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:09:38 ID:cFFR5zTA0 俺はまず、ユファの行方を捜した。 俺とユファの出会いは小学生の頃に遡る。 子供の頃の俺は、かなりの虚弱児だった。 俺は、小学校低学年の頃に川で溺れ、死に掛けたことがあった。 近くにいた大人に救助されて溺死は免れたが、その後、暫く高熱を発し危なかったらしい。 高熱で脳にダメージでも負ったのか、俺はそれ以前の記憶が殆ど無い。この事は、以前の投稿で既に触れた。 それまで俺の父親は、ひ弱だった俺を家から殆ど出さず、何のまじないかは知らないが、服まで女物を着せて、酷く過保護に育てたらしい。 そんな父は、俺が回復すると、教育方針を180度転換した。 他に何もしなくて良いから体だけは鍛えろと、親友だったPの父親の紹介で俺を近所の空手道場に放り込んだのだ。 とばっちりを受ける形でPも一緒に入門した。 俺が『運動馬鹿』になる第一歩だった。 この空手道場にいたのがユファの兄の『李先輩』だった。 俺とPが入門した頃、まだ中学生だった李先輩は、稽古に耐え切れず練習中に度々ぶっ倒れた俺を背負って家まで送ってくれたりした。 高校生になると道場に顔を出す機会は減ったが、稽古の後、実家で経営している焼肉店に俺とPを連れて行った。 「沢山喰って体をデカくするのも稽古の内だ。お前はひ弱なんだから、人一倍がんばって食わなきゃ駄目だぞ」と言って飯を食わせてくれたものだ。 小学校から朝鮮学校に通い、高校ではラグビー部に所属していた先輩は、名センターだったらしい。 だが、地元ではラグビーでの名声よりも、喧嘩の武勇伝の方が有名だった。 自宅に良く招かれた関係で、妹の由花(ユファ)とは小学生の頃からよく知った間柄だった。 ついでに、ユファといつも一緒にいたミユキとも顔見知りだった。 小学校時代、ミユキ以外のユファの友達はユファの事を『川上さん』とか『ユカちゃん』と呼んでいた。 他の子が居るときは、ミユキもそうだった。
1967 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:12:09 ID:cFFR5zTA0 俺やPと通っている学校は違ったが、ユファは『川上 由花』という通名でミユキと同じ日本の小学校に通っていたのだ。 李先輩がユファの友達、特に幼馴染のミユキに気を使って居たのは子供心にも良く判った。 妹、ユファに対する溺愛ぶりもだ。 俺とPにとって、李先輩は、子供好きで面倒見が良く、兄馬鹿で、ちょっと怖いところもある兄貴のような存在だった。 高校進学を期にユファは通名を使うのを止めたのだが、中学時代には皆から『ユファ』と呼ばれて通名を使う意味はなくなっていた。 中学の卒業式の日にユファから告白を受け、付き合う事になった俺は、既に社会人となり、実家を出ていた李先輩に呼び出された。 卒業祝いと言う割には、Pとミユキの姿はなかった。 「まあ、飲め」と言われ、「押忍」と答えて両手で差し出したコップに李先輩がビールを注いだ。 初めて飲んだビールは苦く、中々飲み干せなかった。 「ところでさ、お前ら付き合ってるんだって?」 俺は飲んでいたビールを噴出しそうになった。 「お、押忍、ユファと……いえ、妹さんと交際させて頂いてます!」 「ふ〜ん、そうなんだ。ところで、お前ら、もうヤったの?」 俺は耳まで赤くなっているのを感じながら、慌てて答えた。 「滅相も無い!まだ、手も握っていません!」少しだけ嘘をついた。 「だよな〜。お前、無茶苦茶オクテそうだもんな」 「はあ、……」
1968 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:14:26 ID:cFFR5zTA0 助け舟か、ユファが李先輩に食って掛かった。 「お兄ちゃん、いい加減にしてよ!」 「お前は少し黙っていろ!」 そう言われると、ユファは膨れっ面をしながらも黙った。 「ヤリたい盛りのお前にこんな事を言うのは酷かもしれないけれど、半端な真似は許さないよ? どうしてもヤリたいと言うなら無理には止めないが、俺とタイマンを張る覚悟はしてくれ。 そう言う事は自分で自分のケツが拭けるようになってから、自分の力で女と餓鬼を食わせられるようになってからにしておけ」 「……押忍」 そして、更に厳しい顔つきでユファに向かって言った。 「高校生になった妹の恋愛にまでクチを挟む気はないが、出来ました堕胎しますは絶対に許さないからな? どんな理由があっても、人殺しは許さない。誰が相手でも産ませてキッチリ責任を取らせるからそう思え」 「判っているわよ!」 「判っていれば、それでいい。健全で高校生らしい男女交際に励んでくれ。 おい、XX、何だかんだ言っても、コイツの付き合う相手がお前で安心しているんだ。 ワガママで気の強い女だけど、宜しく頼むよ」 そう言うと、やっと李先輩は笑顔を見せた。 どこまでも兄馬鹿な人だな、と、緊張の解けた俺は微笑ましく思った。 俺は、そんな先輩を尊敬していたし、堪らなく好きだった。
1969 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:16:41 ID:cFFR5zTA0 高校生活と共に俺達の交際も本格的にスタートした。 だが、初めから何かがおかしかった。 周りの連中に言われるまでもなく、人目を惹く『華』のあったユファと俺が『釣り合っていない』ことは自覚していた。 俺はユファに夢中だったが、同時に、彼女と会う毎に不安が増していった。 彼女に嫌われていると言う事はなかった。それは判った。 だが、愛されている自信も無かった。 少なくとも俺が好きだと想っているほどには、彼女は俺の事が好きではなかったのだろう。 逢瀬を重ねるほどに、俺は自信を喪失していった。 やがて、16歳の誕生日を迎えた俺は、親や学校に隠れて中免を取った。 バイト代や預金をはたいて中古のバイクを手に入れてからは、バイクに嵌まり込んでいった。 まだポケベルさえ普及しておらず、携帯電話など無かった頃なので、連絡は家の電話で取っていた。 だが、姉と妹、特に妹が、何故かユファを良く思っていなかったらしく、俺が電話したり、ユファから電話が来ると露骨に機嫌が悪くなった。 放課後の俺は、ガス代やタイヤ代稼ぎのバイトに明け暮れ、膝に潰した空き缶をガムテで貼り付け、夜な夜な峠で膝摺り修行に邁進した。 ユファの方も、急に経営が傾き出し、従業員を解雇した実家の焼肉店の手伝いで忙しそうだった。 通っている学校も違っていたので、俺達の逢う頻度はどんどん下がって行った。 電話も、姉や妹への引け目から余りしなくなっていたので、話す機会も少なくなっていた。 そして、決定的だったのは高校2年生の時のクリスマスだった。 先輩の警告を破って、半分賭けのつもりでユファに迫った俺は、見事に彼女に拒絶された。 やがて3年生になり、大学受験の準備に入った俺は出遅れを取り戻すために、連日、選択の補習授業に出るようになった。 ユファとは公衆電話から電話を掛けてたまに話はしたが、殆ど逢う事はなかった。 次に逢う時には別れ話を切り出されそうで怖かったのだ。
1970 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:19:15 ID:cFFR5zTA0 俺にとって、バイクも受験勉強も、ユファを失う恐怖から目を逸らすための逃避行動だったように思う。 やがて年末となり、大学受験の本番が目の前に迫っていた。 クリスマスもユファとは会っていなかった。 冬休みに入っていたが、自習室として開放されていた学校の図書室で閉室時間まで勉強していた俺は、帰り道で5・6人の男達に囲まれた。 男達は朝鮮高校の制服を着ていた。 俺は朝鮮高校に何人か知り合いもいたし、特に彼らとトラブルを起こした覚えも無かった。 「H高のXXだな?悪いが、顔を貸してもらえるか?」 駅は目の前だ。リーダー格のコイツをブチのめして、ダッシュで改札に飛び込めば逃げ切れるか? ……いや、無理だろう。 こういった事に関しては彼らに抜かりはない。 改札前やホームに人を貼り付けているはずだ。 誰の命令かは知らないが、彼らが失敗した時に『先輩』から加えられる『ヤキ』は苛烈を極めるのだ。 恐怖に縛られた彼らから逃げ遂せるのは不可能だろう。 俺は、「わかった」と言って、彼らと共に移動した。
1971 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:21:58 ID:cFFR5zTA0 連れて行かれた先には意外な人物が待ち構えていた。 李先輩だった。 李先輩は鬼の形相だった。 「オ、押忍!お久しぶりです」 「ああ。ところでお前、以前、俺と交わした約束は覚えているな?」 「押忍」 「ならば準備しろ。タイマンだ。死ぬ気で掛かって来い。殺す気で相手をしてやる」 「嫌です」 「何だと?今更逃げる気か?」 「いいえ。でも、俺には先輩が何を言っているか判りません」 「とぼけるつもりか?ユファのヤツの様子がおかしいとオモニから相談されて、まさかと思って病院に連れて行ったら、本当に、まさかだったよ。 半端な真似は許さないと言ってあったよな?」 まさか……。俺はショックから立って居られなくなり、その場に座り込んだ。 そして、精一杯に強がって言った。 「煮るなと焼くなと好きにして下さい。でも、先輩とタイマンは張れません。 俺はユファとは何もしていません!」 俺はこの時、泣いていたのだと思う。 李先輩は俺を抱き締めて言った。 「本当に済まなかったな。お前は嘘を言っていない。俺には判っている」
1972 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:23:21 ID:cFFR5zTA0 「XXはこう言ってるぞ!お前の本当の相手は誰なんだ?」 朝高生の男2人に脇を抱えられたユファが俺と李先輩の前に引き出されて来た。 「嘘よ。相手はXXよ。他に有り得ないでしょ!XXもそう言ってよ!」 ……誰だ、この女? ユファに良く似た姿をしているが、他人の空似に違いない。 この女はユファじゃない。 堪らなく好きだった、俺のユファじゃない! 他人だ。ユファに良く似た他人だ。でなければ、悪い夢を見ているんだ! 「いい加減にしないか!」 李先輩はユファを平手で叩いた。 兄馬鹿で、幼い頃からユファを溺愛していた先輩が、妹に手を上げたのは初めての事だったのだろう。 ユファは一瞬、何が起こったのか理解できなかったようだ。 暫くきょとんとしていたかと思うと、やがて大声で泣き始めた。 李先輩は朝高生の一人に朝鮮語で何かを命令した。 「イエー!(はい)」と答えたその男は何処かに行った。
1973 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:25:20 ID:cFFR5zTA0 何処か近くに待機していたのか、10分ほどすると車が1台入ってきた。 車の後部座席から、見るからに柄の悪そうな男2人に脇を抱えられた、20代後半か30代前半くらいの男が引き出されてきた。 運転席からは男達の兄貴分だろうか? 見るからに貫禄のあるスーツ姿の男が降りてきた。 李先輩はスーツ姿の男に深々と頭を下げた。 引き出されてきた男を見たユファは半狂乱になって叫んだ。 「違う、その人じゃないの!XXなのよ、信じてよ!」 俺は、もう、全てがどうでも良くなっていた。 李先輩は酷く冷たい声色でユファに言った。 「いい加減にしろ。 男女の恋愛沙汰だ。別れる別れないとか、他に好きな男が出来るとかは良くあることだ。 そんな事はどうでもいい。それはお前とXXの問題だ。 だが、お前のやっている事は何だ? お前のやっている事は余りに誠意と言うものが無いじゃないか!」
1974 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:27:10 ID:cFFR5zTA0 李先輩は、ユファの相手の男に歩み寄った。 「お前、人の妹に、未成年に手を出しやがって……。責任は取ってもらうからな?」 更にユファに向かって言った。 「出来ました、堕胎しますは許さない。誰が相手でも産ませるといった事は覚えているな? どんな形であれ、人殺しは許さない。自分の行動の責任は自分で取るんだ。子供は産んでしっかり育てろ」 「ふざけるな、冗談じゃない!」相手の男が悲鳴のように叫んだ。 「俺には妻も子供も居るんだ。そんなことをされたら身の破滅だ」 「なんだと?それじゃあ、妻子持ちが高校生の餓鬼を騙して弄んだというのか? 俺の妹に、初めから捨てるつもりで手を出したのか?」 「あ、遊びだったんだ。軽い気持ちで、こんな事になるとは思っていなかったんだ!」 ……この馬鹿! この場に居る誰もが緊張した。 これから、この場所で殺人が行われる。 だが、李先輩は冷静だった。
1975 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:29:13 ID:cFFR5zTA0 先輩はユファに向かって言った。 「店は畳む。オモニは俺が引き取る。 お前には、アボジが残してくれたあの家をやろう。だが、それだけだ。 お前とは縁を切る。もう兄でもなければ妹でもない。 俺にも、オモニにも、それからXXにも二度と近付くな」 そして、俺の両肩に手を置いて、声を震わせながら言った。 「こんな事になって、本当に済まない。 ……ユファの相手がお前だったら、良かったんだけどな。 あんな馬鹿な妹で、本当に済まなかった。 俺達兄妹とのこれまでの事はなかったものとして忘れてくれ」 先輩の目からは涙が溢れていた。 始めて見る、李先輩の涙だった。 ……声が詰まって俺は何も言えなかった。 スーツの男に李先輩が言った。 「すみません、彼を送ってやって下さい。お願いします」 それから、李先輩とユファがどうなったのか俺は知らない。 俺からユファを奪った、あの男がどうなったのか、生死も含めて知る事は出来ない。 俺は受験に失敗して浪人する事になった。 ユファ達の家には、いつの間にか売家の札が貼られていた。
1976 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:31:14 ID:cFFR5zTA0 俺は、キムさんが『裏の仕事』でよく利用する調査会社の男にユファの行方調査を依頼した。 呪詛や心霊関係にも明るく、そのような方面からの切り口で調査を進められる稀有な人材だ。 「アンタが社長を通さずに直接俺に調査を依頼するとは珍しいな。『あっち方面』の依頼か?」 「ああ。ちょっとした呪詛絡みでね。人を探してもらいたいんだ」 「探すのは構わないが、あんたの個人的依頼と言う事になると結構掛かるよ?」 「その点は大丈夫だ。スポンサーが居るんでね」 「そうか、1週間……いや、10日待ってくれ」 2週間後、調査会社の男が調査報告書を持って来た。 「アンタにしては掛かったな」 「ああ。意外にてこずったよ。だが忠告しておく。 あんたは、この報告書を見ないほうがいい」 「なぜ?」 「……あんた、その女に惚れていたんだろ?他にも色々とあるんだが、辛いぞ?」 「おいおい、半人前かもしれないが、俺も一応はプロだぜ?」 「そうだったな」 彼が言ったように、調査報告書の内容は、俺にとって衝撃的で辛い内容だった。
1977 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:33:54 ID:cFFR5zTA0 李先輩とその母親は10年前の震災で亡くなっていた。 俺もPも知らなかった事実だった。 別れた後のユファの足跡も読んでいて辛いものがあった。 ユファは高校を卒業後、女の子を出産していた。 兄に厳しく言い渡されていたとはいえ、堕胎せずに出産していた事に俺は驚いた。 その後のユファの人生は男の食い物にされる人生だった。 最初は自宅を売りアパートを借りる際に頼った不動産業者の男だった。 ユファの実家を売った金は、1・2年で使い果たされ、金が無くなると男はユファと子供を捨てて逃げたようだ。 男が逃げて直ぐに、ユファはスーパーのパート店員から水商売に転じた。 其処でのユファの評判は余り芳しいものではなかった。 店の売り上げを持ち逃げした、客から多額の借金をして行方をくらました等、悪評が付いて回った。 水商売の世界に居られなくなり、やがて風俗嬢に。 ヘルスからソープを経て、某新地へ。 新地時代のユファのヒモだった男の名を見て俺は驚愕した。 三瀬……中学時代の同級生だった。 ユファが新地で働いていた頃、俺は三瀬に会った事があったのだ。
1978 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:35:04 ID:cFFR5zTA0 俺が、バイトでバーテンをしていた店に三瀬が2・3人の女を伴ってやってきたのだ。 当時の三瀬は、まだ、大学生だった。 俺の居た店は、大学生が出入りするには少々高い店だった。 まあ、場違いなバカボン大学生が来る事も無かったわけではなかったので、その時は別に疑問も持たなかった。 偶然の再会……を喜び合った俺たちは、一緒に遊びに行く事を約束して別れた。 後日、俺は三瀬の車に乗って、彼と遊びに出かけた。 彼の車はFD、ピカピカの新車だった。 「金回りが良いんだな」 「まあね」 そんな三瀬に連れられて行ったのが、報告書にあった某新地だったのだ。 報告書と俺の記憶を照合すると、俺はユファのヒモだった三瀬に、ユファが働いていた新地に連れて行かれたことになる。 その頃は、俺の女遊びが一番激しかった時期だった。 何周か店をひやかして歩き回った。 中にはそそられる女もいたが、風呂もシャワーも無いと言う事で、その不潔さから「俺はいいや」と言って店に上がる事はなかった。 報告書を読みながら、俺は心拍が上がり呼吸が苦しくなって行くのを感じた。
1979 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:37:32 ID:cFFR5zTA0 報告書には無かったので俺は調査会社の男に「三瀬は、いまどうしているんだ?」と尋ねた。 何度か留年を重ねて大学を卒業した後、三瀬は一旦就職したが、すぐに退職して無職だったようだ。 ユファのヒモを続けていたのだろう。 その後、ユファに逃げられ、覚せい剤取締法違反で逮捕され収監されている。 自己使用だけでなく売人もやっていたようだ。 出所後、更に2度収監され、今でも中毒者ということだった。 俺は、更に報告書を読み進めた。 三瀬から逃げたユファは、迫田というチンピラの情婦になっていた。 迫田は薬物事犯や暴力事犯での逮捕歴が二桁近くある男で、関東の某組から『赤札破門』『関東所払い』を受けて流れて来たようだ。 通常の破門ならば拾ってくれる組もあったのだろうが、『赤札破門』の迫田を拾ってくれる組は無く、当然堅気にも戻れなかった。 迫田はユファを使って『美人局』を行って生計を立てていたようだ。 確かに、読んでいて辛い内容だった。 だが、最後の項目を目にした俺は、激しい怒りに捕らわれた。 信じ難く、許せない内容だった。 李先輩やおばさんが生きていたら、絶対に許さなかっただろう。 俺は、調査会社の男に「これは本当なのか?」と、確認した。 「本当の事だ」 ユファと迫田は、ユファの娘を使って『美人局』を行っていたのだ。
1980 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:39:10 ID:cFFR5zTA0 ユファの調査は進めたが、俺はユファと、できれば直接に関わるつもりは無かった。 だが、無視する事は出来なかった。 絶縁したとはいえ、李先輩が生きていて、この事を知ったならば、やはり放置しなかったはずだからだ。 こんな形で、この事を知ったのは先輩の導きかもしれない。 この際、ユファの事はどうでもよかった。 だが、ユファの娘は何とかしたかった。 巡り合わせ次第では、俺の『娘』だったかも知れない子だからだ。 俺はユファ達の棲む町へと向かった。 事に移る前に、俺は地元のヤクザに金を包み、話を通しに行った。 話はすんなりと進んだ。 「ああ、あの胸糞の悪いチンピラと朝鮮ピーだな。 最近調子に乗りすぎていて、目障りだったんだ。好きにしてかまわない。手出しも口出しもしないよ」 そう言って、そのヤクザはユファの娘を拾う方法まで教えてくれた。
1981 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:40:13 ID:cFFR5zTA0 ユファの娘が客を拾っていたのは、川沿いのラブホテル街だった。 夜の通りに7・8人の30代から50代くらいまでの中年女性が立っていた。 女を物色していると思われる男たちが、川沿いを何度も往復していた。 往復している男たちに女が世間話を装って話しかけ、見極めたうえで交渉に入るようだ。 俺は男たちに倣って川沿いの道を何往復かしてみた。 ユファの娘らしき女は立っていなかった。 それはそれで構わない。 やがて、一人の女が話しかけてきた。 「お兄さん、さっきからずっと歩いてるよね。夜のお散歩?」 「まあね」 少し雑談していると、女が切り出してきた。 「お兄さん、これから遊びに行かない?」 「遊び?」 「判ってるんでしょ?ホテル代別でショートでイチゴー、ロングなら3だけど、お兄さんならニーゴでいいわよ?」 「今日はいいや」 「お目当ての子が居るの?」 「ああ。この辺に高校生くらいの子が立ってるって、ネットで見てさ」 「ああ、あの子ね。あの子は火曜日か木曜日にしか来ないよ。 その先のローOンの前の橋のところに10時位から立つけど……止めた方がいいわよ」 「なんで?」 「あの子、お客の財布からお金を抜くのよ。それがばれると……判るでしょ?」 「美人局か」 「そうそう!それで、悪い噂が立っちゃって、私たちも迷惑してるのよね」 俺は女と別れて、その日は撤収した。
1982 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:42:35 ID:cFFR5zTA0 何度か空振りした末に、俺はユファの娘を捕まえる事に成功した。 「ホテル代別で3。朝までなら5よ」 「お、強気だね」 「嫌なら……別にいいんだよ」 金髪にして、少し荒んだ感じだったが、娘には昔のユファの面影が確かにあった。 まだ幼い顔立ちと、細すぎる肩。 正直、胸が痛んだ。 「OK!5だな。朝まで楽しもうぜ」 俺は、彼女に付いて少し先のラブホテルに入った。 「お金。前金でお願い」 「嫌だね」 「……それなら帰る」 「それも駄目だ」 「……お金、出しておいた方がいいよ?」 「迫田には連絡したのか?まだだったら電話しろよ」 彼女は、驚いてはいたが妙に落ち着いていた。 「あなた、警察の人?」 「いいや。……妙に落ち着いてるんだな」 「そう?……私なんて、どうなっても、……どうでもいいから」 彼女の手首にはリストカットの痕が幾筋も残っていた。 「逃げた方がいいわよ?迫田って、無茶苦茶だから。オジサン、殺されちゃうよ」 「俺が逃げたら、お前が酷い目に合うんじゃないか?」 「そうかもね。でも、殺されはしないだろうし……。 『仕事』をしなくちゃいけないから、そんなに酷くはやられないと思う……」 正直、痛ましくってやっていられなかった。
1983 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:45:19 ID:cFFR5zTA0 「どうせ、下の出口にでも待ってるんだろ?とりあえず、ここに呼べよ」 彼女が電話すると直ぐに迫田が上がってきた。 ドアの鍵は開いていた。 室内に入って「てめえ、人の娘に……」と言うか言わないかのタイミングで俺は迫田に襲い掛かった。 虚を衝かれ、怒りに歯止めが利かなくなった俺の暴力に晒された迫田は動かなくなっていた。 まあ、死にはしないだろう。 こんなクズは、死んだところで問題はないが、死んだら死んだで面倒なので生きていた方が都合は良かった。 「こいつ、お前の親父なの?」 「違うよ。母さんのオトコ」 「お前の母さんは、……お前がこんな事をさせられているのを知ってるのか?」 「……うん」 「お前の本当の父親は?」 「良くは知らないけど、母さんを捨てて逃げちゃったらしいよ。私のせいだって」 「……そうか」 「オジサン、何なの?私をどうするつもり?」 「どうもしないよ。俺は、李 ユファの、……君のお母さんの昔の知り合いなんだ。 君のお母さんに会いたい。案内してくれないか?」 「いいよ」
1984 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:47:18 ID:cFFR5zTA0 車の中で聞かれた。 「オジサンは母さんの昔の知り合いなんでしょ? 私のお父さん、母さんの彼氏だった人のこと、……どんな人だったか知ってる?」 「さあな。俺は中学生の頃の同級生だから」 「……そうなんだ。ほら、そこの角を右に曲がって……あれよ」 ユファ達が住んでいたのは、三階建てのコンクリート作りの建物が5棟ほど建った古い団地だった。 建物のひとつの階段を上り、二階の右側の鉄扉を彼女が開けるとアルコールと生ゴミの混ざったような悪臭が鼻を突いた。 室内はゴミが散乱していて汚い。 彼女が「ただいま……」と消え入りそうな弱々しい声を発すると、灯りの消えた真っ暗な部屋の奥から女の声が聞こえた。 「あ……ん?早いんじゃない?あの人はどうしたの?一緒じゃないの?」 彼女は俯いたまま、黙って立ち尽くしていた。 「黙っていないで、何とか言え!」 怒号と共に何かが飛んできた。 飲み残しの入ったビールの空き缶だった。 ブチッと、俺の中で何かが切れるのを感じた。 俺は、明かりを点けて部屋の奥に踏み込んだ。 何日も櫛を通していないようなボサボサ髪に薄汚れて犬小屋の毛布のような臭気を発するTシャツ一枚の女が眩しそうに顔をしかめた。 俺は酒臭い女の髪を掴んで風呂場に引きずっていき、薄汚れた水が張りっぱなしになった浴槽の中に放り込んだ。 「だれ?何をするのよ!」と叫ぶ女に、更にシャワーで水をぶっ掛ける。 「俺が判るか?ユファ!」 一瞬、呆然とした表情を見せた後、ユファは口を開いた。 「XX……なの?何で、ここに……?」 「何でも、糞も無い。何なんだ、このザマは?」
1985 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:49:53 ID:cFFR5zTA0 「アンタには関係ないでしょ!」 「ああ、関係ないね。お前がどうなろうが知った事じゃない。 けどな、お前らが娘にやらせている事は見過ごせねえ。 ……おまえら、人間じゃねえよ。なんでこうなった?」 ユファは、吐き捨てるように言った。 「何を偉そうに。この子と一緒と言う事は、この子を『買った』んでしょ? やる事をやっておいて、大口を叩くんじゃないわよ。同じ穴の狢じゃない!」 ユファは怒気の篭った声で娘に言った。 「何でこんな奴をここに連れて来たの!迫田はどうしたのよ!」 「あの人は、……この人にやられちゃった」 「アハッ、迫田がXXに?無理よ。XXはね、小っちゃくて弱っちいんだよ。背だって私の方が大きかったし、足だって私の方が速かったんだ」 ……いつの話だ?虚弱だった小学生の時分、俺が初めてユファに逢った頃の話か。 「そうだ、XXは弱い子だから、私が助けてやらないといけないんだ……お兄ちゃんが言ってた」 何か様子がおかしい。 酒で泥酔しているからだと思ったが、明らかに挙動がおかしく、話す内容も要領を得ない。 そう言えば、ユファのヒモをしていた三瀬は薬物事犯で服役したし、迫田も薬物事犯の累犯犯罪者だ。 薬物中毒か……。 「XX、早くここを出て行って!迫田が戻ってきたら、私もあなたも殺されちゃうよ!」 ユファも娘も、迫田に暴力で支配されていたのは間違えないだろう。 俺は娘に言った。 「悪いようにはしないから、俺と一緒に来い」 「無理だよ。私もお母さんも迫田に殺されちゃうよ?」 「その迫田から逃げるんだよ。迫田はさっきのホテルでまだノビてる。逃げるなら今しかないぞ? ここに居て、迫田が戻って来たら、また同じ事の繰り返しだぞ? 一緒に来い。何があっても今の状況よりはマシだろう?」 「……判った」 「ユファ、嫌だと言っても、お前には一緒に来てもらう。問い質さなければならない事があるからな。 2人とも、身の回りの荷物を纏めろ。30分後に出るぞ」 俺はPに連絡を入れ、彼とミユキの元へと向かった。
1986 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:51:04 ID:cFFR5zTA0 俺は、Pの元にユファとその娘を連れて行った。 ユファは思った通り、重度の覚醒剤中毒だった。 艶を失くした髪や肌はボロボロで老婆のよう。 重度の覚醒剤中毒患者に特有の症状らしいが、歯がボロボロに腐り、腐敗したキムチのような耐え難い口臭を放っていた。 痩せ細り骨ばった体は30代の女のそれではない。 やはり薬物中毒患者に多いと言う肝疾患を患っていたため、黄疸で白目も黄色く変色していた。 変り果てたユファの姿に、俺は少なからぬ衝撃を受けた。 俺は、ある医師を頼りユファと娘を診させた。 だが、その前にすることがあった。 ミユキに送られてきた『脅迫状』について問い質さなければならない。 ミユキとユファが対面したのは、中学卒業以来、20年ぶりのことだった。 ミユキは、あまりに変わり果てたユファの姿に絶句していた。 ユファは、俯いたままミユキの顔を見ようとしない。 Pが、ユファにミユキに送られてきた脅迫状、『呪。****』と赤文字で書かれた『エンジェル様』の文字盤を見せながら言った。 「手短に聞こう。これをミユキに送りつけたのはお前か?」 「いいえ」 「本当に?」 「ええ、本当よ。 でもね、ミユキや他のみんなを呪っていなかったかと言われれば、嘘になるけどね。 XX、あんたの事もね」
1987 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:53:25 ID:cFFR5zTA0 Pがそれまでの経緯をユファに話して聞かせた。 ユファは驚いていたが、「結局、エンジェル様のお告げは全て当たったのね」と呟いた。 俺は、ユファに尋ねた。 「お前は『エンジェル様』に何て言われたんだ?」と。 ユファは声を震わせて答えた。 「一生、生き地獄……」 俺は何と言って良いか判らなかった。 代わりに尋ねた。 「ミユキに脅迫状を送りつけた主に心当たりはないか?」 ユファは首を横に振った。 ……振り出しか。 最後に、俺はユファに訊ねた。 「なぜ、ミユキにあんな真似をしたんだ? お前たち、友達じゃなかったのかよ」 「そうね、私にとっては唯ひとりの友達かもね。 私を初めから本名で、『ユカ』じゃなくて、ちゃんと『ユファ』と呼んでくれていたのはミユキだけだったからね」 「だったら、何故?」 「友達だから、ミユキの下に立つことは絶対に出来なかったのよ」 「なんだよ、上とか下って!……友達というのは対等なものじゃないのか?」
1988 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:55:09 ID:cFFR5zTA0 「アンタには判らないでしょうね。……P、アンタになら判るでしょう?」 Pは苦々しい表情で言った。 「……ああ。わかるよ」 「ミユキは、私がどんなに頑張っても敵わない位に頭も良かったし、女の私から見ても羨ましいくらいに可愛かったからね……。 何をやっても敵わない。……そんなミユキの下に立ったら、惨めじゃない。 アンタやPだって、兄さんだって私よりミユキの方が好きだったでしょう?」 「待てよ、少なくとも先輩は、いつもお前のことが第一だったじゃないか。 ミユキがお前の一番の友達だったから、気を使っていただけだろ? 俺だって、お前と付き合っていたじゃないか。少なくとも、俺は本気でお前のことが好きだったぞ?」 「いいえ、それは嘘。でなければ、あなたがそう思い込もうとしていただけ」 俺が言い返そうとするのを遮るようにミユキが言った。 「卒業式の日、美術準備室であったことは、なんだったのよ?」 「兄さんはね、あなたのことが好きだったのよ。本当にね。 まあ、あの兄さんだから、あなたが気づかなくても仕方ないけどね。 なのに、あなたはXXまで……許せなかったわ。 ……ねえ、XX。あなた、あの日、告白したのが私じゃなくてミユキだったら、ミユキと付き合っていたんじゃない? 私よりも、ミユキに告白された方が嬉しかったんじゃない?」 「もしもの話をされてもな……。 俺はお前と付き合った。あの日のことは物凄く嬉しかった。舞い上がるくらいにな。それだけだ」 「相変わらず、狡いのね。……もういいでしょう?疲れたわ」
1989 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:57:06 ID:cFFR5zTA0 事件は振り出しに戻った。 俺とPは、千津子と奈津子の『力』によって負ったダメージから回復するために静養中のマサさんに相談してみた。 マサさんは言った。 「お前たちは、ひとつ大事なことを見落としているぞ? もう一人、ミユキを含めた『エンジェル様』のメンバー全員を呪う人物がいるだろう」 「誰ですか?」 「判らないか?藤田の母親だよ。 それとな、川村が呼び出した天使『****』と言うのは、韓国のあるキリスト教会で猛威を振るった『巫神』……悪魔の名前なんだ。 その辺も含めてもう一度洗い直してみろ」 俺とPは、藤田・川村を中心に過去を洗い直した。 すると、意外な事実が浮かび上がってきた。 藤田家と川村家は、両家に子供が生まれる前から接点があった。 両家はあるキリスト教会の信者であり、その教会の牧師は韓国人だった。 俺の母親もクリスチャンだがカソリックなので、プロテスタント系の地元のその教会には通っていなかった。 その韓国人牧師には、韓国人聖職者にありがちな問題行動があった。 藤田の母親は、Pの実家が経営する店でパート店員として働き、一人息子の藤田を女手一つで育てていた。 藤田の父親は、藤田が小学生の時に自殺している。 川村の両親も、川村が中学生の頃から夫婦仲が悪化し、娘が心神喪失状態になると父親が家を出て帰らなくなり、やがて離婚が成立した。
1990 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 07:58:26 ID:cFFR5zTA0 Pが主に動いて、意外な、そしておぞましい事実が明らかになった。 藤田の父親の自殺と川村の父親の出奔の原因は、共に妻の不貞だった。 そして、妻たちの不倫の相手は、共に教会の韓国人牧師だった。 その牧師が川村と藤田の本当の父親だったのだ。 更に、川村の問題行動……藤田への悪質で執拗ないじめが始まる少し前に、凶悪な事件が起こっていた。 中学生になったばかりの川村は、血縁上の父親でもある韓国人牧師に強姦されていたのだ。 事件を揉み消すために、教会から信者に多額の金が流れ、問題の韓国人牧師は韓国に帰国していた。 この韓国人牧師は日本に来る前、韓国の教会で起こったある事件に連座して韓国の宗教界に居られなくなり、その過去を隠して来日していた。 その事件とは、聖職者数名が未成年者を含めた多数の信者女性を集めて『サバト』を開いていたというものらしい。 川村が呼び出した天使……いや、悪魔『****』とは、その『サバト』で呼び出されていたモノらしい。 どうやら、問題の韓国人牧師は日本でも『サバト』を開いていたようだ。 そこで、川村は牧師に強姦され、父親の自殺時に藤田が知ることになった自らの出生の秘密を知る事になったようだ。 川村が幼馴染の藤田に抱き続けた恋心は激しい憎悪に変わり、その憎悪は藤田が想いを寄せた菅田ミユキにも向けられた。
1991 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 08:00:59 ID:cFFR5zTA0 俺たちは、藤田の母親を問い詰めた。 藤田の母親は、驚くほどあっさりと、ミユキに脅迫状を送った事実を認めた。 息子を自殺に追い込んだ連中の幸せな様子が許せなかった……らしい。 だが、それだけではなかった。 韓国人牧師に逃げられた藤田の母親は、父親の自殺以降、自分に軽蔑の視線を送り続けていた我が子を『****』に捧げていた。 息子を生贄に、牧師の『寵愛』を奪った川村を呪ったというのだ。 狂っている……そう形容するしか言葉が思いつかなかった。 そんな、藤田の母親の怨念に再び火をつけたのは、息子が想いを寄せていた、菅田ミユキの結婚話だった。 ミユキはPのプロポーズを受け入れていたのだ。 そうだ、思えばPは小学生の頃、俺と一緒に李先輩の所に遊びに行っていた頃からミユキが好きだったのだ。 Pは、長いあいだミユキの相談に乗り続け、彼女を支えていた。 「水臭いじゃないか、P! おめでとう。何で話してくれなかったんだ?」 「……全て片付いてから話すつもりだったんだ。 それに、ミユキと結婚する前に、やっておかなければならないことがあるからな」 「やっておかなければならないこと?」
1992 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 08:02:31 ID:cFFR5zTA0 「ああ、俺は、呪術の世界の一切と、マサさん達と今度こそ手を切る。 恐らく、すんなりとは抜けることは出来ないだろう。 だが、俺は、ミユキ以外の全てを失っても、絶対に抜けてみせる」 「そうか……」 「だから、お前とも……」 「判るよ……皆まで言わなくていい」 「すまない、俺がお前をこんな世界に引き摺り込む原因を作ったのに……」 「Pそれは違う……こういう形だっただけで、こうなることは必然だったんだ。 うまく抜けて、ミユキを幸せにしてやってくれ。 もし、俺がお払い箱になって足を洗うことができたら、その時は就職の斡旋でもしてくれよ」 「ああ、必ずな。待っているよ……必ず来てくれ」
1993 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 08:04:14 ID:cFFR5zTA0 俺は、ユファのことを弁護士をしている大学時代の友人に頼んだ。 彼女は、DVや少年問題をライフワークにしている。 彼女の活躍で、ユファには執行猶予が付き、実刑は受けずに済んだ。 しかし、彼女はもう手遅れの状態だった。 肝臓を完全にやられ、売春や薬物中毒といった経歴から恐れていた感染症にも罹患し、既に症状が出始めていた。 俺は、妹の久子にマミの診察と治療を依頼した。 最悪の事態も含めて、ある程度の予想はしていたが、マミは数種類の病気に感染していた。 だが、不幸中の幸いで、マミの罹っていた病気は、全て治療可能なものだった。 しかし、他方で、慢性化していた病は、マミから受胎能力を奪い去っていた。 そして、肉体よりも精神的なダメージの方がより深刻だった。 自殺願望が強く、拒食の傾向が顕著に出ていたのだ。
1994 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 08:06:01 ID:cFFR5zTA0 俺は、療養中のユファに面会に行った。 精神医療のことは全く判らないので、医師の指示に従うしかなかったのだが、マミはユファには会わせない方が良いらしい。 死相の浮かんだユファは、痩せこけて老婆のようだった。 俺は、カサカサで骨張った小さな手を握った。 俺が手を握ると、ユファが目を覚ました。 暫く無言の状態が続いたが、俺は特に答えを聞くつもりもなく言った。 「俺たち、なんでこんな風になっちまたのかな……」 ユファが俺を見つめながら言った。 「あなたの妹さん……久子ちゃんって言ったかしら? あの子に言われたのよ……お兄ちゃんは、ずっと無理をしているって。 私と付き合うようになってから、あなたが全然笑わなくなったって…… お兄ちゃんのことが好きじゃないなら、もう解放してあげて下さいってね。 泣きながらよ?……ブラコンよね、重症の」 「ブラコンについては、お前は人のことは言えないだろ?」 「そうかもね。でもね、妹さんに言われて、納得したわ。 私、付き合っている間、あなたの笑顔を見たことなかったもの。 子供の頃、お兄ちゃんやミユキたちと遊んでいた頃は、あなたはよく笑っていたのにね。 私、あなたの笑顔が大好きだったの」
1995 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 08:08:44 ID:cFFR5zTA0 「無理をしていると言えばそうだったかもな。 臭い言い方をすれば、お前は俺にとっては眩しすぎたから。 周りの連中にも言われていたけれど、俺は、お前とは釣り合っていないってね。 妙なコンプレックスを感じていたのは確かだよ。 結局、俺はお前と向き合うことから逃げていたんだよな」 「馬鹿ね。私から、あなたに告白したのよ……周りから何を言われても関係ないじゃない? 何も気にしないで、私だけ見てくれていたら良かったのにね」 「そうだな」 「あのクリスマスの夜……なんで、途中で止めて、何もしないで帰っちゃったの?すごく、悲しかった」 「お前に拒絶されたと思って……判っているよ、俺がヘタレだったんだよ。 妙なコンプレックスを持っていて、萎縮してしまったんだ」 「私たち、付き合うのが少し早すぎたのかもね……もう少し、大人になってから付き合えば、幸せになれたかも。 少なくとも、マミをあんな風にはさせなかった……あの子を愛してあげられたかも知れないのにね」 「……」 「あの子が、あなたの子だったら……」
1996 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 08:10:57 ID:cFFR5zTA0 「苦労することが分かっていても、お前はあの子を産んだ……堕ろすって選択肢だってあったのにな。 それに、あの子を産んだあとだって、捨てると言う選択肢があったはずだ。 でも、お前はそうしなかった。……それは、心の底では、お前があの子を愛してるってことじゃないか? そうでなければ、俺は今日、お前に会いに来ることはなかったよ」 「でもね、あの子を見ていると、お兄ちゃんやミユキ、それにあなたを裏切った自分の愚かさを突き付けられるのよ。 自業自得なのは分かっているの。それなのに……何の罪もないあの子を傷つけてしまうのよ。 わたし、あの子の笑ったところを一度も見たことがない……」 ユファは泣き始めた。そして、言った。 「こんなことを頼めた義理ではないのは判っている。 でも、私にはあの子の事を見届ける時間はないと思うから……あの子のことをお願いします」 その後、色々とあったが、俺と妹が両親に頼み込み、弁護士の友人や、その他多くの人々の働きがあって、マミは俺の実家に身を寄せることになった。
1997 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/19(水) 08:14:02 ID:cFFR5zTA0 夕食のあと、俺は父の書斎に行った。 そこで、両親に切り出された。 「マミちゃんの事なんだが……素子と久子の了解はとってある。 後は、お前の了解を得るだけなんだ」 「……なんだよ」 「あの子の事情は、全て知っている。 その上での事なんだが、お前さえよければ、あの子を養女に迎えたいんだ。 私と母さんが生きている間にあの子を嫁にでも出してあげられれば良いのだけど、父さんも母さんも、もう年だからな」 「いい話じゃないか。俺に異存はないよ。ありがとう」 「そうか!あの子の前で揉めるのは避けたかったんだ。それじゃ、あの子に話してみるよ」 思いがけない形で、俺の心残りだった懸案は片付いたようだ。 思い残すことは、もうない。 これまでのマミの人生はあまりに辛く、酷いものだった。 すぐには無理かもしれないが、人並みに学び、人並みに遊んで、人並みに恋をして、泣いて、そして笑って欲しいのだ。 マミが幸せで、いつも笑顔でいてくれるなら、俺のこれまでにあったこと全てに意味が見出せるだろう。 例え、明日『定められた日』が来ても、俺は満足できるに違いない。 おわり
1998 :名無しさん :2012/12/19(水) 08:25:49 ID:sAY4FaHQ0 お疲れ様
1999 :名無しさん :2012/12/20(木) 12:30:28 ID:SyfQAq4cO >>1929-1997 またまたおかえり〜 久々に泣いた。 枯れないもんだな。
2000 :名無しさん :2012/12/20(木) 15:05:59 ID:6MYrvOlA0 2000ゲッツ
2001 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 00:41:32 ID:R.dJPpYI0 先日、件の知人から手紙が届きました。 中身は手書きの新作原稿、題名は『忘却の彼方』です。 「取っておき」と知人は書いてくれました。 どうも、この掲示板の雰囲気を気に入ってくれたようです。 お楽しみ頂ければ良いのですが。
2002 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 00:42:31 ID:R.dJPpYI0 昼食を食べ終わり、翠のミルクの時間が終わると、Sさんと翠の昼寝の時間だ。 昼寝の時間は大体1時頃〜3時過ぎまで。俺はその時間、お屋敷のまわりの山道を マウンテンバイクで探索するのを日課にしていた。 お屋敷から街へ繋がるT字路を、街とは反対側に曲がって暫く走ると山道になる。 山道はさらに幾つもの細い道に繋がっていて、マウンテンバイクで探索するのはとても楽しい。 この山はSさんが親戚からお屋敷と共に相続したもので、 つまりSさんはこの辺りの広大な土地の地主だ。 だから俺は入り口に車止めが置かれているような道にも気兼ねなく出入りできた。 「特に障りのある場所も無いし、探索するのは全然問題ないわ。でも安全第一でね。 熊はいないけど、蝮はいると思う、雀蜂も。それに古い道路が崩れている場所が 幾つかあるみたいだから、十分気を付けてよね、『お父さん』。」 「了解です。いつも携帯持参だし、雨の日は中止ですから。」 相変わらず姫は翠に夢中なので、サイクリングには興味を無くしていた。 休日は姫が翠を姫の部屋に連れて行って2人で昼寝する事も多い。 だから休日は夕食の支度をSさんに任せて、日暮れ前まで山道を探索する事も出来た。 1人なので、姫と一緒では走れないような未舗装路もどんどん入っていける。 道路に飛び出してきたキツネと鉢合わせしたり、見た事のない綺麗な花が咲いていたり。 山道の探索はとても楽しかった。
2003 :忘却の彼方(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 00:45:36 ID:R.dJPpYI0 5月下旬の土曜日、俺はこれまで入っていなかった未舗装路を探索していた。 暫く走ると道はさらに細く、路面の凹凸はさらに大きくなる。 『安全第一』、『お父さん』、Sさんの言葉を思い出して、 そろそろ引き返そうかとマウンテンバイクをUターンさせた時 『この音?』、道端の茂みの向こうから微かな水音が聞こえる。 道端にマウンテンバイクを止め、茂みをかき分けた。やっぱり川だ。 茂みを抜けると開けた斜面になっていて、斜面を降りたところに綺麗な川が流れている。 聞こえていたのは、滝というには小さな段差を流れ下る水の音だった。 『ここ、天然のヤマメやイワナが釣れるんじゃ?』 Sさんの私有地で、他人がどんどん入ってくる場所では無い。 川幅は狭く流れはやや早いが所々に淵もあり、フライ(毛針)を流しても面白そうだ。 釣り荒れしていない筈だから充分チャンスはある。 翌日、天気が良ければ久し振りにフライフィッシングをしようと決めた。 「今日、山道を少し入った所で川を見つけましたよ。」 「川?ああ、確か今でも小さな川が今も幾つか有ったはず。」 夕食後のひととき、リビングでSさんと俺はホットコーヒー、姫はホットミルクティー、 翠はソファの上で寝息を立てていた。 「それで明日、晴れていたら道具を持って」 「あ、L、待って。もう、あなた今日は翠の昼寝も一緒だったでしょ。」 早々にミルクティーを飲み終え、ティーカップを片づけた姫が 素早く翠を抱いてリビングから出て行くのをSさんが追いかけて行ってしまった。 話はそこで打ち切り、仕方がない。今夜、Sさんと翠は姫の部屋で寝る事になりそうだ。 姫のベッドは3人で満員なので俺は自分の部屋で寝る事になる。 いつもなら結構寂しいが、今夜は少し違う。明日に備えてフライを巻く。 姫の部屋からSさんと姫が代わる代わる翠をあやしているのが聞こえている。 俺は食器を洗って片づけた後、倉庫の荷物から釣り具箱を引っ張り出した。
2004 :忘却の彼方(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 00:46:55 ID:R.dJPpYI0 釣り具箱の中から釣り針と獣毛、そして鳥の羽と毛糸を取りだした。 ペンチで固定した釣り針に材料を巻き付け、細い糸で縛って固定する。 余分な部分をハサミで切り落とし、形を整えて完成。 小さめのカゲロウに似せたニンフと川虫に似せたピューパを用意すれば良いだろう。 それぞれ3本ずつ、6本を巻き上げてベッドに入った。 フライフィッシングは高校生の時父と一緒に行って以来、4年ぶりだ。 気分が高揚して、なかなか寝付けなかった。 翌日、3人が昼寝のためにSさんの部屋に入ったのを確認してから出発した。 フライは尻ポケットのフライケースの中、クーラーボックス替わりに保冷剤を入れた 発泡スチロールの箱を荷台に載せる。竿はケースに入れて背負った。準備万端。 昨日の道を辿り、水音の聞こえる場所に着いた。 茂みの中にマウンテンバイクを隠し、茂みを抜けて斜面を下る。 そっと川岸に近づき、川の水に手をつける。冷たい。 指先を濡らした水は、微かに、硯で墨をする時のような良い香りがした。 釣れるぞ、これは。 焼き魚を前にして喜ぶSさんと姫の顔が眼に浮かぶ。自然と気合いが入った。 ロッドを継ぎ、ティペット(先糸)にフライを結んで釣りを始める。最初はニンフを結んだ。 上流側に向けてキャスト、川面を流れるフライの動きに注意してアタリに備える。 ある程度下流に流れたらフライを回収、再び上流側にキャスト。 今度は流すコースを少し変えて川の中の大きな石の傍、淵になった部分を流す。 すぐにヒットしても不思議じゃない雰囲気だったが、何度キャストしてもアタリが無い。 フライをピューパに変えたが反応なし。うーん、渋い。水温が低すぎる? だが、キャストしてフライを流す毎に『川との一体感』みたいな感覚が強くなって とても気分が良い。俺はいつしか無心でキャストに没頭していた
2005 :忘却の彼方(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 00:50:11 ID:R.dJPpYI0 「釣れますか?」 突然、上流側、俺の右側から声を掛けられた。初老の男性が1人、川岸に立っている。 「何か、釣れますか?」 もう一度尋ねてから、男性は穏やかな笑顔で俺に近づいて来る。 「いや〜、全然ダメですね。とても良い川なので、すぐに釣れると思ったんですけど。」 「良い川。...そう、ここは良い川です。ときに、君の、その釣り道具は?」 フライフィッシングをする釣り人を見た事が無いのだろうか。 「ああ、こういう毛針、フライっていうんですけど。これを流して釣るんです。」 俺は尻ポケットからフライケースを取り出して、ケースの中を男性に見せた。 「ほう、変わった毛針ですね。テンカラの毛針と違って、随分繊細でお洒落だ。」 「テンカラの毛針より、もっと虫っぽいですよね。羽と尾があって。 ところで、あなたは地元の方ですか?」 ここはSさんの私有地だから、地元の人であっても不法侵入なんだが。 「はい、この川の上流に小さな集落がありまして。そこで暮らしています。」 集落?この山の中に人が住んでいるなんて、Sさんはそんな事言っていなかったけど。 「昔はテンカラを振る釣り人を時々見かけましたが、最近は全く。 此処で釣り人を見るのはもう30年ぶりです。君が毛針を使っているのを見て 懐かしくなりました。暫く、釣りを見せてもらってもよろしいですか?」 男性は穏やかな笑顔を浮かべていた。怪しい人ではないだろう。 「はい、僕は構いませんが。釣れないので退屈かもしれませんよ。」 男性は俺の近くの石に腰掛けて俺の釣りを眺めていた。 「うん、毛針を投げる所作が美しい。まるで舞を見ているようだ。」
2006 :忘却の彼方(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 00:51:21 ID:R.dJPpYI0 フライフィッシングではフライラインを前後に振りながら次第にラインを繰り出していき 充分な長さのラインが出た時点でキャストする。 極端に軽い毛針を遠くに投げるための、先人の知恵だ。 男性が『美しい』と言ったのは、そのキャストの事だろう。 テンカラには無い、フライフィッシング独特のキャストの動作。 そのキャストを俺は父親に習った。父親を誉められたような気がして何だか嬉しい。 「そうですか。ありがとうございます。これは父から習ったんです。」 男性は暫く黙り、やがて言った。「良い父君を持って、君は幸せですね。」 そして男性は俺の釣りを見ながら、ポツリポツリと昔の川の事を話してくれた。 ここの少し下流にある大きな淵に『主』と呼ばれる三尺余りの大岩魚が住んでいたこと。 川虫を沢山集めて作った佃煮を肴に飲む、村の地酒の旨かったこと。 村の地酒を仕込む時にはこの川の上流から引いた水を使っていたこと。 やはりこの河の水を引いた田で稲の苗を植える早乙女達の美しかったこと。 正月、神に捧げる焼き魚は、この川で釣り上げた山女と決まっていたこと。 俺は時の過ぎるのを忘れて男性の話に聞き入り、釣りを続けた。 どのくらい時間が経ったろう。ふと、Sさんが翠を抱く姿が眼に浮かんだ。 「うーん、家族へのお土産にするつもりだったんですが。川魚。こりゃ難しいかな?」 「君には、既に御家族が?」 驚いたような男性の声が川面に響く。 「...姫君が御一人、細君が御二人。」 「え?」思わず振り向く。 男性は眼を細めて俺を見ていた。 「ご婦人方への良きお土産。釣れますよ。」 「パシャ!」突然水音がしてアタリが伝わる。反射的に合わせをくれる。 「ほう、この所作もまた。」
2007 :忘却の彼方(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 00:52:24 ID:R.dJPpYI0 寄ってきたのは尺近いイワナだった。やはり反射的にポケットから出したナイフを エラに入れてイワナを〆め、血を軽く洗って発泡スチロールの箱に入れる。 「全ての所作が無駄無く研ぎ澄まされて。父の教えは貴きもの哉。」 立て続けにアタリがあり、尺超えのイワナ、そして良型のヤマメ。 そこで俺はキャストを止めた。 「釣りはこれでお終いです。本当に釣れましたね。あなたの言った通りです。」 「時合いはむしろこれから、もう少し続けては?」 「娘はまだ小さくて魚を食べられません。これで十分です。」 『それよりも』と俺は言いかけた。『何故、妻が2人と?』そう聞くつもりだった。 しかし、ヤマメを〆め箱に入れてから顔を上げると、男性は既に歩き出していた。 「久し振りの眼福ぞ。善哉、善哉。」 止める間も無く、驚く程軽い足取りで男性は上流へ向かって歩き去った。
2008 :忘却の彼方(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 00:53:21 ID:R.dJPpYI0 日暮れ前にはお屋敷に帰り着いた。Sさんが夕食の支度をしている時間だ。 釣り具を片付け、発泡スチロールの箱を持ってダイニングに入った。 姫が翠を抱いたまま立ち上がる。 「Rさん...どうして。」 Sさんが振り向いて息を呑む。 「R君、あなた。一体何処へ行ってたの?」 「え、釣りですよ。昨日見つけた川で。」 「今、この辺りに釣りが出来る川なんて無い。30年位前に上流でダムが造られて、 今は申し訳くらいに水が流れているだけ。完全に枯れた川も有る筈よ。」 「え、でも。イワナとヤマメが3尾。」 発泡スチロールの箱を持ち上げると、信じられないほど軽かった コロコロ、カチ、と乾いた音が響く。小さな石ころが転がるような、音。 「え、何で?」 慌てて蓋を取る。 無い。魚が、何処にも無い 箱の底、保冷剤の陰に変わった形の石が見えた、3個。イワナは?ヤマメは? Sさんがその石を一つ、拾い上げて掌に載せた。オタマジャクシが尾を曲げた形。 「勾玉、ね。しかも本物。そこらの呪物なんか足下にも及ばない祭具。」 姫が残りの2個を拾い上げた。3個とも大きさと形は同じだが色が違う。 Sさんが持っているのはガラスのように透き通っている。 姫がテーブルに並べたのは乳白色、そして濃い緑色。 「水晶、白瑪瑙、翡翠。」 そして大きく溜め息を付いた。 「危なかった。R君、あなた、相当だわ。」 「相当って。釣りが下手過ぎて狐か何かに化かされたんですか?」 「違います、逆です。」 「そう、逆。相当気に入られたのね。」
2009 :忘却の彼方(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 00:54:37 ID:R.dJPpYI0 山の中で見つけた綺麗な川で釣りをして、 そこで初老の男性に出会った子細を俺は2人に話した。 フライフイッシングの動作を褒められたこと、 そしてその男性が俺の家族について『細君が2人』と言ったこと、 さらに『ご婦人方へのお土産が釣れる』と言った直後に3尾の魚が釣れたこと。 話を聞き終えてSさんが尋ねた。 「それで、その男の人。どんな顔だった?どんな服を着てた?」 そう言われて気が付いた。男性の顔を全く思い出せない。あんなに話したのに。 確か黒っぽい服、いや、着物だったかも。いや、それじゃあの足の速さは。 「それが、何故か思い出せないんです。さっきまで、憶えていたはずなのに。」
2010 :忘却の彼方(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 00:56:22 ID:R.dJPpYI0 「憶えていない、のではなく、見ていない。」 「そんな、僕は確かに川で釣りをして、あの人に会ったんです。」 「この山の中に村があったのは確かよ。でも100年以上前に廃村になってる。 だから今は誰も住んでいない。今日あなたが会ったのは。」 Sさんは一旦言葉を切って、手の中の勾玉を見つめた。 「今はもう枯れてしまった川の神様。今もまだ其処に留まっておられる。 確かに『ご婦人方へのお土産』と仰ったのね。」 Sさんの口調が変わった。 「じゃ、文字通り。翠にはこれね。」 Sさんは緑色の勾玉を翠の手に握らせた。 「あの、きれいに洗ってからの方が。」 「失礼な事を言うと、罰が当たるわよ。」 勾玉を握った手を振り、翠が笑顔になった。何か小さな声を出している。 「やっぱり、そうだった。L、あなたはどれが欲しい?」 Sさんは手の中の透明な勾玉をテーブルの上に置き、乳白色の勾玉と並べた。 「私はこれです。」姫が手に取ったのは乳白色の勾玉。 「じゃ私にはこれね。」 もう一度、Sさんが透明な勾玉を手に取った。
2011 :忘却の彼方(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 00:57:09 ID:R.dJPpYI0 「本当に神様、だったんですか?」 「R君、自分では見えないでしょうけど。あなた、今、光ってる。」 「え?」 「『光塵(こうじん)』です。神様や高位の精霊に会った時の残り香のようなもので、 小さく銀色に光ります。でもこんなに沢山、初めて見ました。」姫の声が少し緊張している。 「もの凄い数。髪の毛も、服も、体全体が光ってる。とても綺麗よ。」 「まるでクリスマスツリーの電飾みたいです、白いLEDの。 おとうしゃん、ぴかぴかきれいでしゅね〜。」 姫が翠を抱きしめて眼を閉じた。 穏やかな口調とは違い、姫の顔は少し蒼ざめて見える。 「直接お礼を申し上げてお願いしないといけないわね。 次の土曜日に。R君、それまで山の探索は絶対禁止。分かった?」 え?本当に神様に会ったのなら、むしろ幸運、じゃないのか? そういえばSさんは最初に『危なかった』と。 少し、寒気がする。 「あの、どうして山に入ったらダメなんですか?」 軽い目眩、視界が霞む。 「分かってないわね。もし、あなたが『家族の事を話さなかったら』どうなってたと思う?」 突然、全身に鳥肌が立ち、歯の根が合わない程の震えが来た。 Sさんが俺を抱きしめ、小さく何事が呟いた。震えは止まったが寒気が収まらない。 「L、今夜は翠をお願いね。」 「はい、Rさんを宜しくお願いします。」 その晩と翌日、この辺りには激しい雨が降り続いた。
2012 :忘却の彼方(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 01:08:34 ID:R.dJPpYI0 次の土曜日は快晴。俺はSさんと2人で山へ向かった。 Sさんはマウンテンバイクの荷台に横座りしておれのお腹に右手を回している。 2人乗りだ。登り基調の山道だが、それほど辛くない。快調なサイクリングだ。 やがてあの未舗装路の入り口、ここからは2人乗りでは危ない。 入り口の茂みにマウンテンバイクを隠し、あとは徒歩。 Sさんから受け取った紙袋を持ち、2人でひたすら歩く。 やがて見覚えのある茂みをみつけた。俺がマウンテンバイクを隠した跡が残っている。 しかし、水音がしない。黙って茂みを掻き分ける。やっぱり。 川が無い。 もとの川床だったらしい跡が続いているが、僅かに一筋の水の流れが見えるだけだ。 数日前の激しい雨の後でこれなら、先週はおそらく完全に枯れていただろう。 Sさんに手を貸しながら2人で斜面を降りた。 「R君はここで待ってて。」 Sさんは暫く辺りを歩き回り、最初に男性が立っていた場所で立ち止まった。俺を差し招く。 Sさんは俺から紙袋を受け取り、中から小さな三方を取り出した。 白い紙を敷き、勾玉を並べる。水晶、白瑪瑙、翡翠。 Sさんが地面に膝をつく。俺も隣に膝をついた。 深く息を吸ってから、Sさんが眼を閉じて頭を下げた。俺もそれに倣う。 澄んだ声で、Sさんが古い言葉を紡いでいく。何を言ってるかは分からない。 鳥の声と木々の葉のざわめき、その中にSさんの声が浸みていく。 暫くしてSさんが立ち上がった。上流に向かって深く頭を下げる。 俺も慌てて立ち上がり、上流に向かって最敬礼をした。 Sさんが三方と白紙に包んだ勾玉を紙袋の中に戻して俺に差し出す。 「はい、これでもう大丈夫。」
2013 :忘却の彼方(上) ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 01:11:45 ID:R.dJPpYI0 お屋敷へ繋がるT字路まで帰ってきた時、俺はSさんに聞いてみた。 「さっきの言葉、どういう意味だったんですか?」 「勾玉のお礼を申し上げたの。それから。」 「それから?」 「私の大切な、愛する夫を連れて行く事だけは、どうかお許し下さいって。」 俺のお腹に廻したSさんの腕に力がこもった。背中に感じるSさんの体温。 「ねえ、何処にも行っちゃダメよ。絶対に。たとえどんな神様に呼ばれても。」 「はい、分かりました。」胸の奥から温かいものがこみ上げてくる。 お屋敷に到着し、マウンテンバイクを降りたSさんがぽつりと呟いた。 「○瀬△□◎主之尊。」 「え?」 「名前。あの川の神様の。」 「廃村の中に小さなお社を造らなきゃ、約束したから。」 「約束って?」 「それが、あなたを連れて行かない事の交換条件。」 「お帰りなさい。」玄関先に翠を抱いた姫が立っている。 姫から翠を受け取ったSさんは華やかな笑顔になった。 「おとうしゃん、もうだいじょうぶだよ。よかったね。」 姫も優しく微笑んで翠の頭を撫でた。 「おとうしゃんとおかあしゃん、ふたりともぴかぴか、きれいだね〜。」 『忘却の彼方(上)』 了
2014 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/21(金) 01:24:59 ID:R.dJPpYI0 相変わらず、ワープロが遅くて困ります。 残り、(中)・(下)・(結)の4部構成でした。 作業が済み次第、投稿させて頂きます。
2015 :名無しさん :2012/12/21(金) 03:58:35 ID:1TPJbLug0 マサさんの人!二編も投下ありがとう。 奈津子さんが出てきた時、救われる…と思ったのに切なすぎるよ・・・。 藍さん、ペースが遅くても構わないから無理しないでくださいね。 作者の方にもそうお伝えください。 納得のいくものを読ませて頂ければそれだけで ここの読者は(少なくとも私は)何年でも待てますよ。 ゆっくりまったりいきましょう。
2016 :名無しさん :2012/12/21(金) 04:42:05 ID:Y4grlhQ20 嗚呼 薔薇よ 爾 疾めり! 咆哮の嵐のなかを 夜の闇を翔りてゆく 睹えざる蠕虫 爾が緋の歓楽の臥蓐をここに 見出でたり 彼の黒色極秘の愛こそ 爾が命を敲つなれ
2017 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 04:44:35 ID:Y4grlhQ20 俺がイサムを伴って実家に戻ってから2・3週間ほど経った日のことだった。 部屋のドアをノックする音で俺は目覚めた。 安眠を妨害され、眠い目をこすりながら俺はドアを開けた。 「誰よ?」 浅黒い肌をした小柄な女が立っていた。 ラーナ……俺が住んでいたボロアパートの住人の一人、アナンドの彼女だ。 二人は同じ職場に勤務している。 「カラテの兄さん、アナンドが大変なの!」 アナンドの部屋に行くと、彼は脂汗を流しながらガタガタ震えていた。 体温計で熱を計ると38度を超えている。 「どうした?」 前の晩、自転車で出勤中に、突然の雨に降られてずぶ濡れになってしまったらしい。 職場まで自転車で30分ほど。 着替えるのが面倒なので、作業服のまま出てしまったようだ。 ずぶ濡れの格好のまま吹き曝しの現場で一晩作業をしていたそうだ。 「この季節に……アホだな。風邪を引くに決まってるだろ。待ってな、薬があるから」 すぐに医者に連れて行ってやりたいところだが、健康保険に入っていない外国人の辛いところだ。 薬を飲ませ、お粥を作って喰わせて、「とりあえず寝ろ」と言ってから、俺ももうひと寝入りすることにした。
2018 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 04:46:05 ID:Y4grlhQ20 何時間寝たのだろうか? 俺は微妙な振動と、誰かの激しい息遣いで目が覚めた。……またか、あいつら。 俺は壁に蹴りを入れて怒鳴った。 「病人が、昼間から盛ってんじゃねえ!」 ボロアパートの壁は薄く、隣の音や声は筒抜けの丸聞こえだ。 時計を見ると、昼の13時を過ぎたくらいか。 30分ほどして、ラーナがノックもせずにいきなり部屋のドアを開けた。 「なんだよ!」 「何をアワテテルの?ソロ活動中だった?」 「するか、アホ!」 「暇なら買い物に付き合って。ゴハンご馳走するよ!」 俺はラーナの買い物に付き合った。 いったい何日分買ったのか判らないが、ダンボールに纏めた食材を俺がアパートまで持って歩いた。 病み上がりのアナンドに食わせるのはどうかとも思ったが、ラーナが作ったマトンのカレー風味の炒め物は、若干香辛料がきつく癖があったが旨かった。 やがて日が落ち、夜になると、昨晩よりも激しく冷たい雨が降り始めた。
2019 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 04:47:23 ID:Y4grlhQ20 23時前くらいだったか、雨が少し弱まったのを見計らって「もう帰るよ」と言って、ラーナがアナンドの部屋を出て行った。 「俺たちも、そろそろ寝ようや」と言って、ビールやチューハイの空き缶を水洗いしてビニール袋に詰めていると、帰ったはずのラーナが慌てて戻ってきた。 「外に誰かいるよ!凄い目で睨まれた。怖いよ!」 こんな土砂降りの深夜に……変質者か何かか? あまり柄の良い地域じゃないからな…… 俺は、表からアパートの2階を睨み付けていると言う『男』を追い払い、徒歩で10分ほどの場所にあるラーナと彼女の女友達の部屋までラーナを送って行くことにした。 ラーナが言ったように、角の電柱のところに誰かが傘もささずに立っている。 「あれか?」 「うん!」 ラーナの慌てた様子に勝手に『男』決め付けていたが、どうも様子が違う。 女? 電柱の所まで近づいてみて、俺は驚いた。 「え?マミ?何で?」 血の気の失せた白い肌に濡れた髪が張り付き、唇は紫色だ。 冷え切った体が震えている。
2020 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 04:49:13 ID:Y4grlhQ20 俺はマミを部屋に上げた。 何時間立っていたのか知らないが、全身ずぶ濡れで、靴の中まで水浸しだった。 直ぐに熱い風呂に入れてやりたいところだが、アパートは風呂なしだ。 15分ほどの場所にある銭湯も、もう閉まってしまっているだろう。 デイバックに入れてきた着替えも全滅だった。 仕方がないので、俺の下着とTシャツ、ジャージを着させた。 マミが着替えている間、俺はマナーモードのまま部屋に置きっ放しになっていた携帯をチェックした。 実家の母から10数件の着信が入っていた。 電話すると1コール鳴るか鳴らないかのタイミングで母が出た。 「俺だけど?」 「何度も電話したのよ。何していたの?」 「ごめん」 「そんなことより、大変なの。マミちゃんが昨日から帰ってこないのよ!」 「ああ……マミなら、俺のところにいるよ。 雨の中、ずぶ濡れでずっと立ってたみたいで……何があった?」 母の話では、俺とイサムが帰ったあと、俺の両親は早速マミに『養女』の話をしたらしい。 マミは「返事は少し待って欲しい」と答えたようだ。 両親も「返事は急がなくていいから、ゆっくり考えて欲しい」と言ったそうだ。 それからマミは、口には出さないが相当悩んでいたようだ。 そして、前日の晩、学校から帰ってくる時刻になってもマミは帰宅しなかった。 夜通し眠らずに帰宅を待った父と母は、朝から心当たりに片っ端から連絡を入れてマミを探していたらしい。
2021 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 04:50:48 ID:Y4grlhQ20 朝晩は結構冷え込む季節にはなっていたが暖房器具はまだ出していなかった。 出しても燃料がない。 「温まるよ」と言って、ラーナがスパイスの効いたネパール風のミルクティーを持ってきた。 「何か、食べられそうか?」と聞いてみたが、マミは小刻みに震えながら首を横に振った。 床を用意して「とりあえず寝ちまいな」と言って布団に入れたが、身体の冷え切ったマミは震えたまま寝付けない様子だった。 「かわいそうに、完全に凍えちゃってるよ。人肌で温めてあげないと、ダメだよ」とラーナが言った。 「人肌って……俺が?」 「他にいないでしょう?」 ラーナの指示に従って、マミをTシャツとトランクス一枚の姿にして、同じような格好になった俺はマミと布団に潜り込んだ。 「嫌かもしれないけど、我慢してくれ」そう言うと、マミは俺の背中に手を回し抱きついてきた。 氷のように身体の芯まで冷え切った感じのマミだったが、腕枕しながら背中を摩っていると、徐々に体が温まり、やがて静かに寝息を立て始めた。 まだ薄暗い時間だったが、知らない間に寝ていた俺は、マミに腕枕していた左腕の痺れで目が覚めた。 腕の感覚がない。 目を開けるとマミの顔があった。 既に目覚めていたようだ。 「ごめん、起こしちゃったか?」と言うと、マミは掌で顔を隠した。 薄暗がりでも耳まで赤くなっているのが判った。 腕を抜いて身体を起こそうとすると、マミは俺の体に腕を回し抱きついてきた。 前々から思ってはいたのだが、俺は改めて思った。 『この娘、かわいいな』 そのまま背中を軽く叩いていると、マミは再び寝息を立て始めた。
2022 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 04:52:21 ID:Y4grlhQ20 やがて、日が完全に昇り、外は明るくなった。 朝食は作るのが面倒なので、前の晩の残り物や、出勤途中に牛丼屋などに寄って定食を喰うことが多いのだが、その日はマミ用に卵粥を作ってみた。 白粥は味がなくて嫌いなので、粉末の鶏がらスープを使って粥を作る。 別の鍋で出汁と薄口醤油を煮立たせてから水溶き片栗粉を投入。 刻んだネギを混ぜた溶き卵と合わせて、粥の上にぶっかける。 目覚めたマミは、食欲は出たようで取り敢えず安心した。 着替えは前の晩にラーナが近所のコインランドリーで洗濯してくれていて、既に乾いていた。 「俺は、これから出勤しなければならないんだ。 昼は適当にやってくれ。あるものは好きなようにしていいし、金も置いていくから外に行ってもいいよ。 話は帰ってきてから聞くから」 仕事から戻ると、部屋がきれいに片付けられ卓袱台の上に夕食が用意されていた。 帰って来た部屋に明かりが点いていて、誰かが待っているというのは良い。 「全部マミが?」 「うん」 実家の母の直伝なのだろう。 味付けが全て俺の好みにピッタリだった。 「……どうでした?」 「美味かったよ。マミは、明日にでも良い嫁さんになれるな。 旦那になる奴が羨ましいね」 「ほんとうですか?」 「ああ、本当だ」 マミが笑った。いい笑顔だった。 この笑顔だけで100万の価値はある。
2023 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 04:53:39 ID:Y4grlhQ20 この雰囲気は壊したくなかったが、俺は敢えて聞いた。 「……家出…だよな。何で黙って家を出てきたりしたんだ? 父さんも母さんも、凄く心配していたぞ? 原因は『養女』の話なんだろうけど……マミは家の娘になるのは嫌か? まあ、今更『養女』何て形に拘らなくても、父さんや母さんにとっては、もうマミは娘みたいなものだし。 姉さんや久子にとっても可愛い妹だよ?」 「おじさんやおばさんには優しくしてもらって、感謝してもし切れないくらいです。 その上、本当の娘にならないかって言ってもらって、凄く嬉しかったです。 素子さんや久子さんが、お姉さんになってくれるというのも嬉しいです」 「それじゃ何で?」 「私が養女になるってことは、XXさんは私のお兄さんになるってことですよね?」 「そういう事になるな。 まあ、複雑だよな……正直なところ、俺も引っかからないと言えば嘘になるからな」 「多分、XXさんの言ってる意味と私の言ってる意味はズレてると思う……」 「そうか?」 「私、おじさんやおばさんの事は大好きだし、素子さんと久子さんも大好きだから、いい娘や妹になれる自信はあるの。 でも、XXさんの妹にはなれない。多分、ものすごく嫌な女になって、みんなに嫌われる」 「なんで?」
2024 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 04:55:21 ID:Y4grlhQ20 「XXさんに彼女や奥さんが出来たら、私、絶対に嫉妬して意地悪する。 子供が出来たら、その子のことを憎んでしまう。二重の意味で……多分、絶対に。だから、XXさんの妹になるのは無理」 「やっぱり、そっちか……」 「えっ?」 「俺だって、そこまで馬鹿でもなければ、鈍くもないからな。ここに来た時点で判るよ。 ……ところでお前、ここが良く判ったな」 「久子さんが教えてくれました。お金も貸してくれて……」 「あの馬鹿!」 「久子さんが言ってました。……XXさんは、亡くなった恋人さんのことを今でも引きずってるから、難しいって。 でも、私なら……生きている私なら、ずっと一緒にいてあげられるから、気持ちを正直に話してぶつかってみろって…… ……私じゃダメですか?」 「それは、結婚でもして、一生お前と一緒に居るってことか? ……正直なところ無理だな。俺は嫌だもの」 不味い言い方をしてしまった自覚はあった。 だが、俺の中で一木燿子の言葉がわだかまっていた。 俺が人を愛することを俺たちの一族が対峙している『神』は許さない。 俺の愛した者は俺から引き離され、抵抗して側に居ようとする者は命を奪われる……。 俺が愛した女達、ユファは引き離され苦界を彷徨い、アリサは命を奪われた。 ……そう、……俺は、マミを失うことを恐れていた。
2025 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 04:58:10 ID:Y4grlhQ20 俺の言葉に想像以上のショックを受けたらしく、マミは泣き始めた。 「酷い。XXさん……胸が痛いって言葉知ってますか?本当に痛いんですよ……。 XXさんは、私のこと嫌いだったんですか?」 激しく泣き始めたマミが少し落ち着いてから俺は言った。 「好きか嫌いかで言うなら、俺はマミのことは大好きだよ。 マミには、ほかの誰よりも幸せになって欲しいと思っているんだ。 だから、周りの全てがお前の敵になっても、俺だけはマミの味方をしてやるよ。 でもな、俺の『好き』は半分位が父親目線なんだ……。 お前が男を連れてきて、父さんたちが反対しても、お前が好きな相手だったら全力で応援するよ。 例えば、イサムとかだったらな。 でもさ、アラフォーのオヤジとか、……俺みたいなのを連れてきたら、絶対に、全力で止めるもの。 相手の男も、二度とお前に近づかないように半殺し以上にはすると思うし」 「……半分ってことは?」 「女としてのお前のことも好きだよ。マミは優しいし、物凄く可愛いからな。 少なくとも、俺にとってお前くらいに良い女はいないよ。 そうやって、泣いてる顔も可愛いけど、お前の笑顔は効くんだよ……ノックアウトだ。 だから俺は、お前の笑顔が見れただけで幸せだ。 それだけで、俺たちの家にお前を迎えられて、本当に良かったと思っているんだ」
2026 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 05:01:06 ID:Y4grlhQ20 「それなら……私が笑えるようになったのはXXさんが居たからじゃないですか」 「そうか?でも、俺はもう、好きな女を喪ったら、二度と耐えられそうにない。 だから逆に、好きな女に、マミにこんな思いはさせられない。 俺は、確実にお前より20年は先に逝ってしまうからな……20年もお前を独りには出来ないよ。 俺が死んだあと、お前が他の誰かのものになるのも嫌だからな。お前より先に死んだら成仏できそうにない。 だったら、父親目線で、お前の幸せを見せてもらった方が余程いい」 「そんな言い方はずるいです。私のXXさんを好きな気持ちはどうなるんですか?」 「マミはさ、『刷り込み』って言葉を知ってるか?」 「?」 「孵化したばかりの鳥の雛が、初めて目にした動くものを親と認識してしまう、一種の本能だ。 お前の気持ちは嬉しいけど、お前のその気持ちは『刷り込み』かも知れないぞ? お前は三瀬や迫田みたいなクズのような男達に痛めつけられて、大人の男の醜い所ばかりを見せつけられてきたからな。 初めて男に優しくされて勘違いしているのかもしれないぞ? 死の淵から自分自身を救い出そうとする生存本能に騙されてな。 俺も、連中と中身は大して変わらないのだけどな」 「そんな言い方は酷いです。それに、XXさんは、あんな奴らとは絶対に違います!」 「ありがとうよ。 でもな、お前の倍生きてきた経験から言うと、若い時の気持ちを余り真に受けない方がいい。 今のお前の気持ちが嘘だと言っているんじゃないぞ? でもな、色々な出会いや経験を重ねて行く内に変わって行くものなんだ。 マミは、同じ年頃の女の子が普通に経験すべきことをまだ余り経験していないからな。 人並みに学んで、人並みに遊んで、人並みに恋をして、泣いたり笑ったりして欲しいんだ。 まだ、学校にだって通い始めたばかりだろ? ……そうだな、お前がちゃんと高校を卒業して、その時、まだ俺のことを好きでいてくれたら、先のことを真剣に考えさせてもらうよ。 それまでに好きな男ができたら、俺に遠慮なんてしないで、そいつと幸せになれ。 どんな結果になっても俺はお前の味方だし、祝福するよ」
2027 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 05:04:14 ID:Y4grlhQ20 「私の気持ちは変わりません。絶対に……今の話、約束ですからね!」 「ああ、俺の方の話は約束だと思ってくれていい。他に女を作る気も当てもないしな。 でも、お前の方は、約束だなんて思わなくていい。 好きな男が出来たら、俺の事なんて忘れてしまえ。 どんな結果になっても、お前は俺たちの家族だからな。遠慮なんてする必要はない」 ……何を口走っているんだ、俺は! 俺は自分自身に驚いていた。 そして、一木燿子に『夢はないか?』と問われて答えた『俺の望み』を思い出していた。 いつからなのかは判らない。 俺はマミと、燿子に語って聞かせた『夢の生活』を送ることを望んでいる。 アリサを喪ってから俺を捉え続けていた喪失感が、何がどうなろうと構わないといった、投げ遣りな感情が消えているのに気がついた。 アリサへの思いが嘘だったと言う訳ではない。 ついさっき、マミに語ったように、俺自身が変わったのだ。 それが、チェンフィの『治療』の効果なのか、マミとの出会いがもたらしたものなのかは判らない。 だが、俺は強く思っていた。 『生き続けたい』と。
2028 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 05:06:46 ID:Y4grlhQ20 マミは、なかなか帰りたがらなかった。 正直な気持ちを言うなら、マミが傍にいるママゴト生活は、俺にとって心地良いものだった。 だが、実家の両親も心配しているし、学校をいつまでも休ませる訳にも行かない。 渋るマミに俺は言った。 「学校もあるのだし、明日、お前は家に帰れ」 「……嫌です」 「言っておくが、お前が留年したり、学校を卒業できなかったら、あの話は無効だからな!」 そう言うと、マミはやっと実家に戻ることを了承した。 マミの希望で、俺はマミをバイクで実家まで送ることになった。 マミの荷物はラーナが大量に持たせた『お土産』と共に宅急便で実家に送った。 少しダブついたがパッド入りの革ジャンを着せ、予備のヘルメットを被らせた。 ショウエイのMサイズはマミには若干大きいか? オリジナルのペイントが施されたこのメットは、アリサから最後に貰ったプレゼントだ。 「この匂い……」 「あ、ゴメン、臭かった?」 「いいえ。ただ、これがXXさんの匂いなんだなって思って……嬉しくって」 ……やっぱり、実家に連れて帰るの止めようかな……とも、思ったが、タンデム中の注意をして、俺たちは実家へ向けて出発した。
2029 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 05:08:26 ID:Y4grlhQ20 実家に着くと、エンジン音を聞きつけたのだろう、両親がすぐに出てきた。 タンデムシートから降りると、メットを外す間も与えずに母がマミを抱きしめた。 「お帰り、マミちゃん!もう、この娘は心配させて……XXに、変なことされなかった?」 メットを外したマミが俺を見る。 父と母の視線も俺の方に…… 「なんだよ、俺は何もしていないって!」 「おじさん、おばさん、心配をかけてごめんなさい……。 あの……養女にならないかというお話……有難くって、すごく嬉しかったけれど……お受けすることはできません。 わがままを言って、ごめんなさい」 「そのことは、もう、いいんだよ。 私たちの方こそ、気づいてあげられなくてごめんな。久子から、話は全て聞いたよ」 「私、ここにいても良いのですか?」 「当たり前じゃないか。どんな形であれ、マミちゃんは家族の一員だよ」
2030 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 05:09:47 ID:Y4grlhQ20 夕食が済んだあと、俺は父の部屋に呼ばれた。 「たまには付き合えよ」 グラスに父が医者に止められるまで好んで飲んでいたマッカランが注がれた。 「いいのかよ?」 「いいだろ、今日くらい」 「氷は?」 「相変わらず、酒の飲み方を知らないな。そのままで飲むんだよ」 「お前とマミちゃんのこと、驚いたよ」 「ああ、自分でも驚いているよ。孫は抱かせてやれそうにないんだけどね」 「そんなことは気にしなくていい。 お前たちが生まれて、父さんも母さんも幸せだった。 でも多分、お前たちが生まれなくても、父さんと母さんは幸せだったと思うよ。 お前は、マミちゃんと幸せになれば、それで良い。 ありのままのあの子を愛してやればいいんだ。その酒みたいにな」 「俺は……いい息子じゃなかったけど、これで親孝行の真似事位は出来たのかな?」
2031 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 05:12:27 ID:Y4grlhQ20 「いや、お前は十分に親孝行をしているよ。 素子も、とても小さな赤ん坊だったが、あの子は元気で生命力に溢れた子だった。 でも、お前は今にも死にそうで、母さんにはとても言えなかったが、まともに育つようには思えなかった。 親として、幼い我が子を看取ることほど辛いことはない。 お前は生き続けて、ちゃんと育ってくれた。それで十分だよ」 父の言葉は、俺の胸に刺さった。 俺は、グラスの酒を飲み干した。 そして、これまでの事全てと、一木貴章と燿子に聞いた話を父に話した。 「全て知っていたよ」 「え?」 「自分の親をあまり侮るものではないよ」 「侮ったことなど一度もない。これまでも、これからも!」 「そうか。それならば良い。 私が日本に帰ってきてから……帰ってきたというのは正確ではないな。 この国に来て、田舎を出るまでにあったことをお前たちに話さないのは、お前たちに私の『怨念』を引き継がせたくはないからだ。 だから、爺さんの葬式の時に、田舎と縁を切ったのだ。 ……確かに、これは宿命ってやつなのかも知れないな。 でもな、俺はお前が『宿命』とやらを口実に諦めたり、投げ出したりすることは許さない。 お前にはマミちゃんが居るのだから。 足掻けよ。とことん、……最期の瞬間までな。 もしもの時は家族が、俺や母さん、素子や久子がマミちゃんを支えるから」
2032 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 05:14:51 ID:Y4grlhQ20 「役に立つか判らないけれど、これを持って行け」 父は棚の引き戸から何かを取り出した。 黄色く変色した新聞紙を剥がすと一枚の絵が出てきた。 白い大蛇をその身に纏付かせた女神?が描かれていた。 ただの絵ではない。 見ているだけで、足元からゾワゾワと何かが登ってきて、血の気が失せ頭がクラクラする。 全身の血液ごと魂を引き込まれる……そんな感じだ。 何なのだ、この絵は? 「感じるか?」 「ああ……。何なんなの、この絵は?」 「坂下家の娘……佐和子ちゃんのこと覚えているな?」 「……覚えているよ」 「あの子が描いたものだ」 「……いいのかよ、持って行ってしまって」 「いいんだよ。その絵は、あの子がお前にって遺したものなのだから」
2033 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 05:17:14 ID:Y4grlhQ20 「その絵の女はな、お前が生まれる前の晩、母さんの夢枕に立った女神……或いは悪魔なのかもしれないが……それにソックリらしい。 お前に、ということで預かったのだが、あまりの禍々しさに今日までお前に見せることはできなかった。 今、お前にしてやれることは他に思いつかないが……マミちゃんのことは任せておけ。 お前は全てにケリを付けて、生き残って、マミちゃんとの約束を果たすことだけを考えろ」 「判った」 部屋を出るときに父が言った。 「マミちゃんの花嫁姿、綺麗だろうな」 「ああ。俺だって、あいつにウェディングドレスを着せてやりたい」 「お前が愛想を尽かされて、振られたら全てパァだけどなw」 「そういうことを言うか!」 「それが嫌なら、マメにマミちゃんに会いに帰ってこい。 あの娘と、俺たちの時間の感覚は違うんだ。 寂しがり屋のあの子を放っておいたら、誰かに横から攫われてしまうぞ? そこまでは俺も責任はもてないからな!判ったか、バカ息子!」 「判っているよ、クソ親父!」
2034 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 05:19:45 ID:Y4grlhQ20 俺は、絵を持って一木燿子を訪ねた。 「あなた、僅かな時間だったけど、随分と雰囲気が変わったわね?」 「そうかな?……ただ、どうしても死にたくない、死ねない理由が出来たものでね。 悪あがきして『定められた日』とやらを回避したくなったんだ」 「あなたの『夢』は叶いそう?」 「ああ、叶えたい……絶対にな! それで、……これを見て欲しいんだ」 俺は、燿子に問題の『絵』を見せた。 「凄いわね……」 「判るのか?」 「ええ、なんとなくだけどね。 これ程のものだと……描いた人は、亡くなっているでしょうね。 全身全霊をこの絵に注ぎ込んで。……この絵は、そういった類のものよ」 「坂下家の最後の『娘』が俺に遺した物らしいです。 何故俺になのかは判らないのだけど。 ただ、父が言っていました。 この絵の女は、俺が生まれる前の晩、母の夢枕に立った『女』にソックリらしいです。 女神なのか、悪魔なのかは判りませんが」
2035 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 05:22:19 ID:Y4grlhQ20 「私には、判断は下せない……この手の呪物の専門家に依頼してみましょう」 「専門家?」 「榊さんの奥さんよ」 絵は、榊家に持ち込まれ、榊婦人による霊視が行われた。 一木燿子も貴章氏も驚いていたが、榊婦人の霊視は佐和子の『絵』には通用しなかった。 しかし、意外な人物から『絵』に描かれて居た女の正体がもたらされた。 奈津子だった。 『絵』に描かれている女は、いつも俺を見ているらしい。 女が身に纏わせている『赤い眼をした白い蛇』は、俺に纏い付いている『青い眼をした白い蛇』と番だということだ。 青い眼をした白い蛇? 白い蛇を纏付かせた女が、恐らく、俺の一族と対峙している『神木の主』、先祖の住んでいたという村で信仰されていた『神』であることは俺も予想していた。 一木燿子の見立ても、霊視が利かず確証はなかったが、同じだった。 だが、奈津子の見立ては予想を裏切った。 『絵』の女は、『人柱』に捧げられた女だという事だ。 そして、奈津子によると、俺に纏付いている『青い眼をした白い蛇』はかなり弱っているらしい。 訳が判らなかった。 そして、一木貴章が言った。 「こんなことは初めてだが、先に君に話した『見立て』に確信が持てなくなった。 我々は、重大な何かを見落としているような気がする……君の『魂の二重性』を含めてね。 姉、燿子の見通した『定められた日』になれば判るのかもしれないが……それでは間に合わない。 もう一度、洗い直してみる。 絵は我々で預からしてもらおう。良いね?」
2036 :病める薔薇、白い蛇 ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 05:24:17 ID:Y4grlhQ20 一木姉弟、そして、榊夫妻が俺のために動いてくれることになった。 だが、それは俺が抜けたくて堪らなかった呪術の世界に留まり続けなければならないことを意味していた。 マミの為に、一刻も早く全てにケリを付けるつもりだったが、それは出来なくなった。 俺は、立ち去りたくて堪らなかった呪術の世界に留まり続けた。 その間、マサさんが姿を消し、長年住んでいたボロアパートが燃えた。 そして、マミとの約束の日が近づいてきた。 結局、事態は何の進展も見せずに、時間だけが空費された。 一木燿子の見立てによる『定めらた日』は近い。 俺は、『定めらた日』を回避することを諦めた。 ……残された僅かな時間を無駄にはしたくない。 一秒でも長く、俺はマミと一緒に過ごしたかった。 俺は、キムさんに辞表を提出して実家に戻った。 こんなことが通用する世界ではないのは百も承知だ。 だが、俺にはマミと、そして家族と過ごす残された1分、1秒の時間が重要なのだ。 おわり
2037 : ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:14:10 ID:Y4grlhQ20 連投します。 急いで書き上げたものなので、誤字脱字、読み難さはご容赦を。
2038 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:16:07 ID:Y4grlhQ20 俺は、キムさんに辞表を提出して実家に戻った。 はいそうですかと、簡単に辞めさせてもらえる業界ではない。 だが、俺に残された時間は少ない。 俺のために動いてくれている一木氏や榊夫妻とも、シンさんやキムさんとも、二度と会うつもりはなかった。 向こうが何と言おうとも、俺は呪術の世界とは二度と関わりは持たない。そう誓ったのだ。 『定められた日』とやらが近づいた為か、或いは裏切り者の俺に『呪詛』でも仕掛けられているのか…… 俺の肉体の変調が確実に始まっていた。 体重がどんどん減少して行き、70kg程あった体重が60kgを切りそうな所まで落ちていた。 キムさん達からのアクションは全くなかった。 それは、不気味なほどだった。 俺は、Pに頼んで姉と妹に監視者を付けた。 キムさん達による拉致を恐れたからだ。 もちろん、そういった事態を防ぐために、他にも手は打ってあった。 俺は、可能な限りマミと行動を共にした。 マミの卒業が目の前に近付いてきた、そんなある日のことだった。 俺は、街中で一人の男に呼び止められた。 キムさんのボディーガードの一人で、同じ空手道場の同門3人組で一番若い徐だった。
2039 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:17:21 ID:Y4grlhQ20 徐は、急激に痩せて人相の変わった俺に驚きを隠せない様子だった。 「久しぶりだな、拝み屋」 「徐か……何をしに来た?」 「そういきり立つなよ。別に社長に命令されて来た訳じゃないのだから」 「そうか?」 「判っていると思うが、社長はお前を手放すつもりはない。 ただ、暫くお前の自由にさせておけと言っている。 俺たちが、お前の家族や友人に手出しすることはない。だから、早まった真似だけはするな」 「判った。お前たちが手出ししてこない限り、俺の方も何もしないよ。約束しよう」 「お前と一緒にいた、あの娘は……あんな小娘のためにお前は?」 「ああ、そうだ。おかしいか?」 「馬鹿げている。 お前は社長やシン会長にも気に入られて、期待もされている。 俺たちと違って学もあるし、『呪術』って売りもあるからな。 黙っていても、あと2・3年もすれば幹部だろ? もう、危ない橋を渡らなくても、金や女がいくらでも自由になる身分じゃないか! 何も、あんな小娘に拘らなくても、他にいい女はいくらでもいるだろう。 あの娘と一緒になるにしても、良い暮らしができるだろう。 今更抜けてどうしようって言うんだ? 堅気になってサラリーマンにでもなろうってか? 無理だよ、お呼びじゃねえって。 俺たちにはツブシなんて効かないんだ。他に行き場なんてないんだよ!」
2040 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:18:42 ID:Y4grlhQ20 「そういう問題じゃないんだよ。お前には判らないかもしれないけどな。 ぬるま湯に浸かりすぎて感覚が麻痺しているんだ。俺もお前も。 異常な世界に安住してしまっているんだよ。独りならそれも良いだろう。 でも、異常な世界にどっぷりと浸かりながら、普通の結婚生活や家族生活を送ることはできないよ。俺にはな。 熱湯に入るのか、冷水に飛び込むのかは判らないけれど、取り敢えずぬるま湯からは出ることにした。 ここまで来るのにウダウダと時間を食ってしまったが、抜けて後悔はないさ」 「判ったよ……、俺はもう何も言わない。 ……お前、あの娘と一緒になるのか?」 「ああ、そのつもりだ」 「そうか。……それじゃあ、一杯奢らせてくれ。前祝いだ」 「判った。付き合うよ」 ハイペースでグラスを空けながら徐は昔話をした。 権さんに命じられてタイマンを張ったこと、仕事や道場でのこと、そしてアリサのこと…… 「拝み屋……今度こそ上手くやれよ。幸せにな」 「ああ、ありがとうな」 そう言って、俺は徐と別れた。
2041 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:20:00 ID:Y4grlhQ20 数日後、キムさんのボディーガードで徐の先輩の朴が俺の前に姿を現した。 身構える俺に朴は言った。 「徐の行方を知らないか?」 俺は、徐が俺を訪ねてきたことを話した。 徐の行方は知らないことも。 徐は追われていた。ガード対象の女……大口のクライアントの愛人と駆け落ちしたらしい。 その女は、クライアントの『金庫番』だった。 どうやら、徐の件以外にも、キムさんのビジネスはケチの付き通しらしかった。 俺のことなどに関わっている場合ではないらしい。 俺は『休職扱い』という事だった。 原因は定かではないが、キムさんが急速に『運気』を落としているのは確かだった。 キムさんたちと手を切ろうとして、四苦八苦していたPの方も、纏まった『手切れ金』を払うことで足抜けに成功していた。 完全に焼きが回った状態のキムさん、そしてシンさん達は、その勢力を確実に削り取られていった。
2042 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:21:30 ID:Y4grlhQ20 やがて、マミの高校卒業の日がやってきた。 日を改めて、俺は父と母、姉夫婦と妹、そしてP夫妻を呼んで食事会を開いた。 両親とマミ以外の面々は痩せこけた俺の姿に驚きを隠せないようだった。 この時の体重は55kgを割っていたか。 義兄は、そんな俺を心配し「近いうちに検査に来なさい」と言ってくれた。 だが、普通の医者にこの症状の原因は判らないだろうし、治療も不可能だろう。 俺の体調自体はすこぶる良好で、チェンフィですら、俺の症状の原因は判らなかったからだ。 「卒業おめでとう、マミちゃん!」皆がマミを祝福した。 「ありがとう!……XXさん、約束、覚えていますよね?」 「ああ。でも、俺はもう、結構いい年のオッサンだぞ?」「いいです。私、多分、ファザコンだと思うし」 「そのうちメタボって、腹とかも出てくるぞ」「むしろ、最近痩せすぎだと思います」 「オヤジを見れば判るだろうけど、確実にハゲるぞ?」「構いません。今だって坊主頭じゃないですか」 「最近加齢臭が……」「そうですか?わたし、XXさんの匂い、好きですよ」 「……」「もう良いですよね?……私、今でも、あの時よりもXXさんのこと大好きです。だから……」 「待て、そこから先は俺が言うから」 俺は深呼吸をして気持ちを落ち着けた。これほど緊張するものだとは! 「マミ、俺と結婚してくれるか?」「はい。でも条件があります」 「条件?」 「はい。私、XXさんと、おじさん達みたいな夫婦になるのが夢だったんです」 「ちょっと待て!『アレ』はどこに出しても恥ずかしいバカップルだぞ?」 「おいおい、親を捕まえてアレとか、馬鹿はないだろ!」 「それに、マミちゃん、おじさん、おばさんじゃなくて、お父さん、お母さんでしょ? マザー・イン・ローだけどね」
2043 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:22:39 ID:Y4grlhQ20 「うん……ずっと、そう呼びたかった。ありがとう、お父さん、お母さん」 「それで、条件って?」 「毎日、私も言いますから、愛してるって言ってください」 「……お、おう」 「それと、毎日3回……5回はキスして下さい」 「……恥ずかしいな」 「お父さんは、毎日してますよ?」 「それは、あの二人がおかしいんだ!」 「私は、そうして欲しいんです。してくれますよね?」 「判ったよ。仰せのままに」 「ありがとう。私、こんなにワガママだけどXXさんの奥さんにしてくれますか?」 「もちろんだ!」 ……それは、至福の瞬間だった。 このまま時が永遠に止まって欲しい、そう、俺は思った。
2044 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:24:02 ID:Y4grlhQ20 母が小さな箱を取り出した。 「昔、お父さんに貰ったものなの。サイズは直してあるから、マミちゃんにあげて」 俺はマミの左手の薬指に指輪を嵌めた。 「ありがとう!」 マミがポタポタと涙を流した。 泣き止んだマミが指輪の嵌った薬指を俺に向けて言った。 「ねえ、XXさん見て。とても、綺麗」 「ああ」 「もっと近くで。……目を瞑って」 俺は目を瞑らなかった。 「何で、目を瞑ってくれないんですか?」 ミユキが言った。 「古臭い手口よね。2度も引っかかったら馬鹿だわ」 不意を打つように俺はマミにキスした。 「最初から騙し討ちされてたまるか!」 顔を赤くしながら、マミは言った。 「私、XXさんとキスするの初めてじゃないですよ?」 「え?」 「初めて、XXさんのアパートに行った時に……XXさんは寝てたけどね」 ……あの時か!
2045 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:25:08 ID:Y4grlhQ20 姉が声をかけてきた。 「ねえ、あなたたち、そろそろ席に着かない? 店員さんが困っているわよ」 久子が呆れたように続けた。 「あんた達、バカップルの才能十分よ。 見ているこっちが恥ずかしい。 人前でこれだけイチャつければ大したものよ。ご馳走様」 店員が注文していなかったシャンパンを持ってきた。 「おめでとうございます。これは、当店からのサービスです」 俺たちは乾杯した。 「あまり派手には出来ないけれど、ウェディングドレス、必ず着せてやるからな」 「はい。……お母さんにも見せてあげたかったな……」 義兄が言った。 「でも、成人式の晴れ着姿は見せてあげられたじゃないか。お母さん、喜んでいたよ」 ユファは、マミの成人を見届けると、耐え続けた全ての糸が切れたかのように意識を失い、二度と目覚めることなく亡くなった。 40歳の誕生日の少し前のことだった。
2046 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:26:46 ID:Y4grlhQ20 俺たちはPを連れて自宅に戻った。 そして、マミに全てを打ち明けた。 これまでの俺たちのことを、そして、一木燿子の霊視のことを。 「そんなの……ただの迷信じゃないですか!バカバカしい!」 「Pよ、俺たちの10何年間、一言で切り捨てられちまったな」 「そうだな」Pは苦笑いした。 「マミ、お前が言うように、ただのくだらない迷信だ。 俺は、『定められた日』とやらの後も生き抜くつもりだ。 だから、その日が過ぎたあと、全てがスッキリと片付くまで待っていて欲しいんだ。 ドレスは来年までお預けだ。いいね?」 「はい。……私たち、ずっと、一緒ですよね?」 「当たり前だ」 「なら、いいです。 ドレス、じっくりと時間をかけて選んでおきます」 「すまない……そうしてくれ」
2047 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:28:32 ID:Y4grlhQ20 マミとの平穏な日々は続いていた。 5月21日の朝だった。 俺は、内容は思い出せないが、得体の知れない悪夢の中にいた。 夢から目覚めようとするのだが、どう足掻いても目覚めることができない。 悪夢の中で苦闘していた俺はマミに起こされた。 「XXさん、そろそろ起きないと始まっちゃいますよ?」 「おはよう、マミ」 目を閉じたマミに軽くキスをする。 「今日も可愛いね。愛してるよ」 「私もです。愛してます」 両親が、俺が子供の頃から続けてきた朝のセレモニーは、俺とマミの習慣となっていた。 餓鬼の時分には『恥ずかしい親だ』と思っていたのだが、今は忘れると落ち着かない。 「珈琲を淹れるから、顔を洗ってきてください」 「ああ、ありがとう」 時刻は7時20分位になっていた。 「そろそろですよ」 両親とマミと共に庭に出て、日食眼鏡を目に当て空を見上げた。 空の真ん中で欠けていった太陽が小さな金色の輪を作った。 金環日食が始まった。 その瞬間、俺は異常な感覚に囚われた。 全身を静電気に覆われたような、産毛を逆立てられたようなザワザワとした感覚だ。 軽い目眩を感じていた俺に、「綺麗ですよ」と言ってマミが日食眼鏡を渡してきた。 眼鏡を受け取った俺の体は、気持ちの悪い浮遊感の中にあり、動かなかった。 眼鏡を手に持ったまま立ち尽くす俺に、心配そうにマミが声をかけてきた。
2048 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:30:22 ID:Y4grlhQ20 「大丈夫ですか?」 「大丈夫。軽い立ち眩みだ。夜勤続きだから、寝不足かな?」 だが、俺は異様な感覚と妙な胸騒ぎを覚えていた。 これは、長年慣れ親しみ、忘れようとしていた感覚に近いものだ。 今、この瞬間、何かが起こった。 ……直接ではないが、俺にも関係のある何かだ。 不吉な予感に、俺は恐怖を感じていた。 心配そうに俺の手を握ってきたマミの手を俺は握り返した。 俺の掌は、冷たい汗で濡れていた。 やがて、天体ショーは終わりを迎えた。 日食のあった週の週末だった。 登録されていないアドレスから『緊急』と言う件名で、俺の携帯に一通のメールが入っていた。 キムさんからだった。 内容は、『マサさんが見つかった』と言うものだった。 そして、指定された日時にキムさんの事務所に来て欲しいと書かれていた。 俺は、メールを消去した。 俺には、もう関わりのないことだ。 絶対に、行くものか!
2049 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:31:46 ID:Y4grlhQ20 だが、キムさんからの知らせは俺の心に引っかかり続けた。 悟られまいとしたが、マミは直ぐに俺の様子がおかしいことに気づいたようだ。 問い詰められて、俺はマミにキムさんからのメールの事を話した。 「そのマサって人が、XXさんの先生で、XXさんを『呪術』の世界に引き込んだ人なんですよね?」 「まあ、そういう事になるのかな」 「行って下さい……XXさんの心は今、ここにはないから。 でも、私のところに帰って来てくれますよね?」 「ああ、必ず!……当たり前だろ? 俺の帰れる場所は、マミのいるここだけだからな」 俺は、キムさんの事務所に行った。 半年ぶりか。 事務所の雰囲気は、物の配置こそそのままだったが、暗く沈んだものに変わっていた。 事務所には、キムさんの他、シンさん、P、イサムとその姉の香織がいた。 皆、マサさんとあの『井戸』の関係者だった。 俺たちは、マサさんが来るのを待った。 だが、姿を現したのは意外な人物だった。
2050 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:33:06 ID:Y4grlhQ20 「……アンタが、何故ここに?」 5・6歳くらいの男児を連れた中年女性。 この女と俺は面識があった。 俺とPが呪術の世界に引き込まれる切っ掛けとなった事件で、俺たちに『生霊』を飛ばして来た女だった。 彼女はマサさんの『代理人』として来たらしい。 「今、『主人』と会っても、意思の疎通は不可能ですから」 ……法律的にどうなっているのかは判らないが、マサさんは、俺たちを『斬った』この女と結婚していたのだ。 かつて、この女に付けられた『傷』の跡が疼いた。 俺もPも、イサムも全く気付いていなかった、意外な事実だった。 キムさんに「知っていましたか?」と尋ねた。 だがキムさんの答えも「知らなかった」と言うものだった。 『監視者』であるキムさんに気付かれる事なく、マサさんは密かに妻と子を設けていたのだ。 『組織』にとっては、重大な裏切り行為だ。 だが、マサさんの気持ちは理解できた。 呪術の家に生まれ育ったマサさんは、ある意味、俺以上に呪術の世界を忌み嫌い、抜けたがっていたからだ。 俺は、マサさんの叔母の一木燿子の言葉を思い出した。 彼女は、そして、マサさんの母親の一木祥子は、このことを知っていたのかもしれない。
2051 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:34:42 ID:Y4grlhQ20 『生霊の女』……マサさんの妻の話によると、マサさんが姿を消した直接の原因は、マサさんの『呪いの井戸』が霊的に『破壊』されてしまった為らしい。 あの時か……俺はすぐに思い当たった。 マサさんが寺尾昌弘に『同化の行』を用いて『潜った』あの時だ。 マサさんは俺に、寺尾昌弘の魂が引き込まれていた『世界』からマサさんを引き上げるのに、あの『井戸』を使えと言った。 あの時、『呪いの井戸』は霊的に破壊されたに違いない。 ……まさか、あれは、俺に井戸を破壊させるために仕組んだことだったのか? 俺の背筋に冷たいものが走った。 『井戸』の崩壊後、マサさんは井戸を封じる『儀式』を行っていたらしい。 そして、『儀式』は完成した。 そう、あの日食のあった朝だ。 マサさんは全身全霊を注いだ『儀式』の後遺症で『五感』を失い、意思の疎通は不可能な状態ということだ。 最後の儀式を行う前に台湾から呼び寄せた治療師……チェンフィの父親が、『屍』状態のマサさんのフォローをしているらしい。 回復には日食の日から49日掛かるということだ。 だが、その49日以内に、井戸の『中身』を封印する『仕上げの儀式』を行わなければならないらしい。 女とキムさんたちの打ち合わせが別室で行われていた。 Pが一服するために外に出ていった。 続いてイサムが「何か買ってきます」と言ってコンビニに出かけた。 香織もイサムに付いて外に出て行く。
2052 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:37:03 ID:Y4grlhQ20 部屋には、俺と男児だけが残った。 俺と彼の目が合った。 子供の癖に、なんて恐ろしい目をしているんだ……俺は、彼の目から目を逸らせなくなっていた。 この子は……間違えなく『新しい子供』の一人だろう。 室内の耐え難い静寂を破って彼が声をかけてきた。 「オジサン、アッパのお友達?」 「ああ……」 『アッパ』という単語の発音、そしてその声で確信した。 マサさんに『移入の行』を行い、『井戸』を探していた俺の背後から声を掛けて導いた主は彼だ。 「オジサンは4番目だからね」 「4番目?何のことだ?」 「直ぐに判るよ」 やがて、キムさんたちの打ち合わせは終わった。 俺たちは2台の車に分乗して、移動を開始した。 マサさんの『井戸』のある、あの場所へ。
2053 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:38:25 ID:Y4grlhQ20 目的地には、意外なほど直ぐに到着した。 まさか、こんな場所にあったとは……俺もPも、イサムたちも驚きを隠せずにいた。 封印の鉄杭は全て引き抜かれて無く、井戸も埋め戻されて痕跡しか残っていなかった。 倉庫も解体されており、民家が一軒残っているだけだ。 残された家に俺たちは上がり込んだ。 懐かしい。 かつて、半年近く過ごした家だ。 居間の床には、鉄枠で補強された立方体の木箱が置かれていた。 俺はイサムと顔を見合わせた。 ヤスさんが話していた『井戸の中身』に違いない。 女が言った。 「この箱をある場所に運び封印しなければなりません。 皆さんは、あの井戸と深い関わりを持っています。 皆さんの中から一人、この箱を運んで頂く方を決めます。 よろしいですね?」 女の言葉には、逆らえない強制力があった。
2054 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:40:01 ID:Y4grlhQ20 一人目はシンさんだった。 老体のシンさんが全身の力を込めて持ち上げようとしたが、箱はビクともしなかった。 二人目はキムさん。 やはり、箱は動かない。 三人目はPだ! 『よせ!その箱に触れるんじゃない!』そう言おうとしたが、少年の視線に射竦められた俺は、言葉を発することが出来なかった。 イサムの方に視線を移すと、イサムも恐怖の表情を浮かべたまま金縛りにでもあったかのように固まっていた。 Pが箱に手を掛け、力を込めた。 「うっ、重い!」 僅かに箱は持ち上がったが、揚げきる事は出来ず、重そうな音を立ててPは床に箱を落とした。 Pに続いて香織が箱に近付いた。 今にも泣きそうな表情でイサムが首を振る。 俺は、香織に声をかけた。 「大の男が持ち上げられないんだ、女のアンタにできる訳がない。 時間の無駄だ。俺が先にやるよ」 俺は覚悟を決めて、箱に手を掛けた。 持ち上げる瞬間は恐ろしく重く感じた。 だが、床から離れると箱は意外な程簡単に持ち上がった。 「……なんだ、軽いじゃないか。……俺で決まりだな」 目を真っ赤にしたイサムが安堵の表情を浮かべていた。 「そうですね。あなたにお願いしたいと思います」
2055 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:41:47 ID:Y4grlhQ20 箱の封印場所は、俺の知っている場所だった。 ***神社……かつて、朝鮮から持ち込まれた最悪の呪物『呪いの鉄壷』が封印されていた神社だ。 「この子を連れて、***神社で最後の儀式を行ってください」 俺は少年を連れて山の麓まで車で行き、背中に木箱と儀式の道具を背負って緑溢れる山の奥へと向かった。 麓から目的地まで大人の男の足でも6時間以上掛かる。 川原が見えたところで一泊し、翌朝から川沿いに進んで正午前に目的地の***神社に到着した。 ここまで、俺と少年は一切の言葉を交わさなかった。 それも、儀式の一部だからだ。 俺は、気が狂いそうだった。 少年の視線が心底恐ろしかった。 俺の思考を覗かれている……深層心理、いやもっと深い、俺自身も到達することの適わない『魂の深奥』まで見透かされている、そんな恐怖だ。 俺は少年に食事させてから、洞窟の中で仮眠を取った。 目が覚めると、日が落ちかけていた。 俺はメモを見ながら儀式の準備を進めた。お互いが、用意された数10種類の中から籤で相手の唱える『呪文』を1つづつ選び出した。 短い呪文を交互に唱えながら、以前は鉄壷の収まっていた縦穴の中に起こした火の中に、糸で綴じられた『本』の頁を1枚づつ破って投入した。 恐ろしく単純な『儀式』を続けていると、儀式を行っている自分と、もう一人の自分が分離したような、妙な精神状態になってきた。 穴の中の炎に意識を集中していた俺は、少年の視線が俺に注がれていることに気づいた。 俺は、彼の『恐ろしい眼』を見ないように、さらに炎への精神集中を強めた。 『同化』するかのように、意識が炎の中に入り込む。 だが、次の瞬間、俺と少年の視線が交錯し、俺は少年の眼に魅入られていた。 言葉では表現し難い、異常な状態だ。 そして、炎に集中している意識と、少年の眼に囚われている意識の他にもう一つの意識があった。 その意識が、自問自答しているのか、少年と話しているのか、他の『誰か』と話しているのかは判らないが『会話』していた。 初めは何を言っているのか判らなかったが、会話の内容は徐々に明瞭になっていった。
2056 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:43:18 ID:Y4grlhQ20 「それでは、『呪術』に意味なんて無いじゃないか!」 『そう、人は同じ木の同じ小枝から生えた、1枚の小さな葉。 目の前の他者は、自分自身の一部。それを傷付けることは自らを傷つけることに等しい』 『声』は、『新しい子供達』が出現してきた理由を語っていた。 彼らの出現は変化の『予兆』に過ぎない。 『3人目の聖者』は、聖者として転生を重ね、彼らと同じ意識を持ち、彼らと繋がり、過去世からの記憶を全て持っている。 『新しい子供達』とは、転生を重ねて積み重なった経験値が一定のレベルを超えた『古い魂』らしい。 第3段階以降、『古い魂』は徐々に『新しい子供達』と同種の人類として転生し始める。 それと同時に、『過去世』を持たない『新しい魂』も生み出されるらしい。 だが、古い人間である我々も含めて、それらは全て一つの生命体の一部。 人間だけでなく、樹木や動物、山や海、空気や水、土や石までもが、ひとつの生命体の一部らしい。 『声』は、全てを包括する生命体を『樹』と表現した。 個人としての我々は『樹』の末端に生えた1枚の『葉』に過ぎない。 我々古い世代の人間は、末端の1枚の『葉』としてしか『自己』を認識できない。 それ故に、目の前にある別の末端である『葉』を自分とは別の他者として認識してしまう。 だが、他者とは認識の限界から生じる錯覚であり、万物は一つの生命体である『樹』の一部分でしかないのだ。 肉体という殻を持ち、殻の内側に『顕在意識』という個別の意思を持った『葉』は、『枝』との間に壁を作ってしまう。 この『壁』を意識的に乗り越える技術が『瞑想』であり、『呪術』なのだ。 『個』となり、潜在意識、或いは集合的無意識との間に壁を作った人間は、『言葉』を使って末端としての『葉』同士でコミュニケーションを取るようになった。 言葉によるコミュニケーションは『顕在意識』をより強固なものとし、錯覚であるところの『他者』の認識をも強固なものにした。
2057 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:44:21 ID:Y4grlhQ20 『言葉』は、非常に強い力を持っていた。 言葉により思考する人間の強固な顕在意識は、末端でありながら、より『幹』に近い階層の意識……潜在意識に影響を及ぼすようになった。 そして、目の前の他者を自己の一部と認識できなくなった人間は、自己の一部であるところの他者に『呪詛』を仕掛けるようになった。 つまるところ、『呪詛』とは自分自身に向けられた自傷行為に過ぎないのだ。 この世界には、一つの法則がある。 生命体としての『樹』の存続に有益なものは『善』であり、害を成すものは『悪』なのだ。 その意味で、自傷行為である『呪詛』は、世界の法則……『律』に反する絶対的な悪なのだ。 際限なく呪詛を振り撒く存在は、自らを傷つけ冒す病変……癌細胞のような存在で悪である。 一本の大きな『枝』としての人類の『集合的無意識』は、『葉』としての『個』を産み出し、『魂』に経験を積ませて、その記憶を集積することによって『人類』全体の成長を図ろうとしている。 集積された魂の記憶……『歴史』の事実に反する虚偽の言葉を振り撒き、人類全体の『魂』の成長を阻害する存在……それもまた、悪である。 他者への慈愛や赦し、施しは『命』の傷ついた部分に『栄養』を分け与える行為であり、善であり功徳である。 他者からの慈愛や赦し、施しに対する『感謝』は、与えた者に対する『癒し』であり、善であり功徳である。 そして、感謝を受けることにより得られる喜びもまた功徳である。 『布施』は、それに対する『感謝』と両輪となることで、善と功徳の拡大再生産となり、『魂』の成長を促す。 だが、与えられることのみを望み、『感謝』しない存在は『善のサイクル』を断ち切る者であり悪である。 『悪』は生命の『歪み』であり、許容できなくなった『歪み』は生命に備わった『免疫反応』によって消去される。 多くの『個』としての人の死や、『部分』としての民族や国家の滅亡は、歪みを是正する作用として『善』足り得るのだ。 今、この世界は歪みが飽和点に近付きつつある。 第3段階の『新しい子供達』の出現と共に現れるという『過去世』を持たない魂を持つ子供の為に、歪みの全ては是正されようとしている。 その消滅が『新しい子供達』出現の端緒となる『旧世代の偉大な霊力』の持ち主、『3人の聖者』は、急激な是正を食い止める存在らしい。 そして、三段階を経て現れる『新しい子供達』……膨大な過去世を蓄積させた魂は、大きな破滅を経ることなく歪みを是正する為に現れた存在。 緩やかに、穏便に『歪み』を修正する者、『調律者』なのだ。 集合的無意識……或いは生命の『樹』の深い階層、『人類の枝』までを自己と認識できる彼らが、全体としての意思と個別の意識を持つのは当然だろう。 そして、是正され排除されるべき『呪詛』に関わる旧世代の能力者……『悪』の存在が、彼らの意思を『敵意』と感じ、その能力が通用しないのもまた当然のことなのだろう。 ここに書いたことは、俺が受け取ったイメージが、俺自身の知識や『個』としての俺の認識力と言うフィルターを通ることによって表現されたものに過ぎない。 だが、どの段階だったのかは判らないが『新しい子供達』と、恐らくは彼の息子を介して『接触』したマサさんは、全ての呪術を捨てる覚悟を決め実行したのだ。
2058 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:46:19 ID:Y4grlhQ20 やがて、朝がやってきて、『儀式』は終わった。 俺は、マサさんの息子に尋ねた。 「なぜ、俺だったんだ?」 彼は俺に、あの恐ろしい視線を向けながら、頭の中に直接響く不思議な声で答えた。 『もうすぐ、妹が生まれるんだ。 妹は、オジサンのことが大好きなんだよ。早くオジサンに会いたいって。 でも、オジサンは妹には会えない。“第3段階”が少し先に伸ばされたから。 オジサンには時間がないからね』 ……何を言ってるんだ? 混乱する俺に彼はさらに言葉を続けた。 『オジサンにはチャンスをあげる。僕たちの仲間を救って、守ってくれているから』 「仲間?」 『マミだよ。あの子は、まだ目覚めていないけれどね。 オジサンがいなくなると、あの子が悲しむから……そうなると、あの子は『罪』を犯して、二度と僕らとは繋がれなくなってしまう』 ……確かに、マミが生まれたのは1990年……彼女は、第1段階の『新しい子供』だというのか。 『オジサンには、マミと共に、これから生まれてくる3人の子供達……僕らの仲間を守ってもらいたいんだ。 でもね、その為には、オジサンに呪詛を……恨みや怒りの感情を捨ててもらわなければならない』 「俺は……呪詛なんて、とっくの昔に捨てているぞ?」 『そう言う意味じゃないんだよ。オジサンの“血”の中に潜んでいる恨みだよ。 オジサンの中には“鬼”が住んでいる。それを抑えて来たものが失われて目覚め始めているんだ。 自分でも判っているんじゃない?オジサンの体は、それに耐えられる強さがなくて、食べられてしまっているんだよ』 ……何を言っているんだ? 『まだ、少しだけ時間があるから、答えは急がなくていいよ。 僕らの提案を受け入れてくれるなら、一言、あの言葉を言ってね。 そうすれば、そこから全てが始まるから』 ……あの言葉?俺には何の事か判らなかった。今でも判らない。 マサさんの息子に今一度、訊ねようと思ったが、彼の目からは、あの恐ろしい光は消えていた。
2059 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:47:34 ID:Y4grlhQ20 俺は、メモに記された手順に従って『箱』を封印し、少年を連れて山を降りた。 その足で、キムさんの事務所に向かい、少年を母親の許に送り届けた。 そして、キムさんに宣言した。 「俺は二度と呪術と関わりは持たない。呪術と関わる人間とも関わらない。 これが本当に最後だ。 長いあいだ世話になっておいて、こんな言い草はないと思うが、二度と俺に関わらないでくれ」 「……そうか、判った。だが、ケジメだけは取らせてもらう。 何をしてもらうかはこれから決める。もう一度連絡する。それで本当に最後だ」 俺はマミの許に帰った。 時間は恐ろしい速さで過ぎていった。 ……とうとう『定めらた日』とやらが、来てしまった。 24日は、二人きりで過ごそう…… 翌朝、婚姻届を出しに行って、忘れられない二人の記念日にしよう……マミと交わした約束は恐らく、果たせないだろう。 だが、俺は諦めない。 父との約束通り、最後の瞬間まで足掻き続けるつもりだ。
2060 :イクリプス ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:49:01 ID:Y4grlhQ20 我が黄金に燃え立つ弓をよこせ! 我が欲望の矢をよこせ! 我が槍をよこせ!雲よほどけろ! 我が炎の戦車をよこせ! 決して精神の戦いをやめないぞ 我が剣をいたずらに眠らせておくこともしないぞ 願わくば、事の顛末を報告したいが、それが出来るかは判らない。 ほんの気まぐれで始めたことだったが、この投稿をくだらない文章を5年間も吐き出し続けたケジメとしたい。 完
2061 : ◆cmuuOjbHnQ :2012/12/21(金) 06:52:02 ID:Y4grlhQ20 今まで、お付き合い頂いてありがとう。 俺は、行かなくてはならない。
2062 :名無しさん :2012/12/21(金) 07:57:02 ID:HfHX7x1wO 怒涛の大漁投下w 仕事から帰ったら、 ゆっくり読もうっと。 それから、その顛末とやらを死ぬまで待つかな。
2063 :名無しさん :2012/12/21(金) 07:58:23 ID:HfHX7x1wO 死んでも、の間違いか。
2064 :名無しさん :2012/12/21(金) 13:37:29 ID:1TPJbLug0 マサさんの人、投下お疲れ様&今までありがとう。 私も事の顛末の投稿を待ってる。
2065 :名無しさん :2012/12/21(金) 17:34:04 ID:rF0SEF5I0 頼むから無事に帰って来て、もっと話しを聞かせて欲しい。
2066 :名無しさん :2012/12/21(金) 21:50:00 ID:BLP6QdTY0 マサさん、必ず戻ってきてください 待ってます
2067 :名無しさん :2012/12/22(土) 00:28:30 ID:a3LqpUzw0 マサさんの方、投稿ありがとうございます。 これからゆっくり読ませていただきますが、最後に心配な文を見つけてしまい… 自分も待っています。 どうか、どうかご無事で。
2068 :名無しさん :2012/12/22(土) 08:23:36 ID:kV2qV6pk0 今ぐらい、何かとバトル中なんだろか? すげー気になる。
2069 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/22(土) 18:59:50 ID:7kj.LPFs0 他の投稿者さまのご都合も有りそうなので、少々気兼ねもありますが、 『忘却の彼方(中)』を投稿させていただきます。 新参なので空気が読めない点についてはお詫びいたします。
2070 :『忘却の彼方(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/22(土) 19:01:12 ID:7kj.LPFs0 Sさんに頼まれた買い物を終え、姫を迎えて帰ってくると、 お屋敷のガレージに軽の4駆が止まっていた。真新しい黒のパジェロ・ミニ。 来客の様子はない。ロータスがお屋敷に来た時の事を思い出した。 軽自動車一台、Sさんなら電話一本で手配しそうだ。でも、何のために? 夕食後のひととき、今夜は姫が点ててくれた抹茶。 お茶請けの饅頭を食べながら4駆の話をすると、Sさんは得意そうな顔をした。 「この前山道歩くの大変だったでしょ?あれならどんな道でも簡単に入れる。 細い道が多いから軽は外車より小回りがきいて良いかな?って。一応4人乗りだし。 試しに『あの川』の近くまで行ってみたけど楽勝だった。」 俺と姫は同時に叫んだ。 「翠を4駆に乗せて走ったんですか?」 「翠ちゃん、まだ2ヶ月なのに!」 「もう、翠の事になると大袈裟なんだから。そんな事する訳無いでしょ。 ちゃんと寝かしつけて、式に守って貰ってる間に行ったの、1人で。 それもたった20分位。たまには式にも仕事させてあげないと可哀想じゃない。」 「いや、そもそも今更4駆が必要な理由が分かりません。」 「何言ってるの。この際この辺りを全部調べておかないと安心できない。 また今度みたいな事があったら、取り返しがつかないかも知れないのよ?」 「それはSさんの言う通りです。Rさんは気に入られやすいタイプみたいですから。 出かけていったきり戻ってこないのでは、翠ちゃんが可哀想ですよ。 それにSさんも私も...そんなの絶対に嫌です。」 姫の眼にじわっと涙が溜まった。 「いや、神様全部が好き勝手に人を連れて行く訳じゃないですよね? 神様なんですから、むしろ人助けをしてくれる事の方が多い筈ですよね?」 Sさんと姫は顔を見合わせた。やがて姫が涙を拭って口を開いた。 「Rさん、『神』とか高位の『精霊』は人間の為に存在している訳ではありません。 気まぐれで人助けをすることもありますが、人間の側からすれば 基本的にはとても我が儘な存在だと考えておいた方が良いんです。」
2071 :『忘却の彼方(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/22(土) 19:01:59 ID:7kj.LPFs0 「神様が、我が儘?気まぐれって。」 「はい。『神』も高位の『精霊』も人間とは比べものにならない『力』を持っています。 普通は何かに頼る必要はありません。だから常に自分の行動原理が最優先なんです。」 一瞬頭の中にSさんの顔が浮かんできて、その途端に二の腕をつねられた。 「痛!何も言ってないのに。」 「今考えたでしょ、私の事。失礼ね!」 「済みません。」 「ええっと。良いですか、話を続けても?」 「あ、お願いします。」 「だから気に入ったら取り敢えず手に入れようとします。人でも物でも。 多分あの川の神様は、山道を探索している時からRさんをマークしておられた筈です。」 「そう、だから川の水音を。釣りが好きな事を見抜いておられたから。」 「Rさんは良い気分だったんですよね。釣りをしている間中、ずっと。」 「はい、凄く気分が良かったです。何て言うか、『川との一体感』を感じて、あ...」 「そうです。もしあのまま釣りを続けていたら、多分Rさんは今も釣りを続けています。」 「幻の川で、ですか?」 「はい。」 「それが『神隠し』?」 「その通りです。」 「人が自分の庭に綺麗な花を植えるように、神様は自分の領域に飾るんです。 手に入れたものや、人を。そしてそれらを眺めてお楽しみになる、永遠に。」 「永遠に?」 「はい、不老不死です。でも、Rさんは飾られないで下さいね?」 「いくら気持ちよく釣りが出来るからって、自由意志の無い飾り物になるのは嫌です。」 「そうですか、良かった。自ら望んでそうなる人もいるみたいなので。」 そんな馬鹿な、幾ら何でも。
2072 :『忘却の彼方(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/22(土) 19:02:34 ID:7kj.LPFs0 「今回はたまたまRさんに私たち家族がいることをお知りになって『猶予』を下さった。」 「猶予?」 「はい、つまり勾玉とRさんを引き替えに、と。」 「あの勾玉が僕の対価になっていたかもしれないんですか?」 俺の命は勾玉3個分の価値? 「R君、私、あの勾玉は本物って言ったでしょ?」 「はい。」 「『あれ』を手に入れるためなら何でもするって人は沢山いるのよ。」 「え?」 「『あれ』は本物の祭具、使いようによっては人の運命を左右する力があるんです。」 「人の運命って。」 「一生お前達の幸運を保証してあげよう。だからその男はこちらに寄越しなさい。」 そんな、無茶な。 「無茶。まさにそれが特徴なんです。『神』も『高位の精霊』も。 だから、基本的に私たちは『お願い』するしかありません。でも、Sさんの『位』が高いから 今回は『交渉』が出来たんです。新しいお社とRさんを交換にして。」 「『位』だけじゃない。あの神様が『男性』、つまり『陽神(おがみ)』さまだったから 私たち女を哀れと思し召して『猶予』を下さったし、私たちの『お願い』を聞き届けて下さった。 女性からの『お願い』なら、聞き届けて下さる可能性は、陽神さまの方がずっと高い。」 「もし、あれが『女神』さまだったら?」 「『陰神(めがみ)』さまだったらって...問答無用で君は今も釣りを続けてる。幻の川縁で。 『猶予』も『交渉』の余地も無く。」 少し、寒気と目眩がした。
2073 :『忘却の彼方(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/22(土) 19:03:35 ID:7kj.LPFs0 廃村の中に新しい小さなお社が完成したのは姫の高校が夏休みに入る前の週だった。 宮司を置く訳ではないので社務所・札所はないが、 拝殿と瑞垣で囲まれた本殿がある、本式の作りだ。拝殿に繋がる参道には手水舎もある。 元の川床に掘った井戸から水を引いていると聞いた。参道の入り口には小さいが立派な鳥居。 そして神社の背後には鬱蒼とした森が広がる。これが鎮守の森にあたる訳だ。 神社が完成すると数回の祭礼が行われ、いよいよ遷宮の祭礼の日が来た。 俺たちの他十数人が参列し、祭礼が始まったのは午後4時頃。 白装束の人々が粛々と儀式を進行していく、その指揮を執るのはSさんだ。 姫はSさん公認で1日中翠の世話を任され、朝からご機嫌だった。 日が暮れて暫くすると参道の松明以外の灯りが消された。発電器の微かな唸りも消える。 薄暗い中、白装束の人々が小さな御輿を担いでご神体をお迎えに上がる。 提灯を持って先頭を歩くのはやはりSさんだ。あの川の跡に向かうのだろう。 暫くして白装束の人々が戻ってきた。今度はSさんが殿(しんがり)を務めている。 身の引き締まるような、ぴいんと張り詰めた厳かな空気。 やがてご神体が本殿に御遷座されたことが参列者に告げられ、舞が奉納される。 舞手は2人、中学生くらいの少女達だ。松明の光を映す、幻想的な舞の美しさ。 舞が終わると参列者が順番に拝礼をし、2週間に渡る一連の祭礼は終了した。
2074 :『忘却の彼方(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/22(土) 19:04:42 ID:7kj.LPFs0 参列者が鳥居をくぐって神社を出ていく。 俺はSさんと並んで1人1人に頭を下げて参列者を見送った。 参列者の中にどこかで見た事のある男性がいたが、それが誰かは思い出せなかった。 全ての参列者が帰った跡、俺は廃村に通じる道路の入り口に設置された門扉を閉めた。 儀式の数日前に設置された、とても大きくて丈夫な門扉だ。 「間違って誰かが入り込んで気に入られたら困るでしょ。」とSさんは言った。 参拝して気に入られたら神隠しに遭うかも知れない、 特定の人間しか参拝してはいけないお社。他にも何処か、あるのだろうか? 「ここ、初詣に来ても良いんですか?」 「初詣どころか、これから月に二度のお掃除と祭礼はずっと君の仕事よ。 心配だから、私かL、必ずどっちかかが一緒に付き添うけど。」 「...それも、『約束』のひとつ?」 「もちろん。」
2075 :『忘却の彼方(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/22(土) 19:05:38 ID:7kj.LPFs0 お屋敷に帰りついたのは9時前、辺りは真っ暗になっていた。 翠を抱き、足下に気を付けて玄関に向かって歩く。その時、気が付いた。 翠の全身に銀色の光の粒子がまばらにちりばめられている。 「翠の体に光の粒...これが。」言いかけて気付いた。Sさんも、Lさんも、 そして俺も。全身のあちこちに小さな光の粒子が光っている。 「そう、これが『光塵』。『本体』に近いときは見えないの。『本体』の光が強すぎるから。 本体からある程度離れて、そして暗い所は見えやすい。 でも、どんな条件であれ『光塵』が見えるって事は、R君の感覚が澄んできた証拠。 まあ、あんな体験したら、いきなり色々見えるようになっても不思議じゃないけど。」 「これからは『見ないようにする』訓練が必要かも知れませんね。」 「そうね。でも、今はまず夕ご飯。もうお腹ペコペコで倒れそう。」
2076 :『忘却の彼方(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/22(土) 19:06:22 ID:7kj.LPFs0 Sさんが翠を着替えさせて寝かしつける間、俺と姫は大急ぎで夕食の準備をした。 Sさんも、姫も、とにかくよく食べる。日によっては俺よりずっと沢山食べることもある。 大量の料理を美味しそうに平らげていく様子は見ていて爽快。 見ているだけでこちらのお腹も空いてくる位だ。 「『術』は術者の体力を触媒にするから、強い術ほど体力を消耗するの。 だから今回のように2週間も続くような祭礼では、とにかく食べないと体が保たない。」 そういえばこの半月程、Sさんの食欲は凄かった。 あんなに食べて太らないなんて、何かホルモン系の病気なんじゃないかと心配していたが、 そういう訳だったのか。 「量も必要ですけど、味も大切ですよね。」 「味、ですか?」 「美味しくないと沢山食べるのは辛いです。それに、同じだけ食べるなら 気持ちを込めて作った美味しい料理の方が元気になります。全然違いますよ。」 「そんなに違うんですか?」 Sさんが頷きながらグラスの赤ワインを飲み干す。 俺は慌ててSさんのグラスにワインを補充した。 「食材に感謝して、出来るだけ美味しく食べる工夫をする。 すると自然に料理が上手になる。美味しいから沢山食べて元気になる。好循環。 食べ物こそ全ての基本よ。R君が料理上手で本当に良かったわ。」
2077 :『忘却の彼方(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/22(土) 19:06:55 ID:7kj.LPFs0 食後、俺とSさんはリビングでホットコーヒーを飲んでいた。 姫はホットミルクティーを半分程残したままソファで寝息を立てている。 起こそうとするとSさんが唇に人差し指を当てて小さく首を振ったので声を掛けるのは止めた。 姫が眼を覚ますと、絶対に翠を自分の部屋に連れて行こうとする。それを防ぐつもりらしい。 祭礼の期間中、翠は姫と一緒に寝る事が多かったから、 今夜くらいは翠と水入らずで過ごしたいのだろう。母親としては、当然の気持ちだ。 まあ、あとで俺が姫を部屋まで抱いて連れて行けば良い。 「そう言えば、今日の参列者の中に、どこかで見たような人がいたんですよ。 芸能人じゃないみたいだし、ちょっと気になって。」 Sさんの顔が少し曇った。 「男?40歳くらいの?」 「そうです。何かこう、凄みのある渋い人で。」 「それ、今日の主賓。『上』の1人。」 「あの『上』、ですか?」 姫に掛けられた術の一件で、外法を使う者たちに『対策班』を送り込んだ機関。 そして恐らく、『あの人』を、Kを殺した、機関。胸の奥が、きゅっと痛くなる。
2078 :『忘却の彼方(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/22(土) 19:07:33 ID:7kj.LPFs0 「そう、一族の意志を決定する機関。そのメンバーの1人。 この土地に縁のある人だから参列したの、『上』を代表して。」 『上』の代表?あのお社と『上』に一体何の関係が? 「実はね、あのお社の造営資金は『上』から出てるの。」 「何故『上』がこの件を?」 「お社の建築は特殊技能だから、そこらの建築屋さんには頼めないの。 特に今回は工期が短かったから腕の立つ宮大工に頼むしかなかった。 宮大工にも『上』の情報網は入り込んでる。新築のお社、場所は私の土地。 隠しようが無い。すぐに電話で事情聴取されたわ。勾玉の件は黙ってたけど。 造営資金を負担すれば『上』があのお社の勧進元ってことになるでしょ。 つまり、あの神様に恩を売れるって訳。」 なるほど、思っていたよりずっと立派なお社になったのもそれが理由か。 「使えそうなものは全てキープしておく。いかにも『上』らしいやり方。抜け目が無い。 いざとなれば、あの神様の助力を請うつもりね。『本物』は、とても貴重だから。 でもまあ、私たちにも結構な報奨金が出たし、勾玉のこともあるから 全くの骨折り損ってことにはならない。落とし所としては、まあまあね。」 それからSさんは俺の耳元で、あの男の人の名前と職業を囁いた。 「........ .....。」 そうか、それで見た事があったんだ。成る程。
2079 :『忘却の彼方(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/22(土) 19:08:55 ID:7kj.LPFs0 その時、玄関の電話が鳴った。 もう11時をまわっている。俺とSさんは顔を見合わせた。 お屋敷で暮らし始めて約2年、その電話が鳴るのを聞いたのは初めてだ。 俺たちは必要なら携帯で連絡を取り合うから、その電話を使う事はほとんど無い。 一度か二度、Sさんがどこかに電話を掛けているのを見た事があるだけだ。 電話は鳴り続ける。 「多分『上』だわ。さっきの参列者とは別件。」 Sさんが立ち上がった。玄関で電話に出る気配。 それが、始まりだった。 『忘却の彼方(中)』 了
2080 :名無しさん :2012/12/23(日) 02:17:25 ID:ZKn14Bp20 投下お疲れ様。 他の投稿者の事は考えなくていいよ。 みんな好きな時に投下していくから。 掲示板のトップには最新の50レスしか表示されないから レスが流れちゃったことを気にしてるのかもしれないけど、 ここの住人ならレス番が増えてるのを喜んでると思うw
2081 :名無しさん :2012/12/23(日) 10:54:09 ID:p48EqstwO 藍=マサ?
2082 :名無しさん :2012/12/23(日) 10:59:53 ID:edm.CVq.0 2081の予想は違うでしょ。
2083 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:19:41 ID:Nw8jg1uM0 こんにちは。 以下、『忘却の彼方(下)』、投稿いたします。
2084 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:20:31 ID:Nw8jg1uM0 電話を終えて戻ってきたSさんは、ソファに深く体を沈めて溜息をついた。 そしてポツリと呟く。「やっぱり、気が進まないな。」 「祭礼が終わったばかりなのに、面倒な仕事ですか?」 「面倒っていうか、あんまりやりたくない種類の仕事。」 「今回は断った方が良いのでは?」 「我が儘言って『前線』から外してもらってる身だし、別件で術者が出払ってる...。 断る訳にはいかない。だからこそ、余計に気が進まないんだけど。」 「どんな仕事なんですか?僕に出来ることがあれば手伝わせて下さい。」 基本的な修行はしていたし、簡単な仕事ならSさんの手伝いも出来るようになっていた。 「そう言ってくれると嬉しいわ。ありがと。詳しい事は、また明日電話が来てから。 今夜は遅いし、もう寝ましょ。じゃ、Lを部屋まで、お願いね。」 Sさんは優しく笑って俺の頭を撫でた。
2085 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:21:12 ID:Nw8jg1uM0 翌日、朝食を食べ終わったところで電話が有り、Sさんの表情は更に暗くなった。 朝食後のお茶の時間も雰囲気が硬い。「○◇会絡みの仕事、それだけでも気が重い。」 ○◇会は、この地方に住んでいれば誰でも知っている怖い団体。いわゆる×力団。 Sさん達の一族は○◇会の偉い人にかなりの貸しがある、そう聞いていた。 『こちらが○◇会の偉い人を助けたのが切っ掛け、 そのあと『対策班』の一員として○◇会の手を借りた事もある。 情報源でもあるし、大口の顧客でもある。一種の必要悪ね。 Lの件で私も利用させてもらったから、文句は言いにくいんだけど。 私、アイツ等は大嫌い、できれば関わり合いになりたくない。 「仕事の内容はもっと気が重いんですね?」 Sさんは溜息をついた。 「そう、いわゆる御祓いの依頼なんだけど、内容が酷いの。
2086 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:21:50 ID:Nw8jg1uM0 アイツ等が風俗で働かせてた女の子が、先週、男と逃げた。勿論すぐに捕まって 男は暴行されて公園に放置、今も意識不明。女の子は見せしめに文字通り嬲り殺し。 遺体は酷い有り様だったらしいわ。で、女の子の死体は山に埋められた。 その後、その女の子を管理してた幹部の娘がおかしくなったんだって。 部屋の中で暴れる、火をつける。水も食事も取らずに、昨日で二日目。」 「その女の子の祟りだろうから御祓いをして欲しいって事ですね?」 「そう。どう考えても自業自得なんだから全然気が乗らない。 むしろ殺された女の子の方に同情するわ。」 「でも、幹部の娘さんも可哀相ですよね。父親のせいで巻き添えになって。」 翠を抱いたLさんも浮かない顔だ。 「...其処なのよね。無下に断れないのは。まあ、今回も 『上』が相当な料金を受け取ったみたいだし。やるしかない、やっぱり。」 Sさんは、また小さく溜息をついた。
2087 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:22:47 ID:Nw8jg1uM0 それからSさんは短い電話をかけた。おそらく件の幹部が相手だ。 電話の後、Sさんは姫と俺をリビングに招集した。 「電話越しでも怒りの念が伝わってくるの。結構深刻な状況ね。 水さえ飲んでない状態でこのまま放置すれば、今日明日にも娘さんの命に関わる。 だから今日の午後一番で出掛けるわ。 ただ、憑依の状況によっては後方支援が必要になる。L、一緒に来てくれる?」 「はい、分かりました。」 姫の表情が引き締まる。 「あの、僕は?」 「R君が一緒に来てくれたら心強いけど、今回は翠をお願い。 長い時間だと、式だけじゃ心許ないし。」 「分かりました。」 俺はLさんから翠を受け取った。 Sさんと姫は早めに昼食を済ませ、ロータスに乗って出掛けていった。 俺は翠にミルクを飲ませ、暫くあやしてから寝かしつけて自分の昼食を食べた。 Sさんと姫がいないのを察しているのか、翠は何かの拍子にぐずりかける。 すると、その度にすうっと爽やかな風が吹き、翠は安らかな顔で寝入ってしまう。 お陰で俺は一度も席を立つことなく昼食を食べ終えた。 食器を洗い、片づけが終わって振り向くと翠が眼を覚ましていた。 空中に浮かぶ何かを捕まえようとするように、ベビーベッドの中で手を伸ばしている。 やがて、顔をくしゃくしゃにして笑い声を上げた。まるで姫に遊んでもらっているようだ。 ...これ、もしかして式? 式が助けてくれているからなのかどうなのか、初めての留守番は順調に過ぎていった。 翠はベビーベッドの中ですやすやと寝ている。俺はその傍に椅子を置き文庫本を読んでいた。 一冊目、二冊目。そして三冊目。
2088 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:23:25 ID:Nw8jg1uM0 ...何かおかしい。嫌な予感、時計は3時を過ぎている。 その時、廊下を玄関に向かって走る小さな白い影が見え、車の音が聞こえた。 あれはロータスのエンジン音じゃない。俺も玄関へ走った。 庭にタクシーが止まっている。とてつもなく嫌な予感。タクシーに駆け寄る。 タクシーを降りたのはSさん、髪が乱れている。姫が降りてこない。 よろめくSさんを抱き止める。 「どうしたんです?」 「R君。」 Sさんの目から大粒の涙が溢れた。 「ごめんなさい。Lが、Lが代(しろ)に...私、Lを守れなかった。」 そう言うと、Sさんは俺の腕の中で気を失った。
2089 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:24:07 ID:Nw8jg1uM0 20分ほどすると、Sさんはリビングのソファで眼を覚ました。 「L!」慌てて身を起こそうとする。俺はSさんをしっかり抱きしめた。 「大丈夫。落ち着いて下さい。話はそれからです。」 暫く泣いた後、Sさんは話し始めた。 「...憑依していたのは殺された女の子じゃなかった。」 「何が、憑依していたんですか?」 「祟り神。とてつもなく強力な。」 「祟り神って、何ですか?」 「名前の通り、人に祟りを与えるためだけに存在している神。 多分、アイツ等が女の子の死体を埋めて聖域を汚したから封印が破れた。 そして殺された女の子の怒りの意識に共振して、封印されていた祟り神が覚醒した。」 「どうしてそれが『祟り神』だと? また、Sさんの眼に涙が溢れて言葉が途切れる。 「話せるようになってからで大丈夫。落ち着いて下さい。」 Sさんの肩を抱き、背中をそっとさする。 「部屋の中に入ったら屍臭がしたの。幹部の娘はもう死んでて、『動く死体』になってた。」 俺はSさんの涙と鼻水をタオルでそっと拭った。
2090 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:24:53 ID:Nw8jg1uM0 「よほど強力な存在でなければ死体は動かせない。『神』か高位の『精霊』、それか『祟り神』。 でも、あれは『祟り神』。 Lが『燃え尽きよ』って言ったら、 私の目の前で幹部の体が火を吹いて燃え尽きた。あっという間に。」 「『祟り神』がLさんを依り代にしたんですね?そしてLさんの力、『あの声』を使った。」 Sさんがビクッと震えて何度も頷いた。 「そう、私は妊娠経験者だから、Lが...私、何も出来なかった。」 「Sさんが何も出来ないって、幾ら何でも。」 「女性、『陰神』なの。神格を持ってて、性別が同じだから、 私が何をしても力が届かない。術が全部無効にされて。私も焼かれるところだった。 でも、わずかに残ってたLの意識がためらったから、何とか逃げられた。」 「あ、私、電話しないと。」 Sさんの眼がふらふらと泳ぐ。 「何処に電話するんですか?」 「『上』よ。急いで男性の術者を派遣して貰うように。」 俺は両掌でSさんの顔をはさみ、その眼をまっすぐ見詰めた。
2091 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:25:45 ID:Nw8jg1uM0 「Sさん、電話は車の中でかけて下さい。」 「車の中で?」 「はい。」 「今から2つ、質問をします。正直に、答えて下さいね。」 Sさんが頷く。 「幹部の娘さんは『力』を持ってなかった。だから依り代になっても 大した事は出来なかったのに、3日目には『動く死体』になってます。 今日屍臭がしたのなら、昨日、既に死んでいたかも知れない。だとすると、 『祟り神』がLさんの力を好き放題に使ったら、Lさんは2日も保たない。違いますか?」 「あなたの、言う通り、だわ。今夜一杯、保つかどうか。」 「幹部の娘さんは力を持っていなかったし、 すぐに『動く死体』になってしまったから、『祟り神』は遠くへは行けなかった。 でも、新しい生きた代の体と力を使い、部屋から出て復讐を始めるなら、 行き先は○◇会の本部事務所。そうですね?」 Sさんは涙を浮かべて頷いた。
2092 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:28:54 ID:Nw8jg1uM0 「僕が行きます。Sさんも一緒に来て下さい。」 Sさんが息を呑む。 「危険過ぎる。もし、あなたまで。」 「僕がしているような修行が役に立つなんて思っていません。 でも、僕は『男』です。陰神さまにお願いするなら『男』の方が有利ですよね? 「そんな。」Sさんはすがるような目で俺を見た。 「私、私が代になれば、Lは助かったのに...」 俺はSさんの唇に人差し指を当てた。Sさんが良く使う、「黙って」の合図。 「Sさんが代になってたら、『祟り神』はSさんの力が使えたんですよ?それこそ悪夢です。 Lさんは逃げられなかったはずだし、絶対もっと酷い事態になってます。」 「でも。」 「Sさんも、Lさんも、そして翠も、僕は誰1人失いたくありません。 だから頼みます、その『祟り神』に。Lさんを返して下さいって。 Sさんも僕の為に頼んでくれましたよね。」 ○◇会の本部事務所に向かう途中、Sさんは『上』に電話をかけた。 今回の件は『祟り神』に関わる非常事態であること。 これから○◇会の本部事務所に向かうから、支援を寄越して欲しいこと。 そして、警察への根回しとマスコミ封じが必要なこと。 翠を抱いて電話するSさんは、もう、もとのSさんに戻っていた。
2093 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:29:46 ID:Nw8jg1uM0 ○◇会の本部事務所の駐車場に車を停めた。 「気を付けて。」 「ここで待ってて下さい。もし助けられたら、Lさんの手当てをお願いします。」 Sさんは翠を抱いたまま、涙を浮かべて頷いた。 俺は、Sさんの唇にそっとキスをして、車のドアを閉めた。 裏口のドアには鍵が掛かっていなかった。 ドアを開けて中に入る。途端に肉の焦げる臭いが鼻をつき、吐き気がこみ上げた。 ざっと見ただけでも、数体の焼死体がある。まだ燻っているものもある。 どれも、燃えているのは死体だけ。椅子も、絨毯も、ほとんど燃えていない。 エレベーターホールでボタンを押す。一番偉い人の部屋は最上階だろう。 正直、全ての階の様子を見て回る勇気は、俺には無かった。 5階でエレベーターを降りる。目的地は直ぐに見つかった。趣味の悪い、金縁の表札。 やはり、鍵は掛かっていない。そっとドアを開ける。
2094 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:30:44 ID:Nw8jg1uM0 ドアの隙間から、熱気が溢れてきた。 まるで部屋の中が燃えているかのような、凄まじい熱気。 1人の男が、部屋の中央に立っていた。うなだれて手足はだらりと力が無く まるで首根っこを捕まれてぶら下げられているように見えた。恐らく、既に死んでいる。 ソファに座った姫が、刺すような眼差しでそれを見詰めていた。 『卑しき者、燃え尽きよ。』 空気がビリビリと震えて視界が歪む。『あの声』だ。 突然男の体が燃え上がり、そして、燃え尽きた。あっという間に。 燃え滓が床に落ちる軽い音。 姫が俺を見る。 『この者どもとは違う。だが、人どもは皆、卑しい。』 それは姫の形をした、『憤怒』そのものだった。 怒り以外、何の感情も、人格の欠片すらも感じられない、物質化した『憤怒』。 違う、違い過ぎる。頼むも何も、願いを伝える方法が無い。姫の意識は欠片も感じられない。 次に『憤怒』が口を開いたら、俺は燃え尽きるだろう。あの燃え滓のように 姫の形をした『憤怒』が、深く、ゆっくりと息を吸った。 来る。『あの声』が。
2095 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:31:38 ID:Nw8jg1uM0 その時、俺の体が勝手に動いた。止められない。 床に膝をつき、手をつき、体を伸ばして、そのままべったりと腹這いになる。 これは、『五体投地』? 何故? 『何か』が俺の体を勝手に動かしている。 また、『何か』が俺の体を動かした。俺の体は腹這いから正座の姿勢になり、 頭を床に擦りつけた後、ゆっくりと眼を閉じた。
2096 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:32:37 ID:Nw8jg1uM0 『高天原の憶え目出度き、いと尊く、見目麗しき御陰神(おんめがみ)。 ◎○▲○□姫之尊の御前に、臣、怖れ謹みて申し上げ奉る。』 俺の口から淀みなく言葉が流れ出る。その声に合わせて空気が震えた。 『何か』が俺の体を使い、『あの声』で言葉を紡いでいる。 『この国開闢(かいびゃく)の昔より、彼の美しき山々を守りし御陰神。 その御威光によりて、河清らかに森深く、生き物ども皆健やかにてありけり。』 力のこもった声が朗々と響く。厳かに、空気が震えている。 部屋ごと焼き尽くすかのようなとてつもない熱気が、いつの間にか鎮まっていた。 代わりに、しんと冷えた空気が部屋に満ちている。静かだ。 『その尊き御心は人どもの村々にも及び、その恵み、村々を大いに栄えせしむ。 秋来ますれば田は常に黄金の海となり、人ども大いに御陰神を怖れ敬いたり。』 上体を伏せ、閉じているはずの俺の目の前に、美しい村の景色が見えた。 整然と並ぶ棚田、風に揺れる稲穂の海。歌いながら稲を苅る、楽しげな人々の姿。 『田植えする早乙女どもの愛しきこと、御陰神に供え奉られたる御神酒の芳醇たること。 餓える者の唯一人として無く、人ども大いに増え、やがて彼の地に満つ。 これ全て、全て大いなる御陰神の思し召し也。有り難き哉、尊き御心哉。』 ああ、そうか。俺の体を使っているのは、『○瀬△□◎主之尊』。あの、川の神。
2097 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:34:01 ID:Nw8jg1uM0 『やがて時移り、人ども思い上がりて御陰神の大恩を忘る。 その行い、目に余ること多く、人どもの心、次第に荒れ果てつ。 されど慈しみ深き御陰神、なお人どもを愛で、許し、御自らを陰に封じて眠りけり。』 美しい村の景色は消え、薄暗い森の中の、大きな石が見えた。 数人の男が深い穴を掘っている。その傍らに、血塗れの女の死体。 『怖れ多くも御陰神の御寝所を汚したる卑しき者ども。目覚めし御陰神の怒り天雷の如く その祟り、卑しき者どもを焼き尽くし灰燼と化す。げに相応しき報いなる哉。 されど、臣、御陰神の御前にこの身を投げ伏し、敢えて、怖れ謹みて申し上げ奉る。 祟り神、これ御陰神の真の御姿にあらず。憤怒、これ御陰神の真の御心にあらず。 報い了りし今こそ、元の慈しみ深き御陰神に戻られんことを。 臣、自らの血をもって人どもの罪を贖い、御陰神の怒りを鎮めんと欲す。』
2098 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:35:25 ID:Nw8jg1uM0 『...血は、要らぬ。面を上げよ。』 『は。』 また、ひとりでに俺の上体が起き、眼が開いた。姫が立ち上がっている。 『もう良い。そなたが妾を助くは二度目。礼を言う。』 『畏れ多く、勿体なきお言葉。』 『妾は眠る。穢れ無き、新しき寝所にて。』 『我が新しき社に近く、相応しき場所あり。どうか、どうか其処に。 渡御頂けました暁には、臣、身命を擲ち御寝所をお守り致しまする。』 『頼む。』 ゆっくりと姫の体が傾き、床に頽れた。 立ち上がって駆け寄り、姫の体を支える。俺の体が、もう自由に動く。 震える手で姫を抱き起こし、心臓の音を確かめた。大丈夫、生きている。 『早く、此所を出なさい。 もうすぐ、この汚れた場所は焼き尽くされる。卑しき者どもと共に。』 頭の中に声が響く。あの川で会った男性の声だ。忘れられた川の神の、声。 『さあ、急ぎなさい。外へ。』
2099 :『忘却の彼方(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 15:36:47 ID:Nw8jg1uM0 姫の軽い体を抱いて部屋を出た。早く、此処から出なければ。 目眩が酷くて足下がふらつく。吐き気をこらえて廊下を抜けた。 エレベーターで一階に降り、裏口を目指す。ドアの向こうにSさんの姿が見えた。 『R君!良かった、本当に良く無事で...」 「Lさんは生きています。間に合いました。手当を、手当をお願いします。」 車の助手席に姫の体を横たえた後、俺の意識は途切れた。 『忘却の彼方(下)』 了
2100 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 16:15:05 ID:Nw8jg1uM0 ※2080 温かいお言葉、ありがとう御座います。 ※2081 藍=マサ ではありません。 古参の投稿者さまと同一視されるのは 知人と私にとっては光栄ですが、 古参の投稿者さまに失礼かと。 ※2082 ご見識に感服しました。 明日から仕事が立て込むため、 出来れば今日中に(結)まで投稿したいと思います。
2101 :2081 :2012/12/24(月) 18:51:40 ID:sd7bLCZQO 藍さま、左様ですか。 失礼いたしました。 貴殿の作品心待ちにしております。
2102 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:17:56 ID:Nw8jg1uM0 ※2101 私は代筆(代ワープロ?)者の立場ですが 知人にとって、何より嬉しい言葉かと思います。 ありがとうございました。 『忘却の彼方(結)』、準備が出来ましたので、以下、投稿いたします。 私にとって大切な作品になりそうです。 お楽しみ頂ければ良いのですが。
2103 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:19:17 ID:Nw8jg1uM0 眼が覚めると、俺はSさんの部屋、ベッドの中にいた。 隣でSさんが俺を見詰めている。優しく、穏やかな笑顔。 「やっぱり、あなた、何処にも行かなかった、約束通り。ありがとう。」 「はい。」俺はSさんを抱きしめた。しっとりと滑らかな肌、百合の花に似た、良い香り。 その夜、何度抱き合っても、お互いを求め合う気持ちを消せなかった。 翌日、俺が翠を抱き、3人で姫の見舞いに出掛けた。 ベッドの上の姫はかなりやつれていたが、意識はしっかりしていた。 「私、Rさんに助けてもらったのはこれで2度目ですね。ありがとうございます。」 翠をSさんに預け、姫の手を握った。「約束、しましたから。」 姫が頷いた。 Sさんの手当が功を奏して、後遺症もなく、姫の回復は早かった。 明日からは病院の中を散歩して良いという許可をもらっていたし、 担当医の見立て通りならあと3日、夏休みの終わる前に姫は退院できる。 それまで毎日、翠を連れて病院に通えば良い。 『翠ちゃんを抱くと元気が出ます』 そう言って微笑んだ姫の言葉を信じて。
2104 :『忘却の彼方(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:20:59 ID:Nw8jg1uM0 病院を出て、駐車場に向かって歩いていると、Sさんが言った。 「廃村の中にもう1つ、お社を造ることになったの。あの、陰神さまの御寝所として。」 「やっぱり、ただの祟り神さまでは、無かったんですね。」 「あなたの記憶の中の『◎○▲○□姫之尊』という御名前、確かに『上』の記録に残ってた。 もし、その記録の通りなら、古事記に出てくるような神々に次ぐ神格。 とても、とても古い、この地方の土着の神様。 ○◇会の奴らが女の子の死体を埋めた山は、私たちの土地の山のすぐ隣だった。 恐らく遠い昔に信仰する人々を失い、そこで眠りについておられたのね。 あの辺り一帯の山河の神々を統べる主神、『御陰神』様。」 遠い昔に忘れ去られた、もう一柱の神。
2105 :『忘却の彼方(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:22:05 ID:Nw8jg1uM0 「事もあろうに、憎悪を含んで死んだ女の子の死体を埋められて その御寝所を汚され、陰神さまは目覚め、怒り狂った。当然よね。 そして埋められた女の子の怒りの感情とも共振して『祟り神』となった。 そうなれば、私やLどころか、どんな人間でも手に負えない。たとえ、『上』でも。 R君、あなた、本当に凄い事をしたのよ。」 「いや、僕は何も。あれはあの川の神様が。」 「君があそこに行かなければ、依り代はいなかった。 もちろん、『祟り神』も鎮められなかった。」 Sさんは立ち止まり、真っ直ぐに俺を見た。 「実は、『上』から、君を正式に一族の一員に迎えたいって連絡が来てるの。 あなたのお陰で『本物の中の本物』、お金では買えない力が一族の加護に加わったから。 まあ正直な所、あなたを一族に加えておけば、 後々あの神様の助力を得やすいって計算もあるんでしょうけど。 でも、『仕事』としてお社の管理をしながら修行ができる。悪い話では無いと思う。」 俺が、Sさん達の一族の一員に。そんなことが。 「お社の造営資金は、今回も『上』が負担することになってる。 私たちへの報奨金も、前回より一桁多かったわ。」 そこまで話を聞いて、俺は以前から考えていた事を口にしようと決めた。 「Sさん、相談に乗ってくれませんか?」
2106 :『忘却の彼方(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:22:49 ID:Nw8jg1uM0 数日後、俺は母親に電話をかけた。 「何の用事?私、これでも結構忙しいんだけど。」 「あのさ、俺、本当にやりたいことを見つけた。だから大学、退学する。ごめん。」 「...本当にやりたいことって何?」 「小さなお社の宮司、いや、祭主って言った方が良いかな。」 電話の向こうで母が息を呑んだ。 「やっぱり、お前は...」 「それと、婚約者が出来た。だから是非母さんに会ってもらいたいんだ。 婚約者と、そのお姉さんに。2人のお陰で、俺、やりたい事を見つけられたから。」 母は電話の向こうで溜め息をついた。 「大学退学して祭主なんて、いきなり父さんには話せないわね。 分かった、詳しい日時と場所を決めてからまた電話して。」
2107 :『忘却の彼方(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:23:42 ID:Nw8jg1uM0 俺の生まれ育った街、その街の一番大きなホテルのレストラン。 家族パーティーなどで使われるのだろう。小さく仕切られた一室に 正方形のテーブルと4人分の座席。其処が俺の母親との待ち合わせ場所だった。 姫は高校の制服。肩まで伸びた髪をツインテールに結び、くらくらするほど可愛らしい。 翠を抱いたSさんは白のブラウスに濃紺のスーツ。胸にはお気に入りの真珠のコサージュ。 俺も今日のためにスーツを新調した、Sさんの見立てだ。 やがて、窓の向こう、俺の母がレストランに入って来るのが見えた。 大学の入学式以来会っていないが、ちっとも変わってない。元気そうだ。 スタッフが母を俺たちの席に案内する。俺たちは立ち上がって一礼した。 母も一礼して席に座り、そして眼を丸くした。「R、お前、何故黙ってたの?」 「直接話した方が面倒臭くないからね。こちら、婚約者のLさん。 そして、Lさんの姉のSさん。Sさんの娘の翠ちゃん。」 「Sさん、Lさん、僕の母です。」
2108 :『忘却の彼方(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:24:30 ID:Nw8jg1uM0 暫く母の顔は強張っていたが、やがて微笑んだ。 「電話で息子からお名前を聞いた時、その名字で、もしやとは思いましたが、 お二人は『本家』の姫君ではありませんか?」 Sさんと姫が頷いて微笑む。大輪の花が咲いたようだ。 「はい、お母様のお見立て通りです。私たちはもちろん、一族の者も皆、 この度の良縁を心から感謝しております。」 華やかな、Sさんの笑顔。 「出来れば力を使わず、普通に暮らしてもらいたかったのですが、 お相手が『本家』の姫君とは...やはり、『業』からは逃れられないのですね。」 母は、ふう、と息を吐いた。見たことの無い、暗い表情。 『業』とは一体? 「Rさんは持って生まれた力と向き合う覚悟をお持ちです。 私は既に二度、Rさんに命を助けて頂きました。一生かけて、御恩返しをいたします。」 姫の、透き通った声。母の心が大きく揺れたのが分かる。一つ、封印が解けた。
2109 :『忘却の彼方(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:25:16 ID:Nw8jg1uM0 「私の祖母は『分家』の出身です。 一族のものと考えが合わず、放逐同然で家を出たと聞いています。 『業』の秘密は母と私だけに伝えられ、一切の力は秘匿されました。 祖母と母、特に祖母はかなりの力を持っていましたが、私の力はさほどでもなく、 次の代になれば『業』も薄まるだろうと期待しておりました。ところがこの子が生まれ、 祖母をも凌ぐ力を持っていることが分かった時は、目の前が真っ暗になりました。」 「それで、Rさんの感覚の一部を、封じて下さったのですね?」 Sさんの優しい眼差し。 「はい、感覚を抑えておけば力が発現するのを遅らせる事が出来ますし、 あわよくば一生力が発現しないままで過ごせるかも知れない、と。」 ...母も力を持っていて、そして俺の力が発現するのを抑え、守ってくれていた。 そうでなければ、俺の人生は今とはまるで(おそらく悪い方向に)変わっていて、 SさんにもLさんにも出会えなかったろう。 今は、母の秘めた愛情に心から感謝する気持ちで一杯だった。
2110 :『忘却の彼方(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:25:58 ID:Nw8jg1uM0 突然、翠がぐずり出した。Sさんがあやすが泣き止まない。 子供好きの母が立ち上がり、Sさんから翠を受け取って抱き上げた。 翠は暫くして泣き止み、次の瞬間、母は呆然と俺を見た。 「R、お前。何故最初に。」 「どう話して良いか分からなかったし、嘘は付いてないよ。」 「嘘なんて。」 母の眼が泳いでもう一度翠を、そしてSさんを見る。 Sさんは母の視線を優しく、しっかり受け止めて、小さく頷いた。「はい。」 母の表情が忙しく入れ替わる。驚き、戸惑い、あきらめ、喜び? 「お嫁さんが1人、婚約者が1人、娘が1人。 え、孫? 私、もう『おばあさん』なの? 信じられない...第一、これ、父さんにどう説明したら良いのよ?」
2111 :『忘却の彼方(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:26:46 ID:Nw8jg1uM0 食事が終わる頃には、母はSさん・Lさん2人とすっかり打ち解けていた。 腕には翠を抱いたままだ。もう一時間近く、翠を離さない。 「欲しかった娘がいっぺんに2人。それに孫が1人、それもこんなに可愛くて。 私、本当に果報者です。R、もし、この方々を泣かせたら、私が許しませんよ。」 「分かってます。だから父さんに上手く説明して下さい。」 「自分で説明しなさい。上手い説明なんてある訳無いんだから。」 「本当に俺が説明して良いの?母さんの力の事も一緒に?」 「この馬鹿息子!もう少し、母親を労ろうって気になっても罰は当たらないわよ?」 姫が必死で笑いを噛み殺している。Sさんはそんな姫を見てきょとんとしていた。 「Rさんの、お母様と、Sさんは。」 必死でアイコンタクトを試みたが、無駄だった。 「Rさんのお母様と、Sさんは、何だかとても良く似ていますね。」
2112 :『忘却の彼方(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:27:53 ID:Nw8jg1uM0 「R君のお母様、素敵な方ね。感じが良くて。」 ...やっぱり来た。姫は隣のベッドで翠の添い寝をしている。後方支援は期待できない。 「でも意外、R君ってマザコンなんだ? セーラー服が好きだから、むしろロリの気があるのだとばかり思ってたのに。 私を好きになったのは、お母様に似てたから?」 言い終わって眼を伏せ、Sさんは軽く下唇を噛む。 『非常事態警報発令!非常事態警報発令!非常事態...』 姫、初めてあなたを恨みます。何故、俺にこんな試練を? 「え、Sさんは母には似てませんよ?第一、母はSさんみたいに美人じゃないです。 自分の眼で見たんですから、それは判ってますよね?」 「ふうん、じゃ何故Lは『似てる』って言ったのかしら?」 研ぎ上がったばかりの日本刀のような、Sさんの眼差し。 文字通りの正念場。落ち着け、考えろ、俺。 「多分、『接し方』じゃないですか?僕に対する。」 「『接し方』?」 「Sさんはいつも一歩退いた所から僕を見守ってくれるじゃないですか。 包容力が有るって言うか、器が大きいって言うか、表現が難しいですけど。」
2113 :『忘却の彼方(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:29:00 ID:Nw8jg1uM0 「それで?」 「母が力を持ってて、僕を守ってくれていたこと、今日初めて知りました。 そんな風に、きっとSさんが僕を想ってくれる気持ちに、 これから僕が気付く事がきっと沢山有るんですよ。 ああ、Sさんは僕の事をこんなに大事にしてくれてるんだって。 それを予知して、Lさんは『似てる』って言ったんだと思います。とても、鋭い人ですから。」 少し、Sさんの眼差しが緩んだ。 「だから『結果的』に、僕に対する2人の『接し方』が似てただけですよ。 多分、それは似てるっていうより『女性』とか『母性』に共通する美点なんです。 そもそも、僕がSさんを好きにならなければ、 Sさんは僕にそういう『接し方』をしてくれなかった筈ですよね?」
2114 :『忘却の彼方(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:30:44 ID:Nw8jg1uM0 Sさんは俺の頭を優しく撫でた。 「合格、かな。ホントは私、分かってたのよ。あなたはマザコンなんかじゃないって。」 確信があるなら、今夜わざわざこの話題を持ち出す必要はない。ネタならともかく。 とんでもない力を持っていても、これほどに美しくても、 約束通りに俺が毎晩一度は『綺麗だ』と囁いても、この人にはまだ、自信が足りない。 だから時々、不安になる。 そんな時は、否定的な答えを知るのが怖くて、人の心を読みたくないのだろう。 Sさんの、時に強引にも思える行動は、恐らくこの臆病さの裏返しなのだ。 俺だけに見せてくれる弱さ、それがどうしようもなく愛しい。思わずSさんを抱きしめる。 Sさんの不安を癒してあげられるのは、俺と、姫と、そして翠だ。 「そうです。Sさんは、世界一綺麗で、世界一素敵な女性ですから。 世界一、ですよ。もう、マザコンなんてちゃんちゃら可笑しくて。」 「ありがと。」 Sさんが小さく息を吐いた。 ふと、Sさんの御両親のことを思う。俺はSさんのことを、未だほとんど知らない。 『非常事態宣言解除、通常勤に戻せ。繰り返す。非常事態宣言解除...』 『忘却の彼方(結)』 完
2115 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/24(月) 21:38:24 ID:Nw8jg1uM0 こんばんは、藍です。 折角の聖夜。 私たちのお話にお付き合い頂いた皆様、有り難う御座います。 私の仕事等、諸般の事情により、知人が原稿を送付してくれても 暫く投稿は出来ない状況です。それでは皆様、良いお年を。
2116 :名無しさん :2012/12/26(水) 00:36:43 ID:AZD/qVWw0 ありがとう!良いお年をー!
2117 :名無しさん :2012/12/26(水) 15:00:19 ID:KSXu0Ysc0 マサさんの人 ひとまずご苦労様です 御武運と御無事を祈ります そして戻ってくることを願い 待ちつずけます 藍さんもお仕事忙しい中 長文ご苦労様でず ご友人の方のお話だそうですがとても面白いです もっといろいろな話があればどんどん投稿して欲しい位です 藍さんのペースでのんびりでもいいので 楽しみにして気長にお待ちしております
2118 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:21:07 ID:AV44qLro0 こんばんは、藍です。 ※2116 ※2117 温かいお言葉、ありがとうございます。 さて、先日、知人と電話で話したところ 『忘却の彼方』の中で、女神さまの一人称が 『妾(わらわ)』ではなく、『吾(われ)』だと指摘されました。 完全に見間違ってました。先入観って怖いですね。お詫びして訂正致します。 その電話の中で「タイムリーなお話だから、是非この時期に。」と頼まれたので 短めのお話を一話、投稿致します。お陰で寝不足です。
2119 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:31:29 ID:AV44qLro0 廃村の中に御陰神さまの御寝所、新しいお社が完成した。 一連の祭礼も滞りなく進み、御遷座の祭礼の日。依り代になった縁から、 御陰神さまのお社に関わる全ての祭礼は姫が指揮を執っていた。 時々、戸惑っている様子も見られたが、全体としては手際良く祭礼を進めている。 祭礼の期間中、翠を抱きながら姫を見守っていたSさんは、満足そうに言った。 「うん、一人前。Lも、もう大人ね。」 それから俺を見て、悪戯っぽく笑う。 「あの凛々しい姿。惚れ直したでしょ?」 「はい、それはもう。結い上げた髪も、首筋の線も、非の打ち所がありませんね。」 「...何だか見るべき所がずれてるような気がするけど。 もう、そろそろ『良い』んじゃないの?あなた達。相談なら、いつでもOKよ。」 「何もこんな所でそんな話を。第一、それはLさんの意志が最優先ですから。」 「ふうん、私、Lは『待ってる』と思うけど。」 「だ・か・ら、今その話は無しで。罰が当たったらどうするんです。」 「悪い事する訳でもないのに、罰が当たる筈ないでしょ。ね〜。」 Sさんは翠の頬を指先で触った後、頬ずりをした。
2120 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:33:11 ID:AV44qLro0 初めてこの廃村に来た時、森は深い緑に包まれていた。 そして今、森を様々な色に染め上げた紅葉が、秋の深まりを知らせている。 俺がお屋敷で暮らし始めて3度目の冬が、静かに近付いて来ていた。 2つの新しいお社、俺はその管理を『上』から委託されている。 お社やその周辺の掃除、Sさんや姫の指導を受けながらの定期的な祭礼。 俺も一族の末席に名を連ねる事になり、日々の仕事と修行に精を出していた。 そして、冷え込んだ日には時折雪がちらつくようになった12月中旬のある日。 Sさんと翠が姫の部屋で寝た晩、俺は1人自分の部屋で寝ていた。 (姫の部屋のベッドは3人で満員、当然俺がはじき出される。これは結構寂しい。) 不思議な、夢を見た。
2121 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:33:54 ID:AV44qLro0 「久し振りだね。」 あの川で会った初老の男性、川の神様だ。 「はい、お久し振りです。その節は私たちを助けて頂き、何とお礼を申し上げて良いか。」 「いや、御陰神さまをお諫めするのは私の役目。礼には及ばない。 むしろ、社を日々しっかり管理して貰い、こちらこそ感謝している。今後とも宜しく。」 「はい、心を込めて務めさせて頂きます。」 男性は満足そうに眼を細めた。 「ときに、君の使っていた釣り道具だが。」 「はい。」 俺の釣り道具?あの時のフライフイッシングに使っていた? 「あれは海、というか河口の釣り場でも使えるのかね?」 「使えることは使えますが、あの仕掛けで海の魚は心許ないです。」 「そうか、海の魚、例えば鱸を釣るのに良い道具はないかな。」 「スズキでしたらフライよりもルアー、疑似餌を使う方が良いと思います。」 「ルアー...では2種類の釣り道具をそれぞれ一式ずつ社に納めて貰いたい。 それと、酒。これは洋酒では無く日本酒を。」 「釣りを、なさるのですか?」 「うん、年末に旧友の招待を受けているのだが、 会うのは本当に久し振りなので、何か土産話をと思ってね。」
2122 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:35:25 ID:AV44qLro0 朝食の後のお茶の時間、その夢の話をするとSさんは微笑んだ。 「きちんとしたお社が出来たから、『外出』を御考えになっても不思議じゃ無い。 相応しい御品を納めて差し上げなさいな。絵馬みたいに、拝殿の壁に飾って。」 翌日、俺は街の釣具屋に出掛け、フライとルアーの釣り具一式を買い揃えた。 俺のお気に入りのルアーと、プロが丁寧に巻き上げた美しいフライも買った。 日本酒は、大学の教授に教えてもらった銘柄。『ま○ろし』、相応しい名前だ。 拝殿の壁にディスプレイした釣り具を、姫は、『綺麗ですね』と言ってくれたので まあ間違いない選択だったのだろう。しかし、最初に奉納されたのが 絵馬とかでなく、釣り具?釣り好きの店主がやってる喫茶店や床屋じゃあるまいし 本当に、これで良いのか?
2123 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:39:27 ID:AV44qLro0 いよいよ大晦日。天気が良いので、気温の割に暖かく感じる。 御陰神さまのお社の掃除を済ませ、川の神様のお社に向かった。 Sさんは車の中で翠と一緒に待っていて、俺と姫が掃除をする。 姫は本殿の周辺、俺は拝殿と参道の周辺、手分けをして作業を進めた。 いよいよ参道の掃除が終わるという時、拝殿の前に人影が見えた。 Sさんが様子を見に来たのだろうか?と思ったが、違った。 「やあ、釣り具を納めてくれてありがとう。美しい釣り具だ、気に入ったよ。」 ...川の神様だ。俺が納めた釣り具と日本酒を持っておられる。 「気に入って頂けて何よりです。」 「うん、それで、今日は折り入って頼みがある。」 「何でしょう?」 「この釣り具を試してみたのだが、どうも上手くいかなくてね。 ここは『餅は餅屋』で。実演は、やっぱり君に、任せようと思う。」 「何処で、実演をするんですか?」 「旧友の所だよ。招待してくれてる旧友の社の前に河口があるんだ。」 神様の旧友って、やっぱり神様ですよね。旧友の社って仰ったし。 「そこで釣りをしたら夢中になって帰れなくなるってことは?」 「大丈夫、細君との約束は守る。第一、君を帰さなかったら 社の管理をする人がいなくなるだろう。そうなれば困るのは私だ。 それに君たちの時間ではほんの一瞬、何の問題も無い。」 神様相手に断るという選択肢があるのかどうか。 例えあったとしても、実際に断る勇気が俺には無かった。 「では、行こう。」 川の神様が俺に釣り具を手渡し、背を向けて歩き出した。 慌てて後を追う。鳥居をくぐった瞬間、目眩がして思わず眼を閉じた。
2124 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:42:20 ID:AV44qLro0 眼を開けると、俺は大きなお社の参道に立っていた。 参道の脇には大きな花茣蓙が敷かれ、沢山の男達が車座になって酒盛りをしている。 川の神様が人々に近付いていく。俺も後に続く。 「△木野の主、招待、感謝する。」 「おお、○瀬の主。来てくれたか、随分久し振りだ。まあ、飲め。 おや、その美丈夫は?」 「我が社の祭主だ。釣りの技に秀いでているので、座興にと思い連れて来た。」 俺も慌てて頭を下げる。「Rと申します。お見知りおきを。」 「ほう、釣りの技に。面白い、明るい内に早速見せてもらおう。 皆の者、○瀬の主が釣りの上手を連れてきたとの事。河へ参るぞ!」 あの、あんまりハードル上げないで下さい。俺、一応人間なんで。 男達は立ち上がってぞろぞろと歩き出し、お社の前に流れる河に向かった。 後から酒と肴を捧げ持って、従者らしき人たちも続く。 河幅は広く、数百m下流はもう海。ここが、その、河口の釣り場か。 「疑似餌の釣りは見たことがある。毛針の釣りを見せてくれ。」 「はい。」
2125 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:44:17 ID:AV44qLro0 『実演』なら、見栄えが全てだ。ティペットに極彩色のストリーマーを結ぶ。 小魚を模したフライなので大きく、ピンクと青の羽毛に銀色のフラッシュが美しい。 男達は杯を傾けながら興味津々で俺を見ている。 「あれも毛針か?」 「何やらきらきら光って、バケに似てるな。」 ゆったりと、竿を前後に振りながらラインを繰り出していく。 男達が黙る。しん、とした静けさ。 ラインが充分に出たところでキャスト、『おお!』というざわめき。 4回目のキャスト、フライを川縁に沿って流すとアタリがきた。 アワセをくれ、リールを巻いて魚を寄せる。40cm程の小さなスズキ。 あくまで『実演』だ。それに今日はナイフを持っていない。 フライを外し、可愛いスズキを河へ戻した。 俺は振り向いて片膝をつき、観客に向けて頭を下げた。「お粗末様です。」 湧き上がる拍手の中、男達の中から1人の男が歩み出た。拍手が止む。 「神職のくせに西洋かぶれとは情けない。皆様方、釣りは道具ではなく、腕、ですぞ。」
2126 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:49:44 ID:AV44qLro0 身長180cmを優に超える偉丈夫だ。右手に竹竿を持っている。 立ち姿が、堂に入っていた。これは、相当な腕の持ち主だ。 川の神様がにっこりと笑う。 「やはり出てきたか、住吉○の主。見ての通り、この者は中々腕も立つぞ。」 「では是非、勝負を。宜しいですかな?△木野の主。」 「面白い。益々宴が盛り上がる。異存ないな、○瀬の主?」 「もちろんだ。R、頼むぞ。」 ちょっと待って下さい、余興で『実演』、のはずですよね? 「勝負となれば、どうか使い慣れた疑似餌を使わせて頂きたく。」 「構わん。仕掛けは任せる。」 △木野の主様は上機嫌で杯の酒を飲み干した。 ルアーの竿を継ぎながら川の神様にそっと尋ねる。 「負けたら帰れないって事には、ならないですよね?」 「案ずるな。勝負事は酒の肴に最適。勝っても負けても問題ない。」
2127 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:51:33 ID:AV44qLro0 「太陽があの山に沈むまでに釣り上げた魚で、勝負を決める。両名、それで良いな?」 △木野の主様の御声が響いた。 「は。」 並んで頭を下げながら相手の釣り具を観察する。 2m半程の竹竿。太い、おそらくは麻の釣り糸。釣り針は貝殻か鹿の角の削りだし? リールがないから遠投は出来ない。川縁近くを狙う釣り、か。 「では、始め!」 男達がやんやと騒ぎながら杯を傾ける。すっかり出来上がった方々も多い。 案の定、相手は川縁近くに仕掛けを投げ込んだ。 川縁だけでは大物を期待できない。手返しの早さ、『魚の数』で勝負する気だろう。 すぐに60cm位のスズキを釣り上げた。男達から歓声が上がる。 俺はゆっくりと川縁を歩き、慎重にポイントを探した。 何処かに澪筋、深みがあるはず。大物は、多分其処に居る。 俺には初めての釣り場、この釣り場を知っている相手に対抗するなら 相手の仕掛けの届かないポイントで大物を狙う他に勝算は無い。 『住吉○の主』と呼ばれた相手は既に数尾を釣り上げている。 大柄な体に似合わず、身軽に岩場を飛び回り、次々と新しいポイントを探っているようだ。 太陽は既に低く、山の稜線に近付いている。期限まで、おそらくあと20分余り。 突然、俺の目の前で数尾の小魚が跳ねた。眼を凝らす。 十数m先で水の色が変わっている。深い、澪筋だ。
2128 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:53:03 ID:AV44qLro0 跳ねた魚は小さなボラだった。リーダーにミノー(小魚型のルアー)を結ぶ。 空を見た、小さな雲が太陽に向かって流れて行く。よし、あの雲を待とう。 「どうした客人、もう時が無いぞ。」 誰かが叫ぶ。 俺は振り向き、胸に左手を当てて大袈裟に最敬礼をした。男達がざわめく。 一か八かの大芝居だ。まあ、酒宴での余興だし、派手な所作ほど受けるだろう。 雲が太陽を隠した、辺りが薄暗くなる。好機。 ルアーをキャストし、澪筋に添って泳がせた。 澪筋から川縁へのかけ上がり、ふっ、と巻きが軽くなる。 掛からなかったが、この反応。やはり、何かいる。 焦る心を抑え、ゆっくりと数えて間を取る。 ...98、99、100。よし、もう一度キャスト。リールを巻く。 同じ場所でガクン!と強烈なアタリ、思い切りアワセをくれる。 竿が満月にしなり、ドラグが効いてラインが出ていく。男達の歓声。 しっかり、リーダーシステムを組んである。スズキなら多分、大丈夫だ。 「ほう、ああやって竿をあおり魚を寄せるのか。」 「確か、ポンピング、とか。」 男達が好き勝手に話しながら俺を見ている。 数分のやりとりの後、魚が水面に浮いた。デカい、メーター級の大スズキだ。 リーダーを掴み、スズキを抜き上げる。男達の大歓声。
2129 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:54:36 ID:AV44qLro0 「数と総重量では住吉○の主、大物では客人。見事な勝負だった。 私の独断で、この勝負引き分けとする。皆の者、それで良いな?」 男達が代わる代わる俺の肩を叩き、祝福の声を掛けてくれる。 「確かに、見事な技だった。」 太い腕で肩を抱かれた。住吉○の主様だ。 「いや、こちらこそ素晴らしい釣りを見せて頂きました。」 「ルアーでの釣り、今度私も試してみるとしよう。」 男達はお社の参道の脇に戻って酒盛りを再開するようだ。辺りは既に薄暗い。 松明の明かりの中、川の神様が俺に向かって手招きをする。 「期待に違わぬ働き、私も鼻が高い。これを。」 なみなみと酒を注いだ杯。 「これを飲むと帰れない、とか、ありませんか?」 「もう信用してくれても良いんじゃないか?ほら、ご覧。君が納めてくれた酒だ。 ここのものではないから飲んでも大丈夫。ただ、ここの料理を食べるとまずい事になる。 料理を勧められる前に、これを飲んで早く帰り給え。」
2130 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:55:53 ID:AV44qLro0 緊張していたので喉がカラカラだ。杯を受け取り、一気に飲み干す。く〜っ。美味い。 「それでは失礼いたします。」 「ご苦労だった。」 「おや、客人はもうお帰りかな?そろそろ料理の準備も整うが。 鱸は美味いぞ。焼いても刺身でも。」 △木野の主様だ。 「明日の祀りに障りがあると困るので、先に帰らせる。」 川の神様が微笑む。 「うむ、それにしても見事な釣りの腕、眼福であった。 ところで客人は神職なのに、帯剣していないようだが。」 「未だ半人前にて。」 「ふむ。では、これを。今日の褒美だ。」 △木野の主様が腰の短剣を取って俺に差し出した。 「それはあまりに恐れ多く。」俺は頭を下げた。 「R、断るのはむしろ失礼。頂きなさい。」 「は。」 俺は膝をついて短剣を押し戴いた。 「今日は楽しかったぞ。」 △木野の主様の笑顔は、何処か俺の父に似ていた。
2131 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 03:57:10 ID:AV44qLro0 「Rさん、Rさん。どうしたんです。」 姫の声だ。あれ?俺はさっきまで...。 俺は川の神様のお社、参道に立っていた。夢、か? 「Rさん、それは?」 俺が持っていた筈の竹箒が足下に落ちている。 俺の両手は、長さ40cmほどの短剣を握っていた。 「これ、本当に?」 短剣を持ち替えて、柄を右手で握った。 「駄目です!」 姫が慌てて俺の手を押さえる。 「え?」 「その剣を、理由無く抜いてはいけません。『収まり』がつきませんから。」 「抜いてはいけない?」 「はい、一体何処でその剣を?川の神様から頂いたのですか?」
2132 :『大晦の宴』 ◆iF1EyBLnoU :2012/12/30(日) 04:00:10 ID:AV44qLro0 「その神様が仰った通り、お社の管理をする時に帯剣すれば良いのよ。」 夕食後のコーヒーを飲みながらSさんが言った。 「『上』に報告する必要はありませんか?」 「勾玉と同じです。神様が持ち主を指定なされたのですから、 この剣をRさん以外の人が持てば障りが有ります。それも『祟り』級の障りが。」 「それにしても。」 Sさんは苦笑した。 「おとうしゃん、まぶちいでしゅね〜。」 姫が翠を抱きしめる。 元旦の朝を、俺は1人、自分の部屋で迎えることになった。無理も無い。 俺の全身を覆う夥しい『光塵』は、夜明け近くまで煌々と光り続け 俺の部屋を明るく照らした。その夜、俺は一睡も出来なかった。 『大晦の宴』 完
2133 :名無しさん :2012/12/30(日) 22:11:13 ID:07poUHPU0 藍さんこんな時期にありがとう。 てっきり今年はもう投稿ないと思ってたからチェックが遅れてしまったわ。 悔しいけど読めて嬉しいw なんだか読んでるこちらまで清々しい気分になりました。ありがとう! 寝不足にさせて申し訳ないけど今度こそ良いお年をお迎えください。 作者の方にもよろしくお伝えくださいね。
2134 :名無しさん :2012/12/31(月) 02:00:14 ID:MmKV4ceA0 祟られ屋シリーズ終わりかよ
2135 :名無しさん :2012/12/31(月) 23:47:57 ID:Wqgh0PJw0 今年最後と思って覗いたら、大更新されてた・・・ マサさんの人 最初の投稿からずっと読んでいます。 願わくばこれが最後の投稿にならない事を祈っています。 吉報を期待してます。
2136 :名無しさん :2013/01/02(水) 13:27:34 ID:ahh4N0ScO マサさんの話を追っかけて やっとここ見つけました。 文字触れ合うのも多生の縁。 諦めずに戦い続けているであろう マサさんの人を 葉っぱの一枚として、心から応援していますよ! みんなの こえ が おおきな き になりますように。
2137 :名無しさん :2013/01/03(木) 20:52:54 ID:D8WPVgfw0 マサさんの方へ。 いつも大変興味深く読まさせていただいております。 勝手な言い分ですが、私も吉報をお待ちしております。
2138 :名無しさん :2013/01/04(金) 23:07:31 ID:13kgeT6U0 シリーズ・関連モノ で 「祟られ屋」に「病める薔薇、白い蛇」があるのが正しいのですけれど 「◆iF1EyBLnoU」にも誤って?「病める薔薇、白い蛇」があります
2139 :名無しさん :2013/01/05(土) 18:14:16 ID:ry4yPf220 マサさんの人 無事に帰って来て書き込みをして下さい。 藍さん 入力お疲れ様です。 作者にもおもしろいとお伝え下さい。
2140 : ◆sX1r1uNleA :2013/01/05(土) 18:19:44 ID:ry4yPf220 ここのまとめにある「何でもいいから怖い話を集めてみない?」の Part2「もののべのはらえ」を読んだ時の話をさせて頂きます。 Part2の話を不思議だなとか面白いと思いながら 上から順に読んでいた。「もののべのはらえ」のタイトルを 見た時に漢字で書くと「物部の祓い」でないかと思った。 話を読めばわかるかなと期待してタイトルを押した。 今まで順調に表示されていたのに今回は話が表示されない。 ネットの調子が悪いのかと思い、調べるが問題ないようだ。 再び「物部の祓い」のタイトルを押した。 ・・・アクセスしているが表示されず。色々と試行錯誤するが 話は表示されない。あきらめて、アクセスしたまま、 インスタントコーヒーを入れに行った。
2141 : ◆sX1r1uNleA :2013/01/05(土) 18:24:54 ID:ry4yPf220 戻ってくると画面に話が表示されていた。 読もうとすると文字が二重に見えて画面全体が 輝いて見える。なかなか文字にピントが合わない。 酷い疲れ目だなと思い、無理しながら読み進んでいった。 話の中に漢字で書かれていたタイトル名があったので 思い違いでないことがわかった。どの祝詞なのか興味が 出てきたので調べ始めた。相変らず、検索中は アクセスしているけど見たいページは表示されないことが 続いたが、何とか調べることはできた。 自己満足できたので、次の話のタイトルを押すとすぐに 話がを表示された。疲れ目は治ったようで 文字が普通に読めたので、そのまま読み進めた。 最後の話を読み終わって冷めたコーヒーを飲んだ後、 ふと思い出したように気づいた。 「もののべのはらえ」に出てきた世界を垣間見たのか。
2142 :名無しさん :2013/01/06(日) 04:16:39 ID:lzN1nlXE0 祟られ屋 第2部が 始まると期待している
2143 :名無しさん :2013/01/06(日) 11:52:18 ID:okXDYmr60 祟られ屋さん、ホントに死んだのかな? はよ帰って来ておくれ~
2144 :名無しさん :2013/01/06(日) 23:04:47 ID:bOPiSFV.0 >>290 (^-^)/lp()
2145 :名無しさん :2013/01/06(日) 23:50:01 ID:bOPiSFV.0 間違いました、すいません。
2146 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/07(月) 01:23:55 ID:ymdE81sE0 明けましてお目出度う御座います。藍です。 ※2133 ※2139 皆様の温かいコメントに心から感謝致します。 管理人様のご厚意でまとめサイトにも掲載して頂き、 知人も喜んでくれました。投稿して本当に良かったと思っています。 さて、年末年始、怒濤の連続勤務を終え、ようやく休みが取れましたので 知人から「大晦の宴」と一緒に送られてきた作品に取りかかりました。 次の連休あたりに投稿出来ればと思っております。
2147 :名無しさん :2013/01/07(月) 19:30:48 ID:zHCZcO7U0 >>2146 無理にとは申しませんがレスアンカーは※ではなく>>(半角不等号2つ)を使っていただけると助かります
2148 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/07(月) 22:00:38 ID:ymdE81sE0 >>2147 ご指摘有り難う御座います。 新参の半端者ゆえ、その他にもお気付きの点がありましたら 是非、御指南下さい。
2149 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:27:07 ID:TTMOeudQ0 こんばんは、藍です。 急に仕事の予定が変更になりましたので 夜勤の前に『光と影(上)』を投稿致します。
2150 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:31:50 ID:TTMOeudQ0 枕元で目覚まし時計が鳴っている。まだ、眠い。 昨夜、図書室で資料を調べていたら夢中になり、気が付いたら既に明け方。 Sさんや翠を起こしてしまうと心苦しいので、自分の部屋で仮眠を取っていた。 そろそろ、姫を高校へ送る時間。起きなければ... 「起きて下さい。もう、時間ですよ。」 しまった、二度寝したか? 誰かが俺の体に覆い被さっている。毛布越しに感じる体温、右の瞼と頬にキスの感触。 眼を開けると姫が俺の顔を覗き込んでいた。 「今朝は寝坊助さんですね。」 白く細い指が俺の髪を撫でる。 自分の心臓の音が耳の中に大きく響く。姫にも、この音は聞こえているんじゃないのか? 姫の腰に右腕を廻し、体を入れ替える。 「あっ。」 制服姿の姫が俺の腕の中にいた。 「こんな起こし方して。僕が『その気』になっちゃったらどうするんです?」 照れ隠しの、冗談のつもりだった。 しかし、姫は真面目な顔で俺の目を真っ直ぐに見詰めた。
2151 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:32:42 ID:TTMOeudQ0 「私は...私はそれでも良いです。」 「え?」 心臓が、止まるかと思った。 「でも、今は駄目。これから、学校ですから。」 ふわり、と、姫は俺の腕をすり抜けた。ベッドの端に座り、髪と制服を整える。 「Rさん、とても眠そうだし、今日はSさんに送ってもらいますね。」 呆気にとられる俺を残したまま、姫はドアを閉めて出て行ってしまった。 暫く動悸が収まるのを待って部屋を出ると、お屋敷の中にはもう誰もいない。 仕方が無いので1人で朝食を食べ、コーヒーを淹れる。 一時間ほどすると、Sさんが翠を抱いて戻ってきた。 「な〜んだ。元気そうじゃない。Lが『体調悪そう』って言うから心配してたのに。」 「ただの寝不足ですよ。それより...」 いや、あれ、何て説明すれば良いんだ? 「それより、何よ?途中で止めたら気になるでしょ。」 しまった。つい、口を滑らせた。Sさんが相手では、もう。
2152 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:33:35 ID:TTMOeudQ0 俺が話し終わると、Sさんは右手を額に当てて俯いた。 「R君。」 「はい。」 「Lがそこまで思い切ったのに、どうして学校に行かせちゃったの?」 「どうしてって言われても。Lさんは『これから学校ですから』って。」 Sさんは大きく溜め息をついた。 「馬鹿ね。Lが『じゃあ、今、その気になって下さい』なんて言える訳ないじゃないの。 そのまま最後までしちゃえば良かったのよ。L、可哀想に。 もうすぐ就職休みなんだから、1日くらい学校休んでも問題ないでしょ。」 「そんな、だって、Lさんが僕を起こしに行って帰ってこなかったら。」 「ホントに馬鹿ね。私、それ位の気は回るわよ? こんな時、男の方が主導権を取らなかったら話が進まないんだから。」 「いや、でも。」 「もう、何?」 「僕が、初めての時は、その...Sさんが。」 Sさんの頬が見る見る真っ赤に染まる。 「馬鹿!」 「痛たたたた。」 思い切り左頬をつねられた。 「私は年上だし。あの時は、Lの事もあって。」 「でも。Sさんは」 「もうその話はお終い!今はLの話だから、良い?」 「はい。」
2153 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:34:22 ID:TTMOeudQ0 「就職休みに入ったら2人で旅行、良い考えでしょ。前に行った温泉なんてどう? 風情があるし、慣れてる場所ならLもあんまり緊張しないはず。予約はしておくから。」 「2人で旅行って、2人きりで、ですか?」 「あ・た・り・ま・え・です。みんなで出掛けたらLが気兼ねするに決まってるじゃない。 それから、ちゃんと自分でLを誘いなさいよ。私に言われたってのは絶対NG。」 その日の午後、俺はいつものように姫を迎えに出た。 終業のチャイムが鳴り、暫くして裏門から姫が出て来た。車に向かって歩いてくる。 俺は車を降り、姫から鞄を受け取って助手席のドアを開けた。 姫が軽く会釈をして助手席に乗り込む。 ドアを閉めて運転席に戻り、鞄を後部座席、ベビーシートの脇に置く。車を出した。 姫は窓の外を見て黙っている。とてつもなく気まずい時間。
2154 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:35:04 ID:TTMOeudQ0 「高校、もうすぐ就職休みですよね。」 「はい。」 姫はまだ窓の外を見ている。 「何日から休みですか?」 「講座があるので、本当のお休みは16日からです。2月16日。」 やはり窓の外を見たまま、姫は小さな声で答えた。 「休みに入ったら旅行に行きましょう。2人きりで。」 「えっ?」 姫は驚いた顔で振り向いた。 「やっと、こっちを向いてくれましたね。ホッとしました。」 「だって、私、今朝あんな事。恥ずかしくて。」 「恥ずかしくなんかありません。嬉しくて、ドキドキしました。」 「そう、ですか?」 「でも、旅行に行くまであれは禁止ですよ?心臓が、持ちませんから。」 「はい。」 姫は一言『嬉しい』と呟いたあと、俺の左肩に頭を預けてずっと眼を閉じていた。
2155 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:35:44 ID:TTMOeudQ0 就職休みに入って4日目、旅行の前日。 姫は昼過ぎから夕方まで、嬉しそうに荷物をまとめたり服を選んだりしていた。 今夜は俺が当番。ベビーベッドの中、翠の様子に気を配りながら夕食の支度を進める。 料理が出来たところに姫がやって来たので配膳を任せ 俺は屋根裏部屋の『観測室』にSさんを呼びに行った。 ドアをノックする。 「どうぞ。」 Sさんは天窓から上体を乗り出して夜空を観測していた。 「夕食の準備が出来ました。」 「了解。」 天窓を閉め、Sさんが階段を降りてくる。少し表情が暗い。 「何か悪い兆しでも?」 「う〜ん、悪い兆しという程でもないけど。流星が少し、ね。 でも、旅行の時期は変えられないし。」 Sさんは首を振って、ふっ、と息を吐いた。 「Lはもう一人前だから過保護は良くない。大丈夫。」 Sさんは左手の薬指を舐め、何か小声で呟きながらその指で俺の額に触れた。 あ、これ前にも... 「R君、夕食なんでしょ?先に降りるわよ?」 え?今、俺は何をしてた?観測室のドアをくぐるSさんの後ろ姿。 「待って下さい。僕も一緒に降ります。」
2156 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:36:52 ID:TTMOeudQ0 2月20日、旅行当日は晴天になった。 2月にしては暖かく、格好の旅行日和だ。 2人分の荷物を持ち、玄関を出ようとすると姫が振り向いた。 「私、先に車に行って待ってます。Rさんは後から来て下さい。」 Sさんと翠に挨拶してから、ということか。胸の奥が、じぃん、と熱くなる。 背後から肩を叩かれた。翠を抱いたSさんが微笑んでいる。 「こんな気遣いが出来るなんて。やっぱり、L、大人になったわね。 R君もLを見習って。間違っても毎晩電話なんてしちゃダメよ。 旅行が終わるまでの4日間、Lの事だけを考えてあげて。」 「でも」 Sさんは俺の唇に人差し指を当てた。 「私は大丈夫。4日間も翠を独り占め。悪い話じゃないでしょ?」 指示通り、黙って翠の頬とSさんの唇にキスをした。 「それとね、これ預かって。」 Sさんは白い布で出来た小さな袋を俺の掌に載せた。 綺麗な刺繍、袋の口を縛る赤い糸。これは、前に何度か見たことがある。 「何か困った事があったら、これをLに渡して。使わずに済むなら良いけど やっぱり心配だから。使わなかったら後でちゃんと返してね。」 Sさんは軽く俺の背中を押した。 「はい、いってらっしゃい。あんまり待たせちゃ駄目。」
2157 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:37:53 ID:TTMOeudQ0 「お待たせしました。出発しましょう。」 「はい。」 姫の輝くような笑顔。 半日かけて車を走らせ、予約の時間より少し早く旅館に到着した。 荷物を持ってフロントへ向かう。自動ドアをくぐり、旅館のロビーに入った。 その瞬間、奇妙な違和感があった。前回来た時とは全然違う。何だ、これは? 素早く『鍵』をかけ、それとなく辺りの様子を窺う。 あれ、か。 ロビーの端、中庭に面した大きなガラス窓の側に 小さな男の子が1人、ぽつんと立っていた。おそらく小学校低学年。 しかし、中庭を向いて立っている後ろ姿は、とても人間だとは思えない。 まるで『空っぽ』。子供服売り場の、良く出来たマネキンが立っているようだ。 すぐ傍のソファに両親らしき男女が座っているが、こちらもどこか影が薄い。 姫が俺の上着の裾をそっと引っ張った。 「そのまま、フロントへ。」 歩きながら小声で尋ねる。 「何故、生身の人間があんな風に?」 「恐らく、何かに何度も深く憑依されて、心が壊れかけているんです。 でも、あれほど酷い状態は初めて見ました。あんな小さい子なのに。」 姫は廊下に視線を落とし、小さく溜め息をついた。
2158 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:38:46 ID:TTMOeudQ0 フロントで俺たちに対応してくれたのは若女将のAさん。 AさんはSさんの同期生で親友。大学卒業後、直ぐにこの旅館に嫁いで若女将になった人だ。 Sさんが『鋭い』というほど勘が良い人で、客に対する心遣いがとても細かい。 俺がこの旅館に来るのは3回目だが、Sさんと姫は以前からの常連だったようで Aさんは姫を『Lちゃん』と呼んでとても可愛がっていたし、姫もAさんに懐いていた。 勿論AさんはSさんと姫の力の事を知っていて、2人と俺の事情も承知してくれている。 それでも俺たちに極々普通に接してくれるので、とても居心地が良い。 俺が宿帳に記入している間に、姫がAさんに小声で話しかけた。 「あの、今ロビーにいる小さな男の子なんですけど。」 Aさんも声を潜めた。 「やっぱり、何か変、よね。」 「はい、かなり深刻です。助けてあげられれば良いんですが。」 姫の表情は暗かった。確かに、姫の気持ちは良く解る。 以前、自殺した女子高生の一件に関わった時、 女子高生の父親は姫の言うことを最初は全く信用しなかった。 今も、両親にいきなり『何度も憑依されたせいで息子さんの心は』なんて言おうものなら こっちが警戒されるだけだし、下手すると名誉毀損で警察沙汰だ。 何か、とっかかりが無ければ、こちらから関わる事は難しい。
2159 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:39:38 ID:TTMOeudQ0 宿帳の記入を終え、部屋の鍵を受け取った時、首筋に冷たい風を感じた。 振り向くと、あの男の子が立っていて俺たちを見詰めている。 『鍵』を掛けていたとは言え、気配が動いたのを全く感じなかった 距離は約3m、一体、いつの間に? 真っ直ぐ俺たちを見詰めたまま、近付いてくる。 「お姉ちゃん、名前、なんていうの?」 乾いた、冷たい声。 すうっ、と姫がかがんで男の子と視線を合わせた。 「私の名前はL、このお兄ちゃんはRさん。君の名前は?」 「僕の名前は...」 言い淀み、眼がふらふらと泳ぐ。 「うん、君の名前は?」 姫が微笑み、重ねて聞く。 「...亨(とおる)。そう、亨。僕の名前。」 「亨、何してるの。いきなり知らない人に話しかけちゃ失礼でしょ。」 母親らしき女性が背後から男の子の手を取って抱き寄せた。 「済みません。この子、少し」 「いいえ、構いませんよ。」 姫は女性に向かって微笑んだあと、また男の子と視線を合わせた。 「私たち、今日からここに泊まるの。また、会うかもね。」 姫が立ち上がって振り向き、俺の腕に手を絡ませる。 「お待たせしました。」 「はい。」
2160 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:40:21 ID:TTMOeudQ0 部屋の鍵を開けた。 「どうぞ。」 「失礼します。」 玄関で靴を脱ぎ、部屋の中へ入る。 「素敵なお部屋。」 2人部屋だからいつもより小さな部屋、それでも全然安っぽい感じはしない。 豪華、という感じではないが、とても上品で落ち着いた雰囲気がある。 どうやらSさんは、かなり良い部屋を手配してくれたようだ。 姫が奥の間の障子を開けた。 「綺麗...」 アルミサッシの向こうは良く手入れされた小さな庭。 庭を囲む生け垣の向こうには白い雪を頂く高い山々が見える。 あの山の方角からして、このサッシは東向き。朝陽がさぞかし綺麗だろう。 姫が振り向いた。 「Rさん、私、釣りがしたいです。ルアーで。」 眼がキラキラと輝いている。 「良いですよ。でも夕方は気温が低くて魚の活性も低いと思います。 明日のお昼、天気が良ければ挑戦してみましょう。」 「はい。」 その時、ノックの音がした。
2161 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:41:20 ID:TTMOeudQ0 俺がドアを開けると、Aさんが丸い漆塗りのお盆を持って立っていた。 お盆の上には急須と茶菓子、そして湯呑みが3口。 「R君、Lちゃんと2人水入らずのところ申し訳ないんだけど。少しだけ、良い?」 「もちろんです。どうぞ、中へ。」 「御免ね。」 Aさんは部屋に備え付けのポットから急須にお湯を注いだ。 炬燵の上に手際よく3口の湯呑みを並べる。白い湯気、お茶の香り。 3人で炬燵を囲む。一口お茶を飲んだ後、姫が尋ねた。 「さっきの、男の子の件ですね?」 「そう。ホントはこんな事話しちゃいけないんだけど、あの御家族の予約を受けた時から すごく悪い予感がしてたの。ほら、うちの旅館はいつもなら常連さんばかりでしょ? でも、ある常連さんから『是非に』という紹介が有って、 それで新規だったけどあの御家族の予約を受けた。」 湯呑みをもつAさんの手は微かに震えている。 「でも、あの男の子の様子はどう見ても普通じゃないし、気になって仕方が無かった。 そしたら、今朝『昨夜変な人影を見た』って苦情が2件あったの。 うちの旅館、今までそんな話は全然無かったのに。」
2162 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:42:06 ID:TTMOeudQ0 俺はできるだけ穏やかに尋ねた。 「それがあの男の子と関係していると?」 「わからない。でも、あの御家族のチェックインが昨日だったから もしかしたら、と思って。それにさっきLちゃんが...」 Aさんは湯呑みのお茶を一気に飲み干して姫を見詰めた。 「Lちゃん、あなたさっき『深刻』って言ったでしょ?ホントのところ、どう?」 「あの男の子の心は、もうかなりの部分が壊れてしまっています。 心が完全に壊れて死んでしまったら、体も、そう長くは保ちません。」 「最悪の事態も考えて心の準備をしなきゃいけないって事ね?」 「そうです。」 「分かった。ありがとう。」 Aさんの手の震えは止まっていた。強い人だ。 Sさんと姫に同行して、俺がこの旅館に初めて来たのは一昨年の5月。 既にその時から女将の具合が悪く、Aさんがこの旅館を切り盛りしていた。 女将の具合はよほど悪いのだろう。俺はまだ女将に会ったことはない。 そんな状態で旅館で何か事件でも起こったら...すごい重圧だろうに。
2163 :『光と影(上)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/11(金) 18:43:03 ID:TTMOeudQ0 姫が右手をAさんの左手にそっと重ねた。 「これもきっと何かの縁ですから、私たち、出来るだけの事をします。」 「縁?」 「はい、さっき男の子が私の名前を聞きましたよね。 あんな状態で、縁のない他人に興味を持つはずはありません。 だからきっと、まだ望みはあると思います。」 「ありがとう。でも、絶対に無理しちゃ駄目よ。 あなたたちに何かあったら、私、Sに申し訳が立たない。 それから、必要な物があったら何でも言ってね。必ず用意するから。」 「了解です。」 姫と俺がぴっと小さく敬礼をすると、Aさんはようやく微笑んだ。 『光と影(上)』 了
2164 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:40:52 ID:LMjplu520 藍です。夜勤明けでフラフラしますが、 以下、『光と影(中)』以降を投稿いたします。
2165 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:42:08 ID:LMjplu520 荷物を解いて服をクローゼットに整理したり、2人で炬燵に入って 地元TV局のCMを見て盛り上がったりしてるうちに、6時55分のニュースが始まった。 「温泉、入りましょうか。」 「はい。」 部屋の風呂にも温泉のお湯が引かれているし大きな湯船も有る。 でも、いきなり2人で風呂に入るのは気まずいし姫にも失礼、何となくそんな気がした。 温泉に向かう途中でフロントに寄り、Aさんに食事の時間を伝える。 「これからお風呂を頂くので、夕食は8時にお願いします。」 「承知致しました。明日の朝食は何時に致しましょう?」 「え?でも朝食は。」 これまで朝食はいつも大食堂で食べていた。 Aさんは俺に小声で囁いた。「話があるの。私が行くから。またまた御免ね。」 俺も小声で答えた「了解です。」 「では、朝食は8時半でお願いします。」 「確かに、承りました。」
2166 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:42:48 ID:LMjplu520 温泉には室内の大きな湯船と、少し小さな露天風呂がある。 露天風呂に入っている客も多かったが、 移動する時に寒い思いをするのが嫌なので、俺はいつも室内の湯船に入る。 この温泉は少し温めなので、長い時間入っていても湯疲れし難い。 ゆっくりと温泉を堪能し、浴衣に着替えてからペットボトルの冷たいお茶を買う。 温泉の入り口近くのソファに座り、お茶を飲みながら待っていると姫が出て来た。 「お待たせしました。あ、お茶、私にも下さい。」 俺の手からペットボトルを取ってお茶を飲む。「冷たくて美味しい。」 上気して薄紅色に染まった頬にペットボトルを当てた。 備え付けの花柄の浴衣に、ほんの少し栗色がかった髪が映える。美しい。 「Lさん、浴衣似合ってますよ。とても、綺麗です。」 姫の頬がますます紅くなった。 「有り難う御座います。」 「湯冷めしないうちに部屋に戻って食事にしましょう。」 「はい。」
2167 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:43:35 ID:LMjplu520 部屋に戻ってしばらくするとフロントから確認の電話があり、夕食が運ばれてきた。 Aさんと仲居さんが炬燵に料理を並べていく。俺と姫は思わず顔を見合わせた。 とても豪華な料理だ。料理を並べ終わると仲居さんは部屋を出て、Aさんだけが残った。 「何だか凄い料理ですね。ちょっと気が引けます。」 「せめてもの気持ち、気にしないで。板長さんに頼んでおいたから、味は保証付き。」 「あ、R君。」 「はい?」 「お酒も付けたけど、1本だけ。お代わりは駄目よ。」 「了解です。」 まあ、酔いつぶれて寝てしまったりしたら気まずいことになるし。 「じゃ、ゆっくり食事を楽しんでね。」 Aさんは軽く会釈して部屋を出て行った。 さっき、『明日話がある』と言っていたから、きっと心配事がある筈なのに おくびにも出さない。さすがの気配りだ。
2168 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:44:41 ID:LMjplu520 食事を済ませ、食器を片付けてもらうとそれからは2人きり。微妙な空気になった。 「そう言えば、今夜辺りから満月ですよ。」 照れ隠しに奥の間の障子を開ける。 良く晴れた空に、ほとんど真ん丸の明るい月が浮かんでいた。 「すごく綺麗なお月さまですね。」 姫が俺の右隣に並ぶ。 しばらく2人で月を眺めた後、姫の肩を抱いた。ここは俺が、リードしないと。 「そろそろ寝ましょうか?」 ああ、我ながら何て陳腐な台詞だ。 姫が障子を閉じて部屋の灯りを消した。 「あの、私、もう一度シャワーを使います。待ってて下さい。」 1時間位前にお風呂に入ったばかりなのに。舞い上がっているのはお互い様、か。 布団の中で待っていると、五分ほどで姫が戻ってきた。俺の隣に座る。 俺も上体を起こし、姫を抱きしめた。唇にキスをする。 帯を解いて浴衣をそっと脱がせた。姫は下着を身に着けていなかった。 障子越しの月の光に照らされた肌は、まるで新雪のように白く、美しい。 「とても綺麗で、ドキドキします。」 「お月さまが明る過ぎて、恥ずかしい、です。」 消え入りそうな、小さな声。 そっと姫の体を抱く。俺の右手が肩に触れると、姫は小さく身を震わせた。 シャワーを使ったばかりなのに肌がとても冷たい。かなり、緊張しているのだろう。
2169 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:45:20 ID:LMjplu520 「Lさん。」 「はい。」 「怖いですか?」 「少し、怖いです。ごめんなさい。」 「謝ることはありません。」 俺は旅行を決めてからずっと考えていた事を口にした。 「安心して下さい。今夜は最後までは、しませんから。」 「そんな。」 「Lさんの心は僕を受け入れてくれていても、Lさんの体は僕が怖いんです。 初めてなんですから、怖いのは当たり前ですよね?」 「でも。」 「だから、Lさんの体に僕を憶えてもらいます。そしたらきっと、明日とか明後日とかには 体の準備もできますよ。最後までするのはそれからでも良いでしょ? 折角2人きりなのに、Lさんが怖かったり痛かったりしたら、僕が辛いです。」 「ありがとう、ございます。」 姫は俺の胸に頭を預けた。 「でもLさん。」 「え?」 「慣れてもらう為には。」 「はい。」 「あんな所やこんな所に触ったり、少〜し恥ずかしい格好をしてもらったり、 色々しないといけないんですよ?覚悟は良いですね。」 「...Rさんって、やっぱり『変態』なんですか?」 「僕が『変態』なら男はみんな『変態』ですから。安心して下さい。」 「変な慰め方。」 姫は優しく微笑んだ。
2170 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:46:01 ID:LMjplu520 夜中、眼を覚ますと、姫が浴衣を羽織って布団に座っていた。 少し、障子が開いて月の光が差し込んでいる。庭の玉石が光って見えた。 「どうしたんです?風邪引きますよ。」 姫は布団に潜り込んで俺の胸に顔を埋めた。 「Rさん、私の体、本当に準備が出来ると思いますか?」 「出来ますよ。もし、この旅行の間に準備が出来なくても焦らないで」 「嫌!そんなの嫌です!」 「どうしたんです?」 「Rさん、約束して下さい。」 「何を約束するんですか?」 「準備が出来なくても、この旅行の間に、最後までするって。じゃないと私」 姫の頬を涙が伝っていた。キスをして姫の唇を塞ぐ。 「分かりました。約束します。でも、そのためにはまず、勝手に布団から出て 寂しくしていないで、朝まで僕と手を繋いで寝なきゃ駄目ですよ?」 「はい...ごめんなさい。」
2171 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:46:48 ID:LMjplu520 「Rさん、Rさん。」 眼を開けると姫が俺の顔を覗き込んでいた。障子がうっすらと茜色に染まっている。 「もう、手を離しても良いですか?」 そういえば昨夜、そんな話を...。 姫を抱き寄せておでこにキスをした。 「はい、これで離しても大丈夫。」 8時25分にフロントから電話があり、朝食が運ばれてきた。 2人の仲居さんは部屋に入らず、Aさんにお膳を渡して戻っていった。 Aさんが炬燵にお膳を並べる。白いご飯、お味噌汁、焼き魚とほうれん草のおひたし。 料理からふわふわと湯気が立って良い香りが部屋を満たした。 「食べ終わったら電話してね。少し、話があるから。」 「了解です。」
2172 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:47:45 ID:LMjplu520 食器を片付けてもらった後、3人で炬燵を囲む。 お茶を飲み干してから俺は尋ねた。「Aさんのお話って何ですか?」 Aさんは俺の湯呑みにお茶を注いでから話し始めた。 「まず、あの御家族の事なんだけど。紹介して下さった常連さんに聞いてみたの。」 「何か新しい情報が有ったんですね?」 「男の子は小学2年生。それで、様子がおかしくなったのは去年の夏休み辺りから。 秋からは学校にも行けなくなって、それで常連さんが気分転換に温泉を勧めた。」 「男の子の様子がおかしくなった原因は分かりませんか?」 「それは全然。ご両親が話したがらないみたい。」 原因が分からないのでは対応の仕様がない。 「それとね。」 Aさんは声を潜めた。 「今朝も一件、苦情があったの。」 「昨夜変な人影を見た、と?」 「そう。」 初めて姫が口を開いた。 「人影を見たお客さんに共通点はありませんか?」 「共通点?」 Aさんは何か思い当たることがあったようだ。 「女性、比較的若い女性ね。ご夫婦が2組...それと恋人同士が1組。」 「それは重要な情報かも知れません。そのお客さん達は今夜も宿泊を?」 「今朝苦情のあったご夫婦が1組だけ。今夜は部屋を移って頂くことになってる。」 「その部屋に対策をして置いた方が良いですね。案内して下さい。 それから白米を少し頂けますか?ひとつまみだけで良いですから。」 「分かった。」 Aさんの表情がぴいんと引き締まった。
2173 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:49:14 ID:LMjplu520 「どうぞ、この部屋よ。」 Aさんが件の部屋の鍵を開けた。 姫の指示に従い、俺は全ての窓、最後に部屋のドアに手を触れて結界を張った。 「これで大丈夫。夜は出来るだけ部屋から外へ出ないように伝えて下さい。」 「ありがとう。白米はフロントに届けて置くから。」 「了解です。」 「それじゃRさん、部屋で支度して釣りに行きましょう。」 「晴れてるけど、多分まだ水温が低いから釣れるかどうか。」 「今の時期、釣りは難しいわよ。昼ご飯はどうする?」 Aさんは心配そうだ。 「1時でお願いします。」 「分かった。早める時は電話してね。」
2174 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:50:20 ID:LMjplu520 支度をして部屋を出た。釣り具はレンタルだから手ぶらで良い。 ロビーを抜けて玄関を抜けると、あの男の子が立っていた。 「おはよう。亨君、1人なの?」 姫が微笑んで視線を合わせる。 「Lさん、と、Rさんは、兄妹?」 「え?」 「それとも、お友達?」 「ふふ、ちょっとショックだな〜。私、Rさんのお嫁さんなの。私たち、夫婦に見えない?」 「Lさんは、Rさんが好き?幸せ?」 姫が意味ありげに微笑んで俺を見た。 違和感。普段の姫なら絶対に、こんな大人びた対応はしない。 そうか、そういうことか。俺もかがんで男の子と視線を合わせる。 「僕たち、新婚旅行なんだよ。だから、すごく幸せ。」 「ね〜。」 姫が俺の手を取る。 「これから2人で釣りに行くの。少し寒いから、亨君も早く部屋に戻ってね。」 「新婚旅行...」 呟く男の子を残して俺たちは手を繋いだまま釣り場へ向かった。 「もう、そろそろ帰りましょうか?」 姫に声を掛けた。 かれこれ1時間半ほどルアーを投げているが、時折小さなアタリがあるだけで 全く釣れない。やはりまだ水温が低くて魚の活性も上がっていないのだろう。 天気は良いが、気温はそれほど高くない。ずっと風に吹かれているとさすがに体も冷えてくる。 「そうですね。明日はもっと暖かくなるみたいですから、明日に期待しましょう。」 「じゃあ、体も冷えちゃったし、お風呂で温まってから昼ご飯にしませんか?」 「あの、それなら...」 「2人で部屋のお風呂、それでも良いですか?」 「はい。」 フロントでAさんから白米の入った小さな封筒を受け取り、部屋へ戻った。
2175 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:52:23 ID:LMjplu520 「わざと、あの男の子を刺激したんですね?」 炬燵で食後のお茶を飲みながら俺は尋ねた。 「はい、あの子の体を使っている人を呼び出したくて。」 「その人、まだ生きているような気がするんですが。」 「私もそう思います。多分『生き霊』ですね。『生き霊』は力が強いし、とても厄介です。 Rさんは何故『まだ生きている』と思ったんですか?」 「何て言うか、もし死んだ人ならもっと、それこそ一日中男の子につきまとうような気がして。 それに旅館のお客さんが人影を見たのは夜だから、昼間働いてる人かな?と。」 「私も同じ意見です。それに、『生き霊』に憑依された人は大きなダメージを受けます。 『死霊』は形を変えて相手の心の隙間に入り込みますが、『生き霊』は形を変えられないから 相手の心を大きく、自分の形に合わせて壊してから入り込むんです。」 「それであの子はあんな状態に?」 「間違いないと思います。」 「じゃあ、あの子がLさんに興味を持ったのは、その『生き霊』が...」 「今夜、それを確かめられるかも知れません。」 姫が立ち上がり、壁にかけた上着のポケットから封筒を取り出した。 奥の間の障子とサッシを開く。庭から爽やかな風が吹き込んできた。 「そのお米、どうするんですか?」 「これで、手がかりを探ってみます。」 姫はサッシの外の濡れ縁と、その下の地面に数粒ずつ、白米を撒いた。 「小鳥が食べちゃったら困るから少し残しておきますね。」 サッシと障子を閉めてから、姫は大きく伸びをした。 「少し寝不足気味なのでお昼寝します。Rさんはどうしますか?」
2176 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:54:00 ID:LMjplu520 お互い緊張して気疲れしていたせいもあったのだろう。 俺たちが眼を覚ましたのは夕方5時を過ぎてからだった。 のんびりとお喋りしながらTVを見て、今度は2人で大浴場に出掛けた。 そして今夜もAさんの心尽くし、板長さん特製の豪華な晩ご飯を食べてお腹一杯。 濡れ縁に撒いた白米の様子を確かめて、準備は整った。 「Rさん。」 「はい?」 「あの、折角昨夜約束してもらったのに、申し訳ないんですけど。」 『生き霊』が寄ってくるかもしれない夜、女の子として気分が良かろうはずがない。 「分かってます。今夜は手を繋いでいるだけにした方が良いんじゃないですか?」 姫は俺の胸に顔を埋めて小さく首を振る。 「慣れるだけなら平気です。早く準備が出来るようにしなきゃ。」 満月の光が障子を照らしていた。
2177 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:54:46 ID:LMjplu520 「Rさん。」 姫の声だ。 いつの間にか寝てしまっていた。姫の手を握ったまま、眼を開ける。 姫の視線を辿ると、障子にぼんやりと人影が映っていた。やはり、女性のようだ。 姫をしっかり抱きしめて息を凝らす。姫も無言で障子を見詰めている。 「・こに・る ・のおんな・ あ・なにしあわ・そ・に ・たしは 私たちはこ・なに こんなに不幸なのに ・るせない。」 ベトベトと粘り着くように濃密な怨嗟の声。聞くだけで吐き気がする。 気配が近付いてくる。障子に映る影は細部まで判別出来た。 ショートカット、おそらくスキーウェア。ジャケットの襟のファーまで分かる。 気配が更に近付く、もう、濡れ縁に。 「あ」 一言だけ残して、突然気配が消えた。 「凄かったですね。本当に怖かった。まだ鳥肌が。」 姫は俺の腕の中で震えている。 「どうしてあんな風に。あんなに、あんなに人を憎むなんて。」
2178 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:56:19 ID:LMjplu520 翌朝。日の出を待って、俺と姫は濡れ縁周辺に撒いた白米を検めた。 濡れ縁の上の白米のうち、3粒が赤黒く染まっている。微かだが、辺りが生臭い。 「これ、血ですよね?」 「はい、素手では触らないで下さい。」 姫がフロントに電話を掛けると、Aさんが割り箸と灰皿を持って来てくれた。 赤黒く染まった米を、俺は慎重に割り箸で灰皿に移した。 灰皿を姫に渡してから、もう一度濡れ縁の下の地面を確かめる。 「大丈夫です。他の米には異常ありません。」 「ありがとうございます。」 姫は庭に降り、濡れ縁の端に置いた灰皿の上に左手をかざして眼を閉じた。 Aさんが息を詰めて姫を見ている。ぴいん、と空気が張り詰めた。 しばらくして姫が眼を開けた。「大体、事情が分かりました。」 深呼吸をして灰皿に右手をかざすと、3粒の米が燻り始めた。 煙と共に異様な気配が立ち上り、Aさんが口を押さえてトイレに駆け込む。 姫は米が完全に灰になったのを確かめてからサッシと障子を閉めた。
2179 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:57:22 ID:LMjplu520 「あれは、何だったの?」 Aさんの顔はまだ蒼白い。 「足跡、みたいなものです。あの男の子の心を通路にしてやってきたものの。 焚き上げることは出来ないので燼滅(じんめつ)しました。 『本体』が近くまで来てるみたいで、Aさんには刺激が強すぎましたね。ごめんなさい。」 「私は良いけど...『本体』って。お客様が見た人影、『生き霊』なの?」 さすがに勘の良い人だ。 「はい。これから暫くは飛び込みのお客、特に若い女性は絶対に断って下さい。」 「分かった。フロントにも伝えて置く。」
2180 :『光と影(中)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 05:58:06 ID:LMjplu520 Aさんが部屋を出て行くと、姫の顔が一気に険しくなった。 その『生き霊』がどんなに強力だとしても、姫はきっと上手く対応出来るだろう。 Sさんに『一人前』と言われた人なのだ。その姫が対応に苦慮しているとしたら。 「その後のことを考えているんですね?」 「はい、正直、まだどうすれば良いのか判りません。あまりにも憑依の段階が深くて、 憑依を完全に解けばあの子の心自体を維持できなくなります。」 「つまりあの子の命も?」 「はい。」 体の組織に深く食い込んだ腫瘍を切除できないのと同じような感じだろうか。 姫は暫く黙り込んでいたが、突然立ち上がった。 「考えるのは後にして、釣りに行きましょう。」 「確かに今日は水温も上がっていそうですが、良いんですか?」 「釣りをしてとっかかりを作ります。協力して下さいね。」 『光と影(中)』 了
2181 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:02:04 ID:LMjplu520 今日は曇っているが気温は昨日より高い、水温も上がっているのだろう。 昨日とは打って変わって魚の反応は上々だった。 一時間ほどで既に8尾を釣り上げ、2人分のキープ制限10尾も間近だ。 姫はとても楽しそうにルアーを投げている。 しかし今、釣りなんかしていて本当に良いのだろうか? その時、首筋に冷たい風を感じた。 振り向くと、あの男の子が立っている。その後ろには男の子の両親。 姫が釣りを中断して男の子と視線を合わせた。 「亨君も釣りにきたの?今日は良く釣れてるの、ほら。」バケツの中身を見せる。 「亨が釣りに行きたいと言い出しまして。その、お二人と一緒に、と。」 小さく頭を下げた後、父親が申し訳なさそうに言った。
2182 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:03:03 ID:LMjplu520 「構いませんよ。僕らはルアーなので餌釣りとは競合しませんから。」 姫は俺の右隣で釣りを再開した。正直、あまり男の子を姫に近づけたくない。 男の子の父親は俺の左隣にレンタルの折りたたみ椅子を3つ並べて釣りを始めた。 俺のすぐ左隣が母親、その隣が男の子、そして俺から一番離れて父親。 俺が『競合しない』と言ったものの、釣りをしているのは父親だけだから、 一応俺たちに気を遣っているのだろう。 だとすると父親の精神的な活動レベルはそれ程低くはない。 問題は男の子と、そして母親だった。 父親が魚を釣り上げてもほとんど反応はなく、ボンヤリと水面を眺めている。 男の子は仕方ないとしても、母親の精神的な活動レベルがかなり低い。 男の子の件での心労は大変なものだろうが、それにしても。 これではまるで、母親も憑依されているかのようだ。 30分程釣りを続けただろうか、姫が大きな声を上げた。 「あ、これ、大物かも?」 そんなに竿は曲がっていないのに? 姫が俺から離れていく。取り敢えず玉網(タモ)を持って後を追う。 「な〜んだ。あんまり大きくなかったね〜。でも掬って、念のため。」 念のためも何も、玉網全然要りませんよね?このチビヤマメなら。 俺が膝をついて小さなヤマメを掬うと、姫が小声で囁いた。 「さっき、気配を感じました。男の子の動きに、注意して下さい。」 成る程、それで。「了解です。」
2183 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:04:30 ID:LMjplu520 「全然小さかったです、恥ずかし〜。」 姫って...演技派なんですね、Sさんも真っ青の。 元の場所に戻って釣りを再開する。その直後、父親の竿が大きく曲がった。 「お、これは。」 2〜3分かけて、父親は40cm近いニジマスを釣り上げた。 母親は相変わらずボンヤリと水面を見ているが 男の子は父親の傍にしゃがんで魚を見ていた。でも、やはり『空っぽ』だ。 仕掛けを飲み込まれていたのか、父親が折りたたみナイフを取り出して先糸を切る。 続けてエラにナイフを入れてニジマスを〆た。かなり、釣りの心得があるらしい。 突然、辺りの空気が変わった。耳がキーンとして、周りの音が、消える。 男の子がナイフを持って立ち上がった。こちらへ向かって歩いてくる。 まるでスローモーションのようだ。父親は呆然と息子を見詰めていた。 男の子が右手に逆手で持ったナイフを母親の首筋に振り下ろそうとするのと 俺が左手を振り上げるのがほぼ同時だった。 男の子の手首を下から掴む。しかし、じりじりと押し込まれた。凄い力だ。信じられない。 痛。ナイフの先端が俺の裏小手に食い込んでいる。 ようやく父親が叫んだ。「亨、止めなさい!!」 母親がゆっくりと振り返る。 「亨、あなた、何故?」 あまりの光景に眼を見張り、我に返ったようだ。 姫が俺の左側にふわりと回り込む。ゆっくりと、風が吹くように。 小声で何事か呟きながら右手の人差し指と中指で男の子の首筋に触れた。 途端に男の子の手から力が抜け、ナイフが地面に落ちた。 ガックリと膝をついた男の子の体を姫が支える。男の子は意識を失っていた。
2184 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:05:09 ID:LMjplu520 「亨、亨!」 母親が姫の腕から男の子を抱き起こした。 「今は眠っているだけです。取り敢えず他の怪我はありません。」 母親の背中に軽く触れながらそう言った後、姫は俺の左腕にタオルを巻き付けた。 タオルがゆっくりと血に染まる。「ごめんなさい。ナイフなんて...私の、せいです。」 姫が俯いて、地面にポタポタと涙が落ちる。 思わず姫の肩を抱いた。「大丈夫、大した怪我じゃありません。大丈夫ですから。」 母親が初めて俺を見た。「あなた、お怪我を。申し訳、ありません。」 「ご心配なく、僕の不注意です。でも、亨君がこんな風になったのは初めてじゃないですよね?」 両親は顔を見合わせて暫く黙った。 やがて、口を開いたのは父親だった。 「はい、その通りです。」 「旅館の若女将は僕たちの知人です。彼女の立ち会いの下で、 亨君についての話を聞かせて下さい。」 両親は黙って頷いた。
2185 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:06:26 ID:LMjplu520 「無茶しましたね〜。ナイフの刃が尺骨に食い込んで止まった場所が良かった。 少しずれてたら神経とか動脈とか、かなり危なかったと思いますよ。」 旅館の医務室で傷口を縫いながら、歳の割には軽薄そうな医者が言う。 それを聞いて、姫の眼からまたポロポロと涙が溢れた。俯いて俺の上着の裾を掴む。 全く、姫の前で要らん事を。大体な、縫う時は麻酔しろって。痛いだろ。 「そう思ったから裏小手で止めたんです。一応、拳法やってたんで。」 「ほ〜、空手とか?もしかして黒帯ですか?」 だ・か・ら、無駄口叩かずにさっさと済ませろ。いつまで痩せ我慢すれば良いんだよ。 俺の傷の処置が終わり、男の子を医務室に寝かせたまま 俺と姫は旅館の研修室に向かった。そこでAさんと男の子の両親が待っている。
2186 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:07:23 ID:LMjplu520 研修室のドアをノックする。Aさんが直ぐにドアを開けてくれた。 「どうぞ、こちらへ。」 Aさんに促されて両親の向かいに腰掛ける。 両親が立ち上がり、頭を下げた。「誠に申し訳ありませんでした。」 「先程も申し上げましたが、これは僕の不注意です。 でも今後のために、亨君のために、僕たちの質問に答えて下さい。」 「分かりました。何でも聞いて下さい。」 「まず、最初にお聞きします。」 姫の透き通った声が部屋の中に響く。 「『山○黛弓』という名前の女性に心当たりがありますね?」 「何故それを!」 母親が立ち上がって姫を見詰めた。 姫は静かに母親の眼を見詰め返した。 「『山○』はあなた方と同じ名字。彼女はあなたの、妹です。」 ぺた、と母親は力なく椅子に腰掛けた。
2187 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:08:31 ID:LMjplu520 「信じるかどうかはあなた方にお任せしますが、 度重なる憑依の影響で亨君の心は壊れかけています。 心が完全に壊れてしまえば体も長くは保ちません。かなり、深刻な状況です。」 母親が息を呑み、父親は天井を見つめて呟いた。「そんな...」 「そんな状態なのに、亨君は私の名前を聞いてくれました。 亨君と私には、おそらく何かの縁があるんでしょう。だから私は亨君を助けたいんです。 もちろんあなた方が私の言う事を信じて任せてくれるなら、の話ですが。」 「色々な病院で何度も診察を受けましたが、亨があんな風になった原因は分からず、 状態は悪くなるばかりでした。今日の事からしても、このままの状態が続けば 近いうちに最悪の事態が起こる。それは私にも理解できます。 あなたの言うことは信じ難いですが、あなたの話の通りでなければ説明できない事を これまで何度も見てきました。信じて、お任せします。亨を助けてやって下さい。 君も、それで良いね。」 父親の言葉に母親が頷いた。
2188 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:09:43 ID:LMjplu520 「昼間、彼女が憑依したままの状態で亨君は眠っています。 だから彼女の体には意識がありません。体はおそらく安全な場所にあると思いますが 不慮の事故もあり得るのであまり時間の余裕が無いんです。」 姫は座り直して母親の顔を正面から見詰めた。 「亨君を助けるために、私が知りたいことは2つあります。 1つは何故彼女があれ程あなたを憎んでいるのか。そしてもう1つは 何故彼女があれ程深く亨君に憑依できるのか。答えて頂けますか?」 母親の顔は蒼白になり、唇が小さく震えている。 「Lさん、貴方、本当に亨を救ってくれますか?」 「もし、質問に答えて頂けるなら、全力を尽くします。」 「質問には、私が妻に代わって答えましょう。」 父親は1つ深呼吸をしたあと、ゆっくりと話し始めた。 「大学生の時、私は黛弓さんの家庭教師をしていました。妻とはその時に知り合ったんです。 彼女の私への想いには気付いていましたが、当然、受け入れることは出来ませんでした。 私たちが結婚した後も彼女の私への執着は強くなるばかりで、 私が彼女を拒絶するほど、彼女が妻を憎む気持ちは強くなりました。 妻が亨を妊娠した時は、暫く妻を友人の所に匿ってもらったくらいです。」 「それが、1つ目の質問の答えですね。2つ目は如何ですか?」
2189 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:11:26 ID:LMjplu520 「亨が生まれた後、彼女は突然行方不明になりました。 全くの音信不通で、親族との相談では失踪宣告の話まで出ていました。 また、亨が幼稚園に入る前に私の仕事の都合でかなり遠くに引っ越しをしましたから 彼女との関係もそのまま切れるだろうと楽観していたんです。 でも、亨が小学校に入学して...」 父親が俯き、言葉が途切れる。 「あなた方の前に、彼女が再び現れた。」 姫の声はあくまで穏やかだ。しかし話が進むにつれ、寒気が酷くなり 手が震えるのを止められない。左腕の痛みなど、とうに感じなくなっている。 「はい、2年生の夏休み前、亨の三者面談で私たちが小学校に出掛けた時 黛弓さんが校門で私たちを待っていました。そして妻に言ったんです。 『亨君はもう私のもの。姉さんが私の大切な人を奪ったから、今度は私の番。』と。 彼女は偽名を使って小学校の非常勤講師になっていました。 そして、私たちの知らないうちに亨を、亨を...」 もう止めてくれ、無理だ。これ以上は。 「解りました。そこまでで結構です。」 姫が静かに告げた。 「それで、今後の対応ですが。」 「はい。」
2190 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:12:23 ID:LMjplu520 「憑依の段階があまりに深過ぎるので、単純に憑依を解いて 今後の憑依を防ぐだけでは、近いうちに亨君の心が壊れてしまいます。」 「そんな、さっき貴方は。」 母親の顔が絶望に歪んだ。 「さっき言った通り、私は全力を尽くします。私が言いたいのは、 二人とも助けることはできない、と言う事です。 あれ程深く憑依してしまったら、どの道黛弓さん自身も亨君と共倒れになります。 だから亨君を助けるためには、彼女をあきらめてもらうしかありません。」 「幾ら何でも、そんな、惨い事を。」 Aさんが涙を拭った。 「惨い、それは承知しています。でも、これほど深刻な事例で気休めは言えません。」 「Lさん、亨は私の息子だし、黛弓は妹です。どちらか1人を捨てて どちらか1人を選ぶなんて、それは私たちには、人間には出来ない選択です。」 「お父さんも同じ答えで宜しいですか?」 「はい。」 「分かりました。それではまず、彼女に答えを出してもらいましょう。 そして最終的な答えは、もちろん亨君が出す事になります。」 「黛弓と、亨が、答えを...」 両親が顔を見合わせるのに構わず、姫は続けた。 「Aさん。」 「はい。」 「6時から支度をします。それまでには亨君をご両親のお部屋へ運んで下さい。」 「分かりました。」 「それでは6時、お部屋に伺います。Rさん、部屋に戻りましょう。」 研修室を出た姫の顔に、微笑が浮かんでいるように見えた。
2191 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:14:51 ID:LMjplu520 遅い昼食を終え、姫は濡れ縁に座って遠くの山々を眺めている。 一時間ほど経った時、姫が部屋の中に戻ってサッシと障子を閉めた。 「どうするか、決まったんですか?」 「はい、でも足りないものがあって。初めて使う術だから、少し不安なんです。」 「それはどうすれば手に入るんですか?僕に出来ることなら何でも言って下さい。」 「Sさんに、電話してみます。」 Sさんに電話? あ。 「そう言えば、預かったものがあります。『困った時に使って』と。」 俺はクローゼットの中のスポーツバッグから小さな白い袋を取り出した。 「これです。」 姫が袋の封を解き、中身を取り出した。 太陽のような、花のような形の紙片が一枚。 姫はそれを大切そうに両掌で包み、胸に押し当てた。 「私が考えていた術に、必要なものです。これがあれば、大丈夫。」 6時5分前、俺と姫はフロントでAさんと待ち合わせて両親の部屋へ向かった。 ノックをすると父親がドアを開けてくれて、俺たちは部屋の中に入った。 男の子は寝室の布団に寝かされている。 「では準備を始めます。ご両親とAさんは手前の和室で待機して下さい。」 「はい。」
2192 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:16:35 ID:LMjplu520 姫は、まず和室に結界を張った。 「少しくらい声を出しても大丈夫ですが、ここからは出ないで下さい。 この中にいれば、彼女からはあなたたちが見えません。」 3人は揃って頷いた。神妙な表情だ。 「寝室には特別な結界を二重に張ります。」 俺は男の子が寝かされている敷き布団の4隅に、あるものを包んだ紙を挟んだ。一重。 それから姫は両足を引き摺るように、時々体を反転させながら 男の子が寝かされている布団の周りを、布団から1mほど離れて、一周した。二重。 「これで全ての準備が整いました。私が封を解くと亨君が眼を覚まします。 くれぐれも結界から出ないで下さい。」
2193 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:18:08 ID:LMjplu520 姫が男の子の枕元、外側の結界の中に座った。俺も姫の隣に座る。 気のせいか、空気が重く、視界が少し霞んで見える。 深く息を吸い、姫が左手の甲を男の子の首筋に当てた。 男の子がゆっくりと眼を開ける。感情のない、冷たい眼。 「亨君、眼が覚めた?いいえ、今は『黛弓さん』と呼ぶべきですね。」 「あなた、昨夜の。」 昨夜、障子の向こうから聞こえた、女性の声だ。 「そう。あなたと同じように、私にも他人と少し違う力があります。 今日のお昼みたいな事があると哀しいので、体の動きは封じておきました。 不自由でしょうけど、話が済むまで我慢して下さいね。」 「何故こんな事を?」 「亨君を助けたいから、それだけです。もちろん、あなたの事情もあるでしょうし、 言いたいことがあるのならお聞きします。遠慮無くどうぞ。」 「あなたに、一体、何が分かるって言うのよ?」 女性の声は怒りに満ちていた。 「今朝、あなたの記憶の欠片を読ませてもらいました。 だから、亨君とあなたの関係は大体分かります。 あなた自身が忘れてしまっていること以外なら。いくつかお話ししましょうか?」 「...」 あなたと亨君の出会いはどうです?放課後の音楽室。」 「止めて!」 何処かおかしい。この女性は何故、何を隠そうとしているんだ?
2194 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:19:45 ID:LMjplu520 「あなたはずっと前から、自分が『生き霊』を飛ばす事があるのを自覚していた。 だから亨君が生まれた時、身を引くと決めたんです。 愛する人に子供が生まれたなんて耐えられない。けれど、もしそれで『生き霊』が飛び 愛する人の子を殺してしまったら、もっとずっと辛い思いをすると分かっていたから。」 部屋の空気がますます重くなり、時間の流れが止まったように感じる。 「そして全てを忘れるために、遠い土地で新しい生活を始めた。小学校の非常勤講師。 でも、教え子の中に亨君がいた。亨くんの父親が転勤したために起きた、皮肉な偶然。」 「お願いだから、もう止めて。」 「始めはお互い何も知らなかった。教師と生徒。亨君はあなたを慕い、 あなたも真っ直ぐに自分を慕ってくれる亨君が愛しくて仕方がなかった。 だから、ある日、あなたは出来心で亨君の出自を調べた。 そして、亨君が愛する人の子だと知ってしまったんです。」 「...止めて。」 男の子の体から聞こえる女性の声は、弱々しく震えていた。 「復讐するつもりなんかなかった。だからもう亨君には会わない、そう決めた。 でも会いたかった、あなたに会いたいと願う亨君の心の声を無視する事も出来なかった。」 「そうよ!だから、知らないうちに私の半身が亨君に会いに行って、全部、話してしまった。」 「君の母親が私の恋人を奪った。君の父親は私を捨てた。 本当はそんなこと、亨君には話したくなかったのに。そうですね?」 「どうしようもなかった。それでも亨君は私に会いたいと望んでくれたの。 だから私は毎晩のように亨君と同じ夢を見て、夢の中で亨君に会った。 そして亨君は、いつでも私を受け入れられるように、心の扉を壊した。」
2195 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:21:33 ID:LMjplu520 「夢の中で何度も心を重ねる内に、あなたは亨君が何故、これ程までに 自分を慕ってくれるのか、その理由に気が付いた。 『本当に亨君を必要としている人間は自分しかいない』のだと。 それに気付いたあなたは憎しみを抑えられなくなって、知らないうちに復讐を」 「仕方が無いじゃない!私の憎しみと亨君の哀しみが重なると抑えが効かなくなって... 本当は、ただ、同じ夢の中で一緒にいられるだけで幸せだったのに。」 姫は俯いて溜息をついた後、顔を上げて話を続けた。 「あなたの度重なる深い憑依、抑えられない両親への激しい憎しみ。 その結果、亨君の心は壊れかけていて、このままでは体も長くは保ちません。 黛弓さん、あなたそれで良いんですか?このまま亨君の命が尽きてしまっても? もし復讐が叶っても、亨君を失うのでは意味が無いはずです。」 「あなたなら、亨君を助けられる、そう言いたいの?」 「助ける方法は考えましたが、確実に助けられるとは限りません。 亨君があなたを受け入れたまま死ぬと決めたなら、助けることは誰にも出来ませんから。」 「教えて頂戴。亨君を助けられる方法を。」
2196 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:22:37 ID:LMjplu520 「今、ここで、あなたの体を、捨てて下さい。 あなたなら、私が言っていることの意味が分かるはずです。」 「...ずっと、このままで?」 「支えてあげて下さい。会えなくても、話せなくても、亨君には分かるはずです。 あなたが自分の中にいる。そしていつも自分を愛してくれている、と。 そしてあなたの憎しみと亨君の哀しみが消えれば、復讐は無意味になります。 ただし、そのあと、亨君がどういう答えを出すか、それは私にも分かりません。」 「Lさん、だったわね。」 「はい。」 「どうしてあなたが見ず知らずの私たちにここまでしてくれるのかわからない。 そんな事をしたら、あなたも無事ではいられないんじゃないの?」 え?姫が無事ではいられないって... 「私の力は、あなたより強いです。この力を、私が正しいと信じる事に使いたい。 そうでなければ、今、生かされている意味がありません。 心はぼろぼろで意識もほとんどないはずなのに、亨君は私の『名前』を尋ねてくれました。 その意味を、私なりに、とても真剣に考えたつもりです。」 「...ありがとう。あなたに会えて、本当に良かった。」 男の子の眼が、ゆっくりと閉じた。
2197 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:23:47 ID:LMjplu520 姫はポケットの中から小さな白い袋を取り出した。封を解き、あの紙片を右掌に載せる。 姫が小声で何事か呟くと、紙片が淡い金色の光に包まれた。 「やっぱり、正しかった。 Rさん、亨君の胸を。」 「はい。」 俺は一礼してから布団を捲り、男の子の浴衣の胸をはだけた。 金色に光る紙片を、姫が男の子の胸に置く。 紙片は一瞬強い光を放った後で、男の子の胸に吸い込まれるように消えた。跡形もなく。 俺は男の子の浴衣を直し、元通りに布団をかけた。 気のせいか、男の子の寝顔は安らかで、微笑を浮かべているように見える。
2198 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:25:45 ID:LMjplu520 姫は畳に手をつき、深く一礼してから立ち上がった。俺も姫に倣う。 二重の結界を解き、姫と俺は奥の間を出た。 「これで済みました。明日の朝まで寝かせてあげれば亨君の意識は戻ります。 暫くは少し記憶の混乱があるでしょうが、そのうち安定して問題はなくなるでしょう。 そのあと、どう生きていくかは亨君自身が決めることです。」 「私は、黛弓にも亨にも...」 母親の顔は真っ青で視線が定まらない。 「真実はひとつでも、人によってそれぞれとらえ方は違います。 誰の言葉が正しいかを決めるのは、私の役目ではありません。それよりも、 私は亨君に一番良いと思う方法を選んだつもりです。約束通り、全力を尽くしました。 何か問題があればAさんを通して連絡を下さい。それでは、失礼します。」 声もなく呆然と佇む両親を残して、Aさんと俺たちは部屋を出た。 「Lちゃん、あなた、大丈夫?」 Aさんもあの言葉を気にしているのだろう。 「Sさんが力を貸してくれたから、私は大丈夫です。でも、とっても、お腹が空きました。」 「直ぐに夕食を準備させるから、三人前でも四人前でも。 だからお風呂にでも入って少し待ってて。R君、くれぐれもLちゃんをお願いね。」 Aさんは俺の右手を両手でしっかりと握った。 「はい。任せて下さい。」
2199 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:27:41 ID:LMjplu520 Aさんは俺たちの部屋の炬燵を大きなものに取り替えて、山のように料理を並べた。 俺たちが釣り上げた魚も見事な焼き魚になってお膳に並び、ぴん、と尾鰭を張っている。 本当に四人前くらいはあっただろう。姫は見ている俺たちが気持ち良くなるくらい 快調なペースで片っ端から料理を平らげていく。 「Lちゃんの食べっ振りを見てるとお腹が空くわね。今夜は私もここで食べて良い?」 「どうぞ、Aさんなら大歓迎です。」 食べるのに一生懸命の姫に代わって俺が答えると、 Aさんは電話で料理とお酒を追加して、気が付けば3人で大宴会状態。 Aさんと俺は姫に負けじと料理を食べ、お酒を飲む。 姫も俺の杯で一杯だけ、お酒を飲んだ。 料理を全部食べ終わってしばらくすると、姫は炬燵に突っ伏して眠ってしまった。 俺が姫を抱いて寝室に運ぶと、Aさんはすっかり安心したのか仲居さん達を呼び、 綺麗に後片づけを済ませて上機嫌で引き上げて行った。 俺はAさんが置いて行ってくれた徳利のお酒を飲みながら ボンヤリと今日の出来事について考えていた。まるで夢の中の出来事だ。 でも俺の左手には包帯が巻かれ、鈍い痛みが残っている。 『誰の言葉が正しいかを決めるのは自分の役目ではない』と姫は言った。 でも姫は自分が正しいと思った事のためにあの術を使ったはずだ。 なら、姫は誰の言葉を正しいと信じたのだろう?
2200 :『光と影(下)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:28:25 ID:LMjplu520 ゆっくり風呂に入って着替えたあと、左腕のガーゼと包帯を取り換えた。 傷口の縫い目は小さく、細かく揃っている。あの軽薄な医者、かなりの腕らしい。 寝室の障子を開けると黒い雲が月を隠し、生け垣の木の葉が時折激しく揺れた。 天気によっては明日の出発時間を早めた方が良いかもしれない。 姫にもう一枚、薄い布団を掛けてから部屋の灯りを消し、姫の隣で眠りについた。 『光と影(下)』 了
2201 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:33:49 ID:LMjplu520 連休中、投稿が難しくなってしまいましたので 『光と影(結)』まで投稿しておきます。 大きなミスが無ければ良いのですが。
2202 :『光と影(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:35:26 ID:LMjplu520 「寝坊助さん、起きて下さい。」 誰かが俺の体に覆い被さっている。毛布越しに感じる体温、右の瞼と頬にキスの感触。 眼を開けると、姫が俺の顔を覗き込んでいた。湯上がりの湿った温もりと、石けんの残り香。 姫の腰に右腕を廻し、体を入れ替える。 「こんな起こし方して...その気になっちゃいましたから、もう逃げられませんよ?」 「夜明けまで、まだ時間があります。約束、守って下さいね。」
2203 :『光と影(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:36:29 ID:LMjplu520 アラームが鳴った。7時だ、朝食を食べたら10時頃までには出発の準備。 でも、今はまだ姫を抱きしめたままでいたい、 このまま、初めて2人で体を重ねた余韻に浸っていたかった。 姫が眼を開けた。 「シャワーを使ってきます。直ぐに、戻って来ますから。」 『大丈夫』と姫は言ったが、やはり痛みはあったようだし、出血もあった。 体を洗いたいのも無理は、あ... 自分の顔から音を立てて血の気が引くのが分かる。何て事だ。 避妊を、していなかった。 忘れていた?そんなはずはない。俺はどうかしていたのか? 以前、Sさんに、あれ程強く注意されていたと言うのに。 俺の腕の中で、姫が小さく笑った。 「大丈夫ですよ。」 「え?」 「私、生理が始まってからずっと、毎日体温を計ってて。 それで、Sさんが旅行の間は避妊しなくても大丈夫って教えてくれたんです。」 思い出した。あの日、確かにSさんは言った。『旅行の時期は変えられない』と。 そして薬指を舐めて俺の額に...あの時、俺の意識から。 だから姫は、『約束して』、『この旅行の間に』と言ったのだ。 「相談、してたんですね?僕より先に。」 姫は優しく微笑んだ。「知りません、私。」 ふわり、と俺の腕をすり抜けて立ち上がる。 「シャワー、使って来ます。」 体の力が抜け、呆然と姫を見送る。やがて可笑しさがこみ上げてきた。 我慢できず、俺は声を上げて笑った。 見事に、完全に騙されていた。それが何故か、とても良い気分だった。
2204 :『光と影(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:38:01 ID:LMjplu520 「質問があるんです。黛弓さんと亨君のことで。」 旅館を出て車を走らせてから1時間程が過ぎ、県境に向かう山道に差し掛かっていた。 「私に答えられることなら、何でも。」 「あの時、Lさんは両親の話と黛弓さんの話、どちらが正しいと決めることは出来ないと そう言いましたよね?」 「はい。」 「でも、どちらかを正しいと信じたからこそ術を使った。Lさんは、どちらを信じたんですか?」 「あのお米から読み取った黛弓さんの記憶の断片と、両親の話には 大きな食い違いがありました。所々正反対と言っても良いくらいに。 でも、より、信用できると思ったのは黛弓さんの方です。」 「何故ですか?」 「体を捨てると決めた時、彼女の気持ちには一瞬の迷いも、一欠片の邪気もありませんでした。 だから彼女が亨君を思う気持ちは、純粋だったと思います。代の光の色、見えましたか?」 「はい、淡い、金色の光でした。」 「邪気のない母性は金色に、父性は銀色に見えます。黛弓さんは母親に近い気持ちで、 亨君を愛していたのだと思います。自分自身で産むことは出来なかったけれど、 彼女が体を捨ててくれたから、亨君の心は生まれ直すことが出来ました。 だからもう、黛弓さんは亨君のお母さん、亨君は黛弓さんの子供です。」 俺は慌てて脇道の入り口に車を停めた。不意に溢れてきた涙で運転どころではない。
2205 :『光と影(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:38:42 ID:LMjplu520 「それから、亨君がナイフを持った時、見えてしまったんです。 壊れかけた心の中に残っていたわずかな記憶。その中で言い争う両親の姿が。 父親は『黛弓に嫉妬して俺を誘ったくせに』と、 そして母親は『最初から財産目当てで婿養子の座を狙ってたんでしょ』と。 亨君が黛弓さんを受け入れるために心の扉を壊したのは 2人のその言葉を聞いたからだと思います。自分は両親の愛の結晶ではない、 望まれて産まれてきたのではない。その事実は、亨君には辛過ぎたんです。 だから亨君には、もう、黛弓さんしかいなかった。」 「それなら、Lさんは、黛弓さんと亨君を一番理想的な形に結びつけてあげたんです。 あれ以上の結果は望みようがありません。あの術は完璧でした。」 「完璧ではないです。心は元に戻りますが、亨君はこれからもずっと あの両親の元で暮らしていくんですから。あの時に言った通り、 亨君が生きていくことを選ばなければ、助けることは誰にもできません。」 「『亨君は自分の中に黛弓さんがいるのがわかる』そうですよね?」 「はい。直接に意志の疎通は出来ませんが、確かに感じるはずです。」 「なら、やはりあの術は完璧です。」 「何故、ですか?」 「亨君が死を選べば、自分の中の、愛する人を殺す事になる。 男なら、絶対にそんなことは出来ません。小さくても、亨君は男です。」 「それなら、良いんですけど。」
2206 :『光と影(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:39:55 ID:LMjplu520 その時、姫の携帯が鳴った。姫が画面を見る。「旅館から、Aさんですね。」 「もしもし。はい、Lです。大丈夫です、今は走っていないので。はい。え?」 姫の顔色が変わった。黙ったまま、Aさんの話を聞いている。 「いいえ。こちらからは、はい、任せた方が良いと思います。 わざわざありがとうございました。いいえ、では、失礼します。」 「どうしたんですか?」 「旅館から少し離れた山の麓に公園が有って、そこの駐車場に停まっていた車の中から 若い女性の遺体が見つかったそうです。死因はおそらく凍死、と。」 凍死?昨夜の気温でどうして? 俺は、気が付いた。 「それ、もしかして、黛弓さんの。」 「Aさんが、そうだと思うって言ってましたから、多分間違いないです。 警察から問い合わせが有って、情報を提供した方が良いかどうか聞かれました。」 「提供しないで警察に任せた方が良いって答えたんですね。」 「はい。Aさんの勘は確かだと思いますが、多分黛弓さんは...」 「出来れば自分の身元を知られたくない?」 「はい。」
2207 :『光と影(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:43:09 ID:LMjplu520 沈黙に耐えられなくなって、俺はもう1つの質問を口にした。 「それから、もう1つ質問があるんです。黛弓さんはLさんの事を心配してましたよね? 『こんな事したらあなたも無事では済まないんじゃないの?』って。あれは?」 「黛弓さんには力があるから、きっと、本能的に判ったんですね。」 「本当に無事では済まないんですか!?」 「人の命や魂を操作する術は、大抵『禁呪』ですから。外法すれすれの。 使えばそれなりのペナルティーが有るのは当然です。」 「ペナルティー、って。一体何ですか?」 「ええと、例えば、寿命が少し。」 「寿命が、縮まったんですか!?」 「少しだけです。」 「お願いですから、そういうことは、事前に話して下さい。」 「話したら、止められます。」 「そりゃ止めますよ!当たり前じゃないですか。」 「でも、術を使う人はみんな同じ。『やらなきゃいけないこと』の為だから。 Sさんだってそうですよ。」 「え?」 目の前が真っ暗になったような気がした。 命や魂の操作が禁呪だとしたら、もしかしてそれは? 「そう、翠ちゃんの誕生に関わる術なんて、禁呪中の禁呪です。ほとんど外法そのもの。」 頼むから、お願いですから、事前に相談して下さい。 「Sさんの寿命も、縮まったんですね?しかも結構大幅に?」 「でも、私も、Sさんも、早死にを望んでいる訳じゃありません。」 「だけど、寿命が。寿命が縮まったら。」 「妊娠して、翠ちゃんを産んだから、禁呪を使って縮まった分より Sさんの寿命は延びたはずです。今回の私も同じですよ。」 「え?何が、同じなんですか?」 「Rさんが、約束を守ってくれたから、私の寿命も延びました。 だから、差し引きマイナスでもゼロでもなく、少しだけプラスです。」 「今夜も、したら、もっとLさんの寿命は延びますか?」 「いいえ、効果は初めての時の1回きりなので、次に延びるとしたら妊娠した時です。 だから、急がないで下さい。あの...少し、怖いですし。」
2208 :『光と影(結)』 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:48:28 ID:LMjplu520 ようやく、お屋敷に辿り着いた。 翠を抱いたSさんが玄関先で迎えてくれる。 「おかえり。昼過ぎにAから電話があったわ。大変だったのね。」 「Sさん、私...」 突然、姫の頬を大粒の涙が伝った。 え?あの、姫? 姫はSさんに駆け寄り、Sさんの肩に顔を埋めて泣き出してしまった。 慌ててSさんから翠を受け取る。Sさんは優しく姫を抱きしめた。 「大丈夫、大丈夫よ。電話で聞いたLの対応は何も間違っていないから、ね。」 姫は何度も小さく頷いた。でもなかなか泣きやまない。 「...もしかして。」 Sさんが俺を見る。 射るような視線。体感温度が、多分10℃以上、一気に低下した。 「R君、あなた。Lは初めてなのに、いきなり色んな事。」 「違っ、違います!色々どころか、たった1回だけ。あ、痛たたたた」 涙目で振り返った姫に、左頬を思い切りつねられた。 姫はそのままお屋敷の中に駆け込み、俺は取り残された。 「馬鹿ね。パニクって不用意に口滑らせるの、良い加減に止めなさいよ。」 「だってSさんがあんな事聞くから」 Sさんは俺の唇に人差し指を当てた。 「まあ、素敵なお嫁さんが2人もいて、普段散々良い思いしてるんだから たま〜に、一寸くらい痛い思い、するのは、我慢して、貰わないと、ね。」 翠を抱く俺の左腕、包帯の上から、Sさんは俺の傷口をそっと押さえた。 「怪我、私、驚いて...Lも、可哀想に。」 そうか、姫は。姫とSさんの思いが胸に浸みる。 「大丈夫、腕の良い医者が綺麗に縫ってくれたし、大した傷じゃありません。 それより夕食の準備です。何か美味しいもの、頑張って作りますよ。」 小さく頷いて息を吐き、Sさんは涙を拭った。 『光と影』 完
2209 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/12(土) 06:53:32 ID:LMjplu520 何とか投稿終了出来ました。 有り難う御座いました。 寝ます。
2210 :名無しさん :2013/01/12(土) 22:22:00 ID:HHnI11n.0 藍さん 毎回楽しませ頂いています。今後もよろしくお願いします。特に大晦の宴が最高でした
2211 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/17(木) 01:46:32 ID:QLOyPN/o0 こんばんは、藍です。>>2210 温かいお言葉、感謝致します。 私も『大晦の宴』はとても好きな作品です。 あと『入学式と卒業式(結)』と『忘却の彼方(上)』も大切な作品になりました。 さて昨日、知人と電話で話したのですが、 『光と影』で語り手(R)と主人公のもう1人が結ばれて第一部は完結。 投稿のために第二部以降を送付するつもりは無いとの事でした。 私としては残念ですが、立場上、知人の判断に従う他ありません。 これまで私たちの投稿を読んで下さった皆様、ありがとうございます。 お陰様でとても楽しい時間を過ごす事が出来ました。 また、拙い長文を苦々しく思っていた皆様には申し訳ありませんでした。 心から、新参故の不躾をお詫びいたします。
2212 :名無しさん :2013/01/17(木) 16:12:25 ID:s1nP/xi60 2210です。 そーなんですか...残念です。今まで素敵な作品ありがとうございました。今後は読み返して余韻に浸りたいと思います。今までお疲れ様でした!!
2213 :名無しさん :2013/01/20(日) 02:17:44 ID:qtBcKqXw0 うーん勿体ないなあ
2214 :名無しさん :2013/01/20(日) 15:53:24 ID:joRxg0fs0 すいません 関係ないんですが前にあった怖い話掲示板っていう子供がいっぱいいる掲示板が消えてしまったんですが僕だけづすか?背景がピンクです
2215 :名無しさん :2013/01/21(月) 08:21:41 ID:2I721KGg0 >>2211 私ももっと読みたいです。 どこかの出版社に持ち込むとか、コミケなどで出品すると言うなら 話は別ですが…このままというのはもったいない。
2216 :藍 ◆iF1EyBLnoU :2013/01/25(金) 22:15:56 ID:j5O6V.yg0 こんばんは、藍です。>>2212 >>2213 >>2215 温かいお言葉、感謝致します。 続きを読みたい、という気持ちなら誰にも負けない自信はありますが、 みなさまのお言葉はとても嬉しく、有り難いです。 出版社はともかく、同人誌にしてコミケとかで売ってくれたら 私の手間もかからず本当に楽なのですが、知人には元々そんな気はないようです。 それで何とか説得したのがこちらへの投稿という形でした。 皆様のコメントを元に、これからも気長に生温く説得を続けるつもりです。 もし説得が成功したら、必ず此所に投稿します。ありがとう御座いました。
2217 :名無しさん :2013/01/27(日) 16:11:16 ID:vJ5TvPbo0 てす
2218 :名無しさん :2013/02/02(土) 06:55:22 ID:5hLugswU0 >>2216 とてもいい話でした 続きがあるのならぜひ拝見したいですね 気長に待っております お仕事忙しい中有難うございます
2219 :名無しさん :2013/02/04(月) 14:37:03 ID:KLLcB2kk0 祟られ屋も終わったし、ここに投稿してくれる人いなくなるなあ・・・
2220 :名無しさん :2013/02/05(火) 00:37:48 ID:LFncx/kE0 >祟られ屋さん 加護を失う代わりに自由になれるとか… そんな話はないのかな? 待ってる人達は、いつまでも待つだろうし。
2221 :なめこ :2013/02/22(金) 22:04:20 ID:1LL7C/jU0 多くの人が体験した怖い話があります わたしの知り合いから赤いスカートの子供が出てくる怪談を聞いて以来 変なことがおこるという子がいた その話を聞いてから毎日赤いスカートの子供を見るらしいんだ 最初は誰も気にしなかったんだけどある日わたしの友達にその子から電話が かかってきたの 電話をとったらその子がこういったの 「今窓の外に赤いスカートの子供がいる」って・・・その一言で電話がきれたの 気になって次の日その子の家に行ってみたのそしたらその子・・・家の玄関で 細い糸でつるされて死んでたんですって・・・ そしてこの話には続きがあってねこの話を聞いた人全員3日以内に自分の家で 赤いスカートの子供をみているの・・・ だからこれを見た人はきをつけてほしい・・・
2222 :なめこ :2013/02/22(金) 22:10:06 ID:1LL7C/jU0 この話を2日以内に10人にまわせばたすかるわ・・・ でもどうするかはあなたの自由よ できれば被害は少ないほうがいいもの フフフッ
2223 :グレーテル :2013/02/22(金) 22:24:36 ID:1LL7C/jU0 人から聞いた話なんだけどその人ねこをかってたらしいのだけどその人は ストーカーにつけられてたらしくてちょくちょくへんな電話やメールが きてたらしいのでもある日メールに「あと3本」ってなぞの言葉がはいってたの 意味がわからなかったからきにしないでおこうと思ったんだけどその時飼い猫の歩き方 がおかしことに気がついたのそして足を見たら・・・
2224 :グレーテル :2013/02/22(金) 22:27:01 ID:1LL7C/jU0 足が一本ちょんぎられてたんですって アハハハハハ
2225 :名無しさん :2013/02/24(日) 13:53:20 ID:g8qWhL7M0 九州大学法科大学院(以下、九大ロー)とは、ウンコにたかるケツアナであり、いわゆる肛門の事を指 す。 かかる九大ローのケツアナからは、ゲリ便ビチクソウンコが噴出され、くさい。 ブリブリブリ~!ブビビビビ~!ゲリ便ビチクソウンコは、大量の豆、ニンジン、しいたけなどを含 み、部屋の畳一面にぶちまけられる。これらをストローを用いて、ブビビビビ~!と体内に吸引することが、 九大ロー関係者の主な仕事である。 もちろん、全裸でのた打ちまわりながら、 全身に塗りたくる作業も忘れない。特に、豆、ニンジン、しいたけは重要であるから、 かき集めたビチクソウンコシチューと一緒に、ジュルジュルジュル~と音を立てながら、 、白眼を向きながらものの三秒で飲み干す様は、さながら便所に流されるウンコの怨恨の化身であり、 さすがは九州随一の名門と言えよう。 そして、わずか30分後には、彼らの全身は全てウンコ一色となり、一生消えない臭気を放つビチクソ軍団としか言 いようがない存在に成り下がる。 しかし、九大ローが真の肛門たる理由は、以上のように肛門と化した彼らの、次の段階にある。 即ち、直径約一メートル50センチに達した巨大な肛門ロー関係者は、その肛門括約筋を 痙攣させながら、屁をぶっぱなす。 ボアアアアアアー!!この音は 発狂し泣き出してしまうほどの大音量であり、どろどろの二次ビチクソを 周囲に撒き散らすことを忘れない。 辺りのテレビ、冷蔵庫、ガラス窓、 構内のアスファルト、街路樹などはゲリ便一色となり、一生消えない臭気をぶっぱなす。 うんこのにおいは、濃厚で、まるでゲリ便うんこを舌の上で転がす様に似る。視界はウンコ一色で均質 化し、こうさて、全ては 九大ロー即ち肛門から噴射されるビチクソ大便となる。 ここはうんこ、あそこはうんこ、そこもうん こ。あれもあの人もうんこ… では、わたしは…。 この段階においては全て相対性は破壊され、全ての認識が、消え、 わたしはいなくなる。九大ロー即ちビチクソ大便(ニンジン、しいたけその他内容物および、二次ウン コ、三次ウンコ…無限ウンコ、および臭気全てを含む) だけが残される。そして、誰もそれを知り得ない。
2226 :名無しさん :2013/02/24(日) 13:54:45 ID:g8qWhL7M0 わたしが体験した、今までで一番不可解で怖いものです。 どうでしょうか
2227 :名無しさん :2013/02/24(日) 15:22:16 ID:w/bNqIscO あれは俺が大学三回生の夏の夜のことだった。 俺と友人T、友人Fで地元の心霊スポットに向かった。 その心霊スポットは廃墟になっている三階建ての建物、昔は一階がクリーニング店で二階、三階に人が住んでいたらしい。 俺の車で運転席に俺、助手席にT、後部座席にFを乗せて、その廃墟にむかった。
2228 :名無しさん :2013/02/24(日) 15:42:10 ID:w/bNqIscO 俺たちはその廃墟に到着した。 ここに来る途中から、缶酎ハイを数本飲んでいたFは、ハイテンションになっていて、廃墟へ真っ先に猛ダッシュで入っていった。 それに続いて、俺とTも恐る恐る廃墟へ…
2229 :名無しさん :2013/02/24(日) 16:05:22 ID:w/bNqIscO 俺とTは恐る恐る廃墟の中へ入った。 一階は5特に何もなかった。そして、階段を上がり二階へいった。 Tは言った。 「もう、やめようぜ。気味が悪いよ…」 俺も正直少し気持ち悪かったから、引き返すことにした。 廃墟の横に止めておいた車の前で俺とTは、Fの帰りを待っていた。
2230 :名無しさん :2013/02/24(日) 19:06:09 ID:w/bNqIscO Fは誇らしげな顔して廃墟から出てきた。 Fは「お前ら、ビビったんだろ?記念にとってきたぞ」と言い、手に持っていた縫いぐるみを見せつけた。
2231 :名無しさん :2013/03/17(日) 09:30:30 ID:/3TesrWY0 てす
2232 :ななしさん :2013/03/19(火) 20:54:25 ID:zcqZ9khA0 これはアメリカのゲームです。1度やってみてください。 これは、たった3分でできるゲームです。試してみてください。 驚く結果をご覧いただけます。 このゲームを考えた本人は、メールを読んでからたった10分で願い事が かなったそうです。このゲームは、おもしろく、かつ、あっと驚く結果を 貴方にもたらすでしょう。 約束してください。絶対に先を読まず、1行ずつ進む事。 たった3分ですから、ためす価値ありです。 まず、ペンと、紙をご用意下さい。 先を読むと、願い事が叶わなくなります。 ①まず、1番から、11番まで、縦に数字を書いてください。 ②1番と2番の横に好きな3〜7の数字をそれぞれお書き下さい。 ③3番と7番の横に知っている人の名前をお書き下さい。(必ず、興味の ある性別名前を書く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら同姓の名 前をかく) 必ず、1行ずつ進んでください。先を読むと、なにもかもなくなります。 ④4,5,6番の横それぞれに、自分の知っている人の名前をお書き下さ い。これは、家族の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。 まだ、先を見てはいけませんよ!! ⑤8、9、10、11番の横に、歌のタイトルをお書き下さい。 ⑥最後にお願い事をして下さい。さて、ゲームの解説です。 1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人に伝えて下さい。 2)3番に書いた人は貴方の愛する人です。 3)7番に書いた人は、好きだけれど叶わぬ恋の相手です。 4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思う人です。 5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く理解してくれる相手です。 6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらしてくれる人です。 7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す歌。 8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す歌。 9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す歌。 10)そして、11番に書いた歌は、貴方の人生を表す歌です。この書き 込みを読んでから、1時間以内に10個の掲示板にこの書き込みをコピー して貼って下さい。そうすれば、あなたの願い事は叶うでしょう。もし、 貼らなければ、願い事を逆のことが起こるでしょう。とても奇妙ですが当 たってませんか?
2233 :名無しさん :2013/03/23(土) 21:45:59 ID:LToONtSQ0 てす
2234 :名無しさん :2013/03/30(土) 11:48:50 ID:ualX4ocI0 奇形児 この伝説は、読むと何かが起きるかもしれないと言われている話の一つである。 必ず自己責任で読み進めていただきたい。 これは北海道の網走市で本当にあった話である。 K塚美枝さん(当時23)は、いわゆる売春婦だったが、夫がいた。 しかしその夫は働こうとせず、酒に溺れる毎日で、酔うと必ず美枝さんに暴力を振るう。 83年の夏、美枝さんは体調を崩して病院へ行くことにした。 原因は妊娠によるつわりなどだった。 売春婦であった美枝さんは、まず誰の子なのか考えたが、夫の子である事を確信し、早く報告しようと急いで帰ったという。 しかし夫は自分の子と信じず、彼女に中絶を命じた。 それから7ヶ月。 結局、美枝さんは中絶を拒み、産むことを決意していたが、夫は彼女が従わなかった事を不満に思い、さらに暴力を振るっていた。 そしてある日、夫は美枝さんの腹部に膝蹴りを入れた。 すると美枝さんの股間からは溢れる様に血が流れてきた。 美枝さんは崩れ落ち、声にもならないうめき声で唸りながら意識を無くした。 そして股の間から、するすると血にまみれた小さな小さな赤ん坊の姿が現れた。 夫は慌てて家を飛び出して行った。 何故か? それはその産まれてきた子供が余りにも醜かったから。 目はあべこべに付き、片方の目は眉毛の上に付いてる。 鼻はだらしなく直角に曲がり、口は縦向きに、しかも耳のつけねから裂け目の様に付いていたのだ。 動きもせず、ただこちらを眺めている。 それからどうなったか不明である。 ただ、この話を聞いた人は最低3日間は気を付けて欲しい。 後ろで何か気配を感じても、決して振り向いてはいけない。 それは、あの子があなたを眺めているからだ。 10分以内にこの話を掲示板など10箇所に貼らなければ、そのままあの子はあなたから離れて行かない。 どうかお気を付けて。
2235 :名無しさん :2013/04/03(水) 23:33:14 ID:YDot1NaUO あるサイトの質問コーナーにて (質問) タンポン無しで水泳 3年間水泳部ですが、今まで一度も生理中にタンポンをして泳いだことがありません。 私の友達もみんな同じで、それが一般的だと思っていたのですが… 新しく入部してきた子に生理中はどうすればいいのか聞かれて、何もしていないと答えたらすごく驚かれました。 その子の母親は泳いでいる間は水圧で大丈夫だけど、プールから出たときに血が外まで出るよ、と言っていたそうです。 私の場合、長時間タンポンなしでプールの外にいたことがあるわけではないけれど、本当にプールの外に出たら水圧が0になるから血が外まで出るのでしょうか??それとも短時間だったら大丈夫ですか? ただ単に私の血の量が少ないだけかもしれないけれど…(2, 3日目でも全然大丈夫です) 今まではただ私の運が良かっただけで、プールから出たらすぐに血が外まで出る、と聞いて少しこわくなりました… あとターンや飛び込みの時も血が水着の外まで出るとその子が言っていたのですが本当ですか?
2236 :名無しさん :2013/04/03(水) 23:36:15 ID:YDot1NaUO >>2235 (回答) 長女のチームは中高生がメインなので、毎日誰かしら生理中です。 生理のときは、濃いめの色の水着を着ていたり、ハーフスパッツの水着を着ている子が多いですね。 あと、赤いセームは必需品みたい。 基本、ずっと水の中にいるので、出ても気にしないそうですが、diveありのダッシュとかする時は順番で並んだりするので、少し出てる子もいるって言ってました。 でも、そんな時はお互いに水をかけあって流したり、シャワーしに行ったりしています。 男の子も同じ年頃の子たちだらけですが、さすがにからかったりしませんし、それが競泳してる子の日常だと思うので、あんまり気にしなくていいとは思いますよ。 とはいえ、うちの子も最初はとまどったみたいで、チームの先輩女の子に聞きに行ってました。 ガーゼを折って、おまたのところに入れておくと良いそうです。 上がった時とかにささっとトイレに行って、ギューっと絞る、みたいな。 出て当たり前、って思ってたら気も楽になるそうです。 コーチも男性ですが、全く気にしていないそうです。
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