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日本だけの「共同体幻想」は崩壊する
1 名前: 伊藤正彦 投稿日: 2003/11/17(月) 22:02
●日本だけの「共同体幻想」は崩壊する 序論1

先週の総会宿題提出優先で、先送りした素敵な論争を開始します。
「脱藩道場の2003年秋の総会について」の長大スレッドにある投稿から
下記を参照しつつ、掲題の重要テーマに挑戦します。

《34》伊藤正彦 投稿日: 2003/10/30(木) 23:25
《40》亀山信夫 投稿日: 2003/11/03(月) 06:48
《42》西條謙太郎 投稿日: 2003/11/03(月) 13:08
《44》伊藤正彦 投稿日: 2003/11/06(木) 00:57
《45》海原波彦 投稿日: 2003/11/07(金) 16:01

少し長くなりますが、必要箇所の引用を掲載し、本論に進みます。
かかる引用も個人の知的財産権を保護して行きます。

☆起案《34》伊藤正彦 投稿日: 2003/10/30(木) 23:25

●論議の出発点:事前アンケートとしてご返答を集める
★1 日本沈没への藤原肇流の警鐘をいかに啓蒙普及するのか?
★2 既得権益構造病が蔓延し、疲労困憊しつつある我が国の惨状を
   いかにして短期間での改革=世直しをするにはどうすべきか?
★3 参加者および藤原肇博士と共感する多くの人材を獲得するには?
★4 現状の掲示板が「コップの中の嵐」にもなり得ないのはどうしてか?
★5 11.9 総選挙結果が与野党拮抗・逆転になっても変わらないのでは?

●議論の絞り込み:上記課題に対応する
★1 世直しを政治運動と見て、適正なマーケティング戦略を構築する
★2 藤原肇博士の情報発信を広範に無理なく出来るよう仕掛ける
★3 常時情報発信できる「野心のある」出版社との戦略合意を迅速に
★4 毎月出版する基盤を安定させ、顧客満足度・費用対効果を判定
★5 裸の王様にて世界の孤児になる事実を「黒船襲来」で手酷く認識させる

こんなテーマを起案します。もう日本沈没・崩壊まで数年を残す現在。
なんとか、藤原肇博士との出会いから、突破口が生み出せればと思います。【引用終わり】

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【伊藤】日頃の課題を出してみたら、課題山積。気の重くなるスタートですね。

2 名前: 伊藤正彦 投稿日: 2003/11/17(月) 22:03
●日本だけの「共同体幻想」は崩壊する 序論2

☆応答《40》亀山信夫 投稿日: 2003/11/03(月) 06:48

藤原博士がテーマとして提案されているミランダを突き進めていけば、伊藤さんが仰せの「もう日本沈没・崩壊まで数年を残す現在」という日本が議論の対象になると思います。仕事から漸く解放された昨夜、久しぶりに『オリンピアン幻想』を紐解いてみたところ、以下のようにミランダについてのくだりがありました。
「…権力者たちが支配力の正当性をシンボライズして、人びとの心に称賛の気持ちをかきたてるために、情緒的な操作を加えることをミランダと呼ぶが、国旗や国歌はこのミランダの典型である…」(『オリンピアン幻想』藤原肇著 東明社 p.39)
ただ、私も脱藩道場を開設して5年になりますが、その5年の間に日本人の「領民意識」にほとんど変化が見られなかったのは残念であり、そのあたりに日本沈没の原因の一つがあるのではないでしょうか。同著に「アンチ解説」を書いた若月玄一郎氏は以下のように述べています。
「…文明の発展史を大きな流れで捉えると、古代における部族集団による部民から、領民を経て臣民を体験してから市民になるが、日本では市民意識への転換がスムーズではなかった。それは日本の歴史の特殊性のためであり、明治維新か近代革命の性格に欠けていたので、領民から臣民への意向だけに終わってしまい、敗戦は臣民か市民に転換する機会にならず、臣民から領民への逆行を生んでしまった…」(『オリンピアン幻想』藤原肇著 東明社 p.368)
しかし、絶望するのは早すぎます。日本を文字通り“脱藩”し、海外という舞台で日夜奮闘している日本人の若者も多いと思います。昨日の東京新聞に、ジェラルド・カーティス米コロンビア大学教授が「松井の活躍に思うこと」と題した興味深い記事を載せていました。ご存じの通り、教授は『永田町政治の興亡』などの興味深いテーマの本を数冊出版しています。松井選手のようにスポットライトを浴びる存在ではなくても、日本のミランダという呪術から解き放たれ、雑草の如く逞しく世界で活躍している日本人を応援していきたいものです。【引用終わり】
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【伊藤】引用の「... 日本では市民意識への転換がスムーズではなかった。それは日本の歴史の特殊性のためであり、明治維新か近代革命の性格に欠けていたので、領民から臣民への意向だけに終わってしまい、敗戦は臣民か市民に転換する機会にならず、臣民から領民への逆行を生んでしまった」は、胸に応えますね。でも我が国民性に色濃く残る《相互依存》、悪く言えば《人任せ》《お上大事》の「水田耕作共同体管理システム」に由来するかも知れません。

3 名前: 伊藤正彦 投稿日: 2003/11/17(月) 22:04
●日本だけの「共同体幻想」は崩壊する 序論3

☆応答《42》西條謙太郎 投稿日: 2003/11/03(月) 13:08

伊藤さんからの脱藩道場のテーマとしての「日本の世直し等」のご提案ありがとうございます。藤原思想を縁として脱藩道場に集うものが、祖国の現状を憂える気持ちにはひとしおのものがあることを認識しうれしく拝読しました。【中略】

世直しのプロセスを医者の診察と治療に例えれば、
1)観察: どこが病んでいるのか。
  (正常な状態が認識できていなければならない。)
2) 診断: 病因をさぐる。何が原因でそういう症状が表れているのか。
  ダイアグノシス。
3) 治療方針の構築: 処方箋の提示
4) 治療・施術実務
伊藤さんのご提案は、大別して、?上記3)4)の治療・施術の部分の検討に焦点をあわせた取り組み【★2 既得権益構造病が蔓延し、疲労困憊しつつある我が国の惨状をいかにして短期間での改革=世直しをするにはどうすべきか?】と、?藤原思想の共鳴者拡大施策、?掲示板が不活発な理由の掘り下げ、についての討議であると思いますが、とくに?に関しては、診察・ダイアグノシスの部分の見解の掘り下げ・共有を抜きに、総論で治療・施術の部分を語っても、各人の話がかみ合わなかったり、お互いの真意が伝わらなかったりするのではないかと思います。

従って、テーマとして取り上げるには、いささか間口が大きすぎるのでないかと考える所存です。この世直しの実践の部分については、各人が藤原思想から学んだことを糧として、まず自らが何かに取り組み、良い事例があれば道場の機会や掲示板で紹介するなどの形をとることではどうでしょうか。 それが素晴らしい実践であり、それに共鳴する人があれば、思わぬ理解者や協力者も増えてくるものと確信致します。【引用終わり】
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【伊藤】藤原肇宇宙への羅針盤としてのご指摘に感謝します。何とか藤原肇宇宙の中で、孫悟空宜しく落としどころまで到達出来ればと希望します。外科と内科を同時に診断即施術せねば手遅れという「日本病」は深刻。

最近、自律神経回復で免疫力が高まり、ガンが自然治癒するとの仮説検証を啓蒙普及している奇才が登場。安保徹・新潟大医学部大学院教授(免疫学)。強烈な情報発信で訴える。ここには『間脳幻想』で藤原肇さんが見極めた自律神経こそ、生命の源泉との粛然たる命題がある。日本病治癒の最良の処方箋が、ここにあると信じます。

帯にいわく「命を落とすひと、疲労ひとの差は、どこにあるのか? 不要なものは、過剰な手術・放射線・抗ガン剤・薬.....対症療法を軸にする現代医療は病を増幅・創出している。痛み、発熱、下痢は治癒反応、無理に抑えてはいけない。病気の本質を知れば、ガンも恐れることはない」


【注】『免疫学問答―心とからだをつなぐ「原因療法」のすすめ』
 安保 徹 (著), 無能 唱元 (著) 価格: ¥1,300 河出書房新社

http://www3.zero.ad.jp/wakaba/menekimondo.htm
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309251641/

条件さえ合えば、藤原肇博士と安保徹教授を対談し、即時情報発信したいですね。ガン細胞を切っても放射線で殺しても、寿命は決して延びない。五体満足であってはじめて、玄米食など自然回帰で間脳支配を高め、免疫力で自然治癒する。何か、あらゆる病理を言い当てているように受け止めています。

4 名前: 伊藤正彦 投稿日: 2003/11/17(月) 22:08
●日本だけの「共同体幻想」は崩壊する 本論1

【序論が続くので、完成稿の本論を差し挟みます。自在な論議を歓迎します】

日本人の多くが、心情的には何重かのバリアに守られ、鈍い国際感覚のまま、身勝手=自己中心主義に暮らしている。6%の表面失業率(潜在的には15%超と観測)にも危機感なく、3万人以上の自己破産(実体は連帯保証システムの破綻)犠牲者が自殺するのも傍観している。養老年金・国民皆保健システムの制度疲労が顕在化しており、崩壊に向かうのは国際的な必然。そうとは認めたくない甘えが、消費税財源に依存しての抜本システム見直しを先送りにしている。「パンドラの箱」は、国際的にはすでに開いているのは厳然とした事実。日本政府保証債(国際)の信用格付けが、アルゼンチン・ウルガイ(債務超過の喫水線を浮遊)以下に下落し、ドル建て米国政府保証債を買い付ける担保価値を大幅に減じることは、直近の必然。郵政民有化を待たずに、郵便3金融の破綻が判明する事態もあり得る。恐慌は「厚生年金」財団に波及し、我が国の高齢者年金支給は根こそぎ崩壊するとの地獄絵まで想定される。まさに「共同体幻想」は「ゆで蛙=入浴の快感のままゆで上がる」そのものなのです。

藤原肇博士の警鐘も届かず、居心地の良い指定席に安住する過半の国民は、破局を知らせずに先送りをするだけの「官僚支配の一寸先は闇政権」の甘いメッセージを素直に受け止めている。まさに「共同体幻想」は、一触即発どころか、確実に襲来する「首都圏直下型地震」と同類の水準にあると知るべきでしょう。極楽トンボの夢を無知のままに放置し、結果的に共同正犯になる国内マスメディアの思惑通りに、危機感を減殺する「亡国麻酔」の効き目は確かですね。

杞憂だとおっしゃる諸賢に問いかけ、個別に幻想の危険性を考えてみたいと思います。

★「列島に割拠して他民族は排除できる攘夷論は正しい」
★「舶来崇拝に憧れる蜃気楼の擬似スタンダードで自己満足出来る」
★「勤勉忠実な1.2億人の自律経済圏は自立出来る」
★「食料もエネルギーも安定供給は金で買える」
★「米軍事力の傘にて安全保障は現在も将来も完璧」
★「世界最大の債権国だから国債発行できる国際信用はまだまだ強い」

など、2003.11.9 総選挙では自民・民主両党の政策選択項目からは、すっぽり抜けていた。もう土俵際に足がかかり、次々に飛びかかる豪腕の相手力士に押され続ける古参横綱のごとく、決め手を欠くままに敗北の時を待っている構図が見て取れる。

5 名前: 伊藤正彦 投稿日: 2003/11/22(土) 09:51
■日本だけの「共同体幻想」は崩壊する 本論2
●日本列島「直下型地震」の同時多発の危険性 1
〜生産性の落とし穴

中国への生産拠点の移動が、我が国のデフレと雇用縮小を生んでいるとの暴論がある。仮に、日本が短期就労者を中国や韓国に求め、国内労賃の5〜10%で同じコスト・パフォーマンスができるとのパラダイムを想定してみるが良い。製造装置の生産性=生産額÷(労賃+製造費)は確実に上昇する。各企業の収益は向上し、設備投資や借入返済など経済は好循環に戻れると思いますが、国際分業=生産性向上との原則を認める経済人も御用学者も少ない。現に中国に生産拠点を移し、生産性向上の利得を享受しているのは、日本企業なのであることは事実。逆に生き残りをかけて、中国進出しても祖国の経済好転に寄与しないのは何故か、まず考えてみたい。

荒い論議ながら、結論から言うと、企業収益が表経済を潤さないシステムがあるからと思い始めています。トヨタの1兆円企業所得は、どこに還流するのかを見れば答えが分かる。売り上げの過半を海外市場で稼ぐ同社は、費用対効果=コスト・パフォーマンスを求めて、中国やアジア、欧米の現地生産に最大の投資を継続拡大している。さらに事業税の低い国々に経営拠点を移転するのも重要戦略となっている。いくら稼いでも国内で消費しにくく、雇用創出に直結しないシステムは長く根付いている。

米国でもIT革命の費用対効果を生産性で見ると、生産合理化・経営改善・製造流通即時管理などの対応に、ディジタルネットワークとコンピュータが適所に配置され、プログラム対応はじめ、多数の高賃金労働者を雇用することで、企業の投資・経費は20%以上の追加となり、その結果としての生産性の増加は1%前後にとどまる。これは、気鋭の経済学者、ポール・クルーグマンMIT教授が繰り返す「現代の経済幻想」のひとつなのでしょうか。皮肉でもなく、農業・鉱業・基本資材製造業などの「ローテク」産業分野とさほど変わらないのが事実かも知れません。

6 名前: 伊藤正彦 投稿日: 2003/11/22(土) 09:52
●日本列島「直下型地震」の同時多発の危険性 2
〜地下経済の暴走止められない

さらに、軍事産業や公共事業への過度の資金流入流出が加速し、もちろん実体経済を凌駕する「バブル金融取引」にも流れることで「表経済」は先細るばかりなのも事実でしょう。この世界恐慌でも修正しきれない「マネーゲームの加熱」は新世紀前半の最大課題と思われます。

さらに追い打ちをかけるのが無謀な公共投資。国際基準を逸脱した公共財の落札価格は、道路建設では最大40倍(山崎養世・民主党国土交通大臣候補ホームページ)に達し、市場原理を排除した「底なしの対価水増し」は、公共投資の乗数効果を全く生まない。10億円の土木工事費が投じられても、実質生産金額は25〜50%に過ぎず、人件費に回るのはいくらでもない。営業利益は借入金返済や不良債権という地下経済への抜け穴から消える。1兆円の追加予算が公共投資を通じて、いくらの波及効果を生んだのか、緻密な経済統計は取るにも取れず、霧の中に消えて見えない。この仕掛けは、りそな銀行の不良債権買い取り名目での3兆円以上の融資も、全く同じと思われます。戦時立法の如く、緊急避難を優先し、冷静な評価判断をしないで先に進む、現政治システムは「参謀本部が指揮した亡国の戦争」と何ら変わらない。

実質10%の失業の背景に、国民の過半は「寄らば大樹の蔭」にて金脈にブル下がり、程度の差こそあれ、不等価交換の利得に直接間接に恩恵を得ているのが、真の姿ではないかと思い始めています。公共事業乃至は保護政策での価格維持で生活を保つ人口は、家族ともで3〜4000万人はいるでしょう。

このブル下がりの手を離す「蜘蛛の糸」の悲劇を適正に演ずるには、銀行もスーパーも破産すべきは潰し、条件に見合うグループだけを救済する「荒療治」が絶対に必要です。劇薬こそ、自然淘汰=自律反転のエネルギーを生み出すのです。政権に連なる既得権益構造が崩壊するのを恐れ、稚拙な彌縫策を継続しているだけの「見かけだけの政治権力の駆逐」を黒船襲来だけではなく、幕末反体制勢力の糾合で実現することが、国民の急務なのです。

この激変を利して、火事場泥棒をしかねない内外の投機筋に、国民の資産が買いたたかれぬよう見張るのが、最大の愛国者グループの任務なのです。現政府により堂々と行われている「超廉価国有資産払い下げ」プログラムに対抗すべきです。安易に不良債権を放棄し、公金をどぶ(地下経済)に捨てるがごとき愚行は常に避けるべきなのです。考慮すべきは、売買益を追究する市場原理です。比較優位な商取引をするのが、弱肉強食の実体です。ここに叡智を集積せねばならない。

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