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アニメキャラバトルロワイアルEXTRA

1 : 名無しさん :2013/07/03(水) 13:12:45 6AhqnyXs0
当企画は様々なアニメのキャラでバトルロワイアルを行うパロディリレーSS企画『アニメキャラバトルロワイアルEXTRA』のスレッドです。
企画の性質上、版権キャラの死亡や残酷描写や原作のネタバレ等が含まれますので予めご注意ください。


まとめwiki
ttp://www54.atwiki.jp/anirowaex/


参加者名簿

7/7【スマイルプリキュア!】
○星空みゆき/○日野あかね/○黄瀬やよい/○緑川なお/○青木れいか/○ジョーカー/○ウルフルン
6/6【ケロロ軍曹】
○ケロロ軍曹/○ギロロ伍長/○クルル曹長/○ドロロ兵長/○日向冬樹/○日向夏美
6/6【ジョジョの奇妙な冒険】
○ジョナサン・ジョースター/○ジョセフ・ジョースター/○ディオ・ブランドー/○カーズ/○ワムウ/○ダイアー
6/6【ドラえもん】
○ドラえもん/○野比のび太/○剛田武/○源静香/○出木杉英才/○先生
6/6【Fate/Zero】
○衛宮切嗣/○雨生龍之介/○ウェイバー・ベルベット/○セイバー/○ライダー/○バーサーカー
6/6【北斗の拳】
○ケンシロウ/○ラオウ/○トキ/○ジャギ/○カイオウ/○アミバ
6/6【ボボボーボ・ボーボボ】
○ボボボーボ・ボーボボ/○首領パッチ/○ヘッポコ丸/○ソフトン/○ところ天の助/○魚雷ガール
6/6【魔法少女まどか☆マギカ】
○鹿目まどか/○暁美ほむら/○美樹さやか/○巴マミ/○佐倉杏子/○上条恭介
5/5【刀語】
○鑢七花/○鑢七実/○とがめ/○宇練銀閣/○真庭鳳凰
4/4【サイボーグクロちゃん】
○クロ/○ミー/○マタタビ/○剛万太郎
4/4【未来日記】
○我妻由乃/○平坂黄泉/○来須圭悟/○雨流みねね
4/4【遊戯王5D's】
○不動遊星/○ジャック・アトラス/○ブルーノ/○鬼柳京介
2/2【戦姫絶唱シンフォギア】
○雪音クリス/○風鳴弦十郎
2/2【TIGER&BUNNY】
○鏑木・T・虎徹/○イワン・カレリン

70/70


2 : 名無しさん :2013/07/03(水) 13:13:38 6AhqnyXs0
OP案の投下はこちらにして下さい。
OP案募集期間は7/5(金)までを締め切りとさせて頂きます。
ロワの詳細なルール決定はOP決定後にしたいと思います。


3 : 名無しさん :2013/07/03(水) 13:16:34 dezUH1fY0
立て乙


4 : 名無しさん :2013/07/03(水) 14:03:31 MvDlJJ6o0
スレ建て乙です


5 : ◆m8iVFhkTec :2013/07/03(水) 21:55:07 ZH4T9xSA0
スレ立てお疲れ様です
それではOP候補を投下致します


6 : ◆m8iVFhkTec :2013/07/03(水) 21:55:27 ZH4T9xSA0
「開かない……ッ!ど、どうしよう……ドラえもん助けてー!!」

野比のび太はガチャガチャと扉のノブを回し、どうにかして開けようとしていた。
しかし、あいにくその施錠された鋼鉄製の扉は、少しも開く様子を見せない。

先刻、目を覚ました野比のび太は、眼前に広がる光景がいつもの自室では無い事にすぐに気が付いた。
四角く、小さな小部屋。自分は真ん中に設置された椅子に腰掛けていた。
目の前にテレビのモニターが、天井にはカメラが取り付けられている。
彼の冴えない頭でも、「自分は誘拐された」という事はすぐに理解出来た。
それから数分間、自分のすぐ右側の扉と格闘していたわけだが……。
やがて、その行為が自分自身の力では解決しようのないものだと悟った。

「ドラえもん……早く助けに来てくれよ……」

助けが来るのを祈る、それが彼に可能な唯一の事だと言えよう。
涙をポロポロと溢しながら、彼は椅子の上で項垂れた。



―――ザザッ、とノイズの音が聞こえる。
のび太が顔を上げると、テレビのモニターに一人の男が映されていた。
黒い修道服を纏った男は、一寸の光の感じられない虚無のような瞳を一度だけまばたきをすると、話を始めた。

『脱出に必死になる諸君も、大人しく座り続けた諸君もごきげんよう。
 私の名は言峰綺礼。この度、この催し事の進行役を務めさせてもらう者だ』

粛々とした低い声がスピーカーを伝って室内に響く。
催し事……? どういう意味なのだろうか。
この時点で既に、ただの誘拐では無くもっと複雑で奇妙なことなのではないかという予感が胸をよぎった。


『諸君にはこれから、いわゆる世間とは隔絶された空間の中で、互いに殺し合いを行なってもらう』


かくして、予感は的中する。
男は"殺し合い"という何とも残酷で、それでいて非日常的な言葉をなんともあっさりと口にした。
そう、彼の言い方は、あまりにも淡々とし過ぎていた。
そのため、のび太の理解がついていけず、思わず口を開けて唖然としていた。

『現時点において参加者は74名……そのうち、最後の一人になるまで続けられる。この催しの参加を拒否する権利は諸君には無い』

呆然としている間にも言峰綺礼の言葉は続けられる。
のび太はまだ、殺し合いと言う言葉を咀嚼する。
『殺し合い』とは何かの比喩であり、実際はただのゲームなのでは無いだろうか? と言う希望的観測。
命とは重く扱われるべきである、それが彼が過ごしてきた日常での常識。
だから、実際に命の奪い合いをするだなんて信じることは出来ない。

『諸君らは自らの首に首輪が嵌められている事にはお気付きかな?それは下手に外そうとしない事だ。この映像を見ていただこう』

このすぐ後に、自分はそんな日常とは掛け離れた空間にいることを。
命がゴミのように軽いものとして扱われる場所にいることを、思い知ることとなる。

――― ―― ――――――― ―
  ――― ―――――― ――
― ―――   ――――― ―――

画面が切り替わる。
四角い小部屋の中で、パニックを起こす少年の姿が映されていた。
のび太はその少年に見覚えがあった。

「スネ夫……!」

スネ夫は必死に母親の名前を叫びながら首輪を抜こうと躍起になっていた。
「ピ―――」と彼の首輪から電子音が聞こえてくるも、彼は意に返さずに首輪を力づくで引っ張り続ける。

「やめるんだスネ夫! あんまり変な事をすると……」

のび太はモニターに向かって呼びかける。
嫌な予感がする。その電子音は、警告の音のようにしか聞こえないからだ。
しかし、彼を止めようにもモニター越しに声など届くはずもない。
ただ、自発的に彼が手を止めるよう願いながら見ていることしか出来ない。
そうして、首輪の電子音が警告を止め……。


やがて、籠った爆発音と共に映像が一瞬だけブレた。
次の瞬間には白い小部屋が、ペンキを乱暴にぶちまけたような赤に染まっていた。
部屋の中心には噴水のように体液を噴き出す、首の無い少年の姿。

「嘘だろ……? スネ夫……。う、うわあああああぁぁぁぁぁぁっ!!」

呆気ない。あまりにも呆気なく、友人が惨殺される。
"死"という存在がこの瞬間に、自分にとって身近なものへと変わる。


7 : ◆m8iVFhkTec :2013/07/03(水) 21:56:15 ZH4T9xSA0
――― ―― ――――――― ―
  ――― ―――――― ――
― ―――   ――――― ―――

『諸君の命は我々が握っている。理解して頂けただろうか?
 ……おっと、どうやら理解することが出来ない者がいるようだな。ならば彼にも協力を得てもらおうではないか……』

言峰の音声、淡々とした口調ではなく、心なしか愉しんでいるようで……。

――― ―― ――――――― ―
  ――― ―――――― ――
― ―――   ――――― ―――

また画面が切り替わる。
今度は小部屋の中で暴れる奇妙な生物が映っていた。

「オラッ、さっさと出しやがれぇ〜〜!! ボクを閉じ込めるとはいい度胸なのですぅ! 死にさらせゴラァ!」

おたまじゃくしのような、見たことのない生物。
人間の言葉で悪態を吐きながら、同時に光線を口から発射して部屋を破壊しようと躍起になっていた。
なんともシュールな映像。まるでCGの映像を見ているような、非現実的な光景。
この生物が今映されている要因はたった一つだけ、テレビモニターが破壊されたために、言峰の言葉が聞けないと言う事。

「ウハハハハハ!! ボクの恐ろしさに手も足も出ないってとこですかぁ〜〜? わかったらさっさと観念し」

画面が揺れる。

次の瞬間には赤い部屋と、真ん中に倒れる首無しとなった生物。
この生物は首輪を外そうとしていなかった。そして電子音も鳴らなかった。
つまりそれは、あちら側の意思で自由に作動させることが可能だと言う事を示している。

繰り返されるスプラッタ映像に、のび太はうずくまって嗚咽を漏らす。
脂汗が頬が滴り落ちるのを感じながら、必死に吐き気をこらえている。
その間にも説明は続けられる。

――― ―― ――――――― ―
  ――― ―――――― ――
― ―――   ――――― ―――

次に映ったのは、同じく小部屋の真ん中に立ち、天井のカメラを見つめる筋骨隆々の男。
顔にX字のペイント、橙色の被り物、大きなリング上のイヤリング……どこか異国の者なのだとすぐに判断出来るだろう。

「柱の一族、この『炎のエシディシ』を拐い、こともあろうに殺し合いを指図するとは、なかなか出来る人間もいたものだ……」

威厳と冷静さを感じる口調でそう呟く。

「だが、この俺がそんなちっぽけな爆発ごときでビビると思っているとは、舐められたものよ……。
 言峰綺礼とやらよ、しかと目にするがいい。柱の一族が貴様たちよりも、どれほど優れた生物なのかをなァ―――ッ!」

殺し合い、という言葉を前にしても、彼は恐怖とは無縁。
それでも自らを縛る枷がうっとおしく感じたのだろう。
恐るること無くエシディシは首輪に手をかけ、力任せに引っ張った。

「フン!」

首輪の形状が大きく歪み……だが、首輪が千切れることは無かった。
エシディシの表情が驚愕したものへと変わる。

「……普段に比べ、力が上手く入らない……だと……!? 言峰綺礼、貴様、何を……!?」
『その人間を遥かに上回る怪力、確かに我々にとっても脅威だ。
 だが、その首輪にはそのような桁外れの力を制御する効果を付加してあるのだ。
 感謝しようエシディシよ。貴様の同士たちに、その身を持って我々の力の大きさを知らしめてもらうのに一役買ってくれたのだからな』
「ク、クソッ!! この俺を……簡単に殺せると思うなァ――――ッッ!!」

三度目の爆発。
しかし、その先にあったのは先ほどと同じような沈黙と死体では無く、頭部のみとなったエシディシ、そしてその声。
彼は未だに生きている……ただしそこに含まれたニュアンスは驚きと怒り。

「何……ッ!? ただの爆発ではない……だと……ッ!? これは太陽の力……ッ!!
 おのれェェェェェェッ!!! この、おれが、こんなところでェェェェェ……!」

断末魔の叫びと共に、肉体は跡形もなく消滅していった。

――― ―― ――――――― ―
  ――― ―――――― ――
― ―――   ――――― ―――


8 : ◆m8iVFhkTec :2013/07/03(水) 21:56:45 ZH4T9xSA0
それは悪夢のような光景だった。
つい先日まで、共に学校生活を送り、共に遊んだ友人がショッキングな殺され方をした。
変な生き物も奇妙な男の人も同じように、虫を潰すかのように次々に殺されていく。
真っ赤な血をまき散らしながら、頭と体を切り離されて……しかもその爆弾が今、自分の首に着けられている。
これが悪夢だったらどんなに良かっただろうか。このまま目が覚めてくれればどんなに良かっただろうか。
流れる汗も涙も、震える体も、全て悲しいまでに現実のものだった。

悲しい、怖い、家に帰りたい。
のび太は叫びだしたい気分に駆られた。
でも、ここで大騒ぎすれば自分もスネ夫と同じように……。

「どうして来てくれないんだよ……ドラえもん……」

今すぐに、どこでもドアで助けに来て欲しい。
どこでもドアで家に帰って、部屋で寝そべって、のんきに昼寝でも出来たらどんなに幸せだろうか。

『そろそろ賢明な諸君なら、私の話を静かに聞く気になっただろう。そろそろ簡単に説明をさせて頂こう』

モニターに再度、言峰綺礼の姿が映る。
彼の言葉で悲しみに暮れていたのび太は我に返る。
聞き逃してはいけない。少なくともその説明を頭に入れなくちゃならない。
ドラえもんがいないからこそ、最低限やるべき事をやらなくてはいけない……。

『諸君が次に目覚める場所は、会場内のどこかだ。一人一人がそれぞれ違う場所へと移動されるのだ。
 そしてそのすぐ傍に、この殺し合いを生き抜くための支給品が入ったデイパックが置かれている。
 中には水や簡易的な食料、携帯情報端末――いわゆるPDA、そして諸君から没収した道具を、これまたランダムに入れてある。
 武器などの類もあれば、役に立たない物もある。何が入っているのかは私にもわからん。今のうちにでもいい物が入っている事を神に祈るがいい。
 また、6時間に一度、PDAの機能として備わっているラジオで、我々からの放送を流す。
 放送内容は主に現時点までの脱落者、そして禁止エリアの発表だ。並列してメモ機能を開いておく事をお勧めしよう。
 ……そう、禁止エリアとは会場内の区画を閉鎖することで、諸君らが互いに出会いやすくなるようにする処置だ。
 なお、指定する時間までに禁止エリアから出なかった者はその場で容赦なく脱落する、注意するがいい。……もっとも、自殺願望の者には吉報かもしれんがな……』

精神的にキツイこの状態で、今の情報を全て頭に叩き込むのは実に苦痛な事であった。
『ぴーでぃーえー』が具体的に何なのかわからないが、メモ帳になるラジオとして覚える。
6時間ごとの放送で情報が流されるから、聞き逃してはならない。禁止エリアに入ると死んでしまう。

……あと、僕自身が武器をとって誰かを殺さなくてはいけない。

「嫌だ……」

誰かを殺したくない。それに僕の力じゃ多分挑んでも負けてしまう。
どちらにしても僕は死んでしまうんじゃないだろうか……。
何故僕はこんな場所にいるんだろう。殺されるために拐われたんだろうか……。
涙が頬を伝って流れ落ちていく。

『様々な顔ぶれがいるな……。私に対して怒りを向ける者、恐怖や絶望で青ざめている者、そして興奮している者……。
 安心するがいい。この殺し合いを生き延び、最後の一人となった者には賞品が用意されている。
 己が望む願い、それを一つだけ叶える力だ。永遠の富、不老不死、強大な力、絶対の権力、最高峰の頭脳、世界平和……不可能は無い。
 ……無論、諸君の中にはそんな私利私欲に興味を抱かぬ謙虚な者も多くいることだろう。
 そこでだ、さらにその願いとは別にオマケとして、死者を10人だけ蘇らせる力も与えようではないか。
 この殺し合いで死んだ者であろうと、それ以外の者であろうと、誰でも構わない。
 勝者だけが、その10人を選べるのだ。……どうだ、あながち悪い話ではあるまい』

死んだ人を生き返らせることが出来る……?
つまり、殺されても無事に帰れる可能性があるってことなのか……?
でも、そんな魔法みたいな事を、この人は本当に出来るのだろうか。

『揃いも揃って半信半疑のようだな……。ならばデモンストレーションしてみせよう』


9 : ◆m8iVFhkTec :2013/07/03(水) 21:56:55 ZH4T9xSA0
――― ―― ――――――― ―
  ――― ―――――― ――
― ―――   ――――― ―――

画面が切り替わる。
ピンク色のショートカットヘアーの少女。

「嘘っ、私……な、なんで……!?」

モニターに自らの姿が映されて困惑する。
そして間髪入れず、その首輪は破裂。
自体を飲み込めぬまま少女の首と胴は生き別れとなった。

……そこから1分程経過しただろうか、モニターに映る部屋の扉がカチャリと開かれ、言峰綺礼が姿を現した。
言峰綺礼は真っ赤に染められた部屋を軽く見回し、少女の死体に向けて手をかざした。

そのまま眩い光に包まれる。そして―――。

「……あれ……私は何を……」

眠りから覚めたかのような少女の声。
ぼんやりとした様子で周りを眺め、すぐそばに立つ言峰の姿を目にして悲鳴をあげようとする。

「ひぃっ……!? ……ッ……!?」
「どうだ、これで納得いただけただろうか?」

声があがる直前に言峰の手が少女の首を乱暴に掴む。
そうして、バタバタともがく少女をカメラに向かって掲げ上げた。
先ほど千切れたはずの首はしっかりと繋がれていた。
画質の問題ではっきりとは見えないが、傷跡が残っている様子もなかった。
部屋の中は相変わらず血に染まっているのに、まるで先ほどの爆発が無かったかのようだった。

「もはや疑う理由もあるまい。これが我々が持っている力の大きさだ」
「は……離し、て、よぉ……ッ! ボ、ボボ……助け……」

気管を強くに圧迫され、唾液と涙を垂れ流して苦しそうに呻く少女の声。
言峰は無慈悲にも、そのまま腕に力を込めた。
ゴキリ、という鈍い音が響き、その呻き声は断たれる。
少女の肉体が二度ほど痙攣をし、手足がダラリと下がり、動くことは無かった。

「……これで70名ちょうど、実にキリのいい数字だ。
 説明は以上。それでは諸君の幸運を祈らせて頂こう。最後の一人になれるよう、努力するがいい」

少女の体を部屋に投げ捨てると、右手を上げて何かの合図をした。
すると白い霧が天井から吹き出し、自分のいる部屋へと降り注いだ。
のび太は意識が朦朧としてくのを感じ、すぐに闇の世界へと落ちていく……。


 ◆



こんな恐ろしい出来事は、テレビの中だけだと思っていた
何気ない日常を送る自分には無縁だと、誰もが思っていた
突然拐われて狂った催しに参加させられるなんて、何かのアニメの設定みたいじゃないか

おそらく誰も気付くことは無い
自分のいる世界が、それと無縁なものでは無かったという事を



―――アニメキャラバトルロワイヤルEX 開始―――



【進行役:言峰綺礼@Fate/Zero】

【骨川スネ夫@ドラえもん 死亡】
【タママ二等兵@ドラえもん 死亡】
【エシディシ@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】
【ビュティ@ボボボーボ・ボーボボ 死亡】
【残り70名】


10 : ◆m8iVFhkTec :2013/07/03(水) 21:59:33 ZH4T9xSA0
以上です
ルールの説明などは仮のものですので、
今後具体的に決まった場合はそれに倣ったものへと修正致します


11 : 名無しさん :2013/07/04(木) 04:21:38 dLImzyKI0
サイボーグクロちゃんをチョイスするあたりにセンスを感じるな
クロちゃんは個人的に「漢の義務教育アニメ」だと思ってる


12 : 名無しさん :2013/07/04(木) 15:35:05 6GPPZ7UY0
OP乙です


13 : 名無しさん :2013/07/04(木) 18:40:13 egeDswr60
OP乙

タママの出典がドラえもんになってますよー


14 : ◆m8iVFhkTec :2013/07/04(木) 20:22:17 4n7/Itu60
おっと、ご指摘ありがとうございます
【タママ二等兵@ケロロ軍曹 死亡】に修正致します


15 : 名無しさん :2013/07/04(木) 21:17:34 ICTuRdus0
OP乙です!

>>10
ルールは決定したOP次第で決まると言う話なので修正の必要は無いと思いますよ。


16 : 名無しさん :2013/07/05(金) 19:14:37 xUMhZqhk0
レス少ないが、最初はこんなもんなのか?


17 : 名無しさん :2013/07/05(金) 23:29:21 4.nXXWCY0
ここで最初はこんなもんだと思うよ


18 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/05(金) 23:52:00 NmXtk8F.0
間に合ったのでOP候補を投下致します。


19 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/05(金) 23:53:23 NmXtk8F.0
始めに光があった。

無遠慮に瞼の中へ入り込んできた光の所為で、野比のび太は無理やりに眼を覚まさせられる形になった。
覚め切らない頭で、眠い眼を擦ろうとする指に硬い物が当たる。
どうやら眼鏡を掛けたまま眠っていたようだ。
そこでのび太は、自分がいつ眠りに付いたのか覚えていないことに気付く。
そして自分がいつも寝る時に着るパジャマではなく、普段着のまま眠っていたことを
更に今、自分が居るのがいつも眠りについている自分の部屋ではないことに気付いた。
深く、それでいて濃淡を感じさせない漆黒の闇がのび太の周囲、
あらゆる方向に広がっている。
床も天井も見えない闇。
そこ照明となる丸い光が等距離に点在している。
その光に照らされて浮かび上がる人々。
人、とも限定されない。
猫や狼。あるいはのび太には何とも判然としない不可解な存在。
それらが距離も前後も左右も高低も不規則に、空間上をこれも点在していた。
その人たちが、次々と身を起こしていく。
のび太同様、今まで眠っていたのを覚まされたのだろう。
ある者は怯えて、ある者は闇雲に拳を振るうほどに暴れて、ある者は平然としている。
大声で叫んでいるような人も居るが、声は聞こえてこない。

のび太自身はただ漠然と周囲の状況を観察するしかなかった。
のび太は今までも太古の世界や異星などを冒険した経験があり、非日常的な状況には慣れている。
しかし今のび太が置かれた、全く身に覚えのない不可解な状況には
拠り所のない不安感を抱えながら、状況の把握に努めるしかなかった。

そこでのび太は、まさに拠り所となる存在を見つける。
全身が青く、頭部だけが極端に大きい姿を。
のび太は身を乗り出してその名を呼ぶ。

「ドラえもん!!!」

周囲を見回していたドラえもんも、のび太に目を止めると
のび太に向かって身を乗り出す。
そして見えない壁に正面衝突した。
目を回して倒れるドラえもん。

「ド、ドラえもん!!?」

のび太もドラえもんに向かって駆け出そうとするが、出会い頭に衝突。
勢い余って倒れるのび太。
痛みを抑えて起き上がり、見えない壁の存在を触って確認。
そのまま拳を作って壁を叩くが、壁は微動だにしない。
ドラえもんはドラえもんで自分の周囲の空間を、その丸い手で辿って、
自分が見えない壁に囲まれているのを確認している。
周囲を見る限り、この場の全員が見えない壁で囲まれているらしい。

「ドラえもん!! 助けてよ、ドラえも〜ん!!」

拳が痛むほど壁を叩きながら、のび太は助けを呼び続けるが、
ドラえもんはそれに気づいている様子もない。
どうやらのび太の声も、外には漏れないようになっているようだった。

のび太は声すら漏れない牢獄に閉じ込められていた。

自分の置かれている状況がいよいよ尋常ではない物だと判って、のび太は戦慄する。
しかも自分のみならず、ドラえもんまで閉じ込められているのだ。
それならば誰が自分を助けてくれるのだろう?
両親や警察が、こんな異常事態で頼りになるのだろうか?
それともタイムパトロールなら助けに来てくれるのだろうか?
気の遠くなるような思いに駆られるのび太。
しかし直後に起こった異変によって、のび太の意識が奪われる。

不意に全ての明かりが消える。

全てが闇に塗りつぶされる中、一筋の光線が天から降りる。


20 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/05(金) 23:56:00 NmXtk8F.0
光線は徐々に太さを増していき、その下に一つの姿を浮かび上がらせた。
まるで舞台劇のような演出。
そして浮かび上がった姿は、実に奇妙な物だった。
全身が白い四足の小動物。
しかし猫とも兎とも微妙に違う得体の知れない生物。
そして驚くべきことに、その小動物が喋り始めたのだ。

「やあ皆、僕の名前はキュゥべえ。君たちは今の状況に当惑しているかも知れない。だから今から僕が、君たちに何が起こるかを説明するね」

キュゥべえの声が木霊する。
その声はのび太だけではなく、周囲に居る者にも聞こえたらしい。
全員が黙ってキュゥべえの言葉に耳を傾けているようだ。
一匹の小動物が、場の空気を完全に支配していた。

「まずは僕に与えられた役割を説明するよ。僕はインキュベーターとして造られた存在だけど、今の役割は説明役だね。
勘違いしないで欲しいんだが、僕は君たちをここに集めたりこの状況を作ったりしている訳じゃない。僕はただ説明する役割を与えられただけだ。
と言うより君たちをここに集めたり、この状況を作ったり、これから行われる催しを開いている者など存在しない。
宇宙の構造、重力が在ったり星が形成されていたり、に異議を申し立てることに意味が無いように世界がそう言う構造になっていると理解して欲しいんだ。
君たちがこれから行われる『バトルロワイヤル』に参加するのも、世界がそう言う節理になっているだけで、何者かの意思やその行使などとは無関係だとね」

キュゥべえの言っている言葉の意味が、のび太には良く分からない。
どうやらのび太たちは『バトルロワイヤル』なる催しに参加させられるらしいが。
理解に苦戦するのび太を置いて、キュゥべえの話が続く。

「君たちはここから『バトルロワイヤル』の会場となる場所へ一斉に送られる。会場に送られた瞬間から『バトルロワイヤル』の開始だ。
そして『バトルロワイヤル』の会場が世界の全てとなる。その外部など存在しない。宇宙に外部が、仮に存在するとしても『バトルロワイヤル』には存在しない。
君たちは今まで生きていた世界が在っただろうけど、それも存在はしないんだ。
例えば外部から君たちを脱出させる者など存在し得ない。君たちが『バトルロワイヤル』から脱出する先なんて無いんだからね」

キュゥべえの言っていることは、ますますのび太の理解を超えていく。
のび太が今まで生きてきた自分の家も、学校も、空き地も、裏山も、何もかも全部存在しなくなるなんて。
そんなことが信じられるはずが無い。

「『バトルロワイヤル』の会場は縦横に線が引かれてあって、こんな風に四角形のエリアに区分けされている」

キュゥべえはそう言って、床をなぞって歩き回る。
そこには確かに、キュゥべえを囲むように四角形の線が引かれていた。

「実際の会場にはこんな線は引かれていないんだけどね。会場の全体とエリア分けは、後で説明する支給品の一つである地図で確認できるよ。
そして『バトルロワイヤル』では六時間ごとに会場全体に向けて放送が行われる。そこで幾つかのエリアが消滅エリアに指定される」

説明しながらキュゥべえは、床に引かれた線の上に座る。
背筋を伸ばして座る姿は、猫のような愛嬌があった。

「消滅エリアは指定された時間になれば消滅するんだ。こんな風にね」

次の瞬間、キュゥべえが居たエリア。四角い線で囲まれたエリアから光が消える。
照明に照らされているはずの部分から、一片の光も無くなり、
床から天まで闇に塗りつぶされた。
キュゥべえの半身もまた。
そして残ったの半身は、光に照らされた床に向けて倒れる。
キュゥべえの半身だけが一瞬にして消えてなくなったのだ。

突然の惨劇に息を呑むのび太。
しかし半身だけが残ったキュゥべえの所へ、もう一匹のキュゥべえが現れる。
キュゥべえは半身だけになった自分を貪り食うと、きゅっぷいと可愛らしく喉を鳴らした。


21 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/05(金) 23:57:39 NmXtk8F.0
そしてキュゥべえは何事も無かったかのように淡々と説明を続けていく。

「消滅エリア上に存在する物は、空気も光も人も例外無く消滅して無になるんだ。
そして消滅エリアは放送ごとに増えていくから、最終的には会場の全エリアが消滅エリアになるね。
つまり世界の全てが消滅するってことさ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!!」

のび太が叫ぶが、聞こえていないのかキュゥべえの反応が無い。
それが分かっていても、のび太は叫ばずにはいられなかった。
会場の全エリアが消滅エリアになる。
そして会場から脱出する外は無い。
それはつまり、死ぬしかないって言うことじゃないか。と。

「消滅エリアは『バトルロワイヤル』が終了しない限り、指定され続ける。『バトルロワイヤル』の終了条件は一つしかない。
それは参加者の中で生存している者が一名になることだ。『バトルロワイヤル』の参加者は七十名。その内、六十九名が死亡した時点で終了する」

そこまでキュゥべえが説明した時点で、あちこちで騒ぐ人が現れ始める。
相変わらず声は聞こえないが、口々にキュゥべえに向けて何かを叫んでいるようだった。
しかしキュゥべえは構わず説明を続ける。

「生き残った一名は、今まで生きてきた世界を取り戻すことができる。
これまで一緒に生活していた人とも、また会うことができるよ。更にその一名には、どんな願いでもかなえる権利を与えられるんだ。
富でも、地位や名声でも、死者の蘇生でも何だって構わない。どんな奇跡だって起こせるよ。
信じる信じないは君たちの自由だけど、僕は絶対に嘘はつかないよ。
何なら聞いて見ると良い。参加者には僕を知っている者も居る。彼女らは僕が決して嘘を付かないと知っているからね」

相変わらずキュゥべえの話は、半分ほどしか理解できないのび太だったが
その恐ろしさに思い至るには充分だった。
殺し合いの参加者の内、一人しか生き残れない。
つまりのび太にしろ、ドラえもんにしろ、この場のほとんどが死ぬ。

「会場に送られた際には、同時にデイパックに入れた形で支給品も支給されるよ。
支給品は参加者全員に食料や水と地図と参加者の名簿とルールブックと筆記用具と照明器具などが一律に配られるんだ。
詳細な決まりごとはルールブックで確認すれば良いよ。
それと基本的な支給品の他に少なくとも一つから最大三つまで、無作為に色々な道具が支給される。
中には強力な武器が支給されているかもしれない。だから参加者には全員、『バトルロワイヤル』の生還者を決める権利を持てる形になるね」

そこまで聞いて、のび太は『バトルロワイヤル』の真の恐ろしさを理解した気がした。
脱出不可能な閉鎖空間。
武器になる物が支給される。
生き残れるのは一人だけ。
そこから導き出される答えは――――――――参加者同士の殺し合い。

「それじゃあ、君たちとはこれでお別れだね。説明の役割を終えた僕は、これで消滅するよ。
繰り返しになるけど、君たちのために忠告すると、『バトルロワイヤル』を裏から支配する者を想定したり、外へ脱出しようとするのは無意味だから止めた方が良いよ。
時間を無駄にすると、生還者を決める権利を失うかもしれないからね」

そう言い残してキュゥべえの居る四角形の空間が再び消滅した。
今度こそあらゆる光を失くした中、のび太は狂ったように壁を殴って助けを呼ぶ。
しかしそれに答える者は居ない。
やがてのび太は床や四肢の感覚を失い、重力も見失った。

再び光を取り戻した時のび太は――――――――







――――――――そして『バトルロワイヤル』が開始する。





【アニメキャラバトルロワイヤルEX 開始】


22 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/05(金) 23:59:12 NmXtk8F.0
以上になります。

ルールなどに問題が在る場合、構わないのであれば修正します。


23 : 名無しさん :2013/07/06(土) 00:24:08 qAP./V6U0
OP投下お疲れ様です〜
のび太はOPに向いてるぜ……!


24 : 名無しさん :2013/07/06(土) 00:52:49 nd9W13NI0
OP乙です
候補は2つかな?


25 : 名無しさん :2013/07/06(土) 16:03:53 SaXu8CxU0
OP候補作品が2作投下されたので、正式採用のOPを投票で決定したいと思います。

1.>>6->>9までの◆m8ivfhktec氏の投下作(進行役:言峰綺礼)
2.>>19->>21までの◆wYOF3ar91U氏の投下作(説明役:キュゥべえ)

1人につき1票を1と2のいずれかを選んで投票して下さい。
投票期間は7/7(日)の0時から23時59分59秒まで、投票場所は新パロロワテスト板の『アニメキャラバトルロワイヤル(仮)』のスレッドでさせて頂きます。

これまでの議論を行っており、OP投票を行う『アニメキャラバトルロワイヤル(仮)』のスレのURLはこちらになります。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13744/1369180549/


26 : 名無しさん :2013/07/08(月) 06:27:05 AHbM4SzE0
OPの投票期間が終了しました。

有効得票を集計したところ

1:6票
2:11票

と言う結果になりました。
従って◆wYOF3ar91U氏の投下作をOPとして正式に採用させて頂きます。


27 : 名無しさん :2013/07/08(月) 08:15:44 dOFjqPz.0
OP当選おめでとうございます〜大差負けしてしまった……
あとはいよいよ地図だけですねぇ


28 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/08(月) 10:17:37 jmpl8.xU0
OPの採用ありがとうございます。
採用して貰ったOPですが、実は誤字脱字などを幾つか修正した物を投下したいと思います。
話やルールの大きな変更はありません。もし問題があったならば取り下げます。
構わないでしょうか?


29 : 名無しさん :2013/07/08(月) 21:30:22 AHbM4SzE0
>>28
修正の範囲ならば構わないですよ


30 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/08(月) 22:56:40 jmpl8.xU0
それでは修正版を投下させて頂きます。


31 : 修正版オープニング ◆wYOF3ar91U :2013/07/08(月) 22:58:27 jmpl8.xU0
始めに光があった。

無遠慮に瞼の中へ入り込んできた光の所為で、野比のび太は無理やりに眼を覚まさせられる形になった。
覚め切らない頭で、眠い眼を擦ろうとする指に硬い物が当たる。
どうやら眼鏡を掛けたまま眠っていたようだ。
そこでのび太は、自分がいつ眠りに付いたのか覚えていないことに気付く。
そして自分がいつも眠る時に着るパジャマではなく、普段着のまま眠っていたことを。
更に今自分が居るのが、いつも床についている自分の部屋ではないことにも。
深く、それでいて濃淡を感じさせない漆黒の闇がのび太の周囲
あらゆる方向に広がっている。
床も天井も見えない闇。
そこに照明となる丸い光が等距離に点在している。
その光に照らされて浮かび上がる人々。
人、とも限定されない。
猫や狼。あるいはのび太には何とも判然としない不可解な存在。
それらが距離も前後も左右も高低も不規則に、空間上をこれも点在していた。
その人たちが、次々と身を起こしていく。
のび太同様、今まで眠っていたのを覚まされたのだろう。
ある者は怯えて、ある者は闇雲に拳を振るうほどに暴れて、ある者は平然としている。
大声で叫んでいるような人も居るが、声は聞こえてこない。

のび太自身は、ただ漠然と周囲の状況を観察するしかなかった。
のび太は今までも太古の世界や異星などを冒険した経験があり、非日常的な状況には慣れている。
しかし今のび太が置かれた、全く身に覚えのない不可解な状況には
拠り所のない不安感を抱えながら、状況の把握に努めるしかなかった。

そこでのび太は、まさに拠り所となる存在を見つける。
全身が青く、頭部だけが極端に大きい姿を。
のび太は身を乗り出してその名を呼ぶ。

「ドラえもん!!!」

周囲を見回していたドラえもんも、のび太に目を止めると
のび太に向かって身を乗り出す。
そして見えない壁に正面衝突した。
目を回して倒れるドラえもん。

「ド、ドラえもん!!?」

のび太もドラえもんに向かって駆け出そうとするが、出会い頭に衝突。
勢い余って倒れるのび太。
痛みを抑えて起き上がり、見えない壁の存在を触って確認。
そのまま拳を作って壁を叩くが、壁は微動だにしない。
ドラえもんはドラえもんで自分の周囲の空間を、その丸い手で辿って
自分が見えない壁に囲まれているのを確認している。
周囲を見る限り、この場の全員が見えない壁で囲まれているらしい。

「ドラえもん!! 助けてよ、ドラえも〜ん!!」

拳が痛むほど壁を叩きながら、のび太は助けを呼び続けるが、
ドラえもんはそれに気づいている様子もない。
どうやらのび太の声も、外には漏れないようになっているようだった。

のび太は声すら漏れない牢獄に閉じ込められていた。

自分の置かれている状況がいよいよ尋常ではない物だと判って、のび太は戦慄する。
しかも自分のみならず、ドラえもんまで閉じ込められているのだ。
それならば誰が自分を助けてくれるのだろう?
両親や警察が、こんな異常事態で頼りになるのだろうか?
それともタイムパトロールなら助けに来てくれるのだろうか?
気の遠くなるような思いに駆られるのび太。
しかし直後に起こった異変によって、のび太の意識が奪われる。

不意に全ての明かりが消える。

全てが闇に塗りつぶされる中、一筋の光線が天から降りる。


32 : 修正版オープニング ◆wYOF3ar91U :2013/07/08(月) 22:59:38 jmpl8.xU0
光線は徐々に太さを増していき、その下に一つの姿を浮かび上がらせた。
まるで舞台劇のような演出。
そして浮かび上がった姿は、実に奇妙な物だった。
全身が白い四足の小動物。
しかし猫とも兎とも微妙に違う得体の知れない生物。
そして驚くべきことに、その小動物が喋り始めたのだ。

「やあ皆、僕の名前はキュゥべえ。君たちは今の状況に当惑しているかも知れない。だから今から僕が、君たちに何が起こるかを説明するね」

キュゥべえの声が木霊する。
その声はのび太だけではなく、周囲に居る者にも聞こえたらしい。
全員が黙ってキュゥべえの言葉に耳を傾けているようだ。
一匹の小動物が、場の空気を完全に支配していた。

「まずは僕に与えられた役割を説明するよ。僕はインキュベーターとして造られた存在だけど、今の役割は説明役だね。
勘違いしないで欲しいんだが、僕は君たちをここに集めたりこの状況を作ったりしている訳じゃない。僕はただ説明する役割を与えられただけだ。
と言うより君たちをここに集めたり、この状況を作ったり、これから行われる催しを開いている者など存在しない。
宇宙の構造、重力が在ったり星が形成されていたり、に異議を申し立てることに意味が無いように世界がそう言う構造になっていると理解して欲しいんだ。
君たちがこれから行われる『バトルロワイヤル』に参加するのも、世界がそう言う節理になっているだけで、何者かの意思やその行使などとは無関係だとね」

キュゥべえの言っている言葉の意味が、のび太には良く分からない。
どうやらのび太たちは『バトルロワイヤル』なる催しに参加させられるらしいが。
理解に苦戦するのび太を置いて、キュゥべえの話が続く。

「君たちはここから『バトルロワイヤル』の会場となる場所へ一斉に送られる。会場に送られた瞬間から『バトルロワイヤル』の開始だ。
そして『バトルロワイヤル』の会場が世界の全てとなる。その外部など存在しない。宇宙に外部が、仮に存在するとしても『バトルロワイヤル』には存在しない。
君たちは今まで生きていた世界が在っただろうけど、それも存在はしないんだ。
例えば外部から君たちを脱出させる者など存在し得ない。君たちが『バトルロワイヤル』から脱出する先なんて無いんだからね」

キュゥべえの言っていることは、ますますのび太の理解を超えていく。
のび太が今まで生きてきた自分の家も、学校も、空き地も、裏山も、何もかも全部存在しなくなるなんて。
そんなことが信じられるはずが無い。

「『バトルロワイヤル』の会場は縦横に線が引かれてあって、こんな風に四角形のエリアに区分けされている」

キュゥべえはそう言って、床をなぞって歩き回る。
そこには確かに、キュゥべえを囲むように四角形の線が引かれていた。

「実際の会場にはこんな線は引かれていないんだけどね。会場の全体とエリア分けは、後で説明する支給品の一つである地図で確認できるよ。
そして『バトルロワイヤル』では六時間ごとに会場全体に向けて放送が行われる。そこで幾つかのエリアが消滅エリアに指定される」

説明しながらキュゥべえは、床に引かれた線の上に座る。
背筋を伸ばして座る姿は、猫のような愛嬌があった。

「消滅エリアは指定された時間になれば消滅するんだ。こんな風にね」

次の瞬間、キュゥべえが居たエリア。四角い線で囲まれたエリアから光が消える。
照明に照らされているはずの部分から、一片の光も無くなり、
床から天まで闇に塗りつぶされた。
キュゥべえの左半身もまた。
そして残ったの右半身は、光に照らされた床に向けて倒れる。
キュゥべえの左半身だけが一瞬にして消えてなくなったのだ。

突然の惨劇に息を呑むのび太。
しかし半身だけが残ったキュゥべえの所へ、もう一匹のキュゥべえが現れる。
キュゥべえは半身だけになった自分を貪り食うと、きゅっぷいと可愛らしく喉を鳴らした。


33 : 修正版オープニング ◆wYOF3ar91U :2013/07/08(月) 23:01:01 jmpl8.xU0
そしてキュゥべえは何事も無かったかのように淡々と説明を続けていく。

「消滅エリア上に存在する物は、空気も光も人も例外無く消滅して無になるんだ。
そして消滅エリアは放送ごとに増えていくから、最終的には会場の全エリアが消滅エリアになるね。
つまり世界の全てが消滅するってことさ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!!」

のび太が叫ぶが、聞こえていないのかキュゥべえの反応が無い。
それが分かっていても、のび太は叫ばずにはいられなかった。
会場の全エリアが消滅エリアになる。
そして会場から脱出する外は無い。
それはつまり、死ぬしかないって言うことじゃないか。と。

「消滅エリアは『バトルロワイヤル』が終了しない限り、指定され続ける。『バトルロワイヤル』の終了条件は一つしかない。
それは参加者の中で生存している者が一名になることだ。『バトルロワイヤル』の参加者は七十名。その内、六十九名が死亡した時点で終了する」

そこまでキュゥべえが説明した時点で、あちこちで騒ぐ人が現れ始める。
相変わらず声は聞こえないが、口々にキュゥべえに向けて何かを叫んでいるようだった。
しかしキュゥべえは構わず説明を続ける。

「生き残った一名は、今まで生きてきた世界を取り戻すことができる。
これまで一緒に生活していた人とも、また会うことができるよ。更にその一名には、どんな願いでもかなえる権利を与えられるんだ。
富でも、地位や名声でも、死者の蘇生でも何だって構わない。どんな奇跡だって起こせるよ。
信じる信じないは君たちの自由だけど、僕は絶対に嘘はつかないよ。
何なら聞いて見ると良い。参加者には僕を知っている者も居る。彼女らは僕が決して嘘を付かないと知っているからね」

相変わらずキュゥべえの話は、半分ほどしか理解できないのび太だったが
その恐ろしさに思い至るには充分だった。
『バトルロワイヤル』の参加者の内、一人しか生き残れない。
つまりのび太にしろ、ドラえもんにしろ、この場のほとんどが死ぬと言うこと。

「会場に送られた際には、同時にデイパックに入れた形で支給品も支給されるよ。
支給品は参加者全員に食料や水と地図と参加者の名簿とルールブックと筆記用具と照明器具などが一律に配られるんだ。
詳細な決まりごとはルールブックで確認すれば良いよ。
それと基本的な支給品の他に少なくとも一つから最大三つまで、無作為に色々な道具が支給される。
中には強力な武器が支給されているかもしれない。だから参加者には全員、『バトルロワイヤル』の生還者を決める権利を持てる形になるね」

そこまで聞いて、のび太は『バトルロワイヤル』の真の恐ろしさを理解した気がした。
脱出不可能な閉鎖空間。
武器になる物が支給される。
生き残れるのは一人だけ。
そこから導き出される答えは――――――――参加者同士の殺し合い。

「それじゃあ、君たちとはこれでお別れだね。説明の役割を終えた僕は、これで消滅するよ。
繰り返しになるけど君たちのために忠告すると、『バトルロワイヤル』を裏から支配する者を想定したり、外へ脱出しようとするのは無意味だから止めた方が良いよ。
時間を無駄にすると、生還者を決める権利を失うかもしれないからね」

そう言い残してキュゥべえの居る四角形の空間が再び消滅した。
今度こそあらゆる光を失くした中、のび太は狂ったように壁を殴って助けを呼ぶ。
しかしそれに答える者は居ない。
やがてのび太は床や四肢の感覚を失い、重力も見失った。

再び光を取り戻した時のび太は――――――――







――――――――そして『バトルロワイヤル』が開始する。





【アニメキャラバトルロワイヤルEX 開始】


34 : 名無しさん :2013/07/09(火) 20:05:38 8A5fcsd60
地図が……地図が来ないのです……


35 : 名無しさん :2013/07/09(火) 22:35:36 sr1u9M7g0
周囲から目立つものだけは予め決めて、後は書き手任せで済ますとか……


36 : 名無しさん :2013/07/09(火) 22:57:08 VbJgW1sg0
簡単な地形と、町とか目立つ建物の場所だけでも図で分からないとなぁ
書き手任せで矛盾が出たりするのは避けたいし


37 : 名無しさん :2013/07/10(水) 14:35:45 G4d9Jtwg0
地図募集中


38 : 名無しさん :2013/07/12(金) 21:35:18 YEVS2qHs0
ルールと地図が決定したので投下します。



【バトルロワイヤルのルール】

・送り込まれた会場内で、参加者同士が殺し合い、最後の一名が残るまでこれを続ける。
・バトルロワイヤルの会場から脱出は不可能である。
・バトルロワイヤルの会場は縦横の線によってエリア分けされて、六時間ごとの放送で消滅エリアに指定される。
・消滅エリア上の物体は例外無く消滅する。
・参加者には全員に支給品が与えられる。
・支給品は「食料」「水」「地図」「名簿」「ルールブック」「筆記用具」「照明器具」「ランダム支給品1〜3」がデイパックに入れた形で支給される。
・生き残った一名は元の世界に生還することができる。更にどんな願いでもかなえる権利を与えられる。

【能力制限】

・超人キャラの能力低下(鯖、柱の男達も通常武器でダメージを受ける。再生、回復するキャラはそのスピード、精度の低下)
・ケロロ軍曹の漫画・アニメの知識(メタネタ)
・特殊な空間を創造する系の能力(【鼻毛領域】、【王の軍勢】、【バッドエンド空間生成】、【ゲームニスイコマレ〜ル】など)
・ギャグアニメ勢もきちんとダメージを受け、やられる時はやられる。首輪等も基本的に解除出来ない(【ボボボーボ・ボーボボ】キャラの驚異的な耐久力は要制限)

【支給品制限】

・基本的に武器は没収。普段身体につけている物で、ロワ進行に支障をきたすものは基本的に無効化する
・【ザンダクロス@ドラえもん】などの巨大ロボット
・ゲームに支障をきたす様なアイテム(巨大兵器、意思を持つ物、別空間に移動する様な物)の支給禁止
・ソウルジェムは本人の初期装備で、支給品としては扱わない
・スマイルパクトは本人支給(支給枠は一つ)
・デュエルモンスターズカードはモンスター召喚効果があり(魔法・罠カードも使用可能)

【その他制限】

・身体、装備品に備わっている特殊な能力は要制限(例:アンチバリア、悪魔のチップ、四次元ポケット他)
・奥義や宝具、変身等は、使用する度に体力を消費する(強力な技を使用すれば、それだけ増加)
・作品の設定は、アニメを準拠。参戦時期、支給品もアニメに登場したモノのみ

【書き手向けのルール】

・当企画はリレーSS企画です。従ってルールに反した作品、企画の進行に著しく問題が生じるような作品は修正を要求、または破棄される可能性があるので予めご了承下さい。
・作品を投下するにあたっては予め、まず本スレにその旨を書き込んで予約することをお願いしています。
・予約に必要なのは書き込んだ人物の同一性を証明するトリップと、予約するキャラクターの名前です。
・予約の書き込みから5日間(120時間)そのキャラクターの作品を投下する権利を得ることができます。
・更に期間中申請すれば2日間(48時間)の延長が可能です。但しキャラクターの登場話に該当する場合は延長することはできません。
・予約期間を超過しても他のトリップの予約が入っていなければ作品の投下は認められます。但し予約期間超過後に続けて同じトリップの予約は禁止とさせて頂きます。
・作品内の情報を共有するため、キャラクターごとの状態表をテンプレートにそって記し作品内に付け加えて下さい。

【状態表のテンプレ】

【(エリア名)/(具体的な場所名)/(日数)-(時間帯名)】
【(キャラクター名)@(登場元作品)】
 [衣装]:(キャラクターの纏っている衣装)
 [状態]:(キャラクターの肉体的、精神的状態など)
 [装備]:(キャラクターが携帯している物)
 [道具]:(キャラクターが携帯している物以外の所持品)
 [思考・行動]
  基本方針:(基本的な方針、または最終的な目的)
  1:(現在、最優先となっている思考や方針や目的)
  2:(1よりも優先順位の低い思考や方針や目的)
  3:(2よりも優先順位の低い思考や方針や目的)

 [備考]
  ※(上記のテンプレには当てはまらない事柄)

【作中での時間表記】
 深 夜:00:00-01:59
 黎 明:02:00-03:59
 早 朝:04:00-05:59
  朝 :06:00-07:59
 午 前:08:00-09:59
  昼 :10:00-11:59
 日 中:12:00-13:59
 午 後:14:00-15:59
 夕 方:16:00-17:59
  夜 :18:00-19:59
 夜 中:20:00-21:59
 真夜中:22:00-23:59

【地図】

ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0240.png


39 : 名無しさん :2013/07/12(金) 21:37:03 YEVS2qHs0
7/14(日)の00:00から予約の受付を開始したいと思いますので、皆さんよろしくお願いします。


40 : 名無しさん :2013/07/13(土) 13:47:29 nXHqNLWE0
したらばないの?


41 : 名無しさん :2013/07/13(土) 16:39:26 a1UpRdN.0
>>40
したらばは無いですね。予約をする際はこのスレに直接書き込んで下さい。


42 : 名無しさん :2013/07/13(土) 20:15:29 g50zD/iU0
作中の開始時間は何時から?深夜0:00からでいいのかな


43 : 名無しさん :2013/07/13(土) 20:32:12 a1UpRdN.0
深夜0:00からで良いんじゃないですかね


44 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/14(日) 00:00:01 WfBtBONY0
カイオウ、カーズ、ダイアーを予約します。


45 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/14(日) 00:00:01 KMnQk2hY0
バーサーカー、星空みゆきを予約します。


46 : ◆900QUquaoo :2013/07/14(日) 00:00:02 N44fvTSQ0
ヘッポコ丸、佐倉杏子で予約します


47 : ◆U64Hj1Y4h6 :2013/07/14(日) 00:00:06 We2FYp1U0
もう予約いいかな?
緑川なお、バーサーカー、鬼柳京介の三名予約します


48 : ◆U64Hj1Y4h6 :2013/07/14(日) 00:00:47 We2FYp1U0
かぶっただと…


49 : ◆WDoOKneeAw :2013/07/14(日) 00:01:43 g3XqaA.s0
予約が大丈夫なら青木れいか、美樹さやかの二人で予約します


50 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/14(日) 00:03:29 KMnQk2hY0
私の予約が有効……ですよね?
もう書き上がってるんですが投下してもよろしいでしょうか


51 : ◆WDoOKneeAw :2013/07/14(日) 00:04:03 g3XqaA.s0
早っ!?
それはそれとして、投下しても大丈夫だと思いますよー


52 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:04:24 We2FYp1U0
>>50
すみません、私のは無効ですんで気にせず投下お願いします


53 : ◆900QUquaoo :2013/07/14(日) 00:04:46 N44fvTSQ0
大丈夫かと


54 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:07:28 WfBtBONY0
>>50
投下されても大丈夫ですよ


55 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/14(日) 00:08:55 KMnQk2hY0
では投下します


56 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/14(日) 00:11:52 KMnQk2hY0

闇よりも暗い漆黒の――
影よりも昏い暗黒の――

理性無き狂戦士、バーサーカー。
その脳裏にはただ一つの命令(オーダー)のみが存在する。

見敵必殺(サーチ・アンド・デストロイ)。
見敵必殺。見敵必殺。

強制された戦いに疑問などない。
何故ならバーサーカーは既にしてただの剣、破壊という名の剣。
心無く涙も無い、ただの恐ろしい暴風にしか過ぎないのだから。
しかし、闘争本能に支配されたバーサーカーの中に唯一、鮮烈に残る黄金の輝き、

「……er……」

【アレ】だけは忘れられない。
故にバーサーカーは前進する。
目に映る全てを壊して崩して潰して砕いて殺し尽くすだけ。
あの目も眩む輝きを、底なしの虚無へと叩き落とすために。
歩みは疾走となり、兜のスリットから殺意に塗れた眼光が炯々と煌めいている。

「あ、あの! 私星空みゆきです! あなたは」
「■■■■■■■■■■■――!」

進路上に現れた一人の少女を、無造作に斬り捨てる。
宙を舞う少女の御首は未だ己に何が起こったのか認識できず、パチパチと瞬きをする。
その少女が本来プリキュアと呼ばれる戦士であったことなど、バーサーカーは知る由もない。
突如こんな馬鹿げた殺し合いに巻き込まれれば当惑するのが道理。
しかしバーサーカーは闘争に疑問など持たない。
相手が誰であろうと、たとえ戦意無き無垢なる民草であろうと――眼前にある以上は鏖殺するのみ。
振り抜かれたバーサーカーの右腕には、黒く染まった一振りの日本刀。
少女の懐からこぼれ落ちた小さな化粧箱を拾い上げ、バーサーカーはあてどなく走り始める。

「……ar……er……ッ!」

漆黒の鎧に桃色の装飾を靡かせ、バーサーカーは奔る。
見敵必殺――輝きを求め荒れ狂う、一つの嵐となって。


57 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/14(日) 00:12:29 KMnQk2hY0


【星空みゆき@スマイルプリキュア   死亡】



【G-7/市街地/一日目-深夜】

【バーサーカー@Fate/zero】
 [衣装]:鎧の上にスカート、リボンなどが装着されている
 [状態]:キュアハッピーに変身中
 [装備]:千刀・ツルギ@刀語、スマイルパクト@スマイルプリキュア
 [道具]:基本支給品
 [思考・行動]
  基本方針:サーチ・アンド・デストロイ
 [備考]
  ※キュアハッピーに変身することで身体能力が向上し、キュアハッピーの必殺技が使用可能になります。
  ※星空みゆきの基本支給品はG-7路上に放置されています。



投下終了です。
千刀・ツルギの漢字は文字化けしますのでカタカナで表記しています。
もし千刀の支給がNGなら絶刀・鉋@刀語に変更します。


58 : ◆900QUquaoo :2013/07/14(日) 00:14:31 N44fvTSQ0
投下乙です!
早くも脱落者が…
そしてバーサーカープリキュア説

という訳で私も投下します


59 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:15:14 We2FYp1U0
素朴な疑問だが、男ってプリキュアになれるの?


60 : ◆900QUquaoo :2013/07/14(日) 00:15:36 N44fvTSQ0
心地良い風が頬をなぞりその冷たい感覚が己の神経を尖らせる。
囁かれて揺れる衣服、ゆらりゆらりと靡く頭髪。
ここが南のリゾートならどれだけ良かっただろうか。
体で風を、自然を月が見守る今宵の空で感じるも自体は思うよりも、想像することが難儀な状況だった。
心で感じる普段の生活には似合わない特別な突発的に発動してしまった出来事。
嗚呼……これは一体何と説明するのか。

殺し合いは日々の日常にとってそれは強すぎる禁断のスパイスだった。

生き抜いていく中で必要な技術という物が存在する。
それは使役する者によって形を変えてはいるが最終的な終着点に変わりはない。
金銭を稼ぐ、学問、運動能力、会話能力、指導技術……誰しもが生き抜く上で何かしらと戦っている。
そのような生活に溺れている者達が殺し合いと言う禁忌に触れてしまったら。
適応する人間は生き抜く術を模索するが悲しい事ながら世界の理は、人の性の多くは違う。
日常では感じられない狂気に押しつぶされ多数の人間は己の保身を考え外部との接触を断つ。

一人を処分すれば己が助かるなら迷わず他人を処分する。

必死に逃げ隠れ救援が来るまで……例えその過程で他人が死すするとしても。

見ず知らずの他人とこんな状況で助け合うなど一部の人間にしか行えない。
それは恥じることではない、寧ろ本能に従ったあるべき姿である。
故に狂気は人を狂わせ、悲しい事に感動的な劇場を繰り広げる。


この劇に招かれた者は決して観客などではない。
役者として集められた惨劇に色を付ける立派な主役たちだ。
その生き様がどんなに悲惨なものだとしてもそれを笑うことなど、侮辱するなど許されない。
一人はみんなのために――そして一人は一人のために鮮やかで多彩な色を染め上げていく。


此処に一人風を感じる少女もまた劇場を染め上げる一人の役者。
少女はどうして役者に選ばれたのか、それはあの白い生物にしか……あちら側にしか分からないだろう。
多数の役者が【どうして自分が選ばれたのか】と思うのは当然だと考えるべき。
中には心当たりがある奇妙な役者も存在するだろう。
そして彼女は後者に分類される――確定ではないが心当たりは隅に存在している。
始まりの儀式の進行役を務めた生物を彼女は知っている。
忘れられない、忘れることなど、忘れたくても忘れられない。

深い絶望に一瞬の淡い希望を掴ませより深い絶望を与える悪魔の存在を。

選んだ希望の対価も知らずに契約を結び栄光の生活を手に入れた。
しかし全ての現象の調整が――絶望が塗られ栄光の輝きは一瞬の、絶望の引き立て役となった。

名を佐倉杏子――魔法少女の使命を背負う悲しき少女がこの殺し合いと言う劇場に招かれていた。


61 : ◆900QUquaoo :2013/07/14(日) 00:16:51 N44fvTSQ0


とりあえず状況を把握、出来る限りの努力をするべくバックから名簿を取り出す。
この時点でおかしい。
別におかしくは無いかもしれないが質量的にバックの中にこれらの物を詰めるのは無理な話。
まあインキューベーターが関わっているなら不思議な話ではないのだが。
自分の名前を確認し再度参加者である自覚をする。
そして適当に目についた名前を呟きながら通し見をしていく……。


「軍曹に伍長って事は軍人か?ならこいつらが働けば……名前が信用出来ないか。
そう言えばキュゥべぇが話している時に壁で遮らえていたけど隣に居たあの男は何処に……って考えても分かんないね。
ヘッポコ、ところてん、魚雷……ははっ……くだらねえ」


全てが日本語で書かれているため外国人は本名かコードネームか判断できない。
だがこいつらはきっと日本人だろう。
こんな名前存在するのだろうか?親の顔が見てみたい。
もしくはドラマなどの役名……それにしてもおかしいが。


軽くため息をつきやれやれと言った表情をするも置かれている状況に変わりはないので気分を切り替える。
知っている名前がある。
鹿目まどか、暁美ほむら、美樹さやか、巴マミ、上条恭介の五人。

鹿目まどか。
魔法少女にはなっていないがその素質はキュゥべぇ曰く最強の存在らしい。
暁美ほむらは彼女を異様に保護し、さやかの親友で、マミの後輩。

暁美ほむら。
全くのイレギュラーな存在な魔法少女。
……でも悪いやつではない。


美樹さやか。
こいつは本当に何なんだろうな。
自分でも分からない……ただほっとけなかっただけの話で済むのかな。
上条恭介と一緒に居られたら良かったのに――。


巴マミ。
始まりであって憧れであり目標【だった】存在。
その姿は既にこの世から消えている――。


「あたしが生きているならマミの奴も生きていてるのは不思議じゃない……って事かいキュゥべぇ?」


無論この場にインキューベーターはいない。
疑問と言う物はどうしても抑えられるものではない。
例え回答が来なくても、話し相手がいなくても口から漏れてしまう。
そして、もしかしたら、もう一度。
巴マミに出会えるかもしれない、そんな希望の光が心に差し込む。


「マミがいればもしかしたら……さやかを助けることが出来るかもしれない!」


あの時の自分がこうしてここに居るのなら。
死んだ自分が居るのなら。
さやかは魔女のままかもしれない、人の姿に戻っているかもしれない。
どちらにせよ精神状況は安定しているはずもないので理解しているあたしが助けるしか無い。
そして暁美ほむら、鹿目まどか、上条恭介、そして巴マミが揃えば今度こそ本当にさやかを助けられるかもしない。
二度目の生を授かったならばこの生命は自分の好きな様に使わせてもらう。


「あの、ちょっといいか……な?」


だからあたしはこの殺し合いに屈したりはしない。


62 : ◆900QUquaoo :2013/07/14(日) 00:18:08 N44fvTSQ0

現れたのは白い髪の杏子と同じくらいの少年である。
彼もまたこの殺し合いに呼び出された一人の存在であり勿論心当たりなど無い。
故に情報が欲しいこの状況で危険がある可能性もあるが杏子に接触してきた。
殺意が剥き出しでもないため杏子は話を聞いても大丈夫という判断を己の中で下す。


「いいけどまずは名前でも名乗ったらどうだい?」


「そうだね……えっと……へ、ヘッポコ丸って言います」


「ッッッ!!!」


(ねえ神様、二回目の人生だからってこれは違うと思うよ!)


ヘッポコ丸の名乗りを聞き素早く顔を下に隠す杏子。
危険な状況で真面目な少年が話してはいけない単語が飛び出し緊張が一瞬で途切れる。
先ほど名簿を見た時ふざけた名前だとは思ったがまさかこんな正体だったとは。
普通の少年であり顔も十分整っている――名前がアレだが。


「そっか……あたしは佐倉杏子よろしくね……っ」


続けて相手の名前を言おうとしたが寸前で止める。
やはりこの名前はおかしい、相手には申し訳ない話だが。

「あー……とりあえず」

知り合いである名前をヘッポコ丸に教え情報共有する。
悪用される可能性があるがヘッポコ丸は今のところ不審なところがないので教える。
無論悪用するような奴なら倒せばいいだけの話。

ヘッポコ丸は言われたまどか達の欄をマーカーで色を付けながら今度は自分の仲間の名前を教える。
正直自己紹介の時点で笑われるのは覚悟していたし、ビュティの時みたいに恥ずかしかった。
そしてボーボボや天の助の名前を聞いて更に体をプルプル震わせる杏子の姿が瞳に映る。


(ビュティと似てる声……それにこんな関係ない子も……許せない!)


自分たちを巻き込むのは十中八九毛狩り隊の仕業だろう。
あんな意味不明な白い生物何て正に戦ってきた相手だ、疑う余地もない。
名簿を見たら知らない名前ばかり。
関係ない人もいれば、各地で毛狩り隊と戦う戦士やハジケリストかもしれない。
ならば戦士を集い仲間たちと悪を打倒するのが今とるべき行動である。


(殺し合い……バトルロワイアル……小説の再現でもしたいのか?)


63 : ◆900QUquaoo :2013/07/14(日) 00:19:50 N44fvTSQ0


ヘッポコ丸は日々強さを求める若き戦士である。
故にその探究心はありとあらゆる戦いの歴史を欲す。
かつて読んだ書物の中に殺し合いを題材とした作品が……あったはずだが思い出せない。


「で、これからあんたはどうすんだい?」

「そうだね。あそこにある小学校に行って他の人を探そうと思う」

「たしかに人はいるかもね……危険人物だったら?」

「俺が杏子さんを守る」

「お、おう……」


真剣な眼差しでこんな言葉を言われるのは悪い気はしない。
若干顔を赤らめる杏子だが直ぐに気を持ち直し再度確認する。
(あたしはキュゥべぇをもう信用は出来ない……だったら魔法少女を信じてみるさ)
かつて夢見た愛と勇気が勝つストーリーを今からでも追いかける――。


「それと……呼びにくいかもしれないけどヘッポコ丸……
へっくんって言うアダ名はあるけど……」


「そっか、まあそれならな……あたしは杏子でいいよへっくん」


言った直後に恥ずかしくなり歩き始める杏子。
ビュティを思い出し絶対に帰る決意をしたヘッポコ丸。

決して交わることのない二人が何の因果が出会い巻き起こす劇はどんな色を映し出すのか。
それぞれの日常は常人とはかけ離れている非現実だが本人にとっては大切日々。
名前と関係者の名前しか話していない簡単で薄い自己紹介。
だがそれだけのやり取りでも危険な人物ではないと言うことを証明していた。

守りたい存在、会いたい存在がある限り人は前に進める。

「――食うかい?」

「これはボンタン!……杏子バックから何か出でるよ?」

言われて見てみるとバックの中で何か動く物体があるのを確認。
とりあえず強く床に叩きつけ正体を炙り出そうとするとまずはダンボールに詰まったボンタンが質量を無視して出てくる。

(魔法だしな)

(まあこれぐらい普通だな)


そして次に出てくるのが間桐桜の生き血を最初に吸った刻印虫である。


「「うわあああああああああああああ!!!!」」


こうして殺し合いの幕が開き上がる。


喜劇が悲劇か――台本のない舞台に舞い降りた役者次第である――。




【E―2/小学校付近/一日目深夜】
【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
 [状態]:健康、通常状態
 [装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ(穢れなし)
 [道具]:基本支給品一式、箱詰めボンタン@ボボボーボ・ボーボボ、刻印虫@Fate/Zero
 [思考]
  基本方針:とりあえず知り合いと合流してから考える
  1:うわあああああああ
  2:へっくんと学校に入り散策
  3:知り合いと合流したい
4:キュゥべぇは許さない 
 [備考]
  ※死亡後参戦
  ※ヘッポコ丸の交友関係を知りました。


【ヘッポコ丸@ボボボーボ・ボーボボ】
 [状態]:健康
 [装備]:
 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
 [思考]
  基本方針:仲間と合流して毛狩り隊を倒す
  1:うわあああああああ
  2:杏子と一緒に仲間を探す
  3:杏子は守りぬく
4:みんな大丈夫かな……(色んな意味で)
 [備考]
  ※サイバー都市編以降からの参戦。
  ※杏子の交友関係を知りました。
  ※毛狩り隊の仕業だと認識しています。


【箱詰めボンタン@ボボボーボ・ボーボボ】
ダンボールいっぱいに詰まったボンタン。
相手に投げつければ君も真拳使いの仲間入りだ!!


【刻印虫@Fate/Zero】
見た目がグロテスクな間桐家が使役する虫。
間桐桜の精気を一番最初に吸った個体である。


64 : ◆900QUquaoo :2013/07/14(日) 00:21:33 N44fvTSQ0
投下を終了します


65 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:23:29 QqfPTrJkO
投下お疲れ様です
初っぱなからズバッと一閃……!
うむ、このくらい思いっきり命が散るのがバトロワですね
さぁ、今後登場話で何人落ちるのか気になりますねぇ……!


66 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:24:30 D4XBTkVY0
タイトルは?


67 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:25:33 0HGOE8dkO
>>59
多分、なれないと思う。シリーズでそういう例がないから
ハトプリじゃキュアファイアーがあったけど、あれは単なる妄想だし

そして投下乙です
そりゃ、変な名前がたくさんあったら頭を抱えるよなw


68 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:25:43 We2FYp1U0
投下乙でした
開幕即死でうげぇっとなったがキュアバサカってちょっと待てww
能力的に出来そうな気もしないでもないのが困るww
そしてほのぼのコンビも乙
チ○コ虫は絶対支給品であると思ってたわ


69 : 日常×日常=非日常 ◆900QUquaoo :2013/07/14(日) 00:25:49 N44fvTSQ0
申し訳ありません
日常×日常=非日常
でお願いします


70 : ◆N4CDx3zJvI :2013/07/14(日) 00:27:43 We2FYp1U0
改めて、緑川なお、鬼柳京介予約します


71 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:30:04 QqfPTrJkO
さらに投下お疲れ様です
そういや杏子とビュティって同じ声だったっけ
どっちも実力者かつ殺し合いに乗らなそうだから、いいコンビとして活躍が期待出来ますねぇ


72 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/14(日) 00:30:28 KMnQk2hY0
投下乙です
まどマギ勢は主催者に繋がるキーパーソンになるんですね
刻印虫は見た目がアレなのがきついw

>>59
他人の宝具や道具を自分の宝具にするのがバーサーカーの能力でして、
ただの鉄柱がDIンク相当、元からそれ以上の宝具はそのランクのまま、ということはその物品に対する支配力は相当強力なものと判断しました

そしてこっちもタイトル忘れていました
ギラギラ蠢く絶望の闇! キュアランスロット!   でお願いします


73 : ◆FbzPVNOXDo :2013/07/14(日) 00:32:21 ohHsAQzg0
ボーボボ、ディオ、遊星予約します


74 : ◆Z9iNYeY9a2 :2013/07/14(日) 00:34:09 aINdQWS20
暁美ほむら、ギロロ伍長予約します


75 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:43:37 0HGOE8dkO
>>72
なるほど……確かにバサカにはそういう力がありましたね
いちゃもんみたいな事を言ってしまい、すみませんでした……


76 : ◆kILLDDjsLY :2013/07/14(日) 00:45:06 ymJeYJOk0
ラオウ、ところ天の助、風鳴弦十郎予約します


77 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:46:12 6/CP7IxcO
>>59
男が変身できるかどうかは不明だけど、バーサーカーに限っては絶対100%無理
狂化で言語能力失ってるから変身のキーになる「スマイルチャージ」を口にできない


78 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:49:27 FXsZyY/A0
ランスロットのあれは本人が武器と認識した(できた)ものしか宝具化できませんよと念のため


79 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/14(日) 00:54:38 KMnQk2hY0
>>78
そこは描写が足りませんでした。
みゆきが使用しプリキュアになって戦う、というシーンを追加修正します


80 : 名無しさん :2013/07/14(日) 00:56:28 We2FYp1U0
>>77
ああ、確かに狂化は言語能力なくなるデメリットあったね…


81 : ◆900QUquaoo :2013/07/14(日) 01:16:04 xwVpRRSU0
上からで申し訳ありませんが
バーサーカーがプリキュアに変身するのは無理があると思います。
理由は既に出てる通りです


82 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/14(日) 01:24:49 KMnQk2hY0
それについてはナイトオブオーナーは原作で

・戦闘機を操縦席から操縦するのではなく機体の上から取り付いて融合し操縦する
・戦闘機の機関銃をもぎ取って引き金がないまま発射する

など、支配下に置いた物はその物質を使用する際の本来の手順を無視できることは確定しています


83 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/14(日) 01:28:02 KMnQk2hY0
すみません、途中送信しました。

ですので、少なくともナイトオブオーナーで自身の支配下に置いた以上は「本来の手順に従わなければ使用できない」という性質は無視出来るものと解釈しています。


84 : ◆FbzPVNOXDo :2013/07/14(日) 02:30:05 ohHsAQzg0
すいません破棄します
ルール確認したところキャラ設定はアニメ版のみで自分の書いた話の展開は原作にしか無い描写だったので


85 : ◆WDoOKneeAw :2013/07/14(日) 02:53:44 g3XqaA.s0
これより投下します。


86 : ◆WDoOKneeAw :2013/07/14(日) 02:54:52 g3XqaA.s0
 美樹さやかの目前には、目の前には美しい海が広がっていた。
 宝石のような星空は宝石箱の様で、とても綺麗だった。きっと、友達みんなで見に行けばきっと盛り上がったかもしれない。今となっては、叶わない願いだけど。
 潮の香りを乗せた風は肌に突き刺さるが、特別寒いと思わない。だって、またゾンビの身体になってしまったのだから。
(まどかは魔法少女のみんなを助けたはずなのに、どうして……?)
 さやかは考えるが、答えは得られない。
 そもそもどうしてこんな所にいるのかがわからなかった。全能の力を持った魔法少女になった鹿目まどかと一緒に、円環の理に導かれたはずだった。
 それが今、こんな殺し合いに巻き込まれてしまっている。しかも、あのソウルジェムだって持たされていた。
 キュウべぇがまた何かをしたのか。さやかはそう考えたけど、そこから何かをする気力が湧いてこない。
 いや、何もしたくなかった。
(まどかはあたし達が絶望しないようにしてくれた……でも、キュウべぇはどうなんだろう? まどかが頑張ったってキュウべぇは……あたし達を絶望させないって言いきれるのかな?)
 つい先ほど、魔法少女を生み出したキュウべぇの姿を見つけた。キュウべぇはこの世界に集められた者達で戦えと言っている。その数は七十人。
 生きて帰るには、最後の一人になるしかない。つまり他のみんなを殺せって事だろう。
 だけど、さやかはそれに乗る気になれなかった。正義感から生まれる想いなどではない、純粋に嫌なのだ。
(もしかしたら、あたしはまたみんなを絶望させちゃうのかな……? また、みんなを殺しちゃうのかな……?)
 さやかは記憶の糸を辿る。
 親友の志筑仁美に幼馴染の上条恭介を取られたと思い込んで、その鬱憤を晴らそうとして戦った。正義の魔法少女になろうとして、魔女や使い魔を倒し続けた。
 それが原因で消耗したにも関わらず、グリーフシードを使うことを拒んだ。その果てに、何もかもを失って同じ魔法少女である佐倉杏子を殺してしまった。
 ……人魚の魔女。オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ。
「……ッ!」
 その姿を思い出した途端、さやかは一気に震えてしまう。
 魔女になったさやかは、親友である鹿目まどかを悲しませてしまった。巴マミみたいな正義の味方になろうと思ったのに、たくさんの人を絶望させる怪物になってしまった。
 また、そんな魔女になってしまうのか。また、誰かを殺してしまうのか。さやかがそれが不安だった。
「嫌だ、そんなの嫌だよ……もう、こんなこと……嫌だ……!」
 さやかの瞳からポロポロと涙が零れていく。
 まどかは頑張って呪いから解放してくれたけど、キュウべぇの存在が恐ろしかった。もう魔女にならないという確信が持てなかった。
 怖い。魔女になりたくない。みんなから疎まれたくない。人を傷つけたくない。誰かを殺したくない。
 もしもまた魔女になってしまったら、今度こそ数え切れない程の被害を生み出すかもしれなかった。
「このソウルジェムが魔女を生み出すんだよね……だったら、なくしさえすればいいんだよね……」
 不意にさやかは青く光るソウルジェムに目を向ける。
 穢れ切ったらソウルジェムは壊れ、そこから魔女が生まれるらしい。まどかはそんなシステムを変えたようだが、この場でもそうとは限らない。
 また例え、まどかの力が及んでいたとしても、さやかの行動は変わらない。身勝手な感情でみんなを振り回すような奴が集団に入ったとしても、どうせ火種になるだけ。
 誰かの力になりたいけど、願いが叶うとは思えなかった。
「ごめん、まどか……あたし、まどかの頑張りを裏切っちゃうよ……でも、もうあたしは無理なの。みんなの為に戦おうとしたって、みんなの足を引っ張るだけだから……あたしって、まどかと違ってどうしようもないバカだから」
 もしかしたら、まどかだったら殺し合いを止めようと精一杯頑張るはず。
 本当ならさやか自身もまどかの力になりたい。だけど、何もできないくせにまどかと一緒にいても、邪魔になるだけ。
 だから、まどかが生きてみんなを解放してくれるのを祈るしかなかった。


87 : ◆WDoOKneeAw :2013/07/14(日) 02:55:43 g3XqaA.s0
「ごめんね、まどか……ごめんね……どうか、頑張って……あたしのことなんか忘れて、どうかみんなを助けてあげて……」
 そう独りで呟き続けながら、さやかは歩く。
 彼女が歩く先にあるのは美しい海だけ。
(そういえば、人魚姫って泡になってからは天国に行けたんだよね……でも、あたしみたいな人殺しは天国には行けるわけないよね。むしろ、地獄に落ちて苦しむのがお似合いよ)
 力なく歩きながら、ぼんやりと考える。
 一歩、また一歩進む度に美しい海がどんどん近くなっていく。
 ソウルジェムだけを壊せばすぐに楽になれるけど、もしも誰かが死体を見つけたら大変だ。特にまどかだったら、悲しみのあまりに泣いてしまうだろう。
 それだったら、ソウルジェムごと海に沈んだ方がずっとよかった。そうすれば誰かに見つかることはないし、何よりも魔女だって生まれない。
 俯きながらまた一歩だけ前に踏み出そうとした、その時だった。
「いけません!」
 唐突に響いた声によって、さやかの足は止まってしまう。
 ピクリと雷に打たれたように震えながら振り向いてみると、そこには見知らぬ少女が立っていた。
 見覚えの無い制服を纏った彼女は、先程まで走っていたのか随分と息を切らせている。そして、どういう訳かやけに心配そうにこちらを見つめていた。
「そんなこと……してはいけません!」
 その少女・青木れいかの声は、美樹さやかの耳に響いていた。





 殺し合いに放り込まれた青木れいかが最初に見つけたのは、酷く落ち込んだ少女の姿だった。
 同年代の少女があそこまで落ち込んでいるなんて、余程の事がない限り有り得ない。例えば、誰かにいじめられたか……それとも友達と喧嘩をしたか。
 だが、今はそれを究明している場合ではない。彼女を助けなければいけなかった。
 あのキュウべぇという謎の生物は戦えと言っていたが、そんな言葉に従うつもりなどない。人々を守る為に存在するプリキュアが人々を傷付けるなど言語道断。
 誰かを傷付ける道など、れいかは歩むつもりなどなかった。
「だ、誰……!?」
「あの、突然声をかけて驚かせてしまい申し訳ありません! でも、あなたの事が気になってしまって……」
「あたしのことが?」
 そう答えると、名前も知らない少女は自嘲するような笑みを浮かべる。
「そっか……心配させちゃったんだ。誰にも迷惑をかけないうちに死のうと考えてたけど、駄目だったか……あたしって、どこまで駄目なんだろう」
「死ぬ……!? 何てことを言うんですか!?」
「ごめんね、変なことを言っちゃって……でも、あたしの事は気にしないで。あたしなんて、生きてたって誰かに迷惑をかけることしかできないんだから」
 少女の目からは、希望というものが感じられない。
 信じてきたもの全てから裏切られて、独りぼっちになってしまい怯えと恐怖で震えているようだった。
「ねえ、誰だか知らないけど、すぐにあたしから離れて……あたし、あなたのことを傷つけたくないから」
「私が傷つくなんて、そんな……!」
「来ないで!」
 れいかは一歩前に踏み出そうとした瞬間、少女が叫ぶ。
 少女の表情は一変して絶望に歪み、その瞳から涙が流れ始めた。


88 : ◆WDoOKneeAw :2013/07/14(日) 02:56:09 g3XqaA.s0
「信じられないかもしれないけど、あたし化け物なの……人間じゃない、ゾンビみたいな化け物なの。こんなあたしを心配してくれた子を、殺しちゃったの」
「えっ……!?」
「だから、早く逃げて……このままじゃあたし、あなたの事も傷付けちゃうから」
 少女の言葉に、れいかは愕然としてしまう。
 どこにでもいるような普通の少女にしか見えないのに、人を殺した化け物だと言っている。そんなこと、到底信じられるわけがなかった。
 それに目の前の少女が悪人であるとも思えない。何かわけがあるのではないかと思わざるを得なかった。
 そう考えている間にも、既に少女はれいかから背を向けて再び海に向かって歩いていた。
「待ってください!」
 だかられいかも急いで走り、少女にしがみつく。
 当然ながら、少女からは「離して!」と抵抗された。でも、ここで力を緩めたら少女は自殺してしまう。
 それだけは避けなければならない。
「お願い……やめてっ!」
 しかし少女の抵抗が予想以上に激しく、すぐに突き飛ばされてしまった。
 当然ながられいかは地面に尻もちをついてしまう。しかし諦めるつもりなどない。何度でも少女を説得して、生きる意味を示さなければならなかった。
 そう思いながらすぐに起き上がったれいかは少女に振り向く。しかしそれかられいかは見てしまった。
 目の前の少女が、愕然としたような表情を浮かべている姿を。
「あ、あたし……また……!」
「あの……どうかしたのですか……?」
「ね、ねえ……大丈夫? 痛くなかった? あたしなんかが、突き飛ばしちゃったせいで……!」
「そんなことありません! あなたのせいなんかじゃ……!」
「やっぱり、あたしはバカだ……あたしのことを心配してくれる人ばかり心配させて、その上傷付けて……救いようのない大バカだよ……!」
 やがて少女は、まるでれいかのことが見えてないかのように泣き崩れてしまう。
 その姿を前にれいかは何も言えなかった。彼女を救いたいのに何もできない自分自身が情けなく感じてしまう。
 彼女に何があったのかはわからない。でも、わかってあげたかった。傷口を抉る形になるかもしれないけど、彼女のことを知りたかった。
(誰かを傷付けた……それは、残念ながら事実なのかもしれません……でも、彼女自身は決して悪い人じゃないはず。私のことを、心配してくれたのですから)
 今は少女が泣きやんでくれるのを待つしかない。それから、ゆっくりと話をしたかった。
 本当の優しさを取り戻して、生きる力を取り戻させる為にも。
 そう決意を固めながら、青木れいかは泣き続ける少女・美樹さやかをそっと抱き締める。今はこうすることしか、できないのだから。


【B−1/海岸/一日目深夜】
【青木れいか@スマイルプリキュア!】
 [状態]:健康、制服姿
 [装備]:スマイルパクト@スマイルプリキュア!
 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:殺し合いを止める為に動く。
  1:今は泣いている彼女(美樹さやか)の力になりたい。
【備考】
※参戦時期は不明です。


【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
 [状態]:健康、自分自身や人を傷付けることへの強い恐怖、通常状態
 [装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ(穢れなし)
 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
 [思考]
  基本方針:??????????
  1:青木れいか(まだ名前を知らない)には自分から離れて欲しい……
  2:また魔女になって誰かを傷付けたくない……
 [備考]
※最終回で上条恭介のコンサートを見届けて、鹿目まどかと共に消滅した後からの参戦です。
※その為、魔法少女が魔女になることを知っています。


89 : ◆WDoOKneeAw :2013/07/14(日) 02:57:08 g3XqaA.s0
以上です。
タイトルは「悲しい想い」でお願いします。


90 : ◆kILLDDjsLY :2013/07/14(日) 03:54:46 ymJeYJOk0
投下します


91 : ◆kILLDDjsLY :2013/07/14(日) 03:55:20 ymJeYJOk0

「ひいいいい……なんで俺だけ……」
 
 男。というよりその生物はホテルのロビーで怯えていた。
 バトルロワイヤルという異常な事態に巻き込まれた一体の心太は恐怖していた。
 彼には首輪はなかった。代わりに体内に爆弾が仕掛けらていた。
 ご丁寧にも『首輪と書かれている箱のような物』が体内にあった。
 自分のプルプル神拳を使って取ろうとしても……取れなかった。

「俺だけこんなふざけた首輪とか、あの白い奴、馬鹿じゃねーの!!!」

 怯えていたと思ったら、急に怒り出した。
 若干、情緒不安定にも見えるが、そういう彼が世界の住人だからである。

 その時である。
 背後から足音が聞こえてきた。

「うぬも参加者のようだな」

 野太い声で尋ねられた。
 天の助は恐る恐る後ろを振り向いた。

 デカい。
 ただ単純にデカい。
 筋肉とかすごくて、存在感&威圧感がとんでもない。
 
 そう、拳王・ラオウである。
 
「ち、違います! ほら、俺首輪つけてないし!!」
「……では、貴様の体内にある『それ』はなんだ?」
「こ、これは……」
「答えよ!!!」
「ひぃぃぃぃ……お、俺の首輪です」

 天の助は正直に答えた。
 そうすれば、もしかしたら助かるかもしれない。
 しかし、嫌な予感しかしなかった。

「ふふふふふ、はははは………!! うぬはこのラオウを愚弄するつもりか!!!」

 鬼の形相ようなを露わにするラオウ。
 そして、ラオウの剛拳が天の助に向って振るわれたのだ!!

「いてぇええ。超いてぇ!!」

 あまりの痛みに悶絶し、その場を転がる天の助。
 ラオウはそんな天の助を見下し、告げる。

「うぬの秘孔新血愁を突いた、うぬは三日後に全身から血を噴出し死ぬ。
 その三日の間に………」



 パァ――――――ン!!



「何!?」

 三日と持たず、天の助の身体は二秒で爆発した。
 ところてんと人間とでは恐らく秘孔の効果が違ったのだろう。


【ところ天の助@ボボボーボ・ボーボボ  死亡】


92 : ◆kILLDDjsLY :2013/07/14(日) 03:55:50 ymJeYJOk0

 これにはさすがのラオウも驚いた。
 秘孔がこれほど効くとは思っていなかったからである。
 
「そこにいるもの出てこい!」

 ラオウが不意に叫んだ。
 すると一人の男が物陰から出てきた。

 ネクタイをシャツのポケットの中にいれた男。
 しかし、ラオウには分かった、その男は紛れもなく強い。

「今のは新手のノイズかと思ったが、違ったのか……」
「……うぬは参加者のようだな」
「ああ、そうだッ!」

 男の名は『風鳴弦十郎』ッ!
 特異災害対策機動部二課を率いてッ! 人類守護のため日夜戦い続けている屈強な司令官だッ!

「アンタは見たところによると……このバトルロワイアルとやらに乗っているな?」
「そうだ……!!」
「なら、悪いが倒させてもらうッ!!」
「ふはは、この拳王を倒すだと? 笑わせるな!!!」

 弦十郎は構える。
 その構えは流派は拳法のように分からないが、相当鍛えているとラオウは見た。

「むううん!!」

 ほぼ無造作とも思えるほどノーモーションでラオウの右手から闘気が放たれた。
 所謂、北斗剛掌波。ラオウの持つ技の一つである。
 その放たれた闘気により、ロビー内の物が乱れ飛んでいく。
 しかし……

「ハァッ!!!」

 弦十郎はラオウが放った北斗剛掌波をかき消した。
 そう、これは『発勁』と呼ばれる弦十郎が使う正体不明の拳法の一つであるッ!

「うぬ、今……何をした?」
「簡単なことよッ!! お前の闘気(オーラ)を俺の発勁で打ち消したッ!!」
「そうか!」

 さも当然のように答える弦十郎。
 それと同時にラオウの懐に入り込むために接近する。
 しかし、ラオウのガードは堅い。

 生半可な攻撃では傷一つつかない。
 それどころか夢想陰殺によるカウンターが飛んでくるのだ。

「おりゃ!!」
「ちッ!」

 ラオウの剛拳を、弦十郎は真正面から受け止める。
 その勢いを利用して、ラオウから距離を取る。

「なら、こうするまでよッ!!」

 弦十郎は床を震脚の要領で畳返しのように捲り上げた。
 そして、浮かせた崩れた床の瓦礫を蹴り飛ばす。
 寸分の狂いもなく、ラオウの身体に飛んでいく。

「ちっ、小細工を!」

 それを寸での所でラオウは躱した。

「うおりゃッ!!」

 その礫にラオウは気を取られた一瞬を、弦十郎は見逃さなかった。
 弦十郎の……ラオウにも勝るとも劣らない剛の拳がラオウに当たった。
  
「貴様、一体その拳を覚えた!?」
「飯食って映画見て寝るッ! 男の鍛錬は、そいつで十分よッ!!」
「嘘を憑けい!!!」


 だが、次の瞬間。


「ぬ!?」
「何ッ!?」

 彼らがいたホテルは倒壊した。
 二人の戦いはそれほど激しかったのだ。

 なんというか、この程度の衝撃に耐えきれないホテルがなんもかんも悪い。


 ◆ ◇ ◆


93 : ◆kILLDDjsLY :2013/07/14(日) 03:56:23 ymJeYJOk0

「この拳王にダメージを与えるとは……!!」

 ホテル跡地の東側にラオウはいた。
 辛うじてホテルの倒壊から脱出していたのだ。
 しかし、ラオウの中に確かな高揚感があった。

 ラオウは名簿を見たのだ。そこで二つの名前を見つけた。

 『トキ』と『ケンシロウ』。
 この二人は確実に自分の前に立ちふさがるであろう。
 そして、先ほどの男も確実に生きているはずと考えた。

 そこでラオウは思った。

(これは天がこの俺に試練を与えたということか!! 面白い!!
 トキ、ケンシロウ。そして、あの男を倒し、この殺し合いを勝ち抜いた先に俺は天を掴むのだ!!) 

 拳王は歩いていく。
 ただ己が野望を胸にして……

【F−7/ホテル跡地東側/一日目-深夜】
【ラオウ@北斗の拳】
 [衣装]:普段着
 [状態]:少々のダメージ(特に意味はない)
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:優勝を目指す
  1:ケンシロウ、トキ、謎の拳法を使う男(風鳴弦十郎)を倒す
[備考]
 ※参戦時期は不明。
 ※ジャギのことはすっかり忘れています。



「なんつう、化け物だよ、全く」

 ラオウが歩き出した数分後だった。
 ホテルの瓦礫の下から弦十郎はほぼ無傷状態で出てきた。
 鍛え抜かれた大人の身体にはホテルの倒壊くらいでは傷つかないのだ

「とりあえず、だ。まずは……」

 名簿を見た限り、知り合いは『雪音クリス』だけだった。
 彼女の性格からして、このような殺し合い乗るような娘ではない。
 しかし、彼女は保護対象である。早急に合流しなければならない。

 弦十郎は他にも決めていた。
 殺し合いに乗っていないものも保護し、乗っているものは倒す。 
 そして、この殺し合いからの脱出であるッ!

「さて。行こうかッ!」

 やることは少々多い。
 しかし、やり遂げると決めた。


 
 ……そんな弦十郎の頭上には、北斗七星が妖しく輝いていた。

【F−7/ホテル跡地北側/一日目-深夜】
【風鳴弦十郎@戦姫絶唱シンフォギア】
 [衣装]:普段着
 [状態]:少々のダメージ(特に意味はない)
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:殺し合いに乗っていないものを保護し、脱出を目指すッ!
  1:クリスとの合流ッ!
  2:ラオウ及び殺し合いに乗ったものを倒すッ!
[備考]
 ※参戦時期最終回後
 ※天の助を新型のノイズだと考えています。


[全体の備考]
 ※F−7のホテルは倒壊しました。
 ※F−7のホテル跡地に天の助の基本支給品一式、ランダム支給品1〜3が埋まっています。


94 : ◆kILLDDjsLY :2013/07/14(日) 03:56:59 ymJeYJOk0
投下終了です。
タイトルは「OTOKOの戦い」です。


95 : 名無しさん :2013/07/14(日) 08:45:16 WfBtBONY0
皆さん投下乙です!!

>ギラギラ蠢く絶望の闇! キュアランスロット!
まさか最初の脱落者がプリキュアで、しかも主人公とは! その上バーサーカーがプリキュア化するとは!!
修正をされるそうですが頑張って下さい。

>日常×日常=非日常
そりゃヘッポコ丸の名前を聞いたら吹き出すの無理は無いよなあw
ともかく同年代同士で無事にコンビを組めてよかった。変な虫も居るけどw

>悲しい想い
さやかは抱えている物が重いなあ。れいかと蒼の子同士で上手くやっていけるんだろうか
さやかの今後が気になる作品でした。

>OTOKOの戦い
秘孔の効果が早まるとか、天の助はどんな身体の構造をしてるんだw
ラオウの強さも流石だけど、それと渡り合う弦十郎も充分とんでもないな。

それとこれは指摘ですが、このロワにはそもそも『参加者の嵌める首輪』が存在しないので
天の助にだけ爆弾を仕掛ける必要は無いのではないでしょうか。


96 : ◆EKhCqq9jsg :2013/07/14(日) 09:27:37 uxLutk.U0
上条恭介、アミバ
両名を予約します


97 : 名無しさん :2013/07/14(日) 09:31:47 7NfMpMDk0
>上条恭介、アミバ
両名を予約します

あっ(察し)


98 : 名無しさん :2013/07/14(日) 12:18:27 cHcKb1RU0
やめてさしあげろ


99 : ◆kILLDDjsLY :2013/07/14(日) 16:49:25 QrE7Dq8g0
>>95
ご指摘ありがとうございます。
冒頭>>91を以下のように修正いたします。

「ひいいいい……俺がこんなことに……」
 
 男。というよりその生物はホテルのロビーで怯えていた。
 バトルロワイヤルという異常な事態に巻き込まれた一体の心太は恐怖していた。
 元毛狩り隊Aブロック隊長『ところ天の助』である。
 彼は先日、ボーボボたちと共に軍艦を倒したら、また捨てられ、スーパーマーケットでの生活に逆戻りになった。
 そして、つい此間、とある男に購入されたのだが、それがまた地獄であった。

「『キャプテン石田』の野郎……火星侵略の次はこんなところに送り出しやがって!!!」

 怯えていたと思ったら、急に怒り出した。
 若干、情緒不安定にも見えるが、そういう彼が世界の住人だからである。

 その時である。
 背後から足音が聞こえてきた。

「うぬも参加者のようだな」

 野太い声で尋ねられた。
 天の助は恐る恐る後ろを振り向いた。

 デカい。
 ただ単純にデカい。
 筋肉とかすごくて、存在感&威圧感がとんでもない。
 
 そう、拳王・ラオウである。
 
「ち、違います! ほら、俺ただの心太だし!!」
「……では、貴様の横にある『それ』はなんだ?」
「こ、これは……」

 ラオウは天の助の横のデイパックを指さした。
 それはもちろん、天の助のデイバックである。
 そして、再びラオウは野太い声で天の助に尋ねた。

「答えよ!!!」
「ひぃぃぃぃ……お、俺の支給品です」

 天の助は正直に答えた。
 そうすれば、もしかしたら助かるかもしれない。
 しかし、嫌な予感しかしなかった。

「ふふふふふ、はははは………!! うぬはこのラオウを愚弄するつもりか!!!」

 鬼の形相ようなを露わにするラオウ。
 そして、ラオウの剛拳が天の助に向って振るわれたのだ!!

「いてぇええ。超いてぇ!! 折れた確実に骨折れたから!!」
「うぬのようなところ天がおるか」

 あまりの痛みに悶絶し、その場を転がる天の助。
 ラオウはそんな天の助を見下し、告げる。

「うぬの秘孔新血愁を突いた、うぬは三日後に全身から血を噴出し死ぬ。
 その三日の間に………」



 パァ――――――ン!!



「何!?」

 三日と持たず、天の助の身体は一秒で破裂した。
 ところてんと人間とでは恐らく秘孔の効果が違ったのだろう。


【ところ天の助@ボボボーボ・ボーボボ  死亡】


100 : ◆kILLDDjsLY :2013/07/14(日) 16:50:44 QrE7Dq8g0
以上で修正版の投下終了です。お手数をおかけいたしました。


101 : 名無しさん :2013/07/14(日) 18:28:23 g3XqaA.s0
修正乙です。
これなら問題ないと思います。

しかしどうでもいいことだけど、ところてんに秘孔があったことに驚いたw
首領パッチや魚雷ガールにもあるのかね?w


102 : 名無しさん :2013/07/14(日) 18:49:11 We2FYp1U0
ところてんは一応人に近い形をしてるとも言えなくない…けど、他のヤツは微妙だよな
ケロロ勢にもあるか気になるところ
とりあえずドラえもんには無いよな?


103 : 名無しさん :2013/07/14(日) 20:38:12 w51KK8gEO
おお、一気に作品が…ってツッコミが間に合わねぇwとりあえずかみやん(違)は一足先に南無


104 : 名無しさん :2013/07/14(日) 20:44:34 4cuWX2260
いやまだ分からないぞ
もしかしたら上条がアミバの幻想をぶち殺す!
という展開かも知れないだろ


105 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/15(月) 00:10:27 UMa.jjLQ0
一つ質問です
参加作品にドラえもんがありますが、デイパックはいわゆる「四次元ポケット」的なものでいいんでしょうか?
◆900QUquaoo氏の投下では
>ダンボールに詰まったボンタンが質量を無視して出てくる。
とありますので、通常は明らかに持ち運べない千刀も収納できるだろうと考えているのですが


106 : 名無しさん :2013/07/15(月) 00:14:47 YxMKlEn60
>>105
どのロワでも四次元ポケット風が定番だからね、ここでもそうだろう
ただ参加者は入れないと思うが


107 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/15(月) 01:15:28 UMa.jjLQ0
>>106
ありがとうございます。では4次元式ということで
修正版投下します


108 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/15(月) 01:18:03 UMa.jjLQ0

闇よりも暗い漆黒の――
影よりも昏い暗黒の――

理性無き狂戦士、バーサーカー。
その脳裏にはただ一つの命令(オーダー)のみが存在する。

見敵必殺(サーチ・アンド・デストロイ)。
見敵必殺。見敵必殺。

強制された戦いに疑問などない。
何故ならバーサーカーは既にしてただの剣、破壊という名の剣。
心無く涙も無い、ただの恐ろしい暴風にしか過ぎないのだから。
しかし、闘争本能に支配されたバーサーカーの中に唯一、鮮烈に残る黄金の輝き、

「……er……」

【アレ】だけは忘れられない。
故にバーサーカーは前進する。
目に映る全てを壊して崩して潰して砕いて殺し尽くすだけ。
あの目も眩む輝きを、底なしの虚無へと叩き落とすために。
歩みは疾走となり、兜のスリットから殺意に塗れた眼光が炯々と煌めいている。

「あ、あの! 私星空みゆきです! あなたは」

バーサーカーは進路上に現れた一人の少女を障害と認識し、デイパックの中から一振りの日本刀を掴み引き抜く。

「■■■■■■■■■■■――!」
「え……きゃあっ!?」

少女はバーサーカーの気迫に押され、尻餅をつく。
それは幸運だった。おかげで首を刈り取るはずだったバーサーカーの一撃は空を切り、疾走の勢いのまま通り過ぎていったから。
しかし、それは命が助かったことを意味しない。
バーサーカーは急制動をかけ、再度少女へ襲いかかるべく振り向いていた。
地面を長く深く抉る擦過創からはゆらりと煙が立ち昇り、バーサーカーの脚力の凄まじさを物語っている。

「ま……待ってください、私は、」
「■■■■■■■■■■■――!」

当然、バーサーカーは少女の制止の言葉など聞きはしない。
少女の顔に浮かぶのは、困惑と恐怖と、そして決意。
少女――星空みゆきは、理不尽に蹂躙されるがままの弱者では、ない。


109 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/15(月) 01:18:19 UMa.jjLQ0

「あ、アカンベェじゃなくても……戦わなきゃ!」

一切の意思疎通を拒むバーサーカーの狂乱を前にすれば、説得や命乞いなど通じないと本能で理解できよう。
なおも向かってくるバーサーカーを明確な脅威と認識し、みゆきは懐から小さな化粧箱のようなものを取り出しつつ、叫んだ。

「プリキュア、スマイルチャージ!」

みゆきが手にしたパフを体の各所に触れさせる度、みゆきの体をピンクの光が包んでいく。
二つの三つ編みが長く伸びる髪の束となり、背に流れる。
光が晴れればそこにいるのはただの中学生ではなく、

「キラキラ輝く未来の光! キュアハッピー!」

伝説の戦士――プリキュア、キュアハッピーである。
キュアハッピーは、目前に迫ったバーサーカーに背中を見せず、逆に前へと踏み込む。
バーサーカーが振り下ろした刀は、キュアハッピーが頭上で交差させた両腕によって挟み止められた。

「■■■■■――!?」
「こん……のおおおおおぉぉっ!」

白刃取りした刀を大きく捻る。
すると日本刀はキュアハッピーとバーサーカー双方の保持力に引っぱられ、半ばから折れ飛んだ。

「ええ――いっ!」

キュアハッピーは無手となったバーサーカーの懐に潜り込み、強烈なボディブローを放つ。
体格では大きく勝るバーサーカーが紙人形のように吹き飛んでいく。

「■■■■■、――」
「今なら――気合だ気合だ気合だ気合だ……!」

距離が空いたと見るや、キュアハッピーはスマイルパクトに気合を込める。
満ち満ちたエネルギーはキュアハッピーの手の中でハート型に形成されていく。
なんとか起き上がったバーサーカーは、キュアハッピーが膨大なエネルギーを凝縮していることに気付く。


110 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/15(月) 01:19:08 UMa.jjLQ0

「プリキュア――ハッピーシャワァァァァァ!!」

かの聖剣を思わせる、聖なる輝きの奔流――バーサーカーの闘志が掻き立てられる。
本能の赴くまま、バーサーカーは迫り来る極光に自ら飛び込んでいく。
両腕に握るのは、先ほどへし折られたものと全く同一の日本刀。
バーサーカー自身の魔力でコーティングされ宝具としての属性を得たそれを、全力で極光へと叩きつけた。
振り抜く頃には柄しか残らない。刃は光に浄化され消えた。
しかし――極光もまた、僅かながらに削り取られている。

「■■■■■■■■■■――」

ならば――後は総力戦だ。
光が総身を呑み込むよりも早く、次の刀を取り出し放つ。
竜巻のような身のこなしで、刀を取り出しては振るい壊されては取り出す。

「そ、そんなっ――」
「■■■■■■■■■■――ッ!!」

触れるものすべてを切り裂く刃の渦は一瞬たりとも止まることなく極光を切り裂き続けた。
やがてキュアハッピーはエネルギー放出の限界を迎え、プリキュア・ハッピーシャワーの輝きは消えて失せる。
その一瞬の、全力の必殺技を放った後の一瞬の隙を、バーサーカーは見逃さなかった。
豪腕から投擲された刀は瞬時にキュアハッピーの腹部を貫いた。

「え、」

キュアハッピーが腹に生えた刀を不思議そうに見下ろし、次いでやってきた激痛に絶叫する前に――
バーサーカーが追撃の一打を放ち、キュアハッピーの首を今度こそ叩き落としていた。
宙を舞う少女の御首は未だ己に何が起こったのか認識できず、パチパチと瞬きをする。
倒れたキュアハッピー、星空みゆきの体からコロコロと滑り落ちるスマイルパクト。
足先に当たって止まったそれを、バーサーカーは拾い上げた。

「■■■■■■■■■■――」

無力な少女を英霊と渡り合う屈強な戦士へと変える魔術礼装――つまりは武器。
バーサーカーは、スマイルパクトをそう認識した。
握り締めた手の平からバーサーカーの宝具、【騎士は徒手にて死せず】がスマイルパクトを侵食し、紅い血管の如き魔力ラインが覆い尽くす。
更なる力を求め、バーサーカーはプリキュアの力をも我がものとした。

「……ar……er……ッ!」

たった今殺害した幼い少女の存在を即座に忘却し、、バーサーカーは奔る。
見敵必殺――輝きを求め荒れ狂う、一つの嵐となって。


111 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/15(月) 01:20:15 UMa.jjLQ0


【星空みゆき@スマイルプリキュア   死亡】



【G-7/市街地/一日目-深夜】

【バーサーカー@Fate/zero】
 [状態]:ダメージ(小)
 [装備]:千刀・ツルギ 980/1000@刀語、スマイルパクト@スマイルプリキュア
 [道具]:基本支給品
 [思考・行動]
  基本方針:サーチ・アンド・デストロイ
 [備考]
  ※キュアハッピーに変身することで身体能力が向上し、キュアハッピーの必殺技が使用可能になります。
  ※星空みゆきのデイパック(基本支給品+ランダム支給品1〜3)はG-7路上に放置されています。


投下終了です
千刀の支給は特に指摘がなかったのでそのまま、みゆきの支給品にランダム支給品を追加しました


112 : 名無しさん :2013/07/15(月) 01:48:52 YxMKlEn60
修正乙です
なんでだろう千刀が使い捨てされてるのにすごい衝撃を受けたが、用途としては正しいんだったわ
あとスマイルパクトは支給品枠一つ消費だから、みゆきの支給品は0〜2じゃね?


113 : 名無しさん :2013/07/15(月) 02:37:47 eRHizan2O
修正乙です。しかしこれ皮肉にも逆セイバー状態(男装と女装)っていうねw


114 : 名無しさん :2013/07/16(火) 19:04:32 /P4yH7.2O
修正乙です。

上司や同僚が剣からビーム出してる時代の人からしたら、鎧を召喚する手鏡くらい普通なんだな。


115 : ◆.2jkYHOMqY :2013/07/16(火) 19:14:45 pWEzRZlU0
>>112
れいかがスマイルパクト以外に1〜3個支給されていたので合わせたのですが、支給品制限を見落としておりました

  ※星空みゆきのデイパック(基本支給品+ランダム支給品0〜2)はG-7路上に放置されています。

と修正します。


116 : ◆900QUquaoo :2013/07/16(火) 20:05:09 OkjeDeJM0
皆さん投下おつです!!

悲しい想い
この時期のさやかちゃんは初めて見ます
殺し合い何て酷いことに巻き込みたくないですね

という訳で首領パッチで予約します

OTOKOの戦い
天の助えええええええええええええ!!!!


117 : ◆n.Wq36A6lg :2013/07/16(火) 22:40:54 gxBXI7vY0
ダイアー@ジョジョの奇妙な冒険
鑢七実@刀語
ソフトン@ボボボーボボーボボ
で予約します


118 : 名無しさん :2013/07/16(火) 23:16:42 eJItfBLs0
予約被ってるような


119 : 名無しさん :2013/07/17(水) 17:33:22 ZQuMXhCw0
ダイアーさんは>>44で予約されてるね


120 : ◆n.Wq36A6lg :2013/07/17(水) 22:33:35 h8to2jBE0
うわちゃ、Dieアーさん・・・
では予約を破棄します。。


121 : ◆900QUquaoo :2013/07/17(水) 22:37:27 ctFsKAxE0
ダイアーさんは悪く無いだろ!

首領パッチで投下します


122 : ◆900QUquaoo :2013/07/17(水) 22:39:55 ctFsKAxE0

全ての始まりを告げる宴の開演は過ぎた。
参加者は何故自分たちが殺し合いに巻き込まれたかは把握していない。
知っているのはおそらく始まりの化身であるキュゥべぇだけ。
十人十色、様々な参加者が繰り広げる殺戮劇場は始まっている――。

そう始まっている。


「何故君はワープしないんだい……首領パッチ」


「拙者……不器用ですからぁ!!残念!!」


消えていったはずの参加者が未だに残っていた。
支給もされていないはずの着物にギターを持ったオレンジの生物がそこに居た。
ギターを鳴らし片足を謎の台座に上げカツラの髪を靡かせ光を浴びる。


「これが世界のギターじゃああああああああああ松本おおおおおおおおお」


彼が鳴らすギターは神秘を帯びた生命の福音!!
何もない空間に緑が!花が!自然が!熊が!ありとあらゆる生命が生まれていく!!
鳥は歌い、花は踊り、熊は狩りをやめる――そう世界は平和への一歩を確実に歩み出す!!

「この空間に生命を発現させるとは流石ハジケリスト……でもこの空間は僕達の支配下にある」

キュゥべぇの発言と共に世界の色は再び何もない空間へと逆戻り。
豊かな自然は簡単に消えてしまった。

「すまんなパチ夫……俺ムーミン谷で寝なきゃ」

「熊……一人にしないでええええええええええええ!!!!」

悲劇の連鎖を巻き起こすバトルロワイアル――早くもその牙を見せる。


「もう十分楽しんだろ?何でこんなことやってんだよウサギイヌ」


「まったく君みたいなハジケリストは一生理解できそうにないね」


着物もギターも消えていた。そしてふざけていた空気もついでに消えていた。
殺気を全開にさせた首領パッチの周囲は緊張の空気で張り詰めている。
これに対しキュゥべぇも――いや感情のない彼は何を感じ取ったか分からない。
だが不可能を可能にするハジケリストが存在することはたしかである。
故にこの場では何が起こるか書いている本人でも把握しきれないのだ――。


123 : ◆900QUquaoo :2013/07/17(水) 22:42:56 ctFsKAxE0


「君は一体何者なんだ?」


「それは……」


言葉を溜める。
人間誰だって真実を話す時は一瞬の迷いが生まれてしまう。
本当に言っていいのか、相手は傷ついてしまうのか、自分を保てるのか。
そんな気の迷いが首領パッチを襲い長考の時が只管と流れる――訳もなくページをめくると見開きで大き叫ぶ感じに言い放つ。


「馬鹿だからわっかりませーっん!!」

手を揺らし舌と目を飛び出し驚けた顔で叫びキュゥべぇの周りをぐるぐると回る金平糖。
やがてのその速度は音速を越し誰の眼にも追えない速度へと到達――そのままキュゥべぇに殴りかかる。

パァン!

軽快な音を響かせキュゥべぇ爆散!

「ところてんみたいに破裂したーーーーーー!?」

ぐちゃぐちゃとその体を飛び散らし死と言うなの無の世界に逝くキュゥべぇ。
男首領パッチ、若き身でありながら殺人に手を染める。


「そんな……ただ駆逐したいだけなのに!やっくんに会わす顔がないわ!!」


「心配はいらないさ、僕達にはたくさんの個体があるからね」


「おかわり一丁!!」


突然現れた新たななキュゥべぇもすぐにこの世を去る。
男首領パッチ、開始早々あちら側の存在を二度殺す――流石はハジケリストと言ったところか。


「もう君に理解を求める事を諦めるよ」


「そうかウサギイヌ……でも俺は諦めない!絶対このふざけた……って体が消え始めてるー!?いい所なのに!?」


キュゥべぇは考えることを止め首領パッチを会場へ送る事にした。
そもそも何でコイツは消えていないんだ、いい加減にしろ、議論するぞ。
足から消えていくが男首領パッチ、人よりも短いため消えるのに時間は掛からない。


「やいウサギイヌ!お前みたいなインチキマスコットは流行らねえからな!流行語なんて死んでしまえ!!」


それでも歯を食いしばり叫ぶハジケリスト。
無論ただの八つ当たりであり、特に意味は、感情のまま叫んでいるだけだ。
今にでも刺が飛び出してキュゥべぇを殺さんばかりに尖っている。


「そうかい……精々楽しみにしているよキングオブハジケリスト」


こうして首領パッチは遅れて殺し合いの会場へ転送される。
残ったのは請求書だけだった――


「僕が払うのかい?」







暗い会場の何処かで愛を叫ぶ――




「やっくんがいないのおおおおおおおおおおおお!!!!」





【首領パッチ@ボボボーボ・ボーボボ】
 [状態]:健康的な肉体
 [装備]:
 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:ハジケようぜ!!


124 : ◆900QUquaoo :2013/07/17(水) 22:44:02 ctFsKAxE0
終了しますハジケとか知りません


125 : ◆900QUquaoo :2013/07/17(水) 22:47:38 ctFsKAxE0
【首領パッチ@ボボボーボ・ボーボボ】
 [状態]:健康的な肉体
 [装備]:
 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:ハジケようぜ!!
 [備考]
 ※どこにいるかは次の書き手さんにお任せします



に変更願います


126 : 名無しさん :2013/07/17(水) 23:22:09 QW0LXfEo0
党かおつです


127 : ◆QizcPzJA3M :2013/07/17(水) 23:28:35 QW0LXfEo0
てす


128 : 名無しさん :2013/07/17(水) 23:37:48 3DircZjE0
投下乙です


129 : ◆Z9iNYeY9a2 :2013/07/18(木) 01:25:51 B/GfC.t20
すみません、予約分を破棄させてください


130 : 名無しさん :2013/07/18(木) 12:51:33 9L81/BnMO
投下乙です

わかってたさ!彼等が参戦決定した時点で鬱ロワフラグがへし折られた事ぐらいは!でもまさかこれほどとはwww〜〜〜。


131 : 名無しさん :2013/07/18(木) 13:31:07 0uaDHuwc0
投下乙です
やだなにこの……なに?


132 : 名無しさん :2013/07/18(木) 17:15:33 VfT.rUA2O
投下乙
何というか……頑張れキュウべぇ!


133 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/18(木) 22:43:00 9my3kNDQ0
◆900QUquaoo氏投下乙です!
このハジケリストはフリーダム過ぎるwwwww
会場に送られる前からハジケてるとか先が思いやられるわwwwww

私もカーズ、カイオウ、ダイアーで投下します。


134 : 名無しさん :2013/07/18(木) 22:43:55 9L81/BnMO
>>122
そういや、タイトルは?


135 : 頂点を目指す戦い ◆wYOF3ar91U :2013/07/18(木) 22:44:43 9my3kNDQ0
チベットのヌーと呼ばれる川の上流。
そこには古から東洋に伝わる秘術、仙道を教える修行場が存在する。
呼吸によって全身の細胞を制御して、太陽と同じ波長のエネルギーを作り出す技術『波紋法』。

そしてこの男ダイアーもまた、数少ない波紋の修行者の一人。
二十年以上の長きに渡る修行で心身を鍛えてきた波紋戦士である。
しかしキュゥべぇがバトルロワイヤルの説明をした場所から海岸近くの岩場に送られたダイアーは、酷く困惑していた。

それは理不尽なバトルロワイヤルにでも、突然瞬間移動させられたことにでもなく、
前方に見える、ただ一人の男に対してである。

頭のターバンと腰の褌以外は何も身に付けておらず、筋骨隆々たる肉体を誇示していた。
デイパックを傍らに持っていると言うことは、参加者で間違いないだろう。
男はそのデイパックから地図や照明を出し入れしている。
奇妙なのは男が全く無警戒である点だ。
バトルロワイヤルの渦中であるにも拘らず、男はその姿を隠す様子も、
それどころか周囲を警戒する様子も無く、物思いに耽っている。
男とダイアーの距離は精々二十メートル弱。その間には遮蔽物も影も無い。
いかに今が深夜だからと言って、気付かない距離ではない。
ましてや今はバトルロワイヤルの渦中。意識的にも無意識にでも周囲への警戒の念が働くはずだ。
それなのに男は、ダイアーの存在などまるで眼中に無いかのごとく思案に耽っていた。

不可解な男だが、ダイアーとしては無視するわけにもいかない。
どんな不可解な相手であろうと、今の状況では貴重な情報源であることには変わりは無いのだ。

「……我が名はダイアー。君はバトルロワイヤルの参加者だな?」

意を決して話し掛けるダイアー。
対する男は、無反応。
男は呼び掛けなど聞こえていないかのように、ダイアーを無視して、
照明を弄びながら、その光を自分の身体に照射していたりしている。

(……ならば無視できないようにしてやろう)

半ば怒りに任せて、ダイアーは男に向かってゆっくりと歩いて行く。
さすがに接近されれば何らかの反応を示さざるを得ないだろう。
そうなれば男がバトルロワイヤルに対して、どんなスタンスを取っているのかも凡そ推測ができる。
無謀な行動のように思えるが、ダイアーは波紋を修行した格闘家。
そう易々と不覚を取ることは無い。
一応、接近をしながら波紋の呼吸を練って行く。

「ほう……きさま、波紋の一族か」

男が初めて反応を示した。
ダイアーに、と言うより波紋に対して。
ダイアーの警戒が一気に強まる。
『波紋の一族』などと言う呼び方をする以上、男は波紋と因縁が在ると見て間違いがない。
しかし男の様子は友好的でも敵対的でもなく、値踏みするような視線を向けてくる。
まるで敵としてすらこちらの人格を認めていないかのような、実験動物を観察するごとき視線は、
異様な不快感をダイアーに与える。
男はその視線と同じく、不躾にダイアーへ言葉を重ねていく。

「きさま、あのキュゥべえを知っているか?」
「……先に質問したのはわたしの方だ。こちらは名乗ったのだから、自分も名乗るくらいしたらどうだ?」
「…………フン、まあ良いだろう。我が名はカーズ。さあ答えろ。キュゥべえを知っているか?」
「……知らんな」

カーズの傲岸な態度に怒りを覚えながらも、不承不承ながら答えるダイアー。
それを聞いたカーズは、口角を不敵に吊り上げて笑う。
獰猛さと残忍さ含んだその笑いは、ダイアーに波紋戦士の仇敵・吸血鬼を連想させる物だった。

「フン、知らんと言うのか。やはり吸血鬼にもならぬ下等な人間は使い物にもならんな」
「なるほど……人間ではないと言うわけか。さりとて吸血鬼でもない……何者かは知らんが人間に仇なす存在と見た。
ならばこのダイアーが討殺してくれる!!」

ダイアーが看破した通り、カーズは人間ではない。
一万年以上もの太古より生き続け、
人間を食料とする吸血鬼を更に食料とする、食物連鎖の真の頂点、
柱の一族と呼ばれる、生物の一人なのだ。

「殺すだと? きさまが? 波紋を使ってか? 面白い、試して見ると良い」

そう言うと、カーズは右手をダイアーに向かって右手を差し出してきた。


136 : 頂点を目指す戦い ◆wYOF3ar91U :2013/07/18(木) 22:46:30 9my3kNDQ0
あからさまな挑発に、さしものダイアーも判断に迷う。

「フン、カスが! きさまごときが何を躊躇している。きさまに選択の余地など有りはしないのだーっ!!!」

突如、カーズの右腕から剣が生えて来た。
剣はそれ自体が生を持っているかのように、ダイアーに向かって伸びて行く。
カーズの言った通り、選択の余地は無かった。
ダイアーは波紋を込めた手で、カーズの右腕を払い飛ばす。
同時に、充分に練られた波紋がカーズの右の小指へと流れ込んで行った。
カーズの小指が、まるで砂糖菓子のごとくに溶けていく。
柱の一族もまた吸血鬼と同じく、太陽のエネルギー=波紋のエネルギーを弱点としていた。

「ぬう!! 波紋の効果は消えていないか……」

ダイアーは続けてカーズの頭目掛けて、波紋を込めた手刀を放つ。
流れるような連続攻撃は、並みの格闘家ならば対応できないであろう速さ。
しかしカーズは頭蓋骨その物を歪めながら回避する。
吸血鬼でも不可能な反応と身体操作に、不意を衝かれて対応できないダイアー。
その隙を衝かれ、カーズに喉を掴まれる。
喉を万力のごとき力で圧迫され、ダイアーは無理やりに呼吸を止められる。
呼吸が止まれば波紋を使うこともできない。

「人間ごときが図に乗るな! きさまら波紋戦士の弱点など、とうに知っているわ。
…………きさまも、このカーズの不意を衝けると思ったか!!」

カーズはそのまま片手で軽々とダイアーを持ち上げると、背後の岩場へ向けて無造作に投げつけた。
ダイアーとて長年波紋の修行を積んだ戦士。無防備に岩に叩きつけられはしない。
空中で回転して足で着地。衝撃を波紋で緩和する。
上手く着地したダイアー。
その上から影が覆い被さる。

(!!!? 何だこの影は!?)

しかもそれは人の物では無い。
禍々しく揺らめくその影は、正に魔性。
吸血鬼をすら凌ぐほど、凶悪な気配を感じ取り、
ダイアーは影の主を見上げる。

そこに居たのは正に魔神。
全身を黒い鎧で覆い、その鎧の隙間という隙間から禍々しい気が漏れている。
ダイアーもかつて無いほどの威圧感を覚え、思わず後ろに飛び退く。

「フフフ……魔闘気が耐え切れぬほど疼いておるわ……」

鎧の男の言葉通り、魔闘気と呼ぶに相応しい気が、
鎧のそこかしこに傷を付けて内側から噴出していた。
その異様な光景は、そのまま男の強大さを誇示しているかのようだった。

「今こそ北斗宗家の血を絶やし、弟との決着を付けて、このカイオウが新世紀創造主となるのだ!
きさまらは新世紀創造主伝説の、栄えある礎としてくれよう!!」

何憚ることなくバトルロワイヤルの優勝を目指すことを宣言するカイオウ。
修羅の国に君臨する第一の羅将・羅将皇魔帝にして、北斗琉拳伝承者である。

「どいつもこいつも、下らん催しに乗るアホばかりか! よかろう、おまえたちは波紋の戦士たるこのダイアーが纏めて地獄に送ってやる!!」

カイオウに気圧されていたダイアーだったが、それでも波紋戦士としての意地も誇りもある。
意を決してカイオウに向かって行く。

ダイアーには、カイオウの力量が並ならぬことは充分に察することができた。
下手な小細工は、おそらくカイオウには通用しない。
ゆえにダイアーは、その威力に最も自身を持つ技で挑む。

ダイアーはまるで羽毛が浮かび上がるがごとくに浮かび上がる。
そして両足を揃えてゆっくりと蹴りをカイオウに放った。

「ほう、拳法家としての技量は修羅にも劣らぬ物か……だが羅将たるこのカイオウに、小細工が通じるか!!」

緩やかな動きで放たれる飛び蹴り。
しかし飛び蹴りとは普通、飛び上がる勢いで蹴りを打つ技である以上、
それを緩やかに行うには、並ならぬ技量が必要になる。
そして自身もまた並ならぬ技量を持つ武道家であるカイオウは、ダイアーの技量を一瞬で見抜いた。


137 : 頂点を目指す戦い ◆wYOF3ar91U :2013/07/18(木) 22:48:09 9my3kNDQ0
見抜いておきながらダイアーの技を小細工と一蹴する。
己の力量に対する絶対の自信ゆえに。
カイオウはダイアーの蹴りを両手で軽々と受け止める。

「かかったなアホが!」

次の瞬間ダイアーの両脚は大きく開かれた。
それに合わせてカイオウの両手も大きく開かれる。
そして両腕を眼前で交差させて、波紋を込めた手刀を放つ。

「必殺! 稲妻十字空烈刃(サンダークロススプリットアタック)!」

これぞ攻守において完璧たるダイアー必殺の技『稲妻十字空烈刃(サンダークロススプリットアタック)』。
これをやぶった格闘者はひとりとしていない。
無防備となったカイオウに波紋を込めた十字の手刀が襲う。

「――――う……う、動かん!」

しかし次の瞬間、ダイアーの方を異変が襲う。
ダイアーが突如、上下前後左右あらゆる方向の感覚を喪失。
あまりに脈絡の無い異常事態にダイアーの意識が、身体が反応できずに動きを封じられた。

「フフフ……羅将においては波紋など知らぬ! 通じぬ!! ましてや敵の前で大股を開く道化染みた技など笑止!」
「き、きさま……きさまがわたしの動きを封じたのか!!?」

カイオウが使用した技こそ北斗琉拳奥義『暗琉天破』。
魔闘気によって無重力空間を作り出し、敵の位置感覚を奪い動きを封じる技。
足掻こうとするダイアーだが、そもそも抵抗するための基盤が失くなっているため全く身動きが取れない。
ダイアーの方がカイオウに対して無防備な姿を晒す形となった。
そのダイアーの両足から凄まじい圧力が加わって来る。
ダイアーの両足を持ってその体重を支えているカイオウの両手が、徐々に圧力を加えていっているのだ。
まるでプレス機に掛けられているような凄まじい圧力。
両足が痛みを通り越して感覚を失くし、両脚の骨が悲鳴を上げる。
胴体まで圧力と激痛が到達し、ダイアーがついに苦悶の悲鳴を上げた。

「何という脆さ、弱さか! この程度の力で、このカイオウに歯向かうとはな」

ダイアーの全身の骨が連鎖的に折れていき、肉が潰れて、血が噴出する。
凍結したわけでもない肉体が、圧力で左右から押し潰されていく。
ダイアーの激痛たるや、波紋でも到底緩和しきれる物ではなかった。
両脚が完全に潰れて胴体まで拉げ始めた時には、ダイアーは激痛によってショック死していた。

カイオウの両手が交差する。
同時にダイアーの身体が爆散する。
肉も骨も血も、元の形を保たぬほど細分化して飛散。
その意思も肉体も完全に打ち砕かれたダイアーに、これ以上抵抗の余地は無かった。



【ダイアー@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】



「……次はきさまだな」

ダイアーを倒したカイオウは、次の獲物であるカーズを捜す。
カーズは自分の溶けて無くなっていた自分の右小指の付け根に、飛び散ったダイアーの小指を当てていた。
そしてダイアーの小指が独りでに動き出す。
最初からカーズの小指であったかのように。

「これなら、サイズもすぐに合うようになる」

どうやら本当にダイアーの指を自分の物にしているようだった。
人間の常識を超えた怪物。
それでもカイオウが怖じることは無い。


138 : 頂点を目指す戦い ◆wYOF3ar91U :2013/07/18(木) 22:49:13 9my3kNDQ0
カーズは更に放り出されていたダイアーのデイパックを拾い上げる。

「目敏い奴よ。このカイオウの前で姑息な真似をしてくれる」
「カイオウ、と言ったな。きさまは殺し合いを進めるつもりなのだな?
ならばここは、休戦といこうではないか」

カーズはカイオウに休戦を申し入れる。
カイオウの戦力は、波紋戦士以上。
その上カーズにすら未知の、得体が知れない技術を使う。
無闇に戦って、リスクを増やすことは得策ではない。

「わたしも殺し合いを進めるつもりだ。ならばここでリスクを犯して戦って消耗するより、お互いに別行動をした方が得策と言う者ではないか?」
「フフ……きさまが殺し合いに乗っていると言うのか? 人間と対等な立場でか?」
「きさま……!」

カイオウを上手く丸め込もうと殺し合いに乗っている振りをしたカーズだが、目論見は容易く看破されていた。

どうやらカイオウは自分とダイアーとの会話を聞いていたらしい。
ダイアーと接触していた時から、カイオウが様子を伺っていたことは察知していた。
カーズは気流や温度変化で、周囲の様子を察知することができる。
しかしダイアーとの僅かな会話の中で、カーズが人間を完全に下に見ていることを察したらしい。
このカイオウと言う男は、かなり頭が切れるようだ。

カイオウの察した通り、カーズにとって人間は下等生物である。
人間だけではない。吸血鬼であろうと、キュゥべぇであろうと、
全ての存在の頂点に立つ者。それがカーズの自負。
従ってカーズは何者にも縛られることは無い。
決してバトルロワイヤルのルールに乗ることも無いのだ。
キュゥべぇは脱出不可能だと言っていたが、それを鵜呑みにつもりも無い。
あらゆる能力に優れた柱の一族の中でも、とりわけ優れた頭脳を持つカーズは、
自分ならば必ず脱出する方法を見付けられるとも自負していた。

「……よかろう、ならばきさまを始末するまでだ」

何れにしろカイオウが休戦に応じないのならば、戦うより他は無い。
カーズは自らの武器、光の流法(モード)『輝彩滑刀』を展開する。

「フフフ……だが、きさまのような者が脱出を志すと言うのなら、生かしておいた方が面白いかも知れん」
「……どう言う意味だ?」

しかしカイオウはカーズに背を向ける。
どうやら戦う気が無いらしい。
カーズはその意味が分からず、疑問を呈す。
カイオウは愉快そうにそれに答える。

「知れたことよ。きさまが脱出を志すなら、他の脱出を志す者と接触して、やがて衝突する。
そうなればきさまが殺し合いに乗るつもりは無くとも、死者を増やすことになる」
「……フン!」

それだけを言い残しカイオウは立ち去った。
カーズはただ黙って、その背中を見送った。



カーズは人間を遥かに凌ぐ視力を持つ。
それを用いて、カーズはもう一度海岸の向こうに広がる海を見る。
そして地図と照らし合わせる。
地図には端にコンパスが添えつけられており、方角が分かる。


139 : 頂点を目指す戦い ◆wYOF3ar91U :2013/07/18(木) 22:51:06 9my3kNDQ0
北方に広がる海。
その向こうには陸地と、巨大な建造物が見えた。

今度は西方を見る。
そこには巨大な塔が伸びているのが見えた。
北にはすぐに海岸があり、西には巨大な塔。
そこから推測するに、おそらくここはエリアで言えばE―1に当たる部分だろう。
更に南方を見る。
そこには地図にも記載されている小学校と思しき建物があることからも、カーズの推測が補強された。

ならば北に広がる海の向こう側、それは地図の外に当たる。
そして更に北方には陸地が見える。
しかし問題はその陸地にも、学校と思しき建物が在ることだ。

キュゥべぇは会場の外、即ち地図の外は無いと言っていた。
地図の北方に見える学校。
そしてE―1のちょうど南方、E―8の海岸沿いにも中学校が存在した。

もし北に見える学校が、南に在る中学校と同一の物だとしたら、
外は無いと言うキュゥべぇの説明と整合性が取れる。

即ち地図の端と端が繋がってループしている。

カーズのとりあえずの目標は決まった。
E―8に在る中学校を見に行って、ここから見えた学校と同一の物かを確認することだ。
カーズは南に向かって歩き出す。

問題はカイオウもまた南に向かったことだ。
鉢合わせは避けたい。
幸いカイオウが向かった先は、大よそ見当が付く。
どうやらすぐ南にある小学校に向かったようだ。
ならば小学校を避けて南下すれば良い。
幸い今のカーズは太陽の下でも自由に動ける。
支給品の効果に偽りが無ければ。

カーズが自分に当てていた照明の光。
それはカーズの支給品、テキオー灯の光。
支給品に添えられていた説明書きによると、
テキオー灯とは、その光を浴びればあらゆる環境下でも問題なく活動できるようになる。
極寒の極地であろうと、灼熱の砂漠であろうと、深海であろうとだ。
柱の一族は太陽の下では活動できない。
それでもこのテキオー灯を浴びれば、太陽を克服できるはずだ。
それはカーズの一万年以上に渡る悲願が達成されたことも意味する。

しかしダイアーを相手に波紋を喰らう実験をした際はダメージを喰らった。
太陽を克服したならば、波紋が弱点とならないにも関わらずだ。

支給品の説明に嘘があるとは考え難い。
波紋は攻撃であって、環境変化とは意味合いが違う。
しかし、とにかくテキオー灯の効果が本当かどうかを確認する必要がある。

(……何れにしろエイジャの赤石を諦めるつもりは無いがな…………)

カーズの最終目的はあくまで完全生物。
あらゆる存在の頂点に立つこと。
だからこそキュゥべえにも、バトルロワイヤルにも決して屈しはしない。

頂点を目指すカーズの戦いが始まる。

【E―1/海岸付近/一日目-深夜】
【カーズ@ジョジョの奇妙な冒険】
 [衣装]:褌
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:基本支給品×2、テキオー灯@ドラえもん、ランダム支給品×5
 [思考・行動]
  基本方針:バトルロワイヤルを脱出して頂点に立つ
  1:E―8の中学校が地図の北に見える学校と同じ物かを確認する

 [備考]
  ※テキオー灯の光を浴びました。太陽は克服しましたが、波紋は通用します。
  ※参戦時期は不明です。


140 : 頂点を目指す戦い ◆wYOF3ar91U :2013/07/18(木) 22:53:46 9my3kNDQ0
 
 
 
「魔闘気がうずく……ケンシロウ、ラオウ…………このカイオウの手で因縁に決着を付けてくれる」

カイオウにとってキュゥべえが何者であろうと、バトルロワイヤルがどんな意味を持とうがどうでも良いことだった。
一人だけしか帰れないと言うのなら、その一人になれば良いだけのこと。
肝賢なのは北斗宗家であるケンシロウを殺し、生き方を違えた弟と決着を付けること。

「ケンシロウ、ラオウよ……このカイオウの手に掛かるまでに、精々命を落とすな……
フフフ、とりあえずはあの建物を目指すとするか」

既に魔界に堕ちた羅将にとっては、殺し合いの修羅道であろうと躊躇する所以は無いのだ。
そして魔道を往く羅将が目指す先は、小学校。

カイオウもまた己の頂点を目指す戦いに臨む。

【E―2/岩場/一日目-深夜】
【カイオウ@北斗の拳】
 [衣装]:鎧(全身に罅割れ)
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
 [思考・行動]
  基本方針:ケンシロウを殺す
  1:ラオウを自分の手で殺す
  2:バトルロワイヤルに勝ち残る
  3:小学校に向かう

 [備考]
  ※参戦時期は不明です。


141 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/18(木) 22:55:15 9my3kNDQ0
投下を終了します。


142 : ◆N4CDx3zJvI :2013/07/18(木) 23:28:14 X9IoIu7w0
投下乙でした、dieアーさん……そしてカーズ様にテキオー灯とかなにそれこわい

こちらも緑川なお、鬼柳京介で投下させて頂きます


143 : 直球勝負もいいかげんにしろ!  ◆N4CDx3zJvI :2013/07/18(木) 23:29:23 X9IoIu7w0

「あの!あたし緑川なおって言います!この場所から脱出するのに協力し「やめろ」


場面は、1人の少女の真っ直ぐな言葉を、1人の青年が遮った所から始まる。

濃い緑の髪をポニーテールに纏めた活発そうな少女の名は、緑川なお。
水色の長髪に黒いコートを着た影のある雰囲気の青年の名は、鬼柳京介といった。
このバトルロワイヤルの地に放り込まれた2人が偶然出会ったのは、地図上にしてG-6。デパートの家具売場である。
意識がハッキリした直後、持ち前の行動力で手近にあった建物へと入り込んだなおが、階層の1つでぼんやりとしていた鬼柳に話し掛けた、その矢先の出来事であった。

「え……え!?でも、此処から脱出しないと死んじゃうんですよ!?」
「………だからどうした」

一瞬言葉に詰まったものの、遮られた会話をなおは続ける。
しかしそんな言葉に返されたのは、嘆息と共に出た気力のない返事だった。

「俺は元々、死に場所を探していたんだ。
あの地獄みたいな町で死ぬのが相応しいとも思っていたが……この場所で存在すら残さずに消えるのも、それはそれで構わねぇ。
誰が生き残ろうと誰が死のうと、俺には意味のない話だ」

淡々と語る鬼柳の目には生気がない。
こうして誰かと相対し言葉を紡ぐことすら億劫であるかのように、今ここで自分のいる区域が消滅しても何の問題もないかのように、生きる意思を失った目。
“死んでも構わない”その言葉が本心からのものであることを、なおはうっすらと感じ取った。

「別にあんた自身がここから抜け出そうとするのは止めはしない……が、俺は協力する気はねぇ。
 逃げたきゃ、逃げたいヤツらだけで逃げな」


144 : 直球勝負もいいかげんにしろ!  ◆N4CDx3zJvI :2013/07/18(木) 23:29:55 X9IoIu7w0
吐き捨てた言葉と共になおに背を向け、立ち去ろうとする鬼柳。
慌てて、なおはその背に追いすがるように呼びかける。

「それで……それでいいんですか!?」

緑川なおは伝説の戦士プリキュアだ。そして何よりも、なお自身が強い正義感と優しさを持つ少女であった。
平和の為に戦い、人々の幸せのを願う者の1人として、自ら死にゆく目の前の青年を、見過ごすことは出来ない。
死なないでほしい、生きる気力を取り戻してほしいと思う真っ直ぐな心が、自然に言葉を並べていた。

「あなたに何があったか知らないし分からないけれど、簡単に死のうなんて……生きる事を諦めないでください!
こんな訳の分からない場所で、誰にも、友達にも会えないまま死んでいいんですか?
こんなところで死んじゃうなんて……それで満足するんですか!?」
「ハッ……満足、か」

なおの熱い直球な言葉にも、鬼柳の生気のない反応は変わらない。
ただ、なおの叫んだ1つの単語に、自嘲するように呟いた。

「忘れちまったぜ、満足なんて言葉」



◇  ◇  ◇



「はぁ………どうしよう」

あれから少し時が経ち。
場所は移って、デパート屋上に設置された、こぢんまりとした遊園地。
なおはそこで1人、ため息をついていた。
ちなみに彼女が腰掛けているのは、屋上遊園地に置かれた、お金を入れると動く玩具のトラの背中である。
無論、現在は入れるお金どころか財布すら持っていないので動くことはないのだが。


145 : 直球勝負もいいかげんにしろ!  ◆N4CDx3zJvI :2013/07/18(木) 23:30:24 X9IoIu7w0
結局の所、なおは立ち去る青年を止めることは出来なかった。
いくら心の内から出た言葉が嘘偽りない真っ直ぐなものだとしても、それが全くの他人の心に響き、動かすなどは本当に稀なこと。
この地がバトルロワイヤルという異質な世界でも、そこまでは覆すことができなかったのだ。

「皆で脱出する方法を考えるのにも、あたし一人じゃどうしようもないし……同じような目的の人を探したかったんだけど……
 あんな素でバッドエナジー出してそうな人、どう説得したらいいかわかんないや……」

はぁ、と再びため息をつく。
バッドエナジーと言えば、配られた名簿の中にはプリキュアの仲間以外にも知った名前が載っていた。
ウルフルン、そしてジョーカー。二人ともプリキュアと敵対するバッドエンド王国の存在であり、何度も拳を交え戦った強敵である。
自分ひとりで交戦する羽目になれば、苦戦は必須だろう。仲間と再開することができれば、戦っても何とかなるかもしれないが―――

「仲間か……みんな、どこにいるんだろう」

ごそごそと支給された鞄に手を入れ、一枚のカードを取り出す。
金色の台紙に、奇妙なタヌキだかネコだか分からないキャラクターが何匹も描かれた、奇妙なカード。
説明書きとして付いていたメモによれば、『親友テレカ』というらしい。
おもちゃか雑誌の付録についているようなおまけだろうか。自分にはさっぱり分からなかったが、メモに書かれていた単語は心に残っていた。

―――親友テレカを使うことが許されるのは、不滅の友情と真の勇気を持つ者たちだけである。

「不滅の友情と真の勇気、か……おもちゃの割に、いいこと書いてあるじゃん。
 うん、悩んでたってどうしようもないしね!皆を信じて、あたしはあたしに出来ることをしよう!」

顔をあげ、気合いを入れておもちゃのトラから立ち上がる。
みゆきちゃんも、あかねも、やよいちゃんも、れいかも……大切な仲間たちならばきっと、同じように脱出する方法を考えているはずだ。
そうした仲間たちと一刻も早く再会するためにも、自分に出来る精一杯のことをして、この生き残りをかけた戦いを生き抜く。
決意を新たにしたなおは、親友テレカを鞄にしまい……同じく自分に支給された、“あるもの”を取り出した。

「元々、“このため”にデパートの屋上まで上ってきたんだしね。人を集めるにはこれが一番!
 やっぱりあたしの性格に合ってるのは、直球勝負だ!」


146 : 直球勝負もいいかげんにしろ!  ◆N4CDx3zJvI :2013/07/18(木) 23:30:58 X9IoIu7w0
そう言い切り、なおは取り出した物を―――『拡声器』を、口元へと持って行った。



◇  ◇  ◇



「追ってはこない、か……ああ、それがいい。
 俺みたいな死神には、近づかないほうが身の為だろうしな……」

あれから少し時が経ち。
場所は移って、デパートの別階層、簡素なソファや自販機が設置された小さな休憩スペース。
鬼柳はそこで一人、独り言をつぶやいた。

あの奇妙なモンスターにバトルロワイヤルの説明をされてからも、謎の力でデパートの中に放置された後も、鬼柳はさして動揺しなかった。
驚きが無かったと言えば嘘になる。しかしそれ以前に、こう思ってしまっていたのだ。
『ああ、自分の死に場所はここなのか』と。

自分の周囲を省みない行動に友を巻き込み、些細な勘違いで友に裏切られたと思い込んで憎悪を抱き、
冥府の力でダークシグナーとして蘇り、憎み憎み切れなかった友を殺してやろうと戦い、
あの輝かしい救世の星屑の光で浄化され、再び現世に生き返り、
そして、友を憎んで殺しかけた自分を悔やみ、疎み、蔑み……最後には地獄のような鉱山の町で、用心棒として雇われ、生死をかけた決闘に明け暮れていた、筈だった。
幾度も幾度も勝ち続け、対戦者を死の鉱山送りにしたことで『死神』と恐れられた自分に相応しい死に様とは、決闘で負けて死ぬことではない。
このバトルロワイヤルの地で、空気も光も人も例外無く消し去る空間で塵と化すことか……はたまた、生き残りたいと思う誰かに殺されるか。
いずれにせよ、碌な死に様は残せないだろう。それが自分に相応しいかといえば、相応しいのだろうが。

「“どんな願いでも叶えられる権利”だがなんだか知らないが……そんなもん、欲しい奴が勝手に奪い合えばいいさ。
 俺はもう、何を願うことも、何かで満たされることも無いんだろうからな……」

どっかりとソファに腰を下ろし、いつの間にか持っていた鞄を下ろす。
そういえば、あのモンスターは道具が支給とか、地図や参加者の名簿がどうとかも言っていた。
何が入っているのか、他の参加者はどれだけいるのかと少しばかり気になったが……思い直して、鞄に手を伸ばすのをやめた。
どうせ、遅かれ早かれ大半は死ぬ命運なのだ。

(中には逃げ出そうと考える奴もいるんだろうがな……さっきのガキみたいな)


147 : 直球勝負もいいかげんにしろ!  ◆N4CDx3zJvI :2013/07/18(木) 23:31:28 X9IoIu7w0
ふっと、先ほどであった子供のことを思い出す。
死んでも構わないと言った自分を叱咤した、真っ直ぐな性格の子供。
まるでかつての友を……遊星やジャックやクロウを思い出させるような、強い正義感と意思を見せつけた少女。

(まぁ、さすがに昔の俺たちほど馬鹿じゃないだろうがな……)

あの少女にも、かつての自分の友のような、良き仲間たちはいるのだろうか。
チーム・サティスファクションとしてサテライトの廃墟を駆け回り、サテライト統一を目指して多くのデュエリスト達を潰して回ったあの日々。
普段はクールぶりながらも根は熱い魂を持つ遊星、馬鹿で傲慢不遜ながらも周囲を魅せるカリスマを持っていたジャック、お調子者ながらも面倒見のいい鉄砲玉のクロウ。
そして、その三人を引き連れ満たされぬ心を満足させるために生き急いでいた、自分自身。

(……今となっちゃあ、もう遠い昔のことだ。
 あの頃は、自分がこんな無様なことになるなんざ思ってもいなかったな……)

懐かしくもまぶしい若かりし頃の自分を思い出し、ふっと笑みを浮かべる。
―――自嘲のつもりで浮かべた、その笑みは。



『みゆきちゃーーーん! あかねーーー! やよいちゃーーーん! れいかーーー!
 
 みんな、聞こえるーーーーー!?』



―――突如真上から響いた大声により、引き攣った笑みへと変化した。


『あたしは今デパートの屋上にいる!この声が聞こえたらこっちに向かって来てほしい!!!
 それとバトルロワイヤルだかなんだか知らないけど……あたしはそんなのするつもりはない!!!
 誰か一人だけが生き残るだなんて、そんなこと絶ッッッ対認めないよ!!!
 あたしは一人でも多くの人を助けて、皆でここから帰りたい……あたしの他に同じ思いの人がいたら、デパートに来てください!!!』


148 : 直球勝負もいいかげんにしろ!  ◆N4CDx3zJvI :2013/07/18(木) 23:31:52 X9IoIu7w0


「んなっ……さっきのガキの声か!?」

思わず上を見上げるも、その視線の先には天井があるばかり。
ぐわんぐわんと大音量に揺さぶられる額を抑え、鬼柳は悪態をつく。

「馬鹿か、無警戒に大声で喚きやがって!
 うまく仲間や脱出したい奴らだけに聞こえりゃいいが、そんな奴らだけじゃねぇだろ……!」

確かに誰かを殺してまで生きたくない参加者もいるだろう。
一人でも多く生還させたいと考える、正義感の強い参加者もいるだろう。
だが、それ以外の参加者は確実にいる。
誰かを蹴落としてまで生き残り、最後の一人になることを望む者が。
誰かを殺して生き残り、勝者として願いを叶えることを望む者が。
そんな奴らかあのお人よし極まりない声に惹かれて、続々と集まってきたら……!?

「クラッシュタウンなんざ目じゃねぇ程の地獄になる、か……くそっ!」

どうする?
あの叫んでいる馬鹿の危険な行動を止めさせることが出来るのは、今ここにいる自分だけだ。
だが、止めてどうする?

もうすでに声は響き渡ってしまっている。近くにいる参加者ならば、すでに此方へ向かって来ていてもおかしくはない。
そして何より、生きる意志のない自分が、あの言葉を止めてしまってもいいのか?
あの言葉は本当に、彼女の望むとおりに殺し合いを望まない者の耳に届くかもしれないのに。
その僅かな可能性を、死に場所を求めている自分が絶ってしまってもいいのか?

戸惑う鬼柳の耳に届くのは、どこまでも真っ直ぐな、直球勝負な言葉だけであった。



『この声が聞こえた人……一緒に、ここから脱出する方法を考えてください!!!あたしに、力を貸してください!!!
 皆で、仲間と一緒に、帰りましょう!!!』


149 : 直球勝負もいいかげんにしろ!  ◆N4CDx3zJvI :2013/07/18(木) 23:32:12 X9IoIu7w0
【G-6/デパート屋上/一日目-深夜】
【緑川なお@スマイルプリキュア】
 [衣装]:通常
 [状態]:健康
 [装備]:スマイルパクト@スマイルプリキュア
 [道具]:基本支給品一式、拡声器、親友テレカ@ドラえもん
 [思考・行動]
  基本方針:仲間と一緒に脱出する
  1:拡声器で仲間や脱出の意思がある人を呼ぶ!
  2:仲間と再会したい
  3:不満足そうな人(鬼柳)も死なせたくないが…
  ※参戦時期は不明です。
  ※親友テレカはただのおもちゃと認識しています。


【G-6/デパート内部/一日目-深夜】
【鬼柳京介@遊戯王5D's】
 [衣装]:通常(クラッシュタウン編の服)
 [状態]:健康、不満足
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:死に場所を探す。
  1:流れに身を任せる。
   2:誰かを襲うつもりもないが、誰かに襲われても抵抗する気はない。
  3:屋上で叫んでいる少女(なお)は……?
 [備考]
  ※参戦時期はクラッシュタウン編直後、遊星と再会する前です。
  ※名簿未確認、遊星とジャックがいることに気付いていません。


※G-6の周囲8マス(上下左右斜め)に、拡声器を使ったなおの声が聞こえました。


150 : ◆N4CDx3zJvI :2013/07/18(木) 23:32:51 X9IoIu7w0
投下終了です


151 : ◆n.Wq36A6lg :2013/07/18(木) 23:40:33 dJp1.uZg0
投下乙です。
拡声器さん最初から飛ばすな〜

では改めて
衛宮切嗣、魚雷ガールで予約します。


152 : 名無しさん :2013/07/18(木) 23:43:51 8cUqMf/2O
投下乙です

拡声器「満足させてくれよ?」

こうですかわかりませんw


153 : 名無しさん :2013/07/18(木) 23:47:31 jfcZjqU.O
投下乙です。

柱の一族にあっさり太陽を克服させるひみつ道具のチートっぷり。
これが未来の力か。

響き渡るなおの声!
今なおを救えるのは鬼柳さんだけ!
諦めないで鬼柳さん!
鬼柳さんが諦めたら誰がなおを救うの!
次回、なお死す!?


154 : 名無しさん :2013/07/18(木) 23:59:15 OyVltTSo0
拡声器来たwww
拡声器さんはいきなり仕事をしてくれるのか?

あと、親友テレカではなく友情テレカだと思います


155 : 名無しさん :2013/07/19(金) 00:25:26 6sfcKQMk0
いや、親友テレカであってるけど?


156 : 名無しさん :2013/07/19(金) 01:15:06 L5EHF2PQ0
>>155
さっき調べたら親友テレカであってました。すみません


157 : 名無しさん :2013/07/19(金) 01:17:56 OnNV/uZc0
おお、いっぱい来てる
時間が空いてる時にまとめ読みしよ


158 : 運命 -destiny- ◆EKhCqq9jsg :2013/07/19(金) 05:08:32 l/khxEA.0
アミバ、上条恭介投下します


159 : 運命 -destiny- ◆EKhCqq9jsg :2013/07/19(金) 05:08:50 l/khxEA.0
 人を殺す方法。
 
 絞殺、人間の首を締め上げて殺すこと。
 銃殺、銃火器類を使って相手の急所に発砲し出血多量或いはショック死させて殺すこと。
 撲殺、拳や鈍器などの硬いものを使い、脳震盪や内蔵出血させて人間を殺すこと。
 刺殺、鋭利な物体を使い内臓器官にダメージを与えて殺すこと
 轢殺、車や電車などの車輪でひき殺すこと。
 
 とこのように、簡単に例を上げてもこれだけの方法がある。
 100人の殺人事件の被害者がいたとしたら、全員別の殺され方していても何らおかしくはない。
 それだけ人を殺す方法は山ほどあるということだ。
 
 しかし、そんな幾重にもある人殺し方法も全て共通していることがある。
 それは全て『人を殺せる身体を持っている』と言う事だ。
 いくら人を殺したいと思っていても、脚が無ければ車に乗れず
 物品を揃えるのも難しいし、目が見えなければ殺す相手を判別できない。
 
 そして、腕が動かせなければ首を絞めることも、鉄砲を持つことも、鈍器を装備することも
 ナイフを手にすることも車を運転することも出来ない。
 
 身体的なハンデを持つものは、余程の精神力や体力や知力がない限りは殺す相手に
 逆に反撃されかねない、それくらい人殺しには不向きだということだ。
 
 さて、そこで問題。
『殺し合い』呼ばれるルール無用のデスゲーム時に、身体が不自由であり、
 かつ精神力も体力も知力も人並みしかないものはどのような運命を辿るのか?
 
 誰かが助けてくれる? 
 奇跡や魔法のおかげで身体が五体満足になる?
 超能力に目覚める?
 
 正解は……
 
☆ ☆ ☆


160 : 運命 -destiny- ◆EKhCqq9jsg :2013/07/19(金) 05:09:04 l/khxEA.0
 桜見タワーが聳え立つ、そんな歓楽街の一つの道で、一人の少年が松葉杖を腕に通しゆっくりゆっくりと進んでいる。
 その少年は肩に鞄をかけて、苦しい顔を浮かべている。
 
 彼の名前は上条恭介。
 裕福な家庭に生まれ、ヴァイオリン演奏が年齢の割に習熟している以外は
 何ら普通の中学生と変わりない。
 
 いや、変わらなかったというのが正しいか。
 有望なヴァイオリニストと将来を約束されていたそんな少年に悲劇が襲う。
 交通事故。
 名ヴァイオリニストへのレールから弾き飛ばされる不慮の事故は、彼の両手腕と指の自由を奪っていった。
 事故後、残ったのは現代医学では到底治す事が出来ない、大きな大きな障害だけ。
 
 絶望以外の言葉が思いつかない。
 生きがいであるヴァイオリン弾きを封じられ、生きる意味を半ば失っている。
 
 そんな最中に無理強いされる殺し合い。
 これは誰もが彼に同情せざるを得ない状況だ。
 
 上条恭介はこの場所に移され、何を思う前に行動することを選択した。
 自由が効かない身体にムチを打つように、一歩一歩タワーに向う。
 誰かに会えるかもしれない、そんな淡い期待を込めて。
 
 しかれども開始してからずっと動かしていた身体についに限界が来た。
 道のど真ん中で倒れる訳にはいかない、何とか建物側へと向かう。
 そうして建物の近くへ行くやいなや、背中の鞄をすり落とし、建物へ背中から寄りかかりへたり込む。
 
「身体が動かないのに殺し合いって…… 死ねってことかよ……」
 
 近くに誰もいない。
 弱々しく独り言をボヤく上条恭介。
 
 そう言えば鞄の中には何かあるのではないかとも考えた。
 だがもう彼に動く余裕など無い。
 下を向き目を瞑りながら、ただ時間が経つのを待っているだけだった。
 
☆ ☆ ☆


161 : 運命 -destiny- ◆EKhCqq9jsg :2013/07/19(金) 05:09:28 l/khxEA.0
 ガサゴソと何かを漁る音が聞こえる。
 その音に気づいて目を開き顔を上げる上条恭介。
 どうやら自分は少し意識を失っていたらしい。
 
 上条恭介が見上げるその先には、どこかのスポーツチームのユニフォームを着た、
 白髪の大男が背中に背負いながら恐らく自分の鞄を漁っていた。
 
「むう、どうしてこんなガキには良さそうな物がこんなに入って、天才の俺には碌でもない物ばかりなのだ……」
 
 大男は鞄の中身ついて一人愚痴っていた。
 どうやら上条恭介の鞄の中身は『良さそうなもの』がたくさん入っているらしい。
 
「ん……? 貴様生きていたのか」
 
 意識を取り戻した上条恭介の視線に気づいたのか、白髪の大男はそんな上条恭介に声をかける。
 とりあえず立ち上がろうとするが、脚も腕も、そして指も十分に動かせない上条恭介は
 何とか壁を使って立ち上がろうとする。
 
「ん〜? 貴様身体が動かせんのかあ〜?」
 
 そんな様子を見て白髪の大男は上条恭介が動く前に口を開いた。
 
「ごめんなさい…… 礼儀が悪いですよね」
 
 裕福な家庭故の躾の良さか。
 話をするのに地べたに座りながらは流石に態度が悪いと正そうとするのだが
 上手く立ち上がれずにまた、座り込んでしまう。
 ちなみに平和な世に生まれたものの常か、上条恭介は今、人を疑うことを考慮していない。
 
「イッヒッヒ! 坊主貴様は運がいいぞ! この天才のアミバ様は貴様の支給品でとても機嫌がいい!
 だから特別に、貴様の体を治してやろうじゃないか!」
「え……体を治すって……? そんな簡単なこと言わないでください! 僕の身体は…… 指と腕は、絶対に治らないですよ!」
「まあ見てろ…… この天才のアミバ様に不可能はない、秘孔を突けば一瞬よ!」
 
 体を治してやる。
 そんな言葉を放ちアミバは不敵な笑みを浮かべ、鞄を地面に落とし上条恭介へと近づく。
 上条恭介は嘘だろと一蹴したいものの、どうやら秘孔という方法なら一縷の望みがあるらしい。
 ならば任せて見せよう、どうせ普通にしていても治らないのだから。
 
 
「腕の不随を治す秘孔は…… ここだ!」
 アミバの指が上条恭介の身体へとめり込む。


162 : 運命 -destiny- ◆EKhCqq9jsg :2013/07/19(金) 05:10:11 l/khxEA.0
 直後
 
「アガァ!!」
 
 激痛。これ以上もない激痛。
 そんな激痛が上条恭介の全身巡り巡る。
 奇怪な声を上げ、泡を吹き、痙攣が始まった。
 
「ん? 間違ったかな?」
 アミバは頬に手をつきながら、泡吹き暴れる上条恭介を眺める。
 
「あ〜、すまんすまん、こっちだったかな?」
 暴れる上条恭介に、アミバはもう一度指で秘孔を正確に突く。
 
「アガァカァ゙カァ゙ガァガァガァアァカァ゙ァガァガァガァガァガァカァカァ゙シァゲァルァ!」
 
 爆散
 
 
 上条恭介であった肉片が四方に散らばる。
 それを見てアミバは、少し首を傾げる。
 まあいいか、最初は死んでいると思ったのだから本当に死んでもいいだろうと開き直り、
 上条恭介の鞄と自分の鞄の両方を拾い上げその場を後にするのであった。
 
 
☆ ☆ ☆
 
「イッヒッヒ…… コイツはいいモノだな!」
 
 上条恭介が爆散した場所より少し先の飲食店内。
 六人がけの席に座り、先ほど入手したアイテムをもう一度見定めていた。
 
 アミバに支給されたランダム支給品は、2億円が入ったアタッシュケースと縦縞模様のユニフォームの二点。
 一方上条恭介に支給された支給されたものは、詳細名簿と呼ばれる緊急回避道具と首輪探知機のニ点。
 ユニフォームはともかくお金に関してはケツを拭く紙にもなりゃしない時代から来たアミバにとっては
 ハズレ中のハズレアイテムだった。
 そんな中偶然にも出会ったもう一つの支給品鞄。

「やはりこの天才のアミバ様には天も味方しておる」
 
 アミバは一人自画自賛をし、一先ず名簿と詳細名簿に目を通す。
 憎きケンシロウやトキがいるのはもちろん、知らない仲ではないジャギや上司であるラオウは既に確認済みだ。
 
「イッヒッヒ! この殺し合いに最後に残るのはこのアミバ様よ!!」

 アミバは情報と言う面から優位に立つために、詳細名簿を熟読するのであった。
 
☆ ☆ ☆


163 : 運命 -destiny- ◆EKhCqq9jsg :2013/07/19(金) 05:10:28 l/khxEA.0
 おわかり頂けたであろうか。
 上条恭介と呼ばれる一般人は無様にも殺されてしまった。
 彼に少しでも奇跡や魔法を信じていたら、或いは絶対に生き残るという執念があったならば、
 もしかしたらアミバを打倒出来た未来もあったかもしれない。
 でも死んでしまった。
 なぜなら上条恭介は力がなかったから
 精神力も体力も知力も、異常事態であることを踏まえても全く働かなかった。
 
 力のないものは、それだけで罪。
 
 それが殺し合い。
 それが死。
 
 奇跡も、魔法も、有りはしない。
 
【上条恭介@魔法少女まどか☆マギカ 死亡】

【E-2/西部、建物内/一日目-深夜】
【アミバ@北斗の拳】
 [衣装]:横浜DeNAベイスターズのレプリカユニフォーム@現実
 [状態]:健康
 [装備]:詳細名簿@アニロワEX
 [道具]:基本支給品一式×2 二億円が入ったアタッシュケース@現実
     
 [思考・行動]
 基本方針:天才の俺が最後まで生き残る。
 1:情報収集
 [備考]
 ※死亡後からの参戦です。
 
 ※上条恭介の肉片はE-2南部に散乱しています。


164 : 運命 -destiny- ◆EKhCqq9jsg :2013/07/19(金) 05:10:42 l/khxEA.0
支給品紹介

【横浜DeNAベイスターズのユニフォーム@現実】
 横浜を本拠地とするプロ野球球団のレプリカユニフォーム。
 野球知らなくともセリーグの6位は知っている、そんな球団
 アミバに支給された

【二億円が入ったアタッシュケース@現実】
 こーんなものケツを拭く紙にもなりゃしねえ!!
 アミバに支給された
 

【詳細名簿@アニロワEX】
 アニロワEXの参戦者の詳細情報が書かれている名簿。
 住所電話番号からSEXの有無まで色々と。
 ムダ知識も多いので取捨選択が重要
 上条恭介に支給された
 
【デイパック探知機@アニロワEX】
 アニロワEXの参加者に支給されたにデイパックに反応する探知機。
 デイパックに反応するのでもちろん行った先に参加者がいるかどうかは責任持てません
 上条恭介に支給された


165 : ◆EKhCqq9jsg :2013/07/19(金) 05:11:24 l/khxEA.0
以上で投下終了です。
大きな矛盾、誤字脱字がありましたらご報告くださいませ。


166 : 名無しさん :2013/07/19(金) 08:14:33 L5EHF2PQ0
現実は非情である


167 : 名無しさん :2013/07/19(金) 10:42:16 cAWvZPnY0
投下お疲れ様です
ちょっとアミバアアアァァァァァ!!
うん、秘孔って実に半端ないなと思わざるを得ない


168 : 名無しさん :2013/07/19(金) 13:58:18 JVIAtKaYO
投下乙です

うん、知ってた。いつか成功する日は来るんだろうか…


169 : 名無しさん :2013/07/19(金) 21:50:47 DHIFe66.0
投下乙
アミバさんまた失敗か


170 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/20(土) 20:42:28 2Oa8Kkxs0
雨流みねね、ケンシロウ、予約します。


171 : 名無しさん :2013/07/22(月) 03:20:02 ATmGCQl2O
投下乙です。

わかっていたよ、予約の時点で上条死亡フラグが立っていたこと。
そして、さやかマーダー化フラグも立っていることも。


172 : 名無しさん :2013/07/22(月) 21:05:43 wC/kGFkI0
乙です。


173 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/25(木) 14:47:23 VLUDk3f60
雨流みねね、ケンシロウで投下します。


174 : 地獄とは神の実在なり ◆wYOF3ar91U :2013/07/25(木) 14:50:00 VLUDk3f60
この世界に神は居た。

それは偶像となって崇められて、人々を動かし、
あるいは自ら機械仕掛けの神を名乗り、次なる世界の支配者を決める遊戯を催し、
あるいは二千年の歴史を誇る武術にその名を刻む。
その名は力となり、世界を動かす。
神はその意味で確かに存在したのだ。

そしてこの世界に神は居ない。

神の名の下に行われるテロリズムは無関係な者が殺され、
世界が核の炎に包まれた時も、
世界が暴力が支配する荒野となっても、
弱者は蹂躙され、無辜の者の命は奪われ続けた。
そこに神の名の下の正義も救済も無かった。
神はその意味で確かに存在しなかったのだ。

神の実在と不在はテロリストと救世主を生む。
神を憎み、自ら神となろうとする女。
神の名を冠する拳を受け継ぎ、神無き世を流離う男。

神の名の下に、神無き戦いが始まる。


    *


男が居た。
青い革製のジャンパーに、同じく青い革のズボンを履いた男。
一見すれば中肉中背と思える体躯だが、その実尋常ならざる鍛え方のされた肉体。
そして太い眉の下に、澄んでいながら底知れない深さを湛えた眼光。
男は北斗神拳の正統伝承者にして、核の炎に文明を焼かれ暴力の支配する世界となった世紀末に救世主と呼ばれた。
名をケンシロウと言う。

「ラオウとトキ!? なぜ、この二人の名がある!!?」

前触れも無く呼ばれたバトルロワイヤルにも、
まるで理解の及ばない方法で瞬間移動させられたことにも、
滅んだはずの文明によって雑居ビルが建ち並ぶ町並みにも動揺を顕にしなかったケンシロウだが、
名簿を確認する段になって、初めて驚嘆の声を上げる。
ケンシロウが確認した名簿には、知った名が幾つも存在していた。

ラオウ。トキ。ジャギ。アミバ。

その四名はいずれも北斗神拳を修行した男たち。
ラオウ。北斗の長兄。無類の剛の拳を振るう、北斗の歴史においても最強であろう男。
トキ。北斗の次男。病にその身を蝕まれていなければ伝承者となっていたであろう、北斗の歴史上最も華麗な拳を振るう男。
ジャギ。北斗の三男。ケンシロウへの恨みから謀略と暴虐に走った男。
アミバ。北斗の正統な修行者ではないが我流の修行で北斗神拳に迫り、トキになりすまそうとした男。

そしてこの四人はいずれも死んだ人間なのだ。

ケンシロウは四人全員の死を確認している。
ラオウとジャギとアミバに至っては自分の手で殺したのだ。
その死んだはずの者が、なぜ名簿に載っているのか?
四人の名がケンシロウと共にあるのだから同名の別人と言うわけではあるまい。

(……確かめねばなるまい。この四人が俺の知る四人であるかどうかを…………。
そしてそうなれば、四人とも捨て置けぬ)

トキはたしかに比類なき拳の腕を持っている。しかし病を抱えた身体では、どのような不覚を取るかは分からない。
早急に合流して自分が守らねばなるまい。


175 : 地獄とは神の実在なり ◆wYOF3ar91U :2013/07/25(木) 14:53:49 VLUDk3f60
そしてラオウとジャギとアミバがここに居るのなら、自分が討たねばならないだろう。
ここが殺し合いでなくとも、ラオウとジャギとアミバが居る所に平穏は無い。
ラオウはその強すぎる野心ゆえ暴威を振るい、ジャギとアミバはその歪んだ邪心ゆえ暴虐を振るうだろう。
それを止めるのもまた北斗神拳伝承者たる自分の定め。ケンシロウはそう受け止めていた。

(『北斗現れるところ乱あり』…………骨肉の戦いが北斗の宿命なのか)

宿命であるならば、そこから逃げるまい。
ケンシロウは北斗神拳伝承者としての決意を新たにする。
トキを保護して、ラオウとジャギとアミバを止める。
そしてこの馬鹿げた催しを開いたキュゥべえを討つと。

「キュゥべえよ、お前に北斗神拳が乱世を治める拳であることを教えてやろう!
 そしてそれを知る時こそ、北斗神拳の伝承者がお前にとって死神であることも知る時だ!!」
「それじゃあ、これで神殺しだな」

声はケンシロウの上から掛かった。
そしてそれとは別方向から、落下物が空を切る音。
円筒形の落下物を見ると、端から伸びた紐の先が火花を拭いていた。
火花は紐を焼いて筒に到達する。
同時に爆発。
急激に膨張する大気は、火を纏って爆風と化し、
ケンシロウの居た場所を、瞬時に爆炎で覆い尽くした。



「ハハ……神様を殺すのも簡単なもんだな」

女が居た。
雑居ビルの屋上から、自分の“戦果”を見下ろす眼帯の女。
女は国際的テロリストにして、時空王『デウス・エクス・マキナ 』の催すサバイバルゲームの九番目の参加者“9th”。
名を雨流みねねと言う。

みねねはここに来る以前にも殺し合い、デスゲームに相当するサバイバルゲームに参加していた。
それは“未来日記”と言う未来に起こる出来事が記載される日記の所有者たちで最後の一人となるまで殺し合う物だ。
みねねは元々テロリストであり無関係な中学生を大量に殺害することも厭わない、殺人への忌避感が全く無い人間である。
殺し合いにも躊躇は無かった。

それでもバトルロワイヤルに参加させられた当初は積極的に殺し合うつもりにはならなかった。
みねねの立場からしたら今まで進めてきた殺し合いが突然反故にされて、別の殺し合いを開始させられたのである。
しかも12人での殺し合いだったはずが、5倍の70人に増えたのだ。
納得しろと言う方が無理である。
そもそもこのバトルロワイヤルを催しているのが、前回の殺し合いと同様にデウスであるかどうかもはっきりしない。
不可解な点が多過ぎるのだ。

バトルロワイヤルに対していかなるスタンスを取るべきか決めかねていたみねね。


176 : 地獄とは神の実在なり ◆wYOF3ar91U :2013/07/25(木) 14:55:05 VLUDk3f60
その時に男の声が聞こえてきた。
みねねの居るビルの真下、その道路上に居た男・ケンシロウは、
名簿を見て、動揺しているようだった。

みねねは既に確認済みだった自分の支給品の一つ、ダイナマイトを持って、
屋上を囲む柵越しにケンシロウの様子を探る。

そしてケンシロウは自ら北斗神拳の伝承者を自称して、死神を名乗った。

みねねは世界中を股に駆けるテロリストだが、母国は日本であり母語は日本語である。
“北斗神拳”と言う言葉の語感と発音から、神の字を当てられていることも見当が付く。
それを聞いて、みねねは自分が神への復讐者であったことを思い出した。

みねねは幼い頃、宗教紛争に巻き込まれて両親を亡くした。
それ以来みねねにとって、神もそれを信奉する宗教も憎悪の対象となる。
そしてみねねは宗教関係者と宗教施設を対象とするテロリストとなった。
神とその信仰に復讐するために。

ケンシロウもまた神の拳の使い手を自称して、死神を名乗った。
それが宗教的な意味を持つ物かどうかは定かでは無い。
だがバトルロワイヤルの中で神を語るケンシロウの態度は、みねねにとって許し難い物であることは間違いない。

そして自分の目的が神になり、神を殺すことだと思い出させられた。

みねねが以前の殺し合いに参加した理由もそれである。
サバイバルゲームに勝ち残れば次の神になることができる。
そうなれば今の神であるデウスを殺すことも可能だ。
そうしてこそ神への復讐が為る。

ならば結局このバトルロワイヤルでも、みねねの目的は変わらないのである。
勝ち残って神となり、神を殺す。
他に目指す物など無いのだ。

そう気付かされたみねねは、ダイナマイトに火を付けて投げ落としていた。

主に爆発物でテロ活動をしていたみねねだが、ダイナマイトを使用した経験は少ない。
それでも手投げ爆弾として使う限りは、使い方の要領は心得ている。
爆発が確実にケンシロウを巻き込むようにダイナマイトを投げ込むことができた。

(あの様子じゃ日記を持っていた訳でも無し……所詮、神の名を借りた只の人間ってとこだ)

日記を持つでも無ければ、状況からダイナマイトによる奇襲を避ける方法は無い。
ケンシロウは死んだ。
長年の経験からそう判断したみねねは、自分の支給品の一つ、
支給品ではあるが元来からの自分の所有物である未来日記『逃亡日記』を見る。

逃亡日記は携帯電話の形を取った、みねねが未来に取る逃走経路を示す周囲予知型“The radar”の未来日記である。
本来なら九十日も先の状況が判るが、何故かここでは極近い未来のことが、しかも簡素にしか表示されないと添えつけの説明書きに書かれていた。
ただし未来日記は破壊されれば所有者が死ぬことになるが、今の逃亡日記は破壊されても死ぬことは無いらしい。
制限が掛けられているのか、日記その物が模造品なのかは判らないが、
本来の機能から大きく変更させられていた。

それに伴って、使用方法も変わってくる。
以前の物ならばかなり先の未来まで判るために、それほど頻繁に日記を確認する必要は無いが、
今はかなり近い未来しか判らないため、頻繁に確認する必要がある。

当面の目的を果たしたみねねは、その日記に目を通す。


177 : 地獄とは神の実在なり ◆wYOF3ar91U :2013/07/25(木) 14:56:55 VLUDk3f60
みねねは途端に、屋上の出口へ駆け出す。

「あたぁっ!!」

次の瞬間、みねねの立っていた場所に蹴りが通り過ぎる。
ケンシロウが屋上の柵の“外”から蹴りを放ったのだ。
しかし不意にみねねが走り出したために、蹴りは外れた形となった。
ケンシロウは柵を越えて屋上に着地する。

ケンシロウは“ビルの外から跳躍して来た”のだ。

みねねが走り去って行った屋上の出入り口を睨むケンシロウ。

「卑怯者め……この俺が逃がすと思うな」



「クソッ、爆発を飛んで避けやがったのかよ!!」

ビルの中を走りながら、みねねは吐き捨てる。
位置やタイミングから見て、ダイナマイトの爆発は確実にケンシロウを襲ったはずだ。
しかしケンシロウは全くの無傷で、逆にみねねに襲って来たのだ。
状況から推測すればケンシロウは跳躍して爆発を回避したと言う結論になる。

(……マジでそうだとしたら、あいつは2ndを超える“異常”ってことだぞ!!)

みねねは自身も含めて、常軌を逸した能力を持つ人間を何人も知っている。
とびっきりの異常である『2nd』我妻由乃などがその代表だ。
しかしケンシロウの身体能力が推測通りの物なら、あの由乃をすら凌ぐ物だろう。
完全に人間のそれを超えた、正真正銘の“異常”。
真っ向から戦えば、みねねに勝算は薄い。
みねねには逃亡日記がある。逃げることは容易い。

(逃げるしかないってのか? 神を気取るバカから!!)

しかし神を名乗るケンシロウへの強い憎悪と殺意が、みねねを縛る。
幸い、得物の爆弾も在る。
このビルの中に誘き寄せれば、ケンシロウを殺す公算も在った。

逃げるべきか? 戦うべきか?

どちらを選ぶか迷いながら、みねねは日記に目をやる。

「――――!!!?」

瞬間、轟音と共にビルが揺れる。
そして、みねねの目前で天井が崩れ始めた。
みねねの前で、天井が瓦礫と化して次々と降り落ちていく。

(ビルの倒壊か!!?)

しかしみねねの心配を余所に、揺れと崩落は収まる。
視界を粉塵が覆っていたが、それも次第に晴れていく。

そこには瓦礫の山と、その中央に一人の男・ケンシロウが居た。
ケンシロウは片膝を着き、床に拳を突き立てていた。
そしてケンシロウの拳を中心に、クレーターのような陥没が広がっている。

「…………冗談だろ?」

ケンシロウの体勢と周囲の状況。
そして赤みが掛かり僅かに血が滲んでいるケンシロウの拳を見て、
みねねは今、目の前で起こった現象を直感的に理解させられた。

ケンシロウは天井を拳で破壊して降りて来たのだと。

「ダイナマイトを抱えてこそこそこちらを伺っていたからどんな奴だと思えば……案の定、下らん悪党のようだな」

みねねを鋭い目で睨みながらケンシロウが言い放つ。
ケンシロウの口振りには、何の気負いも感じ取れない。
おそらく虚勢でも威嚇でもなく、ただ自身の意思を語る言葉。

「……私の存在に気付いていながら、泳がせていたって言うのかよ?」
「北斗神拳の伝承者である俺の耳を誤魔化すことはできん」

どうやらケンシロウは12th染みた超聴力まで在るらしい。

(異常どころじゃねぇぇぇ!!! 本物の怪物じゃねぇか!!)

みねねはここに来てようやく喧嘩を売った相手が、自分の知る異常を超える存在だと確信した。
ケンシロウはみねねを無遠慮に指差して言い放つ。

「きさまのような悪党を生かしておく理由は無い。せめて祈るがいい」
「……私は神に祈ったりはしない」

神を継いで神を殺すことを志すテロリスト・雨流みねね。
神の拳を継ぐ死神・ケンシロウ。

神無きバトルロワイヤルの地で、二人の戦いが始まる。


178 : 地獄とは神の実在なり ◆wYOF3ar91U :2013/07/25(木) 14:57:55 VLUDk3f60
【E-5/市街地・ビル内/一日目-深夜】
【ケンシロウ@北斗の拳】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:キュゥべえを倒す。
  1:トキと合流する。
  2:ラオウ、ジャギ、アミバを倒す。
  3:みねねを倒す

 [備考]
  ※北斗の拳第4部「最終章」終了直後からの参加です。

【E-5/市街地・ビル内/一日目-深夜】
【雨流みねね@未来日記】
 [状態]:健康
 [装備]:逃亡日記@未来日記、ダイナマイト×49@北斗の拳
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1
 [思考・行動]
  基本方針:バトルロワイヤルに優勝して神になり、神を殺す。
  1:ケンシロウを倒すor逃げる?

 [備考]
  ※参加時期は不明です。

支給品紹介

【逃亡日記@未来日記】
みねねに支給された。みねねが本来からの所有者でも在る未来日記。
みねねが未来に取る逃走経路を記す日記。
制限のため極近い未来しか記されない。
ただし破壊されても所有者が死ぬことは無い。

【ダイナマイト×50@北斗の拳】
みねねに支給された。
ジャッカルが使用していた大量のダイナマイト。


179 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/25(木) 14:58:56 VLUDk3f60
投下を終了します。
誤字脱字や矛盾点が在れば報告をお願いします。


180 : ◆wYOF3ar91U :2013/07/27(土) 23:32:56 KMWTmUHk0
出木杉英才、ジョセフ・ジョースター、予約します。


181 : 名無しさん :2013/07/28(日) 18:11:58 8JD0UzDU0
遅ればせながら投下乙
みねねさん…喧嘩売ったらアカン人に喧嘩売っちまったな…


182 : 名無しさん :2013/07/28(日) 21:05:00 UEMKTC3kO
投下乙です
どちらも一筋縄ではいかない相手同士、これからどう出るか……
これは市街地で一波乱あるか?


183 : 名無しさん :2013/07/31(水) 16:55:19 w09KLPv.0
出木杉君は気を確かに持っていれば対主催側のブレインになってくれそうだけど
……どうなるんだろう


184 : 名無しさん :2013/08/01(木) 03:02:38 0PLGPLFQ0
出木杉ってテンプレートな天才キャラの癖に妙に不屈だしなあ
だからこそ「心身ともにできすぎた人物」で出木杉なわけだし


185 : 名無しさん :2013/08/01(木) 08:23:19 1kQhd/noO
長編で中々お呼びが掛からないのもすぐに解決しそうだからって身も蓋もない理由だからなぁ


186 : ◆wYOF3ar91U :2013/08/01(木) 20:55:11 rQpYKOpY0
出木杉英才、ジョセフ・ジョースターで投下します。


187 : 隠者の出会い ◆wYOF3ar91U :2013/08/01(木) 20:56:36 rQpYKOpY0
「バトルロワイヤルのルールでは、生還できるのは一人となっているから、
おそらく催している者の狙いは、参加者同士の殺し合いを誘発することだ……」

自生する広葉樹が視界を埋めるほどに生い茂る森の中、まだ声変わりもしていない少年の声が木霊する。
声は幼さを残しながら、冷静で極めて整然とした知性を感じさせる物だった。
もっともそれを聞く者は、当の少年以外には誰も居ないが。
少年は暗い森の中を淀みなく歩いていく。

「だから主催者の目的を推測するには、その線から進めていかなくてはならない……」

理路整然とした言葉は少年の優れた知性を示していた。
森の中を苦も無く進む姿は少年の優れた体力を示していた。
バトルロワイヤルの中でも自分の為すべきことを探す様は少年の優れた精神力を示していた。
知性。体力。精神力。少年はその名が示す通り、あらゆる面で優れた能力を持っている。
少年の名は出木杉英才と言った。

「……とりあえず、ドラえもんと合流することを優先しよう。彼の知識は、脱出に必要になる……」

しかし今はバトルロワイヤルの渦中。
無意味に声を上げるのは自殺行為だと、出木杉も自覚している。
しかし、そこに論理の飛躍が在っても構わずに出木杉は話し続ける。
自分の意思を、自分に言い聞かせるために。

怖いのだ。
何時、自分が殺されるか判らない状況が。
まるで脱出の方法が見えない状況が。
そして脱出を志すと言葉にしていなければ、自分自身に確信が持てない状況が。

出木杉は強い倫理観と道徳意識を持っている。
殺人への忌避感もそれだけ強い。
それでも、この場では何の確信も持てないのだ。
先刻確認した名簿を信じるなら、あの未来の道具を使いこなすドラえもんですら参加者とさせられているバトルロワイヤル。
幾ら出木杉が優秀でも、脱出の方法など見当も付かない。
そして名簿に記載されている名前はドラえもん、野比のび太、剛田武、源静香以外は全く知らない物だ。
ドラえもんたちが殺し合いに乗るとは思えないが、彼らのほとんどは小学生。
悪意在る大人の手に掛かれば、容易く命を落とすだろう。
今こうしている間にも、友達が殺されているかもしれない。
それは想像しただけでも恐ろしいことだった。
何より、出木杉自身も小学生に過ぎない。
命の危険に晒された時、自分の身を守れるのか。
そして誰かを殺すことでしか自分の身を守れないとなった時、強固な意志をどこまで保てるのか。

出木杉はまだ小学生。これから学んで自分を作り上げていく人間だ。
実際のところ、今の段階では何の保障も無い人間なのだ。

生きるか死ぬかの極限状況。
ただの小学生の過ぎない出木杉にとって、それは意思を保つことすら困難な状況だった。

(…………誰か居る!!)

出木杉の声が、足が止まる。


188 : 隠者の出会い ◆wYOF3ar91U :2013/08/01(木) 20:58:57 rQpYKOpY0
前方約十メートル。ほとんど視界が利かない森の暗がりの中、薄ぼんやりとした影しか確認できない。
しかし確かに男の姿が在った。
大人の男。それも二メートル近くありそうな大柄な男だ。
無論、出木杉の友人にそんな大男は居ない。

出木杉の心臓が跳ね上がり、足が震える。
誰かと遭遇することも当然、想定していた。
その時の対応策も。
可能な限りリスクの少ない形で接触。
そしてとりあえずでも安全だと確認できれば情報交換をして、交渉次第では同行する。
それらの具体的な手段まで想定していたのだ。

しかし想定と現実は、全く違ったのだ。
殺し合いの状況の中で、未知の人物と接触する。
それは自ら修羅場に踏み込むと言うこと。
現実に実行するのは、出木杉の想像以上の勇気が必要だった。

これが出木杉の友人、野比のび太や剛田武や源静香ならば話は別だったかもしれない。
彼らも小学生であり、出木杉ほど優秀とは言い難い。
しかし彼らには修羅場の経験があった。
自らの命を危険に晒す冒険を潜り抜けてきた経験が。

しかし出木杉にはそんな経験は存在しない。
命がけの冒険はこれが始めてになる。

そしてただの小学生がたった一人で乗り越えるには、命がけの冒険というハードルは高過ぎた。

(……今のぼくの状態では交渉が上手く行くとは思えない。ここは接触を避けるべきだろう……)

それは自分の状態を考慮しての適切な判断なのか。
自分の臆病を誤魔化すための言い訳なのか。
心中で自分でも判然としない理由を並べ立てて、出木杉は男から逃げることを選択する。

男から生い茂る木に身を隠し、出木杉はその場を離れようとする。
その優れた身体能力を活かし、木陰から木陰へと移動して行く。
そして木陰から頭だけを出して、男がこちらの存在に気付いていないかを確認。
男の姿は無かった。

不測の事態に出木杉の不安感が一気に強まる。
男は確かにそこに居たはずなのに、出木杉が目を離した僅かの隙に消えていたのだ。
周囲を見渡すが男の姿は無い。
得体の知れない不安に包まれ、出木杉はしばし呆然とその場に立ち尽くす。

「ノックしてもしも〜し」

突然、頭上から声が聞こえた。
その場の雰囲気とはあまりにもそぐわない、弛緩した声。
それとともに、出木杉の頭が軽く小突かれる。
頭上を仰ぐと、先ほどの男が木の枝から逆さになってぶら下がっていた。

反射的に走り出す出木杉。
そこに状況判断も論理的思考も無い。
半ば恐慌状態に近い物があった。

「おい待て!! 人がもしもしっつってんのに、逃げ出してんじゃねー!」

暗い森の中を、何度も足を取られそうになりながら、
出木杉はそれでも止まることなく駆け抜けていく。
しかしすぐに背後から襟首を掴まれて止められる。
振り返らなくても先ほどの男だとは判った。
男は暗い森の中を、出木杉に容易く追い付いたのだ。
逃げることは不可能。
出木杉はついに死を覚悟する。

「だから逃げんなっつってんの! 人の話聞けよなぁ〜。
雪男やネッシーとかに出会った時だって、悪い者と最初から考えんのはよくねえと思うのオレ。
ましてやこのハンサム顔見れば、人間だっつうことくらい分かんだろうがよ」

しかし男の口振りは対照的に、陽気さすら感じられる物だった。
出木杉は振り返って男を見る。
男は鍛え上げられた肉体の全身に傷を帯びている巨漢だった。
その風貌だけを見れば、不穏さを感じる所だ。

しかし男の軽い口調、不敵な笑みを浮かべる表情、
そして纏う雰囲気は決して不穏さを感じる物ではない。
不思議な頼もしさをすら感じられる物だった。

男の雰囲気を受けて、出木杉も冷静を取り戻す。


189 : 隠者の出会い ◆wYOF3ar91U :2013/08/01(木) 21:00:13 rQpYKOpY0
そして男の言葉と、先刻までの行動を思い返す。
男は出木杉より更に優れた身体能力を持つ。
その男が、頭上から不意打ちをする形で出木杉に接触してきた。
出木杉には、その行動の意図はすぐに察することができた。
男は殺し合いをするつもりは無いと。

「おれの名はジョセフ・ジョースター。ジョジョって呼んでくれ。
初対面でぶしつけだけどねェ、とりあえず名前を聞かせてくれよ」

こうして出木杉は運命の一族・ジョースター家の男、ジョセフ・ジョースターと出会った。


    *


「それじゃあ名簿に在るジョースターさん……ジョセフさんが知っている名前は、ワムウとカーズ。
そしてお祖父さんのジョナサン・ジョースターとその宿敵のディオ・ブランドーだけですね?」
「だからジョジョって呼べって。……まあジョナサン・ジョースターとディオ・ブランドーは五十年前に死んだはずだから、
おれの知ってる二人のはずがねぇんだけどよ」

出木杉とジョセフは、すぐにお互いの自己紹介をして、
そのまま近くの木陰の岩場に向かい合って座り、情報交換を開始した。

参加者名簿の中にお互いの知人の名前が有るかを確認しあう。
出木杉の知人は四人とも殺し合いをするような人物ではないので、特に問題は無いが、
ジョセフの方は問題が大きい。

ワムウとカーズは、どちらも柱の男と呼ばれる生物である。
人間を食料としており、ジョセフとも敵対している。
極めて危険な存在と言えよう。
そしてジョセフの祖父であるジョナサン・ジョースターと、
吸血鬼でありジョナサンの宿敵でもあるディオ・ブランドーは、
五十年前に死んでいるはずなのだ。

「確かに五十年前に死んでいるのなら、ジョナサン・ジョースターとディオ・ブランドーは本人たちではない公算は大きいです。
しかし本人たちである可能性も存在します……」
「……おいおい、じゃあ何かー? 五十年前に大西洋上で行方不明になったじいさんが、
『実は生きてましたーっ!!』って出てくるってのか?」
「……死亡する前の状態から連れて来られている可能性です」

出木杉は半世紀以上前の者たちが存在している可能性を語る。
それは時間移動の可能性。
出木杉は自分の知人であるドラえもんの出自に付いて説明する。
ドラえもんは22世紀の未来からタイムマシンでやって来た猫型ロボットなのだ。
同様の時間移動技術を以ってすれば、ジョナサンやディオを五十年前の時点から連れて来ることも可能なのだ。

「……それじゃあ、H・G・ウエルズの小説みてーなタイムマシンが本当に在るって言うのかよ?」

ジョセフは先刻までの陽気な態度が鳴りを潜め、低い声で出木杉に問う。
不審に思われても無理は無いと出木杉は思う。
もしドラえもんを知らなければ、自分も時間移動の話を信じることはできなかったであろう。
しかし知っている情報を秘匿にしておくことは、
ジョセフの危険や、後になってより深刻な不信に繋がる危険も在ると判断して、
ドラえもんの情報を正直に話したのだ。
もっとも、この場でジョセフと袂を分かつリスクも存在するが。

「…………ってことはよぉー、おめーは西暦1938年より未来の人間になるんじゃねーのか?」
「何でそれを!!?」
「……オーマイガッ!! まさかと思ってカマを掛けたんだが、マジかよぉ……」

しかしジョセフの言葉は出木杉の予想を超える物だった。


190 : 隠者の出会い ◆wYOF3ar91U :2013/08/01(木) 21:01:49 rQpYKOpY0
情報交換の端々から、ジョセフが自分の生きる時代より過去の人間だと言うことは、出木杉にも容易に推察できている。
それだからこそ時間移動の知識の普及していないはずなので、タイムマシンの話を信じて貰える公算は小さいと考えていた。
しかしジョセフは出木杉が未来の人間であることまで察知していたのだ。
まさかと思ってカマを掛けたと言ったが、ある程度の所信が無ければそんな真似はしないだろう。

「……おめーは日本人だろ? けどおめーの着てる服や靴は、おれの知ってる時代の日本の物だとしたら違和感があったんでな。
…………けどバトルロワイヤルの主催者がタイムスリップまで可能にするほどの技術を持ってるってなると、ちーと厄介だぜェ」
「……厄介、と言うのはどういう意味です?」
「決まってんだろ。主催者のヤローをきっちりブチのめしてやるのに、厄介だって言ってんの」
「バトルロワイヤルを脱出して、主催者を倒すことを目的にしているんですね」
「他にどうするって言うんだよー!」

出木杉にとって、ジョセフのような人間に出会うのは初めてだった。
自分より遥かに身体能力に優れ、
自分も驚くほどの洞察力を示し、
そして何の逡巡も衒いも無く脱出を試みる。

出木杉にとって、先行きの見えない脱出への道。
そこへ突然現れた希望。それがジョセフだった。

出木杉はこの地に着いてから、初めて希望を持って自分の志を口にする。

「…………ジョセフさん、ぼくも脱出を目的としています。同行をお願いできますか?」
「だからジョジョって呼べって言ってんだろ〜……」

こうして出木杉は運命の一族・ジョースター家の男、ジョセフ・ジョースターと、志を同じくすべく交渉を開始する。
しかし出木杉はまだ知らなかった。
ジョースター家に纏わる、闇の一族との深い因縁を。

【C-6/森林部/一日目-深夜】
【出木杉英才@ドラえもん】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:殺し合いはしない。
  1:ジョセフが同行するように交渉する。
  2:ドラえもんと合流する。
  3:野比のび太、剛田武、源静香と合流する。

 [備考]
  ※参戦時期は不明です。


【C-6/森林部/一日目-深夜】
【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:バトルロワイアルを脱出して主催者を倒す。
  1:出木杉と情報交換する。
  2:ワムウ、カーズを倒す。

 [備考]
  ※参戦時期は不明です。


191 : ◆wYOF3ar91U :2013/08/01(木) 21:02:39 rQpYKOpY0
投下を終了します。
誤字脱字や矛盾点が在れば報告をお願いします。


192 : 名無しさん :2013/08/01(木) 21:40:35 AXmqKY3o0
投下お疲れ様です
最初に会ったのがジョセフで運が良かった出木杉君
映画に出れないレベルの問題解決能力の高さは、対主催の要になってくれそうだ


193 : 名無しさん :2013/08/02(金) 09:40:49 EmvgKMgY0
投下乙です
出木杉は前から言われてたけど優秀過ぎるから映画版に出れないんだよなあw
さて、ジョセフが最初の遭遇者でよかったし先に期待できるがロワはまだ始まったばかり
頑張れ


194 : 名無しさん :2013/08/03(土) 09:46:36 tWdb356g0
>>122-123のタイトルが無いままなのですが、どうするんですか?
このままだとwikiに収録できなくないですか?


195 : 名無しさん :2013/08/04(日) 01:37:48 SsVWvvFw0
とりあえず無題とかレス番とかで登録しとけばいいんじゃない
後で修正することも出来るんだし


196 : ◆wYOF3ar91U :2013/08/04(日) 02:34:42 VRtFDsW60
>>194
私も無題かレス番で構わないと思います。

ジャギ、ジョナサン・ジョースター、源静香で予約します。


197 : 名無しさん :2013/08/06(火) 20:17:52 zUEH.lnM0
初代ジョジョはロリを守れるだろうか。


198 : ◆N4CDx3zJvI :2013/08/06(火) 22:05:35 DCRYflTI0
鑢七実、雨生龍之介で予約します


199 : 名無しさん :2013/08/07(水) 08:10:55 x8Zz/qhk0
どこに書き込めばいいのかわからないんで、とりあえずここで
まとめwikiの方の更新履歴見ればわかるけど、このパロロワに関係のない幽遊白書のキャラクター・飛影の記事が立てられてます。しかも内容はメチャクチャ
どうも荒らしの仕業らしく、他のパロロワでも無差別的に立てられてる模様。自分は他の二つのロワで被害を確認。
編集の仕方とかよく分からないから対応よろしくお願いします。


200 : 名無しさん :2013/08/07(水) 12:51:38 .B53gGjM0
どこにもリンク貼られてないし無視してもいいんじゃね


201 : ◆wYOF3ar91U :2013/08/08(木) 20:14:29 LXpI33ew0
ジャギ、ジョナサン・ジョースター、源静香で投下します。


202 : その血の運命 ◆wYOF3ar91U :2013/08/08(木) 20:15:43 LXpI33ew0
二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めたとさ。一人は泥を見た。一人は星を見た。(フレデリック・ラングブリッジ『不滅の詩』)





『ジョジョ、おまえがいなかったらこのディオに仮面の力は手に入らなかっただろう……しかしおまえがいたからいまだ世界は、おれのものになっていない!
神がいるとして運命を操作しているとしたら! おれたちほど、よく計算された関係はあるまいッ! おれたちはこの世において、ふたりでひとり!』

石仮面を巡るその血の運命(さだめ)に選ばれた二人。

『こ、これが……これがぼくの、生命(いのち)……生命(いのち)最後の波紋だ。……弱くって、あの屍生人(ゾンビ)を完全に、破壊できないが……これで、充分だ……』

運命に導かれるまま二人は戦う。

『逃げるんだ……エリナ……。この船を、ば……爆発させる……』

そして運命は沈み行く船に二人を誘う。

『泣いてくれてもいい……でも君は…………生き……なくては……ならない……!』

沈み行く船の中で重なる運命。

『ディオ……君のいうように、ぼくらはやはりふたりでひとりだったのかもしれないな。奇妙な友情すら感じるよ……。
そして今、ふたりの運命は完全にひとつになった……。そして……船の爆発で消える……』

そして――――

『はなせ……ジョジョォォ……離すんだ。考えなおせ、ジョジョ。おまえにも永遠をやろうではないか! その傷もなおす……エリナと永遠を生きれるぞ……ジョジョ!
ジョジョ……!? …………こ……こいつ……! 死んでいる……!』

一八八九年 二月七日 ジョナサン・ジョースター死亡

ジョナサン・ジョースターの人生は忘却の彼方に消えさった――――







――――はずだった。

運命はジョナサン・ジョースターを再び弄ぶ。



「――――ここは……どこなんだ?」

アスファルトに固められた道路。
瓦屋根の民家。
目前に広がるのは、十九世紀のイギリスに育った者にとっては、
まるで未知の文化様式に満たされた町並みだった。
しかし今のジョナサンを困惑させているのは、未知の町並みではなかった。

「喉の怪我も治っている…………ぼくは船でディオと死んでいくはずだった……」

ジョナサンは自分の記憶を手繰る。


203 : その血の運命 ◆wYOF3ar91U :2013/08/08(木) 20:17:46 LXpI33ew0
宿敵である吸血鬼・ディオと決着を着けたジョナサンは、エリナ・ペンドルトンと結婚。
客船で新婚旅行に向かっていた。
しかしその洋上で、倒したはずのディオに襲撃される。
ディオに喉を貫かれ致命傷を受けたジョナサンは、その最後の力を振り絞って船を爆破。
エリナを脱出させたジョナサンは、ディオと運命を共にする。

しかし次の瞬間にはキュゥべぇからバトルロワイアルの開始を告げられた。
そして今また、見覚えの無い場所に送られている。

催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなものでは断じてない。
瞬間移動。波紋使いにも、おそらくは吸血鬼にも不可能な業。
更にはジョナサンの怪我も治っている。
何重の意味にも信じ難い現実に、ジョナサンにはここが死後の世界かとすら思える。

(…………ちがう! ぼくの呼吸は、確かにぼくの肉体で波紋を作り上げている。ぼくの肉体には、確かに生命が息づいている!!)

ジョナサンは波紋の呼吸法を行う。
師匠ウィル・A・ツェペリより教わった波紋法とは、呼吸によって血液中に波紋を起こし作り出す技術。
波紋とは生命のエネルギーそのもの。
如何なる形であれ、死者に可能な物ではない。
自ら波紋を作り出せることこそ、ジョナサンが未だ生者である証拠であった。

(ぼくはまだ生きている……それならば、状況はどうであれエリナの元に帰らなければならない!)

船で生き別れる形になった妻エリナ。
エリナは今頃どれほど心を痛めているだろうか。
命が助かった以上、ジョナサンは夫として一刻も早くエリナの元に帰らなければならない。
生きてエリナと再会する。ジョナサンの目的は決まった。

ジョナサンはバトルロワイアルのルールを思い返し、生還方法を考察する。
考古学者でもあるジョナサンは、明晰な頭脳を持っている。
しかしこの場合は考察を必要としない。
何しろルールの方が明晰なのだ。
バトルロワイアルからの生還方法とは即ち、最後の一人となること――――

(――――悲鳴!?)

ジョナサンの思考を遮るように叫び声が聞こえる。
それも幼い少女の物。

ジョナサンは紳士を生き方の模範としている。
いかなる状況であっても少女の危機を聞き捨てることはできない。
ここはバトルロワイアル。そこにどんな危険が待つかは分からない。
それを承知の上で叫び声の聞こえてきた方向へジョナサンは走り出す。

血の運命は再びジョナサンを戦いへ誘う。


    *


アスファルトに固められた道路。
瓦屋根の民家。
目前に広がるのは、現代日本に育った者にとっては、
ほとんどが見覚えのあるような町並みだった。
しかし今の源静香は、その片隅で為す術も無く恐怖に震えている。

文字通り恐怖で立っていることも叶わず、その場にへたり込んでいた。
その静香に影が覆い被さる。
筋肉隆々たる男が見下ろすように、座り込む静香の眼前に立つ。

顔を覆う異様な兜を被ったその男と静香が出会ったのは、バトルロワイアルが始まってすぐの頃だった。
その異様な風体と剣呑な気配に恐怖を覚えた静香は、悲鳴を上げながら男から逃げ出した。
しかしそれは叶わない。
静香がどれほど逃げ隠れしても、男は静香の気配その物を察知しているかのように追いかけてきて、
異常な身体能力で追い立ててくる。
そしてついに路地の突き当たり、袋小路の所まで追い詰められる。

「フフッ……おまえみたいなガキ一人、おれが逃がす訳無いだろ」

静香を見下ろす男は、そこに有る傷を誇示するように胸を張る。
北斗七星のごとく並ぶ、七つの傷。
そして男はある問いを口にした。
静香を追い立てている間、ずっと口にしていた問いを。

「おいおまえ〜……おれの名をいってみろ」


204 : その血の運命 ◆wYOF3ar91U :2013/08/08(木) 20:19:07 LXpI33ew0
「……し、知りません……」
「なぁに〜!?」

途端に怒気を剥き出しにした男は、静香の髪をを無造作に掴む。

「北斗神拳唯一の伝承者のケンシロウさまを知らないってのか〜!!」
「きゃあっ!!」

男・ケンシロウは片手でまるで木っ端を払うように、静香を道路に投げ飛ばす。
それだけで静香の身体は五メートルほど転がった。
アスファルトに全身を打たれた痛みで呻く静香。
その静香の頭がケンシロウに踏み付けられる。

殺される。
小学生の静香にも逃れられない死の予感に満たされた。
ケンシロウの異常な能力と、そして容赦の無さは、
それほど圧倒的な物として、静香に圧し掛かる。

「おいガキ……死にたくなければ、おれの言うことをよく聞くんだ」

静香を踏み付けながら、ケンシロウは言い放つ。

「バトルロワイアルを生き残りたければ、この北斗神拳伝承者のケンシロウの下に集まれと伝えて回れ。
もしおまえが、そうだな……十人を集めることができたら、殺さないでおいてやる」

ケンシロウは勝ち誇ったように、静香に命令を下す。
それは絶対的な強者が命を盾に取った、弱者には決して抗うことができぬ命令。
命令を下された静香は徐に返答した。

「…………そ、そんな約束はできません……」

それを命令ではなく約束と言い、静香は消え入りそうな声で、
しかしはっきりと断った。

もしケンシロウの下に人を集めれば、それだけ犠牲が増えるだろう。
静香はそれを良しとはしなかった。
例え自分の命が盾に取られていても。

「きさま〜、このケンシロウに逆らって命があると思っているのか〜!!」

静香を踏み付けていたケンシロウの足に更なる力が篭る。
重圧が静香の頭を襲った。
苦悶が静香の口から漏れる。

「フハハハハ!! ケンシロウさまに逆らった、自分の愚かさを恨むんだな〜!!」
「『愚かさ』ではないッ! 『勇気』だ!!」

突如、静香の頭から足を離し、ケンシロウが飛び退く。
そこに入れ違いになる形で、男が飛び降りてくる。
ケンシロウより更に長身の男。
端正な顔に強く、それでいて優しげな眼光をたたえている。
男はその眼光でケンシロウを睨んでいたが、不意に振り返り静香を抱き抱えた。

「君、大丈夫か!?」

自分を抱き抱える男の腕から、不思議な暖かさが伝わってきて、
静香は奇妙な安心感を覚える。
それと同時に張り詰めていた静香の意識は失われた。

「眠ったか……怪我自体は深いものでは無いし、波紋で応急措置をしたから大事は無いだろう」
「きさま〜、誰の邪魔をしたのか分かってるのか〜?」

男は静香を道路に降ろすと、いきり立つケンシロウに向き直った。
ケンシロウは隆々たる筋肉から熱気のような物すら発し、怒りを露にしている。

「君が何者で、彼女とどんな事情があったかは知らない。
しかし君は抵抗できなかった彼女を一歩的に傷付けていたように見えた! 紳士としてその暴挙、見過ごす訳にはいかない!!」

男はケンシロウの威圧を真っ向から受け止めながら、毅然と言い放つ。

「弟みたいに甘っちょろいこと言いやがって。見過ごさなかったらどうするんだ、あぁ!?」
「ぼくは吸血鬼でも屍生人でもない人間と戦うことは好まない…………しかし彼女の名誉と誇りのために、君と戦おう!」
「戦う? フフッ……北斗神拳伝承者のこのケンシロウに勝てると思っているのか〜!!?」

ケンシロウは両手の指を鳴らしながら呼吸を整える。
呼吸によって肉体の能力を十全に発揮させる。
北斗神拳においては、初歩の技術である。


205 : その血の運命 ◆wYOF3ar91U :2013/08/08(木) 20:20:26 LXpI33ew0
対する男も呼吸を整える。
東洋に仙道として伝わる呼吸法、波紋を使うために。
そして男は、自らの名をケンシロウに告げた。

「怒りをもって戦う相手とはいえ名乗られたからには、紳士として名乗り返そう。ぼくの名はジョナサン・ジョースター」

それはジョジョの奇妙な冒険、その始まりを告げる名。

次の瞬間、ケンシロウの身体が跳ね飛んだ。
ケンシロウは予備動作も無く、人を超えるほどの高さまで瞬時に跳躍する。

(早い!! 吸血鬼にも匹敵し得るかもかも知れない!)
「北斗千手殺!!」

ジョナサンですら驚く跳躍で瞬時に頭上を取ったケンシロウは、
無数の突きを頭上の死角からジョナサンへ打つ。
常人ならば無数の突きを一つとして見切ることはできないだろう。

(だがツェペリさんから波紋を受け継いだ今のぼくならば、容易に見切ることができる!)

しかし北斗千手殺の突きはジョナサンに回避される。
ジョナサンは波紋の修行をする前から、常人を遥かに超える身体能力を持っていた。
更にジョナサンが修行で身に付けた波紋は、運動能力や五感など、
人間の持つ能力を総合的に底上げする効果が在る。
その上ジョナサンは波紋の師、ツェペリからその命にも等しい最後の波紋を受け取っていた。
今のジョナサンは北斗神拳の修行者をすら凌ぐ身体能力を身に付けていた。

「グェッ!」

更に回避と同時に、カウンターの要領でケンシロウを殴りつける。
胸に打ち込んだ拳の一撃で、ケンシロウは身体ごと吹き飛んだ。

「グエェェ!! お、おまえ! おれに何をした〜!!?」

ジョナサンに殴られたケンシロウの身体に、電流のような衝撃が駆け巡る。
それこそ波紋の効果。
吸血鬼や屍生人のように肉体を消滅させるような効果は発揮できないが、
対生物なら、治癒から攻撃まで自在の効果を与えることができる。

痛みに呻いているケンシロウに向かって行くジョナサン。
そして追撃の、波紋を込めた右拳を繰り出す。

「バカが!! かかったな!」

しかし今度はジョナサンがカウンターで、ケンシロウの突きを打ち込まれる。
打ち出した右腕に側面から。

(あの波紋を受けて、すぐに動けるのか!? しかも衝かれた右腕が痺れて動かない!!)

ジョナサンはケンシロウを二つの意味で甘く見ていた。
一つはケンシロウの耐久力。
ケンシロウに打ち込んだ波紋は、命に別状が無いように加減はした物の、
それでも人間ならば戦闘不能にまで持ち込めるだけの物。
しかし北斗神拳の修行で鍛えられたケンシロウの肉体耐久力もまた並外れていた。
そしてもう一つは北斗神拳の技術。
それは打ち込んで来た拳を逆に狙い打てるほどの技術水準をもたらし、
何より経絡秘孔で敵の肉体を操る技術が存在する。
ケンシロウはジョナサンの右腕の秘孔を突いて、その自由を奪ったのだ。

「フフフ、おまえが北斗神拳の恐ろしさを味わうのはこれからだ〜!!」

ジョナサンは今度は左拳に波紋を込めて打ち出す。
しかしそれと入れ違いになるように、ケンシロウはジョナサンから見て左側面に回り込む。
そしてジョナサンの顔に逆に拳を叩き込まれた。
口中に血が滲み痛みが広がるジョナサン。


206 : その血の運命 ◆wYOF3ar91U :2013/08/08(木) 20:21:39 LXpI33ew0
それでもジョナサンは怯まず、身体を捻って右脚の蹴りを放つ。
しかしそれもジョナサンの左側面に回り込んだケンシロウに回避される。

「フフハハハハ!! 死角が在る以上、おまえはおれに手出しはできないんだよ!」

ケンシロウが指摘するジョナサンの死角。
それが右腕を封じられたジョナサンの左側面。
人間の腕は内側に捻る時こそ腕力を充分に活かすことが可能なのだ。
そのため右腕を封じられてしまえば、身体の左側に有効な攻撃は難しくなる。
しかもケンシロウはジョナサンにもそうだと分かるほどの武術の熟達者。
蹴りも警戒されているらしく、予備動作から回避される。

「どうだぁ? 嬲り殺しにされる気分は?」

ジョナサンがどれほど攻撃しても、死角に回り込みながらヒット・アンド・アウェイに徹するケンシロウに当たらない。
そしてケンシロウは一方的にジョナサンを攻撃できていた。
戦況はケンシロウの言葉通り嬲り殺しの様相を見せていた。

「コオオオオオオオ!!」

しかしジョナサンの戦意は揺るがない。
そして更なる波紋の呼吸を練る。

「ヘッ! その呼吸から妙な効果のある攻撃を出せるらしいがな、当てられなきゃ痛くも痒くも無いんだよ!」

ケンシロウはジョナサンの使う波紋が、直接接触しなければ効果が無いことを既に察している。
しかし全く懸念が無い訳ではない。

(しぶとい野朗だぜ……)

それは持久力の問題。
ヒット・アンド・アウェイを繰り返しているケンシロウは、必然的にジョナサンより大きな動きを要求される。
単純計算すれば、ケンシロウの体力が先に尽きる形になる。

(……どうせ奴は死角からの攻撃に対応できない、さっさと勝負を決めるか)

素早い動きでジョナサンの死角に回るケンシロウ。
そしてケンシロウは神速とも言える動きで無数の突きを放ちながら、
死角からジョナサンに向かって行く。

「終わりだーっ!! 北斗羅漢撃ーっ!!!」
「左手にためる、太陽のエネルギーの波紋! 山吹き色波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)!」

同時にジョナサンも波紋を込めた左拳を打ち込む。
自分の右腕に。
そして太陽のエネルギーの波紋が打ち込まれる。

経絡とは云わば肉体の気=エネルギーの通り道であり、秘孔とはその云わば要所である。
そして波紋とは細胞から発生したエネルギーを操作して使う技術。
ジョナサンは波紋によって、自分の右腕にエネルギーを流し込む。
半ば無理やり右腕の経絡に生命エネルギーの流れを取り戻した。
それによってジョナサンの右腕の戒めが解かれた。
ジョナサン右手を振り上げ、そこに波紋を込める。

「うおおお!! 右手に込める波紋!!」

(バカな!? 秘孔を解いたのか!!?)

秘孔を破り右腕を動かすジョナサンに驚く。


207 : その血の運命 ◆wYOF3ar91U :2013/08/08(木) 20:23:04 LXpI33ew0
それでもケンシロウには余裕がある。
ケンシロウはジョナサンの左側面から攻撃を仕掛けているのだから、
ジョナサンがケンシロウを右腕で攻撃するには、体勢を変えなければならない。

しかし次の瞬間ジョナサンの右拳が不自然に、ケンシロウへ伸びて行った。

「喰らえッ!! ズームパンチ仙道波紋疾走(オーバードライブ)!!!」

右腕の関節を外して腕を伸ばす。その激痛は波紋でやわらげる。
それによって人体の構造上、ありえない伸びと角度による攻撃が可能となった。
これが師ツェペリより教わった波紋戦闘法・ズームパンチ。

ズームパンチは完全にケンシロウの不意を衝いて、その鉄仮面に叩き込まれ、
そして波紋を流し込んだ。

「うぎゃあ〜!!」

顔面から波紋を流されて、苦痛にのた打ち回るケンシロウ。
かつて義弟に付けられた頭の傷まで痛み出す。

(やべぇ!! このまま戦い続けたら弟を殺す前に、おれが死んじまう!
……こいつとあのガキには、既に“仕掛け”を打っておいた。ここはこれ以上、危険を冒す必要も無いか…………)

戦況の不利を悟ったケンシロウは決断を下す。
それは撤退。

「…………いいか〜!! おまえはこのケンシロウが殺してやる! 必ず殺してやる!!」

ケンシロウは頭を抑えながら立ち上がる。
そして足元の道路のアスファルトを踏み砕く。
砕け散り破片となったアスファルトを蹴り飛ばした。
アスファルトの破片が散弾と化して飛散した。

意識を失い、道路に横になっている静香に向かって。

「不味い!!」

ジョナサンが静香の前まで駆けつけて、立ちはだかる。
そして両腕に波紋を流して、眼前に構えて防御体勢を作る。
アスファルトの破片を防ぎ切った。

「くぅ……………………逃がしたか」

破片を全て防ぎ両腕を下ろした時には、ケンシロウの姿はもう無かった。
ジョナサンはケンシロウを逃がしたと悟る。



一先ずケンシロウを退けることに成功したジョナサンは、静香を再び抱き抱える。
再度診ても、やはり大事は無い。
静香を守ることができたことにジョナサンは安堵する。
紳士としての勤めは果たすことができたのだから。


208 : その血の運命 ◆wYOF3ar91U :2013/08/08(木) 20:24:29 LXpI33ew0
ジョナサンは穏やかな笑みを静香の寝顔に向ける。

「……君には感謝しないとな。君を守ることによって、ぼくは紳士としての生き方を見失わずに済んだのだから」

バトルロワイアルのルールによれば生還者は一人。
それを認識した時、ジョナサンの脳裏に浮かんだのは全員を殺して生還する方法だった。
ある意味、必然的な帰結と言える。
しかし少女を助けたことで、紳士としての心構えを再び自覚することができた。

(無辜の人を手に掛けるなど、思い描くだけでも紳士として恥ずべきことだ。そんな真似をすれば、エリナに会わせる顔が無い)

仮にジョナサンが他の参加者を皆殺しにして帰還したとしても、エリナは決してそれを喜ばないだろう。
無辜の人々を犠牲にした時点で、それはジョナサンがジョナサンで無くなるということだ。
ジョナサン決して人の命に手を掛けるような真似はしまいと決意する。
そしてそれはエリナの元への帰還を諦めることを意味しない。

(エリナ!! ぼくは君に誓う、君の元へ必ず帰ると! 誰を犠牲にすること無く!
君の夫として恥じない紳士としてだ!!!)



【F-6/市街地/一日目-深夜】
【ジョナサン・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:疲労(中)
 [装備]:無し
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:誰も殺さずにバトルロワイアルを脱出してエリナの元へ帰る。
  1:少女(静香)を保護する。
  2:ケンシロウに警戒。

 [備考]
  ※第09話「最後の波紋!」より死亡後からの参戦です。

【F-6/市街地/一日目-深夜】
【源静香@ドラえもん】
 [状態]:気絶中、全身打撲
 [装備]:無し
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:?????

 [備考]
  ※参戦時期は不明です。


209 : その血の運命 ◆wYOF3ar91U :2013/08/08(木) 20:25:29 LXpI33ew0



「ハァハァ……ジョナサンの野朗、よくもこのおれを邪魔してくれたな〜」

ジョナサンから逃げてきたケンシロウは、ようやく足を止めて一息を入れる。
ケンシロウとしては、ジョナサンとの戦いに命を掛ける訳にはいかない。
彼の目的は弟を殺すことにある。

「まあ、ちゃんと仕掛けは打っておいた……精々ケンシロウと潰し合うんだなぁ」

彼の弟とは北斗神拳の真の伝承者であるケンシロウ。
そう、彼の本当の名前はケンシロウでは無い。
ケンシロウの義兄、ジャギである。

「クックック、ケンシロウ……おまえはこのバトルロワイアルで、全ての参加者を敵に回して地獄に落ちるんだよ〜」

ジャギがケンシロウを名乗り、それを広めようとしていたのは、
ケンシロウの悪評を広めて、陥れるためである。
ケンシロウが全ての参加者を敵に回して、不遇の内に死ぬ。
その様を想像するだけで笑みが零れる。
それほどジャギのケンシロウへの恨みは深い。
末弟でありながら、兄を差し置いて伝承者の座を得たケンシロウへの。

「バトルロワイアルを生き残るのは末弟のケンシロウでも、その末弟に伝承者の座を譲った腑抜けた兄者たちでも無ぇ! このジャギさまだ!!
そしてその時こそ、このジャギさまが北斗神拳の唯一の伝承者となるのだーっ!!!」



【F-6/市街地/一日目-深夜】
【ジャギ@北斗の拳】
 [状態]:疲労(大)
 [装備]:無し
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:ケンシロウの悪評を広めた上で殺す。
  1:バトルロワイアルを優勝する。

 [備考]
  ※参戦時期は不明です。


210 : ◆wYOF3ar91U :2013/08/08(木) 20:26:23 LXpI33ew0
投下を終了します。
誤字脱字や矛盾点があれば報告をお願いします。


211 : 名無しさん :2013/08/08(木) 21:59:41 tM5HaET20
投下乙です
しずかちゃんジャギ様相手に逆らうとは…ジョジョの言うとおりに素晴らしい勇気だ
ブレないジャギ様の行く末に期待


212 : 名無しさん :2013/08/09(金) 15:04:23 pWfCj2uM0
投下乙です

ジャギはなあ…w 本当にブレないぜw
しずかちゃんは本当に凄い勇気だと思うぜ。こういうのもロワの醍醐味だぜ


213 : 名無しさん :2013/08/09(金) 21:46:38 d7Evzsb.O
投下乙です。

ジャギ様はブレないなぁwただ毎回思うが説明で「仮面の男ケンシロウ」とか言われてたらバレバレだろうなとw


214 : 名無しさん :2013/08/10(土) 16:44:44 Vxtvs0MQ0
北斗神拳と波紋は体術としての戦いからか
お互い違いや効果を探りあう駆け引きがあっていいね


215 : ◆N4CDx3zJvI :2013/08/11(日) 23:02:13 mZWsY4EU0
少し遅れてしまいましたが、鑢七実、雨生龍之介で投下します。


216 : 死物語  ◆N4CDx3zJvI :2013/08/11(日) 23:03:17 mZWsY4EU0

薄いビニールの包装をぴりりと破り、蓋を半分ほど破り開ける。
入っているのは乾燥した麺といくつかの袋。かやくのみを麺の上にぶちまけ、液体スープの袋は取り出しいったん脇へ。
沸かしておいたヤカンのお湯をこぽこぽと内側の線までそそぎ、蓋を閉じて重しに割り箸を置き一段落。

「あとは三分待つだけ……っと」

雨生龍之介は、そういって軽く一息ついた。
バトルロワイヤルの会場に飛ばされた彼が意識を取り戻したのは、島の端に位置する病院の中。
特に行動方針もなく、真夜中にうろうろするのも面倒なので、とりあえず休憩できそうな場所を探して食堂に移動。
鞄の中に入っていたカップめん(レッドデーモンズヌードルとかいう見覚えのない商品だった)を腹ごなしに食べようとして、現在に至る。

「しっかしバトルロワイヤルかぁ……生き残るのは誰か一人だけ!なーんて言われても、ピンとこないんだよねぇ。
 あのよく分かんない宇宙空間みたいな場所はいいとしても、喋るナマモノが説明したり共食いしたりしてるだけじゃーリアリティが薄いっつーかさぁ。
 どうせなら一人か二人くらい見せしめでスパーンと殺しちゃえばよかったのになぁ、スパーンと……」

食堂の簡素な椅子に腰かけながら、龍之介は何故かキュゥべえに対して演出の文句を言い始めた。
この場にはキュゥべえどころか誰一人他の人間はいなかったし、聞かれたところで意味のないものだとは思うが、中々に大胆な発言であった。

「っていうかそもそも―――――」

また少しばかりぼんやりとする頭をかしげながら、龍之介は自分の記憶を手繰りなおす。

「―――――俺、なんで生きてんの?」

ハッキリとは覚えていないが、雨生龍之介は自分が死んだことを自覚していた。
自身の相方でもあり殺人の師でもある青髭の旦那の催した、巨躯かつ醜悪な化け物による“宴”の最中。
どこからかは分からないが、腹部に突然衝撃を受け……真っ赤な、鮮やかな死の色を自分の臓腑から撒き散らし。
その後直後、今度は頭に衝撃を受け、目の前が真っ暗になり――――――

「んで、気が付いたらあの謎の空間に飛ばされてた、と……マジ訳わかんねーよなー」

ハァ、と龍之介は気だるげにため息をついた。
そこには死んだことへの恐怖でもなく、生き返ったことへの喜びでもなく……本気で面倒くさそうな気だるさが満ちていた。


217 : 死物語  ◆N4CDx3zJvI :2013/08/11(日) 23:03:54 mZWsY4EU0
そもそも、最期こそ意外な結末ではあったものの、龍之介自身は自分の生にそれなりに満足していた。
あれだけ求めていた“死”というものの正体を、彼は最期の最後に垣間見ることが出来たのだ。
まだ青髭の旦那が開催した、渾身の宴の結末を見ていないのが気がかりといえば気がかりだったが……

「……っと、そろそろ三分か」

思考を止め、龍之介はいそいそと食事の準備を始める。
色々と考えることはあるのだろうが、とりあえず今は腹ごしらえだ。
蓋を開けれて液体スープを入れれば、ピリリとした匂いが鼻孔をくすぐる。
ああ、真夜中に食べるラーメンというのは何故こんなにも食欲を湧かせるのだろうか……

「いっただきま――――――」



ガチャリ



龍之介がいざラーメンをいそいそと口に運ぼうとした瞬間。
何の前触れもなく、食堂の扉が開いた。

「……どうも、お邪魔いたします」

入ってきたのは、着物を纏った一人の女だ。
白いを通り越して青白い肌、今にも折れてしまいそうな華奢な体躯、清楚を形にしたような整った顔立ち。
見るからにか弱そうな女だ。それこそ……龍之介が軽く首を捻れば殺せてしまいそうなほどに。

「まぁ……お食事中でしたか?失礼しました。本当にお邪魔だったようですね……
 あまり見慣れない食べ物ですけれど、何を食べてらっしゃるんですか?」

しげしげと、女は龍之介の持っているカップラーメンを物珍しそうに見ている。
カップラーメンを知らないとは随分と世間知らずようだ。古風な着物を違和感なく着こなしているあたり、まるで一昔前の人間のようでもある。
龍之介は数秒思考し、やがてごそごそと、自分の鞄からもう一つカップラーメンを取り出した。

「よかったら食べる?」



◇     ◇     ◇




「ごちそうさまでした」

ぱんと手を合わせ、女―――鑢七実と名乗った―――は、律儀に食後のあいさつをした。


218 : 死物語  ◆N4CDx3zJvI :2013/08/11(日) 23:04:21 mZWsY4EU0
「食べたことの無い味でしたけれど……なかなか美味しいのですね、このカップラーメンというのは。
 あんまりたくさん食べると、少し胃にもたれそうですけれど」
「へぇ、ホントにカップラーメン知らないんだ……めっずらしー」
「ええ、龍之介さん……でしたっけ?貴方の様な服装も、見たことがありませんし。
 そもそも、こんな石でも木でもない材質で出来た建物も知らないので」
「ふーん」

興味なさげに龍之介は相槌を打った。
一昔前の人間のようだとは先程感じたが、どうやら本当にそうであるらしい。

「ところで七実ちゃん……だっけ。これからどうすんの?
 なんか最後の一人しか生き残れないみたいだし、他の奴ら殺して生き残んの目指す?」
「そうですね……それも、出来ないことではないのでしょうが」

随分と自信満々な言葉を呟きながら、七実は考え込むように目を伏せ……
やがて、龍之介にこう言った。

「実は私、一度死んだ人間なんです」
「あ、奇遇だね。俺もそうなんだ」
「まぁ、そうなんですか」

まるで『私、先月誕生日だったんです』とでも言うような気軽さで、七実は驚くべき事実を口にし。
それに対し『俺も先月誕生日だったんだ』と言うような気軽さで、龍之介は言葉を返した。
明らかにおかしい会話なのだろうが、互いに動揺すらしていない。

「それは本当に珍しいこともあったものですね……まさか、こうして生き返るとは思いもしませんでしたが」
「いやーホントそーだよね、死んだ時もそれなりに驚いたけどさー
 ゾンビでもキョンシ―でもなくガチで生き返っちゃうなんて、まるで魔法だよ魔法」

けらけらと笑う龍之介に、七実は不思議そうに小首を傾げる。彼女には聞き覚えのない言葉が混じっていたからだろう。

「ちなみに、龍之介さんはどのようにして死なれたのですか?」
「俺?俺は腹を撃たれた後で、頭をブッ飛ばされて死んだ……と思うんだけど。
 そういう七実ちゃんは?」
「ええ、私は弟に殺してもらいました」
「へー、そうなんだ。俺も昔、姉ちゃん殺したことあるよ」

ニコリと笑って、再び七実は驚くべき事実を気軽に口にし。龍之介はニヤリと笑ってそれに返した。


219 : 死物語  ◆N4CDx3zJvI :2013/08/11(日) 23:04:53 mZWsY4EU0
「まぁ、そうなんですか……何か理由が?」
「ん、いや大した理由じゃないよ。ただ俺が知りたかったもんがあっただけ。
 複雑な家庭環境とか、大げさな事情とか合ったわけじゃないから気にしなくていーよ」

雨生龍之介が姉を殺した理由。それは単純な好奇心。
『死』というものの本質、存在、意味。それを知りたくて、確かめたくて……一番最初に殺した相手が、姉だった。ただそれだけの話。
そうですか、と七実も、龍之介の言葉通り気にしないことにしたようだった。

「そういう七実ちゃんは?『殺してもらいました』ってことは、自分から殺されたかったわけ?」
「ええ、私は自分から望んで弟に……七花に殺してもらいました。
 七花ったら、私を殺すことを渋って、中々本気になってくれなくて……
 散々待たせた挙句、ようやく殺してもらったのに―――」

す、と七実の目が細まる。
二コリとした良い笑みが、ニヤリとした悪い笑みへと変わる。

「―――こうして生き返ってしまうなんて。本当に困ってしまいますね」

ぞくり、と龍之介の背筋に悪寒が走った。
簡単に殺せそうな、か弱い女……と思っていたけれど、とんだ勘違いらしい。
この鑢七実という女性―――――なかなかに“COOL”であるようだ。

「ん?七花……『鑢七花』って、名簿に載ってた名前だよね?」
「ええ、何の偶然か弟もこの場所にいるようですね。
 折角ですしもう一度、私を殺してもらおうと考えているんです」

七実はそう、あっさりと再び死への願望を口にした。
龍之介も、今度ばかりは少し驚いた。
今まで彼が殺してきた人間には、誰一人そんなことを口にするのはいなかった。
皆生きたいと、死にたくないと、殺されたくないと泣き喚くばかりであったのに。
何故、彼女は死ぬことを求めているんだろうか?

「七花も一度私を殺した以上、今度は殺さないなんて言わないでしょうし……でも、探すのは面倒ですね。
 少しばかり島が広いので、方向音痴の私には苦労してしまいそうです……」

はぁ、と七実は物憂げに溜め息をつく。
そうしていると先程の悪い笑みや得体のしれない悪寒は何処へやら、ただの華奢な娘の様。
龍之介はそんな七実をしばし見、しばし首を捻って考え……やがてぽん、と手を打った。


220 : 死物語  ◆N4CDx3zJvI :2013/08/11(日) 23:05:37 mZWsY4EU0
「よっし、決めた!
 俺、七実ちゃんの弟探し付き合っちゃうよ!」

その言葉に、七実は少しばかり驚いた様子を見せる。

「申し出はありがたいのですが……よろしいんですか?」
「大丈夫大丈夫、気にしなくていいよ。ただの興味本位なんだし。
 ぶっちゃけ、やること無くてどうしようかと思ってたとこだったからさ!」
「……なら、お言葉に甘えさせていただくとしましょうか」

可憐な花のような笑顔を見せ、七実は笑みを浮かべた。

「弟を探すのに、協力してくださいませんか?龍之介さん」
「オッケー任せとけ!正直あんまり頼りにされても困るけど、道案内くらいだったら多分出来るからさ!」
「ええ、それだけでも大助かりです。
 貴方のような同行者を得られたのは幸先が良いのでしょうね―――」

笑みを崩さぬまま、口の端だけを少しばかり歪め……最後に、七実は呟いた。


「―――いえ、悪いのかしら?」



【G-1/病院/一日目-深夜】
【鑢七実@刀語】
 [衣装]:通常
 [状態]:通常、満腹
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:七花にもう一度殺してもらう。
  1:七花を探す。
  2:途中で邪魔な草は、適当にむしっていく。
 [備考]
  ※死亡後からの参戦です。

【雨生龍之介@Fate/zero】
 [衣装]:通常
 [状態]:通常、満腹
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2、ピリ辛レッドデーモンズヌードル×3@遊戯王5D's
 [思考・行動]
  基本方針:行き当たりばったり。
  1:面白そうなので七実の弟探しに付き合う。
   2:なんかCOOLなことないかなー
 [備考]
  ※死亡後からの参戦です。


【ピリ辛レッドデーモンズヌードル@遊戯王5D's】
ネオ童実野シティで出回っているカップヌードル。5個支給。
《レッド・デーモンズ・ドラゴン》のカードを模した商品。
カップヌードルジャンキーとも言えるジャック・アトラスが好んで食している、らしい。


221 : ◆N4CDx3zJvI :2013/08/11(日) 23:06:47 mZWsY4EU0
投下終了です。
おかしい点や誤字などありましたら指摘お願いいたします。


222 : 名無しさん :2013/08/12(月) 00:24:59 EWMO7Lvg0
投下乙です

この二人が当面は一緒に行動するのかあw
死亡後の参戦とか状況が似てるから意気投合したか
それ以外に二人とも破綻者だからなあ…w


223 : 名無しさん :2013/08/12(月) 11:58:33 MhCGMi8oO
投下乙です。

おかしい点?こいつらの思考がこんなの絶対おかしいよ!(爆)
最後の呟き通り相性はいいのか悪いのか曖昧だけど、またろくでもないコンビが生まれちまったな…


224 : ◆wYOF3ar91U :2013/08/13(火) 02:57:26 ohtS47Tc0
鹿目まどか、巴マミ、先生で予約します。


225 : ◆wYOF3ar91U :2013/08/18(日) 01:22:01 RCLzEwEM0
鹿目まどか、巴マミ、先生で投下します。


226 : 死の邂逅 ◆wYOF3ar91U :2013/08/18(日) 01:23:48 RCLzEwEM0
願いから産まれるのが魔法少女。呪いから産まれるのが魔女。
魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を蒔き散らす。

これは魔法少女と魔女の物語。







魔法少女を産むのは純粋な願い。
それは巴マミの時も変わりはしなかった。

幼いマミの家族とドライブの最中に体験した交通事故。
どこにでも在るようなありふれた交通事故は、しかし当事者にとっては全てを失う悲劇である。
父と母を亡くし、マミ自身もまた、ただ死を待つ運命のみが残されているように見えた。
キュゥべえと出会ったのはその時だった。

――――助けて

促されるままに願い、そして契約する。
それまでのマミは死に、魔法少女が産まれる。

人の身には叶えられない願いを叶えて貰う代償として魔法少女は、魔女と戦う使命を帯びる。
魔女は結界の奥に身を隠し、人の世の表には決して姿を現さず、
しかし人々に災厄を撒き散らす。
原因の判らない事故や自殺の多くは、魔女の仕業とも云われる。
魔女との戦い。それは常に命懸けであり、それが終わりの無い新たなる日常となる。
しかしマミは強い使命感を持ってやり通すことができた。
魔女との戦いは、人々をその災厄から守ることに他ならないから。
人の世に生き、人々に役立ち続ける。
それは人の喜びに他ならない。

しかしその日常と喜びは終わりを迎えることになる。
自らが人で無いと知ることによって。

魔法少女が常に持ち続ける魔力の源・ソウルジェム。
キュゥべえとの契約の証であるソウルジェムが絶望に染まって壊れた時、魔女を産む。

――――てめぇ、一体何なんだ!? さやかに何しやがった!

――――さやかちゃん、やめて! お願い、思い出して。こんなこと、さやかちゃんだって嫌だったはずだよ

――――ごめん……美樹さん…………

――――さやか……。ちくしょうっ……こんなことって……

――――ひどいよ……こんなのあんまりだよ……

――――はっ!? 巴さん!?

――――ソウルジェムが魔女を産むなら――――

魔法少女こそが魔女の基だったのだ。

魔法少女の魔女との戦いは、彼女たちなりの正義に基づく物だった。
そしてそれは明確な根拠が在る。
魔女が人々に災厄を撒き散らす存在であり、それを討つことは人々を守る正義に他ならない。
それはマミにとって、あまりにも明確なことだった。
だからこそ魔女との戦いを厭わなかったし、
魔法少女の力で何かを傷つけることも厭わなかった。

そして魔女と魔法少女との新たな因果を知ったからと言って、それが変わるだろうか?


227 : 死の邂逅 ◆wYOF3ar91U :2013/08/18(日) 01:25:24 RCLzEwEM0
マミのこれまで行ってきた戦いも、
マミがこれまで抱いていた正義も、
何も変わりはしない。

マミは自らの使命を果たすために、銃を取る。

しかしキュゥべえは、運命はマミに違う使命を授けた。
突然闇の中に召喚され、バトルロワイアルへの参加を宣告される。

自らの存在理解が変貌するほどの出来事を体験している最中に、
文字通りに自分を取り囲む世界が変貌したのだ。
気付いた時には、木々が乱雑に立ち並ぶ森の中に居たのだ。
マミの混乱は計り知れない。

「――――どうしてなの? …………これも魔法少女になった代償だと言うの、キュゥべえ!!?」

思考は現実的な論理性から離れて纏まらない。
どれほど問うた所でキュゥべえも、誰の声も聞こえない。
夜の闇に覆われた森は、ただ静寂でマミに答えるのみだった。

(……………………誰?)

闇の向こうから聞こえて来たのは足音。
消え入りそうに小さかったそれは、次第に大きくなり、
確かに人間の物だと判ってくる。
それもマミと同世代の少女の物。

そして闇の向こうから、音の発生源が転げ落ちるように姿を現した。
一人の少女。
マミと共に魔法少女として戦って来た少女が。

そしてマミは思い出す。
魔法少女の使命に纏わる物語を。


    *


闇は人々にとって、古来より恐怖の象徴だった。
人は暗闇の中に恐怖の対象を投影して、それを払うために灯りを点していく。
しかし周囲を闇に覆われてしまえば、恐怖から逃れることはできない。
鹿目まどかが現在置かれているのも、そんな状況である。

現在のまどかは深い森の中に居た。
闇の中から木々がざわめき、擦れる微かな音が聞こえて来る。
そんな微かな音にさえ、まどかは電流が走るような怖気に襲われる。

まどかはキュゥべえを知っている。
キュゥべえから類稀なる魔法少女の素質を見込まれていたのが、まどかなのだ。
しかし今のまどかは未だ契約を果たしていない、普通の中学生に過ぎない。
命を掛けた戦いの経験など無いのだ。

ただ命を掛けた戦いを目撃した経験はあった。
その結果の死も。
熟達した魔法少女である巴マミがお菓子の魔女に殺される瞬間を。

多くの魔女を倒してきたマミが、一瞬の隙に無残な姿と化した。
命を掛けて戦うと言うことがいかなることか、その片鱗を垣間見たのだ。

その恐怖は今もまどかの中に残っている。
今も闇の中から、何者かが襲い掛かってくる気がして仕方が無い。
そうなれば魔法も使えないただの少女であるまどかには為す術も無い。
一瞬で無残な屍と化すだろう。

それを自覚したため、まどかは森の中を一歩も動けなくなった。
一人で居る方が危険であることも、ただじっとしていても事態は解決しないとも分かっている。
しかしバトルロワイアルの闇、そこに死が潜んでいるかもしれない闇は、
まどかが一人で歩いていくには深過ぎた。

スカートが汚れることも構わず土の上に座り込むまどか。
そしてほとんど体育座りのように膝を抱えていた。

(――――どうしてなの? …………魔法少女の契約をして欲しかったんじゃないの、キュゥべえ!?)

心中でキュゥべえに問い掛けるまどか。
何故こんな死地に自分を追いやるのか、全くその真意が計り知れない。
それとも今この場でも魔法少女の契約ができるのだろうか?


228 : 死の邂逅 ◆wYOF3ar91U :2013/08/18(日) 01:26:51 RCLzEwEM0
無論、そんな思索をした所で解決策になど繋がることは無い。
無為に時間が過ぎていく。

闇に光が奔る。

不意の出来事であったにも拘らず、恐怖ゆえ周囲に過敏になっていたまどかは、それを見逃さなかった。
深い森の中を光る物が在る。
光は不規則にその方向を変えている。

闇を払う光。
それを見て、更なる恐怖がまどかを襲った。

不規則に反射するその光は、おそらく金属片のような物だろうと、まどかにも容易に想像できた。
そしてそんな光が、森の中で不規則な光の反射をしていると言うことは、
それを持って動いている者が居ると言うこと。
更にバトルロワイアルの中でそんな金属片と言えば、おそらく――――。

まどかは短く息を呑む。
光が徐々に近付いて来るからだ。
足音。更に衣擦れの音まで伴ってくる。

まどかは更に身を縮めて木陰に隠れた。
しかし光はまどかに近付いて来る。
木陰から覗き見ても、光の正体が分かるほど。

それは三つ又の異様な剣。
紛れも無く人を殺傷するために作られた武器。
鋭利さと重量を併せ持ったそれならば、まどかなど容易く殺されるだろう。
そしてそれを恰幅の良い男が手に携えていた。

男は眼鏡の奥から鋭い眼光を、まどかの居る木陰に向ける。
そして鋭い声を上げた。

「誰かそこに居るのか!!?」

見付かった。
あの剣で殺される。
想像の中でも恐ろしかった死が、今現実の脅威となって迫ってきている。
まどかは迫り来る死の恐怖に耐えられず、駆け出した。

「ま、待ちなさい!!」

背後から男の声が聞こえた。
そこから離れるため、まどかは更に足を速めようとする。
問題はここが山道であり、まどかは山道を進むことに全く慣れていないことだった。
岩か草木か、何かも判明できない物に足を取られて、
まどかはあえなく転倒した。
そしてまどかの身体は止まることなく落ちていく。
なだらかな坂を、為す術なく転げ落ちていくまどか。

ようやく大地に倒れて、ようやく転落が止まる。
痛む身体を起こしながら、周囲の状況を確認するまどか。
目前に居たのは、魔法少女。
それもかつて戦いの中で死んだはずの。

「……マミさん? …………でも、そんなはず…………」

まどか死んだはずの魔法少女、巴マミの名を呼ぶ。

信じられない物を見て、呆然としているまどか。
マミはそんなまどかに構わず、魔法の力でマスケット銃を作り出し、
そして徐にまどかへ向けた。

「――――ソウルジェムが魔女を産むなら、皆死ぬしかないじゃない!」


    *


マミの前に現れたのは鹿目まどか。

まどかもまた魔法少女であることに変わりは無い。


229 : 死の邂逅 ◆wYOF3ar91U :2013/08/18(日) 01:28:22 RCLzEwEM0
そしてそれはやがて魔女を産む存在。

魔法少女は魔女と戦って来た。
人々を災厄から守るため、命を掛けて。
それこそが分不相応な願いを叶えて貰った代償なのだから。

魔法少女が魔女を産むならば、魔法少女は討たれなければならない存在なのだ。
人々に災厄を齎す前に。
それが魔法少女の正義であり使命である。
少なくともマミにとってはそうだった。

マミは自らの使命を果たすために、銃をまどかに向けた。
引き金を引く。
銃弾は正確に頭部に着弾。
頭部がスイカのように跡形も無く吹き飛んで、赤い破片を撒き散らす。

そこから力無く尻餅をついたまどかは、
頭を吹き飛ばされた男を見上げていた。


    *


小学校の教師である男は、いつも先生と呼ばれていた。
バトルロワイアルに招聘された先生は、支給品である三つ又の剣を携えて、
自分の生徒を捜すために散策する。

名簿には生徒である四人、
野比のび太、剛田武、源静香、出木杉英才の名前が有った。
四人ともただの小学生に過ぎない。
バトルロワイアルの中では容易に命を落とすだろう。

先生自身とて、ただの中年男性に過ぎない。
バトルロワイアルの中で命の保証は無いが、
自身の教師としての高い職業意識から、生徒を優先的に保護するために、
散策を開始したのだ。

そしてその途中、木陰に隠れる人の影を捉える。
思わず声を荒げる先生。

「誰かそこに居るのか!!?」

威厳を持って生徒を叱り付ける習慣を身に付けていたため、図らずも威圧的な声色で呼び掛けてしまう。
走り去っていく後姿は、自分の生徒より少し年上の少女。
脅かしてしまったと、先生は慌てて制止する。

「ま、待ちなさい!!」

しかし少女は止まらない。
そしてなだらかな坂を転げ落ちて行く。
先生は駆け寄って、少女の様子を見る。
少女は別の少女に銃を突きつけられていた。

脅かして危険に晒してしまった罪悪感か、
それとも教師としての職業意識か、
先生は躊躇無くその場に飛び出した。

少女を突き飛ばして、銃の射線から退かす。
その勢いで先生が銃の射線上に入る。
銃から発射された弾丸は先生の頭に着弾した。

多くの生徒に慕われた男は、呆気なく命を散らした。





まどかにとっては何もかも訳が分からなかった。
何故、マミが生きているのか?
何故、マミが自分を殺そうとしたのか?
何故、男が自分の変わりに死んだのか?

確かなのは男の死と言う現実。
頭の無い男の死体が、まどかの方に倒れて来る。
まどかは大量の血を浴びる。

生々しい血の臭い。
先刻まで生きていた人間の意思無き肉塊。
それはかつてのマミ以上に、まどかに死を意識させる物だった。

お前もこうなる。
意思無き肉塊に。
そう訴えているようだった。

そしてその死を産み出したのはマミなのだ。
あの頼れる魔法少女だった人が自分を殺そうとしている。

恐怖と混乱に襲われたまどかは、まるで引き攣るような悲鳴を上げて、
知らぬ間にその場から逃げ出していた。

それは危険からではなく、恐怖と混乱からの逃避だった。





「…………嘘……」

マミは自分が殺した男の死体を呆然と見下ろしていた。

魔法少女は人を守るのが使命である。
それだからこそ魔女を産む魔法少女たる、まどかを殺そうとしたのだ。
しかしその銃弾はまるで関係ない人間を撃ち抜いた。

男は魔法少女であるはずが無い。
守るべきただの人間を殺してしまったのだ。

魔法少女が災厄を産み出してしまった。

狂ったような悲鳴を上げて逃げ出すまどか。
しかしそれに構うこともできないマミ。
マミは己の産み出した災厄の前で立つ尽くす。



こうして魔法少女と魔女の物語が新たに始まる。


230 : 死の邂逅 ◆wYOF3ar91U :2013/08/18(日) 01:29:23 RCLzEwEM0
【C-7/森林部/一日目-深夜】
【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】
 [衣装]:魔法少女衣装
 [状態]:健康、魔法少女に変身中
 [装備]:マスケット銃
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:?????

 [備考]
  ※原作第10話『もう誰にも頼らない』からの参戦です。


【C-7/森林部/一日目-深夜】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
 [衣装]:見滝原中学校制服(血塗れ)
 [状態]:健康、恐慌状態
 [装備]:無し
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:?????

 [備考]
  ※参戦時期は不明です。
  ※先生@ドラえもんの支給品(基本支給品、三つ又の剣@北斗の拳、ランダム支給品0〜2)は死体の傍に放置されています。


【先生@ドラえもん 死亡】


支給品紹介

【三つ又の剣@北斗の拳】

先生に支給された。
ラオウがトキの足を自分の足ごと貫いたのに使用した剣。


231 : ◆wYOF3ar91U :2013/08/18(日) 01:31:01 RCLzEwEM0
投下を終了します。
誤字脱字や矛盾点があれば報告をお願いします。


232 : ◆Aw36we/sEA :2013/08/18(日) 22:50:35 UeVZQijA0
ドラえもん、ジャック・アトラスで予約します


233 : 名無しさん :2013/08/18(日) 23:22:29 LPr.hAbg0
投下乙です
先生はやっぱり長生きできなかったか


234 : 名無しさん :2013/08/19(月) 03:10:34 cMWKn4KAO
投下乙です。死んでからも理不尽にまどかを巻き込むなんてマミさんが死ぬしかないじゃない(ほむ感)


235 : 名無しさん :2013/08/19(月) 21:56:33 tJxNNdks0
投下乙です

そうか、こういう巻き込み方もあるのかあ
感心したぜw


236 : 名無しさん :2013/08/19(月) 22:19:47 VLFvnlRI0
ていうか、ドラちゃん。
今回は活躍できるんだろうか。


237 : ◆wYOF3ar91U :2013/08/24(土) 02:40:23 KWuXYK.Q0
黄瀬やよい、平坂黄泉を予約します。


238 : ◆Aw36we/sEA :2013/08/26(月) 02:24:55 .5Jxy6KM0
遅れましたが
ドラえもん、ジャック・アトラスを投下します


239 : 今は読みきれない、手のうちの鮮やかさに笑えばいい ◆Aw36we/sEA :2013/08/26(月) 02:26:16 .5Jxy6KM0
ドラえもんは今までにないほど慌てていた。
気が付いたら真っ暗な空間に居て、キュゥべえとかいう変な生物に最後の一人になるまで殺しあえ、などと言われたからだ。
否、それだけだったらまだ冷静だったかもしれない。
慌てている原因、それはのび太の存在であった。
勉強もスポーツもダメでドジでのろまなのび太が『バトルロワイアル』に参加させられたらどうなるか?
考えるまでもない。すぐに危険人物に見つかって殺されるに決まっている。
大切な親友であるのび太を死なせる訳にはいけない。すぐにのび太と合流しないと!
そう考えたドラえもんは、会場に飛ばされるなり走りだした。


すこし走っていると、長身の男を見つけた。
のび太を探すことを最優先にしているドラえもんにとって他の参加者との接触は避けたかった。
そのため回り道をしようと思った時、男の手に有る物に気が付いた。
それは――――



どら焼きだった。




どら焼きに気が付いた瞬間、ドラえもんに迷いが生じた。

(ああ、そういえば何日もどら焼きを食べていないせいで禁断症状を起こしてたっけ。あのどら焼き、分けてくれるかなあ。
 いや、危険な人かもしれない。ここは避けてのび太くんと合うことを第一に……
 でも、次にどら焼きを食べることができるのはいつかわからないし……
 いや、どら焼きよりのび太くんの方が大事だ。
 けれど、のび太くんを探すにしても一人じゃ難しいだろうし、協力してくれる人が居ると心強い。
 しかし……うう……)

などと考えている内に、男はどら焼きを口に持って行こうとする。
このままではどら焼きはあの男が食べてしまうだろう。
一刻を争う事態にドラえもんは、


「待って〜〜〜!!!」


躊躇する事無く大声を張り上げ、男の元へ走り出したのだった。









240 : 今は読みきれない、手のうちの鮮やかさに笑えばいい ◆Aw36we/sEA :2013/08/26(月) 02:27:24 .5Jxy6KM0

「……フン、下らん。」

ジャックは空を見上げ、呟く。

「キュゥべぇと言ったか。
 貴様が何を考えてるのかは知らんが、貴様の野望なぞこのジャック・アトラスが粉砕してくれる!」

そう宣言し、まずデイパックの中身を確かめることにした。

「これは、名簿か……なるほど、遊星と鬼柳もここに連れてこられた様だな」

しばらくの間会っていないが、ジャックは二人を心配をすることは無かった。
同じチームサティスファクションの一員として、そして遊星とは同じチーム5D'sの一員としても共に闘った。
二人の強さはジャックも良く知っている。
恐らく鬼柳はバトルロワイアルをぶっ壊して満足しようとするだろうし、
遊星は仲間を集めてバトルロワイアルを、そしてキュゥべぇを打倒しようとするだろう。
そんな二人を想像し、思わず笑みがこぼれる。

(俺も負けてられんな……)

そして名簿を読み進めようとするが、見逃しかけた遊星と鬼柳の間にある名前に驚愕する。

「ブルーノだと!? 馬鹿な! あいつが居るというのか!?」

ブルーノ。かつてジャックや遊星と同じチーム5D'sの一員であった青年。
記憶喪失ではあったが、遊星にも引けを取らない技術力の高さ、そして穏やかでマイペースな性格などから
いつしかチーム5D'sに必要不可欠な存在となっていた。
しかし、遊星が言うにはブルーノの正体はイリアステルの一員、本名はアンチノミーで遊星と決闘を行ったという。
アンチノミーは遊星と闘い、遊星を新たな次元へと進化させるためデルタアクセルシンクロを見せ、
決着後は遊星を助けるため命を落とした、とのことだった。

「……どういうことだ? これは一体……」

遊星はブルーノのサングラスを回収していた。
サングラスはボロボロで、持ち主がどうなったかはおおよそ察することができるくらいだった。

「く、考えても埒が明かん。今は状況把握に努めるべきか」

ブルーノの事は一旦後回しにし、名簿を読み進めていく。
その結果、ジャックの知る名前は不動遊星、鬼柳京介、ブルーノの三名であった。
それより気になったのが、名簿に記された名前だった。

「どうやら、全ての者が本名で載っている訳では無さそうだな」

少なくともケロロ軍曹、ギロロ伍長、クルル曹長、ドロロ兵長、
ドラえもん、先生、ボボボーボ・ボーボボ、首領パッチ、ヘッポコ丸、ところ天の助、魚雷ガール辺りはそうだろう。

上の者は階級ごと載っており、下の者に至っては意味不明である。
まあ、ボボボーボ・ボーボボ、ところ天の助はまだ有り得るかもしれないが。
もっと言うならジョーカー、セイバー、ライダー、バーサーカーもその可能性はある。
それぞれ、道化師もしくは切り札、刀剣もしくは救世主、騎手、狂戦士の名を冠するため、コードネームとして使いやすい。
デュエルモンスターズカードの中にもその名を持つカードが存在しているから、おかしくは無いだろう。

「それにしても、ジョーカーとはな。今の俺はキングではないが、キングを討つ切り札と聞いては黙っておれん。
 何時か決闘で叩き潰してくれる」

名前に関する考察はここまでにして、ジャックは再びデイバックの中身を調べる。
次に出てきたのは……どら焼きだった。

「……どういうことだ、これは」


241 : 今は読みきれない、手のうちの鮮やかさに笑えばいい ◆Aw36we/sEA :2013/08/26(月) 02:28:24 .5Jxy6KM0

付属の紙を読んでみる。

「どら焼き、十個入り……だと?」

つまり、ジャックのランダム支給品の一つはどら焼き十個ということになる。

「ふざけおってキュゥべえめ! 同じ食べ物ならカップヌードルを入れておけ!
 しかも入れ物も無しにそのままどら焼きをデイパックに入れるなど言語道断! 少しは食べ物の有難味を知れ!!」

叫んだあと、自らの浅はかな行動に気が付き、ハッとする。

「しまった、こんな状況で大声を出すなど自らの居場所を知らせるようなもの。クソ、キュゥべえめ……!」

もう過ぎたことは仕方ない。
しばらくの間、周囲に誰か居ないか見渡した所、誰も居ないようでジャックの心配は杞憂に終わったようだった。

「要らぬ心配をしたせいか、小腹が空いたな。ちょうどいい、どら焼きを食べるとしよう」

そう思って食べようと思ったが、

(いや、待て。バトルロワイアルは数日かそれ以上の長期戦になるかもしれん。
 ここは温存しておくべきか……?)

もしもバトルロワイアルが食糧が無くなるほど長引けば数少ない他の誰かの食糧を巡っての争いが起こるだろう。
そうなっては協力関係を結ぶことさえ困難になり、会場の脱出も限りなく不可能に近くなる。
そうなった時、どら焼きがあれば少しの間だけだが飢えを凌ぐことが出来る。
たかがどら焼き、されどどら焼き。どら焼きを笑う者はどら焼きに泣く。
しかし、どら焼きの放つ甘い匂いが食欲を誘う。
しばらく考えた後、

(腹が減っては戦が出来ぬ。一つくらいならいいだろう)

そう判断したジャックはどら焼きを口に持っていき――――




「待って〜〜〜!!!」
「!?」




すごい勢いで走ってくる青い土偶のようなものに邪魔されることとなった。


「ぜー、ぜー……」
「…………何者だ貴様」

よほど必死だったのだろう。青い土偶は土下座のような体制になり、呼吸を荒げている。
いろいろ聞きたいことがあるが、とりあえずジャックは名前を聞いてみることにした。

「ぼ、ぼくドラえ、ぜー……もん、です。その……ぜー、はー……どら焼、き……ぼくに、もらえません、か?」
「まずは落ち着け、何を言ってるのかさっぱり解らん」


242 : 今は読みきれない、手のうちの鮮やかさに笑えばいい ◆Aw36we/sEA :2013/08/26(月) 02:29:22 .5Jxy6KM0





「なるほど、つまりお前はどら焼きが欲しいと、そういうことだな?」
「うん、もう何日も食べて無くて……」

簡単な自己紹介を終え、改めてどら焼きが欲しいと言いだすドラえもん。
ジャックも好きな食べ物が食べられない辛さはよく知っている。

「いいだろう、一つぐらいくれてやる」

本当は全部あげたいのだが状況が状況だ。何時必要になるか分からない。

「わ〜〜い! ありがとう、ジャック! いっただっきま〜す!」

そう言ってドラえもんはどら焼きを一口で食べ、

「ごちそうさまでした〜!」

と満足そうに言った。
もっと味わいながら食った方が良いのではないか、とジャックは思ったが本人が満足しているのでまあいいだろう。


「そうだ、何かお礼をしないと」

ドラえもんはそう言い、お腹に手をやるが……

「あれ、四次元ポケットが無い……おかしいな……」
「……? どうかしたのか?」
「普段お腹につけてるポケットがないんだ」
「ああ、その事か。どうやら衣服等を除いて普段身に付けている物は全て没収されているようでな、
 俺のデュエルディスクも没収されていた」
「う〜ん、じゃあどうしよう」

ドラえもんは何かお礼をしたいようだが、思いつかないらしい。

「なら、お前のデイパックの中身を……」

見せてもらおうかと言おうとした時、ジャックはあることに気付く。

「お前、デイパックはどうした……?」

そう、ドラえもんはデイパックを持っていないのだ。隠し持っている様子もない。
まさか忘れてきたのではないかとジャックは思うが、ドラえもんの回答はそれを超えたものであった。

「デイパック? 何それ、何の事」
「……何?」

(デイパックを知らない? ドラえもんはキュゥべえの説明を聞かされていなかったのか?)

バトルロワイアルのルールについてどこまで知っているのか聞いてみることにした。

「……ドラえもん。バトルロワイアルのルール、どこまで知っているか言ってみてくれないか」
「……最後の一人になるまで……殺し……合うんでしょ?」

(俺が聞いた説明と合ってい――――


243 : 今は読みきれない、手のうちの鮮やかさに笑えばいい ◆Aw36we/sEA :2013/08/26(月) 02:30:31 .5Jxy6KM0




 待て。どこかおかしい。バトルロワイアルのルールは最後の一人になるまで殺し合う。
 なぜなら最後の一人だけが会場から脱出できる、だから殺し合う。おかしくは無いはずだ。
 だが、この違和感は何なのだ? まるで何かを見落としているような……)

「……ジャック? ……もしかして、ぼく変な事言った?」

ドラえもんは黙りこむジャックに恐る恐る聞いてみた。
まさかぼくはルールを勘違いしていたんじゃ、とドラえもんは思えてきたが、ジャックは黙ったままだった。
不安になってきて、もう一度聞いてみる。

「ねえ、もしかしてホントは殺し合いなんてしなくて良かったとか?」

この願望混じりの一言が、ジャックに閃きをもたらした。

(殺し合いをしなくていい? 少なくともキュゥべえによればそんなことは――――いや、待て!)

ジャックは違和感の正体に気が付いた。
けれど些細なことで、どうでもいい事かもしれないし、無意味な考えをさせるための罠かもしれない。
それでもキュゥべえの説明には気になることがあったのだ。

「礼を言うぞ、ドラえもん」
「? はぁ、どういたしまして……それで、どうなの?」
「……何がだ?」
「殺し合う必要、ないんだよね?」

期待半分で、ドラえもんは再度聞いてみる。勘違いならどれほど嬉しいか。
しかしジャックの言葉はドラえもんの願望を打ち砕く。

「ああ、そのことか……最後の一人だけしか、会場から脱出することは出来ない。少なくともアイツが言うにはな」
「……そ、そんな……」

勘違いでは無かったと知り、ドラえもんは項垂れた。

「……それより、キュゥべえの説明、気にならないか?」
「え……?」
「ヤツは殺し合えなどと言っていない。それどころか、戦え、争えなどと言った暴力表現を一切使っていない。
 ただ、バトルロワイアルの終了条件は参加者の中で生存している者が一名になること、としか言っていない」
「……それがどうしたのさ、最後の一人しか脱出できないんじゃ、結局殺し合いになるじゃないか」
「そうだ、殺し合いで生き残るしかないと、そう考えるように誘導しているように思える」
「……なんでそんな事を?」
「人間、一度思い込んだ事は中々考え直す事は出来ないものだ、
 故に殺し合って生き残るしか会場から脱出する事は出来ないと思わせれば他の脱出手段を探そうとしなくなる。
 と、普通なら答えるが、今回の場合は意味が異なってくる。
 もちろん引っ掛かればいいな、程度には狙っているのだろうが……
 そんなことをするよりは、『突然だけど、バトルロワイアルに参加して皆と殺し合ってよ!』とでも言った方が印象に残る。
 わざわざ遠まわしな言い方をした理由、それは……キュゥべえが嘘をつかないからだ。
 つけないのかどうかは知らんがな」」
「え、そうなの!?」
「お前……」

ジャックは衝撃の真実でも聞かされたかのようなショックを受けるドラえもんに呆れそうになるが、説明を続ける。

「キュゥべえは嘘をつかない。この事はキュゥべえを知る者が複数人この会場に居ることから本当だと言える。
 何なら聞いて見ると良い、とまで言っているからな」
「けどさ、それ自体が嘘だったら?」


244 : 今は読みきれない、手のうちの鮮やかさに笑えばいい ◆Aw36we/sEA :2013/08/26(月) 02:31:18 .5Jxy6KM0
当然の疑問を浮かべるドラえもん。
確かに、この考察はキュゥべえが嘘をつかないことを前提とした物だ。
キュゥべえを知る者が参加されていなかったらキュゥべえは嘘をつかないことを証明できない。
証明できなければ――――

「この考察は無意味なものとなるだろうな」
「ええ!?」
「だからひとまずキュゥべえは嘘をつかない事は本当として扱う。
 それで、なぜ殺し合え、戦えなどと言った暴力表現を言えないかと言うと……」
「もしかして、嘘をつくことになるから?」
「そうだ。そしてそこに、重要な何かがあるかもしれん」
「何かって?」
「ああ。少なくともキュゥべえに知られたくない何かがあるのだろう」
「それじゃあ、もしかしたら……!」

その何かに因っては誰も殺すことなく会場から脱出できる……?
一筋の希望が出てくるが、ジャックは忠告するように言う。

「念のために言っておくが、これは仮説としては穴だらけだ。
 仮に当たっていたとしてもキュゥべえが隠している事が俺達とは全くの無関係の事かもしれん。
 それに、先程言った通り思い込みによってこの仮説に拘り、目が曇る可能性がある。
 頭の片隅に留めておく程度にしておけ」

それでも、何も思い付かないよりは全然違う。

「さて、ずいぶんと脱線したが、お前はバトルロワイアルのルールをどこまで把握している?」

そういえば、そんなことを聞かれていた最中だった。
ジャックの質問に答える。

「えーっと、最後の一人になるまで生き残らないといけないんだよね?」
「そうだ。それで、次は?」
「……あ」
「お前、まさか……それ以外の説明を聞いていなかったのではないか?」

ジャックの予想通り、キュゥべえにバトルロワイアルの終了条件を聞いた時点で参加者同士の殺し合いが起きると考え、
いかにしてのび太と早く合流できるか、それだけを考えていたため、
そこから後の説明は全然聞いていなかった。
何せあののび太である。死ぬ瞬間をどうしても想像してしまう。
それを少しでも想像しないように、必死に考えていた。
もっとも、結局「会場に飛ばされると同時に走ってのび太を探す」ぐらいしか思い浮かばなかったが。

「……はい、そうです」
「……馬鹿か貴様は!! お前が会場に飛ばされた地点にお前のデイパックがあるはずだ!
 今すぐ探すぞ!」
「う、うん!」

二人はドラえもんのデイパックを全速力で探しに行った。


245 : 今は読みきれない、手のうちの鮮やかさに笑えばいい ◆Aw36we/sEA :2013/08/26(月) 02:31:51 .5Jxy6KM0
【A-3/海岸付近/一日目-深夜】
【ジャック・アトラス@遊戯王5D's】
 [衣装]:いつもの服
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2、どら焼き×9@ドラえもん
 [思考・行動]
  基本方針:会場から脱出し、キュゥべぇを叩き潰す
  1:ドラえもんが来た道を辿りドラえもんのデイパックを探す
  2:キュゥべえを知る者を探す
  3:なぜブルーノが生きている……?
  4:遊星と鬼柳は大丈夫だろう、合流するのは後でいい
  5:キュゥべえめ、何を隠している……?
  6:ジョーカーに興味

 [備考]
  ※参戦時期は151話と152話の間、武者修行の旅に出ている途中です


【ドラえもん@ドラえもん】
 [衣装]:なし
 [状態]:健康、満足
 [装備]:なし
 [道具]:なし
 [思考・行動]
  基本方針:会場から脱出する
  1:来た道を戻りぼくのデイパックを探す
  2:のび太を探す
  3:キュゥべえを知っている人を探す
  4:キュゥべえは何を隠しているんだろう……?

 [備考]
  ※参戦時期は神様ごっこ開始前です
  ※しずか達が参加させられていることに気づいていません

  ※A-2にドラえもん@ドラえもんのデイパック(基本支給品、ランダム支給品1〜3)が放置されています。


【どら焼き@ドラえもん】
 
 ジャック・アトラスに十個支給された。
 ドラえもんの大好物。


246 : ◆Aw36we/sEA :2013/08/26(月) 02:34:57 .5Jxy6KM0
以上で投下終了です
関係無いけどwikipedia見てたら先生の本名があった件


247 : 名無しさん :2013/08/26(月) 08:25:08 HrqLIJww0
投下乙です

ジャックは序盤から考察を進めていて頼りになりそうだな
キュゥべえの裏の思惑に辿り着くことができるんだろうか


248 : 名無しさん :2013/08/26(月) 17:31:58 uvplHpicO
投下乙です。
ジャックは無難にラスト前か。そういや満足さんが不満足なだけにみんな大好きブルーノちゃんも記憶の有無が気になるな…何にせよドラえもんはちょっとは落ち着けw


249 : 名無しさん :2013/08/26(月) 21:13:09 gp9y4Wp.0
投下乙
キングが真面目だと…!?オープニングで殺し合い推奨してないのを上手く考察してるなと思ったわ
あと地味にドラえもんがサティスファクションしてるw


250 : 名無しさん :2013/08/27(火) 17:23:41 Qg.CZiL.0
ドラちゃんも人のこと言えんほど、そそっかしいなww
かわいい。


251 : ◆wYOF3ar91U :2013/08/29(木) 01:43:50 Ooj08ym.0
黄瀬やよい、平坂黄泉で投下します。


252 : スーパーヒーロー大戦EX プリキュア×12th ◆wYOF3ar91U :2013/08/29(木) 01:45:49 Ooj08ym.0
エリアにしてA-1に在る研究所。その一室。
壁面に巨大なモニターが貼り付けてあり、平行に並ぶ机にもディスプレイとキーボードが置いてあることから、
その部屋はコンピュータールームであることが窺い知れた。

そこに居る二人の人間。
男と女が立っていた。

男は痩せ細り、外見から年齢を推し量り難い。
それでもとっくに成人していることはわかる。
薄く笑う様からはどこか底知れない雰囲気を漂わしている。

女は頭に白いカチューシャ、あどけない顔に大きな瞳、学生服の上から着込む黄色のカーディガンが小柄な身体をより小さく強調している。
まだ少女と言った方が相応しい女性だった。

まるで接点の無いように見える男と女が見つめ合っていた。

「変身ベルトってあるじゃないですか」

話し掛けたのは男の方。
淀みない発声から、意外な知性を感じさせる口調だった。
男は女に話し掛けながら、ベルトを自分の腰に巻きつける。

「実は私、『変身ヒーロー』というのに憧れてましてね」

ヒーローへの憧れを過去形ではなく現在形で語る男。
男の名は平坂黄泉。
時空王『デウス・エクス・マキナ 』の催すサバイバルゲームの十二番目の参加者“12th”である。

「とうっ! 変っ身っっ!!!」

黄泉は腕を大きく振り回して、大袈裟なポージングを取る。
そしてそこから徐に黒いタイツをデイパックから取り出し始めた。
間が悪いことこの上ない挙動だが、黄泉本人はそれを気にした様子もなく実に上機嫌である。

「変身〜♪ タイツ!」

鼻歌でも歌う要領で自分が変身していることを主張する黄泉。
黄泉は少女の前であることを気にする様子も無く、黒タイツで器用に全身を覆っていった。

「変身〜♪ グローブ!」

更に黒いグローブで両手に装着。
黄泉の全身を単調な黒が覆っていく。

「変身〜♪ マ……マ!!! グギッ、ゲッ、グギギギギ……」

そして頭から、肩幅ほども大きさの丸いマスクを被る。
マスクと言うより着ぐるみの頭部と言った方が妥当な大きさだ。
しかもそのデザインは田畑に設置されている鳥除けの風船がごとき、一つ目の意匠をしている。

「ドウダイ女史、カッコ良イダロウ」

そこに現出したのは巨大な鳥除けを頭に乗せた黒ずくめの怪人。
一般的な観念から言って、ヒーローのイメージからは程遠い外見だった。
その特異な外観から導き出される一般的な評価としては、“変態”と言った所だろう。
しかし黄泉は、いかにも得意げな調子で少女に感想を求める。

「か――――」

少女はすぐに声を出すことが無かった。
まるで怯えているかのごとく、声が途切れて瞳は震えている。
そして少女は意を決したように息を吐き出し、ようやく言葉を搾り出した。

「――――かっこいいー!!! 本物のヒーローみたい!!」

少女は感極まった様子で黄泉に賛辞を送る。
そこに皮肉や揶揄の色は欠片も無い。
心からの感嘆の声を、目の前のヒーローに送っていた。
少女もまたヒーローに現在形で憧れていた。
少女の名を黄瀬やよいと言った。

もっとも、今の黄泉をかっこいいヒーローと評するのは、
ヒーローに憧憬を持つ感性の中でも、珍しい部類だろう。

あるいは同じ“ヒーローに憧れる者”同士のシンパシーゆえか。

「ヒーロータル者相応シイ格好ヲシナイトナ」
「ヒーローは絶対、変身しないと駄目ですよねー!!」

今は完全に意気投合している黄泉とやよいだが、二人はつい先ほど出会ったばかりである。


253 : スーパーヒーロー大戦EX プリキュア×12th ◆wYOF3ar91U :2013/08/29(木) 01:47:57 Ooj08ym.0
バトルロワイアル開始当初に黄泉と出会ったばかりの頃は、その異様な雰囲気にやよいは怯えたが、
黄泉が自分は正義のヒーローに憧れていることや、日々正義のために行動していることを語る内に、
二人はすぐに意気投合することができた。

「ソレデハ、アナタト私デ協力シテ、正義ヲ果タシマショウ。共ニバトルロワイアルノ主催者ヲ倒スノデス」
「やっぱりヒーローは助け合いですよね」

かくして二人は、順調に同行を決定した。
共にヒーローを憧れる二人が協力して主催者の打倒を決意する。
全ては順風過ぎるほど順風に運んでいた。

「マズハ情報交換トイキマショウ」
「情報交換……ですか?」

黄泉の提案から、やよいたちはお互いの情報を交換し始める。
あまり要領を得ない様子のやよいを尻目に、黄泉はデイパックから一枚の紙片を取り出す。
幾つもの名前が羅列してあるそれは参加者名簿だった。

「私ノ知ッテイル名前ハ我妻由乃ト雨流みねねノ二名デス」

黄泉は我妻由乃と雨流みねねが、『未来日記』と呼ばれる未来予知能力を有する日記を所有していることを話す。
そして二人は未来日記所有者同士が殺し合うサバイバルゲームに参加していたことを。
更に二人が危険人物であることも。
雨流みねねは国際的テロリストであり、日本国内でも無差別な大量殺人を行っている。
我妻由乃は中学生だが、宗教団体『御目方教』の事件などでやはり大量殺人を行っている。

「アナタノ知ッテイル名前ハアリマスカ?」
「し、知ってる名前ですか? ん〜……」

黄泉に促されたやよいは、しばし思い悩む素振りを見せたが、
やがて自分のデイパックから名簿を取り出して、自分の知る名前を紹介し始めた。

やよいによると星空みゆき、日野あかね、緑川なお、青木れいかの四名は同じ中学のクラスの友達だと言う。
皆、積極的に殺しあうような人たちではなく、バトルロワイアルと言う状況でも信頼における存在らしい。
そしてジョーカーとウルフルンはバッドエンド王国と言う異世界に住む、やよい曰く“悪い人たち”だと説明した。

やよいの説明を聞いて、思案気に沈黙する黄泉。
少し気まずい思いで沈黙するやよいは、やがてあることに気が付く。

「そう言えば、黄泉さんは支給品を確認しましたか?」
「アア……アナタハ確認ヲシマシタカ?」
「えっと、私は……」

黄泉に問い返されて、自分のデイパックを漁るやよい。
そして少し驚いた後、慌ててデイパックの中身を黄泉から隠す。

「何カ有ッタノカ?」
「見ちゃ駄目!! ……です」

やよいが黄泉から慌てて隠した物。
それはスマイルパクトと呼ばれる道具である。
なぜ、スマイルパクトを隠さなければならないのか?
それはスマイルパクトこそが、伝説の戦士『プリキュア』への変身を可能とする道具だからである。
メルヘンランドに伝わる五人の戦士『プリキュア』。
やよいはそのプリキュアの一人なのだ。
もっとも普段はプリキュアであることを周囲に隠しているので、
今もやよいは黄泉からプリキュアへの変身アイテムを隠そうとしたのだ。

「よ、黄泉さんの支給品はどうなんですか?」

やよいはこの場を誤魔化すために、再び黄泉に支給品のことを質問した。
次の瞬間やよいの視界を鳥除け、黄泉のマスクが埋め尽くす。
突然近付いてきた黄泉に驚くやよい。
黄泉は構わずやよいに話し掛ける。

「私ノ支給品ヲ知リタインデスカ?」
「……は、はい…………」
「デハコレヲ見テ下サイ」

黄泉は自分のマスク、その中心の目玉を指す。


254 : スーパーヒーロー大戦EX プリキュア×12th ◆wYOF3ar91U :2013/08/29(木) 01:49:11 Ooj08ym.0
やよいは言われるまま、それを注視する。
まるで魅入られるように、それ以外の物が視界に入らなくなるやよい。
まどろむように意識が薄れて遠のいて行く。
そして――――



(催眠術ハ上手ク効イテイルヨウダナ)

まるで人形のごとく焦点を失った瞳のやよいを見て、黄泉は自分の催眠術が効果を発揮していることを確認する。
黄泉は極めて強力な催眠術を使うことができる。
何十人もの人間に一度に催眠術を掛けることを可能にして、通常の催眠術では不可能とされている殺人の強要すら可能。
黄泉はその催眠術をやよいに最初に出会った時、予め施していたのだ。
そして催眠術を掛けられていた記憶を消しておき、
黄泉の肉眼かマスクの目を注視した際は、再び催眠状態に入るように催眠術を仕掛けておいた。

何故黄泉が、一旦やよいの催眠術を解いていたのかと言うと、
バトルロワイアルの中では催眠術に制限が掛けられている可能性が考えられる。
そのためどこまで効果を持つのか、実験を行ったのだ。

「ソレデハ、アナタガ隠シテイル情報ヲ全テ話シテモラオウ」
「はい」

黄泉の問いにやよいは抑揚の無い返事を返す。
やよいの話を聞いてそこに隠し事が在ることを黄泉は見抜いていた。
黄泉はまず、やよいが未来日記所有者であることを疑ったが、
未来日記の話をした際に何の反応を示さなかったことから、その可能性は排除。
しかしデイパックの支給品を隠したことからも、別の可能性が考えられた。
そこで今、催眠術でやよいから虚偽も隠匿も無い情報を引き出す。
そして語られるのは、やよいを含めて星空みゆきと日野あかねと緑川なおと青木れいかの五人がプリキュアであること。
支給品のスマイルパクトで変身したプリキュアが、人間を超えた能力を発揮できること。

黄泉は試しにスマイルパクトとそれに添えてあるキュアデコルを借りて試してみたが、変身することはできなかった。
本人の説明と合わせて考えてみても、やよいでなければ変身することはできないだろう。

(残念ダ。プリキュアニ変身デキレバヨリ強力ナ戦力ヲ持ツスーパーヒーローニナレタンダガ……
マア良イダロウ。プリキュアニ変身デキナクトモ、プリキュアヲ戦力トシテ物ニデキタノダ)

黄泉はスマイルパクトをやよいに返し、荷物を纏めるように指示すると、
自分も荷物を纏めながら話を続ける。

「ソレデハ、ソロソロ出発シヨウ。私トアナタデ同行シテ仲間ヲ集メテ、正義ヲ執行スル」
「はい」
「最モ、仲間集メト戦闘ハ当面ヤヨイ女史ニ一任スル」
「はい」

次の瞬間、平坂黄泉の姿が消えた。



「……………………あれ、私どうしたんだろ?」

やよいが気が付いた時には、周囲に人の気配が無い研究所で一人佇んでいた。

何故かバトルロワイアルが始まってから、今までの記憶が無い。
誰かに会っていたような気がするが、どうしてもはっきりと思い出すことができなかった。

「うーん……どうしても思い出せないよ〜…………。でも、じっとしてても仕方ないよね。
早くみんなを捜しに行こうっと」

記憶の欠落を埋めることを諦めたやよいは、その場を出発することにした。


255 : スーパーヒーロー大戦EX プリキュア×12th ◆wYOF3ar91U :2013/08/29(木) 01:50:45 Ooj08ym.0
名簿を見た時の記憶は、やはりはっきりとしないが、
それでも名簿には自分の知っている名前が在ることは確認した覚えは有る。
星空みゆき、日野あかね、緑川なお、青木れいかの四人とは、
同じプリキュアとして苦しい戦いを乗り切ってきた仲間たちだ。

幾らやよいがプリキュアと言っても、バトルロワイアルは怖い。
元々やよいは臆病で泣き虫だとからかわれていた位だ。
それでもプリキュアの四人が居れば、どんな困難な状況でも乗り越えられる。
そう信じることができた。
それにこの場でも、頼もしいヒーローとの出会いが――――

(――――うーん……やっぱり何か大事なことを忘れてる気がするよ〜……)

何か重大な記憶の欠落に引っ掛かりながら、やよいは歩き始めた。

そしてその隣には、平坂黄泉が居た。

黄泉はやよいと付かず離れずに歩いているが、やよいはその存在に気付かない。
それは催眠術の効果ではない。
黄泉は頭にマスクを被っているが、その中で更に帽子を被っていた。
それこそ二十二世紀の技術で作られた道具『石ころぼうし』。

黄泉は予めそれを自分のマスクの中に仕込んでいたのだ。
そしてそれを被った瞬間やよいの、やよいならずとも誰にもその存在を認識されなくなった。
そうは言っても黄泉が透明になったのではない。
概観も、動いた時の雑音も、発する体臭も、全てそのままだ。
それでもその何かもが他者の認識に上ることは無い。
まるで路傍の石を、人が意識することが無いように。
それこそ石ころぼうしの効果。路傍の石同然に誰にも意識されなくなるのだ。

黄泉は、やよいとの会話の最後にマスクの中で石ころぼうしを被って、
“その姿が認識されなくなった”のだ。

そして黄泉が姿を消した途端、やよいが黄泉の存在を忘れたのは催眠術の効果である。
予めやよいに催眠術をかけた際、黄泉が姿を消せばその存在を忘れるように指示しておいた。

これによってやよいは、普段は黄泉を意識せずに行動することができる。
そして黄泉は身を隠したまま同行することができるのだ。
そうすれば例え危険人物に襲われるとしても、まずやよいが襲われて、
黄泉はその後から対処することができる。
更に危険人物でない者と接触する場合でも、黄泉と同行しているより、
やよい単独の方が、警戒を抱かれにくいだろう。
そして黄泉はその後から姿を現して接触するなり、隙を突いて催眠術に掛けるなりができる。

即ち黄泉は催眠術と石ころぼうしを駆使して、
やよいを自分の囮であり、いざとなれば自由に指示して動かせる戦力に仕立て上げた訳だ。

黄泉は正義のヒーローに憧れたとやよいに語った。その話に嘘は無い。
しかしやよいが思い描いたヒーローの正義と、黄泉の考えるヒーローの正義には食い違いがあった。

誰とも殺し合うことなく、みんなで協力してバトルロワイアルを打破すると言うのが、
やよいの理想であり、思い描いた正義だった。
しかし黄泉の考えるヒーローの正義は違う。
それはいかなる手段を用いても勝利することである。
そのためには、いかなる犠牲を払っても構わない。

黄泉はかつて御目方教の教祖6thを倒すために、多数の信者に催眠術を掛けて撹乱工作を行い、
そのために多数の死者を出している。
更に無関係な中学生である天野雪輝を巻き込んで死なせることも厭わなかった。

黄泉の正義は悪を討つために、どんな犠牲も厭わない。
『勝利』。唯一それこそが平坂黄泉の『正義』なのだから。

そして黄泉は一度自分の命を落としている。
6thを倒すために爆弾を抱えて特攻を行ったのだ。
正義のためには自分の命を犠牲にするのも厭わない、決死の特攻作戦。
しかし規格外の“異常”である2ndに妨害されて、敗北して死亡した。

その自分が何故今生きているのか? は、黄泉にとってどうでもいい。
黄泉にとって大事なのは命ではなく正義であり、それを行うこと以外に興味は無い。

しかし迂闊な特攻で命を無駄にして敗北したのは事実であり、
そして自分が死ねば正義は行われなくなるだろう。
黄泉は正義のためにあらゆる努力を惜しまない。
従って自らを省みて次に生かすことも惜しまない。
無闇な特攻は敗北を招くと学習した以上、自分の命は最大限守る努力を惜しまないのだ。

やよいを囮や盾にしてでも生き残り、何としても悪である主催者を倒す。
それが黄泉の覚悟だ。

黄泉はボイスレコーダーの音声を聞く。


256 : スーパーヒーロー大戦EX プリキュア×12th ◆wYOF3ar91U :2013/08/29(木) 01:55:48 Ooj08ym.0
そのボイスレコーダーこそ黄泉の所有していて、偶然か必然か黄泉に支給された、
『The radar』+『The searcher』型の未来日記である。
黄泉が行う正義が示される『正義日記』。

正義日記から音声が漏れる。それは、近くのやよいに聞こえることは無い。
黄泉の衣擦れの音が認識されることが無いように、所有物の音も認識されなくなるのだ。

『0時57分。廊下ノ隅ニゴミヲ発見』
「何ッ!? ドコダッ!?」

やよいの傍で研究所の廊下を歩いていた黄泉は、慌ててゴミを探す。
そして隅に落ちていた紙くずを拾うと、ゴミ箱に放り込んだ。

「フー、スッキリダ」

正義が無事執行されて爽やかに息をつく黄泉。
それに気付くことなく、横を通り過ぎて行くやよい。

こうしてヒーローに憧れていた二人の奇妙な同行は始まった。


【A-1/研究所/一日目-深夜】
【黄瀬やよい@スマイルプリキュア!】
 [衣装]:七色ヶ丘中学校制服、黄色のカーディガン
 [状態]:健康、黄泉に催眠術を掛けられている
 [装備]:なし
 [道具]:スマイルパクト@スマイルプリキュア!、基本支給品、ランダム支給品0〜2
 [思考・行動]
  基本方針:殺し合いをしない
  1:プリキュアのみんなを捜す

 [備考]
  ※参戦時期は不明です。
  ※黄泉の催眠術に掛かりました。黄泉の肉眼かマスクの眼を見ると催眠状態に入ります。黄泉の姿が消えればその存在を忘却します。
  ※我妻由乃と雨流みねねの二人の情報を入手しました。(二人の所有する未来日記の情報も入手しました)


【A-1/研究所/一日目-深夜】
【平坂黄泉@未来日記】
 [衣装]:変身タイツ、変身グローブ、変身マスク
 [状態]:健康
 [装備]:石ころぼうし@ドラえもん、正義日記@未来日記
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
 [思考・行動]
  基本方針:正義のヒーローとして主催者に勝利する
  1:やよいと同行する

 [備考]
  ※死亡後からの参戦です。
  ※黄瀬やよいと星空みゆきと日野あかねと緑川なおと青木れいかとジョーカーとウルフルンの情報を入手しました。


257 : ◆wYOF3ar91U :2013/08/29(木) 01:56:36 Ooj08ym.0
投下を終了します。
誤字脱字や矛盾点があれば報告をお願いします。


258 : 名無しさん :2013/08/29(木) 14:01:42 livOQYAg0
投下乙です

やよい、おま、アレをかっこいいとか言うとかw
でもこれならコンビ組めそうと思ったら…なんでこの男は普通にできないんだろうかw
でも危険人物の情報は手に入って囮にされてるけどそれほどひどい状況ではないからまだいいかなあ…


259 : 名無しさん :2013/09/01(日) 23:15:57 XOF6nNJQ0
初めてここを見たが……ボーボボ勢が飛ばしているな


260 : 名無しさん :2013/09/02(月) 18:15:08 MWijxpPw0
特に首領パッチの自由さは異常ww


261 : 名無しさん :2013/09/02(月) 19:31:07 cLcNFCugO
奴らが弾け、いやハジケなかったら誰がハジケるんだ…?


262 : 名無しさん :2013/09/02(月) 22:40:19 /G0xc6YA0
鬼柳


263 : 名無しさん :2013/09/03(火) 23:36:52 pLjnn5lgO
カーズ


264 : ◆wYOF3ar91U :2013/09/04(水) 01:55:58 citaqE8Q0
ケロロ軍曹、日野あかね、ボボボーボ・ボーボボで予約します。


265 : 名無しさん :2013/09/04(水) 08:32:19 E4jSK.xM0
ヤバいことになりそうな悪寒ww


266 : 名無しさん :2013/09/04(水) 15:36:51 25RH019wO
>>264
なんだこの面子は?まるで意味が分からんぞ!?


267 : 名無しさん :2013/09/04(水) 19:29:55 oGbHCkWg0
>>266
二大ギャグ漫画のボケ筆頭だからな
というか、以前の魚雷ガールの予約はまだ有効ですか?
もう一ヶ月くらい経過しているのに、投下がこないのですが……


268 : 名無しさん :2013/09/04(水) 21:01:50 7tugElJc0
あかねちゃんが過労死してまう(主にツッコミで)


269 : 名無しさん :2013/09/05(木) 00:10:35 MOv0LC/I0
遂にボーボボに予約がww


270 : ◆wYOF3ar91U :2013/09/09(月) 00:54:15 QQ3hjOAo0
ケロロ軍曹、日野あかね、ボボボーボ・ボーボボで投下します。


271 : 「鼻毛使い」と書いて「プリキュア」と読ませたい… ◆wYOF3ar91U :2013/09/09(月) 00:55:49 QQ3hjOAo0
「ゲロゲロ! これは敵性宇宙人の仕業でありますか!? おのれ謀ったなキシリア!!
既に冬樹殿の捕虜である我が輩が、この上捕虜になるとは不覚の極み!」

バトルロワイアルに召喚されたケロン軍・軍曹であるケロロは窮地に立たされていた。
それは最後の一人しか生き残れないバトルロワイアルに参加させられた、と言うだけに尽きない。
ケロロはケロン軍の地球(ペコポン)侵略を担当する小隊の隊長を務めている。
その地球侵略の責任者が、敵性種族に捕われて、
しかも持っている装備の尽くを奪われている。
軍法会議に掛けられれば、死刑は免れない状況なのだ。

「……………………て、敵陣への侵入工作成功であります! 我が輩は引き続き、作戦続行するであります!!」

自分の中でとりあえずの問題解決を行ったケロロは、支給されたデイパックの中を改める。
そして取り出したのは一枚の紙片
書き並べられた名前の羅列から、すぐに参加者の名簿だと判った。

「ふ、冬樹殿に夏美殿も捕虜となっているでありますか!? しかも我が小隊員がタママ以外全員参加してるし!!」

名簿に在る名前は、ケロロを驚かせるに充分な物だった。
ケロロたちが居候……もとい捕虜収容されている日向家の二人、冬樹と夏美。
そして自分の小隊を構成する隊員ギロロ伍長、クルル曹長、ドロロ兵長の三人。
自分に近しい者が五人もバトルロワイアルに参加させられている。
その事実を確認したケロロは――――

「――――うんまあ、こいつらが居れば何とでもなるんじゃねーの?」

すっかり安心しきっていた。
ケロロ小隊の機動歩兵ギロロ伍長。
ケロロ小隊の作戦通信参謀クルル曹長。
ケロロ小隊の暗殺兵(アサシン)ドロロ兵長。
幾多の星間戦争で活躍したこの三人が居れば、敵性種族がどれだけ周到な仕掛けをしていようが、
バトルロワイアルからの脱出も容易だろう。
だからケロロは現状にも余裕を持って当たることができた。
それはもう余裕綽々だった。

「そうなると我が輩はすることがないでありますなぁ……作りかけのガンプラ持って来てれば良かったんだけどね〜。
いやいや! 敵陣に侵入しておきながら手ぶらで帰ったら、隊長としての沽券に関わるであります!
ここは一つ、何か地球(ペコポン)侵略に繋がる手柄を立てて隊長としての箔を付けておきたい所でありますなぁ……」
「……か、蛙が喋ってる…………」
「そうそう、蛙が喋るから帰ーえろって……あれ? あらあ!? ゲロッ!! 我が輩が見えているでありますか!!?」

気付かぬ内に地球人の接近を許していたケロロ。
まだ冬樹か夏美と同年代くらいの少女が、ケロロを見て驚いている。
しかし少女がケロロを見ることはできないはずなのだ。

「ア、アンチバリアが効いていないでありますか!?」

少女に見付かったケロロは、慌てて頭に付いている星の模様を回す。
そうすることによって任意の相手以外から姿を隠すことができるのだ。

「よう見たら蛙とは違うなあ……もしかしてキャンディみたいな妖精の仲間なんか?」

しかしどれだけ星を回しても、少女は変わらずケロロを見ている。
ケロロは知らぬことだが、アンチバリアは主催側の施した制限によって使用不能になっていた。

「……でもこいつ侵略がどうとか言ってたし、もしかして悪者ちゃうんか?」
「ゲロッ!!? いやいや、我が輩はちょいと発育過剰でおちゃめなただのカエルであります!
決してガマ星雲第58番惑星宇宙侵攻軍特殊先行工作部隊隊長・ケロロ軍曹とは縁も所縁も無いであります!」
「ほんまに侵略宇宙人かいな!?」
「ど、どこからその情報をリークしたでありますか!?」
「あんたやあんた」

少女の巧みな誘導尋問によって、侵略宇宙人であることが露呈したケロロ。
火急の事態にうろたえるケロロだったが、やがて居直ったように、
不敵な笑いを浮かべる。

「ゲロゲロリ、こうなれば口封じするまでであります! 地球(ペコポン)人の一人や二人、隊長は伊達じゃない!!」

遂にその本性を表したケロロ。
ケロロは不敵な笑みを浮かべながら、じりじりと少女に近付いて行く。
侵略宇宙人に迫られた少女は――――戦いの構えを取った。

「上等や! 宇宙人か何か知らんけど、うちが退治したる」

得体の知れない宇宙人が相手でも、少女は怖気づくことは無かった。


272 : 「鼻毛使い」と書いて「プリキュア」と読ませたい… ◆wYOF3ar91U :2013/09/09(月) 00:56:57 QQ3hjOAo0
何故なら少女は侵略者と戦うことが、これが初めてではない。
少女は人々を脅かすバッドエンド王国と戦う伝説の戦士・プリキュアの一人。
キュアサニーへと変身する少女、日野あかねなのだ。
あかねはプリキュアに変身するためにスマイルパクトを取り出そうとする。

(……あれ、スマイルパクトどこなん!?)

しかしどれだけ懐を探っても、スマイルパクトが見付からない。
このバトルロワイアルにおいてスマイルパクトは、持ち主から一旦取り上げられて、
その後支給品として持ち主に支給される。
従ってあかねのスマイルパクトも、いつも持っていた所にではなく、
デイパックに入れられて、あかねに支給されていた。

(あかん、スマイルパクトが見付からへん!)
「覚悟するであります!」
「ちょ、ちょっと待ってぇな!!」
「待ちなさい!!」
「ゲロッ!!?」

あかねに襲い掛かろうとするケロロ。
そこへ掛かる制止の声。
律儀に止まったケロロは、声の方向を見る。
そこには後光を浴びた人影があった。

「五つの光が導く未来! 輝け! スマイルプリキュア!!」
「え!!? プリキュアが助けに来てくれたん!!?」

プリキュアと聞いて、あかねもまた期待を込めてそちらを見る。
そこには確かに、胸に大きなリボンを飾り、フリルの付いた短いスカートの、
華美な衣装で着飾った、大きなアフロヘアーのサングラスを掛けた三十歳前後の男が居た。

「このプリキュアが来たからにはもう大丈夫だ」
「どこがプリキュアや、どこが!!! おっさんやないかい!!!」

思わず声を上げてツッコミを入れるあかね。
しかし男は構わず、二人に近付いて来る。

「俺は七代目鼻毛真拳伝承者、ボボボーボ・ボーボボ。そして鼻毛真拳を極めし者は鼻毛使い(プリキュア)と呼ばれている」
「呼ばれるかー!! 何人聞き悪いこと言っとんねん!」
「俺が来たからにはもう安心しろ。後は俺が引き受けよう……映画の宣伝を」
「……映画の宣伝?」

全国東映系映画館で

 プリキュア オールスターズ EX
 世界をつなぐ☆鼻毛の絆

大ヒット公開中

「みんな、絶対見に来てくれよな!!」
「見に行くかー!! そんなもん全国公開するか!」
「ペ、地球(ペコポン)人が一人から二人になった所で高が知れているであります!」
「あ、そう言えば宇宙人の相手しとったんや」

ケロロがボーボボに飛び掛る。


273 : 「鼻毛使い」と書いて「プリキュア」と読ませたい… ◆wYOF3ar91U :2013/09/09(月) 00:57:56 QQ3hjOAo0
ボーボボは棒立ちの状態でそれを見ている。
そのボーボボのアフロが、まるでボトルの蓋のごとくに割れ開いた。

「アフロが開いたー!!」

アフロの中には空洞が広がっていた。
そしてその中に居るのは、二匹のリス。

「リス夫さん、このままじゃ殺されるわ! 早く逃げて!」
「駄目だ! ここで僕が逃げたら地球は侵略されてしまう! リス美さんこそ早く逃げるんだ!」
「え? わ、我が輩のことでありますか?」
「アフロの中でリスが喋っとる……」

困惑するケロロとあかねを余所に、リス夫とリス美の会話が続く。

「安心してリス美さん。せっかく静岡の工場に就職することになったんだ、僕はこんな所で死ぬつもりは無いよ!」
「そんな! ここでリス夫さんが死んだら、ガンプラの生産ラインが止まっちゃう!!」
「えぇ!! こ、このリスが静岡の工場でガンプラを生産しているのでありますか!?」

ガンダムのプラモデル。通称ガンプラ。
それはケロロが最も愛する物である。

「そ、そんなガンプラを創っている人……じゃないリスを、我が輩は殺せないであります……」

余りに理不尽な状況に立ち尽くすケロロ。
しかしその隙に、ボーボボは既にケロロ迎撃に動いていた。
その両手足は微動だにせずとも、鼻毛を伸ばしていたのだ。

「鼻毛が伸びとるー!!!」
「鼻毛真拳奥義 鼻毛激烈拳」

ボーボボから伸びた鼻毛が鞭のようにしなり、ケロロを殴打した。

「ゲ、ゲロォ〜!!!」

鼻毛の一撃を受けて宙を舞うケロロ。
その攻撃の速度と威力はプリキュアであるあかねをも驚かせる物だった。

「す、凄い。ほんまに鼻毛真拳なんてあるんや……」
「フッフッフ……ならばこの鼻毛を捕らえてしまえば、その鼻毛真拳は使えないであります!!}

地面に倒れ伏しながら、なおも不敵な笑いを浮かべるケロロ。
その手にはボーボボの鼻毛の先が握られていた。

「そしてこの鼻毛を引っ張って、千切ってやるのさー!!」

乱暴に鼻毛を手繰り寄せるケロロ。
鼻毛は遂にボーボボの鼻から離れた。
そしてその先には『3等』と書かれていた。

「おめでとー! 3等には、ボーボボ人形をプレゼント」

自分を象った人形を差し出すボーボボ。

「胸のボタンを押すと、喋るよ」
『アキナスヲヨメニクワスナ。アキナスヲヨメニクワスナ』
「時折、山田の臭いも放つよ」
「や、山田?」
「鈴木の従兄弟の山田を知らないのか! お前!」
「そ、そんな人形に釣られるケロン軍人ではないであります!」
「え〜! この人形、三体集めればジェットストリームアタックするのに」
「超欲しいでありまーす!!!」

ジェットストリームアタック。
その素敵な響きに完全に釣られたケロロは、ボーボボ人形に飛び掛る。
しかしその眼前に三本の鼻毛が列を作って待ち構えていた。

「そんなに欲しいのならくれてやる……鼻毛真拳奥義 ジェットストリームアタック」

鼻毛の三連撃を受けて先ほどより更に遠くへ吹き飛ばされたケロロ。
宇宙人をすら寄せ付けないボーボボの戦闘力は、
掛け値なく、プリキュアに匹敵する物だ。

「強い……戦い方は完全にふざけてるけど、こんなに強い人がおったんや……」
「鼻毛真拳伝承者の俺が居る限り、地球を侵略することは不可能だ」

決然たる態度で言い放つボーボボ。
そこにはプリキュアであるあかねの目から見ても、強者のみが放つことが出来る風格が有った。


274 : 「鼻毛使い」と書いて「プリキュア」と読ませたい… ◆wYOF3ar91U :2013/09/09(月) 00:58:56 QQ3hjOAo0
確かにボーボボは言動こそ不条理極まりないが、その肉体を見ると鍛え上げられた物だ。
そしてその鋼の肉体を覆うのは、動物の皮をそのまま使った、
まるで古代の奴隷が着たような簡素な衣服。
更に両手首と両足首には、手錠と足錠が嵌められている。
肩から下げられた襷には『ケロン軍歓迎』と書かれている。
その上、背中から掲げられた白旗には『地球全面降伏』と書かれていた。

「侵略されとるー!!!」

ボーボボの身を包んでいたのは、頭のてっぺんから足先まで完全に侵略完了ルック。
あまりに突然の変貌振りに、あかねも動揺を禁じ得ない。
あかねはボーボボの服を触って問い質す。

「って言うか、何時の間に着替えたん?」
「地球人が気安く触るんじゃねー!!」
「きゃあっ! 何するねん!」

あかねの手を乱暴に払い除けるボーボボ。
そしてボーボボは、涙ながらに語る。

「……だってあたし、身も心もケロロ軍曹に侵略されちゃったんだもん」
「だから何時の間に……」
「ゲロゲロリ、さすが我が輩であります。知らない内に一人侵略していたとは」
「ぶ、無事やったんかい……」

再びあかねに迫るケロロ。
そしてケロロと肩を並べてボーボボもあかねに迫る。
あかねは今度こそ、味方の居ない状況に追い詰められていた。

(しまった。ツッコんでる間に逃げればよかった!)
「行けーい、ボーボボ! 地球(ペコポン)人に目に物見せてやるのだ!!」
「イエッサー!!」

プリキュアに変身していないあかねは、ただの中学生に過ぎない。
即ちボーボボが繰り出す鼻毛真拳に対抗し得る手段は持っていないのだ。

「鼻毛真拳奥義 鼻毛革命(レボリューション)」

炸裂するボーボボの鼻毛真拳。
反応すらできないあかね。
鼻毛真拳を喰らったケロロは、今度は空中を錐揉み回転して飛んだ。

「ゲフッ、まさか侵略された振りをして我が輩の油断を誘うとは……我が輩の、負けであります」

自らの敗北を悟り大地に墜落するケロロ。

「……だってあたし、蛙嫌いなんだもん」

涙を流すボーボボ。

「…………あかん、ツッコミ切れへん…………」

最早呆れるしかないあかねだった。





「我が輩の負けである以上、潔く地球(ペコポン)人の軍門に下るであります……」

戦いに敗れ、自分がボーボボに叶わないと悟ったケロロは、
項垂れながらそう言った。
そんなケロロの肩に、ボーボボは手を置く。

「ケロロ、俺とお前は全力で戦って決着を付けた。だから俺とお前は、もう強敵(とも)だ」


275 : 「鼻毛使い」と書いて「プリキュア」と読ませたい… ◆wYOF3ar91U :2013/09/09(月) 00:59:43 QQ3hjOAo0
「ゲロッ、この我が輩を友と呼んでくれるでありますか!?」
「もう、当たり前じゃないのこのお馬鹿さん♥」
「ハハッ、こいつ〜♥」
「「アハハハハハハハ♥」」
「ははは…………まあ何にしても丸く収まった……んかなぁこれ?」

まるで浜辺の恋人同士のように、手を繋ぎ合ってはしゃぎ回るケロロとボーボボ。
話に付いていけないながらも、それを呆れながら見つめるあかね。
しかしあかねは気を取り直して、ケロロとボーボボに話し掛ける。
自分がしっかりしなければ話がまともに進まない。
そんな使命感にも似た思いを、今のあかねは抱いていた。

「それで……お二人はこれから、どうしはるつもりなんですか?」
「俺は毛の自由のために戦う」
「け、毛の自由って言われても……」
「あのキュゥべえからは、毛の自由を弾圧する毛狩り隊と同じ物を感じる。鼻毛真拳継承者として許す訳にはいかん。
このバトルロワイアルを潰して、あのキュゥべえも倒す」
「我が輩も敵性宇宙人の策に嵌って戦うつもりは無いであります! バトルロワイアルを脱出して、日向家に帰還するであります!」

二人の行動方針を聞いて、あかねはとりあえず安堵する。
二人とも殺し合いをするつもりは無い以上、協力はできるからだ。
あかねもまた殺し合うつもりは無い。
色々な意味で不安はあるが、とりあえず二人と同行するのが賢明だと判断した。

「うちは日野あかねって言います。うちもバトルロワイアルから脱出したいし、三人で行動したらどうでしょう?」
「ああ、良いだろう」

快諾するボーボボ。
ケロロとつけものもまた頷く。
こうしてあかねとケロロとボーボボとつけものの四人は同行することとなった。

「ただしつけもの、テメーはダメだ」
「えー! なんでー!?」

しかし突然つけものを拒絶するボーボボ。
それに納得がいかず、つけものは疑問を呈する。
当然だろう。
日本の代表的な箸休めにして、食卓の彩り。
今やごはんには欠かせない存在とさえ言えるつけもの。
そんな自分が省かれるなんて、納得のいくはずが無かった。

「だってお前、参加者じゃないじゃん」

冷酷な事実を突きつけるボーボボ。
しかしその一言で、つけものは全てを悟った。

(そうかおいら、投票で通らなかったもんなあ)

つけものは霧となって消えて行った。

「行くぞケロロ! あかね!」
「了解であります!」
「ちょ、ちょっと待ってえな! 今の手足の生えた喋る漬物なんやったん!? 何で消えたん!? あれはあのままでええの!!?」

余りの不条理な展開に、疑問を呈するあかねだが、
ボーボボとケロロは構わず歩き始める。
何もかも腑に落ちないあかねだが、渋々後を追うことにした。

(あかん、うち一人ではツッコミも間に合わん……はよ、うちの仲間と合流したい……)

こうして世界を異にする三人が同行を開始した。
三人が歩むのは過酷なバトルロワイアル。
あかねはバトルロワイアル以上の不安を抱え歩き始めた。


276 : 「鼻毛使い」と書いて「プリキュア」と読ませたい… ◆wYOF3ar91U :2013/09/09(月) 01:00:31 QQ3hjOAo0
【C-4/山岳地帯/一日目-深夜】
【ボボボーボ・ボーボボ@ボボボーボ・ボーボボ】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:毛の自由のためにバトルロワイアルを潰してキュゥべえを倒す
  1:ケロロとあかねの二人と同行する

 [備考]
  ※参戦時期は不明です。


【C-4/山岳地帯/一日目-深夜】
【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
 [思考・行動]
  基本方針:バトルロワイアルを脱出して、日向家に帰還する
  1:ボーボボとあかねの二人と同行する
  2:同じ小隊及び日向家の者と合流したい
 [備考]
  ※参戦時期は不明です。
  ※アンチバリアは使用不能です。


【C-4/山岳地帯/一日目-深夜】
【日野あかね@スマイルプリキュア!】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:スマイルパクト@スマイルプリキュア!、基本支給品、ランダム支給品0〜2
 [思考・行動]
  基本方針:バトルロワイアルを脱出する
  1:ツッコミ切れん……
  2:はよ仲間と合流したい……
 [備考]
  ※参戦時期は不明です。


277 : ◆wYOF3ar91U :2013/09/09(月) 01:01:54 QQ3hjOAo0
投下を終了します。
誤字脱字や矛盾点など問題があれば報告をお願いします。


278 : 名無しさん :2013/09/09(月) 02:21:24 9M9ohL0A0
投下乙です
なんだコレはwwwボーボボが平常運転過ぎてやばいw
この不条理空間をどうにかできる奴なんているのか?
あかねは安定のツッコミ役でした


279 : 名無しさん :2013/09/09(月) 04:41:43 uepdiOvQ0
書き手さん上手いなーw
久しぶりに笑ったわ


280 : 名無しさん :2013/09/09(月) 05:44:25 OHh3pkwQO
投下乙です。

ボーボボと首領パッチが再会する時このロワで一体何がはじまるのだ?


281 : ◆LL3ffKrOXk :2013/09/09(月) 10:56:31 uILBiFqw0
日向冬樹、マタタビで予約します


282 : 名無しさん :2013/09/09(月) 19:08:17 azJmWDy60
投下乙。
澤井先生、こんなところで何やってんですかww


283 : 名無しさん :2013/09/10(火) 00:23:34 mk.nJFksO
投下乙です

こ れ は ひ ど い(最高の褒め言葉)


284 : ◆LL3ffKrOXk :2013/09/10(火) 06:02:15 0oc88no60
日向冬樹、マタタビで投下します


285 : ネコとカナヅチは使いよう ◆LL3ffKrOXk :2013/09/10(火) 06:03:04 0oc88no60
中学一年生の少年、日向冬樹は中学校を訪れていた。

時間はまだ木々も寝静まる夜であり、決して登校時間などではない。しかし彼――冬樹はそこにいた。
何故ならこれは日常ではなく非日常であるからだ。


いつもの学校生活ではない、殺し合いの舞台に彼は居た。
小学生の時宇宙人と出会い、それ以降日常及び非日常を行き来することになった冬樹ではあるが、殺し合いなど参加したこともない。

今、自分が置かれている状況に困惑しつつも、まず彼が目標とした事。それは姉――『日向夏美』。そして"友達"であるカエル型宇宙人『ケロロ軍曹』と再会、合流する事だった。

そもそも何故冬樹が中学校にいるのか。
それはただ、元々冬樹が送られた所が中学校に近い場所であり、行動の際 "それ" を発見したという単純明快なものである。

――もしかしたら。

もしかしたら、自分の捜している人物がそこにいるかもしれない。
そう考えた結果が現在の日向冬樹なのではあるが。
詰まる所、行動の中途発見した見ず知らずの学校に、ケロロ軍曹や日向夏美。他のケロロ小隊の面々がいるかもしれないと考えた訳である。


286 : ネコとカナヅチは使いよう ◆LL3ffKrOXk :2013/09/10(火) 06:03:54 0oc88no60


「ここには誰もいない……か」

当人である冬樹は現在、中学校の2階廊下にいた。
基本支給品である懐中電灯片手に、校内の探索を、知人の捜索をしていた。

「軍曹……軍曹の事だからたぶん大丈夫だと思うけど、やっぱり心配だな。
 幸い伍長、クルル、ドロロもいるのはあの三人ならそう簡単にはやられないと思うしね。なんでタママだけいないのかは分からないけど……」

冬樹は名簿を見ながらそう呟く。
身内同然であり友達である侵略者の事を呟いてはいるが、矢張り一番心配なのは自分の姉である日向夏美もこの殺し合いに参加していることであった。

夏美は、こういう事には黙ってはいられない人間である事を弟である自分が一番知っている。
積極的に殺し合いに参加している参加者に突っ込んで、そのまま御陀仏――などという事もあるかもしれない。
もしかしたら、またケロロの仕業と勘繰って怒りを露わにしているのかもしれないし、以外と冷静に物事を整理しているのかもしれないが、それでも冬樹は自分の姉であり家族である夏美の事が心配だった。
だからこそ、冬樹はケロロ軍曹または日向夏美との合流を考えていた。


「夜の学校にはオバケが出るっていうのはよくある怪談話だけど、今思うと本当にいる気がするよ……あはは……」

冬樹は自分の家に棲みついている侵略者や幽霊の少女を思い浮かべながら乾いた笑いを漏らす。
そんな事を口にしながら3階に向かった冬樹は、暗い渡り廊下にぼんやりと影が映っているの気がついた。


「あれっ。あそこに誰かいるのかな……?」

注意を図りながら、冬樹は渡り廊下に潜む影に懐中電灯の灯りを頼りにしながら近づく。
そこには――おそらく支給品であろうディパックを小さい体で器用に運んでいるトラ猫がいた。
ディパックを所持しているということは参加者なのだろう。


287 : ネコとカナヅチは使いよう ◆LL3ffKrOXk :2013/09/10(火) 06:05:03 0oc88no60
だがしかし、冬樹はそこであるひとつの疑問を持つ。

「ネコも参加者だなんて……」

ネコが殺し合いに参加させられていることも驚きではあるが、何よりも驚くことがあった。

そのネコは、二足歩行で立っているのだ。さらにディパックまで持ちながら。
そして何故か赤いマントを装備しているのだった。

「ネコが、立ってる……しかも歩いてる!」
「誰だッ!?」

冬樹の声を聞き、その存在に気づいたトラ猫は振り向き、ディパックを構える。
片目はアイパッチをしており、顔にもいくつか傷が点在していた。
その明らかに異様な容貌をしているネコは、かなり警戒している様子だった。

「ネコが喋ってる! 二足で立って歩いてる!
 これは世紀の大発見だよ!」
「……は?」



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「ごめんごめん。驚かすつもりはなかったんだけど……
 僕は吉祥学園一年の日向冬樹。よろしくね」
「拙者の名はマタタビと申す」

お互い挨拶を交わした一人と一匹は、とりあえず話をということで3階教室の中に向かった。

「マタタビも参加者なんだよね?」
「……そうみたいだな。袋の中に入っていた名簿にも名前が記載されていた。
 拙者は殺し合いに乗る気はないがな。目的はキッドと決着をつけることぐらいか……
 まあキッドとも殺し合いをする気までは……ないが。たぶん」

教室に向かう途中で、しばしの話をする冬樹とマタタビ。
中学生の少年と赤いマントを羽織ったトラ猫が並んで歩いている姿は、滑稽であったに違いない。

「キッドって?」
「拙者の永遠の宿敵の名だ。アイツとはいつか決着をつけねばならない」
「名簿にはキッドって名前はなかったみたいなんだけど、ここにはいないの?」
「ヤツは、キッドはいつの間にか何故かクロと名を変えていた。
 その名が名簿に乗っている以上、キッドもこの殺し合いに参加していると見て間違いないだろう」
「マタタビっていつから立ったり喋れったりしてるの?」
「ニンゲンの言葉は時代劇というもので覚えた。立って歩いてるのは……いつの間にかだな……きっかけはあるんだろうが」
「それを考えると猫又というわけじゃないのかな……それでも歴史上において立って喋れる猫が実在した事は大発見ではあるんだけど……」
「いつまでブツブツ言ってる。着いたぞ」
「あっ、ごめん」


288 : ネコとカナヅチは使いよう ◆LL3ffKrOXk :2013/09/10(火) 06:06:04 0oc88no60



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



教室に着いた二人はとりあえず情報の交換をすることにした。

冬樹は自分の家に侵略者の宇宙人がやってきたこと。ひとつ上の姉がいること。その姉と侵略者が殺し合いに参加させられていることを。
マタタビはキッド、もといクロとの因縁、そして彼がサイボーグになっていたこと。彼をサイボーグにした科学者及びその隣にいつもいる機械猫が殺し合いに参加者させられていることを話した。


「サイボーグかぁ……地球にそんな技術力を持った人がいたなんて知らなかったよ」
「拙者は宇宙人という存在がいたことに驚いた。まあキッドも宇宙人に会ったことはあるらしいがな」
「そういえば、マタタビの支給品はなんだったの?
 僕は手袋一式と……ナイフだね。危険だからナイフは仕舞っておくよ」
「確かに拙者もまだ武器は確認していなかったな。『すてるすブーメラン』があれば大分違うんだけどな……
 すてるすブーメランでなくともチェーンソーでも刀でもあればいいが……」

そう呟きながらマタタビはディパックを漁り始める。
まず出てきたのは石で出来ている奇妙な仮面だった。

「なんだこりゃ」
「仮面……みたいだね」
「チッ、こんなもの武器にもなりやしねえ。次」

しかしこれ以上、中を弄っても反応はなかった。
否、まだ何か反応がある。
何やらごつごつとした、鉄のような感触がマタタビの肉球を伝わる。
"それ"を握り、マタタビはそのまま思い切り引っ張る。

「……あ? なんだこりゃ」

マタタビの手に握られていたそれは、太くて歪な石の棒のような、ごつごつとした何かであった。
炎が波打ったような形状をしており、柄の中央には穴が空いている。

「ぐっ……何だこれは……ッ
 とてつもなく重い!」

そのままマタタビは重さに耐えきれずその石のカタマリを手放す。
するとそれは、物凄い勢いで落下し、激しい音を立てながら木製の床を突き破り下階へと落下していった。

このディパックの中は四次元式になっており、質量も重量も関係なく色々なものが収納できる代物である。
故に、ディパックから外に出すまでは常にディパックは一定の重量を維持し、出した瞬間支給品の重さが発現される仕組みとなっていると推測できる。
つまり、それがディパックの中に入っていた時はそのとてつもない重さはなりを潜めていたが、ディパック外に出したためその異常なまでの重量がそのまま解放された。という事であろう。
とにかく、床を突き破り猛烈に落下して行った石のカタマリは、1階の床にめり込んだ。


289 : ネコとカナヅチは使いよう ◆LL3ffKrOXk :2013/09/10(火) 06:07:07 0oc88no60

「大丈夫、マタタビ!?」
「なんて重さだ。床を突き破っていきやがった……」
「とにかく一階へ行ってみよう」


彼らが一階に向かっている内に、鉄のカタマリについての説明をしておこう。
マタタビに支給されたとてつもなく重い石のカタマリ。銘を『双刀・鎚(カナヅチ)』と云う。
刀鍛冶、四季崎記紀の手によって造られた十二本ある完成形変体刀のひとつ。
その刀は「重さ」を主眼として置かれており、まさに『とてつもない質量のカタマリ』である。それだけに破壊力は凄まじいが重さも凄まじく、それを扱えるだけの怪力の持ち主でないと字の通り扱えない代物であった。
そして鎚は鞘や鍔などの刀にあるべきものが何もなく、上下の区別ですら曖昧であり、どちらも柄と呼ばれるものと呼べるだろう。だからこそ、この刀は双刀と呼ばれているのだが。


「うわっ、地面に突き刺さっちゃってるよ」
「どうやら回収は無理そうだな」

そしてその双刀は床に突き刺さっている。
冬樹は勿論、マタタビもこの石刀を持ち上げる事さえままならない。
このまま二人は鎚を突き刺さっているままにしておく事しかできなかった。
――支給品がこれだけならの話だが。

「仕方ない。これは諦めるぞ」
「誰かに頼んで持ってもらうっていうのは?」
「敵に武器をやってどうする」
「あ、そうか……」
「そういえば、ディパックにこの武器の説明書が入っていた。双刀・鎚というらしい」

彼らは無機質なパソコン字で記載されている説明書を確認する。
説明書と言っても、基本的な説明がおざなりに載っているだけなのではあるが。

「四季崎記紀……すごい人なんだね。
 これ以外にも十一本の刀があるみたいだけど、これ以外も支給品になってるのかな?」
「恐らくな。ただこの刀は何か異様な雰囲気を感じるのが気になる」
「そういえば、僕の支給品の説明書も確認したんだけど、ナイフの方はただのサバイバルナイフみたい。
 でね、手袋のほうなんだけど、凄いパワーが出せるスーパー手ぶくろっていうものみたいなんだ」
「なに?」

スーパー手ぶくろの説明書には確かに怪力が発揮できると書かれている。力だけでなく、筋力や筋持久力も上昇するらしい。
ただし、従来のパワーは出せないように調整してあるようだが。

「これを使えば鎚を持ち運べるかもしれないね。ちょっと僕やってみる」
「持ち上がらなかったら拙者が一度やってみる。
 それでも駄目なら仕方ないが諦めるしかないか……」
「せーのっ、それっ!」

ヒョイッ。
擬音にするならそんな感じであろう。
それはいとも簡単にあっさりと持ち上がった。地面にめり込んでいたのが嘘かのように。


290 : ネコとカナヅチは使いよう ◆LL3ffKrOXk :2013/09/10(火) 06:08:10 0oc88no60

「やった!」
「ほぇー、すげーな」
「ただ手袋を着けてても結構重いんだよね……
 僕腕力無いし、手袋も本来の能力じゃないみたいだから仕方ないのかな……えへへ」



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「それじゃあ僕はみんなをまた捜すよ。マタタビはこれからどうするの?」
「拙者は殺し合いなどには興味がないからな。自由にやらせてもらうさ」
「それなら僕と一緒に行くってのはどうかな?
 単独でより複数人で行動したほうが効率がいいと思うんだけど……」
「断る」

冬樹の提案。それに対するマタタビの返答はあまりにもそっけないものだった。

「拙者は他人に縛られるほどぬるま湯に浸かってはいねえ。
 それに貴様は結局のところただの他人だ。そう簡単に信用はできねえよ。これは殺し合いだぞ?
 軽々しく信用してアッサリくたばったとなりゃあオスネコの名が廃るってもんだ。
 もし百万歩譲って同行したとしよう。もしその時拙者がキッドに出くわした時、貴様がいると足手まといにしかならなさそうだからな……」
「じゃあ交換条件をつけるよ。僕の武器と交換でどう?
 スーパー手ぶくろとサバイバルナイフ。どの道これがないと鎚が使えないでしょ?」
「クク……物で釣ろうなど甘い。拙者はそんな物には……」

刹那――――マタタビはある重大な事に気がついた。


(食糧が無い……!)


実はこのネコ、冬樹と出会う前、空腹に負け既に支給された食糧を食い尽くしていたのである。

食い物がなければ倒れてしまう。
以前もドクター剛達に発見されなければ餓死していただろう。
食糧なら確保すればいい。がしかし、生物や果実があるかどうかも分からない。ここははっきり言ってしまえば未知の境地なのだから。


「……いいだろう。この殺し合いの間だけは同行してやるか」
「マタタビ……」

だから、このトラ猫、マタタビが取った手段。それは――

「ただし条件が三つある。まず足手まといにはなるな。次にその手袋は拙者に渡せ。そして……」
「そして……?」

静寂が一瞬、一瞬だけ二人。もとい一人と一匹を包む。


「貴様の食糧を半分くれっ」
「うん、いいよ!」

こうして二人は同行することとなった。
一匹は成り行きで。一人は大切な人を探すために――


291 : ネコとカナヅチは使いよう ◆LL3ffKrOXk :2013/09/10(火) 06:09:54 0oc88no60



「おっと、そういや忘れてた」

と、学校を出発しようとした瞬間、
何か思いあたったようにマタタビが、立ち止まる。

「えっ、何を?」
「床の修理だよ。あの鎚とかいうヘンな刀のせいで壊れちまってんだろうが。
 工具かなんか持ってねえか?」
「工具なら……技術室かな?」
「おっし、じゃあ早速行くぞ」
「えっ、出発しないの?」
「んなもん後回しだ。穴ぼこ放っとくほうがタチ悪りぃだろうが。
 床三枚ぐらいすぐ終わる。終わったらすぐにここを出るぞ」
「う、うん」

……彼らの出発はまだ先になりそうだ。


292 : ネコとカナヅチは使いよう ◆LL3ffKrOXk :2013/09/10(火) 06:10:44 0oc88no60




【E-8/中学校/一日目-深夜】
【日向冬樹@ケロロ軍曹】
 [状態]:吉祥学園の制服(ブレザー)
 [状態]:健康
 [装備]:
 [道具]:基本支給品一式、スーパー手ぶくろ@ドラえもん、サバイバルナイフ
 [思考・行動]
  基本方針:まずはみんなと合流することを優先
  0:マタタビに食糧とスーパー手ぶくろを渡さなくちゃ
  1:姉ちゃんやケロロ小隊のみんなを捜す
  2:工具を探しに技術室まで行く
  3:マタタビの事をもっと知りたい
  4:できればキッド(クロ)やドクター剛にも会いたい
 [備考]
 ※参戦時期は不明です。
 ※マタタビと情報を交換しました。
 ※冬樹はクロの名前をキッドとして認識しています。

【マタタビ@サイボーグクロちゃん】
 [衣装]:アイパッチ、マント
 [状態]:健康
 [装備]:
 [道具]:基本支給品一式(飲料含む食糧全消費)、双刀・鎚@刀語、石仮面@ジョジョの奇妙な冒険
 [思考・行動]
  基本方針:あわよくば、この機にキッド(クロ)と決着をつける
  1:まずは床を直すか
  2:とりあえず冬樹と同行
 [備考]
 ※参戦時期は少なくとも54話以降です。
 ※日向冬樹と情報を交換しました。




【スーパー手ぶくろ@ドラえもん】
日向冬樹に支給。
ゴム手袋を象った道具。これをはめることで怪力を発揮できるようになる。
腕だけじゃなく、全身の筋力や持久力なども上がる。
ロワでは制限調整により怪力が弱体化している。

【サバイバルナイフ@現実】
日向冬樹に支給。
折りたたみ機構を持たず、保管時に刃を鞘に収めて保護する構造であるシースナイフの一種。
刃が暑く頑丈で、大型であるのが特徴。
サバイバルナイフを目的として造られているため、鉈として、武器として、はたまた用具入れなどとして、何でもござれである。
ただし構造上の問題で、他のナイフより壊れやすいのが欠点。

【双刀・鎚@刀語】
マタタビに支給。
炎が波打ったような刀身にに二又に分かれて中央に穴が開いた柄、柄頭に平べったいモーニングスターが取り付けられた形状の刃渡り二尺三寸ほど、鞘も鍔も刃文もなく、上下の区別もあいまいな石刀。
「重さ」に主眼が置かれており、軽く投げ重力に任せて落としただけで硬い地面にめり込むほど重い。
否定姫曰く「すさまじい質量のかたまりであり、持ち上げることさえ満足に敵わない刀」とのこと。

【石仮面@ジョジョの奇妙な冒険】
マタタビに支給。
アステカ文明で使用されたとされる石製の仮面。
長い歳月を経てジョースター夫妻により骨董屋で掘り出される。
縄状の装飾や犬歯の伸びた口元など見るからに異様な雰囲気を漂わせている。
実は、骨針が頭蓋骨ごと脳を貫きエネルギーを注入することで、脳の未使用領域を活性化させ、吸血鬼化させてしまう恐るべき仮面。
使用方法は、石仮面を装着したあと石仮面に血液を付着させるだけである。


293 : ◆LL3ffKrOXk :2013/09/10(火) 06:11:44 0oc88no60
投下を終了します
誤字脱字矛盾点などありましたらご報告お願いします


294 : 名無しさん :2013/09/10(火) 10:34:29 2nJcrluA0
投下乙です
こんな状況でも冬樹は冬樹だな
…と思ったら危険な支給品が


295 : 名無しさん :2013/09/10(火) 22:36:08 tqzn5grs0
ksk住民として、冬樹君がいっぱいしゃべり動きまわるのを見たらなんだか泣けてきました。
よかったね、冬樹君!


296 : ◆M3ZabKCP7w :2013/09/10(火) 22:57:44 rQBQ5fwM0
鑢七花 日向夏美で予約します


297 : 名無しさん :2013/09/11(水) 01:15:15 xdU/ztVg0
投下乙です

冬樹が生きてるだけで凄いなあw
そして支給品はwww


298 : 名無しさん :2013/09/11(水) 06:38:42 ISEWQQ5Q0
投下乙です

冬樹はロワでもマイペースだなぁ
マタタビとも上手くコンビを組めたし、と思ったら石仮面がw


299 : 名無しさん :2013/09/11(水) 10:07:53 t7Rjkc.c0
石仮面による吸血鬼化は性格が変わらないから何とかなるんじゃないかなぁ…
違ったっけ?


300 : ◆6KlURINYHo :2013/09/11(水) 21:57:24 tUlxzANw0
面白そうなので参加してみます。
鹿目まどか、ウルフルン、ディオ・ブランドーで予約します。


301 : ◆M3ZabKCP7w :2013/09/14(土) 19:26:42 22bZKGU20
投下します


302 : ◆M3ZabKCP7w :2013/09/14(土) 19:28:46 22bZKGU20
 「本当……何なのこれ」

 少女が一人、暗く人気の無い洋館の前で座り込んでいた。

 「最後の一人になるまで脱出不可能……」

 謎のナマモノ、きゅうべぇの言っていた言葉を反芻しながらその少女、日向夏美はノロノロとデイバックの中身を漁っていた。

 「本当に言ってたものはそろってるわね……」

 デイバックに入っていたのは、食料、水、地図、名簿、ルールブック、筆記用具、照明器具そして、

 「刀かぁ」

 武器である。
 その漆黒の刀を見ながら、夏美はきゅうべぇが言っていた言葉が嘘や冗談ではなく真実、現実であると感じ始めていた。最後の一人になるまで続く殺し合いの場にいると。
 そう感じた瞬間夏美はとっさに自分の肩尾抱き身震いした。

 「っ! ……ふん!」

 バチーンと大きな音が響いた。夏見が自分のほほを叩いた音である。夏美は恐怖に負けそうな己に気合を入れたのだ。そして荷物の確認を再開し、参加者名簿に目線を移した。
 その名簿を手に取った夏美は息を呑んだ。この名簿にどんな名前が書かれているか、最悪を考えてしまっているのだ。時間をかけてゆっくりと名簿を開き、

 「そ、そんな!」

 その名前を目にしてしまった。
 日向冬樹、夏美の弟である。夏美の偏見ではあるが到底この場で最後前生き残れそうに無い人物、と同時になんやかんやと生き残れそうな人物でもあった。

 「で、ボケガエルどももここにいるのか」

 そして弟以外にも見知った名前が有り若干安堵の表情に変わった。そしてそいつらはこんな状況でも勝手に騒ぎを起こしながらも生き残れそうな名前ばかりであるのも夏美にはプラスに働いた。
 一通り名前の確認を終えた夏美は名簿をポケットにしまいながらどう動くかを考え出した。

 「(まずこんな殺し合いに乗る訳にはいかない。でも脱出? きゅうべぇとか言ったあの生き物は無駄だって……でもそそれしかない。そうするしかないじゃん!)」

 いつの間にか腕を組んで考えていた夏美は簡単に結論をまとめたがありきたりなことしか考えれない。

 「もー! とりあえず冬樹たちと合流! 後のことはそれから!」


303 : ◆M3ZabKCP7w :2013/09/14(土) 19:29:24 22bZKGU20
細かいことは放り投げて夏美は行動するための準備を整えだした。
 荷物をデイバックにまとめて突っ込み、護身用に武器である刀を腰に下げた。

 「とりあえず最初は……警察署かな? こんな森の中じゃろくなものがなさそうだし」

 そう言いながら夏美は目の前の洋館、ジョースター邸の探索は放棄した。深夜に明かりの無い洋館の探索などする気には早々ならないだろうし仕方が無い。
 呟きながら夏美は森の中へ向かっていくと、木々の間の闇の中に一人の男が立っていた。

 「あんたの持ってるその刀、俺に渡してくれないか」






◇  ◇  ◇






 「何でこんなことになっちまってんだ」

 一人の男が呆然と森の中に立っていた。
 その男はどのような場であっても目立つ服装をしていた。
 血染めの服。
 勿論自分の流した血ではないだが返り血ともいいがたい。それはその服の本来の持ち主の血が染み込んだものであるからだ。
 そんな物騒な服を好んで着るものは普通いない。しかも女物であるならばなおさらであるのだから。
 男の名は鑢七花、刀を使わない剣術虚刀流の七代目当主である。
 そして目的のためにある場所に向かっているさなかにこのゲームに参加させられたのだ。殺し合いのゲームに。

 「ハア……面ど、……いや、面倒だ」

 一度言いかけた言葉を言いなおしながら何をどうしようかと考え出した。だが纏まりはしない。色々なことが起きすぎているために上手く頭が働かなくなっているのだ。ただその場に立ち尽くしながら、

 「……人の、女の声か」


304 : ◆M3ZabKCP7w :2013/09/14(土) 19:30:41 22bZKGU20
 離れたところから女の声が聞こえてきた。
 その女の声に七花はつい少し前に死に別れたとがめのことを思い出し、身一つで、全速力で声の聞こえたほうに向かった。声が聞こえたのは一度だけ。何故か大きな声を出したのだろう、今は聞こえない。
 そして七花は大きな洋館、ジョースター邸の見える位置まで近づき、少女を見つけた。
 とがめとは似ても似つかないその少女を見て七花は若干落胆したがそれも当たり前と気を取り直した。
 ハアとため息をつきながら、ふと自分が荷物を置いてきてしまっているのに気がついた。自分に呆れながらも再び少女に目をやり、腰に下げる刀に気がついた。

 完成形変態刀が一つ斬刀・鈍

 少女が腰に下げているのがそれであると七花は分かった。理解した。
 とがめと共に収集した最初の刀であり、とがめが死ぬことになった遠因とも言えなくもない、と言える刀である。
 そして七花にあらゆる負の感情が渦巻いた。そしてそれに流されるまま、

 「あんたの持ってるその刀、俺に渡してくれないか」

 そう少女に語りかけていた。
 突然見知らぬ男に語りかけられたことでその少女、日向夏美は咄嗟に刀を抜いて七花に向き直った。

 「あなたは誰!?」

 当然の質問である。夏美は七花に刃を向けたときに僅かに恐怖し震えたがそれでも気丈に相対していた。

「オレの名は鑢七花、虚刀流七代目当主だ。で、その刀を渡して欲しいんだけど」

 七花は僅かに焦りと苛立ちを滲ませながらも落ち着かせて夏美に話し続ける。その原因は八つ当たり、目の前の刀のことを考えるとどうしても感情がやや先走ってしまうようだ。
 しかし、その焦りや苛立ちが殺気となって夏美に届いてしまっていた。
 そしてそれに気づいた。気づいてしまった夏美は負けることなく、目の前の男を危険人物と判断し覚悟を決めて刃を向けた。
 七花もその空気に気づき構えを取る。虚刀流二の構え・水仙。
 七花が構えをとったことで夏美は焦りを覚えた。

 『……』

 しばらく沈黙が続いたが、突然それを破り七花が動き出した。あまりにも急であまりにも早い動きであったが、夏美もそれに負けず早い動きである。互いにほぼ同時に向かっていった。
 夏美は刃を返し峰打ちで七花を無力化としようとしたが、

 「虚刀流・牡丹!」

 七花の攻撃を止められなかった。そしてそれどころか


305 : ◆M3ZabKCP7w :2013/09/14(土) 19:32:22 22bZKGU20
 「嘘!?」

 刀がガラスのようにあっけなく砕け散ったのだ。
 信じられないと言った驚愕の表情を夏美は浮かべてしばし呆然とした。
 だが七花は止まらない。

 「え?」

 気がつくと夏美は七花に胸を貫かれていた。

 「虚刀流・蒲公英」

 その声を聞いて夏美は数瞬遅れて今の状態を理解した。

 「……イヤ」

 血と共にその言葉を吐き出し、日向夏美はそのまま力なくうつ伏せに崩れ落ち、二度と動かなかった。
 七花は砕け散った斬刀に視線を向け、

 「一本目」

 自然と、何の気なしに呟いた。
 そして七花はこれからの自分の行動について考え出した。
 この殺し合いの場に完成形変体刀がばら撒かれている。ならば自分は何をしたいのか。そして今何をしたのか。

 「これは八つ当たりだな」

 全ての完成形変体刀の破壊。それが今七花に浮かんだこれから自分が行うことである。それをやりきるまでは生きてその後のことはその後で考えようと決めた。
 自らの行動を決定し、次に考えたのは、

 「そういえば荷物は森の中に置いてきちまったな」

 この殺し合いの場で必要なものが入ったデイバックのことについてであった。

 「探しに行っても見つかりそうにないし、この娘のやつでいいか」

 七花はとりあえず自分が殺した少女の物を使うことにした。道具は一つ減っているがそれは自分では使えない刀であるがゆえに気にする必要は無いとして七花はその荷物を持って適当に歩き出した。



【日向夏美@ケロロ軍曹   死亡】


306 : ◆M3ZabKCP7w :2013/09/14(土) 19:33:29 22bZKGU20
【B-7/ジョースター邸付近/一日目-深夜】

【鑢七花@刀語】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品(名簿無し)、ランダム支給品0〜2
 [思考・行動]
  基本方針:完成形変体刀の破壊
  1:完成形変体刀についての情報を得る
  2:邪魔する者は殺害も辞さない
 [備考]
  ※尾張城へ攻め入る直前からの参戦

  ※鑢七花の支給品はB-7の森のどこかに落ちています


307 : ◆M3ZabKCP7w :2013/09/14(土) 19:34:15 22bZKGU20
以上で投下を終わります


308 : ◆M3ZabKCP7w :2013/09/14(土) 19:35:51 22bZKGU20
題名を忘れていました
未完了形変体刀・七つ花
といたします


309 : 名無しさん :2013/09/14(土) 20:56:20 d6rnB/xU0
投下乙ー
夏美…まさか支給品が理由で殺されるとは不憫な
七花は一番話の通じない完了系からの参戦か


310 : 名無しさん :2013/09/15(日) 01:36:06 QkddP6kU0
投下乙です

夏美……理不尽な死に方をしちゃったなあ……
七花のこれからの動向も気になります


311 : ◆6KlURINYHo :2013/09/15(日) 09:49:30 geBzQycA0
投稿します
題名は「月光に輝く2つの牙」です


312 : ◆6KlURINYHo :2013/09/15(日) 09:51:03 geBzQycA0
「ウルッフッフフ…!」
満月の夜空の下、深い森の中で吠える一匹の狼がいた。
その狼の名はウルフルン。絶望の世界バッドエンド王国の住民であり、全世界をバッドエンドに染め悪の皇帝ピエーロを復活させる野望を内に秘めている。

「要は、一人になるまで殺し合えってことだろ。最高のバッドエンドじゃねぇか…」
殺し合い、すなわち死と恐怖と絶望が飛び交う世界。そしてそれらを支配するのは邪悪な心を持つ者のみ。これこそピエーロ様が望むものだろう。
「面白れぇ!ここでピエーロ様を復活させりゃ、世界はあっという間に絶望に染まるぜ!」
キュゥべえとかいう猫が宇宙やら世界やら言っていたが、そんなものは知ったことじゃねぇ。ピエーロ様が復活さえすれば、こんな空間なぞキュゥべえごと乗っ取ってバッドエンド空間に変えてやる。

「さぁて。そうとなりゃ、早速バッドエナジーを回収しに行くか」
狼の『狩り』はここから始まる…。



◆ ◆ ◆



「はあぁ、はぁっ…」
鹿目まどかは逃げた。ひたすら逃げた。
かつての先輩が、正義感にあふれた魔法少女が何故か自分を殺そうとした。その現実からまどかはひたすら逃げていた。
(どうして…どうしてなの…、マミさん……!)
心の中で思うだけで声すらあげる余裕もないまま、頭の中でそう考えていた。



しばらくして落ち着いてきた(実際は全く落ち着いていないが)まどかは、周囲を見渡すと目の前にそびえたつ館に目が行った。
地図でいうとB-7のエリア内にあるジョースター邸。それは、参加者の一人であるジョナサン・ショースターの生まれの家であり、彼はそこで育ってきた。父と、複数の召使いと、そして『彼』と。

ずっと鬱蒼な森の中にいるのも嫌だったからか、まどかはふらりと館前の中庭へと歩んでいく。
すると、そこには……
「君は何をしている?」
「!!?」
突然声をかけられたまどかは、心臓が跳ね上がるような感覚を覚えながら声のあった方向く。が、
「……?」
誰もいない。
声からして大人の男性のようだが、それらしき姿は何処にもない。
だが、気のせいとも思えない。そう思い、更に周囲を見渡すと

「ここだ。わたしはここにいる」
「え………っっっ!???」
まどかは見た。そして、声にもならない悲鳴をあげた。
声が誰の者かは分かった。それはいい。ただ、その正体が悲鳴をあげる原因となった。
「いやあああぁぁぁぁ!?なっ、生首〜〜〜〜っっっ!!」
そう。その声の正体は金髪の男の生首であり、それがまどかに声をかけてきたのだ。
これはむしろ驚かないほうがおかしいということだ。





「少し、落ち着いたかね?」
「あ…少し、ですけど」
まどかは今、首だけの男が入っているガラス容器を抱えながらジョースター邸の中を歩いている。
「でも、ほんとうにほんの少しで…ごめんなさい」
「いや、それで十分だ。こんな姿のわたしにもこうやって接してくれているのだからな。
 君は強い子だ」
実はこの男はジョナサンとともにこの館で育った身であり、名をディオ・ブランドーという。
館の主であるジョージ・ジョースターによる教育を受けたジョナサンが立派な紳士に育ったように、彼と共に暮らしたディオもまた、紳士としての振る舞いを身に着けている。
そのため、こうやって女性を落ち着かせることなど造作もないことだ。


313 : ◆6KlURINYHo :2013/09/15(日) 09:53:20 geBzQycA0
そして、まどかはディオに自身に起きた出来事を話す。自分のこと、友人のこと、魔法少女のこと、そして、全身に浴びているその血のことも。
「そうか、辛い想いをしたようだね。可哀想に」
「でも、ディオさんも首だけになって。辛いですよね?」
「いや、わたしのことはいい。そうなるべき『運命』だったのだからな」
「運命…?」
首だけにされることが運命?何故こんな姿にされたのか?そもそも首だけの状態でどうやって生きているのか?
まどかはディオに関する様々な事情を疑問に思った。

「内部の案内は以上だ。後は浴びた血を洗い落としたり血濡れの服を着替えたり、君の好きにするといい」
まどかが考えていると、それを中断させるかのようにディオから声がかかる。
確かに全身に浴びた血は気持ち悪いし、服も血濡れのままでは怪しく見えるだろう。
「あ、はい…。でも、ディオさんは?」
「わたしは『この場所』に置いたままでいい。日差しが当たらぬかつ見渡しがいい場所にな」
「…?えっと、じゃあお言葉に甘えさせていただきます」
場所にこだわる意味がよく分からないが、自分の家のことだし特に深い意味はないだろう。
それにここは館に入ってすぐにあるロビーのようで、確かに見渡しはいい。窓から射す月光により夜中にも関わらず薄明るい。

まどかはその『場所』にディオを置いて、自分の用事を済ませにいく。
その前に何気なく足元を見ると、靴ひもがほどけていることに気付く。
まどかは靴ひもを整えるためにしゃがんだ、その時だった。


ヒュン ――――――

「えっ?」
まどかの頭上で空を切るような感触がした。

ドスッ!!

それと同時に、奥の壁に血管らしきものが刺さる瞬間を見た。

「あの、ディオさ……」
方角からしてディオがいる真後ろ。
恐る恐る後ろを振り向くと―――
「チッ、運よく避けたか。俺をここまで運んだ恩に報い、苦しませずに殺してやろうと思ったが」
なんと、首だけのはずのディオは、首元から一本の血管を伸ばし、それをまどかに向けて飛ばしたのだ。
「え…え……?」
ディオの突然の攻撃に呆然とするまどかだが、ディオは構わずに説明を続ける。
「冥土の土産に教えてやろう。俺は石仮面を被り、人間をやめて不死身の吸血鬼になった身だ。
 太陽の光と波紋というものに弱いのが欠点だが、それ以外においてはあらゆる生物を上回る究極の生命体なのだ!
 故に、こうして首だけでも生きていける。貴様ら人間ごときでは到底なし得ないことなのだ!」

ディオは目を光らせ、鋭い牙を見せ、邪悪な笑みを浮かべる。
この男は危険だ。と、まどかは悟った。
「―――っ!」
脳が逃げろという信号を発する前に、もはや条件反射的にディオから逃げ出すまどか。
だが、それを見逃すほどディオは甘くない。
「無駄だッ!小娘ごときがこのディオから逃れられると思うなッ!!」
ディオは数本の血管をまどかに向けて飛ばす。
血管の一本が彼女の足にからみつき、その拍子に転んでしまう。そして、残りの血管も残りの腕と足を拘束する。
「いや―――いや……っ!」
ディオから発せられる明らかな殺気に、マミに銃口を向けられた時以上の恐怖を感じる。
さらに、彼女のときと違い今度は手足を拘束され身動きすら取れない状況。


314 : ◆6KlURINYHo :2013/09/15(日) 09:57:11 geBzQycA0
「己の不運を呪うのだな。出会った相手がジョジョであれば、奴は貴様のような小娘を全力で守るだろうが……まぁ、死にゆく貴様には関係のないことだ」
絶体絶命。今度こそ、この悪意を持った男に殺される。
「無駄話は終わりだ。せめて痛みを知らず安らかに死ぬがよい!」
鋭い血管がまどかに向けられる。ああ、あれに貫かれて殺されるのだろうか。
もはや抵抗すらせず、ただ己の死を待つだけのまどかは考えるのをやめた―――



―――ドゴォン!!

しかし、響き渡った音は、血管が肌を貫くようなものではなかった。
例えで言うと、隕石が衝突したようなそんな音―――。それがディオのいた場所から響いたのだ。
「何だ、今のは……」
当のディオは血管で階段の手すりに掴まり無傷だったが、彼が元いた場所を振り返ると、そこには隕石の形をした柄頭のメイスのような物体が突き刺さっていた。
突然の衝撃に、ディオもまどかも困惑する。
誰がこんなことを?そう思った二人は、物体が飛んできたであろう方角に目をやった。


「ウルッフッフッフ……。極上のバッドエナジーのニオイがプンプンすると思って来てみればよォー〜
 なんだか面白れぇことになってるようだな?」
そこに現れたのは、狼の頭部と体毛に覆われた男だった。

いらぬ邪魔が入ったことに苛立ったディオは、その狼男を睨む。
「貴様……何者だ?」
「オレ様はウルフルン!バッドエンド王国の住民で、世界をバッドエンドに染める―――」
「……ほう。体格は悪くない。それに狼特有の身体能力を持っていると見える」
「な、てめっ…!せっかく名乗ってやってんのに途中で口をはさむんじゃねぇ!」
今度はウルフルンが名乗りを邪魔され、苛立ちを見せる。
だが、ディオは構わずにウルフルンの全身を舐めるように見つめ続ける。
「フッ、気に入った。貴様の身体、存分に気に入ったぞ!願わくば貴様の身体を乗っ取って俺の仮の肉体にしてくれる!」
「はぁ?てめぇ、もしかしてアレか?『ピー』(プリキュアのアニメでは放送禁止用語です)ってやつか!?
 ジョーカーの野郎じゃあるまいし、オレにそんな趣味はねえからな!!」
「何を勘違いしているのかは知らんが、文字通り乗っ取るだけだ。この姿のままでは移動すらままならんからな……
よって、貴様の首を切断し俺が代わりにその身体を支配することで肉体を手に入れるのだ!」
元々、ジョナサンとの死闘に敗れ首だけになったディオは、肉体を手に入れるために再びジョナサンを襲った。結果だけ言うと相打ちに終わり、ディオは息絶えたジョナサンの腕の中で共に滅びる運命にあったはずだった。
それが、突然殺し合いに巻き込まれ、よりにもよって満足に動けない首だけの状態で殺し合いを強要されたのだ。
そのため、ディオにとっては何としても仮の肉体を手に入れる必要があった(最悪、まどかで妥協するつもりだった)。そのための都合がいい相手が、彼の目の前に現れたウルフルンなのである。

「―――ヘッ、要はオレとやろうってのか?まぁ、いいぜ。オレは世界をバッドエンドに染めるため、バッドエナジーを回収する必要がある……」
対するウルフルンはピエーロを復活させるためにバッドエナジーを集める目的がある。
負の感情から発するバッドエナジーは心が弱い人間から得るものであり、そのためには殺し合いの中、まどかのような弱い人間が生き残る必要があるのだ。
「オレの目的のためにはこのガキには生きてもらわなきゃ困るんでな。それを殺ろうとするテメーは邪魔な存在なんだよ!」


315 : ◆6KlURINYHo :2013/09/15(日) 10:00:12 geBzQycA0
ウルフルンは鋭い爪を伸ばす。
それに対し、ディオは衝撃から逃れた際に一緒に持っていたデイパックからごそごそと何かを取り出す。
首だけのヤローに何ができるのやら。ウルフルンは鼻で笑いながらディオを見ていたが―――
「な、それは……!」
ディオが取り出したのは一つの赤い球。それはウルフルンには見覚えのあるものだった。
「出でよ、アカンベェ!!」
ディオが高く掲げたアカンベェという球は、邪悪なオーラを発しながら、先ほどウルフルンによって投擲されたメイスをトレースし、姿を変えていく。
そして現れたのは、全身5メートルは超えると思われる怪物―――
『アカンベェ!!』
頂点が尖った帽子、銀色のショートヘア、首に固定された輪っか付きのマント、紫色のベアトップの服装が特徴の、可愛らしい少女のもの―――
と思いきや、ミスマッチすぎるピエロ顔が全てを台無しにしていた。(ぶっちゃけキモい)

「アカンベェだとぉ!?」
アカンベェは、ウルフルンたちがプリキュアと戦う際に使役される怪物であり、本来は彼がそれを操る側にあった。
「オレがコイツと戦うことになるとは……」
これは何の因縁か。そう思ったウルフルンだが、アカンベェは容赦なく攻撃を開始する。
「さぁ、アカンベェよ。奴を殺せ!ただし、肉体は完全に破壊せんようにな」
『アカンベェ!』
ウルフルンは焦りを隠しつつ、身構える。
アカンベェは大抵トレースされた物体に関連する特殊能力を持つ。そのため、このアカンベェもあのメイスと関係のある能力を使うはず―――

『黙示録撃 100分の1!』
アカンベェはそう叫びながらウルフルンに向けてメイスを振り下ろす。
(100分の1だと?手加減のつもりか?ナメやがって!)
ウルフルンはひょいと軽やかに回避すると、メイスは当然ロビーの床に打ちつかれる形になる。
そして、そのまま振り下ろしたメイスが床に着弾すると―――

―――ドッグオォォォン!!

「は……?」

―――床が砕け、直径10メートルほどのクレーターが出来た。

「じ、冗談じゃねぇぞ!100分の1でこれって……全力で撃ったらどうなっちまうんだ!?」
まさか先ほどまで自分が持っていた得物がこれほどの破壊力を持つとは思わなかったのか、ウルフルンは本気で焦る。
それもそのはず。アカンベェのトレース元である武器は、星を破壊する力を持つルシファースピアという槍である。その槍の持ち主が恐怖の大王と恐れられる者であり、アカンベェの体はその姿をトレースしているというわけだ。
このバトルロワイアルにおいては制限の影響で流石に星を破壊するほどの威力は封じられているものの、それでも強力な武器に変わりない。


316 : ◆6KlURINYHo :2013/09/15(日) 10:05:16 geBzQycA0
『黙示録撃 100分の1!』
焦るウルフルンを尻目に、アカンベェは更なる攻撃を加えようと、目標をロックしルシファースピアを大きく振り上げる。
「確かにパワーはすげぇ…。けどよ……!」
しかし、舐められてたまるかと粋がるウルフルンは素早い動きでアカンベェの懐に入り込んだ。
「テメェは!動きが!遅せぇんだよォ!」
懐に入るがいや、アカンベェの腹に強烈な拳をぶつけ、怯んだ隙に高く飛び顔面をブン殴り追撃する。
この攻撃により、倒れはしないもののかなりのダメージを与えたのか、アカンベェはフラフラよろけていた。

「チッ、思っていた以上にやるな……!」
殺すどころか逆に攻められているさまを見て不機嫌なディオは呟く。
「ヘッ、当然だ。大体オレはテメーよりはるかにアカンベェのことを知っている。オレにとっちゃ、今時アカンベェなんざ敵じゃねぇんだよ」

『黙示録撃 75分の1!』
その間にも、アカンベェは先ほどの攻撃を仕掛けようとする。
「またそれか。オレはテメーのことをよく知ってるって言ったろ?相変わらず学習しねぇ奴だな」
ウルフルンは再度身構える。今度はそれ以上に激しい攻撃を加えてブッ潰してやる。
そう意気込み、追い打ちをかけようとする。

「確かに、アカンベェに関しては貴様の方が知っているのだろう。だが―――
 貴様は俺のことを知らなさすぎた!勉強不足だッ!」

―――そのとき、ウルフルンの脇目にいたディオが眼から何かを発射するのを見た。

ドスッ!!

「グ!?グエェェェエエェェ!!?」
眼から出たそれは、ウルフルンの脇腹を貫通しその先の床までも裂いた。
幸い致命傷ではないものの、傷口からは血がドクドクとあふれ出る。

そう、先ほどのディオは眼から高圧力の体液を発射し、それでウルフルンを攻撃したのだ。
船でジョナサンを致命傷に追いやった技―――その名も空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)という。

「おっ、オオカミさん!?」
後ろからうるさい小娘の声が聞こえるが、この際どうでもいい。
「……グッ!」
だが、ディオの援護射撃に合わせるかのようにアカンベェの無慈悲な一撃がウルフルンを容赦なく襲う。

ドゴォン!

「ぬ、ぬおおおぉぉぉぉ!!」

負傷により動けなかったウルフルンは、ルシファースピアの一撃をその場で受け止める。
だが、床を陥没させるほどの一撃などずっと受け続けられる訳がなく、徐々に受け止めている腕が下がっていく。
そして、そうして力んでいる間も脇腹から血は噴出し続ける。このままではディオの宣言通り、死ぬ。

「……っ、クソがぁ!!」
だが諦めない。―――というか、ナメられてたまるかという意地であるが。
ウルフルンは足腰に力を溜め、そして、ルシファースピアを支える腕を離すと同時に一気に脚の力を解放。
なんと、今まで持ち上げて目の前にあったルシファースピアの一撃を、持ち前のスピードで全力で回避したのだ。

「うげっ!」
だが、ウルフルンのスピードが速すぎたことと、あまりにも必死だったこと、そして黙示録撃の衝撃で発生した余波に煽られたことが相まって受け身すら取れず、そのまま壁に激突する。実にマヌケな光景だ。


317 : ◆6KlURINYHo :2013/09/15(日) 10:09:37 geBzQycA0
「フン、マヌケが。アカンベェ!とどめを刺せ!」
勝利を確信したディオはそのまま壁に激突したウルフルンを見下ろす。
(奴の肉体を手に入れさえすれば、しばらくは安泰だろう。いずれは必ずジョジョの肉体を乗っ取ってくれる……!)
ウルフルンを標的にしたディオだが、彼の本命は、あくまでも宿敵ジョナサンの肉体である。
ジョナサンと無関係なディオのような人間から見たとすれば、下らないこだわりだと一蹴されそうだが、これはディオなりのジョナサンに対する『敬意』でもある。
故にこれだけは譲れない。
そのためか、もはやディオにとってはウルフルンなど蚊帳の外だった。


(―――む?奴は何を……?)
しかし、ふとウルフルンを見ると、何かを企んでいるような笑みを浮かべながら這いずっている。
それは傍から見るとアカンベェからみっともなく逃げようとしている光景だが―――

『黙示録撃 50分の1!』
そうしている間にもアカンベェはトドメの体制に入っている。
―――まぁ、いい。どうせ足掻いても無駄なことだ。
ディオはそう思い、彼が掴まっている階段の手すりの真下にいるウルフルンを見下ろし―――

階段の、真下―――
「はっ、まさか……!」
ディオは気付いた。もしこのまま真下のウルフルンに攻撃すれば、自分が掴まっている手すりの階段は……
「アカンベェ!攻撃をやめ―――」

バッッグオォォォォン!!

黙示録撃の衝撃をまともに受けた階段は見事に破壊された。
そして、階段の手すりに掴まっていたディオは黙示録撃の直撃こそしなかったものの、衝撃の余波までは避けきれず、吹き飛んでしまった。
「うおおおぉぉぉぉ!!」
どこか掴めるところはないか!?
吹っ飛びながらも長年育ったジョースター邸の構造を思い出し、掴めそうな場所を考える。

がしっ

掴んだ。
掴む音がした。だが―――

「捕まえたぜ。この首だけヤローが」
それはウルフルンがディオの頭を掴んだ音だった。


「な、貴様っ……!」
あの一撃を回避する余力があったことも驚きだが、それよりも自分がアカンベェの巻き添えに遭うことを狙っていたような素振りを見せるウルフルンに困惑する。
「アカンベェについて一つ教えてやるぜ。アレはテメーの指示に従って動いているけどな、ただそれだけだ。それ以外は本能で動く。
 本能のままに攻撃するアレは味方を巻き添えにしようが知ったことじゃねぇんだよ。
 だから普段オレたちがアカンベェを戦わせる場合は巻き添えを食らわないよう立ち振る舞ってんだ」


318 : ◆6KlURINYHo :2013/09/15(日) 10:13:12 geBzQycA0
「く……!アカンベェ!俺を助け―――」
「うるせぇよ」
「ガッ!」
ディオがアカンベェに指示を出す前にウルフルンは彼を壁に叩きつける。
そして頼みのアカンベェの方も、放った黙示録撃が強力すぎたせいでルシファースピアが地面に埋まり得物を抜き出せずにいた。
『アカ……?アカンベェ〜〜〜?』
「ヴ、ゴボ……やぐだ―――」
「今、役立たずだって思ったな?奇遇だな、オレも同感だぜ。アカンベェはどうもツメが甘くて使えねぇ。
 ま、それに頼るしか出来なかったテメーはカス以下のクソムシだけどな」
「クソムシ、だと……!このディオに対してッ……!」
「知るかよ。まぁ、オレにケンカ売っといて負けたんだ。負け犬は大人しく死んどけ」

そう言うとウルフルンはディオを掴んでいる握力を強め、更に自慢のツメを食い込ませる。
頭蓋骨がメキメキと音を立ててひび割れていく。
「GYAAAAAAAAA!!」
痛みを感じないはずの吸血鬼のディオにとてつもない痛みが襲う。
このディオが死ぬだと?こんな訳も分からぬ催しの中で死んでいくのか?このディオが!

「このディオはいずれ世界を!全てを!支配するのだ!こんな所で!こんな所でええええぇぇぇェェェェェ!!」
「世界を支配するのは悪の皇帝ピエーロ様なんだよ。テメーみてーなカスに支配されてたまるか」

そうしている間もどんどん骨が砕ける音は続く。そして
バキン
頭蓋骨が砕け散る音が響き、それと同時にディオの命は野望と共に消え去った。

カラン……コロン

そしてディオが死んだからか、繋ぎ止めていた首輪もまた床に落ちる。
殺った、狩った、仕留めた。
ディオの首輪が落ちるさまを見て、ウルフルンはそう確信した。




「―――グゥ……!」
ディオを殺害したウルフルンは、先ほどの戦いによる負傷と消耗が相まってガクリと膝をつき、そのまま倒れこむ。
(チキショオ……!オレがあんなヤツにここまでダメージを食らうとは―――)
結果的には勝者だが、彼にとっては雑魚に手こずったという悔しさと苛立ちしか湧かなかった。

(あぁ、そういやアカンベェも残ったままだったな。さぁて、どうするか……)
そう考えていたウルフルンだったが
『アカンベェ〜』
召喚主であるディオが死んだためだろうか、アカンベェは一目散に玄関を突き破り逃げ出した。
(へっ、最後だけはツイてたようだな。これがいわゆる『ウルトラハッピー』ってヤツか)
憎きプリキュアの虫唾が走るセリフだが、今回だけはその言葉に有難味を感じ

―――ばたん
そのまま意識を失った。


【B-7/ジョースター邸内部/一日目-黎明】

【ウルフルン@スマイルプリキュア!】
[状態]:脇腹負傷、疲労、気絶
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・行動]
  基本方針:バッドエナジーを集め、悪の皇帝ピエーロ様を復活させる
  1:まどかのようなバッドエナジー発生源となり得る人間を確保する
  2:1の目的の際に邪魔になりそうな奴は殺す
  3:とりあえず、闇の絵本と絵の具が欲しい
  ※参戦時期は不明です



【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】


319 : ◆6KlURINYHo :2013/09/15(日) 10:16:14 geBzQycA0
◆ ◆ ◆



「オオカミさん!オオカミさん!しっかりしてっ!!」
ディオとの戦いで倒れてしまったウルフルンを見て、まどかは凍り付いていたように動けなかった身体を押してすぐさまウルフルンのもとへと駆け付けた。

ウルフルンは荒い息を上げながら唸るだけで、命に別状がないのかどうか。助けることが出来るのかどうか。
戦いにおいては全くの素人であるまどかは何をどうすればいいかは分からない。
でも彼女の持ち前の優しさから、この人はとにかく助けなきゃと思う。

あたふたと混乱しながらも助けたいと思うまどかの頭には、ウルフルンが口走ったバッドエンドのことや彼自身の狼としての凶暴さなどすっかり頭から抜け落ちていた。



【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[衣装]:見滝原中学校制服(血塗れ)
[状態]:健康、混乱状態
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・行動] とにかく、このオオカミさん(ウルフルン)を助けたい
  基本方針:?????
[備考]
1.ディオからジョースター邸内部の案内を受けました
2.ディオからジョナサンのことについて聞きました(信じるかどうかは不明)


※ジョースター邸のロビーの一部が破壊されました
※ロビー内のどこかにディオのデイパックが落ちています
※ウルフルンのそばにディオの首だけの遺体と首輪が転がっています
※ルシファースピア@ケロロ軍曹をトレースしたアカンベェが逃げ出しました。
 ルシファースピアは空を飛べるため、エリアB-7から離れた場所にも移動できると思われます。
ある程度ダメージを与える、プリキュアの浄化技を当てる、一定時間経過する、の
 どちらかでアカンベェは消滅します。
アカンベェが消滅するとキュアデコル1個とルシファースピアを落とします


320 : ◆6KlURINYHo :2013/09/15(日) 10:20:11 geBzQycA0
以上で投稿を終わります。
誤字脱字矛盾点などありましたらご報告お願いします。

あと、アカンベェが逃げ出した件については、あれがどこにでも飛ぶ可能性がある以上、もしかしたら
参加者と同じように予約してしまったほうがよさそうな気がします。


321 : 名無しさん :2013/09/15(日) 16:02:14 QkddP6kU0
投下乙です
まさかディオが初戦で死ぬとは。と言うか首だけの状態で参加とか鬼過ぎるw
しかもルシファースピアってモアが使ってた地球を破壊できる奴かwww
あんな物がアカンベェ化とかそっちの方がやば過ぎるだろwww

後、これは指摘ですがこのロワでは参加者が嵌めている首輪は存在しないですよ


322 : 名無しさん :2013/09/15(日) 18:42:05 28wMXt5U0
投下乙です


323 : 名無しさん :2013/09/15(日) 19:18:49 D3LbjipIO
投下乙です。

ま、まさか…!ディオが破れただと…!?
…まあ首だけの参戦じゃそうなるか。


324 : 名無しさん :2013/09/16(月) 01:22:45 YIWeiya60
御二方投下乙です
冬樹が一話退場しないで済んだが代わりに夏美が死ぬとは…
七花は一番やばい時期からの参加か。とがめと会ったらどうなるんだろ

ディオwww流石に首だけじゃ無理ゲーだったかww
ウルフルンをみゆきのように狼さんと呼ぶまどかが可愛いと思った(小並感)


325 : 名無しさん :2013/09/16(月) 03:07:45 xFW9ISlA0
そういえば、みゆきもまどかもイメージカラーピンクだ。


326 : ◆wYOF3ar91U :2013/09/17(火) 02:18:27 aDnu7HRk0
来須圭悟、剛田武を予約します。


327 : 名無しさん :2013/09/17(火) 03:50:51 mSM9Cxmk0
っていうかまどかとウルフルンと七花同エリアにいるじゃん


328 : 名無しさん :2013/09/24(火) 17:28:44 rPoopwOc0
七実姉ちゃんって相手の技とか見るだけでコピーできるけど
ボーボボや首領パッチの技見たらそれも使えるようになるんだよね…


329 : 名無しさん :2013/09/24(火) 17:46:49 LY2Ge4pI0
姉ちゃんが鼻毛で無双する展開とか色んな意味で絶望する


330 : ◆wYOF3ar91U :2013/10/02(水) 20:54:30 zcuphE5.0
予約期間を大幅に超過したにも拘らず、連絡が遅れて申し訳ありません。
私的な都合で書き込みができない状態となっておりました。
ようやく書き込みができる状態となったので、改めて私の今回の予約は破棄とさせて頂きます。
重ねてになりますが長い予約期間の超過をして申し訳ありませんでした。


331 : 名無しさん :2013/10/25(金) 01:57:03 J.6OUD/U0
最初の勢いは良かったんだけど、結局停滞しちゃったな……
まだ一ヶ月ちょっとだからひどい過疎ではないとは思うけども


332 : 名無しさん :2013/10/25(金) 11:03:18 5NYUYN/.O
>>331
ロワじゃこれくらい日常茶飯事さ、気長に待とうや?


333 : 名無しさん :2013/11/07(木) 02:21:01 Xel8UeRc0
支援


334 : 名無しさん :2013/11/07(木) 11:41:03 IYHfkz1oO
保守


335 : 名無しさん :2013/11/10(日) 19:38:53 Qs4M7/ugO
投下乙です。

やっぱり、狼男と吸血鬼は相性悪いんだな。


336 : 名無しさん :2013/11/27(水) 13:00:19 BB4WpOIo0
支援


337 : 名無しさん :2013/12/04(水) 20:14:54 ws6kATFw0
しえん


338 : 名無しさん :2013/12/18(水) 10:32:41 v8lSkvBg0
支援


339 : ◆M3ZabKCP7w :2013/12/21(土) 22:12:20 zLdJkdWU0
セイバー、我妻由乃、クルル曹長で予約いたします
書き手さんが増えていただけたらなあ


340 : ◆M3ZabKCP7w :2013/12/28(土) 00:06:04 tC33hmZc0
遅れましたが投下させていただきます

題名:己の道


341 : ◆M3ZabKCP7w :2013/12/28(土) 00:07:10 tC33hmZc0
「まさか、こんなことに巻き込まれるとは」

 開けた小山の頂上にて、そのような場所には似つかわしくないスーツ姿の金色の髪の人間が一人、呟きながら天を仰いでいた。
 特徴として中性的な美形と言うところであろう。男性とも女性とも取れる見た目であるが実のところれっきとした女性である。

 「聖杯戦争に……参戦もせずに、このようなことに!」

 しかしその美しい顔も今は醜く歪んでいる。その原因は怒り。己の意思を無視した召集、そしてその内容にあった。
 『バトルロワイヤル』奇しくもそれは、彼女の存在する理由ともなっている『聖杯戦争』に酷似したものである。しかし大きな違いが存在していた。

 「まさか……聖剣が奪われるとは」

 戦うことに関しては彼女はそれほど気にしてはいない。彼女の怒りには唯一無二の信頼に足りる武器、聖剣エクスカリバーを奪われていることにあった。

 「代わりにあるのがコレとは」

 そして代わりに今彼女に手にあるのはデイパック。そのみすぼらしさに、数多の戦場を駆けてきた彼女であっても沸々と怒りが湧き上がってきているのだ。
 しかし、いくらか時間をかけることで冷静さを取り戻す。今の現状、キュゥべえという生き物の言葉を信じるならばこの場には彼女を含めて七十名の人間がいることになる。
 そして、そこからたった一人の生き残りになることへの根拠の無い困難さを彼女は感じていた。


342 : ◆M3ZabKCP7w :2013/12/28(土) 00:08:19 tC33hmZc0
「今は何をするにも情報が不足していますね」

 取り合えずとしてキュウべえから支給されたデイパックの中身の確認を行った。

 「確かに、あのキュゥべえが言っていたものが入って……! これは!」

 確認したのは基本支給品とランダム支給品。その一つを見て彼女の顔は驚愕に染まったのだ。

 「見間違えるはずが無い! 無毀なる湖光(アロンダイト)……まさか」

 それを見た瞬間、彼女は支給品の名簿を開き、参加者名の確認を行った。
 だがそこに彼女の望む名は無い。ただ理解できる名は三つあった。

 「キリツグにライダー、そしてバーサーカー……」

 書かれていた名を確認し、彼女は再び考え込む。アロンダイトがランダム支給品として自分の手元に来ていることからエクスカリバーも同じであることが高い。
 ならばランスロットも同じような立場にいると予測できる。


343 : ◆M3ZabKCP7w :2013/12/28(土) 00:09:02 tC33hmZc0

 「サー・ランスロット、あなたは……」

 名簿にある名の中でランスロットの可能性があるのはライダーとバーサーカーである。ランスロットがどちらであるのかは今はまだ確かめるすべは無いのだが、ある種の予感めいた不安を感じ無駄にランスロットの存在にとらわれてしまっていた。

 「っ! 今のは!?」

 だがその思考も近くから聞こえてきた悲鳴によって中断される。
 声の種類はまだ成人していない少女のもの。

 「あっちか!」

 彼女、セイバーの名でこのバトルロワイヤルに参加させられた存在は、友の剣を持って声のする方へと走っていった。







◇  ◇  ◇






 「あれは!」

 木々の間を駆け抜けて僅か十数秒でそれを見つけた。
 それは昔よく見た光景、強者が弱者に襲い掛かるものに酷似したものであった。

 「はあああああああああ!」

 セイバーは持っていたデイパックを投げ捨て、魔力によって作りあげた白銀の鎧を即座に纏い、少女に振り下ろさんとする刃を受け止める。

 「あなたは?」

 その少女はセイバーに驚きの表情を向ける。
 セイバーはその少女を見て、特に戦闘訓練も受けておらずさらに魔術の素養も無いと感じ取った。
 無力な無辜の民。セイバーは少女をそう判断した。


344 : ◆M3ZabKCP7w :2013/12/28(土) 00:10:13 tC33hmZc0
「すぐに引きなさい!」

 少女はその言葉に従い襲い掛かった存在から距離をとり間にセイバーを挟む。
 セイバーは目の前の存在に注意を向ける。

 「人間認識、人間認識」

 四つ手の人形。その異形な存在に気を引き締める。

 「即刻斬殺」

 その言葉と共に四つの手に刀を持った機械人形である日和号はセイバーに襲い掛かった。

 「はぁっ!」

 数合打ち合いセイバーは目の前の存在の実力を理解した。「今のままなら時間はかかるが負けは無い」と。


345 : ◆M3ZabKCP7w :2013/12/28(土) 00:12:24 tC33hmZc0

 「大丈夫ですか?」
 「問題ありません。時間はかかりますが……下がっていてください」

 少女の言葉にセイバーは問題ないと返す。実際問題ないのでセイバーに焦りは無い。

 「そうですか」

 そのたった一言。それだけでセイバーは凄まじい悪寒を覚え咄嗟に体をひねる。

 「なっ!」

 その瞬間、銃弾がセイバーの鎧にあたった。

 「何を!」
 「人形殺法・竜巻」

 そして一気に形勢はセイバーに不利になった。

 「人形殺法・旋風」
 「くう!」

 セイバーに襲い掛かる四刀四腕の人形は攻撃の手を緩めることは無い。
 そしてそれは少女も同じである。

 「人形殺法・突風」
 「やめ! ぐあ!」

 そして、人形からの攻撃を捌く中での少女からの銃撃は防ぎきれず、ついに二発が右足に命中した。
 少女はそれで満足したのか落ちていたデイパックを拾い即座にその場を立ち去った。
 残されたセイバーは圧倒的不利になってその場に残された。
 足を負傷したことによる踏ん張り、踏み込み、移動、その全てに支障が生まれたのだ。
 例えセイバーであっても今のままでは目の前の人形に勝つことは至難の業であった。

 「まさか、私が、こんなことで」

 セイバーは己の迂闊さに歯噛みしながらも、必死に状況の打開を模索し続ける。たった一人の生き残りが決まるまでの殺し合いの場にいることを忘れていた自分を罵倒したい気持ちで一杯になった。


346 : ◆M3ZabKCP7w :2013/12/28(土) 00:13:37 tC33hmZc0

 「っ! ランスロット……」

 おそらくこの場のどこかにいるであろう友の名を呟く。

 「ここで倒れる不甲斐ない王を」
 「KUーーKUKKUKKUKKUKKUKKU!」

 聞いたことの無い独特な高笑いとともにそれは突っ込んできた。
 二頭の牛が引く戦車。それが雷撃が地面を焦がしながらセイバーと人形の間に割り込んだのだ。
 
 「とりあえずは邪魔だ」

 その声に自分を助けてくれたのかだと困惑しながらも理解できた。

 「すまない、あなたは、はぁぁぁぁぁ!?」

 そして目の前の存在を見て素っ頓狂な声を上げた。よく分からない人型の何か。セイバーはそうとしか見えなかった。

 「くーっくっくっくっくっくっ、面白そうな人形だな」

 だがそれはセイバーの声を気にせず目の前の人形にのみ注意を払う。
 そして両者の間に割って入らせた二頭立ての戦車を巧みに操作し人形の頭に素早く飛び移る。

 「ここをこうして……」

 人形の頭に手を突っ込み、そして次の瞬間その人形は目を閉じて力なくその場に倒れ伏した。

 「ふぅ、さーてさて。楽しい楽しいお話の時間だ。準備はいいかいお嬢ちゃん」

 そう言いながら宇宙人、クルル曹長はセイバーに対して不敵な笑みを向けた。


347 : ◆M3ZabKCP7w :2013/12/28(土) 00:15:28 tC33hmZc0
【G−4/山頂付近/一日目-深夜】
【セイバー@Fate/zero】
 [状態]:右足に走行困難なダメージ
 [装備]:アロンダイト @Fate/zero
 [道具]:なし
 [思考・行動]
  基本方針:????
  1: 情報交換
 [備考]
  ※ 聖杯戦争来日直前より参戦

【G−4/山頂付近/一日目-深夜】
【クルル曹長@ケロロ軍曹】
 [状態]:健康
 [装備]:ゴルディアスホイール @Fate/zero
 [道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜2 微刀・釵@刀語
 [思考・行動]
  基本方針:????
 1: 情報収集
 [備考]
  ※ 参戦時期は不明
  ※ 微刀・釵のセイバーと打ち合った損傷は無視できる程度です









◇  ◇  ◇







 「はあ、はあ。支給品のひとつがはずれだったけど結果的に悪くは無かったかな」

 少女は山を駆け下りながら先ほどのことを思い返すように呟く。 

 「絶対に、絶対に生きて帰るからね」

 肉食獣を思わせる笑みを浮かべながら少女、我妻由乃は夜の闇に消えていった。











【G−4/山中/一日目-深夜】
【我妻由乃@未来日記】
 [状態]:疲労(軽微)
 [装備]:ベレッタ 10/15(予備弾薬三マガジン)@魔法少女まどか☆マギカ
 [道具]:基本支給品×2 ランダム支給品0〜3
 [思考・行動]
  基本方針:生還
  1: ユッキーユッキーユッキーユッキー
 [備考]
  ※ 参戦時期は不明


348 : ◆M3ZabKCP7w :2013/12/28(土) 00:23:23 tC33hmZc0
以上で投下終了です
期限を過ぎて申し訳有りません
次の投下あるまで自重させていただきます


349 : 名無しさん :2013/12/28(土) 03:19:38 EcqW6mVc0
投下乙
クルルはまだしも、セイバーの基本方針はハッキリさせておいた方がいいかなーとは思った
不明ってことは次の書き手さんに丸投げしちゃうってことだからね
逆に、由乃の基本方針を明らかにするのなら、もう少し描写が必要だと思う
参戦時期によっては、純粋に雪輝を好きでいたまともな由乃だったり、雪輝のためなら他の人なんてどうでもいい狂った由乃だったり、雪輝を殺して別の世界線で新しい雪輝とやり直そうとしてるどうしようもなく狂った由乃だったり
と、由乃の思考回路は複雑なので、その辺の描写と共にスタンスを明確にさせる必要があると思う


350 : 名無しさん :2013/12/28(土) 21:03:49 eqAcTwBw0
>>349
感想無しのオール指南とはたまげたなぁ…
短く纏めて、どうぞ


351 : 名無しさん :2013/12/28(土) 22:02:22 EcqW6mVc0
>>350
感想っていっても、セイバーの考察以外の描写が少なくて何とも言えないのが現実じゃない?
それを言うなら君も感想言わなきゃ、指摘を脊髄反射で叩いてるだけの人にしか見えないよ
話が長いのは我慢してくれ、昔っから変えられないんだ
最終的にどうするかは書き手さんの自由だから、あくまで指摘でしかないし、嫌ならスルーすればいいさ
俺もそうされたからってわめき散らすような性格ではないし、あんまり殺伐とした空気も作りたくないよ


352 : 名無しさん :2013/12/28(土) 23:33:23 FOr1wCfc0
言ってる事は正論だけど時と場合を考えて欲しい
自分で殺伐とした空気を作ってるのに気付いてる?

投下乙です
初っ端から平常運転な由乃だなw
それからパロロワではありがちな性格の崩壊が無く丁寧なキャラ描写
更に序盤からの人間関係、因縁の構築
後に深く書き込みやすそうな背景など後続の書き手さんらが肉付けしやすそうな逸品ですね


353 : 名無しさん :2013/12/29(日) 00:54:09 .oypLXCU0
>>352
そうだな、すまなかった
ゆるーくいけばいいんだよな
せっかく書いてくれた人にケチつけて離れられたら本末転倒だもんな
反省する


354 : 名無しさん :2013/12/29(日) 13:47:00 40DSzHAo0
投下乙です

ゆのはなあ、これが平常運転なんだよw

基本方針の件はまあ確かに描かないのは投げやりとは思うなあ


355 : ◆Aw36we/sEA :2013/12/30(月) 00:28:56 HFgmIBLc0
衛宮切嗣、不動遊星を予約します


356 : ◆M3ZabKCP7w :2014/01/03(金) 15:32:38 eDnoEojc0
どうも投稿してそのまま長期放置してました
今回、セイバー、クルルの方針を決定させるのに十分な描写がしきれていないと思って????としてしまいました
ゆのに関してはキャラ把握が不十分と言われても仕方ありません
とりあえずゆきてる不参加なら生存ばっか目指すんじゃないかという単純な考えの元方針を決定してしまいました
様々な方の意見を参考にしてこれからもやって行ってみます


357 : ◆M3ZabKCP7w :2014/01/03(金) 23:56:36 eDnoEojc0
今回の投稿は修正して再投稿したほうがよろしいでしょうか?


358 : 名無しさん :2014/01/04(土) 20:49:55 KlN0ch9o0
していいのでは?


359 : 名無しさん :2014/01/16(木) 13:02:23 yCxg87LM0
支援
しかしウルフルン、まどかといると浄化してウルルンになっちゃいそうだな


360 : 名無しさん :2014/01/23(木) 14:55:35 mhiul5NkO
書いたことないけど動きがないなら書いてみるかなぁ


361 : 名無しさん :2014/01/24(金) 08:03:45 hPzRe85Y0
おお、投下来るか


362 : 名無しさん :2014/01/31(金) 19:33:15 Xo6eO8tI0
剛田武、魚雷ガール、over、で予約します


363 : 名無しさん :2014/02/02(日) 22:31:34 S6atkSwE0
>>362
トリップは?


364 : 名無しさん :2014/02/03(月) 11:58:02 ewaaRGaI0
>>363前の予約の期限が切れたので予約してもいいとおもいました。
もしまずかったらこの予約は無効としてあつかってください。


365 : 名無しさん :2014/02/03(月) 12:02:02 ewaaRGaI0
上の書き込みは:Xo6eO8tI0ですidが変わったみたいです


366 : 名無しさん :2014/02/03(月) 12:15:54 Sxqg65060
予約自体は大丈夫だよ
ただそんな風にidが日によって変わってしまうから、日を跨いでも予約した本人だと証明するために「トリップ」ってのを使っている
トリップは名前欄に「#○○○○○○○○(丸は適当な文字)」をいれれば、上の投下した人たちみたいに「◆××××××××」って表示されるようになる
詳しくは検索してみて


367 : ◆Dr2bcWjCDw :2014/02/03(月) 12:23:10 ewaaRGaI0
すいません今検索をしてトリップの意味がわかりました。
Sxqg65060さんありがとうございます。
そして改めて予約します
剛田武、魚雷ガール、overで


368 : 名無しさん :2014/02/03(月) 13:46:43 8kw.3/7g0
楽しみ


369 : ◆Dr2bcWjCDw :2014/02/03(月) 18:48:00 ewaaRGaI0
投下を開始します。


370 : ◆Dr2bcWjCDw :2014/02/03(月) 18:48:43 ewaaRGaI0
「くそっなにがおこってんだよ」
オレンジ色のセーターを着た子供、ジャイアンこと剛田武は、そんな事を言いながら今いる状況を確認している。
こんなところに連れていかれた事の怒りで頭に血がのぼってうまく考えられないが最初に思い浮かんだのはあの白い犬のような猫のような動物の言った事だった。
『これから君たちにバトルロワイヤルをしてもらうよ』
「あのやろうは、たしか俺達にバトルロワイヤルをやれって言ってたな」
そしてこの少年はそれを言った後に少し考え青ざめる。
「と言うことは俺を殺す奴が居るって事じゃねえかこうしちゃいられねえなにか武器を探さねえと」
そう考えるのは当然である。
俺はケンカでは負けた事がない。力だって強いけれど、大人には勝てないそれぐらいの事は分かるこの間もメガネを掛けた見知らぬ大人に相撲を無理やりやらされて負けたし、武器でも使わないと大人には勝てねぇと考えた。

そして回りを見回していると自分のデイパックを見つけた。
「なんだこりゃ俺のみたいだな……! そうかこの中に武器か何かが入ってるのか」
そう言ったあとにこの少年は、デイパックの中に手を入れ掴んだのは、参加者の名簿だった。
「なんだこの紙」
その四つに折り畳まれた紙を広げて驚いた。
「!!ドラえもんそれに、皆もなんでなんだ? 」
なんとそこに書かれていたのは毎日遊んでいる心の友達であったからである。
そしてこう言う。
「もしかしたら皆の事だからあいつ(キュウベエ)をぶっ飛ばす事を考えているかもしれないな……そうだそうに決まっている」
のび太達と行ったたくさんの冒険で何度も危険な目にあったから分かる、みんなはこんな事に参加する事はないと。
「紙だけじゃ戦えねえ」
そう言いもう一度デイパックをまさぐると。
「これは……銃!!
これは、いつでも使えるようにしたほうがいいな」
そう言い少年は、右手に銃を持った。


371 : ◆Dr2bcWjCDw :2014/02/03(月) 18:49:46 ewaaRGaI0
「ぐずぐずしててもしょうがねえ」
少年はたくさんの冒険で強くなった。
この程度の事では、怒る事はあってもへこたれなくなった少年である。
そう言ってからまたデイパックをまさぐると今度は地図とコンパスを取り出してそれを読んだ。
今俺は、あの工場の近くに居るからCー3だな。
「とりあえず合流するために移動しなきゃなまずは中心地に向かうか」
銃とコンパスを手に中心地へ南下しようとしたら。影が見えた、
そして、その少年は、影が見えたと同時に動揺した。頭は丸く太く、胴から足まで少しずつ細くなっていき、それより下は魚を連想させるようなヒレがついている、そして極めつけはその手足だそれはまるでゆるキャラのように今言ったそれに人間の手足がくっついている。(ようにしか見えない)
それは、少年が心の友から奪った漫画で見た魚雷とか言う物にそっくりであった。今は、暗くそして、遠いためシルエットしか見えない。
その少年は不気味なその影からばれないようにその場を立ち去ろうとしていたが。
その奇妙な形をした影はこちらに気付きこちらに近づいてくる。
こちらに気付くのも無理はないここは、巨大な工場がある以外は見晴らしのよい草原であるのだから。
少年は、また動揺する
向かってくる者が車と同じ位のスピードで突っ込んでくるのだから。
そして少年は突っ込んでくる魚雷に混乱しながら銃を魚雷に向け。
「あわわわわわわわ」
その引き金を引いた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
彼魚の名前は、魚雷ガールボケ殺し最後の生き残りである。
それゆえに彼魚は怒っていた。
自分は、どんなおふざけも許さない。
その理念をもつ彼魚にとってこのバトルロワイヤルは、巨大なおふざけにしか感じなかったのであった。
ボケを殺すため彼魚はその白い奴めがけて突っ込んだが、しかし何度やっても見えない壁にはばまれてそのたび地面にその体が叩きつけられた。
このおふざけを殺せなかった。
こんな屈辱と怒りは、
ボーボボワールド
鼻毛領域を食らった時以来である。
そして、バトルロワイヤルがはじまり怒りを覚えたままうろついていたら人を見つけた。しかし彼魚は怒りで何も見えてなかった、そして怒りにまかせ突進した。その怒りの矛先は、剛田武だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


372 : ◆Dr2bcWjCDw :2014/02/03(月) 18:50:53 ewaaRGaI0
ハイラナイカ-ーーーーー
およそ銃とは、思えない音が鳴り、
そしてそこから出た光線が魚雷ガールに当たる。
しかしその光線には、殺傷能力がない代わりに特殊能力が付いていた。
人間以外の生物を人間に変身させると言う能力を。
そして魚雷ガールの場合は変身前(OVER)があるためそれに戻った。
ゴシャア
光線銃の効果で男の足がもつれ軌道がかわり、そのお陰で少年は男とぶつからずに済んだが突進の勢いが止まらず彼魚いや男は、転げ回りながら勢いよく近くにあった工場に頭をぶつけた。ぶつけた後しばらく悶絶した後に頭を押さえながら少年の前に立ちふさがった。魚雷から人間になった男の印象は、圧倒的な強者それ以外に表現のしようがなかった。
それを目の前にしたとき
少年は、力に潰されるという恐怖そして、強い男に対しての尊敬、
この二つの感情が少年の中で混ざった。
そして強者は、口を開く。「おい、小僧」
強者が口を開いたらそのあとに少年が答える。
「はっ、はいイイイイィィィィ」
少年は、恐怖で裏声になりながら答え、強者は問う。


373 : ◆Dr2bcWjCDw :2014/02/03(月) 18:52:34 ewaaRGaI0
「なぜ俺は、こんなところにいるのだ」
その強者の問いに少年は、動揺を隠せなかった。
ここにいるって言うことは、少なくともあの動物の説明を聞いてるはずなのに。そして少年は、知ってる事を簡単に話した。
「ほう、つまり俺はこのバトルロワイヤルと言う物に参加していると言うことか」
続けて少年が言う
「そう言う事です」
「一応聞いておこう小僧、名をなんと言う」
「剛田武だ」

「それでは剛田お前に言っておこうバトルロワイヤルは、気に入らんこれを起こした奴は潰す……」
強者がそれを言ったあとしばらくして少年は、少してんぱったように話す。
「お俺もこんなところにつれて来た奴を潰したいです……!」
この剛田と言う少年、手に銃らしき物を持ってはいるがそれをこちらに向ける様子はないどうやらこちらに敵意はないようだ。
それを言ったあと少年は、大事なことに気づきその事を言った。
「あんたの名前はなんて言うんだ」
名前を聞くのを忘れていたのだ。
「おおそうだったな俺の名前は、……!!!」
思い出せない
なぜだっなぜだなぜだ。
おかしい記憶がない名前はおろか自分が何者かすら解らない。
少年は強者の異変に気づいた。
「大丈夫か?」

「ああ大丈夫だ、 だが
すまん変なこと言うようだが自分の名前が解らねえ」
強者は、困ったこれから先もこの少年と共に行動するのに呼ばれる名前がないと後々困った事になる。
そして、ふと少年を見たらカバンを持っている事に気がついた。


374 : ◆Dr2bcWjCDw :2014/02/03(月) 18:53:08 ewaaRGaI0

「そのかばんは、なんだ」
「えっ…」

「そのかばんの中に何が入っているのかと聞いているんだ」
それを聞いた後少年は、何か閃いたようだ。
「そうだ俺らの名前が書いてある紙があるんだこの中にもしかしたら」

「そんなものがあるのか、早速みてみようか」
強者と少年は、参加者名簿を見たが……
「ないな」
自分の名前らしき物がない。
それもそのはず名簿には、OVERと魚雷ガールは、同一人物あるから名簿に魚雷ガールは、載っていてもOVERは、載っていないのである。「仕方がない俺の名前がわかるまでザクロとでも呼んでおいてくれ」
「分かったザクロさん」
「それでは、おれは、おれの記憶を探し行きたいんだがおまえは、?」

「おれは、仲間に会いに行きたい」

「よしそれじゃあ行くぞ」
強者は、自分の記憶を思い出す為に
少年は、心の友を探しに
その場を後に……

「その前にカバンを探さねえと」

まだしないようだ。


375 : ◆Dr2bcWjCDw :2014/02/03(月) 18:53:24 ewaaRGaI0

「そのかばんは、なんだ」
「えっ…」

「そのかばんの中に何が入っているのかと聞いているんだ」
それを聞いた後少年は、何か閃いたようだ。
「そうだ俺らの名前が書いてある紙があるんだこの中にもしかしたら」

「そんなものがあるのか、早速みてみようか」
強者と少年は、参加者名簿を見たが……
「ないな」
自分の名前らしき物がない。
それもそのはず名簿には、OVERと魚雷ガールは、同一人物あるから名簿に魚雷ガールは、載っていてもOVERは、載っていないのである。「仕方がない俺の名前がわかるまでザクロとでも呼んでおいてくれ」
「分かったザクロさん」
「それでは、おれは、おれの記憶を探し行きたいんだがおまえは、?」

「おれは、仲間に会いに行きたい」

「よしそれじゃあ行くぞ」
強者は、自分の記憶を思い出す為に
少年は、心の友を探しに
その場を後に……

「その前にカバンを探さねえと」

まだしないようだ。


376 : ◆Dr2bcWjCDw :2014/02/03(月) 18:53:55 ewaaRGaI0
【C-3/工場前/一日目-深 夜】
【魚雷ガール@ボボボーボ・ボーボボ】
 [状態]:頭部にダメージ(中):出血(小):憤怒
 [装備]:なし(素手)
 [道具]:なし(丸腰)
 [思考・行動]
  基本方針:ボケを殺す
  1:????
 [備考]

※overの時にした怪我およびダメージは、

魚雷ガールに引き継がれます。

             ボーボボワールド

※参戦時期は少なくとも鼻毛領域を食らった後です



【C-3/工場前/一日目-深 夜】

【over@ボボボーボ・ボーボボ】
 [状態]:頭部にダメージ(中):出血(小):記憶喪失
 [装備]:なし
 [道具]:なし
 [思考・行動]
  基本方針:バトルロワイヤルを潰す
  1:記憶を思い出す
  2:カバンを探す
 [備考]

※工場の壁に当たった時うちどころが悪かった為記憶を失いました 

記憶に関することを聞いたり、同じくらいのショックを与えれば記憶が戻るかもしれません 

【C-3/工場前/一日目-深 夜】

【剛田武@ドラえもん】
 [状態]:健康

 [装備]:地球生物兵士化銃@ケロロ軍曹
 [道具]: ランダム支給品0〜2
 [思考・行動]
  基本方針:バトルロワイヤルを潰す
  1:とりあえずみんなを捜す
 [備考]

※地球生物兵士化銃の効果をあまりよくわかっていません 

※参戦時期は不明です





【地球生物兵士化銃@ケロロ軍曹 】

剛田武に支給。

人間以外の生物を人間にする銃

今回の場合ロボもいるので動いているものを生物として扱う。

元の姿には、一定時間たつと戻る(だいたい4〜6時間ぐらい)


377 : ◆Dr2bcWjCDw :2014/02/03(月) 18:55:38 ewaaRGaI0
これで投下を終わります。
初かきこみでした。


378 : 名無しさん :2014/02/03(月) 19:32:39 DK8cVLI.O
同一人物ならわざわざ状態表分ける意味なくね?


379 : 名無しさん :2014/02/04(火) 12:51:00 vJ9x4r9k0
投下乙です

ジャイアンは…w
ボケキャラでなければ頼りになる同行者が出来たんだが、マーダーよりマシだが…
記憶消えたりとかおまw


380 : 名無しさん :2014/02/04(火) 15:30:51 O5zAzFAY0
投下乙です。

何、この優しいOVERは。
まあ、大抵極悪人キャラが記憶喪失になると、いい人っぽく見えるのは定番だけどね。


381 : 名無しさん :2014/02/05(水) 05:24:38 Win.xAzo0
タイトル、一応書いておいてくださいね。wikiに入る時困るんで


382 : ◆Dr2bcWjCDw :2014/02/05(水) 18:17:21 Jn4P1IwU0
タイトルは 
頭文字G
でお願いします。


383 : 名無しさん :2014/02/06(木) 02:44:43 FJYXUpQIO
投下乙でした。

私も書いてみようと思うのですが、規制巻き込まれ中でした。
現在解除申請中ですが、
こちらは代理投下スレなどはあるのでしょうか。


384 : 名無しさん :2014/02/06(木) 15:55:16 e1sXMPA20
したらばが無いからなあ…


385 : 名無しさん :2014/02/06(木) 17:22:50 wxzt0fVY0
ここ自体がしたらばなんだが……


386 : ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/06(木) 21:28:25 FvCW1DG60
>>383 です。無事解除頂きました。

雪音クリス、鏑木・T・虎徹 予約します。


387 : ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:43:43 wnUNkAxA0
雪音クリス、鏑木・T・虎徹 投下します。


388 : ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:44:38 wnUNkAxA0

砂浜に一人の少女が倒れている。
雪のような色の髪と、小柄な体。その体に見合わぬ発育の良い双丘。

―――雪音クリスは目を覚ますと、上体を起こし、首を振る。

「……ったく。一体どうなってんだよ、これ」

立ち上がって身体の砂を払い、まわりを確認する。
傍にデイパックが一つあることを確認。
辺りには砂浜が続き。
月に照らされ、波が揺れている。

「月、か―――」

見上げる月に、傷跡はない。
あれはフィーネが穿った月ではなく―――自身が居た世界ではないのだと、認識する。

「参ったな……マジかよ」

白い猫のような生物―――キュゥべえの話を思い出し、反芻する。

『生き残った一名は、今まで生きてきた世界を取り戻すことができる。』
『更にその一名には、どんな願いでもかなえる権利を与えられるんだ。』

「……ハ。」
鼻で笑った。

間違った願いで突き進んできた彼女には。
夢を取り戻し。【絶唱】を使い、死を垣間見たクリスには。
それが、薄っぺらいもののように感じた。

(アイツなら……願いは自分の力でかなえるもの!なんて言うんだろうか)

僚友となった真っ直ぐな彼女を思い出し苦笑する。

『戦いの意志と力を持つ人間を叩き潰し、戦争の火種をなくす』

その決意で、フィーネに従い、他者を傷つけてきた己。
以前のクリスであれば、迷うことなくその提案に乗り、
その願いを叶えるため、他者を躊躇なく排除したであろう。

だが、今は―――


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


389 : ◆AL/a4gt5dw :2014/02/07(金) 03:45:17 35I0DSeo0
リュカ、クラウス、甲斐刹那、要未来予約させていただきます


390 : ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:45:38 wnUNkAxA0
「ま。何をするにしても、とりあえずコイツを確認しておかないとな」

なんてひとりごち、デイパックをごそごそと漁る。

食料、水……飢えの苦しみについて、何度も何度も経験したあたしは良く分かってる。
これが生命線であることは間違いない。
長丁場になるだろうから、補給できる地点があるなら探さないといけないな。

地図……現在地がどこかはわかんないが、海沿いってのはラッキーかな。
どっちかに歩いていけば、海沿いの何かしらの建物は見つかるだろう。
後は川の上流の山に行けば、毒も心配せず飲み水には苦労しねーかな。
あ、水を入れておく容器も欲しいな。

次は……名簿。

「―――良かった……」

あたしを助けてくれた小日向未来、お人よしの立花響、一本気な風鳴翼。
誰の名前もない。

「……別に、さびしかないけどさ」

こんな場にはあたしみたいなのが似つかわしい。
あたし一人でも、あの猫だか兎だかのナマモノを、
そしてその裏にいるであろう黒幕を、蜂の巣にしてやるよ。

「……って。おっさんはいるのかよ……」

風鳴弦十郎。

暑苦しく、鬱陶しく、あたしの保護者のように構ってくるおっさん。
対ノイズでなければ、腹を貫かれても少し経てば復活するような、
殺しても死なないような男だけど。

「ま、まあ。仕方ないから助けてやるか」

どうせあたしを心配して探しにくるのだろうし。
逃げても巻いても結局掴まえにくるのだから、仕方ない。合流してやろう。うん。


391 : 名無しさん :2014/02/07(金) 03:46:39 35I0DSeo0
誤爆です。
大変失礼いたしました。


392 : ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:47:08 wnUNkAxA0
そしてランダム支給品などを確認していき、最後の品が―――

「……へえ。やれるもんならやってみろ、ってことか」

【イチイバル】のペンダント。
あたしだけが使える、第2号聖遺物。
これがあれば早々遅れを取ることはないだろうが……

「……それだけ、化け物揃いってことか」

ボボボーボ・ボーボボやらバーサーカーやらケロロ軍曹やら
明らかに人の名前ではない連中が参加者に名を連ねている。
シンフォギア装者だから戦闘面でアドバンテージがある、などと慢心してはいけないだろう。

「なにしろあのおっさん、完全聖遺物を纏ったフィーネを生身で圧倒したって話だからな……」

ああいう超人級がゴロゴロいると思っていた方がいい。正直御免だが。

「ま。まずは本物かどうか、試しておかないとな」

海と向かい合い―――月に照らされながら、唄を紡ぐ。



『Killter Ichaival tron―――』



□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


393 : ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:47:47 wnUNkAxA0

「バトルロワイヤルだあ?まーたTVの変な企画じゃねーだろうな」

見かけは中年だが身体は引き締まっている男―――鏑木・T・虎徹が、
きょろきょろとカメラが無いか辺りを見回す。

「視聴率の為なら悪魔にも魂を売り渡す奴がいるくらいだ。ありうる話だが……」

通信機も取りあげられ、本社に確認することもできない。

「いや、待てよ……確かこいつは……」

マーベリック事件の際、親友のアントニオ(※牛角さん)が、
『首輪を付けられ、最初にボタンを押した人間だけが助かり、他の人間は死ぬ』
という悪趣味なことを仲間のヒーロー達とさせられていた、という話を思い出す。

危うく策略に乗り、ボタンを押してしまいそうになってしまった、
と酒を飲みながらアントニオは吐露していた。

「今回も同様に、犯罪者が絡んでいる可能性が高い……か」

ならば、例え能力が減退していようと、
例え2部リーグ在籍であろうと、鏑木虎徹はヒーローである。


『どんな時でも市民を守るのがヒーローでしょ?

 ―――あなたは、どんな時でもヒーローでいて』


そう、妻―――友恵と、約束したのだ。

「ああ、わかってるよ。それがオレの役目だな!!」

パチパチと頬を叩き気合をいれる。

「楓もきっと!いや絶対!間違いなく!!心配してるだろうし。
 パパ、バシっと犯人を捕まえて、急いで帰るからなあーーー!!!」

届くはずのない声を最愛の娘に向かって叫ぶ男。


394 : ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:48:25 wnUNkAxA0

デイパックに入っていた名簿を見てみる。

「見知った名前は、と……」

『イワン・カレリン』……折紙サイクロンか。

昔のアイツは頼りなかったが、今の折紙なら、心配はいらないだろう。
アイツももう立派なヒーローの一人だ。
いずれ合流もできるだろう。

そして、他に出てきたものは。
あの事件でベンさんが持ってきてくれた、アタッシュケースと全く同じもの。

―――中には、ワイルドタイガーの旧式スーツとリストバンド。

木陰でもそもそと。
青と白を基調にした、何世代も前の野暮ったいデザインを着込む。

開発主任の斉藤さんは『クソスーツ』なんて呼んでいたが。
オレにとってはバーナビーとはまた違った意味での『相棒』。
むしろかっこいいだろう?
慣れ親しんだリストバンド式のワイヤーガンも腕に装着して。

「さて……ワイルドに吼えるか!!」

誰も見ていないのにビシっとワイルドタイガーのポーズを決める。
これも職業病なのかねえ。

「呼び出しも掛かるわけねえし。まずは、付近のパトロールからだよな」

月が出ているからか、懐中電灯を使うまでもなく付近の様子が分かる。
デイパックを担ぎ、歩いていると
―――波の音と共に、歌声が聴こえてきた。

澄んだ声色。
色なんて元々見えやしないが、これが透明な声ってやつなんだろう。



『Killter Ichaival tron―――』



□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


395 : ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:49:28 wnUNkAxA0

―――赤と白を基調とした装具を身に付けていく。

(よし、本物みたいだな……。……ッ!?誰かいるッ!!)

後ろに気配を感じ、クリスは右腕のアームドギアをクロスボウへと変形させて構える。

構える先には、月に照らされる覆面、肉体にピッチリ張り付いた服、そして翻るマント。

「……なるほど、これが『変態』って奴かッ!!」

威嚇のため、変態の足元に向け躊躇なくクロスボウを放つ。

「どわっ!?撃ってきた!?」

虎徹の身体から青白いオーラが出始め、
クロスボウから放たれた光の矢が、足元に到達する前に横っ跳びで避ける。

「んなッ!?発射を見てから避けたッ!?
 ……なるほど、早速『超人級』のお出ましってワケか!」

クリスは左腕のアームドギアも変形させようとし―――

「わー!!待った!待った待った待った!!お嬢ちゃん、話を聞いてくれ!!」

バンザイのポーズで敵意の無いことを示す。

「なんだ変態、言い残すことでもあるのか?」
「変態って酷いなおい……知らない?オレのこと。ほら」

両手をサムズアップさせポーズを取る。

「……なにしてんだ?」
「いや……オレも結構有名になってたと思ったけど……
 ああそうか、お嬢ちゃんまだ若いもんな。このスーツ時代のオレのことは知らないか。
 何を隠そう……オレが!ワイルドタイガーだ!!」

ビシっとポーズを決める。
チャキっとクロスボウを構える。


396 : ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:50:11 wnUNkAxA0

「待て!待てって!!ホントに知らない?
 ほら、あのバーナビーとコンビを組んでる、ヒーローのワイルドタイガーだよ?」
「知らない。」

がっくりと両腕を砂浜につく虎徹。

「そうか……今は二部リーグだもんな。これが現実だよな……
 世間の風は冷たいぜ……」
「お、おい?
 あーほら、あたしテレビとかって観ないし。
 そういうの知らないんだよ。ごめんな。」

がっくりする男を不憫に思ったのか、近づいて何故かフォローしてしまうクリス。

「いやいいんだ。過去の栄光に縋ろうとしたオレが間違ってたんだ。
 お嬢ちゃんにも知られるよう、オレ頑張るからな」
「お、おう。そ、そっか。がんばれよおっさん。
 えっと、名前なんだっけ?」
「ワイルドタイガーだ。覚えておいてくれよな。お嬢ちゃんは?」
「クリス。雪音クリスだ。…………ん?」

再び間合いを取って、名簿を取りだす。

「おっさん、動くなよ……。
 えーっと。ライダー、ラオウ、ワ、ワ……ワムウ、……」

そしてチャキっとクロスボウを再び構える。

「おっさん。ワイルドタイガーなんて名簿にねえぞ!」
「は……?
 ああああ!!そうだったあああああ!!!!!」

またしてもがっくりとする男。

「???」

何がなんだか分からない少女。


397 : ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:51:24 wnUNkAxA0

「……お嬢ちゃん。ヒーローってのは正体がバレちゃいけないんだ。
 幸いにして、お嬢ちゃんはオレのヒーロー姿のことは知らない。
 だから言うけど、絶対に他の人には言わないでくれよ」
「お、おう?」
「オレの名は……鏑木・T・虎徹だ。一児のパパにして、ヒーローをやってる」

立ち上がってマスクを外す。
ヒゲのあるおっさん顔だ。

「ふーん……かぶらぎ……
 (『鏑』の字が読めないけど、Tもあるしこれか)
 ……うん、あった」

名簿から目を離し、再びじろじろと虎徹を見る。

「うーむ。ここではマスクを取って活動した方がいいんかなあ……」

とぶつぶつ呟く虎徹。
全然違うが、なんとなく雰囲気が弦十郎のおっさんと共通しているところもある。

「ま、悪い奴には見えないか……
 ……わ、悪かったな。いきなり撃ったりして」
「おう、構わないぜ。
 こんな場所でお嬢ちゃんひとりなら仕方ない。心細かったろう」

ぽむと頭に手を乗せる。

「なっ!?」
「お、おっと悪い。つい娘にもしちまうんだよな」

バツが悪そうに苦笑いする虎徹。

「フン。次やったらドテっ腹に穴開けるからな……」
「ハハハ、悪い悪い。
 んで、お嬢ちゃんのその格好はなんだい?
 ブルーローズのコスプレ……か?
 ダメだぞ、そんな胸を強調するような服。
 あ、楓にもきちんと言っておかないとな。いくらTV向けだからって…」
「な、な……!!
 これは聖遺物のせいで、好きでこんな格好してるわけじゃないからな!!」


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


398 : ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:51:55 wnUNkAxA0

クリスは装具を解いて私服に戻り。虎徹は旧スーツのまま、マスクを外し。
お互いに知人、風鳴弦十郎とイワン・カレリンについての情報を交換する。

「ふーん、こいつも『ヒーロー』って奴なんだな」
「ああ、競うべきライバルの一人であり、とても頼りになる仲間さ」
「……変わった奴が多いんだな」
(ガングニールの……立花響と同じようなバカが、世の中には結構いるもんだな……)

「で、風鳴弦十郎って人が、お嬢ちゃんの保護者と」
「アイツの自称だよ。……でもまあ、そんなとこだ」

ぷいっと横を向きつつ肯定するクリス。

「そうか、じゃあ会わせてやらんとな」

うむ、と頷く。

「は!?おっさん、ついて来る気かよ!?」
「当たり前だろう。お嬢ちゃん一人でこんな場所は危ないだろう」
「ハン。さっきの見ただろ。
 あたし一人でも切り抜けて、こんなのを仕組んだ奴を蜂の巣にしてやるさ。」
「おっとっと。奇遇だな。オレも主催者は懲らしめてやらなきゃならんと思ってるんだ」
「…………はぁ」

溜息をつくクリス。
(おっさんといい、このおっさんといい。
 どうせ振り切っても振り切ってもおっかけてくるんだろうな……)


399 : ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:52:24 wnUNkAxA0

「わかった、わかりましたよ。ついて来たければ勝手にすればいいだろ」

ぷいと横を向きつつ、しぶしぶ了承する。


「んで、おっさん。まずどっちに行くのがいいと思う?」
「ああ……オレの勘ではこっちだ!!」

海岸線の片方を指差す虎徹。

「なるほどね。じゃあこっちか」

即座に虎徹の差す方向と反対側にクリスが歩き出す。

「ってお嬢ちゃんもかよ!みんなオレの勘を信じろよ!!」

と虎徹がクリスの後を小走りで追ってくる。



それにしても、とクリスは思う。


―――何故あたしは、おっさんにばかり付き纏われるのか、と。


400 : ビビッドレッドを聴きながら  ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:53:25 wnUNkAxA0
【A-2/海岸付近/一日目-深夜】

【雪音クリス@戦姫絶唱シンフォギア】
 [衣装]:いつもの服(一期私服)
 [状態]:疲労(微)
 [装備]:イチイバル@戦姫絶唱シンフォギア
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
 [思考・行動]
  基本方針:主催者を蜂の巣にする
  1:虎徹と(仕方なく)協力して主催者に対抗する
  2:海沿いを歩き、現在地を確認する
  3:風鳴弦十郎と合流する
  4:C-4の山に行き、安全な水を補給する
 [備考]
  ※参戦時期は一期終了後です。
  ※イワン・カレリン(+折紙サイクロン)の情報を入手しました。


【鏑木・T・虎徹@TIGER&BUNNY】
 [衣装]:ワイルドタイガー旧式スーツ@TIGER&BUNNY(マスク外し)
 [状態]:疲労(微)
 [装備]:リストバンド形ワイヤーガン(スーツ付属品)
 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
 [思考・行動]
  基本方針:ヒーローを貫く。市民を守る。
  1:クリスと協力して主催者に対抗する
  2:楓は心配してるかな……
  3:折紙とはいつか合流できるだろう
 [備考]
  ※参戦時期はTV版最終回終了後です。
  ※風鳴弦十郎の情報を入手しました。
  ※【ハンドレッドパワー】
   1分間だけ身体能力を100倍にします。インターバルは1時間。
   使用後、疲労状態が一段階低下します。


【イチイバル@戦姫絶唱シンフォギア】
雪音クリスに支給。
第二号聖遺物「イチイバル」のシンフォギア。
赤と白を基調とした装具。高火力での遠距離・広範囲射撃を得意とする。
可変・可動式主武装のアームドギアはクロスボウ・ガトリング砲・ライフル・ミサイル等に変化する。

【ワイルドタイガー旧式スーツ@TIGER&BUNNY】
鏑木・T・虎徹に支給。
青と白を基調としたアメコミヒーロー風のスーツ。
耐久力と身体能力を少し向上させる。
ワイヤーを射出できるリストバンドが同梱されている。


401 : ◆nEZ/7vqpVk :2014/02/07(金) 03:54:17 wnUNkAxA0
以上で、投下終了です。


402 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/07(金) 22:07:39 a8bOD33A0
クロ、野比のび太で予約します


403 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/08(土) 20:15:30 vauOlUJc0
クロ、野比のび太 投下します


404 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/08(土) 20:17:57 vauOlUJc0


  ★ それがどーした。オイラクロちゃん ☆



「……ハァ、また面倒くせーコトになっちまったなー」

 と、一匹の黒猫が溜息をついた。
 名前をクロといい、科学者ドクター剛に改造されたサイボーグ猫である!
 いつもは老夫婦の家で気ままな生活を送っているクロだったが、次に目覚めたときにいたのは――この無人島。そして殺し合いの舞台だった。

「ったくよー、なんでオイラがこんなことしなくちゃなんねーんだ。
 なんだ、あのチンチクリンなイヌみてぇなヤローは。なにが殺し合いだよバッカみてえだぜ」

 クロは、現在遊園地にいた。
 いた――というよりも、ここへ飛ばされてきた。といったほうが正確であろう。
 何度も何度も、剛やミーくん。マタタビにナナ。それ以外にも、色々な人や猫や宇宙人を取り巻いて、ドタバタな日常を過ごしていたクロではあったが、さすがに殺し合いという状況に陥るのは珍しかった。
 一度、ネコ同士の抗争に巻き込まれたり、カラスと壮絶な戦いを繰り広げたりと、紆余曲折はあったものの、それでもイキモノ同士で殺し合いをするなどというシチュエーションは、さすがに逢った事もなかった。
 だからこそクロは思考する。『何故こんなことになったのか』を。

「また、剛のヤローのシワザ……とゆーワケでもなさそうだな。っつーか、どうやら剛とミーくんもいるみてえだしな。
 まさかジム……ないない。コタロー……さすがにあんなことあってまた同じことしねーよな。ナナは絶対にありえねーからパス。
 じゃーロミオ……ありうるな。アイツなら退屈しのぎとかいう理由でやりかねねーし。
 しかも一度、ジーサンとバーサンが爆破されかけたし、殺し合いとか平気でやりそうな気はする……が、さすがにそりゃ考え過ぎだよな。うん」

 まずは、この殺し合いを企てたのは誰か。それを考えていた。
 自分の知っている者から自分のメモリー、もとい記憶を頼りに洗い出していく。
 しかし当てはまらない。ハチャメチャな行動をする者は確かに多いが、しかしそこまで過激な行動をする者は該当するとは思えなかったからだ。
 だからクロはこう思う。
 『自分の知らない誰かがこの殺し合いを企てた』のだ、と。
 自分の知る者ならまだしも、自分が知らない者を詮索しても仕方ない。だからこそクロは思うまま行動をすることにした。
 いつも通り、自由に気の向くまま、暴れる。
 クロの思考は、結局のところそこに行き着いたようだ。


405 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/08(土) 20:18:58 vauOlUJc0

「とりあえず、テキトーに暴れとくか。誰かヒトが気づいてくれんだろ。
 それに……オイラにケンカ売るヤツとかがもしいたら、ゴーホー的に暴れられるからなぁ」

 自分なりの決意を固めたことで、まずクロが始めたこと。それは、自分のディパックを調べることだった。

「んー、あった。
 これがここにいるヤツら全員のリストか」

 クロはディパックから参加者が記載されている名簿を引っ張り出していた。
 場を把握するために必要なのは、やはり状況であるからだ。自由な行動には必要最低限の情報が要る。本能的にそう感じていたのだろう。

「マタタビもいんのか。それ以外にも結構いるじゃねーか。
 ひー、ふー、みー……オイラ含めて70ってとこだな。この中にどんだけ骨のあるヤツらがいんのかね。
 ま、オイラのタマを本気で狙ってくるよーなヤツと会ったときには殺すかもしんねーけど、それ以外は精々半殺しで我慢してやるか。別にオイラは殺し合いしに来たワケじゃあねーんだし?」

 名簿を確認したクロは、次に自分がやりたいことの整理をはじめる。
 といっても、やはりそれは、彼のアイデンティティーでもある一つの思考に行き着いた。

「とりあえず、気が済むまで暴れて、あのキューベーとかいうヤツのところへ戻って、気が済むまでボコる。そして桜町へ帰る。これでいいだろ。
 まあグダグダ言ってても仕方ねー。オイラもそろそろ出発するとしようかね」

 と、そう口にした機械の身体の黒猫は、自分の目的を確認して、行動を始めたのだった。
 そして徐に自分の周辺を漁り始める。おそらく武器を探し始めたのであろう。
 暴れるのに必要なもの、自分の能力を遺憾なく発揮できるオプション。それが彼にとっての『武器』である。
 しかし、クロ自体に思いがけない事態が起こる。

「よ〜し、まーずーはオイラのガトリングで〜……ってねーじゃん! なんでねーの!?
 じ、じゃあ盲腸のあたりにある剣……ってこれもねーし!」

 武器の不在――である。
 この殺し合いは公平性を汲むために、自身が装備している武器は全て没収され、その代わり支給された武器を使用することになる。
 自分の武器が無いなら、どうするか――
 クロはキュゥべえが言っていた言葉を思い出す。

「そういや、カバンには武器も入ってるとか言ってたな……
 じゃあ何か入ってるかもしれねーな。ちょっと調べてみっか」

 まず、クロが取り出したのは、輪状になった細いヒモ。
 それは、『あやとり』という遊びに使われるヒモだった。
 確かに暇潰しくらいにはなるだろう。しかし――

「って、いきなりなんだこりゃ。誰がどう見ても輪っかになったヒモにしか見えねーよな。
 こんなん武器にもなりゃしねー。首締めて殺せってか?」

 次に出たのは、木刀だった。
 名前の通り、木でできた模擬刀の一種である。

「お次は……木刀かよ。武器にゃなるがすぐに壊れちまうぜ。何せ木でできてんだからよー。
 ……まだ他にもなにかあるみてーだ。」

 そして、クロが最後に取り出した武器。それは――


406 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/08(土) 20:20:11 vauOlUJc0

「ってバターじゃねーか! なんでンなモン支給されてんだ!」

 ……バターだった。
 ただのバターだった。なんの変哲もない、バターだった。
 黄色くて四角い、箱に入った新品のバターだった。
 食材と一緒に炒めたりと、色々な料理に使える、あのバターだった。
 最後の望みを断たれた黒猫は、ぐったりと地面に突っ伏していた。

「ちくしょお……なーにが『ハジケリストが面接の際弾いたバター』だよ!
 バターは弾くもんじゃなくて食うもんだろーが!」

 勢いでバターを地面に叩きつけたクロは、そのややグチャグチャになった固形食品を箱に入れ、ディパックに封印した……

「身体の武器もねえ、ロクな武器もねえで、どうやって暴れりゃいいんだ!
 ……仕方ねえからどこか武器がありそうなとこ見つけて調達するしかねーか。まあ、"ここ"なら都合いいかもしれねーしな。
 おっしゃ! 早速行ってみっか!」




  ★ アニメキャラバトルロワイアルEXTRA ☆




「んー、学校にでっけー塔、ホテルってとこだな。あとはデパートにすげー家もあるぜ。
 結構遠くみてーだが、工場っぽいのもうっすらと見えるな。おっしゃ、まずはそこ目指すとするぜ!」

 ……何故か、クロは観覧車に乗っていた。
 殺し合いだというのに、何故か観覧車に乗っていた。

「このでっけー輪に乗れば島全体見渡せんだろ。
 それに、折角遊園地に来たんだから、少しぐれー楽しまねえとな」

 そんなことを呟きながら、外からの景色を眺めるクロ。
 そんなクロを載せた観覧車は、そろそろ一番上へと到達しようとしていた。

「……つーかこれ、いつ下に着くんだ?」



  ★ アニメキャラバトルロワイアルEXTRA ☆



 こうして、数十分の時間が過ぎていた。観覧車とは、ゆっくりと外を観覧する遊具であるが故、到着も遅かった。
 最初は、景色を眺めていたクロも、次第に飽きがきており……

「だー! おっせー! いつになったら着くんだよ!」

 我慢の限界を突破。密室の中で大声で叫んでいた。
 ネコ一匹しかない狭い個室で叫んだところで、結局なんの意味も持たないのだけれど、彼の性分上それは仕方のないことだったのかもしれない。

「ちくしょー、こんなことになんなら乗らねえほうがよかったかも……ん?」

 憤るクロ。その彼の目に映ったのはひとつの影だった。
 今まで誰とも遭遇していなかったクロであったが、とうとう参加者の一人を目測した。
 いや、参加者ではない、ここに"偶然"紛れ込んだ『いきもの』かも知れなかったが、彼にはそういうまどろっこしい思考はあまりなかった。いや、ほぼなかった。

「お? 誰かいんじゃねーか。
 ちょーどいいや。ちょっくら話でもしてくか。
 敵ならブッ飛ばせばそれでいいんだしよ」


407 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/08(土) 20:21:08 vauOlUJc0


 観覧車の中の黒猫がそんな事を考えていた頃――


「ドラえもん! しずかちゃーん! ジャイアーン! スネ夫ー! みんなー!
 うわあああ! もうおしまいだ。ぼくはここで殺されて死んじゃうんだ。
 うわ〜ん、助けてドラえもーん!」

 丸メガネをかけたやや小柄な少年。野比のび太は泣いていた。
 普通であれば笑顔が飛び交うような場所である遊園地で、場違いな涙顔を振りまきながらへたりこんでいた。
 遊園地で泣くような人間といえば、よほどの遊園地嫌いか、親とはぐれて迷子になった子供か、一部のアトラクションに泣かされた人か、はたまた予想以上の出費で涙を流す一部の大人くらいであるというのに。
 まあ、そもそもこんな凄惨な殺し合いの場に遊園地という施設がある事自体が場違いとも言えてしまうが。

 のび太ははじめ、遊園地にいた。
 キュゥべえと言った謎の生物に殺し合いの話を聞かされ、目の前が閃光に包まれたと思った瞬間、彼はいつの間にか"ここ"にいた。
 最初はわけがわからず、静かにここに座っているだけだった。が、時間が経つにすれ、自分が今置かれている以上自体に気づき、察し、心がパニックで暴れ始め、こんな状態とあいなってしまったのであった。


「まだ読んでないマンガもあるのに、こんなのってないよ!
 ドラえもん、いつものようになんとかしてよ〜! どこにいるんだよう、早く助けにきてよ!」

 大声で泣きじゃくるのび太に、はじめてかけられた声は、慰めの言葉ではなかった。
 当然哀れみの言葉でもないし、叱咤の言葉でもない、『それ』は――

「うるせー! こんなとこで泣いてんじゃねえ!
 オメーが危ねえし、なにより殺し合いに乗ってるようないかれたヤツに会ったらどーすんだ!」

 ……一匹の猫の怒鳴り声だった。


408 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/08(土) 20:24:06 vauOlUJc0





  ★ 自由気ままなバトルロワイアル ☆


 のび太は怒鳴り声に過剰な反応を示しながらも、恐る恐る振り向く。
 そこには、二足歩行の目つきの悪い黒猫がいた。

「だ、だれ……? ドラえもん?」
「あん? ドラえもん?
 ……ダレだそりゃ」
「違う……ネコ?
 ええー!? ネコが、ネコが喋ってるー!?!?!?」

 はじめは、きょとんとした。
 そのあと間髪入れずに放たれたネコの言葉に、のび太は驚愕した。
 なぜなら、喋るはずのないネコが喋っているからだ。
 その時点で、ただでさえ切迫状態になっているのび太の心は破裂寸前となった。
 恐怖のあまり思考にならず、彼は『 ニア にげる 』という選択肢を選ばざるを得なかった。

「ネコがネコがネコが……ドラえもんドラえもんドラえもんドラえ……」
「うるせー……ってんだろ!」

 のび太は親友であり家族のような存在でもあるネコ型の子守ロボットの名を、壊れたレコードのように連呼し、床を這いずり回る虫のように逃走を測った。が、すぐに憤った黒猫に拳で阻止された。
 のび太の頭に鉄の衝撃が駆け巡った。まあこれでも彼は手加減しているのだが。本気で殴るときっとのび太の頭は鯵の開きのように裂かれて脂肪の塊が散乱していただろう。
 まあ、キュゥべえが暗に設定した『制限』により、クロのサイボーグとしてのパワーが減少していたのももちろんあったのだが。

「いたいじゃないか! なんで殴るんだよう!」

 のび太の頭に、でっかいたんこぶができた。
 現実ではあり得ないような、ギネス級の大きさのだ。

「まさか、殺し合いに乗ってるの!?」
「別に殺し合いに乗ってるわけじゃねー。オメーがあまりにも騒ぐから殴っただけだ」
「そんな、ひどい」
「あーそうかよ。
 じゃあ、騒いで誰かに見つかって殺されてもオイラは知らねーからな。じゃあな」
「まま、まってよ!」

 あっさりどこかへ行こうとするクロを、止めるのび太。
 なぜさっき殴られたはずなのに、止めるのか。ときっと皆は思うだろう。
 しかし、彼は一人で放置されていた方がの方がよっぽど嫌だったのだろう。行こうとする黒猫を呼び止めた。

「あー、なんだよ。
 殴ったらわめく、行こうとしたら止める。オメー少しはハッキリしろよ」
「ドラえもん、ドラえもんを知らないかな?
 ぼくは、小学五年生の野比のび太」
「あ? 誰だそりゃ」

 のび太は、自分の友達のドラえもんというロボットの事を話した。
 少しではあるが、彼にドラえもんと共に過ごしてきた事を話した。そのほうがドラえもんのことを分かってもらえると思ったから。

「あー、わりーが知らねーな」
「そう……」
「ネコ型ロボットねぇ……剛のやろーの作ったサイボーグか?
 いや、まだわかんねえ。他のヤツが作った可能性も……コタローみたいなのもいるしなー」
「……なにブツブツ言ってるの?」
「ん? 別に大したことじゃねえよ。こっちの話だ」

 次に、クロはのび太の目を見る。
 こいつは大丈夫だろう。明らかに無害そうな顔だ。そんな顔をした後、クロは口を開いた。

「オイラはクロってんだ」
「う、うん、よろしくね」

 はじめて、一人と一匹はまともな会話を始めたのだった。


409 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/08(土) 20:25:25 vauOlUJc0

  ★ アニメキャラバトルロワイアルEXTRA ☆



「のび太も殺し合いに乗る気はねえってことでいいんだよな?
 ま、ドラえもんってヤツに会ったら、のび太が探してたって言っとくわ。別に、ついでっつー事以外なにもねえからな」
「あ、ありがとうクロ」

 参加者名簿を再び確認し、『ドラえもん』の名前を再確認すると、クロはネコ視点で見ると一回り程度大きく見えるディパックを携えた。

「じゃーな。オイラはもう行くから」
「えっ……う、うん……」

 こうして、二人は別れた。
 別れた……と、なるはずだったのだが。



  ★ アニメキャラバトルロワイアルEXTRA ☆



「ったく……時間食っちまったなー。早く武器のある場所へ向かわねーと。
 さすがに木刀じゃ、さすがのオイラでも危ねえかもしれねーし」

 遊園地抜けるべく、まずは出口。というか入り口を探すクロ。
 しかし、彼が感じていたのはなによりも、なにかしらの『気配』であった。

「……誰か、いるな」

 いや、気配だけではない。
 明らかに物音がするのだ。
 いくら静かに動こうと、クロはネコである。聴覚は人以上のものを持っている。さらにサイボーグ化によって強化さえされているのだ。反応しないわけがない。

「誰だ? 気配を消す気もねーっぽいけど、まさかオイラとやろーってのか?」
「……」

 反応は、ない。
 しかし呼吸の音や、何かを蹴ったような音が明らかにする。
 やはり、黙りながら隠れているだけだ。しかもかなり露骨に。
 素人でもそこまで露骨ではないだろう。その程度のものだった。

「こねーなら、こっちから行くぞ」
「ひいっ!」

 クロは後ろを向いて草陰へと向かう。するとさらに誰かの声がした。クロを尾行している者の声だろう。
 もう隠れる気はなさそうだ。そう思い半ば呆れながらクロはその"陰"へと近づく。

「オラアアアアアァ!」
「うわぁああぁああっ!」

 キケンなヤツならぶっ殺すとまでに物凄い形相で突撃しているクロに恐怖したのか、追跡者は大声をあげて地べたに倒れこむ。
 そこにいたのは、野比のび太の姿だった。


410 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/08(土) 20:28:23 vauOlUJc0

「……なんだ、のび太じゃねーか。
 コソ泥みてーなマネしてんじゃねえよ」
「ご、ごめん」



  ★ アニメキャラバトルロワイアルEXTRA ☆



「なんでついてきたんだ?」
「……ぼく一人じゃ、心細いから……
 誰か、殺し合いに乗った怖い人が出たら、きっと殺されちゃうよ!」
「オメーの命はオメーで守れよ。
 さすがに甘えすぎじゃねーか?」
「でも……」

 あまり元気もないせいか、ブツブツと小声でしか理由を述べるしかないのび太。
 耐えかねたクロは、その言葉を絶叫で斬り捨てた。

「あ〜! グダグダうるせー!
 この木刀やるよ! それならオメー自身で少しは守れんだろ!」
「えっ……」

 のび太の眼前に、ディパックから引き抜いた木刀を放り投げる。
 木刀はカランと乾いた音を立ててパステルカラーの床に転がった。

「つーわけで、今度こそサヨナラだからな。ついてくんなよ」

 しかし、のび太はまだ言葉を口に出すことをやめはしなかった。
 それだけ、不安なのだろうか。
 それとも、殺し合いには生き残れないと自分から悟っているのだろうか。
 はたまた、いつもドラえもんに頼っている悪い癖が出てしまっていたのだろうか。
 まあ、おそらく全てなのだろうが。

「そ、そうだ!
 じゃあぼくの支給品を!
 クロって、武器を探してるんでしょ!? だったらぼくに支給品された空気砲、使ってみない!?」
「あ? 空気砲?」

 そう言い、自分の支給品を取り出すのび太。
 そこには、鉄の丸い空洞のような奇妙な物体があった。
 その形は、クロがいつも常備しているガトリングによく似ていた。

「へー、結構いいじゃねーか。オイラのガトリングを思い出すカタチだぜ」
「じ、じゃあ早速つけてみてよ」
「もうとっくにつけ終わってる。
 つけ方もガトリングに似てたから、すぐに馴染みそうだなー。いいじゃんいいじゃん! 結構気に入ったぜ!」

 しかし、彼はある違和感に気がついた。

「ん?」

 弾を発射するための引き金。トリガーがないのだ。
 内側をいくら探ってもそれらしいものは見当たらない。
 それはそうだった。何故ならこれはドラえもんの所有している未来の道具、『ひみつ道具』なのだから。
 この空気砲のトリガーは、少し特殊なものである。シンプルではあるが、普通の思考ならば考えつかないものであるだろう。
 だからこそ、支給品には説明書が付属している。さらに、その持ち主自身が説明書のようなものであるので、クロがこの道具を使うのは容易くなるはずではあるのだが。

「オイ、これどうやって撃つんだ?
 トリガーみてーなもの、どこにもねーぞ」
「えっと、『ドカン』って叫べば空気の弾が撃てるはずだよ」
「ん? 叫ぶだけでいいのか?
 おし。『ドカン』」

 クロがそう言った瞬間、空気砲のトリガーが"起動した"。
 空気が勢いよく弾のようになり、飛び出る。それは弾丸と遜色ないスピードで飛んで行った。
 が、しかし。
 クロは周りをよく見ずにトリガーを起動させた。だからその弾の行方はクロ自身には知り得ない。
 その弾が飛んで行った先が、トラブルのはじまりであった。

「おお! マジで出たぜ! スゲー!
 でも弾丸ってワケじゃねえのか。ちょっとそこらへんはビミョーだな……ってありゃ?」


411 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/08(土) 20:29:09 vauOlUJc0


 ――――――。

 野比のび太は気絶していた。
 頭には二つの大きなたんこぶがはっきりと見えている。
 一つはどうということはない。クロに殴られた時にできたものだ。

 では、もう一つはなんなのだろう?

 答えは簡単。
 頭を強く床にぶつけた時にできたものだ。

 解説としてはこうだ。
 ①クロの空気砲が声のトリガーにより発射される
 ②弾がのび太に当たる
 ③のび太は反動でバランスを崩し、倒れこむ
 ④そのまま頭を床にぶつける
 ⑤気絶 ←☆ イマココ ☆

 ……ということである。

「……伸びてやがる。あ、もしかしてオイラの空気砲のせい?」

 目をグルグルと回しながら気絶しているのび太。顔の上には無数の星が飛び交っている。
 不可抗力とはいえ、この状況を作ったのはクロである。そして、ここは殺し合いだと彼は再び思い出す。
 このまま気絶されて、誰かに殺されても後味が悪い。だとすれば、もうひとつしかなかった。

「…………しかたねー」

 結局クロはのび太を連れて行くことにした。
 とは言っても、安全な場所に連れて行って目が覚めるまで見ておくというだけだ。それ以外に連れて行くイミはない。クロはそう思い返しながら気絶したのび太を引きずり歩き出した。



 気絶した野比のび太を仕方なく、連れて行くことにしたクロちゃん。
 まだバトルロワイアルも序盤!
 いったいどーなる!? 待て、次回!


412 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/08(土) 20:31:10 vauOlUJc0




【H-8/遊園地/一日目-深夜】
【クロ@サイボーグクロちゃん】
 [衣装]:ネコのぬいぐるみの皮(中国製)
 [状態]:健康
 [装備]:空気砲@ドラえもん(残り99/100発)
 [道具]:基本支給品一式、空気砲@ドラえもん、あやとりのヒモ×10@ドラえもん、バター@ボボボーボ・ボーボボ
 [思考・行動]
  基本方針:ここを脱出してキューベーとかゆーヤツをブッ飛ばす。それまではテキトーに暴れる
  1:とりあえずのび太をどっかテキトーなとこへ連れてく
  2:邪魔する奴はもれなくぶっとばす
  3:アイツらなら大丈夫だろ
 [備考]
 ※参戦時期は不明です。
 ※ドラえもんの情報を獲得しました
 ※サイボーグとしてのパワーやスピードは制限、体内武器もすべて没収されています。

【野比のび太@ドラえもん】
 [衣装]:いつもの服、丸眼鏡
 [状態]:気絶、たんこぶ二つ
 [装備]:
 [道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2、木刀
 [思考・行動]
  基本方針:ドラえもんに会いたい。あとはその後から考える
  0:死にたくない
  1:……(気絶中)
 [備考]
 ※参戦時期は不明です
 ※クロがサイボーグであることは分かっていません





【空気砲@ドラえもん】
野比のび太に支給。
ドラえもんのひみつ道具の一つ。
『ドカン』という声がトリガーとなり空気の弾を発射できる武器。大砲の砲口部を模している。腕にはめて使用する。
弾とはいっても空気なので、殺傷力はさほど無いが直撃時の衝撃は強い。
本ロワでは威力が本来の70%ぐらいに制限されており、弾数制限も設けられていて最高100発しか撃てないようになっている。

【あやとりのヒモ@ドラえもん】
クロに支給。
あやとりという遊びをするために、楕円状に結ばれた色付きの細いヒモ。
赤、青、緑、黄、ピンク、橙、紫、白、黒、水色の10色セットが支給。
あやとりはのび太の得意技のひとつ。

【木刀@現実】
クロに支給。
樫などの木を削って日本刀の形に模したもの。武術用としても使用されることがあり、打撃武器としてはそれなりの威力を持つ。
修学旅行でおみやげに買う生徒がいるとかいないとか。

【バター@ボボボーボ・ボーボボ】
クロに支給。
ギターじゃなくてバター。無職男の淡い夢の象徴でもある。
面接会場で魂の演奏をしたとしても、掃除を要求されるだけで心は届かない。
泣いていた人がいたとしても、それは多分目にゴミが入っただけ。古いっちゃあ古いリアクションをすること請け合い。
夏場は臭って大変らしい。


413 : ◆LL3ffKrOXk :2014/02/08(土) 20:34:54 vauOlUJc0
以上で投下を終了いたします
タイトルは、『それがどーした。オイラクロちゃん』/『自由気ままなバトルロワイアル』でお願いいたします

紛らわしいですが、分割ではなくこれでひとつのタイトルとなります。『』と/もタイトルに入ります
wiki編集の際は、分割表示を避けてくださると嬉しいです


414 : 名無しさん :2014/02/08(土) 22:45:25 XuYQV69c0
投下乙です

クロにのび太経由でドラえもんの情報が伝わるとかw
のび太は不安定だがとりあえずはいい同行者と組めてよかッたよかッた


415 : 名無しさん :2014/02/10(月) 04:39:46 jViqlTrU0
良いね~、アニメのサイボーグクロちゃんのナレーションが脳内再生されたよ!


416 : 名無しさん :2014/07/29(火) 16:47:05 BJD13yJg0
もう5ヶ月以上予約ないのか……


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