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【SS】美羽「NO.1」未央「呼んでくれ」
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―事務所 休憩室
未央「おっ、みうさぎじゃん!お疲れー!」
美羽「あ…未央ちゃん、お疲れー…」
未央「ん?どうしたー?元気がないぞー?」
美羽「へ…?…大丈夫、何でもない…何でもないよ…はぁ…」
未央(どう見たって全然大丈夫じゃないんだよなぁ…)
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未央「みうさぎこの後予定空いてる?」
美羽「うん、今日はもう予定は入ってないよ」
未央「じゃあさ、ちょっと散歩に付き合ってくれないかな?」
美羽「…まあ、いいけど…」
未央「決まり!じゃ行こうか」
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未央「んんーっ、だいぶ温かくなってきたよねー」
美羽「そうだね…桜も散ってきてるしね…」
未央(oh…)
未央「おっ、ちょうどいい所に公園があるではないかっ!」
美羽「…」
未央「…少し、休もっか」
美羽「…うん」
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―公園
<ガチャコン ガチャコン
未央「はいっ、エナドリ」
美羽「ありがとう…」
未央「いいっていいって」
美羽「…」
未央「…何かあったんだよね?」
美羽「…」
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未央「もし、悩み事があったりしたらさ、自分だけで悩むってすごくつらいことだと思うんだ」
未央「そういう時は誰かに悩みを聞いてもらうだけでも気が軽くなると思う」
未央「たとえ解決策が出なくてもね」
美羽「…」
未央「その誰かはみうさぎ自身が決めることだけど」
未央「それが私だったら、私は嬉しいな」
美羽「…」
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美羽「…未央ちゃん…あのね…」
未央「うん」
美羽「今日、お仕事でバラエティ番組の収録があったの」
未央「それってみうさぎが楽しみにしてたお仕事だよね?」
美羽「…うん。インパクトあることして、お客さんにいっぱい笑ってほしくってこのお仕事が決まってすぐに準備し始めたの」
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美羽「録画してたバラエティ番組見て、どんなネタのウケがいいか調べて…」
美羽「それで収録中準備してきたことをやったの」
美羽「収録中は場も盛り上がって、それは良かったんだけど…」
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美羽「収録終わった後に司会の芸人さんに呼ばれて…」
美羽「『今日はもうええけど人のネタパクリっぱなしやったらアカンで?もっと自分を出さな』って言われちゃって…」
美羽「それでね、その時は『よし、次はオリジナルのことを考えよう!』って思ったんだけど…」
未央「うん」
美羽「…私…全然思い浮かばなかった…」
美羽「他の人がやってること真似するより…お客さんが喜んでくれそうなこと…何にも…」
美羽「それで…頭の中ぐちゃぐちゃになっちゃって…何もかもわからなくなってきちゃって…」
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美羽「そしたらプロデューサーさんが幸子ちゃんが収録中だから見て帰るか?って言ってくれて」
美羽「何か掴めるかもしれないって、そう思って見学に行ったの」
未央「うん」
美羽「幸子ちゃんはいつも通り面白かった」
美羽「でも今日見た幸子ちゃんはずっと遠くにいる人みたいに見えちゃったの」
美羽「違う世界どころか違う宇宙の人みたいにずっと遠くの…」
美羽「同い年のはずなのに、幸子ちゃんとの間にはおっきな壁が、扉もないし乗り越えられもしない壁があるように思えて…」
未央「…うん」
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美羽「未央ちゃん、私どうしたらいいの?」
美羽「私も未央ちゃんや幸子ちゃんと同じアイドルなんだよね?でもアイドルって何なの?」
美羽「どうしたらアイドルらしくいられるの?もうわかんないよ…」
未央「…アイドルは何か、か…それは私もわからない」
未央「でもさ、アイドルらしさが何なのかとか、アイドルらしくいたいとか、そういうのはアイドルのセリフじゃないと思うな」
美羽「あ…」
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美羽「そっか…そうだよね」
美羽「こんなこと考えてる時点でアイドル失格だy」
未央「そんなことない!」
美羽「…え?」
未央「そんなことないよ。みうさぎはアイドルとして一番大切な気持ちを持ってるじゃんか」
美羽「一番大切な…気持ち?」
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未央「そう。みうさぎはお客さんにより喜んでほしいから悩んでるんだよね?」
美羽「うん」
未央「それがアイドルにとって一番大切な事なんだよ」
美羽「そう…なの?」
未央「うん。その気持ちを持ってるだけでもみうさぎは立派なアイドルだよ」
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美羽「そっか…でも幸子ちゃんみたいな面白人間になれてないし…」
未央(面白人間って…)
未央「さっちーはアイドルとしてはオンリーワンの域に達してるから、さっちーみたいになるのは難しいんじゃないかな」
美羽「そんな…」
未央「でもさっちーから学べるところもあると思うよ」
美羽「そうなの?」
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未央「みうさぎはなんでさっちーがオンリーワンの域に行けたのか考えたことある?」
美羽「ないけど」
未央「さっちーってどんな仕事に対してもいつも全力でしょ」
美羽「うん」
未央「それがさっちーらしさでもあるんだけど、それだけじゃないんだ」
美羽「それだけじゃない?」
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未央「そう。前にね、さっちーがこんなこと言ってるの聞いたことあるんだ」
未央「『ボクは常にボクのNO.1をお客さんに見てもらいたいんです。どんなお仕事であろうとボク史上NO.1の姿を。だってせっかく可愛いボクを見に来てくれたお客さんにNO.1のボクを見てもらわないと失礼じゃないですか』って」
美羽「それってずっと同じ姿を見せ続けるってこと?」
未央「そうじゃないよ。同じような事を聞かれた時さっちーは」
未央「『え?今のお仕事と今度のお仕事と比べるとどっちがNO.1かって?それは今度のですよ。今度のがNO.1です。ボクは常に進化し続けますからね。ボクのNO.1は毎回更新されるんです』ってね」
未央「つまりその時できることを精一杯やるってことなんだと思うな」
美羽「その時できる…精一杯…」
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美羽「でも、今の私じゃ精一杯のことやっても私らしさが出せそうにないし…」
未央「大丈夫、みうさぎらしさが出なくても、みうさぎらしくないって言われたとしてもみうさぎはみうさぎなんだから」
美羽「私らしくなくても…私は私…」
未央「そう。さっちーの言葉を借りると今度のが自分自身のNO.1だって、確信を持って大きな声で宣言する感じで精一杯やればいいと思う」
未央「そうすれば少しずつかもしれないけどみうさぎらしさが出てくるんじゃないかな」
美羽「未央ちゃん…ありがとう。なんか元気出てきた」
未央「うむ、では帰ろうぞ」
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―帰り道
美羽「未央ちゃんってすごいなー」
未央「な、何を急に言い出すかね!?」
美羽「あれだけ悩んでたことをすぐに解決しちゃったんだもん」
美羽「未央ちゃんならどんなことでも簡単に乗り越えちゃいそうだよ」
未央「あはは…それは買いかぶりすぎだよ」
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未央「私もね、似たような悩みを持ってたことがあるんだ」
美羽「そうなの?」
未央「うん。私、アイドルになるまで勉強も運動も人並み以上にできてたし、スタイルにも自信があったんだ」
未央「でも事務所に入ってから色んな人と出会って自分って平凡だなーって思い始めたんだ」
美羽「未央ちゃんが平凡?」
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未央「うん。例えば度胸はしぶりんに適わないし、愛嬌ではしまむーに適わない。勢いは茜ちんに勝てっこないし、場を和ませることに関してあーちゃんとは勝負にならない」
未央「他のことでも自分が適いっこないくらいすごい人がたくさんいて、自分って平凡なんだなーって思って」
未央「だから帰りの電車の中で考えたり、本やネットでもっとできることはないか探したりもしたんだ」
美羽「…」
未央「それだけじゃなくて未だに失敗もするしいろんな人に迷惑かけてきた。それはとっても悲しい事でもあったの。でもね」
未央「そういうことを解決しながら乗り越えてきたから今の私があるんだと思う」
未央「もちろん私だけの力じゃなく、周りにいるすごい人たちの力を借りて」
美羽「そうだったんだ」
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未央「うん。だからね、私はまだまだ半人前だけど、助けてもらった以上に私も力になれたらなって」
未央「何か私にできることがあれば力になりたいって思うようになったんだ」
未央「みうさぎも何かあればこの未央ちゃんを呼んでくれよなっ!」
美羽「…うん!」
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―事務所
未央・美羽「ただいまー!」
かな子「おかえりー」
かな子「あれ?未央ちゃんプロデューサーさんと一緒じゃないの?」
未央「へ?」
かな子「今日はNGの三人とプロデューサーさんとでご飯食べに行くんじゃなかったの?」
未央「…」
未央「しまった!」
―数分後、未央は事務所にいた同僚たちの前で帰ってきたプロデューサーに雷を落とされたのだった
おしり
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以上になります
今回参考にした曲がこちらになります
https://www.youtube.com/watch?v=7JgmgdENzy0
https://www.youtube.com/watch?v=AT2NthqwB8c
名曲なので聴いて、どうぞ
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幸子とかいう人間の鑑
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みおみう流行らせコラ
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優しい世界
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同郷でしたっけ
みうけんましたい
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