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【咲SS】 麻雀部の日々をいくつか
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レズ・ノンケ注意
(ホモは多分)ないです
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登校すると空気が微かに騒がしい
私を追い抜いた人は浮き立っていたし、すれ違った人は浮足立っていた
ああ、今日はバレンタインデーか
昨日までコンビニやスーパーの店頭での商戦があんなに視界には入っていたはずなのに
すっかり頭から抜け落ちていた
気にすることはない。私には関係のないイベントだ
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甘ったるい匂いのする教室から早々に退散して部室へ赴くと京ちゃんと優希ちゃんがいつものように戯れていた
「京太郎!どうせお前はチョコ一個も貰えないだろうから私が」
「ふふん、残念だったな優希、俺はけっこー貰ったぜ!」
「え!?」
「チロルチョコやキットカット、それからポッキーとか・・・」
「・・・へぇー・・・それは良かったな・・・」
「何故だ、何故なんだ!!まぁ有難く頂いたけど」
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「貰えないよりはマシなんじゃない?
京ちゃんって好感はもたれるだけど、いい人どまりな感じだよね」
「(都合の)いい人、(どうでも)いい人とか」
「()の中は言わなくていいんだぜ、咲。むしろ()だけでいい!
()いい人、だろ?」
「上手いこと言ったつもり?」
「(調子の)いい人だじぇ」
「ボロクソ言われてんな、おい」
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「じゃあ京太郎はもうチョコいっぱい貰ってるからいらないんだな」
「いやいや優希さん。いりますよ?貰えるものは何でも」
「ふはは、そうだろう!もっと媚びへつらえ!懇願しろ!」
「ははあ、優希さま卑しい私めにチョコをお恵みくだせぇ」
「何をしているんですか二人とも」
やっと突っ込める人が来てくれた。
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「おお。のどちゃん。のどちゃんが遅れるなんて珍しいな。
ん?その紙袋はまさか・・・」
「すごい量だな」
「ええ、皆さんから友チョコを頂きまして」
さすが和ちゃん。人気だなぁ
「お返しのクッキーが足りて良かったです」
「全員にあげたのか?」
「もちろんです」
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「優希と須賀くんにも有りますよ。どうぞ」
「おお〜サンキュー。ってこれ手作りか?」
「そうですよ。あ、ちゃんと衛生管理はしてますのでご安心を」
「突っ込み所はそこじゃないと思うじぇ」
「でも、確かに手作りものは食べられないって人もいるかもね」
「そのような人には既製品を・・・」
「用意してんのかよ・・・スゲーな」
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和ちゃんは本当に用心堅固だ
八方美人は最近悪い意味で使われることが多いけど、
本来は和ちゃんのような人のことを言うのだろう
まさに完璧。いや少し熱くなりやすいところが玉に瑕、かな
「優希も和もありがとな。あ、咲はくれないのか?」
「えっ?」
私に矛先が向いちゃうか・・・分かってたけどね。
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「いや、ほら・・・京ちゃんと私はそんなものわざわざ改まって送りあう関係でもないでしょ?
大体こういう」
「はいはい、要するに用意してないんだろ」
「まぁ分かってたけど。咲はイベント事にはてんで興味なしだもんな〜」
「そんなだから付き合い悪いって言われるんだぞ。和を見習ったらどうだぁ〜」
私を弄りながら和ちゃんを持ち上げるとは。なかなかやるね
「うるさいなぁ。無駄に外面だけはいい人には言われたくないよ」
「なんだと!」
「なによ!」
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私だってそこまで付き合いが悪い訳じゃない。クラスには談笑する友人もいる
ただそれは校内という限られた空間だけで、敢えて校外で会おうとは思わないだけだ
それでいいとお互いに思っている(はずだ)
仮に街中で偶然見かけたとしても互いに気付かなかった振りをするか目礼する程度だろう
時には儀礼的無関心も必要だということだ
「二人とも仲良いじぇ」
「確かに。この二人がどうして仲良くなったかは興味がありますね」
「どうだったかな、そんなの覚えてねーなぁ」
「同じく」
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別に京ちゃんと私は特別に仲がいいわけじゃない
だけど京ちゃんは変に気を遣ったり余所余所しくしたりしない
それでいて深入りもしてこない
絶妙の距離感を保ってくれる。そんな”いい人”だった
「何となく馬が合ったからじゃねーかな」
その温度が心地よかった
結局私はそんな京ちゃんのさりげない気遣いに甘えているのだろう
「そんな感じじゃない?」
京ちゃんがどう思っているのか本当のところは分からないけれど
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「それより部長と染谷先輩はどうしたんだろうね」
「おふたりとも少し遅れてくるそうですよ」
「部長も贈り物で紙袋いっぱいになってたじぇ」
「さすがだね・・・」
「部長や染谷先輩たちにも先に渡せてよかったです。
先に部活を始めておきましょう」
・・・あれ?和ちゃん?私クッキー貰ってないんだけど・・・
忘れてるのかな?それとも何か意図があるのかな・・・
ちょっと軽〜い感じで聞いてみようかな・・・
でも真顔で「咲さんには用意してないですよ」とか言われたらショックだし・・・
てゆーか暫く立ち直れそうにないよ
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「部長も大変だよな、生徒会長との二足の草鞋」
「学生議会長ですよ。でも確かに忙しそうですね」
「本人は楽しんでるみたいだじぇ」
「そうだね」
あ〜もう話も流れちゃったよ
タイミング逃して今更言いづらいし
・・・いやいやバレンタインなんかに託けて友チョコを渡しあうなんてことで、
私たちの友情を確かめる必要なんてない。そういう意味だよね。
そうだよね。信じてるからね。和ちゃん!
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チョコあげてないのにお返しのクッキー貰おうとするのか…(困惑)
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あーもう。気になっちゃって集中できなかったよ
何回かプラマイゼロになっちゃったし
和ちゃんの眼も心なしか冷たかった気がするし・・・
踏んだり蹴ったりだよ
「咲さん」
「へっ!?」
「体調でも悪いんですか?今日はどこか変ですよ」
「大丈夫大丈夫。何ともないよ」
「それならいいんですけど・・・」
私ってそんなに態度に出やすいかな?
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>>14
和が優希と京太郎にあげたのはお返しではなく友チョコ(クッキー)です
分かりづらくてすいません
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「ところで咲さんはどなたかにチョコを渡したりしなかったんですか?」
「う〜ん・・・実は私、今日がバレンタインだって忘れてて」
まぁ覚えてても誰にもあげなかっただろうけど
「ふふっ咲さんらしいですね」
「そうかなぁ」
「和ちゃんは誰かに渡したの?」
「私は・・・」
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いつになく真剣な、ともすれば思いつめているとも取れる表情だった
「・・・どうしたの?」
「私はチョコを渡そうと思っているんです」
まだ渡してないってことか。学外の人なのかな
「それって本命ってこと?」
「はい」
私は自分から聞いたくせに幾らか驚いてしまった
和ちゃんはそういった色恋沙汰には興味がないと思っていたからだ
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「そうなんだ」
私はそんなに驚いた顔をしていたのだろうか、和ちゃんは
「吃驚しちゃいましたか?」
と、悪戯っぽく口角を上げた
「・・・ちょっとね」
あの和ちゃんが好きになるような人・・・私も興味が湧いてきた
どんな完璧超人なのか、案外母性本能をくすぐるような人なのかも
しかし、経験値ゼロの私には気の利いた返しなど出来るはずもなく
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「和ちゃんに好きな人がいたなんて全然気付かなかったよ」
「ふふっ、そういった話はあまりしてなかったですからね」
「どんな人なの?」
どこまで踏み込んでいいものか・・・
「可愛くて格好良くて、尊敬できる人なんです。それでいて守ってあげたくなるような」
「へぇー」
こりゃ和ちゃんべた惚れだね
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「その人は女の子なんです」
「えっ」
え・・・?
――和ちゃん?
今度は随分と驚いた
二の句が継げずにいると和ちゃんは
「やっぱりおかしいですよね・・・」
と伏し目がちに呟いた
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どうしよう
何か言わなきゃ
此処で黙ってしまったら和ちゃんを傷つけてしまうかもしれない
私は必死で言葉を捜す
「そんな事ないよ!」
人に言わないような話をする
そんな友達に私を選んでくれたのだから
「和ちゃんが尊敬できるだなんて、すごい人なんだね!」
「それにそんな風に想える人がいるってなんだか羨ましいよ」
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「咲さんです」
「え」
「私が好きなのは咲さんなんです」
驚きの次は衝撃だった
「チョコ、受け取って貰えませんか?」
「ちょっ、ちょっと待って」
和ちゃんが私を好き?
美人でスタイルもよく、頭も性格も良い和ちゃんが?
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「私は可愛くないし格好良くもないし尊敬なんてもっての外だよ」
私と和ちゃんが付き合うってこと?
「自己評価と他者評価にはギャップがあるものですよ。
それでなくとも咲さんは自分を低く見積もりすぎです」
「そうかな・・・」
和ちゃんの一番になる
和ちゃんが数多くいる友人よりも私を優先するようになる
それはなんて甘美なものだろう
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あら^〜たまらねぇですわぜ^〜
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一瞬か数秒か数分か・・・
黙ってしまった私を困ったような顔で見つめて
「いきなりこんなこと言われても困ってしまいますよね」
「ごめんさい。私のこと怖くなってしまいましたか?」
そう言いながら、震えているのは和ちゃんの方だった
私は安心させるようにかぶりを振る
「そんな事ないよ」
断る理由はないと思われた。私にとっては、だが。
それよりも了承する理由の方が問題だろう。和ちゃんにとっては。
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和ちゃんと付き合うことで自分の価値が高まる気がした
それによって得られる優越感
こんな感情は和ちゃんには無いものだろう
人をブランド物のバッグのように考える
こんな打算的で自己中心的な私が和ちゃんに相応しいのだろうか
私だって和ちゃんを憎からず思っている
だけど和ちゃんのそれとは確実に違うものだろう
そして一番怖かったのは、断ってしまえば和ちゃんとの関係が崩れてしまうことだ
振った側がお友達のままでいましょうなんてどうして言えようか
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・・・・・・
「いいよ。ちょうだい」
「!!いいんですか?」
「うん。そのチョコと和ちゃんをちょうだい」
「本当にいいんですか?付き合うってことですよ?
付き合うってことはその・・・キス、とかもしたいってことですよ?」
「和ちゃんならいいよ」
この選択は後々和ちゃんを傷つけてしまうかもしれない
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私は自分が厭になりながら、それでも・・・
「あとクッキーも欲しいな」
「もちろんあげますよ。私にあげられるものならなんだって」
この感情が何なのかはまだ分からない
愛情?友情?同情?恋情?慕情?思慕?恋慕?
どれも何処か大袈裟で何か違う気がする
でも確かに、私の返事を震えてじっと待っている和ちゃんを愛おしいと思ったんだ
この芽生えた感情を育てていければいいと思う
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「ありがとう。もう遅くなっちゃったから帰ろうか」
和ちゃんの隣にいる人に私が相応しいかはわからない。
つり合いの取れてない関係。だけどあなたが望むのなら
「ええ」
私は和ちゃんと同じ方向を向いていたい
歩幅が違っても手を繋げば同じ速度で歩いて行ける
「和ちゃんの手、あったかいね」
「咲さんの手は冷たいですね」
ふたりの温度が混ざって溶けてゆく
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「私が咲さんを幸せにして見せます」
「えらく男前だね和ちゃん。じゃあ私も」
「それには及びませんよ。私は今、幸せですから」
・・・私も和ちゃんを不幸にはさせないよ
たとえ道に迷っても、道を違えたとしても大丈夫だろう
どんな道も繋がっているのだから
これからも、道は続いてゆく
私は誰より私を信じてる。私が信じてる和ちゃんを信じるよ
カン!
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結構いい百合してるけど…何かスポーツとかはやってるの?
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タカハシマコっぽい雰囲気がすこ
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こちらが近づけば近づいた分だけ距離をとる
それなのにパーソナルスペースは意外と狭い
一人を好むのに独りになるのは嫌う
咲さんの不安定さや危うさ、心許なさに
私は煩わしさを感じる一方で惹かれてもいました
咲さんは玻璃を隔てて世界を見ているようでした
それはそれで構わない
でもその玻璃を私だけはすり抜けたいと、そう思ったのです
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「そういえばもうすぐバレンタインですね」
「ん、あー・・・そうだね」
「ふふ、あまり興味なさそうですね」
「渡す人もいないしね」
「最近は友チョコなんて文化もあるみたいですよ」
「あれはあれでめんど・・・大変そうだよね
私みたいなのならともかく、和ちゃんや部長みたいに交友関係が広いとさ」
「確かに、部長なんかはこういった日に贈り物はしない方がいいかもしれませんね」
「へたに誰かにあげちゃうと全員にあげなくちゃいけなくなりそうだもん。
皆いろんなものに振り回されすぎじゃないかなぁ」
「日本人はイベント事が好きですからね。あまり深くは考えてないでしょう」
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私の好意と咲さんの好意が違うことは解かっていました
ですが、そもそも告白する人、される人がいる中で本当の意味での両想いなんてほとんど無いでしょう
二人の感情の大きさが同じになるなどあり得ないことです
それでも付き合うと言ってくれる。確信がありました
咲さんは何より不和を嫌います
何か軋轢が生じた時、咲さんはまずその場から離れようとする
それが出来ない場合、その場が収まるのならすぐに謝るでしょう。
正直私には理解出来ない
どれだけ紛糾しようが間違いは正すべきだと思っていますから。
それを咲さんらしいと思えるようになった私を褒めてほしいくらいです
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そんな咲さんだからこそ私は直球勝負に出ました
咲さんの対外評価の高い私を見る目に
微かな嫉妬と少しの羨望が見て取れたから
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私のほうから告白することで咲さんは心理的に優位に立てる
また、多くの人に評価されている私に評価されるということ
さらに、部活仲間でもある私とはこれからも顔をを合わせなければならないこと
ついでに、普通の友人よりは好感を持れている(と思いたい)
これらの要素から私が賭けに勝つ可能性は極めて高かったのです
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もちろん咲さんが女性同士という点に嫌悪感を抱く可能性もありましたが
恋愛事自体にあまり頓着ない、無関心だったのであまり心配はしていませんでした
懸念があるとすれば咲さんの芯の強さが裏目に出ることくらいでしょうか
仮に断られてもこの関係が終わるわけじゃない
それからいくらでもやり様はある
つまり私は勝てないことはあっても負けることはなかったのです
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「和ちゃんならいいよ」
なんて嬉しいことを言ってくれるのでしょう
咲さんは付き合うことについてあまり深く考えてないようですが
まあいいでしょう
それは後々教えてあげましょう
徐々に徐々に・・・私から離れられなくなるほどに・・・
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「和ちゃん!待たせちゃったかな。ごめんね」
「お気になさらず。私が早く来ただけですから」
初めてのデートだと言うのに咲さんはいつもの男子小学生のような服装・・・
そんな飾らない咲さんも素敵ですけどね
素材の良さが引き立ちます
・・・私たちの意識の差も引き立ちますけど
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「今日はどうするの?」
「駅の方に行くって言いましたよ」
「!あ〜そうだったね。うんうん。覚えてたよ!ちょっと聞いてみただけで」
焦ってる咲さんもかわいいです
「行きましょうか」
「・・・怒ってる?」
「怒ってませんよ」
来てくれただけで十分です。「今日だっけ?忘れてたよ」と言われる可能性もあると思っていた位ですから
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「でも本当に吃驚したよ。全然気づかなかった」
「ふふ、そうですか?結構分かりやすかったと思いますけど」
咲さんは決して察しが悪い方ではない。むしろ場の空気や人の機微には敏感な方だと思います
でも自分に向けられるものに関してはどうでしょう?
鈍感であろうとしている節があります
「そうかなぁ」
そうすることで心に波風を立たせないようにしているのではないでしょうか
・・・やめておきましょう。全ては推測です
他人を理解しているなどと思っているのは大抵は驕りか勘違いです
人はそんなに単純ではないのですから
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「このオレンジのリップ可愛いですね。似合いそうです」
「リップクリーム?そうだね和ちゃんにぴったりだよ」
「いえ、咲さんにです」
「私!?私にリップクリームなんてメン○レータムで充分だよ」
それは薬用でしょう・・・確かに実用的ではありますけど
化粧をしろとか、もっと身だしなみに気を遣えとは言いませんがこれは・・・
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「気分を変えたいときなどにつけてみてはどうですか。包んでもらってきますね」
「いいよいいよ。そんな悪いよ。」
「私がしたいからしてるんです。悪いなんてことはないですよ」
「うーん。でも私は柄じゃないよ。それにちょっと派手じゃないかなぁ」
「そんな事ないですよ。唇に馴染めば自然な発色になりますし」
なおも抗議を続ける咲さんを強引に押し切る形で差し上げました
「ありがとう和ちゃん。大切にするね」
「どういたしまして。でも大切にするだけじゃなく使ってくださいね」
これは一度私がつけてあげた方が良さそうですね・・・
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・・・・・・
「もうすぐお昼ですね。お腹空きませんか」
「うーんそうだね。ちょっと空いてきたかも・・・」
「あ、本屋さんだ」
「寄っていきますか?割と大きいところですから品揃えは豊富ですよ」
「うん!」
・・・色気よりも食い気よりも読書ですか
「咲さんのおススメがあれば教えてください。読んでみたいです」
「買わなくても貸してあげるよ!」
咲さんの優先順位で本より上になるのは大変そうです
カン!!
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おつかれナス!
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最近のどちゃんと咲ちゃんの関係が変わった・・・気がする
距離感はそんなに変わらないけれど
ふたりにの間は柔らかな温かい時間が流れている
「のどちゃんは最近表情が柔らかくなったじぇ」
「そうでしょうか」
「前は如才ないけど硬い感じだった」
「元々おっぱいは柔らかかったけどな」
「何を言ってるんですか」
「咲ちゃんのおかげだな」
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のどちゃんは勝算がないと動かない
レベルも装備もアイテムも準備万端にしてからボス戦に臨むタイプだ
装備が重すぎて動けなくなっちゃうんじゃないかと心配していたが
上手くやったんだろう
「・・・そうかもしれませんね」
「これで私も安心してお嫁に行けるじぇ」
「誰目線ですか」
「そりゃもちろん親友だじぇ」
「なるほど」
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京太郎が咲ちゃんを連れてきたときはちょっと不安だった
ふたりともお互いに苦手そうなタイプだったから
実際にはそんな事なくて杞憂だった訳だけど
「でも優希が少し羨ましいです。私は考え込んじゃうから」
「積み重ねるほど身動きが取れなくなっていって、繰り返すほど臆病になっていくようで・・・」
何にしろのどちゃんは一歩進んだんだ
私は・・・いまだ動けずにいる
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「のどちゃんは空に架かった虹の仕組みにどれくらいで気付いた?
子供のころ虹に乗れると思ってたから分かったときはがっかりしたもんだ。
でも仕組みが分かっても綺麗なものは綺麗だと思える心があればOKだじぇ」
知識を得たからといって直感が失われるわけじゃない
「のどちゃんは頭でっかちでいけない」
「いくら頭で考えても駄目なときは駄目。時には直感も大事だじぇ」
「優希は直感に頼りすぎです」
私だって装備くらいしている。身軽という名の武器を
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「のどちゃんは否定するかもしれないけど、私は第六感ってのはあると思ってる」
「第六感ってのはずっと五感を研ぎ澄ませて、続けてきた事だけに生じる違和感のこと」
「つまり経験則だと」
「そう!それだ!」
「否定はしませんよ。私だって嫌な予感がしたことくらいありますし」
私の場合は振り向かせることは難しいかもしれない
でも振り向いてくれないなら追い越してやればいいのだ
そうすればあいつの眼にも私が映るだろう
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「お疲れさまでーす」
「京太郎遅いじぇ!やる気あるのかー」
「悪ぃ悪ぃちょっと野暮用でな」
「それは部活よりも重要なことなんだろーな!」
心の奥を見透かされるのが怖くて
誤魔化して
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「ごめんね、優希ちゃん。遅れちゃって」
「咲ちゃんはいいじぇ。何か訳があるんだろ?」
「酷いダブルスタンダードだ」
「うるさい!」
「どうどうどう、落ち着け落ち着け。よーしよしよし」
あなたの手が差し伸べられるのを待っている
意気地なしの私
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「やめろ〜ムツゴロウさんか。オマエは!」
「ムツゴロウさん位麻雀も強ければいいんですけどね」
「あはは・・・」
「おお、のどちゃんキツイじぇ」
「では今日は雀魔王戦でもしましょうか」
「死ぬわ!んなことしたら」
「タコスがいくつあっても足りないじぇ」
あなたのいる風景の中に居たい
他愛もない話をしてこの鼓動を遅らせよう
もいっこカン!
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おう続きが怖いけど京太郎編あくしろよ(京タコ並感)
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「ちょっと、誰もいないじゃない。最近たるんでるんじゃないの?」
「わしがおるじゃろう。それに一年は確か学年集会じゃ」
「そうだっけ?」
「おいおい学生議会長。しっかりしとくれ」
「しょうがないじゃない。私には関係ない行事だもの」
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「こうしてると去年を思い出すわね」
「今年は随分騒がしくなったからのう」
「そうね。団体戦にも出れるようになって夢が叶いそうだわ」
「みんなにお礼いわなきゃね」
「別に久のためじゃないじゃろうて」
「それは解かってるけど、やっぱり感謝してるわ」
みんなそれぞれ目標や目的があって頑張ってる
呉越同舟・・・いや違うわね。大同団結かしら
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「もちろん、まこにもね」
「なんじゃあ気持ち悪い。わしを褒めても何も出んぞ」
「貴女がいなければ・・・一年間退屈だったわ」
あぶないあぶない
「・・・なんじゃぁそりゃ」
あきれ顔で何か言いたげなまこだったけど、何も言わずにいてくれた
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「あ〜・・・あっこれ!タロットカードじゃない。昔これで占いやってたわね〜」
「口八丁で適当じゃったろう」
「まぁね。でも懐かしいわね」
「折角だからちょっとみんなに当てはめてみない?」
「またおかしなことを」
「いいじゃない。ちょっとした暇つぶしよ」
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「和は正義って感じかしら」
「力もありじゃなかろうか」
「優希は愚者」
「星」
「須賀君は魔術師」
「太陽?」
「咲は・・・審判?」
「う〜ん・・・節制」
悪魔の逆位置ってのも面白いかも
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「まこは・・・隠者かしら」
「えらく地味じゃの・・・」
・・・法王でも良かったかしら
「私は何だと思う?」
「ん・・・」
「直感でいいから、ね」
「女帝・・・じゃろうか」
「そっか〜女帝か〜」
「逆位置のな」
「ちょとぉ、照れなくてもいいじゃない」
「照れとらん!」
-
・・・・・・・・・
「咲さんは太陽、いえ世界です!」
「ぶちょー、愚者ってひどいじぇ」
「魔術師ってなんか格好いいな」
「優希ちゃん、愚者は悪い意味って訳じゃないよ」
「あらら。みんな揃ったわね」
「じゃあ皆でタロットカードの意味について解釈していきましょう」
「何故そうなる。ここは麻雀部なんじゃが」
「いいじゃない。たまには息抜きも必要よ」
「・・・たるんどる」
・・・・・・カン
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おつかれナス!
いいですわゾ〜これ
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出てきたタロットカードの意味・解釈です
正義・・・・公正、公平、正当性、厳格、調和、結果、決断、均衡、平等、責任、因果応報
力・・・・・・意志、勇気、強さ、柔軟さ、外柔内剛、受容、忍耐、抑制、信念、ヴィジョン、決意
愚者・・・・未知、自由、無、純粋、探求、好奇心、冒険、魂の変容の旅、楽天家、 無限の可能性
星・・・・・・希望、理想、奇跡、インスピレーション、先を見通す、良い兆し、明るい見通し、霊感
魔術師・・活力、創造性、好奇心、積極性、アイディア、意志、機知、技術、仕事、顕在意識
太陽・・・・生命、確信、栄光、満足、快活、獲得、健康
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審判・・・・・・・審判、解放、復活、再生、回復、許し、救済、覚醒、変容、良い知らせ
節制・・・・・・・適応、適当、調節、バランス、節度、調和、相互作用、自己管理、適切な状態の維持、癒し
悪魔逆位置・回復、覚醒、新たな出会い、束縛から解放、断ち切る
隠者・・・・・・・智慧、洞察、内的意識、思慮、孤独、沈黙、隠遁、賢者、光明、解決、可能性の探求
法王・・・・・・・秩序、規則、伝統、慈悲、助言、常識、慣習、帰属、教育、精神性、保守性、包容力、優しさ、広い視野、ぬくもり
女帝・・・・・・・創造力、成長、発展、繁栄、充実、満足、愛、美、魅力、豊かさ、育む、女性的魅力
逆位置・・・・・停滞、わがまま、虚栄、浮気っぽい、愛情不足、情緒不安定、優柔不断、過保護
世界・・・・・・・成功・成就・完成・完全・統合・完遂・幸せ・結婚・目的達成・願望成就・運命の出会い
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清澄高校控室では先鋒戦を前に新たな懸念が発生していた
「優希が帰ってきませんね。どうしたんでしょうか」
「まだ時間はあるけど、ちょっと心配ね」
「咲じゃあるまいし、迷子って訳じゃないじゃろうが」
「優希ちゃん・・・」
「俺が探してきますよ」
ったく、あいつどこほっつき歩いてんだ
通路をしらみつぶしに探していく
ほどなくして目的のタコス娘は見つかった
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非常口の近くの人気のない一角に優希が佇んでいた
「おい優・・・」
呼びかけようとして躊躇う
「大丈夫大丈夫、私はやれる」
呟きながらその声と体は震えていた
その小さな肩にどれ程の重圧がかかっているのか。俺には想像が及びもつかない
相手はほとんどが上級生でエースと呼ばれる存在なのだ
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「・・・おーい優希ーどこだー?」
「!どーした京太郎」
「おーいたいた」
「どうしたって、お前が帰ってこないからみんな心配してたぞ」
「すまんすまん。ちょっとお色直ししてただけだじぇ」
「お色直しってお前なぁ・・・」
負ければこれまでの自分を否定されたような気になる
賭けてきたモノが大きければ大きいほどに
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何と声をかけてやればいいだろう
・・・やめておこう。ここで俺が何を言っても無責任な言葉にしかならない気がする
「一旦控室に戻ろうぜ。タコスも置いてきてるしさ」
そう言って優希の手を引く
「ちょっ、京太郎!?」
驚いて振りほどこうとする優希を無視して強く握り返す
その震えが止まるように
カン
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漫画ではさらっと始まったけどあの面子は緊張するよなぁ…
優希も京太郎もすばら
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